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1997-02-26 第140回国会 参議院 災害対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年二月二十六日(水曜日)    午前九時一分開会     —————————————    委員異動  二月二十五日     辞任         補欠選任      青木 薪次君     谷本  巍君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         清水 達雄君     理 事                 佐藤 静雄君                 陣内 孝雄君                 山崎  力君                 本岡 昭次君     委 員                 阿部 正俊君                 岩井 國臣君                 釜本 邦茂君                 田浦  直君                 竹山  裕君                 依田 智治君                 市川 一朗君                 戸田 邦司君                 横尾 和伸君                 渡辺 孝男君                 谷本  巍君                 村沢  牧君                 一井 淳治君                 山下 芳生君                 北澤 俊美君    国務大臣        国 務 大 臣        (国土庁長官)  伊藤 公介君    政府委員        阪神淡路復興        対策本部事務局        次長       生田 長人君        国土庁防災局長  福田 秀文君    事務局側        常任委員会専門        員        八島 秀雄君    説明員        環境庁自然保護        局国立公園課長  下   均君        環境庁水質保全        局企画課長    柳下 正治君        法務省民事局参        事官       揖斐  潔君        外務省経済局海        洋課長      高橋 文明君        大蔵省主計局主        計官       中村 明雄君        厚生省社会・援        護局保護課長   西沢 英雄君        厚生省老人保健        福祉局老人福祉        計画課長     青柳 親房君        運輸省運輸政策        局環境海洋課        海洋室長     武藤  浩君        運輸省海上交通        局総務課長    田村雄一郎君        海上保安庁警備        救難部長     武井 立一君        建設省住宅局住        宅整備課長    石川 哲久君        自治大臣官房参        事官       門山 泰明君        消防庁防災課長  山口 勝己君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○災害対策樹立に関する調査  (阪神淡路大震災復興対策に関する件)  (ナホトカ号流出油災害に関する件)  (防災体制整備に関する件)  (被災者救済制度に関する件)     —————————————
  2. 清水達雄

    委員長清水達雄君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨二十五日、青木薪次君が委員を辞任され、その補欠として谷本巍君が選任されました。     —————————————
  3. 清水達雄

    委員長清水達雄君) 災害対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 阿部正俊

    阿部正俊君 自由民主党の阿部正俊でございます。  実は、当委員会初めての参加でございますので、ひとつよろしくお願いすると同時に、関係省庁皆様方には御指導願いたいというふうに思いますので、よろしくお願いします。  きょうは四十五分というふうな時間の中で、限られた時間でございますので全般的なことというよりも少し個別的な問題になりますけれども、阪神淡路復興に絡んだ住宅問題なんかを中心にして、新しい都市づくりへの芽吹きというふうなことについて、関係省庁皆さん方から、これからの考え方等についてさまざまなお考えをお聞かせいただければありがたいというふうに思っております。  改めて当委員会での所信を述べられました大臣所信演説のペーパーを拝見いたしますと、阪神淡路地域復興対策につきましては、例えば「住宅確保のための思い切った措置を講ずる」だとか、あるいは「公営住宅等の大量かつ早期の供給生活自立再建を目指す被災者に対する支援」を強化していくというようなことを述べられておるわけでございますので、あの予想もっかなかった二年前の震災から既に二年以上経過しているわけでございますけれども、神戸兵庫県はもちろんのこと、国としても大きな課題をいわば引きずりながら今日まで来ているというふうな状況であり、私どももこの難関を乗り切るために力を尽くさなければいけないなということを改めて思うわけでございます。  災害は、さまざまなケースがございます。正直に申しまして、一年もすればほとんど人の口の端にのらなくなるような災害もあれば、今回の阪神淡路大震災のように、言ってみれば一時的な、時間的なことだけではなくて、さまざまな意味で新しい問題が突きつけられている災害もあるわけでございます。そういう意味では、これからの日本の政治、行政の対応いかんを問われているものの一つがこの阪神淡路震災復興対策ではないかな、こんなふうに思うわけでございます。  具体的なお話に入らせていただきますが、まず第一に、二年前を思い起こしていただければと思いますけれども、テレビに映りました生々しい映像とともに、それから数日いたしましてたくさんの被災者が出、かつたくさんの亡くなられた方が出たわけでございます。特に、さまざまな状況下で亡くなられた方の中には高齢者が大変多かったというのも事実ではないかなというふうに思います。  後ほど、そうした方々を含めた新しい都市づくりということについて少し触れてみたいと思うわけですけれども、改めまして阪神淡路大震災における例えば兵庫県下における死亡者、その中に占める高齢者、例えば六十五歳以上の方々割合というのはどうだったのかということについて、まず最初お尋ねさせていただきたいなと思います。
  5. 福田秀文

    政府委員福田秀文君) 阪神大震災における死亡者の数でございますが、平成八年の十二月二十六日現在におきます自治省・消防庁の調べによりますと、兵庫県下における死者数は全体で六千三百九十四名、これは震災後、震災に起因するという形で亡くなられたいわゆる関連死の方も含まれております。うち、六十五歳以上の高齢者の方が三千百六十人でございまして、割合にいたしますと四九・四%に当たります。
  6. 阿部正俊

    阿部正俊君 今の数字でもお聞きのとおり、六十五歳以上の方が大体全体の半数の死者になっているわけでございます。お気の毒ということと同時に、神戸という都市部における高齢期になった方々の住まっている状況の何というんでしょうか、必ずしも良好な条件下ではお住みになっていなかったということをあらわす数字でもなかったかなと。これからの社会考えますと、そうした高齢期における方々が多数おられるというふうな社会前提にした都市づくりということになると思います。それからすると、これからの都市づくり意味で何かの参考といいましょうか、いろんな教訓をそこから得なきゃいかぬ事実であったのではないかなというふうに改めて思うわけでございます。  同時に、当時問題になりましたのは、何も高齢期における方々老人その他の方々だけではございませんけれども、みんなパニックになりまして、生きているのか死んでいるのか確認ができない、いわゆる安否確認もままならないという状況下で数日、一週間が過ぎてしまったわけでございます。  その中でも、特に高齢者等々は、例えばひとり暮らしとかあるいは移動がうまくできないというふうなことで、いわゆる安否確認というのが大変遅くなってしまったというのが現実ではなかったかなと思うわけでございます。  こうした高齢者とかあるいはハンディキャップを持った障害の方とかいうふうな方々安否確認ということは、最初の施策のスタートでございます。それがどんなふうに行われたのかあるいは行われなかったのか、あるいは行うに当たってこうしたふうな方々が比較的早目に安否確認ができたけれども、こうしたふうな方々はなかなかままならなかったというふうな点についての御説明をお願いしたいと思います。
  7. 青柳親房

    説明員青柳親房君) ただいま大震災時におきます高齢者安否確認についてのお尋ねがございました。  震災の直後、早いところでは震災の翌日からというふうに承知しておりますが、被災をされた高齢者のうちで居宅で生活をしている方につきまして、例えばホームヘルパーサービス利用者名簿というようなものがございますので、これをもと福祉事務所職員あるいはホームヘルパーさんあるいは民生委員方々によりまして安否確認が行われたというふうに承知をしております。  特に、避難所高齢者方々につきましても、関係職員によりますパトロール隊の編成などによりましてその避難所巡回が行われまして、介護等援助が特に必要であるような方々把握を含め、必要に応じて緊急一時入所等措置を講じたというふうに承知をしております。  また、これはまさに緊急の安否確認でございまして、震災から約一カ月経過した時点では、よりきめ細かく在宅高齢者安否あるいは健康状態生活環境といったものを確認するために福祉事務所職員ホームヘルパーあるいは保健婦さん、こういった方々民生委員方々やボランティアの皆様の御協力を得ながら、実態調査あるいは巡回調査というところでよりきめ細かな状況把握に努めたというふうに承知をしております。
  8. 阿部正俊

    阿部正俊君 お聞きしますと、やはりヘルパーさんの派遣を受けていたような方とかは比較的早目に掌握できたけれども、こういったふうなパブリックなサービスの対象に必ずしもなっていなかった方については大分時間も経過した後でないと安否確認すらできなかったというのが現実ではなかったのかなと、こんなふうに思います。いわば都市部における高齢期方々生活のあり方といいましょうか、コミュニケーションとか、それからいろんなパブリックなサービスとの結びつきとかいうものの有無というのが人間の生命にもかかわることにもなるんだというようなことを示す一つの例ではないかなと、こんなふうにも思うわけでございます。  さて、当時の状況を思い出しますと、高齢期生活自分ひとりだけではうまくいかないという方々がたくさんおられたわけでございます。  そうしたふうな方々応急対策対応につきまして、相当数方々老人福祉施設あるいは福祉センター等々に頼ってこられて、そこで数日間から数カ月応急お世話をしていただいたというふうな状況がたくさんあったように記憶するわけでございますけれども、特別養護老人ホームその他は本来の定員の数倍の方々を受け入れて、衣食住その他の応急的な対応をしたというのが現実だったように思うわけでございます。  ただ、何せ新しくつくりました特別養護老人ホームその他のそうしたふうな施設拠点といいますのは、どちらかといいますと被害甚大であった旧市街地中心部というよりもいわば郊外に多かったというのが現実ではなかったかな、こんなふうに思うわけです。特別養護老人ホームその他は必死の対応はしたけれども、一方で地域的なある意味での偏在ということから見ると、旧市街地におけるそうした緊急時の対応能力を持つ拠点整備というのは十分ではなかったのではないかなというふうな反省といいましょうか教訓を得られるのではないかな、こんなふうに思います。  この点について、厚生省なんかはどういうふうに認識しておりましょうか。
  9. 青柳親房

    説明員青柳親房君) 震災時におきます老人福祉施設においての対応状況、さらには特に被害の大きかった旧市街地においてはどうであったかというお尋ねでございます。  震災発生後、今のお尋ねの中にもございましたが、特別養護老人ホーム等の中で比較的被害の少なかったところにおきましては、ショートステイという形で緊急に一時入所を実施するというようなことで、避難所避難をされた高齢者の方あるいは在宅生活が困難になった高齢者の方のうち、特にこういった施設お世話をするということが適切であるという方を当面受け入れるという対応がまず行われました。その際には、福祉事務所担当者の方が巡回をして避難所調査したり、それから避難所からの御連絡をいただいたり、あるいはヘルパー民生委員の方からいろいろ安否確認に基づく実態把握、こういったことをいただいたことに基づきまして、今申し上げましたようにそういう必要なお年寄り特別養護老人ホーム入所させる等の対応をいたしました。  特別養護老人ホームは、御承知のように機能回復訓練のための部屋、あるいは多目的ホールというような形でオープンスペースを持っておりますので、これを積極的に活用いたしました。また、各居室におきましても、通常の場合は定員が定められておりますけれども、これを一時的にふやすというようなことで対応いたしました。また、市内のみならず市外や県外特別養護老人ホームにおきましても、ただいま申し上げました緊急の一時入所というようなことで御協力をいただいたところでございます。  また、被害の大きかった地区についてでございますけれども、当然のことながら施設もかなりの被害をこうむったところもございまして、まずは施設補修ということを最優先させまして、その補修後に入所の受け入れなどの必要な対応を行うということで対応させていただきました。
  10. 阿部正俊

    阿部正俊君 それでは次に、高齢者住宅被害状況について一言お尋ねしたいのでございます。  どうも聞くところによりますと、お年寄りは旧市街地でなかなかそこから移動しないというふうなこととか、あるいは旧市街地木造であり、しかも高齢者ですから一階がいいというようなことで、いわば家屋倒壊の場合には押しつぶされるというふうな状況があったとか、あるいは昔流のいわゆる文化住宅に住んでいるひとり暮らし、二人暮らし高齢者が多かったとかいうふうな話を聞きます。そうしたふうなことから、被災前の高齢者住まい方が、先ほど言いましたそれがすぐ死亡ということに結びつくとは言いませんけれども、そうしたものも高齢者における死亡数の増加につながったのではないかというふうなこともよく言われるわけです。  この辺の状況について、建設省の方から一言コメントをいただきたいと思います。
  11. 石川哲久

    説明員石川哲久君) 高齢者方たち従前のお住まいの形はということだと思いますが、なかなかぴたっとした数字はないわけでございますけれども、現在仮設住宅等に入居されております方たちに対しますアンケートを昨年の二月に行った数字がございます。  それによりますと、約五〇%の方が高齢者であるということがまず一点ございます。それから、従前どちらにお住まいになっていたかということでございますけれども、やはり神戸市内に五一%お住まいでございましたが、その中でも特に都心六区に五割の方がお住まいになっていたというデータもございました。また、その場合の建物の状況でございますけれども、民間の借家に四五%の方がお住まいであったというようなこともございます。  まとめて申し上げますと、概してお年寄りの方はやはり都心地域木造密集地域といいますか、木造借家居住していた方が多かったというふうな推測をされております。
  12. 阿部正俊

    阿部正俊君 ありがとうございました。  今、もう一回二年前を思い出しながら、どうだったのかなということを少しかいつまんで高齢者居住なり被災状況なりを伺ってまいったわけでございますけれども、幾つかの私は教訓というものを得られるのかなというふうに思います。今さらどなたの責任だとかなんとかいうことではないんですけれども、少なくとも震災といいますのは、復旧と同時にいわばこれからの新しい都市づくりの芽吹きを見つけることでもあるのかなというふうな気もするわけでございます。  そうしますと、これからの社会といいますのは、お年をとった方とかあるいは障害を持った方が大勢いるということを前提にした社会づくり都市づくりということになっていくのかなと。いわば効率なり生産なりということを中心に編成されてきた、どちらかというと自然発生とは言いませんけれども、そういうふうな要素の非常に強い都市形成というものから、より意欲的な都市づくりということに向けていく一つのきっかけにもなるのかなという気もするわけでございます。そんなことから、今申し上げた点からすると、都市部における高齢者住まい及び緊急時を含めた日常的なコミュニケーションをどういうふうに加味した都市づくりをしていけばいいのかというふうなことも教訓として問われていいのではないかなと思います。  このような観点から見まして、大臣所信にも述べられておりますように、これからの阪神淡路地域復興に向けまして、今までの被害状況なりある意味での教訓というものを受けまして、神戸というものにとどまらずこれからの新しい都市づくりに向けた考え方について、大臣からひとつお考えをお聞きかせていただきたい、こんなふうに思います。よろしくお願いします。
  13. 伊藤公介

    国務大臣伊藤公介君) 阪神淡路復旧から復興へ、国としても自治体と十分な連携をとりながら支援をしてきているわけでありますが、委員御指摘をいただいておりますように、まず仮設住宅から公的な住宅へスムーズに移ることができる、そうした支援策は何といっても緊急だと思います。  そして、神戸港を初めとして阪神淡路が見事に復旧から復興された。再び神戸港などが世界の港としてその役割を十分果たしていける。そうした、安全はもとよりでありますけれども、再びこの神戸阪神が見事に復興できた、このことが大変大事なことだというふうに思っております。そのためには、当然のことでありますが、雇用の問題も大変大事な問題でございますし、また既に地元自治体では、新しい時代に向けてのさまざまなプロジェクト計画をされておられます。これらの未来都市に向かってのプロジェクト構想にも国はできるだけのタイアップをし、また支援もしていかなければならな、いと思っております。  これは阪神淡路のみならず日本の国を挙げて、この復興がどうできたかということは国際的にも問われている、そう考えているわけでありまして、国の立場でも、これからも全力を尽くして地元との連絡十分密にしながら対応してまいりたいと思っております。
  14. 阿部正俊

