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1997-06-03 第140回国会 参議院 建設委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年六月三日(火曜日)    午前十時開会     ―――――――――――――    委員の異動  五月三十日     辞任         補欠選任      魚住裕一郎君     平野 貞夫君  六月二日     辞任         補欠選任      平野 貞夫君     魚住裕一郎君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         鴻池 祥肇君     理 事                 永田 良雄君                 山崎 正昭君                 市川 一朗君                 緒方 靖夫君     委 員                 井上  孝君                 岩井 國臣君                 坂野 重信君                 橋本 聖子君                 松谷蒼一郎君                 魚住裕一郎君                 広中和歌子君                 福本 潤一君                 青木 薪次君                 赤桐  操君                 小川 勝也君                 奥村 展三君    国務大臣        建 設 大 臣  亀井 静香君    政府委員        建設大臣官房長  小野 邦久君        建設省都市局長  木下 博夫君        建設省住宅局長  小川 忠男君    事務局側        常任委員会専門        員        八島 秀雄君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明の聴取は既に終了しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 自民党の松谷でございます。  初めに建設大臣に伺いますが、今回の都市計画法及び建築基準法改正の大きな目的、これについては提案理由説明であったのではありますが、実際には土地取引活性化をねらっているんじゃないだろうかというようなことを勘ぐる向きもありますが、これについて大臣から伺いたいと思います。
  4. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 本法案改正趣旨は、趣旨説明等でも申し上げましたけれども、今御指摘の土地取引活性化という意図があるのではないかという御質問でございますけれども都心部における土地の価値が従来に比べて相対的に高まるということは起きてくると思います。また、利用促進というようなことも起きてまいりますから、反射的な効果としてそうした土地取引というのが活発化してくるということは結果として起きる可能性はあると思います。  しかし、目的は、もちろんそういうことを我々は悪いと言って否定するわけでもございませんけれども目的はやはり都心居住、しかも快適な居住を推進していこうという、そういうところに改正目的があるわけであります。
  5. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 この改正目的は、今、大臣お話しになったようなことであると思います。  ただ、この目的大都市中心に、特に東京中心にして考えるのか、あるいはそうじゃない、全国至るところの中小都市まで含めて考えていくのか、その辺がかなり違った法律の執行の形になっていくんじゃないだろうかというように思います。  大都市についていえば、例えばパリなどは人口密度がヘクタール三百人ぐらいあるわけです、旧市内の中ですけれども。我が国は百四十ぐらいかな、正確ではありませんが東京の場合そのぐらいしかない、環状線の中は。したがって、やはりこれからはできるだけコンパクトな都市を構成していく必要があるわけですから、そういう意味で、こういった法改正というのは私はこれから歓迎されてしかるべきではないかというように思います。  ただ、他の都市、例えば人口二十五万以上の都市とか、こういう都市につきましても東京のような傾向はいろいろあるわけですが、これについては、この改正目的東京最大のねらい目なのか、あるいはそうじゃない、全国一律であるというのか、その点についていかがですか。
  6. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 別に東京だけを念頭に置いたわけではございませんで、狭隘な国土、またその中でも東京のみならず地方都市を含めてそこに集中をしてくる傾向があるわけでありますから、その集中をできるだけ排除するという措置ももちろん大事でありますけれども、やはり集中してきておる土地をいかに高度に利用、活用していくかという、そういうこともなげれば絶対の面積が狭いわけでありますから、そういう意味では地方都市を含めて、しかもこれは通達で措置をいたしますけれども、敷地の割り増しによって容積率をさらに緩和するというような、いわばペンシルのようなマンションにするんじゃなくて、集積効果といいますか、それによって一体的に良好なそうした都心部における住居環境も創出しようという、そうした目的もあるわけであります。
  7. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 それでは細部に入っていきますが、今回法改正で定められました地域高層住居誘導地区、これの対象となる地域、これは五つ地域が考えられるというように聞いておりますが、どういうような地域でしょうか。
  8. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 先ほど大臣からお答えいたしましたように、今回の高層住居誘導地区は、改めて申し上げるまでもないわけでございますが、職住の近接した都市構造の実現でございまして、その際には一定のやはり公共施設整備ができており、かつ人口それなりのストックといいますか、居住しておられる人口がおられるというのが前提でございます。  したがいまして、大臣からお答えしましたように、考え方としては、全国にかなりの規模の都市はございますが、現在お出ししております法案基準に照らしてみますと、全国で約四千九百五十ヘクタールございまして、その地域分布を見ますと、東京圏について約三千五百五十、東京都がそのうち三千百でございますから、相当数はやはり現在の四〇〇%というこの基準に合った地区から選ばせていただきますと東京圏中心になろうかと思いますし、数字的にも今申し上げました各ブロック別状況はおおむね首都圏中心であろうか、こう申し上げていいと思います。
  9. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 首都圏中心はわかるんですが、基本的な用途地域があるんでしょう。その用途地域、例えば商業地域でも工業地域でもこれをやるわけじゃないんでしょう。その対象地域、それはどういう地域ですか。
  10. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 用途的には、先ほど御質問にお答えしておりますが、五つ用途でございまして、一種住居、二種住居、あるいは準住居近隣商業、それから準工業、この五つ地域対象といたしまして、全国で四千九百五十ございます。
  11. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 その五つ地域基本的容積率というのは大体どんなふうになっておりますか。基本容積率と、それから最高限度容積率
  12. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) それぞれの面積につきまして、ちょっと今手元に数字がございませんが、おおむね二〇〇、三〇〇が中心になっておりますが、そのうちに四〇〇も一部今申し上げたような面積がございます。  ちょっと繰り返してございますが、全国で四〇〇%が四千九百五十ヘクタールございますが、三〇〇%になりますと四万六千二百ヘクタール、それから二〇〇%になりますと七十二万ヘクタール、おおむねそういう状況でございます。
  13. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 そうしたら、地域面積としては二〇〇%の方がずっと多いわけですね。  それで、この高層住居誘導地区最大六〇〇%の容積率を許容するということですが、最大ということでいけばその基準となる用途地域、例えば第一種住居地域とか第二種住居地域とか、そういうようなところに対しても六〇〇%指定ができるんですか。それとも、こういういわば低容積率のところはプラスアルファがせいぜい二〇〇%か三〇〇%とかいうようなことになるんでしょうか。
  14. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) ちょっと私、先ほどの数字をもう一回確認させていただきますが、四〇〇%は全国で四千九百五十ヘクタールでございますが、それに対して三〇〇%は四万六千二百ヘクタールでございます。  それで、今の御質問でございますが、本来、今回の制度につきましてはいろいろ御議論がございますけれども、まずは公共施設整備がある程度一定にできておるということに加えて、それなりの四〇〇%という既に容積を与えているところが中心でございますから、そこのところに対して住宅を主として供給していくというねらいに合ったところで選ばせていただいておりますので、そこのところは二〇〇とか三〇〇%については今回の対象にはしてございません。
  15. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 そうしますと、四〇〇%が今回の対象、それを最高六〇〇%にするというプラス二〇〇%ですね。ところが、片や五つ用途地域について対象にしている。第一種住居地域、第二種住居地域等対象に入っているわけです。ということは、第一種住居地域、第二種住居地域でも四〇〇%の地域があるということですか。
  16. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) これは従来の容積メニューの中に、先生案内かと思いますが、第一種なり第二種の住居については四〇〇%と決めることができておりまして、それによって決められておるところが、先ほど来申し上げております全国で拾い上げますと四千九百五十ヘクタールということでございます。
  17. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 くどいようですが、では第一種住居地域でも現実に四〇〇%の容積率地域指定は結構あるんですか。
  18. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 具体的にちょっと数字を申し上げた方がよろしかろうと思いますが、東京都の場合に全体で三千百八十三というのが容積が四〇〇のところがなっております。そのうちで、区部につきまして第一種住居地域については四百十九ヘクタール、約四百ヘクタールございますし、二種の住居につきましては同じく三百四十ヘクタールぐらいございます。
  19. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 というのは、この五つ地域は第一種住居、第二種住居、準住居近隣商業、準工業、こういう五つ地域の中で高層住居誘導地区指定するんだけれども、一番のねらい目はどの地区なのかなということなんです。
  20. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) ちょっと前後いたしますけれども、今回のこの考え方は、先ほどから申し上げておりますように本来御案内のとおり用途地域は十二用途ございます。住宅系で専用的に整備していくというところは今回の対象にしておりませんし、片や工業なり商業、そういうものにできるだけ特化していくという地域も外れております。結果的に、くどいんでありますけれども住居と非住居、こういうものが混在しているようなところをねらわれた地域ということで今お話ししております五用途が入っております。  したがいまして、その中で先生お話しのように、どこだということになりますと、具体的には各都市状況によって若干異なると思いますし、それからその地域の持っているポテンシャルといいますか、今までの公共施設整備状況によって異なると思いますが、私どもはこの五つの中それぞれ特色を出して都心居住という姿に沿っていく形でいただければと思っておりまして、とりわけこの五つの中でどれが一番特化した形で指定されるであろうかという見込みは、特に今のところは確たるものを持っておりません。
  21. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 一つ想定なんですけれども東京で言えば環状線の中をできるだけ高層化していって、高層住宅あるいはそれは店舗併用でもいいんですが、つくっていったらどうかという意見があります。それに沿った形での法改正かなと私は実は思っていたんですが、そうであるならば、例えば商業地域とかそういうところだって、下は店舗でいいわけですけれども住居にしていく。  ちょうどパリのシャンゼリゼは軒並み高層建築がありますが、あれは下は店舗ですけれども、上はほとんどが住居になっているわけです。そういう複合型の高層住居、いわば再開発というのか、市街地の中の開発を目指した改正かと思ったんだけれども、第一種住居とか第二種住居とかいうと何かこれは私の想定が間違っているかどうかわかりませんが、環状線の外のいわばちょっと静かなようなところかなという思いも今聞いていてしたんですが、その辺のねらい目がどうなのかと聞いているわけです。
  22. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 都心居住型でございますから、今、先生お話しの言葉を使わせていただければ、まさに環七の内側ぐらいがまずエリアとしては念頭に浮かぶと思います。  それからもう一つは、先般この委員会でも現地をごらんいただきましたが、オープンスペースがある程度はなければならないと思っておりますので、そういう意味では川沿いとかあるいは臨海部が一番適当な場所になろうかと思っております。  ただ、今お話しのあった商業系なんかもどうかというお話でございますが、これは今までいろんな都市計画なり基準法の世界でのメニューをお出ししておりまして、そういうものをこれからも我々としても駆使しながら都心居住を当然進めていくわけでございます。今回はそういう中では、先ほど来申し上げておるように用途の中で商業系あるいは工業系ということも考えられるわけでありますが、住宅系がどちらかといえば同じエリアの中で地価の負担能力その他も考えますと、どうも都心居住型の住宅が必ずしも十分立地できない、そういう傾向の中で今回は容積等は一応四〇〇という高いところで、かつ混在系のところを選ばせていただいたというのが基本的な考え方でございます。  商業系をなぜ入れなかったかと言われますと、本来は商業系目的からいきますと、今おっしゃったような住まい方もあろうかと思いますが、とりあえず今回の目的は極力住宅中心を置いた地域として整備していきたいと、こういうことでございます。
  23. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 お話はよくわかりますが、東京についていえば、千代田区とか中央区とかそういったところからどんどん住宅が逃げていきまして、それで後は商業施設とかそういうものだけが残っていく。したがいまして、朝晩の通勤ラッシュの原因にもなっているわけです。  夜間人口というのは急激に減っていって、それで昼間人口は急激にふえる。そこで朝夕の大変な通勤ラッシュになる。それを解決するためにはやはりできるだけ都心にも人口を呼び戻して、混合型の住居商業あるいはその他の用途のものと併用をしながら、全体としては人口の姿からいえば、人口密度からいえば、こういうような山型のカーブをつくるような都心居住に持っていくべきではないかということは前から指摘されている。それに相応してやるのかなと思ったんだけれども、今のお話では、臨海のああいったところとか環七のところとかというとちょっと違うかなと思うんですが、その辺いかがですか。
  24. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 今東京お話について出ておりますので、多少くどいんでありますけれども、先ほど冒頭お話しございましたように、東京都心部人口密度は、私どもの持っておりますデータによりますと都心で百三十二人となっております。比較いたしますのはあれでございますけれども、ニューヨークが二百四十人、パリが二百四人というふうになっておりますので、まだまだ私ども感じとしては都心部人口が張りついてもいいんじゃないか、基本的にはそう思っております。  加えて今お話しございましたように、東京のいわば通勤者を見てみますと、相当数が一時間あるいはもっと言えば一時間半を超えるような通勤時間をそれぞれ強いられておりますので、その点からいきましては、まさに先生おっしゃられた都心居住型というのは、今回のこの制度はもちろんでございますけれども、従来からも取り組んでおります。  くどいんでございますけれども、そういう意味では山型とおっしゃられましたけれども、具体的にこれからどこのところへ適地を選ぶかということはそれぞれ公共団体の中で選びょうがあろうかと思います。私ども東京都へ図面をプロットして見てみますと、先ほど申し上げましたようなところは比較的ゆとりのある四〇〇%が既に色が塗られているところでございますが、これからのいろいろな施策の中ではさらにそのあたりの用途あるいは容積考え方も今回打ち出された施策を参考にしながら東京都でもお考えいただいて、より通勤難解消とかあるいは本来のいわゆる新しい都市環境を享受できるような町づくりへ少しでもこの政策がつながっていけばと願っておる次第でございます。
  25. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 地方公共団体が実際には実施主体になっていくんでしょうが、法改正考え方あるいはこれによって町をどうやって快適な町に持っていくかということの指針、そういうものは建設省、特に都市局中心になっておつくりになるんだろうと思うんです。その中で、この法改正趣旨はこういうことだということをやっぱり明確に示す必要があるだろう。  ただ、東京の場合とそれから中小の町では多少その考え方は違うのかなという気はします。だから、私は今東京を例にして言っておりましたが、もっと難しいのは地方人口二十五万、三十万というような中都市ですかね、その辺の方がかえって難しいのかもしれませんが、そういう都市につきましても、都市のこれからのあり方というようなものをきちんとこの法改正と関連しながら示していただければというように思います。  実は、私は長崎に住んでおるんですが、長崎は非常に坂の多い町でして、しかも港が入り込んでいて用に立つような土地が非常に少ないんです。少ないんですが、一般的な都市計画用途地域あるいは容積地域指定基準に照らして容積率指定しているものだから、非常にフラットな町で考えられるような容積率指定の仕方になっていて、非常に用地に不足している長崎のような町でも容積率がえらい低く指定されている。  だから、これはおかしいじゃないかと県や市に言うんだけれども、いや、これは建設省指導でありましてと、こう言う。本当かどうかわからないんだけれども、そういうようなことではやっぱり困る。坂が多くて、大体工事をやるのにも車が入れなくて馬を使って建築用材を運ぶ、そういうところにも住宅がびっしりある。建築基準法違反ばかりですよ、恐らく半分ぐらいは建築基準法違反既存適格かもしれませんけれども既存適格だったら今度は増改築できない。  だから、そこに住む人はだんだん少なくなって高齢者ばかり住む。高齢者が病気になったら今度は救急車は入れない、消防車も入れない等々で非常に難しい地域状況にありますが、そういうところをできるだけ、猫の額であっても平たん部も多少あるわけですから、そういうところの容積率を高く指定していただいて、地域状況に応じて、そして都心に人が集まって、もう山の中の坂で救急車の入れないようなところからは都心に近いようなところに移動するというような形の政策がとれないかなというように思っているんです。  そういう意味では、建設省の御指導としても、やっぱり地域を十分に見きわめた上で用途地域なり容積地域あるいは容積率指定についてはアドバイスしていく。指定をするのは建設大臣じゃないんですけれども、すぐ、いや建設大臣ですよと、こう言うんだな、市でも県でも。その辺、いかがですか。
  26. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 先輩である先生からいろいろ御指摘されると私もあれですが、まさに建設省がどうのこうのということは私は原則的には申し上げていないということを重ねて申し上げていいと思います。  恐らく御案内のあったようなことにつきましては、我々のところにいろいろな町づくりについてお尋ねがあったときに、まず容積考え方としては、今お話として長崎市の例が出ましたけれども、かなり急峻なところでいわば火災時とかそういうときに危険なことも考え合わせますと、いたずらに容積を高くしてということは高密度だけがねらわれませんが、その基本には恐らくインフラ整備がどの程度整っていくのかあるいは現状として整っているかというのがまず前提だと思いますけれども、町としてやはり一定のそういう限られた土地を有効に利用していくという意味では、容積考え方は私どもまだまだこれからいろいろ詰めていかなきゃならないかと思っています。  したがいまして、今回のお話は、先ほど来東京を例にしていろいろ御質問があったわけでございますが、私ども感じといたしましては、各地方ブロック中心ぐらいはこうした都心居住型という姿はそれほど無理もなく議論されるんではなかろうかと思いますが、中小人口の余り桐密でないところについて、例えばある一定の限られた地区でこういうものもできることは可能性としてはあり得ると思いますけれども、そのときには、逆に言えばそういう住宅供給を御利用いただける環境にあるかどうかということもちょっと考えるところでございます。  いずれにせよ、我々としては、全国的な都市の中でまず都心居住を求めておられるところで要件に合ったところは積極的に御指定いただいたらどうかと考えております。
  27. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 今、私がこういうような話をしましたのは、実際に地域指定とかあるいは容積率指定とか、そういうことについては県なり市町村なりが主体的にやっていかなきゃならないんですが、実際には建設省のいろいろな基準であるとかそういうようなことを重く受けとめて一般的な形でやっていくという姿勢があるんですね。それはやっぱり地域の実情はずっと違うわけですから、そこのところは細かい御指導をしていただけないだろうか。  特に今回の法改正に関連いたしまして、新聞報道によりますと、地方公共団体は今回の制度の適用に必ずしも積極的ではないような反応が見られるというような記事が出ておりました。やはり実際に制度を適用する地方公共団体の考えを十分把握した上で実施すべきであると思いますが、いかがですか。
  28. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 私も新聞等を通じての報道は存じておりますが、片や先般、東京都でございますけれども都心の十八区の区長さんからお話を聞いておりますし、それぞれまた私どもの方の担当者レベルでも区あるいは都と御相談させていただいていますが、私どもの受けている感じでは、今回の施策について必ずしも否定的といいますか、消極的でないというように受けとめます。  ただ問題は、過去からいろいろこの都心居住について対応策をやってまいりましたので、そうした従来型の施策と今回打ち出す施策とをどうすり合わせていくといいますか、組み合わせていくかということで、まだそれぞれの現場ではこれからの工夫を今模索しているという状態ではなかろうかと思っております。  もちろん我々も、今回こうして御審議いただいておりまして、法案を認めていただいた段階ではさらに関係の公共団体とも十分議論をさせていただきたいと思っておりますし、ねらいとしております都心居住が今回の施策によってさらに進むことについては私は公共団体も私どももそう差はないんじゃなかろうかと認識しております。
  29. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 ところで、都市局長に伺いますが、先ほどこの法律改正目的について大臣からお話があったわけですが、いかがですか。土地取引活性化が起こりそうですが、この法改正があれば。あるいは担保不動産流動化促進になりそうですが。
  30. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) それぞれの土地のありようにつきまして私どもまだ十分把握しているわけでございません。マクロ的なお答えになろうかと思いますが、大臣からもお答えしましたように、結果的に、副次的にそういう土地が取引されるということについて、影響していくといいますか、効果が上がっていくことはそれなりに私はあると思っておりますが、まず最初にありきは、やはり都心居住型の住宅をつくっていきたいという、こういう施策を都民の方々あるいは国民の方々としてぜひ支持をしていただきたいのがまず第一でございます。  したがいまして、現在既にお持ちであるその土地の所有者自身がこういう施策に御協力いただければ、それはむしろ土地の有効利用という視点で私は実現できると思いますし、それからいささかそういうテーマに対して自分としても積極的に取り組もうという企業があればあるいは新たな所有者が出てくれば、それはさらに土地の取引につながるんじゃなかろうかと思っております。  私どもいろいろ東京都の実情を見ますと、それなりに既に土地の相当のスペースをお持ちの方々もいらっしゃるわけでありますから、まずはそういう人たちに私ども働きかけて、現状において早く未利用地、低利用地の土地をこうした趣旨に沿った形で立ち上げていただくというところに心がけていきたいと思っております。
  31. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 副次的であろうと土地取引活性化していけばこれは大変いいことだと私は思うんですけれども、それが目的かどうかは別として、ぜひそういう方面もやっていただきたいというように思います。  それで、これに関連して、高層住居誘導地区指定されれば地価が高騰してこないだろうかと、こういう懸念も片やあります。片や高層住居誘導地区指定されれば住宅価格が低下していくという考え方もあります。いかがですか。
  32. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 先ほども申し上げました全体の土地取引なり建築、ビルトアップがどの程度進むかによって、直ちにお答えを断定的に申し上げることはなかなか難しいと思いますが、極めて短期的に申し上げますと、土地につきましては、私どもは今回の施策は限りなく住宅にインセンティブを与えていこうということでございますから、商業系を初めとして業務的な用途よりは私は地価の値上がりはさほどないんではなかろうか。  実需に基づく一定土地取引というのは当然地価の変動に影響するわけでございますから、期待を持たれて今回の施策に協力するという意味では、土地取引活性化すれば、その一方では若干地価が値上がりすることもこれは否定できないと思っておりますが、それはあくまでも私は実需に伴うものであろうかと思っておりますので、全体的にはさほど問題ではなかろうかと思っております。  加えて、今回の施策によって、二割とかあるいは五割程度のそういう容積が実質的に緩和されれば、個々の住宅の広さにももちろん効果があると思っておりますが、平均的には床の単価がそれなりに地価の値上がりをのみ込んだ形で動かれるんじゃなかろうかと私は思っております。  ただ、いずれにせよ、これはミクロ的なお話を申し上げておりまして全体がどうなるかというのはなかなか予測できませんが、当然我々は過去のバブルのいろんな経験といいますか教訓を学ばなきゃなりませんので、そういう意味土地取引活性化を我々としてねらう一方では、地価の安定化といいますか、いわば地価の暴騰にならないような形での一定の地価安定状況というものもまた求めていかなきゃいけないと思いますから、そのための施策というものも当然注視していかなきゃいけないかと思っております。
  33. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 私は以前から言っていたんですが、容積率を限定された地域でボーナスを出すというような形での指定をいたしますと、周辺地域との関係でそこの限定された地域の地価は必ず上がるはずですね。例えば周辺が容積率が三〇〇でそこだけが五〇〇だったとすれば、それは当然上がるはずです。ところが例えば極端な話、環状線の中全部が容積率が上がりますと、それは全体の中の話ですから地価が直ちに上がるということにはならないと思うんです。  だから、そういう意味では、この高層住居誘導地区指定は、余り小さな面積指定するのじゃなくて、できるだけ広い面積指定をしていっていただいた方がいいんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  34. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) どの程度の規模かということになりますと、まだ我々も必ずしも手ごたえを持っておりませんが、従来公式的にお答えしておりますのは数ヘクタールから数十ヘクタールぐらい。これは過去にいろんな施策を打ってまいりましたときの、例えば地区計画等が実施されたところの実績などを念頭に描いておるわけでございます。  今先生おっしゃられたように、確かに地価の安定策といいますか、そういう地価高騰防止策という点からいきましても、確かにエリアとしては比較的大きくとった方がよろしいという御指摘はそのとおりだと思っておりますし、一方では都市環境という点からいきましても余りスポット的な指定は芳しくないと私ども思っております。もちろん他の要件、例えば公共施設整備状況等も勘案しなきゃなりませんが、できるだけある一定エリアをもって決めていくことが、特に今回用途地域の補完的な施策として打ち出した以上、一定の広がりは私は持つべきではなかろうかということを思っております。
  35. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 今度の改正では、東京、大阪、名古屋というような大都市だけではなくて、全国的に中都市も含めてこの法改正の適用を図るんだと、こういう考え方であります。ぜひそれはそういうような形で、大都市だけに集中してこの法律を重点的に施行するということではなくて、全国的な形でやっていただきたいと思うわけです。  今、行財政改革が非常に緊急の重要案件であるということで、橋本内閣として一生懸命やっておりますが、公共事業についても全部削減しようというふうなことでやっている。それは財政が非常に厳しい状況でありますから、従来のように公共事業もどんどん投資を伸ばしていくというわけにはいかないだろうと思うんです。しかし、公共事業の中には用地費というのが含まれているわけですから、用地費の高い大都市地域をしばらく投資しないで、私たち東京に住んでいれば大分厳しいような状況もあるかもしれないけれども、そこは我慢して、大都市の集積の利益を供与してもらっているわけですから、できるだけ地方都市、例えば長崎のような、そういうところに公共事業を重点的に投資をしていくということが私は求められていると思うんです。  これは今度の法改正ともあわせて、そういう意味でぜひお考えになっていただきたい。特に一極集中の是正、国土の均衡ある発展と言っているわけですから、そういうことをもぜひ考えてやっていただきたいと思いますが、建設大臣、いかがでございましょうか。
  36. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 建設行政は日本国じゅうをにらんで長期的な視点から取り組んでいかなければなりませんが、今委員が御指摘のように、きょう財政再建の基本的な方針が総理から示されるということでありますけれども、私どもは、社会保障、ODA、文教等そういうところに対する切り込みが余りされないで、公共事業を減らせばいいわというような形で来年度予算をマイナス予算にするというようなことがあってはならないということを常に総理あるいは大蔵大臣に対し申し上げておるわけでありますが、きょうその結論が出るわけであります。  いずれにいたしましても、来年度予算案につきましても、これが公共事業、建設省分も削減ということはやはり必至であります。そうした中で、一つ地方経済、雇用に対する影響がやはり公共事業の場合は甚大でございます。特に今度深刻なのは、前に公共事業を六十二年ごろ削減いたしましたときは、地方自治体がその分を肩がわりするという形で事業量は減らなかったわけでありますけれども、今度は中央も地方も削減という形になってまいればダブルパンチになるわけでありますから、そういう意味では非常に地方経済、雇用に対して心配をしておるわけです。建設大臣がそこまで心配するというのはおせっかいだと言う閣僚もおりますけれども、そうはまいらぬわけでございまして、そういう意味ではやはりそうしたことを視点に入れての建設省予算を組み、また執行をしていかなければならない。  それと、私はいつも言っておりますけれども、やはりその地域から代表が参議院の方も出ておられますし、直近の選挙では小選挙区のもとで一人の代表が選ばれておる。その一人の方がその地域の社会資本整備の状況をきちっと踏まえながら、その地域住民の声としていろいろとこの問題について御発言をされておる。我々は、独断専行の建設行政があってはならない、その地域の声、代表の声というのにも十分我々は耳をかしながら執行面についてもやっていかなければならない、このことも心しておるわけでございます。
  37. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 勇猛果敢な建設大臣でありますので、この面についてもぜひ勇猛果敢に実施をしていただきたいというように思います。  ところで、今回の法改正都心住宅を引き戻す、ある意味住宅政策基本的な考え方をこの法案改正の中で示したんだというように私は思います。住宅政策は今非常に曲がり角に来ているというように言われております。住都公団の賃貸住宅からの撤退もあり得るかもしれない、あるいは分譲住宅についても限定的な形でやっていくべきだというような意見もあります。  しかし、私はこの間ある会合に出ましていろいろな意見を伺ったんですが、そのときの話で、今低金利政策がとられております。低金利というのは、要するに企業に対して、企業救済ではありませんけれども企業を支援するような形の政策一つの変形である。それではどういうところが低金利ということによって圧迫されているかというと、それは預金者です、預金者は金利が低いわけですから。預金者ということは要するに家計である。だから、家計が圧迫されて景気が悪いから設備投資その他で企業を何とか誘引してもらおうというような政策のねらいも低金利の政策の中にあるんじゃないか。  そういうようなことになった場合に、低金利政策が続く限りは、やはり家計に対して手厚い政策というものを打ち出していく必要が今の政治の中では求められるんじゃないか、国の政治としては。そのときに一番国民が求めているものは住宅だ。幸い貯蓄率は国際的に見ても非常に高いわけですから、この際住宅政策に国が全力を挙げて取り組んで、この低金利政策によって家計の圧迫されているところを補って余りある住宅の供給をやっていくべきであるというような意見を伺いまして、なるほどなというように思いました。建設大臣いかがでございましょうか。
  38. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 委員御指摘のように、かつて経験をしたことのないような低金利時代が続いておるわけでありますが、これがいわゆる産業の活性化また金融システムの安定化というようなそういう面に寄与することを目的にしての政策でもあろうかと思うわけであります。一方、御指摘のように、預金者にとりまして、特に年金生活者等細々と過去の貯蓄に頼って生きておられる方々の生活面を圧迫しておるというもの、これは現実であろうかと思います。そういうことに対してトータルの政策として政府がどういう対策を講じていくかということは、私は委員の御指摘のとおりであると思います。  そういう意味で、そうした層に対して直接間接どういう形で所得を保障していくかということをやはり同時に考えなければ、これは内需自体を逆に減退させていって、低金利政策をやるにもかかわらず内需が生まれてこないというそういう結果が生まれる危険性もあるわけでありまして、今そういう状況も若干私は起きてきておろうかと思います。  そういう中で、住宅政策という観点から申しますと、住宅建設展示場への来訪者も今非常に減ってきておるようでもありますし、新規着工もトーンダウンしてきておる状況もございます。そういう中で、庶民が住宅を新しく建築していくことについて政府として思い切ったインセンティブをとるべきである、それは委員のお考えのとおりでございます。そういう意味で、財投金利がきょうは〇・三%上がったわけでありますが、これについてすぐ連動すべきだという考え方もございますけれども、私どもといたしましてはこれは据え置くという措置をとらさせていただいておるわけでございます。
  39. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 財投金利に連動しないということで大臣の大いなる決意をいただきました。  やはりバブル期の反省というのはあるんですが、バブル期はどうしてああいうような状態になったかというのは、いたずらに金融緩和という金融政策におんぶして財政が余り出動しなかった、そのためにああいうバブルというような状態になったとも言われております。現在でも金融政策にのみ低金利政策でやっていて財政はどんどん厳しく締めていく、公共投資はもうやらない、これでは非常にへんぱな形になるんじゃないか。それを私どもは非常に憂慮しているわけでございます。  そういう意味では、この法改正というのは極めて時宜を得た改正だと私は思うんです。そう思うだけに有効な効果のある形でこれを実施してやっていただきたいと思います。特に高層住居誘導地区については、この実施主体というのは地方公共団体であろうと思うんですが、その場合、市町村が主体になるのか都道府県が主体になるのか、それによっても実施の効率というものがかなり変化してくるであろうというように思いますが、これはいかがですか。
  40. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 決定権者につきましてはこれから政令の段階で整理させていただきたいと思っておりますが、基本的には先ほど申し上げましたように、この施策用途地域を補完する施策でございますから、現在の用途地域の決める際の手続からいきますと、三大都市圏等につきましては都道府県知事が最終的に決定しています。  理由は御案内のとおり住宅を含めてでございますが、いわば広域的な土地利用という視点でございます。ただ、地方都市においては、繰り返すまでもないのでありますけれども、市町村が決定しているのも現状でございます。片や現在地方分権の中でできるだけ都市計画の手続等については市町村レベルにおろせという御指示もいただいておりますので並行した形で検討しておりますが、このテーマにつきましては、私はとりわけ大都市圏におきましては現在の用途地域の決める手順に準じたものを扱っていきたいと思っております。  加えてではありますが、仮に県知事レベルで決めるといたしましても、原案等は当然市町村等が考えるものであろうと思いますから、そういう意味では国、それから県、さらには市町村というそういう連携は十分とって、相互の疎通が十分図られることも言うまでもないことだと思っております。
  41. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 ちょっと細かいことになるんですが、今度の共同住宅容積率に算入されない共用部分として廊下、階段とする、こういうことになる。これは細かいようで結構大きいんですね。そこまでいくならなぜエレベーターやロビーもそうしなかったのかというように思いますが、いかがですか。
  42. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) 共同住宅容積率に何と何を不算入にするかということについてはいろんな考え方があろうかと思います。ただ、一つには現行法制においても外気に面しているような階段、廊下については算入の基礎に算定されていないというのはございます。この辺とのバランスから、容積率制度の合理化を図るという観点からは内廊下であっても適用除外にするというふうな考え方一つ出てまいります。  それを超えていろんなところまで考えを及ばせたときに、現実問題として容積率の不算入というテクニックを使ってどの程度まで緩和をするのかということになりますと、例えば先生今エレベーターの話をされました。そういう場合に、例えば超高層なんかを念頭に置きますと、不算入というには余りにも大きい係数が出てまいります。  そういうふうなこともございまして、容積率基本論というものを大前提とした上で、技術的な意味で不算入という措置をとるという枠組みで考える場合には、今御提案申し上げているようなところがほぼ常識的な線かなということで御提案させていただいたということでございます。
  43. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 それから、地域指定されれば日影規制が適用除外になる、これはなかなか住民との問題で難しい部分はあるかと思いますが、いかがお考えですか。
  44. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) 今回の法律での日影規制の適用除外と現行法制あるいは実態との関係でございますが、現在の法制度のもとにおきましては、商業地域工業地域工業専用地域、この三つは法律で日影規制が既に適用除外になっております。それ以外の地域については公共団体が条例で日影規制を行うことができるというのが現在の制度でございます。  その制度が現実にどういうふうに運用されているかということについて見ますと、例えば東京都を例にいたしますと、四〇〇%以上の容積率指定されているところについて日影規制を排除しているというのが運用の実態でございます。言うなれば、そういう運用の実態というものを念頭に置いた上で、今回法律制度としても、四〇〇%を超えるところに今回の制度を適用した場合には日影規制を外すという運用面を国の法制度としても追い打ちをかけたというのが制度の現実でございます。  その意味では、今回の法律が適用になったがゆえに新たに大問題が発生するというふうなことではないのではないかという感じで受けとめております。
  45. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 今までいろいろ質問させていただきましたが、基本的には大変時宜を得た法改正であると私は思います。  ただ、この改正が全体の都市政策考え方の中でどういうような位置づけであり、今後どうした都市政策基本的な流れとして考えていくのかということはやはりきちっとした姿が示されなきゃいけないであろうというように思うわけですが、最後に大臣から今後の都市政策基本的な考え方についてお伺いをいたします。
  46. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 一つは、やはり一極集中といいますか、これは何も東京集中という意味だけじゃなくて、地方においても一極集中という現象がずっと起きておるわけであります。これは自然と人間が富のあるところに流れていくということであろうかと思いますから、人為的にこれを制御するということもなかなか難しい。  基本的には、やはりそういう富が偏在をしない政策をどうとっていくかということであろうかと思いますけれども、そうした中での都市のあり方ということにつきまして、私は一つは、ただ単に機能的な都市ということだけではなくて、やはりそこがそこに住む人にとってはふるさとでありますから、人間のにおいのするといいますか、そうした町でなければならない。映画のオープンセットのような整然とした町並みだけがというような都市というのは、私は人間の住むところではないと思います。  そういう意味では、都市計画等を実施する場合におきましても、とにかく赤ちょうちんがもうなくなる、屋台も消えてなくなるというそういう町並みの都市が私はあるべき都市かというと、必ずしもそうではない。我々がこうした法律をつくっていく場合におきましても、そこどけそこどけというような形で雑然としたところをちゃんとした見た目がいいところにするというだけのそうしたことを目的にすべきじゃない。一方、防災上の観点だとか景観、環境、これはいろいろありますけれども、私はやはり都市については非常に繊細な神経を駆使しながらそれに関する法律はつくっていかなければならない、このように考えております。
  47. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 終わります。
  48. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 平成会の魚住裕一郎でございます。先ほど来から東京のことを例に引きながら議論がなされておりまして、東京選出ということで質問をさせていただきたいと思います。  先般、大臣の方から今回の改正案の提案理由の説明を聴取いたしました。その中で、「長時間通勤の増大等をもたらして」云々と「職住近接の都市構造の実現に資するため、」というような文言があります。  ただ、もう昔から、二十年も三十年も前から通勤地獄というような言われ方もありますし、大臣も学生時代からもそういう通学地獄というんでしょうか、そういう中で過ごされていると思いますけれども、なぜ今回こういうような理由でこの容積率の緩和ということを持ち出したのか。  確かにバブル期に都心三区というようなところではかなり減ったことは間違いないわけですが、しかし二十三区レベルで言うと、ニューヨークであれあるいはロンドン、パリであれ、やはり人口密度で言えば我が東京最大の密度を擁しているわけでありまして、何ゆえ今回都心中心にしながらも職住近接というようなことを打ち出したのか、ちょっといま一つ理解できないものですから、教えていただきたいと思います。
  49. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、我が国は自由主義国家でもありますし、自由主義経済の国家でもありますから、国がここに住め、あるいはここで働けというような公権力による直接間接の規制ができないのは当然でありますけれども、そういう中で都市がいわばスプロール現象みたいな形で、自然に任せる形で形成をされていったという性格は非常に強いと思います。  そうした中で、特に東京の場合ひどいわけでありますけれども、地価が高騰をしたという一つの大きな原因もありますけれども都心に通うサラリーマンが家を持とうとする場合、相当遠方に追いやられていくという現象がずっと続いておるわけでありまして、そうした状況がこれはやむを得ないことなのか、あるいは都心部においてもっと法的な規制その他等をきっちりとやっていった場合、何も郊外に住居を求めなくても都心に住むことができるのではないかという、そういう面が反省でありますけれどもあろうかと思います。  そういう意味では、現在の都心における土地が各自有効に利用されていないという、そういうことをやはり解決していくということにはこの容積率等の緩和ということが有効であるということでございます。今後サラリーマンが郊外の方が全部中に戻ってくるかというと、必ずしもそうでもないかもしれませんけれども、遠い、二時間もかかって押しくらまんじゅうで通っているようなサラリーマンがそういう面では人生の大半をそれに費やすわけでありますから、もっと職場に近いところあるいはデパートを含めて利便なところに住みたいという希望をかなえていく一つの方法としては、現在もっともっと活用されていい土地が活用されていないということに着目をしたわけでございます。  この政策がぴたりとすべての問題を解決するということにはなりませんけれども、その一助にはなろうか、このように考えております。
  50. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 私も都心に住む、そのために容積率という今回のこの案に対しましてずっと悩んでおりまして、新聞とかも読んでおります。  そんな中、大臣は余り好きじゃないかもしれませんが、この間五月二十九日の朝日新聞の「声」の欄に載っていたんですね。「規制緩和 世界の常識だ」という言い方で、最後の方になりますと、「職住接近、通勤地獄の緩和、大賛成です。「景気対策の決定打」に期待したいと思います。」、こういうような締めくくりの声がありました。  二日置いて六月一日のまた同じ「声」の欄に、とんでもないというような視点から、ニューヨーク、パリ、ドイツの地方都市の例を挙げながら、これでいいんだろうかという視点で書かれています。「計画なき緩和 都市の破壊に」という見出しになっておりますが、「経済優先で無秩序に高層化を進めるのは、生活都市の質として愚行というほかはなく、必ずツケが回ってくるでしょう。」という締めくくりであります。  賛成、反対両方の立場であるわけでございますが、結局両方言っているのは経済なんです。都市の景観とかそういうことも含めていますけれども、経済優先のために都市計画をぐちゃぐちゃにするのはよくないよというのと、また景気対策の決定打だというような言われ方もしております。  また、いろいろなマスコミとか読みますと、バブル崩壊後、不良債権いっぱいあるよ、その中でゼネコンとかディベロッパーがいっぱい持っている塩漬けになっている土地、これを何とか流動化しなければいけない、この目的ではないかというような書かれ方をしております。  また、大臣も、ある雑誌のインタビューの中で、我が国は資本主義じゃなくて土地の地本主義だと、そんなことを発言されておられますけれども、先ほどの松谷委員質問の中で、経済的な側面は反射的効果としてあるかもしれませんよというような御答弁でございましたが、実はこの景気の側面が第一次目的であって、職住近接というのはそれこそまさに反射的効果にすぎないのではないかというような思いを持つんですが、この点いかがでしょうか。
  51. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) どっちが反射してどっちが反射する、乱反射という場合もあろうかと思いますけれども、私どもはそうした都市構造をこの際職住近接という観点を加味したものにしていこうというのが、今本当にすごい通勤地獄でありますから。もっと言えば茨城だとか群馬だとかそのあたりと都心との交通インフラ、これが高速鉄道を含めてきっちりと整備されれば、私は何も東京都内にということじゃなくてもサラリーマンの精神的、肉体的なあれは相当軽減されるのではないかと思います。しかし残念ながら、JRにいたしましても私鉄にいたしましても、どんどん増大していく首都圏の近郊の住宅地に対する交通需要に応じ切れていないというのが私はやっぱり実態であろうと思います。そういう意味では、やはり都心にサラリーマンに居住してもらうということがそういうことの解消の一つのあれには私は間違いなくなる。ただ、じゃ経済効果がないと片やおっしゃる、私はやはりあると思います、反射効果として。例えば、現にそうなんですね、今建設省に寄せられているのが、いっこれが成立するのかということでぼんぼん電話がかかってきているわけです。  これは簡単に言いますと、地域指定とは関係なしに例の廊下、それと階段部分があれされますから、そうすると、今共同でマンションの所有権を持っておられる方なんかがたくさんいらっしゃるわけです。組合をつくって居住しておられる。ところが、何十年もたって老朽化してしまった、建て直そうということになりますと、資金をどうするかという問題でなかなか前に進まない。そういうときにこの制度が生まれますと大体二割ぐらいアップしますから、そういたしますと二割ぐらいふえた部分を売ることによって、そうして自分たちの改築の費用についてこれを出したいというような、実際これは大変な需要が現在起きております。  そういうような面からもそうした建築面についての内需といいますか、これが出てくる可能性も私は強いと思いますし、また新しくマンションを建てようという、土地が有効ならば使われるわけでありますから、マンションの占める地価の割合が低くなってまいりますから、そういう意味でも、これが事業者との関係でより安いマンションが供給でき、それだけ売れるんじゃないかという、そういう判断からマンション建築をやろうという意欲が出てくる可能性があると思います。そういう意味では、間違いなく反射的な効果ですけれども大変な反射熱が起きるという可能性があり、このことはいいことだ、このように私は思います。  一方、土地の騰貴ということを言われますが、これは経済の実勢がどうなっていくかということ、また需要供給との関係で決まっていくことでありますから、このことがダイレクトに地価の上昇ということにはなっていかない、このように私は思います。
  52. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 その反射的利益というか効果の面ですが、どの程度の戸数というんでしょうか、何万人が反射的効果、利益を受けられるのか。つまり、通勤緩和というか通勤地獄を少しでも緩和したい、何万人ぐらいあるいは何世帯ぐらいそういう恩恵が受けられるという計算でおられるんでしょうか。
  53. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) なかなか現実の制度を動かすときに緻密なシミュレーションを行うというのは難しいわけですが、一つ考え方といたしまして、昨年つくりました大都市法に基づきます大都市地域における住宅供給計画というのがございます。これにつきましては、平成八年度から向こう十年間で共同住宅都心部で五十万戸というふうな推計をいたしました。そういうふうなときに、年間に置き直しますと、今後約一万戸くらい上乗せをして、向こう十年間でこの政策によってできるならば十万戸前後を上乗せしたいというふうな形で現段階もくろんでおります。
  54. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 にわかに信じがたいんですが、東京都のマスタープランでも十年間で六十二万戸、ただそれは建てかえも含めてですから、実際にふえるのは五万戸ぐらいというような計画になっているわけです。そうすると、五万世帯ぐらい恩恵をこうむるかもしれないというわけで、長時間通勤から解放されるのはそんな程度しかないんじゃないだろうか。そういう数の上からいっても、今の立法目的というのはどうも合点がいかないというふうに私は思っております。  今、東京都の中を歩いてみますと、やはりバブル期の記憶というのが強く語られます。駐車場になっているようなところ、そしてその近くに住んでいる方、よく考えてみたら、あのバブルの暴風雨の中で地上げ屋さんに対処し、いつダンプが飛び込んでくるかわからないという恐怖の中で耐えながらずっと暮らしてきた、そして残されたわずかなコミュニティーの中でそのコミュニティーの維持を図ってきたというのが今都心に住んでおられる方々であるわけであります。  先ほど大臣の答弁の中で、都会といっても人のにおいがしなければ意味がないというお話がありました。まさにそうだなと。コミュニティーがずっと維持され、また江戸時代からの伝統というのがどの程度生きるかわかりませんが、やはり都市なら都市なりの伝統、文化というものがなければおもしろみも全くないような都市ができるのではないかというふうに思うわけであります。  そして、そういう観点からすると、今度容積率アップによってさらにまたバブルのあの恐怖が再来するんではないか。ダンプが飛び込んでくる、そういうようなことだけじゃなくてコミュニティー自体が破壊されてしまうんではないかというような怖さというか懸念がいつも表明されておるんですが、この点についてはどのようなお考えを持っておられますか。
  55. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 確かに先生おっしゃったように、現在の都会を歩いてみますと、そこここにバブルの後遺症がまだまだ消えがたいところがあることも私も現実に見ております。都市のつくり方というのは、こう申してはあれですが、やはり二年とか三年程度のタームではなかなか変わりません。相当の時間を要します。そういう意味では、我々は一刻も早くそういうバブル時期の後遺症を何とか解消していかなきゃいけないということは言うまでもないわけでございます。  今先生おっしゃったコミュニティーの問題でございますが、先般この委員会でも御審議いただいた密集法の際にもそれに似たようなお話がございました。今回のいわば都市計画法なり基準法改正は、私どもはこれは東京都あるいは東京の関係の都心の区などとも十分御相談しなきゃいけませんが、現在既にコミュニティーが相当定着しているところへそこを押しのけてという、先ほど大臣が申し上げましたような形で新たなゾーンを考えていくということはできるだけ私ども避けていくといいますか、まず念頭に置きますのはできるだけオープンスペースがあって、しかも一方では一定公共施設が整備されているようなところでございますから、もちろん既存のコミュニティーが全くないというわけにはいかないかもしれませんが、ある一定のそうしたスペースを確保できるところであろうかと思っております。そうしたことによって、むしろ逆に新しいコミュニティーを形成していくということもあろうかと思います。  一方では、今もお話がありましたように、従来のコミュニティーを一部欠いていくような、そういう町づくりといいますか整備も一方ではあろうかと思いますが、その際には当然地元の方々と一体的に、従来の居住者の方々が新しい住宅関係にお入りいただくというようなことも含めて当然絵はかかれていくと思いますが、基本においては従来型のコミュニティーを破壊するような形での地区指定東京都あるいは関係区は考えていないと私は思っております。
  56. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 いろんな懸念が、先ほど申し上げた懸念が最大の懸念材料なんですが、都市の景観とかそういう点から考えても、先ほど地域全体というような言い方もありましたけれども、今度敷地ごとにいろいろ考えていくわけでありまして、ばらばらにのっぽなビルが、もちろんペンシルビルではないという形でしょうけれども、なっていって、何か都市がぎざぎざの構造になっていくというか、夜景のシルエットが、そんなふうに思うのでありますけれども、こういうばら建ちというか、そういう点についてはいかがなんでしょうか。
  57. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 基本的に、都市計画の手順から申し上げますとくどくなりますが、用途を決めます。その用途の中に今お話し申し上げているような補完的措置として新たな高層住居誘導地区というのを決めますので、これは先生おっしゃったようにある街区といいますか、小さな敷地を念頭にしたゾーニングではございません、もっと広い都市全体を見込んだところでございます。  むしろ、我々としてはこうしたゾーニングをした上で、かつ御心配のあったようなことを解消していく面では、従来からとっております地区計画、その他あるいは建築協定とか、そういうような個々の敷地等に係る制度というのはあわせてやっていくことの必要性は十分認識しておりますが、ばらばらに細かく建ち上がるということをむしろ避ける意味一定の広がりを固めて地区指定をしていくという考え方をとっていきたいと思っております。
  58. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 先ほども話が出ましたが、日影規制適用除外をする、それからまた斜線規制も緩和していく、あるいは前面道路の幅員の緩和をしていくというようなことからすると、今まで例えば四〇〇%というような地域でやっても実際には二八〇%であるとか、そんな感じで建っていたわけです。今度はそういう緩和あるいは適用除外になってくると、もう今まで以上にそのまま六〇〇%という形でくる、かなり地域に対する影響が大きいんではないだろうかというふうに思うわけであります。  都市の利便性を考えたら、日照というような部分は、日影は我慢すべきであるというような言われ方もあります。ただ、それは行政法規上考えるだけであって、個々人が持つ日照権というか、それまでは奪うことはできない。そうすると、昭和四十年代後半、かなり日照権紛争というのがありました。何かマンションとかビルが建つときは必ず周りに旗が立つというか、むしろ旗が立つような日照紛争というのが多く生じましたけれども、今回の改正に当たってはその辺の紛争の回避措置というか、そういうことは考えておるんでしょうか。
  59. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) 今回の法制度自体でいろんなトラブルが発生した場合の対応措置というのは特段ございません。ただ、基本的にはやはりこういう巨大化したあるいは高密度化した住まい方の場合に、日影というふうなものについても、先ほど公共団体の条例で一部既に外しておると申し上げましたが、やはり国の制度としてもそういう考え方はきちっと打ち出していくべき時期に来ているという認識が一つございます。  また、現実のトラブルにつきましては、制度の枠外で社会的に発生しているのは事実でございまして、これを制度的に解決するというのは事柄の本質上なかなか難しいとは思いますが、できる限りいろんな話し合いを通じてというのは当然なことでございまして、私どもとしましては、公共団体の要綱だと思いますが、全国で百くらいの地域で紛争予防防止条例とか要綱というものを既にお持ちの公共団体がございます。一汗も二汗もかいていらっしゃるというふうなことがございますので、そういう場を通じてできるだけ社会的な価値観の問題として法律の思想なり考え方が定着していくのを期待したいという考えでございます。
  60. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 それから、今回、住居を推進するということでございますが、都心部はやはり仕事の場というイメージがあります。事務所にどんどん変わっていくんではないかというような懸念もあるわけです。私は以前に弁護士をしておりましたけれども、弁護士事務所でも要するにマンションの一室を借りてというのがよくあります。マンションの一室となると、おふろ場もあるわけでございますけれども、うまく棚をつくったりしまして本とか資料を入れるというようなことを工夫しながら、便利な土地であるから、地域であるからということでやっております。  今まで住居から事務所、一・何%ですか、その程度でおさまっているというようなことであろうかと思いますけれども、事務所転用はさせないというか、これはどういうような裏づけ、担保があるか、その辺をぜひお聞きしたいと思います。
  61. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) 一般的に用途を転用するということについて、制度的に若干二つの面で分けて考えた方がよろしいかと思います。  一般的に基準法上の用途を転用している例が多いじゃないかというケースにつきましては、例えば商業系地域につきまして、施設を住宅に切りかえるということ自体は基準法上は何ら問題はないというのが一つございます。ただ、今回の法制度をベースにして住宅をつくったという場合には、住宅であることを前提容積率の割り増しという措置を行ったということから、例えば極端でございますが、一戸でも用途を転用すれば法律違反ということになるのが今回の制度の特徴でございます。  それで、現実にどうやって違反防止、用途転用防止をやるのかということでございますが、普通、住宅の場合と事務所の場合ではかなり構造的にも建築規制の態様が違っております。防火関係の規定は共同住宅の方がはるかに厳しいという実態がございます。したがって、なかなか転用を前提にして意図的にやるというのは経済的にはつり合わない話だとは思いますが、結果的にということに対しては、やはり入り口のところで、今申し上げましたような基準法上の要件というものをきちっと審査するというのを出発点にして、私ども今回の法制度を登録といいますか台帳を整備してきちっと管理していただきたいというふうに公共団体にはお願いいたしたいと思います。台帳を整備した上できちっとしたパトロール等々を行うとか、あるいは一戸でも転用すれば即法律違反という従来の制度にはない制度でございますので、きちっとした罰則規定の適用も場合によってはお願いをするようなことで毅然たる態度で対応したいと思います。  今、先生も一・八%というふうな転用率の数字をお示しになりました。これは港区が附置義務要綱、事務所をつくる場合には一定の割合の住宅を義務的につくってくださいというふうな要綱を港区がお持ちです。この要綱に従ってっくられた住宅についての転用率を調査した結果が一・八%。世上言われている一般的な転用に比べれば一けた少ないというふうなことで、これは結局、行政が全面的に関与した上での特例的住宅についての転用というのは、世上言われている転用に比べればはるかに少ないということをあらわしていると思います。その意味では、くどいようでございますが、極めて特異な法制度のもとで許容されている住宅でございますので、一般的には港区の要綱に見られるように世上懸念されるほどの転用という事態は普通はないんじゃないかと思います。
  62. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 用途の転用というとすぐ農地の転用、宅地にかえる、これはもう表から見ればすぐわかるわけでありますけれども住居の中というのはなかなかわからないだろうなと。  それから、担保として、それは結局刑罰あるいは科料といいますか、行政上の行政罰、これでやるという趣旨なんでしょうか。
  63. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) 法律の説明でございますが、先ほど申し上げましたのは建築基準法に基づく措置命令を発した上で違反の場合には罰金を科すというのが基準法の法制度でございます。
  64. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 それから、今回法律そのものじゃないようですが、政令以下でありますが、総合設計制度の運用改善というのが図られるようでありますが、まず敷地の集約化、それによって容積率がさらに割り増し、ボーナスがつきますよというようなことでございます。大きな敷地で例えば駐車場に貸しているというかそういう使われ方を既にしている、そういうときはいいんですが、このバブル崩壊過程でぐじゃぐじゃになっているというか、いびつな形になっている、そういうところもあります。しかし、古い木造建物かもしれませんが、そこで古ぐからの方がお住まいになっている。  そうすると、この敷地集約化による容積率のアップ、これは集約化のインセンティブという表現をされておりますけれども、これはある意味じゃ地上げのインセンティブになっていくんじゃないかということなんですね。これについて、先ほど来からもありましたけれども、またバブルの嫌な記憶が戻ってくるというようなことになるわけでございますけれども、この点について何かそうならないような、単に敷地をでかくすればいいよというようなことで終わっているんでしょうか。あるいは緩和策というか土地集約化、それから住んでいる方々の調整をどのようにするかということをお考えになっておるんでしょうか。
  65. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) まず、総合設計制度というふうな基準法上の制度の御説明をさせていただきたいと思いますが、これは一般的にただ敷地が大きくなればということではなくて、建築確認業務を行っている特定行政庁の一件ごとの許可によってそれが町並みを形成する上できちっとした設計が行われているという場合に容積率を割り増しをするという特例的な制度でございます。  それで、現行法制では空地といいますか公開空地、例えば若干歩道の延長線上みたいな形で前庭をあけてあるとかというふうなものを一定割合整備した場合には容積率を割り増しするというのが現行の制度でございます。  それに対して、今度は面積の規模が大きくなるに従って、それにスライドして容積率の上乗せを認めるという措置を、今回この法律の施行とあわせまして運用上の措置ではございますが、導入したいというのが私どもの思いとしてございます。  その心は、やはりいろんな問題を都市部で抱えておりますが、基本的には敷地がごちゃごちゃしている、きちっとした形で町並みをつくるというふうな観点から建築物が整備されていくということが恐らく長い目で見れば絶対に必要だろうと私どもは思います。細かい敷地のまま乱雑に住宅なり建築物が建ち並ぶというよりは、なろうならばやはりきちっとした形で町並みが整備される方向に政策としても体制を整えるというのが基本だろうと思います。  そういうふうなことから、敷地を集めさえずればいいということではなくて、今申し上げましたような特定行政庁、専門用語で恐縮でございますが、建築確認を行っている部局の一件ごとの審査によってきちっとした町並みができるという設計上の担保を前提とした上で許可をする。その判断の中に、敷地の規模が大きくなる場合にはそれに応じた容積率の割り増し率を創設するということを今回新たに導入したいということでございます。
  66. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 終わります。
  67. 市川一朗

