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1997-04-03 第140回国会 参議院 厚生委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月三日(木曜日)    午前十時開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         上山 和人君     理 事                 尾辻 秀久君                 南野知惠子君                 木暮 山人君                 清水 澄子君     委 員                 大島 慶久君                 大野つや子君                 塩崎 恭久君                 田浦  直君                 中島 眞人君                 長峯  基君                 宮崎 秀樹君                 水島  裕君                 山本  保君                 和田 洋子君                 渡辺 孝男君                 竹村 泰子君                 西山登紀子君                 釘宮  磐君    国務大臣        厚 生 大 臣  小泉純一郎君    政府委員        厚生大臣官房総        務審議官     中西 明典君        厚生大臣官房審        議官       江利川 毅君        厚生省生活衛生        局長       小野 昭雄君        厚生省児童家庭        局長       横田 吉男君    事務局側        常任委員会専門        員        大貫 延朗君    説明員        総務庁青少年対        策本部企画調整        課長       丸岡 淳助君        文部省初等中等        教育局中学校課        長        加茂川幸夫君        文部省体育局学        校健康教育課長  北見 耕一君        労働省婦人局夫        人福祉課長    村上  文君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○児童福祉法等の一部を改正する法律案内閣提  出)     —————————————
  2. 上山和人

    委員長上山和人君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。  児童福祉法等の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 大島慶久

    大島慶久君 自由民主党の大島でございます。  通告をいたしておりましたけれども、先般のいろんな委員質問で重複する点が多々ありますのでそういった面は割愛をさせていただくことと、それから重複する問題もありますけれども確認の意味も含めて質問させていただく箇所もございますので、あらかじめ御了解をいただきたいと存じます。  まず最初に、総合的な少子化対策について、大臣の胸の内をお話しいただけたらと存じます。  現在の食糧問題を中心に、地球規模考えますと人口増加ということが非常に大きな世界的な問題になっていると思われるわけであります。一方、我が国ではそういったこととは裏腹に、少子化進行ということは我が国の将来を大きく左右する問題であることは事実であります。安心して子育てができる環境づくりを初めとする少子化対策を講ずることは是が非でも必要であると思うわけであります。  現在、橋本内閣のもとで二十一世紀に向けた行政改革を進めておられますけれども、総合的な少子化対策の積極的な推進が必要と思われます。その点に関して大臣の御所見を賜りたいと思います。
  4. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 少子化進行を見ていますと、世の中さまざまだなと。国によってはむしろ産児制限をいかに図らなきゃならないかという国もあるし、また逆に日本みたいに少子化を心配して、どうやって子供を産み、育ちやすい環境を整えなきゃならないか、国によってさまざま。そして、子供が多ければ多いでまた問題が出てくるし、少なければ少ないでまた別の問題が出てくると。世の中悩みは尽きないなという感じを率直に持っております。  我が国のこの少子化進行についても、なぜこういうふうになったのかというのは、理由は一様ではないと思います。今までの委員会の御審議にもあったとおり、さまざまな理由がありますが、厚生省だけの問題ではありませんので各省庁とも連携をとりながら、今の時代、どうやってこの少子化対応していくか。もとより今は国策で産めよふやせよというような国民運動を起こす時代でもございません。それぞれの個人的な考えもありますから、価値観多様化もあります。男性も女性も、それぞれの仕事を持つことに生きがいを感じている方が、女性も多いわけですから、そういう自主性を尊重しながらも、お子さんを持ちたい方が自然にお子さんを持ち、育てるような環境をどうして整備していくかということが今の段階において一番大事なことではないかと。  そういう面から、今後、この一様でない問題に対してそれぞれの識者から幅広い御意見を聞いて、また人口問題審議会等、そのような問題を論議する審議会もございます、幅広い意見を聞いて今後の対応に役立てていきたいと思います。
  5. 大島慶久

    大島慶久君 大臣の御答弁はよく理解できるわけでありますけれども、やはり国のパワーということを考えた場合、私は、これは個人的な考え方なんですけれども、現在の人口体系考えた場合は長寿社会になっておりますから人口そのものがすぐに激減するということは考えられません。けれども、私たち子供のころというのは、大体小学校中学校のころでも、お父さん、お母さんがありまして、子供が三人から五人というのが平均的であったというふうに私認識をいたしておりますけれども、現在はそれが一・五以下になってしまった、こういうことでありますからいずれ非常に人口が激減する時期が来るわけでありますね。  そういったときに、産めよふやせよとまでは言いませんけれども、日本パワーを維持するためにはそこそこやはりそういった対応に先駆けて人口対策というものを検討していかないと急激にパワーがなくなってしまう時期が来るんじゃないか、私はこういう感じがいたします。  今の大臣の御答弁とはちょっと裏腹になる点がありますけれども、そういう観点で今の少子化対策というのは、現在の子供が少なくなっていっている状態で社会機構というものが対応する考え方を持たれるのか。やはり、私が今申し上げたように、これじゃもたないから子供は少し啓蒙してでもふやしていかなければならないと私は思うのでありますけれども、そこら辺を再度大臣に伺いたいと思います。
  6. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) お子さんを持った方がいいですよというのは、これは個人的な考え方もあると思います。しかし、持ちたくても持てる環境にないという考えを持っている方もおられると思います。  そういう点を配慮しながら、現在の時代背景考えながらどうやって活力を維持していくかといいますと、私はそういうお子さんに対する持ちやすい、また持ってほしいという環境も、啓蒙活動もさることながら、これからは今まで社会参加をちゅうちょしていたといいますか、むしろ消極的だった六十歳以上あるいは六十五歳以上の高齢者方々、そして女性方々社会参加することによってまた経済活力は違ってくるのではないか。今まではなかったいい面も出てくるのではないか。そんな悲観的に考えるのでなく、今までむしろ社会参加していかなかった、生産人口考えられていなかった層に対してむしろ社会参加を促していくということによってこの少子化の問題で補うこともあるんじゃないか。両面から私は必要だと思います。
  7. 大島慶久

    大島慶久君 後段の大臣の御意見は私も全く同感であります。  女性社会進出ということがいろんな場面で言われておりますけれども、お願いしてでもこれからは女性の方に社会で頑張っていただかなきゃいけない時期が必ずやってまいりますし、また同じように御老人の力も今まで以上に継続して社会で頑張っていただかなきゃいけない、こういう時代に必ずなるだろうというふうに思っております。  今、大臣がお話しされましたような両面でそういったことを支えながら少子化対策に一生懸命お骨折りをいただけたらと、このことを要望いたします。  次へ参ります。  少子化進行家庭地域子育て機能の低下など児童を取り巻く環境変化する中で虐待だとか登校拒否いじめ、そして最近は非常に問題になっております性の非行などの新しい問題が社会問題として取り上げられております。  児童をめぐる問題のこうした変化対応して、今回の児童福祉法改正においてはどのような基本的理念に立ってそういった諸問題に対応していこうと思っておられるのか、大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。
  8. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 児童支援に対しての問題ですが、今まで児童福祉児童保護といいますと、戦後間もないころはむしろ親がいない、そういう親のない子供をどうやって保護していくかということが当初の主眼だったわけでありますが、最近は親がいても問題がある、これにどう対応するか、大きく時代は変わってまいりました。その点、単なる児童だけじゃない、親がいないからその児童だけの保護ということではなくて、児童背景にある家庭問題も視野に入れた対応が必要じゃないか、そういう中でお子さんお子さん家庭を両方配慮して、どうやってお子さん自立を助けていくか、支えが必要かという点に配慮してこれからの運営に当たらなきゃいけないのかな、そう思っております。
  9. 大島慶久

    大島慶久君 今回の法改正によって、今私は主な社会問題的なものを四点挙げさせていただきましたけれども、法改正による波及効果といいますか、五十年ぶりのこれは法改正でありますから、先般の委員会でも大いに期待をする、この法律期待をするという、各委員のいろんな質問の中にそういう言葉がありまして、私も同感であります。  そういった意味では、具体的に今回の法改正がそういった面でどういう効力を持つのか、どういう効果期待できるのか、現段階でまだ法律改正がなされていない時期でありますけれども、お考えがあったらお聞かせいただけますか。
  10. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) ただいまの大臣答弁にもございましたように、要保護児童対策につきましては、当初、施設入所をいたしましてこれを保護するという考え方中心に来たわけでありますけれども、最近における環境変化を踏まえまして、今回の改正におきましてはさまざまな対策を講ずることにいたしております。  一つは、入所中心主義から地域にもう少し開かれたものにするということで、例えば今の教護院児童自立支援施設ということで名称も変更いたしまして、入所だけでなくて、通所なりあるいは退所後のアフターケアも含めてこれを実施できるようにいたしているところでございます。また、養護施設におきましても、そういった観点に立ちまして対応をし得るようにしてまいりたいというふうに考えておりますし、また地域におけるいろんな相談、問題を早く発見するためにも地域における相談機能といたしまして児童家庭支援センターというのを設置いたしまして、今までの児童相談所と相まちまして、問題の早期発見、防止に努めてまいりたいというふうに考えております。  そういった意味で、さまざまな点におきまして、今回の改正によりましてこういった虐待いじめ等につきましても対応を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
  11. 大島慶久

    大島慶久君 今、局長の方から教護院のお話も出てまいりました。後ほど関連してまた質問いたしますので、次へ進ませていただきます。  総務庁青少年対策本部からは御出席いただいておりますね。  最近、援助交際という言葉がマスコミ、週刊誌テレビなんかでもしょっちゅう我々の目の前へ出てまいります。援助交際などの性非行に関する最近の極めて、私は興味本位と言わざるを得ませんけれども、興味本位で過剰な報道の中には、あたかも日本の、中学生も含めてと言っていいのかもしれませんけれども、中高生の全体が一般的なモラルが低下している、こんなような報道がされております。その実態をどのように把握されているのか。  一般児童は私は堅実な生活を送っているというふうに思っておりますけれども、こうした大人の誤った評価を是正し、モラルを促すような啓発活動などの努力が極めて私は必要ではないかと思うのでありますけれども、その点はいかがでしょうか。
  12. 丸岡淳助

    説明員丸岡淳助君) まず、委員援助交際などに関しましての日本中高生モラル実態についてのお尋ねでございますが、青少年対策本部では平成七年、青少年電話などに関する調査研究を実施いたしたところでございます。青少年テレクラ等電話をめぐる環境等に対する接触状況についてというようなことで調査いたしたわけでございますが、その調査結果によりますれば、テレクラ等への電話経験があると答えた青少年、これが一五・九%と無視できない割合に上っているというような調査結果が出ましたが、その内容を見ますと、何度も電話した経験がある者は少ない。また、ただ単に電話をかけただけというような者が八割、七八・九%というような数に上りまして、これを見ますとテレクラ等に深入りする青少年はそれほど多くにはならないのではないかというふうに考えております。  しかし、テレクラ等に係る福祉犯罪の被害で保護される少女が非常にふえておる実態、それから青少年の間ではテレクラ等への電話についての抵抗感規範意識がそれほど強くないというようなことがこの調査結果で考えられたということを考慮いたしますと、大変注意を要する段階であるというようには思われます。  したがって、第二のお尋ねの点でございますが、委員指摘のとおり、大人青少年に対する誤った評価というようなものを是正いたしまして、モラルを正すというようなことを促すことは非常に重要でございまして、青少年対策本部といたしましてはそのような視点をも踏まえまして引き続き家庭学校、職場、地域社会等一体となって青少年健全育成に取り組むことができるよう啓発等施策になお一層取り組んでまいりたいというふうに存じております。
  13. 大島慶久

    大島慶久君 今の御答弁のように、さほど心配ない、報道はあるけれども実態はそうじゃないんだと、私はぜひそうあっていただきたいし、実態はそうじゃないのかなという気がするんです。  けれども、今はんらんしております週刊誌とかいろんなテレビのそういったことにかかわる放映を見ておりますと、もうそういうことが当たり前であって、むしろそういったことにかかわり合わない、俗に言うまじめな子供というのでしょうか、そういう子供たちの方が、異常とは言いませんけれども、むしろ変わっているんだと、こういうような伝わり方がしてならないわけなんですね。  それで、三月の新聞報道に、これはアメリカのニューズウイークという週刊誌に載った記事に対して日本高校生が反論するといいますか、その記事に対して、私たちはそうじゃありませんよ、日本中高生というのはそんなおかしいのばかりじゃないんですよという、こういう抗議文をその週刊誌に対して送っている記事があるわけなんです。  こういうのを見ておりますと、やはり私は、こういう勇気を持つというんでしょうか、もうさもそういうことをするのが当たり前だというような風潮の中で、いや、私たちはまじめに生きていますよと、これはたった六人の高校生でありますけれども、残念ながらその週刊誌にそういう回答を求めたところ結果的には回答はなかった、こういうことであります。これは日本大手新聞に三月十日に載った記事であります。  そういう観点に立ては、今あなたたちの分野では当然こういったことをとらえて、私は、そういう子供たちにもつともっと勇気づけるといいますか支援をする、そしてそういった意見の方が大切なんですよということをやはりあの手この手でやっていただかないとまじめに生活している子供たちが本当にたまったものじゃない、そういう感じがするんですけれども、そこら辺の対応はいかがなんでしょうか。
  14. 丸岡淳助

    説明員丸岡淳助君) 今、委員指摘のそのような誤った認識を与えるメディアがある、報道があるのではないかというようなことは、その点は私どもも非常に危惧しているところでございます。  先ほど御説明申し上げましたように、それほど危惧する点もないのではないかというような点もありますが、しかし一方で、近年やはりテレホンクラブの増加等とこれらの営業を介する等によって性的な逸脱行為に及ぶ児童が急増しつつあるというようなことも注意を要する点であるというような視点も若干あるかと思いますので、その点につきましては、先ほど来申し上げていますように、引き続いて啓発等施策が必要であるというようなことで取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  15. 大島慶久

    大島慶久君 きょうこういう質問をさせていただこうということでいろいろ準備をしてまいりました。  一昨日でしたか、たまたま夜、どこのチャンネルかちょっと私わかりませんでしたが、途中から見ました。要するに、ことしの春、高校を卒業する当時女子高生、その子供覚せい剤を常用している。テレビ局が実際そのお嬢さんの行動をずっとリポートしながら、恐らく場面から想像しますと注射をしにトイしかどこかへ入るのでありましょうけれども、そこは中断されていろいろナレーションが加えられるわけでありまずけれども、これはやらせと言っていいのか、テレビ局がそういうことを興味本位、商売するために、そういう番組が人気があるのかどうか私はわかりませんけれども、普通であったらそんなことをやると言えば大人世界ではやめなさいと言って説得をしなきゃいけない。それをずっとそういう行為に及ぶまで、もう極限までテレビにそれをおさめて、それを御丁寧に全国版で放映するというその神経というのは私にはもう到底理解できないんです。  ですから、きょうは文部省の方もお越しをいただいておりますけれども、一方ではこういう法律改正をして子供を本当に大切に自立支援をしたり、大人世界で守っていこう、こういう議論をしながら、一方ではそういう興味本位場面が野放しになっている、そこら辺の兼ね合いをどういうふうにお考えになっておられるのか。ちょっと問題が、私の質問とはお答えをいただく部署が違うのかもしれませんけれども、やはり青少年対策本部として一番かかわりの深い一つの機関でありますから、お答えができる範囲で結構でありますから、どんな感想をお持ちになっておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  16. 丸岡淳助

    説明員丸岡淳助君) 感想ということですが、報道等につきましてはやはり報道の自由というようなものが一方にありますので、それぞれの報道等につきましてはそれぞれの内部の自主的な監視機構というようなものがあると思いますが、我々といたしましてはそのようなことを踏まえた上で、やはりそのようなことに流されないような次代を担う青少年というような、力強く将来を担うというような感じ青少年啓発というようなものに努力していくというようなことでございます。  それから、感想ということになりますと、個人的なことになるかと思いますが、非常にそのような点で危惧する面はなきにしもあらずというような面がありますが、それは放送の自主性というようなことで期待いたしたいというふうには思っております。
  17. 大島慶久

    大島慶久君 その問題ばかりやっていると時間がなくなりますので、次へ進ませていただきます。  同じく援助交際にかかわることでありますけれども、援助交際など興味本位にマスメディアに取り上げられることは一般児童の健全な育成環境に極めて悪影響を与えているということは間違いないと私は思っておりますが、学校生活の中でそういった性非行の問題についてどんな取り組みをされているのか、これは文部省の管轄になります、お答えをいただきたいと思います。
  18. 北見耕一

    説明員北見耕一君) 学校における性に関する指導につきましては、児童生徒発達段階に応じまして科学的な知識を与えますとともに、人間尊重男女平等の精神に基づきまして、男女人間関係をどう形成していくかといった人間としての生き方をみずから身につけていくことを支援するよう指導することが大切であるという認識に立っているところでございます。  このために、小学校におきましては教科体育の中で思春期の体つきの変化特別活動では初経指導などを取り扱っているところでございます。それから、中学校では教科保健体育において二次性徴、道徳男女人格尊重特別活動で性的な発達への適応などを取り扱っているところでございます。こういった教科特活道徳等におきましての指導を進めているところでございます。  こういった指導充実を図るという観点から、文部省におきましては教員研修充実ということを考えまして、平成九年度予算案におきましても教師向け指導資料作成配布といった経費を計上しているところでございます。  今後とも、地域とか学校の実情に応じまして、性に関する指導充実が図られますように努力してまいりたいと思っております。
  19. 大島慶久