    阿部正俊君 ありがとうございました。  今のようなお話前提にいたしながら、これから一つ二つ住宅政策中心にいたしまして、新しい都市づくりの芽吹きというふうなものについて少し論議をしてまいりたいというふうに思います。  まず一般論でございますけれども、公営住宅が、私のちょうだいしている資料では三万八千六百戸新しく兵庫県内につくられるというふうな計画になっておるわけでございますけれども、そうした三万八千六百戸というふうな公営住宅建設復興における基本的な考え方はどういう理念に基づいて行われるのか。及び、その三万八千六百というふうな数字そのものがどんなふうな思想のもとに生まれてきたのか。  これにつきまして、建設省さんの方からまずお尋ね申し上げたいと思います。
  15. 石川哲久

    説明員石川哲久君) 被災者向け公営住宅につきましては、今先生の方からお話のありましたように、全部で三万八千六百戸を供給する予定にしております。これは地元兵庫県が昨年の七月に改定いたしましたけれども、恒久住宅への移行のための総合プログラムというもので明らかにしております。  基本的な考え方につきましては、被災者の方には、先ほど申し上げましたように高齢者の方あるいは低所得者の方が多いというようなことも含めまして、これらの方たちが安心して住み続けられますよう恒久住宅として必要な数を供給するということでございまして、この三万八千六百戸につきましては、先ほど申し上げました、昨年の二月に公営住宅に入られたい方等の数字もとに推計したものでございます。  そういう形でございまして、三万八千六百戸の供給のタイミングでございますけれども、平成十年の上期、前半期までには仮設住宅の方からほぼ全員、それから残りの方々につきましても平成十年度中に入居できますよう供給の促進を図っているところでございます。
  16. 阿部正俊

    阿部正俊君 ありがとうございました。  現在、三万八千六百戸のうちで何千戸完成して何戸まで入居されているかということは、お聞きしようかと思ったけれども、もう時間がありませんので省略させていただきます。  さて私は、これからの高齢者障害を持った人等々を念頭に置いた上での都市づくり考えますと、必ずしも戸数だけではないんではないかな、こんなふうな気がするわけでございます。神戸だけではなくて、今度の震災からの復興は、復旧ではなくて復興だというようなことをよく言われたわけでございますけれども、まさにこれからの都市づくり一つの指針を示すものでなきゃいかぬのじゃないかなと、こんなふうな気もするわけでございます。  そういう中で一つ考えなきゃいかぬのは、戸数だけではなくて——委員部の方、ちょっと資料を配付してください。    〔資料配付
  17. 阿部正俊

    阿部正俊君 高齢者向け居住空間というのをどういうふうにするのか。雨露をしのぐお部屋ということだけではなくて、先ほど言いましたように、安否確認も含めさまざまなサービスがあるなしというようなことを前提にして物を考えていかないといかぬわけでございます。今までは、どちらかというと戸数優先主義みたいなところがあるんではなかったかなという気がするわけでございますけれども、これからの新しい都市づくりということになりますと、もうちょっと機能的に、どういうふうに住まい機能していくのかということを考えますと、例えば高齢者に対する配慮というより、お気の毒だからしてあげるじゃなくて、そういう都市機能そのものとしてもっと一歩進んだ機能を持った公営住宅供給というものを考えていく時期に来ているし、また神戸震災教訓もそこにあるような気もするわけでございます。  これから被災者向け公営住宅供給する中で、いわばシルバーハウジングといいましょうか、高齢期における多少足腰が立たなくなったとかということも含めて対応できるような発想、シルバーハウジング等に配慮した対応策というのはどんなふうなものになっておるのか。まず、一般論をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  18. 石川哲久

    説明員石川哲久君) 先ほど申し上げましたように、高齢者の方が多いということを考えまして、高齢者の方に十分配慮した対策を講ずることが必要と考えております。  そのためには、今先生からお話もございましたけれども、一つ公営住宅の形でございますが、シルバーハウジングという形がございます。これは、生活援助員の方を派遣いたしましたり、高齢者の方の安否確認あるいは緊急時の連絡対応を行うというようなものでございまして、シルバーハウジングというものを現在三千八百一尺その中で積極的に推進しょうとしているところが一点でございます。  それからまた、これらの高齢者向け公営住宅につきましては、やはり高齢者方たちが孤独であるということが非常に心配でございますので、原則としてすべての住戸に緊急通報装置というものをつけまして、安否確認に役立つような形にさせていただきたいと思っているところが一点ございます。  それから、今既に先生の方から資料がお配りされておりますが、コレクティブハウジングという制度を実は二百六十戸の供給計画しておるところでございます。これは各住宅の中の一つ一つ住宅だけではなくて、共同のスペースを持ちまして、共回生活をしてお互いに助け合って生きていくという一つの共同住宅住まい方でございます。集合して住むという趣旨になろうと思いますけれども、コレクティブハウジングというものを公営住宅の中に導入していきたいと思っている次第でございます。
  19. 阿部正俊

    阿部正俊君 「コレクティブハウジングのイメージ」という資料をお配りさせていただきましたが、実はこれはいわば建設省の宣伝でございまして、私がつくったものではなくて、建設省が今お考えのものをおかりしてお配りさせていただいたものでございます。  これはごらんいただきますように、それぞれ個々人の、多分お年寄りがお一人とかお二人、御夫婦で入るということを念頭に置いてされているんだと思います。住居の一、二、三、四と、それぞれございまして、必要最小限の、お風呂にしろあるいは簡単な調理にしろできるということを前提にいたしながら、もう一つパブリックなスペースというのをつくりまして、そこで共通のキッチンがあり、洗濯室があり、脱衣所があり、浴室があるというふうな構造になっているわけでございます。  コレクティブハウスというふうなネーミングにしているようでございますが、私は、何も神戸だけではなくて、これからの公営住宅一つの行き方を示すことになるのかなというふうな思いもございまして、あえて建設省の宣伝ということではありましょうけれども、お配りさせていただいたわけでございます。  ぜひ、こうした工夫を随所に盛り込んでもらいたいというふうに思いますし、このコレクティブハウジングの完成といいましょうか、立派な運営というのを期待したいと思うわけでございますけれども、現在の計画の進捗状況を教えてもらいたいことと、それから二百六十戸というのはどうなっているのか、この辺についてひとつお尋ねしたい。  同時に、これは従来の私どもが都市部で経験しておるいわゆるマンションだとかアパートだとか、持ち家を小さくして高く積んで鉄扉をつけるというふうなものとは違った生活のスタイルといいましょうか、私は、むしろ住まい方に問題があるんだろうと思うのでございます。私どもの日本の戦後の五十年の歴史の中で、特に都市部における住み方というのは、どちらかというと何か隔絶することがいいといいましょうか、もうそれが当然のようにしてきましたけれども、果たしてそれが本当の住み方なのかどうなのかということになりますと、特に高齢期その他を考えますと、もう少し共同してやった方がもっとうまくいくんじゃないかという部分が相当出てくるような気がするわけです。そうした意味で、このシルバーハウジングを御利用なさる方のある意味での意識改革というものも、あるいは運営主体もいろいろ考えないとうまくいかぬのじゃないか。入りたい人は入りなさい、家賃幾らだ、家賃は高いのか安いのかということだけではなくて、やはりそれなりの考え方というのが要るし、お互いの約束事もルールも要るんではないかな、私はこんなふうに思います。  現在の進捗状況とあわせて、そうした運営及びルールづくりということについてどんなふうな考え方でおられるのか、ちょっとお話しいただきたいと思います。
  20. 石川哲久

    説明員石川哲久君) このコレクティブハウジングにつきましては、今先生お話にありましたように、孤立を避けながら老人の方がお互いに助け合って住むという新しいスタイルでございまして、兵庫県及び神戸市で今回の震災復興対策として行ったものが実は公営住宅としては全国初めての試みでございます。  二百六十戸を予定しておりまして、現在用地確保は百六十戸、着工は百三十戸できておりますが、まだ完成には至っておりません。このたび第三次の一元募集の中で必要な戸数について募集をしているという形でございまして、間もなくお入りいただける状況ができると思います。  その中で、今先生お話のございました新しい住まい方でございますので、共同して住むということが大切なことでございます。地元県市の方で、入居のときにその共同ルールの説明でありますとか、お互いにルールをつくってくださいというような運営組織をつくるとか、そのようないろんな共同組織、共同して住まわれるために必要なルールづくり等についてもお伝えして住んでいただくという形になるかと思います。
  21. 阿部正俊

    阿部正俊君 ありがとうございます。  ぜひ成功を期待したいと思うわけでございますけれども、正直言いまして、さまざまな問題が出ると思います、新しい政策ですから。それにまたもとに戻るようなことなく、乗り越えるようなことを少し息長くぜひやってもらいたいものだな、こんなふうに思います。  ただ、残念ながら二百六十戸というのは余りにも私は、何か焼け石に水と言ってはなんですけれども、少し元気不足じゃないかなという気もするんですが、将来の展望はございませんでしょうか。
  22. 石川哲久

    説明員石川哲久君) 先ほど申し上げましたように全国初めての試みでございますという段階でございますが、私たちといたしましても、お互いに支え合って、助け合って住むというコレクティブハウジングの考え方は今後とも進めるべきものだと考えておりますが、取り組みにつきましては、地元の公共団体等がそういうものを考えられましたら、私たちとしても積極的に支援してまいりたいと考えております。
  23. 阿部正俊

    阿部正俊君 そのコレクティブハウスを中心とした、雨露をしのぐ建物というふうな発想だったとは思いませんけれども、どちらかというとそういう感覚が強かったような今までの時代から、新しい住まい方をどうするかというふうな広い意味での住宅政策の転換という時期ではないのかというふうに勝手に思うわけでございます。そもそも、これは素人が専門の方々に申し上げる話ではございませんけれども、東京なんかにおけるいわゆる集合住宅という表現がよくございますが、何が集合なのかなということを考えますと、小さな持ち家の感覚での空間をそれぞれが占拠というか割拠して高く積み上げたというだけが集合住宅では本来ないのではないかなという気もするわけでございますけれども、そうした新しい住まい方への道筋をつける一つの試みなんだろうというふうに思っております。  言い古されたことではございますけれども、住まいというのは人があるじだとよく言います。しかも、人というのは字からしても、ひとり立ちだけではなくて支え合って生きるというのが人ということだろうと思います。そうした意味で、これからの特に都市部における住宅政策にそうしたふうな発想での思想というのは、必ずしも震災からの復興というだけではなくて生かされていかなきゃいかぬ時代に来ているような気もします。  もし、お考えがありましたら、簡単に建設省さんのお考えをお聞きしたいと思います。
  24. 石川哲久

    説明員石川哲久君) 新しいそういう住まい方ということで、特に都市の中で人々が協力してまとまって住むという形についてのスタイルについては、これからの高齢化社会に対して非常に大切な住まい方ではないかと思っております。  平成八年度から開始されております現在の第七期住宅五カ年計画もととなっております住宅宅地審議会の答申におきましても、多様なライフスタイルに対応した共同した住まい方、具体的には先ほど申し上げましたコレクティブハウジングなどもございますし、あるいは持ち家の形でございますけれども、お互いに気の合った者同士が家をつくり合ういわゆるコーポラティブハウジングというのもございます。英語で恐縮でございますけれども、そういうまとまって住むということにつきましていろいろな施策が現在展開されておりますし、またアイデアが出されているところでございます。  基本的には、そういうコミュニティーをつくりながら、あるいはその地域の中でのおさまりをつくりながら、場合によりましたら地域のいろいろなコミュニティー施設でありますとか福祉施設、保育所等ともまた連携をとりながら、コミュニティーを十分につくりながら住み続けるということが大切なことだと考えております。
  25. 阿部正俊

    阿部正俊君 それでは少し観点を変えまして、先ほど厚生省から話がありましたけれども、私の知る限りにおきましては、実は厚生省から地図もちょっと用意していただいていたんですが、神戸市について言えば、山脈寄りといいましょうか奥の方はさまざまな施設整備が比較的人口の割には進んでおったけれども、海岸寄りの方の旧市街地は余り多くなかったというのが現実だったように記憶しております。その後の、例えば特別養護老人ホ}ムとか、それからデイサービスセンターとか、あるいは老人保健施設とかいったふうな、まさかのときには拠点施設になり得るような施設を旧市街地中心整備するんだというふうな計画があったやに聞いておりますけれども、そうしたふうな面での進捗状況といいましょうか、整備状況というのを簡単に答えていただければと思います。
  26. 青柳親房

    説明員青柳親房君) 神戸市におきます老人福祉施設等の整備状況についてのお尋ねでございます。  震災前の神戸市におきましては、特別養護老人ホーム、これは寝たきりあるいは痴呆のお年寄りお世話する施設でございますが、これが市内二十七カ所で千九百七十二人分の整備がされておりました。また、デイサービスセンター、これは日中お年寄りをバス等で送迎いたしましてお預かりをして、入浴あるいは食事等をお世話する施設でございますが、これが二十七カ所。それから、老人保健施設、これは病院等で治療が終わったお年寄りが家庭に帰るまでの間リハビリテーション等を行うための中間施設でございますが、これが三カ所で三百三十九人分ございました。  これが平成八年度末現在、震災を経ました現時点におきましては、特別養護老人ホームにつきまして三十三カ所、二千三百七十二人分、デイサービスセンターが四十七カ所、老人保健施設が九カ所、九百八人分という形で整備が行われる見込みでございますので、差し引きをいたしますと、震災の前後において特別養護老人ホームが六カ所増、定員で言うど四百人分の増、デイサービスセンターが二十カ所の増、それから老人保健施設が六カ所増の五百六十九人分の増という状況になっております。  なお、今後の整備状況につきましては、既に平成八年度から一部着手をして平成九年度以降に完成をするというようなものも含めまして、平成九年度の整備予定のものにつきまして神戸市から協議を受けまして、具体的な御要望を踏まえて適切に対応するというようなことで考えておるところでございます。
  27. 阿部正俊

    阿部正俊君 それから、阪神淡路震災での一つの体験として、いわゆるボランティアというふうなことをどう位置づけるのかということが一つテーマだったように思います。従来の防災計画なりあるいは地域防災計画なりには、そうしたふうな例えば窓口をどうするとかの意識がなく、記述がなかったように思うわけでございますけれども、今度の防災計画及び地域防災計画の改定等に当たりましてどうしたふうな方針で臨まれ、結果としてどんなふうな防災計画ができておるのか、地域防災計画になっておるのか。  特に、ボランティアというふうなものをどういうふうに位置づけたちいいのかというような点について、簡単に国土庁と消防庁にお答えをいただければと思います。
  28. 福田秀文

    政府委員福田秀文君) 平成七年の七月に防災基本計画を改定いたしました。  その際、ボランティア活動についてでございますけれども、ボランティア活動は柔軟できめ細やかな災害対策を講ずるという上で大きな役割を果たす、そして今後もさらにその重要性は増していくであろうというようなことから、この基本計画の中でボランティアと地方公共団体との連携あるいは平常時の登録、研修制度等々のボランティア活動を行うための環境整備を推進するというようなことを記述いたしたわけでございます。  この基本計画の改定にのっとりまして、各省庁また各公共団体において、業務計画あるいは地域計画の改定が行われておるところでございます。
  29. 山口勝己