    ○市川一朗君 平成会の市川でございます。引き続きまして御質問を申し上げたいと思います。  先ほど来話にも出ておりますが、この法案を当初の通常国会提出予定法案にしないでこういう形で追加提案になってきたことは、私ども新聞報道ではある程度拝見しているんでございますが、きょうは亀井建設大臣に直接、通常国会には間に合わなかったけれども今回出すことにしたと、その辺のいきさつといいますか、考え方につきましてお伺いしておきたいと思います。
  68. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 御承知のように、今、政府は規制緩和を思い切って進めておるわけであります。建設省もそういう観点から精力的に取り組んでおるわけでありますけれども建築基準法あるいは都市計画法等の中であるべき都市の姿、それに関するいろんな規制が現実に合っていない。また、都市政策の推進上、やはり規制を場合によっては思い切って緩和すべき点等を精力的に検討いたしておったわけでありますが、私は次官以下に、とにかく現時点においてこうすべきだというもう判断をしておるもの、検討中は別でありますが、こうすべきだという政策的判断を既にしておるものについては直ちにやれということを私は指示したわけでございます。  この容積率の問題等にしても住宅局、都市局等においていろいろずっと検討をしておったようでありますけれども、このたびの改正の視点でこれはきっちりとすべしという結論を出しておったわけでありますから、そうであれば来年の通常国会というんじゃなくて、今通常国会にこれを出せということで至急作業を急いでやっていただいたということでございます。
  69. 市川一朗

