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1997-03-27 第140回国会 参議院 商工委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年三月二十七日(木曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  三月二十六日     辞任         補欠選任      平田 健二君     今泉  昭君  三月二十七日     辞任         補欠選任      今泉  昭君     平田 健二君      藁科 滿治君     千葉 景子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         木宮 和彦君     理 事                 沓掛 哲男君                 吉村剛太郎君                 片上 公人君                 前川 忠夫君     委 員                 大木  浩君                 倉田 寛之君                 斎藤 文夫君                 中曽根弘文君                 林  芳正君                 平田 耕一君                 今泉  昭君                 加藤 修一君                 木庭健太郎君                 平田 健二君                 梶原 敬義君                 竹村 泰子君                 千葉 景子君                 藁科 滿治君                 山下 芳生君    国務大臣        通商産業大臣   佐藤 信二君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       麻生 太郎君    政府委員        公正取引委員会        委員長      根來 泰周君        経済企画庁調整        局長       土志田征一君        経済企画庁総合        計画局長     坂本 導聰君        経済企画庁調査        局長       中名生 隆君        通商産業大臣官        房長       広瀬 勝貞君        通商産業大臣官        房商務流通審議        官        今野 秀洋君        通商産業大臣官        房審議官     安達 俊雄君        通商産業省産業        政策局長     渡辺  修君        通商産業省環境        立地局長     稲川 泰弘君        通商産業省機械        情報産業局長   中川 勝弘君        通商産業省生活        産業局長     村田 成二君        資源エネルギー        庁長官      江崎  格君        資源エネルギー        庁長官官房審議        官        谷口 富裕君        資源エネルギー        庁石炭部長    中村 利雄君        資源エネルギー        庁公益事業部長  岡本  巖君        中小企業庁長官  石黒 正大君        中小企業庁次長  岩田 満泰君        中小企業庁計画        部長       田島 秀雄君        中小企業庁小規        模企業部長    篠原  徹君    事務局側        常任委員会専門        員        里田 武臣君    説明員        法務大臣官房参        事官       菊池 洋一君        大蔵省銀行局調        査課長      五味 廣文君        文部省初等中等        教育局高等学校        課長       石川  明君        運輸省港湾局計        画課長      川島  毅君        労働省職業安定        局高齢障害者        対策部企画課長  金子 順一君        建設省道路局地        方道課市町村道        室長       甲村 謙友君        建設省住宅局住        宅整備課長    石川 哲久君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○特定産業集積活性化に関する臨時措置法案  (内閣提出衆議院送付) ○平成九年度一般会計予算内閣提出、衆議院送  付)、平成九年度特別会計予算内閣提出、衆  議院送付)、平成九年度政府関係機関予算(内  閣提出、衆議院送付)について  (総理府所管公正取引委員会経済企画庁)  、通商産業省所管中小企業金融公庫及び中小  企業信用保険公庫) ○委員派遣承認要求に関する件     —————————————
  2. 木宮和彦

    委員長木宮和彦君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨二十六日、平田健二君が委員辞任され、その補欠として今泉昭君が選任されました。     —————————————
  3. 木宮和彦

    委員長木宮和彦君) 特定産業集積活性化に関する臨時措置法案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 おはようございます。早朝より大臣並びに執行部皆様方、お疲れさまでございます。  本日は三月二十七日でございますが、御存じのように、私の地元福岡県の大牟田市に本拠を持っております三井三池鉱が本月の三十日に閉山する運びとなっておるわけでございます。官業の時代から百二十数年間、まさに日本産業を支えてまいりました石炭産業、そしてその中の非常に象徴的な山でございました三井鉱がこのような形で閉山になるわけでございます。  かつて、昭和三十四年から五年にかけまして総資本対総労働というようなあの争議も経てきたわけでございますし、また数度となくいろいろな事故にも見舞われたわけでございます。それがこのような形で閉山になるということは、それぞれ立場が違う方々、また私どものように直接関連はありませんが福岡県に生まれ育ちましてそのような経緯を見てきた者にとりましては、大変感慨深いものがあるわけでございます。  歴史的には、石炭といいますのは非常に古くから日本人の生活の中に組み込まれておった、このようにも言われておりまして、江戸時代には、福岡におきましては既に庶民の燃料として取引もされておった、このように聞くわけでございます。そして、その山が福岡県には昭和二十二年当時百三あったわけでございまして、これは全国で一番多くの山を持った福岡県であるわけでございます。福岡県にはなじみがない方はわからないかもわかりませんが、筑豊地区という山の集積したところ、その筑豊石炭中国大陸鉄鉱石が相組みまして八幡製鉄所というのが官営としてスタートし、これがいわゆる日本鉄鋼産業並びにそれに関連する多くの産業とかかわりを持ち、日本経済明治時代から、また戦後の復興期を支えてきたわけでございます。  また、今申しましたように、大牟田三池鉱は、この石炭を素材といたしまして化学工業、もちろん石炭採掘関連するいろいろな産業も起こり一時は大変栄えてきたわけでございますが、石炭から石油へというエネルギーの転換によりまして、だんだんと福岡県の山もなくなっていき、閉山になっていき、そして福岡県にとりましては唯一残っておりましたこの三池鉱が、申しましたように三月三十日に閉山になるということでございます。全国的にはあと北海道一つと長崎県に一つと、二つ残るわけでございます。本当に先ほど申しましたように、一時代を担った山がこうやって閉山になるということ、大変私にとりましても感慨深いものがあるわけでございます。  そういう中で、一番の喫緊課題は、閉山に伴います離職者をどう救済していくかということであろうと思っております。  何しろちょうど平均年齢が働き盛りの四十七、八歳、ある意味ではお子さんを抱えて一番お子さんにもお金がかかる年齢方々がこの時期職を離れていかなければならない。それも住みなれた地元大牟田から離れていかなければならないというような事態になることは、これは人ごとではない大変つらいことであろうかと、このように思う次第でございまして、我々福岡県民といたしましても、そういう方々大牟田もしくはその近郊で新しい仕事につけるように願っており、また県も地元自治体も、また通産省の方、国の方にもいろいろとお願いして、その対策を講ずるべく努力をしておる次第でございます。そういう中で、ぜひこの喫緊課題でございます離職者雇用問題、それに伴います子供たち就学問題、これについて格別の取り計らいをぜひお願いしたい、このように思います。  それと同時に、通産大臣、この件についてはいろいろと今日までも御検討をいただいておるわけでございます。この大牟田地区をどうしていくかということ、これは福岡県にとりましても、また国にとりましても一つの大きなプロジェクトでございまして、これからいろいろと細かく積み上げていかなきゃならない、このように思う次第でございます。そういう面について大臣の基本的なお考え、また決意なりをお聞かせいただきたい、このように思う次第でございます。よろしくお願いいたします。
  5. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今の吉村先生お話地元選出国会議員として本当にいろんな思いのある百二十四年の歴史を閉じるということ、一口に言えば、感無量のものがあるということになると思います。非常に今のお話を聞いて私自身も心を新たにして、この問題、後処理をいかにするか、かような決意を改めさせてもらったわけでございますが、この山、今言われるように歴史の中においてはいろんなことがありました。  確かに時代の変わりと言えばそれまでですが、国策の会社として、そして国から民間にしたけれども、何しろやはり日本のというか、世界の当時の産業エネルギーの大宗を占めるのが石炭ということで、そして戦前においても、特に戦後の復興期においても石炭を掘れ、石炭を掘れ、こういうことでハッパをかけられてなさったということ、しかしもう御存じのようないろんな事情で、要するに採算性の方から石がとれなくなった、こう考えます。  そこで、私は所管大臣として直ちに思ったことは、何といってもこの閉山に伴う閉山自体の処理とは別に地域、これがやはり直接三井三池鉱山にお勤めでない方にも、今までそれによって支えられた町というものが大きく変わってくるだろうと。今まで戦後最大と言われているのは、福岡県とそれから熊本県、二県、しかも大牟田市と荒尾市、二市、そして福岡県の高田町と大和町、こういうふうに二県二市二町という非常に大規模になるわけですから、その地域の後をどうするかという地域対策と、そして今御指摘のように、職を離れられる千二百十余名の方々、それをどうするかと。しかも、普通のことと違って長い歴史の中にはそこに土着というか住みついておられているから、土地を離れたくないというお気持ちは十分に理解できるわけです。  そういうことで、正式に決まる前、もう大体そのような予想ができましたので、三月の十三日に、橋本総理から私と岡野労働大臣二人が呼ばれまして、関係省庁との連絡をとって万遺漏がないようにしてくれと、こういうふうな実は御指示がございました。  十八日に、ちょうど労使の交渉がまとまった一時間後に、この三井鉱山とそれから三井石炭鉱業両社の社長さんが私の方に見えられまして、その閉山の報告もありました。若干きつい言い方をしたかもしれませんが、私は、まずこの問題というのは、第一義的には両社並びにやはり三井グループというものに負ってもらいたいと。もちろん、国として何にもしないわけではないが、その辺ははっきりしておかなきゃいけないよということを実は申しました。そして、もちろんそのときに、今申したように、雇用対策それから閉山対策、こういうものに対して万全を期すようにお願いしたわけです。  次の十九日には、関係十四省から成ります産炭地域振興関係省庁等連絡会というのがございますが、それを緊急招集しまして、私を先頭にいたしまして、そのようなことに関する協力を依頼しました。次の二十日の日に、ちょうど春分の日でございましたが、私の方からは上野政務次官、そして労働省からは岡野労働大臣運輸省から古賀運輸大臣がヘッドになって、関係省庁の者を連れて現地調査、そして実情把握をさせました。  当省といたしましては、まずやらなければいけないことは閉山交付金の支給でございます。これはもう御案内のごとく、全部坑口を閉めなければできないわけですが、そこのところは特例ということで、十九のうち七つだけがあいたままで、しばらく保安上のことでおいておきますが、それを残した段階でも支給するということで、大体今の予定はお盆、七月の中ごろぐらいにはと、かように実は考えております。  そこで、そのような方では円滑に行われるようにしますし、それからあとは、労働省の方は直ちに手帳の発行、黒手帳それから緑手帳ですか、そういうものをやると。そこで、あとはやはり今の三井グループそれから地元三井グループに対しては離職者の再雇用大分数は出してまいっていますけれども、どうしても今おっしゃるように地元がまだ少ないということで、そこのところをやります。  それから、やはり何といっても跡地をどうするか。新しい企業というものをつくり出さなければいけませんから、そういうものには今の炭鉱地の売却も含めて地方自治体、そういうところとよく連絡をとってくるということで、実は先ほど申しました十九日に開催いたしました連絡会、ここにおいては四月の下旬までに地域振興対策というもの、これを取りまとめて、そして工業団地の造成だとか地域活性化、これに関するプロジェクトの推進、それから新しい産業の育成、こういうことの地域対策雇用対策、この案を出してもらう、こういうふうに実は決めてあるわけでございます。  いずれにいたしましても、万全を期していく方針でございます。よろしくお願いいたします。
  6. 金子順一

    説明員金子順一君) 労働省関係雇用対策につきまして若干説明させていただきたいと思います。  当面の対策といたしましては、現地職業相談であるとか職業紹介体制をまず整備しなければいけないということで、一時にかなりの離職者の方が出てこられるということになりますので、地元大牟田荒尾公共職業安定所体制を整備する、あるいは三池鉱業所の中に臨時職業相談所を設けるというようなことを取り組みたいと思っております。また、求人の確保につきましては、大変地元志向が強いということあるいは年齢が高いというような事情もございますので、労働省といたしましても、近隣の通勤可能と思われる地域安定所を挙げて求人の要請でありますとか特別の求人開拓を実施したいと思っております。また、転職するに際しましては職業訓練が大変大事になりますので、こちらの方も十分な枠を確保して、指導員なども応援体制を組みまして十分な対応をしていきたいというように考えております。  また、手帳制度につきましては、これは黒手帳緑手帳というのがございますけれども、こちらにつきましても基準があるわけでございますが、それぞれの労働者の方の従事しております業務の実態に即しまして、適切かつ迅速に発給して対応していきたいというように考えております。  このような施策を通じまして、離職者の再就職対策に万全を期してまいりたい、そのように考えております。
  7. 石川明

    説明員石川明君) 先ほど先生から子供たち就学の点についてお話がございました。文部省の方から少し御説明をさせていただきたいと存じます。  特に高等学校の生徒の転入学の問題につきましては、福岡県の教育委員会の方におきまして、各都道府県に対して配慮を要請しておりますが、文部省の方におきましても、三月七日付で全国に向けまして初等中等教育局長名で通知を発出しておりまして、転入学者受け入れ校の拡大ですとか、あるいは受け入れ時期の弾力化を図るなどの配慮を求めているところでございます。  また、授業料の免除につきましても、これは各都道府県経済的事情その他特別な理由のある方々に対して条例教育委員会規則授業料減免措置が講じられておるところでございまして、今回の三井三池炭鉱閉山関係経済的な影響を受けられる方々につきましても、そういった条例規則趣旨を踏まえて、適切に対応がされるべきであるというふうに考えております。  また、奨学金関係につきましても、国の事業であります日本育英会奨学金につきましては、こういった臨時のケースにつきましては随時受け付けをして対応するといったような形をとっておりまして、適切に対応していきたい、このように考えております。
  8. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 大臣から非常に細かいところまでの御答弁をいただきまして、福岡選出議員として大変心強く感じた次第でございまして、今後ともよろしくお願いをしたい、このように思っております。  就学については既存の制度で賄えるということであろうかと思っております。これは私も県会議員をしておりまして、国の制度、また県の制度、市の制度、それぞれ教育関係についてはかなり今日までこの閉山とは別建てで従来やってきた経緯もございまして、そういうところで御努力をいただけるものと、このように思っております。  緑手帳石炭関係ない方は黒手帳緑手帳と言っても余りぴんとこないんじゃないかと思いますが、緑手帳交付基準があるわけですが、なるべく甘くと言ったらおかしいんですが、これは関連して、本当に職を離れなくちゃいけないような関連企業の商店とかいろいろありますので、その辺なるべく緩やかな基準お願いを申し上げたい、このように思う次第でございます。  今、雇用問題、就学問題、また住宅の問題、喫緊課題でございますが、いずれにしましても、この地区を中長期的に発展させていかなければならない、これが今後の大きな課題であろうか、このように思う次第でございます。  大臣もちょっと触れられましたが、何といいましてもあそこに三井系土地、これは六割方はNEDOに担保に入っておるということで、本来ならこれを売って担保を解いてというようなこともあろうかと思いますが、今日の状況ではなかなかすぐ土地が売れるという見込みも立たない、また売れてもどんな売れ方をするかわからないというようなことですので、国の協力も得ましてマスタープランをつくって、そこに新しい産業を起こしていくべく県もまた自治体努力をしておるところでございます。環境リサイクルの新しい産業をここに誘致するというようなこと、これは非常に土地柄といいますか、こんなことを言いますと大牟田周辺の人には申しわけないんですが、マッチした面があろうか、このように思っております。  きのうも大牟田から市会議員、仲間が多数参りましてしばらく懇談をしたんですが、炭鉱というような産業をずっと支えてきた大牟田及びあの地区荒尾も含めまして、それから遊休地があるということ、港があるということ、そういう中で今ごみ問題を含みます。そういう廃棄物をどうするかというのは、これは国家的な課題であるわけでございまして、今日まで石炭というもので国家に貢献した大牟田中心にしますこの地区が、今度はそういう廃棄物を処理していくというような形で国家的な役割を果たしていこうじゃないかというのが、今我々も話し合っているところでございまして、そういう面でも新しい分野に進出しますこの当地に対しまして、国の方の、特に通産省中心になっての御協力をよろしくお願いしたい、このように思う次第でございます。  冒頭、三井三池鉱の問題について御質問させていただいた次第でございますが、福岡県におきましては、実はこの大牟田市は今般のこの法案の前にございました中小企業集積活性化法の指定を受けた地域であるわけでございます。そういう面では、福岡県におきましてはすぐ近く、お隣の大川市とか、また先ほどちょっと申しました北九州市とか筑後市とかがその認定になっておるわけでございます。今回の法案につきましては、このような産業構造の変革によります、またグローバルな競争社会におきます。そういう地元企業、特に今日までの日本経済を支えてきました中小企業集積が破壊されようとしておる、空洞化しようとしておる、それに対応するための法案であるわけでございまして、特定中小企業集積活性化法をさらに一歩進めたものであって、大変私はポイントをついた法案だなと、このように思っておる次第でございます。  そういう中で、空洞化空洞化とこのように言われておりまして、漠然と認識としては空洞化という認識は持っておるんですが、具体的に今日の日本のそういう集積空洞化という実態はどのようになっておるかちょっと御説明いただきたい、このように思います。
  9. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) お答え申し上げます。  現在、地域におきましては、特に量産型産業中心とした生産拠点海外移転あるいは海外からの製品の輸入の増大によりまして、産地などの中小企業集積我が国基幹産業を支えてまいりました部品、金型、試作品などの基盤的技術産業集積崩壊の懸念が高まってございまして、まさに委員指摘のように集積内の事業者に対して深刻な影響を与えているところでございます。  具体的な数字で申し上げますと、中小企業集積に関しましては、平成三年度から七年度まで出荷額が約二〇%低下をいたしてございます。また、基盤的技術産業集積に関しましては、例えば全国ベース平成二年から平成六年までの間をとりますと、この間、製造業全体の減少割合は七・五%でございますが、基盤的技術産業集積の代表的なものでございます金型製造業については約二三%、さらに電気メッキ業につきましては一三%出荷額が減少いたしてございまして、それぞれ厳しい状況がうかがわれるところでございます。  こうした事態は、集積内の企業間ネットワーク崩壊集積に蓄積されました技術崩壊など集積の活力の低下を引き起こすものでございまして、ひいては我が国経済発展基盤を喪失することになりかねないものという認識を持ってございます。
  10. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 その法案の背景となりますような実態については今お聞きした次第でございますが、その中で、この法案の中に、主務大臣基盤的技術産業集積及び特定中小企業活性化に向けた都道府県及び事業者の取り組みに関する指針活性化指針として定めることとしておるということでございますが、今この指針作成はどのような形で進行中なのか、またいつぐらいの時期をめどにこの指針を策定されるのか。指針ができてからがこの法案が実質的にスタートするわけですね。その辺の説明お願いしたい、このように思います。
  11. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) この法案は、成立をいたしますと三カ月以内に施行をするということになってございますが、極力早い段階で施行いたしたい考えでございます。  お尋ねの活性化指針につきましては、早期告示ができますように、その具体的内容について鋭意検討中でございます。少なくとも五月、六月の段階では告示ができるような準備をしたいと考えてございます。  また、活性化指針内容につきましては、主には四点ございまして、産業集積の機能や発展のメカニズムにつきましてどういうものであるかを示す。また、法の対象となります産業集積の要件など集積としてどのようなものをとらえるか。それから都道府県作成をいたします活性化計画に記載されます目標の設定あるいは支援事業あり方などの計画作成、実施のあり方についてが三点目でございます。四点目は、事業者事業展開のあり方を示しまして、産業集積活性化について全体として国の基本的な考え方を記述することといたしてございます。
  12. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 既に特定中小企業集積活性化法が走っておりまして、三十八道府県、九十四カ所ですか、もう認定になっておるわけでございます。これがそのままこの新法に移行するわけでございますが、旧法の実績、どのような形で効果があらわれているのか、まだまだ時間がかかるものなのかどうか、その辺の実態を、これは平成四年に制定されましてもう数年たっておりますから、何らかの効果も出てきておるのではないかと思いますが、その辺の御説明お願いしたいと思います。
  13. 田島秀雄

    政府委員(田島秀雄君) お答えを申し上げます。  先生指摘中小企業活性化法、現行法でございますが、いわゆる企業城下町とか産地とかそういったところが内外経済環境の大きな変容の中でいろいろ御苦労をされておるということで、平成四年に制定されたわけであります。制定以来、全国で九十四地域先生が今御指摘されましたように三十八道府県四百四十一の市町村の地域に広がっておるわけでございます。  ただいままで九十四地域でございますが、初年度、十四地域活性化計画を承認させていただきまして、次年度が二十七地域ということで、順次各県の活性化計画の承認をさせていただいておるというような状況でございますので、いずれの地域におきましてもただいまいろんな技術開発等々の御努力が続けられておる段階でございまして、現時点では商品開発、技術開発等三百を超えるプロジェクトと申しましょうか、案件が各地で進行しておる、こういうふうに了解をいたしております。  したがいまして、すべてについて結果が出ておるということではございませんけれども、この時点におきましても、例えば北海道の室蘭の地域でありますとか、新潟の三条地域とかいうことで、有望なといいますか、見るべき技術開発の成果等もあるというふうに承知をいたしておりまして、地域の大学や中小企業皆様方がお互いに連携をされたりして、経営資源を有効に使っているというようなことの成果も了知をしておるところでございます。  この法律は、本日御審議をいただいております法律に発展的に解消、統合されておりますが、私どもといたしましては、この新しい法律をもとに引き続き地域中小企業集積活性化につきまして万全を期してまいりたい、こういうふうに思っております。
  14. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 特定中小企業集積の方、例えば福岡県におきまして大牟田市とそれから大川市というのが、これは集積の性格も若干違うわけなんですね。新たに基盤的技術産業集積の分野が入ってまいりました。特定中小企業の方は、例えば大川市は家具の町でございまして、家具のメーカーもあれば流通を担当する卸屋もあるわけなんです。だから、ハードもソフトも含めてこの集積法の適用の枠内に入るであろう、このように思っておりますが、基盤的技術の方はどうなんですか。販売とか、そういう商社的なものについてはどうなるんでしょうか。
  15. 安達俊雄

    政府委員(安達俊雄君) 基盤的技術産業につきましては、基盤的技術産業集積に注目しまして、各種の研究開発あるいは新しい製品開発、こういった前向きの取り組みを応援していくということでございますけれども、基本的に物づくりを中心とした対策について応援をしていこうというふうに考えておるところでございます。
  16. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 基盤的技術産業集積の方は物づくりの方、ハードの方だということなんですね。大体それに限定されておるということで、そう解釈していいわけですね。  いずれにしましても、指針をつくっていただいて、そしてそれに応じて知事が活性化計画をつくるわけでございまして、地元の当事者、業者それから自治体、それと県がありまして、それぞれに集積の性格がいろいろあると思うんです。それをどううまく実態を吸収するか、この辺のシステムといいますか、指導というか、そういうものはどのようになっておるんでしょうか。
  17. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) この法案検討するに当たりましても、各地にあります通産局あるいは都道府県による現地調査、各地域へのアンケート調査などを精力的に行いまして、地域実態把握、地域のニーズのくみ上げに努めてきたところでございます。  新法の施行に当たりましても、通産局を十分に活用いたしまして、都道府県、市町村とも連携協力をしながら、地域の具体的ニーズをさらに把握をいたしまして、利用しやすく実効のある施策として運用をしてまいりたいと考えてございます。
  18. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 先ほど特定中小企業集積の方は九十四地域ということでございまして、初年度が十四地域、それから二十七、大体十四から二十ぐらいで今日までの九十四になっておると思うんですが、これはエンドレスということはないと思いますが、都道府県から申請が出てきて基準に合っておればまだまだふやしていけるということでございましょうか。
  19. 田島秀雄

    政府委員(田島秀雄君) 特定中小企業集積につきましては、地域産業集積実態、それから当該集積の業界の皆様方の御意向、関係都道府県等の御意向、意欲等々を踏まえまして、密接に都道府県と相談をしながら運用させていただきたい、こういうふうに思っておりまして、九十四で打ちどめとかそういうことではございません。
  20. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 これは数がふえてきますと、当然財政、予算との絡みも出てくるわけでして、日本経済を支える中小企業ですから、特にこの集積というのはこれから活性化をさらにしていかなきゃならないと思います。そういう面での予算についてはまた大臣の政治力も大いに期待したい、このように思っておりますが、大変重要な課題でございますのでよろしくお願いをしたい、このように思っております。  それで、たまたま私この間いただいた資料を見ておりましたら、大牟田平成六年、そしてお隣の熊本県の荒尾がたしか平成七年なんです。一年ずれているんですね。これは、あそこに行きますと、大牟田荒尾は一体なんです。どこまでが大牟田か、どこからが熊本県というのがわからないんです。それが一年ずれておるということ。これはまた熊本県は熊本県の中でいろいろな面の優先順位、検討の経過もあったんだろうと思いますが、あそこが一年ずれるということは、僕は非常に気の毒だなという気がするんです。  だから、今後問題を進めていくときに、県をまたがった場合にこういうことも間々あるんではないかなと。経済はもうボーダーレスですから、経済圏というのは一体ですから、それが行政区分によって時期がずれたり、ある意味ではこっちは申請がなかったり、そういうこともあるんではないかと思うんですけれども、これは地域にとっては非常に不都合なことが起こるんではないか、このように思っておりますが、その辺についてどういう指導なりお考えなり、もし今までそういうものを処理してきた実績があればそういうやり方、そういうものをちょっとお聞かせいただきたい、このように思います。
  21. 安達俊雄

    政府委員(安達俊雄君) 本法におきましては、都道府県をまたぐ産業集積を対象に活性化計画を複数の都道府県が共同申請することも可能になっております。  したがって、連携していく必要のある地域におきまして実行上うまく協力し合っていただくということを私ども期待しております。私ども、制度的にもそういうふうな対応をさせていただけるということでございます。
  22. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 このまま正直に言うと、これは知事からの計画が上がってきて初めて実現するわけですね。だから、事前に指導していくということですか。
  23. 安達俊雄

    政府委員(安達俊雄君) 計画が上がってきてからということではなくて、計画の御相談があった段階におきましてもよく自治体と相談をしてまいりたいというふうに、さように考えております。
  24. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 私の持ち時間は六十分でございますが、委員会の円滑な運営に御協力する意味をもちまして、これで質問を終わらせていただきたい、このように思っております。  最後に、日本経済になくてはならない中小企業、特に集積の今後の育成、メガコンペティションの中におきます日本中小企業というもの、これは大変日本経済にとっては大切なものだ、このように思うわけでございますが、これの今後の施策について基本的な大臣のお考えを聞かせていただきまして、私の質問を終わりたい、このように思います。
  25. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今言われたように、全般的には産業空洞化ということが叫ばれております。ややもすると、製造業海外に移転すると。こういうものは何か大きい体力のある会社が出ているような錯覚もありますが、現実は、製造業の中でも中小企業が大分出ているというのが現実であります。  やはりそれの原因というのは、言うまでもなく日本の高コスト構造だとかあるいは各種の規制緩和、こういうことでもって、当然日本でもって仕事を進めていくべきであるそうした分野まで外国へ進出しているということの深い反省に立ちまして、そして国際的に見てやはり同じような条件にすべきではないだろうかということで、橋本内閣でもって六つの構造改革、こういう中の経済構造改革、これを一つの柱として、昨年の十二月の時点で、閣議でもって「経済構造の変革と創造のためのプログラム」、これを策定、閣議決定したことは御案内のとおりであります。  それで、具体的には、今申したように出ていく企業、これをなるべく国内に引きとめると同時に、やはり新しい仕事というかそうした新規産業創出、その観点から、個別産業分野のニーズに対応した規制緩和、それから人材育成、技術開発等の総合的施策をやっていこうと。また、新規産業創出にかかわる共通の課題を解決するということで、資金だとか技術、人材面の施策、こういうことを推進していく方針でございます。  また、国際的に魅力ある事業環境というものをつくり出すということでは、今申した高コスト構造是正と規制緩和、これを徹底するということで、特に物流だとかエネルギー、それから情報通信、こういうところにおいてこれを実現していこう、また企業労働に関する諸制度というものも変えていこう、こういうことを実は考えております。そしてまた、本法案に基づく地域産業技術集積活性化、こういうものの施策を進めていくわけでございます。  きょうの御審議で委員からも御指摘がございましたように、やはりこの法案の着実な実施によって、我が国の物づくりというものを支えて、そして国際的な魅力となっているサポーティングインダストリー、これの集積などの活性化ということに力を入れるということでございます。  それから、なお、今言われたように、この法案が通りまして実際的にはどういうふうに指定が行われるかと大変御懸念があると思います。私もこれは大臣という職を離れて、今までの経験から言っても同じようなやはり懸念を実は感じます。それではやはりだめなんだと。従来と違ったということは、やはり少なくとも地元がいかに熱心かと。やる気がある地域を最優先的にしなければ、従来は、これを言うのはおかしゅうございますが、ややもすると、こういう一つの政策を打ち出すと何でも早く手を挙げた方ということから、深い考え方ではなくやってきたという点に問題があっただろう、こういう実は反省に立って、今度はそのように、そういうことでもって予算もそういう地区には十分にしていきたい、かように考えております。  以上です。
  26. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 ありがとうございました。終わります。
  27. 今泉昭

