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1997-03-17 第140回国会 参議院 建設委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年三月十七日(月曜日)    午後二時五十分開会     —————————————    委員異動  三月十四日     辞任         補欠選任      橋本 聖子君     釜本 邦茂君      前田 勲男君     中島 眞人君  三月十七日     辞任         補欠選任      坂野 重信君     保坂 三蔵君      広中和歌子君     今泉  昭君      青木 薪次君     梶原 敬義君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鴻池 祥肇君     理 事                 永田 良雄君                 山崎 正昭君                 市川 一朗君                 緒方 靖夫君     委 員                 井上  孝君                 岩井 國臣君                 釜本 邦茂君                 中島 眞人君                 保坂 三蔵君                 松谷蒼一郎君                 今泉  昭君                 平野 貞夫君                 福本 潤一君                 赤桐  操君                 梶原 敬義君                 小川 勝也君                 久保  亘君                 奥村 展三君    国務大臣        建 設 大 臣  亀井 静香君    政府委員        北海道開発庁総        務監理官     松川 隆志君        国土庁土地局長  窪田  武君        林野庁長官    高橋  勲君        林野庁次長    福島啓史郎君        建設大臣官房長  小野 邦久君        建設省建設経済        局長       小鷲  茂君        建設省河川局長  尾田 栄章君        建設省住宅局長  小川 忠男君    事務局側        常任委員会専門        員        八島 秀雄君    説明員        公正取引委員会        事務総局審査局        管理企画課長   梶山 省照君        大蔵省主税局税        制第一課長    伏見 泰治君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○不動産特定共同事業法の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出)     —————————————
  2. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十四日、橋本聖子君及び前田勲男君が委員辞任され、その補欠として釜本邦茂君及び中島眞人君が選任されました。     —————————————
  3. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 不動産特定共同事業法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明の聴取は既に終了しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 岩井國臣

    岩井國臣君 自由民主党の岩井國臣でございますが、このたびの不動産特定共同事業法改正に関連いたしまして、若干の質問をさせていただきたいと思います。  政府説明によりますと、我が国経済は緩やかな回復基調にあるとのことでございますが、土地は依然として下げどまったという感じはございません。そして、土地住宅取引は依然として低調でございます。不動産業経営もここのところずっと悪化したままでございます。  去る二月十日に政府は新総合土地政策推進要綱を閣議決定されましたけれども、それに基づきましてこれからいろいろな施策が動き出していくのではないか、そう期待しておりますが、ともかく早急に土地取引というものが活性化して地価が一日も早く適正価格に下げどまってほしいと思っておる次第でございます。  そういう期待感を強く抱きながら、まず最初に建設大臣にお聞きしたいと存じます。  不動産特定共同事業法改正のねらいでございますが、建設大臣はどの辺にねらいを定めておられるのか、大臣の思いというふうなものをまずお聞きしたいと思います。
  5. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 現在、委員指摘のように土地流動化も高まっておるような状況でありますが、日本経済は徐々に回復をしておるとは申しましても自力反転の軌道に完全に乗っておる状況では私もないと、このように思っております。  資本主義といいますけれども、日本の場合は担保等とりましても地本主義といってもいい側面があるわけでありまして、かつてのバブルのような地価の高騰とかは絶対防がなければなりませんけれども、やはり適正価格流動化し、かつそれが有効活用されていくということがなければ経済活性化はないと、このように考えております。  そういう意味で、建設省といたしましても、土地税制はもちろんでありますけれども、土地有効利用、そこにまた新しい資金がどんどんと集まってくる、そういう状況をつくらなければならないと、このように考えておりまして、このたびはそういう意味で、土地に大勢の投資家といいますか、それから有効活用へ向けて投資がなされていくという、そういう環境を整備をしたいということが一つのねらいでございます。
  6. 岩井國臣

    岩井國臣君 全く大臣のおっしゃるとおりだと思います。大いに期待しておりますので、大臣を先頭に建設省全体として頑張っていただきたいと、こう思うのであります。  次でございますが、今大臣考えと関連これありでございますけれども、土地有効利用対策というものと今回の法律改正との関係、具体的にどういうふうになっているのか、事務的な感じになりますがちょっと御説明願えませんでしょうか。
  7. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) 今回の改正のねらいにつきましては、ただいま大臣からお答えをいたしたとおりでございますが、いわゆる法改正中身土地有効利用とどう結びつくのかという御質問ではなかろうかと思います。  土地有効利用は大きく言いまして二つ側面によりまして前進するのではないかと考えております。一つは、土地有効利用するための施策、例えば、つい最近も大臣から方針を発表させていただきましたけれども、都心地区における容積率緩和するとか、ああいう具体的な政策中身を充実することは一つ大事でございます。もう一方の柱が、そういった取引が自由に円滑に行われる市場を健全化させていくということがあろうかと思います。本法改正は、そういう意味ではどちらかといえば投資しやすい環境をつくっていく、こういうことに資するのではないかと考えておる次第でございます。  具体的に言いますると、二年ほど前本法を制定させていただきましたときに念頭に置きました一般投資家を保護するという側面が大変強うございますので、今日時点でもう一度振り返ってみますると、いわゆる不動産取引経験豊かなあるいは知識を豊富に持った方々、つまり法人系でございますが、こういったところから見ると余りに制限が過重に見える、そういう部分があるわけでございます。そういったところを今回の法律改正によって一種の規制緩和をしようではないか、こういう関係にあるわけでございます。
  8. 岩井國臣

    岩井國臣君 まだちょっと具体的なイメージがわきにくいのでございますけれども、今回の法律改正によりまして不動産特定共同事業という事業都市開発等による土地有効利用というものにどう関係してくるのか。つまり、本事業土地有効利用に活用されるわけですが、どのように活用されていくのか、具体的なイメージがわくようにちょっと御説明願いたいと思います。
  9. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) この法律改正によって実態的に一挙に流動化が進むということではございません。いろいろな政策が集まって土地流動化が促進されるということではないかというふうに思います。  具体的なイメージがわかないというお話でございますので、例えて言えば、最近商業系プロジェクトについての新しい話が出かかってきておるわけでございます。これを実は実行に移す段階にどういう手段方法によって実行に移すかという問題がございます。通常ですと丸々ディベロッパー土地を所有して自分資金でその上に建物を建てるというのが一般の場合でございますが、自社ビルの場合であると別でございます。例えば賃貸用オフィスビル考えた場合には、いずれ資産を所有して収益を上げるということでございます。  したがいまして、借金をして不動産経営をやるということも一つ選択方法でございますし、従来はそれが主流だったわけでございますが、そこに多数の方々投資家資金を集めて事業資金を調達するという、そういう資金調達方法一つメニューとしてふやすという、そういう効果があるわけでございます。  現在、土地問題につきましては所有から利用へということがしきりに言われておるわけでございます。持つことに意味があるのではなくて、持った不動産を働かせることによって収益を得る、それが今後の不動産といいますか土地基本理念として据えられなければならないんだ、こういうことが言われておりますが、そういう観点からいたしますると、収益金に着目して不動産投資をする、そういう健全なる投資形態を伸ばしていく必要があるのではないかというふうに考えているわけでございまして、そういう観点から今回の法律改正考えておる次第でございます。
  10. 岩井國臣

    岩井國臣君 昨年の通常国会は御案内のとおり住専問題で大変荒れたわけでありますが、それでも一応基本的なスキームができました。そして、今そのスキームのもとで不良債権処理がなされているわけであります。しかし、不良債権問題というのは、前々回の建設委員会広中和歌子先生が御指摘なさっておったかと思いますが、不良債権担保土地のやっぱり流動化が起こらないと根本的な解決にならないのではないかと思います。  不良債権担保土地ということにちょっと焦点を絞って質問したいわけでありますが、一般的な土地というよりも。不良債権担保になっている土地をとにかく動かさなきゃいかぬという考えが非常に私強いわけでありますけれども。  そこで、今回の法改正によりましてそういう不良債権担保土地流動化というものが期待できるのか、それとも余り関係ないのか、不良債権担保土地というところに焦点を当ててちょっと考えをお聞きしたいわけであります。
  11. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) 御案内のとおり、不良債権担保土地の態様にもいろんなものがございます。現に建物が建っておりましてかなりな入居者を得ている、そういう物件もございますし、いわゆる虫食いのままでなかなか利用方法が難しいというものまであるわけでございますが、いずれにいたしましても、こういうものを御指摘のとおり動かしていくということが今大事なことでございます。  その際に、動かすというからにはそこの土地に何がしかの付加価値をつけて利用価値の高いものにして世の中に出すということが必要になってくるわけでございますが、その際にはディベロッパーさんのいろんな企画力あるいは構想力、そういったものが事柄を左右することになるのではないかというふうに思うわけでございます。  この不動産特定共同事業というのは、出資者がその土地がどの程度の収益を生むだろうかということを前提にして投資を決めるわけでございますので、いわば構想力が競われるというわけでございます。いいアイデアを出せば投資が集まる、いいアイデアを出さなければ投資が集まらない、そういう仕組みでございます。  したがいまして、この制度不良債権担保土地に当てはめて考えてみますると、ディベロッパーにとってみると非常に構想についての競争を問われるという意味で必死になってアイデアを出す、そういう効果が期待できるのではないかなというふうに思う次第でございます。  もう一つは、これはアメリカでも行われた例でございますが、ある程度収益性の高い不動産物件とそうでない物件とを抱き合わせて投資をしてもらうということによりまして処理しにくいものを処理する、こういうことが行われたというふうにも聞いておりますけれども、やり方によっては不動産特定共同事業で、今回の改正案が上がれば数個の不動産を抱き合わせて投資をしていただく、こういうことも可能でございますので、そういう観点からも不良債権担保土地処理一つの大きな手段を与えるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  12. 岩井國臣

    岩井國臣君 それはやってみないとわからぬところがあるんですけれども、私としては、ともかく少しでも不良債権担保土地が動いていくということを期待したいというふうに思います。  少し細かい話でありますけれども、法律中身につきまして質問させていただきます。  今回の法改正のねらいは、先ほど建設大臣の答弁にもございましたけれども、銀行信託会社などのいわばプロ投資機関プロ投資家不動産特定共同事業という事業投資しやすい環境というものをつくろう、こういうところにあるわけでありますが、現行法個人念頭に置いて個人投資家保護という立場から大変厳しい規制がなされております。それを何とかしなきゃいかぬ、そういうところから今回の法改正という話になっているわけだと思います。つまり、経済的な面での規制緩和先ほど建設経済局長規制緩和という言葉を使われましたけれども、そういうことだと思います。  さて、法案には、まことに細かい話で恐縮ですが、第四十六条の二にプロ機関投資家として銀行信託会社が例示されております。あとは建設省省令で決めていこう、こういう段取りになっておるわけであります。  そこで質問ですが、今私が申し上げたプロ機関投資家範囲銀行信託会社というのはあくまでも例示ですからそれ以外にもいろいろあるわけだと思います。つまり、規制緩和メリットを受ける者はだれなのか、またそれを決める際の基準、当然基準というものをお考えになっておるかと思いますが、その辺、省令レベルの話でございますけれども、この際建設省考えを聞かせていただきたいと思います。
  13. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) 御指摘のありました改正条文の中で言っております法人には二つの系統を想定しているわけでございまして、一つは具体的に銀行信託会社その他省令で定めるというグループ、もう一つ資本の額が一定の金額以上の株式会社二つ考えておるわけでございますが、前者の方はある程度不動産取引についての知識経験がある、会社業務内容からいってそういった性格を持った会社を当てはめたいと考えております。  それじゃ、具体的に何があるのかということでございますが、例示的に言えば保険会社でありまするとか不動産特定共同事業をみずから行っている会社とか、そういった会社を想定いたしておるわけでございますが、実は他に不動産ではございませんがいろんな商品について投資をする仕組みがございます。商品ファンド法と俗称されておりますが、この法律によって規制されております投資分野がございますが、そこにつきましても実は同じような考え方をとっておりまして、一定知識経験を有している法人につきましては規制を緩めようと。  したがいまして、その範囲も大体他法令と同じような範囲を想定いたしておるわけでございますが、現実的には不動産投資を実はやるのかやらないのかというふうに問うてみまするとほとんど考えていないというところもあるものですから、そういう点ではほかの商品投資と若干ずれが出てくる可能性はありまするけれども、大枠は同じような枠組みで考えたいというふうに考えております。  例えば、他の法令ですと証券会社などもこの規制緩和されるグループに入れられておるわけでございますが、現在証券会社自体不動産投資をやろうと考えているかということを問うてみますると必ずしも考えていないということでございますので、空振りになるようなものを入れるのはどうかなというふうなことを考えておりますが、この辺につきましてはそういった精神で今後なお詰めていきたいというふうに思っております。  株式会社の方は、一定資本を持った株式会社を想定いたしておりますのは、ある程度の資本金を備えた株式会社であれば投資についての自己チェック能力が働くのではないかということを考えておるわけでございます。制度的には、御案内のとおり商法特例法におきまして資本金五億円以上の株式会社につきましては監査法人監査が義務づけられております。  したがいまして、他法令でも同じでございますけれども、そういったクラスの法人であれば自己規制が期待できるのかなということで、資本金五億円以上の法人ということを一応今の段階考えておる次第でございます。
  14. 岩井國臣

    岩井國臣君 個人投資家から資金を集める場合ですと、現行法ではともかく建築確認が終わらないとだめですよね、アクションを起こせない。しかし、今回の法改正ではプロ機関投資家だからということだと思いますが、自己規制が働く、自己責任でもって建築確認が終わらなくても資金が集められる、プロなんだから事業実施確実性云々の判断は自分でやれと、そんな考え方になっておるかと思います。  そこで質問でございますが、そういった事業実施の時期に関する規制というものをなくすことによって具体的にどんなメリットが生じるというふうにお考えになっておるんでしょうか。
  15. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) 現行法では、基準法建築確認あるいは都市計画法開発許可が必要な場合には開発許可がおりた段階でないと事業がスタートできない、こういう仕組みにいたしておるわけでございますが、そうなりますると事業内容のほとんどを事業者計画をしてセットをした上で、その上で投資を募る、こういうある意味では硬直的な形にならざるを得ないわけでございますが、もう少し前から事業がスタートできるということになりますると、行政庁の処分を受ける前段階、つまり構想ないしは計画段階投資家の意向を反映することができる、そういうメリットがあるのではないかと考えております。
  16. 岩井國臣