    ○市川一朗君 先ほど、魚住委員の御紹介にもありましたように、「声」の欄でもいろいろ賛否両論といいますか、意見があるようでございますし、私どももこの法案につきましては、この委員会の審議を通じて最終的には判断したいと思っております。そういった中で、実は私自身は昨年の三月二十六日の建設委員会、それから五月二十三日の建設委員会では、都心居住の推進をもっと進めないとこの長時間通勤地獄は解消できないんじゃないかということを申し上げた一人でございます。  それくらいこういう問題についてのいろんな物の考え方といいますか、国民のコンセンサスがまだ分かれているテーマだと思うんですが、そういった中で、特にそのときも御指摘申し上げたんですが、国有の宅地まで今売りに出ている段階である。それから、この間、建設委員長の御配慮によりまして、この法案対象地域となるであろう港区、中央区の現地を見てまいりました。やはりかなり中途半端な状態で空き地が余っておる。  この状況は、考えてみれば、もうしばらくは来ないかもしれないと思っていた一つの大きなチャンスが来ているのかな。つまり、東京というレベルで見ました場合に、明治維新で江戸が荒廃した、その後で関東大震災があった、そしてこの間の、この間と言いましてももう五十年前になりますが太平洋戦争、第二次世界大戦で東京は焼け野原になった。こういった中でこの間のようなバブル現象まで来てしまった。  ドイツの例とか、そういったふうに見ますと、しまったなという感慨を持っておった関係者の気持ちはいろいろあったと思うんです。しかし、この時期にああいう現象が起きて、あらゆる宅地が買ってくださいと、そういうところに来たとするとこれは最大のチャンスじゃないかなというふうな問題意識もありまして、それで昨年そういったことも事例に挙げながら、当時は中尾建設大臣でございましたが、いろいろ御指摘申し上げたのでございます。実は、通常国会に建設省が提出する予定法案の中にその辺が入っておりませんでしたので、かなり慎重な議論をしておるのかなというふうな気持ちを持っておったのでございます。  そういう中で、実は東京都の方の勉強も取り組みも進んでおりまして、ことしの三月に東京都が東京住宅マスタープランというのを改正した中で、都心居住の推進を図るというのをかなりはっきり打ち出したんです。  それを見ますと、一番トップの中に、都心居住の推進を図るべき地域の範囲として、具体的には環状七号線と首都高速道路、湾岸線に囲まれた区域において都心居住の推進を図りますというような考え方が打ち出されている。  いろいろこれから議論が進み、かつ理論の世界から制度議論になり、そして最終的に運用、実績の時代にずんずん移行していくテーマだと思いますが、若干ちょっとその辺の検討が不十分だったのかなという感じもします。先ほど来の大臣及び政府委員の御答弁を聞いておりますと、かなりのことをいろいろ思考しながらここに踏み切ったというふうにも見えますので、その辺、大臣は強力なリーダーシップでここに踏み切られたと思いますが、若干私からしますと、ちょっと場合も限定され、少し中途半端だったんじゃないかなという感じを実は持っておるわけです。  具体的な例として言えば、その適用範囲がちょっと狭過ぎるんじゃないか。やはり本当の意味都心居住、この提案理由の言葉をかりて申しますと、「職住近接の都市構造の実現」ということになりますと、やはり都市構造という観点から見ますと、今回のように非常に限定的に、用途地域も限定し、そして四〇〇%として今既に容積率が決まっているところだけでやるということで、大臣がお考えになっている職住近接の都市構造、それはもちろん住環境がきちっと確保されていなきゃいけないわけですが、そういったものとして法律を出して実行に移すという意味ではもうちょっと思い切った方がよかったんじゃないかなという感じを持っているんですが、改めてもし何か御感想ありましたら。
  70. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 私は生来気が小さい男でございまして、やはり匍匐前進といいますか、私どもが幾らあるべき姿を模索して法律をつくりましても改正しましても、結局は都市に住んでおられる方々、あるいは住もうとしておられる方々のコンセンサスといいますか、やっぱりそういうものが自治体を中心に得られていきませんと、これは絵にかいたもちにもなるわけであります。  そういう意味では、四〇〇%という一つの日影権等の問題を取り上げましても、一つのそうしたところにまず手がかりを求めるということで、そういう意味では匍匐前進であろうと思いますから、今後自治体の御意見、また国民の方々のいろんな御意見を聞く中で、これはもう絶対動かさないというものではございませんので、そういうことの中でまた新しい取り組みというのはやっていくべきだと、このように考えております。
  71. 市川一朗

