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1997-04-10 第140回国会 参議院 厚生委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月十日(木曜日)    午前十時二分開会     —————————————    委員異動  四月八日     辞任         補欠選任      中原  爽君     大島 慶久君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         上山 和人君     理 事                 尾辻 秀久君                 南野知惠子君                 木暮 山人君                 清水 澄子君     委 員                 大島 慶久君                 大野つや子君                 塩崎 恭久君                 田浦  直君                 中島 眞人君                 長峯  基君                 宮崎 秀樹君                 水島  裕君                 山本  保君                 和田 洋子君                 渡辺 孝男君                 竹村 泰子君                 西山登紀子君                 釘宮  磐君    国務大臣        厚 生 大 臣  小泉純一郎君    政府委員        厚生省生活衛生、        局長       小野 昭雄君        厚生省児童家庭        局長       横田 吉男君    事務局側        常任委員会専門        員        大貫 延朗君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○児童福祉法等の一部を改正する法律案内閣提  出) ○廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出)     —————————————
  2. 上山和人

    委員長上山和人君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る八日、中原爽君委員を辞任され、その補欠として大島慶久君が選任されました。
  3. 上山和人

    委員長上山和人君) 児童福祉法等の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 まず、理念規定について尋ねます。  今回の改正案では幾つかの点で児童権利条約趣旨具体化させるための施策が盛り込まれていると考えます。例えば、児童相談所処遇を決定するときに子供の意向を聞くことにしたことなどであります。こうした点については、一昨日の参考人質疑でもおおむね評価されていると感じましたし、自民党としても評価をいたしております。しかしながら、参考人の御意見の中にも児童権利条約を踏まえて現行法理念改正をすべきではないかという主張もありました。  児童権利条約を批准した際に理念規定についてどのような整備を行ったのか、また今回の改正では理念規定改正についてどのように考えたのか、厚生省に改めて尋ねます。
  5. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 現行児童福祉法におきましては、児童福祉法理念として、児童心身ともに健やかに育成されるべきこと、児童生活を保障され、愛護されるべきことというふうに規定されておりまして、平成六年に児童権利条約が批准された際におきまして種々政府部内で検討したわけでございますが、同条約趣旨はこの中に確保されているという整理がされたところでございます。  今回の改正に当たりまして、この児童権利条約趣旨具体化するために、先生指摘のような個別のところにおきまして具体化を図ったところでございます。  理念につきましては、例えば児童の最善の利益という考え方につきましても、児童権利条約上の唯一至上原理ということではなくて、主たる考慮要素であるというふうにされております。  例えば、これだけを取り出して書けば児童権利条約理念を体現したことになるのかどうかというような議論がございました。また、この児童福祉法上の基本理念は、単に児童福祉法基本原理というだけでなくて、児童に関連するさまざまな法令の指導原理ともなっているということで、理念を変えるにつきましては、さまざまな法律との関係整合性が維持されているかどうかというような点につきましても十分検討する必要があるというようなことで、今回の理念規定の中に盛り込むことはなかったということでございます。
  6. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 次に、児童虐待の問題について尋ねます。  このことについては深刻な問題であり、さらなる法的対応検討すべきであるという意見がございました。中央児童福祉審議会中間報告でも「法制度及び運用の在り方を含め総合的な検討を進めていくことが必要である。」とされておりますけれども、今回虐待について基本的にどのように考え対応することにしたのか、また今後厚生省としては児童虐待の問題にどのように対応していくおつもりなのか、お尋ねをいたします。
  7. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 家庭における虐待につきましては、何よりもその早期発見早期対策というのが重要ではないかということでございまして、今回の改正におきましても、地域における相談のネットワークというのを図ってまいりたいということで、一つ保育所を初め各種児童福祉施設におきまして在宅児童なりその家族からの相談に応じられるようにするということに決めたところでございます。  それからもう一つは、地域における相談機能をさらに強化するために、児童相談所のほかに児童家庭支援センターを設けまして連絡調整を行うというようなことによる対応を図ったところでございます。  虐待自体の問題につきましては、親権制限をさらに行いやすくすべきではないかといったような議論もございますし、また、児童福祉法三十四条に禁止規定がいろいろございますが、児童虐待を追加すべきであるといったような議論、あるいは医師や児童福祉関係者からの虐待に関する通告義務を強化すべきではないかといったような議論がございます。これらにつきましては、既に刑法あるいは児童福祉法におきましても通告義務というのがございますし、親権分離に係る規定整備されているところでございます。私どもといたしましては、こういった現行規定をより迅速かつ適切に運用することによりまして対応してまいりたいというふうに考えております。  今後の法整備をどうするかという点につきましては、刑法との関係あるいは虐待の定義、さまざまな問題につきましていろいろな問題がございますので、関係省庁とも連絡を図りながら慎重に検討してまいりたいというふうに考えております。
  8. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 今の御答弁の中でも家庭内虐待のことをちょっとお触れになりました。虐待の問題の中で、皆さんの御意見を聞きながら、この家庭内虐待の問題というのは大変難しいなと思いながらお聞きをいたしておりました。家庭子育て機能の低下が指摘されている中で虐待の範囲、これを不明確にしたまま禁止したり罰則を決めたりするというのはどうであろうかという御意見もございました。  私も、子供のころは言うところの大変な悪餓鬼でありましたから、家でも学校でも随分殴られたものであります。学校では学級委員という役もあれば、きっと殴られ役という役もあるんだなと思いながら過ごしておりました。そんな話は話でありまして、だけれども今思うと、あれだけ殴ってもらったから余り、まさに余りでありますが、そう悪いこともせずに今日まで来れたかなと思ったりもします。余計なことを言ってますが、要するにしつけと虐待の区分というのは大変難しいなと思いながら皆さんの御意見をお聞きしていたということでございます。  そうした中で、子供のために親が一生懸命頑張っているというのは、これはもう紛れもない事実でありますし、そうした親が萎縮しないような配慮も必要でありますけれども、一方、明らかに虐待があれば、今お話しの中にも少しございましたように、地域においてこれを早期に発見して、児童保護家庭環境調整を図って親子が仲よく暮らせるように社会全体で支援していくことは必要だ、これはもう確かでありますからちょっと一言だけ言わせていただいたところであります。質問ではありません。  ところで、虐待の問題についてはもう一点、施設内における体罰の問題がこれまで委員会審議、また参考人の御意見の中でもいろいろ指摘されました。こうしたことは、一言で言えば絶対にあってはならないことであります。施設方々の多くは児童のために、児童自立のために一生懸命頑張っておられるわけでありますけれども、どうしても施設内体罰の報道を耳にすることもまた事実であります。そして、施設内というのは密室でありますから、ここで虐待が行われれば容易にはわかりません。  今回の改正施設入所措置を行う場合や措置解除を行う場合には都道府県児童福祉審議会チェック機能が働くことになりましたけれども施設内において子供虐待が生じないようにすることは大変重要なことでありますから、厚生省施設内における虐待防止に対してどのように考えておるのか、お尋ねをいたします。
  9. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 児童権利を擁護すべき職員児童体罰を加えるというようなことは絶対にあってはならないことだというふうに考えております。  現行法上、この施設内における処遇につきましては、まず第一には児童相談所チェック機能を持つということでございまして、現在でも年二回程度は報告徴収という形で行うことにしておりますし、必要に応じて児童なり保護者に関する調査を行うというふうにされているところでございます。私どもといたしましても、児童保護・養育につきまして福祉施設の長等に対しまして趣旨を指示してきているところでございます。  今回の法改正におきましても、先生指摘ございましたように、処遇が適切に行われるように児童相談所における措置等を行うに当たりましても児童福祉審議会意見も聞いて行うというようなことにしたところでございますし、また実際上、各施設におきましては権利擁護の観点から、入所児童権利ノートあるいは施設生活の手引というような形で小冊子を配布いたしまして、体罰があったような場合におきましては児童相談所等連絡するようにというようなことを行っているところもございます。私ども、こうした例も参考にしながら、各都道府県に指導してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  10. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 次に、要保護児童施設に関して質問をしていきたいと思います。  今回、不登校児については児童自立支援施設入所対象になるかどうかについて、子供たちや親御さんなどさまざまな方面から心配の声が寄せられました。このことについて大臣は不登校であることを理由入所対象となるものではないと極めて明確にこの委員会でも答えておられるのでありますけれども、どうもまだ心配の声が絶えません。  そこで、厚生大臣に、本当に改めてでありますけれどももう一度、不登校児児童自立支援施設入所対象にならないことをお答えいただきたいと思います。そして、その旨を地方公共団体児童相談所教護院等に早急に周知徹底していただくことが必要だと思いますので、そのこともあわせてお願いをしてお尋ねをいたします。
  11. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 先日の本委員会でも申し述べましたように、不登校児であるという理由によって入所対象になるものでないということをはっきり申し上げました。きょうの委員会でも再度明確にしておきますが、この趣旨を踏まえて地方公共団体等関係者にあらゆる機会を通じてその趣旨を周知徹底していきたいと思います。
  12. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 この件につきましてはよろしくお願いを申し上げておきます。  教護院については、今回の改正で新たに通所機能を取り入れ、さらに児童の退所後のフォローアップを強化するなど、これまでの閉鎖的な施設から開放的施設に衣がえを図る意図が見えております。ただ、仏をつくっても魂を入れなきゃなりませんから、施設が本当に地域に開かれた施設になるために地域ボランティアを受け入れるなど地域との交流を積極的に進め、地域から信頼される施設となることが重要だと思いますけれども、これについての御意見をお聞かせください。
  13. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 教護院につきましては、先生指摘のとおり、これまでは閉鎖的な施設というイメージが強かったわけでありまずけれども、今回の改正におきましてはできるだけオープンなものにしていくということで、入所施設としての機能に加えまして通所機能、あるいは退所後のアフターケア等も含め自立支援を図っていく施設に変えるということにしたところでございます。  また、児童福祉施設設置者は、児童及び家庭からの相談に応ずるというようなことで、地域実情に応じた積極的な支援を行うように努めなければならない旨も規定いたしております。  私ども、御指摘ございましたように、施設が日ごろから地域十分交流を図りながら信頼されていく施設になっていくことが大事だと考えておりまして、御指摘も踏まえまして、地域ボランティアとの交流、あるいは住民の方々との交流、そういった意味での開かれた施設になるように努力してまいりたいというふうに考えております。
  14. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 先日、私ども委員会東京都の教護院を視察いたしました。その後、多くの方が児童居室が非常に狭いということを指摘されました。私も全くそのとおりに感じました。また、養護施設についても同じ問題があるというふうに聞きます。  厚生省教護院養護施設居室などの補助基準最低基準改善を図るべきではないかと思うのでありますが、このことについてお尋ねをいたします。
  15. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 教護院養護施設最低基準におきましては、居室面積は現在入所児童一人当たり二・四七平米となっております。また、施設整備を行う場合の補助基準でございますが、現在、教護院の場合には居室部門管理部門共用部門等を含みまして入所児童一人につき三十六・八平米、養護施設につきましては二十三・五平米というようなことで、これにつきましては逐次改善を図ってきているというようなところでございます。  今後、最低基準あり方につきましては、児童福祉審議会意見等も聞きながら十年度予算編成に向けて検討をしてまいりたいというふうに考えております。
  16. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 母子寮乳児院情緒障害児短期治療施設などについては、今回年齢要件見直し年齢延長が行われています。  この年齢要件見直し施設ごとにさまざまな理由があると思いますから、見直しの内容及び基本的な考え方について、この際明らかにしておいてください。
  17. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 母子寮につきましては、現在、児童が十八歳未満の場合しか入所できないということになっておりまして、例えば児童が高校に進学している場合でも十八歳に達しますと退所しなくてはならない、あるいは、母子が三人で入所されているというような場合に、一番上の長子が十八歳になりますと長子自身が退寮するか偉子が退寮しなくてはいけないというようなことで非常に困ったケースが生じていたわけであります。今回の改正によりまして福祉事務所長の判断によって児童が二十歳になるまでは在所期間を延長することができるようにしたということでございまして、関係者からもこの点につきましては大変喜ばれているところでございます。  それから、乳児院でございますが、現在の規定では原則として満一歳に満たない乳児ということでございまして、必要があれば満二歳まで継続できるとされております。今回の改正におきましては、対象児童年齢について、疾病や障害があって引き続き乳児院処遇することが適当だと判断される場合、あるいは兄弟が入所しているというようなことで、いろんなそういった保健上その他の理由によりまして特に必要のあるという場合にはおおむね二歳未満までの児童を入所できるようにしたということでございます。  情緒障害児短期治療施設につきましては、現行制度ではおおむね十二歳未満ということになっておりますが、実際の入所状況を見ますと十二歳以上の方もかなり入っているというようなことがございまして、今回の改正におきましては、こういった実態も踏まえまして、年齢制限を撤廃して十二歳以上の情緒障害を有する児童対象となるようにしたところでございます。
  18. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 今回の施設機能見直しのキーワードは自立支援でありますけれども、このためには退所した後に戻る家庭環境調整が極めて重要であります。これまでは入所児童保護を中心として考えたために必ずしも家庭環境調整は十分に図られていなかったと思います。  今後、法改正を踏まえ、施設における家庭環境調整機能をより強化すべきだと考えますけれども、いかがでありましょうか。
  19. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 児童福祉施設におきましては、単に児童保護するだけでなくて、社会的自立に向けてきめ細かな支援が必要だと考えておりまして、その中でも特に、先生指摘のございましたように、最近の児童をめぐる環境を見ますと家庭自体の方にもかなり問題があるというようなケースが多いわけでありまして、家庭環境調整というのは大変重要ではないかと考えているところでございます。  そうした意味で、今回の改正におきましても、教護院あるいは養護施設自立支援ということを一つの明確な理念といたしまして、その中に当然重要な要素として家庭環境調整というのも加えてまいりたいと考えております。
  20. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 こうした要保護児童施設あり方として、今後のあり方としてでありますけれども施設福祉在宅福祉を二者択一的なものとしてとらえるのではなくて、施設入所している場合も家庭との連絡調整を密にするとともに、今のお話のとおりでありますが、施設を退所した後も必要に応じてアフターケアを行うことが必要だと考えます。  こうした中で、近年新たな形態として登場しているいわゆる児童支援ホームはこれまでの施設福祉在宅福祉という枠組みでとらえられない新たな形の事業でありまして、私は大変注目すべき事業であると考えております。  今回、この自支援ホーム事業児童自立生活援助事業として法制化されて、これは関係者も非常に喜んでおられると聞いておるのでありますけれども、この事業の現状と法制化のねらいをこの際お尋ねしておきます。
  21. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) お尋ね児童自立生活援助事業でございますけれども義務教育を終了した者がいまだ社会的自立が十分できていないというような場合におきまして、いわゆる在宅施設の中間的な施設というような考え方で、職員が自支援ホーム児童生活をともにしながら就職先の開拓、あるいは仕事なり生活上のさまざまな相談に乗るというようなことで自立支援する事業であるわけでありますが、これにつきましては六十三年度から国庫補助をやってきておりまして、現在十五カ所が既に行われております。今年度では二十カ所になる予定でございます。  私ども、こうした事業法制化することによりまして、事業サービスの質の確保を図るとともに、税制等優遇措置を受けられるようにするということで、この事業の一層の普及促進を図ってまいりたいというふうに考えたところでございます。
  22. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 次に、保育所施策について何点かお尋ねをいたします。  今回の改正のポイントの一つ現行市町村行政処分による措置制度から保護者が選択できる制度とすることにあります。このことについては、一昨日の参考人質疑においても、私も大変気になるところでありましたから保育所側皆さん一言で言うと保育所がいい方向に向かうとお考えですかとお尋ねをしましたら、そうなると思いますし、そうしなければなりませんという大変力強いお答えがございました。ただ、その中で保育所自発性を発揮し創意工夫のある事業を実施していきやすいようにするためには規制、基準弾力化が必要であるという御意見がございました。  厚生省としては今後どのように対応していくお考えなのかをお尋ねいたします。
  23. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 今回の改正によりまして保育所入所方式選択方式に変えられるとなりますと、施設におきまして、先生指摘ございましたように、創意工夫が一層求められるようになるということでございますので、今までどちらかというと保育システムにつきましてはかなり細かいところまで一律に決められているところが多いというような御批判もいただいていたわけでありますけれども施設がそれぞれの実情に応じて創意工夫をしやすいようにできるだけ弾力的なものにしていくということが必要ではないかというふうに考えております。  こうした意味におきまして、保育所の定員の弾力化でございますとか分園方式の導入、あるいは開所時間につきましても現在は午前七時から午後六時と一律で決まっておりますのを施設実情に応じて自由に決められるようにするとか、あるいは最低基準につきましても今後児童福祉審議会の御意見等もお伺いしながら検討してまいりたいというようなことを考えている次第でございます。
  24. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 この入所方式見直しで一番心配されたことというのは、保育に対する公的責任が維持されるのかどうかということであります。この点では、市町村による保育実施義務が維持され、保育所に対する費用支弁が行われますし、国庫負担金制度が維持されますから、私は厚生省を信じておりますけれども、少子化が進む中で保育に必要な費用については公費の充実を図るべきであるという議論は多く出ました。財政状況も非常に厳しい中でありますから、公費の有効な活用のためさまざまな工夫お互いに、これは私どもも入れてという意味で私はお互いにと申し上げたのでありますけれども、必要でありますけれども、次代を担う子供たち保育所でしっかりと保育していくためには必要な公費を後退させるということは許されてはならないと思います。  非常に大事なところでありますから、ぜひ厚生大臣にこのことに対してお答えをいただきたいと存じます。
  25. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 大変厳しい財政状況でありますが、保育所に対する公費、いろいろ民間の方にも今後は知恵を絞っていただきまして保育サービスの向上に努力していただくわけですが、国としても、将来の子供をどうやって健全に、社会に健やかに参加してもらうかということを考えますと大変責任が重いと思います。できるだけ公費を後退させないように、財政状況厳しき折でありますが、努力をしていきたいと思います。
  26. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 保育所の問題についてはいろいろ御議論がございましたけれども、その中で特に強く言われたことの一つ地域事情に応じた対応が必要である、特に人口の集中する大都市過疎化の進む地方とでは事情が全く異なるということが委員会審議参考人質疑でも出されました。  大都市の問題からお尋ねをします。  大都市においては低年齢児待機児童が多くあることが指摘されて、対応が強く求められました。ただ一方では、それにもかかわらず大都市部における入所率も八〇%台であるという数字も示されましたし、先日の参考人質疑では、公立保育所では保母が多数配置されているのに延長保育も行われていないという話も出されました。今の大臣お話ではありませんけれども、ただ公的な金をつぎ込むことだけが能ではないなと感じました。  この大都市部における低年齢児保育への対応などを今後どのように考えておられるのか、厚生省お尋ねをいたします。
  27. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 東京等大都市を見ますと待機児がかなり多いわけでございますが、先生指摘の中にもありましたように、入所率で見ますと八七%ぐらいということであきの方も二万人近くあるというようなことでございまして、ミスマッチが見られるわけであります。この理由といたしまして、年齢別の定員というようなものが設定されておりまして、なかなか低年齢児の受け入れられる枠が少ないというようなこと、あるいは低年齢児を入所させるにつきましては乳児室等の増築が必要だというようなことがあるというふうに聞いております。  私どもといたしましては、低年齢児受け入れ促進を図るために、緊急保育対策等五カ年事業におきましても種々講じておりますけれども、その推進を図りますとともに、定員の弾力化あるいは分園方式の導入なども含めましてその受け入れの増加を図ってまいりたいというふうに考えております。また、基準あり方やあるいは保育所定員等の見直しにつきましても、地域実情に応じて適正に行われるように関係地方公共団体を強力に指導してまいりたいというふうに考えております。
  28. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 大都市についてお尋ねをしましたから、今度は過疎地の方もお尋ねをいたします。  過疎地では子供が少なくなる中で遊び相手がいなくなっていること、そしてまたそういう環境の中で保育所が廃園に追い込まれるという大変切実な声もお聞きをいたしました。子供保育の保障、保育所運営などの点からさまざまな御意見を今までお聞かせもいただきました。まさにこうした声に私たちは有効にこたえていかなきやならないと痛感をしたところであります。  今後、過疎地における保育対策についてはどのようにお考えなのか、お尋ねをいたします。
  29. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 少子化が急速に進行する中で、過疎地におきましては子供が極めて少なくなっている、あるいは近くに子供がいないということで遊び相手がいないというような問題が生じておりまして、私ども子供社会性を身につける場としての集団保育の場の確保というのは大事だというふうに思っているところでございます。  これまでも認可保育所の定員を緩和いたしました小規模保育所の設置、あるいは両親が就労していない子供も入所できるような僻地保育所というようなものの整備を進めてきたところでございますが、さらに保育所と他の施設の合築でございますとか分園方式の導入等も含めてこの推進を図ってまいりたいというふうに考えております。
  30. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 私も今の二つのどちらかというと過疎地の方の住人でありますから、そちらの方がどうも切実感はあるのでありますが、そういう立場は別として、過疎地のこともぜひよろしくお願いをいたしておきます。  保育料については、これはもうまさにいろいろ御意見がございました。先日の参考人質疑では、もちろん保育料をどこに設定するかという大問題が一方にはありますけれども、それはそれとして、中堅サラリーマン世帯の負担感だとか不公平感を踏まえれば、均一化ということは割と共通したお声なのかなと私は感じました。  保育料について、これはまた大変関心のあるところでありますから、ぜひ大臣に今後のお考えをお聞きしたいと存じます。
  31. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 保育料については、事実、一般の家庭の親御さんも大変関心を持っているようであります。現行の所得に応じた負担方式を今回は保育サービスの対価に応じて負担していただくということでありますが、均一化といっても急に一本化ということは無理だと思います。できるだけ急な負担増にならないようなことを考えていきたいと。将来もより均一化を目指しますが、一本というのはなかなか無理じゃないか。そういう点は実情を見ながら今後も検討していきたいと思いますが、いずれにしても保育サービス、それに見合った対価の負担をしていただくという形で、均一化の方向で整備を進めていきたい、そう思います。
  32. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 この保育料の問題は今後も私たちも大いに議論をしていかなきゃならない問題だと思います。  ただ、率直に言わせてもらえれば、下も上も一緒で十に割るか七に割るか、どう違うんだと言われると、余り違いもしないな、どこに意味があるかなとも思わぬでもありません。そのことは率直に申し上げておきたいと思います。  次に、放課後児童クラブについてお伺いをいたします。  放課後児童健全育成事業については、一昨日の参考人質疑においても、法制化することについては大きな前進であると評価をされたと思います。  しかし、放課後児童健全育成事業は、現在、全市町村の三分の一で実施されているにすぎません。今後、この事業の推進に当たっては、地方分権の趣旨等を踏まえ、市町村の自主的な取り組みを尊重していく必要があると考えますが、いかがでありましょうか。
  33. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 放課後児童健全育成事業につきましては、今回の改正児童福祉法上明確に位置づけまして、社会福祉事業法による最小限の規制を行うというほかはできるだけ各地域実情に応じて多様かつ柔軟な取り組みができるようにしたところでございます。  私どもといたしましては、これによりまして市町村につきましても努力義務を課しているところでございますので、利用者のニーズに応じて多様かつ柔軟なこの事業が展開されるような努力を払ってまいりたいというふうに考えております。
  34. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 放課後児童健全育成事業については、地域実情に応じ、児童館、学校の余裕教室、保育所など多様な場所で実施することを認める方針であることは評価をいたしております。また、学校の余裕教室については昭和六十二年の文部省の通知の中で、「放課後児童健全育成事業を目的として学校施設を使用する場合においては、特に財産処分の手続きを必要としない」とするなど、文部省も本事業の推進に配慮いたしておりますことは承知をいたしております。  しかし、市町村の中には、福祉部門と教育部門というのでしょうか、教育委員会と言ってもいいですが、この両者の連携がスムーズに行われてはおらず、放課後児童健全育成事業の展開が十分でない例もあると聞いております。  この事業に関して、学校施設の一層の積極的活用を図るなど、市町村における福祉部門と教育委員会といいますか教育部門が今後さらに緊密な連携を図るべきだと考えておりますけれども、この点についてどういうふうにお考えでありますか。
  35. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 放課後児童健全育成事業の行う場所につきましては、私どもの方の施設としては児童館等があるわけでございますが、このほか学校の空き教室、その他民有地等を含めさまざまな場所があるところでございまして、私どももこうした多様なところでの展開を想定しているところでございます。  現実には学校の余裕教室なり敷地内の施設というのが四割を占めているような状況でございまして、この事業を円滑に進めていくにつきましては教育委員会と福祉部局との連携が必要だというふうに考えております。先生指摘のございました各市町村における福祉部と教育委員会の方の密接な連携が図られるように私どもとしてもいろんな機会を通じてお願いしてまいりたいというふうに考えております。
  36. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 最後に、大臣にお伺いをいたします。  本日、私も全体そういう趣旨で申し上げ、また質問もしたつもりでありますけれども、先日の参考人質疑でも、今回の改正に対して評価する一方で、引き続き子供の問題については社会全体で取り組むべきであるという意見も大変強かったと思います。  今回の改正を踏まえ、今後の児童福祉への取り組みに向かう大臣の御決意をお聞かせください。
  37. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) どのような状況にあっても子供というのは弱い立場ですから、しかも将来この社会を担っていく大事な宝的な存在であります。そして、この子供たちが健やかに成長してもらうというのはだれでも願うことでありますので、今後とも、国はもちろん、地方公共団体地域、全体が子育てしやすいような環境をどうやって整えていくか、子供たちが健全に成長するためには何が必要かということをしっかり考えながら社会全体が子育てしやすい環境を整えていかなきゃならないと思います。  けさの新聞でも、全く罪もない、関係のない児童がこれまた大人に刺殺されるという痛ましい記事が出ておりました。子育てに対して最も責任のあるのは大人だと思います。大人もしっかりして、社会全体が子育ての環境を整えていくという意識を持って公的な立場、国としてもその支援体制を整備していかなきゃいかぬと思います。
  38. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 終わります。
  39. 山本保