    説明員(山口勝己君) お答えをいたします。  阪神淡路大震災以降、消防庁では、震災教訓を踏まえまして地方公共団体における地域防災計画の見直しを推進しておりまして、見直しに当たっての基本的な留意事項も示しているところでございます。  この中で、いわゆる災害弱者対策につきましては、情報伝達、避難誘導、避難生活等における配慮や地域住民自主防災組織等の協力、また災害ボランティアの関係につきましては、関係団体との連携によりますボランティアの活動環境の整備、そしてボランティアの受け入れ体制の整備を挙げております。その後、都道府県の地域防災計画につきましては、現在までに三十八団体が見直しを終えております。  お尋ねの例といたしまして、兵庫県や神戸市の地域防災計画の見直しの状況を申し上げますと、災害弱者対策災害ボランティア関係とも従来ほとんど記述がなかったのに対して、新たに項目が設けられたところでございます。  この中で、災害弱者対策につきましては、情報伝達、避難誘導、防災福祉コミュニティー等に関しまして、また災害ボランティアにつきましては、災害救援ボランティア制度や受け入れ体制等に関して記述されており、具体的な体制が整備されつつあると考えております。
  30. 阿部正俊

    阿部正俊君 以上で終わりますが、最後に大臣に一言。  先ほどからお聞きいただいているとおり、災害からの立ち直りというのは、必ずしも復旧ではなくて新しい都市づくりということへの、この間秋吉台のカルストで野焼きをやっていましたが、大変気の毒ではありますけれども、ある意味では新しい芽吹きを持つということが亡くなった方を含めた神戸への復興に対する私どもの責務なのではないかな、こんなふうに思っております。  おうなずきいただいておりますので、これからの新しい方向づけの参考にぜひお願いできればなということを御要望申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  31. 山崎力

    ○山崎力君 平成会の山崎力でございます。  まず、いろいろ運輸、農水その他ほかの委員会で取り上げられたことではございますが、ロシアのタンカーからの油流出事故についてお尋ねしていきたいと思います。その後、阪神大震災についても時間があれば質問させていただきたいと思っております。  今回の事故というものに対して、いわゆる災害対策ということでいろいろ処置が講じられてきましたけれども、基本的にいわゆる災害対策と言う場合、自然災害をまず念頭に置いた法体系ではなかったかと。それが人為災害といいますか事故災害と言われるような場合に対して、どうこれをやっていくかということが今回の事故で一つの問題点を提起しているのではないかというふうな視点から質問させていただきたいと思います。  まず、今回の事故に関して災害対策基本法に定める災害であるというふうな認定がなされたということですが、こうした事故災害の場合、どこでだれがどのような基準で災害と判断するのか、その点からお尋ねしたいと思います。
  32. 福田秀文

    政府委員福田秀文君) 災害対策基本法上、災害とはどういうものであるか定義が置かれておりまして、一つは異常な自然現象により生じた被害、もう一つは大規模な事故により生じた被害、これの両方を災対法上は災害というふうに定義をしております。  災害に当たるかどうかについて、例えば政府で認定するとかあるいは決定するとかというような手続の規定は置かれておりません。したがいまして、災害に当たるかどうかの判断は、国あるいは公共団体がそれぞれみずからの責務を講じようとするときに、これが災害に当たるかどうかをそのとき判断するということになります。
  33. 山崎力

    ○山崎力君 そうなってきますと、一つの問題は、災害認定が行われれば何らかの財政措置等が期待できるということを地方公共団体、地方自治体は経験的に感じておるわけでございます。ですから、そういう点でいって、自然災害の場合はある意味において今までの経験則が行き渡っているというと非常に残念なことなんですけれども、そういったことで、これはこの程度の被害、規模の災害であるからこの程度のアシストといいますか援助がほかのところから、県なり国なりから期待できるであろうというようなことが現実に行われてきたわけです。  今回、私が問題としたいのは、事故災害、人為災害の場合、そういった経験がほとんどの場合、国も含めてかもしれませんが、地方自治体にはなかったということがある種の対策上の、混乱とまでは言いませんけれども、ちょっと足を引っ張った嫌いがあったのではないかというふうに、報道等を通じて私は認識しております。  そういった意味から、この災害が自然災害か事故災害か不明だった場合、どのようなまず対応が行われるのか。もし仮に対策本部が置かれるとした場合、今回の場合担当省庁が海上におけるタンカーという原因でございますから運輸省がというふうなことはスムーズにいきましたけれども、原因者がよくわからないといった場合、どこが主にまず対策に当たるのか。事故が、あるいは原因が当初の予定と違った場合どういうふうな対応を政府側としてするのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  34. 福田秀文

    政府委員福田秀文君) 災害が発生した場合に初動対応が極めて重要なことは先生おっしゃるとおりでございまして、先生のおっしゃったことを繰り返しますけれども、地震とか台風、こういう自然災害の場合には、その初動時の対応というものはもちろん国土庁が中心となって関係省庁と一体となって対応してまいることになりますし、明らかなる事故による被害の場合には、原則といたしましてその事故にかかわりのある所管の省庁が中心となって関係省庁一体となって事に当たっていくということにしておるわけでございます。  ただ、自然の災害なのか事故の災害なのか、当初の段階ではその災害の態様、状況、そういうものが十分に把握できないというようなことから所管省庁が明確でないという場合も無論あると思います。そういう場合には、初動対応というのは極めて重要であるという観点から、国土庁が中心となって関係省庁と連携しながら適切に対応していくということになると思います。
  35. 山崎力

    ○山崎力君 お尋ねしたところで抜けているのが、ここが最初の所管庁だろうと思って、所管庁だろうというふうにして対応していたのが、自後そこのところではない。例えば、事故災害であっても、当初は運輸省の担当であったと思われるところが、あるいは通産の担当であったり建設の担当であったりということもあり得ますし、自然災害として国土庁が担当していたところが、原因が途中段階でわかって、これは運輸省の対応だということがあり得ると思うんです。その辺のお答えが欠けていたように思いますが、お答え願いますでしょうか。
  36. 福田秀文

    政府委員福田秀文君) 自然災害であろうとあるいは事故災害であろうと、災害が発生した場合には、政府は明確な体制のもとで責任を持って応急対策を迅速に的確にやらなきゃならぬわけでございまして、途中で情勢が変わったということが、なかなか事例は難しいと思いますけれども、仮にそういう状況の変化があったという場合でも、やはり応急対策が極めて重要でございますので、応急対策に支障がないように継続的に適切に対処するということになろうと思います。
  37. 山崎力

    ○山崎力君 その辺のところの今のお答えですと、明確な法律上の決まりはないと。例えば、自然災害だとして国土庁が主管庁だったのが、途中で運輸省の原因だったというようなことになった場合、運輸省が所管するのかどうかわからないと。  その辺は適宜ということであろうというふうに理解して、次の質問に移らせていただきたいと思います。  今回の事故災害の場合、ほかの自然災害と性格が違うということは、おいおい私自身の解釈でやっていきたいと思っているんですが、その辺について、どうも財政援助という意味対策上の支援という意味で防災対策の実施に当たる部分で、特に地方自治体において若干誤解があったのではないかというような気がしております。  その点について、国土庁の今の御見解はいかがでしょうか。
  38. 福田秀文

    政府委員福田秀文君) 今回のナホトカ号の事故災害に関連して、ちょっと法律の適用関係を最初に申し上げさせていただきたいと思います。  災害対策基本法は、申すまでもなく広く災害対策一般を定めたいわゆる一般法、基本法というものでございます。そういう位置づけを持っております。この災対法のほかに、さらに災害の態様あるいは講ずべき対策の内容等々に応じまして個別の特別法が定められておるケースが多いわけであります。  例えば、今回の海上における重油流出事故のような例につきましては、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律などが定められておりまして、これにのっとって事前の予防措置とか災害が起きたときの応急措置とか、あるいは責任のある者はだれかというようなことが書いてございまして、それに基づきまして、今回海上保安庁が中心となって応急対策が講じられてきたわけであります。  また、責任のある者が費用負担をするということが出てくるわけでありますけれども、これにつきましては油濁損害賠償保障法等がございまして、船舶所有者から賠償また国際油濁補償基金からは補償がなされるというような体系になっておるわけでございます。  災対法上の取り扱いについてでございますけれども、災対法は昭和三十六年にできた法律でございまして、地方公共団体の方では長い間にわたりまして災対法に基づきまして各種施策を講じてまいってきているところでございます。  国土庁といたしましても、さらに今後、公共団体と密接な連携を保ちながらこの法律の適用の遺憾なきを期したいというふうに考えております。
  39. 山崎力

    ○山崎力君 今御答弁願いましたけれども、昭和三十六年以来、地方公共団体は長い間とおっしゃいましたが、これはあくまでも自然災害に対する経験でございまして、今回のような事故災害についての経験は、地方公共団体には余りそういった意味で大規模なものはなかったのではないかということが私の考え方の中にございます。  今も答弁の中にもありましたけれども、自然災害と事故災害、人為災害が一番違うところは何かといえば、私の理解では損害賠償、損害補償が違ってくるということでございます。自然に対して訴えるわけにはいかないけれども、事故災害、人為災害で原因者が明らかである場合、当然損害賠償という問題が生じるわけですが、その際のいわゆる被害者といいますか、そういった者に対する補償というものは法的にどのような対応になっているか。  法務省の方からでしょうか、お答え願えればと思います。一般論で結構でございます。
  40. 揖斐潔

    説明員(揖斐潔君) 一般的に、事故災害が発生いたしまして、それによって損害をこうむった方がいらっしゃるという場合につきまして、その被害者は、不法行為ということで民法七百九条の規定に基づきまして加害者に対して損害賠償を請求することができるということになっているわけでございます。  この場合の、民法七百九条に基づいて損害賠償を請求するためには、第一には加害者の故意または過失ある行為により、第二に被害者の権利を侵害し、第三に加害行為により損害が発生したということが必要だと言われているところでございます。  被害者としては、これらの要件を主張、立証いたしまして加害者に対して損害賠償を請求するということになるわけでございますけれども、こうした民事上の原則に対して、特別法が定められているという場合にはその特別法の規定に従った処理がされるということになるところでございます。
  41. 山崎力

    ○山崎力君 そこで、今回のナホトカ号のケースに関して言えば、油濁損害賠償保障法及びそれに対する国際基金、それに関する国際条約によって定められた額は二百二十億円以上と言われておりますが、それが支払われるということがほぼめどがついている段階でございます。  そして、その条約によれば、その費用というものは案分されて、被害額の特定というのは技術的に極めて難しいところがございますけれども、被害者に対して支払われるという形になっているというふうに理解しております。  そこで、私が問題と考えておりますのは、どこが若干自然災害と違ってくるかといえば、この制度が今回できるとすれば、国ないし地方公共団体が防災事業に対してのいろいろな活動、例えば油を抜き取るとか道路をつくるとか、そういったものが対策費用として計上されてそれが被害額に算定されるならば、それをやればやるほど実際に被害を受けられた方々、一般の私人あるいは団体も含めて、その方たち被害額が二百二十億円でおさまればいいんですけれども、超えた場合、やればやるほど取り分が少なくなるという特徴が、自然災害の場合と事故災害の場合と違ってくるということだと私は思っております。  案分比例ですから、国がかかった費用、その分かかればかかるほど国の損害額が大きくなる。そうすれば、一般の方たち被害額は案分比によって取り分が少なくなってくる。これが自然災害と事故災害、補償のある場合に違ってくる大きな問題点だろうと私は思っております。  さらに加えて言えば、こうした場合、地方公共団体が災害費用を国に補てんしてくれ、こういうふうなことが言われております。特交で面倒を見るとかいろいろな政策が言われておりますけれども、地方自治体被害額の算定という場合、特交を受けたりあるいは直接受けた場合の被害額というのはどう算定されるのか。考えようによっては、例えばA町というある町が被害を十億円こうむった、その分国から十億円受けた。その場合の被害額、補償制度によって来るお金がどっちなんだと。  国が補償したことによってその額は国が持つのか、国の方の被害額に算定されるのか、そうではなくてA町のもともとになるのか、そういったことも今回のことで問題になろうかと私は思っております。  そういった点で私が考えるのは、できるだけ被害者の方たちの部分を、被害に対しての額を確保する視点からすれば、国あるいはそういった地方自治体も含めてで結構ですが、そういったことの債権というものを国側が一部放棄したり全部放棄したり、あるいは勘案したりすることができるのかどうか。今回のケースというふうに限定した方がいいのか、あるいは一般論で言った方がいいのかはわかりませんが、その辺について、大蔵省だと思いますが、御見解を伺いたいと思います。
  42. 中村明雄

    説明員(中村明雄君) 財政法第八条という規定がございまして、「国の債権の全部若しくは一部を免除し又はその効力を変更するには、法律に基くことを要する。」というふうに規定されております。  したがいまして、国が債権免除を行ったり効力変更等、国にとって不利になるような変更を行う場合には、法律に基づくことを要するということになっております。
  43. 山崎力

    ○山崎力君 これは、ある意味では当然の規定だと思います。  そういうことになりますと、この辺のところまで地方自治体とか一般住民の方に、現時点では理解されていると言えないのではないかという意識を私は持っております。これが自然災害と事故災害の大きな違いだろうというふうに思っております。  ということになりますと、最初に申し上げましたように、この最初の段階で事故災害か自然災害かわからないというようなことになりますと、初動体制を実際にやるべき地方自治体あるいは当事者の方たちが、こういったことを言うのは非常に嫌なことですけれども、緊急時にそれにかかる費用はだれが負担してくれるんだと。そういうふうなことを考えずにやればやるほど、やらなくちゃならぬということは事実なんですけれども、今回のように長期間その対策が必要になってきますと、とても我が町の財政ではこれ以上の負担はできない、どうしたらいいかと。あるいは、払ってくれるところがはっきりしている。今だったらこのくらいのあれでもらえるかもしらぬけれども、これから国がそこのところに大きな被害額に算定されるようなことをすれば、我が町にとっては実入りが少なくなる。しかも、それを国が補てんしてくれるかどうかということも政策上の問題でわからない、こういうふうなことになりかねないと私は危惧するわけでございます。  さらに今回、これは大臣にちょっとお伺いしたいんですが、この点からいきますと、これは大臣が議員であるという立法府の立場からのお答えになろうかと思うんですが、さきの大蔵省からの答弁にもありましたように、立法によらなければこれは減額あるいは放棄できないと。言葉をかえて解釈すれば、立法すればこれは放棄もできるというふうに受け取れるわけでございます。  ということは、災害のときに一般人の被害についてはなるべく平等といいますか、あきらめてもらう、個々の補償については。そのかわり、全体的な対応策を国ないし地方公共団体が対応していく、個人補償はしないというのが今までの政府の基本的な考え方であったと思います。阪神淡路大震災についてもその点の議論がなされ、被害者補償について一部議員立法の動きがあるということは御承知のとおりでございます。  そういった点で、今回の油流出事故について行政府の長としてはなかなか言いづらいことではあろうかと思うし、あるいはむしろ我々の議員立法でこの問題について対処すべきことかもしれませんが、一応両方の立場でおられる長官からこの問題についてのいわゆる国の被害額、そういったものの取り分についてどう考えるか。条約どおり決まった割合はそのまま取るんだというのがいいのか、それともそこはこういう形になっているんだから若干遠慮してもいいのではないかというか、その辺のところの御感想をまずお伺いしたいと思います。
  44. 伊藤公介