    ○市川一朗君 二段、三段のロケットもあり得べしという大臣お話基本的に了解しますが、そういう前提でちょっと細かいことを御質問しますが、今回商業地域が外された理由、松谷先生質問されておりましたが、もう一回改めまして今回の施策の中で商業地域を外した理由をちょっとお答えいただきたいと思います。
  72. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 今回の高層住居誘導地区をもともと決める際には、本来的にはやはり住宅として立地をさせる意味では、それなり環境を我々は守っていかなきゃならないと思っております。  そういう意味では、もちろん商業地域の中に住宅系の立地も当然あり得るわけでございますけれども、まず今大臣が申し上げましたように四〇〇%という一定の高度利用前提としつつも、むしろ混在系の中で住宅系の建築物を整備していくということを第一のねらいにしておりまして、結果的には商業地域の中に住宅系をこれからどういう形で整備していくというのは別の形としてはあろうかと思いますが、基本的には混在系の中でどちらかといえば住居系が押しやられているようなところで住宅に限ってインセンティブを与えていきたいというのが今回の地区考え方でございます。
  73. 市川一朗

    ○市川一朗君 それから、四〇〇%以上にしましたですね。結果は四〇〇%以上といっても四〇〇%しかない地域ですから、四〇〇%のところに限ったということになると思いますが、三〇〇%とか二〇〇%とか、そういったことにする考え方もあり得ると思うんですけれども、そこを四〇〇%に限った理由はどういう理由ですか。
  74. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) お答えとしては二つぐらいあろうかと思っております。  一つは、先ほど申し上げましたように混在系用途の中で住宅系が比較的押しやられているといいますか、新たな住宅が立地しにくい傾向が認められるということがデータ的にもあるようでございます。今お話のございました二〇〇とか三〇〇というのは、地価の負担能力の問題もあろうかと思いますが、比較的まだ住居系が商業系その他の業務系とある程度対峙した形で立地しているという傾向数字的にはございます。そういう意味では四〇〇%というのは圧倒的にいわば非住居系が立地しておりますので、このあたりにまず目を当てたというのが一つの理由でございます。もう一つは、先ほど来お話に出ております今回のいろんな規制見直しの点で日影問題というものについて取り組みたいと考えておりまして、これは東京都以外でも例はございましたけれども、従来の基準法の世界で既に条例等を含めまして各公共団体が一応四〇〇については日影を適用除外にしているという実績がございますので、こういう実績に基づいて我々としても四〇〇をまず最初に始めたわけでございます。  くどいようでございますが、三〇〇%になりますと、先ほど申し上げましたように現在の全国で四千九百五十ヘクタールという四〇〇%の容積を持っておりますところに比べまして約十倍近くの地域がございますので、ここまで広げてしまいますと、なかなかこれは一挙に都心居住といいましてもいろんな種々の問題があろうかと思います。むしろ地方公共団体との今のお話し合いの中では、今回のこういう施策にある程度御同意いただく中では、逆に都心居住を見込むのであれば、もう一度三〇〇を四〇〇に見直す等の手続、手順を踏みながら今後の展開を進めていきたい、こういう公共団体が現在ございます。
  75. 市川一朗

    ○市川一朗君 大臣のおっしゃっている匍匐前進の中で、非常に微妙なテーマである日影問題等を、四〇〇%に限れば現実的には余り巻き込まれないで済むという先ほどの住宅局長の答弁とかそういったようなこともあるんでしょうが、先ほど私が申し上げた東京都の都心居住ということの考え方でいくと、何かその辺非常に政策的には難しいテーマがあると思います。きょうは魚住委員がわざわざ建設委員会に来て御質問なさっているのは、やはり東京都の中にいろんな意見があるから、それを東京都民を代表する形で質問に来ているわけです。  しかし、やはりこの戦後五十年たって最大のチャンスかもしれないというようなときに取り組むとすれば、ぜひこの際本格的な展開をやった方がいいのじゃないか。そういう意味では、日影問題もいろんな問題も含めてしっかりと取り組んで、あと何年先にこういうチャンスが回って来るかわからないというような意味での取り組みをぜひ期待したいと思うんです。  細かい点で恐縮ですけれども、もう一点、三分の二というあれですね、それほどの根拠はないんじゃないかなとは思いますが、例の都心居住型総合設計では四分の三以上住宅部分がなければならない。今度は三分の二以上住宅部分がなきゃならないというような考え方ですが、過半数が住宅部分でなければならないという考え方だって考え方としてはあり得るわけです。  ここで三分の二の根拠を示せというのはちょっと意地悪な質問かなとは思いますが、議事録にもしっかりとどめておきたいと思いますので、三分の二の根拠をひとつお願いします。
  76. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) 極めて難しい御質問でございます。  三分の二というのは、過半よりもやや住宅のウエートが高い三分の二というふうなことでございます。
  77. 市川一朗

    ○市川一朗君 次に行きます。  先ほど来質問にも出ておりますが、私は今回のような法案が出てきますと、やはり容積率規制とは一体何だというところへどうも行っちゃうんですね。先ほど大臣は、人間の住む、ぬくもりのあるといいますか、言葉はちょっと違ったと思いますが、感性のある町づくりということが大事だ、こうおつしゃいました。しかし、やはり容積率で規制して、そして今のような形でボーナスをふやしていく、しかもそのベースにあるのは個々の敷地単位であるということになりますと、でき上がる姿はやっぱりばらばらですね。  容積率規制の前は高さ制限というのをやりました。それを容積率規制に変えた、なぜ変えたか。公共施設とのバランスの問題とかいろいろ説明があります。しかし、どうもこういう形で容積率規制を導入して、こういう形でいろいろ個別のボーナス型で都市づくりをやっていくということは、その行き着くところは俗に言う美しい町並みとはちょっと外れてくるのではないかという懸念がどうしてもするわけです。  これは制度の問題と運用の問題とで何とかなるかなという気がしないでもありませんが、しかしやっぱり最後は一つの敷地を持っている地主の、そしてそこに建物を建てようとしている宅地の敷地面積との関係なんです、この容積率規制というのは。どうもこういうやり方でこれからもずっといくのかなということについて少し私は疑念があるんです。  大臣、非常に豊かな常識もお持ちだというふうに最近特に思っているんですが、この問題について亀井大臣はどういうふうに思われますか。
  78. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) どうも私はどちらかというと非常識で有名な男でありますから、そう言われますと困るのでありますけれども、それぞれの自治体が自分たちのふるさとのレイアウトをどういう形でしていくかということが私は基本なんではないかなと。のっぺらぼうな都市、そういうものが本当の人間が住むところなんだろうか。やっぱりふるさとですから、そこに住んでいる方は。何も広島の山奥やあるいは宮城の山奥だけが、ああいう美しい山河のあるところだけがふるさとじゃないわけです。  そういう意味では、そうした人間のぬくもり、喜怒哀楽等が町の中で感じられるようなそういうスペース、公共的なところとかあるいは清廉たるオフィス街だとか住居地域だとか、そういうものをやはり住民の方々のもちろんあれを踏まえながらそれを自治体がおつくりいただく。そういうことについて国としては、これは環境の問題もあります、安全の防災的な問題もあります、あるいは投資効率の問題もあります、いろんなことを国の立場から法律的な面で大きな枠をはめていくけれども、しかし基本はやはり自治体とそこに住む人たちがどう町づくりをしていくか、そのレイアウトを自分たちでやっていくということがないと、建設省都市局はとてもじゃございませんけれども個々の町づくりに責任を持つことなんて私は不可能だと思いますし、またそんなことをさせてはならない、このように思っております。
  79. 市川一朗

    ○市川一朗君 都市計画は、やはり大臣が言われるようにそこに住む住民一人一人が納得がいって、そして話し合いの上で町づくりをしていくというのでなければいけないと思います。ただ、明治維新以来、極めて効率的な経済社会の形成に努めてまいりまして、近代化というものを進めてまいった日本で、二十一世紀以降一つ何か不満が出るとすれば、もっと美しい町並みができないのかなというようなことが出てくるのではないか。  環境の問題、広い意味環境の問題ですけれども、やっぱり最近は海外旅行に行く方が多いわけですが、ヨーロッパとかそれからアジアでも非常にきれいな町並みが形成されつつあるところがあるわけでございます。そういったようなところを見てくればくるほど、もっと日本は美しくならないのかなという、そういう気持ちがあると思いますから、私は制度の運用はもちろんそれぞれの都市で市民が判断すべきだと思いますが、制度メニューといいますか、制度の中に逆にそういったものが否定されるといいますか、やりにくいような制度になっているとすれば、やはりそれは改める必要があるのではないかという感じを持っているわけでございます。  特に、今回の改正で私が非常に懸念しておりますのは、先ほど松谷委員からも話が出ましたが、何か最後は建設省がなかなかうんと言わないからもっと高度利用したいんだけれどもうまくいかないんだというような指摘があるんですが、要するに容積率という問題がどうもはっきりしない部分があることはあると思うんです。例えば早い話が、容積率四〇〇%と決める根拠は一体何でしょうか。そしてそれを六〇〇%まではいいという、この数字は何ではじき出すんだろうとみんな思っていると思うんです。都市局長、お答えいただければ。
  80. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 一般的なお答えになって恐縮でございますが、先生御承知のように、本来容積率問題というのは、そこにあります公共施設整備状況念頭に置きながら、一般的な生活とかあるいは生産という社会活動とのバランスの問題の中で一定容積率を決めさせていただいています。さはさりながら、一定の広がりというのは、相当広がりの差が各都市によって違います。  したがいまして、先生お話のあったように、容積率の決め方というのは、我々も実は今、都市計画審議会の中でも議論させていただいておりまして、これからの町づくりの中で、御案内のとおり昭和三十年代後半に従来の絶対的高さ規制からこうした容積率への転換をしたのは、それぞれの土地の持っているポテンシャルを最大限に活用していくということで出てまいりましたのですが、それが結果的には一つの例として高さのバランスを欠くようなところから町の景観という問題に今お話が進んでいるのではなかろうかと思っております。それと同時に、都市の持っている全体の活力というものをどうした形でできるだけ最大限に発揮させていくか。それが結果的に町として美しさもあわせて持つというためにはこの容積制度はどうあるべきかという御議論はそのとおりでございます。  私はここでは結論的なことを申し上げるまで準備しておりませんが、やはり大都市圏における都市の問題とそれから地方都市においての場合、先ほどの長崎市を地方都市と申し上げるのはいささか気が引けるわけでございますが、そういう地方都市における場合と、都市計画なりあるいは基準法制度のあり方というのをもう一回、おっしゃられたように新しい日本の都市構造をつくっていく意味でこういう制度も関連いたしまして総点検をすべき時期だと思っておりまして、今その視点からも都市計画審議会で議論しております。  したがいまして、お答えになったかどうかわかりませんが、容積そのものの決め方としては、一般的常識ではそこにそれなりのボリュームの建築物が建つだけのインフラ整備がされているか、あるいは今後されるかということを念頭に決めさせていただいておりますが、しからばそれじゃそれぞれの数値が絶対的かというお話になりますと、正直なところもう少しバリエーションがあってもよかろうという気がいたしております。  逆に、そうしますと、それじゃ最大限、最小限どのぐらいだということになりますと相当議論がありますので、現在いろいろメニューとしてお示ししているのは、一定の幅でお示ししているのも悩ましいところであります。  それから、一〇〇%刻みでつくっております容積率そのものも数値としてもう少し小刻みにするというのも一つの細かいお話であろうと思いますけれども、具体的な実行に当たってはそういうことも必要だということも耳にするわけでございますから、それらも含めて検討の俎上にのせていきたい、こう考えております。
  81. 市川一朗