    ○山本保君 平成会の山本です。  私、先週、時間をたくさんいただきまして、いろいろ詳しいところまで入り込んだ質問をさせていただきました。全部やる予定でおったんですけれども、一部残ってしまいました。きょうは最後の質問であります。放課後児童のこととか各施設のことなどはこの前お伺いしましたので、その辺はきょうは省かせていただきまして、まず職員の専門性、その他についてお聞きし、最後にもう一度、特にこの法改正で一番問題になっております保育園、保育所の問題について確認の意味を込めてお聞きしたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。  まず最初に、私、本会議のときにも申し上げましたけれども社会福祉も含めまして児童福祉、勤務条件を上げたり、また給料を高くしていくというようなことで福祉に対する社会的な見方というものが高まっていかなければならないという、そういう施策をまず国が先行して行わなければならないというふうに思っているわけであります。  職員の専門性を高める、そのための処遇、そしてそのための養成の基準を設ける、これこそまず国が最初にやらなければならないことだと思っているわけでありまして、その面からひとつ具体的に、この法律改正とは直接かかわりませんけれども、よく現場で、また今回の視察などでも出てきた話でございますけれども児童相談所長、教護院長という例を二つ挙げまして、この方たちの専門性といいますか、任用というのはしっかりなされているのかどうか、局長にお聞きしたいと思います。  御存じのように、児童相談所長は児童福祉法十六条の二に、心理学の学位を持っていなければならないとか、または最低二年間の児童福祉司の経験が必要であるという、医師とかもっと高いのもございますけれども、実際には最後にそれに準ずる者でいいというような規定がある。  また、教護院長につきましても、これは他の施設の長と違いまして、児童福祉施設最低基準にはっきりと教護の職員として五年以上経験があるというふうにあるわけですが、それにもやはり次に特別の学識経験があると知事が認めればいいというような、こういう極めてあいまいに使えるような条文が最後に残っております。  教護院長といいますのは、今回もお話に出てまいりましたように、児童福祉施設の中では歴史的にも一番高い資格でありますし、児童相談所長は法に定められた最も重要な職務であります。本当にそういう力を持った方がなっているのかどうか。特に、県のいわゆる役人の出世コースの一つに位置づけられておって、全く児童福祉も児童相談所教護院も知らないような方がやっているというようなことはないのか、これについて局長お願いします。
  40. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 児童相談所長、教護院長等につきましては、先生指摘ございましたように、一定の専門性を備えることを関係法令で決めているわけでありますけれども、現実には規定の中にも、その資格要件に「準ずる者であって、所長として必要な学識経験を有するもの」というようなことで、これ以外の者もなれるようになっておりまして、現実には半分ぐらいの方が県の人事のローテーション等によって一般職員の方ということで入ってきているというのが実態でございます。  これについても私ども従来から資格要件に合致するよういろいろな面を通じて指導してきているところでございますが、今後とも所長にふさわしい人がなるような指導をしてまいりたいというふうに考えておりますとともに、資質の向上につきまして研修等を充実してまいりたいというふうに考えております。
  41. 山本保

    ○山本保君 これまでこの委員会でも、法に触れていないのか、法に違反していないかという質問があり、法には触れておりませんというのがたしか答えだったと思うんです。ところが、肝心の法自体にそういう抜け穴のようなものがあるわけですから、これではもちろん法に触れていないのは当然であるということになるわけです。ですから、ぜひこの辺は、今回改正事項に上がらなかったのでこれ以上あえて申し上げませんけれども、こういう法の規定があればだれでもなれるということであって、実際現場の一生懸命やっている方たちが非常に困っておりますから、ここはぜひ早急に対応していただきたいと申し上げます。  次に、都道府県児童福祉審議会に措置について意見を聞くという新しい項目が設けられました。これについて、先ほど尾辻先生の御質問にもありましたように、今まで密室と言ったら言い過ぎですが、専門家が専門家として判断しているということはこれはもう非常に重要なことでありますけれども、ややもしてといいますか、そんなにあるとは思いませんが、その専門家の支配になってしまって、実際にはもっと幅広い目で見る必要があるのではないかというようなことからチェック機能としてこういうものをつくるということについては私も原則的にわかるわけでありますけれども、ただ先日も申し上げましたように、こういう問題といいますのは非常にプライバシーにかかわるところでありますので、この辺はきちんと対応していただかないといけないと思っております。  特に、秘密を漏らしてはならないという公務員の規定がこの審議会の方には当たらないようでありますし、先日は匿名にするとかさまざまなことをおっしゃいましたけれども、この審議会の委員に聞くということについては私は慎重にすべきだと思っているんですけれども、それについてどうお考えなのか、もう一度お答えください。
  42. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 最近における虐待の増加等を見ますと、その要因というのは非常に複雑多様になってきているということでございまして、児童相談所入所措置等を決定するに当たりましても、児童相談所は十分専門的な機関であるわけでございますけれども、必ずしもそれだけでは十分ではないということで、法律あるいは医学等の幅広い分野からの判断というのが求められてきているということでございまして、私ども、今回の改正におきましても、入所措置をより客観的、適切に行うという観点から審議会の中に部会等を設けていただきまして、法律、医学等の専門家による御判断をお願いしたいというふうにしたところでございます。この際のプライバシーの確保等につきましては十分図られるよう私ども工夫してまいりたいというふうに考えております。
  43. 山本保

    ○山本保君 今のお答えですが、これは私の方から指摘しておきますけれども、専門家の上にまた専門家を置くということはどう考えてもおかしな話でありまして、実際に子供たちゃ家族と会ってある程度の時間をかけて決めたものに対して、何も会ったこともない方が書類だけ見てそれと違う意見を言うというようなことがもし出てくれば、これは現場で一生懸命やっている人にとっては、これは何だと、こういうことになるわけですからこの辺はそんなことにならないような対応をしていただきたいと思います。  これは厚生省ではないんですが、実は委員長にちょっと申し上げたいことがあります。  これは私のこれからの発言自体もちょっと注意をして扱っていただきたいと思うわけでありますが、先日、参考人の方が来られましたときに、具体的には申し上げませんが、ある地方の、またある施設入所の子供の大変多くの方が虐待、特に性的なものも含む虐待を受けているというようなお話がありました。  私、今なぜこのことを申し上げるかといいますと、今おっしゃられたプライバシーということについて申し上げたいわけです。これは、こういうことを世間一般のところで言うということは、実は自分もやっておりましたので、非常に慎重にやらなくちゃいけないということでやっておったわけです。  例えば、簡単に申し上げますと、ある事件が一あったと言いましたが、これはどういう形でそのことが確認されておるんでしょうか。デュープロセスをちゃんと経たものでありましょうか。例えば裁判で、二十八条というものがありまして裁判によって施設に入ることがありますから、こういうものであれば確定しておりますが、そんなのはほんのわずかな例でありまして、ほとんどそうではありません。ですから、こういうことは事実かどうかということについての確認は全くなされないわけであります。  またもう一点、別の言い方をしますと、どうしてそれを知ることができたか。これはまさに子供や親との間のカウンセリングとか処遇の中で知り得たことでありまして、そのことはその子のために、また家族を治すための専門家としての必要な材料として使うべきものであって、それを他に、関係ない方に出すわけにはいきませんし、これは秘密を漏らしてはならないということに触れるわけであります。  またもう一点、別の言い方をしますと、先生方おわかりのように、児童福祉施設に入所するといいますのは、措置とはいいましても親権者の同意を経て行うという非常にこの辺は配慮されたものでありまして、今、施設に入っている方、そしてその親御さんは、よろしくお願いしますよという信頼関係でもって入れておるわけであります。こういうときに、その施設に入っている子の多くがそういうものを受けていたというようなことになりますと、これは親としてはその信頼を裏切られることになりますし、私はそんなことはなかったということになるかもしれない。  また、もっと大きな問題でいえば、子供たちのほとんどは学校に通っております。こういうことがもし社会的に流れたりすれば、いじめなどの対象になることはもう目に見えておりまして、この辺の取り扱いというのは慎重に行っていただきたいということをぜひ理事会でも御検討いただきたいと思いまして、この関連ということで少し申し上げます。
  44. 上山和人

    委員長上山和人君) よくわかりました。  理事会で十分慎重に検討させていただきます。
  45. 山本保

    ○山本保君 ありがとうございます。  それでは次に、教護院について、先ほど尾辻先生からもお話があったことですが、大事なことでございますので確認をさせていただきたいと思うわけであります。  つまり、登校拒否、または不登校ということをもって入所理由にしてはならないということでありますが、これが本当に徹底されているのかどうかということであります。これはお聞きしようと思いましたが、先ほどやっております、またやりますということでありましたのでお答えはお求めいたしません。同じことだと思います。  ただ、私も知っておる実例があるんですね。というのは、逆の言い方でございますけれども、以前、各県のいろんな教護院を見たときに、例えば教護院に入るときに、学校教育法二十三条というのがありまして、今回はこれが、最初に私お聞きしたように、この条文の扱いが変わるというふうに文部省が答えられましたから安心しておるわけですけれども教護院に入ると即就学猶予・免除というものになるんだと。これは教育委員会が勝手にすることができないという体制になっていまして、保護者が申し出なければならない、判をついた書類を出さなければならないということになりますが、これは実はもう戦前、明治期からある規定でございまして、ちょっと考えてみますと変な話なんです。教育を受ける権利を、学校の方が整備されていないから受けられないのにかかわらず、親の方が申しわけありませんが私の子供義務教育を受ける能力がございませんので猶予・免除してくださいということを出すという全く時代錯誤の条文が実はあります。これはまさに文部省の問題でございますけれども、それが実際にあります。教護院に入るときに、実は児童相談所の方たちが混乱している親に詳しい説明もせずに、教護院に入所したいという書類とは別に猶予・免除のお願いも一緒に判を押させてしまうと、こんなようなことがあったわけであります。  つまり、ここで申し上げたいことは、児童福祉施設子供たち保護するということは、その子供たち学校がどういう形であろうとそんなことは実は全然関係ないわけでありまして、子供にとって一番いい処遇を、生活をつくり出すために応援していくということでありますけれども、今まで実はこの辺が非常に軽く見られたといいますか、日本の特徴でしょうか、学校教育が余りにも強く支配しておってそれに福祉の方も引きずられていたということがありますので、この辺のお答えはもう結構ですけれども、より徹底をお願いしたいということを申し上げます。  ついでにもう一つ、これは今ここでこの法律改正は反対かと言われると困るのでお聞きしませんけれども、四十四条に「不良行為をなし、又はなすおそれのある」という、この明治四十一年からの古い規定がいまだに残されているということは非常に残念なことでありまして、これは早急に次の機会に一番最初の検討事項としていただきたいということを申し上げます。  次に、児童家庭支援センターについてお聞きいたします。  この設置理由は結構ですが、児童福祉施設に附置するというちょっと変わった相談の、相談といいますか、ケースワーク機能であります。  この児童福祉施設にどういう効果、機能考え施設につけるというふうにお考えなのか、お答え願います。
  46. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 虐待等の増加が見られるわけでありますが、こういった問題の背景を見ますと非常に複雑多様になってきているということで、できる限り早期発見早期対応というのが重要ではないかということで、今回の児童家庭支援センターの設置につきましても、現在の児童相談所百七十五カ所だけでは十分カバーし得ていない分野をできるだけ身近なところでカバーしたいということで考えたものでございます。  その設置を養護施設等の児童福祉施設に附置するということを考えておりますのは、この児童家庭支援センター機能といたしましてできるだけ地域に密着したということが一つあるわけでありますが、既に養護施設等におきましては相談、指導に対するいろんな経験あるいはノウハウを積んでいるということがあります。それから、いつでも相談が受けられる二十四時間体制というものを考えますと、やはり養護施設等というのは二十四時間あるわけでございますので適しているのではないかと。それから、必要によりまして児童を一時保護しなくちゃいけないというような場合が出てこようかと思いますけれども、そういった場合にそういう一時保護も可能であるというようなことで養護施設等の福祉施設に附置するということを考えたものでございます。
  47. 山本保