    今泉昭君 平成会の今泉でございます。この問題につきましては、昨日の本会議におきまして、私ども平成会の同僚議員平田議員が幾つか質問をしておりますが、私は別の角度から時間を少々いただきまして質問させていただきたいと思います。  まず最初に、大臣のこれから我が国のあるべき産業の姿というもの、政府としてはこのように我が国経済をつくり上げていきたいんだということについて少しお伺いしたいと思うわけでございますが、御存じのように、今我が国は大変な産業構造の転換期にございます。これは、我が国一国だけの問題ではなくして、世界的に同じような新しい転換に向けての苦しみを味わっているのではないかと思うわけでございます。  振り返ってみますと、我が国の場合は、戦後大体十年を周期にいたしまして大きな経済の転換を迎えてきたというふうに私は理解をしております。  例えば、昭和三十年代前後というのは、いわゆるエネルギーの転換がございました。石炭から石油への転換ということで、そこにおけるところの我が国産業構造におきましていろいろな摩擦が起きて苦労もしてまいりました。  十年後の四十年、この時期はちょうど我が国がIMF八条国へ移行し、OECDに加盟をし、第一次のいわば開放経済体制に入ったときでございました。このときを契機にいたしまして、我が国は輸出を軸にいたしました経済政策が展開をされたというふうに考えておるわけでございます。  それから、昭和五十年代、五十年前後というのは御存じのように石油ショックがございました。それまで重厚長大を中心としてまいりました我が国経済政策というのが、軽小短薄の方に何とか我が国経済を持っていこうではないかという努力がなされたんではないかというふうに判断をしております。  そしてまた、十年後の昭和六十年、要するにプラザ合意の前後というのは、極端と言えるまでの円高が始まった時期でございまして、円高を中心といたしまして我が国の第一次の空洞化が進行した時期でございまして、この空洞化に向けて我が国経済をどのように持っていくか、こういう課題が政策課題としてあったのではないかと思うわけであります。  そして、その十年後の一九九五年、この前後というのは、いわゆるバブルの崩壊とともに、何が原因ということではなしに、世界的な大きな冷戦構造の崩壊という中で、軍事産業中心とした世界の先進国の流れが民間を中心とした大きな競争経済に入っていく、メガコンペティションの中でどのように新しい時代に見合った産業をそれぞれの国が構築していくかという大きな課題を背負ったことも事実であったのではないかと思います。  これと前後いたしまして、アルビン・トフラーが「第三の波」というようなベストセラーを書いた流れの中で、もう時代は先進国は工業化の時代ではない、いわゆる脱工業化という問題が盛んに喧伝をされまして、我が国におきましてもこれからの経済政策は工業化よりも新しい第三のいわゆる情報化社会の中で、それを中心とした産業を育成していかなきゃならない、そういうような考え方と、いやそうじゃない、あくまでも国の経済の基本はまだ工業化というものが底辺にあって、それをもとにした新しい情報化産業というものが上に、二階、三階に乗ってくるんだという考え方と、大きな二つの流れがあったんじゃないかと思うわけであります。  そこで、今大変バブル経済以降、空洞化の問題あるいは世界的なメガコンペティションの中で大変な苦労をしている我が国の二十一世紀に向けての産業構築というものを一体どのような大きな柱を立てて、どういう姿にしていかれたいというふうな考え方を持っていらっしゃるのか、考え方をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  28. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今、大変大事な点の御指摘だと思います。これは大変申しわけないんですが、国あるいは通産省の考え方よりか私見が大分入るかもしれませんが、お許し願いたいと思うんです。  今、委員指摘のように、日本のこの生い立ちというもの、よくても悪くても昔はやはり国家目標、それに対する基本戦略があった。しかし、戦争の結果それを失って、何しろ新しい時代なんだ、自由主義だ、民主主義だと。これは非常に結構なことですが、ある意味では履き違えてきて、そしてやはり当時の意向としては何でもかんでも国の復興だと。これも一つの国家目標として大事だったと思いますが、そのときに、今おっしゃるように大事なことを何か忘れてきたのではないだろうか。  これは非常に古い言葉で誤解があるかもしれませんが、昔は士農工商とこう言って、商業的な部門、いわゆる今で言う第三次産業が一番底辺だったわけですが、一次産業である農業、漁業、こういうものがちょっと若干国際化ということでいろいろな問題を起こしてくるという中で、せっかくこの学歴を習得した人たちもそれぞれの分野でない、すなわち、簡単に言えば理工関係の方でももうかるところはどこだろうかと。それは、収入がいいところは銀行だ証券だ、そうしたところにみんな走り過ぎている。それで、一番国として大事な物づくり、二次産業という、これをやはり置き忘れたんだろう、こう思うんです。確かに時代の流れでもって、昔のように基幹産業というものが鉄だと、こんなことを実は言おうというわけじゃございませんが、何かそこがまさに空洞化してきて、手っ取り早くお金になるものというふうに、やはり一億そういうふうに走ってきたんだろう、かように思うんです。  ところが、今日になってその中においていろんなことでもってうみが出てまいりました。政界でもございますし、そしてまた官界でもいろいろなことがございます。当然やはり今の金融界のいろんな不祥事件というのは、そういうものが一挙に吹き出したものだろうと私は思っております。  そこで、その反省に基づいて、これから本当にどうなんだろうかということで、もう一回あの終戦の時点、それ以前に立ち戻ろうというのがやはりこれから大事なことではないだろうかというので、実はこの法案もそうですが、やはり二次産業、物づくりというものをおろそかにしていいんだろうかというのが実はこの法案趣旨だと私は読んでおります。もう釈迦に説法ということになりますが、そういうことだと思うんです。  もう一つ大事なことは、先ほど申しましたが、こうした法律をつくる、でもそれを一体だれがどういうふうに使うかということ、これが一番問題でございます。そういうことでもって、私は今非常に国際化ということで外国とのつき合い、この壁もなくなってくるときに、そこのところでもって日本経済的な基本戦略というもの、これをやはり早く打ち出していくべきではないだろうか。それには、一つ言えることは、外国とつき合ってみて、日本の方が今日すばらしい技術を持っているとか、すばらしい経済力ということにどうしても若干のおごりがあるんではないだろうかと。そこはやはり謙虚に反省して、外国とつき合う場合にはその相手国のよさというもの、これを必ず学ぶというような考え方を持っていかなきゃできないだろう、これが私の考えでございます。
  29. 今泉昭

    今泉昭君 製造業を改めて見直していくという大臣お話、大変これは重要なポイントでございまして、私もまたそこにポイントを置いた上でこの法案をつくられたんだろうと思うわけです。  もう一点、改めて考え方をお聞きしておきたいと思うんですが、特にメガコンペティションの時代におきまして、我が国は今までのような我が国独自のいわゆる慣行であるとか、独自のやり方ということでは済まない時代になりまして、これはもう言うまでもないことですが、世界的な一つのルールに従って、世界的な基準に従って競争をやっていかなきゃならないという時代になったと思うわけであります。  そういう中におきまして、そういう条件を一番クリアしてきた産業といいますと、これはもう製造業以外になかったんじゃないかと私は思っているわけです。いろんな規制の条件を見てみますと、製造業の規制は大体一六%くらいですよね。ほかのいわゆる第三次産業の規制の平均というのは六〇%から七〇%ぐらい、まだ規制がたくさんある。そして、その規制の中で守られて生き延びてきたという現実があるわけです。もちろん、だから我が国経済発展に寄与しなかったということは申しておりません。大変いろんな立場でもってすべての産業が役割を果たしてきたわけでございますけれども、今日の世界的な競争時代におきまして世界の基準にいち早く合わせて、裸になって競争してきたのはこの製造業であっただろうというふうに私は思っているわけです。  これは大変重要なことでございまして、慶応大学の島田晴雄先生がよく言うんですけれども、我が国のいわゆる購買力の比較をしてみると、日本はアメリカに比べて四割ぐらい低いということが言われている。すなわち、大体国内で保護政策に産業が守られているがゆえに高いコストで高いものをつくって、それを買わされて国民は生活をしている。これが購買力平価の差になってあらわれているわけですが、実はそういうことではなくして、製造業の場合は世界的な競争基準に合わせていますから、そういう意味では全く購買力平価は一対一、百対百の関係でやってきた。国民に対しても安いものを提供してきたという大きな役割を担っていたんじゃないかと思うんですね。  ところが、第二次産業である製造業以外の第三次産業の場合は、規制で守られて高いものを国民に買わせていた。消費支出の金額が今三百兆と言われているけれども、この中の四割というのは、国内において高いものを国民が強制的に買わされていたようなものだ。そうすると、三百兆の消費支出のうちの約四割、百二十兆円は第二税金という形で国民がかぶっていたんじゃないか。そういうことをしなかった産業製造業だけだったんだ、こういう実態にあるわけですね。そういう意味で、この製造業をどのように守っていくかということはやっぱり政治にとりまして大変重要な最大の課題だろうと思うわけであります。  ところが、現在の我が国の各製造業実態を見てみますと、今一番事業所の数が減少している産業、従業員の減少している産業というのは製造業なんですね。ぬくぬくと守られている規制が多い産業がむしろふえていっている。こういうことはやはり政策として大変まずい政策のリーディングじゃなかっただろうかと思うわけであります。そういう意味で、ぜひひとつこの製造業活性化、物づくりの再構築というふうに言われていますけれども、私はこれだけでもまだまだ足りないと思うような気持ちを持っているものなんですけれども、これはぜひ力を入れてもっともっと充実するような政策を今後ともつけ加えていっていただきたいと思うんですが、簡単に、大臣いかがでしょう、そういう考え方は。
  30. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 委員のおっしゃることはよく理解できるんですが、ただ非常に難しいのは、やはり長年というか戦後国民一般に、我々の中にある考え方というか、こうした意識というものが急激に変わってこないということ、そしてまた同時に、やはり長い間の商慣行と称する、いわゆる企業家のモラルに関する、こういうことが非常に弊害になっていると思うんです。  私自身は、やはり今回の六つの構造改革という、この柱というものは改革だとか変革なんという言葉では済まされない、まさに改革ではなく革命的なんだということを、この間実は総理にもほかの閣僚にも申し上げたんですが、そういう気持ちでもってまさに一から出直すというところまで行かなきゃならない。ですから、この法案、確かに先生のおっしゃるとおりですが、これはまず手始めだというふうにお考え願いたい、かように考えております。これで十分だとは当然思っておりません。
  31. 今泉昭

    今泉昭君 そこで、産業集積地のことについて少しお聞きしたいと思うんです。  産業集積地にもいろんな類型が私はあるんじゃないかと思うんです。どこに焦点を当てているのか、全部広げた意味での産業集積地を意識しているのかどうかということをちょっとお聞きしたいと思うんですが、一つ産業集積地は、いわば産地と言われる、要するに消費者が使う製品をそのまま提供していく業者がいっぱい集まっている、中小企業。例えば三条、燕の洋食器であるとか、あるいはまた四国でいうならば香川県にある引田の手袋の産地であるとか、あるいはまた岐阜県の関にある刃物の集積地であるとかというようなそういう産地の集積地、これが一つあると思うんです。  それからもう一つは、そういう末端の消費者に完成品を供給するのではなくして、そういう物をつくる生産者に対して部品を供給していくような集積地があると思うんですが、これには例えば川口の鋳物であるとか、そういうようにいわば特定の業種に限定をして、その技術集積していって集積地をつくっているというようなところがあると思うんです。  さらにまた、いわば企業城下町と言われる集積地があると思うんです。すべて親企業のラインの一環を受け持つというような形で、親企業がつくった製品の枠内で常にそういうものを供給していくという、高いすぐれた技術を持ちながら集まっている集積地があったと思うわけであります。これはもう大変多くあるわけでございまして、例えば茨城の日立製作所を中心とする日立であるとか、あるいはまた、もうなくなりましたけれども、座間の日産を中心とする集積地であるとか、これは広島に行けばマツダを中心とする集積地であるとか、八幡に行けば新日鉄を中心とする企業城下町があったり、室蘭に行けば日本製鋼や新日鉄がある城下町というところは、それぞれの企業の供給基地としての集積地があったと思うわけであります。  さらにもう一つあるのは、そういうものとは全然別個に、いろんな業種が交わりながら特定の取引先を限定せずに、大変多くの中小企業を集めた集積地、いわば代表的なものとしてよく言われるのが大田区、京浜工業地区に集まるものであるとか、あるいは東大阪を中心とするグループであるとか、こういうものがあったと思うわけでありますが、それぞれそのニーズ、問題点というのはみんな違うと思うわけであります。  この産業集積法案というのは、そういうものの中に時代に合わせてどんどん衰退していくようなところもあります。ある意味では非常に非難をされながら、もうこういうのはやめるべきだというようなところもあるわけですが、この法案そのものはそう言われているすべての集積地を残していこうというような意味で考えられているのか、それともこういうところに特に焦点を当てて、こういうところを守り育てていこうというふうな考え方を持っていらっしゃるのか、その点をひとつお聞きしたいと思います。
  32. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 一口に言えば、今までの中小集積法というのは産地だとか城下町、こういうものを念頭に置いてつくったことは否定いたしません。  ところが、今委員指摘のように第三のグループというか新しい流れ、それは言うまでもなく高度情報通信社会、こういうものの急速な進展によっていろんな横の連携を持つということで第三グループができたと。それも包含しなければいけないということで、今までの法律ではカバーできないということでこの法律が生まれてきた、こういうふうにお考え願いたいと思います。
  33. 今泉昭

    今泉昭君 もう一つ、実はいろんないただいた資料を見てみますと、さきの法案でございましたこの中小企業集積活性化に関する臨時措置法によりまして九十四の指定がなされてきたと。この九十四の集積地をずっと見てまいりますと、大きく分けまして、一つは金属を中心とする集積地、繊維を中心とする集積地、それから食品を中心とする集積地、それから窯業を中心とする集積地、業種的に大体こう整理ができるような形で見られるわけです。  こういう中におきまして、例えば繊維産業などは、最近の場合はコスト構造の問題から後進国に大変追い上げられて、日本ではどんなに考えてもこれはもう守り切れないというような集積地も当然これはあると思うんです。それとは違って、地方の意識からするならば、これは県として、県の特産物として何とか残したいと。これはもう国際競争を度外して県のやはり名前を残すような意味で残したいというものがあると思うんです。  そういうような集積地がいろいろあるわけでございますが、それじゃ、この法案というのは、そういう意味での選別はしない、すべて全部何とか残れるものは残していくような意味合いの意識を持っていらっしゃるのかどうか、その点をお聞きしたい。
  34. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 各地の集積の特色は、まさに先生四つの分類をされましたような内容であろうかと思います。  それからまた、各地のいわゆる産地の現状は、途上国に追い上げられ非常に窮迫しているもの、あるいは国内の本物志向という言葉でも表現されるような需要から各地の特産品として残したいようなもの、いろんなタイプがあろうかと思います。それから、押しなべまして、現在の国内の需要の変化に対応した物づくりの変化というのがうかがえまして、例えば消費財の世界でも、いわゆる一般品、普及品、量産品というものについては東南アジアとの競争ではなかなか勝てない。ただし、その中に特注品でありますとか、消費財の世界でも個々の消費者の好みにかなりウエートを置いたもの、そういったものについては需要がそれなりにふえつつあるものも見られます。  それから、先生がお挙げになりました企業城下町とか大田区的な異業種のもの、これも明らかに国内のいろんな需要が量産型、加工組み立て型に対する部品供給の部分から、特注品あるいは資本財の中のかなり高級な部品といったものに国内の製造業に対する需要そのものが変わりつつあるということを我々は考えてございます。  したがいまして、この法律におきましては、大きく分けて二つのタイプの集積を対象にいたしまして、産地と言われております伝統的なものについては、その中でも国内の新しい需要に向かって新分野開拓をしようとする、そういう集積を対象とする。それから、企業城下町、大田区的な異業種の連携で成り立っているもの、これも新しい日本の需要構造、産業構造の変化に対応して技術の範囲を広げ、技術のレベルを上げ、そういう対応をしようとしている集積を対象に多少とも支援を送っていきたい、かような考え方でございます。
  35. 今泉昭

    今泉昭君 前の法律によりまして、九十四カ所の産業集積地、そういう表現がいいかどうかは別としまして、が指定をされているわけでございまして、これを見てみますと、先ほどもちょっとお話がございましたが、平成四年には十四地域平成五年には二十七地域平成六年には二十六、平成七年は十七、八年が土地域、全部で九十四地域あるわけでございますが、これらを指定していろんな形で援助をした結果がすぐ出てくるというふうに私は思っておりませんけれども、さきの法律によりましていろんな助成策をとりまして、例えば全体的な一つの流れとしまして、いろいろ苦労を抱えていた集積地に雇用が拡大をする、業種が拡大をするというような一つの流れが出てきたのかどうか。  というのは、全体的な流れをちょっと見てみましても、実は多くの集積地におけるところの企業数や売上高、従業員数、補充しているにもかかわらず軒並みに減っているわけですよね、見てみますと。そういう中で、全体的な今までの助成策というものがどういうような形で、少しでも下げどまりになったよとかいうような大ざっぱな意味でも結構でございますから、効果が出ているかどうかということについてちょっとお聞きしたいと思います。
  36. 田島秀雄

    政府委員(田島秀雄君) 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、初年度十四地域云々ということで合計九十四、いろんな御努力が続けられておりまして、地域によっては現時点までの段階でも新しい商品を開発できた、有望なんでこれから販売努力をいたしていきたいというようなこともありますので、私どももその限りでは大変元気づけられておりますし、今後ともその成果に大いに期待をしておるわけであります。  全体としてどうなるかというところ、まだ御努力いただいておるところなんでございますけれども、例えば先ほど触れました室蘭地域等では新製品、かなり有望だと言われておりますが、そういう開発がありまして、産地の出荷額がこうなったのが少し上向いておるというようなところもございまして、確かに内外経済環境は大変に厳しい折でございますものですから、先生おっしゃられるように引き続き企業数、出荷額の面でも苦労をされておるわけでございますが、そういうところも現時点までの段階であるということでございます。
  37. 今泉昭

    今泉昭君 これまでの法律の中では不十分であるというような意味合いもありまして、今回のこういう形の新しい法律に衣がえされたと思うわけでございますが、今までのやつと根本的に違う、こういう点だけは特別に違うんだよということがあったらちょっと御説明いただけますか。
  38. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 大きく分けて二点ございまして、一つ目の差は産業集積、対象とする集積として基盤的技術産業集積を追加したものでございます。従来の集積はどちらかといえば一つの業種、類似の業種に属する企業者がある地域集積をした、まさに産地でございますが、この基盤技術産業集積というのはむしろ非常に多くの異なった業種が、鋳物、金型からメッキ、切削加工、そんないろんな業種がネットワークを組みながら集積をつくっているという違いがございます。これは量産型組み立て業種、代表的なものは自動車とか家電でございますが、その足元を支えてきたものでございまして、かつ自動車、家電の次の日本がつくるであろう基本材的なもの、例えば半導体製造設備でありますとか、東南アジアで自動車、家電を製造する際の機械をつくるとか、そういうときの足元を支える集積でございます。そういう集積を新たに追加したというのが一つ目の違いでございます。  それから二つ目の違いは、従来やってまいりました特定中小企業集積活性化法の経験にかんがみまして、中小企業者の連携の促進でありますとか、さらに研究開発に関する助成とか、そういうものについての中小企業支援を強化しているということでございます。
  39. 今泉昭

    今泉昭君 ここで少し空洞化のことについてお聞きしたいと思うんですが、盛んに空洞化空洞化ということがこれまで言われてまいりました。私の判断に誤りがあったら指摘していただきたいと思うんですが、今まで製造業の中におけるところの空洞化中心というのは、いわば一つ企業の中のエンジニアリング部門と組み立て部門を中心とした基盤が海外にどんどん出ていった、そして海外におけるところの安い労働コストと結びついてそこで収益を上げるというような形になってきた。そういう意味合いで、どちらかといえば大企業が、もちろんここに書いてあるような基礎基盤は大企業は持っておりますし、先端技術開発の基盤も持っておりますし、エンジニアリング部門やあるいは組み立てを中心とするいわゆる付加価値をつけて新しい製品をつくり出していくという部門も大企業は持っていたわけですが、大企業は、その中の付加価値をつけてエンジニアリング部門の知識を駆使して収益を上げるという部門が大変多く海外に転出をしていったのが今までの状態の特に空洞化中心であったんではないだろうかと私は思っております。もう既に海外で活躍をする我が国企業に働く海外労働者が何と三百万人を上回るんではないか。国内でそれだけの労働力が確保されていったら我が国はもっと雇用情勢はよかったはずでございますが、実はそういう部門がごっそり抜けていった。  しかしながら、これは同じようなことがこれから各国に起こってくるわけでございまして、この点については私どもは余り心配する必要はないと思っているんです。むしろ私どもが一番心配なのは、さらにその下の部門である基盤技術と言われる、さっきは金型とか鋳物とかメッキとか言われましたけれども、それにとどまらずいろんな意味でのいわゆる人の技術でもってつくらなきゃならない集積基盤というもの、この部門がどうやら外国から今注目の的になっている。  東南アジアは一定の開発、経済発展をしますと、今度はさらにもっとおくれているところから追い上げられる。そうすると、日本がやったように彼らも外に出していかなきゃならないような状況に追い込まれるわけでございまして、その際、彼らが一番気がついているのは自分たちには技術集積基盤がなかった、そこで、日本中小企業にごっそり来てくださいと、甘いいろいろな条件をつけて、日本の政府がつけるよりももっと大きなあめをぶら下げて、来てくれ来てくれと。私はそこに一番危険性があるのではないかというふうに思っているわけでございまして、特にそういう意味で思い切ったこれに対する対策をとらなければ、我が国は大変なことになるんじゃないかというふうに思っているわけですね。  特にここの部門というのは、大企業ももちろん持っていますが、大企業は全体の企業経営の中でこれはカバーしていけますけれども、問題はその基盤だけに集まっている中小零細企業だと思うわけであります。  中小零細企業の特色を見てみますと、一つは高齢化が物すごく進んでいるということですね。それから、いろんな意味での設備が老朽化してきているということです。この高コスト構造の中でなかなか設備投資も行えない、そういう中から設備が老朽化をしている。さらにもう一つは、いわゆる取引相手というのが比較的大企業なものですから、どうしても下請という位置づけをなされて、その商取引の中で常に過酷なコストダウンを要請されている。収益性が物すごく上がらないというこういう状況の中に生きているグループではないかと思う。しかも加えて、若手の新しい労働者が三K職場ということもありまして入ってこない。だから、そこでこれまで蓄積されてきた技能の継承というものが大変危ぶまれている、こういうふうに私は思うわけです。  そこで、この特定産業集積活性化に資する法律の中で特別皆さん方から出てくる言葉は、新しい製品の開発と言われる。新しい技能の開発などに援助をすると言われる。それも一つの柱として重要だと思う。ところが、今持っているこの技能がなくなっちゃったら、これはもう元も子もないわけですよ。これを守るための施策というものが実は物すごく欠けているんじゃないか、要するに、人に向ける視点というものが大変欠けているんじゃないかと思うんです。  御存じのように、アメリカは大変高度技能開発に力を入れてまいりました。ベンチャーも大変起こっていますよ。しかし、彼らが開発した技能をつくるのはどこか、日本なんですよね。あのICだって、ICをつくる機械は日本が供給しているじゃないですか。例えば、精密機械で物すごい世界的な技能を持っていたニコンであるとかキャノンだとかというところが、あのステッパーというICを生産する機械をつくってアメリカに持っていっているわけです。要するに、アメリカと違って我が国はそういう技能がまだ多く底辺に残っているわけでありまして、それを支えているのはその機械をつくる実は技能労働者なんですよね。  ところが、この技能労働者はどちらかといえば三K職場に働いているから、子供たちもおやじの油まみれの汚い姿を見ていると、おやじと同じ仕事をやろうなんて思わないですよ。家庭の中においても、おやじは技能工であるかもしらぬが、おまえは会社の経営者になれよというような形でホワイトカラーを志向する。そういう人ばかりであっては困るわけでありまして、だから、どちらかといえば今我が国の要するに高等学校におけるところの専門学校というのがどんどん寂れていっている。かつては、いわゆる貧乏な社会の時代は、大学に行きたいけれども大学に行けない、そこで手に職をつけるために高等学校の専門学校に行った優秀な方々が大変多かった。そういう方が社会に出て今日の技術、技能集積を果たしてくれたわけですが、今その後継者というのが全くもう途切れるような状態になっているんじゃないだろうか。  そこで、これは通産省だけに言うのも気の毒なんですが、縦割り行政だけの問題じゃないですよ、これは。省庁を超えた形での日本の技能教育というものをどうしていくかということを改めて見直さなければ、今外国から来てくれ、来てくれと言われる中小企業がすとんと基盤ごとなくなってしまう危険性がある。今の段階ではまだ中小企業の基盤技術のところの空洞化というのはわずか二%か三%ぐらいでしょう、恐らく。ところが、その上の段階のエンジニアリングであるとか、あるいは組み立て技能をつくっていく段階空洞化というのはすごいものでありまして、例えばカラーテレビの海外生産比率なんというのはもう八〇%を超えている、VTRだって六〇%を超えている、洗濯機だって七〇%を超えているというような状況です。それと同じような形で、この技能基盤がもし日本から移動していったら、これは大変なことになるわけであります。日本では物がつくれないということになる。  そういう意味で、人に向けた施策というもの、これは大変重要なことだと思うんですが、その点についてのこの法案におけるところの施策というものは考えられているかどうか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  40. 石黒正大

    政府委員(石黒正大君) お答え申し上げます。  非常に本質的な深い問題点の御提起だというふうに理解をいたしますけれども、委員指摘のように、これまでの我が国製造業を支えてまいりましたのは多くの中小企業の御努力、また生産現場で働く技術者、技能者の方々であると。今後ともその面についての力を尽くしていかないと問題であるという認識をいたしておりますけれども、おっしゃいますように三つ問題があろうかと思います。  一つは、技能者、技術者の方々の高齢化の問題それから二つ目は若者の製造業離れという問題、三つ目は最近の労働力需給の関係で若干中小企業に人が来るようにはなりましたけれども、いかんせん定着性が悪いという問題、この三つの問題があろうかというふうに考えております。なかなかこの問題をクリアするのは大変な問題をはらんでいるというふうに考えておりますけれども、物づくりが、日本の将来を考える場合に、おっしゃいますように日本にとって不可欠のものというふうに考えれば、何とかしてここをクリアしていかなきゃいかぬ問題ではないかというふうに思っております。  その点に着目した施策といたしましては、従来から中小企業庁におきまして技術者の研修制度であるとか、中小企業技術指導といったような制度を用意いたしておりまして、幅広い形でいろんなことをやってきております。また同時に、労働環境をよくしながら中小企業者の技術者、技能者の確保を図るという観点から、労働力確保法というような体制も含めましてやってきておるところでございますけれども、御指摘のようにこれで万全という感じはございませんで、これからも各省挙げて努力をしていかなきゃいかぬ課題だというふうに考えております。
  41. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今の今泉委員の御指摘、全く同じ考え方を持つものでございます。  先ほど私は一次産業、二次産業というような表現をしましたが、確かにボーダーレス、こういう中においては二次産業と三次産業の垣根がなくなっているんですね。これを違う表現をすれば、今御指摘のようにハードというものとソフトという、ここはもう第三次産業に混在していると。そこで、先ほど申したようにやはり何とか楽をしてお金が入る方法はないかということでこっちへ集中していく流れがあると。これはあらゆる点で我々反省しなきゃいけないんですが、そういうことでややもすると今のように自分たちの、特に中小企業方々、お父さん、おじいさんがやったというそうした技術というもの、それに対して誇りを実は持つという気持ちがなくなって、それより手っ取り早くもうかる方法はないだろうかと。これは、確かに中小企業の方で海外に行っている方でも、それが代がわりして若い経営者、これがやっぱりそういうふうに走っている、こういうふうに私は思うんです。  そこで、今おっしゃるように、何といってももう一回反省をする、そういう場合に、今言われたように今まで培ってきた日本特有の技術、これが基礎なんだ、これの海外流出をいかにして防ぐのかというところが実は本問題であると思うんです。  私が申し上げたいのは、この法律でもって大分前進するとは思います。しかし、法というものをつくったから解決するわけじゃなくて、いかにこれを運営するか、あるいはこれをいかにして使ってもらうか、守ってもらうか、ここのところにこれから力点を置きたいと思っております。  繰り返して申し上げるように、ですから、これで具体的にはやはり地域でもって各地から上がってくるでしょう。それを従来のような指定の決め方でいいんだろうかと。それではだめだと。だから、本気になってやはりこれからの自分たちの職業というものを、技術というものをいかにして日本に残そうか、せっかく自分たちのお父さんが、おじいさんがという気持ちのそうした人たち、またそうした地域というものを、これをやはり最優先にしていこう、こういった考え方を持っているわけでございます。
  42. 今泉昭

    今泉昭君 これは要望として申し上げておきたいと思うんですが、通産行政の範囲を超えている問題でありますから、大臣も内閣の一員といたしましてぜひひとつこういう考え方を問題提起していただきたいと思うんです。  今申し上げました我が国の技能者の育成強化という面は、外国にもいろいろ学ぶべき事例がたくさんあると思うわけでありますが、問題点はたくさん持ってはいながらも西ドイツのマイスター制度、そして全体的な我が国の教育制度を改めてやっぱり見直してみるそろそろ時期に来ているんではないかというふうに思いますので、その技能者の育成、継承という意味合いで、これは問題点としてぜひ検討していただきたい、お願いを申し上げておきたいと思います。  それからもう一点、中小企業のこの基盤の強化のためにやらなきゃならないのは、取引慣行の問題でございます。  御存じのように、中小企業という大変弱い立場にあるものですからいろんな意味での、コストダウンの要求は受ける、あるいはまた生産の発注が一時期に集中をする、あるいは土曜日に発注されて月曜日に納品しろというような慣行は、一応下請振興法の中で制限はされてはいても、実際上親企業やお客さんから言われるとどうしようもないというような形が一つある。  それから、先ほど申し上げましたように、物をつくるという意味の価値観というのが我が国の中にはまだある意味では片隅に追いやられているような点がございますから、物をつくってきたものの価値の評価というものが大変低いわけですね。だから、買いたたくようなことがどうしても行われている、あるいは過当競争という面からする点もあるかもしれませんけれども、そういう意味で、物づくりの技能をどのように評価していくかと同時に、使った製品に対する考え方というものも、どちらかといえば日本の場合は、製品を組み立てて付加価値の中で取り扱って収益を上げているというグループが多いわけですよ。物をつくるところに一番過酷な条件が行っちゃっている。それをいろいろ組み立てて、付加価値と称するんだけれども、そこでもって仕事をするところが一番甘い汁を吸うようになっているわけでございまして、そういう意味での我が国の下請振興法を中心とした行政の指導、あるいはいろんな意味でのそういう価値観の造成というものもひとつぜひ今後努力をしていっていただきたいと思うわけであります。  時間がもう参りましたので最後になりますが、これはひとつ大臣の見解もお聞きをしたいと思うんですが、この法律そのものは、地方の自治体中心となって計画を立てて、そして申請しなければ実際上稼働していかないものであります。それぞれ地方には地方独特のやっぱり政治的な条件もあるでしょうし、思惑もあると思うわけであります。日本全体の産業の配置とか産業の戦略という面から見ると、これは自由主義経済だからやむを得ない一面もあるわけでございまして、強くは言えない点もあるんだけれども、どうしてもあちこちつなぎ合わせるというような形のものにならざるを得ない。これは大変世界的に産業構造が激変する時代においては、国の力を一点に集中して新しい時代を築くというのには余り大きな力を発揮し得ないような問題があるわけです。こういうときこそ、もう一度産業政策をつくれとは申し上げませんけれども、そういう意味の国家戦略という中に立っての地方に対する指導とあわせまして、国がひとつ大きな国家プロジェクトというものをこの時期には打ち出すべきではないかと考えるわけであります。  例えばマレーシアあたりはMSC構想、マルチメディア・スーパーコリドーなどをつくりまして実験をしようとしている。そこに新しい情報化社会におけるところの産業あり方企業あり方というものをひとつ実験の場として考えていく国家プロジェクトがあるわけです。その中にはいろんな形で各国の先端企業がみんな参加していっているわけです。そこで新しく生み出されるいろんな技術があるはずであります。そういうものを我が国産業からもどんどん参加してそこに発揮をしている、日本技術がそちらの方で生かされているというような状態なわけであります。  我が国の場合は、例えば湾岸開発なんといいまして、ベイエリア開発なんというような形でちっぽけな、ちっぽけななどと言っては怒られるかもしれないけれども、ある程度の開発はなされているけれども、こういうものとは全然違う大きな国家プロジェクトというものの中で、もちろん海洋開発というものも一つあるかもしれないし、宇宙開発というものもあるかもしれないけれども、それとは別に国家プロジェクトとしての大きな情報化社会に向けての政策をつくることによって新しい技術をそこに生み出し、堆積して、日本中小企業の基盤技術にこれを結びつけていくというような形の施策がとれないものかどうか、そういう必要性はないものかどうかということを最後にお尋ねをいたしまして、私の質問を終わります。
  43. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 非常に委員お話に共鳴する点が多いので、大変かえってほかの委員の方には申しわけないような気もするんですが、先ほど申したように、戦後において国家目標と同時にやはり経済問題においても基本的な国家戦略というものが欠如をしていると思います。これは私のように国会に長くおる者のもちろん責任でございますから批判いたしませんが、今お話がちょっと出ましたマレーシアのことについて私の気持ちを披瀝したいと思うんです。  御指摘のように、昨日マレーシアのマハティール首相と総理と首脳会談がございました。その後でもって全体会議ということで私も出席しました。その席で、これが一番大きい問題だったと思うんですが、今マレーシアが取り組もうというスーパーコリドー計画、それは今のクアラルンプールと空港の間に用地を取得して、そこに政府機関も移転するし、そこで一大的なマルチメディア、こうした拠点にするんだ、そして新たな地域集積をするんだ、こういうことでありました。  それに対して橋本総理は、非常に結構な構想だから支援するとおっしゃいました。私は、君どうだと言うから、支援というよりか参加しますと、こう言いましたら、橋本さんは、随分君ほれ込んでいるなと、こう言いました。  それはどういうことかといったら、私はやはりこの構想自体は思いつきではなく非常に根が深いというか、いろんな背景があって今日までに至ったと。それでもう既にアメリカのシリコンバレー、ああいうところに行かれて大分研究を進めているということなんですね。だから、日本の支援ということでも一体何を期待しているのかというと、大したことないんでしょうということなんでしょうが、先ほども申したように、やはり日本の方でもいろいろ協力すると言っている方にはハード部門の方が多いんですね。御存じのような方々がみんないろいろ協力する、全部これはハードなんです。日本は、先ほど申したように情報通信という部門でもハードの方は確かにいろんな組み立てその他半導体、これは一応の技術を持っていますが、ソフトの面でどうも私は世界の水準におくれている、こう思います。  ですから、そういう面でもって私の方はそこに参加する方が、この方がやはりいいのではないだろうか。そのような認識を我々が持たなきゃいけない。支援するというふうな考え方を持っている以上、私は物事が解決し、新しい時代は開けない、こんな思いで述べたわけでございまして、それをもって委員のお答えにしたいと思います。
  44. 今泉昭

