運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1997-06-11 第140回国会 参議院 行財政改革・税制等に関する特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年六月十一日(水曜日)    午前十時五十分開会     —————————————    委員の異動  六月十日     辞任         補欠選任      岩永 浩美君     沓掛 哲男君      橋本 聖子君     吉村剛太郎君      松村 龍二君     亀谷 博昭君      山本 一太君     金田 勝年君      鈴木 正孝君     菅川 健二君      鈴木 和美君     赤桐  操君      須藤美也子君     吉岡 吉典君  六月十一日     辞任         補欠選任      岩井 國臣君     林  芳正君      清水 澄子君     及川 一夫君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         遠藤  要君     理 事                 片山虎之助君                 倉田 寛之君                 永田 良雄君                 松谷蒼一郎君                 今泉  昭君                 広中和歌子君                日下部禧代子君                 清水 澄子君                 齋藤  勁君                 笠井  亮君     委 員                 狩野  安君                 金田 勝年君                 亀谷 博昭君                 久世 公堯君                 沓掛 哲男君                 斎藤 文夫君                 塩崎 恭久君                 中島 眞人君                 長尾 立子君                 林  芳正君                 保坂 三蔵君                 三浦 一水君                 吉村剛太郎君                 阿曽田 清君                 荒木 清寛君                 石田 美栄君                 泉  信也君                 岩瀬 良三君                 小林  元君                 菅川 健二君                 浜四津敏子君                 益田 洋介君                 赤桐  操君                 及川 一夫君                 角田 義一君                 久保  亘君                 峰崎 直樹君                 吉岡 吉典君                 田村 公平君                 奥村 展三君                 山口 哲夫君    国務大臣        大 蔵 大 臣  三塚  博君        国 務 大 臣       (内閣官房長官)  梶山 静六君         —————        会計検査院長   疋田 周朗君         —————    政府委員        内閣審議官    畠中誠二郎君        内閣審議官    白須 光美君        地方分権推進委        員会事務局長   東田 親司君        警察庁刑事局長  佐藤 英彦君        総務庁行政監察        局長       土屋  勲君        法務大臣官房審        議官       柳田 幸三君        大蔵大臣官房長  涌井 洋治君        大蔵大臣官房金        融検査部長    中川 隆進君        大蔵大臣官房総        務審議官     武藤 敏郎君        大蔵省証券局長  長野 厖士君        大蔵省銀行局長  山口 公生君        大蔵省銀行局保        険部長      福田  誠君        証券取引等監視        委員会事務局長  若林 勝三君        自治省行政局長  松本 英昭君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 久雄君    参考人        日本銀行理事   本間 忠世君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○金融監督庁設置法案内閣提出衆議院送付) ○金融監督庁設置法施行に伴う関係法律整備  に関する法律案内閣提出衆議院送付) ○理事補欠選任の件 ○参考人出席要求に関する件     —————————————
  2. 遠藤要

    委員長遠藤要君) ただいまから行財政改革税制等に関する特別委員会を開会いたします。  金融監督庁設置法案及び金融監督庁設置法施行に伴う関係法律整備に関する法律案を一括して議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 中島眞人

    中島眞人君 自由民主党の中島眞人でございます。  この法案が当院で審議されまして、さまざまな意見が交わされてまいりました。それにいたしましても、日本社会が大きく変わってきているな、そんな感じは私のみではなかろうと思います。  阪神・淡路大震災を初めとするもろもろの出来事日本安全神話を崩していき、同時に、日本社会の中でともかく一番信頼されるものというのは宗教であり、学校であり、あるいは銀行というものであったわけであります。にもかかわらず、宗教は巨大化し、また霊感商法、オウムと呼ばれるような形で宗教国民から離れていく。また同時に、学校は不登校並びに中途退学者の高校生が十一万人も一年間に出現をすること等々を含めて、金融機関におきましても、この審議の真っ最中、野村証券また第一勧業銀行等々の不正貸し付けの問題、あるいは信用総会屋によって賄っていくという恐るべき、国民にとってみればそんな出来事が相次いで出てきているわけでございます。同時に、その中でビッグバンを目指していく一つの糧として、この金融庁設置にかかわる本案が審議をされております。  その中で、各委員の御所見を伺ってまいりますと、ともかくこのままでは国際的な信用を失っていくということの中でさまざまな論議がなされました。しかし、私は国際的な信用を得るのには、聖書の言葉ではございませんけれども、小さなことに不忠実な者は大きなことに不忠実であるという言葉を考えるならば、まず国民から信頼をされずして国際社会から信頼されるわけはないわけであります。一日も早く国民信頼を受けていくように強く期待をしながら私は質問に入りたいと思います。  実は、昨日、参考人に四名おいでをいただきました。この道のエキスパートの方々でございまして、大変興味を持ってお聞きをしておりました。  いずれも四参考人方々は、この金融庁設置については大方賛成の意を表されたということで、これは時宜を得たものであるな、そんな感じをいたしているわけでございます。しかし、その中で大変貴重な御意見問題提起がなされておりますので、このことにつきましてまず大蔵大臣初め政府委員にお聞きをいたしてまいりたい、こんなふうに思うんです。  第一に、今回の金融監督庁設置ということが金融行政にとって正しい方向にあるということであるという点について、それぞれの参考人共通認識を示したということについては私はこれは一定の評価であろう、こんなふうに思うんです。第二に、金融行政機構の見直しもさることながら、金融行政の中身を変えていくことが特に重要である。もっと端的に言えば、つくることも大切だ、時宜を得ている、しかし、どういう金融行政をするかという今後の課題が必要なんですというのが四参考人の私は一つ意見であったというふうに思うんです。第三に、適切な金融行政を行うためにはそれなりの行政コストというものがかかる、要員の充実等を図る必要があるのではないかということも指摘をされておりました。  このような観点から、私は政府考え方を御質問いたしたいと思います。  まず第一点。金融監督庁設置ということが金融行政にとって正しい方向にあるということである、この御認識はいずれもお持ちであったようであります。本委員会においては、大蔵省権限を縮小することに重きを置いて議論がされてまいりました。私としては、参考人方々と同様に、大蔵省権限を縮小することも一つのテーゼではあるけれども、先ほど申し上げましたように金融行政をどうすべきかという観点参考人が非常に強く期待をするというか思いをはせていた御意見でございますので、このことについて、設置をし、そして同時に金融行政をどのような形で展開をしていくのか、その金融行政改革趣旨を改めてお伺いいたしたいと思います。
  4. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 主管大臣総理大臣もしくは官房長官が答えるところが基本であろうと思いますが、同じ国務大臣の一人として、また金融を今まで担当しておる者として申し上げさせていただきます。  ただいま中島委員から、参考人の言を集約されながらその趣旨いかんということであります。世界は大きく変わりつつあります。また、我が国内体制もその流れの中で、何が正しいのか、何が基本なのかということで模索の中であります。住専を初めとした信用事業の不振の中で今日の法案提出ということに相なりましたこと、御承知のとおりでございます。  一点その目標は、国民信頼される金融行政確立、それをどのように構築し、どのように効果あらしめるかという点でございます。そういう点で、民間金融機関等に対する検査監督という執行面機能金融監督庁が担うといたしたところであります。同時に、企画立案という政策面機能大蔵省分担をするということで、デリバティブ等の業態間にまたがる金融サービス出現金融市場グローバル化などの新たな課題に的確に対応していきたい、また市場規律基軸とした透明でかつ公正な金融行政への転換を図ることといたしたところでございます。  このように、市場規律基軸とした透明かつ公正な金融行政への転換が促進をされまして、金融システム改革の実施と相まち、経済及び国民生活にとって基盤とも言うべき我が国金融証券市場活性化に資する、そのことは一千二百兆という個人預貯金が正しく運用をされ、価値あるものとして保全をされていくということにつながります。よって、その保全の中で、産業の血でございますから、金融を健全に有効に機能を発揮せしめよう、この一点にあると存じます。
  5. 中島眞人

    中島眞人君 大蔵大臣から、企画立案検査監督を明確に分離をしながら、そしてそれは連携をとりながら金融システム維持を図っていくことだという、そういう理念をお示しいただきました。昨日の各参考人も、前提としては同調しながら、しかし懸念する問題として、金融機関破綻処理において一定の場合に協議をすることになっているため、分離が完全ではないのかとの意見も出されておりました。これは、当委員会の各委員の中からも出された意見でございます。これは、それが完全でないためにいろんな諸障害が起こってくるのではないかという懸念でございます。  私としては、金融システムに重大な影響があるような場合には、制度の構築に責任を持つ大蔵省と、監督責任を持つ金融監督庁が全力を挙げて金融システム維持を図る必要がある。私は分離独立、そして大蔵省はもう一切構うなということではなくて、金融システム維持していくためには少なくとも緊密化が必要だ、そういう考え方も私は持たなければいけないのではないかと、こんなふうに思うんです。  そこで、協議規定についてお聞きをいたしますが、この協議業務停止命令自体是非対象とするものではなく、大蔵大臣企画立案機能を駆使した新たな措置についてのものであると思うが、協議規定趣旨について改めてお伺いをいたしたいと思います。
  6. 白須光美

    政府委員白須光美君) お答え申し上げます。  金融機関破綻処理に関します協議規定についてのお尋ねでございますが、銀行等破綻処理につきましては、この監督権限その他一切を大蔵省から金融監督庁に移すわけでございますので、通常破綻ケースにありましては、金融監督庁現行法令のもとでの既存方策により対応することを通じまして信用秩序維持にその責務を果たすことになるということでございます。  ただ、その業務停止命令等対象となりますような金融機関、これらの破綻処理に関しましては、現行法令のもとでの既存方策により対応するのみでは、場合によりますと信用秩序維持、これに重大な影響を与えるおそれがある、そのようなケースがあるわけでございまして、このように金融監督庁長官が認めました場合には、金融機関に万全を期す。そのために長官自身の判断に基づきまして金融制度企画立案を担っております大蔵大臣協議を行いまして、法令改正を伴います新たな措置策定等の最善の方策を見出すというものでございます。  すなわち、これにつきまして協議対象となりますのは、業務停止命令等是非というものではなく、その信用秩序維持を図るための新たな措置策定ということで、すなわちその業務停止命令等を行う際の前の環境整備というようなことかと存じます。これは、金融監督庁大蔵省が御指摘のように明確な機能分担をいたしました上で、信用秩序維持という目的のために相協力していくという趣旨によるものでございます。
  7. 中島眞人

    中島眞人君 この問題については、今後大きなやっぱり一つ課題として常に真剣に両者が考えていかなければいけない、このように思うんです。  特に、大蔵省肥大化をし、一手に引き受けた問題を分離していく。しかし、日本金融システムを安定、維持していくという、あるいは発展させていくということから考えていけば、両者は前向きに、悪きものは直しながら、前に向かって緊密な連携を保ちながら日本金融システムのいわゆる安定、発展のために尽くしていかなければいけないという、そんな役割が私は大蔵省自身にもあるんであろう、こんなふうに指摘をさせていただきたいと思います。  次に、労働金庫農協等関係大臣がいらっしゃいませんから、参考人の中にもまた当委員会の中でも審議をされましたものとして、これは共管という問題が依然として残るが将来的にはこれはやっぱり改めていかなければいけないんだという、そういう一つ参考人意見がございました。大蔵大臣、そして各大臣、どうかこれから金融行政を進めていく過程の中ではこれは貴重な意見として取り入れていただきたいと、要望にとどめておきたいと思います。  次に、この金融問題が破綻を起こし始めた動機というのは、昨今野村証券とか第一勧業銀行がございますけれども、バブル崩壊等を含めていきますと、東京共和安全信組から始まりまして、近くは北九州信用組合まで信用組合が十三あるんですね。そして、金融問題というのは第一勧銀とか野村というふうなそういう都市銀行、大手の証券会社の問題が論議をされておりますけれども、地方に参りますと中小零細企業の大きな窓口になり、そして両輪となって中小零細企業発展に寄与していくべきはずのものが信用組合なんですね。しかし、ここで閉鎖、統合等を含めて問題を起こしている信用組合というのが十三もあるんですよ。  ところが、昨日の参考人でも、今までの委員会の中でも論議をされておりませんけれども、信用組合検査監督というのはこれは機関委任事務ですよね、都道府県の。問題を起こしている信用組合に対する検査監督というのは、私は今回金融庁設置して、そして検査監督を強化して分離していくんだ、緊張感を持たせていくんだということの中で、地方は差し当たって財務局をということになるんですけれども、財務局というのはこれは地方において地銀とか信用金庫を対象とするんでしょう。信用組合というのは各県にそれぞれの地域に密着した形で存在をしておるわけです。これは依然として機関委任事務として地方自治体がこれに検査監督を従来どおり行ってきている、こういう問題でこの辺について論議も出ていなかったし、私はこの辺が若干希薄になっているんではなかろうかと思うんですけれども、この辺について大蔵大臣並びに政府委員の方からでも御意見をいただきたい。
  8. 白須光美

    政府委員白須光美君) お答え申し上げます。  信用組合検査監督に関します機関委任事務の点についてのお尋ねでございますが、お尋ね機関委任事務につきましては、これが維持されているところでございますけれども、今回の金融行政機構改革、これは昨年末の与党三党の合意を踏まえまして、民間金融機関等検査監督を所掌する金融監督庁、これを総理府に設置することといたしまして、これに伴い国の行政部局内部行政権限をどのように振り分けるかという観点から検討を行ったものでございます。  金融監督庁は、この信用組合検査監督にかかります機関委任事務に関しましては、先生御指摘のとおり、また平成七年の金融制度調査会答申等におきましても御指摘がございますように、都道府県知事との適切な連携を図っていくということが重要であるということはまさに御指摘のとおりでございまして、金融監督庁といたしましては、今後財務局協力も得ながら的確な指導、連絡を図っていく必要があるというふうに考えるところでございます。  なお、現在、機関委任事務、これにつきましては、これが廃止の方向というのが既に打ち出されておりまして、この機関委任事務制度が廃止された後の事務のあり方につきまして地方分権推進委員会検討が進められているところでございまして、信用組合検査監督に関します都道府県知事への機関委任事務につきましても、この地方分権推進委員会結論を踏まえまして、今後改めて全体的措置の一環として政府として対応を図っていくべき課題と、このように考えているところでございます。
  9. 中島眞人

    中島眞人君 これ、ちょっと僕は答弁が焦点ぼけだと思うんですよ。地方分権地方分権分権委員会流れていくことは当然でしょうし、これは現在橋本内閣の大きな構造改革一つ地方分権というのは大きな旗印ですよ。しかし、いわゆる一つ金融庁をつくって検査監督を強化していく、しかし信用組合というのは各地方中小零細企業の大きな連携の中で動いているわけですね。  しかし、これは地方分権論議を待ってから機関委任事務等問題等論議をするとなりますと、信用組合の問題については何か棚上げ状態というふうな感じが実はするんです。  しかし、現実に第一勧銀も、あるいはまた兵庫銀行太平洋銀行も、いわゆる地銀も問題を起こしているわけですね。そして信用組合に至っては、東京協和安全信組から始まって、北九州信用組合等も含めて十三の信用組合が問題を起こしているわけなんです。問題が起きているわけですね。  これは地方にとってみると、中小零細企業方々にとってみると、果たして信用組合というものが本当に金融システムの中で忠実な役割を果たしていく検査監督機能が十分行われているのかどうなのかという問題が、当委員会の中でも信用組合の問題は全然論議されておりませんので、これを聞いたら、現在、地方分権論議の中でこの問題の中で協議をしてまいりたいという形になりますと。金融庁はスタートするんですよ。これ、少し私はやっぱりテンポが遅過ぎるというふうに思うんです。もっと端的に言いますと、特定のことを言いますと問題がございますけれども、信用組合バブル崩壊影響を受けた。不良資産不良貸し付け等を持っていることは、これは一概に都銀、地銀同様であろうというふうに私は思うんです。  そこで、今起こっている現象を聞きますと、例えば地方自治体が年末制度資金を百億円なら百億円を制度融資をすると。そうすると、金融機関は二倍協調でそれを中小零細企業に年末制度資金を貸し出そうとする。そうすると、一週間でもう貸し出しは終わりました。実際問題入ってみると、本当に借りたい方々信用組合窓口に行きますと、あなたのところは担保不足ですから貸せません、借りられないんですよ、ところがだれかに借りている。そうすると、信用組合等はどこへ行くかというと、大口の安全な方に、借りてもらえる人に一生懸命お願いして貸してノルマを果たしている。  そういう一つ金融行政金融融資という問題が静かに、本当に借りて年末を不景気を乗り切っていかなければならない中小零細企業がそういうものを乗り越えていけずに、窓口でシャットアウトを食っているということ等はだれがチェックするんですか。いわゆるきょうの機関委任事務で県がそれをチェックするんですか。こういう問題までも私は踏み込んでいかないと、日本全体の金融システムというのは上から下までうまく円滑に回っていかないというふうに私は思うんです。  ですから、そういう点で早急に、地方分権論議もあるでしょうけれども、財務局に移管をしていくいわゆる検査監督機能という問題と、機関委任事務地方自治体にやっている形の中の連携という問題も早速私はマニュアルづくりをしていかないと、地方金融というものは中央で幾ら言われてみても地方ではなかなかうまくいかない、こんな現象が起こりつつある実態をどのように受けとめているのか政府委員からお聞きをし、問題を起こしているのは信用組合も大変起こしているんですよ。そういう問題を含めて、大蔵大臣からも地方信用組合に対する思いをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  10. 白須光美

    政府委員白須光美君) お答えいたします。  現在、地方分権推進委員会の状況でございますが、これにつきましては、昨年十二月に第一次勧告を出しておられまして、現在、鋭意作業を行っておられるところでございます。  政府といたしましては、この分権委員会勧告を踏まえまして、来年の平成十年、この通常国会が終了するまでに地方分権推進計画策定することといたしているところでございまして、ちょうど金融監督庁につきましては平成十年の四月から七月一日までの政令で定める日から発足するということでございますので、そう間隔のない間にこの地方分権推進委員会の御議論を踏まえましたところで基本的な方向策定されていくと、これにつきましては鋭意努力もしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  11. 三塚博

    国務大臣三塚博君) ただいまは大変大事な問題提起と承りました。信用組合健全性という基本問題があります。信用組合組合員相互信頼協力の中でこれが行われていくわけでございますが、いよいよ金融システムが本格的なスタートに立ったわけであります。二〇〇一年を期してグローバルな世界に通用するシステムを完成したいと。これからある意味で金融界の激動の時代に入るんだと思います。そういう点から考えますと、御指摘のように、分権委結論を待つというのは遅いのではないかと、この御指摘も理解できます。これは取り急ぎその方向性を明示させなければなりません。  同時に、今度は大蔵省金融を今日まで担当してきましたが、来年度以降、監督庁が出ますと、検査監督独立官庁と、そして企画立案という金融政策のあるべき姿を求めるのはまさに企画立案の中で政策を追求していかなければならないと。  関係各省政策金融がございますが、それの連携の中であるべき姿をきっちりと確立をしていかなければならぬというふうに思います。  同時に、国と地方役割分担という地方自治法に基づいた根幹的な問題もあります。そこでも御勉強いただく。  しかし、同時に、それぞれがそっちの権限、そっちの権限、こちらは関係ないということではなく、整合性を持ってこれに対応してまいりませんと、大きな流れの中で信用組合その他の金融機関流れに押し流されていくのではないかと、こんなふうに思っておるところであります。貴重な重要な御提案として受けとめます。
  12. 中島眞人