    大島慶久君 極めて無味乾燥お答えをいただいたと言わざるを得ないような、先ほどの青少年対策本部報道の自由があるからやむを得ない面もあると。やはり、これだけの法律改正をして子供を守っていこうと、今、国挙げてこういうことに取り組もうとしているときに、性非行に対して文部省はどうしていくんだ、そういう取り組み方の姿勢が全く今の答弁の中からは感じ取れない。今までやっていたことをきちっとまじめにお答えいただいた。不まじめだとは私は申し上げておりませんけれども、これではせっかく今回法律改正してもこれから先も大して変わりないな、こういうような気がしてなりません。  そこで、また新聞記事で恐縮でありますけれども、これは三月二十七日ですからもうついこの間の記事です。「読売新聞社が、都の条例に基づき、教職員に関する都教委の今年度事故報告書などを情報公開請求した結果判明した。」ということでありますけれども、これはそういった性非行現場学校の先生がかかわっていた、こういう記事なんですね。「教職員懲戒処分に関しては、文部省が毎年、各都道府県教委からの報告をまとめているが、「個人が特定される」などの理由で、内容はほとんど明らかにされていない。」。私は隠ぺいしているとまでは言いませんけれども、実態はこうなんですね、この新聞記事を信用するとすれば。恐らくそんなに誤りはないだろうと。これだけの大手新聞が書くわけでありますから、でたらめを書くわけにまいらないだろうと思うわけです。そして、「昨年四月から今年二月までの処分措置者総数は百二十人で、一昨年度の百十四人、昨年度の百十七人をすでに超えている。」。だから結果的には悪くなっているわけですね。そして、懲戒免職は四人、全員がわいせつ行為懲戒免職を食らっている、こういう実態なんですね。  一方では一生懸命努力をしながら、一方では教育現場の現役の教師がこういったことにかかわっていくということを私たち一体どういう気持ちでとらえていったらいいのか。そこら辺は、こういう報道というのは、やはり文部省関係であれば文部省方たちは連日きちっと把握しながらそれぞれの対応策考えていていただいていると私たちは思っておりますけれども、いかがなんでしょうか。
  20. 北見耕一

    説明員北見耕一君) 委員指摘教員懲戒の話も含めまして、御指摘のような子供を取り巻く問題につきましては大人社会モラルが問われる問題でもございます。子供たち教育環境を構成しております家庭あるいは学校地域社会一体となって取り組まなければならない課題であるというふうに認識しているわけでございます。特に、学校におきましては子供たちのそういった問題について、例えばよその学校の問題である、あるいは自分の学校とは関係ないといったような意識で取り組まれては大変困るわけでございます。  そういったことで、学校におきますいろいろな不登校あるいは性指導等の問題については積極的に取り組むという姿勢が大切なわけでございまして、私どもといたしましても各学校における非行等の問題についての取り組みを積極的に行うようお願い、指導しているところでございます。
  21. 大島慶久

    大島慶久君 今のような問題が起きた場合、これは新聞報道が三月二十七日でありますけれども、そういったことは文部省はどの時点でおつかみになっておられるんですか。
  22. 北見耕一

    説明員北見耕一君) その調査につきましては、毎年教職員のそういった問題に関する調査を行っているところでございまして、集計が何月に出るか、今私ちょっと詳細には承知しておらないところでございます。
  23. 大島慶久

    大島慶久君 そこで、この援助交際という言葉自体、一見余りどぎつくなくて、さらっとした言葉ですよね、援助交際言葉を分解して考えてもそうであります。いつのときからこういう言葉が使われるようになったかわかりませんけれども、こういう言い方は大変残酷な、また私自身も余り気分のいい言葉じゃありませんけれども、先ほどのアメリカの雑誌に載ったところには、もうこれは日本のコギャル売春といって、売春という言葉をはっきりと使っているわけなんです。  ですから、これは私の私見でありまずけれども、今の中高生というのはこういう援助交際なんという言葉を使っていれば余り罪の意識というんでしょうか、とんでもないことをしているという感覚が私は麻癒しているんじゃないかと。文部省はこういつたことをどういうふうにやられるのか私はわかりませんけれども、これは売春という言葉をむしろ残酷ではありますけれども使って、中高生にとんでもないことなんですよと、あなたたちがやっている援助交際なんてそんなきれいごとじゃないんですよという、そういう啓蒙をむしろされた方がそういうことにかかわっている子供たちも反省の度合いが私は深まるんじゃないか、こういう感じがするんですが、文部省の見解はそういった面ではどうなんでしょうか。
  24. 北見耕一

    説明員北見耕一君) 援助交際につきましては、その実態といたしましては、金も絡むということもございまして、実態は売春であろうというふうに思います。  問題は、学校の場においてそういったものをどういう観点から教えていくかということだろうと思います。学校教育の性に関する指導の中で、やはり基本とするところは性に関する知識と、それから根本的には自分の生き方あるいはそのあり方というものを考えて自分自身を大切にしていただくという心、こういったものを育てるということが必要であろうかと思っております。  今、大島委員から御指摘のとおり、援助交際というものの実態考えれば売春であろうかと思います。したがって、そういう観点からの指導ということについても、例えば教員を対象といたします文部省の研修会等におきまして積極的に指導してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  25. 大島慶久

    大島慶久君 この問題はそろそろこの辺で切り上げさせていただきますけれども、要するに私は、日本中高生の大部分はまだまだまじめにしっかりと生活をしている、そういうふうにぜひ思いたいですし、私の感覚ではそういう子供の方が圧倒的に多いわけで、確信をするわけでありまずけれども、今のようなこういうマスコミの報道を見ておりますと、そういうまじめな子がむしろ異常であって、適当に悪をやっている子供たちが普通なんだと、こういう風潮をぜひとも、文部省総務庁だけには限らない、それこそ国を挙げていろんな場面でそういったことの改革をしていただけたらなと、このことを強く要望させていただきます。  次へ移ります。  教護院について、一部の報道では今回の改正に伴い登校拒否子供教護院に入れるというふうに伝えられております。その報道はまず事実なんでしょうかということですね。  また、登校拒否の問題についてどのような基本的な考えのもとに取り組んでいかれるのか、厚生省並びに文部省のお考えを聞かせてください。
  26. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 今回の改正によりまして、教護院改め児童自立支援施設と言っておりますが、これに新たに対象となる児童といたしまして、「家庭環境その他の環境上の理由により生活指導等を要する児童」というのがつけ加えられたわけであります。  これは具体的には、家庭におきます養育が適切に行われないということで、日常生活における基本的な生活習慣が身についていないとか、社会の規律を守れないとか、良好な対人関係を結ぶことが困難であり、将来に対する自立の意欲も欠いているというような児童でございまして、いわゆる不登校児一般がそのものでこれに入所の対象になるというようなものではございません。新聞記事等につきましては、この点誤解があるのではないかというふうに私ども考えておるところでございます。  それから、不登校児につきましては、原因はさまざまだと思いますけれども、基本的には私どもといたしましては学校における適切な対応に主眼が置かれる必要があるのではないかというふうに考えております。
  27. 加茂川幸夫

    説明員加茂川幸夫君) 学校におきます登校拒否、不登校問題についての対応についてのお尋ねでございます。  平成七年度間にいわゆる学校嫌いを理由としまして三千日以上学校を欠席した児童生徒数は、小学校中学校、合わせまして約八万二千人に上っております。こうした児童生徒数はしかも年々増加しておりまして、私どもとしましては大変大きな教育課題であると深刻に受けとめておるわけでございます。また、この問題の解決のためには家庭学校地域社会一体となって取り組むことがまず第一に大切であると思っておりますが、とりわけ学校におきましては深い児童生徒理解に立ちまして、一人一人の子供が生き生きと、しかも充実した学校生活を送ることができるような指導が大変重要であると考えておるわけでございます。  文部省としましては、登校拒否というのは特別の子供に起こる現象ではなくて、どの子供にも起こり得るものであるという基本的な認識に立ちまして、一つには子供の一人一人を大切にして個性を生かす教育を着実に推進していくこと、二つには教員指導能力の向上を図ること、また三つには教育相談体制の整備を図ること、そして四つ目には、先ほど申し上げましたが、家庭学校地域社会との連携を一層密にしていくこと、そういったことに関する施策を総合的に推進していく必要があると考えておるわけでございます。  具体に申し上げますと、例えば子供保護者のカウンセリングあるいは支援を行うためのスクールカウンセラーの活用調査研究委託事業というものを拡充してきておりますし、また子供学校復帰を支援するための適応指導教室実践研究委託の拡充も行っております。また、関係する教員登校拒否研修講座の実施等も行っておりまして、これらの施策充実に努めておるところでございます。
  28. 大島慶久

    大島慶久君 教護院における学校教育の提供というのは従来にない考え方でありますから、私は教護院の処遇改善に向けた大きな一つのステップとして評価をいたします。これについては、当分の間、現行と同じ規定を適用するとあるわけでありますけれども、教護院における学校教育の提供について今後厚生省としてはどのように取り組んでいかれるおつもりなのか、お聞かせください。
  29. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 現在、教護院入所いたしますと、その児童につきましては就学義務の免除なり猶予が行われまして、その間正規の学校教育が必ずしも行われないという状況にあったわけでございます。私どもとして、施設の方でこれに準ずる教育ということでやってきたわけでございますが、今回の改正によりまして教護院入所児童につきましても正規の学校教育を実施することが原則というふうに変えたということでございます。  私どもといたしましては、文部省なり地方公共団体と十分な連絡をとりながら、今後できるだけ速やかに学校教育が実施されるよう努力してまいりたいというふうに考えております。
  30. 大島慶久

    大島慶久君 ぜひいろいろ御配慮いただいて、そういった方向で頑張っていただけたらと強く要望いたします。  次に、養護施設について、今回の改正において「自立支援する」ということがその機能の一つとして明記をされております。その趣旨はどういつだところにあるのでしょうか。また、今後それはどのようにして具体化をしていかれようとしているのか、お答えをいただきたいと思います。
  31. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 養護施設は、現在、入所児童に対しての処遇が基本でございまして、その家庭環境との調整でありますとか、施設を退所した後のアフターケアという点については明確な位置づけがなかったわけであります。事実上は施設によりましてこういった活動をやっているところもあるわけでございますが、今回の改正におきましては、入所させてそこで養護するだけでなくて、家庭環境との調整あるいは退所後のアフターケアを通じまして児童自立支援支援していきたいということで明確化したところでございます。  私どもといたしましては、退所後の児童に対するアフターケアにつきまして予算補助等を行ってきたところでございますが、今回の改正の趣旨も踏まえ、こういったものをさらに充実させることによりまして自立支援を一層支援してまいりたいというふうに考えております。
  32. 大島慶久

    大島慶久君 今回の改正の中に障害児対策が盛り込まれておりません。その理由と、今後そのことに関してはどういうふうにお取り組みをいただけるのか、お答えをいただきたいと思います。
  33. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 今回の改正につきましては、児童福祉審議会におきまして当面急いで取り組むべき課題といたしまして児童の保育施策、要保護児童施策、それから母子家庭施策という三つのテーマについて御議論をいただき、提言をいただいたところでございます。  それに基づき今回の改正も準備させていただいたということでございますが、障害児施策につきましては平成七年十二月に障害者プランというのが策定されております。また、昨年の七月には厚生省の中に障害保健福祉部ということで障害児・者を含めた総合的、積極的な対応を図る組織ができたところでございます。現在、障害関係三審議会の同企画分科会というのが設置されまして、そこにおいて障害児・者施策の推進について総合的な検討が行われておりますので、今後その結果等を踏まえまして必要な対応を図ってまいりたいというふうに考えております。
  34. 大島慶久

    大島慶久君 障害児に対する対策というものもこれはぜひ必要であるわけでありますから、今申されたようないろんな状況と組み合わせて、ぜひ対応方をお願い申し上げておきたいと思います。  そこで、大臣にまたお答えをいただきたいと思いますけれども、戦後間もない時代の状況とは大きく現在は異なっているとはいえ、家庭環境等に恵まれないいわゆる要保護児童の問題はまさに福祉の原点とも言えるかと思います。今回の改正を踏まえ、この問題に対する厚生大臣のお取り組みの決意をお聞かせいただきたいと思います。
  35. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 不幸にして親に恵まれないお子さん保護するということから始まったこの児童福祉問題、今や親がいても家庭に恵まれないお子さんがふえている、大変残念なことだと思います。そういう中にあっても、子供というのはこれから社会を支える上においても大変重要な役割を果たすわけでありますし、同時に、同じように恵まれたお子さんと同等の環境を整えるというのも、これまた政治の大事な役割だと思います。  そうしたいわゆる普通の環境から比べれば恵まれていない児童に対してどのような支援体制を差し伸べるかというのはまさに福祉の原点でありますので、これからも積極的にそういう児童に対する支援施策充実していかなければならないと思います。
  36. 大島慶久

    大島慶久君 終わります。
  37. 大野つや子

    大野つや子君 自由民主党の大野つや子でございます。  本日は、私どもが最も関心を持っていることの一つであります児童福祉について質問の機会をちょうだいいたしまして、まことにありがとうございます。  初めに、本児童福祉法等の一部を改正する法律案質疑に際しまして、まず子育てにおける家庭社会の役割について基本的見解をお伺いいたしたいと存じます。  少子化、核家族化が進行する中で、家庭地域子育て機能が低下しております。家庭だけで子育てをしていくには難しい状況になっております。また、女性が結婚後、出産後も仕事について社会で活躍できるようにするために、仕事と子育ての両立が図れるような、子育て社会全体での支援ということが必要だと思います。しかし、一方では子供の健やかな成長の過程では親の愛情は欠かせないものであり、家庭において親が子育てに責任のあることを自覚することも大切であると考えます。  厚生大臣子育てについて、家庭社会の望ましい関係に対していかがお考えでしょうか。四月一日、当委員会においても御答弁で御見解の一端はお伺いしたのでございますが、大事なことでございますので、重ねてお尋ねしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  38. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 一昨日の委員会でしたか、お話ししたことと重複する面もあると思いますが、私はいかなる時代においても子育ての第一義的な責任は親ではないかと。子供は親を選ぶことはできません。最初に接する親がどうして子供を愛情を持って包むか、これがやはり基本でなくてはいかぬと。そして、先日もお話し申しましたとおり、子育ての基本というのは、あるいは幼児教育の基本というのはしっかり抱いて、そっとおろして歩かせる、これに尽きるんだと言ったある方の言葉というのは私は今も忘れることができませんし、これは基本だと思います。ところが、間々世の中の親御さん、最近の親御さんの中には、早く子供をひとり立ちさせたいということに焦るばかりに、その前のしっかり愛情を持って抱くということと、そして歩かせる前の段階、そっとおろすというこの面の配慮に欠けているのではないかという論に私は賛成であります。  まず、三つ子の魂百までという言葉があるように、三歳までの間にお子さんが自分は周りの者から愛されているんだ、受け入れられているんだという感情をしっかり持っていただいて、そしていろいろな変化対応する教育を受けて自立していく、こういうことは私も大人の姿を見ていてもこれは真理だなと思います。大人でもそうです。自分が周りから受け入れられていないという人は大変精神的にも不安があると思います。どんな社会でもそうです。ましてやお子さんです。初めて社会に出る。自分は本当に周りから愛されているのか、受け入れられているのか、それに不安を持ったらこれからの行動に不安定な行動を起こすのも無理もないと思います。  そういう面において、私は、まずお子さんに対してしっかり、肉体的だけじゃありません、精神的にしっかり抱き締める、愛情を持って包み込む。それは間々不幸にして親御さんがいない場合はその最初の接する人たちがその代替措置といいますか、補うような体制を社会で整えていかなきやならないということから、今回の児童福祉法改正におきましても児童というものに対して社会がしっかりと抱き締めるような、愛情を持って包み込むような環境を整えていく、そして自立を促すということが大事ではないかなと思っております。
  39. 大野つや子

    大野つや子君 大変ありがとうございます。温かいお気持ちを聞かせていただきまして、私も賛成でございます。  次に、厚生省児童保育の現状認識についてお伺いしたいと存じます。  本年の二月末、機会がございまして、私、近郊の私立保育園を私的な立場で視察させていただいてまいりました。その折、保育園の園長先生や保母さん、園児のお母さんたちとのお話の中で非常に気になったことがございました。それは、お子さんを預けているお母様方が必ずしも職業を持っていてお子さんを預けているばかりではなく、逆に子供を預けるという目的のためにパートタイムの仕事につき在職証明をもらっているということでした。子供さんが熱を出し勤務先に電話をすると休んでいる、あるいは仕事をやめているというような返事を受けることが多々あるんですよというようなことを伺いました。  その保育園の園長先生は、保育園は仕事を持つ母親が仕事を続けていくためのお手伝いとしてお子さんをお預かりするもので、母親を育児から解放するためにお預かりするということは保育園の本来の目的ではないかもしれませんが、育児ノイローゼに対する予防、広くは核家族化の進む日本少子化対策に役立てはというように割り切ってお預かりしているとおっしゃっていらっしゃいました。  もちろん、大多数の方々は夫婦共働きであり、仕事のためにやむなくお子さんを保育園に預けているということでしょうし、また特に大都市圏周辺には共働きの御夫婦も多いことから保育園のあきがないため順番待ちをしている、仕方なく無認可保育園に預けながらお仕事を続けている、そういう実情も理解しておりますが、その一方、子育てをある意味で放棄している実例があるということ自体に率直な驚きを感じたわけでございます。  私自身、二人の子供を育ててまいりました母親として、育児は原則的に家庭内で行われるものという観念を持っておりましたので信じられない気持ちでございました。ですから、当初私が訪ねた保育園の固有の問題かと思っておりました。ところが、サンデー毎日の三月二十三日号に「「保母は見た!」びっくり仰天今どきの子育てママ」という記事が出ております。こちらは仕事を持った母親を多く取り上げた記事ですが、保育園にお子さんを預ける母親の子育てを放棄したような非常識な言動が四ぺ−ジにわたって掲載されておりました。もちろん、この記事自体ゴシップ的にある意味では特異な読者の興味を引くための構成になっていて、大多数のお母さん方の姿を反映したものではないと存じます。しかし、私の見聞したことと雑誌の記事をあわせますと、そのような保育嫌いのために保育園を利用する親御さんがいるということも事実であろうと思います。  そこで、厚生大臣、お伺いいたします。  厚生省では、この児童福祉法等の一部改正法案を策定するに当たり、この一部のいわば現代の母親の実像を把握し、その上でこの法改正案の提出に至ったのでしょうか。また、保育所の望ましいあり方についてどうあるべきか、御意見をお聞かせいただきたいと存じます。
  40. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 今のお話にあるようにちょっと信じられないような最近の母親の中には考え方なり行動する方が多いと。    〔委員長退席、理事情水澄子君着席〕  私もそのサンデー毎日、「「保母は見た!」びっくり仰天今どきの子育てママ」、どんなものかと思って参考にちょっと読んでみました。となりますと、ちょっと拾ってみても、こんなお母さんがいるのかなと。保育所に預けに来て、この子起きないから朝御飯やってくださいと保母さんに押しつけたり、熱が出た子供を連れてきて、保母さんが体温計をはかっている間に姿が見えなくなつちゃったり、お子さんのことについて職場へ電話をかけると周りの人が心配するから電話をかけないでくれと言う親がいたり、あるいは親が子供が砂場遊びしていると着物が汚れるから嫌だ、遊ばせないでくれとか言ったり、ちょっと信じられないような親御さんが多いと。これはすべてじゃない、一部だと思いますけれども、そういう現実があるということも事実であります。  ですから、大多数の親御さんはお子さんを抱えて悩みながらも実際は喜びと生きがいを感じ子育てをしていると思います。そういう子育ての喜び、そして仕事に対する生きがい、喜びを同様に持ちながら何とか子育てをしっかりやりたいということを支えるというのが保育所なりの基本だと思いますが、最近ではお子さんだけ預かればいいというのじゃないと。むしろ子育てに悩みを感じている親御さん、お父さん、お母さん方に対して保育所も相談相手になるようにいろいろ親の方に対する助言なり子育てしやすいような体制をつくっていくのも大事ではないかと。そして、お子さんにとりましても、本来だったらば一番温かく包んでくれるのが親なのに、家庭なのに肝心な両親がそろっていてもそうでないというのだったら、これはむしろ保育所の方が子供の健全な成長に役立つのじゃないか。子育ては何でもかんでも家庭がいいという状況でもない。保育所の役割というものも大きいと思います。今までと全然変わってきている。  そういう面から考えますと、私は保育所の役割というのは、大変変わっていますが、重要であると。時代変化に応じて、これからは単なるお子さんだけ預かっていればいいということじゃなくて、そのお子さんを預けている親御さんの背景ということについても配慮をいたして支援体制を組むような施策厚生省としても必要ではないかと思っております。
  41. 大野つや子