    今泉昭君 ありがとうございました。終わります。
  45. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 私は、この特定産業集積活性化に関する臨時措置法案に対しましては、これは賛成の立場でありまして、今日の状況の中ではこれはやむを得ない、やらなきゃならない措置一つだと、このように考えております。  ただ、これまで私も商工委員会ずっと長いんですが、たくさん似たような法律が、細々とした法律がもう次々に出てきまして、その都度大変いろんな法律の説明はよくされるんですけれども、通産省の皆さんがどこか頭の上で考えたり、どこかよそのまねをしてきたり、どうも机上の法律が多いような感じがしてなりません。今回も特定中小企業集積活性化法とこれはまた一緒にやっていくというような形で、何だかそのときそのとき追われて出てくるような感じがしてならないのであります。  若干見てみますと、産業一般の振興については昭和六十一年に制定された民活法、それから平成元年に新規事業法、それから平成七年に事業革新法、こういうものが次々に出てきました。また、技術開発を伴う産業振興の法律としては、昭和六十年の基盤技術円滑化法、それから昭和六十三年の産業技術研究開発体制整備法、こういうのが出てまいりました。それから、地域振興のための法律としては、昭和五十八年のテクノポリス法、昭和六十三年の頭脳立地法、こういうのがあります。これはうまくいっている方じゃないかと思うんです。それから、中小企業のための地域振興立法としては、平成四年の中小企業集積活性化法、そして平成五年の新分野進出円滑化法、そして平成七年の中小創造法、こういうものが次々に出てきて、また今回なんです。  私はさっき頭の上でと言いましたが、これらが一体うまく機能しているのかどうなのか、概括でいいですから、御答弁願いたいと思います。
  46. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 委員指摘のように、これまで種々の立法措置通産省として講じてまいりました。  これは、経済状況の変化、政策ニーズの変化に対応をして講じてきておるものでございまして、御指摘のありました法律、新規事業の実施あるいは事業革新の円滑化、技術開発の推進、地域開発、さらには中小企業の近代化等々の政策目的に応じたものでございました。いずれにつきましても、法律の施行後、制度の定着を見る中で、着実に所期の目的を達しつつあるものと考えてございます。  今回御審議をいただいております法案は、最近の産業空洞化の懸念が深刻化する中での物づくりの基盤につきまして、産業集積の中の事業者間の連携ということに着目をして、今後の発展基盤を確保しようとするものでございます。従来の産業振興関連法とはそのねらいを異にしているものと理解をいたしてございます。過去、通産省は御指摘のような法律を種々つくってまいりましたが、経済情勢の変化に応じて廃止もたび重ねて行ってございます。機電法、電振法等々あるいは特安法、円滑化法というような廃止の例がございます。  今回は、先生からも御指摘がございましたように、従来ありました中小企業集積活性化法を取り込みまして、さらに総合的な政策体系をとるという趣旨でまとめた法律にいたしたものでございます。
  47. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 東京都大田区は、ここは説明を受けたときに産業集積が非常に進んだ地域だ、約九千ぐらいの会社がここ十年間で七千社ぐらいに減ったと、このように言われておりますが、これは特定中小企業集積法、現行法で一体東京都大田区の関係というのはどのようになっておるんですか。
  48. 田島秀雄

    政府委員(田島秀雄君) 結論だけ申し上げますと、東京都大田区の地域集積につきましては、特定中小企業集積法の対象ということになっておりません。東京都から承認が出てまいっておりません。要件的には十分検討に値すると、こういうふうに思っております。
  49. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 私は、参議院の調査室が特定中小企業集積活性化法に基づく活性化計画承認地域一覧表というのを、これややこしい、いっぱいあるんですね、これをずっと見るけれども、東京都大田区というのはこの法律を適用しようというのには出ていないんだね。何で現行法でやれるものをやらぬで、放置をして今日来たのか。大田区が問題なのか東京都が問題なのか、通産省なのか。そこはどうですか。
  50. 田島秀雄

    政府委員(田島秀雄君) 先ほど私、舌足らずでございました。  一つは、産地の実情や地域中小企業皆様方の御意向、都道府県の御意向等々に照らして承認を行うことが私どもの法律上規定されておりますから、東京都からそういう御意向、承認の申請がなかったということは事実であります。  それからもう一つ、私どもの特定中小企業集積法と申しますのは、普通の言葉で言いますと産地とか企業城下町とか、ある種のやっぱり繊維の産地、陶磁器の産地といったような、そういうイメージのところを主としてとらえてきたという法律でございます。  今回、新しい経済環境の中で、やはり日本の物づくりを支える、サポーティングインダストリーといいますか、そういった機能の集積が大変大事だというような場合には、こういった機能は多くの加工組み立て産業、電子、電機、機械産業、共通に使われる、いろんな業種が構成要素としてありますけれども、多くの基幹産業等を共通に支える機能の集積ということがありますので、読んで読めないかどうかと言われますと、先ほどは検討に値すると申し上げましたけれども、なかなかすらっと入りやすいかどうかという点については、いろいろな分野があるという面も中小企業庁としてはございます。
  51. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 新法の関連で若干補足をさせていただきますと、従来の中小企業集積活性化法は、どちらかといえば類似の業種が集まった集積がある特定の方向に共同で行こう、みんなで同じ方向に進出していこうというのがねらいの法律になってございます。  これに対しまして今度の基盤集積を含む新法では、もともと関連はございますが異業種が並びまして、その異業種の間で共同研究、試作開発などをしながら技術を高め、技術の適用範囲を広げる、そういうことを内容にしたものでございまして、業種が非常に多岐にわたって異なる中でそれぞれの技術を持ちながら共同してある製品をつくっていこう、こういう性格でございまして、従来の類似のものがある一定方向に一緒に行こうというものと若干差がございます。そういう意味で、新しい法律の方が大田区などの場合には使い勝手がいいだろうと我々は考えてございます。
  52. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 平成五年に、僕ら一回通産大臣と別に中小企業大臣をつくったらどうかという運動をしたことがあるんです。そのときに、当時の田村通産大臣だったかな、とにかく通産大臣というのは中小企業中心に仕事をするんだからということで、我々も要求を引っ込めたことがあるんです。  平成四年に中小企業集積法をつくったときに、大田区のそういう状況を、十年間に九千が七千に減っているような状況というのはもう見越しているわけです。それで大田区は別だというようなその答弁の仕方というのは逃げじゃないの。
  53. 田島秀雄

    政府委員(田島秀雄君) 私も舌足らずな面があるとは存じますけれども、特定中小企業集積でも自然的経済的社会的条件から見て一体である地域中小企業の方と、それから関連性が高い事業を営む中小企業者が有機的に連携して事業活動を営んでおればいいわけでございますので、十分検討に値すると、要するにそういう議論であります。  私ども、特定中小企業集積法を立案をいたしますときに大田区等ももちろん含めて、念頭に置いて議論をさせていただいた次第でございます。  先ほどの繰り返しになりますけれども、ただ大田区につきましては、区等がいろんな御努力をされておるということもございまして、東京都からは承認申請がなかったということでございます。
  54. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 だから、そういうところがやっぱりおかしいんで、東京都と通産省との間というのは、関東通産局もあるし、この法律ができなきゃ対策が打てないというのは、あの法律だって打てるわけですから、放置をしたというところについては、これはやっぱり少し読みが甘かったんじゃないかと思うんです。それはそれでいいです。  通産大臣、先ほど言いましたように、次から次に細々とした法律がいっぱい出てきているんです。私は、少しこれは中小企業対策法案を一回整理してまとめて、私の県は大分県ですけれども、大分県の中小企業の皆さんにこんな法律できたと言ったってもう全然わからないんです。もうちょっと説明してくれとそう言われたって、私も内容全部覚えるような内容でもないし、県に聞けと言ったら、県もそれはやっと担当者がわかるぐらいで、もう少し一括法というのか包含した中小企業対策法というものを、要らぬところは六法全書から消して集約するところは集約するような、直接本件に関係ないんですが、冒頭大臣にひとつお願いしたいと思います。
  55. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今、梶原委員のおっしゃること、一つ一つもっともだろうと思うんです。私の話というのは、大体この法案説明で私の方から質問して答えが出なかったのを今御質問があったわけですから答えの出ようがないな、こういう気がしているんです。  率直に言って、やはり大田区というのが一体何でこれだけ技能の集積地域になっていると言われているのか私自身もよくわからない。私のつたない経験で申しますと、あそこでもって減ってきたというのは、羽田の空港の拡張ということから大分それも影響があってほかに移転しているということもあったわけです。  確かに言えることは、今まで多くの法律がありました。その法律の成果を見ない前に次から次に新しい法律、それに包含して出してきたという点が今、梶原委員指摘のように非常にわかりにくい、どこを説明すればいいんだ、こういうことなんです。  私は、もともと法律というもので一番大事なことは、その中にあるねらいというか、法の精神というものが一番大事だろうと思うんです。あと技術的な面ということで、それをいかに皆様方、衆参両院でもってつくっていただいた法律を行政によって、その法によって忠実にそれを履行していくか、あるいはそれをどういうふうにそうした対象の人に使ってもらうか、これに力点を置かなければこのことは解決しないだろうと思うんです。  そういうことで、今おっしゃることもよくわかりますし、この審議でもって参議院と衆議院、同じような質問が各党各委員から出されたことも事実です。ということを拳々服膺して、今までと違った法の運営ということ、これは私は少なくとも在任時代はやっていきたい、かように思っております。
  56. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 したがって、これは通産省指針を出して、実際にやるのは地元です。地元の皆さんが本当にやれるように、県で言いますと、県の商工何とか振興課あたりの中で担当者何人かが、しかもかけ持ちでやっているような状況ですから、ここで頭で描いているようにはなかなか下によく行き届かないんです。その点は、ぜひこれももう少し観点を変えて取り組んでいただきたいと思います。  それから、要するに中小企業というのは、もうかれば経営者はやりますし、人も集まると思うんです、賃金も高く払えれば。もうからない、受注がない、売り値が安い、あるいは資金繰りが困る、こういうような要素が個別個別に全部あるから結局は厳しいわけでして、そこをどうするかというのは、やっぱりある程度どこかでよく把握をして個別に手を打っていかないと、一律につくってざっとやってもこれはなかなかうまくいかない、その点をぜひ考えていただきたい。  特に、その中で資金の関係が私は非常に重要になってくる。こういう悪いときですから、恐らく運転資金が枯渇してくるだろうし、担保がなければ金を貸さない、これはもう幾らきれいごとを言ったってそうなんです。それから、設備資金の金を借りて近代化するような力がない。元来なら今のように金利の安いときに設備投資をやっていくのが一番いいんでしょうけれども、やっぱり担保の問題が出てくると思うんです。  そこで、資金の関係についてもいろいろと書いておられますけれども、お金を信用金庫や何かで貸すようにしますよと、そういう構図になっております。一つは、中小企業の投資育成株式会社法を改正してこれも使うようにしますよと、こうなっておりますが、現実はなかなか金を借りにくい。そういう状況について一体全体認識が違うのかどうなのか、お聞きしたいと思います。
  57. 田島秀雄

    政府委員(田島秀雄君) 中小企業皆様方が今の景気状況の中でいろんな御苦労に直面をされておることは十分認識をいたしてございます。そういう中で、中小企業皆様方に対する円滑な資金供給のためにも、私どもといたしましては、実情を踏まえた機動的かつ弾力的な政府金融機関からの融資でございまするとか、あるいは県と御一緒にやっております体質強化資金でございますとか、信用保証協会の保証による民間金融の円滑な活用でございますとか、いろんな努力を申し上げているところでございます。  つい先般も、昨年の秋には金利減免措置の延長をさせていただきましたけれども、あわせてマル経の特別措置の延長をさせていただきました。それから、政府系中小企業金融機関につきましては、担保徴求の弾力化といったようなことも含めたきめ細かい配慮をいたしておりまして、引き続き中小企業皆様方に対する資金供給の円滑化につきましては適切に対応してまいりたいというふうに存じております。
  58. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 とにかく今やろうとしている対象企業というのは、海外進出で振り落とされたようなところが多いし、あるいは円高で相当打撃を受けたところが多いし、今ほとんど余力がないところが多いと思うんですね。  そこで、今御答弁がありましたように、少し担保の幅を広げるとか、あるいはもっと金を借りやすい信用保証協会の話がありましたが、そこを本当にやるなら、今やらないと、信用保証協会もそうは言いますけれども、中小企業の皆さんが行ってみよう、通産省は少し幅のあることを言っているぞと行くけれども、やっぱりそれは担保がないとだめです、今は採算が悪いからだめですとぴしゃっとやられますね。代位弁済という方法があるから、これは代位弁済の方をやっぱり信頼して、少し危ないかもしれないけれども、企業というのはやっぱり人ですから、人をよく研究をして、それから担保がなくても人に金を貸すというのも、今言われましたことは、口では言っているんだけれども、末端はそうなっていないんですよ。商工中金にしても中小企業金融公庫にしても物すごく厳しい。言われて行ってみようと行っても厳しい。信用保証協会も厳しい。そうなっているんです。  そこのところを大臣、今本当にそこが大事でそれを少し現場によく洗わして調査させてみていただけませんか。いかがでしょうか。
  59. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今おっしゃることは私自身も経験しているからわかります。  いずれにいたしましても、今そういうことで、大きな変革という中において、こうした政府の金融三機関、これを一体どうしようかと。今実はそれもやはり今度の特殊法人の行革の対象になって別表にあります。  いずれにいたしましても、幾ら予算をつけたといっても、使いやすくしなきゃだめだろうし、実際的に御指摘のようにやはりこういうふうな金利の状態の場合に政府機関に頼ってくるというのはよっぽど困っているというか、余裕があれば民間から借りるわけですから、その辺をやはり工夫していかなければいけないだろうと思います。
  60. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 終わります。
  61. 木宮和彦

    委員長木宮和彦君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時三分休憩      —————・—————    午後一時二分開会
  62. 木宮和彦

    委員長木宮和彦君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、今泉昭君が委員辞任され、その補欠として平田健二君が選任されました。     —————————————
  63. 木宮和彦

    委員長木宮和彦君) 休憩前に引き続き、特定産業集積活性化に関する臨時措置法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  64. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 民主党・新緑風会の前川でございます。  午前中、実は沖縄・北方問題の特別委員会と兼ねていたものですから、多少出入りをしておりまして、あるいは午前中に質疑があった内容とダブった質問をする無礼をひとつお許しいただきたいと思います。  今度の集積活性化法につきましては、四、五年前にできました中小企業中心とした集積法を取り込んで新しい仕組みをつくるということですから一私は一つの仕組みといいますか、システムをつくるという意味ではそれなりに評価をしております。  と同時に、さまざまなこういう法制度をつくっていただく、この制度を動かす今度は人間の方についてきょうは最初に御質問させていただきたいと思うんです。  実は私のちょっとした知り合いで、もちろんオーナーじゃないんですが、先ほどもちょっと話題に出ておりましたが、大田区に工場があった企業なんですが、福島県の方に工場疎開をいたしました。いろいろと事情をお聞きしましたら、工場地帯の大田区といえどもマンションやアパートなんかができてきて環境問題に非常にうるさくなってきた。それから、ちょうどバブルの時期だったものですから、百坪足らずだったと思いますけれども土地を売ったところが、福島県の田舎へ行ってたしか四、五千坪の土地を買って、建物もまた新しいものを建てかえても少しおつりが来ると、こういうことで、実は逃げ出しましたと。  実は、もう一つ大きな理由があったのだそうです。それは人がなかなか集まらないんです。確かに、東京というところはさまざまな職業の選択肢というのがあるわけですね。そういう選択肢の中で、よく言われる中小企業の、しかも製造業の現場ですから、なかなか若い人たちが飛び込んできてくれない。こんなこともあって、地方へ行くという決断をしたというお話をその方からお聞きしました。  なるほどなというふうに思うと同時に、例えば東京から、犬田区から福島へ行ってでもまだ仕事が続けられているということについては、私はそれなりにその決断については評価をすると同時に、やはりこの種の仕組みをつくることの難しさといいますか、しみじみと感じたわけです。  そこでお聞きをしたいのは、人という問題は、そこで働いている従業員の問題であると同時に経営者の問題、両面あると私は思うんですね。まず、従業員の視点から物をひとつ見てみたいと思うんです。  これは中小企業庁で九五年十一月に調査をされた内容を見ておりましたら、中小企業の経営者の皆さん方から見て、優秀・有能な人材がなかなか集まらないということで回答を求めましたところ、その理由ですが、中小企業では高い賃金が払えない、これは五〇%を超す率で回答が寄せられております。それから三K職場と言われるこの職場の環境、これがなかなか人を集めにくい、優秀な人材を集めにくい原因だ。それから三番目に、多くの人材がやはり大企業志向だというんですね。それから四番目に、福利厚生が不十分だと、こういう実態があるわけです。  こういう仕組みを幾らつくりましても、そこで働こうという人、これは労働省ともかかわりはもちろんあるんですが、通産省中小企業庁としてはどんなような考え方をお持ちになって、法律面の一つのカバーと同時に、こういう問題についてはどういう施策なりなんなりをお考えになっているか、まず最初にお聞きをしたいと思います。
  65. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今、何点か前川委員指摘でございましたが、従来のこの中小集積法、これは御案内のごとく、今度の法律が成立すると同時に、その中に取り込んでありますから消滅するわけでございます。  と申し上げるのは、今までのこの集積法は、ややもすれば産地あるいは城下町と、こういうところに焦点を当てた実は法律ではなかったかと、かように私たちは反省をしております。ここ二、三年急激な物事の変化が起こった。今、大田区の例を言われましたが、あのようにやはりいろんな技術が集まって、一つのいわゆる産地的なものでもない、または城下町でもないというふうなところがまずございますので、そういうものを包含していかなきゃいけない。  それから同時に、この戦後五十年の日本経済の歩みの反省のもとに、今までややもすると物をつくるということ、これをどうもおろそかにしてきた。昔は、一次産業、二次産業、三次産業と申しまして、その当時は物をつくるのは二次産業だったわけです。これが産業の基盤をなす一番重要な意味合いがあった時代でございましたが、何となく時代の変わり方によって第一二次産業の方に、この方にやはりみんなの目が向いていったと、かようなことだろうと思うんです。これを違う表現をすれば、ハードとソフトという、確かに今のようにボーダーレスという考え方の中にはあらゆるところの垣根がなくなりまして、二次産業と三次産業のこの間もなくなったということだと思うんです。  そういうことで、今まさに産業、そしてまた原点に立ち戻って物をつくるという人たち、しかもその中の大部分のやはり長年の経験を生かした特殊な技能を持っているような中小企業方々、まず経営者にはそうした自覚を持ってもらいたいと思います。それから、従業員にはその物をつくるという喜びというか、まず誇りを持ってもらうという趣旨でこうした法律を出したということでございます。
  66. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 できれば、中小企業といえども魅力のある企業として成長していっていただきたいわけですから、ぜひさまざまな施策の中で従業員というものに対する視点も当てながらやっていただきたいと思います。  そこでもう一つの、人というか人材といいますか、これは経営者なんですね。私は日本の成長の一つの陰に過当競争あり、この過当競争というのは非常に悪い言葉でよく使われるんですが、過当競争というのは、ある意味ではプラスに作用する場合もあるんですね。つまり、シェアを拡大しよう、そのためにはさまざまな工夫をするわけですね。これがある意味では戦後の日本経済を引っ張ってきた原因じゃないか。ところが、今ここへ来まして、このことが非常に重荷になっているんですね。  きょうは公正取引委員会の方はおられないと思いますが、うっかり業界の中で談合すれば、これはもうもちろん公正取引委員会から厳しい御批判を受けるのは当たり前なんです。  実は、私の関係をしておりました団体からいろんな報告書をたびたび送っていただくんですが、この間も工作機械をつくっている組合の方から、工作機械をつくっている現場の作業者の声をいただいたんです。通産省ですから工作機械の実態についてはよく御存じだと思いますが、日本の工作機械の技術とか性能レベルというのはまさに世界一だと私は今でもそう思っています。ところが、そういう世界一の性能を誇れる機械をつくっているそのつくった機械が半値八掛け、さらにお札の束をつけて売ると、こういうたぐいの商売を今やっているわけですね、今は少しよくなっていますけれども。皆さんも御存じのある大手の社長さんとお話をしておりましたら、一年何とかもうかれば五年はこじきをしても生き残っていけるのが工作機械業界ですというお話をお聞きしました。つまり、それほどひどい状況なんですね。  工作機械というのは、特に企業の数がむちゃくちゃに多いんですね。このことが逆に業界の中の協調を乱しているのかなとも思います。なかなか呼吸が合わないといいますか、そのことがかつてはある意味では成長を支えたんですけれども、今は逆に企業の足を引っ張っているということになっているんじゃないか。私は別に通産省に、公正取引委員会とけんかをしてまで過当競争をやめさせ自由競争を抑えて何かそういうことをやれと言っているんじゃなくて、経営者の姿勢について、やはり通産省としてあるべき姿について提言なり提起なりをしていきませんと、結果的には物づくり、いわゆる製造業、なかんずくマザーマシンと言われている工作機械業界でさえこれなんですから、地盤沈下がさらに進むという可能性があるわけですね。現場の作業者の声なんというのは悲痛です、本当に。これだけいい機械をこれだけ苦労してつくってなぜもうからないんだろうか、これが今の現場の実態なんですね。  ですから、例えばいろんな融資の制度やなんかでずっと通産省でもカバーをしていただく、さまざまな仕組みをつくっていただくというのはよくわかるんです。わかるんですけれども、今現場の第一線で問題になっているのはこういう実態なんです。このことについて、どんな感想をお持ちか、お聞かせをいただければと思います。
  67. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 言われるように、やはり今のこの経済を考えるときに、市場原理に基づく自由競争、こうなるとどうしてもやはり過当競争というもの、これに進む嫌いもあると思うんです。もちろん、今御指摘のように競争というものをなくすということもこれまたできないことだし、これまた時代に逆行だろうと思うんです。  だから、いい条件下でもってお互いに切瑳琢磨してもらう。その中で言えることは、やはり一つの秩序というものも必要だと思いますし、そしていわゆる市場原理の働きで得られた成果を損なうようなおそれがあるということで、公正な競争ということでは公正取引委員会にしっかりしてもらわなきゃいけない、こういうことも同感でございますが、やはりもう一方で、今御指摘のように企業者、経営者の倫理と申しますか、モラルというか、これが一番大事ではないだろうかと思います。もちろん、そうなってくると監督官庁としての立場からして、今世間で言われているような俗に言う政官業の問題、こういう問題も反省していかなきゃいけないだろうと、こう思うんです。  今御存じのように、橋本内閣の六つの改革、この中において、やはり行革というのもこうしたところを一つの切り口にしなきゃいけないんだろうとも思いますし、また今の企業間の競争に関しましても、そうした環境整備ということで通産省中心となっている経済構造改革、これを推進していかなければいけないだろうと、こう思っております。  特に、今言われているように大企業が下請をいじめるということ、これもやはり阻止しなければいけませんので、何といっても会社の結びつき、必ずしも大企業の全部が全部下請をいじめているわけでもございませんでしょうが、中にはそうした例もある。これはやはりその業界の持っている特殊性、いろんなつながりというものもございますが、これは一つの方法としては、独禁法に加えて下請代金支払遅延等防止法、これの厳正な運用、こういうことも図っていきたい、かように思っております。
  68. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 私は、中小企業の経営者の皆さん方もいろんな努力をされているということについては十分承知をしていますし、あながちみんながだめだと言うつもりはもちろんないんです。  ないんですけれども、一つの例を申し上げますと、ついせんだって労働基準法改正問題について労働委員会でも議論をいたしました。今度の週四十時間制への移行については、一昨年の暮れでしたか、中小企業四団体から申し出がございました。私も商工委員会の方にも籍があるものですから、労働関係の部会の中にも入っているものですから、労働組合関係からはどんどん、何とかことしの四月一日からやれと、中小企業の経営者団体からは今はきついから勘弁してくれよと、実は板挟みになって四苦八苦をした覚えがあります。私は、行政あるいは政治の立場に立ちますと、どちらに軸足を置くという議論は別にしまして、通産省というのは経営者側の皆さんといいますか、産業の立場に立って考えるというのは、ある意味では僕はやむを得ないと思うんです。ただし、前提条件がつくんですね。経営者の皆さんがそれに甘えてもらっては困るんです。  つまり、時間短縮というのはある意味では働き方の再点検をして、ゆとり、豊かさというのがある意味ではキャッチフレーズとして、大企業だけではなくて中小の皆さんにもということでこの問題が議論されてきた。ところが、これを先延ばしをしてくれという議論と、それからつい最近ありました、例えば時間短縮を実施してもなかなかコストを吸収し切れないから、月給者については時間給さえ落とさなければ月収を下げてもいいんじゃないかというようなたぐいの議論が経営者団体から出るということ自身に、私はこの労働時間の短縮というものが後ろ向きに、むしろマイナスとして皆さん方に作用してしまうんじゃないか、受ける側です、働いている皆さん方から見ると。せっかく時間短縮が実現をしそうだと、だけれども何だ賃金下げちゃうのかと、あるいはうちの社長はどうも先送りしてくれと言っているらしいよと、こういう話は決して私はいいことじゃないと思うんですね。もちろん、苦しいのは私たちも承知をしています。そういう経営者の姿勢というのが私は問題だろう。  むしろ、こういう時代は、コストの問題一つとりましても、例えば同じ製品をつくっている業界なりあるいは協同組合なりで、堂々とユーザーである親会社であったりあるいはメーカーに対して自分たちの正当な製品の評価というものを訴える、そういう行動を起こして初めて、そこで働いている人たちも、うちのおやじ、社長もやっているなと、そういうことになるんじゃないかと思うんですね。そういう姿勢が私は少し乏しいんじゃないか、こんな感じがしてならないんですけれども、この辺についての御感想がもしありましたらお聞かせをいただければと思います。
  69. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今おっしゃるとおりだと、同感なんです。これはどちらが悪いという問題ではない、一つ時代の変わり目だろうと思うんです。先ほどから強調するように、やはり中小企業でもいろんな業態があるので一概には言えませんが、昔はやはり一緒に、今で言う経営者も社長も従業員も一丸となってやろうという、そうした仕事に対する使命感というか誇りをみんな持っていた。今それが非常に中小企業のよさがなくなって、従業員も大企業並みのサラリーマン化しちゃった。その辺もやはり問題があるだろうと思います。  それで、それは一口に言えば時代の流れというか、経営者の方でも、中小企業の経営者が大変高齢になったときは、高齢者のところはまだそうした昔のよき風習が残っているんでしょうが、若い経営者になったと。その辺がどうも時代の流れというものとそれから今までの中小企業、その自分の会社のやっていた社会的責任というものと、ここがどうも乖離しているんではないだろうか、こんなふうに思いますので、これはもう確かに大きな問題でありますし、まさにこれからのやっぱり経済産業、これを育成していく上でもそれの基礎的要件だと思いますので、今おっしゃることを我々としても一体いかにすればいいのかということはよく考えさせていただきます。
  70. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 そこで、工作機械をつくっている現場からの声もあるんですけれども、自分たちの仕事の評価が低いんじゃないかという、そういう不満というのは常にあるんですね。値段が安いということは自分たちのやっている仕事に対する評価に直結するわけですよ、このことは。  もちろん、これは自由主義経済ですから、商取引として交渉した結果、この値段で売りましょう買いましょうという、この成立をしたことを私ども文句を言うわけにいかないわけですね。ただ、このことだけは言えるのは、これが対等な商取引であればもう何の問題はないんですけれども、これが大企業中小企業との間とか、あるいはユーザー対下請であるとか、親企業対子会社という関係になってきますと、これが対等とは必ずしも言えない。そのためにいろんな仕組みというのをつくっていただいていますね。下請振興法、三年か四年ほど前でしたか、振興基準についても改正をしていただきました。それから、公正取引委員会とのこれは共管ということになるんでしょうか、下代法ですね、下請代金支払遅延等防止法等があるわけです。  私は、この仕組みそのものについてはそれなりに機能をしているということについては承知をしているんですが、ただ下代法は、下代法の役割といいますか、これは規制法規ですからかなり限定的な使い方しかできないんですね。これに対しては、その振興基準の方は割合広い範囲で適用が可能だということ。ところが、なかなか強制的なあれがないという欠点があるんですね。私はそういうふうに思っているんですが、この下代法の持つ意味とそれから下請振興基準、下請振興法の持つよさというもの、こういうものを何か補完をするような形で、両方一つにしろとはきょうは言いませんけれども、何かそういう仕組みをつくっていただいて、公正な商取引ができるような仕組みはできないものだろうか。  例えば、この法律の中にも十分その発注元と協議をしてと書いてあるんです。協議をするといいましても、親企業と下請さんが公正な協議というのはできっこないんです、はっきり申し上げて。泣き寝入りとは言いませんけれども、何かそういうものがきちんと担保をされて、なおかつそのつくった製品なり部品なり、そういうものが正当に評価をされるという仕組みをつくることが逆にそこに働いている人たちの働く意欲にもなるでしょうし、あるいはそういう職場をつくり上げていくということの魅力というのもまたでき上がってくるんじゃないかと、こんな感じがするんですが、この法律上の問題について何かお考えがありましたらお聞かせをいただければと思います。
  71. 田島秀雄