    中島眞人君 大蔵大臣から、機関委任事務問題等論議をされているけれども、しかし金融という問題が日々動いている中で、それとは別に信用組合への対応のあり方を真剣に考えてまいりたいと、大変前向きな御答弁をいただきました。  率直に言って、第一勧銀野村証券も確かに日本のあるいは世界の中での金融という問題の不信用を買っていく大きな問題でしょう。しかし、現に十三に上る信用組合バブル崩壊後に大変な問題を起こし、そしてそれが合併をし、あるいは取りつけ騒ぎまでいくというような格好ないわゆる材料を地方で起こしつつあるわけですね。  ですから、そういう点から率直に言って、今回の金融庁設置をされるに当たりましても、ともかく検査監督というのは専門的ないわゆるそれに熟達した方が当たっていくんだと、それは大蔵省の中からそれを移していくんだと、そのことにいいとか悪いとかという論議がありましたけれども、これは当然なことだというふうに思います。  そういう中で、地方自治体機関委任事務になっている信用組合検査監督という機能が、地方自治体の中における定期異動でそのセクションに変わっていくという程度のものであって、間々いわゆる熟達した検査機能を持っている職員ではないというのは各地方自治体の悩みなんですね。  そういうことの中からの問題点は、第一勧銀にいわゆる専門家が行って見ても第一勧銀が隠ぺいしていることを見破ることができなかった。ましてや、地方自治体の担当者においてそんなことは見つかりっこないんです。ですから、そういう問題の一つのあり方もしていかないと、上の方はいわゆる何となく格好はついていくけれども、下の方がいわゆる大きな蛇口になって漏れてしまいますよと、そんなことを私は、地方で政治をし、地方から選出をされ、そして地方中小零細企業が大変頼りにしている信用組合が健全に発達していくことを願いながら、重ねて強く要望してまいりたいと思います。  時間がなくなりました。大蔵大臣、ビッグバンに対する強い期待参考人からもございました。同時に、参考人の中から、地方を含めたいわゆる検査監督するスタッフが少ないのではないのか、こういう御指摘もございました。これは委員会の中でも審議をされていた問題でございます。ひとつそれらの問題を謙虚に受けとめながら、まず金融庁をつくった、仏をつくったわけでありますから、最大の努力を傾注する中で、魂入れに全努力を傾注されんことを心から御期待を申し上げながら、私の質問にいたします。
  13. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 平成会の荒木清寛でございます。  まず、大蔵大臣お尋ねをいたしますが、橋本総理以下、六大改革の一つ金融制度改革を位置づけ、日夜頑張っていらっしゃるという点は敬意を表します。  しかし、今回は、その金融改革の出ばなをくじくような不祥事が、野村証券また第一勧銀にまつわる総会屋利益供与事件でございます。昨日も第一勧銀の役員が逮捕をされたわけでございます。八十八億円の利益供与ということで副頭取以下四人の役員がさらに逮捕されたということでございます。  私は、今回の両トップ企業における不祥事を見ておりまして思いますことは、経営陣に、罪を犯した、違法行為をしたという瞭罪意識がないのではないかというふうに感じます。  野村証券の三月まで社長をしておった酒巻英雄氏も国会に三回参りました。最初は、そんな小池隆一とは面識がないと言っておりましたが、そのうちに、会ったことはあるが総会屋とは知らなかった、さらに追及されると、総会屋ということを会って知った、しかし利益供与には関与していないと言って、東京地検特捜部に逮捕されると、どうやら今は利益供与を認めているようでありまして、こんな規範意識のない人物が世界に冠たる野村証券のトップであったのかと思うわけであります。  また、第一勧銀につきましてもしかりでありまして、先月二十三日には、当時の近藤頭取以下、役員の総退陣を発表したわけであります。そのときには、橋本総理も、そういうやめて済ますということは非常に不愉快だという趣旨の発言をされ、私も同感であります。ところが、そのときに新頭取として指名されましたのは藤田一郎副頭取でありました。しかし、この人は九五年から昨年にかけまして融資・審査部門を担当する専務であったわけでありまして、同行の融資につきましては深くかかわっておった、ある意味では今回の事件の総会屋に対する不正融資のもみ消しを図ったのではないかと当時から言われておった人物が次の頭取として指名されたわけでありまして、一体この会社の経営陣の常識というのはどうなっているのかと私は憤りを覚えたわけであります。やがてその人事も七日に白紙撤回ということでありまして、もう本当に悪いことをしたという意識が全然ないというふうに思いますのはこのような事情であります。  そこで、大蔵大臣お尋ねをいたしますが、二十三日に近藤頭取が辞任をいたしまして、次の新頭取に藤田氏が指名されたわけであります。私思いますに、通常であれば、こういうときには事前に監督官庁である大蔵省に内々に相談があるとか、あるいは決まった時点で報告に来るとか、そういうのが通常じゃないかと思いますが、そういう相談なり報告というのは当局にあったのでありましょうか。
  14. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 極めて深刻な事件でございます。  そこで、報告があったかということでありますが、事前にはございません。決定を発表前に当局に、かように取り組みたいと、こういうことでありましたという報告は私受けております。
  15. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 護送船団方式が今批判されているわけですから、そういう個々の企業の、幾ら大企業であるといっても、そういう大事に大蔵省が口を出すというのはあってはならないと思います。  しかし、この場合は非常時といいますか、そういう金融市場を汚染するようなことをした企業でありまして、ちょっと状況は違うんだと思います。  発表前に報告があって、次の新頭取は藤田氏である、この藤田氏につきましては、審査担当役員としてこの事件にかかわっておったのではないかともそのときでさえ言われておったんですから、こんなのはだめだ、再考せよというふうに監督官庁としては強く私は言うべきではなかったかと思うんですが、違いますか。
  16. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 純粋に物事を考えるということには限界があることは承知をいたしております。  同時に、民間機関、民間企業ということであり、日本を代表する銀行一つであります。不祥事件によりまして社内体制をどう構築するかは、経営者を中心として幹部職員一体となってこのことに当たるべき重みのある事件であります。よって、今回、現経営陣責任を負って退任、新体制はこうでありますということで、直前の報告があることについて、これについて、監督官庁として反論する十二分の事実把握がなされておれば、そのことはそのこととして、報告を受ければ所管大臣として物を言うか銀行局長として物を言うかのいずれかでありますけれども、そのチャンスもあろうかと思いますけれども、これを裏づける事実がない、先行しておるそれぞれの記事がありますというこれだけの段階では、社運をかけて信用の問題を、すべてをかけて決定をするという、リーディングバンクの第一勧銀の経営ということからいたしますと、直前の報告は受けざるを得ないという事情は御理解いただきたいと思います。
  17. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 いささかたりともこの件に関しまして、第一勧銀なり野村証券に対しまして当局が甘いとかかばっているとか、そんな見方が出ないように厳しく当たっていただきたいと要望いたします。  今回の不祥事の背景には、もちろんその企業が犯罪を犯したわけで、故意に犯したわけで一番悪いわけでありますが、しかしその背景の一つとしては、大蔵省の従前の護送船団方式というのが私は明確にあると思います。なぜならば、そういう一つの護送船団方式の中で野村証券にせよ第一勧銀にせよ巨額の利益を上げることができ、そのゆえにこのような放漫な経営といいますか不法な支出ができたのではないかという点、あるいはそういう護送船団の中で経営陣が甘くなってしまったのではないか、社会に対する責任、個人投資家に対する責任というのを十分感じなくなってしまつたのではないかと私は思うわけです。  そこで、大蔵大臣に今回の事件を教訓としまして、大蔵行政として何か改めるべき点はあるのかないのか、お尋ねをいたします。
  18. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 改めるべきは改めるというのは当然のことであります。大蔵省といたしましても全体の見直しは予算編成時はもちろんでありますが、その間の期間におきましても検討を進めているところであります。  特に、金融システムのあり方という住専以来のさまざまな批判をまともに受けとめながら、理想的な形は何か、こういうことの中で鋭意その分析に当たっておりますことは事実であります。同時に検査体制、証券の監視委員会の検査のあり方、また銀行局検査部のあり方等については、本委員会の御論議の中で厳しく指摘をされておるところでございます。監視委員会は法律によって強制力を持つわけでございますが、銀行検査部はいわゆる行政行為として行う、こういう検査の限界がございます。相手の善意というものに依拠して検査を行ってまいるという、こういうことが実は銀行の持つ信用性、世間一般に銀行さんがとよく言われる信頼信用性というものが牢固としてあったことが背景にあることも事実であります。  しかし、住専の事件によって厳しくそのことを問われたことは事実でありますから、もろもろの諸改革がそれから進んでおりますこと、監督庁設置もまさにそこにあったと考えます。そういう中で、今後国会論議をしっかりと踏まえながら、何ができるか、何をしなければならないかということについて研究、検討結論を得ていく努力をしていかなければなりません。  一言、付言をいたしますと、今後のシステムのあり方について、今週の金曜日でありますが、三審議会の最終答申が出ます。画期的なものを私自身期待をいたしておるわけでございますが、また御供覧をいただきながら御理解と御鞭撻を賜りますならばと思っております。
  19. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 グローバルスタンダードという点でいうならば、たとえトップ銀行やあるいは断トツの証券会社でありましても基本ルールを無視した場合には倒産を含む厳しい社会的な制裁を受けるというのが私は世界のルールではないかと思います。  九五年の二月には英国の名門商業銀行、ベアリングズ社が子会社の先物取引の失敗で倒産をしたというのはまだ記憶にあるところでありますが、この同社というのは二百三十年以上の歴史を持ち、英国王室の財産も運用していた名門銀行でありました。そこさえ倒産をした。その折には英国の中央銀行、バンク・オブ・イングランドの総裁は倒産こそ自己責任だという厳しい姿勢を崩さなかったというふうに伝えられております。何もこれはそんな利益供与をしたわけじゃありませんで、デリバティブの失敗で巨額の損失を来したというごとでありました。  私はそういうことから考えますと、今回の野村あるいは一勧に対する大蔵省の処分というのはいささかの温情も排した厳しい処分をしていただきたいと思います。そのようなことはもう何回もおっしゃっておりますが、これからこの総会屋疑惑につきましても新たに逮捕ということがあるかもしれません。また、起訴、公判、事件の判決というふうに進んでいくわけでありますが、一体どのぐらいの段階で大蔵当局としての厳しい処分があるのか。また、野村証券に関しましては、証券取引等監視委員会からのそういう処分の勧告というのは大体いつごろ来るというふうにお聞きになっておられるのか、その点を最後にお答え願います。
  20. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 証券等監視委員会の場合は、野村でありますが、勧告が出て法令に基づく処分を行うということは荒木委員も御案内のとおりであります。その処分は当然厳正に行われることは当然である、こう思っております。  それと第一勧銀の問題は、これまた銀行法に基づいて行われるわけでございますが、ただいま捜査が続行中でございます。新たな処分が行われるという段階で銀行法に基づく処分。商法上の問題はまさに司法のことでございますので、行政上の問題ということで次の新たな事態の展開を待って行う。ただいま捜査中でありますので、厳重に最大の注意力を持って情報収集もいたしております。また、勧銀に対しましても、内部調査を徹底し、なぜかかる事態が起きたかについて調査をし報告をされたしと、こう申し上げておるところでございまして、その報告をただいま待っておるという段階であります。  いずれにいたしましても、厳正な対処が要求されることは御案内のとおりでございます。罰金刑の重い軽いの論議がありますが、これは法律改正を伴います問題でありますから国会の論議を経て行われるもの、こう思っております。
  21. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そこで、官房長官お尋ねいたしますが、今回の不祥事というのは証券、金融のトップ企業というのがいかにやみの世界といまだに結びついていたかということをあからさまにしたわけでありまして、国民全体が怒りに燃えているわけであります。  そこで、もう長くは申しませんが、やはり大蔵大臣だけではなくて、政府としてこういう巨大な金融犯罪の再発防止にどう取り組むかということは考えなければいけないと思います。具体的にお考えがあればお述べいただきたいと考えます。
  22. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 全貌がまだ明らかになっておりません。しかし、見えるだけでも大変我々の想像を絶するものであることは間違いございません。その根幹にあるものはやはり金融マンとしての節度ないしは倫理観、あるいは公共性とか社会責任、こういう一番根幹に触れるというか人間の常識というか、その問題の欠如があったと思いますし、過去いわばバブルの時代に安易に流れたそのツケというか、それを断ち切ることが今日までできなかったということが人間の弱さとして出たかと。  しかし、いずれにしても、犯罪を構成するに足るような事実がたくさんあるわけでありますから、この問題には今までのいわば金融行政という中で預金者保護ないしは金融信用の保持、そういうものの観点のみでやっていけないということも考えております。考えなければなりませんし、寄り寄り総理や大蔵大臣協議をしながら、この問題の対処については国民信用を回復するに足る厳重な手段、方法を講じていかなければならないのではないかと考えております。
  23. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そこで、先ほど大蔵大臣からは検査のあり方というお話がありました。今後はしかし金融監督庁にその権限が移るわけでありますから、官房長官お尋ねいたしますが、今回の法改正によりましてこのような不祥事あるいは違法行為を摘発する行政の機能というのは強化拡充されているのかどうか、お尋ねをいたします。
  24. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 今回の金融監督庁の新たな設立というのは、一昨年来のいわば住専問題に端を発して、この原因がどこにあるかということになりますと複雑ないろんな絡み合った問題があろうかと思いますが、行政側の反省としては、今までの金融行政、特に銀行局を中心にした企画立案検査監督、ここにむしろ截然とした分かれ方がなかったというか、その中に一緒におったということが一番大きな原因ではなかったかということから、これを分離するということがその対策として一番重要だ、こういうことで今回の金融監督庁の設立法案になったわけであります。  今、委員指摘の野村や、これは証券の方でございますが、一勧の場合のような今日起きているような問題を完全に金融監督庁が防圧できるかといいますと、うまく機会をとらえればできるかもしれませんが、普遍的にこういう問題を、摘発という言葉がいいかどうかわかりません、発見できるかどうかというのは大変難しいと私は思います。それは膨大な銀行取引の中で彼らが隠そうと思って隠すことを全部やれるということにはなかなかならないという感じがいたします。  ですから、こういうことを言っていいかどうかはわかりませんが、少なくとも銀行自身が、みずからの信用確保は何よりも大切でありますから、お客さんに対して自分たちの経営をガラス張りにする、そしてどんなことがあってもこういう不祥事は起こさないという誓い、それと銀行の健全な経営というものは、私の銀行であればここまでですよ、そういうみずからの戒律というか物差しをつくる。それから、銀行業界全体として銀行業はどうあるべきかという一つの物差し、ある意味で業界全体としての物事の見方、さらに金融行政という側に立ったいわば信用や預金者保護、その意味でどういうことがあるか、この三つをかみ合わせて今日まで動いているわけでありますが、この一番目、二番目が弱かったという反省はしなきやなりません。三番目は通常だったのかもしれませんが、そこに混在をしていたという反省をいたさなければなりません。  しかし、いずれにしても、その一、二のものの根幹に触れるいわば経営者の責任というか社会的な責任ないしは人間としての資質の問題とまで言ってもいいかもしれません、そういう問題に対して、金融監督庁にはそこまで立ち入る能力はなかなかないかもしれません。むしろ、そこまで入らなければならないとすれば、もう統制国家にならざるを得なくなるわけであります。  本来自由で自己責任を貫徹することがこれからの金融界の発達とするならば、みずからの力でそれをえぐり出してほしい、その思いが今は強いわけであります。そういうことが進化をし完全に洗い落とすことができてから、本当の意味での金融のあり方あるいは検査監督のあり方等が言われるわけでありますが、こういうことが多発をするとなると、全く別個な準司法的な役割を持つ機関に改組、改善をしていかなきゃならなくなってしまう、そういうことに至らないよう今我々は祈っておりますし、この結末を見てまいりたい、このように思います。
  25. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 今、官房長官は住専を踏まえて企画立案機能検査監督機能分離という視点をおっしゃいました。今回のこの改正案は、それとともに財政と金融分離という視点もあるんではないかと私は考えます。このことはもう既に各方面で指摘をされておりますけれども、二度にわたるインフレ、バブルあるいは石油危機の原因として金融政策が財政政策に従属していたということを挙げる人が多い。あるいは私は去年の住専問題につきましても反対をいたしました。  もし財務省と金融庁分離をされていたならば違った解決になったに違いないと私は思います。  すなわち一昨年の十一月でしたか、大蔵省は財政危機宣言というのをしたわけでありまして、そういう中でもし財務省というのがあれば、そんなに簡単に住専に対する財政支出というのを認めたであろうかと、あるいは拒否をしたかもしれないし、あるいは減額を要求したかもしれない。また、仮に同じ結論になったとしても、財務省と金融庁の利害の対立あるいはその折衝の過程というのがもっと国民の前にオープンであったに違いないというふうに考えたりもしております。  それはさておきまして、いずれにしましても、私は大蔵省改革につきましては財政と金融分離の実現というのが肝要であると考えます。その先駆けとして今回の金融監督庁構想であるという理解でよろしいんでしょうか。
  26. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 前段申し上げましたように、今回の金融監督庁を設立するに至った第一の原因は、一昨年来のいわば住専問題に対しての反省、そして企画立案検査監督をむしろ対等というか緊張感を持って行うことによってそれぞれが任務を全うする、そういうことによってそういう問題の起きることを防ごうといういわば大蔵改革の一丁目一番地に位置づけたものであります。  ですから、それぞれの方々が、あるいは財政や金融分離ということを頭の中にイメージされる方もございますが、この金融監督庁設立に至った経緯そのものは、それまでを展望することではなくて、今日的な役割として金融監督庁をつくることによってあの反省を生かしてまいりたい、このことが全部でございます。  将来に対するあれはもちろん行財政改革その他を通じましてどういうことになるのか、これは私が申し上げる立場にないことを御了承願いたいと思います。
  27. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 この監督庁構想というのは与党三党のプロジェクトの約一年にわたる議論の結果このような姿になったわけであります。最終決定は昨年の十二月二十四日であるというふうに聞いておりますが、その前述の三党の合意事項の中にこの財政と金融分離という方向性があったように私は思っているわけです。そうであれば、今後の中央省庁の再編も、これから議論することで白紙でありますということではなくて、事大蔵省に関してはやはりそういう財政と金融分離という方向を志向していくべきだというふうに考えますが、そういうことじゃないんでしょうか。
  28. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) あるいはこの問題は平行線かもしれませんが、どちらが先かということよりも、むしろ金融行政のあり方自身のいわば反省に立って出たわけでありますから、金融と財政の分離というまた別個な視点からこの問題を考えるということは自由であり、またこれから大切なことでありますが、今回の金融監督庁のいわば発足というか設立は、第一の目的で金融の中の緊張感を持つことによって過去のいわば反省、その上に立った検査監督行政が、いわばルールをつくる企画立案の分野と対比して、透明で対等でそして立派な検査監督ができること。このことは、後で金融、財政の分離という問題があっても、金融の中でこの二つの分野というのはそれぞれ相独立したというか相緊張をした関係でなければ、私は前回のような問題が再び起きてしまうという心配をするわけであります。  確かに、分離をすれば分離したなりのメリットもあればデメリットもあります。統合すれば統合したなりのメリットもデメリットもあるわけでありますが、今まで長きにわたって統合されたゆえの弊害が出たわけですから、ここで二つに分けるということは思い新たに緊張感が出るものであります。この問題はこの問題として処理をしていく、その延長線上に金融と財政の問題、それぞれ与党三党が考えて、なおかつこれを先行させたという意味もお考えを願いたいと思います。
  29. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 その延長線上に金融と財政の分離を考えるかどうかによりまして、私が次にお尋ねをすることもかかわってくるわけなんですが、どういう人を初代の長官に任命をするのかということです。  これは、この組織はまだ法案も通っておりませんし、通ったとしましても来年からの話でありますから、そんなまさか候補者を当たっておられるなんということはないわけでありますが、しかし、どういう人がふさわしいかというイメージはもう少し明らかにしていただきたいというふうに考えるわけです。  私は、三月十三日の参議院予算委員会で質疑をいたしましたが、そのときに総理から、あるべき金融監督庁の長官として法曹界からの登用を示唆されたわけです。これは示唆されたということですから、そのようにおっしゃっているわけではありませんが、私はそう受け取りましたし、マスコミもそう受け取っていたわけです。総理に聞けばそんなことは言ってないとおっしゃるかもしれませんが。  ただ、そういう報道もありまして、これに対しましては、確かに厳正でいいんですけれども、金融業務の検査監督をするには、やはり金融全般に精通した人の方が望ましいんではないかという意見もあります。また、これは大蔵省批判から出てきました監督庁構想でありますから、まかり間違っても私は大蔵省のOBがこれに就任するなんということはあり得ないと思います。そうなると、じゃ日銀からかなんということも言う人もいるわけです。また、この監督庁というのは民間金融機関を検査の対象とするわけでありますから、民間金融機関からの登用ではやはりまずいんではないかという、いろいろそういう議論があるわけであります。  人物本位で選ぶということでありましょうけれども、また総理のお考えなんですけれども、もう少しこういう人がふさわしいというイメージをお示しいただければというふうに思うわけです。
  30. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 確かに、初代というか、初代も二代も三代も平たく言えば任務から言えば同じなんでございますが、新たに金融監督庁をつくるときの初代の方を選ぶことによってその金融監督庁のイメージなり使命感なり、そういうものが高揚されるか沈むかということは大きく分かれると思います。そういう意味で、総理もあるいは示唆されたようなことが試行錯誤の中にあるかもしれませんが、全く今の状態では白紙であろうと思います。そして、いろんなことをイメージいたします。  私も私なりにペーパーにまとめて何遍か考えているんです。これを発表することがいいかどうかわかりませんが、やっぱり信用信頼のある方が望ましい。ですから、人格、識見があり、行政運営に対する相応の力量がなければ、行政の一機関でありますから難しいだろう。それから、金融、財政等の分野に造詣が深く、かつ国際情勢、とりわけ国際金融情勢も理解する能力を持っていなければならない。それから、大蔵省初め関係各省に対して十分発言、主張ができる、というとなかなか強い意見ということになるかもしれませんが、主張ができ、関係業界に対して指導性を持ち得るような人。それから、ここへ出てきてやらせられるわけですから、国会答弁等にも十分対応できる人。  これを考えますと、これに当てはまる人が今の日本の中にいるかどうかというと、なかなかおりません。それから、そういう人を求めることは、年齢的にも、あるいは報酬的にも難しいかもしれません。  そこで、私は、今一案で考えているんですが、これは多分準備室に対する私の陳情かもしれませんが、総理が懸命にねらって、そういう人のどこに力点を置いて選ぶか。しかし、選んだ人が完璧でない限り、この人を補佐する顧問というのか参与というのか、常勤、非常勤を問わず、民間、官界を問わず、何らかの意味で金融銀行業務や、あるいはこれを取り締まる司法業務や、あるいはこれを周知徹底させる広報業務や、国際金融、こういうものに精通をした方をその人のブレーンにして、いわば意見を徴収しながらやれるようにする。  こういう数多くの理想論を求めますと、とても一生これは何代かかっても見つかりませんから、その人の主たるハートがあるとするならば、それを補完する方々を、いわばラインの中ではなくてスタッフとしてできるような機構をイメージして、これから総理にも進言をしたり、金融監督庁や今やっている大蔵省の皆さん方にも、ここから御陳情を申し上げるというと大変変な形でございますが、そういうものを求めないと、なかなか大蔵と十分に立ち合い、そして本当に金融行政信頼、この検査というものがやはり国民信頼をされる、そういう人選をこれから考えてまいらなければなりません。  法案が通る前にそんな先走りをしていることがいいかどうかはわかりませんが、いずれにしても、通ればそういうものをじっくり検討しながら選んでまいりたい。ぜひそういうことに総理が意を用いることを期待をしながら、今冷静に物事を処理したい、このように考えております。
  31. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 私も、先般、顧問、スタッフとして、民間からそういうスタッフをそろえたらどうかというお話がありまして考えたわけでありますけれども、いま一点お尋ねをしたいことは、今回の大蔵省改革につきましても、依然として焼け太り批判というのがあるわけです。  問題は、今回の監督庁設置というのが、行政経費の節減という意味での行政改革に逆行するものであってはならないというふうに思うんです。  仮に、二つに分けたことによって、トータルとして組織が大きくなり、そのためにかかるコストも大きくなったというのであれば、果たして国民の理解が得られるかというふうに思うわけであります。この点は、そういう狭い意味での行政改革、行政コストの削減と今回の監督庁設置とはどういう関係になるんでしょうか。
  32. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 確かに、この行政改革、スリムな小さい政府というのをねらっているわけでありますから、これによって行政が肥大をすることは極力抑えなければなりません。しかし、この検査監督という機能が最小限度機能しなければ、これは幾らスリム化しても意味をなしません。  ですから、当初考えられることは、いわばこの検査監督に当たっている現在の大蔵省銀行局の方々を、専門的な知識を持っているわけですからこれを当てるわけであります。しかし、一つ金融監督庁をつくるわけですから、最小限度の官房的な役割その他を果たすものも必要でありますから、若干の増員ないしは増額になることは否めない、何とやっても。それならばやらなくていいということにつながってしまいますから、最小限度のものは必要かもしれません。  しかし、私が先ほど申し上げましたように、大蔵省との遮断というのは、冒頭のいわば長官人事、これに係るところが極めて強いと思います。  ですから、委員指摘のように、例えば大蔵省でない人ということを、今ここで総理の人事権を私が抑えるわけにはまいりませんが、総理といえども、なぜ大蔵省から分離をするかということを考えれば初代の長官にそういう方を持ってくるはずはないだろう。しかしそうなると、その中の分野を知らなければどうするということになれば、それを補完をするというか補助をする顧問やその他の制度をつくって、厳然としてそこに一つ金融監督庁の見識と能力、これを備えるようにやってまいりたいと思います。  今よりも経費を少なくするということは、残念ながら後を縛る問題になりますから、行政をスリムにするという大きな方向は理解ができますが、行政の責任もまた果たしていかなきゃならない、この両々をにらみながら恐らくこれからの対策に当たると思います。
  33. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 私の言うことは、ある意味では机上の空論だというふうに言われるかもしれませんが、先ほど来の議論のように、大蔵大臣もこの検査のあり方ということを問題といたしましたし、この検査機能の強化拡充ということにつきましては共通の一つの理解があるんではないかと思うんです。  そうなりますと、先般来どのぐらいの陣容かということで、三百名ぐらいというお話だったと思います。要するに、銀行局の検査をやっている人あるいは証券取引等監視委員会の陣容等々、いわゆる今の大蔵行政の中で検査をやっている人を持ってくるとそのぐらいの陣容になるというお話であったのでありますけれども、私はそうじゃなくて、この際、監督は別としましても検査機能というのは大幅に拡充しなければいけない。その検査をやっていた人にとりあえず移っていただくというだけでは不十分ではないかと思うんです。  逆に、先般も銀行局長がおっしゃっていましたけれども、昔は銀行の店舗の出店規制なんということもやっておったというお話でありまして、はしの上げおろしまで指導しておったわけであります。そういうことは今後必要なくなるわけでありますから、むしろ残る大蔵省の方を少し減らしてでもこの監督庁の方に人員を拡充すべきでありまして、そういう三百人とか何とかじゃなくて、もっと思い切ったことを考えてもいいんではないかと思いますが、いかがですか。
  34. 畠中誠二郎

    政府委員畠中誠二郎君) 検査機能の拡充をすべきじゃないかという御指摘でございます。  御指摘のとおり、金融監督庁がその任務を適切に果たしていくためには、監督の基礎となる検査機能が適切に発揮される必要があることは十分認識しているところでございます。また、金融監督庁の組織全体における検査事務の比重はおのずから高いものとなるところでございまして、このため御指摘の人員面もさることながら、金融の高度複雑化に対応した研さんとか職員の育成に努める等、検査能力の向上についても一層の配意を行っていくことが必要だというふうに考えております。  人員面につきましては、私どもも一応の目安としておおむね三百名台というお答えはしたところでございますが、さらにその上にいかに充実を図っていくかにつきましては、これは次年度の予算要求という形になるというふうに考えておりますので、この十年度の予算編成過程において総務庁等とも十分相談して詰めていきたいというふうに考えております。
  35. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 私は、これまでの審議に参加しておりまして、なかなか大蔵省金融監督庁が判然と分離をされているというイメージがわいてこないわけなんですね。  一点、お尋ねいたしますけれども、金融監督庁は庁舎はどこを利用されるんですか。まさか今の大蔵省の中で壁一枚隔てて大蔵省監督庁というのであれば、だれが見てもやはり一体だということになってしまうわけでありまして、その辺は官房長官、どういう御構想を持っていらっしゃるんですか。
  36. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) まだ構想の段階に至っておりません。しかし、大蔵省の中の検査監督の部門を抜くんですから、その部屋だけあくなとは思いますが、しかしそれをやってしまえば、これは元も子もなくなるわけですから、少なくとも大蔵省以外の建物を見つけるというか、それをしなければ金融監督庁の意味がなくなってしまう、そういうふうに考えますので、これからいろんなことでこの監督庁を具体的に進めていく上には問題があろうかと思います。諸般の意見を聞きながら監督庁をいわば新しくつくるその意味合いをひっくるめて、そういう問題に当たるように努力をいたしてまいります。
  37. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 少なくとも同じ建物に同居ということはないということで、若干イメージがわいてきたわけであります。  次に、大蔵大臣お尋ねをいたします。それは預金保険機構の件についてなんです。破綻金融機関の処理スキームをつくりまして預金保険機構を発動するという業務は、ある意味では最も裁量の大きい行政であると思います。どういうスキームをつくるかというルールはまだないわけですね。  そういう意味では、ある学者が言うには、この預金保険機構をどの官庁のコントロールのもとに置くかが金融行政のパワーを決定するという見方もあるわけです。  そこで、大蔵省設置法を見ましたら、この第五条三十三号、「預金保険機構及び農水産業協同組合貯金保険機構を監督すること。」という条文は今回改正されないわけなんです。要するに、預金保険機構の監督大蔵省権限として残る。これは企画立案大蔵省、業務の執行監督監督庁というこの大原則に反するんじゃないですか。なぜこれが残っているんですか。
  38. 白須光美

    政府委員白須光美君) お答え申し上げます。  企画立案大蔵省、また検査監督は総理府設置金融監督庁と常々申し上げているところでございますが、これにつきましては、まさに金融事業を営みます民間事業者等の検査監督ということでございまして、預金保険機構というものにつきましては、これはこれ自身が事業として金融事業を営んでいるというものではないわけでございます。  そして、預金保険機構につきましては預金保険法によりましてそのスキームが定められているところでございますけれども、これは金融制度におきますいわばセーフティーネットというこの預金保険制度を、預金保険法の規定によりましてそれぞれの権限あるいは機能の仕方、それを定めております。この預金保険法におきます業務につきましては、金融機関等の検査監督の担い手である監督庁、また金融制度企画立案機能の担い手でございます大蔵省、それぞれがそれぞれの機能に応じました形でもってこれに関与するという考え方をとっているわけでございます。  例えば、破綻金融機関の合併等に関します資金援助、これは預金保険機構の運営委員会そのものがお決めになるわけでございますが、現在でございますと、その際に手続的に事前に大蔵大臣の適格性の認定というのを受けることになる。これは個別金融機関に対してなされるものでございますし、またこれを行うためには当然当該機関の実態を把握している必要があるということで、民間金融機関等検査監督機能を担うことになります金融監督庁が所管すべきものというふうに考えているわけでございます。  また、預金保険機構そのもの、これは先ほど申しましたセーフティーネットとしましての預金保険制度の中心的な存在でございまして、これの機構の決定に対します行政の関与と申しますのは、保険料率の設定の認可でございますとか出資の認可でございますとか、こういう預金保険制度基本的な枠組みにかかわるものということでございますので、金融制度企画立案を担う大蔵省、これが引き続き機構を所管するというようにいたしているところでございます。  なお、各設置法の規定というものにつきましては、これはそれぞれのいわばフローチャートの代表的なものを記載しているわけでございます。かつ、従来の設置法の規定ぶり、これとの関連でどのように直すかということでいたしております。  それぞれの正確な権限関係につきましては、預金保険法において明確に定められているところでございます。
  39. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 納得できません。  冒頭におっしゃったことは、預金保険機構というのは民間金融機関でないしという話だったと思います。ただし、じゃ預金保険機構はどういう仕事をするかといいますと、確かにこれは政府認可の特別法人でありますけれども、民間の金融機関破綻した場合にどう預金者を保護するかという、そのための組織であるわけですよね。この預金保険機構というのは、まさにこの預金者保護のために民間金融機関監督する組織でありますから、その組織がこの民間金融機関破綻に備えた預金保険機構を監督するのもまたこれは論理的に当然である、むしろそう考えるのが自然だと思いますが、違いますか。  それに、確かに今度の設置法の第三条を読みますと、民間事業者についての検査監督とありますけれども、しかし「民間事業者等について」というふうにあるわけでして、別にそういう公的な機関を監督していけないということでもありませんし、そういう民間金融機関破綻に備えた預金保険機構は当然監督庁の方が監督すべきではないんですか。
  40. 白須光美

