運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1997-05-12 第140回国会 参議院 決算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月十二日(月曜日)    午後一時二分開会     —————————————    委員異動  五月六日     辞任         補欠選任      宮崎 秀樹君     岩井 國臣君  五月十二日     辞任         補欠選任      長峯  基君     武見 敬三君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         野沢 太三君     理 事                 塩崎 恭久君                 松谷蒼一郎君                 吉川 芳男君                 山崎 順子君                 山下 栄一君                 緒方 靖夫君    委 員                 岩井 國臣君                 海老原義彦君                 大木  浩君                 景山俊太郎君                 清水嘉与子君                 須藤良太郎君                 武見 敬三君                 中島 眞人君                 松村 龍二君                 守住 有信君                 魚住裕一郎君                 海野 義孝君                 加藤 修一君                 星野 朋市君                 益田 洋介君                 大脇 雅子君                 田  英夫君                 朝日 俊弘君                 小川 勝也君                 萱野  茂君                 椎名 素夫君                 水野 誠一君                 栗原 君子君    国務大臣        通商産業大臣   佐藤 信二君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       麻生 太郎君    政府委員        経済企画庁総合        計画局長     坂本 導聰君        経済企画庁調査        局長       中名生 隆君        通商産業大臣官        房長       広瀬 勝貞君        通商産業省通商        政策局次長    佐野 忠克君        通商産業省貿易        局長       伊佐山健志君        通商産業省産業        政策局長     渡辺  修君        通商産業省環境        立地局長     稲川 泰弘君        通商産業省基礎        産業局長     白川  進君        通商産業省機械        情報産業局長   中川 勝弘君        工業技術院長   佐藤 壮郎君        資源エネルギー        庁長官      江崎  格君        資源エネルギー        庁長官官房審議        官        谷口 富裕君        中小企業庁長官  石黒 正大君        中小企業庁次長  岩田 満泰君    事務局側        常任委員会専門        員        貝田 泰雄君    説明員        防衛庁防衛局防        衛政策課長    大古 和雄君        防衛庁装備局通        信課長      枡田 一彦君        法務省民事局第        三課長      小池 信行君        外務省総合外交        政策局軍備管理        軍縮課長     篠塚  保君        厚生省生活衛生        局水道環境部環        境整備課産業廃        棄物対策室長   仁井 正夫君        運輸省鉄道局業        務課長      宿利 正史君        運輸省航空局国        際航空課長    井手 憲文君        会計検査院事務        総局第一局長   深田 烝治君        会計検査院事務        総局第五局長   森下 伸昭君    参考人        中小企業金融公        庫総裁      角谷 正彦君        中小企業信用保        険公庫総裁    神谷 和男君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○平成七年度一般会計歳入歳出決算平成七年度  特別会計歳入歳出決算平成七年度国税収納金  整理資金受払計算書平成七年度政府関係機関  決算書内閣提出) ○平成七年度国有財産増減及び現在額総計算書  (内閣提出) ○平成七年度国有財産無償貸付状況計算書(内  閣提出)     —————————————
  2. 野沢太三

    委員長野沢太三君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る六日、宮崎秀樹君が委員辞任され、その補欠として岩井國臣君が選任されました。  また、本日、長峯基君が委員辞任され、その補欠として武見敬三君が選任されました。     —————————————
  3. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 平成七年度決算外二件を議題といたします。  本日は、通商産業省経済企画庁中小企業金融公庫及び中小企業信用保険公庫決算について審査を行います。     —————————————
  4. 野沢太三

    委員長野沢太三君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これら決算概要説明及び決算検査概要説明の聴取は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  速記をとめてください。    〔速記中止
  6. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 速記を起こしてください。     —————————————
  7. 野沢太三

    委員長野沢太三君) それでは、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 岩井國臣

    岩井國臣君 自由民主党の岩井國臣でございます。  最後に時間がございましたら、地方都市中心商店街の問題を念頭に置きながら、情報産業政策について通商産業省に若干お聞きしたいと思いますが、きょうは主として公共事業について経済企画庁にお尋ねしたいと思っております。  御案内のとおり、今、財政構造改革に絡んで公共事業のあり方がいろいろ議論もされ、いろんな検討もなされておるわけでございますが、今後の話は話として、今までの論調の中で、もし政府側考え方誤りがあれば、この際、正すべきは正しておきたい、こういう観点で少し御質問していきたい、このように思います。  去る三月二十六日の朝日新聞でございますが、補助金に関する記事が出ました。その記事内容には大変重大な誤りがあるように思います。  経済企画庁にお聞きいたしますが、どういう点に誤りがあるのか、まず御説明いただきたい。
  9. 中名生隆

    政府委員中名生隆君) お答え申し上げます。  最初に申し上げておかないといけないと思いますのは、今委員が御指摘になりました経済企画庁経済研究所報告でございますけれども、これは経済研究所が関西学院大学の経済学部の林宜嗣教授を客員主任研究官として研究所にお迎えをいたしまして、そのグループ研究をして報告書を取りまとめたということでございまして、経済企画庁見解というわけではないということをまず申し上げておきたいと思います。  それで、委員、今、朝日新聞での報道ということをお話しなさいましたけれども朝日新聞報道されましたのは、この報告書でいろいろな分析をしておりますものの中で、地方財政支出に及ぼす国庫補助金効果に関する部分というのが記事として取り上げられております。  この分析では、地方財政支出に関するモデルを推計いたしまして、これを用いて補助金一般財源にした場合に地方財政支出のパターンがどう変わるかというのを見ているわけでございます。それによりますと、全国ベースで考えますと、投資支出が九・四%減少する、教育支出が一四・八%減少する、福祉支出が五・八%増加し、その他の支出が一〇・七%増加するという結果が得られたということでございます。  確かに、朝日新聞記事というのは、分析の過程といいますよりも最後数字だけを取り上げているという嫌いはございますけれども、大筋においては報告書内容に沿った記事になっているというふうに見ております。
  10. 岩井國臣

    岩井國臣君 事実をはっきりさすために確認させていただきたいと思います。  新聞見出しには、「経企庁試算」とございますね。これは先ほどの説明だと間違いだと、こういうことだと思いますが、そういうことですね。確認させてください。
  11. 中名生隆

    政府委員中名生隆君) 先ほど申し上げましたとおり、経済研究所の中のグループとしてまとめて発表したというものでありまして、直ちにこれが経済企画庁見解ということではございません。
  12. 岩井國臣

    岩井國臣君 新聞には「経企庁試算」というふうな見出しになっておったわけでありますが、それは間違いである、こういうことであります。  そして、新聞には、「経済企画庁は二十五日、国からの補助金の存在が地方自治体の財政支出をゆがめ、非効率を生んでいるとする研究発表した。」と、こうございます。これを読みますと、あたかも今回の発表経済企画庁公式発表であるかのように受け取れるわけですね、我々は。  これは公式発表というものではございませんね。
  13. 中名生隆

    政府委員中名生隆君) お答えが繰り返しになって大変恐縮でございますけれども、先ほど申し上げましたように、経済研究所グループ発表したということでありまして、それが直ちに経済企画庁見解ということではございません。
  14. 岩井國臣

    岩井國臣君 経済企画庁公式発表ではないということを確認させていただきました。  次は中身ですが、新聞はともかく、今回の研究成果に示されております中身報告書中身、これは、先ほどの説明でもうわかっておるといえばわかっておるんですが、要するに経済企画庁公式見解というものではございませんね。それを確認させてください。
  15. 中名生隆

    政府委員中名生隆君) 再度のお尋ねでございますので申し上げますが、あれは経済研究所林先生中心にした研究グループでまとめて発表したものということでありまして、経済企画庁としての見解ということではございません。
  16. 岩井國臣

    岩井國臣君 以上で明らかなように、公共事業地方財政をゆがめているとする三月二十六日の朝日新聞記事ははっきり間違いだと言える部分がありますし、さっと読めば、公共事業地方財政をゆがめているとする今回の研究成果があたかも経済企画庁公式見解であるかのように、そういう印象を与えている、こういうことだと思います。  公共事業地方財政をゆがめておるとする今回の研究成果につきましては、今明らかになりましたように、経済企画庁公式見解でもないしまた経済研究所公式見解でもない、一学者中心といたしましたプロジェクトチーム研究成果にしかすぎない。しかも、後ほど明らかにしたいと思いますが、私に言わせれば、その研究たるや、いいかげんとは言いませんけれども大変粗っぽい研究なんです。  経済企画庁というものは、国の経済運営の最も基本となるところを受け持っているわけでございますから大変重要な役所なんですね、大変重要なんです。そして、国民から絶大な信頼を得ておる役所なんです。経済企画庁公式発表とか公式見解というものは大変重いものなんです。そうでしょう、違いますか。  だとすれば、今回のように一学者中心としたプロジェクトチーム研究成果にしかすぎないようなもの、しかも、私に言わせますと大変粗っぽいと言わざるを得ないような研究成果があたかも国の公式見解であるかのような報道がなされたら、国は直ちに訂正記事を載せるなどしかるべき手を打たなければならないように私は思います。  そこで質問でありますが、経済企画庁は、国民誤解を解くために、三月二十六日の後、どういう措置を講ぜられたんでしょうか。それをお聞きしたいと思います。
  17. 中名生隆

    政府委員中名生隆君) 確かに、委員が今御指摘のように、経済企画庁としての見解でないということが朝日新聞記事からははっきり読み取れない、そういう意味では不正確な面もあろうかと思います。  経済研究所の中でこういうものを発表いたしますのは、そもそも経済企画庁に附置されております経済研究所の中では、科学的な政策運営に資するために学者の方々をお呼びしたりいたしまして、必ずしも政府統一見解でないものであっても、いろいろと経済分析というものを行い、そういうものが最終的には科学的な政策運営に役立つということで発表している、そういう趣旨でありまして、統一見解ではありませんが発表した、こういうことでございます。
  18. 岩井國臣

    岩井國臣君 それはいいんですけれども、それでもってあたかも経済企画庁公式発表であり、しかもまた公式見解であるというふうな記事が、朝日新聞というのは大新聞です、全国新聞です、地方新聞じゃないんです、それに載ったら、やっぱり訂正記事を載せるとか何かしなきゃいかぬのじゃないでしょうか。ほっといていいんでしょうかね。そんなふうに私は思うわけであります。  先ほど明らかになりましたように、三月二十六日の記事経済企画庁公式見解でないと。その内容につきましても、経済企画庁のあずかり知らぬところだ、これは一学者プロジェクトチームのやった内容だ、経済企画庁としてはあずかり知らなかった、そういうことかと思いますが、これはちょっと問題があるんじゃないかなと思います。私は国民にいろいろ大きな誤解を与えておるように思うわけであります。  今度は、経済企画庁公式見解を聞きます。  三月二十五日に経済企画庁経済研究所発表いたしました調査報告書、分厚いのがあるわけでありますが、その中にこういうのがあるんです。補助金制度地方歳出構造をゆがめている、あるいは、補助金を整理し地方一般財源に振りかえるべきだ、こうあるわけです。これは一プロジェクトチーム見解かもわかりませんが、それじゃ経済企画庁はこういったことにつきましてどういう見解をお持ちなのか、この際経済企画庁見解というものをお聞きしておきたいというふうに思います。
  19. 中名生隆

    政府委員中名生隆君) お答え申し上げます。  多少経済企画庁としての抽象的なお答えになりますけれども、私どもといたしましては、社会資本整備というものを進めていく場合に、役所と民間、あるいは国と地方の間の役割分担ということに留意しながら、財政環境を含めた地方の分権というものに取り組んでいく必要があるというふうな考え方でおります。
  20. 岩井國臣

    岩井國臣君 次に内容に移りますが、先ほどの御説明のように、今問題にしております報告書というのは経済企画庁経済研究所の中の一プロジェクトチームがいろいろ研究をやられたその成果、こういうことです。  回帰分析というのをやっておられますね、回帰分析。私も中身をつぶさに見ましたが、大変粗っぽいですね。いいかげんとは言いませんが、私は大変問題があるなという気がしておるんですけれども経済企画庁といたしましては、どこにどういう問題があるのか、その辺報告していただけますか。
  21. 中名生隆

    政府委員中名生隆君) 林先生研究チームでつくられた報告書について経済企画庁として公式に、ここが正しい、ここが正しくないというのを一々申し上げるというのもどうかと思いますが、委員大変お詳しくいらっしゃいまして、私どもも拝見をいたしまして、例えばこういう点があろうかという気がいたします。  これは、経済学的な分析をするということで、そういう理論的な分析をいたしますために一定のモデルを使って推計をやっております。  したがいまして、モデルというのは、片方ではできるだけ現実の姿に接近したものでなければならないということはそのとおりでございます。そこで一つ分析をするためには、片方では複雑な事象についてある程度の単純化をせざるを得ないということがございます。  そういう意味では、例えばこの中では地方支出というものを、社会資本関係教育関係福祉関係、その他というような形で四つに分けてそれで議論をいたしておりますけれども、こういうものは現実には本当はもう少しきめ細かく分析をするということが実態に近づくということだろうと思います。しかしながら、恐らくこれはデータ面での制約等があって、やむを得ずそういう形で単純化したモデル計算をしたというふうに承知いたしております。
  22. 岩井國臣

    岩井國臣君 おっしゃるとおりなんです。その公共サービスをたったの四分類というのは、これはちょっと粗っぽ過ぎるんですね。  社会資本といいますか、公共投資の中に災害復旧費とかそれから災害対策費なんというのが入るんです、あるんですね。そういうようなものは、災害が起こった年は物すごく使う、予算が要るんです。災害のない年には余り使わない、要らないとか、大変変動するものなんですね。ですから、これはニカ年しか計算していませんが、そういう災害対策費みたいなものはこういう分析の中から除外するとか、何かしかるべき配慮を行わないと、四分類というのではとても妙な結果しか出てこない、こんなふうに私は思います。  あと、ちょっとついでに、もうお聞きするのはあれですので、私の気のついた点をちょっと申しておきます。  社会資本につきましては、既存ストックのその差を考慮せずに面積だけで最低限どういう事業が要るかというようなことをやっているんです。面積だけなんですよ。だけどそうじゃなくて、既存社会資本がどのように整備されておるかというのを聞くんです、それが必要なんですよ。大都市に比べまして地方はまだまだ社会資本が遅れているんです。まだまだやるべきことが大変多い。市町村長さんなんかの公共事業に寄せる期待というのはやっぱり大都市なんかと比べて大変深刻なものがありますね。ですから、社会資本必要性というのはそういったことが関係してくるんです。ただ面積だけに関係するんじゃないんです。そんな単純なものじゃないんです。ですけれども、これは面積だけでミニマムの事業というものを計算しておる、これはもうとんでもないと思います。  それからもう一つは、地域の満足度を最大にするための回帰分析というのをやっておるわけですが、都道府県予算ベース数字になっているわけです。これは当然それしかないんですけれども、結局のところは県民といいますか国民といいますかの福祉といっても、知事ないし都道府県財政当局がどのような考えで配分しておるかというふうなことを分析しておるにしかすぎないんですね。知事ないし都道府県における財政当局自由裁量予算配分をやっておるわけですが、それが果たして地元の皆さんの意向というものをきっちり代表しているのかどうか。そしてまた、国という立場で考えたときの必要なものを代表しているのかどうか。  例えば、具体的に言いますと、ごみの問題です。ごみの問題というのは、美濃部さんのときもそうでしたけれども、どこもそうなんですが、やっぱり地元反対があるとなかなかやれない。それから、どうしても福祉福祉に行きがちだ。道路なんかちょっと反対があるとなかなかやれないとか、そういう問題が実はあるわけでございまして、知事さんに任せておけばすべていいということではなくて、やはり国としての一つ政策というのがあるわけです。その地方のそういう財政というものを国という立場でチェックして補完するというふうなことがあるわけでございますので、そういう補助事業政策的役割というものがこの分析では全く考慮されていないという問題があります。  というふうなことで、私は大変粗っぽい分析だと言わざるを得ない。その内容がどうのこうのじゃなくて、そういうまことに粗っぽい研究成果でもって、それがしかも経済企画庁建設省じゃないんですよ、経済企画庁というのはちょっと格が高いんですからね。経済企画庁公式見解のように報道された、そこが私は大変問題だというふうに思うわけであります。  次に移ります。  次は、公共事業乗数効果につきまして若干お尋ねいたしたいと思います。  昨年の話になりますが、二月の建設委員会で私は公共事業波及効果を取り上げました。そのときに建設省の答弁は、経済企画庁の行った第五次の世界経済モデルによれば、三年間で二・二二、つまり仮に一兆円の公共事業をした場合、三年間で二・一三兆円の増加がある、こういうことです、二・一三ということは。そして、建設省公共投資につきましてこう言っておるんです。「所得税減税等の他の手段と比較しましても大変大きな景気波及効果を持って」、こう言っておるんです。  しかし、その後、これから問題なんですよ、これから。そこまではいいんですよ、そこまではいいんですが、その後が問題。その後、八月になりまして経済企画庁経済白書発表されました。これが問題なんです。私が二月の建設委員会質問して、建設省が答えたその答えと、経済白書がこれです、これと感じが随分違うんです。公共投資波及効果なんというものはもうないんだ、ないんだとは言っていないんですけれども、そういう感じがするような内容になっておるんです。これは本当ですか。  そこで、私は経済企画庁にお聞きしたい。経済企画庁が過去五回にわたりまして行っておられる世界経済モデルによる計算ですね、五回やっておられるんです。公共投資乗数効果というのを出しておられるわけです。これはどうなっていますか、過去五回。  それで、最近だんだんその乗数効果が下がっておる、低下しておるというふうな傾向があるのかどうか、そしてまた一九八〇年代と一九九〇年代で比べて顕著な差異というものが認められるのかどうか、その点御質問したいと思います。
  23. 中名生隆

    政府委員中名生隆君) 今、委員がお話しになられましたように、経済企画庁経済研究所におきましては、世界経済モデルという各国とリンクをさせたモデルをつくりまして、この中で公共投資乗数というものを計算いたしております。  一次から五次までの効果がどうかということの御質問がございましたので、数字を申し上げます。  公共投資乗数一年目、二年目、三年目とございますが、長くなりますので一年目の効果だけに限って数字を申し上げますが、第一次の版では一年目の効果というのは一・一九でございました。以下、順次一・一一、一・一六、一・三三、一・二四ということでございます。したがいまして、御質問がありました八〇年代、九〇年代に公共投資乗数が顕著に下がったという事実があるかということに関しては、そういう事実は見られないということでございます。
  24. 岩井國臣

    岩井國臣君 今御答弁いただいたとおりだと思います。私の持っているのと数字がちょっと違うところがありますけれども、大体そんなところでございます。  一九八七年、昭和六十二年、私、三年目の数字を言いますが、三年目の数字で二・一八。それから一九九一年、平成三年ですけれども、これが二・三三。それで一九九四年、平成六年でございますが、これが二・一三です。二・一八と二・三三と二・二二です。ですから、これを見ても八〇年代と九〇年代とでは顕著な差異は認められないですね。このことをしっかり確認させていただきたいと思います。  さて、去る二月二十日の参議院商工委員会におきまして、沓掛哲男先生がこの公共投資波及効果の問題を取り上げておられます。それで、沓掛先生は昨年七月の、先ほどのこれですね、七月の経済白書、これは大変重大なミスを犯しておるのではないかと、そういうふうに指摘されました。最後に、意図的なものを強く感ずるとまでおっしゃっているんです。私も全く同感でありますので、沓掛先生の議論がいろいろあるわけですが、今度はそれとはちょっと別の観点からこの問題を取り上げたいというふうに思います。  昨年七月に出されましたこの経済白書では、公共投資効果についてこう記述されております。波及効果乗数効果のことですね、(乗数効果)となっていますが、波及効果公共投資自身の需要としての効果が主体で云々、ちょっとありまして、バブル崩壊等の影響により相殺されて波及効果は顕在化しなかった、このように大体述べられておるんです。  私は、記述に重大な誤りがあるのではないかと思います。バブル崩壊等の影響により相殺されたのは経済成長率であって、乗数効果ではないのではありませんか、どうでしょうか。
  25. 中名生隆