    政府委員(田島秀雄君) 内外の経済環境、特に国際競争が大変激しくなっておりまして、そういう中で親企業それから下請企業ともどもに一層の競争力を確保するということで、いろんな経営判断、経営戦略等々を立てられておられて、厳しい企業経営の御努力をされておると考えております。  先生おっしゃられるように、そういう中で個々の取引について見ますると、親企業から相対的に弱い立場にある下請企業者に対して、あるいは買いただきあるいは下請代金の減額といったような下請代金支払遅延等防止法に違反する行為が行われるというような場合には、私どもといたしましては、その法律で調査、立入検査を厳正に行うといったような対応をいたしておるわけでございます。また、その法律の未然防止の観点から、親企業に対しましては下請取引改善講習会あるいは通達といったようなことで周知徹底に努力をいたしているところでございまして、引き続き同法の厳正な運用に公正取引委員会と密接な連携を保ちながら対応してまいりたい、対処してまいりたい、こう思っております。  一方、先生指摘のございました下請振興基準でございますが、これは親企業と下請企業取引のあり得べき姿をガイドラインといいますか、そういった形でお示しをいたしておりますものでございまして、単価の決定方法の改善でありますとか支払い方法の改善でありますとか、そういったルールを決めてございますが、個別の取引条件、幾らにするのかといったようなことは親企業と下請企業お話し合いの上で決定をすべきものと、こういうふうに考えてございます。これにつきましても、親企業を対象にいたしまして講習会等々随時開催をいたしまして周知徹底に努めますほかに、先ほど申しましたように、代金の減額とか買いたたきとか、そういったことがありました場合には代金法で厳正に対応する、こういうことでございます。  それから、かたがた経済が構造的な変化をいたしておる中でございまするので、何としても下請企業が自立化をするといいますか、技術力をつけて足腰を強くするということが大事でございますので、私どもといたしましては、親企業の分散化あるいは新しい分野への進出、自社製品を開発していくといったようなことで、創造法その他の法律を含めてそういった面の支援をしているところでもございます。  今後とも、こういったことを駆使して下請中小企業対策に万全を期してまいりたい、こういうふうに考えてございます。
  72. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 ぜひこれからきめの細かい行政の目を光らせていただいて、必要なまた改正等についてひとつ御検討いただきたい。私どもも中小企業の皆さん方と話し合う機会がいろいろありますので、また情報を得次第、通産省の皆さん方、特に中小企業庁の皆さん方とも連絡を取り合って、時代にふさわしいものに変えていくということはこれはもう大変大事なことですから、ぜひ前向きに受けとめていただきたい、このように考えております。  そこで、後継者づくりといいますか、技能の伝承という問題について一言だけお聞きをしておきたいんです。  これは労働省の方からの法案との関連も実はあるんですけれども、かつてはそれぞれの大企業の中に養成工をあれする学校ですとか一部工業高校を併設している企業というのはよくございました、今、一部まだ残っていると思うんですが。ところが、中小企業というのはなかなかそういう仕組みというのはつくれないわけですね。その分は例えば労働省の方の能開大学だとか、短大ももちろんございますけれども、そういうところを活用するということなんだろうというふうに思うんですけれども、なかなか中小企業が求めているような技術といいますか、そういうものと必ずしもマッチをしていない。そこで習得した技能をいわゆる働く側の方が選択をして企業に入るという形に結果的にならざるを得ない。逆に、中小企業の方からこういう仕事の技術者が欲しいんだけれどもといってもなかなか近くにそういうものがないとか、そういう声も時々聞くんですね。  ですから、まさにこれは細かい話になりますけれども、それぞれの地場の特性を生かしたような形の、それぞれの地域での訓練学校あるいは技能を養成するセンターも含めまして、そういうきめの細かい配慮をぜひやっていただきたいというふうにひとつこれは私の方からお願いをしておきたいと思います。  それから、時間もございませんので最後になりますが、先ほど大臣にもお願い申し上げました過当競争体質という問題、これは例えば私も工場におりましたころは物をつくっている立場でした。と同時に、家庭へ帰りますと今度は消費をする立場で消費者ということになる。それで、これは常に二面性を持っているわけですね。物を買うという立場になりますと、これは値段は幾らでも安い方がいいわけですよ。  かつて問題になりましたが、電気商の、大手の家電メーカーの安売り商戦について、私ども通産省さんと一緒にいろいろと問題提起をしたこともございます。今でも完全におさまってはいないようですけれども、やはり公正取引委員会にも過当な景品表示法でひっかからないかということでやっていただいて、いろいろと警告や何か出していただいたという記憶があるんですが、私は今の規制緩和の流れの中で、自由競争というのはもちろんこれは大変大事なことです、公正な意味で、ところがそれが行き過ぎますと、先ほど言いましたように産業企業の首を締めるという実態があるんですね。この辺をどうバランスをとるかというのは非常に私は難しいテーマだろうと思うんです。  ぜひこの辺の問題について、一番中心的な所管の官庁であります通産省として、規制緩和の流れ、つまり自由に競争をしていいものをつくって安く提供するということと、それから今度は、産業界というか、物をつくる立場から考えて、それがどう正当に評価をされるかと、つくったものが。これとのバランスの問題についてどんなお考え、基本的なスタンスでこれから臨もうとされておられるのか、このことについてお聞きして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  73. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 確かに、今、前川委員言われるように、私自身、仕事をやりながらいろいろ矛盾を感ずるのも事実です。  今非常に御経験のお話がございましたが、私も会社にいたころそうした経験をいたしました。当時、今からもう三十年ぐらい前ですから今は話しても問題ないでしょうが、今ほど公正取引委員会は力を持ってはいませんが、営業部門では集まってやはり価格を維持しよう。その場合に問題になるのは、一番力のある会社が高値に言います。すると、それよりか弱い会社はもっと実は安く売りたいと思うけれども、言われる。そして、そのときに周りで話したのは、そう言いながら、やはりうちに帰ったら女房から物が高い物が高いと言われる。我々は一体どっちにつけばいいんだろうかと、こんな矛盾を語ったことがあります。  同じように、今の仕事で確かに自由競争というかこうした市場経済、こういうふうに移行させるということになると、規制緩和ということを徹底してしなきゃいけないという場合にも、今おっしゃるように難しいのがどちらの視点に立ってやるかということじゃないだろうかと、こう思うんです。  これはちょっと我田引水的になりますが、私自身で一番その中でもって難しい判断をしなきゃいけないと思うのが大店法の話でございます。確かにこれは非常に幅が広いんですが、そういうときに、やはり往々にして規制緩和なんということになると総論賛成で各論反対、自分のところだけは必要ない、ほかを緩和しろと、こういう声が満ちあふれるわけなんですね。  私は、やはり今のように日本がこれから国際的に進出する、あるいは地球が狭くなってくる感覚を持っているときには、消費者の視点というもの、これを大事にしなきゃいけないなと、かように思います。そのことを率直に今度は物をつくる方あるいは物を売る方、これが敏感に受けとめてもらいたい、こんな気がしておりまして、どこまでできるかわかりませんが、そういうふうな考え方でもってこれからの通産行政を進めてまいりたいと思います。  きょうお願いしていますこの法律もそういうふうな視点でもって法が成立すれば運営していきたい、かように考えております。よろしくお願いいたします。
  74. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 終わります。
  75. 山下芳生

    ○山下芳生君 我が国基幹産業を支えてきた物づくりの基盤的技術の高度化を支援し、その存続や発展を図ることは、我が国経済全体の健全な発展にとっても必要だというふうに思います。実際、これまで大田区やあるいは東大阪市に見られる中小零細企業を組織したネットワークによって電子・電気部品からあるいは宇宙、原子力などの精密機器に至るまで、世界に例を見ない高品質、高性能、高精度な部品群が供給されて我が国経済の高度成長が支えられてきたというふうに思います。  私も大田区に行ったときに驚いたことなんですけれども、従業員数人という規模の町工場で、そこでロケットや原発の部品がつくられている、あるいは試作品がつくられている。そこで仕事をされている方にお話を伺いますと、例えば旋盤を使った加工技術も削るという表現ではなくて、なめるという表現が使われている、それほど精度を出されているんだというふうにわかりました。それから、東大阪市でもガレージ工場という名称があるんですけれども、ガレージを改造したようなごくごく狭い工場の中でやはり同じような部品がつくられているわけです。大事なことは、それぞれの一つ一つのそういう小さい工場がそれぞれ得意分野を持っていて、それがいろんな得意分野を持った工場が集積をしていることによっていろんなものに対応できる強みを発揮されているということが共通しているというふうに思います。  まず大臣に、そういう物づくりの基盤的技術、とりわけ中小零細企業のネットワークの果たしている役割について御認識を伺いたいと思います。
  76. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 言われるとおりでございまして、実は私の体験というか、自分の経験を踏んまえて申し上げたいと思うのは、今よく言われている物づくりという中で、ややもすれば物づくりというと今の世の中は二次産業において大量生産大量消費と、こういうことになると思うんです。  私の地元に下松市という市がございまして、そこで日立、これは日立の中でも特殊な分野でもって車両をつくっている工場なんです。だからそれに関連した下請というか、企業がざっと並んで小さな城下町みたいになっております。ほかの方は大体機械化したような作業をしておりますが、一カ所非常に小さいところですが、そこはまさに手作業でやっているわけです。そこへ行って何をつくっているかといったら、新幹線の一番先端の、運転席のその前のところの丸いやつですね、あれだけつくっているんですね。それはもちろん大量生産するものでもない、数もあれなんでしょうが、しかも本当に今言われるように、なめるようなことでもってつくっている。こういうことがやはり今のおっしゃる話の原点ではないだろうかと、こう思うんです。  余りにも今我々の方は、近年、今申したように大量生産大量消費と、こういうことに乗って日本経済は進んできた。だから、そういうことでややもすると忘れられているものがあるということをもう一回見直し、それを育成して保護していこうというのが今度の話でございます。今言われた大田区の例でございますが、大田区と大阪の東淀というものが何か代表的によく議論されます。私自身、それがもちろん今までなかった特殊なというか、いろんな異業種も集まったそうした技能の集積ではあるが、これに対して今まで一体どういうふうに我々はそれに対して報いてきたかという反省もございまして、そういうことを模範として、各地に同じようなものがあるわけですから、それを定着させようということで、今までの法律も取り込んで今度はこうしたものをつくったというふうに御理解いただきたいと思っております。
  77. 山下芳生

    ○山下芳生君 その点は認識は一致しているというふうに思います。  ところが、今基盤的技術産業集積が大変落ち込んでいるというのも一致しているところですが、参考までに東大阪が数字的にどうなっているかということを申し上げたいと思うんです。  東大阪というのは、工業統計で見ますと金属製品製造業と一般機械器具製造業、この二つで東大阪全製造業の工場数の約半分、四七・九%が占められているわけです。ところが、その二つがこのところすごく落ち込んでいるわけです。九〇年から九四年の五年間で、例えば金属製品製造業で見ますと、事業所数でマイナス一九・六%、従業員数でマイナス一五・七%、出荷額でマイナス二一・六%、もう急速に減少しております。それから一般機械器具製造業で見ても、同じ五年間に事業所数でマイナス二〇・五%、従業員数でマイナス二一・九%、出荷額では実にマイナス三一・六%、こういう急速な落ち込みになっております。  製造業全体が全国的に見て落ち込んでおるというのはありますけれども、その落ち込み方のさらに二倍、三倍程度の急激な落ち込みになっているわけです。ですから、こういう基盤的技術産業集積の落ち込み、私はこれを何としてもこれ以上放置するわけにいかないという点で、東大阪市でも今度の新法に対する期待が強まっているということを感じます。  東大阪を含む東大阪地域というのは、今度の新法の支援対象となり得るというふうに聞いておるわけですが、そこでこの法律の運用に関して何点か聞きたいというふうに思います。とりわけ、先ほど申しましたようなガレージ工場などで頑張っておられる中小零細事業者にとってやはり活用しやすいものにしていく必要があると思います。  そこでまず、中小零細企業へのこの新法による支援策の周知徹底、やはり中小零細企業というのは大企業、中堅企業と比べて情報収集力というのが弱いということになると思いますので、せっかくつくったものが知らない間にやり過ごされるのはもったいない。この周知徹底という点でどういうことをお考えでしょうか。
  78. 田島秀雄

    政府委員(田島秀雄君) 産業集積を構成する事業者、特定中小企業集積であっても基盤的技術集積であってもほとんどの事業者中小企業、零細企業方々でございます。この法律の施策がその目的を達成していくためには、こういった方々によく知っていただいてよく活用いただくということが大変大事であると私ども認識をいたしております。  このために、本法に基づく施策の周知徹底、御指摘の点につきましては、中小企業庁はもとよりでございますけれども、局やあるいは都道府県等々の地方公共団体、それから商工会議所や商工会等の地方のいろんな団体等々、あらゆるでき得る限りの窓口を活用しまして最大限努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  79. 山下芳生

    ○山下芳生君 その周知徹底とあわせまして、そういう施策があるのはわかった。しかし、自分の企業が使えるかどうか、あるいはどうすればそれを活用することができるだろうかというのが、次の段階で大事なことだと思います。  そういう面での中小零細企業に対するアドバイス的な面、お考えがありましたらお聞かせいただけますか。
  80. 田島秀雄

    政府委員(田島秀雄君) 中小企業者の皆様方が、県が活性化計画を定めましたことを受けまして個々に技術開発等々に関する計画をおつくりになるわけですが、現在の特定中小企業集積法におきましても、都道府県の担当部局におきまして、計画申請以前の段階から相談にあずかったり御指導申し上げたり、いろんなことをやってきてございます。  というのは、実際に産地の中小企業集積皆様方というのは九九%の方が中小企業の方でございますので、こうした都道府県の御努力に対しましては、私どもといたしましても財政的に都道府県の事務費の負担とか補助を行うといったようなことで、できるだけ中小零細の皆様方にとって使いやすい施策となるように努力をしてまいったところでございますけれども、今度私どもの法律、特定中小企業集積法がこの法律に吸収されますが、その思想を受け継ぎまして引き続ききめ細かな指導助言に努めて、できるだけ多くの中小企業者の皆様方に使っていただけるように努力してまいりたい、こういうふうに思います。
  81. 山下芳生

    ○山下芳生君 それから、申請の手続なんですけれども、これがどうも複雑で中小企業対応できないという声をこれまでの施策についてはよく耳にしました。  申請の手続という点で、できるだけ中小企業対応できやすいような配慮をされるべきだと思いますが、この点はいかがでしょうか。
  82. 田島秀雄

    政府委員(田島秀雄君) 申請の手続につきましても、かねて今御指摘ありました点を御指摘いただく場合もございましたものですから、私ども平素よりなるべく簡便な手続、簡素な手続処理といったようなことに努めておりますが、この運用につきましてもそういった姿勢で臨みたいと考えております。
  83. 山下芳生

    ○山下芳生君 申請があった際に審査されるわけですけれども、審査の姿勢といいますか、構えなんですけれども、選別する、ふるい落とすための審査ではなくて、やはりこの法の目的に照らせば、できるだけ基盤的技術を高度化しようという意欲のあらわれでございますので、その意欲をよく受けとめていただいて、不備があったらふるい落とすんじゃなくて、それをきちっと援助する、支援する姿勢で臨んでいただきたいというふうに思います。  もう一つ、資金調達についてお伺いしたいんですけれども、事業者作成することになっております高度化等計画には、必要な資金の額とそれからその資金の調達方法に関する事項を記載しなければならないというふうになっております。私は、これがどの程度のものなのだろうかということを少し心配するわけです。  つまり、例えば計画は立てたけれどもそれを遂行するに当たっての資金調達のめどまで立っていなければ審査が通らないということでは、せっかくの意欲が資金調達面でそがれるんではないかということですが、その点どうでしょうか。
  84. 安達俊雄

    政府委員(安達俊雄君) 先生指摘のとおり、事業者計画の中で事業の実施に必要な設備資金あるいは運転資金の調達に必要な金額、調達の方法といったものを書いていただくということになっていることは事実でございますが、これのねらいとしますところは、特に政府系の金融機関等におきましてこれをバックアップしていくわけでございまして、当然事業者計画は多年度になるわけでございますけれども、将来的な資金確保の中でどういうお手伝いができるか、そういった事業者のニーズというものをできるだけ把握したい、そして今後の支援の対応に誤りがないようにしていきたい、そういう趣旨で求めておるものでございまして、資金のめどが立っているか、それをチェックしてという趣旨ではございませんので、御理解いただきたいと思います。
  85. 山下芳生

    ○山下芳生君 実際の資金の提供として利用されているのは中小企業金融公庫でありますとか国民金融公庫だと思いますが、この窓口での対応が、先ほどのお話にもありましたけれども、非常に厳しくなっているという現実がございます。もう民間の金融機関と変わらないという話もよく聞きます。  ですから、現実に私が伺ったところでは、今度の法律に基づいて計画を出せば別枠で融資が受けられるということになっているというふうに聞きましたけれども、しかしやはり担保や連帯保証人がない限り受けられないということがまたネックになって、なかなか意欲がそがれるということがあっては困るなというふうに思っておるのですが、その辺のもう少し具体的な踏み込んだ支援策、お考えがあればお聞かせいただきたいんですが。
  86. 田島秀雄

    政府委員(田島秀雄君) この法律で都道府県知事の承認を受けられた事業者中小企業者の方を含めて事業者の方につきまして、計画承認の段階で、今局長から御説明申し上げましたとおり計画に要する費用の量を把握いたしまして、あらかじめ心づもりをいたすという意味もございますが、そういったことをする。そして私どもとしては、このような所要金額を都道府県から御地元の政府系金融機関の方にも通知をしていただいて、あらかじめ心づもりをするというようなことが一点。  それから、中小企業金融公庫や国民金融公庫につきましては貸付限度額を今回また引き上げさせていただく。あるいは信用保険公庫の融資枠については別枠を設けて、特にこの法律で定められた承認を受けた計画に従っていろんな御努力をされる場合には支援をするというような点が二点目でございます。  それから金利につきましても、できる限り有利なものにするように努力をいたしておるところでございます。  あれやこれやで、計画の承認を受けられた事業者の方が計画を進められる上で必要な資金の円滑化につきましては最大限の配慮をいたしていきたいと思います。
  87. 山下芳生

    ○山下芳生君 担保、連帯保証人については。
  88. 田島秀雄

    政府委員(田島秀雄君) 担保につきましては、あるものは物的担保が必要な資金ということがございますが、中小企業金融公庫につきましては、一定の限度まで担保がなくてもいいといったような制度を今回新たにつくらせていただきましたし、それから御案内のとおりだと存じますけれども、保証協会の保証制度につきましては、物的担保がなくてもいい、あるいは一定の限度額までは、特に零細企業につきましては連帯保証人も必要ないという無担保無保証というような保証制度もございますので、こういったものの着実な活用ということも心がけてまいりたいというふうに思います。
  89. 山下芳生

    ○山下芳生君 次に、少し具体的な事例についてお聞きしたいと思うんです。  まず、異業種間交流についてですが、これは全国でそういう努力がさまざまな形で行われております。  東大阪でも、私が聞いた幾つかのそういう努力の中に、ヒットの会という名称をおつけになって、金型業者などが中心になって十数業者が集まって交流をされたり製品開発の研究などをやるネットワークを今つくっておられるそうですけれども、そういう異業種間交流の努力に対するこの新法による支援というのはされるんでしょうか。
  90. 田島秀雄

    政府委員(田島秀雄君) 中小企業者の皆様方が承認を受けた計画に従って技術開発、商品開発等々される場合に、業種は異業種の場合ももちろん含むわけでございまして、自分の持たざるものを補い合うというようなことも含めて、他の中小企業者の方あるいはまた大学とか公設試とかそういったところと連携をして、そういうところのお知恵をかりて御一緒にやられるといったようなこと、前者が特に異業種交流グループ、こういうことだろうと存じますけれども、地域中小企業活性化を進める上でも大変有効なものであるというふうに認識をいたしております。  現行の法律に基づく中小企業、九十四の地域が今指定をされてございますが、まだどこの地域においてもオンザウェーでございますけれども、既に今の段階でも効果の出ております、新しい技術開発のめどがつきつつあるといったような場合でも、そういった他の方と一緒になってやったというような例もたくさんございます。  そういったことを踏まえまして、今回の新しい法律に基づく支援策においては、計画承認を受けた中小企業を含む異業種交流グループが行います試験研究とか商品開発に対する補助金について、対象範囲として新たに含めるというようなことで対応いたしておるところでございます。
  91. 山下芳生

    ○山下芳生君 次に、各種支援機関、これも大事だというふうに思っております。  実は、この東大阪地域にもともとありました大阪府立産業技術総合研究所の東大阪本所というものが、昨年の四月一日にこの研究所が和泉市に統合移転されるのに伴って閉鎖されたんです。しかし、地元の商工会議所や大阪府中小企業家同友会の皆さんが閉めるのは反対だという運動を起こされて、実はことしの四月一日から東大阪市立産業技術支援センターとして再開される予定になっております。しかし、市立てすので東大阪市の予算からの支出となっておりまして、なかなか十分な機能がそろえられない。見学に行った方の声を聞きますと、満足な設備がそろっていないという声も出ておるようであります。  今度の新法で、こういう支援施設の充実等について支援がされるようになるんでしょうか。
  92. 安達俊雄

    政府委員(安達俊雄君) 本法案に係ります自治体の各種事業に対する支援策でございますが、研究開発施設設備の整備あるいは人材育成事業等への補助を手当てすることになっておるわけでございますが、都道府県事業のみならず市町村の事業も対象としておるところでございます。  東大阪市の事例、私も仄聞いたしておりますけれども、内容につきましては今後地元から十分お話を伺って検討してまいりたいと思っておりますけれども、制度的には支援することは可能であるということを申し上げたいと思います。
  93. 山下芳生

    ○山下芳生君 今少し細かく一つ一つお伺いしましたけれども、やはり実際に中小企業の皆さんに活用されて、そしてこの法律が基盤的技術産業集積活性化に文字どおり役に立つという点で非常に大事だと思いましたので、確認をさせていただきました。  最後に、新法によって支援をする制度というのはもちろん大事だということはわかるんですが、やはり産業空洞化それから地域における技術集積崩壊を食いとめるためには、その大もとになっております大企業の国境なき利潤追求、無秩序な海外進出と私には映りますけれども、そういうありよう、あるいは海外からの製品・部品輸入の規制というものを一方やはりやらないと、それをそのまま放置しておいて、後に残った方に頑張れ頑張れと言うだけではいかがなものかなというふうに思います。  実際、この東大阪地域で一番頂点に立つ企業というのは松下電器や三洋電機やシャープであります。本社工場が集中しております。しかし、そういう大手電機メーカーが今どんどん生産拠点海外に移していっているというのは御承知のとおりで、例えば松下電器について見ますと、海外からの資材輸入額、これが八九年一千三百六十六億円だったんですが、九四年には三千二百二十二億円、五年間で二・四倍という急増ぶりになっております。その分、国内の部品調達が減っているというのは、これはもう容易に推察できるわけです。  そういうものをやはり何らかの形で、よく企業のモラルということを大臣はお言いになりますけれども、とにかく安いところに出ていって調達して、買ってくれるところで売るというだけでいいのかどうか。地域に対する企業の責任というものをやはり真剣に考えるというものもあわせて追求しないと、今度の産業空洞化対策の新法も効果が薄まっていくのではないかという気がしております。  最後にその点、大臣の御所見を伺いたいと思います。
  94. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今おっしゃるとおりでございますが、委員御存じのように、やはり世界の動きと申しますか、高度情報化社会の目覚ましい発展、こういうことで世界の一体化が進んでまいりました。  そうしますと、どうしてもやはり企業がそうした自分たちの業種の中でもって生き残る、発展させるということでもって、コストの安いところ、効率化のいいところ、これに出ていく、生産拠点を移すということは経済合理性の観点から当然起こるべきことであります。ということではございますが、これを政府として規制するということは、コントロールするということは、これはやはり自由経済の本質にかかわることで難しいことでございます。また適当でないと思っております。  そこで、今、山下委員指摘のように、産業空洞化を防止するということで、大きく分けて二つあると思うんです。  一つは、日本の高コスト構造、規制緩和、こういうものを徹底的に是正し、緩和することによって我が国事業環境を整備するということでございます。そしてもう一つは、やはり立地競争上の優位性を持っている日本産業集積技術力、活力、これを向上させる。この二つが考えられます。前者に関しては今、内閣を挙げて取り組んでおります経済構造改革、これの推進であり、そして他方後者の方、技術力だとか活力ということに関しては本法律案、これの施行によって対処していく、かように思っております。
  95. 山下芳生

    ○山下芳生君 終わります。
  96. 木宮和彦

    委員長木宮和彦君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。——別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  特定産業集積活性化に関する臨時措置法案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  97. 木宮和彦

    委員長木宮和彦君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 木宮和彦

    委員長木宮和彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  99. 木宮和彦

    委員長木宮和彦君) 次に、昨三月二十六日、予算委員会から、本日三月二十七日午後の半日間、平成九年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち公正取引委員会及び経済企画庁通商産業省所管中小企業金融公庫並びに中小企業信用保険公庫について審査の委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  通商産業大臣から説明を聴取いたします。佐藤通商産業大臣
  100. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 平成九年度の通商産業関係予算及び財政投融資計画について御説明申し上げます。  我が国経済社会が新しい時代に向かう中でさまざまな変革が求められている今日、通商産業省の当面する課題は、広範かつ重要であります。  まず、景気の自律的回復軌道への道筋を確実にすることが喫緊課題であり、そのために何よりも平成九年度予算の早期成立を図ることが不可欠であります。同時に、私といたしましては、二十一世紀に向けて我が国経済の展望を開いていくことができるよう、通商産業政策の推進に陣頭に立って取り組んでまいります。  このような認識のもとに、通商産業省としましては、平成九年度の関係予算及び財政投融資計画作成に当たり、次に申し上げる四つの柱から成る基本方針に沿って政策を展開してまいります。  第一の柱は、経済構造改革の推進であります。  産業空洞化の懸念を初め、我が国の将来に対する危機感が高まっております。今こそ、経済、社会システムを抜本的に改革していくことが必要であり、政府としては六つの改革に取り組んでいるところであります。中でも、経済構造改革については一刻の猶予も許されない緊急の課題であります。このため、昨年十二月には、関係省庁協力を得て、「経済構造改革の変革と創造のためのプログラム」を取りまとめ、これを閣議決定したところでございます。このプログラムにおいては、新規産業の創出、国際的に魅力ある事業環境の整備及び経済活力の維持・向上のための公的負担の抑制を重点として、抜本的な改革を進めることとしておりますが、当省としては、特に地域産業空洞化対策、研究開発、情報化を中心に思い切った施策を推進してまいります。  第二の柱は、中小企業対策の推進であります。  我が国経済社会の進歩と発展の基礎となるべき中小企業が、先行きに明るい見通しを持って構造変化の流れを積極的に乗り切っていくことが重要であります。このため、地域中小企業集積の維持・発展に対する支援、新規事業育成や技術開発、情報化対策を含めた経営革新のための支援に努めるとともに、小規模企業への支援、中小流通業の活性化対策を通じ、引き続き中小企業の構造改革の推進、経営基盤の安定・強化のための対策を切れ目なく講じてまいります。  第三の柱は、環境と共生し、国民生活を重視する経済社会の構築であります。  我が国のみならず、世界経済が持続可能な成長を実現するためには、環境保全、エネルギーセキュリティー、経済成長をバランスよく達成することが不可欠であります。このため、省エネルギーの推進、新エネルギーの導入、原子力の開発・利用等により、エネルギーの安定供給確保を図るとともに、地球環境問題への積極的対応を図っ  てまいります。  第四の柱は、グローバルな経済ネットワーク時代にふさわしい国際的取り組みであります。  アジア太平洋地域との緊密な経済ネットワークの構築に重点を置いて、経済インフラの整備等を推進するとともに、対日市場アクセスの拡大、国際産業交流に対する支援等により、貿易・投資の円滑化を図ってまいります。  以上、申し上げましたような平成九年度通商産業政策を実施していくため、一般会計は九千二百二十五億円を計上しております。また、特別会計につきましては、石炭並びに石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計七千二百八十九億円、電源開発促進対策特別会計四千六百八十三億円を初め、五つの特別会計にそれぞれ所要の予算額を計上しているところであります。  さらに、財政投融資計画につきましては、財政投融資規模ベースで八兆六百十七億円を計上しております。  平成九年度通商産業関係予算及び財政投融資計画の詳細につきましては、お手元に資料をお配りしてありますが、委員各位のお許しをいただき、説明を省略させていただきたいと思います。  何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。  以上です。
  101. 木宮和彦

    委員長木宮和彦君) 次に、経済企画庁長官から説明を聴取いたします。麻生経済企画庁長官。
  102. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 平成九年度の経済企画庁関係の予算及び財政投融資計画につきまして、その概要を御説明申し上げます。  総理府所管一般会計歳出予算のうち経済企画庁の予算額は、二百二十六億三千六百万円余であります。  以下、重点事項につきまして、その内容を御説明申し上げます。  第一に、中長期的な安定成長につなげていくための経済構造改革の推進に必要な経費として、一億一千万円余を計上いたしております。  この内訳の主なものは、情報通信関連社会資本の体系的整備及び将来展望に関する調査など現行経済計画の着実な推進に必要な経費、我が国経済の高コスト構造是正と活性化のための分析調査に必要な経費、公共料金に係る情報公開のあり方に関する調査など物価行政の積極的展開に必要な経費であります。  第二に、適切かつ機動的な経済運営と調査研究機能の強化に必要な経費として、四億八千四百万円余を計上いたしております。  この内訳の主なものは、景気判断から見た経済指標の再検討、定点観測システムの構築、サテライト勘定の整備など経済構造変化に対応した調査研究機能の強化に必要な経費、経済企画庁型LAN整備事業、消費生活情報体制整備事業などネットワーク化などによる情報収集、発信機能の強化に必要な経費であります。  第三に、国際地域協力など我が国経済の国際化へ向けた取り組みの強化に必要な経費として、一億八千二百万円余を計上いたしております。  この内訳の主なものは、APEC地域発展研究交流などアジア太平洋地域協力への取り組み強化に必要な経費、対日投資促進など市場アクセスの一層の改善に必要な経費、経済援助組織化のための研究など経済協力の推進に必要な経費であります。  第四に、市民活動促進などを通じた豊かで安心できる暮らしの実現に必要な経費として、二十八億四千六百万円余を計上しております。  この内訳の主なものは、ボランティア活動促進のための環境整備に必要な経費、国際化に伴う消費者行政費、国民生活センターの機能強化など経済社会の変化に対応した消費者行政の積極的展開に必要な経費であります。  また、これらの経費のほか、海外経済協力基金に対する交付金八十六億七千五百万円余を計上しております。  本基金の平成九年度の事業規模は、九千四百億円を予定しており、このための資金として、一般会計において、前述の交付金のほか出資金三千八百六十五億円が大蔵省に計上されるとともに、財政投融資計画においても、資金運用部資金などからの借入金四千九百三十四億円が予定されております。  以上、平成九年度における経済企画庁関係の予算及び財政投融資計画について、その概要を御説明させていただきました。  ありがとうございました。
  103. 木宮和彦

