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1997-06-09 第140回国会 参議院 行財政改革・税制等に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年六月九日(月曜日)    午前十時十六分開会     —————————————    委員の異動  六月六日     辞任         補欠選任      益田 洋介君     海野 義孝君  六月九日     辞任         補欠選任      岩井 國臣君     林  芳正君      吉川 春子君     須藤美也子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         遠藤  要君     理 事                 片山虎之助君                 倉田 寛之君                 永田 良雄君                 松谷蒼一郎君                 今泉  昭君                 広中和歌子君                 清水 澄子君                 齋藤  勁君                 笠井  亮君     委 員                 石川  弘君                 狩野  安君                 亀谷 博昭君                 久世 公堯君                 沓掛 哲男君                 斎藤 文夫君                 塩崎 恭久君                 関根 則之君                 中島 眞人君                 長尾 立子君                 林  芳正君                 保坂 三蔵君                 三浦 一水君                 宮澤  弘君                 吉村剛太郎君                 阿曽田 清君                 荒木 清寛君                 石田 美栄君                 泉  信也君                 岩瀬 良三君                 海野 義孝君                 小林  元君                 鈴木 正孝君                 浜四津敏子君                日下部禧代子君                 鈴木 和美君                 角田 義一君                 久保  亘君                 峰崎 直樹君                 須藤美也子君                 田村 公平君                 奥村 展三君                 山口 哲夫君    国務大臣        大 蔵 大 臣  三塚  博君        文 部 大 臣  小杉  隆君        農林水産大臣   藤本 孝雄君        国 務 大 臣       (内閣官房長官)  梶山 静六君    政府委員        内閣審議官    畠中誠二郎君        内閣審議官    白須 光美君        経済企画庁国民        生活局長     井出 亜夫君        大蔵大臣官房長  涌井 洋治君        大蔵大臣官房金        融検査部長    中川 隆進君        大蔵大臣官房総        務審議官     武藤 敏郎君        大蔵省主税局長  薄井 信明君        大蔵省理財局長  伏屋 和彦君        大蔵省証券局長  長野 厖士君        大蔵省銀行局長  山口 公生君        大蔵省銀行局保        険部長      福田  誠君        大蔵省国際金融        局長       榊原 英資君        文部大臣官房長  佐藤 禎一君        文部大臣官房総        務審議官     富岡 賢治君        文部省高等教育        局長       雨宮  忠君        農林水産省経済        局長       熊澤 英昭君        労働省労政局長  松原 亘子君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 久雄君    参考人        日本銀行理事   本間 忠世君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○金融監督庁設置法案内閣提出衆議院送付) ○金融監督庁設置法施行に伴う関係法律整備  に関する法律案内閣提出衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     —————————————
  2. 遠藤要

    委員長遠藤要君) ただいまから行財政改革税制等に関する特別委員会を開会いたします。  金融監督庁設置法案及び金融監督庁設置法施行に伴う関係法律整備に関する法律案を一括して議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 自由民主党の塩崎恭久でございます。  きょう、金融監督庁を新しくつくるということで御質問させていただくわけでございますが、冒頭申し上げておきますが、この法案には当然賛成をいたすつもりでございます。しかしながら、将来に向かっていろいろとまだ改善をしていかなきゃいけない点もあるなという気持ちを持ちながら質問をさせていただきたいと思うわけでございます。  去年の二月に金融行政を初めとする大蔵省改革プロジェクトチームというのができて、私自身もそのメンバーに加えていただいていろいろな議論をさせていただきました。その結果として日銀法改正とこの金融監督庁法案が出てきたわけでございまして、そういう意味大変感慨が深いわけでございます。  ちょうど今、野村証券の問題、そしてまた第一勧銀の問題とゆゆしき事態が起きて、我々としてもこれから新しい金融をつくり上げようというやさきにこういう問題が起きてくるのは大変残念であるわけでございます。  もともとビッグバンをやろうと橋本総理が考えられたのも、今の東京市場あるいは日本金融機関国際競争力が低下しているということに思いをいたしてあのような案を出してきているわけでございまして、私も昨年ヨーロッパに参りまして、ロンドン日本トップバンク一つ責任者お話を聞きました。  いろいろ海外で競争している彼らの発言を聞いて、つくづく今までの金融監督というものの性格というか、実態というものの本質を見たような、聞いたような気がするわけでございますが、もちろん自分たち努力不足というのも銀行側にもあつたと思うわけでございますが、その一方で、やはり新しい商品をつくったときには大蔵省にお伺いを立てて、大体まだかまだかと言って半年ぐらいたって、いいよと言われたときにはもう既に外国銀行が新しい商品を、似たようなものをつくっちゃっているというようなことをしばしば経験したというお話も聞きました。そういうことを繰り返しているうちに、だんだん新商品開発能力というものが邦銀に欠けてきたというか、そういうことを聞いて実は愕然としたわけでございます。  そもそも日本人というのは金融面において革新的ではなかったかということを考えてみると、歴史をひもといてみますと、例えば享保十五年、一七三〇年でございますが、大阪の堂島というのが今でもございますが、あそこに世界で最初の証券と先物の取引所堂島米会所というのが実は一七三〇年にもう既に世界に先駆けてできているわけでございます。  そういう意味で、日本人金融に対するイノベーティブな考え方というのは決してもともとなかったわけでもないわけであって、むしろ日本世界に先駆けてそういうものをつくったという意味では、本来はあったんだろうと思います。それが今こういうことになって、ビッグバンをやっても日本金融機関世界に勝てるところはないんじゃないかなんて外国から言われているという状況にまでなっているわけでございまして、そういう意味でこれからの金融監督というのは本当に生まれ変わらなきゃならないというふうに思うわけでございます。  前置きはこのぐらいにいたしまして、早速でございますが、これは金融監督庁法律には直接は関係ありませんけれども、この野村証券、それから第一勧銀の一連の不祥事、それから住専の問題、去年随分議論をいたしました。  こういった問題、これだけじゃありませんけれども、監督責任というものを大蔵省としてどう考えておられるのか、この辺についてまずお伺いをし、そして今後の検査監督方法具体的改善方針をどう考えているんだ。罰則を強化するとかいう話を聞いているわけでございますけれども、今の時点でどういうふうに考えておられるのかということを、特に監督責任の問題でお話を承りたいと思います。
  4. 三塚博

    国務大臣三塚博君) ただいま塩崎議員から、我が国歴史をひもときながら、なおかつビッグバンを目指して取り組む我が内閣与党皆さんの協賛を得つつ、また野党の皆さんの御理解を得て、ニューヨーク、ロンドン並みということを目指しておることはそのとおりであります。  しかるに、野村問題、第一勧銀問題、住専問題、大蔵責任いかんということであります。証券については証券等監視委員会を設置し、事前チェックから事後チェックというような監視行政に切りかえて成果を上げておると私は思うのでありますが、今度の事件処理もそういう点では、少ないスタッフではありますが、やり来ったところであります。よって、事実解明を明確にすることによりまして事後再発防止に万全の対策をとることが、証券委員会はもとより大蔵省として極めて重要な課題になってきたと思います。  当然、勧告あれば厳正に対処はかねがね申し上げてきたところであります。よって、今後捜査の事情、監視委員会勧告等を受けまして厳正に処分することは極めて重要でございまして、この教訓事後ビッグパンのシステムに生かしていかなければならないことだと思っておるところであります。  また、第一勧銀に関連いたしまして、総会屋ルールを外した融資をしたのではないかと。公共性社会性の強いのが金融機関でございます。大きければ大きいほど模範とならければならない今日でありますが、次々に報道される事実を聞いておるにつきましても、極めて遺憾のきわみでございます。ただいまのところ、大蔵としては検査対応に許されるぎりぎりの範囲でやってきたと私は報告を受けておるわけでありますし、そういう中で、報告をしないという疑惑が残って今解明が急がれておるわけでございます。よって、このような問題が今後に尾を引きませんように教訓として取り進めていかなければなりません。  いずれにいたしましても、引き続き事実関係については徹底的な調査を行うべしという指示を銀行局にいたしておるところでございます。捜査等状況を踏まえつつ、法令に従って厳正に対処をしていかなければならぬと思っております。  住専の問題、あれだけの騒動の中で可決、決定をされました。これは、金融機関というよりもリース会社、ノンバンクという名のごとく貯金をしない貸し付けと。こういうことの中で、責任逃れではございませんが、大蔵監督権の及ばざるところであります。しかし、金融をしているという意味ではそれではいかぬのではないかという御批判は率直に受けとめていかなければならぬと思いますし、金融監督庁がこれから御審議の結果としてスタートをさせていただくということになりますと、その中で何が行い得るのか、所管が違うものでございますから、また金融一つの形態ではありますが、金融機関としてのあり方ということで包括的にどう見るのかということは、今後の議論の存するところであります。  しかしながら、住専の問題として起きて公金支出をいたしたわけでございますから、最大の努力をすることによって回収をし国庫に返還をしていく、このことだけは厳しく問われておるところでありますから、全力を尽くしてまいりたいと思っております。  決して責任逃れではなく、この起きた事態に冷静に対処をしながら、今後、日本金融界がよみがえったと言われますように、捜査実態解明、それに基づいて対応をきっちりとしたものにつくり変えていかなければならないし、それと同時に、社会的存在公共性存在としての金融機関の自覚が第一にまたれるところかなと、こう思っております。
  5. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 今の大臣の御答弁は、事務方が恐らく御準備をされていた部分が多かったんではないかなと私は今思いました。大臣がみずからのお言葉で語れば、もう少し踏み込んでいただけたんではないかと私は思っております。それは皆さんもお聞きになっていて思うんだろうと思うんですけれども、やっぱり監督責任ということをどう考えるのか。つまり、今回の問題が起きてこれが監督責任があったというふうに、今の御答弁からは少し印象が薄かったような気がして私はならないわけでございまして、きょうはその問題が主ではないわけでありますから、あえてそれ以上はもう申し上げません。  ここにちょっとイギリスの、去年実は出されたレポートと、それからBOE英蘭銀行の出した検査監督改善提案というものがございます。これはもう御案内のように、例のベアリングス事件というのがございました。損害額が千三百億円ということで、たった一人のやったことでこのベアリングスというのがもうつぶれてしまいました。  それをきっかけに、イギリスの場合は英蘭銀行つまり中央銀行検査監督を現在はやっているわけでございますが、そこがアーサー・アンダーセンという公認会計士事務所並びにコンサルタントでございますけれども、そこに依頼をして、自分たち検査監督体制がどこが悪かったんだと、どうしてベアリングス社のような問題が起きてしまったんだろうか。それをぜひ徹底的に洗ってほしいということで、小一年かけて検討してきた結果がこの冊子であるわけでございます。  それと同じ日に、BOEとしてはこのアドバイスをほぼ全面的に受け入れる形で、検査官も約百人ふやす、それから組織も変える、それから考査のやり方も変えるということを去年の七月に提案をしているわけでございます。これはもうまさに自分たちのやってきたことは間違っていたと。したがって、どこが間違っているのかを見てほしいということを外の人に徹底的にやってもらって、もちろん考査に当たっている中央銀行人たちインタビューもやりましたし、それから銀行あるいは格付機関、いろんな人たちインタビューや調べた結果をまとめた提案であるわけでございます。  そのように、やっぱり間違ったものは間違ったものと認めて私はいいんじゃないかなと。そのかわり二度とそういうことは起こさないということの方がずっと大事であって、そのためには、今まで日本の場合でありますと、大蔵省なりの審議会で検討してもらって、そこから出てきたものを踏襲するという格好でありますけれども、しょせんは大蔵省の方が選んだ学者さんなんかがやってくるということで、もちろんいい提案を出していただきますけれども、なかなかここに書いてあるような厳しいことは出てきにくいんだろうと思うんです。  そういう意味では、私はあえて、これから公的当局検査もそうですし、それから外部監査、後で時間があれば聞きたいと思いますけれども、それから何を差しおいても、大臣今おっしゃったように第一勧銀野村証券そのものに問題が仕組みとしてもあるわけでございますから、こういうものについて外の目で検討してもらうということについて、これは実は通告をしていない質問なので、申しわけないわけでございますが、そういった外のレビューを受けるという提案についてどう思うか、もし構わなければ大臣にお答えをいただければなというふうに思います。
  6. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 国民代表である国会議員として、また院の権威のある委員会において質疑をされておりますことは当然重く受けとめまして、今後にそのことをどう生かせるか、相努めてまいります。
  7. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 ありがとうございました。  次に、財政金融分離についてというテーマに移りたいと思います。  ここに行政改革会議大蔵省から御説明をされたペーパーがあるわけでございますが、ここにいろいろ、財政金融に関する事務組織的な分離の意見についてどう考えるかということで、もう既にこの委員会でも随分いろんな議論が行われてきているわけでございます。この大蔵改革PTでずっとやってきた議論というのは、結局、とどのつまりは財政金融をどう切り分けていくのかという問題にたどり着いているんじゃないかなと思いますし、十二月にまとめました三党の合意というのがございますけれども、これに財政金融分離そのものについても明確にこれからの省庁再編の中でやっていこうということが唱えられているわけでございます。  当然、政党政治が基本でございますから、与党が決めたラインに従って政府も御検討いただかなければいけないというのが筋だろうと思うのでございますけれども、財政金融分離について、大蔵省、もう一回ごく簡単で結構でございますから、エッセンスだけ御説明いただきたいと思います。
  8. 武藤敏郎

    政府委員武藤敏郎君) 財政金融あり方に関しましては、我が国行政機構あり方の根幹にかかわるものでございます。大蔵省といたしましては、財政金融を一体的に把握いたしまして政策企画立案する組織というものが、まず第一に、G7等におきます国際的な政策協調への対応、第二に、通貨国庫というものが非常に制度的に関連しているという観点、第三番目に、二十一世紀、グローバル化高齢化が進展するという環境の中で、限られた資源を効率的に配分するという観点から、ますますそういう部門、組織存在というものが重要になっていくのではないかというふうに考えております。  ただ、いずれにいたしましても、本件につきましては行政改革会議において中央省庁再編あり方の検討の一環として大所高所から御議論をいただくものというふうに理解をしております。
  9. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 一口に財政金融と言うと、いろんな意味が、特に金融の方に含まれてしまうと思うんです。  総務審議官金融というのはどういうふうにお考えになっているんですか。
  10. 武藤敏郎

    政府委員武藤敏郎君) 金融というものについていろんな切り口があろうかと思いますが、御質問の趣旨に一番適切かなと私なりに考えます切り口で申し上げますと、金融というものには、金融政策金融機関検査監督、それから第三番目に、金融制度通貨制度企画立案、あるいは市場ルール整備といったようなものに分かれるのではないか、一言で言えば政策企画立案、それから検査監督というふうに分かれるのではなかろうかと。  政策の方、金融政策につきましては、御承知のとおり、今回の日銀法改正によってより充実、日本銀行独立性がきちっとされていく、検査監督については、まさに監督庁設置法によって今までのいろいろな問題に対して対応していく、企画立案大蔵省に引き続き残った内容になると、このようになるわけでございます。
  11. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 今の分類の仕方というのは、大体そのとおりだと思うんです。  金融政策というのは、マネタリーポリシーというわけで、マクロ政策であるわけです。それから、金融検査監督というのは、英語で言えばもうバンク・インスペクション・アンド・スーパービジョンとでもいうんでしょうか、そういうことだろうと思うんです。それを一つ言葉金融と言うと、何かみんな入っちゃって、財政金融は一体でないといけないということでずっと今まで議論してきましたけれども、今のようにお分けをいただければ、もう既に中央銀行を独立させるという意味で、金融政策という意味では財政とは離しますということを今もおっしゃったと思うんです。  それから金融監督についても、今回のこの法律財政当局から離しますと。  ただ、総理が、このアウトラインが決まったときに、細い糸で大蔵省とつながっているという意味で大変よかったんではないかと。私も当初そういうふうに思っておりました。ところが、その細い糸が本当は実は割合太いロープだったりするとこれは問題がいろいろ起きてくるわけでありますから、そこはこれからまだ議論しなければいけないと思います。  あとは通貨制度ということで、特に為替の問題とかあると思うんで、それをぜひ分けていただかないといけないと思うんです。  今の御説明では大体分けておられるわけでありますけれども、この資料の中では、結局最後にはやっぱり一体的に見ていかなければいけないというお話になっちゃって、せっかく今みたいな緻密なお話をいただいているのに、最後にまとめていないといけないということでありまして、それをなぜそういうふうに必要かというときによく使われるのが、G7の例でございまして、G7のときに、責任を持って金融財政の話をできない大蔵大臣はこれは国のためにならぬ、こういう話でありますね。  ところが、じゃ何のために大蔵大臣中央銀行が行っているのか、それはとりもなおさずマクロ財政政策を語れる大蔵大臣とそれからマクロ金融政策を語れる中央銀行の総裁が二人いて初めてマクロ金融財政政策を有機的に七カ国の間で話し合いができるということではないかなというふうに思うわけでございますが、これを見ていると、大蔵大臣が全部説明しないとこれは責任をとれない、こう書いてありますけれども、この辺はいかがですか。
  12. 武藤敏郎

    政府委員武藤敏郎君) 確かにちょっと言葉足らずであるかもしれませんけれども、私どもは個々の金融機関検査監督といったようなこと、あるいは公定歩合政策公開市場操作といったようなマクロ金融政策についてまで大蔵大臣が所管しないとG7対応できないというふうには考えておりません。  ただ、各国の大蔵大臣状況を見ますと、金融制度企画立案市場ルール整備といったようなことについては大体、これ一概に論ずるのは非常に誤解を生ずるのでございますけれども、大体大蔵大臣が何らかの権限を持っておって、G7では御承知のように、財政金融全般にわたる議論が行われているということを申し上げているつもりでございます。
  13. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 アメリカOCC通貨監督庁は確かに財務省の下にありますけれども、御案内のように、アメリカは大統領が通貨監督庁長官を任命し、そしてまた人事的にも全くつながりがないと。独立して運営をしているし、なおかつ法律面でその独立性を担保しているんですね。ナショナル・バンク・アクトというのがありまして、その中に、財務省OCC長官が行ういかなる規制の制定をおくらせたり妨げたりしてはならないということがはっきり書いてあるわけであります。  ですから、よく大蔵省が配る資料には、OCC財務省の一組織だ、こう書いてありますけれども、その中にあってこうやってきちっと切り分けをしているわけでありますし、さらに別の法律でもって、OCCは議会へ立法を働きかけたり、あるいは証言を行うに当たって事前財務省チェックや許可を受ける必要はないということが書いてあるんです。  ドイツの銀行監督局もほぼ似たような格好切り分けがされていて、人事的にも分かれておりますし、今度大蔵省ベルリンに行くときに、今ベルリンにある銀行監督局はボンに行くと。お互いに避けるようにして別々に行くというふうに実はなることになっておりまして、そこにあらわれているように、やっぱり今回の金融監督庁の問題も財政金融の間にどのくらいの距離を持たすかということが大事なんだろうと思うんです。  余り長々こればっかりやっていてもいけませんけれども、やっぱりそれは歴史が示していて、かつては例えば日本でも江戸時代に、あるいは西洋であれば王制の時代に今で言うファイナンスという言葉はもう金融財政も一緒くたにやってきたわけですね。ところがそれを一緒にしていると、インフレが起きたり、あるいは金融機関の腐敗が起きたりいろんな形が起きてくる。そういうようなことから歴史教訓として金融財政というものを分けてきたというのが私は今までの流れだろうと思うんです。ですから、ここで改めてまた一緒にやるということになれば、これは歴史の流れに逆らうか、あるいはこの間のバブルの反省を余りしていないか、どっちかじゃないかなという気がしてならないわけでありまして、きょうその話ばかりずっとしていてもしようがありませんからこのくらいにいたしておきたいと思いますけれども、やはりきっちりそこを分けるということをしていかなければならないんだろうなと。  企画立案大蔵省あるいは財務省に残すということ、一般的に大体そうだろうと思うし、私もそれはそれでいいと思うんです。ですけれども、あと少し質問させていただきますけれども、どこまでを企画立案というんだと、それを気をつけなければ結局もとのもくあみになって、橋本総理が細い糸でつながってよかったとおっしゃったのが、実は太いロープでぎりぎり縛ってしまうというようなことになりかねないということがあるんではないかと思うわけでございます。  そこで、この企画立案と監督庁の検査監督の分け方というのは、結局今申し上げた財政金融をどう分けるのか、あるいは財政当局金融監督当局とをどう分けるのかということにつながってくるわけでありまして、その問題としては例えば共同省令の問題、それから預金保険機構をどこが見るべきかという問題、それから人事の問題、随分いろいろと出ておりますけれども、そういう問題が全部入ってくるんだろうと思うんです。  それで、大きなやつからいけば、まず共同省令の問題で、もうこれは随分いろんなところで議論がされておりますからエッセンスだけを申し上げたいと思うわけでございますけれども、この共同省令はこの間林議員からも質問が出ておるようでございますが、なぜ全部共同省令にしなければいけないのかということを簡単にお願いいたします。
  14. 白須光美

    政府委員(白須光美君) お答え申し上げます。  議員御承知のとおり、現在、銀行法等の金融関係法におきましては、法律、政令、銀行施行令等々、これらの委任に基づきまして多数の条項にわたります省令が定められているところでございます。  金融監督庁は、これらの省令も含めまして、法令に基づいて検査監督という執行面の機能を担うわけでございます。省令の制定、改廃、これはルールを定めるということでございまして、基本的には企画立案という性格を有すると考えられるものでございまして、その際、執行面との整合性が重要ということで共同省令というふうにしているものでございます。  なお、省令につきましてはさまざまな規定がございます。その中で、主として検査監督のための手続を定めるものなどの検査監督上の必要性の高いものなどにつきましては、実際の制定、改廃に当たって監督庁が指導することになろうかと考えております。
  15. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 もし、共同省令をつくろうというときに、両方の考えがうまく合わないときにどういうふうにするかというルールについてはどうでようか。
  16. 白須光美

    政府委員(白須光美君) お答え申し上げます。  現実問題として申しますと、銀行施行規則とかそれぞれの省令が現にあるわけでございまして、それについてどういうふうに改正していくかというのがまず第一にある。もう一方は新しい法律、法令の大改正法律そのものの改正があったときどういうふうにやっていくかというようなことがあろうかと存じます。  これは幾つかのあれがあるかと思いますが、例えば法律などにつきましても、金融監督庁の方で検査あるいは監督をしていて、その際、改正等が必要じゃないかということで大蔵大臣と協議をする、連絡、連携するということもございますが、省令レベルということで申しますと、そういうことについてどうなのかということでお互いに話し合いをしていくということになろうかと存じます。  これについてはルールというお話でございますけれども、いずれも、もとより分離独立いたしました機関でございますが、内閣のもとにおきまして当然の連帯を図っていくべき組織でございますので、またその一方が金融企画立案、またもう一方が金融に関します検査監督の実務、これを行っていくということでございますから、それぞれその経験に基づく意見を尊重いたしまして適切な調整が図られるものというふうに考えておるところでございます。
  17. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 話し合うことで解決ができたり、内閣一つだからうまくいくんだというんだったら住専の問題なんか起きなかったと思うんです。  野村の問題にしても、第一勧銀の問題にしても、絶対に起きないはずですよ。そうじゃないからこういう問題をどうするのかということであって、先ほど来申し上げているように、財政当局金融の監督当局とをきちっと分けるということは、監督当局が自分たちルールの中でもうぎっちぎちの検査監督をやるんだということでありますから、そのくらいきちっとやればいいんですよ。  そもそも、全部共同省令である必要は私はないと思うんです。物によってはやっぱり根幹にかかわるようなものがあるかもわからない。ですから、そういうものは例の協議をするということで、新庁の長官が必要とあれば、信用秩序の維持にかかわるような問題のときには協議を大蔵大臣とするというのがありますけれども、それと同じように協議をするということにでもすればいいのであって、何でもかんでも全部やらなきゃいけないということではないと思うんです。  そもそも考えてみれば、確かに銀行法にぶら下がっているというお話がありましたけれども、法律というのは大体国会がつくるものでありますから、我々がこうだというふうに決めればできるはずでありますから、そこはやっぱりちょっと言い方がおかしいんじゃないかと思うんです。それはもう一回、どうですか。
  18. 白須光美

    政府委員(白須光美君) お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたが、それぞれのいわば主担当と申しますか、尊重されるべき分野を持ったものがあろうかと存じます。それにつきましては、それぞれのよりこれに近いものの意見というものは当然尊重されていくだろうというふうに考えております。
  19. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 結局、運用でしかやらないというお話でしかないと思うんですね。ですから、これは今の出てきている法律はそういうことになっていますから、衆議院の方の附帯決議でもそれについてのコメントがありますので、今すぐ変えられないのかもわからないけれども、しかしこれはやっぱり大いに問題があるところでありまして、これからまだ我々としてはぎつちりと詰めていかなきゃいけないことだろうと思うんです。  もう一つ、預金保険の問題も、料率が制度の枠組みだというふうにお考えなんでしょうけれども、例えばアメリカなんかは複数保険料率で九三年から始めているわけです。これはもうまさに監督のツールとして預金保険というものの料率を持っているわけであって、私はそういうことも大蔵省ではなくて、これは金融監督庁が見ていくべきことではないかなと。むしろそちらの方のマターではないかなというふうに思うんです。  確かに今財政資金が大分入っていますから、そういう意味では大蔵省のかかわりというのを否定はもちろんできませんけれども、やっぱり将来的にはこれは監督庁のマターだというふうに私は思いますけれども、その点簡単にいかがでしょう。
  20. 白須光美

    政府委員(白須光美君) お答え申し上げます。  現在御審議いただいております法案につきましては、金融機関金融事業を行います民間事業者、これの検査監督、これを監督庁が扱うという基本的な考え方に立っておりまして、そういう意味で、これの延長線上として行います適格性の認定等につきましては監督庁の方で担当する、また預金保険の御指摘の保険料率とか業務の範囲、これらは枠組みという観点から、これらの認可につきましては大蔵省企画立案というように仕分けをいたしているところでございまして、御指摘の例えば可変保険料率、これらを監督のツールとして使うというような問題につきましては、また現行の法制度ではございませんので、それは御指摘といたしまして拝聴させていただいたところでございます。
  21. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 何でもかんでも大蔵省がかかわってということではやっぱりいけないと思うので、例えば預金保険というのは、日本では何か公的なものだと思っていますけれども、実はヨーロッパに行って、フランスとかドイツの場合は、実は民間で出し合ってやっている、民間の自主的な保険なんですね。  ですから、アメリカの場合はFDICといって、財務省の中だけれどもきちっと独立した、さっきのOCCと同じような形のところでやっているわけでありますけれども、ですから、そういうふうに初めから決めつけないで、これからは余りくちばしを入れないということでありますから、もっと自由に設計を監督のツールとしてやれるようにした方がいいんじゃないかなというふうに思います。  そこで、もう余りやっていても時間があと五分しかありませんから次に移らせていただきたいと思います。  BISで今度マーケットリスク規制というのを来年の三月末までにそれぞれ達成しなきゃいけないということになっていると思うんです。  これに関連して、いわゆる金融技術革新というのをもう皆さんデリバティブズとかお聞きになって、何だか難しい言葉がたくさんあるなということを、私もよくわからないこともたくさんありますが、こういったことを理解できる高学歴の方が検査部でどれだけおられるのか。つまり、工学部とか理学部の大学院とか出ている人たち、こういう人たちは何人いるか、簡単にお願いします。
  22. 中川隆進

    政府委員(中川隆進君) お答えを申し上げます。  今委員御指摘のとおり、近年、デリバティブ取引等が随分ふえておりますし、そのチェック検査の非常に重要なポイントであるわけでございます。  御質問に対し端的にお答え申し上げたいと思いますが、工学部あるいは理数系を含めてそういう理科系の職員が私どもの金融検査部に何人いるのかという御指摘でございますけれども、現在、本省の金融検査部に理工系学部卒業者は四人おりまして、そのうち一名がいわゆる数学系統の学科を卒業した者でございます。  もちろんそれ以外の職員も、先日来申し上げておりますけれども、デリバティブ取引等の研修等に努めておりまして、海外の機関、大学あるいはシカゴにあります商品先物委員会、CFTC等に研修に行って知識あるいは技術の習得に努めております。また他局、銀行局等にももちろんこういう理工系学部の出身者はおりますし、そういう方々との協調をしながら事務を進めている、こういう現状でございます。
  23. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 今の人数を聞くと寂しい限りでありまして、外国の例を見てみますと、それこそ何十人という単位でアメリカでも、それから実は日本銀行でも何十人かのチームをもうつくってやっているようでございます。国際会議なんかへ行きますと、向こうは大体数学のPhDとか取ったのがデリバティブズのことをやっているということであって、このBISの新しい規制も、いわゆるバリュー・アット・リスク手法という大変難しい話でありますけれども、過去の価格変動から見て予想される最大損失可能額をリスク量として認識するという大変難しいやつでありまして、まさにコンピューターでないとわからない。これをリアルタイムで逐一見ていっているというのが今の最先端の銀行のやり方であって、これを理解するのは今回の第一勧銀のああいう不正を見抜けないのよりももっと難しいかもわからない、そういうことであろうと思うんです。  今四人おられるということでございますけれども、とてもじゃないけれども四人ではなかなかできないと思いますから、その辺はもっとたくさんそういう人を入れるか、それとも役割分担をして、例えば、よりマーケットに近い、私が出てきたから言うわけじゃありませんけれども、日銀にも協力をさせるとかそういうようなことも必要でありましょうし、その辺についてはどういうふうにこれからやろうとしているのか。あと時間がないので簡単にお願いいたします。
  24. 中川隆進

    政府委員(中川隆進君) お答え申し上げます。  今、委員御指摘のいわゆるバリュー・アット・リスク法あるいはベーシス・ポイント・バリュー法、いろいろな方法がございますけれども、大きな銀行委員今御指摘のバリュー・アット・リスク手法を使用しております。当然我々の検査におきましても、この金融機関がバリュー・アット・リスク法をどういうモデルでどういうふうにリスク量を把握しているか等はチェックの対象でございます。そのために、先ほど申し上げましたけれども、検査官の研修等知識のレベルアップに取り組んでいるところでございますし、今後とも当然でございます。これはもちろん不公正取引等のチェックも大事であります、資産内容のチェックも大事であります、いろいろありますけれども、今後はこのリスクの状況、リスク管理の状況の把握は極めて大事だということで、そういう認識のもとに努力をしてまいりたいと思っております。
  25. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 もう時間がございませんので、最後に一言だけ申し上げますけれども、結局、今回の野村や第一勧銀のような問題を見つけることは、犯罪行為でありますから大変難しい。それもありますし、今申し上げたような金融の最先端のこともなかなか難しいということであれば、やっぱり当局の検査と、それから一番大事なのはそれぞれの企業、銀行証券金融機関の内部の監査をどうやってやっていくのか、それと、あと外部の監査をどうやって活用していくのか、これは三位一体になってやらなければ私はできないことだろうなというふうに思います。  そういう意味でも、私は日本のこの検査監督体制あり方というのをもう一回中身を見直していく、それをまた外の人にも見てもらうぐらいの覚悟を持って、過去は間違っていても構わないからこれから間違わないようにしてもらいたいというふうに思います。  終わります。
  26. 海野義孝

