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1997-06-04 第140回国会 参議院 行財政改革・税制等に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年六月四日(水曜日)    午前九時三十分開会     ―――――――――――――    委員の異動  六月四日     辞任         補欠選任      吉川 春子君     吉岡 吉典君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         遠藤  要君     理 事                 片山虎之助君                 倉田 寛之君                 永田 良雄君                 松谷蒼一郎君                 今泉  昭君                 広中和歌子君                 清水 澄子君                 齋藤  勁君                 笠井  亮君     委 員                 石川  弘君                 亀谷 博昭君                 久世 公堯君                 沓掛 哲男君                 斎藤 文夫君                 塩崎 恭久君                 関根 則之君                 中島 眞人君                 長尾 立子君                 林  芳正君                 保坂 三蔵君                 三浦 一水君                 宮澤  弘君                 吉村剛太郎君                 阿曽田 清君                 荒木 清寛君                 石田 美栄君                 泉  信也君                 岩瀬 良三君                 小林  元君                 鈴木 正孝君                 浜四津敏子君                 和田 洋子君                日下部禧代子君                 鈴木 和美君                 角田 義一君                 久保  亘君                 峰崎 直樹君                 吉岡 吉典君                 吉川 春子君                 佐藤 道夫君                 田村 公平君                 奥村 展三君                 山口 哲夫君    国務大臣        内閣総理大臣   橋本龍太郎君        大 蔵 大 臣  三塚  博君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 梶山 静六君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  武藤 嘉文君    政府委員        内閣審議官    畠中誠二郎君        内閣審議官    白須 光美君        総務庁行政管理        局長       陶山  晧君        大蔵大臣官房長  涌井 洋治君        大蔵大臣官房金        検査部長     中川 隆進君        大蔵大臣官房総        務審議官     武藤 敏郎君        大蔵省証券局長  長野 厖士君        大蔵省銀行局長  山口 公生君        大蔵省銀行局保        険部長      福田  誠君        大蔵省国際金融        局長       榊原 英資君        国税庁次長    堀田 隆夫君        農林水産省経済        局長       熊澤 英昭君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 久雄君    参考人        日本銀行理事   山口  泰君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件金融監督庁設置法案内閣提出衆議院送付) ○金融監督庁設置法施行に伴う関係法律整備  に関する法律案内閣提出衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     ―――――――――――――
  2. 遠藤要

    委員長遠藤要君) ただいまから行財政改革税制等に関する特別委員会を開会いたします。  金融監督庁設置法案及び金融監督庁設置法施行に伴う関係法律整備に関する法律案を一括して議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 自民党の松谷でございます。  昨日、財政構造改革推進方策が決定をいたしました。また、本日審議に入りました金融監督庁設置法、これは財政と並んで求められている金融改革についての重要な法案でありまして、日銀法改正と並んで金融改革についての橋本内閣の試金石となる法案であるというように考えております。  この法案が成立をいたしますと、財政金融、いずれもの改革がまずは緒につき、橋本内閣として非常にすばらしいスタートを切るということになるんではないかと私は思います。そういう意味で、総理決意敬意を表している次第でございます。  ところで、この金融改革トップバッターであります今回の金融監督庁設置法でありますが、その目的、これはもう当然提案理由説明で既に述べられたところではありますが、私なりに解釈をいたしますと、一つは相次ぐ金融不祥事等について国の監督検査体制というものを充実強化していくということ、それから一つは余りに強大になった大蔵省権限を分散しまして効率的な行政改革を実施するということ、さらには大蔵省にいろいろな問題が起こりまして、古い、大蔵省護送船団方式等に見られるもたれ合い、あるいは密室型の行政体質というものを新しい監督庁設置することによって一新する、こういったことではないかというように理解しておりますが、総理、いかがでございましょうか。
  4. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 議員が今御指摘になられましたとおりに、金融行政につきましては、住専問題などを契機といたしまして、従来とってまいりました大蔵省行政手法、すなわち護送船団方式と言われますようなやり方について、大変さまざまな角度から国民の御批判を受けることになりました。そうした御批判を重く受けとめます中で、今大変な勢いで動いております時代に即応しながら国民に信頼される金融行政というものを確立する必要がある、こうした考え方から今回の機構改革を考えた次第でございます。  これはもう御説明をするまでもなく、民間金融機関などの検査監督機能金融監督庁へ、そして企画立案機能大蔵省が分担いたしますことにより、市場規律を基軸とした透明であり、また公正な金融行政というものに大きく転換をする、そういう理念を持つものでございますし、その意味行政改革一環であるということもまた御指摘のとおりであります。  同時に、今回の改革におきまして設立される金融監督庁、これは民間金融機関に対する検査監督を専門的に行う行政機関として検査監督事務をそのルールに基づいて的確に遂行していく、こうした手法をとりますことにより、企画立案機能検査監督機能が同一の所管部分にあるために、ややもすると行政指導等で不透明と言われました部分国民の前に明らかなルールのもとに運営をされる、これは検査監督体制の強化ということとともに金融行政が質的に転換する、こうした方向に向かうもの、そのように考えております。
  5. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 今、総理からお話がありました。ただ、こういった私の理解しております三つの観点からいいますと、今回の法制定というのは若干中途半端ではないかなという感が否めないわけであります。  例えば、私が第一に申し上げました監督検査体制の充実ということでありますが、これは法案に見られておりますように、大蔵省におきます監督検査機構を新庁に移行すると。その間、監督庁体制全体が強化されるということではないわけですね。しかも、検査体制について見ますと、行政改革の中ですから非常に難しいとは思うんですけれども検査にかかわる定員が増大をするというようなことはない、地方も含めて五百十九人の体制でいくということ。  それから、特に問題は、監督庁トップであります長官、これが閣僚クラスでもなければ特別職でもない。総理府にもつの外局がありますが、そのうち八つは閣僚をもって長官を充てているわけです。一つだけ宮内庁は閣僚ではありませんがこれも特別職だと。  にもかかわらず、今回設置される監督庁長官一般職公務員であるということから見ると、政府として、この監督庁にどういつだ期待を寄せているのかというところが若干不分明であります。  これらにつきまして、総理、いかがお考えか、お願いいたします。
  6. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 紋切り型のお答えをいたしますと、金融監督庁機構定員につきましては今後検討していくことになり、詳細は、行政改革の基本を踏まえ、平成十年度予算編成過程において十分詰めていくというようなお答えを申し上げることになるのだと存じます。  ただ、金融監督庁というものに対しまして私どもが考えておりますもの、それは検査機能が適切に発揮できる、そういう要請にこたえると同時に、信用不安などを回避するためにも金融部分における危機管理に対して万全の体制をしがなければならない。そうした点においての配慮を必要とするものであることは議員が御指摘をされたとおりの重要性を持つものであります。  しかし、同時に、金融監督庁のその長というものを考えます場合に、例えば国務大臣というポストをここに充てました場合、国家行政組織法上の問題点としては、大臣庁というものが非大臣庁に比べて政務次官及び事務次官が必要になるといった行政組織が肥大をし、行革の理念に対していかがなものかということと同時に、政治任命ポストを置く性格組織であるのかどうか。むしろこれは、経済活動国民の暮らしの安定という観点から極めて重要な預金者保護あるいは信用秩序維持等責任を担うもの、そうした立場から考えました金融監督庁長官ポストの重みというものは非常に重いが、同時に、政治任命によっていつかわるかわからないというポストにすることはいかがなものかという思いが私は率直にございます。  そうした中で、当然ながらその人選に人を得なければならないといったことで広く国内から人材を選ばなければならないということは、私は議員の御指摘に何ら異論を申し述べるものではありません。  しかし、むしろ非政治的あるいは政治的中立性を保つべきポスト、そうしたことを考えますときに、むしろ一般職といたす方がよりこの性格にふさわしい。要はそれだけの人材を得られるかどうかにかかる、私はそのように考えております。
  7. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 今の総理お話のように、現在、行政改革をこれから実行しょうというときに、これは大蔵改革であるからといって直ちに定員増を図り、機構を膨大なものにするということは私は大変難しいであろうと思います。  ただ、やっぱり大蔵省の大変に膨れ上がった肥大化した権限の中から金融監督庁をつくって、お互いに緊張関係を保ちながら金融行政を実行していこうというときに、片や金融監督庁長官一般職公務員であれば、例えば三塚大蔵大臣の前ではひれ伏すような形になってしまうのではないか。そうなると、どうしても大蔵権限の前に金融監督庁は従属的な地位にならないだろうかという心配があるわけです。  これについては今、総理から、たとえ三塚大蔵大臣であっても堂々と渡り合えるような人物をきちっと配置されるというお話でございますので、これについては御期待を込めて総理の大事についてよろしくお願いを申し上げる次第であります。  ところで、今回、企画立案監督検査というのを分離したわけでありますが、通常、いろいろな企画立案というようなものは、現実銀行なり証券なり保険なり、そういうもののあり方検査等の中で十分事実というものを把握しながら、それを企画立案に反映をしていくということによって初めて企画立案というものが現実性を帯びたものになっていくし、逆に反映された企画立案によって検査というものも生き生きとしてくるというように、私は繰り返しがあるだろうというように思うわけです。  そういう意味からいえば、企画立案監督検査を分けたということはわかるんですが、実際上は一体的に運営すべきではないだろうか。すなわち、金融監督庁の新設に当たって、こうした企画立案監督検査を一体として監督庁に移行するという方がベターではないかとも思いますが、総理、いかがですか。
  8. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今の議員の御議論をそのままに延長いたしますと、その行き着くところは財政金融分離という問題に突き当たるんだと思います。  そして、まさに御指摘のような財政金融あり方、これ自身は二十一世紀における国家機能、そしてそれに合った中央省庁再編あり方の検討という視点から、現在、中央省庁あり方一環として、行政改革会議でまさに議論テーマ一つの大事な部分であります。  そして、これは大所高所から十分な御議論をいただかなければなりません。その上で、これは我が国行政機構根幹にかかわる問題でありますとともに、現在既にでき上がっております、例えば典型的な例を挙げてみますと、七カ国大蔵大臣中央銀行総裁会議と言われるG7、こうした国際的な政策協調の場にどのような仕組みで臨めるのか、あるいは限られた資源配分という視点からどうなのかといった議論も、我々はあわせ考えなければならないことだと思っております。  いずれにいたしましても、これは我が国行政機構根幹にかかわる問題ということで、今行政改革会議として十分御論議をいただくテーマ、そのように私自身は位置づけております。
  9. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 今の総理お話にございましたが、いずれ中央省庁を含めた根本的な行財政改革というのをやるんだ、行政改革をやるんだと、私はその総理決意敬意を表するものでありますが、この時期に、とにかく金融改革についてはこういつた金融監督庁設置という形でまずワンステップ、行政改革の第一段としてこれを打ち上げる。これが次に来る大きな中央省庁改革の中で足かせにならないように、例えば財政金融分離というような場合に、それではこの金融監督庁については、さらに次に来るべき第二段の行政改革のときには一体どういうような形にこれをやっていくのかというような問題が恐らく起こってくると思うんです。  したがいまして、そういった将来を見据えての行政改革の中で、こういった金融監督庁設置というものは果たしてどういうような意義があるのか、それについて、総理
  10. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 仮に、現在まで御批判を浴びてまいりましたような金融行政というものが今後もそのまま存続する、その中において企画立案部門検査監督部門を分けるというだけのものでありましたなら、私は、今、議員が述べられたような問題意識というのは当然出てくると思うんです。  しかし、その場合におきましても、企画立案を担当する部門が同時に検査監督を主管していましたために、私は、今までもその点厳重に行われてきたと信じておりますけれども、その間における通達等に代表される行政手法、これが国民から密室における議論あるいは密室における行政という批判を受けてまいりました。少なくとも、企画立案検査監督機能を、一方は大蔵省に、一方は私自身が主管をいたします総理府にこれを分断することによりまして、少なくともそのルール透明化をいたします。ですから、もし今の金融行政が変わらなかったとしても、それだけの意味は持ちます。  しかし、それよりも、来年の四月以降、いわゆる早期是正措置というものが導入をされる、その中で、これは、客観的な指標であります自己資本比率に基づいて、透明性の高い手法によってさまざまな措置を発動する、これによって金融機関健全性を確保する、こうした仕組みが動き始めます。そして、これはまさに、従来の護送船団方式と言われましたようなそうした手法を変えるということでございます。  そして、金融監督庁が、預金者保護あるいは信用秩序維持といったその役割を果たすために、検査などを通じまして民間金融機関の業務及び財産の状況というものを的確に把握し、その上で銀行法等の明確なルールに従って各種の監督権限というものを行使していく。こうした手法をとってまいりますということは、従来と全く異質の行政というものを築いていかなければならないということでありまして、行政改革を行ってまいりましても、金融監督庁が今回設立の目的といたしております方向というものは、一層その必要性を高めこそすれ、これを縮小に向かわしめる、そうした方向のものではないということは、ぜひこれは御理解をいただきたいと思うのであります。
  11. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 企画立案監督検査、これを分離した場合に、一体的な方がいいという話を私しましたが、しかし分離をいたしますと確かにある種の緊張関係が生じる。それがいわゆる護送船団方式等に見られたようなものの体質というものを打ち破っていくということにはなるだろうと、私はそれを大いに期待しているわけであります。ただ、企画立案というのは一体何なのか、どういうことを具体的に指すのかということが私はまだ明確ではないんですが、これは後ほど伺うことといたします。  ところで、大蔵大臣に伺いたいんですが、今回、第一勧銀総会屋融資、二百七十五億円という膨大な融資総会屋にした、これは公的体質を持つべき銀行としてはあるまじきことであるというように思います。しかも、二度にわたって大蔵省定例検査に対して虚偽報告をしたと言われております。私はそのときに不思議に思ったんですが、大蔵省はそういった虚偽報告を見抜けなかったのかなと、なぜそういった報告についてきちっとした対応ができなかったのか、そこのところが非常に不思議なんですね。  勘ぐれば、これはいわゆる護送船団方式というか、大蔵省とのもたれ合い癒着といったような体質MOF担とかいっていろいろ新聞にも言われておりましたが、そういうようなものがそういう虚偽報告についても、手かげんをしたわけではないでしょうが、見抜けなかった、こういうことになるのかなという思いがいたします。  大蔵省としてもここはやはりきちっとした責任を感じるべきではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
  12. 中川隆進

    政府委員中川隆進君) まず、事実関係だけ簡単に御報告を申し上げます。  今、委員指摘のとおり、第一勧銀に対します大蔵省検査は最近では過去二回行っております。直近では平成六年十月、その前は平成二年九月でございます。  個別の金融機関に対します検査内容等につきましては、こういう問題でございますし、捜査中でございますので、詳細は差し控えさせていただきますけれども、いずれにいたしましてもこの二回の検査はいわゆる総合検査ということでございますので、こういう上位都市銀行の場合でございますから、資産内容を初め、総合的に幅広く経営内容全般について検査をしたわけでございます。  いずれにいたしましても、委員今御指摘でもございましたが、その検査の中で、本件の一連の取引に関しましては第一勧銀みずからが頭取の記者会見あるいは参考人質疑で言っているわけでございますけれども、当局の過去二回の検査に際しまして、本件債務者に関連して抽出分類を回避した疑念があり、現在調査中であるということでございます。また、我々といたしましても、現在、第一勧銀にその実態の調査を厳正にし、早急に提出するよう求めているところでございます。  ただ、一般論として申し上げますと、今、委員の御指摘もございましたけれども、こういう大きな銀行の場合に、大体百万件を超える融資案件がございまして、私ども検査官が参りましてそういう一定の基準に基づきまして抽出をするわけでございますが、あくまでも検査は相手の協力を得て、信頼関係に基づいて、正確に厳正に我々の検査官の指示に基づいて抽出し、それを検査の対象とするということでございます。もちろん、抽出に際して漏れがないかどうかというチェックはするわけでございますけれども、なかなか調査検査の限界があるわけでございます。  いずれにいたしましても、事実関係を確認の上でこの問題に対しまして厳正に対処することは当然でございますけれども検査につきましても、金融機関公共性という観点からも検査手法等についていろいろ考えていくことが多いというふうに考えております。
  13. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 今の答弁はわかりますけれども、しかしそうは言いながら三百億に近いような膨大な不正な融資が全く検査によってキャッチできなかったというのでは、せっかくこうやって金融監督庁設置されまして、新しい監督検査体制をつくり上げていくんだと言いながら、やっぱり同じように三百億、四百億といったような不正融資が見抜けないということになりはしないだろうかというように思うわけですね。事が起こったときに直ちに検査いたしますと、これでは何のための検査かよくわからないですが、いかがですか。
  14. 中川隆進

    政府委員中川隆進君) お答えを申し上げます。  今、委員、三百億という御指摘がございましたけれども、これは累計ということでございます。いずれにいたしましても、この金融検査に際しましては、先ほど言いましたように、金融検査目的金融機関経営健全性という観点が中心でございますけれども、もし検査過程で不公正な取引金融機関公共性に反する取引がありますと、これは厳正に対処していることは当然でございます。  本件に関しましても、抽出基準に合致しているにもかかわらずそれを回避したということはあるわけでございますけれども不良債権観点から提出があった、それでかつ検査官不良資産だと、回収可能性がない、問題があるというふうに認識したものにつきましては指摘をし、それを踏まえまして金融機関は償却を、有税でございますけれども引き当てをしているという経緯がございます。  いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、検査には銀行法上も犯罪捜査目的とするものであってはならないというふうに書いてあるわけでございますけれども、当然のことながら検査の中でそういう問題点があれば当然指摘するべきだということは私どもとしても十分に認識しております。  今後とも、先ほど申し上げましたように、検査実効性、特に資産内容だけではなくて、もちろんリスク管理等も問題がございますけれども、それ以外にも、金融機関公共的機関としての性格にかんがみまして、検査手法あり方等につきましても真剣に考えてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  15. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 先ほどは信頼関係に基づいて云々というような答弁がありましたが、信頼関係はいいんですけれども信頼関係もたれ合い癒着になる、護送船団方式になるということの非難があり、今銀行行政に対して極めて厳しい状況にあるわけですね。したがいまして、やはり信頼関係は、確かに銀行を信頼しないで単なる通常の高利貸しかなんか、高利ではないかもしれないけれども、金貸しのように扱っていてはそれはなかなか検査というものは不可能であろうと思いますが、しかしそれにしても厳然たる態度を持って検査をしていっていただきたいと思います。  今回の第一勧銀総会屋融資というものはたまたま野村証券に端を発して、それによって発見されたんですね。であるとすれば、私は第一勧銀だけでなくて、他の都市銀行等にもこういうような体質というか、虚偽報告したかどうかそれはわかりませんが、そういうものが恐らくあるんじゃないだろうかというように思います。  したがいまして、この際、大蔵省としては徹底的に、融資あり方は部長も今言いました、融資あり方についてもやる、資産だけじゃないんだというような話がありましたが、そういう融資あり方についてもメスを入れるべきであると思いますが、いかがですか。
  16. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 答弁者側に申し上げておきますが、同じ質問を繰り返してただすというようなことでは、何分明快なひとつお答えを求めます。
  17. 山口公生

    政府委員山口公生君) お答え申し上げます。  他の銀行についてのお尋ねでございますが、銀行公共性や社会的責任の大きさにかんがみますと大変重要なことでございまして、既に各行におきましても今回の問題を受け、こうした不明朗な取引を防止するための内部管理体制の再点検が行われているというふうに聞いております。  また、私どもとしましても、検査の際等においてそれを十分にチェックしてまいりたいというふうに考えております。
  18. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 いずれにしても、特別検査を徹底的にやってもらいたいと思うわけでございますが、ところで、今回、金融監督庁設置されます。設置されればこういうような虚偽報告等が見抜けるようになるのかどうか、銀行不祥事の事前チェック防止策に有効な体制としてこの金融監督庁が動くようになるのかどうか、この点について政府委員の方に伺いたいんですが、これもし逆に、金融監督庁が発足をした、同じような問題が起こった、そうしますと今度は金融監督庁責任を追及されることになるわけですね。そうすれば、大蔵省企画立案だけですから傷を受けないで済むというようなことになってしまう。だから、その辺のことも含めて、今回の監督庁の発足によって検査体制というものがいかに充実強化されていくか、その点について伺いたいと思います。
  19. 白須光美

    政府委員(白須光美君) お答え申し上げます。  今般の改革によりまして設立されます金融監督庁、これは民間金融機関等に対します検査監督を専門的に行う行政機関ということでございまして、金融監督庁によりまして検査監督事務ルールに基づきまして厳正かつ的確に遂行されると考えておるところでございます。  民間金融機関等に対して課されております報告義務等に関しまして、虚偽報告を行うといったようなことがありました場合におきましては、監督庁設立後、発足後におきまして仮にそういうふうなことがあった場合には、これまた当然法令に基づきまして厳正に対処していくことになろうかと考えております。  もとより、御指摘のように、今般の改革ということにつきましても、直ちに全面的に効果が発生するということはこれはなかなか非現実的であるということは御理解いただけるものと考えますが、今般の改革の効果というものは必ず実現すると、またさせなければならないというふうに考えておるところでございます。
  20. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 大いに期待をしております。  いずれにしましても、MOF担というんですか、銀行大蔵省担当、こういうものがたくさんあったとか、そういうような報道がありますが、そういうものに見られますようなことがあるというのは、監督検査に裁量行為がある。したがって、担当官の恣意的な裁量によって銀行検査監督というものがかなり人によって違うんだと、こういうところに原因があるんじゃないかなというように思います。できるだけ裁量行為というものをなくすような体制、制度、そういうものに改めるべきであると思うんです。  建築基準法という法律があります。これは建築士という人が各行政庁に配属されているわけですが、建築物が法令に違反していないかどうかを確認をするということになっているんですね。要するに、許可でもなければ認可でもないんですよ。確認をすると。建築基準法という法令に照らしてどの条項にもぴたっと合っていますよと、そういう確認行為なんですね。  これは戦後、米国の体制、制度を参考にして採用した規定でありますが、私はやはり裁量行為をできるだけなくすということからいえば、検査監督については細かな検査規定というんでしょうか、そういうようなものをきちっとつくり上げて、それに従って恣意的裁量行為が働かないような形で検査を実施すべきではないかというように思いますが、政府委員、いかがですか。
  21. 白須光美

    政府委員(白須光美君) お答え申し上げます。  議員指摘のとおり、今後の金融行政につきまして、銀行法等の明確なルールに従いましてできるだけ透明かつ公正な行政にしていくということが必要だということは、私どもといたしましても十分認識をいたしているところでございます。先ほど総理から御答弁ございましたとおり、平成十年の四月以降早期是正措置というものが導入されまして、客観的な指標でございます自己資本比率に基づいてそれぞれ所要の措置が発動されるということで、これが今後の監督行政の中心になっていくというものでございます。  また、検査につきましても、例えばリスク管理体制の評価でございますとかあるいはそれぞれの貸付金債権の回収可能性とか、そういう点につきまして、これは全く各検査官がやりましてすべてのものが全く同じになるかと申しますと、これは評価でございますから何がしかの感じはそれは当然あり得ることとは思っておりますが、これらの点につきましても各検査官等が密接に連絡し合う、またそれらを指導していくという形でできるだけ統一的かつ透明な形でもって検査が行われていくというふうに努める必要があろうかと考えているところでございます。
  22. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 次に、行政改革観点から考えまして、大蔵省の肥大化した権限を分散するという観点からも今回の法改正の意味があるんだろうというように思うんですが、さきに総理に申し上げましたように、企画立案というものが頭脳となって、検査監督はその頭脳のもとに手足のように動く、そういうような形では監督庁というのは従属的なものとなって大蔵省権限の分散ということにはならないわけですね。  やはり長官の人事ということも重要ではありますが、企画立案検査監督が適正な緊張関係にあり、同等な形で行政行為を行っていくというような形に持っていかなきゃならないわけでございますが、企画立案というのは具体的にどういうことを指すんですか。
  23. 武藤敏郎

    政府委員武藤敏郎君) 大蔵省に残されます企画立案機能の中身につきましては、一言で言いますと、金融及び証券取引全般にわたります制度の枠組みの構築あるいは取引ルール整備ということになろうかと思います。通常、こういうものの整備を行う場合には法令レベルの事項にわたる可能性も強くありますので、法令の制定、改廃といったようなことが典型的な事務であろうかというふうに思います。  もうちょっと具体的に申し上げますと、その制度の枠組みという点につきましては、例えば昨年、不良債権、住専問題の処理に当たりまして金融三法を制定いたしました。これが最近の例でございますけれども、将来におきまして、例えば持ち株会社が解禁されたような場合に必要となります金融関連法制の整備でありますとか、あるいは今金融ビッグバンがいろいろ議論されておりますけれども、これに伴いましてさまざまな規制の緩和が行われる場合には、その内容の策定といったようなことが制度の枠組みに当たろうかと思います。  それからもう一つ取引ルール整備につきましては、過去におきまして例えばインサイダー取引規制の導入等が行われました。将来におきましてもさまざまな、最近罰則の強化等の議論がありますとか、あるいは一層の公正取引ルール整備といったようなことが検討課題になると思われます。さらに、金融ビッグバンが進展いたしますと、多種多様な金融サービスの提供というものを踏まえまして、横断的なルールを確立する、業態横断的なルールを確立するといったようなことが要請されるかと思いますけれども、こういうものが取引ルール整備に当たるのではないかというふうに考えております。
  24. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 この取引ルール整備というのがなかなか難しいところですね。  例えば、かつてバブルのころに不動産融資について窓口規制方針が打ち出されましたね。それによってえらい土地価格が下がって今日のような状態になったわけですが、こういう非常に影響力のある窓口規制様なものは、これはどっちになるんですか。企画立案ですか、監督ですか。
  25. 白須光美

    政府委員(白須光美君) お答え申し上げます。  先般来御説明いたしておりますように、この企画立案機能というものと、検査監督機能、この両者を分離するということによりまして透明かつ公正な行政を行っていくということでございまして、その両者を分離いたしますと、従来監督権というものを背景といたしまして行われておりました行政指導というようなものは、これによってそのルールを設定するというようなことが行われていたわけでございます。いわゆる行政指導というのは大体そういうものが多いわけでございます。  これが、今度はルール設定は、基本的に企画立案機能ということでございますから大蔵省と。監督権の方は監督庁ということになるわけでございますから、そういう意味におきましては監督権を背景といたしました行政指導ということはできなくなるということでございます。また、企画立案という面で行われるならば、これはある意味で堂々とした法令等の形で行われるということになるのではないかというふうに考えております。
  26. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 それは、監督権による監督というのは、当然それは監督庁の部類に入るんでしょうけれども、こういった窓口規制の方針を、大方針を決める、それを実施するのはどういうような形で実施するのか、この辺、いわゆる一般的に言う銀行行政指導、銀行に対する行政指導といったものは、これはどっちに、企画立案になるんですか。
  27. 武藤敏郎

    政府委員武藤敏郎君) 土地融資に対します総量規制の例での御下間でございますけれども、御承知のとおり、あれは通達に基づきまして一定の土地に関連する融資の伸び率について範囲を設定いたしまして、逐次報告金融機関に求めるということによって実行したわけでございます。こういうことはまさに個々の金融機関に対します監督に当たるであろうというふうに考えるわけでございますが、およそ土地に対します融資の基本方針をどのようにするのかという議論になりますと、これは両方でもって議論をしていかないと、企画立案的な部分というのも御指摘のとおりあろうかと思いますので、それは企画立案的な観点からの議論も当然必要になろうかというふうに思いますが、実行そのものは監督庁が行うというのが当然のことであろうというふうに思っております。
  28. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 衣の下からよろいがちらちら見えるような答弁なんですね。やはり企画立案というものと監督検査というものがどういうような具体的な項目になるのかということをきちっと分けるべきだと思うんです。恐らくまだはっきり明確になっていないんだろうと思います。ただ、これ明確になっていないと、どうしても大蔵省は強力ですから、法案は通した、法律は通したが、さあ、その後の政省令等々におきまして大蔵省の言うようになって、頭脳は全部大蔵省、手足だけと、そういうことになりかねない。  したがいまして、ここのところはきちっと、こういう事項は政令、こういう事項は大蔵省令、こういう事項は総理府令、どうしても分けられないところは共同省令でもいいんですが、ところが衆議院の審議を伺っていますと、全部共同省令でやるというようなことになる。それでは一体何のために企画立案監督検査分離したかということなるわけですよ。そこのところを明確にしてもらいたいですね。
  29. 白須光美

    政府委員(白須光美君) お答え申し上げます。  省令についての御指摘でございますが、現在、銀行法等金融関係法におきましては、法律、政令の委任に基づきまして多数の省令、銀行法施行規則等々が定められているところでございます。金融監督庁は、これらの省令も含めまして、法令に基づきまして検査監督という執行面の機能を担うということになるわけでございます。省令の制定、改廃ということは、これはルールを定めるものでございますので、これについては基本的には企画立案という性格を有するものと考えられますが、その際、執行面との整合性が重要であるということで共同省令としているというものでございます。  もとより省令につきましてはさまざまなものがございますが、その中でも主といたしまして検査監督のための手続等、これらのための、監督検査実施のために必要なものにつきましては、それらの実際の制定、改廃に当たりましては金融監督庁が指導するということに相なろうかと考えております。
  30. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 政省令については基本的には大蔵省でやるんだと。ただ、監督検査に関連するものがあるから共同省令にするんだというのでは、何のために分けたかわけわからないですよね。やっぱり金融監督庁にきちっとした権限を与えて、その検査監督の中からこういったことをやるべきだということが出てくれば、それは総理府令できちっと対処するということは当然じゃないかと思うんですよ。その辺のところは今後政省令の制定があるんでしょうが、それについても国会に十分報告をしていただきたいというように思います。  ところで、これに関連するんですが、今回の法律制定によって、内閣総理大臣銀行等の業務停止命令、免許の取り消し等の処分をすることが信用維持等に大きな影響を与えるおそれがあると認めるときは大蔵大臣に協議しなければならないと、こうあります。その理由は一体どこにあるのか。総理大蔵大臣と協議する、総理大蔵大臣を任命する、その総理大蔵大臣に協議するというのは、金融監督庁監督権限がすべて移っていないようにも理解できないでもないんですが、総理、この点についてはいかがでございましょうか。
  31. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) さっきから大変微妙な点をつかれておりまして、政府委員も御答弁を申し上げておりましたけれども企画立案と執行部門を分けた、検査監督部門を分けた、しかしその共同省令の部分が残る、この御指摘は衆議院でも実はしばしばちょうだいをいたしました。ただ、これから先の行政というものを考えましたときに、例えば企画立案観点からその金融活動の最前線の実態の情報を欲しいというケースというもの、典型的なものを引きますなら、例えば電子マネーでありますとか電子決済に係る企画立案というようなものを例として考えました場合に、これはデスクの上だけの勉強では到底無理でありますから、私は大蔵大臣が必要な資料を要請する場合は生ずるであろうと、事実問題として思います。  そして、そういうことを考えますと、これは実は、まさに大蔵大臣への資料提出というのは、制度の新たな企画立案のための補完的なものという位置づけになるでありましょうし、この点は私は明確に仕分けはできると思います。そして、そうした視点からまたこの組織は組み立てていかなければならない、実態面におきましてそのような事態を想定いたしました上で現在のような形をとっている、そのように御理解がいただければ幸いであります。
  32. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 これちょっと政府委員に伺いますが、内閣総理大臣銀行等の業務停止命令、免許の取り消し等の処分をする、こういう処分をすることはやっぱり信用維持等に大きな影響は、よほど小さな銀行ならいざ知らず、大体一般的な銀行であればみんな影響は与えるんです。ということは、全部大蔵大臣に協議しなきゃならないかと、こういうことになるんですが、どうですか。
  33. 白須光美

    政府委員(白須光美君) 業務停止等の金融機関の破綻処理に関する権限等につきましても、現行法令のもとにおきまして、既存の方策によりまして対処可能なものにつきましては、金融監督庁長官が全く単独で権限を行使するということになるわけでございます。  御指摘の協議という点につきましては、権限行使それ自体、例えば業務停止の是非ということにつきまして協議するというものではございませんで、例えばもし業務停止の命令をしたと、そのような場合に信用秩序に重大な影響、これを生ずるおそれがあると、そして、現行法令のもとでの既存の方策により対処するのみでは、当該金融機関取引者あるいは他の金融機関との取引者に重大な影響を及ぼしまして信用秩序維持を全うできないというような場合、このように金融監督庁長官が判断いたしました場合につきまして、その万全の措置を、法令の策定等企画立案機能を含めたところでもって講ずるというために、そのような信用秩序維持するための措置、これについて協議をするというものでございます。
  34. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 関連をしますが、大蔵大臣金融機関に対する直接の資料請求権がありますね。これはやはり大蔵省の影響力を残しておこうと、こういうことですか。
  35. 白須光美

    政府委員(白須光美君) 大蔵大臣の資料請求という御指摘でございますが、これにつきましては今、総理の方から御答弁ございましたように、大蔵大臣が例えば新たな企画立案を行う、例えばエレクトリックバンキングとかそういうような例がございましたが、この場合におきまして、これは当然その実際の金融の実態に即して行われなければならないわけでございます。しかし、例えば電子マネー等々につきまして現在行われていない、余りさして行われていないというものにつきましては、監督庁長官の方では監督上の必然性によって、資料提出命令によりましてその資料を得ているということが必ずしもないことがあり得るわけでございます。そのような場合におきまして、監督庁に協力を依頼してもそういう資料は得られないというような場合に限りまして、民間金融機関等に大蔵大臣が資料の提出などの協力の要請をするというものでございまして、企画立案機能を円滑に行っていくために必要なものというふうに理解をいたしているところでございます。
  36. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 監督庁から資料請求をしてもなかなかいいものが出てこないけれども大蔵省から請求すればいいものが出る、これはおかしいじゃないですか。
  37. 白須光美

