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1997-05-02 第140回国会 参議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月二日(金曜日)    午前十時開会     ―――――――――――――    委員異動  五月一日     辞任         補欠選任      山口 哲夫君     栗原 君子君  五月二日     辞任         補欠選任      上杉 光弘君     宮崎 秀樹君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         野沢 太三君     理 事                 塩崎 恭久君                 松谷蒼一郎君                 吉川 芳男君                 山崎 順子君                 山下 栄一君                 緒方 靖夫君    委 員                 海老原義彦君                 大木  浩君                 景山俊太郎君                 清水嘉与子君                 須藤良太郎君                 中島 眞人君                 長峯  基君                 松村 龍二君                 宮崎 秀樹君                 守住 有信君                 魚住裕一郎君                 海野 義孝君                 加藤 修一君                 星野 朋市君                 益田 洋介君                 大脇 雅子君                 田  英夫君                 朝日 俊弘君                 小川 勝也君                 萱野  茂君                 椎名 素夫君                 水野 誠一君                 栗原 君子君    国務大臣        法 務 大 臣  松浦  功君        外 務 大 臣  池田 行彦君        大 蔵 大 臣  三塚  博君        文 部 大 臣  小杉  隆君        厚 生 大 臣  小泉純一郎君        運 輸 大 臣  古賀  誠君        労 働 大 臣  岡野  裕君        自 治 大 臣  白川 勝彦君        国 務 大 臣       (内閣官房長官)  梶山 静六君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  久間 章生君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       近岡理一郎君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  石井 道子君         ―――――        会計検査院長   疋田 周朗君         ―――――    政府委員        内閣官房内閣外        政審議室長        兼内閣総理大臣        官房外政審議室        長        平林  博君        防衛庁防衛局長  秋山 昌廣君        経済企画庁調整        局長       土志田征一君        科学技術庁長官        官房長      沖村 憲樹君        科学技術庁原子        力局長      加藤 康宏君        科学技術庁原子        力安全局長    池田  要君        環境庁書官房        長        岡田 康彦君        環境庁企画調整        局長       田中 健次君        環境庁大気保全        局長       野村  瞭君        環境庁水質保全        局長       渡辺 好明君        法務省民事局長  濱崎 恭生君        法務省入国管理        局長       伊集院明夫君        外務大臣官房長  原口 幸市君        外務大臣官房領        事移住部長    斎藤 正樹君        外務省総合外交        政策局長     川島  裕君        外務省総合外交        政策局軍備管理        ・科学審議官事        務代理      稲川 照芳君        外務省総合外交        政策局国際社会  朝海 和夫君    協力部長        外務省アジア局        長        加藤 良三君        外務省北米局長  折田 正樹君        外務省欧亜局長  浦部 和好君        外務省経済局長  野上 義二君        外務省経済協力        局長事務代理   西田 恒夫君        外務省条約局長  林   暘君        大蔵省主計局次        長        細川 興一君        大蔵省国際金融        局長       榊原 英資君        文部大臣官房長  佐藤 禎一君        文部省初等中等        教育局長     辻村 哲夫君        文部省教育助成        局長       小林 敬治君        文部省高等教育        局長       雨宮  忠君        文部省学術国際        局長       林田 英樹君        文部省体育局長  佐々木正峰君        文化庁次長    小野 元之君        厚生省健康政策        局長       谷  修一君        厚生省保険医療        局長       小林 秀資君        厚生省生活衛生        局長       小野 昭雄君        厚生省薬務局長  丸山 晴男君        農林水産政務次        官        服部三男雄君        農林水産省構造        改善局長     山本  徹君        水産庁長官    嶌田 道夫君        通商産業政務次        官        上野 公成君        通商産業省産業        政策局長     渡辺  修君        通商産業省機械        情報産業局長   中川 勝弘君        資源エネルギー        庁長官      江崎  格君        運輸大臣官房長  土井 勝二君        運輸省海上交通        局長       岩田 貞男君        運輸省航空局長  黒野 匡彦君        海上保安庁次長  大森 寿明君        郵政省電気通信        局長       谷  公士君        労務省労働基準        局長       伊藤 庄平君        労働省婦人局長  太田 芳枝君        建設大臣官房長  小野 邦久君        建設省都市局長  木下 博夫君        建設省河川局長  尾田 栄章君        建設省道路局長  佐藤 信彦君        自治大臣官房総        務審議官     嶋津  昭君        自治省行政局長  松本 英昭君    事務局側        常任委員会専門        員        貝田 泰雄君    説明員        会計検査院事務        総局次長     平岡 哲也君        会計検査院事務        総局第一局長   深田 蒸治君        会計検査院事務        総局第二局長   諸田 敏朗君        会計検査院事務        総局第三局長   山田 昭郎君        会計検査院事務        総局第四局長   小川 光吉君        会計検査院事務        総局第五局長   森下 伸昭君    参考人        動力炉核燃料        開発事業団副理        事長       植松 邦彦君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○平成七年度一般会計歳入歳出決算平成七年度  特別会計歳入歳出決算平成七年度国税収納金  整理資金受払計算書平成七年度政府関係機関  決算書内閣提出) ○平成七年度国有財産増減及び現在額総計算書  (内閣提出) ○平成七年度国有財産無償貸付状況計算書(内  閣提出)     ―――――――――――――
  2. 野沢太三

    委員長野沢太三君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨一日、山口哲夫君が委員辞任され、その補欠として栗原君子君が選任されました。  また、本日、上杉光弘君が委員辞任され、その補欠として宮崎秀樹君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 平成七年度決算外二件を議題とし、昨日に引き続き、全般的質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 昨日、橋本総理日米首脳会談関連をいたしまして、日米防衛協力のための指針、これについて両首脳間で話し合いが行われたかどうかお伺いをしたのでありますが、昨日の総理の御答弁によりますと、ガイドラインについては今秋をめどに結論を出したい、ただ、透明性確保のために五月の中旬以降のしかるべき時期に中間報告を出していきたい、こういうような御答弁がありましたが、防衛庁、それに関連をしてそういう作業を現在行っているのかどうか伺います。
  5. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) ただいま日米間でガイドラインのレビューを行っておりますけれども、国内外における透明性確保あるいは国内における議論をいろいろ踏まえた上で、最終的なそのガイドライン見直しをしたいということを考えまして、五月中旬以降の適当な時期にこれまでの議論の中間的な取りまとめを公表したいという方向日米間で作業を行っているところでございます。
  6. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 その大まかな中身、どういうような点を見直し対象として考えているのか、どういうような進行の形になっているのか、それについていかがですか。
  7. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) 昨年の九月の日米安全保障協議委員会、すなわち2プラス2でプログレスレポートというものを公表いたしまして、このプログレスレポートにおきまして三つの大きな項目について検討を進めていく。一つは平素からの日米間の防衛協力、それから我が国武力攻撃を受けた場合の対応措置等についての問題、そして三番目に、我が国周辺地域で発生する事態で、そして我が国の平和と安定に影響を及ぼすようなそういう事態に対する日米間の防衛協力ということにつきまして、それぞれの項目について小項目四つ五つ掲げて検討しているところでございます。  昨年九月のプログレスレポート、いわゆる議論進捗状況についての説明でいろいろと基本原則を明らかにいたしました。その基本原則のもとで、今申し上げましたような三つ項目、その中にございます小項目につきまして、九月のファイナルレポート最終レポートに向けた現時点でのその中間的な議論取りまとめというものを発表したい、そういうふうに考えているところでございます。
  8. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 恐らく私は、今回の中間報告の非常に重要な柱となるのは、日本国周辺有事の際、日本国に限るんじゃなくてその周辺国を含めた有事の際に、我が国はどういうような米軍に対して支援体制を行うのか、これが一番大きな問題になると思うんです。これにつきまして、後方地域支援の対策、協力についての具体的な案というのがありますか。
  9. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) 先ほど申し上げました大きな項目の三番目の項目、すなわち日本周辺地域において発生し得る事態日本の平和と安全に重要な影響を与える場合の協力の中の項目五つございまして、その五つ項目をちょっと申し上げますと、その一つ人道的援助活動、二番目が非戦闘員を退避させるための活動、三番目が米軍による施設の使用、四番目が米軍活動に対する後方地域支援最後自衛隊運用米軍運用ということでございます。  御質問は、直接的には今申し上げました四つ目項目米軍活動に対する後方地域支援について具体的にどういうものがあるのか、こういう御質問であろうかと思いますが、いろいろな検討をしておりますけれども、例えば輸送ですとか補給支援あるいは医療支援、そういったものについて検討をしているところでございます。  それから、間接的に関係する事項といたしましては、今申し上げました一番目と二番目の事項、すなわち人道的援助活動あるいは二番目の非戦闘員を退避させるための活動、それから最後に申し上げました自衛隊運用米軍運用といったところが、いろいろな意味米軍に対する支援ということでかかわってくるというふうに考えております。
  10. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 日米首脳会議が行われているころだと思いますが、防衛庁長官韓国に参りまして、韓国政府に次のような説明をしたと報道をされております。すなわち、日本周辺有事の際の後方地域支援などの対米協力については日本領海及び公海に限る、こういうような説明をしたと、こういうことであります。  この場合、当然問題になってくるのは、有事の際に邦人救出難民救出というような問題があります。これは日本領海公海に限るというわけにもいかないわけで、特に、邦人が多数を占める場合には艦船を使用せざるを得ないと思うんですが、この点はどうですか。
  11. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) 現在、非戦闘員を退避させるための活動といったような中で、邦人救出の問題も当然議論しております。  これは、今御質問対象日米防衛協力見直しガイドライン見直しという中での議論でございますが、実は昨年五月に橋本総理大臣の指示によりまして、我が国周辺における緊急事態に対する対応措置ということで、これは必ずしも日米防衛協力という観点のみならず議論をしているところでございますが、その中でも二番目の項目一として邦人救出という観点議論をしております。  両方の分野での議論で、ただいま御質問のような艦船による輸送という問題につきましては、そのニーズ等、諸問題についての検討を今行っております。
  12. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 いや、検討を行っていると言うんだけれども、そういうときには相手国了解を得た上で、艦船相手国の港に入れるということも含めて検討されているんですね。
  13. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) 邦人救出の課題につきまして、自衛隊艦船利用するかどうかという問題につきまして、最終結論が出ることになりますか、これは今検討中でございますが、仮に利用ということになりますれば、当然のことながら相手国領海に入るわけでございますので、それは相手国了解が必要であると考えております。
  14. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 相手国の同意を得た上で相手国領海に入っていく、これはやむを得ない、こういうことですね。  それから、機雷掃海の問題があるんですが、機雷の除去、これも領海公海という区分なしに機雷は浮遊いたします。こういった場合に、公海から若干相手国領海に入るというようなこともやむを得ない場合もあるでしょうし、あるいは領海に設置された機雷公海に流れた場合は当然それを除去しなくちゃいけない。その辺の整理は今されていますか。
  15. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) 機雷掃海に関しましては、二つの面からの議論が必要かと考えております。  一つは、日米防衛協力見直しの中での議論でございまして、この点につきましては、防衛庁長官韓国国防部長説明した趣旨は、いわゆる隣国との信頼関係あるいは透明性確保という観点から、先ほど申し上げました最初二つの事案については、これは領海内、例えば邦人救出も含めまして領海内に入ることがあっても、その他の三つの問題につきましては、現在、日米間の協議においては主として我が国領海ないし公海上での議論をしているということを説明したわけでございます。他方、自衛隊法の第九十九条によります機雷掃海につきましては、遺棄された機雷について我が国の船舶の航行の安全確保という観点からこれを行うことは、これは当然のことながら領海公海に限らず広い範囲が考えられるというところでございます。
  16. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 この問題については、後日防衛庁長官出席をいただきまして、省庁別決算審査十分質疑を行いたいと思います。きょうはこの辺でとどめておきます。  次に、エネルギー政策について伺いたいと思います。本日は、通産大臣四極通商会議で外国へ出張中でありますので、通産政務次官に御臨席をいただきまして質問をいたしたいと思います。  昨年の十二月に総合エネルギー調査会基本政策小委員会中間報告がありました。また、本年一月に原子力部会中間報告も提出されまして、二十一世紀に向けた我が国エネルギー政策基本について報告がされているわけであります。  ところが、その後相次ぐ動燃事故が起こりまして、原子力エネルギー供給に対するかなりの疑問が出されてきている。こういう中で、エネルギー政策というものについて見直しが必要なのかどうか、いや、やはり原子力によるエネルギー供給というものは二十一世紀へ向けて根幹をなすものであるから、当然この原子力部会中間報告に従ってやるというのか、その点について見解を伺います。
  17. 上野公成

    政府委員上野公成君) お答え申し上げます。  今、委員から御指摘がありましたように、昨年の十二月とそして一月と中間報告がなされたわけでございます。  この中間報告によりますと、エネルギーセキュリティー確保、それから地球温暖化防止観点から、省エネを一生懸命やる、それから新エネルギー開発する、こういう二つ。その上で安全性確保、それから国民理解を大前提として原子力開発利用を促進していく、こういうことが中間報告指摘されているわけでございます。  一方、我が国エネルギー消費は非常に増大の一途をたどっておりますし、新エネルギーはなかなか停滞をしている、そして原子力を初めとする電源立地も非常に困難化をしているというような状態でございまして、こういう状態の上に、さらに動燃事故によりまして原子力に対する国民信頼が揺らいでいるわけでございます。  しかし、この三つの柱をやっていく以外には仕方がないということでございまして、省エネにつきましては今まで以上に、産業については一%を目標に省エネをしていくというようなこともつくりました。それから、民生のエネルギーにつきましては、建物の方の断熱化を今まで以上にやっていくということをして、最大限の努力をしているわけでございます。  しかし、原子力につきましては今まで以上に国民理解協力を得るための努力を全力でやっていかなきゃいけない。そういうことによりまして、原子力発電所立地推進、それから。プルサーマルを初めとする核燃料サイクルの着実な推進を図っていきたいというふうに考えております。
  18. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 省エネルギー政策によるエネルギーの節約というのは、今も答弁にありましたように大したことないんです、一%かそんなもんです。  ところが、原子力発電によるエネルギー供給といえば、例えば九州でいいますと半分以上原子力発電によって供給をしている。非常にスケールが違うわけです。したがいまして、これからの二十一世紀を見据えたエネルギー政策としては、省エネももちろんやらなきゃいけませんが、原子力供給というものをどう国の政策根幹として据えておくのか、その点についてもう一度答弁をお願いします。
  19. 上野公成