    海野義孝君 平成会の海野義孝であります。本日は金融監督庁の設置法案等に関しましての審議でございまして、私の方から主要な点につきましてお聞きしたいと思います。  まず、本論に入る前に、昨年来、こうしたいわゆる金融行政改革といった問題等を含めて諸改革ということがクローズアップされてきたわけでありますけれども、これは大変遅きに失したと、このように私は思うわけでございます。今回のいわゆる大蔵省の改革問題、こういったことに手がつけられてきたということはそれなりにいろいろな問題が近年多かったと。そういうことが今回の一連の改革に結びつくというか、こういった作業を始めるぞということになったわけでありまして、そういう面で、バブルの崩壊以後の金融機関等の問題についてちょっと最初に本論に入る前にお聞きしたいと思うんです。  いわゆるバブルが崩壊しまして、その後、金融機関のいろいろな問題、経営破綻等の問題が出てきておるわけですけれども、主要機関の破綻した数、それからそれに基づく不良債権といいますか、その債務、こういったものが今日までどのぐらいあったか。これは一昨々年暮れの協和、安全信組の破綻以後の分で結構でございますけれども、これまでの件数とその総額、大体どのぐらいあるか。これ事前に申し上げていない質問でございますけれども、ごく一般的なお話ですので、概略をちょっとお答えいただきたいと思います。
  27. 山口公生

    政府委員山口公生君) 昨年の金融三法をお認めいただきました後に預金保険機構を拡充させていただきました。その後にかなりの破綻の数が出ております。  八年度でございますが、都合八件あったと記憶しております。それで、金額的に申し上げますと一・四兆円あったというふうに記憶しております。したがいまして、それまでは預金保険機構を使うような事態というのは比較的少なかったわけでございますけれども、昨年度あたりから相当な額に上っているということでございます。
  28. 海野義孝

    海野義孝君 どうもありがとうございました。  それと関連しますが、先ほど塩崎委員の方からも御質問等ありましたけれども、いわゆる金融機関銀行証券、保険、こういったところのいわゆる不祥事の問題というのが最近は明るみに出てきていると。これは内部告発によってというようなものもあるわけですけれども、こういった近年の金融機関の不祥事の問題、これの数、それからその内容、それからそれに対して具体的にどういう措置を大蔵省は講じられてきたか、あるいはまたこれから講じられようとしているか、そういった点について簡単に教えてください。
  29. 山口公生

    政府委員山口公生君) 今、手元に詳しい材料を持っておりませんので、概括的な言い方でお許しいただきたいと思うのでございますが、最近、銀行等におきまして内部管理はしっかりやっているはずでございますけれども、やはりその場におきましても、一行員が横領したとか、あるいは刑事事件になるような融資を行ったとかいうことが時々見受けられます。それから、海外におきましても大和銀行事件で話題になりましたようなこと、あるいは銀行が海外での検査資料を開封してしまったとかいう、言ってみれば大変に残念な事件も起きております。  その都度、私どもとしては、必要にありましては業務改善命令を出しまして再発防止とそれから同時に関係者の処分、及び必要でありますと事件のたびに捜査当局あるいは司法当局に必ず通報するようにというような指導を今いたしておるわけでございます。
  30. 海野義孝

    海野義孝君 また関連しますけれども、今回の大蔵省金融行政、その中でいわゆる検査監督、こういった部門を切り離す、独立させる、独立性を付与させていくと。他からのいろいろなそういう侵害といったものを極力防いで、独立した機関として検査監督行政をやらせていくと。その契機になったのは、私は直接は、バブル崩壊後の今いろいろと教えていただいた問題がありますけれども、やはり住専問題の処理の問題、これは大変大蔵省は不手際があったと。そういったことも含めて、最近の金融業界における不祥事に対する批判というのが大変強いということでありますけれども、金融監督分離ということについて直接の引き金になったのは何でありますか。その辺ちょっと教えてください。
  31. 武藤敏郎

    政府委員武藤敏郎君) 金融監督庁設置の議論の経緯は、御承知のとおり一昨年の十二月に住専処理問題につきましていろいろな最終的な結論を出す際に、金融行政あり方を見直すというようなことが与党政府において意見の一致を見ました。その後、昨年の二月以降いろんな議論を重ねてきたわけでございますが、私どもといたしましては、その際の議論の基本は、金融行政に対するさまざまな御批判、それは一つには住専処理に見られるような行政の不透明性といいますかそういう御批判でありますとか、あるいはいわゆる護送船団行政といったような事前の指導育成的な行政のあり方に対する問題提起、さらには国際的な問題が発生したことに対して必ずしも適切に対応しなかったといったような御批判、そういったさまざまな御批判が今回のこの議論の契機になっているというふうに理解する次第でございます。
  32. 海野義孝

    海野義孝君 簡単にお答えいただきましたけれども、ちょっとその点、いわゆる住専処理のやり方ですね。いわゆる預金者保護あるいは金融システムの維持、こういうようなことで財政資金を投入したと、こういうことになっているわけであります。この財政資金投入、つまり国民の重税をこういったものに、六千八百億円負担をかけたという問題は大変大きな問題であります。そいうスキームをつくっていく過程において大変決定の経過というのが不透明であったと、あるいはその具体的な根拠というか、そういったものが大変不明朗であったと、そういったことがやはり今回の一連の改革問題の大きな原因になっているんじゃないかと、そう思うんですけれども、その点についてもうちょっと御説明いただけますか。
  33. 武藤敏郎

    政府委員武藤敏郎君) 御指摘の、住専処理に対して公的資金を投入したという経緯についてさまざまな御批判がありますことは重々承知しております。ただ、この問題は、結局予算という形になりますので、広く国民の目に触れ、さらに議会での議論、御承知のような議論が行われた上で最終決定されたということでございまして、その当初の段階でさまざまな批判があることは重々承知しておりますけれども、その後はルールに基づいた議論が行われたというふうに理解する次第でございます。
  34. 海野義孝

    海野義孝君 そのとおりですけれども、むしろそういった点を、今後の金融行政の抜本的な改革という中で二度とそういった不透明というか不明朗な、国民にとっても大変わかりにくい、そういうような行政というものは断固廃止すべきであると。私は、我が国のそういった金融行政、こういったものがやはり国際的に見ましてもジャパン・プレミアムの問題とかいろいろな形で批判をされている、非難を受けているということにつきましては、ビッグバンを控えている我が国としましてこういったことを根絶していくということにやはり大蔵当局としては必死の努力をしていただかなくてはならないと、そう思います。  先ほど簡単にお触れになりましたけれども、もうちょっとお聞きしたいのは、時代の変化に明確に対応していく金融行政あり方といいますか、いわゆるフリー、フェア、グローバルといった三原則というか、三つのルールかと思いますけれども、これをもうちょっと詳しく教えていただけませんですか、その内容。
  35. 山口公生

    政府委員山口公生君) 今御指摘のように、金融行政時代とともに変わっていかなければならないということは私ども肝に銘じていくべきことでございます。  それで、金融行政をあわせた金融システム改革は大きな制度の改革であると同時に、金融行政のやり方、手法も変えていくべきだということだろうと思うわけでございます。例えば、従来のよく護送船団と批判される行政で、例に出して適切かどうかはちょっとわかりませんが、例えば店舗の行政というものをやっておりました。それは、大きな銀行だけがどんどん店舗、支店を出して、小さな銀行を駆逐してしまうというようなこと、つまり高度成長期にはそういうことが、自由競争の中では強者だけが生き残るということで店舗の調整ということをやっておりました。  それで、店舗を出したいという銀行が多うございますので、店舗の枠をとるということが最大の目標になっていたという時代もあったのではないかと思うわけでございます。  そうしますと、要らない店舗まで枠があるならとりたいというような発想が出てくるんではないかと。そうしますと、本来の自己責任で自分の銀行がどういう行き方をすれば一番立派な銀行になるかということを考えずに、行政のそういった流れの中でマキシマムなものを追求していくという志向になりがち。その点については私どもも十分にそういった副作用的なものも考えていくべきだったと思っております。  その後、一九八五年ぐらいから金利の自由化が始まりました。これは日米円・ドル委員会のころからでございます。日本金融市場というものが米国あるいはヨーロッパから非常に注目をされ、自由化がおくれているのではないかという指摘がありました。それで、我が国としてもやはりこれからは国際化に向けて積極的に制度を変えていかなきゃいけないということで、徐々にそういった行政からの脱皮を図っていったわけでございます。しかし、金融システムあるいは信用秩序を壊してはならないという非常にそういった危惧がありまして、徐々に徐々にそれをやっていったという面があるわけでございます。  そこで、最近に至りますともうそのグローバル化の動きというのは大変激しくなっております。  したがいまして、これからはむしろグローバルスタンダードで行くというような我が国の制度を少しずつ変えていくというよりは、もうグローバルスタンダードを見ながら変えていくという時代になってきたと思うわけでございます。  そうしますと、先ほど申し上げた店舗行政というようなものはもうことしから廃止いたしますし、それで新しいルールをつくる、あるいは早期是正措置という、客観的にこういった状況になればこういう措置をとるというようなことを明示しながら行政をやっていくという形に変えるわけでございます。  そうしますと、そこには自己規制も働きますし、それから与えられた条件の中で自由にできるわけで、新しいルールの中で自由に行動できるということになりますと、それこそ経営者の責任、そこで収益を上げるか上げないかは経営者の能力の問題になるわけでございます。そうしますと、今までのようにみんながやるからやらないと損をするというようなことではなくて、どこを生かし、どこを切り捨てるかというような経営に移行されるのではないかというふうに思うわけでございます。  よく護送船団方式から市場ルール化のもとでの金融行政への移行ということを私ども常々申し上げておりますけれども、具体的な例を幾つか挙げて申し上げますと、そういったことを期待していると。私ども、いろいろ過去のことを反省しながらやっていきたいというふうに思っております。
  36. 海野義孝

    海野義孝君 ちょっと今の点で、大分よくわかりますけれども。  もう一つ、国際的な整合性という問題。今もグローバルスタンダードというお話がありましたけれども、これはかなりこれまでの我が国の国際的にも問題になった金融の不祥事、こういったことの根底にあったんではないかと思うんですね。これは一九八五年ですか、プラザ合意、その前後、いわゆる日米円・ドル委員会設置、言えばあの段階からそういうグローバルスタンダードといいますか、国際的な整合性ということが当然重視されなくちゃならなかったんではないかと思うんです。  そういった問題が、一昨年ですか大和銀行問題というような形でやっぱり出てきたというふうな点から見ましても、国際的な整合性というものが大変欠如しておるという点がこれは今後やっぱり極めて重要な問題であると。まして、日本ビッグバン、こういった金融制度の大改革をやっていこうというためには、この辺のところを、よほどしっかりしたそういう考えを持って行政もしっかりしたものをやっていかないと、大変難しいんじゃないかと。これについてはいろいろな識者も大変心配しておる向きもあるようです。  その点でもう一度お聞きしますけれども、国際的な整合性の欠如ということについてはどういうことであったかということ、それに対しては、具体的にこれからの大蔵省の改革というか金融行政というか、そういった中でこの点はどのように考えてどう取り組んでいかれるかといった点についてお聞きしたいと思います。
  37. 山口公生

    政府委員山口公生君) お答えいたします。  例えば大和銀行事件、まだ記憶に生々しい事件でございますが、これの損失が大きく生じたということは、やはり銀行のリスク管理の問題がまず第一にあろうかと思うわけでございます。  それからもう一つこの関連で問題になりましたのは、それを何か糊塗しようとした、あるいは通報がおくれたというようなことだろうと思うわけでございます。ある意味ではそれは法に定められた、あるいはルールに従っていないということだろうと思うわけです。  その二点を考えますと、一つは、そういったリスク管理という内部管理が十分できていなかったんではないかという点。もう一点は、そういったルールとか法令を守るといういわゆるコンプライアンス、法令遵守精神といいましょうか、そういったものにやや欠陥があったんじゃないかというようなことがいろいろ私どもとして考えなきゃいけないことだと思うわけでございます。  そうしますと、国際的整合性からいうと、そういったところに私どもももっと力を入れるべき面があった。また、銀行自身もそういったリスク管理とコンプライアンスの徹底ということにもっともっと力を入れるべきであったんではないかと。  今回の第一勧業銀行事件でも同じようなことが言えるんではないかと思うわけでありますが、そういったものをより確実なものにしていくのがこれからの銀行行政等の、あるいは証券行政、保険行政もそうですけれども、目指すものではないだろうかというふうに思うわけでございます。
  38. 海野義孝

    海野義孝君 今の山日銀行局長のお話最後の部分でちょっとお触れになりましたけれども、いわゆる当局の行政という面での責任、こういったことがちょっと私は希薄じゃないかと思うんですね。  これは銀行のせいだとかいろいろ言われますけれども、あのときのいきさつについてはもう本にも著されておりますし、当時、私も大蔵委員、駆け出しでありましたけれども。やはりそういった事件を起こした銀行、それに対する監督行政に当たられる大蔵省、要するに指導というか、それに対する措置という問題、この辺も、蒸し返すわけじゃありませんけれども、大変不明瞭というか、そういう面があったんじゃないかと。  これ以上そのことを追及しませんけれども、私が言いたいのは、そういうような体質で改革に取り組むということは大変問題があると。まずその辺をやっぱり正すということが一番の原点ではないかと、こういうふうに思うわけであります。  いろいろな組織、そういったものをつくりましても、それが十分国際的にたえられるだけの機能を発揮するかどうかということになりますと、やはりそれは運営者の問題でありまして、もちろん市場規律、市場ルールにのっとって今後いろいろなそういう業者の業務が推進されていく、そういった中で行政は事後的に監督していくという部分が強くなっていくんではありましょうけれども、私は、そういう金融行政に携わっていらっしゃる当局の方々がまずその辺のところをやはり改革していただくということが基本ではないかと、このように思いますが、その点いかがですか。
  39. 山口公生

    政府委員山口公生君) 御指摘の点もよく十分に心してやっていきたいというふうに思っております。
  40. 海野義孝

    海野義孝君 そこで、本論に入りまして、金融監督庁の問題について申し上げたいと思います。  どういつだ形態の検査監督部門をつくっていくか、機関をつくるかという問題、これはいろいろと与党三党におきましても御検討をされてきた。  また、大蔵省の中でもプロジェクトチームをつくられていろいろ検討されてきたということでありますけれども、言われていたのでは、やはりかなり独立的なそういう機能を発揮できる行政組織法上の三条機関というか、そういったものをつくると。例えば金融委員会的なものというような考え方、あるいはそういうものはあったかと思いますけれども、これについては結果的には、言うなれば大蔵省からその部分は切り離しましたけれども総理府の外局という形になったということでありまして、この辺がどうも、当初のかなり独立性を持った抜本的な体制というものをつくるという面から後退したんじゃないかというふうに私は思うんです。  これは、いや後退していない、これで十分だということならいいんですけれども、これから先、行政改革、省庁の統合とかいろいろな問題が先行き避けて通れないというか、そういう大きな問題に取り組んでいく中で、今回のこういった組織というか、こういったものが果たしてこれでいいのかという点が私はちょっと気になるんですけれども、その辺のところはいかがですか。
  41. 畠中誠二郎

    政府委員畠中誠二郎君) お答えいたします。  新しい金融検査監督をつかさどる組織あり方の問題につきましては、先生も御指摘のとおり、昨年来与党三党においても種々御議論のあったところでございます。最終的には総理府に新たに三条庁として設置するという結論が出されたところでございまして、政府といたしましても、金融検査監督を担う組織と申しますのは、金融の問題につきましては国民生活とか経済生活に重要な影響を及ぼすものであるということで、内閣責任を持った、最終的に責任をとれる組織であるべきだということで、総理府の外局として金融監督庁という三条機関を設置することとしたわけであります。  それから、独立性の問題の御指摘でございますが、先ほども申し上げましたように、総理府の外局として設けることといたしておりまして、その長官内閣総理大臣が任命するということにしております。また、権限の問題につきましても、民間金融機関等に対する現行の大蔵省監督権限は、その検査、それから店舗設置の認可のほか、改善命令とか業務停止命令とか免許取り消し等の破綻処理に関する権限を含め、すべて金融監督庁に移されることになりまして、同庁は検査監督の専門的な行政機関として責任を持ってその機能を発揮していくことになるというふうに考えております。
  42. 海野義孝

    海野義孝君 今、ごく通り一遍の御説明だったと思うんですけれども、いわゆる金融監督庁構想と大蔵省との関係法案等を見ておりますと、どうもすっきりしない部分がいろいろあります。これは、日銀法の全面改正についても私も指摘しましたけれども、どうもすかっとしたものがない、切れ味がどうも鋭くないという感じがするんですが、監督庁の独立性という点について具体的にどのように担保されているか、その点、準備室としてはどういうようにごらんになっておりますか。
  43. 白須光美

    政府委員(白須光美君) お答え申し上げます。  先ほども畠中政府委員の方から申し上げましたとおり、金融事業を行います民間事業者等に対します検査監督権、これについては、すべての権限がそもそも大蔵大臣名義から金融監督庁の方の名義に基本的に変わってしまうということがまず第一でございます。  また、この金融監督庁という組織につきましては、金融関係企画立案等を行います大蔵省その他の経済官庁ということではなくて、総理府に三条機関としての庁ということで設置いたしまして、その長官内閣総理大臣がみずから任命する、そしてその長官内閣総理大臣が指揮し監督していくという形で、総理の指揮を受けました形で長官が軸となりましてその業務を行っていくということで、金融監督庁といたしましての検査監督事務の適切な運営、これにはもちろん独立性ということも含むわけでございますが、これが図られていくものというふうに考えているところでございます。
  44. 海野義孝

    海野義孝君 もうちょっと鮮明な、だれにでもわかりやすいそういう御説明がないと、何となく私は去年の住専国会でこんにゃく問答をやっているときみたいな気がするんです。やっぱりもっと変わっていかないといけないんじゃないでしょうか。  私は、金融監督庁構想の問題点、これについて一つ一つお聞きしたいと思います。  結論として言いますと、大蔵省がいろいろなところに顔を出すということでありまして、そういう関与という面が大幅に認められているような法案ではないかなという気がするんです。具体的に一つずつお聞きします。  要するに、総理府に外庁として金融監督庁を置くという構想でありますから、つまり、所管するのは総理大臣総理が、金融機関に対する業務の停止命令、免許の取り消し等に当たっては信用秩序の維持等に重要な影響がある、そのように認めたときはあらかじめ大蔵大臣と協議をする、こういうことになっているわけであります。これは、金融監督庁なるものは、長官総理が任命し、そして先ほどおっしゃったように独立性を与えやるわけでありますけれども、こういう信用秩序の維持等に重要な影響があるというここの部分、これはかなり拡大解釈もできるようなことになるんじゃないかというように私は思うんです。そういった点で、どの辺のところでこれはきちんと線引きをするというか、その基準というか、そういったものはいかがでございますか。
  45. 白須光美

    政府委員(白須光美君) お答え申し上げます。  まず第一に御説明いたしたいことといたしましては、破綻処理に関連いたします業務停止でございますとか免許取り消してございますとか、そういうことの権限というものは、これは内閣総理大臣金融監督庁長官のところにまずあるわけでございまして、また、その業務停止命令等の破綻処理に当たりまして大蔵大臣と協議をするということでございますけれども、これはこの業務停止の是非そのものを協議するというものではございませんで、業務停止をした場合に、これは現行法令のもとでの既存の方策、これによって対応するというのみでは御指摘の信用秩序の維持などに重大な影響を与えるおそれがあると、このように金融監督庁長官がまず認めたとき、そのときに監督庁長官御自身の判断に基づきまして、金融機関の万全を期するために、その制度の企画立案を担っている大蔵大臣対応すべき措置につきまして協議をするというものでございます。  つまり、もし協議がなかったということでございますとどういうことかということでございますが、長官は業務停止等の権限は持っているのでそれを行使すると、しかし、それに対して、現行法令のもとでの既にある方策というものがないということになりますので、そういたしますと方策がないまま業務停止命令をするのか、あるいはないから業務停止をしないで先延ばしをするのかというようなことになるわけでございまして、そういう点におきまして、いわばこの協議というものはむしろ金融監督庁の独自の権限を的確に行使していくというためにむしろ必要なものというふうに考えているところでございます。
  46. 海野義孝

    海野義孝君 今おっしゃった方策がないというのは具体的にどういうことなんですか。
  47. 白須光美

    政府委員(白須光美君) これは、要は現行の法令によります方策、これのみによってでは信用秩序の維持、これに重大な影響を及ぼすおそれがあるという場合でございます。何分にも信用秩序の維持ということでございますし、また現行のものでないという形でございますので、具体的にこういう場合ということを申し上げるのはなかなか一般的には申し上げにくいわけでございますが、一つはそもそも現行の方策がないということ、また信用秩序に重大な影響を及ぼすということでございますので、破綻処理等におきまして、破綻の規模、これらがかなり大きなもので、連鎖的あるいはそれ自身によりまして、国民経済また取引者等に重大な影響を及ぼすと、このように監督庁長官が判断したときということになろうかと存じております。
  48. 海野義孝

    海野義孝君 大変わからない法案なんですね。  信用秩序の維持に重要な影響があるという、つまり信用システムに大変な影響があるという。これは、要するに金融機関の破綻問題が起こってくると、あるいは金融機関の経営が大変厳しくなってきている、最近もそんな例がありましたけれども、そういうことですから、大体金融破綻というのはおおむね信用システムに響くということになるわけでしょうから、実質的にはやはり大蔵省がそういった場合に影響力を行使していくと、こういったことができるんじゃないかというような気がするんですね。その辺のところは監督庁との関係はどうですか。
  49. 白須光美

    政府委員(白須光美君) お答え申し上げます。  金融機関の破綻というものはこれまでにも、先ほど銀行局長が御答弁申し上げましたとおり、幾つかあるわけでございますが、それでございましても、例えばそれぞれのものについてすべてのものが金融システムに重大な影響を及ぼすというものではないわけでございまして、これまで予測して対応策を講じていたというものではいわばカバーし切れないようなもので、かつ極めて大きな影響をもたらすものということでございまして、破綻におけるいわば割合と申しますか、それは相当限られたと申しますか、基本的な考えといたしましては、監督庁長官または大蔵大臣等とできるだけ事前に連絡をとって事前対応策を講じていくということになれば、できるだけそういうものが出てこないように適切に事前に措置を講じていくことが、むしろある意味では大きな推移としてはまた望ましいところであろうというふうに考えているところでございます。
  50. 海野義孝

    海野義孝君 そうしますと、例えば、あれですか、連鎖倒産みたいな形で次々と金融機関が影響を受けていくというような大変大きなそういった問題になるということなんですか。あるいはアメリカの八四年のコンチネンタル・イリノイみたいな、いわゆるツービッグツーフェールというような、その辺のところをお考えになっているのか、その辺のところはどうなんですか。
  51. 白須光美

    政府委員(白須光美君) 連鎖倒産で次々とというようなことが起こり得るという場合につきましては、基本的には、第一義的には要件を満たすかと存じますけれども、それに対して既存の方策では対応できないという要件がもう一つ加わっているということかと存じます。  ツービッグツーフェールという問題につきましては、単にツービッグというだけでもってそういうことになるのかというのは、またどの程度のビッグでそれがどういう影響を与えるかということになろうかと存じますので、一言でツービッグツーフェールということを言うべきかどうかという点については、個々のケースで、連鎖でございますから重大な影響とか、そういうことで判断すべきことかと存じております。
  52. 海野義孝

    海野義孝君 じゃ、預金保険機構の問題でちょっとお聞きしたいんですが、この預金保険機構の監督ということでも大蔵省の権限、これをかなり大きく認めているんじゃないかと思うんですね。  資金援助によってこの預金保険機構の財務が悪化して信用秩序に響くと、こういうようなときにも、金融監督庁の最高責任者つまり首相は大蔵大臣事前に協議しなければならないと、たしかこういうふうになっていると思うんですね。監督庁を所管する立場とはいっても、総理大臣大蔵大臣事前に協議を義務づけられるというのは何かちょっと感じがぴったりしないんですね、私は。  要するに、総理内閣の最高責任者ですから、その方が金融行政担当の大蔵大臣に相談するかというか、事前に協議をするかと。要するに、それも信用秩序の維持等に重大な影響がある場合といった表現で事前協議の範囲を拡大解釈できるというような余地を残しているんじゃないかと。この辺、要するに大蔵省の関与を認めるというようなこの法案ですね、ちょっと問題じゃないかなと私は思うんですが、どうですか。
  53. 白須光美

    政府委員(白須光美君) お答え申し上げます。  二点あろうかと存じますが、まず第一点の内閣総理大臣大蔵大臣に協議するという点でございますが、この点につきましては、これは総理府の長と主任の大臣としての内閣総理大臣ということでございまして、内閣の長としての内閣総理大臣ということではないということでございまして、例えばこれまでにも国土庁あるいは科技庁その他の各庁の法令等において、そのような規定が設けられているところでございます。  なお、実際にはその協議は、これは今般御審議いただいております整備法の中の規定で、それぞれの協議につきましては金融監督庁長官総理から委任されまして行うということになっているところでございます。  次に、御指摘の預金保険機構の協議の点でございます。  これにつきましては、いわゆる適格性の認定という、預金保険機構が個別の破綻金融機関に資金援助を行いますときにつきまして、合併、営業譲渡等、これが資金援助をするにふさわしいというように認定する適格性の認定に当たっての協議ということかと存じますが、これにつきましては、そもそも適格性の認定は個別の金融機関状況を把握しているその検査監督の延長といたしまして金融監督庁長官が所掌するわけでございますけれども、御承知のとおり、預金保険機構の資金援助、これにつきましては適格性の認定があることが前提でございまして、適格性の認定が行われますと、次に特段の行政上の行為がなくて、預金保険機構の運用委員会におきまして援助の決定が行われるわけでございます。  しかりますに、極めてこれまた巨額の資金援助の必要性が生じたと。そして適格性の認定が行われたけれども、預金保険機構の運用委員会がこれを援助しようとすると、預金保険機構の財務内容、財務状況を著しく悪化させてしまうと。そうしますと、いわばそのセーフティーネットとして設けられております預金保険機構、これ自身がもうセーフティーネットとしてほころびちゃうというようなことになるわけでございますので、これはまさに信用秩序の保護という点につきまして重大な影響が生ずるおそれがある場合ということでございまして、ここにおきましては、特に機構の財務状況を著しく悪化させると、それによって預金保険制度自体の基盤が緩むと、でもって信用秩序の維持に重大な影響が生じるということで、かなりここの点には相当具体的に規定がなされているというふうに考えているところでございます。
  54. 海野義孝

    海野義孝君 私はまだ十分に理解できませんけれども、時間もあれですので、今度はまた監督庁構想の中で、独立性という問題では再三御論議もありましたけれども、いわゆる肝心の人事の問題、それから組織の問題ですね、こういった点が何か不透明というか、まだ明確になっていないと。  最近、新聞等では、夏ごろにかけて金融監督庁法案が通過すれば、その監督庁の機構、組織、スタッフ等々について、そのあらましが大体あらわれてくるというようなことがちらちら書かれております。今の段階では、要するに金融監督庁をつくった場合に、その長官をどうするとか、あるいはその機構図あるいは人事、もちろんこれ法案が通る前からと思いますが、私よくわかりませんけれども、要するに法案通らないけれども金融監督庁設立準備室、もう相当前に私のところにも名刺を持って見えまして、あれあれというようなことだったんです。これは通るということを前提にしてこういった準備室ができたのかというのもちょっとよくわかりません。  それで、大蔵省との人事交流という問題ですね。これは、私は原則禁止にすべきじゃないかというように思うんですけれども、この点は現状どういつだ御判断になっておるんですか。
  55. 畠中誠二郎

    政府委員畠中誠二郎君) 金融監督庁ができた場合に、大蔵省との人事交流をどうするかという問題でございます。当委員会でも種々御議論のあったところでございます。  まず、金融監督庁の所掌事務と申しますか、検査事務、それに基づく監督事務というのは、かなり専門性を要する事務であろうかと思います。したがいまして、そういう専門能力を持った職員をいかに確保するかということが金融監督庁の機能を発揮するためには極めて重要なことであろうというふうに考えております。  そういうことで、当初はそういう専門家を確保するという意味で、大蔵省から人員を、来ていただくということが実際問題として必要かというふうに考えております。その後、そういう人たち大蔵省との交流をどうするかという問題でございますが、この問題を考えるに当たって、先ほども申し上げましたように、そういう専門能力を持った職員をいかに確保していくかということをまず考えなきゃいかぬということと、また政府全体として、要するに縦割り行政を排除するために人事交流が必要だ、むしろ拡大しろというようなことも言われておりまして、その辺をいかに配慮するかという問題がございますので、私どもといたしましては全職員について一律に、そういう大蔵省から来た人は大蔵省に帰っちゃいかぬということを言うのは実際問題として無理じゃなかろうかというふうに考えております。
  56. 海野義孝

    海野義孝君 現在の金融監督庁を予定した設立準備室、これはどういったスタッフで、その中で大蔵省から何名ぐらい入っているんですか。
  57. 畠中誠二郎

    政府委員畠中誠二郎君) 金融監督庁設立準備室の体制についてのお尋ねでございます。  準備室の仕事は金融監督庁の設立を準備するということでございますが、もちろんその準備には所要の法案を準備するという仕事も含まれておりますので、実際上というのか、正式には昨年の十二月二十七日に発足したわけでございます。  体制でございますが、総勢三十名の体制でございまして、すべて弁当持ちと申しますか各省庁との併任ということになっております。  内訳でございますが、私ども準備室として、総理府の職員として一体として仕事をしておるわけでございますが、せっかくのお尋ねでございますので申し上げますと、大蔵省のほか、通産省、農水省、労働省、本府、総務庁との併任ということで、全体三十名のうち約三分の二が大蔵省との併任の職員となっております。
  58. 海野義孝

    海野義孝君 何か肝心なところについては余りおっしゃりたがらないということで、ますます何というか不透明というか、そういう感じがするんです。今の点についてひとつ具体的に、その準備室が何名で、それぞれの省庁がそれぞれ何名ということと、あわせてもう一つ、新聞等によりますと、いわゆる金融監督庁構想なるものは三百五十人ぐらいといいますけれども、この内容、具体的に大蔵省が何名というか、何割でも結構ですけれども、あと各省庁からどのぐらいという点、その辺もひとつ明確にしていただきたいと思います。
  59. 畠中誠二郎

    政府委員畠中誠二郎君) 別に体制を隠すつもりは毛頭ございません。総勢三十名の併任でございまして、通産省が三名、農水省が三名、労働省が二名、本府が一名、総務庁が一名、残り二十名が大蔵省でございます。  それから、定員の問題についてのお尋ねでございますが、これは委員も御案内のとおり、平成十年度の予算編成過程において、行革の基本を踏まえつつ、総務庁等と十分相談しながら詰めていく問題でございますので、現在その概算要求の形としてはまだまとまっておりません。ただ、その目安といたしましては、現在大蔵省において民間金融機関等に対する検査監督事務に従事しておる職員数は、精査を要しますが、証券取引等監視委員会を含めましておおむね三百名台でございまして、これが金融監督庁の定員を今後検討する上で、一応の目安になろうかというふうに考えております。
  60. 海野義孝

    海野義孝君 何か新聞報道等によりますと約三百五十名で、その中で九〇%強が大蔵省出身というようなことが言われております。これはある面では当然現在の金融検査部が分離され、そちらへ行くということでありますけれども、問題は、その大蔵省の大事に左右されない、つまり人事の独立性ということを確保するというような意味で自前のそういう人事担当部門、こういうものを持った組織にするということは当然かと思いますけれども、それは機構の中にはちゃんとあるわけでしょうか。
  61. 畠中誠二郎

    政府委員畠中誠二郎君) 独立した庁でございますので、自前の人事担当セクションと申しますかを設けるのは当然のことでございます。ただ、官房を設けることを今考えておりますが、その官房につきまして課の体制をどうするかということが問題になります。大きな省庁では官房、例えば三課とか四課とかいうふうに総務課とか人事課とか会計課とか、場合によっては秘書課とかいう体制のところがございますが、何分新しい庁でございまして、まずその新しい課を設けるためには、要するにそれ相当の組織を少なくしなきゃいかぬという政府全体の原則もございますので、むやみやたらと課をふやすわけにはいかぬということもございます。したがいまして、官房の課の体制をどうするかということにつきましては、そういう行革の基本を踏まえて今後予算編成の過程で具体的に検討していきたいというふうに考えております。
  62. 海野義孝