    政府委員白須光美君) お答え申し上げます。  金融監督庁検査監督の手法ということにつきましては、それぞれのまさに検査監督対象が民間の事業者であるということを前提といたしまして、その業務につきましての検査を行い、また、その法律に基づきまして、相手が民間人、民間だという前提で、法令に基づきます監督をいたしていくというようなものでございます。預金保険機構につきましては、委員指摘のとおり認可法人というものでございまして、これのいわゆる監督というものについては、またおのずから異なったところがあるものと考えております。  なお、金融監督庁設置法案の第三条に「民間事業者等」とございますが、これにつきましては、民間事業者の協会等を考えているものでございまして、民間事業者そのものと相当離れたものというものについてこれを想定いたしているわけではないところでございます。協会や連合会等でございます。
  41. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そんなにこの預金保険機構は民間金融機関と離れていないわけです。だって、準備金というのは金融機関からの保険料で賄われているわけですし。  それではお尋ねいたしますけれども、預金保険機構につきましては、大蔵省金融監督庁がそれぞれ関与していくというお話だったんですけれども、金融機関が万が一破綻した場合の処理スキームの策定というのはどちらの権限になるんですか。
  42. 白須光美

    政府委員白須光美君) お答え申し上げます。  基本的に、金融機関につきましての破綻処理、これにつきましては、第一義的に金融監督庁長官現行ルールに基づきましてこれを策定し、その権限を行使していくわけでございます。ただ、それを処理するに当たりまして、万が一、一方におきましては例えば業務停止等の行政処分をする場合、これにおきまして、現行のルールのみで対処できない、信用秩序維持等に重大な影響を与えるというようなことにつきまして、その企画機能を発動した対策につきまして大蔵大臣協議するというものでございまして、また、預金保険機構の問題につきましても、適格性の認定を行いまして、預金保険機構の資金援助のアプローチ、アクセス、これをまず第一義的に担当するというのは金融監督庁の方でございます。  なお、この資金援助を決めるということにつきましては、これは預金保険機構の運営委員会が決定するところでございます。
  43. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 例えば、預金保険法の附則の第十六条の改正、つまり去年の金融三法のときに決まりました特別資金援助というんですか、これについては、特別資金援助、すなわちペイオフの限界を超えた資金援助をする場合の話ですが、これについては監督庁長官と大蔵大臣が共同してかかわるということになっているわけでして、そこまで関与する必要があるのかというのが私の問題意識であります。  それにしましても、この設置法の五条三十三号というのは全く変わっていないわけでありますが、これを読む限り、これを見る限り、大蔵省が預金保険機構につきましてはもう全面的な監督権限を持っていまして、監督庁というのはそれから派生するものを分担するにすぎないというような書き方ですよね。もうそういう上下関係になっているとしか読めないわけでありまして、今おっしゃったようなそれぞれが対等の立場で関与していくという法形式にはなっていないんではないですか。
  44. 白須光美

    政府委員白須光美君) 先ほど申し上げましたとおり、預金保険機構、これは預金保険制度の中核をなす法人でございますけれども、預金保険制度そのものにつきましては、機構を中心といたしまして、それぞれの関係者がそれぞれの機能を果たしているというものでございまして、実際の預金保険の仕掛けとこれの動き方、これについては、例えばまさに現在実際に一番行われるというものについては、適格性の認定等に基づきます資金援助というものが、少なくとも当面の間ではこれが中心になるわけでございますけれども、これはそもそも金融監督庁長官が行う、また一方で、制度の仕組みになります一般保険料率の認可でございますとか定款の変更認可等々につきましては、これはその制度を担当いたします大蔵大臣が行う。  御指摘のございました破綻処理の特例といたしましての預金保険法の附則にございます時限的に措置されております特別資金援助、これにつきましては、一方で適格性の認定というものから派生いたしまして発生するものであるという点から監督庁長官、また、これはまさに特例的な措置として設けられ、かつこれは保険料率そのものに影響していくというようなことから大蔵大臣、この両者が共同いたしまして行うということでございまして、この預金保険制度そのものの中におきまして監督庁長官と大蔵大臣がそれぞれ分担し、また共同で連携するべきものが必要な点についてはそれぞれ連携しということで適切に機能の分配を行っているところでございます。  なお、設置法の書き方と申しますものは、先ほど申しましたとおり、権限のフローチャートというもので書いておりまして、特に預金保険法を所管ということではございませんで、まさにこの場合は、従来の大蔵省設置法の書き方、これが例えば銀行監督でございますとか何々の監督ということで監督対象というようなものを書いている。  そういうことで、預金保険機構の監督という、法人に着目した規定をいたしているということからそのような規定になっているところでございます。
  45. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 時間もなくなりましたので最後にお尋ねいたしますが、全く別の問題でございます。証券会社破綻に備えた社団法人寄託証券補償基金というのがあります。各証券会社の拠出により三百五十一億円の基金があるわけでありますが、しかしこれでは不十分であるので公的資金の導入の道を開いてもらいたいと証券業協会会長代行が要望された。このような証券不祥事の起きているときに全く国民感情を逆なでするかのような発言でありますが、大蔵省はこの点はどう対応をされるんですか。
  46. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) 寄託証券補償基金は、先生御指摘のようなものとして任意の仕組みとして現在存在いたしまして、御紹介いただきましたような規模で準備されております。この制度につきまして、やはりこれからの自由化の流れの中あるいは昨今の経済情勢の中で、このシステムそのものをもっときちんとしたものに位置づけて拡充していくべきではないかという考え方がございます。  今、金額が三百五十億という御指摘がございましたけれども、それでよいのか、一件当たりの補償はどうするのか、そもそも今任意の拠出ということになっておりますから寄附金という扱いをしておりますけれども、預金保険の保険料の仕組みとはパラレルにはならないかもしれませんけれども、そういったものに準ずるような扱いが可能になるような法律上の公的な仕組みとして拡充すべきではないかという御提案がございます。私ども、それは真剣に取り組まなければいけない課題だと思っております。  そういった基金に対しまして公的資金というものがどうかかわるかというのは、また別個な問題であろうかと思います。現在の預金保険制度におきましても、預金保険制度そのものに対しまして補助金が出ているということではない。特殊な形の破綻が起こったときに、こういったシステムで間に合わないときにどうするかという形で一般の預金制度におきまして公的資金というのが語られていると思いますけれども、そんな観点からいいますと、実は日銀特融戦後第一号というのが証券会社について起こったことがございますけれども、一般的な寄託証券補償基金そのものに補助金的な援助が行くということはまだ議論の段階に至っておりません。
  47. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時二十三分休憩      ——————————    午後一時三十一分開会
  48. 遠藤要

    委員長遠藤要君) ただいまから行財政改革税制等に関する特別委員会を再開いたします。  理事の補欠選任についてお諮りいたします。  委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に日下部禧代子君を指名いたします。     —————————————
  50. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  本日の議案審査のため、日本銀行理事本間忠世君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  52. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 休憩前に引き続き、金融監督庁設置法案及び金融監督庁設置法施行に伴う関係法律整備に関する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  53. 阿曽田清

    阿曽田清君 平成会の阿曽田清でございます。  もう既に二十四人の方が質問に立たれ、二十一時間を超える論戦が行われたわけでありまして、ほぼ言い尽くしておる感がいたすわけでございます。したがいまして、重ね重ねの質問になろうかと思いますが、お許しをいただきたいと思います。  まず、金融監督庁設置された意義といいますか、そして新たな気持ちで設置された監督庁の使命、役割を改めて大蔵大臣官房長官からお聞かせいただきたいと思います。
  54. 三塚博

    国務大臣三塚博君) それでは、主管大臣代理の長官に先立ちまして申し上げます。  まさに監督庁をなぜと言われますと、金融政策のきわめつけと言われる住専の問題が惹起いたしました。多くの批判が寄せられたところでございます。そういう中で金融政策は、またその中核である金融機関は預金者の信頼にこたえていく、同時に国そして地域において御案内の金融機関が存在をするわけでございます。そのことが、経営の失敗ということになりますか、また全体の運営の中で金融危機をもたらすということになりますと、国民生活全体に大きく影響するものでございますから、御案内のとおり住専のさなかにおいて金融三法が制定をされたところであります。後始末もきちっといたします。預金者保護という観点でやり抜きます。そして、同時に自己責任を果たすということで努めてほしいし、早期是正措置を決定することによりまして、オープンにすることにより金融の健全な発展をということでつくられたものと理解をいたしておるところでございます。  そういう中で、かねがね批判の中心でありました護送船団方式は、今日の事態を招いた最大の原因ではないのかという衆参あわせての強い御指摘の中で、分離をすることにより職能分担を明確にしていくということといたしたものと存じます。  すなわち、検査監督執行面は新たな機関として行うべし、そして大蔵省のかねがねの中で政策的な分野いわゆる企画立案の分野を明示することにより、業界からの距離を置くことによりまして透明性を明確にしていく、そして透明性の中にお互いが緊張感を持ちながら金融システム維持安定、そして預貯金者の安心ということでこれに対応しようと。  御案内のとおり、金融は産業の血液であります。国民生活の安心を得る基本的な財産であります。そういうことにおこたえをするということであればこの方式しかない、こういう御決定の中で取り進められたのであります。
  55. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) お答えを申し上げます。  今、大蔵大臣から金融監督庁設置に至るまでの経緯については詳細な御説明があったとおりであります。  一昨年来の住専問題を象徴とする金融の放漫な経営というか、そういうものが結果として公的な資金を導入せざるを得なくなった現実を考えますと、今までの金融行政のあり方でよかったのかどうか、そういうところから企画立案の部門と検査監督の部門を峻別することによって、お互いにいい意味での緊張感、そういうものが確立されることによって検査業務が充実をし、そして金融に対する信頼信用、預金者の保護に十分を期してまいりたい、そういう意味で今回の金融監督庁の設立の案ができ上がったわけであります。  それを行うには、これから思い新たに、そして専門的な検査部門、監督部門をどう充実強化していくか、その問題にこれから全力を挙げて取り組むことによって所期の目的を達成する、そのための機関でございます。
  56. 阿曽田清

    阿曽田清君 住専を初めとする相次ぐ不祥事に対して、これからはきちんと検査監督をすべき機関をつくって二度と起こらないようにしていくという決意のもとで設置されたというふうに理解をいたします。  そうしますれば、監督庁は、独自性と専門性をより発揮して透明性と信頼性をより得ることに目的が差し当たってあるんじゃなかろうかなというふうに思います。  先般、塩崎議員は、総理がおっしゃるには、大蔵省と細い糸の関係で結ばれたいいかかわり合いを持った今度の金融監督庁だというようなお話があったけれども、太いパイプになっては困るんだと、こういうお話がありました。私は、また別の例えからいいますと、大蔵省金融監督庁が赤い糸で結ばれてしまっておるんじゃないかなという感じもいたすわけであります。  先ほど申し上げました独自性あるいは専門性、さらには透明性と信頼性を得る、そういう観点からすると、独自性というものをより発揮するためには、いろんな政令、省令というものについて、これはもう言い尽くされておりますが、監督庁独自の総理府令があってしかるべきじゃないかなと思うんです。  こんな分厚い関係資料をいただきまして、「現行」のところに「大蔵省令」というのがあって、「改正案」のところには「総理府令・大蔵省令」というふうに書かれております。それで、ずっと見てみますと、全部総理府令がついているわけです。数えてみましたら五百二十三ありました。五つの法律が主務省令で、すべて共同省令ということになっておりますから、その分を足しますと六百を超えるんじゃなかろうか。そこは数えておりませんが、六百を超えるんじゃなかろうかというほど共同省令になっております。  少なくとも、独自性を発揮していくという観点からするならば、総理府令があってしかるべきじゃなかったかなというふうに思うんですが、何か法改正はもう面倒くさいから全部総理府令をつけてしまって改正案にしてしまえと、そんなうがった見方さえするくらい見事に総理府令が大蔵省令の上についている。総理府令がゼロという、そこに独自性が見られるんじゃなかろうかと思うんですが、いかがなものでありましょうか。
  57. 白須光美

    政府委員白須光美君) お答え申し上げます。  今般の金融行政機構改革におきましては、ただいま大蔵大臣官房長官から御答弁ございましたとおり、民間金融機関に対する検査監督という執行面機能を総理府設置金融監督庁が担う、また、企画立案という政策面機能大蔵省分担するということにしているものでございまして、民間金融機関等検査監督につきましてはその権限一切を金融監督庁の方に移しまして、監督庁大蔵省は相互に独立した機関として明確な機能分担を行っているものでございます。  お尋ねの、省令の制定、改廃についてでございますが、これはルールを定めるというものでございまして基本的には企画立案という性格を有すると考えるわけでございますが、その際、執行面との整合性というものが重要であるということから共同省令といたしているものでございます。  現在、銀行法等の金融関係法には、法律、政令の委任に基づきまして多数の省令が定められているものでございまして、金融監督庁は、これらの省令を含めまして、法令に基づいて検査監督という執行面機能を担うことになるわけでございます。  なお、これは既に銀行施行規則とか証券会社省令でございますとかそれぞれ実際にあるわけでもございまして、これを順次必要に応じ改正が今後それぞれ行われるということになるわけでございますけれども、その改正等に当たりましては、検査監督の手続を定めるものなど、主として検査監督の必要性によりまして定められるものについては総理府が主導することになると考えております。  また、省令の制定に関与するということをもちまして、これを通じて大蔵省銀行証券会社等に対します個別の監督権限の行使に関与するということはあってはならないことは当然でございますし、また、できるものでもないような法令上の仕組みになっているわけでございます。  したがいまして、共同省令ということをもちまして、執行面機能を担います金融監督庁独立性が損なわれているというようなことはないと考えているところでございます。
  58. 阿曽田清

    阿曽田清君 例えば、免許につきましては総理大臣になっておりますが、その免許の申請についてもあるいは免許の取り消しについても、これは総理大臣のいわゆる監督庁専管事項ですね。なのに免許申請においても共同省令で申請の書類の様式まで双方で決めるということになっているんですよ。これは一例です。  ですから、私は、そこまで共同省令で位置づけておかなきゃならないものなんだろうか、そこまで縛りつけておかなきゃならないもんだろうかと。裏を返せば、金融監督庁の独走はさせぬぞというように受け取られぬでもないものですから、これは小さい例ですけれども、わかりやすいから例えとして申し上げたんです。どうでありますか。
  59. 白須光美

    政府委員白須光美君) お答え申し上げます。  免許申請あるいは営業所の設置の申請等につきまして、現在の規定におきましては、省令で定めるところにより認可を受けなければならないというような規定あるいは免許を受けなければならないというような規定がされているわけでございます。  これにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、そもそも一般論といたしまして、省令というものは、法令ということで企画立案機能というものがあるということのほかに、それぞれのものにつきまして申し上げますれば、例えば今御指摘の、省令で定めるところによりまして認可を受けなければならないというものでございます。これはある意味で申しますと、どのような書類の提出を求めるかというのは、認可の基準等に関連する面などもございます。そのような意味からいいますと、法律の立案者の確認、こういうことが相当なのではないかということもございます。  なお、現行の省令の規定につきましては申請書あるいは添付書類のみを定めているものでございますけれども、省令で定めるところによりというふうに規定いたしておりますものにつきましても、例えばその計算の方法等を定めるとか、そのような省令が定められていることもございます。  定め方によりましてはかなり実態に入ってくるということもあり得るところでございますので、双方の相互チェックという形でもって共同省令といたしているところでございます。  もとより、先ほど申し上げましたとおり、実際問題として手続的なことを定めるということであれば、これは、総理府の意見を主といたしましてその制定、改廃等が行われることになるというふうに考えているところでございます。
  60. 阿曽田清

    阿曽田清君 今お答えを聞きまして、やっぱり何か理屈の上のお話だなという感じを受けるんです。少なくともそれはすっきりさせて総理府令で、免許等の申請、取り消し等についての省令であってもいいんじゃないかな、そういうふうに私は思うんです。  ですから、先ほど言いましたように、六百ほどの省令の上に全部総理府令を乗っけた作業に終わっているんじゃないか。これは共同省令にしなきゃならない、これは総理府令でいいんじゃないかというようなことが一つ一つ精査されてつくられたというふうにどうも理解しにくい今回の改正案じゃなかろうかな、そういうふうに思えてなりませんが、そうじやありませんか。
  61. 白須光美

    政府委員白須光美君) お答え申し上げます。  私ども、立案させていただく過程におきましては、御指摘のような点につきましても検討はいたしたわけでございます。  しかしながら、先ほど申し上げましたように、そもそも省令そのものに企画立案性というものが第一義的にある。さらには、その次に申し上げましたように、法律上の可能性、法制的な可能性といたしますと、特に、定めるところによりというようなものにつきましては、法律の可能性としてはいろいろな定め方をすることが可能ということでございますので、これらの点につきましては、いわば法制的な整合性と申しますか、こちらの方によることにいたしまして、個々のものにつきましては、金融監督庁大蔵省相互のいわば共同をして理解し合った関係ということで、実際上適切な内部的分担が図られていくことが適当というふうに考えたわけでございます。
  62. 阿曽田清

    阿曽田清君 大蔵省監督庁が絶えず緊張感を持って相互に連携もとり協調もしてやっていく、それは当たり前といいますか、それを望むところでありますけれども、それぞれの省令そのものがすべて共同省令になっておるということについては、独立性からして、監督庁は何かしら大蔵省にすべて御意見を伺わないとできないような形として見えてしまう。  私は逆に、総理大臣が最高責任者ですから、独立した監督庁であればやっぱり大蔵省よりも強い権限を持ってやっていく、そういうような省令の形があってしかるべきじゃないかなという思いさえするんです。この受け取り方では、逆に大蔵省にすべてお伺いを立てて、いいでしょうか悪いでしょうかというような業務上のことを全部相談してやらなきゃならないという省令になっておるようにしか受け取れない。  これは私だけじゃなくて、恐らく議員の皆さん方あるいは国民方々もそのように受け取るのが普通じゃなかろうかなというふうに思いますので、この省令の見直しというのは引き続きやっていただかなきゃいかぬな、それが独立性を監督庁が保つことになると私は思いますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。  次に、専門性の問題について質問いたします。  先ほど荒木委員からの質問にもありましたが、監督庁の長官を初めスタッフそれぞれ三百何がしと、こういうようなお話でありました。もう既にその勢力といいますか、数の面でこれくらいは必要だというものは恐らく出てきておるんじゃなかろうかなと。予算どきにならないとわからないんじゃなくて、それは最終的決定がわからないのであって、最低これくらいは金融監督庁をスタートするにおいては必要だということがあろうかと思います。それを何名ぐらい考えておられるか、そしてどういうところからそういうスタッフを、陣容を整えようとされておられるのか、さらに独自の新規採用を考えておられるかどうか。まさか総理府あるいは大蔵省の採用として採用されるんじゃなくて、そういう採用の仕方じゃなくて、ちゃんと監督庁で採用するという形の新しい採用を考えるべきではなかろうかと思うんです。  その三点についてお聞かせをいただきたいと思います。
  63. 畠中誠二郎

    政府委員畠中誠二郎君) 金融監督庁の体制の問題についての御質問でございます。  先ほどの午前中の御質問で私ども一応の目安としては三百人台と申し上げました。なお、具体的には十年度の予算編成、要求をして査定がある、そういう過程で決まってくる問題でございますので、三百何十何人という具体的な数字は今のところ申し上げることができないことを御理解いただきます。  三百名台と申し上げましたのは、今大蔵省の官房の検査部が約百五十名でございます。それから証券監視委員会が今九年度で約九十名。それを足しますと二百四十名。そのほか証券局と銀行局で監督に携わっている職員の定員というものが必要になってきます。また、官房系統の職員も必要となってきます。それらを合わせますと、やはり三百人を超える人員が必要ではなかろうかというふうに今のところ考えておるところでございます。  採用の問題につきましては、これは発足後に長官以下のイニシアチブで考えられることでございますが、当然独立の官庁でございますので、採用するとなると新庁が独自に採用するということになろうかというふうに考えております。
  64. 阿曽田清

    阿曽田清君 三百名ちょっとという、今までの関連する機関から寄せ集めたという人をそのまま金融監督庁の職員にということであれば、いわば今まで携わってきた方々を新しくつくった金融監督庁の中にただ入ってやっていただくというだけです。きのうの参考人のお話の中にも、新しい酒は新しい皮袋にということでスタートしていかなきゃならないんだというお話があった。まさに私もそのとおりの取り組みが求められると思うんですが、今のお話でしたら、新しい皮袋はできたけれども、新しい酒は古い酒が入った形になるんじゃないですか。何かそこに違いがあるんですか。
  65. 畠中誠二郎

    政府委員畠中誠二郎君) ちょっと御説明が不十分で申しわけございませんでしたが、今私が三百名台を目安と申し上げましたのは、定員上、言ってみれば大蔵省から振りかえというのですか、大蔵省から機能が移る、それに伴って人員が移る、それの目安ということで申し上げたつもりでございます。  さらに、その上に定員増が必要じゃないかという御意見でございます。  大変私どもとしてはありがたい御意見でございますが、私どもも総理府の一員としましては、できるだけ検査監督体制を充実させて、破綻処理等に万全を期すような体制が必要であろうというふうに考えておるところでございますが、政府全体としましては、財政構造改革会議等で御議論もありましたように、総人件費の抑制とか定員のトータルの減とかいうような議論もあるところでございまして、どの程度充実を図るかというのがなかなか今の段階で数字として定かに申し上げられないということでございます。  いずれにしても、八月末には定員要求という形で取りまとめ、査定当局との御議論を通じて固まっていくべき問題であろうというふうに考えております。
  66. 阿曽田清

    阿曽田清君 今お話しのあったものに、私自身ちょっとこれはおかしい提案になるかもしれませんが、農水省の官房検査部や労働省、通産省の金融機関の監査担当の方々も入ってこられるわけでしょう、何人かは。入ってこられるんじゃなかろうかと思うんですが、それ以外に日銀や会計検査院、さらには広く総務庁の監察セクションや郵政監察といった違う観点方々も参加された形がいいんではないかなというふうに思っておりますから申し上げているんですよ。その点はどうなんですか。
  67. 畠中誠二郎

    政府委員畠中誠二郎君) 金融監督庁の職員の構成をどうするかということにつきましては、官房長官もたびたび御答弁申し上げていますように、かなり専門的な仕事でございますので、専門的な知識、経験を持った職員が必要であり、かつまたそういう職員を養成していく必要があるというふうに考えておりまして、私ども大蔵省だけではなくて、それぞれ御指摘のありましたような省庁の職員を決して排除するつもりはございません。  ただ、出すか出さないかという問題につきましては、それぞれの省庁の定員事情というような面もございますので、それが実現するかどうかこれからの相談事に、関係省庁との協議、相談ということになってくるかと思います。
  68. 阿曽田清

    阿曽田清君 せっかく監督庁設置されるわけですから、監督庁設置したことによって金融業界がきちっと改まっていい方向に向かい出したねと、いわゆる自己管理がぴしっとできて監査しなくてもスムーズにいくような、監督庁をつくっただけでもそういう一つの効果がある、そういうものを私は期待いたすわけであります。  先ほども官房長官がおっしゃられました。そして、きのう参考人意見の中で、今は検査が大体四年に一回、これは少な過ぎる、人間を倍にしても二年に一回しかできない、それでも検査が十分行き渡るとはなかなか言えないでありましょうというふうなお話でありました。  先ほど官房長官がおっしゃられました。あくまでも私案でありますがということをたびたび断りながら、監督庁長官のもとに学識経験者や有識者の方々で顧問や相談役といったようなスタッフをそろえたいと。あくまでも私案ということでお述べになっておられますが、私はその案は極めてすばらしい案だと思います。ですから、ぜひそういうところを具体的に金融監督庁の中に設けることによって信頼によりつながってくる、そのように私は思うんです。  私案ということではなくて、やはり具体的に織り込んでいただくようなことが私は必要かと思いますが、官房長官、いかがでございますか。
  69. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 形をつくって長官を迎えるということよりも、この法案が通れば発足が来年でございますが、あとう限り総理が全力を挙げて新長官を内定されて、そしてその人の意見を十二分に聞いて、これならば金融監督庁が預金者ないしは国民全体の信頼を受けられるという制度をつくり上げなければならないと思います。  私見と申し上げるのは、それ以上にまだ進展をいたしておりません。しかし、ぜひともこういうことだけはやらないと、思いを新たにしてこの金融監督庁をつくったことにならないという気もいたしますので、全力を挙げてみたいと思います。
  70. 阿曽田清

    阿曽田清君 私は大変結構なことだと大賛成でございますので、そういう取り組みというのが監督庁の中にあって、しかもスタッフの中には、陣容の中には幅広くいろんなところから特色のある能力を持った方々を寄せてきて初めて、今の人数を倍にはできないわけですから、より質の高い職員の方々で構成した監督庁であってほしいと思います。何か監督庁をつくったけれども前向きな答弁が余り出ないということは、大蔵省、準備室は余りやる気がないんじゃないかな、そんなことさえうかがえるわけでございますので、しっかりひとつお取り組み願いたいと思います。  それから、監督庁ができたけれども、地方地銀等の検査あるいは監督については地方財務局の理財部で対応する、それは委任をして当たらせる、こういうことのようであります。ざっと調べてみますと、その理財部の中に証券課、あるいは保険課、金融課、検査課、そういう課が幾つかありますが、現在検査監督に当たっておるそういうメンバーは大体千人ほど全国にいらっしゃいますね。間違いありませんか。
  71. 武藤敏郎

    政府委員(武藤敏郎君) 御指摘のとおり、約千名でございます。検査が大体四百名、監督が五百名、それから証券取引等監視が約百名、合わせて約千名でございます。
  72. 阿曽田清