    岩井國臣君 不動産特定共同事業という事業をもっと活発に行われるように持っていく、そのためには機関投資家がともかく投資しやすい、そういう環境をつくることが肝要であるわけで、したがって今回法改正をしようということになったわけだと思いますが、今回の法改正で、この辺はどうなっているのかなという若干不満めいた点がございますので、ちょっとお聞きしたいと思います。  機関投資家不動産特定共同事業投資する場合に、投資した後いつでも資金を引き揚げることができる、他に何か有利な投資先が出てきた場合に、不動産特定共同事業投資した分をだれかに売りまして、権利譲渡して次の有利な投資の方へ回っていくという、そういうことをやるかやらぬかは別だけれども、そういう自由度が当初にあった方がいいわけですよね。そういう自由度があった方がいいということだと思います。  現行法では、契約上の地位譲渡、なかなかこれは難しい言葉ですが、契約上の地位譲渡という制限がございますね。厳しい制限が置かれておると思います。その撤廃をなぜしないのか。私が言うように、途中でほかの有利なものに移ってということ、その方がさらにこの共同事業が促進されていくということになるのではないか、そういうふうに思うのでございますけれども、契約上の地位譲渡というものが現行法でなぜ制限されているのか、それの緩和を、撤廃といいますか、なぜしないのか。何か大蔵省はなかなか難しいということを言っておるんですけれども。
  17. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) 本事業譲渡性の問題につきましては、実は法制定のときからいろんな論議があった点でございまして、投資を促進するという観点からすれば譲渡性を大幅に認めた方がいいのではないか、こういう御議論もございますし、現にございます海外の類似の制度におきましてもかなり融通性を持たせておる、こういう実態もあるわけでございます。  ただしかし、本法におきましてかなり厳しく、御指摘のとおり譲渡性制限を置いております。それはなぜかということでございますが、一般金銭債権と違いまして、不動産を運営する、そういう地位でございます。運営した暁にその収益を分配する、そういう地位でございまして、大変複雑な法律上の権利であるわけでございますが、これは言ってみれば、組合を結成して組合財産管理をしていくという、こういうことでございますので、だれでも自由に出入りできるということでいいのだろうかといったような懸念も実は一部ございます。これは、ディベロッパーサイドからもそういう懸念がございまして、やっぱりそこの部分については慎重に考える必要があるのではないかというふうに考えています。  先ほど言いましたように、株でありまするとか証券でありまするとか、ただ単に金のやりとりをするだけの権利であれば金品のやりとりについてだけで済むわけでございますが、不動産を例えば修繕するかしないかとか、そういったことをめぐっても足並みが乱れては困る、あるいは横車を押されるようなことがあっては困ると、そういう懸念もあるわけでございますので、出だしは慎重にした方がいいんではないかということで、現行制度のもとではかなり厳しい制限を置いているわけでございます。  ただ、運用の仕方としましては、売り抜けたい人は一度事業主権利を返して、事業主がまた組合員を選定して新しい組合員に入ってもらうという、そういう方法もないわけではございません。つまり、組合員同士譲渡制限しておりまするけれども、一遍事業主に返した上で、買い取ってもらった上で、その事業主がまた新たな組合員を選定して参加してもらう、そういう方法はないわけではないということでございます。  したがいまして、大変大きな問題ではないかというふうに思いまするけれども、これは、しばらくこの事業実態を重ねていく過程でいずれかの時期にもう一度考える、そういう時期が来るんではないかというふうに思っております。  この不動産特定共同事業法全体についての議論でございますが、実は附則の三条というところで、そういういろんな流動的な要素があるので、この法律の施行後十年以内にもう一度再検討すべしという条項をつけていただいておりますので、そういったときに見直しの対象となる一つのポイントではないかというふうに思っております。  なお、運用上で緩和できる部分もございますので、そういうものにつきましては実態を見ながら随時緩和の方向で持っていきたいというふうに考えております。
  18. 岩井國臣

    岩井國臣君 ちょっと何か、運用でというところですっきりしない面があると思いますけれども、ひとつ大いに行われるようにお願いしたいと思います。  さて、少し本論から離れますけれども、指定流通機構制度という制度が新年度、この四月からいよいよスタートするわけですね。建設大臣指定不動産物件情報ネットワークというふうなことになるんでしょうか、大臣指定ネットワークという、画期的といえば画期的なことかなという感じもするわけでありますけれども、不動産取引市場をいかに活性化するかということが、閣議決定されました新総合土地政策推進要綱におきましても一つの柱になっておるかと思います。  そこで、今の指定流通機構制度、なかなかちょっと言葉がかたくて難しいんですが、要するに大臣指定不動産物件情報ネットワークということですけれども、それの新しい組織の設立状況はどうなっているのか。それからまた、建設省は新しい制度不動産市場活性化にどのように効果を及ぼすと考えているのか、そういった点をお聞きしたいと思います。
  19. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) 一昨年の宅地建物取引業法の改正によりまして、ことしの四月十九日以降、指定流通機構の組織のあり方につきまして、従来は任意の団体ということだったのでございますが、法律上これはきちっとした法律の監督に服するいわゆる民法の公益法人の形態をとるべしということが法律によって決まったわけでございます。  現在、そのための準備が進められておりまして、これまで三十七の指定流通機構が全国にあったわけでございますが、なるべくこれを束ねるということが有効なわけでございますので、業界ともいろいろ相談をさせていただいておりまして、現在、全国を四つの機構にまとめるという構想のもとに、それぞれ組織づくりが佳境に入ってきております。  四つと申しますのは、一つは財団法人の東日本不動産流通機構。これは既存の三十七の中にただ一つだけ財団法人の人格を持ったものがございまして、これを拡充する。これは首都圏にあったわけでございますが、これを東日本全体に拡充するということを考えております。それから、以下は社団法人形式でございまして、中部北陸地域でございますが、中部圏不動産流通機構、それから近畿圏一帯でございますが、同じく社団法人近畿圏不動産流通機構、それから中・四国、九州でございますが、西日本不動産流通機構、この四機構を設立するための手続を進めておりまして、四月十九日までには法人の設立を終えて、これは建設大臣の指定が必要でございますので、指定措置まで済ませたいと考えておる次第でございます。  その効果でございますが、これは法改正の際に十分御議論をいただいたわけでございまするけれども、流通業者さんが取り扱う不動産情報をなるべくオープンな形で持ち寄って取引のチャンスをふやすということが取引の円滑な推進に効果があるわけでございますので、そういうことに効果がますます今後発揮されていくんではないかと期待しておるところでございます。
  20. 岩井國臣

    岩井國臣君 愛称レインズという、片仮名でレインズというふうに命名されておりますが、これが広く一般国民に活用されるということを期待するわけですけれども、今の説明聞きますとちょっと具体的にわかりにくいので、お客さんの立場になって、今までよりもこういう点で便利になるんだというのを、この際PRを兼ねてやっていただいたらどうかと思うんですけれども。
  21. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) 恐れ入りました。  PRも兼ねてということで勇気を得た次第でございますが、確かにお客さんの立場に立ってみますと大変便利な制度になるはずでございます。先ほど西日本の例を申し上げましたけれども、九州の方が例えば四国へ転勤するといったようなときに、従来ですとどうするかというと、全く圏域外の業者さんにお話をつなぐわけでございますので、なかなかこれはスムーズにいかなかったということがございますが、今後は一つのコンピューター組織で、九州の不動産屋さんが端末を操りますると、四国の業者さんがそれを見て、うちにいいのがあるよということで連絡が行く、そういうメリットはあります。したがいまして、お客の立場から見て非常に広範囲に相手方を探すことができるということでございます。  したがいまして、本来ならば全国一つということが一番利便性が高いわけでございますが、いろいろシステムの維持管理のコストの問題とか、そういったものを勘案しまして、業界の判断として全国四つということになった次第でございます。いずれまた時期が来れば再度大同団結という時期が来るかもしれませんが、それはこれからの運用を通じて業界内で意見調整されていくんではないかというふうに考えております。
  22. 岩井國臣

    岩井國臣君 さて、だんだんと時間がなくなりましたが、去る二月十日に閣議決定されました新総合土地政策推進要綱でございますけれども、これからその要綱に基づきましていろんな施策が実際に動き出していくと。それを期待しておるわけでありますが、本当に相当いろんな施策が総合的にというか盛りだくさんに書いてございまして、これらがすべて具体的に動き出すとこれはすばらしいことだと思います。  ですから、かけ声だけでなく、実際に動き出していくということが大事でございまして、その点、ぜひ大臣に頑張っていただくといたしまして、せっかくの機会でございますので、建設省に対しまして私が一つだけお願いをしておきたいというふうに思います。それは、チャンス到来と。今回のこの閣議決定が建設省にとってチャンス到来じゃないか、ちょっと言葉は語弊があってぐあい悪いかもわかりませんが。  昨年の通常国会が終わろうとしておるころ、私、何度か建設省に行きましていろんな話をしたわけでありますが、国土庁はあのとき最悪だったと思いますけれども、建設省もちょっといまいちみたいなところがございまして、住専のしりぬぐいはしたくないという空気が大変強かったように思います。しかし、そうじゃないんです。住専とか銀行を救うのではなくて、日本経済を救う、国民を救う、こういうことでございまして、そういう期待が今回閣議決定によって建設省にかかってきておる、こう思います。そういう意味で、閣議決定に従ってぜひ強力な土地流動化対策を展開していただきたい、心からお願いしたいと思います。  今、御案内のとおり、大臣、公共投資悪玉論というか、公共事業悪玉論、公共投資亡国論まで最近出るような始末でございまして、これはえらいことだなと、こう思います。地方もおくれていますけれども、都市も大変生活環境という面で見たときに、街路事業にしても区画整理事業にしても下水道事業にしても公園事業にしても河川事業にしても、皆おくれておるわけでございます。最近、自然環境とか潤いとかそういうことが大変熱心に言われるようになって、国民の大きな課題になっておるかと思いますが、私は、この際やはり今までおくれておりました都市における潤い、私に言わせますと公園事業と河川事業とドッキングして水と緑のネットワークというようなことを言っておるわけでありますが、ほかにも人それぞれこれをやりたいというのがあると思うんですが、私は水と緑と言っているわけですが、ともかく都市の生活環境を整える絶好のチャンスではないかというふうに思います。ぜひ、建設省の総力を挙げて都市環境の整備というものに取り組んでいただきたい。  そのためには、まず土地が、公園にしても河川改修にしても道路、街路にしても、何にしてもやっぱり土地が必要でございますので、それが閣議決定で総合対策で推進していこうということになったわけでありますので、ぜひ積極的に進めていただきたいということで、最後になりますが、建設大臣に御質問させていただいて、私の質問を終わりたいと思います。  新総合土地政策推進要綱、閣議決定に基づきまして、これから展開されようとしております建設省のいろんな施策のうち、いろいろあるんです、たくさんあるんですけれども、建設大臣はどの辺に力点を置いてやっていこうとしておられるのか、その力点。それと建設大臣のこれからの決意というふうなものをお聞かせいただきたいと思います。
  23. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 大変貴重な我々にとりましての今後の指針を含めての御質問をちょうだいいたしましたけれども、まず、今本当に私はある面では憂えておるわけでありまして、社会資本整備に金をかけることが何か悪である、財政再建に反することであるかのごとき言説がまかり通っておるわけでありますけれども、私は財政再建は経済活性化なくしては、もう五百兆を超える借銭があるのは厳然たる事実でありますから、単年度収支を均衡させるというだけで財政再建ができないことは子供が見ても明らかであります。やはり長期的に経済活性化していく、そのためには何をなすべきかということが基本でなければならない、それを見据えていかなければならないと思います。  そうした場合、経済活性化にとって社会資本の整備というのは私は不可欠だ、このように考えます。これは経済コストの面を考えても当然でありまして、先進国に比べまして交通インフラが極めておくれている、これは港湾もそうでございますが、高速道路もそうでございます。そうしたものを整備することがやはり将来の経済の活力というのを生み出していく前提になる、このようにも思うわけでございますので、例えば社会資本投資を減らしていくことが財政再建だというような非常に短絡した議論に我々はくみするわけにはまいらない、このように思います。  それと、財政需要だとか経済状況、これはいろいろ変化があるわけでありますけれども、社会資本の整備というのは単年度で完結するものではございません。場合によっては十年、二十年の長期を要するものもあるわけであります。それに対して、今の財政事情が悪いからといって、我々の生み出す富を飲んだり食ったり楽しくやっていくことに、楽に生活することにこれをつぎ込んでいき、子々孫々に対して先進国に比べて非常に低劣な社会資本しか残していかないということは、現在に生をうける我々の義務を果たさないということに私はなろうかと思います。  そういう意味では、経済的ないろんな環境とは別に、そうした長期の整備を要する社会資本については、他のものを削ってでも、私は今生をうける我々がやっていかなければならない、これが基本であろう、このように思っておるわけであります。  そうした中で、先ほどもちょっと申し上げましたが、今土地流動化がとまっておるというような中で、せっかくの狭い国土の有効利用・活用が極めて停滞をいたしておるわけでございますので、これに対して建設省といたしましては、所管のできる限りのことは全力を挙げるということで今取り組んでおるわけでございます。  一つは、流動化の妨害になっているような規制緩和、これは思い切ってやっていくということは当然でございます。また、土地利用計画というのが御承知のように自治体との関係におきまして極めて硬直化をしておるのも現実でございます。これを建設省がやはりリーダーシップをとりまして、自治体との間でそうした土地利用計画というのをきっちりと詰めて有効利用を進めていく。  この間、容積率緩和という大きな方向を打ち出しました。今国会に法案を提出いたすことで今準備をいたしております。これも従来、都市におきましても、非常に地価の高い中心部、商業地域、住宅地域、それとその周辺の地域を同じ物差しではかって規制を加えていくということはやはり間違いであるという立場に立って、御承知のように思い切った処置もしたわけでございます。  第二弾といたしまして、今国会には間に合いませんけれども、遅くとも次の通常国会、場合によっては秋に臨時国会でもあればそれに間に合うようにしろと言って私はハッパをかけておるわけでございますが、建築について、従来の物理的な規格から性能へと変えていくというようなこともこの際思い切ってやってまいります。建築確認を役所がやっておったわけでございますが、これは思い切ってこの際民間にやってもらうというようなことを実施いたしまして、土地利用してきっちりとした付加価値をつけていくことについての手かせ足かせになっておるものを思い切って取っ払っていくということも今考えておるわけでございます。  あとはやはり税制でございます。これもバブル時代の税制がそのまま残っておる状況は、だれが考えても間違いでございます。我々の努力が足らなかったということもございまして、本年度は中途半端な税制改正に終わっておるわけでありますが、与党の税調、あるいはまた野党の方々の御理解もいただきまして、我々としては強力に推し進めていくつもりでございます。  以上でございます。
  24. 岩井國臣

    岩井國臣君 建設大臣の大変力強い決意を聞かせていただきまして、大変ありがとうございました。  ある面で、我が国経済は、建設大臣の双肩にかかっておる面もあると言えるかもわかりませんので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。  終わります。
  25. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、広中和歌子君及び青木薪次君が委員辞任され、その補欠として今泉昭君及び梶原敬義君が選任されました。     —————————————
  26. 福本潤一