    ○山本保君 これは御質問というよりは指摘ですけれども、今のお話で気がつきますのは、まず児童相談所自体が二十四時間体制はないということなんですね。ここをまず手を打つべきだと私は思います。もちろんすべての児童相談所ということではなくてもいいですが、県に最低一つは二十四時間体制であいている児童相談所がなければ、いつも問題になっておりますようなさまざまな問題が出たときに、一番の専門家であり一番強い権限を持っている専門家のいる児童相談所が動かない。実際に朝までは警察のもとに子供保護せざるを得なかったとかということがあるわけでありまして、これは問題であります。ですから、今度のセンターはそういうことができるように二十四時間体制の施設につけるということは、との限りで私も大賛成でありますけれども児童相談所が本来やるべきことを施設にやらせてしまうというようなことになったのではこれは本末転倒であります。すべての施設児童相談所と同じような権限を持つ必要は私はないと思っております。これは、相談とか支援というものはいろんな体制がなくてはなりません。  先日、ある参考人ども言っておられましたけれども家庭裁判所ともっと連携してすぐに司法の手が伸びてくるというような御意見もありましたけれども、私は反対でありまして、そういうのは今の法律でも十分できますし、その道を閉ざしてはなりませんけれども、逆に相談に行く方からすれば、ある公的な、または施設相談所へ行った途端に何か警察なり裁判所の方に全部話が行っておって、実は信頼して相談——相談というのは、カウンセリングというのは基本的に信頼関係でありまして、その当事者だけの秘密を守るというのが最初の第一段階であります。そのところを履き違えまして、すぐにより強力なところに話が行ってしまうというようなことになってしまってはだれも相談に参りませんので、結果的にこういう問題をやみに葬ってしまうということになりかねないわけでありますので、この辺は御注意いただきたいと思います。  そこで、もう一つそれについて申し上げますが、これはどこということは言いませんけれども、何か審議の過程を見ますと、ある地域、ある県といいますか、そこでは児童相談所児童家庭支援センター機能の分け方として、児童相談所はより専門的で、またより重い相談を扱う、またこのセンターはそうではなくて軽い相談を扱うんだというようなことを言っているやに私、正しくないかもしれませんが、聞いております。  ここが一つ問題でありまして、有機的な連携ということをよくおっしゃいますのでこの辺をどうも役人が考えますと有機的連携といいますのはピラミッド型をすぐ想定しまして、何か中央にコンピューターがあり、高度な専門家がいる相談室があり、そして身近には、そんな力はないけれども、何かあったら上にすぐ連絡すればいいようなものがあればいい、こういうふうに考えがちであります。これはよく医学の体系をモデルにしてしまうんですけれども、この辺はぜひ慎重にお考えいただきたい。医学というものは非常に精緻な診断分類というのができておりまして、それに基づき同じ資格を持ち、同じ専門性を持った医者が配置されているわけでありまして、この辺を相談というような心理的なものにそのままスライドさせない方がいいと申し上げます。  簡単なその理由を申し上げれば、相談に行く人にとってはどの問題もすべて一番重いわけでありまして、重いがゆえに相談に行くわけであります。何が軽い相談であるかどうかなんということは実はないわけでありますので、この辺も御注意を申し上げたいと思います。  次に、もう一つお聞きします。  里親制度でありますけれども、今回残念ながら改正にならなかったということですが、昭和六十三年に実は大幅な改正がありまして、里親さんにはそれまでは言うならば名士がなる、お金も財産も土地も家もあるという方が里親になるというようなイメージが非常に強い制度だったんですが、ここでそうではなくしてすべての方が自分の力に応じて児童福祉に協力していただこう、具体的に言えば例えば資産を必要としないとか、共働きの方もいいんだ、ですから当然保育園も保育所も利用していいんだ、こういうように改正をしたわけでありますけれども、このことは徹底されているんでしょうか。最近、何かそのようなものではなくて、やはり里親というのは特別な方しかなれないというような運用がなされているというような声も聞くものですから、ちょっと心配になりましたのでお尋ねいたします。
  48. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 御指摘いただきましたように、昭和六十二年に通知の改正を行いまして、里親の要件につきまして、特別の篤志家だけではなく、共働き家庭、あるいは資産がない人も含めまして、養育能力なり熱意等があるということを主な認定基準として里親になっていただけるようにしたところでございます。  この趣旨につきましては、これまでもいろんな里親に関する手引等も書いておりますが、周知に努めてきたところでございますけれども、現実には共働き家庭のような場合におきましては子供を育てるというのはなかなか現実に難しいという面もあろうかと思いますので実例としては少なくなっている面があるわけでありますけれども、可能であるということでございますので、この趣旨につきましては私どもも今後とも周知徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。
  49. 山本保

    ○山本保君 次に、施設最低基準見直しについて、先ほどもお話が出ましたのでダブるところはやめまして、ちょっとお聞きしたいんです。  今回、委員皆さんと一緒に施設を見に行ったときに、口々に非常に居室が狭いと、そうおっしゃられました。私もそう思っているわけですけれども、先ほど局長お話では教護院の方が面積が広いんだと。ただ、これはからくりがあるわけでして、教護院は教育のための教室の施設だとか運動場とか、こういうものを含めた面積を今言われたわけで、そこだけ聞いていれば覇然広くなるのは当たり前でして、養護施設はみんな学校へ行っているわけですから、そういうところをはっきりさせていただきたいですね。つまり、今まで教護院では、これは極端な話ですが、この前も東京都の施設で一人部屋があるという御説明がありました。そこはどういう人が入っているか。これはもうこれからすぐに一人で自立をしていくために訓練のために入っているんだと。私、非常にいいことだと思うんですけれども、実は残念ながらこれまでこの世界では、一人部屋といいますとまさに独房でありまして、悪いことをした人を入れるところだ、こういうようなことが実は昭和二十年代からこの辺の運営要領というのがありまして、もう非常に古いのがいまだに生きているというのは大問題でありますけれども、これはきょうの話題じゃないのでやめます。  つまり、一人の空間を一人で守りながら自分自身にかかわるものを大事にし、そして自分を大事にし、自分に自信を持っていくということが、これが処遇の基本でなくちゃなりませんけれども、今までともすれば集団的に命令一下動けばよろしいというようなことがなされておったのも事実なんですね。まさに、教護院自立支援施設にして変えていこうというのは、そういう処遇考え方も変えていかなければならないと思います。  きょうは処遇考え方ではなく、施設基準について言いますが、居室教護院の面積の方が養護施設よりも狭いというわけであります。これは問題でありまして、特に年齢からいいましても教護院というのは中学三年生以上というのが大半であるとこの前もお話があったわけでありますから、養護施設の場合は中学生、高校生になりますとだんだんと面積が広くなるようにもこの間改善されてきておりますのに、どうも教護院の方はおくれておるようであります。  これは厚生省だけの問題ではなくて大蔵省との交渉になると思いますので大変かと思いますけれども、ここはぜひ頑張っていただいて、教護院に対するイメージを変えるためにもその面積は大きくしていただきたいと思いますけれども局長、ちょっと一言、よろしいでしょうか。
  50. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 最低基準見直しにつきましては、質の高いサービスができるだけ柔軟に行えるように、私ども今後中央児童福祉審議会の御意見等もお伺いしながら十年度予算編成に向けまして検討をしてまいりたいというふうに考えております。
  51. 山本保

    ○山本保君 それでは、時間も詰まってきましたので、ここで保育所についてもう一度確認の意味で、確認といいますか、この前いろいろお聞きしたんですけれども、同じ質問になるかもしれませんが、お聞きしたいと思います。  最初に、これはこの前の参考人の方からのお話がございましたので、それを少しフォローしていただきたいんですけれども、情報提供ですね。  市町村、そして保育所が個別に法律規定によって情報提供をするというふうになっておりますけれども、これはどういうことを意味しているのか、御説明願います。
  52. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 保育所を選択する場合の基礎的なデータとして保育所に関する情報というのは極めて重要になるということでございまして、この中身につきましては、例えば保育所の名称、所在地などのほかに保育時間、何時から何時までなのか、保育料がどの程度なのか、定員と入所状況がどうなのか、延長保育や低年齢児保育などどう実施しているのかといったようなことにつきまして考えているところでございます。  また、保育所自身も情報提供を行うことになっておりますが、個々の保育所ごとの保育の方針でございますとか、一日のスケジュールがどうなっているとか、保母の配置状況、施設の状況等、保育所の個別な事項についての情報を想定しているところでございまして、今後ともその実施に向けてさらに詳細に検討してまいりたいというふうに考えております。
  53. 山本保

    ○山本保君 市町村の行う情報といいますと、はっきり言えば保育所ごとの比較ができると、このことで一層の努力をお願いするということであるかと思いますけれども保育所が情報提供をするとなりますと、これはもう、この前参考人からお話がありましたように、保育内容についてしかありません。ですから、この考え方はその子供さんに合った保育内容を、かといって千差万別で全部というわけにはいかないかもしれませんが、ここは専門家としてさまざまなバリエーションを持った保育内容、例えば教室があって一時間目からというのは、これは幼稚園ですが、こんなような形のではない、個々の子供に合った保育が行われますよということを売りにして、ぜひいい保育園に、またはいい先生子供たちがめぐり会う、そしてそのことをもって先生、保母さんたちも頑張っていただく、こういうものにしていただきたいと思っております。  次に、もう一つお聞きしますが、措置制度を改めるということは市町村の入所の責任を後退させるということはないのでしょうか、この辺についてお聞きしたいわけであります。  まず、これまでは市町村保育園との関係というのは公法に基づく委託契約関係であると、たしかこういうふうに説明がされていたわけでありますけれども、これは今度変化があるのでしょうか。具体的には、例えば保育園の中で事故が起こったときなどは災害共済給付というようなものが行われることになっておりますし、または市によっては独自に責任が強いのだからということでやっている。ところが、もしこれが今度は、措置ということでやったんじゃないんだから、そんなことはしなくてもいいんだというようなことになってきたのでは、これは今までの御説明と違ってくるわけでありますので、今度の法改正によって保育園と市町村との間、この間の法的な関係には変化がないのかどうか、お答えいただきたいと思います。
  54. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 市町村保育所関係につきましては、今回の改正におきましても従来どおり委託関係ということでございまして、市町村保育所に対して運営費を支弁する仕組みになっております。  また、御指摘のございました災害共済給付等につきましては、今回の改正によりましても対象になるということについては変更がないということでございます。
  55. 山本保

    ○山本保君 それでは、国のことでございますけれども、この改正によって国が公費負担を後退させることがない、また二分の一の国庫負担を変更しないと今もお話ございましたし、法律にもありましたが、重要なことでありますのでもう一度お聞きいたします。  ここはそういうふうに考えて間違いございませんね。
  56. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 今回の保育制度改正は、国の公的責任を後退させるものではなく、保育所に係る国庫負担規定を変更するものではございません。
  57. 山本保

    ○山本保君 それでは、保育料について、これも繰り返しになると思いますけれども、もう一度確認でお聞きいたします。  今回、法改正の審議に当たって、その資料として保育料の徴収金基準額表が示されて、それが現行十段階から七段階に簡素化された。これは国と地方との間の精算基準にすぎないのであって、実際の保育料とは関係ございませんよということを何度もおっしゃられているわけでありますけれども、しかし保護者の一部にはこのことは直接的な保育料値上げに連動するのではないかという非常に強い懸念があることも事実でありますので、これについてもう一度お伺いいたします。  今回示された保育料の徴収金基準額表というものは国と市町村の精算基準であって、具体的な保育料をどのように決めるかということは各市町村が決めるものであるということについて、これで間違いないか、お聞きしたいわけであります。  といいますのは、私は、大臣の先ほどのお考えとはどうかと思いますけれども、やはりこの場合、各自治体は将来のためにもまず保育料を安くするためにみんな頑張っているわけでありまして、この辺の努力、そしてそのために頑張っている市の議員さんやお母さんたちのことを考えますと、もしこういう努力をしていることを関係ないというようなことになってきては困るわけであります。  ですから、この法改正に便乗した保育料値上げがあってはならないと私は思っているものですからお聞きしたいわけであります。先ほど申し上げたことについて間違いないか、お答えください。
  58. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 国が定めます保育所の徴収金基準額表は、国と地方公共団体との間の国庫負担金の精算基準ということでございまして、この基準額表の所得階層区分が現行の十段階から仮に七段階に簡素化されたといたしましても、市町村がその実態に応じて保育料を設定するというのを妨げるものではございませんし、この意味保育料の簡素化は市町村における保育料の引き上げと直接的に連動するものではないわけであります。  具体的な保育料の設定につきましては、あくまで各市町村が条例等に基づき、市町村の判断で行われるものでございまして、それぞれの地域実情においてさまざまな御苦労をされているという点については私どもも承知しているところでございます。  なお、国の徴収金の基準額表自体は十年度予算編成におきまして定められるものでございますので、今後その中で私ども対応してまいりたいというふうに考えております。
  59. 山本保

    ○山本保君 やはり行財政を進めるに当たりましてはいろんな形で現場と、また個々の感情とはずれるようなところがあるかとも思います。そのときにクールな形で進めなくちゃならないということもわかりますけれども、ぜひ国はそれとともに温かいハートを一般の方にもわかるようにいろんな形で示していただきたいと思っております。  今お答えがございましたので、この辺についてはより慎重に、法律の中にも家計への影響を考慮してというのがきちんとあるわけでございますから、この条文の重みをよく理解してといいますか、それに従って運用していただきたいということを申し上げます。  つまり、今度の徴収金のことでございますけれども平成十年度の予算編成の中でこれを決めていくということで聞いておりますけれども、これでよろしいですか。
  60. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) そのとおりでございます。
  61. 山本保

    ○山本保君 それでは、これに関連しましてちょっと申し上げます。  先ほどの御返事の中に弾力化というのがありまして、ちょっと心配なところがありますので、これは通告してなかったことですからお答えは結構です。前にも申し上げたことがあります。弾力化というのは、何もせずにやりますと大体低いレベルに行くんですね。低いレベルにだんだんと行ってしまう。例えば、これはお年寄りの施設でもありましたし、国もよく言うんですが、よく使われるキーワードが、処遇水準の低下をもたらさないようにという言葉がすぐ出てまいります。前にも申し上げましたので繰り返しになりますが、処遇水準の低下をもたらさないように弾力化していくのではなくして、処遇水準を上げるように弾力化するということをいろんなときにきちんと徹底していただきたいと思います。  そのためには、ぜひ、この前は措置費についても給与分についてもお伺いしましたし、情報もありましたけれども、国の考え方は、今現実に出している給料がこういうふうですから、それを調査して、よってこうであると。例えば、先日の参考人の資料にもありましたが、現実には老人の施設と比べれば養護施設の方が給料が安いじゃないか、おかしいじゃないかというのに対して、いや、これは現実がこうなっておりまして、国の税金を使うわけですから現実以上に払うということはできない、それはむだ遣いだ、それは許されない、これが答えになるわけです。  しかし、ここは現実といいましても、その現実はもともと国が設定した基準でもって施設は払うわけですから、これはいつまでたってもそんなことを言っておったらよくなるわけがないわけです。ここはぜひ、例えば二、三年分前倒しで、その分のお金は必要になってきますからそこは何かの形で融資をするとか、もう少し気を配った行政をしていただいて、現実が一歩も二歩も向上するような手を打っていただきたい。現実を追認するような行政をやっておったら皆様方のような方が一生懸命やる必要はないわけでありまして、ぜひ現実をよくしていくというふうにお願いしたいと思っております。  時間が参りましたので最後に、厚生大臣、いろいろお話し申し上げましたけれども、これからの子育て支援について、また児童福祉の向上について所感をお聞かせ願いたいと思います。
  62. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 今までの審議を通じまして、だれもが子育ての重要性を認識しているわけであります。  今後とも、大人が子育て支援環境整備していかなければならないという責任を感じながら、あらゆる面からの支援体制をとっていく必要があると思います。努力をしていきたいと思います。
  63. 山本保

    ○山本保君 どうもありがとうございました。
  64. 上山和人

    委員長上山和人君) 本案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午前十一時二十四分休憩      —————・—————    午後一時一二十分開会
  65. 上山和人

    委員長上山和人君) ただいまから厚生委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、児童福祉法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  66. 清水澄子

    ○清水澄子君 最初に、児童家庭支援センターについてお伺いしたいと思います。  今回の法改正児童家庭支援センターを法的に位置づけて相談機能の充実を図ろうとされたことは、私は評価をしたいと思っております。  その上でお尋ねするんですけれども児童家庭支援センターは全体として何カ所ぐらいを考えておられるのでしょうか。また、厚生省児童福祉施設での実施を考えておられるようですけれども、現在、種々の施設全体で実施をもしゃったとしても約七百カ所なんですね。これだけで本当に支援センターとしての機能を果たせるとお考えかどうか、お尋ねします。
  67. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 児童家庭支援センター整備につきましては、できるだけ地域の住民の方々に身近なところで相談できる体制の整備ということを考えておりまして、私ども地域の中で中心的な役割を果たしております基幹的な養護施設等に附置するということを考えております。  このセンターは二十四時間対応も可能だということを一つ念頭に置いておりますとともに、必要がある場合には一時保護もできるというようなことを考えますと、そういった養護施設等が一番適しているのではないかという考えに立つものでございまして、これをどういうふうに整備していくかということにつきましては、児童相談所の配置がどうなっているのか等の調整もしながら地域実情に応じて整備されるように努力してまいりたいと考えております。  具体的な数につきましては、今回の改正を踏まえまして、各地方からも十分ヒアリングを行いまして、それに基づき十年度の予算編成に向けて検討してまいりたいと考えております。
  68. 清水澄子

