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1997-04-24 第140回国会 参議院 建設委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月二十四日(木曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  四月十七日     辞任        補欠選任      岩永 浩美君     橋本 聖子君      平田耕一君      岩井 國臣君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鴻池 祥肇君     理 事                 永田 良雄君                 山崎 正昭君                 市川 一朗君                 緒方 靖夫君     委 員                 井上  孝君                 岩井 國臣君                 坂野 重信君                 橋本 聖子君                 松谷蒼一郎君                 平野 貞夫君                 広中和歌子君                 福本 潤一君                 青木 薪次君                 赤桐  操君                 小川 勝也君                 久保  亘君                 奥村 展三君    国務大臣        建 設 大 臣  亀井 静香君    政府委員        国土庁防災局長  福田 秀文君        建設大臣官房長  小野 邦久君        建設省建設経済        局長       小鷲  茂君        建設省都市局長  木下 博夫君        建設省河川局長  尾田 栄章君        建設省住宅局長  小川 忠男君    事務局側        常任委員会専門        員        八島 秀雄君    説明員        公正取引委員会        事務総局審査局  梶山 省照君        管理企画課長        自治省財政局財        政課長      瀧野 欣彌君        消防庁防災課震        災対策指導室長  遠藤  勇君    参考人        住宅都市整備        公団理事     梅野捷一郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○密集市街地における防災街区の整備促進に関  する法律案内閣提出衆議院送付) ○密集市街地における防災街区の整備促進に関  する法律施行に伴う関係法律整備等に関す  る法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十七日、岩永浩美君及び平田耕一君が委員を辞任され、その補欠として橋本聖子君及び岩井國臣君が選任されました。     —————————————
  3. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  密集市街地における防災街区の整備促進に関する法律案並び密集市街地における防災街区の整備促進に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案審査のため、本日、住宅都市整備公団理事梅野捷一郎君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 密集市街地における防災街区の整備促進に関する法律案並び密集市街地における防災街区の整備促進に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案、以上両案を便宜一括して議題といたします。  両案の趣旨説明の聴取は既に終了しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 本日提案されております防災二法でございますが、これは阪神淡路大震災におきます被害が大変甚大であったということが一つ要因となってこの法律の制定ということになったのではないかというように思います。  そこで伺いますが、阪神淡路大震災におきます密集市街地被害状況及びなぜこうした甚大な被害に至ったのか、その要因について伺いたいと思います。
  7. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 既に被災がございまして二年余がたっておりますけれども地元でいろいろ努力をしております。  この後でいろいろ御議論があると思いますが、御質問のございました被害状況でございます。まず密集市街地中心といたしまして全壊の家屋が十万棟、それから死者が約六千三百人ということでございまして、とりわけ三百件に近い火災が発生しておりまして、それによって六十六ヘクタール、七千五百棟が被災を受けております。今回の場合は、御案内のとおり都市の直下に起こりました近来にない大きな地震でございまして、それが一番大きな原因だと思います。  都市構造的に申し上げますと、戦前に建てられました老朽木造住宅が大変密集している、そういう市街地であるということがまず一点挙げられると思います。それから、一時的避難場所でありますところとかあるいは避難路、そういうものが一方では延焼遮断効果を持つわけでございますけれども、そういうものが公共施設を含めまして大変不足している地域であったと、それから同時多発火災が起こって、これは大変消防力を上回る火災が起こったと、こういうようなのが挙げられると思います。  逆に、くどくなりますが、道路とかあるいは鉄道、公園、耐火建築物、こういうものがある一定の延焼遮断効果を発生いたしまして、関東大震災のときのような全面的な市街地火災が起こらなかったというところもございますので、これからの施策としてはそのあたりの経験を十分教訓として踏まえていかなきゃならないと、こう思っております。
  8. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 関東大震災まではなかったとしても非常に大きな災害が発生したわけでありますが、こういった大震災が起こるまでこういづた密集市街地地域について防災対策というものはとってなかったんでしょうか。
  9. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) 密集市街地念頭に置きました防災対策でございますが、歴史的には例えば市街地開発事業等々も相当程度やはり防災というふうなことを念頭に置いていたという面はあろうかと思います。ただ、密集しているというふうな点に着目して本格的に制度を構築し予算措置を講じ始めたのは昭和五十七年の木造賃貸住宅、いわゆる木賃と言っておりますが、木造賃貸住宅地区整備するための予算措置を講じたということで、昭和五十七年以来というふうに言っていいかと思います。  ただ、例えば神戸市について具体的な例で見ますと、神戸市におきましても震災前から市街地開発事業を着工していたのは全部で十六地区ございます。また、着工はしていませんが計画あるいは調査中のものは四地区ございました。また、ただいま申し上げました木造賃貸住宅関係対策を発展的に整備拡充した制度、これが全部で九地区神戸において現在進行形というふうなことでございました。したがいまして、それなり努力はしてきたつもりではございますが、結果としてああいう事態を招いたというふうなことでございます。  ただ、九地区で現在進行形であったと申し上げましたが、その大半はやはり市街地火災は免れましたが、そのうちの一部、長田地区におきまして進行形事業については市街地火災を結果として招いたというのが率直な状況でございます。
  10. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 関東大震災ほどの大火災が発生をしなかったというんですが、私も震災直後に現地に入りましたが、要するに老朽化した木造住宅地震によって瓦れきのようになってしまっているんですね。瓦れきのようになっているから火がなかなか延焼しない。だから、不幸中の幸いと言えば、幸いと言えるかどうかわかりませんが、そういうようなことが重なって大火災という形にはならなかったのかもしれません。しかし、それは果たして政策的に言えば褒められたことかどうか、なかなか疑問だと思うんですね。  遅まきながら昭和五十七年からいろいろな事業が発足をした。今回、新しい法案ができてきた。やっとこの密集市街地に対する国の取り組みが本格化するスタートになった。こういうことは非常に結構なことだと思うんですが、今回、この法案で想定をしております地域、どの程度地域があって、その地域状況はどんなふうな状況になるのか、それについてお伺いいたします。
  11. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) 極めて粗っぽいマクロ的な推計でございますが、防災上危険な密集市街地と目されている場所の合計でございますが、全国で大体二万五千ヘクタールに及んでいるというふうな状況で私ども理解いたしております。  ただ、二万五千ヘクタールの対応策につきましては、例えば理想形を言えば、大規模区画整理を行うとか、あるいは再開発事業を行って町そのものをきちっとした形で計画的につくり直すというふうなことができれば、それをやるにこしたことはないということでございますが、そうは言っても現実問題そう簡単にはいかないというふうなことから、修復的といいますか、少しずつ改善を積み上げるということで今回の法律をお願いしているわけでございます。  ただ、今回法律をつくるに当たっての下敷きになりました、先ほど木賃対策に端を発するいろんな予算措置を講じてきたと申し上げましたが、その事業全国で百五土地区、五千七百ヘクタールが現在整備が進められつつございます。この百五土地区のうちこの法律対象にしております市街化区域、ここに全部で百三土地区、五千五百ヘクタールが存在しております。したがいまして、これは公共団体の判断によろうかとは思いますが、百三土地区、五千五百ヘクタールの大多数はこの法律の手続に切りかわってくるのではないかという感じをいたしております。  それから、やはりまだ着手していないようなところにつきましても、また私ども法案を準備する過程公共団体といろんな打ち合わせを繰り返しておりますが、やはり相当程度問題意識が定着しているという状況もございますので、現在やっているものを切りかえること以外にも若干時間はかかるかと思いますが、かなりのベースで事業に着手していただけるという感じで受けとめております。
  12. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 今、大体の概略をいただきましたが、昭和五十七年からスタートしております木造賃貸住宅密集地区整備事業、これはまた密集住宅市街地整備促進事業平成六年から引き継がれていくわけでありますが、五十七年から平成五年までの木造賃貸住宅密集地区整備事業でどの程度成果があったのか、成果がなかったとすればどこにどういう原因があったのか。
  13. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) 今までにお答えしたことと若干ダブるかもしれませんが、この法案下敷きになった制度のきっかけというのは、昭和五十七年につくりました木造賃貸住宅除却、建てかえを念頭に置いた、予算用語でございますが木造賃貸住宅地区総合整備事業というものに端を発しておるわけでございます。その後いろんな意味で、対象地域を拡大するとか施策の中身を拡充するというふうなことで、現在の密集住宅市街地整備促進事業に切りかわったという経緯がございます。  それらを駆使して、累計で百六十四地区でございますか、着手してまいったわけでございますが、率直に申し上げまして、時間をかけた割にはいま一つ具体的な成果がぴりっとした形で達成できなかったという率直な思いがございます。なかなか定量的な形で御説明するのが難しくて恐縮でございますが、繰り返しでございますが、私どもの受けとめ方としてはもう少し何とかならないかという若干焦りに近い気持ちがあったというのが実情でございます。
  14. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 こういった地域は、例えば東京で京島とか大阪の庄内とか、現地に行けば確かにこれを整備するというのは大変なことだなという思いがいたします。  しかし、こういうものを放置しておくわけにはいかないわけですから、これは何とかしなくちゃいけない。今度の法案はこれが要因となって出されたわけでありますが、やはりこういった地区整備については国がやるということは当然ではありますけれども、基本的には地方公共団体が熱心にこれに取り組んでいかなければなかなか事業実施効果が出てこないと思うんです。ところが、地方公共団体はいろいろな人員上の制約予算上の制約等々あってこれに十分な体制協力ができないように思うんですが、例えば東京都の場合あるいは大阪府の場合、地方公共団体の関心度というんでしょうか、協力の形はどういうような状況にあり、これから先どういうような方向に向かっていくであろうかというように思われますか。
  15. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) 御指摘のとおり、こういった事業をスムーズに展開する場合には、何分にも密集地区というのは客観的状況が非常に厳しいということだけではなくて、いろんな意味での人間関係が積み重なっているところに難しさが基本的にはあるわけでございますので、やはり公共団体行政努力、それからマンパワーを大量に投入する、こういった条件が最低限必要になろうかと思います。  その意味では、私ども国としての役回りというのは、公共団体に注意を喚起するというふうなことプラス、公共団体が最大限の努力をしたとしてもやはり制度としてもう少し不備な点があるならばきちっとした制度を用意して差し上げるというのが一つ、それから財政的な形で応援できる点があれば応援をするというふうな要素がもう一つ、それから国が持っている組織力なりノウハウというものをお手伝いできるならば提供するというのが一つあろうかと思います。  そういうふうな文脈で見た場合の一つの国の努力のあらわれとして、こういう法案をつくる過程におきましても、通常の法律とは違いまして、何度か公共団体と繰り返し打ち合わせといいますか、意見を聞き、案をお示しし、それを訂正しというふうな作業を積み重ねてまいりました。その過程を通じまして、私どもの率直な印象としては、今お話しございました東京都あるいは大阪府あるいは大震災被害を受けました兵庫県等々におきましては、やはり財政状況が厳しい中でもやりくりをしてでも対応しなければならないという問題意識がかなり急速に高まってきているというふうな感じで受けとめております。
  16. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 この法案整備をしようという地域は主として大都市であろうというふうに思うのですが、大都市の中でも東京大阪あるいは大阪周辺になろうかと思いますが、私どもが調べた範囲では、東京密集市街地状況とそれから関西大阪での密集市街地状況がかなり異なっている。  例えば、関西の場合は道路はきちっと計画的につくられているんですが、住宅がまことに物すごく密集をしているんです。ところが東京の場合には、もう実に乱雑な道路に沿って、しかも四メーターどころかニメーターとかそういうような非常に狭小、乱脈な道路の中で密集市街地が広がっているというような状況があるわけです。したがって、その対策手法も異なると思うんですが、その点はいかがですか。
  17. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) 今お話しございましたように、関東関西で若干密集市街地形成プロセスが違っているという点があるような感じで私どももおります。  ただ、一つ共通しておりますのは、結果として住宅が極めて密集している、今となっては木造でございますので老朽化している住宅が多いという事実、それから区画街路といいますか細街路といいますか、これが極めて不備であるという状況等々は共通しているわけでございます。  ただ、生い立ちといいますか、密集市街地形成過程でよく言われますのは、例えば東京あたり密集市街地では庭先木賃というんでしょうか、地主さんが自分の家の前の空き地に賃貸住宅をおつくりになる、それを隣の方もさらにその隣の方もおつくりになる。それが結果として、庭先木賃がごちゃごちゃと集まったような町になってしまったというのが関東での主として生い立ちの歴史のようでございます。それに対して関西の場合には、大規模と言うと語弊がございますが、庭先というよりは郊外を地主さんが開発して長屋あるいは共同建て賃貸住宅をかなり大規模におつくりになった、それが連檐をしたというふうな状況が、今となってみれば極めて環境が悪く老朽化したというふうなことで、若干生い立ちプロセスが違うという点はございます。ただ、いろんな点を子細に見ますと、極端な言い方をいたしますと、その地区ごとにいろんな属性の違いというふうなことがあろうかと思います。  したがいまして、私ども法律をつくる場合には、各地区に共通するような手法といいますか対応策というものを準備した上で、その当てはめというか適用というふうなことについては、やはり地区属性なり特性というものを公共団体でいろいろ分析、検討していただいた上で、それぞれの地区の味つけをした上で運用していただくということがやはり必要になってくるのではないかというふうな感じがいたします。
  18. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 それと、東京大阪の場合は、東京の場合は東京都で、実質的にやるのは都でなくて区であるとしても都全体の行政組織の中でやるんですけれども大阪の場合は大阪市内というよりは大体その衛星都市が多いですね、寝屋川とか門真とか藤井寺とか。だから、逆に言えばそういう小さな市ですから機動力はいいんだけれども財政的な能力が余りないというような問題があるように思います。その辺を十分考慮してこの事業を実施していただきたいと思うわけであります。  ところで、こういった法案をつくって新しくこの密集市街地整備をやろうというのは結構でありますが、一方、今までいろいろな密集市街地に対する事業手法というものが制度としてあったわけですね。例えば、都市開発事業であるとかあるいは土地区画整理事業であるとか、こういうような手法があるわけですが、こういった手法でこの密集市街地整備ができないのかどうか。こういう行政改革の時代ですから、わざわざ新しい事業制度を導入しなくても都市開発事業で何とかできないのかどうか、その点はいかかですか。
  19. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 都市防災につきましては、もうこれまでも相当の我々としても意識を持ってやってまいりましたし、その経緯につきましては先ほど住宅局長の方からも、住宅関係での密集住宅市街地整備促進事業などという例も沿革を申し上げました。都市局におきましても道路沿い建築物不燃化事業どもあわせて予算措置でやっておりますし、先生お話のございましたような再開発事業、さらには区画整理事業、当然それぞれは都市防災の上では私は有力な施策ではあろうと思います。  そういう施策が既にありながらなぜ今回という御質問であろうかと思いますが、今回都市局なり住宅局一緒に考えましたのは、やはり地域的に権利関係が大変ふくそうしておるということが圧倒的に今回の問題意識として我々は強く持っておりまして、かてて加えて地域的には老朽住宅地があるということも状況的にはあるわけでございます。そういう中で地権者による段階的な市街地整備取り組みを何とか支援していきたい。  その法律根拠を置かしていただきたいということでございまして、大きくは三つばかり施策を取り上げておりまして、一つはどちらかといえばミクロ的な施策になりますけれども老朽木造建築物の建てかえ、除却促進のための施策をまず一つ取り上げていきたい。それから先ほど住宅局長の方から理想的と申し上げましたが、本来の防災性の向上のためには、何といいましても一つ都市計画という位置づけはしっかり将来の町づくりを長期的に見る意味でも必要であろうかと思いますから、そういう意味では都市計画制度関係での充実、さらにはそれに基づく土地権利移転促進していく仕組み、これを二番目に挙げております。三つ目には、何といいましてもやはり先ほど先生お話ございましたように、地元の熱意といいますか意欲というのを我々は支えていかなきゃいけないと思いますので、そういう意味から地域住民による取り組みに対しての支援体制、大きく分けましてこの三つぐらいを今度の法案中心的な施策にしておるわけでございます。  言うまでもないことでございますが、御指摘のございましたような再開発事業なり区画整理事業も、それなりに我々は政策目的も一致するところでございますから、それらをあわせて今回の法案が生かされるように、今後とも地元公共団体一緒に取り組むという姿勢は忘れないでいたいと思っております。
  20. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 今、都市局長からお話のあったことはそうだと思います。  しかし、それにしてもこういった地域整備についての制度というものは非常に多いんです。過密住宅地区更新事業木造賃貸住宅地区総合整備事業住環境整備モデル事業木造賃貸住宅密集地区整備事業、それから老朽住宅除却促進事業、さらには今言った都市開発事業とか土地区画整理事業。えらい盛りだくさんにあって、しかも事業事業の違いはちょっとした補助要件の違いで事業が異なるとか、そういうようなものもあるわけですが、余り煩雑になり過ぎて、さらに今度はこういった法案ができて、この法案で全部今までの事業を整理統合して強力なものにするというならまだわかるんだけれども、また屋上屋を重ねていく。そうすると今度は地方公共団体の方も、一体どの手法を使ったらいいんだろうかとか迷ったりしてこないだろうか。  まして行政改革をこれから橋本内閣としてはやろうというとき、あるいは規制緩和もやろう、こういうときに煩雑になって事業が逆に進捗しないようなことになりはしないだろうか。あるいはこういった今までの事業を、もう必要でないものはこれはやめて新しい事業に統合する、こういうような考え方はないものか、いかがですか。
  21. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 基本的には、先に結論を申し上げて恐縮でございますが、先生の御指摘のとおりでございまして、我々はそこについては何らの異存はございません。  今おっしゃられたように、私も改めて名前を申し上げますとこれだけで大変お答えの時間が長くなりますので、あえて省略させていただきますが、ただ建設省といたしましても、やはり先ほど申し上げました二万五千ヘクタールと言われております密集住宅の大変危険な地域につきまして、それぞれ御案内のとおり地域地域の事情が違うわけでございますので、それぞれの地域に合った事業をという気持ちも一方である中で今まで積み重ねておりました。  ただ、地方にとって大変使い勝手が悪いとかあるいは非常に制度がわかりにくい、これはもう私どもにとっては大変致命的なことでございますから、そういう意味ではまさに行革の精神の中では事業予算、それらにつきましてはもっともっと簡略化といいますか合理化をしなきゃいけない。  それで、既に平成七年ぐらいからもそういうことで省を挙げて各分野ごとに取り組んでおりますが、この世界でも例えば先ほど住宅局長も答えましたけれども密集住宅市街地整備促進事業どもそういう意味では類似のものをまとめさせていただいておりますし、都市局の方でもことしからこの法律に沿った形で、新しく都市構造再編促進事業ということで多くの事業一つに束ねる形でぜひ予算の中で運用していきたいと思っております。  いずれにせよ、そうしたことで今回は法律的には、仕掛けといいますか仕組み、これは先ほど申し上げました三つの柱を中心とする仕組みでございますが、関連する予算措置につきましては極力私ども合理化を図りたい、こう考えております。
  22. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 今、都市局長からお話のあったことは私も理解できますが、ちょっとした事業の違いというのは、いわゆる採択要件がありますね、その事業を採択できるかどうか。その採択要件が、例えば市街地住宅密集程度が、耐火構造の割合がどのぐらいあるかとか、面積がどのぐらいあるかとか、道路を四万を囲まれているか二万しか囲まれていないかとか、そういうようなわずかなその採択要件の違いで事業そのものが変わっていく、こういうようなのが結構ありますね。  だから、この辺は建設省というよりは大蔵省がおかしいんじゃないかと私は思うんですね。大蔵省が細かいことを言って事業を全部細分化するようなところがある。きょうは大蔵省は呼ばなかったのでしまったと思いましたけれども、大蔵省を呼ぶべきだと思ったんだけれども、しかしその辺は建設省としても財政当局に対して堂々と要求をして、できるだけすっきりした形で事業が行われるようにしたらどうかなと思うんですね。  私自身以前いたときにわからないんだものね。この事業とこの事業と何で違うんだろうかな、採択要件が少し違う、少し違うぐらいでどうしてこんなに新しい事業をつくっていかなくちゃならないのかという、随分内部でも議論しましたけれども、これをやめるというのはなかなか難しいんだな。どうしても新しいのがどんどんできてきて、恐らく今やれば十ぐらいになるんじゃないでしょうか、その密集市街地住宅についての事業は。今度また法案ができたからまた二つぐらいふえますからね。そういう点はぜひ心していかないと、どんどんふえていって最後にはもう都市局長住宅局長もわからないようになってしまうんじゃないか。その辺、ひとつ十分御理解いただいた上でこの法案に取り組んでいただきたいというように思います。  ところで、法案の中身に入りますが、老朽住宅に対する除却勧告という条文があります。これは結構な規定でありますが、勧告ですから、勧告ということで果たしてどの程度の実効性が担保されるのかどうか。あわせて、除却勧告して家主さんが除却をする、借家人の同意も得るとした場合に、その支援措置というものはどういうふうに考えられているのか。
  23. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) この法律除却勧告という新しい制度をつくったわけでございますが、勧告ということの法的意味合いでございますが、御指摘のとおりそれ自体に強制力があるわけではなくて、平たい言い方をすれば行政指導を法文化した、法制化したというふうな意味合いかと思います。  ただ、これに対比して、ではもう少し強力な法的効果を伴った制度となりますと、恐らく行政命令のような手続になるのかと思います。ただ、現実の問題の複雑さと事柄の実態を考えますと、行政指導的な性格ではございますが、やはり現地に入って繰り返し繰り返し御相談を積み重ねながら行政を展開していくということがどうしても避けて通れないだろうと思います。その意味では勧告というもの、それ自体制度として孤立しているというよりは、やはり勧告に先立って現地調査をする、あるいは所有者の方々といろんな打ち合わせ、善後措置を御相談するという積み重ねがむしろ重要じゃないかという感じはいたします。  その意味では、法律的に単に命令だというよりは、勧告という制度にしておいた上で現実の行政のやりとりを積み重ねていくことに本来的な期待といいますか、役回りがあるんではないかという感じがいたします。  それと、やはりそういう勧告を裏づけるあるいは支えるようなものとして、今御指摘がございましたようないろんな意味での支援措置、これを強化しておくこともやはりどうしても必要であろうかと思います。現在、法案とあわせまして準備いたしました勧告の裏打ちになります支援措置として、大きく言って二つございます。  一つは、除却勧告を受けて延焼危険建築物を建てかえる。建てかえるものが住宅であった場合には、住宅金融公庫の融資について考え得る最高限の強化措置を講じております。  具体的には、償還期間につきまして三年間の据置期間を設けるというふうなのが一つ。それからもう一つは金融公庫の融資。基準金利につきましても補給金が入るのは十年間で打ちどめでございますが、今回の勧告を受けて住宅つくり直す場合には段階金利の適用を外しまして、例えば二十三年間の償還期間でございましたら二十三年間補給金が入るという特例中の特例の措置を講じております。それから住宅政策として金融公庫を考える場合には、つくり上げられた建築の規模でございますとか敷地についていろんな制約がございますが、ただ密集住宅地は繰り返し申し上げておりますように極めて特異な状況でございます、敷地が狭いとかごちゃごちゃしている。そういうふうなことについて余り理想型を追って敷地を細かく言ってみたところで始まらないということから、政策としては異例でございますが、でき上がる住宅規模でございますとか敷地の規模について制約をほとんど取り払ってしまった、融資の対象にするというふうな形等々、かなり強力な融資政策を準備いたしております。  それからもう一つは、老朽化しました木造建築物を共同あるいは協調して建てかえる、建てかえるというのは住宅だけではなくて普通の店舗等も含みますが、建てかえる場合には、除却費でございますとか工事費の一部につきまして国庫補助制度を新たに創設しておるということでございまして、国と公共団体で三分の一ずつ除却費と共同施設の整備費、これを補助対象として補助をいたしたい。物によって若干違いますが、総工事費の最大限一〇%程度まで補助の対象になるというふうな形で支援措置を準備いたしております。  以上でございます。
  24. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 今、除却勧告の考え方について住宅局長から伺いましたが、確かに事業を実施しようというときにはそういった勧告の方がいいのかもしれませんね。  ただ、そうは言いながら建築基準法の第十条には、保安上危険な老朽住宅については除却命令が出せるようになっている。したがって、建築基準法でいけるんじゃないかとも思うんですが、その辺の関係はどうですか。
  25. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) ただいま御指摘になりましたように、建築基準法の十条には勧告よりもはるかに強力な除却命令、最後は代執行ができるというふうな法的な制度がございます。  ただ、局長の立場で言うのはいかがかとは思いますが、やはり日本的行政風土を前提にした場合に、命令権がある、最後は代執行ができると申しましても、やはり極めて特異な事象でないと発動は現実的には非常に難しいというのが行政運用を預かる立場の率直な実感でございます。  したがいまして、法律の相互関係からいきますと、この法律で準備いたしました勧告について従わなかったというふうなケースを想定した場合に、勧告を繰り返すというふうなこともございますし、勧告を繰り返すだけではなくて、勧告の対象となった建築物は極めて保安上危険であるというふうな事態にまで立ち至る場合には建築基準法の行政命令に移行していくというケースも理論的にはあり得るのかなと。その意味では、行政命令に先行する行政上の措置というふうな受けとめ方も可能であろうかというふうな感じがいたしております。
  26. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 では、勧告は繰り返しができるわけですね。除却しなければ、かつまた非常に老朽して危険だというような状況が解除されない限りは何度も勧告をすると、こういうことですね。  その除却に関連しまして借地借家法の適用除外の規定がありますが、これはなかなか難しい問題であると思うんですね。借家人がそこに住んでいるわけですが、除却しますからどうぞ出ていってくださいと、こういうことですから。したがって、何もかも除却が決まれば借家人を借地借家法の適用除外で追い出すというわけにもいかないと思うんですが、具体的に実際にはどういうような要件のもとでこれを実施するということになりますでしょうか。
  27. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) この法律を考える際に一番悩んだといいますか、何としても越えなければならない問題点の最大のテーマが、賃貸借関係がいろんな形で横たわっていて、借家人の方々がいらっしゃる、この方々に対してどういう対応措置を法制上講ずればいいのかというのが恐らく最大の問題であったかと思います。  といいますのは、関東関西を問わず密集市街地密集住宅地と言われるところでいろんな調査をいたしますと、何が一番行政としてネックになっているのか、整備をする際のネックかというふうなアンケートをとりますと、幾つか共通項がございます。  一つは、地区によって違いますが、最大の要因はやはり賃貸借関係をどうやって整理をするのか、賃借り人の方々に対してどういう対応をすればいいのか、これが一番困るというふうなところと、それからもう一つは、区画街路あたりが余りにもなさ過ぎる、その辺の整備が大変だということを最大の要因に挙げる地区と、いろいろございますが、いずれにせよ一番目、二番目あたりを賃借関係の問題が占めているというふうな事実がございます。  そういうふうなことを念頭に置きまして、私どもこの法律でつくった制度として居住安定計画の認定制度というのがございます。除却勧告を受けた建物が賃貸住宅である場合には、賃貸住宅の所有者が居住安定計画というものをつくった上で市町村の認定を受ける。その計画の中では賃借り人の方々をどちらの方に移すのか、転居していただくのかということをきちっとした形で計画をおつくりいただいて、市町村がチェックした上で認定するということでございまして、その認定の効果として、きちっと賃借り人の方々に代替住宅を市町村の責任において準備するということを片方の法律条項として決め、片方のそのバランスの問題として、それがきちっとした妥当なものである場合には借地借家法の正当事由といいますか、明け渡す場合のいろんな条項がございますが、この規定を適用しないと明文で法制上位置づけたというふうなことでございます。  くどいようでございますが、居住安定計画制度を支えているのは二つございます。市町村の責任で代替住宅をきちっとした形で準備するということが片方の中心にございまして、その見返りとして正当事由の規定は適用しないという形にさせていただいたわけでございます。  それで、代替住宅という概念でございますが、幾つか要件がございます。やはり一番ポイントになりますのは居住者の世帯構成等々を勘案いたしまして、規模でございますとか構造あるいは設備、家賃が妥当な水準の代替住宅であること、これが一つ。それからもう一つは、居住者の生活環境に著しい変化を及ぼさない地域内に確保されるというふうな二つの要件、これが代替住宅の条件として法定化されているということでございます。あくまでもその二つの運用の制度のバランスの上で現実の当てはめというふうなことを行っていくということであろうかと思います。
  28. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 その明け渡し計画の認定というのはどこがやるんですか。
  29. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) 市町村でございます。
  30. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 そういうようなことで、明け渡し計画ができて、認可をされて、他の場所に借家人を移動させる。その場合に、やはり一番問題なのは家賃だろうと思うんです。私たちがたしか、今は変わったかどうか知りませんが、東池袋あたりの借間、借家というよりは借間は非常に小さくて月二千円とか三千円とかおよそ信じられないほどの安い家賃、借室料で、これを新しいところに引き渡して、物はよくなるんでしょうが、果たして家賃がきちっと借家人に十分満足できるような形で引き渡しができるかどうか、そこのところが大変難しいと思うんですけれども、いかがですか。
  31. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) 家賃の問題といいますのは非常に難しい問題だと思います。ただ、恐らく代替住宅相当程度は公営住宅を用意するか、もし近場になければ民間の住宅を公営住宅として借り上げた上で提供するということがかなりのウエートを占めるんじゃないかという感じがいたします。  ただ、その場合の公営住宅の家賃の決め方でございますが、昨年から公営住宅法を改正させていただきまして、応能応益主義といいますか、入居者の支払い能力に応じて割合きめ細かく家賃を設定するというふうな形に公営住宅法の家賃体系が切りかわっております。したがいまして、理屈を言えば代替住宅である公営住宅に入居される方の支払い能力に応じた家賃で結構でございますというのが公営住宅法の考え方になっております。  ただ、そうは言いましてもそれなりのというふうなことは現実でございますので、今、先生おっしゃいましたように二千円、三千円、五千円というところとは若干の開きが現実にはあろうかと思います。そういうふうな場合を念頭に置きまして、公営住宅の家賃体系が応能応益主義だという前提のもとでもなおかつ開きがあり得るということを念頭に置いて五年間の激変緩和措置、激変というのかどうかわかりませんが、それなりのギャップを五年間かけて少しずつ埋め合わせをしていきますという形での制度をつくった上で、その激変緩和に要する財源について国庫補助制度をつくっているというのが現在のこの法案制度でございます。
  32. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 なかなか難しいとは思いますが、ひとつ大いに頑張ってやっていただきたいと思います。  ところで、本法案の中で地区を指定するわけですが、防災再開発促進地区の設定がありますね。その地域を設定してこの事業を行う、こういうことであります。さらに、その地域に対して防災街整備地区計画を定めるとなっておりますが、地区計画は御案内のとおり非常にきちっとした計画で、例えば道路の幅員にしても建築基準法であれば通常四メーター道路でいいんですが、地区計画ともなれば六メーターの道路を必要とするとか、いろいろな難しい要件があります。なぜこういう非常に事業がやりにくいところに屋上屋を重ねるような形でこういった防災街整備地区計画を定める必要があるのか、この点はいかがですか。
  33. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) まず地区計画の基本のことをお話しするのが先かと思いますけれども、御承知のとおりに昭和五十五年に地区計画制度が創設されておりまして、その後それぞれの地域の方々の御意見などを聞きながら、市町村におきまして現在では全国で数にしまして約二千を上回る地区地区計画制度として活用されております。私どもはこの姿は、あるいは本来の町づくりというのは一定の広がりのある中で、今おっしゃられたようにそれぞれの制限はかかりますけれども、住環境も含めましてですが、いわばよりよき地域環境をつくっていくという意味ではこの地区計画制度が大分地についてきた、こういう印象を持っております。  今、御質問ございましたように、なるほど確かにそういう発想からいたしましても、地区全体の環境がよくなるにしてもいろいろ制限がかかるんじゃなかろうかという御質問であろうと思いますが、そもそも今回の法案の流れといたしましては、まず知事におきましてその地区が大変防災的に危険であろうというところにつきましていわば方針を立てまして、その方針の中で促進地区というのを決めます。その促進地区のより具体化の中で、今おっしゃられたような地区計画制度を決めたところでとまりではなくて、その次に権利移転促進計画というのをその下にまたつなげるわけでございます。  これは何かと申し上げますと、それぞれの権利者が先ほど申し上げましたように大変ふくそうしておりますが、大々的な区画整理とか再開発をするにはいささか面的にも大変広がりを持つということで実効が上がらないということも現実の問題でございますので、むしろ権利者同士がそうした地区計画に基づいた権利移転促進計画を決められればいわば権利の移転をスムーズにできる、それを税制的にも応援させていただくということで、より全面的な権利のいわば移転統合ではなくて部分的なこともできるような形で地区計画というのをベースに置かせていただきました。  なるほど地区計画につきまして、我々としても条件的にも大変厳しい面もあろうかと思いますが、これはそれぞれの地域をこれから点検いたしまして、目的でございますから当然防災上の効果が上がるようなものについて計画事項として決めていかなきゃなりませんので、そういう意味では建築物の構造とかあるいは間口、さらにはそれぞれのセットバック空間における工作物の設置制限などを決めさせていただくことは防災上やむを得ないことであると思いますが、そのあたり地元住民あるいは市町村とよく御相談されて、より地区計画の趣旨が生かされつつ防災上にも役立つようなそういう指導を私どもでさせていただきたい、こう思っております。
  34. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 この法案における事業実施地域は、基本的には恐らく東京大阪というような大都市圏を想定しているんじゃないかと思うんですが、これは市街化区域ですね、他の地域はだめなんですね、この事業実施は。  もちろん地方都市だって市街化区域があるわけですが、地方都市にもこういうような密集市街地はかなりの頻度で広がっております。それから農漁村、農村はそうでもないでしょうけれども、漁村は非常に悪い環境の中で市街地が広がっているところが多いんですが、そういうところにも適用をすることができるのかどうか、考え方はいかがでしょうか。
  35. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 先ほど来お答えしておりますが、我々いろいろ前提を置いた上でございますが、全国で約二万五千ヘクタールという一応の目標を立てさせていただいております。こういう大変大きなスケールでございますから、一気に対策が立つかどうかというのはいささか心配な点もないわけではございませんが、その二万五千ヘクタールのうちのおおむね六五%が三大都市圏というふうに承知しておりますから、残り三五%強が地方圏と御認識いただいてよかろうかと思います。  いずれにせよ、先ほども申し上げましたように、いわば都市計画法の整・開・保の世界でまずベースを置きますので、市街化区域でございますので、そういう点では、委員質問ありましたように地方都市あるいは農漁村地域でありましても市街化区域であれば当然前提としてクリアはされているわけでありますが、全国的に密集度あるいは木造率のより高いところから順次やるわけでございますから、そのあたりはおのずと地域間のプライオリティーはあろうかと思います。  そこの地域に入らなくても、あるいは市街化区域から外れておりましても、これは法律対象にはならないかと思いますが、当然これらの手法を使いまして、とりわけおっしゃられたのは、恐らく後背地に山が迫っていて前面は海でという大変限られた空間の中でいろいろ漁村の生活というのを営んでおられるところは、水の問題も含めてでありましょうが、火災の点でも大変危険なことは我々はイメージとしてもよく承知しておりますので、そこはそれなり予算措置ども、先ほどたくさん名前だけあるじゃないかという御指摘もありましたけれども、それらの事業を統合化する中でより使いやすい、整理をする中で今お話のあった地域にも活用させていただくということで前向きに取り組みたい、こう考えております。
  36. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 非常に前向きな発言で、期待しております。私のところの長崎県は漁村が非常に多くて、こういう悪化した市街地の漁村が多いわけでございますから、今の都市局長の御答弁を伺いまして、ぜひ適用していただくようお願いをいたします。  ところで、自治省の方は見えていますか。  この事業は、冒頭私が申し上げましたように市町村が主体としてやるわけで、国はいろいろな法律的な環境の整備を図ったり、あるいは助成措置を講じたりそういうことはありますが、主体は市町村、恐らく市町村の固有の業務に属するんじゃないかと思うんです。  そういう意味では、市町村に対して自治省としても大いに督励をしていただきたいと思いますし、市町村の職員の熱意がきちっとなければなかなかこの事業は進展しない。ただ、職員の熱意といっても比較的人員が限られておりますから、やはり人員の確保あるいは財政的な措置について自治省としても十分理解をしていただき前向きに検討していただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  37. 瀧野欣彌