    政府委員中名生隆君) お答え申し上げます。  昨年の七月に発表いたしました年次経済報告、いわゆる経済白書でございますけれども、この中で委員が御指摘のように公共投資効果についての分析をいたしております。ここはたびたび御質問いただいたことがございますので、繰り返しになりますけれども申し上げますと、公共投資についてはいろいろな議論がございまして、そもそも公共投資というのは景気を浮揚させる効果がなくなっているんではないかという議論も片一方では、あるわけでございます。  それについては、昨年の年次経済報告の中では、一定の実証分析というのを行っておりまして、これは、すなわち公共投資効果がなくなっているという議論をされる方の場合には、例えば公共投資をふやすことによって金利が上がって、逆に民間の需要をクラウドアウトしてしまうとか、あるいは変動相場制のもとでは為替が変動することによって効果が相殺される、そういう議論があるけれども、それでは日本の経済においてそういう動きが見られるかという分析をまずいたしまして、そういう証拠は統計的に見られないということをこの年次経済報告の中では言っているわけでございます。  したがいまして、この年次経済報告で言っております立場というのは、公共投資が本来的に需要を拡大させる効果がなくなったのではない、にもかかわらず九〇年代前半のたび重なる経済対策、とりわけその中心公共事業の追加ということでやってきたにもかかわらず、成長率が顕著に上向くことがなかったのはどうしてかということを問うているわけでございます。  そこで言っているのは、今委員もおっしゃいましたように、九〇年代の前半、いわゆるバブルが崩壊した後の経済状況というのはある意味で非常に特殊な状況でありまして、企業のバランスシートが非常に傷んでいるというようなことがありまして企業の設備投資というのが三年連続してマイナスになると、こういう状況でありましたので、いわばそういう動きに相殺される形で需要効果というのは発現をしなかった、顕在をしなかったということを年次経済報告では言っているわけでございます。
  26. 岩井國臣

    岩井國臣君 いや、全くそのとおりなんです。そのとおりでして、波及効果乗数効果というのはあったんだけれども、他のいろんな民間サイドの要因で、相当の公共投資をしたんだけれども景気回復がなかなか思うようにいかなかった、ですからバブル等の影響で要するにその押し上げ効果というものは顕在化しなかったと、こういうことなんですね。おっしゃるとおりだと思います。  しかし、経済白書のこの文章をさっと読めば、さっと読まなくても、注意深く読みましても、相殺され顕在化しなかったその主語は、よく見てください、主語は波及効果乗数効果になっています。それはもう間違いなんですね。したがって、経済白書のこの部分、全般がそういうトーンになっておるんではなくて、この部分だけを読みますと、波及効果乗数効果というものはもうないんだ、もう余りないんだというふうに読めちゃうわけですよ。そこが問題なんです。  さきに言いました商工委員会で沓掛先生は、公共投資たたきというのはこれが出てからすごくなったんだとおっしゃっているんです、そうかどうかわかりませんけれども。この経済白書公共投資反対派に理論的な権威を与えたんだと、これは沓掛先生が商工委員会で言っているわけです。だから、まあそれはきょうは問題にしませんけれども、そういうことでちょっとこれに問題ありということをひとつ指摘させていただきたいということです。過去のことは過去のことではっきりさせておきたい、こういうだけの趣旨でございまして、他意はございません。  今、公共投資悪玉論というのが横行しているんですね。それは御存じのとおりです。公共投資亡国論まで出ているんです。とんでもないことだなと。そういう行き過ぎた論調に火をつけたのはこれではないかということを沓掛先生はおっしゃっているし、私もそうではないかなという気もするんです。もちろん平成七年十二月に当時の武村大蔵大臣が財政危機宣言というのをやられました。おととしの十二月です。そのときは公共投資悪玉論というのは別になかったんです。公共投資悪玉論というのに火がついたのはやっぱり昨年の八月か九月か、その辺なんです。だから、沓掛先生がおっしゃるのもそうかなという気もせぬでもないと、こういうことでございます。  そこで、冒頭に公共事業地方財政をゆがめておるというさきの報告書を取り上げましたが、そういったものも実はこの経済白書と同じような論調というかこれの延長線上にあるのではなかろうかと、こう私は思わざるを得ない、言わざるを得ない、こういうことでございます。  そこで、長官にお尋ねします。  麻生長官は将来の総理大臣候補だと私は思っておりますので、まさかそういった偏った見解というか、こそくな考えはお持ちじゃないと、それはもう私どもも強く信じておるわけであります。そこで、公共投資のあり方について、ぜひ麻生長官の基本的な考え方というものをこの際お聞きしておきたいと思うわけであります。
  27. 麻生太郎

    ○国務大臣(麻生太郎君) 時代とともにやっぱり公共投資内容は変わってきているんだと思うんです。  ですから、例えば今話題になっております整備新幹線にしても、昭和三十九年に新幹線が、委員長がまだ現職のころ、国鉄におられたころの話ですが、あのころにできた新幹線を見ていただくと、新幹線の駅というのは東京駅から大阪までどの駅を見ても皆同じにできておりまして、大阪が台風で吹っ飛んだときには東京駅のをはがしてきてばっとつければいいというんで、安い、速い、便利等々の効率性は絶対の正義だったと、あのころはそうだったと思っております。しかし、今になってみると、それじゃ安っぽいとか豊かさが感じられないという話になって、れんがにするの、やれ木造にするのということになると、その分だけ金がかかるということになるんだと思っております。  岩井先生の御専門というか本職の河川にしても、昔は治水というのは絶対条件、これはそのためだったら何でも抑えなきゃしょうがないということだったんだと思いますが、最近はそれをきれいにすると、蛍がすんでないとか飛ばないとかなんとかいう刑の価値観を持ってきておられます。それだけ国が豊かになって国民の要求する内容が変わってきておりますので、ただただコンクリートをぱっと張って護岸ブロックできれいにしたんじゃだめで、ヤゴを買ってこいとか、やれトンボのすむ、トンボというかヤゴの成虫がきちんとできるようにしろとかいう、全部四万十川みたいにしろという話でもないんでしょうけれども、そういう話が要求として出てくると、それに合わせてやるような公共投資というのがまた新たに需要として起きてきておるということなんであって、やっぱり国が豊かになっていきます段階に応じてそれに合わせて公共投資内容が変わってくるんだと思っております。まず、これは基本だと思っております。  したがいまして、それに合わせて要求にこたえていこうとするならば、これはやっぱり財政とのバランスを考えながら、かつ国と民間でどのようにその仕事を分担するか、また国と地方との役割分担をどのようにやっていくかというところを、これが難しいさじかげんというか、配分の仕方が難しいところだとは思いますけれども、そういったところを十分に勘案して、今後ともこういった真に豊かな国という感じ国民というか住民にとって持ってもらえるようにするために公共投資のあり方について十分に検討した上で、今までこうだったからこうというんじゃなくて、公共投資というのはそういったもので今後とも必要なものだと理解をいたしております。
  28. 岩井國臣

    岩井國臣君 長官のおっしゃるとおりだと私も思います。  ただ、今までとかく公共事業、そのやり方ですね、中身にはいろいろ検討すべき課題はあると思いますけれども、どうも最近の風潮は公共事業そのものが悪いんだとか補助事業そのものが悪いんだとか、そういう論調がちょっと気になるものですから本日の質問をさせていただいたということでございまして、まさに長官のおっしゃったとおりで時代の流れというものを十分考えながら新しい対応をしていかなければならない、このように思います。  さて、その次に通商産業省に対しまして、情報産業政策につきまして若干御質問させていただきたいと思います。  私は、国土の均衡ある発展、とりわけ地方都市の発展、それもせんじ詰めますと結局は地方都市中心商店街の発展という課題、それが今大変大きな課題になっておるのではないか、そんなふうに思うわけであります。そして、地方都市におきます中心商店街の発展のかぎ、これはいろいろ見方があると思いますが、私は二つあると。一つは駐車場の問題、そしてもう一つはコミュニケーション機能の問題があるのではないか。駐車場の整備につきましては説明の必要はないかと思います。  コミュニケーションの問題はちょっと説明させていただかないとわかりにくいので説明いたしますが、時間がございませんので要点のみ申し上げますけれども、商店街がとにかく中心になりましてその地域における情報ネットワークの整備をどう進めるのか、私流の言い方をしますとリージョナルコンプレックスというようなことになるのでございますが、そういうリージョナルコンプレックスというものをどのようにつくっていくのかということが私は極めて大事ではないかなと。そして、そういったことを前提にして商店と顧客とのコミュニケーションをどのように深めていくのか、これが一つのかぎではないかな、私はこう思っておるんです。  リージョナルコンプレックスというのは、私が好んで使っている言葉でございますけれども、これはいろんな商店街組合もそうですが、小さいのは数人のサークルから大きいのは商工会議所とか、いろんな大小さまざまな団体とか組織がありまして、そういうものが一つの地域における一つの共通目標でもって緩やかに結ばれておる、そういうのをリージョナルコンプレックスというふうに私は言っておるのであります。それはともかくといたしまして、いろんなサークルとか団体の極めて緩やかなネットワーク組織だというふうにお考えいただいて結構かと思うのでございます。  地域におきます。ある種の情報ネットワークをつくっていくわけでございますけれども、商店街というか、その地域が中心になって行政と連携しながら、行政と連携しないと何もできませんので行政とどう連携するかというのが極めて重要なんですが、行政と連携しながらそういったネットワークを少しずつ広げていく、もちろんその際インターネットが大変大きな役割を果たすと思いますが、そんなことを実は考えておるんです。  本日は決算委員会でございますし、また持ち時間も余りございませんので、突っ込んだ質疑はできないと思います。いずれ機会を見て突っ込んだ議論をやりたいと思いますが、商店街が中心になりまして、今後、商店街と顧客とのコミュニケーションを含めた地域のコミュニケーション機能というものをどのようにつくり上げていくのか、そんなことをちょっと念頭に置きながら、若干基本的な質問をさせていただきたいと思います。  まず、CALSの問題であります。  現在、CALSというのは生産・調達・運用支援統合情報システム、何のことかわからない、非常に長ったらしい名前で呼ばれております。これは覚えにくいですね、妙な翻訳がなされておるなと思いますが。私といたしましては、要するにコンピューターをフルに使っている企業活動、そんな程度の訳でいいのではないか、こう思いますが、まずCALSについて質問させてください。  今後、我が国経済の牽引車になるのは言うまでもなくやはり情報産業だと思うんです。既に通産省は数々の施策を展開しておられます。それらすべてが私は重要だと思います。それらすべてにつきまして、今後の展開はどうなっていくのかと非常に期待を持って注目して見ておるわけでありますが、そのうち、きょうは平成七年度の決算ですから、平成七年度にスタートしたCALSの開発につきまして、現状とそして今後の見通しといったものを教えていただきたいと思います。
  29. 中川勝弘

    政府委員(中川勝弘君) 先生お尋ねのCALSでございますが、ちょっと訳文が確かに長ったらしゅうございますけれども、これは企業と企業、例えばメーカーと部品メーカーがコンピューターのシステムを活用いたしまして、例えば設計情報、設計図面のかわりにコンピューターでやりとりをする、図面を必要でなくするというようなことを頭に置いていただければいいと思いますが、コンピューターで共同の設計開発をする、それからその保守、運用もコンピューターで行って大変効率的に生産活動をやっていこうという制度でございます。  こうしたシステムを、アメリカ等では一部もう既に導入が始まっておりますけれども、日本の産業も国際競争力の観点から早急に取り入れていく必要がございまして、私どもはその動きを支援いたしております。平成七年度からこのCALSの取り組みに支援を開始いたしておりまして、現在までのところ自動車、鉄鋼、建設、造船プラント、航空機等、十余りの業種におきまして、関係省庁とも連絡をとりながら実証実験あるいは技術開発を進めてきているところでございます。  これらのプロジェクトにつきましては、本年度中に実証実験が終わることになっておりまして、その成果が取りまとめられる予定になっておるところでございます。
  30. 岩井國臣

    岩井國臣君 ありがとうございました。  私は、CALSこそこれからの情報産業振興のかぎを握っておるのではないかなと、そんなふうにまで思っておるんですけれども、それはともかくといたしまして、CALSの普及を図る上でポイントとなる課題というのは何でしょうか。その辺をお答えいただけますでしょうか。
  31. 中川勝弘

    政府委員(中川勝弘君) 先ほども申し上げましたように、このCALSは大変重要な電子商取引の一つでございます。なかなか技術的にもあるいは制度的にも実は克服しなきゃいけない課題がございます。そういうことで、私ども今実は実証実験を支援しておるところでございます。  実際の技術的な問題点としましては、情報を共有いたします違った企業で、しかも違ったコンピューターのシステムが円滑につながって通信をしていかなければいけませんので、そういう中でどういうデータの規格標準をとっていくか、あるいはその情報システム全体を動かすためにどういうソフトウエアを開発したらいいか。また、企業秘密に属するところがございます。設計情報等は秘密の保持が必要でございますから、外に秘密が漏れないようにするためにはどうしたらいいかというような技術的な問題点、あるいは制度的な問題点を解決していくことがこの実現に大変重要な課題だと思っております。
  32. 岩井國臣

    岩井國臣君 今の御説明はよくわかりました。  私は、CALSが普及するにはやはり地域における情報システムというものが整備されないとだめかなと。そのために、今おっしゃったようないろいろな問題があるわけで、それを早急に解決していかなければならないと思います。要するに、その地域で広くパソコンがとにかく使われる、あるいは地域の情報システムというものが活用される、まずはそういう状況が出てこなきゃいかぬなと思います。  それから、もう一つは中小企業なんです。商店街も含めまして中小企業に電子商取引、エレクトロニックコマースというものが普及していく、大企業だけではなくて中小企業にまで普及していく。御案内のとおり、日本の産業構造というのはかなり重層的ですので、やっぱり中小企業というのは大事なんですよ。そんなことで、私は地域の情報システムというものが大事かなと、こう思っております。  そこで、次の質問であります。  商店街の活性化というものはもちろんのことでございますけれども、商店街を含めまして地域の活性化というものを図っていくためには、私はやはり地域の情報化というものを推進する必要があるのではなかろうかなと。いろいろ通産省の方でも取り組んでおられると思いますが、地域の情報化に対する通産省の現在の基本的な考え方というものをちょっと教えていただきたいと思います。
  33. 中川勝弘

    政府委員(中川勝弘君) 先生御指摘のように、地域の情報化は大変大事な課題だと思っております。情報化が進みますと、一般的には産業の効率化、高度化が進むわけでございます。地域経済の活性化あるいは効率化、高度化のためにも大変重要な課題でございます。特に、地域産業の面では地場の産業を含めまして中小企業が多うございますので、最新の情報システムをいかに活用して効率化していくかということが大変大事な課題だと思っております。  そういう意味で、また情報化が進みますと新規産業の育成にもつながってまいりますので、地域の情報化を進めていかなきゃならぬと思っております。特に、情報化が進みますと中央と地方との情報ギャップの格差が解消されるわけでございまして、最近ではインターネットで世界にすぐつながるわけでございますから、東京と地方ということではなくて、情報の発信あるいは受信についてもそれほどの不利はなくなるということもございます。  そういった点を考え合わせますと、情報化の推進というのは地域経済にとっても大変大きな課題だと思っておるところでございます。
  34. 岩井國臣

    岩井國臣君 それじゃ、具体的にどんな取り組みをやっておりますか。
  35. 中川勝弘

    政府委員(中川勝弘君) 地域情報化のために従来から私どもは、まず例えば地域企業の技術を支援する、あるいは伝統工芸を支援していく、また電子商取引を中小企業の中にも浸透させたいというようなことを頭に置きまして、先進的な情報システムの整備を支援する補助事業を行ってきているところでございます。  また、地方自治体等も行政の情報化ということで大変大事な機能を担っておりますので、行政の情報化に対しましても創意工夫のあるアイデアを募集いたしまして、地方自治体にも補助事業を従来から実施してきているところでございます。
  36. 岩井國臣

    岩井國臣君 我が国の情報化を促進していくためには、当然、大企業を含めたりーディング産業がどのように育っていくのかということもありますが、先ほどもちょっと申し上げましたように、商店街みたいなものも含めてですが、要するに中小企業というものが元気を出していかないといかぬのじゃないか。通産省の方も中小企業あるいは商店街に対していろんな支援策を講じておられると思いますが、具体的に今どういう考え方でどんなことをおやりになっているのか、ちょっと教えていただきたいと思います。
  37. 岩田満泰

    政府委員(岩田満泰君) 中小企業の情報化につきましてはもろもろの施策を講じておりますが、特に情報化というものの重要性を認識していただくという意味でまず普及啓発から話は始まります。さらに、そういう認識ができた中小企業者あるいはその組合とかグループの人たちが具体的に情報化をする場合に、どういうことをやりたいか、それをまたどう仕組めばいいかというようなことにつきましてもろもろの御相談をしたりアドバイスをしたり、場合によっては現地に行きまして何か具体的な案づくりをお手伝いするというようなこともやっておるところでございます。  そういう形で、商店街は商店街としてカードのシステムというようなものを導入してお客様とのつながりを持つとか、あるいはお客様とそういう形でネットワークをつくるとか、あるいはメーカーであれば、そういう人たちが共同で情報を共有するような形でお互いに情報交換をできるような仕組みをつくるとかというようなことで、もろもろの角度からの情報化の支援を行ってきているところでございます。
  38. 岩井國臣

    岩井國臣君 最初にも触れましたけれども、地域における情報ネットワークの整備というものを進めていかない限り我が国の情報産業の振興はあり得ないんじゃないか、ちょっとオーバーな言い方かもわかりませんが、そんなことをちょっと考えております。地域における情報ネットワークの整備というものを進める際に商店街というものが大変大きな役割を果たすのではないか、実際に私、いろいろ商店街の問題に取り組んでいるところがあるんですけれども、そんなことを強く感じております。  地方都市中心商店街は今どこも大変な危機感を持っておられます。ですから、危機であるというのがむしろチャンスではないか、新しい施策を展開する際のチャンスではないか、こんなふうに思うわけであります。今、商店街の若い人たちは、生き残りをかけて何とかしなければと、こう思っているわけですね、必死の取り組みをやっておられる、燃えておられます。ですから、今がこういう新しい情報ネットワークというものを整備していくいいチャンスじゃないか、今だと、こんなふうに実は思うわけであります。  建設省では、建設省のことを言って悪いですけれども、中小の建設業も当然念頭に置きまして、去る二月に建設CALSセンターというものを設置されました。そして、まだちょっとそこまでいかない、中小企業になりますとそこまでいきませんので、まだCALSそのものではないんですけれども、建設CALSというものの普及を図る、そういう意識で、そういう基本的な考え方でともかく実験的な取り組みを始められました。ともかくできるところからやろうかと、こういうことですね、大変結構なことだと思うんです。  ぜひ通産省におかれましても、中小企業、とりわけ商店街のCALSを推進するという政策を持っていただけないか。商業CALS、こんな言葉はありませんけれども、私、今ここで初めて言うんですけれども、商業CALSというものがあってもいいんじゃないか。それは地方都市における中心商店街の振興のためにも必要だし、それだけじゃなくて、あわせて我が国の情報産業そのものを振興させていくという大変大きな政策目標を達成することにもなっていくんじゃないか、つながっていくんじゃないか、こんなふうに思うんです。  したがいまして、地方都市における中心商店街の商業CALSを進めるためにともかく何でもいいから早急に何か取り組みをやってもらいたいな、そんなふうに思っておりまして、それをお願いして、きょうは大臣にいろいろ質問したいこともあったんですけれども持ち時間がありませんので、最後にそのことを大臣にもお願いさせていただいて、質問を終わりたいと思います。
  39. 佐藤信二