    ○清水澄子君 私は、やはり子供を取り巻く状況とか親の置かれた状況とか非常に大きな問題が起きておりますので、いろいろな社会資源を有効に活用して、そして総合的な相談ネットワークを築いていくというのはとても今必要なのではないかと思っております。  そういう点で、福祉事務所に設置している家庭児童相談室の活性化を図っていけないかということと、それから民間ボランティアが実施をしております相談機能との関係など、どのようにしてネットワークを形成しようとされているのか、お尋ねします。
  69. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 御指摘いただきましたように、地域子育て機能が低下している中で児童虐待等がふえているということで、こういった事態に対応していくためには、児童関係ではやはり児童相談所が中心になって当たっていく必要があると思いますけれども、それだけではなくて、今考えております児童家庭支援センター、それから地域児童委員あるいは各種児童福祉施設、それから福祉関係者、そのほか保健とか教育関係、司法関係の団体も含めまして地域のネットワークがうまくつくられていくというのが重要ではないかと思っております。これはそれぞれ部署も違っていてなかなか難しい点もございますけれども、私どもこういった中での地域のネットワークづくりについて努力してまいりたいと考えております。  その中で御指摘がございました家庭児童相談室というのは福祉事務所の一機能としてつくられている部署でございますけれども、それなりにこれまで役割を果たしてきたというふうに考えておりますが、非常勤の職員がほとんどだということもありますし、また一カ所当たり平均一・七人というようなことで、どちらかというと本来果たすべき機能が十分果たされていないというようなこともあると思います。これについては、今後、児童家庭支援センターができる中で、それとの調整をどうしていくかということが問題になっていくのではないかというふうに考えております。  また、地域相談体制の厚みを増す上におきまして、ボランティアの方に大いに参加していただくということも必要ではないかと思っておりまして、こういった点も念頭に置きながら地域のネットワーク体制の形成を図ってまいりたいというふうに考えております。
  70. 清水澄子

    ○清水澄子君 次に、私は児童福祉法改正の中で一番気になって、欠落している部分として主張してきましたのが三十四条の禁止行為のところなんです。この点では厚生省もその条文の中にまだ昭和二十年代の子供の状況に照らした禁止行為など非常に不適切な表現があるということはもう認識をしていただいていると思うんですけれども、私はさらに今日的な子供の買春とかポルノとか性的搾取とか虐待とか、そういう新たな問題をどうしても法律の中に禁止行為の規定として見直していくことが非常に必要だと思っているんです。  そこで、私、ぜひ大臣に聞いていただきたいんですけれども、実は今、世界では何百万人もの子供たちが大人たちの性の道具として売られているわけですね。アジアでは特にタイとか南アジアが多いんですけれども、十六歳以下で百万人の子供たちが性産業へ売られて働いているという、このことが実は国際社会で非常に大きな問題になってきております。そしてまた、日本は特に子供たちをポルノの対象として児童ポルノをたくさん製造して、そしてそれを販売して世界に輸出しているという状況で、これが絶えず国際会議で、日本はそれに対してほとんど法的な規制もない、その問題に非常に政治が無関心だということで批判を受けているわけです。  それとあわせて、この委員会でも問題になったんですけれども、日本の国内でも援助交際という名の売春行為、それからテレクラ売春とか、そう  いうものが当たり前のように私たちの社会に広がっている。そういう意味で、子供売買春が社会問題化してきていると思います。  そして、今申し上げたように、私もずっと見て回りました。余りそういうことをよく見ていなかったんですが、一般書店やコンビニに本当に子供の、八歳の何子ちゃんとか六歳の○○子ちゃんとか、そういう子供を被写体としたポルノのビデオとか雑誌がいっぱい売られているんですね。それらは今の児童福祉法三十四条の禁止行為には児童に淫行させる行為は禁止と、これはさせたときというのであって、それを犯した者というのは全然対象にならないんですね。  ですから、国際的に問題になっているのは、子供は自分から私をポルノに使ってくださいなんというのはいないのであって、これは大人が子供を使って金もうけにしたり自分の性を満足させたり、そういう形で搾取をしている、またそれが子供の人権を侵害し虐待していることだと。子供のときにそういう対象にされたら子供は生涯非常に深い精神的な傷を負い、そして健康上もいろんな問題が起きていて、それを国際的には各国でどのようにケアしてリハビリして自立した社会復帰ができるか、大変な研究と努力が今行われているんですが、日本は今度の児童福祉法改正でもほとんどそれらは対象にできない、やっていないという、こういう問題がございます。  私は、たまたま昨年八月にスウェーデンで、これはスウェーデン政府とユニセフが中心になって呼びかけて子供の商業的性的搾取に反対する世界会議というのが開かれました。この会議は、世界各国から百二十六カ国の政府と約二十の国際機関の代表と、そして五百のNGO、そういう人たちが参加をして、そして世界から二〇〇〇年までにこういう問題をなくしていこうじゃないかと。これは大人が子供たちの人格、いわゆる子供は未来だと。その未来を大人が破壊しているというのは二十一世紀という私たちの本当の未来はつくれない、大人の責任としてこの問題を解決していきたいと。その基本になっているのは子ども権利条約の履行なんですね。三十四条がまさにそのことを各国で責任を持ってやりましょう、それを国際協力しながらやりましょうということなんです。  そこでも、実は政府代表で私は行ったんですけれども、非常に恥ずかしい思いをいたしました。日本の子供のポルノ、それが世界じゅうに回ってきて、自分たちがどんなに国内で一生懸命それを教育しても日本から入ってくると。そして、同時にアジアの各国では日本の男性のそれこそ地位の高い医者とかそういう人たちが今逮捕されていますね。そういうふうなことが全然日本の国内で問題にならない。その上に日本の国内では子供たちが自分で自分の性を売るというのが社会で非常に広がっているというのは実に自分たちは理解できない、納得できるように説明してくださいという、そういうことを口々に言われて私は非常に恥ずかしい思いをいたしました。  そして、そこでは今後二〇〇〇年までに各国が真剣にこの子供の人権に対する認識を社会に広げていこう、そしてもっとそれぞれの国の法律とか規則をちゃんと、本当の意味で法が今の時代に合っていない国が多いんだということで、各国はほとんど七〇年代から法改正は進んじゃったんですけれども、それをもっと徹底していくと。それから、これは一国だけではだめだと、国際協力が必要だと、それは司法の面でも警察の面でも国際協力が要るというふうなことがあって、そしてその被害を受けた子供をどうリハビリテーションするのか、こういうことで宣言や決議が決められて、それをずっと各国なり、またはそれぞれの地域で、地域というのはアジアならアジア地域でフォローアップしていくということを約束したわけです。  そしてまた、もうそろそろ一年たち出したところなんですが、EUなんかはすぐ欧州議会を開いてそれぞれのフォローアップをどうするかということを真剣に討論しておりましたけれども、実は五月二十二日にはマニラで、これはラモス大統領が中心になって、マニラの政府が中心になって、今度は世界の観光業界とかそういう人たちを集めて、そして児童の商業的性的搾取をなくしていく観光業界の社会的責任というので会議が開かれます。そこでもまた日本のことが課題になっている。全然日本は進んでいないということで課題になっています。そして、さらにそれに続いて日本で、東京で五月二十八日に、スウェーデンのシルビア国王妃がおいでになって、これもユニセフとの共催なんですけれども、「児童の商業的性的搾取に反対するストックホルム世界会議のフォローアップ会議および国際シンポジウム」が開かれるんです。私のところにも案内が来まして、きちんとこの中では日本の国内の法制化の問題をみんなで研究したいと、そして日本の中でこの子供売買春というのはどうしてこんなに野放しになっているのか、このことについてモニターしたいとか、そういうテーマが寄せられてきております。こういうことは私が個人的に言っているのじゃなくて、非常に国際的にこのことは今大きな問題になってきております。  ですから、日本が何もしないということ、特に子供ポルノということについてもっとこれをしつかり注目してほしいという大変強い要望が来ておりますので、三十四条だけではできないんですけれども、まず三十四条の禁止規定にはっきりこれらの子供に対して大人がやってはいけないこと、性的な搾取とか虐待は禁止していくということの中で、子供ポルノとか子供を買うということはいけないんだという、買うという大人の方がもうちょっと処罰されなきゃいけないんですけれども、そういう面でこれらの点を私はぜひ児童福祉法改正が必要だと思っておるわけです。  ですから、こういうことについて今後ぜひ取り組んで、早急にこれに取り組むということをぜひ私はひとつここでお約束いただきたいんです。そうすれば国際会議で日本もやっと取り組む課題になりましたというふうに私は報告できるんですけれども、ぜひよろしくお願いいたします。
  71. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 児童買春あるいはポルノ等の問題につきまして、私ども児童の健全育成を図っていく立場にある者といたしまして大変深刻な問題であると思っております。現行刑法等におきましても処罰対象になるというようなことで一応の対応が図られておるわけでありますけれども児童福祉法三十四条におきましても、児童の心身に有害な影響を与える行為をさせる目的をもって自己の支配下に置く行為をした者を処罰対象とするというような規定がございます。これの適用に当たりまして、個々の対応を十分判断していく必要があるかと思いますけれども、この見直しにつきましては、先生指摘ございましたように、国際的な協力体制をどうしていくか、あるいは罪刑法定主義のもとでの表現の自由との関係とか、さまざまな範囲にわたって検討する問題がございますので直ちに改正というのはなかなか難しいかと思いますけれども、用語の問題も含めまして関係省庁とも連携をとりながら今後とも検討してまいりたいというふうに考えております。
  72. 清水澄子

    ○清水澄子君 ぜひ真剣にお願いいたします。  次に、これも毎回、この間も大臣から不登校児は必ずしも反社会的行為とは見ていない、そして今度の児童自立支援施設入所対象児とは考えていないんだという御答弁をいただいて安心をしているわけですが、実は厚生省自身の統計分類の中に、「非社会的問題行動」という中に「登校拒否」が入っているわけですね。そして、「反社会的問題行動」と書いて「怠学」と書いてあるんですね。ですから、今まで回答いただいたことをやっぱりちゃんと実行していただきたいと思うんです。  それから、そういうものが入っているわけですから児童相談所では不登校イコール情緒障害、こういうふうに決めておるんですね。それは実際にあるんです。そして、これはつい二、三日前、東京都立誠明学園、そこの問題行動の状況という一覧表を見ましたら、ここに「窃盗」から「万引き」という順番の中にやはり「怠学」と「登校拒否」、こういうのをちゃんとずっと反社会的行動をとった子供と同列に並べてあるわけですから、これは今後早急にそれぞれ厚生省内の児童福祉施設を点検してこのことを改めていただきたいと思  いますが、いかがですか。
  73. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 現行教護院入所対象児につきましては、御承知のように、「不良行為をなし、又はなす虞のある児童」ということで、不登校そのものは反社会的な行為とは考えられませんので、これだけを理由として入所対象になっているというものではないというふうに考え  ております。  最初に児童相談所相談に来られますときに、不登校というようなことで来られた者がいろんな問題行動等も勘案して入所される場合もありますけれども、そういった場合が統計上不登校というような形で分類されているのではないかというふうに考えておりますけれども、今後こういった点について誤解が生じないように私ども分類の仕方を含め検討してまいりたいというふうに考えてお  ります。
  74. 清水澄子

    ○清水澄子君 私は、施設に働く人だけじゃないんですけれども、特に子供福祉施設に働く人たちとか相談に応ずる人たちにもつと子供の人権に対する職員研修が重要だと考えております。それはやっぱりもう一度これから子供に対する価値観を変えなきゃなりませんし、大阪がこういう「子ども権利ノート」、施設に入所する際に、あなたはどういう権利があります、どういうことができますという、こういう「子ども権利ノート」を配布しているわけですね。ですから、ぜひ私は国としても政府としても、子ども権利条約の周知広報といいますか、あなたにはこういう権利がありますよ、こういうことを大事にしましょうということを周知徹底するような積極的な対応を求めたいと思いますが、いかがですか。
  75. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 子供の人権の尊重につきましては、これは社会全体で取り組んでいかなくてはいけない重要な問題であると思います。  私どもといたしましても、毎年児童福祉週間というのを五月にやっておりますけれども、こうした中におきましてもこの児童権利に関する条約の普及啓発というのを一つの項目に取り上げまして取り組んでいるところでございます。また、児童相談事例集というのも毎年出しておりますけれども、この中におきましても先生今御指摘ございました大阪府の「子ども権利ノート」なども取り上げておりましくこうした取り組みについて各都道府県に普及させるようなことも含めまして努力してまいりたいというふうに考えております。
  76. 清水澄子

    ○清水澄子君 次に、保育の質を高めるという観点から、私は保育所最低基準の引き上げについてお尋ねしたいんです。  現行最低基準を見ますと、保母の配置基準というのは、ゼロ歳から二歳児では六人に対して一人ですね。三歳児で二十人に対して保母一人、四、五歳児には三十人に保母一人ということになっておりますけれども、アメリカなんかはゼロ歳児は一対一なんですね。それから三歳児は五人に保母さん一人です。日本では二十人に一人。それから四、五歳以上は日本は三十人に一人ですが、アメリカは七人に一人。イギリスなどは三人に一人ですね、ゼロ歳というのは。三歳で四人に一人、五歳以上で五人に一人と。  実は保育というのは、保育所は乳幼児が生涯にわたる人間形成の基礎を培う極めて重要な時期にその生活時間の大半を占めているんだということを保育指針にも書いていらっしゃいますけれども、まさに私はそういうときにどういうふうに、大臣もいろいろこの間から御発言をいただいている中で、子供が親から、また周辺の人たちからどのように愛されているかということがやはり実感されるような、そういう育ちの環境が非常に大切だと、私も全く同感でございます。  そうすると、それは家庭においても必要だし、今度は保育所は親にかわって親のいない間をそういう家庭的な雰囲気の中で子供を愛情を持って育てなきゃならないんですが、そのときに保母さんが三歳ぐらいで二十人に一人ではとても一人一人に手が届かないから一斉に御飯を食べさせるとか、そうなってしまうと思うんですね。ですから、そういう意味保育の質を高めるというのは保母の配置基準をやっぱりもっと受け持ちを少なくして、ゆったりした人数を必要としていると思うんです。  続けて、それとあわせてお伺いしたいんですが、日本では、私なんかは女性ですからよその国に行くとすぐに保育所なんかを見に行くんですが、食べるところと寝るところと遊ぶところが一緒の部屋というのは日本だけですね。やはり食べる部屋はちゃんと食堂があり、寝室と遊ぶところは別なんですね。日本は一つの部屋で全部やるわけです。これはこの保育所の構造とか面積とかの最低基準が貧しい人の子を預かってやるという、そういうところがら出発をしてきていたのであって、本当に子供の最善の利益を私たちが保障していくような、そして本当に子供がゆとりのある中で育っていくというのは私は精神形成でも情緒形成でもとても大事だと思うんです。  そういう意味でも、私は今日の最低基準というのはどうしても改める必要があると思いますが、それはどのようにお考えですか。
  77. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 保育所の保母の配置基準についてでございますが、基準としては先生指摘があったような基準でございますけれども、私ども延長保育でございますとか、開所時間の延長ですとか、乳幼児保育ですとか、それぞれ特別保育事業等で各保育所が御努力いただいている度合いに応じまして保母を加配する等、これまでも努力してきたところでございますけれども、今後におきましても時代の要請にふさわしいあり方について検討していかなくてはいけないのではないかというふうに考えているところでございます。  ただ、最低基準でこの保母の配置数を上げるということになりますと、それだけ保育のコストが上昇いたしまして利用者の負担も上がってくるというようなこともございますので、やはりサービスの質の確保を図る観点と、これをいかに効率的にやっていくかという観点も必要ではないかというふうに考えております。こうしたことも踏まえまして、いずれにいたしましても中央児童福祉審議会等の御意見等も伺いながら今後検討してまいりたいというふうに考えております。  また、設備構造あるいは面積の基準につきましても、どうしたものがよろしいか、今後審議会の御意見も伺いながら検討してまいりたいというふうに考えております。
  78. 清水澄子

    ○清水澄子君 その保育のコストというのが結局保育の質と直接関連するわけですから、それはやはり保護者に負担が全部行っちゃうというだけでは私は問題解決できないと思います。やはり、保育に対しての公費の援助というのはとても重要な私は第一条件になってくると思います。  そこで、今回の改正でこの保育所行政がこれまでの措置的なものから利用者が選択できるというものに改正されるわけですが、いわば保育所に市場原理を持ち込んでいるという、そういう懸念が非常に多くあります。そういう中で、これがやはりある程度いろんな注意をしないと、安かろう悪かろうの市場原理が働くんじゃないかという心配関係者の間に非常に多いわけです。仮に市場原理をもし持ち込むのであれば、同時に保育内容というかサービスの質のあり方を確立していかなくてはいけない。特に子供に対してそのサービスの質というのは、それは自由競争だけでは私は非常にこれは問題が出てくると思います。そこで今度の改正案に対して大変みんなが心配をしているわけです。  そこで、本当に子ども権利条約が言う子供の育ちをどのように保障していくのかということの中でどうしても不可欠な条件としては、やはり国の財政的な、公費の財政的な支援というのは私は不可欠の条件だと思います。  そこで、私は大臣にぜひ本当に考えていただきたいし、私たちも考えたいわけですけれども平成八年度の予算で見ますと、保育所運営費の国の負担は全体の四分の一の二千八百五十四億円でしかないわけですね。保育児一人当たり年間十七万円なんです。一方で、これは非常に例はよくないんですが、もっと違う例を挙げたいぐらいですが、一応挙げてみますと、まだ不十分な状況に置かれているという特養ホームでは一人当たりの国の費用は一カ月二十七万一千円負担をしているわけですね。  そういう意味でいきますと、公共事業でのむだ遣いとか特殊法人への財政のいろんなむだ遣いというようないろんな問題をもっと吟味すれば、年間に二千八百五十四億円、たったこれだけを私たちは次の社会を担う子供保育費用としているという、私はこの現状をやっぱりどこかで変えていかなきゃいけないんじゃないだろうかと。このことは、やっぱり私たち大人が次の世代の子供たちに、いわゆる人間に対するといいますか、未来に対しての投資が非常に私たちは今まで不十分であったのじゃないだろうかと。そういう点ではよく、一昨日の参考人もおっしゃったんですけれども、ニュージーランドなんか非常に構造改革をやっているんですが、しかし子育て支援の拡充はやはりきちんと有効に行っていると。そういう中で子育てに係る公費はニュージーランドはむしろ四倍にふやしたという報告があります。  だから私はこの際、選択性の導入に伴ってひとつ思い切ってこの財政配分のあり方ということについて大臣は、ぜひひとつ考えていただきたいし、そして私たち大人全体が本当にこれからの子供たちのために、または地域の子育て支援のために私たちは投資をしていけるようなことをやりながら女性の就業、就労の拡大、いわゆる雇用の拡大を図っていく。それから、施設に働く人々もまた雇用が広がります。それでもって税収入源もふえていくという、こういう形の財政のあり方、そして特に保育における公費負担というのをぜひ考えていただきたいと思いますが、大臣、いかがですか。
  79. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 保育に関する予算が二千八百五十億円程度、それに比べますと平成九年度、今年度の予算の中で十六兆円以上のお金が何の新規の政策需要に使えない、今までの借金の利払い償還に回ってしまう状況を我々政治家はどう考えるのか、国民はどう考えるのかということを真剣にもっと私は議論すべきだと思います。十六兆円ですよ。十六兆円というお金が何の新規の政策需要に使えないで、ただ国債を買ってくれる人の懐に入っちゃう。こんなばかなことを我々は今までやってきたのか。知らないうちに若い人にツケを回しているどころじゃなくなっちゃった。現在の納税者がこれだけの負担をしなければならない。だからこそ行財政改革をしなきゃいかぬ。確かにそれに比べれば二千八百四十億円、私も少ないと思います。  ニュージーランドの例を出されましたけれども、ニュージーランドは郵便局を民営化しました、国がやらなくてもいいことをやっているから。税金の使い方がどうなっているのか、ニュージーランドは八万人の役人を四万人に減らしました。半分にさせました。私はこれぐらいの行財政改革を今やらないととんでもないことになっちゃうと。  現在の人は税金を払うのも嫌だ、自己負担も嫌だ、国債発行して借金をしようと。気がついたらこのような借金財政になっちゃった。だからこそ今、行財政改革をしなきやならないということで真剣になっている。この取り組み、財政構造改革五原則を橋本内閣は打ち出しました。総論はみんな賛成です。増税はいけません、国債発行はいけません、一切の聖域なく歳出の削減に踏み込みます、そういう中で本格的な行財政改革をやって、不必要なところで税金を今使っているんだから、本当に必要なところにもつと国民の大事な税金を使おうじゃないかという中で、高齢者にまさるとも劣らない次代を担う子供たちに対しての支援体制を大人が考えていかなきゃならない、私はそういうふうに思います。
  80. 清水澄子

