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1997-03-19 第140回国会 参議院 商工委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年三月十九日(水曜日)    午前九時三十分開会     ―――――――――――――    委員の異動  三月十七日     辞任         補欠選任      梶原 敬義君     青木 薪次君  三月十八日     辞任         補欠選任      青木 薪次君     梶原 敬義君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         木宮 和彦君     理 事                 沓掛 哲男君                 吉村剛太郎君                 片上 公人君                 前川 忠夫君     委 員                 大木  浩君                 倉田 寛之君                 斎藤 文夫君                 中曽根弘文君                 林  芳正君                 平田 耕一君                 加藤 修一君                 平田 健二君                 梶原 敬義君                 竹村 泰子君                 藁科 滿治君                 山下 芳生君    国務大臣        通商産業大臣   佐藤 信二君    政府委員        通商産業大臣官        房長       広瀬 勝貞君        通商産業省機械        情報産業局長   中川 勝弘君        工業技術院長   佐藤 壮郎君        工業技術院標準        部長       田中 正躬君    事務局側        常任委員会専門        員        里田 武臣君    説明員        科学技術庁科学        技術振興局科学        技術情報課長   和田 智明君        厚生省生活衛生        局水道環境部水        道整備課長    浜田 康敬君        建設省住宅局建        築指導課長    浅野  宏君        消防庁予防課長  東尾  正君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○工業標準化法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 木宮和彦

    委員長木宮和彦君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  工業標準化法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 林芳正

    林芳正君 自由民主党の林でございます。時間も限られておりますので、簡潔に質疑を行ってま  いりたいと思います。  今回の改正案は、国際的な規格ハーモナイゼーションということで大変にいい方向に進んでおる第一歩として非常に評価をしておるところでございますけれども、細かいところで、また今後の方向性についてもいろいろとお尋ねをしてまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。  まず、JIS規格というものは、この二条に鉱工業品についての規格であるというふうな定義があるわけでございますが、この定義がなされたのも随分昔のことでありまして、時代の変遷に伴ってこの定義というのも変わっていかなければならないだろう、こういうふうに思っております。  例えば、コンピューターソフトウェアですとか著作物、またこれは製品規格というよりも試験方法ですとか取引形態規格、こういうことになるのでしょうけれども、昨今言われております電子商取引等規格等が新しく経済社会の実態として出てきておるわけでございまして、このようなものについて、この二条との関連でどうなっていくのかということをまずお尋ねいたしたい、こういうふうに思います。
  4. 田中正躬

    政府委員田中正躬君) お尋ね定義の問題でございますけれども、まず鉱工業品ということでございますが、かねへんの鉱業品といわゆる製造業でつくる工業品があるわけですけれども、かねへんの鉱業品とは、採集しました鉱物あるいはそれに品質向上処理を施したようなものを鉱業品と通常言っております。また、工業品というのは、原料を加工いたしまして生産された物品全般を指すというふうに考えております。  そこで、工業標準化法において、先生指摘の二条での定義の問題でございますけれども、先ほど申し上げましたこれらの鉱工業品のうちから、医薬品、農薬、化学肥料、蚕糸及び農林物資規格化及び品質表示適正化に関する法律による農林物資は除かれるということになっております。  また、先生お尋ね著作物でございますけれども、これは通常、思想または感情を創作的に表現する文芸とか学術等を指すわけでございまして、JIS規格対象外になっているということでございます。  したがいまして、先ほど挙げられました御指摘の例についてお答えいたしますと、著作物対象にならないということでございますけれども、鉱工業品そのものでありますコンピューターとか電気通信機器、こういったものは対象になる。さらに、そういった情報電子機器使用方法でありますソフトウエアも、これは対象になる。それで、電子取引でございますけれども、この電子取引をやるためには幾つかの基本的な技術が必要でございまして、そういう中でセキュリティーに関する各種技術とかICカード、そういったものはJIS規格対象になり得るというふうに考えております。
  5. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございます。  この規格定義というところですから基本的なところになるわけでございますけれども、今御答弁の中にありましたように、JAS規格ですとか、ほかのところにあるものは定義外であるということで了解をいたしておるわけでございます。特に医薬品につきましては、これは厚生省の管轄ということでありましょうけれども、昨年来行われておりますトランスアトランティック・ビジネス・ダイアローグ、要するに大西洋間EUアメリカの間でビジネスマンがリーダーシップをとつて、もちろん政府代表も入っておるわけですが、相互認証を進めていこうという中では、医薬品もその範疇に入れてやっておるわけでございまして、医薬品ということも将来的なバイオ産業ということで、産業政策としてとらえた場合は大変に大事なものになってくると私は思っております。振り返りまして、我が国製薬業界新規の薬をつくっていく製品開発力というのは、一般的に非常に国際的競争力がないんではないか、こういうふうに言われておりまして、そういう観点からも、将来的には国際的なハーモナイゼーションの中で視野に入れてできるかどうかをぜひ御検討いただければなと、こういうふうに御要望いたしておきたい、こういうふうに思っております。  それから次にまいりますけれども、規格を見直すという予定であるというふうに聞いておるわけでございます。かなり抜本的な見直しが行われるということでありますけれども、先ほど定義のところで触れましたように、特にソフトウェア電子決済等分野で新たに入っていかなければならないところが出てくる、こういうふうに思われるわけでございまして、今後のそういう新規分野を含めました規格をつくっていく基本的な方針というところについてお伺いをいたしたいと思います。
  6. 田中正躬

    政府委員田中正躬君) 先生お尋ねソフトウエアとか電子決済分野でございますけれども、先ほど御説明しましたように、こういう分野につきましては所定の必要なJIS規格を既に決めておるわけでございまして、今後重要になってきます。そういう情報分野について、工業標準化法の体系の中で必要なことは重点的にやっておるわけでございます。  御指摘JIS規格全般見直しの考え方でございますけれども、技術進歩によりまして規格必要性が非常に薄れたものでありますとか、限られた関係者間で取引されるような規格というのは今後廃止をするべきではないか。一方、そういう情報関係分野も含めまして、生産者とか流通業者とか消費者等、非常に幅広い関係者の調和が求められる分野でありますとか、消費者保護とか環境といった社会的ニーズヘ対応を求められる分野につきましては、今後重点的にJIS制定していく必要があると考えております。こういう規格というのは、非常に幅広い関係者が利用する技術的な基礎的なインフラストラクチャーでございまして、ますます積極的に制定をしていく必要があると考えております。  先生御懸念の、工業標準化法で読めないソフトウェア、その他先ほどの医薬関係の一部の問題でございますけれども、これは標準の問題というのはできるだけ統一的に共通ルールをつくるということが必要でございまして、そういうことから、工業標準化以外の分野でつくる規格との整合性を確保するということは非常に重要なことでございまして、こういう点に関しましては関係省庁とも連携を図りまして、それを使う事業者にとって利用しやすいようにやっていくというふうに考えている所存でございます。
  7. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございました。  今おっしゃっていただいたことと関連をするわけでありますけれども、いろんな他省庁との関連というのもこれありでございますし、また先ほどちょっと触れました大西洋トランスアトランティックでやっている国際的な規格への統合ということもこれありでございまして、もう少し具体的に先ほどのちょっと取り上げました電子決済というお話をさせていただきたいんです。  昨今、大変に電子商取引電子決済ということが騒がれておりまして、コンピューター電子世界ではデファクトスタンダード、事実上の標準ということが言われておりまして、今ここで我々がまさに議論しておりますのは、それに対してデジュールといいますか、公的に決めていく、こういうものであるわけでございまして、このデフアクトというものが民間の中から出てまいりまして、これが国際標準になって市場を支配してまいりますと、後から入る人はこれに入っていかないともうどうしようもない、こういうような状況が出てくるわけでございます。これが例えばアメリカですと、財務省なんかを中心にしまして公的な部分後押しをしながら、例えば電子決済で申しますと、財務省関連の例えば税ですとか補助金の支払いというものを積極的に電子商取引電子決済形態をとりながら導入していくような形で後押しをしながら、そのデファクトをその国の業界がとるような体制をバックアップする、こういうような状況があるわけでございまして、大変に国際競争の中でそれが一つの力になっておるのではないかなと私は思っております。  そういう中で、国際規格標準化していくというデジュールの方でもこの標準化法があるわけでございますけれども、公的部門として具体的にこのデファクトスタンダードということを今から日本産業政策としてやっていく場合にどういうような後押しが可能なのか、その辺の方針について御答弁をいただきたいと思います。
  8. 佐藤壮郎

    政府委員佐藤壮郎君) 先生指摘のとおり、経済活動ボーダーレス化が進展しておりまして、国際標準重要性が大きく高まっているわけでございます。そのような中で、我が国として国際標準化活動をいかに展開していくかということは非常に重要な問題というふうに認識しております。こうした中で、国際規格案の積極的な提案に向けまして、技術開発政策標準政策の一体的な推進を図るということが重要であるというふうに考えております。  このようなことから、平成八年度の補正予算におきましては、国際規格提案を目指した技術開発というものに対しまして、予算面での支援措置を盛り込んだところでございます。  それから、昨年十二月の日本工業標準調査会答申におきましても、国際標準化活動の進展に向けまして、第一点といたしまして、産業界の主体的な国際標準化活動への参画、それとそれに必要な支援策の確保、それから第二点目といたしまして、JIS制定国際規格審議一体的推進ということで、JIS基礎とした国際規格提案の強化を図っていく、それから第三点目といたしまして、アジア太平洋地域との国際規格共同提案等によりまして国際標準化活動を強化しようということで、これら三点についての提言がなされているところでございます。  今後とも、この答申提言を踏まえまして、国際標準化活動に積極的に対応していく所存でございます。
  9. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございました。予算もあるようでございますから、ぜひその方向で御努力をいただきたい、こういうふうに思っております。  もう一つだけお聞きしますけれども、今からそういう中で具体的にどういう分野で、今回国際標準化活動ということで日本からも提案をしていくということであるわけでありますけれども、例えばこういうものの標準というものを我が国から提案していくことによってやっていくんだというものがもしあれば、お聞かせを願いたいと思います。
  10. 田中正躬