    ○市川一朗君 しっかりした御答弁をいただいたように思いますが、要はトータルとしては容積率の総和と公共施設全体とのバランスといいますか、そこが一番基本になるんだろうと思います。そのときに、それをかちっと決めておいて、そしてここは二〇〇%上乗せを認めますとかとやっていきますと、やっぱり何か小出しの議論になって、提案理由説明に高々とうたってある都市構造という話までどうもいかないんじゃないかなという、どうしてもそういう感じを持つんです、ここで聞いていますと。  ですから、今、都市局長はこれからいろいろ取り組むということをおっしゃっておられましたが、やはり建築基準法都市計画法の関係も含めましてこれからの都市構造ということを考えていく場合に、何か小出しに、ボーナス的に認めていくという、現にボーナスと言いますものね、ボーナスを乗せるという、そういうような形で都市計画制度を運用していくことが超長期的に見て日本の都市はうまくいくのであろうかどうかということに大きな疑念を持っておるわけでございます。特に、戦後五十年たちまして、大体あらゆる建物が広い意味での建てかえ時期に入っておりますから、これからの五十年間は建てかえの時期と見ていいと思います。  実力大臣としてめきめき頭角をあらわしておられます亀井建設大臣、この辺のところは建設大臣時代だけのテーマということではなくて、ひとつ私どもも全面的に御協力したいと思いますが、日本の都市構造のあり方について、日本の国土全体として極めて大事なテーマであるというふうな意見を持っておりますので、特段御答弁は求めませんけれども、ひとつこれを機会に、こういった問題について改めまして建設省及び政府部内の関係者に対して叱咤激励をお願いしたいと御要望申し上げまして、私の質問をとりあえず終わらせていただきます。
  82. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十四分休憩      ―――――・―――――    午後一時一分開会
  83. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまから建設委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  84. 赤桐操

    赤桐操君 今回のこの法律案につきましては、東京都内等からも大分反応が出ていまして、私どもの方にもいろいろ出てきております。あるいはその他の賛成反対の意見が学者の先生方からも来ておりますが、何といっても一番問題になるのは住む人の立場がどうなるのかということはまず考えなければなりませんので、この辺からひとつ御質問申し上げていきたいと思っております。  住む人々の不安が今日非常にあるということは、この法律案についての理解が十分でないということ、あるいはまたその人たちの実際に生活した面から考えての、いわば自分たちの感情から、日常生活の体験からきている不安であろうと思うのでありますが、一番言われることは、高い建物ができれば、そして容積率が六〇〇%なんてことになってくれば、当然今の四〇〇%でも近隣の住宅地域環境というものは悪くなってきている、そしてあちらこちらに紛争が絶えない状況にある。  こういう状況の中で、一部バブル期におけるところの商業地域における六〇〇%への対策がとられて住宅開発されてきておるけれども、その多くは今日事務所に転用されるとか空き家になっている、こういう例が多いのではないか、今回のこの問題については少しく考える余地があるだろうという批判がしかるべき層からも来ておりますので、この点についてまず御答弁を願いたいと思います。
  85. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 本法案趣旨につきましては、午前中からの御議論で申し上げたとおりでございますが、やはり現在の日本の国土全体を見ましたときに、先ほども質問がありましたように大変大きな転換期であるという認識をまず基本に置いております。その中で、いろんなテーマがございましょうけれども、その一つとして、極力都心居住されるような場をつくっていきたいということでございます。  しかしながら、今回の法案は例えば日影問題あるいは建築規制等についても、従来とってまいりました住居系では考えられない非居住系の規制も取り入れたりしておりますので、そういう意味ではどこでも一律にという考え方ではまずないということははっきり申し上げておかなきゃいけないと思っております。加えまして、特に商業系を含めましての業務系のいわば建築ラッシュを我々は想定するのではなく、あくまでも住宅を供給していくということにインセンティブを与えていきたいと思っております。  御心配の向き、私どものところにもそれなりの御質問なりお尋ねが来ていることもございまして、私どもそういう意味では、個々については現在考えております制度の概要については御説明をさせていただいておりますし、先般お聞き取りいただいていると思いますが、地元の東京などでは知事と大臣とお会いいただき、重ねて我々事務方レベルでそれぞれの区あるいは都がお入りいただいた場なんかもつくってまいっております。  今後、こういう場をさらに活用することによって制度趣旨について双方の意見を十分交換しながら誤りのないように進めてまいりたいと、こう思っておるわけでございます。
  86. 赤桐操

    赤桐操君 住民の意思の酌み上げ方というのはいろいろあると思いますけれども、特にこういう不安があるような新しい施策を遂行していく場合においては、かなりこれは大事をとった対策が必要ではないかと思うのでありますが、これから住民の意向をどのようにして把握しながら遂行しようとしておられるのか、伺っておきたいと思います。
  87. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 全国的には、それぞれの町におきまして市長あるいは町長、そういう方々が首長としてのお立場から住民の声を酌み取られると思いますが、都市計画の世界で申し上げますと、今回の用途地域の手続におきましては、一般的に都市計画でとられております知事あるいは市長が決める都市計画手続を踏襲することになろうかと思っております。  そのプロセスにおきましては、必要に応じた公聴会などの開催をしまして住民の意見を反映するとか、あるいは利害関係者に対しては意見書の提出などの機会も法律的には当然保護されているわけでございます。それ以外に、一般的な制度につきましては、各公共団体におかれましてとられております広報活動などもやっておりまして、個々には私は今申し上げましたような手続を踏んだ上で進めていくことになろうかと思っております。  ただ、都市全体のイメージあるいは町の進め方ということについては、多くはやはりその責任者であります市長なり首長がまずしっかりとしたその都市のマスタープランをお決めいただくことも重要ではなかろうかと考えております。
  88. 赤桐操

    赤桐操君 東京都内の場合においても、建設省としての推進本部を設置して、都と一緒になってこれからいろいろと対策をとるということが言われておるようであります。また伺えば、この中にはそれぞれの区長も入っておられるようでありますけれども、全部の区長が入らなかったのはどういうわけなんですか。
  89. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 各区に対しての呼びかけは東京都の方にお願いしておりますので、私も詳細には伺っておらないわけでございますが、今回私どもは二十三区すべてということではなく、この都心居住対策について、まず例えば都心の四区あるいは都心の七区というところから手始めに御相談してはいかがかという気持ちも一方ではございましたが、せっかくのお話ですから、東京都は都の新しい生活都市東京という構想もおまとめになりましたし、加えて先ほど来御議論に使われております住宅のマスタープランなどもお決めいただいておりますので、この際それぞれの問題意識なりあるいはお立場の違いはあったにしても、それぞれが都心居住あるいは生活都市東京ということにどういう形で関与されるかということについて同じ土俵で御議論されてはどうかということで、全区に対して声をかけさせていただいております。  確かに、四つ、五つの区につきましては、当日、四月三十日だったと記憶しておりますが、御出席いただけておりませんが、私はおいおい我々の進め方について御理解いただければ施策として、必ずしも今回御議論いただいている施策をすべての地区が取り入れるわけではございませんので、それぞれのお立場でこの問題に対して考えていただくという土俵をつくったということに御理解いただければ、今後また参加もいただけると思っておりますし、当日私の方から、これはあくまでも国が都に対してあるいは区に対して強制的に何かを申し入れしようということではなく、一緒にこの問題に対して取り組もうという土俵であるということを重ねて申し上げまして、そこについてはしっかりとした同意がとれていると私は承知しております。
  90. 赤桐操

    赤桐操君 例えば、これを推進していく上において住民を中心とした区の考え方と、東京都あるいは建設省なんかがいろいろやってきている中で相対立する関係が発生しないとも限らないですね。場合によってはそういう場合も発生するだろうと思うんです。その場合には、都あるいはまた県なりそれぞれの自治体との間で起きた場合においては、建設省はどういう態度をとりながら調整の任をとるんですか。
  91. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 今のお話は、一般的に各公共団体と国という立場での建設省とどういう関係かという御質問だと私は理解いたしておりますが、もともと各都市計画はそれぞれの地方におきまして御自分の御判断で一定のプランがつくられると思います。その過程におきまして、我々も御相談があればそれぞれの町づくりに対して私どもの過去の経験あるいは他都市の先例等もベースとしてお教えできることもありますので、今までも協調関係でやってまいりました。したがいまして、今後も、この都心居住だけではございませんが、国土づくりあるいは町づくりという視点で各公共団体と私どもは緊密な関係でやってまいっていると思います。  その際には、先ほど来申し上げておりますように、まず第一義的にやはり各公共団体のお考えが十分示されることが先でございまして、余談でございますが、現在でも建設省の中には各公共団体が気楽においでいただけるような形でのそれぞれの町づくり相談室というのを我々都市局の中にも設けさせていただいておりまして、公共団体の方々の敷居が高いという御意見がないように体制としては進めておるところでございます。
  92. 赤桐操

    赤桐操君 そうすると、こうしたものの推進に当たって一番大きな比重を持つもの、徹底に当たっての比重を持つものは現地であり区であると、このように認識してよろしいんですか。
  93. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) おっしゃるとおりでございます。  ただ、一言だけ申し添えさせていただきますと、東京とか大阪の例もそうかと思いますが、我が国の国土全体を眺め渡したときに、やはり二大都市圏あるいは三大都市圏というのはかなり広域的な問題としてこの問題に取り組まなきゃいけません。そういう意味では、一般的に地方都市と言われているところよりは相互の公共団体間の連携あるいは国との関係はもっともっとさらに重要度を増していると思いますが、おっしゃられるように基本的にまず原案をつくる立場からいきますと、都なり区の立場は私は大変重要であろうと思っております。
  94. 赤桐操

    赤桐操君 重ねて伺いますが、それぞれの地域の住民が反対をしたり、あるいはまたかなり大きく区全体の調整がとれない場合においては、これはたとえ建設省がこの辺で一仕事やりたいなと思う場合があってもそれはできかねると、こういうふうに理解していいんですね。
  95. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 国の立場から建設省は、東京都あるいは首都圏というものをどうつくるべきかということはもちろん基本に私ども持っていることもございます。ただ、今、先生おっしゃったように、地元が相当トラブるようなケースまでを我々が無理に強引に押し向けるということは本来あり得ないことでございます。  ただ問題は、やはり国土あるいはそうした都市空間というのは個々人のものではなくて、広く各住民がある一定の利害のもとに調整をしていかなきゃならないわけでありますから、その辺については逆に各住民の方々にも十分御理解いただくような努力は都なり区がおやりいただくでしょうし、そのいわばバックアップをすることは我々はやぶさかではございません。
  96. 赤桐操

    赤桐操君 この市街地の中で一番やはり問題になるのは環境の悪化でございまして、特にこの中で日本の風土、気候、そうしたものから当然来るものは日影の問題だと思うんです。これについての規制との関係は、六〇〇%に引き上げられた地域は一体どんなふうに扱われるのか。この点も相当の不安がありますから御説明願っておきたいと思います。
  97. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 午前中でも御議論があったようでございますが、現状で、東京都の例で今お話をしていただいておりますので東京の例で申し上げてもそうでございますが、その大半といいますかほとんどは既に都の条例で日影については適用除外になっておりますところが四〇〇%の容積のところでございます。  したがいまして、すべてが日影規制は適用除外されたという状態でのものが建っているわけではないわけでございますが、一定のそういう理念といいますか考え方はそれぞれの都市計画の世界で地元にもおりておると思います。これからその考え方をより具体的に現実の姿として地区指定していくについては、さらにやはり地元との調整は必要かと思いますが、私は問題はそういうことで、先ほど来申し上げておりますように、かなり限定的なところで住宅を供給するという主目的中心として今回の地区指定をやっていくことについては、それなりに地元に対して理解をしていっていただけることではなかろうかと期待しております。
  98. 赤桐操

    赤桐操君 これもいろいろ世上で言われていることでありますが、四〇〇から六〇〇に引き上げられるということになれば、当然これは地価の高騰やあるいはまたいろいろバブルの再現等は心配ないのか、こういう実は声も大分聞かされるところでありますが、この点については建設省はどういうふうにお考えになっていますか。
  99. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) これも午前中の御議論で多少ダブルかと思いますけれども、本来土地が取引されるときに、いわば土地を取得する側の目的なりねらいからいたしまして一定の価額というのを設定して取引をされるわけであります。したがいまして、従来よりもその土地が有効に高度に利用されるということを念頭土地を取得したいということであれば、一定の地価水準というものについての見通しがあるわけでございます。ただ、今回の場合は先ほど申し上げましたように住宅を供給していくということですから、一方将来その土地を使いまして建物を建てる際に、相当土地の高騰した結果で例えば購入しても、それを今度は負担させるということから考えますと、なかなかその土地の価額がいわば現実の形として供給者側として実現できるかということも考え合わせられると思います。  私は、今日的な金利の状況とかいわば過剰流動性の問題等々考え合わせますと、いささかも地価の水準に変動はないかということについては、これは実取引の中で出てくるわけでございますし、一定容積緩和を含めての土地の有効利用の条件をある程度改善するわけでございますから、地価には影響なしとはしませんが、従来あったようなバブルというような形での問題は起こらない、また起こさしてはいけない、またそういう環境をつくっていかなきゃいけないと、こう考えております。
  100. 赤桐操

    赤桐操君 そこで重ねて伺いたいと思うんですが、職住接近の政策は当然でありますけれども土地住宅への転用の中で当然再開発が行われることになりますので、そこでいろいろ新しい公共的な施設をどういうふうにするかということが出てくると思います。例えば道路のっけかえであるとか公園の設置であるとか、そうしたものはどのような形でもって行われていくのか。いわゆるこういう関連公共についてはどういう扱いになるのか、この点についてお考えをお示し願いたいと思います。
  101. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 住宅を供給していく際に、おっしゃられるように当然バックグラウンドとしては十分な公共施設が既に整備されているか、あるいは今後整備される見通しが確実であるかということに対して、我々は当然関心を持たざるを得ないわけでございます。  今回の地区を決める際には、私どもとしてはかなりの広がりを持った地区を決めていきたいと思っておりますので、そういう中からいきますと、一定のスペースが確保されており、かつ公共インフラといいますかそういう公共施設が整備されてきた、それだけのストックがある程度備わっているというところが選ばれていくかと思います。  それにしても、新しい住宅供給をしていくわけでありますから、先生おっしゃられたように住宅関連の公共施設をそれに若干なりとも補強していくという状況も当然想定されるわけでありますから、これから東京都あるいは私ども、どこの地区が決まるかによってでございますけれども、かなりの公共インフラは当然それに備わった形で応援していくということは予想されるわけでございます。
  102. 赤桐操

    赤桐操君 例えば東京湾岸は、今企業が新しく変わっていったり、したがって工場も従来の工場が全部撤退をして新しい企業が入ってくるとかということは、当然今一つの転機として出てきておると思います。同じように、東京都の恐らく湾岸においても同じ現象が発生して、具体的な面で言えば例えば港区あたりの倉庫群がたくさんあるようなところ、こうしたところはきれいに撤収をして再開発すれば一番やりいいところだと思います。  しかし問題は、その場合には用途が違っできますからインフラも違ってくる、公共関連の施設のあり方も変わってくる。こういう場合において例えばこれはやってみなきやわからないと言われるかもしれませんが、具体的に計算をしてみて公共的な関連施設が上回っている場合、新しい計画の場合、その場合には当然不足することになりますね、今ある施設だけでは。そうなると、その部分については一体どういうことになるのか。これは国が保証するのか、都が保証するのか、自治体がやるのか、そういった問題も出てくると思いますが、こういうものの扱いはどうなりますか。
  103. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 今回、かなり高密度で高層の住宅を供給していくわけですから、先ほども申し上げましたように全くインフラがないというところは私ども念頭にはないと思います。くどいわけでありますけれども、ある一定の公共インフラがあって条件的には備わっているところを優先的に地区指定していただくのが前提だと思っております。  今、先生おっしゃられたように、例えば先般のこの委員会でも現地視察をいただいたような港湾、港湾といいますか海に近いようなエリアについて一定のスペースがあった場合に、それのいわば地域の転換をする際にさらにインフラが必要であるということになりますと、当然その地区を決める際にも一定インフラ整備の見通しというものを東京都なり区はお持ちだと思いますが、今後地区指定をする際に、そのあたりの公共施設の需要といいますか必要量をある程度我々も一緒に東京都とも考えていきたいと思っております。  足らないところは、大変公共事業は今予算的には厳しゅうございますけれども、やはり都心居住という一つの大きなスローガンのもとではありますから、一定のやはり投資をそこに重点的に入れるということも考え合わせて検討しなきゃならない課題ではなかろうかと思っております。
  104. 赤桐操