    ○清水澄子君 その大臣の熱意、私も賛成です。だけれども子供の本当に大事なところにお金を税金を使えるように、ぜひその点は、子供のここの部分は聖域とは言わないで、ぜひひとつよろしくお願いをいたします。  エンゼルプランなんですが、これは目標値と実際の進捗状況というのは非常に大きな乖離があるわけですけれども、それは今後本当に五年の間に予算上の目標の数字のとおり実行できるんでしょうか。時間が短いので、ちょっと短くしてください
  81. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 緊急保育対策等五カ年事業、ちょうど二年目が終わったところでございまして、三年目にこれから入るところでございますが、中には、先生指摘がございましたように、うまくいっているものとそうでないものとがございます。私ども、残り三年間、いろんな工夫を図りながら、また地方の状況も見ながら、保育所の取り組みが進むような方策の検討を含めまして、事業の着実な推進を図ってまいりたいというふうに考えております。
  82. 清水澄子

    ○清水澄子君 特にエンゼルプランは労働省、厚生省、建設省、文部省が一体となって総合的な子育て支援策を具体化していくというもっと積極的な努力が私は必要だと思います。ですから、これをぜひ私は政府の中に各省の大臣が責任を持つ推進本部を設置すべきだと。これは私の意見ですから、後ほど大臣からまとめたところでお答えいただきたいと思います。  それから、これもひとつ大臣にぜひお答えいただきたいんですけれども、今回の法改正には評価すべき点もございます。しかし、これまでの審議状況から見まして、法制度と実態との間に埋まらない問題や、むしろ今後に課題を残した改正になっております。したがいまして、今後この改正案の施行に伴って新たな問題がいっぱい生じてくるという可能性はあると思います、これは非常に新たな実験でもあるわけですし。ですから、そういうふうな問題が出てきたとき、それから法案審議で課題になった点に関して、特に子ども権利条約履行のための法の見直しが必要になると思います。  ですから、ぜひ子供の人権についてやはりもう少し親も、それから職員社会も全部価値観を変えていく、それから市民参加型の児童福祉というものをつくり出さなきゃいけないと思うんですけれども、それについても現在の法の古いところとか正すべきところは正していく、そういう児童福祉法の不断の見直しが必要だと思いますので、小泉厚生大臣、私はこれについて積極的な御意見を伺いたいと思います。
  83. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 我々を取り巻く環境は時代とともに大きく変わっております。特に、保育関係にしても当初は親御さんのいない、そういうお子さんを預かっていたのが保育所の大きな役割だった。それが現在のように、女性は家事、育児だと思っていた状況が当然女性も一緒に男性と同じように仕事を持って生きがいを感じながら子育てをしたいというふうに変わってまいりました。また、保育所に預けるお母さん方、お父さん方の考え方もむしろそれを当然だと受けとめるように一般化してきました。このように時代は大きく変わっておりますし、そういう中で今回の法改正はなされたとしても、また環境の変化というものも出てまいります。私は制度の不断の見直しが必要だと思いますが、変わらないのは子供というのは将来の次代を担う重要な宝であるということだと思います。  そういう意味において、今までの子育てに対する家庭機能も変化しておりますし、家族だけの責任というものに対しても限界がある、そういうところを社会全体で支えていこうという環境整備を今後とも不断に充実させていかなきやならないと思いますので、この法が改正になったからもう事足れりということじゃなくて、不断の見直しと充実策を大人の責任として考えていく必要があると思います。
  84. 清水澄子

    ○清水澄子君 最後に確認の意味で、やはりこの間も確認させていただきましたけれども、この法律議論検討の中で三党で確認してきた事項というのは、やはり子育て支援のこのエンゼルプランを五年で打ち切らないで、本当にこれを拡充して公費の積極的な検討を図っていくとか、保育料についてもやはりこれまでの経過を踏まえて現行水準を後退させないようにしていく、そして、低所得者は当然のことですが、中間所得者、低年齢児にはちゃんと今まで以上にその辺に手厚い配慮をするということ、それから延長保育についてもこれまで市町村として実施してきた経過を踏まえて、そして利用者の利便も考慮しながら緊急五カ年計画を推進していくこととか。  それから、一昨日も参考人皆さんたちから過疎地帯における保育所が三十人という規模ではもうそれだけ子供がいないと、もっと高齢者やいろんな福祉施設を一緒に合体でやれるような、そういう柔軟な弾力的な運用をさせてほしいとか、それから認可外保育所皆さんたちが非常に多くの子供たち保育している実態が報告されました。  ですから、私はそういうことを含めてこの児童福祉法理念などを引き続いて検討していただくこととあわせて、これらの審議されたこういう問題について、また三党で確認したこれらのことについて、今後ともぜひ大臣はこれを積極的に御推進くださいますことをお願いしたいと思います。一言だけ、よろしくお願いします。
  85. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 与党三党の間で確認されました趣旨等については、これをもう十分尊重してこれからも予算編成に取り組みたいと思っております。
  86. 清水澄子

    ○清水澄子君 ありがとうございました。  終わります。
  87. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 参考人質疑を含めましてきようで四日目、審議が続いております。かなりたくさんのことが出されてまいりましたので、私はきょうはこれまで言い足りなかったところ、それから確認の意味で少し答弁を求めていきたいと思うところをお尋ねしたいと思います。  今、清水議員の方からもお尋ねがございましたけれども、最初に三十四条のいわゆる禁止行為、ここのところで早くから市民団体、女性団体、宗教団体などから要望がございました。まとめて十五ほどの団体が売買春問題ととりくむ会というのをつくっておられますけれども、この会は売春防止法を獲得した団体の後ろの組織といいますか、国内の売買春問題、また日本とかかわりのある性暴力の問題などに取り組んできたところでありますけれども、日本では少女が売春防止法五条違反、公然勧誘をしても罪に問われるのに、買春の男性は処罰されない。買った方は処罰されない。この矛盾した法体系を変えるべく、児童福祉法三十四条の禁止行為の列挙項目に児童を性的に搾取する行為、買春と児童ポルノを加えるようという署名運動を続けてこられたところでございます。  私どもも何とかこの御要望にこたえたいと思いまして、ずっと法制局とも協議、議論を重ねてまいりました。ここのところは、先日の質疑で私もちょっと触れましたけれども、非常に微妙な問題もあり、それから東京都が淫行禁止規定をなかなか思い切って踏み込んで入れられなかったということを考えましても、やはり児童を性的な題材に使用する行為あるいは児童を買春やポルノの対象とする行為、このことが、私たちは日常的に目に余る思いで見ているにもかかわらず、これの定義づけがなかなか難しいというふうに聞いております。そして、この禁止行為は罰則の構成要件となるわけですから、憲法三十一条の罪刑法定主義の趣旨からも十分に定義を、規定を明確にする必要があるというふうに法律の専門家は考えておられるようで、私もそのあたりのところはそのとおりだと思います。  買春については性的な自由、性的な題材、ポルノについては表現の自由との関係が問題となって、規制が非常に広がって広範なものとなるということ。  それから、この児童福祉法の三十四条一項六号の「淫行」についてはこういうふうに書いてあります。「性道徳上非難に値する性交又はこれに準ずる性交類似行為」、これは刑事裁判実務大系の「風俗営業・売春防止」というところを参照したものです。また、青少年保護育成条例の「淫行」は、「青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為」というふうに書かれておりまして、今回の改正では、私どもの希望したように、この三十四条に買春あるいはポルノに少女を使うことといいますか、そういったことが禁止行為としては入れられなかったということがございます。  法の見直しということも近い将来考えなければならないと思っておりますので将来に向けての質問を今しているわけですけれども、そういったことでどのようなお考えから、私が今幾つか例を出しましたけれども、今回強く望まれていたこれらの禁止行為の中に入れられなかったのかというお考えを聞かせていただきたいと思います。
  88. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 児童ポルノを含め、いわゆる児童の性的虐待の問題については非常にゆゆしい問題であるというふうに考えております。  この問題について、現行児童福祉法におきましては、三十四条においては一項九号で、児童の心身に有害な影響を与える行為をさせる目的をもって自己の支配下に置く行為というものは禁止されて罰則の対象にもなっております。また刑法等におきましても、わいせつ物の陳列等が処罰の対象になっているというようなことで、実体法の面でも一応の対応が図られているということがございます。  今後どうするかにつきましては、先生の御指摘にもありましたように、定義の問題をどうするか、罪刑法定主義あるいは表現の自由との関係をどういうふうに考えるかというようなことで、私どもだけでなく非常に広範囲な検討を要するということでございますので、児童権利条約趣旨も踏まえまして、今後関係省庁とも連携をとりながら検討してまいりたいというふうに考えております。  禁止行為のいろいろな表現上の見直しにつきましても、引き続き検討課題とさせていただきたいと存じます。
  89. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 今後の私どもお互いの努力で子供を、特に少女たちを守れるようなものにしていけるかということが問われていると思います。同時に、少年少女を取り巻く環境は本当に大きく変わっておりまして、嫌な言葉ですが援助交際というふうな形で売春行為を半ばスポーツか何かのように、レクリエーションか何かのように平気で行うような、そういうモラルのないことが流行しているということも事実であります。  それに対して、立法でどういうふうな対応ができるか。刑法で処罰するということは恐らく非常に難しいだろうというふうに思いますので、私たちがどうずれば被害者を守ることができるのか、あるいはその人の性というのはあくまでも個人のものでありますから、これを守るためにどういうふうに法律が制定されなければならないのか、そういったことが広く大きく問われているというふうに思いますので今後の検討にまちたいと思いますけれども、そのことは次の課題といたします。  それでは、さきの御質問をずっと聞いておりましてもたびたび出てきておりますけれども、私どもも審議を重ねてまいりましたが、やはり子育てと仕事の両立を図るために、特に私は延長保育あり方について、現行制度の実態を尊重して、そして緊急なニーズにこたえられるようなサービス整備を進めたいと。緊急保育対策等五カ年事業の実現を図るための利用者の利便に配慮したいと。そして、保育所入所対象者や認可保育所への対応について引き続き検討を進めることをぜひ実現したいというふうに思いますが、厚生省のお考えを聞かせてください。
  90. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 延長保育につきましては非常にニーズも高いところでございまして、現在、私ども緊急保育対策等五カ年事業によりましてその推進を図っているところでございます。  今後どうしていくかということにつきましては、今回の改正を踏まえまして、延長保育に関するさまざまな規制を緩和して保育所創意工夫によって自由に取り組めるようにするという考え方があります一方、現状のように市町村中心に補助金を投入して普及していくという考え方もございまして、具体的にその仕組みをどうするか、費用負担についてどうするかということにつきましては十年度予算編成に向けて審議会の御意見等も伺いながら検討してまいりたいというふうに考えております。
  91. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 それでは次ですが、この委員会の審議の中にもたびたび出てまいりました放課後児童健全育成事業、これにつきましては、私も地元の札幌で本当に目にいたしますし、実際に通わせておられるお父さんやお母さんの声も随分と聞きましたけれども、この法案が成立した場合にニーズに合った柔軟な事業展開がされるように、特に職員の資質の向上あるいは設備の向上、劣悪な環境をどう、全部が劣悪だとは言いませんが、劣悪な環境に耐えて放課後学童保育をやっていらっしゃる方たちの環境をどう変えられるのだろうかということで具体的にお示しいただきたいと思います。
  92. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 放課後児童健全育成事業につきましては、現在非常に多様な形で行われているわけでありますが、今回法制化するに当たりましても、こうした多様な形態が損なわれることのないようできるようにしてまいりたいと考えております。  その際、設備面をどうするかということでございますけれども法制化いたしまして社会福祉事業に位置づけられることによりまして、さまざまな面での事業の税制上等の恩恵でございますとか、あるいは共同募金の寄附を受けやすくなるとか、いろんなそういった面もあろうかと思いますし、また私どもできるだけ多様な形を尊重したいということで規制等を最小限にしたいと思っておりますけれども、安全、衛生面ということで基準等も何らか必要ではないかというふうに考えておりまして、そういったことを通じてそれぞれの地域実情に応じて改善が図られるよう期待しておるところでございます。
  93. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 今のお答えですと、基準をつくってその基準以外のものははみ出してしまうというか、許されないというか、そういうふうに聞こえちゃうんですよね。そうではなくて、そういう条件に耐えて頑張ってやってくださっている学童保育所をどう支援していくのかということが大事なんじゃないかと、そういう答えを聞きたかったんですよ。だけれども、一応基準を設けてというふうに言われますと、これだけの基準がないところはやつちゃいけませんということになるんでしょう。違いますか。
  94. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) いわゆる認可基準等と違いまして、そういった規制効力はないというふうに考えておりますが、基本的に多様な形態のまま各地域実情に応じてできるだけできるようにしてもらいたいということでございます。  ただ、先ほど申しましたように、法制化等によりましてそれなりのメリットもあるということでございますし、また私ども従来から助成事業等も行ってきておりますが、これについては今後とも継続してまいりたいということでございます。
  95. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 これは、昔の伝統的な日本の考え方とはもう全く価値観が変わっている現代において、やっぱりお父さんもお母さんも働いているというのはもう当たり前になってきているわけでして、具体的に言えば私の部屋におります秘書もそうやって子供を育てながら働いております。  ですから、そういう意味ではやはり必要欠くべからざるものとして考えていただきたい。学童保育というのはごく限られた少数の子供たちのためのものではなくて、これからどんどんこれは層が広がっていくという意味において温かい具体的な配慮をお願いしたいというふうに思います。  次に、児童相談所児童福祉施設の人材確保と資質の向上ということで最低基準の問題あるいは施設整備の問題などが触れられておりますけれども、これは先日教護院を視察に行きました後、行かれた先生方からお聞きをしたところによりますと、今の若い子供たちの体型やそういった条件に非常にそぐわない中で育てられているといいますか、施設に入っているといいますか、そこのところの生活水準の向上というか、もっとニーズに合った生活水準を確保してあげたいというふうに思うわけですけれども、そこについてはどうでしょうか。何か具体的にございますか。
  96. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 教護院を御視察いただきまして御指摘のような印象を持たれたかと思います。  古い施設におきましては確かに狭いところもございます。こういった最低基準自身の問題については、私ども時代の要請にふさわしいものとするように今後とも審議会等の意見を聞きながら検討してまいりたいと考えておりますし、一方、補助基準等の面におきましては最低基準と違った形で運用がされてきておりまして逐次改善を図ってきているところでございますので、こういった面でも今後とも努力してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  97. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 これは、教護院に限らず、児童養護施設乳児院とかで家庭環境に恵まれずに生活する子供たち生活水準を大幅にレベルアップしてほしいと。  私どもは、本日後ほどお出しします修正案の中にも「児童に関する措置を採るに当たっては、児童の利益が最大限に尊重されなければならない。」という項を入れていただくことにしておりますけれども大臣、突然で申しわけありませんが、こういつたことでひとつ御決意をお願いいたします。
  98. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 待遇改善あるいは施設整備拡充、これに対してできるだけの努力をしていきたいと考えます。
  99. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 控え目な御答弁で、もう少し前向きに踏み込んでいただきたかったと思いますが、突然でしたから申しわけありませんでした。  それから、先日参考人においでいただきましたときにも幾人かの方たちから出ておりました不登校の問題では、先日大臣教護院に必ずしも不登校の子を対象として入れるものではないという御答弁をいただきました。きょうは文部省にはおいでいただいておりませんけれども、不登校というのは、この言葉はよくないと私先日も申し上げましたけれども学校に行かざる子供ということで、日本では義務教育ですから義務教育の期間は学校に行くのが決められた当たり前のこととされるのかもしれないけれども、これを即問題行動とするのは非常に誤りであるというふうに思うわけですね。  そこで、気になりますことは、こういう言葉をどうして厚生省は変えられなかったのかと。先ほども出ておりましたが、四十四条に「児童自立支援施設は、不良行為をなし、又はなすおそれのある児童及び家庭環境その他の」と、これは旧法で「教護院は、不良行為をなし、又はなす虞のある児童を入院させて、これを教護すること」と、この「虞」という難しい字が書いてあるのを平仮名にお直しになっただけで、これはこのまま「不良行為をなし、又はなすおそれのある」となっているんですけれども、この不良行為をなすおそれのある児童というのは一体どういう子供のことなんですか。
  100. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 今回の教護院に関する改正の中で、御指摘いただきましたように、従来の「不良行為をなし、又はなす虞のある児童」に加えまして、「家庭環境その他の環境上の理由により生活指導等を要する児童」を加えたわけでありますが、従来の表現自体は変えてなかったところでございます。この点につきましては、少年法に基づく保護処分の送致施設にこの児童自立支援施設がなっているということで、同法との関係でその範囲を変更することがなかなか難しいというようなこともございまして、また用語についてもいろいろ検討したわけでありますが、なかなか適切な表現がないということで今回変えられなかったということであります。  おそれがあるというのは、不良行為そのものをなしているわけではありませんけれども、なすおそれがある児童ということでございます。これは具体的な例示といたしましては、不良行為をなすおそれがあるということで申し上げますと、保護者の正当な監護に服しない性癖がある、あるいは正当な理由がなく家に寄りつかない、あるいは犯罪性のある人、不道徳な人と交際したり、いかがわしい場所に出入りすること、自己または他人の身体等に危害を加える性癖があるというようなことを言っておりまして、不良行為そのものではございませんけれども、こうした範疇に該当する人のことを言っているということでございます。
  101. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 全くおかしいですよ、それは。他人に危害を加えるのは性癖なのでしょうか。そして、不良行為をなすおそれのある、家庭保護者の監督下に入らない子供。多分、局長もかなり親に反抗されたことがあると思いますが、私も随分反抗しました。親に反抗するのはこれは成長の一種でありまして、親に反抗するくらいの方がむしろ将来的に見込みがあると言えるかもしれない。反抗するのがごく当たり前というふうな成長過程から考えますと、親の監督下に入らない子供は不良行為をするおそれがあるのかと。それは親は正当で子は正当じゃないという考え方ですね。大人はまともで子供はまともじゃないとか、そういう対比をしていきますと限りなく議論が広がっていっちゃうわけですけれども、私はへ理屈をこねているわけではなくて、やはりこういう「不良行為をなし、又はなすおそれのある」というような、私たちが望んだポルノや買春行為などでは定義が広範に広がってとても入れられるものじゃないとおっしゃったのに、こういう広範に広がる言葉を、五十年目の抜本的な法改正に伴ってこういう非常に定義されにくい言葉をそのままここにお使いになる神経というのはやっぱり解せない。これはやはり厚生省の本音が出ているような感じがすると言っては言い過ぎでしょうか。  ここはやはりきちんと言葉遣いを直して出してほしかったというふうに思いますが、これも突然で申しわけないですが、大臣、どうお思いになりますか。
  102. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) これは逆にそれじゃ不良行為は何かといったら、私はもっと難しくなると思いますよ。いかがわしい行為とは何か、非行とは何か、これは私はもっとややこしくなるんじゃないかなと。そこら辺は大人の常識といいますか、社会の進展に伴って常識は変わってまいりますけれども、そこら辺というのは国会の審議を踏まえて担当者がよく判断した方がいいのじゃないかと、私はそう考えます。それほど言葉遣い、こうだと決めるというのはなお難しい点が出てくるのじゃないか、そう思います。
  103. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 だから入れなきゃよかったんですよ、こういう言葉は。そうでしょう。定義が難しいから入れなきゃよかったんです。  今の大臣のお言葉に私反抗するようで申しわけないんですけれども、大人の常識とおっしゃいましたが、大人はすべて常識的なんでしょうか。子供は全部非常識なんでしょうか。そういう議論をしていくとちょっと私の時間内ではとてもおさまらないんですけれども
  104. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 言葉の定義をやっていますと、それはいろんな法律全部問題が出てきます。これは切りがないんじゃないかな。そこら辺、確かに常識ある人とない人がいますから、これは難しい問題ありますよ。ある場合においては漠然とした問題、言葉の定義はできないけれども、それは国会等でこういう議論が行われたという点も踏まえて関係者がよく配慮して運営に当たるということもいいのじゃないかなと私は思います。
  105. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 もう時間がありませんので議論は残念ながら打ち切りますが、だからこういうあいまいな言葉を使ってほしくなかったということを最後に申し上げておきます。  四日間審議をいたしまして、これだけ多くの問題が出てきております。附帯決議もたくさんの附帯決議がつけられるだろうと思いますけれども、そういう意味でやはり適当な時期にこの法律は見直さなければならないだろうと思います。  残念ながら法律の中にそれを入れることはできませんでしたが、どのようにお考えでしょうか。
  106. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 私ども、今回の改正で終わりということでなくて、絶えず時代の変動に対応して適切な制度となるように不断の見直しを図りながら、子育てを社会全体で支援していくような仕組みの構築に努力してまいりたいというふうに考えております。
  107. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 ちょっと今の答えはよくわからなかったんですが、見直しをする方向でいくわけですね。
  108. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 今回の改正制度改正は終わりということでなくて、絶えず時代の変動に即して見直しを行いながら、子育てを社会全体で支援していく仕組みの構築に努めてまいりたいというふうに考えております。
  109. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 はい、よくわかりました。  それでは、最後に大臣にお聞きして私の質問を終わろうと思います。  先日も申し上げましたけれども子供意見をもっと国会は聞かなければいけないというふうに考えます。子供国会が開かれますけれども、例えばこういう審議が行われる前には子供たちを集めた参考人審議とか何かそういった方法で、子供権利条約もそうですけれども子供の福祉法を次に見直すときにもぜひそういう形で何らかの子供の政策決定に関する参加を何とか考えていただきたいと思いますが、厚生大臣としてどのようにお考えになりますでしょうか。
  110. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 基本的に子供意見を聞くのはいいんですが、それじゃどういう子供を選んで聞いたらいいかとか、実際に子供というのは何歳ぐらいの児童を呼んだらいいのか、親に吹き込まれて言わないような自分の意見を持った子供はどのように人選したらいいのか、なかなか難しい問題があると思います。基本的にはいいと思いますよ。子供意見を聞かなきゃだめだと。そうしますと、恐らく大人が一番悪いということになってくると思いますね。子供意見を聞くと、みんなそれは親の勝手じゃないかと、子供に責任はないのに、むしろ親が、大人が子供に対してひどいことをしているというのが現実多いわけです。そういうことからも私は子供意見を聞くのはいいと思いますが、それを具体的にどういう形でやるかというのはいろいろ検討をする必要がある、そう思います。
  111. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 終わります。
  112. 西山登紀子