    国務大臣伊藤公介君) 事故災害につきましては、さまざまな御指摘をいただいているように事故の原因があるわけでございます。したがって、あくまでも民事で対応するという基本的な立場にございます。加えて、私有財産制度のもとでは、それぞれの責任において処理をするということになろうかと思います。  しかし、今度のこのケースも、当然のことながら船主の責任が問われているわけでありますし、今後損害賠償につきましては国際条約にのっとって処理をすることになるし、それについては民事といいながらなかなか国家間の問題といいますか、国の支援も当然必要だと。  そういう立場から、現在も運輸大臣対策本部長といたしまして、もちろん外務大臣を初め、さまざまな農林漁業に対します直接的な被害もございますので農水大臣など関係の閣僚とも当然連絡をとりながら、私ども国土庁も災害を担当いたします役所として、それぞれの関係各大臣また各役所とも連携をしながら対応していかなければならないと思っております。  特に、自治体がさまざまなこの事故災害に対して既にいろいろな御負担をいただいているわけであります。それに対しては、当座国も特別交付金等でお手伝いをする。しかし、それも当然のことながら今後の損害賠償の対象になるわけでございまして、これは明確になっているところであります。さまざまな事故災害あるいは自然災害等もあるわけでありますが、その時々に適切に国としての支援もしていかなければならない。  民事でありますから、基本的にはそういう立場に立ちますけれども、現実に地方自治体が甚大な被害をこうむる、あるいはそれに対するさまざまな対策に対する費用がかかる。そうしたことに対しては、長期的になるということもありますから、国もそれに対しては適切な対応をしていかなければならないと思いますし、私は、国土庁として関係省庁とも十分連絡をとってやっていきたいと思っております。
  45. 山崎力

    ○山崎力君 基本的なことを言えば、被害を受ける国民、その中には自治体等も含まれると考えてもいいと思うんですが、一面において災害の発生原因が自然であろうと人為的なものであろうと、被害の形態の違いはありますけれども、被害を受ける立場からすればそんなものは関係ないわけで、その災害の様相に適した対応策をとってほしい、あるいはそれに伴う復旧、そういったものをとってほしいというのが一般の偽らざる気持ちだろうと私は思うわけでございます。  今までの対策というものが、我が国に多いいわゆる自然災害に対して一般的にこれまで行われてきた。小さな災害は、小さいと言っては非常にその被害者には申しわけない言い方ですが、今までかなりあったんですけれども、今回のように広範囲でしかも時間的に長い時間を対策に要する人為災害というものは、確かに今まで私が思いつく限りにおいてもない、初めてのケースだろうと私は思っております。そういった意味で、対策費用をどうするんだ、補てんをどうするんだと、今の話にもございました。補てんした場合、債権が移るのか移らないのか、国と地方自治体の間で。そういった問題も、ある意味では明確になっていない部分があるのではないかと思います。  そして、人為災害の場合、何より問題だと私が思うのは、それぞれが特別法で大体においてなされてきている。それは一つ一つの小規模なものであれば、そこの関係の省庁の方々が指揮をとって対応していくという方がむしろ適切であると思いますし、そういった意味で今までのやり方が間違っていたとは決して言えないと思います。  しかしながら、今回のケースを見たときに、これだけ広がったときに、運輸省がすべてのスタートの担当省庁としてやられるということもわかるんですけれども、これからもしかして、これだけ社会が全般的に複雑化してきたときに、思わぬ被害を生じる人為災害、事故災害というものが何が飛び出してくるかわからない。そういったときに、各省庁間を調整して、そして対応策を練るということを言いますと、災害対策基本法にもあるように、責任の所在を明確化するというような形からいうのもなんですが、やはり担当庁である国土庁がそういったものをあらかじめ精査してある程度の、特に特別法における対応策を吟味する仕事が、ならすという意味であるのではないかというふうに私は感じております。  そういった意味で、これからの国土庁の役割というものが新たにつけ加わったというのが今回の事故ではないかと私は思っておるのでございますが、その辺に関する大臣の所見を伺いたいと思います。
  46. 伊藤公介

    国務大臣伊藤公介君) 今度のナホトカ号重油流出事故は、私たちにとりましても今後も極めてあり得るケースだと思います。  これまで私たちがいろいろな事故災害に遭ってまいりましたけれども、今委員御指摘のようにその経験を超える事故を経験しているわけでありますが、今後を考えますと、さまざまなことを将来に向かって対応しなければならないことは事実だと思います。  今、官房長官のもとで関係閣僚会議もこの事故に関して持たれているところでありますので、実は閣議等でも、この事故の損害賠償等の今後の交渉等も含めて将来的な対応をどうするかということを現在政府でも協議しているところでありますから、今後どういうような形でこうした事故災害に対して対応するかということは、関係省庁と十分連絡をとって来るべき問題にも十分対応できる体制を整えなければならないというふうに思っております。
  47. 山崎力

    ○山崎力君 よろしくお願いいたします。  特に、私がこの人為災害で感じるのは、特別法による補償規定がどうなっているのかということと、もう一つ、事故によっては一般の民法原則による損害賠償になるのか、その辺のことはほとんどの方がわからない。ごく一部の関係者しかわからないところで、損害賠償が一義的に事故原因者にあるというのが今回の、今回のといいますか人為災害、事故災害の特徴であるとすれば、その辺のところを国民にわかりやすくどこかが説明しなければならないというふうなことを御検討願いたいと思います。  最後に、大震災の問題について一つだけお伺いしたいと思います。  前の阿部委員からの話で大分やっていますし後の方も出ると思うので、一点だけ国土庁としての考え方をお伺いしたいのですが、これからが要するに仮設に住んでおられるような被災者方々が一般の恒久住宅に移っていく時期に今入っておると思います。民心の安定という意味からいけば、これは極めて円滑に進むということが重要でございますが、その点についての細かい点は、兵庫県なり神戸市なりが一生懸命これからうまくやろうとしていることだろうと思います。  その点は別としまして、国としてこうしたいわゆるハンドリングといいますか細かいソフトの面での手当てを含めた現時点、これからのあと一両年の間の移行に関しての注意点といいますか、そういったことをどういうふうに今の時点でそこを見詰めておられるか、あるいは援助していこうとしているかという点について長官から御所見を伺いまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  48. 伊藤公介

    国務大臣伊藤公介君) 仮設住宅から恒久住宅に移っていただくという仕事が、阪神淡路では当面の最大の問題だと思っております。特に、最近も現地の知事さんとも直接お会いして現地の状況も報告をいただいているわけでありますが、何といっても仮設住宅に現在おられる方々が非常に高齢であるということが、今後の我々が大変配慮していかなければならない重要な課題であろうというふうに思っております。  そこで、既に委員も御案内であろうと思いますけれども、特に高齢者の方また要援護者であるとか、非常に立場の弱い方々に対しましては住宅のいわゆる家賃を大幅に引き下げる、あるいは住宅金融公庫の枠を拡大するとか、あるいはまた一定期間無利子にするとか、そうした住宅に対しますさまざまな対応をしているところでございますし、特に恒久住宅に移りますときに当座のいろいろな費用が必要であります。  そうした立場から、特に生活の基盤が弱い方々に対しましては、昨年の十二月後半に三党プロジェクトチームで御決定をいただきました月額一万五千円から二万五千円を五年間支給するなど、そうしたきめ細かい施策をさせていただいているところでありまして、それに対しても国が当然支援をしてきているわけであります。  ただ、今後公的住宅に移る場合に、先ほどもいろいろ御指摘ございましたけれども、いわゆる高齢者方々が既に仮設住宅でさまざまな友達ができている、新しいコミュニケーションが地域に形成されてきている。したがって、新しい公的住宅に移るときも、できたら新しい友達なんかと一緒に移りたい、そういう御希望もあるようでございまして、やはりそうした温かいきめ細かな配慮も当然必要だと、地元自治体とも十分連携をとって対応してまいりたいと思っております。
  49. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 平成会の戸田邦司でございます。  災害対策関係の基本的な事項について二、三御検討いただき、さらに今回の日本海の油流出事故に関連して、主として国際法上の問題について御見解をお伺いしたいと思います。  まず最初の問題ですが、現在の災害対策基本法は、大臣も御存じのとおり一昨年の秋の臨時国会で一部改正されております。その改正の際に、内閣提出の一部改正案と我々が党内で検討した改正案とが提出されておりました。我々が提出したといいますか衆議院側から提出されていた改正案で、私の隣に座っております市川委員初め、その問題について非常に関心の深かった議員が集まって検討した改正案でありました。  結果を申しますと、政府案を我々サイドで提出した修正案によって一部修正するというようなことになりまして、政府側から提出されていた案はそれまでの災害対策基本法に比べてよりベターであり、また我々の案によって修正されたものがさらにベターになりはしましたが、我々が最終的に意図したことが入らなかったというようなことがございます。  その項目の中に総理大臣の権限がございます。  総理大臣の権限というのは、憲法の中で「行政各部を指揮監督する。」と、第七十二条に総理大臣の職務というところに書いてあります。さらに、これが内閣法になりますと、内閣法の六条で「閣議にかけて決定した方針に基いて、行政各部を指揮監督する。」、こういうような条件がついてまいるというようなことであり、さらに災害対策基本法の中での緊急災害対策本部長の権限、これは本部長は内閣総理大臣になりますが、その中で、本部員また関係の地方公共団体の長を含めた関係者に対して区域を限定し、さらに特に必要と認める限度において必要な指示をすることができる、こういうふうに書いてあります。  私は、この緊急災害対策本部が設置されるような事態というのは相当甚大な災害が起こっているというようなことですから、通常の内閣総理大臣の行政府に対する指揮監督の中でも最も強力な権限を付与すべきではないかと思っておりますが、今後のこの法律の運用をする際にもこういった面が実行上差し支えが出てくる場面も想定されますが、長官はこの辺についていかがお考えでしょうか。
  50. 伊藤公介

    国務大臣伊藤公介君) この災対法は、委員などの御協力もいただいて阪神淡路災害を契機にして改正されたわけでございます。その改正の中ではいろいろな御議論があったことも承知いたしております。  阪神淡路のようなこうした甚大な被害が起きましたときには、総理大臣を本部長として緊急の閣僚会議が当然持たれるわけであります。そうした中で、この災対法の改正の中で指示権が委員などの御協力によって新しく盛り込まれたわけであります。さらに、そのとき御議論になりましたのは、指揮命令権といいますか、そういう権限を総理に与えるべきではないかという御議論があったようでございますが、現実には総理大臣が本部長として各閣僚に直接指示ができるわけでありますし、その閣僚からまたそれぞれの指示が出るわけでありますから、実態として指示権で十分対応ができるのではないかというふうに私自身は判断をしております。  例えば、総理大臣が指示をしたと、しかしその中の閣僚がその指示に従わないというようなことがもし万々一あるとすれば、それは当然のことながら総理大臣大臣をやめさせることもできるわけでありますからそういうことはあり得ないことであろうと思いますし、いずれにしても現在のいわゆる指示権、そういう形で私は十分な対応ができるであろうというふうに判断しております。
  51. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 御見解は御見解としてお伺いしておきますが、我々が検討した中には代理できる権限というのも含んでおります。通常考えますと、霞が関に行けば官僚群がいつでもいるとお考えかもしれませんが、しかし深夜などでこういうような事態に至ったときに、すぐ担当の者を集めることができるかどうかというのは非常に大きな問題だと思います。ですから、そういったことも考えて、これからひとつ御検討いただきたいと思っております。  それから、大災害について、今回の油の事故でも同じことが言えると思いますが、最初に事が起こったときに結果的にどういうような災害が起こるかというシミュレーションが十分なされていない、そういう点があるかと思います。東京でこの間の阪神淡路大震災のような地震が起こったというようなことについては、そういうシミュレーションは既にできているかどうかという点についてお伺いしたいと思います。
  52. 福田秀文

    政府委員福田秀文君) 東京圏でかなり大規模な地震が起きたときにどの程度の被害が生ずるかということについては、昭和六十三年に国土庁で被害想定というものを取りまとめております。そこでは、死者の数とかあるいは建物の倒壊件数とか、あるいは焼失家屋の件数とか、そういうものが記載をされておるわけであります。  そういう被害想定を前提にして、首都圏一帯を襲う地震に対してどう初期対応をしたらいいかというようなことについて活動要領というものを定めまして、それにのっとって各自治体の方と一緒になって対応を進めてきているところでございます。
  53. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 先日の油の事故に関しましては、既に予算委員会などでも相当質問が出ておりました。その中で梶山官房長官がこういうようなことをおっしゃっておられます。「形式的には一応体制は整えたのでありますが、逆に実際面では有効な手段がなかったという現実があります。」、そういうような指摘を官房長官がしておられるというようなことで、この大災害のシミュレーションに基づいて直ちにそういうような体制がとれるということを十分御検討いただきたいと思います。  それから、これは質問というよりはお願いでありますので答弁は要りませんが、アメリカにFEMAという機関があるのは御存じだろうと思いますが、それがそういう緊急時の立ち上がりも含めていろいろな費用を支弁していくために大統領災害救助基金というのを持っております。これが相当有効に使われて一機動性を持って動けるというようなことになっております。今後の問題としてひとつ御検討おきいただきたいと思います。  それから、もう時間もなくなりましたので、最後に一問だけ外務省にお願いしたいと思います。  この間の船は、どうも条約に照らしても規格に合っていないんじゃないかというようなことも言われております。そういった船舶が、排他的経済水域の中を航行して明らかに油濁事故を起こすんじゃないかというような場合に、そういう船に対してどういうような措置をとれるか。また、現在沈んだ後部船体は、領海外ではありますが公海上の排他的経済水域、我が国の排他的経済水域内にあって今後油濁事故を起こすということになっておりますが、これが海洋法条約の中で、我が国の権限に照らしてどういうような措置をとり得るか、この点についてお伺いしたいと思います。
  54. 高橋文明

    説明員(高橋文明君) ただいまの御質問についてお答えいたします。  まず、海洋法条約では、このような場合に関連する規定として第二百二十条というのがございまして、その中でとり得る措置としては、一つは物理的な検査ということと、それから手続ということについて規定しておるわけです。この場合、この規定によりますと、沿岸国が船舶からの汚染の防止等のため、排他的経済水域を航行中の外国船舶に対してこうした物理的検査を実施することができる場合を、海洋汚染をもたらす実質的な排出が生じたと信じるに足る明白な理由があるといった一定の要件が満たされている場合に限定しております。したがいまして、ただ単に国際的な基準に適合していないという疑いがあることだけでは、この船舶に立ち入り臨検を行うといったことはできません。  それから、二番目の質問でございますが、この場合、当該船舶はロシアの船でございますが、ロシアはいまだ海洋法条約の締約国になってございませんので、ナホトカ号からの汚染について、我が国が沿岸国としていかなる措置をとることができるかにつきましては、海洋法条約に照らして判断するということがまだできない状況にございます。
  55. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 終わります。
  56. 谷本巍

    谷本巍君 日本海重油事故と関連いたしまして、初めに、一昨年政府が閣議決定をいたしました油汚染事件への準備及び対応のための国家的な緊急時計画なるものがどのように具体化されていたかということについて伺いたいと存じます。  この国家的緊急時計画は、情報の整備対応体制の整備、通報・連絡体制の整備など、かなり具体的にこれを規定しております。そして、それと同時に、排出油防除訓練の実施について、省庁別にこれまた触れております。  初めに伺いたいのは、海上保安庁については、この文書は事故への迅速な対応と実施のための訓練を行うべしとしておりますが、海上保安庁はどのような訓練を行ってきたか、簡潔にお答えいただきたい。
  57. 武井立一

    説明員(武井立一君) 海上保安庁におきましては、緊急時計画に基づきまして、迅速的確に対応するような防除訓練を実施いたしております。  具体的に申し上げますと、いろいろな事故のケースを想定いたしまして、官民の関係機関と連携した実働訓練を年間百回以上積み重ねてきております。このような訓練によりまして防除活動の練度が向上し、指揮命令系統の徹底が図られているところでございます。  今後とも、このような観点から、現実に戦力となります訓練体制の整備に努めてまいりたいと存じます。
  58. 谷本巍