    阿曽田清君 千名もの方々がいらっしゃる。その方々が今度は委任を受けて検査監督の方にタッチされる。私もサラリーマンの経験がありますけれども、やっぱり監督庁長官から辞令をちゃんともらってやるのと、委任された業務として、おまえ手伝ってやれよという感じの委任の辞令では、本人のとらえ方はまるきり違うんですよ。  総務庁の地方支部局でも九百七十八人、あるいは郵政省の郵政監察局は千百六十三人、公正取引委員会や人事院の地方事務所は百七十人、そして百三十人の規模で設けられております。私は、ここはすっきりさせる意味で、むしろそれだけの金融監督庁、国が本気になってやっているんだというあらわし方からしますれば、理財部に置いた職員の方々財務局長が委任して業務に当たらせるのじゃなくて、思い切ってスタートのときから金融監督庁地方支局をつくられた方が私は効果があるんじゃなかろうかというふうに思います。
  73. 白須光美

    政府委員白須光美君) お答え申し上げます。  地方検査監督につきましては、新たに金融監督庁地方支分部局を設けるということになりますと、総務関係の要員が別途必要になると行政改革の理念に照らしまして適切でないという考え方のもとで、既存財務局の組織を活用することとしたものでございます。  このような基本的な考え方のもとにおきまして、今お話がございましたとおり、監督庁長官はその権限の一部を財務局長に委任することとしておりますが、この委任した事務に関しましては金融監督庁長官財務局長を直接指揮監督することとしておりまして、地方におきます検査監督事務は長官の指揮監督のもと的確に実施されるもの、このように考えているところでございます。  なお、今般の金融行政機構改革趣旨にかんがみますと、検査監督体制につきましては検査機能が適切に発揮できるものとする、こういう要請にこたえるとともに、信用不安などの危機管理について万全の体制とするという必要があるわけでございます。地方検査監督につきましてもこのような考え方に立ちまして、この両者の間で知識、経験等の共通基盤を強化しながら的確に機能が発揮されるよう努力を行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
  74. 阿曽田清

    阿曽田清君 私は、すっきりした形で組織化をした上で事に当たっていかなければ、いろんな戦略といいますか、戦略というとおかしいけれども戦術的にも組めないんじゃないかなと。まさに私ども、私は農協の組合長をいたしておりますが、やっぱり一つの命令系統をぴしっとして、そしてそれに基づいて上から一番末端の職員までが同じ方向に向かってやっていく、そういうことで初めて事は成り立つ、成功をおさめる、そう思います。二足のわらじみたいな形ではどうしても効果は出てこないんじゃなかろうかなと私は思いますので、ここは再考をお願いいたしたいと思います。  次に参ります。  検査その他の監督にかかわる権限についてお伺いいたします。  大蔵大臣権限を内閣総理大臣または長官の権限にということになりました。ここでも、これらの監督に関する省令は総理府、大蔵省の共同省令で定めるとなっております。四つの権限があります。改善命令、業務停止命令、免許の取り消し、合併等の破綻処理という四つの権限を明確な処理基準に基づいて発揮させるということだと思いますが、処分の基準はどうなっておるか。ここまでの状態ならば改善命令を出す、これくらいの悪い状況ならば業務停止命令を出す、恐らくその基準があろうかと思いますが、まずそれを教えていただきたいと思います。
  75. 山口公生

    政府委員山口公生君) いろいろなケースによりまして行政処分が行われるわけでございますが、先生が今お述べになりました業務の改善命令、これをリスク管理といいましょうか、財務の観点からいく場合で申し上げますと、早期是正措置で、国内で活動している銀行におきましては自己資本比率が四%という基準がございます。それを割り込んでいくと業務改善命令、一般的なものを出しまして、計画を自主的につくるように、それを実施するようにという指導をいたします。それから、二%を切っていきますと、個別具体的にこういう措置をとりなさいという命令を出します。それから、〇%を切っていきますと、原則としてでございますが、業務停止命令にまで行くというような姿で、この行政処分につきましてはそういった明確なルールに基づいてやっていくというのが基本でございます。  ただ、命令の中には、例えば不祥事件を起こして、そのために命令を出さなきゃいけないということもございます。その場合は、いろいろな不祥事件の態様によりまして、例えば海外でのリスク管理が十分になかったとかということがしばしば最近起こっておるわけでございます。その場合は、そこに重点的に改善命令の対象を絞りまして、再発防止のためのしっかりした計画を出させるというようなことをやらせているというようなことでございます。  ケース・バイ・ケースの場合もございますが、そういう健全性観点からいきますと、これからはルールに基づいてやるという考え方でやらせていただきたいと思っております。
  76. 阿曽田清

    阿曽田清君 今、早期是正制度の話がありましたが、国内においては自己資本比率が四%を下回ってきた場合に改善命令と、こういう話ですね。  これは、私は農協のことを考えて言いますと、来年の三月三十一日までは含み益まで入れていいということになっておりましたね。来年の四月一日から含み益は外すと、資本の方に。そういう指導があるんですよ。これは国内の場合だと思いますが、それをちょっと確認します。
  77. 山口公生

    政府委員山口公生君) 農林系金融機関につきましてはちょっと正確には存じませんが、恐らく民間金融機関と一緒だろうと思いますので申し述べますと、早期是正措置は来年の四月からでございます。それ以前、現在におきましても含み益は国内の基準におきましては入れておりません。それから、来年の四月以降も含みません。  ただ、含み益を入れるという情報がよくございますが、これは国際的なBIS基準で計算する場合に八%基準がございます。その場合には含み益の四五%まで入れていいということになっております。
  78. 阿曽田清

    阿曽田清君 それで、八%に国際基準が上がるのはわかりますが、それだけ対外的に信用性を高めるという意味での八%はわかるんですが、国際基準の場合には含み益を認めて、国内のときは認めないというのは何でですか。
  79. 山口公生

    政府委員山口公生君) お答え申し上げます。  国際基準の場合は、国際的なバーゼル合意によりまして各国の主要銀行がみんな適用になるわけでございます。そうしますと、含み益を入れないということになりますと、我が国の金融機関が非常に不利な取り扱いになるということで、我が国がかなり強く主張をしまして含み益の一定割合まで入れていいということにした、あるいはしてもらったという経緯がございます。  もともと、じゃ含み益に頼った形での自己資本というのが本当にいいのかという話になりますと、それは健全だとは言えない。たまたま例えば株価が高いとか、あるいは地価が上がっているというようなときは含みは非常に大きくて何でもできるような気分になりますが、それが逆になりますと、それは逆に経営が圧迫される、本来の業務をやっている以上にそういったものに左右されていくということは健全なものではございません。  ただ、国際的な基準でいきますと、日本がそういう含み益を外した計算になりますと八%を切ってしまうという事態で、国際的な活動ができない。そうすると外国の銀行の方がずっと優位になる。したがって、これまでの歴史的なずっと経緯がありまして、特例的に認めているわけでございます。  国内基準の場合はそういった国際的な競争場裏というものもございませんし、本来の国内的な基準で考えたときは入れない方が将来ともいいだろうという考え方でございます。
  80. 阿曽田清

    阿曽田清君 それで、じゃ含み益があるときはいいけれども、含み損が出たときにはもっと影響が大きいわけでしょう。まさに含み益、含み損の問題を早期是正の中に、国内の場合は含めません、国際基準の場合は含みますというようなことでは透明性に欠けることになるんじゃないかなというふうに私は思いますので、このままの状態でいいのかなというふうに思います。それは少なくとも是正すべきじゃないかと逆に思います。  それから、これは参考までにお聞かせいただきたいと思いますが、今回、野村証券第一勧銀の不祥事件が起こりました。この大きな不祥事件は四つのいわゆる処理基準といいますか権限、業務停止命令になるんですか、免許取り消しまで行くんですか、改善命令で終わるんですか、この野村証券第一勧銀の今回の事件のレベルからして。
  81. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) 証券会社について先にお答え申し上げます。  業務改善命令等につきましては、銀行局長が申しましたように、会社の財務内容が悪化しておることを是正するためにどうすればいいかという系統の話と、会社が違法な行為を行った場合に対する一種のペナルティーとして何をするかという二つの話がございますが、野村証券につきましては後者でございます。後者につきましては、私どもで法令上可能な行政処分として、免許の取り消しまたは六カ月以下の範囲内での営業の停止ということが法令上認められております。
  82. 阿曽田清

    阿曽田清君 じゃ、免許の取り消しか六カ月の業務停止、どっちかということですか。
  83. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) 六カ月以下でございます。
  84. 阿曽田清

    阿曽田清君 以下の停止ということになる、こういうことですか。
  85. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) 正確に申しますと、命ずることができるということでございます。
  86. 阿曽田清

    阿曽田清君 今の私の問いはどれに当たりますか。野村証券第一勧銀の事件の不祥事はどれに当たりますか。
  87. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) この点は、今後、証券取引等監視委員会から、ただいま御報告いたしました行政処分に相当する法令違反の事実がありというときはそれを勧告する、私どもに対する勧告があるわけでございます。
  88. 阿曽田清

    阿曽田清君 今度、金融監督庁ができた、そしてこれから不祥事はもう起こってこないだろうと思うし、またそういうふうに努めていただくと思いますけれども、なかなか先ほどからお答えがありますようにゼロになることはなかろうと。また次に悪いことをする者が出てくるのを未然に防止する、措置してしまう、発見することもできるだろう、こうおつしゃったわけでありますが、検査監督をしておるにもかかわらず不祥事が出てきた場合に、明らかに監督が不十分だったことによって起きた場合に、その責任金融監督庁長官が負うことになるんでしょうか。今後不祥事が起こらぬとも限らない、そして、どんなに監督行政をうまくやったって今日みたいにどんどんこういう不祥事が起こってくる、それを検査監督するところの長官が責任をとることになるんでしょうか。
  89. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 民間の金融機関等の検査で落ち度があってはならないわけでありますから、落ち度を前提にして私はお話を申し上げることはできませんが、いずれにしても、仮にそういうことがあった場合は、関係者が責任を負うとともに、検査事務を総括する金融監督庁長官責任であります。
  90. 阿曽田清

    阿曽田清君 長官の責任ということになってくるわけでありますから、先ほど私が申し上げましたように、要するに戦える陣容を十分に、中央から地方に至る、そしてその中身の能力のある質の高いスタッフをより集めるということを少々金がかかってもこの際やるべきだ、私はそのように思うわけでございます。  もう時間がありません。最後に、去年私は住専のときに質問をいたしました折に、橋本総理に、通達行政がこの住専を深みにはまらせてしまってこのような結果になった、通達行政は改めるべきじゃないか、こういう質問をいたしました。総理も同感の答えがありました。  その後、昨年の国会から今日まで約二十件ほど通達が出されておる、銀行局長名で出されておる。その中で、普通銀行の業務運営に関する基本事項あるいは経営の改善を要する銀行に対する経営改善計画の提出に関する通達、こういうもの等は今後監督庁から出されますか、大蔵省金融局長名で出されますか、それだけ教えていただいて終わりたいと思います。
  91. 白須光美

    政府委員白須光美君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘の通達、ぴったりのものが手元にございませんのであるいは若干正確でないかもしれませんが、どうも伺ったところでは、検査に関連いたしまして、そういうような監督の手続等を指定したりした通達のようでございますので、そういう通達につきましては、監督庁の方が今後監督庁設置後担当するということになろうかと存じます。
  92. 阿曽田清

    阿曽田清君 終わります。
  93. 菅川健二

    菅川健二君 平成会の菅川健二でございます。  きょうから登板いたします新参者でございますので、どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。  我が平成会も三番目の登板でございまして、我々は三本の矢で結束をしながら頑張ってまいりたいと思うわけでございます。ちなみに、私は広島県出身でございますので、毛利元就ともどもよろしくお願いいたしたいと思います。  金融監督庁設置法案につきましてはこれまでも十二分に御審議されておりますので、今さらながらということでございますが、幾つか重複することもあろうかと思いますが、質問をさせていただきたいと思うわけでございます。  我々平成会は、金融監督庁のこの法案につきましては、行政システム上大変大きな問題がある、また行政改革にも反するのではないかということで基本的に反対の立場をとっておるわけでございますが、この論点につきましては、私自身次の機会に譲らせていただきたいと思うわけでございます。きょうは、幾つか先ほど来御議論がある論点等を含めまして、落ち穂拾いをしながら頑張ってまいりたいと思います。  まず、仮に金融監督庁設置されましても、組織がうまく機能するかどうかということが甚だ心もとないわけでございます。言うまでもなく、組織を動かすのはまさに人でございます。とりわけ長官に人を得るということは最も重要でございまして、この点につきましてはしばしば論議が尽くされたわけでございます。  先ほど我が平成会の荒木委員からも御質問申し上げましたけれども、梶山官房長官の御答弁にまさにその熱意があらわれておるわけでございまして、その要件に該当するのは梶山長官ではなかろうかという感じすらいたしたわけでございます。  しかしながら、これから総理を目指そうとされておる非常に貴重な政治家でございますので、まあ長官に準じたすばらしい人を得てもらいたいと思うわけでございます。  ただ、長官に人を得るということだけでも、一人で動くわけではございませんで、やはり何といいましても三百人余りの一つの集団になるわけでございます。その場合に、当初はもとより大蔵省から大半の人が異動していくということはやむを得ないことでございますが、その後はやはりノーリターンの原則を徹底していただきたいと思うわけでございます。  ただ、一般の職員につきましては、幅広く経験をさせる、いろいろな人事交流をさせることによって能力をアップするということもあるわけでございまして、一概にノーリターンの原則を厳守するというのもいかがかと思うわけでございますけれども、一定の職以上につきましては絶対にノーリターンを厳守していただきたいと思うわけでございます。  とりわけ、これまでの議論あるいは巷間伝えられておるところによりますと、長官はどうも外部の方から適当な人を呼んでくるんじゃなかろうかという感じがいたすわけでございます。そうしますと、ナンバーツー、恐らく金融監督庁次長というのが置かれるんじゃないかと思うわけでございます。ナンバーツーは、恐らく大蔵省から大量に異動してくるということになりますと、その元締めということでございますので、多分大蔵省のポストになるんじゃなかろうかということが推測されるわけでございます。その場合に、今度またその次長が大蔵省に戻るということになりますと、またなれ合いになってしまうわけでございまして、そういったことになりますと腰も定まりませんし、金融監督庁趣旨も徹底しないわけでございます。  したがいまして、最低限、次長は、仮に大蔵省から来るにしてもノーリターンの原則を遵守していただきたいというふうに思うわけでございますが、この点についてどのようなお考えか、官房長官にお聞きいたしたいと思います。
  94. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 金融監督庁の大事については、任命権者である長官の人事権が厳正に確保されることが前提でありまして、長官が、その判断により、業務を的確に遂行できるよう人事権を行使して望ましい人材を確保していくべきものと考えております。なお、人事を通じて特定の省庁が他省庁に不当な影響力を行使することがあってはならないという大前提のもとに考えられるべきものと思っております。  人事の交流の制限を設けるかどうかについては、省庁間の人事交流はいわば縦割り行政の弊害を打破するという側面が一点ございます。ですから、全部にノーリターン制度というものがいいかどうかという問題については、これから新たに選任をされる金融監督庁長官がそのときの事象、それからそのとき与えられている条件のもとでどうやればいいか、その自由裁量権を与えなければ適正な金融監督庁の運営ができないわけでありますから、今からこれをあらかじめ予断をして私が申し上げるということは適当でないという気がいたします。  長官が判断をするに足るような長官を、そして長官が例えば外部からおいでになっても、大体の人は大蔵省だから次長は大蔵省だと言われるかもしれませんが、そうでない場合もあるかもしれませんし、それは長官が人事権を発動するに足るような、先ほど言ったようなスタッフ制度、そういうものを実はあらかじめ選定をし、勉強し、開庁に備える。そういう中で、私はもう一回議論をされてしかるべし、しかし委員のお話しになっている原則論は私も十分に踏まえて、そういう機会があれば総理に申し上げておきたい、このように思います。
  95. 菅川健二

    菅川健二君 ただいまの件のように、長官が任命されて、長官が自由にスタッフを集めて人事構成をするということになりますとそれなりの意向が働くわけでございますが、過去の例から見ますと、恐らく私は長官、次長、それから一般職員、あわせてセットで任命になるのではないかと思うわけでございます。その辺は、長官の意向を酌んだ上で、その補助職員についてきちっと長官の意向を反映させるんだということについてもう一度御確認いただきたいと思います。
  96. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 今まで政府委員等の答弁によって明らかなように、今の大蔵省銀行局の方々の専門職を充てるわけでありますから、大半の職員は、御指摘のとおり、大蔵の現在精通をしている専門的な役割を果たしている方々にお願いをすることは当然のことであり、それ以上のことはできないと思います。  しかし、私は、思い新たに新しい監督庁を発足をさせるに当たって重大なのは新しい長官の人事であるし、長官が全く裁量権のない、その後に次長があって、お預けを願ってやる長官であっては、新しい機構をつくるにはふさわしくない。ですから、長官は少なくとも当初しばらくの間内定の期間があって勉強し、私が会うか会わないかまでひっくるめて勉強される。その人が必要とするならば、ほかの助言を求めながらスタッフ、顧問や参与とか、どういう名称になるかわかりませんが、常勤、非常勤をひっくるめて民間その他の方々を求めて、その中で意思決定をされ、大蔵のエキスパートを採るかあるいは銀行業務に精通をした人を採るか、そういうことは長官の人事権の裁量の中に任せるべき、このように私は考えております。
  97. 菅川健二

    菅川健二君 ただいま官房長官の力強いお言葉をいただいたわけでございますが、ぜひそのようにしていただきたいと思うわけでございます。  ところで大蔵大臣金融監督庁の大事については大蔵省としては一切干渉しないということをここでお誓いいただきたいと思います。
  98. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 独立官庁でありますから、長官も言われますとおり、新長官が人事を握り、適正な人材配置を行うものと思っております。  これだけの議論が出ておるわけでございますからきちっとしますけれども、一言言わせてください。そんなに恐れないでください。国家公務員は困難な試験をパスしてやっております。それぞれが使命感を持って配置をされた職分に全力を尽くすものと私は信頼をいたしておるからであります。
  99. 菅川健二

    菅川健二君 先ほど同僚の阿曽田委員からもございましたけれども、金融監督庁の職員の大半が大蔵省から異動してくる、その他の職員についてはどの程度採用できるかわからないというのが事務当局の答弁でございました。  先ほど阿曽田委員が口を酸っぱくして申されましたように、やはり新しい組織に活力をもたらすためには新しい血を入れるということがどうしても必要なわけでございます。とりわけ今までの金融行政というものが密室性を持っていた、しかももたれ合い性を持っていたということですと、同質の人間がそういった仕事を引き続きやるということになりますと、やはりその体質は変わらないわけでございます。  そういった面で、私は、中堅の管理職等を含めて思い切って民間の、例えば公認会計士とか銀行等金融のエキスパートでございますか、そういった方を新採用というよりも、中途のキャリアを持った人も公募でもって採用したらどうかと思うわけでございますが、そういった道を、一部でもいいから採用するということについてのお考えをお伺いしたいと思います。
  100. 畠中誠二郎

    政府委員畠中誠二郎君) 御指摘の、公認会計士、銀行員等民間からの人員の採用の面でございますが、私ども先ほどからも言っておりますように、専門性のある人材を確保する必要があるということで、決してこれらの人々の採用を排除するものではございません。  ただ、実際問題、給与面等いろいろ条件面、処遇面で困難があって、どれだけ実現するか今のところちょっと私ども定かではございません。
  101. 菅川健二

    菅川健二君 事務当局は、やはり予算要求するというような観点からこの場で確信を持ってお答えできないということはよくわかるわけでございますが、官房長官、いかがですか、多彩な人材を集めるという基本的な姿勢を長官の方からひとつ御命令いただけませんでしょうか。
  102. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 再三申し上げておりますように、やはり総理が任命をする新しい長官にどういう人が選ばれるか、そしてその人にどのぐらいの裁量権を与えられるか、また我々がどういう予備知識を与えられるか、そのことまでが私たちの仕事でありまして、それ以上のことは、新長官になるべき人がその人事の裁量権を持っていいのではないか。ですから、委員が今御指摘になるような民間の方々あるいは公認会計士的な者、あるいは先ほど政府委員が答弁をした相当な数が大蔵から、それぞれの利点も欠点もあろうかと私は思いますが、それは挙げて新長官の裁量権の中にある、このように理解をしていただきたいと思います。
  103. 菅川健二

    菅川健二君 金融監督庁を仮に設置する場合にはひとつぜひその所期の目的が果たされるように細心の注意を払って、スタッフの充実に努めていただきたいと思うわけでございます。  次に、午前中に中島委員の方から御質問ございましたが、信用組合の件についてお聞きいたしたいと思います。  私も長い間地方行政をやっておりますので、やはり地域の金融の中で大きな役割を果たしておる信用組合のあり方ということがこの際ぜひ議論されてしかるべきだと思うわけでございます。とりわけ、金融不祥事の発生を振り返ってみますと、東京協和、安全信用組合の二信組の乱脈経営がその端を発したわけでございます。    〔委員長退席、理事倉田寛之君着席〕  信用組合に対する検査監督権限機関委任事務として都道府県知事にあるわけでございますが、現在、地方分権推進委員会におきまして、機関委任事務を廃止する、それを廃止した後は基本的には自治事務にする、どうしても国の事務として残すものについては法定受託事務とする、あるいは、どうしても地方団体に任せられないものについては国の直接執行の事務にするということになろうかと思うわけでございますが、来月の早々に第二次勧告が行われるやに聞いておるわけでございます。恐らくこの問題も第二次勧告に盛られるのではないかと思うわけでございます。  最終調整の段階にあろうかと思うわけでございますが、現段階におきます地方分権推進委員会での論議の内容について教えていただきたいと思います。
  104. 東田親司

    政府委員(東田親司君) ただいま御指摘のとおり、私ども分権委員会は、七月上旬を目途に第二次勧告をすべく、今、山場の折衝を行っておるところでございます。  御指摘のとおり、機関委任事務制度を廃止するということは第一次勧告で申し上げたところでございますけれども、廃止後の個々の事務を原則自治事務、例外法定受託事務という考え方で個々の事務ごとに事務区分をすべく折衝を重ねているわけでございます。その一環といたしまして、本件の信用組合検査監督事務につきましても、現在関係者のヒアリングをするなどして審議を進めております。  まだ一定方向が出たという段階ではございませんが、これまでの意見を若干御紹介させていただきますと、まず、地方団体の方からは二つの意見が出ておりまして、信用組合の事業内容は信用金庫などとほとんど差がない実態になっているということから、この際、直接執行事務とすべきではないかとする意見がありますということと、もう一つ意見としては、本来協同組織としての性格にかんがみまして、一部なじまない協同組合は他業態に転換していただいた上で、残った信用組合につきましては法定受託事務として引き続き都道府県が担いだい、この両様の意見地方団体側にありますという御見解を伺っております。  それから、所管省の方からは、信用組合といえども預金の受け入れが認められており、一たん破綻した場合には金融システム全体に大きな影響を及ぼしかねないことにかんがみまして、少なくとも自治事務にはなり得ない性格のものではないだろうかという御見解もいただいております。  私ども委員会といたしましては、この検査監督事務につきまして、直接執行または法定受託事務、この両ケースの長所、短所を十分吟味いたしまして、来月の上旬でございますが、勧告に取りまとめていきたいと思っている次第でございます。
  105. 菅川健二

    菅川健二君 十分議論を尽くしていただきたいと思うわけでございますが、この際、若干私見を申させていただきたいと思うわけでございます。  信用組合の業務は地域振興に大変大きく貢献していただいておる。また、これまで信用組合機能強化のために合併を促進したり、あるいは信用組合破綻に瀕したときに財政援助をやったり、いろいろな形で都道府県というものが役割を果たしてきたわけでございます。私自身も、十数年前になりますけれども、県の商工労働部長で三年余りこの事務を所管しておったわけでございます。  したがいまして、最低限、法定受託事務として引き続き都道府県知事事務で行ったらどうだろうかという期待感は持っておるわけでございます。  ただ、幾つかの問題を考えますと、一つは、今後の金融の国際化、自由化の進展に対応して、グローバルな観点からの指導が必要である。  それから二つ目は、先般、東京協和とか安全信組や木津信用組合破綻処理をめぐりまして、東京都や大阪府と大蔵省との間でいろいろなさや当てとか責任のなすり合いがあったわけでございまして、そういった面で非常に責任の所在が不明確な実態が出てまいったわけでございます。やはり、そういった面からしまして、金融機関に対する検査監督というものをこの際一元化し、責任の所在を明確化することも重要なことではないかと思うわけでございます。  それから三つ目は、午前中にも話がございましたけれども、私の経験からいいましても、都道府県で、例えば広島県の場合は現在八つの信用組合があるわけでございますが、四、五名の職員が検査監督に携わっておるわけでございまして、これだけのわずかな人数について専門家を養成するということは至難でございますし、本人にそれをやれということは非常に貧乏くじを引かせるということになるわけでございます。人事配置上からも都道府県でこういった専門家を養成することはなかなか困難ではなかろうかというような感じがいたしておるわけでございます。  そういった面で、国で一元的に対応していただく方向がより妥当かなという、現段階における私見でございます。この点について、地方分権を推進する立場の自治省としてはどのようなお考えを持っておられますか。
  106. 松本英昭

    政府委員(松本英昭君) お答え申し上げます。  今日の信用組合の業務が一層複雑化し、かつての信用組合とは相当変貌してきているという見方もありますし、また委員も今お述べになりましたように、将来というものを見通した場合にどうかという問題もあろうかと思っております。  地方分権の推進に当たりましては、国と地方役割分担を明確にし、国は、国が本来果たすべき役割を重点的に担い、地方公共団体は、地域における行政の自主的かつ総合的な実施を幅広く担うということを旨とし、改革を進めていく必要があると考えておりますが、その際に、委員も今述べられましたように、責任の所在というものがはっきりするというのもまた大変重要な視点であろうかと思っております。そういう観点から、現在の機関委任事務につきまして、国が直接執行するという方向検討されるものもあるのではないかというように考えているところでございます。  御指摘の、信用組合監督業務につきましても、国と地方役割分担を明確にするという観点から検討が進められまして、その結論が出されるものと考えているところでございます。
  107. 菅川健二