    西山登紀子君 一昨日の参考人質疑では、本改正案につきまして賛否いろいろな角度から意見が出されました。同じく公的責任の強化を望む積極的な要望もおのおのの皆さん方から出されました。中でも保育所に関する二十四条、五十一条、五十六条についての質疑が当委員会でも非常に多かったのが特徴ではなかったかと思います。参考人の陳述でもそうであったと思います。ここにこの法改正の国民の関心、それから不安が集中しているのではないかと思うわけです。厚生省もこうした公的な責任を後退させないようにという国民の意見を真剣に受けとめる必要があると考えます。  そこで、保育所の問題につきまして再度お伺いしたいと思います。  本改正案の提案理由はこういうふうになっているんですね。「児童家庭福祉制度は発足以来その基本的枠組みは変わっておらず、保育需要の多様化や児童をめぐる問題の複雑・多様化に適切に対応することが困難になっているなど、今日、制度と実態のそごが顕著になってきております。」、つまり制度と実態が合わなくなってきている、そごを起こしている、こういうふうなことが提案の理由です。問題は、このそごというのは制度が悪かったのか、それとも運用が悪かったのか、これが議論があるところであると思います。今までの質疑の中で、保育の多様な要望に保育所対応し切れていない、こういう問題は措置制度の弊害とは言いがたい、こういうふうに私は思います。  厚生省の主管課長会議、私、先日も御説明したわけですけれども、三月十七日に全国児童福祉主管課長会議というのが行われた。その席上で厚生省の課長がこういうふうに言っています。今までも実際には保護者の申し込みに基づいて入所ということを行っているわけですし、親御さんの意に反して施設に入れてしまう、保育所に入れてしまう、そういう措置をするということは基本的にはなかったものと解釈していると。今の制度でもそういう弊害はなかったというふうに厚生省が主催をした課長会議でこういうふうに言っているわけです。  ですから、この提案理由が、今日、制度と実態がそごを起こしているというふうに言うのは少しこじつけの感がある、乱暴な断定ではないかというふうにすら思うわけです。むしろ私が思いますのは、八一年以降、臨調・行革で保育予算が削減をされてきた、社会の要請に十分保育行政がこたえてこなかった、その結果ではないかというふうに思うわけです。  以下、具体的に指摘をしていきたいと思います。  まず第一に、保母の配置基準です。先ほども議論がありました保母の配置の最低基準です。これは昭和四十四年、一九六九年に三歳未満が六対一、三歳児が二十対一、四、五歳児が三十対一というふうに改正がされているんですけれども、それ以降改正がされておりません。二十八年間改正がされていないんです。働く女性はどんどんふえました。産休明けや育休明けの保育というのは働き続けるという点ではこれはもう必須の条件なんですね。だけれども最低基準は変わってこない。だから、やむにやまれずどうしたかといいますと、自治体は自分たちで独自に予算をつけてふやしたりしていますよね。東京都はゼロ歳児三対一、一歳児五対一、こういうふうに基準を厚くするというような努力をやってきているわけです。  なぜ二十八年間最低基準を変えなかったのでしょうか。
  113. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 保育所保母の最低基準そのものにつきましては、先生指摘のとおり、昭和四十四年以降変わっていないわけでありますけれども、例えば乳児指定保育所ということで乳児保育をやっているところにつきましては三対一、あるいは休憩時間の確保という観点から保育所に保母一人を加配するとか、あるいは延長保育をやっているとか一時保育をやっているとか、それぞれその保育所において努力をしているところにつきまして保母を加配する等の改善を行ってきているところでございます。  私どもといたしましては、一律に基準を見直すのではなくて、保育ニーズへの対応度に応じましてめり張りをつける形で保母等の加配を行ってきたところでございます。
  114. 西山登紀子

    西山登紀子君 中児審も四十三年にはゼロ歳児は三対一にしなさいというふうに答申をしております。私が今問題にしているのは、あれこれの補助でこうやっているということではなくて、最低基準というこの非常に重要な基準を二十八年間変えてこなかった、この問題です。  特に乳幼児の発達というのは、物じゃないんですよ、人間なんですよ、ですから本当に子育でしょうと思ったら、情緒的にも知的にも社会的にも育てていくのは人間のかかわりです。猿の実験にもあるんですが、針金母さんという実験があるんですね。どんなに形が同じようなお母さんの形をしていても、針金の猿に育てられた子猿というのは情緒障害を起こすんです。それから考えれば、やはり小さな子供を育てるためには人材がどうしても必要だと。三対一の基準というのは本当に私は最低の基準としてこれを早くきちっと変えるべきだったと。こういうことを変えてこなかったからそごが起こっているわけです。ふえてこないわけです。変えなかったからやろうと思ってもなかなかやれなかった、こういうことじゃないかと思います。  次に移ります。  待機児童、入所を希望しても入れない待機児童平成七年の四月一日現在でゼロ歳児と一、二歳児は何人いますか。
  115. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 平成七年四月一日現在における待機児童につきましては、ゼロ歳児が五千九十六人、一、二歳児が一万三千八百五十三人ということでございます。
  116. 西山登紀子

    西山登紀子君 待機児が年々ふえる傾向にあるということですが、事実でしょうか。
  117. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) ただいま七年度の数字を申し上げましたけれども平成六年あるいは平成五年と比較いたしますと、それぞれ増加傾向にございます。
  118. 西山登紀子

    西山登紀子君 待機児というのはふえているんですね。ここ数年間ふえています。特に四月一日よりもやはり十月一日の方がぐんとふえているんです。平成七年でも十月一日の時点ではゼロ歳は一万一千八百九十七だし、一、二歳児を合わせると二万人近い待機児になります。こんなに入れない子供がいる。  こういう矛盾というのは、臨調・行革でこの間保育所自身はふえていないんですね。ですから、こうしたそごが起こるのは当たり前じゃないですか。これは親に選択権があるかどうかとは関係ないんじゃないですか。
  119. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 待機児が多数生じておりますのは東京、大阪等の大都市が多いわけであります。こういつたところにおきまして、全体としての入所率を見ますと八〇%台ということでございますけれども年齢別の定員等を設けているというような状況、あるいは乳児等の受け入れに必要な設備が足りないというような状況もありましてこういつたミスマッチが出ているというふうにも伺っているところでございます。  私ども、それぞれの地域ごとの実情をよく調べまして、できる限り待機児童が少なくなるような努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  120. 西山登紀子

    西山登紀子君 延長保育の問題に移りたいと思うんですけれども延長保育の面でもこの間本当に行政がきちっとした対応をとってきたのかという問題です。  労基法で言えば一日拘束八時間四十五分としても、通勤時間を含めて十一時間から十二時間の保育が求められている。これが今の社会生活になっています。京都のある保育園では、延長保育を利用している子供の数というのは保育園の中でもほぼ九割になっておりまして、決して特殊な、数人の子供が利用している保育形態ではないわけです。  そういう意味で、ちょっと時間がなくなったので次にいきまずけれども、こういう延長保育の形態に対して、じゃ国が今まで何をやってきたかということなんですが、依然として保育時間というのは八時間を原則としていると。そのままなんですね。そして、そのままの人的配置のまま十一時間まではやりなさいと、十一時間まではやれるんだという通達まで出して、全然この手当てをしてこなかったと。私は、これは先ほども非常に低いといった保母の最低基準をむしろ国の方が引き下げている、最低の基準をさらに引き下げていると、こういう結果になっていると思うんですね。  この保育時間八時間を原則としたままで、延長保育の要望もたくさん出ている、働く婦人もふえてきていると、こういう状態が社会的にもほぼ一般化していると、特殊でなくなってきているにもかかわらず、八時間のままで十一時間まではやれるんだと、八時間の人材で十一時間まではやれるん、だと。  何で放置してきたんですか。
  121. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 京都市の例を挙げられましたけれども、全国ベースで見ますと延長保育を利用している人の割合というのは全体の二・二%ということでございまして、また実施市町村につきましても全市町村の一三・五%ということで、大都市部に集中しているということで町村部におきましてはほとんど実施されていない状況でございます。  こういつたことで、延長保育そのものにつきましては全国的に見ますとまだ一般化していないということもございますが、ニーズの増加というようなことに対応して、私どももできるだけ多くの保育所でこういつた事業をやっていただきたいということで助成事業を行ってきているということでございます。  それから、十一時間の話が出ましたけれども、これは十一時間全部を保育ということではなくて、通勤時間も考慮に入れまして、朝七時から夕方の六時まで子供さんがずっといるわけではございませんで、早い方については七時台からお預かりして、また帰られるということでございまして、それに対応したこうした十一時間開所しているところが全体で二四%、四分の一ほどあるわけでございますけれども、保母等の加配を行ってきているということでございます。  今後、私ども、この開所時間につきましても全国一律の規制を緩和いたしまして、各地域なり保育所実情に応じて自由に弾力的に設定できるようにいたしたいと思っております。それによりまして、現在延長保育三十分程度という方もかなりいるわけでございますので、通常の保育時間ということでカバーできる方もかなり出てこられるのではないかというふうに考えております。
  122. 西山登紀子

    西山登紀子君 今いろいろ数字を挙げられましたけれども、これは九四年の数字を持っているんですけれども、十一時間の開所、保育をやっている保育所というのは全国で一万二千二百六十カ所、約半数の保育園が十一時間の保育をやっております。しかし、今も申し上げましたように、八時間の保育が原則だ、八時間については常勤の保母、先ほど言ったように、三対一とか六対一とかという基準の保母を配置しましょうと。しかし、その基準でうんと延ばして十一時間まではやれるんですよ、やりなさいということで一九八一年に課長通知まで出ているんです。「現在の職員配置及び措置費が定められており、概ね午後六時頃までの保育は可能と考えている。従って、特別の配慮が必要なものは午後六時を超える場合である。」という課長通知までわざわざ出して十一時間まではぎりぎりそこで今の現状でやりなさいというふうになっているわけです。ですから、こういうふうな要請がある限り延長保育に積極的に保育園はなかなか取り組めないわけですよ。取り組んだところでも保母さんの負担が非常にふえる。  例えば、先ほど言いました京都の保育園でも、朝早くに子供がたくさん来るけれども、保母さんが結局早出とか遅出とかになってしまって、一対七なんということで子供を見る、遅くなったら十対一なんという感じで見ていると。保母さんは疲れるわけです。そしてまた、お金を出し合ったり保護者が交代でやったり、いろんな努力をしていますよ。だから、本当は全国どこでも延長保育は必要なんだけれども、やれないし少ないというその矛盾、そごというのは措置制度に原因があるじゃなくて、私は今申し上げましたように保育行政が非常に冷たいと、ここに原因があるというふうに思うわけですね。  さらに、それでは自治体の超過負担の問題はどうかということに移りたいと思うんです。  自治体からは毎年切実な要望が出されております。保育所の超過負担ということで出されているわけですけれども、この超過負担は一体なぜ起こるのかという問題です。自治体の財政を圧迫しています。多様なニーズに自治体がこたえようと思えば思うほど持ち出しが多くなるという現状があるわけですね。  例えば、京都市はどれだけ持ち出しているかといいますと、総費用は二百八十八億なんですけれども、国の交付基準の算定額が百九十九億、約七割になっておりますので持ち出し分は八十九億持ち出しております。  非常に積極的な保育行政をやっていると言われている川崎市が幾ら出しているかといいますと、川崎市が保育園を運営するために必要な経費は約百六十七億必要だと。国が定める運営経費は七十五億です。非常に少ない。約四割弱です。ですから、川崎市は川崎市の児童処遇のために約九十二億円超過負担で出しているわけであります。  名古屋市はどうかということなんですけれども、名古屋市は乳児保育だとか産休明け保育だとか障害保育だとか長時間保育だとか育休明け保育だとか、いろんなことをやっている。その費用を幾ら出しているか。法外負担ということで超過負担ですね、百三十七億円出しているわけです。国は約百九十五億円の算定ということになっています。総額三百三十三億円かかるうちの国の算定というのは約六割ということになっているわけです。  ですから、このように持ち出し分が非常に多いです。一人当たりに換算をしている名古屋市の例を見ますと、一人当たり約四万九百九十五円持ち出している、川崎市は七万五千九百円自治体が持ち出していると、こういうことになっているわけです。  私がここで問題にしたいのは、この保育に必要な経費は国がこれを負担すると児童福祉法には書いてあるわけですね。国及び地方自治体が公費で負担すると書いてあるわけですけれども、もともとの国の必要経費の算定、それが非常に低過ぎる。非常に低い。ですから、超過負担を自治体がその足りない分をうんと出さなければならない、こういうことになるわけです。また、保護者も負担を多く出さなければならない、こういうふうになると思います。ですから、ここに今の保育のニーズに十分保育所がこたえ切れていない問題が私はあるというふうに思うわけです。措置制度の問題ではなくて措置制度の運用上の問題、それが今のそごを大きくしているのではないかと思うんです。  この超過負担の問題について、国の基準は非常に低過ぎるんじゃないかという問題についてどうお考えでしょうか。
  123. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 保育所の運営費につきましては、国としては最低基準ということで決めましてこれに相応する負担もしているということでございますが、各自治体におきまして地域実情を踏まえてそれぞれの御判断でこの国の基準を上回る保母の加配等が行われております。  また、職員の人件費につきましても、かなり民間と公立の場合で差がございます。私どもといたしましては、この人件費等につきまして国家公務員に準じた給与改定等も毎年行ってきておりますし、保育単価に含まれるその他の諸経費につきましても物価等の動向を勘案しながら毎年改定してきているところでございます。  そういったところで、この超過負担をどう考えるか、いろいろな観点があろうかと思いますが、一つはそういった国基準を上回る保母の加配、人件費の差、それから保育料等について地方の御判断で軽減されている分というのが地方の単独の負担ということで出てきているということでございます。
  124. 西山登紀子