    谷本巍君 そうしますと、なぜ今度の日本海の重油事故での対応というのがスピーディーにいかなかったのか。どうも私どもの立場から見てみますというと、こうした訓練にしましてもタンカーの多い太平洋側を主たる対象にしてやってきたのではなかろうかという点が案じられる。その点どうだったんでしょうか。
  59. 武井立一

    説明員(武井立一君) お答えいたします、  防除資機材の配備につきましては、その効果の点から、タンカー等の船舶交通がふくそうし、一たん事故が発生いたしました場合に影響が甚大なものとなる海域に重点を置いて整備してきたのは事実でございます。  その結果として、太平洋側と日本海側に差ができてきたということで、外洋における厳しい自然条件下の防除体制については必ずしも十分ではなかったと反省いたしております。
  60. 谷本巍

    谷本巍君 その点をどうするかということについてはこの後お尋ねいたしますが、続きまして伺いたいと思いますのは、この国家的緊急時計画と関係資機材の整備について伺いたいと存じます。  この緊急時計画では、保安庁に対しては、船艇、航空機、通信施設、排出油防除資材・機材の整備、そしてまた港湾管理者、水産庁、環境庁とそれぞれ省庁別に具体的にきめ細かく規定をしております。  保安庁に伺いたいのでありますけれども、緊急時計画は、この防除対策の実施の項の中ではできるだけ海上での回収に努める、こう言っているんですね。それからまた、保安庁がっくりました排出油防除計画の中では、重油が粘りを増す前、二日以内の回収を目指す、こう述べているんですね。  だったとすれば、それに見合うような資機材の整備というのがあってしかるべきであった。ところが、油回収船でいうと一そうしかなかった。それも港湾内用であって、外洋に出るという回収船とはちょっと違っていたというぐあいに私ども伺っております。  緊急時計画の中でここまで言うんだとすれば、油回収船の建造計画があってしかるべきですよ。  でなければ、国際的な貸借関係をどうつくっていくかといったようなものがなければ、どうも机上の作文だったのじゃないかというそしりを免れ得ないと思うのですが、その点どうでしょうか。
  61. 武井立一

    説明員(武井立一君) 緊急時計画策定後の防除資機材の整備状況につきましては、平成八年二月に、外洋において大量の油が流出した場合に迅速かつ広域的な油処理が可能なようなヘリコプターから油処理剤をまく空中散布装置、これを整備いたしますとともに、八年度は、C重油等の高粘度油に対応できます油処理剤の開発をしてまいったところでございます。  しかしながら、荒天下における油の処理というのは大変難しい課題でございまして、本件の事故の重大さにかんがみまして、今後、今回の事故処理を反省し、どこに問題があったのか、これをつまびらかに検証いたしまして、今後、外洋、荒天下における大規模広域的な油汚染にも対応できるような油防除体制につきましてあらゆる角度から検討を加え適切に対処してまいる所存でございます。
  62. 谷本巍

    谷本巍君 その場合、資機材の整備というのは、簡単に短い期間に全部を調えるということはこれは私は難しかろうと思うんですよ。ですから、この緊急時計画で二日以内の回収云々ということまで言うわけですから、だとすれば整備計画というのをきちっとつくって、そしてことしはこことここまでやっていきましょう、それで足りない部分についてはこういうふうな手段でもって補足していきましょうといったような、もっと具体性を持ったその種のものがつくられてしかるべきだと私は思うのですが、その点いかがでしょうか。
  63. 武井立一

    説明員(武井立一君) 排出油防除計画につきましては、先ほども申し上げましたとおり、本件事故の処理のあり方についてあらゆる角度から検討をし、年次的な整備計画につきましても十二分に検討してまいりたいと存じます。
  64. 谷本巍

    谷本巍君 今言われました年次的計画、ここをひとつ重視して具体化していただきたいことをお願いしておきます。  また、この問題と関連しまして、今回の重油事故は、冬の荒れる海にも耐え得る最新技術を導入した資機材の整備、それから人員配置が必要であるということを示してくれたと私は思います。でありますから、体制整備に当たってはその点をきちっと踏まえながら、予算確保も含めてきちっとした対応をしていただきたいということを運輸省にお願いをしておきたいと思います。いかがでしょう。
  65. 武藤浩

    説明員(武藤浩君) ただいま海上保安庁の方からも御答弁ございましたように、関係省庁ですとかあるいは学識経験者を含めて総合的な検討をいたしたいと思っております。その中で、必要な予算措置についてもお願いをしてまいりたいと考えております。
  66. 谷本巍

    谷本巍君 次に、生態系への影響とその被害補償について伺いたいと存じます。  御存じのように、生態系は一たび破壊されますとこれは容易にもとに戻らない。それだけに影響は長期にわたりますし、かつ打撃は大きいと言ってしかるべきだと思います。だが、現行の保険制度等を検討してみますと、被害補償の対象に非常になりにくいという点が多い。  例えば、現行制度でいいますと、生態系への影響の調査というのは数年から十数年かかると言われているのだが、請求権は事故発生後たしか六年以内というようなことに規定されております。さらにはまた、損害賠償ということでありますから、したがって具体的な金額の明示が必要だが、どうも生態系の関係というのはそういった具体的金額の明示が非常に難しいというふうに言われてまいりました。  そこで、伺いたいと思いますのは、これは運輸省でありますけれども、金銭評価ができれば現行制度上賠償の対象になし得るのではないのか。そこのところは運輸省、どう考えておられるか、御見解をいただきたい。
  67. 田村雄一郎

    説明員田村雄一郎君) お答え申し上げます。  現行の油濁損害賠償保障制度につきましては、国際油濁補償基金というところからの補償がなされるような制度になっております。個々の補償につきましては民事上の賠償の問題でございますので、国の立場で、これは該当するこれは該当しない、どういう賠償がなされるというふうなお答えをするような立場にはございませんが、その基金が発行しております請求の手引という、一般的な請求に関する手続とどういうものが対象になるかといったようなものを規定したものでございますけれども、これによりますと、環境損害につきましては、まず貨幣的価値で算定できる経済的損失に限るというのが一つございます。  その場合の損失につきましては、理論的モデルに従って算定された抽象的量を基礎とするものでないことというふうになっております。ちょっとこれは本文が英語でございますので、その訳文でこなれていないところがございますが、そういうふうになっております。汚染された環境を回復するための合理的な措置の費用のみが補償の対象になる、こういうふうになっております。  ただ、一般的にはそういうふうに規定しているわけでございますが、個々の賠償の事例につきまして最終的に決めますのは、示談交渉において、あるいはそれが調わなかった場合には裁判等によって最終的に決着することになるかと認識しております。
  68. 谷本巍

    谷本巍君 そこで、環境庁に伺いたいのでありますけれども、朝日新聞の二月七日の「論壇」の中で、北海道大学の栗山先生が、八九年三月のアラスカ沖で発生したバルディーズ号の原油流出事故の際、生態系被害の評価を行った手法を紹介しております。仮想評価法という手法のようでありますが、この手法によれば、長期にわたらずに金額表示が可能であるということが明白であります。  例えば、こうした提案というのが具体的に出ているわけでありますから、こうした提案も参考にしながら、保険や賠償制度について生態系も被害の対象になるよう検討すべきではないかというふうに考えるのでありますが、いかがでありましょうか。
  69. 柳下正治

    説明員(柳下正治君) お答えを申し上げます。  今回の重油流出事故に伴います被害につきまして、関係閣僚会議の中に設置されましたワーキンググループで関係省庁ともども今被害状況調査を行っております。  環境庁におきましても、その一環といたしまして、先生の御指摘のございます各種の環境要素さらに生態系への影響などについて、水産庁などとも連携をしながら実施をいたしております。この結果につきましては、調査の方法も含めて関係の専門家の方々の御指導を得ながら、しかも関係省庁と総合的な調査研究ができる体制を組んでやってまいりたいと思っております。  先生の御指摘の朝日新聞に掲載された方法でありますが、一つの方法としては大変ユニークなものであると存じておりますが、今後調査の結果を評価するなどの段階におきまして一つの提案として勉強させていただきたいというふうに考えております。
  70. 谷本巍

    谷本巍君 ぜひ、その点お願いをしておきます。  次に、国土庁長官に伺いたいのでありますが、二月四日の閣議だったでしょうか、国土庁の提案で、災害時に不慮の死を遂げたボランティアの方に褒賞を差し上げるということを決定されたのは、大変これは結構なことでありました。それとともに、災害対策やこの緊急時計画の中でも、ボランティアの役割を含めて官民協力の関係についてどうやっていくかということを具体的に示すべきときに来たのではないかというふうに私は思います。  今回の重油事故対策で最も大きな比重を占めましたものの一つは、海岸での重油回収に向けての人海戦術でありました。私は二度ほど現地を歩きましたけれども、これが続くかなということは非常に心配でありました。浜に出ておられる皆さんが口々に言っておりました、もう取っても取っても次から次へ黒い油が押し寄せできますと。肉体的にも相当疲れておりますけれども、もう取っても取っても次々に油が来るというのは、精神的にも耐えられないような状況だからであります。  ところが、これが見事に続いたわけであります。  なぜ続いたのか、そこに私は二つの要因があったろうと思います。  一つは、やっぱり村落共同社会が生きていたと。  つまり、相互扶助的地域社会と地域コミュニティーが町ぐるみ、村ぐるみの体制をつくってくれたということだったと思います。  それからもう一つは、ボランティアの皆さんの活躍であります。私が会った方でいいますと、私は出稼ぎ先から帰ってきました、ボランティアの皆さんが私の村にやってきて日本海を殺すなということで一生懸命やってくれている、これは出稼ぎ先で賃金稼ぎをやっているときじゃないやと思って帰ってきましたということを言っておられる方がおりました。それからまた、兼業で勤めを持っておられる方で、会社を休んで出ておりますということを語っておられた方がおりました。この方もやっぱり、よその皆さんが来てやってくれるのに村の浜を守らなきゃということを言っておられました。  そういう意味では、ボランティアの皆さんの労働的な寄与度も高かったと思いますけれども、現地の体制を支えていくという意味ではもっと大変な底支え的役割をしてくれたというふうに私は受け取りました。こうした状況というのは、阪神淡路大震災の場合にも似たようなことを私どもは経験してまいりました。  最近の状況でいいますと、例えば自治体の一番大きな課題になってきているごみの解決問題、これはやっぱり住民の協力がなきゃ解決することができぬようになってきました。環境問題も同じですね。行政だけで問題解決をしようとしてもこれは無理ですよ。やっぱり、官民協力の関係というのをどうつくっていくかということが私は大事な課題になってきたんじゃないかと思うのです。  まして災害では、官民共同関係というのか、例えば行政とボランティアとの関係をどうしていくか、あるいはまた地域コミュニティーづくりというのを平生からどういうぐあいにしてやっていくかといったような問題の検討等々があってしかるべきだと思いますし、災害対策、それからまたこの緊急時計画の中でもそうした点ができるだけ極力触れられてしかるべきではないかと思うのだが、どうお考えでしょうか。
  71. 伊藤公介

    国務大臣伊藤公介君) 委員御指摘をいただきましたように、ボランティアの方々が果たしていただいている役割は大変大きかったと思います。  そしてまた、阪神淡路大地震のときには百四十万人を超える方々が全国各地域から来てお支えをいただきました。今度のナホトカ号の事故につきましても、二十一万人を超える方々にさまざまな形でお手伝いをいただいた。これは今、私たちのこの国の社会の中でこうしたボランティアというもののいわゆる社会的な評価が非常に高まってきたように思います。  残念なことでございましたけれども、今度のナホトカ号の事故で非常に善意で参加していただいた五人の方々が亡くなられるということがございました。いろいろな御指摘や御意見の中で、かつて私、ちょうど外務委員長でありましたときに、あのカンボジアで中田厚仁君がボランティアで現地で亡くなられたことがございました。こうした方々に、海外におけるこうした国際的なボランティアに対しては褒賞制度が設けられております。  今度のこの国内のいわゆる事故、自然災害、そういうものでもボランティアというものが非常に大きな役割を果たしていただいてきている今日、残念なことではありますけれども、その亡くなられた方々の善意、そういうものに政府としても、命はもう戻ってきませんけれども何か我々の気持ちをあらわすべきではないか、そういうことで新しく褒賞制度を設けることにいたしました。  恐らく、これから私たちは新しい超高齢化社会を迎えて福祉時代、超高齢化社会もそうしたボランティア、そういう方々に支えていただく部分が極めて大きいのではないかというふうなことを考えているわけでございまして、私どももボランティアの存在、役割、そしてまたそれに対する対応ということも十分やっていかなければならないと思っております。  特に、今度の災害で非常に私自身が感じましたのはボランティア保険ですね。こうした災害があったときには、各省庁が現地に徹底してボランティア保険にまず加入をしていただいて、あるいは団体として入っている場合が多いわけですけれども、そうしたことの対応を十分してボランティア活動に参加していただく、そういう対応が非常に大事だということを感じました。  今後とも、十分対応をしていきたいと思っております。
  72. 福田秀文

    政府委員福田秀文君) ちょっと補足をさせていただきます。  災害時におけるボランティア活動につきましては、防災基本計画の中でもうたわれておりますし、また一昨年改正された災害対策基本法の中でもボランティア活動の環境整備に努めていくということがうたわれておるわけであります。  何よりもボランティアと行政との連携、これが非常に大切だというふうに感じておりまして、例えば登録制度の充実を一層図るとか、あるいはボランティアリーダーとかコーディネーター、そういう者の養成に努めるとか、あるいはボランティアが活動する拠点、そういうものの提供に努めるということについて努力をしているようなところでございます。
  73. 谷本巍

    谷本巍君 ありがとうございました。終わります。
  74. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 きょうは、阪神淡路大震災の問題と重油流出事故の二点について質問します。  まず、阪神淡路大震災復興問題です。  阪神淡路大震災被災した住宅の再建に対する公的保障制度の創設を目指して、自然災害に対する国民的保障制度を求める国民会議がつくられ、この国民会議が昨年から集めていた賛同署名が約二千四百万人に達したということです、署名団体で四万二千九百九十八団体。そして、これは二十日に官房長官あてと内閣総理大臣あてに提出されました。国土庁長官もごらんになったと思うんですね。「地震災害等に対する国民的保障制度を検討する審議会の設置に関する要請」ということで出されております。  この署名の人数からいえば、国民五人に一人が署名したということになるのであります。大変なこれは署名運動です。かつてこれだけの署名が集まったことがあるのかということを思います。また、この自然災害保障制度を求める都道府県議会の意見書決議も二月県議会で四十三都道府県になる見通したと、こうも言われております。これだけの人たちが自然災害に対する国民的保障制度を新しくつくるべきだと言って求めているんですね。これをどう政府が受けとめるかということであります。  そしてまた、なぜこのような署名が集まったのか。それは過去の自然災害に対しては義援金でほぼ賄えていたという状態に対して、この阪神淡路大震災のような都市型の大地震、しかもそれが高齢社会の中における高齢者を直撃した震災、そういう特徴的なことを目の当たりに国民が見ました。そして、地震などの自然大災害に対する保障制度が我が国にないという方がおかしいんではないかということに気づいたんだと思います。  政府は、公的な発言として、私有財産には公的保障はないということを繰り返しておっしゃる。  それは原則としてわかるけれども、しかしそれでは一体、この大災害の中で災害難民、被災者難民が神戸でも阪神間でもできるんではないかと私は見ております。そういうものを黙って見ておいていいのか、国としての責務というものを果たせるのかというふうに多くの国民が思ったからこそ、これだけの署名が集まったんだと私は思っております。  ボールは政府に投げられたのであります。二千四百万人の国民が署名を政府に投げつけたんですね。これに政府が今度はどうこたえるのかということになったのであります。国土庁長官のお考えをお聞かせいただきたいのであります。  そして、これは中身をいろいろと求めております。住宅再建のための国家保障制度を創設してくれ、対象は住宅とそれから家財だと。給付財源は国と地方公共団体及び国民によって公平で納得できるシステムということも言っておりますから、国民も負担しようと言っているんです。どういう形で負担するのか、これは税制ということも念頭にあるようであります。そして、この創設される制度については、直接間接を問わず阪神淡路大震災被災者にも適用してやってくれと、こういうことを検討する審議会をつくってくれと、こう言っているんでありますね。  私は、政府にはこれを拒否する理由はないと思います。国土庁長官が先頭に立ってこの審議会をつくって国民的な要望について早急に審議をして結論を出す、こういう状態にあるんではないかと思うんですが、長官の決意をお伺いしたいと思います。
  75. 伊藤公介