    政府委員(白須光美君) お答え申し上げます。  先ほどのお答えの仕方があるいは悪かったかと存じますが、監督庁長官の資料提出と、これは銀行法等に基づきました罰則によって裏づけのございます命令でございまして、これによって、これはそれぞれの監督の必要性、現にある必要性に基づいてその提出を命ずるものでございます。  したがいまして、もちろん監督庁がそういう命令を発するということになれば、これは行政権の行使でございますので当然しかるべき資料は集まるというふうに考えているところでございますが、必ずしも監督庁の方でそれだけの現時点における監督上の必然性が認められないといったような場合においては、監督庁長官がそのような権力的な行政命令を発するということがいかがかというようなケースがあり得るかと存じます。  そういう場合におきましては、監督庁の方がこの資料を持っていないと、したがって、大蔵大臣から協力の依頼がありましても協力できないということがあり得るわけでございます。そのような場合におきまして、いわば行政的な命令権という形ではなくて協力の依頼という形で大蔵省が直接、ある意味では監督庁の場合ですとまさに権力的な行為になりますので、それを経ずに実際上の協力をお願いするというようなものということでございます。
  38. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 いや、今のその答弁は納得できないね。  ということは、きちっとした法律、法令に従って監督庁が資料を請求しても余りいい資料が出てこない。しかし大蔵省がやれば出てくるということは、大蔵省は、もたれ合い、護送船団、癒着、そういうものがあるから、言えば出しますよと、こういうことにもなりかねないんですね。  そこのところはやはり、先ほど私が申し上げましたように、できるだけ裁量権というかそういうことのない、法令に従って、きちっとしたルールに従って資料も提供できるような、そういうような法律、法令にすべきであると私は思います。  それが何となく、大蔵省から言えばどんどん資料が出てくるが、きちっとした法令の規定があるにもかかわらず監督権限のあるところからは出ませんというのは、これは幾ら何でもおかしいじゃないですか。
  39. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これは、先ほど私が例示で挙げてお答えを申し上げたときの説明の仕方があるいは足りなかったかもしれません。  改めて申し上げますなら、金融監督庁自身はまさに預金者保護あるいは信用秩序維持等々を図りますために、検査などを通じて民間金融機関などの業務そして財産の状況というものを的確に把握をいたします。そして、これに基づいて銀行法上の明確なルールに従って、各種の認可あるいは承認、業務停止命令あるいは免許取り消し等に至る、その破綻処理に関連する権限など各種の監督権限を厳正かつ的確に行使していくことになります。  そして、これに加えて早期是正措置が明年の四月から導入をされる。そしてこれが客観的な指標としての自己資本比率に基づいて、透明性の高い手段でさまざまな措置を発動していくという意味できちんとした金融機関健全性を確保する、こうした仕組みをつくりました。そしてこれがきちんと行われてまいりますならば、まさに金融監督庁は、これらのルール透明性の高い、しかも公正な手法によってこれを執行していくことによりまして、まさに金融機関の破滅というものを極力事前に防止をする。もしそういう状態が心配になった場合には、これはもう早急に今度は救済策を講じていく。  大蔵大臣の方は、むしろ、現在、例えば私は電子マネー、電子決済という例を引きましたけれども、今後も新たなものが生まれてくる可能性があり、それは現時点で金融監督庁が徴求する資料だけでは企画立案に不十分であるものを、まさに補完的に資料の提出をお願いする、強制するというのではございません、新たなものを企画立案するために必要なものをお願いするという手法だということを申し上げたつもりでありまして、先ほど来多少誤解を生じたとすれば、冒頭私の申し上げ方が足りなかったと思い、おわびをし、補足をいたします。
  40. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 これで終わりますが、細かいことはいろいろありますが、全体としては大変いい改革であると思いますので、勇断を持って総理は今後もやっていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  41. 今泉昭

    ○今泉昭君 平成会の今泉でございます。  ただいま松谷委員が御質問されましたけれども、私はまず最初にこの法案、この金融監督庁設置という問題が出てまいりましたその背景と、この法案を策定するに当たりまして、特にその中で何が一番大きな重点として考えられていたかということにつきまして、まず総理のお考えをお聞きしたいと思うわけでございますが、私はおおよそ三つのポイントがあったのではないだろうかというふうに考えております。  その一つは、もう衆議院でも論議されましたし、いろんな場で言い尽くされていることかもしれませんけれども、バブル経済の崩壊、そして金融破綻、さらに一向にストップがかからないいろんな意味での金融関係の不祥事。こういう流れの中で、政府として、行政として何とか健全なる金融システム、国民に安心のできる金融システムを定着させなきゃならない、そのための監督のシステムを明確にしなきゃならないという流れが一つはあったと思います。  それからもう一つは、御存じのように大変な勢いで今国際化が起こっているわけでございまして、その国際化の中心というのは、特に市場経済を中心とする経済システムが世界的に大きな広がりを見せているわけでございます。その流れを受けまして、おくればせながら我が国にも金融面でのいろいろな規制が取っ払われ、今まで考えられなかったような新しい商売というんでしょうか、金融上の新しい製品がどんどん出てくる。ということになりますと、国民、特に預金者を中心とする国民の方々に、市場経済というのは必ずどこかに失敗が出てくるわけでございまして、その被害を最小限に食いとめるためにも、金融のチェックという意味での金融監督庁設置して監視をしていかなきゃならないという一つの流れがあったと思います。  それからもう一つは、私はこれは最大の焦点にして考えているわけでございまして、恐らく当初の政府の考え方もそこにポイントがあったんではないかというふうに思います。  と申しますのは、後ほど総務庁長官にもお聞きしたいと思っているんですが、この法律そのものがどう見ても暫定的な法律にしか見えないわけでございます。将来これがそのまま十年も二十年もあるいは百年も続いていくような制度とは思えないような法改正の一面が見えるわけなんでございますが、結局中心にあったのは、我が国行政の中での大蔵省権限の集中化というものをいかに分散化していくか。御存じのように、大蔵省財政政策、金融政策を一手に握ってきたわけでございまして、財政政策の面では国家権力を駆使いたしまして税金の徴収権を持ち、さらにはまた予算を編成して分配するという大きな権力を持っているかと思えば、一方では金融政策あるいは通貨政策という大きな力を持っていて、結局それがこれまでのいろんな意味での我が国金融面での大きな破綻を呼んでいた、あるいは不祥事を生んでいたという国民の大変大きな批判があったわけでございますから、何とかこの政府の命題である行政改革というものと結びつけて、大蔵省権限の分散あるいは再構築を考えていかなきゃならないという命題が恐らくあったと思うわけでございます。  特に最後の、大蔵省の将来の姿をどうするかということも含めて、政府・与党の中では当初の問題意識と論議というものはなされていたように思うわけでございますが、そういう認識のもとにこの金融庁の新しい設置というものが出てきたという認識は、総理いかがでございましょうか。
  42. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、この金融監督庁構想というものを取りまとめるに当たりまして、さまざまな場面で、与党内におきましても議論が行われてまいります中に、今三つの角度から挙げられましたような視点が全くなかったかどうか、あるいはこれがその最大の理由だとかいうこじつけた議論を申し上げるつもりはありません。それぞれの委員によって私は重点の置かれ方にはさまざまな違いがあったと思います。  しかし、共通して言えること、これはこれまでの金融行政というものが一つの限界に達していた。そして、それはまさに護送船団方式と言われる方式であり、また住専問題に象徴される金融機関不良債権問題が顕在化をした機会に、大蔵省金融行政というものが時代の変化に的確に対応していないという批判国民から厳しくちょうだいをした。こうしたことに今挙げられました三つの視点それぞれが集約できるかと思います。  そしてさらに、もしつけ加えますならば、もう一つありましたであろう論点、それはヨーロッパにおけるユーロ創設に向けての流れが非常に大きくそれぞれの視点の裏側には存在をし、円をローカルカレンシー化しないための金融システムの改革の中で、金融に対する企画立案検査監督体制がどうあるべきかという論点がもう一つの流れとして存在したのではなかろうかと思います。  いずれにいたしましても、そうしたさまざまな視点、それを受けとめながら真剣に議論をし、自己責任原則というものを徹底していくと同時に、市場規律を十分に発揮できるような、そうした透明性の高い行政を行っていくための仕組みとして考えた結論がこの案だということであろうと存じます。
  43. 今泉昭

    ○今泉昭君 私は、法案の中身をずって見せていただいて、問題意識として、今、総理が言われましたようなことは持っていらっしゃったのかもしれませんけれども、実際に出てきたこの金融監督庁そのものの実態を見てみますと、どうもそういうふうな総合的な意味設置をされたというふうに理解のできない点が大変あるわけでございます。  と申しますのは、御存じのように、大蔵省がこれまで数多くの実は失敗を重ねてきているわけであります。例えば、もともと財政政策というものと金融政策というのは大変多くの関係のある政策ではございますけれども、基本的に大きな違いがある政策ではないかと思うんであります。財政政策というのは、どちらかといえば国家権力に基づいた一つの国の意思というものを明確に打ち出せるものでございますけれども金融政策というのは、どちらかといえば市場というものを大変焦点に置いて運用、執行していかなきゃならない政策であろうというふうに考えております。  そういう意味で考えてみますと、これまで大蔵省がとってきた金融政策というのは、常に財政政策の後追いをしていた、あるいはただ単なる補助的な、補完的な意味で使われてきたという点が大変強いというふうな印象を私は持っているわけであります。それが実は我が国の今日のいろいろな振り返ってみますと失敗の大きな原因にもなってきているんじゃないかと思うんです。  具体的に申し上げますと、戦後に我が国は大きなインフレを経験してまいりました。例えば、一九七三年から七四年に起こりましたいわゆる狂乱物価、調整インフレ政策というのも、これは指導したのは時の大蔵であっただろうと私は思うわけであります。  当時、いわゆる一ドル三百八円という円高の流れの中で、我が国は黒字減らし、そして内需拡大ということを一つの命題にしながら、公定歩合を当時の水準としては最低の四%台に引き下げていったと。そういうことによっていわゆる調整インフレを起こし、物価狂乱が起こったわけでございまして、その当時は二五%という大変我々としては経験のしたことのないような、平時において経験したことのないような大インフレを経験いたしました。これもどちらかといえば金融政策面での大きな失敗であったことはこれは間違いのないことなんであります。  あわせまして、第二回目として起こったのは、一九八七年から八九年、これがいわゆるバブル経済、この時代大蔵省が言っていたのは、これはいわゆる資産価格の上昇であってストック経済下の一局面だという位置づけにおいて、いわゆる資産インフレをみずから演出していったということがあったと思うんであります。  いずれもこれを考えてみますと、財政政策というものの失敗から何とか赤字国債を短期に解決しようという一面もあったんでしょう。財政政策の補完的な意味合いで使った金融政策の大きな失敗がここにあったと私は思うわけでありまして、そういう意味では大蔵省責任は大変大きなものがあったと思うわけであります。  最近、大蔵省責任論がよく言われるのは、例えばバブル経済のときのいわゆる住専にあれだけの金を裏でもって回していたということとか、あるいは住専の処理策として税金を使わなければならなくなったようなやり方に対する大蔵責任が前面に出てきておりますし、その後の金融不祥事などの責任ということが前面に出がちでございますけれども、もっともっと大きな我が国金融政策の失敗というのは、これはもうそれこそ計算することができないような大きな失敗であったんじゃないかと思うんです。  具体的に申し上げますと、例えば、我が国は欧米諸国に比べましていわゆる四割ぐらい円の購買力が低いということがよく言われます。考えてみますと、こういうものは大蔵の実は金融政策の失敗によって生じてきているわけでありまして、国民全体から考えてみますと、その金融政策の失敗によって実は第二税金というものをとられているようなものですね。確かに我が国の場合は所得税、法人税含めまして五十数兆円程度の税金を国に納めていますが、何とこの価格政策の失敗によりまして百二十兆円ぐらいの第二税金というのを国民は取られているわけです。  これはどういうことかといいますと、御存じのように、我が国のGNPは約五百兆でございますが、この五百兆の中で占める国民の消費支出は約六割、三百兆円であります。その三百兆というものは、もしもっと金融政策が、あるいは価格政策というのが成功していれば、四割ももっと消費支出の負担が少なくて済んだはずであります。三百兆の四割といったなら百二十兆円であります。我々は知らず知らずのうちに、税金という名目でなくて百二十兆の負担を国民全体に課しているわけです、高いものを買わなきゃならない。規制ががんじがらめにされていて、外国で買えばもっと安いものを、高いものを買わされるというような、そういう金融政策の大きな失敗というものを、実はこれまでの歴代の大蔵の指導でもって負担を課せられているわけであります。  いずれの場合にも、実はこの大蔵責任というものは、先ほど松谷委員の質問の中にもありましたけれども、例えば金融監督の行き届かなかったことに対してどういう責任をとったのかということに対しての、小さな一つの局面におきましても責任というものはいつもとられたためしがないわけであります。  そういう意味で、私は、この金融政策全般のあり方という面をとらえて、大蔵省のある意味では再編という点を中心として、この金融監督庁というものを改めて考え直すという視点が大変重要だったんじゃないだろうかと思うんですが、後ほど述べますけれども、いわゆる企画立案部門と監督部門を明確に分けてしまった点を考えてみましても、そういう点の視点がどうも弱過ぎるような気がするわけでございまして、この点について総理はどういうふうに感じられますか、お聞きしたいと思います。
  44. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 非常に広範な過去の歴史を踏まえた御意見でありましただけに、局面局面につきまして私なりの意見を持っておる部分がございますし、必ずしもそれは議員とすべてが一致するものではございません。  例えば、そのそれぞれの指摘をされました時期における国際的な要因は何があったか、そして当時その国際的な流れの中において我が国に課せられた役割がどのようなものであったか、それを受けた当時の経済政策全体の中に財政金融がどう位置づけられたか、こうした点を分析いたしました場合には、必ずしも私は議員の御意見を一〇〇%そのままに受けとめるという感じは、残念ながら幾つかの部分で見解を異にする。しかし、その流れ全体をとらえて指摘されました問題点は私は真剣に受けとめるべき問題の提起であると、そのように拝聴をいたしました。  そして、あえて議員企画立案部門大蔵省に残し、執行面と申しますか検査監督部門金融監督庁に移すことをもって永続性の組織ととらえるわけにいかないという議論を組み立てられたわけでありますが、私はその御指摘にも一面の真理があることを否定はいたしません。なぜなら、金融財政というものを今後同一組織の中で扱うべきなのかどうか、これは我が国行政組織根幹にかかわる部分でありまして、まさに行政改革会議における論議の重要な問題点一つでございます。  そして、現在の我が国仕組みというものが、国際的な政策協調等に対しても十分にワークしている、言いかえれば、これを変更いたしました場合に、国際的な政策協調の枠組みにいかにそれを対応させるかには別種の工夫を要するという問題点があるということも私は否定をいたしません。  そうした上で、すべてを大蔵省責任と位置づけられましたことに対し、改めて外的な要因が那辺にあったのか、そしてその当時求められたものは、殊に経済政策として我々が求められたものに対し、財政金融、両面からいかに対応すべきかの役割を分析した場合には、立論のプロセスにおいて、残念ながら議員と意見を異にする部分がございますが、問題意識としてこれをとらえられた点に対しては、私は敬意を素直に表したいと思います。
  45. 今泉昭

    ○今泉昭君 総務庁長官にお聞きしたいと思うんです。  行政改革で大変御苦労なさっていると思うんですが、この金融庁の設置の問題に関して言いますと、政府が中心となっていろいろ検討されている二十一世紀に向けての我が国行政機構という面から考えてみまして、この金融監督庁というものは、一体新しい時代の行政機構の中での位置づけという面から見てはどういうふうに考えていらっしゃるんでしょうか。と申しますのは、衆議院などの論議を見てみますと、これはもう暫定的なんだ、二、三年もてばいいんだというようなニュアンスのものが大変聞こえてくるわけですね。  どうも私自身、こう見せていただいて、この行政改革には一つ行政改革をやる政府としての哲学なり理念というものがあると思うのであります。そういう流れの中でこれを位置づけてやっているのか、それとも、本当の意味での行政改革というのは、もうもっと先なんだから、当面ちょっとこれをとりあえず置いておくのかということによっては随分違ってくると思うんですが、どういう位置づけに置かれているのか、ちょっと見解をお伺いしたいと思います。
  46. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) 今、総理からもお話がございましたし、先ほどからいろいろ御議論がありますように、やはりこの問題は、一つは住専その他の問題で金融行政に対する国民の大変な御批判が出てきた。そのときに、やっぱりすべてを一元的にやってきたところに問題があるんじゃないかというその反省があったと私は思います。  いま一つは、総理がおっしゃいましたいわゆるローカルカレンシーになってはいけない、金融の世界もボーダーレス化してきた、それにどう対応していくかということがあったと思います。それらを踏まえて、一体金融行政をどう持っていくのかという形で、一応政策立案部門と、そして検査監督といったような執行部門を切り離す方がいいんじゃないかと。たまたまこの考え方というのは、実は行政改革一つの考え方の中にあるわけでございます。そういう面においては、そういう形で執行部門が切り離されていくという点においては、行政改革一環として私どもは受けとめていいのではないかと思っております。  ただ、機構そのものが、それでは今お話しのように永久にこういうものが残っていくかどうかという問題については、これは一つは大きな問題は、これも今、総理からお話のございました財政金融を今後一体切り離していくのか、今と同じように少なくとも政策の立案、調整といったような部門だけはそのまま大蔵省大蔵省がどうなるかもわかりませんけれども、いずれにしても財政部門と一緒のところでやっていいのかどうかという議論がまだございます。これに対して、まだ答えも得ておりません。  あるいはまた、果たして、今回の行政改革で新しい行政機構をつくっていこうというときに、総理府というものがあるのかどうかもわからないわけでございまして、私どもやっぱりゼロからの挑戦ではないかと。新しい時代に日本の国が国家機能として、どういう役割を行政として国家が果たしていかなきゃならないのか、あるいは国民のニーズに対して、二十一世紀においてどんなニーズに対応できるような機構をつくっていかなきやならないのか。そして、できればそれはもう縦割り行政の弊害もなくし、効率のよい、そして簡素な行政機構をつくっていかなきゃいけないんじゃなかろうかと、こういう考え方に立って、今議論を始めているといいますか、まだ途中の段階にあるわけでございます。  きょうもまだ各省庁からのヒアリングを受けるわけでございますけれども、今のところそういう考え方で、何といいますか、固まった方向というものは出ていないわけでございますから何とも申し上げられませんけれども、そういう議論の中で、今からこれは暫定的なものだとか暫定的でないということではなくて、これは当面、先ほど来の理由によって、そして行政改革一環としても、考え方として私どもは理解ができる、こういうことで結構でございますと申し上げているわけでございます。  しかし、将来の問題は、今言ったような形でいろいろな角度から議論され、本当に新しい行政機構をつくり上げていくわけでございますから、そこでどういうところにこれが位置づけられていくのかということはもう少し先の段階で私どもは考えなきゃいけないことではなかろうかと、こう思っているわけでございます。
  47. 今泉昭

    ○今泉昭君 今のお話をお聞きいたしますと、まだ論議は煮詰まっていない、これからじっくり考えていこう、こういうことでございますが、しかしこの金融問題というものは、先ほど総理の見解の中にもございましたように、ますます国際化をしていって、電子マネーも含めまして今まで我々が経験しなかったような形での物すごい広がりを大変早いスピードでやっていっているわけですね。国民が戸惑うような新しい商品がどんどん出てくることは間違いのないことでありまして、それによって大変な被害をこうむるのは一般国民なわけであります。  そういう展望を考えてみますと、金融政策をどうし、金融の市場の枠組みやらあるいは市場ルールをどのように健全化していくかという立場に立った金融監督庁の位置づけというのは大変重要だと私は思うわけでありまして、そういうことを考えてみますと、まだ先だ先だと延ばしていくような余裕はないんじゃないかというふうに私自身は考えるわけです。  そこで、まず総理にお聞きしたいんですが、実は最初、自民党の考え方もこの大蔵省金融部門の分割という面で大変な内部での論議があったというふうに聞いておりますし、そしてまたさきの衆議院選挙のときの自民党の公約を見てみますと、この金融監督庁の問題は公正取引委員会と同じような形のものを考えていくんだということを公約に出されましたね。ところが、選挙が終わってしまいますと、大分大蔵省から反撃が逆にあったんでしょう、もう大分変わってきまして、実際に出てきたものは後退していったような形のものしか出ていってないんですね。  そういう意味で、大蔵省の再編というものと金融政策の取り扱いというのは大変重要なことでございまして、この問題を論議する際にはやはり財政政策というものと金融政策というものを明確に分離するという行政の機関が私はなければならないと思うわけです。当初の自民党の案も私はそうだったんじゃないかなというふうに思うわけです。私は、それが筋だったんじゃないかと思うんですけれども、何でそういうふうに後退していったのか、ちょっと、総理大臣にこんなことをお聞きするのは酷であるかもしれませんけれども、お聞かせ願いたいと思います。
  48. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 自民党と言われましたけれども、正確には与党三党で議論いたしましたとき、まさに三条委員会という考え方が一つにあったことを私は決して否定するものではございません。その上で、与党三党の議論というものはこれを外庁方式による金融監督庁としてつくることを提言されました。私どもも、委員会方式よりもこの方式の方が現実に即して行動し得る金融監督庁とし、検査監督機能としてその方がいいと判断をしたからこの方式をとったと、淡々と申し上げると実はそういうことになるわけであります。  そして、議員金融財政を分けるべきだという論点から非常に整然とこの問題に対する御意見を組み立てておられますが、我々は、金融財政分離か、あるいはこれを一緒にしておく方がいいか、これは本当に行政機構議論していく上での根幹の問題として、先ほどから申し上げておりますように、行政改革会議において現に検討もいたしておりますし、大所高所からの論議を必要とするテーマだと考えております。  そして、なお先ほどから総務庁長官からも御答弁を申し上げましたように、この金融監督庁は来年四月からスタートをいたします早期是正措置と相まちまして、むしろ従来の、ややもすると大蔵省行政批判を受けました、同一省内において企画立案機能検査監督機能を有しておりましたがゆえに、通達行政といった批判も受けてきた。これが全く別個の組織になることによって、非常に透明な、公明性の高いものになる。  そうしたスタートをとっていくことを考えますと、形態がどう変化をするにせよ、これが暫定的な位置づけといった軽く扱われるものではない、企画立案機能検査監督機能分離されたというこの方向は、むしろ今後のシステム改革の中においてもきちんと位置づけられるべきものだと私は思っております。
  49. 今泉昭

    ○今泉昭君 たまたま今、総理の方から企画立案部門と監督部門を分けるという……
  50. 橋本龍太郎

  51. 今泉昭

    ○今泉昭君 検査監督部門を分けるということが望ましいという立場で問題を述べられました。私は、それも一つ理論として尊敬をするんですが、しかし、実際上のこれまでの経験から照らし合わせてみて、実はそれが本当に機能し得るかどうかということは、先ほど松谷委員から指摘されたのは全くそのとおりじゃないかと思うわけです。  と申しますのは、実は企画立案部門というのは主に、先ほどの当局からの説明によりますと、市場のルール、枠組みをつくる、市場のルールをつくるというところが中心になっておりましたけれども、実際は、今までの実態を見てみますと、御存じのように、法律ができる前にMOF担と言われる人たち、いわゆる銀行の当局担当者とゴルフをやったり料亭で酒を飲んで、あらかじめ腹の探り合いをやって、今度の法律こうなるよという情報を流して、そしていわゆる密室談合だと言われることが、そこでもう既に決めておいて法律をつくって、後は監督やチェックが来ても、あらかじめそういうことになるのはわかっているから表面だけ繕えばいいという形を今までやってきているわけですよ。  そういう中で、一番重要な部門大蔵が、企画立案部門を握って、あらかじめそういうのを流していけば、幾ら監督を実際に分けたからといって、それに沿うような体制を既に水面下でつくっていれば何にもならないと思う。ただ形を変えたということだけであって、どこの省とどこの省を結びつけるかとか、どこの省を分割するかという物理的な問題ではなくて、実際の運用の面において今までこれは失敗したことではなかったかと思うんです。  しかも、実際に監督にチェックに入るのは、金融監督庁にはそういうスタッフが庁にいない、みんなこれは大蔵省に任せなきゃならないということになるならば、全く何の効果もないように私は思うわけであります。  しかも、先ほども話がありましたように、法律がつくられる、それまでだと言われるけれども、実際その法律をどうするかというところを省令、政令でもって運用されていくわけですから、それまでも全部大蔵省が握っているとするならば、ただ形だけ、批判を避けるために執行部門という形で分けたというふうな印象しか我々には見えないのでありますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
  52. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、議員を説得し切れるほどの自信があり学識があるわけではありませんけれども、多少申し上げたいと思いますのは、現在、銀行法等に基づいて既に政省令がございます。この政省令は、大蔵省独自の運用、解釈にすべてがかかっております。  金融監督庁がスタートをいたします時点で、当然のことながら、そうした政省令は大蔵省に存在を現にしているものが新たに生まれました金融監督庁の所属する総理府との共同の政省令になる、これは事実そのとおりであります。そして、企画立案部門を残します以上、大蔵省の共同省令としての部分がその中に残ることは事実、否定をいたしません。  しかし、今まで大蔵省にすべてが集中しておりましたものが分離をされる。仮にその省令の改廃が必要になりましたとき、企画立案を所管しております大蔵省検査監督を主とする政省令の改正に発言権は持ちません。これは当然のことであります。その場合、議員の言われる議論には一つ論点の違いが生ずると私は思います。  それから、組織機構の上で大蔵省機構を使うのであれば同じだという御意見でありますが、検査監督機能はこの法律が成立することによりまして大蔵省から失われます。そして、金融監督庁がその機能を受け持つことになります。  例えば、よく御承知でお尋ねだと思いますけれども、イギリスの大蔵省、言いかえれば大蔵大臣、閣内に大蔵大臣が二人おる。一方が予算を専管いたします。しかし事務機構一つであります。あるいは、いろいろな場合に行政改革の例示でよく引かれます例えばニュージーランド。外務大臣が存在し、貿易大臣、通産大臣に当たるんでしょうか、それぞれ別個におられますが、事務機構一つであります。  事務機構一つであるがためにそれぞれの役割を彼らが果たし得ないということでありますならば、他国の行政官に比べて日本の官僚がそれほど劣っているんだろうか。私は、彼らはその業務は分けて運営をする、対応するであろうと信じておりますし、もしその信頼に値しないのだと議員が仰せられるとすれば、それは甚だ残念なことだと申し上げざるを得ません。
  53. 今泉昭

    ○今泉昭君 別の視点からお聞きしたいと思うんですが、大蔵大臣にお伺いします。  大蔵省が持っている財政政策部門金融政策部門、大きな二つの役割がございます。この金融政策部門、あるいはまた金融政策にかかわる実施、指導部門において、これまで大変多くの失敗を重ねてこられているわけであります。  現に世の中でいろいろ、今でもうわさされているのは、つい最近不祥事が起こった日産生命に引き続いて、中堅六社と言われる生命保険会社においてもいろいろな実は財政破綻のうわさが流れ始めているわけであります。  加えまして、証券会社でいうならば、山一証券の子会社の小川証券が廃業に追い込まれるということになりましたし、本体の山一証券自体も実は四十年のあの証券不祥事に近いような大変財政面での危機的な状況が伝わってきているわけであります。  しかも、これに関しては大蔵省がいろんな形で具体的な指導をしている。例えば飛ばしを具体的に指導しているというようなうわさまで伝わってくるわけでございまして、そういう面で一番今盛んに言われているのは、大蔵省におけるところの金融部門というものが大変焦点になっているわけです。  これはある意味では、大蔵省自体が財政政策部門金融政策部門と両方を持っているということ自体に実は大きな問題があったのではないか、要するにそちらの方に十分な余力を割けるだけの実際の活動ができていないのではないだろうか。これは財政部門優位性ということが常に言われているわけでありまして、常に金融政策というものが財政政策のいわば並列的に扱われているというよりも、財政政策の流れの中でいろいろ利用されてきたというような印象が大変強いわけでございます。  今この金融監督庁設置に当たりまして、総理が言われるように企画立案部門を依然として大蔵省の中に置いているということでございますが、大蔵大臣としていかがでしょう、金融政策部門にこれまでの流れから見てどうも大蔵省としてはそれだけの余力、能力がないというふうに私としては、ちょっと言い過ぎかもしれないけれども言わざるを得ないと思うのですけれども大蔵大臣の所感をお聞きしたいと思います。
  54. 三塚博

    国務大臣三塚博君) ただいま来、今泉議員の論陣を拝聴いたしました。総理が言われたことで尽きると思います。しかし、私に対する御質問でございますから申し上げます。  具体的な例として、日産生命、そして山一、小川証券等における大蔵金融行政問題点指摘されましたが、私はさようなことはないと信じております。日債銀の問題に発し、そして拓銀の問題に発し、阪和銀行の問題がそれより先でございましたが、金融システムの安定と預貯金者の保護という視点をしっかりとにらみながら、ときにG7構成国でございますから、国際金融の中における日本の金融政策がどうあるべきかと。  実は、この目的は国益そのものであり、国民の利益の安定につながるわけでございます。そういう中で、私どもはその視点をにらみながら全力を尽くしてきたと思いますし、国内的な面においてもたれ合いの御指摘をちょうだいしました。護送船団の話も私もよく聞いております。そういう批判を受けたことについては、批判がないように努力をすることは行政目的であります。そういう観点から、金融監督庁が与党三党の論議の中であるべき姿を追求する結果として分離、独立をここに決定したということは御案内のとおりでございます。  そんな点から、この法案作成は総理の直接の指揮で、梶山官房長官が全体を統括しながらつくり上げた組織でございます。今までの批判を完全になくすること、また一体的に取り組んできたことによって問題があったなという批判は率直に受けながら、行政目的を達成するためには機能分担を大胆に行うと。そして、金融監督庁においては執行面を責任を持って担当していくということにし、大蔵省企画立案部門をここに政策面の重要な行政責任として位置づけをされたわけであります。  私は、この分類は極めて的確なものであり、両者の間に緊張感が生まれることによりましてよりよい前進を図られるものだというふうに思います。  同時に、企画立案の分野において独立するわけでございますから、行政として一体的に他省庁との連携を深めながら、日本の金融制度が先進国と言われる国々の制度と遜色のないものをつくり上げさせていただくという意味で政策が重要でありますことは御承知いただけると思います。  その結果として、業界から距離を完全に置くということになると。完全はちょっと言い過ぎでありますが、距離が置かれると。企画立案でありますから、それぞれの協会の責任者、研究機関等の意見を聞かなければならぬ場面も、いい、完璧を目指した政策をその時点で考えるということであればそれぞれの努力が必要なのかなと、こう思います。  財政金融の問題は総理が言われたとおりでありますから、このことには触れません。
  55. 今泉昭

    ○今泉昭君 時間が参りました。ありがとうございました。
  56. 清水澄子

    ○清水澄子君 社会民主党の清水澄子です。  私は、総理行財政改革の手始めとして大蔵省改革に熱意を持って臨まれていることを高く評価したいと思います。ぜひ大蔵省改革実効性のあるものとして実現されることを期待しております。  そこで、まずお尋ねをしたいことは、一九九五年七月に起きました大和銀行事件、それから昨年の住専処理問題、ことしに入りまして日本債券信用銀行のリストラとか北海道銀行と拓銀の合併による救済策など、これらはすべて大蔵省が非常に深くかかわってきた問題でございます。  そこで、総理は、これらの問題につきまして、大蔵省のどこに問題があったとお考えになっておられるのか、そのことについてお尋ねしたいと思います。
  57. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、委員から幾つかの例示を挙げられましたが、私は、申し上げ方によってはそれぞれ違う問題だと言うこともできると思います。  例えば、最初に挙げられました事件の場合には、海外の支店において、子会社ですか、において発生じたものが、その国のルールにおいて違法性を問われる。それを国内における大蔵省に対する報告からその事件が現地政府に通報されるまでの時間差というものが問題になったと。住専の場合には、さまざまな課題はありましたけれども、公的資金を投入することの是非というものが問われた。あるいはその次に挙げられました複数の金融機関の場合におきまして、それぞれが例えば国際業務から撤収することによってBISのルールを変更し、それによって国内での安定を取り戻す、そうした手法を採用した。  かかわりということでありますなら、当然ながら大蔵省はこのすべてにかかわってきたわけであります。  問題としてこれを要約した場合、二つのことが言えると思います。それはまさに企画立案機能検査監督機能が同一の省庁内に存在をしますために、その内部における対策の、あるいは対応策の処理というものが密室という批判を世間から受ける結果になった。あるいはそれぞれの政策決定の過程国民の目に見えない、言いかえれば、透明性を欠いているという批判を浴びた。あるいは金融機関との間にある種のもたれ合いがあったのではないかという疑惑を呼んだ。そういうことであり、これは同時に、大蔵省が現時点において行ってきた行政仕組みそのものが時代の要請に合っていないということを示したんではないだろうか、そういう私はとらえ方をいたしております。  それだけに、そうした批判を前提にし、企画立案検査監督ということを全く異質の場所に存在させることにより、その密室性、不透明さというものを排除する、これが一つのポイントとして申し上げたいことでございます。
  58. 清水澄子

    ○清水澄子君 それで、この金融監督庁設置によりまして内閣総理大臣銀行の免許権を持つことになります。これは一面において総理に非常に権限が集中することになって、金融上の責任大蔵大臣と共同に持つことになるようになると思います。総理が大きく言えば金融政策の一端を担うことになるわけですけれども、このことによって総理大蔵省改革金融改革が非常に合理的にそれが進むというふうに認識しておられるでしょうか。
  59. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) ある意味では、これから本案を通過、成立をさせていただきました段階で書き上げてまいります組織機構図、さらにその権限の分与にかかわる部分であろうと思いますし、また私は、内閣総理大臣自身金融機関の免許権を持つ、そしてそれをみずから行使するということは本当はいいことだと思いません。そして、そういうことを前提にした組織図をつくり、業務の分掌を定めていくことになろうと思います。  しかし、現時点において、理論の上ではまさにそういう御指摘を受ける部分が存在することを否定いたしませんが、私は少なくとも、問題を大蔵省という役所に限定して見るのか、行政透明性、あるいは公明性とでもいいましょうか、という立場で見るのかによって私はこの評価は変わり得るものだと思います。  そして、大蔵行政というだけの狭い立場から見ました場合、こうした形が必ずしもベストであるという保証はございません。いろいろな組織図の書きようはあります。しかし、行政透明性、公正性をより担保するという視点から見ますなら、ある種の緊張関係を持つ企画立案当局、それをチェックすべき検査監督機能を持った部分が対峙する形というものはより前進した姿ではないか、私はそのように思います。
  60. 清水澄子