    ○福本潤一君 平成会の福本でございます。よろしくお願いいたします。  今、建設大臣は公共土木事業に対しての大きな社会的な役割ということで、我々に対して、今後大いなる社会投資もやっていくべきだというふうにお述べになられました。  そこで今回、不動産特定共同事業法という法律が一部改正されるということになったわけでございますが、文面、法案の中身という形で読むと、わかったようでなかなか中身がわかりにくいというところがあります。私も、建設大臣とは同じ広島出身で、高校、大学と御一緒で、質実剛健の校風に合った形で建設行政をとっていただいているということであります。  今回の法案提出時、これは平成六年です。これが平成七年の四月になって施行されたということでございますが、バブル期を経てバブル崩壊と、その後この法案が提出された背景というものをお伺いさせていただいて、またそれが二年たって今改正されようとしているという改正の目的を答弁いただければと思います。
  27. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 詳細については局長から説明をさせますが、先ほども御答弁いたしましたけれども、やはり経験豊富な投資家が参入できる環境を整備をしたい。その点について、ある面ではそうした方々に対して不必要な規制があるのではないかという問題意識に立ちまして、先ほど来所有から利用へという土地政策の方向転換の中で、この点をやはり早急に是正すべきだということで処置をさせております。
  28. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) 立法当時の御議論にもございましたけれども、当時はバブルが崩壊をいたしまして、任意で行われておりました不動産に対する投資事業による経済的被害者が相当数に上ったという社会的な実態がございまして、こういう事態を放置するわけにはいかないのではないかというのが一つの視点。  もう一つは、このように不動産取引のルールを不明確の状態にしておきますると、いわば適正な不動産取引市場というのが形成されないのではないかという政策的な問題意識もございました。当時、既に不景気の真つただ中でございまして、当時から土地対策ということが強く言われておりまして、そういう視点も当時あわせ持ったわけでございます。残念ながら、法律が施行された以降、これは地価が引き続いて下落をしたという状況を受けているのではないかというふうに思いますが、新しい不動産特定共同事業というのは生まれてこなかったという実態がございます。  なお、一方、土地問題につきましては、ますます土地流動化が要請されているわけでございます。そういう状況を踏まえて現在の制度を見てみますると、一方では状況が悪かったということもございますが、制度自体にもちょっと行き過ぎている点があるのかもしれないということでございます。  そういう意味で、全体を見回してみますると、全体のトーンが一般投資家念頭に置いた規制となっております関係上、例えてみますると、先ほど御質問にありました事業実施のスタートの時期の問題、その他幾つかの点につきまして、いわゆる投資プロにとってみると過重な手続負担になっていると見える部分投資家の意欲をそいでいるというふうにも考えられますものですから、この際そういう点があれば、いわゆる規制緩和という意味で軽減をしたいという趣旨で法改正に踏み切ったわけでございます。
  29. 福本潤一

    ○福本潤一君 投資家プロと言われるような人たちも参入しやすいようにということで、今回法案を改正するという形に至ったわけでございましょうけれども、もう一個わかりにくいのは、例えば「金銭等の貸付け又はその媒介等の禁止」という文面がありますけれども、特定債権法とか商品ファンド法とか制定時にかなり類似の法案というのも通っておりますが、そのときにこの特定共同事業法だけはある意味では法整備に対して規制を余り緩和していなかったという背景があると思うんです。  これは、もう事業としては平成三年、四年ぐらいからいろいろな投資家の被害というような問題が起こっていた段階で、こういう形で規制を余り過剰にしていないということがあったと思いますけれども、法案によってこれだけ違いが出てきた背景、ここのところもお伺いさせていただきたいと思います。
  30. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) ただいま他の制度と比較しての本法における規制の程度のバランスの問題についておただしがあったわけでございますが、これは実態が先行して法律が後からできたという、こういう形でございます。その実態に着目してみますると、不動産の小口商品と当時は言っておりましたけれども、これを扱っておりました投資家というのは個人が実は主体でございました。法人による投資という実態が余りなかったわけでございます。そこの点が実は他の法律と構成を異にした一番大きな背景ではないかというふうに考えております。見方によっては当時からもう少しそこのところを吟味して備えておけばよかったではないかという御指摘があるとすれば、その辺につきましては謙虚に受けざるを得ないなというふうに考えております。
  31. 福本潤一

    ○福本潤一君 そこの規制緩和というのもすべて規制緩和すればいいわけではないですから、一般的なバランスというものがあるだろうと思います。  ある意味では、今現在、財政における構造改革とか地方分権、行政改革、規制緩和といろいろな形で橋本内閣全体で取り組んでおられると。規制緩和推進計画という全体像から見たときに、今回の法案の中で緩和したもの、これは建設大臣が前から容積率緩和というようなときにも、朝日新聞には、私が大臣でなくなってから結論を出すなんてふざけた話はない、きちっとやるんだと。ある意味では内閣の中で規制緩和、行革というのを本気で、質実といいますか、実際の質も含めてやろうとされておられるというふうに私も拝見させていただいておりますけれども、その中で、今回の改正案が全体の中でどういう位置づけになるのか、これをお話しいただければと思います。
  32. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 私は、規制緩和についてもどれが重要でどれが重要でないというよりも、私が命じておりますのは、積もり積もってもう時代と合わなくなっている手続を含めて規制を、この際思い切ってとにかくなくすものはなくす、緩和するものは緩和する。その結果行き過ぎたと思えばもう一度やり直せばいいじゃないかというぐらいの気持ちでやれということを命じておるわけでございまして、今各局それぞれ直すべきものは、小さいものであろうと大きいものであろうととにかく先に延ばさないで、法律事項であればできるだけ本国会で、規則であれば、政令であれば直ちにという形で指示をいたしておりますので、軽重だとかそういうことは余り考えておりません。
  33. 福本潤一

    ○福本潤一君 再び法案の中身で具体的にわかりにくい部分等を明確にさせていただきたいと思います。  今回、過去の実績、この法案に基づいた不動産特定共同事業というものがどの程度の額であったのか実績を、かなり事業の方が先行していたということもあるようでございますので、経過を追って説明していただければと思います。
  34. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) いわゆる不動産の小口化商品と言われております流通が起こりましたのが昭和四十二年ごろからというふうに言われておりまして、数字もそのころからの数字がございますが、当時以来、昨年の十二月末までに販売総額が五千九百億円超という額に達しております。しかも、単年度で言いますると、バブルのピーク時には年間一千億を、失礼しました。私、今昭和四十二年と申し上げたようでございますが、六十二年でございます。失礼いたしました。訂正をさせていただきます。五千九百億でございまして、ピーク時には単年度で一千億を超えるような年がございましたが、その後、急激に減少をいたしておりまして、つい最近年次の、これは平成七年の数字でございますが、百十九億円という額にとどまっておる次第でございます。
  35. 福本潤一

    ○福本潤一君 思った以上に、本来ある意味では土地流動化が叫ばれているときに、効果が上がっていないという結果が出ているように思いますが、これは具体的にはどういう原因が考えられるわけでしょうか。
  36. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) たびたび間違いの訂正で恐縮でございますが、先ほど百十九億円と言いましたのは平成八年の実績でございます。訂正させていただきたいと思います。  急速に実績が落ちてきているのはなぜかということでございますが、これは不動産投資ということでございますので、地価がどんどん下落する段階では早く投資をすると損だということがございまして、一般個人の場合でも同じだと思いまするけれども、そういう地価の趨勢がこういう実績に反映しているのではないかというふうに思う次第でございます。
  37. 福本潤一

    ○福本潤一君 地価の先の見込み等々の関係が大きな影響を与えているということでございますが、もともと日本資本主義の世界でございますので、株とか先物とかいろいろの商品があるという中であえて土地というもの、私も土木系統の学者であった時代から、二十一世紀になると人口また資源、食糧、環境あらゆるものが大変な時代が来るというふうに思っておりましたけれども、江戸時代ですと三千万ぐらいの人口が、今人口だけ取り上げても一億二千万、四倍で二十一世紀は安定化していくぐらいの大きなバックグラウンドの違いがあるわけでございます。  その中で、そういう株とか商品先物と同じように土地というものを、資源という意味では土地資源、水資源、いろいろな資源があると思いますが、そういう環境を構成するような資源というものを投機対象にする、これはバランスの問題もあるかもわかりませんけれども、投機対象とするということに対する根本的な建設省考え方を教えていただきたいと思います。
  38. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) ここで期待をいたしておりますのは投機ではございませんで適正な投資、そういう意味では株式、債券と全く同じでございまして、むしろ私どもでは従来土地と言いまするとキャピタルゲイン、つまり土地の値上がりを期待するという風潮がございましたけれども、それは不健全である。むしろインカムゲイン、土地利用することによって得られる収益、そこに着目して土地投資が行われるべきだ、こういうふうに考えておるわけでございます。  まさにこの不動産特定共同事業というのは、そういう意味でこれから土地収益を目当てに出資をする、こういうことをリードしていく手法でございますので、そういう意味では大変健全な市場として期待できるのではないかというふうに思いますし、現に外国でも広く投資の一形態として普及をいたしているものでもございますので、国民経済的にも大変意義のあるものであるというふうに理解をいたしておる次第でございます。
  39. 福本潤一

    ○福本潤一君 もちろん日本では水ですと私的占有権、土地ですと所有権という形で認めておられる中で、投機ではなくて投資だと。特に蓄財された財産、資産という考え方ではなくて、むしろこれを有効利用する、活用する、流動資産として運用しやすくするという発想でやられてきたということだと思います。  そうしますと、次の質問に入る前に、投資と投機の違いをもう一度建設省の見解として教えていた、だきたいと思います。
  40. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) 私もちょっと権威のあるお答えができるかどうか自信がございませんが、私の理解では投資といいますのは、例えば土地について言いますると、適正な需給関係のもとで形成されます土地収益に着目した投資というのが投資ではないかというふうに思うわけでございまして、つまりその利用価値に着目した収益を期待するというのが投資であろうかと思います。利用価値に着目しない収益を期待するのが投機ではないかというふうに思っております。
  41. 福本潤一

    ○福本潤一君 わかった形になればよろしいんでしょうけれども、そうすると、例えば遊休の土地とか農地の宅地並み課税とか、有効利用されていないものというのはかなりありますけれども、こういったものを具体的に流動化させるための方策として、建設省考えておられる方策というものを聞かせていただければと思います。
  42. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) 空き地になっている土地をどういうふうに生かしていくのかということでございますが、これは政策の力には限界があるわけでございまして、やっぱり土地を使うのは実体経済でございますので、経済面で実際に土地を使うという経済的な動機が出てまいりませんとそういう結果に結びつかないわけでございます。ただ、政策はそれをお手伝いするということはできるのではないかというふうに思いますので、そのお手伝いをさせていただくということが基本的な関係ではないかというふうに思います。  先ほど来大臣からも都心の容積率を一部緩和するというお話が出ましたけれども、そういうことによって経済意欲が刺激される、経済の実体が動き出すということがあるのではないか、こういう関係ではないかというふうに思っておる次第でございますので、行政の立場からそういったたぐいの施策、先ほど容積率のほかにも税制の問題その他いろいろ大臣から御説明させていただきましたけれども、そういったものを少しでも土地流動化に役立つような政策を今懸命に努力している最中でございます。
  43. 福本潤一

    ○福本潤一君 土地不動産というふうなものでもありますし、と同時に資産、財産でもあります。その両者のバランスを図って、今後も財政、経済状態をにらみながらやっていかないといけないと。バランスの問題があると思いますので、そこのところの懸命な対応をお願いしたいと思います。  今回、投機ではないですけれども、投資ということですと、投資する人、投資の専門家というものをこの市場に参入させて誘導していこうというねらいもあるのではないかと思いますけれども、投資の専門家というものは具体的にこの法案ではどのような方々を想定しておられるのか、これをお伺いしたいと思います。
  44. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) 御提案申し上げております改正の第一点に、新しい条文を起こすということを御提案申し上げております。  つまり、既存のもろもろの行為規制をかけております条文の適用を除外するという規定がございますが、この除外をされる主体でございます、これが簡単に言いまするとプロ投資家ということでございます。  先ほども御質問ございましたが、二つの類型を想定いたしておりまして、一つはこの条文にも書いておりますように、「銀行信託会社その他不動産に対する投資に係る専門的知識及び経験を有すると認められる者」でございまして、この銀行信託会社のほかにも幾つかそういうものを省令によりまして指定させていただきたいというふうに考えておる次第でございます。  それからもう一つの類型が、資本の額が主務省令で定める金額以上の株式会社ということを規定させていただいております。  この趣旨は、先ほども答弁させていただきましたけれども、一定以上の資本を備えた株式会社であれば、おのずと自分投資について自己規制自己判断が働くのではないか、こういう期待のもとにこういう規制緩和の対象として考えたわけでございますが、具体的に言いますると、先ほども御答弁申し上げましたように、商法特例法によりまして監査法人による監査が義務づけられております程度の規模、つまり五億円以上の資本金を持った株式会社をその該業者として想定をさせていただきたいと思っております。
  45. 福本潤一

    ○福本潤一君 五億円以上の大企業ということでございますが、今回法案が通った後のこの事業に参加する会社、九六年六月、法案提出時期で三十三社、九七年現在でも四十社ということで、余り多くないようでございます。  そうしますと、大蔵省建設省認可の不動産の名前を見てみますと、三井不動産、住友不動産等々かなりの大企業が集中している。これがある意味では、具体的にこういう市場の中にこの事業のねらいを果たしにくくなっている原因があるんじゃないかというようにも考えられますけれども、この五億円と規定した理由、背景を教えていただければと思います。
  46. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) ただいまちょっと私の御説明が不十分であったように思います。その結果、先生の御理解がちょっと違ったんじゃないかというふうに思いますので再度申し上げます。  先ほど申し上げましたのは、そういった一定の規模なり判断力を備えた法人出資者となる場合については規制を外そう、こういう話でございまして、事業主についての要件ではございません。不動産特定共同事業を行います事業者の要件、つまりディベロッパーの要件ではございません。ディベロッパーの要件につきましては今回何も変更を考えておりません。  したがいまして、比較的小さな規模の会社でもある程度できるということになっております。つまり、投資家が能力を持っていればその方々については自己責任でやってもらおうじゃないか、そういう意味での規制緩和措置でございます。
  47. 福本潤一

    ○福本潤一君 投資家のある意味でのレベルというものはよくわかり出したんですけれども、投資家の中でこういう事業者投資家プロという方々の割合と、個人投資家という方もおられるだろうと思うんですけれども、これがこの商品に関してはどれぐらいの比率で推移してきたのかという比率の割合はわかっているでしょうか。
  48. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) 先ほど申し上げましたこれまでの実績、五千九百億の内訳として、個人法人という、そういう御趣旨だと思います。  実は、残念ながらきちっとしたそこの分類がなされておりませんが、感覚的には、ほとんどが当時不動産小口化商品と言われておりまして普及しておったことからもおわかりと思いますが、多くが個人投資家であったというふうに理解していいのではないかと考えております。
  49. 福本潤一