    ○国務大臣(佐藤信二君) 岩井委員の御指摘の点、全く同感です。  先ほどからお話しのように、時代が変わってきて、いわゆる地方の商店街、こういうものも一概に一つ政策ではいかがなものだろうか、かように思っております。そういうときに変わり行く日本の社会というもの、経済というもの、まず情報の交換から始まっていくことは言うまでもありません。そして、その中において時代を先取りしたものをまずそうした商業地から起こすと同時に、地方都市にもまた大都市にも住んでいる中小企業、それがそれぞれの分野において情報に取り組んで新しい経営をしていくことが必要だろうと思います。  今御指摘のCALSの件、先ほどから事務方が答弁しているように、実際的には時代はその方向に実は進んでおりますので、今私たちが取り組んでいる経済構造改革、この中においても行動計画を実行する段階において今のような施策を取り入れていきたい、かように考えております。
  40. 岩井國臣

    岩井國臣君 ありがとうございました。終わります。
  41. 加藤修一

    ○加藤修一君 平成会の加藤修一でございます。  先ごろ四極通商会議が終わりまして、佐藤通産大臣もそれに参加されまして大変お疲れさまです。この会議は非公式である、あるいは会議内容について拘束力がない、そういった意味からは、ある意味で実効性が上がるかどうか、こういったことが言われているわけでございます。  四極通商会議の今日の位置づけについてお伺いしたいし、特に今回WTOの中国加盟問題を議論してきているわけでございます。果たして成果が上がるのかどうか、その辺の確認をお伺いしたいと同時に、シャレーン・バシェフスキー通商代表が佐藤通産相に対して、日本が中国を甘やかすから中国の自由化が進展しない、そういう批判をする場面もあったように私は伺っておりますが、その辺のことを含めて大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
  42. 佐藤信二

    ○国務大臣(佐藤信二君) まず四極、これは一体どういうものか、委員からも今御指摘がございましたが、世界貿易の大部分、約六割を占めると言われている日本とアメリカとカナダとヨーロッパ、EUですね、の貿易大臣が一堂に会して世界貿易をめぐる諸問題について意見交換を行う、そして共通の認識というものを形成する、そしてウルグアイ・ラウンド交渉を主導する、こういうふうな役割でございまして、ここでもって何かを決定するというようなものとは若干性格が違っております。  そして、去る三月に合意されましたコンピューター、半導体の関税相互撤廃に係る例のITAという情報技術の合意、それから昨年九月のシアトルでありました四極というものの基本合意、こういうものが一体その後どういうふうになっているか、こういうことも実は話をしたわけでございます。  今、その中で具体的というか、ある程度共通の意見というものは、一つはWTO関係では中国の問題がございます。これは御存じのように、中国それからロシア、サウジアラビアを初め大変多くの国が実はこれに対する加盟ということの対象になっておりますので、全般的に話をいたしまして、そして加盟交渉ができるだけ早く前進することを奨励する、こういうふうな表現にして外部に発表させてもらっております。また、金融サービス交渉に関しては、今後の進め方について合意した。これがWTO関係でございます。  それから二番目のOECDの関係では、日本が提案しておりました各国の規制制度改革に関する相互審査というものについては合意を見たわけでございます。それで、OECDの閣僚理事会においても合意が得られるべく、さらに議論を進めていきたい、かように考えております。  第三がサミット関係でございますが、これではLLDC、最貧途上国対策というものの重要性ということにかんがみまして、貿易面で各国がさらに何ができるかを検討することになった、こういうことでございます。  さらに、今委員の方からバシェフスキーさんが云々という話がございましたが、これは四極で出た話ではございません。四極の話は、相手国、対象国が何を言ったかということは一応外部に言わないということになっております。これは、アメリカと日本との二国間の話のときにそうした話が出たわけでございます。私の方は、大体日本が交渉というか中国と話しているのは、あくまでも昨年のシンガポールの会議、その前のAPEC、一連の動きとして中国の加入を促進しようというみんなの合意でもって日本がやったわけで、どうもその情勢が変わってきたのかと、こういうふうな表現をしたときに、向こうからどうも中国の方の云々というような話が若干ございました。  そのようなことでございまして、そういうことも踏まえて先はどのような表現でもって一応合意を得た、かようにお考えいただきたいと思います。
  43. 加藤修一

    ○加藤修一君 今の大臣の御答弁を踏まえて、いわゆる会議の性格を踏まえて申し上げたい質問がございますけれども、今回の会議の中では環境機器の関税撤廃についてお話をされているわけで、それについても合意が形成された。いわゆる環境機器に関する関税撤廃措置については、やはり公害の発生を防いだり、あるいは有害物質を分解したりする最新の機器をできるだけ早急に世界に普及させる、環境保護に役立たせようというねらいであると思います。もちろん、それ以外の思惑についても私たちは知っているところでございますけれども、いわゆる次世代の有力な環境産業を育てる上からも重要なことだと思われます。  関税撤廃の実現の見通し、合意という話は先ほどの答弁でお伺いいたしましたけれども、環境機器に関しての関税撤廃、非常によろしい合意だと思いますけれども、この見通しについてどのようにお考えでしょうか。
  44. 佐藤信二

    ○国務大臣(佐藤信二君) この環境機器の関税相互撤廃というものについては、トロントにおける四極においては一応意見の一致というものを見なかった、まだそこまでには至らなかったということでございます。  これからの関税の自由化というものに関しましては、産業界とも協力しつつ七月中旬をめどに事務方に検討させるということになっておるわけでございます。ここにおいては、ほかのもの、例えば化学品だとか輸送だとか、フィルムだとかゴム、こういう問題を対象としておりますが、実は、この検討の過程で環境機器の関税相互撤廃についても議論が行われることになるだろう、かように考えております。
  45. 加藤修一

    ○加藤修一君 それでは、四月二十五日の首脳会議で日本の規制緩和に関する新たな事務レベル協議の創設が合意されたと伺っております。規制緩和、これは非常に賛成なわけですけれども、アメリカが日本の規制緩和に首を突っ込んでくるという感じも受けておりますし、内政そのものの話をすることになるという感じを受けています。このような合意に至ったのは、これまでになされた日本の規制緩和がある意味で中途半端であったということを逆に証明しているんではないかなというふうに私なんかは考えますけれども、この新協議の性格、中身、我が国の今後の方針についてお伺いしたいと思います。
  46. 佐藤信二

    ○国務大臣(佐藤信二君) ちょうど私が四極に出席する前に橋本総理がアメリカに行かれまして、そのときに、クリントンさんとの会談において日本の規制緩和に対してそれを事務方において話をさせる、こんな話が出たように聞いております。  そういうことで、私が今話題になりましたバシェフスキーさんに会ったときに、これから規制緩和は一体どうするんですか、どういうふうに進めるかということは、私自身はまだ総理に何も話を聞いていない。しかし、今度の規制緩和というのは日本のためにみずからがやるものであって、対話の場でこれを交渉の駆け引きだとかそういうものにするような性格の問題ではありません、日本のためにやるんです、今まではややもすると外国から言われて規制緩和するというふうな印象があったけれども今度は違います、こういうことを実はお答えしているわけでございます。  そこで、帰ってまいりまして、どういうふうにするかということで一応省内でも若干話を進めておりますが、今申したように、総理と大統領との話においてはこれから事務レベルで協議を開始する、ここだけ話が決まったようでございますから、そうした方向性についてこれから政府全体で議論していくことになってくるということでございます。まだ具体的にどうするかははっきりしておりませんが、今私が申したように、あくまでも話し合う、対話ということは必要であるけれども、基本的にはやはり日本のためにやるので、ほかから干渉を受けるものではないという方針は変わらないと思います。
  47. 加藤修一

    ○加藤修一君 先ほど環境機器の関税撤廃の話について質問を申し上げたわけですけれども、まだ合意はされていないという御答弁であったわけです。  私は常日ごろから大臣にも質問しているわけですけれども、地球環境問題は極めて深刻な状態にある。環境悪化が進行しているわけでして、環境問題に世界が一丸となって対処しなければいけない。国際社会には環境関連の国際的約束、それを履行し、監視し、あるいは環境保護協力を促進する能力を持つ、そういった機能が求められているというふうに私は考えているわけです。  例えば、非常に大きな話なわけですけれども、環境国連の創設とか、あるいはそれを支えるような国連地球憲章、そういったものを形成していく必要が、長期的な展望の中でも考えていくべきだと私は思っておるわけでございますけれども、大臣はこの辺について、またさらに先ほどの環境機器の関税撤廃について積極的にこれから踏み込んでいきたいと、そういう御決意も含めて御答弁をお願いしたいと思うんです。
  48. 佐藤信二

    ○国務大臣(佐藤信二君) 今御指摘のように、地球環境問題というのは人類の存続にかかわる重要な問題だと、こうした強い認識を私も有しております。先ほど出ましたのは、決して日本側の発言が後退してきたわけではございませんで、ほかの国との間でもってこの問題が進まなかった、こういうふうに御理解いただきたいと思うんです。  今、加藤委員の方からの御指摘は、さらにこれからどういうふうにこの問題を取り扱うのか、環境の国連、こういうものをつくったらどうかと、こういうようなお話がございましたが、御存じのように国連では既に持続可能な開発委員会、CSDというものが設置されておりまして、環境と開発に関する行動計画であるアジェンダ21というようなものが発進をするために積極的に活動しているところでございます。  このことは、今申したように、リヨン・サミットでも確認されたわけでございますので、今後とも当省としては国際連合の活動と協調の国際的な取り組みを積極的に取り組んでいきたいという方針は変わっておりません。
  49. 加藤修一

    ○加藤修一君 その辺の国連の組織について私も知っている部分があります。説明、御答弁の中身についても知っておりますけれども、ただ、国際社会において環境関連の国際的な公約といったものを履行し監視していく、あるいは環境保護協力を促進する能力を十分に持つような、いわゆる統合的にしていくような組織というのは私は現段階では見当たらないという理解でおります。  重ねてお伺いしたいんですけれども、既成の組織だけじゃなくて、やはり新しく統合的なものを目指すべきだというふうな質問の上で御答弁をお願いしたいと思います。
  50. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 国連の場での環境の議論、種々の組織論もあることは我々も承知してございますが、そうした論点を含めてことし六月に開催をされます国連特別総会でも協議されるのではないかというふうに考えてございます。  組織論全般につきましては外務省を中心にして検討しておりますので、我々政府部内の連絡を密にしながら今後の対応を考えてまいりたいと考えております。
  51. 加藤修一

    ○加藤修一君 確かに外務省の所管の内容のウエートは高いと思いますけれども、通産省としてはどういうふうにお考えを持っているかというスタンスで私はお聞きしております。  なぜこういう言い方をするかといいますと、小泉厚生大臣も郵政関係の問題について他省庁にまたがって発言しているわけですから、こういう問題についても、通産省につきましては環境問題について非常に大きな関心を持ってやってきておりますし、非常に大きな影響力を持っていると私は思っておりますので、重ねてその辺について御答弁をお願いしたいと思います。
  52. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 御指摘のように、地球環境問題は全地球的な取り組みが必要でございますし、また取り組みの内容も極めて多岐にわたるという趣旨から、国連の環境計画などさまざまな国際機関を通じた国際協力が重要であることはもう委員指摘のとおりでございます。  我が国としましても、例えば資源の効率的な活用の観点、それから優先度の高い事業への取り組み、あるいは国際機関相互の調整などを通じた環境関連国際機関の一層の効率化あるいは機能の強化といったような観点の検討が必要であろうかと考えてございますが、先ほど申し上げましたように、政府部内でさらに連絡を密にしながら、この六月の国連特別総会に向けましても協議が行われることと思いますので、意思疎通を図りたいと考えてございます。
  53. 加藤修一

    ○加藤修一君 それでは、次の質問に移りたいと思います。  一つは、エンドクリン問題について質問をいたしたいと思います。  お手元に、地球環境国際議員連盟の第十二回総会、ブリュッセルで行われたわけですけれども、内分泌撹乱化学物質に関する議会勧告ということで、仮訳の段階ですけれども、こういう資料がございます。最初の三枚がそれに関する勧告の内容でございまして、最後の四枚目が、いわゆる内分泌機能及び生殖機能を撹乱すると報告されている化学物質、つまりこれがエンドクリンを撹乱する化学物質であるというふうに言われている、疑惑を持たれている化学物質であるということなわけです。  本会議で私は南極条約の関係質問させていただいたわけですけれども、その中で紹介させてもらった本で、「アワー・ストールン・フューチャー」という、我々の未来が奪われる、こういう本がございます。これは、カーソンが書いた「沈黙の春」、それに続く続編だと言われるぐらい非常に有名な、ゴア副大統領が前書きを書いております。いわゆるDDTとかあるいはPCBあるいはダイオキシン、そういった非常に分解しにくい化学物質が地球上に長く滞留している間に、いわゆる生物に取り込まれてしまって、本来のホルモン作用や代替機能あるいは内分泌機能、いわゆるエンドクリン、そういったものを狂わせている。そういったいわゆる破壊物質というものがあるというわけでございますけれども、この部分については大きな問題になっている。  例えばどういう問題が生じているかといいますと、まだ立証されたわけではございませんが、アメリカでは、一九四〇年代の終わりから七〇年代初めにかけて生まれた子供たちに、矮小陰茎を持った少年や偽半陰陽や未発達の陰茎を持った少女、いわゆる性器異常の例が報告されている。あるいは閉経後の女性に多く見られる膣がんが二十歳前後の女性に多発し、追跡調査が行われている。あるいは生殖機能に大きな影響を与えている。そういった我々が生存していく途上において極めて重要な生殖の関係においても大きな影響を与える化学物質の存在が言われている。  それで、昨年この「アワー・ストールン・フューチャー」が発表されたときにいち早く反応を示したのが私は通産省だと思っておりまして、通産省がそれに関連しまして、日本化学工業協会にエンドクリン問題に関する調査研究を委託したというふうに聞いております。  その中身について伺いたい。それと、このエンドクリンに関して撹乱する化学物質が存在するということに対してどういうふうに対処していくか、どういうふうに考えているか、その辺のことについてお伺いしたいと思っています。
  54. 白川進

    政府委員(白川進君) ただいま御指摘いただきましたエンドクリン問題、御指摘のとおり、「アワー・ストールン・フューチャー」の発行以来、こういったたぐいの研究報告が増加しているということは御指摘のとおりでございまして、今委員の御指摘になりましたように、内容が非常に人間の生殖機能にかかわるというような衝撃的な内容でありますだけに、私どもも重大な関心を持っているところでございます。  ‘早速、内外のこれまでの知見を収集するために、御指摘の日本化学工業協会に委託をいたしましてその収集を図ったところでございますが、現在その取りまとめの最中でございまして、近く公表されることになろうかと思いますけれども、総じて申し上げますと、いろいろ今御指摘の書物の中で指摘されたようなことが、科学的に厳密な証明がなされるような方法及び内容であるかについてはかなり未解明なところが残っているんじゃないかというのが、現在中間的ではございますけれども、そういった内容でございます。
  55. 加藤修一

    ○加藤修一君 さらにもう少し説明いただけないでしょうか、非常に単純な中身だったわけですけれども
  56. 白川進

    政府委員(白川進君) その「アワー・ストールン・フューチャー」の中で言われていることの幾つかを申し上げますと、今御指摘のような蓄積性の化学物質を通じて人間の精子の数が非常に減るんではないかとか、前立腺がんの原因になるんではないだろうかとか、精巣がん等々、それから今先生御指摘のありました腹腔内停留睾丸、陰茎短小、尿道下裂等々の危険があるという指摘がなされております。  ただ、これにつきましては、アメリカの中でこの書物は発表されたわけでございますけれども、同じアメリカの科学者の中でも、必ずしも化学物質が生態系に蓄積されてそのようなことが起こったということを証明づける根拠に乏しいという逆の指摘もなされているところでございます。  それから、付言させていただきますと、この問題、御指摘のように大変深刻かつ衝撃的な内容でございますので、既に関係各国も重大な関心を持っておりまして、この関係の国際会議の場で議論の対象として取り上げられております。  そこの共通の認識、これまでの認識は、一つは必ずしも科学的確実性が十分なものではないので、まず科学的な解明が重要であるというのが第一点。第二点目は、非常に問題が広範であるし、いろんな知見の幅広い集積が必要であるので、それぞれの国の対応の範囲を超えているんではないか。つまり、幅広い国際協調のもとでこの問題の解明ないし対応の取り組みをやっていく必要があるということで、現在、化学物質の安全性に関する政府間フォーラム、IFCSという政府間協議の場がございますし、あるいはOECDの場などでこの問題に関する国際的な科学知見の集積あるいはそうした知見の正確な評価のための作業が行われているところでございます。  先ほど申し上げました私どもの委託調査につきましても、こういった国際的な取り組みに我が国としてもぜひ積極的に対応してまいろうという方針から早速着手いたしたものでございますし、さらにはホルモンと類似の作用をする化学物質を効果的にスクリーニングするための試験方法の開発にも取り組み、その成果については国際的な貢献をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  57. 加藤修一

    ○加藤修一君 今の答弁、積極的に内容について推進していただきたいと思います。  ただ、解明が重要だと、確かにそうだと思います。それから、国際協調も本当にそうだと思います。我が国として、疫学調査なんかも含めてそれは必要だと思いますけれども、例えばヨーロッパなんかで調査結果として出ていることは、人間の精子が減少してきていると、そういった調査結果があるわけですけれども、我が国については、そういう調査は私の記憶では行われていないように思うんです。  これについて通産省の所管になるか、どこかちょっとよくわからないんですけれども、もちろん恐らくならないんではないかと思うんですが、こういった方面についても私は調査すべきだと思いますけれども、この辺についてちょっと御見解をお願いしたいと思います。
  58. 白川進

    政府委員(白川進君) 御指摘のとおり、私どもの委託調査の結果でも、国内的な知見がこの面について乏しいということは今委員指摘のとおりでございます。  そもそも、そういった症状が出ているかどうかというのは厚生省さん等に関係するところが多いと思いますが、いろいろ国際的な検討も幅広く行われているところでございますので、私どもといたしましても、厚生省さんとそこらあたりよく御相談をしながら進めてまいりたいと存じます。
  59. 加藤修一

    ○加藤修一君 このエンドクリン問題について具体的な政策をきちっと積極的に展開していくことを強く主張しておきたいと思います。  次に、地球温暖化防止の取り組みについてお伺いしたいわけですけれども、既に日本では温室効果ガス排出低減に向けていわゆる共同実施ジャパンプログラム、そういったものをやっているというふうに聞いております。  最近の報道によりますと、温室ガス抑制国際事業、これは我が国では十事業がある、そのうち三つが通産省の所管というふうに聞いておりまして、非常におくれていて、政府対応鈍く始動せずなんという表題も出ているぐらいなんですけれども、これは実際はどうなんでしょうか。
  60. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 共同実施活動につきましては、先生から御指摘ございましたように、日本政府として十一件を認定いたしてございまして、うち三件が通産省の関連でございます。中国、インドネシア、タイを対象といたしました鉄鋼、電力におきます省エネ事業、それから太陽光発電等の新エネ事業の三件でございます。  これらの事業につきましては、現在、我が国の提案につきまして中国、インドネシア、タイの相手国が事業内容などを検討しているところでございまして、その相手国との合意によりまして共同実施活動として正式に位置づけられるという性格がございます。このため、できる限り早期に相手国と合意に達しまして、この活動を推進できる体制になることを我々として努力しているところでございます。
  61. 加藤修一

