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1997-09-03 第140回国会 参議院 決算委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年九月三日(水曜日)    午前十時開会     ―――――――――――――    委員異動  七月三十一日     辞任         補欠選任      岩瀬 良三君     山崎 順子君      福本 潤一君     加藤 修一君      奥村 展三君     水野 誠一君  九月二日     辞任         補欠選任      塩崎 恭久君     林  芳正君      山崎 順子君     阿曽田 清君      渡辺 孝男君     高野 博師君  九月三日     辞任         補欠選任      栗原 君子君     山口 哲夫君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         宮崎 秀樹君     理 事                 鎌田 要人君                 長峯  基君                 野沢 太三君                 猪熊 重二君                 海野 義孝君                 緒方 靖夫君     委 員                 岩井 國臣君                 大木  浩君                 景山俊太郎君                 上吉原一天君                 林  芳正君                 松村 龍二君                 守住 有信君                 吉川 芳男君                 阿曽田 清君                 加藤 修一君                 高野 博師君                 益田 洋介君                 山下 栄一君                 朝日 俊弘君                 萱野  茂君                 中尾 則幸君                 大脇 雅子君                 谷本  巍君                 水野 誠一君                 山口 哲夫君    国務大臣        農林水産大臣   藤本 孝雄君        運 輸 大 臣  古賀  誠君         ―――――        検  査  官  金子  晃君         ―――――    事務局側        常任委員会専門        員        貝田 泰雄君    説明員        科学技術庁研究        開発局長     青江  茂君        環境庁企画調整        局地球環境部長  浜中 裕徳君        環境庁自然保護        局長       丸山 晴男君        外務省アジア局        長        阿南 惟茂君        大蔵大臣官房審        議官       尾原 榮夫君        大蔵省主計局次        長        寺澤 辰麿君        農林水産省構造        改善局長     山本  徹君        農林水産省農産        園芸局長     高木  賢君        食糧庁長官    高木 勇樹君        林野庁長官    高橋  勲君        水産庁長官    嶌田 道夫君        運輸省運輸政策        局長       土井 勝二君        運輸省鉄道局長  小幡 政人君        運輸省自動車交        通局長      荒井 正吾君        運輸省海上交通        局長       岩村  敬君        運輸省海上技術        安全局長     山本  孝君        郵政省貯金局長  安岡 裕幸君        労働省労政局長  澤田陽太郎君        労働省労働基準        局長       伊藤 庄平君        建設省河川局長  尾田 栄章君        建設省道路局長  佐藤 信彦君        会計検査院事務        総局第三局長   大和 顕治君        会計検査院事務        総局第四局長   牛嶋 博久君        会計検査院事務        総局第五局長   小川 光吉君    参考人        農林漁業金融公        庫総裁      鶴岡 俊彦君        日本中央競馬会        理事長      浜口 義曠君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○平成七年度一般会計歳入歳出決算平成七年度 特別会計歳入歳出決算平成七年度国税収納金 整理資金受払計算書平成七年度政府関係機関 決算書内閣提出) ○平成七年度国有財産増減及び現在額総計算書  (内閣提出) ○平成七年度国有財産無償貸付状況計算書(内  閣提出)     ―――――――――――――
  2. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る七月三十一日、奥村展三君、岩瀬良三君及び福本潤一君が委員辞任され、その補欠として水野誠一君、山崎順子君及び加藤修一君が選任されました。  また、昨二日、塩崎恭久君、山崎順子君及び渡辺孝男君が委員辞任され、その補欠として林芳正君、阿曽田清君及び高野博師君が選任されました。  また、本日、栗原君子君が委員辞任され、その補欠として山口哲夫君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) この際、検査官金子晃君から発言を求められておりますので、これを許します。検査官金子晃君。
  4. 金子晃

    検査官金子晃君) 八月一日付で会計検査院検査官に就任いたしました金子でございます。  規制緩和行政改革が進む中でますます会計検査院の役割が重要になり、また国民期待も大きくなってきていると存じております。  微力ではございますけれども職務遂行に努力する所存でございますので、今後ともよろしくお願いをいたします。     ―――――――――――――
  5. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 平成七年度決算外二件を議題といたします。  本日は、農林水産省運輸省及び農林漁業金融公庫決算について審査を行います。     ―――――――――――――
  6. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これら決算概要説明及び決算検査概要説明の聴取は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  速記をとめてください。    〔速記中止
  8. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 速記を起こしてください。     ―――――――――――――
  9. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 野沢太三

    野沢太三君 まず最初に、国鉄長期債務について運輸省に質問をいたします。  国鉄改革から十年を経過し、残されました最重要課題国鉄清算事業団の抱える長期債務処理であります。当初三十七兆を超える債務JR各社清算事業団に振り分けまして、二十五・五兆円が清算事業団に残されました。この債務処理方策としては、土地処分等自主財源を充ててもなお残る債務等については最終的に国において処理するとの方針改革の当初から再三にわたる閣議決定として確認され、また国会審議で承認をされているところでございます。  清算事業団債務は、この十年間に事業団の努力にもかかわらず累増しまして、平成九年度年初においては二十八・一兆に達しておるところでございます。しかし、国鉄改革仕上げを行うためにも、あるいはこれから取り組む財政構造改革を進める上でも、もはやこの問題の先送りは許されないと考えるものでございますが、今回の概算要求提案されました本格的処理方針の基本的な考え方はいかがなものであるか、大臣の御説明をいただきたいと思います。
  11. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 先生御案内のとおり、また御指摘をいただきましたように、運輸省といたしましては、国鉄長期債務の本格的な処理といいますのは、昭和六十二年四月一日に実施されました国鉄改革のいわば総仕上げという意味で、まさに避けて通れない重要な課題であるという認識をいたしております。  国鉄清算事業団に残ります土地等資産が大変乏しくなっている状況下にございます。今、具体的に先生から御指摘をいただいたとおりでございまして、まことに遺憾でございますが、事業団がその自主財源によって国鉄長期債務処理を行うという現行のスキームにおきましてはもう既に破綻をしている、こういう状況下にあるわけでございます。  このため、国鉄長期債務を国の債務といたしまして位置づけ、国においてその本格的な処理を早急に実施する必要がある、そういう観点に立ちまして、そのことを基本といたします具体的な処理案に基づきまして平成十年度の概算要求を行ったところでございます。ぜひひとつ御理解をいただきたいというふうに思います。
  12. 野沢太三

    野沢太三君 今回のスキームを見ますと、いわゆる清算事業団の抱えておった形から国の特別会計にこれをはっきりと位置づける、こういう処理をしておられますが、この理由あるいは意義についてはいかがなものでしょうか。
  13. 小幡政人

    説明員小幡政人君) 今回の国鉄長期債務本格的処理を実施するための具体的な処理案におきまして特別会計を設置することとしておりますが、その理由は、国鉄長期債務を国の債務として明確に位置づけるとともに、その状況国民に明らかにし、その着実な処理を確保することが適当であろうということで特別会計を設置することとした要求をさせていただいているところでございます。
  14. 野沢太三

    野沢太三君 本来ならば、十年前の改革時点でこれをやっておけばその後の利息累増等は起こらなかった、こう考えるわけでございます。隠れ借金などという言い方がございますが、これは隠れどころか、国会で審議し、法律までつくって処理をしてきたものでございますから、今回はこれをまさにしっかりと国の責任処理をする、こういうことにしていただいたことはまことに必然的であろうと思うわけでございます。  その中身でございますが、有利子債務とそれから元本の償還中身を二つに分けて考えられると思います。これに国債を充当して国債費から繰り入れるということで組み立てておられますが、これの意義並びに理由等についての御説明をお願いしたいと思います。
  15. 小幡政人

    説明員小幡政人君) 国鉄長期債務本格的処理に当たりまして、運輸省といたしましては、国鉄長期債務を国の債務として明確に位置づけて処理を行うことが必要であるという認識に基づきまして今回の概算要求を行ったところでございます。  国の債務として位置づける以上、この処理のために必要な償還利払い等のための国の支出はまさに国債費でございますので、そのための要求を行ったところでございます。
  16. 野沢太三

    野沢太三君 また、この中で年金関係費用借金の中に含まれておるわけでございますが、年金については将来債務という性格があるわけでございます。この将来債務現時点国債費に割り戻して考えるということになろうかと思いますが、年金は御承知のとおり物価の変動その他で変動していく要素がございますが、今回の再計算によります処理の際にこういった変動要因をどう考え、どう処理するつもりなのか。また、現在、事業団負担しております年金の一部をJR負担としたらどうかというような話が新聞等でも伝えられております。  これにつきまして、まず運輸省、それから続いて大蔵省のお考えを聞きたいと思います。
  17. 小幡政人

    説明員小幡政人君) 国鉄長期債務本格的処理を行うための具体的処理案提出に当たりまして、運輸省といたしましては国鉄長期債務を国において処理するための概算要求を行ったところでございますが、国鉄共済年金追加費用などの支払いにつきましては、かつての国鉄職員事業主でございます国鉄地位に基づく義務でございますので、その義務自体国鉄地位を引き継ぐものとして日本鉄道建設公団に承継させるとともに、その支払いを確実たらしめるために、国鉄長期債務負担者でございます国はその費用支払いに見合う債務年金関係債務として負うこととしたところでございます。  しかしながら、この年金支払いは将来的に支払いを行っていくものでございますので、御指摘のように、現時点における支払い額の予測と実際の支払い額との間で乖離が発生することが見込まれます。このため、今回、運輸省といたしましては、特別会計日本鉄道建設公団との間に設定される年金関係債務に係る利子支払いを調整することによりましてその乖離をなくすこととして概算要求を行わさせていただいているところでございます。
  18. 寺澤辰麿

    説明員寺澤辰麿君) 国鉄長期債務につきましては、先般、閣議決定されました「財政構造改革の推進について」におきまして、財政構造改革を実現していくためには本問題を本格的に処理することが不可欠であるとの認識のもとで、将来世代へ負担を先送りするという形での安易な処理を回避するため、国民理解納得が得られるよう、あらゆる方策につき個別具体的に検討を行うこととされたところでございます。  財政当局といたしましては、国鉄長期債務処理に当たりましては、この閣議決定趣旨に沿いまして、一切の聖域を設けずあらゆる方策を個別具体的に検討を行うこととなると考えております。
  19. 野沢太三

    野沢太三君 あらゆる選択肢、これは我々もそのとおりやってきたわけですし、これからもやらなければならぬ課題であろうかと思いますが、年金につきましては、昨年の通常国会におきまして厚生年金法の一部改正ということで統合一元化の第一歩が実現したということであります。その際に、国鉄の負うべき部分については国である事業団がこれを引き受ける、まさに国でやるということが位置づけられているわけでございますが、この点については十分な配慮を今後の議論の中でひとつ進めていただきたいと思うわけであります。  次に、借金中身を見ると、高金利財投借入金が相当入っておりまして、この金利軽減措置が大変有効であるという議論がこれまでもございました。その際に、資金運用部に預託する際に生ずる郵便貯金の利ざやから発生いたしました積立金の一部が、現在四兆円に達する額として相当あると伺っておりますが、この一部を財政再建期間程度緊急避難措置として活用することは考えられないのか、これについて郵政省きょうお見えですか。
  20. 安岡裕幸

    説明員安岡裕幸君) 郵便貯金事業は税金の補助を受けない独立採算事業でございまして、黒字のときにはこれを積立金に積み立てまして、また赤字のときにはこの積立金を取りまして不足を補うか、なお不足する場合にはみずからの責任資金運用部借入金措置する以外には道がない、こういう仕組みになっているところでございます。したがいまして、このような積立金を本来負担すべき理由のない旧国鉄債務処理に充てることはできない、このように考えているところでございます。  また、郵便貯金積立金は、本来、金利支払いという預金者への約束を確実に果たしていくためのいわば支払い準備資金でございまして、これを国鉄債務処理に充てることは郵便貯金預金者にツケを回すということでもございまして、国民からの理解も得られないものと、このように考えております。
  21. 野沢太三

    野沢太三君 郵政のお立場からすればそのようなお話になろうかと思いますが、この事業団の、いただきました十年間の財投融資、さらにはそれにさかのぼる国鉄時代融資を通して相当な額の利息を、財投仕組みを通してお返ししておるわけでありますが、こういった緊急事態におきましてはそこを何とかひとつ御協力いただけないものかと思うわけであります。  財投仕組み関係しておりますので、大蔵省の御意見をひとつ伺いたいと思います。
  22. 寺澤辰麿

    説明員寺澤辰麿君) ただいま御指摘をされましたような議論につきましては私どもも承知しているところでございますが、この検討に当たりましては、先ほども申し上げましたけれども閣議決定趣旨に沿いまして、処理策について各方面からいろいろな提案処理案についての提案がなされておりますことを一切聖域を設けないで今後具体的に検討を行っていきたいと考えております。
  23. 野沢太三

    野沢太三君 ぜひそのような検討を進めた上で、これもまた国民皆様の御理解、御納得が必要な事柄でありますから、合理的な結論がいただけるよう期待をいたしておるわけであります。  それから、来年以降、償還期限が参ります。その約定の借金が大変集中するわけであります。約五年間、大体四兆から三兆くらいの返済をせねばならない。この部分についてはどうしても借りかえが必要ではないかと思うわけですが、この際、税制上の特典をつけました無利子国債の発行を行いまして、これを先へ送りながらなだらかな処理を行うということが関係いたしました学者あるいは識者等からも提案をされているわけでございますが、これに関する可能性についてはいかがなものでしょうか、大蔵省
  24. 尾原榮夫

    説明員尾原榮夫君) お答え申し上げます。  国鉄債務処理のためにいろんな税目で税制上の特典をつけた無利子国債を発行してはどうかという御提案が出されていることは承知しているところでございますが、税制上の特典をつけた無利子国債といいますと、利払い費といった形での一般会計負担はございませんが、一般会計税収の減少という形で実質的に一般会計利子負担することになるわけでございます。  現実に、じゃ無利子国債を購入する人はどういう方かと言われますと、失われる利子収入よりも税制上のメリットが大きい方ということになろうと思われますので、結局、財政負担はむしろ拡大するのではないかというふうに考えられるわけでございます。  それから次に、このような国債を買われる方はどうしても資産家高額所得者という方になろうと思われますので、課税の公平上の問題をどう考えるか、さらに、流通市場での混乱を来さないかという問題があるというふうに認識しているわけでございまして、この御提案が相当難しい問題ではないかと認識しているところでございます。
  25. 野沢太三

    野沢太三君 御指摘のような、過去、国際的にもあるいは歴史的にも問題があったということも私ども伺っておりますけれども、例えば相続税にしてみましても、これはやはり資産を持っている方々が何とかこれを保全したいというお気持ちがあり、過去の歴史を見ても、明治の華族等に支給された債券で鉄道建設の大数が実現できたという歴史的な事実もこれあり、十分検討に値するのではないか。また、これによって過剰流動が起こって税収が減るということであるならば、例えば一回限りというような制限をつけるということも一つの方法として検討可能ではないかと思いますし、あるいは法人税所得税等所得控除というような形であれば比較的これが穏健に取り扱われる可能性検討できるわけでありますので、一概に否定しないで、先ほどから皆さんおっしゃっているとおり、選択肢一つとして十分これは検討に値すると我々は考えておりますので、この点は引き続き御検討をお願いいたしたい。  それから、もう一つの問題として、整備新幹線特定財源になっております新幹線買い取り代金、いわゆる簿価再々評価一・一兆円の六十年償還分の一部を債務返済に回そうというような報道がなされております。これについてはいかがでしょうか。
  26. 寺澤辰麿

    説明員寺澤辰麿君) 先ほどお答えしたことと同じで恐縮でございますが、そのような御提案につきましても、私どもといたしましては一つ方策として今後個別具体的に検討していく中に入り得ると考えております。
  27. 野沢太三

    野沢太三君 簡単に言われても困るんですが、昨年の暮れに大蔵省も同意した上で政府・与党の合意ができているわけですね。しかも、それに基ついて先国会におきましては整備法の一部改正ということで新しい財源スキームを組み立てておるわけです。それを今すぐ突きますようなことでは困るということだけをはっきり御指摘申し上げておきたいと思います。  次に、この事業団整理しまして、職員をどちらか可能な限りお受けいただけるところへお世話をせねばならない、その転職対策が問題であろうかと思います。  国鉄改革の当初におきましても七万を超える職員皆様お世話をしたわけでございますが、その際、中曽根総理は一人たりとも路頭に迷わせないということをはっきり明言していただき、皆さんそれぞれの道に励んで今日に来ておるわけでございます。この職員転職対策こそ今喫緊の課題であろうと思いますが、これについてはどうなっておるでしょうか。運輸省お願いします。
  28. 小幡政人

    説明員小幡政人君) 清算事業団につきましては、平成七年二月の閣議決定に加えまして、平成八年十二月の閣議決定におきまして、国鉄長期債務等本格的処理平成十年度より実施し、平成九年中にその成案を得ることとされるとともに、本格的処理を実施した上で速やかに事業団整理する方向で再就職対策平成九年度より開始することとされております。この閣議決定を受けまして、現在、JR各社運輸省所管特殊法人、各省庁、地方公共団体等に対しまして事業団職員の採用を要請しているところでございます。  今回の概算要求では、国鉄長期債務整理特別会計を設置するとともに、事業団平成十年度内に整理することとしたところでございまして、整理に当たっては事業団職員全員の雇用の安定確保が図られるよう、関係方面の協力も得ながら再就職対策に最大限努力してまいりたいと考えております。
  29. 野沢太三

    野沢太三君 清算事業団にはまだ相当な仕事が残っておるわけでございます。売れていない土地もございますし、裁判、訴訟その他も継続しておる。そういったことの中で、この残る業務権利義務を継承する法人として日本鉄道建設公団を今回指定しておりますが、その理由についてはいかがなものでしょうか。
  30. 小幡政人

    説明員小幡政人君) 運輸省といたしましては、国鉄清算事業団の残る業務に関しましては、引き続き鉄道行政の一環として実施していく必要があると考えておりますが、鉄道分野のみを対象業務とする既存の特殊法人といたしましては、日本鉄道建設公団が唯一の法人となりますため同公団に承継させることとしたものでございます。
  31. 野沢太三

    野沢太三君 確かに、土地処理あるいは経理の扱い、さらには技術的な判断を含めて大変な有能な集団であるということがよくわかりますが、これに対して事業団が円滑にこの業務が引き継げるようなさまざまな措置手当て等について御配慮をお願いしたいと思うわけであります。  そこで、この新しい特殊法人業務として残るものは何があるのか、もう一度ここではっきりひとつおっしゃっていただきたいということと、発足の時点を十年の十月一日からとしたのはどのような見通しからでございましょうか。
  32. 小幡政人

    説明員小幡政人君) 国鉄清算事業団から日本鉄道建設公団に承継されます業務は、土地JR株式処分に関する業務年金支払いに関する業務土地権利義務関係訴訟に関する業務など、現在事業団が行っている業務のうち、債務償還業務を除きました業務を考えてございます。  なお、資産処分を初めとする大半の業務は、数年のうちに大幅に減少するものと考えております。  次に、二点目の本格的処理の開始時期を平成十年十月一日とさせていただきました理由でございますけれども国鉄長期債務本格的処理は、平成十年度より実施することが閣議決定されております。また、できる限り早期に実施することが必要でございます。しかしながら、その実施のためには、国会での御審議を経て関連の法律が制定されるとともに、法律制定後、関係法令を制定したり、国鉄清算事業団の膨大な権利義務の承継等を確実かつ円滑に実施する必要がございます。このため、運輸省といたしましては、これらの事項を考慮いたしまして、最も早い実施時期として平成十年の十月一日に実施することとしたものでございます。
  33. 野沢太三

    野沢太三君 そこで、じゃこれから残っている仕事がどのようにあるか、あるいはお金がどの程度あるかという課題になるんですが、差し当たって自主財源償還できる見通しがどの程度かということが非常に重要になるわけでございます。残っております土地がどのくらいの面積、金額に達するか。あるいは株式が何株ぐらいまだ処理できるものがあるのか、その見込みの金額はどの程度であるか、その処分の時期はどうであるか。現時点でおわかりの範囲で結構でございますが、お答えいただきたいと思います。
  34. 小幡政人

    説明員小幡政人君) 平成九年度首現在におきまして、国鉄清算事業団の保有する土地は約二千四百ヘクタールでございます。平成九年度におきまして、これが予算で計上してございます、七千五百億でございますが、とおり処分できれば、都市計画事業が終了していないものや訴訟中のものなど特段の事情のあるため売却できないものを除きまして、事業団用地の大半について処分が終了すると考えております。  この結果、十年度以降の土地処分収入につきましては、一定の前提を置いた本年三月時点での試算によりますと、四千億から六千億程度と見込まれてございます。  次に、JR株式についてでございますが、現在五百三十二万株を事業団において保有しておりまして、本年度中に予算どおり二百万株の売却を行った場合の平成十年度現在の売却収入見込み額は、同様に八千億から一兆六千億と試算されてございます。  今年度は、JR東海株式百五十万株について十月八日の上場を目指して売却手続を進めているところでございますし、またJR東日本株式につきましては、去る七月、売却に当たる主幹事会社の選定を行ったところでございます。  JR東日本株式を含めました今後の七社株式売却の具体的日程等は現在のところまだ未定でございますが、今後の各社の経営基盤の確立の状況、株式市場の動向等を勘案しつつ、早期売却に向けて調整を進めてまいりたいと考えております。  いずれにせよ、鉄道整備基金債権を含む事業団資産が総額四兆五千億から五兆五千億にとどまるものと試算されている状況におきましては、事業団がその自主財源によりまして国鉄長期債務処理を行うという現行のスキームは既に破綻していると考えており、このような認識のもとで、今般長期債務本格的処理平成十年度より実施するための概算要求を行っているところでございます。
  35. 野沢太三

    野沢太三君 それらを合計しますと、どうしても二十八兆から差し引いて考えたとき二十三兆前後の国民負担が残る。こういうことになりますと、この財源を国債として返していくという基本スキームの中で何らかの財源をやはり手当てするということがどうしても期待されるわけであります。  これに関して、例えば交通関係全体でこれをひとしく分かち合うというような税制、さらには現在行われております特定財源の運用、転用の問題、さらには大きく言えば今後消費税改定等の場面でその一部として改定をする等、さまざまな方策が考えられるわけでございますが、こういった債務償還として新しい税制を考えるということはいかがなものかと思いますが、まず運輸省のお考えを聞いて、あと大蔵省ひとつ御答弁をお願いします。
  36. 小幡政人

    説明員小幡政人君) 運輸省といたしましては、今回の国鉄長期債務本格的処理を実施するための平成十年度概算要求案の策定に当たりましては、新税の導入は一切念頭に置いてございません。  なお、国鉄長期債務処理財源の問題につきましては、与党における検討の場におきまして引き続き検討が行われているところでございます。今後とも、これらの検討等を踏まえまして、引き続き調整することといたしております。
  37. 寺澤辰麿

    説明員寺澤辰麿君) 先ほど申し上げました六月三日に閣議決定されました「財政構造改革の推進について」の中で、「与党内において進められている検討では、これまで以下の方策が掲げられている。」として、その中には、「鉄道利用税等の形によるJR利用者の負担」、「揮発油税等道路財源の活用」等々、税にかかわるものもございまして、「これらを含むあらゆる方策につき個別具体的に検討を行い「平成九年中に成案を得る」こととする。」となっているわけでございます。  繰り返しになりますが、こういう考え方に従いまして、一切の聖域を設けず、今後具体的に検討を行うこととなると考えております。
  38. 野沢太三

    野沢太三君 税制ということになりますと、これは今私どもが支えております橋本内閣の大方針とも関係が出てくるわけであります。特に今回出しましたこの運輸省の方式は、まさに抜本策として大変これは重要な位置づけになろうかと思うわけですが、財政構造改革の五原則が先般打ち出されておるわけでありまして、二〇〇三年までにはとにかく財政の赤字を対GDP比三%以内、あるいは赤字国債発行ゼロ、こんな方針を打ち出しておりますが、こういった方針に照らしてこのスキームはどのような評価ができるのか、これは大蔵にお伺いしたいと思います。
  39. 寺澤辰麿

    説明員寺澤辰麿君) 要求段階の運輸省案では、先ほど運輸省からも答弁がありましたが、新たな具体的財源等が示されておりませんで、今後の与党における検討等を踏まえ引き続き調整する  こととされておるわけでございます。  この問題につきましては、先ほども申し上げましたように、「財政構造改革の推進について」の趣旨に沿って今後具体的に検討を進めるわけでございますが、この問題が適切に処理されず、将来世代への負担の単なる先送りとなるということになりますと、財政構造改革、ひいては財政健全化目標達成の支障になるとも考えられますので、今後予算編成過程におきまして、先ほど申し上げました閣議決定趣旨を踏まえ検討を進めていくこととしたいと考えております。
  40. 野沢太三

    野沢太三君 我が党の国鉄長期債務問題特別委員会におきましても、税による方策については大変これは問題があるということは指摘をされておるわけでございますが、しかしこれを避けて通れないとすれば、今後の税制改革の中で何としても御検討いただいた上で処置をするということがある段階では必要になるんではないか。大変長期的な課題でもございますので、この点はひとつ今後の御検討にまっということであろうかと思いますが、喫緊の、来年の課題にはこれは間に合わないということでありますので、その点を含んで年末までにしっかり結論を出していただきたい。  もしもこれが気に入らないというなら、本来この問題は財政の問題であると私は考えます。交通の問題ではもう既になくなっておるわけでありますから、大蔵省から対案をひとつ新たに御提案をいただきたい、かように思うわけであります。  ところで、このスキームにおきまして九年度首における債務二十八・一兆が何年かかれば解消できるのか、これについての見通しをお伺いしたいと思います。
  41. 小幡政人

    説明員小幡政人君) 国鉄長期債務は、年金関係債務を含めました有利子債務だけでも約十九兆五千億に上るものと見込まれておりまして、各年度における財政負担額を軽減するためには長期間をかけて処理せざるを得ないものと考えております。  国鉄長期債務は、もともと昭和六十一年度末まで国営事業として存在いたしました日本国有鉄道が生んだ毎年度の赤字から発生した債務であり、昭和六十二年四月一日に実施されました国鉄改革は、国策としてこのような国鉄長期債務処理に着手することとしたものでございます。このように国鉄長期債務問題の起算点は国鉄改革でございまして、国の債務でございますいわゆる国債が原則として六十年で処理されることを考慮すれば、国鉄長期債務につきましても国鉄改革後六十年以内、すなわち改革後十年が経過した現時点から見れば今後五十年以内には国鉄長期債務処理を終えることが適当であると考えておりまして、今回の運輸省概算要求案では、年金関係債務を含めた有利子債務につきましては、平成十年度以降おおむね五十年程度で完了するものでございます。
  42. 野沢太三

    野沢太三君 戦後五十年かかって発生してきた債務でありますから、五十年でこれを返すということについては、大変これは後年度の皆様には申しわけないことではございますけれども、やむを得ないのかなと思うわけでありますが、できる限りこれを早期に解消していくという努力を引き続き続けていただきたいと御要望を申し上げるわけでございます。  このスキームを実行するについては、一にかかってやっぱり政府側の大きなこれは決意と実行力が必要であろうかと思いますが、大臣、この決意表明をひとつお願いしたいと思います。
  43. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 限られた時間の中で国鉄長期債務処理策について今御論議をいただいているわけでございますが、御論議をいただけばいただくほど、この本格的な処理がもはや先送りのできない重要な問題であるということを強く認識するわけでございます。そういうことを踏まえまして、運輸省といたしましては平成十年度の概算要求を今次行わせていただいたところでございます。  今後とも、今回提示いたしております国鉄長期債務の具体的な処理案につきましては、当然のことでございますが、幅広い国民の御論議を経た上で、年末までに政府といたしまして最終的な処理方策を作成できますように最大限の努力をしてまいりたい、このように決意をいたしているところでございます。
  44. 野沢太三