  104. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) 平成九年度における公正取引委員会関係予算につきまして、その概略を御説明申し上げます。  総理府所管一般会計歳出予算のうち、公正取引委員会の予算額は、五十五億六千百万円となっております。これは、前年度予算額に比べますと、一億七千九百万円、三・三%の増額となっております。  以下、その内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律、いわゆる独占禁止法の施行経費等として五十二億二千六百万円を計上しております。  これは、違反事件の審査のための経費、経済実態や流通実態調査及び対策のための経費など、独占禁止法の厳正な運用及び法運用の透明性の確保とともに、規制緩和の推進と独占禁止法適用除外制度の見直しを図ることにより競争政策を積極的に展開するための経費であります。この中には、違反事件の処理を担当する部門を中心とした増員のための経費が含まれております。  第二に、下請代金支払遅延等防止法いわゆる下請法の施行経費として六千二百万円を計上しております。  これは、下請法の厳正な運用と啓発・普及活動を積極的に行い、下請取引の適正化を推進するための経費であります。  第三に、不当景品類及び不当表示防止法施行経費として二億七千三百万円を計上しております。  これは、公正な競争を維持・促進することにより、消費者利益の保護を図り、景品表示行政を積極的に推進するための経費であります。  以上、平成九年度における公正取引委員会の予算につきまして、その概要を御説明申し上げました。  何とぞ御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
  105. 木宮和彦

    委員長木宮和彦君) 以上で説明の聴取は終わりました。     —————————————
  106. 木宮和彦

    委員長木宮和彦君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、藁科滿治君が委員辞任され、その補欠として千葉景子君が選任されました。     —————————————
  107. 木宮和彦

    委員長木宮和彦君) これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  108. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 自民党の斎藤文夫でございます。予算の委嘱審査に当たりまして、関係大臣にそれぞれ御質問をさせていただきたいと存じます。  まず、佐藤通産大臣にお尋ねをさせていただきます。  ただいま大臣から平成九年度の関係予算及び財投計画の御意見の開陳がございました。なるほど平成九年度予算、とりわけ今日の経済情勢から見てより活力のある二十一世紀をつくるためには、どうしても直ちに強力なバックアップ体制をとっていかなきゃいけない。その観点に立たれまして通産行政のあらゆる分野においての支援策をきめ細かにお立てになられ、それなりに評価をさせていただいておるところでございます。  ただ、これからが実は問題でございまして、まず第一に、今、私ども政府、特に自民党は橋本総理のもと六つの大改革を提唱させていただき、つい先日は、この行財政改革を推進していく上に当たりまして五つの原則というものを打ち出されて、そしてこれからの厳しい財政に対応していくという方針を打ち出されました。  特に、きょうの今、同時刻に開かれておりますが、私ども自民党の行政改革推進本部、この中で、何としても早急に実行していこうということで、今まで通産省関係にございました電源開発公団、これらを民営に移す、こういう方針を今自民党としては決めて、今後対応させていただくという会が開かれておるところでございます。さらに五月には、政府の関係する金融機関についても統廃合を積極的に進める、こういう方針を打ち出す手はずになっておるところでございます。  私どもは長くこの商工委員会に所属をさせていただき、日本経済産業発展をつぶさに拝見いたしてまいりましたが、それらはやっぱりそれなりに時代の立派な役割を担って成果を上げてきておるところでございます。しかし、だからといって、聖域なしのメスの入れ方でありますから、そこだけをどうこうと、我田引水のそしりは私どもも受けるつもりはございませんけれども、そういう動きが既に現実に出てきたということから考えられまして、大臣は今後こういう積極的な行政改革にどう対応されようとお考えになっておられるのか、また今自民党の考えでおる方向というものが理解できるかどうか、その辺も含めて御答弁を賜りたいと思います。
  109. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今、斎藤委員からの御質問、政府が進めようとしている六つの改革、その中においてまず最初に行政改革をどういうふうに通産大臣として考えているか、取り組んでいるかということだと思います。  一口に言って、六つの改革それぞれ全部関連がございますが、何といってもその一番もとになるのはこの行政改革だろうと思って、六つの中でも最も大事な事項であり、そういうことで最も早く現実的にいろんな部署でもって事が進んでいる。今御指摘のように、この中において規制緩和それから特殊法人、こういうことで、特殊法人の方は、本日、党の方で最終決定されて内閣の方に伝達があると聞いておりますということでございます。  基本的には今申したように、最も重要な課題でございますから、それこそ私自身、自分に与えられている通産行政において全面的というか、みずからの政治生命をかけて取り組もう、かように実は考えております。
  110. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 また一方、国際化、自由化というようなことで、この大競争時代日本の二十一世紀を思えば非常に悪いファンダメンタルズに囲まれそうではございますけれども、何とか活路を見出していくのが今に生きる私たちの最大の務めでありますから、その生き残りをかけてこれまた急速に進めていかなければならないのは規制緩和でございます。  もう一度戻して言いかえますと、行政改革とかあるいは財政改革、経済構造改革、社会保障改革、金融改革、そして教育改革、この六つにさらにそれらを網羅してそれぞれの規制緩和というものを進めていかなければならないと思っております。特に日本経済は、今一番指摘を受けているのは、これ原因を挙げたらもうそれだけで時間がなくなりますが、高コスト構造であること、海外へどんどん製造手段が流出して空洞化を招いたこと、あるいは国際的に見て諸外国の制度日本制度のずれ、グローバルスタンダード化がおくれている、こういうようなことから、結局それを招いたのは、全部が全部ではございませんけれども、規制によるところ大である、こう言われておるわけであります。  したがいまして、通産省としていろいろと今日まで御苦労をいただいておりますけれども、あるいはこれからも規制緩和に向けては積極的に取り組んでいく、このように存じておりますけれども、二、三具体的に規制緩和の実例を挙げてお取り組みを御説明いただきたいと思います。
  111. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今言われたように、私の方はその六つの改革の中で経済構造改革、これをなぜ進めなきゃいけないかというのは、これはもう委員御承知のとおりでございまして釈迦に説法ということになるかもしれませんが、若干触れますと、やはり高度情報通信社会、これの急激な進展によって世界が一体化してきた。そこで、企業は自分の会社の利益追求、こういうことから海外に行く、加えて今、日本は急速な高齢化社会に突入したために、来世紀に向かってそうした経済活動に従事する活力というのが失われる、さっき言った理由でもって空洞化する、これを防いでいこう、こういうことからこの経済構造改革をやろう。  その空洞化を防ぐためには、どういうことかというと、外国との間にどうしてもいろんな日本は制限がある。これはやっぱり長い歴史でもって、今申したように長年の島国というものがあったと私は思う。だから、日本だけでやればいいんだということでいろんな規制がある。もう一つは外国に比べてコストが高いという面、これも言える。だからこれを是正していって国際的に先進国、アメリカやヨーロッパ並みにしようと、この二つになりました。  具体的にどうするかということになると、規制緩和の方ではいろいろ言われている中ですが、その代表的なものが大店法、これの見直しということを平成九年度じゅうにしようということでございますし、もう一つはやはり高コストの方で代表的なものは物流関係エネルギー問題がある。ということで、当省としてはエネルギーの中においてまず電力料金というものにメスを入れようと、この二つを柱にしたわけでございます。  ところが、いずれもやはりいろんな障害がございます。それは、そうしたことに関して必ず規制緩和の場合には俗に言う総論賛成、各論反対という風潮が日本にあるということ、そしてまた、政党政治ということでもって非常にその辺も議院内閣制の難しさがございます。  そういうことで、この問題は私に課せられた大きな命題ですから、先ほど一生懸命取り組むし、政治生命をかけてやりますと申し上げたんです。先ほどちょっと言い落としましたが、そのときに国民の意識というものが変わらなきゃいけない、そのためにやはり行政改革というものが必要だろう。だから、ちまたで言われているようにただ役所を減らすとかなんかではなく、その辺の流れでもって、まず今の時代の移り変わりというものを的確にとらえて、役人の意識を変える。そして同時に、企業あるいはまた国民全般、こうした意識を変えていくことが必要だろうと思っております。  今、具体的にと言われましたので、電気料金とそして大店法という二つの問題を提示いたしました。
  112. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 御努力はよくわかります。つい先日の予算委員会におきまして集中質疑の中でも、大臣とは大店法の規制緩和によって中小零細商業というものが大変衰退しているという立場に立って質問をさせていただいたわけでありますが、なるほど私どもも規制緩和を積極的に進めていかなきゃならない。しかし、それによって非常に厳しく波に洗われる、あるいは存在が危うくなる、こういうような人たちに対しても、本来的にいえば激変緩和とか温かい対応というものをもう少しすべきであった。  特に、大店法で論議するつもりはございませんけれども、この間やったからこれ以上論議はいたしませんけれども、ドイツなどではちゃんと立派に別の町づくりという立場の建築基準法によって大型店の進出を抑えるようなシステムをつくっている。それは町づくりの視点から、物流の視点ではなくて別のファクターでそういうものを考えているというところに、私は日本ももう少し考えるべきだったかなと、今なお残念に思っておるところでございます。  それはさておきまして、先ほどもちょっと触れましたが、橋本総理の改革五原則というものの説明を直接私どもも承らせていただきました。これはもう内容は御承知のように、財政再建の二年間前倒し、歳出には一切聖域なしで見直していく、平成十年度、来年度の予算は前年対比でマイナス予算とする緊縮財政だと、長期計画の見直しや新たな予算を伴う計画作成しない、そして国民負担率は五〇%以下だと、これは紀元二〇〇三年までという制約がついておりますが、こういうことの発表がございました。それこそ先ほど言われたように総論賛成、各論に入って反対では全く意味がないと思っております。  ところが、私は通産省の行政というのは、日本産業経済というものが大小にかかわらず順調に発展をしていく、そして同時に国民の生活というものが年々向上していく、そのために中期的、長期的展望に立って事業の継続性というものは非常に重要な意味を持ってきておったと思います。  例えば、来年度予算編成に当たられまして、今までのゼロシーリングとかあるいはマイナスシーリングという方式ではこれだけの緊縮マイナス予算というものをつくるのが困難だとすれば、今までの約三十五年続いたシーリングシステムの予算編成というものはこの際根本的に改めていくんであろうなと私は思っておるところでございます。歳出カットということになりますと、通産省のようないわばきめ細かな継続的な政策というものをカットしていくのかなと。例えば公共事業を抑制する、これは割合単純にできると私は思います。ところが、お扱いの日本の通商産業行政というものを全般で把握した場合に、今までの計画、これをやめちゃうよと、そんなに極端な対応ができるのかな、このように懸念をいたしております。  平成九年度は財政再建元年と位置づけましたけれども、言うならばプライマリーバランスをとる程度に終わっておるところでありますから、いよいよ二年度としてはやっぱり切り込んでいくということは、二十一世紀の日本のために当然必要だ。しかし、通産省の御担当としてごらんになった場合に、本当にどこをマイナスにしていくのか。  私はもう時間がありませんからついでに述べさせていただきますが、その中でうたわれている項目で気になることが二つございます。その二つというのは通産省にかかわる項目が二つありまして、その一つ中小企業問題でございます。  中小企業の予算は昭和五十七年、八年をピークとして、自来毎年随分私たちは予算をふやせと主張してまいったつもりでございましたが、年々減少をしてまいりました。恐らく三割、四割減ってきている。いや、これはいつとき自治省へのっけかえとかいろいろ財政上のやりくりがあったことも承知をいたしておりますけれども、通産省の中の中小企業枠として見た場合には残念ながら年々減少をさせられてきた。それが、中小企業予算についてはそれぞれの個人の、いわゆる中小企業の活力に期待する、あるいは地方自治との絡みの中でそういう中小企業に対する対応をより積極化していく、こういうようなことで見直しを要求されておると思っております。  それからもう一つエネルギー問題でございまして、このエネルギーについても、これはここ十年間ぐらいそれぞれの分野で伸び縮みがございますが、通産省としては備蓄を含め、あるいは新エネルギーの開発を含めいろいろと努力をしてきております。ところが、それについても見直しを要求されている。これはもう通産行政の中の、言うなら目玉とも言うべき柱であります。  今、佐藤大臣御自身の平成九年度にかかわる御説明を聞いても、特に中小企業はちゃんと第二番目の柱に位置づけられている。それが来年度、これからの予算ですからどうなるかはまだまだ難しいとは思いますけれども、恐らくふえる要素は全くない。どこまでマイナスで切り込まれるのか、私は今大変その問題に懸念を寄せておるところでございまして、来年度の予算編成を含め、くどいようでありますが、中小企業対策あるいはエネルギー問題等についての予算の対応というものを大臣御自身いかにお考えになり、取り扱っていかれようとされるのか、御方針をお漏らしいただきたい。
  113. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今の斎藤委員、大変核心をついた質問でございました。  今御指摘のように、この三月十八日に財政構造改革会議というのが開かれまして、そこで五原則が決定して、その日に直ちに私たち全閣僚に提示がございました。    〔委員長退席、理事沓掛哲男君着席〕 それを受けて後日、一応閣僚懇談会で議論をしたわけですが、それは実は前段がございまして、約一月前、今の財政構造改革、それの流れの中でもって各省から情勢の報告がございました。そのときには、大蔵省の方から今の財政上四百五十兆の赤字があって、そしてここにおられる経企庁の方からは景気の見通し、それから特に厚生省の方からはこれからの少子・高齢化、福祉・医療、こういうふうな話で、いかに苦しいか、いかにカットするか、こんな話ばかりでございました。  そこで、あえて私がそのときに申し上げたのは、今度の六つの改革の中で、今のは全部関係があるんですが、多くのものは削減する方、これに協力してくる話なので、確かに赤字はわかるけれども、少し今度入りの方を考えた場合に、将来に向かって入りでもって充実できるというと、当省のやっている経済構造改革、これが成功すれば入りが、ということは経済の成長率が上がってくれば当然入ってくるんではないか。それからもう一つは、大蔵省所管の金融システムの話と二つであった。あとはみんないかにしていわゆる出を抑えようという話になっている、行革もそうだし財政再建もそうだし、というところからいって話をしました。    〔理事沓掛哲男君退席、委員長着席〕 私の言わんとすることは、だから、そうなるとその部門はやはり考えなきゃいけないよということがあったんですが、率直に言って、ほかの閣僚からそうだそうだという声が起きまして、ちょっとこの話はまずい話になったなということでその会を終わりました。  そこで、今申し上げた十八日に決まった段階、その後の段階で私が申し上げたのは、全閣僚からの意見開陳がございました。そのときはそういうことですからあえて申しませんでしたが、今おっしゃるように、この会はあくまでも削減の方だけの話だと思っています。徹底して抑えようという、これはわかる。今この場でもって今度はふやす、入りの方の話をすると、混同してどうしても政府の姿勢というものも甘くなるだろうから、これは徹底的にやってもらいたい。ただし、私の所管の方が何で、大口といったら問題ですが、御存じのように公共事業から始まって福祉の問題でもODAでもそれから農林関係でも文教でも、実は何兆という単位の予算なんだと。私の方はエネルギー、これは特会もございますが、特に今言われた中小企業というのは、ことし皆様方の御努力もあって、後押しもありまして、昨年から比べてやっと十一億ふえた。それでも千二百四十七億です。それでもって少しはふえたと、こう言われているんです。  ということは、ここに提示されているのはどれもこれも聖域なきということ、これを実は証左として提示されたものと私は理解します。もう一つは、やはり確かに少ないけれども、今までの惰性に流されて予算を使った面も否定しない、だから中身の充実ということは当然ですがと、こういうふうなことで言葉を濁してございます。  今申したように、そういうことで次の機会という、今やっている経済構造改革、これをやはり並行して進めながらしたい。というのは、当然それだけ協力する、いろんなことでもって苦しみも各企業に押しつけることになりますから、そのときの反対給付というか、やはり何かこうということで、後はおわかりと思いますからあえて申しませんが、これで終わりたいと思います。
  114. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 いろいろと御配慮いだたいておるのはありがたいことでございます。  ただ先ほども申し上げましたように、例えばこれは中小企業ばかりじゃありませんが、通産省の今までの行政というものはまことにきめ細かに、産業の育成だ、奨励だとやってこられたという経過から見て、例えばその他の事業のようにサンセット、サンライズ、そういうような方式が非常に取り入れにくい。思い切ってそういうものも取り入れなきゃいかぬというケースもありますでしょうけれども、特に中小零細企業対策なんというのはもっともっと伸ばしていただきたいと思っていたんです。  今、大臣お話しになりましたように、中小企業の通産の予算は千二百四十七億、これに大蔵五百七十億、労働省四十八億、関係の三省庁集まっても千八百六十五億ですね。確かに、ODAの一兆二千億とかいうのから比べれば微々たる予算だと私は思います。でも、そういうものが聖域なしで切り込まれてくるようなことになると、せっかく今までそれぞれのきめ細かな対策をして努力をしてきた行政がみんな停滞をしたり、いろいろな形でそごを来す。私は、それが日本経済をより大きく低下させていく、エネルギー低下をさせる原因になりはしないかと。ですから、このさじかげんというのは来年度予算の御編成のときに大臣非常に御苦労されるんだろうな、このように思っておりますし、通産行政のプライオリティーをどうつけていくか、これはもう本当にそこに知恵を結集して、頑張るものはきちんと頑張る、また新たに見直すものは見直していく、こういう思い切った御判断を特にお願いいたすものであります。  時間がありませんから、さらに進めさせていただきます。  実は、きょうの新聞を見まして、さもありなんなと思ったのはエネルギー問題でございます。  新潟県の巻町の原発計画が残念ながら延期をされました。これは、本来でしたら九九年に着工して二〇〇五年運転開始ということに東北電力がいち早く計画をいたしておったところでございます。したがいまして、これは当然我が国の電力の供給計画に組み入れられておりました。それが今回、中止というのは御無礼ですから、延期とでも言いかえておきますけれども、恐らく近い将来は全く無理だなと判断をされますときに、相当これは今後影響が出てくるのかなと。また一方、九州電力串間原発の計画、これは中止が発表されました。これはもっとも供給計画にはまだ入っておりませんから、言うならば影響はそれほどない。しかし、こういうことは、結局この間の動燃の事故がもとになって、全国的に原子力発電の計画が後退する危険があるんではないかな、このように心配をいたしておるところですが、いかがでございましょうか。  それとあわせまして、そうなれば、どうしても二十一世紀の日本の活力の文字どおりエネルギーになるもとでありますから、それにかわる、例えばクリーンな代替エネルギーとか新エネルギーというものをより積極的に開発をしていかなきゃいけない、こういう立場であろうと思っておりますが、その辺につきまして、大臣でなくても、場合によってはどなたか御答弁をいただければありがたいと思います。
  115. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今、斎藤委員指摘のように、この間の動燃東海村の報に接しましてまず私頭に浮かんだのは、あれは我が省の所管ではないが、我が省が所管しているというか、傘下にある電力会社の体制はどうなっているんだろうかなと。それはもう御存じのとおりのような処置をいたしましたが、いずれにいたしましても、これで今国で進めているエネルギー政策というもの、御存じのように徹底した省エネと新エネの開発、そして原子力発電と、そういう三本柱が大分定着しつつあるなと思っているやさきのことですから、このことがこれからの政策に影響がないと言ったらうそになる、こんな実は思いがいたしました。  そこで、今具体的に言われたように、巻町の報にも接しまして、実は私が就任した当時、昨年から巻町の問題はございました。率直に言って、こうした事実というものを、情報公開じゃありませんが、もっとオープンに国民にやはり聞いてもらいたい、どっちがいいのかと。片一方では環境問題が言われて、非常に地球温暖化ということでもって火力発電、こういうものは一体いかがかとか言われている。片一方ではやらない、といって片一方ではやはり今までのような経済成長を続けたい、そして豊かな生活、民生的にもと言われた場合に、じゃ電力はどこから持ってくればいいのかなということで、非常に苦慮しております。  ですから、もちろんそういうことに関しては、まず第一に徹底した省エネということ、これは実施しなきゃいけませんので、来週の火曜日にもそうした省エネの対策、今度は第二十六回ですか、各省から具体的な案を出して、それを閣議決定する。それから、新エネの方に関しても、やはり技術開発ということでございますので、なかなかこれは今のところはコスト面で折り合わないといいますか、一つ技術面がなかなか進まないということでございます。  ですから、もう少しこの原子力に関してはやはり国民の理解がなければできないというのがこの二つの例だと思いますので、そこを徹底して国民、地域住民によくわかるように説明をして御納得をいただいていきたい、かように思っております。
  116. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 通産大臣、最後に一つお尋ねさせていただきますが、経済構造改革というのは考えれば考えるほど大変実現は難しいなと。今それぞれ出されている内容を見てみましても、科学技術立国を標榜して研究開発基盤の拡大をする。そしてその手法は、産官学いろいろとリードして、新しい産業の創出で、それが雇用を生み、二十一世紀の活力になる、こういうふうに図式的には理解ができるんですけれども、現実にはそれを阻む要因というのは、先ほど大臣もお述べになられましたように、高コストの体質あるいは産業空洞化とか、さらには高齢・少子の時代でなかなか思うようにいかない。  低成長であり、かつての重厚長大産業が軽薄短小の産業構造にうまく変わったのは、言うなら右肩上がりの好況の中でやったからこそ企業も革新に十分耐えましたし、あるいは失業者も出ずに、むしろ景気に支えられて雇用もフルエンプロイメントに近かった。こういう状況を考えますと、今はまさに全く逆のエレメントに囲まれている、こういうことを私たちは考えなければならないのかな、このように思っております。  新産業でどうやって雇用するのか。もう既に通産省の御計算でも、九五年度は十一万人の失業がふえている、あるいはまた紀元二〇二五年には、事によると百二十四万人ぐらいの失業がふえるぞという警告も一方では発しておるところでありまして、ぜひその意味からも、産業構造はもとよりでありますが、基本的な経済構造改革というものをどうしても早く達成をしていかなきゃいけないな、このように思っております。  道は大変険しく厳しゅうございますが、大臣の改革をなし遂げる御決意をもう一回承りたいと思います。
  117. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今御指摘のように、経済構造改革、これに非常に力点を置いていかなければ、二十一世紀になってこの日本という国が地球の中でもって埋没しちゃうだろう、こういう危機感から昨年の十二月にプログラムを決定させていただきました。それで、多分五月ぐらいになると思いますが、一応表現としてはことしの春ということになっておりますが、その段階で、さらにそれを具体化した行動計画というものを実は皆様方にお示しできるだろう、それに基づいて加速させていこう、こういうことでございます。  繰り返して申し上げますように、私自身、実はこの間も閣議で申し上げたんですが、要するに変革だとか改革なんという甘い言葉では済まされないんで、革命だと、だからそのつもりでもってまさに省庁、内閣一丸とならなきゃいけない問題だと。大変口幅ったい言い方でございますが、先ほど申した電力料金の問題にしてもそれから大店法にしても、少なくとも問題の意識というのは我が省でも徹底してまいっただろうと思っております。あと一息でもって、今、斎藤委員の御指摘のように、御期待に沿えるように持っていきたいと思っておりますので、よろしく御支援いただきたいと思います。
  118. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 ありがとうございました。  麻生経企庁長官、お尋ねをいたします。  景気は確かに底を打って、いろいろなファンダメンタルズを見ると上がってきたなという実感があります。ところが、やっぱり大企業中小企業との格差あるいは大都市と地方都市との格差、何となくまだまだギャップが大きい、このように思っておるところであります。  ただ、中小企業の景気のファンダメンタルズが大分上がってきたよというきのうきょうの報道を見て、ああこの調子ならなと期待をいたしておるところでありますが、現在の景況感についてお述べをいただきたいと思います。
  119. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 今回の景気の回復に関しましては、従来と一番違っておりますのは、中小企業から先にスタートせず大企業の方から先にスタートしたところが過去の景気回復と違ったところだ、さように理解をいたしております。  長いこと続いておりました中小企業関係のいわゆる設備投資の伸びというのが、今御指摘のありましたように、日銀の短観で見ますと五年ぶりに前年比プラスに変わってきておりまして、この設備投資というのは御存じのように先行きよくなると思わなければ設備投資はしないわけでありますので、更新ということもありますけれども、基本的には設備は更新しないことになります。そういった意味では、明らかに中小企業においてもそういった傾向が出つつあるので、まことに結構なことだと思っております。  ただ、先ほど御指摘になっておりました経済構造改革というものなり規制緩和というものが世上言われておりますように進みますと、それによってどういうような影響が出てくるであろうかということは、これはなかなか先行きの見にくいところでありまして、これでよくなると思われる方もいらっしゃれば、これによって自分の既得権益が失われて悪くなるという方もいらっしゃいます。調査いたしましたけれども、全部が全部聞けるわけではございませんので、サンプルによって、聞いた相手によって、そういう業界だと悪くなると言うし、なかなか景気判断としては難しいところだと思っております。  総じて中小企業において、特に若手の経営者の方々の中においては規制緩和によってビジネスのチャンスが出てきたというようにとらえていらっしゃる方が、平成九年度に入ってからよくなるであろうという意見を述べられる方が多いというのは私どもとしては大変心強いところだと思っております。
  120. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 今、長官のおっしゃるように、景気は特にマインド、心理というのが相当左右する、日本では特にそういう傾向が顕著であります。しかしながら、本当に景気が上がってくるよという勢いを皆さんが感ずるようになれば、はしゃぐわけじゃありませんが、それこそ明るい前進が期待できるなと思っております。  本年は、政府は実質成長一・九%、目標として掲げておられる。前年はどうかなと思ったら、ちゃんと立派に達成をされた。ここ十年来珍しいことでございまして、よかったなと内心思っておりますが、ただ、今回は消費税の二%アップとかあるいは特別減税の二兆円廃止によってマイナス要因も相当ある、あるいは消費税値上げに伴う仮需というものも相当あるのかとか、いろんなファクターがありますから、それらを通じて本年度の実質成長一・九%、私たちも日本経済のために達成をさせなきゃいかぬと思っておりますが、いかがでございますか。
  121. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) この四月から二%引き上げられますいわゆる消費税、百三分の百五、正確には一・九四になりますけれども、それの分と、それから特別減税の分約二兆円というものなどなど、前半においては気分的な、先ほど気分の問題と言われましたけれども、いろんな意味で景気の足を引っ張る要素は私どもあると思っておって、その分につきましては来年度の経済成長、前半においては特にそれは顕著に出てくる可能性があると思っております。約〇・九%ぐらいは足を引っ張るであろうと思っております。  それを差し引きまして一・九と申し上げておりますけれども、今のところいわゆる仮需があるであろうと言われておりました自動車につきましても、この一月に入りましてもそのまま二けた台の需要が伸びておりますし、住宅着工件数、普通通年ですと百四十から百四十五万戸と言われております住宅着工につきましても百五十万戸、一月に入ってもそういった状況が続いております。また設備投資、先ほどお話がございましたとおりであります。  また、一部の企業においては、円安が御存じのような状況で仮に続くという前提にいたしますと、そういった意味では輸出産業を助長する部分もなきにしもあらずでありまして、かってほど輸出を国内からほとんどするのではなくて、アメリカ国内における日本の自動車生産の比率がかってに比べれば非常に大きく高まっておりますので、日本からの輸出が一気にぽんと伸びるわけではありませんけれども、それなりの効果はあろうと思いますので、私どもとしては全体として平成九年度、終わってみれば一・九という目標の達成は十分に可能だと考えております。
  122. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 紀元二〇二五年を一つの目標として、経企庁さんも通産省もそうでございましたが、推計をされたいろんな数字があります。それらについて実はお尋ねをしよう、このように思っておりましたが、与えられた時間の限度がもう近づいてまいりました。ただ、このままいけば二〇二五年には日本経済は破綻するという結論を出しておられるところでありまして、ぜひそうならないように、後世のためにも通産大臣も経企庁長官もこれから一生懸命改革にお取り組みをいただきたい。  最後にお尋ねをするのは、今円レートが百二十三円とか四円、これは輸出産業には今大変な勢いを与えるプライスだと私は思っています。ひところの八十円、九十円から見れば円レートは三割から四割下落した、日本経済に及ぼす影響は非常に大きなものがあると思っております。これはまた輸出産業が活発になれば貿易摩擦だなんて怒られるかもしれませんけれども、少なくとも今の円レートというものについて、高低はいろいろな判断がございますけれども、日本経済が活力のある体制を、そして、残念ながら今なお海外流出が続く国内製造産業について何とか歯どめがかかるような対応というものを打ち出していただかなければならないな、このように考えておりますが、いかがでございましょうか。
  123. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 為替が幾らぐらいが適当であろうかというのは、これはまことに難しいところでありまして、日本の新聞によれば円高だったら大変、円安で大変、どっちが本当に大変だかさっぱりわからぬ。八十円に比べれば円安ということになりましょうし、二百四十円に比べれば円高ですから、基準がさっぱりわからぬ新聞の記事が多いので、私どもあの種の質問は大変難しいところなんだと思っております。  企業の損益分岐点から見れば、百五円から百十円の間へ行けば大体損益分岐点へ行くんだと、よく輸出産業にかかわっておられる方がおっしゃいますので、その点からいきますと、本日百二十三円四十四銭ということでありますから、その辺からいけば結構いい形になっておるんで、これは外需が寄与してくる可能性は十分にあるんだと思っております。  製造業海外生産比率というものが、まだ今これだけ日本が出ていったといえども、アメリカ、ドイツに比べればその海外製造比率は十対二十四で約半分ぐらいでございますので、その意味からいきますと同じような形でいくかとは思います。ただ、諸外国と違って私どもの場合は、地域に対する人口密度というのがドイツ、アメリカに比べて断然高いわけですので、そういった意味では国内にそういった産業があるなしというのは非常に大きな影響を与えると思っております。  私どもも、国内において極めて精度の高い人工資源とか、そういったようなものが国内において生産され、例えば半導体が海外で、韓国なら韓国で生産されてもそのセラミックはほとんど日本からというような形のものはほかにも幾つも例があるんだと思いますが、そういったようなものがきちんと持続されていくだけの高い技術の維持であってみたり、またそういった品質の管理の信頼性であってみたり、納期が完全に守られるとか、そういった意味で価格の面以外での競争力というものは大いに維持していかねばならぬ大事なところだと思っております。  そういった面を含めて、これは通産行政にかかわることだとは思いますけれども、日本として国益の観点に立って、その種のことは今後とも大事にされていかねばならぬところだと理解をいたしております。
  124. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 ありがとうございました。
  125. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 斎藤先生の格調の高いお話の後に、私は個別の問題でお話をしようと思いまして、きょうは三井三池鉱閉山問題に関する問題でお尋ねをするつもりでございます。経企庁長官には質問の用意を余りしておりませんので、もしお休みになりたければどうぞ少しお休みいただいても結構でございます。  まず、今月三十日に閉山を発表した三井石炭鉱業でございますけれども、三月十九日には三労組と協定を交わしまして、三十日付で従業員約千二百名が全員解雇されることになりました。政府は、関係十四省庁、公団から構成される閣僚の連絡会を組織して、雇用対策初め対応策をまとめられようとしております。その進捗状況について、今わかっている範囲でぜひお知らせをいただきたいし、また二十日には労働大臣、運輸大臣が行かれたようでございますけれども、現地調査についたということもお聞きしておりますので、その成果もできることならあわせて御答弁をいただければと思います。
  126. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 地元選出の木庭委員としては大変御心配の点、よくわかります。この報で私自身も大変な衝撃を受けたのでございますが、今御指摘のように、閉山をした場合に、まず当初の場合には千二百七名に上る離職者対策はどうなるんだろうか。同時に、それだけではなく、地元の商店街を初めとする地元民の動揺と、こういうことでございます。  御存じのように、十三日に、まだ決定する前でございましたが、総理は私と岡野労働大臣を呼んで万全を期すように、こういうことでございました。今御指摘のように、それが十三日にございまして、そして正式には十八日に両社の社長が私の方に参りまして、三井鉱山と三井石炭鉱業両社長が参りまして、一時間前に労使の話し合いがつきまして三月三十日に閉山いたします、こういうことになりましたという報告がございました。  そのときに私が率直に申し上げたのは、これは大変なことだと思うが、もちろん国を挙げてというか、後のことに万全を期するつもりだけれども、何といっても一義的には三井石炭鉱業、そしてその親会社である三井鉱山、ひいては三井グループ、これが一番この問題を真剣に考えてくれなきゃいけないよと、こんな話をしたわけでございます。そういうことで、十九日に直ちに十四省庁から成る今の連絡会議、これを開きましてそうした指示を与えました。そして、この方に関しては四月の下旬までに地域振興対策を取りまとめてくれと、かように申したんです。  それで、十九日の次の二十日に岡野労働大臣、そして古賀運輸大臣、当省からは上野政務次官、それから役所の連中がつきまして、現地調査そして実情把握ということで行ってもらったわけです。その報告は、私たちが東京で考えていたと同じような問題点の披瀝がございまして、そのことを受けて今申した四月の下旬までに出してくるだろう、こう思っておりますから、それを真摯に受けとめて、そして今申したように対応してまいりたい、こう思っております。  御存じのように、今一番問題なのは、そのときにも各省の分担してやるのはそれぞれで決まっておりますから、それをしないとかえってがちゃがちゃになるおそれもあるので、私自身はそこのところを整然として整理していきたい、かように思っております。
  127. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 各省庁にも来ていただきましたので、今からいろんな問題をそれぞれお聞きしていこうと思うんですけれども、やはり一番の問題は千二百人を超えるという、これは今までも閉山問題いろいろありました、でも規模からいうとずば抜けてというか、地元に対する影響も大きいんですけれども、千二百人の問題ですから再就職の問題というのが極めて大きな問題だと私どもも思っております。一応、再雇用枠を三千六十九人確保したというふうに報じられているんですけれども、一つは何せ従業員の方々平均年齢が高うございます、平均年齢四十七歳。なかなかこれ、さあ再就職しようとしても大変な問題があります。  大牟田荒尾という地域に長い間住んでいらっしゃいますものですから、就職先、例えば北海道とか東京とかを提供されてもなかなかこれは厳しい問題がありまして、特に地元にどう確保していくかという問題は、私はまさに一番大きな問題なんだろうと。もちろん雇用のミスマッチみたいなもの、いろんなことがこれからあると思うんですけれども、何より地元雇用をどう確保していくかという部分が一番大きな問題だったし、今もそうであると思っております。  その中で、労働省にも少し話を聞かしてもらいたいんですけれども、私は、通産大臣、このお取り組み、非常にありがたかったなと思うのは、今言われた三井グループはもちろんですけれども、地元関係の各企業に対しても通産省としてできる限りのことはしたいということで、先陣に立ってやっていただいているというふうに私もお聞きしています。  本来はこれは労働省の話なんですけれども、通産大臣がそこまで決意してやっていただいているというのは、これは本当に高く私は評価していますし、この問題に対する通産大臣決意とともに、それと労働省も来ておると思いますから、その辺具体的な話は労働省がその後フォローして話してくださればよろしいと思いますので、それをお話しいただければと思います。
  128. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今言われるように、雇用問題は直接には労働省だとしても、今のように仕事の場をつくるとかいうのは私の方の仕事ではないだろうか、私はかように思っております。  そこで、今御指摘のように、地域への密着度ということで、あそこの三井石炭鉱業が百二十四年の歴史を閉じるというだけに、まさに三代ぐらいにわたって勤めている方も多いんですね心ですから、もちろんその子弟というのは本当にもう土着の人という感じがありますから、昔は別として。その場所を離れるということに対して非常な気持ちがあるだろうと思うんです。同時に、今御指摘のように平均年齢が四十七というふうに、今の高齢化社会では若いというものの、なかなか新しい技術習得だとか今までと違う職種というのは非常に難しいことがあるので、この辺もまさにきめ細かくしなければいけないなと。  そのために、さっき言い落としましたが、まず三井グループと同時に、九州・山口経済連合会、九経連等の地方経済団体ともお話をして再雇用先を確保してもらうということになるだろうし、それからもう一つは、あの大牟田を初めとして荒尾だとか、そして福岡の方で言えば高田、大和、こういうところに対してどういうふうな地域振興をやるのかという問題だろうと。だから、それは総合的にしなければいけない。  それから、もう一つ問題なのは、今三井石炭鉱業が持っている土地の問題です。今度の場合、非常に特徴というのは、数年前にございました北海道の芦別とは違って閉山ということで、三井石炭鉱業というのが、縮小はしましたが一応存続しているわけで、後始末をしてもらわなければいけない。そうすると、そこに残っている三十名の従業員に、生産をしなくてもそれに対する給与という問題がある。気をつけないと、土地を少しずつ売ってくれたんじゃ何にもならない。だから、その辺を一体どういうふうにするかというのがこれからの問題だと思いますが、今おっしゃったこともよく理解できますので、そういうふうに万全を尽くしてまいりたい、かように考えております。
  129. 金子順一