    ○福本潤一君 多くがプロだったということでございますが、今後、こういう事業、わずか四十社という形、先ほど質問させていただいた土地自体をどう考えるかという問題とも絡んでくるかもわかりませんけれども、個人投資家等々も自己責任ということもありますが参加できるようにする道を今後開いていく可能性、これをお伺いしたいと思います。
  50. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) この事業に参加する人につきましては特に人格的な制約は置いておりませんで、個人でも法人でも参加できるということになっておりますが、ただ、投資の単位についての制約がございます。最低投資単位というのがございまして、それ以上でなければ投資できないということになっております。現在は、現物出資をする場合には五百万円以上ということにいたしておりますので、割合個人でも手が出るのかなというふうに考えておりますが、金銭出資の場合には原則一億ということになっております。ただし、不動産特定事業を行います会社がしっかりした会社である場合には小口で金を集めてもいいよと、そういう趣旨から出資単位を一千万ということにいたしております。  不動産の現物出資につきまして五百万と設定いたしました背景には、過去の取引実態を見まして五百万程度の小口化商品が主流であったと、しかもそれが個人投資が多かったという点をにらんで五百万円を単位とする現物出資を一つの単位として想定したわけでございますので、そういう意味からすれば、今後とも個人投資が可能であるというふうに考えております。
  51. 福本潤一

    ○福本潤一君 ある意味では、流動化に本当に役立っためには、個人投資家が参画できる道というものを開いておくというのも大きな一つの道ではないかと思うんですけれども、例えば一億円といいますと、普通の庶民ですとかなり大金過ぎて対応し切れないというようなことがありますけれども、一千万、これもまあ難しいかもわかりませんけれども、十分の一の一千万ぐらいだったら可能な道ではないかと。また、現物でも五百万以上ということでございましたらちょっと難しいけれども、百万ぐらいだったら可能ではないかというようなことがあると思うんですね。  というのは、阪神大震災等々が起こったときに、一つの再開発事業を進めるときになかなかスムーズにいかなかったというようなことが具体的に起こっております。そうしますと、この下限を下げるという道を探っていただけないかなという気持ちもあるわけでございますが、その下限枠、今後対応の仕方はないものかどうか、お伺いしたいと思います。
  52. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) これは、不動産に対する投資ばかりではありませんで、ほかの金融商品についても同様のことが言えるわけでございますが、余り投資単位を低く設定いたしますると投資家が割合簡単に投資を決定する、その結果、いろんな事件に巻き込まれる心配があるということで、いわばある程度慎重な判断のもとに投資を決定していただく必要があるんじゃないかということで、比較的個人としては高目の最低投資額を設定しております。  これは、私どもの制度ばかりでないわけでございますが、ただ、世の中全体自己責任ということが強く叫ばれておりますし、国民もそういう意味での訓練を徐々に経ていくわけでございますので、そういった背景を受けて、金融全体の問題としてそういった問題意識を大蔵省当局もお持ちのようでございますし、類似のほかの投資分野も同じような問題意識を持っておりますので、そういった全体の動きを見ながら、私どもの不動産投資の最低単位につきましてもバランスのとれるような形で対応してまいりたいと考えております。
  53. 福本潤一

    ○福本潤一君 これは、文化土壌によって違うかもわかりませんけれども、西欧等では不動産に関しましても一万円単位であるとか、具体的に商品ファンドで五十万、百万単位の投資が多いということを聞きますので、この道も十年たったときには見直すんだということもあるかもわかりませんけれども、出資単位を引き下げる方向も検討材料に入れておいていただければと思います。  建設大臣にお伺いしたいんですけれども、先ほどプロ投資家個人投資家というふうに分けましたけれども、個人投資家事業に参加できるように促進するというのは一つ土地流動化にもつながるのかなと、これは現在の経済状況を見た上での話でしょうけれども、この問題に対して大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  54. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 個人がそうした土地利用プロジェクトに積極的に参加をしていくというのは、私は今後の方向としてあるべき方向だと、このように考えておりますし、その点に関して、もちろん個人としての信用の問題、いろんな問題、また個人でありますから、それに関しての被害をどう防ぐかというようないろんな観点があろうかと思いますが、方向としては法人であれ個人であれ同じように参加をしていくべきだというように考えております。
  55. 福本潤一

    ○福本潤一君 法案をるる御説明いただいておるわけでございますけれども、もう一歩具体的なイメージを探らせていただきたいなと思うわけでございますが、この事業、具体的に法案が改正されますと、例えば阪神・淡路のあの震災地での産業開発にといって、どういう形で具体的にとんざしているのがスムーズにいき出すようなことがあり得るのかどうか、これを見通しとしてお伺いしたいと思います。
  56. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) 共同で出資を募ってプロジェクトを成立させるという、こういう基本的な枠組みでございますので、応用範囲はかなり広いんではないかというふうに考えております。  今、具体的に御指摘のありました阪神・淡路地区の復興のプロジェクトにこれが生かされていくのかどうかということでございますが、現に復興プロジェクトについてこの法律の適用を検討しておるという話も聞いておるところでございます。
  57. 福本潤一

    ○福本潤一君 そうしますと、阪神大震災で検討されるところがあるということでございますが、先ごろ、国鉄清算事業団の汐留の跡地の売買、思った以上にかなり高額な金銭で取引が可能になったということでございますが、この落札者、電通とか三井不動産等々ありますけれども、こういう業者が具体的にこの事業を当てはめてやろうというときに、どういうメリット考えられるかという点からお伺いしたいと思います。
  58. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) 汐留で先ごろ払い下げが決定いたしました地区はあの地区の全部ではございませんで、そのうちの一部でございまして、決まりましたのは三つのグループでございますが、そのうちの二つグループ自社ビルをつくるということでございますので、自社ビルをつくる場合には基本的には自己資金調達をして建てるということになろうかと思います。つまり賃貸のオフィスを経営するという目的でつくられるビルにつきましては、別途建物の建築費につきまして出資を募るという方法もあり得るわけでございまして、あそこで不動産特定事業が適用されるかどうかということはまだ最終的にはっきりいたしておりませんが、仄聞いたしますると、適用の可能性についていわゆる勉強の段階でございますが、勉強がされているという話も聞いておる次第でございます。
  59. 福本潤一

    ○福本潤一君 最後のこと、勉強かどういう言葉だったか、もう一度お願いします。
  60. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) 適用するという方針を決めたわけではないわけですが、適用することがメリットがあるかないかということを具体の事例に即して非常に関心を持っていただいておると、こういう状況でございます。
  61. 福本潤一

    ○福本潤一君 急な成果を期待するわけではございませんけれども、例えば国鉄清算事業団、二十七兆円の大きな負債を抱えている。住専のときも国民に負担をある意味では転嫁する形になったという中で、清算事業団を具体的にどういう形で対応していくかというときにこれが大きな方向になるかなと、一瞬この落札価格は高かったので思いましたけれども、そこの見通しもまだわからないと。かなりの土地、資産を持っていますので、それに対してプラスになるような、また事業等とほかの土地政策も含めてですね。  というのは、岩井委員の方からありましたけれども、新総合土地政策推進要綱というのが二月十日に閣議決定されましたし、具体的に土地流動化というのは今後の経済に与えるインパクトの大きな政策として考えておられるんだろうと思うんです。そういう総合政策の中で、この新総合土地政策推進要綱が今までとはどこが違うのかというのも含めて御答弁いただければと思います。
  62. 窪田武

    政府委員(窪田武君) 委員お尋ねのとおり、土地施策につきましては、平成元年に土地本法ができまして、それを踏まえまして平成三年に閣議決定されました総合土地政策推進要綱に基づいて現在まで行ってきたところでございます。  最近の土地をめぐる状況の変化がございましたので、新たな展開を図るということで、先ほど御指摘ございましたとおり、去る二月十日に新総合土地政策推進要綱を閣議決定いたしまして、その中で土地政策の目標そのものにつきまして、これまでの地価の抑制というものを基調としたものにかえまして、土地有効利用による適正な土地利用の推進ということに転換させたわけでございます。  さらに、その中身といたしまして、総合的な土地利用計画の整備・充実なり土地有効利用のための諸施策の推進、さらには土地有効利用に向けた土地取引活性化の促進等の諸施策を取りまとめたところでございます。  特に、その中の土地取引活性化につきましては、単に土地有効利用に資するだけではなく、穏やかな景気回復を続ける我が国経済を中長期的な安定成長につなげるという観点からもまた重要なことであるので、新しい要綱におきましては、土地取引活性化に向けまして不動産取引市場の整備を初め、規制緩和やさらに土地情報の整備・提供等の施策を盛り込んでいるところでございまして、本日御審議願っております不動産特定共同事業法改正もこの一環として位置づけられるということでございます。
  63. 福本潤一

    ○福本潤一君 さまざまな規制緩和等を含めてこの政策のということでございますが、その要綱の中に、不動産特定共同事業環境整備という言葉不動産証券化という言葉プロジェクト・ファイナンス等多様な資金調達手法という形で、ある意味では資金調達方法がかなり流動化するのかなという方法を各種検討されておられますが、不動産証券化、プロジェクト・ファイナンスというのも今後具体的にどういう形でやっていかれるかというのを見通しも含めてお伺いしたいと思います。
  64. 窪田武

    政府委員(窪田武君) これらの施策につきましては、その観点からは、土地有効利用を進めるに当たりましてネックとなっております事業の推進のための円滑な資金の調達という観点からの対策として私どもとして有望な対策ではないかということでここに掲げさせていただいたわけでございまして、不動産証券化なりプロジェクト・ファイナンスにつきましては、実態的には金融政策上の重要な問題として金融当局と協調して現在検討しているところでございます。
  65. 福本潤一

    ○福本潤一君 これは大臣、ある意味では金融事情、非常に難しい話がいっぱいでき上がっている。そうしますと、先ほどの不動産証券化というのが具体的に行われますと、金融機関の不良債権の問題とか、住専のときは間に合いませんでしたけれども、具体的に有益な面も大きいんじゃないかというふうに思われます。今後、この証券化というのを積極的に推進していった方が今の経済状態の中ではいいんではなかろうかと思われますが、不動産証券化というものに対する所見を、今回の特定共同事業の法案に関する所見も含めてお伺いさせていただければと思います。
  66. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 私は、先ほど申しましたけれども、そうしたことはこの土地有効利用を推進していくという実態面につきましても、また土地取引のいわゆる流動化というような点からも、また今委員が御指摘になりましたけれども、今不動産が御承知のように寝てしまっておるわけでありますけれどもこれを動かしていくという面からも、一つの将来のあるべき手法であろうか、このように考えております。
  67. 福本潤一

    ○福本潤一君 ここで、全体の土地政策の動向に関する所見をお伺いさせていただければと思うわけでございますが、土地に関しましては価格につきましてもいろいろな価格の見積もりの仕方、国土庁は毎年発表をされたりしておりますけれども六種類も価格のつけ方があるということでございますし、なかなか今の経済、別に土地本位制ではないのでございますが、どうなるんだろうかという不安を、二十一世紀を前にして何か世紀末のような事件がいっぱい起こっているなという感覚を持っておられる方々が周りにはかなり多いわけでございます。  今後、不動産市場がどういう動向を示しそうか、今後の見通しを、マンション、オフィスビル、いろいろあると思いますが、どういうふうに思っておられるか教えていただければと思います。
  68. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) 昨今の不動産市況を見てみますると需給関係はかなり緩んできておるわけでございますが、その中でどういう取引が選好されているかということを見てみますると、いわゆる二極化ということが言われております。  いい土地は比較的きちっと評価されるけれども、悪い土地は比較的悪い評価、当たり前のことでございますが、一時期は土地であればとにかく手当てをしておけ、そういうことがあったわけでございます。これからは本当に使える、利用価値のある土地であるかどうかということが真剣に評価されて、その上で価格が形成されていく、そういう時期に当たっているのではないかというふうに思うわけでございます。  住宅地につきましては、まだまだ大都市圏を中心に世帯の分化でありますとか新しいニーズもあるわけでございますが、かつてのようにどんどん大都市に人が集中してきて、宅地が足りない住宅が足りない、そういう時代ではなくなってきております。さらにはまた、市街化区域内農地も遅まきながら大分出るようになってきておりますので、そういう全体の需給という面から見ましても、かつてのような投機的な事態が起こる状況に今後ないのではないかというふうに思っておる次第でございます。
  69. 福本潤一

    ○福本潤一君 一時はバブル期、地上げから始まって土地にまつわるかなりの悲惨な話も含めてお伺いしておるわけでございますが、地価の安定、日本ではそれこそ需給の関係でかなり規制されているようでございますけれども、これに対する対応策として具体的に民間に任せておけばいいという考え方と、建設省、国土庁また大蔵省、どの程度のことまで介入できるのかという観点から、建設省と国土庁の御意見をお伺いさせていただければと思います。
  70. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 私は、基本的にはもう狭い国土ですから、この土地利用計画をやはりきっちりとしていき、それぞれについての規制等を個別化していくという大きな整理をしていかなければならないと思います。そういう観点からいいますと、市街化調整区域あるいは農振地域等を含めまして、現在のそうした土地利用についての具体的な手かせ足かせというのが現実に合っていないという実態が広範にあると思います。  そういう意味では、国土庁と建設省あるいは農林省、本省レベルでの調整ももちろん必要でありますけれども、自治体と一緒になってのそうした利用計画を策定していき、それぞれを見直していくということを大胆にやっていかなければならない、その上に立って民間が土地利用を推し進めていくということになろうか、このように思います。
  71. 窪田武

    政府委員(窪田武君) 現在の地価につきましては、先ほど来御議論がありますように、いわゆるバブルの部分は解消されましてはぼ土地の需要と供給により決定されているというふうに思っておりまして、地価の水準そのものにつきましては地価が全国ベースで引き続き下落したことによりまして、少なくとも一般的には地価を抑制するための緊急的な介入策を直接地価対策として講じなきゃならないという状況ではなくなっているというふうに認識しております。
  72. 福本潤一

    ○福本潤一君 現在の地価に対しての介入というだけではなくて、建設大臣の方から土地利用計画等々の大きな柱の中で対応していくということがありましたので、例えば国土庁がやっておられます全国総合開発計画というのが十年単位で見直しされておられます。今も見直し作業策定中だということでございますけれども、三全総、四全総、新全総、いろいろなときにそういう大きな計画を出されてきたと。  そういう国土全体の中での総合開発計画が、今までの計画、例えば三全総ですと、四全総に向けて流域定住圏とかいろいろな言葉をテーマとしてはつくるんだけれども、具体的にどういう形で反映されてきたのかなという、この位置づけ、過去のやってきた全総、これがどういう形で具体的に反映されてきたのかという側面から、国土庁のこの利用計画に対する考え方を教えていただければと思います。
  73. 窪田武