    野沢太三君 よろしくお願い申し上げます。  次に、国鉄と同様に赤字で大変困っております国有林野事業の問題について農林水産省に御質問を申し上げたいと思います。  森林機能というものは、林産物の生産という一つの目標以外にも、国土保全、水資源酒養、あるいは環境対策等のために極めて大切なものと昨今ますますその重要性が言われてきておるわけでございますが、この森林を十分管理し、さらに今後循環可能な、再生利用ができるという状況にするためには相当な工夫が必要ではないかと思うわけでございます。  我が国の森林事業は、民間では担い手が不足したり、あるいは国有事業においては赤字の累積で大変困っているという状況になっておるわけでございます。特に国有林野事業が三・五兆というような大きな債務を抱えて深刻な事態になっておるわけでございます。  今回概算要求で示されましたこの債務の解消を含めまして、国有林野事業の現状あるいは今後果たすべき役割、そして抜本改革の方向をどうお考えになるか、大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  45. 藤本孝雄

    国務大臣(藤本孝雄君) 国有林野事業につきましては、今、委員指摘のように累積債務が三兆五千億円余になっておりまして、財務状況は極めて厳しい状態でございます。このため、平成十年度の概算要求におきましては、森林整備の考え方を転換いたしまして、まず公益的機能を重視する、このような森林整備への考え方に転換しようといたしておりますし、また組織、要員の徹底した合理化、さらに独立採算制の見直し、累積債務本格的処理などを柱とした抜本的改革を行う考えでございまして、必要な財政措置要求したところでございます。  今後、関係省庁との密接な連携のもとに、国有林野事業の抜本的改革の実現に全力を挙げて取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  46. 野沢太三

    野沢太三君 木を切って売るというような前提のもとに組み立てられた制度が行き詰まっていることは明白でありますが、さはさりながら、やはり民間の持つ能力を活用して採算の乗る仕事は進める、しかし公益的な点については国の責任でこれを処理するということでありますが、民間に任せる分野と公的主体が担うべき分野はどのようにお考えか。これは林野庁からお伺いしましょうか。
  47. 高橋勲

    説明員(高橋勲君) 国有林野事業のあり方につきまして林政審議会に御論議いただいたわけでありますが、去る七月九日にその中間報告をいただいておりまして、今御指摘の民間にゆだねる分野と公的主体の担う分野につきましては、森林の公益的機能の一層の発揮を担保するという観点から基本的には国が責任を持って国有林を管理運営することが適当であり、国の業務は保全管理、森林計画、治山等の業務としまして、事業の実施は全面的に民間に委託することが必要というふうに提言されております。  林野庁といたしましても、この提言を踏まえまして、今後の国有林の管理運営につきましては、木材生産重視から公益的機能重視に転換するとともに、国の業務を保全管理、森林計画、治山等の業務に限定しまして、造林とか丸太生産、こういう事業の実施は全面的に民間に委託するということとしております。
  48. 野沢太三

    野沢太三君 国の業務の見直しということがどうしても出てくるわけでありますが、我が党でもこの点につきましては林政調査会あるいは国有林野問題小委員会を設けて検討を進めてきたわけであります。  この結果、必要になります組織、要員の合理化の内容及びその雇用対策はどのようにお考えか、伺いたいと思います。
  49. 高橋勲

    説明員(高橋勲君) 先ほど大臣から御答弁いただきましたように、抜本的な改革ということで、組織、要員につきましては国有林の使命を果たし得る最小限の簡素かつ効率的なものとすることといたしまして、まず組織につきましては、本庁組織のうちで現在国有林野事業を所管する管理部、業務部の二部がございますが、それを国有林部として一部に統合します。それから、営林局、支局を含めて十四局ありますけれども、それを七つのブロック単位の組織、仮称でありますが森林管理局に再編したいと思っております。それから、営林署は二百六十四署がありますけれども、これを九十八の流域単位の組織に再編することを考えております。  それから、要員につきましては、平成八年度末一万五千人おりますが、将来目標として平成十五年度末には三分の一程度に縮減することを基本方針としまして、平成十年度の概算要求提出したところでございます。この点につきましては、要員等の問題で労働組合とも引き続き話し合いを行いながら進めていきたいと思っておるわけであります。  この要員の縮減を進めていくためには、省庁間の配置転換あるいは定年前退職の促進等が必要であると考えておりまして、造林等の事業の全面的な民間委託を推進しつつ、定年前退職者の新たな受け皿についても検討したいと考えております。
  50. 野沢太三

    野沢太三君 一万五千人からの職員の方を三分の一程度にということであると、一万人からの皆さんが愛する職場を離れなければならない大変厳しい内容と思うわけであります。退職不補充というようななだらかなやり方でやっていたのでは時間的にも恐らく間に合わないだろうと思うわけであります。  とすると、どうしてもやはり他の職場へ移っていただく、こういう必要が出てこようかと思いますが、例えば同様の仕事をしております地方自治体への移管、これは地方分権という面からしても大事であろうと思います。森林業務並びに森林の土地を含め、仕事も含めて人も一緒に地方自治体へ移管していくということはいかがなものかと思いますが、いかがでしょうか。
  51. 高橋勲

    説明員(高橋勲君) 地方自治体に職員を移管するということも一つの方法でございます。これまでも地方自治体の協力を得ながら職員を出向させておりますが、基本的には地方自治にかかわる問題でございまして、また地方自治体も行政改革推進の見地からスリム化を進めていることでございます。また、職員の処遇や身分に大きな影響をもたらすものでもあるということから、今まで以上の措置を講ずることについては慎重な検討が必要であるというふうに思っております。
  52. 野沢太三

    野沢太三君 そこで、現在、林野関係の会計制度の中で収支が一体どうなっているのか、累積債務の合計は三・五兆というふうに先ほど伺っておるわけですけれども、一体これをどのように処理していくのかを含めまして、また会計制度の見直しをどのようにするか、一括してお伺いをいたします。長官よろしくお願いします。
  53. 高橋勲

    説明員(高橋勲君) これまでも昭和五十三年から経営改善を進めてきておりまして、現在は平成三年に策定した改善計画に即しまして、要員、規模の縮小、組織機構の簡素化等の自主的努力、それから一般会計からの繰り入れ等の財政措置を講じてきたわけでありますが、木材価格の低迷とか伐採量の減少というふうなことから林産物の収入も大幅に落ちまして、平成八年度におきましては自己収入が千七百六十七億円となっておりまして、これに対しまして支出額総額が五千五百五十五億円となっております。この結果、債務残高が平成八年度末には三兆五千億に達しているわけでございます。  それにつきまして、このままではやはりやっていくことは難しいということで、現在、独立採算による企業特別会計制度、木材収入によってすべてを賄うという制度で実際実行しておるわけでありますが、先ほど申し上げた林政審議会の中間報告におきましても、もうこの制度は見直す必要があるのではないかということで、今回の概算要求におきましては、この企業特別会計制度を見直して、廃止して、新しく一般会計繰り入れを前提とした特別会計制度に平成十一年一月、平成十年度の第四・四半期から移行するための所要の措置を講じていくという考えでございます。  そのときに累積債務処理ということが問題になるわけでありますが、平成十年十二月末、新しい体制に移るまでには現在の三・五兆の累積債務が三・八兆円となる見込みでございます。  これを本格的に処理することが必要不可欠ということで概算要求を行っておるわけでありますが、その内容につきましては、平成十一年一月の新しい体制に移行後三十五年間において、土地の売り払いあるいは林産物収入等から生ずる剰余金によりまして返済可能な五千億円の債務については国有林野事業特別会計負担しまして、一般会計からの利子補給等によって債務の累増を防ぎながら返済することとしております。  そして、その五千億を超える三・三兆円の債務につきましては一般会計に承継し、国債費で元利償還することとし、これらの措置に加えてさらに、新体制移行後三十六年から五十年までの間において林産物収入から生ずる剰余金によりまして支払い可能な五千億を逆に一般会計に繰り入れするというスキームを考えております。
  54. 野沢太三

    野沢太三君 日本の森林は非常に緑豊かということでありますが、よく見ると利用可能な部分が既に相当切り尽くされてきておるわけであります。しかし、何としてもこれを再生し、活用し、子孫の皆様に美しい森林が残っていくように、こういう趣旨で今後の林野事業の組み立てをぜひやっていただきたい。そして、ここでこの問題を避けて通れば、必ずそのまたツケが後へ残るということであります。どんなにぐあいが悪くても、もう先送りをしないということがこの際一番大事ではないかと思うわけでございます。  そこで、これは財政当局にもぜひお伺いしたいんですが、森林整備の方針の転換に伴います新たな財政措置としてどのようなお考えで臨まれるのか、ひとつ御意見を伺いたいと思います。まず林野庁。
  55. 高橋勲

    説明員(高橋勲君) 森林整備の方針を木材生産機能から公益的機能重視、国土保全、環境保全というところを重要視する方向に転換を行いたいわけでございまして、そのために必要な業務を確実に実施していくために、平成十年度の概算要求におきましては、独立採算制を前提とした企業特別会計を廃止して一般会計繰り入れを前提とした会計制度に移行したいと考えております。  その中で、公益林においてその適切な管理のため、保全管理、森林計画等の業務の実施に要する経費に対し一般会計からの繰り入れ、それから水路保全、水源酒養とか国土保全を重視する森林において、複層林施業、長伐期施業等の森林整備の実施にかかわる経費に対して一般会計からの繰り入れの拡充、従来は二分の一の助成でありましたが、それを三分の二に拡充していただくということを要求しているところでございます。
  56. 野沢太三

    野沢太三君 どうしてもやはりここは一般会計からの繰り入れというものが不可欠であるということが言われておるわけでございます。この考え方に沿って行われております今回の概算要求に対して、大蔵省はどのようにお考えですか。
  57. 寺澤辰麿

    説明員寺澤辰麿君) 財政当局といたしましては、「財政構造改革の推進について」の閣議決定を踏まえますとともに、林野事業についてきちっとしたリストラが行われることになっているのか、累積債務処理について将来世代への負担の先送りとなっているのではないか等の観点から、要求内容を今後十分検討していくこととしたいと考えております。
  58. 野沢太三

    野沢太三君 一般会計からというだけではやっぱり芸がないということも一つ議論としてあるわけでありまして、これまで我が党の中における議論でも、例えば水道料金に上乗せをして、その費用を一部充当したらどうかという議論もございますし、あるいは水源税というような形で新しい税制を考えたらどうか、こういった議論もございます。また、もう一部の市町村では相当広範に運動を続けておりますが、森林交付税という形で森林に対する交付税の措置をしていただく、その中で森林の管理保全、担い手の育成、そして将来にわたる環境の確保、こういった新しい財源を考慮することが大変有効ではないかという指摘、動きがございます。これについてどうでしょうか。まず林野庁、ひとつお願いします。
  59. 高橋勲

    説明員(高橋勲君) 確かに、森林交付税構想というふうなものがございまして、現在の地方交付税とは別建てで、森林面積等に応じまして市町村に交付する交付金を創設したいというふうに聞いております。私ども、地方財政措置を含む多様な支援措置、これは必要な望ましいことと考えておりまして、平成五年度以来、自治省、国土庁と連携いたしまして、ふるさと林道の整備でありますとか担い手確保のための基金の設置などの森林林業に対する地方財政措置を拡充強化しているわけでございます。こういう中で、森林交付税という形での支援措置を講じることにつきましては、財源とか使途の面でまだ慎重な検討を要するのではないかというふうに思っております。  また、上流、下流の受益者負担という考え方では、林業関係者等の森林整備に対する努力に加えまして、確かに下流の受益者が上流域の森林整備の費用負担するということが重要であるというふうに思っております。現在でも都市住民などによる分収林制度、あるいは上流と下流の地方自治体が森林整備協定を結ぶ、あるいは緑の募金というふうな活動を通じての森林の整備、そういう諸施策を講じてきておるわけでありますが、下流域の受益者による基金の設立あるいは水道料金への上乗せによる費用負担で行う事例というものも見られているわけであります。  こういうことで、森林の持つ多面的な機能の重要性にかんがみまして、下流域の受益者を初め広く国民理解と協力のもとに森林の整備が進められていくように努めていきたいと思っております。
  60. 野沢太三

    野沢太三君 この問題も、大蔵省は受けて立つ側とは思いますが、何としてもやはり財政の問題としてしっかり受けとめていただきたい、これは御要請だけ申し上げておきます。  この問題に対して、やはり農水省としてしっかり取り組んでいただくことが何よりもの課題であろうかと思います。最後に大臣の所見を伺いまして、終わりたいと思います。
  61. 藤本孝雄

    国務大臣(藤本孝雄君) この国有林野事業の累積債務の改善の問題につきましては、私は就任以来、農政推進上最大の課題一つだというふうに認識をいたしております。  先ほど委員指摘のように、数次にわたりまして改善計画を進めてきたわけでございますが、やはり現段階におきましてもこの財務状況は極めて厳しい状況でございまして、私どもといたしましては、先送りすることなく、この際抜本的な改善策を講じていきたいというふうに考えております。  一般会計負担をお願いする前提としては、我々としてまずみずから血を流していかなきゃならない、要員またコスト削減、要員の問題につきましても十分に徹底した合理化をみずから行っていかなければならないというふうに認識しておりまして、この国有林野事業の累積債務処理問題については先送りすることなく全力を挙げて解決をいたしたいというふうに考えております。
  62. 野沢太三

    野沢太三君 終わります。
  63. 松村龍二

    ○松村龍二君 自由民主党の松村龍二でございます。  幾つかの質問をさせていただきますけれども、まず日本農業の基本的な問題についてお伺いいたします。  現橋本内閣は六つの改革を標榜して鋭意これを進めているということは、日夜マスコミの報道にによって国民も十分承知しているところでございます。  二十一世紀を目前にしたこの時期に、日本は平成九年度末見込みで国債の累積が二百五十四兆円、地方の債務が百四十七兆円に達しておりまして、いわゆる隠れ借金等を単純に合計いたしますと、我が国の国と地方の債務残高は五百二十一兆円にも上るとされております。国民総生産の額に匹敵する、あるいは上回る額の借金を負っているわけでございます。  私、昭和五十四、五年ころに総理府の広報室で政府広報の制作に従事していたことがありますが、そのころ累積の国債残高が七十兆円というふうなことでございましたが、現在二百五十四兆円に上っておるということでございます。平成九年度予算で国債等の利払いだけでも十二兆円になっておりまして、まさに国が真剣になって財政構造の改革に取り組まなければならないということは私も十分に認識するわけでございます。  しかし一方、農業の実態を見ますと、世界の国々の中でも百二十六番目と言われる食糧自給率で、その値はカロリーベースで四二%にまで低下している。我が国農業の現状は、米こそ生産調整をしなければならない状況にありますが、多くを輸入に依存しております。我が国の食糧供給に必要な作付面積は一千七百万ヘクタールとされるのに対しまして、国内の作付面積は約五百万ヘクタールにとどまっており、しかもそれは年々減少しておる状況にあるわけでございます。  また、農業に従事している人々はどんどん高齢化しておりまして、六十五歳以上の高齢者の割合は全国で四六%、我が地元の福井県では約六割、五八%に上っております。昭和一けた世代が農業就業人口の約三分の一を占めておりまして、この世代がリタイアした場合の担い手の確保が大きな課題となっております。まさに若い担い手が農業に就業する条件づくりが大切であります。また、中山間地におきます耕作放棄地も五、六%に上っておるというようなことでございます。  二十一世紀に入りますと、世界の爆発的な人口増加によりまして世界の食糧の絶対的な不足が予想されます。  また現在、日本は工業製品で外貨を稼いでおりますが、一ドル百円時代の到来を予測いたしまして有名になりました水谷研治さんは、今でこそ日本は物余りの時代であるけれども、空洞化によりまして現在のアメリカのように外貨が不足する時代が将来やってくるということを予測しております。食糧の輸入は外貨によって得ればいいと言うこともできない恐ろしい時代が来ることも予測されるわけでございます。  そこで大臣にお伺いするわけでございますが、六月三日には「財政構造改革の推進について」の閣議決定が行われたわけでございます。また、中央省庁の再編を目指して行政改革会議で論議が進められておりまして、中間報告が出て国土保全省というふうな案も出ているわけでございます。  私は地元が北陸の福井でございまして、米どころでございます。最近の自主流通米の価格は下落の傾向にありまして、生産者からすれば、生産調整を実施したにもかかわらず価格の下落が続き、稲作経営の不安が一層局まっております。一方、ミニマムアクセス米が五十万トン、最終年には八十万トン輸入しなければならないと。米を中心といたします主要食糧の政策は直ちに県民の所得に影響いたしますし、食糧生産に対する意欲を左右するわけでございまして、今、農民の食糧生産に対する意欲はちょうど分岐点にあるんじゃないかというふうに考えるわけでございます。  米問題一つとりましても、長期的に農業就業者の意欲を向上する政策展開が必要と考えるわけでございます。財政改革行政改革を進めなければならないということはよく承知するわけでございますが、このような時代にありまして、農林水産大臣といたしまして農林水産行政をどのように進めていこうとお考えなのか、お考えあるいは御決意をお伺いしたいと思います。
  64. 藤本孝雄

    国務大臣(藤本孝雄君) 委員指摘のように、我が国農業、食糧を取り巻く環境は、後継者難、また高齢化、過疎化、さらには国際化というふうに極めて厳しい状況でございます。  先ごろ私、オーストリアへ視察に参りましたときにヨーロッパの現状を聞きますと、やはり同じように農業につきましては後継者難、高齢化、過疎化で実は悩んでおるというようなことも聞きまして、ある一面、各国とも同じ問題でこれは今大変な状況にあるなというふうにも思ったわけでございますが、それはそれとして、今、確かに農業は冬の時代を迎えているというふうに見られております。  しかし、私は日本の農業の将来は決して暗いものではなくて、やり方によっては明るくなるものだというふうに確信をしておりまして、それは一つには、日本の国土が南北に極めて長い、そういう国土からいたしますといろいろな農産物が国際的に見ましても生産可能でありますし、また総理府の世論調査の結果を見ましても、国民の皆さん方はできるだけ国内でできた食糧を食べたい、こういうお考えが多いわけでございます。したがって、国民皆様方が必要とするそういう食糧をつくり提供するということが一番大事であって、私は、農業の発展というのは基本的にはそのことが一番大事なことだというふうに考えております。  政府では、昭和三十六年につくりました農業基本法、これが今の時代にはそぐわない、こういう考え方から、ことしの四月以来、食料・農業・農村に関する基本問題調査会というものを総理のもとでスタートいたしまして、今、二十一世紀に向けて日本の農業の指針、方向づけについて議論をしていただいておるわけでございまして、その方向づけがことしじゅうには示されるというような状況でございます。その内容を十分に検討させていただきまして、来年には、できるものから改革、法律をつくってやっていきたいというふうに考えております。  新しい農業基本法をつくることが我が国の二十一世紀に向けての農業の発展のために極めて重要な役割といいますか問題といいますか、そういうことでございますので、今、我々としても新しい農業基本法をつくることに全力を挙げている、こういうことであります。
  65. 松村龍二

    ○松村龍二君 農林水産省におかれましては、財政再建の、先ほど指摘いたしました閣議決定の際にも、ウルグアイ・ラウンドの六兆百億円を、一部二年延長するものはありましても総額を実施して農業の基盤を強化する。また、主要食糧費関係につきましては、前年同額以下とするということで、何%減という数字を出さないというような一事を見ましても、頑張っていただいておるというふうに認識しているわけでございます。  このたび、報道されるところによりますと、本日何か発表になるというような話もありますが、省庁再編におきまして、農林水産省が国土保全省という案が巷間報道されているわけでございます。国土保全のために農業があるのか、農林水産業を守るために国土を保全するのかという観点からいたしますと、世界の主要国でも農という文字の役所がないという国はないということを聞くわけでございます。  農林水産省という名前そのものは残らなくても、農という字が省庁再編の中から消えるというのは、我が国国民の将来の食糧安保という観点からしても大変ゆゆしきことではないかというふうに考えるわけでございますが、大臣、どのようにお考えでしょうか。
  66. 藤本孝雄

    国務大臣(藤本孝雄君) 本日、省庁再編問題についての中間報告が公表される予定だと承っております。それで、委員指摘の省名の問題でございますけれども、この中間報告では、省庁再編の大枠を示すものでございまして、今までの議論でもそのような省庁再編の大枠、大ぐくり、そういう議論が行われたわけでございまして、省の名前の議論はなされていなかったわけでございます。したがって、省名につきましてはこれからの議論であると聞いております。  それで、この議論の際には、国家機能としての食糧政策の位置づけが明確になることを期待しておるわけでございます。我々といたしましては、国民皆様方に安定して、しかも安全な食糧を供給するということは国家の基本的な機能であるという強い認識を持っておりますし、また農と林は一体のものであるという認識を持っておるわけでございまして、そういう考え方がこの省庁再編のこれからの議論の中であらわれてくることを期待いたしておるわけでございます。
  67. 松村龍二

    ○松村龍二君 それでは、個々の問題につきまして幾つか質問をさせていただきます。  いわゆるプレジャーボート問題についてお伺いするわけでございますが、日本は海洋国であるということで、最近の非常に趣味の多様化ということもございまして、プレジャーボートが海洋に進出しておるということは時代の流れかと思います。  その中にありまして、漁業その他の問題との調和ということがあろうかと思いますが、平成八年十一月二十九日付で会計検査院から水産庁長官あてに「漁港整備事業により造成した漁港施設用地等の利用及び管理について」という表題で改善処置要求が発せられております。  そこで、会計検査院から本件処置要求に至った検査の概要を御説明いただきたいと思います。
  68. 牛嶋博久

    説明員牛嶋博久君) 会計検査院では、昨年、漁港整備事業により整備されました漁港施設が、設置の目的、漁業情勢の変化、国民のニーズに対応して適切に管理運営されているかという観点から、漁港施設用地の利活用及びプレジャーボート等の受け入れの状況等について調査を行いました。  その結果、漁港用施設が長期にわたり利用計画に沿って利用されておらず、事業効果が発現していないなどの事態が見受けられました。また、委員御質問のプレジャーボートにつきましては、漁港区域内において漁港管理者に無断でプレジャーボート等が係留されているなどしていまして、漁港の管理が適切でないと認められる事態が多数見受けられました。  したがいまして、水産庁におきまして、漁港の管理・使用状況について適時的確に把握し、漁港管理者を指導する体制を整備するとともに、漁港管理者に対しプレジャーボート等の受け入れ体制の整備を図るよう指導する必要があると認められましたので、会計検査院法第三十六条の規定により改善の処置を要求したものであります。
  69. 松村龍二

    ○松村龍二君 会計検査院指摘を受けて水産庁がどのような改善処置を講じたのかお伺いしたいんですが、時間の都合もございますので、後ほど次の質問のときにお答えいただきたいと思います。  平成七年度検査報告には、今取り上げられました会計検査院からの処置要求であります「漁港施設用地等の利用及び管理について」のほかに、処置済み事項といたしまして公共マリーナ等の管理運営について記載されておりまして、プレジャーボートの不法係留についても触れているわけでございます。その内容は、せっかく港湾整備事業の一環として整備された供用開始後一年以上を経過した公共マリーナに対する検査院の実態調査で、プレジャーボートが保管されていない空きスペースがある、その公共マリーナが所在する港湾区域に放置艇が見受けられるなど、少なくとも五百二十一隻分が有効に活用されていなかったというふうな指摘でございます。  そこで、先ほど申しましたように、海洋性レクリエーションの普及や水上レジャーに対するニーズの高まりに対しまして、国は公共マリーナ等を整備するなど各種行政措置を行っておりますが、必ずしも十分な効果をおさめていない。一方、不法係留や放置艇の問題を初め、プレジャーボートをめぐる各種のトラブルが全国的に発生いたしまして社会問題化しているにもかかわらず、今日まで有効な手だてが講じられてこなかったのが今日の姿ではないでしょうか。  この問題は、各省庁の所管にまたがっていることもその解決をおくらせている要因と思われますので、直接関係する運輸省、建設省及び水産庁の立場から、いわゆるプレジャーボート問題の中心課題とその対応策、取り組み状況を簡潔に御説明いただきたいと思います。そして、水産庁は単に港湾沿岸におきます問題だけではなくて、漁場におきます漁民との競合といいましょうか問題、これについてもあわせてお答えいただきたいと思います。
  70. 土井勝二

    説明員(土井勝二君) ただいま先生お尋ねのプレジャーボートのいわゆる放置艇問題でございますが、運輸省といたしましては、この問題につきまして大幅に不足している保管場所の確保を進めるということが重要だと考えておりまして、既存のマリーナ、これは既に相当あるわけでございますが、これをさらに有効活用する。それから、今年度から簡易な係留施設を新設してその保管と運営管理を推進してまいりたいということで努めているところでございます。この問題につきましては、先生ただいま御指摘のように、港湾とか漁港とか河川等各水域管理者がそれぞれ関連していることでございますので、その点につきまして関係省庁、水産庁あるいは建設省と連携を強化してまいりたいというふうに思っております。  それからまた、プレジャーボートの健全な利用振興というのも大事なことでございまして、運輸省として地方機関ごとに連絡協議会を設けまして、地方自治体、関係省庁の関係機関と連携を強化していく、よりよい利用の仕方がなされるように意見交換、情報交換等を行っておるところでございます。  もう一つ大事なことがございまして、放置艇というのはそれぞれの方の意識の問題でもあるわけでございますが、これにつきまして私どもの日本小型船舶検査機構でこういう船のデータを持っておりまして、場合によっては必要に応じてそのデータ情報の開示をするということも考えております。  さらに、これは地方自治体が最近やはり深刻な問題として独自に届け出制とか放置の規制を含む条例とかあるいは要綱を定めてきておりまして、運輸省といたしましても、これらの諸施策の効果を見きわめながら、さらに国として何をすべきかということを真剣に検討してまいりたいと考えております。
  71. 尾田栄章

    説明員(尾田栄章君) 先生指摘のとおり、プレジャーボート問題、まさに水域は一つでございます。そういう意味合いで平成八年に三省が合同いたしまして調査を行っております。その結果、私どもが管理をいたしております河川区域内におきまして四万六千隻のプレジャーボートの不法係留が確認されておるところでございます。  この不法係留船舶で悪質なものにつきましては、河川管理上、特に洪水時におきましての流通の阻害になる、あるいは運転騒音あるいは環境や美観上の問題、河川環境の問題、観点から見ましてもゆゆしき問題であるというふうに考えております。  その対策といたしまして、まず非常に悪質なものにつきましては撤去をする必要があるわけでございますが、そういう撤去処分業務が円滑に行えますように本年六月に河川法の改正をお願いいたしました。この十二月までに施行を予定いたしておるところでございます。そしてまた、撤去といいますか、そういう規制だけではどうしようもございませんで、係留場所の確保というのが大変大事だというふうに私どもも考えておるところでございます。  河川マリーナの整備につきましては、河川利用推進事業を実施するとともに、一定の要件を満たします場合には河川におきます船舶係留施設の設置を認める等、そういう面でもこの問題が解決されるよう関係省庁と一緒になって努力してまいりたいと考えております。
  72. 嶌田道夫