    赤桐操君 今御答弁の中にも出ておりますように、足らない場合を想定しておかなきゃならないと思うんです。倉庫群というのは別に公園も必要ないし、そういったような住居地帯とは違った簡素な格好で済むと思いますが、住居中心となってくるということになるとこれは違ってくる。したがって、当然従来の都市計画等々からするならば、かなりの公共負担分が必要になってまいります。したがって、私はこれはふえるんじゃないかと見ているんです。  そうなると、私が一番懸念するのは、新しく建てられるものにその費用が全部転嫁されていくのかどうなのか、そういうものについては国なり自治体が保証していくものなのかどうなのか。新しく建てられるものに転嫁されていくということは、しょせんはこれを購入する人、入る人に全部転嫁されることになりますね。そういうような状況になるということになるのかどうなのか、この点を一つ伺っておきたいと思うんです。
  105. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 新しい公共施設の整備量がまだ具体的に決まっておりませんので、一般論でお答えするしか仕方がないと思いますが、今、先生からお話のあった公園とかその他については、確かに例えば臨港地区についてはないわけでありますが、幹線の道路はかなり近くまでしっかりできているわけであります。そういう意味では全く新しいニュー夕ウンへ迎えにいくような幹線道路を引くような、そういうプロジェクトの際に必要な公共インフラはさほど今回の場合などはなかろうと思っております。  しかし、そうはいっても、一定の公共インフラが必要なときに、それをどなたがどういう形で負担するのかということについてはまだはっきりとしたものを私ども持っておりませんが、従来型でいきますと、郊外の住宅供給の際にございました関公促進費的なものが今回こういう都心のところでどういう形で適用されていくかということは、一つの私どもとしては課題として考えていきたいと思っております。
  106. 赤桐操

    赤桐操君 いろいろ私も町づくりについてはいろんな経験をしておりますけれども、要らなくなるものがたくさんあるんです。そこの住宅街が人が少なくなってくる、子供がいなくなってくると学校が必要なくなってくるんです、日本の今の指導要綱から見るというと。ところが、フランスあたりの都市状況を見て私が感じたことは、町全体で学校とかそういうものについては共用の施設として考えている。したがって、ある一定地域人口減で子供が減少する、そういう状況が発生しても、学校そのものについては廃止するとかしないということは考える必要はないようでありました。  日本の場合においては、もう既に本当に学校が要らなくなってしまうようなところもある、こういう状況等もあるわけであります。しかし、それだけに逆に言えば人がふえて子供たちが生まれるということになれば、当然そうなることはわかつていても、そういうものは日本における住宅地のいわゆる指導要綱を原則とすることを考えるならば、当然そういうものも必要になってくるだろうと思うんです。  したがって、そういうように考えてみるというと、今日まで行われてきた住宅建設のあり方はそのまま継承されていくのだろう、こういうように私は当面は判断せざるを得ない。そうすると、かなりのこれは必要なものが、不足なものが出てくるなと。その場合に、エンドユーザーに全部これがしわ寄せされるということになれば土地費そのものが上昇するだろう。そうすると、そういう公共負担分まで含めた土地費というものができ上がってくることになれば、その隣接地域その他も当然値上がりをしてくることになるだろう、これはばかにできない大きな問題だろう、そのように一考えておるんです。  ということは、山の中の土地とは違うんですから、このいかに臨海部土地であろうと倉庫群の跡であろうと、相当の地価が現在レベルにあると思うんです。そういうものが仮に不足して、その土地をインフラその他に使用するということになれば、これはかなりの負担をかぶせることになるのではないかと思いますが、局長いかがですか。
  107. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 従来の住宅地供給の際にも、今先生おっしゃられた各種の公共関連事業の事業費が相当な額に上がりまして、結果的には個々の住宅取得者の負担になっているということも現実でございます。  そのとおりでございますが、ただ重ねてでございますけれども、今回の地区指定したときは、先ほど来申し上げているように一定の公共設備がやはり備わっている、あるいはそれに近い状態であるということを限りなく我々としては一つの優位点として考えていきたいと思っております。確かに住まいとしては、大臣からも申し上げましたように、やはりぬくもりのあるといいますか、においのある町をつくっていくという意味では、世帯的には余り偏った家族構成でないことも願えれば、例えば教育施設あるいは福祉施設、そういう各種の施設についてもそれなりのいわば要望水準も出てこようかと思っています。  適地の問題の選択とあわせて今先生おっしゃられたような各種公共施設をどういう形で整備していくか、その際には限りなく従来の設備を生かしていくという視点で新たな投資はもちろん若干なりとも必要かと思いますけれども、できるだけその分の新しいインフラを極力抑制できるような、そういう地域立地も我々としても当然検討していかなきゃならないかと思っております。
  108. 赤桐操

    赤桐操君 考え方はいろいろ分かれると思いますけれども、バブルの原因というものはなかなかやはり難しい問題があったと思います。  私は、やはり一つの理由としては、今の関連公共費を受益者負担としてその団地の半分以上のものを住宅用地にかぶせてきたということ、しかもその金利から造成費からあらゆるものをそれにかけてきて土地の価額を設定したというところに一つはあったと思います。そういうことについての反省がないということになると、これは私はバブル発生とは言いませんが、土地を大きく押し上げていく要因になってくると、こういうことを指摘しておかなきゃならぬと思っております。局長はどうお考えになりますか。
  109. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 私、先ほどから申し上げておりますように、新しい住宅地供給の際に経験してきたことを今都心で当てはめてどうかということについてのお答えをしてきたわけでございますが、御案内のとおり、関公促進費についても当然首都圏の中のいわば規制市街地についても対象になっておりますし、一定の規模以上の住宅が供給できるならば補助対象になると思います。  ただ、昨今の公共事業いろいろ言われておりまして大変厳しい情勢の中でありますから、なかなか十分な予算枠がとれるかどうか今ここではっきり申し上げかねますが、しかしながら今先生おっしゃられたように結果的にその住宅取得者に相当な負担をかけるようなことであれば、この都心居住政策そのものが進まないわけでありますから、何とかそういう都心居住を進める意味でのインフラ整備についても国なり公共団体を含めてでありますが、対応できることについて考えていきたいと思っております。  一方では逆に、私はこれからの、口幅つたい言い方でありますけれども、企業として都心居住に大いに協力していただく意味では社会的責任をそういうディベロッパーあるいは不動産関係は持つておられるわけでありますから、そういう意味では私どもも先ほど申し上げております都とかあるいは区とかあるいは建設省、住都公団でつくっておりますこの都心居住本部に参画いただくかどうかは別といたしましても、その周辺にはこれから住宅供給をしていただくような関係業界の方々にも一緒にこの土俵に乗っておいていただいて、一緒に相談しながら議論を進めていきたい、こういう思いでおります。
  110. 赤桐操

    赤桐操君 これは企業が入りましても、そういうものに対して企業は責任を負わないんです。企業が自分の責任でもって関連公共費を出すなんということはあり得ないです。これは企業の方で持ってもらうというのは、単なるそれは話の上の話だけであって、実態はもう全然そういうことはあり得ないと、私はそういうふうに今日までの経過から見ていっても、全国の状態をどれ見てもそうなっております。もし本当にそれは企業が持つというように御認識になっておるとすれば、それは誤りですから御訂正を願いたいと思っております。  それから今申し上げたように、地価の高騰というものについては、これは総合的な対策をとっていないと必ずこれは上がりますから、この点一つ指摘しておきたいと思います。  それから、時間の関係ありますから先へ進めますが、この計画ではどうもお伺いしているというと分譲マンションのように思いますが、これは分譲でいくんですか。
  111. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) 政策対象といたしましては、必ずしも分譲に限定しているということではなくて、分譲あるいは賃貸住宅、いずれも政策対象にいたしたいと思っております。
  112. 赤桐操

    赤桐操君 いろいろの説はあると思いますが、東京都が非常に大きく膨らんできている。その中で一極集中排除のための先端を切るためにいわゆる国会機能の移転や、そうしたことまで今論議されて真剣に扱われている。それによってどのくらいの人口が分散することになるかと聞けば、大体六十万から七十万の人口移動が行われるだろうと、そういうことを想定して現在一方においてはそういうことが進められている。これだけの立派な国会があっても、これを放てきしてほかへ持つていこうという段階なんですね、現在は。それを真剣に今検討しておられるわけです。  そういう状況の中で、一方においてはこういう形のものがつくり上げられていこうとしているわけなので、これもそれぞれの各区から見るというと過疎の状況を何としても克服したいという熱意もあるようでありますからそれはわかりますが、全体として考えてみたときにこれはやはり非常に大きな問題ではないのかな、一体こういう形で進めていっていいのかなということを私は素朴に感じているんですが、いかがでしょう、これは。
  113. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 今回の施策効果につきましては先ほど来お答えしておるようなことでございますが、直ちにその効果が上がるのかと言われますと、それなりにステップが必要だと思います。  したがいまして、全体的な東京あるいは首都圏というものの成り立ちの中で、今回の提案なりでどの程度の効果が実際にどこまで時期的には起こるかということについてはあくまでも想定の中でしかお答えできないわけでありますが、東京都というのは大変今までにも都市投資をしておりますから、この都市はいささかも私はまだ都市としての機能は衰えておらないと思います。一方では、国全体の中でできるだけ一極集中を避けたい、排除していきたいという考え方ももちろん持っておりますが、既に投資したインフラ整備を含めての活用という点にも我々も配慮していかなきゃいけないと思いますから、そこのところは私は両方をにらみながら東京都の活国策というのがあろうかと思っております。
  114. 赤桐操

    赤桐操君 東京都の大きさをどのくらいにするとか、あるいは今申し上げた経過についての問題の論争は別途いたしたいと思いますが、分譲と賃貸ということになるというと、むしろ分譲ということになると相当の価格になるのではないか。賃貸にするという考えはないんですか、これは。賃貸を主にするという考えはありませんか。
  115. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) 国の政策で分譲あるいは賃貸いずれかに決めつけるというわけにはまいらないと思いますが、基本的にはやはりマーケットが決めるということが基本だろうと思います。  ただ、政策としてではどちらの方をと、あえてというふうなことを言われますと、これもなかなか難しいんですが、やはり非常に土地資源も限られているということであるならば、担当者としては賃貸として活用するというのも心引かれる政策だなという思いはいたします。
  116. 赤桐操

    赤桐操君 私は、実際の現在の多くの庶民、勤労者の人たちの懐ぐあいから考えるというと、こういうところに高層のマンションを購入して、また長期にわたって月賦を償還しながらやるようなことについては大変だろうと思って実はお尋ねしているんですが、むしろ賃貸の方が気楽でいいんじゃないか。  一定の年齢に達したときには、郊外に家を建てるなり立派なマンションを購入してそっちへ移っていく。また、そのころになると子供たちも大きくなるだろうし家族構成も変わってくる。こうなりますから、やはり最初に建てた家とか最初に購入した家だけでもって生涯を貫くことはできないのが現実の社会の情勢でございますから、そういうような今実は一つ考え方があったものだからお尋ねしたんです。私は購入には大変な年齢の人たちが集まってくるのではないか、むしろ賃貸でいく方が本来の筋ではないだろうかと、このように実は感じながらこの問題については受けとめてきているわけです。いずれにしても、これはひとつそういうお考えであれば、私の考えだけ申し上げてあと終わりたいと思います。  この六〇〇%問題については、ニューヨークのマンハッタンでかつて、一番ここはもう摩天楼の地帯でございまして高層の建築物というものはたくさんございますが、その中で住宅も超高層住宅でやろうということで六〇〇%の適用でやったという経緯があるようであります。これについてはいろんな角度からの反省が出て、今日は四〇〇%を限度としていろいろと努力をしているということを私も聞いているわけなんです。また、いろいろ書かれた物の本で見ているわけなんでありますが、これは現場へ行って確認したわけではございませんから局長の方が御認識が正しいかどうか知りませんけれども、そういうことを私どもの方も権威ある文書やいろいろの説で聞いておりますので伺っておきたいと思います。  日本の場合における東京とアメリカにおけるニューヨークとの関係、こうしたものとの関係で日本の方は六〇〇%を適用してもこれは十分に乗り切れるんだと、こういうお考えをお持ちかどうか、この点しかとひとつ伺っておきたいと思います。
  117. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 私も残念ながら詳細はよく承知しておりませんのでいささかお答えがずれているかもわかりませんが、まず容積の問題は、先ほどの議論にもございましたように公共のインフラがどのぐらい整備されているか、とりわけ道路の整備がどのぐらい進んでいるかということがまず大きな前提条件であろうかと思っております。そういう意味では、ニューヨーク特にマンハッタン周辺における道路のネットワークというのは大変な桐密な道路ができておりますから、そのネットワークをベースにしての容積最大限活用している典型的な例であろうかと思います。  私どもも、東京が全域にわたって相当の超高層が林立するという姿をイメージしているわけではなく、ある一定の公開スペースが確保でき、かつインフラがある場合、こういうところを限定してこれから整備していこうということで東京都のいわば住宅マスタープランの一助になればということで今回メニューを出させていただいております。したがいまして、いろいろ高層化に伴う問題、課題はあろうことはよく我々も承知しておりますが、それは一方でいろんな対策を兼ね合わせてやっていくことであろうかと思っております。  今、私は東京のいわば利用率、容積、その他を考えますと、東京のすぐれたこういう都市環境を活用するにはもう少し、いわば通勤その他で御不自由をされている勤労サラリーマンなんかも含めて都心にお住まいいただく環境づくりをすることは、この大東京という問題についてひとつ我々としては試みてもいい施策ではなかろうか、こう考えております。
  118. 赤桐操

    赤桐操君 東京湾岸の地域はかなり埋め立てしたところが多いです。湾岸における施設はその埋め立ての上にほとんど乗せられてきている、こういう状況だろうと思うんであります。  私は千葉の出身でございますからしょっちゅう千葉の湾岸については見ておりますが、ここも実は大変な地帯になっております。東京におけるところの港区などの地域においても、これは埋め立ての地域であろうと思います。東京湾の砂というのは、東京の側の方も同じだと思うんでありますが、千葉側などでは非常に粒子が細かい。そういうことでもって湾岸約四千五百万坪の埋め立てが行われて、現在いろいろな建物が建って、支障は別に起きていないんでありますが、先般地震がありましてその周辺までかなりの被害が出たことがありました。そのときにここに建っておった、現在建っておりますが、各種タンクがたくさんございますけれども、これにどういう問題が起きるかということで大分心配いたしたわけでありますが、幸いこのときは何の問題も発生しなかった。  いずれにしても、企業のいろいろ転換やあるいはまたそういう施設の転換、そうしたものが現在続いておりますので、いわばスクラップ・アンド・ビルドの時代にもう今は入ってきていると思います、現実に。そういう意味では、港区におけるところの倉庫群を撤収して新しくそうした建物に切りかえていくということも一つの方向だろうと思いますけれども、問題はやはり災害時における問題だろうと思うんです。  特に、一番大きな問題は地震だろうと思うんです。直下型地震ということがしばしば言われております。あるいは東海地震ということがしばしば言われております。これが発生した場合においては、東京都あるいは東京都周辺、東京湾を含めてただごとでは済まないだろうと、こう言われているものでございます。これは、久しくこういうことが疑念を投げかけられたまま、これらに対する対策については今検討されておるというのが実態だろうと思います。  私は、今この辺だったらいいだろうと思うような地区が幾つかあると思います。建設省も全然そういうことを考えないでこういう法案を用意されているんじゃないと思うのでありますが、その場合に、この間視察でいろいろと御案内をいただいたあの地域、そういうところは埋め立てであると思いますが、この地域は通常どのぐらいまで地下にくい打ちをやると岩盤に到達するのか、この点御存じでございますか。
  119. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) まことに申しわけございませんが、物理的に何メートルかというのはちょっとただいま承知いたしておりません。  ただ、今先生、液状化とかいろんな概念をお使いになりました。確かに、埋立地についてかなり高い建物をつくる場合にはそれなりの技術と費用がかさむというのは御指摘のとおりでございます。ただ、現在の建築基準法の枠組みから申し上げますと、高層住宅等々につきましては、仮に地震で地盤が液状化現象を起こした場合でも、単体としての建築物の安全に支障がないような構造計算を行った上で設計をし工事をするということが法律上義務づけられております。  具体的には、今ちょっと御指摘になりましたように、かたい地盤まで基礎くいを打ち込むというふうなことであるとか、あるいはそれと並行して基礎くいを打ち込むことが難しい場合には地盤改良をきちっと行うということを併用するということで対応しなければならないという制度になっております。  またさらには、六十メートルを超えるというふうな特に超高層につきましては、単体ごとにさらに精密な計算を行った上で個別に建設大臣の認可を受けるという形で二重三重の対応策が法制上は講じられております。  したがいまして、神戸の地震のときもそうでございましたが、確かに一般的に液状化現象というのは随所に発生いたしました。ただ、基本的な構造のところで、単体の建物がそれがゆえに致命的だったというふうな話は聞いておりません。  したがいまして、費用がかさむ、それから技術的にはかなり難しい問題があるというのを前提にした上で基準法をきちっと守っていただければ、地震に対応する液状化、これは乗り越えられるというふうに我々は思っております。
  120. 赤桐操

    赤桐操君 今日の技術でございますから、そういう問題については克服をしていくことも可能かもしれませんが、具体的な例で私も経験がありますから申し上げますが、大体東京湾岸の埋め立てでちょっと出たところでやりますというと、所によっては相当大きなくい打ち、くいというよりも鉄筋の太い柱ですね、直径二メートルぐらいの柱を一つの区画ごとにかなりのものを打ち込んでいってもこれは岩盤に到達しないんです。五十メートル打ってもだめなんです。ですから、相当下までやらないとこれはいけないんじゃないかと思うんです。超高層になるというと、岩盤ぐらいまでいかないというとこれは安心して住んでいることにはならないと思うんです。  そういう意味で、こういう六〇〇%という、高層住宅ですが、こうしたものを建てるということになるというと、普通のものでもかなりの土台が必要であるにもかかわらず高層ということになってきた場合においては埋立地域などでは大変なものが必要になってくるんじゃないか。そうすると、上にかかる費用よりも下にかかる費用の方が大きくなるんじゃないか。  具体的に申し上げますと、浦安の例でありますが、直径二メートルの鉄筋の柱を五十メートルの深さにまで打ち込んで、それを要するにマンション十四階でもって一個、一個について六本の柱を打ち込んだ。五十メートルでも届かないというわけだ。それで下に特殊の対策をとって一応これはまとめ上げたようでありますが、この例で見ますと、上にかけた費用より下にかかった費用の方が多かった。そうすると、せっかく六〇〇%にして大きく内容は広げたとしても、果たして二〇〇%増によって吸収し切れるかどうか、こうしたことも考える必要があるのではないかなと思うんです。  住宅局の方では建築の専門家を集めて検討されていることだろうと思いますから、そういう点も大体マスターされているんだろうと思いますが、その点についてはどのように今のところ考えておられますか。
  121. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) 場所的には、臨海部、埋立地というのは、今後の展望を考えましたとき利用可能性が一番豊富な場所だと思います。  ただ、先ほど申し上げましたように技術的に克服することは可能ではございますが、若干コスト面がかさむというのも御指摘のとおりだろうと思います。  したがいまして、だからどうだということはなかなか申し上げにくいのでございますが、長い目で見た場合には、今の東京圏に不足しておるのは、コストという議論もありますが、やはり客観的に長い目で見た場合にどこをどういうふうな町並みとして整備していくのかという場所をきちっと確保する、それを計画としてきちっと位置づけていくというところがやはり何よりも重要な課題ではないだろうかと思います。
  122. 赤桐操