    ○加藤修一君 いっこれを手がけて、それからいつ向こうとの合意が成るか、その辺の見通しはどうですか。
  62. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 三件ございますが、タイとの関連につきましては、基本的に共同実施活動について民間ベースで実施することについての合意ができておりまして、事業そのものは進捗をいたしてございます。  タイの熱効率修復事業、いわば指導事業でございますので民間ベースとして事は進んでおるわけでございますが、すなわち技術者の派遣などが行われ、省エネ診断、改善提案などが順次行われているわけですが、タイ側の共同実施活動としてのオーソライズがまだということでございまして、現在交渉中でございます。タイミングについては明確な予測はできませんが、そんなに遠くない将来だと期待してございます。  それから、インドネシアにつきましては、これも東京電力、関西電力を含みます世界の七社の電力会社がミニ水力でありますとか太陽光発電とかという発電所を設置いたしまして、それを地元電力会社に売電をするプロジェクトでございます。このプロジェクト自身もそれぞれ現に動いてございまして、東電が主体のミニ水力については既に流量調査を実施し、売電も行ってございます。この事業を全体として共同実施活動として位置づけるかどうかが現在の焦点でございまして、九六年十二月三日に民間ベースとしての同意がございますが、現在外交ルートで文書交換の手続を行っておるところでございます。  三つ目の中国につきましては、これは日本のNEDOがこちらの参加主体でございます。コークス炉の省エネ技術でございますが、これにつきましては、昨年、通産次官と国家計画委員会副主任間でハイレベルの事務レベル協議の結果として大筋合意をいたしてございますが、あとは中国側の窓口でございます外交部の同意を形式的にとって調印をするという手続が残ってございます。これも遠からず事態が準備完了するものと期待をしているところでございます。
  63. 加藤修一

    ○加藤修一君 通産大臣は私の質問に対して、「やはり革新的なエネルギーという問題、そうした環境技術の開発、普及、発展途上国への技術移転、こういうものに全力を挙げていくということを推進してまいりたい、」と、このように過去答弁されているわけでございますから、この共同実施についても一層力を入れて推進していただきたいと思います。  それでは次に、マイアミの環境サミットの合意についてお尋ねしたいわけですけれども、二酸化炭素排出量を削減するために、いわゆる二〇〇〇年以降も法的拘束力のある数値目標を定めることでほぼ合意した、このように環境サミットの会合でされているわけですけれども、そういった意味では非常に前向きの議論が出てくるという期待がありますので、この辺については通産省はこの合意についてどのような御見解をお持ちでしょうか。
  64. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) このG7環境大臣会合はまさに環境大臣のサミットでございますが、そこで議題として気候変動問題が議論されたと聞いてございます。  そのときにまとめられました今御指摘の数量目的のところは、昨年の七月ジュネーブで開かれましたCOP2における合意とほぼ同じラインでございます。法的拘束力を持ったターゲットで、意味ある、それで今回アメリカの主張によってリアリスティック、現実的なという言葉も入れられてございますが、いずれにしてもCOP2、昨年の七月、先進国としてリーガリーリバインディングされた数値目標及び政策措置をことしの十二月の京都会議までに決定をしていこうというラインはほぼ同じでございまして、いわば、十二月に向けての環境大臣の集まりがしつかり検討、鋭意調整、折衝を行うべしというふうに激を入れられたと理解をいたしてございます。
  65. 加藤修一

    ○加藤修一君 同じ環境サミットの中で最終的に環境サミット宣言を採択して閉幕したわけでございますけれども、その宣言の中で、要するに環境政策を強化せよという条項がございます。  いわゆるその中でも規制、子供を基準にしてやっていくべきであると。「子供は発育途中にあって臓器が未発達で免疫力が弱く、また体重の割には水や食物の摂取量が多いことから、環境破壊の影響を受けやすい」、そういったことから意見の一致を見たと。「宣言は、原則論だけでなく、各国の環境行政の見直しにつながる踏み込んだ内容で合意した。」というふうに報道されておりますけれども、先ほど私はエンドクリンの問題を取り上げましたけれども、これもやはり発育期における子供にとっても非常に大きな影響を及ぼすというふうなことも考えられる。そういった点を踏まえまして、この件に関しまして通産省の御見解をお伺いしたいと思います。
  66. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) マイアミ・サミットは環境大臣の会合でございましたがために、日本からは外務省、環境庁、科技庁が出席をいたしまして、通産省からは人は派遣をいたしてございませんでしたので、詳細については必ずしも十分承知していない部分がございますが、御指摘のとおり、この宣言の中で、今回新たに子供の健康への影響に関する宣言というものが取りまとめられました。環境大臣会合は今回で五回目でございますが、初めて宣言が出されたという位置づけでございますが、なかんずくこの子供の健康を基準にして今後の環境問題を考えようということで、環境要素についてのモニタリング、情報交換あるいは調査研究の推進などという具体的な行動についての合意もなされたというふうに聞いてございます。  そういう趣旨で、我々、今後の活動方針として画期的なものであるという理解をいたしてございます。
  67. 加藤修一

    ○加藤修一君 それでは、先ほどエンドクリンの問題についても御質問させていただいたし、今地球温暖化防止の取り組みについて質問させていただいたわけですけれども、大臣、今のマイアミの環境サミットを含めて、全体を通してどのような御見解をお持ちでしょうか。よろしくお願いいたします。
  68. 佐藤信二

    ○国務大臣(佐藤信二君) 今、加藤委員指摘のように、地球における気候変動問題というのは人類の存続にかかわる重要な課題でございますし、そうした環境問題であると同時に経済問題、エネルギー問題であるということで、当省としても関係省庁と協力をしながら積極的に対応していかなければいけない、こういうふうな認識を持っておることは言うまでもございません。  そのため、通産省としては、まず我が国の炭酸ガスの排出量の二〇〇〇年の目標達成に向けて、やはり省エネルギーの強化だとか新エネルギーの一層の導入促進あるいは原子力の着実な推進等のこうしたエネルギー政策を初めとする国内対策を図っていかなければいけないわけでございます。  また、本年の十二月に京都で行われる地球温暖化防止のCOP3というものにおいては、地球温暖化防止効果があり、公平かつ実行可能な枠組みが合意されるよう努力してまいりたいと思っておりますし、さらに気候変動問題の抜本的な解決に向けて、革新的なエネルギー、環境技術の開発、普及、発展途上国への技術移転、こういう問題に取り組んで、全力を挙げて推進していく所存でございます。
  69. 加藤修一

    ○加藤修一君 それでは次に、行政の省エネ対策等について伺いたいと思います。  通産省は、企業の自主的、積極的な取り組みを促すために、九二年に環境に関するボランタリープランの策定を要請し、また環境庁は、各企業が創意工夫を生かせるように配慮した環境にやさしい企業行動指針を公表しておるわけですけれども、両方ともISOの環境管理規格化の動きを視野に入れたものであるというふうに私は理解しております。  九五年六月には、国の事業者・消費者としての率先実行計画を閣議決定しておりますし、国の活動はそういう意味でGDPの二・二%に相当する、そういう財、サービスを消費しているということですし、さらに地方公共団体については七・二%、そういった意味では政府部門が合わせてGDPの約一割を占める消費者である。そういう観点から考えていきますと、やはり国あるいは地方レベルにおける省エネルギーあるいはそれにかかわるような例えばグリーン調達、そういったことも考えていくことが十分必要である。  それで、政府としては環境保全行動計画をつくっております。三十七項目から成るようなきめ細やかなものをつくっているわけでして、数値目標も当然ございます。例えば二〇〇〇年度の数値目標として、廃棄物量を二五%削減するとか、あるいは公用車の燃料使用量を一〇%削減するとか、あるいは行政事務に伴うCO2排出量を現状以下にするとか、さまざまな数値目標が立てられているわけでありますけれども、まず第一点目、省エネルギーの実態、その成績についてお伺いしたい。  第二点は、グリーン調達の実態、その成績についてお伺いしたいというふうに思います。
  70. 江崎格

    政府委員(江崎格君) 御指摘のように、国民ですとかあるいは事業者による省エネルギー努力を促すために、政府みずからが率先して省エネルギー対策を講ずるというのは大変重要だと思っております。  今、委員指摘のように、平成七年の六月に閣議で、国の事業者・消費者としての環境保全に向けた取り組みの率先実行のための行動計画というのを決めたわけでございます。これに基づきまして、またあるいは年二回、省エネルギー・省資源対策推進会議という場におきまして、夏季、冬季の省エネルギー対策というものを決めておりますが、これらに基づきまして省エネルギーの取り組みをしております。  私ども通産省として具体的にやっておりますのは、省エネルギー型のOA機器の調達ですとか、あるいは不要時の消灯、こういった比較的身近な問題に取り組んでおります。  具体的に数字で申し上げますと、平成七年度におきまして、当省で購入しましたパソコンですとかエアコンあるいは冷蔵庫といった機器がございますが、このうちの台数で八割以上につきまして省エネ型のものを調達しております。  それから、不要時の消灯に心がけるというようなことによりまして、平成八年度の電気使用量でございますが、前年に比べて平成八年度の場合に三%減っております。最近は実は比較的伸びがプラスだったのでございますけれども平成八年度に初めてマイナスにすることができるという状況でございます。  それから、公用車でございますけれども、これも省エネ型の運転に努めるというようなことに努めまして、平成八年度のガソリン使用量、これは前年に比べて約一%の削減、このようになっております。  今後ともこうした努力をさらに強化していきたいと、このように思っております。
  71. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 引き続きまして、グリーン調達の具体的内容について御報告を申し上げます。  通産省といたしましては、再生紙、再生品等の使用、それから低公害車等の導入、節水機器の導入という部分について積極的に取り組んできたところでございます。  再生紙、再生品の使用につきましては、もちろんコピー用紙、事務用せん、伝票等の用紙類について再生紙を使用するほか、文具、機器の物品については再生材料で、例えばボールペンのようなものでございますが、つくられたものを使用してございます。この成績につきましては、平成十二年度までに現状比八〇%以下にするという数値目標が与えられてございますが、現状は数値でまだ比較できる状況ではない状況でございます。  それから、低公害車の導入でございますが、平成八年度にLNG車を一台導入いたしました。また、本年度は低公害車、まだ車種については決めてございませんが、一台購入の予定でございます。今後引き続きこのテンポを速めながら進めていきたいと考えてございます。  それから、節水機器の導入でございますが、電算室の空調機につきまして水冷型から空冷型に切りかえをいたしました。今後も節水機器の導入を進めてまいりたいと考えてございます。  以上でございます。
  72. 加藤修一

    ○加藤修一君 まだ質問がございますけれども、次の質問に移りたいと思います。  地方空港の国際化ということで、時間がございませんのではしょって話をいたしますけれども、新千歳空港の欧州直行便の就航問題についてお伺いしたいと思います。  これは現状はどういう形で進んでいるか。すなわち、オランダ航空はロシア上空を通りたいと。航空交渉においてはいわゆる相互乗り入れということでございますので、現段階、私が聞いている範囲ではなかなか進んでいないという状況も伺っておりますので、その辺の状況等について、本当はFAZの関係もございますけれども、FAZの関係を抜かして、新千歳空港の国際化等を踏まえた形で非常に重要な視点がこの中に含まれていると思いますので、その状況について教えていただきたいと思います。
  73. 井手憲文

    説明員(井手憲文君) お答え申し上げます。  先生の御質問にもありました欧州の航空機の札幌への乗り入れでございますが、オランダのKLM航空という航空機が札幌への就航を希望しておりまして、この関係で昨年の十月の初めに日本とオランダの間で航空交渉を行いました。日本とオランダの間では、KLMの航空機が札幌にシベリアの上空を通過して乗り入れるということにつきまして合意がまとまってございます。  ただ、御案内のとおり、この運航ルートがシベリアの上空を通過するというものでございますので、このシベリアの上空通過ということで日本とロシアとの間で別途合意を結ぶ必要がございます。この関係の交渉は、同じく昨年の十月の終わりから十一月の初めにかけまして日本とロシアの間で航空交渉が行われたわけでございますが、残念ながら札幌へのロシアの航空機の乗り入れについての合意には至ってございませんという状況でございます。
  74. 加藤修一

    ○加藤修一君 防衛庁はどのような見解でしょうか。
  75. 大古和雄

    説明員(大古和雄君) 防衛庁の方からお答えさせていただきます。  防衛庁といたしましては、新千歳空港に隣接する千歳基地は我が国の防衛上極めて重要な施設である、こういうふうに考えております。そのため、新千歳空港への国際定期航空便の乗り入れにつきましては、北海道における防衛任務に支障が生じないよう適切な配慮が必要であるというふうに判断しております。  他方、この問題が経済、社会的にも必要性を有するということにつきましては、防衛庁としても十分認識しているところでございまして、新千歳空港への国際定期航空便乗り入れにつきましては、その乗り入れの社会的必要性と防衛上の体制との調和を図るとの観点にも留意しつつ調整を進めるよう、運輸省に要請してきているところでございます。
  76. 加藤修一

    ○加藤修一君 それでは次に、GISの具体的展開ということで、通産省には十分説明を伺っておりますので、申しわけございませんが、ちょっとはしょってしまいます。  厚生省と法務省にお尋ねしたいわけですけれども、厚生省は、ごみの最終処分場の埋立地の跡地について都道府県に台帳を置くことを制度としてつくっているわけですが、土地の情報は一般的に法務省の登記所を利用することから、今の制度は広く情報を公開することにはなっていない、私はそう思っています。  そこで提案ですが、法務省の登記所にいわゆるそうした情報が都道府県庁にありますよという注意を喚起するお知らせ、そういったものを設置して、土地を購入した後に実はそこが埋立地であったとか、そういったことを避ける意味でもそういうものを設置することが必要ではないか、そのように思っておるわけです。その辺について、厚生省、法務省の御見解をお伺いしたいと思います。
  77. 仁井正夫

    説明員(仁井正夫君) 御説明申し上げます。  お話しございました最終処分場跡地台帳制度、これは平成三年の法律改正で制度化されたものでございますが、埋め立ての跡地にかかわる情報を関係人に提供するということで、跡地の利用の適正化等を図ることを目的とするものでございます。御指摘のとおり、この制度の周知を図ることは重要な課題と認識しております。  このため、お話しございましたように、関係省庁とも連携協力して、登記所等に制度周知のためのポスターを掲載する等、制度の周知徹底のための措置を検討してまいりたいと考えております。
  78. 小池信行

    説明員(小池信行君) 先生御指摘の登記所というのは、不動産の取引に関係ある人が多数訪れるところでございますので、そういう場所を利用してという御趣旨かと思います。  この台帳の存在につきまして、関係省庁から登記所を利用して何らかの形で広報するという協力依頼がございました場合には、行政サービスの一環ということもございますので、前向きに検討したいというふうに思っております。
  79. 加藤修一

    ○加藤修一君 それでは、最後質問になりますけれども、コンピューター二〇〇〇年問題の対応ということで、まず防衛庁にお聞きしたいわけです。  いわゆる武器が相当数あるわけですけれども、それをどう管理していくかという中で当然コンピューターを使っていると。いわゆる武器管理システム等について、二〇〇〇年問題の視点から調査したことがあるかどうか、また、果たして二〇〇〇年に間に合うかどうか、その辺のことについてはどうでしょうか。
  80. 枡田一彦

    説明員(枡田一彦君) 御説明いたします。  防衛庁としましても、いわゆるコンピューターの二〇〇〇年問題は非常に重要な課題であると認識しておりまして、防衛庁の保有する各コンピューターにつきまして二〇〇〇年問題の有無及びその具体的な影響等を調査したところでございます。  その調査結果を踏まえ、プログラムの改修だとか、あるいはそのシステム換装時における対応等、所要の措置を講ずることとしているところでございます。  いずれにしましても、二〇〇〇年問題によりまして防衛庁の保有するコンピューターにふぐあいが生じ、自衛隊の任務遂行に支障を来す、そういったことのないよう適切に対処してまいりたいと考えております。
  81. 加藤修一

    ○加藤修一君 次に運輸省ですけれども、JR関連ですが、九八年中に変更しないというふうに私は思っています。というのは、十一カ月前に予約がなされるケースも多々あるわけでして、さらにそのシステムが九百万ステップという膨大なステップ数になるわけですから、これについて九八年中に変更しないということだと思いますけれども、間に合うのかどうなのか、その辺について。
  82. 宿利正史

    説明員宿利正史君) お答え申し上げます。  JR旅客会社六社の指定券などの予約発売は、鉄道情報システム株式会社におきまして、JR六社の委託を受けて、通称マルスと言っておりますシステムにより一元的に処理をしております。このマルスは、日付処理をコンピューター本体のオペレーティングシステムに依存せずに、別途独自のカレンダーシステムを持っておりますので、幸いいわゆる二〇〇〇年問題は生じないシステムになっております。  しかしながら、このマルスに関連して実施をしております発売実績や輸送統計あるいはダイヤデータの作成などの後方支援に係る業務につきましてはオペレーティングシステムに依存をしておりまして、この業務用プログラムに誤作動などが発生することが考えられるため、平成九年度中にプログラムの見直しを行い、その後修正、テストを重ねて来年の秋には対策を完了し、万全を期したいということだと聞いております。
  83. 加藤修一

    ○加藤修一君 では最後に、大臣にお願いしたいわけですけれども、二〇〇〇年問題に対しての状況が厳しいというふうに私は理解しておりますけれども、この二〇〇〇年問題に対する大臣の御見解と対策に対する御決意、これについてお願いしたいと思います。
  84. 佐藤信二

    ○国務大臣(佐藤信二君) この二〇〇〇年問題というのは大変に大きな経済問題ですし、また、やり方を間違えると社会問題だといった認識を持っております。今、運輸省からも答弁がありましたように、このJRの発券システムだとかそれから銀行のオンラインシステム、こうした非常に大きなトラブルを起こすようなものに関しては既に着実に対応が進んでいるというふうな認識を持っております。  ただ問題なのは、この二〇〇〇年問題を十分認識していらっしゃらないユーザーというものが中小企業を中心に存在するというのも事実でございます。そういうことで、そうしたユーザーに対して注意喚起及び啓発活動、こういうものを行っていくことが必要だ、かような認識を持っております。そして、今後とも実態調査等を通じて実情を引き続き注視するとともに、本問題に伴う社会的な混乱を回避するため中小企業等を対象とした注意喚起及び啓発活動、これをより一層強力に推進していくというようなことでございますが、私はもう既に平成十年度の予算からこれに向かって進まなければ遅くなる、かような強い認識を持っております。よろしくお願いいたします。
  85. 加藤修一

    ○加藤修一君 終わります。
  86. 田英夫

    ○田英夫君 私は、エネルギー政策について議論をしていきたいと思います。  エネルギー問題というのは、言うまでもなくあらゆる政治問題の中でも、あるいは経済を含めて最も重要な政策一つではないかと思います。国民生活に直結をしている産業経済にはもちろん重要な問題でありますし、さらに安全保障問題とも極めて密接に関連をする。例えば現在は、日本はほとんどエネルギーゼロでありますから石油に依存をする、その石油は大部分がマラッカ海峡を通って船に積まれてやってくる、このことが日本の以前からの安全保障上の問題点であったわけです。そういう意味でエネルギー政策をどう打ち立てていくかということは日本にとって極めて重要な二十一世紀に向けての課題だと思います。  同時に、世界にとっても、人類にとってこれをどう発展させていくかということも極めて大きな課題で、そのために日本はまたお役に立つことはしなければいけない。そんな大変大きなことを申し上げましたが、実はそういう重要な課題だと思います。  そういう意味からして、最近極めて現実的にショックを受けましたのは「もんじゅ」の事故、動燃の事故ということでありますが、きょうここでこの問題について責任をどうのこうのと言うつもりは全くありませんので、最初にお願いをした科学技術庁の方の出席は取りやめていただきました。専ら、通産大臣以下通産省の皆さんに政策としてのあり方を中心に伺いたいと思います。  この「もんじゅ」、動燃の事故の結果、今国民の皆さんの間に、いわゆるプルトニウム中心のエネルギー政策、あるいは別の言い方で言えば核燃料サイクルといいますか、こういう政府が以前から重要な課題として取り組んでこられたこのやり方に対して大変疑問を持たれる方が出てきているというのは、これは残念ながら事実だと言わざるを得ないと思います。  そういう中で、プルトニウム中心政策というのを変更されるという御意思があるかどうか、まず伺いたいと思います。
  87. 谷口富裕

