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1997-04-04 第140回国会 参議院 行財政機構及び行政監察に関する調査会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月四日(金曜日)    午後一時開会     ―――――――――――――    委員の異動  二月二十日     辞任       補欠選任      武見 敬三君     塩崎 恭久君  二月二十四日     辞任       補欠選任      塩崎 恭久君     武見 敬三君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     会 長         井上  孝君     理 事                 加藤 紀文君                 守住 有信君                 菅川 健二君                 今井  澄君                 山下 芳生君     委 員                 井上 吉夫君                 石渡 清元君                 亀谷 博昭君                 小山 孝雄君                 武見 敬三君                 宮澤  弘君                 矢野 哲朗君                 猪熊 重二君                 鈴木 正孝君                 都築  譲君                 西川 玲子君                 渡辺 孝男君                 渡辺 四郎君                 山田 俊昭君                 山口 哲夫君     事務局側         第三特別調査室         長       塩入 武三君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件行財政機構及び行政監察に関する調査  (時代変化に対応した行政監査在り方)  (派遣委員報告)     ―――――――――――――
  2. 井上孝

    会長井上孝君) ただいまから行財政機構及び行政監察に関する調査会を開会いたします。  行財政機構及び行政監察に関する調査を議題といたします。  本調査会は、設置以来、「時代変化に対応した行政監査在り方」をテーマとして、関係省庁に対する質疑や、さまざまな参考人から意見を聴取し質疑を行う等、広範な調査を進めてまいりました。  さらに、前回、一月二十八日でございますが、前回調査会では、方向性を見出すための委員間における自由討議を行っていただきました。  そこでの委員皆さんの御意向を踏まえて、理事懇談会において、具体的な試案づくりに向けて鋭意検討を重ねてまいりました。理事懇談会は、この間四回開かせていただきました。その結果、たたき台として、お手元に配付いたしております「参議院における行政監視等のための機関についての試案」を作成いたしました。本日は、その試案もと自由討議形式で御議論いただきたいと存じます。  この試案理事懇談会で若干議論をいたしました。その際に、各理事さんから御指摘をいただいた事項をまとめまして、お手元の二枚目にあります「常任委員会設置案に対する理事懇談会における主な指摘事項」、これも御参考までに配付いたしております。  本日は、おおむね二時間程度をめどに自由に御意見をお述べいただきますが、御発言のある方は挙手をしていただきまして、会長の指名を受けて御発言を願います。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、御意見のある方は順次御発言願います。
  3. 加藤紀文

    加藤紀文君 今、会長からお話がありましたが、前回自由討議以降、ニカ月余にわたって四回理事懇を開かせていただいたわけでありますが、調査会の具体的な進め方とともに、各会派の話し合いもとに出てきたのがこの試案であります。  前回自由討議のときにも、大方先生方意見というのが、大体、参議院として行政監視というのが第二種常任委員会が望ましいのではなかろうかという意見が多かったと思うわけでありますが、この試案もその線に沿ったものかなと考えておるわけであります。  また、この調査会は現在、先生方承知のとおりの参議院改革がいろいろ議論されておるわけでありますが、この参議院改革と密接に連携していると思うわけでありますので、なるべく早い時期に結論を出した方がいいんじゃないかなと思っておりまして、きょうのこの調査会でもかなり煮詰まった議論をしていただきたいなと思うわけであります。  そして、今までの四回の理事懇の各理事先生方の御意見をお伺いしておりますと、枠組みについての考え方の違いはあっても、大体進む方向というのは違わないんじゃないかなと思っておりますので、きょうの調査会で、まさに理事懇指摘された事項もクリアしていただいて、大方先生方の賛同をいただければ、今申しましたように早期結論を出していただきたいと思うわけであります。  口火を切らせていただいた都合上、まず私から一つ意見を言わせていただきますと、「参考」の一番上の「組織」の①でありますが、直接監視する方法をとらないと有効な監視ができないという御指摘があったわけでありますが、私は、直接監視というのは、議会調査機関立入調査権等をもって直接行政府等調査することを意味するのかなと思うわけであります。そうでありますと、まさに今までの参考人の御意見先生方それぞれの御意見あった中で、憲法六十五条の規定の「行政権は、内閣に属する。」という規定と、まさに議院内閣制もとで直接監視は問題があるし、むしろ直接監視はしてはいけないのではなかろうかなと思うわけでありますので、その意見をまず申し上げたいと思います。
  4. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 今、加藤先生おっしゃったような具体的な意見ではないんですが、フリートーキングをし、また会長試案が出され、理事懇でも何回話し合いがされたのかわかりませんが、ここに一応主な意見が出ておりますが。そして、きょうフリートーキングをして、今ちょっと加藤先生の方からできるだけ早い機会にというような御発言がありましたが、今後の進め方としてどんなふうにお考えなのか、理事懇あたりお話が出ていたらちょっと教えていただければと思うんですが。要するに、きょうここに出ている「参考」という指摘事項的なことをみんなでまた話し合いをするのか、あるいはこれをもとにして集約をするのか、その辺の今後の進め方、取りまとめの方向をちょっと教えていただければと思いますが。
  5. 井上孝

    会長井上孝君) その件につきましては私からお返事しますが、前回調査会自由討議のときにもその御質問が出まして、私は、最後はできるだけ早い方がいいと、こういう表現をいたしましたが、初めは年内、それからできれば今国会中、それでもなるべく早い方がいい。というのは、参議院改革の問題がどんどん進んでおりまして、この調査会結論だけ何か待っておられるような感じなものですからできれば早い方がいい、しかし拙速は避けたいと、こういうお返事を申し上げまして、今もってその気持ちは変わっておりません。できれば自由討議、一回でも二回でもいいですから、なるべく早くこの調査会意見を集約したい、そして議長調査会の結果として報告をしたい、こういう気持ちでおりますので。  よろしゅうございますか。
  6. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 はい、よろしいです。
  7. 守住有信

    守住有信君 我々の基本は一枚目の方でございまして、それについて個別的な御意見がずっとあったのが二枚目ということで、絶えず私は一枚目が基本だと、こういうふうにとらえておるわけです。御参考までに。
  8. 武見敬三

    武見敬三君 今回、そもそもこういうオンブズマン的な機能議会国民が強く求めるようになってきた背景というのは、どうやら我が国の議会制民主主義下における三権分立あり方について国民がより強く行政に対する議会独立性というものを求めるようになった結果だというふうに受けとめております。こうした状況認識もとで、こうした議会からの憲法に基づく行政府に対するチェック機能の強化ということを考えたときに、その一つの総合された議論というものが私はこの一枚目の中で取りまとめられているだろうと思います。  ただ、問題は、こうした意図の面における独立性というものの確保というものが委員会形式においてかなり確保できるといえども、では次に、国民がその独立性の次に求めてくる、すなわち能力という面で議会が十分に行政府チェックし得るのかどうかという点での信頼性を確保するためには、特に三、「苦情請願」の点に関しまして、より広く国民の日常的な意見を吸収するための具体的な施策というものがやはり盛り込まれていく必要があるだろうなというそういう認識を持っております。  ここでは一の分野で、委員会が主体的に国政調査権を活用しつつ、こうした国民行政監視関連した意向を酌み取る形になっているわけであります。しかし、この三では、今度は逆に請願という形で国民からの主体的な意見をこれで吸収することになっております。これで行って返ってくるわけでありますが、特にやはりこうした立法府の中でのこのオンブズマン的機能委員会が担うとすれば、国民の日常的な意見意向というものをどのように適切に酌み取るための仕組みをこの委員会の中に設置するのかということが私は決定的に重要になってくるだろうと思います。その意味で、この苦情請願について、過去の請願というものが現在の組織制度もとでは十分活用されずに来てしまったという深い反省に基づいて、これが実際に本当に生きた形での請願になるような仕組みというものについての工夫と深い反省認識というものがやはりこの中に組み込まれて議論される必要があるだろうというような、そういう認識を持っております。  それだけに、前回も申し上げたのでありますけれども、こういう苦情請願というやり方に加えて、委員会の主体性に基づくものになるかもしれませんけれども、公聴会的なものをより頻繁にこうした委員会の中で開催をし、地域的にも広くこうした国民各層意見が吸収できるような仕組みをこの中でさらに検討しておくことが私は必要ではないかという認識を持っておりますので、御意見を言わせていただきました。
  9. 宮澤弘

    宮澤弘君 私は、中身のことじゃなくて進め方を。  会長も言われましたけれども参議院改革ということは今、議長中心に進められていると思いますし、またお互い党派を問わず、一体参議院は何をしたらいいのかと、参議院存在意義とか無用論とかいうものが常にあるわけでございますね。そういうような観点から申しまして、一つのあれは、衆議院予算中心参議院決算中心、これだけでは尽きませんけれども衆議院の方の予算中心というのはいわばこれからやること、参議院の方の決算中心というのはやったことについての反省といいますか、調査とかチェックということだろうと思います。  そういうことで、この調査会が発足をいたしましたときから、時代に合った行政監察あり方というものをまず取り上げようじゃないかということで合意をして進んでまいりました。御承知のように、この調査会行財政機構行政監察というか監視とかということが命題であったわけでありますけれども、ちょうど時代の要求もあって、とにかく早くまずこの行政監視というか行政監察の問題を取り上げていこうではないかという合意があったと思います。  そういうことで、参議院改革一環としてなるべく早くやはり参議院考え方というものも私はまとめるべきではなかろうかと。無論、会長がおっしゃったように拙速はいけませんので、十分に議論を闘わせることが必要だと思いますけれども、既に一年半以上いろいろ議論が続いておりますものですから、そういう意味合いで議論を重ねて、なるべく早く参議院改革との関連においても一つの案をまとめたいし、また会長にはまとめていただきたいとお願いをいたします。
  10. 山下芳生

