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1997-02-21 第140回国会 参議院 建設委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年二月二十一日(金曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  二月十四日     辞任         補欠選任      梶原 敬義君     青木 薪次君  二月十七日     辞任         補欠選任      小川 勝也君     伊藤 基隆君  二月十九日     辞任         補欠選任      太田 豊秋君     前田 勲男君  二月二十日     辞任         補欠選任      伊藤 基隆君     小川 勝也君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鴻池 祥肇君     理 事                 永田 良雄君                 山崎 正昭君                 市川 一朗君                 緒方 靖夫君     委 員                 井上  孝君                 岩井 國臣君                 坂野 重信君                 橋本 聖子君                 松谷蒼一郎君                 平野 貞夫君                 広中和歌子君                 福本 潤一君                 赤桐  操君                 小川 勝也君                 久保  亘君                 奥村 展三君    国務大臣        建 設 大 臣  亀井 静香君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)      稲垣 実男君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  伊藤 公介君    政府委員        北海道開発庁総        務監理官     松川 隆志君        北海道開発庁計        画管理官     八木 康夫君        国土庁長官官房        長        近藤 茂夫君        国土庁計画・調        整局長      塩谷 隆英君        国土庁土地局長  窪田  武君        国土庁大都市圏        整備局長        兼国会等移転審        議会事務局次長  五十嵐健之君        国土庁防災局長  福田 秀文君        建設大臣官房長  小野 邦久君        建設大臣官房総        務審議官     村瀬 興一君        建設省建設経済        局長       小鷲  茂君        建設省都市局長  木下 博夫君        建設省河川局長  尾田 栄章君        建設省道路局長  佐藤 信彦君        建設省住宅局長  小川 忠男君    事務局側        常任委員会専門        員        八島 秀雄君    説明員        大蔵大臣官房企        画官       山崎 康史君        大蔵省主税局税        制第一課長    伏見 泰治君    参考人        首都高速道路公        団理事長     三谷  浩君        首都高速道路公        団理事      原  隆之君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○建設事業及び建設計画等に関する調査  (建設行政基本施策に関する件)  (国土行政基本施策に関する件)  (北海道総合開発基本施策に関する件)     —————————————
  2. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨二十日までに、太田豊秋君及び梶原敬義君が委員辞任され、その補欠として前田勲男君及び青木薪次君が選任されました。     —————————————
  3. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  建設事業及び建設計画等に関する調査のため、本日、首都高速道路公団理事長三谷浩君及び同公団理事原隆之君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 建設事業及び建設計画等に関する調査を議題といたします。  建設行政基本施策国土行政基本施策及び北海道総合開発基本施策につきまして質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 市川一朗

    市川一朗君 先日の所信表明の際に、建設大臣から、昨年十二月六日に長野県の蒲原沢において発生した土石流災害につきまして、御不幸にして十三名の方が御遺体で発見され、一名の方がなお行方不明であるとの報告がございました。改めて御遺族の方々に慎んでお悔やみを申し上げますとともに、負傷された方も八名おられるそうでございますが、心からお見舞い申し上げる次第でございます。  亀井建設大臣も直ちに現地に赴かれまして直接陣頭指揮に当たられて、また、ほかの関係者方々、それぞれ大変御苦労が多かったわけでございまして、改めて敬意を表する次第でございます。なお、まだ今後の捜索活動もあるわけでございますので、どうぞぜひとも捜索活動その他に全力を挙げていただきまして、同じようなことが再発することのないように、本当に原因究明とか対策とか、そういったようなことにつきまして万全を期していただきたい。私どももそういった観点からしっかりと対応してまいりたいというふうに考えておる次第でございますが、どうやら原因究明その他詳しいことは、所信表明の中でも、現在調査審議中ということのようでございますから、余りお聞きしてもお答えがないかもしれませんので、ごく常識的な点で一、二まとめてお聞きしますのでお答えいただきたいと思います。  まず第一点は、砂防ダム有効性についてでございます。  実は私ども、昨年の九月でございましたか、阪神・淡路大震災の復旧・復興状況現地視察を行いまして、鴻池委員長外一行で参ったわけでございますが、その際、六甲砂防ダム工事現場視察いたしました。あの場所は、あの大地震のときに幅五十メートル長さ百メートルの崩落が起きたところでございまして、そこに土石流を防止するための巨大な堰堤、あれをダムと称しているわけですね、それが建設中でありましたが、そのダムの高さが十四メーターなんですよ。今度の蒲原沢建設中のも十四メーターということで、ははあ、ああいうダムなのかと思ったんですが、実はあのときは、わっと目の前に見たものですから、物すごい巨大なコンクリートの塊みたいな感じがしまして一瞬びっくりした記憶もあるんです。  要するに、今度の災害というのは工事中に起きたことで、しかも被害を受けた方は工事関係者ですから、ダムができ上がってしまえばもうそういう方はおられない場所になってしまいますので災害対応は違うとは思いますが、要するに、我々もあのダム六甲で見たわけですが、ああいうものがきちっとできておれば今度のような土石流は、土石流は発生したとしてもかなりのところで被害が生じないように食いとめることができたのに、まだできていなかったからああいうふうになったんだということなのかどうか、極めて常識的な質問になりますが、それが第一点お聞きしたい点です。  それからもう一つ警戒避難体制の問題なんです。  あのときもいろいろ御質問したんですが、六甲ではワイヤーセンサーによる警戒装置を取りつけるなど安全対策にも配慮しているということだったんです。しかし仮にそれを備えつけても、ワイヤーセンサーがブーと鳴ってから発生してくる土石流から逃げていくというのは、よほど行動が敏捷な人でないと、正直言って私はちょっと自信がないなと思ったくらいなんです。まして今度の場合は工事関係者でしょう。ですから、そういう危険性等についてはある程度わかった上で、いろいろ対応をつくった上での話だったんじゃないかなとも思うんですが、その辺やっぱり不十分だったんだろうなという感じがしますが、その辺も含めましてお答えいただきたいと思います。
  7. 尾田栄章

    政府委員尾田栄章君) ただいま先生から六甲事例と今回の蒲原沢と比較してお話をいただきました。確かに、御視察をいただきました六甲西谷砂防ダム、これは神戸の市街のすぐ際に接してつくっておる砂防ダムでございまして、この砂防ダムの基本的な考え方は、上流で崩壊してくる土砂をすべてこの砂防ダムでため込む、こういう考え方でございます。それに対しまして、蒲原沢での砂防ダムの基本的な考え方は、姫川水系全体、蒲原沢が合流をしまして姫川下流、河口まで流れていくわけでございますが、この間、姫川本川河床上昇を食いとめる、そういう機能を持った砂防ダムでございまして、先生指摘のとおり基本的な設計理念が違うわけでございます。  その辺のところは、数字的に申しますと、六甲西谷砂防ダムの場合は計画貯砂量が五千立方メートルでございます。それに対して蒲原沢は三県合わせまして二万一千立方メートルでございますので四倍でございますが、流域面積で申しますと、六甲西谷砂防ダムの場合は〇・〇四平方キロメートルでございます。一方、蒲原沢は三・七三平方キロメートル、百倍ぐらいございます。そういうことで申しまして、単位面積当たり約二十五倍の貯砂量をため込む、六甲の場合はそれだけの大きな容量を持っておる、そういうダムでございます。  そういう意味合いで、蒲原沢砂防ダムが二基を完成して一基が工事中でございましたが、これが完成しておればどうかということで申しますと、なかなか比較が難しいわけでございますが、いずれにしましても平成七年七月のあの大出水によりまして姫川下流河床が異常上昇した、そういうことに対応するための上流域全体で行っております砂防事業の一環だというふうに御理解を賜ればと存じます。  二点目の御指摘でございますが、警戒避難体制がどうであったかということでございますが、土石流、今まで十二月に発生した事例は過去二十五年間全国調査いたしましてもございません。そういう意味で、時期としても非常に今までなかった事例でございますし、またこの土石流が発生しました際の降水量、雨量で申しましても、従前の例と比べれば非常に少ない量で起こっております。そういう意味合いで大変特異な土石流であったというふうに考えておるところでございます。  従前は、降雨を監視することによって事前に工事を中止してそういう土石流災害を防ぐ、そういう被災をしないようにするというのが基本的な考え方でございましたが、今回こういう事例が発生をいたしましたので、現在、先ほど先生も御指摘をいただきました十二・六蒲原沢土石流災害調査委員会におきまして御検討をいただいておるところでございます。そういう検討に基づきまして、今後我々として対応考えていきたいと存じておるところでございます。
  8. 市川一朗

    市川一朗君 ああいう災害が再びありますと大変なことですので、これからまた調査審議の結果等も踏まえて、私どももお聞きしていきたいと思います。よろしく頑張ってください。  次に、公共事業について御質問したいと思いますが、最近公共事業につきましていろんな議論がなされておりまして、建設委員会委員としても甚だ気になることがいっぱいあるわけでございますが、余り時間もございませんので、一、二に絞りまして、主として亀井建設大臣にお伺いしたいと思います。  昨年の衆議院選挙の前後とか、それから特に昨年暮れの政府与党平成年度予算編成過程で、主として自民党関係者のようですが、その言動がいろいろ新聞等で報じられました。まあ一言で言えば、極めて憂慮すべき利益誘導型だと、そういう発言報道だと思ったわけでございます。所信表明では、日本の将来を的確に見据えて、質の高い住宅社会資本整備するとなっておりますが、ああいう発想ではなかなか難しいんじゃないかなと懸念しておるわけでございます。  新聞報道でございますが、選挙自民党新進党に負けた県の予算は減らせとか、知事にも会わないといったようなことが伝えられております。実際に私が聞いた話でも、数県の関係団体が共同して自民党の大幹部のところへ行きましたら、特定の県の知事だけは何か約束してなかったとかなんとか言われて入れてもらえなかったという話も聞いておるわけです。  私は、亀井建設大臣政治家になる前から、あるいはもっと前からある程度存じ上げておりまして、日本の将来のことをよく憂えてやってこられた政治家ですからまさかとは思いますが、これは公共事業の大宗を占める建設大臣という責任ある立場に立たれまして、こういった問題についてどんなお考えで、どういうふうにやろうとしておられるのか、現実にどうやっているのか、しっかりとお聞きしておきたいと思います。
  9. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) しっかりとお答えをいたしたいと思います。  新聞等で、私も自民党幹部あるいは自民党からの立候補者あるいは当選した議員等からそれに似たような発言がされておるということは承知をいたしておりますが、政党なり政治家の場合は、もう自民党立場に立って言えば、相手方の新進党が勝てばよくなりますよみたいな演説はするわけでもありませんし、私が出ますとこの地域はよくなりますよというのが、全国区じゃありませんから、その地域から選ばれるわけでありますから、そういう言い方をそれぞれの党の方々がおやりになるのは、これはやっぱり政党政治といいますか、そういう面でやむを得ないのかなという感じはいたします。  しかし、政治は、そうした争い争いとして、やはり国家的な見地から、北海道から沖縄まできっちりと目配りをして、必要なところに必要な金をつぎ込んでいくということがなければなりません。そういう意味で、私は厳正公平に、補正予算執行につきましても、また今御審議いただいております九年度予算が成立いたしましたらその執行にいたしましてもきっちりとやっていくつもりでございまして、今までも各会派等から私のところにいろんな執行面についての御要請も受けております。  私は、自民党でないと会わないとか、そんなことをやった覚えはございません。各政党の方、どなたでも私はお会いをいたしまして、それぞれ地域の実態その他を詳しくお聞かせをいただいておるわけでございますので、そういう点につきましては、建設省行政、また政府行政につきましてはぜひひとつ御信頼をいただきたいと、このように思います。また、新進党が推薦をされて当選されました知事さんも私の部屋においでになっておられるわけでございまして、私がそういうことで分け隔てをいたしておるということはございませんし、また、我が省の職員もそういうことは徹底いたしておりますので、御心配は要りません。  ただ、私が申し上げたいのは、特に衆議院の場合は小選挙区制という制度でこのたびその地域代表者が生まれておりますから、やはり政党政治でございますから、政党政治でございますと、やはり与党議員が出ておられないその地域の声がなかなか代議士を通じて上がりにくいという現実の問題が起きてくる危険性がございます。それだけに、そうした野党の方々は積極的にその地域の声を行政府に伝える御努力を今までの制度の場合以上にやっていただく私は必要があるのではないかなと。また、参議院の諸先生方もその面での責任というのは非常に重いんではないかなということも感じております。  以上でございます。
  10. 市川一朗

    市川一朗君 私は少しやわらかく言ったんですが、当時の新聞の社説なんかを見ますとかなり厳しいんですよ。これは日経新聞ですからどっちかいうと穏当な方だと思うんですが、「予算編成配分を通じて党勢の拡大や選挙対策にしようとするのは、」「政権党の半ば常とう手段といえる。だが、選挙ごとの勝敗を基準に、報復的に予算配分をしようとするのは前代未聞だ。本気で実施するなら、党利党略予算を山分けするに等しい山賊的行為である。反対党存在そのものをつぶしてしまおうという点では議会制民主主義とは相いれない考えだ。」とまで言っております。私、一番最後の部分は非常に重要な問題だと思うんです。今大臣も小選挙区制の問題に触れられましたけれども、この小選挙区制で一対一で争うものでいきますと、場合によっては本当に反対党存在をつぶしてしまうというところまでいってしまうわけですね。  こういう中で本当に懸念しますのは、きょうは建設委員会ですので、また別の機会にこの辺の問題は取り上げたいと思いますが、予算配分という問題は何も予算成立、今議論されている予算だけじゃなくて、実際の執行面でもいろいろ出てまいりますので、今の大臣の基本的な考え方をひとつぜひ執行部の方、間違いないとは思いますけれども、懸念しておりますので、私どももウォッチングしていきたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。  公共事業の問題でもう一つちょっと気になる点は、どうも最近金額がひとり歩きしているんじゃないか。例えば、公共投資基本計画六百三十兆円というのはもう大体本当にみんなわかるようになりましたけれども、ただ、六百三十兆円であれはどんな計画なのかとなると、ほとんどの人は余りよくわからない。  どうでしょう。まず建設省立場だけで見た範囲でもいいですから、あの六百三十兆円の公共投資基本計画というのは、一言でわかりやすく言うと、一言というと簡単に言われちゃいますかね、要するに、何をどうしようというちゃんと内容を盛り込んだ計画なんでしょうか。
  11. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) これは委員承知のように、建設省分これだとかシェアまで決めておるわけではございませんし、また、大まかな事業別金額も決めておるわけではありませんで、国土を長期的な視野で整備をしていく、そうした社会資本整備にこの程度のやはり金はつぎ込むべきではないかなと、そうしたおおよその大きな目標であろうかと思うんです。六百億プラス三十は、何か調整的な金として六百三十でございますけれども、そういうことでございますので、私どもとしてはそれの中からさらに中長期計画、五カ年計画とか十カ年計画とかいうことで中長期を組み、それでさらに単年度予算を組んでいくという三段階でございますから、長期のをにらみながら単年度予算編成をしているという面はありますけれども、直接それできちっと縛られるという性格のものではないと思います。
  12. 市川一朗

    市川一朗君 この間補正予算で、衆参両院予算委員会亀井建設大臣と各委員とのやりとりがございましたね。私も参議院予算委員会は直接その場でお聞きしておったんですが、どうもあのやりとりを聞いていまして、何か国会予算審議というのは金額を主として問題にしてくださいと。その結果何がどういうふうによくなるかということはひとつ行政庁の方に、行政側に任せてくださいと。そこまで言っているわけじゃないんで、本当は、あのときは要するに一つ一つ箇所ごとにチェックしようという気配があって、そのための資料を出せと言われたから、恐らくそれを出さないという方針を決めたんでしょうから出さないために亀井流にがんがんやって、よし勝ったということなんだろうとは思いますけれども、あれはちょっと勝ち過ぎじゃないでしょうかね。  つまり、ああいうやりとりであそこまではしっと押し切っちゃいますと、国民の側から見ますと何か、例えば国全体、国土全体がどういうふうになるのか、それで一つ一つ社会資本ごとに、例えば道路はどうなるんだろう、治水はどうなるのか、下水道はどこまで行くのか、それで今度の平成年度予算ではここまで行く、補正予算を組むとそれが一歩前進してこうなるという目で見ますとさっぱりわからないなと。だから、非常にブラックボックス化してしまうわけですね。それで金額だけの問題になってくる。  そうしますと、経済政策ですから、いろんな学者もおられますしいろんな意見もありますから、経済波及効果なら減税の方がいいじゃないかといったような議論が出ますとやはりそうだろうなという考え方になって、公共事業によって社会資本がきちっと整備されるという重要性、そういったような問題について国民はどうも疑問を持たざるを得ないという感じを持っておるわけです。  これは、議事録を見ても大体そういうやりとりをされておられますよね、任せてください、大体三百カ所以上あるんですよ、何百カ所のところをそれぞれこの場でやったってしようがないでしょうと。それはそうだと思います。だけど、行政側といいますか、答弁側はもっと工夫して、ある程度の時間を節約しながらも、これによってこんなふうによくなるんですよという努力をもっとしないといかぬのじゃないか。  私はここに一つの雑誌への投書を持っているんですが、ここではいろんなことが書いてあるんです。例えば公共事業への批判的な声に対しては、亀井建設大臣の言葉として、ばかげた論旨だと言っておられると。それで、そういったようなこともちゃんと取り上げまして、我々国民だって毎日の通勤地獄や慢性化した道路の渋滞を考えれば生活関連社会資本の充実は当然必要だと思っている、やってほしいと思っていると。しかも、少子・高齢化社会の到来は避けられないという現実を踏まえれば、投資余力が残されている間に計画的な社会資本を形成しなきゃならないということは、そんなことは国民だって知っていますよ、そんなことがわからぬで言っているんじゃないんだと。要は、どうも各省が縄張り争いをしている面も含めて、むだな公共事業をやっているんじゃないか、むだな公共事業はもう要らないということを言っているんだよと、そういったような声があるんです。  だから、そういったようなことで、我々がやっているのはむだなことじゃないんだと、あるいはむだがあるとすればこういうふうにしてむだを排除するんだと、それからコストダウンについてもこういう努力をしているんだというようなことを、言ってないわけじゃないんですが、ああいう闘いで亀井流に完勝してしまいますと何か雰囲気がおかしくなるんじゃないかということをちょっと心配しておるわけですが、大臣の御感想でもお聞かせください。
  13. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 大変友情あふれる御助言を含めての御指摘でございますけれども、私は、委員と基本的な考え方は違っていないと思います。国会審議において、ただ単なる金額だけをどうだこうだするということじゃなくて、まさに中身について御審議をいただかなければならないということでございますから、建設省のやろうとしております事業につきまして、下水道、公園あるいは道路なり、それぞれについて我々としてでき得る限りの資料を御審議のためにお出しするということは、私はもう当然のことだと、このように思っております。  そういうことでございますから、私どもも別に出し惜しみをしておるわけでもございませんし、出したら都合悪いというわけでもございませんから、そういう面では、そういう事業の中でも、例えば大型のプロジェクトとかそういうようなもの等については特に資料をお出しするというような形でやっておるつもりであります。  ただ、当委員会においてはそういう恐らく御発言はないかもしれませんが、私が今まで出ました予算委員会の中で、いわばどこの町のどこの村のという箇所づけでございますね、そのことを含めてとにかく全部箇所づけを出せというふうな御要請がございましたので、これはもう委員は御存じのように、実施計画予算が決まりましたらつくりましてそうしてこれを配分するわけでありますので、実施計画をつくる作業を今もやっておるわけでございます。  自治体との間で御承知のようにやりとりをいろいろやりながらやっておるわけでありますから、そういう過程の中で個々の市町村の名前の入った箇所不確定なやつを全部この委員会にお出しをするということになりますと、私はこれは予算審議自体にも、場合によっては市町村との関係で混乱が起きようかと思いますので、そのことについては全体についてこうやれよという、執行についても御要請、御要請といいますか条件もつけていただいて結構でございますけれども、あとは行政権がそういうことについては自治体と責任を持って箇所づけをしていくわけでございますから、そこまでの資料予算審議の過程で出せと言われましてもこれはもう無理だということを私は申し上げたわけでございます。  しかし、それでも予算審議に必要な資料、これを出せ、これを出せということでございましたらでき得る限りお出しをするというのが私の気持ちでございまして、亀井流というのはそういうことで、非常に誠心誠意尽くすというのが亀井流でございますから、そのように御理解を賜りたいと思います。
  14. 市川一朗