    海野義孝君 官房長官、記者会見を終わられてお戻りになったようですので、せっかくの機会ですから、私は初めてなんです、官房長官には。お聞きし在のですが、今のと関連します。  監督庁のスタッフ、監督庁ができた場合に、私は、独立のそういう機関ができるという機会に、もちろん大蔵省から大分スタッフが、金融検査部の方たちがそこに入られるということはわかりますけれども、そういった大蔵省出身者に偏らないで、例えば日本銀行であるとか経済界であるとか法曹界であるとか、幅広く人材を集めて、そういうまさに検査監督の機能を十分に発揮できるような、そういう体制というものをおとりになるんじゃないかと思いますけれども、その辺についての構想というか、その辺いかがでございますか。
  63. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 今までのお話を聞いておりまして、金融監督庁がなぜできなければならなかったかということを考えますと、大蔵省とはっきり一線を画すること、そして緊張感を持って透明な検査監督の業務を行うことに主軸があるわけであります。そして、現在その任務を行っているのは大蔵省銀行局であります。それ以外にその機能はございません。ですから、これを分離するということで思い新たな組織になって緊張感ないしは透明性を確保していく。先ほど来ほかの委員質問にも、金融財政も何もかも一緒くたにやっているところに今の混迷があるということもございましたけれども、金融のいわば行政の中も截然と二つに、いわば政策面と執行面を分けていかなきゃならない、こういう判断のもとに今回の金融監督庁を設立するわけであります。  片や、行政改革というか小さい政府というか、さりとてその検査監督部門はどの国を見てみても、特にアメリカなどは膨大な人員を抱えてやつているわけでありますから、これから先どういう必要性が生まれるかという問題はまた別な問題といたしまして、とりあえず今の大蔵省と完全に分離をした形で検査監督の機構をつくり上げる、そして、そういう思い新たに今までの大蔵省にいた方が金融監督庁に移っていただいて、検査監督の部門を所掌してもらうわけであります。一にかかって私は、初動作戦というか、それには金融監督庁長官になる方のいわば見識と手腕あるいは信用、こういうものがあずかって力が大きいと思います。その方を総理ともども今いろんな意味で、まだその想は全くまとまっておりませんが、国民の信頼とそういうものを行うに足る能力というか、そういうものを考えあわせながらこれから人選をいたし、その方が適正な、厳正な人事権を行使することによってできると思います。  ただ、専門の検査官をどこからどうやって補充、補給をするかという問題は大変大きな問題であります。今考えられるのは、大蔵省の今の検査の部門をそっくり引き継ぐ、そしてその中から補給をしていく。さらに、優秀な人間を養成していかなきゃならない。そういうことが何よりも大切であります。  それぞれ金融機関にはそれ自体に内部的な検査や監督の機構があるはずでございますし、また金融界自身もそういう問題に触れなければなりません。そうすれば、政府として行うべき金融の行政は、いわば企画立案の部門と検査監督の部門、いわゆる金融行政と言われるものを二つに分けて行うことであります。そういうのを考えれば、確かにそれぞれの専門職を調えることは大切であります。  今、私たちがというか総理とともに、まだ全然固まっていない問題でありますが、長官を選定すれば、長官からストレートに今までの行政のラインに結びつくということではなくて、何らかの顧問とか参与の制度をつくって、その方々は非常勤でも常勤でも結構でありますが、それは金融の方々、あるいは司法の方々、あるいは広報の方々、そういう方々から成るいわば広範な意味での、国民の信頼やそれから検査監督とはいかにあるべきかというものを常時検討し、そういうものが政策というか検査業務に反映できる体制を考えてみたらばどうかなということを、どうかなということをこの正式な委員会で言っていいわけではありませんが、しかしそういうことをイメージしなければこの問題は進んでまいりません。  大変難しい問題でありますが、長官大事に最大の配意を払い、そして若干の自由裁量権を与え、その中から今までのラインとしての職務に精励ができる専門職を導入し、さらに養成をし、さらに拡大が必要であれば拡大をするという手法をとっていかなければならないと考えております。
  64. 海野義孝

    海野義孝君 大分御丁寧にありがとうございました。  大蔵大臣にひとつまた教えていただこうと思うんですが、今回のいわゆる検査監督部門の分離という構想、これはこれとして大変重要なことであります。その辺の具体的な機構をどうするかという部分につきましては私とはやや違うような方向であるようでありますけれども、それはそれとしまして、今回のこういったいわゆる金融監督庁の設置構想、これもやはり大蔵省、いわゆる金融行政改革の私は第一歩と、このようにとらえるわけであります。  今後の大蔵省改革について、例えば省庁再編の問題等もありますけれども、いわゆるビッグバン、こういったことの一環としても当然この問題は考えられるわけです。この点、大蔵大臣、今後の大蔵省の改革のスケジュール、これについては大臣のお立場でどのようなお考えをお持ちか、現在御発表できる範囲でひとつお聞きしたいと思います。
  65. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 金融改革は、御指摘のとおりいわゆる日本ビッグバンヘのスタートをできるだけ早くと、こういうことで二〇〇一年を完結年に完成をした形の姿をつくり上げたい、こういうことで外国為替法を御案内のとおりフロントランナーと位置づけさせていただきました。そして日銀法、日銀に開かれた独立性ということで、特に政策の透明性が明確に担保されていくようにしていきたい、人事権に政府の側からの介入は遮断をしていく、こういうことなどが行われてきたところであります。そして金融監督庁、執行面の独立を完成することによりまして、検査監督独立性がそこに完成をされていくことによって、公共性社会性の高い金融機関それぞれがみずからの自己責任と自律の中で期待にこたえていくようにしなければならない。  これが完成をしていくことによって、国民のため、また国益、そして大きくは国際社会、今日の時代でございますから、協調体制をつくりながら、いやしくも日本初のマクロ経済の失敗、特に金融システムの大混乱を起こさないように全力を尽くしていかなければならない。そういう点では、国際化時代対応することでどうあるべきか、隗より始めよということで三法案がスタートを切っておること、御案内のとおりであります。  どうぞ、海野先生、大蔵委員でもあり特別委員ということで御審議を賜っておるわけでありますが、深い理解を得たいと思う次第でございます。  そういう中で、大蔵改革をどうするのかということでありますが、金融面における体制をつくり上げることができ、法律が制定をされますれば、法に基づいて新機関がつくられ、それぞれが独立性を持って前に進むということになります。そういうことをにらみながら、全体の機関は金融庁ということで、御案内のとおり銀行証券が一体化をいたしまして、企画立案という方向の中で……
  66. 海野義孝

    海野義孝君 金融局。
  67. 三塚博

    国務大臣三塚博君) はい、やられると。これは国会終了後になるのかなと思っております。  もう一つ大事なことは、金融関係審議会、大変御勉強、御研究をいただいております。今週末にでもぜひ答申をいただきたいものだとお願いを申し上げておるところでございまして、全体を見て、国内的、国際的な観点から、また金融あり方の基本的な点について御論議をいただいておると聞いておりますので、これが出てまいれば、直ちにやれるもの、法令をもってして行い得ないもの、二つの分類がなされると思います。直ちにやれるものは直ちにやれるように行政的措置を講じていかなければなりません。法令は、次の国会以降通常国会までの間に提案を申し上げ、御審議をいただく、こういうことになると思います。
  68. 海野義孝

    海野義孝君 私がお願いしたがった点とは若干御答弁があれなんですけれども、検査監督というものを分離するということで、その後いわゆる銀行証券局、これを合体して金融局をつくる、こういうあれがありましたけれども、要するにその先ですね。金融行政改革という中で、いわゆる企画立案部門というのを最小限のものにして、これは監督庁に移管していくという方向じゃないかというように私は思うんです。そして、要するに現在大蔵省の中にそういう金融局を残すということは金融行政の二元行政というような感じに私はとるんですけれども、私の考えがちょっと間違っているのか、このままでいいんだということなのか。  私は、大蔵省改革の先にあるものは、そういった企画立案関係というのは金融局に残されるわけですけれども、だんだんグローバルスタンダードになっていった段階、市場ルールに基づいてそういったものを事後的に監督していくといったことがだんだん強まっていくというような中において、この企画立案部門というのは最小限のものになっていくんじゃないかなというような感じがするわけです。将来そういったものが合体していくとかそういうような構想というもの、いわゆる省庁再編というような中で、私に言わせれば現在の大蔵省は要するに財政部門をやる、こういうようなことになっていくんじゃないかということ、その辺のことをお聞きしたがったんですけれども、その点で何かあれば。
  69. 三塚博

    国務大臣三塚博君) これは、昨年の二月から年末までの間、特に与党三党、これからの金融政策あり方住専の反省の中で行われていたことは御案内のとおりでございます。  そういう結論として、機能分担を明確にすることで緊張感が生まれ、よりよい金融政策が前進するであろうと。こういうことから、特に今御審議をいただいておる金融監督庁にすべてこの分野を委任する、そして効果を上げていただくと。同時に大蔵省には、省としての行政機関の中核としての企画立案部門の政策決定というのがあります。  これは、一国独立で、完結型で独立して物事が行われていくという世の中でなくなったものでありますから、国際的な視野、そして国際協調の中のG7でありますとかIMFでありますとか、いろいろあります。こういうことの中で、我が国がどうこれに取り組んでいくことが国益のためになり、そして国民のためになり、ひいては世界経済の安定と平和になり得るか。国是に基づいた執行が行われるということになりますと、やはりそれは基本的な政策ということになりますから、企画立案部門が強化の中で合体の中でつくるべしという決定がなされ、内閣もこれをもってそうすべきであるということでありますから、その分類の中で緊張感を持ちながら整合性を絶えずつくり上げるお互いの努力の中、お互いの努力の中でありますが、独立という基本を踏まえて取り組んでいかなければならない、こういうことであります。
  70. 海野義孝

    海野義孝君 それでは最後にもう一問、大蔵大臣に御所見をお聞きしたいと思います。  日本ビッグバン、つまり金融制度の改革、この成功の前提条件というか一つの試金石として今回こういった監督庁構想というものが明確になり、これを審議中でありますけれども、日本ビッグバン成功の前提条件としての透明な金融行政を確立していくということについての大蔵大臣の御所見を最後にお聞きしたいと思います。
  71. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 透明であることはまさにその機関が信頼をされる大前提でございます。よって、それぞれの機関はその基本を根底に踏まえながら公正無私に努めていかなければなりません。  しかし、役所の機構が全力を挙げてやりましても、それその民間機関、この場合は金融機関でありますが、金融機関の持つ使命感、また公共性、果たさなければならない役割、また最低限心がけなければならない倫理観というんでしょうか、社会観と言ってもいいんでしょうか、そういうものがきっちりと保たれておりませんければどうにもならぬことでありまして、今までのように護送船団で安座をし、そのことを聞いておればどうにもうまくいくのだというような安易感から脱却をするという意味で、今次の不幸な事件を乗り越える教訓としてみずからの責任で行っていかなければならないというその危機感をしっかりと持って今後の運営に当たる、すべて自己責任の原則の中でこれらが行われていくようにしていかなければならない、省みてそのように思います。  賢明な日本人でございますから、過ちを二度と繰り返すことはないと信じたいのでありますが、しかし、そのことでまた起きると日本の信頼がアウトになりますから、万全の対策をつくり上げていくことに全力を尽くします。
  72. 海野義孝

    海野義孝君 ありがとうございました。
  73. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 午後一時十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時十二分休憩      —————・—————    午後一時十一分開会
  74. 遠藤要

    委員長遠藤要君) ただいまから行財政改革税制等に関する特別委員会を再開いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  本日の議案審査のため、日本銀行理事本間忠世君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  76. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 休憩前に引き続き、金融監督庁設置法案及び金融監督庁設置法施行に伴う関係法律整備に関する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  77. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 平成会の岩瀬でございます。  各委員の先生方から多方面にわたります質疑がなされておりますのでダブる点があろうかと存じますけれども、できるだけ避けて行いたいと思いますが、その場合は御容赦をいただきたいと存じます。  初めに、二、三総括的なことをお伺い申し上げたいと存じます。  財政金融研究所というところでのリポートで「バブル経済の発生は財政再建を最優先して内需拡大や円高抑制のために金融政策に負担をかけ過ぎたのが一因」と、こういうようなリポートも報告されておるところでございます。バブルの発生そしてその崩壊と、経済社会に大きな傷跡を残したわけでございますし、またその過程で多くの国民の批判もいただいたようなところでございます。その間、指導、対応というような面で大蔵省解体論だとか財政金融分離論等のいろいろな議論がなされたわけでございます。  そういう中で総理府におきまして、行政組織法三条に基づく機関としての金融監督庁の設置になったわけでございますが、大蔵省企画立案部門、金融監督庁検査監督部門を有することになったということでございます。ただ、このことは、分けたということだけではない意味があろうかと思うわけでございます。今までの歴史の過程においていろいろな行政改革が行われましたが、単なる縮小を図るというような観点であったわけでございますけれども、今回は、金融の自由化、国際化に伴いまして行政改革ということになるわけでございますし、またその中での金融行政あり方を示すものだろうというふうに思うわけでございます。  そういうような考え方の上に立ちまして、今後大蔵省はどのようなスタンスと申しますか考え方で金融行政に臨まれようとしておりますのか、大臣に御所見をお願い申し上げたいと存じます。
  78. 三塚博

    国務大臣三塚博君) ただいま基本的な腹構えについての御質疑でございます。  岩瀬議員既に御案内のとおり、大きな国際潮流があります。それを見詰めてビッグバン三原則を掲げてスタートを切らせていただきました。それと、国内的に行財政改革を中心とした六つの改革が提唱されておる昨今であります。スリムな行政体、機能する行政体、そして国民の税金を大事に使わせていただくことにより財政再建の基本をしっかりと進めていきたい等のことであります。  そういう中で大蔵改革でありますが、御案内のとおり大蔵省全般にわたって関係があるわけであります。それは歳入と予算編成という基本的な命題に忠実にこたえるということでありますとそうならざるを得ない、巨大であるのではないかというので行政改革が今検討が進められておると、率直に言えば、金融財政分離独立が新しい行政体のあり方ではないのかという論議が行われておるところであります。本件につきましては、十一月末に最終的な方向性が示されるものと思っております。  そういう中で大蔵改革は、今回の金融三法、一つ総理府所管でありますが、密接に関連をするという過渡期の移行期の課題を抱えておりますから、純粋に総理府に置かれる、そして主管大臣内閣総理大臣が兼務をするという画期的な役割の中で取り進められておるわけでございます。執行面の企画立案検査監督の両面にわたって分離が行われ、緊張感を持ってそれぞれの定められた目標に誠実にこたえていくということになっておるわけでございまして、決められたことを誠実に行ってまいるのは政府官庁として当然のことでありますので、全力を尽くしておるところでございます。
  79. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 今のお話でまだはっきりしない点があるんですけれども、言うならば金融行政というものについてもう少し財政と離れた形で、大臣は両方所管されるわけですけれども、ひとつそこら辺の認識をというふうな感じで申し上げたわけでございます。  歴史が示すように、金融はどちらかというと財政に従属されているような形で来ておるわけでございます。これはいろいろな例がかつて挙げられておりますので私からは省略しますけれども、そういう中で、金融サイドからの意思決定、財政による主導ではないよと、そういうようなものもまたあってしかるべきだろうというふうに思うわけでございます。例を出すまでもなく、ドイツの中央銀行や米国のFRBの動き、これなども我々十分に参考にしていかなければならない問題だというふうに思っておるわけでございます。  そういう中で今度のビッグバン、今までの保護、指導行政から市場性を持ったものに持っていこうというような考え方でございますので、今までの反省に立って財政に対してどのような金融行政というものを大蔵大臣として考えの中に入れて運営していっていただけるか、その辺のところをひとつお願いしたいと思います。
  80. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 御指摘のように、金融面におきましては抜本的に見直すということの中で取り組ませていただいております。すなわち、デリバティブ等の業態間にまたがる金融サービスの出現や金融市場グローバル化など、新たな課題に的確に対応していかなければなりません。基本は自己責任原則の徹底、金融市場の基本的なものでございますから、市場規律の十分な発揮を基軸とする透明かつ公正な金融行政への転換を期していくことが極めて重要であると考えておるところでございます。  そういう中におきまして、金融行政改革によって金融システム改革の実施が行われ、同時に経済及び国民生活にとって基盤とも言うべき我が国金融証券市場の活性化に貢献をしていかなければならない。  問題は金融財政金融金融として独立を期すべきだという視点であります。自己規律ということと市場原理の中で作用、機能を果たす、こういうことであればそうでございます。よって、日本銀行法は物価安定、インフレなき持続的成長を期するという国民生活の根幹にかかわる基本的命題に誠実にこたえていく、金利は日本銀行の専管である、こういうことで明示をいたしたところはそういうことであります。  同時に、貿易立国ということだけではなく、国際化の進む中における日本の立場からいたしますと、安定した為替レートというものがその国のインフレなき持続的安定成長という金利の面、物価安定の面における目標と、それと財政当局として大蔵大臣として為替の安定のために全力を尽くしていく、両々相まちまして、国民生活の安定向上、また国の安定と、こういうことに貢献をするということで、独立機関ではございますが、絶えずの連絡、連携があるわけでございますから、相手の権益を侵すことなく協調体制の中で行っていくというのは複雑な国際社会の中において極めて重要なことである、このように考えております。
  81. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 財政は非常に動いておるわけでございまして、財政の行き過ぎ等があることはもう歴史の過程で示すところであります。そういう中でいつも国民生活が犠牲にされるわけでございますので、金融の方のサイドからがっちりそれをフォローしていただく、そういう視点もお持ちいただいてはというふうに思うわけでございます。  それからもう一点、時を今回じくして、別の委員会でございますけれども、日銀法改正議論されておるわけでございます。日銀もそういう金融サイドの大きな一角を担っておるわけでございますし、また特融の面、考査の面でも日銀はかなりの部分を占めておるわけでございます。  ただ、今回の金融監督庁設置法案を見ますと、そういう日銀との関連、関係、こういうものを想定しておるのかなという点があるわけでございますが、法をつくる立場に立った場合そういう視点が抜けていたんじゃないかというふうに思うわけでございます。つくられた総理府の方のそういうお立場でのお考え、これを示していただきたいと思います。
  82. 白須光美

    政府委員(白須光美君) お答え申し上げます。  現在、御審議いただいております金融監督庁設置法施行に伴う関係法律整備に関する法律は五十八条の条文があるわけでございますが、その一番最後の第五十八条におきまして、別途御審議いただいております改正日本銀行法案につきましての改正と、またその改正という措置をお願い申し上げているわけでございます。  そのうちの重立ったものといたしましては、まず検査考査関係でございますが、今般の改正日本銀行法案におきまして、考査資料につきまして日本銀行大蔵大臣から要請があった場合にはこれを検査等に役立てるために見せることができるというような規定を置いておりますが、これを金融監督庁の方へ置きかえる、すなわちこれによりまして検査考査の間の連携を保ちまして情報交換の、現在でも情報交換は図っておるわけでございますが、より一層円滑な連携を図っていくということが一つでございます。  また、信用秩序の維持に資するための業務、いわゆる従来の日銀特融というような問題でございますが、これにつきましては大蔵大臣金融監督庁長官との協議等に基づきまして、いわゆる日銀特融につきまして日本銀行に要請する。また、このいわゆる特融以外に一時的なシステムの故障とか、そういうようなことによります日本銀行が独自に行います一時貸し付けというのがございますけれども、これは急いでやらなきゃならないものでございますので、これにつきましてありましたときには大蔵大臣に届け出るとともに金融監督庁長官に通知するということで、それぞれ連携、連絡の規定を設けているところでございます。
  83. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 受ける方は同じところが受けるということになりますので、後でまたその点に入らせていただきますけれども、ひとつ日銀と連携をとりながらの効率ある対応をしていただければというふうに思うわけでございます。  それでは、法案の方に入らせていただきたいと存じます。  まず、検査考査関係でございますが、バブルが始まり、バブルがえらいいろいろな影響を金融機関にも与えておるわけでございますけれども、このバブルのとき、またバブルを経過しているときも通常な審査体制が行われていたと思うわけでございます。銀行それから金庫、規模によりましてその期間は違いますけれども、二年に一遍とか一年半に一遍とか、そういうような検査考査が行われておったと思うわけでございます。  そういう中で、検査機関はいろいろな貸出額の非常な伸び、こういうものも当然把握しておったと思うわけでございますし、その中で担保が不十分であるというようなことも、これは推量でございますけれども、恐らく何かつかんでおったんじゃないかと思うわけでございます。つかんでいたけれども、要はそれが金融行政財政を判断するところまでなかなかうまく円滑にいっていなかったんじゃないか、こんなふうに思うわけでございます。  まず、検査部門においてはバブル期にどういうような兆候を把握していたのか、その辺のところをお答えいただきたいと存じます。
  84. 中川隆進

    政府委員(中川隆進君) お答えを申し上げます。  いわゆるバブル期に限りませんで、従来から私どもの検査では金融機関におきます健全な融資体制といいましょうか、具体的に言いますと、その融資に際しまして融資審査をする、あるいはもし不良化した場合に事後管理をする、担保等の管理あるいは回収をすると。そういう体制の整備がどうなっているかということにつきましては、重要なチェックポイントであることは言うまでもないわけでございます。  特にいわゆるバブルの当時でございますが、土地、株価は右上がりの中で、金融機関のみでなく社会全体一般的にそういう安易な業容拡大主義という傾向があったわけでございますが、金融界につきましても不動産業やノンバンク等の特定業種へ融資が偏重していないかどうか、土地関連資金や財テク資金等が数多く融資されておったような状況でございますから、これらの融資に対します今申し上げました審査管理体制あるいは回収可能性、担保の状況、融資先の成長性、回収の確実性といった点等につきましてこれをチェックし、問題があるという場合には当然のことでございますけれども、個々の問題あるいは全体的な問題について指摘をしていたということでございます。  もちろん、検査でございますから、個々の融資がいいとか悪いとかということではなくて、全体的な金融機関のそういう融資姿勢、審査管理の体制といったことについては十分に指摘してきたつもりでございます。
  85. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 もう少し具体的にお願いしたいんですけれども、そのころの貸出額の対前年度伸びがかなり通常の状態より激しかったんじゃないか、結果的に見てそうなんですけれども、そういう数値を持っていたんじゃないか、そういうふうに思うわけでございます。また、担保につきましても、どれくらいの確実性を持っていたというようなことが把握しておらない、そういうような検査ではまた意味がないんじゃないか、そういうふうに思うわけですが、その辺のところの伸びとかそういうものの把握はいかがでございましょうか。
  86. 中川隆進

    政府委員(中川隆進君) お答え申し上げます。  金融検査におきましては、個別金融機関の、今申し上げましたような融資の管理、審査管理といった状況については問題があれば当然指摘をするわけでございます。ただ、このバブルの時期、いつからバブルかということでございますけれども、なかなかそれはいつからいつまでというのは難しいわけでございますが、一般に社会的にいろいろ問題になりました。土地関連融資の総量規制等が行われておりますのは平成二年になってからでございますけれども、それ以前におきましても個々の状況については今申し上げましたように指摘しておりますが、全体的に幾ら融資がふえ、土地関連の融資がふえているといったことについて検査で個々の金融機関に問題を指摘すると、こういう検査のやり方ではないということを御理解いただきたいと存じます。
  87. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 今の御答弁でもちょっと答えが出てこないんですけれども、当時貸出額の総額が幾らで、対前年度伸びが幾らだというようなことがこれはもう当然数値として出てくるわけで、一行一行じゃなくて全体を聞いているわけですから出てくるわけです。  たまたま私、銀行局検査部長の書かれたものをちょっと見たのですけれども、その中で、八九年、これはバブルの活発な、利子が二・五%でずっと長い間そのままで貸し出しをしたときでございますけれども、貸し出しの内容が各業態とも非常に改善されて、目に見えて資産内容がよくなっていると、こういうような認識であったわけでございます。これはだれしもそんなに責められる話ではないわけですけれども、一つはこういう認識をされておるわけでございます。  されておりながら、これはバブルの初めの方だからいいのかもしれませんけれども、バブル期に行ってもそういう認識がとれなかったというようなことじゃないかと思うわけでございます。そういう意味で、バブルについての、一つ一つ銀行ということも大事なんですけれども、全体的把握をしての経済情勢ということも検査部として必要なことなんじゃないか、そう思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
  88. 中川隆進

    政府委員(中川隆進君) お答え申し上げます。  委員の御指摘でございますけれども、私ども検査に参りまして、検査は、先ほど委員も御指摘でございましたが、二、三年に一度、個別の金融機関に入りまして、いろいろ融資の面あるいはその他の経営全体についてのしぶりの面をチェックするわけでございます。全体的な融資、国全体の金融機関の融資がどうであるとかというのは個々の金融機関検査の中で、もちろん全体は無関係とは申しませんけれども、これを検査で指摘をし、問題提起をするというのはなかなか難しい面がございます。  ちょっと先ほどの議論に戻って恐縮でございますけれども、昭和六十三年から平成元年当時、例えば私どもは、本省の場合年間大体数十行に検査を、都市銀行、長信銀、地銀、第二地銀等に参るわけでございます。その中で、例えば昭和六十三年をとりますと、約六割の金融機関につきまして審査管理の充実強化、徹底等について問題点を指摘し、改善を求めたということでございますが、これは個別の銀行のことでございまして、国全体の話について検査部が云々をするというのはなかなか難しいという状況を御理解賜りたいと存じます。
  89. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 それじゃ話題を変えまして、先ほど御答弁もいただいた中でございますけれども、日銀考査日銀法改正というようなことで考査が法定化されたと、こういうことでございます。  ただ、考査対象、これは金融機関等でございますので、その見るところ、視点は抽象的に言えば、経理、法律関係等いろいろあろうかと思いますけれども、見る内容はそんなに違ってくるものじゃないんじゃないかというふうに思うわけでございます。  その日銀考査大蔵検査では重複されているところがあるのか、それとも重複は余りないのか、そこら辺のところをお話しいただきたいと存じます。
  90. 中川隆進

    政府委員(中川隆進君) まず、検査の立場からお答えをさせていただきたいというふうに存じます。  大蔵省検査は、たびたび御説明申し上げておりますけれども、銀行法等に基づきまして免許を受けた金融機関すべてにつきまして信用秩序の維持、預金者の保護等を図る観点から個々の金融機関の経営の健全性、業務の適切性等、幅広い観点から検査をしているものでございます。そういうことでございますので、検査の内容は資産内容だけではなくて、営業姿勢あるいは法令の遵守状況等、金融機関の業務全体についてすべて検査をしているということでございます。  他方、日本銀行考査につきましては、後ほど御説明あると思いますが、行政機関ではないということでございますから、金融機関等を監督し是正を求めるという観点からではないわけでございまして、取引先金融機関等との任意の契約に基づいて行われるものでございます。  したがいまして、日本銀行考査大蔵省検査ではその性格、目的を異にするわけでございまして、制度上重複をするものでは決してないということでございます。ただし、委員の今御指摘のように、金融秩序の維持の観点等共通の部分もあるわけでございまして、したがいまして両者でチェック項目が共通するところがあることはそのとおりでございます。  検査考査につきましては、従来から検査考査の実施時期をお互いに調整をすると、必ずしも交互と決まっているわけじゃありませんが、その時期の調整をする、あるいは検査の結果、資料につきましても必要に応じ交換をする、連絡を取り合うという形でお互いに調整をしてきているという状況でございます。
  91. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 日銀の方からの話もいただきたい。
  92. 本間忠世

    参考人(本間忠世君) お答えをさせていただきます。  日本銀行考査は、民間金融機関に対しまして日本銀行が資金の供与を行います際に、金融機関の経営の内容あるいは実態というものを把握しておくことが必要である、こういうふうな役割でございますとか、それから決済システムが円滑に運行されていくということを確保し、その信用秩序の安定を図っていくということが中央銀行の役割でございますので、こういった役割を果たしていくために必要なものとして考査を行っているものでございます。  より具体的には、こうした中央銀行としての観点から、日本銀行考査では金融機関の資産内容を把握いたしますほかに、金融機関がいろいろリスクを抱えております。昨今、マーケットリスクを初めといたしまして、いろんなリスクがふえてきているわけでございますが、そのリスクの管理体制等をチェックすることによりまして、リスクが顕現化することを何とか事前に予防したい、防止したいということに重点を置いてやっているものでございます。  一方で、行政の行われる検査は、ただいま検査部長からお話がございましたように、免許の付与でございますとか各種命令の発出というふうな行政権限の行使のいわば前提として行われているという点で、中央銀行考査とは性格を異にするものだというふうに考えております。  先生御指摘の検査考査の重複という点につきましては、制度上、ただいま申し上げましたような意味において重複するものではないというふうに考えますが、金融システムの安定という、これはお互いにあわせてこのミッションを、命題を果たしていかなきゃいけないということでございますので、この具体的な作業の中では重複している部分が何がしかございます。この点につきましては、考査の内容とか考査の周期とかを考査先の経営内容あるいはリスク管理状況などに応じまして弾力的に設定することなどにつきまして現在さらにこれから鋭意検討を進めてまいりたいというふうに考えておりまして、目下作業中のところでございます。
  93. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 日銀の方も今度法定化されたと。  もちろん検査の方は強制でございますし、抜き打ち的に行くというようなことでございます。これはぜひやっていただかなきゃならない事柄ではあるわけですけれども、かなりダブって重複してきているということを私は聞いているわけでございます。重複しても、また別の観点から見ているということであればそれも有用だろうかと思いますけれども、まるっきり同じようなことだという点もありますので、そういう点は、例えば大蔵検査のやつを日銀の方はそのまま使うと、あとは調査対象にしないとか、十分それは両者で御検討いただいて、両々相まって効果が出るような形にしていただければというふうに思うわけでございます。  そういう意味におきまして、今後そういう検査内容、バブル期の反省、それから日銀が法定化されたというようなことも含めまして、検査内容の改善ということについてどう考えて今までやってこられたのか、大蔵省の方からお聞きしたいと思います。
  94. 中川隆進

    政府委員(中川隆進君) お答えを申し上げます。  検査内容の改善についてのお尋ねでございます。金融機関検査の内容につきましては、日本も今や国際的に検査あるいは金融機関に対するその他のチェック状況を共通化しているわけです。我が国におきましては、昭和六十年代以降、米国のいわゆるCAMEL方式、横文字になってちょっと恐縮でございますが、という方式を日本も導入をしておりまして、主として金融機関の自己資本の状況、資産内容、経営管理、収益の状況、流動性の状況、さらに法令等の遵守状況、それから昨今はアメリカにおきましても、それに加えましてリスク管理に対する対応あるいは市場の動きに対する対応というものについても重点的に検査をしておりますが、日本におきましてもそういう検査項目につきまして検査をしているわけでございます。  しかしながら、委員の今御指摘は、今後どうしていくのか、どういうふうに変化してきたのかという御指摘でございます。そういう観点につきましては、当然引き続き検査項目としての重点でございますけれども、今後、早期是正措置が導入されました状況の中で、まず金融機関みずからが自己査定をし、外部監査を受け、それを前提にして資産内容等のチェックをしていく、あるいは市場関連取引業務に係るリスク管理体制の実態を把握していく、さらに業務の適切性の観点の確保かち諸規則の遵守状況やディスクロージャーの状況等、ルール違反がないかどうかといったことについて重点を置いてチェックをしていく、こういった方向に我々の検査も変えていくべきだろうということで既にそういうことをしているわけでございます。  いずれにいたしましても、限られました検査要員の中ではございますけれども、今後とも重点的、機動的な検査を実施し、検査の効率化を図りながら深度ある検査を実施してまいる所存でございます。
  95. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 日銀理事の方は、お答えをいただいてもうこれで私は結構でございます。
  96. 本間忠世