    山下芳生君 試案をまとめられた会長事務局皆さんの努力に敬意を表したいと思います。私も、この試案の発表を国民期待にこたえて国会行政に対する監視機能を強める契機としたいというふうに思っております。その立場から、試案に対する私の率直な意見を述べさせていただきます。  結論から申しますと、この試案では国民期待にこたえる活動はできないんじゃないかというふうに思っております。  その第一の理由は、第二種常任委員会という形態であります。試案に対する新聞報道でも、「常任委員会方式では有効な監視ができないのではないか」、これは朝日の二月二十六日付の記事ですが、との疑問が出されております。なぜ常任委員会方式では有効な監視ができないのか。私が考えるに、やはり行政に対する必要な調査を行うに十分な調査権限あるいはスタッフを付与することが非常に難しくなるという点であります。この委員会だけに特別そういう権限を与えるというのは、他の委員会とのバランスの関係で非常に難しい面が出てくるんじゃないか。やはり、その調査が実際に行政監視する、国民期待に沿った監視をするということにふさわしいものになるためには権限スタッフの充実というのが必要不可欠だと思いますが、その点でやはりこういう形式では問題があるというふうに思うわけです。  第二の理由は、この試案に盛り込まれている具体的所掌事項内容であります。これを見ますと、具体的なこととして述べられているのは、現在の行政監察局行監結果報告書あるいは計画を調査するということになっております。これは平たく言いますと、今の行監仕事ぶりをこの第二種常任委員会チェックするということにとどまるのではないか。やはり、国会行政監視するという限りは国会が独自に行政監視というものをやる必要があるんじゃないか。行政内部監察チェックするというやり方で果たして効果的な調査ができるのかということであります。  私は、そうはいっても現状よりはましになるんじゃないかという意見もあるかと思うんですが、それも当たらないんじゃないかというふうに感じています。  当調査会が昨年七月にヨーロッパの調査を行って、その報告書が出されておりますが、それを見ますと、ドイツでは請願委員会というものがありますけれども、同時に今オンブズマン制度を創設してはどうだということが世論として上がり、法案まで出されているというふうに聞きました。ところが、そういう世論に対して、もう請願委員会があるからいいじゃないかというのが一つの反論として出されております。ですから、本当に必要な国会附属機関としての行政監視院なりオンブズマン制度を創設しようというときに、この常任委員会方式委員会があることがその障害になるおそれもあるということも感じております。  ですから、私は、やはりそういう中途半端なものをつくるんじゃなくて、原点に返って、国会附属機関として行政監視院を置くということの可能性最後まで探っていくべきではないかというふうに思っています。  ぜひ私は、この試案賛成される皆さんがなぜ第二種常任委員会がいいのか、その点を大いに私も聞きたいし、議論をしてみたいなと、かように思っております。  以上です。
  11. 小山孝雄

    小山孝雄君 関連であります。  今、山下委員から御意見がありましたが、実はこの問題の発端は二年前の参議院選挙、我が党におきましては新たなオンブズマン的機能を備えた制度を創設したいという私どもの党の選挙公約を出したところから始まるわけであります。そしてまた、その観点に立って種々勉強をしてまいりました。  私も、この委員会に所属させていただいて、いろんな先生方の、参考人意見もお聞きをいたしまして、最初、オンブズマンという言葉、その吟味、十分でなかったような気がいたしますが、何か特別にすばらしい制度がつくれるかなという大きな期待感も実は私自身もありました。しかし、いろいろやってみまして、例えば、私も質問させていただきましたが、小林さん、それから川野両参考人ども今の三権分立のあれを崩した形での強力な権限を付与したオンブズマン制度というのはやっぱり憲法上疑義があるという意見も述べられました。  そうした観点からいって、それじゃどういう方法があるのか。今、山下委員は、ほかの既に設けられている第一種常任委員会でもできるじゃないかと。この今出されている第二種常任委員会設置するという案に、そんな御意見もあったようにお見受けするわけですが、第一種常任委員会ではほとんども法案処理で目いっぱいじゃないのかな。ここ数年間の各種委員会の第一種常任委員会あり方を調べてみますと、法案処理がほとんどでありまして、調査案件というのはほとんど一国会一つ、一回やったかどうかぐらいの結果であって、そしてまた決算委員会に至っては、大変決算委員皆さん努力されておりますけれども、日程をとることすらなかなか難しいような状況が続いているわけでございます。  したがって、第一種常任委員会でのやり方というのはちょっと難しいだろうと。やっぱりここに新たな任務を付与した、院に第二種の常任委員会を、例えば行政監察委員会と言うのかどうか知りませんが、例えば仮称、そういうことにしますと、そういう委員会を設けるのがよろしいんじゃないのかなというふうに考えがまとまりつつあるわけでございます。  そしてまた、これは組織面でございますが、さらにまた活動の面、内容につきましては、例えばアメリカのGAOあるいはイギリスのNAO、ゼネラル・アカウンティング・オフィスというのがアメリカイギリスがナショナル・オーディット・オフィスと、こう言うそうでございますが、ともに日本語に訳せば同じように会計検査院と。しかし、そこがすべての行政監察をやっているわけじゃございませんで、おのおのの省の中にある行政監察機構を生かしたまま、その機能を院としてバックアップするというこういう作用が行われているわけでありまして、私はそういう観点から、ハウスに第二種常任委員会を設けて、例えば今ある総務庁の行政監察局、そしてまたおのおの役所にある、行政機関にある行政監察内部監察機能等々も生かしながらやっていくということがいいのかなという感じがいたします。  それから、経験的に申し上げますと、役所同士行政監察にはやっぱり限界があるということを強く感じます。そして、このたび私どもの自由民主党が行政改革本部を設け、規制緩和委員会あるいはいろんな制度を設けて強力に実は案を出しつつあるわけでございますが、私ども実は規制緩和委員会一つの部門の主査をやって強く感じたことは、内部からの意見は全然出てこないということです。行政内部から、これは改めましょう、これはなくしましょう、これはやめましようというのが全然出てこないと。必ずどこかから提言がなされて、この点についてどうだ、ああそうですね、それもできますねというようなことを多々経験したわけでございます。  そういったことから見ましても、やっぱりこれは国会機能として行政内部のそうした活動を促していくということ、そしてまた監視をしていくということ、その仕組みを新たにつくるのがいいのかなと、こんなふうに考えております。  山下委員の御発言で触発をされたので、ちょっと申し上げました。
  12. 山下芳生

    山下芳生君 一言だけ。  私が問題提起させていただいたのは常任委員会方式がなぜいいのかということで、私は何も第二種と第一種の違いを問うということではありませんので。常任委員会方式がなぜいいのかをぜひお聞かせいただきたいなということでありました。
  13. 小山孝雄

    小山孝雄君 よくわかっております。
  14. 今井澄

    今井澄君 先ほどからちょっとこの進め方のことが問題になっているので、これとこのフリーディスカッション内容というのは私は密接に関連すると思うんですね。先ほど宮澤先生参議院改革視点ということを言われました。私も非常に強くそういう視点を持ってこの調査会に参加させていただいております。  前回フリーディスカッションのときには、武見先生からかなり来年の選挙を意識した非常に印象的な御発言がありました。私も、これはいつまでも行政監視はいかにあるべきかという一般論とか、それぞれもう考え方が違うのがわかっている中で議論をただやるというのは余りいいことではないと思うんですよ。参議院改革一環として、きょうのこの日の調査会の表題にあるようなことで具体的に何ができるのか、それを早急に詰められるとすれば何かということをやっぱり踏まえないと、一般論理想論議論してもしようがないだろうと私は思うんです。  そういう意味からいいまして、私は結論として、オンブズマン的機能を備えたというか、これは目指したというふうに実質はなるだろうと思いますが、第二種常任委員会をつくることに賛成であります。  ただ、その中で、行政監察局行政監察のいろんなあれをここで特に扱うんだということがいいかどうかは若干別の意見がありますが、それはなぜかといいますと、先ほどからお話に出ていますように、国民の求めあるいは時代の要請が今、立法府行政府をいかにチェックしていくかということであることは間違いないことでありますが、そのための議論をし出しますと非常に大きなことになる。そこで、参議院としては、かつてから決算委員会の重視とかそういうことが言われていた。あるいは参議院独自性として、良識の府としての方向ということが言われていたと思います。その中でこの調査会活動が行われた。  理想としては、やはり皆さん考えたのはオンブズマンというものをまずどうやって実現するかというので、この間の各種調査参考人意見聴取等をやってこられたり海外視察をやられたんだと思います。私も個人としては、三権に対して、それからさらに独立した第四権的なオンブズマンというのは世界的に例があるわけでありますし、こういうものをつくれれば一番いいと思うんです。ところが、先ほどの御発言にもありましたし、憲法違反の疑いがあるとか、あるいは実際にそういう人をどうやって選ぶんだとか、選べるのかとか、あるいは国会議員機能の放棄ではないかとかいういろんな御意見があって、まずまとまらないだろうということを私は考えます、オンブズマンではまとまらないだろうと。  そうすると、海外調査の結果も踏まえて、現在の参議院状況も踏まえた上で、請願あるいは苦情処理委員会をつくろうというのが私は極めて現実的な、早期に実現できるかもしれない現実的な第一歩だろうと思うんです。これは余りにも小さい、それじゃ国民期待にこたえられないという御意見があるのはよくわかりますけれども、じゃ国民意見にこたえる根本的、理想的なことをやろうといったら、またスタートに戻っていつも同じ議論になると思います。  そういった意味で、私はやはり現実に今の請願処理自身がほとんど有効に行われていないという現状も踏まえながら、第一種常任委員会との権限の配分の問題がありますけれども、私どもはやっぱりそういう意味で、第二種常任委員会をきっちり、少なくとも現在あるデータなりいろいろなものをもと行政チェックすることに第一歩を踏み出すべきではないだろうかと思います。  そしてもう一つ、ついでに申し上げるならば、立法府行政をいかに監視するかと。本来、参議院独自性をそこに求めようとしていたわけでありますが、民主党が行政監視院法というのを出してしまったわけですね。そうしますと、これはもう参議院を超えた両院の問題になっているわけですから、その議論を始めたらこれは収拾がつかなくなるから、私はやっぱりこの委員会では早急に第二種常任委員会をつくる方向で、どういうふうにしたらより有効かという議論に絞ってやっていった方が効率的ではないかというふうに思っております。
  15. 西川玲子