    市川一朗君 国会の場で議員が質問するのは、目の前の議員が質問していますけれどもやはり国民が聞いているわけですからね。その整備水準とか整備プログラムについて国民のコンセンサスを得るような努力というのは政府側もすべきだと思うんですよ。  次に、住都公団の問題をちょっとお聞きします。  亀井建設大臣になられて、行政改革の一環として、所信表明でも住宅・都市整備公団について分譲住宅業務からの全面撤退や町づくりへの業務の重点化などの検討を指示したとありますが、私は行政は常に時代の要請にこたえて国民のニーズに合致することが基本的責務であると考えていますから、そういう意味では行政改革というのは絶えずやらなきゃいけない、それが行政の前提でなきゃならないと考えております。しかし、実際には一度できたシステムを改革するというのはまたなかなか難しい問題でございまして、結局歴史的な変換期を迎えた今の我が国から見ますと、行政は改革という目で見ますと本当におくれおくれになってしまって、行政改革が国政の最重要課題になってしまったということでございまして、まことに大事なことであると同時に非常に難しいという問題もあるわけです。  住都公団の問題、公団の問題等は、行政機構の中における特殊法人のあり方とか、あるいは財政投融資の制度の問題いろいろありますから、これはちょっと短時間では議論になりませんし、これから大いに議論ができると思いますが、ただ一つ腑に落ちないのは、昭和五十二年ころに一度大量の空き家問題がありましたでしょう、当時の日本住宅公団。  今私は、住宅事情はむしろあのころより悪くなっている面がある、東京圏では。これは、昨年の三月二十六日に関係法案の審議の際に私指摘いたしまして、いわゆる遠高狭という点では本当に悪くなっている。今東京で四十歳前後の働き盛りのサラリーマンが年収の五倍の値段で四人家族用で三LDKの住宅を求めようとすると、一時間半かかりますよ、一時間半以上。一時間半なんてなかなか大変ですよ。政治家の場合はそういう遠くに住んでないからあれですけれども、本当に大変なことなんですよ。そういった住宅事情はむしろ悪くなっているような面もあるのに何で空き家なんかあんなに大量に出たのかなと。  やっぱり民間企業がやる以上のことは期待されても無理だということなのか、あるいは、どうも亀井建設大臣のあの判断を見ると、公団の限界を早速就任早々の大臣がもう感じてしまったのかどうか。そういったようなことについて、一度経験もしているのに大量の空き家をなぜ出してしまったのだろうというのはどうも脇に落ちないんですが。
  15. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) ただいま東京圏の住宅事情についての言及がございました。厳密な比較というのは難しいとは思いますが、住宅の立地の場所、質の問題、いろんな意味で二十一世紀に大きな問題を積み残したというふうな問題意識がございます。  今、先生指摘になりました、かつて住都公団でもやはり大量の空き家問題が発生したというふうなことにお触れになりました。御指摘のとおりでございまして、現在、例えば昨年末の段階で七十二万戸を管理している状況のもとで約一万戸弱の空き家があるというふうな事実がございます。ただ、今御指摘になりましたように、昭和五十年代の半ばからバブル期の直前と申しますかまでの期間において、実は比率においては今回を上回る空き家が発生した時期がございます。例えば昭和五十五年末では一万五千戸近く、当時は六十二万戸でございますから比率は今の二倍でございます。二・三%の空き家があったというふうなことでございます。  ただ、そのときは、何がしかの経済的背景があったというのは事実でございますが、よく言われましたのは高遠狭、住都公団の家賃、分譲価格というのは高い、それから場所が遠い、それから狭い、この三つが理由だと一般的には言われました。相当程度当たっていると思います。  それならば、今回、住宅事情が依然としてというふうな背景のもとに、なぜこれだけの問題が起きたのかというふうなことでございます。実は、今回発生いたしております空き家あるいは分譲住宅の売れ残りというのは場所的に申し上げますと、四大ニュータウンと申しますか、多摩ニュータウン、港北ニュータウン、千葉ニュータウン、幕張、これらの比較的歴史のある伝統のある住宅団地で割合まとまって発生しているというふうな事実がございます。それらに共通しておりますのは、一言で言えば、建築費が最も高騰したバブル期の絶頂期に建築に着工しておる、結果としてでき上がったものは、分譲価格にせよ家賃水準にせよ、原価からいきますと極めて高いものになった。ただ、その後の経済状況のもとで、一口に言えば割高感がつきまとっているというふうなことだろうと思います。  したがいまして、これから先は蛇足かもしれませんが、できるだけ住宅販売促進あるいは入居促進という意味で、背景がそういうふうなものであるならば、やはり家賃を下げる努力をするとか、あるいは分譲につきましても定期借地権的な形で価格を抑えるような努力をするというふうなことで、現在最大限の努力をさせていただいておるというふうな状況でございます。
  16. 市川一朗

    市川一朗君 原価でやれば当然安いという時代なら原価主義でもいいんでしょうけれども、そういう時代の変化にやっぱり対応できない部分があったんですね。  ちょっといろいろお聞きしたいんですが、伊藤長官せっかくお出ましてございますので、首都機能移転ですね、東京都選出の伊藤長官だからということであえて申し上げるわけではございませんが、私は、首都機能移転というのはやっぱりよりよい東京をつくるためにぜひともこれは必要がある問題だと思っているんです。ただいま住都公団問題でも御指摘しました住宅問題一つとりましても、先ほどの公共事業でも申し上げました通勤地獄、慢性的な道路渋滞、こういったような問題も、将来の東京、未来の東京を考えますと、やはり首都機能移転というようなことで取り組んでいかないとどうにもならないんじゃないかというふうに思っているわけでございます。  長官も前向きに取り組んでおられると思いますけれども所信表明を見る限りでは必ずしも、ちょっと不安な部分もございますので、ひとつここは御熱意のほどを、余り時間がございませんので、熱意あふるる御答弁であれば簡単でも結構ですから、どうぞひとつよろしくお願いします。
  17. 伊藤公介

    国務大臣伊藤公介君) 委員とはかつて私が国土庁の政務次官の時期から仕事を一緒にさせていただいて、大変御指導をいただきました。  結論から申し上げれば、首都機能の移転は、少しオーバーになるかもしれませんが、二十世紀から二十一世紀にかけて日本民族の国土行政に対するチャレンジだ、そう私自身は認識をしております。  つまり、昭和三十七年、池田内閣の時代から、もう委員御案内のとおりでありますが、歴代の内閣は常に、過疎と過密を解消して豊かな自然と共生をしながら、都市においても快適な住環境を、そして地方においては豊かな自然の中で生き生きと暮らせる、そうした国土行政を一貫して進めてきたわけであります。しかし現実は、今委員大臣とのやりとりもございますように、都市はじゃすごく快適になったのか、あるいは地方は自然と豊かに暮らせるようになったのか。三千二百三十二市町村の中で依然として千二百八市町村は過疎であります。その数は少しずつ減ってはきているようでありますが、依然として過疎は過疎。  そういうことを考えましたときに、私たちは、この大都市にもし万一大震災が起きたときに一体どうなるんだろう、あるいはもう少し先進国に比べて、一部屋、二部屋豊かな住環境に住むことはできないのか、あるいはまた、私は地方の非常に過疎の出身でありますけれども、あの大自然の中に職場があったり文化があったら心豊かにみんなが住めるであろうに、そんなことを考えながら、この首都機能の移転は、さまざまな夢とロマンをかけた二十一世紀への国の挑戦だ、そういう意気込みでやらせていただきたいと思います。  アメリカでは、ビジネスの中心はニューヨークなら政治の中心は何といってもワシントン。これから二十一世紀の恐らく主役になると言われる中国も、政治は北京なら世界の人々が投資をする経済の中心は上海です。私たちもそういう意味で、国際的にも日本は魅力のある国土行政を進める非常に大きなインパクトになるのではないか、そういう意気込みでしっかり取り組み、また、国民的なコンセンサスがとれるようなさまざまな運動も展開をしてまいりたいと思っております。  御協力もあわせてお願いをいたします。
  18. 市川一朗

    市川一朗君 土地政策でございますが、このたび新総合土地政策推進要綱というのを定められまして、もう早速亀井建設大臣は、きょうの新聞報道によりますと、具体的な土地の有効利用について取り組まれておるようでございます。国土庁におかれましても総合的な土地政策の推進の責任官庁としてこれからしっかり取り組んでいただきたいと思いますけれども、私は、やっぱり具体的なことをやっていかないとどうにもならないという意味で、時間があれば本当は亀井建設大臣にけさの話もお聞きしたいんですが、ちょっと私の持ち時間が切れましたのでもうお答えいただく時間ありませんから、御要望だけにしておきます。  国土庁長官、土地税制ですね。あれは税務当局の話でもありますが、もうバブル退治そのものと言えるような土地税制もやっぱり残っているんですよね。ですから、日本の土地政策のために税制はどうあるべきかという点も含めまして、ひとつできるだけ早急に結論を出していただきたいと思うんです。  その点御要望しておきまして、質問を終わりたいと思います。
  19. 小川勝也

    小川勝也君 民主党・新緑風会の小川でございます。  まず、予定外の質問を国土庁長官一つさせていただこうと思っております。  きのう、北海道で地震がありまして、きのうは衆議院の方で委員会が行われていたように思っておりますが、第一報が国土庁長官にきちんと入ったかどうか確認をさせていただきたいと思っております。
  20. 伊藤公介

    国務大臣伊藤公介君) 阪神・淡路の震災を私たちは経験をいたしまして、国土庁は、常にさまざまな災害、特に地震につきましては国土庁の三階にはあらゆるコンピューター制御によってデータが直ちに受けられる体制になっております。  きのうの地震につきましては、私のところに十分後に連絡をいただきました。その時々の状況によりますが、震度五弱になりますと、私のいわゆる無線には必ず連絡が来ることになっておりまして、国土庁と連絡もいたしますし、万々一そのときにさまざまな問題があれば官邸との連絡をする。そうした危機管理には十分対応しております。
  21. 小川勝也

    小川勝也君 危機管理は何か災害が起きたときだけ問題にするのではなくて、オオカミ少年のごとく常日ごろから注意をしていることが肝要だと思って質問につけ加えさせていただきました。  改めてお伺いをいたしますが、今、市川委員とのやりとりがあったように、この大都市部においては、渋滞であるとか、通勤時間が長いとかあるいは住宅の面積が小さいとかいろいろな問題を抱えておりまして、私も国土庁長官と同じように農村の生まれでございますが、必ずしも便利な東京が豊かで快適な暮らしができる場所とは考えておりません。そういう意味考えますと、我が国の国土行政、今までの分を総合しますと、必ずしも成功しているとは言いにくいと私は思います。  その逆に、私の北海道も二百十二市町村ございますが、札幌市とその周辺の一部の市を除いては、ほとんどが人口減少地区でございます。私の生まれ育った町は、最高時の人口が一万二千人でありましたが、ついに暮れに五千人を切りました。私の町は農村でございますので、まだまだ人口の減少が緩やかでございますが、御案内のとおり、産炭地であるとか特殊な産業を抱えておった市町村になりますと、また特殊な事情を抱えております。  国土の均衡ある発展という見地から、特に農村部の未来についてどんな豊かな幸せを長官として描いておられるのか、御所見をお伺いしたいと思います。
  22. 伊藤公介

    国務大臣伊藤公介君) 北海道の大地で心豊かな青春を送られたり、そうした自然の豊かな中でさまざまな情操豊かな青年たちが育っていく。私も実は自分が生まれ育ったところは長野県の海抜千五十メートルという大変過疎の地域であります。一方、私自身が今選挙区としておりますところは、先ほどから御議論にもありました多摩ニュータウンを抱えた最も都市化現象が進んできた地域でありまして、やっぱり都市に人が集まるというのは、そこにはビジネスチャンスがある、さまざまなチャンスがある、そういう魅力がある。しかし、そういいながら、大都市に住む人々は時として、あの豊かな自然に触れたい、そういう両方のものを持っているわけでありまして、最近の地方の農山村、そうした過疎地域や離島、半島、特殊な状況を持った地域のいろいろな私ども国土行政の上から御意見を承ったり、あるいは時に陳情を受けながら、均衡のとれた国土行政の必要性を非常に痛感をしております。  そこで、新しい全国総合開発計画がことしの夏前後には策定をされる準備も今進められているわけでありますが、そうした中でも、私どもは今までのように過疎と言わずに、多自然居住地域、人々が自然とともに共生ができる、そうした国土行政に転換をしていくべきだということで、ポスト四全総は五全総とも言わないし、今までの延長ではない。文字どおり二十一世紀の魅力のある国土行政を新しく展開をする、そういう心意気で、実はそのネーミングも、全国行政方々あるいは全国の青年会議所の方々あるいはもちろんさまざまな経済関係の皆さんにもお呼びかけをして、国土庁のホームページ、インターネットで二十一世紀のそのネーミングも今募集をしているところでありまして、魅力のある地方都市あるいは農山村ということを、これから私たちは、さまざまな角度から新しい地方への時代とそうした流れに沿った国土行政をぜひ進めていきたいというふうに思っております。
  23. 小川勝也

    小川勝也君 ぜひ物質的豊かさもさることながら、心の豊かさを追求した行政を進めていただきたいと思っております。  私ども北海道も、いろいろ御配慮をいただきまして社会資本の充実も少しずつ進んでいるとは思います。また、平成十二年には、私の生まれ育った町にもインターチェンジが開設される予定になっております。  しかしながら、今問題となっております公共事業と呼ばれるものが大変に評判が悪いと思います。私のふるさとにおいては当然待ち望んだ高速道路でありますが、マスコミからは、車の通る台数が少ないところの高速道路をつくることに、あるいは農道と呼ばれる、あるいは林道と呼ばれる道が舗装されることに、いろいろな批判も受けております。この公共事業という言葉自体が悪者になっていく責任というのが、私ども政治家や役所の方々あるいは建設業界の方もそうかもしれませんが、みんなの責任としてこれはとらえていかなきゃいけないと思います。  なぜこんなことを申し上げるかといいますと、北海道の高速道路も、経済の、あるいは財政の流れからいうと、この東京で通勤電車に揺られながら一生懸命仕事をされた方の支払った税金が地方の高速道路になったり社会資本の充実になっているということを私たちは忘れてはいけないということをここで改めて申し上げたいからであります。  そして、国民の税金は国民の将来の幸福のために使われるべきであって、政治家が名声を博すために使われるべきではない。あるいは逆に、建設省予算をふやすためでもないし、あるいは建設省の天下り。ポストを確保するためのものでもない。原点に立ち返って、納税者の気持ちを考えながら、公共投資あるいは公共事業というものを進めるということを再確認したいわけであります。  優先順位を考えて、どうしても必要なものだけをつくるという考え方は当然であります。今までの歴史においては、何でもいいからつくってくれという話もたくさんあったように聞いております。今、財政危機が叫ばれている中、当然そんな時代ではありません。一滴たりともむだにしないというそういう前提でこれからも必要な公共事業を進めていくために、政治家も官僚もすべての携わる人たちがぎりぎりまで襟を正し、そしてコスト削減に向けて努力をすべきだと思いますが、このたびの所信表明の中にも、公共事業のコスト縮減というのが盛り込まれておりました。どのようにコスト縮減をしていくお考えなのか、その方策をお伺いしたいと思います。
  24. 小野邦久

    政府委員(小野邦久君) ただいま御指摘のございました公共工事のコスト削減の問題、公共工事についてのお尋ねでございますが、これは一般の建設事業そのものについて言えると思いますけれども建設事業自体は非常に多くの要素の集合体と申しますかそれの総合的な社会活動の結果出てくるものだということがあると思います。  そうなりますと、いろいろな財とかサービスの価格が例えば欧米に比べて高いということになりますと、その総合生産価格である建設生産物の価格もおのずと高くなってしまう、こういうことでございまして、私ども、過去にも、同じようなものを例えばアメリカでつくった場合に日米の価格差がどうなるのかということをいろいろ議論を真剣にいたしました。その結果、いろいろな財サービスが高いものでございますから、建設生産物の価格も例えば一五%から三割ぐらい高いと、こういう結果が出てきているわけでございます。  ただ、先生御案内のとおり、公共事業は大変貴重な税金を使ってやるわけでございますから、少しでも効率的にやらなければいけないということで、今、政府挙げて、効率的な公共事業執行、特に公共工事のコスト削減のために取り組んでいるわけでございます。ただ、コストの低減の問題は、私ども公共工事の実施主要官庁だけじゃなくて、関係の政府のあらゆる機関に御協力をいただいて真剣に考えていただいて総合的な対策を打ち出さないと、なかなか思うような成果が上がらないのであります。例えば、私ども自体がコストを下げるだけじゃなくて、建設活動をやる場合にあらゆるいろいろな関係の規制があるわけでございます。こういうふうな規制をやはり少しでも社会的にある程度低くしていけるようなものは、そういうことを考えて低くしていくようなことにしないと、コスト全体が下がらないわけでございます。  例えば、先生指摘になりました、北海道の高速道路のお話をされましたけれども、高速道路はもちろん最終的には税金で返していく国債でつくっていくわけでございますけれども、この高速道路にしましても地元の方の大変御要望がございましてつくっていくわけでございますが、実際の施工段階になりますと、例えば地域方々からいろいろな要求が、この際、例えばインターチェンジをつくる場合にも関係の道路との交差をどうするか、アクセスをどうするか、そういうようなことがごまんと要求が出てくるわけでございます。こういうような場合にじゃ設計をどうするのか、いろいろ小さな例えば道路的なものと一々バイパスで全部連結をしていくのでは大変なお金がかかるわけでございます。  そういったようなことから、少しでも例えば設計を安くできないか、あるいは資材を少しでも安く買えないか、あるいは道路工事をやります場合の交通規制とか、そういったようなことも含めてあらゆる角度から見直しをして努力をしていかなければいけない。ただ、その場合でも、やれること、やれないこと、これはたくさんあると思います。そういう方向をきちっと示すことによって、我々は総理の大変強い御指示もございまして、政府一つの行動指針を年末までにつくっていこう、こういう段取りで進めているところでございます。
  25. 小川勝也

    小川勝也君 ぜひとも実効ある結果を期待しております。  私の所属しております民主党では一五%ぐらいは縮減できるんではないかという提案をさせていただいているところでございますが、これは大臣に申し上げたいんですけれども、ただいま事務的に御報告があった要件のほかに、さまざまな事務的なこと、あるいは体質的なものも問題の中に含まれておると思います。  例えば、これは自治体の方が上京される経費であるとか、打ち合わせをするときの飲食費であるとか、あるいは業界の方々が談合する費用であるとか、すべて価格に転嫁されるということもお考えに入れてこの大きな縮減という問題に取り組んでいただきたいと思います。  次に、先ほども話題になりました住宅・都市整備公団改革へのお考えを伺いたいわけでございますけれども、これは新聞資料を取り寄せましたらこんなに分厚く資料をいただきました。あるいはマスコミもあるいは我が党もこの問題を厳しく追及しております。いろいろな非合理的な状況や空室や売れないとか、あるいは経営の体質などを見ますと、もはや難しい段階に来ているのではないかなというふうに考えますけれども大臣のこの公団改革へのお考えをお伺いしたいと思います。
  26. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 住都公団は、戦後の廃墟の中から、特に中低所得者に対する住宅供給をしていくというそういう意味では歴史的な重要な役割を、歴代総裁初め職員の方々が必死になって取り組んできてその責任をまた確実に果たしてきた、そういう歴史であろうかと思いますが、その後の我が国の発展段階の中で、民間におけるデベロッパーの成長というようなそうした状況もございます。  そうした中で、やはり民に対してお任せする面は思い切ってもうお任せをしていくと。しかし一方、特に低所得者層に対しての責任を国としてどう果たしていくかという観点から、これについてどうやっていくかという問題がありますけれども、しかし住都公団としては大きくこの際方向転換をしていこうということを住都公団の総裁初め幹部と私ども合意をしたわけでございますので、この際二十一世紀へ向けて思い切った改革をやるつもりでございます。  ただ現在、分譲にいたしましても賃貸にいたしましても、もう既に手がけておる膨大な作業がございます。これは、軍の場合も進軍よりも撤退の方が難しいということがよく言われるわけでございますが、住都公団もまさにそのとおりでございます。今やりかけのやつをたたき売りをするというわけにもまいりません、これは国民の財産でございますから。そういうことに対してどうやっていくかということも今鋭意検討しておりますが、部分的にはやはり場合によっては民営化していくのがいいという部分も出てくると思います。  要は、問題は国家のために国民のために何がいいかというその選択であろうと思いますが、今そういう意味では住都公団も自分たちの組織を温存するとか今持っている権限をずっと持ちたいとか、そういう消極的な気持ちではなくて、まさに先ほど委員が御指摘の原点に立って白紙で検討をしてくれておりますので、待って期すべき点が私はあろう、このように期待しております。
  27. 小川勝也

    小川勝也君 大臣から原点に立ち返ってという御答弁をいただきましたが、私はここでちょっと政治的な観点からつけ加えさせていただきたいと思います。  今お話がありましたように、大きな役割を果たしてもうその役割を果たし終えたと私は思います。今申されたように、低所得者につきましては例えば都営住宅、市営住宅、県営住宅と競合いたしますし、高級な分野に関しては民間と競合する。この住宅・都市整備公団も亀井大臣の手によって次のステップに円満に行かれるように望むものでありますけれども、この新聞の論調も住宅・都市整備公団改革を行政改革の端緒とせよという論調が多うございます。橋本行革がうまくいくかいかないかというのはどうもこの住宅・都市整備公団の改革の行方を注視して見守っているように見えますし、また並みいる橋本内閣閣僚の中でも最もパワフルで剛腕の亀井大臣がこの改革をなし遂げないと橋本行革そのものがまさに画餅になってしまうように私は思いますが、民営化という言葉を含めて、もう一度御答弁いただけませんでしょうか。
  28. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 先ほども御答弁いたしましたように、私どもとしては、今までのそうした仕組みとかやり方にとらわれず、未来に向かって一生懸命白紙で検討いたしておりますので、その中には部分的には民営化をした方がいいんじゃないかとか、あるいはこれについてはやはり公的な関与といいますかそういう面を残した方がいいんじゃないかというような、そういうことを含めまして今まだ検討しておる最中でございますので、私自身がアバウトな男でございますから、そういう細かいことに対して現時点ではまだどの部分をどうするというところまで詰まっておりませんので、お許しをいただきたいと思います。一生懸命やってまいります。
  29. 小川勝也