    政府委員田中正躬君) 先生お尋ね国際規格としてどういうものを今後提案していくかということでございますけれども、過去を振り返ってみますと、日本産業技術レベルが高まっていく中で、例えば一九九五年には工作機械試験方法でありますとか、プラスチック関係の材料の提案を一九九六年にはやっておりますし、さらにファストトラックということで、情報交換用磁気テープ、それからフロッピーディスク、そういったものをファストトラックということでJIS規格になっているものそのもの国際規格にするというようなことをやってきたわけでございます。  先ほど院長申し上げましたように、今後どういう分野をやるかということでございますけれども、これは各種のそういう国際規格をつくるための研究開発制度というのがございまして、その中でマルチメディアの分野でありますとかファインセラミックスとか表面処理鋼板といった、そういう日本産業技術レベルが非常に高くてなおかつ将来世界的に見ても重要な分野について積極的に国際規格提案をしていけたらというふうに考えております。
  11. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございました。ぜひ我が国の将来的な産業政策として御努力を願いたいと思います。  それから、九五年の一月に発効しましたWTOにおきますTBT協定、テクニカル・バリア・オブ・トレードということで、これがまさにこの国際規格の一番の公的なデジュールということになっていくんだと思うんですが、今盛んに言われておりますISOとかIECという規格が、これは衆議院の方でもいろいろと委員会で取り上げられておったようでございますが、新しくできましたWTO体制におけるTBT協定と、国際機関でありますISOIEC関係がどういうふうになっておるのか。  それから、TBT協定で、これは国際的な条約でございますか協定でございますから、ほかの主要国がどう対応していくのか。例えば我が国産業国際競争力を確保するという意味では、早く入った方が、ほかの方が入る前に早く対応した方がいいのか、周りとバランスをとりながら同じようなタイミングでやっていったらいいのか、この辺についてお尋ねをしたいと思います。
  12. 田中正躬

    政府委員田中正躬君) まず第一点目のお尋ねTBT協定ISOIEC関係ということでございますけれども、WTOのもとにおけるTBT協定先生指摘のように一昨年の一月から発効いたしまして、各国このフレームの中で各種の施策を展開しているわけです。  このTBT協定の一番ポイントになる点でございますが、これは基準とか規格、そういったいわゆるスタンダード、それと適合性評価手続、そういったものが貿易上の不必要な障害にならないというような制度的な枠組みを整備する協定でございまして、この協定の中におきまして、規格に関してはできるだけ国際規格を使うというそういうことで、その国際規格ということに関してISOとかIEC国際規格をつくる機関ということで関係が出てくるわけでございます。  また、適合性評価手続の点でございますけれども、これも同じようにISOIECISOガイドIECガイドというものができておりまして、こういう適合性評価手続を決めたものでございますから、そういうものをTBT協定の中で各国が用いる基礎としていこうということで義務づけられているわけでございます。  以上が関係でございますけれども、では日本の国家としての戦略としてどういうタイミングでそういう国際的なルールにコミットをしていくべきかということでございますけれども、今申し上げましたように、基準とかそういう適合性評価の点につきましては、世界貿易の大ルールでございまして、大競争時代世界的に来る中で、こういう仕組みに対しては日本としても積極的にこういうルールを守っていくということが重要でございまして、既に昨年、任意規格につきましても国際ルールとして定められました適正実施基準、そういったものを日本として守るという通報をやっておりますし、規格整合化につきましては平成七年度から三カ年計画で既に整合化作業を進めているということでございますし、今回、適合性評価手続につきましては、まさに御審議していただいていますこの法律改正によりまして国際的な整合化を図れるということでございます。  したがいまして、日本といたしましては貿易ということが非常に重要でございますし、今後の個々の企業ビジネスを考えますと、やはり世界的なマーケットを視野に入れた製品とか商品計画を立てる必要があるわけでございまして、そういう意味で、むしろTBTに定められたISOIEC各種ルール、そういったものは積極的にできるだけ早く我が国としても対応していくべきであるというように考えております。
  13. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございました。  衆議院の方でも取り上げられておったようでございますが、このISOIECということを特に中小企業が受け入れていく場合にいろんなコストがかかってくる、こういうふうに思っておりますので、それについてもいろんな対応がとられておるようでございますけれども、その辺についての御留意をお願いしておきたい、こういうふうに思います。  今申し上げましたTBTWTOというのは、これは全世界の話でございますが、先ほど私がちょっと触れましたトランスアトランティック環大西洋の方でございますけれども、ビジネスマン中心にして大変進んだ相互認証規格未来志向型の政策提言をやっておられるようでございます。このTABD、去年の十一月の初旬だったと思いますが第二回をやっておりまして、欧州コミッションからブリタンさんや、またアメリカよりはカンター、パシェフスキーという政府代表出席の中で行われてシカゴ宣言というのが出ておるようでございますが、これについてちょっと簡潔に、どういう動きが行われているか、御説明願いたいと思います。
  14. 田中正躬

    政府委員田中正躬君) 先生お尋ねトランスアトランティック・ビジネス・ダイアローグでございますが、実は昨年のシカゴでの会合の前に第一回目はスペインのセビリアでおととしの十一月に開かれております。  このビジネスダイアローグの一番ポイントになる点は、EUアメリカが先ほどの基準とか認証関係について共通ルールをつくって大西洋の間の商品取引を自由なものにしていこう、すなわち一カ所でテストをすればそれが大西洋間ではどこにでも通用するワンストップテスティングという、そういうものをつくっていこうというのが非常に大きいねらいでございます。  冒頭に先生から御指摘がありましたように、こういう分野の中でセクターごとにも検討が行われておりまして、医薬品でありますとか医療関係機器でありますとか、電気製品とか通信機器、そういうセクターごと検討もあわせて行っているという、そういうダイアローグでございます。
  15. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございます。  まさにこれはビジネスの方から率先してデファクトデジュールに上げていこう、こういうような動きがあるわけでございまして、申し上げましたようにヨーロッパとアメリカでは既にこういうことは進んでおりますけれども、日本を含めましたアジアということになりますと、これはまだWTOということしかないわけでございまして、ただ、EUアメリカがこういうことをやっておりますと、それがデファクトとしてWTOまたはいろんなところで国際標準になっていくということも十分考えられるわけでございます。  その中で、今御答弁にありましたように、たしか原文では「approved once、and accepted everywhere」、一度承認されたらどこでも通用する、まさにワンストップでございまして、もう国際間でこのような動き大西洋の間では行われておる、こういうふうに私は理解をしておるわけでございます。  一方、翻って我が国に目を移しますと、利用者から見ますと、せっかくJISをとってもほかにもいろんなマークをとらなければならないということが国内の中でもあるわけでございます。日本JISマークをとって、それから例えば先ほどのスペインに行ったらスペイン認証が要るというのはまだわかるんですが、これも大西洋間ではなくなりつつある現状の中で、我が国では、まだ日本の中で幾つもとらなければいけないという現状があるということをよく耳にするわけでございます。  きょうは厚生省建設省消防庁にお見えいただいておりますので、簡潔にお聞きをしたいと思うんですが、まず厚生省お尋ねするのは水道にかかわる規制でございます。給水管や継ぎ手、湯沸かし器といったいわゆる給水装置につきましては、JISマークをとっておってもほかの型式承認検査が行われておるという現状があるようでございまして、去年閣議決定がなされました規制緩和推進計画の中にもきちっと入っておりました。九年度中に行われていくということでございますが、水道協会という特殊法人でありますけれども、そこで行われている承認検査制度について、今の規制緩和推進計画が進んでいくことによりまして、いわゆるワンストップといいますか、一つとれば大丈夫だということがどのように進んでいくのか、お尋ねをしたいと思います。
  16. 浜田康敬

    説明員浜田康敬君) お答えいたします。  先生今御指摘がございましたように、厚生省といたしましては、規制緩和推進計画に基づきまして約一年をかけまして給水装置規制緩和策につきまして作業を進めてまいりました。そのうち型式承認等に係ります部分につきましては、ちょうど本日付になったわけでございますけれども、水道法施行令改正と、それから給水装置構造及び材質基準に関する厚生省令を公布できる運びになったところでございます。これによりまして、給水装置構造材質基準のうち従来極めて概念的な規定ぶりとなっている部分につきましては明確化が図られまして、基準適合性が容易に判断できる具体的な性能基準として定め得たところでございます。  この措置によりまして、今後、先生お話しのように、日本工業規格JIS規格のうち給水装置として用いられている器具などのものにつきましては、水道法に基づきます基準整合性を持って定めていただけるようになるということでございまして、現在通産省の方におきまして関連JIS規格改正作業が進められているというふうに聞いております。そうしたJIS規格に適合していることが明らかな製品につきましては、今後、今回私どもが講じました措置によりまして水道法基準に適合しているものとして広く使用されていくことになる、つまりJIS規格適合品ということが明確なものにつきましては、それ以外の措置は必要なく使用されていくことになるというふうに考えているところでございます。  なお、念のため厚生省といたしましては、こうした製品、つまり水道法基準に明らかに適合している製品ということにつきましては、個別の水道事業者、これは市町村等が事業主体でございますけれども、こういったところで重複した検査が行われることのないように、これも規制緩和推進計画に盛り込まれておりますので、適切に指導をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  17. 林芳正

    林芳正君 かなり踏み込んだ答弁をいただきましたので、ぜひ今のその方向でよろしくお願いをいたしたい、こういうふうに思います。  次に、建設省お尋ねをいたしたいと思うんですが、同じようなもので、建築構造用圧延棒鋼、JISのGの三一三八というそうですが、とか建築構造用炭素鋼鋼管、これはJISのGの三四七五番ということでありますが、こういうJISマークがありながら建設大臣の告示に引用されていないために、これらの材料を使用するときには別途建設大臣の特認というものが必要になっておると。この特認をとるためにいろんなところへ行ってまた検査を受けなければならない、こういうことでありまして、これもいろんな対応が進んでおるというふうに聞いております。  この対応が進んでいく中で、何センチとか何ミリとかそういう仕様、スペックの基準から、こういう性能があればいいという性能基準に今から変わっていく、こういうふうにお聞きをしておるわけでございますが、その基準の内容は変わるわけですけれども、先ほど申し上げましたいわゆるワンストップということがこの基準の内容が変わっていく中でどうなっていくのか、基準をだれが決めてどういうふうな認証手続になって、これが利用者の負担という観点から見た場合にどういうふうになっていくのかということでお尋ねをしたいと思います。
  18. 浅野宏