    西川玲子君 私も今、今井先生のおっしゃった御意見にとても賛成でございます。宮澤先生先ほどおっしゃいましたけれども、今、参議院改革等と言われておりまして、とにかく一歩を踏み出さなければ何もできないと。もちろん、独自のオンブズマン的なものがあればいいです。でも、今まさしくおっしゃったように、それは非常に難しいと、いろんな意味で、それでは、まず私はこれを新しく入れていただいて、本当に生意気なんですけれども、やはりオンブズマン的機能を今備えたじゃなくて目指したとまさしくおっしゃった、こういったものを一日も早くつくるべきであるというふうに思います。  ただ、私はそのためには、先ほど武見先生もおっしゃったように、苦情請願等の問題をきちんとするためには、調査スタッフをどれぐらい充実できるかは別ですけれども、これはもう委員長に頑張っていただいて、やはりほかの委員会とは違うんだと、なぜ第二種かと、私もはばかりながらちょっと勉強いたしまして、それはいろいろな委員会、いろいろな省に属して広い範囲でやらなきゃいけないから第二種なんだと。そういう特別なものであればそれだけの調査スタッフをきちんと確保していただいて、そしてこれは一年半も今まで御苦労なさったわけですから、もうここで取りまとめるべきであるというのが私の意見でございます。
  16. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 私も一番最初発言したのはまさに宮澤先生初め皆様がおっしゃったような意味で、試案もせっかく出されていることであるし、もうここで集約をしていく方向にあるのではないかという気持ちで申し上げたんです。  そういう観点から私も意見を述べさせていただきたいと思いますが、この調査会のテーマが「時代変化に対応した行政監査在り方」ということなわけです。行政監査あり方ということで、じゃ中身は何なんだということを考えていけば、一つはやっぱり行政監察をどう効率的に行うかということがあるでしょうし、それから苦情請願をどうくみ上げていくのか、救済していくのかということがあるだろうと思います。そしてもう一つは、行政運営あるいは行政監察のフォローアップというのがまた出てくるんだろうと思います。  こういうものを総合して取り扱う機関というものが何があるのかということを考えていけば、やっぱり今回提案されたような第二種の常任委員会というものの中で、一つ一つ考えれば十分には機能しないかもしれませんけれども、現在行われている行政監察をより効果的に進めるにはどうしたらいいのか、苦情請願をどう救済していくのか、あるいは行政運営のフォローアップをどう図るのか、これをこの委員会の中でどうしていくのかということをもっと掘り下げていくということは必要でありますけれども、やはり機関としてこういうものをまず設けるということを考えるべきなのではないかというふうに思います。  それで、オンブズマンについては、私も去年ヨーロッパに行かせていただきました。イギリスもいろんな制度、ドイツもいろんな制度をとっておりますけれども、要するにオンブズマンはまさに苦情救済のための形として考えられ、またそのように今機能しているわけでありまして、政策的なものについてはオンブズマンがかかわっているという事例はほとんどないわけであります。そこまで考えていくと、やはりオンブズマンありきということでは今申し上げたようなさまざまな課題に対応することはできない。  ですから、オンブズマン的機能も含めた第二種の常任委員会というものをやはり念頭に置いて、これをどうするかという議論を進めていくべきではないかというふうに思います。
  17. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 きょうのフリートークのテーマ、第二種委員会設置することに対する討論ということなんですが、私なりにいろいろと考えて、いい方法論はないかと模索しながら確信的なものを得られないまま一応まとめてきましたので、報告させていただきます。  私、原則論と譲歩論という二つの案をきょうは用意したんですけれども、原則論というのは、行政監視院と呼ぶかオンブズマンと呼ぶか名称はともかく、国会ではなく、参議院附属機関として、しかも委員会以外の組織として設置すべきだと考えるものであります。  まず、参議院オンブズマン、これを参議院に置く理由といたしまして、理由は四つあるわけですが、一つが、衆議院よりは政党化が進んでいないということ。それから二つ目は、それぞれの分野で功をなし遂げた高い識見を持った議員が参議院にはたくさんいらっしゃる。それから三つ目が、解散がなく参議院は安定しているということであります。四つ目が、衆議院に比べていわゆる族議員が少なくて、また過去の逮捕者や不祥事を起こした者が少ないから国民の信頼度が高いと。近時言えないところもあるんですが、一応、参議院の信頼度は衆議院と比べるとより高いのではないかということが参議院オンブズマンを置く理由であります。  そして、委員会方式ですね。この第二種常任委員会設置はだめだと言うのじゃなくて、ちょっと不十分じゃなかろうかと思う点を考えてみました。  一つ目が、現行の委員会の各会派への割り当ては各会派の所属議員総数を反映しております。したがって、議院内閣制もと内閣を支えている多数の与党議員が、自分たちと一心同体の行政府監視に積極的になるわけがないんだというふうに思うわけであります。二つ目は、現行の委員会調査権限は証人の出頭及び証言並びに記録の提出の要求があるのみであります。これに加えまして、証人が刑事訴追を受けるおそれがある場合や、公務員であって、本人または当該公務所から職務上の秘密に関するものであることを申し立てたときは現実には証言も記録の提出も求めることができないということであります。これでは極めて監視の実効性は乏しいと言わなければならないと思います。三つ目は、特に相手が行政庁となれば、ほとんどの公務員がこの職務上の秘密を理由としまして議院証言法第五条によって証言拒否あるいは記録提出の拒絶を乱発するおそれがあることであります。四つ目でありますが、現行の委員会制度では、証人がその主治医と共謀して、軽度の病気を大げさに主張して、健康上の問題を理由に人権侵害などと主張して事実上証言を拒否することができる等、委員会制度ではそういう欠点があるし、機能するには不十分ではないかというふうに思うわけであります。  ところで、参議院オンブズマンをどういう形でつくり上げていくか、まさしくここが大問題であるわけでありますが、私は、国会議員をもってオンブズマンを任命する場合と、国会議員以外の第三者をもって任命する場合と、そしてその国会議員と第三者の折衷ですね、半々を入れるという三つのオンブズマン制度を現段階では考えられるものとして研究しております。  国会議員を任命する場合は、行政監視員あるいはオンブズマンは最高裁判事と同数として、野党第一党から五名、第二党から四名、第三党から三名、第四党から二名、第五党が一名の計十五名の参議院議員をもってこれに充てるというふうに考えております。  そして、国会議員以外の第三者を任命する場合には、学者出身一名、弁護士出身一名、検察官出身一名、裁判官出身一名、会計検査院OBの五名で構成すべきだと考えております。諸制度の例を見ましても、政治的中立性をより確保するには第三者にゆだねるという意見は違憲論等があって極めて難しいかと思いますけれども、一応、参議院オンブズマンを第三者をもって任命する場合には政治的中立性を十分確保した形で、しかも三権分立に反しないということを十分考慮した形の参議院オンブズマン制度は実現可能ではなかろうかと考える次第であります。  三つ目は折衷案です。国会議員と第三者、六名ぐらいを充てて三人ずつのオンブズマンをもって構成すると、こういうふうに考えるものであります。  そして、その参議院オンブズマンに任命された議員は、国会議員を任命した場合でありますけれども、公平さを担保するために党籍を離脱すべきだと考えます。そして、オンブズマンスタッフ行政監察局の職員や行政官OBではなくて参議院固有の職員、調査室の職員だとか政策秘書の有資格者、ほとんど今、政策秘書なんかが遊んでいる、休職中の者が多いということを聞きますので、これを十分使うという意味においてスタッフとしてそれをもって充てるべきだと考えるものであります。  以上が私が考え参議院オンブズマンでありますけれども、極めて難しい理想論的なところがあるわけでありますけれども行政監視の完全な実現というんですか、汚職とか政治腐敗を生まないための徹底した理想的な行政監視機関ができ上がることを切に希望し願うときには、かような参議院オンブズマン理想形態ができ上がることを第一の本義とするものでありますけれども、ここに一歩譲りまして、例えば第二種委員会方式をとる場合には、現行の委員会制度の問題点と欠陥を十分克服することが前提となって第二種常任委員会方式が採用されるべきであると考えるものであります。  すなわち、会派の所属議員数を委員会構成に反映させずに、常に野党が与党の委員数を上回るように配慮する必要があると考えるものであります。  議院証言法第五条の公務員の証言拒否の乱用を封ずるような立法措置が必要だと考えます。いわゆる職務上の秘密だとか公務の秘密を理由にして、せっかく証人として呼んできてもことごとく証言を拒否されるということを防ぐ何か立法措置を考えなければ意味がないと思うわけであります。  一つの提案ですが、思いつきであって申しわけないんですが、例えば秘密会にして、いわゆる公務員たちが何らかの責任を問われたり、刑事責任を問われることのないような担保をして証言をさせるべきではなかろうかと考えております。  それから、病気による出頭拒否は、当該証人の主治医だけではなくて、公平な第三者医師の診断に基づいてのみ認められるべきだと考えます。  それから、委員会の提案、勧告に従わない場合の実効性を担保するための措置がぜひ必要だと考えます。  それから、六つ目でありますが、少数者調査権を尊重する見地から、たとえ委員の一名または数名が調査要求をした場合でも、委員会調査義務を負うような手当てをぜひ講じていただきたいと思うわけであります。  七つ目でありますが、現行の委員会における尋問が迫力を欠き、しり切れトンボになる理由一つに、尋問が新聞記事等のマスコミ報道を資料として独自の基礎調査をしていないことがあります。したがって、尋問前の基礎調査を徹底できるような調査スタッフ制度の確立をぜひしていただく、委員会制度を採用する場合は当然の前提としていただきたい。  例、えて申しますと、私などが質問する場合に、政策秘書の行政庁または証人に対する尋問前の事前の聞き取り調査制度をぜひぜひ確立をしていただきたい。これなくば委員会制度の証人喚問制度意味をなさないというふうに考えるものであります。  それから、これは常に言われていることでありますが、質問時間において少数会派、二院クラブなどは友部議員の、齋藤衛証人などの質問時間はわずか三分の割り当てであります。政府に対する責任追及の場であるならば、その数によってある程度時間が制限されるのもやむを得ないと考えるのでありますが、友部議員などの真相究明のために、国民のために与えられた喚問をわずか三分でしろというのはいささか問題があると思うのであります。したがって、証人喚問等の行政監察のためのこういう委員会制度ができ上がったとしたならぜひぜひ少数会派も十分な質問ができるような、少なくも真相究明のための尋問の与えられた時間というものは平等であってしかるべきだと考えるものであります。  以上のような理由から、第一義に参議院にはぜひオンブズマン制度ができることを期待し、譲歩といたしまして、第二種常任委員会がもしできるなら、以上私が申し述べた委員会制度にあるべきことを期待いたしまして、私の意見といたします。
  18. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 今の山田先生の意見、まことにもっともだと私は思うんです。ただ、今おっしゃったのは、大きく分けて二つの問題を一緒におっしゃられたと思うんです。  まず第一に、本日のテーマの第二種常任委員会のようなものをつくる、つくらないという問題。それから、仮につくった場合の、この第二種常任委員会組織運営をどうするかという問題。  私も、第二種常任委員会的なものをつくった場合に、それの組織運営をどのようにするべきかというふうなことは、例えばもう一回やるとすればこの次のときに仮にそういうことをお話しし、もっともきょう今この場で第二種常任委員会でいいんだということの意見が集約できれば、まだあと一時間あるから組織運営をやろうじゃないかと。これはいいんですけれども、まずそっちの方を固めて、それからあと、仮にそういうものを設置するとした場合の組織運営。その組織運営については、今、山田先生いろいろおっしゃられた、私もその中に非常に賛成する項目も多いんですけれども、とりあえず、きょうのペーパーみたいなことでいくかいかぬかということについての意見合意を、せめてきょうの段階ではまず決めたらどうだろうかと。  そういうことを申し上げて、じゃこの第二種常任委員会の問題はどうかといったときに、やむを得ず私もこれでいくのが一番いいだろうと。やむを得ず一番いいというのは非常に矛盾していますけれども、それは国会全体における行政監視院だとか、あるいは山下先生がおっしゃったオンブズマン的なものというのが国会なんだか参議院なんだかちょっとまだ伺っていませんけれども、いずれにせよ国会全体あるいは参議院オンブズマン的なものを置くということは、仮に今回、第二種常任委員会というものを置いたとしても、なおかつ検討していくべきテーマとして残しておいていいことだろうと思うんです。  というのは、やっぱりオンブズマン的なもの、特に山田先生が今おっしゃったような、非常な権限を持ったようなものを新規につくるということになるとやっぱり一年や二年かかるだろうし、いわんや国会ということになれば衆議院の問題もあると。だから、それはそれで反対じゃないんだけれども、急場の用には間に合わないということになると。急場の用にということになれば、この第二種常任委員会というのは今似たようなものが目に見えているわけですから非常につくりやすいと。そういう意味で、第二種常任委員会をつくるということについてのコンセンサスが得られれば、せめてきょうはそれをやったらどうだろうと、あと細かいことはまたこの次でもと。  第二種常任委員会苦情請願のことにしても、今持ってきている請願苦情請願という側面よりは、要望だとか立法要請だとかそういう請願が非常に多い、多いというよりもほとんど。なぜかというと、苦情なんかを言っていったってだれも相手にしてくれやせぬと。だから、もしこういう行政監察中心にした第二種常任委員会みたいなのができて、どんどん行政への苦情を持っていらっしゃいということになれば大分来るだろうと思うんです。ヨーロッパのオンブズマンはほとんど苦情請願ですから、それでやっているわけですから。  今、持っていってもだれも相手にしてくれない、こんな泣き言を持ってきてもだめだということだから、だれも持ってこぬのだろうと思うんです。こういうものをやると言えば、この苦情請願を契機にして、それを端緒にしてこの常任委員会行政監察していくことが十分にできるんじゃなかろうか、だれも国民が言ってこなきやそれは開店休業になりますけれども。私は、やるということが国民に周知されれば、不利益な行政処分を受けた、あるいは満足な結果を得られない行政に対する苦情請願というのが随分来るだろうと。それをやっていくうちにだんだん足腰の強い常任委員会になっていくんじゃなかろうかと、こんなことを考えています。  以上、ちょっと賛成したような反対したような……。
  19. 都築譲