    説明員瀧野欣彌君) 老朽化いたしました木造建築が密集します市街地につきましては、火事や地震に対しまして防災上危険な状況にあるわけでありまして、これまでにおきましても市町村におきまして安全で住みやすい町づくりを推進する観点から、それぞれの地域におきまして密集市街地整備のために取り組みが積極的に行われてきたというふうに考えておりますし、今回の法案との関連の中でさらに関心も高まってきているというふうに思うわけでございます。  今回、密集市街地法案におきましてこういった地域取り組みをさらに促進するということで総合的な法整備をお図りになるということでございました。これまでも市町村でさまざまな取り組みをしてきておる、そういった取り組みの蓄積あるいは職員のノウハウ、こういったものは十分活用できるというふうに考えております。  自治省といたしましても、今後、事業の実施状況を十分見きわめながら、それぞれの団体の財政状況に支障のないように地方財政措置を講じてまいりたいというふうに考えております。
  38. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 住都公団の梅野理事が来ておりますが、本事業については住都公団の活用も規定をされております。具体的にはどういうような事例の場合に公団がこれに関与し事業の推進を行うようになるのか、建設省並びに住都公団の方から答弁をお願いいたします。
  39. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) 建設省の立場から、密集市街地と住都公団のかかわりを見ました場合には、一方で密集市街地の最大の問題というのは、とてつもないマンパワーがかかるというのが一つございます。その意味では、なかなか市町村の行政能力では限界を超えているケースがあり得るというのはマンパワーの点から一つございます。マンパワーという中には当然技術力とかいろんなノウハウも含めての話でございます。  一方で、住都公団の方から見ますと、やはりいろんな形で、お話しさせていただきましたように大臣の指揮のもとで住都公団の大改革の構想を今進めつつございます。その中の柱の一つがやはりもう少しきちっとした町を再編成する、町づくり再開発というふうなことに軸足を移すべきだという認識が一つございます。  その二つを念頭に置きまして、やはり市町村のヤンパワーの不足、技術力の不足というふうなものを専門家集団としての住都公団が町づくりの能力といいますか力をこういうふうなプロジェクトに適用するということを法律上きちっと位置づけたということでございます。  したがいまして、公団の仕事の仕方というのは技術者集団としての公団のノウハウを適用するわけでございますから、基本的には市町村といろんな御相談をしながら現地状況を調査し、構想をつくるというふうなところから始まりまして、場合によっては受け皿住宅といいますか、入居者を一括して引き受けるような大規模住宅をつくるということまで多岐にわたろうかと思います。  具体的には公団の理事からお願いいたしたいと思います。
  40. 梅野捷一郎