    大野つや子君 ありがとうございました。  次に、関連した質問ですが、育児嫌いというより現実問題として、本屋さんなどにたくさんあります育児の手引書や育児情報書など育児に対する情報が大変あふれております。その一方で一その情報を消化し切れずに悩まれて育児ノイローゼになる方、また例えばテレビドラマなどで見る赤ちゃんはかわいいもの、かわいがる対象として見ていて、実際子供を持ってみると、おむつの始末はしなければいけない、夜泣きはする、病気にはなるといったような、ドラマの世界と現実とのギャップから育児ノイローゼになる母親なども当然いらっしゃいます。そのような仕事を持たず育児ノイローゼになられて困惑している母親の方々に対して、本改正案に盛り込まれている各種児童福祉施設の果たせる役割をどのようにお考えなのか、お聞かせいただきたいと存じます。  とりわけ、本改正案による制度改正により保育所は親の負託にこたえていくことがますます求められているようです。保育所における乳幼児が受けるべきサービスの一層の向上が望まれるものと考えますが、厚生省としてどのような対処をお考えでしょうか、お聞かせをいただきたいと思います。
  42. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 育児不安を持たれる母親等への保育所の果たす役割ということでございますが、保育所は現在全国で二万二千ほどございまして、地域社会の中で最も身近な児童福祉施設でございます。ここにおきましては、育児に関する情報、知識、ノウハウが蓄積されているということでございまして、私ども、単に入所されている児童の方だけでなくて、それ以外にも家庭子育てをしている方々にも活用されるべきではないかというふうに考えております。この点、先ほど大臣答弁にもございましたように、今回の改正によりまして地域方々に対する育児の相談指導等にも応じられるような制度改正をしたところでございます。  また、緊急保育対策等五カ年事業を推進しておりますが、その中で保育所に地域子育て支援センターというのを整備する事業を進めておりまして、専業主婦の方々も念頭に置いて子育てに関する相談、あるいは育児サークルというものができておりますが、そういったものに対する支援等も行ってきているところでございます。  今後とも、こういった面での充実を図ってまいりますとともに、保育内容につきましても、現在保育指針というのを定めておりますが、今回の改正によって選択される保育所になるということで、こういつた保育内容についてのサービスの向上が図られるというふうに私ども期待しているところでございます。
  43. 大野つや子

    大野つや子君 短期保育という保育園の利用形態があり、仕事を持っていないお母様方でもたまには自分のリフレッシュのために保育園にお子さんを預けることもできるということですから、この制度は育児ノイローゼの解消のためにももう少し県、市町村を通じて大いにアナウンスをしていただきたいと存じます。  特に、保育園と老人施設との複合施設に関してお伺いしたいと思います。  前に申し上げました保育園を視察の折に私はもう一カ所、保育園と老人施設のデイケアセンターを見学させていただきました。その施設は、形式上といいますか、法的には別施設なのですが、実質はふだんあけ放たれた、扉でつながれた、いわば複合保育施設でした。その施設では、保育園の園児とデイケアで訪れた高齢者方々が、例えばひな祭りなど、園児と高齢者、また園児の保護者の方々を交えた方で年間さまざまな行事を通じて交流しているとのことでした。特に、都市部を中心とした核家族化に伴い、お子さん高齢者の方と、高齢者の方はお子さんと触れ合う機会が少なくなっております。また、以前でしたら、子育てにしても家事一般にしても、いわゆるおばあちゃんの知恵というようなものが受け継がれていたものでございますが、その機会も少なくなってきております。このような状況の中、とりわけ都市部においてお子さん高齢者方々、またそれに親御さんを含めた形で思いやりや触れ合える優しさづくりの推進が必要であると思います。  この保育園と老人福祉施設との複合施設の設置、増設推進に向けての御見解をお伺いしたいと存じます。
  44. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 私は、保育園と老人福祉施設の併設はこれからも積極的に推進していった方がいいと思います。特に、今、保育園の中ではお子さんを奪い合う地域も出てきていると。少子化お子さんがいないからできるだけお子さんを預かりたいと。それで、あきが出てくる。一方、高齢者の方はふえるばかりであります。  そういう方で、お子さんがいなくて保育所をやっていけないというのだったらば、高齢者の福祉施設だったらやっていけるという意欲があればどんどんそれを認めるというか、奨励していくということによってやっていけるならば、高齢者にとっても、またお子さんにとっても、両方いい効果を包む場合が多いのではないかということで、この施策に対しては、保育園の経営者にとって高齢者の福祉施設をつくりたいという意欲があれば、むしろ率先してそれを支えていくという策を今後もとっていきたいと思います。
  45. 大野つや子

    大野つや子君 ありがとうございます。  女性が仕事について子育てと仕事を両立するためには、保育施設充実だけでなく、労働政策においても女性子育て支援することがぜひとも必要であると考えます。とりわけ、育児休業制度の普及と拡充は、子供が一番母親を必要とする乳児期に子育てができるという意味で、子育てと仕事を両立するという上でも非常に重要です。  そこで、労働省の方にまず現在の育児休業制度の普及状況と今後の普及方策に対する基本的な考え方についてお伺いしたいと思います。また、女子保護規定の撤廃が議論されている今日、子育てをしながら働いている親御さんについては、勤務時間、超過勤務、休暇の弾力的運用など、職場環境の上でも配慮が必要と思われますが、いかがお考えでしょうか、お聞かせください。
  46. 村上文

    説明員(村上文君) 育児休業制度につきましては、平成七年四月からはすべての事業所に対して育児休業法が適用されているところでございます。その取得状況につきましては、平成四年度に出産した女性労働者のうち約五割が育児休業を取得しているという調査結果になっております。  労働省としましては、育児休業制度に関する規定の整備がおくれている事業主に対し、各種の機会をとらえて事業主に対し指導、援助を行い、法に基づく育児休業制度の定着を図っているところであります。  また、育児休業を取得しやすく職場復帰しやすい環境を整備するため、育児休業給付の支給、休業取得者の処遇その他の雇用管理等についての事業主や労働者に対するきめ細かな相談指導、それから育児休業者職場復帰プログラム実施奨励金制度の活用による育児休業取得者の円滑な職場復帰の促進などに取り組んでおります。  また、未就学児を養育する男女労働者の時間外休日労働に関しては、現行の育児・介護休業法におきまして、既に短時間勤務の制度、フレックスタイム制、所定外労働をさせない制度などの勤務時間短縮等の措置が事業主の義務、または努力義務として規定されているところです。  また、今国会に提出している男女雇用機会均等法等の改正法案におきまして、深夜業についての女子保護規定の解消に伴い、育児を行う一定範囲の男女労働者が請求した場合には深夜業に従事させてはならないこととする育児・介護休業法の改正を行うこととしております。あわせて、仕事と育児を両立することができる環境を整備する観点からも、労働時間の短縮に向けて積極的に取り組んでいく考えでございます。
  47. 大野つや子

    大野つや子君 ありがとうございました。  次に、厚生省と労働省、両省に関係すると思われますが、例えば夜間勤務のある看護婦さんや二十四時間営業のお店で働く方、またいわゆるバーやクラブなどで働くお母さんなどの常に夜間の仕事を持っておられる方々お子さんを育てる上での保育の状況についてお伺いしたいと思います。  現在、延長保育を行っている保育園でも午前七時から午後七時あるいは八時までの保育時間ですので、これらの方の需要を満たすことは不可能です。また、夜間保育を行っている夜間保育所が全国で四十カ所ぐらいあると伺っていますが、それだけの数では絶対数も当然不足している上、夜間保育といっても午後十時から午前零時までで保育は終わるようでございます。ある程度の規模の病院などでは事業所内保育を行っているようですが、これらの大半はいわゆる無認可保育所であり、さらに事業所内保育所のない職場で働く方は、保母資格を持たない人が預かる、そういう保育所に預けなければならないというような状況にあります。  これは労働省の所轄の問題にもなるかと思いますが、例えば出版社の編集者やマスコミ関係者、コンピューターソフト業界などでは今でも深夜までの超過勤務が恒常的であると伺っています。もちろん、二十四時間保育に対応する保育園が仮に公認されたとして、そこに勤務する保母さんの労働条件、労働環境といったことも考慮しなければなりません。  そこで、厚生省及び労働省の方々にお伺いをさせていただきたいと思いますが、保育園保育についてそれぞれの御見解をお伺いしたいと思います。
  48. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 今回の改正によりまして、できるだけ多様な保育需要に合った保育サービスが柔軟に提供されるような保育所づくりを目指しておりますけれども、先生御指摘がございましたように、通常の保育所は昼間子供さんを預かるというのが原則になっておりますので、延長保育がございましても深夜勤務される看護婦さん等につきまして十分な対応ができるような状況になっていないというのが実態でございます。  こういった点につきましては、御指摘の中にもありましたように、事業所内の保育所あるいは夜間保育所というようなところによりまして対応を私どもとしては図ってきているのが実態でございますけれども、今後ともこういった面でどうしたら需要にこたえられるかというようなことを念頭に置きつつ進めてまいりたいというふうに考えております。
  49. 村上文

    説明員(村上文君) 夜間ないし深夜にわたる仕事に従事している労働者にとりまして、仕事と育児の両立は大きな課題でございます。このため労働省としましては、仕事と育児との両立支援対策の一環として、労働者の勤務時間に配慮するなどの一定の基準を満たす事業所内託児施設の設置運営を行う事業主等に対して、事業所内託児施設助成金を支給することにより事業所内託児施設の設置促進を図っております。この事業所内託児施設助成金を受給した事業場のうち、深夜にも業務を行う病院などにおきましては深夜に対応した運営を行っているところも実際に見受けられるところでございます。  また、夜間ないし深夜に就業する労働者が保育園終了後の保育のためにベビーシッターを利用した場合など、育児サービスを利用する労働者の費用を支援する事業主に対しましては、育児・介護費用助成金を支給しておるところでございます。
  50. 大野つや子

    大野つや子君 ありがとうございます。  引き続き関連した質問ですが、それでは次のような場合の御対応はいかがでしょうか。つまり、常に夜間のお仕事をしている方は昼間寝なければならないというわけです。これは人間ですから当然睡眠をとらなければならないわけです。ただ、小さいお子さんが身近にいると眠りたくても眠れない、家事をしょうと思っても家事がままならないといったようなこと、実際そのような陳情も実は受けております。  そこで、現行法において昼間の時間帯に仕事を持っている方しか保育園保育を受けられないことになっておりますが、このように常に夜間の仕事をしている方に対しても昼間の保育の機会をつくることはできないのでしょうか。厚生省の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  51. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 御指摘のように、夜間勤務されているということになりますと、その間お子さんはどこかにまた預けるとかなんかしているケースが多いかと思いますけれども、さらに昼間保育所に預かるということになりますと、二十四時間その親御さんが子の面倒を見るという機会がなくなってしまうわけでございまして、果たして子供健全育成観点からそれが望ましいのかどうかというような問題もあるのではないかと思います。  ただ、いつも夜間勤務されてまた昼間も子供の世話をするというようなことで心理的、肉体的にも大変だという点もあろうかと思います。こういった点につきましては、現在保育所におきましても一時保育ということでやっているものもありますので、こういったケースの活用などしやすいようなことができないかどうか含めて検討させてもらいたいというふうに考えております。
  52. 大野つや子

    大野つや子君 ありがとうございます。  さて、これは質問ではなく、私個人の意見としてお聞きいただきたいと思います。意見ですので御答弁はいただかなくて結構でございます。  本改正案におきまして、第四十四条の二第一項の追加で児童家庭支援センターの新設が盛り込まれております。  私は岐阜県の地方選挙区から選出されておりますが、岐阜県には九十九市町村があり、都市部はもとよりでございますが、地方の山村あるいは寒村に参りましても目に入りますのが郵便局、農協です。児童家庭支援センター児童福祉施設に附置するということですが、設置場所を児童福祉施設に限定するのではなく、既存の施設で、かつインフラが整っており地方山間地域にも必ずある、そして地域住民の方が行きやすい郵便局や農協などの建物の一部に場所を区切って家庭支援センターの機能を置くということも視野に入れてはいかがかと考えます。さまざまな児童福祉施設が整備されている都市近郊などはともかく、地方山間部において有用な方法ではないでしょうか。  また、情報化社会の進展に伴い、発達したインターネットなどを活用すれば、そのインターネットに接続するパソコン、それを郵便局などにパーティションされたコーナーを設けて、児童相談所相談員や児童家庭支援センターの職員とインターネットのテレビ電話などによる同時双方向通信を利用して相談することも可能なのではないでしょうか。そうすれば全国津々浦々に児童家庭支援センターを設置したのと同じ効果があるのではないかと存じます。  今回の法改正はともかく、今後の課題として郵便局、農協などに子育て、医療や高齢者方々の駆け込み寺としての機能を持たすような視野を検討課題としていただきたいと思います。これは私の意見でございます。  今申し上げました意見にも若干関連はあるかもしれませんが、都市部と過疎地とでは地域における社会資源の状況や地域の住民の方々が求めているサービスも当然異なっております。二十一世紀に向けた子育て環境づくりについても、全国画一的な施策ではなく、地域の実情に応じた施策が求められていると考えますが、この点につきまして厚生大臣の御見解をお伺いしたいと存じます。
  53. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) いろんな支援体制が必要だと思います。しかし、これを全部役所がやる、国の機関がやるとなると、これは本当にお金もかかるし、役人もふやさなきやならない。そこで、私は民間でそういう支援体制をとれるような体制をむしろ地方公共団体なり国が考えていかなきやならない時代だと思います。  確かに実情は地域によってさまざまであります。特に大都市と過疎地では子供の数も全然違います。それから、子育てに対する意識も違います。さらに、関連施設などその状況も全く違う。大都市と過疎地においてはさまざまな違いがあるように、こういう違いに対してどう対応するかということを一番知っているのは地域方々であり、市町村だと思います。  このような違いといいますか、多様性ということによって、画一的なものでは対応し切れない面がたくさんありますから、その辺は地域の実情に応じて適切な措置が必要ではないか。また、そういう地域の違いというものを受け入れるということも厚生省としては大事ではないかなと思っております。  今後、そのような各地域の実情というものに配慮できるような質の高い子育て環境整備に鋭意努力をしていきたいと思います。
  54. 大野つや子

    大野つや子君 大変ありがとうございました。きょうは貴重な御意見をちょうだいできまして、感謝申し上げます。  これにて私の質問を終わります。ありがとうございました。
  55. 木暮山人

    ○木暮山人君 平成会の木暮と申します。  児童福祉法改正案に関連し、お伺いさせていただきます。  既に同僚議員から多くの指摘がされているとおり、我が国においては急速な少子化進行しております。先般の新人口推計においても、近い将来人口減少社会が到来することを予測しており、我が国社会経済に大きな影響を及ぼすことが懸念されております。  昨年十一月には、社会保障関係審議会会長会議が示した社会保障構造改革の方向においても、制度横断的かつ総合的な少子化問題への対応の検討を求めるとともに、平成八年度からこの問題についての対応を開始するとしております。  この点、今回の児童福祉法改正は、こうした少子化問題への対応の第一段階と理解してよろしいんでしょうか。今後の少子化問題への対応策について検討、見直しのスケジュールをお示しいただきたいと思います。
  56. 中西明典