    説明員(嶌田道夫君) 漁業と海洋レジャーとの関係で申しますと、先と言われますように、最近非常にプレジャーボートがふえておりまして、その関係から海洋性レクリエーションと漁業との間でトラブルが増加しております。平成六年度の水産庁の調査によりますと、漁業関係者の約八割がこうしたトラブルを経験しております。漁場においても、プレジャーボートに乗った遊漁者とそれから漁業者との間で魚介類の採捕をめぐりましてトラブルが各地で発生しているというような状況にもございます。  このような漁場でのトラブルにつきましては、都道府県が漁業調整規則などによりまして取り締まりまたは関係者の指導を行っておりまして、水産庁といたしましても、これら規則の運用等につきまして都道府県を指導しているところでございます。  また、海洋性レクリエーションと漁業とのトラブルを防止して調和のとれた海面利用を図るという観点から、関係者の積極的な対応が必要であります。その調整方策のあり方を先般、漁業と海洋性レクリエーションとの共存を推進するための調整指針ということで取りまとめまして、この四月でございますが、都道府県に通達したところでございます。  今後とも、地域におきまして双方の関係者が連携しながら、その活動によりまして海面利用のルールが策定され、その普及、定着が促進されるように水産庁としても指導に努めてまいりたいというふうに考えております。  また、先ほど会計検査院先生が質問されました関連でございますけれども、このように海洋性レクリエーションと漁業とのいろいろな問題が生じております。そういうことで、これはフィッシャリーナ整備事業と言っておりますが、既存漁港施設の有効利用や漁港利用調整事業によりまして、漁船とプレジャーボートの利用調整を図っております。  この点につきまして、先ほど会計検査院の方から私どもの方に対しまして、漁港管理者を指導するように等の改善処置要求があったわけでございますが、これを受けまして、水産庁におきましてはプレジャーボートの漁港利用の適正化を図るための通達を出しました。今後とも、この通達によりまして漁港管理者への指導を強化してまいりたいというふうに考えております。
  73. 松村龍二

    ○松村龍二君 ただいま漁民がプレジャーボートとトラブルがあったという数字の御開陳があったわけでございますが、昨年八月に運輸省港湾局が実施いたしました「放置艇対策に関する法制化の要望事項について」という自治体へのアンケート調査によりますと、放置艇問題が大きな課題となっているが三分の二、解決策として、小型船舶の所有者登録制度、保管場所の届け出制度につきましては八割以上の高い支持がありまして、即時強制による放置艇の撤去・処分についても、ある程度は必要というのを加えますと、七割を超える支持を受けているのでございます。  このアンケートの回答結果は、各自治体にとって放置艇問題が極めて深刻であることを示しております。  そこで、運輸大臣にお伺いいたしますが、放置艇対策として有効と思われます小型船舶の所有者登録制度、保管場所の届け出制度等につきまして、地方自治体の意見も参考にしながら国レベルにおいても検討が必要であると思うが、いかがでございましょうか。
  74. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 先生の御指摘の点でございますが、ただいま政府委員の方からの御答弁の中にありましたけれども、放置艇の問題、地域によっていろいろ深刻な差、かなり大きな差があるわけでございまして、今申し上げておりますように、ここ二、三年の間に幾つかの地方自治体が独自にプレジャーボートの届け出制や放置の規制等を含む条例、要綱を定めてきているわけでございます。こういった点を踏まえまして、状況を見ながら検討してまいりたい、このように考えております。
  75. 松村龍二

    ○松村龍二君 運輸大臣、何か御予定がある中をお答えいただきまして、どうもありがとうございました。お差し支えなければ、どうぞ御退席いただきたいと思います。  それでは次に、引き続き海の問題で、これまた大きな問題でございますが、日中・日韓漁業協定の問題についてお伺いします。  九六年七月二十日に国連海洋法条約が発効いたしまして、今年一月一日から二百海里排他的経済水域における漁獲可能量、TAC制度が発足しておる。資源管理を基本理念とした新たな漁業秩序の時代が始まったわけでございます。  そのような中にありまして、太平洋岸等で既に二百海里の排他的水域が有効となっている部分については、中国、韓国以外の国については適用になっているかと思いますけれども、日中・日韓漁業協定が戦後締結されまして、これが旗国主義をとっている。領海十二海里、これは全くの領海でございますけれども、それ以外の公海においては漁船の国籍を持つ国が違法操業については取り締まるということになっているわけでございます。  このようなことで、現在、日本の周辺におきまして魚の資源を保護するという意味から、例えば六月、七月、八月と日本の漁民が自粛して資源を大事にして漁をしない、休漁しておるといったところに韓国あるいは中国の船が参りまして乱獲をしていく、大型トロール船等で根こそぎとっていくといった問題、あるいは島根沖でカニを育てようということでせっかくカニ牧場と言われるようないろいろな工夫が行われているところに底刺し網等で韓国の船がこれを乱獲していくといったことで、まさにこの二百海里の新しい条約の思想はそういう沿岸国に資源を保存させて新しい秩序をつくろう、こういうことかと思います。  ただ、日中・日韓漁業協定がありますために、日本がそれにおくれて、日本の漁民が大変な迷惑あるいは怒り心頭に発しているという状況でございますが、外務省、現在、日中・日韓漁業協定がどのような状況になっているのか御説明いただきたいと思います。
  76. 阿南惟茂

    説明員(阿南惟茂君) 日韓・日中漁業協定交渉の現状について申し上げます。  日韓漁業協定につきましてはなかなか難しい交渉となっております。韓国は、御案内のように従来日韓両国の排他的経済水域の境界画定を行った後に漁業協定を結びたい、こういう立場でございましたが、先月、八月の協議におきましては、境界画定前にも暫定的に漁業協定を結ぶということに同意を一応してまいりまして、そういう意味では両国が共通の土俵に乗ったわけでございます。しかしながら、双方の立場にはまだ相当大きな開きがございまして、妥結に至るこれからの道筋はなかなか難しいものがあるという認識でございます。  一方、日中につきましては、七月末のクアラルンプールで日中外相会談がございまして、最大限努力して実質合意に到達しようと、それも橋本総理の訪中までに日中間で実質合意を得るべく最大限努力するということが外相間で合意をされまして、これを踏まえて鋭意折衝しているところでございますが、先月も三回にわたって公式協議を行いました。  御訪中はあすでございますので、現在も北京で交渉を行っておりまして、いろいろ難しい問題がございましたが、双方の立場は接近しております。何とか実質合意に至るように最終の最大限の努力をしておるところでございます。
  77. 松村龍二

    ○松村龍二君 漁民からすれば、本当に一日も早く日中・日韓漁業協定が締結されて、国連海洋法条約が言う二百海里排他的経済水域におきまして、日本の国が、日本の漁民がやっているのと同じような資源の確保のための漁期、あるいは漁船のエンジンの大きさとかその他につきまして日本と同じような秩序に従ってやってほしいという気持ちを持っているかと思うんです。  水産庁にお伺いしますが、この間、漁具への被害、これも大変なものかと思います。日本の漁師が網を張ってあるところを縦横無尽に夜のうちに走り回られて日本の網が壊される、あるいはあちらの大型トロール船と日本の漁具との競合で破壊されてしまう、いろいろな被害があろうかと思うんです。また、領海内におきます操業は言外でありますけれども、いわゆる不法操業と言われるような操業によります被害等もあろうかと思います。  水産庁といたしまして、漁民への被害、日本漁業への被害がどの程度であるというふうに認識しておられるのかお伺いしたいということと、この漁業協定は破棄しても一年間は有効であると、その間に交渉を進めて新しい秩序に基づく協定を結べばいいではないかといったことで、いつまでも相手に調子を合わせているだけでなくて、昨今、日本の外交がどうも弱腰でないかというようなことを国民が感ずる場面がいろいろあるわけでございます。状況によっては現協定を破棄して、新協定の締結交渉を行うという選択肢もあるのではないかというふうに思いますが、水産庁の御意見を聞かせていただきたいと思います。
  78. 嶌田道夫

    説明員(嶌田道夫君) 中国、韓国によります不法操業並びに漁具被害の状況でございますが、まず韓国につきましては、日本海におきまして大型トロールなどの韓国漁船におきます違反操業、近年その件数は若干減少したとはいいますものの依然としてかなりの程度ございます。また、最近、これら違反操業船のほとんどが船名などを隠ぺいするというふうにかなりの程度悪質化している、我が国漁船の操業を妨害したりするというようなことで、その内容自身が悪質化しているのが状況でございます。  また、中国の漁船で見ますと、確かに山陰等一部の海域におきまして漁場競合が見られまして、大型船、小型船等の問題から安全操業上の問題もあるというような指摘もございます。  このような不法操業並びに秩序ある操業という問題から、政府といたしましては日韓首脳会談並びに日中漁業共同委員会などの場を通じまして取り締まりの強化でありますとか、関係漁業者への指導の徹底をそれぞれ要請しているところでございます。今後ともあらゆる機会をとらえまして、韓国、中国の強力な取り締まり、指導を求めていく所存でございます。  また、漁具被害につきましては、韓国の漁船によります漁具被害の状況は、北海道周辺、西日本周辺、いろいろございますが、平成七年の状況でいいますと、合計しまして件数で約九百件弱、金額で約一億円程度というふうになっております。また、中国漁船によります被害は、平成七年には二件で、金額も六十万円程度というふうに少なくなっております。  これら漁具被害の対応といたしまして、日韓、日中の民間レベルの取り組みに基づきまして、民間団体間での協議によりまして処理されております。水産庁といたしましても、民間協議の円滑な推進のために民間団体を支援するということと、あと韓国、中国の政府に対しまして、被害事案の早期解決につきましてそれぞれの団体を指導するよう要請しているところでございます。  また、最後に先生が言われました韓国につきまして、期限までにできない場合破棄すべきではないかというような御意見でございますが、これにつきましては、本年の七月二十三日に与党政策三座長によりまして、昨年三月の与党三党合意によります一年以内を目途にするということにつきましては、本年七月末の日韓外相会談及び九月の橋本総理の訪中を視野に入れて決断することとする、決断を行うべきときには時期を誤たずに決断するというような姿勢が示されております。  政府といたしましても、与党とも十分相談の上、今後いろいろ判断してまいりたいというふうに考えております。
  79. 松村龍二

    ○松村龍二君 漁民の期待と怒りが大変に大きなものであるということで、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  次に、森林、農作物に対します鳥獣被害対策についてお伺いします。  近年、シカ、猿、カラスなどの野生鳥獣によります農作物あるいは森林への被害が深刻化しており、農家にとって生活と直接かかわる切実な問題となっております。私の地元福井におきましても、従来は敦賀港から京都寄りにあります嶺南若狭地方、ここで野猿の被害が大変大きくて、猿が農家へおりてきまして、台所へ入ってきて冷蔵庫をあけて何かとっていく、家庭の主婦がそれに対してあれしたところおどかす、こういうような話も聞くわけでございます。  ところが、このような被害がだんだん北上しておりまして、越前の方にも最近、宮崎村というところですが、そう大きな農村ではありませんが、昨年ごろから猿が出るようになって畑作物のカボチャとかカキとかスイカとかキュウリとかサツマイモとかシイタケとか水稲とか、畑作物の五割に損害があった地区がある。何とか対策を打たなければならないといったことでございまして、案外気がつかなかった野猿の被害が大きくなっておるということを私の地元でも感ずるわけでございます。  先般、農水省に伺いましたところ、森林では昭和五十七年に一千ヘクタールの被害が現在四千ヘクタール、四倍になっておると。農作物の被害は、これは統計が昭和六十二年からあるわけですが、二千七百ヘクタールが現在四万六千ヘクタールになっておるということでございます。  そこで、時間もございませんのであわせて一気に質問をさせていただきますが、農水省といたしまして、森林、農作物に対する鳥獣被害の全国的状況はいかがであるか。また、この被害に対しまして防護ネット、電気さくなどさまざまな対策がとられていると聞くわけでございますが、これらの対策は十分成果を上げているのか。また、現在実施されている対策及びその効果についてお伺いするわけでございます。  そして、あわせて環境庁にお伺いいたしますが、日本人は気持ちが優しいせいか、鳥獣は保護しなければといったような空気が満ち満ちているわけでございますが、このような従来の固定観念が被害の現状から目を覆わせ、その結果、有効な対策をおくらせ、被害を大きくしているのではないか。先般、ムツゴロウと人間とどっちが大切かという話もありました。  そこで、今後は保護一辺倒でなく、野生鳥獣の保護と適正な管理を進めていくことが重要であるというふうに考えるわけであります。自民党におきましては、農林業有害鳥獣対策議員連盟というのを発足させて対策を協議していると聞いております。  そこで、やはり駆除区域、期間、方法、実施者の資格、こういうものについて緩める、あるいは鳥獣保護区、休猟区がだんだん戦後無意識のうちに広がってきたということも見直しをする必要があるんではないか。そのような観点から鳥獣保護行政を見直し、有害鳥獣の駆除を強化していく必要があると思いますが、鳥獣保護法の改正を含めまして、この問題に対して環境庁の所見を承りたいと思います。
  80. 高木賢

    説明員高木賢君) まず、鳥獣によります被害の状況等について御答弁申し上げたいと存じます。  質問の第一点、被害の状況でございますが、鳥獣による農作物の被害面積、これは猿やシカやイノシシ、こういうのを全部ひっくるめまして、平成七年度で約二十二万ヘクタールでございます。森林の被害面積は約八千ヘクタールということになっております。これらの鳥獣のうち、特に猿、シカ、イノシシ、こういった獣害が近年増加傾向にございまして、一部地域では深刻な問題になっていることは御指摘のとおりでございます。  これに対応いたしまして、被害防止技術の開発実用化ということにまず第一点取り組んでおります。例えば、猿の接近をセンサーで感知いたしまして音声が出る、この音声により追っ払うという音声防除システムとか、シカとかイノシシの侵入防止のための電気さく、これを侵入しにくいように形とか高さを改める、あるいはレーザーにより鳥類を威嚇する、こういうような新技術の開発実用化に取り組んでおります。  それから二番目には、現実の被害防止施設の整備でございまして、これは山村振興事業などの補助対象といたしまして、この被害防止さくとか防鳥ネットの整備というものを図っているわけであります。  また、森林被害につきましては、シカなどが食べるのを防止するために忌避剤を散布するとか苗木にチューブを巻くとか、こういった新技術を普及させるというほかに、特に山では野生鳥獣との共存にも配慮した森林の整備、つまり実のなる木をところどころに植えていくといったようなことの対策を講じてきたところでございます。  これらの対策によりまして、それぞれの地域では相応の成果は上がっていると思いますけれども、一方、ただいま先生のお話にありましたように、猿を初め動物というのは知能が高いものでありますから、学習効果によるなれなどによってなかなかこの効果が長続きをしない、それから施設管理が必ずしもきめ細かく行き届かないために効果が低下をしているという側面もございます。それから、何せ動物でありますので移動性が高いということで、こっちをやってもまたあっちの方から入ってくるというようなことがありまして、なかなか施設整備だけでは対策として十分とは言いがたいという問題もあろうと思っております。  したがいまして、今後の問題でございますが、防止効果の一層の向上を図るという観点からは、被害防止施設を効果的に整備する、あるいは被害防止技術につきましてさらに開発実用化を図るということとあわせまして、地域におきます継続的な被害防止、適正管理のための活動の強化ということが必要と考えておりまして、現在その方策の具体化につきまして当省としては検討を進めているところでございます。
  81. 丸山晴男

    説明員(丸山晴男君) 環境庁でございます。  野生鳥獣につきましては、特に生息数が減少しております野生鳥獣、これにつきましては保護に対する国民の要請が高まっているのはおっしゃるとおりでございますけれども、他方で個体数がふえ過ぎている鳥獣、これにつきましては、今農水省の方の御答弁がありましたように、あるいはまた先生の御指摘にありましたように、一部の地域等で特に特定の種といいますか、シカとか猿などによる農作物被害が深刻化しているということはよく認識をいたしておりまして、環境庁といたしましては、被害問題への対応ということで各般の措置をとるとともに、現在の鳥獣保護法の運用の改善もかなりいたしておるところでございます。  例えば、有害鳥獣駆除の許可についての期間の延長とか頭数の拡大とか、あるいは従来狩猟鳥獣でなかったものを新たに狩猟鳥獣にするとか、あるいは雌についても対象にするとか、そういったような各般の措置をとり、これは特に関係の道府県、大変熱心に取り組んで、最近は狩猟の頭数のみならず有害鳥獣による捕獲頭数はかなりの数に上っているのも事実でございますが、同時にまた被害面積の減少といったところまで全国的になっておらないということも事実でございます。  それで、私どもといたしましては、こういった各般の措置をとるとともに、来年度は特に野生鳥獣の管理適正化事業、結局適正な管理ができるかどうか、個体数管理の適正化ということでございますが、これを行うべく事業の拡充、またそういった管理技術を担えるような中核となる技術者を育成するような事業を新規につくりたいということで、来年度予算で検討をいたしているところでございます。  とりわけ野生鳥獣の保護、これは減り過ぎている場合の保護でございますが、それと農林作物被害の防止に当たって被害を与えている特定の鳥獣についての個体数の適正管理、これが大変大事でございます。したがいまして、この有害鳥獣駆除の適切な実施を含めた鳥獣管理、狩猟制度のあり方について調査研究が必要であると考えまして、現在鋭意調査研究を進めているところでございます。
  82. 松村龍二

    ○松村龍二君 それでは最後に、通告しておりました木曽岬干拓事業の問題につきましては御要望だけさせていただきます。  私、昨年十二月二十六日の当委員会におきましてこの木曽岬干拓事業について御質問させていただいて、それなりのお答えをいただいておるわけでございます。木曽岬干拓地は愛知、三重両県の県境にございまして、その県境問題が未解決ということで干陸を、一応土地ができた後も放置されておった。また今度は三重県内の町境の問題でまた放置されておったということで、平成八年九月に最終的解決を見たところでございます。  そこで、せっかく百十億円を超える国費を投入して昭和四十一年に着工以来やってきております干拓事業でございますので、土地利用を早期に策定していただいて、当初の目的を果たすように大臣も意を払っていただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  83. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 午前の審査はこの程度とし、午後零時五十分まで休憩いたします。    午前十一時四十九分休憩      ―――――・―――――    午後零時五十一分開会
  84. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  平成七年度決算外二件を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  85. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 最初に、農水省に対してお伺いしたいと思います。  農水省の決算の中で、特に国有林野事業特別会計平成七年度決算についてお伺いしたいと思います。これにつきましては、先ほど野沢理事の方からこの国有林野事業の累積赤字をどのように処理するかということについていろいろ御質問があり、また林野庁あるいは大臣の方からもいろいろ御答弁があったわけです。  確かに、現在の時点になってみると、この赤字をどうするかということが最も緊急な政治課題ということではあると思うんですが、ただ私は、このような累積赤字が出てくるに至った農水省、特に林野庁の責任というか国有林野事業に対する取り組み方の間違いというか、この件をぜひ検討してみたい、こういう考えから七年度決算についてお伺いしたいと思います。  御承知のとおり、国有林野事業は昭和二十二年制定の国有林野事業特別会計法によって独立採算制を目標とした企業会計的に運営されるべきものである、こういうふうになっております。しかし、国有林野事業が企業経営的に収支が黒字となっていたのは昭和四十九年までであって、昭和五十年以降現在に至るまで経営的には赤字経営が続いている。そのために農水省は、この国有林野事業の収支改善を図ろうということで昭和五十三年に第一次改善計画、昭和五十九年に第二次改善計画、昭和六十二年にこの第二次改善計画を修正した上での第三次改善計画、そして平成三年に第四次の改善計画を策定して企業努力をしたけれども先ほど申し上げましたように、昭和五十年から全然黒字にならないところか赤字が累積していっている。  そこで、とりあえず七年度の決算についてお伺いしますが、林野庁長官、七年度の国有林野事業勘定の収支について、いわゆる年度赤字、累積欠損金あるいは累積債務について、数字だけでよろしいから御説明いただきたい。
  86. 高橋勲

    説明員(高橋勲君) 国有林野事業平成七年度決算におきましては、収入額が五千三百二十二億円、そのうち自己収入が千七百八十億円、支出額が五千六百七十五億円ということですから自己収入はそれを大きく下回っております。損益計算上は平成七年度におきまして千三百十八億円の損失を計上しまして、この結果、平成七年度末における累積欠損金は一兆五千七十六億円に達しております。  また、債務残高も増加しまして、平成七年度末には三兆三千三百八億円に達する大変厳しい財務状況となっております。
  87. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 要するに、平成七年度においても一口に言えば赤字は千三百十八億円だ、こういうことになっている。  それでは、平成三年度に策定した第四次計画の、したがって平成三年度から平成六年度までの過去四年間はどんな状況だったんですか。これは数字は要らぬから、収支計算はどうなっていたか、一口にお答えください。
  88. 高橋勲

    説明員(高橋勲君) 平成三年度から六年度の損益につきましては、それぞれ一千億円台の損失額を計上いたしまして、平成三年度に累積欠損金が一兆三百九十億円でありましたが、平成六年度末には一兆三千七百五十八億円に達しております。  また、債務残高につきましては、平成三年度末に二兆四千六百三十億円でございましたが、平成六年度末には三兆一千四百二十九億円に達したところであります。
  89. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 それじゃ、平成三年度に十年間の計画をつくって、今お話しになるように平成三年度から七年度までずっと赤字だ、しかも赤字金額が一年単位にして一千億を超えている。  平成八年度、九年度の、九年度はまだ決算が出ているわけじゃありませんけれども平成八年度の収支の赤字はどうなるのか、九年度の見込みはどうなるのか、お答えいただきたい。
  90. 高橋勲

    説明員(高橋勲君) 平成八年度におきましては、平成七年度と同様に木材価格の低迷とか伐採量の減少ということで林産物などの収入が減少したことによりまして、収入額が五千四百八十二億円のうち自己収入が千七百六十七億円で、支出額五千五百五十五億円を大きく下回っております。損益計算上は平成八年度において前年度に比べまして二百五十億円減少したものの、千六十七億円の損失を計上しまして、この結果、平成八年度末における累積欠損金は一兆六千百四十三億円、それから債務残高も増加しまして平成八年度末には三兆五千二百二十八億円に達しております。  平成九年度は、現在進行中の事業でございますが、やはり改善計画に即しまして収入確保あるいは効率的な事業実行に努めておるわけでありますが、収入につきましてその大宗を占める林産物におきましては木材価格が低迷しております。しかしながら、量的にはこれから販売が本格化する、それから価格も例年変動いたします。それから林野とか土地の売り払い、これは年度末に多いわけでありまして、相手方の資金事情等に左右されることもありまして、不確定な要因を抱えております。  こうしたことから、現時点における平成九年度の収支の見通しにつきましては不透明な点が多いわけでありますが、これから最大限の収入確保に努力いたしますとともに、支出につきまして効率的な執行によって一層の削減の努力をしていきたいというふうに思っております。
  91. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 時間がないから私の方から申し上げますけれども平成三年度に第四次の改善計画をやったときのこの収支に関しては、林野庁としては平成三年から十年間、すなわち平成十二年までに企業的に収支が均衡となるように努力すること、そしてその後の十年間で収支が黒字になった、その黒字で徐々に利息なり累積赤字の元本の返済をしていくようにする、こういう計画を立てたと思うんですが、間違いありませんか。
  92. 高橋勲

    説明員(高橋勲君) 平成三年に作成しました現行改善計画におきましては、御指摘のように累積債務利子償還金が経常事業へ影響するのを防ぐために経常事業部門と累積債務部門を区分いたしまして、経常事業部門につきましては平成十二年度までに財政の健全化を図る、それから累積債務を含む全体の収支については平成二十二年度までにその均衡を回復するということを目標として作成したものでございます。
  93. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 平成三年から十年間で収支とんとんになるようにすると言っていながら、あなたは今九年度についてはわからぬとおっしゃるから、それじゃ九年度はいいとしても、平成三年から八年度までの決算としては毎年毎年一千億あるいはそれを超える金額が赤字になってきているだけであって、もはや十年の計画のうち六年、そんな計画の達成見込みなんか全然ありゃしない。九年度はどうだこうだおっしゃっているけれども平成十二年度までに経常収支は黒字になる見込みはあるんですか。
  94. 高橋勲

    説明員(高橋勲君) 現状から見まして、やはり木材の価格の低迷あるいは木材の伐採量の減少、そして国有林の使命に対する国民的な期待が木材生産から公益的な機能に移るというふうなことを考えますと、伐採量の増加ということも期待できませんし、また土地売り等のものによります収入の方も、バブル経済の崩壊というふうなことで、当時から比べますと非常に地価が低迷しております。  そういうことから、この経常部門におきます十二年度における収支の達成ということは、残念ながら大変難しい状況にあるというふうに思っております。
  95. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 私が言いたいのは、この平成三年度につくった第四次改善計画は、名前のとおり四回目なんです。  先ほど申し上げましたように、昭和五十三年の第一回から平成三年の第四回までの一次、二次、三次すべてが、今あなたが言われたように十年間にああします、何年間にこうしますということを言ってはできないで、また二次にかわり、二次がまた計画したけれどもできないから三次にかわり、それで三次がまたできそうもないということになって今度は四次の計画じゃないですか。しかも、この平成三年の第四次計画をつくる前に林政審議会なりあるいは総務庁なり各部署から、こういうふうなことをやっていてもどうにもらちが明きませんよという意見がいっぱい出ている。その意見を全く無視して平成三年に従前と同じ第四回目の計画をつくったことについて、私はその相当性を伺っているわけなんです。  というのは、今から考えればもう七年前ですが、平成二年の十一月十五日、同じこの決算委員会において、私は六十二年度の国有林野事業特別会計決算審査に際して林野庁にこのように質問したんです。昭和六十二年に第三次改善計画をつくったけれども、企業経営状況が悪いというこのカーブは全然変わっていない。こういう改善計画を五十三年から三回つくっても、ほとんど実現可能性のない改善計画だと。林野庁なり農水大臣としては、林政審議会の最終報告が出たら改善計画をつくると言っているけれども、最終報告が出たら今までと同じような十年先の改善計画を立てる、実現不可能な改善計画をまた立てるというようなことになったのでは問題の先送りとなるだけだと、こういうふうに私が質問したんです。  それに対して、小澤普照林野庁長官は、「林野庁といたしましては、総務庁の行政監察に基づく勧告を考慮しながら、また林政審議会の中間報告の趣旨に即しまして、国有林野事業の経営改善のための具体策を目下鋭意検討を進めている」と言って、出てきたのがこの第四次計画なんです。林政審議会の中間報告もあるいは総務庁のいろんな意見も全く無視して、同じように従前と同じ計画をつくっている。  例えば、平成二年の林政審議会の中間報告ではこう言っているんです。国有林を、一、国土保全林、二、自然維持林、三、森林空間利用林、四、木材生産林に類別して経営把握をするべきだと、こういうことを林政審議会でも言っているわけです。  あるいは総務庁の行政監察の結果として、「国有林野事業を経営するに当たっての採算性と公益性との調整に関する考え方が法律上において必ずしも明確にされないまま事業経営が行われ現在に至っている」、こういう指摘をしているわけです。  要するに、独立採算制を前提とした企業会計的な国有林野事業特別会計法を改正した上で、いわゆる木材生産林と公益的な森林機能とを区分けしてやらなきゃだめだと言っているんです。これは両方とも平成二年に言っているんです。にもかかわらず、この林政審議会の意見も、総務庁の意見もみんな無視して、従前と同じような、できもしない十年後の収支黒字というふうなことをやっている。  この第四次改善計画は全く従前と同じ机上の空論にすぎないという私の指摘、批判に対して、もしそうじゃないんだというんだったら、そうじゃないことを明らかにしていただきたい。
  96. 高橋勲