    政府委員(谷口富裕君) お答えいたします。  エネルギー資源に乏しい我が国にとりまして、エネルギーの安定供給の確保、放射性廃棄物処分の社会的重要性等の観点から、長期的視点に立ちました核燃料サイクルを確立していくことが先生も御指摘のように極めて重要なことでございます。  これにつきましては、総合エネルギー調査会原子力部会におきます検討を踏まえまして、プルサーマルを初めとする核燃料サイクルの重要性、今後の進め方等につきまして先般閣議了解の形で改めて確認いただいたところでございます。  プルサーマル計画を初めとしますプルトニウム利用政策を進めるに当たりましては、地元を初めとします国民の理解を得ることが当然不可欠でございまして、御指摘のように、今回の動燃事故によりまして原子力開発をめぐります状況は極めて厳しいものになっておると認識しておりますが、同時に、今後とも、原子力政策に対する信頼を回復するために、地元を初めとします国民の理解を得るために最大限の努力を行ってまいりつつ、プルトニウム利用核燃料サイクル事業を着実に進めてまいる所存でございます。
  88. 田英夫

    ○田英夫君 実は、私事ですけれども、一九八九年から三年間ですか、当時、参議院には産業・資源エネルギー調査会というのがありまして、残念ながら今なくなってしまったんですが、その調査会長を仰せつかっておりまして、そのときの三年間は専らエネルギー問題の勉強を皆さんと一緒にしたわけであります。  参議院のその調査会の代表団といいますか視察団としてヨーロッパへ行ったときに、フランスのリヨンを訪ねてスーパーフェニックスを見てきました。見てきましたと言いたいんですが、実は外から見ただけですが、ちょうどその前にナトリウム漏れの事故を起こしまして運転を中止しておりました。現地の皆さんは、絶対にこれは原因を突きとめて再運転をする、こういう御意見でありました。パリへ戻って議会のエネルギー委員会の委員長以下皆さんにもお会いをしたところが、議会の方の空気は極めて冷めていまして、恐らく高速増殖炉は断念することになるだろうというお話でありました。  ついでに申し上げると、使用済み核燃料の廃棄の問題で、ちょうど青森県六ケ所村と同じような計画がフランスの中で行われていて、フランスのエネルギー委員会の当時与党の社会党の人でしたが、自分の地元なんだ、だから私は反対だ、こういう意見を言われていて、どこの国でも同じだなということを感じたんです。  つまり、フランスは電力の七〇%を原子力に依存しているという国であるにもかかわらず、やはりそういう核燃料廃棄物の処理の問題についてはまだ日本と同じ状況がある。これは人類共通の問題で、当然といえば当然ですが、今御答弁いただいたような状況という中で、本当にプルサーマル計画というようなものも実行して、今までどおりやっていけるのかということを実は危惧するわけです。  そこで、外務省はおいでになっていますか。  いわゆる核軍縮の問題に関連をして、CTBT、包括的核実験禁止条約をこの国会で日本は批准手続を済ますということまでなりましたから、インドの問題があるにしても、これはインドの問題を除いてでき上がってくる。次の課題はカットオフ条約だということになるわけですが、カットオフ条約というのはいつごろから本格的な交渉に入れるのか、見通しを伺いたいと思います。
  89. 篠塚保

    説明員(篠塚保君) カットオフ条約の開始につきましては、ジュネーブ軍縮会議で現在話し合いが行われております。西側諸国を初めほとんどの諸国がカットオフ条約交渉に関する特別委員会の設置を求めておりますが、一部の非同盟諸国はカットオフ交渉と並行して核軍縮交渉を行う特別委員会の設置を前提条件としておりまして、したがいまして、現在のところカットオフ条約の開始につきましては合意に至っておりません。  他方、今先生御指摘のように、我が国といたしましては、CTBTの後の重要な軍縮課題といたしまして、ジュネーブの軍縮会議においてカットオフ条約交渉を早期に開始するというのが非常に重要だと考えておりますので、現在、関係国と協力しまして最大限の努力をしているところでございます。  この関連で、交渉の入り口でやはり問題になっております、カットオフ交渉とは別個の核軍縮の問題についての委員会を設置するという、いわゆるリンケージの問題が出ておりますので、この点について意見交換を促進するという観点から、例えば特別調整者を任命して事態を打開する、そういった努力を日本政府としては現在しているところでございます。
  90. 田英夫

    ○田英夫君 なぜエネルギー問題の中でこのことを取り上げたかといいますと、もうお気づきのとおり、カットオフ条約の中心課題は、プルトニウムと濃縮ウランを一種の国際管理といいますか、そういう状態にしよう、こういうことでありますけれども、これは今のお話にもありましたが、先進国と発展途上国の間でも意見が違いますし、また先進国の中でも原子力発電に頼る度合いにもよって違います。日本の場合は、内容いかんで最も影響を受けるんじゃないかということを実は私は指摘したかったからであります。  つまり、プルトニウムと濃縮ウランを国際管理下に置く、もちろん核兵器に使用するものと原子力発電に使うというものとは違いますよと、そういう言い方もできると思いますけれども、全体として極めて厳しい国際管理下に置くべきだと言っている国もあるようであります。実は現地の黒河内大使にも帰国されたときにお話を伺ったことがありますけれども、そういう状況の中で、日本にとってこのカットオフ条約が早く結ばれれば必ずしもいいとは限らないと。  そういう点で、よほど政府の中で、通産省、外務省など関係省庁の間でこの問題についての日本のとるべき態度というもののコンセンサスを持って臨まれないと首を縛ることになるんじゃないだろうかという点と、同時に、核軍縮、核廃絶ということを私なども強く求めている一人ですが、日本は核軍縮ということで世界のリーダーシップをとるべきだと、当然そういう役割も担わざるを得ない。こういうことの中で、この点、まず通産省の方はこの条約との関連をどの程度にお考えですか。
  91. 谷口富裕

    政府委員(谷口富裕君) お答えいたします。  先生御指摘のとおり、カットオフとは、核兵器その他の核爆発装置のためのプルトニウムあるいは高濃縮ウランの生産を禁止することというふうに承知しておりまして、そういう意味で平和目的の核物質を規制するものではないと理解しております。  具体的には、日本を含みますNPTの締約国であります非核兵器国については、既にIAEAのフルスコープの保障措置を受けておりますので、カットオフ条約によって新たな大きな義務は生じないというふうに理解している次第です。  我が国としましては、原子力基本法及び原子炉等規制法に基づきまして、プルトニウム等の核物質の利用は平和目的に限定しておるということでございまして、カットオフの概念の対象になるような核物質は保有しておりません。しかしながら、いずれにしましても、プルサーマル等のプルトニウム政策の推進に当たりましては、我が国としては、ただいま申し上げましたIAEA、国際原子力機関による保障措置のもと、引き続き平和目的に徹してまいる所存でございます。
  92. 田英夫

    ○田英夫君 表面といいますか、私もさっき申し上げたとおり確かにそういう言い方ができると思うんですが、実際には、国際間で日本のプルトニウム政策、特にフランスから船で持ってくるあのやり方に対して、私もことしニュージーランドに行ったことがありますが、大変厳しい批判を聞きました。この間総理もそういう報告をしておられましたけれども、そういうことに関連をしてわかっているところはいいとしても、全部一緒くたにそういう極めて厳しい国際管理下に置くという方向を主張している国もかなりあるということで、私は、この点は政府としてぜひ連絡を密にしてやっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  もう一つの問題は、天然ガスの問題を取り上げたいと思いますが、この問題も、実は産業・資源エネルギー調査会をやっておりましたときに大阪ガスの当時の社長が大変おもしろい提案を個人的にされたことがあります。  つまり、現在、東京ガスや大阪ガスは液化天然ガスを船で持ってきて、港でそれをパイプに注入して、そこから先はガスで企業としての仕事をなさる。そういうやり方からヒントを得て、日本全体に天然ガスのパイプラインを張りめぐらせて全国各地にそれが供給されるようにすれば、今の大手のガス会社、それから中小の地域のガス会社はもちろんのこと、当然これは発電用の燃料にも石油にかわって使うことができる、こういうことで非常にいいんじゃないか。  大阪ガスで試算したところによると、七、八年前ですが、当時の金額で約二兆円だと。これはやり方によっては幾らでもできるじゃないですか。もちろん、国の費用、企業の拠出、それから地方自治体も若干の負担をしていただくというようなことになればできるんじゃないかという壮大なことを私に提案されたことがある。それをヒントにした一つのやり方をと思っているところへ、最近になりまして、去年ですか、中国とロシアの間で、イルクーツクから北京までパイプラインを引いて、ロシアの天然ガスをガスのままパイプラインで中国に供給するということで話し合いが始まったという報道を聞きました。  ところが、その中国とロシアの間の交渉よりも以前から、日本の方でロシアから天然ガスをパイプラインで引いてきて、これはサハリンの方のことを考えておられたようですが、そして日本全体にパイプラインを張りめぐらして、化石燃料の中では比較的環境に優しいということを取り上げて、同時に安全保障上の問題もこの点で解決できるというようなことで石油よりもいいじゃないかという、そんなお話をされているグループがあります。東大の平田名誉教授を中心にするグループです。  こうした構想は二十一世紀に向けてということになるでしょうが、その平田教授以下のグループの皆さんの現在における構想は、ロシアのイルクーツクから北京まで引かれるなら、それを朝鮮半島を縦貫して北朝鮮、韓国、そしてそのパイプラインを海底を通して北九州に揚げて、現在は二兆円かどうかはわかりませんが、日本の中にそういうパイプラインを張りめぐらして、そして新しいエネルギーとして活用してはどうかという大構想を考えておられる。そういうグループでありますが、政府の専門集団である通産省はこういう構想をどういうふうに思われますか。
  93. 江崎格

    政府委員(江崎格君) 今、先生の御指摘には二つあったと思うんですが、一つは国内の主要都市間を結ぶ幹線。パイプラインの問題でございます。これは御承知のように天然ガスの場合、今、日本はLNGで持ってきているわけですけれども、この基地の建設がなかなか難しくなっているという問題もございます。こうした立地の制約を克服するというようなことですとか、あるいは天然ガスを揚げる場所と需要地とがかなり離れておりまして、そうした地域間のギャップを埋める手段として国内の天然ガスに関する幹線パイプライン、もしこれが実現すれば大変有力な手段だろうというふうに思います。  これにつきまして進める場合に、原料ガスの供給者、それから需要者、こういった関係事業者の間でコンセンサスを形成されるということが大事だと思っておりますし、このパイプラインに関しましては各種の規制がございまして、こうした関係方面との調整といったようなことも前提になると思います。  私ども、この構想が出ました直後、平成五年度から、技術的な課題は何かとか、コストはどのぐらいかかるかというようなことを実は毎年一億数千万の予算をかけまして調査をやってきております。これからも関係事業者による経済性の問題ですとか、あるいは広域利用可能性ですとか、あるいは供給の安定性といった検討がなされておりますので、こうしたものにつきまして私ども注意深く見守っていきたいというふうに思っております。  それからもう一つ、海外のパイプライン、ロシアのイルクーツク地区から中国まで持ってくるとか、あるいはサハリンのガスを日本に持ってくるというようなことで、そこでパイプラインを活用するという構想があるのは私どもも承知しております一これも経済性などにつきまして総合的に調査を行う必要があるわけでございまして、実は、特にイルクーツク地区のものは、九六年にエリツィン大統領が中国を訪問されまして江沢民主席と話し合われたときにこの問題が浮上したわけでございます。  その後、この構想についてフィージビリティースタディーをやろうという動きになっておりまして、現在、日本側もこれに参加する意向を伝えておりまして、日本の場合には石油公団、それからロシアと中国と韓国、それぞれの国の関係機関が集まりまして、フィージビリティースタディーのやり方につきまして現在話し合いが行われております。  これについての私どもの評価でございますけれども、東アジア地区あるいは東南アジア全体で、エネルギーの需給がこれから非常にタイトになってくるということが言われておりまして、その意味で需給の安定ということに非常に寄与するだろうということと、それから、こうしたパイプラインができますとこの地域における経済の関係が非常に緊密になるというようなことから、私どもとしても、もし実現すれば大変好ましいことだというふうに思いまして大きな関心を持って見守っているというのが実情でございます。
  94. 田英夫

    ○田英夫君 この問題では、昨年、平成八年の一月初めに、北京で東大の平田名誉教授のグループが呼びかけて、南北朝鮮、つまり北朝鮮と韓国の専門家を招いてガスパイプラインについてのシンポジウムを開いて、北朝鮮からも十人ほどの人が参加をして熱心に議論をしたという、そういう資料もありますので、大変これは両国も関心を持っていることだと思います。  いずれにしても、そういうことで二十一世紀へ向けての一種の夢の構想かもしれませんが、きょうの一連の私の提案について佐藤通産大臣の感想を伺いたいと思います。
  95. 佐藤信二

    ○国務大臣(佐藤信二君) まず、感想の前に、大先輩の田英夫先生から質問を受けるということで大変感激をしております。そのことを申し上げておきます。  さて、感想ではなく、非常に大事な問題をはらんでいるわけでございまして、先ほどから御指摘のように、パイプラインの前にこれからの二十一世紀における日本の新エネルギー、これを一体どういうふうに考えるかという問題があると思うんです。  今、政府としては、資源がない日本、こういうことを前提として省エネの徹底、そして新エネの導入、そしてまた安全性を確保した平和利用という前提の原子力と三本柱でやっておりますが、正直言って、それぞれに陰りが出ていることは間違いないと思うんです。そこでもってエネルギーの安定供給という点、またしかも電力という場合に原子力だけではなく化石燃料というもの、これをやはりもう一回見直す必要があろうと、かように私は思います。  ただ、地球温暖化との関係がございますので、化石燃料の中でもやみくもに何でもかんでもいいわけにはいかないだろう。その中で、天然ガスというものをどういうふうに位置づけるかというのは大きな役割があると思います。  先ほども答弁がございましたが、先ほどのガス協会の方のパイプライン構想というのは今から数年前にございました。当時の話は、茨城県の那珂湊から福山まで行くという話で、一兆円ということを記憶しています。それがまだ表に出ないというのは、その天然ガスをどこが一体引き取るのかということで、ガス協会は全体の三割しか引き取らない、七割が電力会社だと。電力会社の方がそんなものは必要ない、自分の方はパイプラインよりか基地構想でいくんだと、かようなことからできなかったと思うんです。  私、今のお話を聞いていて、世界の中で化石燃料、石油系のものを一体どこに日本が求めるかという基本戦略をまず立てなきゃいけない。その場合に、バランスよくとっていく場合に、極東あるいはサハリンというもの、これはやはり無視できないだろうとかように思います、これをいわゆるコマーシャルベースだとか、それから学者の意見、それをただ拝聴して見守るというだけで果たして解決できるんだろうかと、こんな実は考え方を持っております。  以上が感想でございます。
  96. 田英夫

    ○田英夫君 ありがとうございました。
  97. 小川勝也

    ○小川勝也君 まず、通商産業省の行政について、基本的な問題についてお伺いをしたいと思っております。    〔委員長退席、理事吉川芳男君着席〕  国会便覧なるものがございまして、通産省のところを見てみますと非常にわかりやすい部分がたくさんあります。それは業種、業界ごとにかなり室なりが設置されているということであります。古くはエネルギーの中でも石炭、あるいは繊維であるとか造船であるとか、いわゆる花形という産業が我が国はございました。そして、通産省のいろいろな指導、国家的な指導から我が国の経済成長を大きく支えてこられたのもよく承知しております。  そんな中、産業構造もいろいろと物すごいスピードで変わってまいります。そして、規制も緩和の方向でいろいろと進められておりますし、また二十年前には予期せぬ産業もどんどん起きておるところでございます。そしてまた、つい最近の新聞を見ますと、シーリングの撤廃などという大きな活字も目にいたしました。そして、この霞が関の大きな体質をやゆする言葉に、昔は、局あって省なしとか課あって局なしなどという言葉も聞  いたことがございます。  当然、シーリングが外されようという、あるいはそういう方向に向かっていこうという現在でございますので、少なくとも通産省内部においては必要なところに予算や人員を配置するという省庁内部のウエートの移動ということが行われてしかるべきだと考えております。現在までの省庁間のウエートの移動ということでどういう実績があるのか、あるいはこれから将来に向けてどのような構想をお持ちなのか、お伺いをしたいと思います。
  98. 広瀬勝貞

    政府委員(広瀬勝貞君) 先生御指摘のように、通産省だけでも、産業構造の変化に応じまして通産省の行政に対するニーズも大変変わってきております。戦後の復興期は石炭を中心に傾斜生産をやっていこう。それから、高度成長を経まして知識集約化、産業の知識集約化といったようなことも出てまいりました。それから、サービス産業化といったようなことも出てまいりました。私どもは、そういう時代の要請に応じまして、通商産業省の行政というのはいかに産業政策を通じて国民の生活を豊かにしていくかということが大事なポイントでございますから、そういう視点から予算の配分あるいは人員の配置等も変更をしてきたところでございます。  石炭政策等エネルギーは、非常に大事な傾斜生産の時代から知識集約化の時代、サービス産業化の時代、いろいろ政策中身、資源の配分も変えてきたというのが実態でございます。
  99. 小川勝也

    ○小川勝也君 行政改革の観点から、使命の終えた部分はいわゆるスクラップをすべきだと大きな声で言いたいところでありますけれども、実は通産省という大きなパイで見ますと、官房長から今御指摘があったように、これからますます充実させていかなければならない部分がたくさんあると思いますので、少なくとも省庁内でのそういったことは、ほかから指摘されることのないうちにいろいろと手を打っていただくように希望したいと思います。  そんな中で、これから通産省の行政の中でこういう部分は縦割りの弊害を超えてどんどん進めていかなければならないという点、これは言わずもがなの質問かと思いますけれども、何か御感想ありましたら、官房長で結構でございますのでお答えをいただきたいと思います。
  100. 広瀬勝貞

    政府委員(広瀬勝貞君) 全く先生御指摘のとおりでございまして、常に組織の見直しもそういう観点からやらせていただいております。  実は平成九年度におきましても、産業構造の転換に対応して、この大競争時代を生き抜いていくための産業政策を遂行しなければいかぬということで幾つかの組織改正をやらせていただいたところでございます。一つは、より広い観点から産業の実態を把握して、大競争時代に勝ち抜く産業政策を遂行していくという意味で現局現課の再編成というのをやらせていただきました。  例えば鉄鋼政策、これは今まで鉄鋼業務課というのと技術・環境などを担当する製鉄課というのがございましたけれども、ここらあたりは全体として鉄鋼政策を進めていけばいいんじゃないかというようなことで鉄鋼課というふうに取りまとめるとか、あるいは繊維政策につきましても、原料紡績課と繊維製品課というのがございましたが、これもむしろ川上と川下が一緒になって行政をやった方が例えば繊維産業における情報化等も進めやすいんではないかというようなことで一緒にして繊維課にするなど、行政の実態に応じて課の大ぐくり化というのをやらせていただいたところでございます。  それから、新しい産業がいろいろ出てきております。文化産業とか、あるいはそういうものを含めました新規産業、新しい技術を体現した新しい産業が出てきております。そういう新規産業課といったようなものも新しく今度はつくりたいというふうに考えております。  それから、何と申しましても、私ども行政を行うに当たっては常に、先生の今御指摘いただきましたように、政策、行政、いろんな意味での評価をしていかなきゃいかぬというようなことで、その評価を常にやるための政策評価のためのセクションといったようなものも今後つくって、国民の皆さんから政策の新しいニーズを広く加えながら、あるいは批判を承りながら政策に声を反映させていくというようなことも考えたところでございます。
  101. 小川勝也