    ○清水澄子君 このシステムが最高ではない。これはやはり今後さらに検討されるべき問題が多いと思いますけれども、現時点では、今総理がおっしゃいましたように、最も総理の影響力を強めることができるわけですから、その点をぜひ行使されてこの改革実効性を上げていただきたいと思います。  そこで、この金融監督庁長官は任命によるとされておりますが、この長官ポストの人選というのが金融改革を進める上で大変重要だと思います。  そこで、ちょっと総理にお伺いしたいのですけれども、住専の債権回収に当たる住宅金融債権管理機構の社長には元日弁連会長の中坊公平さんが就任されております。総理はその御活躍に対してどのような感想をお持ちでしょうか。私は、金融監督庁長官についても、大蔵省とか官僚以外の民間の人材を登用することが本当は望ましいのではないかと思っておりますが、総理大臣はこの人選に当たってどのような方をトップに据えたらいいと、余り抽象的ではなくて総理自身がお考えになっているような人物像といいますか、そういうイメージをぜひお聞かせいただきたいと思います。
  61. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) まず、中坊先生に対する評価を問われますなら、非常に御努力をいただいている、そしてたまたま中坊先生が機構のヘッドとしての立場ではなく弁護人として本来の活動の部分で携わっておられる案件の御相談を受けているものもありますが、いずれの場合にしても誠心誠意、本当によくやっていただいている方だなという印象を私は持っております。  それから、今、議員からまさにこの金融監督庁長官の人選についてお話をいただきました。しかし、まだ国会で御審議をいただき設立のお許しをいただいておりませんのに、その人選を云々するというのは、大変これは非礼な話だと、私は院に対して思います。  その上で、もしそういうお尋ねをいただくのであれば、私はこの人選というのは本当に大事だと思いますし、どんな方を充てればいいのか、私は官だ民だというところから議論を始めたくありません、人選を始めたくありません。ここにはそういった意味で、ある意味で象徴性を持つような、そして金融監督庁長官という、検査監督という業務にある程度精通をされながらバランスをとった仕事もしていただける、そういった方を探さなければならないわけでありまして、その出身がどうこうでこの人材を判断することはしたくない、私はそのように考えております。
  62. 清水澄子

    ○清水澄子君 金融監督庁の人事は、独立性を確保するためにもやはり私は大蔵省との関係は遮断する方がいいのではないかと思っております。しかし、実際には大蔵省の官房検査部とか銀行証券両局とか証券取引等監視委員会からの職員が占められるということになるわけだと思います。  私は、金融監督庁大蔵省の外庁化だという、そういう世間一般の批判を避ける努力はやはり真摯にやるべきだと思いますが、そういった意味からも大蔵省からの出向職員という形はできるだけ考えるべきだと思います。また、少なくとも幹部職員は大蔵省に戻らない、ノーリターンの原則とか、それから幹部職員の金融機関への天下り禁止の原則を実行していくべきだと思いますが、総理はその点どのようにお考えでしょうか。
  63. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、今、議員が、職員の発足時における問題点と多少の年月を経た問題点と双方を言われたように思います。そして、順番が逆さになりますが、民間への再就職をストップする、これは私は公務の適正な執行の確保という国家公務員法の要請、また憲法で保障されている職業選択の自由、こうした基本的な人権との調和を図りながら、むしろ定年制を含めた、定年年齢のあり方を含めた公務員制度全体の中で考えなければならない問題だと思いますけれども、幹部職員の場合に少なくともノーリターンをと言われる御主張を私は完全に否定するつもりはありません。  その上で、もし一般職員すべてについてそうした原則をということになりました場合、極めて昇進の確率の低い組織図が生まれるでありましょうから、その場合には別な給与表を人事院に頼んでつくってもらうのかという問題まで行くことだと私は思います。  いずれにいたしましても、この問題は、そう簡単に、私は、ノーリターンが原則であり、そのとおりだと全員に対して言い切るつもりは、申しわけありません。  幹部職員の場合でありましても、私は、その人材によりまして民間から来ていただく方もありましょうし、あるいは各省庁から割愛してもらう人材もあるかもしれませんし、さまざまなケースがあると思います。しかし、発足時、少なくともこの金融監督庁の仕事が軌道に乗るまでおれはもとに戻らぬというぐらいの決心を持った諸君に来てもらいたい、その思いは私は議員と共通であります。
  64. 清水澄子

    ○清水澄子君 次に、金融監督庁は独立性の強いものであるはずでしたが、この法では、先ほどから皆さんも御指摘されておりますように、非常にその位置づけが不明確な部分があります。  例えば、銀行法の改正によりまして、同法に基づく省令が、大蔵省令それから総理府令の共同省令になりますし、また銀行の営業所の設置については総理府令・大蔵省令になって内閣総理大臣が認可することになっています。これでは金融監督庁が常に大蔵省と協議しながら進めるという内容になっておりますので、そうすれば、これらの協議を通して絶えず大蔵省にコントロールされるのではないかという疑問がやはりつきまとうわけです。  私は、この際ぜひ、金融改革の効果を上げるためにも、金融監督庁の行う検査監督行政の独立性を何としても確保していく必要があると思いますが、それに対する総理の御決意を伺いたいと思います。
  65. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 企画立案部門大蔵省に残り、現在すべて大蔵省が抱えております権限金融監督庁分離され、金融監督庁がその責任においてその部分の公権力を行使いたしました場合に、なぜ大蔵省の言うなりにならなきゃいけないんでしょうか。検査監督を行う中で問題が出てまいりましたときに、これをきちんと処理するのは金融監督庁の役目であります。  同時に、企画立案に必要な資料が、今後そうした事態を防止するために必要な資料があれば、私は大蔵省金融監督庁が連絡をとるのは当然だと思います。再発を防ぐようなデータを得ながら、それを自分で後生大事に抱えていたのではそのデータは生きません。同時に、企画立案をする大蔵省が、そのねらいとするところを金融監督庁に連絡をとる。私は、そういった行動がどちらがどちらを支配するというようなとらえられ方になること自体が大変残念であります。  そして、行政が縦割りといって今まで一方では批判をされてきている。むしろはっきりと両者を区分することによって、その間で連絡をとり合わなければならないその姿は全部世間の目に触れる、部内の通達とかメモで済む話ではなくなる。そういう姿をつくり上げる中で、どちらかがどちらかに従属するといった御批判はどうぞ私はお許しをいただきたい。むしろその健全な発展が遂げられますような院としての御協力を賜りたいと私は心からお願いをいたします。
  66. 清水澄子

    ○清水澄子君 じゃ最後に、日本の金融システムの改革、三原則を掲げられているわけですね、フリー、フェア、グローバルと。しかし、この三原則だけでは不十分だと思います。  今までも大蔵金融行政透明性とか自己責任というのをおっしゃっているわけですけれども、それならば大蔵省はやはり業務を報告する白書のようなものを出されるべきだと思うんですけれども大蔵省だけは白書がないわけですよね。ですから、今後金融監督庁検査監督状況を国会に報告されるとか白書などの形で公表していくように、行政自身が情報公開をされるように、そういうことで国民の信頼を失った日本の金融システムの信頼を回復させていくことをぜひ私は総理が積極的に進めていただきたいと思いますが、一言よろしくお願いいたします。
  67. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、白書がいいかどうか、これはちょっと自分で自信を持ってお答えができませんけれども、いずれにいたしましても今まで情報開示が足りないということが一番の問題でした。ですから、このしばらくの間にも金融機関に対する指導内容を成文化する、認可基準を明確化する、あるいは金融機関不良債権額の公表など、こうしたことを実施してまいりました。これから先も当然のことながら情報開示への努力は続けてまいります。その中で、今までは大蔵省省でありましたものを二つの組織に分けて、果たして白書という形態がなじむかどうか自信はありませんけれども、情報開示の努力は必ず続けます。
  68. 清水澄子

    ○清水澄子君 終わります。
  69. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 民主党・新緑風会の齋藤勁でございます。  冒頭、大蔵省金融行政改革につきまして、とりわけこの二法案に対しまして、衆議院からこの参議院に送付されてまいりまして、我が党のこれらにつきましての見解を述べさせていただく中で、幾つか総理にお尋ねさせていただきたいというふうに思います。  もう前置きは本当に省略をしていい状況だと思います。我が国金融ビッグバンを目前にいたしまして、住専処理あるいは大和銀行事件に見られるように、大蔵省金融行政あり方というのが根本的に厳しく問われているというふうに思います。  過日の本会議でも峰崎委員から指摘させていただきました。世界標準、いわゆるグローバルスタンダードに合わせた安定した金融システムと行政を早急に確立しなければならない。その場合、我が党といたしましては、まずは財政金融分離、そして業者行政から市場重視、市場中心の行政への転換、そして三つ目に国民、国会へのいわゆるアカウンタビリティーの三点を重視していくということが必要であろうかというふうに考えます。  この金融監督庁関連二法案ですが、評価をさせていただければ、財政政策を担う大蔵省金融企画立案を残したこと、そして大蔵省に業界団体、取引所等に対する監督権限の一部を残したこと、そして大蔵大臣金融監督庁長官をおいて民間金融機関に対して直接資料提出などを求める権限などを付与したこと、さらには支店の配置、営業時間、営業報告書の記載事項など細部まで大蔵省が関与できること、さらに住専問題の反省もなく、信連などの農林系金融機関検査監督は従来どおり行っていることなど、多くの問題点をはらんでおります。いずれにしましても、大蔵省権限はできるだけ維持していきたい、さらには民間金融機関等にとって二元行政を招くものであるということについて指摘をせざるを得ません。  衆議院に引き続きまして、我が党といたしましては、御協議をさせていただく中で修正案等についての準備もさせていただくような考え方でおることについて、まず見解を明らかにさせていただきたいというふうに思います。  さてそこで、本格的に質問に入る前に、時間も大変限られておりますが、昨日、総理が議長になりまして与党三党でおまとめになりました財政構造改革会議におきますまとめでございます。大変トップにいられる方にとって一生懸命努力をした中での、きょうの新聞各紙あるいは各党の評価等につきましてを見るにつけ、それぞれのお気持ちはあろうかというふうに思いますが、総じてマスコミ、あるいは我が党自身ももちろん見解を出しておりますが、一律削減より行財政システム改革を、あるいは総合的な財政改革の将来像を示せとか、こういう表現が目立っています。肝心の構造改革は先送りにされ、全体として数字合わせではないか、こういうような厳しい文字も見られるところであります。  いずれにしましても、国、地方を通じた行財政システムを改革するという原点に立っていくということについてはだれもが異存はないというふうに思いますが、冒頭このマスコミの評価についてどう総理が考えているかということではなくて、昨日、財政立て直しのための最終報告をまとめた、そういう立場に立って、今時点での見解について述べていただければ幸いです。
  70. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) けさ、同様の質問を番記者の諸君から聞かれました。私が答えたのは、私が予測したよりもひどい批判はなかったという一言であります。自身で苦労した者と外で見ておられた方々と期待されるものの違いもあるでありましょうし、また関心をお持ちになる場所も違いがあるでありましょう。しかし、少なくとも総額を本年度よりも下に抑え込むという意思だけはきちんと国民に伝えていただけたものと思います。  その上で、あえて駄弁を弄するつもりはありませんが、どうか御協力をいただきたい。むしろ、国民に対し、甘いことをお話しになるのではなく、手法は異なっても厳しいものも求めなければならないという状況については真剣に国民に語りかけていただきたい、心から願っております。
  71. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 一律削減より行財政システム改革、いずれにしましても、歳出削減の数値目標を決めるということについては、今までの国会なり行政とのありようについては、ある意味では私はな.かったことであろうかというふうに思います。これからの予算編成についても大変注目をしていかなければならないということは事実だというふうに思います。  さらに、財政再建の姿勢なり意欲については私自身も評価をさせていただきます。が、具体的にシステムをどうするかということについてが今問われているというふうに思いますので、そういった意味で、ある意味では金融監督庁設置等についてもかかわり合いを持ってまいりますけれども、具体的に構造転換を進めていく、行財政改革をしていくんだということについてぜひ強力なリーダーシップをとるべきではないかというふうに私は思うところでございます。  いずれにしましても、補正予算絡みでウルグアイ・ラウンドの問題についてもいろいろこれもまた与党の中でも議論があるようでございますので、これらにつきましても注目をさせていただきたいというふうに思います。  さて、もう相当過去になる話でございますが、今も鮮明に出てまいりますのは九一年の百二十一臨時国会のときのことでございます。いわゆる証券金融不祥事の真相究明をめぐりまして、とりわけ証券問題につきまして、証券国会と言われた百二十一臨時国会というのがございました。  主な金融事件、これはるる述べる時間もございませんが、イトマン・住友銀行事件、富士銀行等の架空預金証書事件、この富士銀行等の架空証書事件につきましては、総理大蔵大臣でございましたけれども、富士銀行の赤坂支店にかかわって、不正融資と直接関係ないとされておりますが、橋本首相、当時の大蔵大臣の元秘書が融資先を紹介している事実が明らかになったというのもこのときであったと思います。さらには、東洋信用金庫の偽造定期預金証書事件あるいは証券会社をめぐる不祥事では損失補てん問題、証券会社と暴力団の関係、大変残念な事件が次から次へと出てまいりました。  このときの議論の中で、やはり公正な証券金融市場、再発防止策が確立されなければならないという議論があり、全力を挙げて議論としてもまとめ、衆議院でも参議院でもそれぞれの議論の積み重ねの中で附帯決議がされているところでございます。とりわけ我が参議院の証券金融特別委員会では十項目の「証券及び金融に係る不祥事の再発防止に関する決議」がされておりまして、その一項めに、「証券及び金融に係る不祥事の再発防止のため、行政部門からの独立性、中立性を踏まえた新たな検査・監視機関を設置する等、実効性のある体制の確立に努めること。」、こう実は盛り込まれております。  これ以来、実は今日まで、昨年の住専国会ではございませんけれども、住専問題、そして大和銀行の巨額損失事件、そして今回の総会屋との癒着が断ち切れない証券会社、そして銀行があり、今回のまた金融監督庁設置法案審議に至っているところでございます。  本日、この特別委員会金融監督庁設置法案審議を開始するに当たりまして、率直に総理自身の声で既にたびたびもう提起をされている、そういう総理自身の気持ちはあるかもわかりませんが、改めてこの九一年の金融証券スキャンダルから見て、私は今日の経済スキャンダルの原型というのはこの九一年のときに出ているのではないか。野村証券の喚問もすべてここのときに行われております。改めて、経済犯罪は撲滅をしていくんだ、そして透明な公正な市場をつくり上げていくんだという明確なメッセージというのが込められなきゃならないというふうに思います。  もちろん、立法府としてのこの間の責任もあろうかというふうに思います。政治家として金融犯罪と政治のつながりを根絶していくという強い決意をぜひ御表明いただきたいというふうに思います。
  72. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) お許しをいただきまして、改めて当時を振り返りながら申し上げたいと存じます。  今、議員が挙げられました幾つかの事件、この中は大きく分けて二つに分けることができると存じます。  一つは、私自身の秘書でありました人間が融資をし、まさかそれが偽造預金証書をもととした不正な融資であるとは知らないままに富士銀行赤坂支店にお客様を御紹介し、結果としては、そのうちの一部が偽造預金証書を担保とした不正な資金繰りの犯罪の中に存在をしたというケースを含め、犯罪に既に分類されるべき事件でありました。これは司直の手によって裁かれるべきものとして、当時そのように事態は推移をいたしました。  もう一つありましたのは、いわゆる補てんの問題であります。  そして、補てんの問題は、当時の法律上の犯罪というものではなかったと私は承知をいたしております。言いかえれば、そうした行いをする者はいないであろうという善人を想定してつくられていた法律、その中において補てんという行動が極めて多くの大衆投資家を犠牲にしながら一部の特定の人々に対して行われ、しかもそれが完全に償われたケース、一部を償われたケース、さまざまなケースがあり、その中には公的なさまざまな団体も存在をいたしました。特に共済等については、我々が驚くような立派なことをおっしゃっている共済が補てんを受けておられたことを当時の報道で承知し、愕然といたしました。  その中で、即時にやめろという声をたくさん私はいただきました。しかし、少なくともなぜこうした事件が起きたのかを調べなきゃ、その上で許されるなら、再発防止の第一弾だけは自分の手で整理をつけてやめるのが私の役目と、そのような思いで、補てんを禁止する証取法の改正法案を成立させていただくと同時に、日本版SECとよく言われます今の監視委員会をつくり上げ、その人選を終えて、私は退任をいたしました。  そのとき、私は一番祈るような思いでありましたのは、大蔵省の外にアメリカ流のSECをつくれという声を私は抑え切って、省内に八条機関としての委員会を設置いたしました。それだけに、これが有効に働き得なかったら、その思いは本当に私にとって大変つらいものでありました。  発足後一年たたないうちにこの委員会が世間に公表し得るような、本来なら成果を上げない方がいいわけです。しかし、事件を発見し対応してくれたとき、やり方は間違っていなかった、そんな思いを当時持ちました。
  73. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 今回のいわゆる一連の金融スキャンダルに対しまして、アメリカのフィナンシャル・タイムズというのが、五月二十三日付でございますが、東京ではもう日がわりの金融スキャンダルが起きていると。日がわりメニューとか日がわり定食なんというのがありますが、大変残念な表現でございまして、野村証券第一勧銀総会屋スキャンダルは日本の金融システムがオープンで透明になるにはまだ時間がかかる現実を示していると。日本の金融システムがオープンでと、時間がかかると。それで、贈収賄は昔は安定した企業経営や許認可の潤滑油だったかもしれないけれども、日本の世界市場へのかかわりが深まった今、最近の金融スキャンダルは日本企業や政治家の信用を失うという、中略で、一連のスキャンダルは日本の企業経営と国家統治の改善を迫ろうが、問題はこの国では改革のテンポがいかにも遅いことだと、こういう実は表現がございまして、大変残念でありますが、むしろ共通する、この改革をしていくということについてはある意味では通ずる問題であり、取り組まなきゃならないというふうに思います。  あえてこの感想については時間の関係総理には求めません。  残りのわずかな時間でございますが、本会議でもあるいは衆議院でも、今も新しい金融監督庁のいわゆる職員、検査官体制につきまして議論がございました。入り口の部分と将来の部分、確かにあろうと思います。  私は、これも全文を御紹介する時間がございませんが、たまたまいろいろ資料を読まさせていただきまして、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、この四カ国の銀行監督についていろいろ調査をした、それぞれの分析をした方が、これまた具体的にそれぞれの国々の方々の発言をもとにいたしまして、監督検査の要は単に組織論だけにあるんではない、組織を支える人材の確保と教育に負うところが大きいことを忘れてはならないと、私は全くこのことは共鳴するところであります。  そこで、ノーリターンというのは、これは将来、今入り口はどうするかというのがありますが、近い将来、この検査官につきましてはローテーション大事なんということはやっぱりあってはならないというふうに思いまして、少なくともやっぱり今の大蔵省、率直に申し上げれば、早ければ一年、長くては二年か三年でポストがかわっていく、こういうことが今度の金融監督庁ではあってはならない。そして、検査官では、もう一つはあくまでもスペシャリストとして育てる方針を貫くと。こういうようにゼネラリストをローテーションで回す監督当局というのは一つもこの今言った国々にはないというのが一つの教訓として現実に至っています。これは積極的にいいところをやはり学んでいくということが私は肝要かというふうに思います。  このことについて、入り口の部分でまだ御検討かもわかりませんが、やはり今具体的にこの二法を提起するに当たりまして、どういうふうに採用してどういうふうに検査官というのは対応していくかということは大変重要なことでございますので、人材の確保、教育、そしてローテーション人事は行わない方向なんだということについては、これから公務員制度のありようというのは、先ほども答弁がございますけれども総理としての基本的な考え方を御披瀝いただければありがたいと思います。
  74. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私はこの点は大変よく問題点を整理していただいたとお礼を申し上げます。  実は同じような問題を行政改革会議の席上、情報分析という部分でとらえて問題提起をいたしましたところ、マスコミの諸君は何かそういう新しいポストを設けるみたいなすっとんきょうな記事を書かれましてちょっとがっかりしました。  今、我々が必要といたしますのは、まさに指摘をされましたような例えば検査、それから現に存在する職種で言いますなら、国税が一つそれに当たると思いますけれども、まさにスペシャリスト、そしてそのスペシャリストに報い得る組織図と給与体系というものだと思います。もちろんその前段階には研修とか採用の問題がございます。  そうした点まで今の時点で、私は他省庁から人材を集めない、あるいはその人をもとに返さないということを言い切るだけの自信はありません。しかし、将来に向けてしかもそれほど長い時間をかけずに結論を得ていかなければならないという御指摘は、私は素直にちょうだいしたいと思います。
  75. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 ありがとうございました。
  76. 笠井亮

    ○笠井亮君 日本共産党の笠井亮でございます。  総理は昨年十一月、我が国金融システム改革ということでいわゆる日本版ビッグバンということを打ち出されて、まさに日本の金融市場の国際的信用を高めようとされていたその矢先に、今回の野村証券第一勧銀問題ということが起きたわけでありますが、そういう意味では信頼を高めるどころか、また新たな失墜ということを言わざるを得ない事態だと思うんです。しかも今回が初めてではない。  今、齋藤理事から質問があって御答弁ありましたが、九一年の一連の金融証券不祥事の中で問題になった野村証券が、また今引き起こした事件ということであります。前回の事件の際に大蔵大臣だった橋本総理は、厳しい社会的批判に対して指導監督責任をお認めになった上で、反省を踏まえて再発防止及び金融システムの信頼回復のためということで、金融機関の内部管理体制の総点検などの五項目の対応策の実施を明らかにされて、関係方面と緊密な協力体制をとりつつ最大限の努力をいたしたいということで国会でも明言され、措置をとられたということでありましたが、万全の措置をとるはずだったのに、なぜまた今回のような事件がまた野村証券によって起こったというふうにお考えになっていらっしゃるか、伺いたいと思うんです。
  77. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、野村証券という会社の経営トップの人々がなぜと言われましても、私自身お答えのしようがありません。  むしろ、証取法の改正を終えて私は大蔵大臣の職を辞しました。そして、その後の大蔵省検査におきましても日銀の考査におきましても、その不正――ちょっと失礼しました。これ銀行の方とごちゃごちゃになりましたけれども、そうした資金提供の中から総会屋との交際というものが全く表に出てこず、証券取引等監視委員会がしばらく前からこれを追い続けている中で初めて野村の首脳部がこれを明らかにした。  懲りない面々という言葉がありますけれども、本当に私個人からすればそういう言葉を使いたいぐらいの思いでありますし、本来なら、私は罰を受けるということは、人間、企業でありましても恥とすべきことだと思いますが、その恥を感じないのであればそれだけのペナルティーを、感じるだけのペナルティーを科さなければならないのか、そうすら思います。  それだけに、感想を聞かれるなら、情けないという一言しかありません。
  78. 笠井亮

    ○笠井亮君 懲りない面々、情けないということでおっしゃいました。  結局、私思うんですけれども政府行政の側から、金融行政の側からいきますと、九一年の措置が率直に申し上げて、形では整えたけれども、それだけのものだったからということがやっぱり一つあったんじゃないか。対応がやはり抽象的で、専ら金融機関の自主的な努力にまつという生ぬるいためだったんじゃないかということを私は感想として持つわけであります。  当時、我が党は、大蔵省と大銀行との癒着にメスを入れて、金融機関公共性を重視した監視体制を確立するために、銀行証券などを監視対象とする独立した金融証券取引等監視委員会を創設するように政策提言をいたしました。これは、当時、専門家が強く提起していたことでもあると思うわけであります。  総理は、当時、大蔵大臣として、「金融証券両市場というものを視野に置いた検査機構というものが望ましい」ということで、九一年八月三十一日の特別委員会答弁されておられるわけですけれども、その後、実際には証券取引等監視委員会はつくられたけれども、結局金融部門検査監督は対象外に置かれたということがあったと思うんです。  今、今回の事件、野村と第一勧銀ということであるわけですけれども金融証券の両市場というものが相互の連関を一層強める中で、そして今回の野村、一勧問題もそういう連関の中で起きたということがあるわけですから、私は総理大蔵大臣当時言われていたようにすればよかったんじゃないかというふうに思うんです。そういう実効ある措置をとらなかったからまたこういう事態が起きたんじゃないかというふうに率直に思うんですけれども、その点はいかがですか。
  79. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 当時の私の主張を褒めていただきまして恐縮であります。  しかし、その当時、世間は、日本版のSECと、専ら証券のみを対象としてこれに対する対策をお求めになりました。本院を含めまして、国会におきましても、御議論証券に限定をされた御議論であった部分が大半でありました。  そして、その当時、むしろ大蔵省として考えておりました、問題が起こる以前です、こうした問題が起こる以前に考えておりましたこと、それは証券局、銀行局、国際金融局というものをもう一度組み直し、その監督を一つに束ね、同時に全体を業種、業態別に分けるのではなく、全体を金融としてとらえ直す仕組みの論議を内部でいたしておりましたが、そうした構想は大蔵省自身が考えていることというだけで世間から聞いていただくことすらできませんでした。  そういう状況の中で、証券について対応をとることを求められ、そこまで戻って物を申し上げてよいのでありますなら、当時私どもが考えていたことを褒めていただいたことは感謝をいたしますが、そのころむしろ大蔵当局あるいは大蔵大臣が考え方を主張するということだけでそれは間違いであるような風潮があったことが、今日もなければいいと私は本当に思っています。
  80. 笠井亮

    ○笠井亮君 今、当時の雰囲気も含めておっしゃいましたけれども、主張はされたけれどもそれが通らなかった、実らなかったということをおっしゃいましたが、総理みずからが大蔵大臣として当時責任を持って提案されてやられようとした、そしてその金融行政あるいは政策それ自体がどうだったのか。そしてそれが本当に貫かれるということで、その当時の教訓が本当にきちっとやっぱり導き出せることがあったのか。そういうことが全体としてやっぱり不備だったために、ビッグバンで打って出ようというときに、今いわばひどい仕打ちを野村証券第一勧銀から受けているというふうに言われても仕方がないことになっているんじゃないかというふうに思うんです。  金融行政とかあるいは政策、監督、監視、すべてをやはり根本的に見直さなければならない問題がまさにそういう点では次々と突きつけられている。そして、これまでの経過も踏まえて本当にそのことを正していくということが大事だと思うんです。  ところが、衆議院以来先ほどまでの論戦も伺っておりますと、金融証券の相互の連関が非常に深まっている中で、こういう事件も起こる中で、やはりそれに対して、今提案されている金融監督庁がそういう深い問題に本当にメスを入れて設置をされているというふうには、どうも私伺っていて納得いく理解ができないということであります。この点については、さらに本委員会でもさまざまな角度から伺っていきたいと思うんです。  最後に、これまでの大蔵省検査監督部門総理府のもとに移せば、そういう点でいうときちっと監督、監視ができるのか、いわば第三の野村証券事件と言われるような不祥事の再発防止ができるというふうにお考えなのか、その点について、先ほど来これだけではないのでということはありましたけれども総理から御答弁をいただきたいと思うんです。
  81. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 行政組織を変えれば犯罪がすべてなくなる、そんなものではないと思います。しかし、その犯罪を発見することはより容易になるでありましょうし、企画立案検査監督部門分離することによって、その発見された犯罪行為を行政指導で回避するという手法もとれなくなるでありましょう。  私は、現在大蔵省が犯罪行為を隠していると言っているんじゃありません、誤解のないようにしていただきたい。検査の中で発見できなかったのが、能力が不足してできなかったのか、それとも相手の虚偽報告を立証するものがなかったから、言いかえれば一方の側に犯意があり犯意を見抜けなかったのか、その辺はこれから捜査当局がきちんとしていくでしょう。  しかし、先ほどの御質問の言葉をかりますならば、この部門分離することで犯罪の発生を防ぐことは、私は犯罪を犯そうとする人間はどんな仕組みをつくっても犯すやつはいるんだろうと思うんですが、より発見しやすくなるであろうということ、その緊張関係はつくれると思います。
  82. 笠井亮

    ○笠井亮君 終わります。
  83. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 私から二つの問題につきまして総理の御所見をお伺いしたい、こう思います。  第一の問題は、新しく設置される金融監督庁の人事構成の問題でございまして、これはもう既に先ほども議論されているところであります。  まず長官の人選をどうするか、こういうことで、先ほど総理の御答弁でも在野、在官にかかわらず幅広く人材を募集して選択したい、こういう話でありました。  ただ、いささか気になりますことは、この長官は外局の長でありながら国務大臣ではない。それから宮内庁長官のような認証官、特別職でもない。一般職であると。ですから、事務次官よりもある意味では格が下、こういうことになりますれば在野から人材を求めるについては大変な障害になるんだろうと、率直に申しまして。素直に私が行って頑張ってやろうという人もなかなかいないわけですから、求めがたいことも御承知であろうとは思います。そういう問題があることは否定できない。  それからもう一つは、実際に検査に当たる一般職員の養成といいますか研修といいますか指導の問題でございます。  これは犯罪捜査ではございませんけれども犯罪捜査に例えて申しますと、やはり根気が要る仕事、熱意が要る仕事、何よりもそれだろうと思います。それから経験の問題です。何かあるな、ぴんときたぞといういわゆる刑事の勘、第六感と言っておりますけれども、そういう勘が必要なので、この勘というのは一朝一夕にでき上がるものではない。やはり五年、十年ということをかけて、先輩からまたいろいろ教わって、その中から積み上げていく。そういう勘があって初めて、事件の捜査あるいは検査、本当の実効ある検査ということができ上がっていくのではないか、こういう気がするわけであります。  第一勧銀の例が先ほども出ておりましたけれども、ある特定人に三百億近くの融資をしておって、満足な担保も十分にとっていない、そのうち七十数億が焦げついていると。そういうことを見れば、これは何かある、何か背後事情があって融資したんでしょうなとぴんとこなければだめなわけでありまして、相手が本当のことを言わなかったとか、うそを言われたのでそれでおしまいにしてしまった、これから告発いたしますとか、そういう問題ではないんですね。やはり根気と熱意と、それから勘といいますか、経験といいますか、そういうことがあって初めて実効ある検査ができるんだろうと。そういう職員を養成していくのも、これまたある意味では長官の任務でありますから、初代長官の任務たるやまことに重かつ大だろう、こう考えてよろしいと思います。研修制度をどうするか。  それから、検査一筋で頑張ってくれと言いましても、やはり年相応になれば昇進のことも考えてやらねばならない。本人の希望でどうしても大蔵省に戻りたいという人も出てきましょう。そういう場合の対応、すべて最初の、何事も初めが大事、こう言われておりますけれども、初代長官の肩にかかっている問題だろうと思います。  そういう意味で、一般職ということで初代の長官を在野から、あるいはまた官の側から迎える。役人の中から選択するにしましても、役人というのは横並びの議論が大変大好きですから、あのぐらいのポストだと卒業年次何年ぐらい、それじゃということになりまして、なかなか適材も得られない、こういう現実の問題があるわけであります。こういうことを踏まえて、もちろん賢明な総理ですから御考慮されてはいるんだろうと思いますけれども、所懐の御一端を差し支えない限りで示していただければ幸いと思います。
  84. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 議員が今提起をされました問題は、いずれもスタートに当たっての大事なポイントとして私ども大変悩んでまいりました。  殊に、処遇の点というのは、ある意味では旧国鉄を分割・民営化をいたしますとき、何とか社長に民間の方をと必死で私はそれを探した責任者でありますけれども、民間で我々が来ていただきたいという方々は、その当時、旧国鉄を分割した場合の新会社の給与体系では御自分の現在の収入を下回るということで、残念ながらお一人もちょうだいをすることができませんでした。ただ、会長に民間の方を得られたのみでありました。そういう思いはそればかりではなく、ほかのところでも何回か味わっております。それだけにこのポストをどうするか、非常に気になり、最初考えました。  しかし、閣僚ポストにし、政治家あるいは政治家たらんとする方を据えることは、私はこの金融監督庁というものの性格として望ましいものではないだけでなく、閣僚の配置ポストといたしました場合には政務次官、事務次官といった機構の膨張をも招きます。そして、一般職にすべきか特別職にすべきかも相当考えましたけれども、やはり政治が介入しにくい仕組みが一番望ましい、そんな思いからこうした考え方をまとめてまいりました。  研修等についての御注意はありがたく、先ほど来ちょうだいしておりますものと同様に、今後考えていきたいと思います。
  85. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 そういう方向でよろしくお願いしたいと思います。  それから、行財政改革一環といたしまして、今霞が関の官庁街では建築ラッシュだと言われております。現に、昼休みに散歩などをしてみますると、あっちこっちで工事が行われておる。その代表例が人事院ビル、五百六十億余りを費やしまして二十何階の壮大な建物をつくるんだと、もう建築が始まっております。そのほか、文部省だ、いや法務省だ、いや総理府別館だと、それだけでももう千億を超えるような工事がメジロ押しでありますし、地方自治体の関係では全国町村会館それから都道府県会館、都市センターとか、これまた五百億近い工事が待っておる、行われておるわけでありますが、これは一体首都圏移転とどう関係するのか、私は全然わからないわけであります。  国会が決議をして法律をつくって首都を移転する、こう言っておりますが、その傍ら行政サイドでああいう建築がメジロ押しになっている。あるとき、これは首都が移転したらどうするのかと聞いたら、そんなものは民間に払い下げればいいんだと、こうおつしやったさる高官がいたようでありまして、まことに無責任過ぎる話であります。  やはり国会が決議して法律をつくってやっている以上は、その推移を見極めまして、その上でああいう建築ということを始めていくべきではないかと。後世の歴史家が、一体あの当時の政治家は何をしていたんだろうかと評論に全く苦しむと思います。気が狂ったとしか言いようがないと。  どこかに壮大な首都圏を移して、そこにまた同じような人事院ビルをつくるつもりなのでございましょう。こちらに今つくっているやつは十年先にはもうどこかへ払い下げる。そんなものを受け入れる民間企業がいるのかどうかわかりませんけれども、そういう考えで進んでいること自体についてのちょっと御所見を承れればと、こういう気もいたします。
  86. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、現在工事中と言われるのはまさに人事院、警察庁、建設省、自治省、消防庁が入居する予定の新中央合同庁舎の二号館と言われるものだと思います。自治体の話なんかは私はちょっと存じません。  ただ、これは本当に老朽化がひどくてどうしょうもない、狭隘でどうしようもないという中で、危機管理などに対しても非常に緊急の対応の困難なものがありまして、情報化など新たに必要とされる機能の対応が全然できないといった中でここの今の建設が進められておることは事実でございます。  しかし、ここから先、無用なものをつくり続けていくつもりはありませんし、我々として行政機能維持する上で最低限必要な建築を今進めておるところでございます。
  87. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 終わります。
  88. 田村公平