    政府委員(中西明典君) 厚生省といたしましては、御承知のとおり、従来から子供を産み育てたい人が健全に子供を産み育てていくことができるようにという観点から、エンゼルプラン、またその具体化としての緊急保育対策等五カ年事業を実施するなど、子育て支援のための施策充実に努めてきているところでございます。  今回の児童福祉法等改正案につきましても、利用者本位という観点に立ちまして、保育所相互の間の競争を促進すること等によりまして保育サービスの質の向上を図っていこうという目的、ねらいを持っておるものでございまして、これによってまた子育て支援環境が整えられ、少子化問題への対応策の一助にもなり得るものというふうに考えております。  我が国少子化傾向、少子化問題につきましては、これは非常に経済社会に与える影響が大なるものがあるということは十分認識しておるところでございますが、この問題につきましては社会保障のみならず、雇用あるいは教育、住環境生活環境、さまざまな分野の制度や、それから社会慣行というようなものも絡んでおりますし、それからまた個人の価値観変化してきているといった点にも問題の所在があろうかと思います。また、少子化進行そのものについての評価、これもいろんな考え方があるところでございまして、私どもといたしましては少子化問題そのものにつきまして幅広い観点から議論を行っていく必要があると認識いたしております。  現在、人口問題審議会少子化問題について議論を開始しているところでございますが、そういったところで国民的な論議を喚起するための素材を提供していただく、それでまたそれをフィードバックして御議論いただくというような手続もとりつつ、そうした検討プロセスの過程で少子化への対応としてどのような施策を講じていく必要があるのかということについて結論を得ていきたい、かように考えております。
  57. 木暮山人

    ○木暮山人君 昨年十月に発表された経済審議会行動計画委員会医療・福祉ワーキング・グループにおいては、福祉の経済的な意味について、「福祉には日本社会を支える面があり、経済的側面を多分に有することを積極的に評価すべきである。」と述べ、「保育所の増設、充実等の保育対策充実女性の就業率向上、出生率向上を通じ労働力供給に資することとなる。」としております。  今後の少子・高齢社会を展望するとき、子育て支援策は将来への投資であり、我が国の経済社会にもプラスの効果をもたらす重要な施策であると考えます。少なくとも、現下の財政状況のみを理由に公的支援の削減、停滞を招くことは将来に禍根を残すことと考えます。  保育所等子育て支援の経済的効果について厚生省の御所見をお伺いします。
  58. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) その経済審議会報告といいますか、これは大変参考になる報告だと思います。  これから福祉の充実考える場合に、公費を今までのようにそれぞれの要請に応じて投入することができるかというと、これまたこれを税金だけでやっていこうというのに対しては非常に問題がある。財政的状況もあります。また、国民の増税に対する反発もあります。そういう観点から、充実というのが単に官の役割だけではない、むしろ民間の役割を導入して福祉の充実につなげることができないかという視点も大変重要になってきたと思います。  いわゆる民間でも、今まで官の分野であった手が届かなかった分野においても、参入できるんだったらどんどん参入してもらう。今、福祉ビジネスという言葉が出てくるぐらい、むしろ営利企業でも福祉のためにやれるという企業が出てきております。もうけを得るからいけないんだという時代じゃないんですね。むしろ利益を上げながら国民にいろんなサービスを提供する会社が出てきた。いい商品を出す企業はたくさんある。いわゆる民間でも、本来役所の責任でやっていた分野に利益を上げながらできるんだという企業があれば、それにどんどん参入してもらうという姿勢が、また環境支援が大事ではないかと思います。  そういうことを考えながら、今後も福祉の充実策、公費の投入も大事な側面でありますが、そればかりでなくて、それ以外の民間の協力を求めて、福祉の充実に寄与する方策を考えていきたいと思います。
  59. 木暮山人

    ○木暮山人君 次に、エンゼルプラン、緊急保育対策等五カ年事業の進捗状況についてお伺いしたいと思います。  この着実な推進については、先日の本会議以降、大臣も繰り返し答弁しておられます。しかしながら、緊急保育対策等五カ年事業については、比較的順調に推移している低年齢児受け入れ枠の拡大においても、九年度予算二万人増の五十一万人にすぎず、これまでのベースでは十一年度に目標を達成することは到底不可能であります。  さらに、多機能保育所の整備、地域子育て支援センター、乳幼児健康支援デイサービス事業の達成率は、九年度予算においても二割にすぎません。  厚生省は、こうした状況で緊急保育対策等五カ年事業の達成がどこまで可能であると考えているのか、お伺いさせていただきます。
  60. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 緊急保育対策等五カ年事業につきましては、エンゼルプランの一環として平成七年度から実施してまいっておりますけれども、ちょうど二年度目が終了したところでございまして、これから三年度目に入るところであります。その進捗状況も、今御指摘ございましたように、順調に推移しているところとそうでないところとなっております。  現在、各都道府県、市町村等におきましても地方版のエンゼルプラン等も作成されつつありまして、そういった育児支援に対する意識の高まりといいますか、そういうものもできつつある中で、今後残り三年間、私どもといたしましては種々工夫を図りながら事業の着実な推進を図ってまいりたいというふうに考えております。
  61. 木暮山人

    ○木暮山人君 実はエンゼルプラン、緊急保育対策が開始された平成七年の合計特殊出生率は一・四二と過去最低に落ち込んでおります。これは若い世代がエンゼルプラン等現行の子育て支援策に期待できないでいることのあらわれではないでしょうか。  介護基盤制度については、今回介護保険法案においてポスト新ゴールドプランとも言うべき介護基盤計画の法制化が図られています。  この際、若い世代が子育てに希望を持てるよう、総合的な子育て支援策についても法制化を図るとともに、地方の子育て支援計画についても義務化すべきではないでしょうか。  また、現行エンゼルプランの見直し、具体化についても検討すべきではないかと思いますが、御見解をお伺いいたします。
  62. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) ゴールドプランあるいは介護基盤計画というものにつきましては、これは老人の方につきましては今後介護需要が急速に増大するという状況が予測される中で、これをいかに計画的に整備していくかという観点からの策定の義務づけであるというふうに考えておりまして、これに対しまして児童の方につきましては少子化進行する中で、保育所等を見ますと全体的に八割の入所率というようなことで量的には十分満たされているという状況で、介護の方とはかなり状況が異なっているというふうに考えております。  こうした中で、地方版エンゼルプランにつきましては、私どもそれぞれの地域の実情に応じたプランが策定されるよう、その費用につきまして助成等を行ってきているところでございます。法制化まではまいりませんが、こういった施策を通じてエンゼルプランの策定を進めてまいりたいというふうに考えております。  また、少子化の問題につきましては、これは社会保障のみならず、さまざまな分野にも関係する問題でございますし、また子育て支援というにとどまらない議論が必要になる分野であるというふうに考えておりまして、今後こういった少子化に関する総合的な検討が行われる中で見直しなりなんなり検討なりがされていくべき課題ではないかというふうに考えているところでございます。
  63. 木暮山人

    ○木暮山人君 では次に、保育所制度見直しについてお伺いしたいと思います。  今回、改正によって保育所は措置から利用者の選択に基づく制度に改められることになります。措置制度のもとで行政は従来、利用者は反射的利益を有するにすぎず、入所の権利を有するものではないとの解釈をとってきました。  今回、措置を外すことによって利用希望者の入所の権利、サービスの改善を求める権利はどのように変わるのか、また利用者と市町村あるいは利用者と施設との間の法律的関係はどうなるのか、お伺いしたいと思います。
  64. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 御指摘がございましたように、現行の制度のもとにおきましては、入所というのは権利ということでなくして、措置という市町村の行政処分の反射的効果としての受益という考え方でございます。これに対しまして、今回の改正におきましては、利用者の方から市町村に入所についての申し込みがあった場合にはこれを受諾しなくてはならないというふうに義務づけております。  したがいまして、保育の実施責任というのは市町村ということで、契約も利用者と市町村の間で結ばれるわけでありまして、それを受けて市町村といたしましてはみずから保育サービスを提供するか、あるいは他に委託をして保育サービスを提供していただくということになるわけであります。利用者の方はその委託先なりあるいは直接やっております保育所の方に入るということで、保育所と利用者の関係はそういった直接の契約関係には立たないわけであります。あくまでも契約の方は利用者と市町村の関係ということでありまして、その保育所と市町村の関係は受託なり直接実施の関係ということになるわけであります。
  65. 木暮山人

    ○木暮山人君 今回の改正によって利用者の権利性、選択権が明確になるという説明ですが、逆に保育の申し込みを行ったにもかかわらず保育されない場合の救済措置、不服申し立てについてはどのようになるのか、お伺いしたいと思います。
  66. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 今回の改正によりまして申し込み自体は利用者と市町村の公的な契約ということになりますので、従来のような措置という行政処分ではないわけでありますけれども、これにつきましては、市町村への申し込みが拒否された場合、あるいは不当に解除された場合等につきまして権利救済を図るという必要がございますので、行政不服審査法の異議申し立てができるようにしております。
  67. 木暮山人

    ○木暮山人君 また、今回の改正では、定員を上回る申し込みがあった場合には市町村は入所児童を公正な方法で選考できるとされております。この公正な方法とは具体的にどういうものを指すのか、くじ等もここで言う公正な方法に当たるのかどうか、母子家庭等保育ニーズの極めて高い子供たちが選考に漏れる懸念はないのか、お伺いしたいと思います。
  68. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 申し込みが定員を上回った場合におきましては、市町村が公正な方法により入所の選考を図るということでございますが、この方法につきましては各市町村がそれぞれの実情に応じて決定することになっておりまして、その中には御指摘のくじ引きのようなものも含まれるというふうに考えております。  ただ、その際、御指摘にもございましたような母子家庭等を優先して入所される者が排除されることのないようになっておりまして、そういった点については優先して入所できるような仕組みを考えてまいりたいというふうに考えております。
  69. 木暮山人

    ○木暮山人君 例えば、今の関連でございますが、もしそういうニーズの強い子供たちが選考に漏れた場合、これはどこに申し立てるなり相談に行けばよろしいのですか。
  70. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 第一希望の保育所に入れなかった場合につきましては、各保育所につきましての状況が全部情報公開という形でどなたにもわかるような仕組みになっておりますので、あいているところ、あるいは次に希望するところに申し込みをしていただくということになるかと思います。  そこで、もし申し込みに不服がある場合におきましては、先ほど申し上げましたように当該市町村に対しまして不服の申し立てをしていただくということになるかと思います。
  71. 木暮山人

    ○木暮山人君 先日来の厚生省答弁によれば、今回の改正は、問題の大きい措置は外すものの、保育に対する公的責任や公費負担の後退はない、サービスはよくなるとまさによいことずくめの内容のように聞こえます。  そこでお伺いしたいのですが、それではなぜ、措置制度の欠陥、限界がこれだけ指摘されている中で、その見直しが保育制度に限られたのでしょうか。他の児童福祉施策や障害者施策、なかんずくデイサービスや授産施設等について今回のような利用契約型の方式に改めるべきではないでしょうか。この点についてひとつお伺いさせていただきます。
  72. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 保育所につきまして措置の仕組みを改めまして申し込みによる選択方式に変えましたのは、一応これまで措置という形をとってきていたわけでありますけれども、現実には保育所の利用というのがかなり一般化してきているという状況があったわけでございます。そういった点に立って、子供の最善の利益を図るという観点からいたしますと、子供さんや親御さんの立場に立って自由に選択していただくのが最も適しているのではないかということで改正を図りたいということでございます。    〔理事情水澄子君退席、委員長着席〕  他のいわゆる要保護児童福祉施設につきましては、これと違いまして、児童をめぐる対応が非常にさまざまでございます。例えば虐待等を例に挙げましても、必ずしも親御さんの賛成は得られなくても、子供さんの最善の利益を図るためには施設への入所が適当というようなこともあるわけでございまして、その際には親の方に対する説得、あるいは一定の手続のもとにおける意に反しての入所手続もとらなくてはいけないというようなケースが出てくるわけであります。  こういった意味におきまして、こういう施設につきまして利用施設とするということについては困難があるということで、今回はこういつた要保護児童福祉施設につきましては従来どおり措置制度を維持することとしているものでございます。
  73. 木暮山人

    ○木暮山人君 新たな介護保障システムの構築をめぐる議論においても、その財源を公費に求めるか社会保険料に求めるかについては多くの議論があります。  これまで政府は公費負担方式イコール措置制度と位置づけて、選択性、権利性の観点から社会保険方式の方がすぐれているとして介護保険法案を国会に提出いたしました。しかし、社会保険方式には無保険問題や保険料あってサービスなし等多くの構造的問題があります。  今回の改正は政府みずから措置にかわる権利性、選択性にすぐれた新たな公費方式が可能であることを認めたことになるのではありませんか。介護においても、保育所見直しと同様、公費による利用契約型のシステムを導入すべきではありませんか。厚生大臣の見解をひとつお伺いさせていただきたいと思います。
  74. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 介護サービスも保育サービスも現行の措置制度のもとではサービスを選択できません。所得に応じた利用者負担の差が大きいことも現実でありますから、共通点はあるんですが、保育サービスと介護サービスの違いといいますか、これは介護については保険方式を導入しますが、保育所について保険方式を導入するというのはこれはまた別の問題が生じてくるのではないか。  というのは、介護を要する人は今二百万人を超えて、これは毎年ふえていきます。保育所も今までのようにごく限られた一部のお子さんではなくて確かにかなり一般化してきてはおりますが、それは介護ほどではない、サービスを受けるにおいて、より一般的じゃない。第一、人間だって毎年毎年、年をとりますけれども、年が減ることはないんですよね。年金だって必ず年をとれば受けられる。医療だっていっか病気になればかかる。介護だっていずれ自分も介護を受けるときが来るであろうという想定ができる。しかし、大人は絶対子供に返ることはできないという点から考えれば、介護に保険を導入するからどうして保育所は保険を導入しないのかと。しかし、サービスという点においては似通った面もありますけれども、この問題については私はやっぱり違いがあっていいんじゃないかなと。  と同時に、今までの措置制度をどうして選択制にできるかというと、保育所の面においてはどっちかというとふやす状況にありません、全体から言えば。むしろ空きが目立つところもある。介護の問題はむしろこれから施設をふやしていかなきやならないという点もあります。そういう点において違う点もありますが、似通っている共通の面はともに公費は投ずるということです。保険方式を導入しましたから介護に公費を導入しないというわけじゃありません。公費も導入します。保育所でもそうです。利用者が選択の余地が出てきましたけれども、じゃ公費は導入しないのかというと、そうじやありません。公費も導入します。そういう点も考えて、現在の社会背景が違ってきた、また保育所についてはごくごく限られた一部の人からかなり一般化してきた面から見れば、選択の余地を与えた方が保育サービスの水準も向上するのではないかというふうに考えます。
  75. 木暮山人

    ○木暮山人君 どうもありがとうございました。  引き続きまして、介護保障については我々平成会は措置にかわる公費負担方式をベストと考えております。この問題についてはまた改めて論議させていただくとして、いずれにせよ措置制度がこれまで果たしてきた役割とその問題点については議論は既に煮詰まっていると思います。  今回の改正は、児童福祉施策の全般的見直し、少子化問題への対応の第一歩であると同時に、社会福祉全般の構造改革、措置制度にかわる新たな福祉体系の検討への第一歩にならなければならないと思います。  福祉構造改革に向けての大臣の御意見、御決意を再びお伺いしたいと思います。
  76. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 社会保障の構造改革について主な点を挙げろと言えば四つあると思います。  一つは、情報開示や在宅サービスの促進など、個人の自立支援する利用者本位の仕組みを重視していくこと、これは介護にしても保育所にしてもそうです。利用者本位に立つものです。  それと二つ目には、公私の適切な役割分担、そして民間活力の導入であります。どの程度まで公がやるのか、どの部分を利用者が負担するのか。さらに、公費だけじゃない、民間の活力をどうやって導入するのか。  第三点には、国と地方の役割分担であります。今、地方分権が盛んに言われておりますが、国と地方の役割分担と同時に、分権、分担しまずけれども、それぞれ連携を強化していかなきやならない、こういう点を両方から考えていかなきやならない。  四つ目においては、各種関連施設があります。老人福祉施設も保育施設もあるいは病院も薬局も、いろいろ施設があります。この関連施設の連携を強化することによって総合的な対応ができるんじゃないか。  主に言えばこの四つの点、こういう観点からこの基本的な方向を目指して改革に取り組んでいこうと。社会保障制度全般に新たな取り組みが必要ではないか、その方向に沿って構造的な改革に取り組んでいきたいと思います。
  77. 木暮山人

    ○木暮山人君 どうもありがとうございました。  時間でございます。質問を終わらせていただきます。
  78. 上山和人

    委員長上山和人君) 本案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十六分休憩      —————・—————    午後一時一分開会
  79. 上山和人

    委員長上山和人君) ただいまから厚生委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、児童福祉法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  80. 水島裕

    ○水島裕君 平成会の水島でございます。  児童福祉法案ですので児童の立場に立ってお聞きするのが本筋でございますけれども、いろいろディスカッションが出ましたので、私はむしろ保護者の方の立場に立って私の意見を述べ、御質問をしたいと思います。  日本女性に対する女性観というのが小泉大臣と私とで違っているかもしれませんけれども、私は日本社会における女性の活躍というのはもう一つではないかと思います。もっと活躍していただきたいというふうに思っているわけでございます。  私個人の経験をいいましても、私は大学とか大学病院で働いていた者で、現在もまだ多少しておりますが、研究においてはベンチャー的な仕事をしないとうまくいかないというので優秀な人材を募集していろいろ研究などをしていたわけでありますが、日本の現状ですと、度胸もあってそういうのをひとつやってみようというのは意外と女性なんでございますね。ですから、優秀な女性が集まって仕事がうまくいくわけでございますが、そのとき非常に困るのがやはり育児との関係でありますし、またそういうのを克服しないと女性が本当に能力を持ち活動していってもらえないわけでございます。  保育所の設立趣旨というものを見ていきますと、家庭が困るから母親も働いて、そうすると子供さんの育児に困るから保育所をつくるというようなことから出てきたと思いますが、現在でももちろんそうでしょうけれども、やはり私は女性の働く権利を守ってあげる、それから優秀な女性はぜひそこで活躍して、さらに能力を持ってもらいたいという側面も持っているのではないかと思いますけれども、その辺、大臣の御意見はいかがでございましょうか。
  81. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 女性が自分に合った、またやりがいのある仕事を持っていながらお子さんができるとやめなきやならない、こういう状況は本当にもったいないと思うのであります。私の周りでも、お子さんができたからやめると、もったいないなと思う方が結構います。自分が仕事を持っていて、お子さんができるとどうしてもやめなきやならないという環境に対して、できれば仕事を持ちながら子育てが両立できるというような環境を整えていくのがこれから大事ではないかと。  保育をめぐる環境女性の仕事につく状況がこうして一般化してくると当然変わってきます。ごく限られた人が保育所にお子さんを預けるというのではなくて、より一般化してきた現在においては、当然今までの保育所の考え方、役割が変わってきまずから、そういうような時代変化に応じた保育所の体制をとっていくということが重要であると認識しております。
  82. 水島裕