    説明員(浅野宏君) ただいまの件でございますが、先生指摘のように、現在の建築基準法の中でJIS等の規格を引用して位置づけをするということで使用できるようにしているわけでございますが、JIS規格が位置づけられていない場合は特殊な建材扱いということになりまして、今御指摘にありましたように建設大臣の特認が必要だと、こういう枠組みになっているところでございます。  今現在、建築審議会というところで今後の建築基準体系の抜本見直しということで検討をいただいておりますが、間もなく答申がいただけるというところまで来ておりまして、これを受けますと、今後基準体系を、今御指摘ありましたように、スペックを細かく決めておる仕様書規定からいわゆる性能規定へということに改めていきたいというふうに考えている次第でございます。  まだ、現段階で具体的な内容につきましては明確になっていないわけでございまして、答申を受けまして法改正作業に速やかに着手をしていきたいと考えておりますが、大きな見通しといたしましては、建築物に要求されます性能を満足する場合にはJIS等の国内の規格品のみならず、例えば国外の規格品もその性能に合っていれば広く使用ができるということで、例で挙げられました特認というような行為は必要なくなるのではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  19. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございました。  続きまして、消防庁にお伺いをしたいと思うわけでございます。  カーペット、ここにも敷いてありますけれども、一定のところ以上、例えば高いところとか広い劇場のようなところにカーペットを敷く場合には、防災というか火事に対する予防という意味で燃えにくいものをつくらなければならない、こういうふうなことがある。これは大変に大事な安全性からの規制だと、こういうふうに思いますけれども、JISの中に難燃、燃えにくいというものがあるわけでございますが、お聞きしますと、JISで難燃というのを取っておっても、このカーペットにはJISを取りましたということは書いていないわけですから、これを裁断して張るときに、これが本当に難燃度を含んだJISが取ってあるカーペットであるかどうかわからないということで、別途防炎マークというのをこれは日本防炎協会さんにいただいて張っておかなければならない、消防署の方が来られてそれを検査ができるようにする、こんなようなことになっておるわけでございますけれども、これも表示の仕方だけということであれば何らかの解決方法で、JISを取ればそのJISマークを表示するというようなことを含めて、利用者の負担を軽減していく方向というのはないものだろうか、こう思うわけでございまして、じゃカーペットの模様にどんどん難燃というのを書くわけにもまいりませんでしょうし、なかなか難しいところはあると思うわけでございますけれども、先ほど申しました一度取ればそれで済むという原則からぜひ知恵を出していただきたい、こう思っております。  日本は大変火事が多いといいますか、火事の件数に比べて死傷者の数が多いということも国際比較では聞いておりますから、全く防災、防炎に対する規制が要らないというわけではないのでございますが、規制をきちっとやっていく中でまだ効率化できる部分があるのではないかと私は思っておりまして、そういった観点から、今後どういうふうにこのカーペットにかかわるいろんな基準についておやりになっていくのか。また、いろいろ協議が進んでおるようでございますけれども、まだ期限、いつまでにやるということが中身が非常に難しいものですから、なかなか明示をされておらないということでありますが、その辺についてももしお答えをいただければありがたいと思います。
  20. 東尾正

    説明員(東尾正君) 消防法令に定めます防炎規制につきましては、ただいま先生指摘のような仕組みになっておりまして、特にカーペットのJIS難燃表示の問題につきましては、平成六年二月に閣議決定されました「今後における行政改革の推進方策について」ということの中でも、自治省と通産省においてこの表示を消防法における指定表示にできないか、この協議を行って早急に結論を出すようにという検討が指示されています。  このような状況を踏まえまして、消防庁といたしましては、通産省とカーペットにかかわる防炎性能のあり方について協議を重ねております。その中で、難燃表示に関連いたします試験の基準、さらにただいま先生指摘がございましたが、消防機関利用者にとりましてどのように防炎性能があるかという確認しやすい方法のあり方、さらに裁断の問題がございますので、いわゆる流通段階における取り扱いをどうするかというようなことにつきまして個々に問題を現在抽出して協議をしておりまして、ただいまのところ期限はまだ決まっておりませんけれども、早急に問題点を解決し結論を見出していきたい、このように考えております。
  21. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございます。  時間も参りましたので、最後に大臣にお聞きをしたい、こういうふうに思っておりますが、大臣、大変に御活躍でありまして、電力の問題につきましても大変なリーダーシップを発揮されておられました。我が同じ郷党の新人としては大変にうれしい限りであるわけでございます。  今、いろんな他省庁からのお話を聞いてまいりました。まさにこの標準化法というのは、いろんな省庁との中で通産省がやはりリーダーシップをとっていろんなことをやっていただかなければならない、そしてまさに産業構造改革という橋本内閣の六つの改革の一つの柱の中の大変大事な部分である、こういうふうに私も思っておるわけでございまして、このような他省庁とのいろんな連係プレーによって最終的には利用者、商売をやっておる方の負担を減らしていかなければならない、こういうふうに思っておるわけでございますが、そういう観点から大臣の御決意を最後にお聞かせ願いたいと思います。
  22. 佐藤信二

    ○国務大臣(佐藤信二君) 今、林委員からお褒めをあずかりまして、恐縮でございます。  この法案、今御審議いただいている最中でございますが、今の各省の話を聞いても、大変これが利用者というか国民生活に関係があるものという認識を改めてさせていただきました。  そこで、一番問題なのは、今の御指摘の中にはワンストップ検査、認証、こういうものの促進に努力しろ、こういう一語に尽きるわけだと思いますが、御案内のごとく、このJIS規格は強制法規である約三十の法律、そして延べ五千カ所で引用されておりまして、各種基準整合性や重複検査排除等の利点で効果的であることは言うまでもありません。  そういうことで、今の御指摘のように、今後とも各省庁とよく連絡をして一層この引用、これの促進を図っていきたい、そしてそのことが今問われている国民生活の向上あるいは国際的に見て競争ができる日本産業、こういうものを生み出していく、かように思っておりますので、一生懸命推進してまいりたいと思います。
  23. 林芳正

    林芳正君 大臣の一層のリーダーシップに御期待をして、質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  24. 加藤修一

    ○加藤修一君 平成会の加藤修一でございます。  日本企業は、もともと品質管理について大変得意な分野であったわけで、QCとかあるいはTQC、デミング賞をいただいていたり、そういった意味で非常に得意の分野であったわけですけれども、ISOの9000、これに関しての官民の対応というのは大変おくれているように私は思っております、過去についても。  すなわち、当初日本企業ISO9000については、自主的な品質管理をもともと持っているので、しっかりやっているので関心を示していないということであったわけですけれども、欧州企業等がこのISO9000の取得資格を取引の条件に持ち出した。通産省は四年おくれでJIS規格に取り込んだわけでありますけれども、こういった意味で非常に対応がおくれているなと考えられるわけですけれども、ただ、民間企業の関心がなかったからということで民間への責任の押しつけという形にはならないと思います。第八次工業標準化推進長期計画といった形で長年にわたってやってきているわけでございますので、日本政府標準化の長期的な、そして国際的な戦略の面でややおくれていたというふうに私は考えておりますけれども、そういった面でのおくれた原因といいますか、その辺のことについて見解をお伺いしたいと思います。
  25. 田中正躬

    政府委員田中正躬君) お答えいたします。  先生御関心のISO9000シリーズでございますけれども、これは購入者の要求する品質を満たした製品を継続的かつ安定的に生産することが可能になるような品質管理体制を保証しようということででき上がった国際規格でございます。この規格提案は、一九七九年、約二十年前ですけれども、イギリスが行いまして、技術委員会の176というところで審議を開始したわけですが、約十年間にわたりまして規格の中身について検討いたしました。その過程で、先生指摘のように日本の品質管理に関する知見というのは非常に高いということで、日本の専門家も参加をいたしまして随分積極的な意見を述べたわけでございます。  なぜ日本で実施がおくれたかということでございますけれども、一番大きい点はまさに先生が御指摘された点でございますが、日本自身の今持っている品質管理の制度、それが非常にすぐれているということを日本企業自身が自覚をしておりましたし、ほかの国もそう思っていたというのが非常に大きい原因ではないかと思います。  それから二番目は、一番目の点に関係するわけですけれども、ISOの9000シリーズというのは製品の品質そのものを保証する規格ではなくて、その仕組みがちゃんとしているかどうかというのを保証する規格であるということで、日本企業といいますか、我々日本人というのは割かしそういう品質そのもの、結果を非常に重視する、そういう傾向があったというのが二番目の原因ではないかと考えております。  それから三番目の点は、品質管理のこういう手法自身を規格にするということで、今現在はシステム規格という言葉で呼ばれておりますけれども、今から二十年近く前はそういうシステム規格をいわゆる規格にするということは当時の標準ということに関する考え方としてなかなかなじまなかったという、そういう三つぐらいの点が多くの場合指摘をされております。  それにもかかわらず、一九八七年に国際規格になったわけでございます。それ以降、アメリカを初め多くの国はほとんど関心を払わなかったわけでございますけれども、経済のボーダーレス化が進みまして、海外の個々の取引でいわゆるISOの9000の取得を要求するという、マーケット、市場のそういう要求というのが出てきて徐々にISOの9000シリーズというのは広がったわけでございます。そういうわけで、日本におきましても一九九〇年前後からそういう規格化のニーズが非常に高まりまして、一九九一年にこのISO9000シリーズのJIS化を行うということになったわけでございます。  したがいまして、規格戦略として先生指摘の問題があったということは、今から考えてみますとそういうことであったかもわかりませんけれども、経緯的に見れば、日本の持っているレベルの高さでありますとか、その全体の、アメリカを含めた評価というのが今申し上げたようなことであったということでございます。
  26. 加藤修一

    ○加藤修一君 取引条件にするということに関してですけれども、これについては予兆というかそういったことは把握していなかったわけですか、当時。
  27. 田中正躬

    政府委員田中正躬君) 取引条件にするというのは、大きく分けて、強制法規でこういうものを使うという場合と、それから政府調達というそういうかなり公的な分野での使用の方法と個々の企業取引で使うという二つの場合があるわけですが、前者の公共的な分野で調達に使うとかそれから強制法規で使うというのは、EU一つの統一化の中で、一九八〇年代の後半から一部分分野についてこういうものを使おうということで、CEマーキングの制度というのが一九九〇年ごろからでき始めたわけですが、非常にごく限られた部分で第三者認証ということが必要になりましてこの9000を使い始めたと。それから一方、個々の企業取引に関しては、それを便利と考える企業がヨーロッパの企業中心に利用し始めたという、そういうことでございます。
  28. 加藤修一

    ○加藤修一君 必ずしも今の答弁で納得しているわけじゃございません。  それで、国際規格をつくるためにはISOIEC、合計千ですか、個別分野技術委員会がある。それに幹事国が決められているわけですけれども、日本は四十一、ドイツとかアメリカ、英国、フランスの約三分の一ぐらいである、こういうことを考えていきますと、発言権とかそういうことを考えていきますと非常に少ないような感じがいたしますし、それからISOの14000でも七つの技術委員会が設けられておりますが日本は幹事国になっていないと。もちろん、技術委員会が欧米で開催されたりあるいは会議が英語でやられるという、そういった理由もあると思いますけれども、やはり日本国際標準化のあり方、いわゆる急展開に対する認識が甘いのではないかというふうに考えておりますけれども、今後日本の主張の場をどのように確保していくか、その辺のことについてお考えを教えていただきたいと思います。
  29. 佐藤壮郎