    小川勝也君 住都公団のほかにもさまざまな問題があるわけですけれども、その中の一つ日本道路公団について御所見をお伺いしたいと思っております。  つい先日、休みを利用しまして家族サービスをしました。ドライブをしてきたわけですけれども、羽田空港から湯河原を抜けて御殿場から河口湖そして東京と戻ってきたんですけれども、料金所が数えますと何と十五回ありました。これは、何回も何回も料金を支払っていくとわからないかもしれませんけれども、おおむね八千円ぐらい使ったんじゃないかなと思います。北海道にスキーツアーに行きますと二泊三日で三万円台で行って泊まってスキーをして帰ってこれる。それが東京から日帰りでドライブをするだけで、その高速道路の料金、だけで八千円もかかってしまう。これはいろんな形の物価水準の中でいかがなものかということを考えたわけです。  実は先ほどもお話し申し上げましたように、そこでいただいた料金が北海道の高速道路建設に回されるということを考えますと、一概に文句も言えないジレンマに陥るわけでございますけれども、先ほど来申し上げているとおり、ユーザーからいただいたお金もあるいは国から出る補助金も、これはみんな一滴一滴を大切に使っていただきたい、こういう思いがあるわけでございます。  この公団の経営に対してもさまざまな資料がございます。例えば、身内の団体が関連会社をつくってさまざまなサービス部門に関しての納入を一手に引き受けている。あるいはサービスの部門でいいますと、お気づきの点もあるかと思いますけれども、どこのサービスエリアに行っても同じような売店がある、あるいはうどんもそばも同じようなものだと。これはもうちょっとやり方があるのではないかなというふうに考えますし、例えば料金が、適正価格が那辺にあるのかということもわかりにくいわけでございますけれども、要はこのプール制に対する疑義というのがまた別問題といたしまして、ユーザーから預かったお金が一円のむだもなく地方で待っている高速道路になればまだおさまりがっくかと思うんです。  この道路公団の話題に関しましては、日野市長と亀井大臣やりとりもあるわけでございますし、さまざまな問題を原点からもう一度見直していただきたい。この日本道路公団の経営の改革についての建設大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  30. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 道路公団も、日本列島全体に高速道路網を敷設してそれを維持管理をしていくという大事な仕事を一生懸命私はやってくれておると思います。しかしながら、現在の日本道路公団あるいはそれを取り巻くいろんな状況等、これについて私のところにもいろんな方々からの助言あるいは批判の言葉も寄せられております。  私自身もいろいろと勉強もいたしております。私は、簡単に申し上げますと、善意で総裁以下職員の方々もやってくれておると思いますけれども、客観的に見ますと、今のままでは私は国民の目に耐えられないと、このようにトータルとして判断をいたしております。  御指摘のように、高速道路料金、外国に比べて割高だという声も多いわけでありますけれども、私も外国に比べましてやはり高いという状況だと思います。そうした高い料金をいただいて、また税金の中からつぎ込んでおるというような状況の中で果たして付加価値を生むいろんな、サービスエリアを含めまして、そういう事業展開が理想どおりいっておるのかというと、委員指摘一部されましたが、私は必ずしもそうではないんではないか。もっと、例えば私鉄の場合運賃収入だけでやっておるわけじゃございませんで、その鉄道に関する付加価値をいろんな形でつけておるというそういう経営努力をやっておるわけであります。  現在までに道路公団やってくれておるわけでありますけれども、しかしもっとそれを、せっかく日本列島網の目のごとくある高速道路網、これはインターチェンジもあるいはサービスエリアももうちょっとダイナミックな形で、あそこのインターチェンジちょっと行って遊んでこようと言ったら失礼ですけれども、あるいは途中で、長距離運転する中であそこに寄ってちょっとあれしてみようというようなそういう魅力のある形で、場合によっては地域の自治体と一緒になって、あるいは民間と一緒になってそういうことをやって付加価値をうんとつけていく、それを道路財源にどんどんはね返していくという、民営化に近いと言ったらおかしいんですけれども、そういう生き生きとした私はやはり改革もしていかなければなりません。  また組織的に、施設協会から今、年間五十億ぐらいは上がっておりますけれども、しかし施設協会から発注をされているその業務に伴ういろんな利益というのが適正であるかどうかというようなことを含めてどうもそのあたりが、人間長くやっていればだんだんなれも出てきます、たるみも出てきます。  そういう中で、国民の目から見ればちょっとこれは改革を要するんじゃないかという状況が私は生まれておることは否めない、このようにトータルで判断をしておりますので、現在、総裁にお願いをいたしまして、また道路局にお願いいたしまして、道路局を中心に三十代のうちの職員を中心にプロジェクトチームをつくらせまして、夜遅くまで猛勉強を今やっております。  そういう中で、まさにこれも白地で道路公団、今後どうすべきかという一つの結論を出させたい。もちろん中間におきまして私もさらに意見を言うつもりでございますので、そういう意味で全く日本道路公団も新しい視点で今改革に総裁が先頭に立っておりますし、うちの道路局も立っておりますので、いろいろ御批判があろうことはよく私も承知いたしておりますので、それは改革の中できっちりと処理をいたしております。胸を張ってこうしましたということを委員に申し上げたいと思います。
  31. 小川勝也

    小川勝也君 ぜひ国民の税金をむだに使わないという観点から大改革をお願いしたいと思います。先ほど大臣から国民の目という言葉が何度か出ておりますが、国民の目から見て嫌いな言葉に天下りという言葉もありまして、これは実は新聞社の方々もこの言葉を見ると盛んに燃えるわけでございます。例えば先ほど話題になりました住宅・都市整備公団、日本道路公団あるいは北海道開発庁から天下った役員がいるところが、どんな額の仕事を発注しているかなどという資料新聞社がつくって我々の目に触れさせていただいております。細かいことは申しませんが、こういうことに関して建設大臣北海道開発庁長官、どのように思われるのか、感想をお伺いしたいと思います。
  32. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 天下りの問題は、建設省所管の特殊法人や公益法人に対することだけじゃなくて、これはもう各省庁にわたっておることでありますけれども、私は基本はやはり公務員の定年制、これと深く関係しておることだと思います。五十二、三で役所をやめて、しかも優秀な人材がやめていく。七十過ぎまで遊んで暮らせるような給料をもらって貯金をしておるわけじゃございませんから、第二の職場を用意をするということであります。  建設省について言いますと、ゼネコン等からノウハウをいただきたいとかというようなことを含めていろんな要請もありますが、現在、平成五年八月以降は一切私どものところでは人材をお出ししていないということもやっておるわけであります。そうした中で建設省関連の特殊法人その他に対して、やはり建設省の業務委託を受けてやるわけでありますから、ずぶの何も知らない人が役員になるよりも、よくそのことに精通をしておる、ノウハウを持った者がふさわしいという面も確かに私はあろうかと思います。  そういう観点から送ってもおるわけでありますけれども、しかし、今の特殊法人の役員の数が果たしてそれだけ要るのかどうかというような問題もあろうかと思います。じゃ、給与がどうなんだと、あるいは退職金がどうなんだというような問題もあろうかと思いますから、人材が必要だから送っているので、定年が早いからしようがないんですということだけでエクスキューズはできない、改革を要する面も私はあろうかと思いますので、そのあたりは今後取り組んでいくつもりであります。しかし、基本はやはり役人の定年制、これを政府全体として、国全体として考えていかなければならぬ、このように思っております。
  33. 稲垣実男

    国務大臣(稲垣実男君) 基本的な考え方につきましては、ただいま建設大臣からお答えをされたと思います。私は実はゼネコンペなぜ職員が行くかというと、先ほど来からありますように退職する年齢が早いから、まだ子供が育っておる途中だ、ぜひ第二、第三の人生をというような気持ちも、これはどなたに聞いてもそういう事情があるわけでございます。一方、定年制の問題、そういうこともございます。  それからもう一つは、やはり日本建設業界がゼネコンだけじゃなくて、小さい業者でも長い間役所で勤められたその技術あるいは管理能力といいますか、そういうものを非常に期待しているところもまたあるわけでありますが、いずれにしましても職員に対する退職の勧奨については、いわゆる行政組織における新陳代謝を促進するという面も一方あるわけでございまして、組織の活性化や公務の能率の維持向上を図るためにも行われておるわけでございます。  そういうような観点から勧奨は必要でありますが、当庁におきましては近年、幹部職員の大手ゼネコンへの再就職につきましては人事院への承認申請を目下のところ自粛をしておるところでございます。  また、工事等の発注に当たってはしっかりと法的に会計法令等の規定に基づきまして適切かつ厳正に行われておる、こう思っておるところでございまして、また当庁の出先であります開発局等にも厳正に対処するように指導をしておるところでございます。
  34. 小川勝也

    小川勝也君 もうちょっとましな答弁つくってもらった方がよかったと思いますけれども。何でゼネコンが天下りを受け入れるかというのはたった一つじゃないですか。仕事をくれるからですよ。仕事をもらえるから天下りを受け入れるのであって、受け入れる人にまだ教育にかかっている子供がいるからじゃないんですよ。逆に言えば、天下りを受け入れなきゃ仕事ももらえないという体質もあるからじゃないですか。もうちょっとまともな答弁をもらわなかったら先へ進めないですね、これ、長官。  それはさておいて、北海道開発の責任者におなりになった稲垣長官にお伺いをいたします。  これは、北海道は本州に比べて開発がおくれて社会資本整備とか農業基盤の確立とか大きな役割を北海道開発庁がなされてまいりました。しかしながら、北海道の自立あるいは北海道経済の自立ということを言われ出した今、もっと開発庁としては北海道経済が将来に向けて自立できるようにさまざまな御配慮をいただいた施策を考えていただきたいと私は思うわけでございますが、長官、御就任されてから何度か北海道に足をお運びになって、豊かな自然にも、そして人情にも接していただいたと思いますけれども北海道の将来を考える責任者として御所見をお伺いしたいと思います。
  35. 稲垣実男

    国務大臣(稲垣実男君) 今、小川議員がおっしゃいましたとおり、私も肌で感じたい、また北海道が抱えているあるいは道民が抱えていろいろんな問題をつぶさに知りたいということで、二回ほど行かせていただきました。  行けば行くほどなかなか大変だな。委員がおっしゃいますとおり、北海道の開発の歴史は百年ほどだというように本土に比べまして浅いわけであります。したがって、基礎的な社会資本整備が比べて見ますとおくれているということでありますので、当庁としても必要な予算の確保に努めて社会資本の重点的な整備をただいま進めておるところでございます。  また、北海道の産業を見てまいりますと、基幹産業である農林水産業が国際化の進展などによりましてただいまのところ非常に低迷をしている、これも現実であります。また、製鉄などの素材型産業の不振などもありまして、民間の経済活動も総体的に低い水準にあることは御承知のとおりでございます。このために、御指摘のように現在の北海道では政府の公共部門の支出割合が高く、北海道開発予算が道内経済に与えておる影響もこれまたあるわけであります。  そこで、当庁においては平成年度から、来年度から新しい計画の策定作業を進めておるところでございまして、その中におきましていわゆる北海道の経済構造を思い切ってひとつ改革するということが必要であろうと思うわけであります。北海道経済の自立化を図っていくことが極めて大切であることは委員も私も同感であります。  実は、私が北海道開発庁へ参りましてから、地図は飾ってありますが地球儀が置いていないのが非常に寂しい思いをしまして、私、田舎へ帰りますと、ちょっとした地球儀を見て時々それを回しながら地図を平面的じゃなくて立体的に見ようとしておるところであります。  確かに日本という国を見てみると、北海道というと北の端のように見えるかもしれない。あるいは沖縄を見ると一番南の端のように見えますが、地球儀は丸いわけでありますからくるくると自転と同じように回しますと、北緯四十五度のところをずっと見ますと、北半球における先進国の首都といいますか、ほとんどそういうところは大体その地域にあるわけでありまして、かつてのソ連、今のロシアの上空が自由に、これから航空の問題、交通のアクセスからいきますと国際的ないろいろと問題が出てまいりますと一番近い距離、物流を集めるには非常に私はすばらしいところだな、こんなことを実は考えておるわけでありまして、北はまさに国際的な交流の拠点として私は位置づけるにすばらしいんじゃないか。二十一世紀はそういう視点に立って少し考え方を変えてやる必要があるな、こう思うわけであります。  それからまた、今まさにいろいろ言われておりますのは食料不足があるんじゃないかということが盛んに言われております。食料の供給地域として北海道は非常に広大な面積を持っておりますので、農業とかあるいは酪農だとかそういったことも思い切ってやらにゃならぬ。しかし、ちょうど今雪がたくさん降っておりまして、雪害が非常にあったりいろいろしておるから、実は私もあすそれを見てまいりまして何か雪の活用方法はないものか、こんなことも思いまして、しっかりと見てまいりたいと思っております。  そういうような地域でありますだけに、我々は発想を転換して、十二分に北海道が自助努力をして、そして創意と工夫によって自立的に発展できる、そういう条件を整えるように産業基盤や生活環境の整備を含めて必要な施策を取りまとめていきたいと思う次第です。
  36. 小川勝也

    小川勝也君 これは私の感想と要望なのでございますけれども、当然ダム道路も農業基盤の整備も大変大切な事柄でございますが、今や時代も二十一世紀を目前にしたこういう時代でございますので、北海道開発庁という官庁が北海道の将来の発展のためにもうちょっとソフト面の充実を図っていただきたいなというふうに思うわけでございます。  その一環として私からとっぴな発想を申し上げさせていただきますけれども、市町村合併という問題があります。北海道も先ほど申し上げましたように二百十二市町村ございます。その中にはいわゆる財政力指数という数字で言いますと大変弱いところがたくさんあります。地方行政という観点から立って考えてみますと、小さい市町村、自治体がずっと続くということになりますと、財政に与える影響もたくさんあるかと思います。市町村合併をして、もっと合理的で有効な地方自治体の行政を進めるために北海道開発庁が何らかのノウハウを提供して、あるいは合併促進にインセンティブを働かせる、あるいは合併に合意した地域に対して何らかの大きな影響を予算的に及ぼすことができないかなどと考えているわけでございます。夢物語みたいな話でしょうけれども、開発庁からの御答弁をいただきます。
  37. 松川隆志

    政府委員(松川隆志君) お答えいたします。  先生指摘のとおり、これは全国は約三七%でございますが、道内の市町村の実は七割が過疎に悩んでおります。そういう状態でございます。しかし、地域の発展あるいは住民生活の向上という観点からいいますと、基礎的な自治体であります市町村の体力の強化ということは大変重要な点ではないかと思っております。  ただ、御承知のとおり、市町村の合併というのは地方自治の根幹にかかわる問題でございますので、地域の歴史あるいはいろんな事情を踏まえて、地域住民あるいは議会などで十分議論を深めた上で決定すべきものであると考えております。  それで、我が方で、一つはこの観点で、社会資本整備等におきましてはできるだけ市町村の枠を超えて広域的な観点から効率的な整備をすべく、いろいろ関連市町村の話し合いをしてもらって、あるいは事務組合をつくる等で広域的な整備をするという中で、やはりできるだけ市町村財政の負担を軽くするような方策、あるいは将来的にはそれが合併に結びついていくというような、いわゆる側面的な支援はしております。  以上でございます。
  38. 小川勝也

    小川勝也君 北海道開発庁の統廃合等がいろいろな話題に上っておりますけれども、きょうは橋本議員もおられますけれども北海道にとっては非常に大きな存在でございますので、今までのハード面の充実だけではなくて、今御答弁いただきましたようなあらゆる可能性を模索して、北海道あるいは北海道に暮らす人々の幸せを追求する、そういう役所でいてほしいと思っております。  きょうは、どうもありがとうございました。
  39. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。  現行規制の抜け穴となっております特殊法人への天下り問題、そのもって起きている弊害について質問したいと思います。これは全省庁にかかわる国政上の問題ですけれども、特に建設行政として避けて通れない重要な行政改革の課題であると考えるわけです。  まず最初に、建設省所管の五つの公団の役員数と国家公務員出身者の数、それぞれ幾らになっていますか。
  40. 小野邦久

    政府委員(小野邦久君) 五公団というお話かと思いますけれども、全体の数でございますけれども、全体で二十五名ということになっております。  内訳は、住宅金融公庫が、常勤役員数が九名でございます。建設省出身者は四名ということでございます。それから、住宅・都市整備公団が十五名、うち建設省出身者が八名。日本道路公団は十名でございます。そのうち出身者が四名。首都高速道路公団が八名、そのうち出身者は三名。阪神高速道路公団が七名、うち三名。本州四国連絡橋公団は八名、うち三名。日本勤労者住宅協会は三名、これは建設省出身者はございません。合計二十五名ということでございます。
  41. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 全体で何名になりますか、全役員の数。五つの公団でいいんですよ。勤労者住宅云々は含めないで。
  42. 小野邦久

    政府委員(小野邦久君) 住都公団、道路公団、首都、阪神、本四と、公庫を除いて五公団ということで、これを全部常勤役員数を足しますと、四十八名ということになろうかと思います。
  43. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 そのうち役員数、が。
  44. 小野邦久

    政府委員(小野邦久君) そのうち私ども建設省出身者が二十一名でございましょうか。
  45. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 四十八名のうち、そちらからいただいている資料、三十六名になっているんだけれども。一週間前の資料ですよ、これは。変更ありましたか。
  46. 小野邦久

    政府委員(小野邦久君) 変更は恐らくないと思います。確認はしておりませんが、一週間前で、そういう形はないと思うんですが、公団の数のとり方じゃないかと思います。
  47. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私の方でちょうど予算委員会でこの問題を質問して、ちょうど小野官房長から答えをいただいて、四十八名のうち三十六名という答弁をいただいているんですね。これは間違いありません。五つの公団ですね。  それで、率にするとこれはどうなるかというと、七五%になるんですよね。国家公務員出身ですよ。間違いありませんね、それ。そこが問題なんだけれども
  48. 小野邦久

    政府委員(小野邦久君) 四十八名のうち三十六名ということであれば、間違いないと思います。
  49. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 はい、結構です。私は国家公務員出身者と言ったんです。  それで、七五%なんですよね。それでこの数なんだけれども、国家公務員の特殊法人役員の就任については政府の基準がありますね。これは一九七九年十二月の閣議口頭了解で、「全特殊法人の常勤役員については、国家公務員からの直接の就任者及びこれに準ずる者をその半数以内にとどめることを目標とする。」と。建設省の現状は、この基準に照らして余りにもひどいと思うんですけれども大臣、この基準、どうとらえておりますか。
  50. 小野邦久

    政府委員(小野邦久君) 確かに特殊法人の役員につきましては、先生御案内のとおり、昭和五十四年の閣議了解がございまして、「国家公務員からの直接の就任者及びこれに準ずる者をその半数以内にとどめることを目標とする。」ということになっております。  各公団とも、私どもでは閣議決定にできるようにいろいろ指導をしたり、あるいは相談に乗ったりしているわけでございますけれども政府全体の枠組みの中で私ども努力はしておりますけれども、具体的な人事ということになりますと、個別の事柄ということもございまして、あるいは各特殊法人につきましては関係の機関からいろいろな人材をいただくということで来ていただいていることもございます。  そういう点もございますので、調整に時間もかかるということもございまして、必ずしも五割以内にとどめるという目標を達成しているわけではございませんけれども、その点につきましては今後とも努力をしていきたいと、こう思っているところでございます。
  51. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 これは仕組みからいうと、建設大臣が総裁あるいは理事長、監事を任命する、そして理事は認可するわけですよね。ですから、仕組みができてから十何年たつわけですけれども、歴代の建設大臣が、建設省所管の特殊法人についてはそういうかなりずっと高い比率をそのまま容認してきたということになると思うんですね。ですから、その点で建設大臣の責任は非常に大きいと思います。  その点、大臣建設省管轄のこうした突出した七五%という比率、これはやっぱり大幅に削減する必要があると思うんですけれども、いかがですか。
  52. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 私どもといたしましは、今行政改革に取り組んでおる真っ最中でございますから、当然、建設省所管の特殊法人、公益法人等につきましても、全体についての改革を進めてまいります。そういう中で、理事の数がどの程度が適当か、あるいは場合によっては特殊法人、統合する場合も出てまいりますでしょうし、いろんな形態が出てこようかと思います。  そういう中で、そうした閣議決定を我々は重く受けとめなければなりませんので、そういうことが徹底するように努力はしてまいりたいと思います。  先ほどもちょっと私、答弁をしたわけでございますけれども、やはりマンパワーをどう我が国のために活用していくかという視点、私はこれもやはり一方では考えなければならないと思うわけでありまして、建設行政の中で二十何年、三十年と専門的な知識、経験を得た人がそのまま隠居暮らしをしていいのかという、今後少子社会にもなるわけでありますから、そうしたマンパワーを国家のためにどう使っていくかという視点も含めながら公務員の定年制の問題等も含めて総合的に考えていきませんと、天下りけしからぬというそこだけ押さえた議論だけで私は解決する問題ではないという感じもいたしますが、委員のおっしゃっておられる御趣旨もよくわかります。
  53. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 閣議の決定を守る方向で努力すると、そういう答弁いただきました。私は、この問題で具体的に首都高速道路公団の問題を取り上げたいと思うんですね。やはり天下りの問題があり、そのもとでいろんなゆがみがある。そのことを痛感するわけですよね。まず、第一に、そのゆがみのあらわれとして見過ごせないのが、やはり手抜き工事の問題。これは先月、首都高の橋脚の耐震補強工事で補強のかなめの溶接に手抜きが発覚したわけです。阪神大震災以前に補強した工事の約四百本の橋脚のうち、約四十三基に欠陥溶接があった。元請は道路エンジニアリング、第一次下請は東邦天然ガス、二次下請もあった。そして関係企業の処分も行われました。  そこでお伺いしたいのは、道路エンジニアリングは公団から耐震補強工事を総額幾ら請け負っていたんですか。
  54. 三谷浩

    参考人三谷浩君) 道路エンジニアリングが受注いたしましたいわゆる橋脚耐震補強工事という、こういうものにつきましては、八件三十六億円でございます。
  55. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 そういう数字なんですけれども、やはりこれは非常に重大だと思うんです。私たち財務諸表を調べましたけれども道路エンジニアリングは労務費がゼロなんですよね。やはり丸投げの疑いが非常に濃厚だと思いますよ。  それで、手抜き工事が行われたその工事の後に合格の検査報告書が出されているわけです。元請の道路エンジニアリングはこの検査をきちっとしているんですか。
  56. 三谷浩

    参考人三谷浩君) 本件の工事につきましては、今先生からお話がございましたように、平成七年十月の公団の定期点検でこの箇所が見つかったわけであります。そもそもこういう工事につきましては、首都高速道路全体の耐震性補強のためにずっと補強工事をその時点時点での新しい知見でやってきておりまして、この工事はいわゆる阪神大震災の前の補強工事でございます。しかし、御指摘のような検査の立ち会いも一〇〇%立ち会ったわけではないと、こういうふうに聞いております。
  57. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 要するに、一〇〇%立ち会ったんじゃないということは、私いろいろ調べましたけれども、結局、合格の検査報告書も下請がつくって、それをそのまま上に上げていたというそういうことですよね、確認しますが。
  58. 三谷浩

    参考人三谷浩君) 本件について、聞いた話でございますが、つまびらかではございませんが、そのように聞いております。
  59. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 要するに、合格という非常に重要なそういう作業を元請がきちっとやらないで、下請がつくった検査書をそのままうのみにして公団に上げていたという、これはやっぱり非常に重大だと思うんです。ひどい話ですよ。こんなことをやる元請に何で長期にわたって発注してきたんですか。
  60. 三谷浩

    参考人三谷浩君) いわゆるこの種の震災対策工事につきまして国民の信頼を著しく損なったということについては、私どもは大変申しわけないと思っております。本件につきましては、大臣からも厳しく注意を受けまして、また、関係都県市からも工事施工に対する適正な管理の強化、この問題について要請を受けております。
  61. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 なぜ発注したんですか、結局。
  62. 三谷浩

    参考人三谷浩君) 今御指摘がございましたように、請負業者がそもそも責任を持って施工することになっていることとはいえ、公団が検査等について施工業者の溶接不良まで発見できなかった、こういう問題につきまして、その業務遂行が十分でなかった、こういうことにつきまして私の名前でやはり注意を喚起しております。やはりこういう事態を契機に、請負業者に対する工事監督の強化、こういう問題について改めて理事長名で指示をしております。
  63. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私の質問は、なぜ発注をしたのかということです、こういうひどい元請業者に対して。その辺はいかがですか、端的に。
  64. 三谷浩