    政府委員(窪田武君) 全総計画についての直接の担当ではございませんけれども、先ほど大臣の方から、いわゆる市町村レベルなり地区レベルでの計画が大事であるということでございますが、その前提としては、やはり全国ベースでの大きなビジョンのもとに計画が立てられて、それに沿って土地利用が進められていくというのが大事でございますので、その意味で今までの計画が果たしてきた役割も大きいと思いますし、今後、今新しい計画を策定中でございますが、それについても、全体の全国ベースでの柱としてこれからさらに検討して、いいものをつくってまいりたいというふうに思うわけでございます。
  74. 福本潤一

    ○福本潤一君 直接の担当でない部署ですから、国土利用計画、総合開発計画に関しましてはそういうことかもわかりませんけれども、案外これが具体的な、県におきましてはまた県の計画、市においては市の計画という形でだんだん計画サイズをダウンしながら進めている割に大きなスローガンだけに終わっているというような側面があるようでございますので、その点も含めて総合開発計画、今後何かの手当てを考えないのかということを国土庁の方にお伺いさせていただきたいと思います。
  75. 窪田武

    政府委員(窪田武君) 私ども、もちろん計画そのものにつきまして、それの全体の構想の中でそれが的確に実施されるということが大事だというふうに思っておりますので、先生の御指摘を踏まえまして、現在作業中の新しい全国総合整備計画の策定に当たって十分念頭に置いていきたいと思います。
  76. 福本潤一

    ○福本潤一君 今回、さまざまな施策の中でこういう法案が改正案として出てきておりますけれども、ある意味では大きな流れとしては流動化、これがもう全然土地が動かないんだという中で、経済的には住専の問題等々も起こってきたようなところもありますので、この不動産流動化のために政府は今後どういう形で取り組もうとされているか。民間の努力というのもあるかとは思いますけれども、政府として積極的な施策がないと、今の状況経済的にも徐々に回復基調にあるという言葉だけで、実感として生活はなかなか建設政策に対しては楽になっていないというようなことがあると思いますので、不動産流動化という一点に絞って、取り組みはどういうふうに考えておられるかをお伺いさせていただきたいと思います。
  77. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) バブルが崩壊をした後の大きな、御承知のように傷跡があります。一つはブラックホールとも言うべき金融面の問題もありますし、そうしてもう一方では、経済活性化という面において極めて今なかなか民間の設備投資を含めて前へ進んでいかないというような悪条件もございます。  そういう中で、私は、基本的には土地流動化活性化というのは、経済自体の活性化をしていくということがなければ土地に対する実需というのはいろんな形を含めて生まれてこないと思いますから、そういう意味では、やはり経済活性化をしていくという施策を全般的にこれを推進していく。土地もまたこれは一つ資本財といいますか、資本財の一つでありますから、そういう視点を外して土地だけを景気その他と関係なく動かしていくなんということはこれは不可能なことでありまして、よく今、公有地の先行取得をやれというような話もありますけれども、これにいたしましても公的機関が買い出動をして、それによって土地流動化をそれだけでやっていくということはこれは不可能な話であります。  それで私は、基本的には経済活性化をやっていく、その上において土地のやはり価値が高まっていく中で利用計画をきっちりとやって、それについて、今までの不合理な規制だとかそういうものは思い切って外して有効利用ができる、そういう体制をとっていく、さらに税制面でのバックアップも必要だろう、このように考えています。
  78. 福本潤一

    ○福本潤一君 経済活性化の中の土地流動化ということだと思います。土地政策だけにとらわれない、また総合的な政策が必要な建設省でございますが、最初に、公共土木事業どんどんやっていくべきだという話もありました。ブラジルのサミットで、開発と環境、サステーナブルディベロプメントということで、持続する発展とか持続する開発とか、学会によっていろいろ訳しているようでございますが、そこの調和、バランスが一番必要とされている省庁ではなかろうかと思いますので、今後その点も含めて大いにバランス感覚をきかせながら施策実行していっていただければと思います。  以上で終わります。
  79. 赤桐操

    赤桐操君 大臣初め関係局長の御説明で大体この法案の内容についてはわかってまいりましたけれども、要するに、プロ投資家投資しやすいような環境をつくる、そして土地流動化を図っていこう、それによる活性化を目的としている、こういうことになるようであります。  活性化が大型の形で動いてくるということになるのは大変結構なんですが、この結果、土地の価格についてはどんなふうに経済局長はごらんになって、お考えになっていますか。この法案ができ上がって活性化が図られていくと、いろいろな手かせ足かせのものは除かれていく、プロ投資家に対する保護政策はとられていくと。投資がしやすくなってきた、そういう形で土地が動きやすくなるということは結構でありますが、土地の価格についてはどんなふうにこれとの関連でお考えになっているか。
  80. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) この法改正は、土地の需給そのものに量的に影響を与えるということでは必ずしもございません。むしろ実需があるとすればその実需が円滑に動きやすいようにという趣旨で改正をさせていただいております。  ただいまは地価がどうなるのかというお尋ねでございますが、地価そのものは需給関係で基本的には決まるんではないかというふうに思っておりますので、この法律の適用があるから投機が起こって地価が上がるんではないかと、こういう心配もあろうかと思いますが、結局は投資に足る実需が裏にないと投資が成立しないわけでございますので、そういう場合に限って投資家が安心して投資できるようなルートを開く、そういう意味での改正でございますので、地価につきましては言ってみれば中立的な位置づけになるんではないかというふうに考えております。
  81. 赤桐操

    赤桐操君 五億以上の金を持つ力のある投資家が動いていくと。これはディベロッパーと一緒になってやるんでしょう。局長、ちょっと御答弁願えますか。
  82. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) 昨今この法律を、しかも法人投資家として念頭に置いて事業を組みたいと考えておりますのは、いわゆる大規模なディベロッパーのたぐいでございますが、これらも実はこの法律改正があるからプロジェクトが動くということじゃございませんでして、既に市場からいっても場所によっては動き始めておるわけでございますし、住宅系につきましてもいい立地をめぐって動きが出始めておるわけでございます。  そういうものにつきまして資金調達手段をどうするか。通常はこれ銀行からの借金でやるわけでございますが、そうではなくて、一般投資者からも健全な投資を誘うという意味で、こういう手段方法を導入してもいいんではないか。そういう観点からの改正でございますので、そういう意味でこれが新しいプロジェクトを多少刺激するという意味合いはあろうかと思いますけれども、このために投機が起こる、そういったことはまずないというふうに考えておる次第でございます。
  83. 赤桐操

    赤桐操君 投機がないと、また、そういうことを願わなきゃならぬと思いますけれども、経済情勢のいかんによってはまた、流動化状況の中にはこれに便乗する動きというのは必ず出ますから、私はその方は常に懸念を持っていく必要があるだろうと思っております。そして、正常な取引で動いていくということは大変結構だと思います。また資金も必要でありますから、そういう意味においてこの考え方については私は基本的に賛成でありますけれども、しかしいろいろ関連する面の疑問点も発生するものですからお伺いをしているわけであります。  実需ということになりますというと、商業用地、これはいろいろと経済の発展、上昇の中で発生すると思いますが、同時に今やはり潜在的に求められているのは住宅用地だろうと思いますね。これはかなり私は数字で出てきているように思っているんです。  住宅局長に伺いますが、年度末でどのくらいの今年度の見通しを持っておりますか、住宅の建設の戸数について。
  84. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) お答えいたします。  今年度末で恐らく百六十万戸を少し超える程度の規模まで行くのかなというふうな予測を持っております。
  85. 赤桐操

    赤桐操君 そうすると昨年、一昨年あたりから比較するとかなり上昇の状態にあると。それはどういう事情として理解をされておるか。
  86. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) ここ一、二年のレベルから見ればかなり高い水準だと思いますが、いろんな要因があるかと思いますが、基本的にはやはり金利水準が史上最低を記録しているというふうなことが背景にあると思います。
  87. 赤桐操

    赤桐操君 日本経済に非常に大きな役割を果たすのは住宅の建設だろうと思いますね。そういう意味で、私も住宅建設の問題については関心を持ってきておりますが、もう少しこういう投資家や何かが動き出していろいろディベロッパー等と手を組んで仕事を始めていくということは大変結構だと思いますけれども、実需増大の、いわゆる具体的に言えば、住宅建設を促進していくような対策についてはかなり税制や金利の面その他で配慮はされておりますが、もっと大きなところで検討する必要があるのではないかな、こういうふうに私は考えているんです。  それで、例えば今、これは他県のことは余りよくわかりませんが、千葉県内の状況等を見るというと、私は千葉県出身でありますから県内の状況を申し上げますが、大体今のところ売り出しの価格は、二戸建てで四千万台から五千万台前後で売り出されておるものはなかなか動きませんね、これは。これより一千万ダウンすると動き出しております、率直に申し上げて。ですから、一般の国民の皆さん方が求めている価格というのは三千万台ではないだろうかなと、こう思うんです。  そういうところに国民の需要、求めるラインがあるとするならば、建設省住宅局としては、この価格政策について思い切った何らかの方法考えるのかどうか、あるいはほかに手がないのかどうなのか、こういう点についてひとつ伺っておきたいと思います。
  88. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) 住宅政策の課題、幾つかあるかと思います。質を高めるというのも当然その一つでございますが、今おっしゃいましたように、価格というのがやはりこれからかなり決定的な政策のファクターになるのかなというふうな感じがいたします。ただ、住宅の価格といいましても、それを構成する要素というのは恐らく日本経済のあらゆるシステムの総結果が住宅の価格だという側面もございまして、住宅政策だけで価格を決定的に下げるというのは率直に申しまして非常に難しいと思います。  ただ、住宅政策としてできることというふうなことでここしばらくいろいろ考えておりますのは、一つには、やはり海外からの資材、これについてバリアがあるならばそれは徹底的にできるだけ早く解消して日本のマーケットにきちっとした形で入ってくるというふうなことでございますとか、あるいは建築基準法体系において何らかの阻害要因があるならばできるだけ早く仕事がしやすいような形で規制緩和するとか、こういうふうなことも含めまして、決定打はございませんが、最大限努力させていただきたいと思います。
  89. 赤桐操

    赤桐操君 そういうことになると思うのでありますが、一番この中で大きな問題は土地だと思います。建築資材とかそういうものは、どんなにいろいろの方法をとってみてもこれはそんなに大きな差は出てこないと思うんです。あとは手抜きする以外手がないんです。だからやはりきちっとした、標準として耐震性も考えるし、またいろいろと居住性も考えるということになってくるというと、一定の水準を堅持しなきゃならなくなってくる。その場合には、当然もうこれは限度が出てくるんですね。あと問題になるのは土地の問題だと思うんです。税も金利も今そういうことで非常に配慮してきているということになれば、残されているものは土地の問題になる、土地価格が一体どうなるかということだろうと思うんですね。  それで、戻るのでありますが、諸外国と日本の場合の比較もひとつ見てみる必要があるし、あるいはまた、日本自体の土地というのは一体どうあるべきかということも考えてみなきゃならぬと思うのでありますが、この十年ぐらいの間の動きを見てみまするというと、やはり五十五年から六十年ぐらいまでの間は大変安定した形で来ているように思います。しかし、六十年代に入るというと途端にバブルへの方向が出てきて、平成二年、三年ごろは頂点に達している、こういう状況だろうと思うんですね。ですから、この問題はやはり、一体土地価格というのはどのくらいの程度に誘導していくべきなのかということは考えなければならぬのではないでしょうか。  大臣は、いろいろそれぞれの市街化区域の撤廃であるとか不必要なことは皆やらなきゃならぬが、大まかの分野においてはある程度の規制をしながらリードしていかなきゃならぬ、こういう意味のことを言われたように私は思いますが、土地価格というのは、諸外国と比較すると余りにも大きな差があるものですから、これが一体どういう原因でこんなに大きな差が出てきているのか、あるいは外国の状況等を比較するまでもなく、日本の場合から考えてみても、どの辺の状態に抑えていけるならば一番ぐあいがいいのか、こういう点、局長、お考えになっておりますか。
  90. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) 日本地価の水準につきましてはいろんな議論があるわけでございまして、特に外国と比べて高過ぎるという御指摘のような意見が多いわけでございます。これも先刻先生御承知でございますが、一人当たりの可住地面積にすると非常に日本土地が少ないということが反映されております。それからまた、かつて高度成長期時代、同じ土地で行われる生産活動が非常に日本の方が効率的だったといったようなことが反映されているんだというようなことが言われておるわけでございます。  ところで、日本地価は今後においてどの程度の水準を目指していくべきだろうかという大変難しい御指摘であろうかというふうに思いますが、私どもでは、これは国土庁でも御同様だと思いますけれども、基本的には、需給関係が適正に形成されているならばおのずとその中で地価というのは決まってくるのではないか。問題は、市場が投機であるとかそういう形でゆがめられないようにしていく必要がある、そうすればおのずと需給関係で決まってくるのではないか、こういうことを考えておるわけでございます。  ただ、先生が大変深く御関心を持っていただいております住宅地でございますが、住宅地につきましては、国民生活にとりまして大変大事な政策課題でもございますので、少しでも安くいい土地を持ってもらうということは我々の大きな課題ではないかというふうに思うわけでございます。そういう意味では、ただ単に需給に任せておけばいいということではなくて、やはりよりよいものをより安くできるような努力をしていくということが大事ではないかというふうに思います。  しからば、その水準はどうだと言われますと、なかなかお答えしょうがないわけでございますが、考え方といたしましては、土地相場そのものは市場で決まるだろうけれども、その中にあって、住宅地というような大事なものについては必要な範囲で下げるための努力をしていく、こういうことではなかろうかと考えております。
  91. 赤桐操

    赤桐操君 これは申し上げるまでもないんですけれども、国土庁が平成七年五月に明らかにされておる資料の中に世界の各国の土地の比較が出ております。東京を一〇〇とするというと、ニューヨークが三・三、それからロンドンが一〇・四、パリが八・三、東京に匹敵するのは香港だけのようであります。香港は一一二・八ですからこれは大変なものです。  こんなぐあいに非常にけたが違うんです、日本の場合は。こういう中に日本の国民の皆さん方は生活をしているわけです。家も建てなきゃならないし、そういうところで居住も定めていかなきゃならぬ。これはちょっと諸外国では考えられないものじゃないんでしょうか。私どもがヨーロッパの各国やアメリカの状況等、いろいろの機会があって尋ねてみるというと、非常に日本土地の高いことをやっぱり指摘しております。それから、住宅建設といっても住宅の高い低いの問題になったら、全然これはけた違いだというように考えておるわけです。  なぜこんなふうになっているのか。バブルってどうしてこうなってきたのかということを、やはりもっと大胆に根本を考える必要があるのではないかと思います。このままでいくというと、日本の家庭というものもすべてみんな破壊されていきますよ、こういう形でいけば。私は、大変そのことを心配しております。住宅の建設だけの問題じゃない。いろんな問題にこれが派生してきておるんです。教育の問題も出てくる、家庭全体の問題も出てくる、こういうことになってくるんです。  ですから、私は土地政策というのは大変大きな問題だということを、きょうは時間がありませんから指摘にとどめておきますけれども、抜本対策をこれはひとつ建設省としてお考えいただきたいと思っております。  それからさらに、来年以降のそういう住宅問題なんかの発展を期するということになるというと、これは大臣も言っておられまするように、経済全体が上がっていかなきゃできない。また、労働者の懐が、国民の懐が暖かくなければこれはできません、正直申し上げて。しかし、御主人が働いてもらってくる給料と奥さんが働かなければローンの返済もできないという状況、こうしたものが今日までの実態だったと思うんです。これは、やっぱりいっかもう脱却する必要があると思うんです。これを脱却して、きちっと正常な各国の御家庭のような形を日本にももたらすべきではないだろうか。  これはひとつ建設大臣に強くお願いを申し上げておきたいと思います。  時間の関係がございますので、以上で終わりたいと思います。
  92. 小川勝也