    参考人(本間忠世君) 考査におきまして、先ほど申しましたリスクというものをこれからしっかり把握していくことが必要である、それを通して金融機関の経営の健全性というものを確保していくことが必要であると思いますが、先生御承知のとおり、世界金融市場におきましていろいろな新しい金融技術、情報技術というものが日進月歩で非常に今進んでおります。そういう中、デリバティブ取引でございますとか、各種の金融取引の高度化、あるいは新しい商品が次々生み出されている、そこに大きなリスクが一つ一つ発生していると、こういうことでもございます。  したがいまして、いわゆる貸し出しを中心といたします信用リスクというものをしっかり把握することはもちろんでございますが、金融機関が抱えるこの新しいリスクについても我々は大いに勉強をしながら、金融機関が個々にどういうふうな体制をとってそのリスクをチェックしているか、いわばこれはリスク管理体制の問題でございますが、それ自体をしっかり把握することが極めて大事な話になってきておると思います。国際的にいろいろな監督の議論の中にも、最近そういうことが非常に中心的なテーマとなってきております。  そういうことも含めまして、行政の検査と日銀の考査、それぞれの役割の中からリスク管理体制というものをしっかりと確立していくということが非常に大事になってきているというふうに考えております。そういう観点から、私ども中央銀行の立場からできるだけの対応をこれからしっかりとらせていただきたいというふうに思っているわけでございます。  その際、日銀法改正議論にもございましたように、金融機関の負担、コストというものを極力小さくしていくという考え方をしっかり入れながら、ただいま申し上げましたような方向で考査の考え方あるいはやり方を再構築していきたいというふうに考えております。
  97. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 今いろいろお話がありましたように、検査官と申しましょうか、銀行検査するのは普通の方ではなくて専門的な知識を必要とする、またその向上を図ることが喫緊の課題であろうというふうに思うわけでございますし、またできるだけ幅広い見方ができるような訓練も必要であろうというふうに思うわけでございます。  そういう中から、いろいろ今まで議論もされてまいったわけでございますけれども、検査官の異動と申しますかその配置と申しましょうか、そういうことを考えますと、二、三年で動くというようなこと、午前中の議論にもございましたけれども、なかなかそこだけでノーリターンにすることは困難だというようなお話もあったわけでございますが、といってそのような二、三年で異動するということもまた無理であろうというふうに思うわけでございます。  そういう点で、この検査官というのをどういうふうにこれから育成していこうというふうにお考えでございましょうか。これは総理府の方へお聞きした方がよろしいでしょうか。
  98. 白須光美

    政府委員(白須光美君) お答え申し上げます。  私どもということですので、金融監督庁発足後ということになろうかと存じますが、先ほども御説明いたしましたとおり、金融監督庁の大事につきましては、金融監督庁長官の判断によりまして、業務を的確に遂行できるように適切に人事を行いまして、望ましい人材の確保育成を図っていくものと考えておりますが、特に金融監督庁におきましては検査監督を専門的に行う機関ということでございますので、職員に対する検査の充実あるいは人材の確保等によりまして事務能力の向上等を図る、検査監督事務の専門性を強化していくと、こういう必要性があろうかというふうに考えております。  なお、この人事異動の期間等の具体的な人事の運用、二、三年じゃなくてというような御指摘があったわけでございますが、これは一般的には、専門性を高めるということでございますと、全体的に申しますといわば検査経験年数と申しますかそれが長くなっていくということが必要であろうというふうには考えておりますが、その場合でもそのままずっといるのかどうかというのはまた一つの人事の運用の問題ということでございますので、何年とかその辺につきましては、各職員の能力とか適性あるいは健康、家庭事情等もございますので、それぞれの行政上の要請の問題というのもまたございます。  したがいまして、特に今日、非常に流動的で激変いたしております金融情勢、このもとでは金融行政につきまして幅広い知識、経験を備えさせるということも必要でございます。ですから、例えば一方で監督をやらせてみたり、検査、またその関連する企画とか、あるいは同じ検査にいたしましてもそれぞれ幾つかの部門をやらせてみるとか、検査の審査的な面、実地といろいろございますので、そういう点も専門能力の向上に資するというものでございますので、それぞれ個々の実情に即しましたところで人事権者でございます監督庁長官が的確に判断していくことが適当であろうかというふうに考えているところでございます。
  99. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 そうしますと、これからのことですのでなかなか具体的に言えないかと思いますけれども、大蔵省の方では金融関係、それからまたその中でも検査部の職員の皆さんの配置、異動というのは現実問題としてどうやっておられたところでございますか。
  100. 中川隆進

    政府委員(中川隆進君) お答えを申し上げます。  御指摘のとおり、金融検査官を短期間で養成するあるいは専門性を高めるというのはなかなか難しいわけでございます。従来は、検査官、今は官房金融検査部でございますけれども、この検査官につきましては、大蔵省の場合、例えば国税からの出身者、税関からの出身者、財務局からの出身者、あるいは本省の中での異動と、いろんなケースがございますけれども、そういう職員に対しましていきなりその日から検査というわけにもまいりませんから、研修を相当期間いたします。これにつきましてはことしも異動に際しまして約ニカ月間初任者研修、検査官、なかなか限られておりますのでその研修の期間をとるのは大変難しいのでございますけれども、やはりそうした点を十分にすることを考えているわけでございます。  そのほか、今、人事のローテーションというお話でございました。これは今申し上げましたように、各方面から優秀な人材を集めるわけでございますけれども、特にその間で金融検査における専門性を高めますためには、長年の検査経験だけではなくて、今も総理府の方から答弁がありましたけれども、金融行政につきまして幅広く経験をする、例えば監督、企画といったものを経験をする、あるいは何年間に一度はそういう部門も経験してくるということによって検査の実も上がるという側面がございます。そういうことが望ましいという考えから、従来から検査部門と監督部門や企画立案部門との間で人事交流が行われてきたというのが現状でございます。
  101. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 いろいろな観点から見られる方を養成しなきゃならないところはもうそのとおりであるわけですけれども、その一面、また金融の持っている複雑さ、こういうものも見通せる人が必要なわけでございます。そういう意味で、今度の金融監督庁検査をやられる方については何か真ん中におられる人の養成が必要なんだろうというふうに思うわけでございます。国税調査官等々、専門官のようなのが国の中にはあるわけなんで、こういう形でそういう専門性のある方を育てていかなきゃならないんじゃないか、そういうふうに思うわけでございますけれども、これは総理府の方、いかがでございましょうか。
  102. 白須光美

    政府委員(白須光美君) お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、また先ほども若干申し上げたところでございますが、民間金融機関等の検査監督、これにつきましては、長年の経験あるいは知識等に基づく専門的能力が要求されるところでございます。  特に最近におきましては、先ほども金融検査部また日本銀行の方からいろいろ新規の金融技法あるいは金融取引の多様化等のお話があったところでございますが、いわゆる不良債権的な、ある意味で申しますと基礎的な検査監督事務、資産査定等につきましても、経済環境の変化に伴いまして、また従来でございましたら担保不動産の価値がそう変化しないというようなこともあったわけでございますけれども、そもそも変化すると。また、経済構造の変化によってとっていた工場、資産等がどうなるかというようなこともございますので、そういう点からしますと、職員の専門性を高めていくということは非常に必要があろうかと考えております。  これらの職員の確保につきまして、今国税専門官というような御指摘でございますので、職員の確保の問題というふうに理解をさせていただくわけでございますが、当面、金融監督庁の職務につきましては、先ほど官房長官から御説明もございましたとおり、まず現在あるところの金融検査部を移すというのが三党の合意でもございますので、その方々に行っていただくわけでございますけれども、将来的に国税専門官のようなものをつくるかとなりますと、一つは人数がまことに違うということは申し上げておかざるを得ないところでございます。国税庁の六万何千というようなものに対しまして、金融監督庁は財務局関連まで入れましてもちょっとけたが一つは確実に違うわけでございまして、それぞれの採用人員等をならして考えますと、果たしてそれだけのそういうような仕掛けと申しますか採用制度というものが適当なのかどうかという点はかなり真剣に検討しなければいけないんじゃないかと思います。  いずれにいたしましても、こういう採用試験等につきましては、また人事院等の御意向を踏まえなければならないところだろうと思うわけでございます。これは発足後の話でございますので、まだ総理府でも準備室でございますので、監督庁長官の人事権を私どもがあらかじめ準備するわけにまいらないわけでございます。  監督庁発足後におきまして当然適切な人材をリクルートするという点については十分な配慮が払われる、また工夫もされていくと思いますが、ちょっとそれだけ独自の試験制度のようなものをつくって採っていくということでございますと、またかえって、国税専門官でございますと会計とかそういう点を中心的に採るわけでございますけれども、それはちょっとむしろ難しい。むしろ、いろいろ法律方面、会計方面、あるいは先ほども御指摘のございました数学とかそういう点を一般的な形で採っていく方がいいのかというような感じもするわけでございます。
  103. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 そうしますと、今回、金融監督庁と共管になっております各省のいろんな検査もあるわけでございますけれども、これ全部言うと大変でございますから、農協関係を持っておられる農水省、また労働金庫を持っております労働省、この二つの官庁の方から検査実態などをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  104. 熊澤英昭

    政府委員(熊澤英昭君) お答え申し上げます。  農協系統の検査につきましては、先生御承知のとおり、農協自体が信用事業を含めまして経済事業、共済事業等総合的な事業をやっておるわけでございまして、そうした事業に対しまして農政の観点から検査をいたしておるわけでございます。  農協法に基づきまして、県連あるいは全国団体につきましては国が直接検査をし、県内の農協につきましては都道府県が実施をいたしております。通常二、三年に一度は検査をしておるというのが実態でございます。その中で特に最近の金融事情の変化に対応いたしまして、信連については八年度から、それから共済連につきましては九年度から毎年検査をするということで検査の充実を図ってまいりたいというふうに考えております。
  105. 松原亘子

    政府委員(松原亘子君) 労働金庫についてお答え申し上げます。  労働金庫は、昭和二十八年に成立いたしました労働金庫法に基づき設立されました労働組合などを会員とする協同組織金融機関でございます。  現在、全国に四十七労働金庫がございまして、中央に労働金庫連合会が設立されているわけでございます。これは、労働組合ですとかその他労働者の団体が行う福利共済活動のための金融の円滑化を図るとともに、勤労者の資金のニーズにこたえ、勤労者生活の福祉の向上、こういったものを金融面から支えるということを目的としているわけでございます。そういうことから私どもの労働行政と密接不可分ということで、労働省としても検査監督を実施しているわけでございます。  現在、労働金庫に対する検査につきましては、大蔵省、労働省、都道府県の三機関が協力して行っております。大体毎年二十金庫を検査しておりますので、二、三年に一回は検査をするということになっているわけでございます。このうち労働省は、その半数のおよそ約十金庫につきまして主担金庫として検査をしているというのが実態でございます。
  106. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 短時間の中ではその質の点まではなかなか触れられませんけれども、いずれも農林関係、労働金庫関係その他、現行法制の中でも共であったわけでございます。  ところが、皆さん記憶に新しい住専問題では、銀行と農林系金融機関大蔵省と農水省が負担と責任をめぐって、押しつけ合いとは言いませんけれども、言うならば縦割り行政の弊害が多かったということは我々の記憶に新たなところであるわけです。それが今度の新しい金融監督庁法案におきましてもやはり共管というようなことなので、こういう点はまた今までの教訓を得て、同じ共管にしても新しい工夫が必要なんじゃないかと思うわけでございます。そういう点。  それからもう一点。金融監督庁という一つ組織は本来は共管ではなくて全体に関与するものだろうというふうに思っておるわけでございますけれども、そういう両方の点から官房長官のお考えをいただきたいと思います。
  107. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 将来のことにわたっての答弁は差し控えておきたいと思いますが、今、委員御指摘の特に農林系の金融機関、今までも中央のものは大体大蔵省検査監督等を行ってまいったし、県の段階のものについては農水省、もちろん農協もそうでありますが、しかしこの一昨年来の事態を顧みまして、農林中金はもちろんのこと、県信連と言われる県段階までひっくるめて大蔵検査監督の領分が広がった、こう理解をされてもいいと思います。  ただ、この県信連と農協については地方分権委員会からそれぞれのまた意見も出ているわけでありますから、考え方は、金融機関としてのベースにあるものは、金融監督庁が総体的に普遍的な検査監督を行い、各省というかそれぞれの機関のいわば行政目的、そういうものについての検査監督は、もちろんその企画立案もひっくるめてではございましょうけれども、それぞれの省庁が責任を負うべきものと。  ですから、二重のことになりますが、総体的に、金融という役割はこの中でも大きいわけでありますから、この金融というものについては将来ともに金融監督庁が主管をするというか、その観点で物を見て統一性を確立していく、このことが大切だというふうに理解をいたしております。
  108. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 それからもう一点。  第一勧銀の問題がいろいろ議論されたり、また日産生命の問題、いろいろあったわけでございますが、そういう過程の中で我々が質問申し上げますと、それは当然立場はわかりますけれども、守秘義務ということでなかなか明らかになってこないわけです。一方、新聞等ではいろいろな面が出てくるわけでございます。  そういう中で質問しても、なかなか言えない。  それは立場上当然で、私もそれは言うべきだとは思っていないわけでございますけれども、そういう中でも、今後、個々の問題じゃないもの、それから全体的なものというようなものを把握して国民の前にあらわすべきだと。いろいろな事柄が起こったときには早くそのことを国民の前にあらわすべきだという考えもあるわけでございます。  それから今度、早期是正措置というようなことで金融機関の自己点検、こういうものがなされるわけでございまして、そういうことをやっていきますと、預金者、一般市民にとりましては公表されたものがない中で、いつの間にか今度は自己点検による早期是正措置によって改善命令が出されたとか、そういうちぐはぐないろいろな面が出てくるのではないかというふうに思うわけでございます。  そういう意味からいきましても、自己責任をある程度とるならば、検査考査の結果、こういうものも差し支えない範囲で、差し支えないというよりもできるだけ公表をしようというような前向きの考え方で取り組んでいくべきじゃないかと思うわけでございますけれども、こういう点、現在検査部を持っておられます大蔵大臣の方のお考えをいただきたいと存じます。
  109. 中川隆進

    政府委員(中川隆進君) まず、検査結果の公表という委員の御指摘でございましたので、その点につきまして御答弁申し上げたいと存じます。  今御質問いただきましたように、預金者あるいは保険の契約者の自己責任ということを徹底していくためには、できるだけそういう金融機関の経営情報を開示していくというのはそのとおりであろうかというふうに思います。ただし、検査の結果というものを公表して預金者等に情報を与えていくのがいいのかどうかというと、そうではなくて、そうした情報はやはり本来のディスクロージャー制度をきちっとしていくということによって担保されるべきではないかというふうに考えるわけでございます。  個々の検査の結果におきましては、いろいろな個別の取引先、契約先の状況でありますとか、個々の融資先のプライバシーに関する情報等、非常に細かい点がございます。ただし、そうした点をプライバシーに問題ない範囲で開示できるのではないかという御指摘も別途委員からあったと存じますけれども、そうはいいましても、何がプライバシーで何がそうでないかというのを区別するのは非常に難しいわけでございます。  今、委員御指摘のございました全体的な検査状況、個々ではなくて全体的なものといった点につきましては、検査の結果につきましては、年間の検査状況検査件数、あるいは検査に際しまして全体的にどういう指摘をしたかといいますのは、実は年に一回、証券取引等監視委員会報告書というのがございますけれども、その中で相当程度開示をしているという状況でございます。  もちろん委員御指摘の、個別の行政処分あるいは破綻処理を行うなどに際しましては、行政部局の方からそれぞれ可能な範囲で新聞発表等が行われているという状況でございます。
  110. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 今いろいろなリスクの方の話にもなってきたわけでございます。時間の関係でちょつと飛ばさせていただきます。  早期是正措置、こういうようなものが導入され、そして大蔵省分離金融監督庁の設置、そして新しい日銀法改正が今議論されておるわけでございます。これらにつきましては、それぞれがばらばらじゃなくて、それぞれがみんな融合して発揮しなければ、せっかくのこういうような考え方も能力を発揮しないというふうに思うわけでございます。  そういう中で、ちょっと今私も展望がよくわからないんですけれども、一つ金融機関なりなんなりが経営危機に陥った場合、どういうプロセスでそれが処理されていくのか、そういう点について総理府の方の考え方を質問いたします。
  111. 白須光美

    政府委員(白須光美君) お答え申し上げます。  金融機関が経営危機に陥ると、検査あるいは報告によりまして、それぞれの状況金融監督庁においてまず把握する。そういうことで、その時々の検査等におきまして、その結果を公表するとき等にそういう適切な指示、指導等は行われることになろうかと存じます。もちろんこういう中で、今度の早期是正措置が実現された段階、金融監督庁は来年の四月から七月までの間の政令で定める日から発足するということになっているわけでございますが、早期是正措置につきましては来年の四月一日に導入、適用開始ということでございますので、発足時点において既に早期是正措置が発足しているわけでございます。  これによりますと、例えば現在の中間報告等に基づく案でございますれば、まず経営状態、自己資本比率の状態に応じましてそれぞれ改善計画を作成させ、あるいはその実施を命じ、さらに個別の事項についての禁止や指示を行う、ある一定を割りますと業務停止と、こういうふうな形になるわけでございます。  一遍にばれるということでございますと、いきなり業務停止のところに行くということはないわけではないと思いますけれども、もし順次悪くなるということでございますれば、改善計画をつくって努力してもらったのにうまくいかないので、例えば新規の業務でございますとか高利の預金の受け入ればやめてもらう、あるいは配当はやめてもらう、そういう順を追っていくということになろうかと思っております。  破綻というのはどの程度かということがございますけれども、まさにラジカルな破綻ということでございますと業務停止あたりからということになろうかとは思うわけでございます。業務停止につきましては、まさに自己資本比率でございましたらゼロ%を割るということ、自己資本比率によります場合でございますが、これが基本的な要件ということになろうかと存じます。  その段階におきまして、例えば通常のケースは、金融監督庁が現行法令のもとでの方策によりまして対応する、業務停止命令をかける、あるいはそれに対する対応といたしまして、預金保険法に基づきます適格性の認定等を行いまして資金援助等を要請する、そういうことに相なっていくかと存じます。  ただ、業務停止命令等の対象となるような金融機関の破綻処理に関しましては、今の現行法令のもとでの既存の方策ということでは対応し切れない、信用秩序の維持に重大な影響を与えるおそれがある、こういう場合があり得るかと考えております。これにつき、こういうふうに金融監督庁長官が認めました場合には、金融危機管理に万全を期するために、金融監督庁長官自身の判断に基づきまして、制度の企画立案を担っております大蔵大臣と協議を行いまして、法令改正を伴う新たな措置の策定等の最善の方法を見出すということになろうかと存じます。  そういう場合には、そういう措置を講じました上で、あるいはそのめどをつけました上で、例えば業務停止をやる。そこで通常また検査ということになろうかと存じますが、それで合併、営業譲渡等のあっせんでございますとかそういうものが行われまして、どうしてもその処理の上で、通常でございますと免許取り消しということ、あるいは新機関への合併あるいは営業譲渡によって吸収されるということになろうかと思います。
  112. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 いろんな過程を経てなるわけです。  例えば頭にあったのは、日産生命の場合、二年近く前に債務超過の点を把握しておった。ところが、それから二年くらいたってから急に株の取引に失敗したということで業務停止命令がなされた。そうしますと、債務超過を検査で把握した時点で、例えば大蔵大臣と相互に密接な連絡をとることになっておるわけでございますので、こういうことをいつの時点でやるんだろうなと、こういうことがあるわけでございます。  金融監督庁は、検査その他の監督をして経営の健全性が確保されるよう全般的に見るわけでございますけれども、いつの時点で相談していけばいいかというようなものがあるわけでございます。  また、関係法令の整備法律案によりますと、大蔵大臣への協議、通知、それから資料提出等というようなことも書かれておるわけでございまして、一つは、そういう過程が不明確であるというようなことをお答えいただきたいと思いますし、もう一つは、最終責任金融監督庁なのか大蔵省なのかと迷う点があるわけでございます。  初めの方につきましては総理府、後の点につきましては官房長官のお答えをいただければと思うわけでございます。
  113. 白須光美

    政府委員(白須光美君) お答え申し上げます。  日産生命というような個別のケースにつきましては私ども承知しているわけではございませんので、やや一般的な形で申し上げさせていただきたいと存じます。  例えば債務超過であるというようなことを、預金受け入れ機関であるならば自己資本比率がゼロを割っているというようなことを把握したというような場合、一応のあれといたしましては業務停止命令が相当とされるわけでございますけれども、これはある程度、どの時点で行うか、あるいは回復の見込みがあるのかどうかというようなことは、当然、金融監督庁長官といたしましては、これは非常に重大な問題でございますので、一つの企業にとりまして、また預金者等にとっても、そういうことでございますので、そこは慎重に判断ということになろうかと思います。  協議というのは、業務停止命令をかけざるを得ないような状況にあるということをまず判断いたしまして、しかしその場合におきまして、現行法令や現行のそういう仕組みの中でこれを直ちにかけたのでは信用秩序等に与える重大な影響を防止できないおそれが非常にあるというふうに認めたときに、大蔵大臣と協議をして、信用秩序の維持等を図るための新たな方策について相談いたしまして、これらの方策を、企画立案関係の策でございますのでこの場合は大蔵大臣の方でこれらの措置をとっていただくということになっていく。  そこらあたりの措置を講じまして、環境整備いたしました上で業務停止命令、そういうことになるのではないかというふうに考えております。  なお、恐縮でございますが、今このように手順はそれぞれでだれがどちらをどういうふうにやるということであるわけでございますので、御指摘の責任云々というような点についても、これをベースに判断ということが基本であろうと思っております。  なお、通知は事後通知でございますので、全く別の、単にお知らせするというものであろうと思います。
  114. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 今、政府委員の方からニュアンスはお聞き取りを願ったと思うんですが、それぞれ企画立案の分野に起因する事項、それから検査監督に起因するというか、その結果出たもの、それにおいてそれぞれの大蔵大臣なりあるいは金融監督庁長官責任は生じようかと思います。いずれにしても、責任を生ずるような問題の起こることを防圧することが一番の大きな目的でもあります。起きれば連帯の責任でもあるわけであります。  ただ、委員承知のように、既に行政体験をお持ちになった委員ですからよくおわかりだと思うんですが、一つには自己責任銀行みずから、金融機関みずからがどういうルールに従って自分の機関を運用して顧客というか利用者の信用を獲得するか。それから、それぞれの金融の、銀行であれば銀行、地銀であれば地銀、あるいはその他の方々が一つのグループをなして、おおよそ自分の大枠というものはこんなものであろう、そのためにはこうやっていかなきゃならないということがあろうかと思います。そして第三段の構えで、国民の信用や預金者保護という観点から大蔵省企画立案があり、そして金融監督庁検査監督がある。それは、それぞれの公のルールというか、例えば資本比率をどうするとか、そういうものを定めて、なおかつそれがスピードが狂って違うという場合においては、それぞれ是正をしていかなきゃならない問題である。  それから、今どうしても私たちの頭にあるのは、野村証券や一勧のような問題はすぐれて経営者の資質の問題、この問題は挙げてどこに責任があるかといえば一〇〇%、みずからの犯罪を意図したかどうかは別として、結果としてそれを追認してきた今日までのそれぞれの機関の体質にある。その問題をこれからどう防圧するかというのは、大きな意味での金融行政の本旨ではないと私は思いますが、国民にとっては一番またいたたまれないような痛みというか憤りを感ずる問題でもあります。  いたずらに銀行法、そういうものはそういう機関の犯罪を摘発する分野ではございませんが、こういう問題が起きたときにどうするかということは、大蔵大臣も大変今危惧をし、これからの協議にまつ点が多いわけでありますが、こういうものを防圧してまいりたい、このように考えます。
  115. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 終わります。
  116. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 まず、ただいまも御議論がございましたけれども、日産生命保険の問題について御質問をさせていただきます。  私が考えますに、やはり契約というものは相手への誠実さ、あるいは相手への信頼というものが前提になって初めて成立するというふうに思うわけでございます。バブル崩壊後の相次ぐ金融機関の破綻あるいはまた不祥事というのは、このような市民社会のルールが平然と破られていたということを示しているような気がして、非常に残念というよりも悲しいような気がするわけでございます。国民の金融市場あるいは金融機関そして金融行政に対する不信感というものは募る一方ということは、このように申し上げるということも私としては本当に心が痛むわけでございます。  そこで、日産生命の経営破綻というものにつきましては、四年も前から債務超過ということに陥っていたというふうにも聞いております。にもかかわらず、大蔵省から業務停止命令を受ける前日まで勧誘を続けていた企業の責任というのも非常に大きいのではないかというふうに思います。また、その間、日産生命の債務内容というものを把握していたのは多分大蔵省だけだろうというふうに思うわけでございますが、把握していながらも配当を認可していた、検査結果を公表しないでいたという大蔵省責任もまたあるのではないかというふうに考えます。  こうしたいわば密室行政とも言えるような金融行政によるモラルの荒廃についてどのようにお感じになっていらっしゃるのか、大蔵大臣に御感想を、そしてまたこれからどのような形でこのような密室行政というものを改善して、そして国民の金融行政への信頼を取り戻そうとなさっているのか、その点をお伺いしたいと存じます。
  117. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 大変残念なことでありました。終わって顧みますと、あの時点でああもしたい、こうもしたいという感懐は出るものでございますが、信用性を第一としておる金融機関、また契約者との間の信頼関係で行われておる生命保険という事柄について、直ちに事業停止を命ずることが是なのか非なのかという問題、かいつまんで申し上げれば、頑張って再建をいたしますということになりますと、その期間をある程度認め、全力を尽くさしめる、こういうことになるわけでございます。その辺の判断の基準が極めて重要なことであります。  検査といえども、全体のすべてに精通をして行うかどうかということがございます。基本的な基準に基づいてこの点を調べれば全体が把握できるということであり、複雑ないろいろな商品ということになりますと、追跡調査をして実態解明するということもあろうと思っておるところであります。言うなれば、検査の結果、収支計画等の策定を行わせるなど、できる限りの指導を行ってきたことは事実であります。さらに、検査結果を踏まえて一層強く財務内容の改善を指導してきたところでありますが、残念ながら事業継続を断念せざるを得ないこと、かねがね御質疑で申し上げておりますとおり、株式投資の失敗等も実は大きな原因であったことだけは判明をいたしております。  私とすれば極めて残念なことでありますが、保険というものは善意の第三者と、そして誠実にその約束を守るという事業者の信頼関係でできておるものでありますから、これをもって全体の保険の信認性をアウトにすることは忍びない、また耐えがたいことであります。そういうことで、当局とすれば保険契約の存続を図ることが重要と考えまして、可能な限り契約者保護が図られますような処理スキームが早急に取りまとめを終えられるよう、ただいま最大の努力をいたしておるところでございます。
  118. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 聞くところによりますと、今各地で係争中でございます高額保険と同様に、銀行が提携ローンを組んで売り込みに深く関与していたというふうにも聞くわけでございますが、この関与した銀行責任についてはどのように受けとめていらっしゃるでしょうか。
  119. 福田誠

    政府委員(福田誠君) お答えいたします。  日産生命におきまして、バブル期に高利回りの商品を多量に販売いたしましたが、その際にいわゆる銀行の保険料ローンがかなり頻繁に行われたということは承知しております。この場合の金融機関については、一般的に保険料を銀行融資で賄うこと自体が認められないわけではございませんが、その際に銀行がどの程度の踏み込んだ勧誘をしたか等々の問題はあろうかと存じます。個々具体的な事案につきましては私ども承知をいたしておりません。  そういうこともございまして、今後保険管理人が処理スキームを策定するに当たりまして、提携金融機関に支援要請が行われることはあり得ると考えておりますが、その際の支援要請に応ずるか否かは金融機関の経営判断に属する事項でございまして、現段階でどのようなことになるか、方向性についてはまだはっきりいたしておりません。
  120. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 今現在、このように新聞でも、そしてまた国会でも問題になっていますが、日産生命保険の契約者に対しましてははがき一枚の説明も何もないということを私は何人かから聞いたわけでございます。そういうことが果たしてあり得るのかなと思いまして、私は改めてびっくりしたわけでございます。  これだけ事件が報道されて、また国会で論議されているのに、契約者そのものに対して銀行からも、それからまた生命保険会社からも何らの説明、通知、あらゆるそういったものが一切ないということに関しては、これはどう受けとめていいのか。一市民といたしまして、もし私がそういう場合だったらどうするのかなというふうに考えておりますけれども、この辺のところはこういうものなのでしょうか。これでよろしいのでしょうか。
  121. 福田誠

    政府委員(福田誠君) 詳細については存じませんが、日産生命におきましても業務停止をいたしました後、多数の問い合わせが参っておりますので、その点については誠意を持ってお答えしているというふうに聞いております。それから、一部の契約者に対しましては、旧経営者が今回っているということも聞いておりますが、そのように受けとめられているとすれば大変残念に存じます。
  122. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 先ほど私はモラルということを申し上げましたし、あるいは信頼の問題あるいは市民社会のルールというふうなことも申し上げました。やはり一市民の感情といたしまして、確かにそれは銀行あるいは生命保険会社にいくということもそうかもわかりませんけれども、やはりそういう問題を起こした責任というのはその企業にあり、そしてまたその銀行にもあるわけでございますから、やはり生命保険会社あるいは関与した銀行というものから何らかの形での説明というものがあるのが市民社会のルールだと思います。  その市民社会の最低のルールというものも確立していなかったということを知りますと、大変に私は情けない思いがいたします。国としての大きな仕組みということももちろん今私たちは論じているわけでございますが、こういう一つの市民社会の信義関係あるいはルールというものもここでもう一度見直していく、そのことは私たちが金融問題を議論していく上での最低の前提にしなければならないということを申し上げておきたいというふうに思います。  ところで、日産生命の破綻処理に関しましては、これまで本委員会におきましてもさまざまな論議がされておりますが、なかなか難航しているように思います。難航していることを前提にしてお伺いするわけでございますが、いわゆる受け皿会社というものの発足はいつごろというふうにとらえていらっしゃるのか、そしてまた、その業務開始はいつごろというふうに受けとめればよろしいのでございましょうか。  けさの報道によりますと、経済研究所の試算によりますと、契約者は約束した利回りの引き下げというものをどうしても余儀なくされるというふうにも報道されております。果たして契約者には契約で保証された保証金はそのまま支払われるという可能性があるのか、この点についてお伺いいたします。  その前に、初めて保険契約者保護基金というものが今回発動されるというふうに聞いておりますが、これは経営破綻した会社の保険契約を引き継ぐ受け皿会社ができなければこの基金というのは対応できないわけでございます。また、この保護基金というのは上限が二千億円でございます。そうすると、日産生命の損失額というのはこの上限額をはるかに上回っているというふうにも聞いております。三千億円に達するというふうに聞いております。したがいまして、保険契約というのを全部保護するとなりますと、受け皿会社というのは年間二百億円もの二次損失というものが続く。  したがって、どうしても保険料の値上げということにならざるを得ないんじゃないかというような危惧もあるわけでございます。  さらに、破綻生保の保険契約の内容変更というものは認められておりますけれども、変更する保険の種類とかあるいは範囲についての基準はまだないというふうに思います。なぜならば、この基金は九六年度に設立されまして、本格的な制度ができるまでのいわば緊急避難的な措置であるというふうに私は受けとめているわけでございます。  そういうことを前提にいたしまして、破綻処理につきまして、私の二つの質問を中心に大蔵省にお答えをいただきたいと存じます。
  123. 福田誠