    ○田村公平君 総理、質問通告をしてありましたけれども、先輩議員がほとんど同じことでダブりますものですから、ちょっと視点を変えて質問をさせてください。  総理も学校を出まして社会人になったそのスタートはサラリーマンであったというふうにお伺いしております。  私も昭和四十四年に学校を出まして、サラリーマンで人生をスタートいたしました。初任給は三万七千五百円でございました。たまたまそのとき勤めておりましたNHKのメーンバンクは第一勧業銀行でありました。初めて都市銀行に預金口座を持ったのが一勧でございまして、実は昨日、一勧の口座を解約いたしまして別の銀行にいたしました。私の普通預金口座は、電気料金だとか今はやりのクレジットカード等々の決済のために普通預金口座を一つだけ持っておりましたけれども、いわゆる一般の庶民の感覚でいいますと、そういう意味での怒りがあると思います。  ちなみに、私どもの高知県には都市銀行の支店というのは第一勧業銀行しかありません。というのは、多分それは宝くじの関係だと思います。したがいまして、岩崎弥太郎がつくった三菱、今は東京三菱になっていると思いますが、その支店もありません。  何でこんなことを申し上げましたかといいますと、そういう怒りの中で、まさに先ほどお話もありましたけれども平成三年、大蔵大臣として、いわゆる証券疑惑、いろんな問題が起きたときに、総理は大変御苦労をなさったこともきのうのように覚えております。覚えておる理由はいろいろありますけれども、それはさておきまして、そういう中で、今回、金融監督庁設置法の二法が審議されております。  「浜の真砂は尽きるとも」、白波五人男に有名な泥棒に関する話がありますけれども、そういう意味で、犯罪というのはなくならないと思います。それを今度の金融監督庁ができて、いろいろ批判議論もあると思いますが、総理自身はこの役所ができることでどういう効果、マイナス面じゃなくてプラス面をぜひ教えていただきたいと思います。
  89. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 非常に御説明をしにくい御質問なんです。マイナス面は言わずにプラス面だけと言われましても、こういう問題はプラス・マイナス必ずあるんです。  ですから私は、今まで一つの省庁として金融機関に対する行政、すなわち企画立案から検査監督まで全部を一つでやってきた、それはまさに第二次世界大戦後の復旧復興の時代における我が国には、その仕組みは本当に有効に活用した、機能した組織だったと思います。ちなみに、私は昭和三十五年卒業ですが、私の初任給は一万六千八百円でした。ですから、九年間で随分給料は上がったなと、失礼ですが思いましたけれども、むしろ、その時代というのはまさに護送船団方式と言われた行政仕組みが、金融関係にとって本当に有効に働いたんだと思うんです。  しかし、まさにこれが通用しない時代に入ってきた。そして、少なくとも、そのシステムが本当にいいか悪いかを一般国民は御判断になるかどうかは別として、これだけ不祥事が相次ぐというのは行政にもどこかおかしいところがあるに違いないという不信感を国民に持たれてしまった。持たれた部分の原因は何だといえば、結局、それこそ企画立案から検査監督をし、破綻の危険性が出たときにはその処理策まで全部一つの中で行っている。だから問題の所在が全く見えない。そして、ある日それが大きく、例えば破綻処理の対象として報道される。そういうことの中で、あるいは今度は犯罪行為が行われる。そうした報道が続いた。ですから、そこをきちんと国民の目に見えるようにしたい。  そのためには、企画立案検査監督機能というものをはっきりと別の組織の中に位置づける。それによって、企画立案の内容も、それを受けた検査監督の内容もオープンな形で目の前にさらされる。そして、検査監督の結果、企画立案の方で新たな工夫をしてもらわなきゃならないとなれば、そういう意思の伝達がまた目に見えた形で行われる。私は、メリットという点ではこれが一番大きなメリットだと思います。  それは、逆に言えば、それだけ複雑だ、行ったり来たりがふえるという御批判、現にあるんですから、そういうマイナスの面にもなるのかもしれません。しかし、これが二つに分かれるということ、それは適度の緊張関係をもたらすと同時に、企画立案検査監督との間の情報の行き来が目に見える形になる、これははるかに大きなメリットだと、私はそのように思います。
  90. 田村公平

    ○田村公平君 マスコミは、ともすればマイナス面ばかりを強調してプラス面というものが埋没する可能性がありますので、とはいいながら、組織はやはり人だと思います。  総理も、先ほど御答弁の中にありましたけれども、やっぱり人間が世の中を動かしておるものですから、人の問題は、ぜひすばらしい人が続けて、どうせ人事院採用試験、この法律ができて金融監督庁ができたけれども初年度の応募者がゼロだったというようなことにならないような組織づくりをして、組織というか人づくりをあわせたことをお願いしたいと思います。  そして、その人間と組織の問題につきましては、午後の部分大蔵大臣にかなり厳しく御質問させていただくことになっておりますので、よろしくお願いいたします。  質問を終わります。ありがとうございました。
  91. 奥村展三

    ○奥村展三君 一月二十一日だったでしょうか、財政構造改革会議がスタートなされまして、約四カ月以上時間をかけていろいろと議論をなされて、きのう総理の方から細かく発表なされたわけでありますが、ぜひ、これはもう数字合わせだけではなくて、これからの日本のあるべき姿、そして政府がどのようなスタンスでそれを推し進めていくかという指針を、しっかりと国民にもわかるように、ぜひPRをし、そして政府の考えそのものを総理から訴えかけていただきたいなというように思うわけでございます。  いろいろ先ほど来議論をなされている中に、この検査監督、確かに大蔵改革の中で進められてきたわけでありますけれども、私は、まないたのコイが包丁を持たない改革をやっていただきたい、そういうように思います。  ということは、これからいろんな改革が進んでいきます。戦後五十年、いろんな構造のひずみが出てまいりました。やはり、グローバルな中であらゆる問題を考えていかなければならないときだと思いますし、そんなことを思うときに、ぜひ過去にとらわれることなく、やはり先を見越した改革を進めていく、そういうことをぜひ実行していただきたいというように思うわけであります。将来像という、ひとつ大きな姿を追いつつ、ぜひあらゆる面で改革実現をしていただくように希望したいと思います。  ただ、その中で、やはり我が党でいろいろ議論をしてきた中に、言葉はいいかどうかわかりませんが、官権行革といいますか、官による行革というのは、大変これは問題があろう。しかし、総理がきのう発表なされた、まさしくあの財政構造改革会議総理が進めてこられたことは、民権行革といいますか、政治によって、民によってそれが推し進められてきたというように私は解釈をいたしておるわけでございますが、総理の今後の改革等についての取り組みの所見をお伺いいたしたいと思います。
  92. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私自身、今その民権行革という言葉を初めて伺ったわけですが、官による、民による、場合によりましてはマスコミ主導によると言いたいようなさまざまな問題提起があります。しかし、私は結局、その問題提起を本当にとらえて実行に移していくのは政治の役割であると、これは真剣にそう思います。それだけに、国会における御議論というものが我々にとって非常に大事であることもまた言をまちません。  そうした中で、そうした御意見というものを踏まえながら進めていく場面において、当然ながら、その時点の政治のリーダーシップというものは発揮されますし、また発揮されるべきものだと、私はそう思っておりますし、現在行政府の長でありますが、行政府の長としても、政治というものの優先度、優先度といいますか、ウエートの非常に大きなその流れの中での仕事をきちんと位置づけていきたい、そのように考えております。御支援をお願い申し上げます。
  93. 奥村展三

    ○奥村展三君 最近、行政改革等世界的にもやられてきたわけでございますが、特にオーストラリアあるいはニュージーランド、カナダ等が成功例であると思うんですけれども、このときは、自分のところの省庁の改革をするときには、その閣僚が一切発言をされなかった。差しとめたと。みずからが、先ほど言いましたように、まないたのコイが包丁を持つようなことのないように、その発言をとめてでも改革を推し進めてきたという事例が実はあるわけですね。私は、こういうようなことを政治主導でぜひおやりいただきたいと、希望を申し上げておきたいと思います。  確かに、今、総理の御答弁の中に、我が党で勝手に使っている官権行革だとかあるいは民権行革というような言葉を使ってきたわけでありますが、これはやはり国民の方に目を向け、国民主導、そして政治主導で改革がなされるべきだというように思います。  明治時代、いろいろの官僚の仕組みそのものは立派でありましたし、今日の礎を築き上げてきたものだと思います。しかし、戦後あるいは戦前からずっと進んできた中にやっぱりいろんなひずみがあったと思います。ぜひ、そこらを政治、リーダーシップをとって、先ほどおっしゃったような形でぜひ改革を推し進めていくというようにお願いをいたしたいというように思うわけでございます。  いろいろと先ほど来御質問をなされ、議論をなされているところでございますが、ぜひ信頼される金融行政が推し進められることを希望して、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  94. 山口哲夫

    山口哲夫君 金融監督庁設置法、これを語る際、やはり住専問題を全く抜きにしてはなかなか語れないんじゃないかと思いまして、私はまずこの住専の責任問題についてお尋ねをしたいと思います。  住専問題に関しての責任追及の実態を見てみますと、借り手側では刑事上では末野興産ほか四件、それから民事上では同じく末野興産ほか三件、貸し手側では刑事上では日本ハウジングローン一件、民事上では同じく一件。あれほどの大事件にしては随分逮捕者が少ないなというふうに思います。貸し手側には、満足な担保もとらないで多額の金を貸している、経営者としての責任は免れない、そういうような人がまだまだたくさん私はいるように思われます。  アメリカではRTC、整理信託公社、八〇年代末に米国において発生した貯蓄貸付組合等の大量破綻に対処するために設立された時限的な政府機関と言われておりますけれども、この実態を見ておりますと、八九年の八月から九四年の末にかけまして破綻貯蓄金融機関経営者の責任追及、これは大変なものがあります。刑事問題では被告人数が二千二十八人、有罪判決が千八百五十九件、累計禁錮年数が千六百二十五年、民事では損害賠償件数が千三百七十五件、損害賠償額が五億二千三百万ドル、大変なものであります。  アメリカでは、判例によりますと、金融機関の取締役には安全かつ健全に経営を行う責任がある、こういうことが強調されておりまして、一般の事業会社の経営者よりも重度の注意義務が課せられている、そう言われております。具体的には無謀な貸し付けまたは過度の貸し付けの承認など、注意義務違反として問題にされているわけであります。日本においてはそのような判例は少ないようでございますけれども、しかし国民の大切なお金を預かっているわけでございますから、アメリカのこの判例同様に、私はやっぱり責任追及がされてしかるべきだと思っております。  そこで、まず官房長官にお聞きいたしますけれども大蔵省のやり方というのは、金融行政につきましてはこれまで護送船団方式でやってきたために、金融機関経営者の責任追及というものがほとんどされなかったと思います。しかし、金融監督庁がこれから設置されるわけですから、それを機会に金融機関経営者に対する責任を他の一般事業会社の経営者とは区分をいたしまして、区別をして、もっと重い責任を課することを検討する必要があるんではないだろうかと、こう考えますけれども、いかがでしょうか。
  95. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) これは一義的には大蔵大臣からお答えをすべき問題だと思いますが、一般論として申し上げれば、確かに高い倫理観、そういうものがあってこそ実は金融は成り立つわけであります。そういうものがどうしても侵されるときにどうするかというと、これは刑罰主義というか、罰則を強化することによって抑止力を高めるか、あるいは場合によっては一罰百戒、そういうものを行うことによって抑止をするか、それしかないと思います。  この検査機構を幾ら人をふやし能率を高めてみても、犯意のある人があったときにはそれを防圧することはできませんし、それは結果として金融自身の自殺につながるわけであります。もう一回、高い信頼性を回復することを祈るのみであります。
  96. 山口哲夫

    山口哲夫君 余りはっきりしたお答えがなかったわけですけれども、それでは総理にお尋ねいたしますけれども、今般の金融システム改革に向けましてもっとフェアな市場をつくるということが非常に急務であると考えております。  総理はかつて法案提出したいとまで言ったことがあると私は聞いておりますけれども、どうも少し時間がかかり過ぎてはいないでしょうか。今、前段に申し上げたような一般の事業者に対して、金融関係についてはもう少しやはり重い立場で罰を加えるというか、そういうようなことに関連した法案をつくる必要があるんでないかというふうに語ったことがある、そういうふうに私は記憶をしておりますけれども、少しそういうお話があるにしては時間がかかり過ぎてはいないだろうかと思われます。  これから日本版ビッグバンが行われるわけですけれども、やはり市場として信頼性を高めていくというためにはこういう今申し上げたような法律の制定についても考える必要があるんでないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  97. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 多分、それは番記者の諸君に応答をいたしましたうちの一部が議員のお耳に届いておるんだと存じますが、この問題が発生をいたし、野村証券から、野村証券の問題というよりも第一勧銀が資金提供をした問題に移りました前後、何回か番記者の諸君からこの問題についての意見を聞かれました。  詳細がわかりませんでしたから、私はこうした事件がなぜ銀行検査で発見できなかったのか、もし見てわかるようなものを大蔵省検査が見落としていたとすればこれは大蔵省検査の問題だ、隠ぺいされたり資料が提供されなかったりして発見ができなかったとすればこれは銀行法上の問題だということを申しておりました。  そして、それが次第に虚偽報告というものに結びついていきますプロセスでまた意見を聞かれました際に、もともとその虚偽報告の量刑は決して高いものではございません、ただ刑事罰を受けるということを恥と感じるかどうかというぐらいの実は罰金額でありますから、恥というものを感じない企業あるいは人間の集団が存在をするとすれば、それでもなおかつ痛みを感じるほどの刑を引き上げていくことも考えなきゃならなくなるのかもしれない、ただ捜査が進行しているプロセスで確定したことは言えないがと。  そういうやりとりをしてまいりました中で、一部の社では大蔵省の監督の部分に焦点を当てて問題があるみたいな書き方をされたところ、あるいは後段にウエートを入れて報道されたところ、それぞれの違いがありますが、いずれにいたしましてもそんな思いを持ち、記者団の質問に答えたことは事実であります。
  98. 山口哲夫

    山口哲夫君 終わります。
  99. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時三十九分休憩      ―――――・―――――    午後一時三十二分開会
  100. 遠藤要

    委員長遠藤要君) ただいまから行財政改革税制等に関する特別委員会を再開いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  本日の議案審査のため、日本銀行理事山口泰君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  102. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 休憩前に引き続き、金融監督庁設置法案及び金融監督庁設置法施行に伴う関係法律整備に関する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  103. 林芳正

    ○林芳正君 自民党の林芳正でございます。  午前中に引き続きまして、大蔵大臣、官房長官にいろいろと御質問してまいりたいと思っております。  実はこの金融監督庁の前に関連三法案ということで何をしていくかという問題が、そのときにお尋ねすればよかったわけでございますが、この機会に改めて、だれがどういう組織でという問題の前にどういうことをやっていくのかということについてもお尋ねをしてまいりたい、こういうふうに思っております。  午前中の総理の御答弁にもあったように、今までのいわゆる護送船団方式の許認可行政から大きな転換をして、早期是正措置、そして預金保険という事後ルールといいますか、そういうような行政の体系に変えていくのであって、これは決して縮小ではないというお話があったわけであります。まさにこの早期是正措置、預金保険につきまして、来年の四月一日からの発動に向けまして今精力的に政省令の詰めをやっておられるというふうにお伺いしておるところでありまして、それに関連しまして若干お聞きをしてまいりたい、こういうふうに思っております。  まず、早期是正措置でございますが、これは金融機関経営健全性を確保するために、監督当局が客観的な指標に基づいて是正措置命令等の措置を発動することにより最終的に破綻する前に救っていこう、こういうことでございますが、この客観的指標というのが午前中の討論でもありましたように、自己資本比率というものを基本的な基準として用いるというふうになっておりますが、具体的にどういう式でもちましてこういうことをやっていくのか、またこれがどれぐらいの数字になったらどれぐらいの措置をやっていくのかというカテゴリーの詰めの状況をまず政府委員の方からお伺いしたいと思います。
  104. 山口公生

    政府委員山口公生君) お答え申し上げます。  今度の組織改正で金融監督庁がお認めいただけますと、そこで新しいルールに基づいた監督を行うわけでございますが、その監督の手法の一番中心となるものが早期是正措置だと考えております。  お尋ねの早期是正措置の中身について、若干お時間をちょうだいして御説明したいと思います。  早期是正措置は早目早目に金融機関経営健全性を促していこうという新しい行政手法でございまして、昨年の通常国会における金融三法でお認めいただき、来年の四月から導入することといたしております。  早期是正措置の具体的な発動基準措置内容等につきましては、専門的な検討を行う必要がございますところから、専門家から成る検討会において検討をしてまいりましたが、昨年の暮れに同制度の骨格について中間取りまとめがなされました。その中間取りまとめの結果、おおむね次のような形を考えております。  具体的には、是正措置の区分を三段階にいたしたいと思っております。第一区分、これは経営改善計画の作成及び実施命令が出るという分類でございます。第二区分が個別措置の実施命令、第三区分が業務停止命令でございます。措置の発動基準となります自己資本比率は、海外に拠点を有する金融機関につきましては国際統一基準、いわゆるBIS基準を用います。それ以外の金融機関には現行の国内基準を国際統一基準の考え方に近づける方向で見直した修正国内基準を用いることといたしております。  先ほど申し上げました措置発動の基準となる自己資本比率の値は、第一区分では国際統一基準で八%、第二区分を四%、第三区分を〇%と考えております。それから、修正国内基準が適用になる専ら国内で事業をやっている銀行につきましては、ちょうど数字が半分になりますが、第一区分が四%未満、第二区分が二%未満、第三区分が〇%未満というふうにするという考え方が示されております。  こうした考え方に基づきまして、当局における省令、通達の作成、見直し作業を進めているところでございます。
  105. 林芳正

    ○林芳正君 かなり具体的に進んでいるという状況がよくわかったわけでございますが、その三段階、八、四、〇に分けて何をするかと、代表的なものを一つずついただいたわけですが、例えばアメリカでやっております早期是正措置、プロンプト・コレクティブ・アクションと言うそうでございますが、その中には、例えば取締役会の刷新を義務づける、こういうようなのがかなり進んだ段階では入っておりますが、今言われた三つの代表的なもののほかに、それぞれのカテゴリーでどういう措置を予定されておられるか詳しく御説明願いたいと思います。
  106. 山口公生

    政府委員山口公生君) 第一区分で申し上げますと、これは経営改善計画の作成でございまして、その実施命令が伴います。この部分は何ら具体的な措置ではございませんが、まだ自主性を尊重しながら、しかし確実に改善を図ってもらうという趣旨でございます。  これが第二区分になりますと、例えば具体的に申し上げますと、増資計画の策定、総資産の増加抑制・圧縮、新規業務への進出禁止、既存業務の縮小、店舗の新設禁止・既存店舗の縮小、子会社・海外現法の業容の縮小・新規設立の禁止、配当支払いの抑制・禁止、役員賞与等の抑制、高金利預金の抑制・禁止等の命令、お聞きいただきましたように、かなり具体的な命令を第二区分では出させていただくというつもりでございます。  第三区分になりますと、これはいわゆる自己資本比率がゼロ以下になりますので、業務の一部または全部の停止命令というのが原則でございます。
  107. 林芳正

    ○林芳正君 かなり具体的な措置でかなり厳しい措置も入っておるようでございますが、そこで大臣にお伺いしたいと思うわけでございます。  諸外国の例はちょっとよくわかりませんけれども、この八%、四%、〇%という階段をつくりますと、最初に八%ということで、この八%のカテゴリーになったということを発表された段階で、ここはどうも危ないらしいからということで、せっかく早期是正しようと思ったら逆にそこからどんどんキャピタルフライトが起こって、結果として八、四、○と。本当は八ということを公表されなかったら立ち直れたのが逆に行ってしまうというような可能性が杞憂に終わればいいんですが、そういう可能性なしとしないと私は感じております。その点につきまして大臣の御所見をお伺いしたいと思うんです。
  108. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 林委員の御懸念は当然かと思います。金融機関としての信認を得るということで、市場原理に基づく運営というのが自己責任の第一義的なものでございます。  その点を踏まえながら申し上げますと、早期是正措置金融機関を破綻に追い込むことを目的にしたものではございません。金融機関の自主的な経営改善努力を適時に促し、金融機関健全性を確保するというのがその目的でございます。  同時に、早期是正措置の導入に際しましては、その趣旨を十分に踏まえまして、円滑な運営が図られますよう努めておるところでございます。各金融機関もこの点をよく認識されつつありまして、経営健全化に向けて努力をしておるものと理解をいたしているところであります。
  109. 林芳正

    ○林芳正君 ぜひこの趣旨が、本当につくった趣旨が生かされて早期是正措置が有効に活用されますように改めてお願い申し上げておきたい、こういうふうに思います。  それから、先ほど政府委員の方から御説明がありました自己資本比率でございますが、まさにこれをどうやって算定するかによって大事なことがすべて決まるということでありまして、それについてちょっと細かいところをお尋ねしたい、こういうふうに思います。  いわゆる国際基準自己資本比率ということの中に、これは大蔵省告示第五十五号、平成五年三月三十一日でありまして、実は私のおやじが大蔵大臣をやっていたときの告示でございますが、この中に、オフバランス取引の範囲及び信用リスク相当額への換算方法ということについて定めがございまして、別表第二というものに基づいてやる、こういうふうに書いておるわけでございます。  その中で少し気になるところがありますのは、いわゆる信用リスクの評価をするときに、オリジナル・エクスポージャー、カレント・エクスポージャーというようなことが書いてございまして、多分これは取得したときの原価と今の実勢額というような意味ではないかなと私も素人ながら思うわけでありますけれども、どちらでそのリスクを算定するかという選択制になっておりまして、一つはそういうオフバランスといいますか、デリバティブをやっておらないところはまずやらなくていいですと、それからやっておってもその行内または企業内にそういうリスクを算定する事務体制が整わない間はオリジナルの方でよろしい、こういうふうになっております。  そうすると、一体いつになったら、あなたのところは事務体制はないけれども、それだけやっているのであればオリジナルではなくてカレントでやりなさいということになるのかがいま一つはっきりしない。こういう事態のままで先ほどの実態を計算すれば、八%、四%という段階に行っているにもかかわらず、計算の仕方で表面上行っていないように見てしまって、結果として一気にペイオフまで行ってしまうという可能性がないのだろうかということをちょっと心配しておるわけでございますが、その辺についていかがでございましょうか。
  110. 山口公生

    政府委員山口公生君) 先生の御指摘のように、近年はデリバティブ取引というものがかなり盛んになってまいりましたし、またデリバティブ取引を原因として破綻ということが海外においても起きた事例がございます。したがって、このデリバティブ取引のいわゆる信用リスクというものを正確に把握するということは銀行経営にとって極めて大切なことだと思うわけでございます。そういった観点から、自己資本比率をはじく際にも、そのリスクウェート、分母にそれぞれの信用リスクをかけますけれども、そのときの計算の仕方ということは今かなりホットな問題でもあるわけでございます。  それで、バーゼル銀行監督委員会が定めた国際統一基準におきましては二つのやり方を認めております。  一つはオリジナル・エクスポージャー方式、これはちょっと横文字で申しわけございませんが、端的に言えば、想定元本をベースに、より安全を見た掛け目を使用する方式でございます。これは計算方式は大変簡単でございますけれども、安全のために大き目のリスク値を算出いたします。したがって、これを選択する場合は少し余計に自己資本を積まなきやいけないという、つまりそれだけ楽をするところは多目に用意しなきゃいけないという仕組みがオリジナル・エクスポージャー方式でございます。  もう一つはカレント・エクスポージャー方式というのがあります。これはかなり精緻なものでございますが、取引の時価評価をベースに、より的確にリスク量を計算する方式でございます。この方法は計算方式が非常に複雑になりますが、リスク相当の自己資本比率規制そのものは比較的少なくて済むケースがあるということです。そのかわり、事務的には大変だと。  いずれかをとりなさいというふうになっております。したがって、我が国のBIS基準を採用している銀行につきましてもいずれかを選択すべきだというふうにしておるわけでございます。  先生の御指摘のように、一方が非常に楽な上に何も数字として義務がかけられないということであれば、非常に自己資本比率の計算上問題になるわけでございますが、こういった選択性がいずれもある意味ではバランスがとれた形での選択性でございますので、自己資本比率をはじく上ではその辺は問題がないだろうなというふうに思います。  しかし、内部管理の体制ということからいいますと、こういったものはデリバティブ取引を正確に日々その時価で評価して、今自分の銀行はどれくらいリスクにさらされているかということを正確につかむということがやはり基本だと思うのでございますので、いずれは精緻な方法の方に行くのであろうというふうに考えております。
  111. 林芳正

    ○林芳正君 私が申し上げたかったことをもうおっしゃっていただいたので、改めて申すまでもないわけでありますが、なるべくきちっとした精緻な方に誘導をしていただきたいということでございます。大きなものを積むから簡単な方法でいいというわけでありますが、市場が本当に大きく動いた場合、この大きいというのがどれぐらい大きければいいのかというのは、なかなかあらかじめ決めておくことが大変に難しい問題でもあると思いますので、できるだけそちらの精微な方にいろんな方が行くように誘導していただきたいというふうに思っております。  その関連で、先ほど御説明がありましたように、国内の基準でやるというのがもう一つございまして、これは先ほどの告示の第二条で海外営業拠点を有しない銀行自己資本比率基準というふうに書いておりまして、要するに海外にお店を出していなければ国内基準でよろしいです、こういうことだと思うんです。  この間、外為法が通りまして、いろんな海外との取引が非常にふえてくるだろうということでありますから、お店は海外になくてもいろんな海外との取引が国内でできるようになれば、海外拠点を有するかどうかということではなくて、いろんな取引の可能性がある方にはこの精微な基準というものを今からある程度目指していただかなければならないのではないかというふうに思うわけでございますが、これからの方向につきまして大臣の御所見をお伺いいたします。
  112. 山口公生

    政府委員山口公生君) 大臣のお答えの前に、やや事実関係を踏まえて申し上げたいと思うのでございますが、最初に御説明いたしましたように、海外拠点を持っていない銀行は四%というのが第一区分でございます。それから二%、ゼロ%未満というふうにバーを下げておるわけでございますが、BIS基準の方はかなり高いバーをかけている、これは国際的な、統一的なルールでございます。国際的な活動をしていないところももちろんなるべく高い自己資本比率の方が望ましいことはおっしゃるとおりでございますが、一応私ども行政命令を出すぎりぎりの基準としては、四%程度でいいんではないかということを基準にして国際基準と国内基準を分けておるわけでございますけれども、国内基準をはじく場合におきましてもこれからだんだんデリバティブ取引等はふえてくる可能性があります。  いわゆるオフバランス、つまりオフバランス取引というのは非常に見えにくい部分でございます。したがって、そのオフバランス取引というものは、仮に国内でしか活動していない銀行でありましてもリスクとしては生じるわけでございます。したがいまして、先生御指摘のように、そういったものも国内基準を適用する場合においても取り入れていくという方向で考えていくべきだろうというふうに考えておる次第でございます。
  113. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 銀行局長が言いましたとおり、グローバル化の中で国際基準、国内基準をどこで調和していくか、こういうことがプロセスとして極めて重要であります。その点は林議員の御指摘のとおりでありますから、十二分にその取り入れ方について努力をしてまいります。
  114. 林芳正

    ○林芳正君 ぜひその方向で適切な対処をお願いしておきたい、こういうふうに思います。  今、国内基準、国際基準お話をさせていただきましたけれども、これは先ほど局長から御答弁があったように信用リスクの話でございまして、さらにマーケットリスクといいますか市場リスクということを今から我々は考えていかなければならない、こういうふうに思っております。  相手がいろんな危ないことをやって果たして信用できるかという与信のリスクに際して、相手は大丈夫な人であるけれども、ただ為替が非常に大きく動いたりマーケットが非常に急激に変動する場合というのは、その人が大丈夫かというのとは別のリスクがあるというのが市場リスクでありまして、この辺につきましてもBISの方でいろんな動きがあるようでございますが、このマーケットリスクについて今後我々はどういうふうな方向で考えていかなければならないかということにつきまして、政府委員の方からお答えがあればお願いいたしたいと思います。
  115. 山口公生

    政府委員山口公生君) 今、先生御指摘のように、リスク管理というものは大変高度化されていっております。特に、国際的な基準を適用されます海外拠点を有する銀行等におきまして適用される基準は日進月歩の状況でございます。このいわゆるBIS基準につきましても、バーゼルの銀行監督委員会は、今おっしゃいましたように、相手が信用できるからそれでリスクはないという今の考え方では不十分だという考え方なんです。  例えば国債ですが、相手が国だからリスクはゼロと考えるのが普通ですけれども、ただ国債も値段がいろいろ変わっております。百円で買ったのが場合によっては九十八円になっているかもしれないということがあるわけで、そういったマーケット商品のリスクをどういうふうに算定すればいいのかというのが新たな問題として出てきております。  結論的に言いますと、来年からこれを導入しようということになっています。正確に言いますと、九七年末より導入ということでございます。  ちょっと繰り返しになりますが、実はこれまでの自己資本比率規制では信用リスクが対象とされておりまして、銀行のすべての資産、先ほどおっしゃったデリバティブ等のオフバランスを含めまして、簿価または想定元本等をベースにリスクアセットを換算して、リスクアセットの八%以上の自己資本を保有しなさいと、こうなっているわけです。今回、金利あるいは株式リスク、これはトレーディング勘定の部分だけですが、あるいは外為、それからコモディティーリスクに係る、つまりマーケットリスク量を測定した上でリスク量と同額以上の自己資金を保有するというのを原則にしております。  そうしますと、トレーディング勘定で保有されております債券とか株式は、信用リスク規制の方とダブルでリスクカウントされますと、これはちょっと大変な負担になりますので、その場合にはその部分は対象から外しまして、マーケットリスク規制のみが課されると。すなわち、信用リスクとマーケットリスクを足すという形にこれからは変わっていくということで、結局、銀行経営というのはリスクをどう管理するか。また、リスクをとりませんと収益が生まれないわけでございますが、リスクをとらない業務ということは銀行業としてはあり得ないわけですから、このリスク管理というものをいかに高度化していくかというのは非常に大切なところで、また国際的にもそういった研究がどんどん進んでいるということでございます。
  116. 林芳正

    ○林芳正君 まさにリスクをとっていってもうけるということが、護送船団から自己規制に変わっていく中で、我が国金融業界が競争力を引き続き強化していくためにはなくてはならないものだと思っておりますので、ぜひその方向でお願いをしておきたいと思います。  それで、早期是正措置がそういうことになってきますと、なるべくならないようにするわけですが、最終的には預金保険が担保されておるということでございます。少し先の話になるかもしれませんけれども、この預金保険の保険料でございますが、今一律、どういう金融機関でも七倍になりましてから○・○八%程度だったと思いますが、になっております。先ほどの早期是正措置のときも区分をこうやるという考え方がありますとおり、例えば輸出保険におきましても相手国のカントリーリスクによって料率が変わるという考え方がございますけれども、この預金保険の保険料率もその対象となる金融機関のまさに信用度に応じて可変的に保険料をかけることができないのかなと。今すぐというのはなかなか難しいと思いますけれども、将来的な方向について、例えばアメリカ型のようなポートフォリオで可変の保険料を考えるということがあり得るのか、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  117. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 金融機関経営内容等に応じまして保険料率を段階的に設定するという可変保険料率方式につきましては、従来より、経営内容が悪化した金融機関に高い料率を適用すれば、かえって自主的な再建を困難とすることとならないのかといった問題点指摘されてきたところであります。特に、金融機関不良債権の処理を進めていく現在の状況のもとでは、金融機関の自助努力による不良債権問題の早期処理に支障を来すおそれがあることも否定できないということになります。  このようなことから、平成七年の金融制度調査会答申において、米国のような可変保険料率については現下の経済情勢のもとでは導入は困難とされたところでありまして、現行のような仕組みを採用しているところでございます。
  118. 林芳正