    ○水島裕君 ありがとうございます。  ですから、こういう委員会でも、労働力が不足するから女性も働いてもらうと、そういう考え方じゃなくて、もうちょっと格調高くやっていきたいというふうに思っております。同意していただけますでしょうか。  では、少し一般的なことに入りますけれども、保育所というのは全国的に言うと不足していないというふうに言われておりますけれども、年齢別あるいは地域別ということを考えると非常に私は不足しているのではないかというふうに思います。  例えば、余り個々のことを言うのは適切じゃないかもしれませんが、大都市周辺、例えば東京二十三区、横浜、それから浦和とか、——千葉なんかはよさそうな感じがいたしますけれども、そういうところでは保育所が不足していると思いますし、また時間も例えば六時半までするとか、そういう時間的な問題も含めるとそういう実情じゃないかと思います。  今申し上げたところに関しまして、保護者のニーズに合うということも頭に入れて、現状がどうだかお答えいただければと思います。
  83. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 全国的には充足しているわけでありますけれども、御指摘のとおり、首都圏など大都市におきましては待機者がかなり多い状況が見られます。  御質問がございました地域につきまして申し上げますと、平成八年四月一日現在の数字でございますが、東京都二十三区の場合で、待機者の数が四千三百八十三人、このうちゼロ歳児から二歳児が三千六百五十三人ということでかなりの割合を占めております。  それから、横浜市につきましては、待機者数が千八百六十七人、うちゼロ歳児から二歳児までが千二百四十三人ということでございます。  川崎市につきましては、六百二人の待機者でありまして、うちゼロ歳児から二歳児が四百五十五人ということでやはりかなりのウエートを占めております。  また、埼玉県の浦和市でございますが、五十六人、このうちゼロ歳児から二歳児が二十四人ということでございます。  ただ、例えば東京都二十三区をとりましても、四千三百八十三人の待機者がいるわけでございますが、この地域におきましても入所率は全体で八七・六%ということで一万三千六百人ほどの空き定員がある状況でございます。  したがいまして、保育所は地域の実情によってかなり異なってまいりますので、この数字を考える場合にも細かい範囲でさらに詳細に見ていく必要があるのではないかというふうに思っております。
  84. 水島裕

    ○水島裕君 今のお話ですと、かなり融通をきかせたり、あるいは弾力的に対応していけば随分不足が解消するところもあるというふうにお聞きできますが、そういうことでございますね。  それで、三歳以下、ゼロから二歳児に対して最も不足しているというお話で、それはもっともでその辺もぜひ対策を進めなくてはいけないと思います。  一方、私どもが現実に対応するのは、例えば幼稚園児のときには母親は十分働ける、だけれども低学年の学童になりますとそういう施設が十分ではないと思いますので、学童保育についてはいかがでございましょうか。こちらの質問と正確に合っているかどうかわかりませんけれども、お願いいたします。
  85. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 放課後児童健全育成事業ということで、こういった就学前の児童でなくて、小学校に入学した以後の児童につきましても事業を展開しておりますが、八年五月の調査によりますと、全国ベースでは八千六百ほどのこういった放課後の児童健全育成事業を行っているところがございまして、市町村で約千ということで全市町村の三分の一で実施されている状況でございます。児童数で約三十二万人ということでございまして、都市部あるいはこの事業が行われていない市町村もかなりございますので正確な全国的な数値はございませんが、潜在的なニーズもかなりあるのではないかと考えております。  私ども、今回の改正におきましてこの放課後児童健全育成事業を法律上位置づけまして、その普及を一層図ってまいりたいというふうに考えております。
  86. 水島裕

    ○水島裕君 それはそれで大変結構だと思います。  繰り返しになるかもしれませんけれども、子育てがある程度うまくいって、幼稚園あるいは保育所でございますけれども、保育所のときに働ける、だけれどもそれでせっかく能力が出ていろんなことも身についたときに低学年学童になって、そこでまたやめなければならないという例が結構多いわけでございます。ですから、また後でも申し上げますけれども、いろんな工夫をしてぜひその辺の対応をさらに考えていただければと思います。  それから、今のお話にあったように、低学年学童についてのニーズというのは潜在的にはもっとあるのではないかと思いますけれども、その辺はいかがでございましょうか。
  87. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 放課後児童健全育成事業についてのニーズでございますが、先生御指摘のとおり、働く女性がふえているということに対応いたしましてかなり需要が増加してきているというふうに考えておりますが、今のところそういった潜在ニーズまで含めました数値的なものは調査がないのが実態でございます。
  88. 水島裕

    ○水島裕君 その辺もぜひ調査をしていただければ、必ず多くあるというふうに思っております。  それから、今度の法改正でもって、例えば保護者のニーズとして非常に必要なのが一つは延長保育ですね。それからもう一つが遠いところに行かないで近くに保育所がある、あるいは勤めに行くのにいいところにあるとか、そういう距離的な問題でございますけれども、その辺は今度の改正でもってかなり対応できるようになったのでございましょうか。
  89. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 今度の改正を踏まえまして、私どもといたしましては、現在の正規の開所時間というものは朝の七時から午後六時までという十一時間になって、これが全国一律ぴしっと決まっているわけでありますけれども、まずはこの開所時間を各地域の実情なり保育所の判断におきまして弾力化できるようにいたしたいと思っております。  現在の延長保育のニーズを考えますと、一時間以内、特にあと三、四十分あればかなり結構であるという方もおられますので、こういった弾力化によりましてかなりのそういったニーズの部分は正規の保育時間ということでカバーできるものも出てくるのではないかと。さらに、その上に立ちまして、それ以上の保育を必要とする者についての延長保育をどうするかということにつきましては、これは現在の制度を維持していただきたいという御意見もございますし、施設の自主化に任せてそれぞれ自由にやっていただいたらどうかというさまざまな意見がございますので、私ども今後関係審議会の御議論等も伺いながら十年度予算編成の過程で検討してまいりたいというふうに考えております。
  90. 水島裕

    ○水島裕君 はい、わかりました。  それでは、少し認可外施設についてお尋ねしたいと思います。  いろいろ足りなかったところを実質的にこういう施設がカバーしているということではないかと思いますけれども、そういうところで果たして、厚生省では当面の指導基準というものをつくっていらっしゃいますけれども、そういうものに果たして合っているかどうか、あるいはそういうのをきちんと検査なさっているかどうか、あるいは保育ができる方が規定どおりぐらいいるかとか、そういうことは指導あるいは調査していらっしゃるのでございましょうか。  と申しますのは、ついでに申し上げますと、例えばO157なんか随分問題になりましたけれども、そういう感染に対する防御とか、そういうことまできちんとわかっているかどうかということでございます。
  91. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 認可外の保育所につきましては、全国で四千三百八カ所ございます。これにつきましては、地域の実情に応じて保育所がこたえられない部分について役割を果たしているところがあるわけでありますが、その実情はさまざまでございまして、配置なり構造設備、かなり大きなばらつきがございます。私どもこうした認可外保育施設につきましては、最低基準というのが認可保育所については設けているわけでありますが、これではなくて当面の指導基準というのを設けまして、各都道府県を通じて指導、監督を実施いたしております。特にベビーホテルというものにつきましては毎年立入調査を実施して、その内容につきまして報告を都道府県の方から受けているところでございます。  それから、O157への対応についてでございますが、昨年来、この問題につきまして保護者に対する注意喚起を含めまして、その予防について各都道府県を通じて指導を行ってきているところでございます。今後とも、こういった点について意を一層強くして努力してまいりたいと存じます。
  92. 水島裕

    ○水島裕君 何もO157ばかりが衛生管理の対象ではないわけですけれども、O157がわかりやすいので話に出したわけでございます。  ちょっと保育所あるいはこの認可外施設ということを離れまして、昨年、O157があれだけ流行しまして、どこで起きているかというのを見ておりますと、給食がすごく多いわけですね。幼児、それから児童への給食、幼稚園あるいは小学校の給食が非常に多いわけであります。そのほかにもファミリーレストランみたいな外食産業もたくさんあるわけですけれども、どういうわけだか去年はそういうところに集中していたと。  私が感じますところは、どうも外食産業というものと給食というものの審査の程度が違うのではないか、給食の方が甘いのではないかというような感じを受けたのですけれども、その辺はいかがでございましょうか。それから、改善策をとられましたでしょうか。
  93. 小野昭雄

    政府委員(小野昭雄君) O157に関しての御質問でございますが、幼児あるいは学童の給食施設につきましては、外食産業等一般の営業施設と同様に、施設設備の衛生的な管理あるいは食品の衛生的な取り扱いにつきまして保健所が立入検査等監視を行っております。また、調理従事者の衛生指導も行っているところでございますが、御指摘のように、いわゆる給食施設と外食産業との間の指導の差というものはございませんで、ともに大量に調理をするわけでございますから同一レベルの指導を行っているところでございます。    〔委員長退席、理事尾辻秀久君着席〕  それからまた、昨年の例を委員お取り上げになりましたが、施設設備の整備のほかに、いわゆる調理の衛生的な取り扱いというふうなことが必ずしも十分に行われていない可能性があるわけでございまして、本年の三月に大量調理施設につきまして原材料の受け入れから調理、保存、食事の提供に至るまでの全工程におきまして重点管理をすべき事項を定めました衛生管理マニュアルを作成したところでございます。これに基づきまして給食施設などにつきまして衛生管理の一層の徹底を指導し、食中毒発生の防止に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  94. 水島裕

    ○水島裕君 繰り返しお聞きします。  と申しますのは、昨年給食であれだけのO157の患者が出たというのは、私、この児童福祉法なんかに全く相反するようなことで、児童、学童であるがゆえに損害をこうむったというふうに思っております。私の聞いた範囲では、外食産業などはその開設に当たって検査をして認可はするけれども、学校給食ではそういうことはないと聞いているんです。  先ほどの御答弁ではそうでもないようですけれども、どちらが合っているのでございましょうか。
  95. 小野昭雄

    政府委員(小野昭雄君) いわゆる食品衛生法に基づきます外食産業というのは、これは営業の許可でございます。いわゆる営業、食事を提供することによって利潤を得るという、業として行っている場合が外食産業でございますが、学校給食というのは食事を提供することによって利潤を得る、いわゆる営業するということではございません。したがって、いわゆる学校給食等の給食施設と普通の外食産業はその性格を異にしておりますが、大量に食事を提供するという意味においては同じでございます。また、いろんな問題を起こすケースにおきましては外食産業とかわるところはございませんので、外食産業、それから学校給食施設を問わず、同一レベルの厳しい指導を行っているところでございます。
  96. 水島裕

    ○水島裕君 私も決して詳しくないのですけれども、外食産業などで、例えばこの間O157が出ましてから、食品は食べたものはマイナス二十度で十四日置くようにというような指導が出て、そういうふうになっていろんなことがわかるようになったというわけですけれども、そういうのは外食産業には前から命令は出していないわけでございますか。つまり、何でそうしたら給食だけそういうふうに厳格になさったわけでございますか。
  97. 小野昭雄

    政府委員(小野昭雄君) 検食の保存期間の延長につきましては、昨年O157が多発をしたわけでございますが、委員御存じのように、このO157は非常に潜伐期間が長いというふうなことがありまして、原因究明を……
  98. 水島裕

    ○水島裕君 外食産業ではそういうことは今までも命じていないし、現在も命じていないということですか。
  99. 小野昭雄

    政府委員(小野昭雄君) 外食産業であれ学校給食であれ、同様に検食の保存期間は二週間にするようにという指導をいたしております。
  100. 水島裕

    ○水島裕君 それはO157の事件が起きてからですか。——それではこのぐらいにします。多分私の言っている方が合っているんじゃないかとも思いますけれども、それはどちらが合っているかはよく検討なさってください。  とにかく、去年の発生頻度を見ますと、そういう給食で起きているのが非常に多いということは確かだと思います。それで厳しくして、なおかつ外食産業ではそういうことが起きていないということでございますので、やはり児童福祉という点では、今はよくなったのかもしれませんけれども、以前はよくなかったということではないかと思います。  それで、申し上げたいのは、この保育所あるいは今の認可外施設というところでもたくさん給食とかあるいはそれに類するものが出ているんだと思いますけれども、またそういうことで起きるというおそれもあるわけでございますので、その辺の検査あるいは基準というのはどうなっておりますでしょうか。
  101. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 乳幼児等につきましては非常に抵抗力が弱いということで、私どもこういった児童福祉施設につきましては特に調理時などの衛生管理の徹底、あるいは調理員、入所者の健康管理、それから感染の防止につきましては昨年六月来数度にわたりまして都道府県関係団体を通じてこういった衛生管理面での徹底を指導してきております。  今後とも、そういった予防、衛生管理につきまして指導してまいりたいと考えておりますし、また保存食用の冷凍庫につきましても購入が困難なところ等については国庫補助を行っております。こういった点についでも今後とも意を用いてまいりたいというふうに考えております。
  102. 水島裕

    ○水島裕君 O157の話が出ましたのでついでに申し上げますけれども、これに関してはお答えは結構でございます。  昨年の八月二日にO157の集中審議がございましたときに、私の方で、私が多少関係している研究でございますのでますますお答えは結構でございますが、O157で最も危険なベロ毒素に対するマウスの抗体を私どもの関係で持っているので、それを人に使えるようにするとO157も怖くなくなるのではないかということで、できればことしと思っていたんですけれども、だんだん無理になってきて、来年度は臨床試験ということで使えるように今努力されているわけでございます。それも本当の一種の危機管理でございますが、まあ順調といえば順調なんですけれども、マウスの抗体を人にするために、これは日本で技術がないのが非常に残念なのでございますが、今アメリカに頼んでいるわけでございます。その契約が最近できましたので、あと数カ月でO157で最も怖いベロ毒素の中毒に対抗できるようなものができてくると思いますが、そういうものも四、五カ月おくれてしまったということで、今後ぜひおくれないようにいろいろ関係者の協力を得ていきたいというふうに思っております。  私が何を申し上げたいかちょっとわかりにくいかもしれませんけれども、本当に我々純粋な気持ちで、いろいろ政策にしろ、いろいろ仕事にしろ、やっていきたいということでやっているわけでございますけれども、何かその目的が別のところにあるのではないかとか、損得でやっているのではないかと、そういうようなことで、特に議員になりましてからそういう感じがします。やはり私は、O157にしろ、いろんな緊急問題にしろ、いろんな政策にしろ、本当に純粋な気持ちでやっていきたいと思っておりますので、厚生省の方もどうぞよろしくお願いいたします。多少何を言っているかわからないことで恐縮でございますけれども、わかっていただける方にはわかっていただけると思います。  それでは、まだ少し時間もございますけれども、最後に大臣一つお伺いして終わりにしたいと思います。  現在、やはり何といったって緊縮財政でございます。ですから何でも予算をつけるというわけにはいかないわけでございますので、そういう点でこの保育行政あるいは保育所対策というものを考えていくときに、公立私立あるいは民営公営というようなことも抜きにして、先ほどの認可外施設というものも含めまして、あるいは小学校の余裕教室、余っている教室を使うとか、あるいは目的としては高齢者対策考えるというようなことで、一口に言って民間の活力も入れて、よい意味での競争原理を入れて対策を立てていかないと、これは介護保険にしましてもほかにしましても、大臣も恐らく同じようなお考えだと思いますけれども、一緒だと思いますけれども、今後日本をそういうふうに変えていかなくてはこういう問題も含めて解決しないのではないかというふうに思いますので、ひとつ大臣の御意見を改めてお伺いしたいと思います。
  103. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 今回の改正法案によって利用者本位の仕組みに変えたいと、それに保育所がどのようなサービスを提供するかによって利用者の対応も違ってくると思います。  公立であろうが私立てあろうが、認可であろうが認可外であろうが、そういう点においてサービス競争が始まるということは歓迎したい、またそのような形で保育所の水準が上がっていくことを我々は期待しております。基準は認可でありますけれども、それ以外の分野においてもより保護者の、子供のいろいろな要請にこたえていいサービスができるのだったらば、それは当然じゃないかと。また、時間の面においても保護者の要望にこたえるような、保育所がそういうサービス提供できるのだったら、当然親御さんはそういう保育所に希望が殺到するでしょうから、そういうことによっていろいろな保育所の創意工夫が発揮されるように、ある程度自由な経営判断といいますか、経営手腕が問われるというのがこれからの私は保育所のあり方ではないかと、経営者もうかうかしていられないという時代になって保育所の水準が上がることを期待しております。
  104. 水島裕

    ○水島裕君 ありがとうございました。
  105. 清水澄子

    ○清水澄子君 私の質問時間は二十五分ですから、ぜひ答弁も簡潔にポイントのみお願いいたします。  まず、放課後児童健全育成事業についてお伺いいたします。    〔理事尾辻秀久君退席、委員長着席〕  この制度化は私ども長年にわたる要望でございましたし、また社会的な懸案の課題でありましたので、今回これが社会福祉事業として明記されるに至ったということは一歩前進ということで受けとめておりますし、評価をしたいと思います。しかし、今回の改正は予算措置で今まで行われてきたこの現状施策の追認であって、むしろ今後この法制化を契機にこの事業の質的な面、量的な面でもっとこれを本格的な学童保育にしていくということが非常に必要ではないかと思います。  現時点では、この放課後児童対策に取り組んでいる市町村は全体の三割にしかすぎません。そして、実施場所とか指導員の状況、そして費用負担も千差万別ですし、必ずしも子供が放課後毎日過ごす場所としてふさわしいかどうかということは大いにこれは今後点検をして、ここを引き上げていくということが非常に重要だと思いますが、大臣厚生省はこの放課後児童健全育成事業というのをどのように位置づけていらっしゃるか、基本的な考え方をお聞かせください。
  106. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 小学校の低学年の児童につきましては、これは就学前の児童と違いまして、終日保育を必要とするというような状況ではないわけでありますけれども、私どもといたしましてはその健全育成を図るという観点から平成三年度から、御指摘がございましたように、放課後児童クラブ事業ということで推進してきているところであります。  今回の法制化は、こういった放課後児童健全育成事業を法律上明確に位置づけまして、社会福祉事業としてのいろんな特典も得られるようにする、市町村において地域の実情に応じてその取り組みを促すというようなことを考えておりまして、今後質の確保を図りながらニーズにこたえてこの事業の一層の普及推進を図ってまいりたいというふうに考えております。
  107. 清水澄子

