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武見敬三君 ただいま
今井先生初め、大変重要な御
指摘が
幾つかあったわけでありますが、第一に、現在の
国民から見た
参議院の状態というものが一体どういうものであるのか、これを考えたときに、相当深刻な
不信感が
国民から
参議院に関して持たれている。その結果として、
参議院無用論なるものまでもがマスコミその他で
議論されるようになっている。恐らく来年の
参議院選挙の重要な争点にこの
参議院無用論そのものが出てくる
可能性もあるぐらい。また、その投票結果が三〇%台にまで落ちたときには、さらに
二院制の
存続そのものが深刻に
議論される対象となってくることは私は明らかだろうと思うんです。
それだけに、
二院制というものを真に二十一世紀の
議会制民主主義の中で必要と考えるのであれば、私は、できるところからという認識もわかりますけれ
ども、超党派で相当思い切った
参議院改革を実行しなければ、この
参議院無用論という世論の大きな流れに対処して、
二院制というものの持つ
意味を
国民に理解していただくことは不可能だろうと思います。
それだけに、この
行財政調査会における
議論というものをでき得る限り早く超党派で取り
まとめて、そして来年の
選挙で
国民にその信を問うということぐらいのタイムスケジュールを組みまぜんと、私は相当深刻な事態に
参議院自体が陥るだろうと思います。そういう非常に深刻な時局認識に基づいて私の
意見を述べさせていただきます。
まず第一に、昨今の
行政のこうした
スキャンダルの問題で
行政に対する
不信が非常に高まっているというふうに言われますけれ
ども、基本的に、それは同時にそれを
チェックし切れない立法府に対する
不信でもあるわけであります。その立法府に対する
不信というのをどういうふうに見ていくかというと、私は大別すればそれは意図と能力に対する
不信だろうと思うんです。
まず第一に、これは
都築委員からも御
指摘のあったとおり、
行政依存型であるとか、言うなれば立法府における独立性そのものに対する
不信がある。したがって、こういう
行政監視についての機構を立法府の中で設ける場合には、そういう独立性というものがきちんと確保されたものでなければならないというふうに私は考えます。そうした独立性というものを確保することが必要になりますから、
オンブズマンのような
制度もいいわけでありますけれ
ども、でき得る限りは、例えば第二種の決算とか
予算委員会と同じような形で、超党派でこうした
委員会を設けて、しかも独立性をきちんと確保するというような方途が
一つ私はあるように思います。
それから、
二つ目の能力に関しては、総務庁その他
行政府の中での自助
努力の場合には非常に巨大な実施組織を持って、スタッフ機能を持ってやってきている。しかし、問題は能力だけではない、意図に対する
不信があるがために立法府にも新たにという
議論につながってきているわけでありますから、立法府としては、その意図の独立性を確保した上で、次に実質そういう
行政をしっかりと
監視できるための能力を、こうした独立した立法府の主体の中にきちんとつけ加えて確立していかなければ
国民の期待を得ることは恐らくできないだろう。
したがって、もしこうした
オンブズマン、私は
委員会方式がいいと思いますけれ
ども、
委員会方式のようなものをつくった場合に、その
委員会のもとにいかなる機能を持ったスタッフを置いて、そして能力という面で、
国民の期待を担い得る
監視能力をそこにきちんと確立するということが私は求められるだろうと思います。
したがって、その
制度を
議論するときにも、この能力という点で、十分にそうした能力を確立できるよう御
審議いただきたい、これを切にお願いするものであります。
そしてまた同時に、その能力を確保するときには、
既存の
請願の
処理の
あり方そのものをさらにその中に上手に組み込んで、より効果的なものにしていく
努力をすることはもう当然でありますし、それから、先ほど
西川委員からの御
指摘もありましたとおり、当然に
情報の公開ということを
行政府に求めつつ、その公開された
情報が円滑に、
効率的にこうした
行政府の
監視能力の中に組み込まれていくようにしなければいけないだろうと思います。
さらに、実際に
国民の肉声を聞くためにも公聴会のような
制度を、この東京で行うだけじゃなくて、地方においても積極的に公聴会等を行うような、そういう方法もこういう
委員会の中に設けて、より広く肉声を
国民から聞くことができるようにするなど、いわばその手段は私は考えれば相当出てくるだろうというふうに思いますので、その点の御
審議をぜひお願いしたい。
最後は、その
監視の対象にいかなるものがなるのかということであります。すなわち意図と能力と対象、その対象として、これは例えば中央省庁というものがあるわけでありますし、地方自治体というものがあるわけであります。また、場合によっては政府に関連した外郭団体そのものも、公益法人等も含めて当然その
監視対象になってくるんだろうと思いますから、その点の見きわめはやはり
最初にきちんとしておいていただきたい。
それから、そういう
制度というものを対象とするだけじゃなくて、
行政府の期待される機能というものもやはりその対象として考えて、
既存の
制度に基づくサービスだけではなくて、さまざまなそのほかの機能的な面で
国民から期待されることについて、十分それに対応した
行政サービスが行われるのかということも見ていかなければいけないだろうと思います。
したがいまして、今申し上げたような意図と能力と対象についての整理をきちんとした上で、私は、来年の
参議院選挙の前に、
参議院として
国民の負託にこたえ得る
参議院改革の一環としてのこうした
行政監視、監察のためのいわば
制度確立というものの道筋をぜひつけていただきたいと切に願うものであります。