    政府委員上野公成君) 二つ中間報告三つの柱から成り立っておりまして、省エネはできる限りやる、新エネもできる限り開発をしていく、どれだけのものができるかわかりませんけれども、その上で原子力をやるということでございまして、委員指摘のとおり、量から申しますと原子力が圧倒的に多いわけでございます。  そのときにこういうことが起こったわけでございますけれども、しかし、エネルギーをきちっと確保するということが我が国にとっては最大の問題でございますので、国民理解をきちっと図る。いろんな前提はありますけれども、先生最初の御質問からいいますと、従来どおり原子力政策を続けていきたいというふうに考えております。
  20. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 要するに、いろいろな事故はあったが、これはこれとして、エネルギー政策根幹である原子力によるエネルギー供給についてはいささかも修正することなくやる、こういうことですね。わかりました。  二十一世紀を見据えた今の原子力エネルギー供給政策でありますが、ただ、そうは言いながらも、私は、やはり動燃事故に見られるような欠陥が次々に露呈をしていきますと、原子力エネルギー供給というものが国民の間で不信を抱かれてくるということは否めないと思うんです。  私は、動燃の問題は後ほどまた伺いますが、これはエネルギー供給に当たって、実用化計画とそれから研究開発の問題とが動燃の間で一緒になっちゃって、研究開発の過程にあるものに対する事故が結局は実用化の中の欠陥というように理解をされ始める、そこに大きな問題があるのじゃないかと思うんです。  したがいまして、私は、研究開発段階実用化段階を分けて、例えば動燃機構改革にも関連はすると思うんですが、そういう形での政策を打ち出していくべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  21. 上野公成

    政府委員上野公成君) 原子力発電に関する政策を含めまして、我が国原子力研究、それから開発利用に関する施策というのは原子力委員会で一本化をされているわけでございまして、そこで長期計画をつくり、その長期計画に基づいて通産省が受け持つ部分は受け持っているという仕組みでございます。  そういう中で、動燃事故によりまして、先生指摘のように、研究開発と実施というものをもう少し一緒に、一体的にやった方がいいじゃないかという御指摘だと思います。これはそういう一体化をしているところがありますので、そこでの御議論でそういった方向がいいということになりますればそういう方向でやっていったらいいと思いますけれども、通産省だけでちょっとお答えできるような問題ではございませんので、そういった行革その他の議論を待って進めさせていただきたいと思っております。
  22. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 科学技術庁初め関係省庁と十分に協議をされた上で、この点についてはしっかりした政策を出していただきたいと思います。  次に、これに関連をいたしまして、動力炉核燃料開発事業団通称動燃事故の問題についてお伺いをいたします。  四月の二十二日、本院予算委員会動燃の相次ぐ事故について集中審議が行われました。これまで非常に多くの投資が行われてきたわけでありますので、原子力政策観点からも極めて重要な問題であります。当決算委員会においてもこれについて若干の質問を行いたいと思います。  まず、「もんじゅ」の事故があったわけであります。そのときにいろんな意味虚偽報告がなされた。動燃としては、理事長を更迭して新しい理事長のもとに体制の整備を図った。にもかかわらず、ことしになりましてアスファルト固化施設火災爆発事故が起こり、これについても虚偽報告がなされた。さらに、一昨日でありますが、火災発生後撮影した写真が廃棄されていたということ、爆発後の飛散物回収作業現場保存の問題、こういうことについて隠ぺいがあったということが明らかになりまして、動燃より科技庁あるいは茨城県に報告があったと聞きます。  この写真の廃棄の問題あるいは現場保存関連する問題、これについての報告を、本日、動燃事業団の副理事長がお見えになっていると思います。直接御報告をいただきたいと思います。
  23. 植松邦彦

    参考人(植松邦彦君) お答え申し上げます。  「もんじゅ」事故の反省から自己改革に努めてきておったところでございますけれども、御指摘のようないろいろな不祥事が続いておりまして、国民の皆様に多大な不安、不信を招く結果となりましてまことに申しわけなく思っております。まずおわびを申し上げます。  アスファルト固化処理施設火災爆発事故発生の事実関係については、御指摘のように偽りの報告があったことが判明をいたしまして、理事長の命を受けまして四月八日以降、私が特別調査班長となって調査を進めてきておったところでございます。  まず、火災発生直後のいわゆる十時二十二分問題、十時二十二分に消火の判断を行ったというような報告に関しては、実際には行われておりませんで、施設の担当部長以下の幹部職員が関与した偽りの報告であったことが判明いたしまして、その経緯を四月十二日と十四日に国や関係自治体に報告をしておるところでございます。  さらに、引き続き調査を進めておりましたが、それによって新たな事実として判明してまいりました主なものは、火災発生時の約三時間後に現場の状況を写真撮影していたにもかかわらず、その写真のネガフィルムを一職員の判断で裁断処分してしまっておったということがわかりました。  また、火災爆発発生の翌日の未明に、施設周辺の汚染拡大防止のため、爆発による飛散物の回収、清掃を行っておりましたが、その後、現場保存が必要との判断から、回収した飛散物を現場に戻すという作業を行っておりました。また、火災発生後からの退避指示があるまでの間に、施設に入域した作業員の数の変更があったり、全身カウンター測定対象者数の変更があったり、第一附属排気筒の沃素モニターの指示値の上昇の通報おくれの経緯など、五件ございました。  これらにつきましては、明らかになったもののうち、訂正、補足説明の必要があるものについて四月三十日に国や県、関係自治体に報告を行っております。  なお、新たに判明いたしました件は、事実を事実として報告する基本原則への認識の甘さや指示、連絡の不徹底が原因で起こったことと考えております。再度このようなことが発生した原因、問題点を徹底的に洗い出して改革をしていきたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしく御指導いただきますように。
  24. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 現場に対する指示が不徹底であった、これからこういうことがないようにやりますと副理事長のお話ですが、これは「もんじゅ」の事故のときもそういうような話だったんです。またこういうことになった。  しかも、この写真の問題は最近出てきたというようなことで、次から次に事故隠ぺいが出てきているわけですが、これは「もんじゅ」の事故のときに、それを反省として動燃のすべての機関に対して、こういうことのないようにきちっとした対応をしたんじゃなかったんでしょうか。それがなぜ今回のような事故隠ぺいにまたつながってきたのか、そこの原因をどういうふうに考えられますか。
  25. 植松邦彦

    参考人(植松邦彦君) 動燃理事長も何度か国会に参りましてお話をしておるところでございますが、たび重なる不祥事の根源の一つは、技術者集団である動燃と社会一般の意識のギャップの大きさにあるというふうに我々痛感しておるところでございます。この乖離をいかになくしていくかということが非常に大切なことだというふうに考えております。  このような動燃の技術者は、基準レベル以下の放出であればそういうものはそれでもよいのではないかという考え、旧来からしみついた体質を持っております。これをぜひとも打破すべく、動燃としては直接理事長から再三にわたり職員に対して指示を発しておるところでございます。また、当面の事故対策を誠実にやり遂げるよう強く指導しておるところでございます。  こういった問題を解決するために、理事長直轄の経営改革本部を設置いたしまして、意識、経営、組織の改革を進めて、社会の信頼回復に向けて真摯に努力を重ねていきたいというふうに考えております。
  26. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 きょうの新聞だったと思いますが、東京電力の社長でしたか、民間企業であればこういうような事故とか事故隠ぺいというようなものは考えられないんだというようなことが書いてありました。  私も、基本的には動燃の組織の体質に起因するものじゃないか、したがって幾らこれから指示をやってもなかなか改まらないんじゃないかという気がするんです。であるならば、組織全体をきちっと切りかえる必要がある。  先ほど上野通産政務次官に申し上げましたように、研究開発部門と実用化の部門を分けて、そして動燃の技術者集団は研究開発の方に集中をする、実用化は民間との関係で何らかの組織をまた考えるというようなことが考慮されてしかるべきではないかと思うんですが、これは動燃の副理事長としての見解がここで発表できるかどうかわかりませんが、その点についていかがですか。
  27. 植松邦彦

    参考人(植松邦彦君) 動燃事業団は、設立以来もう約三十年たっておりまして、自主技術開発の精神にのっとりまして、核燃料サイクル全般に関する研究開発を進めて多くの技術蓄積をしてきたというふうには考えております  しかし、御指摘のような改革が必要ということも認識をしておりまして、先ほども申し上げましたように、理事長直轄の経営改革本部を設置して御意見のような改革についても検討を続けておるところでございますし、また国の方でも動燃改革検討委員会を開いておられまして、そこでの議論の結果も十分見きわめて動燃の改革に資したいというふうに考えております。  信頼される組織に回復するということは非常に大切だと思っておりますので、今後とも多くの方々の御指導をいただきながら、蓄積した技術をさらに国民のために確実に役立つようにしていきたいものだというふうに考えております。
  28. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 先ほど通産省上野政務次官に伺いました。やはり我が国のように資源を持たない国では、エネルギー政策にとって原子力供給というのは非常に重要な意味を持っているわけです。ところが、動燃のこうした事故によって原子力供給政策全般が見直しを迫られるというような非常にはかり知れない影響国民に与えている、我が国に与えている、その責任は非常に重かつ大であると思います。  現在の理事長は、例の「もんじゅ」の事故のときにおかわりになって、たしか東京電力の副社長か何かからおいでになった。余り長く理事長としての職を持った方じゃないと思いますが、副理事長はたしか動燃の生え抜きの方であるというように伺っております。そういう意味では副理事長の責任は極めて重大であると思いますが、その点についてどうお考えですか。
  29. 植松邦彦

    参考人(植松邦彦君) 私も副理事長を拝命しましたのは昨年の六月でございまして、それまでは七年間、フランスのパリにありますOECD原子力機関の事務局長をしておりまして、しばらく日本から離れておりました。しかし、その前はずっと動燃におりましたので、動燃のことをよく知っておる立場にございます。  その昔の経験と、それからまた途中海外に出ておって第三者の目といいましょうか、今まで動燃の中にどっぶりつかったこととは違う目で動燃を見ることができるような立場を持たせていただきましたので、動燃内部の経営改革本部においても経営本部の副本部長としていろいろと意見を申し上げさせていただいているところでございます。ぜひとも私の見解が役に立ってくれればというふうに思っております。
  30. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 意見とかそういうんじゃなくて、きちっとした責任を持って、もう絶対こういうような事故とか隠ぺい対策とかいうようなものは行わないんだという覚悟を持ってやっていただかねば、今のような意見を言うぐらいの話では動燃問題は相変わらず同じようなことの繰り返しになるんじゃないかというように思います。そういう意味で、私は動燃の組織自体をきちっとした改革をやるべきじゃないかと思いますが、科学技術庁長官、いかがでございますか。
  31. 近岡理一郎

    ○国務大臣(近岡理一郎君) 「もんじゅ」の事故、教訓そのものは、私は率直に言って生かされていないと思います。  そこで、今回の一連の事故を振り返ってみますと、先生も科学技術政務次官もおやりになったわけで十分おわかりだと思いますが、さっきの先生の発言の中に、一般の電力会社の原子力発電所だったらこういう事故は起きなかったんじゃないかという発言は、確かに私どもの直轄の動燃改革検討委員会でも吉澤教授から出ております。ですから、その辺に今御指摘のとおり動燃それ自体の体質といいますか、組織、体制、このものが実戦なれしていないんじゃないかと思います。  例えば、今も責任という言葉が出ておりましたが、どこまでが責任でどこまでが義務で、それを直ちにいかにして行動を起こすかという、この実戦訓練ができていないですね、はっきり申し上げて。ですから、こういう形でいったんでは、私は再びまた同じようなことが起こり得ると思います。  ですから、私は、この検討委員会では、直轄で今やっておりますが、もう徹底的にメスを入れなきゃいけないというふうなことで、第三者の意見で、動燃のみならず科学技術庁それ自体もただ報告を受ければいい、注意すればいい、指導すればいいというだけではだめだと思います。そういった意味で、私は今までと違いまして、職員にも言っておりますことは何かといいますと、抜き打ち的に立入調査もやるべきだ、科学技術庁も現地に足を運んでみるべきだ、場合によっては法令によって立入検査もやることもしなきゃならぬ。  ここまでいかないと、先ほど通産省から答弁ありました三つの柱から考えまして、今三割というエネルギーのシェアを占める原子力発電行政というものがこのままでいったら、先ほど先生指摘のとおり、増殖炉なんというのは研究段階でしょう、これからまだ、原型炉のほかに実証炉があるでしょう、商業炉までいかなきゃならないでしょう。それから、高レベル廃棄物の、六ケ所村は中間貯蔵施設でしょう、最終貯蔵施設はまだ日本にないんです。これを日本にどうやってどこに立地させるかという大きな問題等を含めますと、本腰を入れて本当に通産省科学技術庁も一体となってこの問題に取り組んで、それで国会で論議していただいて、そして政治がこの問題の方向づけをしなきゃならぬ。  先ほど、先生原子力委員会という話があったんですが、私もそう思います。原子力委員会通産省とよく連携をとりながら、そしてこれを日本エネルギーとして、クリーンエネルギーとして、環境問題等もありますから、いろいろな意味で政治でこの機会に方向づけというものを決着をつけなければだめだ、私はこういう決意をいたしております。
  32. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 先ほどの話でもありましたように、我が国のように資源もエネルギーも非常に少ない国では、技術開発によるエネルギー開発というものが極めて重要であるわけです。  したがって、現在の時点では原子力によるエネルギー供給というものは、先ほどの通産省の御報告にもあったように、これを一朝一夕に変えるわけにはいかないと思うんです。これは極めて重要な政策である。  であるならば、こういった動燃事故のようなことを絶対なくすように措置していただきたいと思いますし、この動燃の「もんじゅ」の事故あるいは先日ありました火災事故等々も、ロシアのチェルノブイリの原子力発電所事故なんかと比べると全然問題にならない。根幹にかかわるところの事故ではないわけですね。そういうところが、しかしちょっとした隠ぺいとかそういうことによって国民に大きな不信感を抱かせる、そういう結果になった、非常にこれは残念なことですね。そういうことに思いをはせて、たとえ根幹の部分ではなくてもこの事故についてはきちっとした対策をとるように、また決して隠ぺいというような措置をとらないように、これを十分に浸透させていただきたいと思うわけでございますが、科学技術庁長官に再度見解をお伺いします。
  33. 近岡理一郎