    菅川健二君 現在、金融監督検査の責任を持っておられる大蔵大臣はどのようにお考えでございますか。
  108. 山口公生

    政府委員山口公生君) 大臣の御答弁の前にちょっと事実関係もあわせて御説明いたします。  信用組合に対します監督指導権限は、信用組合の事業地区が都道府県の区域を越えないものは都道府県知事に機関委任しているわけでございます。これは、信用組合が特定の地域、職域、業域内における組合員の相互扶助的な利用を目的としているという性格からきているという面もございます。各地方の実情に即した行政運営が行われているということが適当であるという考え方でございます。  ただ、この信用組合検査監督のあり方につきましては、今、先生の御指摘がありましたように、いろいろな観点から地方分権推進委員会で御議論されておりますので、それを踏まえて適切に対応してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  109. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 先ほども中島議員から真剣な御提案がございました。委員からも、地方行政に携わりました経験の中での御披露をちょうだいいたしました。  検査監督という、これから厳しい体制の中で取り組まなければならぬという避けて通れない大きな問題がございます。それとにらみ合わせながら、金融のあり方という大枠の中で真剣な検討が行われていかなければならないことであると考えます。
  110. 菅川健二

    菅川健二君 これから検査監督を所管されるであろう官房長官、お考えはいかがですか。
  111. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 委員意見の存するところもわかりますし、これは地方分権推進委員会が今精力的に詰めている問題でもございます。  ただし、地方の実情と金融全般の信用というかそういうものとの兼ね合い、これは当然考慮に入れて対処をしなければならない問題、このように意識をしておりますので、行政区分をどこに置くかという地方と国とのいわば線引きの問題と金融というものの統一性、この問題でどう処理ができるか、大変難しい問題でございますが、地方分権推進委員会意見等を踏まえながら考えに入れなければならない、このように思います。
  112. 菅川健二

    菅川健二君 いずれにいたしましても、信用組合のより発展のためにどうするのが最良であるかということをぜひ早急に結論を出していただきたいと思います。  時間が参りましたので、終わらせていただきます。ありがとうございました。
  113. 及川一夫

    及川一夫君 官房長官大蔵大臣、大変御苦労さまでございます。  金融庁設置の問題につきましては、私も昨年、年末以来与党三党という立場で直接かかわらせてもらいました。したがって、財政と金融の切り離しを主張してきた立場からいって、これが成立をするのかしないのかということについては、率直に言って大変責任を実は感じているものでありますから、私は、一言でもその法律の意味するものについて私なりに訴えたいし、同時にもう一遍再確認をしたい、こういう思い特別委員会委員にさせていただきました。よろしくひとつお願いいたします。  まず第一にお聞きしたいのは、けさの新聞を見まして、一体第一勧銀様はどこまで行くんでしょうかということを非常に心配すると同時に、勧銀に預金、預託をしている国民の皆さんが一体第一勧銀というのはどうなっていくんだろう、またみずからの預金に対する不安というものも私は持っておられるというふうに率直に言って思っております。  しかし、マスコミが今報じていることは、総会屋第一勧銀の癒着といいますか、不正融資という問題をめぐってそれこそすさまじい勢いで報道されているわけでありまして、第一勧銀がどうなるのかということについてはほとんど触れられていない、こういうふうに私は受けとめております。もちろん、日本銀行のトップに位するぐらいの銀行としての基盤でありますから、簡単に倒産などというようなことは想像もいたしておりません。  いずれにしても、この辺になりますと、検査と監督を今担っている大蔵省として、大蔵大臣として、この第一勧銀というものについて、総会屋との関係を云々する前に、第一勧銀の現状についてどのように把握をして、どのように大蔵大臣として申されるのか、私は非常に重要な意味があるんじゃないかという思いを含めて、企業の現状についてひとつお知らせを願いたいと思います。
  114. 山口公生

    政府委員山口公生君) お答え申し上げます。  今回の事件もございまして、第一勧業銀行との取引を地方公共団体等が見直すとの動きも出てきていることは承知しておりますけれども、現時点で第一勧業銀行に財務上の問題が生じているとは聞いておりませんし、そう思っておりません。
  115. 三塚博

    国務大臣三塚博君) ただいま及川委員から深刻な問題提起の中で、勧銀ともあろうものが今回の事件でつぶれるとは思わない、こういう御見解がありました。まさに、日本を代表する世界的なバンクであります。経営状況もきっちりとした銀行だと聞いております。信認においてトップの銀行でございました。それはそれとしてこちらに置くとしましても、なぜこれだけの銀行がこれだけのことを行ったのか。  ただいま被疑事実によりますと、平成六年七月七日から平成八年九月十六日までの間、合計五十一回にわたり、同行から株式会社大和信用を介し株式会社小甚ビルディング名義により小池隆一に対し合計百十七億八千二百万円の融資が行われたという事実、さらに平成六年七月七日から平成八年三月六日までの間、合計三十九回にわたり、同行から大和信用を介し小甚ビルディング名義による小池隆一に合計八十八億七千九百万円の融資が行われたものと聞いております。  いずれにいたしましても、大蔵省としては引き続き捜査による状況について重大な関心を持って見守っております。また、同行に対しましても、自己責任において、自助努力による、なぜかかる事態が起きたかという解明をしてほしい、このことが今後の事件再発を防ぎ得る重要なポイントである、こう申し上げておるところであります。  極めて言いようのない、残念を通り越えた深刻な問題が起きたことであります。早急に事実関係が解明されることが極めて重要だと思います。その上に立ちまして、法令等に従い厳正に対処をしていかなければならぬ問題点でありまして、これを基本に今後に対処してまいりたいと思っております。
  116. 及川一夫

    及川一夫君 私は、第一勧銀の現状というものを見ると、検査監督という立場から見て、大体、相当長い歴史があるんでしょうけれども、バブルというものを一つの起点にすれば、一九九〇年というか、それ以来、検査監督という意味で何回か勧銀に入られていると僕は思うんです。しかしその間、一度として検査監督という立場から勧銀のこうした融資の実態などについて問題が指摘されたことはないということを考えますと、一体我が国の検査監督というのは何をしているんだろうかと。もちろん、敵もさるもの、一生懸命知恵を出して隠そうとしている意思も働いているんでしょうから、そういった点を認めながらも、しかしだまされた方も悪いということに実はなるわけであります。  したがって、私は、少なくとも検査監督を担当している大蔵としては、一九九〇年以来第一勧銀に対して一体どのぐらい検査に入られて、本当に問題がなかったのかどうか、何か問題があって報告したことがあるのだろうかどうだろうかということをむしろ振り返りたくなる。それをやることが今、大蔵大臣がおっしゃられた原因を究明する重要なものになるんじゃないか。同時に、それが明らかにならなかったというのは、検査の体制とか検査の手法とか、そういうものに問題があるんだ、あったんだという立場から、どう改革をしていくかということに私はつながっていくと思うんです。  そういった点で、事務当局で結構ですけれども、一九九〇年来、一体勧銀に対してはどのぐらいの検査が入ったのかということをお聞きしたい。
  117. 中川隆進

    政府委員(中川隆進君) お答えを申し上げます。  一九九〇年以降ということでございますが、大蔵省の検査は九〇年九月、平成二年九月、それからその後九四年、平成六年の十月に二回検査を実施いたしております。この二回の検査はいわゆる総合検査と言っておるものでございまして、資産内容だけではなくて、内部管理体制、あるいはリスク管理体制あるいは経営上のいろんな問題等を総合的にチェックをするという検査でございます。もちろん、個別の検査でございますから詳細な御答弁は控えさせていただきたいと思いますけれども、可能な範囲で申し上げさせていただきたいというふうに思うわけでございます。  いずれの検査も、二回の検査におきまして、これは当然抜き打ち、大蔵省の検査は原則抜き打ちでございますから抜き打ちで実施をいたしておるわけでございますが、あれだけの大きな銀行でございますから、いろいろ指摘する問題点は多々ある、どこの銀行でもそうでございます、多々あります。そういうことで、問題点につきましては、当然でございますけれども、いろんな問題を厳正に指摘し、改善を求め、検査だけではありません、監督も含めて改善を求めたということは申すまでもないわけでございます。  特に上位都銀の検査の実情というのを、どういうふうにやっているのかというのをもしお時間をちょうだいできれば簡単に御説明させていただきたいと存ずるわけでございます。  第一勧銀クラス、一勧自身が言っておりますので申し上げていいと思いますけれども、融資の案件というのは約百二十万件あるわけでございます。同行は、貸出金額は約四十兆、支店数は四百数十店あるわけでございます。私どもの検査官はもちろん参りましてすべてをチェックするわけでございますが、二回の検査、一回目が大体九名、二回目は外為検査も一緒にやっておりますので十三名ということでございまして、大体一カ月半から二カ月の間いたしたわけでございます。  今申し上げましたような大変な件数であり、融資だけでもそれだけだということでございますので、あと市場取引とか全体を見るわけでございますので、これは全部見るわけにはとてもまいりません。そういうことで、一般的に基準を設けまして主任検査官が各種の抽出を指示するわけでございます。例えば大口案件だとか延滞貸したとか利息を貸している先だとか、あるいは不祥事件があった先だとかそういうところに融資がないかとかいうことで、要件を課しまして、銀行に抽出させて検査をするわけでございます。大体このクラスになりますと一万件−二万件ぐらい抽出させることになります。金額で言いますと約半分ぐらい、したがいまして四十兆円の銀行ですと二十兆円ぐらいは全部チェックする、こういう大変な作業をするわけでございます。  もちろん、事後的に抽出漏れがないかどうかというのも最大限チェックをいたします。支店に参りまして抽出漏れがないかどうかというのを、いわゆる税の言葉を使いますと反面調査と言うわけでございますが、そういうこともいたしますが、なかなか限界があることは事実でございます。これはやや弁明めいたことになりますけれども、銀行法上もこの不正捜査というんでしょうか、犯罪捜査を目的としてはならないというふうにきちっと明記されております。したがいまして、銀行協力を得まして、銀行に今申し上げました抽出をさせましてそれをチェックする。  もちろん、いろんな方法で抽出漏れがないかチェックするということは今申し上げたとおりでございますが、一勧のこの今問題になっている事件に関しまして申し上げますと、抽出された中に一部当事案に関連する事案が提出されておりましたので、その部分については、不良化している部分については指摘をし、厳正に対応するように、償却等の、引き当て等の処理をするようにという指示をいたしたわけでございます。一勧自身がまだ調査中ということで明確になっておりませんけれども、当局の過去二回の検査に際しまして、この本件債務者に関連して抽出、分類を大蔵省の検査に際しまして回避したということで、今調査中であるということでございます。  その問題の事案の一部は指摘できておりますけれども、残念ながら、残りの部分については、特に個別の名前を出して恐縮でございますが、この小甚ビルディングの関係でございますけれども、その経営者でありました個人の部分の融資については迂回融資等で回避が行われておりましたものですから、検査官は把握できていなかったということは事実でございます。  いずれにいたしましても、事実関係を早急に調査いたしまして、今、大臣から御答弁ありましたように、厳正に対処することは当然だというふうに考えておるところでございます。
  118. 及川一夫

    及川一夫君 大蔵大臣、一九九〇年といえば、ことしは一九九七年でありますから、今七年間のうちに二回と言いましたね。本当にこれで、その他の銀行の問題などを含めて考えると、検査の体制に問題があるのか、いずれにしても少な過ぎるという気がしてならないわけであります。  私もこの問題を論ずるときに、アメリカの検査体制というのはどういうものかということも調べさせてもらいました。アメリカの銀行に対しては一年に一回は行くそうです。そういうふうに御報告いだだきました。ただし、アメリカの銀行日本銀行に比べると規模が小さいんだそうですよ。我が国はどちらかというとビッグバンというか、いわばそれこそ大きな銀行が数多くあるということが言われておりまして、行くとすればそれこそ検査体制というものを見直しをしてそういう体制をつくらぬといけないというようなことを大蔵の検査部門の方に聞いたこともあるし、アメリカの皆さんにもお聞きしたことがあるわけです。  しかし、それにしても、二回しか行っていない。抜き打ち、それは結構ですけれども、一回もこの事件に発展するような網にかからないというのは一体いかがなものかなという気がしてならない。特に大蔵省ではこういったものを出されておりますよね、金融行政に関する資料集というのがあって、この中に検査体制の問題なんかがいろいろ書かれていますよ。大体その問題点はかなり指摘をされておって、これを一体どういうふうに実行していくのかということが問題でありまして、それについてはこれは結論は出ていないんです、これ自体には。  ですから、新しく大蔵から切り離して金融庁をつくろうというわけですけれども、金融庁に行っても今のような体制だったら同じようにできないということになっていってしまうんじゃないかということを考えますと、官房長官、ここでなんですけれども、これから一定のものをつくっていくことは決まっていますから、その中でいろいろ行政改革とかそういう問題の関連もありますから、簡単には言えないことかもしらぬけれども、やっぱり検査体制の問題については必要なものは必要という観点からきちっとした体制をつくるということについて私は考えるべきだと思うんですが、どうでしょうか。
  119. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 過去には過去の経緯があったと思います。    〔理事倉田寛之君退席、委員長着席〕  確かに、バブル時代に放漫になった経営というものに余り人間の意識が働かなくなって、その惰性で来た。バブルが終息をして、その結果、それを表に出すことがある意味でひきょうでできなかったという点もあるでしょうし、そういうもののいろんなことを酌量しながらも、私は銀行検査監督というのには、前回ある人にもお答えをしたんですが、三つのあれがあると。  一つは、それぞれの銀行金融自体が、私の店はこれだけ健全ですよ、これだけ立派ですよということをこれから競争し合わなければ、銀行が優勝劣敗になる。今まではどの銀行に預けてもどの人に来られても、勧誘員の顔を見て、銀行は安全だろうけどあの人が勧誘に来たから預金してやろうという、そういう判断能力だったんですが、これからはそうではなくなる。そうすれば、銀行自身がみずからどういう銀行を置くかということがまず一義的に大切。その次は、例えば証券業界あるいは銀行業界、それぞれがみずからの大きな意味で生き残るというか、生々発展をし、国民や産業のためになるためにはこういう制度であるべきだということを考えなきゃならない。私は、これが金融界発展をする大きな道。  それからもう一つ、公はなるたけ介在をすべきではないんですが、いわば金融行政という、その企画立案というのは大きな意味でこのルールというか、それを設定することによって公の利益を保全する。そのために集団としての金融というのはどうあるべきかといういわゆる金融行政。  それからもう一つは、そのものに対する検査監督の義務、これが当然あるわけであります。  ところが、もう前々から私も説明をちょうだいしながらそうだと思うんですが、どちらかというと私も感情的な人間ですから、いわば銀行法に定められた検査監督というものは何のためにあるのか。それはつい忘れがちになるわけですが、今度も一勧やその問題が出ますと、この犯罪的なものをなぜ今まで見逃したかと言いますが、しかし、銀行は、今説明がありましたように、金融秩序、信用秩序をどうやって維持発展をさせるか、それと預金者ないしは顧客をどうやって保護するかというこの二点から検査はされたわけでありますから、犯罪を捜査するという面とはおのずと違っていたと。  ですから、この問題があれば、今一生懸命勉強をしていたんですが、例えば早期是正措置とはどのぐらいのパーセントでどうやらなきゃならないか。これは確かにこれからいろんな事態に備えてこういう銀行経営の健全化を図らなきゃならない。この問題のルールをつくるのが企画であり、このルールに違反をしていないかどうか、それを見定めるのが検査の一番大きな主流。それから、個々の細かい問題に対するもちろん指導もあればあるいは検査もあるわけでありますが、細かい問題に対して公、行政が余りさわるべきではない。  これは私はどんな犯罪があってもそうだと思うんですが、余りにもそのために行政がこれに介在をしますと、民間自身がおかしくなってしまいます。そういうものにならされてしまいます。これは今思いを新たにして、自己責任と言うからにはそれを明らかにしなければやっていけないわけであります。  しかし、ただ、ここへ来て思いますのは、どうもこういう集団の犯罪と思われるようなことが起きるときには、今までの金融行政だけでいいのか。決してそういうものに手をつけることが望ましいことではありませんが、もっと別個な、一つの犯罪を摘発する、個人にしろ集団にしろ、そういう機構がなければならない。しかも、経営の一トップないしは経営の総体的な集団としてのこういうよこしまな方法があったとするならば、確かにこの銀行の経営から見て破綻はないでしょうと、こうはつきり断言をしますけれども、こういう問題が実は金融信用破綻につながるわけであります。こういうものには一罰百戒的な措置をとられることが政治家としての責任でもあるし、国務大臣としてもやらなけりゃならないことだというふうに私は理解をいたします。
  120. 及川一夫

    及川一夫君 御説はそのとおりだと思います。  ただ、今犯罪ということにまで突っ込んで検査監督がやるべきではないということを言われました。それはそのとおりですよ。  ただ、じゃ、百万、二百万なら信用貸しということもありますからある程度考えられることなんでしょうが、二百億にもなるようなあるいは三百億を超えるような、それが全く無担保といった場合に、犯罪であるか犯罪でないかの前に、そういうやり方というのは銀行で許されるんですかと、大蔵の検査監督から見てそういうものは許されるんですかと、制度的にも認めているということになるんですかということになるんですよ。それが悪い、問題があるということは、これは何も犯罪捜査でも何でもないわけですよ。当然、決められた一つ金融システムの中で、それはいけないことであるわけでしょう、原則は。担保がなけりゃいかぬはずなんだ。  しかし、それは物によっては信用貸しということがありますから、あり得るけれども、特に相手が総会屋ということがわかっていた上でやっているということになれば、これはもう犯罪以前の問題としても大問題だし、そういった立場から大蔵の検査監督がやっぱり問題を指摘して、それでむしろ告発をするということの方が私は正しい行為であるような気がしてならないわけです。  ですから、御説はよくわかりますけれども、どうしても今現にある大蔵の検査監督という業務は、どうも私から言うと甘さだけじゃない、何か癒着があるんじゃないかと言われても仕方がないような状況になっているんじゃないかというふうに私は思うんですよ。それだけに、金融庁というものを大蔵から切り離して、そしてしっかりした体制をつくろうよということでありますから、この法律の意味というのは非常に意義深いと、こういうふうに私は考えておるわけであります。  特に、大蔵大臣三塚先生がなる前に、実は我が党の久保先生でございました。したがって、さまざま議論もさせてもらいましたが、大蔵から検査監督部門を切り離すという問題では、山口さんもそうですけれども、武藤さんもそうでしょう、私ども三党の代表との間でじかに議論もさせてもらいました。  確かに、物すごい抵抗がありました。抵抗の理由は何だということを聞きますと、要するに今の体制が一番いいんだと、全画立案、検査監督、同じフロアの中にあって、いわば結びついてやることが一番いいんだということしか結果的には強調されなかったのであります。しかし、それならばなぜ住専問題が出てくるんですかと。何で大和問題が出てくるんですかと。たったこれだけの議論でもって私は勝負があったという経過を持っているものだと思っているわけですよ。  だから、大きくは財政と金融の切り離しということを考えなきやいかぬというふうに主張していましたけれども、実際問題としてのこの金融庁設置問題については、とにかく信用の秩序を守っていかなければいけないと、公平であらねばならないというところから実は出発しているものですから、このことは全体としても私は受けとめるべきだというふうに思っているわけであります。これはどなたに聞いても間違いないんじゃないかというふうに思っております。  いずれにしても、今の日本金融企業に対するアメリカの評価なんかを聞いてみますと、米国の金融業界では、日本の経営システムそのものの問題としてとらえているという話が伝わってきております。同時に、アメリカでこの種問題が起きたら、恐らくかつてあった大和銀行以上の処分ということになるということも伝わってきております。どちらにしても、取締役会が例えば社内の監事あるいは監査というものを人事として取り扱って、全部身内の者で固めるというような日本のこういう経営システムは問題があるんだということを指摘されているわけです。私たちもそう思うんです。  だから、単に検査とか監督の問題だけじゃなしに、企業経営のシステムの中に人事問題あるいは監査システムというものを自己管理するためにどういうふうに位置づけるかということについては、私は抜本的に考えなければいけないという気持ちがするんですが、大蔵大臣、いかがですか。
  121. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 同感です。  三党協議の中で真剣な論議が行われ、久保前大蔵大臣から引き継ぎもちょうだいをいたしました。大蔵の担当の諸君はただいまの体制がベストということであったことも事実であります。  しかし、私は最終的に申し上げましたのは、住専の問題、深刻な問題として今日ある、与党である三党が深刻な議論の中で決めた以上、これに従っていかなければならない、その中でベストの限りを尽くすことが国家官僚の役目であろうと、こういうことで、官僚の諸君もこの決定に従い、日銀法の改正にしろ、外為にしろ、総理府の案件である金融監督庁、その作業に真剣に努力をした事実も、この際、申し上げさせていただきます。  このような事件が再び起こることのないような気迫で私どもまいらなければなりませんし、そういう意味で、独立官庁である金融監督庁が立派な仕事をできるように、ありとあらゆる観点からサポートしていかなければなりませんし、総理みずからがその金融監督庁主管大臣を兼務すると、こういう決心をしましたし、官房長官がそれをしっかりとサポートし、閣内一致いたしまして、名実ともに国民信頼にこたえ、そして金融システムがこれによって維持される、そのことによって国際的な信頼も戻るということでやり抜かなければならないと。そのためには体制をきっちりとしたものにつくらなければならないことはそのとおりであります。  限られた人員の募集をどうするかは、監督庁新長官の権限であろうと思います。基本が決まれば最大限の協力をしてまいりますことは当然過ぎる義務であります。一生懸命やらさせていただきます。
  122. 及川一夫

    及川一夫君 ありがとうございました。  それで、行政当局に多少事務的な質問になって恐縮だけれども、大蔵支配というものが金融庁が設立されても続くんだと、大丈夫かというような意味での何となく批判めいた御意見、この特別委員会でもあったと思います。私は、御心配はそうだろうというふうに思いながらも、少しやっぱり問題を正確にとらえた方がいいんではないかというふうに思うんです。  従来、大蔵の中で議論がありましたのは、検査監督を切り離すと企画立案という要素がおろそかになる、また検査監督にはそれはできないと、こういう意味合いで一緒でなきゃいかぬという論理だったと思うんですね。  そうすると、私から言えば、一体企画立案というのは何なんですか、それで検査監督というのはどういうお仕事をやるんですか、それが仮に省庁が違ったからといって仕事ができないという関係になるんですかと。つまり、大蔵で言えば検査監督という部門がなくなったら企画立案はできませんということを言うんでしょうかというふうに考えますと、どうしても首が曲がりますよ、ひねらざるを得ないというふうに思うし、また、じゃ検査監督の部門が企画立案として何か法律でもつくるんですかというお話になると、そんなことはあり得ないということになるわけです。  だから、私は、切り離したってどうということないんじゃないかと。今までの仕事はそれぞれの部署部署で全力を尽くせばこれまでどおりやれていくんだというふうに思っているんですけれども、企画立案という問題について行政当局の方でお考えがあれば知らせてほしいと思います。
  123. 武藤敏郎

    政府委員(武藤敏郎君) 大蔵省に今回残されます企画立案機能といったものが一体何なのかということもあろうかと思いますけれども、一言で申し上げれば、金融及び証券取引全般にわたる制度の枠組みの構築、それから取引ルールの整備を行うことというふうに考えられるわけでございます。御指摘のように通常法令レベルの事項に関連することが多いと思われまして、一般に法令の制定、改廃というのがまさに企画立案事務であろうかというふうに思います。
  124. 及川一夫