    ○林芳正君 大臣からはそういうふうにやっていくんだということはなかなか言いにくいことだと了解をいたしながらも、将来的な御検討をお願いしておきたい、こういうふうに思っております。  先ほどビッグバンのお話をさせていただきました。これはあってはならないことだと思いますが、ただ護送船団から自己規制、海外とも自由にやるようになるということになると、現在は全く発動がないわけでございますが、保険の事故というものが多少は増加傾向になってもやむを得ないかなという気がいたすわけでございます。その中で、預金保険機構というのが保険として存続といいますか成り立ち続けていくために、今の保険料率とそれから事故が起こったときの保険金というレベルが問題になってくるわけでございます。  私も不勉強であったわけでございますが、実は各国における預金保険の発動件数という資料をいただきましたけれども、アメリカが非常に多くて、商業銀行が千六百弱、貯蓄金融機関、これはSアンドLというものでありますが、七百四十七に対しまして、日本は今まで九、それから英国二十八、フランス八、ドイツ二十ということで、アメリカが非常にぬきんでて高いわけでありまして、それに対応して保険料率も我が国やほかの国と一けた違っております。保険金のレベルではアメリカは十万ドル、我が国が一千万円ということで横並びになっておりますが、一方、ほかのヨーロッパの諸国はそれに比べて保険金は低目になっております。  この保険金の一千万円というレベルと保険料率の水準ということを踏まえながら、今後、保険機構になるべく保険だけでやっていってもらいたい、税金を投入することがないようにやっていってもらいたいという思いからお聞きするわけでございますが、この辺はちゃんと破綻することなく保険機構が運営していくことができるんだろうかということについて御答弁をお願いしたいと思います。
  119. 山口公生

    政府委員山口公生君) 自由な市場構築を含めます金融システム改革を進めるということは、金融機関間の自由な競争を促進する一方でさまざまな痛みを伴うものでございますけれども、二十一世紀の日本経済にとっては不可欠のものと考えて進めさせていただきたいと思っておりますが、その際、不幸にして金融機関が破綻するというケースもあるかもしれません。どの程度発生するかについてはなかなかこれは予断を許さない。各金融機関ともリストラをやっておりますし、経済の状況もその背景としてあるわけでございます。  いずれにしましても、先般の通常国会で金融三法を成立させていただきまして、保険料率を七倍、〇・〇八四まで上げさせていただきまして、預金を全額保護させていただくという仕組みを時限的に認めていただいております。したがいまして、預金者に心配をかけないでこの難局を乗り切るという仕組みをお認めいただいておりますけれどもも、これを長期的に、将来としての見方で先生は御質問だと思うわけでございます。そうしますと、原則に戻りますと、今の状況でいいますと、一千万までの保険金ということになるわけでございます。  そうしますと、保険料率というものはその時点におきましてそういった支払いがどれくらい出てくるだろうかという見込みとの兼ね合いで決められるものだと思うわけでございます。支出と収入がどれくらいのタームで見合うかというようなことを、これは預金保険機構の運営委員会というのがありまして、正確にははじけませんけれども、そこで大体の見込みではじいて、それで保険料率を決め、それを大蔵大臣の認可と、こういう形になっております。  したがって、仕組みとしましては金融機関内のある意味では保険料という自助努力の範囲内で預金者保護、それも一定の範囲内での保護ということを法律は予定していると。そうしますと、それに見合うだけの保険料を集めるというのが前提になっておりますので、よほど危機的なこと、あるいは思いがけない事態、あるいは経済情勢等が極めて悪化するというようなことがなければ、そういった保険という仕組みでカバーできるというような考え方でございます。
  120. 林芳正

    ○林芳正君 ぜひ機動的に対応をお願いいたしたいと思います。  保険料率とか保険金を変えるというのはいろんな難しいことがあると思いますけれども、預金保険機構そのものが破綻してしまうということがないようにお願いをしておきたいと思います。  それから、これはちょっと預金保険そのものではありませんが、金融機関不良債権ということがよく言われておるわけでございまして、この不良債権のディスクロージャーというか算定の仕方についていろいろ議論がありますが、一点だけ、不動産の見方ということで、いろんな定義等、また告示等を見ておりましても、土地と建物を別々に考えるということが余り見受けられないような気がするわけでございます。  実際にゴーイングコンサーンでいっておりますときは土地も建物も価値があるということでありますけれども、一たんだめになって売っ払うということになった場合は、土地は同じような価値があると思いますけれども、建物については新しく使う人が要らないと言ってしまえばそれはもう費用でしかない。取っ払って更地にしなければいけないということでありますから、この辺はむしろ分けて考えた方がいいんではないかなという気がいたすわけですが、その点についていかがでございましょうか。
  121. 山口公生

    政府委員山口公生君) 確かに土地と建物、これが一緒の場合が付加価値が上がる場合もありますし、あるいは例えば老朽化した建物がある場合はむしろ土地だけの値段の方が高いということも往々にしてあるわけでございまして、取り壊し費用だけでもコストだということだろうと思うわけでございます。  それはさまざま区々なケースで判断するしかないと思うのでございますが、今、先生は不良債権とのかかわりでお尋ねでございますので、不良債権の額の絡みでどういうふうにこれが考えられているかということをちょっと御説明させていただきます。  不良債権の定義は、各金融機関間の比較可能性を考慮しまして、すなわちばらばらに自分の勝手な基準で統計を出されても困りますので、一つのきちんとした基準を設けまして統計をとっているわけでございます。破綻、延滞、金利減免というような形で統計をとっております。  その不良債権額の開示に際しましては、担保でカバーしていると推定されている部分とか、あるいは債権償却特別勘定、つまり引き当てが既になされて処理されているというような部分を控除しませんで、全体としての、グロスでの表示をしております。よく九月末で二十九兆とか申し上げて御報告しております数字の中には、中にはもう引き当てられた部分もありますし、中には担保がきちっとあるものもございます。  ただ、そういったものを全部込み込みにしまして総額で言っておりますので、今の土地と建物あるいは更地と建物付土地とのかかわりということにつきましては、担保の価値という意味では、その内訳ではいろいろ差が出てくる、先生のおっしゃるようにいろんな問題になると思いますが、不良債権のグロスの額自体については直接影響はないというふうに考えておるわけでございます。  しかし、いずれにせよ個々の不良債権につきましては、適正な評価をして担保物件の管理をきちんとやるということは大変大切なことだろうというふうに思っております。
  122. 林芳正

    ○林芳正君 本論に入ってまいりたいと思います。  諸先輩議員からいろいろと議論になったところでもありますけれども設置法におきます共同省令というのが大変に今問題になっておるわけでございます。一般論として共同省令といった場合に、私のイメージとしては、どこかの官庁が主管する法律というものがあって、その下にある省令ということであれば、おのずと共同という場合もどちらかが主でどちらかが従だというような関係があるんではないかと思うわけでございますけれども、今回提案されております法案についてはその辺のデマケがどうなっているのかなということがまず一点であります。  それから、あわせてお伺いいたしますけれども、共同省令を決める場合に、監督庁大蔵省との間で例えば意見が食い違ってまとまらない場合はどういうふうにこれをまとめ上げていくのかというようなことにつきまして、システムというか決め方の手続みたいなものがあるかどうかという二点についてお伺いしたいと思います。
  123. 白須光美

    政府委員(白須光美君) お答え申し上げます。  共同省令というものにつきましては、一般論として申し上げますと、関係する省が相互に独立した行政機関ということで、十分連絡調整の上、制定、改廃を行うべきものでございますが、実際の制定、改廃の性格あるいは内容等に応じまして一方の省庁が主導的な立場に立ってこれを行うということがあり得るものと承知いたしております。  なお、今般の銀行法等金融関係法に基づきます共同省令ということにつきましての実際の制定、改廃ということに当たりましては、検査監督のための手続を定めるものなどの主として検査監督必要性によって定められるものにつきましては総理府が主導的な立場に立つべきものかと考えております。  また、両省庁の間でもって見解が分かれた場合ということでございますが、これはさきに金融監督庁大蔵省が相互に独立した機関と申し上げました。これは当然内閣の統括のもとにおいて相互に独立しているわけでございますので、これはお互いに十分連絡をとりまして、意見の食い違いがないよう調整の上、的確に対応すべきものと考えております。両省庁におきましては、それぞれの機能におきます行政経験等、これに基づきます経験、つまり金融監督庁の方では実際の検査監督という実務、これに基づく見解を十分尊重し合いまして適切な調整に努めることになるというふうに考えているところでございます。
  124. 林芳正

    ○林芳正君 もう少しお伺いしたいところですが、時間も迫ってまいりましたので一応聞きおきたい、こういうふうに思っております。  官房長官にお越しを願っておりますので、ノーリターンについてお伺いをしたい、こういうふうに思います。  先ほど来諸先輩議員の御議論の中にもありましたけれども大蔵省からの独立性というものを担保しながらよい人材を育てていく必要がある、この両方の要請をどうやって両立させていくかということに尽きる、こういうふうに思うわけでございます。先ほども総理の御答弁で幹部職員についてはという御発言があったところでありますが、これについて官房長官のお考えを聞くのがまず第一点。  それから、検査監督ということであれば、金融の現場といいますか、取り締まられる相手の実情がよくわかった方に入っていただくということが、これはトップもそうでありますが、下の方におかれましても大変に大事になってくるんではないかな、こういうふうに思います。先ほどイタチごっこという話もありましたけれども、相手の手のうちをよく知っておられる方がこちらの方に入ってきてもらえるというごとも大事でありまして、出身では区別をされないというようなお考えも総理からトップの大事についてはございましたけれども、民間のスペシャリストの活用方法についてお考えがあればあわせてお伺いしたいと思います。
  125. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 先のことですから断定的には申し上げることができませんが、いずれにしても今あることは、大蔵省金融検査部門にその筋のいわば専門が集まっているわけでありますから、この人間が当初担当していただく以外に数多くほかに求めることは残念ながら不可能だと思います。  ただ、これから本当にそのスペシャリストを養成できるかどうか。ノーリターンということよりも、広く人材を求めてなおかつ優秀な者を残していくという方式をとらないと実際にはできないかとも思います。数というよりは、むしろ精鋭をつくることが大切だと思います。  それから、この専門の検査員に民間の方をということは、なかなか言うべくしてできないのは、待遇の面やあるいは自分の職務認識、そういう問題もあろうかと思うんですが、今私がイメージしているものは、長官のもとに若干の参与というか顧問というか、これはもちろん非常勤であってもいいわけですが、官民問わずそういう方々が長官を支えて、それぞれの分野の専門知識を持ち集まってやらないとこの金融監督庁というのはうまく回らないんではないのかな。  その後どうなるかはまだ私の思考能力の外にあります。それは当然、新しく総理金融監督庁長官を任命してそれから考えられることでありますから、これ以上差し挟むことは私の権限を超えるわけでありまして、この点に関しては差し控えさせていただきます。
  126. 林芳正

    ○林芳正君 どうもありがとうございました。  以上で終わらせていただきます。
  127. 小林元

    ○小林元君 平成会の小林元でございます。  私は金融問題につきましては全くの素人でございまして、御質問申し上げることにも的を射ない質問があったり間違っていることがあるかもしれませんが、お許しをいただきたいと思います。一生懸命勉強してまいります。  今さら言うまでもありませんが、午前中からいろんなお話が出ました。この金融監督庁設置するというお考えにつきましては、やはり住専問題で厳しい国民批判の目にさらされたわけでございまして、そういう中でどうするかというような経過の中で、もう既に住専問題が表で議論をされてから二年を過ぎたわけでございます。しかし、その後も相次ぐ金融機関の破綻あるいは大和銀行の問題、そしてまた大蔵省の中島、田谷事件といった大変残念な不祥事もございました。そういう中で、大蔵省は大きな権力を持ち過ぎているんではないか、ですから極論を言えば大蔵省解体論というようなこともありましたし、あるいは財政といいますか予算編成権を官邸に、あるいは財政金融を切り離す。  戦後五十年、繁栄の中で、高度成長の中で、うまい仕組みであろうというふうに言われました護送船団方式、先送り体質あるいは密室行政というようなことがまかり通ってきた。しかし、現在非常に厳しい国際化の波にさらされておりますし、そういう中で景気回復もままならないというような状況がございます。そういう中で、このフリーでフェアでグローバルなというビッグバンに向けた基礎づくりといいますか基盤づくりということで今回の御提案があったんではないかというふうに考えております。  本論に入ります前に何点かお伺いしたいと思います。先ほどもお話が出ましたが、住専問題のことであります。  中坊社長さんが大変御健闘されているということでございます。もう既に発足しまして一年近くなるわけでございます。住宅金融債権管理機構が六兆五千億円に上る資産を買い取りましてそれを処分する。そしてまた、そういう買い取った中にもさらに不良債権化するものもあるだろうと。債権の価値が低下をするというような問題もあると思います。借り手などの関係者の追及問題につきましても大分出ましたが、その辺ももっともっとさらにやる必要があるんではないか、こういうふうに考えておりますが、その辺、お伺いをいたします。
  128. 山口公生

    政府委員山口公生君) 住専処理の現状について少しお話をいたしたいと思います。  住専処理法の成立によりまして、昨年の七月、住宅金融債権管理機構、先ほどお話が出ました中坊社長のところでございますが、が設立され、十月、旧住専七社から貸付債権等の財産を譲り受けるとともに、十二月には財産譲り受けに伴う資金決済が行われました。住宅金融債権管理機構は財産調査権を付与された預金保険機構と一体となりまして、強力かつ効率的な債権回収及び関係者に対する厳格な責任追及に取り組んできたところでございます。  午前中にもやや数が少ないというような御批判もございましたけれども、債権の回収に当たりましては、悪質な資産隠匿を行っていた社に対する破産申し立てなど債務者の実態に応じた対応が行われているところでございます。また、債権回収を行う過程におきまして、悪質な関係者による妨害行為に対しましても刑事告発といった厳正な姿勢で対処するとともに、旧住専経営者の関係者に対しても厳格な責任追及に努めているところでございます。  こうした取り組みの結果、初年度でございます平成八年度の回収状況について申し上げますと、予定額を上回り、二千七百五十六億円の実績となったと聞いております。このように立ち上げ段階はおおむね順調であると受けとめておりますが、ただいま先生御指摘のように、債権回収というのは大変難しい、つらい仕事でございます。これからが正念場であり、私ども当局としましても引き続きさまざまな支援に努めてまいる所存でございます。
  129. 小林元

    ○小林元君 さらに、この住専問題につきましては、決着といいますか、処理策が決まった段階で新たな措置ということで、三党合意なんでしょうか、これは政府が決めたものではありませんが、五千億の税収増をもって国へ寄与するというようなことがあったわけでございます。現実にこれはまだ一年しかたっていませんからわかりませんが、実際にどういうことになっているんでしょうか。
  130. 山口公生

    政府委員山口公生君) お答え申し上げます。  金融機関経営の合理化、効率化は金融サービスの効率的な提供及び不良債権処理の促進といった観点からも極めて重要な課題でございまして、民間金融機関においては経営組織全体を通じた最大限の合理化努力に努めているものと考えております。  各金融機関は与党三党合意の趣旨を重く受けとめ、経営の合理化、効率化の実施状況を公表するものと考えられ、当局としても公表された実施状況を速やかに取りまとめたい、また国会にも御報告したいと思っております。
  131. 小林元

    ○小林元君 いずれにしましても、住専問題では公的資金六千八百五十億円を支出するという予定でありますけれども、この回収がうまくいかなければさらなる負担ということになりますので、財政再建のときでもありますし、どうぞしっかり頑張っていただきたい、よろしくお願いいたします。  それから次に、先ほど来出ておりますけれども、野村証券総会屋に対する巨額な利益供与と、これに絡んだ第一勧銀不正融資といいますか、そういう事件が出たわけでございます。本当にいつまで続くというような状況で大変残念のきわみだと。私は政府サイドではありませんからそういう責任は特にありませんけれども、本当に残念に思っているわけでございます。  先ほど来総理からもお話があり、また委員からも質問がありました。野村証券は五年前にも損失補てんというようなことで大事件を起こしまして、そういう中で証券取引等監視委員会、それから今回監督庁に含まれる機関が新たにできたと。これは国を動かしたといいますか、それだけ大変な事件だったということでありますが、その証券取引等監視委員会があったにもかかわらずこういうことが起きた。極めて残念であります。本当に検査監督というのは何をやっていたんだというようなことがあろうかと思いますが、やろうと思ってやるということになりますと、これはつかまえるのはなかなか大変なことだというのは十分承知をしておりますが、大蔵省の両社に対する検査監督というのはどうだったのか、お伺いしたいと思います。
  132. 中川隆進

    政府委員中川隆進君) ちょっと順番が逆になるかもしれませんが、まず金融機関第一勧銀についての検査はどうだったのかという点につきまして御答弁を申し上げたいと存じます。  午前中も申し上げたわけでございますけれども、第一勧業銀行に対しましては、直近では平成六年十月、その前は平成二年九月に検査を実施いたしております。  個別の金融機関検査の中身について御答弁申し上げますのは従来から差し控えさせていただいているわけでございますし、また捜査当局が今捜査中ということでございますけれども検査の立場から可能と思われる範囲内で申し上げます。  本件の一連の取引に関しましては、過去の検査におきまして、検査官が実際検査に入りますと、膨大な件数なものですから、こういう融資案件抽出しなさいという指示をするわけでございますが、その指示に基づきまして同行から提出があり、その回収可能性について問題があると検査官が判断をいたしました債権につきましてはきちんと指摘し、同行はそれに基づき必要な引き当てを行っているところでございます。  その他につきましては、頭取が記者会見あるいは参考人質疑で先般も答弁がありましたけれども第一勧銀みずからが当局の過去の二回の検査に際して、本件債務者に関連して抽出分類を回避した疑念があり、現在調査中であると説明をしているところでございまして、現在、私どもといたしましても事実関係報告を求めているところでございます。  いずれにいたしましても、事実関係の把握が先決でございますけれども捜査当局の捜査状況をも踏まえつつ、法令に基づき厳正に対処していく必要があると認識をいたしております。また、検査あり方につきましても検討してまいる必要があるというふうに十二分に認識をいたしております。
  133. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) 野村証券に関しましては、検査、監視を担当いたしております証券取引等監視委員会からお答えするのが適当かと存じますけれども、ただいま見えておりませんので、お答え申し上げますと、まさに監視委員会におきまして、昨年以降、相当地道な丁寧な調査によりまして、野村の事件を摘発し告発に至ったということで、私どもは感謝いたしておりますし、またその詳細につきましていずれ監視委員会から私どもに何らかの勧告があるであろうということで、それをお待ちしておるところでございます。
  134. 小林元

    ○小林元君 証券取引等監視委員会の御活躍につきましては、大変労を多とするところでございます。  本事件に関連しまして、これは昨日あるいは一昨日等にいろいろ出ておりましたけれども、地方団体は非常に素早い反応をしまして、地方債の引き受けからの排除、あるいは預金を解約する、減額する、そういう措置をとっているわけでございます。これはもちろん法的に何も根拠はないわけでございます。  先ほど来の答弁によりますと、法律に基づいて厳正なる処分をする、こういう話でありますけれども、例えば第一勧銀につきましては宝くじの発行事務を委任しているというようなこともございます。これは国が委任をしている。こういう場合に、過去のゼネコン事件でも、営業停止命令は当然のことでございましょうが、当分の間指名をしないとか契約をしないとか、それ以上のことをやるかやらないかというのは大変難しい問題でありますけれども、地方団体は現実にやっている。国の場合にはこういう話は余り伺っておりませんけれども、そういういわゆる社会的制裁というんでしょうか、そういう措置はお考えなのかどうか。  例えば野村証券ですと、国債の引き受けから排除をするというようなことがあろうかと思いますけれども、やはりこの対応につきましては国民は大変厳しい目で見守っているんではないか。その辺、大蔵大臣の御処断を見守っているんではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  135. 山口公生

    政府委員山口公生君) 野村証券あるいは第一勧業銀行の問題、御指摘のような報道があることは私どもよく承知しておりますが、同行との取引をどうするかということについては当事者が判断していただく話ではないかというふうに思うわけでございます。  私どもの立場から言いますと、例えば第一勧銀について申し上げますと、同行に徹底的な調査を今命じております。その報告を見て、また捜査当局の捜査状況を踏まえながら法令に従って厳正に対処していくという方針でございます。
  136. 小林元

    ○小林元君 ただいまの答弁、当事者同士の問題だから当事者がやるべきであると。それはどういう意味なんでしょうか。ただいま私も例を挙げて、国債発行について引き受けを排除するという、これは例示ですから、これをやれとかやらないとかという話ではありません。  しかし、これは国が権限を持っているわけです。それをやっているのは大蔵省だと思うんです。ですから、それはできるかできないか、法令上できないというのか、あるいは裁量でできるのか。やるべきだ、そういう判断が必要なんじゃないかと思うんです。法令を見てただやるのであれば、これは一年生の役人でもできることであります。やはりそういうことをこれからしっかりしなければ、まさに護送船団ということが続くのではないかと、大変残念に思う次第でございます。いかがでしょうか。
  137. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) 野村証券に関しまして御報告申し上げますと、国は国債の発行者としての立場で五月十三日に国債の入札引き受けから野村証券を除外した。つまり、発行者はいかなる事業者が自分に関与する仕事の適格を持っておるかということを判断して行うわけですから、そういう判断が行われたものと承知しております。  また、地方自治体等におきましても、野村証券が引受業者としては適正を欠くという判断から、引受シンジケート団から除外する動きがあると承知いたしております。  これは当事者と申しますか、いわばこういった金融仲介者たる野村証券を顧客の立場あるいは発注者の立場でどう位置づけるかという問題でありますから、ただいま銀行局長が御答弁申し上げましたように、一義的には当事者の判断ということでありますけれども、その当事者の中には国や自治体という公的機関も含まれているということでございます。  したがいまして、証券行政の立場からこれをコメントすることは差し控えたいと存じますけれども、顧客の信用を失った場合に、市場において顧客がどういうふうに判断、反応するかという点につきましては、これらの例はこれから金融仲介業に携わる人たちにとりましては大変重要な教訓であろうと考えております。
  138. 小林元

    ○小林元君 私、話下手ですので、どうも御理解がいただけないような気がしてなりません。  やはりその取引の当事者に国や県や市町村がなっているという場面があるわけですから、そこでそういう一場面として国が取引者の立場でどうするのかということをお伺いしたんですよ。ですから、最初から国債の引き受けを排除いたしましたと、そういうふうに答弁していただければ大変よかったわけでございます。  国がそういう取引者の一員になっていることが相当あるわけでございますから、そのようなことでどうするかということを御判断する、それぞれそういう取引者として判断もあるだろうと、それを伺ったわけでございます。法令に基づいて厳正に対処して営業停止をするとか、そういうことは当然のことでございます。今後とも厳しくお考えをいただきたい。  それから、まあ本当に次から次へということでありますが、これは不祥事ではございません。日産生命が再建計画を立てられずに破綻をしたということがありました。総資産二兆円の約一割に相当する二千億円が、不良債権というんでしょうか、債務超過が判明して破綻をする、再建できないというような状況になって、残念な事態であります。  しかし、この問題はもう既に二年前にそういう状況がわかっていたというんですが、なかなか情報としては開示をされない。企業としても、みずからこんなに悪くてというのは発表しにくいだろうと思います。しかし、契約者の立場から見れば、あるいは契約をしようとする者の立場、国民の方から見れば、どこがいいかという選択をすることができれば非常にいいわけでございますが、その辺、どうしてここまで引っ張ってきてしまったのか。信用不安があるとかいろんな理由はあると思いますけれども、いかがでしょうか。
  139. 福田誠

    政府委員(福田誠君) お答えいたします。  日産生命につきましては、平成七年九月の検査によりまして資産内容が急激に悪化していることを把握したわけでございますが、当局といたしましては、検査以前から同社に対しましては、新契約費の削減とか安定的収益の確保等の収支改善計画を作成させ着実な実施を指導してきたわけでございますし、さらに検査結果を踏まえまして一層強く財務の改善を指導してきたところでございます。  平成七年度におきましては、単年度収支において黒字を計上するなど経営改善の効果も認められたわけでございますが、残念なことに八年度にまた株式投資の失敗等もございまして、最終的には事業継続が困難ということで日産生命からの申し出があったわけでございます。  御案内のとおり、大蔵省におきましては、去る四月二十五日に保険業法に基づきまして日産生命に対しまして保険管理人による業務及び財産の管理を命ずるとともに、保険管理人として生命保険協会を選任いたしております。  当局としましては、日産生命の契約者の保護を図るためには保険契約を存続移転することが最善と考えておりまして、このため保険管理人に対しては契約移転計画を策定するよう命じたところでございます。現在、関係者間で処理スキームの協議検討が行われておりまして、今後、早急に計画が策定されることを期待しております。  私どもといたしましても、契約者保護基金の発動のための環境整備関係者への支援要請等、最大限の努力を図ってまいりたいと存じております。
  140. 小林元

    ○小林元君 実際に今保険契約をされている方もおるわけでございますから、ただいま答弁がございましたけれども、今後とも保険契約者の保護についてよろしくお願いをしたいと思います。  次に、全般で結構でございますが、生保各社の不良債権額あるいは総資産に対する不良資産額の最近の推移というんでしょうか、あるいは営業利益といいますか業務利益、要するに経営状況でございます。それから、銀行等の不良債権の処理状況あるいは経営状況の見通しでございますが、これからまだまだ大変厳しい状況にある。破綻というのがあるかもしれないというようなことが言えるとは思いませんけれども、なかなか言いにくいと思いますが、今後どういう状況なのか、見通しをお伺いしたいと思います。
  141. 福田誠

    政府委員(福田誠君) 日産生命が破綻しました要因は、バブル期におきまして、高利回りの商品を他社に比べて異常に大量に販売してその後の逆ざやを生んだということと、直近での株式投資の失敗等が原因でございまして、あくまで日産生命個社の要因によるところが多いと存じます。  御指摘のように、生命保険業界全体といたしましては、低金利という金融環境のもとで大変厳しい経営環境にございますけれども、その中でも各社は大変厳しいリストラ計画を推進しておりまして、実績も上がっているところでございますので、この厳しい環境を何とか克服できるものと考えております。現に、まだ数字は固まっておりませんが、平成八年度の決算で恐らく赤字決算というところは一つも出ないという見通しを持っております。  それから、不良債権の御質問がございましたが、生命保険会社におきますいわゆる銀行の貸国債権の不良債権に相当するものは比較的軽いわけでございます。これまた現在まだ決算取りまとめ中でございますが、今までに公表されております計数としては、八年三月末の不良債権の数字がございますが、破綻先債権、延滞債権合計で六千百六十一億円という数字でございます。この中には既に保全が行われているものもございまして、処理済みの債権が今申し上げた破綻先、延滞債権に占める割合は八割程度を占めておりまして、この処理についておおむねめどがついたと考えております。全般的には、金融機関に比べますといわゆる不良債権の影響は少ないと言ってよろしいかと存じます。
  142. 山口公生

    政府委員山口公生君) 銀行等についての不良債権状況を御説明申し上げます。  不良債権総額で申し上げますと、全体的には昨年九月の二十九兆二千二百八十億円という数字がございますが、一年前が三十八兆八百六十億円でございましたので、全体的に見ますとかなり不良債権が減ってきているということが言えようかと思います。ただ、個々の銀行につきましてはそれぞれいろんな事情がございまして、もっともっとリストラをやっていただかなきゃいけない銀行も幾つかあるというふうに認識しております。  直近の数字でちょっと不完全ではございますが、大手の二十行だけで御紹介をいたしますと、ことしの三月期の大体の見込みでございますが、一年前がそのベースで言いますと二十一兆八千六百八十億円の不良債権だったのが十六兆四千四百十億円ということで、かなり減ってはおります。  したがいまして、二十行ベースで速報的にちょっと今御紹介いたしましたが、不良債権総額としてはかなり減ってきているんじゃないかというふうに思うわけでございます。
  143. 小林元

    ○小林元君 生保の方はそんなに心配ないだろうということで、国民も大変安心するんじゃないかと思います。銀行につきましては、上位二十行ということですから、これはどちらかというといい方の数字だろうと思います。二十一兆円から十六兆円に減った、五兆円と。これはどうも何か偶然の一致か知りませんが、消費税の相当額というようなことで、国に国民の方は消費税を五兆円払い、銀行からは五兆円の利子をもらえないというような、本来それが利益にカウントされれば利子配当、利息ということで受け取れるだろうと思いますけれども、一刻も早く不良債権の解消をして国民を安心させてほしい、こういうふうに思う次第でございます。  ただいまいろいろ事件とかいろんな問題について御質問申し上げました。いろいろ明らかになった点もあると思います。検査監督あり方というものはどうすべきか、これはもう午前中からの質問の中でも議論をされておりますけれども、今回、大蔵省金融行政を二分して、企画立案と、それから検査監督部門総理府の外局として三条機関の金融監督庁にする、こういうことでございます。  私どうも理解がしにくいんですが、やはり日本は縦割り行政というものになれてきたわけでございます。すぱっと分けたんだというのでございますが、こういう一つの法律というんですか、銀行業法とかいろんなものがたくさんあります。それを二人で担当するというのには大変なれていない。これは日本で恐らく行政史上初めてのケースかなというような感じもいたさないでもないんですが、そういう点で非常にわかりにくいんだろうなというふうに思います。  そういうことで、今回こういう案が出たわけでございますが、その目的といいますか、ねらいをお伺いしたいと思います。  大変個人的な話で恐縮でございますが、私が茨城県庁時代、梶山長官は県会議長でございまして、大変若々しかった、すばらしいエネルギーの持ち主でございました。今も皆さんごらんのとおりでございまして、大変エネルギッシュに若々しく活躍されておるわけでございまして、もう三十年余になります。その間ずっと御指導いただいて、大変感謝をしております。そういう意味で、我が郷土の敬愛する梶山官房長官に御答弁をいただくというのは大変感激をしておるわけでございます。よろしくお願いいたします。
  144. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 旧歴をばらされまして、大変じくじたる思いがいたします。最近とみに老いさらばえて、頭がどうなっているのかわからないところもありますが、最後の御奉公と思って懸命な努力をいたしております。それに引きかえ小林委員は昔と同じにいつも若々しく、大変うらやましい限りであります。政党は違いましても、お互いに郷土のため国家のために尽くしていきたい、その意味では若干私の方が年配でありますが、同じ物事の考え方のできる世代だというふうに確信をいたしております。  今、銀行に対する企画立案検査監督をなぜ分けたかということでありますけれども、御承知のように、前々から兆候はあったわけでありますが、一昨年いわゆる住専問題をめぐりまして、大蔵省金融行政の一体的な、悪く言えば二枚鑑札を持っているようなやり方がいいのかどうなのか、そこにはもうちょっと緊張感があってしかるべしという思いからこの議論大蔵省改革案につながり、そして金融行政をどうするかということにつながって、お互いに透明で緊張感を保ちながらやることがいいだろうということで今回の提案を見た次第であります。  いずれにいたしましても、これからの金融行政を二分して、政策面と執行面が絶えず切磋琢磨をして良好な環境であるようにこれから努力をして、いわば預金者保護金融業界の信用維持、発展のために努力をしてまいりたい、このように思います。
  145. 小林元

    ○小林元君 御答弁ありがとうございました。  御答弁の中でもいろいろございましたけれども、こういう試みというのは初めてでありますから、今後どういうふうにいくのか。これは始まってみなければ、実際に設置をされ仕事を始めてみなければ成否というものの評価はわからないわけでございますけれども、いずれにしましても分離するメリットというものは、適度な緊張感を持った独立性が必要である、そういうことによって透明な行政が行われるのではないかというお話でございました。  仮にこの分離案という考え方がよいと、私はまだ納得はできておりませんが、これでやるんだということになった場合、企画立案というのはどんな仕事なんだろうなと。  先ほど来伺っておりますと、法案をつくる、これは議員立法もあるわけですから、大蔵省がつくるわけではありませんけれども金融市場での取引の実態というものが、果たしてこういう二分された中で、監督庁から実態はこうですよと、その実態という中身が検査監督をする中身イコール実態のすべてと、すべてでは足らないから大蔵省にも資料を提出する権限を与えるということになったんだろうと思うんです。  実際には、今までは検査監督をやりながら、あるいはそれは密室と言われたかもしれませんけれども、それぞれの業者あるいは業界との話し合いといいますかヒアリングをやったり、そういう中でいろんなデータを集めてこういう傾向に、金融市場はこういう、証券市場はこういう方向に行くなと。難しい商品が出てきたとか、変額保険がどうだとか、デリバティブがどうだとか、それは許認可にかかわる事項もあったでしょうからそれはそれでいいわけですが、そういうものにかかわらないでどうもわからぬと。しかも、今後は垣根が取っ払われまして、銀行証券業界あるいは保険業界が相互乗り入れをする、簡単に言えば。そういうことになりますといよいよわからなくなってくるわけでございますが、そういうもので本当に、長官から意見が上がってくれば別でしょうけれども大蔵省単独で企画立案法案あるいはルールづくりというものがうまく行われるのかなという感じがいたすんですが、いかがでしょうか。、
  146. 武藤敏郎

    政府委員武藤敏郎君) 制度の企画立案を行うに当たりまして、金融の実態を的確に反映させる必要があるというのは御指摘のとおりでございます。  そこで、その企画立案を担う大蔵大臣検査監督を担う金融監督庁との間で十分な連携を図る、それによって金融の実態把握に努めるということが必要であると思われるわけでございますが、このような観点から、今回の法案の中で幾つかその仕組みを法律の中に入れてございます。  まず第一は、金融監督庁長官が制度の企画立案についての意見を大蔵大臣に対して述べることができる。第二番目に、長官大蔵大臣とは相互に緊密な連携をとるものとする。第三番目には、大蔵大臣長官に対しまして企画立案に必要な資料の提出を求めることができる。第四番目には、その補完的手段といたしまして、特に必要な場合に限り、またその必要の限度におきまして民間金融機関等に対して資料の提出についての任意の協力を求めることができるといったような規定が置かれておるわけでございます。  こういう規定を適切に活用しつつ、金融の実態を踏まえた制度の企画立案を行う必要があるというふうに認識しております。
  147. 小林元