    参考人三谷浩君) 先ほど申し上げましたように、工事の終了後、平成七年の十月に、私どもの点検でこの不良箇所が見つかったわけであります。補修工事を直ちにやっぱり実施をするべきだということを私ども判断として立てたわけであります。いわゆる溶接の継ぎ手部分が不十分であったところを直す、こういうことでございます。  その内容をはっきり決めて、おおむね五億円ぐらいの工事のうちの二億円ぐらいを補修で直す、こういう判断に立ちましてその段階で現在進めておりまして、三分の一ぐらい進んでおります。
  65. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 なぜ三十六億円も払ってこういうひどい企業に発注したのかというのが私の質問なんだけれどもお答えいただけない。  やはり理由は簡単だと思うんです。これはやっぱり公団のOBの天下り会社だからだと思うんです。この会社の経営陣は代々公団OBが就任してきたんですね。現在も元公団常任参与の岡田社長、それから取締役七名のうち四名が公団OB。設立に当たっては、天下り法人の首都高速道路協会や元公団理事、こういう人たちが名を連ねているわけです。あきれるほどのずさんさ、こういう背景にはやっぱりなれ合いと天下りの癒着、これがあると思うんです。こういう問題が命と安全にかかわる重要な工事で行われた、ここが非常に大事、だと思うんです。  今、いろいろなことについて、対策について言われましたけれども、これまで行われた補強工事をきちっと点検し、今後安全をきちっと図るたるに万全を期すということを約束していただきたい。
  66. 三谷浩

    参考人三谷浩君) 今後の改善策でございます。  現在、阪神大震災の後に新しい技術基準に基づきまして目下補強工事を進めているわけでございます。現在二千百基ぐらい終わっておりますが、この溶接部そのものにつきましては、今お話がございましたように、従来の建設方法に加えまして、いわゆる新しい技術、例えば超音波の探傷検査システム、こういうものを導入するなど検査方法を強化いたしまして、あわせて検査体制の改善を図っており、万全を期しているところでございます。
  67. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 しっかりやっていただきたいと思います。  それから二番目に、こうした構造による天下り法人のもうけ、これは調査、点検、保守の業務でも非常に広範に行われているんです。お手元に資料をお配りしたと思うんですけれども資料2を見ていただきたいんです。ここには業務委託している業者のリストがあります。天下り法人・会社への業務委託のリストなんですけれども、これは公団がなかなか公表しない中でやっと出してもらった資料とこちらが調べた資料をもとにしてつくったものなんです。  これを見ますと、この表は全部で十四の業務がありますけれども、二つの財団と三十七の系統会社で占められているんです。このうち社長が天下りのものが二十三社ある。役員を含めるとほとんど天下りなんです。まさに首都公団一家、そういう状態なわけですよ。こういう天下り企業優先と言われてもしようがないような事態、あると思いませんか。
  68. 三谷浩

    参考人三谷浩君) 首都高速道路は、現在、二百四十八キロを供用しております。一日の交通量がおおむね百十五万台。大変世界でも最高の稠密に使われている道路だと、こういうふうに思っております。したがいまして、その維持管理あるいはいろんなものについては大変やっぱりいろんな問題がございます。  一例をちょっとだけ紹介させていただきたいわけでありますが、例えば清掃工事、こういうものについては一カ月大体三百五十トンごみが出るわけであります。これを今のような状態でやる。そうしますと、やはりある種の経験、知識、こういうものが非常に重要であるというふうに考えておるわけでございます。その他やはり先ほど御指摘がありました施工点検、点検で実は先ほどの欠陥工事も私どもが見つけて補修をしているわけでございますが、こういうような工事、こういうようなやはり特殊性にかんがえてそういう特殊な能力のある方に仕事をお願いをしてきた、こういうことでございます。  しかし、公団業務の透明性の確保あるいはその管理経費の節減、こういう問題は大変重要でございます。建設省の御指導も得つつ、業務委託等の契約問題、こういうものも含めて競争性の導入とか、こういうものについてしっかりやっていきたいと、こういうふうに考えております。
  69. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 世界に誇るそういう道路だからこそやっぱりきちっと安全を保つ、これが非常に大事だと思うんですけれども、それが身内で業務が回されているという実態、これがやっぱり重大なんです。  それで、公団は金額資料を出してこないんですよ、こちらの資料2については。出してくださいよ、ぜひ。  それで、こちらで調べてみたんです、入札結果表から。九五年四月から一年十カ月間で、今言われた道路清掃については六社、ここにありますよね、六社で合計三十六億六千万の受注がある。交通管制設備保守では、三社で十六億円。受変電設備保守では、四社で十六億円。道路照明設備保守では、五社で十五億円。そして、三社ないし六社でいずれにしても独占状態なわけですよね。さらに、天下り法人の首都高速道路技術センターは二つの契約で約十三億円、これは結果表だけで見てもこういうのが出てくるわけです。すべて随意契約で発注されているんです。これは驚くべきことなんですね。  理事長、何で競争入札によらないで随意契約をやるんですか。
  70. 三谷浩

    参考人三谷浩君) 業務委託の問題でございますが、私どもの公団に規定がございまして、競争による場合あるいは随意契約による場合、こういうのがございます。随意契約による場合はいろいろな規定がございますが、先ほど申し上げましたように例えば清掃の問題、それから交通管理。  なお、今も御指摘がございました技術センター、例えば大きな業務としていわゆる通常的な点検をやっております。点検をやりますと、例えば橋梁に先ほど申し上げましたように経年的に欠陥が生じていたかどうかということについて詳しくチェックをするわけでございますが、その際、そういうデータを持っていて、しかも経年的な調査をするということは非常に重要でございます。そういう観点から、やはりそういう専門的な知識を持っているところに随契を行ってきたというのが実情でございます。
  71. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 全く理由にならないんです。だって、そちらの会計内規を見たって、随意契約はどういう場合でやっていい云々と書いてあるけれども、それに当てはまらないんです。  そこで、私は大臣に伺いたいんですけれども、お聞きのとおりなんだけれども、公団の主要な業務がかなり公団OBの天下り先の系列会社に集中している、これが実態なわけです。しかも随意契約、こんなことでいいんですか。
  72. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 先ほど来、委員の御質問、公団側の答弁も聞きながら、また私なりに首都高の業務の内容等もいろんな形で勉強もいたし承知もいたしておるわけでありますけれども、天下りの問題は先ほどもちょっと論議になったわけでありますけれども、そうした全体の問題、マンパワーを含めて、公務員なり公団の職員の定年制の問題等を含めて、そうしたトータルの問題を議論する中でこの問題を取り上げていかないと、天下りいいないいなという、けしからぬなという、そういう感覚だけでは私は現実的にはこれは解決はできない面があろうかと思います。政府全体として私はこの問題にきっちりと国民が納得する形の中で対応をしていかなければならない、このように考えております。  また、私が今度の改革について首都高だけじゃなくすべてに言っておりますのは、要は国民のためあるいは都民のためにちゃんとした仕事をしておるかどうかということが問題なんであって、そういう面から見て緩んでいるんじゃないかという批判があればこれはきちっと締めなければならない。これは簡単に言いますと、いわゆる天下りで行っておる理事が本当に毎日ちゃんとした仕事をしているのか。朝出てきてスポーツ新聞の裏表を読んでもまだ時間が余るようなそんな理事はいるのかいないのかということが問題なんであって、蓄積したノウハウを全力を挙げて都民なり国民にそれをもって奉仕をしているという、そうした生き生きとした実態にしていくことが、首都高がそんな遊んでいると言っているんじゃないですよ、それがあったら困るということを私は言っておるわけであります。  また一つは給与の問題ですね、退職金も含めて。そういう面を含めて、一般国民は非常に苦労して今生きておるわけでありますから、そういう立場から見て、首都高の理事や職員も一生懸命やっているな、待遇もその仕事に比べればまあまあの待遇なんだなという、そうしたものでなければならない、これが私は基本だと思うんです。  また、随意契約の問題ですけれども、これは今総裁からお答えになりましたけれども、やはり特殊な仕事が非常に多い。継続的に実施しなければならない仕事も多いと思います。そうした場合、その都度業者がどんどん変わっていって、検査、保全等の仕事がうまくいくかという面も確かにあろうかと思いますから、そういう意味では一律に随意契約がけしからぬと言うわけにはいかない、それが不透明だということには私はならないと思います。しかしながらオープンにできる分野についてはやはり競争入札を取り入れていくというオープンな姿勢が必要だと、このように考えております。
  73. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 大臣、オープンにできるし、それからまた是正できるんですよ。  首都道路公団は、総務庁の行政監察を平成七年に受けて、首都高速道路技術センターに仕事が集中している、六割以上も集中している、これを是正せよと言われてすぐに直しているんです。私たちは資料でそれを確認しましたよ。だから、一社しかできないから特殊だと言うけれども、総務庁から指摘を受けたらすぐにそれを直す、直せるということはどこにでも発注できる、そういう仕事だということなんです、逆に言えば。だから、今大臣言われたことは、一般論としてはあるかもしれないけれどもこのことについては成り立たないんです。  そして、重要なことは、やつ。ばり随意契約といってもちゃんと規定があるわけですよ、公団には。どういう規定かというと、原則として二人以上から見積書を出させなきゃいけない、随意のときには。それをやっていないんですよ。見積書を見ても一つしか出ていない、そうでしょう、時間がないから聞かないけれども。  それから、さらに重要なことは、原則として二人以上から見積書をとる、そして原則を外す場合、例外規定があるんだけれども、特別の事情があるときは前項の規定にかかわらないというわけです。理事長、その特別な事情というのは何ですか。
  74. 原隆之

    参考人(原隆之君) 先ほど理事長が申し上げましたのは道路上のごみのことを申し上げました。ごみの問題ばかりじゃなくて、高速道路上では事故が一日平均で四十件近くも起きておりますし、それからエンジンがとまった、あるいはガス欠になった、あるいはパンクしたというような故障がこれまた一日に六十件近くあるわけでございます。こういったことが路肩のない狭い車線の高速道路上に起きると、これが直ちに渋滞に結びつくわけでございます。で、御利用の皆様方に大変な御迷惑をかけるという結果になるわけでございますから、私どもはそういった渋滞の原因を一分でも早く一秒でも早く解消するためにさまざまな努力をいたしておるわけでございます。  その努力の一環として、交通管理業務でございますとか、そういったものはスピーディーに二十四時間、三百六十五日活動しなければいかぬわけでございまして、また特殊な機材、車両等も持たなければなりません。そういったさまざまな事情があるわけでございまして、私どもとしてはそういった事情の中で、また先生から御指摘いただいたような透明性、競争性の確保ということにも意を用いながら、建設省の御指導もいただきながら、直すべきところは直している過程にある、かよう御理解いただきたいと思います。
  75. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 今、言われた特殊な仕事といっても、例えばこれはさっき言った道路技術センターなんだけれども、随意契約がこれだけある、一年十カ月で。もう数挙げないですよ、一々ね。しかし、総務庁からおかしいと言われたらこれを直すことができるわけです。つまり代替性があるわけですよ。  だから、私がここで言いたいのは、やっぱり首都道路公団のこういう今の仕事のやり方、そして仕事のほとんどが非常に不透明な随意契約になっているという問題、しかも会社の中であなた方が決めているこの規定に反して、二人で争うという形でしないで、あるいは二人から選ぶということをしないで、一人だけ随意指名しているという、あなた方が決めていることにも反してやられている、ここに問題があるわけですよ。私はその点をはっきり指摘したい。ですから、亀井大臣がさっき言われたことは、一般論としてはあるけれどもこの公団については当てはまらないんですよ。それをぜひ、実態も含めて亀井大臣に進めていただきたいんです。  それで、特に大臣所信表明演説の中で、公共工事の入札・契約制度については、透明性、競争性をさらに高めるように取り組んでまいりたいと、そういうことを言われましたね。ですから、その点で、大臣から先ほど話がありました、誠心誠意の亀井流と。やはり身内だからといって甘くしないで、さっき言っていたでしょう、人間長年やっているとたるみが出ると。まさにたるみだと思いますよ、これ。やっぱりそれにきちっとメスを入れて、そしてこれじゃだめだと、それならば改めると。あるいは特殊法人への国家公務員からの天下り、これは相当多いわけですよ、首都高も。ですから、これも改める。やっぱりそういうことをきちっとやっていただきたい。このことを建設大臣にお伺いし、とりわけ公団の業者の選定のあり方、この抜本的な見直しをするという、このことをやはり明らかにしていただきたいと思います。
  76. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 今、首都高も行政改革の一環の中で総裁を中心にいろいろな御指摘がございます。それを謙虚に受けとめながら、そうした入札制度等を含めまして、よりよきものへ今努力しておるわけでありますから、何も総裁を初め、何か首都高をだめにしてやろうとか、自分がいい目を見ようとか、そんな気持ちでやっておるわけじゃございません。ただ人間のやることには外から見たらいろいろ欠陥として映るような場合もあろうかと思うんです、一生懸命やっておりましても。しかし、やはり一生懸命やっていればいいというものじゃありませんから、実の上がるように努力をしてもらいたい。  特に、いろいろなことがありますが、首都高は今首都高速道路と言えませんよ、いつもオレンジとか赤でいっぱいになっていてね。これはまさに車を拘束し、身柄を拘束する道路になってしまっておるわけでありまして、そういう意味ではそういうものをどう解消していくか、それには公団として、体制としてどういう改革をしていったらいいのかということを、私は前向きな形でぜひひとつやっていただきたいと、こういうふうに思っておるわけであります。
  77. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 先ほど大臣が、やはり国民の目から見て耐えられない、このことが問題だと言われました。そのとおりだと思うんですよね。だから、やはり国民の目から、国民の常識から見て、首都高速道路公団の今のあり方、きょうはちょっと一部しか取り上げられなかったけれども、入札問題等々、やはり非常に問題だと思うんですね。ですから、このことにきちっとメスを入れていただく、身内にも厳しくと、やはりきちっと改革していくというそのことを、その答弁はいただいたと思いますので、これで質問を終わります。
  78. 奥村展三

    ○奥村展三君 他の先生方からも公共事業等につきましてはいろいろ御質問がなされましたので、重複をいたしますので、一点のみお伺いをしたいと思います。  まず、琵琶湖の総合保全についてお伺いをいたしたいと思います。  おかげさまで昭和四十七年から二十五年という歳月をかけて、国家プロジェクトとして琵琶湖総合開発事業に取り組んでいただいたわけでございますが、本年の三月末をもってこの特別措置法も期限を迎えるわけでございます。特に、利水あるいは治水事業をもとにいたしまして、下水道事業等々、県の基盤に大きくかかわってきたこの事業でございます。県民もこれを感謝しつつ、高く評価をいたしておるところでございます。携わっていただいた関係各位に心から敬意と感謝を申し上げる次第でございます。  そこで、中心となっていただきました国土庁におかれまして、この琵琶湖総合開発事業、二十五年を終えるわけでございますが、どのような成果といいますか評価をなされているのか、お伺いをいたしたいと思います。
  79. 五十嵐健之

    政府委員五十嵐健之君) お答え申し上げます。  先生今御指摘のように、琵琶湖総合開発事業は、琵琶湖総合開発特別措置法に基づきまして、四十七年から二回の期間延長ということがございまして二十五年間にわたる事業が行われたということでございます。  現在、平成年度、最終年度を迎えているわけでございますが、計画事業費が約一兆八千六百億でございました。これが終わりますと、事業費が今年度末で一兆九千億余になりますので、進捗率にいたしまして一〇二%ということになるわけでございます。  これらの事業の進捗によりまして、琵琶湖の自然環境の保全と水質問題に対処しながら、琵琶湖周辺の洪水被害の防除でありますとか、地域産業の発展あるいは観光レクリエーション利用の増進、そして、合理的な水資源の開発、利用によります淀川下流阪神地域の急激な都市用水の需要の増大への対応といったような、近畿圏全体の健全な発展に寄与できたのではないかというように認識しておるところでございます。
  80. 奥村展三

    ○奥村展三君 本当に多額の投資をいただいていろいろ進めてきていただいたわけでございますが、確かにハード面を考えますと、今局長さんから御答弁いただいたとおりでございますが、汚濁した水質の回復、あるいはまた自然環境の復元等々を考えますと、まだまだ懸命に後を取り組んでいかなければならないと思っておるところでございます。大変課題も多いところでございます。  滋賀県におきましては、水質の保全あるいは水源の涵養、自然的環境・景観の保全ということで三つの柱を立てて、今後総合的な保全に向けて取り組んでいきたいというように考えておられるようであります。  政府におかれましてもいろいろ御検討をいただいておるわけでございますが、この保全を推進していくために、今国会におきまして調査費を計上いただいておるようでございますし、同時にまた、建設省や農水省におかれましても、いろいろと重要湖沼としての位置づけで水質保全あるいは環境対策の推進をやっていこうというお考えをいただいて大変感謝をいたしておるところでございます。  今後、この調査方針等につきまして、琵琶湖の総合的な保全について国土庁長官の所見をお伺いしておきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  81. 伊藤公介

    国務大臣伊藤公介君) 琵琶湖の総合開発事業は、昨今は琵琶湖マラソンなどでも大変環境が整備されて、自然を回復し、そして多くの方々に親しんでいただいているところでもございます。  今御指摘をいただきましたように、二十五年の長きにわたって、この法律の二回にわたる延長などの中で、また委員からも県議会時代から大変な御協力をいただいているわけでございますが、私どもは農林省や建設省事業と連携をいたしまして、国土庁といたしましては、水質の保全あるいは水源の涵養、景観の保全等々につきまして国土庁の中でも調査費を確保しながら、今後も総合的なこれまで続けてこられた御努力の上にさらに、この事業がすべてを終えたわけではありませんで、今後さらに関係の各省庁とも連携をしながら事業の推進ができますように、国土庁としても対応してまいりたいと思っております。
  82. 奥村展三

    ○奥村展三君 ありがとうございます。どうぞひとつ、今長官から御答弁いただきましたように、これは近畿一千四百万人の事業として、県のみの事業ではなく、今後も国家のプロジェクトとして十分推進をいただくよう要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  83. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩      —————・—————    午後一時二分開会
  84. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまから建設委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、建設事業及び建設計画等に関する調査を議題とし、建設行政基本施策国土行政基本施策及び北海道総合開発基本施策につきまして質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  85. 広中和歌子

    広中和歌子君 思い出しますと、去年の今ごろは住専国会と言われ、住専問題で荒れ狂った国会でございました。六千八百五十億円国民の税金を住宅金融専門会社を救うために投入することに国民の怒りが盛り上がり、それを受けて新進党平成会も反対運動を繰り広げたわけでございますけれども、住専処理法案は前の通常国会で成立し、住宅金融債権管理機構が去年の秋誕生したと聞いております。まず、決まった以上、その順調な仕事ぶりを期待させていただきたいと思います。  それで、住宅金融債権管理機構についてお伺いしますが、回収の実績は今のところいかがでございますか。そして、今期の目標は三月末に達成されるのかどうか。また、おやりになる中でどういう問題が生まれてきているのか御報告願いたいと思います。
  86. 山崎康史

    説明員山崎康史君) お答え申し上げます。  お尋ねの住宅金融債権管理機構の不良債権の回収実績でございますけれども住宅金融債権管理機構は、先生御紹介のとおり昨年十月財産譲り受けを行って以来、現在債権回収を行いつつあるところでございます。ただ、その金額につきましては決算で取りまとめられる、そういう見通しになってございます。  なお、住宅金融債権管理機構につきましては、この財産譲り受け以降いまだ決算期を迎えておりませんで、本年三月期決算が初めての決算ということになりますので、数字の方もその後に固まろうかと思います。  また、住専債権の回収に当たってどういう問題点が生じているのかということでございますけれども、今のところの状況を御紹介申し上げますと、住宅金融債権管理機構は昨年七月二十六日に設立されまして、十月一日に住専七社から貸付債権等の財産の譲り受けを行ったところでございます。住宅金融債権管理機構は、罰則つきの財産調査権を付与された預金保険機構と一体となって、悪質な債務者に対し強力な債権回収に取り組みつつございます。  既に御承知のとおり、末野興産あるいは桃源社といったところの隠し資産の発見、それから末野興産に対する破産申し立てなどが行われてございます。また、昨年十二月に延滞債務者に対し督促状を発出いたしまして、返済計画の年内提出の要請を行ったところでございます。これに対します個別債務者の反応を踏まえまして、それぞれの実態に応じました具体的な回収方針を現在検討しつつあるというふうに聞いてございます。  大蔵省といたしましては、その債権回収の実を上げるためには不動産の効率的な管理、処分あるいは回収過程におきます暴力団介入の排除等といった問題が肝要であろうかと思っておりまして、関係省庁とも連携をとりまして資産の流動化あるいは執行妨害対策についての連絡協議会を発足させまして、いわば後方支援に今努めておるところでございます。  今後とも、住宅金融債権管理機構が預金保険機構と一体となりまして強力かつ効率的な回収の成果を上げまして、結果として国民の負担の軽減につながっていきますよう、大蔵省といたしましても積極的に支援をしてまいる所存でございます。
  87. 広中和歌子

    広中和歌子君 お話伺っていて大変力強く感じたわけでございますけれども、ぜひその回収の実を上げていただきたい。くれぐれも二次損失に結びつくような、そういう損失が出ないようにお願いしたい。  しかし、心配はいっぱいございます。バブルのツケでございますけれども日本の経済、なかんずく金融・不動産業界を直撃しているわけでございます。特に不良資産の規模ははっきり見えていない、いろいろ数字が出ておりますけれども現実にはそれよりももっともっと大きいんじゃないかというような不安が現状が見えないだけに非常に広がっているわけでございます。  株価に関しましては、最高値よりも三分の一ぐらいの値段に一時落ちたわけでございますけれども、PKOというのでしょうか、政府のそうした分入、株価介入操作みたいなものがあるのかどうか、今ようやくその最高値の二分の一というところで低迷しているわけでございますけれども、不動産の価格に関しましてはむしろ下がり続けているんじゃないか、歯どめがきいているのかどうか、そういう感じがするわけでございます。  地価の現状について、そして将来の予測についてお伺いいたします。
  88. 窪田武