    政府委員(福田誠君) お答えいたします。  第一の、今回の契約者保護基金は契約を引き受ける会社が出現しない場合には発動できないのではないかというお尋ねにつきましては、そのとおりでございます。保険業法によりまして、保護基金は、契約を引き受ける会社に対しまして資金援助が行われるということでございます。  それから、スキームについては現在、関係者間で協議中でございます。一つ問題になっております契約者保護基金の資金援助の限度額二千億円でございますが、この限度額につきましては、契約者保護基金の業務規程におきまして、その時点での経済金融環境、各社の財務状況などを勘案し、当該額の変更を行うことができる旨規定がございまして、業務規程自体も生保業界が決めたものでございますので、生保業界の理解があれば改定できるものでございます。  それから、条件変更についてのお尋ねでございますが、ただいま申し上げましたように、日産生命の処理スキームにつきましては保険管理人におきまして、契約移転計画の策定作業中でございます。今の段階で方向性を申し上げることは差し控えたいと存じますが、御指摘の高利回りの商品が将来に向かって引受会社の負担になるとの点については私どもも認識しております。  ただ、いずれにしましても、大蔵省としましては、契約者の保護が可能な限り図られるよう最大限努力してまいりたいと存じます。
  124. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 最初に伺いました受け皿会社の発足はいっかというふうなことに関して、あるいはまた業務開始はいつかということのお答えがございませんでした。
  125. 福田誠

    政府委員(福田誠君) お答えいたします。  処理スキーム自体はできるだけ早く、一日も早く策定されることが望ましいと考えておりますが、手続といたしましては、仮に契約の移転が行われる場合には、日産生命の総代会で契約者に賛否を問う手続が必要でございます。そこで異議申し立てが行われ、もし異議申し立てが成立しない場合には、そのスキームどおり契約の移転が行われるわけでございまして、日産生命の総代会につきましては七月中に行われるということになります。それから契約が移転されますので、やはり八月くらいになるのではないかと思います。
  126. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 契約者に契約で保証された保険金がそのまま支払われる可能性があるのかという質問に対してのお答えがないです。
  127. 福田誠

    政府委員(福田誠君) 先ほど申し上げましたように、契約条件の変更が行われるかどうかにつきましてはまだ保険管理人の方で協議、検討中でございまして、現段階でははっきりいたしておりません。
  128. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  129. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 速記を始めて。
  130. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 今の委員長の御指摘を加えてどうぞお願いいたします。
  131. 福田誠

    政府委員(福田誠君) 申しわけございませんでした。  保険管理人におきましては、これは最終的に生保業界、そして支援を要請している先のいろいろな協議の結果を待って結論を出されるわけでございますので、いろいろ問題点を一つ一つ詰めているところでございます。  二千億の限度額が足りるか足りないか、あるいは御指摘の契約条件の変更が必要かどうか等々について、毎日、日産生命の財務内容の把握を前提に今御相談をされておりますし、今お尋ねの点でございますが、私どもも保険管理人とは常時連絡をとり合っております。
  132. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 これはテレビでもラジオでも放送されていないのですけれども、実際に日産生命保険の契約者が今のお答えを聞いた場合にどのように思うかというふうなことを考えますと、委員長のお言葉があったにもかかわらず、確かにあなたにとっては他大事かもわからないけれども、非常に他人事過ぎるのであります。  私は、幸いに私自身あるいは私の家族とかに契約者はおりませんけれども、その契約者の立場になったときに、一番自分が不安に思っていることに対して、国がどのように考え、姿勢でいるのか、やはり契約者にとって頼るところというのは国でしかないのであります。あるいは、今企業に頼ろうと思っても何もない。そうした場合には、やはり国がどのように考えてどのようにしてくれるのかなというふうなことが一番期待しているところです。  そういうのに対して、今のようなお答えだと、これは余りにも国は責任がないということをおっしゃっているようでございますし、また、もう少し企業に対しての大蔵省の立場というものを、指導的な立場というものに対しての責任というものも考えた上での姿勢というものが欠けているというふうに私は申し上げざるを得ないわけでございます。  そして、今ございましたように、さまざまなルール、保険契約の内容変更というものを認めているけれども、変更する保険の種類とか範囲についての基準がない。そのルールづくりの整備というものを今まで怠ってきたという大蔵省監督責任というものはやはりここで問われなければならないというふうに思います。  そこで、今我が国状況を御説明いただいたわけですけれども、その我が国状況と照らし合わせながら、他の先進国における契約者保護の制度、特に生命保険会社の破綻処理に関しての他の先進国の契約者保護についての制度を日本との対比におきながら御説明をいただきたいと思います。
  133. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 福田保険部長がただいままでの経過をお話ししたと思っております。しかし、私も報告を受けておるわけでございますが、契約者はまさに老後の安定のために契約を行っておるのであるので、全力を尽くしてスキームができるようにすべきである、こう申し上げております。  御案内のとおり、日産生命は日立・日産グループであります。直接、会社法人としての商法上の関係はないにいたしましても、グループであることだけは間違いありません。同時に、生命保険会社三十三でございましたかは、生保協会をつくり今日まで来ておるわけでございますから、こういう信認に関する問題、信義に反するような事態のときは全力を尽くしてやっていただくようにと申し上げて督励をいたしております。必要があれば私自身も訪問する覚悟であります。
  134. 福田誠

    政府委員(福田誠君) 他国との比較でございますが、国によって制度の内容は一様でございませんが、例えばアメリカ及びカナダにおける支払い保証制度はおおむね次のとおりと承知しております。  生命保険の場合には支払い保証法人という概念がございまして、支払い保証法人は、破綻保険会社の保険契約を引き受ける救済保険会社に資金援助を行ったり、あるいはみずから保険契約を引き受けることにより保険契約の継続を確保することになっております。実際には救済保険会社を通じて保険契約者の保護が図られているようでございます。そして、損害保険の場合には、支払い保証法人は既に発生した保険金請求への支払いや解約に伴う未経過保険料の返還について保証しているということでございます。  我が国につきましては、先ほど申し上げているような契約者保護基金の制度がございますが、これは救済保険会社が出現する場合にしか発動できないわけでございまして、出現しない場合についても保護する必要があるという観点から、昨年の十月より支払保証制度に関する研究会を発足させておりまして、現在、鋭意検討を進めているところでございます。今後、結論が得られ次第、所要の法改正によりまして体制の整備を図りたいと存じております。  それから、先ほど契約内容の変更の基準が不明確なまま放置されてきたというお尋ねがございましたが、御指摘のように、契約内容の変更を行う際の基準というものは詳細に規定されておりませんが、保険会社の保有する保険の種類は各社により非常に多岐にわたっておりまして、破綻に際して統一的な契約内容の変更基準というようなものをあらかじめ設けることはなかなか困難な面もあるということについて御理解を賜りたいと存じます。
  135. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 今の御説明だけでも、やはり我が国にはまだ支払い保証制度というものができていない、ないということをおっしゃったと思うんですが、ないということをおっしゃるにしては、何か今から努力いたしますというふうにおっしゃっておりますけれども、もう既に現在このような日産生命保険の破綻というものができています、起きてしまっているわけです。非常に淡々とおっしゃるわけですけれども、保険審議会で御検討中だという日本の支払い保証制度というものを一体いつから適用するというふうな目標で今御検討中なのでございますか。
  136. 福田誠

    政府委員(福田誠君) ただいま申し上げました研究会の報告書につきましては、六月中旬に予定されております保険審議会に中間報告をした後に、さらに残っております論点について引き続き検討を進めまして、先ほど申し上げましたように、結論が得られ次第、所要の法改正を行いたいと考えております。  しかしながら、支払い保証制度につきましては大変に難しい問題がございまして、例えば倒産法制との関係、保険会社が倒産するわけでございますので、倒産法制の例外的なものとしてどのように整理をするか、あるいは支払い保証のための資金をどのように手当てするか、既存の資金援助制度との関係など、まだ重要な問題が残っておりまして、今学識経験者の御検討をお願いしておりますけれども、その一つ一つがかなり慎重な検討を要する問題でございます。したがいまして、現時点でいつまでに確たる結論を出していただけるかについては申し上げられないところでございます。
  137. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 今このような事件が起きていて、本当に処理をしなければならないという状況になってそのような姿勢でいらっしゃるというのはいささか驚きでございまして、やはり大変な問題があるからこそ、そういう制度の必要性がもうずっと以前から叫ばれていたわけであります。今このような破綻処理をもせざるを得ないというときになって、今のようなお答えをいただくというのは非常に心外でございます。  何とかそれを早く促進させるためのこのような努力をしているとか、何かそういうふうなお答えを私は期待していたのでございます。
  138. 福田誠

    政府委員(福田誠君) 先ほど来申し上げておりますように、とりあえず、とりあえずといいますか、新保険業法の中に、今回の契約者保護基金という制度を新しくお認めいただいておりますので、今回の日産生命の契約者の保護につきましては、契約を継続するということが最も契約者保護になるわけでございますので、この現行法による保護基金の発動で保護を図りたいと考えているわけでございます。  ただ、引受会社が出ない場合についての検討としては、今申し上げたようないわゆる支払い保証制度を創設する考え方で臨んでいるわけでございます。  ただ、繰り返しになりますが、支払い保証制度については、保険は預金とまた異なりまして、いろいろな種類の契約なり請求権がございまして、どのようなものをどの程度保護すべきか、十分に検討する必要がございます。また、会社倒産後は、裁判所の管轄下のもとで倒産手続が進められるわけでございますが、倒産法制との関係についてどのように考えるか、法務省の方のお考えも踏まえて検討していかなければならないわけでございます。
  139. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 十分に検討しなければならない重要事項であるからこそこのような制度の設置というのが望まれていたわけでございまして、それを今日に至るまでなされていなかった、他の先進国にあるにもかかわらず、日本も先進国だと言われていながら、この面におきましては非常にやはりおくれていたということをお認めになりますか。
  140. 福田誠

    政府委員(福田誠君) 新保険業法の法案作成あるいは国会審議におきまして、支払い保証制度の必要性についても御議論があったと存じておりますが、その際には、やはり支払い保証制度に伴いますいろいろな問題があることにかんがみまして、まず新保険業法では、契約者保護基金というもので契約者保護のスキームを実現するというふうになったと聞いております。  ただ、その際の国会の附帯決議におきまして、支払い保証制度についてもできるだけ早く検討を開始するようにという決議をいただいておりまして、私どもは、新保険業法が施行されましたのは昨年の四月一日でございますけれども、昨年の秋には研究会を発足させているということでございます。
  141. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 今さまざまなところでグローバルスタンダードということが言われておりますが、金融市場国際化ということになりますれば、やはりこういう今私が申し上げたような点もグローバルスタンダードに合わせなければならないということをもう一度私は申し上げておきたいというふうに思います。  ところで、海外の場合を見てもそうでございますが、もし支払い保証制度というものが導入されますと、いわゆる加入者の自己責任というものが問われるわけでございます。加入者あるいは契約者、いわば消費者でございますが、その自己責任原則というものが強化される以上、契約者、消費者の保険会社を選択する目というものも試されるわけでございます。  しかしながら、現状を見る限りにおきまして、余りにも事業者と契約者、つまり消費者との格差というのは、情報の量とか質あるいは交渉力というものにおいてもその格差が大き過ぎまして、そしてこのような状況の中で、加入者、消費者の自己責任原則だけが強化されるとなりますと、このバランスというのは非常にとれないわけでございます。  例えば日産生命の場合でも、生命保険会社というのは、他の金融機関と比べても経営情報の開示というのがおくれているというのは今までずっと指摘されてきたことでございます。あるいはまた、想定できないリスクへの支払い能力とか、あるいはまた運用成績の差、いろいろな生命保険会社における運用成績の差というようなものは、情報というものが我々市民に開示されていなければ選別、生命保険会社はどこがどうなのかという比較のしようがないわけであります。  したがって、そういうことを考えますと、金融監督庁が設置されますと、金融機関の自己査定あるいはまた会計事務所の監査、あるいはまた監督庁検査と、チェック体制というのは三重になるわけでございます。こうなりますと、それでは今までのようにいわば密室というところで処理されていた状況は変わるのでしょうか。あるいはまた、金融行政言葉をかりますと、透明性というのは高まりはするけれども、一部関係者のみが情報を独占するという状況は変わらないと言う方々もいるわけでございます。検査の精密度が高まっても、その結果の開示というものがなければ、この効果というのはなかなか期待できないわけなんです。  そういうことを考えますと、チェック体制は整う、しかしながら、また一方で契約者、消費者の自己責任が問われる、そういう中で、いわば消費者の自己責任を可能にするための状況整備というのがどうしても必要になると思うんですね。その点についてどのようにお考えになっていらっしゃるのか、大蔵省のお考えを聞きたいと思います。
  142. 福田誠

    政府委員(福田誠君) 金融機関一般についてのお尋ねかとは存じますが、とりあえず保険会社について申し上げたいと存じます。  保険契約者の自己責任原則の確立のための環境整備としましてディスクロージャーを充実させることが重要であるということにつきましては全く同様の認識でございます。そのために保険業界におきまして、従来から他の金融業態の開示状況も踏まえまして充実に努めているところでございまして、例えば金融機関で一番問題になります不良債権のディスクロージャーに関して申し上げれば、破綻先債権、延滞債権、金利減免債権等の不良債権のディスクロージャーを既にいたしておりますし、市場性のある有価証券の時価情報についても既に開示をいたしておりまして、大手金融機関、都銀等と全く同レベルにあると考えております。  また、八年度に施行されました新保険業法の中には、新たに公衆縦覧規定が設けられております。これにあわせまして、保険会社各社においても、この八年度決算からはより充実したディスクロージャー資料、「○○保険の現状」というような表題でございますが、かなり詳細な資料をこれは全社が作成いたしまして、公衆縦覧に供するというふうになっております。  このように今着実にディスクロージャーの改善に努めているところでございまして、行政当局としましても引き続きそのような問題意識で努めてまいりたいと存じます。
  143. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 着実にそのようなディスクロージャーの体制を整えていらっしゃるという割には余りにも事件が多過ぎるというふうに思うわけでございます。  そして、今私が御質問いたしました、これからこの金融監督庁が設置されると三重のチェック体制になるけれども、そのことによってどの程度今までよりも検査の精密度が高まる、ディスクロージャーというものがさらに広がる、大きく開示されるということになるのかという質問に対してはまた答えてくださっていないですね。同じ質問を何度も繰り返させないでください。
  144. 白須光美

    政府委員(白須光美君) 金融監督庁設置後ということでございますので、私どもの方からお答えいたしたいと存じます。  金融監督庁設置後におきまして、当然、検査ということにつきましてはこれらの充実を図っていきたいということで考えているわけでございます。また、これは検査及び監督双方をこの保険業を含めまして大蔵省から金融監督庁の方へ移していくということでございます。したがいまして、当然これまで大蔵省の方で公開性等につきましていろいろ御努力をなさってきておられると思いますけれども、金融監督庁発足後におきましては、特に検査監督の専門機関ということで、これらの業務につきまして、国民の御理解を得るための方策につきましていろいろ工夫を重ねていくことになろうかというふうに考えております。
  145. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 日産生命の事件にとどまらないさまざまな金融に関する事件が今相次いでいるわけですけれども、例えば変額保険問題、それからまた牛の預託商法など、そういったさまざまな金融トラブルあるいは契約に関する消費者被害というのが、今非常に消費者のニーズの多様化に伴ってさまざまな方面、多岐にわたっていると思うんです。  経済企画庁はこのような一般市民の契約に関するトラブル、金融サービスに関するトラブルというものの苦情あるいはまた相談を受けていらっしゃるわけですが、今どのような相談あるいは苦情の状況があるのか、そしてまたそれをどのように処理されているのか、経済企画庁にお伺いいたします。
  146. 井出亜夫

    政府委員(井出亜夫君) お答えを申し上げます。  経済企画庁の所管の団体といたしまして国民生活センターがございます。国民生活センターでは消費生活に関する消費者からの相談に直接対応するとともに、各都道府県あるいは政令都市等々が持っておられます消費生活センター、こういうところに寄せられました相談情報を収集しております。  これによりますと、金融関係、非常に幅広いわけでございますけれども、生命保険、銀行はもちろんのこと、サラリーマン金融あるいはクレジット等々、そういうものを全部含めまして苦情件数が全国で平成四年に約一万五千件、平成五年もほぼ同じ、平成六年もほぼ同じでございます。平成七年に一万七千件、それから平成八年には二万四千件というふうな状態になっております。  国民生活センターにおきましては、これらの苦情、相談に対しまして、関係する行政機関あるいは関係の業界団体に照会をしたりあるいは情報交換というふうなことを行いながら処理に努めておるところでございます。それからまた、ある程度まとまったもの、消費者に対しまして注意を呼びかけていただいた方がいいようなもの、そういうものにつきましてはマスコミを通じまして消費者の注意喚起というふうなことを行っておるところでございまして、今後ともこの活動というのは十分にやっていかなきゃならないというふうに考えておるところでございます。
  147. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 今お答えを聞きましたけれども、一般の市民が金融あるいは契約に関するトラブルというものに出会ったときに、一体どこに相談しに行けばいいのかというのがどうも日本の場合には一般的に言って少ないような気がするわけです。  私はたまたま外国にいたことがあるもので、市民としての生活を両方の国でやりましたけれども、例えばイギリスの場合ですと各地にもうシチズンズ・アドバイス・ビューローというのがございまして、自分がどこに行って相談したらいいかわからない相談事全部を一度にそこに持ち込めばそこで区分けをしてくれ、そしてこれは弁護士が必要なもの、これは会計士が必要なものというふうな区分けをしてくれた上で、どのような処理の仕方をすればいいのか、そしてまたそういう処理の機関を紹介してくれるというところがあります。  こういった一つの例を見ましても、やはりコンシューマー、つまり消費者というものの概念というのが我が国はまだまだきちんと社会の中に根づいていないような気がするわけであります。単なる物を買うという意味での消費者ということで消費者は王様というふうに言われているような気がしてならないわけであります。  英語でコンシューマーというふうに言われた場合には、例えば福祉あるいは医療サービスの場合でも患者のことをぺーシェントとかクライアントとか言わないでコンシューマーという言葉を使っておりますし、あるいは精神病の患者の、これはさまざまなローカルガパメント、自治体で復帰計画などがございますが、それを見ましても、その方々のことをコンシューマー、つまり日本語に訳すと消費者と何か取っつきが悪いようでございますが、コンシューマーというのがもう主語になっております。  そのコンシューマーの権利、尊厳、プライバシーあるいは自由をどのようにして保護していくのか、確保していくのかということが書かれているような状況から見ますと、どうも日本はまだまだそのような消費者の権利を前提にするような体制というのが非常にまだ少ないというふうな気がするわけでございます。そのような消費者を保護する、消費者の権利を保護するような機関、そして同時にまた法体制というのもまだ不備であるような気がしてならないわけでございます。  例えば、これからは医療サービスなんかにおきましてもインフォームド・コンセントということが言われております。これは医師と患者の立場が対等であるというふうに言われておりましても、やはり事業者と契約者の場合と同じように、医師の持っている医学的あるいは医療サービスに関する知識の質、量に比べて患者の持っている医療に関する知識量というのは格段の差があるわけであります。  そうしたことを考えますと、これからは単なる取引契約の上だけではなくて消費者の権利の保障、権利を前提とした法体制の確立ということが、今までのいわゆる事業者規制の反射的利益というものに対しての消費者の保護というのではなくて、消費者の利益と消費者自身の権利というものを明記した法律というのがどうしても必要になってくるんじゃないか。例えば、民法があり商法があり労働法があります。そのようなものに対して、今まで消費者の問題というのは一つずつの個別業法で対応されてきたと思うんです。それをもっと包括的ないわば消費者法というような法律の制定というものもこれから必要ではないか、私は今の大蔵省との議論を重ねながらもつくづくとその必要性を感じたわけでございます。  ところが、これまで従来の法律、立法ということになりますと、議員立法にいたしましても政府提出の法案にいたしましても、省庁ごとの縦割り機構に基づく法律でございます。しかしながら、消費者の問題というのは消費生活全体に一貫した総合的な法でなければならないということになりますと、個別業法を超越した、その個別業法のすき間をカバーできるような法律が必要じゃないか。  そういうことで、例えばイギリスでございますとローコミッション、法委員会というのがございますが、これは独立した法律をつくる委員会でございまして、ローコミッションで作成された法律というのは議員立法にもなるわけでございます。  特に家族関係あるいは消費者問題に関してはこのローコミッションのつくりました法律というのは非常に高く評価を受けているところであります。  そういうふうな新たな法律をつくるような制度というものも含めまして、消費者保護ということに関して、特にこれから消費者の自己責任というものが問われるような時代になってくるわけでございますから、法体制というものも必要になってくるというふうに私は思います。  そういう点につきまして、経済企画庁では今新たなルールというものをつくるというような審議が行われているやに聞きますけれども、その点について経済企画庁から御報告いただきたいと存じます。
  148. 井出亜夫

    政府委員(井出亜夫君) お答えを申し上げます。  一昨年、製造物につきましては製造物責任法という法律ができたわけでございますけれども、財サービスが多様化、複雑化する中における消費者取引の問題というのが今日大きな課題になっておるわけでございます。財サービスの多様化、複雑化という中で消費者の主体的選択によって消費者利益がもたらされるということが期待されておるわけでございますけれども、現実には消費者と事業者の間に情報や交渉力というところで大きな格差がございまして、契約をめぐるトラブルというものが増加している傾向にあるものですから、この格差を是正し消費者取引の適正化を図っていくというための条件を整える必要があるというふうに考えております。  こうした中で、昨年の十二月でございますけれども、国民生活審議会の消費者政策部会におきまして、契約の手続あるいは内容の双方におきまして当事者の予見可能性を高める、それからまた、かつ業者の間のすき間というふうなものがないように対応し得る具体的かつ包括的な民事ルールの立法化を検討すべきではないか、あるいはまた紛争解決の手段でございますとか、あるいは情報提供や消費者教育の推進というふうなことが必要であるという御提言をいただいたところでございます。  国民生活審議会におきましては、引き続き消費者取引の適正化のための民事ルール立法化の検討を行ってまいりたいと考えております。これに当たりましては、EU諸国の実情というふうなものを参考にいたしまして、その内容あるいは論点というところにつきましてさらに具体的な検討を行うこととしております。  なお、本件は大変広範多岐にわたる、言ってみますと民法の特例法的性格を有する分野というところを検討するものでございますから、関係者の共通の認識というものを形成するためにはまだ多少の時間が必要かなと思いますが、私どもといたしましては非常に重要な領域ではないかと思いまして、一生懸命やってまいりたいと考えております。
  149. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 今進行中の新しい契約に関するルールづくりの件につきましてお話を承ったわけでございますけれども、例えば日本では消費者、特に消費者取引に係る法律というのはどのようなものが今現在ありますか、経済企画庁。他の国と比べてお答えください。
  150. 井出亜夫

    政府委員(井出亜夫君) 例えば製造物の関係でございますと製造物責任法、これは他の先進諸国もほぼ大体でき上がっておりまして、我が国もそれと歩調を合わせるような形で一昨年法整備が行われました。そのほか、消費者取引につきましては訪問販売法でございますとか、あるいは割賦販売法でございますとか、そういう業種別のもろもろの法整備というものができておりますが、先ほど先生御指摘の包括的な取引ルール市場ルールをつくる、そういう法律はまだできていないところでございます。
  151. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 今非常に簡単におっしゃいましたけれども、例えば消費者取引の分野におきまして、イギリスにございます包括法の中でもアンフェア・コントラクト・タームズ・アクトというのがございます。これは先ほど申し上げましたローコミッションが一九七七年につくった法律でございます。これは不公正契約条項法というふうに言われるものでございますが、それに該当するような法律というのは日本には存在していないわけであります。  私は今消費者の問題について論点を絞ってお話を申し上げましたけれども、これからグローバルなスタンダードに向けて日本金融行政の改革、いわゆる三つの原則、先ほど大蔵大臣もおっしゃいましたけれども、フリーでフェアでそしてグローバルというこの改革の三原則というのは、消費者の権利を保護するという観点においても、特にそのグローバルスタンダードというのが守られなければ、金融市場の国際的な場における日本の活躍というのはなかなか望めないんではないかというふうな気がしてならないわけでございます。  イギリス金融サービス法、これは投資家の保護に関する政策がばらばらであったものを統一するというふうな意味イギリスでもつくられたものでございますが、日本でも今その業法ごとにばらばらである投資家の保護策というものを統一する法律整備に向けて論議が進んでいるというふうに聞いておりますが、それは今どのようになっておりますでしょうか。
  152. 山口公生

    政府委員山口公生君) お答え申し上げます。  今、先生の御指摘の消費者保護という観点が、ちょうど私どもが進めさせていただこうとしております金融システム改革とのかかわりで大変大事になってきておるわけでございます。  それは、先生御指摘いただきましたように、業界規制を通じて消費者の権利を守る、こういうやり方であったわけでございますが、今まではその業界と商品というものが一体の関係でございました。ところが、金融システム改革が進みますと、商品が非常に多様化し複雑化してきます。そうしますと、Aという業界がやる商品とBという業界がやる商品が消費者から見ると余り違わない役割を果たすということがしばしば起きるわけでございます。ところが、業態別に規制をしておりますと、それが非常にアンバランスな規制体系が残ってしまうという問題が生じてくるわけでございます。  ただ、現時点におきましては、それぞれの業法においてその業態の一番プリンシパルな商品を想定した規制できっちり規制をしていることは事実でございます。野放しにしているわけではございませんが、将来、私が申し上げたような進展、その商品の多様化、複雑化に合わせまして、今度消費者を保護するための、あるいはそういった視点からの規制の見直しのあり方というのを考えなきゃいけないなと思っております。  そこで、今御紹介いただきましたようなイギリス金融サービス法等も参考にしながら検討させていただきたいと思いますが、金融サービス法も、何ぴとにも適用される一般的規制、例えば詐欺的な陳述、相場操縦、虚偽の陳述、表示、広告の制限といった何ぴとにも、いずれの業種にも適用されるものと、認可業者の業務行為規制と二つ分けております。しかも、それがそれぞれの業界団体、これを取りまとめているのはSIBという団体でございますが、そういった自主規制機関でその実効を担保しております。  我が国においてどういう形でそれを担保していくかということになりますと、単に法律をつくってこれはいかぬ、これはいかぬというだけでは、じゃ実際だれがそれをどう担保するかという問題になりますので、そこには業法的な規制というのがやはり担保措置としては残る可能性もあるわけです。その点を法的にどう調和させていくかということにつきましては、これから前向きにいろいろ検討していくべきことだろうと思っております。御指摘のような方向で検討を進めたいというふうに思っております。
  153. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 研究会を設置される、あるいはされたと聞いておりますが、それはどのような研究会ですか。
  154. 山口公生

    政府委員山口公生君) お答え申し上げます。  最近、省内に新しい金融の流れに関するワーキンググループというものを設けさせていただきまして、事務方金融サービス室というのを便宜的な名称でございますが置かせていただいております。また、近くこういった問題につきまして学識経験者の方々の御意見もちょうだいすべく、そういった場づくりも考えていこうと思っております。
  155. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 大蔵省の方もそういったお考えになりつつあるというふうに今承ったわけでございますが、総理が円は単なるローカルカレンシーであってはいけないというふうにおっしゃっております。世界の円であるべきだということだろうと思います。そしてまた、大蔵大臣金融行政グローバル化ということをおっしゃっております。消費者の権利についてもやはりグローバルスタンダードとの整合性ということがどうしてもこれから必要だということは、今の議論をお聞きになりまして、もちろん御承知のとおりだというふうに思います。  今、行政改革、構造改革が叫ばれておりますが、システムの転換というのには、まず発想の転換ということが大前提でございます。日本がニューヨークあるいはロンドンに並ぶ市場の国際化というものを実現するためには、まず金融機関あるいは金融行政がその信頼を取り戻すことでございます。それは、金融機関が従来の取引慣行とかあるいは顧客に対する対応を改めて、消費者、利用者の立場に立つ経営に転換ができるのかどうか、あるいはまた立法におきましても、金融機関、業者あるいは業者保護の法体系というものを利用者、消費者を中心に軌道修正できるかどうか、そしてまた行政が消費者の権利を確立する施策を遂行できるかどうか、そういうところにかかっているというふうに思うわけでございますが、この点も含めまして、これから日本ビッグバンを目指しているという大蔵省大蔵大臣にお伺いいたします。それから梶山先生にもお伺いいたします。
  156. 三塚博

    国務大臣三塚博君) ただいま消費者保護、コンシューマーという英語の中に広範囲に含まれるという貴重な御意見を拝聴いたしました。消費者は賢明でなければならぬという言葉もございます。それはディスクロージャーがスタートをすることによって賢明になるだろう、公平に見ますとそういうことになります。  ローカルカレンシーであってはならないという首相の懸念、同時に円が経済国家にふさわしい通貨でなければならない、そのためにはグローバルスタンダードであり、公正公平な市場でなければならない。そういうことで、前段申し上げました市場には、業者だけではなく、やはりそこには投資者、契約者という国民各位がおられる。業者ではなく、自由にそこに投資できるような開かれた市場こそまさにこれからの世界市場であろう、そのために全力を尽くしてまいりたいと思っております。
  157. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 全体的な問題をお答えするだけの知見を私は持っておりません。  ただ、委員が冒頭お触れになった日産生命、その系列に日立製作所というのがあります。私の周辺には日立の方々がたくさんおりまして、この日産生命の商品を買った方がたくさんおります。そして、委員が今御指摘になったような問題点を持ってこられますが、私も実はお答えをする方法がありません。今も大蔵省やあるいは経企庁やその他からお答えを願っておりますが、抽象論では一応の答えが出るわけですけれども、答弁者の席から言っちゃいけないんですが、いずれにしても私もまだその問題の答弁を私たちの周辺にいる方に申し上げることができません。  そういうことを感じますと、確かに今まで産業政策中心というか、あるいは業者中心と言っていいのかどうかわかりませんが、その中でお互いに意識をしなきゃならないのは、ほかの国の社会もそうかもしれませんが、原因者、ある意味では加害者と言ってもいいかもわかりません、が保護をされて、いわば被害者、消費者が保護されないという一般的な風潮があります。  加害者というと言葉が悪いんですが、一生懸命やっていい製品をつくったと思うんですが、結果として悪ければ、被害を受けるのは消費者であります。その場合、それぞれ加害者はいろんな法的な措置を講じて、いろんな抗弁の機会も自己主張の機会もありますが、一たん受けた被害というものは戻すことができないのであります。  私たちの生活の中おいても、あるいは議員生活の中においても、ありとあらゆる社会にあることは、その原因者が保護をされ被害者が保護をされないという風潮、これを直していかないとこの消費者行政というのは進まないのかしらという思いを深くいたしております。
  158. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 ありがとうございました。
  159. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 民主党・新緑風会の峰崎でございます。  官房長官はたしか五十分から出かけられるということなので、できれば最初に、実は余り質問通告を十分にしておりませんが、伺います。  最初に、私もいろんな雑誌だとか資料を調べているときに、どうもこれだけは冒頭申し上げておいた方がいいな、あるいは御意見をいただきたいなと思っているんですが、長期信用銀行という銀行がございますね。イ・アイ・イの例の高橋さんという人と関係があったとかないとか、そういうところでございますが、実はそこの元取締役最高顧問という方でSさんという人に二十五億円とも三十億円とも言われる巨額の退職慰労金を何か支払うというようなうわさなり記事がぼつぼつ出始めてきております。  これは私、確かめておりませんけれども、金額を聞いて、二十五億円とか三十億円と聞いて、しかもこの長期信用銀行の株価を調べたら今四百円を下回るようなところで、率直に申し上げて格付機関のムーディーズとかそういうところの格付も非常によろしくないんですね。どんな功労があったかよくわからないんですが、官房長官、こういうことがもし事実であるとしたら、これはどのように政府としては、政府が判断するというわけじゃないんでしょうが、一政治家として、私もこれはちょっとひどいところだなというふうに思っているわけでありますが、もし御感想でもあればお聞かせ願いたいと思います。
  160. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 残念ながら、そういう退職金が支払われるという記事を私は読んでおりませんからわかりませんが、往々にして銀行金融関係の方々の報酬や退職金が高いという話は聞いております。  しかし、その公共性が高い、しかも社会的な責任がある、大変な重圧感のもとでそれ相当の利益を上げるというか、奉仕をしているという方が高い報酬を受けることは私は当然のことだと思いますが、今これだけの不良資産を抱え、そしてある意味で全般に迷惑をかけているという業界であれば、それなりの自粛があってしかるべしと思うわけであります。  事実関係を知りませんので、一般論だけを申し上げます。
  161. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 大蔵大臣はどういうふうに今のお話、これも私も事実関係が本当にそうかどうかというのは、うわさでございますから余りそれ以上追及する気はないのでありますが、御意見があれば、御感想でも結構です。
  162. 三塚博