    説明員(高橋勲君) 平成三年に作成しました第四次の計画につきましては、それまでの第三次と違いますところは、今御指摘のような森林を機能別に分類して、それぞれにふさわしい施業をするべきだ、こういうことを御指摘受けまして、この第四次計画では、実際に国土保全林、自然維持林、森林空間利用林、そして木材生産林と、こういうことで分類をいたしまして、それぞれに従った施業をしたところでございます。  それから、従前と違いますのは、それまで経常事業部門と累積債務部門が言うなれば一体になって経理されていたわけでありますが、それぞれの負担割合というふうなこと、それから累積債務が経常事業に影響を与えないようにというふうなことで、ここを勘定を設けるまでには至りませんでしたけれども分類をして、それぞれがどういうような経理状況になっているか、これを明確にしたわけでございます。  それから、要員規模とか組織機構、これにつきましては従前以上に抜本的な改革をするということで計画を立てまして、平成三年度には三万一千人の要員がおりましたけれども、それを平成八年度末には一万五千人、それから組織機構も、営林署が三百十六署ありましたものを三分の一は統合、改組するというふうなことで、従来のものとは違う非常に厳しい意味での改善というふうに認識しておりまして、この要員規模あるいは組織機構等につきましては計画どおり実行してきているわけでありますが、財政の面につきまして、残念ながら木材価格の低迷でありますとか量的な減少、あるいはバブル経済崩壊による土地価格の低迷というふうなことで思うようにいかず、借り入れがふえてそのために累積債務が現状のようになっているというふうに考えている次第でございます。
  97. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 あなたの今の説明を聞いても納得できないんです。要するに、過去十五年間同じことを言って同じことをやってきたんです。この十五年間やってきた、人員の削減もあれします、それからいろんな木材の、製材で売ったらいいかあるいは丸太で売ったらいいか、いろんな改善計画をやってきたというのは私は否定しているわけじゃないんです。  ただ、こういうことはもう十五年間やってきたんだと。十五年間やってきたんだけれども全然よくならない。よくならないんじゃなくて、どんどんカーブが高くなって悪くなっているだけだ。この十五年間と違うことを今度の十年はやるんだというんだったら、今までと違う、今まではこうだったけれども今度はこうだからこうなるんだというようなもう少し説明をしたらどうですか。今までと同じことを一生懸命やりますと。今までと同じことを一生懸命やっていたら、今までと同じように赤字になっていく、赤字が累積していくだけじゃないですか。  しかも、この平成二年の決算委員会のときでも私は申し上げたんです。総理府が平成元年十月に行った森林に関する国民の世論調査において国民の四七・八%は、森林は公益的なものだから、先ほどから言われているように水資源の涵養だとかあるいは国土保全だとか、あるいはそのほか健康保健林だとかあるいは大気浄化問題、要するに森林が公益的なものだというのは林野庁よりも国民の方がちゃんと理解しているんです。そして、こういう森林の公益機能に着目して、公益費用として森林の管理保全費用負担するべきだと、世論調査で四七・八%の国民はそう言っていますと。だから、単に森林を財貨を取ってくるための、木材という財貨を得るための場所と考えるんじゃなくて、国民の公共資材だという観点から管理費用も経営費用も出すべきだと。できもしない国有林野特別会計みたいなことはやめなさいというふうに言ったんだけれども、同じことをやっているんです。それで、同じことをやって債務だけはどんどんふえていって、累積がそれに加算してふえていっているという状況じゃないですか。  法律を変えなければちょっと難しい側面はあるかもしれないけれども、それだったら国有林野特別会計法を変えるべきなんです。変えることに努力して、そして本当の財貨の獲得といういわゆる木材生産林とそうでない公益林とを区分けするのを平成三年にやるべきなんです。それを平成三年にやらないで、またできもせぬたわ言の十年計画だとかそんなものをつくっている。この責任をどうするんですか。この十年計画をつくったおかげで、この七年間で、年間一千億円としたって七千億の金は平成三年のこういったわ言の計画から出てきているんだと私は思うんだけれども、なぜそういう改革平成三年にしなかったんですか。  林野庁長官は、今長官でいるけれども平成三年のこういういいかげんな計画をつくったときにあなたはどういう役目をやっていたんだか、これも言ってもらいたい。
  98. 高橋勲

    説明員(高橋勲君) 私は、当時、林野庁業務部の経営企画課長という職にありまして、この計画を作成する一員でございました。  先ほど申し上げたように、平成三年度につくるこのときの計画は、やはり従来の三次までの計画とは基本的に違って、累積債務に対してきちんとした回答を出すということで経常事業部門と区分をして、そこに林野、土地の売り払いによる収入を充てる、それからそういうもので間に合わない場合には財源措置を講じるというふうなことで、可能性を追求して、独立採算による特別会計ということの継続で来たわけでありますけれども、この三年から五年あるいは六年の間に社会環境の条件の変化と申しますか、やはり木材価格の低迷あるいは住宅建築様式の変化あるいは自然保護等に対する国民の要請の変化、あるいはまたバブル経済がはじけたというふうなことで、残念ながら現在の計画ではなかなか立ち行かないということになりました。  私どももその点を今後どうするかということで、昨年度の閣議決定では、行革プログラムにおきまして平成十年度から抜本的な改善策、改革をすべきだというふうに書かれまして、私どももその内容をどうするかということで、昨年十一月以来林政審に論議をお願いし、この七月九日にその答申を得ました。  今、先生指摘のように、これまでのような独立採算制を前提とした企業特別会計制度はぐあいが悪いではないか、これを廃止して一般会計繰り入れを前提とした特別会計制度に移行したらどうかとか、あるいは国有林の森林の扱い方を木材生産中心から公益的な機能、国土保全、環境保全というふうな国民が要望している方向に転換をしたらどうかとか、またそういうことにしますと収入も減るからまさに今の会計制度も変更しろということでありますし、またそれに見合う組織、要員のスリム化といいますか、それにふさわしい要員あるいは組織の配置にすべきである、それから累積債務というのは本格的に処理をすべきではないか。こんなふうな林政審の答申もいただきまして、それを平成十年度の概算要求ということで私どもも予算要求提出したところでございます。
  99. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 国民が、公共財としての森林にしかるべく金を出すということは、今でも世論調査をやってみれば、それはそうだと言うだろうと思うんです。しかし、あなたが今言ったことは平成三年に言うべきことだ。平成三年から今日までの七年間の赤字は林野庁の全責任、林野庁にしょってもらいたいと国民は思う。  あのときにそういうふうに区分けすれば、借金がここまで膨らまなかったんです。それを同じ、十年一日と言うけれども、十五年一日、二十五年一日じゃないですか。こんなことを言っていてもあれなんで……。  大臣大臣には私が知る前の話だということにはなるんだけれども、ともかくもう、要するに第四次計画は破綻したということ、そしてこの平成七年度の決算ですけれども現時点、これは最終的には平成九年度までの赤字を生み出したのは農林行政のミスだったということをお認めいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  100. 藤本孝雄

    国務大臣(藤本孝雄君) 先ほどから委員の御指摘を承りながら、私も就任以来この国有林野の財務状況、抜本的な改善が今の農水省にとりまして最大の課題一つであるという認識を持っております。  この問題の説明を聞きましたときに、平成三年に今言われます第四次の改善計画がなぜうまくいかなかったかということの事情も十分に聞いたわけでございまして、残念ながら林産物収入におきましても大体半分以下、それから伐採量も、戦後の伐採によりましてまだ年数がたっていないということからなかなか切る木が少なくなっておるということ、それから環境問題などの制約があって伐採量が七割程度であったということ、そういう事情も聞いたのでございますけれども、結果として委員指摘のような結果になっておりますことはまことに遺憾なことでございます。  そういう今の現実からいたしますと、これは過去の延長線上にあるそういう改善計画では解決はできないわけでございますので、この際としては、新たな発想といいますか新たな考え方でこの問題の解決を先送りすることなしに平成九年で方向を出していくよう強く指示をしたところでございまして、その線に沿って、独立採算の見直しであるとか要員規模のさらなるスリム化でございますとか、また考え方を材木を切るということから公益的な森林の経営というふうなことに改めまして、ぜひともこの平成九年において国有林野の抜本的な改革をなし遂げたい、そういう意欲を持っておるわけでございます。  我々としても、みずから血を流すところはさらに流していかなければならないということは重々承知をいたしておるわけでございまして、要員、機構の点においてはぎりぎりの点まで努力をする決意でおるわけでございますので、どうぞ委員におかれましても今後さらに御指導くださいますようにお願い申し上げたいと思います。
  101. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 次に、もう一つ農水省にお伺いしたいと思います。  まず、穀物自給率に関連する補助金の問題について伺いたいんです。  米と小麦と大豆という三つの穀物を取り出して、簡単な数値だけで結構ですから、米、小麦、大豆の昭和六十一年と、直近の統計とすると平成七年らしいので、直近の平成七年の国内自給率をおっしゃってください。
  102. 高木勇樹

    説明員高木勇樹君) まず、米と小麦でございます。  昭和六十一年の米の自給率は一〇八、七年が一〇三でございます。それから小麦でございますが、小麦につきましては六十一年が一四、七年が自給率七ということでございます。
  103. 高木賢

    説明員高木賢君) 大豆につきましてでございますが、昭和六十一年が五%、それから平成七年が二%でございます。
  104. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 米は昭和六十一年でも一〇〇%を超えている。また、ずっと一〇〇%を超えて平成七年では一〇三%。しかし、この一〇三%という数字は、本来ならばつくることができるものを減反政策等でいろいろ制約した上での数字ですから、米については一〇三%というのは、全部もし本当に国内において米をつくったとすれば一三〇%、一四〇%になる可能性はあると思うんです。それに対して小麦の方は、昭和六十一年が一四%、平成七年は七%なんです。国民が消費する米は一〇三%国内でとれるけれども、小麦は七%にすぎない。大豆に至っては、昭和六十一年に五%だったけれども平成七年で二%、今だったらもっと下がっている可能性もある。  そこで、米と小麦と大豆の平成七年における消費熱量に対する割合もちょっと一言述べてください。
  105. 高木勇樹

    説明員高木勇樹君) まず、米でございますが、米は七年度二五%でございます。それから小麦でございますが、七年度一二・五%でございます。
  106. 高木賢

    説明員高木賢君) 大豆につきましては、食品用だけについて見ますと三%、それから油を含めましてすべての大豆で見ますと七%でございます。
  107. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 そこで、要するに米も小麦も大豆も自給率とすると今申し上げたような数字、そして国民の消費に占めるカロリーとすると今言われたような数字なんです。  私が何を言いたいかというと、こういう状況で国がこれらの穀物のそれぞれに対してどれだけの補助をしているのかということについての問題なんです。平成七年度の決算において今申し上げた三つの項目に対する種々の名目の補助金がどうなっているかということを農水省の事務方の方にお伺いしました。最初はなかなか難しいものだからいろいろと言っていたんだけれども、大変御苦労して一応答えを出していただいた。これによりますと、平成七年度における米に係る補助金等は二千八百六十八億円なんです。小麦に対してはどうかというと、六百六十一億円なんです。大豆に対してはただの十三億円なんです。これが平成七年度における決算上から見た三つの穀物に対する補助金の金額なんです。  私が言いたいのは、一〇三%もある米に対してさらに、今申し上げましたようにこの一〇三%というのは減反していますから、どんどんつくりなさいといったら本来なら一二〇%、一三〇%の自給率である米に対する補助金が二千八百六十八億円であるのに対して、自給率二%しかない大豆に対して何で十三億円しか補助しないんですか。あるいは小麦にしても七%の自給率しかないというのに六百六十一億円しか補助していない。ですから、私は補助をするのにもう少し仕方があるんじゃありませんかということをお伺いしたいんです。  この数字を見る限り、大豆の自給率なんかどうでもいいわい、小麦も自給率はそんな心配をする必要はない、米だけは一三〇%の自給率でもまだ応援せにやならぬというふうな数字に見えますが、これは七年度の決算ですよ、米、麦、大豆に対する補助金の額というのがなぜこうなるんですか、そしてこれがよろしい姿なんですか。  私が一番言いたいのは、小麦や大豆の自給率向上のために農林行政としてはやるべきことがもう少しあるんじゃありませんかということを言いたいわけなんです。だから、まず自給率はこれでいいのか悪いのか、もし自給率がこのままじゃぐあいが悪いというんだったら、それを向上するためにどうするつもりなのか、それをお伺いしたい。
  108. 高木賢

    説明員高木賢君) 麦と大豆の自給率についてでございますが、これは一昨年閣議決定をいたしまして平成十七年度の長期見通しというものを出しております。これによりますと、いろいろな条件はございますけれども、小麦につきましては一二ないし一五%という見通しを持っております。また、大豆につきましては五%という見通しを持っております。この見通しが実現されるように各種の生産対策なり価格安定対策を講ずる考えでございます。
  109. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 まだいろいろありますけれども、ちょっと次の問題がありますので農水省に対する質問はこれで終わりたいと思います。  会計検査院に伺います。  会計検査院先ほどから私が質問しております国有林野特別会計決算について、昭和五十年度、六十年度及び平成七年度にそれぞれ特別に掲記すべき事項として検査報告をしております。このうち昭和五十年度の報告は、単に収支の分析をしただけで特別の提言等は全くありません。昭和六十年度の報告においても、国有林野事業会計につき詳細な分析は行っているが、結論として述べていることは、「現状のまま推移すると、六十三年度を目途として自己収入と事業支出の均衡を回復するという改善計画の当面の目標の達成が困難になると認められ、効率的な事業の実施に努めるとともに投資の効率化により経費の節減を図ることが緊要である。」とは述べておりますが、具体的にどうこうということを述べているようには思えません。  ところで、私は先ほど平成二年の決算委員会の席上でのことを申し上げましたが、このときにやはり今の会計検査院の報告を取り上げて、会計検査院にこのような単なる指摘をしているだけでは不十分ではありませんかという質問をしたのに対して、時の会計検査院の第四局長の白川健氏は、国有林野事業は木材の生産が中心になるわけですけれども、そのほかに、国土の保全とか水資源の涵養とか自然保護という役割も持っている。そういう公益的な機能に対応する費用については財政措置も必要ではないかと考えております。しかし、六十年度の検査報告では、公益的な分野については私どもの分析、検討が及ばなかったと、こう答弁しているんです。ということは、今度はそういう公益的な側面を含めてきちんと会計検査しますということと私は受けとめたわけです。  しかし、その次の平成三年度の決算についても、要するに第四次計画が始まった第一年目である平成三年度の決算についても、それから四年から六年度までの三年間の決算においても、会計検査院は国有林野事業の公益的機能という観点からの検査報告を行ったように全く見られないんですが、いかがなんですか。
  110. 牛嶋博久

    説明員牛嶋博久君) 先ほど林野庁の方からお話がありましたように、林野庁では平成三年七月に、それまでの改善計画では国有林野事業の財務状況が好転しなかったため、総理大臣の諮問機関であります林政審議会の二年十二月における答申を踏まえまして、新たに三年度から十二年度までの十年間を改善期間とします「国有林野事業の改善に関する計画」を策定され、経営改善に取り組まれることになりました。  会計検査院では、この改善計画の実施状況をしばらく注意深く見守る必要があるのではないか、そう判断しまして、平成三年におきましては通常の検査は行っておりますが、委員指摘のような観点からの総合的な検査は行っておりません。それから、平成四年から六年の間についてでありますが、平成四年から六年につきましても、改善計画が実行されましてから二、三年しか経過していないため、十年間の改善計画の目標が達成できるかどうか判断するには時期がまだ早過ぎると考えまして、委員指摘のような観点からの検査は行っておりません。
  111. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 この計画は第四次計画なんです。第一次、第二次、第三次がでたらめで、全然できていない。それで、第四次。この第四次はもっと森林をそういうふうな観点から分析していけという話があった第一年なんです。その第一年、第二、第三、第四年まで別に何もしないで待っていました、そして第五年になってやりましたと。  確かに、第五年としての平成七年度の決算については、会計検査院は、今回の会計検査報告では、国有林野事業の木材生産林の問題と公益林との区分けをして、経理的にもきちんと明らかにして、そして国民理解、支援が得られるような方策を講じたらどうだということを言っているけれども、これは証文の出しおくれなんです。もうそんなことを言っている段階じゃなくなっちゃっている。平成三年、四年、五年、六年に何ら指摘しないで、七年になって指摘したけれども指摘したことはいいけれども、もう指摘されて、そうですねという段階じゃなくて、計画自体がもう破綻している段階なんです。  会計検査院法三十六条には、「会計検査院は、検査の結果法令、制度又は行政に関し改善を必要とする事項があると認めるときは、主務官庁その他の責任者に意見を表示し又は改善の処置を要求することができる。」と書いてある。平成三年の決算においてやるべきなんです。三年、四年、五年、六年に何もやらないで、七年にやったときには国有林野事業会計はもう御破算で、別口に行ってしまっている。会計検査院法三十六条に基づいてもう少しきちっとした会計検査をするべきだということを申し上げておきたい。  なお、会計検査院の天下り問題について質問しようと思ったけれども、時間がないのでこれはまたこの次の機会にします。  運輸省にお伺いします。  決算とは直接関係ないんですけれども、ちょっと強制水先人制度という制度が余りに不公正であると考えるので、この点についてお伺いしたいと思います。  水先人とは、指定された港湾、水域における船舶交通の安全を図り、船舶の運航能率の増進に資するために船舶に乗り込み当該船舶を導く人を水先人といいます。この水先人をつける方がよろしいよという任意的な水先区というのと、つけなきゃだめだよという強制的に水先人をつけさせられる水先区と、全国の水先区の中には任意的水先区と強制水先区と二種類があります。その強制水先区の中にまた二種類あるんです。この強制水先区の二種類についてそれぞれどういう規制があって、それに該当する港がどこかというのをお答え願いたい。
  112. 山本孝

    説明員山本孝君) 現在、全国に三十九の水先区が設定されております。また、先生指摘のとおり、十一の港につきましては強制水先区というふうに定めておるところでございます。  この設定状況でございますが、強制水先区の設定のうち、先生が二種類とおっしゃられたのは三百トン強制区というのと一万トン強制区のことであろうかと考えますが、この三百トン強制区につきましては、現在、横浜区、横須賀区、神戸区、関門区、佐世保区並びに那覇区というのがございます。一万トン強制区はその他六つでございますが、東京湾区、明石区、備讃瀬戸区、来島区及び関門港航路区域、伊勢三河湾区、それから大阪湾区、実は先ほど申しました明石区というのは、この最後に決められました大阪湾区に現在包含されております。  以上でございます。
  113. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 時間がないんで私の方から結論的に申し上げますけれども、この三百総トン以上の船が出入りするのを強制的に水先区としたのは、昭和二十五年に駐留米軍の意向によって初めてその五つが指定されたんです。そのときには三百トンだった。ところが、昭和五十年ごろから諸外国と兼ね合いの上で強制水先区をつくろうといったときには、まあまあ諸外国並みの一万トンで今言われたような六つだかの強制水先区がつくられている。  だから、現在になってみると、私は横浜に住んでおりますので申し上げるわけじゃないんですけれども、同じ東京湾の中で片や横浜港は三百トンからの船は全部水先人をくっつけろと。水先人の費用というのもそう安い費用じゃないわけです。だから、横浜港へ来れば三百トン以上の船は全部水先人を強制される。隣の東京港へ行くのは一万トンから上の船でいいんです。同じことが神戸でも言われるわけです。神戸の港に入ってくる船は三百トンから以上はみんな強制水先人をくっつけろと。隣の大阪へ行くのは一万トンから上でいいと。これは私は、ことしの一月、地方分権・規制緩和の視察で神戸へ行ったときに、神戸市長や神戸の港湾関係者からとんでもないこの差別を早く直すようにやってくれということで陳情を受けている。  ということもあって特に質問させてもらっているんだけれども決算とは無関係で申しわけないけれども、こんなだれが考えたって三百トンと一万トンといったらえらい違うんです。だれだって三百円もらったってそんなにありがたいと思わないけれども、一万円もらえばありがたいと思うでしょう。一万トンというのはそんなに違うんです。それを横浜へ来る船は三百トンでみんな金を取られて、隣の東京港へ行くのは一万トンから上だと。こんな不合理、不公平は理由はどうであれ即刻直すべきである。  なお、水先制度についてはいろんな規制緩和の要望も各界から出ていますけれども、それはそれとして、私は目に見えるこの不公平を直ちに直すべきだと思うけれども古賀運輸大臣の御意見を伺って、御意見というよりもやりますと言ってもらうことを期待して、質問を終わります。
  114. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 先生今御指摘いただきましたように、確かに三百トン区と一万トン区というふうに現在の強制水先区というものが区分をされております。選定の経過につきましては政府委員の方から今御説明も申し上げましたし、委員も既によく御承知おきいただいているところでございます。  今、委員もお触れいただきましたけれども、特に神戸港におきまして三百トン以上の船舶が水先を強制されるのに対しまして、大阪湾では御承知のとおり一万トン以上となっております。これは、東京湾の中での横浜港と先生が今比較されましたけれども、それにも全く同じような現象が出ているわけでございます。  こういったことに対しまして、阪神・淡路大震災を契機といたしまして、とりわけ神戸市等から大変強い要望が出ているのは私も承知いたしております。また、この問題について有識者等によります検討委員会も設けて、昨年五月から既に検討を行わせていただいているところでありまして、本年の七月には海上安全船員教育審議会におきましても審議を行わせていただいております。  この強制水先の見直しというのは、ただし安全とか環境にかかわる問題であるということは申すまでもないことでありまして、十分詳細な検討を行う必要があろうと思いますけれども、いずれにいたしましても不公平を是正する、また規制緩和、そういった問題等につきまして今大変な課題一つでございますので、早期に結論が得られるように私といたしましても対処してまいりたいと思います。
  115. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 終わります。どうもありがとうございました。
  116. 益田洋介

    ○益田洋介君 まず最初に、運輸大臣にお伺いしたいと思います。  ことしの十二月に開通する予定の東京湾横断道路、これの建設につきましてですが、川崎市と千葉県の木更津市を海底トンネルで結ぶ工事だということです。この工事、全長十五・一キロ、自動車専用道路ですが、第三セクターの東京湾横断道路株式会社と道路公団がジョイントベンチャーを組んで一九八九年に着工されたものでございます。総事業費は一兆四千八百億円余ということでございます。  この建設工事をめぐって日本道路公団運輸省と話し合った結果、約五十億円の補助金を、この航路を通すフェリーの会社は二つございます。一つは川崎と木更津を結ぶマリンエキスプレス株式会社、もう一つは久里浜と金谷を結ぶ東京湾フェリー株式会社に対して補助金を、約五十億円と言われておりますが、支払うことが決定しておったということが判明しております。  名目は航路廃止交付金、実質的にはフェリーの利用客が大幅に減るんだという前提のもとでの補償金であるわけですが、これは基本的には、航路というのは国が運航する権利を与えたものでありますので、土地や建物の財産とは違うわけでございます。橋ができたからといって財産権が侵害されるものではない、基本的に私はこのように考えるわけでございます。  問題は、こうした名目で補助金が支払われるのは初めてではなく、本州四国連絡橋に続いて二度目になるわけですが、このときには特別措置法というのがつくられた。そして、この法律に基づいて交付金の支払いがなされたわけでございますが、今回はそういうものはない。本州四国連絡橋の建設に伴う一般旅客定期航路事業等に関する特別措置法、昭和五十六年の法律第七十二号という立派な法律が、大して立派じゃないんですが、あるわけですが、今回はこういうものはない。どうしてこの金額が決められて支払うという行為が行われるに至ったのか、全くこれは国民の前につまびらかにされておらない。  ただ一通の、本文わずか四行、運輸省海上交通局長建設省道路局長の名で出された通達、平成九年六月十九日、海交旅第四九号、建設省道有発第九七号という通達。運輸省関東運輸局長及び日本道路公団総裁あての本文四行だけの通達で五十億円が右から左に支払われている。これはどういうふうなことでしょうか。大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  117. 佐藤信彦

    説明員(佐藤信彦君) 東京湾横断道路につきましての航路廃止に伴う交付金の御質問でございますが、交付金は、道路建設に伴いましてその影響の度合いから必要だというふうに判断される場合に事業主体が交付することになっております。  それで、その手続等でございますが、法律で定めていくか、それから要綱で定めていくかというのは、その具体の事業状況によりまして判断されております。一般的には、国の施策等に基づきまして一時的かつ大量に離職者が発生する場合に、その影響を受ける事業者それから地域の範囲が大きくて離職者の速やかな再就職が困難な場合、こういった社会的混乱を回避するといった観点から特別の立法措置をとる場合が多いようでございます。  当横断道路でございますが、これにつきましては、先生がおっしゃられたとおり対象になる事業者が二社でございます。それから非常に限定的なものでございまして、この二社も比較的大きな企業であるといったことも考慮いたしまして、交付金の交付については要綱で定めましてそういった対応をしていくといったことで、運輸省と協議して決めて進めているところでございます。  したがいまして、現時点ではまだ五十億円とかそういったオーダーが決まっているものではございません。そういった要綱を決めて今後対応していくといったことでございます。
  118. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 政府委員の方から具体的なことについては御答弁を申し上げたところでございますが、委員から御指摘いただいております東京湾横断道路でございますが、御案内のとおりまた新しい高速交通体系が実は整備されたわけでございます。しかし、それはその光の分野とは別に、そのことによってまたさまざまな影響というのが出てきているわけでございまして、その影響を最小限に食いとめてどう多くの方々に御理解をいただくかということも、またある意味では大変大事な問題であろうかと思っております。  そういった中で、今回の東京湾横断道路の完成に伴いまして、今先生から御指摘いただいているような問題点について、政府委員が御答弁申し上げましたように、今回、要綱に基づいてこれを実施していこうということでございますので、私といたしましては実施要綱に基づいた手続が適正なものであるように、また適正に実施されるように建設省とともに関係者を指導していくという責任があろうかと思っております。  その点を御指摘いただいたものだと思っておりますので、そういう観点に立ちまして今後も指導してまいりたいと考えております。
  119. 益田洋介

    ○益田洋介君 要綱に基づいてというのは、その要綱が生まれたいきさつというのは私はこれはよくわかりません、蚊帳の中の話で。  先ほど言った、たった一通の通達だけで五十億円というお金が国会国民もだれも知らないところで流れようとしているんです。こんなことは許されない。要綱はそうした効力があるという法律的な根拠があるんですか。あるんだったら教えてください。
  120. 佐藤信彦

    説明員(佐藤信彦君) 交付金につきましては、先ほども申し上げましたように事業主体がその影響に応じまして対応していくということで、法律によりまして行う場合もございますが、先はどのような社会的影響の多いものについてそういう対応ということで、今回の横断道路につきましては対象となる事業者が二社と限定的なものですので、こういった要綱での対応というふうに考えております。  要綱でございますが、表紙の方はごらんになっているようでございますが、中身は本四の法律に準じまして整理をさせていただいているということでございます。
  121. 益田洋介

    ○益田洋介君 表紙だけ読んで中身を見てないなんという、そういう言い方はないだろう。失礼だよ。ちゃんと中身は読んでいる、大した中身じゃないけど。それはちょっと後に回すけれども。要するに法律的な根拠はないわけだね。それだけ答えて。根拠があるかないかと聞いている。
  122. 佐藤信彦