    ○都築譲君 今までお話を聞いておりまして、猪熊先生の方からコンセンサスができたらというふうな御発言があったんですが、私は今御提案いただいたこの案について、会長初め事務局皆さんが一生懸命御苦労されて取りまとめられたことに敬意を表しますが、この案では恐らく期待されたものはできないだろうと。時代変化に対応した新しい行政監査あり方ということで二年にわたって議論をしてきたわけでございますけれどももともとこの議論が始まるときから、私自身は、参議院制度改革議論と並行して、そちらにインプットする有効な提案ができればということで、理事としても委員としても参加をさせていただいてきたわけでございますけれども、きょういただいたこの案を見る限り、やはり形だけのつじつま合わせに終わってしまうのではないかという危惧を大変抱いております。  一番基本的なことは、行政苦情処理の問題にしても、あるいは現在の行政機関が行っている行政の職務執行の状況についても、別の観点からというよりは既存の仕組みの活性化というか、本来の機能をしっかりと発揮するような形でやるべきではないのかというふうに考えております。  例えば、この試案の中で所掌事項として挙げられております「行政監視のための調査」というふうな指摘がございますけれども、一体どういう調査をこの調査権限に基づいて行っていくのか。それは国政全般にわたって、今二十二省庁ある各行政分野が所管している行政について、それぞれこの二種常任委員会というところで、一体三十人か四十人か、どれだけの委員を持つかわかりませんし、調査スタッフを充実したとしても、それを本当にカバーできるようなそういった調査といったものを継続的かつ効率的にやっていくことができるのかということを大いに疑問に思っております。  それから、二点目の「「行政監察計画」等についての調査」についても、もともとこの行政監察について、今まで各常任委員会あるいは特別委員会の方で十分なヒアリングというか監察結果の報告あるいは勧告、こういった内容について吟味をしていないからこそ、例えば厚生省のああいう特別養護老人ホームの問題とかそういった問題が出てきておるわけでございまして、もっと二年前、三年前の時点で行政監察局が出した監察結果について厚生委員会の方でしっかりとした議論をやっておればあんな事件は起こってこなかったというのが私の認識でございます。そういった意味では、こういった二種常任委員会というものを設けたところで一体どういう調査行政監察結果等に対して行うことができるのか。  と申しますのも、例えば今の予算委員会とか決算委員会を見ても、それぞれ所属の第一種常任委員会があろうかと思いますけれども、そこのいろんな所属の人たちが集まって二種常任委員会を構成しておるわけでございまして、やはり一年とか二年とか三年とか、それぞれの自分の専門分野とする一種常任委員会で専門行政をよく精査して、また勉強をして、それで初めて有効な指摘とかあるいは提言とか、こういったものができるのではないのかなと、こう思うわけでございます。  また、その運営の問題についても、いずれもしこれでいくということになれば議論がなされるんでしょうけれども、果たしてこの二種常任委員会という形で、今の予算委員会のような形で、例えば通常国会の冒頭に予算を審議するような形で一カ月ぐらい審議する、あるいは決算委員会のような形で時期時期に応じて決算審査をしていくというふうな形でやっていくのか、恒常的に委員会設置して、いろんな意見を踏まえながら、行政監察結果報告が多分一年に二十本、三十本は出てくるでしょうから、それをきっちりきっちりと毎月やっていくのか、そういった問題になってくると思います。そのときに本当に各分野にわたる行政監察結果というものを二種常任委員会の方で限られた時間で吸収して、そしてまたこなして処理できるのか、大いに疑問があるのではないかなと思います。  それから、「苦情請願」の問題についても、オンブズマン的機能をということですから、こういう形で苦情請願ということになるんでしょうけれども結論から申し上げて、一つはやはり参議院という立法府において本当に満足のできる苦情処理ということで請願をしてくる人が行政機関に対してどういう救済を求めているのか。行政機関に対してどういう救済措置を講ずるように強制する手段が今、参議院にあるのかというところまで突き詰めていくと、それはないだろうと思うんです。現行の仕組みとして、やはりいろんな不服審査制度とかこういったものがありますし、さらに不服審査で救済されないような行政苦情については行政監察局の方で行っております苦情相談処理会議といったものもあるわけでございまして、そういったものと苦情請願との関係をどういうふうに整理していくのか、いろいろ整理しなければならない課題はたくさんあるだろうと、こういうふうに思うわけでございます。  最後の「提案、勧告」のところは、やはり国会委員会としての対応としてはこういう形式になってしまうのかなということを考えると、実際にこういう委員会をつくるよりは、もう一度本当に振り返って、私自身前回のフリートークのときに与党の皆さん方に申し上げて、本当にやる気があるんですかというのは、先ほど山田先生が言われていたような発言時間の問題とかそういった問題もありますけれども、実際に各委員会で本当に行政監察の結果とかそういったものを真剣に取り上げる用意があるのかとか、あるいは今提案されている請願も会期末処理で一括処理して、中身を全然審査しないままでやることが本当にいいのかといったところまで踏み込んだ議論期待しておったんですけれども、この二種常任委員会という形で、形だけは何か立派なものができるような気がいたしますけれども、果たしてこれが本当に時代変化に対応した行政監査ということで国民期待にこたえられるかどうかは非常に疑問であると。むしろ、参議院制度改革と絡めて言うのであれば、今申し上げたような現行の常任委員会あるいは特別委員会といったものをもっと機能強化していくということがより重要ではないかなということを申し上げたいと思います。  以上です。
  20. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 会長から出された試案には大方賛成という立場で意見を述べてみたいと思います。  問題は、やっぱりこういう機能というものは受動的であってはいけないのではないだろうか。受け身でなくしてもっと能動的に、こちらの方から積極的に問題を明らかにして解決をしていかなければならない、そういう機構でなければいけないと思うんです。そういう点では、オンブズマンの方式だけではやはり限界があるというように思います。そのためにも常任委員会設置、第二種は当然私はとるべきだと思います。  確かに、今、決算委員会というのがあります。本来、決算委員会もそういう監視機能を持っているはずですけれども、しかしずっとこれまでの歴史を見ておりますと、必ずしもそういう役割を果たせるような仕組みにはなっていないと思うんです。今一番必要なのは、その時々に起きてくる問題、国民の方から提起される問題、そういうものをできるだけ速やかに問題提起をして、そこで議論ができるようなものでなければならないだろうということになれば、決算委員会というのはもう決まっているわけですね。きょうはどこどこの庁、きょうはどこどこの庁と決められているわけで、そういうことでは非常に積極性に欠けるのではないだろうか、能動的ではないのではないかというように思います。そういう点では、常任委員会はぜひ必要だと思います。  先ほど山田先生の方から、常任委員会ということになるとどうしても党派の関係が出てくると思いますという御意見がありましたけれども、これは私はやむを得ないことだろうと思うんです。それぞれの党に所属しておりますと、それに関係する多くの国民の方から問題提起というのは結構あるわけですね。ですから、むしろその方が取り上げやすいだろうと思うんです。国民の苦情も入りやすいだろうと思うんです。そういうことをやはりその委員会の中で議論をしていく。  ただ、当然これは心配として、与党の方々が果たして行政機能チェックできるかという意見もありました。そういう心配はあるかもしれないけれども、ここにも出ておりますけれども、決議方式で満場一致制をとればそういうこともあるかもしれないけれども、必ずしも満場一致でなくても私はいいと思うんです。問題を提起して、それを一つの議題として議論をするということだけでも非常に私は大きな役割を果たすことができるのではないだろうかと、そう思います。  したがって、ペーパーの二番目にあります「行政監察計画」、「苦情請願」、当然でございますけれども、こういうものだけを議論していたのではいけないので、直接議員が問題を持ち込めるようなそういう内容にした常任委員会であれば私は非常に大きな役割を果たすことができるのではないかなと思います。  そんなことからできるだけ早く、こういった会長から出されたような内容で、あと細かいことたくさんこれから出てくると思いますけれども、そういうものは後日論議をすることにして、体制だけはやっぱりこの機会にまとめていただきたいものだと思います。
  21. 菅川健二