    説明員金子順一君) お答え申し上げます。  三井三池炭鉱閉山に伴います雇用対策につきましては、労働省といたしましても大変重要な課題だということで、当面の対策といたしまして、まず第一に離職者の方の職業相談であるとか職業紹介といったものを円滑に進める必要がございます。  このため、三池鉱業所の中に臨時職業相談所を設けますとか、あるいは地元大牟田荒尾の両公共職業安定所体制をまず整備する。それから、求人の確保ということでございますが、大変地元の志向も強いというように伺っておりますので、通勤可能と考えられます県内の安定所を動員いたしまして、積極的に求人要請あるいは求人開拓を実施してまいりたいと考えております。  また、再就職を円滑に進めるためには職業訓練ということが大変大事になるわけでございます。地元職業訓練施設に特別枠を設けるなどによりまして、受け入れにつきましてニーズに応じて機動的に訓練が実施できるような体制整備を図りたいと考えております。  また、離職者方々の求職活動中の生活の安定ということにつきましては、炭鉱離職者求職手帳、いわゆる黒手帳と言っております、あるいは特定不況業種離職者求職手帳緑手帳と言っておりますが、これらの手帳を迅速に発給して対応していきたいというように考えております。  また、かねてより地元から大変強い御要請をいただいておりました地域雇用開発等促進法に基づきます特定雇用機会増大促進地域につきましては、大牟田荒尾地域を二十一日に指定したところでございます。昨二十六日に公布、施行されたところでございます。御報告申し上げます。  労働省といたしましては、ただいま申し上げましたような施策を積極的に実施いたしまして、離職者方々の早期再就職に努めてまいりたい、このように考えております。
  130. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 労働省にまとめて幾つか今言われたことを少し詳しく聞いておきますけれども、一つ職業訓練の問題を特別枠を設けてというお話でございました。それでおさまればそれでいいんですけれども、もう一つは、これは現地の三井石炭鉱業の方は今の敷地内、それから機材もありますから、それを使いながら再就職をする人たちのための職業訓練協力することはやぶさかではないと言っている。ただ、これをやるためには、訓練するための教える側の人間の問題がある。その辺は労働省お願いするしかないのかもしれないというような話も出ておりました。  そういう意味では特別枠の問題だけじゃなくて、そういった要望に対しても、これは今閉山するわけですから、それから雇用先の問題になり、それから今度は訓練という問題になるわけですけれども、まだ時間がありますから、その辺も含めて少し整備をしておかなくちゃいけないんじゃないか、そういうものにも迅速に対応できる体制というものをぜひとっていただきたいと思っておるんですが、その辺についての考えがあれば聞いておきたいと思います。
  131. 金子順一

    説明員金子順一君) 職業訓練の問題でございます。御指摘のように大変重要なことでございまして、当面三井三池関係離職者の方の専用枠といたしまして九百三十人分の訓練枠を確保いたしました。  それで、具体的には三月三十日から四月三日にかけて、離職者方々を対象に就職援護制度説明会というのを実施したいと考えております。その際に、就職希望でありますとか、あるいは訓練の希望を含めましてアンケート調査を実施いたします。それに基づいて、どんな訓練ニーズがあるのかということを十分踏まえた上で対応を考えていかなければいけないと思っておりますが、御指摘のございました民間の施設といいますか、訓練施設だけではなくて、そういったものの活用ということでも十分考えていきたいと思っております。  また、三池鉱業所内の施設を利用した訓練につきましては、かねてから会社側からもそういった用意があるというお話を伺っているところでございまして、職業訓練はどんな訓練科目が実施できるのか、あるいはどういった人たちを対象にできるのか、このあたりにつきまして今雇用促進事業団と会社側の方で御相談をさせているところでございまして、今後訓練ニーズを十分見定めた上で、その点につきましても検討してまいりたいと考えております。
  132. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 労働省にもう一つだけ。  手帳の問題を今おっしゃいました。ただ、私たちが現地を見ていて、今までの閉山とちょっと違うなと感じたのは何かといいますと、長い間続いた炭鉱でもございます。そして、ある意味では非常に整備された形でやってきた会社でもあります。その結果、どんなことが起こっているかというと、結局、三井三池の従業員としてやる枠というのは、ある意味では非常に狭めた形になっている。例えば選炭部門とか運搬部門とか、そんなところが子会社になり孫会社になる。ある意味では非常に大きな会社であるがゆえに普通ならば黒手帳で選炭部門までが一緒になって出るところが、緑手帳に移さなきゃいけないのか、もしくは手帳は出ないのかというような、そういういろんな複雑な問題が現地ではあるようでございます。  その意味では、これまでやったやり方と同じでいいかというと、その辺は十分見ておいていただかないと、それは子会社だから孫会社だからという形の中で思わず落ちていく可能性がここの場合はあり得るなと、私は非常にそれを痛感しております。関連会社で働いた方々の中で一番心配されているのはやはりこの手帳の問題だということも、これは労働省よく御認識だと思います。  ただ、これは柔軟に対応するといっても、これまでの枠があるということも聞いております。だから、その辺も含めてよく現地を見ていただきながら、その中で柔軟な対応をしていかないと、何もないまま、職もないまま思わぬところで厳しい状況に追い込まれるという可能性もいろんな方に十分ありますし、私のところに一番心配してかかってくるのもこの話でございます。ぜひその点、柔軟な対応、そして現地の実情調査というのをよくやっておいていただきたい。このことを申し上げたいし、これについての労働省の見解を伺っておきたいと思います。
  133. 金子順一

    説明員金子順一君) お尋ねの手帳の件でございます。御案内のとおり、黒手帳につきましては、これは坑内作業など炭坑における一連の基本的工程というどころに属する仕事に従事されている方に支給をするものでございますが、そういった基本的工程に従事しているということであれば下請の方であっても黒手帳の対象になるものでございます。また一黒手帳の対象とならない下請の方々につきましても、一定の条件を満たしますと、先ほど申し上げた特定不況業種離職者求職手帳、いわゆる緑手帳でございますが、これの対象になるわけでございます。  手帳の発給につきましては、こういった発給の基準がございますので、これに基づいて行うということが基本になるわけでございますが、今後、労働者方々がどういった仕事に従事していたか、御指摘のようによく十分調べまして、それに即しまして適切かつ迅速な発給に努めてまいりたいと考えております。
  134. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 これだけはぜひ本当に地元でトラブルが起きないような形におさめていただきたいし、多分これは幾つかやっているといろいろな問題が出てくるんじゃないかなと一番心配している一点なんですよ。そこは本当に腹を決めていただいて、規則規則、でもやれる分について本当に今言われた部分で調査しながら少しできないか、なるべくそこは配慮をいただきながらしてもらいたい、このように考えております。労働省に対してはこれだけですので、ありがとうございました。  文部省に対しては一点だけでございます。  これは午前中にも何か吉村委員が聞かれたそうでございますのでダブって本当に恐縮でございますけれども、一応呼びましたので、離職者の子弟の問題でございまして、奨学金の問題が一点、それからもう一点は、やはり転校の問題に対する配慮の問題、特に高校の問題ですね、その辺に対してどのように対応するつもりでいらっしゃるか。かなり万全な対策はしたいというふうに地元は言っておるようですけれども、文部省がそういうことを言わなければ地元対応できないところがありますから、その点についてお聞きをしておきたい。
  135. 石川明

    説明員石川明君) 今お尋ねの特に高校生を中心とした就学の問題でございます。  一つは、高等学校生徒の転入学関係でございますけれども、福岡県の教育委員会の方におきまして各都道府県の方に対しまして配慮要請が既になされております。また、文部省におきましても三月七日付で初等中等教育局長の通知を発出いたしまして、転入学者受け入れ校の拡大ですとか受け入れ時期の弾力化を図るなどの配慮全国都道府県に対して要請をしたところでございます。  また、もう一点の奨学金関係でございますが、国の育英奨学事業であります日本育英会奨学金というものがございますが、これにつきましては、家計支持者の失業等によりまして家計が急変して就学が困難となるようなそういった生徒に対しましては、通常の出願時期、これは春と秋でございますけれども、それ以外でありましても別に申請を受け付けるなどの配慮を行ったところでございまして、今回につきましてもそういった事態の発生に対応いたしまして適切に対応できるように努めてまいりたいと考えております。
  136. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 本当は授業料の免除の問題もやりたいけれども、これはなかなか難しいそうですけれども、そこはそこでちょっとどういう形があり得るのかどうか、私もこれはなかなか難しいところがあると思うんですね。今後、まだ四月の中旬までにいろいろな対策を各会議でやるようになっているし、現場は現場段階で少しこの辺も含めて御検討はしておいていただきたいということを御要望申し上げて、文部省はそれで結構でございます。  次に、地域振興の問題で何点かお聞きしなければならないと思います。  その地域がこれから変わっていかざるを得ないわけで、その中で一番大事な部分というのは、やはりインフラの整備というものをやらざるを得ない、これをどうやっていくかというのがこれからの課題になっていくと思います。その意味で、道路網の問題もあるし、特に三池港の公共港湾化の問題、かなりこれは運輸省の方で検討はなさり、古賀運輸大臣はまさに地元地元なのでかなり前向きのことをおっしゃっていたように思いますけれども、運輸省来ておりますか、大臣が言っていることにきちんと皆さんがこたえなければ大臣うそを言ったことになるからね。  そういう意味では、本当にこの公共港湾化の問題、まだ県との調整はいろいろやっていると思いますけれども、どういった方向でまずこの問題に取り組むのか、運輸省に対してはこの点伺っておきたいと思います。
  137. 川島毅

    説明員(川島毅君) 三池港につきましては、三池鉱山が閉山した後、大牟田地域の将来の発展基盤として重要な役割を担っていくものと強く認識しております。  三池港の港湾管理者であります福岡県では、三池港を公共港湾として有効に活用すべく、大牟田市の協力も得て三池鉱山を初めとする地元関係者と協議、調整を進める意向だと伺っております。我々としましても、港湾管理者であります福岡県、地元大牟田市の御要望も十分承っておるところでございまして、現在、第一番目の課題である港湾計画の策定、これをいかに早期かつ円滑に進めるかということで準備に入っておるところでございます。
  138. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 運輸省はこれだけでございます。ただ、ちょっと元気ないな。もうちょっとしっかり取り組むなら取り組むという態度でやってもらわないと、こういう問題はやる気あるのかなと。何となく来て嫌々ながら答弁しているような感じになったらまずいから、それはきちんと、本当に大事な問題ですから、この点をよろしくお願いしておきたいと思います。  建設省、来ておりますか。  一つは道路の問題です。いずれにしても、これから新しい産業をどんなふうな形にするか、地域がどう変わっていくかというときに、やはりこの道路網の整備の問題というのが大事な問題になってくると思います。  これは地元からは今、有明海沿岸道路の問題、また大牟田−高田バイパスの問題、幾つか問題が具体的に上がってきておると思います。それを今御検討いただいておると思います、検討の過程だろうと思いますけれども、明らかにできる部分があれば明らかにしていただきたいと思います。
  139. 甲村謙友

    説明員(甲村謙友君) 市町村道室長でございます。  まず、有明海沿岸道路でございますが、これは福岡県の大牟田市から佐賀県の鹿島市に至ります延長約六十キロの路線でございまして、地域高規格道路として整備を進める計画路線に指定しております。この路線のうち、北側の三池郡高田町から山門郡の大和町間の高田—大和バイパス、それから大川市内の大川バイパスにつきましては、地域高規格道路の整備区間に指定いたしまして、現在鋭意事業の促進を図っているところでございます。  まずは、南側の大牟田市から高田町間につきましては、平成八年八月に調査区間の指定を行ったところでございまして、整備区間の指定に向けて早期に都市計画決定が行われるよう調査検討を進めている段階でございます。  次に、大牟田—高田バイパスでございますが、大牟田—高田線は大牟田市東部を南北に連絡する幹線道路でございますが、幅員が狭小で家屋が密集している南側の区間約二・四キロにつきまして、平成七年度に国庫補助事業によりバイパス事業に着手しておりまして、現在鋭意事業を促進しているところでございます。また、九州縦貫自動車道の南関インターチェンジヘのアクセス道路でございます主要地方道南関—手鎌線につきましても、国庫補助事業により重点的に整備促進しているところでございます。  これらの事業地域活性化のために重要な役割を果たすものと考えておりまして、必要な道路予算を確保いたしまして地域の皆様の御理解と御協力のもとに、今後とも鋭意事業を促進してまいりたいと思っております。よろしくお願いいたします。
  140. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう一点、建設省に、住環境の問題でございます。  住宅問題はいろいろありまして、通産も少し働きかけてくれたのかと思いましたけれども、会社の方と組合の方で一年という問題が、決着するには一年半ということになりまして、これは本当にある意味ではよかったなと、こう思っておるんです。また、それ以上延ばすのもなかなか難しい中で、一年半というのはよく両者折り合っていただいたなと、こう思っております。  ただ、いずれにしても、一年半の間にどう次の問題を解決していくかという問題ですから、いろいろな要望も出ておりましたけれども、一つは会社のものをどう公営化するかみたいな問題までいろんなことが出ていました。ただ、なかなかこの問題は難しいところもあると思うんですけれども、それ以上に、一つは公的な住宅、なかなかあいていないんですけれども、あけばそこに優先的にまず移すような問題についても当面取り組んでいくようなことが必要なんだろうと思います。  いずれにしても、一年半という限られた期間の中できちんとそういうものがやられていかなければならないと思いますし、そういう意味での支援について建設省にお伺いをしておきたいと思います。
  141. 石川哲久

    説明員石川哲久君) 炭鉱離職者方々の居住の安定につきましては極めて大切なことであると考えておりまして、現在、炭鉱離職者方々につきましては、先ほどからお話がありますように、再就職先の雇用等についての御努力をされているわけでございますが、そういう中で何人くらいの方がこの地域に残られるのか、あるいは移られてしまうのかということでありますとか、将来の収入の見通しがどのようになるのか等々の状況を踏まえまして、住宅対策として地元の公共団体の要望等を踏まえた上で万全を期していきたいと思います。  ただ、この中で具体的に考えられることといたしまして、今先生お話にありました公営住宅への優先入居ということでございます。これにつきましては既に、福岡県の方でございますが、県内の県営住宅については優先入居するような措置をしておりますし、県内の市町村営住宅につきましては県の方から市町村へ入居の協力お願いしているようなところもございます。また、これらを考えまして、住宅対策のいわゆる総合的な相談窓口として、近々、県、大牟田市の方で共同して地元に相談窓口をつくられる、開設される予定だというようなことを聞いておりますし、そのほか、地域状況、条件が整えば住宅地区改良事業といいますか改良的な事業ということも一部検討されているように伺っております。  いろいろな仕組みがこのほかにもあろうかと思いますけれども、私たちといたしましては、地元の公共団体の方々住宅政策につきまして万全を期して応援していきたいと思っております。
  142. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 建設省ありがとうございました。  中小企業対策につきましては、これも何か午前申告村委員が懇切丁寧に聞いてくださったようでございまして少しダブりになるんだろうと思うので、何点かだけ聞いておきます。   一つは、今法案を通し、これから本会議にかかって通るんですけれども、特定産業集積活性化法の適用の問題、この辺をどう考えるかというような、空洞化対策としてこれをそのまま大牟田荒尾に適用すればそれが一番いいと思いますし、その辺をどうするのかというような問題が一つある。  また、地元の方では、大牟田ではテクノパークというのを一生懸命完成を急いでおりまして、これについても要請は出ているようですけれども、早期完成に向かっての何か援助ができるのかどうかというような問題、さらに中小企業を考えるときに、やっぱり地元の商店街みたいな問題も含めて総合的にぜひ見ていただきたいし、そういった問題も含めて通産省の方で今お考えがあれば、これは総まとめにしましたけれども、御答弁をいただきたいと思います。
  143. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 冒頭お尋ねの集積活性化法の関連でお答えを申し上げます。  現在、大牟田市は現行の中小企業集積活性化法の承認を受けてございまして、集積活性化に向けた取り組みが進行中でございます。新たに制定されます地域産業集積活性化法におきましても、既往の承認計画についてはみなし規定を置いて、引き続き特定中小企業集積として支援を行うこととしてございます。基盤的産業集積としての承認に関しましては、県が市町村と協議の上で計画をつくるという法制になってございますので、計画策定主体であります県それから関係市町村の意向を十分踏まえながら今後対応していきたいと思っております。
  144. 中村利雄

    政府委員(中村利雄君) 大分テクノパークでございますけれども、これは地域振興に大変重要な役割を果たすということで現在造成に努めているわけでございます。十三年度に完成、それから十一年度中には一部分譲を開始するという方針でございましたけれども、先生指摘のようなお話もございまして、私どもとしましては、少しでも早めることができないのかということで、地域整備公団に対し検討するように指示したところでございます。
  145. 岩田満泰

    政府委員(岩田満泰君) 商店街を含めます中小企業対策一般でございますが、まず当面の対応について御説明申し上げますけれども、地元の九州通産局に中小企業対策室を設けておりまして、関係の政府関係金融機関あるいは中小企業支援機関等々の御協力を得まして、現在、それぞれのところに相談窓口を設置して状況の把握をすると同時に、先般、大牟田市と荒尾市で相談室を設けて相談会を開きまして状況把握をいたしておると同時に、当面の仕事の確保というようなことで、関係の機関に下請取引のあっせんあるいは官公需の確保ということでお願いをいたしておるところでございます。  これまでのところでは、中小企業一般に対します影響という面では、影響が顕在化するのはむしろまだこれからというような状況でございます。あるいは相談に来られる方々も金融対策中心とする御相談が多いというふうに認識をいたしておるところでございます。  商店街その他におきますやや中期的ないしは中長期的な取り扱いにつきましては、いずれにせよ、地域が活気を維持し、さらに高まるということが非常に重要でございまして、もろもろの関係省庁の施策あるいは通産省内部のもろもろの施策と連携をいたしまして、中小企業対策の面からもできる限りのことを地元でもいろいろと研究されているようでございますので、御意向を伺いまして中長期対策についても協議を重ねていきたい、このように考えております。
  146. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 さまざまお聞きしました。これで三井三池がなくなりますと、国内に残されたのは、北海道の一つあと長崎の池島、二つだけですね。  そういう意味では、私も、石炭関係というのは、お隣にお座りの麻生経済企画庁長官とともに子供の時代から関係しながらずっと石炭というのを見てきた一人でございまして、その意味では今後どんなふうにあと残った分をやっていくのかなというのを考えざるを得ない。これをそのまま残すということは、それは今の内外価格差の問題もあり、確かに難しいこともよくわかる。ただ、これまで石炭に対する日本が積み上げてきた技術、こういうものをこのままなくしてしまっていいものかということも本当に感じる一人でございます。  方法はいろいろあるでしょう。ただ、三井三池というある意味では象徴的な炭鉱がこうやって閉山を迎える今、残りの問題をどうするのかという問題は、まさに一つの方法を出さざるを得ないところまで来たというのが今の現実だろうと思います。その点どのような考えを持ち、やっていかれようとしているのか、このことについてお伺いをしておきたいと思います。
  147. 中村利雄