    及川一夫君 そうだと思うんですね。そうしますと、問題は、私流に言えば、制度そのもの、それからその制度を形づくるための法律そのものというものをおつくりになって、その制度に穴があいたり、あるいは法律的に問題があるというようなことに気がつけば、当然企画立案の立場でいろいろと修正、改正をしていくと、こういうことだと思うんです。その際に、実態がどうなのかということは必要ですね。しかし、これは常々連絡が密であれば十分に立法作業の中で生かされていくということになるんだからということで、私は何かきょうは武藤さんと初めて意見が一致したような気がしているんだけれども、極めて明快だったというふうに思います。  したがって、私は、これを通して大蔵の支配が続くとか、大蔵がもう乗っ取るんじゃないかとか、何かそういう気持ちでもって金融庁設置というものを見るべきじゃないし、これからの運用についてもそういう立場で、心配をするよりも、そういう心配があるなら我々が干渉するというぐらいの気持ちにならないとこれは立派な法律にならないという気がしてなりません。  それからもう一つの問題として、大蔵協議の問題があるわけです、大蔵と金融庁協議という問題。この協議の問題だって、何を協議するんですかと。検査監督をやっている作業実態について毎日のように協議をするんですか、一カ月に一遍協議をするんですかと、そんなことは私はあり得ないと思っているわけです。  少なくとも私は、象徴的に言えば、やはり金融破綻が起きちゃって、預金保険機構でも間に合わずに、ここへ来たら国の財政出動が必要であるということになりますと、国の財政に対する責任大蔵大臣であり、内閣全体の問題になってきます。したがって、財政の窓口である大蔵大臣協議をしなければ、どっちにしても出動させるというようなことの結論金融庁が勝手に出すわけにいかないわけですから、そういうような意味での協議ですね。  それから、日本銀行、証券業界全体の中でどんな取引がやられて、いかなる問題があって、それが国際的に見たらどういうところに発展をしていくのかと。国際会議がある、その場合に日本の実態はどうなのかという意味合いで大蔵大臣が諮問をしたり、あるいは年に一回か二回か知りませんが、定期的にそういう意見交換する場があると、こういう意味合いでの私は協議であるというふうに思っているわけですよ。  したがって、金融庁権限に手を突っ込むようなそういうやり方というのは、やろうと思っても私はできないと思うし、もちろん、どこかで聞いたような話だけれども、孫氏などというああいう人でも大蔵大臣になれば別かもしれませんけれども、それ以上のは私は出ないと思うんです。そういうふうに理解をしているんですが、官房長官、それでよろしゅうございますか。
  125. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 大変難しい問題でございまして、余り言い過ぎますと、何か信用をしていないんではないか、何ともそういう必要がないと言うと、そんなに安易に考えるのかということになりますが、お互いに分離をしているということは全くの敵ではないということであります。どういう任務を分担しながらやればよいかということでありますから、今、委員指摘のように、情報の交換はたまにはやるにこしたことはない、そう思います。  それからもう一つは、どうしても協議窓口を正式に残しておかなきゃならないのは、金融監督庁長官が必要があれば大蔵大臣に合い議することができるということはどんな場合だということ、そうすると危機管理の一つになるわけでありますが、よく言われるように、バブルの崩壊によってまだこれだけの不良資産がたくさんある。ほかの国と比べてみますとまだまだ金融の体質は決して強くない。そこへ来て、このビッグバンというか大変な国際化、自由化という大きい波にさらしますと、今まで我々が立ててきた金融の秩序というものが崩壊するおそれがある。  例えば、絶対安全と思われた一勧やそういうものが、いわば経営者自身がぐる、ぐるという言葉がいいかどうかわかりませんが、経営者の責任、行員の一人が例えば百万の不良貸し付けをやったとかなんとかという問題、これとまた全く質が違います。経営全体がこういうことをやりますとなかなか大きいものは見えづらい。こういうことは幾ら健全な銀行といえども場合によっては取りつけ騒ぎになる、そういう可能性があるわけでありますから、今、委員が一番恐れておられる、もう一回公的資金の出動を見なければならないような事象が起きる可能性があるのかどうなのか、これは絶えず考えに置いておかなければなりません。  そして、我々は住専の処理でもう二度と財政出動はしませんと、こう言っているわけでありますが、しかし大きな波にさらされて金融の全体の信用や不安、信用が下落をする、あるいは預金者の保護ができなくなった場合はそれはそれなりに勇断を持って対処をしなきゃならなくなります。そういう環境にならないように合い議もし、企画立案の部門でそういうものが事前に防止をされる。  いわばその資料を提供できる立場にあるのが検査監督の部門ではないか。  両々相まってそれができるわけでありますから、協議というのは私はどうしても一点残しておかなきゃならない。だれかが細い糸と言いましたけれども、確かに太いパィプであってはいけないかもしれませんが、その一点のおそれは絶えず心の中に抱いておかなきゃならない、このような思いがいたします。  きょうは受験生になっているようで、震えてなかなか本当の話が申し上げられませんが、合格させていただきたい。
  126. 及川一夫

    及川一夫君 不得手の割には自信満々でお答えいただきましてどうもありがとうございます。  それで、三つ目にありますのが、きょうも各先生方の御意見にも出ておりましたし、心配の一つであろうかと思います。つまり、せっかく大蔵から分離をして金融監督庁をつくるというわけですから、やっぱり新しい皮袋には新しいものを入れるというのはだれでも念頭で考えることだと思うんですよ。  ただ、検査監督という仕事は、きょうあつてあすやめていいというものじゃないですね。あすもやらなきゃいかぬ、どんな入れ物になっても。ということになると、常に一〇〇%対応する体制というのはやっぱり必要なわけです。そうすると、特に検査監督部門ということになれば数多くの法律もあるし、そろばん片手とは言いませんが、どちらにしてもきめの細かい仕事をやるわけですから、そういった点では俗に言う専門家集団というふうに見るのが普通だと思います。  専門家ということになりますと、一日にしてさっと大量にできるわけじゃないわけでありまして、そういった点でいくと一体どうすべきかということになるし、仮に新しい皮袋に新しいものを入れるということになれば、じゃ今までの人はそこでお引き取りを願うということになるんでしょうか。これは私は、大蔵大臣が何ぼ強引な人でもそんなことはできませんよね。したがって、今現実に仕事をやっておられる方の中でということになるでしょうけれども、いずれにしても、金融監督庁の方に移ってもらうという手だてを私は現実の問題としてはせざるを得ないと思うのであります。それをもって大蔵が乗っ取ったとかいうような話になったんじゃ、これは身もふたもないなという気持ちが私は非常にするわけであります。ここのところが私は非常に大事なところだと思うのであります。  ただ、現実に大蔵の検査監督部門におられる方々は、余り大きな声では言いたくないけれども、かわるのが嫌だという人がいますよ。金融庁なんかへ行くのは嫌だという人がいますよ。なぜだということで議論していきますと、大蔵省という肩書が取れることが問題だという人が結構多いんですよ。それほど大蔵というのは権威のあるところ、また魅力のあるところといえばそれまでなんですけれども、実際には人の心ですから、私は金融庁に行くつもりで国家公務員になったんじゃない、おれは大蔵に入るために一生懸命勉強して入ったんだという人もおられますよ、これは。だから、それはおかしいということを言うこともないわけですが、しかし民間企業を見たって、リストラだ何だかんだという中では、配置転換であれ職種転換であれやられている、またやらないと生き死にに関係してくる。  こういう状況を考えますと、私はこの辺は現実対応で、話し合いをしながら、金融庁役割というのは、決して今までの検査監督をやった人たちの仕事と全く違うことをやるわけじゃない、むしろ新しい気持ちで新しい命を入れてもらう、そういう人だということを前提にしながら考えていくなら、こういう異動というものについて、何か大蔵支配につながるというような観点で私は見てはいけないんじゃないかというふうに思うんですが、大蔵大臣いかがですか。
  127. 三塚博

    国務大臣三塚博君) さすがに社民党政審会長、よく御研究をされ、あるべき姿、また問題点を御指摘いただきました。他の野党の委員各位がそうではないという意味ではございません。真っ正面から見るのと横と後ろから見るのではまた違うという観点かなと、こう思うわけであります。  人材を得るということは、専門家を得るということはまさにその省庁の命運を決めると私は思います。よって、三党から出されました提案書には専門家養成に最大の努力をせよと書いております。しかし、専門家は一朝にしてなりません。新規採用から営々としてこれを仕上げ、またその本人の御勉強、努力で達成をするものと思っております。  これだけの重大な金融監督庁、整然とした金融システムに貢献こそすれ、足を引っ張るようなことがあってはならないという国民的な要請のある中でございますから、当然スタートからしっかりとした体制でいかなければなりません。限られた人員の中でやらなければなりませんから、血のにじむ努力をしなければなりませんでしょうし、いわゆる夜討ち朝駆けという言葉がこれからの検査監督の常套方法ということになるんだと思うのであります。そういうことを考えますと、プライドを持って行かれるわけでございますから、御激励を賜るということが大変大事なことだなと思います。  大蔵大臣として申し上げさせていただきますが、これをもってそこを乗っ取るとか焼け太りだなどと言われることが万々一ありませんように、全力を尽くしておりますし、幹部の諸君もそのことは腹に据えて、また幹部だけではなく職員各位もそうであろうと思っております。御激励のほどお願い申し上げます。
  128. 及川一夫

    及川一夫君 ありがとうございました。  それで、ちょっと私、一つ落としたんですが、これは銀行局長にお聞きしたいんですが、一点であります。  各銀行には何かMOF担という言葉があるそうですが、大蔵省担当という意味で、例えば銀行局には民間の金融機関からおいでになっている方はおりますか。それと同時に、検査監督部門におりますかということを一つだけお聞きしておきたいと思います。
  129. 山口公生

    政府委員山口公生君) お尋ね銀行局、また官房の検査部には来ておりません。  ただ一つ、MOF担とおっしゃいましたのは、これは銀行の方が役所の窓口での担当を俗にMOF担、その方が役所に書類を届けたり話をしたり、来られるという意味でございますので、MOF担とは関係なくて、いわゆる職員が大蔵省で働いているという意味でありますと、それはおりません。銀行局あるいは官房検査部はおりません。
  130. 及川一夫

    及川一夫君 時間がありませんから、次の機会に譲りたいと思いますが、日銀の方、おいでになっておりまして、時間がなくなって大変申しわけありません。  それで、お聞きしたいんですけれども、この第一勧銀の特別融資ですか、そういうものにかかわって日銀の考査局が検査をされているということも聞くんですが、今度の事件に関連して何かお感じになっている点はありますか。
  131. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 御静粛に。
  132. 本間忠世

    参考人(本間忠世君) お答えをさせていただきます。  第一勧銀の考査との関連でございますが、これまでに過去、九〇年代に二回考査をいたしております。一回目は、前々回になりますが、平成三年の八月から九月にかけてでございました。この考査では、小池嘉矩及び小甚ビルディング向けの融資は、これは貸し出しの調査票というふうに言っておりますが、本来はその調査票に明確に記載をしていただくべきものでございましたが、そういう意味での提出基準に該当しておりましたんですが、それにもかかわりませず日本銀行への提出がございませんでした。  それから、前回、これは平成八年、昨年の一、二月でございますけれども、このときの考査におきましては、この記載はございましたが、小池嘉矩及び小甚ビルディングの、私ども属性というふうにも申しておりますが、例えば総会屋あるいはそういった関係というふうな意味でございますが、そういったこととか、それからその背景あるいは取引開始に至ります経緯、そういったことにつきましての説明が極めて不十分で適切さを欠いていたということの経過説明が、先週、我々の方に第一勧銀からあったわけでございます。  しかしながら、そういうふうなことになりました詳細な経緯、それから内部管理の体制面でこれは問題があったというふうに考えざるを得ませんので、そういったことにつきまして現在なお調査中であるということでございまして、現在はまだその十分なる説明が得られておりません。追加説明、追加調査を今指示しているところでございます。  いずれにいたしましても、今後の対応につきましては、この追加調査の結果を踏まえまして、考査のあり方ということも含めまして適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
  133. 及川一夫

    及川一夫君 ありがとうございました。終わります。
  134. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 民主党・新緑風会の齋藤勁でございます。よろしくお願いいたします。  官房長官が記者会見の時間だということでございますので、最初にお聞かせいただきたいんですけれども、これまでも、そしてきょうも議論があったところでございます。前置きを話しますと時間がなくなってしまいますので、端的にお尋ねいたします。  私ども民主党の方は修正案を出させていただきましたけれども、その中にも、金融庁は独自の地方組織を持つべきだと、こういう実は内容がございます。今回の法案の方は、地方財務局とこういうことでございます。地方分権推進委員会検討を待ってという、そういうやりとりもございますが、基本的にこういうような動きがあるから今の法案というのは地方については地方財務局にゆだねていくということなのか。  今提案されている最中にあいまいな説明というのは、ある意味では政府側は難しいのかもわかりませんけれども、私どもは、基本的に独自の地方組織を持つべきだということがあります。やりとりを聞いていますと、どうも地方分権推進委員会の見解を見てということが出てきますと、そういうところにも配慮、配慮と申しましょうか、見通しての先行き、地方組織については地方財務局ではないというようなことも検討されているのか、脳裏にあるのかどうか、こんなことについてお尋ねさせていただきたいと思います。
  135. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 再三お答えをいたしているのでありますが、理想というか、それは独立してあることの方がはるかに鮮明であります。そういうことができるにこしたことはございません。  しかし、総務関係の職員が当然必要になります。そういうことを考えますと、今の行政改革、そういうものを見ますと、いたずらに定員をふやして、専門の分野は同じとしても、その他の付随の分野がたくさん要になりますから、私は既存財務局の組織を活用することが現在ベストである、そういう思いで今回御提案を申し上げているわけでありまして、財務局長にその権限の一部を委任することになっておりますが、金融監督庁長官が直接指揮監督することになっており、その検査官自体がほかの仕事をやるということじゃございません。これはあくまでも専門職であります。  ただ、それに付随をする総務関係やその他の分野にたくさんの人が要でありますから、これはひとつ宿借りをしよう。宿借りという言葉がいいかどうかわかりませんが、その辺の機能はひとつ財務局に頼み、本来の仕事はちゃんとやる、そういうことで今回は御提案を申し上げているわけでございますので、御理解を賜りたいと思います。
  136. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 ありがとうございます。  修正案では、金融監督庁ということではなくて、金融庁という、こういう実は名称もうたわさせていただいていますが、先ほどの及川先輩にはたびたび金融庁というお言葉が出るので、私どもの方の修正案に御納得、御了解いただいているのかと安心しながら承っておりました。  これはさておきまして、基本的には独立をすべきだということをあえてここでは私ども、指摘をさせていただきたいというふうに思います。  次に、前回の質問の際に、日産生命保険問題を中心にしまして大蔵省のいわゆる責任問題について大分時間を終始しましたけれども、きょうはその責任どうのこうのということは当面触れずに、内容的に、むしろ情報開示の部分、そしてこれからのスキームのあり方、そしてまた時間の状況に応じて、経過等について改めてお尋ねさせていただきたいというふうに思います。  九七年の三月期決算、大手生保そして引き続きまして中小生保の決算が明らかになったところでございます。大手八社あるいは中堅生保八社それぞれの特徴は、新聞の見出しで言いますと、総資産それぞれ初の減少ということで、保険料収入の落ち込みについて特徴的に触れられているところでございます。今後、各社の体力格差が一層鮮明になるんだろうということが大手八社においても中堅生保においても言われております。  とりわけ中堅生保八社におきましては、この五月に非常に解約が急増したということで、解約が特徴的でない会社もございますけれども、三社ほど五月が金額ベースあるいは件数でも前年同月に比べて大変な数字として解約が急増になっているというふうに明らかになっているところであります。一方、情報開示についてはなお不足であるということについても触れられているわけです。  そこで、大蔵省にお伺いいたしますけれども、九七年三月期の九六年度決算がそれぞれ発表になりましたけれども、大手あるいは中堅生保のそれぞれの決算状況を見てどういう感じを持たれているのかについて、所感についてお伺いしたいというふうに思います。
  137. 福田誠

    政府委員(福田誠君) お答えいたします。  生命保険会社の平成八年度決算についてでございますが、新契約高が五年連続して前年度実績を下回ったために保険料収入が減少しておりますほか、引き続く金利の低下等から利息配当金収入が減少しております。さらに、株価の下落から有価証券評価損が多額に発生するなど、生命保険事業を取り巻く環境は依然厳しいものでございます。  しかしながら、為替が安定したことやリストラ努力等による事業費節減の効果もございまして、経常利益は増益基調となったものでございます。  ただ、お尋ねのように大変厳しい環境が続いておりますことから、大手、中堅等々におきまして個別社のリストラ努力等の差がやはり見られるところでございます。この厳しい環境を何とか乗り切っていただきたいというふうに思っております。
  138. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そこで、情報開示についてなんですけれども、新保険業法、一昨年になりますか、平成七年五月に審議をしました。そのときの審議内容とそれから新保険業法に至るまでの審議会についての文書を見させていただきました。さらに、保険審議会は平成四年六月十七日にも「新しい保険事業の在り方」というのを最終報告として出されております。  これまでも議論の中で、ソルベンシーマージンの基準の導入ということについて生保業界の方が非常に抵抗があるとか、あるいは大蔵省の答弁の中でもこれらを出すと混乱を生むとか、そんなようなことをどうも見聞きするんです。この平成四年六月十七日の保険審議会、「新しい保険事業の在り方」、平成四年ですから今から五年前、九二年ですね、このときに、保険事業のあり方の中に、保険会社の資産運用手段、業務に係る規制については、保険経理の見直し、行政上の監督指標としてのソルベンシーマージン基準の導入、ディスクロージャーの整備等とあわせて規制緩和の方向で見直すことが適当であるということや、そのほか、もう既にバブルが破綻した後でございますから、リスク管理のあり方等についても、責任準備金を超えて保有する支払い余力としてのソルベンシーマージンを充実する必要がある、行政当局においてはソルベンシーマージン基準を確定するとともに、その活用方法について具体的検討を行う必要があると、既にこの時点で私の見る限り明らかになっております。  加えて、先ほど申しましたように、保険業法のときにまた審議会から、同じことを繰り返しませんけれども、ほとんど同じようなことで報告、答申がなされているということで平成七年に至っていくんですけれども、この生保関係に対しまして、なぜ今日までこの情報開示に関しまして、ディスクロージャーに関しましてまだきちんとした手だてがされていないということについて大変不満に思うわけでございますけれども、このことについていかがでしょうか。
  139. 福田誠

    政府委員(福田誠君) お答えいたします。  御指摘のように、新保険業法におきましては、規制緩和の推進、保険業の健全性維持、そして公正な事業運営の確保という三つの柱で定められたものでございまして、保険事業経営については透明性の高いものと行政を前提とするということになったわけでございます。  お尋ねの、まずソルベンシーマージン基準でございますが、これにつきましては新保険業法にその旨の規定が盛り込まれまして、この平成八年度決算から適用になったものでございます。今、各社のソルベンシーマージン比率は、保険業法に定められましたソルベンシーマージン基準に基づきまして、この三月末の数値をベースに算出されているところでございます。この比率につきましては、この七月に当局あて提出されるものでございまして、私どももソルベンシーマージン比率を一つの保険会社の経営の実態を示すものとして行政上活用していくことにいたしております。  保険会社のディスクロージャー一般についてちっとも進んでいないのではないかという御指摘がございましたが、これにつきましては、従来から他の金融業態の開示状況も踏まえまして、保険業界においても充実に努めてきているところでございます。例えば不良債権について見ますと、金融機関と同様、破綻先債権、延滞債権、金利減免債権等に関する金額をディスクローズしておりますし、有価証券につきましても市場性のあるものの時価情報につきまして既に開示をいたしておりまして、大手金融機関、都銀等と同レベルにあると存じております。  また、これまた今度の新保険業法に盛り込まれた規定といたしまして公衆縦覧規定というものがございます。これにあわせまして、保険会社各社におきましてはこの八年度決算からより詳細なディスクロージャー資料を、○○保険の現状というような表題の分厚い資料になると存じますが、これを全社において作成し公衆縦覧用の資料とする動きになってございます。  今申し上げましたように、保険会社各社におきましては新保険業法のもとに着実にディスクロージャーの改善に努めてきているところでございますが、まだまだ今後とも透明性を高める意味ではこれを引き続き徹底してまいる必要があるというふうに考えております。
  140. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 ソルベンシーマージン、私もたびたびこの言葉を出していますが、これは支払い余力すべてではないというのも、これも大蔵省も指標について御認識の上で答弁されていまして、私もこれがパーフェクトではないというふうに思います。ただ、月日を追って御指摘させていただきましたけれども、既に五年前にこの基準についてやはりもう指標にすべきではないかということについてただされても、実行がやっとこの段階に至るということについては、少なくとも私は業界の方に対応する姿勢と申しましょうか、対応する体制がなかったからむしろ大蔵省の方としてはちゅうちょをしていたのか。いや、そうではなくて、それを整備する側の方の法整備とか何かについて時間がかかったので、業界の方は既に受け入れるそういう用意はあったのか、これについてはいかがでしょうか。
  141. 福田誠

    政府委員(福田誠君) お答えいたします。  実はソルベンシーマージン基準はかなりテクニカルな詳細な算式もございまして、まだ本年度が初めてということで、そのための計算のシステム等も組み込まれているわけでございまして、ことしが初めての数字ということになっておるわけでございます。  ソルベンシーマージン比率のみで財務状況を把握できるものでないということで、現在のところ無用の混乱を招かないようにということはございますが、今後の問題といたしましては、ソルベンシーマージン比率の開示につきましては、保険契約者の理解が得られたできるだけ早い時期に、そのほかの経営実態が把握できるようないろいろな情報の開示とあわせて開示する方向であるというふうに理解をいたしております。この面も含めまして、できるだけ当局といたしましても早期にディスクロージャーがさらに充実できるように努力をいたしたいと思っております。
  142. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 今答弁を聞いていておわかりだと思うんですけれども、四年に既に保険審議会から報告があったということを私は今読みながらお話をいたしたわけであります。今日までに至ったのはどこに原因があったのかということをお尋ねしたわけなので、受け入れる側の方の業界の体制に受け入れるようなまだ状況がなかったのか、あるいはこっち側の政府の方の準備が滞ったのかどうか、そのことを端的にお尋ねしたので、そのことについてはっきりお答えいただくようにひとつお願いいたします。
  143. 福田誠

    政府委員(福田誠君) お答えいたします。  過去の保険審議会でそのような……
  144. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 部長、ちょっと、発言前に。限られた質問の時間なんですから、再質問されないような答弁をしてください。
  145. 福田誠

    政府委員(福田誠君) 失礼しました。  過去の審議会でそのような答申をいただいておりますが、具体的なソルベソシーマージン比率の算出の仕組み自体は新保険業法の施行とともに整備されたものでございまして、そういう意味で今年度が初めてになるわけでございます。
  146. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 何のために平成四年の話をしているのよ。おかしいんですよ。何で私は五年前の平成四年六月十七日のこの分厚い審議要録を持ってきて説明しているのか、保険審議会「新しい保険事業の在り方」というのと、この保険業法のときに同じ審議会ございますよ、大部分同じです、その部分については。だから、そのことを言っているんですよ、五年前の話を。こういうことで時間かかっちゃ困るんですよ。
  147. 福田誠

    政府委員(福田誠君) 新保険業法に基づきまして、ソルベンシーマージン基準の算出方法等は、新保険業法とあわぜまして省令、告示等で定められたものでございます。そういう意味で、それまではそのような計算の仕組み自体について内容がはっきり確定しておらなかったということでございます。
  148. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 大蔵省の方なのか、業界の方なのかということを聞いておるんです。
  149. 福田誠

    政府委員(福田誠君) 業界か大蔵省かということにつきましては、どちらがということはちょっと申し上げがたいわけで、いわば制度の一環として整備されてきておりますので、その制度自体が昨年四月の新保険業法で省令、告示まで含めて施行されたということでございます。  それまでにおきましては、ソルベンシーマージン基準の算出方法につきまして、それぞれのそういう経理の専門のいろいろな場で検討が行われてまいったと、業界のせいでも行政の方の都合ということでもないのではないかと考えております。
  150. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 こういうふうに判断しますよ。大蔵省も業界もこういうことについては努力しなかったんだということですね。そういうことなんだということで、何か反論があればお聞かせいただきたいと思いますけれども。そういう反論がなければそういうふうに言ったということで議事録になりますからね。  それから日産生命保険ですけれども、九五年九月の監査結果についてお伺いいたしました。検査部の方でしょうか、日産生命はこの九五年の前はいつやっているのかということが一つ。  それから、他の生保、日産生命以外の債務超過というのはなかったのかどうかというのが二つ。  そして、債務超過にあったというこの九五年九月の二年前の検査でございますけれども、もう一つは、米本さんという社長が記者会見で、四、五年前から経営改善計画を提出させてきたと、毎年見直しを求めてきたと、三、四年前から債務超過を大蔵省はもう知っていたというふうに言っております。そうすると、三年前、四年前というと九五年よりもっと前になるわけですけれども、監査以前に債務超過ということについて大蔵省は知っていたのか知らないのか、これは米本社長が間違えているのか、うそをついているのかなんですけれども、記者会見で言っていることについて、まとめてお答えいただきたいと思います。
  151. 中川隆進

    政府委員(中川隆進君) お答えを申し上げます。  まず第一点の、平成七年九月の前の検査はいつやったのかという御指摘でございます。平成三年六月に検査をいたしております。  それから、第二点の、他の生命保険会社の検査は私ども今金融検査部で実施しているわけでございますが、今生損保合わせまして百十八社の検査をしております。今御指摘の他に実質債務超過に陥っている生命保険会社をほかに把握しているのかというのが第二点であったかと存じますけれども、個々の検査では資産内容だけではありませんで幅広く経営実態全体を見ておりますけれども、申しわけありませんが、検査の立場からどういう状態にあるかという答弁は差し控えさせていただきたいというふうに存じます。  第三番目の点は、保険部長の方から御答弁申し上げる方が適当ではないかというふうに思います。
  152. 福田誠

    政府委員(福田誠君) 私どもの側におきましては、平成七年九月の検査を実施した段階で実質的債務超過であるという事実を把握したわけでございます。その機会に、検査終了後に過去にさかのぼりまして同社の実態を調査分析いたしましたところ、その前の平成五年度、六年度も実質的な債務超過状態であることがわかったわけでございます。したがいまして、私どもが実質債務超過に陥った時期を把握した時点と同社が実態として陥った時期とは、当然相違することもあるのではないかと思っております。
  153. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 これは米本社長さんに聞かないとはっきりしませんけれども、記者会見では三、四年前から債務超過に陥っていたことを明らかにして、米本社長によると大蔵省も、この間、債務超過の事実を知っていた、こういうふうに言っています。そうしますと、今の御答弁ですと、二年前の九五年九月のときに監査でわかったということですけれども、これ事実が違います。これはある意味では大変食い違いがあるので問題であろうかというふうに思います。本来ならば大変な信用失墜と申しましょうか、契約者に対しては大変な今問題を投げかけておりますので、米本社長を本委員会にも招き、参考人としてお尋ねしたいという気持ちがありますが、今の時点では留保させていただきます。  さてそこで、先ほどの情報開示に戻りますけれども、ソルベンシーマージンは別にいたしまして、大蔵省の方は日産生命がオフバランスの含み益に依存していたということを答弁していますし、明らかになっています。言ってみれば、九七年の三月期決算で表向きには五百二十五億円の最終損失ですけれども、本来の決算は千八百五十三億債務超過と。これは外国の投資信託勘定などのオフバランスの損失のいわゆる隠ぺいだというふうになっています。  実はこのオフバランスの含み益に依存しているということについては、これは同社だけではないわけで、どれだけのパーセンテージを占めているかということになっていくんですが、この情報開示の部分について、今度の日産生命のことに端を発しまして、このことについて情報開示をしていくというような姿勢を今後とられるのかどうか、明らかにしていただきたいと思います。
  154. 福田誠