    政府委員佐藤壮郎君) 先生指摘のとおり、国際標準化活動の重要な指標であります各専門委員会の幹事国の引き受け数というのは残念ながら欧米主要国を大幅に下回るのが現実でございます。  我が国国際標準化活動については、改めてその強化が求められたわけでございまして、こうした状況を踏まえて、先ほどもお答え申し上げましたけれども、昨年十二月の日本工業標準調査会答申におきましても、国際標準化活動の戦略的推進に向けて三点のポイントが強調されたわけでございます。  今後、通産省といたしましては、必要な予算措置を含めて、答申の内容を踏まえた国際標準化活動の活性化に向けて着実に答申の趣旨に従って施策を展開していきたいというふうに思っております。
  30. 加藤修一

    ○加藤修一君 通産省は新技術分野等での国際規格原案、そういったものの提出を目標に掲げているわけですけれども、これは具体的にどういう形で行うのか、あるいはその実現を目指して何が必要なのか、その辺のことについてお伺いしたいんです。
  31. 佐藤壮郎

    政府委員佐藤壮郎君) 今御指摘のとおり、特に我が国といたしましては、先端技術分野中心とした規格案の積極的な提案、それから技術開発標準政策の連携強化ということが非常に重要な問題であるというふうに認識しております。  したがいまして、DVD等我が国技術開発において主導的な役割を演じている先端技術分野におきましては、今後積極的に国際規格提案がなされるよう、政府として支援を行うことが必要というふうに認識しております。具体的には、これも先ほど林委員のお答えの中に申し上げましたけれども、平成八年度の補正予算の中で国際規格提案を目指した技術開発に対する支援措置を計上する等の措置を講じているところでございます。  今後とも、先ほど申しましたように、工技院でやっております技術開発政策標準化政策の一体的推進ということに重点を置きまして、所要の施策を講じてまいる所存でございます。
  32. 加藤修一

    ○加藤修一君 ISO9000に対する国際的な動きの中で、その牙城という表現は当たらないかもしれませんが、ISO9000を崩そうという動きが米国なんかにあるわけで、例えばビッグスリーでありますけれども、ISO9000をもとにしながらQS9000という品質基準を決定しておりまして、日系の一次部品メーカーは現在その取得に大わらわであるということであります。こうした自国の標準をむやみやたらに国際化にしていこうという意図的な動き、こういったことそれ自体は貿易の自由を阻害することにはなりはしないかというふうに考えていますけれども、こういったアメリカ動きに対してどのような見解をお持ちでしょうか。
  33. 田中正躬

    政府委員田中正躬君) 先生指摘のQS9000は、アメリカの自動車会社が自分たちの取引に使っている規格ISOの9000を変えることによってつくった規格でございますけれども、これをISOの9000の一つのシリーズの中に加えたいという、そういう国際提案をすべき提案を現在行っていると聞いております。  このISOでつくられます国際規格は、通常五年に一度見直しをやるわけですが、個々の産業ごとのニーズとかその状況での改定というのが必要でございまして、そういう意味で二〇〇〇年にISO9000の大々的な改定作業ISOでやるということになっておりまして、そういうことで日本としても積極的な議論をしていきたいというふうに考えております。
  34. 加藤修一

    ○加藤修一君 アメリカの意図的な動きに対して、貿易の自由化を阻害するようにならないかという質問だったんですけれども。
  35. 田中正躬

    政府委員田中正躬君) 貿易の障害になるかどうかということでございますが、これは強制的な法規で決めているわけじゃなくて、個々の企業ISOの9000を企業取引の前提として使うかどうかということでございまして、仮にQS9000がなくても、それぞれビッグスリーのアメリカの自動車企業が自分たちの調達基準で物を買っていくわけでございますから、そういうことでは大きい意味貿易の障害にはならないというふうに考えますが、ただ、ISOの9000シリーズという世界的に統一された調達の基準というのが国際規格ででき上がっているわけですから、QS9000もそういう大きいシステムの中で整合性を持つべきものというふうに考えておりますす。
  36. 加藤修一

    ○加藤修一君 次に、デファクトスタンダードについてお伺いしたいんですけれども、先ほど林委員からもこの点について質問がございました。デファクトスタンダードの絡む競争というのは単に技術がすぐれているからといって勝てるわけじゃない、そういう標準を持っているわけじゃないわけですけれども、また販売、いわゆる営業力が強いから勝てるわけでもない。要するに、だれと組むか、どこと組むか、あるいはだれと戦うかも問題になると思うんですね。そういった意味では技術、市場、競合という三者を同時に見て迅速に意思決定をしないと競争に勝っていけない、あるいはスタンダード化できない、そういうふうに考えられるわけです。  国際化への取り組みとして、日本としてはデファクトスタンダードの形成、これをどのように図っていくか、サポートできるか、それが容易に生まれる体制をどのようにつくっていくか、これを通産大臣にお願いしたいんです。
  37. 田中正躬

    政府委員田中正躬君) デファクトスタンダードにつきましては、先生指摘のとおりの傾向があるわけでございますけれども、こういう技術がどんどん進んでいく中で、日本企業がいかに有利にデファクトスタンダードをつくり、国際的に提案できるかということに関しましては、昨年来、標準情報制度というのを導入いたしまして、これは最終的に規格制定する前に技術情報を早期に公開して標準の形成を促すという制度でございまして、DVDそのほか、いわゆる標準情報制度のもとで幾つかの提案が既にでき上がっております。
  38. 加藤修一

    ○加藤修一君 今の答弁は納得できないんですけれども、デファクトスタンダードは確かに市場で決定されるわけですね。そういった意味では、政府が介入する余地は原則的には私は存在しないとは思いますけれども、しかしながら、この競争の帰趨が国家や地域にとって非常に大きい、戦略的な産業競争力を左右するというふうに考えられると思うんですよ。  例えば携帯電話についてはGSMという形で、これはもう日本も欧州もアメリカもという形で政府が介入して、介入してという言葉は悪いですけれども、官民を挙げて各国への働きかけがあってできたわけですね。それから、高度道路交通システム、このITSに関してもだれが世界基準をリードするかが非常に焦点になっていると。これもアメリカ、ヨーロッパでは官民協力して体制を整えているというふうに聞いています。  それから、先ほども質問がありましたように、欧州ではプロジェクト推進のための官民合同機関が組織されている、それからアメリカではITSについてはそれを位置づけた法律までつくっている。そういった意味で、非常に政府それ自体が危機感を持ってやっているわけですけれども、この辺について先ほどの答弁はちょっと私は納得できませんので、もう一度お願いいたします。
  39. 田中正躬

    政府委員田中正躬君) 先生お尋ねのそういう民間でデファクトスタンダードをつくる、国のサポートの件でございますけれども、国際標準創成型研究開発制度というのを補正予算で今年度からスタートしておりまして、マルチメディアの分野でありますとか、それから各種の先端材料、そういった分野につきまして研究開発をやりながら国際的にデファクトであれ、デジュールであれ、規格提案ができる、そういったことをやっていこうということで、我が国としても民間企業に対してそういうサポートをしているということでございます。
  40. 加藤修一

    ○加藤修一君 その辺について強力に推進をお願いしたいと思います。  それでは、科学技術庁来ていらっしゃいますか。ちょっと標準化と直接的に関係してこないんですけれども、技術士、そういう資格制度があるわけですけれども、その国際化への対応という点からちょっと質問させていただきます。  この資格については、海外で仕事をするに当たっては何の役にも立っていないというふうに、そういうものを持っている方自体が言っているわけなんですけれども、この資格自体を、例えばPEというプロフェッショナルエンジニアというアメリカあたりでこの資格がありますけれども、これがだんだん主流になってきているというふうに伺っていますけれども、その試験が日本でも行われていると。ただ、それは英語でやりますし、そういった意味では国内で広がるスピードも遅い。私はその技術士、これは非常に立派な制度であり、かつ内容も立派なものであるというふうに思っていますけれども、この制度の国際化への対応という点についてどのように今後考えていらっしゃるか、お聞きしたいと思います。
  41. 和田智明

    説明員(和田智明君) 先生指摘技術士等の国際的な高度な専門的応用能力を要する技術者の国際的な活動に対してでございますけれども、最近の我が国企業の海外進出、それから経済援助活動の増大に伴いまして、そのような専門的応用能力を有します技術者の海外の活動の機会も増大していくものというふうに考えております。  実際上、例えば欧州の域内、それから北米大陸の域内においても、それぞれ国際的な相互承認についての検討が進められておりますけれども、特にAPECにおきましては、昨年来人材養成ワーキンググループという、そのワーキンググループのもとで技術者資格の国際的相互承認の可能性について調査検討を進めておりまして、我が国としてもこれに積極的に参画をしております。  さらに、科学技術庁におきましても、国内の有識者によります技術者資格問題連絡懇談会を設けておりまして、関係団体、関係省庁の連携のもとで鋭意検討を進めております。今後、その技術者資格の国際的な相互承認の動きというものを的確に把握いたしまして、十分な対応我が国ができるよう検討を進めていきたいというふうに考えております。
  42. 加藤修一

    ○加藤修一君 よろしくお願いいたしたいと思います。  それでは、大臣に次にお願いしたいわけですけれども、国際競争が激化しているということで、それに的確に対応していかなくちゃいけないわけですけれども、中でも環境政策を強力に推進することも非常に大切ではないかと思っております。やはり、今後国際経済社会においてもその経済的な比較優位を得る上でも、環境政策の諸点というのはライフサイクルアセスメントを含めて重要と考えておりますけれども、大臣のお考え、決意をお伺いしたいと思います。
  43. 佐藤信二

    ○国務大臣(佐藤信二君) 今御指摘のように、環境問題というのは地球全体という非常に大きな問題でございます。そういうことで、企業法律的な規制を尊重するということだけではなく、やはり自主的にもっと積極的にこの環境保全のための行動、こういうものを起こすことが重要だという認識を持っております。  そのような観点から、このJIS規格に関しましてもリサイクル等を促進する規格、これを制定してございますが、国際的にもISO14000シリーズ、こういうものの環境分野に関する国際標準化の重要性は次第に増してきているものでございます。  こうした状況の中で、我が国からは産学官の代表者がこのISO14000シリーズ等に関する国際標準化の検討の場に積極的に参加して、そして今後とも我が国の意見が国際規格に反映されるよう、かようにこれは努めてまいりたい所存でございます。
  44. 加藤修一

    ○加藤修一君 外から規格が入ってくるよりも、我が国から規格を出して国際社会で日本の考え方に基づくものになっていくことが望ましいと思っております。  環境政策の中、とりわけ標準化についてライフサイクルアセスメント、これがあるわけでございますけれども、日本企業の取り組みの現状、またその課題について通産省はどのように認識しているか。政府としては、その企業の自主性を生かしながら、いかにインセンティブが働くような政策をとるかということが非常に私は大事だと思っていますけれども、その辺のところについてよろしくお願いいたします。
  45. 田中正躬