    政府委員(中村利雄君) 現在の石炭政策といいますのは、平成三年の六月に答申が出ているわけでございますが、その考え方は、九〇年代を国内石炭鉱業の構造調整の最終段階と位置づけ、国民経済的な役割と負担の均衡点までは経営多角化、新分野開拓を図りつつ、国内炭生産の段階的縮小を図るということになっているわけでございます。  そこで、均衡点について明らかにするようにというふうにかねてから要望されているわけでございますが、石炭そのものについては、今後とも日本エネルギーの中に大きな役割を果たしていくということでございますけれども、今後アジア地域においては石炭需要が非常に増大するとか、日本の国内炭鉱技術を維持し、それを海外に移転していくということによって安定供給の確保などにどの程度役割を果たすことができるのか、また維持した場合にどのような負担があるのか、それで役割と負担が均衡するのかということを検討しなければいけないということで、私どもとしましては、石炭鉱業審議会の場におきまして広く需要業界などの意見を聞きながら今後検討してまいりたいと考えております。
  148. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 この問題の最後に、通産大臣には、もともと御出身は山口でございますし、石炭についてはよく御存じだと私は思っております。もうすぐ予算委員会も参議院は終わりますから、機会があればぜひ現地にも足を通産大臣に踏み入れていただきたいなと。まさに一つエネルギー政策というものが、もちろん前に転換していったんですけれども、その一つのある意味ではエポックだとも思います。  その意味では通産大臣にぜひ現地に足を踏み入れていただきたい、このことを思っておりますので、これに対する通産大臣の答弁と、経済企画庁長官、質問通告しておりませんけれどもゆっくり聞いていただきましたので、それこそ石炭のことは一番詳しいはずですから、閣僚会議でもいろいろ発言していただきたい。今言ったような問題点について四月の中旬にいろんな対策出るわけですから、何をどうすればいいか一番わかっているのはあなたのはずでございます。その意味ではそういう提言もぜひしていただきたいと思うんですけれども、もしよろしければそのことも通産大臣の後、一言例えればと思います。
  149. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 私自身に現地を見ろと。実は私自身、今度閉山になる山というか有明坑の災害というのが、私が政務次官の当時ですから何年前になりますか、死者等九十九名ぐらい起きた事故がありました。そのときに、早速現場に急行して緊急対応に全力を傾注したんですが、そのときにやはり率直に言って、非常に私のイメージと違って劣悪な条件でやっている炭鉱だなという気がしたんです。というのは、その前に民間会社にいたときに、北海道の炭鉱を視察したことがあるんです。炭鉱ですから、事故があったときに、少なくともその現場に行けなくても近くまで行けるだろうという印象だったんです。それは、北海道の方から見れば、坑道から入っていくわけですから。どうやってこれ行くんだと言ったら、すぐ事業所の下にエレベーターがあって、そこから下へ行くんですと、それでまずびっくりいたしました。そういうことで、最後まで国策ということでもっていろんなこともあったんでしょうが、頑張られたなという気がするのでございます。だから、視察ということ、炭鉱を今さら視察してもしょうがないなという気が実はしているんです。  大事なことは、今各省から話がございましたが、私に言わすと、例えば通産省所管しておる中でもって地域振興整備公団の大牟田のテクノパークにしろ、荒尾産業団地にしろ、そして今の建設省のような道路の問題にしろ、すべて三井三池炭鉱が存在するという前提でそういう計画を立てていると。その本体がなくなったということなんですね。  それから、港湾の話も出ました。今まではあそこのところから石炭の搬出ということで、この間聞いてみましたら水深がわずか七・五メートルしかない。それをこれから、今の御時世だと、物を入れてくるのか出すのか随分違いますが、少なくとも十三メートルぐらいに掘らなきゃいけないのかな、すると年数がかかると。  ですから、非常に回りくどいようですが、私は、そういうことで、まずあの地域の振興というものをはっきりした基本的な計画というか、それをやはり打ち立てることがまず大事だろうと。それに基づいて、そういうことでもって、必要があれば視察というか行くが、そのときはやはり現地に対してある程度の回答を持っていかなければ、ただ行きました、大変です、皆さん御苦労さまですということで済むならばもうあしたの日でも参りますが、それだけでは解決する問題ではないだろうと思います。それだけ私の方がいかにしてこの問題を真剣に重要な問題だというふうに取り組んでおるというふうに御賢察願いたいと思います。
  150. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 突然の御指名でしたけれども、昭和三十五年、三井三池の大争議というのがございまして、そのときに労務管理をおろそかにした会社の末路を見にいこうといって、おやじに連れられて争議の真っ最中あそこを見にいったことが、何日か泊まっていたことがあるんですけれども、そのとき組合の前に立ってアジっておられた甲高い声の背の小さい人が非常に印象的だったんですが、三井はつぶれても山は残ると演説した人が奥田八二という方だったんです。余りそんなことまではっきり言うと、もう時効だからいいだろうと思いますが、結果として、今は三井は残って山はつぶれたということになっておりますので、あの人の予想は当たらなかったし、その人を知事に抱えたおかげでおれたちも随分割を食ったなと、いろんなことの思い出が、正直なところ今率直に申し上げればそんなところです。  総じて申し上げれば、千近くありました炭鉱が今二つ、三井含めて三つになっていったんですが、これは石炭の縮小均衡をさせていくという点に関して言わせていただければ、ドイツとかそれからフランスとかイギリスに比べて日本石炭政策というのはかなりうまくいった方だと私どもは率直にそんな感じはいたします。これは、かなりソフトランディングには成功しつつあるんだと思っております。  残りのあと二つどうするんだというお話ですけれども、池島は海の中でもありますし、また太平洋も同じく釧路からいわゆる太平洋の方を掘っていますので、私ども筑豊が抱えているような鉱害を抱えているわけでもありませんし、状況は随分違いますので、再就職の話が一番難しいところだと。  あともう一つ、山がある前提で今三井の場合も地域社会ができ上がっていますので、そこの対策をどうするかというのは、従来の石炭政策とは少し違った観点のものを持たねばならぬことだけははっきりいたしておると思います。太平洋と三井ですとちょっと状況が大分違いますし、池島ともまた大分違いますので、それぞれちょっと別々に計画を立ててやらぬと、石炭部としてもいきなり全部言われてもちょっと困っちゃうだろうなという感じが率直なところであります。  少しこの種の問題は地域方々とよく詰めた上で、県を含めたところで考えていかぬと、中央の方でこれでいきますよなんて言われても地元じゃ全然不必要なものなんというものも出てきかねないと思いますので、従来と違った形のやり方をしないといかぬのじゃないかなというように、ちょっと幾つか言い過ぎたところもあろうかと思いますけれども、大体感じたところであります。
  151. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 担当外の大臣に担当外の話をさせて非常に恐縮でございましたけれども、ぜひ本当に閣僚会議あたりのときはそういう経験をされたことを生かしていただきたいなと長官には御要請をしておきます。  通産大臣、じゃいろんな対策ができ上がったときにはこうやってやれたよと持っていって現地で話ができるようなものをぜひ仕上げていただいて、そのときは現地へお伺いしていただきたい、こう思います。  あと時間が残りわずかで、動燃再処理工場の事故を契機としたエネルギー政策の問題を幾つか挙げて科技庁も呼んでおったんですけれども、大臣に二点だけお伺いして私の質問を終わりたいと思います。科学技術庁済みませんでした。  一点お伺いする話は、再処理されたプルトニウムの混合燃料の処理につきまして、政府、電力会社は先月、福島、新潟、福井の三県に対して既存の原発で使用するプルサーマル計画への協力を要請したと聞いておりますけれども、県側の反応と今後の調整の見通しについて伺いたい。  先ほども原発がなかなか難しくなった話もあるし、その中での一つの方法として御提言されたんだと思いますけれども、今の時点での通産省大臣が御承知の県側の反応、また今後の調査の見通し、これについて一点目お伺いしたいと思います。
  152. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今御指摘のように、二月の十四日に福島と新潟と福井、三県知事さんに直接お会いいたしました。科技庁の近岡長官と一緒でございますが、そして昨年の一月にこの三県知事の提言、これを踏まえた通産省におけるさまざまな努力や、それからその前に決まりましたプルサーマルによるプルトニウム利用等核燃料サイクル、この推進についての閣議了解、こういう点を御説明いたしまして御協力お願いしたわけでございます。同時に、その二、三日後に総理からもこの三県知事に要請がありました。  三県知事からは、閣議了解を含めてこれまでの通産省及び科技庁の努力については総じて評価をいただいたと思いますが、同時に、引き続き何といっても自分たちだけではなくやはり地元の市町村、こういうものとそれから同時に国民の理解、これをいかに得るかということが大事なんで、その努力を行ってほしいというととでございました。  通産省としては、科技庁と協力をしながら既に地元の議会における説明を行っており、引き続き地元の議会やシンポジウムというところでもって、プルサーマルというものの意義、そして安全性等についての説明をするなどして、立地地域を初め国民全体の御理解をいただけるようにやっております。  御指摘がありましたように、事柄は違うんですが、動燃のああしたような不始末ということで、その辺がやはり二回も続いておりますので、どの部分で起きた事故だというようなこととか、それから我々が考えていること、そういう観点に対するものがどうも混同して伝えられているということで、なかなかこの問題、我々もこれから各委員の御協力を得ながら説明、こうしたことを繰り返さなければ非常に問題が多い、かように考えております。
  153. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 答弁をもらっているともう時間が過ぎそうですが、先ほど大臣が斎藤委員に対して、この問題で一番大事なのはやはりどうきちんと情報公開して、ある意味ではまた住民の理解を得るという努力をすることだということをおっしゃっておりました。それが私もこの問題では今の時点で本当に大事になってきている、こう思います。その点、先ほど答弁されておったわけですから、それに向かって大臣として努力されると思います。  それともう一点、やはり再処理問題を含めていろんな問題が結局とんざするような事態も起こってきている。その中で、これまでどおりの計画でいいのかどうかという問題についても、この計画そのものの見直しみたいなものまで含んでこれから通産省としてこのエネルギー政策そのものの大枠、これ自体もやはりいろんな意味で考える時期に来ているんではないだろうか、こう思っておりますし、その意味でその点についても御検討をされるよう要請をいたしまして、ちょうど時間でございますので私の質問を終わりたいと思います。  以上でございます。
  154. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 経企庁長官に最初にお尋ねしますが、本年度の経済見通し、これは達成できるのかどうなのか。もう三月もあとわずかですから、それが一つ。  それから、来年度の実質経済成長率一・九%、これは為替相場が百十三円ではじいているようですね。今は大分情勢は違いますが、この一・九%というのはどう見るべきか。この二点について。
  155. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 今年度の二・五%につきましては、平成八年当初、いろいろ予想が各民間の研究所から出されましたときには、二・五%というのは大変高いということでいろいろ御批判があったところではありますけれども、平成八年度の十−十二月の速報値で見て、過日新聞に出ておりましたけれども、実質GDPの成長率は前期比で一・〇%になっておりますので、これを平成八年全体に単純に引き直しますと、三・六%ぐらいという数字になります。そういった意味では、まだ三月度が出ておりませんけれども、会計年度でいきますと平成八年度は二・五%は確実に達成できるものと思っております。  それから、来年度一・九%につきましては、先ほどの斎藤先生からの御質問にもお答えをさせていただきましたけれども、年度前半につきましては幾つかのもたつきが見られることは覚悟をしなければならぬとは思っておりますけれども、平成九年度を全体でながめてみますとすれば、来年の今ごろということになろうかと思いますが、そのころでは一・九%という数字につきましても同じく達成が十分に可能だろうと思っております。  今御指摘のありました為替の点につきましては、土志田局長の方から御説明させていただきます。
  156. 土志田征一

    政府委員土志田征一君) 為替レートにつきましては、先生指摘のとおり、見通しを立てる段階の作業前提といたしましてその時点のいわば足元の水準というのを置いておりまして、百十三円程度でございます。ここへ来まして、現在では百二十三円台というようなことでございますので、円安に振れていることは事実でございます。  この為替レートの水準、先行き、来年度に入りましてどうなるかというのは全くまだわかりませんので、一応機械的な作業前提のままで考えております。
  157. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 答弁は要りませんけれども、経企庁が先行き全く見込みが立たぬなんと言ったらちょっと困るんで、もう日本の一番権威あるところですから、少しこういうものについてはいろんな角度からシミュレーションして当てなきゃいけないと思うんですよね。当たるも八卦当たらぬも八卦では悪いけれども、やっぱりそういうためにあるわけですから、ひとつ頑張ってください。  通産省、私は、きょうは予算の委嘱ですから、幾つか予算の中で気になっていることを三つほど質問をいたします。  一つは、中小企業の経営指導員のことですが、これは平成四年度の予算は五百二十五億ぐらいあったんですね一そして、それが平成九年度の予算額を見ますと、二百九十六億円。これがぽんと減っているんです。これはたしか国会でも議論したと思いますが、たしか平成八年度からですか、全部地方自治体に移管をいたしまして、地方自治体交付税で、交付金で賄っていると。そういうためにこの経営指導員、約八千六百人ぐらいの経営指導員の手当というのか給料というのか、こういうものを見なくてよくなったということになっているんですが、予算の読み方はそれでいいですか。
  158. 篠原徹

    政府委員(篠原徹君) 商工会議所あるいは商工会に設置されております経営指導員の件でございます。先生から御指摘ございましたとおり、平成七年度の実績でございますけれども、商工会議所、商工会に合計八千五百六十八人の経営指導員が設置されております。そのほか、補助員、記帳専任職員等がございまして、これらの数が八千三百二十八名でございます。  これらに要します経費でございますけれども、平成四年度は三百七十五億円ございました。平成五年度から制度改正が始まりまして、従来、国の補助率は二分の一、残りの二分の一は県が負担をするということで補助率は二分の一でございましたけれども、平成五年度が十分の四、平成六年度が十分の二と下がりまして、平成七年度から一般財源化が完成をいたしております。  この結果、従来平成四年度ベースで三百七十五億円の政府予算が計上されていたわけでございますけれども、地対財特法に基づきます経営指導に係ります予算のみが現在国の予算で約四億計上されておりますけれども、それ以外は現在はすべて地方交付税で措置されているという状況でございます。
  159. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 私が先ほど中小企業庁の担当者から聞いたのは、平成四年度は五百二十五億、こう聞いたんです。今三百七十五億、どっちが本当かよくわかりませんが、それは後で答えてください。  そして、ちょっとお尋ねしたいのは、こういう人たちは商工会議所あるいは商工会の中におるわけですが、その中で仕事しているんですけれども、全国の商工会議所の組織率、商工会の組織率、これを教えてください。
  160. 篠原徹

    政府委員(篠原徹君) 現在の組織率でございますけれども、商工会が全国平均で六五%、商工会議所が三六%でございます。
  161. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 どうして商工会議所あるいは商工会の組織率が、商工会はまあまあなんですけれども、こんなに低いんですか。
  162. 篠原徹

    政府委員(篠原徹君) 御承知のとおり、商工会議所は全国で五百十三ございますけれども、町村部というよりは都市部に設置されているのが商工会議所でございます。  商工会議所の場合、都市部に置きますと、中小企業のみならず大企業もメンバーにいたしておるわけでございます。何といっても数が多いということもございまして、商工会に比べまして商工会議所の方が比較的組織率が低くなっております。
  163. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 いや、どうして低いんですかと言ったんです。
  164. 篠原徹

    政府委員(篠原徹君) 各商工会議所におきまして努力をいたしているところではございますけれども、何せ数が多いものでございますので、組織率が比較的低くなっているのが実情でございます。
  165. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 私が知っているのは、やっぱり商工会議所に対する不満とか何かもあるんですよ。だから、商工会議所じゃないけれども、中小企業の皆さんがそれに似たような団体を個別につくって、そしてお互いに勉強してやっていこうというような会をつくったり、そういうのは幾つもあるんです。  だから、私は県に移管をした以上は、たった三五%の商工会議所やあるいは六十何%の商工会の中にこの指導員を置くんじゃなくて、どこかもっと中立的なところに置くようにしたらどうかというのが、私がきょうお願いをしたいというか、考えてもらいたいのはそれなんです。どうですか。
  166. 篠原徹

    政府委員(篠原徹君) 商工会議所及び商工会は、地域の総合経済団体として活動しているところでございまして、こういった経営指導員がその中核となりまして小規模事業者に対するいろいろな事業を行っているわけでございます。  また、近年、地域全体の地域活性化、このために村おこし事業だとかあるいは町づくり事業だとか、またこれらに対する相談・指導事業等々、地域振興の中核となりまして、商工会あるいは商工会議所が役割を果たすことが期待されているところでございます。  また、特に近年の時代の要請に応じまして、空洞化に直面した中小企業の経営革新だとか、あるいは流通構造の劇的な変化に対応しました商店街対策あるいは中小企業の情報化等々ございますけれども、これらはやはり商工会あるいは商工会議所といった地域経済総合団体が中核となるというふうに私ども期待いたしておりまして、現行のように、そのもとで経営指導員も活躍していただくというのが望ましい姿ではなかろうかと思っております。
  167. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 言っていることは、三五%ぐらいの組織率のところにニュートラルな経営指導員を置いて——大体商工会議所というのはすぐ商工政治連盟をつくって、会長が連盟をつくって選挙になったら鉢巻き巻いてだあっとやるところが多いので、むしろもっとこういうのはニュートラルな形で、県に移管したなら県がもう少しみんなが寄りつきいいように、そういう点が一つ。  それから、経営指導員というのは、指導なんというのはもう今はおこがましくて、中小企業の人は本当に勉強してますよ。むしろ、中小企業の個々の経営者と寝泊まりをするぐらいやはり勉強してやっていかないと、反対に教えられるような状況になっていますから、ここも何かこういうものはもう少し今の時代に合ったように考えていく必要があると思います。  今言うように一万何千人が、これは本当に皆さんが言っているように、そんなに十分な役割は果たしておりません。もっとやっぱり今日的に彼らが本当に仕事ができ、成長していかなきゃこれは対応できませんから、ぜひ指導していただきたいと思います。何かありますか。
  168. 篠原徹

    政府委員(篠原徹君) 十分御指摘の点を踏まえまして、指導してまいりたいと思っております。  特に、近年の経済変化に伴いまして、商工会、商工会議所の事業につきましても、経済構造改革関連のいろいろな新しい支援事業を手がけております。そういった面に力を今後とも注いでまいりたいと思っております。  それから、商工会議所の組織率の点につきまして、現状で私ども満足しているわけではございませんけれども、ちなみに申し上げますと、経営指導員が行いますいろいろな事業につきましては、会員、非会員を区別せずに地域の商工業者、一般、すべて平等に扱うというふうに私どもは指導いたしておるところでございます。
  169. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 大臣、答弁要りませんが、ぜひ検討してもらいたいのは、非常に組織率がずっと低い、そういう状況の中で、指導員はその低い中でやっている。しかし、周りにはもう商工会議所で飽き足らぬから自分たちは自分たちで中小企業の皆さんは組織をつくってやっておるところがたくさんあります。  だから、いずれにしてもよくない形のパターンで今進んでおりますから、何とか組織率を上げるのか、どうせ上がらぬならもっとニュートラルなところに配置をするのか、ひとつこれから取り組んでいただきたいと思います。
  170. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) よくおっしゃる意味がわかります。  商工会議所にしても商工会にしても、創立のときの精神を忘れて、やはり何か惰性に流されてきて、ややもすると地元のいわゆる名誉職的な意味合いということで、今言われるように地域中小企業者との間にちょっと垣根ができたような、こんなことを言ってもいいんじゃないでしょうか。  そういうことでありますから、経営指導員の問題を御指摘でございますが、どこに置くかといって、それはやはり地域地域によって違うと思うんです。だから、今のままでいいところもあれば違うところもある。といって、これを県庁に直接置いてもいいのかどうかと。一遍よくその御趣旨ということでもって、少なくとも検討の対象にすべき事柄だと、かように考えております。
  171. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 大臣の今のお話の方がよくわかるんですので、ひとつよろしくお願いします。  次に、航空機関係の予算、航空機開発。これは本年度予算で三十八億七千二百九十万、民間団体に補助金を出すようになっております。私も前、商工委員会で大分議論したこともあるんですが、今までありました航空機の開発、胴体の開発のプロジェクトとエンジンの開発のプロジェクト、二つに分かれておりましたが、これらのことを簡単に報告していただいて、もう用が済んだならこれは用は済んだと、これから新しくやるのはこういうことだということを。
  172. 中川勝弘

    政府委員(中川勝弘君) 航空機産業、大変技術も高度なものを擁しておりますし、関係産業、すそ野も広うございます。私ども大変大事な産業だと思っておりますが、残念ながら航空機産業はそれほど大きく立ち上がってはきていないわけでございます。各国とも国の補助を投じまして産業の育成を行っているところでございます。  私ども、今御指摘ございましたように、航空機産業の中で胴体とか主翼の機体部分と、それから中に積みますエンジンと、大きく二つに分かれて製作をやりてきているところでございます。  ただいままでに大きな成果を生んできましたプロジェクトとしては、一つはボーイング社との共同開発プロジェクトでございますが、767のプロジェクトがございます。これはアメリカ、イタリアとともに我が国が開発に参加をいたしておりまして、二百席クラスの旅客機のプロジェクトでございます。日本はこの機体の一五%を担当いたしておりまして、開発に参加したわけでございますが、実は我が国で初めて中型の航空機の開発に参加をしたということでございまして、最先端の開発技術、生産技術を取得する大変貴重な機会でございました。このプロジェクトに関します国庫補助金百四十六億円つぎ込んだわけでございますけれども、これは収益を上げて成功いたしましたので、実はこの収益金は全額国庫に返納を平成七年度をもっていたしたところでございます。ことしの一月末現在、既に七百二十五機を受注しておりまして、今後も受注が期待をされているところでございます。  それから、ボーイングの777という飛行機がございますが、これも国際共同開発の機種でございまして、これは三百五十人乗りでございますが、エンジンが二つしかないという大型双発機ということで、通常747はエンジン四つございますけれども、そういう意味では革新的なコンセプトでございまして、これも来世紀にまたがります長期かつ巨大なプログラムでございます。我が国はこの機体の約二一%を担当いたしておりまして、平成三年度からこの八年度まで予算額は合計で百八十九億円ということになっております。777の本体の方は開発がほぼ終わりまして、現在は777の派生機といいますか、三百五十席クラスの飛行機の胴体を少し伸ばしまして四百人ぐらい乗せられるようなものということで派生機の開発も進めておるところでございます。  いずれにしましても、収益が上がりました場合には、航空機の共同の開発の基金がございまして国のお金が一応その基金に入ることになっておりますが、これをその基金へ返還をするということになっておるところでございます。本年の二月現在で、この777は五百十九機を受注いたしております。我が国も全日空、日本航空、それからエアシステム、それぞれが採用しておられまして、順次就航しているところでございます。  それから、エンジンの方でございますが、ジェットエンジンにつきましてはV2500プロジェクトというのがございます。これは中型の民間航空機に載せるために、燃費の非常によい、高性能で騒音が少ない、公害も少ないというジェットエンジンの開発をアメリカ、イギリス、ドイツ、イタリアとともに五カ国で共同開発をやっているところでございます。我が国のシェアは二三%程度でございます。昭和五十五年度からやっておりまして、平成八年度までの予算額を合計いたしますと四百九十六億円ということになっております。これも先ほど申し上げましたけれども、収益を上げました場合には基金へ返還を予定されておるものでございます。平成元年の五月から実際にこのエンジンを搭載した飛行機が出てまいりまして、平成九年、ことしの一月末現在では、エアライン三十五社から約千九百台の受注を獲得しているところでございます。  以上、申し上げましたように、いずれも立ちおくれて出ましたので、国際共同開発ということで推進をいたしておるところでございます。
  173. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 これから開発をしようとしているプロジェクトは。簡単でいいです。
  174. 中川勝弘

    政府委員(中川勝弘君) 私ども、YSXという呼び名で、今フィージビリティースタディーをやろうとしておりますのはございます。これは小型民間輸送機ということで、九十人から百十人クラスの乗客を乗せられる飛行機ということでございまして、そのフィージビリティースタディーを現在予算を計上してやっているところでございます。
  175. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 767の胴体部分は全額返納、百四十六億円返納したというのは、これはどこを見れば載っているんですか、いただいた資料の中で。
  176. 中川勝弘

    政府委員(中川勝弘君) 恐らくお渡しした資料は私の手元のと同じだと思いますけれども、これは返納した分と今回要求した分とネットで、恐らくその差し引きしたやつをお渡ししたんじゃないかと思います。
  177. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 その部分でちょっと明らかになっていないのは、国庫に入った百四十六億、一回入ってそして渡すのか、それとも何かどんぶり勘定で差し引きしていくのか、そこのところをちょっと。
  178. 中川勝弘

    政府委員(中川勝弘君) 補助金の方はさっき申し上げましたように、開発のプロジェクトが成功いたしまして、実際に会社に利益が出た時点でもって返還をすることになっておりますから、毎年毎年の予算との兼ね合いというのはこの数表には出てこないということだと思います。
  179. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 例えば三菱重工、川崎重工、富士重工、新明和工業、日本飛行機、こういう胴体にかかわったところが百四十六億円補助金を投入しておって、そして今の答弁では全額を国庫に返納したと。そうすると、返納した部分というのはこの予算書でいくと歳入項目か何かに出ているんですね。
  180. 中川勝弘

    政府委員(中川勝弘君) 私も予算の細かなあれは知りませんが、返済をいたしますと、当然歳入の額に立っていると思います。
  181. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 時間がもうなくなりました。それじゃそこは、どういうように歳入のところに立っているか、また商工委員会は続きますから出していただきたいと思います。  私は、大臣、こういう不明朗な形でつかみ金みたいな形で石川島何ぼあるいは川崎重工何ぼというような形にならないように、やっぱり出し入れというのはだれが見ても癒着のないような形でやっていただきたいと思います。
  182. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) わかりました。
  183. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 あとエネルギーの問題をぜひにと思っておりましたが、まず斎藤委員からもありましたように、もう少し徹底して大臣が先頭に立って省エネ、特に石油をもっと大事に使おうじゃないかということを、旗を振ってもらいたいし、そして将来、石油が枯渇する時代が来る、それに対する新エネルギーを、今回予算の中にはいろいろと配慮されておりまして私ども歓迎しておりますが、これに大臣が非常に積極的でありますから、資源のない日本こそ予算をもっと投入して、飛行機に金を出すのもいいけれども、新エネルギーにこれからは金を投入するようにぜひ頑張っていただきたいと思います。
  184. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今おっしゃるように、エネルギー問題というのは、これからの日本経済、そして民生の安定、こういうことを考えた場合にやはり大変な問題であります、  それで、今御承知のように徹底した省エネと新エネの開発と、そしてこれはまだ非常に問題がございましょうが安全性の確保をした原子力と、こういう三本柱ですが、それぞれどれも実は隘路があるわけでございます。率直に言って新エネというもの、これをやっぱり徹底的に開発しなきゃいけないというのは、私は全く委員と同感でございます。ところが、ここで非常に難しいのは、これが普及しないのは、今のところは非常にコストが高いということで普及しない、一%だと。そういうことですが、どうも今おっしゃるように、いろんなほかも含めて科学技術振興計画、これでもって全体では五カ年で十七兆ついておりますが、その中でもって通産省に回ってくるのは非常に少ないわけなんです。そこで、一点豪華主義というか何かに集中してやったらいいじゃないか、同じような研究でもって基礎研究とかいろいろやっているからと、こういうことを私は口を酸っぱくして  いつも言っております。  ところが、まさに新エネの開発に関しても、私がよくわからないから言われるのかもしれませんが、予算をつけたからすぐできるものじゃありませんと、こういうことで実は平成八年度は四百七十九億円計上したのが、今度の平成九年度では五百七十三億円。これを見ると二〇%伸びた、こういうような表現で、こういうような御時世の予算にしては我が省が非常に前向きだと、こういうことですが、今先生指摘のように予算つければ解決するものなら、また短期に圧縮できるなら、これを今申したように一点豪華主義というか重点主義でやっていきたい、かように思っております。  少なくとも新エネに関しましては、それを明確化するために本国会に新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法案というものを出してあって、そしてこれに対する政府の基本方針、こういうものを明確化して、一般の国民の方にも御理解いただきたい、かように思っておりますから、よろしくお願いいたします。
  185. 千葉景子

    千葉景子君 きょうは佐藤通産大臣、御苦労さまでございます。  通産大臣とは、ちょっと通産問題とは関係なく、日ごろは夫婦別姓、選択制の問題などで大変私どもにとっても力強い仲間ではないか、そんな気持ちでこれまでもおつき合いをさせていただいております。その点もまたよろしくお願いをしたいと思いますが、きょうは商工委員会の質問でございますのでそれとは全く別の問題をお聞きさせていただきたいというふうに思います。  最近、いろいろな報道等で皆さんのもう十分御認識のところかと思いますけれども、きょうはココ山岡という宝飾店が倒産をした問題に絡みまして、今盛んに規制緩和というような問題も進められております。今後、とりわけ消費者などとの関連がこういう規制緩和の中でもいろいろ課題が出てこようかというふうに思います。直接この問題がすぐかかわるということではなかろうかというふうに思いますけれども、今回のこの問題などを一つの参考あるいは契機にしていただいて、消費者の問題などについてもぜひ取り組みを進めていただきたいというふうに思っているところでございます。  このココ山岡というのは、一九五一年に創業をされて、一九六七年に会社が設立をされました。現在、資本金が九千九百万円、従業員が約千二百名、店舗数は全国九十八店舗に及んでおります。そういう意味では、決して一地域企業というだけでとどまらない部分を持っていようかと思いますし、九六年三月の売上高は四百四十億円というふうに言われております。  ここはこれまでもいろいろな問題点も指摘をされてまいりました。いわゆる商店街で通行客に店舗の中から声をかけて店に引き入れて商品の販売をする、いわばキャッチセールス的なそういう売り方ということでいろいろ指摘されたこともございますし、また、この売り手法というのが買い戻し特約をつけて宝石を売る、こういうやり方で売り上げを伸ばしてきております。この買い戻し特約については、一九九〇年、神奈川県警から、実は私もよく知らなかったんですけれども、古物商の営業許可がない無許可営業だと、要するに買い戻してまたそれを売るということになるわけですけれども、それで摘発を受けたりしております。そんなことで一たんこのような特約つきの販売を中止した時期もございますけれども、この間、つい最近まで、倒産するまでこの特約つきの販売を続けてきたということでございます。  そこがこの一月一日に破産宣告を受けまして、これを契機にいろいろな多くの消費者からの苦情が寄せられているということでございます。今全国で寄せられている苦情は、これわかりませんけれども、現在でも四千件以上にもなっているのではないかと言われておりますし、それからこの買い戻し特約で買った顧客を考えてみましても、ローンを支払っている人が十五万人ぐらいいるんじゃないか、こうも言われております。この皆さんが直ちに被害者ということにはならないかと思いますけれども、この倒産に関係する消費者というのは非常に多数に上るわけで、大型の消費者問題事件とも言えるのではないだろうかというふうに思っております。  こういう極めて特殊な販売形態をとっておりましたし、その買い戻しですからそれに十分に資金を備えておかなければいけないわけでして、そのためかどうかわかりませんけれども、かなりの不動産投資をしている。ちょうどバブル期ですから三百億円ぐらいの投資をいたしましたけれども、不動産の価格が下がってむしろ利息がかさむ、こういう状況にもなってきている。そういう中で、結局は資金繰りを悪化させて倒産に立ち至っているということでございます。  これは今後のいろいろな調査などによって問題があらわになってくるのではないだろうかというふうに思いますけれども、これだけ従来からキャッチセールスとかあるいは古物営業等の問題もあり、そしていろいろな苦情も寄せられる中で倒産をする、こういう企業といいますか会社について通産省としては、例えば問題があるのではないか、あるいは被害が出ているのではないか、こういうことをどういう時点で察知をされていたんでしょうか、あるいは問題を認識なさっていたのでしょうか。そして、その後、今大変大きな被害者が出てそれぞれ消費センターなどもパンクをしている、こういうような状況もあるようでございますけれども、通産省として何らか対応などをとってこられたのかどうか、その点についてまずお尋ねしたいと思います。
  186. 村田成二

    政府委員(村田成二君) 先生もよく御案内かと思いますけれども、確かに全国展開をこのココ山岡はしているわけでございますけれども、基本的にはジュエリー、宝石類の小売ということでございます。  私ども、残念ながらこの小売店につきまして、逐一経営状況ですとか、実際にどういう商行為を行っているかということを正確に把握し得る立場にはないわけでございます。したがいまして、実際問題としまして、このような問題が生じましたことを知りましたのは、本年一月十日に横浜地裁でこのココ山岡が破産宣告を受けた時点でございます。  それからまた、買い戻し特約におきます問題がいろいろ生じているということにつきましても、この破産宣告を受けた後にいろいろな苦情が一挙に噴出した、いろんな問題が噴出したという時点で認識をいたしたわけでございます。    〔委員長退席、理事沓掛哲男君着席〕  いろいろ私どもも消費者相談窓口等々持っておりますので、過去どういうふうな問題がこの店に関しまして寄せられたかというのを聞いてみましたけれども、具体的にココ山岡ということで認識できるような苦情というものが年間通じまして頻繁にあったという事態ではないようでございまして、実際問題として認識いたしましたのは、先ほど申し上げたような時点でございます。
  187. 千葉景子

    千葉景子君 確かに、一宝飾店の問題でございますし、当初違法な行為があったというところまで言うわけにはまいりません。そういう意味では、なかなか問題を察知するということは難しかったというふうに思います。それはわかるんですけれども、この一月十日で破産宣告が出まして、これだけやっぱり被害者といいますか、これにかかわる消費者の苦情などが出ているわけです。だとすれば、そこでわかった時点からでも何らか指導をされるとか、あるいは今後また注意を喚起するとか、何らかのやっぱり手を打つべきではないか、あるいは何らかの対応をとられるべきではないだろうか。どうも今後のことは司法の判断やあるいは裁判の経過などに任せるというようなこの間は対応のように見受けられますけれども、それで本当に十分な対応と言えるのかどうか、改めてちょっとその点についてお尋ねをしたいと思います。    〔理事沓掛哲男君退席、委員長着席〕
  188. 今野秀洋

    政府委員(今野秀洋君) このココ山岡の問題でございますけれども、私ども通産省には消費者相談室という窓口がございます。また、政府全体では国民生活センターあるいは各地の消費生活センター、こういった施設がございまして、いろいろ消費者の相談、苦情等を受け付けているわけでございます。  そういう中で、情報の収集分析のいわば窓口でもございますものですから、そういう中から法令違反に該当するものが出てくれば、それは当然に厳正に対処するというのが私どもの方針でございますけれども、本件に関しましては、その商行為自身が違法だということでは必ずしもございませんでしたので、今までのところ、そういう法律上の措置というふうには該当していないわけでございます。  ただ、この種の例がございましたので、今後、こういった商法について問い合わせがあった場合には、このケースを引き合いに出しながら消費者に対する注意喚起ということは当然にしていけるものというふうに考えております。  また、本件に関しましては、種々被害者の方から御相談もございまして、法律的な問題点も研究したりいたしておりますけれども、基本的にはやはりこの倒産に係る売買契約の処理という問題でございまして、行政庁として個々に介入するというのは非常に難しい、やはりこれは民事の法律的な手続に沿って解決していただくのが本筋ということでございます。
  189. 千葉景子