    ○国務大臣(近岡理一郎君) 先ほども御答弁申し上げましたとおり、私はこの問題は、原点といいますか初心に返って、そして国民と一体とならなければならぬ。そのために、本当に汗を流して、そして内閣を挙げて取り組まなきゃならぬというようなことで、ここに三塚大蔵大臣、外務大臣、石井先生あるいは運輸大臣もおりますが、私は閣僚懇談会で、この問題は日本の内閣を挙げて沖縄の二の舞にならぬようにしてもらいたい、そのために私は徹底的にこれで頑張っていきたいということで各閣僚の先生方に本当に御協力を求めました。そういった気持ちでこれからもやってまいりたいと思います。
  34. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 最後まで徹底して究明を図り、今後もそういうことのないように決意を持って当たっていただきたいと思います。  次に、エネルギー関連するといえば関連するんですが、対馬沖の重油流出事故について伺いたいと思います。  先月の三日に対馬西方沖において韓国のタンカーが沈没をいたしました。それによる重油の流出がありました。日本海のナホトカ号における流出事故と同じようにC型重油でありました。当初は我が国の沿岸にまでは漂着しないのかというような報道もありましたが、風の関係で結局対馬に相当量の重油の漂着があったわけであります。  これについて運輸省及び海上保安庁は、ナホトカ号の流出事故一つの教訓としてどういうような対策を行ったか、これを運輸大臣ですか、保安庁、じゃ保安庁。
  35. 大森寿明

    政府委員(大森寿明君) お答え申し上げます。  ただいまの事故でございますけれども、まず概要から申し上げますと、韓国の船、オーソン三号という船でございますが、これはトン数が七百八十六トン、乗組員九名の船でございます。これが今御指摘のようにC重油千七百キロリットルを積んで韓国の西海岸から東海岸へ向かって航行していたわけでございますが、四月三日夜九時ごろ、対馬の西方約三十マイル付近の韓国領海内で暗礁に乗り上げまして、同日の午後十一時二十分ごろ沈没という事故でございます。乗組員九名は全部韓国当局の船艇で救助されましたけれども、積み荷のC重油の一部が流出しまして、これが対馬北部の沿岸に漂着したという事案でございます。  海上保安庁としましては、韓国タンカーの油流出事故の情報を四日の午後入手したわけでございますけれども、それを踏まえて次のような措置をとったわけでございます。  まず、我が方の巡視船による浮遊油の調査を実施いたしました。それで、状況につきましては一府十県の関係自治体あるいは漁業協同組合等の関係者に対し情報提供を行ったわけでございます。さらに、私ども油対策の専門部隊であります機動防除隊というのがございますが、これを現地に派遣をしたというのが一つでございます。  それから、二つ目でございますが、同日四日の夕刻でございますけれども、海上保安庁本庁に防除の警戒室を設け、門司にあります第七管区海上保安本部に防除警戒本部を設置したところでございます。それで、同時に関係省庁の連絡会議を開催いたしまして事案の概要説明を行い、関係機関が連携して抽防除措置をとろうということを確認したところでございます。  さらに、八日でございますが、これは七日に公海で油が浮遊しているのが確認されたものですから、それを踏まえて八日に海上保安庁本庁に油防除対策室、今まで防除警戒室だったんですけれども、対策室にし、第七管区には対策本部、これも警戒本部だったのを対策本部に切りかえたわけでございます。それで、残念ながら十日に油が一部漂着してしまったものですから、これを踏まえて本庁の対策本部に格上げをしたというところでございます。  具体的にとった措置でございますけれども、四日の夕刻でございますが、運輸省の港湾局で油回収船を持っておりますので、これの出動要請を行ったところでございます。七日、先ほど申しましたように公海で浮遊油が確認されたので、海上自衛隊に護衛艦を派遣していただくよう要請し、水産庁には漁業監視船の派遣要請、それから近くに白島の石油備蓄基地がございますので、これに対しても油回収船の出動要請を行ったということでございます。そして地元の漁船と連携をとりながら油防除活動を行ってきたというところでございます。  結果といたしまして、一部油が漂着してしまったわけでございますけれども、地元関係機関の協力も得て、洋上で油をかなりの部分回収することができたということでございます。  それで、四月二十二日になりまして、対馬周辺海域にはもう浮遊抽が認められないということ、それから漂着した油も回収作業がおおむね終了したというような状況を踏まえまして、本庁と第七管区海上保安本部に設けておりました対策本部を解散したというところでございます。同時に、長崎県において設けられておりました対策本部も解散されたという状況でございます。  以上でございます。
  36. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 確かに、海上保安庁から今説明がありましたように、ナホトカ号のときに比べますと、今回の対馬の重油流出事故についてはかなり機敏な対応がなされたと思います。私も、対馬、上対馬の沿岸に重油が漂着した時点におきまして、自民党の視察団の一員として参りました。そのときにはかなりの漂着油の回収が行われておりました。海上保安庁並びに自衛隊による回収作業は、日本海の事故を教訓として早期の出動を行ったというように思います。  しかし、何としても、日本海の油流出事故のときもそうでありましたが、油回収船が我が国には極めて少ない。そのときも一隻だけしか出動していないんですね、清龍丸とか。これは本当かどうかわかりませんが、出動したはいいが現地に到着したら事故で操作ができなかった、こういう話も聞いております。油回収船というのは海上保安庁に所属するものであると思いますが、もう少し能力の高い回収船を、例えば日本海、瀬戸内海、太平洋、こういった地域に一そうずつ、少なくとも全国で三そうぐらいは配置するというようなことはできないんでしょうか。
  37. 大森寿明

    政府委員(大森寿明君) 御指摘のように、ナホトカ号の事故が一月に起きたわけでございますけれども、海上保安庁はその事故への対応等を踏まえまして、現在、鋭意いろんな面の検討をしているところでございます。  まず、油の防除体制がどのようになっているのかということの反省とか、関係機関がどのような活動をしたのかというような活動の反省でございますね。そういったことを踏まえまして、今後、外洋における大規模あるいは広域な事故が起きたときにどのように即応すべきか、即応体制はいかにあるべきかというのを一つ議論をしております。  それから二つ目として、そのような場合に対応可能な防除資機材はどんなものがあるのか、どのように強化すべきかというような議論をしているところでございます。これはもちろん海上保安庁だけではできませんので、関係省庁で構成しております。プロジェクトチームで検討し、さらに運輸大臣の諮問機関でございます運輸技術審議会というのがありますが、ここの総合検討委員会というもので関係業界あるいは関係団体、学識経験者という方々に集まっていただきまして議論を重ねているわけでございまして、総合的に検討を今現在進めているところでございます。  御指摘のように、油回収船、外洋で使えるのは日本で一隻しかなくて、これは運輸省の港湾局に所属している船でございますけれども、今回の韓国籍の船のときにも先ほど申しましたように出動したわけでございますが、こういった船をどのように整備すべきかというのも検討しているところでございまして、御指摘のように北部九州地域にも配備すべきかどうかといったようなことについても検討をしていきたいというふうに考えているところでございます。
  38. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 今回の事故もそうでありますが、日本海の重油流出事故もそうであります。いずれも外国船籍によるタンカーの重油流出事故であります。ナホトカ号がロシアであり、今回の対馬沖重油流出事故韓国のタンカーであります。ということは、対馬沖、日本海に多数の外国籍によるタンカーが航行をしておる、これは日常のことであります。  となりますと、こういった古い外国船籍のタンカーによる事故が今後とも起こる可能性がある。ということは、国際的な問題でありますのでやはり外務省としてもきちんとした、例えば被害補償について原因者負担をきちっとどういうふうに取り決めるのか、そういう国際協約を含めて外務省として対応をしていただきたいと思いますが、外務大臣、いかがですか。
  39. 池田行彦

    ○国務大臣(池田行彦君) 委員指摘事項の重要性、外務省としても十分認識しておりまして、既にそういった面での努力もしております。  例えば国際海事機関、IMOというのがございますが、その会合におきまして関係する条約の一層徹底した実施を求めていくとか、それから今具体的にお話のございました老朽船につきまして、寄港国、その国にある港へ寄った場合にその港のある国による監督を強化する、こういったことについてそういった仕組みをつくっていこうじゃないかということを本年になりまして呼びかけております。  それからまた、国連環境計画のもとに北西太平洋地域海行動計画というのが一九九四年からできております。これは我が国とロシア、中国、韓国が中心となって策定したものでございまして、日本海と黄海を対象とするわけでございますが、そこでこういった海洋汚染防止対策についていろいろ話し合おうということで、本年の七月に我が国でこういった関係諸国の会合を催しまして、再発防止だとか事故発生時の対応について意見交換をしようということにしております。  また、先ほどちょっと申しましたが、寄港国による監督をより効果的に実施するための協力関係につきましては、これもアジア太平洋諸国十五カ国の間で一応そういった協力関係もできております、覚書に基づくものでございますが。そういったものがより効果的に作用するように今後とも努力をしてまいりたいと思います。  また、もとより二国間でもいろんな努力をしてまいらなくちゃいけません。例えばナホトカ号の関係で申しますと、油の流出事故等に関する条約が何本かございますが、ロシアはそのうちの一部には加入していない。そのために、補償なんかにつきましても若干問題があり得るというようなこともございましたので、今回の事故にはもう間に合いませんけれども、一日も早く関係する条約すべてに加盟するように二国間の話し合いにおきましてもロシアに慫慂したところでございます。  今後とも、いろいろな角度から、このような事故の起きないように、また不幸にして起きた場合にその万全の対策が講ぜられるように、外務省としても努力してまいりたいと思います。
  40. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 一応、対馬の重油流出事故については、現在のところはおおむね回収をされたというように伺っておりますが、漁業被害がかなり甚大であります。例えば、上対馬町周辺の沿岸のヒジキ、テングサ、こういった海藻類がほとんど全滅をしたというように聞いております。こういった被害に対する補償はどういうふうになっているのか、運輸大臣、いかがですか。
  41. 古賀誠

    ○国務大臣(古賀誠君) まず初めに、今回の事故に当たりましては、ナホトカ号の教訓を生かして、即応体制を初めといたしまして対応に万全を尽くしてまいりましたけれども、先生御承知のとおり、残念ながら重油の一部が沿岸に漂着をするという事態に至ったことは大変遺憾に思っております。  同時に、先生も直後に現地に赴いていただきまして、大変適切な御指導と御支援をいただいております。海上保安庁を初め関係機関はもとよりでございますけれども、漂着いたしました沿岸の地方自治体、そして住民の方々、漁民の方々、大変御苦労いただきましたことに心からお礼を申し上げたいと思っております。  また、被害者の方々に対してお見舞いを申し上げますと同時に、ただいま先生質問いただいております油濁損害の補償につきましてでございますが、これは御承知のとおり、油濁関係条約及び国内法に基づき、民事上の手続によりまして、船舶所有者に故意または過失がない場合には最大約二百三十億円の船舶所有者からの賠償及び国際油濁補償基金からの補償がなされ得るものでございます。
  42. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 十分な補償をやるよう努力をしていただきたいと思います。  次に、昨日もいろいろ質疑がございましたが、諌早湾干拓事業につきまして伺います。  諌早湾の干拓事業は先月締め切り工事が行われました。着々とその事業が実施をされているところでありますが、全国的に環境問題に関心を寄せる団体からこれに対する反対というんでしょうか、事業の停止を求める声が相次いでいるのも事実ではあります。  しかし、これは農水省としてきちんとした基本計画に従って事業を実施したわけでありますので、これの事業効果がさっぱりないとか、私は農水省としても計画立案の上からもそういうことはあり得ないというように思うんですが、この諌早湾干拓工事のこれまでの経過と今後の見通しについて、農水政務次官から御答弁を願います。
  43. 服部三男雄

    政府委員服部三男雄君) お答え申し上げます。  諌早湾干拓事業につきまして、先生指摘のとおりいろんな報道がなされておりまして、長崎県選出の松谷先生にもいろいろ御心配をいただいておるところでございまして恐縮いたしますが、県選出の先生の御質問でございますから、農水省といたしましても慎重かつ積極的な答弁を申し上げなきゃいかぬなと思っておるところでございます。  また、やや偏向した報道もなきにしもあらずでございますので、この事業の目的とか必要性、今後の見通しについて、私どもに答弁の機会を与えていただきましたことにつきましても感謝申し上げたいと思っております。  事業の目的でございますが、まず第一に、平たんな生産性の高い農地をつくるということでございます。それと同時に、これは地元から非常に強い要望がございますけれども、防災機能の強化でございます。第三点は、環境の問題でございますが、これはもちろん、こういう御時世でございまして、農水省といたしましても慎重な、かつ十分な配慮をいたしております。特に、ムツゴロウのことはよくテレビ等で報道されておりますけれども、この点についても十分配慮したいと思いまして、引き続き農水省としまして、今、二千三百億の総予算でございますので、地元の長崎県等一体となって着実にこの事業を推進、邁進してまいりたいと思っております。  松谷先生の御質問でございますので、もう少し詳しく申し上げたいと思います。  御案内のとおり、昭和六十一年から本事業を実施しておりまして平成十二年を目途に完了予定でございます。先ほど申しましたように、まず地形から考えましてこの地域は平たんな農地が非常に乏しいということでございますから、かんがい用水が確保された生産性の高い農地を平たんな部分でつくらなきゃいかぬということがまず第一の事業目的でございます。  そして、そのつくりました農地をどういう方に御利用いただくかといいますと、野菜作経営、目標五百戸でございます、それから国用牛肥育経営に約四十戸、それから酪農経営にも同様約四十戸をめどとしております。もちろん、こういう希望者、五百戸、四十戸、四十戸につきましては希望者ももう出ております。こういうふうにやりますと、長崎県における平均的な所得目標を確保できるであろうと思っておりますし、入植、増反希望者の見通しについても十分確認済みでございまして、この事業が実施されれば有効利用を図ってもらえるものと考えております。  三点目でございますが、先ほど申しましたように防災機能でございますけれども、地図を見ていただければおわかりいただけると思いますが、潮受けの堤防を七メーターの高さでっくります。そして、諌早湾の中にそれを約七キロの延長でつくります。現在実施しております中央干拓地との間に千七百十ヘクタールの調整池をつくりまして、この二つの施工によりまして、伊勢湾台風級の超大型台風が来てもその高潮を十分防止し得る設備になっておりますし、大水害が出ましても流入を阻止することができると思っております。過去の大きな高潮とか洪水でありますが、大体今回のこの計画では五百年に一度の大水害が来ても大丈夫なように、床上浸水家屋が出ないように計算してつくっておるわけでございます。  こういった計画でございますので、これまでの水害等の被害に遭っておりました地元からは強い要望が出ております。また、災害防止と同時に漁場の確保という観点もございますので、これまでも相当長期間時間をかけまして県議会、地元市町村長さんとの議論も行いまして、結論としましては、地元関係者の総意ということでこの事業計画が決まったものであるということを強調しておきたいと思っております。特に今回、先月でございますが、地元五市町村長さんから私ども農水大臣に対しまして、この事業につきまして感謝状までいただいておるという事実も強調しておきたいと思っております。  それから、先ほど松谷先生から御質問のありました環境アセスの問題でございますが、これは毎年モニタリングも実施しておりますし、十分環境に配慮した施工方法をとっておるところでございまして、御安心を願いたいなと思っておるところでございます。  それから、テレビでよく報道されるのはムツゴロウでございますけれども、テレビのやや偏向した報道によりますと、本事業を施行しますとムツゴロウが何かいなくなるんじゃないかというような趣旨の報道があるようでございますが、これはちょっと事実と違うと私どもは思っております。この諌早湾のあります有明海でございますが、そこの干潟は約二万七百ヘクタールもございます。本事業によって消滅する干潟はそのうちのわずか七%でございまして、しかも干潟というのは土砂の流入でございますから、年々増大するところでございまして、そういう御心配はない。その他の生物につきましても、そういう絶滅のないように十分配慮してやっているということを申し上げまして、答弁とさせていただきます。
  44. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 これは昭和六十一年に着工されたんですね。現在平成九年、かなりの年月がたっているんですが、農業政策上、昭和六十一年に必要であった干拓事業というものが現在でもその価値を失っていないのか。例えば昨日の質疑の中で、もうこの干拓事業については必要でないということを県の某幹部が言ったということもあるというような質疑がありました。私はそういうことはないと思いますが、農水省において農業政策上いささかの価値も少なくなるということはないということが言えるのか。今後とも非常に重要であると、その点についていかがですか。(「米余っているんだよ、営農計画は」と呼ぶ者あり)
  45. 服部三男雄