    赤桐操君 最後に、ひとつ大臣のお考えを伺っておきたいと思いますが、こうした新しい計画で東京あるいはまた全国の主要な地域政策を打ち出すということになればいろいろのトラブルが起きる場合もあると思うのでありますが、そうしたものを克服しながらおやりになることになるだろうと思いますけれども、常に住民の心を心としてもらいたいと思うんです、率直に申し上げて。  それはいろいろと土地の高度利用、これも考えなきゃならない、政策から考えていって。同時にまたいわゆる有効活用、流動も考えなきゃならない。これは経済の原則からいっても当然考えておかなければならない問題だと思いますが、そこに住む人々の立場というものを重点に置いたものでなければ目的が変わってしまうわけでありまして、この点について、住宅に重点を置いた計画であるならば、政策であるならば、そこに入る人たちの立場を考えた政策でなきゃならぬと思いますが、この点についてひとつ大臣の御所信を伺って終わりにいたしたいと思います。
  123. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 住居にいたしても、町にいたしましても、住む人のためにあるわけでありますから、その人たちが幸せを少しでも実感できる町なり住居でなければならぬことは当然のことでありますから、建設省なり自治体が上からお仕着せというようなことで幾らきれいな町並みをつくりましても、こんなものは私は町とは言えない、住居とは言えない、このように思います。  そういう意味では、先生おっしゃいますように住民の方々の気持ちといいますか心といいますか、それを生かすということを運用面においても十分配慮しなければならないと思います。  ただ、これはちょっと雑感でありますが、そうではありますけれども、一方では我が国の教育その他のせいであろうかと思いますけれども、住民の方々の中にもやはり自分さえよければいいという、隣近所はどうでもいい、自分の幸せだけをひたすらにきゅうと狭く追求される、そういう声が相当声高に出される場合もあるわけでございます。やはりそういうことを全く私は無視していいというわけじゃございませんけれども、これは住民の方々の間でぜひひとつそこらのことは、お互いにみんなで幸せになっていくんだという形の中でそうした声もきっちりと吸収をしていただくといいますか、そうしていただくこともまた必要なのではないのかなと、このようにも感じるわけでございます。
  124. 小川勝也

    小川勝也君 民主党・新緑風会の小川でございます。  私は、どちらかというとこの法案に懐疑的な側面から質問をさせていただきたいと思います。  今の大臣の幸せについてのお考え方、後でまたお話をお伺いしたいと思いますが、そもそものこの法案の提案理由の中で、通勤地獄の解消などという言葉が言われました。私もなるほどのことだなというふうに思わせていただいております。  しかし、私たちは、この東京の一極集中と過密、あるいは必ずしもいいとも言えないような住宅環境、あるいは大臣お話しされたような通勤地獄、この解消のためにどんな手だてがあるだろうかということで、最近は凍結論などというのも出ておりますけれども、首都機能の移転などということを考えてきたわけでございます、私と大臣と一緒に考えたわけじゃありませんけれども。少なくともオフィスが東京集中しているから東京に通う人が多いんだ、だから人口密度もふえるし通勤環境も悪くなる、だから多極分散構造を図る上でも東京の一極集中を是正するために首都を移転する、そしてそれぞれの職場がいろんなところにあって働く人がいろんなところに通勤すれば通勤地獄もなくなるし今よりももっともっと広い家に住める、そういうことを考えてきたわけでございます。  今回の法律と首都機能移転の凍結が関係あるとは思いませんけれども、どちらかというとその発想の逆を行くことになってしまうんじゃないかなと思うわけでございますが、その辺の大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  125. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 当委員会で午前中にも今、委員が御指摘のようなことも議論になりましたけれども、一極集中を排除するには国としてトータルな政策展開が必要なわけであります。  その一つとしては、首都移転という問題もあるでしょうし、あるいは産業の地方分散という問題もあると思いますし、また交通網を全国ネットできっちりと整備していくというような問題もあろうかと思います。一次方程式では解けない話でありまして、これは多次元方程式であろうかと思います。  そうした中で、しかし過密ということはよく言われるんですが、ただ一定面積に何人の人が住んでおる、その数が多いから過密ということにはならないんではないかなと、このように思います。過密というのは、そこに住んでいる方々の生活実感を含めてこれがハッピーではないということ、活動を含めて。そういう状況がやはり過密だと言われるわけでありますから、そういう意味ではその土地を多角的に立体的にきちっと有効利用していくことによって、同じ面積で活動し、住んでいる人の数はむしろふえるかもしれないけれども、いわゆる過密感がない、快適感が向上するという、そうした住まいの仕方とか活動の場所ということはこれは可能なわけであります。  私どもがこのたびそうした改正をいたしますのは、そうした東京都内、確かに過密だと言われますけれども、まだそこの土地をきっちりと整然と有効活用していくということをやれば、何も二時間あるいはそれ以上のところから押しくらまんじゅうで通勤をしなくても、そこに快適な住居環境の中で職住近接という大きな果実を享受されることができると、私どもそのように考えたわけであります。ただ一定面積に数的に人が集まることが過密で、少ない方が過密ではないということではないだろうと、このように基本的には考えておるわけであります。
  126. 小川勝也

    小川勝也君 先ほどのお話にもつながるわけでございますけれども、今の例えば都心の住環境をどうとらえておられるのか、これは大臣の先入観を含めてでも結構でございます。東京に住んでいる人をどうとらえているのか、あるいは都心の住環境についてどういう御認識か、改めてお伺いしたいと思います。
  127. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 私は一戸建てを持っているわけでもございませんし、マンションも持っておるわけじゃございません、高輪の議員宿舎に住んでおるわけであります。  しかし、私なりに東京はいろんな、期間も含めて相当長く、今から言えば三十年もあるいはその前から関係のある土地でありますから、東京都自体が変化をしてきている実態を私なりに体験として押さえてはおると思いますけれども、やはり私はスプロール現象的に人口集中をしてきて、住居商業地あるいは中小企業の方々の工場を含めて、雑然と狭い東京という地域の中でいわゆる雑居しているという状況であると思います。また住宅地にいたしましても、日照等についてももちろんこれは大事なことでありますが、そのことを含めても使い方によってはもっと大勢の方が有効に住居として使える場所が雑然と住居環境の悪い中で非効率にしか使われてないという面が多々あると、このように私は思っております。
  128. 小川勝也

    小川勝也君 これは私の個人的な感想でございますが、私が生まれたのは北海道の田舎で、人口五千人の町でございます。私も今たまたま紀尾井町の参議院の宿舎に住んでおります。確かに都心の生活というのは便利であるいは刺激的で非常にいい面もありますが、昭和四十三年に建った老朽化した二Kでございます。その辺の問題は置いておいて、都会の生活だからすべて満ち足りているということは私は逆に思いたくないわけでございます。そして、北海道であるならばこんな面積に住めるのに東京ならばこんな小さい面積ということも往々にしてあるわけでございます。  私は北海道の地元に帰ったときにも逆のことを申し上げたことがあります。私は、建設大臣中心に北海道に公共事業をたくさん持ってきていただくのは大変うれしいことだけれども、それはどこから集まった税金かなというふうに考えると、東京に働く人たちが夜も寝ないで働いて、朝五時に起きて二時間通勤する人が日本の企業戦士として税金を払って、それが北海道の人口まばらなところにも来るんだよと。今からは、北海道だけすべていいことを持ってこいというんじゃなくて、東京のサラリーマンや東京に暮らす人たちのこともこれからの政治は考えていかなきゃいけないなどということを生意気にも申し上げたことがございます。東京に住んでおられる方が幸せか否かという問題は別にいたしまして、私は政治というものは幸せな人がいたらその幸せにほかの人を近づけるのが政治だと思っているわけであります。  先ほど大臣お話をお伺いしますと、私の聞き間違いでなければ、東京に住んでいる人は職住接近で幸せなんだ、よそから来る人もその幸せを味わう権利があるんじゃないか、これはなるほどの理論でございますけれども、そのときの担保というのは、そこに住んでおられる方の幸せの半分にする、これであっては私はならないと思うわけでございます。  そして、今回の法律でございますけれども、この容積率六〇〇%、これは私は住んだこともありませんし見たこともありませんのでわかりませんけれども、私はこの容積率六〇〇%という住環境は人間にとって心から安らげる場所ではないんじゃないかという懸念を持っております。  そして、あえてもう一つ言わせていただきますと、この東京という場所にいろんな仕事の都合があるということで東京の周りに人を住まわせなければならない、これはいわゆる高度経済成長の発想じゃないかなというふうに僕は思いますし、もう一つ言わせていただくと途上国の発想じゃないかなというふうに思わせていただきます。だから、東京に住んで、そこから仕事に行った方が効率的だから、今まで三百人住んでいたところをもう少し詰めてあと三百人住まわせようと、こういう国家的な戦略を持ってしまうわけなのでございますけれども、じゃここをちょっと聞いてみましょうか。六〇〇%というのはどういう住環境なんでしょうか、住宅局長。
  129. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) まず六〇〇%というのはどういうイメージかというふうなことから申し上げたいと思いますが、実は先般当委員会でも芝浦かいわいを御視察いただきました。御記憶かどうかはよくわかりませんが、あそこの運河沿いをバスが少し回ったと思いますが、あのかいわいに散見されている建物の中に、総合設計でございますが、五〇〇%あるいは六〇〇%という住宅相当数ございました。なかなかすばらしいというふうに評価したのは私の個人的な評価でございます。  それから、若干個人的な話は離れまして、客観的に中層住宅あるいは高層住宅が現実どのくらい供給されているかということでございますが、四〇〇%以上の統計しかございませんが、平成七年度一年間で、東京区部ですが百件を超えております。また、その中には五〇〇%、六〇〇%というふうな水準のものも相当程度現に含まれております。  それで、一般的に価格の面、どこまで客観性があるかは別でございますが、高層住宅の場合には上層階ほど値段が高いというのもこれまた周知の事実だろうと思います。  そういうふうな意味合いからは、やはり都会に住む人間の居住のありようとして相当程度まで既に市民権を得つつある、相当程度というよりはむしろそういう生活スタイルを好む方々がかなりの割合を占めつつあるというのが率直な現実ではないかと思います。
  130. 小川勝也

    小川勝也君 遠くからは見えるかどうかわかりませんけれども、ある大学の先生が私のところに持ってきてくれました。(資料を示す)これは高島平だそうですけれども、上が二〇〇%で下が六〇〇%。これを見るとちょっとぞっとしてしまったわけでございます。  今の局長の答弁はよくわかりました。私も先ほど申し上げましたように、今住んでおられる方の幸せを奪うということは論外だといたしましても、都心居住という新しいライフスタイルに合ったメニューを用意するということには条件つきで賛成したいと思います。その場合にも大きく条件というのが必要だと思います。それは、今まであったコミュニティーは守ってほしい、そして例えば今バブルの影響もあってか空き地になっているところは有効利用してほしい。これは私も同じ考えでございます。  そして、今視察の話が出ましたけれども、芝浦かいわい、大川端を私も見せていただきまして、これは未来に向かって新しいライフスタイルの創造という意味では成功した例であろうというふうに考えております。しかしながら、大きな水辺空間を持って、いわゆる総合設計の中で水辺が入っているかどうかは別といたしまして、特殊な要件であることに変わりがないと私は思うわけでございます。ですから、ここが高層建築に適している場所か否かというのがその地区ごとに一つ一つ吟味されてしかるべきだと僕は考えております。  そのときに、視察のときの中央区の説明で私は感銘を受けました。中央区では、用途容積地区計画あるいはマスタープラン、総合設計などということをうまく組み合わせて、住民の方々との対話をうまく利用していろんな地区計画を成功に導かれているわけでございます。  今回のこの法律との兼ね合いでございますが、用途容積地区計画というのがあって、各区が各地域や住民の方々と話し合ってさまざまなボーナスの容積率をつけていけるような制度があるにもかかわらず何で今回の法律が必要なのか、その辺を教えていただきたいと思います。
  131. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) お話がございました。途別容積地区計画は、御承知だと思いますが平成二年に創設されておりまして、それ相当の実績を上げてきたと私は思っております。  最近までで九地区全国で五百五十三ヘクタールということで、この数字をどう見るか、いろいろあると思いますが、お話のございました中央区ではそのうちの五地区で約七割を占めておりますから、いわばお話がございました。途別容積地区計画についてはまさに中央区が本家みたいな感じだと思っております。お話にございました中央区など、日ごろから我々が感じておりますのは、現在の制度がない段階で、彼らなりにと言ったらあれですが、中央区なりに御議論した結果、用途容積地区計画を使っていただいておりますので、私はそれなりの姿勢として多としております。  ただ、今回の場合は、先ほど来の御説明と重複いたしますが、全体の用途の中に一定の事前明示制といいますか、あるゾーンとしての広がりを持った地区エリア一定のいわば容積の特例的な補完措置として今回はイメージしておりますので、そこの地区が全部六〇〇%になるわけではございませんけれども一定のそういう要件緩和をさせていただいている。  地区計画の場合にはそういう事前明示制はなく、ある程度の敷地がまとまれば、あるブロック単位で計画をなされば連檐した地区としてできるということであります。  条件的には、先ほどお話がありまして、住宅局長からもこういう環境はというお話がありましたけれども、私どもくどいのでありますけれども、個々の建物で議論しておりますとどうも視野が小さくなるような気がいたします。一定のやはり面的広がりの中で、個々の建築物もいい建築物をつくることが必要だと思いますが、その周囲にどういう環境が兼ね備わっているか、あるいはつくっていくかということによって随分都市環境は私は変わってくると思います。  くどくなりましたけれども地区計画といわば今回の制度の間にはオーバーラップはもちろんしておりますけれども、レベルの違いということで御理解いただければと私は思っております。
  132. 小川勝也

    小川勝也君 まだはっきり解せないわけでございますけれども、この法律の例えば三の高層住居誘導地区は云々という部分がございます。「都市計画において建築物の容積率が十分の四十と定められたものの内において定めるものとすること。」、こう書いてあるわけでございますが、これを定めるのはどなたでしょうか。
  133. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 容積の問題につきましては、現在は三大都市圏並びに政令指定都市、県庁所在地につきましては都道府県知事が決めることになっております。今回の場合にも原則的にはそうした形で私どもはやってまいりたいと思っております。  午前中にも御報告しましたように、現在、地方分権議論で、いろいろ権限について国は国なり、あるいは地方地方なりの中で、特に県と市町村の手続と関連いたしまして権限的な役割分担も議論しておりますが、今回御提示させていただいた法案の中身については、原則的には従来の用途の決め方に沿った形で判断していきたいと思います。くどくなりますが、その際に原案その他について地元との、地元というのは住民あるいは東京都で言えば区の段階、そういうものでの議論は十分していただくことは言うまでもないと思っております。
  134. 小川勝也

    小川勝也君 ここでちょっと参考意見を引用したいと思いますが、蓑原敬先生建設省住宅建設課長をお務めになられた方でございますけれども容積率は本質的には地域社会で決めることなんです、霞が関主導のシステムは二十一世紀の都市ストックをつくっていく上でもう役に立ちませんと。これは部分的に私の都合のいいところだけ抜いたのでこうなるんですが、私もそうだと思うんです。地域というのが主体になって決めなければどうしようもない。  そして、中央区が特別であったかもしれないけれども、中央区は私は立派な町づくりをしていると思うんです。結局、メニューがないからメニューをつくるというならわかるんですけれども、この計画に対してのメニューは中央区だけじゃなくて、港区も千代田区も使っていい計画なわけです。それに港区も千代田区もいわゆる地域コミュニティーの回復とか学校の統廃合の問題から、人口が欲しくて欲しくてたまらないというインセンティブをみずから持っているわけです。そういうところが自分たちが使えるメニューもあるにもかかわらず、その上に建設省が屋上屋を重ねる。  私から言わせますと、この法律ができてもできないものはできないと思いますし、できるものはこの法律がなくてもできるというわけです。ですから、この法律がなくても進むべきところしか進まないのであれば法律意味はありませんし、逆にこの法律ができたことによって今まで進まなかった計画が進むということはどこかに無理があるんじゃないかなというふうに思ってしまうわけなんですけれども、一言ございますでしょうか。
  135. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 一言申し上げたいと思います。  まず一つは、霞が関の問題であるというお話をされましたけれども、これは大変私は誤解を招く発言だと思います。もちろん我々は、一つメニューをつくらせていただくことは、こういう法律議論で十分御議論した上でございますけれども、枠組みはっくらせていただきますが、けさほどから申し上げておりますように、どこの地区についてどう決めるかなどについては御相談にあずかることは我々いささかも避けるものじゃございませんけれども、各公共団体がみずからまず考えるべきであろうと思いますし、その前提として各地区が意欲に燃えて自分の町をお持ちであれば、大変私はそのことについて多としなきゃいけないものと思っております。  それから、今回じ制度でありながら屋上屋じゃないかというお話がございました。私の説明が多少舌足らずだったかもわかりませんけれども地区計画というのは、ある一定の街区といいますか、狭いか広いかという表現は多少稚拙でございますけれども、かなり狭いところで連楯しておりますけれども一定の計画がお互いに同意できれば地区計画を決めていく、これはもちろん地区計画でございますから相当広くなる場合もあろうかと思います。ただ、今回のゾーニングにつきましては、それよりもさらに大きなエリア一つのビジョンとして各公共団体がお決めいただいた中で、それぞれそのゾーンの中でいろんな手法、例えば今お話に出ているような地区計画の一つのタイプもお使いいただくことは十分私は可能性があると思っております。  私は、中央区の方々とも御議論させていただきました。彼らは言っておりました。私どもは今地区計画で進んでいるから今のところは基本的にはこの方向で行きたい、しかし我々としては今回御議論いただいている制度そのものを否定するわけじゃないし、新しいメニューができたということで認識している、こうお話がありましたので、私はそのとおりに受けとめたいと思っております。
  136. 小川勝也