    千葉景子君 もう実際に被害が出ている状況でございますので、そこから今後のことについては十分にというだけでは、本当に消費者あるいは被害者にとっては大変納得いかないという部分もあるのではないかというふうに思うんです。  そういう中で、ちょっと指摘をさせていただきたいというふうに思うんですけれども、その販売方法などは当初確かに違法ではない、よく最近も出ておりますけれども、これが今後どうなるかわかりませんがオーナー牛の問題とか、いろいろそういう意味では非常にアイデアといえばアイデア、しかし非常にそれに関係する消費者が多数おり、一歩問題が生じた場合には、非常に一般個人消費者がなけなしのお金をはたいて損をするあるいは被害に遭うという手法というのがいろいろ出ているのではないかというふうに思うんです。  確かに消費者の側もやっぱり自立した、しっかりした選択の目を持つということも当然必要になろうかというふうに思うんですけれども、実際には情報の量を考えても、あるいは専門家とアマチュアといいますか、プロとアマ、こういうことを考えても、事前にその商品の是非をなかなか見きわめるというのも難しい、そういう状況もあるのではないかというふうに思います。  そういう意味では、これはこれからますます金融の部分にも出てこようかというふうに思うんですけれども、自由化、規制緩和という中でいろいろなアイデア、決してすべてが悪いという意味ではありませんよ、そういうものが出てきたときにやっぱり消費者が本当に情報をきちっと得て、きちっとそれに対応できるということが必要じゃないかと思いますし、それから通産省としても、でき得る限りその情報をきちっと把握をして、そしてそれに適切に対応していくという機能を、これからは消費者の立場というものもかんがみて強化をすべきではないかというふうに思うんです。  そういう意味で、今後の例えば情報収集の機能、地方に通産局などもございますよね、これは別にそういうためにだけあるわけではございませんけれども、そういう部署もございます。あるいはこれからその業界からの情報を収集するというのも、やっぱり一番近いところにある役所といえば通産省ということになるわけです。そういう面でもっと的確に、いろいろなこういう新しい企業体制、商法、こういうものにも目を向けて情報を消費者にも提供する、そういう努力というのも必要になるのではないかと思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
  190. 今野秀洋

    政府委員(今野秀洋君) 通産省及び通産局合わせましてこの消費者相談室には年間約六千件の問い合わせ、苦情等が来ております。私ども、この仕事は非常に重要な仕事だと考えておりまして、国民生活センターあるいは消費生活センター、こういったところとより連携を密にする、あるいは各種の業界団体が自主規制機関あるいは苦情相談窓口を設けておりますので、そういったところとの連携も深くする、場合によっては企業の消費者窓口、こういったところとの直接の連絡網も敷くというようなことを日々改善に心がけているところでございます。  先生指摘のとおり、この問題は消費者の自主責任、自己責任ではございますけれども、この情報提供、啓発、こういったところは非常に重要な仕事だと思っておるものでございますので、今後とも最大限努力をしてまいりたいと考えております。
  191. 千葉景子

    千葉景子君 もうちょっとお尋ねするんですけれども、今後ぜひ、このココ山岡の問題も決してもう終わっているわけではありませんで、ここから起点にこれからのことを考えていただくと同時に、この事件そのものの解決に向けても努力をしていただきたいというふうに思うんですけれども、そのためにちょっと参考になるかと思うんですが、例えばこの会社の決算、平成四年から八年あたりの決算を調べてみますと、いろいろな問題点が出てまいります。  例えば、相当売り上げが下がったりあるいは資金繰りがうまくいかなくなった、あるいは先ほど言ったように、投資をした不動産の価格が下がって経営が非常に傾いてきている。こういう中ですけれども、役員報酬などは相当な多額で三億八千万円というふうに出ていますけれども、それでずっと一定なんですね、減らそうとしていない。原価率も帳簿上は半減をしている。そして、そのかわり金融機関の差し引き利息は七十七億円、利息はどんどん払っている。それからクレジット手数料は九十二億円、それから負債の返済も三百三十億円、これだけのことをやっておるんですね。こういう経理状況を見ておりますと、本当にここへ来て偶然に倒産をしてしまったんだろうか、こういう疑いすら非常に持たざるを得ない、こういう背景もあるわけです。  そういう意味では、ぜひ通産省でもやっぱりきちっとした指導なりをして、何でも消費者が弱い、救済せいということではありませんけれども、やっぱり適切に消費者の権利が保護されるようなそういう対応をとっていただきたいというふうに思っております。  こういう経理を見ておりますと、一つ私は疑問になるのは、企業の監査の体制についてちょっと疑問がございます。法務省の方に来ていただいているんですけれども、やっぱり消費者あるいは債権者保護という意味で、企業の監査体制というのは会社の場合、どのようになっておるでしょうか。
  192. 菊池洋一

    説明員(菊池洋一君) お答え申し上げます。  株式会社につきましては監査役を置かなければならないということになっております。監査役の権限と申しますか任務は、会社の規模によって若干異なっておりますけれども、基本的には取締役の職務執行を監査するということでございます。  ただいま御指摘がありました経理といいますか会計処理につきましても、法令あるいは定款に従って正しく行われているかどうかということを監査するということも監査役の権限の一つでございます。監査役は、監査をいたしますと、その結果を監査報告書という書面に取りまとめて取締役に提出するとともに、株主にも株式総会の招集通知に添付をして送付をするということになっております。  なお、資本の額が五億円以上あるいは貸借対照表上の負債の額が二百億円以上の規模の大きな会社につきましては、今申し上げました監査役による監査のほかに、会計監査人という外部の会計専門家による会計監査も受けなければならないということになっております。
  193. 千葉景子

    千葉景子君 多分、ココ山岡などのような場合にも、負債総額から考えると会計監査人がつかなければいけない、そういう状況にあったというふうに思われます。  そこがどうなっていたかというのは今後の問題でございますけれども、会計監査人の責任といいましょうか、例えば問題を見逃していたとか、あるいはこういうことがあってはならないわけですけれども、例えば粉飾決算に加担をしていたとか、そういうようなことがもしあったらこれはとんだ責任になるわけですね。
  194. 菊池洋一

    説明員(菊池洋一君) 御指摘のとおりでございまして、まず監査役でございますけれども、監査役がその任務を怠って会社に損害を与えた場合には、会社に対しまして損害賠償の責任を負うということになっております。  また、監査役は監査報告書を作成いたしますが、その監査報告書に記載すべき重要な事項につきまして虚偽の記載をいたしましたときには、会社以外の第三者、例えば債権者といった第三者に対しても損害賠償の責任を負うということになっております。  また、御指摘の会計監査人、これはすべての株式会社ではなくて一定の規模の大きい株式会社についてだけでございますけれども、会計監査人に任務違背があったといったような場合につきましても、監査役と同様の損害賠償の責任を負うことになっております。
  195. 千葉景子

    千葉景子君 そういう意味では、会計上厳しいそういう監査体制というのも法的には認められている、制度化されているわけですけれども、やっぱりそれを一回一回消費者があるいは購入する者がここの会社のぐあいはどうかなといって調べて購入するということにはなかなかならないわけです。  そういう意味では、やっぱりこういうところはむしろ監査人の制度がきちっとしていると同時に、それから問題がありそうだということを早くいろいろな観点から、行政のみならず察知できるようなそういうことが必要ではないかというふうに思っております。  これに関連するといいましょうか、一つこういう課題が今言われております。  それはレンダーズライアビリティーという概念なんですけれども、これはそのまま訳せば融資者の責任ということになります。これは金融関係にかかわる問題ですけれども、金融を営む専門家としてはどんな責任を負うべきか、こういう考え方、概念だと言われております。これはアメリカの方から入ってまいりましたからなかなかなじみがないわけですけれども、日本の場合にはこれ自体を取りまとめた法律というのはありません。  しかし、例えば民事上あるいは商法上、判例上、いろいろな形で金融業あるいは金融関係にかかわる者の責任というものがだんだん積み重ねられてきているというふうに考えてもいいのじゃないかというふうに思います。例えば説明義務、どこまでリスクやあるいは会社の状況などを説明すべきか、こういう問題、あるいは融資拒絶行為とかあるいは今度は逆に過大な融資をするとか、いろいろなものを判例上積み重ねてまいりまして、例えば原野商法などのときにもこういう法理が適用されたりしております。  割賦販売法の三十条の四で抗弁の接続という、ちょっと済みません、こんな問題になりましたけれども、これもローンを組んで支払いを続けているそのときに商品を買った店が倒産をしちゃったとか、買った商品に傷があったとか、問題があった、瑕疵があったときにはローンの支払いを拒むことができる、こういうような問題などいろいろな判例上も積み重ねられてきております。  こういうのを見ますと、これから規制緩和ということが進んでいくに従って、やっぱりいろいろな金融商品も出てこようかというふうに思います。それから、先ほど言ったように商品の売買の方法も、アイデアがいろいろなものが出てくるんじゃないかというふうに思うわけです。  ただ、そのときに何を私たちは考えなければいけないかというと、確かにこれからはそれぞれが自立をして、そして消費者も自分の目できちっと見て選択をする、あるいは融資をするにしてもやっぱりリスクも考え、そして自分の責任を負いながら投資もする、こういう社会だとは思います。  しかし、最初に申し上げましたように、圧倒的に専門家、プロとアマチュア、あるいは情報がどれだけ正確なものを持ち合わせているかどうか、こういう環境なしには本当に開かれた市場あるいは取引というものは成り立たないんじゃないかというふうに思うんです。  そういう意味で、今後規制の緩和などを含めて、大蔵省にも来ていただいておりますので、今後の規制緩和と消費者あるいは一般の投資家、こういうものとの関係というものについてどうお考えでしょうか。
  196. 五味廣文

    説明員(五味廣文君) 御承知のように、現在総理の御指示に基づきまして金融システム改革を進めております。二〇〇一年までにヨーロッパのロンドンあるいはニューヨーク並みの市場を目指すということでございまして、その基本的な原則といたしましてフリー、フェア、グローバル、こういう三原則を掲げております。  御指摘のありましたように、まず自由で競争が公正に行われているという状況をつくることで消費者の皆さんの最も有利な資産運用ができるようにする。その裏腹といたしまして、やはりフェア、常に透明で信頼できる市場でなければいけない。そのために必要なのはやはりディスクロージャーであるということで、自己責任の確立のための十分な情報提供ということのルール化が必要である、こういう基本線でやってきております。  大蔵省といたしましては、二〇〇一年までの間、できるだけ早い時期に市場規律が十分発揮できるような透明性の高い金融システムをつくるということで自己責任原則の徹底ということを基本に置いておりますので、この際、消費者と金融機関との間ではディスクロージャーというのが非常に重要度を増してくると思います。  この点につきまして、金融機関に対しましても自主的なディスクロージャーについて鋭意これを進めるようにお願いをしておりますが、金融制度調査会で結論と申しますか、提言をされました期限よりも大分前倒しで各銀行とも例えば不良債権の開示などを行ってきております。また、ちょっときょう持ってまいりましたけれども、ディスクロージャー誌というものを一般に出しておりまして、その中に商品の解説もきちっと入れている、あるいは経営の健全性を示す自己資本比率というものもきちっと入れてきております。  こういったことをさらに推し進める必要があると存じますし、また法令事項ではございませんけれども、指導という形で顧客に対します商品の説明を十分にしていただく、これも指導しておりまして、例えば最近、デリバティブ取引というような非常にハイリスク・ハイリターンというものも銀行で扱えるようになってきております。こういったようなものにつきましては、従来の預金のような元本保証のある安全なものとは性格が違いますので、こうした点につきまして、その内容あるいは負うかもしれないリスク、こういった点についてわかりやすく説明をすること、それから、特に相手に応じて、顧客の知識でございますとか経験でございますとか、そういうことに応じた説明をきちんとしていただくようにということで指導をいたしてきております。  やはり証券取引の場合と違いまして、銀行は預ければ安全という前提でお客さんが見えますので、そういった点も誤解のないようにきちっとした説明をしていただくようにというお願いをしておりまして、これからもこういった点は十分徹底をしていくようにお願いをしてまいりたいと思っております。
  197. 千葉景子

    千葉景子君 時間でございますが、最後に大臣にお尋ねをさせていただきたいと思います。  きょうはココ山岡という問題からちょっとほかの全体的な問題にも言及をさせていただいたわけですけれども、今個々の商取引も必ず金融と絡んでいる、そして、いざというときには購買をした購入者が金融の問題とも絡んで非常に複雑なそういう立場に置かれる、こういうことになってまいります。  そういう意味では、大蔵省で金融問題に対してもきちっとしたルールを確立していただくと同時に、やっぱり通産省などでも企業に対して消費者にきちっと対応する、あるいはいろいろな情報をオープンにしていく、説明をする、そういうような体制をとるべくそういう問題についても十分に対応をしていただきたいというふうに思っておりますけれども、そんな今後の方向などについて大臣の御所見をお伺いして終わりたいと思います。
  198. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 千葉委員からの御質問でございますが、初めのココ山岡の件、これ一応ちょっと所感を申し上げますと、先ほど事務方から答弁がございましたが、これは確かに私の方の所管といえば所管になります。ただ、事前にやはり相談も受けないのにこちらからそれにタッチするということは、これはいろいろな問題を逆に大きくしたりするということでございました。  私自身がこの報道を新聞紙上で見まして、率直に言うと、私自身、ダイヤモンドを買う対象の女性もおりませんので、人ごとだと思ったわけでございますが、言われるとなるほどそうだなという気がいたします。ただ率直に言って、その対象となる、主に女性だと思いますが、まず消費者の方にももう少し利口になっていただきたい、こんな実は率直な感じがいたしました。  そこで、一般論でございますが、これからやはり今までと違って取引体系というものが随分変化してまいりました。昔みたいに対人取引というかこういう商売から無店舗になり、いわゆる訪問販売から通信販売、テレビ、さらには今電子商取引、こういう時代に突入しようかというわけですから、その場合に、今までのことではなく、やはりそういうこともあって規制緩和を片一方で言いますが、規制緩和というものは経済的規制緩和、これは徹底して自由にしようということでございますが、逆にそれに生ずる社会的規制というもの、これはやっぱり強化しなければいけない面もあるのではないだろうかというふうに思います。  ところが、今非常に困りますのは、そうした商業的な問題と社会的な問題、これと経済との切れ目というか境目がはっきりしていない。まさにこれこそボーダーレスになってきたということでございます。  そういうことで、何といっても先ほどちょっと申しましたように自己責任ということの点がございますが、同時に我々行政の立場としては、情報の伝達というものをする、いわゆるディスクロージャーというものを徹底していかないとこういう問題は解決していかないのではないだろうか、こう思います。  ちなみに、今の訪問販売法、これは消費者保護ということでもって過去改正をいたしましたが、それとやはり時代の動きというものがマッチしない面も出てきていると思いますので、きょうの千葉委員の御指摘、こういうことを拳々服膺しながら新しい時代に向かっていこうと思います。  ただ、もう一つ申しますと、これはもう一つお願いしたいのは、当省だけではなく、消費者の方の動向を一番注目しなければいけないのは経企庁であるということを申し上げておきます。
  199. 千葉景子

    千葉景子君 ありがとうございました。
  200. 山下芳生

    ○山下芳生君 まず、消費税問題について伺います。  私は、先日の予算委員会で税率五%への引き上げは景気回復の足取りが重い中小企業にとってさらに足かせを課すことになるということを指摘し、転嫁の問題を取り上げました。中小企業にとって、消費税は転嫁が命です。転嫁できなかったら自分でかぶらなければならない、自腹を切らなければならない、損税になるということになります。  三%の現在の状況中小企業の消費税の転嫁状況について、通産省はどのように把握をされているでしょうか。
  201. 田島秀雄

    政府委員(田島秀雄君) 通産省で実施をいたしました転嫁状況調査でございますが、基本的には企業全体をとらえてございますけれども、平成三年度、四年度の調査では、中小企業ということではございませんけれども、売上高規模別の数字もあわせてとっておるというようなことでございます。  これによりますと、例えば消費税導入直後、製造業、卸売業では九九%を超えていた状況、小売業では例えば七八%、八割弱といったようなことでございます。製造業、卸売業は平成三年度、四年度ではおおむね定着をしてきたというようなこともございまして調査をいたしておりませんが、一部の業種、小売業でございますが、調査をいたしておりまして、七九・七、これは八割弱というような状況になってございます。
  202. 山下芳生

    ○山下芳生君 売上額の規模の資料というのは今わからないんですか。
  203. 田島秀雄

    政府委員(田島秀雄君) 失礼しました。規模別に申し上げますと、平成四年七月時点の調査結果によりますと、例えば免税点以下、売上高三千万円以下でございますが、免税点以下の事業者を除いて売上高が三千万円から四億円以下の小売業者ということで見ますると、小売業では八五・四%という事業者がおおむね転嫁しているという結果になってございます。
  204. 山下芳生

    ○山下芳生君 もう少し詳しくまた資料を見せていただきたいと思うんですが、やはり規模によってかなり転嫁のぐあいが違うというふうに思うんです。  それが五%になったらどうなるのかということについて、予算委員会でも紹介したんですが、国民金融公庫の全国企業動向調査がデータを出しております。消費税率引き上げ分を転嫁できるかについて見ると、「消費税率引き上げ分をすべて顧客(取引先)に転嫁できる」とする企業割合は三割程度にとどまっている。「一部のみ転嫁できる」と「全く転嫁できない」とする企業割合は合計で四割を超えており、転嫁が困難とする企業が多いことを示しているということであります。ですから、この四割もの、小企業ですけれども、の方々が、これは税率が上がることによって、これまでも転嫁できなかったら損税としてかぶっているわけですが、新たに損税を覚悟しているということだと思うんですね。これは私が中小企業家の皆さんから聞いた声と大体実感としては一致するんですね。  製造業方々に今状況を聞きますと、午前中の討論でもありましたように、今は非常に製造業空洞化のもとで仕事の量自身がダウンしている、そういう中で消費税をやはり転嫁しにくい状況があると。あるいは消費税を転嫁してもそれ以上に単価をたたかれるということも耳にいたします。それから、小売業について見ますと、やはり転嫁はしたいんだけれども、転嫁をしたことで価格が上がってお客さんが減っちゃうと売り上げが落ちるから、これは非常に悩ましいと。あるいは免税業者の皆さんは、今までも三%はもらえなかった、消費税取らないんだろうと思われているから、それで来ているんで、今度五%になったからといってやっぱりもらいにくいという状況を聞いております。まさに新たな足かせに中小企業にとってはなるんじゃないかという私は心配をしているわけです。  ですから、私たちはもう増税すべきでない、中止すべきだ、廃止すべきだという立場ですが、これはまあ立場が違うのはわかるんで、少なくとも増税による中小企業が転嫁できなくなる、さらに損税がふえるというこの懸念を解消するために中小企業庁としてどういう対策をとろうとしているのか、お伺いしたいと思います。
  205. 田島秀雄

    政府委員(田島秀雄君) お答え申し上げます。  先ほど御紹介申し上げましたとおり、製造業や卸売業ではおおむね転嫁をしておるという状況でございますけれども、小売業者等のうちの売り上げ規模の小さい事業者においては相対的に転嫁を行っている比率は少ないという状況でございます。そういったことを踏まえまして、私どもといたしましては、パンフレットの作成、講習会の実施など中小企業団体の御協力をいただきまして、転嫁対策の実施、適正な消費税転嫁のためのいろんな対応をいたしてきているところでございます。さらに、今回の消費税の引き上げに際しましては、従来と同じような転嫁の状況調査に加えて、特に中小企業者に対しまして転嫁状況実態を把握するべくアンケート調査を行うとともに、ヒアリング調査もあわせてより詳細な実態の把握に努めてまいる所存でございます。  ちなみに、今回行う調査では下請企業等々御指摘ありましたところも含めて対応いたしたい、こういうふうに存じております。
  206. 山下芳生

    ○山下芳生君 ぜひその調査は厳密にしていただきたい。単に転嫁できているかどうかだけじゃなくて、価格がきちっと見合う形になっているか、これも調査しなければ実態を正確に把握されたとは言えないと思います。よろしくお願いしたいと思います。  次に、中小小売商業対策について伺いたいと思います。  中小小売商業や商店街の役割について、昨年の決算委員会で私、大臣に質問いたしました。非常に大事なポイントを押さえた御答弁がありました。改めて振り返ってみますと非常にいいことをお言いになっているんですね。商店街、中小小売業については地域の密着性というものを生かすべきだ、それで消費者ニーズに対応したきめ細かいサービスを提供する役割がある、地域文化の保存、伝承というものを通じた町づくりの担い手としての役割もある、あるいは自動車を利用しない高齢者や身体障害者の人たちにとっては貴重な購買の機会を与えている、と。さらに全国で百五十万店、六百万人の従業員の生活の場、雇用の担い手としての役割も提供していると。非常によくまとめられたなと思うんですが、これはしかし大体白書に書いていることでもございますので、ぜひ大臣の実感を込めた中小企業の役割をまたきょうはお聞きしたいなと思うんです。  私もいろいろ地元含めて回るんですが、決算委員会では京都西新道商店街というものを御紹介させていただきました。単に物を売るだけではなくて、地域の高齢化に対応するためにファクスネットや空き店舗を利用してホームヘルパーのステーションをつくる、そんなことをやられている。非常にこれからの社会に対して、商店街が果たすべき可能性を具体的に示しているということで感銘をいたしたわけです。あるいは大臣がそのときに答弁いただいたきめ細かいサービスという点でも私、やっぱり中小小売業ならではのサービスというのはいろんなところであるなと思うんです。  私の住んでいるすぐ近くなんですけれども、ある小売の酒屋さんがありました。ここでワインを注文いたしますと、必ずワイン一本一本のコメントをつけていただいているんですね。非常にそれがいきでして、例えば「白いラベルの小さいワインは、いわゆる貴腐ワイン、味はハチミツのように甘い極甘口、飲むというようなめる感じで」、「香りが豊かなのでグラス一〜二ハイで翌日でも香りの余韻がおなかの中から立ちのぼってくる」と、こういうコメントを一本一本につけてくださるわけですね。こういうのをつけていただきますと、その小売店がそばにあって自分の食生活生活が豊かになるなというのを本当に実感いたします。  そういう本当にきめ細かいサービスを担ってきた中小小売業について、ぜひきょうは大臣御自身の実感を込めて、もう一度役割について御答弁いただきたいと思います。
  207. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今おっしゃるように商店街というか、そこに働くのが俗に言う中小小売商業者と、こうなるわけですが、私は商店街というものは、その地域地域の顔だったと思うんです。ただ、それは歴史的に見て、江戸時代御存じのように宿場というのが栄えてまいりましたね、そこだけ栄えてきて、いろんな今で言う中小商業者が集まってきたと。それが明治維新後でもって鉄道が敷かれてきたということで、これは全国どこへ行っても、市でも町でも村でも駅のあるところがやはりその地域の最も中心だということで、それを中心に町が形成されてきた。それが戦後、非常に急速なモータリゼーションということで変わってきたと。これははっきり言って地域差があると思うんですよ。  そこで、昔のそういう伝統だとかなんかを残していまだに商店街形成しているところ、ところが一つの理由はやはり戦争中に空襲というものもございました。そこで終戦を迎えたという、そしてモータリゼーションということで町を変えたとかいうことなんで、先ほど申しましたが密着度というのも場所場所によって若干違うんではないだろうかと。そこがこれからのこの問題の一番の問題点だと私は指摘したいんです。  今、実感と言われて、実は事前に通告を受けたときにやはり私自身の地元実態、場所を言ってもらいたいというような御要望もあったかと思いますが、それもまちまちなんですね。特に山口県の場合には、いわゆる歴史の町と言われるその代表的な萩市なんというのは、やはり歴史と文化、伝統、そういうもので変わってきて、何しろ困るのが、御存じのように山口県の場合は人口が減っているということで、人口の移動があるということで、特にその象徴的な歴史と文化の町の萩というのが一番この減り込みが激しいわけなんですね。そういうことからいきますと、そういうことでもって、そこで地域振興ということでは萩市にある郷土の芸能発表会だとか伝統工芸、こういうことのイベントをやったりして、いろいろ今までの町の伝統、これを継承しようとしているわけです。  それから、私の選挙区に柳井市というところがございますが、そこのところはやはり昔のような町並みが残っていたんですが、どうもその地域発展ができなくなって、そして歴史と文化というので白壁が有名ですが、そこは一応残っていますが、やはり今後一体どういうふうにこの町が発展でき、商店街がなるのかな、こういうふうな実は問題を持っております。  そういうことで、お答えにならないかもわかりませんが、これからやはり商店街の役割というのは、従来どおりでいいかというとそうでもない、時代の流れがあるということも認識していって、要するに地域地域に合うようないわゆる細かい施策というものを講じなきゃいけないだろう、かように考えております。
  208. 山下芳生

    ○山下芳生君 いずれにしても大事な役割をこれからも担い得るのが商店街だと思います。  その商店街が魅力ある、消費者にとっても魅力ある活性化ということについて、私いろいろ聞きますと、やはり商店街振興組合の事務局の体制が非常にかぎになっているんじゃないかということを実感いたします。京都の西新道も、理事長さんも非常に力をお持ちの方なんですが、やはりそれを支える事務局の方が、商売されている皆さんかち出されるアイデアを例えば国や自治体の施策を利用して実際にどう実現するのかということを、非常にそういう能力を発揮されているんです。ですから、そういう政策を実際に遂行する能力を持った事務局がいる商店街というのは非常に活気を急速に取り戻していっているというのが共通しているんじゃないかと。先日、全国の商店街振興組合連合会の方々と懇談したときにも、それはやりあちらの方からおのずと出てきた問題提起でした。  そういう点で見ますと、今の政府の商店街支援策の中に、この事務局に対する支援というのが少し弱いんじゃないかという気がいたしております。人件費が全く出ていないということもあるんですが、それだけではなくて、そういう事務局の機能を強化する上でのさまざまな支援策をもっと厚くする必要があるんじゃないかというふうに思っておりますが、この点いかがでしょう。
  209. 篠原徹

    政府委員(篠原徹君) 商店街の活性化は、御指摘のとおり商店街自身が主体的に考えまして、またみずから実行することにより初めて大きな効果が上がるものというふうに思っております。他方、御指摘のとおり、商店街の多くは事務局体制も不十分でございまして、多くの場合、手弁当の有志がその活動を支えているというのが現状でございます。  かかる状況にかんがみまして、当省といたしましても、商工会、商工会議所あるいは中央会の経営指導員によりますきめ細かな経営指導、また中小企業事業団からシニアアドバイザーと称しておりますけれども、専門家を派遣いたしまして指導いたしております。また、商工会、商工会議所で登録しております専門家を要請に応じまして派遣、指導いたしております。さらに、各都道府県に設置されております中小商業活性化基金を活用いたしました商店街活性化のための計画づくりへの助成を商店街振興組合に行っているところでございます。  こうした施策を通じまして、商店街の企画立案機能の強化、充実を図っておりますとともに、具体的な商店街活性化のためのソフト、ハード両面の取り組みに対しましては、補助金あるいは高度化無利子融資等の各般の助成措置を講じているところでございます。  今後とも商店街活性化対策を強力に推進いたしまして、中小小売商業の支援に遺漏なきを期してまいる考えでございます。
  210. 山下芳生

    ○山下芳生君 ぜひ実態をよくつかんでいただいて、要望は強いので、新たな施策も含めて推進していただきたいと思います。  もう一つ、そういうソフトの面とやはりハードの面、これは従前から支援をやられておりますけれども、なかなかこのハードの面での支援が十分効果を発揮し得てないというふうに感じています。  私の地元であります大阪府を例に見てみますと、大阪府は国の援助も得て、商業基盤施設整備事業を実施しております。一九九三年度から九五年度までの三年間で七十七件、五十七億七千七百万円の補助金の実績があります。これは御承知のとおり国が二分の一補助をするということになっておりますので、約二十八億八千九百万円、国の補助金が支出されているということになっております。  一方、その前後になりますが、九二年から九六年までの間に大阪府全体で大店法三条の届け出のあった大型店の数を見てみますと、第一種が五十五件、第二種が二百十五件となっているわけです。これを先ほどの商業基盤施設整備事業を実施した七十七件の商店街のある行政区にどのぐらい出店されているか、計画されているかということを重ねてみますと、結局、商業基盤施設整備事業を実施した商店街のほとんど全部が大型店の新たな進出計画と重なるんです。厳密に数えてみますと、重ならなかったのは二行政区、三件だけで、あとは全部重なっている。通産省はこういう調査はされていないというふうに伺ったので、大阪府でいろいろ調べてみて、商圏と行政区が違うという面もあるんですけれども、大体の傾向としてはこういうことがあるというふうに言えると思うんですね。  ですから、一方でアーケードとかカラー舗装の基盤整備をやったところが、そのすぐ近くに大型店が後から出てきて、せっかくの効果が低減してしまうということが、これは全国で起こっているのではないかというふうに思うわけですが、そういう点から見ても、中小小売業、商店街に対する支援を、予算の措置をより効果的に発揮する上でも、私は大型店のルールを無視したような商店街を取り囲むような出店攻勢というのも随分見られますので、これはやはりきちっとしていかなければ効果が薄れてしまうというふうに思うわけです。これ以上の大型店、大店法の規制緩和はやめるべきだという中小企業団体の要求には利がある。予算の効果的執行という点でも私は利があるというふうに思いますが、これは大臣に、先ほどの御答弁もありましたので、引き続きこの問題では議論をしていきたいというふうに思っております。  最後に、公正取引委員会に聞きたいというふうに思います。  先日、西松建設の相談役である平島栄氏から大阪の建設業界の談合について申告があったと報道されておりますが、この件について公取では具体的な調査をされているでしょうか。
  211. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) 御質問でございますけれども、私の方から何とも申し上げられないわけであります。  ただ、一般論としていつも申し上げておりますけれども、私も、雑誌も新聞も読んでおりますので、よく内容は存じております。一般的に、私どもといたしましても、独占禁止法違反の事案がありますかどうかということについて常に情報を収集しております。情報を収集して、それが要するに事案の解明の端緒となり得るものであるかどうかを検証しまして、それからは通常の法則にのっとりまして行政処分なり告発なりいたしているところでございます。もしそういうような情報がありますれば、そのような流れに従って当然対処するものでございますので、そのように御理解いただければ結構でございます。
  212. 山下芳生

    ○山下芳生君 平島氏の申告というのは、御承知のとおりに詳細な資料に裏づけられたものであります。申告は取り下げられましたけれども、事実まで消えてしまうということはないと思うんです。今情報収集はされているということでしたので、独禁法四十五条四項にも、「公正取引委員会は、この法律の規定に違反する事実又は独占的状態に該当する事実があると思料するときは、職権をもって適当な措置をとることができる。」という規定もございますので、これは単に関西のゼネコン談合組織があった、あるであろうということだけにとどまらない。談合が成立するということは、発注元から予定価格等がやはり漏れているということにもなっていくわけで、行政に対する国民の不信の目というのもほっておいたら広がるというふうに思います。ぜひ厳正な活動を要求して質問を終わりたいと思います。
  213. 木宮和彦

    委員長木宮和彦君) 以上をもちまして、平成九年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち公正取引委員会及び経済企画庁通商産業省所管中小企業金融公庫並びに中小企業信用保険公庫についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  214. 木宮和彦

    委員長木宮和彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  215. 木宮和彦

    委員長木宮和彦君) 次に、委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。  三井三池炭鉱閉山に伴う地域振興対策等の実情に関する調査のため、福岡県及び熊本県に委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  216. 木宮和彦

    委員長木宮和彦君) 御異議ないと認めます。  つきましては、派遣期間及び派遣委員等の決定は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  217. 木宮和彦

    委員長木宮和彦君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十一分散会