    ○小林元君 どうも今の御答弁を聞いておりましても、実態をつかむのは非常に大変だなという感じがするわけでございます。そうかといって、先ほど来お答えのように、適度な緊張関係において透明な行政が展開できると、これは背反することでありますからやむを得ないのかもしれませんが、やはりその辺について本当に心配をするところでございます。  それから、この行革の時代にこういう二分をすると。昨年の暮れにできました行政改革プログラムに、「新時代に対応できる簡素で効率的な行政の実現」という中の①で大蔵省銀行局、証券局を金融局に統合する、それから②で三条に基づく金融検査監督庁を設立するというふうに書いてございます。  簡素、効率という表題になっているわけでございますが、これまで聞いた話というのは、行革は省庁の統廃合をする、減らすんだと。二十一を半分にするのか十五にするのか、四分の三にするのか、それは今盛んに一生懸命ヒアリングをやりながらやっているんだと思いますけれども、そういう中で簡素効率化を図って人員の削減をすると。ところが、今回の監督庁ができます、二分をする、そういう中で人が細かく分かれるわけでございます。そしてまた、仕事が分離するということでありますから、適度な緊張感を持ちながら緊密な連携を図るというのは大変難しい神わざが必要でございます。  これは昔の本で、今の行革の時代には通用しないと思いますが、役人というのは必ずふえ続けるという、何かパーキンソンの法則とかいって、組織はどんどんふえていくと。私も高度成長時代にそういう経験をいたしました。細分化してだんだん太っていく、そして人並みに太っていく。子供をつくれば育っていくという言い方の方が適当かもしれませんが、やはり細分化すればそういう事務連絡は今まで以上にかかるだろう。  そうかといって、今回どういう人員になるかわかりませんが、こういう不祥事が相次ぐ中で、現在の人数で、職員で本当にきちんとした検査監督というものができるんだろうかというような思いがあるわけでございます。これはまさにその表題にマッチした組織なのかどうかという点で疑問を感じていますが、いかがでしょうか。
  148. 畠中誠二郎

    政府委員畠中誠二郎君) 今回の金融監督庁設置と行革との関係のお尋ねでございます。  委員指摘のとおり、確かに行革の理念一つとして簡素で効率的な組織というものがあることは承知しております。その意味で申し上げますと、今回の改革によりまして金融監督庁には大蔵省が現在所掌している民間金融機関等に対する検査監督事務が移管されることになりますので、同庁の設立には大蔵省組織の大幅な縮減が伴うということで、組織面においては前提として、よく言われる焼け太りにはならないということで、私どもとしましては行政改革の基本に反するものではないというふうに考えておるところでございます。
  149. 小林元

    ○小林元君 私は大蔵省が焼け太りになると言った覚えはありません。そうじゃなくて、焼け太りという言葉は余り適当でないと思うんですけれども監督庁はやっぱりこういう事件、いろんな問題の中で強化しなければいけないだろうと。それには先ほど来あったように専門家、本当に優秀な人材を集めてしっかりやれば少数精鋭でもできるかもしれません。しかし、そういう不祥事がふえればもっと頻繁にやれという国民の声は出てきますし、大変だろうと思うんです。ですから、どうしてもふやさざるを得ないんじゃないかなと、これは想像でございますからわかりませんが、先ほど来言っているように、組織原理からいいますとそういう場合にはふえるのが常ではないかなと、こういうふうに申し上げたわけでございます。  どうぞそういうことがありませんように効率的な運営をしていただきたい。非常に重大な任務を負っておるので、大変だと思いますけれども、よろしくお願いをしたいと思います。  それから、金融機関検査監督でただいまちょっとお話がありましたけれども政府系の金融機関につきましては従来どおり、つまり大蔵省と他省庁が共管でやる、それから系統金融機関、農協とか労金とかの検査監督については監督庁関係省庁の共管。ですから、この監督庁設置するということは、組織体制整備するということはあるんですけれども、内容についてはほとんど従来のまま移管するというような形になっているわけですね。  本当にこれは改革案なのかということになりますと、どうも改革とは一体何なのか。私どもも言っていますし、皆さんも言っていますし、自民党から共産党まで改革改革と、口を開けば政治家全員が言っている。だれが本当に改革をやるのか。やはり顔色を見て、よく腹を見て、ああ本当にやる気があるのかなというふうに一生懸命見るほかないわけでございます。いずれにしましても、そういう中身について一歩前進をするというようなことがないことにつきまして、非常に残念でなりません。  今回、例えば専門性、独立性が高い監督庁にする、こういうことであります。これは住専問題でもいろんな反省があったわけでございますが、系統金融機関はなかなかそういう体制が弱いんではないか、貸付審査能力についても議論があったわけでございます。ですから、ここはその監督庁検査監督をする、むしろリーダーシップを握ってやる。もちろん農協というのは信用事業だけをやっているわけではありません。いろんな仕事をやっていますから、その部分にまで口を出すことはいかがかと思いますが、例えば県レベルの信連あるいは国レベルの全信連、そういうところについては、これはもう金融業務専門でございますから、そういうものを移管する、移管といいますか監督庁に頼むぞというようなことがあってもよ.かったんじゃないかなと。やはり縄張りといいますか縦割り行政、これは改革の一歩ではあるかもしれませんが、この大改革というか、本当に中身まで踏み込んだ改革がないように思うんですが、梶山長官、いかがでしょうか。
  150. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 何もかも一挙に進むということはなかなか難しいことであります。今回の金融監督庁の動機になったものは、一昨年の住専問題に端を発した金融に対するないしは金融行政に対する不信、これがどういう方法をとれば若干でも払拭できるかというところで、今までの企画立案部門とそれから検査監督部門を峻別をする、完全な独立機関をつくることによって、それぞれが透明で緊張感のある体制をつくることによってこの問題の幾ばくかは解決をされるだろう、これを望んでやったことは間違いのないことであります。  そして、今言われることは、この検査監督機能というのが、前々から起き、なおかつ最近になって野村問題やら一勧の問題、こういうのを見れば、検査監督機能がこれで十分なのかという、もう一個の別な目的というか、そういう期待感が今高まっている現実があります。  それと、後ろに大蔵大臣がいますから余り大蔵省のことを言いたくはないんですが、いずれにしても今までの指導監督、護送船団方式と言われたものの行きどまりというか挫折があったわけでありますから、今回、今日のいわば国際化、自由化という中で金融の各機関はそれぞれ自己責任に基づいて金融の完全な独立をしてやっていく。  しかし、国民の利益や預金者保護あるいは全般の信用維持というものを考えれば、最大限というか最小限というんでしょうか、そのルールがなければ、群雄割拠というか乱れてしまいます。そのルールづくりをするのがいわば銀行局の仕事であるわけであります。そして、その大きな分類、大きな網の中で金融界全体がむしろ自己責任においてどんな運営方法をすればいいのか、どういう規律を設ければいいのか、これはすぐれて銀行業界全体の問題であります。それともう一つは、やはり最後は個に返って、銀行それぞれ一行一行のみずからを律する社内の厳しい内部監査やあるいは内部の指導体制あるいは経営方針、こういうものが定められなければならないわけであります。  どれ一つが欠けてもうまくまいりません。しかし、そういうものをやる余り、いわば全体のルール破りがあってはいけない。全体のルールをつくるのが企画立案部門だとすると、検査監督をするのはそのルール破りを発見できるかどうか、これに一にかかっているわけであります。  しかし、最近の意図的な犯罪と言っていいかどうかはわかりませんが、金融を食い物にするというか私物化をする、こういう問題に対する対応はこれからまた新たに考えていかなければならない問題だと思いますし、この中でもできるだけの分野は今の許された法令に基づいてやってまいることが国民に対する責任だと、このように考えます。
  151. 小林元

    ○小林元君 総理がおられれば総理に聞きたいわけでありますけれども、九一年のいわゆる金融証券スキャンダルといいますか、そういうことで証券取引等監視委員会がつくられたわけでございます。もう五年余を経過して、今回も告発をしたということで活躍されておるわけでございます。総理も設立して本当によかったなと言っておられたわけでございます。  今回、大蔵省から監督庁へ移すということになるわけでございますけれども、八条機関としてそのまま横滑りという言葉は余りよくないんですが、監督庁に入ると。監督庁は三条機関ということで、総理府の外局ということであります。これはどうも同じレベルの機関というんでしょうか、そういう三条機関の委員会にするのか庁にするのかという議論もあると思います。その辺、三党合意による文書をしっかり見ていませんけれども大蔵省改革レポートの中には公取型の八条委員会というような案もあったということを承知しております。それから見ると、今回の案というのは、考え方はどうも後退したんではないかという意見もあるわけでございます。  ですから、せっかく監督庁ができるわけでございますから、証券あるいは金融機関、そういう垣根をつくることが問題かもしれませんが、トータルとして一つ組織として検査監督をやるという考えもあるんではないか。むしろそれが何か監督庁の中に別な機関といいますか、もちろん犯罪取り締まりができるという強い権限を監視委員会は持っておりますから、一般の行政検査とまた違うと思いますが、全体としてそういう議論がされたんだろうと思うんですね、三党合意に書いてあるということは。  つい最近、ビッグバンの先輩でありますイギリスでブレア政権が誕生しました。五月二十日に、金融市場の実態に照らして、イギリスはイングランド銀行がそういう検査監督をやる、証券については証券投資委員会という機関がやっているようでございますが、やはり現在の状況にかんがみて、自由化が進んだといいますか自由競争が進んだといいましょうか、垣根が取り払われたという状況の中で一元化をしようというような表明をされたわけでございますが、この辺についてはいかがでしょうか。
  152. 白須光美

    政府委員(白須光美君) お答え申し上げます。  まず、経緯の方からでございますが、議員指摘のございました与党三党の方の作業経過という点でございますけれども、私どもが外部から伺う限りでは、恐らく八年九月二十五日の大蔵省改革プロジェクトチームの報告というものに基づいてのお話かと存じます。これはいわば中間整理ペーパーというような性格のものであると理解いたしておりまして、ここで三つの案ということで、一つが公取委員会のような三条委員会、二が監視委員会のような八条委員会、三が検察庁のような特別の機関という御検討があったと。これを受けて、いろいろ検討の結果、最終的に十二月の三党の合意では三条に基づく庁ということになったと思います。  ただ、その場合の三条委員会でございますとかあるいは八条委員会、これはいわば今御検討いただいております金融監督庁そのものをどういう形にするかという話でございまして、監視委員会をどうしていくかというお話ではなかったかというふうに承知しているところでございます。監視委員会につきましては、十二月の三党の合意におきまして、八条委員会としての合議制の機関のまま監督庁の方へ大蔵省から移すという合意があったわけでございます。  若干長くなりますが、証券取引等監視委員会につきましては、午前中に総理からも御答弁がございましたとおり、平成三年の証券不祥事の際の行革審の答申を受けまして、平成四年に合議制機関としての八条機関として設置されたものでございまして、発足以来着実に成果を上げてきておられるというふうに考えております。こういう中立公正な市場監視機能、これは監督庁設置後におきましても重要なものということで、監視委員会は合議制としての現行の八条委員会の体制のまま金融監督庁に移管したところでございます。  この際、金融監督庁の方に移管したということについてでございますが、これは証券会社を含めまして、つまり監督権が大蔵省から金融監督庁の方に移っていくわけでございます。監視委員会では証券取引あるいは金融先物取引につきまして取引の公正に関します検査を行う、そしてそれについて例えば証券会社の行政処分が相当と認めたときには当該監督権を有する者、現行でございますと大蔵大臣、今後でございますと監督庁長官ということになりますが、それに勧告をするということになるわけでございますので、いわばこの勧告の対象であり行政処分を行う権限を持ちます金融監督庁の方に設置をすることが適当ということで、私どもといたしましては、現在御審議いただいている案におきましても金融監督庁の八条委員会として証券取引等監視委員会を設けるということで御審議いただいているところでございます。  なお、国家行政組織法によりますれば、三条庁につきましてはこれに八条機関を設置するということはできるところでございます。
  153. 小林元

    ○小林元君 法律上どうのこうのという議論ではなくて、そういう議論があったのかどうかということでございます。  ですから、やはりいろんなことと関係をしてくるんでしょうけれども、先ほど来議論が出ております庁の長官をどういう者にするか、組織を三条にするのか八条にするのかとかいろんな議論はあったと思いますが、最終的にはこの監督庁案という形で出てきたわけでございますが、官房長官、これについてお考えがありましたら。
  154. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) お答えになるかどうかわかりませんが、後退ではなくて前進でこういう形ができ上がったというふうに、最終案が一番いい案でございますから出したわけであります。ひとつ御理解いただきたいと思います。  それから、先ほど申し上げましたように、いろんな不祥事に対してどう対応するかという問題は、もちろん検査の大きな部門一つではございますが、本来、今まで銀行局で持っていた検査監督という仕事は、いわば預金者保護であるとか銀行の信用確保、金融の信用確保であるとか、そういう部門が主たるものであります。ですから、大蔵大臣は随分強い姿勢を持っておりますから、この中に新たな文言を入れて、いわばそういうものに対する罰則の強化をするかもしれません。  しかし、この監督庁は罰則を実施する第二検察庁的な役割を果たすものではございません。当然、これには検察や警察その他の司法当局がこの法令に従ってやるべきものでありますから、その法令の強化ということはこれからの金融業界のあり方によって相当なウエートを占めて考えなければならない問題になるのではないか、こう思うわけであります。
  155. 小林元

    ○小林元君 今回の検討の中で、G7にどう対応するのかというような議論があったのかないのか。
  156. 三塚博

    国務大臣三塚博君) ありました。
  157. 小林元

    ○小林元君 そういうことがあったとすれば、どういう観点であって、それからその検討内容につきまして、それによって監督庁がよかろうということになったんだろうと思いますが、御承知でしたらお伺いさせていただきたいと思います。
  158. 三塚博

    国務大臣三塚博君) ありましたと申し上げた理由は、金融財政の独立というのが金融システム改革の中で、また行革の中で相並行して出ておる、こういうことであります。ひとり金融機関は国内金融関係だけで完結するものではないことは御理解いただけると思います。国際金融システムというのが、安定した持続的な成長を目指す、こういうことで協調していかなければなりませんことは御案内のとおりでございます。そういう意味で出ておるわけでございまして、監督庁を独立する場合においてもそんな話が出ておりました。  監督庁議論が大変盛んになるわけでございますが、金融システムかくあり、預金者保護またしかり、全体の国際金融またしかりということの中で、内閣総理大臣、それを代行して梶山官房長官総理府にこの外局をスタートさせるというので段々の苦労をして、完全独立体として育つようにということで取り組まれたと聞いております。  三党の要求も、三つのスタイルの中で議論として出ましたのは、議会制民主主義の中で行政機関は内閣に属するわけでございますから、戦後の一つの中で公取型というのが残りましたけれども、議会制民主主義が成熟する中で果たしてそれでよろしいのであろうかという議論が出て取りまとめが行われたと聞いております。
  159. 小林元

    ○小林元君 先ほど来議論が出ておりましたが、この監督庁の独立性について、ただいま大蔵大臣からも大変微妙なといいますか、御答弁をいただいたわけでございますけれども、今回、一般職公務員、これはもうさんざん議論されたことでございます。法律上いろいろな意見を述べる、連携をする、あるいは信用秩序に重大なる影響があるときは協議をするというような形になっております。  そこで、要するに検査監督の平常業務につきましては、それは先ほど来お話がありましたように、役人のトップといいますか、それがいいかどうかという話ではありませんが、例えばそういうことで厳正公正にやっていただけるというところがあろうかと思います。しかし、ただいま申し上げましたような協議というものが、大蔵大臣のような、大蔵大臣といえば次期総理ということもあるようなポストの方、そして梶山長官と、きょうはお二人とも大変な方が出席をしておられますけれども、そういう方と法律上は対等であります。しかし、本当にうまくいくんだろうかという心配をするものであります。私は大変気持ちが小さいものですから、役人といいますか長官の立場に立ってそのように申し上げているわけでございます。  厳正、公正、独立性、そして専門性の高い機関として検査監督ができるように心からお願いをして、私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  160. 鈴木和美

    鈴木和美君 外為法から、日銀法から始まりまして今回の金融議論まで、連日本当に大臣御苦労さまでございます。また、大蔵の役人というか皆さんも本当に御苦労さまだと思います。  さて、私はきょう、与党三党でいろいろな議論をしてきた経過を踏まえまして、総括的に確認の意味で御質問をしたいと思うんです。  その前に、現状の認識についてちょっと私見を入れて意見を聞きたいと思うんです。  実は、この金融監督庁というのができ上がる経過は、皆さんお話しのとおり、九一年からの不祥事件と住専問題に始まりまして、どうやって検査体制を強化するのかという観点から私はできたものだと思うんです。  私の友だちで銀行に勤めているある男が私にこう言うんです。住専問題であれだけ銀行の自己責任ということについてわいわいやられて、銀行銀行なりに自己責任の対応についてしっかりやっている。例えば、合理化であり近代化であり、それから効率性とか効果性とか、そういうものを通じて一生懸命やっている。一生懸命やっているんだけれども、自己責任を一生懸命自分で確立しているのに、その上にまた監督か監督かというようなことで、何かすべて自分たちが悪者ばっかり集まっているみたいな感じがしてならないと。  その人は私に言うんです。何で、鈴木さん、この監督というのが入ったのかと言うんです。金融庁ならまだわかると言うんです。何で金融監督庁という、監督という言葉が入ったのか。  私はそのときにあえて言ったんですが、これから外為法が改正されて広く国際的な金融時代に入っていくから、悪は悪で悪知恵をまたつくる人もいるかもしれない、そういう意味からすると、やっぱりきちっとしておいた方がいいと思うよというように話をしたんですが、どうもやっぱり自己責任ということをしっかりさせないと、検査体制が幾らでき上がってみたって、私は問題があると思うんです。ですから、預金者保護という言葉もありますけれども預金者自体も自己責任のこういう意識改革というのがないと、私はどんなにいいものをつくってみても効果的に発揮しないと思うんです。  そういう現状認識について、自己責任というものを含めて大臣の所見をちょっと伺っておきたいと思います。
  161. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 鈴木議員には、大蔵委員会において毎日のようにお会いをさせていただき、金融政策の根本義のお話を承ってまいりました。また、ただいま政治の原点に照らし合わせての御質問と承りました。  自由市場はまさに自由経済の根幹であります。そこに求められますのは自己責任でございます。そして自己規律であります。その限りにおいては責任が明確になりますし、その限りにおいては会社は浮き沈みがあったにしても、重要な働きを国内に置こうと国際間であろうと行われておるものと思っております。  本来でありますと、バンカーが言われた金融庁でよかったのではないかという感じ、しかし監督業務がございませんければ、金融は資本主義のきわめつきでございますから、自律がないところに健全な発展がございません。よって、検査監督機構というものと一体となりながら今日まであったわけでございますが、今度は独立庁としてでありますので、そんな点ではまさに同様の認識を持っております。
  162. 鈴木和美

    鈴木和美君 そうしますと、恐らく内容的には私とそう感じが変わらないと思うんですが、金融監督庁ということになると、今の大臣のお話じゃないけれども、それは監督の方がどうしても中心になりますね。そうすると、援助とか支援というようなことは、この金融監督庁は携わらないんですか。
  163. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 援助、支援という意味は、国内金融機関に対してということだと思います。そういたしますと、これは企画立案の段階の中でルールが決められてまいります。  それともう一つは、緊急な事態、国際金融システムの関連において協議をするという条項があるわけでございますが、そのときに主管大臣である内閣総理大臣から協議が持ち込まれる。また、委任を受けておる範囲において、長官がそのことについて協議をするという項目があります。その協議の内容が支援なのか援助なのかは、その時点で判断されるものと考えます。
  164. 鈴木和美

    鈴木和美君 それでは、事務方で結構でございますから、今回の金融監督庁設置に関して、なぜそういうものができ上がったかということをやっぱりきちっと国民の前に明らかにする必要があると思います。  そういう意味でぜひお答えをいただきたいんです。  第一に、金融監督庁設置は、それこそ外為法の改正が行われたというようなことも考えると、市場規律を基軸とした透明かつ公正な金融行政への転換によってどのような効果をもたらしているのか、ここをはっきりさせてください。
  165. 白須光美

    政府委員(白須光美君) お答え申し上げます。  民間金融機関等に対します検査監督という執行面の機能を担います金融監督庁設置いたしまして、金融監督庁企画立案という政策面の機能を分担いたします大蔵省の双方が二つの機能を相分かつということによりまして、まず検査監督当局、この場合は金融監督庁になるわけでございますが、これがルールの設定などを行政指導によって行うことができなくなる。また、逆に企画立案当局、この場合は大蔵省ということになりますが、これが業界から一歩距離を置きました観点から金融制度等の企画立案を行うことができる。このようなことが見込まれるところでございまして、これらによりまして透明かつ公正な金融行政への転換に資するものというふうに考えているところでございます。
  166. 鈴木和美

    鈴木和美君 次は大蔵省にお尋ねします。  今回の金融行政機構改革は、金融システム改革の推進にとってどのような効果があるのかを明確にしてください。
  167. 武藤敏郎

    政府委員武藤敏郎君) 御指摘のとおり、金融システム改革、フリー、フェア、グローバルといったような三原則にのっとりまして、二〇〇一年までに我が国金融市場をニューヨーク、ロンドン並みに並ぶ国際金融市場とすることを目指しまして構造改革を抜本的に行おうとしております。  今回、金融監督庁を設立し、また大蔵省銀行局と証券局を統合いたしまして金融局にするということでございますけれども、これらの一連の改革というのが、例えばデリバティブ等の業態間にまたがる金融サービスの出現でありますとか、あるいは金融市場のグローバル化の進展といったようなことに的確に対応するための改革でございます。  こういう改革を行うことによりまして、先ほど御指摘のありました、市場規律を基軸とした透明かつ公正な金融行政に転換を図るということでございますので、まさに金融システム改革行政機構改革が両々相まちまして、我が国の経済、国民生活にとっての基盤ともいうべき金融証券市場の活性化に資することになるのではないかというふうに考えております。
  168. 鈴木和美

    鈴木和美君 後から自分の意見を述べますが、もう一つ大蔵省にお尋ねします。  今般の金融行政機構改革は、諸外国の機構と比較して本当にバランスがとれたものとなっているのか、国際的対応に支障を生じないかをお尋ねします。
  169. 武藤敏郎

    政府委員武藤敏郎君) 金融行政機構の国際的な比較をするということにつきましては、各国の歴史的な経緯でありますとか、あるいは大統領制であるか議院内閣制であるかといったような行政機構の基本的な問題にも関連してきますので、一律に論ずるということはなかなか難しゅうございますけれども、大ざっぱに主要国の状況を申し上げると、次のようになろうかと思っております。  まず、主要国におきましては、今話題になっております制度の企画立案というものは、大蔵省またはこれに相当いたします省がその内局において行っております。一方、検査監督につきましては、これは国によりましてさまざまでございます。  例えば、ドイツ、アメリカの場合には、財務省なり大蔵省の外局、アメリカの場合には通貨監督局、ドイツの場合には銀行監督局というのが検査監督を行っております。イギリスにおきましては、つい最近に至りましてブラウン蔵相が改革案を出しましたけれども、従来のシステムではイングランド銀行監督権限を持っておったという事情があります。また、フランスにおきましては、監督については合議制の委員会が行っておる。ただし、企画立案については経済財政省、これは大蔵省に相当する組織の中の国庫局が所管しておるといったようなことでございます。  一口で言いますと、企画立案大蔵省ないしはそれに匹敵するような省庁の内局が所管しておりますけれども検査監督についてはお国柄によっていろいろな状況にあるようでございます。  ただ、例えばフランスにおいて、合議制の委員会がやっておると言いましたけれども、その委員の任命権が大蔵大臣にありますとか、イギリスの場合にも、現在はイングランド銀行がやっておりますけれども大蔵大臣はイングランド銀行に対しまして指示権を持っているとか、そういう状況がございまして、例えば大きな金融信用秩序維持といったようなためには、企画立案部門検査監督部門組織上も権限上も連携を確保するような仕組みが講ぜられていると思っております。  御指摘のとおり、我が国におきましても今回の組織は完全に分離独立させるわけでございますけれども大蔵大臣監督庁長官がさまざまな形で連携をとるような仕掛けになっておるわけでございます。
  170. 鈴木和美

    鈴木和美君 今御説明を全部いただきましたが、冷やかしじゃないんですけれども、長ければいいというものではないんですね。  つまり、今この問題の取り扱いに対する認識は、偉そうなことを言ってみたって、結局は二つに分けただけの話じゃないのか。これが一般的な受けとめ方なんです。そうじゃないんだと。改革の第一歩であり、これは重要な問題点を含んでいるということをやっぱり強調してもらいたいと思うんです。だから、そのときには絞って、そのメーンとなるもののところをぽんと打ち出すぐらいのことでないと国民は余りわからないよというようなことをぜひ気をつけてもらいたいと思うんです。  さて、もう一つお尋ねすることは、先ほど大臣からのお答えもあった問題なんですが、今回の金融行政改革は、中央省庁再編との関係においてどういう位置づけになるんだろうかということを私は心配するんです。金融庁ができ上がるときに三条委員会にするか、先ほどの公正取引委員会型にするかという議論がありました。  私が一つ不満なのは、国家行政組織法上三条委員会にするというのであれば、金融そのものの一元化がなければ意味ないんじゃないんですか。例えば、農協は相変わらず農水省がやるんでしょう。労働金庫は労働省がやるんでしょう。だから、そういう問題は全然表に出ないで、一般市中銀行だけの問題が出てくるということは私はおかしいと思っているんですよ。本来、三条委員会でやるならば、農協もそれから労金も、そういうものを一元化した中での金融の監督でなければならぬというように私は思っているんですが、その辺の見解についてお尋ねしたいと思います。
  171. 白須光美

    政府委員(白須光美君) お答え申し上げます。  今般の金融監督庁設置に当たりましては、従来大蔵大臣と各省大臣との共管となっております系統金融機関あるいは労働金庫等につきましては、監督庁と各省との共管ということにいたしているわけでございますが、これは、現在も各省で行われております検査監督がそれぞれの労働行政あるいは農政等の行政目的を踏まえて実施されますとともに、金融行政観点から、監督庁民間金融機関に対します検査監督を所掌する機関として検査監督を行うことが必要であるという考えによるものでございます。  なお、これは何遍も申しておりますが、金融監督庁は、民間金融機関等について、金融行政観点から検査その他の監督を専門的に行う新たな行政機関でございますので、従来同様、法律上各省と共管となるという金融機関につきましても、金融監督庁におきまして、こうした新たな立場を踏まえまして、その機能を適切に発揮するようにしてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  172. 鈴木和美

    鈴木和美君 納得できないんですが、その共管という言葉は後から出てきた言葉でしょう。つまり、農水省が反対し、労働省がどうしても言うことを聞かないから、だから今一緒にすることが三条委員会としては一番――これはもう証券のときに大分議論したはずですよね。けれども、今のところ早くつくり上げるためにはどうしても一元化ができないから共管ということにしたんだと私は思うんです。  だから、そこのところは、これは大臣にお尋ねするんですが、そういう問題が潜んでいるので、今回の金融庁の問題というものと各省庁の統廃合とか、これからの行革に向かってこれはどういうことに位置づけられるのか。例えば、暫定的な手法であるという言葉も出ています、いや本格的だというのも出ていますけれども、ここのところはやっぱりはっきりしておかないといかぬように私は思いますので、大臣から所見を伺っておきたいと思います。
  173. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 行革との位置づけということで申し上げますと、私も鈴木議員の言われることはよく理解をいたします。  そういう中で、私の聞き及ぶ範囲では、系統金融、農中もありますが、これはまさに農業金融という政策的な位置づけの中で、よってしばらく共管と。右へ倣えで、労働金庫はまさに労働者、勤労者の生活安定ということで位置づけと。このことを一律に一般金融機関と並列はいかがなものかと。以下、幾つかあります。  こういうことでありまして、まず金融機関一つになりまして、不祥事件が起きませんようにということも重要な基本でありますが、もう一つ最大のポイントは、不良債権の累積が日本金融システムを揺さぶり不安定に陥れると、これによって経済が困難な場面に逢着するのではないかということもあったことは御案内のとおりです。それと、率直に言いまして大蔵バッシング、皆さんそう言っていますから、私もわかりいい言葉で申し上げます。巨大な機構であるから、護送船団が自由市場に望まれる自己責任、自律というものが緩ふんになっておるのではないだろうか。  こういうことに対する中で、一年余、三党が本件に関するあり方を検討し、またそういう世論でございましたから、その中で最終的に内閣としてもまとめられた案を受けとめ、御案内のとおり総理府所管、主管大臣総理大臣と、極めて異例なことでこれを行ったというところに極めて重要な意味合い、そういう意味では総理大臣の頭の中に金融システム改革、ビッグバンという問題があったことも事実だと、私は話をしてみて共感をしたところであります。  外為、日銀法、まさにビッグバンそのものであります。グローバルスタンダード、国際基準という意味で、まさに金融監督庁もSECをにらみながら正常な競争が行われるように、そして安心をして投資者、契約者、預貯金者がそこで行動でき得ますようにと、こんなことであったのかなと。  行革の面と金融システム大改革の面とが一緒に時期が相なった。これは歴史の宿命なんでしょうか、潮流の帰するところなんでしょうか、こんな感想を持ちます。
  174. 鈴木和美

    鈴木和美君 私も、現実、現状の中では、与党でも相当議論した結果こういう提案になっているんですから、最良のことだと思わざるを得ません。しかし、将来にわたって大きな課題を残しているということだけは御認識いただきたいと思います。  もう一つ、実務的なことをお尋ねします。  金融監督庁検査をする人たちは大蔵省本省から出かけられるわけですね、移られるわけでしょう。この人たちはどのような検査方法をこれからやろうとしているんですか。  なぜそのことを聞くかというと、監督庁に行ったら戻れないよという答弁ばかりなんですね。だけれども、私が思うのには、現在本省にいる人たちの年齢、移るという年齢の人は三十歳から四十歳じゃないですか、大体専門的にやっている人は。そういう人たちが移るんじゃないかと思うんです。  そうすると、帰れないということになると、これから二十年、三十年そこに勤めておったとしましょうか、現在でも私は問題だなと思っているのは、本省から行く検査というのは、今でもそうじゃないですか、プロジェクトというか、四、五人で組んで一週間外に母ちゃんから離れていくんです。そして一週間過ぎて戻ってきて、本省で報告書を書いて出すんです。そうすると一週間単位のサイクルですね。これを一年に直してごらんなさい、十年に直してごらんなさい。今、離婚率は大蔵省が一番多いんです。大蔵省の職員のキャッチフレーズは、きょうのうちに帰りましょうというのがキャッチフレーズなんですよ。つまり、それだけ大蔵省の職員の、外で勤務している人たちの実態というのは私が言う実態と変わりないと思うんですね。  そういう実態であるのに、行って、それから専門家が育つまでの間は二十年間同じことをやって、一週間交代で離れていってということを考えると、家族構成とか人間的な扱いとかというようなことを考えると、私は帰れませんよというだけの単純な話でいいのかというんですよ。そこのところを、何かもっともらしい分離分離というようなことの中で、それが王道を進んでいるようなことだけだとすると、働いている職員は、私が感ずる限りでは、あなた、そっちへ行ってくれと言ったら、行かないと言うよ。行かないということになると、これはまた大きな問題が出るんです。  したがって、そういう実態から考えてみたときに、これからどういうふうなやり方をしようとしているのか、展望を聞かせてください。
  175. 白須光美

    政府委員(白須光美君) お答え申し上げます。  御指摘のように、金融監督庁が設立されますときに、特に人数的に申しますと検査関係の人のウエートというものがどうしても高いかと存じます。その検査の実態、これはたびたび官房長官からもお答えしているところでございますけれども現実問題といたしまして、現在大蔵省金融検査部におきまして検査をやっている人、この方たち以外にこれを現状、現実問題として担う方が余りいないわけでございます。  この金融検査部の機能金融監督庁に移すに当たりましては、これはもちろん人事の問題でございますので、一方で大蔵大臣、一方で金融監督庁長官の両方の任命権者の合意がないとこの人事異動はできないわけでございますけれども、私どもといたしましては、そういう方たちが組織の改編に伴いまして金融監督庁の方に当然来ていただいて活躍していただくということでないと、なかなか機能が発揮できないということがまず第一にあるわけでございます。  しかし、この点につきましては、先般来官房長官からも申し上げておりますけれども、人事の問題につきましては、一たん行きました場合におきましては、金融監督庁長官が適切にその人材を確保し、また育成しということで申し上げております。人事の交流の問題という点につきましては、適切な人材を確保していくというような点についても監督庁長官におきまして十分配慮をして、それぞれ新たに金融監督庁検査機能を担っていただく方々が、まさに御指摘の一週間、二週間というふうに連続出張なさるということで、これで二十年、三十年と五十を過ぎてもそれができるのかということについては、そういう問題点があるということは私どもといたしましても十分認識しているところでございます。  そういう勤務上の実態も踏まえながら、適切な人事の交流という点も踏まえて、これは当初人事権、監督庁長官大蔵大臣双方の合意によって成立するわけでございますので、また御相談をさせていただく必要があろうかというふうに考えております。
  176. 鈴木和美