    政府委員(窪田武君) お答えいたします。  最近の地価動向につきまして、先週二月の十二日に公表いたしました短期地価動向調査によりますと、大都市圏の地価につきましては、住宅地では全体的にほぼ横ばいの傾向が強まっておるところでございます。商業地につきましては、やや下落傾向にあるものの、全体として下落幅が縮小する傾向になっております。  今後の当面の地価の動向につきましては、今後の景気動向によっても影響を受けるものがあると考えられますけれども、大都市圏の住宅地では全体的にほぼ横ばいで推移するというのが大方の見方でございますが、大都市圏の商業地については、やや下落傾向にあるものの、立地条件等の良好な地域では下落幅が縮小するのではないかというのが大方の見方でございます。
  89. 広中和歌子

    広中和歌子君 そうすると、国土庁は現在の状況は見守るといったような姿勢でいらっしゃるんでしょうか、お伺いします。
  90. 窪田武

    政府委員(窪田武君) 現在の地価につきましては、いわゆるバブルの部分は解消されたというふうに認識しておりまして、その水準が高いとか低いとかということを一概に評価することはできませんけれども、地価そのものがほぼ土地の需要と供給により定まってきているというふうに認識しております。  現在のこの水準が全国ベースで引き続き下落したことによりまして住宅取得が容易になったということがある一方、御指摘のような不良債権の問題や住み替えに影響を与えるなど経済的、社会的にメリット・デメリットがあるとしても、少なくとも一般的には地価を抑制するための緊急的な対応策を講じなくてはならないという状況ではないというふうに認識しているところでございます。
  91. 広中和歌子

    広中和歌子君 優良なところに関しましては、特に大都市の優良な土地については横ばいというような、下落傾向ではないというようなことでございますけれども、ともかく土地問題、不動産業界、そして日本の経済に影を落としているのは不良債権の存在ではなかろうかと思います。  その規模の大きさに加えまして、価格の高さ、収益性の欠落というのは、その不良債権のかなりの部分が土地でございますから、アメリカのように建物で、そしてそれを例えば貸し出すことによって収益を上げるというようなことができない。それから、虫食い状態、不整形、地上げが未完結といったようなこともあります。そして、十重二十重の担保権がついておりまして話し合いによる解決が困難というような状況がある。さらに、破産法による処理、競売による司法処理も困難である。こういう中で、先ほどの不良債権、住専の問題も含めまして、出があっても買い手がないと。また、金融機関もそうした不良債権を非常に抱えておりますから資金繰りが悪いということで、金融機関もお金を貸せないということで経済が非常に低迷している。そして不動産業界全体にそれが影を落としているんじゃないかというようなことが言えるんじゃないかと思うのでございます。  こうした中で、国土庁は積極的に何か対応をしようとしていらっしゃるのでしょうか、お伺いいたします。
  92. 窪田武

    政府委員(窪田武君) 先生指摘のとおり、長期にわたり地価が下落し続けるなど、土地を取り巻く状況の変化によりまして状況が変わってきているところは御指摘のとおりでございますが、そういうことを踏まえまして、先ほど申し上げましたように、一般的な地価の引き下げというものを土地政策の目標として掲げる必要はなくなっているという認識に立ちまして、実は今月十日に新総合土地政策推進要綱を閣議決定いたしまして、今後の土地政策の目標をこれまでの地価抑制を基調としたものから土地の有効利用による適正な土地利用の推進というものに転換することにしたところでございます。  この要綱におきまして、土地の有効利用に向けまして総合的な土地利用計画整備充実や各種有効な施策を強力に推進するということと、さらに有効利用に向けた土地取引の活性化のための不動産取引市場の整備等を進めることにしているところでございまして、今後これらの施策を、さらに関係各省の御協力を得ながら一体となって強力に推進してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  93. 広中和歌子

    広中和歌子君 今、国土庁長官がお見えじゃございませんけれども建設大臣国務大臣としてお伺いいたします。  こういった状況でございますね。不良債権がどんどん拡大していく、そういう中で金融不安が出てくる。そして、この前木津信用がございましたし、また阪和銀行、いろいろ倒産が出てくる。そして、それを預金保険機構でもっていろいろやるわけでございますけれども、預金保険機構の保険料率を七倍にアップして木津信用組合の一兆三百億が整理回収銀行に贈与されたという状況。そうすると、預金保険機構のポケットというんでしょうか、金庫はからからでございます。  こういうようなことがどんどん続いていくと、どこかで公的資金を出さなければならない。つまり、我々の預金を救う、それから銀行を救うといったような形で公的資金が使われるということになるわけでございますけれども、さらに、今現在、何かの形で土地を活性化する、そういうことによって、公的資金を金融機関にだけ渡すんじゃなくて、土地経由で公的資金を投入することによって経済の安定化というものが図られるんじゃないかと。そういうような考え方に立ちますと、公的資金を使って虫食い状況の、例えばいっぱい今駐車場になっておりますけれども、そういうようなところを買い上げるとか、そういうようなことを考えられるんじゃないか。  大変口幅つたい言い方かもしれませんけれども日本がこれだけ豊かになったのに豊かさの実感を国民感じていないというのは、都市政策、これは大都会、東京だけじゃございません、地方都市も含めまして、その都市計画が非常に貧しいということが大いにあるんではないかと思います。  今、この土地が既に下がって、これ以上下がるとちょっと経済が困るわけで活性化しなくちゃならない、こういうときにこそ新たな都市政策と言うんでしょうか、そういうものをつくっていくそういう時期にあるんではないか。そのためには、大幅なと言うんでしょうか、適正な、今までのような公共事業を見直してでも、新たに焦点を都市・住宅政策というものに変えていく、そういうことが必要なのではないかと思うのでございますけれども大臣の御所見をお伺いいたします。
  94. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 私は、そうした膨大な不良資産を解消していける前提というのは、経済がやはり活性化をしていくということがなければ、そうしたことはなかなか難しいと思います。そういう意味では、今の日本経済緩やかな回復基調にはなっておりますけれども、これが民需ということでの自律、自力反転の軌道にきちっと乗せていける、そうした経済運営というのがそうした問題を解決する前提である、このように考えておるわけであります。  対症療法と言ってはあれでございますが、そうした処方せんとしては、委員が御指摘のそうした、かつて私、宮澤内閣のときの景気対策で、政調会長代理で、地方自治体に先行取得をしてもらう、それに対して自治省から支援を自治体にさせるという政策をとった記憶がございますけれども、私はやはり、地価が下がり安定的に推移しておる今の状況で、そうした意味での公的な資金といいますか、それでそうした先行取得をしていくという、その中で土地が流動化していくということは非常にいい効果を与えるんではないか、そういう意味委員の御提言というのに私は極めて賛成でございます。  また、建設省といたしましては、特に都心部における良好な生活環境をどう構築していくか、あるいは住居等につきましても、これはサラリーマン層が今通勤一時間半とか二時間という押しくらまんじゅうの中で疲れ果てて仕事についている、疲れ果てて帰るという状況の中で、都心部にサラリーマンがやはりマンション等をきちっと持てるような施策はないかということで住宅局、都市局中心にいろいろ考えてくれておりまして、今、これも御承知のように、今国会に都市におけるそうした市街地の再開発、都市再開発をより効果的にやっていける法案を出しております。さらに、きのう総理のところにお伺いいたしまして、総理から、よしそれぜひやれということも受けたわけでございますが、今、この都心部においてそうした新しい整備をする面においても何らかのインパクトもやはり必要、だというふうにも考えます。  今のマンションを建てかえたいというような希望を持っておられる方があっても、今の建築基準法のままではなかなか安いマンションも提供できないということもございます。そういう何か虫食いと言ったらおかしいんですかね、小さな敷地に小さなマンションなりビルが建っているというような状況を、少しでも敷地自体を広げて、緑地を確保するというようなことを含めて、全体の整備といいますか規模の拡大といいますか、そういうこともあわせてやっていくメリットというのもつけないとなかなか進まぬわけでございますので、容積率を、これをこのたび思い切って変える建築基準法の改正に今取りかかっております。  また、規則の運用面で、従来、マンションでエレベーター部分とか廊下だとか共用部分というのは容積率に入っておったわけですけれども、これをそこから外しちゃうというようなことで、事実上二割方それがアップをするというようなこともございますし、あるいは、規模を拡大といいますか敷地を拡大すればそれで割り増しがつくというようなこと等も工夫をいたしました改正を今国会で、非常に異例のスピードでやるわけでございます。今国会に提出をして成立させたいと思っておりますので、いずれ当委員会においても皆様方の御審議を賜ることになろうかと思います。委員指摘のように、やはり都心部をどう整備していくかということがより重要な問題だと、このように思っております。それから、土地の流動化といいますか、即そういうものにもつながっていき、景気の回復にも着実につながっていくと、このように我々は考えております。
  95. 広中和歌子

    広中和歌子君 どうもありがとうございます。  これまでの土地住宅政策というのは、どちらかというと、地価が絶えず上昇する中での計画であったと思います。これからは、土地や住宅もどんどん供給できる、そうして人口もだんだん減っていく、そういう中におきまして、本当に質の高い住宅というものが供給できる新しい時代になっているんではないかと思います。そういう中で、ぜひ建設省にはそういった新しい時代のシナリオを書いていただきたい、そういうことをお願いするわけでございます。  ここでちょっとまた大臣に恐縮ですがぜひ伺いたいのは、私権の乱用に関する制限でございます。  日本はどこの国と比べましても、非常に私権というんでしょうか、特に私有地、土地に関する、これは明治以降の地租の関係らしゅうございますけれども、非常に強い。成田の例もございますし、そのほか道路一本通すんでも、それは公共の福祉にかなっていてもごね得というようなこと。動かないと、まず動かないということ、動くんであれば二十年、三十年待たせた上で非常に高い値段を請求する。そういったような状況につきまして、これは欧米の民主主義国と言われる国、どこをとりましてもこんな国はちょっと日本だけではないかと私なんか感じている次第でございます。  やはり限られた土地の面積に多くの人が住むというようなことであれば、当然それはお互いに譲り合うというんでしょうか、譲り合うことによってより豊かな住環境が生まれてくると、そういうようなこと、だろうと思うんでございますけれども、その点について方針転換をなさるおつもりがあるかどうか大臣にお伺いいたします。  また、私権の制限ということについて。例えば、私はアメリカの小さな町に住んでおりましたけれども、そこでは最低何坪のところでしか家を建てちゃいけない、それも一軒家でなければいけないとか、ここのところは商業地であるとか、非常に細かな制限がございました。その制限に従わない人はもちろん出ていってください、あるいはその制限に逆らって家を建てるとしたら取り壊しになるとか、そういうような非常に厳しい規制があって、それを守る、執行するところの地方自治体があったわけでございます。日本はそこのところがめちゃめちゃなような感じがいたしますが、その辺に関する御所見を含めて、今後の日本の都市行政についてお伺いいたします。
  96. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 委員が持っておられます問題意識、私も同じような問題意識を持っておるわけでありまして、日本は非常にいい文化、伝統を持っておるわけでありますが、市民革命を経ていないということもあるかもしれませんけれども、みんなで国をつくっていくんだという、そうした気持ちというのが非常にちょっと薄くなっておるんではないかなと。簡単に言いますと、自分さえよければいいという気分が蔓延をしておりますから、総論は賛成、各論反対、道路つけてください、しかし私の前の土地を提供するのは困ります。提供する分にしてもうんと高く買ってくださいという、そういうことで、私は我が国の公共事業といいますか社会資本整備というのは非常におくれておるという面があると思います。  よく、今コスト縮減ということが言われておりますけれども建設省が逆立ちいたしましても、また地方自治体が逆立ちいたしましても、そうした国民意識が変わっていかなければなかなか難しい問題がある。そうなると、じゃ私権を法律その他で制限をしていくのかというそういう面もあるわけでありますけれども、そうしたいわば上からの強権的なことによって解決していける面も確かにあろうかと思います。  借地借家法等を含めまして、日本の法律体系がいろんな問題点を含んでいることは私もよく承知をいたしておりますけれども、ただ法律改正というような形の中だけでそういうものを解決していけるのかと。簡単にいいますと、法律上は手段があっても機動隊を出動させて強制執行をやるわけにもいかないと思うんです。  法律的にはできるけれども、やれないという、そうした現実もあるわけでありますから、そのあたりの精神革命といいますか、ちょっとあわせてこの場で私は申し上げたいんですけれども、非常に気になりますのは、社会資本整備が何か悪だみたいな風潮が妙に今蔓延していますね。これなんかもきちっとした議論をした上でならいいんですが、今財政事情が悪いからといって子々孫々に、期間をかけて今我々が残してやらなければならない社会資本整備努力を横に置いて、今の生活、豊かな、飲んだり食ったり、楽しくやる、そういう方向にだけ国の税金をつぎ込んでいいのかという、私はそういう問題があると思うんです。  場合によっては、今我々の生活を少しつましくする分で、子や孫のためにですね、一日にして整備新幹線ができるわけじゃありませんし、高速道路ができるわけじゃありませんから、我々がつましくしても子や孫のためにそうしたものをきちっと整備してやろうじゃないかという、そういう意見というのはなかなか今マスコミを含めて、国会の中でも出てきていないというのは、私は非常に残念に思うわけであります。委員の御指摘とちょっと外れるかもしれませんけれども、そうした問題意識を持っております。  また、都市におけるそうした所有から、ある面では利用といいますか、そういう方向にやはり思い切って転換をしていかなければならないと思います。また、土地利用計画といいますか、それが残念ながら、これは国と地方自治体の関係を含めまして、私はやはりきちっといっていないという、そういう意識を持っております。  そういう意味では、土地利用に関するいろんな制限、これは建築基準法もそうでございますが、それについては、例えば東京都なら東京都、ここを住宅地域としてやっていくのか商業地域としてやっていくのかオフィス街としてやっていくのか、そういうことの中で私はそれぞれ規制がそれぞれ別個にあるべきだと思うんですけれども、そこらがぐしゃぐしゃになってしまっているという中で、今のいわば乱雑とも言っていいような都市の状況が生まれてきておると、こういうふうに思います。  先ほども私申し上げましたけれども建設省として、国土庁等、関係省庁と協力をしながら取り組んでおりますので、今後こういう場じゃなくても結構でございますから、委員のいろんなひとつお知恵をいただければ前向きに取り組んでまいりたいと思っております。
  97. 広中和歌子

    広中和歌子君 戦後、私ども日本国民に大幅に与えられた基本的人権でございますけれども、その基本的な人権も公共の福祉に反しない限りという限定がついておりますことをちょっとつけ加えさせていただきます、釈迦に説法でございますけれども。  それから、先ほど、今までの土地住宅政策というのは地価上昇を基本としたものであったというふうに申し上げたわけですけれども、少なくともバブルが鎮静化したということであるんであれば、今まで使われてきた抑制策的な税制、土地税制、例えば地価税、それから長期に保有した土地の譲渡益に対する優遇税制というのがあったわけですけれども、それを不適用にしたりしましたね。それから、新規取得土地等の負債の利子にかかわる損金算入の特例制度の不適用と、こういうのがバブル期に新たにつくられたわけでございますけれども、こういうのは少なくとも時限的に、時限的にで結構でございますから取り払うようにしたらいいんじゃないかというふうに申し上げたいんでございますが、一部ちょっと軽減されているということは知っておりますが、十分ではないような気がいたしますが、いかがでございましょうか。
  98. 伏見泰治

    説明員(伏見泰治君) 御指摘のございました土地税制の関係でございますが、平成年度の土地税制改革、この中で当時の状況を踏まえまして大幅な税制改革が行われました。今御指摘もございましたが、その後の土地をめぐる環境の変化、これを踏まえまして、現在進行中でございますが、平成年度の税制改正の際、具体的には平成七年の秋ぐらいからでございますが、土地税制全体について政府部内あるいは当時の連立与党全体の中で広範な角度から議論をしていただいておると。  その結果、平成年度税制改正におきましては、土地の取得それから保有、譲渡、全段階にわたりまして見直しをしたところでございます。その結果といたしまして、地価税につきましては税率〇・三%でございましたが、現在は〇・一五%、半分になっているわけでございます。それから譲渡益課税につきましても、基本的にはいわばバブル以前と申しますか、バブル以前のような姿に戻っておろうかと思います。一部の優良な土地の譲渡ということにつきましては、むしろ軽減をされたような状況になっております。  それから、現在国会に提出をさせていただいております平成年度の税制改正案でございますが、これにつきましては特に住宅という点、そこを一つ大きな課題として受けとめまして、建設省事務当局なんかといろいろな議論をさせていただいたと。その結果の案を現在御審議を待っているところでございます。
  99. 広中和歌子

    広中和歌子君 地価税が導入されたのは、覚えておりますけれども、もうどうにもならない、バブルがコントロールできないといったそのピークのところであったと思います。そして今は、先ほど地価はバブル前の状況に戻ったというふうに、鎮静化したというふうにおっしゃいます。  これは地価がここまで上がって、まさにつるべ落ちで落ちているわけでございまして、これがどんどんもっと下がっていくのがいいのかいかないのがいいのか、そこが問われているところでございますけれども、大変恐縮ですが、政府の税制にしても、対応にしても、いつも後手に回っているような気がいたします。  公定歩合でもそうでございまして、長く低金利を放置したためにバブルが生まれて、そしてまた今度はブレーキを踏み過ぎてこういうような不況が生まれているというようなことがあるわけでございますけれども、地価税も、もう地価税を導入しなきゃならない状況が解消したのであれば、もう全部やめてしまった方がいいんじゃないかと、そんなふうに思う次第でございまして、これは御提案申し上げます。  それから、もう一つこれは感じるんですが、土地や住宅を庶民が売ったり買ったりするときの税金というのがこれまたすごく多いんですね。  私、何で日本では転勤なんかすると単身赴任になるのか考えておりましたが、自分のようやく買った住宅を売りまして、今度別のところへ行って買って、そしてまた別のところへ移るといったときに、買うたびに損するような税制になっているわけです。普通ですと、住宅というのはGNP並みに上がりまして、それなりにもうけもあり、それこそ用途に応じてそれぞれの場所で売ったり買ったりできるというのが、それが普通のというか、庶民が望む住宅政策ではなかろうかと思います。  それにさお差すような、反対するようなのが土地取得税、取得にかかわる特別土地保有税、登録免許税、印紙税と、買うときにこれだけ払わなきやならない。それから、今は住宅は下がっていますから、ほとんど売却益というのはないから心配する必要ないかもしれませんけれども、ひところ上がりましたときには大幅なものを払わなければならなかった。そちらの方はいいといたしましても、買う立場になってこれだけの税金が必要だということもちょっと脇に落ちないんです。登録するというのは、大きなうちを買おうが小さいうちを買おうが手数というのは同じなのに、どうして値段に比例しなきゃならないのかとか、非常に何というんでしょうか、取れるところから取ろうといったような税制じゃないかなと思います。  今、大蔵省が税収難で困っていらっしゃるのに、こんなことを御提案申し上げて大変恐縮なんでございますけれども、やはり土地というものをもうちょっと流動化するということも、長期的に見れば国家の財政が上向くことになるわけでございますので、そういう視点からも土地税制というのを考えていただきたいと思うわけでございますが、これはどなたにでもコメントしていただければと思います。
  100. 伏見泰治

    説明員(伏見泰治君) 御指摘の土地あるいは住宅の取得時の税制でございますが、国税関係で申し上げますと、御指摘のございましたもののうち、登録免許税あるいは印紙税があったろうかと思います。  これにつきましても、先ほど概括的に申し上げましたが、一つは、登録免許税につきまして、平成年度の税制改正でございますが、土地分につきまして、平成六年の実は固定資産税の評価がえのときに、登録免許税の課税標準が固定資産税の評価を使っておりますものですから大幅に上がりかねないということで、その当時、課税標準を圧縮する措置をとっておりましたが、平成年度、この圧縮割合が減少するところを、むしろ現状維持をするという形の改正をさせていただきました。  この土地に係る部分でございますが、現在御提案中の平成年度税制改正案の中でも、課税標準を百分の四十、六割カットするということでございますが、措置をそのまま継続することにしてございます。  非常にわかりにくいことで申しわけございませんが、ことしも固定資産税の評価がえの年に当たってございまして、固定資産税の評価が全国平均で約二五%程度下がると言われております。登録免許税だけの立場から申し上げますと、実は税負担一定ということですと、むしろ圧縮割合をそんなにしなくてもいいということになるわけでございますが、全体の状況を勘案いたしまして、この百分の四十という圧縮割合をそのまま維持してございます。この結果、実質的な税負担の減というのは、およそ約千四百億程度かと思われますが、そういったいわば実質的な減税の効果も期待しているところでございます。  それから、登録免許税のうちで家屋に係る部分もございます。これは従来から軽減措置をとっておりましたが、先ほど申し上げましたように、ことしの税制改正、一つの課題が土地・住宅税制であるということから、家屋にかかわる部分につきましては税率を半分にするような措置を講じてございます。  また、印紙税につきましても、同様に軽減措置をとるということで、現在御提案をさせていただいておるところでございます。
  101. 広中和歌子