    ○清水澄子君 この制度は既に社会的には学童クラブとか学童保育という言葉で大体社会に定着をしていると思うんです。それがどうしてこんな、まさにお役所用語ですね、放課後児童健全育成事業という、そういう名称になったのか、なぜ学童保育という言葉を使わないのか、お聞かせください。
  108. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 児童福祉法で保育と申しますと、就学前の児童であって母親が就労等により昼間保育に欠ける者をこれを保育所に入所していただきまして保育を行うというような仕組みになっているわけであります。この点につきまして、小学校に入学された子供につきましてはこういった就学前の児童とは異なっているということでございまして、私どもこれにつきましては従来から放課後児童健全育成事業というような形で使っているということでございます。したがいまして、今回も同様の考えに立ちまして、学童保育というような言葉は使っていないということでございます。
  109. 清水澄子

    ○清水澄子君 厚生省が監修をしていらっしゃいます社会福祉用語辞典、これには学童保育というのは「両親が共働き世帯のいわゆるカギッ子対策として、保育に欠ける小学校児童を対象に放課後行う保育をいう。国の制度としては確立しておらず、一部地方自治体や地方自治体の委託を受けた民間が行っている。」と厚生省児童家庭局、社会・援護局監修の辞書にも明確に「学童保育」とあります。そして、広辞苑にも大辞林にも日本国語大辞典にもすべて学童保育ということで辞書を引くことができます。  それにもかかわらず、それを変えなければならないという理由は非常に私は希薄だと思いますが、今後もっとそれこそ学童保育ということでみんなが子供たち社会で一緒に育てていこうという、育ち合おうというやっぱりイメージが広がるためにも私はぜひこのことをここで強く要求しておきます。  次に、国はこれまでにこの学童保育に対しては三分の一の国庫補助をしておりますが、今回の改正によってこういう放課後児童健全育成事業という名称でここに法的な市町村に努力義務を課したわけですけれども、そうであるならばやはり国の補助率を引き上げるということが非常に必要だと思いますが、その点はどのようにお考えですか。
  110. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 放課後児童対策事業につきましては、就労と子育て支援を図るということで極めて重要だということで今回法制化を図ったわけでございますけれども、その実施につきましては各地方公共団体がそれぞれの地域の実情に応じまして自主性を十分発揮していただきたいということで、多様な形態が現在行われておりますけれども、これをそのまま生かしたいというふうに考えているところでございます。  それから、国の財政状況も非常に厳しい状況にございますので、現在の予算補助で行っている補助率を引き上げるという考えは今のところ難しいというふうに考えております。
  111. 清水澄子

    ○清水澄子君 やはり財政的な支援をやらなければほとんど整備できないですね。ですから、その点はやはりもっと積極的な姿勢を見せていただきたいと思います。  次に、厚生省はこの市町村が行っている学童保育で働いている職員の労働条件等の実態調査してつかんでおいでになるでしょうか、そのことをお答えいただきたいわけです。  そして、今回のこの学童保育の法制化によって、それらの学童保育に携わる人々、職員の身分とか労働条件、賃金、そういうものの向上が期待をされる、期待をしていいと私たちが判断していいのでしょうか、その辺お答えください。
  112. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 現在行われておりますこの放課後児童クラブ事業につきましては、実施主体、実施形態、極めて多種多様な形で行われているのが実態でございまして、私どももその詳細な実態というものはまだつかんでいない状況でございます。今後、こういった点につきましても実情を把握するような調査を検討してまいりたいというふうに考えております。  また、今回の法制化に当たりましても、今行われております多種多様な形態ができるだけそのまま尊重して行われるようにということで、法律に盛り込むに際しましての各種規制も最小限にとどめているところでございます。したがいまして、職員の雇用形態につきましても、市町村あるいは運営主体それぞれの自主的な判断で行っていただきたいというふうに考えているところでございます。  ただ、今後こういった事業がさらに普及されるに伴いまして、私どもさまざまな人が、ボランティアも含めまして、これに参加していただきまして一層充実したものになるように期待しているところでございます。
  113. 清水澄子

    ○清水澄子君 市町村の自主的な判断は、当然これから協力とか推進しなければならないでしょうけれども、まず法を改正した以上はやはり厚生省が私は第一の責任があると思います。その姿勢を示すことが本当の学童保育を推進する、そういう施設を普及する原動力になると私は思いますが、今お答えの中で、市町村の学童保育に働いている人たち実態はつかんでいないというお答えがございましたので、やはりそこに働いている人たちが非常に身分が不安定な状況の中で本当に子供たちの、つまり健全育成などということが、自立を促進するわけですから、ですからそういうことを支援していくにはやはり職員の身分安定というのは第一のテーマだと思います。  そういう意味で、今後調査をして、その事実の上で改善をするということをここで御確約いただきたいと思いますが、いかがですか。
  114. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 法制化に際しまして昨年の五月にも放課後児童クラブにつきまして調査を行ったところでございますけれども、今後、調査項目、つけ加える項目があるかどうかという点も踏まえまして、検討してまいりたいというふうに考えております。
  115. 清水澄子

    ○清水澄子君 必ず改善をしていただきたいと思います。  次に、この事業の対象となる子供なんですけれども、ここで昼間も父母の働いている児童という、働く父母の家庭児童ということになっているわけですけれども、私は先日の質問のときにも申し上げました。これからの少子化社会という中で、子供地域の中で、子供集団の中でどう育ち合っていくか、子供たちの集団の遊びをどうつくり出していくのかということが本来子供たち自立促進するということの一番大事な問題だと私は思います。そういう中で子供たちが安心して、父母もそうですが、子供たちが安心して放課後を過ごせる場所が絶対に必要だと思います。そうしなければ親は非常に心配なんですが、しかしその場合も親の就労によって対象を分けるべきではないと思うわけですけれども、その点はなぜこれを隔離しなければならないのかということについてお答えいただきたいと思います。
  116. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) この放課後児童健全育成事業の法制化に当たりましては、やはり親御さんが働いていること等によりまして昼間子供が一人で家庭でいること等につきましては不安があるというようなことで健全育成を図るということでございますので、この六条の二におきましては「小学校に就学しているおおむね十歳未満の児童であって、その保護者が労働等により昼間家庭にいないもの」と書いているところでございます。  本事業が一つの事業として成立するためにはこういった条件を満足していただくことが必要であると思っておりますけれども、そこで事業をやっているところに十歳以上の児童が来たらいけないかとか、そういった運営の問題につきましては各運営主体の自主的な判断によりまして対応していただいてよろしいのではないかと。私どもといたしましても、この事業の性格にかんがみまして、各地域の実情に応じてできる限り多様で柔軟な対応が図られるように指導してまいりたいというふうに考えます。
  117. 清水澄子

    ○清水澄子君 私がお尋ねして問題提起しているのとは全然違った答弁で、本当にもっと討論を深めたい衝動にかられておりますが、時間がないので次に移ります。  この事業は児童館、児童センターとか学校の空き室とか公民館とか民家とかアパートとか、現在さまざまな施設で行われているわけですけれども、本当に子供たちの育ちやすい環境をつくっていくというのにはやっぱりある一定の環境の基準が必要だと私は思いますけれども、この点について厚生省はどういうことをイメージしておられるのか、お答えください。
  118. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 先ほども申し上げましたように、この事業は現在、実施主体、実施形態、場所、人数、非常に多様な形態で行われておりまして、私どもとしては法制化に際しましても、これができるだけ生かされることが望ましいというふうに考えておりまして、この事業の性格上、余り厳格な基準をつくることは適切ではないのではないかと考えているところでございますが、今後この最小限の基準というものをどうしたらいいかということにつきましても検討してまいりたいというふうに考えております。
  119. 清水澄子

    ○清水澄子君 次に、教護院についてお尋ねいたします。  教護院というのを今度児童自立支援施設という名称に変えられたわけですが、名称を変えて、わざわざこの四十四条を改正しながら、その対象になる子供を、これは前の、明治以来の対象ですね、「不良行為をなし、又はなすおそれのある児童」、これはそのまま改正せずにお使いになり、さらにそれに加えて「家庭環境その他の環境上の理由により生活指導等を要する児童入所させ、又は保護者の下から通わせて」というふうになるわけですが、これはどうして今回改正をされるに当たってこの「不良行為をなし、又はなすおそれのある児童」というのを改正しなかったのか。そしてまた、将来不良行為をなすおそれのある児童というのは何を指しているのか、またそれはだれが判断をされるのですか。
  120. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 今回のこの教護院改正に際しまして、私ども今御指摘のございました表現についてももっといい表現がないかどうかという点についても検討をいたしたところでございますが、これにつきましては立法技術上のいろんな問題がありまして、結果としてはしなかったということでございます。  一つは、それは対象児童につきましては少年法との関係がございまして、少年法による保護処分決定の送致施設とこの教護院児童自立支援施設はなっているわけでありまして、同法との関係でその範囲をこちらサイドだけで変更するというのはなかなか難しいということでございます。  それから、これを仮に変えるといたしましても、全く同一の内容を示すほかの適当な用語が存在しなかったというようなこともございまして、結果として前の表現をそのままにしているということでございます。
  121. 清水澄子

    ○清水澄子君 大変なことを言っていらっしゃいますね、いい用語がなかったからと。しかし、この表現から何をイメージされるのかで大変なことになる、非常に私は危険だと思います。  その上に「家庭環境その他環境上の理由により生活指導を要する児童」というふうに範囲を広げた理由は何を想定されているのか。そして、この状況の中で本当に子供の人権を尊重した自立支援ということをやっていくという確信があるのかということが一点と、あわせて、通所といいますか、親のところがら通っていいとあるんですけれども、現在五十七施設はどういうところにあるんですか。山の中とか非常に僻地にあるので、そこに通えるんですか、毎日。そういう意味で非常にこれは問題の多い私は条文になっていると思いますが、いかがですか。
  122. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) この新たにつけ加わりました「家庭環境その他の環境上の理由により生活指導等を要する児童」ということでございますが、これは具体的には家庭における養育が適切に行われなかったために日常生活におきます基本的な生活習慣が身についていないとか、良好な対人関係を結ぶことが困難であるとか、将来に対する自立意欲を欠いているというような児童を想定しているものでございます。  一方において、健全な児童と、それから不良行為あるいは犯すおそれのある児童という間にありまして、今申し上げましたようなことによって、家庭での生活よりもこの自立支援施設に入っていただきまして指導をした方がその児童のためにもよいというようなことについて児童相談所が一定の手続のもとに、本人、父母の同意も得まして入所していただいて自立支援を図ろうというものでございます。  この場所でございますが、通所もできるようにということで、入所だけでなくて通所あるいは施設後のアフターケアも含めまして児童自立支援を図ってまいりたいということでございますが、通所についても、通所の方がその児童にとりまして適切であると認められる場合にこうした通所もできるような仕組みにしたところでございます。  場所等はさまざまなところにございますので、それぞれの実態に即しまして適切な配慮が行われるように指導してまいりたいというふうに考えます。
  123. 清水澄子

    ○清水澄子君 こういう場合に子供意見表明権というのはどういうことになるんでしょうか。本当に簡潔に言ってください、もう時間がありませんので。
  124. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 入所に際しましては、本人の意向あるいは保護者の同意というものを必要としております。
  125. 清水澄子

    ○清水澄子君 本人の意向ですね。表明権ではないんですね。——わかりました。  じゃ、次に質問いたします。  厚生省は今度教護院児童入所対象に不登校児を対象にするというようなことが報道されて、実はいろんなところで波紋を呼んで非常な警戒が起きております。  厚生大臣、実はきのうこの不登校児と言われた子供たちが非常に自立的な、自分たちで「月刊「あそびのページ編集グループ」」というようなものをつくって、そして不登校児でいる子供たち子供同士でその子たちの心に支援を呼びかけている、そして自分たちがともに生き合っているというグループなんですが、このグループがきのう厚生省にこの問題について要望書を持っていきましたけれども、大臣、それをごらんになったでしょうか。
  126. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 拝見いたしました。  この記事で不登校児がすなわち反社会性があるというようにとらえるのは決していいことではないと、学校に通学していないということであって、これが直ちに反社会性ととらえるのは短絡的ではないかと思います。  そして、不登校児にはいろんな原因がありますから、今回新たな対象となる児童家庭環境等理由により何らかの問題行動等が生じ、適切な生活習慣の確保など個々の対応に応じた生活指導等を要する児童であり、必ずしも不登校性とか反社会性がある児童ではない。今回、不登校児であるという理由児童自立支援施設入所対象となるものでもないということをはっきり申し上げておきます。
  127. 清水澄子

    ○清水澄子君 大臣もそれをお認めになり、そうだなとお思いになりますか。
  128. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) そうだなということはどういうことですか。
  129. 清水澄子

    ○清水澄子君 学校に行かないということがすべて、今度の教護院に不登校児であるということでそれを対象にするとか、それが非行行為であるとか反社会的であるとか、そういう見方は間違いであるというのが子供たちの訴えですけれども、そういうふうにやっぱり受けとめてくださいますか。
  130. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) はい、そのとおりであります。
  131. 清水澄子

    ○清水澄子君 実はけさ、自分の子供がやはり不登校児ということにされて、これはある県の中央児童相談所相談したところが、あなたの子供は情緒障害児だというので無理やり教護院に入れられそうになったと、あなたは帝王切開で産んだのだから子供は情緒障害になっているんだといって無理やり入れられそうになったという訴えが来ているんです。こういうことは私はやっぱり非常に、子供と最も接触する、福祉とかそういう立場にいる職員の皆さんの子供に対する偏見とか、そういうものが非常に多いのだと思います。  ですから、そういう点で本当に子供の人権の立場、人権を尊重するやはり自立支援というのは、もっとそういうことは今後研究をしていただかなければ、今度の改正が逆により多くの範囲を広げていますから、非常にあいまいな表現ですね、家庭生活環境とか、とてもあいまいです。そういうことは十分私は警戒をしていただきたいと思います。  最後に、もう時間がありません、一つだけ最後にお願いしたいと思います。  今度教護院学校教育が適用される法改正が行われた、その点は非常に評価をしたいと思います。しかし、附則七ではこれは当分の間は現行のままでということになっているわけですけれども、やはり一日も早く子供たちの教育を受ける権利、教育権、学習権というのを保障していくというのは、法律をつくった以上、それを一日も早く実行することが必要だと思います。  その場合、これは今五十七ある施設で九つぐらいが分校方式になって、そこには教護がいるわけですけれども、しかし教護院では子供に教護が職務として施設内で学校教育法による学科指導を行っているわけです。ですから、今回名称を変えられたわけですからこうした特例を、普通は福祉施設にいても教育というのは通学して受けるとかそういう権利があるわけですから、やはり学校教育の保障、教育権の保障というのを、厚生大臣、ぜひ文部省とも御相談いただいて、一日も早くこれを当分の間としないでいつまでに実行するということをぜひ私はお約束いただきたいと思うんですが、大臣の御決意をお願いいたして私の質問を終わりたいと思います。
  132. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 今回の改正案においては、いわゆる学校教育に準ずる教育に関する規定を削ったわけです。厚生省としては、この改正案が施行された後、すべての入所児童についてできる限り速やかに学校教育が実施されるよう文部省やあるいは地方公共団体等と連携を図りながら取り組んでまいりたいと思います。
  133. 清水澄子