    政府委員服部三男雄君) お答え申し上げます。  この事業につきましては、地元と密接な協議をしておりまして、先ほど詳しく申し上げましたように、野菜作経営五百戸、肉用牛肥育経営四十戸、酪農経営四十戸というふうな計画は既に確定しておりまして、この要望は地元からも引き続き出ております。先ほど来無責任なやじが出ておりますが、米とは関係ございませんで、その点も十分地元と打ち合わせの上で間違いないということで事業を進めていることを改めて申し上げます。
  46. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 いささかもその価値は減っていないと、こういうことでありますね。  これは平成十二年の完成を目指しているわけでありますが、事業費としてどの程度さらに必要であるのか。
  47. 服部三男雄

    政府委員服部三男雄君) 総事業費は昭和六十一年から平成十二年までで二千三百七十億を予定しております。
  48. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 当初計画千三百五十億に対してかなりの増額になっているわけでありますが、これの価値が極めて重要であるならば、それは私はやむを得ないことであるというように思います。かつ、ただいま政務次官からの答弁もあったように、この計画は米の増産計画ではないわけであります。畜産であるとか畑作であるとか、そういうことに関連する事業であります。そういう意味で、周辺農家の十分な理解を得た上できちっとした対応をしていただきたいと思うわけであります。  なお、譲渡する農地の価格が周辺の農地に比べて若干高いんじゃないかということも言われておりますが、その点はいかがですか。
  49. 山本徹

    政府委員(山本徹君) 現段階での試算でございますけれども、十アール当たり約百十万程度で配分することを予定しておりまして、この価格水準は諌早周辺地域の農地の価格と大体同水準であると考えております。
  50. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 また、この諌早湾干拓事業は防災機能の強化もあわせて行うということになっております。建設省の担当局長が参っていると思いますが、これについて、防災上の価値はどのようなものであるか。
  51. 尾田栄章

    政府委員(尾田栄章君) ただいま先生お尋ねの諌早湾の干拓事業の防災機能がどうか、こういうお尋ねでございますが、この事業そのものの防災効果という点につきましては、私ども建設省として判断する立場にはないと存じておりますが、この潮受け堤防が実施されることによりまして本明川への影響がどうかという点について検討をいたしたところでございます。  先ほど服部政務次官の方から御説明ございましたとおり、潮受け堤防をつくって、湾内と申しますか干拓をするところの水位をマイナスーメートルに保持するということでございますので、洪水流下上問題はない、支障はないという点は確認をいたしておるところでございます。  そして、本明川そのものへの治水上の影響ということについて申しますと、本明川の高潮区間につきまして、潮受け堤防が実施されることによりまして高潮対策としての効果が結果的に得られるというふうに考えておるところでございます。
  52. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 この問題については今後また伺いたいと思います。時間がございませんので、諌早湾干拓事業についての最後質問でありますが、ムツゴロウの問題を初め、まるで有明海全般の干潟がなくなるような報道がされておりますが、実際には有明湾全体の干潟の中でわずか七%の地域であるわけです。ただ、環境について重大な問題が生じているのかどうか、環境庁長官いかがでございますか。
  53. 石井道子

    ○国務大臣(石井道子君) このたびの諌早湾干拓事業につきましては、その実施に当たりましては、あらかじめ環境影響評価が行われているところでございます。環境庁といたしましては、昭和六十三年と、また平成四年に調整池内の水質保全、また新たな鳥類の生息環境となるヨシ湿原の維持、また干潟の再生促進対策などの推進について、またモニタリング等について意見を述べてきたところでございます。さらに、ことしになりまして三月には現在の環境保全対策の進捗状況等について調査も行いまして、その結果を踏まえて農林水産省及び長崎県に対しまして水質汚濁負荷削減対策を推進して、環境モニタリングを行い、それを踏まえた適切な対策を実施されるように一層の配慮をされるように要請したところでございます。  環境庁といたしましては、このような環境庁からの意見も踏まえて、事業者及び地元地方自治体、公共団体が適切な環境保全対策を行うものと理解しているところでございます。
  54. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 今環境庁長官からお話しございましたように、地元関係公共団体を含めて適切な環境上の配慮をしながらこの事業を行っていく。それについては私どもも希望をいたします。また、これは農水省としてはそれこそ長期にわたった事業でありますし、畑作事業、畜産事業、そういうものに非常に価値のある事業であると私どもは考えておりますし、長崎県は平地の非常に少ないところでありますから、そういう意味で有用な事業であるという認識でございます。  そういう意味で、いろいろな問題は、それはそれなりにクリアをしながら、積極的にこの事業の推進をやっていただきたいと思うわけでありますが、最後に決意の表明をお願いいたします。
  55. 服部三男雄

    政府委員服部三男雄君) 委員指摘のとおりでございまして、二千三百億の大事業でございます。ただ、環境問題等については環境庁等とあるいは地元とよく密接な打ち合わせをし、慎重な配慮を行いますけれども、事業の目的、必要性につきましては、私どもはいささかも揺るぎない自信を持っておりますので、事業に邁進してまいりたいと思っております。
  56. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 時間がなくなりました。  最後に、昨日総理にも伺ったのでありますが、日米首脳会談におきましてクリントン大統領より橋本総理に、財政構造改革のテンポの速い改革実現というものは日米間の貿易収支のより一層の黒字の拡大につながる危険性がある、これについては十分配慮をしてやっていただきたいと、こういうような親書が総理の方に渡され、それについての話し合いが行われたというように聞いております。総理はこれについて十分な反論をされたというように伺っておりますが、この点について大蔵大臣の御所見を伺いたい。
  57. 三塚博

    ○国務大臣(三塚博君) 昨日、橋本首相からトップ会談の概要、ポイントについて申されました。そのとおりであります。そして、ルービン財務長官と私との会談におきましては、詳細に根拠などについてのやりとりをしながら、特に私から申し上げましたことは、財政構造改革はG7の他の六先進国においては既に二年前、三年前というような時点で全力を尽くしておるところであり、我が国は一歩おくれた形ではありますが本件に着手をいたしたところと、こういうことでその内容についてお話をいたしました。  ポイントは、黒字増加の原因になるのではないかという懸念が会談の根底にありました。これに対しては、規制緩和、経済構造の改革、あわせて健全財政の諸方策を講ずることによりまして、インフレなき民需による内需振興が行われておりますから御懸念なくと、こう申し上げさせていただいたところであります。
  58. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 公共事業を一割削減しようとか、それから五カ年計画を若干延長しようとか、そういうような話が出ております。アメリカの要求に従うという意味ではありませんが、やはり我が国の景気振興のためには内需の振興が一番重要だと思うんです。そのためには、景気対策としての公共事業というものは極めて重要であると私は思います。財政構造改革という、改革改革の熱に浮かれて公共事業をどんどん削減していくと、ひいては結局は景気が落ち込んでしまう、これは政策としては非常に問題であるというように思います。  ただ、公共事業につきましても、いろいろ効率のいいものと効率の悪いものがあります。例えば、大都市ないしはその周辺については土地価格が非常に高いわけですから、その点については若干これを緩やかにして、国土の均衡ある発展のもとに、地方にできるだけ公共事業の配分を行っていくというようなことによって全体としての内需振興、景気対策に処していただきたいというように思うわけですが、その場合、一番重要なのは道路であります。  きょう、道路局長来ておりますか。道路につきましても、地方を重点に道路事業費の配分を行っていただくよう要望いたしたいと思いますが、いかがですか。
  59. 佐藤信彦

    政府委員佐藤信彦君) 道路につきましては、国民生活を支えまして経済社会活動を支えます最も基本的な施設でございますが、その整備につきましては依然としてまだおくれた状態でございまして、都市部のみならず地方部あわせて整備が急がれているところでございます。  例えば、高規格幹線道路網の整備につきましては、三大都市圏におきまして供用割合が五五%、これに対してそれ以外の地方部につきましては四七%に達したという状況もございますが、一方、大都市圏におきましては、環状道路等の整備のおくれによりまして著しい渋滞が発生しているという状況でございます。  したがいまして、国民の道路整備に対するニーズは非常に大きなものがございますので、これにこたえていくために今後とも一層道路整備の推進を図っていきたいというふうに考えているところでございます。
  60. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 以上で終わります。
  61. 松村龍二

    ○松村龍二君 自由民主党の松村でございます。  まず、大蔵大臣にお伺いいたします。  現在の我が国の財政構造が大変に危機的な状況であるということは繰り返し報道され、また国民の認識も高まってきておると思います。国の公債の累積が二百五十四兆、また地方の債務と合わせた公的債務残高が平成九年度末で四百七十六兆円と、対GDP比で約九〇%を超えると見込まれるわけでございます。このまま推移すれば、我が国の財政の適切な構造改革が行われないで老齢化社会の中で推移すれば、我が国の経済、国民生活は破綻する危機にあるという状況であるわけでございます。  このような状況の中で、多角的にまた鋭く切り込んで、来年の概算要求の前にしっかりした方針を持って来年度の予算について財政の構造を改革しようということは大変に重要なことであるということを認識するわけでございます。  しかし、私は、昨年十二月二十六日に行われました決算委員会で大蔵大臣に、ちょうど予算編成を終わられた翌日でございましたが、予算編成の御苦労を多といたしながら、最後に、「多額の公債というのは、超インフレによって解消するとか、あるいは先ほどの戦争によって公債発行していたものが紙切れになってしまうとか、そういう方法でなければ、やはり財政の切り込みを効果的にしませんと財政の硬直化を招く、財政構造改革が伴いませんと国民の経済をただただ冷やしていくということにもなろうかと思う」ということで、大蔵大臣の力量を十分発揮していただきたいということをお願い申し上げたところでございます。  そのような観点から、ただいま松谷議員から公共事業についてお話がございましたけれども、私の地元、北陸の福井県にありましては、米どころでございまして、農業の粗生産出荷額の七五%が米づくりである。ウルグアイ・ラウンドの後、新食糧法の施行、また厳しい生産調整に集落営農等の形をもって今鋭意取り組んでいるところでございます。  報道等によりまして、このような問題に切り込みがあるという報道はございませんけれども、地元の農業者からいたしますと、主要食糧関係費を削減するような事態になれば、食糧法のもとでの米の需給調整、流通に重大な支障を招くことになる、農民の意欲を奪いかねないという大変な懸念を持っているわけでございます。そして、ウルグアイ・ラウンドは受け入れとともにUR対策費がつくられたという約束であるという観点から、内容の見直しはともかくといたしまして一我が国の食糧自給率は四二%に落ち込んでいる今日、この財政構造改革がどのように推移するかを大変懸念を持って見ているところでございます。  ただいま松谷議員からの御質問がございましたように、日米首脳会談あるいはG7において日本の内需を継続して刺激するようにという話があったようでございますけれども、この辺の私の懸念と、また日米の、あるいは諸外国との約束と財政再建の関係についてお聞かせいただきたいと思います。
  62. 三塚博

    ○国務大臣(三塚博君) ただいま段々のお話を松村議員からちょうだいをいたしました。  御案内のとおり、まさに橋本内閣は腹を据えて、政治生命すべてをかけて財政構造改革以下六改革の実現に取り組まねばならない、こういう観点で与党三党、すなわち党代表、幹事長、そして政策審議会長、そして財政担当の閣僚と参加をさせていただきながら、全体会議を経て企画委員会と称するところで構造改革をどう進めるかということについてただいま集中して論議を進めておるところでございます。六月上旬にはその基本的な数値目標を明示しながら取り組んでまいるという基本方針も決定をいたしているところでございます。  本構造改革会議をスタートさせるに当たりまして、総理から財政構造改革五原則というのを出されましたことは御案内のとおりでございます。簡単に言いますと、聖域なきマイナスシーリングの概算要求基準を決定することというのが基本であります。そしてもう一つ基本は、フローの財政収支、これがGDP三%以下というところに抑え込まなければならない。なぜ三%なのかということになりますと、経済成長率の平均値が三%であろう、ですからそれを超える四%でありますとか四・五ということでありますと赤字が累積をしていくのであろう、こういうことで三%以下にすることが大事と。ヨーロッパ、EUの統一通貨協定、マーストリヒト条約と言っておりますが、これに参加をする資格は財政収支三%以下、ストック面におけるものについては六〇%以下、こういうことであるわけですが、この基準に比較をいたしますと、先進国中、我が国はまことに残念ながら危機的状況にある、こう言われるところでございます。  全力を尽くしてこれの実現に当たりませんと、政治生命をかけた、いや、与党三党のまなじりを決した決意なものでございますから、この基本はしっかりと踏まえて取り組むこと。それは一言で言いますと、後世にツケ回しをしないということであります。御指摘のように、五百二十四兆というGDPをはるかに超える総額の負債を抱えておるということでございますから、想像するだに肌身にアワ立つ思いであると思うのであります。  そういう中において、私どもはやはりこの三カ年、集中期間と言っておりますが、全力を尽くしてその筋道を明示していかなければならないわけでございまして、そして効果ある財政再建方途を国家予算の中でつくり上げていかなければならない、こういうところに参りました。  そういう中で、各項目、聖域なきでございますから、防衛にしろ文教にしろ、それから公共事業にしろ農業予算にしろ、十三項目、補助金まで最終的に入るわけでございますが、本件について、ただいま党が中心となり私どもも参加をしながら、議院内閣制における政党政治の政治仕組みでございますから、そこでフリーな論議を今いたしておるところであります。  政治は国家の安泰と国民生活の安定、それと中央、地方の格差をなくしていくという幾つかの目標がありますことは承知をいたしております。社会保障、医療関係、ただいま深刻な論議が闘わされておるわけでございまして、こういう点を考えながら限られた財源の中でどう取り組んでいくかは、それぞれ省庁の政策遂行の基本でもあろうと思いますが、ここまで参りますと、政府と党が一体となりまして、大目的を達成する中で政策のプライオリティーを明確に示す、こういうところに来ておると、こう思っております。
  63. 松村龍二