    広中和歌子君 今のことでは御努力はいただいているんですけれども、私はまだ十分じゃないような気がいたします。  なぜ私はこの土地税制にこだわるか、そしてこれは同時に不動産市場が健全化していないというようなことにもつながってくるんじゃないかと思いますけれども、大体我々八十年生きるわけですから、一つ家を買ったらそこに一生住むというよりは、ライフステージによって家を買いかえていく、職場によって買いかえていくという、そういう新しい時代を迎えているわけでございます。  ところが、例えばこれは京都のことでございますけれども、新しい住宅地が生まれるといたしますね。そうすると、そこに新しい若い勢いのある家族が入る、そして子供をたくさん生む、団地でも同じでございますけれども。そうすると、学校が必要になる、まず小学校を急速つくる、それから中学が必要になってくる、それから高校が必要になってくる。子供の成長に応じてニーズが違ってくるわけです。そうすると、小学校はだんだん閑古鳥が鳴いてくる。そういうような感じで、そのうちに老人ホームでもつくらなくちゃならない、そういう状況が生まれてくると思います。  もし一つ住宅地なり住宅団地なりに、もっともっと人口の流入というのでしょうか、新たな年齢層の人、そういう者が入りやすいような状況というものがあったとしたらば、社会資本整備、学校であるとか図書館であるとか病院であるとか、そういうものも非常に安定したものになるんじゃないかと思います。今までのやり方というのは、何か本当に急に郊外に大きな団地ができて、それがまただんだんしぼんでいくのを見ていくような、そういう感じがして仕方がございません。  それから、ぜひ今度考えていただきたいのは、質の高い住宅ということ、質の高い建物、公共の建物ということでございまして、仕方がないのかもしれませんけれども、戦後焼け野原の中でつくったものが今非常に薄汚れて見えると。だけれども、本当は建て壊す必要はないかもしれないものも中にはあるわけですけれども、維持管理費にお金がつかない、予算がつかないようなシステムになっている、そういうようなことも一つでございます。これからの公共事業費の一部に必ず維持管理費というものを入れていただくような、そういうシステムに変えていただきたいことをお願いするわけでございます。  それから、補助金なんかも出す場合、新規だったら出やすいというふうに聞いたんですけれども、そのために古くて格調のある建物が壊されていくということを見ているわけでございます。やっぱり改造費ということにも配慮していただきたい、そういうことでございます。公共事業費先ほどなぜ日本は高いかという御説明をいただいたわけでございますけれども、民間と比べても高いわけでございますから、その分減らすことができないのであれば維持管理費の方にぜひ回していただきたいということで私の質問を終わらせていただきますが、御答弁いただければありがたいと思います。
  102. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 委員指摘のように、私はいつも言っておるんですが、今までの五十年というのは廃墟の中からとりあえず雨露をしのぐバラック建築をやるというのが無我夢中でやってきた建設行政であったと思いますが、これからはやはり二十一世紀に向けて本格建築をあらゆる分野についてやっていかなければならぬ、そうした基本的な方針で今建設行政を進めておるわけでございます。  委員の今いろいろと御指摘になられましたこと、私同感することが多うございますので、生かしてまいりたいと存じます。
  103. 広中和歌子

    広中和歌子君 どうもありがとうございました。
  104. 赤桐操

    赤桐操君 亀井大臣の先般の所信の表明によりまして、住宅・都市整備公団の一大改革がいよいよ始まろうとしているわけでございますけれども、公団は昭和三十年に設立されて以来、二つの大きな使命を持ってきておると思います。一つ住宅の供給であり、もう一つは都市の整備、こうした二つの使命を持ってきたと思います。そのうちの一つである住宅の供給、これが一番大きな比重を占めたと思うのでありますが、これから撤退をするということは、これは公団にとっては一つの大きな大変な変革を来すということになろうと思います。  そういう意味で、私は若干所信の御表明に対して気がついた点がございますのでお伺いをしておきたいと思います。  今まで衆参両院で出尽くしておると思いますからなるべく重複は避けますが、この四十年間で公団がやってまいりました住宅建設は大変膨大なものになっております。それが、今まではいろいろと順調に進んだと思いますが、この段階で、バブルの後で大きな変化が少し出たわけであります。  しかし、私は一貫して言えることは、公団というのは創立以来、いわゆるその当時は勤労者を対象とし、また今日におきましては庶民大衆を対象とした使命を持っているということにおいては原則として変わりがないと思うんです。これからもまたそういう立場を貫いていってもらわなければならないと思うわけでございます。政府の政策の実施部隊として位置づけられるならば、これはやはりそういう原則については変えてはならない、こういうように考えております。若干、大臣は御異議があるかもしれませんが、私はそういうように思っております。したがって、そういう観点から少しく申し上げてみたいと思うのであります。  公団に対していろいろと批判も確かにあると思う。私も批判を持っておりますが、その批判は別といたしまして、今まで積み上げてきた実績というか、多くの庶民大衆に対する活動といいますか、こうしたものについて評価されるならば、これは私は、いろいろと問題はあるかもしれぬけれども、事を運ぶについては、大臣の所信はよくわかりますが慎重な運び方が必要ではないのかな、そしてまた、これから本当にこれは全部撤退させてしまっていいかどうか、このことについても、二十一世紀、新しい住宅のニーズも変わってくるわけであります。それは、よいものばかり求めるということよりは、福祉社会へ移行する中における公団の役割というものはあるのかないのか、こういったものを真剣に考えてみる必要があるのではないかと思っております。  そういう意味で、慎重にひとつ御検討をいただくことをまずお願いしておきたいと思うのであります。  それからまた、公団の今日の組織というのは、さすがにやはり四十年を超えておりますから膨大な組織であるし、その中に働く人たちも極めて優秀な人材が育成されてきていると思います。これはいろいろの角度から評価するものもあると思いますが、特にこういった土地を買収してそれを用地に転換させながらそこに住宅建設して、しかもこれを皆さんに供給していくこの作業というものは、これは相当長期間に及ぶものでございます。民間における一つの団地をまとめ上げる例を見てみてもこれはわかるのでありますが、そうしたものよりもより長期にわたって将来を展望するものを公団がやってきたと思うのです。  そういう意味では、公団がこれから将来にわたって果たしていくものについては、これはやはり相当真剣に、今私が申し上げたようなことについても考えていただく必要があるのではないかと思っております。  時間の関係がありますから簡単に申し上げますが、端的なことでいえば、公団の供給部門を撤退するということになればかなりの変化をもたらすと思いますけれども、今申し上げてきたような内容については、これは私は一つの財産として考えるべきものでありまして、慎重にひとつ御検討願いたいと思います。  さらにまた、公団は普通の民間のレベルのものと違っておると思います。それはなぜかというと、公団自体でこうやろうああやろうと思ってもこれは限界がある場合があります。要するに、この四十年間にわたって公団自体でできることとできないことがあったと思うんです。私はそのことをしばしば指摘もしてきたし、いろんなことも提言をしてまいりました。これは政府考える政策に基づいて行われるものであって、しかもこれは言うなれば一定の法律と規則の中で行われていることであり予算に縛られているものであります。そうなれば、いろいろと民間の動きに呼応して動こうと思ってもそれには限界が出てくるんです。  そういう意味で、あるときには原価主義などに従って、一般には非常に高価なものが売られて、住宅といえば大変もうけの厚いものだと言われた時代であっても公団はそうしたもうけはしないで原価主義で貫いてきたと、こういう経過になっていると思うんです。  そこで問題は、原価主義ということでありますが、これからも今の原価という問題が貫かれていくでありましょうが、原価のあり方について少し私は検討すべき必要があると思うのです。これから仮に団地の整備とかあるいは都市の整備に傾くとしても、重点化されるとしても、原価問題についてこれはやっぱり検討する必要があると思います。  今から大体十九年ぐらい前の昭和五十二、三年ころにかなり論争されて設定されたのは、住宅建設を促進した関連公共費というものがあるんですね。これについては、当時は長谷川四郎さんが建設大臣をやっておられた、そのときについた予算だったと思いますが、自来三百億ずつ三年続いて、一時ストップされましたが、またその後引き続いて上げられてまいりまして、今日二千億を超える状況になってきております。  これはなぜ設定されたかということになりますが、要するに当時の論争の中で大きく評価されたのは、ヨーロッパ、フランスあるいはドイツ等の庶民の住宅建設を、行って具体的に検討してみると、この中では公的負担分というものは本人の負担になっていないんです。入居者の負担にはなっておらない。これは例えば道路とかあるいはまた公園とか学校ないしは遊水池とか、こういった公的な負担分については当然もうこれは国ないしは州政府、市等の中で賄ってきているというのが実態であります。  そういう状況の中で比較対照して見てみると、日本の場合においてはいささかこれが過ぎるのではないかと。当時の状態はありませんでしたから、大体一つの団地をつくるというときには道路からそういった公的負担分が全部入居者にかぶせられておった。それをこの段階で少しく助成しようということで補助金がつくようになったと思いますが、本来なら私はヨーロッパ各国がやっておるように少なくともこのあり方については、公的負担分は国ないしは地方自治体が持つべきものだと思いますね。それやりまするというと、大体土地の価額は半値近くになると思いますよ、住宅一戸の。  これは公団の場合で申し上げるというと、私はかつて質問したことがありますが、一%の金利を下げると一万四、五千円の家賃が下がることになりますね、これ平均いたしまして。今の公的負担分を全部国が持つということになるならば、土地費が半分近いものになるわけですから、まず今、恐らく生活道路やなんかを全部入れるというと四〇%を超えると思いますね、公団自体としては。現在保証されているのは幹線道路だけですよ。そういうものを全部含めると四〇%を超えると思います。それをもし私たちが主張したように賄われているとするならば、私は、土地費が半分近くになってくる。一%の金利を下げた程度どころではなくなったと思うんです。  そういう状態で公団の運営がなされてきたとしたならば、今日大分売り家の方も残っているようだし、賃貸の方も残っているようでありますけれども、こうしたものについては恐らく残らなかったんじゃないかなと、こういう感じもいたしているわけであります。まあ、売れ残りの原因はほかにもあると思いますから一概には言えませんが、値段の問題だけではないと思いますけれども、大きな原因一つはそういうものではないんでしょうか。  特に庶民を相手にした住宅であるならば、この点は私は真剣に扱わなければならないものではないだろうか。特に公的な公団という事業団体がやることですから、これはやはり本格的に取り組んで、今言ったようなことが取り入れられるべきじゃないんだろうか。現大臣においてひとつ御検討をいただいて、これをひとつ全面的に取り入れて決断をしていただくことになるならば、恐らく公団のいろいろ今回の課題についても大変大きな解決の一助になるんではないかなと思っております。  そこで小川局長に伺いますが、公団の方で現在、この周辺の平均で結構ですが、二戸当たりで関連公共促進費を受けておる割合はどのくらいになっておりますか。
  105. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) お尋ねの関連公共施設の促進事業費でございますが、ちょっと手元に一戸当たりという数字はございませんが、ただ全体の状況で御説明させていただきたいと思います。  おかげさまで平成年度、九年度は促進費二千億円近い国費を計上させていただいております。二千億円の促進費のうち、住宅・都市整備公団に投入いたしました促進費の割合はここ数年間平均で約二〇%でございます。二〇%近い額が公団に割り振られております。その結果といたしまして、これはあくまでモデル的なシミュレーションでございますが、賃貸住宅の家賃を十数%下げるというふうな効果がございます。そういうふうなマクロ的ではございますが、シミュレーションの結果を持っております。
  106. 赤桐操

    赤桐操君 金額で私のところへ来ておるのは三百三十七億、平成年度予算に入っておる額ですね。それを今言っておられると思うんですがね。  これは私はパーセンテージにすると、全体の中の公団に行っている部分は二〇%ということ。しかし、一戸当たりに行っておる割合を見ますと大体二%になっておりまして、これは私の手元ですから数字には狂いがあるかもしれませんが、大体一〇%ぐらいの程度だと。これが今言ったように公的部分を全部負担するとなれば四〇%ないしこれを超えますから、大体この四倍になることになりますね。  ですから、三百三十七億の少なくとも四倍のものが入れば、これは相当大きな影響を与えることになると思うんですね。こういう予算は今ないのかといえば、私は、現在来年の予算の中にも計上されておるわけであるし、民間と公団、あるいは公的部分のやりくりによってこれは調整がきくと思いますので、こうした問題については検討をしていただくべきだろうと思うんです。  これを一つの起点として本格的にヨーロッパ各国、アメリカもそうだと思いますが、私もこれは何度か行って調べてみておりますが、一昨年私がパリへ寄って周辺の衛星都市の状況を見てまいりました。ちょうど三回目でありましたけれども、やはり金利は一ないし三%ないし時によっては三・五くらいになるときもある。  それから、今の公的負担分については全面的に州政府とフランス政府によって行われている、こういうことでありまして変わっていないのであります。これはヨーロッパのほとんど全部共通の内容でありますね。ですから、人の国でやっているから日本でまねしろという意味じゃありませんが、どだい、本来の筋からいって公共負担分というのは税金で賄われるべきもんですよ。ここに入っている人たちは税金を払っているわけですから。税金を払っている以上はその税金で払われるべきものだと思うんです。したがって、これはそういう形でもう一遍真剣に検討して、公団の公的な負担分についてのゼロを目標にした検討をひとつ提案したいと思うのであります。  それで、以上申し上げたようなわけでありまして、これは時間のほかの関係も少しありますので、この辺でひとつまとめさせていただきますが、いずれにしても公団の問題は大臣、慎重かついろいろの各般にわたった目配り、十分にひとつ御検討をいただきまして御期待を申し上げるところでございます。よろしくお願いしたいと思っております。  それから、次に国土庁の関係でお伺いしたいと思います。きょうは災害特別委員会が開かれておって大臣はおいでをいただくことができないようでありますので、簡単に私の方から当面の課題について一、二申し上げておきたいと思います。  これは東京新聞、一月三十日の朝刊に出ておるのでありますが、東京湾で仮にナホトカ号相当の油、三千七百キロが流出した場合においてはどういうようになるかということでシミュレーションの結果を報道されております。これはいろいろな見方があるかどうか知りませんが、一応これを例にとって申し上げるというと、三千七百キロリットルというもので、羽田沖で発生したこの流出事故が、もう四十八時間後には東京湾口にまで及んでいるというように報道されておりますね。  したがって、これは私は大変なショックな報道であったと思うのでありますが、そのときの風の状況とか、いろいろな関係がありますから一概に言えませんが、今ナホトカ号の石油事故が大変な大きな問題を招来しております。これがもし東京湾で発生したらということは、みんなだれしも考えたと思うんですね。あるいはまた、阪神のあの大地震が東京や、あるいは東京湾の直下型地震として発生したときはどうなるかということは、事件発生のときはだれしもみんな思っておるんですよ。それがここにたまたま出されておるんです。  私は、そういう意味で大変関心を持ってこれ見たのでありますが、湾口を通過しておりまする一日の船隻、船の数は大体八百そうくらいですね。これは平成二年の数字で出ているものを申し上げているわけであります。  それから、その後の中の状況を調べたのを見るというと、一日に大体四千五百から五千くらいの船が航行をしているということが報道されております。こういう状況できているわけでありますが、この中にはタンカー三十万トンクラスの大きいやつから、いろいろあるようでありますが、毎日百二十隻くらいの油船が動いておる、こういう状況でありますね。それが今の東京湾の状況のようであります。  したがって、これが仮にこのシミュレーション、東京新聞報道によりまするというと、これが、このクラスのものが一つ衝突あるいは何かの事故で転覆した場合において、三千七百キロの油が出たときにはこういうことになるんだと、こう言っているわけでありますが、これは私は可能性がないということは言えないと思うんですね。非常に危険な状態にあると考えなきゃならぬ。  それからさらにまた、もう一つ大きな問題というのは湾岸の問題だと思うんです。案外、東京湾の船の問題は論議されるんですけれども、東京湾岸の問題というものはほとんど論議されていない。湾岸の状況を見てみると、私は千葉の出身でありますから千葉の状況等からいろいろ危険度を痛切に感じておりますが、石油タンク類が千葉県側だけで三千二百七十あります。それから、東京はこれはコンビナートがございませんから約六百五十、神奈川が三千を超えております。合計で六千九百八十三というのが一昨年あたりの数でございます。そういう状況で実は石油タンクというものが置かれている。  内容別に見ると、この中で今申し上げたのは千キロリットル以上のものでありますが、例えば五万キロリットルから十万キロリットルとなると百八十一あるんです。十万キロリットル以上となると二十三ある。この中の大体二十が、十万キロリットル以上の二十が千葉県側に林立をしている、こういう状況でありまして、大変これは我々としても関心を深めているところであります。  このタンクの状況を見ると、昭和四十九年十二月に水島で油の流出事件がありました。この事故を契機として、これは国会でも大きな論議になりまして私ども視察に参りましたが、結局コンビナート地域におけるところの法律の改正を行う必要があるということでコンビナート法の制定が行われ、さらにまた五十二年からはこれに基づくタンク等の直接の設計等に対する強化策が行われたはずであります。  そういう状況の中でタンクの設計が行われてきておりますが、これが実は五十二年以降は大体新しい法律ででき上がったもので設計をされ、建築されておりますので、これを新法タンクと言っておるようであります。五十二年以前のものを旧法タンクと称している。旧法というのは大体業者が建築の基準に基づいて行っただけのものであるので、これについては七・九程度の直下型の地震、関東大震災のような状況等を想定したものではなかったということでありまして、五十二年以降はかなり厳しいものになっているようであります。したがって五十二年以降のものはこれは大体おおむねそう心配はないだろう。しかし、それ以前のものについてはかなりの問題がある。大体八〇%が五十二年以前のものになるようでありますから、そういう意味ではこの旧法タンクというものに対する対策を本格的に考えておかないと大変なことになるのではないかなと私は考えております。  特に、国土庁の発表しておる状況によりますると、石油コンビナート地帯、東京湾岸、この中の石油タンクが林立しているそれぞれの埋め立てされた地域はほとんど液状化現象発生の可能性のある極めて危険な地域であるということが出ておるわけであります。その上に今のタンク類は全部林立している、こういうことをひとつ総合的に考えてみると、タンクに対する、石油に対する対策、総合的に一体これはどうしたらよいのかということをまず考えてもらわなければならないのではないか。関係省庁は各省庁にまたがっておると思いますから、国土庁にひとつ本格的にこれは舞台回しをやっていただきまして、こういう問題に対して真剣に取り組んでもらうことを緊急にやってもらいたいということを私は提案いたしたいと思うのであります。  大体以上申し上げたようなことで、あといろいろありますが、時間の関係がありますので私から申し上げることは以上でとどめたいと思いますが、東京湾の中で解決のできるものならば東京湾の中で早く解決する、東京湾ないしは東京湾岸で解決のできないものについては、やはりこれは真剣に取り組んでもらって、どういうように具体的にやればいいのか、これはひとついずれ次回において御質問いたしたいと思いますから、国土庁自体として関係省庁と御相談の上で態度をひとつ決めておいていただきたいと思います。  以上申し上げまして、私の質問を終わります。
  107. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) 先ほど家賃を低減する云々と申し上げましたが、用地、造成地の全体に対して一一%低減するというふうなことでございます。訂正させていただきます。申しわけございませんでした。
  108. 永田良雄

    ○永田良雄君 自由民主党の永田でございます。  建設大臣の所信に対して建設大臣及び政府委員の方に若干の質問をさせていただきます。  まず最初に、所信にも述べてありますが、昨年の暮れの蒲原沢災害、大変な災害でありました。亡くなられた方が十三人、そして行方不明いまだ一名、亡くなられた方、御遺族には心から御冥福をお祈りし、御慰労申し上げる次第であります。  あのとき建設大臣予算委員会の最中でもあるのにヘリコプターですっ飛んでいかれて、現地でその実情をよく見て的確に判断をされ、捜索、工事の準備その他応援体制もやられたことは大変私ども感謝いたすわけであります。現場にいた者だけじゃなくて、ほかの県からもたくさんの応援が行きました。応援体制がしっかり整って万全の捜索活動をやり、二次被害の防止に努められたことを心から感謝いたすわけであります。  所信にも原因究明は六月ぐらいに調査委員会をつくってやるというふうに言っておられるわけでありますが、当時施工側に何か非常にミスがあったんじゃないかという話も聞かれたわけでありますが、その後聞いてみますと大変異常な災害であったということであります。  先ほどから言っておられますが、従来の場合にはどういう点でどういう状況で工事をストップしたり避難をしたりするというふうになっておったかというのをひとつわかりやすく教えていただきたい。そして、あの場合は全くそれと違っておったということを明確にお話をしていただきたいわけであります。
  109. 尾田栄章

    政府委員尾田栄章君) お答えをさせていただきます。  過去二十五年間に発生をいたしました土石流について見ますと、六百二十一地区において約八百件の土石流が発生をしておるわけでございますが、このうちの九五%は梅雨前線、集中豪雨あるいは台風という要因によって起こっております。そして、このほか融雪によるもの、あるいは火山あるいは地震によるもの等が起こっておるわけでございますけれども、この六百二十一地区について見ましても、十二月にこのような土石流が発生をしたということは一件もございません。そういう意味で、十二月に発生をしたという意味で、そういう発生時期から見てまさに異常な土石流であったと言えようかと思います。  そしてもう一点、従前は非常に強い雨量強度のもとで土石流が発生をしておるわけでございますが、今回の事例で申しますと、土石流が発生をいたしましたのは十二月の六日でございますけれども、四日から六日にかけまして断続的に雨が降っております。そういう中で、一番強い一時間雨量強度で申しますと、これが十二月四日、二日前でございますが、このときに六ミリでございます。それから、六時間の連続雨量で見ましても、二十五ミリでございます。これも十二月四日の十五時から二十一時の間に起こっておるということでございます。そういう比較的強いとも言えないような雨が降りまして、それから二日間置いて土石流が発生をしたということでございます。  そういう意味合いでも、全く従前とは違った形の土石流であったと言えようかと存じます。
  110. 永田良雄