    参考人梅野捷一郎君) ただいま住宅局長からお話がございましたようなことで、本法案におきましても私どものノウハウあるいは地方公共団体事業の実施の能力という現状から特別な特例が設けられているものと理解しているところでございます。  私ども、従来からこの種の地区につきましてさまざまな整備事業を進めてきておるわけでございますが、密集住宅市街地整備促進事業という最も中核になっている事業におきましても、一つ地区であるいは土地区では公共団体協力しながら現実にも事業を進めてきたところでございます。  そのほか、こういう地区に共通する課題を持っておりますところで再開発を初めいろいろなところで事業を実施してきたわけでございますが、先ほど議論にもございましたように、それぞれの地区には共通した面もございますが、一つ一つ地区の性格も特色があるといいますか、独特の性格もあるわけでございまして、例えば再開発事業でも百十七地区で実は経験をいたしておりますが、それぞれが一つずつ違う。そういうものを私どもの公団の全体としてはノウハウとマンパワーということで蓄積をしてきている、そういう特色を生かして公共団体と御協力しながら進めていく、こういう形で私どもに期待もされていると思いますし、今お話がございましたような改革の方向の中でも特に力を入れて取り組んでいくべきものだというふうに考えているところでございます。
  41. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 住都公団の改廃が行政改革の基本的な流れの中で問題になってきております。分譲住宅から撤退をし、賃貸住宅も必要なものだけに限るとか、あるいは再開発を中心に据えていくとかいうようないろいろな考え方が出されております。  私は、やはり住都公団は公的な使命があるわけですから、こういう法案に掲げられたような密集市街地整備とかそういうようなことに積極的にどんどん進出をして、地方公共団体では今自治省から話があったようになかなか難しい面もある。ここで人員を直ちに拡大するということも難しいでしょう。それを住都公団の一つの大きな役割としてどんどんやっていっていただきたいというように思うわけです。それが建設大臣のおっしゃられていたいわゆる住都公団を再開発の一つの大きな柱にしながら大きく発展をしていくということにつながるというように思うわけです。  今までは、住都公団というのは大体ニュータウンを志向して、それでニュータウンというのはやっぱりどうしても遠いですから、そこで分譲住宅を売ろうとしても遠高狭じゃないけれどもなかなか売れない、売れ残りが出るとかいうようなことがありましたが、今後はできるだけ都心整備型に切りかえていって、都心の中にこれだけ、例えば東池袋だとか京島だとか大阪でいえば庄内とか、いろんな密集市街地が広がりがあるわけですから、そういうところに都市政策の先兵として公団が切り込んでいくというような役割に切りかえていくべきではないかと思うんですが、建設大臣はいかがでございましょうか。
  42. 亀井静香

    ○国務大臣(亀井静香君) 委員のお考え、基本的に私どもの考えでいることと全く同じでございまして、委員指摘のように住都公団の今後の役割、地域整備公団との業務内容をどう調整していくかというような問題はございますけれども、そうした都市の再開発、この法案の中にもその役割を明記いたしておるわけであります。  こうした密集市街地整備していく場合に、ただ民間主導といいますか、地主さん主導とかにしておきますと一つの問題が起きますのは、確かに防災上の問題点は解消をされるかもしれませんが、自治体が用意するところに入居して、ではまた帰ってこれるかという形になりますと、ここがやっぱり一つのポイントでございます。町づくりというのはやはり人のためにやるわけでありますから、現にそこに住んでおられる方々、低所得で安い家賃で入居しておられる方々に防災上の観点からそこを整理するために出ていってもらうという、そういう私は密集市街地整備であってはならないと思うわけでありますので、やはりそこに住んでおられる人のためのこれは整備でありますから、一時的には外に移転していただくにしても、長い間住んでいるところに帰っていただけるような、そうした完成をやはり目指すべきであります。  そういう面で申しますと、その土地を、このたびの国会に提出をいたしますけれども、容積率の問題その他の問題でこれをできるだけ高度利用することによってコストを下げていく、そういう中で一時的に立ち退いておられた方々がまた安い家賃でも戻ってこれるようなそういう場所も、そういう住宅も提供していけるような配慮というのは民間主導というだけじゃなくて、住都公団といういわば半ば公的な性格のあるものが自治体と一緒にコミットしていくことによってそういうことも現実に可能になってくる面も多いのではないかなと、このようにも期待もいたしておるわけでございまして、委員指摘のような役割を果たさせていきたい、このように考えております。
  43. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 それでは最後に、既存の市街地の再開発、再整備、こういうものはこれからの住宅都市政策の根幹であるというように思います。そのための一つの柱としてこの防災二法が提案をされた。提案はされた、成立はした、しかしそのままで余り事業の実施はされなかったというのでは困るわけで、やはり今、建設大臣からお話がありましたように都市政策の根幹が再開発を中心とした都心の整備であるということでありますので、これが成立した暁には建設省としても大いなる決意を持ってやっていただきたいと思います。  若干重複するかもしれませんが、最後に建設大臣の決意を伺いまして、私の質問を終わります。
  44. 亀井静香

    ○国務大臣(亀井静香君) 先ほども御答弁を申し上げましたけれども委員のこの法律に寄せておられる御期待、まさに我々が目指しておるところでございまして、この法案の審議の過程の中で、この法律の運用につきましてもぜひ皆様方からいろいろと具体的な御指導を賜る、そういう審議の中でこの法律を成立させ、そうして目的に合った施行をしてまいりたい、このように考えております。
  45. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 ちょっと早いですけれども、終わります。
  46. 広中和歌子

    広中和歌子君 阪神淡路大震災による被災市街地の再建状況、そしてまた再建に当たっての問題点などをまずお伺いいたします。
  47. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 先ほど松谷先生からの御質問も若干ございましたけれども、もう既に二年余たっております。我々も補正予算も通じて大変再建に対して、建設省だけではございませんが、政府全体で取り組んでおりまして、道路とか下水道とか、その他の公共施設それなりに回復していくと思いますが、いわば最後の頑張りをしなきゃいけない時期に来ておると思います。  九年度予算でもそれなりに大臣からの指示をいただいておりまして、復興に当たっての予算は抜かりなくやらせていただいているつもりでございますが、御質問被災市街地の再建状況ということでございます。  まとまりのある面整備という意味では、私ども担当しております区画整理事業とかあるいは再開発事業、こういうところで合わせて二十四地区を現在担当しておりまして、若干細かくなりますが内訳を申し上げますと、土地区画整理事業は十八地区、現在十五地区につきましては地元との、公共団体との間での調整といいますか話し合いがつきまして事業計画が決まっておりまして、かつ七地区については仮換地指定もやりましたので、いよいよ本格的な事業化という状況だと御認識いただいていいと思います。  それからもう一つ市街地開発事業につきましては六地区のうちで五地区事業計画が決定されておりまして、既に三地区では建築工事にもう入っております。残っておりますところにつきましてもことしの六月までには何とか着手したい、こういう考え方でおります。全体的には、大変多くの震災による経験を踏まえまして、新しい町づくりということで今地元を挙げて頑張っていただいております。その周辺には、例えば住都公団の二百数十名を超える方々との御協力とか、国、地方公共団体の連携があるわけでございます。  何はともあれ、今回の問題点ということになりますと、やはり我々が事業をやってまいりまして感じるのは、非常に大きなショッキングなこういう震災があったということで、精神的に大変地元の方も今動揺しておられることも事実でございます。新しい町づくりになりますと、今までの町についての多少執着はあろうかと思いますけれども、せっかくの機会だからこの際本当の町づくりをしたいという御期待がある一方では、さはさりながら毎日毎日の生活がございますから、一刻も早く新しい町ができ上がることということでいろいろ事業計画を御相談させていただくときに、大変これからの町づくりのビジョンに対してのコンセンサスが双方でいろいろ議論があるように聞いております。その中で調和点を求めながら計画を進めていただいていますが、そういう意味ではサポート役のコンサルあるいはコーディネーター、こういう人たちの力が大変今重要な時期を迎えていると思っております。
  48. 広中和歌子

    広中和歌子君 私の場合、テレビなどで状況を聞くばかりなのでございますけれども、更地に、火事で焼けて、家が倒壊して、そういうような状況でありましてもやはり地元の方々の土地へのこだわりというんでしょうか、地域へのこだわり、そういうものがあって再開発が非常に難航しているんじゃないかなというような印象を持ったんでございますが、それはきちんと解決されつつ、進捗状況はいいというふうに考えてよろしいんでしょうか。  そして、この御経験が今度の密集市街地のこの新しい法案にどのように反映されているのかという点も含めてお答えいただきたいと思います。
  49. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 全国的にそれぞれの地域の特色がありますから一概な言い方をするのはいけないかもわかりませんけれども、今回の震災神戸あるいは阪神地区というのは町づくりの上では過去におきましても大変積極的な地域だというふうに私ども思っておりますし、恐らく大方の方はそういう御認識であると思います。そういう地域でありますから、私は一般的な事業に比べて正直申し上げていろんな苦労はあったかと思いますが、時間的にはかなりスピードが早い中で町づくりが形成されたと思います。  しかし、先ほど申し上げましたように、さはさりながら何といいましてもそれぞれのお住まいの方々が一遍に失うものが大変大きかったわけでありますから、公共事業などをあわせてやっていく際にもそのコンセンサスづくりというのはなかなか大変だったと思います。  一般的なことで申し上げますと、町づくりのときには三つの力が必要だと言っております。一つはやはり地元の住民の方、一つはそれを支える公共団体を含めて行政の力、それからその橋渡しをするコンサルを含めました知恵を授けていただく方々じゃなかろうかと思います。今回も大変そういう意味では地元にいろいろ育ってきた町づくりに対する意欲と、それから今申し上げた橋渡しをするコーディネーター役をする方がそこそこいらっしゃったし、神戸市などの例で申し上げると、町づくり協議会などの設置も過去にやってまいりまして、それをサポートするコーディネーターがそれなりにいたと思いますので、そういう条件はかなり私はよかったと思いますが、先ほど申し上げました進捗状況でございますから、なお一層地元の方々の努力の中で我々もそれに対して応援をさせていただきたいと思っております。
  50. 広中和歌子

    広中和歌子君 今、地元の住民の参加、それから行政の力、コンサルタント、この三つの力が相まって都市再開発が進んでいくんだというふうにおっしゃいましたけれども、このコンサルタントと住民の力ですね、この参加力、住民の参加。それから、コンサルタントという新しい職業分野というのは阪神・淡路を契機により大きく育っているというふうに受けとめてよろしいんでしょうか。これは通告にない質問でございますが。
  51. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 急にそうした素材が育つかどうかということは私もお答えするほどの情報を持っておりませんが、実は建設省の方でも、昨年私が都市局長になりましてから、早速その一年余たっております状況を聞く際に、公共団体だけではなく生の姿という意味ではコンサルの多くの方に建設省に来ていただいて、いろいろ地元の事情を聞いた機会がございましたけれども、今おっしゃられたように、その方々のやっぱり言葉の端々には、自分たちのネットワークといいますか仲間づくりもやっておりますので、今回の機会というのはそういう一つ地震という大変大きな貴重な経験を踏んでおりますが、先生も御質問になったように、育っているかという数は別といたしまして、私は状況的にはそういうものが醸成されている状況ではなかろうかと思っております。
  52. 広中和歌子