    国務大臣三塚博君) ただいまお聞きしました。私もちらっと見てそんなことがあるのかなと、瞬間そう思いました。  官房長官と同意見でありまして、特に金融界が大きな不信で批判を浴びております。そういう中で、常識というものがあろうと思います。新しい特許を発明いたしまして巨万の富を得るというのは知的所有権の問題もこれあり、それはそれであります。お金をお預かりして、お金を貸して、常識をはるかに超えることは国民感情からいって、これはだめであります。
  163. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 私もお二人の大臣の見解と全く同じで、高過ぎるからよくないと言っているのではなくて、やはりきちっとした生産性だとか付加価値を高めた、そういう努力に対してはそれはそれなりの報酬が支払われてしかるべきだろうというふうに思っているわけであります。  そこで、最新号の「エコノミスト」を見て、金融サービス業が付加価値に見合った報酬体系になっているかどうかという、竹内文則さんという人のデータを早速ちょっと調べてみたんです。  この方の資料によりますと、いわゆるGDP、国内総生産に占める金融証券、保険業の占める割合が日本は四・八%、アメリカは六・五%、旧西ドイツは五・四%で、日本は残念ながらこの三つの国の中で一番低いようであります。ところが、金融証券、保険業の雇用者所得の比率を調べてみると、日本は五・七、アメリカが六・二、旧西ドイツが四・八ということになりまして、これをひっくり返して割りますと、何と日本は所得の水準が生み出した生産よりも一九%高い、アメリカは五%低い、旧西ドイツは一三%低い、こういうふうになっておって、どうも日本金融産業に働いている方々は余り生産は高くないのに所得だけは非常に高いという構造が浮かび上がってきているんではないかなと思うんですね。  これはもちろん平均値ですから、そう単純に言い得るわけではないわけでありますが、そういう意味では、私はどうも護送船団時代の一番低いところの水準で利益が上がるような、やっていけるような水準にしているがゆえに、それ以上高いところは大変膨大なもうけがあったんだろうと思います。その名残が今も続いているんだろうと思うので、この点はまだまだ、日本金融ビッグバンとかいろんなことを言われているわけですが、金融業におけるビッグバンヘの主体的な対応というのはどうもまだ進んでいないのではないかなというふうに思っているわけです。  もう一つ象徴的なのは第一勧業銀行の例だと思うんですけれども、二回にわたって大蔵省検査をやっていて、それをうまくすり抜けているわけですね。きょうは金融検査監督の話をしているわけですから、当然どうなっているんだと追及したくなるところなんですが、幾ら規則やルールを決めても、みずから守ろうとしない体質を持っていた業界だったら、これは何にもならないんじゃないかと思うんです。  どういうふうにしたらここから先、つまり罰則を強化したらいいのか、そういう金融業の体質というものについてどういうふうに改革を、こういう金融監督を強化するということも重要だと思うのでありますが、このことに対するさらにもう一歩突っ込んだ考え方をお持ちであるのかないのか、このあたり、大蔵大臣、いかがでございましょうか。
  164. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 高額な給与をいただいておる方は高額な給与にふさわしい使命感を持つべきであるという言葉を聞いたことがございます。  それと、金融機関はまさに公共性、信頼性ということで成り立っておるわけであります。特に、銀行は悪いことはしないんだ、安心である、我が家の金庫だと、こういう信頼の中で多くの国民の預金をお預かり申し上げておるわけであります。そうであるならば、それを大事に運用して的確にお支払い申し上げる、こういうことでなければなりません。限られた利子の中で運用されるという原点を踏まえれば、これまた社会の中における企業としての倫理観、また企業観というものが特別に求められても不思議ではない。ですから、銀行マンは尊敬もされ、銀行は信頼をもされここまで来たということを考えてみますと、隔世の感を持つとともに、これはまさに金融システム改革の根幹にある大事なポイントだなと痛感をいたしております。
  165. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 大臣お話を聞いていても、それでしっかりもっと倫理観を高めてもらいたい、高い給与の人は高い倫理観をという、最初に高い給与ありきじゃないんだろうと思うのであります。  それにふさわしい待遇というのはもちろん必要だろうと思うんですが、どうも金融業界全体の体質が、これはもう今は証券会社は野村で起きているわけですが、これは要するに野村だけなんだろうかな、銀行も第一勧業だけなんだろうかな、あるいは保険会社も日産生命だけなんだろうかなと。  そういう意味では、私たちが今見て、この改革ということに対してはある意味では相当力を入れていただきたいなと思うんです。  さて今度は、官房長官に残っていただいておりますので、もう一問だけ。  実は今、日本ビッグバンということでずっと進んでいるわけであります。この日本ビッグバンあるいは金融業界のリストラ、自由化、規制緩和、今恐らく政府も六大改革ということで、きょう文部大臣も来ていただいていますから後で教育改革もぜひお聞かせ願いたいと思うんですが、そういう改革というのは痛みが伴います。痛みが伴うだけじゃなくて、将来的に日本という社会をどういう社会にするんだよという、ある意味では国民に向かって、苦しいけれどもこういう努力はしてもらいたい、こういう痛みを感じてもらいたい、しかしそのかわりその先にはこういう社会が待っているよということを私たちは国民に向かって言わなきゃいけないと思うのであります。  その際、今進められている金融を中心とした自由化、ビッグバン、これは裁量型からルール型へと転換しようとしているわけでありますが、先進地域であると言われているアメリカ、まあイギリスもそうだと言われていますが、こういう規制緩和や自由化への転換というのはどんな社会になりつつあるんだろうかなということについて、アメリカの前のCEAの委員長をやっておられましたカリフォルニア大学バークレー校のローラ・タイソン女史は顕在化するアメリカの所得格差ということを言っている。所得格差をずっと調べてみると、所得の上位一〇%、下位一〇%の賃金の格差は過去二十年間に男性の場合が三・六倍から五・二五倍、女性が三・八倍から四・三倍、それぞれ格差が拡大をしておる。しかも、これは学歴別に見ると、大学以上を卒業した人間とそうでない人間は雲泥の差だと。実質賃金は、好況だと言われるのに働く人たちの平均水準はむしろ非常に下がっておるということすら言われておるわけであります。  そうすると、ビッグバンが起きたときに、この先所得の格差はどんどん拡大をするとか、いろいろ必ずそういう問題が出てくるとすれば、そういうことに対して政府としてはどのような将来社会を考えているのかということについて、官房長官、二言お願いしたいと思います。
  166. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) これは大蔵大臣が答えるべき専管事項でございますから、私から答えるすべを持ちません。  しかし、一般の政治家としてビッグバンないしは国際化、自由化というものに期待をするのは、やはり日本金融市場というものが活性化をされ、そして国民の利益、産業界の利益につながるということを期待するわけであります。  私個人から言いますと、千二百兆という国民の、いわば民間の金融資産、これが有利に運用できて日本のいわば高齢化社会のためにどれだけの効用を持つか。今の銀行さん、本当に日本の我々を考えてくれているのかという心配をいたします。しかし、金融界はそれなりの努力をいたしておりますから、これからそれなりに対応ができるのかどうなのか、できない場合はどちらをとるかということになると、例えばロンドンにおいて金融界がかつて貸し手企業になって諸外国金融業界が入ってくる、しかし受ける国民の利益や国家の利益があればそれでいいではないかというところまで割り切らなければならないのかなという感じは私は持っております。
  167. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 主管大臣である大蔵大臣、どのようにお考えでございましょうか。先に聞くべきでしたか。
  168. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 所得格差の問題というのは、自由主義社会におきましてその人の努力、また勉強、その成果という問題もございまして、一概に論ぜられないところがあろうかと思いますが、国家政策として中産階級を目指すと我が国は掲げて、自由でかつ競争社会ではありますが平等な社会を目指すと、この基本点で努力をしてきたことだけは間違いございません。  そういう意味で、格差は我が国世界で先進国中一番少ないのではないだろうか。さっきのように飛び抜けてびっくりするような退職金というのは、これはどういうことなのか、社会現象の一つなのか、関心を持って調べますが、そういうことが国民の連帯を深めておるのだと思います。  東京市場がオープンになり、三条件が完備をされたということでありましても、やはりこの伝統は、傾向は、傾向と言った方がいいんですけれども、それなりの形でいくのではないでしょうか。  リスクを無視して利益を求めるということでありますと、その逆は天と地の違いになりますから、一つの考え方としてはいいのでありましょうけれども、伝統はそうではないという社会的な日本の伝統があります。  そういう中で、投資者保護という基本点というのが大変大事なポイントになってくるし、膨大な商品をというのは、やはり市場に任せておるわけでございますから、ディスクロージャ}という手段を講じて公平な市場と、こういうことになるのでしょうか。ぜひそんなことでもっと研究していかなければならない課題であります。
  169. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 何だか将来の社会についてよくわかったかわからないか、私も今のお話を聞いていてわかりにくいところがあるんですが、実は裁量型からルール型へと、こういうことになりますが、もう一つ、実はその中でどうも日本の社会というのはずっと平均的な人間を育てることが上手であったと。しかし、これからはビル・ゲイツだとか、日本でいえば孫正義さんだとか、そういうある意味では非常に起業家精神旺盛で、そして非常にすぐれた天才的な能力を持った人材を養成しなきゃいけない。  今まででいえば一とか二とか三とかの比率だったけれども、これからの人材のその持っている価値というのは、先ほどの二十五億円の退職金じゃないんですが、収入はもうとにかく十倍とか百倍とか、それぐらい高いぐらいのすぐれた人材が輩出しないと日本の経済というのはうまくいかないんじゃないかというような議論も実はされているわけですね。  というのも、恐らく世界的なネットワーク競争というのがあって、そのネットワークの中で飛び抜けてデファクトスクンダード、要するにある意味では事実上のスタンダードをつくるだけの力を持った産業をつくる、そういう人材育成が求められているというふうによく言われているんです。  ここら辺、実はきょう文部大臣に来ていただきましたので、今の教育改革の中で、橋本行革の六つ目の課題として、これは六番目というのは決して一番最後という意味じゃなくて、きっと重要な役割なんだろうと思いますが、そのあたりはどのような改革が今考えられているのか、少しお話をいただきたいと思います。
  170. 小杉隆

    国務大臣(小杉隆君) 教育改革プログラムの中身を要約して申しますと、教育改革は二つの視点と三つの手法に集約できると思います。  二つの視点とは、まず一つは、今お話しのとおり、現在国際化とか経済の高度化、グローバル化、さらには情報化、高齢化、少子化、こういう時代の変化の中で、そういう新しい時代の変化に対応できる人材育成、こういう面が一つ。  それからもう一つの視点は、先日来いろいろ金融スキャンダル等もありますし、また公務員の不祥事もありました。オウム事件とかその他昨今の世相にかんがみまして、いかにすぐれた偏差値とか知識を持っていたとしても、豊かな人間性を育てなければいけない、こういう視点、正義感とか倫理観とかそういうものを持った豊かな人間性の育成、この二つの視点に立っております。  それを進めるに当たって、三つの手法というものが大事だと思います。  一つは、オープンで柔軟性を持って、そして実行を第一にということを考えております。オープンというのは、学校と社会とがもう少し交流をする、学校がオープンな運営をされなければいけないというようなことで、きょうの峰崎委員の主題である金融問題に関しましても、例えば最近は大学の学部等で経済学部、経営学部等で第一線の金融業界で働いている方を講師に招いて呼ぶ、その講義が物すごい人気を博しているというようなケースもありますし、逆にまた社会人がリフレッシュの意味で学校へ来て、もう一度磨きをかけていただく、こういうようなことも行われております。  それから、大学院段階では、最近のマクロ金融リスク論とか証券投資論あるいは経営情報分析というような非常に高度な専門科目についても、大学院の経済学研究科とか経営学研究科等を通じてやっておりまして、これからの非常に激化する国際競争の中にもかち得る人材を育てよう、こういうことでございます。  そのために、柔軟性のある教育制度ということで、過去の過度の平等主義というんでしょうか、形式的な平等主義ではなくて、本当にすぐれた者を伸ばすというような観点から、例えば大学の入学年齢を十七歳から、希有な才能を持つ者を十七歳でも大学に入学を許可するとか、あるいは大学、高校の入学試験でも単なるペーパーチストの成績だけでとるんではなくて、いろいろな論文とか、あるいはボランティア活動とか、特技を持っているかどうかとか、そういう選択方法の多様化というようなことも考えております。  申し上げればたくさんありますけれども、特徴的なところは大体そんなところでございます。
  171. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 文部大臣、ありがとうございました。時間があれば本当はもっと聞きたいところではございますが、もしお時間がなければ結構でございます。  今、文部大臣からずっとお聞きをしておりまして、これは日本人の中で、あるいは世界的にもそうなのかもしれませんが、教育の水準がどこまでいったかによってその後のその人の所得とかそういうものに非常に格差が出てくるというふうに言われている。その意味で、これからはそういう非常にすぐれた人材も育成しなきゃいけない、倫理的にも豊かな人材をつくっていかなきゃいけないという意味で大いにやっていただきたいと思うのであります。  そこで、実は先ほど聞こうと思っていたわけでありますが、先ほどちょっとローラ・タイソン氏の話の中で所得格差が非常に拡大しているという話をしました。バブルの始まりの一九八五年から今日までの間で結構でございますから、この日本においては今所得格差が縮小しているのか拡大しているのか、大蔵省当局にぜひその点を数字上明らかにしていただければと思います。
  172. 武藤敏郎

    政府委員武藤敏郎君) 所得格差を比較する際の指標といたしましては、ちょっと専門的になって恐縮でございますけれども、ジニ係数というのがございます。要するにジニ係数というのはゼロに近ければ平等、一に近ければ近いほど不平等ということでございます。  一九八五年、昭和六十年、我が国のジニ係数が〇・二七八五という数字でございました。最近時点では一九九一年の数字が入手可能でございますけれども、これが〇・二九〇三ということで数字が上昇しておる。言いかえれば、このジニ係数で見る限り所得格差が拡大しているということが言えるかと思います。
  173. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 それは所得ですか、資産ですか。
  174. 武藤敏郎

    政府委員武藤敏郎君) これは所得でございます。
  175. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 資産の方は。
  176. 武藤敏郎

    政府委員武藤敏郎君) 資産につきましては、これは最近になって総務庁が出したもので、平成元年、一九八九年が一番古い数字でございますけれども、貯蓄につきましては一九八九年が〇・五六三、一九九四年が〇・五三八、それから住宅宅地につきましては八九年が〇・六八〇、九四年が〇・六四一ということで、特に住宅宅地につきましてはバブル崩壊後の地価低下等によって改善されているということが言えるかと思います。
  177. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 資産の始まりのところが八九年なんという数字だとバブルの真っ最中ですから、今の統計データだけではなかなかわかりにくいのですが、一般論として言いますと、所得税の税率をぐっと引き下げてきましたね、今まだ五段階で高いということはありますけれども。しかし、直間比率は、今消費税を入れたために、三%から五%入れて、直接税である所得税、住民税は減税をしたわけです。そうすると、これは一般的には当然のことながら高額所得者には有利になるというふうに私どもは理解をしているわけです。  これは今後所得でもって把握しようという努力を恐らくされるだろうと思うんですが、しかしビッグバンが起きて、来年の四月一日からたしか外為法が改正になりますね。一生懸命情報をつかまえるとかなんとかおっしゃっているんですが、ますます所得の把握、きょう金融問題をやっておりますが、とりわけ資産性所得の把握というのは非常に難しくなります。そうすると、当然のことながら、これは所得よりも消費を重視してそこにウエートをかけていった方がいいのではないかという声が一般的に上がってくると思うんです。  この点、きょう主税局長お見えになっていますが、少しビッグバン対応した税制のありようについて、特に所得が上がったり下がったり、この格差が拡大するんじゃないかという点でどのようにお考えになりますか。
  178. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) 確かにここ十年ほどの税制の改正といいますのは、六十三年の抜本改革、そして六年の税制改革、いずれも消費税率なり消費課税をふやし所得課税を減らす方向で改正をいたしておりますから、そういう意味では委員の御指摘のとおりの方向にあろうかと思います。  ただ、その趣旨というのは、少子・高齢化が進んでいく中で勤労世代が人口に占める割合が小さくなる。そうしますと、勤労世代に限らずより多くの人々に社会を支えていただこう、こういう観点からの今回あるいはこれまでの改革であったのが趣旨でございまして、そのことが結果的には委員御指摘のような方向に働いていることは否めないと思います。世界的に見ましても流れとしてはそういう状況にあるのかなと。  少々長くなって申しわけございませんが、この点は、日本におきましても高齢者がふえるということは、高齢者で所得がそこそこの人がふえていくということによって、ただいま総務審議官の話がありましたように、同じ人口構成でない中でジニ係数を比較していますからこれは不正確だと思うんです。同じ人口構成であれば不公平になっているということかもしれませんけれども、高齢者がふえてそこそこの所得を持ち資産をたくさん持っていらっしゃる方がいる、そういう方々を含めて二つの時点で比較しますとジニ係数は悪い方向に行っているということですが、それはそれほどではないと思います。ただ、税に関して言うと、おっしゃる方向での改正が行われてきている。  それからもう一点の御指摘の、これから足の速い所得といいますか課税標準といいますか、そういうものがとらえにくくなってくるという中で日本あるいは世界の課税制度がどっちに行くんだろうかということに関しては、このままほっておけば、多分、我々は一生懸命税制を完備しようとしても労働とか消費の課税にシフトルていかないと必要な税収を確保できない事態は想定できると思います。これは近々という意味じゃなくて、長い目で見るとそうなってくると思います。  これがいいのか悪いのかということについては世界各国悩んでおりまして、一つは消費課税の方にウエートを移していった方が自然であるという考え方もあります。しかし一方で、所得課税を国際的に、特にOECDなどの場を含めてお互いにきちっとしていけば今の状況を維持していけるし、それがいいんだという方向と二つございます。我が国の場合、私どもは所得課税を中心にしつつ消費課税を補完するというスタンスを今とっておりまして、これを変えていくという考え方はございませんけれども、委員御指摘のように、今分岐点といいますか悩ましいところに来ているという自覚は持っているところでございます。
  179. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 きょうは金融監督庁議論ですからあれなんですが、こういう改革がなされていったらどういう社会ができるかという意味での大きな将来像の論議だと思って少し議論しているわけであります。  私ども議論していると、北風と太陽という例えをよく出しますね。所得税というのは、要するに汗水垂らして稼いだ所得、資産性の所得ももちろんありますが、その所得をいかにきちっと厳密に把握をして、そしてそこから税をいわゆる超過累進課税で今取っているわけですけれども、それはどうも北風の発想じゃないか。  むしろ、喜んで消費をしてください、もちろん比例税率でしか今取っておりませんが、その消費によって自分が遊ぶ、レジャーをやる、あるいは生活をする、そういう消費の中から新しい税源を見つけ出していった方が、ある意味では、いわゆる超過累進税率で所得をしっかりがっちり把握しようとすると、そこからいかに逃れようとするかという、北風でマントをはがそうとしたら、いや、はがれたくないという圧力を実は増してくるのかなと。  となると、もちろん所得税が基本的な税の中心になるということについての考え方は我々も持っているわけでありますが、今申し上げたように、金融ビッグバンであるとか国際的なハーモナイゼーションの問題も、いわゆるOECDの税の部会で果たして所得税の税率や税体系まで本当に調和というか統一してできるんだろうか。せいぜいタツクスヘーブンの国に対してどうするかとかそういうところまでが、今のところ私は、基本的にいって今はむしろ所得税の税率の引き下げだとかあるいは法人税の税率も下げていこうとかそういう形で、国境をグローバルに動いている企業活動などの作業を、ある意味では税が余りそこを規制しないようにしようというふうに向かっているのではないか。  とすれば、所得というよりもある意味では消費ということを、しかもこれから将来、外国人などもどんどんかどうかは別にして入ってくると思うんですね。そうしたときに、所得の捕捉というところよりも、二十一世紀になれば消費という問題について、これは消費税がいい悪いの議論以前に、そういう方向で物が進むと実は超過累進課税全体も下がってまいりますから、必然的に日本の国内における所得の上下格差、少子・高齢化社会ですから、資産のいわゆる上下格差というのは必然的に拡大をしてくるんじゃないかというふうに見ておるのでありますが、これは課税当局といいますか、主税局あたりではどのように考えておられますか。
  180. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) 資産の格差に関しましては、土地の値段の持つ影響の方が非常に大きくて、今のところ資産格差はむしろ是正されている方向にありますけれども、これは地価が安定化してきているということを反映してきているのかと思います。  税制だけを取り出してみたときにどう考えるかといったときに、例えば日本の相続税が重いか軽いかということを議論しますと、率直に申し上げて決して軽くはないと私は思います。ただ、所得課税との関係で、所得課税をし残したところをお亡くなりになったときに最終的に調整させていただくという意味の機能も持っておりますので、所得課税の最高税率が六五%の現在、相続税を七〇%に維持せざるを得ないと、そういう関係にあるということで委員御指摘のように所得課税をどうするかということが全体に影響してくると思います。  仮に、所得課税が今世界の潮流であるフラット化の方に進んでいくならば、これは消費課税とある意味では似てくるということはそのとおりだと思います。そうしていないと国際的に交流の激しい中でやっていけないという状況になっていくことも考えられるわけでございますが、それがいいか悪いかに関してまさに議論はしないといけないと思っております。  ただし、とめようがない話であるならば必要な税収をどこで求めるかという議論もしていかなければいけない、そういう意味で非常に悩ましいところに来ていて、累進構造が急なほど公平だということではなくなってきているというふうに私は思っております。
  181. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 こっちから言おうと思ったことをもう言われてしまいましたけれども、実は結果的に消費といった場合に、消費をしないで貯蓄をしていったものあるいは資産をため込んだもの、だから最終的に相続の段階あるいは譲与の段階、この段階で実は最終消費が行われたという形です。  私は主税局長と違って今の相続税というのは決して重たくない。もう亡くなられた先輩の渡辺ミッチーさんが、日本の相続税は世界で最高だなんてよくおっしゃっていましたけれども、実は大変なげたがはかされておりましてそれほど高くない。むしろ、今非常にアンバランスになっていると思うのは、東京とかそういうところの相続税と、私も札幌に住んでおりますけれども、地方の熊本だとか札幌だとかそういったところの相続税のアンバランスがあって、これを同じ税目で取っていいのかどうかということについての議論もあります。  いずれにせよ、日本の社会の一つの大きなよさであった社会的な公平性、さっきジニ係数をおっしゃいましたけれども、その公平性あるいは平等性といいますか、結果としてそのことを担保するのは贈与税あるいはこの相続税、そして先ほど、もうお帰りになりましたけれども、教育に対する、子供を大学にやる、大学院にやる、あるいはアメリカの大学に留学させる、そのときに親がこれを援助するというのは形を変えた贈与税じゃないかというふうによく言われるわけでありますね。しかし、その点についてこれを捕捉するというのは税制上なかなか大変なことだろうと思います。  いずれにせよ、そういう意味で我々はこれからのビッグバンのもとにおける金融あるいは所得、日本の社会の将来像を考えたときには、私はやはりそういう方向へ向かわざるを得ないのではないかという意見を持っていることだけ申し上げておきたいというふうに思います。  さて、きょうは金融監督の問題でございます。  実はきょうは農水省から農林大臣にお越しをいただきました。なぜお越しをいただいたのかというと、私ども民主党の場合はこの金融監督は一元的にやるべきじゃないかというふうに思っておるわけでございます。農水省と今度共管になるということでございますね。そうすると、どうしてこれは一元化にならなかったのか。  と申しますのは、あの住専問題があるときに、農協系の金融機関というのは、もう住専のときだけではなくてそれ以前の段階でよくちよこちょこ問題を起こしておった。例えばどこの県の信連とは申し上げませんが、これが証券投資に大変大きな失敗を起こして、そういう御指摘を受けたこともあるだろうと思うんです。  私も実は前回の総括的な質問のときにもお話をしたんですが、どうも一九七〇年代半ばから日本の経済はお金が足りない時代から余り始めた時代だと。そうすると、余ったそのお金をどのようにリスクをとりながらもうけていくのか、与信をしていくのか、そういう能力あるいは技術、テクニックというものが、きのう、きょう以来ずっと議論になっているように重要な問題だと思うんですが、果たしてそういう点において農協系金融機関はそのような技術とか優秀な人材をお持ちになつておられたのかどうなのか。  あるいは、今までの検査の中で住専以前の段階から同じような問題が起きている、住専のときにもいろんな経過があったのかもしれませんが、そういう問題を起こしてきたというのを一体どのように農水省としてはお考えになって、なぜ今回そのような検査業務を、労働省もそうでありますが、いずれにせよ一元化をするという方向に行かれなかったのか、その点を大臣にお答えいただければと思うのであります。
  182. 藤本孝雄

    国務大臣(藤本孝雄君) 委員御指摘の点につきましてはまさに非常に重要な問題でございまして、この金融監督の一元化の議論の過程におきましていろいろな議論がございましたことは御承知のとおりでございます。  ただ、私どもといたしましては、農政上の事情で信用事業につきましては私どもが監督をするという必要性はあると。農協系統は御承知のように共済事業もございます、信用事業もございますし、いろいろな事業があるわけでございまして、その事業の中からこの信用事業については農政上の見地からやはり農水省が監督すべきであろうと。金融庁の監督は金融秩序のそういう観点からでございまして、私どもといたしましては、この農政上の観点から信用事業については監督をする必要があるというふうに考えておるわけでございます。  それからまた、先ほど御指摘のいろいろな農協系統の金融機関について、ノウハウが十分じゃないじゃないかということにつきましては、住専問題、当時の反省に立ちまして御承知のような農協二法を成立させていただきまして、十分にそれらの問題には対応できるような体制をつくろうということで今日いるわけでございます。
  183. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 農政上とおっしゃったやつは、きょうは農政を議論する場ではございませんから申し上げられないと思うんですが、農政上の理由というのは具体的に言うとどんなことでしょうか。  私は、農業のことについて、北海道におりますから非常に関心というか切実な気持ちを持って見ておるわけでありますが、つまり、北海道を除いて本州の農家を見ていたら、もともと専業農家なんてほとんどいないんですよ。しかも、これはたしか一九九一年のデータでありますからもしかすると不正確かもしれない、というよりも今はもう変わっているのかもしれませんが、農業粗生産額、農業で生産したものが大体十兆で、農地の売買収入が九兆五千億、これは一九九一年か九〇年だったと思いますのでバブルの最盛期ですから、ひょっとするとそれはそういう要因が入っているのかもしれません。  そうすると、これは農地、つまり特に一番そのとき地域的にひどかったのはいわゆる関東地方とか近畿とか大都市圏の農地というもの、ある意味では非常に農業収入の何倍も超える土地代金が入ってくる、これは土地税制でそういうことに対する公共事業の用に供した場合の減額措置なんかもあるいは入っていますから、そういうものも含めて大いに影響があるのかもしれませんが、そうすると、農政上というふうに言った場合には土地の売買とかそういうもので上がってくるお金をどのようにこれからやられるんですかということと絡むのではないかと思うんですね。  将来的には、後継者が非常に減ってきていますから、これから土地の流動化を促進する、レンタルにするかリースにするかとかいろいろあると思うんですが、土地の売買も起きるかもしれない。  株式会社が農地を取得することについてはいまだに何か大変な議論があるようですから、しかしいずれにせよ、そういう農地を売って、そのお金をどうするかというときは巨大なお金が入ってくるんですね。これは農政上の扱いでどのように判断をされているんですか。
  184. 熊澤英昭

    政府委員(熊澤英昭君) お答え申し上げます。  確かに、先生御指摘のように、都市部においては農地の売買代金がかなりな額を占めておるということは事実でございますが、日本全体で申し上げますと、農協系統、地域金融機関としての役割もかなり果たし、重要な役割をしておるところでございます。  ただ、先生御指摘のように、地域におきましては農業に対する投資は横ばいでございます。また、それに加えて、地場産業に対する投資、員外利用でやっておるわけでございますが、系統資金全体をそれで運用できるかというと必ずしもそういう実態にはなかなかないことも事実でございますので、そういうことから系統の資金を上部団体であります信連、さらには最終的には農林中央金庫に預け入れまして、債券の運用等につきましてはかなり農林中央金庫が重要な役割を果たしておる。  そういう意味では、農協系統金融機関全体として、農業に対する投資、それから地場産業に対する員外利用、さらにはその他の証券等によります運用、全体としてバランスのとれた形で適正に運用していることが重要だということで、そういう視点からの運用にも留意をしながら健全な運営に心がけていくということが重要かというふうに考えております。
  185. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 健全な運用に心がけているということなんですが、しかし実は私、前回質問したときにもお話ししたように、農協、信連、各県信連の中でいわゆる住専問題で一番ひどい目に遭ったのは、そういう土地代金をたくさん上げたところの大都会が多かったんでしょう。固有名詞を上げたら失礼になりますから言いません。ということは、これから先も農地の流動化がどんどん進み始めるあるいはそうなってくると、そういうお金がどんどん入ってきたときにそれをどのように運用していいかという、そこで実は一番失敗なさったんじゃないのか、だからそこの改革というものが本当にこれからも大丈夫なのか。  それともう一点、私は農家を回ってみて、農家の方々は皆農協に実は組勘と称するものを持っているんです。自分で持っていないんですよ。要するに、肥料代はそこで引かれて、お米を売った代金がここに入ってくると、もう自動的にそこの中で決済されている。  そういうことを考えると、どうも一人一人の農家が自分はどれだけの肥料を買わされている、どれだけの物を買っている、どれだけの収入があったということを見て、経営という感覚を私はそこから本当は離すべきだというふうに思うんですが、どうもそこのところが組合員勘定として一括してやっているがゆえに、販売事業、購買事業、それから信用事業というのは一体でなきゃいかぬというふうに、ある意味では農協の都合でそうなっているんではないかという感じがしてならないのでありますが、そのあたり大臣、御意見があったらお聞かせください。
  186. 熊澤英昭