    ○小川勝也君 私見を交えて言わせていただきますと、私は今、官房長から傾斜生産などという言葉も聞きました。しかしながら、大きなトレンドの中である資本力を持った業界や産業を国がこぞって推し進めていくという行政から、これからはだれがどんな産業を見つけてくるかわからないけれども、そんな中から国家の基幹としての産業が生まれてくる、その整備をする、これが通産行政の新しい観点じゃないかなというふうに僕は思っております。  今お話にもありましたように、付加価値をどう生かすか、あるいは知恵や発想あるいは研究成果をどう産業に結びつけていけるのか、今までのような業界や会社を助けていくようなべたべたした行政ではなくて、そのフィールドを整えるということに大きなウエートを占めていくのではないかというふうに考えております。  そんな中、先ほど資本があるというふうに私は申し上げました。資本が限られているあるいは少ない、そんなところからも新しい産業がどんどん生まれてきてほしいと僕は思っておりますが、そうしますと今私が申し上げたように、さまざまな観点からそれを支援するという施策が必要になってくると思います。言いかえると、いわゆるベンチャー企業をどう育てていけるのか、こんなことが大きな課題となってくると思います。  これから、そのベンチャー支援の施策について、今までのものを含めてで結構でございますが、どんな工夫がなされているのか、お伺いをしたいと思います。
  102. 渡辺修

    政府委員(渡辺修君) 産業の空洞化の懸念あるいは迫りくる高齢化の進展、そういった中で我が国が経済活力を維持していくという意味で、今、先生御指摘のありましたベンチャー企業がこれから担う役割というのは大変大きいんじゃないかと、私ども全く同じ考え方に立っておるわけでございます。こういったベンチャー企業が成り立っていきますときに、何といいましても大きな要素というのは、金、それから人、技術というこの三つが極めて重要でございます。  そういう意味で、通産省におきましてはかねてより、まず資金の面につきましては店頭特則市場の創設とか、あるいはベンチャー財団を通じた直接金融支援制度の充実といったような各種のリスクマネーがベンチャー企業に行き渡るような施策を行ってきておるわけでございます。  さらに、人材面におきましては、新規事業法の制定を契機といたしましてストックオプション制度の導入をいたしました。これは新規事業の対象になるごく一部でございますけれども、それによって優秀な人材を調達しようと、こういったようなことも考えておるわけでございます。  さらに、技術面につきましては、ベンチャープラザの充実あるいはアイデア段階から技術開発補助制度の創設といった各種の技術開発制度に対する助成制度を拡充しておるわけでございます。  さらに、今国会において先生方に御審議いただき成立させていただきました中小創造法の一部改正によりまして、個人投資家によるベンチャー企業への投資リスクを軽減するという意味でいわゆるエンゼル税制というのも創設させていただいたわけでございます。  こういった各種の施策を講じていきますとともに、あわせてエンゼルというベンチャーを支援する人たち、それとベンチャーをこれから行っていこうという企業、そういった支援者グループと起業を実施しようとする者のお見合いの場というような場も全国各地で開催しておるところでございます。新しいネットワークが発達しておる情報化社会でございますので、こういったものも通じて二十一世紀に向かって育っていっていただきたいと全力を投入しておるところでございます。
  103. 小川勝也

    ○小川勝也君 今の御答弁にありましたように、結局お金が用意できないというのが最大の悩みであろうと思います。過渡期的には公からの融資というものが当然あってしかるべきだと思いますけれども、最終的に、将来的には私は、今御答弁いただきましたように投資家との直接的な結びつき、あるいは店頭であるとか金融市場を通しての結びつきというものが不可欠になってくると考えています。  そして今、金融界におきますビッグバンなどという構想がございます。どこまでうまくいくかわかりませんけれども、証券を含めたそういう資金調達の方向というのが今までとはがらっと変わらなきゃいけないと思いますし、省庁の垣根を越えてそんな部分も大きく関心を持ってお見守りをいただいてこの施策を進めていただきたいと思います。  情報産業というのはそういうベンチャーの分野から見ても非常に発達をして有望な産業であると認識をしております。そんな中で、パーソナルコンピューターに焦点を当てて質問をしたいと思います。  まず最初に、大臣にお伺いしますが、パソコンは御利用されていますでしょうか。
  104. 佐藤信二

    ○国務大臣(佐藤信二君) 使っておりません。
  105. 小川勝也

    ○小川勝也君 安心いたしました。  私は、実は一昨年当選をさせていただいたときに少し気取ってコンピューターを国会と地元事務所に導入して、さあやるぞと思ったんですけれども、これがなかなかうまく使いこなせないのが現状でございます。正直に告白をいたします。先ほど質問された加藤修一先生なんかはもう完璧に使いこなしておられると思うんです。実は国会の中は、特に皆さん知っておられるような顔をしておられますけれども、なかなかうまく使いこなせない人が多いんじゃないかなというふうに思っております。  実は、これは国会だけじゃなくて、今までの例えば電化製品、テレビやステレオや冷蔵庫を買ってきて使おうという気持ちでやるとなかなか使いこなせないものでありまして、それに輪をかけて今コンピューターのハードウエア業界というのがどんどん売れているものですから、いわゆるコマーシャルに、簡単に使えます、今までより簡単ですなどというのが物すごく映像から入ってくるわけですね。そして、一般の会社なんかで言いますとコンピューターを使えないと管理職になれないとか将来部下にばかにされるとか、本当に使えない人まで買うあるいは買ったなどという現実もあると思います。そんな中で、今いろいろなトラブルが生じているんじゃないかなというふうに思うわけであります。  メーカーと消費者、ユーザーの間がなかなかうまくいかなくて、買ってきて使えないと販売店に問い合わせをしても、あるいはメーカーに問い合わせをしてもなかなか有効な回答が得られない。僕は、それもそのはずじゃないかなとは思うんですけれども、そんないろいろな苦情がどのぐらいあるのかということを調べてみましたら、国民生活センターでは一年間に二千二百件、日本消費者協会でついこの前に実施したパソコントラブル一一〇番というのに五百件あると思うんです。この数字を持っておるわけですけれども、どのようなトラブルがあるかというのが、今資料をお持ちですか、もしわかれば、どんなのがあったのか、それに対する御感想をお伺いしたいと思います。
  106. 中川勝弘

    政府委員(中川勝弘君) 今、小川委員から御指摘がございました。確かに、従来コンピューターはどうしても事業者に向けて大型のコンピューターを売っておりまして、いわゆる家庭向けは少のうございまして、最近パソコンが出てまいりまして家庭にも普及をするということになりました。したがいまして、売り方が従来のテレビとかオーディオ製品と違いまして、若干手なれていないところもございます。したがいまして、店で買いましても接続その他は全部買ってきた本人がやらなきゃいかぬということでございます。なかなかうまくつながらない、インターネットが見えないとか、いろんな苦情が出ております。    〔理事吉川芳男君退席、委員長着席〕  したがいまして、私ども大変心配をいたしておりまして、経済企画庁とも協力をしまして、パソコン利用に関する消費者問題連絡協議会というのをつくりました。先ほど来、先生もおっしゃいましたようにいろんな苦情が出ておりますが、どういったトラブルが発生をしているか、それについての対応をパソコンメーカーを含めてどういうふうにとるべきかということを実は協議いたしております。  私自身も大変苦労をした経験がございますし、そういう意味ではパソコンは売るだけではなくて活用されなきゃ意味がないわけでございますから、こういった面でのサービスの改善をパソコンメーカーにも実は機会をとらえて私ども話をしているところでございます。
  107. 小川勝也

    ○小川勝也君 いろいろなトラブルがあると思うんですけれども、今物すごく売れていますから販売店もメーカーも売るのが忙しいんじゃないかと私は思ってしまうわけです。特に、少しでも安いところで買おうと思いますと、本当に説明を聞いて買って帰るだけということで、日本人がもともと好きであったアフターサービスなどという概念がなかなかコンピューターにはなじまないんじゃないかなというふうに思っているわけでございます。  それとか、これはコンピューターという機械を買ってきましても、中にソフトをどういうのを入れるのかということでまたいろいろ変わってまいります。そして新製品といいますか、新しい機種がどんどん出てきます。メーカー側は新しいものをどんどん売りたいと思っています。ところが消費者は、ユーザーはそんなに何回も何回も買いかえられませんので、古い機種に新しいソフトを入れるわけです。そうしますと、また新しいトラブルが発生したり、実は対応できなかったり、細かいことになりますけれども、いわゆるソフトウェア同士の相性などという問題も生じてくるんだそうでございます。こんなことを一々電話で説明できるわけないんですね。  ですから、今パソコン利用に関する消費者問題連絡協議会というお話がございました。新聞によりますと六月までに中間報告を出す、こういう記述でございますけれども、今までのところで、何か将来こうしなければいけないということでわかっている点があったらお伺いしたいんです。
  108. 中川勝弘

    政府委員(中川勝弘君) いろんなトラブルがございまして、これはユーザー側が要求されています一般的なユーザーとしての知識が足りないというケースもございます。それから、おっしゃいましたようにソフトウエア同士が特定の商品、特定の機器となかなか折り合いの悪いソフトがございまして、別に故障ではないんですけれども、うまくいかないケースもございます。それから、これは売る前の問題と売った後のサービスの問題等いろいろございます。  そういう意味で、家電並みのサービスをできるだけ提供しなきゃいかぬということで、当然パソコンのメーカーの方もこれからの販売戦略の中で考えておられますし、またそうした間隙を実はねらいまして新しい商売も出てきております。これはユースウェア事業者と言っておりますけれども、問題があるときにユーザーから連絡を受けたら直ちにユーザーの家庭に飛んでいって、有償ではありますけれどもユーザー支援をする、教えてあげるというような商売も実は出てきておりまして、そういったいわばすき間産業的なものも出てきております。  こういったサービスの面をどうやって実際の事業として取り組んでいくかということを含めて、実はこの協議会の中で議論をしているところでございます。
  109. 小川勝也

    ○小川勝也君 私も自分がうまく使えなかった実感を含めまして、ユーザーとメーカーの間にこういう商売があったらなと思っておりました。  例えば消費者の立場から考えましても、実は今のコンピューターは安い買い物じゃございません。そして、技術が進歩しておりますのでいろいろな機能がついております。しかしながら、その百の機能のうち十使っている人がいたら僕は大したものだと思ってしまうわけです。私なんかもせいぜいホームページを見るとかワープロ機能で使うとか、本来いろんなソフトウエアを使えばさまざまなことができますし、これが会社なんかではいろいろ使っておられると思うんですけれども、会社の合理化であるとか事業規模の拡大とか、いろんなことに役立っているわけでございます。  せっかく高い金を出して買ったものを有効に使うためにお金をつぎ込むというのは、逆に言うと最初に買ったものの顔を立てるということになりまして、僕は理解のできることじゃないかなと思うわけでございますけれども、今御指摘があったように、今までは例えばステレオが壊れたら電気屋さんが来て直してくれるなどという世界を知っている私たち消費者でございますので、何で改めて金を払ってそういうことを教えてもらわなきゃいけないかというマインド的な問題がまず一つあります。  それともう一つ、なかなか専門的な技術が要るんじゃないかなと思うわけです。ソフトウエア同士の相性などということなんかを言いますと、末端のユーザーさんだと多分お手上げたと思うでしょうし、ましてやハード、ソフトとも日進月歩でございますので、こういうのを的確に取得して商売をするとなると、それ相応の知識、経験などというものが必要になってくると思います。  マインド的な部分はいろいろな広報やら啓蒙やらで改善していっていただくしかないわけでございますけれども、技術者の育成あるいはその認定などということで何かお考えがあったらひとつお伺いをしたいんです。
  110. 中川勝弘

    政府委員(中川勝弘君) 実際のトラブルの種類もいろんなものがございますので、さっき答弁が漏れましたから補足させていただきますが、実際の消費者のトラブルのクレームをどこに持っていったらいいか、窓口すらよくわからないということもございます。  したがいまして、私ども、先ほどの経済企画庁との協議会ではそういった窓口の体制を明らかにしたいということも検討をいたしておるところでございますし、またいろんなトラブルで、大体共通のトラブルがございます。一社一社固有の、いわばサービストラブルではなくて、共通のものについての整理もしたいと思っております。  そういう意味で、これは当然パソコンを売るメーカーとしても、本来どこまでサービスをやるかということが一つの販売競争の要素でございますから、熱心に取り組むことだと思っておりますし、また先ほど申し上げましたすき間産業的な、ユースウェア事業者と言っておりますけれども、こうした方々に対しても、情報サービス産業の業者の一環でございますから、私ども従来から債務保証とかあるいは融資措置等支援措置を講じておりますが、こうしたものの対象にもなり得るものでございます。したがいまして、そういう育成もしていきたいなと考えているところでございます。
  111. 小川勝也

    ○小川勝也君 メーカーとユーザーがしっかりと結びついて、例えばユーザーはその機種の機能を一〇〇%理解して使えるようになる。そして、今も言われましたけれども、この買った商品がトラブルを起こしたら、これはだれの責任なのかというのがまだはっきりしておらないと思うんです。  メーカーも販売店も売るのが大事でございますし、逆に買ったところに直してくれということを言ったときに、それが有償であったときの消費者の反応というのは僕はまた複雑だと思いますね。そして、メーカーがそこまで一々対処できないことがまた明白だろうと思いますので、このユースウェア事業者という新しい産業の部門でございますけれども、通産省としてお育てをいただくことがさまざまなことにメリットを生じさせると考えます。  そういうことによりまして、ユーザーがこんなことにも使えるのかということになりますと、ソフトウエア産業あるいは業界の支援にもなりますし、あるいはこんな使い方ができるんだったらこういう商売での使い方もあるななどということで、産業全体のかさ上げにもつながってくると思いますし、そしてまたインターネットあるいはそれを通じた電子商取引などという未開の分野もまだまだたくさん残っております。このユーザーとメーカー、あるいはユーザーと販売店をきっちり結びつけて、ユーザーが新しい情報や知識を持って、そして利用する。まだまだ発展する業界だと思いますので、このユースウェア事業者に対する支援をこれからもお考えいただきたいと思っております。  最後に、フロンの問題を取り上げてみたいと思っております。  オゾン層の破壊につながるフロンの規制などということが言われております。これは深い知識があって質問をしているわけではございませんけれども、例えば環境の分野からこのフロンの排出をさまざまな観点から規制する法律をつくったらいいのではないかということが言われております。そのときによく言われるのは、いわゆる通産省サイドの問題が言われるわけでございます。これは例えばどのような法律にしたいのかということが明確じゃないと御答弁いただきにくいかと思いますけれども、一般論で結構でございますので、フロン規制の難しさについて御答弁をいただきたいと思います。
  112. 白川進

    政府委員(白川進君) オゾン層保護のためのフロンの規制につきましては、まず国際条約、モントリオール議定書というのがございまして、その基本の考え方は、フロンの生産を制限することによって結果として大気中への排出が減る、したがってオゾン層の保護が有効になされ得るということで、これまでも私ども、この国内実施法でございますいわゆるオゾン層保護法に基づきまして、平成七年末には国内における特定フロンの生産はすべて全廃をしているということでございます。  ここのモントリオール議定書の締約国会合に提出されました国連のアセスメントパネルの報告というのがございまして、こういった加盟各国による生産規制が行われればオゾン層は確実に回復してくる、二十一世紀初頭にはオゾン層が回復できるんだというような科学的な分析に基づく報告がなされております。  かような中で、つくられてカークーラーあるいは冷蔵庫等に既に入って今ユーザーの手元で使われているもの、それが廃棄されるときにそのフロンを回収すべきではないかという議論があるわけでございます。  私ども、その問題自身は承知いたしておりまして、ついせんだってまで私どもの審議会の方で御議論いただいたんですが、今お尋ねの法律による義務づけにつきましては、その審議会の中での議論としましては、まず回収を行うこと自身に費用がかかりますが、これを法的にだれがどれだけを負担するべきなのかといったような問題、販売をする段階では、生産規制だけでオゾン層の保護が確実に実行できるという状態で売られた後、事後的に生じた問題についてどういう形で法的な負担関係を形成するか、こういったところに一つの難しさがございます。  さらに,既に市場に出てしまったものの大気への排出を禁止するという点については、一つのこれは回収を促進するためそういった規制が有効であるという御議論もございました。  しかし他方で、国連のパネル報告にございますように、生産規制で十分効果が上がっていて回収が持つ効果は比較的限定されているというような科学的分析結果がある中で、新たに規制を回収なり排出規制まで広げるということが、全体として規制緩和の方向に国全体が向かうべきだというときに、方向として過剰規制という議論を生まないのだろうか。  それからさらに、今申し上げましたように、非常に多数のユーザーの手元で現に使われている機器が使用済みになって廃棄される段階での排出ということになるわけですが、仮にこれを法的に規制しましても、その実効的な取り締まりは可能なんであろうかという事実上の問題、あるいは現在も必ずしも十分な回収システムができていないという状況で法律で義務づけた場合に、かえってその義務回避のための不法投棄を惹起するんじゃないかといったような諸問題がございまして、多数の委員の御意見は法的規制よりもむしろ実質的な事実上の取り組みの強化が大事なんではないかということでございまして、私ども、この御報告を受けまして、早速回収プログラムというものを策定いたしました。それで、関係業界にこのプログラムにのっとった回収計画の策定をお願いしたところでございまして、策定後は私どもに御説明いただくということになっております。  したがいまして、私どもとしては、こういった事実上の回収取り組みの強化によって効果が上がると存じておりますし、また事後的なフォローアップも十分確実にやっていきたいというふうに考えておるところでございます。
  113. 小川勝也

    ○小川勝也君 非常にわかりやすい御答弁をいただきましたので、さらに勉強させていただきたいと思います。  時間が参りましたので、質問を終わります。
  114. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 ガス管の安全対策の問題について質問させていただきます。  ガス管には大きく分けて耐久性にすぐれた新しいガス管と古いガス管があります。古い方は白ガス管という名前がついておりまして、鋼管に亜鉛メッキをしたもので、これは昭和二十年代から実用化されましたけれども、土に埋めると土壌や水との接触でその際に微細な電流が流れる、それで腐食しやすい。こういう形ですね。腐食しやすいということで、ガス漏れのおそれがあるということで二十五年ぐらい前から余り使われなくなりました。現在では、ガス事業法の技術基準により埋設部に白ガス管の新設が全面禁止される、そういうふうに至っていると思いますけれども、間違いありませんね。
  115. 谷口富裕

    政府委員(谷口富裕君) 間違いございません。
  116. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 それで、禁止されても、もう既に埋設された危険な状態の白ガス管、これがあるわけですけれども、それが爆発事故を起こす、事故を誘引するということが起こるわけです。こうしたことの原因で死傷者まで出るということが起こっております。  例えば、九四年の七月、東京品川区の小学校で爆発事故が起こり、児童が負傷、職員一名が死亡する。あるいはその年九月に、新宿区の落合のマンションで事故があって、これは白ガス管六カ所でガス漏れが起きて、そして三名の重傷者と七戸のマンションが破損する、こうしたことが起こりました。  私も当時現地調査をして、何しろスチール製のドアが、あるいは車も吹き飛んでしまう大変な事故の惨状を見て、ガス事故の恐ろしさを目の当たりにしたわけですが、こういう白ガス管の腐食、こうした惨事をもたらす危険なものですけれども、全国で埋設されたままになっている数、これは幾つになりますか。
  117. 谷口富裕

    政府委員(谷口富裕君) 約二百万本と推定されております。
  118. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 大変な数です、二百万本というのは。  中でも東京ガスというのは一都八県にまたがる最大のガス事業者ですけれども、この管内に埋設されている白ガス管、白ガス管の供給管の数ですね、それが幾らになるのか。それからまた、そのうちガス漏れなどの危険性があると見られている数、それが幾つかお示し願いたい。
  119. 谷口富裕

    政府委員(谷口富裕君) 現在、約七十五万本使用しておりまして、このうち再生の修理等の対策を講じたものを除きますと、今後対策が必要とされる量は約三十六万本と聞いております。
  120. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 七十五万本、これは大変な数ですね。  東京ガスの管内の供給管というのは約三百万本ありますから、七十五万本ということは何と二五%を占めているわけです。しかし、今言われたように危険性があるというガス管の数を三十六万本というふうに言う数字は、私はおかしいと思うんですよ。それは東京ガスが改善計画として持っている数字なんです、三十六万というのは。東京ガスの説明では、七十五万本の供給管のうち約十八万本は内側をコーティングして修整修理した、だから一応これは安全だというふうに差し引いても五十七万本の白ガス管が地中に埋まっているわけですよ。どうして危険な状態にある数が三十六万本で、五十七万本じゃないのか、これをお尋ねいたします。
  121. 谷口富裕