    政府委員田中正躬君) ライフサイクルアセスメントは原料調達から廃棄に至るまでの事業活動全般における環境負荷を総合的に評価する手法でございまして、事業者環境への配慮を自主的に事業活動に取り組むということで、非常に重要だと考えております。  一方、実用化に関しましては、そのライフサイクルアセスメント自身の手法が国際的に未確立ということで、幾つかの課題が存在しているわけであります。そのために、現在ISOにおきましてライフサイクルアセスメントの手法の枠組みの標準化に向けた検討が行われておりまして、日本でも工業標準調査会で委員会をつくりまして、こういう検討をしているわけですが、先生指摘のように、日本からもできるだけ積極的にこういう枠組みづくりを提案するということで、先ほど申し上げましたが、国際標準創成型研究開発テーマということで、ライフサイクルアセスメントの経済価値の評価手法を取り上げまして、その早期の標準化に向けた研究開発を今現在進めようとしておるところでございます。  また一方、このライフサイクルアセスメント手法に不可欠なデータ分析の方法を確立するために関係団体に委託いたしまして、電気冷蔵庫でありますとか自動車を対象にいたしまして、事例研究を実施しているところでございます。  通産省といたしまして、このような各般の努力を通じまして、ライフサイクルアセスメントの促進を図っていきたいというふうに考えております。
  46. 加藤修一

    ○加藤修一君 ライフサイクルアセスメントについても外から突然入ってくるような形になって、我が国産業界が慌てふためくようなことがないように熱心にやっていただきたいと思います。  それではもう時間がないですので、最後に電子商取引に関するプロジェクトの関係でございますけれども、通産省並びに郵政省、これに関しての実証実験プロジェクト、それが推進されているわけですけれども、二つの省がやっている、ある意味では混在する形になっているわけですけれども、この両方のプロジェクトに対して参加する企業が約半数ほど両方に入っていると。これは民間の企業にとっては資源は一定であります、決まっておりますから、それを両方に割くというような形に私はなっているように思います。そういった意味では、民間の力が分散されている。  特に、決済の方法についてはそれぞれ違う企画を生み出してしまうような危険性はあるのではないか、そういうふうに言われておりますし、私自身も実際そう感じておりますので、こういった二手に分けてやるようなプロジェクトのあり方、類似のプロジェクトですね、こういったものはやはり連携するか共同というか統合というか、何といったらいいんでしょうか、要するに縦割り的な考え方にならないようにしてきちっと一本化するような方向でやっていくことが私は望ましい、そのように思っていますけれども、大臣のお考えはどうでしょうか。
  47. 中川勝弘

    政府委員(中川勝弘君) 電子商取引お尋ねがございました。電子商取引、これはいろんなユーザー産業がいろんな形で実は今実証実験的に取り組んでいるところでございます。  特に、私どもの関係でございますと、鉄鋼メーカーあるいは自動車メーカー、石油化学等々の製造業とその部品の業者が電子のネットワークを利用しまして一緒に共同設計開発をやるとか、あるいはスーパーと納入品のメーカーとが受発注をネットワークで行うというようなことでございまして、いろんな実証実験がユーザー産業の方で行われております。  また、企業と消費者の間を結びますいわゆるオンラインショッピングみたいなものも行っておりまして、お尋ねがございましたクレジット決済を電子ネットワークの上でどういうふうに安全に行っていったらいいかというような実験も行っているところでございます。  私どものユーザー産業は通産省だけではございませんで、旅行代理店あるいは運輸業は運輸省でございます。また、ゼネコン等の建設業は建設省でございますので、そうしたユーザー産業との連携も図って実証実験あるいは技術開発を今進めておるところでございます。  一方で、郵政省におかれましては、通信基盤技術の高度化あるいは郵貯等で電子決済といいますか、郵貯ICカード等の高度化を図りたいということで、関連のプロジェクトを実施しておられるところだと伺っております。  いずれにしましても、電子商取引はいろんな業種業態に応じまして大変多様多岐にわたるものでございまして、まだその発展途上にございますので、技術要素あるいは課題も多種多様でございます。したがいまして、そのすべてを一つに包含するような技術開発とか実証実験というのをやれば済むというわけではございませんで、いろんな業種分野あるいは業種の特色に応じたきめ細かな対応が必要だと思っております。  したがいまして、情報技術の導入によって、この構造改善を図っていきますユーザー産業等の所管の省庁、運輸省、建設省を含めまして、またこの電子商取引が実際に行われます場合にはいろんな法的な規制、商法とか民法になりますと法務省、それから税制の扱いになりますと大蔵省ということもございます。したがいまして、幅広い省庁との連携が大事でございます。もちろん郵政省との連携も大事だと思っておりまして、内閣全体で高度情報通信社会推進本部というのがございますけれども、この場の活用も含めまして関係省庁一体となってやりたいと思っておりますし、お尋ねのございました推進協議会でございますけれども、実はこのメンバーで私どもの進めております推進協議会にはユーザー産業、鉄鋼、自動車その他のいわば情報システム関係でない産業もたくさん入っておりまして、郵政省の方はどちらかといえば電気通信業者が多いということでございます。  いずれにしましても、情報技術は大変大事でございますし、全省庁的に取り組まなきゃいかぬ課題でございますので、もちろん郵政省とも連携をとりながら全省庁一丸となってやってまいりたいと思っております。
  48. 加藤修一

    ○加藤修一君 決済の方法はそんなにいろんな種類があっては困るわけです。決済の方法については全然言ってないですよ、今。余計な答弁しないでくださいよ、時間ないんですから。
  49. 中川勝弘

    政府委員(中川勝弘君) 決済の方法は実はいろいろございまして、クレジット決済あるいは電子マネーと言われるものもICカードに金額を入れてやる場合、それからICカードにある取引電子情報データだけを入れるケース、恐らくいろんな決済の形がございます。  たった一つの決済の形態を今後日指していくということではございませんで、むしろいろんな機能がこれから生々発展してまいりますので、いろんな形で、いわばどういう形態が一番安全でかつ信頼できるかという実証実験がいろんなところで、ある意味では世界じゅうで行われているのが実態でございまして、そういう意味では、そういう中で、最終的に一番信頼できる安全な形態が恐らく業界の中でも生まれてくると思いますし、私どももそれを見きわめていきたいと思っているところでございます。
  50. 加藤修一

    ○加藤修一君 丁寧な答弁はよろしいですけれども、ちゃんとポイントをついたきちっとした答弁していただきたいと思います。  これで終わります。
  51. 梶原敬義

    梶原敬義君 工業標準化法の一部を改正する法律案提案理由をお聞きしましたが、この改正案は、「このような内外の情勢変化に的確に対応した工業標準化制度を構築するため、」と、こう言われておりますが、内外のどちらかというと外の方に揺り動かされてこの法律案ができたんではないか。  平成七年一月に発効したTBT協定貿易技術的障害に関する協定、これに揺り動かされてこの法律をつくるような形になったと、ウエートはですね。そう思うんですが、この改正により何が一体期待できるのか、その点を最初に伺います。
  52. 佐藤壮郎

    政府委員佐藤壮郎君) お答えいたします。  先生の御指摘のとおり、本日御審議をお願いしている工業標準化改正の背景の第一点目は、国際整合化を進めるということでございますが、より詳しく言いますと三点ございまして、一つは、WTO貿易技術的障害に関する協定の成立によって国際比較や国際ルールの活用に対して各国へ義務づけられている、これが第一点。
  53. 梶原敬義

    梶原敬義君 時間がないですからね。
  54. 佐藤壮郎

    政府委員佐藤壮郎君) わかりました。  では、具体的に今回の改正の内容でございますけれども、JISに関する認証制度につきまして、一番目といたしまして、従来、国のみが行ってきたJISマーク表示のための工場認定業務を民間機関にも開放するということで、これによりまして民間能力の活用による審査体制の充実を図り、申請者の利便性の向上を図るということ。それから同時に、規格への自己適合を技術的に支援する試験事業者の認定制度を導入するということでございまして、これらにより信頼性の乏しい中小企業等による民間取引の円滑化を推進するということが第一点目でございます。  それから第二点目といたしまして、これら民間機関の指定等については国際協定を踏まえた国際ルール、すなわちISOIECガイドによるものといたしまして積極的に外国機関を受け入れる一方で、諸外国において我が国機関による認定結果を受けられるよう交渉を進める方針でございます。  したがいまして、海外企業の対日市場アクセスの改善に加えて、中小企業を初めとする国内企業国際取引の支援にもつながるものというふうに認識しております。  加えまして、JIS制定手続については民間からの工業標準案の提案手続の簡素化、迅速化を図りまして、技術革新への対応を強化するということがポイントでございます。
  55. 梶原敬義

    梶原敬義君 JIS規格は今八千、そのうちの約八百品目がJISマーク対象品目になっておりますが、今JISマーク付与の工場認定は国が行っておりますね。これを民間でもやるということですが、年間三百件の工場認定、大体平均三百件らしいですね、それを今三十七名の審査官で審査を割りますと、大体一人年間八件。これをまた民間機関にさらにやるということは、どうもよくわからないんです、そこのところが、数からいって、その点はどうですか。
  56. 田中正躬

    政府委員田中正躬君) 民間の認定検査機関お尋ねでございますけれども、今回の法律改正は、民間の審査能力がISOの9000といったようなことで非常に高まったとか、WTO協定によりまして国際的なルールに合わそうとしますとほかの国は民間の認定機関中心になって活動しているという、そういうこと、それから、規制緩和ということでできるだけ民間の能力を活用するということで、今現在、国が行っている認定機能を民間に移していくというふうに判断したわけでございます。
  57. 梶原敬義

    梶原敬義君 今、大体移そうとしている民間の機関の名前を幾つ代表的なものを挙げてください、財団法人。
  58. 田中正躬

    政府委員田中正躬君) この認定機関がどういう機関になるかということは、この制度の運用をやってみないとわからないわけでございますけれども、候補になる機関といたしましてISO9000シリーズの今日本での審査登録機関というのが十八あるわけでございますし、ヨーロッパ、アメリカでこういう審査登録機関というのが活動しているわけですが、そういう機関が候補になるというふうに考えております。
  59. 梶原敬義

    梶原敬義君 ちょっとそこはこういうときだからはっきりした方がいいと思う。民間といってもほとんど言われているのは公益法人ですね。財団法人日本品質保証機構とか財団法人日本電気用品試験所とか財団法人化学品検査協会あるいは財団法人日本ガス機器検査協会、そんなものでしょう。
  60. 田中正躬