    説明員(佐藤信彦君) 事業者の判断において交付金の交付は考えております。
  123. 益田洋介

    ○益田洋介君 じゃ僕の方から言うと、考えられる法律というのは憲法の二十九条財産権の主なんです。これは財産権の侵害に対する反対給付としてなされる。しかし今回の場合は、先ほど言ったように土地とか建物に関する権利の侵害じゃないから、しかも国家から許可された運航の権利、だから財産権の侵害には相当しないわけだ。これが唯一考えられる法律だ。あとはないんです、日本に法律は。根拠法というのはないんです。あるんだったら言ってみなさい。  ドイツにはある。ちゃんと調べたんだ。適法な公権力の行使によって加えられた経済上の特別の犠牲、公用徴収、公用使用というようなものだけれど、これは行政上どうしても必要だという場合には財産的補償をする、こういう概念はドイツにはある。フランスにもイギリスにもある。時間が余りないから言わないけれども、日本にはないんです。だから法的根拠はないんだ、交付金というのは。認めなさいよ。
  124. 佐藤信彦

    説明員(佐藤信彦君) 交付金等につきましては、法律が規定されている場合もございますが、先ほども申し上げましたように、ない場合におきましても行政主体の判断で行う場合が多いということでございます。例えば、日ソ漁業交渉などの結果におきまして減船等の措置が余儀なくされた場合におきましても、こういったものについての交付金といったこともあったというふうに私ども伺っております。そういったことで対応方をさせていただいております。
  125. 益田洋介

    ○益田洋介君 この前に交付金が交付された事例として本州四国連絡橋の交付金支出がありました。そのとき、これ若干やはり社会的な問題になっている。総額で二百七億円も支出した、これはルートが三つあったからね。今回は一つ。そのときいろいろ問題になった際に、きょうは建設省に来てもらっているんだけれども、参考までに言っておくけれども、建設省の当時の担当官がこういう話をしている。「交付金の総額については監督官庁として把握している。個別事例までは報告を求めていないが、」、それでさらに問題はここなんです、「交付は本四公団が法律に従って行っており、無駄な支出はないと考えている」と。法律に従って行っている。  今回は法律に従っていないんです。この点、どう思いますか。
  126. 佐藤信彦

    説明員(佐藤信彦君) 法律に準じまして要綱を設けて……
  127. 益田洋介

    ○益田洋介君 法律ないじゃないか。つくってないじゃないか、特措法。だめだ、そんなこと言っちゃ。法律つくってないじゃないか。
  128. 佐藤信彦

    説明員(佐藤信彦君) ただいま申し上げましたように、法律に準じまして要綱を設け、それによりまして対応しております。
  129. 益田洋介

    ○益田洋介君 法律つくってないのに何で法律に基づくんだ。何という法律だ、それじゃ言ってみなさい。
  130. 佐藤信彦

    説明員(佐藤信彦君) 今お話が出ておりました本州四国連絡橋の件についての法律でございます。
  131. 益田洋介

    ○益田洋介君 本四連絡橋の法律が何でこれ準拠されるんだ。それじゃこれ準拠法なのか。そういうでたらめを言っちゃいけないよ。法律ないんだ、要綱だけなんだ。通達につけた要綱だけなんだ、法律じゃないんだ。それを認めなさいよ。
  132. 佐藤信彦

    説明員(佐藤信彦君) 要綱に基づいて対応を考えております。
  133. 益田洋介

    ○益田洋介君 だめだ、これ。要綱と今言っただろう。要綱は法律じゃないんだよ。何が準拠法なんだ。何の法律によってこの五十億円という支払いがなされようとしているんだ。それを聞いている。ないのならないとはっきり言いなさい。ありませんと言いなさいよ。
  134. 佐藤信彦

    説明員(佐藤信彦君) 交付金については、先ほど申しましたように事業主体が交付するということで、事業主体の判断によって行われております。その場合に、法律による場合もございますし、それからそうではなくて、ただいまのような要綱によって行う場合といったことがございまして、この場合には要綱ということでございます。
  135. 益田洋介

    ○益田洋介君 法律があるのかないのか聞いている。要綱で五十億円もの交付金を出すという法律がどこにある。ないならないと言えばいいじゃないですか。はっきりしなさい。時間がもったいないから言いなさいよ。
  136. 佐藤信彦

    説明員(佐藤信彦君) 支払いにつきましては要綱に基づいてでございますが、そのさらにベースになりますのは道路整備特別措置法の施行令の中にございます道路の新設に要する費用の中からこれを行うといったことになっております。
  137. 益田洋介

    ○益田洋介君 じゃ、それを見せてみなさい。そんなの聞いたことがない。  時間のむだになるから、それは関連法律を後で僕のところに持ってきて。その上でまた話し合おう。  要するに、僕の印象は、あなた方は法律に基づかないで五十億円もの国民の血税をわけのわからないところに支払おうとしている。この点、大臣はどう思いますか。
  138. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) この五十億という金額が法に基づくものなのか、また実施要綱に基づくものなのか、今、先生指摘をいただいているような点につきましては、私といたしましても実施要綱に基づいて今回の場合は五十億という数字をはじき出しているというふうな認識でいるわけでございます。  ただ大事なことは、こういった大事な血税を使わせていただく場合に、どういう適正な手続の中で実施されるかということだろうと思っておりまして、例えば先生から今御指摘いただいた本四架橋公団の場合にも、建設省の政府委員の答弁を例にとられましたけれども、決してそういうことがあってはならない、やはり責任を持って大事な血税の使途について平等な適正な手続とそれから支給というものが行われるべきものであろう、こういう感じを持って聞かせていただいたところでございます。
  139. 益田洋介

    ○益田洋介君 それでは、本四連絡架橋の際の交付金についてのお話が今大臣から出ましたので、これも全然後くされがないという問題じゃないんです、大臣一つは、二重払いが行われている。同じフェリー会社に二回支払いが行われている。  これは本四架橋のうちの尾道―今治ルート。昭和五十八年十二月、同ルートの因島大橋の完成がきっかけになって支払われた交付金。因島商船と因島フェリーなどを中心にした中堅の旅客船会社五社が最初にこのルートを廃止したために約二十五億九千百万円の交付金を受け取ったんです。ところが、その受け取りの二年前、既に計画がわかっていて交付金が交付されるということは知っていながら、この五社は共同で中四開発、従業員約八十人、村井修社長、を設立した。それで、航路が廃止される約一カ月前に、同ルートの四国側の延伸先である生口橋、僕は行ったことがないけれども、因島-生口島に新しいフェリー航路を開設したいと運輸省に開設の申請をしたんです。運輸省はこれを五十九年七月に認可しているんです。平成三年の十二月に予定どおり生口橋が完成して、この新しくできた航路は廃止された。もともと廃止されるのがわかっている航路を新設しているんです。  まず第一問、クイズじゃないけれども、何でこれを許可したのか。二つ目、このときの新航路の廃止に伴って三億二千万円の交付金をまた公団が支払っている。それで結局、前のルートが廃止されるのがわかっていたから中四開発は最初の交付金の対象となったフェリーの桟橋を再利用したり、船員を再雇用したりしている。最初の交付金自体は払う必要がなかった。しかも、その恥の上塗りとして、廃止されるとわかっている新航路をつくって、そこでもまた交付金をもらっている。これをどういうふうに説明するんですか。
  140. 岩村敬

    説明員(岩村敬君) ただいま御指摘の中四開発でございますか、ちょっと詳しいデータは今手持ちにございませんが、当時の事情として、因島大橋が開通をいたしまして、さらに因島から先の生口島へ向けては当時橋がございませんでしたので、そこの旅客の需要がふえたということで、新規に免許をおろしてそこの島の間の輸送に携わったというふうに理解をいたしております。  その後さらに橋が延びまして、その時点でその間の需要が橋に移った、そういったことからこういった事情が生じたかというふうに理解をしておるところでございます。
  141. 益田洋介

    ○益田洋介君 そんな子供だましみたいな答弁しちゃだめですよ。  それでは、最初に支払った交付金は一体何だったのか。まず事実関係は認めるわけだね、これ。認めるね。
  142. 岩村敬

    説明員(岩村敬君) 突然のあれだったものですから、ちょっと手持ちの資料がございません。御指摘のことがあったというふうには思いますが、ちょっと正確な資料が手元にございません。
  143. 益田洋介

    ○益田洋介君 手持ちの資料がないなんて、きのうちゃんと通告したじゃないですか。だめだ、そんなこと言っちゃ。何で持ってこないんですか。  僕が言っているのは、新しい航路をつくる、それを許可する理由が、古い航路が廃止されると不便になる、橋がまだできていない、だから新しい航路を認めたと。前の桟橋と前の従業員を使っているんだ、新しい航路で。何で交付金を出す必要があるんだ、最初の交付金、それを聞いているんです。
  144. 岩村敬

    説明員(岩村敬君) ちょっと事情を調べてまた御報告したいと思いますが、この交付金が出る際には桟橋を撤去しないと出ないはずなので、ちょっと私、どういう形で二回出たのかというのが理解できないんですが、そこは調べさせていただきたいと思います。
  145. 益田洋介

    ○益田洋介君 委員長、私はこれ書面で回答をいただきたいと思うんですが、御許可いただけますか。理事会で検討していただけますか。
  146. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 理事会で検討します、
  147. 益田洋介

    ○益田洋介君 ありがとうございます。  それから大臣、この本四架橋の交付金についてはまだいろんな問題がある。  二つ目。これはちょっとゆゆしき問題なんだけれども、かなり水増しがあったという話がある。どういう水増しの方法かというと、非常に大胆といおうか、大胆であればこういうことは目につかずに済んだのかという方法なんだけれども、交付金が交付されることが決まった時点で新造船に切りかえて交付金の請求額を高くして、航路が廃止された後、その船舶をその会社の別の航路に転用するということ、これが一つ。二つ目は、廃止直前の利益が交付金の算定基準になるというふうな決まりがあって、旅客船の修繕や点検を全く手抜きしちゃった。本来ならば請求額の中には定期的な点検や修繕の費用は含まれている。していないんです。坊主丸もうけなんです。これ、どう思いますか。
  148. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 私といたしましては、いずれにいたしましても適正に実施をされたものだというふうに認識をいたしておりますが、今先生が具体的にこういう問題点があるという御指摘でございますので、残念ながら具体的な項目について私は事実関係を承知いたしておりませんが、私の責任において調査をしてみたいと思います。
  149. 益田洋介

    ○益田洋介君 この調査結果も、委員長、私は提出していただきたい、書面で。ぜひお願いしたいと思います。
  150. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 理事会で検討いたします。
  151. 益田洋介

    ○益田洋介君 ありがとうございます。  とにかくこの本四公団の交付金の総額は二百七億六千六百万円、大変な金額です。既に亡くなられました第三次行革審の会長であられた鈴木永二前日経連の会長はこういうことをおっしゃっている。「特殊法人は、大企業を幾つも合わせた巨額の予算を使いながら一、二枚の報告書しか国民の目には触れさせない」と。  今、行革行革といって大臣を含めた橋本内閣の皆様は頑張っておられるようだけれども、火だるまになるのか血だるまになるのかわからぬけれども頑張っておられる。その努力は認めます。その一方でこういうふうなわけのわからない、国民に判然としないような支出が行われている。これはどう思いますか。
  152. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) ただいまも御答弁申し上げましたように、まず私といたしましても、そうした事実関係を照査していくということが肝心なことだろうと思って今お約束を申し上げたところでございます。  今次言われております行政改革、特に第二次橋本内閣、今先生指摘いただいたように、火だるまになってやっていこうということであります。今までにない熱意を持って取り組ませていただいているわけでございます。とりわけ、御指摘いただいた特殊法人等のあり方につきましても、まず情報の開示、透明性を高める、そういった中で特殊法人の必要性等についてこれから本格的な取り組みに入っていくわけでございまして、先生の御指導と御支援もまたよろしくお願い申し上げておきたいと思います。
  153. 益田洋介

    ○益田洋介君 私は、我が党全員そういう気持ちでいると思いますが、行財政改革というのは私どもの党の旗頭でありますし、御協力させていただくのはやぶさかではございません。ただ大臣、この五十億という今回の交付金、これはすんなり通しちゃだめですよ、今言ったように。  今、大臣が御自分の口から言われた、透明度を高める、公開する、国民に対する開示義務を果たしていく、こういう御姿勢だと言ったけれども、この五十億円の東京湾横断道路の交付金については全く何も開示されていないんだ。法律をつくらないから国会でも審議されないし、国民の方々は知る由がない、すべがない。全く反対じゃないですか。中央省庁や特殊法人の多くは、依然としてこうやって情報開示することを拒んでいるんだ。この現状をどう思いますか。
  154. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 先生指摘いただいているようなことをこれからどう改革していくかということが今特殊法人にとって一番大事なことでありまして、国民からもそのことを見られているわけでありますから、私どもも肝に銘じて努力をしていかなければいけないと思っております。  いずれにいたしましても、東京湾横断道路の問題につきましては、適正に実施されるように、最初に私お約束いたしましたように、建設省、運輸省ともに関係者を指導してまいりたいと思います。
  155. 益田洋介

    ○益田洋介君 先ほど道路局長は、私は表書きの通達四行しか読んでいない、要綱そのものは読んでいないだろうと、こういう失礼な発言をしたけれども、それは結構なんだ。僕は勉強不足だとよくわかっているけれども、それじゃ要綱についていきましょう。  交付金の内容について四項目ある。これは時間がないから一つ一つ言わないけれども資産の減価補てん費用、差額の補てん。資産撤去費用、相当額の助成。事業転換等費用、転業等を円滑に行うための費用の助成。退職金の一部充当費用、特別加算分に当たるものを給与の八カ月を上限として助成する。大した書類じゃないじゃないですか、読んでいるとか読んでいないとかいって。小学生だってこんなの読めるよ、二ページしかないじゃないか。表書きしか読んでいないなんて失礼な。  僕が聞きたいのはそんなことじゃないんだ。そんな僕はプライドのことを問題にしているんじゃなくて、この二ページ目にある交付金の請求、指定日から始まって事業の縮小、廃止の報告、交付金の請求、請求の審査、これは道路公団が行うんだけれども、事実確認・精査というふうなことが行われている。やはり公団がここの部分で実際の作業をすると言いながら、精査結果というのは受け取っているの、運輸省は。請求が正しいかどうかという事実関係と精査の結果というのは受け取っているのですか。
  156. 佐藤信彦

    説明員(佐藤信彦君) ただいまの東京湾横断道路の関係については、これからそういった手続を進めていくということでございますので、そういった調査結果についてはまだいただいておりません。
  157. 益田洋介

    ○益田洋介君 精査して結果を提出してもらいたい、国会に。  積算基準がわからないんだ、これ、なんで五十億になるのか。これもあわせて提出してもらいたい。委員長、よろしゅうございますか。
  158. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 検討して回答いたします。
  159. 益田洋介

    ○益田洋介君 ありがとうございます。終わります。
  160. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 民主党・新緑風会の中尾でございます。  私は、まず運輸省に旧国鉄長期債務処理問題について何点かお伺いしたいと思います。午前中の質疑にもございました。一部重複をお許し願いたいと思います。  まず、大臣に抜本処理策についての基本的考え方を改めて伺いたいと思います。  国鉄長期債務処理問題については、昨年の予算編成時の閣議決定平成九年中に具体案をつくり平成十年度から実施するということになってございますが、今回平成十年度の概算要求が出されました。その要求の内容はこの後逐一御質問申し上げますが、今回出された概算要求の内容は抜本処理策というふうに認識してよろしいんですか。
  161. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 午前中の御質問にも答弁をさせていただきましたけれども国鉄長期債務の本格的な処理という問題は、運輸省といたしましても国鉄改革十年の節目といたしまして避けて通れない最重要課題でございます。  そういう意味で今回概算要求を出させていただいておるわけでございますけれども運輸省といたしましては、国鉄長期債務というものを国の債務として明確に位置づける、そして国において確実な処理としていくことを内容とした具体的な処理案を取りまとめて私は概算要求をさせていただいたという認識でおります。  しかしながら、御指摘処理財源について、運輸省といたしましては資産処分収入と国の一般財源による処理をお願いしているところでありますが、この点につきましては、今後与党間の検討の場におきましてもさまざまな御論議の中で検討をこれからされていくわけであります。そういった場を、今後の検討を踏まえながら引き続き調整をしていくということは当然作業として残っていくものだと思っております。
  162. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 私は、ことしの通常国会長期債務処理の特例法案の審議の中で、清算事業団自主財源等で処理できない債務、当時二十二兆円あるいは二十三兆円というふうに推定いたしました。その債務のうち十三・八兆円については、国鉄改革時のスキーム、それから当時昭和六十二年度の閣議決定等一連の流れの中で、一般会計へのっけかえはやむを得ないのではないかと主張いたしました。  国の責任において処理するというふうになってございますが、一般会計へのつけかえ、一三・八兆円は何とか国民理解が得られる数字ではないかというふうに主張いたしました。そして、残りの約九兆円については道路特定財源の見直し、あるいはJR法人税収等の転用といいますか運用など、充当することで、十五年あるいは二十年の返還計画を私は具体的な数字を示して提案させていただきました。  ところで、今回の特別会計への移管、大臣から今お話がございましたが、国鉄長期債務処理を明確にするという意味では、私は特別会計でどの財源を充ててどういうふうに返還するということで一定程度の評価はできると思います。しかし、よくよく中身を読んでみますと、債務を特別な財源で処理するのではなくて、今大臣から御説明があったように一般会計への単なる債務のつけかえにすぎない、あるいは国債の増発を招くだけという批判が既にございます。こうした声に大臣はどのようにおこたえになるのか、お伺いしたいと思います。
  163. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 先生、ただいまの御発言の中でお触れいただきましたように、さきの国会で御論議をする中で、先生の、当初の十三・八兆円という問題について、これは国民負担として一般会計へのっけかえということは一つ処理策として考えられることではないかと、そういう御指導をいただいたことを私も明確に覚えております。  ただ、この概算要求の段階で、先ほども申し上げましたように、まず国鉄長期債務というものが国においてその本格的な処理を行うということが不可欠である、そういう立場に立った中でこうした特別会計をつくらせていただいて、特別会計への移管という形で実は要求を出させていただいております。そのことが今先生から御指摘いただいておりますように、いろいろな国民のこの処理策に対しての立場の違い、また論議の角度の違い等によって御論議をいただいているということは承知いたしております。  そういうことを踏まえながら、今後どういう国民的な論議を経た上で国民のコンセンサスを得る処理策ができるのか。まさに財政構造改革の中間取りまとめの中でもあらゆる選択肢というものが列記されているわけでございますけれども、そういったものを一つずつ論議を深めながらこれから予算編成に向かっての最終的な処理策の詰めに、私どもはあらゆる角度で、一番大切な国民の幅広い御論議をいただいた上で詰めていかなければいけない大変大事な課題だろうというふうな認識でおります。
  164. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 ここをちょっと伺いたいんですが、平成九年度首では長期債務の額が二十八・一兆円ということなんですが、今後来年度首、十年度首において、例えばJR株式の売却あるいは資産売却等を含めて、それを差し引いて純然たる残る債務というのはどのぐらいを見込んでいらっしゃいますか。
  165. 小幡政人

    説明員小幡政人君) 平成十年度首の見込みでございますが、約二十七兆八千億と見込んでございます。
  166. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 二十七兆八千億円ということなわけでございます。  それで、今大臣からも説明を受けましたが、その肝心な処理財源をどうするかということをずっと今まで各委員会、国会で論議したわけです。今回の運輸省のペーパーではさっぱり見えない。ペーパーの中で、「特殊法人からの資産処分収入納付金及び一般財源による」と書いてあるんです。そしてまた、「今後の与党における検討等を踏まえ引き続き調整する。」ということですね。これ、全く漠然としているんですね。  例えば、この返済財源について運輸省は一体どんなふうに考えているのか、具体的に。さまざま選択肢が今まで出されております。また、今後与党の検討等を踏まえ引き続き調整するということであれば、例えば運輸省の意に沿わぬ処理財源を、言葉は悪いですけれども、押しつけられてもいたし方ないということで、運輸省はそういう基本的な立場に立っているんですか。
  167. 小幡政人

    説明員小幡政人君) これは、大臣からも御答弁させていただいておりますように、いろいろ広い角度の中で、当然私ども運輸省の範囲のものも含まれますけれども、御議論させていただくということでございまして、そういう議論を今後オープンな形で国民世論にも問いかけながら整理していきたい、こういうことでお願いしておるわけでございます。
  168. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 今回の概算要求一般会計から繰り入れに必要ないわゆる真水分は、平成十年度、これは下半期ということで区切ってございますけれども、約五千億円、通年ベースでは九千九百億円、約一兆円かかるということでございます。先ほどから私も申しておりますけれども、この償還財源をどうするかということが見えない限り、とにかく特別会計をつくったと、何とか処理してくださいじゃ、これは私は国民納得しないと思うんですよ。それで財源として、公共事業を初めとした一般歳出の削減、これはもう当然のことです。しかし、この中で一兆円の償還財源が生み出されるとは思わない。  それから二点目なんですが、このさまざまな選択肢の中で何点か出されておりますけれども、具体的にやっぱり踏み込んでいくべきだと私は思います。例えばJR三社の法人税収、これは恐らく約一千億円になろうかと思います。  それから、これはマスコミ等にもいろいろ主張がございますけれども、道路特定財源のあり方の見直し、私も何回も主張してまいりました。財源をここから生み出す。特に自動車重量税は、一般財源にもかかわらず、税創設等の経緯から事実上道路特定財源に組み込まれている。これは御承知のとおりでございます。平成七年度の自動車重量税の国分の収入実績は七千八百三十七億円あるということでございます。これを充当できれば真水分の大半は賄うことができる。  このほか揮発油税の来年度税改正の見直し等もありますけれども、その揮発油税まで踏み込まなくても、これは自動車重量税を何とか財源に充ててはどうかと、私はかねてからの主張をしてまいりました。これについて大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  169. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 最初御指摘いただきましたJR本州三社の法人税の問題でございますが、これはもう私が申すまでもなく、先生御承知のとおり法人税は目的税ではございません。そういう意味で、この国鉄長期債務処理のための特定財源というのには考えられないのではないかというのがまず第一点、私の認識でございます。  それから、これは余分なことかもわかりませんけれども、今日までJR法人税の納付による国庫の増収というのは国鉄改革が財政に及ぼした効果として評価されてしかるべきものではないかと、こういう認識を片方では持っております。  また、具体的に自動車の重量税について、これを一般財源化したらどうだという先生かねてからの私どもに対する御指導でございます。何回もその都度私も申し上げてまいりましたけれども、自動車の重量税収入につきましては、今日までは受益者負担という観点から大半について道路財源として充てられてきたところでございます。    〔委員長退席、理事野沢太三君着席〕  こういったことを考えますと、やはり国民のしっかりした理解を得られるということが必要であろうということを申し上げているわけでございまして、こういうことも踏まえながら、慎重な検討は当然私どもとしてはやっていくべきだというふうには思います。
  170. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 そのほか、今回具体的に出された無利子債券の発行、先ほど質疑の中でも財政当局はもう難色を示している。例えば財政負担が拡大する、あるいは高額所得者の優遇等につながり税の公平性を欠くというような主張でございました。これをぽんと出して、私は、何で無利子債券だけをこの中の返還財源に充てたのかなと、成算はあるのかなと思っておりました。  これについて、どうですか。先ほど財政当局、実は大変難色を示しておる。しかも、どういった程度無利子債券の発行で財源が確保できるのかという、これはペーパーを出したから当然そこら辺の概算ということはお気持ち、いわゆる腹の中にあると思うんですが、ちょっとお示しいただけますか。
  171. 小幡政人

    説明員小幡政人君) 国鉄長期債務処理に当たりまして、今後の国民負担を極力圧縮するためには、償還資金の調達に伴います新たな金利負担の軽減が極めて重要な課題であるというふうに認識するわけでございます。特に、平成十年度以降、有利子債務の元本償還は、その約七割が当初五年間に集中するということでございまして、この期間にいかに低利資金を調達するかということが非常に重要な課題になっておる、こういう認識でございます。  このため、運輸省といたしましては、十年度予算の中におきまして税制上の特典をつけた無利子債券の発行を要求して、無利子資金を広く国民各層から調達したいということにしたところでございますけれども先生指摘のように、無利子債券につきましてはその分税収が減るおそれがあるのではないかとか、あるいは国債市場が乱れるのではないかと、いろいろな実は御指摘もあるのは事実でございます。    〔理事野沢太三君退席、委員長着席〕  ただ、そういうことではございますけれども先ほど申し上げましたように、いかに金利負担を軽減するかということがまずかなめの課題でございますので、この点についてはいろいろの御意見を踏まえながら、調整を図りながら実現に向けて最大努力していきたいと、こういうつもりで頑張らせていただくつもりでございます。
  172. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 私の質問に具体的に答えていらっしゃらない。無利子債券の発行でどのぐらいの財源が例えば確保されるのか、その見通しがなければこうした具体的な処理という形でペーパーを出されないと。それについてもう一回お答えください。
  173. 小幡政人

    説明員小幡政人君) 実は、無利子債券というのは世界にも例のない少ない債券でございますし、我が国においてはまだ前例がございません。そういうことで、どのぐらいの資金調達なりが可能かというようなことにつきましても、これから専門家の方々と御相談いただきながら詰めていこうというようなことでございまして、恐縮でございますが、そういう事情の中で現在我々としての皮算用は持ち合わせておりません。
  174. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 私は責めるつもりはないのですが、ちょっとこの無利子債券だけ唐突に出された感がある。その道路特定財源、それは建設省の所管でありますけれども、そういった総合交通体系の中から私はやっていかなかったら、これは結局はもうお手上げになるんじゃないかという心配をしているからでございます。  それから、財投からの資金計画について、財投関係でその既存の財投借入金について金利軽減措置を求めている、先ほどのお話もありました。これは私も当然のことだと思うんです。これはぜひ財政当局の抵抗をはね返してやっていただきたいということが一点でございます。  ところで、十年度も財政投融資からの資金計画として二兆一千七百億円程度の借り入れを見込んでございます。大蔵省の資金運用審議会の懇談会、この七月に国鉄清算事業団と国有林野特別会計について新規の貸し出しは適当でないと、これは提言しているわけです。これは座長報告という形でございますけれども。これまで国鉄長期債務が増大した原因の大きな要因の一つは、財投からの野方図な借り入れにあったというふうに私は認識しております。今回の財投からの資金計画は、果たしてこうした過去の反省に立っての考えなのか。当然反省に立っての考えだろうと思いますけれども、よくこの辺が見えてこない。これについていかがですか。
  175. 小幡政人

    説明員小幡政人君) 本年の七月二十三日に、お話しの資金運用審議会の懇談会の座長談話におきまして、現状の国鉄清算事業団への財政投融資については、今後新規の貸し付けを行うことは適当ではないということが発表されたということは承知しております。  しかしながら、長期債務処理のためには約定に基づく元本償還及び利払いのために、今まだまだ巨額の資金手当てを確実に行うことが必要でございます。今回の要求は、国鉄長期債務本格的処理を実施することを前提としての要求でございますことから、先ほどの座長談話の趣旨に必ずしも反するものではないというふうに理解していることから、長期債務本格的処理のために総額約二兆二千億の要求を行うこととしたものでございます。  なお、当然のことでございますけれども清算事業団のみならず、今回要求を行っております特別会計における資金調達のあり方については、特別会計における公債発行等を含めて幅広い検討を行っていくこととしております。
  176. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 あと二、三点お伺いします。  今回のペーパーを読んでみますと、特別会計の設置は平成十年十月一日、これは年度の後半になっているわけです。どうしてこれが十月一日なのか、私は理解に苦しむんです。もう毎日億単位の利払いが重なっていっているわけです。一日も早い、例えばこれでスタートするのであれば、四月一日からスタートするのが私は本筋じゃないかと思うんです。それぞれ事務引き継ぎだとかいろいろあるかもしれないけれども、こんな半年置いてスタートしますよと。どうも危機感、緊張感が私はこのペーパーからは感じられないんです。これについてお答え願います。
  177. 小幡政人