    政府委員(谷口富裕君) 白ガス管の腐食につきましては、埋設の状況によりましていろいろ状況が異なっておりまして、正確な数字を決めるというのはなかなか難しいところがございまして、先ほど申し上げた数字もそういう意味で推定でございます。
  122. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 確かに、埋設の条件によって本当に寿命が変わるんですよ、ガス管の寿命というのは。だから、東京ガスが改善計画を出している三十六万本を通産省がうのみにして、それが危険な数ですと言うことはやっぱりおかしいんですよ。三十六万本と五十七万本、これを区別する基準も理由もないんですよ、よく聞いてみると。ですから私は、白ガス管の危険な状況を変えていく、そのための交換、その対象を五十七万本にして見ていくのが、そして改善対策をとることが当然だ、このことを指摘しておきたいと思う。  白ガス管は、これまで指摘してきたもの以外に、町中の生活道路に並行して敷設されている本支管と呼ばれるものがあります。東京ガスの管内ではどのぐらいの長さになるのか。また、白ガス管を新しい管に交換する、そういう計画はあるのかどうか、お尋ねいたします。
  123. 谷口富裕

    政府委員(谷口富裕君) 東京ガスにおきましては、本支管が約三百八十キロメートル使用されておりまして、このうち対策済みのものを除きまして、今後対策が必要とされる量は三百三十七キロメートルというふうに聞いております。  今後の対策としましては、具体的な埋設の年数それから腐食性が高いと思われる埋設環境のところを優先的に年間約二十キロメートルの割合で取りかえてまいる、または電気防食措置を講じてきているということでございまして、今後もそういう方向で対処してまいりたいというふうに考えております。
  124. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 三百三十七キロ、これかえなきゃいけないという、そういうふうに言われたけれども、東京ガスはこれについて、どういうふうにして進めていくかという長期計画を持っていないんですよ。それぞれの年の収支の状況を見ながら、それによって決めていきます、ことしは年内二十キロやりますと、それが決まっている計画のすべてですというのがその話ですよ。  ですから、仮に毎年二十キロやったとしても何年かかりますか、これ。やはりこれは大変危険な管が、しかも東京ガスが全面的に責任を持っている管がこういう形でのろりのろりとした形でしか交換されていない、そのことが示されているわけですよ。  この問題で改めて思いますのは、白ガス管の寿命なんですけれども、目安として、通産省の政府広報のテレビを見ても、二十年から三十年と言っているでしょう。そうですね。これは場合によっては五年、十年という場合もある。もちろん、四十年という場合もありますよ。しかし、条件によっては、例えば鉄筋コンクリートを突き抜けている場合なんというのは一年しかもたない。そういうケースだってある。ですから、これは大問題なんです。  白ガス管の腐食による事故の件数及びガス漏えいの件数は、全国でそれぞれ幾つになるんですか。
  125. 谷口富裕

    政府委員(谷口富裕君) 最近五年間、平成四年以降、昨年平成八年までの合計で十六件ございまして、年平均約三件でございます。
  126. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 ガス漏れ件数は幾つですか。
  127. 谷口富裕

    政府委員(谷口富裕君) 約千件と聞いております。
  128. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 そうなんですよ。正確に言うと、平成七年で一千百二十四件。東京ガスの管内だけですよ、全国じゃない。東京ガスの管内だけでそれだけある。全国だと一体どれだけあるかわからない。これが事故を誘引するわけですよ。  大臣、お聞きのとおりなんですけれども、既にほとんど埋設白ガス管は平均寿命を超えているわけですよ。通産省としては、こういう事態を放置できないはずですよ。しかし通産省は、私いろいろ聞いてみると、どうやら事業者任せなんですね。例えば、ガスの事業者別の埋設白ガス管の数、これを聞いても、質問しなかったけれども、わからない、つかんでいない、それが状況なんですよ。全国どこにどれだけ白ガス管が埋まっているか、通産省はつかんでいないわけですよ。ですから私は、こういう実態の把握、これがまず第一だと思うんだけれども、こういう事実の把握をすべきじゃありませんか、大臣。
  129. 佐藤信二

    ○国務大臣(佐藤信二君) 公益事業に携わっているガス事業、やはり安全とサービスが一番大事だと私は思います。  そういうことで、委員指摘のように、この白ガス管、これは御案内のごとく平成七年の三月からは使用禁止ということでございますから、それから以降は埋めていないわけで、それから前に埋めているやつが問題になるだろう、かように思います。それの前でも、耐用年数といってもいろんな立地条件というか、埋設した場所によって大分違うと思います。しかし、それがすぐ三年でだめになるものか、二十年でだめになるのか、いろんな差がある。しかも、その埋設した時期との関係もございますので、そのことを一番よく知っているのはガス事業者である、これも間違いないわけですから、よくその方を指導してみたいと思っております。
  130. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 しっかり指導していただきたいと思うんです。  それで、今大臣言われたけれども、白ガス管の埋設部への新設使用の全面禁止、これが九五年の三月に行われた。  その際の理由は何ですか。
  131. 谷口富裕

    政府委員(谷口富裕君) 昭和六十年以降、ガイドライン等を設けまして、白ガス管の使用については条件の悪いところについては抑制をしてまいったわけでございますが、先ほど先生御指摘の、平成六年に東京都内におきまして西落合さらには御殿山で大きな事故がございまして、それを踏まえまして全面禁止に踏み切ったわけでございます。
  132. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私は対策が遅過ぎると思うんです。  通産省の資料を見ても、昭和五十五年ごろに白ガス管に起因する事故が続発している、そういうふうに書かれている。また、東京ガスは、社内基準の変更をして昭和四十九年から全面的に使用禁止ということに決めているわけですね。ですから、そういうことからしてもやはり通産省の指導は後手後手に回っている、そう思います。  そこで、お聞きしたいんだけれども、これに違反した場合の事業者への対応はどうなっていますか。
  133. 谷口富裕

    政府委員(谷口富裕君) トラブルあるいは事故の状況に応じて、問題があれば改善命令が出せる形になっております。
  134. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 そこで、お聞きしたいんだけれども、今大臣も言われた、平成七年三月以降全面禁止したからそれ以降は使われていない、そう言われたけれども、本当に使われていない、そういうことでいいですか。
  135. 谷口富裕

    政府委員(谷口富裕君) ガスにつきましても、自主保安をベースにしておりまして、すべて全数を確認しているわけではございませんが、毎年、適宜抜き打ち的な検査も含めまして検査をしておりまして、今まで、実際の施行は平成八年の一月からでございますが、そのようなケースは全く承知しておりません。
  136. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 そういうケースを存じないということですけれども、私はこれはやっぱり通産省がガス事業者の実情を本当につかんでいないということのもう一つの証明だと思うんですよ。  私の調査によりますと、東京ガスでは今でも埋設部に白ガス管が少なからず使われているんですよ。どういう場合かというと、現場では会社が認めている、慣行と言われているところもあるんです。その一、漏えい修理のときの敷地内のガス管の一部取りかえをするとき、応急修理ですね。その二、他埋設部と近接しているときのガス管の一部を取りかえるとき、これを言いかえると、古い白ガス管に新しい型の管をつなげない、そういう場合があるわけです。そういう場合には実際上少なからず認めている。  そして、さらに利用者負担で、価格に折り合いがつかない場合がある。価格が安いので白ガス管を使うところがあるわけですよ。新しい管は一メートル八千円、白ガス管は一メートル三千四百円。半額以下でしょう。  だから結局、家庭や団地の敷地内の工事の場合だけれども、そういうときには会社が容認して使っている、そういうケースが、孤立した例じゃないですよ、相多数あるわけです。  そういうことを御存じないんですか。
  137. 谷口富裕

    政府委員(谷口富裕君) 新規の分についてはそういうことは承知しておりませんので、早速調査させていただきたいと思います。  それから、既存のものにつきましては、既に御説明させていただきましたように、いろいろ状況あるいは問題等個々の事例に即して優先順位を決めまして、計画的、効率的な取りかえを進めていくということで、漏えい発生対策もあわせまして今後対策を強化するように事業者を指導してまいる所存でございます。
  138. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私は、新規の埋設のことを言っているんです。そこに限っても少なからずそれがある。しかも、会社の中で、例えばガスライト24という緊急出動する部隊がそういうことを会社容認のもとで絶えずやっている、その実態があるわけです。ですから、このことをきちっとつかんでいただきたい。今言われたように、徹底して調査して改善をやってほしいんです。  東京ガスでは、ここに持ってきましたけれども、工材出庫伝票というのがあるんですよ。ここを見ますと、使用区分の中に「漏洩修理無償」という箇所がある。これがどういう意味かというと、これは利用者に無料で取りかえをする場合だけれども、二メートル以下の工事では現場で白ガス管を埋設に使うケースが多々含まれている、そういう場合なんです。また、私ここに持ってきましたけれども、現場では必携の内管工事費見積単価表というのがあります。これはみんな持っているものです。この中には、白ガス管を埋設に使っちゃいけない、そうしたことは明記されていないんです。だから、じゃ、どういうことが起こるかというと、現場では、一応使っちゃいけないんだけれども、しかし必要なときには使っていいということになっているわけですよ。それが今の実態なわけです。  大臣、お聞きのとおりですけれども政府が埋設使用を全面禁止して新しい管との交換を進めているそのさなかに、何と新しい、危険だとわかっている管を埋めているわけですよ。そういう実態がある。私は、ここに事業者任せがどこに行き着くかということを示している、そうした姿がはっきりあると思うんです。会社容認のもとで行われているわけだから、これは確信犯的な行為だと思います。そして、先ほど話があったように、東京ガスに対して改善命令の、処罰の対象になること、それは私が見た範囲でも明らかだと思います。  大臣の方から、この点改めて調査して善処する、そのことを言っていただきたいと思うんです。
  139. 佐藤信二

    ○国務大臣(佐藤信二君) 今の委員の御指摘の点は、先ほど申したように、安全に関することで大変重大なことだと認識します。  そこで、実態というか、一体どうなっているのかまずよく調査して、それから対応したい、かように考えます。
  140. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 事業者任せにするということが公共性の高いガス事業の場合に本当に危険なんです。公共性とか安全性、大臣言われた住民サービス、こうしたことを犠牲にして利潤追求に走る、こうしたことがやっぱり多々見られるわけです。  東京ガスではリストラ二〇一〇、そう称して、西暦二〇一〇年までに今の従業員、一万二千人いるけれどもこれを一万人にする、その際には安全のための保安要員も減らす、そうしたことを決めて、全社挙げて取り組んでいるわけです。この過度の合理化、これが安全対策をなおざりにする、そうした問題でしわ寄せ、矛盾、こうしたものを生んでいるわけです。ですから私は、やっぱりこうしたやり方、それに対してもしっかりと通産省として指導する、このことが求められていると思うんです。  私は、この質問を通じて通産省と事業者双方の問題点が浮き彫りになったと思うんです。通産省は事業者任せ、そして事業者の方は利潤ばかりが実際上は頭にある、すべての事業者がそうだとは言いませんけれども、少なくとも東京ガスの場合はそうだ、私はそう思うんです。その結果、何が起こるかというと、私たちが暮らす敷地内の地面の下には危険がいっぱいという状況が放置されている、これが問題なわけです。  ですから私は、大臣に最後に伺いますけれども、白ガス管の交換のスピードアップを初め、安全対策の抜本的なそうした問題の検討、これをしっかりやっていただきたい。その点で通産省の監督と指導、これが不可欠だ、このことを指摘したいんです。大臣、いかがでしょうか。
  141. 佐藤信二

    ○国務大臣(佐藤信二君) その前に、委員のお説ですが、私の方の行政指導で今一番大きい問題は経済構造改革、この行動計画によってエネルギー、また電力、そしてガス、これがやはり経営の効率化を図らせて、そして国際的に遜色がない料金にさせようということは指導をしております。  それとの実は関連がございますが、今言われたように、事人命というか安全という問題が最優先だろう、かように考えますが、今申したように片一方では国際的に遜色のないような価格に下げろと言っている。そこで、そこの大体ぎりぎりの接点というものを考えなきゃいけないんだろう、かように思います。  いずれにいたしましても、先ほど答弁しましたように、実態というものをよく調査して、それに対して対処してまいります。
  142. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 経営の効率化のために住民の命と財産、それからまた安全、これが侵されてはならない。その立場からぜひ指導していただきたいということを最後に重ねて申し上げまして、質問を終わります。
  143. 水野誠一

    ○水野誠一君 私は、政府系中小企業金融機関について伺いたいと思います。  現在、中小企業に対して融資業務を行っている特殊法人は商工中金、中小公庫、国民公庫そして中小企業事業団、それぞれ略称で申し上げていますが、この四つがあるわけであります。商工中金や国民公庫は事業資金の貸し付けであって、また中小公庫は設備資金や長期運転資金の貸し付けをしているということなんですが、どうも我々にはそれぞれの違いがなかなかわかりにくいという点がございます。  国民公庫、これは大蔵省の管轄になるんですが、そのほかの三つは通産省の所管ということになりますが、国民公庫も含めましてそれぞれの融資業務のすみ分けというのはどのようになっているのか。融資対象の形態の違いとかあるいは事業規模などの点で何か線引きができる点があるのかどうか、この点について御説明をいただきたいと思います。
  144. 石黒正大

    政府委員(石黒正大君) お答え申し上げます。  中小企業者の事業資金を円滑かつ安定的に供給することを目的といたしまして、中小企業金融公庫は中規模の企業を対象として、原則として担保づきといいますか、有担保の比較的大きな貸し付けを実施いたしております。  これに対して国民金融公庫は、小規模零細、生業的な事業者を対象にいたしまして、無担保の小、規模な貸し付けを実施しているという実態でございます。  また、商工組合中央金庫は、全国の中小企業組合の過半数が出資をいたします協同組織金融機関でございまして、これら組合等の多様な資金ニーズに対応するとともに、中小企業の組織化の役割も果たしているというふうに認識をいたしております。  一方、中小企業事業団についての御指摘もございましたけれども事業団が実施をいたしまする、高度化融資と我々は申しておりますが、高度化融資は通常の金融とは異なる特色を有しているというふうに認識をいたしております。具体的には、地域の中小企業者が集団となって取り組む大規模でリスクの高いプロジェクト、工場団地であるとか商店街近代化であるとか卸団地であるとか、そういうことでございますけれども、そういうプロジェクトを対象としておりまして、都道府県と一体となって専門家による診断指導を行いながら、超低利、長期の資金を貸し付けるということになってございます。  以上申し上げましたように、それぞれ異なる趣旨、目的を持って中小企業金融の円滑化の役割を果たしているというふうに考えているところでございます。
  145. 水野誠一

    ○水野誠一君 今御説明を願って少しずつわかってきたわけでありますが、それにつけても政府系金融機関、これは今特殊法人改革、あるいは片方では金融システム改革、日本版ビッグバンと言われておりますが、この二つの重要課題と非常に密接な関係があると思います。  今、そのあり方が大きく問われているわけでありますが、特殊法人改革の面においては行財政改革の一環として、民間にできるものは民間に任せるという方向性、これが必要かと思いますし、また一方、金融システム改革の中においては、あくまでも民間活動の補完であるという基本原則を重視すべきではないかと思います。  政策融資というのは重要でありますが、戦後の民間資金が不足していた時代に政府の直接融資中心につくられた現行の政策融資の仕組みというのは改めて、今後は政府保証や利子補給などの間接的なものヘシフトしていくべきではないか、かように思う次第であります。  そこで、通産省所管の中小企業金融機関、つまり商工中金、中小公庫あるいは中小企業事業団、この三つがあるわけでありますが、これを見てまいりますと、商工中金はみずから商工債券、いわゆるワリショーというのを発行して貯金を預かり、貸し付けを行い、また証券業務を行うなど、民間の金融機関と同様の業務を行っているというわけであります。また、中小公庫や中小企業事業団は、ともにその原資として財政投融資から借り入れを行っている。先ほど述べました大蔵省所管の国民公庫は、そのすべてが財投資金である。そして、これらの資金はそれぞれ中小企業等への融資に向けられている、こういう実態であるわけです。  私は、我が国の経済における中小企業とそれをサポートするための中小企業金融の役割を深く認識しているつもりでありますが、その重要性を認識するからこそ、政府系中小企業金融機関のあり方というものをいま一度再検討してみるタイミングに来ているのではないかという感じがいたします。  産業の血液とも言える資金、金融システムが制度疲労を起こしていくということになれば、産業そのものが危機に陥るわけでありますし、現在の金融システムを守ることだけを考えていては、本来守るべきもの、中小企業を根幹とする我が国の産業そのものを崩壊させることにもなりかねない。そういった事態を防ぐために、これは今現在、与党特殊法人改革協議会等でも検討をされていくことになるわけでありますが、商工中金の民営化とかあるいは中小公庫など諸機関の統合というような考え方についても検討すべきではないかという意見がありました。私はこれに真剣に耳を傾ける必要があるというふうに思うのであります。  この点について、責任者である大臣の御見解を例えればと思います。
  146. 佐藤信二

    ○国務大臣(佐藤信二君) 今おっしゃるように、商工中金、これを民営化すべきかどうか、あるいは他の金融機関との統合、これが言われていることは承知しております。  私はこの問題は、今委員指摘なさいましたように、大分話がずれてきたんではないだろうかと思うのは、もともと公的機関として中小企業者、これがやはり資金調達、設備投資あるいはまた回転資金がショートした場合に、それに対する援助というか、それに対する貸し出し、これがスムーズにいっているかどうか、これをチェックすべきが第一ではないだろうかと思うんですね。もっと平たく言えば、本当に困っている人が金を十分に借りられてきたかどうか。私は地方によって随分差があると思いますが、必ずしも円滑にいっていない。だから、こういうものは御存じのように、中小企業者がこうした三公的金融、これに頼っているのが全体で八%と、こういうふうな実情があるわけですね。それからいってもいかがなものだろうか、こう思っているんです。  もう一つ、民営化ということに関する、今のように民営化した場合のメリットというものを考えなければいけない。だからといって、また官でしなくても民間でできる方に移行しようといって、短絡的なことだけではいかがなものだろうか。今御指摘のように、特に商工中金の場合にはほかと違って政府が出資して、それによって信用ができ、債券を発行できると、こういうふうな仕組みですね。ですから、ムーディーズの格付も非常に高いということで、今言われている民営化ということはこの三千億をどうするか、政府がそれを引き戻すのかあるいは民間の方がこの三千億を肩がわりするのかと、こういうことで、いずれにしろ政府というものの後ろ盾がなくなるということでございますから、そうすると、債券発行に関してムーディーズの格付というものが問題になってくるだろうということからいってプラス面は全然ない、かように実は考えます。  そういうことで、今言ったように民営化というのをまずそれ自体をもう少し原点に立ち戻ってこの問題は協議しなければいけない、かように実は考えております。
  147. 水野誠一