    鈴木和美君 歯切れが悪い点は私も理解するんです。なぜ歯切れが悪いかというと、大蔵省金融庁の人事交流を認めると、また大蔵省が支配したとか介入したと言われるのがあなた方は嫌だから、そういう質問をされると、まあ先生御指摘のとおりでございますと答えるんです。  ところが、私が質問すると、あなたはちょっとニュアンスが違うでしょう。それは、現実に何といったって人がいないんですよ、立派なものをつくってみたって。だから、専門家の確保をこれからやるとか育成をやるとか、それは当然だと思うんです。けれども、今はある程度交流をしていかなければ、人間的な扱いがされないということになるんですよ。だから、そういう点は議員の皆さんにもはっきり、こういう現状なんだからこれはお認めくださいということを堂々と述べるのが温かい政治だと私は思うんです。余り理屈ばっかりで走っていくと、現実は魂が入ってこないと思うんです。  そういうことを十分配慮してこれから対応していただくことをお願い申し上げまして、答弁は要りません、これで終わります。
  177. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 民主党・新緑風会の峰崎でございます。  今回、金融監督庁設置法案、関連法案を含めて議題になっているわけでありますが、この法案が出ざるを得なかった背景というのは、言うまでもなくバブルの問題があったと思います。  そこで、大蔵大臣、またきょうはちょっと日銀からも来ていただいているんですが、簡潔で結構でございますので、このバブルをもたらしてきた背景というのは一体どこら辺にあったのだろうかということを最初にお答えいただければと思います。
  178. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 簡潔に言うのが一番難しい質問でございました。それでも簡潔に要約をさせていただきます。  バブルの原因についてはいろいろ専門的な分析が行われておりまして、立場立場の御意見もございます。一概にこうだと断定できることの難しさは御理解いただけるものと存じます。  私の受けとめ方といたしましては、一つは、社会一般に経済についてのかなり強気の期待があったこと、第二点、リスク管理が不十分なままに金融機関が巨額の資金を供給し、それが株式、土地に流れ込んだこと、その結果、経済価値では説明のできない資産価格の上昇につながったのではないのか、こう言えると思っております。  歴史の厳然たる事実はだれも否定ができ得ないことであります。大きな反省として、また糧としなければならないと考えておる次第であります。
  179. 山口泰

    参考人山口泰君) お答え申し上げます。  いわゆるバブルと言われますような現象は、やはり経済の将来、経済の前途について非常に楽観的な見方が支配的になったときに生じやすいというふうに考えております。  一九八〇年代の後半になぜそういうような楽観的な見方、大臣のお言葉を拝借しますと強気の見方が支配的になったのかということを考え直してみますと、幾つかの要素があったと思います。例えば自由化、国際化が進みまして経済環境の変化が急激に起こりつつあったこと、また首都圏への経済の一極集中が進みつつあったこと、それから土地についての法制、税制といったような要因とか、いろいろなことが絡み合いながら、そういう将来についての強気の見方が生まれていったと思います。そうした中で、長期にわたる金融緩和ということにもその原因の一端があったというふうに理解しております。
  180. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 一般的なお話は多分そうだろうと思うんですが、金融財政関係という点では、あのプラザ合意以降の経済政策が一体どうだったのかということで、実は本会議でも、金融財政はきちっと分離すべきだろうという意味で質問をさせていただいたわけであります。  私はもう一つ、先ほど大蔵大臣は、リスク管理が非常に不十分だったとおっしゃいましたが、実はその根底には、どうも七〇年代に入って日本の経済が、お金が足りない、資金が絶えず不足の経済から資金が過剰な経済に移っていってしまったんじゃないかと。  そのときに、護送船団と言われて、一番もうけの悪いところでももうけが上がるように、いや何とかやっていけるような護送船団行政から本当は変わらなきゃいけなかった。ところが、依然として手とり足とり、はしの上げおろしまで含めて全部面倒を見ていたと言われている。そこが金余り現象になってきた。さあ、お金をどこに貸していいのやら、実はそのリスクをどうとっていいかもよくわからないままに駆けてきた。  そこに実は今回のバブル――もちろんバブル一般は、先ほど山口理事がおっしゃいましたように何回も何回も世界的にも過去起きてきているわけでありますから、それが起きてくる直接的な原因ではなくて、今回の日本の場合に、やはりそこの金余りといったところの現象は、依然として日本の経済は今変わっていないんじゃないかと思うんですが、その点、大蔵大臣はいかがに考えますか。  つまり、この問題が起きた七〇年代後半から資金不足から資金過剰になっている。その資金過剰であるという構造は変わっているのか変わっていないのか、その点はいかがですか。
  181. 三塚博

    国務大臣三塚博君) お答えします。  七〇年代は過剰流動性、いわゆる過剰な資金が流れを求めて動いたときに金融システムという観点ルールというもの、これはリスク管理の基本的な問題であるわけですが、私の知り得た範囲でびっくりした一つに、その当時、一部の銀行を除いてほとんどの銀行が管理部というのがなくなってしまった。お金は人様からお預かりしたものでございますから、必ず返るという基本を踏まえて貸さなければなりません。そういうことからいいますと、管理部門がなくなることによって、担保をとったにいたしましても七〇%を見るというのは最低の常識、それを超えて一〇〇も一二〇もということであった時代でありました。  その反省の中で、バブルの時代、六十二年から六十三年、平成元年と流れるわけでありますが、その反省が生かされておらなかったのではないだろうか。この点は率直に認めるところです。  しからば、ただいま余っておるのかというと、余るという表現はなかなか難しい、とらえどころが基本的にただいまの御質疑だけでは難しいのでありますが、私は、不良債権の解消、是正に向けて最大の努力をしておるという意味で、金余りというのはただいまのところはないのではないか、ぎりぎりいっぱいの経済運営ではないのかと。  参考人がいますから、日銀の方にでもお聞きください。
  182. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 今の不況の中で金がどうなっているかと言っているのじゃなくて、かつての規制金利を加えていたような時代からもう既に――そういう金余りと言っているのは、金がじゃぶじゃぶそこにうろちょろしているという意味じゃなくて、どこに貸していいのかというときに、借りたい借りたいという人がたくさんいて、ある意味では貸し手市場になっているかという意味で、実は構造的な問題でいえば、私はそこは変わっていないだろうと思うんです。  一番典型的なのはあの住専だったんですよ。農協系金融機関の中で一番問題を起こした県信連をずっと調べてみますと、埼玉だとか千葉だとか、あるいは静岡だとか東京だとか、要するに農業地帯以外のところで、恐らく多分農地を売って、そしてそのときのお金がわあっと行って、どこに貸し付けていいかわからない。  ですから、そういう一般的な、中小金融やさまざまな問題を含めて、どういうリスクをとってどういうところに貸していいのかという技術、テクニックといいますか、そういう手法というものが日本の今日の金融機関の中にでき上がっていなかったというところがやはり一番大きかったのではないかと思うんですが、もし大蔵当局の方で何か御意見がございましたら、その点の構造は僕は変わっていないと見ているんですが、どう考えますか。
  183. 武藤敏郎

    政府委員武藤敏郎君) 金融機関側の貸し出し行動におきまして資金需要というものとのマッチが必ずしもうまくいかなくて、ミスマッチがあって、そこでリスク管理が不十分なまま土地とか株式とかいうものに大量に資金が流れ込んだためにバブルが発生したといったような意味合いにおきましては、そういう事実があったのではないかというふうに我々も考えております。  先ほど大臣からお話がありましたとおり、まさにそのバブルの発生の過程におきましてはそういうことがあったわけでございますけれども、一方で、現在もそうでございますけれども、金余りという言葉と直結はしないかもしれませんが、金融緩和の状態にあるということがまたその背景にあったというのもこれまた事実かなというふうに思っております。
  184. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 こういう質問をしているのは、つまり金融監督行政の中で、先ほどもちょっと鈴木委員の方からありましたように、農協系にしたって農林省と共管だと思います、あるいは労働金庫は労働省と共管だと。後でちょっと述べますが、国際競争でグローバルに金融が動いているときに、このような金融機関あるいはそういう国際的な動きにも対応できるだけの能力を果たして持っているんだろうか、そこの心配を大変持っているわけです。  その意味で、私ども民主党の場合は、金融行政というのはやっぱり一元化すべきであるという主張をしてきたのは、実は私はそこに大きな構造転換の時期に来ているのではないかということを主張しているわけであります。  時間もありませんから、そこで今度は、そういうかつて大蔵省を中心とした護送船団行政と言われているものが一体どういう結果をもたらしたのかということは、先ほど大蔵大臣がおっしゃったように、そこの中でリスクをどういうふうにとっていいのか。リスクにもいろんなリスクがありますね、信用リスクもあればあるいは期間リスクもあれば、さまざまなリスクがあると思うんですが、そのリスクをとるための技術というものが金融産業の重要な柱になっているというふうに今日言われているわけであります。そこでちょっと、そういう技術の中で新しくデリバティブとかセキュリタイゼーションとか、さまざまないわゆる金融派生商品も出ております。さらにもう一つ、パソコンなどの電子技術を通じて、あるいはコンピューターを通じてデジタルマネーといったようなことも出てきているわけでございます。  さて、こういうふうに金融技術と言われているものが通信手段とかあるいは信用リスクのとり方を含めて大きく変わっているときに、こういう検査に果たして今後の金融検査監督庁が十分対応できる力を持っているんだろうかということについて私は改めてお聞きしてみたいんです。現在は大蔵省でございますが、これができ上がった後は総務庁になるんでしょうか。それぞれ、もしわかればお聞きしたい。
  185. 畠中誠二郎

    政府委員畠中誠二郎君) お答えいたします。  順序が逆になるかもしれませんが、でき上がった後どうするかという問題についてお答えいたします。  委員指摘のとおり、金融の自由化とか国際化の進展に伴いまして、デリバティブ等の業態間にまたがる金融サービスが出現してきております。また、金融機関の抱えるリスクが多様化、複雑化しておりまして、リスク管理も高度化してきております。このような金融の高度化、複雑化に検査監督体制も対応していくべきであることは言うまでもないことでございます。  まだできておりませんが、できた後の金融監督庁におきましては、このような検査監督を専門的に行う機関としましてその事務を的確に遂行していくため、職員に対する研修の充実等を通じまして、このような金融の高度化とか複雑化に対応した研さん、職員の育成等、その専門能力の向上を図っていく必要があるというふうに考えております。
  186. 中川隆進

    政府委員中川隆進君) お答えを申し上げます。  今御指摘の、新しい、また複雑な商品の中でも特に昨今増加しておりますデリバティブ取引等、いわゆるオフバランス取引、市場関連取引といったものについての検査をちゃんとやっているのか、検査官の研修はきちっとやっているか、そういう御趣旨であろうかというふうに思うわけでございます。  今申し上げましたような取引が昨今非常にふえてきております。私どもといたしましても、そうした新しい取引の増加にどう対応するかというのは従来からの大きな課題でございます。もちろん、当局の検査はそういう商品の仕組み検査するというわけではありません。これはもう規制緩和でどんどん新しい商品が出てまいりますが、今、委員指摘のとおり、そういうリスクのある取引について、リスク管理の状況がどうなっているか、金融機関みずからがきちっとリスク管理ができているかどうか、経営者を含めてそういうリスクの量をきちっと把握しているかどうか、そういうチェックが我々の義務であろうというふうに認識しております。実際上も、検査官に対しまして非常に複雑なチェックリストを用意いたしまして、限られた期間内にチェックする必要がありますから、そういうことで幅広いチェックをやってリスク管理の状況を把握しているわけでございます。  また、これらの新しい商品の研修につきましても、現在相当時間を割いて、限られた定員ではございますけれども、その時間の範囲内で相当重点的に研修等に努めているところでございます。
  187. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 護送船団方式、そういうふうに通常言われているわけでありますが、いわゆる裁量型の行政から今度はルール型の行政に変わろうとしているわけですね。そうすると、ルール型になると、これまでの検査と言われているものに要する人員といいますか、人数といいますか、能力といいますか、そういうものが必然的に高まらざるを得ないというふうに思うんですが、例えばアメリカなどでは金融検査に当たっている人の数は何人ぐらいいらっしゃるんでしょうか、ちなみに。
  188. 白須光美

    政府委員(白須光美君) お答え申し上げます。  先ほど大蔵省の方からも申し上げましたとおり、アメリカの場合監督組織が三層構造になっているといったような問題がございますが、その中心になっておりますいわゆる国法銀行を対象といたしておりますOCC、通貨監督局におきましては、約二千三百五十人というように承知をいたしております。
  189. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 それはOCCだけだからだと思うんです。トータルとすると恐らく一万人近い人数を要しているというふうに私どもはちょっと聞いておるんですが、その正確な数字は全体としていっかまたお聞きしたいと思います。  そういう意味では、恐らくこれからの金融行政をやる場合の陣容とか体制というのはもっとやはり強化をせざるを得ない状況になってきているだろうというふうに私は思っているわけであります。  さて、またそっちの方は別にして、そういう人材育成をする場合に、先ほど内部の研修とかおっしゃっていましたが、何か抜本的に教育の中に、きょうは文部省ちょっと見えておりませんが、例えば大学院教育といったところ、あるいは社会人をもう一遍リカレント教育をするとか、そういう人員の育成といったようなことについて何らかの考えがあるのか。  あるいは、さらに今日では、単に監督というのは、この金融監督庁だけじゃなくて、監査法人の果たす役割が非常に大きいだろうと思うんです。ですから、ことしの一月だったでしょうか、京樽という会社が倒産をしたんです。そのときの監査法人は、粉飾決算なんかもうやつちゃいけないと。たしか、兵庫銀行は朝日法人だったでしょうか、それは非常に問題だということで訴えられておりました。そういう意味では、公認会計士を中心とした役割もまた大きいだろうと思うんですが、そういうところの連携といったようなことについてはどのように考えておられますか。
  190. 山口公生

    政府委員山口公生君) 今、先生御指摘のように、検査において万全のことをやるつもりではございますが、何せ人員等の制約もあり、御指摘のように外部の監査法人等の役割に期待するところはかなり大きいものだというふうに思わざるを得ません。  その点、来年四月からの早期是正措置におきましても、自己査定をやり、その結果は外部の監査法人にきっちり見ていただくという仕組みでございます。それをまた検査でチェックするというシステムをとらせていただいて、先生の御指摘のような外部の力もかり、マーケットの力もかり、適正に万全を期していくという考えでございます。
  191. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 それと同時に、ぜひともこれからお願いしたいのは、情報公開、つまりディスクロージャーというものを徹底することがやはり最大の、ある意味ではこういった点についての検査監督というものの機能を白日のもとにさらけ出す、そしてそれを市場がちゃんときちんとルールを監視する、そういうことを基本にぜひとも据えていただきたいというふうに思うわけであります。  さて、電子技術のお話を申し上げましたが、最近のデジタル化が金融に与えている影響というのは大変大きいというふうに言っておりますが、特にデジタル貨幣とかあるいはデジタルクーポンだとか、これが国際的に動いている、国境を越えて動いている。そうすると、それぞれが金利を勝手にそこで決めたりする。そういうことに対する規制というのは、コンピューターの中の世界でやっておりますと、きょうはお見えになっておるのでありますが、日本銀行の公開市場操作、あるいは公定歩合を決める、こういったことが実質上徐々に侵食をされていくというようなことについて何らか検討されているような節はあるのでございましょうか。
  192. 山口泰

    参考人山口泰君) お答え申し上げます。  先生御指摘のデジタルキャッシュ、あるいはもうちょっと広くいわゆる電子マネーと呼ばれているものが将来もし仮に広く普及するということになりますと、現在使われておりますお金、いわゆる日銀券でありますとかあるいは一般の預金でありますとか、こういうものに取ってかわっていく可能性が出てくるということではないかと思います。  その場合に、まさに御指摘いただきましたような問題、例えば金融政策に影響は出るのか出ないのか、あるいは決済のシステムに影響が出るのか出ないのか、そういうような問題が潜んでいるわけでございまして、当然私どももそこには非常に大きな関心を持って現在の動きを見守っているところでございます。  ただ、率直に申しまして、現時点ではいわゆる電子マネーというものがこれからどのように普及していくのか、結局これは一般の国民の方々あるいは企業がそういうものをどれぐらい便利なものと認識して、急速に使っていくというふうになるのかならないのか、そこの見通しがはっきりしておりません。これは日本だけはっきりしていないということではございませんで、アメリカでもヨーロッパでもそこの見通しは現在のところ極めて不確実だというふうに言われております。  したがいまして、私どもは、金融政策への影響というふうなことを念頭に置きながら、電子マネーというものの発展の可能性がどれぐらいあるのかということを現在見守らせていただいている、こういう状況でございます。
  193. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 大蔵省ももちろんそうですし、今度の金融監督庁ができた場合には、ぜひともこの点は大いに調査研究を深めておいていただきたいというふうに思います。  さて、財政金融関係なんですが、実は私も本会議で質問をしたときに、もうバブルが終わって数年間たちますでしょうか、この間、銀行不良債権の処理が非常にもたもたとしておくれていたんではないかと。アメリカのSアンドLの処理の後を見ても、とにかく先送り先送りということで、もたもたしているとそれが実は大変膨大な不良資産を累積させていったという経過がありました。  ですから、この数年のもたもたしていることに対して、これも一体どの程度不良債権がその後膨らんでいったのかということについて我々はまだ十分つかんでいるわけではありませんが、こういうふうにおくれていく、つまり不良資産の償却がおくれていくという背景に、法人税の確保をねらっている大蔵省金融機関にいわゆる無税償却とかあるいは有税償却、まあ引当金を積み上げているでしょうから、そういうものをなかなかやらせない、あるいは赤字決算をさせない。そのために、中にそういうものをため込んだままずっと今日まで来ているのではないかというふうに言われているわけです。  そうすると、これは確実に金融財政との間の相互の利益相反という問題になってくるわけでありますが、ある意味ではそういうふうに指摘をされることについて一体どのように大蔵省の方はお考えになっておるのか、その点をお聞きしたいと思います。
  194. 堀田隆夫

    政府委員(堀田隆夫君) お答えを申し上げます。  金融機関等がその不良債権の処理を行います場合に貸し倒れ損失とかあるいは債権償却特別勘定への繰り入れ損失という形をとりますけれども、それが法人税法上損金の額に算入されるか否かは、これは金融機関も一般事業法人も同じでございますけれども、一律に適用される税務上の基準を明らかにしておりまして、それに従いまして適正に処理をしているということでございます。  税務上の基準あるいは具体的な適用要件というのは、法人税法の基本通達に明らかにして運営しているところでございます。したがいまして、税収の観点などから金融機関等の不良債権の処理を厳しくしているのではないか、計上の基準を厳しくしているのではないかというような指摘は当たらない、そういう事務運営を行っていることはないということでございます。
  195. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 じゃ、ちょっと具体的に聞いてみますけれども、一九九四年の七月に兵庫銀行がノンバンク向けの債権を対象にして設立した有限会社でポートアイランド・アクセプタンスというのがございましたね。それに対して金利減免債権を売却した銀行があるんですが、それについて九月決算では無税償却というか、そういうことについては認めなかったというふうに聞いているんです。これはちょっと細かいことであります。  こんな細かいことまで質問するつもりなかったんですが、果たしてこれが、今あなたがおっしゃった法人税法に基づく基準によってやっていたのかどうか、あるいは、その後ある意味ではそういう対応はとらなかったのか。  やっぱり大蔵省の中に主税局あるいは主計局、それと金融というものがあるがゆえにどうしてもそういう仕組みになっていっているんではないか。あるいは現行の会計基準にしたって、税を取るためにはその仕組みができているけれども国際的な会計基準になかなか合わないとか、そういう仕組みみたいなものがやはりどうも言わず知らずのうちに中に入り込んでいるんじゃないかという懸念を持っているわけであります。  答弁はよろしゅうございますが、そういう具体的な指摘ども我々のところに来ているわけでございます。  その点、私どもとしてはやはり本当を言えば、監督検査だけじゃなくて企画機能も含めて、やはり新しく、本来であれば私は金融庁、まあ省でも構わないと思うんですが、大臣を置く省だっていい。  というのは、これは金融の方々はよく御存じですが、金融改革をすることによって雇用がすごくふえてくる。つまり、二十一世紀には未来型の産業というのは典型的なのが金融産業ではないかというふうに言われているわけであります。  そういう意味で、昨今、省庁の再編成というところが大きな行革の対象になっていますので、行革に逆行するからどうも大臣庁を置けなかったというような話も聞くのでありますけれども、その点は、金融という問題は未来のリーディング産業の一つなんだというぐらい、ビッグバンも恐らくそのことをねらっていらっしゃると思うので、私はやはりそういう考え方を持ってしかるべきだろうというふうに思っております。これは私の意見でございます。  最後にちょっとお聞きしておきたいわけであります。  昨日の日経新聞の一面に「銀行証券・保険の相互参入」ということで、昨年、私も保険業法の問題で大蔵委員会におりましたので、この点について質問をする機会がございましたが、「九九年度完全自由化」、「持ち株・子会社方式」と。当初二〇〇一年と言われていたのですが、少し早めるようでございます。  その中で、実は保険の、特に先日、日産生命の業務停止がございました。これは実はいろいろな新聞報道を見ると、どうも銀行がその商品を随分売って歩いているんじゃないかとか、かつての変額保険と同じような形で保険商品をどうも銀行が背後で相当深く関与していたのではないかというふうに言われているわけでありますが、最近、保険審議会、その他金融制度調査会の方でこの問題について、実は銀行が窓口で保険商品を販売するというような動きなども、私どもが地元に帰ると、それらに関係する人たちからも聞いているわけであります。  これは業界という立場でなくて消費者保護という立場で、この点についての今後の展開はどのように今進みつつあるのか、少し状況をお聞かせ願いたいと思います。
  196. 山口公生

    政府委員山口公生君) お答え申し上げます。  銀行証券、保険の間の参入を含めました金融システム改革の全体像につきましては、各審議会で今精力的に御議論いただいておりまして、できれば六月中旬にでも明らかにできないかというふうに期待しております。  その中で、銀行における保険の窓販という問題もいろいろ御議論いただいております。顧客サイドから見れば、銀行の窓口でいろんな商品が買えるというのは大変便利なことだと。しかし一方、その保険商品というものを銀行という何らかの影響力の強いものが背景として売っていいものかどうか、あるいはいろいろ社会問題になりましたような誤解された売り方がされないだろうかとか、いろいろなまたそういったかなり突っ込んだ議論もされております。  まだ結論は出ておりませんが、早急にその辺の結論も出していただきたいということで、今御審議を願っている最中でございます。
  197. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 終わります。
  198. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 私は少しく角度を変えまして、公務員のモラル、倫理観という問題を取り上げたいと思います。  実は、どんな立派な組織機構をつくりましても、中で仕事をする公務員の心構えが間違っていると、モラルが退廃しているということになれば、適正な行政期待できない。これは明らかなことでありますので、取り上げたいと思います。  今回の機構改革は、住専問題が背景にあるにしても、やはり一連の大蔵省不祥事が引き金になっていたこともまた避けられない問題であろうと思います。  大事なことですので若干記憶を整理してみますると、まず田谷、中島問題がありました。これは、大蔵省に出入りする、まあはっきりしない民間人から宴会あるいはまたパーティー、ゴルフ、要するにただ酒、ただゴルフ、そういう接待を再三受けた。果てはもう役所で現金の受け渡しまでやったということで退職のやむなきに至った、こういうことであります。  その次は武富士問題で、退職した二人の元局長が、民間の貸金業者である武富士、これは大蔵省の監督下にある業者ですけれども、これから未公開株の割り当てを受けた。その中の一人は、こんなものは役得だ、問題にするのはもらえないやつのやっかみだというようなことも言っておりましたけれども、やはり厳しく非難された。当然なことであろうかと思います。  三番目が例の泉井問題であります。泉井なる石油卸売業者、これも正体がはっきりいたしませんけれども、何か大蔵省、通産省、厚生省、運輸省等々の高級官僚を料亭、パーティーあるいはまたゴルフに招いて大変な接待をしたということで問題になったわけであります。  その際に、大蔵次官と通産次官が記者会見をして、こんなことはそんなに問題になることか、これ以上調べる気もしないというようなことを言いまして、これまた大変世間から非難をされまして、通産省では事実を調査の上、必要な行政処分をしたようであります。大蔵省の場合はどうかといいますと、官房長が結婚祝いということで何か時価何十万円相当の絵をいただいていたということになりまして、これを返すべきか返さざるべきかと大分悩んでおられたようですけれども、やはり最後は返したが、それで済む問題ではないということで大臣から厳重注意を受けたようであります。  これは一体職務関係があるのかないのか。あれば当然収賄ですから、これ以上の調べは必要もないぐらいであって、直ちに逮捕、起訴と、こういうことになってもおかしくないわけですけれども、それじゃ、職務関係がないのでだれとでもいいのかということにはならないわけであります。  公務員というは全体の奉仕者ですから、特定の個人、特定の事業者あるいは一党一派に偏するような振る舞いがあった場合には、やはり公務員の倫理にもとるということで厳しく非難されるのが当然だろうと思います。このことは大事なことだろうと理解していただきたいと思います。  そこで、この一連の不祥事に対して大蔵省としてどのような再発防止策を講じたか、これをちょっと御説明いただきたいと思います。
  199. 涌井洋治

    政府委員(涌井洋治君) 一昨年来の大蔵省の不祥事につきましては、事件の影響の重大さを重く受けとめ、信頼を回復すべく省を挙げて全力を尽くしてきたところでございます。  まず、平成七年の三月に規律保持の徹底のために紀律保持委員会を設置いたし、同年五月に綱紀の厳正な保持についての通達を出しますとともに、この紀律保持委員会等をたびたび開催する等あらゆる機会を通じまして職員にその内容の徹底を図り、気持ちの引き締めを行ったところでございます。  それから、昨年十二月に、「行政及び公務員に対する国民の信頼を回復するための新たな取組について」ということで、事務次官会議等の申し合わせがございます。それに基。つきまして、平成八年十二月二十六日でございますが大蔵省職員倫理規程を制定し、職員にその趣旨の徹底を図ったところでございます。  紀律保持委員会につきましては、適宜開催いたしまして、その趣旨の徹底を図っているところでございます。
  200. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 そういうことで大いに実効を上げて綱紀粛正を図ってもらいたいと思います。  ここで一つの最近の例を、私が新聞で見たことなのであるいは無責任かもしれませんけれども、五月十七日に、ディズニーランドの中の高級会員制の「クラブ33」というクラブだそうですが、ここで氏家日本テレビ社長の誕生祝いが開かれました。発起人は、ディズニーランドを経営するオリエンタルランドという会社社長名義のようであります。彼の社長名義で呼びかけられまして、政界あるいは財界の人たちが四十名ぐらい集まったようであります。政界は中曽根さんその他自民党の重立った方々のようであります。  それはそれでよろしいんですけれども、この中に大蔵省の高級官僚二人が入っていることが報ぜられておりました。具体的な名前はもう新聞で報ぜられておりますから差し支えないと思います、挙げさせていただきますけれども、涌井官房長と、それから名前は存じませんけれども理財局長であると、こういうわけでございます。一体どういう関係でこういう集まりに高級官僚が出たのか、大変いぶかしいところであります。  政治家たちが一企業の呼びかけに応じましてある社長の誕生祝いをやる、あるいは財界人が集まる、これは当たり前といえば当たり前かもしれませんが、官僚はこういう場合どうすべきであろうか。もし本当に氏家社長と親しい関係にあるとすれば、わざわざそういう会に行かなくてもいいわけで、自分から心のこもった祝電を打つとか、あるいは何かお花でも贈るとか、そういうことで十分事は足りるわけです。役人の分際とすればそれで私は十分だろうと思います。何も大勢の政治家が集まっている華やかな場所にまで役人が出向いていって、やあやあと言う。やっぱり見ている人は、あれっと。日本テレビと大蔵省は何か関係があるのか、あるいは発起人であるディズニーランドと何か関係があるのか、だれでもそういう目で眺めるだろうと思います。  そこに私は役人のモラル、倫理があるんだろうと思います。こんなことは何でもない、どんどん出ていけと、まさかそうおっしゃる方はいないかとは思いますけれども、しかし大事なことです。公務員の心構え、倫理というものはどこかにあるはずですから、どこかに線を引く。そういうような集まりについては、役人の節度というものがありますから、私は遠慮するのが筋ではないかと。一体これはどういう人たちが来るんですかと聞けば、すぐわかるわけであります。趣旨は何ですかと。多分、氏家社長と大蔵省のお二人は余り親しくはないんだろうと思うんです。形式上、呼びかけ人に応じて出ていった、そういうことだろうかな、こういう気もいたすわけであります。  そして、以下は大事なことなんですけれども、オリエンタルランドという会社は去年の十二月に株式を上場しているんですね。株を上場する場合は証券会社が幹事役になります。そして、証券取引所がその事務を扱うわけです。この証券会社やあるいは証券取引所というのは大蔵省の監督下にあるわけですから、あの株の上場の際に大変お世話になりましたなという趣旨があるのかなと勘ぐる人はすぐ勘ぐるわけであります。それ以外に出席した理由はないのじゃないかな、こういうふうに思われても仕方がないのではないかという気もいたします。  それから、オリエンタルランドという会社は、今ディズニーランドが満杯になっておるので、周辺の公有地を買収いたしまして第二ディズニーランドをつくると。大変な規模で事業計画を進めておって、平成十年に完成して、その暁には年間三千万人の収容人員があるということをうたい文句にして、政界、財界、官界あるいはマスコミ界に食い込んでいるということを業界紙が報じておりまするから、これまた間違いのないことだろうと思います。  そうすると、そういうことに備えて官界とよしみを通じておくという意味で、役人の中で一番力を持っている、また一番偉いと思われている大蔵省の官房長や理財局長、これは公有地の払い下げ問題にかかわりを持つのかどうかわかりませんけれども、そういうことで御招待でもしたのかな、こういう気もしないわけではない。これぐらいのことは大蔵省の方々は全部おわかりだと思います。呼ばれたらやめておこうと考えるのが役人の常識だろうと私は思うんですけれども、なぜ出られたのか、それがよくわからない。  大臣もこの件をお調べになったと思いますので、差し支えない限度でお答えいただければありがたいと思います。
  201. 三塚博

    国務大臣三塚博君) マスコミがおもしろおかしく記事を書いたものですから――私が呼ばれていないからという意味は全くありません。  そういう点で、特筆して書かれたのは大蔵官僚、官房長、理財局長と書かれておるものですから、官房長にどういうことだと聞きました。そうしましたら、テレビ会社の社長は旧知なものですから、少数であるのでというので出かけました、多くの政治家もおられましたのですぐ帰りましたと、こういう報告であります。特にその限りにおいて、大パーティーでもありませんし、少数のところで、こういうことでありましても四十名ぐらい、こういうことなんですね。問題はないと思っております。
  202. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 実は私が地方におりましたころに、中央から赴任してきた大蔵省や通産省の若手官僚の方々から相談を受けることが何回かありました。彼らは大体税務署長とかあるいは通産局の部長とか、そういうポストにいる若手官僚でありますけれども、公式の場で二、三回会ったぐらいの地方の有力者から今度うちの身内が結婚式だから君出てくれよと頼まれることがある、あるいは、うちの会社の創立何周年記念をやるから出てくれよと頼まれることがある。これはどうしたらよろしいでございましょうかという問い合わせ。  私が、君何で悩むんだ、理由は何だと聞きましたら、お断りすれば失礼に当たるかもしらぬ、しかし行けばやはり世間はただの目では見てくれないだろう、あの若手官僚とあの大実力者とは何かつながりがあるんだろうなといろんな意味で語られるだろうと。それからその地域の実力者も、おれはあの若手官僚を知っている、あいつはいずれ偉くなって大蔵省の次官になるぐらいの人材だということを言いふらすおそれもあるだろうと。それでどちらをということを今悩んでおりますると。  こういう話なので、悩むまでもない、それだけ悩む暇があるならばすぐお断りしなさいよ、それが筋道でしょうと。ああそう言われて安心しましたと彼は言った。それから私が申し添えたことは初心忘るべからずということです。あなたがどんなに偉くなっても今のこの気持ちは忘れないようにと。特に悩むことが大切なので、その結果、やはりだれかに相談する。だれでも私と同じようなことを言うだろう。それが大事なんだよと。なるほどねということでありました。  何か今お聞きしますと、そういうことに高級官僚が出るのはそう意外なことでもない、当たり前のことであるというふうな御返事ですけれども、本当にそれでよろしいのかどうか、再度確認しておきたいと思います。
  203. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 前段申し上げましたとおり、実情はどうしたのということに対して、簡単な説明でした。たくさんの政治家がおりましたので直ちに帰らせていただきましたと。こういうことですから、友達同士の会がそういうことであったことに対しての釈明と受け取りました。
  204. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 終わります。
  205. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 大蔵省から分離して総理府の外局として金融監督庁設置するのはなぜかという問題について、主務大臣である梶山官房長官は、衆議院段階の速記録を読んでみると、非常にわかりやすく二点を上げて説明しておられます。  第一は、バックグラウンドはバブルの崩壊によるツケにどう対応していくかということだ、つまり企画立案部門検査監督部門が混在しているのを二つに分ける、第二に、大変怖いことであるが、ビッグバンによる国際化の大波にさらされた金融界の整理縮小に対応することと、こういうふうに述べておられます。整理縮小というのは、銀行の倒産や再編ということをこういう表現でおっしゃったんだろうと思います。  大体、そういうふうなことととってよろしいでしょうか。
  206. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 前段の、いわば住専問題に端を発した金融、特に金融行政に対する不信をどうやれば排除できるか。私は、よく俗な言葉で、二枚鑑札がいいのかということを申し上げて、これは峻別をすべきだ、これが緊張感を持つことはいいことだという旨で申し上げました。  それからもう一点については、若干ニュアンスが違うだろうと思うんです。  私が申し上げたのは、なぜ大蔵金融監督庁のいわば相互の連絡協調体制を残すのかということで、私のおそれでありますが、一つは、今の金融がこれだけの不良資産を抱えて、地盤でいえば大変緩んでいるような状態、それともう一つは、先ほども申しましたように、国際化、自由化の大きい波が来ること、この二つをあわせてみると、金融自身がもうちょっと金融再編ということにまで踏み込んで物を考えなければ今の体制を全部維持できるとは私は思っておりませんということを、私なりの常識論で申し上げたことを覚えております。
  207. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 私は、速記録を読んでそういうふうに受け取れる表現になっておりましたので、そう言いました。  その問題はまた後でいろいろお伺いするとしまして、午前の審議で橋本総理は、野村事件とも関連して、検査体制大蔵省から分離して総理府に移すということによって、犯罪を防ぐことはできないが、より発見しやすくなるとお答えになりました。それで考えますが、ということは、これまでの検査監督体制というのは発見しにくい体制だった、こういうことだととる以外にないと私は思います。  大変力のない検査体制だったかどうか、どこに発見しにくい体制だったということの問題があるのか、もう一度お伺いいたします。
  208. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 総理お答えを私もここで聞いていたわけでありますが、総理が総体的に申し上げたことは、実際、問題が錯綜した金融行政の事務全般を検査監督するだけの余力というか能力があるのかどうなのか。恐らく抽出に基づいてやるわけでありますから、彼らが隠そうと思えば、なかなか発見はできないという現実があります。  それから、その前段で、今までよりはよくなるだろうと言ったのは、確かに護送船団方式で、大きいことはいいことというか、指導も監督も全部一緒にやっていれば、その相乗効果がむしろ今まではよくいっていたのかもしれませんが、バブルが崩壊をしてみますと、いろんなそういう欠点が出た。その時代において発見がしやすい環境であったかどうかというものと、今回、金融監督庁をつくって独立機関にして、同じ人間がやるにしても思いを新たにしてやれば、これはそれなりの効果があるという意味総理が申し上げているというふうに理解をいたしました。
  209. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 私ども大蔵省、大銀行との癒着にメスを入れ、そして金融機関公共性を重視して、午前も笠井委員が言いましたように、銀行証券などを監視対象とした独立した金融証券取引監視委員会を創設するということは提案してきていたものでもあります。  しかし、そのためにもこれまでの問題点がどこにあったかということにメスを入れなくちゃいかぬし、衆議院段階の論議を見ますと、これまた梶山官房長官あるいは武藤長官等がかなりはっきりといろんなことをおっしゃっているのを速記録でおうかがいいたしました。  例えば、梶山さんはこうおっしゃっていますね。住専問題に端を発したいわば銀行大蔵の悪く言えばなれ合い、これにメスを入れなきゃならないというのが発端であったと、こういうふうに言って、銀行大蔵のなれ合いということも指摘なさっております。我々は、そのなれ合いをしばしば癒着という言葉で表現しております。  それから武藤総務庁長官も、日本の金融政策を中心とする政策の失敗があった、あるいは若干非常識なことがあったと。つまり、一カ所で二つのことをやっていたのは非常識なことだった、こういうふうなこともおっしゃっているわけです。そういう状態があったと。  これの認識ですけれども、要するにこれまでのはもう改めなければどうにもならない検査体制だった、こういうふうにお考えになっているのかどうなのか。かなりずばずば物をおっしゃっているのを速記録で拝見しましたので、その考え方をもう一度説明してください。
  210. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 私は、一昨年の住専問題の時には、私なりの小論文を書いて、大変銀行批判をいたしております、お読みになったかもしれませんが。むしろ、これに罰則を加えてからでなきゃ手は差し伸べるべきではないという意見すら私は出しております。  ただ、内閣に入りまして、現実を眺めてみれば、農協系その他、その背後にある農民の預金、そういうものをどうしなきゃならないかという問題が現実にあることもまた事実でありました。  ですから、私がなれ合いという、余り言葉を選ぶことのできない私でございますから、率直にその当時思ったことを、最近になって言ったのではもうちょっと言葉を選ばなければならないんですが、考えてみますと、若干の不祥事はありましたけれども金融業界というのは安全なところだ、間違いのないところだという我々一般社会の信用評価があったことは間違いがございません。若干のことはありましても、それは自己責任の範囲内で処理ができた問題であります。  ところが、住専の問題になりますと、公的な資金の導入をしなければこの解決ができなかったという現実を踏まえてみれば、場合によっては、社会の常識で、大きくうねるときはえてして緩みがちになるわけでありますから、バブルが崩壊をしてみていろんなことに気がついたということはあろうかと思います。  ですから、私は今までと同じような過去のような行き方はしないと思いますが、そこにはなれ合い的な感覚がなかったとは申し上げられない。そういう認識のもとに今の金融監督庁設置をして、そういう問題の解決の一助にしたい、このように思います。
  211. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 大蔵省にかかわることをいろいろ論議しましたから、大蔵大臣にもお答え願いたいと思います。  私は大蔵委員会でも言いましたけれども、行革特での論議というのはかなり過去の大蔵省の、これは限定した検査体制についてでありますが、厳しい批判閣僚からも行われているわけです。私は、それぐらいのこれまでの問題についてのきちっとした分析の上に今後の問題にも対処していく必要があると思っております。大臣。
  212. 三塚博