    説明員小幡政人君) 御指摘のとおり、この本格的処理のスタートというものはできるだけ早くというのが実は我々も必要と考えております。しかしながら、その実施のためには、国会での御審議を経て関連法律を制定していただいたり、あるいは法律制定後関係法令を制定したり、それでまた清算事業団の膨大な権利義務の承継等を確実、円滑に実施する必要がございます。こういう手続のために、我々としては最大頑張らせていただいても半年ばかりは必要かなということで十月一日を実施時期ということでお願いしているわけでございます。
  178. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 私は、もうこれは七月一日でも、国会審議も早めて、これはこちらの国会の話でございますけれども、そういった一日も早い処理をすべきだと思うんです。  次に、承継法人はなぜ鉄建公団なのか、私はちょっと理解に苦しむんです。  今回の概算要求では、国鉄清算事業団の残る業務権利義務等は日本鉄道建設公団がこれを承継することになっているわけですね。昨年の概算要求では、結果的には実現できませんでしたけれども資産の承継は鉄道整備基金が承継することになっていたはずでございます。今回はなぜ鉄建公団に承継させることにしたのか。  確かに、鉄道整備基金は御存じのようにことし十月から船舶整備公団と合体しまして運輸施設整備事業団として衣がえするわけでございます。しかし、性格上、本来であれば運輸施設整備事業団が引き継ぐべきものだと私は思っております。これは引き継がせるところがないから、恐らくどこにも特殊法人が見当たらないから鉄建公団に回したんでしょう、本音は。
  179. 小幡政人

    説明員小幡政人君) 先ほどの御答弁の中でも申し上げましたように、鉄道だけを専門に対象といたします特殊法人としては鉄建公団のみでございますけれども、今先生お話しのように、この十月で統合されます新しい運輸施設整備事業団というものも鉄道整備基金の業務を引き継ぎますので、鉄道業務を行っているわけでございます。  このお話は、今先生指摘のように鉄道業務とこの十月には船舶整備公団の船の業務を行う、それに加えまして実は十年度要求でお願いしてございますが、空港関係業務も中部新空港の関係で加えていくというようなことが予定されておりまして、鉄道分野のみを対象とする既存法人鉄道建設公団の方がそういう事情を踏まえますとベターになったのではなかろうかなということで実は一つ問題意識を持ったわけでございます。  加えまして、実は実施体制の問題でございますけれども清算事業団は行く行くは急激に土地処分等の仕事が減ってまいりますので減員してまいりますけれども、十年度におきましてはまだまだ千二百名程度の職員を抱え残務処理を行うということが必要になってまいります。そういうことを考えました場合に、実は運輸施設整備事業団の規模は統合後でも百三十五名という小さな体制でございまして、千人を超えます暫定業務の部隊を引き受けるにはこれまた問題なしとしないかなと、こういう判断もございまして、先ほど申し上げました鉄建公団の方にお願いするということに考えを変えたわけでございます。
  180. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 苦しい説明ですけれども、実情を考えれば、新しく運輸施設整備事業団がスタートして百三十五名だったか、そこに残務整理の部隊が千名どどっと入ってくると確かにこれは大変だなということもわかります。とにかく、国鉄清算事業団で働いている方の雇用ということについては改めてしっかりと取り組んでいただきたいと思います。  この長期債務の最後の質問になりますけれども大臣に財源を含めて国民納得できる形で、特別会計が私は悪いと言っているんじゃないんですが、それに全力を挙げてほしい。これじゃなかなか見えにくいということを指摘して、大臣の決意を伺って次の質問に移ります。
  181. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 先生にはこの長期債務の問題については前国会からいろんな角度で御指摘をいただき、また御指導をいただいております。今回の概算要求中身につきまして、先生からさまざまな御批判もいただいているところでございます。  しかし、運輸省といたしましては、まず国鉄長期債務を国の債務として位置づける、このことがまずスタートではないかという考えを持ったことは事実でございます。そういう意味で今後、今さまざまな御論議の中で無利子国債発行の問題だとか財投の壁をどうやって破るのか、総合的な交通体系の中で例えば具体的に重量税の問題がどうなのか、そういったさまざまな問題、これからまさに国民の幅広い論議を経た上で一つずつ議論を深めながら国民のコンセンサスを得る案として本格的処理策をつくっていくわけであります。  そういう意味で、これから予算編成に向かっての一番大事な期間を迎えるわけでございます。全力を尽くして取り組んでまいりたいという決意を御理解いただいておきたいと思います。
  182. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 とにかく特別会計という球を投げた、それでようやく野球が始まったという感がございます。それについて、これは運輸だけじゃなくて財政当局の御責任でもございますので、しっかり取り組んでいただきたいと思います。  続いて、タクシーの規制緩和の問題点について何点か伺います。  運輸省は、行政改革委員会の規制緩和委員会の報告と並行する形で需給調整規制の原則廃止を打ち出しました。それから、運輸行政はこればかりじゃなく、海運、例えば船腹調整事業の原則廃止、あるいは航空も新規参入を認めたり、そういう規制緩和の流れは私は評価するものでございます。特に、交通運輸市場に不必要な規制が多かった。それを撤廃して公正公平な競争原理を導入しています。それに伴って消費者がメリットを受けるということは私は大いに結構であると思います。  しかし一方、規制緩和によってさまざまなひずみが出てくるということもこれは同時に考えていかなければならないと思っております。特に人権、あるいは働く人たちの労働条件、それから雇用確保の問題等々いろいろな面で問題が生ずるおそれがある。特にタクシーの規制緩和によってさまざまな懸念が出されております。  平成九年三月二十八日、「規制緩和推進計画の再改定について」で、運輸省が需給調整規制廃止に向けての具体的な施策を打ち出しました。簡単に言いますと、平成十三年度末までに需給調整規制を廃止、これは安全確保あるいは消費者保護の措置が前提となっておるわけでございます。それから一〇%枠内での増車、あるいは事業区域の統合・拡大、それから最低保有車両規制の縮減等々でございます。  まず一点お伺いしたいのは、公平公正な競争条件の整備は私は必要だと思いますが、この施策により国民生活にどんなメリットがあるか、簡単にお答え願います。
  183. 荒井正吾

    説明員(荒井正吾君) 需給調整規制等の施策について御関心、御指導をいつも賜りまして感謝申し上げます。  メリットでございますが、大きく分けて三つの分野であると思っております。競争を促進されますことによって新顔が入ってまいりますので、事業が活性化されるという面がございます。二つ目は、事業者のサービスが向上、例えばタクシー事業でございますと、単純なことでございますが、愛想がよくなるとかお礼を言うとか丁寧に運転するとかというようなことがやっぱり競争でよくなる。それから多様化という面で福祉タクシーとかいろんな工夫が出てくる。それから三つ目は、運賃、料金の面でございますが、現にあらわれておりますが、低い初乗り運賃でございますとか、これから遠距離を安くするとか、あるいは身障者を安くするとかというようなことが期待しているメリットでございます。
  184. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 確かに東京は刻みを小さくして初乗り三百四十円タクシーが出現いたしました。そういったメリットもあろうかと思いますが、光と影の部分が必ずつきまといます。ちょっと影の部分についてお伺いします。  タクシーの現状、タクシー事業者、これは調べさせていただきましたが、法人が今約七千三十事業者、二十一万台、それから個人が約四万六千三百事業者、これは個人ですから車両も同じ。それで、法人のうち約四分の三は保有台数三十両以下の小規模な事業者。保有台数十両以下の法人も全体の約四割。ですから、中小零細企業がほとんどであるというふうに認識しております。  今の厳しい経営環境の中で、こうした中小零細業者はこの厳しい過当競争に耐えられないだろう。経営者の方に何人も伺いましたけれども、大変厳しいと。経営の悪化が懸念されているわけでございますが、これについてどう認識されていますか。
  185. 荒井正吾

    説明員(荒井正吾君) 競争の促進に対します経営への影響ということでございますが、今先生指摘のように中小事業者がほとんどであることは事実でございます。しかし、タクシー事業の特殊性でございますが、大企業ほど経営がいいという事実でもございませんし、事業者のいろんな事情によるかと思います。  しかし、原則といたしましては、競争が促進されますと個々の事業者の収入が減る可能性がございまして、経営が悪化するという可能性があるという懸念はしております。そのために、競争を促進する場合には、それとあわせてタクシー事業の経営基盤の強化というものは必要だと考えております。  そのために、従来は中小企業に対しまして金融、雇用調整の支援措置がございますが、それに加えて経営環境の整備方策等知恵と工夫を出して検討していきたいと思っております。
  186. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 支援措置を考えているということですか、具体的に。
  187. 荒井正吾

    説明員(荒井正吾君) 残念ながらまだ具体的な知恵はないわけでございますが、その必要性は十分感じておるところです。
  188. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 意見はだれでも言えるんですが、タクシー事業者はもう死活問題なので、例えば支援措置、そういった問題についても今後やっぱりいろいろ調査して考えていくかどうかということははっきりしていただきたいんです。  もう一度お願いします。
  189. 荒井正吾

    説明員(荒井正吾君) 一生懸命考えていきたいと思います。
  190. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 一生懸命やってください。  次に、タクシーの規制緩和によりまして過当競争は当然避けられない。それで、労働者の雇用と労働条件はどうなるかということでございます。  時間もありませんので私から資料の方を言いますと、タクシー運転者の平均年収が今およそ四百三万円、年間実働時間がおよそ二千五百時間。大変な時間働いて四百三万円。全産業の男子平均が年間大体五百六十万、それで年間実働時間が二千二百四十時間ですから、例えばタクシー運転者は年間二百五十時間普通の人より働いて百五十万円給料が少ない。これは平均でございますけれども、こういう実態であります。  労働条件の悪化を含めて、良質な運転手さんが集まるんだろうかということも心配されていますけれども、どうですか。
  191. 荒井正吾

    説明員(荒井正吾君) タクシー運転者の労働条件、今先生が御指摘のような事情、そのとおりでございます。  労働条件が余り悪化いたしますと、過労運転などによりまして安全に支障が生じる可能性があるということが私どもの立場からの最大の問題でございます。安全確保の措置が競争の促進をやる上でぜひとも必要、むしろすべての施策の前提だと考えております。  したがいまして、運転手の労働時間、拘束時間等につきまして、安全な輸送サービスの提供に支障を来さないということを最大の目標にいたしまして、適切な対応措置を講じていくというふうに考えております。
  192. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 安全確保について、これはもう半ば公共機関ですので当然ですが、支障を来さないようにと言っていますけれども、競争が激しくなって、今でもこれは車両台数に比べて乗車する人数が減っているわけです。こういう中で新規参入、私は規制緩和が悪いとは言わないんですが、こういう実情をきちっと見ておかないと支障を来さないというようなことにならないんです、支障を来すんです。  だから、具体的にその安全面の確保をどうするかというようなことをフォローアップするなりしなければならないと思うんですが、その点はどうですか。
  193. 荒井正吾

    説明員(荒井正吾君) 今先生が御指摘されたように考えております。
  194. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 お答えがちょっと頼りないんですね。  労働省、週四十時間労働制がことし四月からスタートしたわけでございます。指導期間が二年間あるということですが、いわゆる年間実働時間、厳しいタクシー事業あるいはタクシー運転者、果たしてこれは達成できるのか。しかも、こうやって規制緩和になる、競争が一段と激しくなる、やっぱり収入を上げるために労働時間をふやさなきゃいけない、これは普通必然的にそうなるんじゃないか。タクシー運転者の方にも何人もお話を聞きましたら大変心配しておりますけれども、四十時間労働制との関係でこれをどういうふうにとらえていますか。  それからもう一つ、雇用不安についてもどのように労働省は考えているか、お答えをお願いします。
  195. 伊藤庄平

    説明員(伊藤庄平君) まず、四十時間制とタクシー業界との関連についてお答えを申し上げたいと存じます。  この四月一日から、既に十年余の準備期間を経ましてこの四十時間制が全面実施に入ったわけでございますが、長い間関係業界ともいろいろ話し合い、この四十時間制を導入するに際しての問題点等をどうしていくかということの話し合いを重ねてきて実施を迎えたわけでございます。とりわけタクシー業界につきましては、この四月にタクシー業界の勤務態様の特殊性、こういったものも配慮して業務の繁閑に合わせた弾力的な労働時間の管理ができるような変形労働時間制のいわば要件の改正等もあわせて行いまして、その定着に資するように配慮をしたところでございます。  さらに、私ども、こういった競争等が激しくなる中での四十時間制の導入でございますので、あわせまして省力化投資等を行ってこの四十時間制を実施し定着していく場合の助成制度、あるいは事業主の団体が共同で労働時間の問題点等を自主的に点検しその問題点を克服して労働時間短縮につなげていくための工夫や相談ができるような事業、これの費用助成等をあわせてこの四月から始めたところでございます。  この団体の費用助成につきましても、既に県によりましては幾つかの県でタクシー関係の団体に活用をしていただいているところでございます。こういったものをさらに他の県についても活用を進めて、私ども業界とも、また運輸省の方とも十分連携をとって、経営基盤の強化、そういうこととあわせて、どのような競争が行われる場合でもやはり守っていただく際の第一の基本的なルールがこの最低労働条件である四十時間だということを御理解いただきながら、この定着に努めていきたいというふうに思っております。  また、タクシー運転手の方の長時間労働というのは私どもも労働条件を預かる立場から一つの問題点であるということは認識いたしておりまして、自動車運転手の方の労働時間の改善基準を別途定めまして、運転時間あるいは休息時間等について一定の基準を、これは労使参加していただいた上で定めて、それに基づく改善指導を実施しておりますので、こういった角度からもタクシー運転手の方の長時間労働というようなものがこういった情勢の中で生じないように十分努力をしてまいりたいというふうに思っております。  それからもう一つ、雇用の問題につきまして御指摘がございましたが、こういった競争が激化していく中で経営基盤の強化ということは大変大事でございまして、そのことが雇用の維持確保にもつながるというふうに思いますので、私どもそういった視点から運輸省とも十分連携をとって、この経営基盤の強化という点については我々も十分配慮をしてまいりたいと思っております  具体的には、例えば中小企業の方々についてはそういった雇用の維持確保のためにいろんな訓練をする、あるいはその福利厚生施設等についていろいろ整備をして事業としての魅力を出していく、そういった努力をされる場合のいろいろ援助制度等も用意してございますので、そういったものの活用も経営基盤の強化の一環としてできないかどうか、こういう視点も持って話し合いをしてまいりたいというふうに思っております。
  196. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 労働省がせっかくおいでですから、いろいろ現場の実態、規制緩和を進めるに当たってそれをやっぱりフォローアップして、現状どうなっているのか、労働時間は果たしてどうなのか、収入はどうなのか、雇用はどうなのかということも労働省はきちっとやっていただきたい。私、特に労働時間に対して、週四十時間の実現は厳しいというタクシー事業のあり方について、これはお約束いただけますか。
  197. 伊藤庄平

    説明員(伊藤庄平君) この四十時間制の実施状況につきましては、この五月、六月にも全国の労働基準監督署を動員いたしまして組織的な調査を行ったところでございます。  先生指摘のように、この四十時間制の実施、定着というものが今の経済情勢のもとで具体的に個々の業界ごとにどういう問題点があるか、それをどう克服していかなければならないかというようなことをそういった調査過程の中で我々十分把握し、分析をしていきたいと思っております。  御指摘のように、これは二年間きめ細かな指導、援助を行って定着を進めていくという性格のものでございますので、引き続き必要に応じましてそういった実情の把握を行い、分析をしてまいりたいと思っております。  その際には、御指摘のように労働時間という観点だけでなくて、もちろん雇用というものの維持確保、こういったものも十分図れるように、そういったことにつながるような問題点があるのかどうか、これは十分留意しながら見てまいりたいと思っております。
  198. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 持ち時間があと二分余りになりました。  スウェーデンのタクシーの規制緩和をいろいろ調べさせていただきました。御存じのように一九九〇年七月一日、このスウェーデンのタクシー産業は運賃、資格、台数規制、すべてなくなったそうです。運賃は自由設定、参入も完全に開放した。その結果どうなったかというと、大都市の台数は数年間で倍増し、激烈な競争の結果、運賃は引き下げられた、賃金制度は歩合賃金になったという結果が出ています。  数年間で大手のほとんどが倒産し、個人タクシーが増大したのはいいんですが、白タクというか安全性の問題、特に賃金トラブルがもう絶えなくて、それで四年後の一九九四年、運転手の資格に関する規制、いわゆる規制緩和からさらに一部再規制を始めた。これはアメリカの例もいろいろございます。時間がないんで改めてこの問題は取り上げたいと思いますけれども規制緩和論議はどうも量的論議だけが中心になっているんではないかなと私は思うわけです。  悪い、あってはならない規制はどんどん撤廃するのは当然ですけれども、その中で残しておかなければならない規制とは何か。いわゆる質的な面の規制も私は考えていかなければならない、十分加味していかなければ、規制緩和の大合唱の中で大事なものは忘れては困ると思います。  つい先日、ある有識者のお話を聞きました。規制緩和と言うからおかしいんだ、これは本来でいえば規制改革と言うべきだと。ああ、なるほどなというふうに思いました。  時間もなくなりました。この規制緩和、タクシーのいろんな実情、他産業と違う実情がございます。コストの八〇%が人件費という、そういった中で労働時間の問題もございます。安全性の問題もございます。  大臣、この問題にしっかり取り組んでいただきたい。最後に決意をお伺いして、私の質問を終わります。
  199. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 時間が超過しておりますから、簡単にお願いいたします。
  200. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 簡単に答弁させていただきたいと思います。  先生おっしゃるように、需給調整規制等を廃止するということで運輸省も大英断の中で今あらゆる分野において規制緩和を進めているわけでございます。  タクシー事業については、先生今御指摘いただいたようにさまざまな特殊の問題を持っております。確かに競争が促進されまして、今具体的なメリットも三点ほど政府委員から答弁いたしております。しかし、逆に今御指摘いただいておりますように、それじゃ中小企業の経営はどうなるんだ、運転者の労働条件は、安全確保はと、さまざまな課題がまた生じてきております。これをどういうふうに調整していくのかというのは非常に難しいと思います。しかし、それがなければ本当の規制緩和にならない、本当に国民のサービスにつながっていかないということは、今先生から御指摘いただいたとおりです。こういう必要な処置について、運輸政策審議会で実は今御審議をいただいております。非常にきめ細かな部会をつくっていただいて、きめ細かな点まで実は御審議をいただいておりますので、私どもにとっては大変参考になる答申をいただけるものだと思っております。  今おっしゃったように、何か世の中、規制緩和規制緩和と言わなきゃ時代おくれの政治家みたいに思われがちでございますが、大事なことは今おっしゃっていただいたように量より質であります。全く先生認識を一致させていただいていると思いますので、そういう気持ちで運輸行政の需給調整の規制廃止の問題については取り組んでまいりたいと思っております。
  201. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 野沢、中尾議員から国鉄債務問題の処理策及び財源問題については詳細な御質問がございました。しかし、国の債務として国の特別会計の中で国鉄長期債務問題を処理するということになりますと、その前に、やはりその策定に当たってだれが何のためにこの借金をつくって、なぜ整理に失敗したのか、債務の実態の情報公開と原因の究明が大前提であると思います。  その点で、十年を経過いたしまして、JRになって利用者である国民の利便性が高まったとか、私鉄運賃の値上げと対照的に運賃が据え置かれてきたことなど、改革によって成功したという面がさまざま評価されております一方、現在二十八兆円に増大しているこの国鉄清算事業団債務というものは根本的になぜ発生したのかということについてどのような認識でおられるのか、お尋ねをしたいと思います。
  202. 小幡政人

    説明員小幡政人君) まず、国鉄改革時、昭和六十二年四月時点におきますいわゆる国鉄長期債務は二十五・四兆円でございました。そのほか鉄建公団、本四公団関係債務が五・一兆円、それから新しくJRを設立するに当たりまして、いわゆる三島会社に対する経営支援ということでの経営安定基金が一・三兆円、それから雇用対策費が三千億、それから年金負担五兆円というようなことの中で、総額三十七・一兆円が六十二年四月時点での債務でございました。  この債務をそれぞれが分担したわけでございますけれども、大きく分けましてJRが十四・五兆円、それから新幹線保有機構が二・九兆円、それから土地売却収入として七・七兆円、JR株式等で一・二兆円、それから残りの十三・八兆円につきまして国民負担としてお願いすると、こういうスキームで実はスタートしたわけでございます。  そういう意味で事業団は、国民負担分とそれから新幹線保有機構に対する債権、土地売却収入、JR株式売却収入等々の都合二十五・五兆円を抱えてスタートしたわけでございますけれども、その後どのような経緯をたどったかということを申し上げますと、当然、清算事業団におきましては土地の売却あるいは株式の売却等を重ねて金利負担あるいは元本償還ということに向けて努力したわけでございます。その間、平成元年には政府土地対策要綱の中で、一般競争入札による土地の売却というようなものを自粛するというような事態もございましたし、その後、また実はバブルの崩壊によりまして地価の方も大幅に下落したというような事情、あるいはまたJRの株式売却につきましては残念ながら阪神大震災の経緯等もございましてこれが少しおくれぎみになったと、そういう事情が重なりまして処分の方が進まなかったという事情がございます。  一方、その間におきまして累憎いたします借入資金の金利負担等も重なったものですから、最終的に、先ほど申し上げましたように平成九年度首で二十八・一兆円、十年度首におきましては、見込みでございますが二十七・八兆円の額に達しておる、こういう状況でございます。
  203. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 そうしますと、土地の売却についてこれまでの実績と現状はどうなっているんでしょうか。例えば汐留とか品川とか大宮などの売却状況と、それから活用状況ども把握しておられるでしょうか。
  204. 小幡政人

    説明員小幡政人君) 土地処分状況について御説明させていただきますと、昭和六十二年度の清算事業団の発足時から平成八年度までの十年間に合計約六千九百ヘクタールの土地を売却しておりまして、総額約五兆六千億の売却収入を上げたところでございます。特に平成八年度には、先生指摘のように汐留、品川等の大規模物件の売却によりまして一兆円を超える売却収入を上げ、長期債務償還に寄与させていただいているところでございます。  また、平成九年度予算におきましても東京駅前の旧国鉄本社跡地等を売却する予定にしておりまして、これが実現いたしますと七千五百億円の土地売却収入を計上することができるということでございまして、計画どおり処理できますと、今後は訴訟中のものなど特段の事情のあるものを除きまして事業団用地の大半について処分が終了するというふうに考えております。  今後とも残る大規模物件の処分を進めるとともに、地方公共団体に対しまして土地の購入を要請するなど、土地売却に全力を挙げることによりまして長期債務を少しでも減少させていただくべく努力をしていきたいと思っております。
  205. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 そうしますと、長期債務の元金と利息関係先ほどもさまざまな論議を呼んでいたわけですが、特に利息がこの長期債務を膨大にしたと考えるわけですけれども、そうした利息処理、それからこうした処理が今まで延期されて、だれが見ても破綻をするというような財投融資の振りかえというものが続いてきたわけですが、この点についてこれまでどのような論議がなされてきたんでしょうか。
  206. 小幡政人

    説明員小幡政人君) 国鉄長期債務処理につきましては、昭和六十三年一月の閣議決定におきまして、まず清算事業団自主財源である土地、株式等の資産の適切かつ効率的な処分によりまして対処すべきとの基本的考え方が決定されたわけでございまして、この考え方に従いまして今日まで全力を挙げて取り組んできたところでございます。  金利負担の問題につきましては国鉄改革時におきましても予測されたところでございまして、このため事業団としてはその時々の状況下においてできる限り有利な資金調達に努めてきたというところでございます。  また、政府といたしましても、利子も含めた債務増加を抑制するために、国鉄改革直前の昭和六十一年度に約五兆一千億の国鉄有利子債務を無利子化するというような措置も講じまして、改革後は清算事業団に対しましてこれまでの十年間に約一兆六千億円の補助金を交付するということ、それから平成二年度には営団出資持ち分の評価額、約九千億でございましたけれども、これ相当の有利子債務を国が承継する等の対策も講じさせてきていただいているところでございます。  さらに、平成九年度におきましては、さきの通常国会でございますが、先般可決、公布されました日本国有鉄道清算事業団債務負担の軽減を図るために平成九年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律に基づきまして約三兆円の有利子債務の無利子化等を措置していただいているということでございます。  なお、長期債務本格的処理を実施するためにはということで、平成十年度の概算要求におきましても金利負担の軽減を図る観点から、先ほど説明申し上げましたように財投借入金金利軽減、それに無利子国債の発行をお願いしている、こういう状況でございます。
  207. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 その解決に取り組むために平成十年度運輸省の予算においてはこの処理スキームというものが明示されているわけですが、改めてちょっと確認をしたいんですが、この特別会計化をする中でのいわゆる元利に対する償還の、債務返済の中心的な柱、一番基本に置かれているところはどこだと理解していいわけでしょうか。
  208. 小幡政人

    説明員小幡政人君) まず、先ほど説明申しましたように、この長期債務を国の責任において処理するという考え方のもとに、これをまた国民に明らかにした形で処理していこうということで、特会にそこを承継するというのが第一点でございます。  その承継されました債務の中で特に問題を抱えております有利子債務につきまして、その有利子債務利子分、それから元本償還の一部につきましては一般会計の方から国債費として繰り入れていただいて、これがふえることのないようにというのを二点目にしてございます。  それから三点目は、そういう措置をとりましてもやはり借りかえが必要になってまいりますので、その新しく借り入れる資金につきまして低利なものをお願いするという観点から、先ほど説明させていただいております無利子国債等についてのお願いをさせていただいているところでございます。  また、既存の財投借入金についても軽減措置をお願いしておる、こういうところを柱にした考え方でございます。
  209. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 そうしますと、運輸省提出しているスキームに関しまして、大蔵省財政当局はどのような判断をお持ちなんでしょうか。
  210. 寺澤辰麿

    説明員寺澤辰麿君) 運輸省平成十年度予算の概算要求につきましては、現在詳細を検討させていただいております。  私どもといたしましては、本年六月二日に閣議決定されました「財政構造改革の推進について」におきまして、この清算事業団債務本格的処理の考え方が示されております。この中では、「将来世代へ負担を先送りするという形での安易な処理を回避するため、」「国民理解納得が得られるよう、」「あらゆる方策につき個別具体的に検討を行い「平成九年中に成案を得る」」ということとされておりますので、この趣旨に従って適正な対応をしてまいりたいと考えております。
  211. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 聖域なしの検討、それから国民に対する納得のいく解決、そして平成九年中に成案を得るという、言ってみれば基本的な路線というのが言われているわけですけれども、もう少し今説明があった運輸省が出している予算における処理スキームについてコメントができませんか。
  212. 寺澤辰麿

    説明員寺澤辰麿君) 要求段階の運輸省案を見ますと、従来の財源以外の新たな財源等が示されておりませんで、今後の与党における検討等を踏まえ引き続き調整をするというふうにされているわけでございます。  この問題が適切に処理をされずに将来世代への負担の先送りとなるということになりますと、財政構造改革、ひいては財政健全化目標の達成の支障になると考えられますので、今後、予算編成過程において先ほど申し上げましたような考え方に従って検討を進めてまいりたいと考えております。
  213. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 無利子国債という新しい考え方のいわゆる資金調達方法というのが議論されているんですが、これは大蔵省としては一応議論のステージにのっているんですか。
  214. 寺澤辰麿