    ○清水澄子君 終わります。
  134. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 先日のこの委員会では主として保育の問題を私は質問させていただきましたので、きょうは少し違った観点から御質問申し上げたいと思います。  施設体系について、現在の入所施設の幾つかに見直しの必要があること、そして相談、通所など在宅サービスも積極的に提供する必要があることをお気づきになって法案をいろいろおつくりになったことは評価をいたしますけれども、具体的な処遇場面における人権保障、そういう問題についてぜひ再検討が必要であると思います。個々の施設の役割、処遇内容については、教護院以外は報告内容にも盛り込まれないまま法律案作業が進んで提案となったということで、具体的な人権保障について不十分であると、私はそういうふうに考えております。  特に、大変残念なことですけれども、児童虐待、体罰、こういうことにつきまして、私も大人の一人としてとても責任を感じますし、残念に思いますが、非常に多く事例が報告されているというふうに思います。  施設における体罰の実情というのは、厚生省調査されたことがありますか。
  135. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 現在のところ全国的な状況を私どもの方で十分把握していないところでございます。
  136. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 言うまでもないことですけれども、大臣子供たちがどのような境遇にあって、どのような環境にあっても本当に自立をしていけるということは人間としての尊厳にかかわる問題であると、自信と誇りを持って生きていけるようになることでありますし、このような力はやっぱり周囲の大人の信頼と愛情によって培われるものではないかと思います。  しかし、施設に入る子供には、入所以前に既に最も愛する、最も信頼する親からの愛情と信頼関係が損なわれている場合が非常に多いわけでありまして、自分に対するマイナスイメージ、あるいは自己の自立に向けての芽を大きく踏みにじられて傷ついている子供たちが多いわけです。そういうところに施設の職員によるいじめ、体罰、心の傷はどんどん深く大きくえぐられていくばかりではないかと私は思います。犯罪的な行為と言ってもいいかもしれないと、少し大げさかもしれないけれども、そういうふうに思うわけです。  ちょっと資料をいただきましたが、児童虐待関係の、主として児童相談所で把握された虐待のケース、平成七年度で二千七百二十二件、これは厚生省報告例だけですね。そのほか経路別相談件数とか主たる虐待者とか、そういうことで把握しておちれる数字があったら教えてください。
  137. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 主たる虐待者ということでございますが、一番多いのが実母ということでございまして、五二%を占めております。その次が実父ということで約二七%、それから次に多いのがそれ以外の父親ということでございますので再婚等の場合かと存じますが、九%、それからそれ以外の母親というのが五%、その他が七%ということでございまして、実母実父、やはり親による虐待が非常に多いというふうな状況になっております。
  138. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 一番多いのが実母、その次が実父ということで、本当に私ども大人の責任を感じるわけですけれども、児童相談所における経路別相談件数としては家族というのが一番多いんですけれども、児童福祉施設というのも結構数としては多くあるのではないかと思います。  これは少し前の大変残念な事件で、皆さん多分新聞で読んでおられると思いますけれども、船橋市のある施設で、その施設の職員や施設長などが大変な体罰を行っていて子供たちが逃げ出したということで、今、人権救済の申し立てがされているというふうな事件も発生しております。  こういうことが後を絶たずに子供たち虐待を受けているわけで、もちろん家庭内暴力というような形で子供が親を傷つけるということもあるというのはよく知っているわけですけれども、こういった中で、先ほど犯罪的行為ではないかと申し上げましたけれども、体罰禁止規定の新設ということが含まれなかった。保護者による、あるいは職員による子供虐待の防止策について、今回の改正では児童家庭支援センターの設置等、地域支援体制の充実により虐待早期発見、早期対応を図ることとしておられますけれども、虐待の防止はこれで十分なのでしょうか。  二十八条などを改正して、親子分離については後でちょっと触れようと思いますが、親子分離やケアについて定めるべきではないでしょうか。また、虐待した親、虐待された子供の双方に対するプログラムの策定や専門スタッフの養成、確保、そういったことについてぜひお考えを聞かせていただきたいと思います。
  139. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 先ほど先生からちょっと御指摘のございました児童相談所の件数のうちで、児童福祉施設百九十一件ということで六%を占めておりますが、これは児童福祉施設内の虐待ということでなくて、福祉施設の方から相談所の方に通報があったものということでございますので、ちょっとその点だけ注意させていただきたいと存じます。  虐待防止につきましては、一つはできるだけ身近なところで早期発見、早期防止ということで、このたび基幹的な養護施設等に児童家庭支援センターを設置したいというのが一つあるわけであります。その一方におきまして、現在はこういった問題について児童相談所中心になっているわけでありますが、これをより困難なケースについても的確に判断をしていただきたいということで、そのバックアップシステムといたしまして、都道府県児童福祉審議会意見も聞いて、そこで弁護士、医師等の専門家にも判断していただいた上で的確な措置を講ずるような仕組みにしたいということでございます。  そういった面で、虐待防止につきまして一つのネットワークというようなものを形成しながら、できるだけ的確な対応が図られるようにしてまいりたいということでございます。  その専門家あるいはスタッフにつきましても、児童家庭支援センター児童相談所、それから都道府県の福祉審議会委員というようなことで、今後それぞれ専門家を的確に選定をしていただきまして、ケースごとに的確な判断ができるような体制をつくってまいりたいというふうに考えております。
  140. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 しっかりそこのところはお願いしたいと思いますが、児童虐待ということでいえば、児童虐待とは一体どういうことなのかというその定義が規定されていないために、児童虐待の通告、二十五条が困難になる場合が非常に多くあると。児童虐待を発見した者にその事実を児童相談所に通告する義務が法律上ないために虐待の事実が見過ごされている。いや、あれは子供にしつけをしていただけですよとか、そういうふうに言われちゃうと、やっぱり第三者はなかなか、毎日のようにそれが行われていることがわかっていても、通告することが非常に名誉毀損やプライバシーにつながるようなこともあって、これは私もいろいろ考えてみましたが、大変難しいことはよくわかります。  しかし、だからといって子供たちをそのままにしておくわけにはいかない。ここのところはやはり法的にきちんと規定をして、そういう通告義務を法律上の義務としてきちんと果たすことができるようにすればいいのではないでしょうか。  それから、現行法上、十五歳以上の被虐待児には施設入所措置に当たってその意見を聴取することは義務づけられていない。この子供意見表明権を尊重する権利条約にも非常に違反をしているということで、私は本当にこういつたところがまだまだ不十分であるというふうに考えるわけであります。  ここのところは三十四条の問題ともかかわってきまして、三十四条の中に、この間からこの委員会の中でいろいろと問題になっております三十四条ですけれども、全くこの古めかしい古典的な文章を書き直さなかった。ちょっと字句を「戸戸について」というのを直したり、「虞のある」というのを平仮名にしたり、その程度しか直していないんですけれども、ここに私たちはポルノや買春等の問題についてもぜひ入れていただきたいと思いましたし、それから今の虐待防止規定、これもこの三十四条にきちんと罰則つきで入れるべきであったというふうに考えているわけです。  ぜひ、今後の将来的な見直しの場合に必ずこれは考えていかなければならない大人としての責任だというふうに思いますが、一言お答えをいただきたいと思います。
  141. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 虐待の定義につきましては、従前、身体的な虐待をもって虐待とされてきたわけでありますけれども、現在は性的な虐待、それから養育の拒否・怠慢、いわゆるネグレクト、それから心理的虐待も含めまして虐待とする考え方が有力になっておりますけれども、まだ定義をめぐりましては学説さまざまございまして、共通な認識に至っていない点もあるわけであります。ただ、私どもこういったある程度広い考えに立ちまして、その早期発見をし、早期対策をとれるような今度の改正によりましてネットワークづくりを図ってまいりたいということでございます。  それから、三十四条関係でございますけれども、この表現の問題、それから御指摘のございました子供ポルノ等の問題等について、いろいろそれぞれごとに少しずつ違っておりますけれども、この禁止規定の見直しにつきましては、他法との整合性、それから言葉遣いが適当かどうかということも含めまして今後検討してまいりたいというふうに考えております。
  142. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 最後に、大臣にぜひお伺いしたいと思います。  先ほど清水委員の御質問に対してお答えをいただいておりましたけれども、きょうは私はぜひともこれは大臣にきちんと答弁をしておいていただきたいというふうに思います。  教護院における対象児童の拡大の問題について確認をさせていただきたいと思います。  先日来、繰り返しこの質疑が行われておりますが、厚生省がどう説明しましても、条文上は、非行のおそれのある児童とは別に、家庭環境その他の環境上の理由による児童が今回新たに入所の対象となるとしか読めないんですね。特に、現場においては不登校児が一律にこの入所の対象になるのではないのかという懸念、これが広まっております。お父さん、お母さんにも広まっております。  不登校という言葉自体、私は余りいい言葉じゃないと思います。欧米ではホームエデュケーションというふうな言葉を使うところもあるようでして、学校に行かざる子供という意味ですから不登校という言葉の使い方も少し考えなければならないと思いますけれども、児童自立支援施設の対象となることはないということについて、再度大臣に確認をしたいと思います。
  143. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 先ほどもお答えしましたように、不登校児については、その原因はさまざまでありますが、基本的には学校における適切な対応に主眼が置かれるべきだと思っています。ですから、今回の児童福祉法改正において不登校児一般が対象となるものではないということを申し上げておきたいと思います。
  144. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 もうほとんど時間がないのですが、文部省にもおいでいただいておりますので、今のところ、それから不登校という言葉についてもお考えがあったらお聞かせいただきたいと思います。
  145. 加茂川幸夫

    説明員加茂川幸夫君) お答えをいたします。  不登校児を初めとしまして、先生御指摘のように、一部に大変心配する声が強いことも私ども承知をいたしております。いたしておりますが、先ほど厚生大臣の御答弁にもございましたように、今回の改正により新たに児童自立支援施設の対象となる児童につきましては、登校拒否理由としてこの施設への入所措置が講じられるものではないと私ども理解をいたしておるところでございます。  なお、文部省としましても、この新しい施設の対象児童に対する対外的な説明を行う際、あるいはパンフレット等の広報資料を作成する際には、保護者等関係者に登校拒否児が対象であるかのような誤解が生じないような配慮を厚生省とも十分連携を図りながら講じてまいりたいと思っております。  また、先生御指摘の不登校あるいは登校拒否の用語につきましては、関係者の間にいろいろ意見が分かれておりまして、文部省としましては登校拒否と不登校、両方併用して用いておるところでございます。  以上でございます。
  146. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 終わります。
  147. 西山登紀子

    西山登紀子君 きょうは私は学童保育の問題についてお伺いをいたします。  私は機会あるごとに、当委員会でも学童保育の制度化を要求してまいりました。ですから、今回この児童福祉法に学童保育が位置づけられましたことは評価することができるわけです。  厚生省の補助事業が一九七六年に開始をされて以来約二十年がたっているわけですが、働く女性が仕事を続けることができる保障、そして子供も安全な成長ができるようにということで、父母らが共同で学童保育を始めたわけです。この事業の学童保育という呼称、先ほども広辞苑に載っているという話がありましたけれども、ほぼ呼称として定着をしておりますので、私も以下、学童保育ということで質問をさせていただきます。  今回の法改正、待ち望んでいただけに要望も非常に多く出ているわけです。  全国学童保育連絡協議会が見解を出していらっしゃるわけですけれども、こんなふうに述べています。「今回の法律案は、国と地方自治体の公的責任があいまいで、施設指導員に関する最低基準や国と地方自治体の財政保障も規定せず、現状をそのまま追認する内容となっています。これでは、地方自治体に学童保育の量的拡大と質的向上に努めることを促すにはきわめて不十分であると言わざるをえません。」、こんなふうに見解を述べていらっしゃるわけです。  また、社会保障制度審議会も答申の中で、「今回同事業が法定されることは評価できるが、その質・量にわたる充実が望まれる」、こういう答申を出していらっしゃるわけです。    〔委員長退席、理事情水澄子君着席〕  そこで、大臣にお伺いしたいわけですけれども、今回の学童保育所の法制化についての目的と意義、今後この法制化によって現在の学童保育がどのように変わるのか、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  148. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) いわゆる放課後児童健全育成、今言われた学童保育の問題について、時代も変わってきております。社会背景も戦後からは大きく変わっておりますので、今回、児童健全育成観点から児童福祉法改正しなきやならないのではないか、そういう中で放課後児童に対する育成事業を児童福祉法の中に位置づけて、それぞれの地域の実情に応じた取り組みを図ることが必要ではないかということで今回の改正案をお願いしているわけであります。  それぞれ見方はいろいろあります。御不満もあると思いますけれども、一部の限られたお子さんが保育所に行くという状況から、むしろ保育所に預けるということが一般化してきた、さらには一時期は就学前の子供が保育所に行くのが当然であった、それが就学後のいわゆる学童に対しても今までの児童育成といいますか保育事業に似たようなそういう事業も必要ではないかという声が強く起こっているということから、今後ともそういう面に配慮しようということで改正案をお願いしているわけでありますので、私は一歩も二歩も前進したものであると思っております。
  149. 西山登紀子

    西山登紀子君 保育所のときと同様にですけれども、やはり入学式が近づいていますけれども、私も子供を保育所から入学させたときに、学童保育所が周りにありませんでした。そのときに本当に心配で心配で働くのをやめようか、こんなふうに悩んだものです。ですから、今回法制化がされたということ、これは本当に喜んでいるわけですけれども、今回の改正によってやはり実効が伴わなければならないと思うわけです。    〔理事情水澄子君退席、委員長着席〕  本改正案では三十四条の七に、実施主体を市町村に限定せずとあります。「市町村、社会福祉法人その他の者」が事業を行うことができるとしているわけですけれども、「その他の者」というのは、統計をいただきましたけれども、公立公営が今五七・七%、公立民営は二〇・三%、民立民営というのがありまして、千八百九十八カ所で二二・〇%なんですけれども、この法改正の「その他の者」というのは民立民営のものであって、父母らの共同経営方式のものも含まれるのでしょうか。
  150. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 「その他の者」ということでございますが、私どもこの放課後児童健全育成事業の運営主体といたしましては、市町村、社会福祉法人に限らず、父母会のほか、さらに社団法人、財団法人、保護者会、地域の運営委員会、個人及び民間企業も可能であるというふうに考えております。入るというふうに考えております。
  151. 西山登紀子

    西山登紀子君 ですから、父母らの共同経営といいますか、自主運営をしているところもその「その他の者」の対象になると、こういうことですよね。
  152. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) はい。
  153. 西山登紀子

    西山登紀子君 確かにその対象になるわけですけれども、問題は、今、全国で、父母会の自主運営で行われている学童保育所で、全くどこからの補助もない自主運営をしているところの実態を御存じでしょうか。  私は京都なんですけれども、実は二十年ほど前になりますけれども、自宅を開放いたしまして文字どおり自主運営の共同学童で子供を育てた経験がございます。しかし、二十年もたっているのに、京都市内ではまだどこからの補助もない、そういう自主運営の共同学童保育所が、京都市内なんですが、十二カ所もあります。その実態を少し御紹介したい、知っていただきたいと思うわけですね。  京都の伏見区というところにあるんですが、そこの学童クラブ、既に自主的に運営されて九年目になります。これは建物は築八十年、京都ですから古い木造の建物。夏はきかないクーラーと狭さのために子供たちの靴のにおいでむんむんすると。冬はすき間風のためにとても寒い。部屋の中にくみ取りのトイレがあるんですね。二階の天井は少し屋根裏が見えるというふうな、施設はそういうところです。それでも子供たちにとっては大切な場所です。  職員はどうかといいますと、指導員の先生がいらっしゃるんですけれども、基本給は七万五千三百七十二円、一時金は年二カ月であります。もう一人の指導員の方は、基本給七万二千八十円ですね。保護者の負担というのは、もちろんどこからの補助もないわけですから、年間を通じまして、公設の学童はほぼ三千円程度なんですが、約三倍、一万円程度の保育料を払わなければならないために入りたくても入れない子供たちがその地域にはたくさんいる。この点も非常に問題であろうと思います。  さらに、もう一つ違うところなんですけれども、やはりどこからの補助もありませんから同じような状況なんですね。これは南区というところにある共同学童保育所ですけれども、築三十年、一軒借りた家賃は三万円です。六畳三間をぶち抜いて、指導員が二人と二十人の子供たちが今、生活をしているわけです。とにかく非常に狭いという状況に置かれているわけですね。ですから、そこで二十人の子供が一斉に暴れるわけですから、コピー機が壊れたり、いろんなことが起こっているわけであります。  ここもやはり指導員の先生は月給十万円足らずで、二人の若い男性の指導員が、非常にボランティア的ですが、情熱的かつ献身的にやっていらっしゃるわけであります。父母の負担もやはりどこも同じです。子供一人、月二万円を払っている。母子家庭や父子家庭方々は割り引いて月額九千円というふうにお話し合いでしていらっしゃるわけですけれども、こういう状況であります。  ですから、こういうところの要求というのは、願いというのは、市が責任を持った学童保育所を一日も早く設置してほしいけれども、それができるまでの間、せめて共同学童保育所に年間を通じての助成をしてくださいというのが要求であります。  これはもう十二カ所、それぞれ同じようなひどい状況なんですけれども、私はいろんな実態を、手元に届けていただいたのを見て、皆さん金閣寺を御存じでしょうけれども、この金閣寺の近くに金閣子どもの家という共同学童があるんですけれども、ここの共同学童は場所が定まらないので、第二・第四土曜だとか、長期の休暇のときに場所が借りられなくなっちゃうのでジプシーのように場所を探していると、こういう実態がある。これを見て、本当に私も二十年前を思い出しまして、法制化と同時に、こういう状態がなくならないと法制化の本当の意義が薄れてしまうんじゃないかなと思うわけですね。  ですから、この法制化を機会に——こういうのは京都市だけではないと思います。こういう何の補助もなく自主運営で頑張って共同学童をやっていらっしゃるようなところを市町村の対象事業に参入させるように、そうなるように国のイニシアをぜひ発揮していただきたいと思うんですけれども、いかがですか。
  154. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 放課後児童健全育成事業についての財政的な支援の問題でございますが、私ども現在、エンゼルプランに基づきまして、緊急保育対策等五カ年事業の中でこの放課後児童クラブにつきましてもその普及促進について助成を図ってきているところでございます。  ただ、国として助成を行うということになりますと、どうしても基準あるいは規制というものと裏腹になってまいりますが、今回の法改正におきましては、現在非常に多種多様な形で行われておりますいわゆる放課後児童健全育成事業をそのままできる限り自由にやっていただくという考えのもとに、最小限の規制にとどめるという考え方で法制化を行っているわけであります。  したがいまして、今後こういったものについての助成ということになりますと、それぞれの地方公共団体の御判断、あるいは国費の対象ということでございますと市町村が直接行うか、あるいは委託するという形が必要になりますし、また規模におきましても二十人以上というような基準がございます。  したがいまして、全部をこれの対象とするというのは現時点で国費の対象としてはなかなか難しい面があるわけでありますが、今回の法改正と、それから従来からのこうした助成事業を通じまして、この五カ年事業で目標としております九千カ所という目標の実現に向けて、私ども最大限努力してまいりたいというふうに考えております。
  155. 西山登紀子