    ○松村龍二君 鋭意、財政構造改革に取り組まれることには心から応援をしたいと思いますけれども、小さな船は急回転がききますけれども、大きな航空母艦は急旋回ということができませんので、十分に御配慮をいただきたいというふうに思います。  次に、時間もありませんけれども、外務大臣に一言お伺いしたいと思います。  このたび、昨年の十二月に発生いたしまして解決まで四カ月を要したペルーの日本大使公邸におきますテロ事件が解決を見たということは、本当に関係各位の御尽力、また外務大臣におかれましても事件発生と同時にペルーにまず参りまして、事件解決直後直ちにまたペルーへ参りまして、その実態についてもっぶさに見てこられているわけでございます。  今後とも在外公館の警備体制等につきまして慎重な御検討の上対策がなされるかと思いますけれども、ちょうどこのような時点におきまして、大臣が在外公館の警備強化あるいは在留邦人の保護につきましてどのような御感想をお持ちであるか、お聞かせいただきたいと思います。
  64. 池田行彦

    ○国務大臣(池田行彦君) まず、今回の事件解決に当たりまして、とうとい犠牲になられました救出部隊のお二人の方、そしてまた人質の中でただ一人犠牲になられた最高裁の判事の方に心から弔意を表させていただきたいと思います。  他方、全体として見ますと、人質のうち七十一名の方が、一部におけがはありましたけれども、無事に救出されまして、またテロに屈することなく救出作戦がこのように成功を見たということは私どももまことによかったなと、安堵と申しましょうか、喜んでいるところでございます。  そういったことを踏まえまして、先般ペルーに参りましてフジモリ大統領にお会いいたしましたときに、こういった見事な救出作戦を敢行され成功されたことについて日本としても大変感謝しているという謝意を表しまして、またその際、本院並びに衆議院におきまして決議がなされましたその決議も大統領にも紹介したところでございます。  また同時に、このような作戦が成功しましたのも、長い期間粘り強くその解決のために努力をしてこられた保証人委員会の方々、あるいは場合によって協力の用意があるよと言ってくれました関係国、また国際社会の連帯支持がやはり作戦の成功のベースといいましょうか、背景にもなったと思いますので、そちらに対しても謝意を表する次第でございます。  しかし、全体といたしまして、こういった事件が起きたこと自体は大変残念なことでございまして、外務省といたしましても、本来、外交の衝に当たるだけではなくて、邦人活動その他が安全にできるそのための備えをすべき外交施設で起きたということは大変遺憾に思っておりますし、また申しわけなくも思っておる次第でございます。  それだけに、今後再発しないように、またテロ対策に万全を期するためにあらゆる努力をしなくてはならないと思っておりまして、既にこれまで事件が解決します前にも一般的にできること、例えば公館の警備要員の充実を図るとか、あるいは施設、あるいはチェックのための設備等を充実するとか、そういったことはさせていただいているわけでございますが、今回事件が解決いたしましたので、省内に特別の調査委員会を設けまして今いろいろ事情の聴取を始めております。こちらに帰ってこられた方からも、また現地の対策本部においても、そういった調査を踏まえて、今回の事件の反省あるいは教訓というものを十分に踏まえて今後こういった事件が起こらないように、また万一起こった場合にも間違いない対応ができるように考えてまいりたい、こう思っている次第でございます。  いずれにいたしましても、今回の事件の解決に至るまでに、我が国国民の皆様方にも大変御心配をおかけいたしましたし、また終始御支援をちょうだいしたことにも謝意を表し、将来を厳に戒めて万全を期してまいりたいと考える次第でございます。
  65. 松村龍二

    ○松村龍二君 あしたが五月三日で、昭和二十二年に日本国憲法が施行されまして、会計検査院法も昭和二十二年五月三日に施行されて、ちょうど会計検査院が創立されて五十年がたっということになるわけでございます。  先ほど来お話が各議員からも出ておりますように、大変な公的債務残高を持つような現状になっておるわけでございまして、このような状況を前に、国の財政監督機関であります会計検査院に対しまして財政再建や行財政の構造改革を進める観点からその役割に対する期待が高まっております。また一方、会計検査院はこれまで十分な機能、役割を果たしてきただろうか、財政破綻を目前にして日本の会計検査院は無力ではないかという厳しい批判が国民にあるのも事実であります。  そこで伺いますが、最近の会計検査を取り巻く状況を会計検査院自身がどのように認識しておられるのでしょうか。また、マスコミの批判や国会等の議論の中には会計検査あるいは検査院に対する過度な期待に基づくものもあるかと思いますが、会計検査をめぐる最近の批判の状況をどのように認識しておられるか、お伺いをします。  時間も制約がございますのであわせて伺いますが、会計検査院法の第二章に権限が定められておりまして、会計検査院の基本的性格、職責は国の会計検査であり、会計経理の監督であることを否定するものではありませんけれども、これにとどまっていたのでは現在の複雑かつ多様な財政に対する指導監督機関としては十分な役割を果たすことはできないのではないでしょうか。いわゆる重箱の隅をつつくような検査では現代の要請にマッチできないのではないかと思いますが、会計検査院の認識はいかがでございますか。
  66. 疋田周朗

    会計検査院長(疋田周朗君) ただいまは、私どもの活動基本となっております現行の会計検査院法が明日で施行五十周年を迎えることにつきまして言及いただきまして、まことにありがとうございました。  御質問にお答えいたします。  委員指摘のように、近年、極めて厳しい財政事情のもと、行政改革や財政構造改革が強く求められているわけでございますが、会計検査院に対する期待もこれとともに高まってきているというように私どもも受けとめております。その反面、会計検査院が機能、役割を十分果たしていないのではないか、こういう批判があることも承知しているところでございます。  会計検査院といたしましては、国民の期待にこたえるべく、社会経済情勢の変化に対応いたしまして鋭意検査に取り組んできたわけでございますけれども、今日なおこのような批判があるということにつきましては、私どもといたしましてもこれを謙虚に受けとめ、今後一層効率的な行財政の執行に寄与する検査の実施に努めまして各方面の期待にこたえていかなければならないと決意を新たにしているところでございます。  なお、このような批判がございますのは、一つには私どものPRが従来必ずしも十分でなく、検査活動に対する理解が十分得られていないということにも原因の一端があると考えられますので、今後適切かつ有効な広報活動に努めていきたいと考えております。  それから、御質問の第二のいわゆる重箱の隅云々の件でございますけれども、会計検査院の基本的な性格、職責につきましては、御質問のとおり、会計を検査し会計経理を監督するということにあるわけでございますが、その中で会計検査院といたしましては、会計経理が法令等に従って適正に処理されているかという合規性の観点にとどまらず、事務、事業が効率的に行われているかという経済性、効率性の観点、さらには事業全体が所期の目的を達成し効果を上げているか、こういう有効性の観点からも検査を行っているところでございます。  これにつきまして、昨今、有効性の観点から事業全体の業績を評価する検査が不十分といった批判があることは承知いたしておりまして、したがいまして、会計検査院といたしましては、特に有効性の検査を重視して取り組んできているところでございまして、これまでも例えば多目的ダムあるいは国営干拓など、公共事業の投資効果の問題あるいは公団、事業団等の運営上の問題などを取り上げまして改善を促したり問題を提起したりしているところでございます。  いわゆる業績評価と申しますか、とりわけ有効性の観点からの評価につきましては、先進諸国の会計検査院におきましても非常に重要な課題の一つと位置づけて鋭意取り組んでいるところでございますので、相互に情報交換するなどいたしまして、より充実した検査の実施に努めていきたいと考えております。
  67. 松村龍二

    ○松村龍二君 戦後五十年たちまして、ただいまのように有効性、効率性その他について意を払うようになったということでございます。  そこで、お伺いしますけれども、会計検査院長、また内閣官房長官にお伺いするわけですが、「法令、制度又は行政に関し改善を必要とする事項があると認めるときは、主務官庁その他の責任者に意見を表示し又は改善の処置を要求することができる。」という院法三十六条、その前の三十四条の規定をもっと積極的に活用すべきではないだろうか。  会計検査院法の「権限」の中の「雑則」というところに三十六条、三十四条というのが規定されておる。ちょっと法律の中で位置づけが軽いんではないか。それから、会計検査院法二十九条には検査報告に必ず掲記しなければならない事項が列記されておりますが、これは不当事項とか三十四条、三十六条による意見表示、処置要求などであります。  そのほかに、やはり時代の流れ、必要に応じまして当局において改善の処置を講じた事項、処置済み事項とか、特に掲記を要する事項、特記事項、あるいは国民への情報提供として重要な役割を果たしている特定検査状況を掲載する根拠としては、会計検査院法には直接の定めがないわけです。  それから、過去、ODAに対する検査のあり方、すなわち会計検査の国際化の問題とか、ひ孫出資団体や行政補完的な機能を果たしている公益法人に対する検査の問題とか、さまざまな問題が山積しているわけでございます。施行後五十年、会計検査院法自体を見直すという必要に迫られているのではないか。  それから、昨日、中島委員からお話が出まして、また野沢委員長から御質問のありました会計検査官の同意の衆議院の優越性の問題であるとか、あるいは国会の立場といたしまして、会計検査院法との関係におきまして、人事院では内閣、国会に報告するというような定めがあるのに、会計検査院法では国会に対してはそのような定めがないといった観点から、そろそろこのような観点で、戦後五十年たった時点で会計検査院法についても改正の見直しの必要があるんではないかということについて、会計検査院長内閣官房長官からお答えいただきたいと思います。
  68. 疋田周朗

    会計検査院長(疋田周朗君) お答えいたします。  会計検査院法は、現行の会計検査院法が先ほどお話がございましたように昭和二十二年の五月三日から施行されまして明日で満五十年を迎えるわけでございます。その間、私どもといたしましては、活動基本法であります会計検査院法に基づきましてできる限りの運用面で努力をいたしまして、国民の皆様の期待にこたえるべくいろいろな検査活動を積み上げてきたわけでございます。  確かに、委員指摘のように五十年間たっておりますので部分的に若干現在の実情にそぐわない面もございますけれども、当面は私どもといたしましては基本的な会計検査院法の枠組みの中で工夫を重ねながら鋭意職務に努力してまいりたい、このように考えております。当然のことではございますが、部内的にはいろいろな問題点について検討はいたしているところでございます。
  69. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) 本質的な問題については院長からお答えになったとおりでありますが、今考えられますことは、それぞれ、特に参議院が決算重視という姿勢を打ち出して、こうやって会期中に堂々と長時間をかけておやりになっている。これを見ますと、まさに会計検査院のあるべき姿と決算委員会、これを連動して考えるならば、内閣がとやかく申し上げるよりも、衆参両院において真摯な議論が取り交わされるならば、その有効性であるとか、あるいは時代に即応した検査のあり方、こういうものに対するチェックは私は十分にできるはずだと。その議論を踏まえて、これからのあり方をぜひ会計検査院としてお考えを願いたい、これが大事であります。  それから、昨日も御指摘をちょうだいした優越規定の見直し、この件に関しては、本院で総理から重く受けとめるという答弁がございましたし、私はその後、三月に下稲葉議運委員長から政府に対する申し入れ、恐らくこれは同様に衆議院に対してもなされたと思いますが、これを受けて、これからのもろもろの問題のいわば突破口にもなるべく衆議院の方にも御研さんを願い、今衆議院の国対のプロジェクトチームで幾つかの問題の検討を鋭意進めておるというふうにも聞いております。そういう成果を待って、総理の答えた重く受けとめるということを前向きに検討してまいりたい、このように考えます。
  70. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 午前の審査はこの程度とし、午後零時五十分まで休憩いたします。    午前十一時五十一分休憩      ―――――・―――――    午後零時五十三分開会
  71. 野沢太三

    委員長野沢太三君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成七年度決算外二件を議題とし、全般的質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  72. 山下栄一

    ○山下栄一君 平成会の山下でございます。  幾つか質問させていただきたいことがあるわけでございますけれども、限られた時間でございますので簡潔に質問させていただきたいと思うわけでございます。  ことしは環境の年と、このように言われるぐらい非常に大事な会議も国際的にもまた国内的にも控えておるわけでございます。夏には国連環境会議、また十二月には我が国で地球温暖化に関する京都会議が行われるわけでございまして、また先日の総理のアメリカにおける日米首脳会談の中でも、特にゴア副大統領との会談の中で、来年早々にNGO、また途上国の方々を東京に、我が国に来ていただいて、環境に関する協力体制をさらに図る意味のそういう会議を行いたい、こういう御提案を総理みずからされたわけでございまして、我が国の世界における環境に関する責任といいますか、ますます重くなってきておる、このように感じるわけでございます。  そこで、先日私、四月十六日の環境特別委員会におきまして、環境庁長官みずから理事長をされておりました飯能中央病院、昭和五十年から昨年大臣に就任されるまで二十一年間にわたり理事長に就任され、現在お嬢さんが理事長をされておられるわけでございますけれども、実質的なやはり私は責任ある立場であろう、こう思うわけでございますので、飯能市にございます飯能中央病院の問題につきまして、これはもう環境行政に取り組む大臣の根本にかかわることが含まれていると感じますもので、質問させていただきたいと思うわけでございます。  まず、アスベストの問題でございますけれども、これは四月十六日における私とのやりとりの中でも、非常に責任は感じるけれども素人的な立場だったので余り手を打てなかったと、こういう意味の御発言をしていただきました。  平成元年に大気汚染防止法の改正が行われまして、このアスベストが特定粉じんの中に入りまして法律の規制の対象になった、これが平成元年。その前年に、現長官は当時環境政務次官をされておったわけでございますけれども、大気保全局が全国の都道府県の環境部局にあてましてこのアスベスト問題に関する徹底事項を行っていた当時、この飯能中央病院はアスベストの除去工事をまだ行っておらなかったわけでございます。それで、やっと九年たった昨年工事が行われ、八月の終わりに完成した、こういうふうに聞いておるわけでございますが、まずお聞きしたいのは、このアスベストの工事は全部完了したのかどうか、このことを確認したいと思うわけでございます。大臣、お願いします。
  73. 石井道子