    国務大臣伊藤公介君) 地元にも非常に明るい、またこの阪神淡路復旧復興については格別の御協力と御関心をお持ちの委員でありますから、私はこの機会に率直に申し上げたいと思います。つまり、この議論を極めて現実的なものにしたいと。  私は、国土庁長官になりましてから、この問題に一番自分自身が関心を寄せてきた問題であります。つまり、今度の多くの署名は、御指摘をいただきましたように、当然多くの皆さんが御関心を持っていただいていることだと思います。そして、そのことは大変ありがたいと思っております。  しかし問題は、余り役所的な答弁をしたくないのですけれども、あの署名が例えば目的税として、例えば消費税のような形になるわけですが、皆さんも一%負担をしていただけますかと、そして新しい恒久的な共済制度なり制度をつくることにあなたは賛成か、そういう署名をもししたとしたら、私はかなりその内容が違うのではないか。  いずれにしても、新しい制度をつくって、こうした甚大な災害に対してどこかでだれかがそのコストを負担していくということになるわけであります。それは国や地方自治体がどういう形で負担をするか、あるいは一人一人がコストを負担していただくかという選択になると思うんですけれども。  世界の国々がこういう制度を実際持っているかということも私なりにいろいろな調査をいたしました。また、事務当局にも調査をさせました。世界どこにもありません。世界どこにもないから日本はなくていいとは私も思いません。もしできることなら、特に災害の多い日本ですから、やってくる災害に対して恒久の備えの制度というものがそれはあってもいい。しかし、それはどういう形でその基金を確保するかということを考えなければなりません。  この署名の中で、審議会を持てというお話もあります。私は基本的に、国会のきょうのようなこの委員会は全国の国民の皆さんを代表している文字どおり国会議員の皆さんですから、私は私たちの責任において物事を決めるというのが一番いいやり方だと思います。すぐ審議会だとか何会だといって問題をそうした形にするというのではなくて、私は国会で議論をして国会で決めることがいいと。  そういう意味で、私は議論を明確にさせていただきたいということで、大事な問題ですからあえて申し上げるわけでありますが、さまざまな意見があります。その中で大別をすると、いわゆる基金制度か共済制度かということになると思います。つまり、一人一人が目的税のような形でそういう基金をつくるか、あるいは静岡県の知事さんなんかが提案をされているように、全国の都道府県がある一定の基金を積み立てする、それに対して国もそれを支えるという形で、都道府県と国が新しい基金制度をつくるということであれば、これは議会が決めればできることです。  そういういろいろな提案があるところでありますから、私は、特に御関心の強い委員にはぜひこれからも積極的に御発言をいただきたいと思うし、私も国土庁の長官として特にこの問題は関心が強いところでありますから、実は総理の諮問機関であります防災問題懇談会で地方公共団体が基金のようなものを考えるべきだという結論を出されて、それを受けて今全国知事会でこの問題を協議していただいています。  したがって、つい先日、全国知事会の土屋知事さんと兵庫県と静岡県の知事にも直接おいでをいただいて、この問題を知事会としてできるだけ速やかに結論を出してもらいたいということを私の方からもお願いをしたところでございます。
  76. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 今、国土庁長官のおっしゃったようなことを議論する審議会を設置してくれということが要請であって、今おっしゃったことはこの間もテレビで、それなら国民が消費税と同じに一%の値上げに賛成してくれるだろうかとあなたがおっしゃっているのを見ました。そういうことを議論する審議会をつくってくれと言っているんだから素直に政府として審議会をつくって、今あなたのおっしゃるようなことをどんどん議論していただいて、今度は国民の側にボールを投げ返されたらいいんじゃないですか。  審議会なんかつくらず国会でやったらいいとおっしゃいますが、そうしたら今幾つの審議会があるんですか。数え切れないほどの審議会があって、何々審議会、何々審議会と。それで私たちが質問すると、いや待ってください、審議会での御意見が出てからまたお答えしますといって都合の悪いことは全部審議会に任せて。今のような問題についての答弁は、私はわかりましたとはちょっと言えません。  当然長官のような御意見もあってもいいわけですから、審議会をつくるということについて抵抗なさることは私は何もないんじゃないかと思うんですよ。だから、どうか国民から投げかけられた審議会をつくってくれ、そして一遍議論してくれと。結論は、それは長官のおっしゃるようになるかもしれませんよ。ああそうかといって答えが出るかもしれぬ、私有財産のこの問題を一体どうすればいいのかという。今度は、政府は審議会がまとめた結論を国民にボールを投げ返したら、国民の方がまたボールを投げ返してくるかもしれませんよ。それならこうしたらどうだと。そこで、国民的な合意が形成されていくんじゃないんですか、この自然大災害に対して。  そのことは、国が決めたから、どこどこの党がある法案を提出したからという別のレベルですね。いつ直接自分たちが自然大災害の中で被害者になるかもしれない。そのときに、お互い国民としてどうすればいいのかという国民的論議がここに起こっているということは、これは国土庁として結構なことだと前向きに受けとめなければいけないんじゃないかと私は思うんです。  だから、審議会をぜひともつくるということについて国土庁は前向きに受けとめて、これから閣議の中で行動していただきたいと思うんですが、二十分に私は終わらなきゃいかぬので、あとたくさん質問したいことがあるので、一言イエスかノーか的に国土庁の方の答弁をいただきたい。
  77. 伊藤公介

    国務大臣伊藤公介君) 私は、必ずしも反対をするものではありませんが、数多くの審議会があるということについて個人的な立場で言えば、何もかも審議会にするというやり方は私自身は必ずしもとるものではありません。  これは議員立法もできることでありますから、先生方がむしろ議員立法として提案することは幾らでもできることでありますし、私が申し上げたのは、既にこの問題については非常に高い関心を持って、実は総理の直属の諮問機関で専門家の方たちが集まって、そして、こうした災害に対する対応は地方自治体というものが一番きめ細かくできる、だから地方公共団体でまずその結論を出すべきだということになっておりますので、私は知事会の推移というものにぜひ関心を持ってまいりたい。また、そのことをむしろ私の方も促進をするということで今働きかけをさせていただいております。
  78. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 私、予算委員会にも参加しておりますので、改めてこの問題は予算委員会で続いて議論させていただきます。  また、私は今、民主党・新緑風会という会派におりますが、民主党の方が長官が今おっしゃいました議員立法の提出を予定しているようでございますから、それに基づいた議論はその場でさせていただきます。  最後に、ぜひ審議会を設置するという国民の投げたボールをしっかり政府が受けとめて対応していただきたいということを再度強く申し上げておきます。  次に、油の流出の問題なんです。  実は、山陰沿岸・若狭湾海域排出油防除計画というのを海上保安庁で一年前につくられていて、そして山陰沿岸、若狭湾にもし油が流出したらどうするかというマニュアルがここにあるわけで、ずっと読ませていただきました。このとおりいっておれば何も問題はなかったんですが、このとおりいかない。そこが困ったことなんです。  そこで、私はこれを見て最大の弱点だと思ったのは、油が海岸に漂着して海岸が汚染をされるという事態を想定していないということです。海岸に打ち寄せて汚染されるまでに全部油を防除するんだという想定に立っておるんです。しかし、こういう甘い想定のもとで国民が皆さんに安全を任せるわけにいきませんね。自然の力というものは我々の想像を超えた形で襲ってくるんですよ。最悪の場合どこが一番被害を受けるのかということですよ。それは海岸でしょう、最終的には。だから、さっきもボランティアの話が出ているけれども、一番みんながえらい目に遭っているのは海岸に漂着した油をどう除去するかということで、文字どおり油まみれになっておるんですよ。  私も、兵庫県の但馬の海岸に行って油を取ってきました、ボランティアの皆さんと一緒に。これは大変なことですよ。だけれども、そのことについてここにほとんど記載していない。さっきも話しておったんですが、日本の軍隊は戦争へ行ったら必ず勝つというのと同じことで、こんなことではこれはどうしようもないね。  今このことを言っても今のことに間に合いませんから、やっぱり海上保安庁なり皆さん方が何かのマニュアルをつくるときには、最悪の事態で一番最後ほどこが被害を受けるのかということを想定してその対策というものを打ち立てるべきだということを私は苦言を申しておきますし、このマニュアルをつくった海上保安庁なりはやっぱり責任をとるべきだと思いますよ。こういう甘い想定問答みたいなことをやって、それでここには山陰海岸、若狭湾海域に油が出たらこのようにきちっとやります。同じところで起こったけれどもうまくいかなかったわけですね。何も太平洋の問題を想定して日本海を想定していなかったということじゃないんです。想定したんです、あなた方は。にもかかわらずできなかったと。これはだれも責任をとらずに、そして今の沿岸の各都道府県が油まみれになって大変な事態になっていることを私は見逃すわけにはいかぬ。このことを強く言っておきます。  そこで、私が油を取ったところは山陰海岸国立公園というところなんです。国立公園なんです。  私は思ったんです。国立公園が汚れたんですよ、油まみれになったんだ。わかりますか。この間テレビで見たら、アラスカのあの重油の後、あれは一九八九年ですか、間もなく十年になろうとしているんですが、そこで実際ずっと砂浜を掘ったら油がわあっとわいてくるんですよ、油が。今でもまだこの砂の下に油がありますと、こういうことなんです。私もこの間石をのけて油を取ってきた。  のけてものけても下に油があるんですよ。それで、先生御苦労さん、しかし波がまたわあっと荒れて寄せてきたらあなたの取ったところにまた油が来るんですよと。こういう事態に国立公園をしてしまった。その責任はだれや、責任者出てこいという話になってくる。  国立公園をここまで汚してこれをどうしてきれいにするんですか。環境庁だと私は思いますよ。  国立公園の所管庁は環境庁だ。環境庁はどうするといったら、水鳥をどうこうと書いてある。これは大事だ、水鳥もちゃんとしてあげなきゃいかぬ。  だけれども、沿岸が全部国立公園なり国定公園なり自然公園のところなんだということを考えた場合に、私は、環境庁こそがこういう問題に対して一番先頭に立って立ち上がらなきゃいかぬ省庁ではないかと思うんだが、余りにも環境庁の対応が弱いんです。  環境庁の職員が皆行って、私たちの管理する国立公園が汚れたから、私たちの力で油を取り除くんだと言って環境庁の職員が全部行って陣頭指揮でやったらどうですか、土曜、日曜であなたたちの管理しているこの大事な大事な国立公園、石ころ一つでも余分に持って帰ったらいかぬのでしょう、あそこは。私は、そういうものが環境庁にはないと思う。どうするんですか、環境庁。  それで、法律の中で見たら、ここには掃除したら掃除したことに対する補助を国が出すと書いてあるじゃないですか。掃除しておるんですよ、ボランティアは皆、汚れたものを。  私は、もっと細かく質問しようと思ったんですよ。ところが、伊藤大臣から丁重な御答弁をいただいたおかげで、だから私も一気にまくし立てるんですよ、しょうがないから。どうします、環境庁。  そして、いわゆる自然公園というものを所轄する、管理するという環境庁の立場から国の責務をどう果たすのか。そしてまた、それにかかった費用、国立公園を管理する、そこが汚れたら美しくするということの中から費用負担はするというようなことが法律の中にもあるじゃないですか。  そういう立場から、環境庁がもう少し前面に出てやるべきではないかという意見を持つんですが、いかがですか。
  79. 下均

    説明員(下均君) まず、油汚染に対します環境庁といいますか国立公園の立場で私どもの対応を御説明させていただきたいと思いますけれども、先生御指摘ございましたように、今回の油汚染によりまして国立公園と国定公園でございますが、二つの国立公園と四つの国定公園に重油の漂着が確認されておるところでございます。  環境庁では、初期の段階から関係府県に対しまして、国立公園や国定公園の保全の観点から、海中公園地区だとかあるいは国立公園の利用上重要な海岸につきましては、海岸管理者とも調整の上、重油の除去等可能な対策を講じるようお願いをしてまいったところでございます。  また、ボランティアで環境庁の職員が参加しろというお話もございました。当庁自身といたしましても、海中公園の近くでございまして、また以前から海の自然観察会等で非常によく使わせていただいておりました海岸でございます山陰海岸国立公園の竹野というところがございますが、竹野の海岸におきまして、私どもが日ごろお願いしておりますパークボランティアの皆様方を初めとする大勢の方々の御協力をいただきまして、もちろん私ども自身の現場の職員も参加いたしましたけれども、除去作業を行いましておおむね作業が完了しておるところでございます。延べの人員にいたしまして、二千六百人余りの人に御参加いただいたところでございます。  これらの重油の漂着が自然環境に及ぼす影響につきましては、今その実態の調査に努めておるところでございまして、環境庁としましては、その調査結果と、また関係府県からの要望を踏まえながら、今後貴重な自然環境の修復等に適切に対応してまいりたいと思っておるところでございます。  また、お尋ねのございました清掃活動の補助金でございますけれども、実は四分の一の補助金で間接補助をいたしております小さな補助金なんでございますけれども、この補助金の趣旨といいますのは、国立公園の主要な利用地域におきまして公園の利用者、不特定多数の方がもたらすごみに対しまして、その清掃の活動を補助の対象としておるものでございます。したがいまして、今回の場合のように公園利用者に起因しない重油の除去そのものに対しまして、それを補助の対象とするというのは少しなじみにくいのではないかなというふうに考えておるところでございます。  ただ、現実の問題として今後、海岸の清掃活動等もこの事業でやっておるわけでございますけれども、その中で海岸のごみ等と一緒に重油が集められるとか、そういったことは当然考えられるところではないかというふうに考えておるところでございます。  なお、私どもの管理といいますのは自然公園法に基づきます管理でございまして、国立公園の中の土地そのものを環境庁自身が管理しておるということではございませんので、その辺よろしくお願いいたしたいと存じます。  以上です。
  80. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 お客さんが来て汚して、それを掃除するのには補助金を出す。しかし、油が原因で汚れたけれどもそれはできないという、そういう硬直的なあれじゃなしに、もう少し弾力的に考えられぬの。  それと同じことが阪神淡路で起こったんですよ。全壊したけれども倒れていない家を倒さなきゃいかぬ。そうでないと危ない、つぶさないと。  お金をだれが持つのかという大議論になったんです。先ほど言ったように、それは個人の家だから個人が持ったらいいと言うので私は怒ったんです、ちょっと待てと。あれだけの家がつぶれかかっているのに、皆個人で百万、二百万の金を持たして、いっになったらきれいになるんですと言ってやったとき、最後に知恵が出てきたんです。  瓦れきにしましょうということになったんです。  瓦れきだったら厚生省はごみ処理できますと。あなたと同じ発想や。ということで、つぶしてごみにして運ぶからこれは国が持ちますと、こうきたんです。僕は、まあ何でもいいと、国がやってくれるのだったらいいと。だから、みんなつぶしてしまったんですよ。本来、補修できるようなところでもつぶしたんです。何でか、ごみにしたら国が責任を持ってくれる。それは何かというと、ごみになれば厚生省はそれを捨てられるからと、こうきた。その考え方も私は納得できぬけれども、しかしまあそれは早く瓦れき処理ということで、破損した家を、ビルも含めて全部きれいにして建て直すために必要だということでやったと。  結局、僕はこれも同じことだと思うんですよ。  お客さんが来て汚すとあれだと、しかし油だったらお客さんじゃないんだから、わあっと求めざる客が来て、それで勝手に汚してしまったんですよ。  それをもとに戻すということは、内容的にはお客さんが来て汚したということよりももっと深刻な問題でしょう。今言ったように二十年、三十年、下を掘ったら油が出てくるかもしれないという、長期にわたる補修というのか保全というのかが必要なことなんですよ。  だから、それに対して環境庁は、自分たちの持っている法律なり規則なり、いろんなものを駆使して何とか対応できないかと努力する姿こそあなた方の本来の姿じゃないですか。今のような通り一遍の答弁で済むような事態じゃないというんですよ。だから、一遍行って皆やってきなさいというんですよ。僕もやってみて何を思ったか。ああ、ここは国立公園じゃないかと思ったんですよ。  どうですか、そこの今言った、利用客が捨てたごみというのと、油が漂着してそこを汚染するのと。兵庫県でも一万七千人のボランティアが入ってやったということに対するさまざまな、もうそこには手袋から作業衣から何から、たき火もたいているし、あそこに書いてあるようなあらゆる費目に相当することが起こっていますよ。検討していただけますか。
  81. 下均