    ○菅川健二君 我が会派におきましてもいろいろまだ意見があるわけでございますが、ただそれぞれ矛盾しておるわけではないと私は思っておるわけでございまして、まずやはり時点がいろいろあるわけでございまして、現在の委員会制度というものについて必ずしも十分ではないということは皆さん全く同感ではないかと思うわけでございまして、現在のやはり常任委員会制度を活性化していくということがまずあるということが基本ではなかろうかと思うわけでございます。  そして次に、さはさりながら、そのまま現行の枠組みだけでこういった行政監視という大きな問題が機能するかということになりますと、現行の委員会というのはどちらかといえば前向きの仕事をやるということが主になってしまって、あるいは法案処理ということが主になって、いわゆる監視という観点からじっくりコントロールするということにやや欠ける面があるんじゃないかと思うわけでございます。  そういった面から見ますと、やはり第一歩を踏み出すのにはどういった制度がいいのかということになりますと、今提案されております第二種常任委員会設置するということが最も現実的で、第一歩を踏み出し得る制度ではないかというふうに思っておるわけでございます。  ただ、それじゃこれで十分であるかということになりますと、必ずしも十分ではない。しかし、これの内容の盛り込み次第においてはかなりの成果は上げ得るんじゃないかということでございまして、いずれにしてもこれを置くかどうかということを、先ほど猪熊委員の方からございましたように、まずコンセンサスを得ていただいて、置くということになりますと、これができるだけ一〇〇%伸びるように、機能するように考えていくということが要るのではないかと思うわけでございます。さらに、将来方向としてオンブズマンとかいろいろ新たな制度の問題もございますから、それは将来方向で逐次検討していくということがあろうかと思うわけでございます。  したがいまして、私が申し上げたいのは、現状のシステムをまず要するに強化していくと、それから第一歩をどういう形で踏み出していくか、それからさらに将来方向でどういうことを検討していくかということ、それぞれを考えますと、大体皆さんおっしゃっておられるものがそれぞれに当てはまるのではないかなという感じがいたしておるわけでございます。
  22. 鈴木正孝

    ○鈴木正孝君 今、私どもの会派の都築委員あるいは菅川理事などから若干ニュアンスの違った感じの印象を受けられるような話がございましたけれども、私も白紙的に物を考えてみれば、国民的な行政執行とか行政監視というものについての今日的な期待というもの、そういうものにやはり参議院として、改革一環としまして積極的にこたえていく、そういう国民的な期待にこたえるというそういう意味での決意とかあるいは態度の表明とか、そういうものが今日的にかなり強く求められているように思うんです。  ありようにつきましては、ここのところ一年半、会長を初め皆様方大変一生懸命勉強もされ、海外調査もされて、いろんな勉強をされてきたというそういう中でございますけれども、当初から理想的な形でのものというのはなかなかやはり事柄の性質上とりにくいんだろうというような気がいたします。平凡な言い方ですけれども、そんなような感じが非常に強くするということでもございます。  また、私も若干ながら行政の経験があるわけでございますけれども、とにかく広範多岐にわたるものを一つ委員会ではさっと見るというような、あるいは期待が高まれば反面相当多くのいろんな事柄、要請というものが出てくることが予想されるということを考えてみますと、イメージ的にはいろんなことがあるのかもしれませんけれども、まずはともあれというようなそういう決意がやはり必要だろうというふうに思います。  苦情請願あたりが大きな取っかかりの起点になるだろうという気もいたしますし、それから先般来言われておりました調査スタッフの確保、あり方、そしてその使い方がかなり決定的な要素になってくる現実的な可能性というのがあると思うんです。ですから、その辺のことを十分に考えながら、また組織という面だけではなくて、片方では情報公開ということがかなり重要な並行的な担保的な要素になるだろうというような思いもいたしますので、あわせまして、そういうことをサイドからもサポートする形で前に出すことによって、まずはとにかく参議院として、改革一環として国民行政に対する不信を払拭するための一つの大きな手だてといたしまして、やはりなるべく早く取りかかれるのであればそれが一番よろしいんじゃないかというふうに思っております。  内容につきましてはいろいろと議論は分かれるところだろうと思いますけれども、それはそれとして、やはり前に出ることの方が大事ではないかというようなそういう印象を強く持っております。
  23. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 私もそのような感じを受けておりまして、この案をもとにまずもうちょっと細部にわたって詰めてみると、みんな理想的ないろいろお話があると思います。  例えば、スタッフの件でどれくらい必要かと、前の参考文献でいただいた中では、スタッフは少なくとも数十人、それから苦情の数、処理の仕方によっては二百名程度が必要であるというふうな話も出ていまして、それぐらいの規模が果たして確保できるのかどうか。そうすれば、十分なオンブズマン機能も果たせるんじゃないかということになりますので、まずはこの第二種常任委員会形式でもうちょっと細部を詰めていけば、ああこれならばいいなというふうな形になるんじゃないかと。まずそこをたたき台にして、もうちょっと具体的なものまで詰めていけば、意外といいというような形になるのかもしれませんので、これをまず土台に考えていくべきだと。  それから、先ほど参議院改革観点から考えてもやはりこういう形でというようなこともありましたけれども、私はもう一つ、将来の中央省庁の統廃合という意味でも大事なところなんじゃないかと。まず、こういう形でやってみて、これではちょっと十分な行政監察はできないんだということになれば、将来の中央省庁の統廃合の段階で、これは行政監察院として別なスタイルにすべきだというようなことにもなると思うので、まずは実行してみて、あるいは実行案をつくってやってみることが大切なんじゃないかなというふうに考えております。  私としては、おおよそこの第二種常任委員会の形でもうちょっと詰めてみるということでよろしいんじゃないかというふうに考えております。  以上です。
  24. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 私も、最初、会長の方で出されましたように、やっぱり参議院改革問題がもうこちらの結論を待っておるという状態まで来ておると。ですから、議長の方もなるべく早く改革を進めたいというお気持ちのようですし、非常に熱心に取り組んでおられると。そこにどうこの調査会としてはおこたえをするかということがまああると思うんです。ですから、今日までいろいろ外国に調査に行って、一年半有余にわたって議論されてまとめられた。私は、この二種委員会でも結構ですから、やはりまとめてやるべきじゃないかと。  ただ、やっぱり問題になるのがそのオンブズマン方式の問題でも、現在あります常任委員会での問題で、あるいは本会議も含めてそうですけれども、例えば苦情請願が出た場合に、その法案ができた段階では一体どういう附帯決議がされておったのか、そういう附帯決議が果たしてどの程度生かされておるのかという点についてのフォローアップが全然と言っていいほどされていないという現状があるわけですね。ですから、そこらに力を入れていけば、これは参議院改革全体の問題ですけれども、そういうことを現在あります各常任委員会なんかが進めていけばかなり進展をしてくるんじゃないかという気がするわけです。  それと同時に、山田先生の方からおっしゃられた公務員の守秘義務の問題とか、これは言うのは簡単ですけれども、やっぱり法律との関係では、私は、非加熱剤の問題のときのあのエイズ患者のエイズ菌を保有したかどうかという問題で委員会でいろいろ議論して、保健所の例えば医師が検査に来て知り得たと。しかし、それは本人にも言っちゃいけないとか身内にも言っちゃいけないとかという問題等もあるわけですね。そのとき私が質問をしたのは、例えば自分の娘とその保菌者の人が仲がよくなって結婚をするというふうになってきたといった場合に、その娘に父親ということで言った場合に公務員の守秘義務の問題について違反をするのかどうなのかと、こういう質問までしてみたわけですが、なかなかこの守秘義務の問題も難しさがあるものですから、ここらは憲法上の問題等も含めてやらなければ、ここに呼び出しても公務員という、それは法律があるものですから、なかなか言えないという問題等もあります。  そこらをやるとすれば、どういう方向で持っていくのかということも同時に並行して議論しなければなかなか進展をしないんじゃないか等々を含めて私は早く結論を出して、そして参議院改革全体の動きの中に乗せていくべきじゃないかということで、この二種の委員会設置についても基本として賛成をしたいというふうに思っております。
  25. 石渡清元

    ○石渡清元君 今までいろいろ御意見がありましたように、参議院改革一環ということになりますと第二種常任委員会方式というのが一番入りやすい形じゃないかと思うんです。したがって、そういうことを踏まえて構成だとか運営だとか、あるいは内容についてこれから詰めをされたらいかがかなと。  元来、第一種常任委員会でもこの種のことはできるんですね。できるんだけれども、なかなかそれが行われていなかった。それだけでもかなり切り口は前進につながるんじゃないかと。そういう方向でおまとめをいただきたいと思います。
  26. 今井澄

    今井澄君 再度の発言で恐縮ですが、私は先ほど菅川先生が言われたことというのは非常にすっきり現在の状況をまとめておられると思ってお聞きしたんです。  本来的には、現在の常任委員会を充実強化すれば、これは都築先生も言われたことですけれども、かなりのことができるはずだと。それも努力をしようと。しかし、とりあえず第二種常任委員会でどうだろうと。そして、オンブズマンということについて否定的な御意見もありますが、将来的にはやっぱりオンブズマンというふうな形でいくべきだと。これは山田先生も主張をされた。私は、そういうことで非常によくまとめられたと思って受け取ったんです。  その際に私は、せっかくここまできたのにかえってまぜ返すことになるおそれもあるんですが、申し上げたいのは、オンブズマンあるいは苦情請願ということと、行政監視あるいは行政監察ということとは密接不可分ではありますけれども、これは機能としてはかなり違うものだということをある程度整理しておかないと、初めから行政監察までやっちゃおうというふうなことでこの委員会設置すると議論が後戻りすると思うので、オンブズマン的あるいは苦情請願的なもの、先ほど武見先生も言われた、積極的に打って出て公聴会などもやろうと、国民の要望を我々が行政にどう反映するかというその大きな窓口として参議院の特徴を出そうというふうに位置づけたところからスタートしないとまずいんじゃないだろうかなと思うんですね。  それともう一つ、さっき山田先生が言われた参議院独自性、特徴ということで、私も党派会派を超えた、国民あるいは国の立場に立った議論というのが行われるのが参議院だと思うんですが、率直に言って、カーボンコピーと言われるのは衆議院における議院内閣制を反映した与野党というのがそのまま持ち込まれているところに問題があると思うんです。その点では、私は与党の先生方により大きな責任というか自覚を持っていただかない限り、第二種委員会に踏み出すにしてもうまくいかない面があると思うんですね。  その際、先ほどから幾つか出されました、オンブズマンというのは無理だよとか、憲法違反の疑いがあるとか、あるいは行政監視監察行政府がやるのは憲法違反であるとかいうことは、そういう御意見があるのはわかりますけれども、だから第二種常任委員会じゃないということを前提としてまず確認していただかないとこれから進まないのではないだろうかなというふうな感じがします。  そういたしますと、非常におもしろいのは、第二種常任委員会で、一つは予算がこれからの政策を論議する、それから決算委員会が過去の政策を論議する。それに対して、国民からの要望を受けて我々が立法府として何をすべきかを考え委員会という意味になると非常にすっきりしてくるという感じがするものですから、スタートをそこに置いていただければありがたいなという感じがいたします。
  27. 宮澤弘