    小川勝也君 今回の法案の一部改正というのは、不動産取引活性化させるという観点からつくられた法律だと解釈をしておりますが、バブル以降、土地取引が大分下がってきているように思うわけでありますけれども、その数字の裏づけがございましたら、その取引高やあるいは税制面での数字などもお聞かせ願いたいと思いますが、よろしくお願いいたします。
  93. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) 土地取引の実績でございますが、荒っぽく言いますると、いわゆるバブル期におきましては年間二百二十万件前後の取引がございました。これに比べまして、バブル崩壊後最近に至りますまで、年間約百八十万件程度に落ちております。二割弱落ちているというふうに考えていいのではないかと思います。  個別に数字がございますので、もしお必要ならば申し上げてみたいと思います。
  94. 伏見泰治

    説明員(伏見泰治君) 税収の関係でございますが、土地取引に係る税ということになりますと、所得税の土地譲渡益課税の問題あるいは法人税の問題等ございますが、一つ難しゅうございますのは、途中でこの間制度が変わっているというようなものもございます。それから、土地取引に係る分だけというのがなかなか抜き出しにくい。例えば総合課税になっておりますと、いろんなものが関係してまいります。  したがいまして、比較的トレンドでとりやすいものということになりますと、土地譲渡益にかかる所得税の所得金額というものがあろうと思います。これで若干の数字を申し上げさせていただきます。  例えば、昭和六十年分でございますが、このときには四兆一千六百九十億円譲渡所得金額としましてはございました。その後、これがいわばバブルに向かいましてどんどんふえてまいりまして、兆のオーダーで申し上げますが、六十一年分が五兆円台、六十二年分が八兆円台、六十三年分で九兆円台、平成元年分で十三兆円台、平成二年分で十七兆円台、平成三年分がピークになっておりまして十七兆八千億円でございます。その後、譲渡所得金額が減少してございまして、平成四年分以降、五兆、六兆、六兆、直近の一番最近のデータでございますが、平成七年分では五兆七千四十億円になっております。
  95. 小川勝也

    小川勝也君 私も選挙区に帰りますと、土地が動かないというような言葉をよく耳にするわけでございます。先ほど来のこの委員会での討論を聞いていましても、土地取引経済の中に占める割合というのは非常に大きくなってきていると考えます。  ましてや、ことしから消費税も上がりますし、国民負担率も上がる。さまざまな要因から景気が上向くということがなかなか期待できない。そしてなおかつ、銀行もゼネコンもあるいはそのほかの企業も不良債権問題というのを大きな問題として抱えておる。そんなときに、私は御提案申し上げたいわけでございますけれども、この土地取引活性化させるためには、私は先ほどお話しいただきました譲渡益課税、税制面での工夫が何よりも効果的なのではないかなというふうに考えております。  我が国の優秀な政府をもってすれば、税率を下げて税収を減らさない、そしてなおかつバブルの反省を肝に銘じてまたバブルの再発が起こらないような、そんな税制の機転を探すことも可能だと思いますけれども、税制面で土地取引流動化を促進するという考えに対しましての建設大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  96. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 土地税制についての歴史を振り返ってまいりますと、打つべきときに打たない、もう打たなくてよいものをそのまま残しておるというような、ある意味ではタイミングを間違えてきた私は政治であったということを反省しなければならないと思います。  そういう意味で、委員が御指摘のように、土地税制については、今のこうした土地の動かない状況を踏まえてきっちりとした税制にこれを変えていくべきだと、このように考えております。
  97. 小川勝也

    小川勝也君 私も、今大臣がいみじくもおっしゃいましたとおりに、土地がどんどん上がっていくさなか、我が国政府の対応は十年おくれたと考えております。また、今回の景気の冷え込みなんかも考えてみますと、土地税制の着手がもう少し早くてもよかったのではないかなというふうに考えております。  まさに、バブルというあつものに懲りてなますを吹き続けているような気がいたしますが、きょうは大蔵省さんもお見えでございますけれども、土地税制を変えるということに関しての大蔵省の御見解もお伺いしておきたいと思います。
  98. 伏見泰治

    説明員(伏見泰治君) 土地税制全般についてでございますが、御案内のように、平成三年、抜本的な土地税制改革ということが行われましたが、平成八年度、その後の状況変化を踏まえまして、土地の保有、譲渡、取得、各段階にわたる税負担の総合的な見直しというのを行ったわけでございます。その中で、御指摘のございました譲渡益課税につきましても、御案内のように、法人個人両方合わせまして全般的な見直しをしているわけでございます。  基本的には、その結果といたしまして平成三年の土地税制改革以前、平成二年度の制度にほとんどが戻っているというのが現状だろうと思います。むしろ、個人に係ります譲渡の中で、特に優良な譲渡につきましては、土地税制改革以前よりもさらに軽減をしたというようなこともしてございます。  またもう一つ譲渡益課税の土地流動化等との関連で申し上げますと、当然のことでございますが、譲渡益課税でございますので、益が出ませんと幾ら軽減しても効果がないというようなことがございます。  いずれにしましても、土地税制土地政策全体の中の一つの柱だとは思っておりますが、土地問題はいろんな観点があろうかと思います。そういう中で、税制としましても全体的な議論の中で今後も検討していきたいと思っております。  以上でございます。
  99. 小川勝也

    小川勝也君 不動産の焦げつきといいますか、不良債権化というのが経済に与えている影響が物すごいと考えております。何とか亀井大臣のリーダーシップでこの辺を打開していただければというふうに考えております。  さて、法案でございますけれども、プロ投資家を対象にした法改正ではございますが、資料をいろいろと読み返してみますと、過去に例えばマルコーでありますとかライベックス等、一般投資家に被害をもたらした事件というのがございました。今回の法改正にはその辺のことがなかなか反映されておらないと思いますけれども、以前の事件に対する反省はどのように今回の改正につなげたのか、建設省にお伺いいたします。
  100. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) 今御指摘のありました具体的な事件は、平成四年度あるいは平成三年度、このころに起きた事件でございまして、実は、そういう事件を踏まえて現在の法律が制定された、こういう経過がございます。  したがいまして、現行法におきましては、まず第一には、経営基盤の脆弱な業者があったということが大きな問題を起こした原因でございますので、これにつきましては、一定規模の財産的基礎を持たないと許可をしないという許可制をしくことにしたわけでございます。  もう一つは、投資中身がはっきり説明されないままにお金のやりとりがなされたということが一つ投資家を誤らせた大きな背景であるというところから、いわゆる情報開示を法制化したわけでございます。具体的に言いますると、いろんな業者に対する行為規制を加えたわけでございます。  例えば、一定の行政処分が必要な場合には、処分が終わった後でないと事業をスタートさせてはいけないとか、あるいは集めたお金はほかの業務の経理と分けて分別管理しなければいけないとか、あるいは必要な書面を契約時あるいは契約前にきちっと相手に示して契約をするようにとか、また、その後においても財産管理状況を定期的に書面にまとめて投資家に示さなければいけないとか、さまざまないわゆる情報開示のための手段方法を法定化したところでございます。
  101. 小川勝也

    小川勝也君 今回の一部改正不動産市場にどのような影響を与えると御期待をされているのか、お伺いしたいと思います。
  102. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) 先ほども似たような御質問がございましたけれども、この法律自体は土地の需給そのものにストレートに影響を与えるものというふうには考えておりませんが、幸い最近、やや土地について動きが見られ始めております。こういう状況のもとで、その動きを加速するということは可能ではないかというふうに考える次第でございます。  内容につきましては、先ほど言いましたように、多くの投資家から資金を集めて事業を進めやすくする、資金調達をしやすくする、こういう側面がございますし、さらには、収益に着目する投資でございますので、ディベロッパーもぎりぎり収益を上げるための努力をする。そういうことで流動化が促進されるという面はあろうかと思います。つまり、取引市場環境整備といいますか、そういった効果が出てくるものと期待をしておる次第でございます。
  103. 小川勝也

    小川勝也君 それで、私は、ちょっと懸念かもしれませんが、後日この委員会でも審議する予定となっております密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律案というのがあります。今回の一部改正と今申し上げた法律とが何か関連しているように思えるのでありますが、その辺のことをお伺いしたいと思います。
  104. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) 今国会でまた別の観点からいわゆる密集法の制定をお願いをいたしておるわけでございますが、結論から言いますると、私どもで今回御議論いただいております不動産特定共同事業法改正とは特別の関係はございません。
  105. 小川勝也

    小川勝也君 では、今許可が厳しいというお話だったんですけれども、現在四十社が許可業者というふうになっておりますが、この四十社だけに何らかの利益がもたらされるようなことはないんでしょうか。
  106. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) 現在、事業の許可を受けております会社が四十社ということに相なっておりまするが、これは四十社に限られておるわけではございませんので、事業主にそういう意欲があってその資格があれば、特に許可をもらえないということではございません。  例えば、金融機関のような免許制とは違うわけでございます。原則自由の中で特別なチェックをするという仕組みでございますので、業者の数に特に限定を考えておりません。
  107. 小川勝也

    小川勝也君 それでは、今回の規制緩和メリット感じて、四十社以外の会社も新たに名乗りを上げるというふうに予測されておられますか。
  108. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) 一々企業の意向をサウンドしているわけではございませんけれども、ある程度は初期の段階で関心を持っているグループは名乗り出ているのかなと、次のグループは先人の実態を見ながら業態の展開を考えているんじゃなかろうかなというふうに私ども見ております。
  109. 小川勝也

    小川勝也君 ちなみにお伺いをしておきますけれども、現在の四十社の中に建設省御出身あるいは関係のところからの天下りなんという方はおられますでしょうか。
  110. 小野邦久

    政府委員(小野邦久君) 御指摘の四十社でございますけれども、建設省から人事院の承認等を得て再就職をした者、法の施行後一名ということでございます。
  111. 小川勝也

    小川勝也君 それでは、ちょっと話題を変えて大臣にお伺いをしたいと思います。  先ごろ新聞で私も読みましたけれども、関西地区における大型談合疑惑があるのではないかという記事を目にいたしました。亀井大臣は、以前、関空に関係のある運輸大臣もお務めになられましたのですが、その辺、疑惑についての御感想がありましたらお伺いしたいと思います。
  112. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 新聞の報道を私もいろいろと読んでおります。また、私が不在中に告発と称する書類を弁護士が置いていったという、それは私、中身を見ています。  そういう状況の中で、これについては、建設省として放置はできないということで、現在も徹底した調査を命じて今やっておる最中でございます。
  113. 小川勝也

    小川勝也君 徹底して疑惑解明にお努めいただきたいと思います。  それでは、公正取引委員会の方にお伺いをしたいと思いますが、この件に関してどのような進捗でございましょうか。
  114. 梶山省照

    説明員(梶山省照君) 個別具体的な事案につきましては、公正取引委員会としましては、どう対応するかということは従来からお答えを差し控えさせていただいているところでございます。  したがいまして、一般論として御説明させていただくことになりますが、公正取引委員会といたしましては、入札談合など独占禁止法に違反する疑いのある行為、こういったものの情報収集に努めておるところでございまして、違反行為として審査あるいは調査、これに値する端緒というものに接すれば厳正に調査あるいは審査いたしまして、違反事実が認められれば当該行為に対しまして厳正に措置をとるという所存でございます。
  115. 小川勝也

    小川勝也君 これも徹底的に解明をしていただきたいと思っております。  それで、私は、先日の一般質疑のときにも質問させていただいたんですが、その後、この関西談合疑惑の記事が目に入るようになりました。ある評論家の方に聞きましたところ、談合と天下りというのには非常に密接な関係があると。顔見知りのOB同士が話をすれば一層談合もやりやすいのではないかなどということもお伺いをいたしました。  少しお伺いをしたいと思いますけれども、北海道開発庁の方にお伺いをしたいと思います。いろいろな形で事業を発注される業者があると思いますが、取引高が上位の、例えば二十社には天下りの方がどのくらいいらっしゃるのか、お伺いをしたいと思います。
  116. 松川隆志

    政府委員(松川隆志君) 今、発注額上位二十社のお話がございました。北海道開発局におきます事業の発注に当たりましては、開発建設部など各事業実施部局におきまして個別事業ごとの契約を行っております。したがって、受注業者ごとの契約の管理、集計は行っていないということでございます。と申しますのは、この契約件数が非常に膨大でございまして一万件ぐらいあるということもございますし、そういう意味で集計を行っていないわけでございます。
  117. 小川勝也

    小川勝也君 例えば、部ごとといいますと、建設、運輸、農水と各部別の数字なら出るわけですか。
  118. 松川隆志

    政府委員(松川隆志君) 各開発建設部ごとに、あるいは事務所、道路事務所とかごとにやっておりまして、それは各事務所で資料を開示しております。
  119. 小川勝也

    小川勝也君 それでは、住宅・都市整備公団あるいは道路公団についても同様のことをお伺いしたいと思います。
  120. 小野邦久

    政府委員(小野邦久君) 住都公団から受注をしておられる企業上位二十社、そこへ建設省あるいは住都公団からどのくらい天下っているのか、こういうお尋ねだと思います。  一般的に、人事院の承認制度によって年限がたってくるとわからないわけでございますけれども、仮に一九九七年版、一番新しい会社四季報によりますと、住都公団の受注額上位二十社の役員総数は八百二十二名となっております。そのうち、公団の出身者は二十二名でございまして、率にいたしまして二・七%、こういうことでございます。同様に、九七年版の会社四季報によりますと、建設省の出身者は二十五名でございますので三・〇%、こういうことでございます。  道路公団につきましてもお尋ねがございました。これにつきましては、同様の調査をいたしますと、受注額上位二十社の役員総数八百五十三名となっております。そのうち公団出身者は九名、したがいまして率にいたしまして一・一%でございます。また、建設省出身者はどうかということでございますが、これも九七年版の会社四季報で調査をするわけでございます。二十一名、率で二・五%、こういうふうになっております。  ただ、先生御指摘の住都公団と道路公団の受注額上位二十社の中には十社が重複してございますので、今私が申し上げました数字は重複した数字と御理解をいただきたいと思いますが、その重複した数字を除きますと、建設省出身者の実数というのは三十五名、こういうことになっております。
  121. 小川勝也