    広中和歌子君 私はそれは非常に大切だと思いますし、それからまた住民の声が反映されるという仕組みみたいなもの、これが今後の町づくりということの上で非常に大切なんじゃないかと思います。  去る四月八日でございますが、この建設委員会密集市街地の例として東京で二カ所、密集住宅市街地整備促進事業の指定を受けた二カ所を見学してまいりましたが、町づくりについていろいろ考えさせられたところでございます。この点につきまして建設大臣にお伺いしたいと思いますので、ちょっと聞いていてください。  阪神大震災以降、防災上からも都市再開発の必要性が認識されていることはもう全く事実でございます。しかし、町は、特に密集市街地それなりの歴史がございます。人に歴史がありというように、人が生まれ育ち働きそして老後を迎えるように、町にも独自のメタボリズムを持って成長し活性化し、あるいは成熟化し、そしてまた衰退する場合もございます。そのエレメントというのは人間でありコミュニティーである。よそ者にはわからないその町には生命力というんでしょうか、魅力がある。住み心地もいいわけでございます。よそ者がそこへ行って、汚いねとか、小さいねとか、危ないねとか言っても、その人たちにとってはなれ親しんだ古着みたいなもので、そこから離れたくないという気持ちがあるかもしれない。  私なんか外から見て、再開発というのはどんどん進めるべきだと今までこの委員会でも言ってきましたし、そういうふうに思ってきたものでございますけれども、この前の視察に参りまして、やっぱり東京のような大都会、東京だけじゃなくて大都会の魅力というのはその多様性ではなかろうかと思います。経済力とか、それから政治的な秩序を守る行政とか政治権力、その象徴としての国会議事堂とか東京都庁とか、その周辺の非常にすばらしい建物群もあるかと思えば人がリラックスして立ち寄りたいような飲み屋街もある。そしてまた寝起きをする家ですね。再開発地域となっているその二カ所でございますけれども、まさに生活があって、魅力的な部分が感じられて、御一緒に行った方、いいねというふうにおっしゃる方が結構ありました。下町のよさというんでしょうか、また雑司ケ谷の方ですから、どちらかというと山の手なんでございますけれども、宿舎とは違った魅力があるようでございます。  そういうことでございまして、またグレゴリー・クラークさんという上智大学の先生がいらっしゃいますれども東京が大好きだと。なぜ東京が大好きかといったら、東京というのは村の集積であると。大きな大きな都会といいながら、小さなそれぞれの地区ごとに違った表情があるというようなことを述べていらして、私は東京の悪口を言うのはやめようかと思ったぐらいなんでございます。  そういったさまざまな顔を持った都市、それの必要に迫られての再開発ということがあるわけですが、建設省として、また建設大臣としてどのような理念というんでしょうか、方針でこうした再開発を進めていくように指導なさるのか、まずお伺いしたいと思います。
  53. 亀井静香

    ○国務大臣(亀井静香君) 今、委員からのお話を聞いておりまして、私どもの考えでおります密集市街地整備の目指しているイメージと方向として合っているんじゃないかなと、このように私は直観的に思ったわけであります。  先ほど松谷委員の御質問にもちょっとお答え申し上げたんですが、防災上の観点という一つの大きな目的がございます。やはりこの間の震災の経験等からも、我々は地震の発生を制御する力はございません。台風も制御する力はございません。しかし、これはいつ何どき起きてくるかもしれない、どの程度規模で起きてくるかもしれない。しかし、確実に襲ってくるわけでありますから、起きた後これに対して被害を最小にする努力を全力を挙げてしなければなりませんけれども、起きた場合にも被害を最小限度にする努力は日ごろからできるわけでありますから、それをやることがやはり危機管理上の一番の私は前提ではないかなと、このように思っております。起きてからじゃなくて、起きる前にそういう事態に被害を最小にする努力、どうすればいいかということであると思います。  もちろんそういう目的もございますが、先ほども申し上げましたように、委員も触れられましたけれども、人が住んでいる町を人々の幸せのために、住んでいていいなというそうした実感が持てる形でこれを整備しなければ私は意味がないと思います。全国都市等々、私の郷里あたりのいろんな町でもそうでありますが、そうした区画整理事業が進んだ後、何か映画のセットみたいな、きれいなことはきれいなんですが、無味乾燥な町並みが忽然とあらわれちゃっている。これもある面からはいいかもしれないけれども、それが本当に人の幸せを、これをあれする町なのかなと、私は時々そういう感懐にふけることもあるわけであります。  もう一つの問題は、委員指摘のようにあの一杯飲み屋、赤ちょうちん、そういうごちゃごちゃしたところが整然とした町の中でもどこかあった方が、これが息抜きといったらおかしいんですが、私は町としてはいいと思うんですね。  しかし、それは高級住宅街のちゃんとしたお屋敷に住んでいる人がそういうごちゃごちゃした薄汚いところにたまに一杯飲みに行くからいいんであって、ではそこに住んでおる方々にとって、そのままにしておけという感覚は私はちょっとという感じがしますのは、長くなりますけれども、実はよくこれは地方の農村地帯の開発に関して時々感じることがあるんですね。こういう自然をそのままにしておいてくれ、触れないでください、自然のままに。都会の方から見ればそうなんですね。ところが、そこに住んでいる人にとってみれば不便てしょうがない、また生活程度が低い、これをどうにかしてください、それには若干の自然も加工しなければならない、そういう面があろうかと思うんですね。  ちょっと話が妙なところに行きましたけれども、そういう意味でやはり人間のにおいのする、そこでおっしゃったように今からずっとの歴史があるわけですから、その歴史を感じさせるような町づくりでないと私は人の幸せにはつながらないんじゃないか。またもう一つ申し上げますと、防災上危険だからそこを整備するので出ていってください、でもその人たちは戻ってこれない。現在住んでいる人が戻ってこれないような町づくりが本当にいいんだろうかという問題がありますね。  だから、そういう意味では、金持ちの方がぴしっと整然としたところに、再開発されて高級マンションができてそこに住むというようなことが再開発では私はないと思います。そういうこともあってもいいわけですけれども、一方、そこに住んでおった方々がああいい町になったなということで再び戻ってきて住めるような、そうした再開発はどうしたらいいのか、住都公団あたりもそれで加わっていく意味もある、私はこのように思っておるわけであります。お答えになったかどうかわかりませんが。
  54. 広中和歌子

    広中和歌子君 ありがとうございます。  そういう意味で、これから本当にコンサルタントというんでしょうか専門家の知的集団と、それから住民参加の話し合いというんでしょうか、そういうものが非常に大切になるんじゃないかと思います。  今まで密集住宅市街地整備促進事業をずっと行っていらしたわけですけれども、その進捗状況が思わしくないというようなことで、今度の法案ではその阻害要因をどのように解決できるというふうに考えていらっしゃるんでしょうか。
  55. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) 密集住宅市街地整備促進事業、率直に申し上げましていま一つという感じがいたします。  なぜかということでございますけれども、二つあろうかと思います。一つは、そもそもこういうふうな密集市街地自体が客観的な土地状況なり建物の状況からして、いろんな意味事業を展開するのがそもそも難しいというのが一つ根底にあろうかと思います。それからもう一つは、いろんな意味での賃貸借関係とか人間関係が横たわっていて、したがってそれを解きほぐしながら事業を進めるのに猛烈な人的エネルギー、マンパワーが必要だという点があろうかと思います。  今、先生と大臣との間での人間のにおいのする議論の後で無味乾燥な数字でまことに恐縮なんでございますが、先般御視察いただきました例えば東池袋でございますけれども、何がどの程度難しいかということの一つのメルクマールとして御視察いただいた状況を数字に置きかえて御説明いたしますと、例えばヘクタール当たり住宅が何戸あるかという戸数密度という概念がございます。これは東京都の区部平均がヘクタール当たり五十三戸でございます、それに対して先般ごらんいただきました東池袋は四倍、二百七戸入っております。  それから、もう一つのメルクマールが、例えば敷地の規模がどのくらいかという概念がございます。小さくなればなるほどやっぱり環境としてはいま一つよくないということでございますが、区部平均、例えば百平米未満、三十坪ちょっとというのを一つの基準にいたしますと、百平米未満の敷地というのは区部全体で約三〇%でございます、区部の三〇%が百平米未満。ところが、東池袋の場合には二倍の六七%という状況になっております。  それから、くどいようですがもう一つだけ申し上げさせていただきますと、基準法上は道路は四メートル以上ないといかぬ、こうなっておりますが、幅員が四メートルに達していない道路に接続している住宅、この割合でございますが、残念ですが、区部平均では三四%ございます、しかし東池袋をとりますとこれまた二倍の六八%の住宅が四メートル以上の道路に接続していないという状況でございます。  これが、三つばかり指標を挙げさせていただきましたが、四月八日でございますか、先生方に御視察いただきました東池袋の状況を若干の数字に置きかえますと今申し上げたような状況になるわけでございます。  そういうふうなことで、場所そのものが非常に事業が難しい、それから賃貸借関係が横たわっていて人間関係が非常に錯綜していて取り組みが難しいというふうなことでございまして、そういう難しさを念頭に置いた上で今回の法律をお願いするということになるわけでございますが、若干総論的で恐縮でございますが、アプローチとして二つの体系を準備したわけでございます。  一つは、建築物という単体に着目して除却するとか建てかえるという、ある意味では建物に着目してピンポイントの政策を展開するというアプローチが一つ。それからもう一つ、なろうものならば地区全体をもう少し都市計画的、町づくり的な観点からてこ入れをしていくというふうな形で地区計画でございますとかいろんな組合制度というものを準備したということでございます。  それで、ポイントになっております人間関係がいろいろ積み重なっている、特にそれが賃貸住宅という形であらわれているということについて何度か御答弁申し上げましたけれども、借地借家法の関係と代替住宅をきちっと整備しますということとの両者の兼ね合いを一つの居住安定計画という形で何らかのもつれを解きほぐすシステムというものを準備したというのが一つございます。  そういうふうなことで、若干長くなって恐縮でございますが、考え得る難しさに対応する道具立てというものは制度としては準備させていただいたという感じでおります。
  56. 広中和歌子

    広中和歌子君 道路のことなんでございますけれども、四メートル道路、最低というのは妥当な考え方だろうとは思いますけれども場所によっては二メートルでも用水を設けるとか消防の長いホースが結べるような、そういうようなことで防災火災の点では対応できるんじゃないかなというような気がするのでございますが、今の点に関しまして費用はどうなんでしょうか。  この予算を見ますと、平成九年度で国費が八十二億ですか、それから総事業費が百五十九億でございますけれども、ほかの事業費に比べまして、例えば河川とか治山治水、ああいうのに比べて都市のこういう再開発に関する費用の使われ方というのが非常に少ないわけでございますが、これは法律上の制約によるものなんでしょうか、それとも事業が進まないからこの程度でというところなんでしょうか。
  57. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) 結論から申しますと後者でございます。  ただ、今八十二億、そのとおりでございますが、これは予算上、密集住宅市街地整備促進事業という予算費目として計上されている国費が八十二億円でございまして、こういう属性を持った地区に投入される事業システムなり予算というのは必ずしもこれだけではなくて、例えば幹線道路をきちっと整備しますとなってくれば全く違った体系の道路予算に計上されている予算が投入されるということでございますし、本格的な区画整理なり再開発をもし展開するとすれば、これまたこの八十二億ではない区画整理事業として計上されている予算が投入されるということでございますので、あくまでも密集住宅市街地整備促進事業という予算費目が八十二億円であるというふうにお考えいただきたいと思います。  また、密集予算が八十二億円ということについて申し上げますと、事業が展開すれば、財政状況は非常に厳しいので余り大見えを切るわけにもいきませんけれども、最大限の努力で幾らでも投入、計上したいという気持ちでおります。
  58. 広中和歌子

    広中和歌子君 この法案対象とする密集市街地全国で先ほどの御答弁にありましたように二万五千ヘクタールですね。東京で六千ヘクタールもある。それを全部を対象として再開発をやるのか、それとも特別に指定するのか、その指定の条件というのは何なのか。  例えば、先週京都に行ってまいりまして、先斗町とかそれから石塀小路とか、ちょっと観光的なところではございますけれども、二メートルぐらいの道路で非常に良質な木造住宅が建っておりまして、それなんかは対象になるとしたら大変だなと思ったわけですね。どういうふうにそこの防災火災対策をやっているのかと聞きましたら、用水路とか、それから火災のための消火栓というんですか、そういうものと結びつけられるように絶えずそういうことをやっている。  それからまた、京都なんかには文化財がいっぱいございますけれども、そういうのも含めまして個々に対応しているというんですね。だから、個々に対応できるんだったらほかの市街地でも同じようなことができるのかなというふうに思うわけですが、その点についてお答えください。
  59. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 整備の見通しについてという御質問だと理解させていただきたいのでございますけれども、先ほどから住宅局長からも申し上げましたように、いわばコァの部分の事業として従来からやっていました密集住宅市街地整備という予算予算としてございますが、おっしゃったようにそれぞれの地域の顔がございますから、無理やり立ち退いて道を広げるだけが能ではありませんし、当然限られた予算執行の中でございますから、公共団体の負担分も考え合わせますと現実的な、かつそれでいてある一定のやっぱり防災の機能といいますか防災性が向上しなきゃいけないと思います。  大臣からもいただいた、いわばぬくもりのある町づくりという点からすれば、限りなくその現状を残した方がいいところもあろうかと思いますが、今御質問のありました観光とか歴史とか、そういうものは当然それぞれの計画の中で重んじていかなきゃいけないと思います。二万五千ヘクタール全体は、今ちなみに東京都の例でちょっと御紹介させていただくと、東京都はこれから二十年間に対する「防災都市づくり推進計画」というのを去る三月に作成したわけでございますが、ここの中では重点整備地域あるいは重点地区とそれぞれランクを分けまして、その中で、例えばおおむね十年後には、不燃領域率というちょっと難しい技術的な言葉を使っておりますが、それが重点整備地域では四〇%、重点地区ではより危険性が高いということで五〇から六五というふうなことでベースを持っておりますから、今回、二万五千ヘクタールはイメージとして我々持っておりますが、それが直ちに全部がそうした形での整備が行われると思っておりません。  今御質問がありましたように、それぞれの地域の知恵、例えば京都の例をお話しされましたけれども、やはり地域の消防活動も含めて自分自身の町がある一定のそういう危険性を持っていればみずからも努力をする中で火を出さないというのも一つの裏返しの防災対策になっているわけでございますから、もちろん不燃化の対策は一方でやっていくわけですが、やはり総合的にそういうものをあわせながら予算制約もクリアしていくという姿勢ではなかろうかと思います。
  60. 広中和歌子

    広中和歌子君 それにいたしましても、密集市街地再開発に指定される指定されないは別といたしまして、東京では木造住宅も多いし、道路も全体的に言って狭いし、そういう中で阪神大震災規模の災害が例えば東京で起こるといたしましたならば、どういう被災状況なのか、シミュレーションをお伺いいたします。
  61. 福田秀文

    政府委員(福田秀文君) 国土庁におきましては、昭和六十三年に南関東地域における大規模地震発生の際の被害想定、その調査の結果を取りまとめております。  その前提としてちょっと申し上げておきたいのでございますけれども地震によって地盤にどのような影響が出てくるかとか、あるいは構造物に対する影響とか、火災の延焼の性状とか、そういうものについては必ずしも解明されていない面もございまして、想定それ自体が難しいという点もありますし、また想定の前提条件や想定手法、そういうものの差によっても想定結果には相当差が出てこざるを得ない。そのような前提のもとでの想定結果でございますが、関東地震クラス、マグニチュード七・九の地震が相模湾を震源域として発生した場合、これを想定いたしまして、発生時刻を三つほどケースとして想定いたしました。冬の夕方、冬の深夜、秋の正午ごろということで、三つでございます。  それで、冬の夕方に発生したというケースについて御紹介をいたしますと、結果の概要は、建物が大破するもの、大破するものはこれはもう相当破損してそのままの状態では使えない、そういう状態のもの、これが三十九万棟になります。それから消失する建物、これが二百六十万棟、それから人的被害としては死者が十五万人、そのような結果が出ております。
  62. 広中和歌子

    広中和歌子君 この昭和六十三年のシミュレーションは、後の阪神大震災の実情を見て修正なさいましたか。
  63. 福田秀文

    政府委員(福田秀文君) 六十三年に取りまとめましたけれども、これは相当長い期間かかって関係方面あるいは関係学者、そういう方々にお集まりいただいてやったものでございまして、かなり念を入れてやったものでございます。そういうことで、それ以降見直しはいたしておりません。
  64. 広中和歌子

    広中和歌子君 起こらなければ大変よいわけで、その間密集市街地のアップグレードをやっていただきたいわけですが、二十年たってもある程度のレベルしかできないとなると、やはり災害が起こってからの対応というのが非常に大切ではなかろうかと思います。  自治省の方にいらしていただいておりますが、どういうような対応をお考えでいらっしゃるのか、ちょっとお伺いいたします。
  65. 遠藤勇

    説明員(遠藤勇君) 消防庁といたしましては、まず阪神・淡路後、早急に各地方公共団体のいわゆる防災対策の基本でございます地域防災計画の見直しを図るように指導をいたしているところでございます。  それで、その地域防災計画の見直しに当たりましては、今先生からもお話のございましたような実際の地震の際に防災対策、応急対策をどう策定するか、これは被害想定をどうイメージするかということと非常にかかわるわけでございまして、これが対策計画の基本となるものということで、これが重要なものであると認識しております。したがいまして、地方公共団体に対しましては、今申し上げましたような地域防災計画の見直し、それとそれにあわせまして被害想定に基づいた地域防災計画の点検、見直しを実施するように指導いたしているところでございます。  なお、この被害想定の実施に当たりましては、それぞれ地方公共団体の社会条件、自然条件、いろいろございますので、それぞれ取り組み方はさまざまでございますが、消防庁といたしましては、この被害想定の参考にしていただけるのではないかということで、平成七年度におきまして簡易型の地震被害想定システムというものを開発いたしまして、これを都道府県それから政令指定都市に配付いたしまして被害想定策定のための参考とする、あるいは実際地震が起きたときの被害イメージを大まかな形で捕捉するというような形で御利用いただければありがたいというふうに思っているところでございます。
  66. 広中和歌子

    広中和歌子君 当然のことだろうと思いますけれども建設省のこの新法と連係プレーをとられていらっしゃいますか。
  67. 遠藤勇

    説明員(遠藤勇君) 防災対策については、私ども全般的に、今申し上げましたような防災対策に万全の配慮を払った対策、私ども消防庁でございますので、いわゆる消防上の対策ということでそういったもの、それから地域防災計画全般におきましてそういった防災上の配慮を十分した計画を策定していただきたいということで指導しているところでございます。
  68. 広中和歌子