    説明員寺澤辰麿君) 先ほど引用いたしました「財政構造改革の推進について」の中でも、与党内において進められている検討で、相続税軽減等の特典を付した無利子国債の発行ということが方策に掲げられております。  私どもは、これらを含むあらゆる方策につきまして、一切の聖域を設けずに検討を進めてまいりたいと考えております。
  215. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 事業団職員の再就職問題が問題になっておりますが、これを平成十年度までにやるというと、かなりもう具体的な再就職問題について見通しがなければならないと思うんですが、この点についてはどのようなところまで進捗しているのでしょうか。
  216. 小幡政人

    説明員小幡政人君) 国鉄清算事業団につきましては、既に平成七年二月の閣議決定におきまして、主たる業務が終了した時点整理することとされておりまして、さらに昨年十二月の閣議決定におきましても、国鉄長期債務本格的処理平成十年度から実施するとともに、事業団職員の再就職対策平成九年度から開始することとされております。  清算事業団整理に当たりましては、職員の雇用の安定確保というのが何よりも重要と考えておりまして、運輸省におきましては、事業団職員の再就職対策運輸省として支援するため、事務次官を長といたします日本国有鉄道清算事業団職員雇用問題プロジェクトチームというものを既に設置いたしまして、JR各社、それから運輸省所管特殊法人等に対しまして、事業団職員の採用の要請を行いますとともに、公的部門における受け入れを各省庁、地方公共団体等々に対して要請しているところでございます。  今後とも、清算事業団と密接に連絡をとりながら、関係方面の協力も得ながら最大限努力してまいりたいというふうに考えております。
  217. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 国鉄の問題では、長期債務問題と並びまして、国鉄改革の影と言われる職員の不採用問題があります。これまで不採用問題は、いわゆる国労の差別問題あるいは全国の地労委に救済の申し立てがなされた一連の人権侵害問題というような非常に大きな問題を提起してまいりました。この一日も早い解決がなされなければならないというふうに思うわけです。  百四十にも及ぶ救済命令が出されて、北海道不採用事件にかかわる中労委命令に対しましては、行政訴訟がかかっている東京地方裁判所におきまして本年五月二十八日、和解勧告を当事者に出した、そして各新聞もまた早期解決をと、十年の長きにわたって生活上の困難に耐えている働く人たちに対してのメッセージを発していたわけですが、中労委や国労がこれの受け入れを表明したのに対して、JRはずっと拒否をしている。  これをどのように受けとめておられるのか、そして早期解決のための道を探る努力というのはされているのかという点についてお尋ねしたいと思います。
  218. 小幡政人

    説明員小幡政人君) JR発足時の職員の不採用問題につきましては、お話しのように本年五月二十八日、東京地裁の第十一部での裁判の結審に当たりまして、当事者でございますJR各社、中労委及び国労、それに訴訟に参加しておりませんでした国鉄清算事業団に対しまして、和解の席に着くようという要望があったことは承知しております。これに対しまして、中労委及び国労は和解の席に着く意向を示しましたが、JR各社及び清算事業団は和解の席に着かない旨回答しております。  この問題につきましては、東京地裁の和解の席に着くようとの要望はいまだ係争中の事件の訴訟手続においてなされたものでございまして、運輸省といたしましては裁判の場における当事者の判断を見守っていくことが適当というふうに考えておるところでございます。
  219. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 しかし、これまで以上に問題解決への積極的な役割を果たすべきだというふうに考えますが、大臣の御見解はいかがでしょうか。
  220. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 御承知のとおり、JR発足時の職員の不採用問題について、今政府委員の方から御答弁申し上げましたように、東京地方裁判所において係争中であるわけです。  この件につきましては、過去幾たびか運輸大臣または労働大臣が政治決着に向けて労使双方に対して協力方を大変熱心に求めてきた経過があることは私自身も承知しておりますし、先生もよく御承知かと思います。しかしながら、非常に難しい問題でございまして、関係者間には大変大きな意見の隔たりがございます。経営側はどうしても裁判で決着させたい、こういう方針をいまだに堅持しているというのが今政府委員が答弁したような結果として出てきているわけでございます。  私といたしましては、これまでの経過を踏まえまして、本件の訴訟関係者の今後の対応をまず見守ることが必要かと思っております。同時に、問題の解決のために私としてなすべきことがあれば引き続き努力していくということは当然のことだろうというふうに認識をいたしているところでございます。
  221. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 しかし、現在裁判中といいましても、これは地労委及び中労委で救済命令が出されたという点で、この点については不当労働行為、制度それ自身の言ってみれば無視ということになるのではないかというふうに思いますので、見守るという以上に積極的な解決に向けて指導力をぜひ発揮していただきたいというふうに思うわけです。  この問題について労働省は何かいろいろ議論をされておりますか。それとも運輸省といろいろ話をしておられるのでしょうか。
  222. 澤田陽太郎

    説明員澤田陽太郎君) お答えいたします。労働省といたしましては、これまでも労使関係の安定という観点からJR各社関係労働組合が話し合いをされることが望ましいというふうにしてきたところであります。しかしながら、ただいま運輸大臣初め御答弁ありましたように、JR各社が裁判所の判断を得たいということで和解の要望に応じない姿勢を明確にしていることもまた事実でございます。  労働省といたしましても、これまでの経緯、また関係者の今後の対応、この辺をしっかり見きわめながら、問題解決のためになすべきことがあれば引き続き努力をいたしたいということで省内でも議論をいたしております。
  223. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 それでは問題を変えまして、今回、政府関係者、国際機関あるいはNGOなどの参加によりまして十二月一日からCO2規制をめぐって京都会議が行われます。地球温暖化防止をテーマに活発な論議と今後の取り組みが決定される、それを期待しているものの、我が国ではその規制がほとんど国際基準をクリアしていないという中で非常に大きな問題となっているわけであります。CO2規制の具体的な方策について、地球環境への配慮から、トラックを初め自動車の排気ガス規制が重要な課題だということであります。運輸省が出されました政策プログラムにもモーダルシフト促進策として、鉄道整備を推進して効率的な物流システムを車と鉄道とのバランスの上に立って打ち立てたいというふうに報道されておりますが、どのような施策を進め、そして京都会議にどのような態度で臨まれようとしているのか、お尋ねをいたします。
  224. 土井勝二

    説明員(土井勝二君) ただいま先生お尋ねのCO2対策あるいは地球温暖化防止対策でございますが、先生も今お話しなされましたように、本年十二月に京都で国際会議が開催されます。その会議におきましては、二〇〇〇年以降の新たな二酸化炭素等の排出削減目標、それから排出削減のための政策措置について議論がなされる、うまくいけば議定書が採択される、こういうふうになっているわけでございます。したがいまして、この会議の主催国である我が国も一層のエネルギーの効率的な使用によりまして二酸化炭素の排出を削減する必要があるということでございます。  それで、運輸省でございますが、運輸部門からの二酸化炭素排出量は我が国全体の約二割を占めております。我が国の場合、一人当たりの二酸化炭素排出量は主要欧米諸国と比べましてかなり低い水準でございます。ただ、運輸部門からの排出量というのは実は年々増加しておりまして、平成七年度と平成二年度を比較しまして約二八%増加しているということでございます。このような状況でございますので、運輸省といたしましても、先ほど先生お話しになられましたCO2削減運輸政策プログラムというのを八月に策定いたしまして、このCO2削減対策あるいは地球温暖化問題に真剣に取り組んでいこうということでございます。  それで、このプログラムの中では環境に優しいいわば低公害、CO2の低い自動車の開発及び普及の促進、それからいわゆるトラックから鉄道や内航海運へ貨物の輸送をシフトするモーダルシフトの推進、あるいはトラック輸送自体の効率化、それから旅客輸送等でございますが、公共輸送機関を中心とする環境に優しい交通システムの構築、こういったことに取り組んでまいりたいということでございまして、そのための概算要求あるいは税制改正をこれから要望してまいるというふうに考えてございます。
  225. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 京都会議におきましては、特定のタイムフレームにおける数量化された排出抑制、削減の目的を規定することというふうに書かれていて、この取り組みが我が国でできるのかできないのかということが世界で注目されておるわけですが、この問題につきまして運輸省と科学技術庁、それから環境庁の担当部局の方はどのように今作業を進めておられて、京都会議へのそうした提起された課題にこたえ得るのかどうかということについてお尋ねをいたしたいと思います。
  226. 浜中裕徳

    説明員(浜中裕徳君) お答えを申し上げます。  先生指摘のとおり、ことし十二月に開催をされます地球温暖化防止京都会議は、世界百七十近くの国が集まり、二十一世紀の地球温暖化対策の枠組みを決定する、まさにそういう意味で人類の将来を左右する重要な会議と考えておりまして、この会議の成功のために我が国は議長国といたしまして国際的なリーダーシップの発揮が不可欠であると考えているところでございます。  去る八月七日、ボンで閉幕をいたしましたベルリン・マンデート第七回会合におきましても、数量目標の議論の基礎となります枠組み、例えば対象ガスをどのようなものにするのか、あるいは目標は複数年目標で設定をするのか単年目標でするのか、あるいは柔軟性を確保するための排出枠の取引をどうするか、こういった議論が一定程度進みまして、いよいよこの数値自体についての交渉を開始し得る基盤ができてきたというふうに考えているところでございます。国際的にも、我が国や米国が具体的な提案を出して、次回十月下旬に予定をされております最終交渉会合においてこの数値の交渉を本格的に行うことが強く期待されているところでございます。  こうしたことから、私ども環境庁といたしましては、我が国政府ができるだけ早い時期に適切な排出削減の目標あるいは取り組みの方針につきまして我が国としての案を取りまとめ国際交渉の場に提示できるようにしていく、さらに議長国として各国の意見を収れんさせ着実に国際合意の形成が進んでいきますように政府部内で最大限の努力をしてまいりたいというふうに考えているところでございまして、そうした考え方のもとで政府部内の意見調整を加速させてまいりたい、このように考えているところでございます。  なお、こうした議論によりまして、京都会議におきましては相当に厳しい国際的目標が定められる可能性があるわけでございまして、我が国国内におきましても、そうしたことに対応いたしましてこれまでの取り組みの抜本的な強化を図っていく、そのためには従来の発想や行政手法を大胆に改めていくことも重要であろうと考えているわけでございます。  私ども環境庁といたしましては、今後の地球温暖化対策のあり方について一方で検討をいたしますとともに、特に国民に対しまして温暖化対策に関する広報あるいは普及啓発、さらには国民総ぐるみで参加できる対策の推進に取り組みまして将来の対策強化の土台づくりにしてまいりたい、このような点に力を入れているところでございます。  なお、今後の対策のあり方につきましては、現在、中央環境審議会や関係審議会合同会議で精力的に審議を実施していただいているところでございますので、環境庁といたしましても、これらの審議結果を受けてさらに検討を進めてまいりたい、このように考えているところでございます。
  227. 青江茂

    説明員(青江茂君) お答え申し上げます。  地球温暖化を初めといたしましての地球変動問題ということに対しまして今科学技術庁が担っておりますところと申しますのは、人工衛星とか海洋観測船といったものを用いての地球というものを見るといいましょうか、観測するということ。そして、そういったものをベースにいたしまして、地球規模のいろんな変動のメカニズムもございますけれども、その変動のメカニズムというものを解明する、そういった調査研究。さらには、そういったものをベースにいたしまして、いわゆる仮想地球とでも申しますか、地球シミュレーターというものを開発いたしまして将来予測というものをきちんとやっていこう、こういったプログラムというものを進めておる。さらには、発電過程におきまして炭酸ガスを排出しないという特色を持ってございます原子力の開発利用の推進、こういったところを今科学技術庁としては担当いたしておるというところでございます。  こういった先ほど申し上げましたようなことというのは、いずれも国際協力ということが大変重要ということでございまして、京都会議のような場は大変重要な場でございますので、その辺の重要性についての認識というものをより一層深めてまいりたい、かように思っておるわけでございます。
  228. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 終わります。
  229. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 政府一〇〇%出資の農水省所管の特殊法人日本中央競馬会JRAについてお尋ねしたいと思います。  JRAの年商売上高及び経常利益、これは幾らになりますか。
  230. 浜口義曠

    参考人(浜口義曠君) 今先生がお話しのように、中央競馬会は昭和二十九年に設立されたわけでございますが……
  231. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 質問だけに答えてください、時間がないから。
  232. 浜口義曠

    参考人(浜口義曠君) 現在の売上高はおおよそ約四兆円でございます。これは昭和二十九年といいますか、その翌年の百十一億円に比べまして四百倍になっております、もちろんデフレーションの数字がございましょうけれども
  233. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 経常利益は。
  234. 浜口義曠

    参考人(浜口義曠君) 経常利益はいわゆる剰余金と言われているものでございまして、その部分は千五百二十七億円でございます。
  235. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 四兆円の年商売り上げ、そして売り上げの一五%はJRAの取り分になるという。そういうことでいうと、約六千億円というお金がJRAに流れ込むというそういう仕掛けになっているわけですね。数ある政府出資の特殊法人の中でも黒字体質の特殊法人だと思います。  JRAには顧問や参与を含めた役員が二十二名おりますけれども、そのうち元公務員の天下りは何名ですか。
  236. 浜口義曠

    参考人(浜口義曠君) 先生、二十二名というお話でございましたが、私ども提出させていただいた数字、これは法律上役員と言われている者、これが常勤役員が十三名でございます。そのうち、先生の御指摘の元公務員は十三名中四名でございます。今、顧問及び参与のお話がございましたが、私どもはこの者につきましては法律上の役職員というふうには思っておりません。
  237. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 それを含めて、顧問、参与を含めて、お手元にお配りしている資料の最初のところを見ていただくとわかりますけれども、全部合わせると九名いるわけですね、二十二名のうち九名。理事長は代々農水事務次官の経験者という、その指定ポストになっていると言われているわけです。  JRAには多数の関連公益法人がありますけれども、直接、出損もしくは助成金を出している公益法人は何団体あって、その額は合計幾らになるか、端的に言ってください、時間がないから。
  238. 浜口義曠

    参考人(浜口義曠君) 先生指摘の中央競馬会が出損、助成している公益法人の数でございますが、この数字は二十法人でございます。出損の総額は百五十二億円余、平成七年でございます。それから、同じく平成七年の数字でございますが、助成の総額は百六十九億円弱でございます。
  239. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 資料の一ページ目の真ん中あたりに競馬保安協会というのがありますけれども、こういうのを見ても、これは公益法人一つなんだけれども、全部天下りなんです。つまり、公務員出身とJRA出身者で全部占められている。こういうことがその他その他いっぱい見られるわけですよ。  それで、もう一つ、現職の国会議員が役員をしているという場合もあるんです。資料の二ページの下の方を見ていただきたいんですけれども、ここには日本軽種馬協会の会長理事には元通産大臣の山中貞則衆議院議員が一九八二年以来十五年間ついております。それからまた、鈴木宗男衆議院議員も理事です。また、競走馬育成協会の会長理事には新進党党首の小沢一郎衆議院議員が一九八七年以来十年間ついているんです。国会議員は全部で三名だというふうに聞いておりますが、そうですね。  それで、これらの役員職にある政治家は非常勤だと聞いておりますけれども、報酬は出されているんですか。
  240. 浜口義曠

    参考人(浜口義曠君) 今先生指摘のとおり、この諸先生におかれましては非常勤ということでございます。いわば名誉職でございまして、いわゆる給与は差し上げていないというふうに我々聞いております。
  241. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 それでいいんですか、本当に。ちょっとおかしいんですね。今否定されたようなんだけれども、違うんですよ。山中議員の場合、九六年及び九七年、関連会社等報告書で、日本軽種馬協会から二年連続報酬を得ているという報告が出されている。これは衆議院の議長に出されているんです。どうして否定されるのか。あるいは非常勤役員には報酬が支払われないというんだけれども、実際支払われているのか、あるいは支払われているものの名目というのが別のものなのか、どうなんですか。
  242. 浜口義曠

    参考人(浜口義曠君) ただいまの先生の御質問につきましては、十分私どもも調べておりませんが、今申し上げましたように、現実の職務形態は非常勤、そういうことを申し上げたわけでございます。  したがいまして、先生の御指摘の衆議院議長にお出しになられたものを後刻私どもの方で調査したいと思いますが、いずれにいたしましても、ここでございますように、競馬会との関係は否定いたしません。否定しませんが、あくまでもその団体は、私どもの助成なり出資なりがされている団体かもしれませんが、私が管理している団体じゃございませんので、後刻先生の御質問の点を調査してみたいと思います。
  243. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 大事な問題なので、そういうことを理事長自身つかまれていないということは大変遺憾ですけれども、しかし後できちっと調査して報告をお願いしたい、このことを述べておきます。それから、額とどういう名目かということもはっきり調べて報告していただきたい、このことを要請しておきます。  そのほか、JRAには直接出資会社の株式会社がありますけれども、会社名、出資額はそれぞれどういうものか、述べてください。
  244. 浜口義曠

    参考人(浜口義曠君) 日本中央競馬会が直接出資している営利企業の件でございますが、日本中央競馬会が直接出資している数といたしまして三社ございます。この会社名は日本馬匹輸送自動車株式会社、日本スターティングシステム株式会社及び日本トータリゼータ株式会社でございます。
  245. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 資料の三ページ目にその会社が並んでおりますけれども、三社とも社長か主要役員は農水官僚またはJRA幹部OBで占められておる。いずれも黒字の優良会社なんです。これらJRAの丸抱えの直系会社に毎年一億四千六百万円もの出資をしている。しかも、JRA関連の子会社はこれだけに限らない。JRAには形の上では直接金のつながりはないけれども、名のとおりJRAの福利厚生を一手に扱って、当期収入が四十二億円に上る日本中央競馬会弘済会、そういう団体があるわけです。そして、そのもとに共栄商事、中央競馬ピーアールセンターという二つのファミリー企業がある。社長職がJRAの幹部OBの指定席、二社への出資額は計七千二百万円、そういう状態があるわけです。  それで、私、思うんですが、先ほど出捐、それからまた助成等々の話がありました。三百億円を超える、そういう金が恒常的にこういう関連公益法人に対して渡っているわけですよ。営利事業ができない公益法人が傘下に株式会社を置いている、こういう実態があるわけです。延べ一億人以上が競馬場に通う、千四百万人以上の競馬愛好者がいる、そういう方々の馬券の上がり、これを寄ってたかってやっているんじゃないかと、そういうことを考えざるを得ないような実態を感じるわけですよ。巨大な競馬一家がつくられている。そういうことをあなた方が出してくれた、農水省が出してくれたこういう資料を見ながら改めて痛感するわけです。これだけでもわかったからいいけれども、今まではそういうことがベールに隠されていたと私は思うんです。  それで、もう一つの問題として天下りの問題がある。農水省は天下りナンバーワンの省庁として総務庁が出した調査結果でも明らかだけれども、その中で、こういう天下り、そして競馬ファンが出すいろんな馬券等々のお金、四兆円もの売り上げ、これに一部の者がそういう形で寄ってたかって甘い汁を吸う、そういう構図がこの中から浮かび上がると思うんです。その象徴的な存在というのは実は理事長だと私は思うんですよ。  大変失礼ですけれども理事長の報酬月額、一時金、それから一期三年勤めたときの退職金、お幾らですか。額だけ言ってください。
  246. 浜口義曠

    参考人(浜口義曠君) 私の俸給月額は百五十三万円であります。先生指摘の一時金と言われる手当、年額でございますが、年二回で五百万円余ずつで、合計いたしまして千六十七万円になろうかと思います。  退職の問題でございますが、まだ私は退職はしておりませんが、国家公務員に準じた規定でいきますと、各特別法人日本中央競馬会も例外ではないと思いますが、本俸に対して〇・三六を掛け、月数という形になります。したがって、それで計算をいたしますと、本俸で私が一年間勤めますれば、その規定によりますると六百六十万円もらう、こういうことになります。  なお、先ほど先生申し上げられた点に一言言わせていただきますと、日本における競馬といったものは諸外国と違う形になっております。ということは、馬券を販売するというのは日本における競馬の特色でございまして、競馬のふるさとであるイギリスにおいてはそれは成り立っておりません。別の団体がやっております。このことは、競馬を一貫的な事業という形で全般的にやっておるわけで、そういう形で先生指摘のような各部門の関係団体ができているというように御理解を賜れば幸甚と思います。
  247. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 まさに、馬券売りで汗水流して土日の休みも働いている、そういう職員によって支えられているのがこの競馬なんですね。  それで、JRAのそういう仕事をしているパート職員の退職金、二十年勤続した場合幾らになりますか。
  248. 浜口義曠

    参考人(浜口義曠君) 競馬執行団体という形で職員は千九百名おりますが、職員の皆さん、あるいは私の立場からして、先生指摘のとおり、当然のことながら土日に窓口業務に働いておられる方のおかげだというふうに思っております。  先生の御質問の趣旨でございますが、これは一開催ごとの常雇用という形になっております。まず、日給額に対しまして所定の係数を掛けた金額を慰労金という形で、例えば二十年お勤めになられましたときに感謝を込めてお払いする、こういう形になっているわけでございます。その金額は、例えば二十年勤続のモデルの計算でございますが、日額一万三千九百十六円、係数を掛けまして四十五万五千五十四円という数字でございます。
  249. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 二十年勤めて四十五万円と、そういう待遇があるわけですよ。片や、理事長初め役員の皆さんが高額の所得を得ている。私は高額だと思いますよ、国民的な水準からすると。やっぱりそういうことを改めていく必要があるんじゃないかと思います。  パート職員の皆さんは、せめてこれを上げてほしい、三百万円という声も出ているけれども、今の四十五万という額は余りにも少ない。それをもっと上げるということを理事長自身が尽力される必要があると思うんです、こういう方々が競馬を支えているわけだから。その点いかがですか。
  250. 浜口義曠

    参考人(浜口義曠君) 今申し上げました数字というのは、一つのモデルの計算でございます。もちろん、二十五年、三十年ということもございます。そういった中で、私どもの競馬が今日まで発展したことは、基本的に競馬ファンの信頼というものに依拠されるということでございますが、これまた先生指摘のとおり、従事員の方々の御努力のたまものでもございます。  もちろん、こういった方々に対しまして感謝の気持ちをささげるというのは経営者たる私どもの任務でございますけれども、賃金の問題等につきましては、これまでも長い間のいろいろな交渉とか、そういう形で行われておりまして、引き続き誠意を持って関係団体ともお話をしてまいりたいというふうに考えております。
  251. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 この問題については、上田議員が質問主意書の回答をもらった中で、答弁の中では通常の職員と均衡ある形でということが強調されているんです。その精神でぜひやっていただきたいし、また、大臣もその点で監督権者としてよろしくということをぜひお願いしておきたいと思います。  次のテーマに移りたいんですけれども運輸省にお伺いいたします。  九五年の高速道路での重大事故は件数で言っても九割、それからまた、死亡者の数で言っても九五%がトラックが第一当事者で起きた事故なんです。まさに、事故はだんだん減りつつあるけれどもトラックの重大事故というのはふえている。そういう状況の中で、私は、トラックのキャビンの安全性の問題についてお伺いしたいと思います。  道路運送車両の保安基準については、乗用車などについては衝突した場合に運転者などに重大な衝撃を与えない構造にするというふうに決められています。どの程度のスピードで安全性を確保する基準か、その点ではいかがですか。
  252. 荒井正吾

    説明員(荒井正吾君) 前面衝突試験というのを行っておりますが、コンクリート壁に時速五十キロメートルのスピードで衝突したときの衝撃の結果を測定しております。
  253. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 ところが、総重量二・八トンを超えるトラックなどについてはそういう規定がないんですね。効率性ばかり最優先されるから、ほとんど車輪の上にキャビンが乗っかる、そういう形になっていて非常に危ない。  これは一九八一年にNHKの科学ドキュメント「ジャンプ事故、横風事故」のための実験の際に、大型貨物自動車等の正面衝突時の変形進入調査の実験が行われたことがあるんです。時期は以前だけれどもデータは非常に新鮮なんです。この問題については、ことし五月十二日付の物流ウィークリーで、この実験に実際に立ち会った人の証言が紹介されているんです。  それによると、十トンの荷物を積載して追突させてキャビンの変形を実験したところ、時速十七キロで運転者が全治ニカ月の重傷、二十八キロで運転者が死亡するという結果が出た。十八キロで死亡するという結果もあったというんです。予想外の結果に参加者は青ざめ、そして公表しないということになったんですね。実験には日本自動車工業会からも参加していたというんです。  こうした結果を直視して安全対策をとっていれば、今とは違った結果になったはずですね。危険な事実を隠したまま安全改良を怠り販売を続けた。私、これ非常に重大だと思うんですけれども、いかがですか。
  254. 荒井正吾

    説明員(荒井正吾君) トラック事故につきまして、今、大型トラックの前面衝突の試験がないことは事実でございます。しかし、大型トラックはむしろ今まで加害性の方を重視されておりまして、大きなものでございますので、事故を他に与えるという面が多かったものでございますので、おくれてきた背景があろうかと思います。  しかし、今の問題の重要性を最近とみに指摘されておりますし、私ども認識しておりますので、昨年の十二月からトラック構造等乗員保護対策検討委員会というものを全日本トラック協会内に設けまして、私どもも運転者さん自身も参加して今検討を進めておるところでございます。
  255. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 この実験結果については御存じでしたか、NHKの。イエスかノーかで。
  256. 荒井正吾

    説明員(荒井正吾君) 私自身は存じ上げておりません。
  257. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 この実験について物流ウィークリーの方が運輸省の担当者にコメントを求めたら、こんなことを言ったんですね。運転者の不安を招くからキャビン強度の公表は必要ない、強度が弱い場合ドライバーに不安を募らせる、強い場合はドライバーが安心して乱暴な運転につながる危険性がある、だから発表しないというんですよ。こんなことでいいんですかね、本当に。ひどい話だと私は思うんですね。利用者にもその車はどの程度安全性を持っているかということ、このことを明らかにするのはメーカー、販売者の当然の責務だと思うんです。  したがって、キャビンの安全性を強めるために全力を尽くすべきだと思います。その点で一つ、衝突時の運転手の安全性について調査し公表する、これをぜひやっていただきたい。二つ、大型トラックなどについても運転手の安全性を確保するための基準、今ないわけですけれども、これをつくる。大臣これいかがですか。
  258. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 非常に重要な点を御指摘いただいておりますので、省内において慎重に検討してみたいと思います。
  259. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 終わります。
  260. 水野誠一