    国務大臣三塚博君) これまでの大蔵省問題点についてお話がございました。  これまでの金融行政について振り返りますと、住専問題に象徴される金融機関、特に不良債権問題が顕在化いたしたことにより、国民各位から厳しい御批判をいただいてまいりましたことは、そのとおりであります。私は、それらの批判は、政策決定過程ルールの適用などに不透明な部分があるということ、さらに、ただいまもたれ合い論争がございましたが、金融機関との間にもたれ合いが見られるということなど、さまざまでございました。  その根底に共通いたしておりますのは、大蔵省金融行政が時代の変化に的確に対応していないという認識であると集約をいたしたところであります。よって、住専問題の反省の中で金融三法、預金者保護、そして同時に金融システムという問題の維持安定ということなどが導入をされたところであります。ここまで参ります中で、金融システム大改革、ビッグバンというのもスタートを切るわけでありました。  今後の金融行政につきましては、そのあり方を抜本的に見直し、論議の中で政府委員から答弁のとおり、早期是正措置の導入など自己責任原則の徹底と市場規律の十分な発揮を基軸とする透明度の高い行政を行っていくことが極めて重要と、こう認識をいたし取り組んでおるところでございます。
  213. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 これまでの検査体制の問題を見ると、その発見がいろいろおくれたとか困難だったという問題と、もう一つ、発見しながらそれが十分に生かされたかどうかということと、二つの問一題があるように私には感じられます。  例えば、日産生命の問題ですけれども、これは平成七年九月の時点で問題ありということを大蔵省は発見していた。これはこれまでの論議でもそう述べられています。しかし、そのことは一般国民には知らされなかった。したがって、その後も契約者は続いて、そして今こういう事態になっている。報道によると、契約者にも負担を求めざるを得ないということが出ているわけですね。古い契約者のみならず、大蔵省が発見してから後の契約者も、大蔵省がわかっていたことを教えてくれておれば契約しなかったのにという気になる問題だと思います。そうすると、発見したのが一体どういうふうな力になるのか、隠されていたのでは国民の側からは意味を持たないということになるわけです。  私は、そういう問題について、事務当局からで結構ですが、大蔵省が発見してから後の契約者は何人おられて、金額は幾らになるかということをお答え願いたい。あと、今言いました、発見してもそのままだったということ、これはどういうふうにお考えになるのか、大臣にお伺いします。
  214. 福田誠

    政府委員(福田誠君) まず、計数的なお尋ねにお答えいたします。  日産生命につきまして、平成七年九月に検査を実施した段階で資産内容の悪化を把握したわけでございますが、同社の平成七年十月以降、平成九年四月二十四日までの約一年半の個人保険と個人年金につきましての新契約件数は二十三万四千件でございまして、契約金額は約一兆二千億円でございます。  ただいま申し上げました契約金額というのは、御案内のように、ちょっと計数的な補足でございますが、それぞれの契約におきまして保険事故が発生した場合の保険会社が負う責任額の合計数値でありますが、日産生命全体の保険契約金額の残高、ストックを申し上げますと、八年度末では約十七兆円でございます。ただいま申し上げた一年半分の約一兆円の契約高は全体の十七分の一、約六%弱のシェアでございます。新規契約の分が全体の中では格別大きなシェアというわけではございません。  当局といたしましては、再三申し上げておりますとおり、実質的な債務超過状態を認識した以降、可能な限り同社の経営改善のための指導を行ってきたところでございます。  いずれにしましても、今回、日産生命が破綻した以上、これを放置することなく、早期に処理することが必要と考えておりまして、御指摘の新契約者も含めまして、可能な限りの保護が図られるように、ただいま処理スキームの策定に当たって最大限の努力を払っているところでございます。
  215. 三塚博

    国務大臣三塚博君) ただいま吉岡議員の、発見した場合の対処ということでございます。  本件、ただいま生保協会会長が保険管理人となりまして処理計画を作成いたしており、契約者保護に最大限の努力をいたしておるところであります。  同時に、そのとき、発見したとき注意したらどうだ、知らしめたらどうだ、こういう御意見でございますが、本件は個々別々の会社の検査という信認上の問題もあります。大事なポイントは、法令違反をしておるということであれば直ちに改善命令になるでしょうしというところの問題があります。  高利子の五・五ということについては、それなりの確信を持ってスタートを切った、しかし事情の変更で非常にそれがハンディということになって今日の事態と、この辺のところがございます。その辺をどう判断するかということであったと思いますし、担当局は、その間ベストな対応をすることによって保険の持つ信認性をキープするということの最大の努力をしたことは間違いございませんので、御理解を賜りたいと思います。
  216. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 梶山官房長官答弁、私がお伺いしたら若干ニュアンスが違うということですけれども、読み返してみますと、もう一つは、大変怖いことでございますが、銀行体質が極めて弱い今日、しかもこのビッグバンと言われる規制緩和、これは好むと否とにかかわらず国際化の大きな波にさらされるわけですから、この事態に金融界がどう対応するか、整理縮小もあるでしょう、こういうふうにお述べになっておるわけですから、いずれにせよ規制緩和、自由化の中での競争激化でいろんな事態が起こることを想定されていると思います。  一つは、銀行金融機関の倒産という問題が想定されます。それと関連して、消費者保護という問題が出るわけです。金融監督庁設置もそういう場合の預金者、保険契約者、有価証券の投資者の保護ということが任務だ、こういうふうに書かれているわけですね。それをやるのにこの金融監督庁が一体本当にどこまで消費者保護をやり切れるかということが問題です。  きょうは第一回目の審議ですから、引き続いてこの問題を解明していくことにならざるを得ないわけですけれども、例えば情報公開一つとってみても、本当にそういう情報は持っていても公開されない、その結果大変な事態になる。じゃ、公開すればそこは一発で取りつけ騒ぎということになるだろうと私は思います。だから、そういう問題にどう対応するかということも含めて、我々は国民が安心できる答えをいただかなければ、この金融監督庁設置だけでどうこうというわけにはいかない問題が残るということで、引き続く質問にということにさせていただき、終わりにいたします。
  217. 田村公平

    ○田村公平君 大蔵大臣にお尋ねします。  金融監督庁ができれば、大蔵省検査監督部門の役人が新しくできる役所にごそっと移るわけでしょう。
  218. 畠中誠二郎

    政府委員畠中誠二郎君) 移るということでございます。
  219. 田村公平

    ○田村公平君 私は、昭和四十六年から田村良平、二十一年ほど衆議院議員をやらせてもらいましたけれども平成二年までおやじの第一秘書をずっとやっておりました。その間に二回ほど落選をいたしましたけれども。  それで、選挙で上がった田舎の市長村長さんを建設省や農林省や運輸省あるいは自治省に御案内して、地方自治法に基づいて要望、陳情に参ります。大蔵省の正面玄関、あそこの動線から行くと歩いていくのにはちょうどいいわけですが、正面玄関から入れてくれないんです。会計検査院、文部省の方から坂道を上がって、こっちの通用口に回れと。そこで何を書かされるかというと、総勢何名で、大蔵大臣や次官、主計局長、主計局次長、それから大蔵省の公共一係、二係だとか、全部書いてカウントされて、それで陳情に行く。  どこの役所も、事務次官でも大臣でも政務次官でも、あるいは局長でも局次長でも、おられたら会ってくれるんですよ。遠路はるばる御苦労さんですねと。私は一度も会ったことないよ、大蔵省の主計局長や主計局次長なんて。絶対会えない。入り口のところに、ノンキャリアといったら失礼だけれども、おばちゃんかおじさんがおって、二重ドアになっていますから、はい、確かにお預かりしましたと。  役所の中の役所、官僚の中の官僚。昔「キング・オブ・キングス」という映画がありましたけれども、この前、私どもの地方行政委員会で、暴対法の一部を改正する法律案でしたが、同僚議員が質問通告をしてあって、暴力団等が銀行を使ったいわゆるマネーロンダリング、これについて摘発件数を質問しておりました。四十四件という答えがあって、その金額が出てこない。  何でも隠す大蔵省。庶民の心を全然わかっていない。だから、悪意とかなんとかいうのは、変なやっとちょっとつき合って、二回目か三回目か知らぬけれども、結婚の祝いに絵をもらったなんて、私なんか、今までこれだけ秘書もやってしんどい思いをしてきて、金なんかだれもくれないですよ。いまだに、だから普通預金は第一勧銀、けさ言ったとおりやめましたけれども、いわゆる管理するだけの口座しか持っていないんです。定期預金もありません。それは大蔵省がすぐ調べたらわかる。  大蔵省はどういうことを言うかというと、役所を全部握っている、他の官僚をと。それは国税庁があるからですよ。ちらちらとおどかすんです。そういう体質の中で、実際は癒着しておるんじゃないですか。  私の田舎の銀行の四国銀行。第一次グラマン・ロッキード事件のときの大蔵省主計官吉村真一、証人喚問第一号でありました。それはどこへ行ったか。四国銀行にない制度をつくって副頭取になり、前頭取が死んだ直後に頭取になる。ほとんど地方銀行に至るまで牛耳っておるのが現実じゃないですか。  そういうところで、総理が目指すところの六つの改革の中で、ボーダーレスの時代になり、いわゆるビッグバンをやろうとしても、規制緩和はこれから先の流れでしょう、しかし不正や不公平が起こらないようにするためには検査監督機能も非常に重要だと思います。  そういう意味で、総理が六年前に大蔵大臣のときにどんなつらい思いをしたか。私はある意味で、弟さんの知事選挙があって、その参謀をやっていました。目の当たりにしております。その思いが、恐らく不十分な点は多々あるかもしれませんが、この法改正、しかも行革の中で一見相矛盾したような新しい役所の設置につながったというふうに、私なりに浅学非才の身でありますが理解をしておるつもりです。  しかし、その政治の思いの中で、どうも大蔵省答弁を聞いておると、何か木で鼻をくくったような、どうしてそういうことになるか。簡単なことですよ。二十七、八、九で外国留学組と小僧みたいなやつが、百人程度の世間も知らないやつが、自分の父親のような人間を運転手にし、公用車に乗り、大きな机の署長室に座り、そして上座に据えられて、税務署長税務署長と言われて、ノンキャリアのたたき上げのまさに父親と同じような年代の人がサポートし、世間を全然知らずに、ましてや選挙で選ばれた首長さんが必死の思いで陳情に行っているのを会いもしない。会うのは、僕たちの目に見えるのは、いわゆるノンキャリの方々です。地方で採用されて、ちょっとできがいいから、本省においでと。  そういうことを考えたときに、私は今、午前の質疑の中で人間の問題ということを申し上げ、大蔵大臣、ちょっと覚悟しておいてくださいよと言ったのは、政治家もなめられているんです。はっきり言いまして、大蔵官僚が一番たかりがひどい。  僕らの田舎の言葉だと、ほいと酒というんですよ。ほいとというのはこじきというか盗人、盗人じゃないけれども、ほいと酒。酒はやっぱり僕らも飲みます、土佐の国ですから。しかし、一次会をおごってもらったら、二次会はおれが出すとか、親しき仲にも礼儀ありですよ。いかがわしい人には、選挙をやる身ですから、選挙の一票が欲しいから、いかがわしいなと思っても、ちょっと行きそうになるのもやっぱりぐっとこらえて、それよりもっと高い誇りを要求されるのが公僕、つまりパブリックサーバント。高い使命感と高い倫理観がないといけません。その欠如がいまだにあるんじゃないですか。さっきなんか、官房長の話を聞いておったら、何か泥棒が泥棒の話をしておるみたいで、よくもいけしゃあしゃあと綱紀の粛正を言ったなという思いがします。  私は口が悪いものですから、そういう思いの中で、大臣、ずばり言いまして、大臣も早稲田の先輩後輩というんではありませんが、割かし向こう意気の強い方でありますので、この新しい金融監督庁ができていく過程の中で、もう既に準備室までできていますから、法案が通るという前提のもとでかなりのことをやっておられると思います。  そういう中で、人員の配置、いわゆるこの前の本会議答弁では、ノーリターンという質問に対しては、ノーリターンもあり得るようなちょっと濁した話でありましたが、国民は実は大蔵省というのを信用していないんです。不信感を持っているんです。特殊な存在だと思っています。ということは、新しくできる役所が本当に、検非違使とは言わぬですけれども、かなり信頼できる組織にならないとその信にたえ得る政府が構築できない、私はそれだけの危機感を持っております。  大臣、感想というよりも御決意と申しましょうか、御答弁をお願いしたいと思います。
  220. 三塚博

    国務大臣三塚博君) この機関は、新しい日本の行政機構のスタートと言ってもいいんだろうと思うんです。大蔵バッシングという流れの中で、住専問題、不良債権等々、責任役所でありますから、当然それは受けて立つわけです。  そういう中で、しかしこのままにして再び同じことを繰り返したのではまさに日本経済、金融界はアウトでありますから、これに完全な歯どめをかけなければならない。こういうことで、三党の一年にわたる厳しい報告を受けて、それをやり遂げるということの時点で大蔵大臣を拝命いたしたわけでございます。  この機関は、梶山長官がいつも言うとおり、長官の大事によって決まる、私もそう思っております。橋本首相がそうであります。橋本首相の決するところでありますが、その長官に人事権が集約をいたします。このことに私どもがとやかく言うつもりは全くありません。  しかし、先ほど前段の論議で詰められましたように、高い見識と高い専門知識、勘のよさ、頑張りや、また全体をよく知っているということでありますと、一朝にして専門官は育ちません。よって今、大蔵金融検査部であり財務局の検査担当職員をしてこれをやらしめる以外に実は効果がないことは間違いありません。よって、そのことをやりながら、しかし同時にスタートを切りましたら新しい職員を採用していかなければならぬと思うんです。そして、訓練に訓練を重ねてエキスパートにそれをしていく。当然そういう意味で動きがない専門官としていくというのであれば、公務員の給与面の問題にも考慮の余地が払われなければなりませんでしょうし、ノーリターンという一律の言葉でこれが決せられることなのかなと。ここは人事ですから、今はここでとどめておきます。  以上、この新機関が我が国金融システムの安定と、再び事件が起きない歯どめになってほしい、そういう強い念願を持ち、国会論議を踏まえて、その論議は長官が総現代理として、主管大臣代理としてずっと聞いておられるわけでありますから、必ずそのことが達成されると思っております。  それから最後に、大蔵官僚への厳しい批判がありましたが、それはそれとしてよく心得て進み、昨今の大蔵省公務員、公僕として徹底をしておるということを御理解ください。
  221. 田村公平

    ○田村公平君 正面玄関から陳情、これはいかがわしい人じゃないですから、そういう方が通れるようにしてあげてください。お願いします。  終わります。
  222. 奥村展三

    ○奥村展三君 市場にふさわしい透明な金融行政というのは基本だと思います。そうした上で、今回、そのように転換していこうということで金融監督庁設置される、私は大変重要であると思っております。特に、二〇〇一年、日本版のビッグバンに向けて、自由化時代に向けて、透明度の高い金融行政の確立を求められているところであるわけであります。従来、行政指導を中心とした中で事前の調整型でやってこられました。今後は、厳格なルールに基づいて事前事後のチェックをしていくという基本理念に立ってしっかりと進めていただかなければならないと思うわけであります。  先ほど来ずっと話が出ておりますように、利用者が安心にして安定した金融機関であってほしい。特に、今日、金融関係の不祥事といいますか、あらゆることに問題が出ておるわけでありますが、そうしたときに、確かに行政改革から見ますとリストラするのが当然かもわかりません。しかし、改革の中に、幅を広げて拡大して、そして内容を充実し検査監督をしていくというような機能も、私はある意味では行政改革であるというように理解をしているわけです。  先ほどもお話がありましたように、官房金融検査部では約百五十名、九七年度の定員を見てみますと全部で五百七十六名ということになっておるんですが、アメリカで見ますと六千四百人ということでございます。九一年の連邦預金保険公社改革法の制定等によりまして、二千人以上増員をされたということも仄聞をいたしておるところでございます。銀行の数そのものも、日本は約千三百近い金融機関でありますけれども、アメリカは、これは九四年でございますが、政府機関等々を入れますと約一万一千百と言われておる。  その数からいきましても相当開きがあることはわかるんですけれども、私はやはり検査監督をしっかりとしていく、チェックをしていく、そういう機能になっていくならば、ある程度の規模、人員確保というものは必要ではないかなというように思うわけであります。  この人員等の確保、規模についてどのようにお考えか、お伺いをいたしたいと思います。
  223. 畠中誠二郎

    政府委員畠中誠二郎君) お答えいたします。  金融監督庁につきましては、御指摘のように、検査機能が適切に発揮できるものとするとの要請にこたえるとともに、信用不安の回避など危機管理について万全の体制をしがなければならないというふうに考えておりまして、このような点について配慮していく必要があろうというふうに考えております。  ただ、定員の具体的な数等の詳細につきましては、平成十年度の予算編成過程において十分詰めていくべきものというふうに考えております。
  224. 奥村展三

    ○奥村展三君 いろいろ関連する中で、増員とかあるいはまた確保していくということは難しいかもわかりませんが、ぜひこの金融監督庁をつくる上で、そういう内容の充実した組織としてスタートしていただくことを希望しておきたいと思います。  なお、財政部門金融部門の一体性ということから、この経済運営の失敗、あるいはまた安易な国債発行による財政破綻、人事交流に名をかりた他省庁の支配等々がありまして、このバブルの十年間、ある意味では私は大きな行政責任があったのではないかなというように思います。  そうしたこともあって大蔵改革、そして今回の金融監督庁設置ということになったわけでありますが、ずっといろいろこの法案の内容を見せていただきましても、長官そのものの立場よりも、総理大蔵大臣と事前協議をしなければならないとか、あるいはまた預金保険機構の監督についても大蔵省権限を大きく認めておるとか、今申し上げた事前協議等についても大変な義務づけ等があって、何か骨抜きになってしまっているような感もなきにしもあらずだというように思っております。  そうしたことを考えますと、やはり大蔵省から分離をして、金融監督庁としての独立機関としての権限、そしてその機能というものが本当に大事ではないかなというように思います。金融監督庁大蔵省の出先機関になってはいけないと私は思います。  ですから、ずっと法案をいろいろ見させていただく中で、どうも金融行政等で大蔵支配が非常に強く感じられるわけでありますが、私一人がそのように考えておるのかどうか、御所見があればお伺いをいたしたいと思います。
  225. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 総理大臣には二面性がございます。一つ総理府の長としての総理大臣と、それから内閣全般を主宰する内閣総理大臣、この二つの面があることをまず御承知おきを願いたいと思います。  ですから、総理府の長である総理大臣は各省庁と随分連絡、協調をいたしております。しかし、総理府の長である総理大臣がこの金融監督庁長官に仕事を委任し、その長官大蔵大臣と話し合いをする。しかし、背後には内閣の長である内閣総理大臣がいるわけですから、いわば力関係からいうと、内閣総理大臣の方がはるかに大蔵大臣よりは強いという理論になることも御承知おきを願いたいと思います。
  226. 奥村展三

    ○奥村展三君 それはもう一国の長でありますから、何もかもの御権限もあるし当然だと思うんですけれども、ただ、官房長官も今おっしゃいましたが、確かにそのことはよくわかるんですが、決して大蔵省を否定したり大蔵大臣をあれするつもりはないんですけれども、事前に全部総理大蔵大臣と協議をしてという文言がありますね。そうすると、何か金融監督庁というのは一体これは何だろうなというような、私自身はそのように感じたものですからそういうことを提起させていただいたわけでありますが、大蔵大臣一どのようにお思いでございましょうか。
  227. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 大事なポイントであります。官房長官が言われましたとおり、内閣総理大臣が主管大臣とならざるを得ない社会的、政治的背景というものを深刻にお考えをいただくというのが第一点じゃないでしょうか。それだけ重要な任務を帯びておる。同時に、大蔵バッシングという中で、みずからがこれ以上繁忙になることは大変なことだと思うのをあえて引き受けるというところに政治家として、また総理大臣としての責任感があらわれておるなと思います。私はその責任感に深い感動を覚える一人です。  大蔵省の諸君も、橋本さん、大蔵大臣で苦悩して頑張り抜いて一つ方向を決めたわけでございますから、ほとんど尊敬する官僚の諸君であります。いささかも主管大臣である総理大臣がハンディになるようなこと、また国会から批判を受けるようなことを私を中心にして毫末もございません。立派な役所として仕上げてまいりたいということでありますから、御指名がなければ答弁を申し上げないでおりますのもそういうことであり、主管大臣代理梶山長官であります。  もう一点、何で協議するんだろうかと。  これは、ほとんどは任命権者である総理大臣が長官に委任をされると思うのであります。しかし、総理大臣ということで協議をするという最大のポイントは、私なりに全体を展望して判断をいたしますと、国際金融危機であります。それと国際経済、マクロ経済の伸展であります。それともう一つは、国内金融機関の取りつけ騒ぎを起こさない。  しかし、内容が悪ければ営業停止になるわけですが、業務停止になりましても、御案内のとおり、いつも問題になります阪和銀行の場合でも、これは引き受けていただく銀行がありますとつぶれませんで、スタートを切ることができました。いろいろなところで協議をさせていただきましたが、ついにアウトでございました。雇用問題に今全力を尽くしておるところでございます。  そういう基本的な預金者保護と国内金融システムの維持安定というポイントがある。これはまさに総理は私の上席でありますから、国務大臣としてそれぞれのポジションは憲法上キープされておりますが、政党内閣というものは首班を中心として行うということでありますので、代がわりになりましても創立者の基本は、この論議は残るわけでありますから、この論議を大事にしながら次の大臣、次の検査監督庁という新しい新庁、そして金融局に残ります企画立案は立案としていくだろうと思っております。
  228. 奥村展三

    ○奥村展三君 ありがとうございました。  安心にして安定のある金融システムのもとに今後も推し進めていただくことを希望して、質問を終わります。
  229. 山口哲夫

    山口哲夫君 平成八年三月四日に、自民党と社民党、さきがけの住専問題に関する合意事項というのがございます。  これは簡単に申しますと、民間金融機関が今後七年間で一・五兆円規模の経営の合理化、効率化を行って、五千億円程度の税収増をもって国への新たなる寄与を行う、そして農協系統は今後七年間で少なくとも六ないし七千億円程度の規模の経営の合理化、効率化を行い、千八百億円程度の国への新たなる寄与を行う。  こういう内容ですけれども、これは今も生きておりますか。
  230. 山口公生

    政府委員山口公生君) 民間金融機関におきましては、経営組織全体を通じた最大限の合理化努力に鋭意努めているところでございますけれども、各金融機関は与党三党合意の趣旨を重く受けとめ、経営の合理化、効率化の実施状況を公表するものと考えられ、当局としても、公表された実施状況を速やかに取りまとめまして、これを国会に御報告申し上げたいと考えております。
  231. 熊澤英昭

    政府委員(熊澤英昭君) 農協系統について御質問がございましたので、その点についてお答え申し上げます。  農協系統の事業、組織につきましても、その再編整備を進める、さらに業務運営体制整備、内部留保の充実等を早急に図るべきであるとの御指摘がございました。  農協系統におきましても、こうした状況を重く受けとめておりまして、全国農協中央会を中心といたしまして、昨年七月に改革のための取り組みの方針を決定いたしました。本年度から着手しまして、現在積極的に取り組んでいるところでございます。これは、農協の広域合併の推進とか、県連と全国連の統合の推進あるいは人員の削減、そういった内容を持っているものでございます。  こうした農協系統の合理化、効率化め実施状況につきましては、系統組織からの報告を受けまして国会に報告申し上げたいと考えております。
  232. 山口哲夫

    山口哲夫君 ということは、今もこの三党合意は生きているというふうに解釈してよろしいですね。銀行局長から、そこだけ。
  233. 山口公生

    政府委員山口公生君) 各金融機関は、この三党合意を重く受けとめておられるということでございます。  なお、つけ加えさせていただきますと、その後、住専問題における新たな寄与につきましては、国会における御論議を踏まえまして、系統を含む関係金融機関等によって新たに社団法人新金融安定化基金が設立されまして、その社団の基金を設けて、住専処理に伴う六千八百億円の財政負担を結果として可能な限り軽減するという、金融システム安定に寄与する仕組みがつけ加えられております。  しかし、金融機関としても、その三党合意の趣旨は十分に重く受けとめておるということを御報告いたします。
  234. 山口哲夫

    山口哲夫君 生きているか生きていないかだけ。
  235. 山口公生

    政府委員山口公生君) 生きていると思います。
  236. 山口哲夫

    山口哲夫君 そうしますと、新しい金融監督庁設置された場合には、担当はそこに移るということになりますか。
  237. 白須光美

    政府委員(白須光美君) お答え申し上げます。  住宅金融債権管理機構また新金融安定化基金、これらにつきましては、金融監督庁の方に所掌が移るということはないというふうに理解をいたしております。
  238. 山口哲夫

    山口哲夫君 今、この三党合意の実施事項については銀行局が扱っているんですね、大蔵省の中では。  そうしますと、この銀行局の監督関係の業務というのが金融庁に今度はかわるのであれば、当然金融庁が担当することになるのではないでしょうか。
  239. 山口公生

    政府委員山口公生君) 住宅金融債権管理機構関係及び整理回収銀行関係大蔵省の所管になります。
  240. 山口哲夫

    山口哲夫君 どうしてですか。
  241. 白須光美

    政府委員(白須光美君) お答え申し上げます。  住宅金融債権管理機構関係につきましては、これは預金保険機構の出資を受けまして設立されまして、旧住専七社から資産を譲り受けるというようなことをいたしているわけでございまして、その業務につきましては、契約に基づきまして預金保険機構が必要な指導、助言を行うということになっているところでございます。  預金保険機構のこういう特例業務的な出資ということにつきましては、個別の金融機関に対する検査監督ということではない、むしろファンダメンタルといたしましての金融システムの安定にかかわる部分ということでございますので、大蔵省の方に当該認可につきましての権限が残るというごとでございます。  したがいまして、住宅金融債権管理機構関係につきまして指導を行うというようなことにつきましても、これは基本的に大蔵省に相残る。ただ、住宅金融債権管理機構が業務を行っていくに当たりまして、いわばこれの政府内での援助機関と申しますか、いわゆる協議会というのはつくっております。これにつきましては、金融監督庁の方からもこれに参加いたしまして、機構の運営につきまして御支援、御協力を申し上げるということに相なろうかと存じます。
  242. 山口哲夫

    山口哲夫君 大変疑問がありますので、いずれの機会にもう一度やらせていただきます。  そこでお尋ねしたいのは、この三党合意の二つの問題については、七年間で一・五兆円を合理化していくというわけですね。そうしますと、そこで五千億円ですから、単純計算いたしますと年平均約二千億で七百億、大体その程度の税収増を図るということですね、銀行関係は。  民間金融機関が七年間で一兆五千億を動かすわけですから七百億になるわけですけれども、この七百億というのは、ちょうど一年間を経過したので、大体三月の決算期も終わっておりますのでどういう状況になっているのか銀行局の方で把握していると思うんですけれども、その実施については毎年報告を国会にしなさいというふうに三党合意で書いてありますので、報告していただきたいと思うんです。
  243. 山口公生

    政府委員山口公生君) 先ほど少しお話し申し上げましたが、既に一部の金融機関においては公表を行っているところでございますが、今後残りの金融機関の公表が行われ次第、この合意に沿いまして大蔵省を通じて国会に御報告申し上げたいというふうに思います。
  244. 山口哲夫

    山口哲夫君 農協系統についてはいかがでしょうか。
  245. 熊澤英昭

    政府委員(熊澤英昭君) 農協系統組織につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、昨年の七月に全国農協中央会が中心となりまして経営改善五カ年計画を策定いたしまして、本年度から本格的な改革に向けて鋭意取り組んでいるという状況でございます。まだ具体的な成果が出るというところまで行っておりませんけれども現実に組合の合併の促進、さらに県連と全国団体の合併では既に数組合が実現に向けての具体的な手続に入っている。  それから、先ほど人員の削減というのを申し上げましたけれども、現在農協系統の職員は三十五万人ございますが、五年間をかけて五万人程度を削減する方向で努力をしたいということで着手をした状況でございます。まだ具体的な成果がまとまる状況に至っておりませんが、まとまったところで報告を受け、御報告申し上げたいというふうに考えております。
  246. 山口哲夫

    山口哲夫君 私は、この計画というのは当然の問題だと思うんです。例えば七年で一兆五千億規模の合理化を民間金融機関がやりましょうという三党合意、そこで七百億の税収増を一年間で図りましょうと。これは今どこの企業だって合理化、効率化をみんながしているわけです。ですから、金融機関も当然やらなければならない仕事なのに、住専の六千八百五十億を埋めるために何かいかにも特別のことをやっているんですというようなこの合意事項というのは、これは国民の立場から見るとちょっと理解できない、当たり前のことをただ書いているだけにすぎないじゃないか、私はそういうふうに思うんです。  そこで、さっき新金融安定化基金という問題が出てきました。私の心配しているのは、そちらの方が今度出てきたんだから六千八百五十億はそこだけで賄えるのであって、今のこの三党合意事項というのはこれにかわっていくという心配を実は私は持っているわけです。幸い、生きておりますと言っておりましたので、安心いたしました。ぜひ、それはそれとしてきちっとやはりこれからもやらせるべきだということを強く要求をしておきたいと思います。  時間になりましたので、一つだけ聞きます。  住専の第一次ロスの問題、第一次処理の問題ですけれども、一・七兆円を一般行が放棄いたしました。これが一・七九に九百億上がったという理由についてお聞かせをいただきたいと思います。
  247. 山口公生

    政府委員山口公生君) 簡単に御説明申し上げます。  個別の貸付債権等の価格の確定作業を行いまして、そこで約九百億円程度の差が生じました。これは、関係者間での協定によりまして、一般行の放棄額の増加によって処理するということになっておりましたので、そのとおりにさせていただきました。
  248. 山口哲夫

    山口哲夫君 終わります。
  249. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十一分散会