    政府委員(福田誠君) ディスクロージャーの拡充につきましては、先ほど申し上げましたとおりでございまして、今後とも各社にそのような認識で促してまいりたいと存じます。  ただ、先ほど申し上げたような検査で把握できるような、オフバランスを含めたいわば清算バランス的な計数につきましては、これはそういう検査等を行った時点でわかるものでございまして、ほカの業態も同様でござ、ますが、そのようなものを計数として公表させるというような状況にはまだないのではないか、あるいはその問題であれば保険業界に限らず他業態にあっても現在のところ同様の取り扱いであるというふうに承知をしております。
  155. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そのとおりだと思うんです。外国の有価証券ですけれども、いわゆる非上場の仕組み債と言われるデリバティブの一種ですけれども、伺うところによれば東証の平均株価にリンクすることで、いわゆる勝ちと負けということで、勝てば本当に大きくもうかって、負ければ何でも損するんですが、極めて大きな損失を生じると。これは確かに金融機関銀行でも含み損を情報公開する対象になっておりません。したがいまして、私は、これからのディスクロージャーの関係で、現実に行われている外国の有価証券、この多くが非上場の仕組み債と言われるデリバティブでございますけれども、このオフバランスの含み益に対してやはり情報公開をしていくということについてぜひ提起をさせていただきたいというふうに思います。  アメリカの例を出しますと時間もなくなりますから、また時間がありましたらお尋ねさせていただきます。  さて、スキームの話ですが、これは何人かの方々大臣ともやりとりをしているところでございます、処理スキームの話で。  当初どうもこの四月二十五日の業務停止の時点では二千億円の債務超過と、こういうことが確かに報じられておりまして、この辺の状況というのは、受け皿会社ができるんではないかというようなそんな雰囲気があったんじゃないかというふうに思います。現在はこの債務超過というのは、ある新聞を見ますと、今二千億から三千二百、三千三百億というふうになっていますが、その後検査に入りまして幾らということになっているんでしょうか。
  156. 福田誠

    政府委員(福田誠君) お答えいたします。  日産生命の損失額につきましては、現在、検査等で精査中でございまして、御指摘の四月時点での同社の報告によれば約二千億円ということでございました。  しかしながら、この時点においては必ずしも日産生命という企業を清算する観点から全面的に実質債務超過額を同社で精査したわけではございませんで、社内的に取りまとめたものが報告されたわけでございます。したがいまして、今回は破綻あるいは契約の全部移転を前提として清算する観点から行われております精査によって、実質債務超過額というのはこの二千億円よりも膨らむことが十分あり得るというふうに考えておりますが、この債務超過額の精査等につきましてはまだ現在進行中でございます。外部監査等も活用しながら保険管理人において行われておりますので、現段階で最終的に幾らかということはまだお答えできないわけでございます。
  157. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 でも福田さん、実質債務超過が二千億じゃなくてもう三千億だと、この数字はもう下らないんじゃないですか。そういうのがもう公の易でもやりとりになっているんじゃないですか。  いかがですか。
  158. 福田誠

    政府委員(福田誠君) 御指摘の意味ではそういうことでございますが、二千億を超す見通しであるということはどうもそのような状況でございます。  ただし、今申し上げましたように、数字自体についてはまだ依然として精査が続いておるということでございます。
  159. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 ここでは三千三百億か三千百億か問題にするつもりはないんですが、要は二千億では賄えないということがはっきりしていると思うんです。  この新保険業法のときにこの保護基金をつくって、二千億円というのがこれは上限であるということで、そしてたびたび御指摘していますように、受け皿会社があるということでそこで清算をしていく、引き継ぎをしていくわけですけれども、大臣がまた戻ってこられたらお話しさせていただきますが、現状ではこの受け皿会社についてなかなか見通しが立たないということですけれども、再度、先日も伺っておりますが、数日しかたっていませんけれども、現段階でいかがでしょうか。
  160. 福田誠

    政府委員(福田誠君) お答えいたします。  具体的に日産生命の契約を移転するに当たりまして、関係者間の合意を得なければならない項目といたしましては、御指摘のように契約を移転するための移転先の決定、そして移転を行うに当たっての契約者保護基金、関係先等の支援体制の確定、そして契約者ごとの契約内容の確定等でございます。  御指摘がございましたように、例えば移転会社を決定するに当たりまして、これを一社で引き受けられるのか、あるいは共同で受け皿会社を設立するのか、もし新しく受け皿会社を設立する際にはその主体をどこにするのかといった問題がございます。  今回の件につきましては、日産生命の資産規模が二兆円という大きな資産規模でございますので、責任を持って引き受ける者を見つけるところに今時間がかかっているわけでございます。しかしながら、このような詰めるべき項目については一日も早く具体的な結論が出されて早期に処理スキームが確定されるよう、私どもといたしましても関係業界と協議を行うよう努力を行っているところでございます。
  161. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 ぜひ、今このことは契約者が非常に注目していますので、現状で答弁できる範囲で正確に御答弁いただければ本当に契約者というのは安心すると思いますので、そういう意味で引き続き質問しますので、お答えいただきたいというふうに思います。  現段階では、今依頼をしています日産自動車あるいは日立製作所、これらについては、従来二千億の保護基金で賄えるその受け皿会社であれば協力、支援をしていくということだったけれども、今はこの二千億円から三千億円にもなったということで、実際生保業界の方もあるいはこの二社のグループについてもちゅうちょをしている、いや、むしろ支援拒否をしているというふうにこの間の報道では受け取れるんですが、そういう受けとめ方でよろしいでしょうか。
  162. 福田誠

    政府委員(福田誠君) 日産生命の処理スキームでございますが、現在保険管理人及び日産生命におきまして、日産・日立グループ各社に対しまして各種の要請を行っていることは承知をいたしております。日立・日産グループは相互会社たる日産生命の株主ではございませんので、そういう株主としての責任があるとは必ずしも言いがたいわけでございますが、他方で日産生命はグループ企業から歴史的に社外重役を受け入れてきておりますし、営業上もグループ会社であるということで営業されておられたことも事実でございますので、グループ各社の支援が期待される面も否定できないわけでございます。  現在、管理人と日立・日産グループ各社におきましては、いろいろな形での御相談がなされているというふうに伺っておりますが、それぞれどのようなスキームを前提にどのような協力をするかというような意味で自由な立場から御協議をしていただいていると存じますので、私どももその内容について逐次詳細に報告をいただいているわけではございません。その辺を御理解賜りたいと存じます。
  163. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 いや、逐次詳細な報告を受けた方がいいと思うんですよ。受けているのに受けていないと言うんじゃないかなという、何かそんなふうな気もして、そうすると、受けていないんだとなると、受けるようにしてくださいよ。重大なことです、これは。私はうがった見方ですると、ずっともうすべて把握をされているんじゃないですか。  それで、これは同じような御答弁で、過日、日下部議員の質問に三塚大蔵大臣がお答えしたのを記憶しているんですけれども、日産自動車にあるいは日立製作所にもこの処理スキームのことで自分としても乗り出す気持ちがあるんだと、こういうような御答弁をされたというふうに思うんですが、今もそういうお気持ちは変わらないのか。ということよりも、むしろそういう行動といいましょうか、行為そのことがいわゆる大蔵省と日産自動車そして日立製作所との関係について、どういうルールになるのか、この前答弁を聞いていまして、どういう立場か。確かに処理スキームは守る、契約者は守っていくということなんですけれども、どういう根拠になっているんだろうかな、実はそんな気持ちもありましたので、いかがでしょうか。
  164. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 委任者である生保協会が今一生懸命関係業界と協議をいたしておるわけでございます。その成功を期待いたしておるわけでございまして、仮に全体の処理について不足が生ずるということであれば、系列である以上と言ってもと前段も申し上げましたのは、それぞれ独立企業でございますから経営陣の決定がなされなければ行われない。しかし、事柄が一点そこに集中をして、その解決策が出れば全体が走る、前に進む、こういうことであれば懇請を申し上げることにやぶさかではないと。保険の重要性にかんがみまして、保険全体の信認の観点からも出向いてお願いを申し上げることをするだけの価値があると私なりに判断したから申し上げました。
  165. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そうしますと、保護基金では二千億円しかないですね。足らない部分はこれからまだ精査しなきゃならないということですが、大体この三千三百億、大体千三百億ぐらいですか、あるいは千百億という報道もある部分もありますが、多分この百億、三百億の差があっても、大きな差ですけれども、千億以上が保護基金以上になっているという、この金額をどうするかということになりますね。やはりこれについての具体的な処理の手だてがないとこの受け皿会社というのが発足をしないと私は思うんです。これについてはいかがでしょうか。
  166. 福田誠

    政府委員(福田誠君) 御指摘のとおりでございまして、私ども今回の日産生命の契約者を何とか全面的に保護するというのが眼目でございまして、その保護するためにも保険契約の継続を図るということが何よりも重要だと考えております。  そのためには、契約者保護基金の発動のための環境整備等々努力をしてまいる必要があるわけでございます。もし二千億を超す保護基金の必要性があった場合というお尋ねでございますけれども、これは契約者保護基金の業務規定上、そのときの情勢によりまして、これは理事会の決議という形でございますが、この上限額を変更することは可能というふうになっております。  他方で、しかしながら、保険契約の存続を図るわけでございますが、存続される、引き受けます保険契約に大幅な逆ざやがありまして、将来にわたって引き受け会社の損失として発生することも事実でございますので、その辺は具体的には保険管理人が策定します移転計画におきまして、保険契約者に対しても何らかの保険契約の変更が必要か否か、そして今のような二千億の変更が必要か否か、その辺を今鋭意協議をしていただいているというふうに存じます。  私どもといたしましては、繰り返しでございますが、日産生命の契約者の保護を図ることが最大限重要でございますので、保険契約の存続が図れるよう、すなわち基金が発動できるように全面的に努力をしたいと考えております。
  167. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 今回の破綻は、既に数年前に債務超過が明らかになっています。その後も、確かに情報開示のルールはあるにせよ、具体的に契約者は全く知らないまま、ただひたすら保険料を納めているということになるわけでありまして、契約者にその結果責任を負わせるということについては、私は大変問題であろうかというふうに思います。  今御指摘のとおり、逆ざや状態を解消しなきゃならないということもあります。生保業界の方も、これはいい会社もあればいろんな会社もあると思うんですが、私もすべての会社を聞いているわけじゃございませんが、これ以上の負担はとんでもないよというのが何か率直なところのようであります。五・五の利率でそういうふうにやっている高利の運用に対して、何できゅうきゅうとしているおれたちが払うんだというような、そんなことも聞こえてくるわけでありまして、大変難しい段階だというふうに思います。ただ、月日はどんどんたっていくと。  そこで、違う角度からお伺いしたいんですが、日銀法二十五条、日銀特融でございます。細かい規定はございませんが、日銀はこの発動に際しての条件として三つ挙げております。金融システムに不安が起きる場合、日銀以外に資金を提供できない、そして破綻金融機関の経営責任が厳格に追及される、こういうことになっています。日銀法が改正にもなっていますが、これは引き続きこのことが条件というのは変わらないんでしょうか。
  168. 山口公生

    政府委員山口公生君) 日本銀行法についてのお尋ねでございますので、私から御説明申し上げます。  本日、成立させていただきました新しい日本銀行法第三十八条によりまして、いわゆる今の二十五条の特融規定が三十八条に規定されております。そのときには信用秩序のために必要な措置というような書き方でございまして、条件として今、先生がお挙げになったようなことは、大蔵大臣の要請を受けるか受けないかのときの判断の一つの材料として政策委員会自身が御判断されることでございまして、法律上それを要件として規定しているわけではございません。
  169. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そうすると、今度の改正日銀法について、日銀特融をもし実行する場合というのは政策委員会の判断であると。これは、従前法であっても新しい法であってもこの政策委員会での判断というのは同じだということですか。
  170. 山口公生

    政府委員山口公生君) もちろん政策委員会の判断でございますが、今度の三十八条では、大蔵大臣信用秩序維持のために必要だと認めて要請をするというのがその前段階としてございます。その信用秩序維持のためということを大蔵大臣が決めて、それで要請するという形式でございます。
  171. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 では、この三点は、金融システム不安が起きる場合がある、日銀以外に資金を提供できない、破綻金融機関の経営責任が厳格に追及される。これでまた昭和四十年以降の二十五条に基づく特融、出資の実施状況というのは、山一以下阪和銀行まであるんですけれども、これは本当に経営責任が問われているのかどうかというのは、いろいろ金融機関にも見られるところがあるんですけれども、今回の場合も金融システム不安が起きる可能性も非常に危惧される部分も大いにあると思います。  今、いろいろお伺いしましたけれども、日銀以外に資金を提供できないということ、そして問題は破綻金融機関の経営責任が厳格に追及されるということで、記者会見では非常に淡々と記者会見されているので、経営責任を本当に感じているのかどうかというような気がしているんです。ある意味では、そういうようなオーナーの会見を聞きますと、本当に腹立たしい限りですが、しかし一方で、契約者を守らなきゃならないということになりますと、この日銀法二十五条について検討をするということも大きな一つの視野に考えられるのではないかというふうに思います。  そこで、今、銀行局長の御答弁ですと、三十八条に、大蔵大臣が要請をすればという、このことが新しい日銀法にあるようでございますけれども、今、このことについては検討されているのかどうか、いかがでしょうか、日産生命の処理スキームに当たってですけれども。
  172. 福田誠

    政府委員(福田誠君) お答えいたします。  御指摘のように、契約者保護基金の限度額の引き上げにつきましては、これを安易に行いますと、生命保険会社のモラルハザードの問題がございますし、負担金額の増大によりまして生命保険会社の収支への影響も懸念されるわけでございます。  他方、契約者の条件変更の問題につきましては、バブル時期の高利回りの商品について、現在引き継ぐに当たって、何がしかの調整がむしろ合理的かどうかという問題もございますが、これまた御指摘のように、大変難しい問題ではございます。  ただ、私どもといたしましては、いずれの措置も行われずに本件を破綻処理した場合には、保険契約者の保護が行われず、ひいては保険業に対する信頼性の低下を招くこととなるわけでございますので、現在は全力を挙げてその辺についての保険管理人を中心とした調整を進めているわけでございます。したがいまして、お尋ねでございましたが、現在のところ、日銀法二十五条の発動のような観点で本件を検討しているわけではございません。
  173. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 検討しなくても大丈夫だというのなら、いいんですよ。  私は、どうもいろいろ今回見まして、検討せざるを得ないんではないかなという判断を個人的にしています。  二千億の範囲では保護基金と。しかし、これ以上の負担は業界は出せないというのは、どうもやはり業界としてある。それからさらに、いわゆる関連会社と言われる自動車の方も、あるいは日立製作所の方も、それを出すと、自分のところの会社が何でそんなに出すんだという株主訴訟にもなってしまうという、こういうやはり企業としてのあり方があると思います。それじゃ契約者に対してというと、これはもうにつちもさっちもいかないわけでありまして、保護基金、そしてこの特融分については、やはり金融機関の経営責任もきちんと追及した中で検討すべきだと思うんですけれども、大臣、伺っていていかがでしょうか。
  174. 三塚博

    国務大臣三塚博君) ただいま福田保険部長も、概要について最大の努力をしているという言明をいたしたところでございます。  私としましても、保険という、高齢化社会を迎えて極めて重要な役割を果たさなければならない契約は大事にしていかなければならない。  そういうことで、御指摘のように、契約者保護基金の発動のための環境整備にまず全力を尽くさなければなりませんし、尽くしておるところであります。そして、関係業界への支援要請というのは、全体が保険業界でありますから、そこのところは可能な限りの御協力をいただくことが大事なことであるし、そのことが全体の保険の信認を得ることになりますので、その努力に全力を尽くすようにと保険部長銀行局長にも要請をいたして努力をいただいておるところであります。私自身も、そのための最大限の努力をすることによりまして、ただいま御指摘のような特融が発動しないで済む体制をつくり上げることが大事だと、こう思って努力をいたしております。
  175. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 ありがとうございました。
  176. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 法案は、第三条で金融監督庁の任務として、預金者、保険契約者、有価証券の投資者等を保護することを任務とする、こういうふうになっております。もちろん、この後段がありますけれども。金融監督庁の主なる任務が預金者保護、契約者保護であるということになれば、それは利用者から大変歓迎されることだと思います。  この法案の各条を読んでみますと、利用者をどのように保護するか、直接保護する条文というのが私には見つからないわけで、この第三条第一項というのはどういうふうに読んだらいいのかということが、私のとり方では、例えば経営の健全性が確保され、証券取引等の公正が確保されるということになれば、そのことが利用者保護だと、こういう趣旨かなともとったりいたしながら読みましたけれども、これをどう読んだらいいのか、これは事務当局でも大臣でもどちらでも結構です。
  177. 白須光美

    政府委員白須光美君) お答え申し上げます。  金融監督庁設置法第三条の任務の規定についてのお尋ねでございますが、これにつきましては、まず第三条の第一項、この後ろの二行のところをごらんいただきますと、民間事業者等の業務の適切な運営または経営の健全性が確保されるようこれらの民間事業者等に検査その他の監督をし、及び監視をすることという形になっておるわけでございます。すなわち、第一義的に行いますのは検査その他の監督、またその証券取引等の監視ということでございまして、その次のどういうふうにということにつきましては、事業者の業務の適切な運営または経営の健全性、これが確保されるように行うということでございます。  これらを通じまして、預金者、保険契約者等の保護また金融、有価証券の流通の円滑を図るということでございますが、この冒頭に「法令の定めるところにより、」とあるとおり、金融監督庁の職務、これにつきましては、それぞれの各金融の実体法、銀行法でございますとか、証券取引法、抵当証券業法等々の規定によりまして、それらの規定に則しましてそれぞれの監督を行うということでございます。  それぞれの法律によりましては、例えば業務の適切な運営だけが書いてある。例えば貸金業規制法などにおきましては、それぞれ例えば契約書を交付しろとか、金利の表示をちゃんとしろとかいうような規定について調べるという、健全性についてそれぞれを通じまして保護を図るということでございます。
  178. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 通じて利用者の保護ということだということがよくわかりました。冒頭からこういうふうに利用者の保護が書かれているので、明らかにしておきたかったわけです。  そうしますと、金融監督庁それ自体は直接的に利用者保護を行うということでなく、それはいろんなことを通じて、結果としてということだという御説明だったと思います。  ところが、ピックバンを進めるということになれば金融機関の倒産ということもいろいろな形で予想される。その場合に、この法案にもうたわれている預金者、契約者あるいは投資者、これら利用者の保護は一体だれが行うようになるのか、直接その保護を行う仕組みというのがどうなるのか。この法案の直接テーマではないにしろ、どうなるんでしょうか。これは官房長官にお伺いした方がいいでしょうか、利用者保護それ自体は。
  179. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 私は、前の質問者にもお答えをいたしましたけれども、これからは自己責任というものがもうちょっと明確でなければいけないということになれば、銀行とかそういう金融機関はみずからの体質、財務諸表、そういうものを明らかにすることによって自分たちの信用を高め、そして預貯金者あるいは利用者に信用していただく、さらに業務の拡大ができるといういい意味での信用確保に努めなければならない。  それから、今回、これはもう全く私の私案中の私案というか、ある銀行の人ときのう話をしたんですが、みずからの銀行経営に当たって経営者はかくあるべし、かくいたしますという宣誓をして行うぐらいの立場をとらないと一般の国民は今回の不祥事その他を見ますとなかなか信用できない。これに違反した場合はどうするというぐらいのみずから厳しいいわば銀行自身の倫理規程を設けること、このことが私は預金者とかその他の利用者に大きな信頼を与えるもとだという気がいたします。  比較すればおのずとわかるわけであります。ですから、この検査をする者は総体の、例えば都市銀行が、地方銀行がどういう財務体質にあるか、そういうものを比べて、あるいは公表することによって、この辺は大丈夫なはずだ、この辺はやや危険水域だ、これになると危ないという判断能力をお互いに交えませんと、これからそれぞれ有利な商品等が開発をされるその反面を見なきゃなりませんから、そういう慣行が生まれることが望ましいわけであります。  ですから、委員の過日の質問でも、この金融監督庁信用を確保をするためにはいろんな意味で報告や情報を公開しなきゃいけない。さりとて個々の銀行の体質の悪いところもやったら取りつけ騒ぎが起きて大変だろうなというひとり言を委員がそこでお話しになっているのを聞いて、やっぱりそういう心配はするんだなと思いますから、取りつけ騒ぎが起きなければ維持ができるものが、それによって預金者その他のいわば保護ができないということになってはいけないので、全体としては私は、金融監督庁というのは情報を多く発信することによって預金者の利益、利用者の利益を守っていく。しかし、本当に際どいものをやることが果たして預金者の利益保護につながるかどうかというのは厳しい判断能力が求められると思います。
  180. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 利用者の自己責任というのは後でもう一度触れることにいたしまして、金融監督庁が新しく大蔵省から分離して設置されるということで、検査体制が大きく強まるかどうか、これは国民の関心であります。  そうすると、その人員、体制、これがどうなるのか、これまでより抜本的に強まるのかどうなのかということがこれまでもさんざん論議されてきております。当面は大蔵省の検査部門を引き継ぐところから出発するという御答弁が繰り返されていると思います。それは出発時点はそうだが将来はかなり大きく整えていこうという意味の当面あるいは当初なのか。大体今の大蔵省の検査部門体制を引き継ぐ、問題はそれが政策立案機関と執行部門が一本になっていた弊害を分離することによって正すんだと、そこに力点があるのか、体制もこの際強化しようということなのか、大臣どうでしょう。
  181. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 発足の理由は、たびたび申し上げておりますように、いわば企画立案部門と検査監督の機構を截然と分けることによっておのずと緊張感が高まり、そこに思い新たな検査業務ができる、そのことを期待してであります。  それから、委員、確かにこれを完全に行うためには人が多く要だということになりますけれども、今々幾つかの古い体質を引きずっておりますが、何とか早い機会にこの金融界が立ち直り、自己判断というか、自分の内部の規律によって信用が獲得できる。  むしろ、検査というのは、総体のそれぞれの金融機関の基準を、財務的な内容やあるいは服務規程やそういうものが完全に守られるかどうか、そういうもの、服務規程まで入るかどうかは別でありますが、銀行の体質をおおよそわかる判断度をつくればいいことでありまして、それに違反をする行為を、例えば企画の分野でつくったガイドラインというか、おおよその物差しに戻るかどうか、この辺を厳重に監督すれば済む体質になりたいと、こう思います。
  182. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 今おっしゃった面は一つの面だと思います。しかし、同時に、やはり体制を強化しなくちゃならない。とりわけ、今、私は金融界の大手術が必要だと思います。そういうときには、やはり強力な検査体制ということも必要だと思います。  先ほど、第一勧銀、七年に二回しか検査をやっていないということが論議になっておりましたけれども、これは三塚大蔵大臣が答弁なさった中には、アメリカのSECのように、二千人近くスタッフを抱えておれば定期的に行えるし、同時に、SECはそれぞれの証券、銀行に部屋を持って監視できる体制をとっていると、こういう答弁もなさっておりますね。そして、我が国のように定期検査を三年に一遍しかできないと、そういうローテーションでしかないんだというお話もありました。私はこういう面も、やはりいろんな要素が必要ですけれども、今は必要だというふうに思います。  特に、これからの日本金融界というのは国際化が進む。あなた方はビッグバンで世界の三大金融市場にしようという目標を掲げておられるわけですし、外国の銀行も大いに進出してくるでしょう。やはり検査の量もすごく大きくなってくると思います。そういうのに対する検査体制をどうするかという問題。  それから、今回明らかになった問題点というのは、やはりまだまだ体質改善ができない段階では、金融機関が資料を隠ぺいして、隠すのと発見するのとの力比べというのか知恵比べというのか、そういう面もあると思います。そういうときに、やはりきちっとしたそれをやれる体制は必要だと思います。  例えば、野村証券第一勧銀、ここで今明らかになっている問題は、日本金融界の例外的な、特殊な出来事とごらんになっているのかどうなのか。私はそうは思いません。例えば総会屋、これが癒着しているのは第一勧銀だけだというふうには思いません。  日本総会屋というのは大体どれぐらいいるのか、警察庁、ちょっとお知らせください。
  183. 佐藤英彦

    政府委員(佐藤英彦君) 年々減少をいたしておりますけれども、昨年末現在で約千名を把握いたしております。
  184. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 千人の総会屋がいて、その総会屋の名簿が市販されているというような状況であります。ごらんになったことがあるかどうか知りませんけれども。  それで、千人もの総会屋日本で存在しているということは、私は何も第一勧銀だけが資金源だとは思いません。やはり同じような獲物がいろんなところにいるから成り立っているんではないかというふうに思います。それとの関係を一方では隠そうとする。マスコミが隠ぺい隠ぺいと盛んに書き立てている。それとの関連で大蔵省、日銀の検査能力を書き立てている。こういう状態は、やはり検査官の努力だけでは十分やれない面は私はあると思うんです。そこをどういうふうにしていくのか。隠ぺいという事実で言えば、野村と第一勧銀だけじゃないんですよ。  私は、ある大銀行の内部の人に会って、大蔵の検査で一番大変なのは何かといったら、立入検査があることがわかったときに内部資料を隠すことだと、段ボール箱で二千、三千と隠すんだと。これは大変だといって、その隠す作業で苦労した人から聞きました。この間、全銀連の会長が参考人として日銀法で来られたときに、こんな話を聞いているがあなたのところもやっているかといって聞きましたら、いや私は直接タッチしていないから知らないけれども、もしやっているとすれば、それは銀行内の汚いのを清潔にするために整理をやづているんだという答弁で、やっていないとよう言い切らないんですね。  大蔵省、検査のときに、これはどうもそろっていないなというふうなことを感じたことありませんか。
  185. 中川隆進

