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今井澄君 それは非常に不誠実な答えだと思うんですよ。
それはいろんなバリエーションがあるでしょう。それはこの案の中にも、A案もB案もあわば、
老人は一割、二割。これは一割にするのか一割五分にするのか二割にするのか、それは変わってきますよ。だけれ
ども、
老人は最大二割、一般は三割にして、政管健保の国庫補助はなくして云々とやっていくと、今は公費
負担が最大限三一%ぐらい、そのうちの国庫
負担が
平成六年、二三・九%、その比率がどういうふうに減るのかですね。一方、自己
負担が一二%前後なのがどらふえるのかということ、これをやらないでこういう案を出すというのはおかしいですよ。それは国民にとっては大事な問題なんですから。
医療費の中のどのぐらいを自分たちがポケットから
負担するのか、保険料から
負担するのか、この
議論をやらないでおいてそういう出し方をするから問題なんですよ。計算をしてなかったとしたら至急計算をして、それを国会に提出すべきだと私は思いますね、こういう案の裏づけになるものを。
そこで、ちょっと申し上げますと、これは昭和二十九年の
厚生省の数字ですが、何と患者の自己
負担率はその当時三八・二%だったんですよね。四割、平均で四割ですから、もちろん五割も
負担していた時代があった。やっぱり患者の自己
負担が多ければ、これは医者にかかりにくいだろうし手おくれにするだろうということでどんどんこの自己
負担を減らそうという方向でみんなで努力してきたわけですね、基本的には。
そして、
老人医療の無料化等に見られるように、一時はただでかかれればこんな理想的なことはないという時代があったし、私もそう思っていました。しかし、実はそうでないということが、やっぱり
老人医療の無料化の中でいろいろ弊害も出てきたということから、やっぱりコスト意識の問題も含め効率性の問題も含め自己
負担もしていただくべきではないかと。あわせて、公費
負担も国庫
負担と地方
負担、また保険料
負担の中でも
事業主
負担と被保険者の
負担の比率がだんだん変えられてきたんだと思うんですね。その中で若干の
議論はありましたけれ
ども、余り根本的な
議論がなかった。実は今その
議論をすべきなのではないかと思うんですね。
というのは、
医療費を抑制するために世界各国は患者の自己
負担をふやしてきているけれ
ども、これは
厚生省の研究所の研究員の論文ですけれ
ども、基本的には成功していないと。なぜかというと、お金を持っている人は自己
負担が上がっても貯金から出すか、あるいは民間保険に入って払っている。お金のない人はどうするかというと、医者にかかるのをやめて、結果的に手おくれになってむしろ重くなってから来ている。
医療費には余り関係がないという研究成果も
厚生省の研究員から出ているわけですよ。そういうことも含めて、自己
負担と保険料と公費
負担はどういう割合にするかという大
議論を実は起こすべきで、その中で納得していただいて国民には
負担をしていただくというのが筋だろうと思います。
そういう点でいえば、五十九年の大改正のときにおおむね二割の自己
負担、給付は八割に統一しようというのがあのときのコンセンサスだったと思うんですね、政界でも
医療界でも、あるいは国民の中でも。ただし、二割というのはあれだから
本人は当面一割でいくということになったけれ
ども、やっぱり二割
負担というところだったと思うんです。それがいきなり今度三割
負担が出てきたわけですよ。そうすると、なぜ変わってきたのかという
議論をしなきゃいけない。そうすることによって何がよくなるのか、その
議論をしなければいけないと思うんですね。
厚生大臣は、確かに増税もしない、赤字国債もふやさないとなるとこの三つのどれかで
負担し合うしかないでしようと。まさにそうだと思うんです。我々は理想の
議論だけをやってもしようがない。そうすると、この中の
負担の仕方をどうするかという
議論が今大事だというふうに思うんです。
さてそこで、厚生大臣にお伺いしたいんですけれ
ども、実は公費
負担が一番多かったのが昭和五十九年、一九八三年の三六・四%、そのときの国庫
負担が三〇・六%だったんですね。それがだんだん減ってきて公費
負担が一三・二%になったんですが、減ったのは国庫
負担なんですよね。地方
負担はむしろふえているんですね、その間に。国庫から地方にシフトしながらも全体として公費
負担比率は減っている。一方、自己
負担比率というのは余り変わっていないんですね。一番少なくなったのがちょうどそのころ、昭和五十七年、一九八二年で一〇・五%。その後どんどんふえてきているかというと、そうでもない。大体一二%前後で来ている。保険料
負担がその一方でどんどんふえてきているんですね。
もう一つ、この数字は非常におかしいんですけれ
ども、昭和五十七年までは保険料
負担が五十何%、その内訳で
事業主
負担がこう、被保険者
負担がこうという数字が
厚生省数字で出ているんです。ところが、五十八年以降はこの内訳が出ていないんですよ。じゃ五十七年までどういう経過で来ているかというと、
事業主
負担のピークは昭和三十九年、四十年ころの二六・一%、それ以降
事業主
負担はどんどん減ってきているんですね、保険料
負担の中の比率は。一方、被保険者の
負担、要するにサラリーマンやなんかが出している
負担の方はどんどんふえてきて、五十七年がピークの三〇%に来ているんです。それ以降の数字がないんです、
厚生省の発表は。これはどういうことなんでしょうかね。
これは中身を隠していると疑わざるを得ない面もあるんですが、それはそれとして、これからの問題だと先ほどはおっしゃいましたので、確かにこれからの問題かもしれませんが、大臣としては公費
負担、保険料
負担、自己
負担というのはどのぐらいの比率がいいとお考えか、その辺についてはどうお考えでしょうか。