    水野誠一君 私は、農水省に二件ほどお尋ねしたいと思います。  農林水産省の行っております公共事業の評価についてまず伺いたいと思います。  農水省は公共事業全体の約二割を占めているわけでありますが、その分野も大変多岐にわたっておりまして、農業農村整備事業、森林整備事業、漁港漁村整備事業などなどであります。  最近の事例を見てまいりますと、やや問題を含むものが多いような気がいたします。例えば、よく例に引かれます農道空港の場合などもあるわけですが、これは今までも決算委員会でかなり何回も取り上げられておりますので繰り返しませんが、バブル時代につくられた事業計画の経済性、採算性に問題があったのではないかと言われるわけであります。  ところで、きょう伺いたいのは、大規模林業圏開発林道事業でありますが、この総事業費は約一兆円、そのうち三分の二を国庫補助金、残り三分の一を財投資金の借り入れによって行う公共事業であります。平成八年度までに約三千七百億円が投入されていまして、計画延長二千二百六十七キロメートルのうち約四一%が実施されているというふうに聞いております。  ところが、この全三十二路線のうち、平成九年度から三路線の工事が休止になっております。原因は、これは林野庁の説明によりますと、一つには事業費の重点投資をするために早期に事業の完成を見込めない三路線を休止した、加えて、この三路線はそれぞれ環境アセスメントの必要性が新たに生じたなど調整要因を抱えているからだという説明でございます。  ということは、決して大規模林道の建設における木材生産効果などの経済効果が他の路線に比べて低かったからではないということになりますが、この点については私はいささか疑問があります。つまり、果たして本当に経済的効果の試算をきちんと行って事業を行っているかどうかという疑問であります。  ちなみに、大規模林道を開設するには、森林開発公団法に定められる手続といたしまして、事業実施計画を策定し、農水大臣の許可を得ることが必要であります。実施計画には事業の効果も当然含まれ、その内容は公表されます。つまり、法手続上はすべての路線はその経済効果をあらかじめ考慮していることになるわけですが、実際のところを拝見しますと、計画書にある事業効果についての内容は大変簡単なものでしかないということが言えます。  一つの例を申し上げますと、昭和四十九年に基本計画が策定され同年から事業が始まったある路線は、最終的に百六十五億円を投入する見込みでありますが、その計画書の中の事業効果についての記述は何と三行、つまり開発対象面積、開発により利用可能になる木材の容積、それに開発による年平均伐採量が記されているのみであります。その後には、その他の効果として木材流通圏の拡大が可能であるとか、地域経済社会の振興に及ぼす効果が大きいなどといった抽象的な記述があるだけでありまして、何らその経済的試算の痕跡が見られないものであります。これで計画が認可され、百億円を超す国費が補助金として使われるということは非常に問題ではないかと私は思うわけであります。  林道開設事業における事業採択について、平成九年度より費用対効果分析の手法を取り入れた新しい基準を加えて事業採択が行われているようでありますが、せっかくこうした新しい手法を取り入れるのであれば、今申し上げた大規模林道のような現在進行中の大事業についてももう一度経済効果の試算を行う必要があるのではないかと思うのでありますが、いかがでありましょうか。  農水省は、大規模林道事業事業効果について問題がないと考えているのか、あるいはもう一度こういった費用対効果をチェックする意思があるのかどうか、伺いたいと思います。
  261. 高橋勲

    説明員(高橋勲君) 大規模林業圏開発林道事業につきましては、基本計画及び実施計画の策定の段階において利用圏域における木材資源量、森林整備の必要性等を踏まえ、広域林道ネットワークの形成、計画的な造林、林産業の基盤整備等により、林業、林産業の活性化に効果を発揮するよう路線の概要を決めているところでございます。  本年度に、真室川―小国線のうちの朝日―小国区間を含め、全国で三区間において必要な保全工事の実施の後、工事を休止することとしましたが、これは実施計画策定後の社会情勢の変化に対応しまして、事業の重点的実施を図り早期完成に資するという観点から、地域の実情を考慮し、アセスメントの実施の結果等を見きわめる必要がある区間、これを休止することとしたものでございます。  財政構造改革が国の喫緊の課題となる中で、公共事業の一層の効率的、重点的実施が必要であると認識しており、大規模林業圏開発林道事業におきましても費用対効果の把握及びその活用について検討してまいりたいと思っております。
  262. 水野誠一

    水野誠一君 同様の問題がいろいろな分野にあると思うんですが、次に、土地改良事業についても伺いたいと思います。  この土地改良事業については、土地改良法に具体的な経済効果の評価方法が定められ、その結果は公告縦覧されることになっています。また、計画の変更についても手続が定められておりまして、事業の見直しのための新たな仕組みは必要ではないという見方もあります。  その見方の背景には、土地改良区という受益者を核とした土地改良事業の制度は、その中止をも含めた事業内容の変更についてもあくまで受益者の発意によって合理的、効率的になされるはずであるという考えがその根底にあるのではないかと思われます。  しかし、実際はどうかということで見てまいりますと、当事者みずからが始めた事業だからこそ、そして何よりも受益者自身に経済的負担がかかるからこそ途中で事業がやめられない結果になるということが多いのではないかと思います。  一つの例で申し上げますと、青森県浪岡町で一九七三年に計画されました農地開発事業は、農地造成が始まるまでに十三年かかっている。その間のリンゴ価格の低迷などによって、二十年近くたった九二年に全体の規模を十分の一に計画変更し、ダムの建設も中止して事業は完了しました。四百七十九ヘクタールの計画が四十三ヘクタールしか造成されず、しかも、そのうちリンゴ園として利用されているのは八ヘクタールに満たないという状況だそうです。結局、農家負担分は県が返済することになったということであります。  国営土地改良事業計画変更取扱要領という、これは事務次官通達でありますが、これによりますと、計画変更の要件として事業費の変動が一〇%以上に及ぶものなどが挙げられていますが、社会経済事情の変化によって、当初考えられていた以上に事業完了に時間を要する場合、事業費の問題とは別に、農業に対する展望の変化など事業意欲を失わせるようなこともあり得るというふうに考えられます。実際のところは、受益者にしてみればやめたくてもやめられない、そういった事業が意外と多いのではないかと思うのであります。今、例に挙げた青森の例などは非常にまれなケースで、すなわち受益者負担が三・三%と非常に低かったのが幸いしたケースではないかと思います。  こういった事業完了に至る時間の経過により、当該土地改良事業の経済効果が悪化してしまうような場合において、受益者からの事業の変更はなかなか期待できないと考えますが、経済効率について事業計画策定時から一定期間を経た時点で再度検証を加える、こういった制度について農水省は何かお考えがあるかどうか伺いたいと思います。
  263. 山本徹

    説明員山本徹君) ただいま先生指摘のように、土地改良事業につきましては、地元の受益農家の三分の二以上の同意に基づく申請によりましてこの事業が発意されるわけでございます。かつ、この事業計画の策定に当たりましては、地元の知事、市町村長の検討、同意を経まして、また学識経験者の意見も聞きまして計画を策定し、また計画についてはこれを公告縦覧いたしまして異議申し立てもできるような手続をとって計画を最終的に決定し、事業を推進することになっております。  社会経済情勢の変化によってこの事業を変更するという必要性が当然生じる場合があるわけでございますけれども事業着手後におきましても、毎年の事業予算の検討、編成、あるいは執行の段階におきまして、受益する関係農家はもちろん地元県・市町村等関係者に毎年事業の内容を具体的に説明し、その同意を得て事業を推進しているところでございます。  特に先生も御指摘のように、土地改良事業につきましては受益者負担金を徴することといたしておりまして、農家に一定の割合の負担がかかるだけに、この事業が本当に将来効果があるのかどうかについては、専ら公的機関が負担する事業と違いまして、大変厳しい目でその事業のあり方について関係農家も点検し、また関係自治体もそういった点を吟味しておるところでございまして、現に、青森の例を御指摘ございましたけれども、その他につきましても大変多くの事業について計画の見直しが実際に行われているところでございます。  私どもは、この土地改良制度の事業の推進の方式、また事業の計画変更、これも事業決定時と同じような非常に慎重な手続を経て進めることになっておりますけれども、これを十分活用しながら、またもちろんこの費用対効果につきましては、その精度を上げるべく毎年私どももその内容については検討し、これまでも何年かに一度この費用対効果の仕組みについても改善措置を講じておりますので、先生指摘の点等も十分念頭に置きながら、この土地改良制度の運用によって事業の見直し、また本当に効果の上がる事業の実施に努めてまいりたいと考えております。
  264. 水野誠一

    水野誠一君 非常に長期にわたる事業であるだけに途中段階でも絶えず、その経済効果も含めてあるいはその環境的な問題も含めて、見直しを行っていただくという制度をぜひ御検討いただきたいというふうに思います。  今、公共事業を取り巻く環境というのは、財政構造改革ということもあり、大変厳しくなってくることは事実であります。しかしその中で、逆に言うと、すべて公共事業が悪いというのではなくて、やはり公正な評価をもって、しかも縦割り行政の弊害を超えた広い視野で公共事業というものを見直していくことが必要なんだというふうに思います。  公共事業を評価する手法として今有力なものに費用対効果分析というのがございます。農林水産省も昨年の十二月に「農林水産公共事業の重点的、効率的実施について」と題する改善措置に着手されていると伺っておりますが、その中で費用対効果分析の活用が盛り込まれております。八年度中に評価手法を開発して九年度から事業実施に適用するという目標が書かれておりますが、お話を伺っておりますと、各事業単位に独自の手法が採用されているようであります。  確かに、実際の評価手法というのは非常な専門性を要するものでありますから現場に任せることも一理あると思いますが、また同時に、これらを貫く公共事業評価の基本的理念といったものは最低でも省全体、本来は政府がはっきりと示していく必要のあるものだと思います。  そこで、私は、以下のような視点を申し上げたいと思うのであります。  まず、評価の実施時期というのは、事業前と事業後、それに事業前評価から一定の期間がたった時点での事業途上の三時点を選択すること。それから二番目としましては、評価に関する情報、これは手法、プロセス、データ、結果、こういったものでありますが、これをプライバシーに配慮した範囲で公開し、評価の再現性を確保すること。それから三番目としては、評価を中立、公正な第三者機関にゆだねるか、もしくは第三者機関によるチェックが担保されていること。そして四番目としては、評価がこれから行う事業や継続中の事業にフィードバックされ、それによって事業の中止を含めた見直しなど財政効果が期待できること。  こういった原則が確立されることが非常に重要ではないかと思うわけでありますが、このような評価システムの導入について農林水産大臣のお考えを例えればと思います。
  265. 藤本孝雄

    国務大臣(藤本孝雄君) 私が農林水産大臣を拝命いたしましたときに、総理から直接、公共事業につきましては重点化、効率化、さらに費用対効果の手法の導入、この三つの問題について御指示がございました。  先ほどから委員が御指摘のように、農林水産公共事業を効率的、効果的に推進するためには、事業の投資効果などの検証を行う必要があるということにつきましては私も同様の認識をいたしております。評価の手法の充実ということについて幾つかの具体的な御指摘があったわけでございまして、この点については大事な問題でございますので十分省内で検討をさせていただきたいというふうに思います。
  266. 水野誠一

    水野誠一君 もう時間も余りないんですが、次に、新食糧法に基づく米の備蓄と流通ということについてお尋ねをしたいと思っております。  今、いろいろデータを挙げるまでもなく、本年度の備蓄量というものが大変大きくなってくる。本来、新制度における備蓄の適正水準というのは百五十万トンプラスマイナス五十万トンとされているわけでありますが、現状はもうその上限を既に五十万トンも上回ってしまうということが言われております。トータルで三百七十万トンの在庫ということになっていくということであります。  こういう状況の中で考えていきますと、現在の備蓄を含めた在庫というのが新食糧法の制度としての趣旨を超えた状況になっているのではないかというふうに思うわけでありますが、この点について農林水産省の御見解を伺いたいと思います。  これは同時に、食糧管理特別会計の今後のあり方というような問題にも絡むことかと思いますが、その辺も含めてお答えいただければと思います。
  267. 高木勇樹

    説明員高木勇樹君) 今先生指摘のとおり、本年の十月末の在庫は相当な水準になる、これは当然政府の役割としての備蓄、それから民間が行う調整保管等々合わせてのものでございますが、いずれにしましても、本年も含めて四年連続の豊作という中でこういった事態が生じているわけであります。  ということは、逆に言えば、供給が過剰であるということに基本的な問題があるわけでございまして、そういった問題の解決に取り組まなければいけないということでございます。  大臣からも指示がございまして、米政策、いわゆる備蓄運営のこと、それから価格形成の問題、さらに供給削減の手法である生産調整の問題、それから価格形成との関連でいけば、生産調整に参加した農業者の経営に着目した対策の問題、そういった問題がすべてかかわり合うわけでありまして、今申し上げた米政策の柱になっている手法全般の見直しを行わなければならないということで関係方面と既に議論を始めているところでありまして、この秋には方向を見出したいというふうに考えております。  当然のことながら、今食管会計の問題にもお触れになりましたが、六月三日の閣議決定で主要食糧関係費については前年度同額以下ということになっておりまして、現在、前年度と同額の要求をしておりますが、その内容につきましては、米政策の今の全般の見直しとの関連で内容については詰めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  268. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 水野誠一君、時間が来ておりますので簡単にお願いします。
  269. 水野誠一

    水野誠一君 ということで私は終わらせていただきますが、また次回、機会を改めてこの問題については伺わせていただきたいと思います。
  270. 山口哲夫

    山口哲夫君 諌早湾の干拓事業について質問をいたします。  まず、六月十八日に国営諌早湾干拓事業に関する質問主意書、これを衆議院の五名の議員の連名で提出をいたしております。それに対して、橋本総理から答弁書が送られてきたのが七月二十二日、実に三十四日もかけて答弁がされております。  この最初の質問について、四月十四日に堤防を締め切った理由についてはいかんということに対して回答が三つ寄せられております。例えば、工程上当初の予定どおりやったんだ、作業の安全性からだと。そのような回答が三つ寄せられております。  国民議論が非常に巻き起こっていた時期です、この当時は。なぜわざわざその時期に締め切らなければいけなかったのか、私どもは大変疑問を持っております。この三つの理由というのは、何も緊急に締め切る理由にはならない、そう思っております。むしろ、締め切ることで船で資材などを運搬することができなくなって事業費の増大につながるのではないかということさえ言われております。その点についてどう考えていますか。
  271. 山本徹

    説明員山本徹君) 諌早湾の干拓事業につきましては、長崎県及び諌早市、森山町等関係の市、町等、あるいは地元住民あるいは地元関係者の強い要望に沿って事業を実施しておるものでございまして、平たんで優良な農地造成とあわせて、高潮、洪水の常襲地帯でございますこの諌早地域の防災対策としてこの事業を実施し、地域住民の生命と財産を守るということを目的にいたしておるわけでございます。  今回、堤防を締め切りましたのは、地元自治体あるいは地元の関係機関、住民からの強い御要望を踏まえまして、事業目的の一つである防災効果の早期発現を図るという必要で、この堤防を締め切ることによりまして今年度の雨期の高潮、洪水対策に役立つわけでございますので、そういった防災効果の早期発現を図る。また、漁業振興を図る観点からも、これを締め切ることによって漁場の海域の安定を図るという目的もございます。また、これは六十一年から実施しておるものでございますけれども、この事業の工程上、現段階で締め切るというのは極めて自然な事業の工程でございます。  そういったことから、締め切りに自然条件が非常に適している時期として四月十四日を選んで締め切りを実施させていただいたものでございますが、この後七月上旬の長雨を初め数度の大雨がございましたけれども、早速に防災効果があったと地元の住民からは大変感謝の声が上がっております。
  272. 山口哲夫

    山口哲夫君 質問に答えてください。  それじゃ、海水を入れる、そういうことは全然考えていなかったんですか。海水を入れないために今回の締め切りをやったということにはならないわけですか。
  273. 山本徹

    説明員山本徹君) この堤防を締め切りまして調整池を淡水化いたします。海水は結果としては入れないという形になります。
  274. 山口哲夫

    山口哲夫君 その肝心なことを言わないんですよ。  要するに、海水を入れないで淡水化しなければいけないということが今回の締め切った大きな理由なわけでしょう。それが言われていないんですけれども、もしそういうことであれば、下水道の普及などの条件整備が行われないままに堤防を締め切ったら、最初から水質の悪化というものは予想されていたはずだと思うんです。  それで、平成九年の四月十一日付で九州の地方建設局長から農水大臣あて、河川法第三十条二項に基づく排水門の一部使用の承認に関する通知書面の中で、水質の障害の発生があれば農水省から建設省に通知するとともに、適切な措置を講ずる義務を課しているわけです、この文書によって。  そこで、一つ、水質の障害の発生があったのか、二つ目、その結果建設省に報告をしましたか、三つ目、さらに適切な措置を講じましたか。こういう質問に対しては、水質の障害は生じていないという回答なんですね。本当ですか。
  275. 山本徹

    説明員山本徹君) 水質に障害が発生したことの判断の目安といたしましては、水質の悪化が恒常化し、かんがい用水としての利用に著しい悪影響を及ぼす場合といった事態を考えております。したがって、こういった事態は発生していないと考えております。
  276. 山口哲夫

    山口哲夫君 それじゃ、具体的に聞きますけれども、いっ、何月何日、どんな調査をしたんですか。それから、その結果について建設省に報告しましたでしょうか。
  277. 山本徹

    説明員山本徹君) 水質につきましては、毎週これを測定して公表いたしております。現在の水質の基準というのは水質の障害という事態に該当しないと考えております。
  278. 山口哲夫

    山口哲夫君 あなた方は全然水質の障害がないと言うんですけれども、我々の調査によりますと、CODは水質基準の三倍から二十倍になっているんです。これだけの基準オーバーをしているのに、どうしてあなた方の調査ではこういう数字が出てこないんですか。
  279. 山本徹

    説明員山本徹君) 例えば、これは毎週測定いたしておりますけれども、最近の時点でのCODの数値でございますけれども、八月二十五日段階のものでございますが、これは幾つかの地域がございますけれども、リットル当たり五・○から七・五ミリグラムでございます。  平成十二年時点を目標といたします環境影響評価の目標値はリットル当たり五ミリグラム以下でございまして、したがって五・○から七・五ミリグラムというのはこの目標値に対して大変著しく大きい数字とは考えておりません。
  280. 山口哲夫

    山口哲夫君 常識で考えまして、本明川からの生活排水の流れ込みがありますね。それからもう一つは、干潟の生物が死んでその死骸も流入をしているわけですね。そういうことから考えたら、この水質基準を上回る数字が出ないこと自体が非常に私は不思議に思うわけですよ。  それで、どうしても地元の人たちの調査と農水省の調査とが一致しないというのであれば、これはやっぱり地域住民の皆さんに安心感を与えるためにも一緒に調査しませんか、我々と。それでなかったら、とても信用できないですね。どうですか。
  281. 山本徹

    説明員山本徹君) 本明川等から流れ込みがございますけれども、降雨、それからたくさんの中小の河川がございますから、これは常時調整池に淡水が流れ込んでおります。これを潮の干満に応じまして干潮時に排水して、この調整池の防災効果を維持するために潮位をマイナス一メートルに維持するように常時操作いたしておるわけでございます。  したがって、これによって、先ほど説明申し上げましたような八月二十五日のCODの数値になっておりますが、それ以前につきましても大体五から七ぐらいの数値でございまして、これは定められた地点において、定められた方法で水を採取して、その測定結果は広く公表させていただいているところでございます。これをごらんいただければ、この地域の水質の状況はおわかりいただけると思っております。
  282. 山口哲夫

    山口哲夫君 そうすると、排水門は常にあけたり閉めたりしているということなんですか、干満の差によって。
  283. 山本徹

    説明員山本徹君) 今申し上げましたように、調整池の水位をマイナス一メートルに維持いたしますために、これは常時河川から水が流れてまいりますので、干潮時にこれを排水いたすわけでございます。満潮時には閉め切っておきませんとマイナス一メートルに維持できません。そういう操作をいたします。満潮時には閉め切り、干潮時にマイナス一メートルより低くなったときに水を流して、常時水位をマイナス一メートルに維持いたします。
  284. 山口哲夫

    山口哲夫君 そうすると、大体毎日何回くらい閉めたりあけたりしているんですか。
  285. 山本徹

    説明員山本徹君) 干潮が一日二回、六時間ごとに干満を繰り返します。したがって、大体二回程度でございます。
  286. 山口哲夫

    山口哲夫君 三千五百五十ヘクタールですか、調整池の面積というのは。それだけでそれの水の浄化というのが完全にできているということなんですか。
  287. 山本徹

    説明員山本徹君) 上流からの河川の流入水を排水することによりまして、現在のような、先ほども申し上げましたようなCODの数値、また窒素、燐につきましても、これも平成十二年時点の環境影響評価の目標値、以下のところもございますけれども、また以上のところもございますけれども、先はどのような水質の障害というような事態は発生いたしておりません。
  288. 山口哲夫

    山口哲夫君 それでは、これは平成九年の三月十二日に環境庁の企画調整局の方から農水省の開発課長あてに出た文書がありますね。「諌早湾干拓事業について」と。それで、前文の方に「下水道の整備等に一部遅れが見られること等から、今後の事業の推進に当たっては下記の事項についてはなお留意が必要であることを長崎県生活環境部長に申し述べているところであるが、事業者においても一層の配慮をお願いする。」という文書が出て、「記」として、一つには、「調整池において定期的な水質監視を実施するとともに、調整池安定後すみやかに水質予測を実施し、その結果を踏まえ、必要に応じ水質保全対策の見直し・強化を図ること。」と、こういう通知が出ていますね。水質予測の実施というのは実際に実施をしたんでしょうか。  それから、必要に応じ水質保全対策の見直し、強化を図りなさいということは、やっぱり下水道の整備がおくれているから、環境庁の方としても調整池の水というのが相当水質が汚濁されているという考え方に立ってこういう文書になっていると思うんです。それで、具体的にどんな見直し、強化を図ったのか。それが二つ目。  それからもう一つは、「調整池の排水門について、水質汚濁の未然防止の観点から、調整池全体の流動を促進するための排水門の適切な操作を行うこと。」と言っているわけですね。これは、要するに調整池の汚濁を予測しているからこういうことが言われてきたと思うんです。そんなことで、排水門の適切な操作ということは、常にやっぱりあけたり閉めたりして、そして調整池の水が汚濁しないようにしなさいということだと思っているんです。  前に聞いたこと二つと、それから三つ目は、くどいようですけれども、一日に二回ある干満のときにきちっとそれはやっているんだと、あけたり閉めたりはやっているということなんですか。その三つです。
  289. 山本徹

    説明員山本徹君) まず第一点の水質の予測は実施いたしておりまして、平成十二年の目標値というものをCOD、また窒素、燐で設定いたしております。  それから二番目は、これにつきまして対策の強化でございますけれども、これは集落排水事業等排水の浄化のための事業を県等と一体となって強力に推進する。また、現在、葦の試験植栽を行っております。まだ塩分濃度が高いために本格的な植栽を行っておりませんけれども、葦の植栽。それから、家庭用の汚水等をできるだけ流さないようにするために、例えば今いろんな地域でも住民運動として行われておりますけれども、食用油を古新聞にしみ込ませて下水に流さないようにするというような地元住民のいろんな排水対策のための諸活動の推奨等々、いろいろな対策を地元で実施されておりまして、これを私ども県と一体となって指導し、また御支援申し上げているところでございます。  それから、三番目の排水門の適切な操作ということでございますが、環境庁からも指摘されておりますけれども、水門は二カ所ございます。それで、河川はたくさんございますけれども、干潮時にあけて常時マイナスーメートルに水位を維持するわけでございますが、そのときの操作によって非常に汚染度の高い水については外洋にスムーズに流されるような排水門の操作に工夫を加えるというような意味でございます。
  290. 山口哲夫

    山口哲夫君 農業用水として使用するのは平成十二年ですね。ですから、そのことを考えたら、今淡水化しておかなければならないということにならないと思うんです。それで、やっぱり干満の差によってあけたり閉めたりはしているかもしれないけれども、それだけでは調整池の水がなかなかきれいにならないだろう。とにかく相当の排水が入ってくるのと、被害が流れてきているわけですから、そういうものを完全に排除していくためには、これはやっぱり常時あけておいて、そして海水が入ってきてもいいんじゃないのかと。今淡水化しなければならないということにならないと思うんですよ、そんなに急いでやることないんですから。  とにかく一回我々と一緒にその水質を調べさせてほしいと思うんですよ。これはぜひ回答してください、そうでないとみんな安心できないんだから。そして、その上でやっぱり私たちとしては、門というのは常にあけておいて海水が入るようにしてもこの干拓事業に影響は一つも出てこないだろうと思うんです。それをなぜできないのか、そこはどうですか。
  291. 山本徹

    説明員山本徹君) 水門を開放できませんのは大きく分けて三つの理由がございます。  まず第一には、これは防災対策として地元から強く要望され、また今回の七月の大雨等々でもその防災効果が非常に明確に実証され、地元からの感謝の声を私ども文書でも住民団体等からいただいておるわけでございます。常時水位をマイナス一メートルに維持することによって、洪水対策、また排水改良対策といった重要な防災効果を持たせる、このためにまず水門は開放するわけにはまいらないわけでございます。  それから二番目には、防潮効果といいますか、周辺に農地がございますし、また家屋もございますけれども、台風等で海岸の水田あるいは家屋に潮がかぶります。これを三千五百ヘクタール強の淡水湖とすることによって、潮風害から農地あるいは民家を救済することができるわけでございます。  それから三番目には、除塩効果、農地をいずれ千五百ヘクタール造成することにいたしておりますけれども、今淡水化することによって底の塩抜きをいたしておるわけでございまして、ここが海水のままですとなかなか農地の予定地から塩が抜けてこないという事態になります。  以上のような三つの点から、これを海水とすることはできないわけでございます。
  292. 山口哲夫

    山口哲夫君 一つ、最後に答えていないんですけれども、一緒に調査をやりましょう。  それで、高潮のときとか気象条件というのは毎日予報されているわけですから、そういう危険があるなと思ったときにはそれは閉めればいいんで、そうでないときには常時あけておいたって何も心配はないと思うんですよ。  それで、あなた方は今度の大雨でも大変その効果があって感謝されていると言うけれども、あなた方の実際の被害というのは、当初は六十ヘクタールにわたって水田が十センチ程度一時的に冠水したにとどまったなんて言っていますけれども、これは全然違うでしょう。百六十ヘクタールという三倍の違いがあったということを後からちゃんとあなた方が認めて訂正していますね。  ですから、三千五百五十ヘクタールであっては、これは当初のあなた方が依頼をした大学の先生方の調査からいっても、これは高潮とかそういう洪水の被害には耐えられないということを言っているわけですよ。それはもう数字的にちゃんと言われていますでしょう。四千六百以上なければ十分対応できないんだと言っているんですから。  それで、その三千五百ではこれだけの被害が出たということからいえば、これは防災効果には何もなっていないんじゃないかと思うんです。その点どうですか。  そして、一緒に調査をやりましょう。
  293. 山本徹

    説明員山本徹君) これを開放できませんのは、先生指摘の高潮だけではなくて、洪水あるいは排水改良効果という重要な効果をねらっております。  諌早の地域というのは集中豪雨の常襲地帯でございまして、数時間後の集中豪雨は正確に気象学上予測できません。いつ集中豪雨が発生するかわからない。したがって、あそこは急傾斜地でございますのでその集中豪雨は直ちに大きな洪水として流れ出してまいります。そういった洪水に備えるためには常時水位をマイナスーメートルに維持するということが大変重要でございますので、排水門を開放することはできないわけでございます。  それから、二番目の百六十ヘクタールではないかと。これは私ども説明いたしておりますように、災害の報告というのは各市町村から上がってまいりますけれども、とりあえずということで暫定的な数字を申し上げまして、後ほど追加として上がってきた数字を合計してそういう数字になったわけでございます。実際に地元の住民の感謝の文書もございますが、今回の長雨等で被害が非常に少なかったという感謝の声が寄せられ、計画どおりに事業を推進してほしいという強い要望があり、私どもは地元住民、自治体の要望に沿ってこの事業を計画どおり推進してまいりたいと考えております。  それから、数値等の測定でございますけれども、これは私ども、定められた方式により定められた地点で毎週採取いたしておりますので、それらのデータについてはお示しし、また内容を御説明させていただきたいと思います。
  294. 山口哲夫

    山口哲夫君 一緒にやる必要がないということですか。
  295. 山本徹

    説明員山本徹君) これはデータの継続性等がございますので、定められた地点に定められた方法、これは一般的なルールがございますからそれに沿ってやっておりますので、それをごらんいただき、また御理解いただけると思っております。
  296. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 本日の質疑はこの程度といたします。  次回の委員会は明四日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十七分散会      ―――――・―――――