    西山登紀子君 ちょっとお聞きしていることと違うんじゃないかと思うんです。  そういう全く今回の補助対象にもなっていないところを、この法改正を機会にして市町村の対象事業に参入させるようにしてほしいと。多種多様、いろいろやっているから、私が今紹介したような状態がそのまま続いていいというわけではないと思いますね。法改正の趣旨もそうではないと思うんですよね。  ですから、大臣、ちょっとここで、通告しておりませんけれども、こういう自主共同保育をやっていらっしゃるのをお聞きになって、感想でいいですから、大臣の御感想を。
  156. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) それはお金があればいろいろ支援したいという気持ちはわかります。しかし、今いろんな方面から補助金はカットせよという声も強い。補助金をふやすどころじゃなくて、補助金も老人福祉施設に対してさえもカットしろという声が一部にある。  この保育所に対する事業も主体は地方公共団体であります。地域の実情に応じて、地方の議会が支援するというのは自由であります。そうでなくて、国がまたこの補助金を拡大して助成措置を講じようという状況というのはなかなか難しい。しかしながら、もし市町村が財政面で支援したものであって、それが国の予算補助要求に合致したものであるというものにあっては当然厚生省としても支援していっていいと思うのでありますが、そのほか今いろんな団体がむしろボランティアでそういう児童育成事業といいますか、そのような事業に参加したい、あるいは力になりたいという面も活用した方がいいのではないかと。そういうことによって、公費で欠けた面は民間の協力によって補われる面も出てくるんじゃないかなと思います。ともかく時代がすごく変わっている。  私は、今ちょっとそのお話を聞いていて、自分の子供のころを思い出すんです。  私は、昭和十七年生まれですから、戦後で三歳か四歳。学校へ行ったのは、公立小学校ですけれども、当時は二部授業でしたよ、子供が多くて。午前と午後に分けられちゃった、教室が少なくて。帰ってくると家にいる時間が少なかったですね。家にいろといったって、いなかった、近所のみんなは。何をしていたのか。メンコかビー玉かベイゴマ、セミとり、トンボとり、もうそれでくたくたに疲れて、どこへ行っているかと心配されて、やっと家に帰ってくる。しかし、そういう事情は、地域でも子供が少なくなってきた。  しかしながら、最近ではそういう放課後の児童の保育が必要とするという場合も出ているわけですから、もし民間でそれじゃ遊びに来なさいという家庭があったら、そういうところもいいじゃないか。あるいは地域でそういうような事業に参加してくれる父母の皆さんが何かやろうというのだったら、それもよしと。ともかく、いろんなそういう支援体制を整えていく、あるいはそういう協力をしていただける方に対してはそのような意欲を持ってもらうというような施設が公費助成と相まって必要ではないかなと感じております。
  157. 西山登紀子

    西山登紀子君 今、大臣が言われたビー玉とかメンコとかという大変子供らしい環境、それは今、学童保育の中にあるというふうに言われているんですね。周りにはなかなかそういう子供、異年齢集団もいなくなっているし、学童保育というところに行くと本当に子供らしい遊びがあるなというふうな感じで、私は何も共同学童で子供たちが不幸だなんて思っていません。私も自分の子供を育ててきましたし、大変幸せだったと思っていますよ。立派な指導員の先生に育てられたし、親たちは一生懸命子供たちのために共同で夜遅くまで保護者会をやっていますから。  しかし、それには国も市町村も全く何の補助もしない。京都市の場合、そういうふうに何の補助もしない。そういうところがら非常に困難が生まれているし、子供の間の処遇に不公平が、余りにもひどい差ができているんじゃないかということを申し上げているし、この法改正が契機になってそういうところにも少しでも援助の手が差し伸べられるようになれば、それは非常にうれしいことだなというふうに思っているわけです。  そこで、次の質問ですけれども、「その他」というふうになっているところで、市町村の公的責任があいまいになってはならないなというふうに思うわけですね。阪神大震災のときに西宮市で公設の学童保育が倒れましたけれども、それは市がすぐ建て直してもらって再開できたわけですけれども、補助事業だけでやっているところは建物が倒れてもうそのままつぶれてしまったと、こういう格差ができます。    〔委員長退席、理事情水澄子君着席〕  ですから、余りにも極端な差が生まれるのは避けるべきだと思うわけですけれども、この市町村の公的な責任、こういう点でやはり比重を置いた改正が必要だと思うんですけれども、その点どうでしょうか。
  158. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 放課後児童健全育成事業について、市町村にその普及を図るためのいろんな促進努力を今度課しておりますので、こういった点で各市町村においてそれぞれの実情におきまして本事業の普及促進に一層私どもは努力していただきたいというふうに考えております。
  159. 西山登紀子

    西山登紀子君 ちょっと時間が少なくなったので先に飛ばしますが、学童保育の要求は今日、都市部だけではなくて農村部、例えば京都でいえば丹後、こういう地域でも、やはり労働形態が変わってきたということもありまして、学童保育を自主的に開設しているところもふえております。ですから、こういうところはやはり二十人以上というふうな規定があってもなかなか補助は受けられないということになりますので、過疎地に特別な措置をとるべきではないかと考えますけれども、いかがでしょうか。補助事業としての特別措置。
  160. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 私どもといたしましては、放課後児童健全育成事業について、御指摘のように各自治体の状況は非常にさまざまであると思いますけれども、国の予算補助事業といたしましては、どうしても全国一律的な基準というものを設定し、行わざるを得ないということでございまして、現在二十人というような要件を設けております。これは現実には若干名の増減は許容し得るような形で実施させていただいておりまずけれども、これを緩和するというのは現時点ではなかなか難しいというふうに考えております。
  161. 清水澄子

    ○理事(清水澄子君) もう時間です。
  162. 西山登紀子

    西山登紀子君 保育所の場合には特定のそういう過疎地の対策がとられているので、今後ともぜひ御検討いただきたいと思います。  終わります。
  163. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 きょうもまた最後でありますので、今までに議論がずっと詰まってきておりますので若干重複する部分があろうかと思いますが、少し観点を変えて質問をさせていただきたいと思います。  今回の児童福祉法改正については、現場サイドで非常に不安感を持っておるという話を私は一昨日の質問の中でも申し上げました。この法案そのものを見ても、細部については政令で定めるという部分が非常に多いものですから、この政令がどういうふうな形で出てくるのかということによって大きく意味合いが違ってくるわけでありまして、その辺を少し押さえて質問をさせていただきたいと思うんです。  まず、保育所の問題で、きょう午前中、木暮委員の方から質問がありました。保護者が希望する保育所が定員オーバーをした場合にどうするのか。公正な選考基準について市町村で考える、くじ引きとかそういうようなこともあるだろうし、特に保育ニーズの非常に高い人が排除されないような配慮をしていかなきやならない、そういうふうな答弁があったと思うんですけれども、私がここで心配するのは、これは市町村にゆだねるということにしますと、御案内のように市町村というのは有力者が複雑に介入をしてまいりまして、そしてうちの子供をとにかく優先して入れてくれというようなことがまた入ってくるのではないのか。  実は、今回の介護保険の議論の中でも、いわゆる介護認定については地方公聴会等でも、これを市町村でやらせられたらたまったものじゃない、とにかく議員やいろんな人が来て、村長、どうしてくれるんだ、町長、どうしてくれるんだという話になったら、とてもじゃないけれどもできないよと、だからそれについては県の方でやってくれというようなことで、そういう議論もあるわけですけれども、私はこういうものが介入をできないようにしていくためには、厚生省としてそれなりの公正な選考ができるような基準、こういうようなものを定めるべきだというふうに思うんですが、その点いかがでしょうか。
  164. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 希望者が定員をオーバーした場合、どのように公正にこれを選定していくかということはなかなか重要なことだと思っております。  先生御指摘のように、母子家庭などニーズの高い児童が排除されないように優先度を設けるとともに、選考ルールにつきましても、どういう方法で選考するのか、これは各市町村で決めていただくことになりますけれども、私どもといたしましてもガイドライン的なものを出して参考にしていただくようなことを考えたいと思います。  また、各市町村が決めるルールそのものについても、内部だけということでなくて、これを公表いたしまして、だれが見てもどういうルールのもとに選定が行われているのか明らかになるような方法を考えていきたいというふうに考えております。
  165. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 特に、保育所については、やはり保育に欠けるというところがこの保育所の一番の基本でありますから、そういう意味で、そういう方々が排除されないような点についてぜひ御腐心をいただきたいというふうに思います。  次に、同一の社会福祉法人の中に養護施設と保育所が併設されている、こういう施設がかなり全国にあるわけでありますが、今、実際に養護施設に入っている子供がその隣にある保育所に行けないんですね。これは二重措置ということでとれを禁止しているわけでありますけれども、この問題については、先ほど大臣が保育所に預けることが一般化してきたということを先ほどのどなたかの質問答弁の中でされておりました。  私は、やはり養護施設に預けられている子供というのは非常に大きな心の傷を持ち、ある意味では普通の家庭子供以上の手当てをしてあげなきゃいけないという状況の中で、今みんな近所から子供が来てそこの保育園で遊んでいる、それなのに自分は隣にある保育所に行けない、こういうふうなことというのが果たして本当に今のこの子供たちを救うことになっていくのか。またとりわけ、先ほどもやはり大臣から三つ子の魂百までという話もありましたが、この二つ、三つのときにもしそういうふうな気持ちを受けたら、やっぱりおれたちは別なんだ、我慢しなきゃいけないんだというふうに思ったとしたら、私はそれは子供に対する大変な負担になっていくし、またそれが将来、子供の人格形成の中に大きな影として残っていくのではないかというようなこともあります。  厚生省としてどういうふうにこの問題についてお考えになるのか、お聞かせをいただきたい。
  166. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 児童福祉施設が複数ある場合の、その間の二重措置の問題ということでございますが、先生御指摘されましたように、養護施設というのは二十四時間そこで児童を養護していただくということで一つ施設ができているわけでございまして、隣にある保育所に行く、どういう形で行くかということがいろいろあると思いますけれども、仮に両方に入所するというようなことでいきますと、その運営費をどうするのか、その責任体制はどちらにあるのかとか、いろいろな問題が起こってくるということでございまして、また養護施設自体にいる児童は保育所の入所要件である保育に欠ける児童に該当するのかどうかというような問題もございまして、私ども今の時点ではかなり正面切って言うということになりますと難しい問題であるというふうに考えております。  ただ、御指摘の中にもありましたように、相互に交流をするというようなことの意義というのはあろうかと思いますので、運用面で工夫の余地がないかどうか、そういうことも含めまして今後検討してまいりたいというふうに考えております。
  167. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 この問題は、余り議論を深めていますと時間がなくなるんですけれども、ただ私がここで申し上げたいのは、やはりこういう養護施設の経営等で、一昨日の質問の中でも言いましたけれども、いわゆる規制が余りにも多過ぎるんですよ。ですから、例えば子供に不利益にならないようなことであれば必要以上にこれはいけないとかじゃなくて、今、多分、厚生省がなかなかこの問題について積極的な答弁ができないというのはやはり予算の関係とか対大蔵の関係とかというものがあるんだろうと思うんです。しかし、私は、そうであれば養護施設で、いわゆる運営費の中からその部分は例えば加算とかそういうようなものの使途の中で、いわゆる子供の養育上不利益にならないことだったらどうぞ現場の中でやってくださいよと。改めて予算を下さいと言っているわけじゃないんですよという声もあるということをぜひ御理解いただきたい。  これは厚生大臣が言っているように、公費はもうこれからそんなにふえない、ならば使い道を一々決めてこれ以外に使っちゃいけないよというのじゃなくて、その中にボランタリーな気持ちを持った職員がおったら、うちにどうぞ来なさいよということで認めたっていいじゃないですか。私はそういうことを申し上げたかったわけであります。  ちょっと質問の順番が違うかもわかりませんから事前に言っておきますが、これと関連して私が申し上げたいのは乳児院です。  乳児院は、今回の改正で「乳児院に、乳児のほか、保健上その他の理由により特に必要のある場合には、おおむね二歳未満の幼児を入院させることができる」、こういうふうになっておるんですね。  私は、おおむね二歳未満という数字が入ったということは、多分、厚生省は、いや、今まで一歳だったんだが、これが一歳延びたんだからというようなお考えなり、またそういう答弁が返ってくるだろうというふうに思うんですけれども、私は、これもまた大臣答弁をおかりして大変恐縮ですが、三歳までにしっかり抱いて、そっとおろして歩かせる、周りから愛されているという実感を得ることによって健やかな成長がある、これはもう本当におっしゃるとおりだと思う。ならば、何で二歳になったら子供を動かさなきゃならないのか。きのうまで抱いていた人がかわるわけですよ。  そういうふうな点で、何でこういう画一的な年齢制限というものをここであえて入れなきゃならないのか。これは多分、施設を経営していく乳児院と養護施設とがあって、それは施設の理屈であり、行政の理屈なんです。子供というものがそこに全く無視されている、私はそこに一番問題があるというふうに思うんですけれども、その点はいかがですか。
  168. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 児童福祉施設として法律上一定の位置づけをする場合に、やはりどういうものかというのを定める必要もあるわけでございまして、乳児院についてはそういったことでこれまで一歳未満ということでやってきたわけでありますけれども、現実にはいろいろな対応がされてきたというところでございまして、私ども今回、この乳児院の入所対象につきまして、保健上その他の理由により必要がある場合にはおおむね二歳未満の幼児を入れることができるということでございまして、運用につきましても、今御指摘のあったような点も踏まえまして、できるだけ支障のないように運用してまいりたいというふうに考えております。
  169. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 私は、このことをあえて法案の審議の中で指摘をしておくことによって、今後何らかの形で、法律というものがひとり歩きして、それが行政から指導を受けると現場というのはこれの方がいいんだけれどもとなかなか言えない部分があるんですよ。本当は現場からそういう意見をどんどん聞いて、厚生省が柔軟にそういう問題に対して、やっぱりそうだなと思ったら、私はぜひ運用面で弾力的な運用をしていくように行政指導をしていただきたいなというふうに思います。  それから、児童相談所の一時保護についてちょっとお伺いをしたいのでありますが、私の選出であります大分県、この大分県では現在、一時保護所というのは県内で一カ所しかありません。このために、不適切な養育環境にあった者、また非行や情緒障害による者、知的障害、さらには最近問題になっているいじめ等、不登校になった子供や、心的外傷後ストレス症候群による子供、こういった子供が混然となって保護されております。その結果、一時保護で一緒になったためにかえって症状が重くなったり、問題が深刻化するケースも生じてきているようであります。そういう意味で、施設入所後、家庭に戻ってからもこういったことが続くケースも少なくないわけでありますけれども、厚生省がこうした事態をどう認識しており、どのような改善策をとろうとしているのか、この点についてお伺いしたい。  また、今回の改正教護院の対象を拡大したことによって、児童相談所の一時保護所で既に生じている問題が再現してこないのかというようなことも私は危惧するわけでありますが、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  170. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 児童相談所につきましては、各県それぞれかなりの違いがあるというふうに私ども承知いたしておりますけれども、今御指摘のございました一時保護期間中の処遇につきましては、必要に応じて性別あるいは年齢別、グループ別に分けまして、それぞれ基本的な日課を立てて運営を図っていく、あるいは原則としてそれぞれの長が主宰する観察会議等を実施して処遇方針等について確認していくというようなことを指導してきているところでございますけれども、異なる児童を同一の場所でそういった形で処遇することが不適当な場合には、他の施設への保護委託とかそういったことも含めまして適切な処遇が行われるよう私どもとしても指導してまいりたいというふうに考えております。  それから、教護院等におきましてこのたび環境生活指導等が必要になる児童等も入所できるようにすることによって従来の者との間で混乱等が生じないかということでございますが、この点につきましても、そういったことがないように処遇の面で適切な配慮が行われるよう指導してまいりたいというふうに考えております。
  171. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 今、違った場所でというような話がありました。例えば、大分県の場合一カ所しかないんですけれども、そういう場合、今そういうふうに適切に措置をしていくという非常に抽象的な答弁なんですけれども、私が指摘している、いろんなケースを抱えた子供がいるんです。例えば、いじめ子供いじめられた子供が一緒のところに来ている、そこでまた保護をするなんという話、これは極端な話ですけれども、そういうような話が起こったときにはこれで本当にいいのかどうか、そういうところを私は非常に危惧をしているわけですよ。その点いかがですか。    〔理事情水澄子君退席、委員長着席〕
  172. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 他の施設と申しましたのは、一時保護施設入所している者について養護施設等に保護委託をするというようなことを申し上げたつもりでございます。  それから、今御指摘のありました、いじめ子供いじめられた子供が同じ一時保護所で同じように処遇されている、一緒に処遇されているというのは、やはりそういった措置について、過去のいろんなケース、状況をよく調べないままされたというようなことから問題が生じるかと思いますけれども、そういった点につきまして、今後私ども、児童相談所等の適切な運営についていろんな機会を通じて指導してまいりたいというふうに考えております。
  173. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 児童相談所については、私は一昨日の質問の中で、児童相談所のケースワーカーの資質の問題について申し上げました。地方自治体の人事の交流の中で、きのうまで土木事務所にいたような人がぽっと来て、いろんな難しい、専門家でなければできないこうしたケースを預かっていることも間々あるということも言いました。ですから、その辺を十分認識した上でこれからの政令なり行政指導なりその辺をしっかりやっていっていただきたい。  もう時間でありますので、ひとつ今の点も踏まえて、これは要望であります。  きょう、横田局長の午前中の答弁の中に、地域におけるさまざまな児童に対する問題により迅速に的確に対処するために、今回、児童家庭支援センターを設置するようにしたというお話がありました。私は、この児童家庭支援センター構想というのは、これは本当にうまくいけば子供が救えるというふうに思うんですけれども、うまくいかなかったら一体何のためにつくったのかと言われないこともない、それほどの危惧をしているんです。  ですから、先ほどから言うように、児相のケースワーカーの配置、その人材によっても随分と、幾ら制度をつくったって中身がなければ、仏つくっても魂入れなきゃ何にもならないわけです。子供が今、本当に虐待の中で厳しい状況に置かれているわけですから、やっぱり厚生省もその辺のところはぜひしつかり受けとめていただいて、この児童家庭支援センター、私は財源と権限と人材、この三つを何としてでも確保すべきだということを言ってあります。  私は、この人材についても児相に匹敵する、理想的な児相に匹敵する人材が置けるような、そういうふうな状況にぜひしていっていただきたい。人数とかそういうことについては特に今私がここで押さえるつもりはありませんけれども、ぜひその点を御要望して私の質問を終わりたいと思います。
  174. 上山和人

    委員長上山和人君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後二時五十五分散会