    広中和歌子君 防災再開発促進地区というのを設定する場合ですけれども、それは自治省、消防庁などの御意見を反映させてそれをおつくりになるんですか。そういう形で質問します。
  69. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) それでは、私の方からお答えさせていただきます。  御質問の趣旨は、まず一つあるのが中央レベルでの各省庁との連携と、もう一つは、御質問地方公共団体におりてまいりましたときの県とか市町村、そのレベルでの御質問かと思います。  当然、全体的には防災計画は、先ほど来申し上げておりますように、かねてよりやってまいりました施策ですから、それぞれの事業なり制度が連携するのは言うまでもないわけでございます。  今、自治省に対しても御質問あろうかと思いましたけれども、国土庁という国全体の組織の中でまず連携を、調整をさせていただいている機構もございますので、そういうところとの関係建設省といたしましても十分意を払っていきたいと思っておりまして、今度の法案もそういう意味では、協議の段階では各省ともそういうことで同一の視線に立っていると私は申し上げていいと思います。  問題は、県のレベルあるいは市町村のレベル、これは都市計画法、都市計画制度を使っておりまして、それは今御質問のございました防災再開発促進地区の決め方にかかわることでございますが、これは先ほど来申し上げておりますように、都市計画の中で市街化区域の中の整備、開発、保全の方針という中にこういう防災的視点を入れた新たな事項を書き加えることによって、地区においてのそれなりの意義といいますか、効果をねらっておりますから、これは現段階の場合では都道府県知事のレベルでこの方針が決まりますので県のレベルでの地方公共団体としての役割と我々は認識しております。  ただ、その際におきましても、当然市町村が現場でいろいろ実地に経験していること、あるいはもくろんでいることがあろうかと思いますから、県と市町村との連携はとっていただくように考えていきたいと思っておりますし、現在、余分なことですが、地方分権議論などもしておりまして、地元町づくりについてのいろんな種々の手続、発想は市町村レベルで考えていくという姿勢は都市計画の世界でも十分我々認識しております。先般の一次勧告でもいろいろその辺について指摘を受けておりますので、いずれ都市計画法の整理の中では種々の問題、指摘については整理したいと思いますが、今のところ私どもの考えとしては、あくまでもこの促進地区の考え方については県レベルでお決めいただく方針に基づいて定まっていくという立場をとっております。
  70. 広中和歌子

    広中和歌子君 指定が県レベルとおっしゃいましたね。都道府県知事が行い、そして建設大臣が認可すると。建設大臣が認可するということは、建設省が非常に関与なさるということだろうと思います。  先ほどからもいろいろ御意見出ておりますけれども町づくりは本来、その町、地元の人が参加してやらなきゃならない。そこに消防の視点が加わったり、それから何というんでしょうか、住みやすさの視点が加わったりいろいろなことがあるんじゃないかと思いますけれども、むしろ下から盛り上げていくようなそういう形がこの法案で担保されていれば私はありがたいと思うんですが、素人なものですから法案を読んでいて余りよくわからないので、それを確認しておきます。
  71. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 先ほどからお答えしておりますように、やはり町づくりで一番よくわかっているのは、それぞれの市町村だと私ども思います。  ただ、市町村におかれましてもいろいろ他の地域の経験なども参考にするという意味では、我々中央での役割も多少アドバイス的立場としてとらせていただきたいと思いますが、何といいましてもやはり市町村が現場での意見をまずお決めになって、それを県に意見として出す。ですから、今回の場合の法律につきましても、知事が方針を決める際には関係市町村の意見を聞くということでございますから、ここは言葉として聞くということだけで済まされないわけでありまして、当然県は市町村の意向という形での、いわば事実上対等の同じ立場での御議論が行われるものと期待しております。
  72. 広中和歌子

    広中和歌子君 せっかく国土庁と自治省の方がいらしているので、先ほど大きな地震があったときの被害状況など、例えば東京に限ってシミュレーションいただきましたけれども、個々の消防というんですか、防火とか倒壊家屋からどういうふうに人を救い出すかというようなこともありますでしょうけれども、同時に全体的に交通の流れとかそういうものも非常に大切なんじゃないかと思います。つまり、車を全然使っちゃいけないとか、消防自動車と救急車以外は使っちゃいけないとか、そういうような防災対策としてのシミュレーションというか、訓練というんでしょうか、それは大都会でやっていらっしゃいますか。
  73. 福田秀文

    政府委員(福田秀文君) 大地震に備えて応急対策をいかにやったらいいかという点について活動要領、これも被害想定を行ったときに、南関東地域地震が起こったときに応急対策としてどうやっていったらいいかというような点について活動要領というものをつくっております。それに基づいて国、公共団体協力して活動していくわけでございますけれども、ちなみにどんなことが中に決められているかというと、いろいろあります。その一つとして、やっぱり緊急物資を輸送するのは、これは極めて重要なことでございますのでその活動を確保するために輸送交通手段の確保、例えば道路交通の確保、こういうものを、例えば国が緊急対策本部をつくったときにはその緊急対策本部の中でそのような確保計画をつくって、それに基づいて各県あるいは各市が行っていくというようなことを決めております。  それで、具体的に訓練でやっているかというお話でございますけれども、私どもの方で九月一日に毎年総合防災訓練を行います。これは政府と公共団体が相協力し合いながらやっている訓練でございます。その訓練の中で、交通規制でございますけれども、これは実際交通規制をするということになると大変な社会的影響が出てまいりまして、影響というか損失が出てまいります。そういうことで訓練のために、これは規定上は訓練のために交通規制はできるということになっておりますけれども、例えば東京で言って環七の内側を全部とめるというようなことは頭の中では考えられますけれども、訓練のためにと言ってこれが社会的コンセンサスが得られるかというと必ずしもそうはいかないということで、今やっておりますのは本当の一部分、道路の一部分、そこをとめて具体的に訓練をやっていく、このような方法で実施しております。
  74. 広中和歌子

    広中和歌子君 今、危機管理体制というのがいろいろ問われていまして、実際に訓練してくださらなくてもいいけれども、一たん緩急あったときにはどことどことどこに電話をして、ともかくどの車は使っていいとかいけないとかといったようなことを都民あるいは日本全国、そういうのをもうちょっと徹底するようなことが必要じゃございませんか。非常に慌てている中で、ともかく車だけは使っちゃいけないんだと、逃げるためであっても自分の車は使っちゃいけないというようなことをしないと、またあの阪神淡路大震災の二の舞になってしまうんじゃないか。  それから同時に、消防の方で言えば、もうちょっと空からの消火であるとか。飛行機はどうなりましたですか、消火飛行機。そういうようなことも含めまして、ついでにと言っては申しわけないけれども、わかりますか。
  75. 亀井静香

    ○国務大臣(亀井静香君) 私、阪神淡路大震災のときに、新進党や各党から初動態勢が悪いとか相当おしかりを受けました内閣の一員でございまして、実際はそんなことはございませんでした。村山総理は極めて、私は歴代の総理どの方々が指揮をとられてもあれ以上のことはできなかったと、私はそばにおって確信をいたしております。  私、この場で弁明の機会を得るために発言をしたわけじゃございませんが、ただそのときのいろんな経験から申しまして、これは残念ながら今政府がそういう形になっておりません。国土庁長官がいわゆる本部長になって総指揮をとるという体制になっておりますが、それも当然かとは思いますけれども、私はやはり痛感しましたのは、自治大臣、国家公安委員長がああいう非常時においては指揮をとるような方向で検討したらどうかということを私は痛感しまして、これは時の総理にも今後の問題として御進言を申し上げたという経験もございます。  それと、やはり何といいましても自衛隊、共産党は嫌がられるでしょうけれども、やはりああいう非常時においては自衛隊と消防、警察、これがどう動くかということが決定的でございまして、それを一元的に動かす体制仕組みが決定的だと、私はこのように感じました。  今、消防についてのお話がございましたけれども、あのときの経験では、やはりその地域の消防もああいう事態を全然想定していない、また市も県もそれを想定しない体制にあったということでありますから、今後、先ほど委員から防災局長に御質問ございましたけれども、こういうのはあるんだという前提で、やはりそういう場合の消防活動をどうするのかというシミュレーションをしょっちゅう繰り返して、例えば消火栓の問題にしても、あの神戸の場合も六甲水系というのは大変豊富な水量があるわけですので、後からのことですけれども、やはり地下水をところどころに百メートルおきか二百メートルおきぐらいにくみ上げるような、非常時における、それがあればあのときの消火活動も相当違ったと私は思います。これは神戸市の責任というんじゃない、全国都市がそういう感覚でやっておらぬわけでありますから、そういう意味では日ごろからそういう事態に備えた態勢をどうとるか。  ちょっと余計なことを言いますが、今の状況では空からの消防は不可能ですね。これは、現実にあのときいろんな意見がございましたけれども、一トンやニトンの水を上から落とすためにヘリコプターが参りますと、逆にこれはあおるというような結果になりまして、上からの水による消火活動というのはほとんど不可能であったというように私は判断をいたしております。  以上でございます。
  76. 広中和歌子

    広中和歌子君 私が申し上げているのはヘリコプターじゃなくて飛行機です。十五秒ぐらいでぴゅつと水を吸い上げます。大型でございます。それを日本は一台や二台は持ってもよろしいんじゃないでしょうか。  それで、阪神淡路大震災があったときの閣僚でいらして今も閣僚ですから、この法案とともにより総合的な防災対策、そして危機管理体制、それをぜひ内閣の中で検討していただきたいと、せっかく御発言がございましたので、ここから要望させていただきます。大変大切なことだろうと思います。  それから、二分ぐらいございますので、あと二、三、細かい質問をさせていただきます。  老朽建築物の除去につきまして、この法律案では事業主体にどの程度の強制力を持たせているのかということをお伺いします。
  77. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) 結論から申し上げますと、強制力はこの法律ではございません。勧告ができるだけということでございます。  ただ、先ほどもちょっとお答えしたかと思いますが、法制上の強制力というよりは、やはり現実の社会状況を考えますと、勧告ではあっても、その積み重ねといいますか、調査とかいろんな善後を御相談するというふうな積み重ね、さらにはそれらを支えるいろんな支援措置というふうなものを通じて、結果的にはやはり強制力よりはむしろそういうふうな人間的努力の積み重ねの方が効果としては大きいんじゃないかという考えに立脚いたしております。
  78. 広中和歌子

    広中和歌子君 それから、こういうところに住んでいらっしゃる方は、自分のおうちじゃなくてたまたま借りていらっしゃるということがあると思いますが、借地借家法よりもこの法案は後からできるわけですけれども、上位にあると考えてよろしいんですか。つまり、借地借家法で守られている借り手の権利、それはこの法律によりますと、こちらの法律の方が優先するということになるかということが一つ。  それから、借地借家法の改正はこの法律の後、改正をなさいますか。
  79. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) 借地借家法そのものは改正いたしておりませんが、ただこちらの法律で居住安定計画つくりまして認定をして代替住宅をきちっと準備するというふうな前提条件が満たされればという前提条件がつきますが、明文をもちまして借地借家法の規定は適用しないという条文をこちらの法律に書いてあるというふうな立法論になっております。
  80. 広中和歌子

    広中和歌子君 先ほど同僚議員からも御質問ございましたように、高齢者などもかなり住んでいらっしゃる。住みかえということだけでも大きなことでございます上に、さらに経済的な負担というようなこともあったら大変でございます。そういうようなことで十分御配慮をいただきたいということ。  それから、この前見てまいりましたああいう密集住宅地はいろいろなタイプの方が住んでいる。サラリーマンの方もいらっしゃいますでしょうけれども、そこで現場で町工場をやっていらっしゃる方もある。さまざまな生活の場だけではなくて生計の場にもなっているわけです。そういう生計が成り立つようなことというのは非常に必要だろうと思います。そういうことにどのような御配慮をいただくのか。  時間になりましたのであれですけれども、最後に御答弁を伺って、私の質問を終わらせていただきます。
  81. 亀井静香

    ○国務大臣(亀井静香君) 先ほど御答弁申し上げたことともちょっとダブるんですけれども、そこに住んでおられる方のためにやるわけでありますから、継続して御商売、お仕事をされる、あるいはまたそこに住んでおられる方が再開発をした後もまたそこに立ち戻ってお住みになれるような、そうした工夫をいろんな形でしていかなければならない、このように考えております。
  82. 広中和歌子

    広中和歌子君 どうもありがとうございました。
  83. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後二時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十八分休憩      —————・—————    午後二時三十一分開会
  84. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまから建設委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、密集市街地における防災街区の整備促進に関する法律案並び密集市街地における防災街区の整備促進に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案、以上両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  85. 青木薪次

    ○青木薪次君 大臣にちょっと教えてもらいたいんですが、除却という言葉について、余り聞きなれない言葉なものですから、いろいろ文部省関係、それから文教の関係等についても一応調べてみました。確かに、却という名のつくのは委却から始まって違法性阻却とかなんとかもうたくさん何十と出してありますが、ついにこの除却という言葉が出てこない。  そこで、辞典を調べてみようということで辞典を調べたところが、岩波書店関係ではほとんどない。広辞苑にもないし、それから古い辞典にはほとんどない。小学館のこのごろの新しいやつですけれども除却という言葉が出てきた。これは当用漢字にはないようですね。何でもそうですけれども、やっぱり地球上は歩けば道になっていくので、法律用語でやっておけば何とかそれは言葉になっていくんじゃないかということなんですけれども、そんなふうに解釈していいですか。
  86. 亀井静香

    ○国務大臣(亀井静香君) 私は浅学非才でございますので、私よりか少しましな局長の方にちょっと答弁させます。
  87. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) 余りそういう学識がないものですから、局長の立場でお答えするほどの能力は実はございませんが、ただ一般的には除去というふうなのが法令用語としても多いようでございます。ただ、除却という言葉でございますけれども住宅局長だから言うわけではございませんが、例えば公営住宅法ですとか住宅地区改良法、住宅あるいは建築物に関連するような法令用語としては、どちらかといえば除却という言葉を使っている方が多いようでございます。  したがいまして、今回も建築物関連ということで、察するに私どもというよりはやはり内閣法制局の法令の裁きとして除却という言葉をお使いになったんではなかろうかという感じがいたします。  余りお答えになっていませんが、私の知っている限りではそんな感じでございます。
  88. 青木薪次

    ○青木薪次君 私だって学がないから、学のある皆さんがそういうことを言うんだから余計わからなくなるということだと思うんですけれども法律用語としてやはりこのことについてはそういう位置づけでよかろうということで考えた方がいいんじゃないかと思います。  そこで、松谷先生や広中先生がいろいろ質問をなされました。特に松谷先生住宅局長でいらっしゃったんですから、昭和六十年ちょっと前でしたね、私は建設委員長を当時やったことがあるので覚えております。松谷先生は自分でもって学のあるところを示すというより、むしろ自分で自分に質問をしておったんじゃないかというようにここの席にいながら聞いたわけであります。  除却勧告や地区計画制度を取り入れ、また予算面で大幅な増額となっている、先ほど都市局長お話にもありました。個々の住民の間で自主的な合意形成がなされなければこのような事業はなかなか前へ進まないというように思うんでありますが、この法案では住民の合意形成というものについてどのような措置をとっていられるのか、その点についてひとつお伺いいたしたいと思います。
  89. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 午前中の質疑でもお答え申し上げましたように、町づくりの基本はこうした防災は言うまでもないわけでございますが、やはり地元の住民の方々のお考えというのは私どもは第一だと思っています。  御質問のようなことで、合意形成をどういうことでというお話でございますが、今回は極力都市計画の手続を入れておりますし、それから住宅局長からもお答えいたしました、今話題になりました例えば老朽化した密集住宅除却の問題につきましても、当然関係者、特に入居者あるいはさらに住宅の持ち主、大家さんというお立場等それぞれのお考えの中でできているわけでございますから、いずれにしても各事業が進むについては、当然そこにお住まいの方々の思想は、それぞれの計画のステップを踏むごとに合意形成をとっていく手順は十分盛り込んでおる、こう考えております。
  90. 青木薪次

    ○青木薪次君 地主の立場とそれから建物所有者という立場、それから借家人という立場が、これ居住者でありますけれども、そういう三つに分かれる場合が現に存在すると思うんでありますが、それぞれの対応について相当意見が相反するようなことが具体的に起きがちだと思うんでありますが、その点いかがですか。
  91. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) 御指摘のとおり、密集住宅地における一番大きな問題といいますか難しさというのは、やはり賃貸住宅ということで地主さん、所有者、入居者、これがばらばらだということにあろうかと思います。したがいまして、その辺の利害調整をどうやって図るのかというのは基本的にあるいは決定的に重要だという認識は持っております。  そういうふうな観点から、再々御答弁させていただいておりますように、居住安定計画ということで第一義的には賃貸住宅の所有者がいろんな方策をつくるわけでございますが、そこに行政が一枚かんで、貸借人との利害調整を代替住宅の確保ということで図っていくというふうな制度をつくったわけでございます。また、そういう計画つくり、あるいは認定する場合には所有者が貸借人の意見を聞く、これは当然でございますが、市町村、行政側においても再度入居者の気持ちというか、意向というものを改めて確認し、意見を反映させながらという手続を二重三重に講じておるということでございます。
  92. 青木薪次