    政府委員田中正躬君) 先生お尋ねの公益法人であるかどうかということでございますが、ISO9000の審査登録機関は必ずしも公益法人ばかりじゃなくて、株式会社も幾つかございますし、外国の企業、スイスの企業もございます。  それから、我々のこの認定機関に興味を示している外国の機関といたしまして、やはり株式会社でございますけれども、ドイツの企業でありますとかそれからアメリカ企業、そういったものがございまして、その意味で、必ずしも公益法人だけにはならないというふうに理解しております。
  61. 梶原敬義

    梶原敬義君 いや、海外のやつも今資料をいただいておりますが、そこはまた時間がありませんからね。  少しおかしいのは、大体三百件の工場の認定を三十七名で国内でやっている、それを今度は、今言われましたような十八とかなんとかいっぱい入れて民間のそういう審査機関でやるというのは、今工業技術院のこれを審査する人は三十七名で三百件やって、大体年間当たり八件で、そんなに審査も遅れているような状況ではない。それをさらに今度は民間をつくって、何かその三百が三千になるような話なら別ですけれども、どうもそこのところが、あなた方がやろうとしている、言っていることとその中身の差というのがぴんとこないんですよ、何回聞いても。しっかり答えてください。
  62. 田中正躬

    政府委員田中正躬君) 先生は今の審査員の数の問題を御指摘されましたけれども、実はこういうWTOに基づく適合性評価の仕組みの問題でございますけれども、これはそういう認定機関が外国にも民間の機関としてあるわけでございまして、そういう民間の機関認証を行ったものが製品として日本に入ってくるわけでございますし、逆に日本の認定機関が行った審査結果を外国で認めてもらう、そういうことがWTOの精神でございまして、そういう意味で相互に承認をし合いながら国際貿易をやっていくということで、やはり民間のセクターにそういう認定機能を移していかなければ世界ルールに合わないという、そういうことが一番大きい国際的な側面でございます。
  63. 梶原敬義

    梶原敬義君 民間民間といっても、民間がやる以上は採算抜きではやれないですね、採算抜きでは。そうしますと、数はもうたくさんない、それを幾つかやるというのは、そんなに認定作業というのはもうかるものですか。
  64. 田中正躬

    政府委員田中正躬君) マーケットが小さいのではないかという御指摘でございますけれども、こういう認定機関というのは、このJISの認定業務だけじゃなくて、各種日本の中では強制法規とか任意規格に対する認定業務というのもございまして、そういうものの一環として考えておるのではないかというふうに我々は考えております。  それから、外国との関係の側面でございますけれども、こういう仕組みをつくることによりまして、日本のそういう認証を行った結果が外国にも受け入れてもらえるということになりますと、輸出をやっている中小企業とか、それから輸出をやるときにどうしても必要な大企業がやはりこういう認定機関を使うという、そういうマーケットもございまして、そこは市場の判断に任せてみなければわからないということじゃないかと思います。
  65. 梶原敬義

    梶原敬義君 わかりませんね。  そういう民間機関にも補助金を出すというようなことはあるんですか。
  66. 田中正躬

    政府委員田中正躬君) 今現在、そういうことは考えておりません。  なぜなら、これは先ほど申し上げましたように、あくまでもTBT協定WTO世界貿易ルールのもとでこの制度を運用するということでございますから、そういう補助金ということをやりますと、WTOルール上、補助金幾つかのコードがございまして、そういうことから問題が生じるというふうに考えますので、補助金ということは現在考えていないということでございます。
  67. 梶原敬義

    梶原敬義君 わかりました。  そうすると、今、国の審査している三十七名かそこらの審査体制というのは、民間が幾つかどんどん出てきて仕事をし出したら、それはもう廃止、国の関与というのはもうなくしてしまってもいいという方向に将来は行き着くんですか。
  68. 田中正躬

    政府委員田中正躬君) 先生お尋ねの、通産局でやっています三十七名の職員の件でございますけれども、実はこれは年間三百件の新しいJIS工場の認定業務を行うだけじゃなくて、一万三千のJIS工場というのがございまして、この一万三千のJIS工場がちゃんとした規格に合っている商品を出しているかどうか、それから品質管理の体制がちゃんと行われているかどうか、そういったことをチェックするために立入検査というのを年間五百件弱やっているわけでございますし、さらに、必要な場合には各種の試買テストのようなことを通産局を通じてやっておるわけでございまして、新しくJIS工場を指定するということのほかに、そういうフォローアップのチェック体制を重視するということで今仕事をしているわけでございます。  したがいまして、先生お尋ねの今後この三十七名の人が減るかどうかということでございますが、論理的には、新しく認定を行う機関がふえるわけですから、これは減少するということになると思いますけれども、あくまでもこれは制度を運用してマーケットの状況がどういうふうに動いていくかということを見きわめなければ、幾らになるということはなかなか言えないと思います。
  69. 梶原敬義

    梶原敬義君 フォローアップの体制は民間業者にもこれからはやらせるということになるんですか、認定業者に。
  70. 田中正躬

    政府委員田中正躬君) 昭和五十五年にこのJIS法を改正しましたときに指定検査機関制度というのをつくりまして、当時、同じように一万数千の工場がありまして、フォローアップを行うのに通産局の職員だけでは非常に大変だということで、公示検査ということで官報に公示をいたしまして、その仕組みで民間の能力を活用しながらフォローアップをする制度ができました。そういうことで、今現在もその制度を運用しておりまして、今回の法律改正対象にはなっておりませんけれども、その制度は運用していく。  一方、先ほど申し上げましたように、今後、立入検査とかフォローアップ、そういったことが依然として重要でございまして、今先生指摘の三十七名の人たちというのは、そういう点を重点に仕事をしていくことになるというふうに考えております。
  71. 梶原敬義

    梶原敬義君 僕が聞いているのは、今度新しく認定する公益法人か何かの民間会社もフォローアップの仕事も一緒にやるようになるのかどうなのか。そうせぬと、一つや二つ年間やったって商売にならぬと思うからちょっと聞いたんです。それはそれでいいです。  大臣に最後に、もう時間ありませんから、民間機関がこの認定の仕事を行うようになりますと、特定の事業者を不当に差別したり、あるいはわいろ等優遇する等により不正な行為が起こりかねないと思うが、民間機関による認定の公正性を担保するためにいかなる措置を講ずるおつもりか、最後に。
  72. 佐藤信二

    ○国務大臣(佐藤信二君) 直接お答えする前に申し上げたいのは、やはり今の質疑を聞いていて率直に感じたことは、国際的な流れあるいは国内における行革、そしてまた規制緩和ということでもって、こうした認定作業をオープンにしよう、この辺に力点を置いて今まで考えているという点の御指摘だったろうと思うわけでございます。  そこで、今の話とは逆行しますが、やはり民間に来た場合に、公的機関、そういうものがどういうふうなことをするだろうかと、こんな御懸念だろう、こういうふうに思わせてもらったわけでございますが、今でもそうですが、工場認定を行う民間機関についてはその公正性というものを担保する、こういうことで役員の構成だとか業務規定の内容については厳格な審査を行い、同時に、やはり国内の機関の役職員についてはみなし公務員、この規定を置いていることは御案内のとおりでございます。  そういうことで、認定の機関とした後でも、今答弁がありましたように、定期的に指定基準への適合性の確認、また公正な審査が行われているかどうかの立入検査、こういうものを実施していくことでそのようなことに対応していく、あくまでもそういうことでもって認定の公正性というものが確保され、また今御指摘のようないかがわしい行為が排除される、かように考えております。
  73. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 先ほどからやりとりをお聞きしておりまして、確かに時代に沿ったあるいは国際的な標準化の動きの中で、国内におけるいわゆるJIS法、工業標準化法を変えようという趣旨については私も否定をするんじゃないんですが、ただ、もともと昭和二十四年にこの法律制定した時代と今と時代背景がかなり変わっているんじゃないか、外からそういう環境変化があったからちょっと手直しをするという程度で本当にいいんだろうかという気がするんです。  といいますのは、例えば戦後の、こういう言い方をするのはいけないのかもしれませんが、大変日本産業、工業製品も粗製乱造の時代だったような気がするんです、私は正直に申し上げて。とにかく数をたくさんつくって需要に追いつこうと、それで成長してきたわけです。ただ、そういう中で、一定のやっぱり品質や性能を持ったものをということでこのJISの役割というのは非常に大きかったと思うんです。今はもうかなり時代が変わってきているわけですね。としますと、JISの本来持っていた意義というものはおのずから変わってくるんじゃないか。その変化が、最近特に国際標準として大きな話題になっているISOの問題であり、あるいはせんだってのWTOやあるいはTBT協定の中でうたわれたいわゆる標準国際化という、こういう流れだと思うんですね。  ですから、ISOに対するJISという発想ではなくて、日本全体の規格そのものをもう一回根底から見直して、まさに国際的な視点でJISそのものを、標準化法そのものの根底についてどうしていくかという議論が一回されないと、手直しだけではちょっと私は不十分なんじゃないかなという気がするんですが、まずその辺についてはいかがでしょうか。
  74. 田中正躬

    政府委員田中正躬君) 先生お尋ねのこのJIS制度の大きい歴史の流れでの一つ評価の問題でございますけれども、このJIS規格は今現在八千ございまして、そのうちJISマークの表示は一万三千に達しておりまして、非常に広く日本国全体で普及をしておりますし、日本産業活動の一つ技術的な基盤ということになっておるわけでございます。  そのときそのときの必要な事情に応じて、JIS対象品目でありますとか制度を変えてきて今現在に至っているわけですが、最近の著しい技術革新でありますとか経済のボーダーレス化とか環境保全といったそういう大きい社会の要請にこたえて規格とか認証制度を変えていくということでございまして、そういう意味では時代時代に合った規格見直しとか認証制度を常につけ加えて、今現在御審議願っておりますこういう仕組みを変えていただければ、世界的なマーケットで日本企業も積極的に活躍できるというふうに考えております。
  75. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 確かに法律ですから、一回全部御破算にしてもう一回新しいものをつくり出すというのはこれは大変な仕事ですから、現在ある仕組みというのがたとえ部分的であっても手直しをしていって直していけるという範囲であればそれは私はいいと思うんですが、どうもそれでは追いつかないんじゃないかなという実は懸念を持っているわけです。  私がこれから申し上げることが合うのかどうかわかりませんが、例えば私もある製造業のメーカーにいまして、まさにJISの指定工場でありましたし、そういう製品を実はつくっていたわけです。ところが、同じような製品を外国の製品と比較しますと、日本製品、例えば私たちがつくっていたものは見た目を非常に大事にするんですね、印象を。ところが、例えばヨーロッパでつくっている全く同じものですよ、まさに国際的な競争製品ですから、部品ですから、それが見た目は悪いんです、極めて。しかし、その製品が求められている本来の機能という点ではとても太刀打ちができなかった時代があったんですね。見た目じゃないんです、物というのは、部品というのは。  その意味で、私は日本の発想とあるいはヨーロッパの発想、ISOの認定のためのさまざまな仕組みについてのお話も先ほど加藤委員からも御指摘がありましたけれども、今日本の従来の考え方をここで捨てておかないと、今までの延長線上で国際標準に合わせるという発想ではなくてやっていかないと、先ほど部長がおっしゃったようにもうボーダーレスの社会ですよ、製品がまさに国際的に行き来をしている時代なんです。ですから、日本国有のJISの仕組みというのを、確かに東南アジアを含めてさまざまに浸透していることは私も承知をしていますが、少しここで発想を変えた方がいいんではないか、そんな感じが一つはいたします。  それから、従来のJISの発想というのは、一つの単体といいますか、物に対する発想が中心でしたね。ところが、今の国際化、標準化の中の流れというのは、物をつくり出していく組織だとか団体だとかあるいはシステムだとか、そういうものに対する認定をするというか、考え方が主流になってきていますね。ここにも私はやっぱりギャップがあるような気がするんです。  ぜひこの問題について解明をしていくためには、今申し上げたような部分的な手直しだけではない何か必要があるんじゃないかという問題意識を持っていますので、その辺についてもしお考えがあればお聞きをしたいと思います。
  76. 田中正躬