    政府委員(中川隆進君) お答えを申し上げます。  具体的に検査の事例でということは承知しておりませんが、今、委員指摘のいろいろ検査に備えてというか、先般も申し上げましたが、これは我々は今後改善すべき事項だと思っておりますけれども、定期的に三年あるいは二年ということで検査をやっておりますと、そろそろということで準備をするということは、これはどこの世界にもあり得るわけでございます。ただし、それをいかに検査の予告なしで行くか、検査のやり方でございますが、この実効性を確保していくかというのが我々としてもまた求められている点であろうというふうに思います。  もし、事前に今、委員指摘のように検査関係の資料等を隠すようなことがあるとしますと、これは大変な問題だと思いますから、法令を踏まえまして、もし法令に抵触するような事案がありますと厳正に対処し、検査の実効を期していくことは重要なことであろうというふうに考えております。
  186. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 金融機関がこんなことを問題にしなくてもいいようになることを、私も長官と同じように望みます。  しかし、現実にはそういう状況、総会屋が千人もベンツを乗り回した生活をやって、我々がとても及びもつかないような生活している。そのもとには、第一勧銀のような問題がほかにもあると思います。そういうのとの力比べ知恵比べの体制というのは、やはり単に分離だけでなく、分離自体は私は一歩前進だと思いますけれども、それに力が必要だというふうに思います。  さて、その次は検査対象、何の検査をやるかという問題であります。  もちろん、金融機関の経営状況を正確に把握して、あなた方がおっしゃる早期是正措置をとるための検査ということもあるでしょう。しかし同時に、それだけでなく、ある学者は、会計検査だけでなく、金融機関の行動の検査も必要だということを提起しております。それは、例えばバブル期のような過剰融資あるいは不良債権の隠ぺい、追い貸し、飛ばし等々といったような、自分の社、自分の銀行の利益のためなら何でもやるようなさまざまな行動が展開されたと。したがって、会計検査だけでなく行動の検査も必要だと。さらに、一千人いると今報告がありました総会屋との関係等も必要になると思います。  私は、さらに、利用者保護のためには、例えばこれから非常にふえるであろうさまざまな金融商品の内容も当然検査の対象にならなくちゃいかぬと思いますし、またその金融商品をどういう宣伝で売りまくっているか。今問題になっている変額保険その他、私のところなどにも被害者からどんどん事件が持ち込まれていますが、それはリスクには全然触れない。もう全く夢のような宣伝、文書までそういう文書をつくって、こんな文書をよくも持って歩けたものだ、しかも相手のところへ置いて帰っている例もあるんですね。よっぽど厚かましくなっていたと思いますけれども、我々はそういうことも当然検査の対象になると思います。  特に、ビッグバンによって千二百兆円の個人金融資産の海外流出がどうなるのか、その心配はないのかということが大論議になりました。そのときにも、海外への投資というのは非常に高いリスクが伴うものだからそう簡単に海外流出するとは思えないという答弁がありました。私はそのことはそのとおりだと思いますけれども、それは、こういう金融資産の所有者がリスクについての正確な知識を持たなければ、やっぱり甘い誘いにひっかかるということはあると思います。そういう意味で、金融商品の内容、それがどういうふうに宣伝されているか等、これは特に全面的な検査が必要、だと思います。  この金融庁の検査はどこまでになるのか。私が言ったいろいろな分野は、大蔵省あるいは他の分野でも検査なさることになるかどうか。こういう検査対象は何かということについて、これはどっちに答えてもらったらいいでしょうか。どちらかで決めて答えてください。
  187. 中川隆進

    政府委員(中川隆進君) お答えを申し上げます。  今、委員指摘のように、検査におきましては財務内容、委員は今会計検査というお言葉をお使いになりましたけれども、そうした財務内容だけではなくて、銀行法にもございますように、財産の実態を的確に把握しますとともに、金融機関の経営の健全性、適切性を確保するという意味で全般的な検査を現在もやっておりますし、この銀行法の規定は新しい法律にも同じように規定をされるわけでございますので、当然のことでございますが、全体的な観点からの検査が行われていくものと理解をしております。  特に今、委員もお触れになりましたけれども、そのほかにリスクの状況でありますとか、あるいは保険でございますと商品の募集の方法、昔でいいますといわゆる募取法といった世界でございます。新しい保険業法に盛り込まれておりますけれども、そうした観点の商品の売り方といった点も含めまして全体的な検査を従来からやっておりますし、今後一層重要になってくるだろうというふうに認識をいたしております。
  188. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 従来からやっていると言われるところは、私はいささか異議ありなんです。それは、それがきちっとやられておれば変額保険の被害者があんな騒ぎを起こしたり、自殺者が出るようなことは起こらないんですよ。だから、それは従来の延長じゃなくて、この機会に新たな覚悟でやってもらいたいと思います。  もう一つ重要な問題は、私が最初に言いました利用者保護ということにかかわる、また自己責任ということにもかかわる問題ですけれども、私は体制も強化して大いに検査を強化せよということを言いましたけれども、さてその検査内容、検査結果を利用者は利用できるのか、そこから何らかのプラス材料が受けられるのかどうなのかという問題なんです。  私は、前回のここの委員会のときに、日産生命では大蔵省が発見してから後二十一万件の新契約があったということが答弁でわかりました。さて、その二十一万件、日産生命がこうなった結果新たな負担もせざるを得ない、こうマスコミでは報道されているわけです。  そうしますと、大蔵省が検査の結果、経営が大変だということをつかんでいた、そういう情報はキャッチしていた。それは利用者にはいかなる意味でもプラスにはなっていないわけです。だから、今後検査を強化してもこれと同じことが続くのか、利用者にもそれが役立つものとしてあらわれるのか。それは経営の健全化、あるいは取引の公正というところに直接的には役立ち、間接的に利用者への恩恵になるので、そういう調査結果というのは直接国民の前に公開されて役立てるかどうか、どの程度国民はその検査結果を知ることができるのかという問題、私はこれは国民の側から見れば非常に重大な問題だと思います。これはどなたにお答え願えますか。
  189. 中川隆進

    政府委員(中川隆進君) お答え申し上げます。  今、検査結果の公表というか、そういう御指摘でございますので、私から答弁させていただきたいというふうに存じます。  ただ、今、委員の御指摘のような、利用者あるいは預金者の保護という観点からどういうふうに対応していくかというのは大変難しい問題ではございますけれども、先ほど来御説明いたしておりますように、検査は、これはいい悪いは別にいたしまして、何年かに一回検査をしているということでございます。監督の一環として検査をし、検査結果を監督に反映させ厳正に指導していくという性格のものであろうかというふうに思うわけでございます。  本来、今、委員の御指摘のような預金者保護、あるいは契約者保護という観点からは、企業みずからが検査結果等も踏まえまして、あるいは当然公認会計士等の監査を受けましてそれをディスクロージャーしていく、それを預金者、契約者、投資家にきちっと開示していく、本来そういうことによってそういう保護は図られるべきものであろうというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  190. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 大蔵省がまとめた「「早期是正措置に関する検討会」中間取りまとめの概要」という文書によると、ディスクロージャーについてこう書かれております。「有価証券報告書、ディスクロージャー誌に記載されている「償却・引当方針」の記載内容をより充実させる、「自己資本比率の数値、計算方法」等を簡潔で理解し易い形で附属明細書等に記載する、等の措置を講ずることが望ましい。」と、こういうふうに書かれております。  そこで、先ほど官房長官がおっしゃった自己責任との関係にもなってくるわけですけれども、これからは自己責任の時代だ、そのためにディスクロージャー、情報公開だということが強調されるわけであります。そのディスクロージャーあるいは情報公開、この中身というのは、結局、今大蔵省の文書が言っているようなことだとすると、これはプロの判断には役立つかもしれませんけれども、一般国民にはなかなか難しい世界の問題、わかりにくいと思いますけれども、大体このところ盛んに言われるディスクロージャーで自己責任というのはそういうことなんですか、プロであれということになるんですか。
  191. 山口公生

    政府委員山口公生君) 実は、ディスクロージャーの考え方は大きく二つありまして、詳しく正確に出すということ、それをまた情報を理解させるように易しく直すという仲介者がいて、それを国民に徹底させるという考え方、あるいは直接わかるようにもう大胆に、正確でなくてもいいから、思い切って一般国民にわかるように出すという、二つの考え方がございます。  しかし、今の私どもが進めているのはなるべく正確に出すと。あいまいな形では出さない。そのかわり、だれかがそれを仲介してくれるというような考え方で今行っているのが主流でございます。
  192. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 わかりました。  そうしますと、結局、金融監督庁の主たる任務を規定した第三条の冒頭のところで、「預金者、保険契約者、有価証券の投資者等を保護する」と書いてあるわけですけれども、その保護の中身というのは、結局は検査結果の公表によって、被害を受けたときの救済ではなくて、経営の健全性ということに役立てるということで、これは一般国民、一般利用者に直接役立つものにはならない、プロは別として。そういうことにならざるを得ないと思うんですが、それでいいかどうか。私は御検討をお願いしたいと思います。  時間が来ましたから終わります。
  193. 田村公平

    ○田村公平君 MOF担という言葉について、再度確認をさせていただきます。  私が承知しておるMOF担というのは、MOFの意味もよくわかっていますから、英語のスぺルアウトまでする必要はありません。今、私自身が理解しておるのは、大蔵省銀行の行員が出入りをすることによってよしみを通ずるというか、まあ何となく人間関係をつくって、それでいつ検査があるとか、遊びに行こうとか、人間関係、業界のことを双方が利用し合うというか、業界のことも知ろうと。別に業界のことを知って悪いと言っているわけじゃないんですよ、知らなきゃ何もできないですから。ただ、ミイラ取りがミイラになってしまう、そういうことが困るわけで、そのことをとやかく言うつもりはありません。  私が過去にこの委員会で質問をさせてもらったときに、その質問の前のレクチャーでは、いわゆるMOF担はいないと言っておきながら、共産党の笠井委員の質問では一人だけいると。それから、今さっき及川委員の質問に対しては、MOF担というのは銀行側が言っておると。それはそれでいいでしょう。  じゃ、大蔵省はそういう出入りしている人たちをどういうふうに呼んでいるんですか。
  194. 山口公生

    政府委員山口公生君) 私どもは、担当で来られる方を、例えば何とか課長とか、何とか次長というふうに呼んでおります。
  195. 田村公平

    ○田村公平君 私が国会議員の秘書で、秘書バッジを持って、帯用証もつけて、通用口で面会票まで書いて市町村長さんを連れていっても会わない大蔵省が、そういう人には会うわけです。それはそれでいいです。  それじゃ、建設省を例にとります。いわゆる土木請負業の方々が仕事が欲しいといって道路局なら道路局、河川局なら河川局の職務権限のある、つまり大体発注は出先機関になりますから、四国でいえば四国地方建設局、そこへ仕事をくださいといって直に地建に、発注権のあるところに出入りはしませんよ。現説があって、入札をして、それで入札に至る間にどうもこの仕事はおれの仕事らしいなとか、地域性があるなといっていわゆる業者の方がそこでいろいろ電話なりあるいは喫茶店に集まったりしてやりとりをしたら、いわゆる刑法になるのか、談合、公正な入札を妨害する何とかと、法によって談合罪でガチャンを食らうわけです。そのときに、発注権を持っておる地建の局長なり幹部の方々が俗に言う天の声とか意向というものを出しておれば、その人もあわせてガチャンを食らうんです。  今この金融監督庁設置するわけだけれども、検査と監督という意味もよくわかるんですが、つまりそういうことをやっていると、他の法令によって検挙されるわけです。検挙されるとその業者さんはどういうことになるかというと、最低でも指名停止が三カ月続きます。指名停止というのは入札へ行くこともできないわけです。その後に何が来るかというと、今度は営業停止というのは、大体指名停止三カ月というと五カ月来るんです。そのトータルすると大体八カ月仕事がとれません。とれないということはどういうことになるかというと、大体倒産をするわけです。それほど厳しいものがあります。  現実問題、この二年間に私の高知県では百万、二百万の金で地元の市長が三人逮捕され、やり直し選挙がありまして、ついこの間もそのあおりを受けて選挙があったばかりです。つまり、もっと大蔵省きちんとしないと、一般国民の目に見えない大蔵省なんです。  僕がずっとここに質問に立たせてもらって一貫して言っていることは、やっぱりモラルの高さだとか透明度だとか、金融監督庁ができたけれども、いま一度国民の信を失ったらこの国の経済がおかしくなる。世界の孤児になって、もう既になりつつあります、第一勧業銀行の問題や野村証券の問題で。  私は大臣に質問する気はありませんけれども、両大臣の御答弁を聞いておりますと、一昨年の住専とおっしゃいますけれども、実は私に言わせると、この大蔵省に対する僕の持っている不信感、普通にいうところの国民が持っている不信感はもっと根が深いと思います。  それは、平成三年の橋本大蔵大臣のときのいわゆる証券疑獄、その後に起こった大和銀行赤坂支店、あれは富士銀行か、ごめんなさい、大和銀行は僕が被害者なんです。それから、ニューヨークで大和銀行の問題もありました。いろんな問題が起きてきて、その都度それはそれなりに大蔵省はマスコミやいろんな国会での質疑に対し、俗に言う遺憾の意的なことを言ってきた。しかし、全く懲りない面々であるのが大蔵省である。  ちなみに、きのう質問通告をさせていただいたことで確認をとらせていただきます。  平成九年三月末現在、大蔵省出身者の八年役員改選後の法人数、それと天下りの役員の数です。  都市銀行十に対して二名、地方銀行六十四に対して四十四名、第二地銀六十五行に対して七十七名、信用金庫四百十に対して二百九十三名、信用組合三百六十三に対して八名、生命保険会社四十四に対して十三名、損保三十三に対して八名。僕の計算、足し算が間違っていなければ、九百八十九という金融機関に対して現在役員で大蔵省OBとしておるのが四百四十五名、間違いありませんか。
  196. 山口公生

    政府委員山口公生君) 御指摘のとおりでございます。
  197. 田村公平

    ○田村公平君 普通こういうのを、一般の常識でいうと癒着というふうに言うんですよ。  国レベルでいいますと、四十七都道府県のことを地方庁と言います。国会便覧をあけても地方庁と書いてあります。それで、高知県なんかでも地方庁と言われるんですけれども、普通のお役人というのは高知県庁に勤めて、まさに大過なく過ごして議会関係を最後にやめられたら町村議会事務局の事務局長さんです。観光振興課畑を歩いた人は観光連盟の事務局長さんです。年金を引いた分を生活給としていただいて、年金引いた分以外で、まだ若いですから、老後の生活というか、老後ではありませんけれども、そういうのが大部分の天下りということになっております。  これだけの数の役員の方々、これは現在の役員ですから、役員じゃない顧問だとか相談役だとか役員予備軍、あるいは常務会とか取締役会の構成メンバー以外の数を入れると一体、想像で結構ですが、どれぐらいになりますか。
  198. 山口公生

    政府委員山口公生君) 今、先生が申された四百四十五、それが数十名ふえるんじゃないかという感じを持っておりますが、ちょっと正確なことはよくわかりませんので御容赦いただきたいと思います。
  199. 田村公平

    ○田村公平君 私、その昔、期待される人間像というのがありまして、この審議を通じながらなるだけ期待される参議院議員になりたいなと思っておりましたけれども、どうも大蔵省と各委員方々のやりとりを聞いておりますと、政治家の方が、お二人の大臣の方がもっと腹を入れてきっちりした、僕に言わせると、かなり踏み込んだ、ある意味で大臣の職をちょっと踏み外した、それぐらいの思いで真剣に答弁をしておるように思います。  官僚の方がもっと正直に、この国をどうするんだと、もしギャング・オブ・ギャングズじゃなくして、本当の役所の中の役所という気構えがあるんであれば、はぐらかすんじゃなくして、もう少し真剣にそういう答弁を僕はしてもらいたい。僕はまじめに質問通告のとおりやろうと思っていたけれども、言葉をもてあそばないでほしい。  ここは国権の最高機関であって、言論の府であります。私自身は育ちが悪いものですから、良識の府の人間としてはいささか品位に欠けるかもしれませんけれども、国を思う思いはだれにも負けないつもりで頑張っております。  それだけ言わせていただきまして、終わります。ありがとうございました。
  200. 山口哲夫

    山口哲夫君 官房長官お尋ねをいたします。  この間、最後の質問で、金融監督庁企画立案業務をやっぱり移管するべきではないですかと、こういう質問をいたしましたら、官房長官が、それならば企画立案と実施部門が一つになるんだから、一本化するんだから今の方が、それでいいじゃないかと。ちょうど時間の終わる寸前のお答えでございまして、何かそれを待っていたような御答弁だったかなという、大変そういう感じをいたしました。  しかし、問題はそういうことではないと私は思うんです。金融監督庁を今回なぜ分離したかと言えば、これはもう今までさんざん言われてきたように、住専の問題とかあるいは一連の金融機関の不祥事に対する大変な批判があったわけですから、どうしてもやっぱりそういう批判にこたえるためには大蔵省から分離をしなければならなかったと思うんです。  特に、財政権を握っている大蔵省ですから、それの中に金融機関に対する検査監督ということを含めること自体に、どうしても大蔵省金融機関に対するいわゆる不透明感というのはぬぐい去れない、そういうような問題が私はあったと思うんです。  そう考えたら、企画立案、これを大蔵省に残すということになりますと、何のために金融監督庁分離したか、目的が半減してしまうんではないだろうか。これが今までずっと語られたことの私は結論だと思うんです。そういうことについてどうお考えになりますでしょうか。
  201. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 私の発言が時間の終わりで舌足らずであったのかどうかわかりませんが、今、私がここで金融監督庁設置法を皆さん方にお願いしているゆえんのものは、もう委員指摘のとおり、昨年当初からのこの住専問題をめぐって、今大蔵省銀行局の金融行政がいいのかどうなのかということが問われたわけであります。その中で、企画立案部門と検査監督はセパレートされた方がいいという、そういう皆さん方の大半の御意見のもとに、私は今回大蔵省からこれを離して金融監督庁をつくったわけであります。  ですから、私の申し上げたことが、今の大蔵省と同じだということ、それは委員は確かに大蔵省へ戻るというといけないと。あるいは、だから企画立案大蔵省から離して持ってくるというのは、一つ金融行政のあり方かもしれませんが、私は、今日的な問題は、この二つをセパレートすることに意義があるんだと。将来に向かってこれが一緒になり、あるいは金融庁的なものをつくり、あるいは財政庁的なものをつくるという、そういう思考の方もあるかもしれませんが、今ここでこの法案の御審議を願っているのは、端的に言って分けることであります。これを一緒にするということは、またもとに戻ってしまう。場所が変われば全く思い新ただとは思います。  しかし、いわば一つ金融の総体的な基準をつくる企画立案と、その結果というか、それに対する検査監督をやるもの、これが混在をしたならばどんなことになるかというのが今までの反省の結果ではなかったかと私は思うんです。将来に向かって、分離をすればまた統合をする、統合をすればまた細分化をするという、いろんな繰り返しを行うのが行政でもあるし、世の中のしきたりでもあるかもしれません。今まで一緒にあったものを分けることによって、今回機能を発揮しようということでございますので、言葉が足りなかったとすれば訂正をさせていただきますが、私が申し上げている真意はそういうところにありますので、企画立案検査監督というのを一つのもとに統合するということには当たらない。それは決して今までの反省の上に立った処置ではないという確信を持っているから、今回お願いを申し上げているわけであります。  それが過渡的な状況で、将来に向かってどうであるかという、委員が頭の中で感じられることと、今、会期末を控えて真剣な御討論を願っているのは、その反省に基づいた結果としての金融監督庁をつくるという行政の責任を果たそうというゆえんであります。
  202. 山口哲夫

    山口哲夫君 企画立案と実施部門を分けることに意味があるのではなくして、財政権を握っている大蔵省から金融監督部門を切り離すことに私は意味があると思います。だから、企画立案部門を監督庁の方で持って、実施をやって、何がそれじゃ問題かということになれば、私はそう大きな問題はないだろうと思います。大蔵省という大変な権力を握っているところで企画立案から実施部門も持つから問題が起きたので、そういう反省の上に今回の金融監督庁というものを私は分離したと思うんです。  そういう点では、企画立案部門だけは残しておくということは、これは与党三党の中でもいろんな議論があったということが随分書かれておりますし、そういうことに対する大蔵省と自民党の守旧派の人たちの大変な抵抗もあったとも書いてありました。だから、そういうことを考えたら、私は企画立案部門というのを大蔵省に残しておくということは、これはやっぱり目的の半分も達することができなかっただろうと思います。これは幾らやっても平行線だと思いますので、この辺でやめます。  次に、先般、総理にもお聞きしましたけれども、金融機関の経営者に対する罰則強化の問題です。  野村証券とか第一勧銀とか一連の金融不祥事がありまして、国内はもとより、国外からも日本金融機関に対する批判が高まっているということは、もう今までるる各議員から出されておりました。今この金融機関に対する罰則強化をしなければならないということは、これは与党の自民党の皆さんでも検討されたんですね。  けさ日経新聞に出ておりましたけれども、「自民党が検討している金融関連法規の罰則強化案に金融界が戦々恐々としている。昨年、与党が罰則強化法案をまとめた際には、金融界は反対運動を展開、同案はお蔵入りした経緯がある」。そんなような経過をたどって、「今回は第一勧銀事件や野村証券事件を受け、自民党が国会対策委員会に「金融機関の不正防止プロジェクトチーム」を設置金融関連法規の罰則強化の報告書をまとめている。」。そして、「大蔵省銀行法などの罰則強化を掲げており、金融界も身を縮めるしかないのが実情だ。」という、そんなことも載っておりました。  やっぱり私は、ある程度罰則強化をしなければ、なかなかこういう事件というものはなくならないだろうと思うんです。どうも一連のいろんなものを読んでみますと、金融業界の悪いことをしている経営者の方々の中には、おれは会社のためにやっているんだという意識が非常に強いということがテレビでも随分言われていましたですよ。  もしそうだとするならば、これは大変なことだと思うんです。会社に対する忠誠心の方が強くて、一般社会でこういうことは許されないということはもうこっちの方に置いてしまっている。そういう嫌いが随分あるんではないかなというふうに私は思います。  そう考えたときに、刑が軽ければ、どうせこのくらいのことであるならば刑はこのくらいで大したことはない、おれは会社のために一生懸命やったんだということでやられたんでは、これはもう日本全体への外国からの批判というのはますます高くなるだろうと思うんです。  そう考えたら、これは国際標準と言われる程度のものはきちっとつくって、会社のためにやったとは思ったけれども、それが犯罪となったために自分はもう一生食うこともできなくなる、会社自体もつぶされる、そういうような罰則をつくっておけば、そう簡単に悪いことをすることには私はならないんではないだろうか。そういうために罰則というものはある程度強化をしていかなければならないんではないかなというふうに私は思うんですけれども、どうお考えでしょうか。
  203. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 私がお答えをすべき立場ではないかもしれませんが、私の方を見て質問をされておりましたから、私からお答えを申し上げたいと思います。  確かに一罰百戒という思いはございます。しかし、会社のためにやったということが結果として会社のためにならない。これは株主訴訟にもなるでしょうし、そしてあるいは一社のためになったとしても金融界全体の、銀行業界全体のためになるかどうかというと、日本丸が沈没をします。これも重大な背信であります。そして、それが例えばよかったとしても、日本の健全な消費者やあるいは預金者や利用者、これに大きなダメージを与えるとすれば、これは金融行政全般の破滅であり、これは国益を損なうものであります。  そういうものを考えれば、私は、今までは銀行法で言われるものはいわば犯人を捜すことではない、銀行のルールというものはこういうものだという極めて、性は善なるものを信じてやってきたわけでありますが、今言われるようなことがあれば、銀行性悪説に立たざるを得ません。しかし、それは全体のものは私はそうではないと確信をいたしております。しかし、経営者ぐるみで犯罪というか、こういうことを起こしたことに関しては大変な憤りも感じます。これが日本信用を失墜し、国民のいわば大変な不信を招くということになれば、現行のいわば法令に照らし合わせて私はそれ相当の処分あるべきだと思いますし、そういうことを防圧するために新たな立法が必要であるとするならば、私はそれは当然真剣に検討をされるべきものだと、このように思います。
  204. 山口哲夫

    山口哲夫君 衆議院のこの種の質問に対しまして、橋本総理はこういうふうに答えております。  「法規に触れるような行動をし、結果として、そこに付されていた罰則が意味を持たないものであるなら、ぱ、これは私は考え直す必要があるだろう、確かにそのようなことを申しました。」と。  これは第一勧銀の事件に関連して、罰則規定が軽いから抑止力にならないんじゃないか、刑を重くしなければいけないんじゃないかという趣旨の発言を総理が記者団か何かで話をしたことについての質問です。総理自身が最後に「罰則の問題も含めて、再発防止策などを考えてまいりたいと思っております。」と、前向きの御答弁をしているんですけれども、検討されているとは言われるけれども、それがさつばりまだ出てこない。非常におくれているんじゃないかということも言われているわけですけれども、どうなんですか。こういう再発防止のためのそういう刑を重くするような内容について改正を一生懸命考えているんですか、具体的に。
  205. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 官房長官の答弁でその趣旨も御理解をいただいておると思いますが、本件は日本金融市場に対する挑戦であります。権威の失墜というよりも全体の金融システムに対し不信を買ったことでございます。国家のためにこの不信を取り除かなければなりません。取り除きます最大のポイントは、事件を起こした銀行、証券はみずからの努力で、責任でなぜかくなったかをまず出すということ。しかし、政治の側はこれに対してどう対応するかということであれば、機能しない罰則はやはり補強しなければなりません。  行うことによって処罰を受けることがいかに自分自身の名誉だけではなく会社も深刻な状態に追い込まれるか、こういうことが明確にわかるように旧しなければなりません。  既に銀行局長、担当者にその検討の指示を申し上げております。官房長官にもお願いを申し上げ、与党三党、まず隗より始めよでありますから、第一党の自民党に対して速やかな検討をしてほしいと申し上げたところであります。  今後の検査監督の実効性を担保して、二度とこういうものが起き得ませんような体制をつくり上げますために、幅広い角度から積極的かつ速やかにこのことができ得ますように努力をいたしておるところであります。
  206. 山口哲夫

    山口哲夫君 決意はよくわかりましたけれども、国際信用にかかわる問題だけにはっきりしていただきたいのは、いつごろまでに法案を出す予定なんでしょうか、そこだけお聞きして終わります。
  207. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 本件は、国会の召集を決めますのは最終的には国会の判断で、召集権はもちろん内閣にありますけれども、いつも恒例により国会の要望を受けて内閣がこれを決する、こういうことでありますから、一番早い時期に行われるであろう国会に向けて準備を進めていると、こういうことであります。
  208. 山口哲夫

    山口哲夫君 終わります。
  209. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 次回は、来る六月十三日午後一時三十分から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十四分散会