    ○青木薪次君 今のお話のように、除却勧告を行う場合に建築物の所有者や居住者の同意は要件となっていない、午前中もそういうお話がございました。建築基準法の十条ということが発動されて、強制的なやはり執行をしなきゃならぬというような事態をイメージとして考えるならば、例えばどういうようなことが考えられますか。
  93. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) 建築基準法の十条といいますのは、建築物自体が保安上危険であるとかあるいは衛生上有害であるというふうな場合には行政命令を発する。最後は代執行してでも取り壊すことが可能であるという制度でございます。実績から申し上げますと、恐らく年に一、二件程度あるかなしという感じだろうと思います。運用自体が法制上可能な範囲よりはかなり限定的に運用されているという面を考慮いたしましても、行政命令というのはやはり要件が非常に厳しいということがございます。  したがいまして、この法律に基づきます勧告対象建築物がどの程度のものであるならば行政命令に移行するかというのは非常に難しい問題だとは思いますが、ただそういうふうな組み合わせよりは、何度もお答えしておりますようにやはり人間関係が横たわっている問題でございますので、行政命令に移行することを考えるよりはやはり繰り返し繰り返しいろんな意味での支援措置だとか御相談を積み重ねながらということが現実的な解決策なのかなという感じがいたしております。  ただ、限定的ではございますが、万に一つのケースとして行政命令ということも否定はできないという感じだろうかと思います。
  94. 青木薪次

    ○青木薪次君 住宅関係の日本的な文化といいますか、木造集合住宅老朽木造住宅とかそういうようなものが密集している。午前中の御説明で二万五千ヘクタール、そのうち東京が環七を中心といたしまして六千ヘクタールというものが存在するということを聞きました。午前中も国土庁の防災局長から説明があったわけでありますが、昭和六十三年と平成三年に関東大震災のマグニチュード七・九、それから震度が七・二ですか、そういうような関東大震災が起こったと。関東大震災は広範多岐にわたった大被害を起こしたわけでありますが、これは直下型というよりもむしろ海溝型の地震じゃないかと私は思うんであります。  そこで、このような大災害が起きたということについて、しかもある意味でやっぱりゼロが二つぐらいふえるというようなこととか、あるいはまた全壊家屋等が阪神淡路大震災の場合よりも圧倒的に多いというように解釈されるわけであります。  こういうような関係等について、私はやっぱりこの被害想定をするとするならば、これはまさに地震災害等が起こったときの時間。阪神淡路大震災は五時四十六分ですか、六時から始発の電車が出る、その方向は落橋しておったと。電車そのものがひっくり返ってしまうというようなことが免れたということと、また五時四十六分では六時前でありますからなかなか朝食の支度その他についてもまばらであったというようなことがある意味では幸いをしておったと思うんであります。夕食の時期あるいはまた朝食の時期、こういうときには私はゼロが一つ多くなるくらい被害程度が大きくなると思うんでありますが、この辺をイメージして密集市街地整備促進という法律をお出しになったのかどうか、大臣からお伺いしたいと思います。
  95. 亀井静香

    ○国務大臣(亀井静香君) 過去日本列島を襲いました震災、これはそれぞれ規模の違いはあるわけでありますが、委員指摘のように時間帯との関係もいろいろあると思います。そうした中で、これは費用との関係でありますけれども、それに耐え得る我々の防災の備えといいますか、そういうものをできるだけ、あとう限り過去の日本列島を襲ったそれの程度を上回るぐらいなところに目線を置いてといいますか、そういう対策にあらゆる震災対策はなろうかと思いますけれども、このたびの法律は、各地域について、はっきり申し上げましてそうした観点から精査をした上で二万五千ヘクタールというようなことを我々はやっていると申し上げる自信はございません。  しかし、概括的に言って、このような状況を放置をしておいた場合、阪神淡路大震災あるいは関東大震災に至らない震災でも被害が起きる危険性がやはりある。そういう意味で、それに向かってこうした制度面、法的な面等を含めての整備をしたいということでございますので、いわゆる精緻な実地踏査等に基づいてマグニチュード七を想定してこの地域というようなものではございませんけれども、一応そのあたりをめどにしながらやっておると、このように御理解をいただきたいと思います。
  96. 青木薪次

    ○青木薪次君 地震が一番大きいと思うんでありますが、心配なのは、関東大震災でも教訓として私どもは聞いておりますけれども、やっぱり大火が非常に怖かった。阪神淡路大震災でも大火が一番恐ろしいというように今も思っております。  私は静岡県ですので、静岡県というのは地震のメッカのように言われておりますけれども、これはいわゆる海溝型というものであります。しかし、海溝型と言われる中においていわゆる活断層と言われるようなところがたくさんある。その下に直下型の巣があるというように言われております。  ちなみに私は自分の住んでいる静岡市の中で、この辺はどれぐらいのところに当たるかということで心配なものですからいろいろ調べたことがあります。そうすると、いわゆる海溝型の中に直下型という巣がある。そうして、その中にまた液状化ということもあるというようなことで、私どもは起震車で揺られてみたり、震度六なんていったらいられないぐらい大きいんでありますが、その起震車によるところの調査とか、地震計とかひずみ計とか、また傾斜計とか、あるいはまた検潮計、静岡近辺の焼津と伊豆半島の西伊豆町とか、こういうようなところの水位を絶えず調べているとかいろんなことがございます。  特に、この辺は地震も非常に複雑多岐に攻めてまいりますから、この間いろいろ御心配をかけました伊東市の群発地震については、これは稲取というところから震源地の伊東市を通ってそれから初島へ行くと、やはり五、六センチの振幅、国土が動いているというようなことがあったというようなことから、これを置きかえて、もう居直って地震に対する関係火災だけ考えようということでありますけれども、今お出しになっている密集市街地関係についてはこれはなかなかやっぱり大変だと。いわゆる火災予防ができるような消防施設を兼ね備えた地域へひとつ移転できるような施設をつくったらどうかという声は盛んに各地区で行われておりますけれども、先に立つのは金であるということになります。  地震は絶えずこのごろ、特に北海道から九州に至るまで地震があるわけでありますけれども、こういう点について、古きよき時代の江戸時代からずっと続けてまいりました日本の木造集合住宅とか、今現在老朽住宅と言われておりますけれども、こういうようなものについて私はやっぱり変えていくということが、これはもう絶対的に必要だというように考えるのでありますけれども、この促進法ができたことによって相当促進させていくという決意がおありかどうか、ここは大臣から聞きたいと思います。
  97. 亀井静香

    ○国務大臣(亀井静香君) 非常に難しい質問をいただいたと思います。  耐震性の向上ということはいろんな要素について対応しなければならないわけでありまして、まず一つ都市道路の広さだとか、あるいは防火施設等の問題もあると思いますし、また緑地と住居地域あるいは商業地域とのそういうバランスの問題等、まさに阪神淡路大震災が大きな教訓をその点で残したわけであります。  では、建物についてどうかという形になってまいりますと、木造住宅は耐震性上問題があるのでプレハブなりあるいは鉄骨鉄筋なりに切りかえた方がいいのかということでありますけれども、私はこれも一概にはそうは言えない面もあると思います。震度七が襲ってくるのか八が襲ってくるのか予測できませんけれども木造住宅であってもそういうことについて相当な配慮をしたものであれば、阪神淡路大震災においてもこれは倒壊を免れておる場合もございますし、鉄筋鉄骨の場合でももろくもいっておる場合もございます。そのあたりが個々の建物についてどれを推奨をしていくかということになると、なかなかこれは我々としてぜひこれで今後住宅なり建物をお願いしたいと言えるほどの状況には私はないと、このように思います。また個人の好みの問題もあるわけでございまして、いつ来るかわからない震災のために殺風景なところに住むのは嫌だという人もおるでしょうし、そのあたりは非常に難しい問題が、国家権力がそのあたりにどこまで介入できるかというような問題もあろうかという感じがいたします。  お答えになっているかどうかわかりませんが。
  98. 青木薪次

    ○青木薪次君 亀井建設大臣でさえもそういう御答弁をさぜるを得ない。私はやっぱり亀井建設大臣は実行力の人だと思うんです。そういう人も決意を述べてもらって、古い昔のクモの巣の張ったような、屋根がわらがへこんでしまって波を打っているような住宅もありますけれども、そういうところに対しては決別をして、新しく耐火性の住宅というものがどれぐらいの率を占めるか知らないけれども、新しく地区計画としてそういうものがつくられていくということについて期待をするということは多いと思うんです。  ただ問題は、では一体この密集住宅と言われるこういうものの定義というか、どこを位置づけるかという点については、これはなかなか大変な問題です。例えば、私ども若い時分、今でも若いんですけれども、若い時分に、それこそ午前中もちょっと話が出ましたように、一メートルぐらいの道路をしょった両側に飲み屋さんがある。こういうところは昔の言葉じゃないけれども、トントントンカラリと隣組、窓をあければ顔なじみ、回してちょうだい回覧板、助けられたり助けたりと。何かならず者が一人来ましたら、そうするとそこでみんな集まってその悪い者、テロは来ないでしょうけれども、撃退してしまう。それから隣のうちでおかずは何をつくっているか大体わかる。それを回して食べてもらったりするというようなこと。お互いにそういうようなことについてコミュニケーションができておりますから、その点のいわゆるコミューンと言われるものを壊したくないという気持ちがあると思うんであります。  一つは、この密集市街地促進法が出ますと、その法律によって早く新しい防火施設、災害を防ぐ住宅へ住むと。しかしそれを嫌だという場合に、さっき小川住宅局長お話によると、これは強制的にやるというものじゃない、あくまでも理解と納得ということが前提となると、これは百年河清を待つようなものになってくる。たまたまこれは災害が発生するというようなどぶがあって、そこへばい菌が蔓延している、チフスが発生するというようなこととか、ちょっと火が発生するともう蔓延すると、類焼が予想されるというようなところについては、これはやっぱり建築基準法十条の発動になるであろうというようなことなんでありますけれども、そこに住みたい、クモの巣の張ったようなところでもいいから住みたいというようなことと、ある意味ではそういう中でどういう方向をとっていったらいいかということについては、私は大変な悩みだと思うんであります。  しかし、先ほど言ったコンサルタント、それから当事者のいわゆる借家人あるいはまたその持ち主、それからいわゆる市町村の皆さんということを中心といたしまして、やはり合意形成については特段の努力をして、この法律が実行できるような方法というものを考えてもらいたいということで、これは御要請申し上げたいと思うんでありますが、最後に一言だけそのことをお伺いして、もう時間が来ましたからこれで終わりたいと思います。
  99. 亀井静香

    ○国務大臣(亀井静香君) 午前中にも申し上げましたが、そこに住んでおられる方々のためにやるわけでもございますし、防災といいましてもこれは人間のやることでありますから、一〇〇%絶対ということはない、あくまで相対的なことであります。人間のにおいのしない、確かに防災上は完璧な町かもしれませんけれども、人間の住むようなところじゃない、そんなものに整備することが私は幸せではない、安全であるということだけが私は人間の幸せではないと思います。  ちょっと極端な言い方を私はいたしますが、かつて渋谷で恋文横町というようなところがありました。薄汚い、まあ皆さん方御経験があろうと思いますけれども、やはりそういうところで一杯飲んだりわいわいしておる、またそこに住んでおられる方もいらっしゃいますが、やはりそれも一つの人間の生きがいでありまして、それをのっぺらぼうなコンクリートの完全に安全な町だけにするということが私は行政の目的であってはならない。そういうところでもいいという方々の場合は、では最低、震災が発生した場合、消火の問題、いろんな問題、また逃げていく経路の問題、そういう状態でも次善の策として対策もできないわけじゃありませんから、そういう意味でやはり住民の方々の意思といいますか、そういうものが前提であると、私はこのように思います。
  100. 小川勝也

    小川勝也君 小川でございます。  午前中から密集市街地における防災街区の整備促進に関する法律のあらあらの御質問が続きまして、私からも数点を確認させていただきたいと思っております。  まず、本案の趣旨にありますとおり、阪神大震災の教訓を踏まえて災害に強い町づくり、この方向性については大いに賛成を示すものでございます。  ただし、私も先日の視察に参加をさせていただきまして、豊島区そして京島ですか、見せていただきました。そんな中、長年住みなれたコミュニティーであるのでここから離れがたいというようなことも理解ができますし、またこの東京に住んでおるということの利便性もまた捨ておけぬことだと思います。まさにこの東京はすべてがそろうあるいは非常に魅力的な町となっておりますけれども密集市街地木賃などという言葉もありましたけれども、その地域だけが果たして危険なのかということを考えたときに、政府も言葉として推進をされているような分散型の国土形成、あるいは古くから言われておりますように国土の均衡ある発展、それを考え合わせますと、東京あるいは首都圏の一部の地域だけについて災害に強いということを考えるのではなくて、この首都が余りにも過密過ぎるという観点から首都機能を本格的に考えるべきだ、あるいは推進すべきだと私は考えております。  建設大臣の御答弁をいただきたいわけでございますけれども、これは一政治家としてのお答えでも結構でございます。
  101. 亀井静香

    ○国務大臣(亀井静香君) 政府といたしましても、首都機能を移転するということで努力していることは御承知のとおりであります。  ただ、これにつきましては、私はやはり国民的なコンセンサスといいますか、そういうものと熱気というものが必要であると思います。成田空港一つ開港させるにつきましても、これほど御承知のように完成には時間がかかっておるわけでありますので、そう簡単にぱぱっといくものではない。国民的な熱気、協力が必要であると思いますし、またこの東京都もまだまだきっちりと整備をしていけばもっと魅力のあるすばらしい都市になっていくという、これは利便性という面でも可能性は私はあると思います。そういう意味では、北海道というわけにはいかぬと思いますけれども、早いうちにそうしたコンセンサスをつくり上げるべきだと、このように考えています。
  102. 小川勝也

    小川勝也君 北海道も候補地の一つでありますので、橋本聖子委員の御実家の近くなどというのも候補地になっておりますのでぜひお願いをしたいと思います。  それと関係をいたしますけれども、先般、住宅都市整備公団についての審議がありました折に、賃貸の部門から撤退をして造成部門に力を入れたいなどということもちらほら聞きました。例えばそのことを念頭に置きまして、東京とか首都圏にこれ以上、いわゆる東京に通勤通学を目的とした住宅地を造成することへの是非に私は疑問を持っております。  先ほど青木委員の方から、例えばの話でございますけれども震災が起きた時間によって被害のぐあいが変わってくるというお話がございました。私、自分の家族のことも考えておったんですけれども、例えばこれから宅地造成をするということになりますと、かなり通勤時間、所要時間が離れてくるように思うわけでございます。そのときに、大きな地震がぐらぐらと来て、あっ、どこかから火の手が出てくるなと思ったときに、人間というものは家族のことを心配するのだと思います。例えば、通勤時間が長いところに大きな宅地を造成するということは、それだけこの東京中心とした首都の中が大幅に混雑をすると同時に、家族との安否がとれないなどという人も多くなってくるでしょうし、御家庭におりますお母さんもいるでしょうし働いているお母さんもいるでしょうけれども、子供が幼稚園からうまく避難できたか、小学校の先生がうまく誘導できたかわからないというような、細かい問題かもしれませんが、起こるかと思います。  本来からいえば、首都機能を分散すると同時に多極分散型国土を形成したいという遠い目標を掲げながら、これ以上東京圏、首都圏に人口あるいは昼間人口をふやすということがいいことか悪いことか、お伺いをしたいと思います。
  103. 亀井静香

    ○国務大臣(亀井静香君) いいことか悪いことかは別にいたしまして、現になかなか首都圏から地方に人が散っていかないという現実があるわけでありまして、国の政策としてそうした多極型の国土形成に長期的視点で取り組んでいくことは私は当然のことであると思います。  しかし、それとあわせて、やはり東京都初め大都市の都心部における土地のいわゆる有効利用を含めて防災的に強い地域つくり上げていくという努力はこれは怠ってはならないと、このように思うわけでございます。この法律は、そういう観点からどこに基準を置けばいいかということになりますと議論はありますけれども、一応関東大震災阪神淡路大震災程度震災が来た場合に少しでもそれに耐える力のある地域をつくるということを目指しておるわけでございます。
  104. 小川勝也