    ○永田良雄君 非常に異常なことであったというだけに、その原因究明が大変大事だと思うわけであります。原因がはっきりわからなければ対策の打ちようもないわけでありまして、至るところの工事で一年じゅう警戒とかそういうことをやっておるわけにもいかぬわけでありますから、何としてでも原因究明に全力を挙げていただきたいということをお願いしておきたいと思います。  その次は、財政改革と公共事業の関係についてであります。  どうも最近は、公共事業がどこへ行っても悪者にされておるようであります。この間、衆議院予算委員会亀井建設大臣とある党の議員が論争をされました波及効果があったとかないとかという話の議論もさることながら、そのほかにも、公共事業はむだ遣いだという話。もう財政再建のためには公共事業をたたき切れ、あるいは公共投資十カ年計画、六百三十兆円を削りなさいと。最近は、またそれぞれの五カ年計画を縮減しろというような話も出ておるわけであります。  一つには、公共事業執行の段階で、やっぱりおかしいものも私はないとは言いませんし、現実にそういう問題がマスコミ等に報じられているのはよくわかるわけでありますが、一体それほど公共事業は不要不急のものだろうかというのをもう一遍しっかり考えていかなきゃいかぬと思うわけであります。  私は、地方の出身でありますから、市町村とかへ回っていきますと、一番市町村長あるいは議員がぜひやってくれというのは、私の、おれの村のこういうところを直してくれ、ここはがけ崩れで危険だから直してくれと、こういう話が多うございます。  それから、都道府県が各国会議員にいろいろ暮れに各地方の要望なんかをいたすわけでありますが、それの中の半分以上は公共事業をやってくれというわけであります。もちろん、世論調査でも公共事業に対する要望は非常に強いわけでありますが、やはりその地域政治に責任を持っている市町村長あるいは市町村会議員が一番地元の住民と接触して、それらの要望なりなんなりを正確に判断して、これはぜひやってもらわにゃいかぬということで、国に要請し、陳情をするという行動をとっておるということを私どもは忘れてはいかぬと思うわけであります。  そのほかにも公共事業についていろいろ問題がありますが、それらの点について建設大臣は、公共事業について今こういうふうにいろいろ言われておることについて、大変勇敢に発言をしておられるのは大変力強い限りでありますが、財政再建のためには一切全部犠牲にしてしまえというような風潮に流されてはいかぬと思います。やはり言うべきは言い、必要なものはやっていかにゃいかぬと思いますので、その点について建設大臣の基本的な考えをお聞かせいただきたいと思うわけであります。
  111. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) ただいま永田委員から極めて適切な御判断を含めてのお話がございましたし、けさほど来、当委員会におかれまして他の委員からも私どもにとりまして非常に励ましにもなるそうしたいろいろな御提言等もいただいておるわけであります。  私は、財政再建はこれはどうしてもやり抜かなければならないということについては、だれも異論がないと思います。しかし、今四百五十兆と言われております国、地方のそうした大借銭を、これは帳簿からすぱっと消すわけにはまいりません。中身で返さなければいかぬわけでありますから、これをじゃ、いかにするかという観点から、今後の我が国の財政運営をどうしていくかということでありますけれども、私は基本は経済を活性化していくという以外にないと思います。  そういう意味で、単年度の収支の均衡という、そういう面にだけとらわれた政策を実施していて、幾ら国債を減らす、減額するとか言いましても、借りないわけにいかぬわけであります。四百五十兆、恐らく五百兆あたりまでは、この数年間よっぽどのことがないと伸びていくはずであります。それをどこにも消すわけにいかない。これを今から何年かかってか、帳消しにしていくにはどうしたらいいかというと、当然の話でありますが、経済を活性化して税収を上げて消していく以外にはないわけであります。  そうであれば、単年度における財政について、そうした経済を活性化していくという配慮、下支えをさせていくという配慮を抜きにして入るをはかって出るを制すというようなもし財政運営をやっていきました場合は大変な事態になる。一方、民需が確実に財政支出を抑えるかわりに、民需が確実に出てくるという具体的な政策を実施し、その見通しを立てないで財政支出を抑えるということばっかりやった場合は、まさに日本経済は縮小再生産の過程に入っていく危険性がございます。  そういう経済の中で四百五十兆あるいは将来五百兆になるかもしれない、それをどう返していくかということ、私は不可能だと思います。そういう意味では、やはり経済を拡大していくということが財政運営の基本にならなければならないと、このように考えています。  そういう中で社会資本整備公共事業をどう位置づけるかということでありますけれども、先日来、これの経済への波及効果、景気へ及ぼす影響等いろいろな議論もございましたけれども、少なくとも減税に比べて、我が国の場合、貯蓄性向が非常に高いわけでありますから、減税分がそのままこれが有効需要に回っていかないという、特に銀行振り込みでありますから、それでなくてもたまりたまっている銀行預金をふやすという役割だけであって、むしろそれよりも公共投資に使った場合は確実に、これが乗数効果が一・二になるか三になるかは別にいたしまして、確実にこれは景気に対するプラスの影響を与えることは、これはもうはっきりしておる事実であります。  そういうことでありますから、過去も不景気対策に対しては、別にケインズ理論というわけじゃございませんけれども、そうした意味で公共投資が出動をいたしたという経緯があります。これをバブル崩壊後、それ以後、何兆になりますか、もう相当になりますね、そういうことをやったけれども、一向に景気が活性化しないから、もう公共投資はそういう意味で効果はなくなったんだというふうな短絡的な判断も横行しておるわけでありますけれども、逆に申しますと、それだけの公共投資をやったからバブル崩壊後のどん底の景気がどん底の底まで落ちなかったということも言えるという面が私はあると思うわけであります。  そういう意味では、公共投資がやはり経済の活性化に対して積極的な寄与をするということを否定するわけにはまいらない。そして、今民需が規制緩和によって生まれることを期待するわけであります。建設省も今一生懸命御承知のように容積率の問題を含めて思い切ったことを次々とやっておりますけれども、それをいたしましてもそれが民需を自力反転という形で呼び起こすことが今直ちにできるかというと、それを期待して我々やっておるわけでありますけれども、背景にはでっかいいわばブラックホールがございます、御承知のとおりですね、住専処理でも一部が明るみに出たわけでございますが。  そうしたもの、ブラックホールがある中でそうした規制緩和をやろうとするんだけれども、それだけで果たして自力反転の活力が呼び戻るかというと、私はそう楽観的に判断をすべきではない。そうであれば、手っ取り早いというわけじゃございませんけれども、やはり公共投資の景気に対する役割、これはもうダイレクトでありますから、我々は頼るというのは私は当たり前だ、このように思っておるわけであります。財政再建、必要ですけれども、至上主義というようなことで経済を殺してしまうということは絶対やってはならないというそういう観点からも、公共事業社会資本整備は、私は現時点におきましても着実にやるという必要がある。  もう一つ、観点を変えて申し上げます。いかに現在の我が国の経済が悪い、財政事情が悪いといいましても、我々はいっかはあの世に行くわけであります。我々の子や孫がこの日本列島に生をうけて生きていくわけなんです。そうした子や孫にとって、今の日本列島における社会資本整備が先進諸外国に比べて見劣りがしないちゃんとしたものであるかどうか。私はノーだと思うんです。だから、そういう意味では、子や孫のために、我々が飲んだり食ったり今瞬時の毎日の生活を豊かに楽しくするということを若干我慢をしてでも、そうした方にお金を回していくというのが私は子孫に対する、現に生をうけておる我々の務めでもあるのではないか。  そのことを、国債で道路をつくれば借銭を後世に残すんじゃないかという批判が強いわけであります。一方で、我々は道路にしてもダムにしても整備新幹線にしても一日にしてできるわけじゃございません。五年、十年かかっていくわけでありますから、そういうものを着実に子や孫のために残していく。国債も残るかもしれませんけれども、それも残るということであろうかと私は思います。  そういう観点で私どもも頑張っていきますので、委員を初め皆様方に御理解を賜り、間違った風潮を是正をしていただく御努力をお願いを申し上げたいと思います。  以上でございます。
  112. 永田良雄

    ○永田良雄君 亀井建設大臣の大変力強い所信を聞きまして、安心しておるわけであります。私どもも一生懸命努力いたしますので、大臣も鋭憲政府の中で頑張っていただきたいと思うわけであります。  もう一つ、これは細かいことで大臣は御存じないかもしれませんが、六百三十兆円というのは、先ほど出ておりましたように内容も何にもないわけであります。ただし、五カ年計画というのは、それぞれの計画の中でそのある地域でどういうプロジェクトを取り上げどういうプロジェクトは入らぬという格好はおおよそ決まっておるわけであります。もちろん五カ年間でやるわけでありますから、一年目に幾らやるというところまでは決まっておりません。それぞれの単年度予算はそのときの経済の情勢に応じて、景気がいいときはちょっと控え目にする、あるいは不景気なときは非常に伸ばす、こういう弾力的な運営をやって経済の運営とバランスをとってきておるわけであります。  したがって、五カ年計画のおおよその中身については各地方は、都道府県知事はあるいは市町村長は、おれのところのこれは五カ年計画に入っておるな、その中で完成するなということは大体わかっておるわけでありますから、これを変えて縮小するということになると、私は大混乱を起こすというふうに思うわけであります。そういう意味では、そういう混乱を引き起こすことなく、やはり弾力的な運営で対処していくべきがしかりと思うわけでございますので、よろしくそれをお願いを申し上げたいわけであります。地方自治体の首長は五カ年計画に大変な期待と希望を持っておるということを申し上げたいわけであります。  いろいろ公共事業を減らせというふうにおっしゃっている方でも、実際地元の話になると、ぜひあれはやってくれとか、あるいは新幹線はぜひやってくれというような話をあちこちで聞くわけでありまして、そこら辺は私どもは常に地元の住民や議員やそして町村長と接触しながらそういう公共事業というものを進めてきておるということをほかの皆さんにも御理解をいただきたいと思うわけであります。  そこで次に、公共事業は着実に進めていかなければいかぬわけでありますが、やはり非効率の面あるいはコストの高い面を私は是正していくことは必ず必要だと思うわけであります。例えて言えば、同じような道路を農林省と建設省で並行してつくったり、あるいは集落排水と下水道をちょっとつなげば非常に効率的に処理場がうまくいくのにお互い別々につくっていたり、港湾があるいは空港が立派なのができておるのにそこへ行く道路が随分おくれたりと、こういう話があってはいかぬわけでありますから、そういう面については公共事業を所管している省庁間で十分それは連絡をとっていかなきゃいかぬと思うわけであります。もちろん前からやっておられるとは思うわけでありますが、どうもいまだに余りうまくいっていないんじゃないかなという声も聞こえるわけでありまして、そこら辺の状況がどうなっているか、建設省の方で。
  113. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 私は御指摘のとおりだと思います、残念でございますが。そうした二重投資をどう防いでいくか、そういう観点からも十一月末までに中央省庁の再編をやるという、もうルビコンをこれは渡っておるわけでございます。そういうことの中で、そういうことが起きないような行政組織、機能はどうあるべきかということを真剣に検討して実現をしていきたい、このように考えています。
  114. 永田良雄

    ○永田良雄君 それともう一つは、これは各省間の連絡の話でありますが、公共事業費のコストが高いという意見がこれまたございます。日本はアメリカに比べて三割高いとか、ヨーロッパに比べて二割高いとか、したがってそれを縮減すべきだと。そういう意味からも、例えば、公共事業全体を一割カットすれば何兆円のお金になるというような話もまことしやかに出てくるわけでありますが、日本公共事業が例えば欧米と比べてどのくらい高いかというのは今まで調査されたことがあるのか、どういうやり方で比べられてそういう話が立証されているのかということを教えていただきたいと思います。
  115. 小野邦久

    政府委員(小野邦久君) 外国の価格に比べて日本建設生産物の価格はどうかということでございます。  私ども平成六年に、内外価格差を中心といたしまして、建設生産物の価格を外国と比較をしたことがございます。同じような建物をあるいは同じような道路工事をアメリカでやった場合あるいは日本でやった場合、しかもそれを日本のきちっとした積算基準と外国の積算基準を比較をいたしまして、同じような形での積算手法で評価をいたしました。  その結果は、当時の為替レートでは一ドル百十一円という想定でやったわけでございますが、アメリカに比べまして、事業によって内容も違うわけでございますが、例えば一五%から三〇%ぐらい高い、こういう結果が出ております。場合によりましては四五%高いというものもございます。ただ、これは財サービス等あらゆる価格は内外価格差があるわけでございます。例えば電力料金は高い、輸送コストは高い。また人件費等、これは建設生産物の中で全体で三割ぐらいを占めるわけでございますが、これもアメリカに比べまして大変高い人件費ということになるわけでございます。そういうような財サービスが高いという結果が総合生産物としての建設生産物の価格に反映をしてまいりますので、高いという面もやむを得ない部分があるわけでございます。  ただ、これはあらゆる努力をする中で、やはり貴重な税金が財源でございますから低減をしていかなければいけない、こういうように考えているわけでございまして、平成六年の報告を基準といたしまして私どもでは建設コストを少しでも下げるということでアクションプログラムをつくりまして、これによって今実施をしてきておりますが、なお政府全体としてもやはり取り組みをしていく必要がある、こういうことから、より以上に大きな方向づけのもとで今検討しているところでございます。
  116. 永田良雄

    ○永田良雄君 アクションプログラムで縮減の方策を各省庁と一緒になって検討していきたいという話なんですが、それについては例えば一割削減するとか一割五分削減するというような目標をつくってやられる計画はあるのかどうか。
  117. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 総理からは年度末まで新たな基本計画をつくってやれという御指示でございます。その場合、できることなら数値目標をというお話でございますが、橋本総理もかつて日米自動車交渉において数値目標を出せとアメリカから迫られまして大変御苦労された御経験があるわけでございますが、私も当時の橋本総理と同じように総理との関係で極めて苦慮をいたしておるわけでございます。  と申しますのは、この建設のコストはそれぞれ事業別に全部違うわけでございます、御承知のように。そうして、これは総理みずからがおつくりになりました、本当にうまい、整理された、コストを構成する項目、手続、こんなものをつくっておられまして私も実は感心したんですが、それも非常に多岐にわたっておるわけであります。それぞれのそういうコストアップのネックになっている要因をどう取り除いていくかという話でありまして、例えば一割という目標を出して号令をかければ全部下がるというものではないわけでありまして、そういう意味では例えば発注法の問題はもちろんございます。それから資材の単価、流通過程の問題もございます。これは民間の協力も得ませんと、建設省の号令だけで資材価格が安くなるものでもございません。  また、これは他省庁の権限に及ぶ面があります。例えば文化庁。文化財を保護することは当然の話であります。文化と伝統を守っていくというのは政治のこれは前提であります。行政の前提でありますけれども、今全国で行われている文化財調査というものが本来の目的に合っているのかどうかということもきっちりとこの際洗い直していただきませんと、この日本列島には昔からもう何億年か人間が住んでおるわけでありますから、どこを掘っても人間が生活した跡が出てくるのは当たり前であります。それについて二年も三年も時間をかけて、そうして事業をストップしてしまうということがあちこちで起きているわけですよ、御承知のように。それが本来の文化財保護の目的に合っておるのかどうかというようなこともこの際洗い直していただきまして、きちっと方針を目的に合った形で変えていただくということがなければ、コストの縮減の目標を出せと言われましてもそれはなかなか難しい。  あるいは警察です。私は警察出身でありますが、道路占用許可、使用許可等につきまして願いを出しても、どう考えたって二日か三日で出せるようなことを二週間も三週間もかかって出してくるような実態が全国であるわけでございまして、それあたりも警察庁が大号令をかけまして今後三日間で出すよということをきっちりとやってもらえるのであれば、コスト縮減の具体的な判断の基準に私はなってこようかと思います。  また、労働省。労働災害はどんなことがあっても防がなければいけませんけれども、今資材が非常に発達をしてきたといいますか、そうしたいろんな客観状況が変わった中で、真に労働災害を防ぐための規制なのかどうかというようなこともこの際徹底的に洗いざらいにしていただいて、要らないものは思い切って省いていただく、さらに労働災害を防ぐ観点から強化するのは強化する。そうしたことをやっていただくということがなくて、建設省だけでコスト縮減の、何か民主党あたりなんか一割五分とか出しておられるようで、私は積算根拠をぜひ民主党にお聞きしたい、どうやったらそうなるのかですね。そういうことをきっちりとやった上で、またそういう努力をした上で、現実にコストは縮減をされていく。  したがいまして、総理からのあれでございますから一生懸命努力はいたしますが、そういう前提条件がきちっと整わないでかけ声だけ数値目標でやる。そこで、私は勘ぐるわけじゃありませんが、じゃ一割目標を出したんだから来年度平成年度公共事業予算を一割減らせという短絡的な材料に、てこに使われるようなことがあっては相ならぬと思うわけであります。先回りして私は防衛して言っておるわけではございませんけれども、コスト削減の問題については必死になって我々今取り組んでおります。非常に難しい問題があるということも御理解をちょうだいいたしたいと思います。
  118. 永田良雄

    ○永田良雄君 私も安心しました。おっしゃるとおり、何%というのが先にあって無理をしますと安全性を欠く面が出てこないともまた限らない。一番大事なのは、公共施設というのは万人が全部利用するわけでありますから、例えばダムなんかがちょっとでも欠陥があって決壊したら大変な話になるわけでありますから、そういう点は安全性に最大限の配慮をしていただきたいということで、数値目標をつくられないということで私も安心いたしたわけであります。
  119. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) いや、努力はする、総理もやれと言っているんだから。やりませんと言ったら閣内不一致になりますから、そうは言いません。
  120. 永田良雄

    ○永田良雄君 それからもう一つは、各省庁の協力もぜひ得てやっていただきたい、こういうふうに思います。  その次、余り時間がなくなってきたわけでありますが、高速道路の問題であります。  日本の高速道路の料金が非常に高いということでいろいろ世評、批判を浴びております。道路局長にお伺いするんですが、欧米の道路日本道路はキロ当たりどのぐらい単価が違うのか、それからその違う原因は何かということをちょっと教えていただきたい。
  121. 佐藤信彦

    政府委員(佐藤信彦君) 先生仰せられておりますのは、道路建設コストですね。
  122. 永田良雄

    ○永田良雄君 コスト、キロ当たり。
  123. 佐藤信彦

    政府委員(佐藤信彦君) 確かな数字はちょっと持っておりませんが、キロ当たりの建設単価として大体二・何倍というふうに覚えております、数字はちょっと差し控えさせていただきますが。  我が国の場合が非常に高い理由といたしましては、やはり地形からいきましても急峻な山、谷があるところに高速道路をつくっていくということで、非常に構造物が多くなるといったことが一点ございます。  それからもう一つは、非常にそういった狭いところに欧米に比べますと非常に多くの方々がお住まいになっている、あるいは生活されているといったことで、用地費もかかるわけでございますが、それ以上に、日本の高速道路を走っているのではわかりませんが、横断する構造物、水路とか、それから横断の歩道などもそうでございますが、そういうものが非常に多いといったことがございます。  それと、欧米の道路ですと、割かし平たんな盛り土でさっとつくっていくわけでございますし、それから、周りから人が入ってくるという気配もございませんので、それを区分したりとか、そういうことは十分でなくても高速道路として機能するといったことがございます。  そういった等のことがございまして、工事につきましてもそうですし、用地、また費用もそうですが、そういったことを含めまして、高速道路の単価が非常に高いといった状況でございます。
  124. 永田良雄

    ○永田良雄君 たしか私が聞いたところでは二・五倍ぐらいしたと思います。日本ではキロ五十億かかると、欧米では大体十九億何千万というわけでございまして、今お話しされたように、日本の地形そのものが全く違うということに原因するわけであります。したがって、建設の費用が非常に高い、それを、借入金を借りて返してやっていくわけでありますから、料金は高くなるわけであります。その高くなるのを抑えるために、いわゆる国費、税金を入れてやっているというのが現状であります。  どこの国でも基本的に道路というのは無料であるべきなのが基本でありますが、無料でやる場合に、税金がとてもじゃないが大変だからということで、借入金を借りて、それで利用者に負担してもらってやっているというのが状況でございます。恐らく有料道路制度日本で一番発達しているんじゃないかと思います。  公団あるいは都道府県がやる有料道路は償還してしまえば無料開放するわけでありますが、そうでない道路もあるわけであります。午前中おっしゃった中に、道路の料金が非常に高いというものに、例えば箱根のターンパイクとかあるいは伊豆のスカイラインというのは、あれはいつまでたっても料金を取る道路であります。これは日本は恐らくだれでもやれるわけでありますが、現状はどうでありましょうか。ほとんどやられていないんじゃないかと思いますが、やられていない理由をちょっと教えてください。
  125. 佐藤信彦

    政府委員(佐藤信彦君) 今おっしゃられた箱根とかそういうところで、安企業体がつくる道路ではございませんが、従来一般の企業者が有料道路というのをつくっていた経緯がございます。現在も幾つか残っておりますが、運送法上の道路でございます。  これは、ある施設を自分のところでつくったときに、そこに行くまでの道路をみずからつくり、これを有料道路にして償還していくといった考え方でございますが、観光地によくございます。こういった道路につきましては、ほとんど採算が合わないといったことで、現在でももう残っているものは数少なくなってきております。  そういったことで、むしろ現在有料道路の主力をなしておりますのは、やはり高速国道を初めといたしまして、ネットワークで整備されている交通、有料道路が主体になってきております。  以上でございます。
  126. 永田良雄

    ○永田良雄君 結局、道路は一般の企業として成り立たないということなんだろうと思うんです。ただ、未開発国ではもうその国に財源が全くありませんから、どこかの会社に請け負わせて取らせると。しかし、そのかわり三十年なら三十年でただにしてしまえというやり方はありますが、欧米先進諸国ではそういうのはほとんどないと。  したがって、高くなる分は、私は基本的に言えば道路は無料であるべきなんだから、税金を入れるべきだと思うわけであります。そのためにガソリン税という特定財源もあるわけでありますから。大蔵省はすぐ値上げせい、値上げせいと、こう言うわけでありますから、そんなものの言うことを聞かないで、大いに頑張って税金を入れてやっていただきたい、こういう話であります。  かつまた、道路公団は第二の国鉄になるんじゃないかという話でありますが、道路公団は物すごく優良企業であります。道路公団の収入は今一兆七、八千億あります。高速道路の料金が毎年一兆七、八千億入るわけであります。そのうち、金利だけの支払いが七千億、それから維持管理費が三千二百億ぐらいであります。それだけが経費であります。あとは全部元金の償還に充てているわけであります。人件費は八百億であります。八百億というのは約八千五百人ぐらいしか人間がいないということであります。したがって、道路公団が第二の国鉄になって国民に迷惑をかけるということは全くないというのは、本当は政府委員から言ってもらいたかったわけでありますが、時間がありませんので、私の方から申し上げておきたいと思うわけであります。  最後になりましたが、けさの新聞で、建設大臣が橋本総理に報告されて、土地の有効利用、高度利用のための検討を至急行って、できれば今国会へ法案として提出したいと、こういうお話してございます。恐らく国土庁が土地政策の基本を抑制から利用へという転換をして、それは都心の居住を促進すると同時に、景気のてこ入れにもしたいという話でやられた大変すばらしい案だと思うわけでありますが、その具体的内容を大臣から簡単に教えていただきたいと思います。
  127. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 昨日、総理にも規制緩和の中間報告をしろという話でございましたので参りまして、建設省として当面実施をしたいと考えておる案を報告いたしましたところ、総理から、それはいい案だからやれというお墨つきもいただきましたので、早速法制局長官に、とにかく今国会に提出できるように審査をやっていただきたいということを申しましたところ、長官にも了承いただきました。今国会に提出をいたしますので、当委員会においてもぜひひとつ御審議を賜りたい、このように思うわけであります。  簡単に中身を私の方から申し上げますと、一つは容積率をアップすることにつきまして、自治体と協議をして特定の地域指定をいたしまして、そこにつきまして六〇〇%へのアップをいたします。これにつきましては日照権部分等についても手当てをいたしますので、実質的には倍の容積率にその地域についてはなる、このように考えております。  それから、従来の、例えばマンションなんかの共用部分でございますね、エレベーター部分とかそこの前の廊下部分とか、これを容積率に算入しておったわけでございますが、それを外します。それによりまして約二割のアップができようかと思います。  さらに、敷地が広がるに従いまして割り増しを認めてまいります。これによりまして八〇〇%程度まで上限が延びていくという形にもなってまいります。  そういう具体的な中身を法律並びに規則の改正によって実施をしたいと思いますが、これを実行するに当たりまして、東京でございますと東京都あるいは区と一緒になりまして協議会を建設省との間でつくりたい、こうしたことを推進する場所の指定とか、取り進めについての協議会を設定していきたい、その中で具体化をしてまいりたいと思います。  これを実施いたしました結果、どんな効果が具体的に出るかと言いますと、例えて申しますと、港区の三田のマンションを例に挙げますと、地価がこれ以上動かないということを前提にしての話でございますが、今七千五百万しておるマンションが五千万に、約二千五百万下がってこようかと思いますし、それと、江東区あたりを例にとりました場合、五千八百万のマンションが四千八百万ぐらいに、約一千万程度下がってこようかと思います。また、割り増しを認めていきますので、小さい敷地を広くしていくという、これは一つのプレッシャーにもなっていこうかと思いますので、地域が今のように狭いところに小さなマンションが建っておるというのがもっと広い敷地に大型のマンションが建っていくという形で、住宅市街地を整然と再開発をしていけるという環境面からもいいまして、これもプラスな面が出てこようかと、このように思います。  もし、詳細があれでございましたら、担当局長から敷衍させていただきますが、かいつまんで申し上げるとそういうことです。
  128. 永田良雄