    ○国務大臣(石井道子君) アスベストの工事につきましては前回お答え申し上げたところでございますが、このことにつきましては平成五年と七年、八年にわたりまして順次工事を行ってまいったところでございます。一応工事が終了していると報告を受けております。
  74. 山下栄一

    ○山下栄一君 今、一応とおっしゃったわけでございますけれども、私が確認しておりますのは、ボイラー室やトイレ、洗濯室等、まだアスベストが除去されておらない、それも吹きつけアスベストである、このようにお聞きしておるわけでございますけれども、このことの確認はまだされておらないんでしょうか。まだ残っておるというふうに私は聞いておるわけでございます。  それと、アスベストの使用はアスベスト含有建材であったのか、それとも吹きつけアスベストが大半であったのか、そのことも含めて御答弁をお願いしたいと思います。
  75. 石井道子

    ○国務大臣(石井道子君) 吹きつけにつきましての工事は終了したと聞いております。
  76. 山下栄一

    ○山下栄一君 ということは、病院では吹きつけアスベストを基本的に使われておったということでよろしいんですか。吹きつけか含有アスベストかによってちょっと扱いが違いますもので、お聞きしたわけでございます。  それで、まだ完了しておらない、こういう御認識でしょうか、一部まだ残っておるという御認識でしょうか。
  77. 石井道子

    ○国務大臣(石井道子君) 残っていないと聞いております。
  78. 山下栄一

    ○山下栄一君 もう全部完了した、こういうことですね。わかりました。これは四月十六日にも私は四十五分間にわたって質問させていただいておりますので、よく調べていただいたと思いますので申し上げたわけでございます。  次に、医療監視による立入調査の問題でございますけれども、飯能中央病院、この医療監視というのは、病院、特に総合病院におかれましては年一回県の保健所による医療監視、医療監視員による立入検査が行われるわけでございます。飯能中央病院においては昨年十二月、立入検査があり、また翌月、ことしの一月二十八日に立入検査があり、そしてまた、異例中の異例だと思いますけれども、この四月十八日にも去年の十二月から数えますと三回目の医療立入検査、年度で申しますと平成八年度、十二月、一月と連続で行われ、四月から新しい年度ですから四月十八日にまた行われておるわけでございます。これはさまざまな通報とか告発等があって、また報道があってこの医療監視が行われ立入検査が行われたと、このように聞いておるわけでございます。  その中で、まず薬剤師さんの問題は先日も私が申し上げましたように、長官はみずから薬剤師でございますし、日本薬剤師連盟の元副会長という立場でもございますし、今も顧問をされておると思いますけれども、この飯能中央病院におきまして薬剤師さんが休日のとき、薬剤師の資格を持っておらない職員の方が調剤をしていた疑いがある、これについての医療監視がこの一月二十八日に行われておるわけでございますけれども、このことについての報告を厚生省からお願いしたいと思います。
  79. 谷修一

    政府委員(谷修一君) 本年一月二十八日に埼玉県が医療監視を行った際に、休日のローテーションといたしまして、薬剤師四名と薬局助手一名がローテーションを組んで休日勤務を行っていたとの報告を受けております。  埼玉県におきましては、休日の勤務体制について薬剤師のみでローテーションを組むように指導を行い、その後、二月二十一日付で医療機関の方から是正をした旨の報告を埼玉県が受けております。
  80. 山下栄一

    ○山下栄一君 今、御報告がございましたように、休日のローテーション体制は五名でやっていた、そのうち四人が資格者で一人が無資格者であったということであるわけでございますが、このローテーションというのはどういう形で行われ、そしていつからこの無資格の方が入っておられた体制が続いていたのか、これを御報告願いたいと思います。
  81. 谷修一

    政府委員(谷修一君) 埼玉県においては、いつからかということは確認しておりません。二カ月間の勤務表を見てそのように判断をしたというふうに報告を受けております。
  82. 山下栄一

    ○山下栄一君 いずれにしましても、資格を持っておられない方が薬剤の調剤をされていた可能性があるという認識でよろしいんですか。
  83. 谷修一

    政府委員(谷修一君) 埼玉県におきましては、そのローテーションを見てそのような指示を、指導をしたわけでございまして、実際の勤務状況については細かくは確認をしていないというふうに報告を受けております。
  84. 山下栄一

    ○山下栄一君 厚生省に対しまして県からこの報告が行われておるわけでございますが、お医者さんや看護婦さん、そして薬剤師、そういう医療従事者については、特に医療監視の中でももちろん衛生保持とか防災体制は大丈夫かとか、その他いろんな点検項目があると思うわけでございますけれども、特に医療にかかわる方々の中で人数が報告と違う、実態と違うとか、または無資格者が入っておる可能性があるということにつきましては非常に重大な問題であるというふうに認識しないと、医療監視制度の使命を果たせない、何のための医療監視制度なのか、私はこのように思うわけでございます。  ローテーションの中にしっかり組み込まれていた一人が薬剤師の資格を持っておられなかったということは特に重大な問題である、場合によれば薬剤師法十九条違反の疑いが出てくる、こういうふうに思うわけでございます。もし無資格者がいらっしゃった場合、薬剤師法違反になる。その違反は、どういう違反になり、どういう罰則があるのかということをお示し願いたいと思います。
  85. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) ただいまのお話は医療監視の個別の事案におきます具体的な案件でございます。仮定の話でございますので、申しわけございませんが、お答えは控えさせていただきます。
  86. 山下栄一

    ○山下栄一君 いやいや、一般論で聞いている。無資格の薬剤師が実際に調剤していたと、その場合はどの違反になり、どういう罰則があるかということをお聞きしているわけです。
  87. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 個別の医療監視事案に際しましてのお尋ねでございますので、大変誤解を招くおそれがございます。  重ねてのお尋ねでございますので、薬剤師法の規定について御報告いたしますならば、調剤できるのは薬剤師と医師ということでございます。その規定に違反した場合には罰則があるわけでございます。
  88. 山下栄一

    ○山下栄一君 罰則の中身を言ってください、罰則の中身。
  89. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 罰則についてのお尋ねでございます。  医師が違反した場合、それからそれ以外の者が違反した場合につきましてそれぞれ規定がございまして、医師が違反した場合には三万円以下の罰金、その他の方が違反した場合には三年以下の懲役または十万円以下の罰金または併科という規定でございます。
  90. 山下栄一

    ○山下栄一君 だから、刑事犯につながるということでしょう。それでよろしいでしょう。
  91. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 医療監視の趣旨は、いわば適正な医療行為が行われているかどうかで、行われていない場合に改善を指導させていただきまして適正な管理が行われていることを確認するということで、改善指導が主眼でございます。したがいまして、それ以外につきましての、その余の問題につきましてはお答えを控えさせていただきます。
  92. 山下栄一

    ○山下栄一君 薬剤師法第十九条、「薬剤師でない者は、販売又は授与の目的で調剤してはならない。」、第二十九条、「第十九条の規定に違反した者は、三年以下の懲役若しくは十万円以下の罰金に処し、」、要するに刑事犯になるということです、この違反した方が。そこにつながりかねない大変重大な疑いのある医療監視による指摘なわけです。したがって、全部資格のある方になりました、これだけで済まされない問題を抱えている大変重要な問題であるということを認識願いたい、このように思うわけです。長官、よろしいでしょうか。  無資格者の職員がローテーションの中に入って、休日の日に薬剤師の資格を持っていない方が調剤していた疑いが強いというそういう問題なんですよ、ローテーションに入っているわけやから。五人のうち四人が薬剤師の資格を持っているのに、一人持っていない人が入っていたんです。それが正規のローテーションの中で、今の報告では少なくとも二カ月間にわたってはローテーションで正規の調剤をしていたということなんです。これは大変大きな問題なんですよ。初めて聞かれましたか。
  93. 石井道子

    ○国務大臣(石井道子君) ただいま医療監視の結果につきましては政府委員から御答弁させていただいたところでございますが、今回、私はこの医療監視が行われました時点で理事長をやめております。そして、これは薬剤師の問題も含めまして医療の現場の問題でございまして、私といたしましては十分に関知できない、そういう立場であることを御了解いただきたいと思います。  それから、先ほど私の資格のことで薬剤師連盟の副会長というふうに御発言ございましたけれども、私は参議院議員になりましてから副会長をやめております。
  94. 山下栄一

    ○山下栄一君 以前そうであったということを申し上げておるわけです。
  95. 石井道子

    ○国務大臣(石井道子君) 議員になってからはやめておりますので、よろしくお願いいたします。
  96. 山下栄一

    ○山下栄一君 長官、四月十六日の質問の中で、二十一年間理事長をしていた、大臣になったのでお嬢さんに譲った、それで、私はいろいろほかにも指摘しました。その中で、今は外れたけれども非常に責任を感じております、そして委員から御指摘あったことについては現場の人によく聞きながら調査し、報告いたしますということを私聞いているわけですよ。だから、当時理事長じゃなかったからというようなそんな問題ではなくて、特に長官は薬剤師であるわけやからね。御主人が命がけで築いてこられた病院を受け継いだとこの前もおっしゃいました。そんな大事な問題なわけやから、特に薬剤師の問題について私は敏感でなきゃならないと思いますし、一日の調剤数につきましても違反があって、具体的な指摘も受け、それは長官はお認めになりました。一日の調剤数の八十をオーバーしているような調剤もしてきたという、たびたび指摘があったということも認められたわけでございます。この問題は前回の引き続きの問題でございます。  今度はもうちょっと重大な問題で、資格のない方が調剤していたというそういう問題なんですよ、これは。だから大変大事な重要な問題なわけでございます。全然お知りにならなかったんですか。もう一度お答えください。
  97. 石井道子

    ○国務大臣(石井道子君) その事実につきましては、私は全く報告を受けておりませんでしたので知りませんでした。
  98. 山下栄一

    ○山下栄一君 だから、資格を持った人に、今はもう資格を持っておられる方がいらっしゃるわけです、その体制にしたんですけれどもね。これは改めたらいいという問題ではなくて、資格を持っていない方が薬の調剤をしていたという大変な問題なんですよ。  厚生大臣、厚生省の所管のお仕事でございます医療監視。それで、今私申し上げましたように、お休みの日の薬剤の調剤の担当なんですけれども、五人で担当していた、そのうちの一人が無資格の人で正規のローテーションの中に入っていた、こういうことなわけです。そういう問題を医療監視員が入りましてことしの一月二十八日に指摘し、今はもう改善されているんですけれどもね。ということは、無資格の人が調剤していたということ、これはもう厚生省に報告が入っていることです、先ほど御報告があったわけですから。  これは余り大した問題じゃないんでしょうか。大臣、どうでしょうか。――いやいや、ちょっと待ってください。大臣にお願いします。さっきからもう何度もやりとりしているわけですから、お役人とは。
  99. 小泉純一郎

    ○国務大臣(小泉純一郎君) 一般的に申しまして、資格のある人がやるべきだと思います。
  100. 山下栄一

    ○山下栄一君 厚生大臣、資格を持っている人がやるのは当たり前だと思うんですよ。資格を持っていない方が正規のローテーションの中に入ってやっていたということを指摘されているわけです。だから正規の人にかわったんです。じゃ、それまでは責任はないのかとなってくると、資格を持ってない方が調剤していたという厳然たる事実があるわけです。  これはもう一般論で結構ですけれども、こんなことがあったらそれは大変な問題じゃないんでしょうか。薬事法、薬剤師法違反になるわけで、罰則になる、刑事犯になるわけですから。  大臣、もう一度お願いします。一般論で結構です。
  101. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 医療監視につきましては、国民医療を確保する上で適当な内容かどうかを改善指導することが主眼でありまして、逐一の法令違反の事実関係を確認するために行っておるものではございません。  本件につきましては、休日であっても薬剤師のみによるローテーションが組まれるように既に是正措置が講じられているところでございまして、現時点において適正な運営が確保されていると理解をいたしておりまして、改めて調査を実施する必要もないと考えております。
  102. 山下栄一

    ○山下栄一君 まるで関係ないことをおっしゃっている。現時点ではもう改善されたし、指摘を受けたから改善されたんですよ。だから、それまでは資格を持っていない方が調剤していたわけですから、これは重大な問題である、薬剤師法違反なわけです。薬剤師法というのは厚生省の所管になるわけやから、これはもう刑事犯にかかわる話ですから、こんないいかげんな答弁じゃ済まされないですよ。  大臣、どうですか、今のやりとりを聞かれて。
  103. 小泉純一郎

    ○国務大臣(小泉純一郎君) 適切な運営がなされるように厚生省としては指導していくべきだと思っております。
  104. 山下栄一

    ○山下栄一君 適切な指導をされたんですね。だから、その責任を聞いているわけですよ。無資格の方が調剤していたということが残るわけですから、薬剤師法違反につながる話ですからね。これは適切な指導をされた後の話。その前の話をしている、責任の話をしているわけです。  どうでしょうか、余り責任はないんでしょうか。
  105. 小泉純一郎

    ○国務大臣(小泉純一郎君) 指導した結果、適切な措置がなされたということを聞いております。
  106. 山下栄一

    ○山下栄一君 それまでの責任。質問できないよ、こんなんじゃ。
  107. 小泉純一郎

    ○国務大臣(小泉純一郎君) そういうことがあってはならないから、適切な指導をして改善されている、当然適切な運営がなされなきゃいかぬということを答弁しているわけであります。
  108. 山下栄一

    ○山下栄一君 これは刑事犯につながる問題であると私は思います。資格のない方が調剤しておれば薬剤師法違反になり、薬剤師法二十九条にあるように刑事犯になるわけですよ、その資格のない方が、その当事者が。そういう問題を抱えるわけです。  病院の実質的なオーナーであるわけですから、長官の責任も重たいのではないかと思うわけですけれども、過去の責任を問わなくてよろしいんですか。この飯能中央病院の問題を離れて、そういう問題が一般的にあったとして、資格のある方に改善されましたと、それで終わりでよろしいんですか。過去の責任はもう問われないんですか。
  109. 谷修一