    小川勝也君 先ほど青木委員より亀井大臣は実行の人だという言葉もございました。大きくその期待をするものでございます。  それにつきましても、建設省というのは国土の社会資本の整備に大きな役割を担っております。私も公共事業に賛成する立場から、いわゆる東京からいろんな企業が北海道や東北や広島県に、新しい場所で会社をやろうとか、そういうインセンティブが働くような社会資本整備にこれからも御尽力をいただきたいと思います。  法律の中身に入りたいと思いますが、今回、緒方委員より修正案が出されておると思います。今回の法案を審議するに当たって一番問題になる点がこの借地借家法との関係であると私も認識をしております。  この原案の文章を読みますと、「借地借家法及び旧借家法の正当事由等に関する規定は適用しないものとすること。」という末尾になっておりまして、読み方がいろいろとあるわけでございます。私もその緒方委員の提案の趣旨というのはよくわかるわけでございます。よくわかるけれども、今回のこの法律のいわば魂である部分でもあると思うんですね。私だけではない、ほかの委員もあるいは国民一般も心配をしておるのが、その関係において自治体あるいはその関係者がいわゆる強権を発動できるような力を付与する法律なのか、それとも例えば訴訟に持ち込んだときにこちら側の法律が負けるような効力を持つものなのか、その微妙なところだと思うんです。  先ほどもそれに関連した御質問をだれかされたと思うんですけれども、改めてお聞かせ願いたいと思います。
  105. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) 借地借家法との関係で、この法律のポイントについて、若干くどいようでございますが、二点御説明させていただきたいと思います。  一つは、居住安定計画の認定という制度がございますが、その法律上の認定基準、つまり法律が何を要求しているかということでございますが、一つには、それぞれの居住者ごとに規模でございますとかあるいは構造、設備あるいは家賃が妥当な水準の代替住宅、これが確保されておるというのが一つ、それからもう一つは、生活環境に著しい変化を及ぼさない地域内において確保されるという条件が一つございます。したがいまして、代替住宅を確保するということは市町村にとってみても相当な行政上あるいは財政上の負担になろうかと思います。何でもいいから用意すればいいというものではないという点が第一点でございます。  それからもう一つ、手続的には確かに計画そのものは所有者がおつくりになるわけでございますけれども、認定するのは市町村でございます。市町村がきちっと入居者の意見を聞いた上で措置をするというのが法律上定められていることでございますので、法律そのものとしてかなり重い義務といいますか負担を市町村に課している。したがって、過重といいますか、過重な権限行使というよりも私ども感じからしますとむしろ責任が余りにも大きいということで市町村側がシュリンクすることの方をむしろ懸念しているというのが率直な感じでございます。  ただ、制度を構築するときには、いろんな方が恐らくいらっしゃると思いますし、やはり市町村が最善の努力をするというふうなことを片方で前提としつつ、入居者の方もそれなりの良識はお持ちである。したがって、おれの言うことを聞かない限りはということは勘弁してもらいたいという点は率直に言ってございます。そういうふうなことを前提とした上での法制度を仕組んであるということでございますので、これだけの要件をきちっと守っている限りは、借地借家法との関係において法律に明定してございますように借地借家法の規定は適用しないということになろうかと思います。  ただ、今御説明したような要件を決定的に欠くような状況で市町村が仮に権限を行使したという事態を万に一つ想定した場合には、恐らく裁判になれば借地借家法の規定を適用しないという法律の条項の発動が無理であったと、違法であるというふうな結果に民事上はなるのではないかという感じがいたします。
  106. 小川勝也

    小川勝也君 いわゆる入居者の考え方でありますとか満足するポイントというのがいろいろと変わってくるんではないかということで、個別のケースについての御質問をさせていただきたいと思います。  その前に、今裁判に持ち込まれることも少しはあるだろうということを想定されていると思いますが、その点ともう一つは、これは各自治体に裁量が任されていて、例えば高度な水準の代替住宅を希望する方がいたとして、それをどこまで聞くかというのが自治体の裁量にどの程度任されているのか、お伺いをしたいと思います。
  107. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) 先ほどの説明とちょっとダブるのかもしれませんが、裁量の幅というのは定量的にはなかなか難しいと思います。  したがいまして、最終的にはやっぱりある種の社会的なバランス感覚というか常識に帰着するんだろうと思いますが、立地の場所でございますとかあるいは広さ、家賃というものがそれなりにバランスがとれているということを法律上要求しているというふうなことでございますので、案外実務上はそう極端な裁量の幅はないのかなという感じもいたします。
  108. 小川勝也

    小川勝也君 それでは、そのケースについて御質問してみたいと思いますけれども、例えばそこの代替に自治体が用意した公営住宅よりも、それよりももう少し近い高級賃貸マンションに自分は入居したいんだ、そしてその場合に、例えば市営住宅に移住した場合の移転料などというものはそのまま算定されることになっておるのかどうか、その点をお伺いしてみたいと思います。
  109. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) まず移転料の方から申し上げますが、移転料は義務的に支払うと、国もそれに対して補助をするというふうな形で法律上明定してございます。  それから、これは常識的な評価をするしかないとは思いますが、公営住宅とより近い、その意味では便利で高級なマンションがあった場合に、高級ということの理解の仕方だとは思いますが、常識的に高級ということであるならば過剰な要求だろうと思います。
  110. 小川勝也

    小川勝也君 それでは、その代替住宅となる公営住宅のことでお伺いをしたいと思います。  私が知る限りにおいて、一般的に公営住宅と呼ばれるものの中の代表的なものは県営住宅、市営住宅であろうかと思います。そのほかに公が関与しているものとしては、いわゆる公団、そしてこれは一部でございましょうけれども雇用促進住宅、こういうさまざまな形で公が管理しておる住宅の種類があることの非合理性について建設省では何かお考えがあるかどうか、お伺いしたいと思  います。
  111. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) 非合理性ということでございますが、それぞれの政策目的でいろんな種類の住宅が供給されているというのは事実でございます。もし今後検討すべきような問題という意味で非合理性があるとすれば、やはり相互に管理体系が別体系で構築されておりますので、案外融通がきかないという点が事実としてございます。ただ、これは私ども問題意識としては十二分に持ってはいるんですが、なかなか短期間には制度上の決着というのは難しいのかなと。  運用上の話といたしましては、例えば公団住宅と公営住宅との関係について言いますと、建てかえるときに公団の敷地内に公営住宅を併設するとかというふうな運用上の相互の努力というものは少しずつやっております。  また、若干蛇足でございますが、例えば神戸で先般あれだけの被害状況があったときに、公団も頑張っているし県も市も頑張っております。そのときの管理の仕方が、たまたま神戸という狭い範囲でございますので、運用上の措置として補修は一元的に行うという形で運用上の相互の調整をしているという努力は行っております。  ただ、制度上これですべてが解決する状況というのは少し時間がかかるかなと。あるいは時間がかかるというよりは基本的には相当難しいかなという感じがいたします。
  112. 小川勝也

    小川勝也君 それと、私がかねがね懸念していたことに、例えば公営住宅の中に所得制限などの基準が設けられているところがあるかと思います。それで、その基準を守られていない入居者についての問題あるいはトラブルなどというのが全国各地で起きているように伺っております。  そして、今回の法律改正とあわせて考えをいたしますと、この代替住宅への入居を余儀なくされる方については、それは常識的な範囲内での補償が的確にされるべきだと私も当然に考えておりますが、例えば自治体などで権限の幅を持って対処をしたときに、いわばごね得とかあるいはさまざまなネゴシエーションの中でその方々に過剰なサービスをしてしまう場合が出てくることも逆に心配をしております。  そういうことをなぜ申し上げるかといいますと、例えば所得基準をオーバーしているにもかかわらず市営住宅に住んでおられるという方は、言いかえますと市営住宅に入っていない方の税金がその方に使われているということになりましょうし、また今回国庫補助がありまして、市町村がその移転のためにそういう方々にお支払いをするということになりますと、またこれが税金を使ってのことであると思うんです。その辺の担保といいますか、自治体が決めることだから少しぐらいの過剰サービスはしょうがないと考えるのか、その辺の私の心配についてお答えをいただきたいと思います。
  113. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) ただいまの御指摘は、公営住宅の管理のありよう一般に関する基本的な御指摘だろうと思います。  若干数字的なことを申し上げますと、現在、県営、市営合わせまして全国で二百十万戸公営住宅がございます。当然収入基準というのがあるわけでございまして、それで収入基準を超えている方々が二百十万戸のうち約六十万戸ございます。ただ、超えるといっても程度問題でございまして、ある程度超えているというふうなレベルから高額所得と認定せざるを得ないレベルまで超えている方、いろんなランクがございます。  普通のいわゆる収入超過というふうな程度の方々に対する措置でございますが、基本的には入居は継続することは前提としつつも、家賃はそれなりにいただく。最高は市場家賃までいただくという金銭的な形で対応しております。高額所得という水準になった場合にはこれはもう出ていただく。最後は裁判に訴えてでも出ていただくし、若干懲罰的な意味でその間は市場家賃の二倍までの家賃をいただくことも制度上は可能という形にしております。  ただ、そういうふうな制度上の対応策は講じてございますが、今御指摘になりましたように公営住宅は税金を投入しておりますので、やはりきちっとした厳正な管理というのは最小限必要になってまいると思います。厳しくと言うと語弊がございますが、公共団体にもそれなり努力はお願いしたいという立場でございます。
  114. 小川勝也

    小川勝也君 先ほども申し上げましたとおり、今回の法律が借地借家法との関係において非常に心配をする点があるけれども、踏み出したことによって私が注目をしておるのは、よく自治体の担当の方々からお伺いをするところによりますと、先ほどの老朽化した公営住宅の建てかえにかかる問題が大変である。例えば、古い建物であるから応分の家賃をいただいておりますけれども、その場所に新しい建物が建ちますと家賃が上がってしまう。さまざまなケースがございましょうし、さま、ざまな対応があると思います。  例えば、既得権益として前の家賃のまま入れることが適正なのか、それとも家賃が上がった分だけ上がったものをいただくのか、あるいは建てかえると自分は資格要件から外れているんでこれを機に追い出されるんじゃないかと思って必要以上に反対をする方、さまざまなケースがあって、市営住宅等公営住宅の建てかえの促進を妨げる要因があると思うんですが、その辺に対する短期的、長期的な展望といいますか、解決策についてのお考えをお伺いしたいと思います。
  115. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) まず数字から申し上げたいと思いますが、例えば平成九年度の予算におきます公営住宅の建設戸数でございますが、予算上は四万一千戸計上いたしております。このうちの六割が建てかえ関係でございます。その意味では、今後引き続き建てかえのウエートが高まってくることは間違いないと思います。その際に、今御指摘になりましたようないろんな意味での問題が確かにございます。難しい問題がございます。  ただ、一つ申し上げておきたいのは、建てかえ後の家賃が一般的には確かに建てかえ前に比べて高くなります。なりますが、建てかえ後の家賃といえども、やはり昨年の法律改正でその入居者の方の収入、支払い能力に応じた価格であるというふうなことがございますので、支払い能力との関係で決定的に乖離するという水準には普通はならないと思います。ただ、新しくなることに伴って、あるいは若干広くなることに伴って便益が増すという側面から家賃が増嵩、多少ふえるという点はあろうかと思います。ただその際にも、法律上は激変をする場合には五年間緩和措置を導入しているとかという点がございますので、基本的には家賃体系は今申し上げましたような応能主義であるということをベースにして最大限のいろんな努力をしながら建てかえを進めたい、こんな感じでございます。
  116. 小川勝也

    小川勝也君 この補助を受けます地方自治体の方も財政が基本的に大変な状況だと思います。だからといって、この事業を進めるためにいわゆる税金を無尽蔵に使っていいということにはならないと思うのであります。適切な事業内容に適切な補助ということで、先ほど私が申し上げましたように、その代替地に引っ越しをされる方々に過不足のないような個別の対処ができますよう地方自治体に対する御指導をお願い申し上げて私の質問を終わらせていただきます。
  117. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 大臣は午前中、災害地の自衛隊の出動について共産党は嫌がるでしょうけれどもと言われました。我が党は自衛隊の災害出動は当然という立場ですので、誤解のないように述べておきたいと思います。  私は、災害に強い安心の町づくりの運動を進める中で、老朽木造建築物密集市街地整備は緊急課題であると痛感していました。この法律案は、そのために国や自治体の支援の推進と整備を図るものであり、その点はきちんと評価するものです。しかし、対象地域の住民の皆さんと懇談すると、整備は結構だけれども居住の安定が損なわれるのではないかという不安が根強くあります。  居住安定計画除却勧告が前提です。これは知事または市町村長が行うものですけれども、代替住宅の提供・あっせん努力義務は市町村長に課せられています。除却勧告はその建物と周辺建物の状況法律上の要件に該当すれば行うことができるわけですけれども、代替住宅などの確保の見通しがないまま勧告が機械的にどんどん発動されるということがあるんじゃないかという不安、これは現実に居住者の間にあるわけです。除却勧告を行う段階で市町村長や公的住宅の管理者の意向、賃貸人や居住者の状況を十分踏まえて適切な代替住宅の確保ができる見通しのもとに勧告を行うという対応が必要だと思いますが、いかがですか。
  118. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) 御指摘のとおりだろうと思います。こういうふうな事業をする場合には関係権利者と市町村それから県当局、これがやはり十二分な相談というか、打ち合わせをした上で対応するというのが基本的な要素であろうかと思います。  今御指摘になりました、勧告をするのは知事であって代替住宅等々を確保するのは市町村だというふうな点、確かにそういう組み合わせのケースはございます。ただ、その場合にはこの法律の十三条という規定がございまして、知事が除却勧告をする場合にはあらかじめ関係市町村長と協議をするという法定の条項が入っております。したがいまして、当然のことながら後々の業務を担当する市町村と綿密な打ち合わせをした上での知事の権限発動ということになるだろうと思います。
  119. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 午前の松谷委員質問に対して住宅局長は、本法案は代替住宅を市町村の責任で保障する、そのことと借地借家法の適用除外はセットだと答弁されました。法案には、市町村は事業施行者ではなく、居住安定計画は賃貸人が作成することになり、市町村長は要請があれば代替住宅の提供、あっせんに努めなければならない、そうされているわけですけれども局長の答弁はその点で市町村の責任で代替住宅の保障と言われたわけで、重要かつ積極的だと思います。  市町村が代替住宅に新築も含めて必要なだけの公営住宅、コミュニティー住宅を供給する責任を持つ、このことは重要だと思いますが、そういうことですね。
  120. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) 結果として、代替住宅がきちっと確保されない場合には居住安定計画の認定をするわけにはいかないということになろうかと思います。したがいまして、市町村としてはみずから管理している公営住宅を総動員して代替住宅を確保する、適当なものがなければ借り上げるなり、あるいは新しく何らかの方法で管理すべき住宅を確保するというふうな政策努力が当然必要になってまいると思います。
  121. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 代替住宅について、法案に居住者ごとに代替住宅規模、構造、設備、家賃が妥当な水準ということがありますね。個々の居住者が支払い可能な家賃であってこそ妥当な水準と言えると思うんです。これは当然ですね。そして住み続けられることが肝心だと思うんです。傾斜家賃で数年後には支払いが不可能になる、これでは協力できないという答えが返ってくるのはいわば当然だと思うんです。いずれ払い切れない代替住宅の提供ということになると、それでは正当事由を適用除外にするということは到底言えないんじゃないかと思うんですが、その点いかがですか。
  122. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) 一般的に所得の低い方に対して法制度として準備している制度が公営住宅でございます。  公営住宅制度について何度かお答えしておりますように、家賃体系は入居者の支払い能力に応じた家賃を設定するというふうな形になっております。したがいまして、基本的には収入のある方に対してはそれなりの家賃をいただき、ない方に対してはないなりの家賃をいただくというのが公営住宅法でございます。またそれでもなおかつという場合には、公営住宅法には家賃の減免措置という規定もございます。これだけの制度を総動員した上でなおかつ不十分であるというふうなことは基本的には私はないと思います。
  123. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 居住安定計画認定の要件の一つである生活環境に著しい変化を及ぼさない地域ということは、居住者の条件によって相当異なると思うんです。例えば、通学児童がいれば学区内ということがありますし、高齢者のひとり暮らしという場合には近隣の人間関係が生活環境の重要な部分となることは当然です。こういうように認定に当たっては個別の事情もやはり重要な要素として判断されるべきと思いますが、どうですか。
  124. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) おっしゃるとおりだろうと思います。制度としましても、居住者ごとに云々というふうなことを規定しておりますのはまさに御指摘のとおりでございまして、家族構成も違えば家族が置かれている状況も違う、そういうものを念頭に置いた上で妥当なというふうなことが法律上の要請でございます。
  125. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 代替住宅についてこういう個別の条件が確保されるためには、居住安定計画作成に当たって居住者の意見を求めればあとは最小限法定要件を満たすだけでいいという態度では実際は済まないと思うんです。市町村長が認定する場合にも、形式的に居住者の意見を聞きさえずればいいということでは済まされない。法律上は居住者の同意が要件になっていないわけですけれども、単に居住者の意見を求めるとか聞くとかいうだけでなくて、やはり十分に居住者の意見を聞く、話し合う、納得を得る、このことが居住者の居住の安定にとっても、また事業全体の推進にとっても非常に大事だと思いますが、どうでしょう。
  126. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) 居住者に対して意見を求め納得を求め理解を求めるというのは当然であろうかと思います。ただし、法律上の同意、裏を返せば拒否権というふうなことについては法制上としては私どもとしてはとりがたい。そこは社会的な常識の範囲で理解を求め、同意を求めるというふうなことであろうかと思います。
  127. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 墨田区の京島では、区の当局と職員が非常に大きな努力を払って地域住民によく溶け込んでいる、そういう事業を進めております。私たちそれを見たわけですけれども、まさに先ほども答弁にありましたけれども人間関係が大事だということを視察を通じてつくづく痛感いたしました。このように居住者の相談に応じ親身になって助言するという、そういう専門家の助言、援助、これがやはり非常に大事だということを痛感いたしました。  先ほど都市局長は、地域住民に対する支援体制をとる、これが大事だということも言われました。そのとおりだと思うんです。自治体あるいは防災街整備推進機構などに相談窓口を設けるとか、専門家を派遣するとか、借家人を含めた町づくりの協議会をつくってその中で居住者支援を行うとか、そういう貸借人に対する支援、こういうことが行われるべきだと思いますが、どうでしょうか。
  128. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) おっしゃるように、こういうふうないろんな意味での人間関係が積み重なっている場所に対していろんな事業を展開する場合には、やはりきちっと、何といいますか、極端に言えばマンツーマンでいろんな説得なり御相談をするという体制がどうしても必要になってくるかと思います。  その意味では、市町村の職員だけではなくて、いろんな市町村にまちづくり公社というものがございます。そういうふうなものをきちっとこの法律でも位置づけた上で、親身になっていろんな相談に応ずる、また相談に応じたことが実現できるような支援体制なり支援制度というものも準備をする、法律でも準備しますし、あるいは運用上でもいろいろ準備をするというふうなことが必要かと思います。
  129. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 防災機能の向上は国、自治体はもちろん居住者自身が求めているんです。当然、適切な計画には協力していくと思うんです。同時に、居住者の犠牲で行われるものであってはならない、これも明確だと思います。居住安定計画対象となる住宅除却勧告を受けたものであって、大体老朽化して危険なものです、だからそうなるわけです。大臣も強調されたように、居住者も好きこのんで危険と言われるところに居続けたい、そう思っておるわけじゃないんです。話すとそれは非常によくわかるんですね。そうした中で、しかしそこしかない、そこに現在の冷厳な住宅事情がある、それが現実だと思います。  そうした実態を踏まえて、居住者が安心して住み続けられる町づくりを行い、また借地借家法を敵視する、そういうこともあるわけです。再開発の邪魔だとか東京の国際化の妨げになっているとか、そういう一部のディベロッパーがいる。やはりそういう業者もあるわけですから、こういう人たちに対しては毅然とした対応が求められると思うんですけれども、大臣いかがでしょうか。
  130. 亀井静香