    小川勝也君 私も一言言わせていただくと、建設省がつくったものに区の行政や都の行政がこんなものつくりやがってなんて言えるわけがないんです。でも中央区は、今回私たちのこの地区計画がありますのでほとんど使いませんと言っているんです。僕は逆の意味で非常に大変なことだと思いますし、今の局長のお話を素直に聞くわけにはいかないと思います。  そして、区が今までやろうとしていたことに関して建設省なんていうのは当然口を挟むべきものじゃないと思うわけでございますが、ここに東京都心居住推進本部というのができましたね。ここに参加をしなかった区が出たと聞いておりますけれども、詳細を教えてください。
  137. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) ちょっと手元に全部の区を申し上げる資料がございませんが、おおむね環七沿いから外側に立地している区が御出席いただけなかったわけでございます。  ただ、私はそういう立地条件で御出席いただけなかったかどうかというのはそれぞれの区に問い合わせておりません。都心居住というイメージから各区において今までやっていらっしゃいましたけれども、比較的そういう都心居住について問題意識としては薄いと言うと言い過ぎになるかと思いますけれども、それほど深刻さがないところについては当面見送りたいということであろうかと思っております。  私、けさもお答えしましたように、今後おいおいこの輪は広がっていくと思っておりますし、決して強制できるものではありませんので、今後東京都とも御相談しますけれども、立派なやっぱり日本の顔でございますから、その東京都ということに対して関係者がみんなで手をとることについては、恐らく今回御出席いただかなかった区も私はいずれ御出席いただけるんじゃないかと期待しております。
  138. 小川勝也

    小川勝也君 ちょっと先ほどの続きで一言だけ申し上げておきますけれども、ゾーンが広がるということになりますと関係住民というのが非常にふえるわけでございまして、私は先ほどから申し上げているとおり、今住んでおられる方の幸せが脅かされるような計画であってはならないと思っております。この辺だけ非常に注意を要するところなので、議事録に残しておきたいと思います。  そんな中で、各区の区長さんなんかの懸念が出ているわけです。これは全部言えませんけれども、個別のプロジェクトに国が直接関与してくるのは先例がない、地方分権に逆行するのではという懸念があったり、例えば不良債権事業者への支援になるのではないかというふうに懸念を持っている人がいたり、あるいは将来にわたっても住宅としてずっと活用してもらえるのかどうか心配だ、こういう御懸念があります。そんな中で共通している懸念としましては、例えば区独自の都市計画地区計画を持っております。しかしながら、こういう本部などという機関ができまして、せっかく新しい法律ができたんだから、何々区さん、この辺はこの新しい法律を適用して六〇〇でどんと建てたらどうだいというふうなことは建設省から言うことはないですか。
  139. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 今回の推進本部の目的については、東京都とか関係区と十分御相談しております。今、先生お話のあったようなことについては、私どもいささかとも考えておりません。  ただ問題は、先ほど来申し上げましたように、大臣からもお答えしましたように、やっぱりこの都市の空間というのはみんなで大切にしながら有効に使っていくということが原則でございますから、例えば港区、中央区は中央区なりの考え方もお持ちでありましょうし、それからもう少し縁辺部の区については、同じ東京であっても、言うまでもないことですが建て方、住まい方は異なってくると思います。それぞれの町あるいは区の自主性というのは私は最大限尊重していかなきゃならないと思いますが、お手伝いできることがあれば、知恵を我々はお互いに出し合ってやっていきたいという姿勢でおります。謙虚な気持ちでおりますので、どうぞ御理解いただきたいと思います。
  140. 小川勝也

    小川勝也君 先ほどの午前中の松谷先生質問にお答えする形で、詳しくは覚えておりませんが、例えば都心にたくさんの土地を持っている地権者がいたときに、その人がその土地を活用してくれるように木下局長が働きかけていきたいと言いましたね。これはどういうふうに私はとらえればいいでしょうか。
  141. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) もう一度確認的にお答えする方が適切かと思いますが、私が申し上げたのは、先生も今御質問がありましたように、従来からコミュニティーがあるときには、そこに地権者がおうちを建てられて、あるいは借家人がおうちに住まわれているというケースであろうかと思います。  そういうような意味でのコミュニティー崩壊につながるような仕掛け方ではないのかということに対して、今は空間である、空間といいますか更地である、あるいは低未利用地であるというときには、その低未利用地の活用について例えば東京都あたりが都心居住についてここのところはぜひ進めていきたいということがあれば、先ほど申し上げましたようにそのことについてどういう使い方があるかということについての御協力といいますか御相談があるのはやぶさかじゃありませんが、我々の方からそこの地区について、ぜひここを例えば今回の地区にしろとか、あるいは何階建ての建物を建てろというふうな形の言い方はどだいできるはずもありませんし、考えているわけではありません。もしその意味での言葉が足りなかったとすれば、そういう趣旨でございます。
  142. 小川勝也

    小川勝也君 ちょっと立場を変えて御質問をしてみたいと思います。  今までの地区計画というのを区が主体となってやっておりましたのは、例えばブロックとか街区とかで細やかに地域の特性であるとか成り立ちとかいろいろなこと勘案して、みんなが納得した形で再開発を進めていきましょう、そこに区が容積率をボーナスとしてプレゼントしてくれる、こういう話だと思います。でも、今のお話をお伺いいたしましたところ、規模によって少し変わってくるんだと、もっと広いゾーンで今回の法律改正でとらえていきたい。そういった場合に、例えば今度いきなり六〇〇%の容積率をもらったマンションが建つ、あるいは建つんじゃないかということで住民の皆さんは非常に不安が大きくなると思うんですね。この不安に対して都市局長からお答えをいただきたいと思います。
  143. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 現在の用途地域は御承知のように十二の区分でございまして、以前の八から十二になりました。この件につきましても各公共団体は大変御苦労いただいて、新しい用途地域をついせんだってまでにまとめていただいておるわけであります。  御質問のありましたたまたま東京都の場合の例でちょっと申し上げますと、用途地域の変更が平成八年の五月に決定しておりますが、その間にそれぞれ区なり市町村、村はございませんから市町におきましての素案の住民説明を全部で五百四回やっていらっしゃるようでありますし、それから都におきましての素案についての公聴会を十二回しておられます。それに対していろいろ縦覧の際に意見書なども二百通ばかり出ております。  私は何を申し上げたいかといいますと、今お話のありましたように、例えば用途という大変大きな地域を決めることに関してもこういうふうな手続を踏んでいるわけでありますから、自分の住んでいるところをどんな色に塗られるか、当然それぞれの方々に御関心があることは言うまでもないわけでありますが、そうかといって一戸一戸のおうち、一個一個の画地について全部の要望を入れていたのでは恐らく都市計画そのものは成り立たないと思います。そういう意味では、最大公約数を私ども求めていくという手だては都市計画の原則だと思っております。  したがいまして、できるだけそのプロセスあるいは内容について透明性を増していくとか、あるいは皆さんの御意見を聞くということについては、各公共団体は精いっぱいやってきていると思いますし今後ともやられると思いますから、今おっしゃったように、やぶから棒に上からおりてそれぞれの意向を全く無視した形でできる制度でもありませんし、逆に個々の方々の御意見がすべて満足するまでは都市計画は打てないということも現実的には非常に不可能だと思っておりますから、その辺の両々がお互いの協調の中で成り立つことを我々は期待したいと思っておりますし、そういう制度であってほしいと願っております。
  144. 小川勝也

    小川勝也君 残念ながら時間がないわけでございますけれども、五日の日にも私は時間をもらっていますのでまた続きをやりますけれども、最後にちょっと変わった観点からの質問をしてみたいと思います。  地域住民あるいは人間本来のエゴというのがいろいろ問題になると思います。これは亀井大臣もいろいろと御関心の問題だと思いますが、私はこのマンションということに関しましてマーフィーの法則というものを発見いたしました。それはどういうことかといいますと、マンションは北から建つ。必ず北側に建って、ああ日当たりがいいなと思うと南側にマンションができる。その次にまた南側にマンションが建つ。これは自分が自分の北側の人たちを犠牲にして幸せを享受している、だから次に南に障害物ができても仕方がないんだという理論もあるでありましょう。今のマンションと運、不運と、あるいは日照と生活の問題と、今度六〇〇になりますとその度合いがまた大きくなってまいります。  だから、現状におけるマンションの建つ順番における住民の倫理観及びルール変更後に関する倫理観、この辺のお答えをちょっといただきたいなと思っております。
  145. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 委員のおっしゃっている倫理観というのかどういうことか、私は頭が悪いですからよくお聞きしてもわからぬわけでありますけれども基本的には自分たちだけがすべてハッピーで幸せな生活というのは仙人にならぬ限り私は不可能だと思いますね。やはりそれは他のために自分も我慢をするということがなければ、特に大勢の人が集まって生活をする都会においては成り立たないということが基本だと思います。委員、さっき先住者の権利みたいなものを後の者が侵すということがないようにとおっしゃいますけれども、それはもう理想であります。  例を話しますと、私なんか田舎者ですが、田舎に住んでおる人から見ると、もう都会の人がピクニックとかなんとかと称してわいわい自分たちの野山に来る。これは町の人にとっては極めて幸せな瞬間です。しかし、そこに住んでおる人間にとっては、俺たちは汗水垂らしてこんなに働いて、野山できゃあきゃあ騒ぎに来て何だという反感を持つ場合だって生まれると思うんです。しかし、それは反感を持つちゃいかぬのですね。やつばりそこはお互いに、そうした立場の違いというようなことから感覚の違いも生まれてくる。しかし、結局、お互いに我慢しながら相手の幸せを考えるということがないと国民生活として成り立たないと私は思います。  そういう意味で、マンションと日照の問題等がいつも問題になりますけれども、だれだって日のさんさんと当たるところに住みたい。しかし、そういうところに便利だから住んでいるわけでしょう。やっぱり俺たちもそういう便利なところに住みたいという人がいらっしゃる。それに個人の需要にこたえてマンションが建つ場合に、そういう人たちは、嫌よ、私たちだけの日照だけを大事にしてくださいということは私はやはり無理があるんではないかなと思います。  だから、そこらは、今の時代といえば時代ですけれども、自分の権利だけは主張されていくということを、国会議員の方々はそれをバックアップされる方はおらぬでしょうけれども、そういう風潮を助長することがあっては私はならぬなと、このように感じます。
  146. 小川勝也

    小川勝也君 私は、みんなが日照のないところに住む政治をするよりも、みんながさんさんと太陽の降り注ぐ生活のできるような政治を目指したいと思いますが、東京は便利な町だからみんなが暗い生活をして当たり前だと思われる大臣には次の機会にまた質問をさせていただきたいと思います。  後半をお楽しみにしていただくことを申し上げまして、きょうの質問を終わります。
  147. 奥村展三

    ○奥村展三君 私は、ちょうど一年十カ月になりましょうか、滋賀の山奥から出てきたものですから東京には緑がないと思っておったんですけれども、こんなすばらしい都心に住まわせていただいて幸せだなと思っておりますが、今もお話がありまして、ただ残念なことには紀尾井町の宿舎が二Kでバスがないということで非常に惨めな思いをしながら日々を送っております。  さて、暮らし重視型の住まいを都心で築いていこうということでございますが、確かに大事なことでございます。  まず、やはり詳しい地区計画、これを進めなければなりませんし、役所や企業だけが進めるのではなくて地域ぐるみの形でまとめ上げていく必要があると思いますし、快適な生活環境があってこそ都心の人たちが住める町に喜びと潤いを持ちながら生活なされることを、そういうことで今回この大きな改正の中に盛り込まれているのではないかなというように思います。  もう既に私がいろいろと聞こうと思っておりましたことは全部聞かれましたので、二、三お伺いをいたしたいと思います。  これは都市計画と同じでございますから都市計画の一部改正でございますが、公聴会の開催、住民の意見書の提出等の機会もあるわけでございます。確かに、今も小川先生からお話がありましたように自治体の自主的な判断ということも往々にしてあるわけですけれども、この住民との十分な意見の交換、公聴会等があるわけでありますが、この住民の方々の意見が反映される手続、これがどのように進められていくのか、その協力体制といいますか、住民の方々が協力をしていこうという何かいい方策をお考えになっておるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  148. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 現段階におきまして既存都市計画法の手続を新たにつけ加えるという考え方はまだ持っておりません。それは決して消極的なつもりでお答えしているのではなくて、これからもやはり今おっしゃられたようなことでの住民の理解を得るための手だてがあれば、我々はそれはそれぞれの公共団体レベルでございますけれども、当然いろんな手だてをやっていかなきゃならないという基本的にそういう立場で申し上げております。  私のつたない経験でありますと、私もある公共団体での都市計画を担当した機会がございますけれども、やはり各町によって多少様相は異にしておりますけれども都市計画に対しては大変住民の方も御関心が高い、とりわけ最近はそれがますます高まっていると申し上げていいと思います。  先ほども申し上げましたように、手順といたしましては、通常、説明会とか、あるいは公聴会とか、それから都市計画審議会そのものの手だてはございますけれども、私は今回これだけ国会でもいろいろ論議いただきましたし、マスコミ等にも上げていただきましたので、全国の町がすべてこの制度を取り入れるわけじゃございませんけれども、こういう機会に都市のあり方あるいは都市構造のあり方ということについて、そこそこやはり各都市とも議論をしていただいていると思います。  とりわけ、話が少し長くなりますけれども、例えば中心市街地の活性化問題などは恐らく各都市とも今近々の課題であろうと思っております。そういう問題も含めて、その町においてどういう町づくりをしていくかということに対しては、住民の方々にも大変関心が高いと思いますから、そういう意味では新しいそれぞれの町のマスタープランというものをしっかり各町ごとにつくっていただくことが、私はその後の都市計画に沿った形の各種説明会等の手続にも生かされるんではなかろうか、こう考えております。
  149. 奥村展三

    ○奥村展三君 住民の方々にとりまして、知らないうちに町が真っ暗になってしまったというような不安がなきにしもあらずでございますが、何としてもこういうことは避けていかなければならないと思っております。  ぜひ私は、今回このような法改正をされて、今局長のお話がありましたが、建設省として効果的なひとつPRをもっともっとしていただきたい。確かにマスコミ報道等で国民の理解を得られつつありますが、住民の理解促進のために局長、何かいいアイデアはもっとありませんか。
  150. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 私もここで胸を張ってお答えするのが本来は立場かと思いますが、現在、先ほど申し上げましたようなことで新しい仕掛けそのものを私がお答えするまだ余裕はございません。  ただ、先ほども申し上げましたように、町づくりに対しては大変それぞれの地域が今熱心に活動していただいておりますから、先ほど申し上げましたように我々の考えを、あるいはそれぞれの公共団体考え方を地元の方々に機会あるごとにおろしていくというのがまず一つであろう思います。それから、やはり町について、先ほど御披露いたしました例えば地区計画などについても相当最近は機運が満ちておりますし実績も上がっておりますので、そういうものを支えていくサポーター役のいわば人たち、あるいはそれぞれの町の方々が、例えばこれは一般的な名前かどうかわかりませんけれども町づくり協議会をつくらせていただいていますが、こういうものをどう支援していくかということについても必要ではなかろうかと思っております。  多少話が個々に立ち入っておりますが、そういう一つ一つの積み上げが私は都市計画のやはり地についた運びになるんではなかろうか、こう思っております。
  151. 奥村展三

    ○奥村展三君 ぜひ理解をしていただけるように、より以上のまた努力をしていただきたいと思います。  先ほども出ておったかもわかりませんが、建設後住宅用ということになるわけでありますけれども、結局他の用途、オフィスになってみたり、そのようなところに転用されたりというようなことがあってはならないんですが、この転用防止等につきまして定期的なチェックが私は必要だと思うんですけれども、何かそういう方策といいますか、お考えになっているところはありますか。
  152. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) 御指摘のとおりだろうと思います。基本的にはやはりこの制度住宅に着目して容積率の特例を与えるということでございますので、やはり転用即違法であるというふうなことでございます。  したがいまして、公共団体には台帳をきちっと整備していただきまして、定期的なパトロール等々もぜひお願いしたいというふうに思います。また、悪質な違反に対しましては、きちっとした形で建築基準法上の対応措置というふうなこともお願いすることになろうかと思います。
  153. 奥村展三

    ○奥村展三君 この際、大臣にちょっと所見をお伺いいたしたいんですが、土地の有効利用を妨げております不公平税制、このあり方をやはり論じていくべきではないかなというように私は思いますが、大臣はどのようなお考えをお持ちですか。
  154. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) まことに残念なことでありますが、税務当局の税務行政、これは我々政治家に責任があるわけであります、基本的には。いわゆるその時々にきちっと合った形での税務行政が残念ながらなされていない。閣僚の一人としてこんなことを申し上げるのは非常に恥ずかしいことでありますが、そのように実感をいたしております。  特に土地税制については、後追い後追いという状況が非常に事態の悪化を招いておるわけでありまして、そういう意味で今までのそうした反省を踏まえて、土地税制を含めて他の税制についても、政府としてもまた各党においても御検討されておられるようでございますけれども、政治の責任においてきっちりと早急にしていかなければならない、このように考えております。
  155. 奥村展三

    ○奥村展三君 ありがとうございました。  確かにいろいろ法律的な問題もあろうと思いますが、特にバブルの再現ということはあってはならないことでありますけれども、やはり税そのものの不公平があってはなりませんし、ぜひこれは政治の責任として、特に建設行政の中にそういう土地の有効利用をしていく上で、税制とあわせていろんな法律改正も推し進めていただくように希望いたしまして質問を終わります。  ありがとうございました。
  156. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時三十二分散会      ―――――・―――――