    小川勝也君 それでは、また北海道開発庁にお伺いしたいんですが、巷間うわさ話で、天下りのいない会社は受注ができないんだなどという、根も葉もないことだと思いますけれども、うわさが耳に入っております。  後日で結構なのでございますが、天下りの方の全然いない会社の受注上位のリストがあれば後日いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  それでは、先ほどの大臣のコメントの中に、建築確認を民間に移すというお話がございました。建築コストが非常に高いといううわさ、市場の声もございますし、あるいはその中で許認可に関するもの、届け出に関するものがたくさんあるという声も耳にします。  今後、建築コストの削減に対しましてどのようなことを考えておられるか、建設省にお伺いをしたいと思います。
  122. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) 住宅の問題でございますけれども、住宅の建築費そのものを低減するためにいろんな工夫を今懸命にやっておるところでございます。御指摘の確認の手間暇でございますが、現在、たしか一万数千円の手数料がとられておるわけでございますが、実費は本気でやると実は数万円かかるだろう、こう言われておるわけでございます。  現在、残念ながら建築確認に当たります場合の諸検査が法令で規定されたとおり十分に行われていない実態もございます。これは職員の要員の問題もございまして、そういう実態になっているわけでございますが、実際に建築物の品質を確保するという意味では大変重要なものでございまして、現実に施主の方でもそういうことをきっちりやってもらえるならば、ある程度費用を負担してもいいのではないか、こういうニーズがあるやに聞いております。  そういう意味で、その点につきましては、必要があれば民間に力を借りて検査を充実させることが役所にとっても消費者にとっても双方にとって都合がいいのではないかということで、大臣からも至急検討せいということで、検討の俎上に上っておるところでございます。
  123. 小川勝也

    小川勝也君 安全と消費者保護という観点は非常に大事なのでありますが、私も今のままの規制あるいは届け出の数は非常に多いように感じておりますので、今後とも御検討を続けていただきたいと思っております。  それで、質問が重複するかと思いますけれども、今後、土地流動化に関しまして何かいい手だてがあるのかどうか、建設省にお伺いをしたいと思います。
  124. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) 先ほど別の委員の御質問に対しまして大臣からもお答えをさせていただきましたけれども、実体経済に力をつけなければ基本的にはだめだというふうに私どもも考えておるわけでございます。そういう意味では一刻も早く景気の足取りをしっかりするということが大事でございますが、その点を踏まえまして、次には土地流動化を阻んでおりまするいろんな規制がございます。大きなものもございますし、割合小さなものもございますが、あらゆるそういう規制を全部取っ払えと、大臣からも厳しい御指示もございまして、現在いろいろ作業をしておるわけでございます。  お耳に入っているかとも思いますが、比較的政策効果の高いものといたしましては、都心における容積、地下を緩和しようではないかというふうなお話もございますし、今回御提案申し上げております不動産特定共同事業法の一部改正もそういう趣旨でお願いをいたしておるものでございます。
  125. 小川勝也

    小川勝也君 今回の一部改正不動産取引活性化につながることを希望いたしますし、先ほど税制の面で御提案申し上げましたが、塩漬けになっております不良債権、その中でも土地などが動かないと本格的な経済の安定というのが訪れないと思っております。  亀井大臣には大きなリーダーシップを御期待申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。     —————————————
  126. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、坂野重信君が委員辞任され、その補欠として保坂三蔵君が選任されました。     —————————————
  127. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 今回の改正案は、一言で言えば大手ディベロッパーが活用しやすいように規制緩和をするというもので、現行法のねらいを一層露骨にしたものだと考えます。  まず、現行法についてですけれども、この法律制定の根拠になった被害実例を見ますと、利益が確実であるという勧誘に乗せられたということが非常に多かったと思います。今多数の裁判が行われていますけれども、例えば対象不動産収益力を大幅に上回るような賃貸料を約束する、こんなことについて、法律の二十条で禁止されている「故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為」になるのかどうか。また、二十一条の「利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断を提供する行為」にならないかどうか、それについてお尋ねいたします。
  128. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) ただいま具体的なおただしでございますが、具体的な事案の判断というのはなかなか微妙なところがあろうかと思いますので、法律の規定にも第二十条で「不当な勧誘等の禁止」という規定がございまして、不動産特定共同事業者は契約に関する重要事項につきまして故意に事実を曲げたり、不実のことを告げる行為をしてはならないという規定がございます。これに触れるかどうかという判断であろうかと思いますけれども、常識的に、業者が言っている中身が実現不能なようなものであるとするならば、不実を告げたということに当たるんではないかと考えます。
  129. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 そうすると、さらに具体的に聞きますけれども、法律施行後に大臣認可でやっている泉郷という会社がありますけれども、そこのリゾートホテルのケースではこんなことが言われたわけです。購入者に一口当たり不動産価格の四%利回りを保証し、実収入で四%を確保できない場合は泉郷が補てんすると。これは不当な勧誘に当たりますか。
  130. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) 法令の規定上、利子の保証については規制されておらないということでございます。
  131. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 確かに、建設省の通達、これを見ますと一定の利回り保証は禁止ではないと書かれているわけですね。なぜ禁止でないのかということが非常に不思議なんですね。  それで、一般投資家にとって、利回りの保証があれば確実に利益になると思い込むのは当然だと思うんですね。利回りの保証が許されるというならば、少なくともリスクがあるということも明示させるべきじゃありませんか。
  132. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) 望ましいあり方としてはおっしゃるとおりではないかというふうに思います。
  133. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 非常に重要なことを言われたと思います。  それが、現実建設省の通達等々の運用でいくとそうなっていないところに非常に大きな問題があるんですね。特に、この問題で非常に悲惨な結果になっているのは、融資あっせんによるもの、この被害が非常に大きくて、これで裁判ざたになっているわけですけれども、返済できずに家、財産を失う被害が多数生まれております。  法律では、二十二条で金銭等の貸与またはその媒介等の禁止、これがうたわれておるわけですね。ところが、通達ではこうした行為が禁止されるものではないと言われている。二十二条の法律で禁止されているとうたいながら、どうして通達で禁止されるものではないとなっているんでしょうか。
  134. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) おっしゃる部分は、恐らくいわゆる現物出資の事前販売の部分ではないかというふうに思いまするけれども、過去の被害例にかんがみまして、持ち分の、つまり共同出資をする持ち分の購入代金を超える部分についての金銭の貸借、貸し付け等については禁止をされておりますけれども、持ち分そのものの購入代金につきましては禁止をされておらないというわけでございます。通達ではその部分を言っておるわけでございます。
  135. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 持ち分がいいというのは当然なんですよね。  それで、私は先ほど局長の答弁を聞きましたけれども、この法律一般投資家念頭に置いてつくった法律と言われましたでしょう。そうですよね。そうすると、今一番問題になっているのは一般投資家、今では法律制定後実際の数は少なくなったと思いますけれども、しかし一般投資家が救われない、それが現行法の大きな問題点だと思うんですね。  そこに非常に大きな問題がありまして、個人投資家が主体になっていて、以前大きな被害が生まれた。それを防止するために投資家保護という名目でつくられた法律、実はその法律の二十二条にうたわれている、そういうことを超えて通達によって穴があけられている、私はそういうふうに痛感するんですね。ですから、その点でやはり一番肝心の現行法一般投資家保護、これが実際にはそうなっていない、ここに大きな問題があると思うんですよ。  私は、この問題の被害者の方々といろんな形で懇談しておりますけれども、法制定前の被害者は直接的にはこの法の適用を受けない。これははっきりしています。しかし法律で融資のあっせんが禁止されたと、二十二条を見て物すごく被害者の方は喜んだわけです。自分たちがこうむった融資あっせん、これが社会的に許されない行為だということをこの法律の中で見てとって喜んだ。しかし、実際、建設省がやられている通達、そこでこれは禁止されないというふうになったということで非常にがっかりしているわけです。  私は、投資家保護をうたったと言われている、そして制定された経緯のあるこの法律が実際にはそうなっていない、そこに非常に大きな問題点があるということを痛感しているわけです。  局長にお尋ねしますけれども、一般投資家がこの法律によって救済されるというふうに考えられますか。
  136. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) 今御質問されておりますのは、先ほど言いましたように、現物出資をするその購入代金の問題ではないかというふうに思いますが、これは、特定共同事業法に限らず一般不動産取引、つまり宅地建物取引業法の場合においても、よく新聞の折り込みチラシで提携ローン云々という話がありますのでごらんいただいていると思いますが、特に融資のあっせんについては宅建業法上は禁止されておりません。  それは、なぜかといえば、その見返りとして御本人さんは不動産の所有権を取得するわけでございますので、所有権を取得するということによって御当人のリスクはカバーされるのではないか、こういう考え方で整理されているんではないかと思います。この特定共同事業につきましても、そういう観点から、持ち分を購入するためのものについては特に規制をしておらないわけでございます。
  137. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 宅建業法がこうだからああだからといって、それは理由にならないと思うんです。それなら何でこの法律をつくったのかということが問われると思います。  それで、今回の改正案についてですけれども、こうした投資家保護に実効をもたらさないということ、そのことは指摘しておきたいと思うんですけれども、最大の改正メリット、これは事業実施時期の制限の適用除外だと思います。  開発許可建築確認を受ける前に契約締結が可能になりまして、計画段階から資金確保が可能となる。法制定はしたけれども、今の経済社会情勢のもとで土地流動化はなかなか進まない、再開発を一社でやるのはなかなか大変だ、リスクを分散したい、長期にわたる回収を可能にしたい、そういう業界の願い、それがここに込められていると思うんですけれども、その点に最大のメリットがあるということですか。
  138. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) これは、一方では投資家があるわけでございますので、事業者だけが力んでみても始まらないわけでございまして、投資家の利害と事業者の利害が一致しないとこの事業はうまく進まないわけでございます。  特に、今回法律改正をお願いしております、法人が参加するような事業考えますると、まさに、計画段階から限られたメンバーの中でいろいろな相談事をしながら進めていくことによって双方の利益が実現できるということでございますので、一方的にディベロッパーのみの利益のための仕組みというふうには私ども考えておりません。
  139. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 前回もそうなんですが、今回も、大手不動産業界団体の不動産シンジケーション協議会の要請があったんですね、強い要請が。  これは、例えば昨年の十二月に建設省に対してこういう要望書が出されていて、その中には今回のこの要請がはっきりと書かれている。あるいは協議会のこういう会報があるんですが、この会報で、昨年十一月に総会が開かれた、その後の懇親会で小鷲局長があいさつされて、その中で、制度面で改善する点については法改正も含めて検討するということで、この点を挙げられているわけですよね。  ですから、そういった意味では、もともと局長が業界団体に対して、彼らの前で述べてきたこと、それが法案となってあらわれた、そういうふうに考えるわけです。そうすると、私が思うのは、被害者を出した投資家保護ではしり抜けで、大手業界の要望には即座にオーケーするという、そういう構図が見えるような気がするんです。この点は、対象不動産の一体性基準緩和、今回これも大きなメリットだと思いますが、この点でも、結局これは不良債権担保土地流動化を促進するという、そういうことで不動産金融を助けるということになると思うんです。  そうすると、建設省は一体どこを向いて仕事をしているのかなということを感じるわけですよ。大臣にお伺いしたいんですけれども、やっぱりこういう業界の要望に沿っているということが言えますよね、客観的に。
  140. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 建設省は国民の方を向いて仕事をしています。
  141. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 それでは少し具体的に、この法の改正念頭に置いている東京都港区の六本木六丁目の再開発について尋ねたいと思うんです。  これは森ビルが中心になって、何と十一ヘクタールの土地、ここに青写真がありますけれども、十一ヘクタールの土地を再開発しようとするものなんですよ。総事業費は当初は五千五百八十億円。後、縮小見直しして、それでも二千六百五十五億円、国内最大規模の再開発なんですね。森ビル側は再開発組合結成を昨年十月に予定していたわけですけれども、地権者の三分の二の参加の見通しが立たない、そうしたことで延期して、今もめどが立っていないんですね。  港区議会では、昨年の十二月二日、区当局者はこんなことを言っているんですよ。再開発組合の設立については事業計画組合定款、公共施設管理者協議、地権者の同意など多くの課題が残されている、現状のままでは困難であるとの認識に立っている、これが答弁ですね。再開発推進の先頭に立ってきた区の当局者がこういう困難視をしている、極めて慎重になっているわけですよ。  大臣にお伺いしますけれども、この法改正で促進しようとする地域にこうした問題、動きがあるということを御存じですか。
  142. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) 六本木六丁目の再開発の件だろうと思いますが、私から私どもが理解している現状を御報告させていただきたいと思います。  現在、地権者で構成する準備組合が、組合設立に向けまして事業計画の内容等々について合意形成に向けていろいろ努力中であるというふうに聞いております。
  143. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 亀井大臣、御存じですか。
  144. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) そういう計画が進んでいることを都市局長また住宅局長から聞いております。
  145. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 現場でどういう住民の声があるかということも、大変お忙しい中だとは思いますけれども、ぜひ知っていただきたいんですね。  それで、再開発に対する地権者の反対、ちゅうちょというのは本当に真剣そのものなんですね。初めは森ビルが描く再開発の夢、それに託そうという方々は結構おりました。しかし、今の経済情勢のもとで森ビルの地権者との意見交換、これは森ビルが地権者との意見交換をちゃんとやろうとしない、情報がなかなか入ってこない、そうしたもとで、やっぱりこれはちょっと強引なやり方だということで戸惑いが広がっているんですよ。果たして六本木六丁目に住み続けられるのかどうか、そういう不安の広がりですよ。区の当局者の答弁はまさにその反映だと思うんです。  そういうときにこういう法改正をして、しかも六本木六丁目を念頭に入れた、そしてそれを促進するという法改正をするということ、それはやはり今の段階でこの地域の再開発を結局促進するという作用を果たしてしまうんじゃないでしょうか。
  146. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 私どもは、個別のディベロッパーなり事業主体を支援するということで法律をつくるわけではございませんし、改正をするわけではございません。
  147. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 ぜひ、そういう形で目に見えるようにやっていただきたいと思うんですね。それは、例えばこういうことがあるんですよ。大臣、御存じですか。  都道府県政令指定都市担当部局長にあてた建設省住宅局市街地建築課長の通達があるんですよ。その中には、「民間能力の活用による市街地再開発事業の推進について」と題しているわけですけれども、その中で、再開発事業の促進のために市街地再開発協会がつくったモデル契約と同解説を紹介しているわけです。これが現場では建設省が示しているモデルだと、この方向に沿ってやるんだと、建設省がこういう指導をしているんだということでまかり通っているわけですよね。森ビル側の地権者説得の材料とされている、こういうことが一方であるわけですね。法改正を通じて六本木六丁目の再開発の促進をしようとする、法的にですね、あるいはまたこういう通達を通じて進めようとする。住民に不安の強いこの六本木の再開発に建設省が肩入れするというか支援するというふうに映るわけですよね。  ですから、今大臣言われたように、国民に対して公明正大にやるというその点、私非常に大事だと思うし、その点が肝心だと思うんですけれども、現状としてはそういうことがある。それからまた、これは適法な手続がとられていると言われると思いますけれども、九五年度に八百万円、九六年度に一億円、国費が現況調査費として出されているわけですよね。  ですから、私はこういう再開発の問題というのは、まさに亀井大臣言われたように国民全体の建設省なわけですから、その点でやはり事業者が地権者、住民と十分な話し合いをする、そのことをきちっと協調して進められることが必要だと思うんですけれども、その点についていかがでしょうか、大臣
  148. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 私どもが立法措置等をやることについて、事業者なり個々の住民なりそういう方々が法の趣旨を正確に理解されてそれを活用されるのは当然でありまして、法律をつくってもだれも使わないといったら何のために法律をつくるかわからぬわけでありますから、このことは私は当然のことだと思います。それを正確に解釈してやるということ。  もう一つ、こうした都市の再開発等については、事業者と住民がやはり共同作業というようなつもりでお互いに町のために努力をしていく、あるいは事業者もそういう立場で推進をしていくということは必要でありますので、これについては当事者がお互いに話し合いをするということは当然のことであります。
  149. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 このことに関連しまして、一つは森ビルの森稔社長がおられるわけですが、これは週刊ダイヤモンド新年特別号なんですが、ここに不動産特集があるんですね。その中で森ビルの社長がこういうことを言っているんですね。「再開発は再開発法によって都市計画決定がなされ、公共性や公益性があると判断されたわけだから、これに従わない人に対しては、本来、代執行や強制収用もやむをえないはずだ。」、こういう発言があるんですね。  大臣は、こうした再開発について強制的にやってもよいというこの種の発言、それについてはどのように考えられますか。
  150. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 日本は御承知のように法治国家でありますから、それは事業者であれ個々の住民であれ、それぞれが法的な手段を行使するということをああだこうだと言うわけには私はいかないと思いますし、また市街地の再開発あるいは都市の再開発ということが、それ自体が間違った方向であるというわけでは私はないと思うんです。  問題は、先ほど言いましたようにやはり地域の住民の方々もそれによって幸せになっていくと、そういうことの中で実行されることが望ましいわけでありますから、そうした法律的な手段があるかないかということもさりながら、当事者がやはり理解を深めるということが私は大事だと、このように思っております。
  151. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 今大臣が言われたように、当事者間が十分に話し合うということ、そのことはやはり根本問題だと思うんですね。それなしに町づくりというのはできないと思いますよ。町のために地域の発展のために、事業者もそれから地権者も、もちろん住民も力を合わせたい、そう願っているわけですよね。しかし今、森ビルのやり方というのは、具体的に言いますとここに今私述べましたけれども、活字になっているものでこの程度ですよ。代執行や強制執行はもうやってしまえというわけですからね。活字にならないところで何を言っているかということになると、ここではもうたくさん山ほどあるわけですけれども、繰り返しませんが、やっぱり大変なことを言っているわけですよ。  反対する、やはり自分たちは納得できない、十分に森ビルから計画についての情報がない、将来が不安だ、自分の持っている土地を手放したときに一体ここに住み続けられるのかどうか、そういう不安がたくさんあるわけですね。そういう中で、情報も与えない、そして反対したりちゅうちょしたりする者に対してはのけもの扱いにする、あるいは差別扱いする、そうしたことがまかり通っている、こういうやり方というのはやはり非常に私はおかしいと思うんですね。  ですから、やはり今亀井大臣が言われたように、町の発展のために関係者がみんな力を合わせて、そして、それこそ情報をきちっと出し合ってやっていく、これが再開発においても非常に大事だと思いますね。そこの地域においては国費が出されているわけですし、やはり大臣、本当お忙しい中だとは思いますけれども、こういう実情をよく見ていただいて、この法律が客観的にいえば促進してしまう、そういう再開発の事業の内容、あるいはまた事業者と地権者との関係、それが一体どういうことになっているかということをつぶさに見ていただきたい、そう要望したいんですが、いかがでしょうか。
  152. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 委員におかれましても、最初から反対とかいうお気持ちじゃないと思います。やはりその地域の発展、そこに住んでおられる方々を含めてこのプロジェクトは推進されるべきでありますから、ぜひそういう観点から、どういう点が住民にとって問題なんだと、どういう点を解決すればいいのかという、そういう意味では建設的なぜひひとつ姿勢でこの問題についていろいろと御提言をいただければ私どもとしては率直に受けとめるつもりでございます。
  153. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私たちも、何もすべての都市再開発に反対と言っているわけじゃなくて、具体的に状況を見て述べているわけですね。ですから、先ほど大臣非常に大事なことを言われたので、大事なことは当事者と事業者とそれから地権者との間で十分に話し合う、その意思疎通が阻害されてはならない、とりわけ事業を進める側からそうした情報開示が行われなかったり、あるいはそれが阻害されるという事態があってはならないという、その点を私特に述べておきたいと思います。  それで、この法案のことにちょっと戻ります。先ほども言いましたように、客観的にこれから土地流動化ということを願われていると思いますけれども、その点ですぐに情勢が動くということはなかなか難しいと思うんです。しかし、そうした中で具体的に汐留とか六本木六丁目とか、ただでさえ東京の都心に、そこに四割ぐらいのこういう事業が集中しているわけです。そういうところでの事業はひとつ慎重にしていただきたい、そのことを要望して、質問を終わります。
  154. 奥村展三