    ○水野誠一君 今の大臣の御答弁についても重要性というのは非常によくわかりますし、また慎重に考えていかなきゃいけない、討議をしていかなきゃいけないという課題だと思いますが、一つの方向性としてこれはぜひ検討をいただきたいというふうに思います。  次に、先ほど加藤委員質問の中にもちょっとダイオキシンという言葉が出てまいりましたし、また私も先日の決算委員会の総括質疑の中で、厚生省、環境庁の双方にダイオキシン問題について尋ねたわけでありますが、今、厚生省、環境庁がそれぞれに基準値を出すなどして発生抑制にようやく乗り出したというところになってきております。  ダイオキシンというものの非常な危険性ということについては、いろいろな意見もございますし、また十分に解明されていない点も多いということではございますが、その危険というものには前もって早目早目に手を打っていく必要があるということを考えたときに、ダイオキシン対策というものについて積極的に御検討をいただきたいというふうに思うわけであります。  さて、そこで通産省のダイオキシン対策について伺いたいと思うんですが、現在省内にダイオキシン対策検討会が設置されているというふうに聞いております。その存在とかあるいは検討状況というものがほとんど知らされていないということもありまして、幾つか伺いたいと思います。  この検討会は、昨年の八月から、産業界が排出するダイオキシン類の実態把握、それから低減技術あるいは海外動向、抑制対策について検討を開始したということでありますが、どのような産業分野の実態を調査されているのか。その検討会のメンバーというのはどんなメンバーで構成されているのか、業界が参加しているのかどうか、あるいは学術界ではどんなフィールドの方が参加しているのか、ぜひ伺いたいと思います。  それからまた同時に、検討状況については現在まで大体何回ぐらい開催をされているのか、検討結果の取りまとめはいつごろをめどにして考えておられるのか、あるいはその検討内容についての情報公開の問題ですが、これはどういうふうに考えられているのか、あるいは検討結果というものを審議会等への諮問に生かす方針があるのかないのか。いろいろ並べ立てましたけれども、その辺についてはっきりとお答えをいただければと思います。
  148. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 御指摘のございましたダイオキシン対策検討会でございますが、対象の産業分野は金属精錬関連及び製紙関連の二つを中心にいたしてございます。これは現在のダイオキシン類総排出量の九割が環境庁検討会の報告によりましても廃棄物焼却施設から排出されていると言われてございますが、その他に産業界の排出がございまして、金属精錬関連では全体の二十分の一、製紙関連では約千分の一の量の排出をしておりますところから、この二つを中心に検討を行っているところでございます。  検討会のメンバーにつきましては、平岡正勝京都大学名誉教授を座長にいただきまして、その他京都大学、早稲田大学、摂南大学から計四名、産業界としては鉄鋼連盟と製紙連合会から計二名、それから研究者といたしましては、通産省工業技術院の物質工学工業技術研究所、資源環境技術総合研究所から計二名の御出席を賜りまして、合計八名で構成をいたしてございます。  現在までの検討状況でございますが、現在まで四回の検討を行ってございまして、夏をめどに取りまとめを行うことといたしてございます。  公開についてのお尋ねがございましたが、この環境問題にかかわりますダイオキシン対策検討会では、各社、個別企業から提出されておりますデータ、ノウハウをもとに議論をする形式をとってございますので、秘密保持という観点から公開にはなじまないものという形で議論をさせていただいております。  なお、現在通産省として審議会を開催する予定は持ってございませんが、御存じのとおり、現在ダイオキシン問題に関しましては中央環境審議会で審議が行われてございますので、環境庁とも連携をしつつ今後必要な対策のあり方について対応を考えたいと考えてございます。
  149. 水野誠一

    ○水野誠一君 今、御答弁の中で公開は難しい面もあるということであったんですが、国民の大変関心の高まっている、特に安全性ということについて密接な関係があることでありますので、その情報の出し方ということについて御検討いただきたいんですが、やはりある程度プロセスといいますか、段階段階で内容の公開もお考えいただきた  いというふうに思います。  それから、今伺った業界の中で工業界、日本化学工業協会とかそういった化学業界というのは入っていないような気がしたんですが、そうですか。
  150. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 産業界としては、事の対象業種を金属精錬の関係と紙の関係に特化をしておりますので、今のところ化学工業界からは参加はいただいてございません。
  151. 水野誠一

    ○水野誠一君 しかし、今、通説で言われておりますのは、ダイオキシンの発生源というのは塩化ビニルなどの塩素系有機化合物の合成や廃棄がその有力な原因だろうという主張があるわけであります。そういう意味では、日本化学工業協会ではダイオキシンの排出濃度の把握を行う予定もあるということでありますが、ともかく、こういった化学業界を所管されているのも通産省であるわけで、こういった点から、ぜひ化学工業界についてもしっかりとした監督、育成をしていっていただきたいなというふうに思うのであります。その辺について、あるいは例えば今の検討会に化学業界を入れる、加える御予定があるかどうかというふうな点についても例えればと思います。
  152. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) この検討会におきましては、実態把握のほかに具体的な業種でのダイオキシンの低減技術そのものの検討も行ってございます。そういうことの性格上、精錬業界及び紙業界の対応技術という観点からの対策をとっておりますので、化学業界の参加は求めておりませんが、別に排他的な物の考え方をしているつもりはございません。  また、御指摘のございましたように、ダイオキシンの総排出量の九割は廃棄物焼却によるものでございますが、ダイオキシンの発生メカニズムとごみの中の塩素量とダイオキシンの発生量の因果関係については世界的にも必ずしも解明されているわけではございません。したがいまして、通産省としましては、焼却ごみの減量化という観点から塩化ビニルを含むプラスチックのリサイクルを促進していくことが適当と認識をいたしてございまして、容器包装リサイクル法の円滑な運用あるいは技術開発に積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。  また、御指摘のございましたように、日本化学工業協会では、通産省の検討会を踏まえまして、他産業と同様に企業におけるダイオキシンの測定状況の調査を実施しているところでございます。さらに塩化ビニル業界は、塩化ビニル環境対策協議会という名称の組織を起こしまして、これは関係四業界の集まりでございますが、廃棄物の減量化のためのリサイクルの推進などを含めた環境問題の対応について取り組みますために、樹脂、製品の両業界団体が協議会を置きまして対応を検討しているところでございます。
  153. 水野誠一

    ○水野誠一君 もう時間でございますので、最後に各省庁、これは厚生省あるいは環境庁との連携の状況について伺って、質問を終わりたいと思います。
  154. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) このダイオキシン対策の検討に当たりましては、環境庁、厚生省事務当局と緊密な連絡をとってございますが、特に産業界の排出実態などの必要な情報につきましては情報交換を実施してございまして、今後ともこのダイオキシンの排出抑制を促進するための連携を図ってまいりたいというふうに考えてございます。
  155. 水野誠一

    ○水野誠一君 終わります。
  156. 栗原君子

    ○栗原君子君 新社会党・平和連合の栗原君子でございます。  まず最初にお伺いしたいのは、三月十一日でございますけれども、茨城県の東海村にございます動燃、ここで事故が起きたわけでございます。このことにつきまして大臣はどのようにお考えでいらっしゃるのか、お伺いをしたいと思います。  実はここに、三月十八日でございますけれども、衆議院の科学技術委員会の議事録を掲載したものがございますけれども、この中で、動燃事業団の理事長でございます近藤俊幸さんは、「動燃の場合は大型なプロジェクトを運転しておりますので、設備の運転とか保守、こういった面がどうも、軽視しているわけじゃございませんが、ちょっとそこいらにもつと気を使う必要があるということを痛切に感じます。」、こういった答弁をなさっていらっしゃるわけでございますけれども、大臣とすれば、どこに原因があって、何がどうだったからこういう事故が起きたと。そして、通産省とすればこれからどういったお考えを持っていらっしゃるのか、まずお伺いをいたします。
  157. 佐藤信二

    ○国務大臣(佐藤信二君) 東海村の事故発生、この報に接しまして、率直に申しますと、またやってくれたのかと、こんな実は気持ちでありましたし、同時に、直接所管ではないということで、私の方はいわゆる通産行政、また特に原子力行政というもの、これを推進する立場から幾つかのことを考えました。  その一つは、やはり何といっても国のエネルギーセキュリティー、こういうことからいって非常に原子力発電の推進ということは大事なことだけれども、その中における安全性、これの確保ということを口を酸っぱくして言っておりますが、こういうことでなかなか国民、また地元の方に対する理解というものがいただきにくくなったなと、はっきり言って相互信頼というもの、これがどうなるだろうかというまず心配をいたしました。  そこで、まず第一に、私の方の所管している各電力会社、それに加えて今度は危険物を扱うガス会社もそうですが、製鉄会社、そういうところに対して安全性の確認、そして情報のディスクローズということをすぐ指示したわけでございます。  今となって言えることは、科技庁の動燃改革検討委員会、こういうのがございますから、まず第一に再発防止対策、そういうものをまず解明というか究明いたしまして、その後動燃自身どうするかというような問題に入るべきではないだろうか、かように考えております。
  158. 栗原君子

    ○栗原君子君 またやってくれたのかという感じで、この動燃がやることが諸悪の根源のように言われておりまして、動燃という言葉もう聞きたくもないと、このような発言を橋本総理もなさって  いらっしゃるわけでございます。  そこで、動力炉・核燃料開発事業団法によりますと、「事業団は、内閣総理大臣が監督する。」ということになっているわけでございまして、最高責任者は内閣総理大臣である、こういうことになっております。動燃という言葉も聞きたくない、総理はこのようにおっしゃっておられますけれども、この件につきましては大臣どうお感じになりましたか。
  159. 佐藤信二

    ○国務大臣(佐藤信二君) 私、通産大臣でございまして総理大臣じゃございません。また、総理がどういうふうなお気持ちで言われたか確認をしておりませんので、その点についてはちょっとコメントを差し控えさせてもらいますが、私自身は率直に言って先はどのような心境でございました。
  160. 栗原君子

    ○栗原君子君 電力会社は、三千トン分の容量があると言われております六ケ所の再処理工場への使用済み燃料の搬出を考えているようでございますが、東海再処理工場の事故で見通しが立たなくなってきているのじゃないか、私はこのように思うわけでございます。  また、たとえ見通しが立ったにいたしましても、使用済みの燃料貯蔵の見通しは大変深刻に受けとめられるわけでございます。九六年三月末現在で、すべての原発の最大貯蔵可能量は一万七百七十トンにも達しているわけでございまして、一万七百七十トンに対し、貯蔵量は五千百二十トンに達しているわけでございます。もう既に貯蔵可能量の半分に達しているという状況になっております。  そこで、使用済み燃料の開発量は現状でも九百トンずつ年間にふえているわけでございます。そういたしますと、六ケ所の再処理工場の年間八百トンの処理能力では、これはまた追いつかないのではなかろうか、こういうことが指摘をされております。発電所外にも貯蔵の施設をつくらなければいけないのではなかろうか、こんな声も既に出ているわけでございますが、そういたしますと、これからのそうした廃棄物の問題についてどのようにお考えでいらっしゃいますか。
  161. 谷口富裕

    政府委員(谷口富裕君) 先生おっしゃいますとおり、二〇一〇年ごろになりますと、当初第二再処理工場ができる予定をしておりまして、各原子力発電所はそれを念頭に貯蔵設備をつくっていたということもございまして、青森六ケ所の再処理工場が予定どおり稼働しましても、年間百トンから数百トンの使用済み燃料が余ってまいるという事態が生じてまいります。  これにつきまして、昨年、総合エネルギー調査会の原子力部会という場でいろいろ御検討をいただきまして、今後の使用済み燃料貯蔵についてのオプションを広げていくという中で、もちろん原子力発電所のサイトについても貯蔵容量をふやせるところはふやしていただくようにお願いしますが、同時に、御指摘の独立の発電所外の貯蔵施設についても、その制度面、技術面その他地域振興面まで含めました総合的な検討を進めるということで、この三月より通産省、科学技術庁及び電力の実務レベルの検討会を始めたところでございます。
  162. 栗原君子

    ○栗原君子君 そこで、ここに一つの資料集がございますけれども、これを見てみますと、保管中の分離プルトニウムということで、動燃の再処理施設では、これは九五年の十二月末でございますけれども、今七百五十三キログラムある。さらには動燃のプルトニウム燃料加工施設が三千百四十六キログラム。さらには、先ほど申しましたように、海外に在庫のものがありまして一万一千三百七十七キログラム、こうしたものもあるわけでございます。  これらに対しまして、今プルサーマル計画を政府とすれば大変急いでいるわけでございますが、青森の人たちに対して、地元の人たちに納得してもらうために生産的なことをやっているというパフォーマンスを示さなければならないといったような形が見えるわけでございます、使用済みのものを青森に持っていかせるために。再処理しないと使用済みのごみ捨てだけに終わるのではなかろうか、こういったことから無理やりにそうしたプルサーマル計画をやっているというふうに見えるわけでございますが、この件に関してはどうお考えでございますか。
  163. 谷口富裕

    政府委員(谷口富裕君) お答えいたします。  使用済み燃料はごみだという御指摘でございますが、私どもの認識では、ウランそれから新たにできたプルトニウムをたくさん含んでいます貴重なエネルギー源だというふうに認識しております。これをぜひリサイクルして資源として活用するというのが我が国のような資源に乏しい国では基本的に取り組むべき課題だというふうに考えておりまして、当面、プルサーマルという形で利用することが経済的にも技術的にも最も着実な方法だということで、プルサーマルを着実に進めてまいるということでございます。  それから、廃棄物という観点で考えましても、プルトニウムやウランを分離処分、リサイクル活用せずに廃棄物として一緒に処分するということは、我が国においてはやはり分離して再利用、活用した方が地元の方々にも納得いただけるのじゃないかということで、そのセキュリティーなり資源の有効利用の観点と廃棄物利用の両方の観点から、当面はプルサーマルの利用を着実に進めてまいるとともに、長期的にはより効率的なプルトニウム利用の方法でございます高速炉の開発についてもじっくり取り組んでまいりたいということでやってきているわけでございます。
  164. 栗原君子

    ○栗原君子君 ことしの一月二十日に出されております総合エネルギー調査会原子力部会の中間報告書を見ますと、海外にたまっているプルトニウムを利用するためということを言っておりますけれども、海外だけではなくして、先ほど申しましたように国内にもたまっているわけでございます。これは今の状況の中では幾ら頑張っても追いつかない、たまる一方であるというふうに見れるわけでございますけれども、こういった心配はしなくてもよろしいのでしょうか。
  165. 谷口富裕

    政府委員(谷口富裕君) 先ほど先生御指摘のように、ただいま全体で十数トン、海外に十一トン、それから国内には数トンのプルトニウムが貯蔵されております。動燃の再処理の分については、基本的には高速炉「もんじゅ」、「常陽」さらには「ふげん」で活用するということが中心でございます。  それから、海外の処理を中心としました商業用的なプルトニウムにつきましては、先ほど申し上げましたように当面軽水炉でプルサーマル利用するということで十分利用はできる。青森の六ケ所の再処理が運転開始してプルトニウムがさらに生産されるようになっても、現在のプルサーマル計画の中でリサイクルができるというふうに考えております。
  166. 栗原君子

    ○栗原君子君 ここに一つのアンケートの調査報告がございますけれども、三十の団体、そして三人の個人の人たちが各国会議員すべてにアンケート用紙を配付されました。これは各党それぞれ皆さんが回答していらっしゃるわけでございますけれども、回答総数からすれば全国会議員のうちの百十四名にしかなっていないわけでございます。それでもこれを実施いたしまして、集約の結果を出しておりますのはことしの四月二十四日でございます。  プルサーマル計画に関して、「プルサーマルを急ぐ必要があるかどうか」、こういった問いをしておりますけれども、国会議員の中で必要性感じないという人たちが五十二人で四六%でございます。それから、政府の対応は唐突な感じがするといった回答をしている人が四八%、五十六人ということになっております。その他が四%とか、それでも進めた方がいいというのはたったの二%、二人しかいないという状況になっております。今までのこうしたエネルギー政策は官僚主導型によって進められてきたという感じがするわけでございますが、議員の中では大変慎重論が多いように私は見受けるわけでございます。  また、もうこの問いに対しては、「プルサーマル計画は必要か」どうか、こういう問いをしておりますけれども、それでも、進めるべきではないと答えた人が六七%、七十七人でございます。進める方がよいというのは一一%でございます。仕方がないというのが一五%でございまして、六七%、七〇%近い人たちは大変慎重論でいるといったような報告になっております。  特に反対派の人たちが出しているんじゃないかということをお思いかもしれませんけれども、自民党の皆さん、新進党を初めとし、各党それぞれ回答していらっしゃるわけでございます。そうした意味で、官僚主導でこの日本の原発政策を進めてきたように見受けるわけでございますけれども、これについてはどうお考えでしょうか。
  167. 谷口富裕

    政府委員(谷口富裕君) プルサーマルの必要性について与野党の先生方も含めて十分な御理解をいただいていないという点でございますけれども、その点につきましては、私ども政府の努力あるいは事業者の努力、理解を進めていただくための努力が、これは一般の国民地元に対しても当然でございますけれども、先生方に対しても十分ではなかったんじゃないかという反省はしております。  いずれにしましても、プルサーマルにつきましては、一月の原子力部会あるいは原子力委員会の決定を踏まえまして二月には閣議了解をしていただく形で、従来から進めてまいっておりますプルトニウムサーマル利用という政策を確認していただいております。  それから、プルサーマルが何か非常に特別なものであるような印象を広く国民あるいは地元の方に持っていただいているのも、これも私ども説明不足と思いますが、実際は、現在の原子力発電所軽水炉でも大体使用期間中、燃料を約三年ぐらい燃やしますけれども、平均すると三分の一はプルトニウムが燃えるという形で、物理的に見ますとプルサーマルとほとんど変わらない形で原子炉の中でプルトニウムが現に燃えて、三分の一の電気はプルトニウムのサーマル利用でできていると  いう現状でございます。  技術的には特にプルサーマルということで大きく現状と異なるところはないというふうに理解しておりますし、同時に、安全審査等につきましては、今後申請が出てくる段階で、さらに徹底して審査を行っていくという所存でございます。
  168. 栗原君子

    ○栗原君子君 なぜ再処理を続けるのか不思議でならないわけでございます。普通の原子炉でも燃やすなら再処理は必要ないというふうに思うわけ  でございます。  そこで、時間もなくなりましたけれども一つ。島根原発の三号炉の増設の申し入れが、ことしの三月十二日、まさに東海の事故の最中に申し入れをされたと。普通の感覚であるならば、少し遠慮をして時期をずらすとかするものでありますけれども、そういう状況がありました。  それとあわせまして、実は昨日愛媛県の方でも集会が持たれました。伊方原発の関係でございますけれども、一九八四年、四国電力が設置許可を申請いたしまして、八六年の五月に許可がおり、これは愛媛、大分、岡山県を中心にいたしまして千三百八十四人が行政不服審査法に基づく異議の申し立てをしているわけでございます。  この伊方原発の三号炉につきましては、もう二年半前に稼働をしておりまして、今も稼働しているわけでございますが、十一年間放置をしておきまして今なぜ意見陳述をするということを住民の方に言ったものかということでございます。稼働前であるならば意見陳述の意味もあるかもしれませんけれども、稼働して十一年間ほったままの中で意見陳述をするということを言っているわけでございますが、これはどういう感覚でこういうことになっているんですか。
  169. 谷口富裕

    政府委員(谷口富裕君) 今月十四日に予定しておりますのは、今までの裁判の動向、議論をいろいろ踏まえた上で十分な御説明をさせていただきたいという趣旨でございまして、そういう意味で、なるべく早くそういった説明会をきちっとやるということで現在は取り組んでいるということでございます。
  170. 栗原君子

    ○栗原君子君 時間が参りましたから終わりますが、住民の方からけさも電話をいただきまして、ぜひこれを通産大臣にお伺いしてくれということでございましたんですけれども、なぜ今になって、稼働し始めてから意見陳述をするのか。今お聞きしたんですが、ちょっとはっきり聞こえませんでした。
  171. 谷口富裕

    政府委員(谷口富裕君) お答えいたします。  口頭意見陳述につきましては、裁判の進捗状況を見ながら、あるいはそれを踏まえてということでございまして、運転の開始前、後ということよりは、そういった今までの経緯を踏まえまして、伊方に限らず、幾つかの発電所の地元において同様な対応をとらせていただいているところでございます。
  172. 栗原君子

    ○栗原君子君 稼働前にやるものだと思うんですけれども指摘をして終わります。  ありがとうございました。
  173. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 他に御発言もないようですから、通商産業省経済企画庁中小企業金融公庫及び中小企業信用保険公庫決算の審査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十三分散会      —————・—————