    西山登紀子君 いろいろ言われましたけれども、結局、保育の多様なニーズにこたえようと思えばたくさん費用は要るんだけれども、国の費用というのは自治体に対して四割であったり六割であったり七割であったり、非常に低い水準になっている、そこがやはりその地域の必要な保育ニーズに十分こたえられない原因である、決して措置制度に原因があるというふうには思わないと私は考えます。  このテーマの最後に大臣にお伺いしたいわけですけれども、こういう法改正に賛成している人たちの中でも、例えば全私保連の皆さんでも、どれだけ公費の投入ができるかというところに非常に大きな問題があるんだというふうにやはり指摘をされているわけです。また、政令指定都市の課長会議などでも緊急の要望を出していらっしゃる中には、やはり公費負担、出してほしいという要望が強うございます。ですから、やはり保育予算の公費負担をいかにふやすかということが今の保育需要に、多様な保育要求にこたえた多様な保育の実施を支えていく保障としてはどうしても必要ではないかと思うわけです。  臨調によりまして一時千八百五十二億円というふうに保育予算が非常に下げられた時期があります。それから少しずつ上がってきておりますけれども、十五年前にもまだ戻っていないという状況です。  この保育所の国庫負担をふやすべきだと思いますけれども大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
  125. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 財源が豊かであるとそれもできるんですが、今のような財政状況が厳しい中では、むしろ今までよりも、毎年度ふやしていく方向じゃなくて、逆に前年度より減らすという方向に予算編成をしなきやならないような財政状況の中で、どうやって保育関係の予算を確保していくかというのは大変大事な仕事でありますが、保育所関係の中にもそんなに延長保育をやらない方がお子さんのためにいいんじゃないかという声があるのも事実であります。また、保育関係だけじゃなくて、できればゼロ歳児は育児休業制度というものをもっと拡充して、少なくとも親御さんに、そういう延長保育なしに親御さんの手元にお子さんを預かってもらった方がお子さんのためにもいいんじゃないかという声があるのも事実であります。  保育関係だけの問題じゃ私はないと思いますが、保育所間の競争によって今後ともある程度保育所自発性、こういうものも加味して、公費で負担できない分をどうやって民間全体の創意工夫によって子育て支援体制をとれるかということの配慮も私は重要だと思います。  いずれにしても、この予算という問題は、今必要でないところに国がやっているんじゃないか、あるいは必要なところを切るんじゃないかという見直しが全部にわたって必要でありますので、私はそういう観点から必要な予算はぜひとも確保するという視点から、同時に必要のないことは余り国がやるなという観点を、両面から進めることによってこの保育関係の予算においても後退しないように努力をしていきたいというふうに考えます。
  126. 西山登紀子

    西山登紀子君 貧しい保育予算が今日のそごを生んでいるというのは、やはり臨調で一九八六年に千八百五十二億まで下がったんですね。今、本当にもう少子化になって大変だということでエンゼルプランなどで少し努力はされていますけれども、そういう保育予算が削減されたことによってどれだけのひどい結果が起こっているか、少子化が起こっているか、こういうことの認識をもう少しシビアに見ていただきたいと思います。  時間がなくなったので児童相談所の問題に移りたいと思うんです。  子ども権利条約が批准されまして、今日の児童福祉の新しい構築という点では、その実施体制のもとでは児童相談所抜きに考えることはできません。つまり、措置権を発動する機関として児童相談所があるわけですから非常に重要ではないかと思います。  そこで、まず大臣、今日、児童虐待を初め、いじめとか不登校、問題行動、いろいろふえております。そういう中での新しい児童相談所の役割について、大臣はどのように認識をされているでしょうか。
  127. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) なかなか親御さんにとっても、核家族化が進んで相談する人がいない、身近な親戚もいない、あるいは家族もいないということで、実際いわゆる経験者の知恵をかりたくてもかりられないという親御さんが結構いるのも事実であります。本来だったらば周りの方がそういう相談に乗っていた状況から、今、かなり社会も変わってきておりますから、この児童相談所の役割というものは私は今後大変重要になってくるのではないかと考えます。  今後とも、この児童相談所の役割というものはどうなのか、また児童相談所におられる方の、人が大事ですから、人によって随分対処の仕方が違う。その児童相談所の人材という面においての専門性とか資質の向上、こういうことにも配慮して充実策を講じていく必要があるのではないかと思います。
  128. 西山登紀子

    西山登紀子君 私も児童相談所で実は心理判定員をしておりましたし、情短施設でセラピストという役割も果たしていたわけですけれども、しかしやはり専門性という点ではまだまだ未確立のところがあります。そして、児童相談所というのはなかなか日が当たらないということなんですが、今回の法改正によって非常に日が当たってスポットが当たっているわけですから、これを機会にそういう新しい役割として重視をしていただきたいというふうに思うわけです。  先ほど来、処遇を決定するときに児童福祉審議会意見を聞く云々につきまして御意見が出ておりましたけれども、やはり年に一回か二回しか開かれないような児童福祉審議会に措置について聞かなければならないというふうになってしまうと、関係者から非常に疑問が出ておりまして、非常に実効性に欠けるじゃないかとか、あるいは相談所で集団的に決めているのにその結論と違った結論が出された場合はどうしたらいいんだとか、いろんな危惧が起こっているんですけれども、そういう危惧が起きないようにどのような措置をとられますか。
  129. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) これはできるだけ新しい機関をつくらないという観点から、今回児童相談所のバックアップ機能として地方児童福祉審議会の活用を図るということにしたものでございますが、できるだけ実効性ある運用をしてもらうために、年一、二回というようなことではなくて、もっと頻繁に開いていただくとか、あるいは構成につきましても児童相談所の専門性とうまく補い合うような形での委員構成とか、それからどういつだ案件についてこの審議会の意見を伺うとか審議の手続等につきまして御指摘の点も踏まえて検討してまいりたいというふうに考えております。
  130. 西山登紀子

    西山登紀子君 いろんな調査もやられているんですけれども、愛育研究所というところが二十カ所の児童相談所で調査しているんですけれども、やはりそこでは判定会議というのは週一回開かれているところが四五%、処遇会議というのは週一回やっているところが八五%あります。ですから、集団的に決めていて、そこには心理判定員や医師などの専門家も入っているわけですが、現場ではそういうふうに慎重な努力が重ねられているというところについて、やはり現場のそういった努力にも耳を傾けるべきだというふうに思うわけですね。  それで、最後に大臣にお伺いしたいわけですけれども児童相談所の専門性というのは非常に要求されると思います。というのは、処遇を決め、そして措置をしていくということになりますと、その対応というのは子供の人格なり、一生を左右するというふうな非常に重要な結果を及ぼす場合もあるわけです。ですから、そういう意味で非常に専門職が求められるわけです。児童福祉司の専門職化、こういうことも長年要求されてきたところでもあります。  さらに、私は大事だと思いますのは、これは自分自身の経験からもそうですけれども、所員や職員の研修制度、これを非常に充実させる必要があると。その際に、やはり子ども権利条約の視点が必要だと思います。日弁連も意見書で、そういう職員の養成、資格、研修に関しては子ども権利条約の視点を体得することに工夫が図られるべきだという意見書を出しているわけですけれども厚生省がまずその視点に立つことが大事だと思いますけれども、実際に実行する機関である児童相談所、そこの運営に子ども権利条約の視点を添える、こういう点についての大臣の御意見を伺いまして質問を終わりたいと思います。
  131. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) どのような施設でも一番大事なのは人だと思います。児童に対して実際に接する人の人間性、人格、これが子供に与える影響というのは非常に大きいと思います。  ただ、余り専門性にこだわって、児童に接するというのは本来常識ある大人だったならば愛情を持って接するというのが基本だと思うんです。できるだけ経験豊かな、専門ばかりにとらわれないような人を配置するというのも大事だと思うのであります。余りに専門性を言って、多くの人材が入ってくる環境を阻害しちゃいかぬ。そういう両面に配慮しなきゃいかぬ。研修は大事です。しかしながら、余り専門性にこだわって、本来常識的な人格もいいという方も、素直に子供の好きな方が児童相談所子供に接するという環境も大事ですから、私はそういう両面から、研修も大事です、専門性も大事であります。幅広い経験、人間性も大事であります。そういう観点から研修という面と専門性というものに配慮して人員の資質、相談所に勤める人の資質の向上についてはこれからも積極的に取り組んでいく必要があると思います。
  132. 西山登紀子

    西山登紀子君 大臣、子ども権利条約について。
  133. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 子供はもうこれから社会の宝であるという、そして子供の健やかな成長を願うというこの権利条約趣旨を踏まえていろいろな施策の充実に努めていきたいと考えます。
  134. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 今回の児童福祉法改正議論も私の質問で最後になります。そういうことで、きょうばいろんな観点から質疑がなされてまいりましたし、私が用意した、質問を通告した部分はほとんど出尽くしたような感がありますので若干質問通告をしていない部分が出るかと思いますけれども、その辺は御容赦をいただきたいと思います。    〔委員長退席、理事情水澄子君着席〕  私も、きょうこれだけの傍聴の方々がお見えになっておりますし、この審議では毎日後ろに立ち席が出るほどこの児童福祉法改正については多くの国民の皆さん方が関心を持っておられる、厚生委員会がこれほど注目を浴びたのは昨年のエイズのとき以来ではないかなというふうに思うんです。あのときはマスコミが随分入っていたんですけれども、今回はマスコミが全く入っていないということが私はまずけしからぬ話だというふうに思います。  そこで、これは大臣、冒頭に通告をしていない話を質問して申しわけないんですが、今回参考人招致もやりました。教護院の視察もやりました。その中で、この前の参考人皆さんに私が一様に質問をしたことがあるのできょうは大臣にもお聞かせいただきたいんですけれども、老人福祉に比べて児童福祉が私は立ちおくれているというふうに今回の審議を通じ、また視察を通じ感じたわけでありますけれども、その点について大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  135. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 老人福祉に比べて子供に対しての配慮が若干足りなかったんじゃないかというのは、私も同じような気持ちを持っております。それはどちらかというと、働く若い世代といいますか、働き盛りの年代の人がお子さんを抱えているから、そちらに責任を任せようという気もあったのだと思います。しかし、現在のように毎年毎年、高齢者対策、高齢者対策ということで各施策が充実していたことに比べますと、今の高齢者に比べて子供に対しての施策は若干配慮が足りなかったんじゃないかなという気持ちは率直に言うと私も思っております。
  136. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 大臣も同じような認識を持たれているということで、小泉大臣といえば歯にきぬ着せぬ答弁で私は非常に敬愛をしているわけでありますが、これから私が質問をしていく中で、ぜひ大臣にもそういう部分で見解をお聞きしたい部分では思い切った答弁をしていただきたい。官僚答弁を読まない大臣として私は非常に貴重な存在だと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。  今回の改正教護院児童自立支援施設、また児童自立生活援助事業法制化、また児童養護施設機能児童自立支援を図る、こういうふうに児童自立支援という言葉が非常に多く出てくるわけでありますが、このように自立支援を強調するのはどういうような理念考え方に基づくものなのか、まず基本的な部分で大臣に御答弁をお願いしたいと思います。
  137. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) まず、昭和二十二年の時代背景と現在、大きく変わっていますね。昭和二十二年に児童福祉法が制定されたというときは、むしろお子さんというのは親がいない、戦争で死んじゃった、そういう厳しい状況の中で子供たち保護、養育する、これが精いっぱいだった。そして、当時はまだ女性の仕事は家事、育児。社会全体の考え方がそうだった。女性自身もそれを疑わなかった。    〔理事情水澄子君退席、委員長着席〕しかし、今ではそんなことを言ったら選挙で当選できませんよ、国会議員は。女性の仕事は家事、育児なんて言ったら、これはとてもそういう時代じゃない。むしろ男性も女性も家事、育児にともに参加しようという社会観念が培われてきて、保育所に預ける親御さんも、親御さんのいない子供さんを保育所が預かるのじゃなくて、むしろ親御さんが健全でちゃんと仕事を持っている人のお子さんを預かるのが保育所としての役割として大きくなってきたという時代背景があります。  そういう中で、今後自立支援という考え方も、ただ保護、養育するということだけでなく、このような児童保護する、あるいは養育する、保育する関係者は、むしろそういうお子さんが今後健やかにみずから立ち上がっていく力を与えるためにどういう施策が重要かという観点で、まずひとり立ちできるような体制を整えようということで今一生懸命汗を流してくれている、知恵を絞ってくれている。あくまでも子供というもの、児童というものはこれからの社会自立していく大事な宝であるという観点から、自立支援のための社会全体の支援策をどうやって環境整備していくかということに我々は大人として積極的に取り組んでいきたいという観点から自立支援という観念が私は出てきたのじゃないかと思います。
  138. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 時代背景、そして今子供の置かれている状況、そういう中でいわゆるただ保護ということではなくて、子供自身が自立をする、そのための支援をしていくという意味で、今回のこの児童福祉法改正の中でこの部分については私は大変評価をしているわけであります。  その中で、今回自支援事業というのが法制化をされまして、これによって、今まである意味では制度としてはあったわけですが、自支援ホームというものがこれから法律を背景にして、ある意味では人格を認められる存在になるわけでありますが、ちょうど児童福祉法改正議論に入る前後に、読売新聞が「折れた翼をいやして」ということでこの自支援ホームをシリーズで紹介している。この中には、心に大きな傷を持った子供が、この自支援ホームの寮母さんといろんな意味で葛藤を重ねながら日々生活をしていることの紹介がなされているんですが、これを読んで非常に私自身心が痛んだのであります。  その一つに、ある子供が、もしもう一度生まれてくるとしたらというふうに寮母さんが聞いたら、もう二度と生まれてきたくないよ、本当だよ、そういう言葉を吐いて一カ月後に自殺をしているケース一つ紹介されています。もう一つケースでは、子供が里子に出され、そしてその里子に出された子供が養父、養母の財布に手をかけて、そしてそのことを契機に、あなたは川で拾ってきた子だと。私も実はそういうふうに言われたことは何回もありますし、でも親が本当に言っていると思っていないから心は傷つかなかったんですけれども、この子は里親からそういうふうに言われたことによって、もう後は坂道を転げ落ちるみたいに人生を、非常に悲惨な状況を繰り返していくわけですね。  私は、そういう子供を本当に支えてあげるというのは、先日の参考人養護施設の園長さんがある子供ケースを紹介なさって、自分がめぐり会ってからその子をいわゆる更生させるのに十三年かかったと、その間本当に裏切られ裏切られ、それでも最後になってやっぱり園長さんが私のことを本当に愛してくれているんだ、自分のことを思ってくれているんだと思った途端にその子が更生をしたという、そういう話を聞いたときに、私はやっぱり自支援ホームの今度の法制化というのは非常に心強い話なんですけれども、きょう午前中の質疑の中で局長からも答弁がありましたけれども、現在十五カ所、これからもふやしていこうということなんですよね。  今これは対象人員十人未満はわずか年間百五十七万六千円の補助。百五十七万六千円といったら、一カ月の給料はわずか十万。本当にこの人は自分を支えてくれる人だというふうに思う子供がもし救われるとするならば、私はこの金額というのはいかにも安過ぎる。もっとそういう意味で、厚生省がこういう痛んだ子供を何とか自立支援していこうというふうに思うのであれば、私は今の自支援ホームの今後のあり方というものを考えていく中で、今後の施策というものに大きく力を入れていただきたいなというふうに思いますので、横田局長、もう一度決意のほどを。
  139. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 今回の改正全体のバックボーンと申しますか、基調として一つ自立支援という考え方があるわけでありまして、この考え方に沿って各種施設、あるいは御指摘ございました児童自立生活援助事業というふうなものの法制化を図っているというところであります。  先生指摘るるいただきましたように、義務教育等を終了していまだ自立ができていない児童について、いわばこの事業施設在宅の中間的な事業として極めて重要な役割を果たすものだと考えておりまして、国庫補助についても六十三年からやってきておりますが、現在のところ残念ながらまだ十五カ所ということでございまして、私ども今回の法制化を機に今後さらに一層充実することにつきまして努力してまいりたいというふうに考えております。
  140. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 よろしくお願いします。  それから、今回の中で、とりわけ私は児童虐待の問題という視点から質問をさせていただいたわけですが、今回、児童家庭支援センターという新たな組織をつくって、そして児童相談所のバックアップ機能としてその存在を果たしてもらおうということで、その間に私は児童相談所の人材確保の点も指摘をさせていただきましたし、児童福祉審議会あり方についても、都道府県あり方等についても指摘をさせていただきました。  きょう午前中、やはり同じような議論があって、局長答弁の中で地域相談のネットワークの充実というような答弁がありまして、保育所施設相談窓口もつくって、そういうところを有機的につなげていこうということでありましたけれども、私はどうもまだ見えてこないんですよ。本当にそういう虐待を受けている子供というのが顕在化してくるときというのは必ず殺人とか事件、事故、そういうようなものとしてしか上がってきていないケースが非常に多い。やっぱり早期発見という部分でいかにそういう問題を吸い上げるかというところについてどうも私はまだ見えてこないわけであります。  ただ、そういう組織を幾らつくっても、結果的にそれが本当に有機的につながらなければ子供は救われないというふうに私は思うわけでありまして、私はこの前も言いましたけれども、やはりそういう子供を救える児童福祉法でなければいけないというふうに思いますが、その点について、再度局長、私の今一番心配する点について御答弁いただきたいと思います。
  141. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 虐待とかいじめの増加の要因を探っていきますと、非常に複雑なものになってくるというのが実態ではないかと思います。こうした中で、先生指摘いただきましたように、いかに早く発見して対策を打っていくかというのが一つのポイントではないかと思っております。  今回の児童家庭支援センター整備というのも、児童相談所だけでは不十分だということで、できるだけ身近な施設に二十四時間対応できるようなということで考えたものの一つでありまして、ただこれだけで十分ではございませんで、やはりどういった形でできるだけ早く発見するかということは大きな問題であります。  例えば、今のところはやはり両親とか近親の方、場合によっては警察というようなこともあるわけでありますけれども、あるいは本人とか保育所とか病院とか、恐らく法律上は問題を発見した場合にはだれでも通告しなくちゃいけないことになっているわけでありますけれども、残念ながら余り利用されていないという点もありますので、今後私ども施設をつくりましてそれで足れりとするのでなくて、いかにそこに早期に情報が入ってくるかというような観点から地域のネットワークづくりというものを進めてまいりたいというふうに考えております。
  142. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 昔は地域社会というのがありましたね。ですから、私なんかも随分隣のおやじさんからしかられたり、近所のおばさんからしかられたり、悪いことをしたときはそういうことがありましたよね。やっぱりお互いにそういう意味での地域社会がみんなで子供を育てたという部分があるんですけれども、最近はそういう意味では隣は何をする人ぞというような形の中でなかなかそういう問題がくみ上げられないという部分があるだろうと思うんです。  私は、これは教育という部分でも本当にやっていかないといけないと思うんです。これは厚生行政だけで云々できる問題ではないと思いますが、今度の児童福祉法改正の中でのこのシステムがより機能を果たしていくための知恵を厚生省としてぜひ出していただきたい。それでなければ、幾らこういうものをつくってもなかなか機能しないんじゃないかと。ですから、それとあわせて、何度も言いますが、権限と財源と人材を児童家庭支援センターにはぜひつけていくように、これは私から要望をしておきたいと思います。  それから、最低基準の問題が随分この中で議論になりました。居室が非常に狭いという話も先般教護院に行った委員皆さんからも話が出ていましたが、大臣教護院養護施設に行ったことがありますか。
  143. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 教護院というのは私は行ったことがないんです。養護施設は行ったことがあるんですけれども教護院というところは残念ながらまだ行ったことがございません。
  144. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 私が何でそれを聞いたかというと、大臣は老人ホームは落成式だとかいろんなことで多分行っていると思うんですよ。老人ホーム施設児童養護施設とか保育園だとか、保育園は二十四時間生活するところじゃないですけれども養護施設と比べると、それは老人ホームというのは今もう本当に立派なものですよ。ですけれども児童養護施設教護院というのは本当に建物も古いし、新しいところもまだやっぱり面積は狭い。  そういう意味からすると、この最低基準というのは、先ほど大臣児童福祉は若干おくれているんじゃないかということをいみじくも言われましたけれども、私はぜひ最低基準、例えば養護施設職員のいわゆる措置費の積算の給与の格付でも老人ホームと格差があるんです。  それから、私も施設の園長をやっていましたから非常にこの点はいつも思っていたんですけれども、業務の困難性に伴って特殊業務手当というのがつけられているんですが、この特殊業務手当が老人ホームの寮母さんは一六%、要するに給料の本俸に対して一六%の特殊業務手当がつく。一方、養護施設児童指導員というのは四%しかつかないんです。養護施設の保母さんなり指導員というのは二十四時間子供と一緒に添い寝しなきやならない。大臣が言っていたように、やっぱりしっかり抱いてやらなきゃいけない。なのに何で四%なのかと。  私が何でそういう話をするかというと、今施設によっては八時間勤務ということで朝九時から夕方五時まで養護施設をやっているところがあるんですよ。その間は子供はみんな学校へ行っているんです。養護施設で一番必要なのは朝子供が起きてから寝るまでなんです。昼間職員がいっぱいいたってこれは何にもならないんです。そういうことを考えたときに、結局そうでないと人が集まらない、四%では。  今、養護施設で求められているのは、心の傷ついた子供たち家庭にかわれる状況、お父さん、お母さん、お姉さん、お兄さんにかわれる、なれる、そういう人を求めているわけですから、私はそういう意味での基準も非常に低いというふうに思っていますし、この最低基準見直しというのはぜひこれからやっていただきたい。  あわせて、先ほどから横田局長の答弁で、私はきょうもう五回聞いたんですけれども、この虐待の問題、それから最低基準の問題、年齢要件の問題このときに必ず出てくるのが中央児童福祉審議会意見を聞くと。これは中央児童福祉審議会委員は国民が選んだのじゃないんですよ。国民が選ぶのは我々なんです。我々が今そういう提起をしたときには、これは中央児童福祉審議会意見を聞くという話以上に重みのあるものだというふうに私は思うんです。  大臣、私も大臣以上に歯にきぬ着せぬ物の言い方をしていますが、いわゆる審議会というものが常に行政の隠れみのになっている、私はそういう思いがするんですけれども、その点についていかがですか。
  145. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) いろんな省庁の審議会、確かに隠れみのになっているところがたくさんあると思います。自分の省庁の考えに客観性を持たせたいとか、箔をつけたいとか、より中立性を保ちたいとかいう意味を込めた審議会は私はたくさんあると思います。その点は否定いたしません。  しかし、今後、審議会のあり方等については、各省庁が今までの審議会のあり方でいいのかどうかということを真剣に考えていかなきゃいけない。同時に、みずからの省の責任を審議会で任せようというのは私は好ましくないと思います。省庁が責任を持って具体案を出すというような姿勢をむしろ審議会に転嫁しようという場合もありますから、両面あると思います。  そういう点を踏まえて、私は審議会のあり方というのも、これから厚生省のみならず全省庁、隠れみのではないかという批判もありますから、いろいろな改善検討の余地が十分あると思っております。
  146. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 ぜひ今回の参議院の厚生委員会での議論を私は厚生省皆さんは重く受けとめていただきたいと思うんです。参考人招致での意見というのは、私は本当に切実な悲鳴にも似た意見もあったと思うんです。  厚生省のもうOBになられた方ですけれども、その方から、もう十年ぐらい前ですか、私がまだ施設の現場におるころですが、もうこれからは霞が関が知恵を出す時代じゃない、地方で、現場で知恵を出して、それを我々が吸い上げていく時代なんだという話をされたことを私は非常に重く受けとめております。  今回、ある意味保育も自由競争という中で、私は逆に言えば選ばれる施設にならなきゃならないということで一生懸命みんな頑張ると思いますし、そういう意味での規制緩和をぜひやっていただきたいというふうに思います。そういうふうなことをただ一方的に厚生省が決めるのではなくて、やっぱり現場のこうした意見を我々は実際に現場から聞いて、そしてそれを皆さんにお伝えしているんですから、ぜひそういう意味でのこの国会での議論を、審議会の意見も大事でしょうけれども、我々の意見をぜひ厚生省としてしっかり受けとめていただいて、この法案は私は完璧なものじゃない、まだまだ問題は多いということを指摘させていただきたいと思います。  そして、時代が五十年間も変わる中で初めて見直すようなことじゃなくて、その時代に即応して、やっぱり矛盾点があればどんどん変えていく、そういう積極的な姿勢をぜひ厚生省お願いをしまして私の質問を終わりたいと思います。
  147. 上山和人