    説明員(下均君) いずれにいたしましても、先ほどお答えいたしましたように、現在環境庁では汚染の実態調査でございますとか、あるいは公園の施設に対する被害状況等を調査しておるところでございますので、その調査結果を踏まえると同時に、今後関係府県からいろんな要望が出てまいると思いますので、そういった要望を踏まえながら対処してまいりたいと思っております。
  82. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 もう一点だけ。  要望というのは、今僕の言ったことを内部で一遍検討してくれるんですか。あなた方は、こんなことは初めから念頭になかったんでしょう、僕が提起したんだからね。一度それを検討してくれますか。
  83. 下均

    説明員(下均君) 私どもも、今回の特別な事態の発生がございましたので、可能な限り弾力的に対応したいと思っておるところでございますので、今回の先生の御趣旨を踏まえまして検討させていただきたいと存じます。
  84. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 終わります。
  85. 山下芳生

    ○山下芳生君 先ほど大臣から生活再建、住宅再建について委員会の場で大いに議論しょうという提起がありました。大事なことだと思います。  そこで、被災者に対して政府が言い続けてきた、日本は私有財産制の国だから個人の生活再建は個人の責任だという論理について大臣の認識を問いたいと思います。  よく知られていることですが、一九九四年のロサンゼルス・ノースリッジ地震では連邦危機管理庁、FEMAが被災者に対し最高一万二千二百ドルの補助金を支給しました。州の補完プログラムと合わせますと、最高二万二千二百ドルが個人に支給されております。    〔委員長退席、理事佐藤静雄君着席〕  アメリカは紛れもなく私有財産制の国であります。ですから、私有財産制の国であっても被災者個人の生活再建に対して政府が資金を給付している国があると、まずこの事実を大臣お認めになりますね。
  86. 伊藤公介

    国務大臣伊藤公介君) アメリカのカリフォルニア・ノースリッジの地震では、大統領の決断によって今お話のありましたような支援策をやってきたことは承知をしております。  しかし、それはアメリカはアメリカとしての、これは当座の生活、私の判断でいえば生活支援、立ち上がりのための援助ということであろうと思っております。そういう観点からいえば、私たちも、委員も十分御存じのとおり、政府としてこれまでさまざまな対応をしてきたわけでありまして、生活支援という立場では恐らく公的住宅等々すべてのものを含めますと、アメリカの大統領が対応した以上の、私は日本対応をしてきているのではないかと。もちろん、これで十分ということはありません。    〔理事佐藤静雄君退席、委員長着席〕  今後公的住宅に移っていく、そうした皆さんの家庭の中にはさまざまなきめ細かい施策が、今後必要だというふうに私は認識しておりますけれども、これまでは地元自治体と国もできるだけの支援をしてきたという判断に立っております。
  87. 山下芳生

    ○山下芳生君 FEMAの対応の根拠法であります。アメリカの災害救助法の第五千百七十八条にはこう書いてあります。「大統領は、不運にも大災害に遭った個人又は家族に対し、」「災害関係の必要支出又は深刻な需要を満たし得ない場合、当該支出又は当該需要を満たすための補助を与える目的をもって、州に対し補助を行なうものとする。」と。  つまり、被災者にただ自助努力を説くのではなくて、必要支出を満たし得ない場合それを満たすために政府が補助をするということであります。  そうしてこそ自助努力の意欲もわいてくる。そして、地域社会復興の早道になるということをよく知っているからだというふうに思います。私は、ここが我が国の対応と決定的に違うところの一つではないかというふうに思うんです。  先ほど大臣から、我が国としてもいろいろやってきたと。私も知っております、家賃補助それから高齢者要介護世帯に対する支援金の給付。しかし、これらは当たり前のことではありますけれども、これを実施するまでにも一年半ないし二年間時間が要されたと。ようやく、被災地の強い世論や運動に押される形で決定されて、実施はこれからということになっております。しかも、実施されたとしても、それでカバーされる被災者というのはやはりまだごくわずかであります。ですから、FEMAの迅速な対応という点からいって、これはやはり大きな開きがあるのではないかというふうに思うわけです。  私は、その点で、じゃそういうアメリカのような法律が日本になかったのかというとそうではなかったと。我が国にも、生活再建の資金を個人に給付することを定めた法律があります。災害救助法二十三条一項七号に、生業に必要な資金の給与という規定があります。この給与規定が現在も有効であるということは、さきの衆議院予算委員会で内閣法制局長官が、厚生省通達が生業資金の給与を制度として排除しているということにはならないと答弁したことでも明らかでありますし、そして厚生大臣も「真剣に検討する」、「精査する」と答弁されました。  厚生省にお伺いしますけれども、この法律に基づく生業資金の給付の実施、どうなっていますか。
  88. 西沢英雄

    説明員(西沢英雄君) 災害救助法は昭和二十二年に制定された法律でございまして、大規模災害の初期におきまして避難所の設置、食糧の提供等の応急的な救助を行うことを目的とした法律でございます。  その一つとして、生業資金の給与または貸与の規定があるわけでございます。生業資金の給与と申しますのは、それによって事業を再開、継続いたしましてその世帯の自立を図るということを目的とした事業でございまして、事業が成功して自立した後にはお返しいただく貸付制度になじむんではないかということから、被災時におきますもろもろの公的貸付資金が充実されてまいりまして、そうしたことからこの給与は行ってこなかったところでございます。  ただ一弔慰金の支給法によります災害援護資金の貸し付けというのがございまして、今最高三百五十万円までの貸与を行っておりまして、今回も六万人近い方が御利用をいただいております。  そうした形で生業関係につきましては、災害救助以外のもろもろの制度によりまして必要な支援策が講じられておるというふうな認識でございます。
  89. 山下芳生

    ○山下芳生君 それでは利用できない人がたくさんいるということで議論があり、検討するということだったんですけれども、今の答弁はこの間の答弁と全く同じですね。  そのときに一つ、貸し付けがあるということと同時に生活保護法もあるということが言われましたけれども、私はそれを理由にしてはならないというふうに思うんですね。  ここに一九五〇年に書かれた「災害救助法をめぐる若干の問題」という論文を持ってまいりました。厚生省社会局の事務官の高木さんという方が書かれた論文ですけれども、「災害救助法も生れ出て満三年、この間幾多の災害を通じ実際に運用されて来てみると、いろいろの欠点が目について来る。その中でも特に痛感せられているのは更生面の稀薄ということである。」、「災害のため窮乏に陥った世帯をその儘生活保護法に引き渡してしまうのではなく、この法律でその再起更生を援助して行くようにしたいものだと思う。」と、こう書いてあります。  ですから、生活保護法がありますよというんじゃなくて、再起更生をこの法律でできるようにしていくのがやはり法の精神だと、このことはぜひ御承知おきいただきたいと思います。  次に私は、そういう形で法律がありながら個人の生活再建への支援を怠ってきた政府の責任は重いと思うんです。  資料を配付していただけますでしょうか。    〔資料配付
  90. 山下芳生

    ○山下芳生君 御承知のとおり、雲仙や奥尻の災害では、義援金やあるいは公的資金による住宅再建資金の援助が約一千万円程度なされました。それに対して、阪神淡路では数十万円程度しかなされていません。そこで、雲仙、奥尻災害阪神淡路大震災被災地域の住宅の再建率を比較してみました。それがその資料でありますけれども、非常にはっきりしております。  阪神淡路大震災では、持ち家世帯の被災者住宅が今どう再建されているかということのこれはアンケートによる推計ですが、再建した方あるいは今後再建する見通しがある方、合わせて六五・七%です。雲仙の場合は合わせて八五・七%、見通しありがかなり多いことになっておりますが、雲仙の場合は、現在警戒区域といいますか砂防工事をするためにもとのところに住めない方もおいでのようで、移転先の用地を今整備されているそうです。ですから、その用地が整備されればそこに新たに住宅を再建する見通しをお持ちの方がこれだけ、合わせて八五%になっているということです。北海道奥尻の場合も、再建したという方が既に八六・六%。この雲仙と奥尻は少し数字が、この中に持ち家世帯ではない借家の方も含まざるを得ませんでした、ちょっと精査できなかったんですけれども。ですから、持ち家被災世帯のみで見れば再建率はさらに上がる。ほぼ一〇〇%ではないかというふうに私は思います。  そうしますと、阪神淡路とそれから雲仙や奥尻の住宅再建については、時間的経過の違いもありますが、しかし二割から三割、二〇%三〇%の格差が生じている。このままではこの格差が埋まる見通しは本当にあるのかと私は心配するわけです。素直に考えれば、この格差はやはり個人の生活再建に対する支援の差が大きく影響していることは否定できないんじゃないかと私は思いますけれども、大臣いかがですか。
  91. 生田長人

    政府委員(生田長人君) お答え申し上げます。  まず、私どもとしましては、これまでに先生承知のとおり、住宅再建、特に少なくとも自力による住宅再建ができそうな方々に対しましては、奥尻あるいは島原の場合よりもはるかに手厚い措置をしてまいっております。復興基金を使いまして一定期間無利子にするなど、大変きめ細かい措置をしてきたというふうに自負しております。  特に、私どもとしましては、昨年の十二月までの純粋の民間の住宅の再建の統計をとっております。兵庫県からもいろいろ聞いておりますけれども、兵庫県でつくっております住宅復興三カ年計画、この中で予定されておりました民間住宅のうちで、再建戸数を上回っております五万八千戸に近い住宅が既に完成しております。  したがいまして、私どもはこのアンケートにつきましても今初めて拝見させていただいたわけでございますが、読売新聞の調査等をかつて私どもが見たときには、これはまだ二年しかたっていないということもございますけれども、その中で無回答の方の比率がかなり多うございまして、実際に持ち家の方で見通しがなしというのはやはり十数%だったというふうに記憶しております。  ある意味では、長崎あるいは奥尻の場合に公営住宅に入られている方々が一四%、一一%になっておりますので、私どもとしては、民間の住宅につきましては、現在土地区画整理事業なんかを実施しておりまして規制がされておって建築できない、こういう方々がいらっしゃいますけれども、おおむね比較的この時点においては順調に進んでいるのではないかというふうに認識しております。
  92. 山下芳生

    ○山下芳生君 これは実際、個々の持ち家の被災者についてアンケートした数字ですから間違っているはずがないんですね。ですから、これはもつと謙虚に受けとめていただく必要があるというふうに思います。やっぱり格差があるんですよ。  無回答の方も、読売新聞の調査では、もうあきらめたとか、そういう方があったということも報道されております。私は、見通しがある、再建したという人はやはりこの程度にとどまっているということを直視する必要があるというふうに思います。  私は、ここにあらわれている数字だけの格差にとどまらないというのが実態だということもやはり見ないとだめだと思うんです。再建した方も、多くの方はダブルローンなど新たに莫大な借金を抱えているんですね。ですから、本当に大変な状況になっている。それが地域の商店街などでは、住宅も建たないし、建ってもお客さんの財布の口がかたいということで、店は開いたものの営業ので苦しいと。資金を借りたのが、返済する期間が迫ってきて大変だということになっている。ですから、ここに政府がやはり直接支援をするということは、単に個人の私有財産への支援ということではなしに、生活基盤の回復であり地域経済の復の促進剤になる、公益に合致するということも私は言えるんじゃないかと思うんです。  時間もありませんので、最後に私はぜひ大臣に御意見を聞きたいことがあります。  これまで災害関連法規がいかにしてつくられてきたのか、その歴史を少し勉強してみますと、やはり大災害のたびに新しい法律がつくられている。  きょう御紹介したいのは、災害弔慰金法という法律があります。一九七三年に成立をいたしました。この法律の成立に尽力されたのは、自民党の参議院議員であり衆議院議員であった佐藤隆さんです。  この佐藤さんは、一九六七年の羽越水害で御自分のお父さん、お母さん、それから長男と三男の肉親四人を失われました。その痛切な体験をもとにそれから御活躍されるわけですけれども、その佐藤さんが記した本に「自然災害に対する個人救済制度」という本がありまして、そのときの思いを書かれています。「自然災害によるこの不幸。いったいこれは誰の責任なのか。この怒り、この悲しみを誰にぶっつけたらよいのか。ただ、天をうらむより仕方がないのか。私は混乱の頭で考えた。だがその答はただ一つであった。天にツバしてみても始まらない。結局は政治の責任だ。政治によって、生きている人間同志が解決しなければならないのだ、と。」。  この方は、その後六年間、議会にも出られて努力されて、とうとう災害弔慰金法を五党一致の議員立法で成立させたというふうに聞きました。  私は、大臣に、先輩議員になると思いますけれども、こういう業績を災害担当大臣としてどう評価されるのか、ぜひ御感想を伺いたいと思います。
  93. 伊藤公介

    国務大臣伊藤公介君) 佐藤先輩がちょうど現職の農林大臣でありましたとき、私も同じ政策集団で、私の地元にも実は応援に来ていただいた大先輩であります。先輩からも、かけがえのない肉親を失った悲しみの中からこの災害に対する法律に取り組んだというお話を私自身は直接伺った後輩の一人でありまして、そうした先輩の肉親の命をかけた災害に対する思いというのは、私ども後輩としてもしっかり受けとめていかなければならないと思っております。  そうした立場に立って、法律は法律例えば今度の阪神淡路災害に遭って、再び自分の力で家をつくろう、あるいはお金を借りて再建しょうという方々が、じゃ担保はあるのかあるいは保証人はどうか、そう言われて保証人になかなか今は兄弟でもなってくれない、あるいは担保するものは全くない。そういうような立場の方々にも、私たちはこの災害ということを含めてできるだけ温かい対応をすべきだということを地元自治体とも話し合いをしているところでございまして、先輩の遺志というものをしっかり受けとめて、法律は法律として、新しい時代に対応してつくったりつくりかえたりしていかなければなりませんし、現実にある法の適用についても温かい配慮が必要だと考えております。
  94. 山下芳生