    ○国務大臣(亀井静香君) この法律は、密集市街地地主がこの法律を使って土地を高度利用して金もうけをすることを助けるためにやるわけではございません。地主というよりも、貸借人であろうと現にそこに住んでおる人が住民でありますから、そういう人たちのより安全な生活を実現するためにやるわけでありますから、そういう意味では貸借人の方々の基本的な権利とか感情とか、そういうものを最大限に尊重するというのは、これは私は当然なことだと思います。  なお、午前中もちょっと私申し上げましたが、法律の視点がそういうことでございますから、土地の高度利用ということがもちろんこれによってある程度可能になると思います。しかし、それによって逆にそこに住むことのコストが安くなってくる、高度利用というような形の中で。そうしますと、貸借人が一時的には外に出るかもしらぬけれども、夏祭りゃ秋祭り、その地域で参加してよいしょよいしょとみこしを担いでおったそういう人たちがまたもう一度そこに帰ってくることができるような整備をやはり私は心がけなければならない。高級マンションがその跡にできて、安全かもしれないけれども、町が完全に住民を含めてすべて変わってしまうというようなことが私は目的であってはならないと、このように考えます。  そういう意味で、民間のディベロッパーに主導されるということだけじゃなくて、もちろんそれは県が主体的にやっていくべきでしょうが、住都公団等がそれに加わっていき、そうした政策的な配慮というものが浸透するような形でこれを実施していきたい、このように考えております。
  131. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 土地の高度利用がコストを安くするというこの議論については私は意見がありますけれども、別途やりたいと思います。その機会は当然あると思います。  残りの時間で、ちょっと法案から離れるんですけれども、私はこの機会に関西の談合疑惑について質問させていただきます。  建設省は四月十一日、談合に関与したとされるゼネコン各社の幹部及び平島栄氏本人から事情聴取したと発表いたしました。大臣はその際に記者会見で、まだシロクロを胸を張って報告できる段階ではないが、平島氏の説明は不自然でそれだけでは納得できないと述べられております。そして、今後も徹底調査を継続することを明らかにされました。大臣はなぜそう思われたのか、説明願います。
  132. 亀井静香

    ○国務大臣(亀井静香君) 平島氏本人からの事情聴取、及び当時の公共事業にかかわって受注をしておった百社以上の業者等から広範に経済局が事情聴取をいたした結果、私も報告を受けたわけであります。  簡単に申しますと、平島氏が私のところにも告発文なる書類を持ってきた、次官のところにも持ってきて、公取にも持っていったと。そうした行動をとった後、またそれをあれは本気じゃありませんでしたというようなことで取り下げて、いろんな添付資料なんかについても、この告発を受け取って調査をしてもらいたいためにそういうものをいろいろかき集めてやったんだというような説明をされておりますけれども、私も子供じゃありませんから、そういう説明だけではなぜそういう行動に出られたか、平島氏の行動自体について完全に私はわかったという気持ちにはなれないわけでありますし、実際談合がなかったかもしれません。しかし、平島氏が最初言っておったようにあったかもしれない。このことについては、そう軽々とは申しませんけれども、私は今までの調査できっちりと完全にありませんでしたといって結論を出す度胸がございません。今後とも引き続いて調査をしていくべきだというように判断をしたわけでございます。  なお、今までの調査の経過については、すべて公取の方に関係書類等のお渡しを現在しておるという状況であります。
  133. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 不自然な点は確かに多いんです。  例えば、私は平島氏が公正取引委員会建設省に提出した九ページの手書きの談合受注工事リストに列記された建設、運輸、農林の各省庁や関係特殊法人の発注した計四十一件の公共工事をもとに、その入札結果調書を取り寄せて入札状況を調べてみました。その結果、複数回入札が繰り返された十六件すべてで、二位以下あるいはその後の業者の順位が入れかわることがあっても、一度目の入札で最低価格を提示した一位業者、これが二度目でも変わらない不自然な入札になっておりました。同じ状況は、談合リストに記載されたほかの地方自治体の工事にも数多く見られました。やはり複数回実施された入札のすべてで本命業者の金額が常に一番札になった、これは談合の常套手段である一位不動と称されるもので、談合行為があったことを端的に裏づけるものではないかと思うわけです。  そこで、公正取引委員会質問したいんですけれども、この件で今お聞きのとおり建設大臣も調査の継続を表明されています。国民にもその点で非常に大きな関心が集まっている、持たれております。公取委としても、平島氏側から膨大な量の関連資料を提出させて調査を進めているわけですから、一層本腰を入れた調査を行う必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。
  134. 梶山省照

    説明員(梶山省照君) 御質問の案件につきまして、新聞あるいは雑誌等でいろいろ報道されていることは承知しておるところでございます。また、建設省の方でなされました調査結果についても受け取っておるところでございます。  ただ、公取としまして、従来から個別具体的な案件についてどのように対応するかということは答弁を差し控えさせていただいておるところでございますので、一般論として御説明させていただくことになりますが、公正取引委員会といたしましては、独占禁止法違反事案については情報の収集に今努めておるところでございます。そういった結果、独占禁止法違反事件としての端緒となり得る、こう判断された場合は厳正な立場で調査に当たり処理するということとしておりますので、御指摘の件につきましてもそういった流れの中で対処していくということになると思われます。
  135. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 公正取引委員会は当然それを進められるということで、私はそういうふうに考えておりますけれども、やはりこれは建設省がみずから建設大臣のイニシアチブで疑惑を晴らしていくというのが非常に大事だと思うんです。  その点で、例えば平島氏の聴取についても、西松建設の専務とともに一緒にやったと。一人でやったって、こういう問題でみずからやりましたということはまずないわけです。ですから、やはり私はその話を聞いて、はいそうですかというそういうお人よしはいないと思うし、建設省は、また亀井建設大臣はそうではないと思うんです。  ですから、私はその点でやっぱりこの件というのは非常に重大な問題で、さきの委員会でも建設経済局長は談合は根絶されていないという認識を示しているわけです。ですから、そういった点でゆゆしきこの問題、談合を絶つというその点を、この問題きっぱりけじめをつけていきたい、その点で最後に大臣の決意を伺います。
  136. 亀井静香

    ○国務大臣(亀井静香君) 私は、あの平島さんが非常に不自然な経緯の中で、形で談合があったと言ってこられたことを、緒方委員のように、ああ本当か、あったに違いないと思うほど私も人がいいのか悪いのかわかりませんが、私はもともと性善説の立場であります。しかし、さはさりながら先ほど言いましたように、本人の事情聴取に対する今までの経過の説明、心情等について、はいそうでございましたかといって、もうすべてが我々としてはすっきりするということではございません。  事は、本人がそういって談合をやったということを言ってきたことは事実でありますから、それがうそを言ったのか、何の目的で言ったのか、そのあたりのことはもうきっちりと調査すると同時に、現にそういう談合があったのかないのかという平島氏本人の説明は別として、そういうことについて建設省としてはきっちりと調査する必要があるという形で今までも調査いたしましたし、今後ともきっちりと調査をいたしてまいります。  ただ、手段についていろいろと今御批判がございましたけれども、我々は捜査権を持っておるわけではございませんので、事情聴取について相手方の条件もいろいろあるわけでありますから、それを無視してやるわけにもまいらない。そんな事情もある中で職員は一生懸命やっておることだけはここで御報告申し上げたい、このように思います。
  137. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 終わります。
  138. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。  密集市街地における防災街区の整備促進に関する法律案の修正について緒方靖夫君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。緒方君。
  139. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私は、密集市街地における防災街区の整備促進に関する法律案に対し、修正の動議を提出いたします。  その内容は、お手元に配付されております案文のとおりです。  これより、その趣旨について御説明申し上げます。  本法案は、計画的に防災街区の整備促進する地域都市計画に定め、建てかえ事業や居住者の代替住宅の確保について支援を行い、危険建築物除却や建てかえを促進するとともに、新たな地区計画制度を創設して防災街区の一体的・総合的な整備を推進しようとするものです。  老朽木造建築物等の建てかえ費用について助成する建てかえ計画認定制度は、関係権利者全員の同意が要件であり、住民の意向の反映や居住者の権利が保障されています。ところが、除却勧告を受けた延焼等危険建築物にかかる居住の安定の確保及び除却に関する計画については、居住者以外の権利者の同意は要件とされていますが、肝心の居住者については意見を聞くだけとなっています。しかも、居住安定計画が認定された場合には、家主は正当事由の有無にかかわらず、賃貸契約の更新拒絶、解約が行える仕組みになっており、居住者は居住安定計画に同意できない場合でも、それに基づく賃貸契約の更新拒絶等について裁判で争う権利さえ大幅に制限されています。これでは、居住者が長年住みなれた地域から出ていかざるを得ない事態に追い込まれることが予想されます。第一に、居住安定計画で支払い可能な家賃の住宅が提供される保障はないことです。現在居住者が住んでいる木造賃貸住宅の家賃は一万円から三万円程度であり、公営住宅に入居できても大幅に家賃が上がることは確実です。激変緩和措置があるとはいっても予定されているのは五年間だけで、将来にわたって住み続けられる保障はありません。まして、収入が公営住宅入居基準をわずかでも超える世帯では、支払い可能な家賃の住宅が提供される保障は全くないのであります。想定されている特定有料賃貸住宅は、年々五%ずつ家賃が上がる仕組みであり、住み続けられないことは明白です。  第二に、制度上は公営住宅等への入居資格者の特例入居が認められていますが、地域内に必要な数の公営住宅等がないことです。代替住宅は生活環境に著しい変化を及ぼさない地域内に確保されることになっていますが、その範囲は明確には限定されていません。同一市町村内であればよいということでは近隣の人間関係は断絶されてしまいます。特に高齢者にとっては、それが命を縮めることにもなりかねません。  第三に、強権手段を背景とした制度のもとでは、居住者の意向の尊重がおろそかになりやすいことです。居住者の個別の事情を把握し、それに適合した代替住宅を提供するには多大な労力と財政負担が伴います。多くの自治体にそれだけのマンパワーと財政力は不足しており、法律が定める最低基準さえ満たせばよいということになりかねません。住民の信頼を損なえば事業の円滑な進展も望めません。  第四に、悪質な居住者の追い立ての急増が心配されることです。市町村長による除却勧告、居住者の同意を要しない居住安定計画の認定制度、正当事由条項の適用除外は、居住者に明け渡しを迫る絶好の口実となります。法的知識に乏しい居住者が悪徳業者のえじきにされ、居住安定計画の認定に至る前に退去させられることが予想されます。  以上述べたとおり、居住者の同意を得ない居住安定計画の認定とそれに伴う借地借家法の正当事由条項等の適用除外は、居住者がとても同意しがたい代替住宅の提示をもって住居の明け渡しを強制することになるおそれを否定できません。居住者は危険を知りながら、劣悪であるがゆえに家賃が安い住宅に住む以外にないのが実情です。住居費の負担が可能で従来の生活関係を維持できるのであれば、より安全で快適な住宅への移転に反対する人はいないはずです。こうした人々に同意を得ないまま退去を強制することになる可能性を持つ制度とするのではなく、居住者の理解と納得のもとに進めることに徹することこそ、密集市街地防災整備を最も効果的に推進する道です。  これが、本修正案を提案する理由です。  次に、修正案の要旨を御説明いたします。  第一に、居住安定計画の認定を申請しようとする者は、居住安定計画について、居住者その他当該延焼等危険建築物について権利を有する者の同意を得なければならないこととしています。  第二に、認定所有者は、居住安定計画の変更をしようとするときは、あらかじめ居住者の同意を得なければならないこととしています。  第三に、認定所有者が居住者に対し賃貸借の更新拒絶の通知または解約の申し入れをする場合についても、借地借家法及び旧借家法の正当事由等に関する規定を適用することとしています。  以上が本修正案を提出する理由とその要旨であります。  委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  140. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) これより密集市街地における防災街区の整備促進に関する法律案の原案並びに修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  141. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私は、日本共産党を代表し、密集市街地における防災街区の整備促進に関する法律案に反対し、修正案の可決をお願いする討論を行います。  老朽化した木造建築物密集している地域は、強い地震等が発生した場合、倒壊や大規模火災による甚大な被害を受けるおそれが強く、その防災機能の強化は、国民の生命、財産を守る上でも、また健全な町づくりを進める上でも重要な課題です。しかし、このような地域は、土地が細分化し権利関係が複雑なこと、建物の所有者や居住者が高齢化していること、建築物密集し適法な建てかえや公共施設用地の確保が困難であることなど、その防災整備の推進には多くの障害があり、特別の支援策が必要です。本法案によって各種の支援制度が法制化されていることは評価するものです。  同時に指摘しなければならないことは、町の防災機能の強化は、住民がそこで安全に生活できるようにするためのものだということです。いかに安全で快適な町となっても、そこに住んでいた人たちが安心して住み続けることができなくなったのでは、何のための防災整備かわかりません。町づくりはあくまでも住民の合意に基づいて進められるべきものです。  ところが本法案では、除却勧告を受けた延焼等危険建築物について、居住者の同意を得ないまま居住安定及び除却に関する計画が認定される仕組みになっています。これでは、居住者が本当に住み続けることができる代替住宅が確保される保障はなく、居住者の多数を占める高齢者、低所得者の居住の安定が損なわれるおそれがあります。  しかも本法案では、居住安定計画が認定された場合には、借地借家法の正当事由等の規定の適用を除外することとしています。借地借家法は土地建物の賃貸人と貸借人との権利関係を規定する基本的な法律であり、建物の賃貸契約を終了させるためには、家主と借家人がその建物の使用を必要とする事情を中心として、裁判で正当事由の有無を判定することになっています。本法案は、司法が個別に判定すべき問題を居住安定計画の認定という行政処分にゆだねるものであり、家主と借家人との権利関係を定めた法制度の根幹を崩すものと言わざるを得ません。大手ディベロッパーなどは、借地借家法について、再開発や東京の国際化の妨げになる時代錯誤の法律だと非難し、その改廃を主張しています。正当事由条項等の適用除外の初の法制化は、その突破口ともなりかねない危険があります。したがって、仮に居住安定計画により適切な代替住宅が提供されるとしても、借地借家法の正当事由条項等の適用除外には賛成できません。  よって、居住安定計画については居住者の同意を要件とし、借地借家法の正当事由等の適用除外条項を削除する修正案の可決を強く求めるものです。原案の残余の部分は賛成でありますが、以上の点が修正されない限り、本法案には反対であることを再度表明して、討論を終わります。
  142. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めます。  それでは、これより密集市街地における防災街区の整備促進に関する法律案について採決に入ります。  まず、緒方君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  143. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 少数と認めます。よって、緒方君提出の修正案は否決されました。  次に、原案全部の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  144. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、密集市街地における防災街区の整備促進に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案について討論に入ります。−別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  密集市街地における防災街区の整備促進に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  145. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。亀井建設大臣。
  146. 亀井静香

    ○国務大臣(亀井静香君) 本委員会におかれましては熱心な御討議をいただき、ただいま両法案とも可決されましたことを深く感謝申し上げます。  審議中における委員各位の御高見につきましては、今後、その趣旨を生かすよう努めてまいる所存でございます。  ここに、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対しまして心から深く感謝を申し上げます。ありがとうございました。
  147. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  148. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十八分散会      —————・—————