    ○奥村展三君 お聞きをしたいことがあったわけですが、もう既にほとんどお聞きになっておりましたし、今また議論をなされております都市の再開発についてもお聞きをしようと思っておったんですが、いろんなお答えが出ておりますし、簡単に一、二点お聞きをいたしたいと思います。  先ほどもお話が出ておりましたように、閣議決定されました新総合土地政策推進要綱の中にもメーンテーマとして掲げられております。そうした中で、土地政策の目標ということもありまして、豊かで安心できる町づくり、地域づくりを目指した土地有効利用を促進するための施策を展開すると明記をされているわけでございますが、都市再開発等の土地有効利用に、今改正されるこの法案につきまして、どのくらい寄与するかお伺いいたしたいと思います。
  155. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) 不動産特定共同事業がスタートいたしました前後には、個人投資家として登場するケースが多かったわけでございますが、最近数は多くございませんが、新しい現象といたしまして企業が投資家として登場するケースが出始めてきています。特に珍しいケースといたしましては、宅地開発の案件につきまして、ハウスメーカーさんが投資家として参加をする、宅地開発に参加をするといったようなケースもございまして、幅広い応用、利用が検討されてきておるわけでございます。  昨今のこういう土地事情を踏まえまして、先ほど来何度か答弁させていただきましたけれども、土地につきましても、特に商業地につきまして若干の動意が見られ始めている状況でございますので、こういった状況の中で、おっしゃられるようないわゆる再開発事業のようなケースについて、この事業が応用されるケースが今後ふえていくのではないかというふうに期待をいたしている次第でございます。
  156. 奥村展三

    ○奥村展三君 ぜひ今お述べになったような方向づけがなされるように期待をいたしたいと思います。  亀井大臣にお伺いをいたしたいと思うんです。私は新党さきがけでございますが、最近地元へ帰りますと、さきがけは公共事業に反対をしているのかというようなことを言われるんですが、私は公共事業イコール悪ではない、本当に地域のバランス、社会資本の整備、これはもう当然基本であります。ここにやはり限られた国土の中で土地をいかに有効利用していくか、そうしたことを踏まえながら公共事業も進めていっていただきたい。  そして一番大事なことは、国土の均衡ある発展という言葉がよく使われますが、本当に私たち地方を考えたときに、本当にこれで均衡ある発展ができているのかなということを思わざるを得ません。そうしたときに、特にマンネリ化した箇所づけ、あるいはその積算単価あるいはまた見積もり単価を見ましても、通り一遍の従来の方式が常にとられておる。いかにそれを消化していくかということで、市町村等は必死になって努力をいたしておると思うんです。  考えてみますと、そういう中でぜひひとつ先ほど申し上げました公共事業、めり張りをつけた、総花的ではない、集中的に橋梁なりあるいは道路なりあるいは住宅なり、本当にそういう意気込みを持って私はやっていただきたい。その中で節減はできないか、あるいはコストダウンができないか、マンネリ化しているところの見直しができないかということを私どもさきがけは申し上げているんであって、決して基本的な考えは与党の一員として間違っていないということを思っております。その点につきまして、大臣の所見をお伺いしておきたいと思います。
  157. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 委員の極めて見識の高い御質問を受けまして、私も安心をいたしました。さきがけがそういう政策方針でおられるということでありますので、連立三党、橋本政権を建設行政の面でもきっちりお支えいただけるんじゃないかということで、本当に今安心をいたしました。  これはもう委員の御指摘のとおりでございます。北海道につきましても、昨年の末、国幹審で高速道路建設整備計画に長距離、御承知のように格上げをいたしましたけれども、これなんかも、北海道にそんなものをつくって、クマしか通らぬじゃないかというような強い私は批判の声も耳にしたわけでありますが、やはり私はそれは違うと。今、東京、大阪中心に発展をしている日本でありますけれども、これは時代とともに変わっていくわけでありまして、歴史的にこれは考えていかなきゃいかぬ。  あの統制経済ソ連とつき合っておった日本が、今や自由主義経済ロシアとつき合うわけであります。東京や大阪経由で北海道がつき合うわけじゃありません。ダイレクトに北海道が自由主義経済ロシアとつき合っていくわけでありますから、そこについてそうした基幹的な道路網をきちっと整備をしていくことが大事であります。鶏が先か卵が先かということがありますけれども、そういう状況になって、その場になってばたばたとそういうものを整備しようと思っても間に合わぬわけであります。  今のうちから時代を見据えてそうしたものは整備をしていく必要があるということで、相当異論もあったわけでありますが、あの長距離、私が格上げしたわけでございまして、このことは全国あらゆるところについて言えるわけでございまして、今まかり通っておる議論は、現在繁栄をしておるところ、そこをいかに整備するか、もうこれ大丈夫じゃないか、だからもう公共投資はいいんだとか、そういう議論がまかり通っておるわけでありますが、(「それは見識だ」と呼ぶ者あり)ありがとうございます。  そのように考えておりますので、委員のお考えと私も全く同じでございます。つきましては、党内でぜひそういう御意見を、党の意見として表に出るようにひとつ御尽力を賜りたいと思います。
  158. 奥村展三

    ○奥村展三君 基本的にはこういう議論の中で進めておりますから、御安心をいただきたいと思います。  なお、私もお手伝いをさせていただいて、今月末に出てこようかと思いますが、全国の三千三百の市町村の財政担当課長さんに実は与党三党で今アンケートを出させていただきました。そして、これを踏まえまして来月になりますと、私もびっくりしたんですが、この霞が関かいわいといいますか、ここに千七百名の課長さんがおいでになるようでございます。合わせますと約五千名、この方々に実はアンケート調査をさせていただこうということで、与党三党で現在取り進めております。  ぜひ、このアンケート結果を私は大きな期待を持って見守っておるわけでございますが、建設省におかれましても公共事業の配分、あるいは今申し上げました、マンネリ化していない姿で今後取り組んでいただきますことを希望申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  159. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  160. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私は、日本共産党を代表して、不動産特定共同事業法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。  一九九四年に制定された不動産特定共同事業法に対して、我が党は、不動産共同投資事業にお墨つきを与え、都市開発プロジェクト等に新たな資金調達の道を拡大する、この事業の拡大は国民の貴重な資源である都市の土地を投機の対象とする風潮を助長する、市町村や住民の意向に基づいた計画的な都市整備に重大な障害をもたらす、悪質な投資被害から投資家を保護する面が不十分で一般投資家の新たな被害の拡大が懸念されるという理由を挙げ、反対しました。その後の事態は、不動産市況の低迷などによって業界の意図どおりにこの事業での小口商品の販売が進んでいないものの、業界が大手によって再編され、都市再開発などにこの事業を活用しようとする要求が強く出されるに至っています。  今回の改正は、こうした財界、不動産業界の要求にこたえて、損保、生保などの機関投資家不動産特定共同事業投資しやすくし、大手ディベロッパーの都市再開発等の資金調達を助けるためのものです。また、金融機関が抱えている不良債権担保土地等の流動化を進め、金融機関の救済を図ろうとするものです。  事実、改正内容は、大手不動産会社が結成した不動産シンジケーション協議会や都市銀行などの要望に忠実に沿ったものであり、そこでは、現在の不動産特定共同事業法に規定されている規制は円滑な事業の推進を妨げるおそれがありますので撤廃もしくは緩和をと要求しています。具体的には、投資プロ不動産特定共同事業投資しやすい環境整備を図るために、事業実施の時期に関する制限撤廃、不当な勧誘等の禁止の解除、金銭等の貸し付けの禁止の解除、対象不動産は単一のものに限定せず複数でも可能など規制緩和し、再開発等の土地有効利用の推進を図るなどです。健全な都市の発展に活用すべき不動産を投機の対象とする道を開くものです。さらに、住み続けたいと願う住民を追い出すような都市再開発に活を入れるてこになります。  日本共産党は、都市開発や国民の健全な不動産投資を否定するものではありません。しかし、今回の改正は、住民の反対やちゅうちょを無視した強引な市街地再開発、健全な都市整備の阻害、多数の投資被害を招くおそれがある不動産共同投資事業をさらに推進するためのものであり到底賛成できないことを表明して、反対討論を終わります。
  161. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  不動産特定共同事業法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  162. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。亀井建設大臣
  163. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 不動産特定共同事業法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま可決されましたことを深く感謝を申し上げます。  審議中における委員各位の御高説につきましては、今後その趣旨を生かすよう努めてまいる所存でございます。  ここに、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。どうもありがとうございました。
  164. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  165. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  166. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 次に、治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。亀井建設大臣
  167. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) ただいま議題となりました治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  政府におきましては、これまで現行の治山事業五カ年計画及び治水事業五カ年計画に基づき、治山治水事業計画的な実施を進めてまいりました。  しかしながら、依然として我が国の国土は災害に対して脆弱であり、山地及び河川流域においてしばしば激甚な災害が発生するとともに、各種用水の不足はなお深刻であり、治山治水事業を一層強力に推進する必要が生じております。  この法律案は、このような状況にかんがみ、現行の五カ年計画に引き続き、平成九年度を初年度とする治山事業五カ年計画及び治水事業五カ年計画を策定することにより、これらの事業を緊急かつ計画的に実施して国土の保全と開発を図るための所要の改正を行うものであります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  168. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十七分散会      —————・—————