    委員長上山和人君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  本案の修正について竹村泰子君及び西山登紀子君から発言を求められておりますので、順次これを許します。竹村泰子君。
  148. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 私は、ただいま議題となっております児童福祉法等の一部を改正する法律案に対し、民主党・新緑風会を代表いたしまして修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。  これよりその趣旨について御説明申し上げます。  本法律案は、制定五十年の変化に対応した児童福祉体系の見直しとうたわれているにもかかわらず、法の理念、総則については何ら手がつけられておりません。  我々民主党・新緑風会は、子ども権利条約の国内批准五周年に当たる一九九九年をめどに「子ども基本法」を議員立法として提案することで意見の一致を見ております。同時に、今回改正はあくまで児童福祉法見直しの第一歩であり、本法律については、今後とも子ども権利条約趣旨にのっとり、抜本的に改正していく必要があると考えます。  我々は、こうした観点から、本修正案を提案するものであります。  修正の要旨は、児童福祉法理念に、「児童に関する措置を採るに当たっては、児童の利益が最大限に尊重されなければならない。」旨を加えることであります。  以上でございます。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  149. 上山和人

    委員長上山和人君) 次に、西山登紀子君。
  150. 西山登紀子

    西山登紀子君 私は、日本共産党を代表いたしまして、児童福祉法等の一部を改正する法律案に対し、修正案を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございますが、簡単に提案理由と修正要旨を御説明申し上げます。  まず、修正案を提案する理由であります。  本改正案が、子ども権利条約の批准や五十年ぶりの改正にふさわしく、国民がひとしく望んでいる児童福祉の向上を保障するものとは残念ながら言いがたいからであります。保育所に関して言えば、今日の多様な保育ニーズにこたえるものではなく、多くの保育関係者公的責任の後退はないのかと危惧しています。したがいまして、私は、児童福祉の向上を願う立場から、若干の修正を提案するものであります。  次に、修正の要旨を申し上げます。  修正の第一は、児童福祉の理念に、「すべて児童は、その個性を尊重され、社会の一員として重んじられるとともに、良好な環境の中で成長する権利を有する。」を加えることです。  第二点は、保育に関する措置制度の維持であります。「保護者の意向を考慮しつつ、それらの児童保育所に入所させて保育する措置を採らなければならない。」といたします。  第三点は、現行保育費用の負担方式を維持しつつ、保育料の全額徴収は廃止し、高い保育料負担の軽減を図ることといたします。  第四点は、「市町村は、社会福祉事業法の定めるところにより、放課後児童健全育成事業を行うよう努めなければならない。」と、市町村の放課後児童健全育成事業に係る努力義務を設けるとともに、国庫補助ができる規定を新設いたします。  以上であります。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  151. 上山和人

    委員長上山和人君) ただいまの西山君提出の修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から本修正案に対する意見を聴取いたします。小泉厚生大臣
  152. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 児童福祉法等の一部を改正する法律案に対する日本共産党の御提案による修正案については、政府としては反対であります。
  153. 上山和人

    委員長上山和人君) これより原案及び両修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  154. 西山登紀子

    西山登紀子君 私は、日本共産党を代表いたしまして、児童福祉法等の一部を改正する法律案に反対の討論をいたします。  周知のように、法制定時から五十年、児童家庭を取り巻く環境は大きく変化しました。児童福祉法改正は、その変化に対応した児童福祉の充実、向上に資するものが求められていました。ところが、本改正案は全体として国民の要望にこたえるものとは言いがたいものであります。  以下、私の反対理由を申し上げます。  その第一は、保育所措置制度を改めることに関してです。現行第二十四条では、市町村保育に欠ける子供保育所に入所させる義務を課していますが、それを保護者から申し込みがあったときは保育しなければならないと改めます。これによって市町村の措置義務は父母の申し込みに応諾する義務に変わります。これは保育所入所に関する法的義務の後退と指摘せざるを得ません。  その二は、措置制度を改めることと関連して、保育所の性格も措置施設から利用施設に変更されることになります。このことにより保育料徴収も第五十六条の改正によって保育コストの父母負担が原則となります。応益負担の明文化は保育料の高値均一化の危険性をはらんでおり、またそれは低所得者に負担増を押しつけるおそれが十分にあります。  第三点は、保育所行政にサービス競争を持ち込もうとしていることです。保育所への競争原理の持ち込みは、サービス保育料次第となりかねず、父母負担の増大や保育所間の格差の拡大、ひいては保育所淘汰につながります。  今日、保育所措置制度の弊害が言われますが、その主要な部分は制度そのものにあるのではなく、制度の運用、不十分な最低基準と貧弱な措置費や補助金制度にあることは明白です。  私は、今日の多様な保育ニーズにこたえ、また学童保育を拡充する道は公的責任の明確化と公費負担を拡充すること、これこそが児童福祉の道であり、国民がひとしく期待する政治であることを指摘して、私が提出いたしました修正案への御賛同をお願いいたしまして、私の反対討論を終わります。
  155. 上山和人

    委員長上山和人君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  それでは、これより児童福祉法等の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、西山君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  156. 上山和人

    委員長上山和人君) 少数と認めます。よって、西山君提出の修正案は否決されました。  次に、竹村君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  157. 上山和人

    委員長上山和人君) 少数と認めます。よって、竹村君提出の修正案は否決されました。  それでは、次に原案全部の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  158. 上山和人

    委員長上山和人君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  木暮君から発言を求められておりますので、これを許します。木暮山人君。
  159. 木暮山人

    ○木暮山人君 私は、ただいま可決されました児童福祉法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、平成会、社会民主党・護憲連合、民主党・新緑風会、日本共産党及び太陽の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     児童福祉法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、適切な措置を講ずべきである。  一、「児童権利に関する条約」の趣旨を踏まえ、児童福祉法理念及び在り方等について早急に検討し、その結果を踏まえて必要な措置を講ずるとともに、施策の実施に当たっては、児童の最善の利益を考慮した取扱いが図られるよう努めること。  二、長期的展望に立ち、幅広い見地から少子化対策の総合的な検討を進め、子育てに対する支援の強化を図ること。  三、保育料は現行水準を後退させないよう配慮し、また、低年齢児及び中間所得者層に十分配慮するとともに、保育費用等に対する公的責任を後退させないこと。  四、利用者の側に立って、乳児保育延長保育等多様な保育需要に即応した質の高い保育サービスの提供を図るとともに、国の定めるエンゼルプラン及び緊急保育対策等五か年事業の着実な推進に努め、また、待機児童がなくなるよう改善に努めること。また、地域実情等により保育需要や子育て環境等は異なることを踏まえ、適切な対応を講ずること。  五、放課後児童健全育成事業の全国的な拡充に努めるとともに、公共施設の一層の活用を図ること。  六、各児童福祉施設の運営については、児童が適性を伸ばし、社会的自立を確保できるよう配慮すること。また、児童自立支援施設児童が速やかに学校教育を受けられるよう努めること。  七、児童相談所児童福祉施設の人材確保と資質の向上に一層努めること。また、児童家庭支援センターの設置に当たっては、要保護児童早期発見・迅速かつ適切な対応ができるよう、児童相談所等との有機的な連携に配慮するなどその目的が十分達成されるよう努めること。  八、施設入所措置に当たり都道府県児童福祉審議会から意見を聴く場合においては、児童家庭のプライバシーに十分配慮すること。  九、児童の人権の尊重という観点から、虐待、買春、性的搾取等に関する規制の強化等について検討を進めること。  十、母子家庭施策については、就労支援を中心に総合的な施策を講ずること。児童扶養手当については、民法における扶養責任との関係等を含め総合的に検討すること。また、父子家庭に対する支援等の拡充に努めること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ御賛同いただけますようお願い申し上げます。
  160. 上山和人

    委員長上山和人君) ただいま木暮君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  161. 上山和人

    委員長上山和人君) 全会一致と認めます。よって、木暮君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、小泉厚生大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。小泉厚生大臣
  162. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして、努力をいたす所存でございます。
  163. 上山和人

    委員長上山和人君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  164. 上山和人

    委員長上山和人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  165. 上山和人

    委員長上山和人君) 廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。小泉厚生大臣
  166. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) ただいま議題となりました廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  我が国においては、経済成長や国民生活の向上等に伴い、廃棄物が大量に排出される一方で、廃棄物の減量や再生利用は必ずしも十分に進んでいない状況にあります。  他方、廃棄物を適正に処理するために必要な最終処分場等の廃棄物処理施設については、近年の廃棄物処理に対する住民の不安や不信感の高まりを背景として、その設置や運営をめぐり地域紛争が多発し、その確保がますます困難となっており、このような傾向が続けば、将来、廃棄物の適正な処理に支障を来しかねない深刻な状況にあります。また、産業廃棄物の不法投棄が後を絶たず、その解決が強く求められております。  こうした状況を踏まえ、廃棄物の減量化・再生利用の推進、廃棄物処理施設に係る規制の見直し、不法投棄対策等の総合的な対策を講じ、廃棄物の適正処理を推進するため、この法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。  第一に、廃棄物の減量化及び再生利用の推進を図るため、都道府県知事が多量排出事業者に作成を指示する処理計画について、廃棄物の減量の視点を明確化するとともに、廃棄物の再生利用について、厚生大臣の認定制度を設けることにより、生活環境の保全に十分留意しつつ必要な規制緩和を図ることとしております。  第二に、廃棄物処理施設の設置について、生活環境影響調査の実施、申請書等の告示・縦覧、関係市町村長の意見の聴取等の許可手続を明確化するとともに、許可要件の見直しを行うことにより、周辺地域生活環境の保全について適正な配慮がなされた施設の設置を進めていくこととしております。  第三に、廃棄物処理施設の維持管理について、施設設置者に対し、維持管理に関する記録の作成や閲覧、維持管理費用の積み立てを義務づけることにより、その適正かつ確実な実施を確保することとしております。  第四に、産業廃棄物の適正な委託処理の推進を図るため、現在、特別管理産業廃棄物にのみ交付が義務づけられている管理票制度について、その適用範囲をすべての産業廃棄物に拡大することとしております。また、管理票制度については、事業者の負担の軽減を図るため、管理票の交付にかえて、電子情報処理組織を使用することができることとし、このために必要な業務を行う民法法人を厚生大臣が情報処理センターとして指定する制度を設けることとしております。  第五に、産業廃棄物の不法投棄に対する罰金額の大幅な引き上げなど罰則を強化し、廃棄物の不適正処理の防止を図ることとしております。  第六に、不法投棄が行われた場合の原状回復措置の円滑な実施を図るため、都道府県知事等が原状回復措置を命ずることができる者の範囲を拡大するとともに、命令を受けた者が直ちに必要な措置を講じない場合にはみずから必要な措置を講じ、その費用を命令を受けた者等に負担させることができることとしております。  第七に、事業者による産業廃棄物の適正な処理の確保を図るための自主的な活動を推進することを目的とした民法法人を、厚生大臣が産業廃棄物適正処理推進センターとして指定する制度を設けることとしております。このセンターは、事業者等の出損による基金を設けて、原状回復措置を講ずる都道府県等に対する資金の出損等の業務を行うこととしております。  このほか、廃棄物処理業の許可要件の強化、名義貸しの禁止等の改正を行うこととしております。  最後に、この法律の施行期日は、一部の事項を除き、公布の日から起算して六カ月を超えない範囲内で政令で定める日としております。  以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  167. 上山和人

    委員長上山和人君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時散会      —————・—————