    宮澤弘君 皆さん方がおっしゃいますように、大体この紙にある案で行政監察苦情請願もやると、ここに書いてあるようなことでまず出発をしたらいいと思います。  それからもう一つは、余り中のことに入って、また議論を起こしても悪いんですけれども、たたき台に書いてありますように、やはり私は国政調査権に基づいた我々の仕事だということだろうと思うんですね。  国政調査権があって一向に使われていないじゃないかということは、それは今もお話があったように、各常任委員会がいろいろ忙しいこともあれば、国政調査権を発動するのはスキャンダルとか何かそういう犯罪的なもの、しかし私どもがねらうのは、無論スキャンダルの摘発もありますけれども国民の税金がちゃんと使われているかということなんですね。  ですから、そういう意味合いで、今までの国政調査権の発動というのは余りなかったし、あるときはスキャンダルみたいなものであった。そうでなくして、やはり常時、国民の税金がちゃんと使われているかどうかを見ている機能というものをこの委員会がやるんだと、初めから全部はできませんけれども、そういう意味合いでも、国政調査権に基づく仕事であるということは私ははっきりしておいた方がいいだろうと思います。
  28. 武見敬三

    武見敬三君 これは運営内容の方とも密接にかかわりがあると思うんですけれども、第二種委員会でありながらも、なおかつそれが行政府から独立したきちんとした体制を確立しているかどうかというのは極めて重要な要件だと思います。その意味で、今、今井先生から御指摘されたように、与党の責任というのは極めて重いものがあるだろうと思います。  したがいまして、その中でいろいろ議論するときの一つの手段としては、例えばこの委員会に関しては党議拘束を外すとか、そういった具体的な運営上の要件というものが相当考慮されながら第二種委員会としての独立性というものを国民の前に明示するというようなことがやはり必要になってくるかもしれないなということを感じておりますので、一言だけそのことを申し上げておきます。
  29. 山下芳生

    山下芳生君 議論常任委員会でどうだということで、まず一歩というお話にだんだんなってきつつあるところなんですが、私は、先ほど渡辺先生から御指摘のあった、それが本当に十分国民期待にこたえ得るものかどうかというのは、単に第二種常任委員会をつくればそうなるという問題ではなくて、その第二種常任委員会にどういうスタッフを配置し、権限を付与し、どういう活動をするかということとこれは密接不可分ですので、そこを精査して詰めるという作業がないと、よしという判断もなかなかできないんじゃないかというふうに思います。  私は、それを詰めていったら、冒頭申しましたように、結論として常任委員会というスタイルではなかなかそういう権限スタッフを配置することは難しいんじゃないか、制約になってくるんじゃないかという危惧を持っているわけです。しかし、精査するという作業はまだやっておりませんので、やることに反対ではありません。  同時に、精査した結果、やっぱり十分なものができないという結論になる可能性もあるわけで、にもかかわらず、とりあえずということで見切り発車しますと、これはむしろ参議院改革に反する、お茶を濁すようなものをとりあえずつくっておしまいというふうなことに国民から見られるような結論になるのは具合が悪いと。やはり、国民から期待されたことにこたえられるんだということをしっかり議論して、確証を得るまで私は徹底した議論をすることが大事ではないかというふうに思います。  そういう意味で、どうすれば国民期待にこたえることができるのかという点で、理想論というふうにどうもよく言われるんですが、私は、むしろこの常任委員会をつくったら何かうまくいくというふうに見る方がむしろ現実の政治の力関係から離れた理想論になるんじゃないかということも思っております。やはり、少数党・野党が行政の不正、腐敗について国民の立場から監視する、国政調査権の発動を要請すると。しかし、現実問題には、決してスキャンダル問題だけじゃなくて、多数党・与党の同意が得られずにそういうことが発揮できないというのがこれまで多々あったわけです。そこをどうクリアするのかという工夫をすることが、現実の今の政治の中で国政調査権行政監督権を具体的に発揮していく上でかぎじゃないかと、これはずっと議論してきたことですが。  その際、憲法六十五条との関係は、大学の先生などからこういうことまでならいけるんじゃないかということも勉強して、議会オンブズマンというのは憲法上クリアできるということも意見として述べられましたし、それから国会議員に、ハウスに与えられている国政調査権を第三者オンブズマン行政監視院に丸投げするのはいかがかという議論もありましたが、私はここはいろんな工夫の仕方もあると思うんですね。例えば、常任委員会で多数で議決したものについて行政監視院調査を発動するというのはこれは問題ないと思うんですが、議員個人とかあるいは少数の議員の発意による行政監視の開始というのは、やはりそのままだと少し少数者調査権との関係で問題があるかもしれない。  しかし、何か工夫ができないかと思いますと、例えば一人であっても二人であっても調査の発動を提案して、それをオンブズマン皆さん、三人なり七人とかいろいろ人数はあると思いますが、その皆さんに精査していただいて、その皆さんが、例えば全会一致でこれは国民期待にこたえ得るものだと、少数者の発意ではあるが決してそれは横暴ではないという、ここにオンブズマン皆さんの見識にゆだねるという面があるんですが、それをそのまま発動するんじゃなくて、もう一回、例えば議院運営委員会に返していただいて、そこで議院運営委員会の多数によってオーケーだという議決を得たものについて調査を発動するというふうにやれば、私は少数者の発意であっても、しかも少数者調査権という問題でいろいろひっかかるところもクリアしながら、事実上、国政調査活動を活性化していく仕掛けができるんじゃないかなというようなことも考えております。  ですから、憲法上問題があるというところもあるんですが、いろいろクリアする工夫も一方でしながら、第二種常任委員会という結論を決めてしまうんじゃなくて、両方の可能性も今の時点ではぜひ追求していきたいなというふうに思っております。
  30. 井上吉夫

    井上吉夫君 いろんな人たちが皆さん意見を述べられました。大方意見は、ここまでずっとやってきた、そして今、参議院改革の話が私どもを取り巻く背景の中にあって、これはやっぱりこの機会に参議院の持つ役割というのをもっと明確にしないと、参議院に籍を置くお互いとしても何となく胸くそ悪いなと。国民全部に対しても参議院存在意義というのを明らかにする必要があるなという議論の中に出たものの一つが、予算はどちらかといえば衆議院優先というのが現実にありますが、決算は参議院優先というような形でひとつやろうではないかと。まだそれが形の上で全部整理されているわけではないが、何となく、だんだんそのことに対して非常に大きな抵抗があるというところではなくなったなという感じが一方でします。  同時に、行政でいろんな問題が出てくる。そういうのが何で出てきたんだという国民の不満を起こさないためには、もっともっと国政調査権は、何でもかんでも守秘義務を否定しながら徹底して調査ができるということであるべきだという見方も一つあるでしょう。それは国民的感情から見れば拍手喝采が気分的に出るかもしれぬ。  しかし、そのことよりも政治がもたらすいろんな行政の効果を考えてみると、私もこの前回ったときに、行政相談委員皆さん方の話を聞きながら、私がそのとき感じたのは、非常に大きな行政上のいろんな問題を扱えるという機能は相談委員の人たちには全くありませんね。ただ、相談を、不満を、いろんな不満を受けとめて、そしてそれぞれの関係役所に伝える。それだけでも相当程度、訴えた人も行政相談委員の人も生きがいを感じながら、ある程度の満足を感じながらやっている。それをさらにもっと高い次元でやれるとすれば、国会はもっと何かやらなきゃならぬのじゃないかというとらえ方をしますと、私どものこの会は行政の苦情を、とりあえずその問題をもっともっと時間をかけて議論をする、そういう委員会があっていいんじゃないか。  もちろん、現在ある委員会請願の扱いを毎回細かく案件ごとに議論をしていれば、それはまた相当違った成り行きになっているかもしれませんが、各委員会とも、猪熊先生がさっきちょっと言われたように、請願案件の大部分のものというのは、まさに政治的ないろんなそういうものが何十人、何百人の名前を冠して請願書という形で出てくる。そういうものの扱いは、会期末の最後理事会でどっちかにするんだという仕分けをする。その大もとは議員同士の議論よりも、調査室の方でずっと経緯を見ながら、これは保留だ、これはどっちだと。したがって、国会が本当の意味で直接に請願苦情請願であれ議論をするという役割を残念ながら果たしていない。そういう何となく習慣になってしまっているという感じがしてなりません。  したがって、この委員会は、まずは苦情請願を扱うとりあえずの出発点とするだけでも私は相当大きな意味を持つのではないのかなという、そんな感じがしてならないんですよ。それで決して終わるわけじゃありません。この調査会だけであらゆる請願案件を、苦情案件を処理するということをやれるはずがない。したがって、いろんなことを考えますと、一つ機関であれもこれもというのはなかなか全部が全部やれるものではありませんので、せめて我々が国会機能の中で今まで足らざる部分、我々がもっともっと考えなきゃならなかった部分を、他の委員会に全部同じようにひとつやっていこうじゃないかといってもなかなか容易ではないんです。  したがって、この機会にとりあえずやろうとすれば、いろいろ議論はあったけれども、やっぱり第二種委員会にして主たるテーマをここから入っていって、そして当然そこが終着じゃないんだよと。この間に一等初めに出てきたのは、いわばオンブズマンの話の方が先にいろいろ議論をされてきて、そしてそれには一体どうやって人を選ぶんだ、何人選ぶんだ、どれだけの資格を持たすんだとかいうようなことなど議論をしていきますと、なかなか人を選ぶのも容易ではないな。何とかして選んだ場合に、その選ばれたオンブズマンにいろんな問題は全部あなたの方にお願いしますということで終わったら、それを誕生させた国会の方は仕事をそっちに全部おっかぶせるみたいなことになるじゃありませんか。憲法上の問題かれこれともひっかかるじゃありませんかという、そういうのはひっかかりの要素の一つとして議論されただけであって、陣容をどう決め、どういうテーマを、世の中森羅万象のすべての問題を国のオンブズマンという形でどれだけの機能を持ったらやっていけるのと。そのためには、そのオンブズマンよりもずっともっと調査スタッフの方を充実する必要があるのではないかといういろんな側面があります。  幾つか申しましたけれども、私はやっぱりこの一連の検討の中から出た最後の帰着点は、このままで終わったんじゃ何にもなりませんので、とにかく出発させる。出発させる可能性のあるのは、これは会長中心としてつくられた案かもしれませんが、やっぱりオンブズマン的機能、あとの用語はいろいろありましょうが、機能を備えた行政監視のための第二種常任委員会というのをつくって、その中のいろんな進め方やら、今申し上げましたテーマの第一の選び方やらというのは、この後またしっかり議論をして出発することの方が大事ではないのかなという感じを持ちます。
  31. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 ただいまの井上先生の御意見と大体同じかなと思うんですけれども、やっぱり今、国民が一番行政に不満を持っているのは、非常に行政が非能率ではないのかと。それから、非常にむだ遣いが多くないかということも随分ありますね。  例えば、ダムの建設をやっても、後でダム審議会まで、これはもうやめた方がいいのではないかなんという話が出てきたり、年度末になると途端に道路の工事を始めたり、そういう行政のむだ遣いに対する不満。そして、やはり非常に大きいのは、どうして高級官僚にあんなに汚職が続くのかというような不満。ですから、そういう国民の不満にどうこたえていくかという必要があると思うんです。  それで、非常に今、官庁には緊張感がないのではないかと思うんですね。これは国会が今お話があったような機能を持てば、役人ものんきなことをやっていられないという非常に緊張感を私は持ってくるのではないかなと思うんです。そういう点で、本来の国会としてのチェック機能というのを果たしていくことが今一番大事なことだろうと思うんです。  それで、確かにオンブズマン苦情請願が非常に大事なことはわかりますけれども、それだけではもう開店休業になってしまう心配も私はあるのではないかなと思うんです。  そういう意味では、やっぱり積極的に能動的にこちらの方から問題をきちっとスタッフを持って、どうやったら国民期待にこたえられるのか。そういう非能率あるいはむだ遣い、汚職、そういう問題を一体どうやったらなくすることができるかということを積極的にやっていく必要があるのではないかな。  そういう意味で、今、井上先生からお話があったような第二種の常任委員会をつくって、まずできるところからやっていこうと。賛成でございます。
  32. 今井澄