    ○山下芳生君 先輩の遺志を受け継ぐというお言葉がありました。佐藤さんは、「人類が安全で明るい健康的な生活をすることこそ、この世に生を受けた者の最低保障であるとしたならば、もはや、自然災害対策は、政策以前の政策でなければなるまい。つまり、つきつめると個人災害と国家の責任は厄介な問題点に遭遇しようが、だからといってこのまま放置しておいてよいことにはならない。」ともお述べになっています。  今、生活再建に対する公的支援を超党派の議員立法で実現しようという努力がされております。  これは佐藤さんの遺志を受け継ぐということにも私はつながっているというふうに思います。人類の進歩の方向に沿った努力だと自負をしております。  自民党から私どもまで有志の議員が参加して頑張っておりますけれども、ぜひ大臣にそういう動きについても賛同をお寄せいただきたい。少なくとも温かく見守っていただきたい。横やりは入れないでいただきたい。そのことを要望して、質問を終わります。
  95. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 太陽党の北澤でございます。  今、本岡委員それから山下委員から公的支援についての質問がございました。私も重複はいたしますけれども、その論議を進めたいというふうに思います。  阪神淡路大震災の今日の状況を簡単に私の方から申し上げます。それが間違っているかどうか追認をしてほしいが、今のところ表面的には皆さん方大変努力をされたから、道路だとかいわゆる箱物というような形の中で大変な成果を上げておりますけれども、その一方で家屋の再建は先ほど来お話があるように四〇%、流出人口のうち十四万人余がまだ戻っていないとか、あるいは五万人が職を失ったままであるとか、三万三千世帯、ほぼ六万六千人が仮設住宅に住んでおる、五万人以上の方々県外から帰郷を待っておると、こういうふうなことも報じられております。幾らか調べてみますとほぼそんなことかなと思いますが、これでいいですか。
  96. 生田長人

    政府委員(生田長人君) 雇用の問題についてだけは私どもよくわからないところもございますけれども、ほぼ先生のおっしゃるとおりの状況だと思います。
  97. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 そこで、先ほどもお話にありましたように、国民は今度はこれに対してどういう感情を持っているかというと、大地震への不安、これはどこか新聞社でアンケートをとったようでありますが、六五%の国民が不安を感じておる。  さらに、被災者個人への国の補償を求めるか否かということになりますと、先ほどの大臣との論議の負担の問題もありますけれども、国民の率直な感じとすれば八五%の方々がそれを求めておる。こういう状況であると同時に、都道府県はもう今議会が始まっておりますけれども、ほぼ四十都道府県を超える地域でこの意見書を決議するということ、それからまた市町村に至っては七百五十余の地方議会から意見書が出ておりまして、この二月議会でさらに相当にふえるだろうというふうに思います。  こういう国民的な背景がある中で、先ほどありました公的支援さらにはそれを審議する審議会をどうするか。大臣の答弁はありましたけれども、大臣は私と同じ郷里の長野県の御出身で、あの山深い中から大都会へ出てきて、いわゆる新しい形の政治家として私はスタートしたと思います。地盤、看板、かばんもあったかないかわかりませんが、多分なかったかと思います。そういう中で今日を築かれた御努力は大変敬服するわけでありますが、それだけに国民の期待は庶民の気持ちがわかる大臣だと。だからこそ、今度のちょうどこの阪神大震災を契機にした国民的な要望を大臣は何とかしてくれるのではないかという強い希望があるというふうに思います。  そういう意味で私も期待をしておるわけでありますが、審議会に対する意見を改めてお聞きをいたしますが、先ほどの答弁と同じかどうか、それだけで結構です。
  98. 伊藤公介

    国務大臣伊藤公介君) 長い答弁をするとしかられますが、数分前に答弁したことですからそんなに基本的に変わるわけではありませんが、それぞれ議員の皆さんからも、また政党からも、またいろいろな団体からも新しい制度を考えるべきではないか、そういう声があることは真摯に受けとめなければならないと思っています。  そして、この機会にぜひお願いをしたいのは、あの阪神淡路で六千人を超える方々が亡くなられたという現実の中で、日本人が新しい時代に向かって、またやってくるであろう災害に対してどういうことを我々は学び、どういうことを私たちは新しい事態に備えることができたかということが問われていると思います。  そういう意味で、ぜひいろいろなお知恵をかしていただき、私も先ほども申し上げましたとおり、こうした災害に対して一番切実にそしてきめ細かい対応ができるのはやはり自治体だと思います。  その自治体の皆さんの意見というものは、私は最大限尊重していきたい。そして、それを待っているのではなくて、知事会にもできるだけ早くその結論を出していただきたいという要請を私の方からも働きかけているところでございます。  今後とも、御協力をお願いしたいと思います。
  99. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 前向きな御答弁でありますから、これから論議をする中でお互いに合意点を見ていきたいというふうに思います。  そこで、先ほどの答弁の中で大臣は、審議会というよりもむしろ委員会で十分審議した方がいいんじゃないか、これはまさに正論でありまして、ある意味ではすがすがしい思いもいたしたわけですけれども、一方で国会の現実というのはそんな簡単にいくかと。これは大臣は先輩でありますから、御認識をいただいていると思いますけれども。  平成七年の十二月にこの委員会で附帯決議をしているんですよ、災特法の改正のときに。その七項目めに、「国及び地方公共団体は、大規模災害による被災者等を支援するため、全国地方公共団体等が拠出する災害相互支援基金の制度の創設について、早急に検討を行うこと。」というふうに附帯決議をしています。国会の決議の軽重についてはもう御存じのはずであります。でありますから、先ほどのお話を聞けばまさに意を得たりと思う反面、現実とのギャップを感じざるを得ない。  福田局長に言うが、大臣にこのことをレクチャーしておったのか、ちょっとそれを聞かしてください。
  100. 福田秀文

    政府委員福田秀文君) 附帯決議につきましては、大臣に御説明してあります。
  101. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 そこで、これはもう一年以上たっている。それから、災害からは二年たっておる。しかも、国民の要望は先ほど申し上げたとおり。そういう中で全く進まないで、先ほどの答弁をお聞きしていると、知事会にボールを投げて知事会がと、こう言っている。自治省はどうなんですか。
  102. 門山泰明

    説明員(門山泰明君) お尋ね災害相互支援基金につきましては、阪神淡路大震災教訓といたしまして、現在全国知事会において内部的に調査研究中ということで承知いたしております。  自治省といたしましても、全国知事会の検討状況等を注視しながら、制度の具体的内容等を見て対応を検討してまいりたいと考えております。
  103. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 知事会は七月に開くんだよね。それまでは何にもせぬでしょう。そこで自治省は、それまでは知事会の会議の成り行きをただ見守るだけなのか、それとも別個に何か動くのか。
  104. 伊藤公介

    国務大臣伊藤公介君) 先ほども申し上げましたとおり、知事会の結論をただ待っているだけではありません。知事会にできるだけその結論を早く出すように私の方からも要請をさせていただいて二月十日、つい先日ですが、全国知事会、土屋埼玉県知事さんと、兵庫県と静岡県知事さんにもおいでをいただきました。そして、六月、七月と言わないで、できるだけもう少し早く結論を出すようにお願いしたいということを私の方から要請をいたしました。  なお、加えて南関東に阪神淡路のような震災がもしあったときには大変なことになるのではないか、一番私どもが危機感を持っている問題です。  そこで、私の方からは、そう遠からずこの一都六県、南関東の関係をする知事さんにもできたらお呼びかけをして、こうした問題についての意見を伺いたいというふうに考えております。
  105. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 これはもう国民的な課題でありますから、各省庁それぞれ力を尽くして進めてほしいと思います。ただ、中身的に言いますと、負担の問題との間で非常に問題があるということを私も承知はしております。  我が国が、敗戦後経済力を高めてきた昭和三十年の後半ぐらいから、災害があるたびにこの問題も出てくるんですよ。これはどういうことかというと、結局災害が起きて、公共的被害については対応できるけれども個人的被害については対応できてきていない。ところが、救わないでいることは人間として忍びがたいという心情はだれにもあるわけです。これはそこからいつでも発想するんですよ。ところが、それがおさまるとまたもとへ戻る。  そういう中で、政治の場にいて、先ほど山下さんがまさに言われた、私はその生き残った次男の人とは親しいからよく承知しておりますが、政治家でしかも直接肉親を亡くした人の努力があって初めて一つの法律ができたわけですね。今も議論しているのは、まさにそういう状況の中で議論しているわけですよ。だから、ここで解決をしなかったら、日本の国にこれを超えるような大きな被害が出ないと言えないが、それは学者が言うように、そうすると大きな被害の中で、多数の被害者は救えるけれども少数被害者は無視されるという矛盾が起きると。確かにそのとおりだけれども、その矛盾に目を集中していたら大きなことが解決できない。大変なこれは課題だと思うんですけれども、今の政府として、私有財産制のもとで個人補償はできないというのは政府としての、内閣としての公式な見解ですか。
  106. 伊藤公介

    国務大臣伊藤公介君) これはもう何度か予算委員会でも御質疑をいただきました。私有財産制度のもとでは自助努力をするというのが基本的な考え方です。そして、個人補償をするということになると、これはもう際限なくなるわけですね。  ですから、先ほど御質問もありましたが、アメリカのノースリッジにいたしましても、それは個人補償では私はないと思います。これは、私たちが今考えているあるいは対応してきた生活支援だと思います。  つまり、立ち上がりの資金をどうするか。それは確かに個人の財産であり、個人の住宅ではあるけれども、しかし家がない、そして蓄えもない、そういう方々に立ち上がるための支援をするのは政治の責任だ、私は終始一貫そう考えてきました。  ですから、それを個人補償とすれば、それはできないと言わなければならないけれども、生活支援ということはこの災害についても私たちはやってきたわけですね。  例えば、現実に向こう五年間、非常に生活基盤の弱い方々には一万五千円から二万五千円を毎月五年間支給するというのは、実際に現金として出すわけですから、生活支援を政府は自治体と一体になってやっているということですから、私は内容においてはいささかも変わらない。ただ、個人補償ということになれば、際限なくどこまでも個人の財産を補償するということは、これは国としては難しい。それは法的にも難しいということだと思います。
  107. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 昨年末、臨時国会の中で特別見舞金給付法案というのができて、これはちょっと後で自治省に内容を聞きたいが、余り時間がないから。要するに、先ほども申し上げた歴史的な経過を見ても、弔慰金の問題、そして今度の見舞金の問題、徐々に踏み込んできているわけですよ。ただ名前を変えているだけなんです。名前を変えているだけなんだけれども、そういうふうに進んできている。  私は、要するに水や食糧の備蓄だけではなくて、生活の再建を支える制度を備えておくことこそ防災だと思うんですよ。国民は法律の中でそれを確認できれば非常に安心感を持てる。  ところが、今の弔慰金それから今度の見舞金、この制度を、あくまでも私有財産制のもとでは個人補償をしませんよというまくら言葉をつけてやっているから、国民はいつでも、本当にこれは我々が災害に遭ったとき助けてくれる制度なのかというふうに思ってしまうわけです。こういうことについて、これはまあ私の考え方ですから、こういう方向で、私はもう少し国民に、いざというときには国家は助けてくれるよということをもうちょっと知恵を出すべきだというふうに思うんです。  そこで、この見舞金給付法案は今どうなっているんですか。だれがどこでお金を出して、そしてその成果をだれが見きわめて、今五年ということになっているが、こういう法律というのは大体その時限のところへ来ると、まだ救済し切れていないからということで延びたりするんだけれども、そういうことも含めて、これはだれがどこで判断をしてどこから金が出てくるんですか。簡単に、もう時間がないから。
  108. 門山泰明

    説明員(門山泰明君) 先生の今のお尋ねの特別見舞給付金ということでございましたらば、恐らくさきの国会におかれまして新進党で御提出になられた法案かと思いますが、それは……
  109. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 いや、それに対する政府の。
  110. 門山泰明

    説明員(門山泰明君) はい。その後、阪神淡路大震災復興基金の積み増しによりまして生活再建支援を行うという件でございます。  その件につきましては、もともと阪神淡路大震災復興基金は、大震災によります被害が極めて甚大であるということにかんがみまして、復旧復興への各般の行政施策を補完して機動的、弾力的な施策を推進するということで、兵庫県、神戸市におきまして設置したものでございます。  今回、地元地方公共団体におきまして、仮設住宅からの移行なり、生きがいを持って生活再建ができるための支援措置を拡充するということでございますが、これは基金から個々の皆さんに支給がされるという仕組みでございます。その財源の確保のためにこの基金に三千億円の積み増しを行うこととしているわけでございますが、自治省といたしましては、この三千億円の積み増しに対しまして地方債を許可いたしますとともに、このうちの二千億円分から生ずる利子について地方交付税措置を講ずるということとしているところでございます。
  111. 生田長人

    政府委員(生田長人君) 少し補足をさせていただきます。  兵庫県の方では四月から実施をしたいということでございまして、今県議会あるいは神戸市議会の方で先ほどの起債の許可の申請等の手続、たしか議決が必要となっていると思いますので、そういった手続あるいは細かい実施方法、こういったものを今細かく検討しているところというように聞いております。
  112. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 話をまたちょっと戻しますが、附帯決議をして一年余が過ぎた。依然として、政府の側からこの附帯決議に対してどうするという声は聞こえてきていない。質問のたびに答弁はされるけれども、先はどのように今ボールは知事会の方に投げられておる。しかし、また国民からの要望はどんどん来る。先ほど本岡さんも言われたように、二千四百万人の署名も来るということであります。  この間、初めて私は少し動くかなと思ったのは、先ほど大臣が御答弁なさったように、知事とお会いになって積極的な姿勢を見せられたことは評価しますけれども、大臣はそういう姿勢を持っておりますが、この附帯決議がなされて後、政府としてこれをどういうふうにしてきたのか、局長、簡単にちょっと答弁してください。
  113. 福田秀文

    政府委員福田秀文君) 附帯決議を受けまして、また総理のもとに設けられた防災問題懇談会の御提言、そういうものも踏まえまして、地方公共団体が金を出し合って一つの基金をつくるという構想、これについては高い関心を持ってきておるわけでありますが、まず防災を的確にやろうとする場合に地方公共団体でいかなる施策を講ずるか、これが極めて重要なことだろうと私は考えております。  そういうことで、公共団体の側で今知事会を中心としてその基金の構想について検討しているというお話でありましたので、私どももその状況を時々聞きながら推移を見てきたというような状況であります。その後、先ほど大臣からお話し申し上げましたように、それぞれの知事さんにおいでいただいて、検討の状況を促進してくれるようにというようなお願いをしている次第でございます。
  114. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 最後になりましたが、役所の答弁というのはそういうことなんです。私もそうだが、大臣も根っからの議会人であります。議会で決議したことは何よりも重い。この国の中で決めることの中で何よりも重いはずであります。そういう意味で、積極的な大臣が登場されましたので、私も大いに御協力を申し上げたいというふうに思います。  このことについて、本当に情緒的に進むだけではなくて、財源の問題、角を矯めて牛を殺したんではどうにもならないけれども、しかし国民が防災ということで安心をできるような法体系をきちんと国民に対して提示するという、そういう一点で進んでいただきたいということを御要望申し上げて終わります。
  115. 清水達雄

    委員長清水達雄君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後零時二分散会