    政府委員田中正躬君) 今、先生の御指摘の点は、我々JIS制度の事務局をやっている職員として全く同感でございまして、そういう意味でゼロベースの見直しということで来年度から三カ年で、一度このJIS規格がないということで一体どういうことをやっていくべきであるのかという、そういう規格の全般的な見直しをマーク制度も含めて一つはやってみようというのが一番目の点でございます。  それから二番目の、先生指摘日本規格というのは、先生指摘のように非常に製品規格というのにこだわりまして、そういうシステムでありますとか大もとの通則のようなものを決めていくということは非常に弱かったわけでございますけれども、こういう点に関しましては性能基準というのをもう少し導入して、商品よりも性能というのが期待できる規格、そういったふうに規格の体系自身をいろいろ変えていくというようなことも考えておりますし、日本から積極的に提案をするということで、先ほどから何度も申し上げていますように、国際標準をつくっていくための研究開発を国がサポートして国際規格にしていくという、そういう幾つかの側面で従来の考え方に引きずられない新しい時代に適応した規格づくりとか認証制度をつくっていこうというのがまさに法律改正の趣旨でございます。
  77. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 少し視点を変えまして、今のさまざまな産業、特に工業製品分野で、ハードの分野についてはそれぞれ見た目で判断できるものですから、例えばサイズであるとかあるいは性能だとかというのは割合にわかりやすいんですね。問題は、それを使う使い方といいますか、つまりソフトの分野について日本の場合の標準化、いわゆるJISというものがどれだけ対応できているかというのについては若干疑問があるんですが、その辺はいかがでしょうか。
  78. 田中正躬

    政府委員田中正躬君) 先生お尋ねのいわゆるソフトウェア分野でのJIS化の問題でございますけれども、これはコンピューターのプログラム言語でありますとか品質管理の用語とか、製品の操作方法、それから市区町村のコードといったソフト的な内容に関しましても積極的にJIS化を図っておりますし、国際的な場ではISOIECの共同の委員会、JTC1と言うわけですが、そこで日本の専門家が参加をいたしまして積極的な議論をしているところでございます。  それから、システム規格と言われていますISOの9000でありますとか14000というようなことに関しましても、議論の段階から積極的に参加をいたしまして国際的な規格と一致したものをJIS規格にしてそういうものを国内で普及していくということで、総じて今後ソフトの分野というのは非常に重要になるわけでございまして、我々としても積極的に対応していきたいというふうに考えております。
  79. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 次に、時代が変わってまいりまして消費者のニーズというものもさまざまな変化をしてきています。それと同時に、生活様式はもちろん変わってきているわけですが、これからの社会を考えるときに超高齢社会というのはもう日本の場合には避けて通れないわけですね。そういう新しい社会のニーズにこたえる形での製品や部品やさまざまなものについての見直し作業といいますか、こういうものが一体今どうなっているのか。その辺の実情について、最近のニーズを含めてちょっとお聞かせをいただきたいと思うんです。
  80. 佐藤壮郎

    政府委員佐藤壮郎君) 今御指摘の点につきましては、第八次工業標準化推進長期計画、それから昨年十二月の日本工業標準調査会答申におきましても、消費者保護、高齢者福祉、それから環境保全等の社会ニーズヘの対応が求められる分野におきまして重点的にJIS制定しなさいと要請されているわけでございます。  このような要請を踏まえまして、例えば電動車いす等の高齢者福祉用具あるいはリサイクルタイヤ等のリサイクル製品など、社会的ニーズの変化に対応した規格制定を積極的に行っていく所存でございます。  特に、御指摘の消費者ニーズの多様化に対応したJISにつきましては、民間に制定のインセンティブがわきにくい分野であるという認識がありますので、このような高齢化社会への対応消費者保護あるいは環境保全といった分野につきまして、国がイニシアチブをとって関連機関と連携しつつ基盤的な研究開発段階から実施しているところでございます。  今後とも、これらの対応を踏まえて的確なJIS制定努力していくつもりでございます。
  81. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 それでは、新しい認定の仕組みについてちょっとお伺いをしたいんですが、先ほど梶原委員とのやりとりもお聞きをしておりましたが、実は私は、新しく認定をする機関というのが最初余りイメージがわかなかったんです。  それで、先ほど部長の方のお答えの中に、必ずしも公益法人だけではない、株式会社等も入ってくるという話をお聞きしまして、一体どのくらいの数になるのかなというのがちょっとわからなくなってきたんですが、実はいろんな事業団体も入ってくるわけですね。例えば電子機械工業会なら電子機械工業会が運営しているという言い方が適切なのかどうかわかりませんが、さまざまな製品の検査協会みたいなものを持っていますよね。そういうところが仮に認定機関になった場合に、大手の企業中小企業との認定における差別や何かは発生をしないんだろうかという心配をしているわけです。  国がやっている部分についてはこんなことが絶対あっては困るわけです。特に中小零細業者の場合には、JISの認定を受けるあるいはJISマークをつけるということがある意味ではその製品の商売上の大変大事なステータスになるわけですね、まだ。そういう点があるだけに、民間に委託をした場合にそういう心配がないのかどうか、お聞かせをいただきたいと思います。
  82. 田中正躬

    政府委員田中正躬君) 認定の機関になるところでございますけれども、これは技術的能力でありますとか公正性について法律で定めている基準に適合するものを内外の民間会社も含めて指定するわけでございまして、そういう意味では厳正なルールで公平にやるということでございます。
  83. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 例えば、こういう分野のものについては民間の認定機関に移します、この分野については国が従来どおりやりますと、この線引きがはっきりしていれば割合これはわかりやすいんですよ。ところが、どうもその辺があいまいなものですから一体どこまでなんだという話になるんです。  この辺は基準か何かあるんですか。
  84. 田中正躬

    政府委員田中正躬君) この品目の分野につきましては、すべての分野について民間の認定機関が申請をやれば、厳正な審査をいたしまして認定機関として指定をするということになるわけであります。
  85. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 そうしますと、国の機関を残す理由はどういうことなんですか。  最近よく規制緩和や何かでさまざま言われておりますように、官の仕事を民に移そうじゃないかという全体の流れに対して、今のお話では、その線引きははっきりしてないよ、すべてのものが例えば民間の指定承認機関に持ち込めばできるよという話になると、官を残す意味は一体どこにあるんでしょうかと逆にお聞きをしたくなるんです。
  86. 田中正躬

    政府委員田中正躬君) 先生指摘のように、このJISマークの制度は五十年運用してきたわけでございまして、中小企業を初め多くの企業がこのJISマーク制度によって便益を受けてきたわけですが、これを民間の認定機関ということで認証行為を移していきますと、分野によりましては民間の認証機関が存在しない事態があり得るということが考えられますし、この五十年の間の民間での各種取引、そういったことを円滑に進める必要がありまして一そういう点、これを実際に運用してマーケットの状況を見なければわからないということでございます。
  87. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 新しい仕組みをつくるときには、確かに見てみなきやわからないと言われればそれまでなんですけれども、何となくあいまいもことしているんですね。何がこれこれだからこの部分については民間に移管をしますというのが何か明確でないんですね、今のお話では。ぜひこれはいずれはっきりしていただきたいなというふうに思います。あえてこれ以上は避けたいと思います。  先ほど梶原委員から御指摘が若干あったんですが、私は確かにそういうある程度の資格を持った民間の機関にその仕事を移管していくということ、これは頭から否定をするつもりじゃないんですけれども、今こういう行政改革あるいは規制緩和が進んでいる中で、民間とも官ともつかない中間的な役割を持つ機関を新しくつくるということが、時として私は誤解を受けるところがあると思うんです。  もちろん、一定の基準を設けてその基準に基づいて、その基準をクリアしたところに対してその指定承認機関としての資格を与えるんだろうと思いますから、その限りにおいては、見た目ではあるいは感覚的には何ら問題はないと思うんです。ところが、外野席から見ていると、何だ、また通産省何か天下りの機関でもつくったのかなんという話になりかねないわけですよ。  ひとつそういう誤解を受けないような仕組みというのをきちっとしておいていただきたいとあえて申し上げて、これは感想で結構ですから、もしおありになりましたら、大臣でもあるいは院長でも結構ですからお答えをいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  88. 佐藤壮郎

    政府委員佐藤壮郎君) 今、先生指摘の点、十分留意いたしまして、今後の標準化行政に遺漏なきようやっていきたいと思っております。
  89. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 終わります。
  90. 山下芳生

    ○山下芳生君 工業標準化の歴史というのは、さかのぼりますと明治時代まで行きます。しかし、やはり我が国の工業の近代化に大きく貢献をしたのは戦後間もなく制定された本法だというふうに思います。  今回の法改正で、その認定事業が民間機関でもできるようになるということですが、ぜひ認定の公正さをしっかり確保するということを要望したい。これはもう先ほどから各委員から質問され答弁ありましたので、私からもあえて要望しておきたいというふうに思います。  そこで、政府の説明によりますと、JISの認定工場というのは圧倒的多数が中小企業だというふうになるわけですが、ただ中小企業といいますのはもともと工場の数自体が、実数が大きいわけですから、中小企業の中でどれほど認定工場があるのか、普及率という面から見ると必ずしも中小企業の中でのJIS認定工場が占めるウエートが大きいとは言えないんじゃないかと私は思うんですが、この普及率はどうなっているでしょうか。
  91. 田中正躬

    政府委員田中正躬君) 今現在、JISの工場数は一万三千ありまして、そのうちの約九〇%が中小企業でありますけれども、中小企業の母集団は非常に多いわけで、割り算をするとほんの数%ということになると思います。
  92. 山下芳生