    今井澄君 済みません、三たび。  大体、私も皆さん意見とそう違うわけではないんですが、ただ第二種常任委員会をつくろうというときに、これは山下先生や都築先生からはつじつま合わせにすぎないみたいな御意見を言われましたけれども、ある意味では、これはそんなに期待のできるものではないと言ったらおかしいですけれども、余り大きな望みを持ってやろうとしない方がいいだろうと思うんですね。  スタッフについても拡充しなければなりませんが、例えば民主党案の行政監視院、ここでやろうとするのが八百人なんですね、最低八百人必要だと。それが、行政監察局にいるプロの八百人をこちらへもらう、もっと欲しいんだけれどもというところからスタートしているんですね。数百人規模のスタッフなんというのを、この行革の時代に、しかもどれだけのことができるかわからない委員会に配置なんかできないという前提で我々は考えざるを得ない。  そうすると、先ほど宮澤先生が言われた国政調査権ですよね。この辺を基本として、我々としては、先ほどいろんな案が出ていますけれども、秘密会を開いてみてはどうかとか、あるいは公務員の証言はどういうふうにしたらいいか。これは、例えばどうしても証言できない、拒否するという場合には内閣声明を出させるというのが行政監視院法にあるんですが、それほど重大な証言拒否の問題かどうか。そういう法的な整備も必要かもしれないけれども、ある意味では多少のスタッフは持てるかもしれないけれども、裸でまず我々自身がどうやるかという覚悟でないといけないんじゃないだろうか。  ちょっと水を差すようであれかもしれませんが、やはり理想論ではなく、我々が本当に与野党を超えて、現実に住民の意見を聞いたり、あるいは役人の意見を聞いたり、そういう中から我々自身が問題の解決の方法を探るというつもりでいかないと、スタッフの面でも余り理想論に基づくといけないのではないかなという感じがしますので、入り口でスタッフがなきゃだめだよという話になると、それすらスタートできないんじゃないかと思ってちょっと発言させていただきました。
  33. 武見敬三

    武見敬三君 私は、このスタッフの置き方次第によっては、そのスタッフの中の中心的存在になるような役割を担うべき人たちが実質的にはオンブズマン的な役割を結果としては担うということになってくるんじゃないかと思うんですよ。  これは、例えば四、五十人ぐらいの規模の事務局スタッフであったとしても、そのいわば中心的役割を担う人たちの才覚と運営の仕方によっては実質的には極めて大きな仕事が私はできるだろうと思います。したがいまして、私はこの委員会に物すごく大きな期待を実は持っております。  それから、この委員会設置に関しては、運営も含めて、私はやはり二十一世紀における参議院あり方考えたそうした改革の大きな突破口になる可能性があると思っております。これは実質的な常任委員会というものが、先ほどからも何度も話題になっておりましたように、実質的には官僚機構から送られてくるような案件の処理に追われてしまっていて、実際にその中身を精査するのがもう精いっぱい。新たに院としての見識に基づく議論をきちんとできるような状況にはなかなかなっていない。  しかも、例えば外務委員会でアジア・太平洋小委員会というのをつくってみました。これは参議院規則できちんと設置できるものであり、かっ結果として私は非常におもしろい仕事ができたなというふうに思っております。しかし、これ一つとってみても、それをさらにもう一回継続して設置しようというような議論になったときにも、まだまだ各党派閥の意見がなかなかまとまらないというのが常任委員会の中では現実でございますし、しかも小委員会の中でつくられた報告書、決議の案等に関連しても、これをやはり広く国民に知っていただこうと思って、例えば大蔵省の印刷局などを通じて政府刊行物センターで販売をするというようなことを試みようとしても、なかなか実際には古いしきたりの中でそれさえもできなかったというような実は苦い経験があったわけであります。  したがいまして、そういう具体的な細かいもの一つとってみても、私は今の常任委員会の中から独自に参議院改革をつくり出すということの限界を感じました。それだけに、この第二種委員会を通じて、これからの常任委員会あり方をすべて考え直すような、そういう政治的なインパクトを持つような運営方式等も含めた提案を行うことによって、私は非常に大きな役割をこの委員会参議院改革全般に対しても持ち得るのではないかという非常に大きな期待を持っております。
  34. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 もしこれが大体詰まりそうな話だとすれば、私はこの二項にちょっと異論があるんです。二項の「「行政監察計画」等についての調査」、この中で、行政監察の結果報告、勧告、これをいろいろ委員会でやることは結構なことだし、各省庁の内部監査に関してもいろいろ調査をやる、これは結構なことなんですが、行政監察計画そのものを調査の対象にするというのは、違法じゃないけれども、余り適切じゃない。  なぜかというと、行政監察局行政監察計画を立ててそれを実際に実行していくと。そういう意味では、まず計画を立てることから実行することからすべてが行政執行です。だけれども、人がせっかく今からこういう計画を立ててやろうというときに、この計画自体を調査して、計画が足りないじゃないかとか、これはよせとかなんということを言うのは非常に妥当性を欠くから、この行政監察計画そのものを調査してみたところで、調査するのを差し控えるべきだと。調査した結果、ああ、いいからやってみろとか、これは足りないぞと、もう少しこっちをやったらどうだとか、これはやっちゃいけない、こんなことはよした方がどうだとか、こんなことをこの委員会が言うべきことじゃないと私は思うので、妥当性の問題でやめろと。
  35. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 全く同感です。
  36. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 出た結果なり勧告を調査する、それはもちろんいいけれども、人がやろうというときにちょっと見せてみろなんというのは余り妥当じゃない。  以上です。
  37. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 さっき今井先生がおっしゃった危惧というんでしょうか、過大な期待を抱かないでスタートした方が、ということもわかるような気がいたします。  ただ、私も運用の仕方によっては、武見先生もおっしゃったように、非常に大きな効果を生むのではないか。というのは、例えばイギリスオンブズマン、コミッショナーですね、ここで勧告をする、あるいは政策的なものは下院の特別委員会におろすわけですね。あるいはコミッショナーのところで処理できなかった、結果的に省庁がそのように改善をしなかったものも、これも下院の特別委員会におろしてやるわけですね。今回の第二種常任委員会を例えばイギリスの特別委員会的なものに見立てて物を考えた場合、コミッショナーが処理できなかったものを下院の特別委員会が受け取る。そこで改めてなぜその勧告が実現できないのかというようなことを調査する。そしてまた、その委員会なりの結論を出して省庁に実現を迫るというようなことによってほとんどの懸案は処理をされているという話を聞きました。今の行政監察のところにまで踏み込むかどうかはまた別として、出たものをきちっと各省庁、役所に実現をさせるという意味でも私はかなり運用の仕方によって大きな役割を果たすであろうと。  それからもう一つは、苦情請願もこの十年間で請願の中で十件もないんですね、苦情的な請願というのは。ですから、今のままの請願の中の苦情だけ引っ張り出したのでは開店休業になってしまうのは事実だと思います。  そこで、例えば五千人いる行政相談委員の方々が扱っているもの、この五千人を倍にしたって、今は大した報酬出していません、交通費ぐらいしか出していません。ですから、こういう方々をもっと拡大して国民の声を吸い上げるということもこれから必要だと思いますが、そういう中で集約されてきたものをこれまた苦情請願的にこの委員会で扱っていくというようなことも必要になってくるのではないか。  そういうことで考えていくと、運用の仕方によってはかなり大きな仕事ができる。調査スタッフも、そういうふうに物を考えていくと、必ずしも何百人というものが今すぐに必要だとも思わない。ですから、現在のものの足らざるところをきちっと補いつつ、そして行政監察結果をきちっとフォローしてやる、そして行政相談委員等でくみ上げてきたものもまたここで扱っていくというようなこともあわせ考えていけば、私は結構大きな仕事ができるのではないかと、こんなふうに思います。
  38. 今井澄

    今井澄君 私も先ほど自分で発言しながら、これは大変不適切な表現を使っていると思いました。  私は、大きな期待を個人としては持っております。それは運用次第だと思うんですね。だから、スタッフがいなきゃできませんよと、入り口でまずスタッフを何人かという話じゃなくて、まず参議院として何をやるかという運用次第だと思います。
  39. 菅川健二

    ○菅川健二君 今の委員会の持ち方ですね。先ほど山口委員からもお話がございましたけれども、役人というのは、私も役人を長くやっておったんですけれども、やはり議会というのが非常に怖いといいますか一議会があることによって緊張感を持つというようなこともございます。したがって、地方議会の場合は大体毎月一遍、常任委員会というのを開いておるのが通例だろうと思うんですが、この委員会は、仮に設けるとすれば、やはり年間常時コンスタントに開くんだと。それは一つの役人に対するコントロールと、もう一つは、国民苦情処理を年間を通じてずっと受け付けておるよという姿勢を示すと。そういう面でほかの委員会と違うよという特色を出すことが一つの有効な方策になるんじゃないかと思っておるわけです。
  40. 矢野哲朗