    ○永田良雄君 どうもありがとうございました。時間がありませんので次の機会に譲りたいと思います。  なお、文化庁の方、来ていただきましたけれども、この次に譲りますので、失礼をいたしました。  これで終わります。
  129. 橋本聖子

    ○橋本聖子君 自由民主党の橋本聖子でございます。きょうの委員会の最後の質問になりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。諸先生方の質問と多少重なる部分があるかと思いますが、ぜひよろしくお願いいたします。  我が国の経済は世界でもトップクラスにありますが、社会資本のストックは国際的に見ましてもいまだ十分とは言えないと思います。特に生活の基盤となります社会資本の不足は、国民の皆さんがいま一つゆとりですとかまた豊かさというものを実感できないでいる要因の一つとも考えられまして、生活関連社会資本の充実というものがこれから日本の最重要課題となると思います。  そこで、本日は今一番実現していただきたい点を踏まえまして、これからの日本考えます社会資本整備について幾つか質問をさせていただきます。  もうすぐ二十一世紀となりますけれども、私たち若者は、特にこれからの日本はどうなってしまうのだろうかという、また頑張らなくちゃいけないという思いと危機感を感じておるのですけれども、我が国の高齢化は急速に進んでおりまして、このような状況に対応するためには、やはり雇用また医療そして教育等のトータルの面での政策が求められていくと思います。特に、高齢社会に対応した町づくりは、高齢者の方々がさまざまな社会生活、社会活動を支える重要なテーマでありまして、また関係省庁が十分に連携をとって政策を遂行することが求められていると考えます。  そこで、高齢社会を踏まえた上での建設省住宅社会資本整備に関する取り組み姿勢をまず最初にお聞きしたいと思います。
  130. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 橋本委員の我が国の将来を見通されてのそうした問題意識をお持ちの上での御質問でございますが、委員承知のように、もう大変な高齢化社会を迎えておるわけであります。そういうときに、富を生み出していくそういう働き手が非常に少なくなっている、そういう状況が生まれる、その我々が直前に今生きておるわけでありますから、我々自身がその時代のためにも社会資本をきっちりと整備をしていく義務が私はあると思います。ただ我々が現時点で楽しくうれしく生活をしておればいいというものではない。働き手が少なくなってくる社会がもう目の前にあるわけでございますから、私はそういう問題意識を、先ほども答弁でも申しましたけれども、持っておるわけでございます。  なお、そういう意味からは、十年二十年先にもう一度手直しをしなければならぬというような、そういう低質の社会資本整備すべきでは私はないと思います。ヨーロッパ社会が少々景気が悪くても割と安定をしておるように旅行しましても見えますのは、そうした立派な社会資本がきっちりと整備をされているという、社会基盤が非常にしっかりしているということが一つは私はあると思います。そういう意味でも長持ちのする本格的な社会資本を今から整備をしてまいりたい、このように考えております。
  131. 橋本聖子

    ○橋本聖子君 そこで、高齢者等に配慮しました高齢社会、福祉社会に対応した町づくりを進めるに当たりまして、やはりこちらも都市政策、そして福祉政策等の連携が重要と考えられますが、具体的にはどのような施策を行っておりますでしょうか、御説明いただきたいと思います。
  132. 木下博夫

    政府委員(木下博夫君) けさほどからいろいろ都市政策についても御意見、御質問があったわけでございます。日本の戦後の都市づくりの中では、一つはやはり大変都市化のスピードが速かったということが顕著な例として申し上げられると思いますが、その際にはやはり東京とかあるいは各ブロックの中心都市のところに集中しまして、結果的には都心の使い方というのは種々問題を起こしているわけでございます。  御質問のございました高齢化社会というのは、これからも我々としては当然避けて通れない課題であるわけでございますので、その際何をやるかという御質問でございますが、私どもが担当しております幾つかの例で申し上げると、市街地再開発あるいは区画整理という面事業をやるときに、厚生省など関係省庁とできるだけ福祉施設などの立地誘導について一緒に仕事をやりたいという希望で既に合意もついておりまして、事業の中に入れております。その他、道路につきましては歩道もできるだけ広くとるとか、それから人の多く集まられる駅とかあるいは劇場等、そういうところにおきましては、お年寄りの方あるいは身障者の方がお使いになりやすいようなエレベーター、エスカレーター、そういうような施設もつくっていくということが一つのこれからの課題ではなかろうかと、こう考えております。
  133. 橋本聖子

    ○橋本聖子君 こうした福祉の町づくりへの取り組みはまだまだ始まったばかりだと考えますが、町づくりの直接の担い手であります地方公共団体等の職員の方々、またボランティア活動の方々、そこまではいかないかもしれないんですけれども、積極的な呼びかけといいますか、啓発が極めて重要だと考えますけれども、どのような取り組み姿勢で今後呼びかけをされていかれますでしょうか。
  134. 村瀬興一

    政府委員(村瀬興一君) 私ども建設省では、平成六年の六月に、生活福祉空間づくり大綱というものを策定しておりまして、高齢者、障害者を含むすべての方々が安心して日常生活を営み、積極的に社会生活に参加できるような住宅社会資本整備についての基本的な考え方を取りまとめまして、地方公共団体の方々にも通知をさせていただいているところでございます。  さらに平成八年の三月になりますと、都市局長のお話にもございました町づくりとも関係いたしまして、市町村が土木、住宅、福祉と関係部局の相互の連携のもとに種々の町づくりに主体的に取り組むということをやっていただく必要があるわけでございますが、そういった市町村の活動を支援するために、厚生省とも連携をいたしまして、「福祉のまちづくり計画策定の手引」というものを策定いたしまして、厚生省と連名で公共団体にもお知らせをしたところでございます。  さらに、町づくりの直接の担い手でございます地方公共団体等の職員を対象といたしまして、福祉の町づくりに関する意識の啓発でございますとか、あるいは施策の普及を図るために、平成八年に初めて一回目をやりまして、ことしの一月も二回目をやらせていただきましたが、厚生省、運輸省と連携いたしまして、すべての人に優しい福祉の町づくりシンポジウムというものを開催いたしまして、パネルディスカッションのほか、国内外の福祉の町づくり事例の紹介でございますとか、先進的自治体の取り組みの紹介あるいは国の施策の紹介といったことを行っているところでございます。  今後とも、関係省庁との連携を図りながら福祉の町づくりに関します普及、啓発活動を進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  135. 橋本聖子

    ○橋本聖子君 ぜひよろしくお願いいたします。  また、これも社会資本整備に関連することでございますが、道路は日常の生活の基本となる空間であるというふうに私は思っているんですけれども、残念なことに日本道路と呼ばれるものは人よりも車優先でありまして、歩行者も車にストレスを感じ、また逆に運転する方も歩行者に対してストレスを感じながらの道、道路であるというふうな気がしております。  私自身もウォーキング・トレイル事業を積極的に推進している議員の一人といたしまして、改めて人に優しい道づくり、道路づくりとして幅の広い歩道、先ほどもお話ししていただきましたけれども、そのようなコミュニティー道路整備等でよりゆとりのある歩行空間を確保したりですとか、だれもが安心して生活でき、そして高齢社会に十分対応のできる道路整備の方針などがございましたら、ぜひ道路局長よろしくお願いいたします。
  136. 佐藤信彦

    政府委員(佐藤信彦君) 我が国におきましては、先生おっしゃられたとおり、戦後モータリゼーションが急激に進展したといったこともございまして、どちらかというと車への対応といったことに追われてきた傾向がございます。  ですが、昭和四十年代以降、交通事故を少しでも減らすといった観点から歩道整備が重点的になってきております。その歩道もしかし距離をということの段階が多かったようでございますが、最近ではやはり質の面を十分にしていかなくてはならないといったことで、幅広歩道、先ほどからお話がございますが、こういったものとか、それから歩行者広場のような滞留スペース、そういったところを道路の構造の中に入れていくといったことで、平成五年十一月に道路構造令を改正いたしまして、自転車歩行者道とか歩道について、車いすの利用者の方々も安全で円滑にすれ違えるような、そういったような幅員等なども規定いたしまして、少しでもゆとりのある歩道並びに歩行者の方々が安全で渡れるような横断歩道とか、そういったようなことについて重点的に整備を進めております。  施策の中では、そういったことで幅広歩道、それからこれも先生の方からお話がありましたコミュニティーゾーン形成事業というのを平成十二年までに三百カ所整備することにしております。これは、住宅地域につきまして、特に歩行者中心の道路整備するといった観点からの整備事業でございますが、こういったものを整備することによりまして、今後、地域の人々の参加を得まして、歩く人の視点に立って高齢者、障害者を含むすべての人が安心して歩けるような歩道空間の整備を積極的に進めていきたいというふうに思っております。
  137. 橋本聖子

    ○橋本聖子君 ぜひ、どうぞよろしくお願いいたします。  二十一世紀に向けまして、高齢者向けの優しい道づくりとなりますと、今日までの建設行政考え方を一部転換するといいますか、柔軟にする必要があるというふうに思います。そういう視点から見ましたときに、限られた空間によりゆとりを持たせるというようなことも必要になってくるというふうに思います。  私は、競技を通じまして、特にヨーロッパ、北欧の方に競技に行ったことが多かったのですけれども、やはりそちらの方では町の景観の美しさや温かさというものをいつも感じておりました。町並みの美しさというのは、車の走る道、また人の歩く道、またあるいは公園や色彩すべてが町に密着していまして、特色を生み出して、そして人に温かさですとか、また豊かさ、ゆとりというものを持たせてくれるようなものに感じていました。  日本の選手もよく海外等で合宿をする理由の一つとしましては、やはり安全というのもありますけれども、心のそういうゆとりを持つために海外で合宿をすることが多いんです。先日も我らが有森裕子選手・銅メダリストも、海外でトレーニングをする上で、そういう景観を楽しみながら、景色を見ながら走っていると疲れが遅いということもあるらしいんですね。そういう話を聞きましたときに、私自身もバイク、自転車競技をやりながら、余裕を持ってやっているんですが、どんなに苦しくてもやはり周りの景観といいますか、自然と道、そういうものが一体になっているところにすばらしさをいつも感じておりました。  安全で快適、また温かく豊かな町づくりを目指す上で、我が国も国土上の違いはあるかと思いますけれども、学ぶ点が幾つかあるようにも思います。  特に、オランダやフランスには、すべてではないんですけれども電信柱がないんですね。そして地下を通っているんです。狭い国土面積である我が国におきましても、ぜひ道路建設されている電柱をなくしてというとおかしいかもしれませんが、地下にして、そして逆に地下の眠っている資源を、緑や水というものを逆に表に出していただいて、実現できますと、やはり二十一世紀に迎える高齢社会にも十分活力のある道路、豊かさを実感できる道づくり、町づくりにつながると思うんですけれども、ぜひ大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  138. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 橋本先生から、今我が建設省が目指しております建設行政のあり方そのものをおっしゃっていただいたと、このように私どもは受けとめております。そのとおりであると思います。  そういう意味で、電線の地中化の問題建設省としてもことしの重要テーマとして取り上げまして、事業量も四千億ぐらいだったか、倍にいたしまして積極的な取り組みを始めております。  これにつきましては、電力会社の協力は不可欠でもございます。残念ながらこの数年電力会社が非協力であった面が多々見られたわけでございますので、私は各電力会社の社長にお電話をいたしまして、電力会社が道路を自分の会社のものとして勝手に電柱を立てる権利はないんだぞということを申したわけでございます。これについて積極的に協力をしない会社を私が公表するとまで言ったわけでございますが、おどしたわけじゃございませんが、おかげさまで電力会社各社は全面協力をいたすということで今進んでおるわけでございます。  これはもう委員の御指摘のとおりでございまして、都市の美観もさりながら、地震の場合等の防災的な観点、あるいは東京世田谷あたり、これ道路拡張なんか住宅街でできません、実情として立ち退きは。しかしあの電柱をなくせば道路面積がぐっと広がるという状況があると思います。東京都におきましても、そうした住宅街につきましてもことしは着手をいたす予定にいたしておりますので、これ全力を挙げて推進をいたしたいと、このように考えております。
  139. 橋本聖子

    ○橋本聖子君 ありがとうございます。  電柱類の地中化が達成されるにはすごく長い時間がかかると思いますので、ぜひ根気強くよろしくお願いいたします。  次に、快適な暮らしを実現する生活基盤の整備なんですけれども、東京のような都市整備の課題はどのようにお考えになられているかということと、もう一つは、都市におきまして潤いを感じることのできる水や緑の空間が少ないように感じております。先日、たまたま目にした雑誌だったんですけれども、グリーン・グループといいますか、一部の嫌がらせをする集団のことが載っていたんですけれども、例えばこれから建設をしようというところの空き地ですとか建設用地に、緑をふやすといいますか、花を植えたり木を植えたりしに行く集団があるらしいんですね。そして、それはやはり嫌がらせではあるんですけれども、裏を返しますと、緑や水に飢えているからじゃないかなというふうに思いました。  今日の日本国民が望んでいる願いがある意味ではその中に伝わってくるような気がいたしまして、これからの調和のとれた潤いの提供として都市公園整備も重要というふうに思いますけれども、あわせてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  140. 木下博夫

    政府委員(木下博夫君) 二つの点について御質問があったと思います。  前半の部分、東京のことでございますけれども、先ほど大臣からもお話ございましたが、近々御提出させていただきたい新しい法案も含めてでございますが、やっぱりこの東京を含めて大都会というのは、大変ビジネスチャンスもございますし、文化的施設、あるいは消費、娯楽、そういうものについての関連の機会大変多いと思っております。ただ、私ども考えておりますと、今東京の中でいろいろ問題が出ておりますのは、やはり中心市街地がかなり弱っているといいますか、あるいは防災その他の点での危険性、あるいは土地の有効利用の点でのまだ不十分さ、いろいろ挙げておりますが、例えば職住近接の問題なども、これは東京という都会だけではございませんけれども、大都会の抱える悩みではなかろうかと思います。  そういう意味では、今回出させていただく課題は、いわゆる既成市街地の都市機能を新たに更新していき居住環境を改善したい、こういう姿勢の中でございますから、当然これからの東京のあり得べき姿の中にもそれを我々は入れていきたいと思います。もちろん既存のストックの活用ということも重要でございましょうけれども、それにあわせてこれからの新しい公共投資がむだのないようにということであろうと思います。  いずれにせよ、そうした多くの課題を持っております東京でございますが、ぜひ、今回出させていただいております、防災上の危険の多い木造密集地帯の解消とか、さらには慢性的な交通渋滞、この解消の、道路を含めた交通体系の整備というのは、大東京の問題であろうと思います。  もう一つ、話が長くなって恐縮でございますが、潤いということでございます。  これは、これから労働時間も大変短縮されてまいりますと、それぞれの生活時間、ライフスタイルも変わることは言うまでもないことでございますが、そのときに、果たして我々はゆとりのある生活ができる場があるのかということでございます。それは近くにあるいは遠くに、いろいろ種々あろうと思いますが、亀井大臣御就任いただきました直後でございますけれども、新しいグリーンプラン二〇〇〇というのを我々策定いたしました。それは、五年に一回つくりかえて今度平成年度からスタートいたします都市公園は、どちらかといえば施設面に配慮した、配慮といいますか重点を置きました計画でございますが、単にそういう施設だけの計画ではなくて、先ほどお話にございましたように、民間の方々のおうちの周りに生け垣をつくるとか、あるいは他の事業、例えば下水道、河川、こういうものが持っております潤い機能、そういうものをあわせて総合的に取り組んでいくということで、水と緑のネットワークというようなことも考えてやってまいりたいと思います。  いずれにせよ、大変財政的にも厳しい中でございますから、相互の事業がむだのない効率的なことによって潤いをつくり出していきたい、こう考えております。
  141. 橋本聖子

    ○橋本聖子君 ありがとうございました。  次に、地方都市等の中心市街地についてお伺いしたいと思います。  先ほど小川先生からもお話が出まして、私も北海道の出身なんですけれども、やはりよく目立ちますのが、大規模店舗等の郊外立地によりまして商業機能の低下、また人口の高齢化進展等によりまして空き店舗や空き地がかなり増加しております。私の目にはそのように映ります。実際にも本当にかなりの空き地が目立っているんですけれども、この地方都市における危機的状況を打開する施策といたしまして今進めていられるものがありましたら教えていただきたいと思います。
  142. 木下博夫

    政府委員(木下博夫君) 今の大都会の問題と並行して、地方都市の中心市街地の問題、我々も大変この問題難しいということで取り組みもなかなか、すぐに明快なお答えをするのができないのが大変残念でございます。  ちなみに、商工会議所が二年ばかり前、平成六年に調べた資料が手元にございますが、全国での商店街の空き店舗比率というのを商工会議所が調べました。それによりますと、全国平均で八・八%、九%ぐらいのお店が閉じておる。一番ひどいのは、具体的に申し上げるのは恐縮でございますが、例えば四国ブロックなどは全体の一四%を超える空き店舗があるということでございます。  我々も出張等で地方を旅をいたしますと、各地域でお話を聞きます、あるいは目で見ますのには、かつていろいろ元気のあった中心市街地が大変今弱っておるということでございます。これは中心市街地の御商売のあり方にもいろいろこれからの課題があろうかと思いますが、その辺を今我々としてどういう手でやるかということでございます。  大規模店舗が郊外立地していきますと当然中心市街地の商業機能が相対的に低下することは、これは否めないわけでございますが、もう一度その力を中心部に戻すためには、従来からありました例えばアーケードとか駐車場とか、そういうものを再度見直しすることによってハード面で整備をさせていただくということとか、それから、やはり人口構成からいきましても、お年寄りの方と若い方が一緒にお住まいいただくような住宅、あるいは住宅と店舗とが一緒になっていくというようなこと。一つ一つはささやかかもしれませんが、そういうようなものを含めて町の中心を活性化していきたいと思っております。  それから、他省庁にもぜひ呼びかけてまいりたいと思うのは、先ほど申し上げましたように、やはり中心部に社会福祉的な施設をつくっていくことも必要だと思いますし、意外と私が聞いてまいりますのは、例えば地元で興っております祭りというようなことによって大変町が、お互いに自分の町をよくわかり、あるいは知るということを我々は耳にするわけでございますから、そういう一つの町づくりの活性化のために祭りなどをその地域方々が守り立てていくというのも、これは直接都市施設の整備ではございませんけれども、都市政策の中には忘れてはならない仕掛けではなかろうかと思っております。
  143. 橋本聖子

    ○橋本聖子君 ありがとうございました。ぜひよろしくお願いいたします。  最後にもう一つ、地方都市についてお聞かせいただきたいと思います。  地方都市は都心部に比べますと高齢者の率も高いのが現状でございます。例えば私の地元、苫小牧市近郊なんですが、亀井大臣にも幾度か足を運んでいただきまして、もう御存じだと思いますけれども全国でも極めて質の高い特別老人ホーム、リハビリセンター等が建てられております。ですが、バブル期に建設されたというのもございまして、市内、市街といった中心地にはないのも事実です。  このような町で高齢社会に対応できる区画整理を推進されることも一つの案ではないかというふうに思うんですけれども、二十一世紀以降の我が国を見定めたときに、ぜひこのような、もう本当に急激に高齢化が進んでおります都市を、モデル都市といいますか、パイオニアシティーとは言わないかもしれないんですけれども、そのような形で充実をさせていただいて、ぜひこれから積極的に高齢社会に対応できる具体的な施策として、建物、道路等の空間づくりを地方でどんどん推進していただきまして、そこをモデルにしていただければいいんではないかなというふうに考えたんですけれども、ぜひ最後に大臣のこれからのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  144. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 橋本委員から、本当に私ども建設行政を担当する者にとりまして大変啓蒙を受けた、そうした御質問をいただきまして本当にありがとうございました。また、大変示唆に富んだ御質問をいただきました。  橋本委員の御質問全体から聞いてもおりまして、ただ単に道路をつくればいいとか橋をかければいいとか、あるいは河川を改修すればいいというものではないと。これは人間のためにあるわけでありますから、その点をやはり我々はしっかりと見極めて、高齢化社会対応する町というのはどういう町なのか、お年寄りに優しいあるいは障害者に優しい、そうした道というのはどういう道なのかと、そういうことを考えながら、ただ道路をつくればいいと、そういうことであってはならないと、このように私は思います。  今、コスト縮減の問題が言われておりますけれども、そういう意味で今まで以上にコストが高くなることも私はあっていいんじゃないか、このようにも逆に思うわけでございまして、今そうした面でのモデル都市等を制定したらどうかという、これも一つの私はすばらしいアイデアだと思います。やはり行政というのは一点突破をやりませんとなかなか全体に及んでまいらないということがあると思いますので、御提言等も建設省だけじゃなくて、政府全体の中で御検討させていただきたいと、このように思っております。
  145. 橋本聖子

    ○橋本聖子君 どうもありがとうございました。  貴重なお時間をいただきましてありがとうございました。これで終わらせていただきます。
  146. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時二十一分散会