    政府委員(谷修一君) 先ほど来申し上げておりますように、この医療監視につきましては、医療機関におきます構造設備、あるいは診療記録等の帳簿書類等を検査いたしまして、その結果に基づいて医療法が求める適正な運営が確保されるよう必要な指導を行うということを目的としております。  指導の結果、是正措置が講じられ、適正な運営が確保されるという場合には医療監視の所期の目的を果たしたということになりますので、悪質な場合を除きまして、法令違反に該当するかどうかの検討等、それ以上の措置をとることは通常行っておりません。
  110. 山下栄一

    ○山下栄一君 じゃ、病院の責任は余り問われない、こういうことでしょうか、大臣、今の質問のところで。
  111. 谷修一

    政府委員(谷修一君) 先ほどのローテーションの問題については、埼玉県がそのことについて指導をし、直ちに病院側が是正したということをもってこの件については現時点では終了したというふうに考えております。
  112. 山下栄一

    ○山下栄一君 じゃ、長官、この報告はされていなかったということですけれども、今のやりとりを聞いておられてわかりますように、厚生省はきちっと医療監視に入って、改善されたんですね。改善されたんですけれども、資格のない方が調剤していたという事実があったから変わったんですけれどもね。飯能中央病院はそういう無資格の方が薬の調剤をしていたということについて長官はどう思われますか。薬剤師の専門家ですからね、どう思われますか、二十一年間理事長されていた病院やから。
  113. 石井道子

    ○国務大臣(石井道子君) 今いろいろ御答弁があったところでございまして、薬剤師が当然やるべきでありますが、特例としては医師の指導のもとに行うことはよいというような例もあるわけでございます。  しかし、私の場合には現在理事長職をやめておりますので、その現場の実情については詳しく存じないのでございます。知らないのでございます。  休日にローテーションで無資格者が入っていたということで、その時点で調剤が行われたかどうかという実態については十分に知りません。しかし、それが改善をされたということでローテーションに入っていないということになっておりますので、その点は私はよかったというふうに思っております。  現在の時点では、理事長をやめた後のことでございますので、関知できない問題でございます。ぜひ御理解をいただきたいと思っております。
  114. 山下栄一

    ○山下栄一君 長官、理解できないよ、そんな。いや、あなた、この前の私への答弁のときにこうおっしゃったんですよ。今は離れているけれども、二十一年間理事長をやり、自分のお嬢さんが理事長を今やっているけれども、責任があるので調べて報告しますということを何点かおっしゃったんですね。今、突然そんな、全然関知していませんなんて、そんなこと許せないです、答弁として。  あなた、それで薬剤師の資格持っておられて、正規のローテーションの中に資格のない方が調剤をしていたという事実があるわけですから、これについて何にも感じないんですか。そんな方が命を預かる、また環境保護の最高の責任者なんて許せないよ、あなた。(「針小棒大に言うな」と呼ぶ者あり)何が針小棒大なんですか。患者はたまらないよ、患者は。
  115. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 質問をどなたに。
  116. 山下栄一

    ○山下栄一君 長官に求めているんです。だから、長官は責任をお感じになりませんかと言っているんです。全然感じないのか、ちょっとぐらい感じるのか、答えてください。関知しませんじゃだめだ。改善されたら終わりじゃないんだ。
  117. 石井道子

    ○国務大臣(石井道子君) 今までもいろいろ申し上げてきたわけでございますが、現在、私がそのような監督をし、いろいろと指導する立場ではなくなっておりますので、その点をぜひ御了解いただきたいと思っております。
  118. 山下栄一

    ○山下栄一君 許せないね。  次、ちょっと時間なくなってきましたけれども、医療廃棄物なんですけれども、注射針等です。これはもう医療監視の指摘でございます。厚生省の報告でございます。  院内の廊下、病院の廊下、これは患者さんが行き交う廊下です。そこに医療廃棄物、注射針を含めて、その院内の廊下に置かれたごみ入れ容器です。これは缶だったそうですけれども、お菓子の缶みたいなものです、底の深いドラム缶みたいなのじゃなくて。そこに注射針が置かれていた。そこは患者さんが行き交うところです。おまけに四階のナースセンターの横の隔離室、MRSA院内感染の患者がおるその向かいのところの廊下に缶があって、そこに注射針とかガーゼが入っていた、その横には既に使用されたおむつも置かれていたと、こういうことでございます。  これは衛生保持の病院の責任から考えまして、医療法第二十条ですか、完全に違反しておると、このように私は思うわけでございますけれども、厚生省のお考えをお聞きしたいと思います。
  119. 谷修一

    政府委員(谷修一君) 埼玉県からの報告によりますと、本年一月二十八日に県が医療監視を行いました際に、医療廃棄物を捨てる缶がふたをしないまま廊下に置かれていたということがございましたので、その場で指導を行い、改善がなされました。
  120. 山下栄一

    ○山下栄一君 これもさっき挙げたことと同じだけれども、改善されたらいいというものじゃないということですよ、だから。  血のついた注射針は、廃棄物処理法でも特別管理廃棄物になっておる、処理をきちっとしないと厳しい罰則がある、そういう医療廃棄物なわけです。それが患者さんが行き交う廊下の一角に浅い缶の中にガーゼと放置されていたという事実があるわけです、ふたもされていない。これについては、改善されたらいいということなんでしょうか。厚生省のお考えをお聞きしたいと思います。
  121. 谷修一

    政府委員(谷修一君) 先ほど申しましたような医療監視の目的から考えまして、しかもこの場合にはその場で直接指導をし、是正をされたということでございますので、これ以上の措置を講ずる必要はないというふうに判断しております。
  122. 山下栄一

    ○山下栄一君 もう大変な発言やね、今のは。命を守る厚生省が、今申し上げましたような医療廃棄物の扱いで、衆人が行き交う廊下に、普通の場合は、そういう医療廃棄物の場合は特定の部屋を設けて外部委託もされているわけです。飯能中央病院の場合は、医療廃棄物がそんなところに置かれておる。ふたもされていない。それを、ふたをするように改善しましただけで済まされる問題ですか。院内感染にかかわる大事な問題ですよ、これは。厚生省の認識はそんなのでよろしいんですか。  通っている子供が注射針をどこかへ持っていく可能性もある。院外に持っていく可能性もある。患者がそれを拾って持っていく可能性もある。改善したら済むという問題でしょうか。大臣、どうですか。
  123. 小泉純一郎

    ○国務大臣(小泉純一郎君) それは程度の問題もあると思います。それはいかぬ、注意をしたら直ちに改善したと。本来あってはならないことでありますけれども、それは程度の問題で判断される問題じゃないでしょうか。
  124. 山下栄一

    ○山下栄一君 これは一月二十八日のことでありますが、四月の時点でも同じようなことが起きているわけです。だから、すぐ改善されたか知らないけれども、日常的にそういうことがあるという病院の実態があるわけです。そんな、その日だけたまたまそこに注射針をちょっと置いたというふうな問題ではなくて、日常的にそういう状態があったということなわけですから問題を重視しているわけでございます。院内感染の疑いもかけられている病院なわけですから、これを改善指導した、それで終わりという認識で大臣はいいというお考えですか。
  125. 谷修一

    政府委員(谷修一君) 先ほど申しましたのは、一月二十八日の医療監視の際に、廊下に先生がおっしゃったようなことがあったということで、その場で指導をした。再度四月十八日に埼玉県が調査に入っておりますが、その際には既に改善をされていた。また、厚生省が求めておりますバイオハザードマークを使用した措置がとられていたというふうに報告を受けております。
  126. 山下栄一

    ○山下栄一君 だから、そんな改善されたらいいというふうな問題ではないことを私は申し上げておるわけです。  今度は長官にお聞きします。  一月二十八日の医療監視によって、今申し上げたような注射針が非常にいいかげんな状態で置かれておった。本来は、医療廃棄物というのはきちっと管理をし、そしてきちっと処理されなきゃならないのに、そういう状態で皆さんが行き交う、患者さんが行き交うところに置かれておった。それをもし、先ほど申し上げたように、子供さん、患者さんが拾って、血がついているわけですから、ふたもされていないわけですから、そんないいかげんな管理が二十一年間理事長をされていた病院であったということなんです。そのことについての責任を何も感じられませんか。
  127. 石井道子

    ○国務大臣(石井道子君) 医療廃棄物の問題につきましては、保管容器が廊下に置いてあったというような今お話がありました。その場で改善をされたわけでございまして、それ以後は処理室などの決まった場所に保管をするようにということが励行されているということの報告を受けております。  私といたしましては、今までもいろいろ申し上げてまいりましたが、それ以上のことは申し上げる立場にはないのでございまして、お許しをいただきたいと思います。
  128. 山下栄一

    ○山下栄一君 長官が理事長に御在任中はそういうふうな状況はなかったのか、それともそんなことは全然関知していなかったのか、どっちですか。  長官にお聞きしているんです、環境庁長官理事長在任中の話です、今申し上げているのは。医療廃棄物についてどのように保管されていたんですか。
  129. 石井道子

    ○国務大臣(石井道子君) 病院の運営の問題につきましては、医療の現場の問題というのは、管理者また医師、それぞれの立場の方にお任せをしてまいりました。ですから、私はそのようなことについては全く報告も受けておりませんし、関知していないのでございますので、よろしくお願いいたします。
  130. 山下栄一

    ○山下栄一君 長官、よろしいですか、理事長在任中ですよ、医療廃棄物はどんな扱いをされていたんですか。  じゃいいです、結構です。これはもう同じことばっかり言っているから、申し上げます。  四月十六日に申し上げたように、理事長というのは、(「わからないよ」と呼ぶ者あり)わからないでは済まされないよ。医療法の責任があるということ、長官、認められたでしょう。この前、私条文を申し上げたけれども、理事長の職務、そして理事長の罰則、第七十五条ですね、理事長が罰則をかけられることがあるわけだから、それほど大事な立場であると。知らなくて済まされる問題じゃないんですよ。だから、医療廃棄物の保管、それ自体わかっていないということは非常にいいかげんな理事長であったということであるわけです。  私は、きょうの答弁をお聞きしておりまして、ひたすら逃げておられるわけですけれども、疑いをかけられているわけですから、それをきちっと解明できないような、いいかげんな病院の経営をされている、患者さんが泣くようなことがされているという疑いがかけられていることについて終始逃げられる態度につきましては、そんな方がよく環境庁長官をされているなと私は思います。おやめになったらどうでしょうか。  質問を終わります。
  131. 加藤修一

    加藤修一君 平成会の加藤修一でございます。  まず最初に、通産省にお願いしたいわけでございます。  発狂する、何が発狂するかといいますとコンピューターが発狂する、コンピューターが狂ってしまうと。これは二〇〇〇年問題というふうに言われているわけですけれども、西暦年限をコンピューターが誤って認識する、いわゆる二〇〇〇年問題が今非常に差し迫った問題として上がってきております。  西暦を下二けた、それで認識処理するコンピューターが多く使われているわけでございます。二〇〇〇年になると〇〇年と、そういうふうに入力されるわけでございますから、いわゆるコンピューターは一九〇〇年というふうな処理をやってしまう。そういったことから、年金とか給与計算あるいは座席予約、そういったいわゆる管理システム等々含めて非常に大きな混乱をもたらすことが考えられる。  これは世界的にも非常に大きな問題になっているところでございますけれども、通産省はこの問題に対してどのような対策をお考えでしょうか。この辺についてよろしくお願いします。
  132. 中川勝弘

    政府委員(中川勝弘君) お答え申し上げます。  コンピューターの二〇〇〇年問題でございますが、私ども問題の重要性にかんがみまして、ソフトウエアメーカーの団体でございます情報サービス産業協会というのがございますが、こことの連携を緊密にとりながら対応を講じてきたところでございます。  先生指摘のように下二けたで西暦をあらわすということでございまして、技術的にまだ限界がありました当時のコンピューターでございますと、やむを得ずこういう措置をとってきたわけでございます。  〇〇年が一九〇〇年に間違って認識されることによりまして、特に御指摘のような公共的あるいは社会的なシステムに混乱が出るのは問題でございますので、私どもとしてはできる限り早くこの二〇〇〇年問題に対応するようにソフトウエアの入れかえをしなきゃいけませんが、その作業を早くするようにということで注意喚起あるいは情報提供を従来から行ってきたところでございます。  特に、大企業はその問題を認識しておるわけでございますが、対応のおくれがちな中小企業につきまして、また問題が起こりますと影響の大きい官公庁などにも重点を置きながら、私ども去年の十二月から千件を超える事業者団体に対しまして注意喚起の要請文を送ったところでございますし、一月から三月の間、全国の八通産局で地方の公共団体あるいは中小企業を対象にしたセミナーを開催いたしております。また、中央でも行政情報システムの担当者の会合におきまして注意を喚起いたしたところでございます。また、関係の情報団体におきましてもパンフレットを二十万部ばかり作成し配布いたしておりますし、ユーザーへのアンケート調査等で注意の喚起また情報の提供を行ってきたところでございます。  今後ともより一層の普及啓発活動を進めていきたいと思っているところでございます。
  133. 加藤修一

    加藤修一君 そもそも修正プログラムをしなければいけない量と、それからそれに対応した形でどのぐらいの人手が要るか、その辺の推定はどうですか。
  134. 中川勝弘

    政府委員(中川勝弘君) これは昨年の十二月でございますが、情報サービス産業協会の二〇〇〇年問題委員会というのがございまして、ここで試算をいたしております。大変不確実な前提でラフな推計でございますけれども、全体で二百三十八万から三百三十五万人月、これは人と月を掛け合わせた作業量でございますが、これが必要ということが見込まれております。
  135. 加藤修一

    加藤修一君 年間でどのぐらいですか。
  136. 中川勝弘

    政府委員(中川勝弘君) 全体の作業量が二百三十八万人から三百三十五万人月でございますから、三百万人掛けるの一月ということでございまして、これは人数と掛ける期間によって作業量は変わってくるわけでございます。したがいまして、短期間に集中をいたしますと大変な作業量が必要になるわけでございますので、短期間に集中することのないよう、できるだけならした需要になるようにということを私どもが要請をいたしておるところでございます。
  137. 加藤修一