    政府委員(熊澤英昭君) お答え申し上げます。  確かに、先生今御指摘のように、農協におきましては、先生今おっしゃいました組勘ということで、物の購買それから融資、一つの口座で一体としてやっている場合が通常の形態だろうかと存じます。  したがいまして、そういう際に農家の方々が自動的に物の購買代金それから販売代金、そういったものが自動的に自分の農協の口座に出し入れされると、時として自分の額の出し入れを十分に意識しないという場合もあるかと存じますが、最近では、特に例えば認定農家制度というようなものを制度として私ども運用しているわけでございますけれども、そういった農家が融資計画、新たな投資をするような場合には、系統あるいは普及員、そういった人々が農家の方々と話をしまして経営改善計画を樹立いたしまして、それに基づいて融資を行う、今後五年間ないし十年間の経営の見通しを立てて融資を行うということで現在進めております。  そういう意味で、特に農協の事業の中で信用事業あるいは購買事業と並んで営農事業が大変重要だという認識をしておりまして、現在私ども、系統組織を挙げて経営改善に取り組んでいる最中でございますけれども、営農指導の強化ということも一つの力点として置いて進めているというところでございます。
  187. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 また同じ、つまり一度あることは二度ある、二度あることは三度あるじゃないですが、どうも農協系統に対する検査監督のシステムが根本的に何か改まったという感じを受けないままに、また共管体制でやりましょうということで進んでいく場合に、同じ失敗をまたしなければいいけれどもなというそんな不安、危惧を大変強く持っております。  今指摘したことについても経済局長お答えになりましたけれども、私は北海道にいて、農家の方々というのは農業をどうしたらいいだろうかということで大変真剣に悩んでおられますし、何としても自立して、国民の食糧自給率が下がっている、何とか引き上げて、子供たちにある意味では未来をつくっていきたいというふうに思っているし、そのための自立した経営をつくりたいというふうに思っている人がたくさんおりますので、ぜひ大臣、そういったところに目を当てていただきたいなと。  これ以上農業政策についてお話しするつもりはありませんが、大変危惧の念を表明させていただいて、私どもは修正案も出させていただいて、やはりこれは一元化すべきだというふうに思っておりますので、その点をひとつお含みいただいて、きょうは時間の拘束もこれ以上結構でございますので、よろしくお願いいたします。  さてそこで、実は今農業のことをお話ししたわけでありますが、もう一つ、今度は大蔵省の方に聞いてみたいんです。  今回の金融監督庁検査の内容に入ってこないのでありますが、財政投融資というのは一体金融なのでありましょうかあるいは財政なのでありましょうか。
  188. 伏屋和彦

    政府委員(伏屋和彦君) お答え申し上げます。  私ども、財政投融資は、財政政策上の目的を実現する上で有償資金で行うことがふさわしい分野につきまして、投資とか融資とかいう手法を用いる仕組みであるといっておるわけでございます。  例えば具体的に道路整備ということを考えていただきますと、一般道路と有料道路がございます。一つはそれを現世代の税金ですべてつくるやり方、それから公債を発行いたしまして予算でやるやり方、それから有償資金を活用して財政投融資でやる三つのやり方、またその組み合わせがあるわけでございます。  そこで考えていただきますと、例えば全部税金でやるということになりますと、これは現世代の税金の負担が上がってくるわけでございます。公債を発行して予算でやるということになりますと、確かに便益効用は次の世代に及ぶんですが、今度は次の世代の税負担が上がるということがございます。  そこで、例えば有料道路でございますと、これは料金ということで収益性もありますし、また受益者負担ということで求めることができるわけです。そうしますと、そういう有料道路のような受益者負担を求める分野は、有償資金でやれば国民全員で負担する税負担が軽減されるということがあるわけでございます。  そういう意味で、結論的に申し上げますと、財政投融資は国による資源配分機能を果たす財政政策の一手法でございます。したがって、毎年度の財政投融資計画は一般会計予算と一体として編成されまして、原資ごとに予算の一部として国会で審議、議決されているものでございます。その意味では、財政投融資は財政であると考えております。
  189. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 財政投融資は財政だ、財政政策上やっているんだということなんですね。しかし、財政投融資の財源の基本になっているのは、御存じのように郵貯であり年金の資金です。これは利率を保証しているわけですね。郵貯の利子であり、それから厚生年金の資金であればそれも何%という、この間ちょっと利率を下げたとか下げないとかとありますが、それは保証しているんですね。  そうすると、そこの利率そのものも実はかなり金利と連動し始めています。中には高いのを押しつけ過ぎて将来不安だというのももちろんあるけれども、しかしいずれにせよ、そうするとその財源は、やがて理財局長のところで貸し付けるとき、それぞれの公的金融機関なのかあるいは今申し上げたさまざまな財団なのか、そこに貸し付けるときには当然利息をつけますね。その利息をつけるときには、多分いわゆる長期資金が多いんだろうと思いますが、必ず返す、すなわちやがては返しますよという約束事で済むんだったらここの理屈は金融の論理じゃないんですか。  つまり、もちろん長期的に民間がやれないようなところをやっているんだということはそうかもしれないけれども、今は民間がやらないようなところだって大いにやっているんじゃないですか、住宅公団だ何だというところは。いずれにしても、そういうところにどんどん出しているんじゃないですか。そうすると、そこはリスクというのがどのように保たれるかということは、財投の段階だって出口の段階であればなおさらそこはいわゆるリスク問題というのは不可欠であって、そこは金融の論理が必ず入ってくるんじゃないですか。
  190. 伏屋和彦

    政府委員(伏屋和彦君) お答え申し上げます。  今、先生も言われましたように、まさに財政政策上やらなければならない、その目的を実現する上で有償資金を活用するわけでございますが、そのときに投資とか融資とかいう手法を用いるわけです。したがって、もちろん郵便貯金とか年金積立金など国の制度とか信用に基づいて集められた資金を原資としているわけで、そこは例えば郵便貯金ですと当然利息があるわけでございますので、利率というものはあります。  これは預託金利ということになっておりますが、その意味では、例えば財政政策を公債という財源でやる場合、これは資金を調達するときに利率があるわけでございます。したがって、預託金利は現在国債の利率を基礎として、国といえども有償資金を預かるときには借りるわけでございますので、なるべく国債の利率を基本としている。  そういう意味では利率の概念はございます。しかしながら、あくまでもそれは財政政策の国による資源配分を投資とか融資とかいう手法を用いているのでございまして、目的は財政政策にあると考えております。
  191. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 どうしてもそこのところが、確かにそれは国の資源配分を進めていくときに当たって利率が加わるということなんでしょうが、しかしそこに必ずや入り口の段階における郵貯や年金の保証している利率とそれからそれを必ず保証できるだけのリスク管理をやっておかなきゃいかぬのじゃないですか、そこは。  だから、今問題にされようとしているのは、どうも財投機関そのものが危ないんではないのか、あるいは財投機関そのものがもうこういう入り口のものは外して、民間の市場から財投債か何かを出して、その財投機関ごとにいわゆる評価をしてもらってそこで資金調達をしないと、ここは危ない状態が続いているんじゃないか、将来返せない問題が起きるんじゃないか。  私は、日産生命の問題、先ほど社民党の日下部さんがもうあれだけ聞かれましたから余り聞かないつもりなんですが、日産生命だけの問題じゃない、生命保険の問題も、かつて五・五%ぐらいの高い利率を保証しますということで何年間にわたって募集していた期間がありますね。その募集していた期間の問題が、含み益を十分持たない体力の弱いところがまず飛び出て、そこの段階における保証した問題がまだ残っているんじゃないのかということが実は構造的な問題としてあるんです。  そしたら、同じことが片や厚生年金、年金基金と、出口のところがこれがかなり長期の問題であるという点は似た構造ができ上がっているんじゃないか。もちろん、背後には政府が控えているわけですから倒産することはないだろうという気持ちはあるんですが、そこのところを金融監督庁というのは本当はきちんと見るようにしていかないと、いやそれは国会の役割だというふうに言われるのかもしれませんが、そこを見ないと金融全体としては完結しないんじゃないんでしょうか、どうでしょうか。
  192. 伏屋和彦

    政府委員(伏屋和彦君) 先ほど委員の言われました話でいいますと、資源配分を有償資金を活用してやるにふさわしい分野がある。その場合に、じゃその原資をどうやって調達するかというときに、委員が言われましたように、市場から財投債という形でとか、またそれぞれの機関が機関債という形で調達してはどうかという御議論があることはもちろん承知しております。  ただ、今言いました有償資金が資源配分上ふさわしい分野、まさに有料道路なんかを考えていただきますと、これは現世代ですべて税金で負担するよりは、やはり有料道路を通る人に金利も含めて将来料金を払っていただいて負担していただくということは理にかなっていると思います。  ただ、委員がおっしゃるように、そこで一体リスクはどうなるんだろうということでございます。これはまさに九年度の編成でも心がけており、これからますますより重要になると思いますが、償還確実性の問題かと思います。  いずれにいたしましても、収益性のある分野は有償資金がふさわしいという意味では、先進各国どこにでもこの有償資金を活用する制度はございますので、その点は御理解いただきたいと思います。もちろん、償還確実性はこれからもきちっと見守っていかなきゃいけない点だと考えております。
  193. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 言いたいことは、有償資金を活用するという以上は、その有償の資金に対する責任はあるんでしょうということなんです。その点は恐らく違いはないんだろうと思うんですが、財政なのか金融なのかというふうに申し上げましたので、いや、それは財政だというふうにおっしゃっているのかもしれませんが、私は、財政というか非常に限られた分野の、今おっしゃったようなところとか、なかなか民間では手をつけられない超長期にわたるものとか、それは本当に限られたものだろうと思うんです。その点が非常に幅広くなっちゃって、今や、財投で進めておられる問題についての、本当にそれは将来大丈夫なのかという声が民間の市場関係者から出てきているということにやはり我々も目を向けておく必要があるのではないかなというふうに思っているところで、本来であればこの問題も含めて金融監督庁が、そのありようについてそういう検査をし監督をしていくということが私は必要なんではないかというふうに思っていたところでございますが、きょうは全く議論になっておりませんので、ぜひその点はしたいと思います。  さて、もう大分時間がなくなってまいりまして、もうあと一、二問ぐらいしかなくなりました。  本当はもっと質問を予定しておりましたので、もしかすると質問なしで終わってしまう可能性があると思いますが、今金融ビッグバンあるいは金融制度調査会の中でいろいろ論議がずっと進んできておるのでありますが、銀行証券、信託、保険という、いわゆる業際分野の本格的な撤廃の問題とかあるいは金融持ち株会社の解禁の問題、いろいろ出てきているわけであります。  こういうものについて、金融持ち株会社の場合はまだできておりませんが、できていないのに検査監督をどうするんだというふうな話はなかなか答えにくいのかもしれませんが、しかしいずれにせよ金融持ち株会社というものが大体いつになったら解禁するんだろうか、できるんだろうか、そうした場合に、これは自分では持ち株を持っているだけでありますが、そこに証券を持っていたり、銀行を持っていたり、保険会社を持っていたりする。傘下に持っていくわけでありますが、こういうところは、だれがどこをどのように検査したらいいのか、税でいえば連結納税がいいの悪いのという議論はありますが、決算の問題は連結決算の問題を含めてこの検査監督は将来どのように考えておられるのか、ひとつお聞きをして、時間が参っておりますが、まずお答えを願いたいと思います。
  194. 山口公生

    政府委員山口公生君) 金融持ち株会社の解禁の時期でございますが、預金者、保険契約者、投資家の保護のための規制も別途必要であるとの観点から、金融関係業法の整備を待って別途法律により定められる時期というふうに独禁法の改正案ではなっております。したがいまして、独占禁止法の改正をお認めいただきますと、金融関係の業法を早急に整備しまして、金融持ち株会社制度を解禁いたしたいと思っております。  そこで、お尋ねの、銀行を保有する持ち株会社に対する検査監督、あるいは証券を持っている持ち株会社の検査監督、あるいは保険を持っている場合はどうかと、いろいろ御議論があると思いますし、またその点については金融制度調査会、保険審議会、証取審等でも御議論いただいております。  全部同じかというと、少しずつ違うのかなという感じもいたします。例えば銀行の場合は、預金者保護あるいは信用秩序の維持というのがあります。証券の場合とはちょっと違うのかなという感じがします。したがって、その形態、親と子供、どういう監督体制がいいのかというのはこれから早急に御議論を賜って早く結論を出していただき、それをまた具体化していきたいと思います。  それから、連結の話につきましては、開示する必要があると証取法上なっております会社は、これは当然連結決算が適用されるんではないかと思っております。
  195. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 最後一つ。  先ほど日産生命のところで私ちょっと申し上げた、かつて高い利率で保証をしていた商品というのをかなり長い期間出しておりましたですね。それは恐らく大蔵省が認可していたんだと思います、そういう商品を。そうすると、その後こういう高い利率を保証した商品は、これはなかなか大変ですよという監督検査、こういったものについての責任はどうなっていたのか、その点だけ明らかにしていただきたいということを述べて、私の質問をきょうは終わりたいと思います。
  196. 福田誠

    政府委員(福田誠君) 監督の方についてお答えいたします。  御指摘のように、商品とか料率は最終的には大蔵省が認可しておりますが、この認可の立場と申しますと、保険契約の内容が保険契約者等の保護に欠けるおそれがないものかどうか、保険料率の算出方法が保険数理に基き合理的かつ妥当なものであるかどうか等の観点から認可しているわけでございます。したがって、これらの商品の予定利率につきましては、市場金利水準、株価等を参考にしながら、将来の金利情勢の予測等、長期的視野に立って各社において運用能力を勘案しながら決定しているわけでございます。  当時の予定利率としては、当時の金利水準から判断しますと決して異常に高いものではなかったと存じますが、そのような商品そのものが問題というよりは、そういう商品をどれくらい販売するか、各社が自己の体力に合わせてどのくらい販売するかが問題でございまして、その辺は将来の金利情勢の予想等とあわせて各社がそれぞれ経営判断で行っておられたものと考えております。
  197. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 時間が来ましたので終わります。  ありがとうございました。
  198. 笠井亮

    ○笠井亮君 週末から週明けにかけて、野村、第一勧銀の不正事件をめぐって、日本を代表する金融証券大手のやみの勢力との絶ちがたい癒着の構図がいよいよ明らかになる、そういう事態が日々進展していると思うわけでありますが、その中で庶民は怒り心頭ということだと思うんです。  そこで、まず大蔵大臣と官房長官に改めて確認をさせていただきたいと思うわけでありますが、先週、私がいわゆる天上がり、第一勧銀から大蔵省への職員受け入れ状況を伺ったところ、総会屋融資の発端となった一九八九年から現在までに、第一勧銀から十九人、そして今も一人受け入れているということで、大蔵大臣は、実態解明して万全を期して、起きてはならない体制をつくるということを全体として答弁されたというふうに思います。  事態は日々進展しておりますし、大蔵省の指導監督責任にも世間が厳しい目を向けてきていると思うわけでありますが、あのとき検査部門には出向者はいないということを言われましたが、そうはいっても国民の疑いの目は晴れないと。  昨年、当時の久保大蔵大臣が新たには当分中止と言われたのは、漏れていないという明確な確認ができていなかったからだったはずであります。  また、漏れた疑いが今回も濃厚でありますからあるいはそういう疑いがあるわけですから、大蔵大臣、当然直ちに手を打っていらっしゃると思うんですが、第一勧銀からの職員は引き揚げさせることにされたんでしょうね、そのことを一つ。  それからもう一つは、現在十人いる、それを含めた銀行からの出向者は引き揚げさせて、今後の新たな金融機関からの任用は、当分中止ではなくて今後はもう永久にやらないということにしたんでしょうねということを確認をしたいんですが、いかがでしょうか。
  199. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 本件につきましては、従前、大蔵省として、民間の発想、知識を受け入れて業務を行うことが重要という観点から採用しておったところでございます。若手の職員を二年程度受け入れるということの慣行でございました。  しかしながら、これまで当省が職員を受け入れてまいりました民間企業のほとんどが民間金融機関であったことから、官民癒着との誤解を招く面もこれあり、昨年の人事異動期以降、新たに民間金融機関からの受け入れを行うことを当分停止することといたしたところであります。これによりまして、来年、平成十年四月には民間金融機関からの受け入れ者はゼロとなる予定であります。  ただ、民間企業から受け入れた者については、柔軟で幅広い視野を持った人材の育成に有効であるとともに、相互理解や専門的知識の相互活用に資するものでございまして、今後とも拡充していきたいと考えておるところであります。
  200. 笠井亮

    ○笠井亮君 そんなことでは今回の事件に対する大蔵省の真剣さが厳しく問われると思うんですよ。今後ともそういう交流についてはいろいろ拡充していくなんという話だと、これはもう一体どういうことなのかと。今、癒着の誤解を招くというふうに言われましたけれども、誤解を招かれるだけでもこれはもう大蔵省にとっては重大問題だと思うんです。  大蔵大臣、今回の問題についてもああいう隠ぺい工作ということも言われたわけですが、本当に漏れていないということを絶対に断言できるかということを伺いたいのと、今第一勧銀から出向してきている人は、来月七月でちょうど二年の期間が来るはずなんですよ。そういう点でいいますと、こういう問題もあったんだから、あと一カ月足らずということですから直ちにやるということで、別にそんなややこしくしなくてもできるはずであります。そんなこともしないで再発防止だということを一般的に言われても国民は納得しないと思うんですけれども、再度きちっとした答弁をお願いしたいんですが、どうですか。
  201. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 委員の御指摘は、漏れておるのではないかという疑念を持たれておると思いますが、研究機関等に配置いたしておるわけでございまして、金融機関の諸君でございましたから金融行政の関連業務には一切これを入れておらない、こういうことであります。  また、先ほど申し上げました民間企業からの受け入れについて柔軟で幅広い視野というのは、金融機関はこれでストップでございますが、一般民間企業から、ノウハウ、弾力的な物の考え方、要すれば民間の研究機関、また事業現場において行っておるエンジニアの皆さん、こういう観点で行ってまいりますことが、行政の弾力性、民間のノウハウの吸収という意味で正しいのではないか、そういうことの基本であります。
  202. 笠井亮

    ○笠井亮君 金融機関からはこれでストップ、要するに来年四月以降はもう永久にないんだということは一つ言われた。しかし、来年四月まではいるということはこれはまだ問題があると思うんです。私もうここで繰り返しませんが、これは大蔵省としても厳しく受けとめて、世間が厳しい批判を癒着の問題に向けているわけですから、来年四月を待たずに第一勧銀から直ちに、そしてそれ以外の銀行からも引き揚げさせるということをしなかったら本当に政府としての姿勢が問われるということを重ねて申し上げて、これはきちっとやっていただきたい、検討いただきたいと思うわけであります。  ここで梶山官房長官に伺っておきたいんですが、今の問題の関連なんですけれども、今度の法案金融監督庁設置を考えておられるということでありますが、今でさえ大蔵省検査部門にいないんだと。それ自体大蔵省の中じゃだめだというのはこの前議論もしましたが、そういうことを言われているんですから、そして官房長官御自身、金融監督庁によって緊張感と透明性ということも特に強調されているという中でありますから、銀行からの職員の金融監督庁への受け入れというのはまさかないと思うんですけれども、もちろん予定していない、絶対あり得ないということでよろしいですね。
  203. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 人事権は新たに金融監督庁長官が選任をされてからあるわけでございますから、そのことを拘束するような発言は私自身がいたすべき立場にございません。  ただ私は、前の質問者に対してお答えをしたのは、どういう方が金融監督庁長官に御就任になるかどうかは別といたしまして、そのままストレートに今のいわば銀行局にある検査監督部門をそっくり持ってきてそれだけで事足りるかどうかということを考えますと、私はその金融監督庁長官のもとに、望まれるならば、顧問か参与かは別として、あるいは常勤か非常勤かは別として、金融証券あるいは私法あるいは公法あるいは国際金融、そういう監督をすべきあるいはまたその状況判断をすべきスタッフを置いてあげなくて、ただ単に民間の金融機関と遮断をすれば金融監督庁責任が果たせるなどとは思っておりません。これは、これから人事が決定した後に思いを新たにして選任をさるべきことだと思います。
  204. 笠井亮

    ○笠井亮君 今、大蔵省の方はもう来年四月以降はやらないということを言われたんですが、今、人事は長官が新たに選任されてからということでありましたけれども、しかしそのもとでのスタッフと。それは一般的にいろんなスタッフということは当然あり得ると思います。しかし、現職の銀行関係者、職員が出向という形でやるということになると、これはさんざんその疑念も含めて問題になったわけですからそういうことはあってはならないというふうに思うんですが、その点はよろしいですね。
  205. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 金融監督庁の使命を果たすために、必要であれば、職員であるか退職者であるかは別として、金融のエキスパートをスタッフに持つことは当然でありますし、スタッフ自身は金融監督庁長官に対して責任を負う立場でございますから、私は、厳正公平な意見具申をしてもらって、行政そのものにストレートにタッチをするわけではない機関になろうかと思います。そういうことまで拘束をして私は新たな金融監督庁長官を迎える気はございませんので、それは総理の判断によりましょうけれども、そういう監督庁長官が必要とするスタッフを今から制限的に考えてはならない、このように思います。
  206. 笠井亮

    ○笠井亮君 もうこれはこれ以上やりませんけれども、検査監督部門に直接銀行の職員が出向していることというのが、それは大蔵省であってさえそういうことはしていないんだということがあったわけですから、新しくつくろうということで提案されている金融監督庁に、検査監督部門を銀行から直接職員が来てやっているなんということになったらまた漏れるんじゃないか、一体検査監督をできるのかということになるわけであります。  これはまた新たな癒着を生む余地がある重大な問題になるということを私指摘申し上げて、くれぐれもそういうことのないようにきちっと官房長官御自身もこの問題の中でお考えをいただきたいということを申し上げておきます。これは重大な問題だと思うんです。  きょう、私はその上で特に伺いたいことがありますのでそちらに移りますが、先ほどの質疑でもございましたが、金融商品における消費者保護との関係であります。それとの関係で本法案について幾つか伺いたいと思うわけであります。  先週の本会議での私の質問に対して梶山官房長官は「金融監督庁は、預金者等の保護を図ること等を任務としており、」「消費者等の保護に機能を発揮していく」という答弁をされましたが、果たしてそうなのかということで問題提起をし、伺いたいわけであります。  まず、大蔵省に伺うわけですが、バブル期以降、変額保険の問題それから不動産の共同投資を初めとして新たな金融商品が販売をされて、被害が多発をして、そして大変な社会問題化して国会でも繰り返し取り上げられてきました。  例えば変額保険の問題ですけれども、どれだけの被害を消費者に与えていると大蔵省実態を把握しているのか。私の言い方をさせてもらえば、いわばリスクを承知で欠陥商品を認可した行政サイドの責任あるいは総括をどういうふうにその中から導き出しているのか、端的にお答えを願いたいと思います。
  207. 福田誠

    政府委員(福田誠君) お答えいたします。  被害者数がどれくらいかということにつきましては、ちょっとそのような数は承知しておりません。変額保険につきましては、多数の訴訟が提起されていることは事実でございまして大変遺憾でございます。  大蔵省におきましては、直近で申しますと、当時の大蔵大臣の指示もございまして、昨年の十月と十一月に、個別の生命保険会社及び銀行に対しまして、契約者及び債務者から相談、苦情が寄せられた場合には適切な対応を行うよう指導してございます。  さらに、個別の対応でございますが、体制整備という意味で、生命保険協会及び銀行協会、並びに個別社に対しまして、相談、苦情処理の体制を強化するように要請する通達を発出してございます。  保険会社、銀行とも免許企業でございますので、公共的側面にかんがみまして、いやしくも信頼が損なわれることのないように、業務運営につきましては一層適切に指導してまいりたいと存じます。
  208. 笠井亮

    ○笠井亮君 被害者の方には本当に深刻な死活問題だと思うんです。裁判になっているということもありますが、これもほんの一部で、泣き寝入りのケースも多いというふうに伺っております。  変額保険の加入件数といいますと百二十万件にも上るという大変な数になっている中で、実際の被害はもっと大規模だと思うんです。そして、自殺者の方も出られたということであります。  被害者の会の方はこういうふうに訴えられているんですね。被害者には年金生活のお年寄りも多くて、大手銀行相手に裁判で争うのは大変だ、これほど社会問題になっているのに大蔵省は被害の実情把握もしないで、来ても会いませんし、電話にも出ないということで、血も涙もない態度をとっている、ですから国民に訴えるしかないんだということを言われているわけです。今、実態の把握ができていないということを言われましたが、まともな実態調査もしないでいわば通達を出している、あとは当事者の間でということでは、金融行政責任が厳しく問われると思うんです。  大蔵大臣、少なくとも被害の全容の正確な把握抜きに今後の金融行政あり方も語れないんじゃないかと思うんですけれども、この問題は実態の調査から始まると思うんです。いつまでに、どのような実態調査をするのか、またその教訓から迅速な解決策を講じるべきではないかと思いますけれども、大臣の所見をお願いしたいと思います。
  209. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 本件につきましては、御指摘のとおり多数の訴訟が提起されておることを承知いたしております。  大蔵省としては、行政機関としてのおのずと課せられております制約の中で、昨年十月及び十一月に、個別の生命保険会社、銀行に対しまして、契約者及び債務者から相談、苦情が寄せられた場合には適切な対応を行うよう指導してまいったところであります。  さらに、生命保険協会、銀行協会及び個別生保会社、個別銀行に対して、相談、苦情処理体制の強化について要請するよう通達も発出をいたしたところでございます。  保険会社、銀行は、保険業法、銀行法に基づく免許企業であり、その公共的側面にかんがみ、業務の適切な運営による経営の健全性の確保が強く期待されております。当局として、保険会社及び銀行に対する国民の信頼が損なわれることのないよう、業務運営につきまして一層指導してまいるつもりでございます。
  210. 笠井亮

    ○笠井亮君 実態調査をどうするかと伺っても、先ほどから調査はできていない、それからそのことについてもお答えがない、そしていろいろまた同じ説明をされました。行政の制約があるということで通達は出すけれども、よく伺っていると、依然としていわば当事者任せということで行政としての反省が見られないんじゃないかと、私、率直に申し上げなきゃいけないと思うんです。  それどころか、去年九月十八日に大蔵省のプロジェクトチームの文書が出ておりますが、私、見まして、この中でこういうのがありました。「預金者・契約者・投資者保護の必要性」ということで「行政としても一定の役割を担う必要がある。」ということを一方では言っているんですけれども、他方、「保険行政」というところで「従来の行政においては、保険会社間の競争促進による効率化よりも、保険会社の経営の健全性の確保を通じた契約者保護により高い比重が置かれる傾向があったことは否めない。」、こうした反省に立って、この秋から云々とありまして、「今後とも、契約者保護等の面に留意しつつ、規制緩和を着実に進める必要がある。」と。契約者保護に重点を置いてきたのを反省して、規制緩和にシフトを置いていくんだという方向さえ出しているというので私は大変に驚いたわけであります。まさに契約者よりも金融機関の利益重視と、先ほどは官房長官が被害者よりも加害者が守られるということも言われましたが、私はこの問題を通じてもそういうことがあるんじゃないかと思うんです。  そういうことを通じながら、私は、こういうことで責任をきちっととらないでおいて、よくビッグバンということがおっしゃれるなと思うんですよ。ビッグバンを進めていくと、銀行証券、保険が複合したさらに高度で多様な金融商品が出回ると、先ほどもありました。そして、千二百兆円という個人資産を活用して、そういうハイリスクの商品に個人が接することになれば、当然個人の顧客と金融機関の間でこれまでもトラブルを含めていろいろあったわけですから、もっとそういうことも予想される事態になるということは大蔵省も認められているところだと思うんです。  そういう点で、政府がグローバルスタンダードということを言われます。そういうことをおっしゃるならば、先ほども消費者の全般にわたる保護ということで質疑もありましたが、特に金融消費者の保護のために、一つは法の整備と、それからもう一つは被害救済の体制の確立を、十分なディスクロージャーとともにまさに世界標準に持っていくべきだというふうに思うわけでありまして、これ抜きに規制緩和とか個人責任、自己責任ということで振り回しても、金融機関のそういう勝手な振る舞いを横行させるだけだというふうに思うわけであります。そこで、具体的に今二つ問題を上げましたが、その問題について伺いたいと思います。  まず、消費者保護の金融機関の利用者、消費者保護の入り口と言ったらいいんでしょうか、法整備の問題であります。  我が国には割賦販売法とかあるいは貸金業規制法、それから証券法、保険法には行為規制があると思うんですけれども、銀行法にはそれがない。  銀行融資をめぐるこういう法制上の不備がとりわけバブル危機以降、過剰融資問題、こういうことを通じてさまざまな問題を起こして厳しく問われている状況だと思うんです。この点では、欧米と比べても銀行融資に関する法的な規制がないことが銀行のいわば野方図を許してきたと思うんですけれども、そのことは大蔵省はお認めになりますね。
  211. 山口公生

    政府委員山口公生君) お答え申し上げます。  消費者の保護に関して各業態によっていろいろ法規制のやり方が違っております。例えば証券取引に関しては、適合性の原則の遵守義務、あるいは発行体のディスクロージャー義務というようなことが細かく書かれております。保険につきましては、特に保険募集に関しまして細かい規定、例えば虚偽を告げるとか重要な事項を告げない行為等が禁止されております。貸金業におきましては、過剰貸し付けの禁止、契約締結時の書面交付であります……
  212. 笠井亮

    ○笠井亮君 それは知っていますから、銀行法のことを言ってください。
  213. 山口公生

    政府委員山口公生君) それに対しまして銀行の場合はどうかといいますと、銀行は免許業種であり、その健全な活動を通じ消費者の保護にも資するよう活動するという前提に立っております。  したがいまして、銀行に関してはその業務の健全性及び適切な運営を期するということで細かい通達を出し、そこで規制をしている、それをまた検査等で見ているという法の形式でございます。その法が不備であるからそういうことが起きているということではないということでございます。
  214. 笠井亮

    ○笠井亮君 明らかに法の不備だと思うんですよ。今説明されました、免許業種だと、そして検査監督だと、だから大丈夫だと。私はそういういわゆる銀行性善説というか、あるいはその上に立つた検査監督があるんだから、何かあったらきちつとチェックできるんだというシステムがあるから大丈夫だと言われますが、まさにそれが働かなかったことが今回の第一勧銀事件でも明らかになつたと思うんですよ。銀行の行為に対して法的規制をしなければならないということが今の問題を通じても明らかになっている。だから、そういう不備がないなんていうことは全然問題にならないような答弁だと私は思うんです。  昨年の日弁連の人権擁護大会でも、現行法制に銀行融資における行為規制が欠落しているということを指摘して融資者責任の確立と立法措置を求めていますし、銀行の貸し手責任を問う会、こういう会がありますが、ここもそういう点で提言を出しています。衆議院での本法案審議の中でもこの問題が議論になりまして、私答弁読みましたら大蔵省が、将来的には統一的な消費者の保護法制というものはやはり検討に値すると。検討に値するということは、今それがないから検討をするわけであります。そういうことがきちっと答弁されているのも知っております。  やるべきことをやってこずに、いわば法律上の穴から大変な被害が起こった。だから、ビッグバン対応で中長期的とか将来的というんじゃなくて、直ちに緊急課題として法整備実現に踏み出すべきだと思うわけであります。大蔵大臣銀行の借り手保護の法整備は、中長期とか将来的にというんじゃなくてまさに喫緊の課題だと思います。  いつまでに具体化されるおつもりか。また、その中にいわゆる貸し手責任、レンダーズライアビリティーも明確に盛り込むべきだと思いますが、その点も合わせて御答弁いただきたいと思います。
  215. 山口公生

    政府委員山口公生君) お尋ねの消費者の保護につきましては、投資家としての立場に立つ場合と、それから借り手側、つまり信用を受ける場合とがございます。今、後段おっしゃいましたのは消費者信用保護の方だというふうに理解いたしました。  信用保護のケースですと、貸金業規制法で過剰な融資等の防止等の措置がございます。それは、銀行については先ほど申し述べたような法形式になっております。最近、金融制度調査会におきましても、この金融システム改革の一環としまして、そういった消費者の信用保護の問題についても御議論をいただいております。法形式がいろいろ違っていていいのかという問題意識ももちろんございます。それぞれの歴史的な産業の経緯もございますが、統一的な考え方、先ほど御質問もありましたが、そういった法制度のあり方ということも含めて検討してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  216. 三塚博

    国務大臣三塚博君) ただいま銀行局長言われましたとおり、事柄の大事なことは理解をいたしておるところでございます。研究、検討が行われておるところでありますので、対応を誤らず取り進めていきたいと、こう思っております。
  217. 笠井亮