    ○山下芳生君 JISの表示をしている工場は品質管理が行き届いている、製品の品質保証にもつながるわけで、その中小企業の信頼性をアピールするのに非常に効果があるというふうに思います。ですから、数%程度に今とどまっているわけですが、もっと認定工場が普及されるために政府が積極的に支援をする必要が私はあると思います。  その点で、先ほどからも取り上げられておりますけれども、今国際化に向けてISO9000シリーズや14000シリーズの取得に努力をされている中小企業が少なくありません。私も、先日、だれでも名前を聞けば知っているある大手メーカーとその下請の中小企業の双方を訪ねたんですが、ISO9000シリーズについて、親企業の方はまだ取得されていませんでしたが、下請の中小企業の方は既に取得をされておりました。親企業の方は、今ポスターを張って、さあこれからやるぞという構えでしたけれども、実際おくれておりますという御意見でした。  そういう点では、中小企業がこういう努力を今非常にされている中で、やはり努力には経費もかかるし時間もかかると。例えばISO9000シリーズですと百万円単位の経費がやはりかかるというふうにも聞いております。したがって、ぜひ政府の具体的な援助が必要だというふうに思うわけですが、この点でどういう政策的な配慮を中小企業にされているでしょうか。
  93. 田中正躬

    政府委員田中正躬君) 中小企業事業団を通じまして研修とか情報提供をするというようなことを実施しておりますし、来年度からは、先生指摘の費用がかかるというようなこともございまして、費用の一部を補助する制度といたしまして、専門家のアドバイスを受けるときに国ないし都道府県から補助金が出るというそういう支援制度を実施していきたいというふうに考えております。
  94. 山下芳生

    ○山下芳生君 ぜひ積極的な支援とそれから宣伝をお願いしたいというふうに思います。  次に、国際化の問題ですが、昨年の末に閣議決定をされました「経済構造の変革と創造のためのプログラム」では、「標準化制度の改革」という部分で、「我が国の市場及び事業環境国際的に開かれたもの」にするということが述べられておりますが、私は、制度や規格国際基準に合わせるというだけでよしとはできないんじゃないかというふうに思うわけです。  政府標準化制度の国際化に対する基本的な態度をまずお伺いしたいと思います。
  95. 佐藤壮郎

    政府委員佐藤壮郎君) お答えいたします。  規格国際整合化というのは非常に大切ではあるわけですけれども、それに従いまして現在千規格につきまして国際整合化を図っているところでございます。  しかしながら、国際規格の中には実際にほとんど使われていないものとか技術的に陳腐化しているものもございます。したがいまして、今後規格国際整合化を進めるに当たりましては、こうした分野において我が国から改正提案を積極的に行う、我が国の実情を反映しつつ国際規格が適切なものとなるよう主体的な対応を行っていきたい、そういうふうに思っております。
  96. 山下芳生

    ○山下芳生君 主体的な対応というお言葉がありました。本当に大事だと思うんですね。我が国JIS国際規格との整合性の問題では、WTOTBT協定附属書3のF項の中にあるただし書きでこうあります。「当該国際規格又はその関連部分が不充分な保護の水準、気候上の又は地理的な基本的要因、基本的な技術上の問題等の理由により、効果的でなく、又は適当でない場合は、この限りでない。」つまり各国の独自性をこれは認める余地を残しているわけですが、政府努力がこの点で非常に試されると。  先ほどの答弁とも少しダブりますけれども、独自性を発揮するという点での基本的態度と、想定されている具体的なこの問題での事例がもしおありでしたらお答えいただきたいと思います。
  97. 田中正躬

    政府委員田中正躬君) 先生指摘の附属書3Fのいわゆる例外規定でございますけれども、例えば日本の電圧というのはヨーロッパとかアメリカと違うわけですけれども、こういったものは基本的な技術上の問題ということでございますし、気候上の違いとか地理的な要因ということで、日本人特有の机の高さとか、そういう問題というのは例外ということでございますし、生活水準が上がりますとどうしても安全に対する要請が高いということでそういう規格が決められているわけです。  それを逆に国際的に提案して日本ルールにしていく具体的な事例でございますけれども、例えば幾つかの測定機器に依然として水銀を使うというようなことがございまして、こういうものは、水銀というのは非常に有毒な化学物質でございますので、それにかわる機器日本JIS規格にしておりまして、そういうものを積極的に国際規格提案をするというようなことで、日本独自のそういう技術世界ルールにするという努力をしております。
  98. 山下芳生

    ○山下芳生君 自主性の発揮の具体的な度合いを少し突っ込んでお聞きしたいと思うんですが、ISO国際標準化機構やIEC国際電気標準会議にはTC、技術専門委員会やSC、技術分科会があります。それぞれTCやSCが今どのぐらい数として設置されており、またどの程度開催されているのか。少し、ちょっと数字になりますけれども教えていただけますか。
  99. 田中正躬

    政府委員田中正躬君) ISOの一九九七年一月の資料によりますと、TC、SCは約八百、IECにつきましては、一九九七年の二月の資料でございますけれども、TC、SC合わせて二百、ISOIECの合同委員会が二十ということになっております。  開催頻度でございますけれども、各委員会につきまして年に一回程度の専門委員会、すなわちTC、分科会、SCが開催されるということでございます。
  100. 山下芳生

    ○山下芳生君 そのTCやSCへの我が国の参加状況と、それから特に幹事国となっているのがどの程度か教えていただけますか。
  101. 田中正躬

    政府委員田中正躬君) 日本の積極的な貢献ということで、いわゆるPメンバーということでございますけれども、現時点で五百二十四のISOのTC、SCに、また百九十四のIECのTC、SCに参加をしております。  先生お尋ねの幹事国でございますけれども、ISOIEC合わせて四十一の幹事国ということでございます。
  102. 山下芳生

    ○山下芳生君 TCやSCのまずメンバーになるのは、これは前提ですけれども、やはり幹事国になるかならないかが、国際規格JISをどれだけ認めさせるのかという点でいいますと非常に大きな役割を担ってくるというふうに思います。その点では、約一千あるそれぞれのTC、SCの中で四十一しかまだ幹事国にはなっていないということでありますので、これはもう先ほどの答弁にあったように、欧米諸国の政府産業界の取り組みと比べて非常にまだ開きがあるということだと思います。  ちなみに、欧米諸国の今の数字はどんなふうになっているんでしょうか。
  103. 田中正躬

    政府委員田中正躬君) アメリカが百六十二、イギリスが百四十、ドイツが百七十五、フランスが百二十九ということで、五番目がスウェーデンで四十五、日本は六番目ということで四十一ということでございます。
  104. 山下芳生

    ○山下芳生君 やはりまだ差があると思うんですね。  私は、その国の規格というものはその国の産業技術の発展の歴史を反映したもの、あるいはもっといいますと国民の文化、生活のあり方を反映したものでもあると思うんで、したがって、何でも国際水準に合わせていくということでよしとはできないと思うんですね。やはり、今欧米諸国とまだかなり差がある、そういう取り組みについて政府努力することは、自国の文化や産業を大事にしているかどうかの姿勢にもかかわってくる問題だと思います。  最後に、大臣に、この規格国際化に臨む政府の姿勢を改めて確認させていただきたいと思います。
  105. 佐藤信二

    ○国務大臣(佐藤信二君) 前にも申し上げましたように、確かに今度の法律をお願いするという前提は、やはり国際化、この進展に伴ってそれに日本が置いていかれてはいけない、こんな危機感がございますし、片一方では行政改革だとかあるいは規制緩和、こうした自由化という問題、こういうことと相まって出させてもらったわけでございます。  きょうの質疑でもって、今また委員指摘のように、私自身やはりこの規格というものはそれぞれの国の文化というものを反映する、また非常に長い間の歴史というものを背景にしているということで、これをなかなか合わせるということ自体難しい話で、これ例えて言えば、やはり世界が今国際的に一体化してくるんで、共通の言語はというと英語だというふうになりつつありますが、これやっぱりそういうこと、それを受けた場合に、それぞれの国のやはり年代層があるんだろう。若い人なら非常に適応しますが、長い間これを使っていたという、規格を使っていた人が急に違うというわけにいかない。ここにこれからの苦労があると思うんです。  それで、今御指摘のように、何といってもやはりこうした標準機関委員会、ここでいろんな審議する場合に日本の場合何といっても少ないわけで、この辺は率直にこれからやはりこういう方面をどういうふうにするかという大きな問題があるだろうと思っております。  そういうことで、今回の法律改正というものを契機にして、我が国国際標準化活動というものをやはり我が国規格技術、これを国際規格に反映できるようにこれから努力してまいらなければいけない、こういうふうに気持ちを改めたわけでございます。
  106. 山下芳生

    ○山下芳生君 終わります。
  107. 木宮和彦

    委員長木宮和彦君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。――別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  工業標準化法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  108. 木宮和彦

    委員長木宮和彦君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  前川忠夫君から発言を求められておりますので、これを許します。前川君。
  109. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 私は、ただいま可決されました工業標準化法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、平成会、社会民主党・護憲連合、民主党・新緑風会及び日本共産党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     工業標準化法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 日本工業規格及び指定品目については、各規格の有用性についての検討を踏まえて、積極的な見直しを図るとともに、新たな規格の策定については、消費者ニーズや高齢化社会に適切に対応できるよう取り組むこと。  二 認定機関、検査機関、試験事業者制度については、厳正かつ公正な観点から指定等を行い、透明かつ競争的な認証制度の整備を図るとともに、それらについては消費者保護中小企業対策に資するようその充実に努めること。    なお、認定機関等の運営については法律上の監督権限の範囲を超えた介入を行わないこと。  三 日本工業規格国際規格との整合化推進するとともに、国際規格に対する我が国からの提案が一層活発化するよう、技術開発への支援等我が国産業界の取り組みを推進すること。  四 鉱工業に関する技術上の基準及び仕様の統一を図るため、関係省庁間の連携を強化すること。また、強制規格についても日本工業規格が積極的に利用されるよう努めるとともに、各種技術上の基準等と日本工業規格との整合化を図る等検査手続の簡素化、合理化に努めること。  五 工業標準制度に対する国民の認識と理解が一層深まるよう展示、PR等の情報提供に努めること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  110. 木宮和彦

    委員長木宮和彦君) ただいま前川君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  111. 木宮和彦

    委員長木宮和彦君) 全会一致と認めます。よって、前川君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、佐藤通商産業大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。佐藤通商産業大臣
  112. 佐藤信二

    ○国務大臣(佐藤信二君) ただいま御決議がございました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重いたしまして、本法案の適切な実施に努めてまいる所存でございます。  ありがとうございました。
  113. 木宮和彦

    委員長木宮和彦君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 木宮和彦

    委員長木宮和彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時三十八分散会