    ○矢野哲朗君 遅参して意見を述べるなんというのは本当におこがましいのでありますけれども、お許しをいただきたいと思います。  今、亀谷先生、武見先生の御意見がありまして、私も長年、参議院改革協を含めて請願あり方について、処理の仕方について特に問題があるなということでいろいろ論議されてきた経緯があります。しかしながら、処理の仕方と同時に、請願あり方自体もやっぱり問題があるのではないかなと。国民が今、請願権というものをどう理解しているかということになると、かなり形骸化している部分もあるのではないかと。国民一人一人の意見請願を通じて国会にというふうなこの考え方国民はどのぐらい理解しているんだろうかなと思うと、私は相当なくなってきている嫌いがあると思うんです。  その理由一つは、請願の受け皿はどこなんだということがまさに私は問題化されてくると思うんです。今、常任委員会請願を受けて、処理の仕方を今さらここで問題提起する必要はないと思うのでありますけれども、ですからどっちもどっちだという中で、私は本来、請願権を国民が理解して、その受け皿が参議院にあります、そしてその結果、参議院国民の間が本当に距離が近くなりましたということになりますれば、武見先生がおっしゃるとおり大変な参議院改革の大きな目玉になるんじゃないかなと、こう私は理解しているところなんです。  ですから、その点からいっても、私は、第二種委員会で常に苦情並びにその他の建議を受け皿をつくって論議していくというふうな窓口の開設はぜひとも必要だなと、こう考えるところであります。
  41. 井上孝

    会長井上孝君) 本当に貴重な意見をありがとうございました。  結局、今のこの試案にもう少し肉づけしなきゃいかぬと思っておりますけれども、この試案中心に問題点をみんなで検討して、実際に効果のあるものにしていくという方向では大体御意見がそろったようでございます。  特に、これは反対だとおっしゃっていた山下委員最後には、やはりこの肉づけをやればいかに私が反対しているか、役に立たぬかということが皆さんにおわかり願えると、こういう御発言がございましたので、やっぱりこの肉づけをやってみんなでひとつ検討してみたいなと、こういうことで、山田先生もいろいろおっしゃいましたが、最後委員会の欠陥を補うようなことを考えろと、こういう御意見もございましたので。  私も実は、この試案はたった一枚で非常に簡単に書きました。この中で若干説明があるのは、請願審査の「委員会意向を多様に反映させるための意見書を活用する」と、これだけが若干説明が入っているんですが、あともうあらゆる説明を全部カットしましてわかりいいように端的に表現したものですから、いろんな御疑問とか御意見がたくさん出ました。  一々反論、反論というか補足しようと思ったんですけれども、これじゃ時間がかかりますし、大変貴重な、私どもも気がつかなかった貴重な御意見がたくさん出ましたので、ひとつこれを私の方でまとめさせていただきまして、理事懇にも諮り、そしてできればまたもう一回この調査会を開いて、こういうふうに変えました、こういう考えですということを御説明申し上げて集約をお願いしたいと、こう思いますが、いかがでしょうか。(「異議なし」と呼ぶ者あり)山下先生、いいですか。
  42. 山下芳生

    山下芳生君 結構でございます。
  43. 都築譲

    ○都築譲君 今、会長のお取りまとめでよろしいかと思うんですが、きょう議題になったのは、「参議院における行政監視等のための機関についての試案」ということでございまして、三年間の行財政調査会の任期を終えるにはまだ少し時間がありますけれども、全体としての報告なりあるいは中間的な報告の中にはこの機関だけの問題ではなくて、もっとたくさん議論された点があるわけでございまして、その中には、私が申し上げたような常任委員会の活性化の議論とか請願の取り扱いの問題とかさまざまな課題があろうかと思いますので、その際はぜひお忘れなくお取り扱いいただきたい、こういう御要望でございます。
  44. 井上孝

    会長井上孝君) きちっとメモをとっておきます。  それでは、本日の自由討議はこのぐらいにさせていただきます。貴重な御意見をたくさん出していただきましてありがとうございました。     ―――――――――――――
  45. 井上孝

    会長井上孝君) 次に、先般、本調査会が行いました京都、奈良への委員派遣につきまして、派遣委員報告をお願いしたいと思います。菅川健二君。
  46. 菅川健二

    ○菅川健二君 それでは、御報告を申し上げます。  去る二月十七日から十九日までの三日間、京都府及び奈良県において、行財政機構及び行政監察に関する実情調査を行いました。  派遣委員は、井上会長守住理事、菅野理事今井理事山下理事井上(吉)委員、上吉原委員亀谷委員小山委員、佐々木委員武見委員、猪熊委員、鈴木委員西川委員渡辺(孝)委員、山田委員及び私、菅川の十七名であります。  とりわけ、今回の委員派遣では、行政相談委員活動状況等を中心調査をしてまいりました。  以下、調査の概要を御報告申し上げます。  まず、京都市及び奈良市において、総務庁近畿管区行政監察局、京都行政監察事務所及び奈良行政監察事務所から行政相談業務の概要を聴取いたしました。  近畿管区行政監察局は、大阪、福井、滋賀、京都、兵庫、奈良及び和歌山の二府五県を管轄し、管区行政監察局のある大阪府以外の各府県には行政監察事務所を置いております。  そのうち、京都行政監察事務所では、平成七年度において国税、登記、年金等の分野について約四千八百件の行政相談を、また奈良行政監察事務所では、道路、年金、国税等の分野について約二千七百件の行政相談をそれぞれ受け付けております。  両事務所とも、行政相談委員に対する研修及び定例行政相談所等への職員の派遣、また広報活動を行って、行政相談委員を支援しております。  その他、苦情相談に関する情報交換、連絡調整等を目的として、国の出先機関、特殊法人、地方公共団体で構成する官公庁行政苦情相談連絡協議会設置し、関係機関との連携を図っているほか、相談週間期間中、民生委員、人権擁護委員などと一日合同行政相談所を開催しております。殊に、京都行政監察事務所では、申し出られた行政苦情事案のうち、重要課題について民間有識者から幅広い意見を聴取することにより解決の推進を図る趣旨で京都行政苦情救済推進会議を三月十日に発足させる予定とのことでありました。  次に、京都、奈良両府県下の各地で活動されている行政相談委員の方々から実情報告を受けた後、意見交換を行いました。  京都市では女性三人を含む十一人の出席を、また奈良市では女性二人を含む七人の出席をいただきました。委員歴は、京都市では平均十七年余、奈良市では十二年余であり、職業も、公衆浴場経営、住職、農林業、会社員等と広範囲にわたっておりました。また、民生委員、保護司等を兼ねている委員もおりました。  行政相談委員からは、相談業務に取り組むに当たっての御苦労や創意工夫の一端が述べられました。  広報活動としては、市町村の広報紙への掲載、有線放送、銀行の窓口へのパンフレットの配置、行政相談委員のCATV出演などを通じて行っております。また、行政相談懇談会を開催し、市長にも出席を求め、青年会議所、PTA及び婦人会等各種団体代表者に行政相談をPRするとともに、行政に対する苦情等を聴取しております。  受け付けについては、自宅のほか、百貨店等での行政相談所、また夜間行政相談所を設けるなど、相談に立ち寄りやすい工夫をしており、行政相談委員が経営している公衆浴場や理容店での日常の会話からも苦情を酌み取るようにしているとのことであります。  他の各種委員との関係では、事務所とは関係なく、自主的に各種委員連絡協議会を開催し、苦情処理等が円滑に進むように情報の交換を行っております。また、京都では、地方法務局支部、公証役場、地裁支部内の調停協会、府、市、社会福祉協議会、人権擁護協議会行政相談委員から成るよろず相談所を設置し、年三回、二日ずつ相談業務を実施しております。  行政相談委員を務めている者の感想としては、第一に、公正・適切な助言により問題が解決されたときに大きな喜びがあること、第二に、複雑で多岐・多様な相談活動を通じて有形・無形に自己の人格形成に強く作用すること、第三に、住民の生活に密着した素朴で地道な活動に加え、グローバルな視点で事案に取り組むことで老化防止に役立つことを挙げておりました。  要望としては、京都府下四十四市町村のうち三十二町村、奈良県下四十七市町村のうち三十七町村において、各町村に行政相談委員が一人しか配置されていないため病気のときの対応が困難であり、また判断に苦しむこともあるので複数配置してほしいとの意見行政監察事務所の担当職員が京都四人、奈良三人と少数のため、苦情を事務所に上げることをためらう場合があるので担当者を増員してほしいとの意見が述べられました。  以上の行政相談委員意見等に対して、派遣委員行政相談委員との間で以下に述べますような質疑応答が行われました。  人権擁護委員等、各行政機関の各種相談委員は合計五十万人以上もおり、縦割り行政の弊害が相談制度にもあらわれている現状について感想を求めたところ、相談業務の遂行に当たっては特段の問題はないとの回答がありました。  行政相談委員権限の不足を感じたことはないかとの質疑に対しては、行政相談委員法四条に定める行政相談委員の総務庁長官に対する行政運営の改善に関する意見行政制度まで拡大すべきとの考えもあるが、そのような権限は不要であり、人間性あるいは人望で処理できるとのことでありました。  実態を知る上で必要な資料提供については、行政相談委員の選考にかかわる関係で市町村の協力は得られやすいが、府県は非協力的な場合があり、必ずしも一律に役所との関係が円滑にいっているとは言い切れないとの報告もありました。  その他、自宅で受け付ける際の行政相談委員個人のプライバシーの問題、匿名の相談の取り扱い、行政相談委員に対する行政監察事務所の協力状況苦情処理のための具体的手続等について質疑応答がありました。  これらの質疑応答の間に、同席の総務庁に対しても質疑がありました。  行政相談委員意見が中央計画監察等に生かされたことがあるかとの問いに対しては、行政相談は個別事項に関するものが多く、監察計画に必ずしも十分に生かされているとは言えないが、細項目の一つ等に活用されることもあるとの回答がありました。  また、行政相談委員に対する指導については、たらい回しは絶対せず、受け付けだけはするように指示している、基本的通達は行政相談委員へ渡しているが、事務処理要綱等は行政監察事務所に完備しているので問い合わせるよう指示している、行政相談委員の職務は解決者ではなく、案件を各関係機関へ通知し、その検討結果を相談者に伝、え、公平中立的処理をして、両者の言い分を並べることまでが法律上の権限である、制度改正は行政監察事務所等が引き取る仕組みとなっているとの回答がありました。  一方、行政相談委員からは、民生委員と主任児童委員の改選時期の統一化、年金通知の年一回方式への変更等の要望がありました。  以上の意見開陳及び質疑応答を通じて、行政相談委員活動実態に触れ、有益な調査を行うことができました。  なお、関西文化学術研究都市内にある国立国会図書館関西館の建設予定地及び国際電気通信基礎技術研究所を視察したほか、文化財の保護状況調査観点から平城宮跡等を視察いたしました。  最後に、今回の調査に当たっての関係各位の協力に対して感謝し、報告を終わります。  以上でございます。
  47. 井上孝

    会長井上孝君) 以上で派遣委員報告は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十八分散会      ―――――・―――――