    ○笠井亮君 金融制度調査会でもこの問題を含めて統一的な法整備問題が考えられていると私は承知しております。そして、銀行法については先ほどの体系があるということで言われたんですが、先ほどの御説明では要するにこの部分にはないということだと思うんですよ。その上に立って、統一的ということにしても、いずれにしてもやるということを検討していくということなんですが、将来のことなのかな、いつやるのかなという、これはこれだけ緊急の問題、しかも今後の金融市場の自由化を進めるということで、政府のやられることを進めていくとますますこの問題が問題になってくるわけで、これはまさに将来のことにすることはやっぱり反省が足りないことのあらわれじゃないかということを申し上げ、かつ貸し手責任の問題も明確にすべきだということを強く指摘しておきたいと思うわけでございます。  もう一つきょう伺いたいのは、消費者保護のいわば出口の問題といいますか、被害救済の体制の問題であります。この問題も我が国では全く未整備だと言わざるを得ないと思うんです。金融被害の相談窓口あるいは仲裁機構の整備等の問題は、関係者含めて今切実に求めている問題だというふうに思うんです。  私いろいろ勉強してみました。アメリカでは、銀行の監督機関は消費者との窓口を必ず持っている。そして、その一つである連邦準備制度の消費者窓口は、銀行取引における消費者の苦情を受け付けて、監督下の銀行の法令違反の有無を調査して消費者に書面で回答をする。もしも法律違反があれば銀行改善命令を出すということが言われておりました。イギリスでもオンブズマン制度があるということであります。大蔵大臣、グローバルスタンダードということを言われるならば、我が国でもこうした体制の問題でも世界標準並みのものをつくる必要性をお認めになるかどうか、いかがでしょうか。
  218. 山口公生

    政府委員山口公生君) 先ほどお尋ねのございました消費者保護の法的な整備の問題とは別に、紛争等が起きましたときにその民事上の解決を裁判所に持っていくか、あるいは持っていく前に、あるいは持っていくと同時に行政的に解決できるかという問題だと思うのでございます。  ところが、司法と行政との関係からいいますと、そこは行政には一定の限界があるというふうに思います。そうした場合にやはり業界団体等で、先ほども御紹介いたしましたように、親身になって相談相手になるというようなことが現実の姿としてあるわけでございます。もし行政的にもそういうことを仮にシステムとしてやるとすれば、司法の分野に一部入るわけでございますが、その場合には相当な人員と体制というものを必要とするわけでございます。その点の非常に難しい問題があり、いろいろ金融制度調査会等でも御議論がありますけれども、歴史的なそれぞれの国の経緯があり、また司法制度がそれぞれ違います。  ただ、こういった紛争処理の問題ということは大変大事な問題であるという意識は持っておりますので、将来の重大な検討課題だというふうに思っております。
  219. 笠井亮

    ○笠井亮君 みんな将来の問題、重要検討課題ということで先送りということでは、これは現実にいろんな問題が起こっているわけです。そして、ビッグバンということでさらに問題が広がるという中で将来の検討課題と。それぞれシステムも違う、法体制も違うということでは、これでは一体国民はどう考えたらいいのか、被害者の方々も本当にどう考えたらいいのかということだと思うんですよ。  変額保険問題も最初に申し上げましたが、この問題でも昨年の四月十一日の本院の大蔵委員会で当時の久保大蔵大臣が我が党の吉岡吉典議員の質問に対して、「現在の大蔵行政機構の中でどのような方法が可能か、どういう部門でやったらそういうことが可能になるのか、少し検討させていただきたい」ということで、踏み込んだ答弁で検討を約束して、その結果ということで先ほど説明があったような通達も出して、各銀行、各保険会社、協会を通じて処理の体制に万全を尽くすように要請したというようなことがあるわけですけれども、その程度のことでいいのかどうか。  それから、陣容を割かなきゃいけないと言われましたけれども、被害がどんどんあったときに、行政として認可した商品についてどういうふうに扱われて、それがどういう被害をもたらしたのか、これは司法の問題は別として、行政として金融機関に対して、銀行に対してどういうふうな態度をとるのか、このことも含めて被害救済の体制をきちっととるようなことを考えていかなきゃいけないというふうに思うわけであります。  金融制度調査会で検討しているということでありますけれども、やはり私は現在の被害救済という点からも、被害救済の体制づくりが早急に、まさに将来じゃなくて早急に進める必要があるし、そしてその体制がどういう立場で相談を処理するのかがまさに問われていると思うわけであります。私、思うんですけれども、現状の金融消費者被害の救済を出発点にして、消費者保護体制をいかに確立するかという視点からやはり体制づくりも本当に真剣にやるべきだというふうに思うわけであります。  今、司法の問題も言われました。そして、いろいろ複雑な問題を研究しなきゃいけないと思うんです。しかし、現実に、今の日本の制度のもとでは、言ってしまえば訴訟に訴えて裁判をやるということしか被害者にとっては手だてがないということがあると思うんです。そうなりまして訴訟になりますと、一方は金融のプロだ、片やアマチュアの一個人という形になるわけであります。  持っている資金力も情報量も違う。相手が銀行だと契約書類も差し入れ方式で銀行だけが持っていて個人の手元には残らない。そういう力関係のもとで裁判をしなきゃいけない。こういうことでありまして、たとえ一審で被害者が勝訴しても、金融機関側は控訴、上告する。決着が着くまでに何年もかかる。だから裁判以外の道で、行政もかかわって金融商品について専門的知識を持つ人々で構成された問題解決の体制づくりをするとか、そういうことも含めてやはり消費者の視点に立った保護行政が求められると思うわけでございます。  時間が参りますので、官房長官にその上に立って伺いたいんですが、官房長官、先ほどほかの委員質疑に対して抽象論ではいけないと。そして、繰り返しますが、被害者よりも加害者が保護されるということが問題だということも言われたと思うんです。これだけやはり金融被害ということが問題になってきたわけですから、消費者等の保護に機能を発揮していくと言っている金融監督庁の設置を提案するに当たって被害者救済あるいは被害救済の問題も当然検討されたと思うんですけれども、そういう議論が実際にあったのか、そしてこの問題を今後どういうふうに扱っていく決意あるいは方針でいらっしゃるのか、最後にそのことを伺いたいと思います。
  220. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) ストレートにこの問題に答える用意をいたしておりません。  ただ、金融監督庁を設ける第一の理由は、前々から申し上げておりますように、一昨年来のいわば住専問題に端を発して大蔵省銀行局の中で二つの使命を同時に果たすことの混在が大きく災いしている、その反省に立って今回分離をしたわけであります。その中の緊張感の中で金融行政に対する検査監督が十分にいくであろう。その検査監督というのは、今までのいわばいわゆる金融の信用やあるいは消費者保護、そういうものを目的としたわけでありまして、それが個々の者をどう救済できるかということに関しては残念ながら詳細規定をまだつくることもでぎませんし、またそのことに至っておりません。  しかし、今までの慣行からいいますと、このバブルの崩壊もそうでありますが、私たちがどの銀行に預けてもどの保険屋に預けても結果としては間違いがない、しかし全部金利も何も決まっている。ですから、勧誘者の顔に従ってやってやろう、それがバブルの崩壊と同時にそういうものでなくなったという現実。ですから、これは大変な反面教師で、国民一人一人は決して知識がないわけじゃございません。この問題を契機にして大変な私は勉強をしていると思いますし、こういうことが二度も三度も、ごまかす方もうまくなるかもしれませんが、そんなに二度も三度もだまされるものかということになるわけであります。  先ほど話したような、例えば変額保険の問題でも、どんどんもうかる間ならばその利益を吸収しますと言ったんですが、がたっと下がってみればそんなはずじゃなかったと言うけれども、虫眼鏡で見ればわかるような約款とか定款には全部そういうことが書き込まれていて、今までは勧誘者を信用してやったんですが、残念ながらそうでなかった。こういうことを考えれば、私は大半のものはこれから消費者あるいは預金者それぞれが懸命になって解決ができる問題。しかし、どうしても救われない問題は、先ほど言ったように、例えば日産生命の問題で私はまだ答えを出すことができなくて実は返答に窮している場合もございます。  いずれにしても、これから大きな意味で預金者保護、これは銀行に対してはおよそなされております。しかし、何となくこの保険というのはあやふやなもので、二遍目、三遍目の更新のとき相当だまされるということがよく、だますという言葉を使っていいのかどうかわかりませんが、条件が違ってきて、私は郵貯派ではございませんが、簡保が一番安全で確実だと一般の市民は言っていることもあります。安全確実な道を望む人は望むし、多少ハイリスク・ハイリターン、そういうものを望む人は望む、それなりの私は選択の権限があるはずであろうと思います。
  221. 笠井亮

    ○笠井亮君 続きはまたやります。終わります。
  222. 田村公平

    ○田村公平君 金曜日、大蔵省にうそをつかれたということで、その後の質問とりに私は質問通告をしておりません。しかし、今までの大蔵省の担当の方の私に対する俗に言う取材といいましょうか、そのやりとりだけで、ある意味では質問通告してあったも同然だと理解をしておりますので、その中から質問をさせていただきます。  私は社会人になって二十八年になります。その間に銀行に関すること、自分自身の身に起きたことを二、三申し上げます。  一つは、第一勧業銀行麹町支店の私の普通預金口座から私自身が印鑑と通帳を持ってお金を引き出しに行ったのにもかかわらず、そのお金がなかったということであります。  それはたまたま第一勧業銀行麹町支店の当座預金を持っておるお得意さん、そして普通預金口座を持っておる同一人物のお得意さん、私の普通預金口座から、その当座預金を持っておられるAという方の口座が赤なものですから私の口座から勝手に引いてくれたわけです。窓口で当然私のお金が出てきません。それで、困りました。そうしたら、あなたは金を引いたじゃないかと。僕はここに通帳と印鑑を持っているのにどうして引けるんです。銀行はしらを切りました。  結果として、これはコンピューターでやっておるから、本店とのやりとりがあるから一週間以上かかりますと言って、当時のお金で大金でありました六万何がしのお金が返ってくるのに一週間かかりました。これはその間僕のお金を盗んでいたわけです。  私は、当時、国会議員の第一秘書でありましたので、そのことを大蔵省銀行局の第一勧業銀行担当の検査をやっておる方に申し上げました。何のリアクションもなければ、何もありませんでした。まずそれが第一点。  第二点は、私、昭和三十八年ごろからこのかいわいをうろうろしておりますけれども、学生時分を入れまして。どういうわけか、大和銀行の支店がこの中にあります。  当時、第一秘書として百万円の古いお札を選挙区でお祝儀用に使うものですからピン札にかえに行きました。参議院の地下一階にある大和銀行支店であります。そして、ピン札ですから間違いないだろうと。窓口で数えればよかったんですが、衆議院の第二議員会館にそのまま帰ってきて、おやじに渡すときに、祝儀袋に入れないといかぬわけです、選挙区に帰るわけですから、一枚足りませんでした。で、大和銀行の参議院支店に行きました。知らぬぶりであります。私は別におやじの金を盗まないといかぬほどの悪人ではないと思っておりますけれども、こういうことを経験したことがあります。もしあのときに総会屋になっていたら今ごろかなりの僕は玉になれたんじゃないかなという気もしておりますが、そういうことがありました。  そして、生保に関して言わさせていただきますけれども、選挙をやる人間ですから選挙の間際になりますと、いろんないわゆる生保のおばちゃんというんでしょうか、もう保険にいっぱい入らないといかぬわけです。で、選挙が終わるとすぐ解約をしてしまう。これが自分のおやじの代からの体験であります。特に生保、損保関係のそういう勧誘の仕方、人の弱みと言つちやあれですけれども、選挙が近くなると、固有名詞を挙げていいと思いますけれども、日本生命だとかそうそうたる生保会社が、私は顔が広いから保険に入れと、一種の強要に近いような思いをしたんです。そういうお金の集め方をしている実態大蔵省承知しておるんでしょうか。  あるいはバブルがはじけてからかどうか知りませんが、歴史と伝統のある某私立大学の新入生に対して、いかにもその大学と関係があるような形で、催眠商法とは言いませんけれども、保険に入りなさいという勧誘の文書が大量に配られております。  そして、たまたまきのう選挙区から上がってくるときに、これはもうある程度名前も知れていますから固有名詞を挙げますが、ノンフィクション作家で塩田潮君という方がいます。いわゆる変動相場制に移る「霞が関が震えた日」という本で第五回ノンフィクション賞をとった男であります。彼とは中学、高校と同級生で、たまたま飛行機の席が隣だったものですから、銀行の話が出まして、今第一勧業銀行に幾らの口座があるかは知りませんが、女子行員の皆さん方がそれぞれの支店で十円玉をいっぱい使って、十円玉というのは銀行の電話ですから銀行の電話賃がかかっておるわけですけれども、預金者に申しわけないという電話作戦をしております。  私はたまたま不快感を持って自分の第一勧業銀行の口座をもう今やめたものですから直接電話はかかってきてはいないんですが、そのうちかかってくるかもしれませんが、そうすると、これは例えば第一勧業銀行の預金口座が百万口座あったとしたら、掛ける十円というのは一千万円になるんですか、それが三分で終わらなければもっともっととなってくる。中には、電話をすれば寝ている子を起こしたりすることもあるだろうし、申しわけないからというおわびの電話をするというわけですから大変な経費にもなるし、また経営のトップならまだしもいわゆる女子行員の方々ですから、その不正な融資、無担保に近いことでの融資のデシジョンメーカーではないわけですから、意思決定をしたわけじゃないですから、そういう実態について大蔵省承知しておるんでしょうか。  ちょうど七分ぐらい時間がありますから、今申し上げたことを全部答えろとは言いませんけれども、お答えがいただければ幸いです。
  223. 山口公生

    政府委員山口公生君) 幾つかの先生が御経験された実例をお挙げいただきましたが、例えば最初におっしゃった別人との関係で、窓口でかなりのミスがあって長く待たされたという話は実は私も以前にある方から聞きまして、都銀の担当者の集まりがありまして、そこで早速都銀ともあろうところがこういうことでいいのかということですぐ注意をしておきました。その担当者自身もそれはちょっと考えられないというようなことを言っていましたが、現実にあるんだということで注意は喚起しておいたわけでございます。  それからピン札の話は、ちょっと私はそういう例は今まで聞いたことがありませんが、現実としてあったとすればそれは大変な間違いだろうと思うわけでございます。  それから、生保とか損保の話は、保険部長がいますから詳しくは彼からも話をさせますけれども、かなり無理して勧誘というのが行われているというのは常々よく言われておりまして、やはり無理してとってもすぐ解約になるということでありますと何のための勧誘かわからなくなる、ただ成績を上げるためだけの勧誘であれば何ら会社にとってはプラスにならないということでありますので、そういったことは注意しております。  それから、勧誘員についてもくるくるかわってしまうというような事態があるということがありまして、そういうことはやはり業界としてもいいことではないんではないかということで注意をした経験もございますし、今、先生から改めてそういった御注意がありましたので、また業界の方によく申し伝える所存でございます。
  224. 田村公平

    ○田村公平君 十一月が保険の月だとか、この月が保険の月だと。実は、僕は高知にいるんですけれども、自分の同級生が香川県の高松市の支店に今いるから何とか入れとか、入れなかったら人を紹介しろとか、僕の同級生が鹿児島支店だと鹿児島からもかかってくるんです。それぐらいすさまじい。しかも、それは保険のおばさんじゃなくてですよ。  保険のおばさんのやり方というのは、何々生命の社長が高知へ来る、いいホテルを借りて、そこで高知県なら高知県の有力者がいっぱい来ますから、あんたも選挙に出る人やから顔を売って、私が紹介してあげるというのでそこへぱっとはまったらえらい目に遭うように大体なっております。  もうそこへ行っただけで、祝儀を一万円包んでいったらもう私が……(「選挙違反じゃないか」と呼ぶ者あり)選挙違反にならないです、だって会費相当ですから、それはちゃんと調べていくんですけれども。それで、私の取引先の社長さんを紹介してあげるし選挙の票にも結びつけてあげる、そういうやり方をするんですよ、政治の世界の人間には。  なぜそんなことを言ったかというと、本当はやっぱり大蔵省のいわゆる監督検査の部分を完全にシェアリング、分けても、今でもたかだか二十八年生きてきた中で、大企業をやっているとか何かいっぱいお金を持っているというレベルじゃない人間にそういうことが起きているわけですから、業界を指導するとか注意するというよりも、癒着という言葉は余り使いたくないんですけれども、もともと本当の意味での検査監督ができていない、だからこそ金融監督庁をつくろうとしておると思います。  そういう意味での、僕は梶山官房長官質問はしたくないのでありますけれども、おっかないですから。新しい役所がもしできて長官の人事権云々の話がありますけれども、願わくば大蔵省本省の出先機関的なものじゃなくて大蔵省検査監督部門がすぽっと平行移動して、そこがやっぱり総理大臣の直属であって、協議とかいうこともいろいろありますけれども、金融監督庁なるものが新しくできる、そこの人が二、三年たってまた大蔵省に帰るということは、私は避けてもらいたいなというのが切なる思いであります。  と申しますのは、白川自治大臣が地方、つまり都道府県、県庁のことですが、県庁に連続して自治省から総務部長が行くとよくないということで全部やめると、私はそれについては異論があるんですけれども、大臣はそういうふうにおっしゃっている。自治省対地方自治体、都道府県の関係、それと大蔵省金融監督庁関係、どちらの方がより力関係でいうと厳しいのかな、身内意識が強いのかな、その自治省対県のレベルの総務部長をやめようという大臣がおられる中で、同じ大蔵省からスタートして派生する金融監督庁との人事交流、つまりノーリターンという話で、大蔵大臣は本会議で引っ込んだというかあいまいといいましょうかちょっとぼかした御答弁をなさっていました。  そういう観点から見て、私は今度できる新しい組織が、今までいろいろ起きてきた、たまたま大きな事件になったものもあれば私のように小さくて事件にもなっていない、そういうことが万に一つでも今後起きたら本当にこの国はだめになっていくと思います。なぜかというと、みんながもしたんす預金をし始めたらもう日本金融はおしまいじゃないですか、経済は。  そういう意味で、本会議場で大蔵大臣がノーリターンについて、ちょっと僕にとって不明確な部分を明確に、でき得ればリターンはないと言っていただきたいと言うことは、これは強制になりますからそんなことは申し上げませんが、大蔵大臣の御所見をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  225. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 田村議員の言わんとするところはよく理解をします。  金融監督庁長官が出まして、立派な人が出ると私は期待をいたしておるわけでございますが、国会論議の基本を踏まえて、ノーリターンということについて人事権の方針を明示することであればそういうことになるだろうと思います。要すれば、一点、本会議で申し上げました私の真意は、全く硬直状態に置くことが果たして職員の士気を向上することになるんだろうか。エキスパート、専門官という人はそういうこと。いわゆる軍隊の位で言う特務曹長というすべてに精通をしておる専門官が育っていかなければなりません。それが将校になり佐官になりと、こういうことでいくのが人事だと私は思っておりまして、これだけの論議を進めている中で、ノーリターンを党派を超えて言われる理由はしかと受けとめて取り組んでいかなければならないと。しかし、人事権がございませんので、それぞれの場面場面でお伝えを申し上げる、こういうことでその悲願にこたえる状態が出ることが一番大事だなと思っております。
  226. 田村公平

    ○田村公平君 梶山長官に何で答弁をと僕が言いましたのは、人間というのは妙なものでございまして、昭和五十一年当時に実は梶山長官事務所のお茶くみの手伝いをしたことがあります。人間というのは、そういうつき合いがあるとなかなか言いたいことがあっても言えなくなってくる、それでノーリターンということを。人間というのはそういう関係が出てくるということもありまして、ちょっと余計なことを、蛇足でございました。  終わります。
  227. 山口哲夫

    山口哲夫君 住専の処理問題についてお尋ねをいたします。  中坊社長は、新聞報道によりますと、身の危険を感じながら大変な努力をしている。SPまでついているそうです。心労で一カ月も入院をしてしまった。そのくらい頑張っているわけです。それで、その社長のおっしゃることには、国民に住専の二次損失の負担はかけない、そういう考えで努力をしているんだということです。  そういう大変な苦労をして頑張っている中坊社長の、一月二十七日の記者会見によりますと、管理機構が資産を引き継ぐ前に発生した損失のうち、一時損失として処理されていないものがあることを明らかにしている。その処理を中心として、政府並びに預金保険機構に要望書を提出したと報道されております。その要望書の具体的な内容について説明をいただきたいと思います。
  228. 山口公生

    政府委員山口公生君) 今お尋ねの中坊社長の方から、昨年十月の財産譲り受け以前の時点で既に生じていた収益返済不能状態等については金融安定化拠出基金の運用益を活用して穴埋めを行ってほしいとの意向を昨年の十二月に私どもに対して要望書という形でお出しいただきました。ただ、これにつきましては、その後中坊社長より要望自体にまだ流動的な側面があるとのお話があって、また、対象となる内容も固まっておらないのでというお話がございました。  したがいまして、当局としては現時点で見解を申し上げる段階ではないということを御理解いただきたいと思います。
  229. 山口哲夫

    山口哲夫君 その辺がどうもはっきりしないんで、本来であれば中坊社長に直接おいでをいただいて、いろいろと質問をしたがったんですけれども、残念ながらそういう機会がとれませんでした。  大蔵省の担当の方といろいろ話をしておるんですけれども、例えば要望書を見せていただけないかと言っても、それはちょっと出せませんという話も聞きます。どうしてですかと言うと、今言ったようなお話があると。具体的なそのときの内容はと言ってもなかなか教えてもらえない。どうしてそういうふうになるのかなと思っているんです。  具体的にちょっとお聞きしたいんですが、今もお話があったように、昨年の十月一日以前に事実上発生した損失のうち、一次損失として処理されなかった分は金融安定化拠出基金の運用で穴埋めをするよう大蔵省と預金保険機構に要望したと、こういうふうに新聞報道されております。  そこで、管理機構から要望のあった金額は一体幾らなんでしょうか。そして、その金額はいつ、どのように処理されるのかを含めて、透明性の高い処理を行う必要があると思いますので、その要望についての政府の見解を示していただきたいと思います。
  230. 山口公生

    政府委員山口公生君) 社長からの要望書につきましても額は一切入っておりません。それは考え方の問題としての御指摘でございまして、まだ具体的な財産を精査してみる必要があるわけでございます。  なお、先ほども申し上げましたように、社長自身より、要望自体にまだ流動的な側面があるから、これはまた追って相談しようというようなお話でございましたので、今の段階ではそれを明らかにすることは差し控えさせていただきたいと思います。
  231. 山口哲夫

    山口哲夫君 要望された内容については私も理解ができるんで、そういう立場でお聞きしたいと思うんですが、この新聞報道によりますと、要望書の提出は昨年の十二月で、これに対して大蔵省それから預金保険機構とも理解を示して関係機関への説明を進めているというふうに書いているわけです。  ですから、内容については、金額は明らかにされていないというんですけれども、そういう基本的な考え方に立って大蔵省自身がやっぱり理解を示したということですから、そういう内容、基本的な考え方については、その方向でこれからも努力をするというふうに解釈してよろしいんでしょうか。
  232. 山口公生

    政府委員山口公生君) お答え申し上げます。  まず一番大切な点と考えますのは、法律上それが読めるかということがあろうかと思うわけでございます。  住専処理法第十条におきましては、預金保険機構は住宅金融債権管理機構の円滑な業務の遂行のため必要があると認めるときは、金融安定化拠出基金から住宅金融債権管理機構に対して助成金を交付できるとされております。  ただ、その当否につきましては、一義的にはこの法律に基づきましても、本基金の拠出者から成る預金保険機構の運営委員会において判断をするという形になっておりますから、具体的な形になってきた段階で運営委員会等の御意見等を伺いながら判断していくということになろうかと思います。
  233. 山口哲夫

    山口哲夫君 それではもう少し立ち入ってお聞きしますけれども、この報道の中には、担保物件の査定をしたのは大蔵省だと書いているわけですね。担保物件にはまだ調査できていないものがあり、今後も大蔵省の査定を下回るケースが予想されると。大蔵省がいろいろと今まで査定した金額を出しているんでしょうけれども、それを下回るケースが相当出てくるだろうと、そう書いております。  管理機構は五月の末までに調査して金額を確定すると言っておりますけれども、五月末をもう過ぎているんですけれども、まだ確定していないんでしょうか。
  234. 山口公生

    政府委員山口公生君) 今のお尋ねの件につきましては作業中でございます。
  235. 山口哲夫

    山口哲夫君 いずれ金額が出てくるんでしょうけれども、当然これは査定をした大蔵省の方に責任があるんであって、住専管理機構の方に責任があるとは到底思えないわけです。それは、中坊社長が言っているのが当然のことだと私は思うんですけれども、そういうふうに解釈してよろしいですね。
  236. 山口公生

    政府委員山口公生君) 平成七年八月の立入調査による住専七社の貸付債権の査定ということが問題であります。そこが原則として債務者の財産状況、収益力等による返済能力に加えまして、担保、保証の状況を総合的に判断して行ったところでございまして、このような査定基準についてはさきの国会においてもお答えしているわけでございますが、このように担保だけではなくて、債務者の状況を総合的に判断した上で査定を行うということは一般的に認められるわけでございますので、今の御指摘の点について、担保以外の部分の扱いということは、やはり総合的に全体を見ながら判断していくということだろうと思うわけでございます。
  237. 山口哲夫

    山口哲夫君 いずれにしても、この住専問題というのは、指導してきた大蔵省責任は大きいと私は思うし、それともう一つはやっぱり母体行なり一般行なりの直接そういう貸し出しの執行をしてきた責任というのは免れないと私は思うんです。そういうことで、これから起きるいろいろな問題について、住専管理機構の責任ということではないというような立場で、大蔵省責任を持ってその点解決できるようにぜひしていただきたい、そのことを強く要望しておきたいと思います。  なお、この問題については後日またいろいろと要望書が出てくると思いますので、そういうときに改めて質問をすることにしていきたいと思います。  次に、金融庁の関係で、規則の制定権というものは、やっぱりこれは金融監督庁に私は与えるべきだろうと思っております。金融監督庁のこの法案では、肝心の市場監視についての規則制定権は大蔵省に残しているわけですね。これは野球に例えれば、プレーヤー、コーチあるいはアンパイア、みんな大蔵省という一人の選手が全部やっているようなもので、常識で考えてもちょっとおかしいんではないかというふうに私は思います。一つ組織というものは、一つの目的で動かなければなかなか本来の目的というものは達成できないんではないだろうかと思うからであります。  それで、こういうようなこの法案の考えでやっていけば、大蔵省はまたまあまあというような調子で、国民に見えないところで内部調整してしまう。結局は護送船団方式というものがなくならないんではないだろうかと、こう思います。アメリカでもイギリスでも、大蔵省以外の組織がこの規則制定権をちゃんと持っているわけですから、私はやっぱりこの際、規則制定権というものを金融監督庁に移すべきだと、そういうふうに考えますけれども、いかがでしょうか。
  238. 白須光美

    政府委員(白須光美君) お答え申し上げます。  まず、現在の銀行法等における省令でございますが、この御指摘の点からいいますと、一点は銀行法等に、あるいは証券会社等に関する省令、これらについてが共同省令になっているという点。  第二点は、証券取引法等におきまして、市場ルールに係る部分が大蔵省令であるということかと理解いたしまして、それでお答えをさせていただきたいと存じます。  まず、第一点といたしまして、銀行法等におきます省令につきましては、銀行等に対します検査監督、こういう個別具体的な行政措置ではなくて、銀行法等の法令、政令の範囲内でこれを補充するルールを定めるいわゆる行政立法ということでございまして、基本的には企画立案としての性格を有すると考えられますが、その制定、改廃に当たりましては執行面の機能を的確に発揮させる観点からの検討を行うことが必要である、こういうふうに考えております。  今般の金融行政機構改革につきましては、金融監督庁大蔵省が相互に独立した行政機関といたしまして明確な機能分担と適切な連携を図ることとしているところでございまして、現在、銀行法等の金融関係法には法律、政令の委任に基づきまして多数の省令が定められる。金融監督庁におきましてはこれらの省令も含めて法令に基づいて検査監督という執行面の機能を担うことになるということかと存じます。  その銀行法におきます省令の制定、改廃に当たりましても、明確な機能分担のもと、金融検査監督という執行面の機能の的確な発揮という観点を十分踏まえつつ、法体系制度上の整合性等を図ることが重要でございますので、これらにつきましては総理府と大蔵省の共同省令ということにいたしておるところでございます。  これは、省令の制定に関与するということを通じまして大蔵省銀行等に対する個別の監督権限の行使に関与するということがあってはならないことは当然かと存じますし、また実際の制定、改廃に当たりましては、検査監督のための手続等、その必要性に応じて定められるものについては総理府が指導することになろうかと考えております。  この点につきまして、英米というようなお話がございましたけれども、この場合は一方で行政組織そのものも若干異なる面もございますし、議会との関係等々の変更もあろうかと存じますので、今般の金融行政機構改革のもとにおいては企画立案、それと検査監督ということで区分をいたしているということでございます。  次に、証券取引等の市場関係市場ルールという点でございますが、これに関するものにつきましては、まさに金融機関等の検査監督という機能ではなくて、市場そのもののファンダメンタルズあるいは体系といったようなものを規定するという市場の構造というようなことに関しますものということでございますので、これらについては大蔵省令ということにいたしているということでございます。
  239. 山口哲夫

    山口哲夫君 それでは関連して聞きますけれども、これは午前中からの審議でも随分意見が出されましたけれども、いわゆる金融監督庁企画立案の問題なんですけれども、行政改革の一環として二〇〇一年には省庁再編成を行うことになっているわけですね。当然その際に、金融行政企画立案部門は金融監督庁に私は移るものだと判断しているんですけれども、そういう考え方でよろしいですか。
  240. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) これからこの行政改革全般についてのいわば思想、そういうものを統合してどういう形になるかわかりませんが、少なくとも現時点で考えられますことは、金融行政の中で企画立案の分野と検査監督の分野が一緒になっていることに実は疑義あり、問題ありということでございますから、これ以降分けたものをもう一つ全く同じものに組み合わせるということを私は考えるべきではない。その中でも、どういう機関に譲るかは別として、当分の間分けられることが望ましい。  そして、今、委員の言われるあれは、財政金融分離ということからいえば、金融は一緒くたにもうまとめればいいんだと、そうなってしまいますと今までの金融行政のように混在をする形になっておかしくなってしまう。ですから、その背景というか、よって生まれてきた背景、これはこの一年半我々が検討した結果に出てまいったわけでありますから、この思想は生かされるべきものと考えております。
  241. 山口哲夫

    山口哲夫君 それはちょっと違うんでないんでしょうか。  金融監督庁を独立させるということは、やはりそこに独立権を与えていこう、独立性、透明性をきちんと与えていこうということで分離するわけでしょう。それが今度、大蔵省企画立案をやる、実施の方は監督庁だと。そうすると、計画はおれが立てるから、あとこの計画に従って具体的なものをおまえがやれというような感じを受けますよね。これは上下関係ではないですか。そうなると、どうしても大蔵省の意思というものが必ずそこへ伝わっていく、何のために分離したかわからないということになるので、私はやっぱり独立性を確保するということからいえば、当然企画立案というのはそちらの金融監督庁に渡さなければいけないと思います。再度いかがでしょうか。
  242. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 今の形態は、間違いなく委員が御指摘のように、いわば企画立案検査監督一つ銀行局の中にあるわけでありますから、あなたの思想からいえば今の形が一番理想的だと、こういうことになるわけでありまして、私が申し上げるのは、この企画立案検査監督というのは峻別をさるべきもの、それが上下の関係とかなんとかというものではないはずであります。  むしろ緊張感があって相対峙をする。果たしてこの企画立案がよかったのかどうなのか、それが時勢に合っていたかどうかというものはちゃんとした検査監督を行うことによって立証される、そういうふうに理解をいたしませんと、今日的なこの金融監督庁設立の体制にはならないという思いがいたします。
  243. 山口哲夫

    山口哲夫君 全然考え方が違いますけれども、時間ですので終わります。
  244. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 明日は午前九時三十分に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十一分散会      —————・—————