    加藤修一君 英国政府が発足させた対策委員会のロビン・グニア委員長が、世界全体で大体二百兆円、こういう需要が起こるという話なんですけれども、通産省はこれをどのぐらいに予測しているんですか。  それと、人手も相当の、イギリスでは大体三十万人の技術者が必要であるという話なんです。そもそも修正プログラムをやっていく場合にオフコンベースで考えてみますと、COBOLの、コンピューター言語ですね、今はもう非常に古くなってしまって、それに対応する技術者がいないということも考えていきますと、先ほど御答弁の話としては非常に対応策としてはなっていないように私はとらえているんですけれども、その辺、対応策を含めてきちっとした答弁をいただきたいと思います。
  138. 中川勝弘

    政府委員(中川勝弘君) 御指摘の英国に官民合同の委員会がありまして、世界全体で百数兆円という数字が出ておりますけれども、私ども先ほどの計算で申し上げますと、金額としては約三兆円か四兆円ぐらいでございまして、ちょっと百数兆円という数字は大き過ぎるのではないかという感じを持っております。  それから、先ほど申し上げましたが、約三百万人月ということでございますけれども、このうち、ユーザー企業みずからが情報システムのエンジニアを持っておりまして、ここが開発をいたしますと外へ頼まなくて済むわけでございます。そういうことも考えますと、約半分ぐらいがいわゆるソフトウエアメーカーに外注をする分になろうかと思っております。  それで、御指摘のようにこれは大変古いコンピューターの言語でございまして、なかなか古いことを知っている技術者が少ないということも事実でございます。技術者不足が生じる懸念も全くないとは言えないというところでございまして、そういう意味で、できる限り、社会的な影響の大きいシステムあるいは公共的なサービスの部門についてはトラブルが起こっては全く社会的に大きい問題でございますので、こういうところはきちっとやっていただくということでお願いをしておりますし、またそういうところはみずから対応を既にお決めになっているところが多うございます。  結局、問題の存在を含めて対応がおくれそうなのは中小零細企業でございます。中小零細企業につきましては、先ほど申し上げましたようないろんな手段を講じまして、こういう問題が生じる可能性があるということで普及啓蒙、注意喚起を行っているところでございます。
  139. 加藤修一

    加藤修一君 一年前に質問したときの答弁については、思い切った啓発活動、必要があればしかるべき指導をやるという話でしたので、とりわけ中小企業についてはきちっとした対応を考えていただきたいと要望しておきたいと思います。  それでは次に、エイズパンフレットの訂正の確認をさせていただきたいと思います。昨年の九月の決算委員会で私は、感染病の増大している現在、一〇〇%安全な輸血血液はないと、いわゆるウインドーピリオドの話をしまして、要するにエイズ予防パンフで絶対安全と強調していますけれども、これは絶対安全という言い方はできないということについて厚生大臣は訂正を約束したわけでありますが、その後その訂正がなされたかどうか、その確認と、文部省につきましてもエイズの中学、高校生のパンフあるいは指導の手引があるわけですけれども、こちらの訂正も済んでいるかどうか、その辺について確認したいと思います。お願いします。
  140. 小林秀資

    政府委員小林秀資君) 昨年の九月十二日にこの参議院決算委員会において先生より御指摘をいただきまして、厚生大臣もお約束をしたわけであります。そして、九月二十四日に早速エイズサーベイランス委員会を開催いたしまして専門家の意見を聴取いたしました。その結果、パンフレットの中にあります輸血の血液に関する説明は不適切であるという結論に達しました。この結果を直ちに記者発表するとともに、厚生省が把握している発行者及び関係省庁に対しまして、不適切な表現がなされているエイズ啓発パンフレット等の訂正及び発行、配布も中止するよう要請をいたしました。その後、これらの改訂あるいは発行中止されたことを確認いたしております。  きょうもここにお持ちしておりますが、以前と両方のものを持っておりますが、改正をされているところでございます。現在では適切な記載がされたパンフレットが配布をされておるという現状にございます。
  141. 小杉隆

    ○国務大臣(小杉隆君) 新しい中学校と高等学校のエイズの教材についてはこの二つございますが、今厚生省から答弁のとおり、昨年の平成八年九月の厚生省のエイズサーベイランス委員会で、輸血によって感染する可能性なしとしないと、こういう結論がありましたので、心配はありませんというような表現が前のパンフレットには載っていたんですが、そういう断定的な表現は不適切であると、こういうことで昨年の十月に文部省では、エイズ教育において輸血用の血液が感染の可能性排除をできないということを指導するように指示しておりますし、また中学が平成八年十月、高校が平成八年十二月、いずれも従来の表現、心配はありませんというのはすべて削除しております。  今後ともエイズ教育を通じて、エイズの感染経路に関する正しい知識についての啓発普及に努めてまいりたいと思います。
  142. 加藤修一

    加藤修一君 それでは次に、移植片対宿主病について、GVHDというふうに言われているようですけれども、これについてお伺いしたいと思います。  この病気は、輸血用血液の中のリンパ球が患者の体細胞を攻撃することによって起こる病気である。輸血後一、二週間で発熱し、肝障害等が起こり、輸血後一カ月以内でほとんど死に至る、そういう非常に恐ろしい病気だというわけですけれども、このGVHDにおける死亡者数、平成五年で十例、六年で十一例、平成七年で七例、八年で十例となっているわけです。この数字は平成五年からGVHDが確定診断できるようになってからの報告でありますけれども、平成三年からの日赤のアンケート調査によりますと、百七十一例がGVHDの確実例であるというふうに言われているわけですから、恐らく百七十一に近い方々がお亡くなりになっているというふうに考えられるわけでございます。  そういうことで、厚生省としては非常に大きな問題であるというふうに受けとめていると思いますけれども、そういった観点から昨年四月に緊急安全性情報を医療機関に出している。それでもその後に、昨年七例が出た。七人の方が亡くなった。そういうことから、また昨年十二月にもう一度日赤に指示して緊急安全性情報を出したわけでありますけれども、本年はそうした報告がありますでしょうか。それ以降、またその関連の症例ということについては。
  143. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 今お話しの移植片対宿主病、GVHDにつきましては、十二月に放射線照射血液を使用すべき患者を具体的に示した緊急安全性情報を再度、医療機関に日赤を通じて配付させ、注意喚起を行ったところでございまして、それによりまして若干の低下はございますけれども、なお残念ながら二例の副作用報告が出てまいっております。
  144. 加藤修一

    加藤修一君 それは何月現在になりますか。
  145. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 平成八年十二月現在でございます。失礼しました。平成八年十二月以降、先月まででございます。
  146. 加藤修一

    加藤修一君 三月までということですね。四月いっぱいですか。何月現在になりますか。
  147. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 平成九年一月から三月までの三カ月間でございます。
  148. 加藤修一

    加藤修一君 そうしますと、単純に考えますと、四倍しますと八例になる可能性は、可能性というか、そういうふうに考えていきますと、極めてこれは非常に大きな問題だなという感じがするわけですね。その二例について具体的な報告をお願いしたいわけですけれども、よろしくお願いします。
  149. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 具体的な評価はこれからでございます。
  150. 加藤修一

    加藤修一君 私が入手したところによりますと、六十九歳の心臓手術をやったケース、それから七十五歳の肺がん手術、いわゆるこれは日赤の放射線未照射の血液を使ったことが確認されているわけでございますけれども、これは心臓手術あるいは肺がん手術についても緊急手術ではないと。  緊急安全性情報を医者が認知していたかどうか、それについて厚生省は調査しているでしょうか。
  151. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) そこまでの調査をできておりませんが、注意喚起をいたしております。
  152. 加藤修一

    加藤修一君 第一回目の緊急安全性情報を流してから七例出ている。さらにこれは大変だということで次の緊急安全性情報を流した、二回目。それ以降についても二例が出ている。しかも放射線未照射の血液を使っているということで、要するにGVHDが発生しやすいという状況の中でこの患者について輸血がされている。もし日赤の血液を使ったために生じた事例であるとするならば、日赤が放射線照射済みの血液製剤の承認を得ていれば防げた事故ではないかというふうに考えますけれども、どうでしょうか。
  153. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 御指摘の面がございますが、二例とも詳細には評価をいたしておりませんけれども、想像されるところでは緊急輸血が必要な事例であったろうと考えられております。緊急輸血が必要な場合にその医療機関に今の放射線照射済みの輸血用血液を確保していなかったということが原因だろうと考えられますので、今お話しのように医薬品として承認が行われ、通常の備蓄ということによりまして緊急時における搬送体制が確立されますならば、危険性は極めて減少するだろうというふうに考えております。
  154. 加藤修一

    加藤修一君 緊急時の件についてはちょっと私も確認できないんですけれども、要するに緊急安全性情報を二回もやって、さらにまだそういうことが出てきているということ自体が私は問題だと思うんですね。要するに、病院の方に、医師の方に徹底されていない、そういうふうに思うんです。  いわゆるこの緊急安全性情報、アメリカあたりは副作用なんかを伴う薬とかそういったものについては、食品医薬品局、FDA、これが印刷物を百万部単位で発行し、医師はもちろん、看護婦関係部門あるいは薬剤師等々に配付しているというわけですけれども、厚生省はどのぐらいこれを配付して徹底されているかどうか、徹底しようとしているかどうか、その辺のところはどうでしょうか。
  155. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 緊急安全性情報は、二万二千施設に十三万八千部配付をいたして、一月二十日に完了いたしております。
  156. 加藤修一

    加藤修一君 配付数はそれなりの部数でございますけれども、それが医療の現場で徹底されているかどうか、そういった調査についてはどのようにお考えですか。
  157. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 繰り返し注意喚起を要請いたしております。
  158. 加藤修一

    加藤修一君 GVHDの危険性が指摘されているわけですけれども、その予防方法もある意味ではっきりしている。それでも事故が起きた。これはやはり医療従業者の責任というのはある意味では明らかな部分が私はあると思うんです。さらに、徹底をしていけなかったという部分については厚生省の行政責任の部分も私はあるように思いますけれども、この緊急安全性情報についての徹底、その配付のやり方等々含めてさらにより一層の徹底について厚生大臣はどのようにお考えでしょうか。
  159. 小泉純一郎

    ○国務大臣(小泉純一郎君) 注意喚起を徹底して被害を最小限に食いとめる努力、あるいは被害を起こさないような努力をさらにする必要があると思っております。
  160. 加藤修一

    加藤修一君 そのために調査をするという考え方はございますか。徹底されるかどうか。
  161. 小泉純一郎

    ○国務大臣(小泉純一郎君) 徹底した対策をとるようにこれからも努力をしていかなきゃいかぬと思っております。
  162. 加藤修一

    加藤修一君 それでは次に、GVHDの一番有効な対策というのは一つは自己血輸血、自分の血を従前より採血して、それをしまっておいて後で使う要するに自己血輸血、もう一つは、先ほど来から話に出てきておりますけれども、輸血用血液の放射線照射であるというふうに言われているわけですけれども、放射線照射の予防の施設のある医療機関、これは国立病院、公立病院、大学病院、一般に分けて、その辺について報告いただけますか。
  163. 小林秀資

    政府委員小林秀資君) 国立病院関係について御答弁させていただきます。  まず、国立病院の場合には全部で九十三施設ございますが、そのうち血液照射専門の機械が二十施設にあります。それから他の放射線治療で使っている機械がございまして、これを治療に使わないときにこの血液に使うことができますので、それで対応するのが二十四、合計四十四ということで全部の四七%の国立病院はエックス線照射をやっております。それからその他自己血輸血のものも三施設、三%、それから日赤にお願いをして照射をしたものをいただいてそれを使っている事例が四十五施設で四八%ということで、その他輸血用フィルター等も含めまして今は国立病院では一〇〇%きちんとできております。  国立療養所につきましては……
  164. 加藤修一

    加藤修一君 一〇〇%できていないという意味ですか。
  165. 小林秀資

    政府委員小林秀資君) 国立療養所も同じように一〇〇%きちんと対応できております。
  166. 加藤修一

    加藤修一君 できていると言うんですか。
  167. 小林秀資

    政府委員小林秀資君) 対応できております。
  168. 小杉隆

    ○国務大臣(小杉隆君) 現在、国立大学附属病院が全国で四十二ありますが、そのうち既に三十の国立大学附属病院におきましては放射線照射装置を完備しております。残りの十二カ所につきましては、平成九年度、今年度予算でもう既に入札の手続に入っているということで、本年の十月までには完全に一〇〇%設置される予定になっております。  ただし、それまで約五カ月ありますが、これは従来それぞれの病院で持っております放射線の装置を活用するとか、あるいは各地にあります日赤のセンターを利用してすべて放射線を照射して予防に役立てたい、こういうことで取り組んでおります。
  169. 加藤修一

    加藤修一君 要するに、放射線照射装置というものが今私が質問をした機関すべてにわたって十分達成されているという理解、それは定員を含めてというふうな理解でよろしかったですかね。
  170. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 一般の病院について補足させていただきますと、やはり小さな病院では放射線科がないということもございまして、通常レントゲン照射施設等を代行できますので、かなりの医療施設では自施設内での照射が可能でございますけれども、小さな医療施設の場合にそういったことは行うことができないということはあろうかと考えております。そういった場合には日赤の血液センターが照射を代行しているということでやっているところでございます。
  171. 加藤修一

    加藤修一君 厚生省の医薬品副作用情報の中に「輸血を常時行なっている中核的病院では院内に放射線照射装置を設置するよう努力すべきであり、二十四時間体制で遂行できるように院内体制の整備をすることが望ましい。」というふうに書いております。この問題というのは極めて深刻な問題になっているわけでございますので鋭意努力してやっていただきたいと思います。  さらに、日赤血液センターにおきましては病院からの依頼がなければ照射できないというふうな状態になっていると思うんです。要するに、やりたくても自発的にはやりていくことはできない。そういった意味では、GVHD対策の輸血血液の放射線照射済みの血液製剤、それができる承認取得、それを早急にやるべきだ、そのように考えておりますけれども、どうでしょうか。
  172. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) お話のとおりでございまして、現在、照射済み製剤について薬事法上の承認の取得をすることによりまして一定量の照射済み製剤を日赤の血液センターに備蓄ができるということになるわけでございます。こういうことによりまして緊急の場合での対応も可能でございますので、日本赤十字社に対しましてこの照射済み製剤の製造承認の取得を行うように指導しておりまして、日本赤十字社におきましても内外の照射済み血液の有効性、安全性、品質に関する文献等について予備的な調査を行っているというふうに聞いております。  私どもといたしましては、この照射済み血液製剤の製造承認申請ができるだけ早くなされますように今後とも必要な指導を行ってまいりたいと考えております。
  173. 加藤修一

    加藤修一君 先ほど自己血輸血の関係を申し上げたわけですけれども、GVHDの予防をやっていく場合に自己血輸血の普及、これは単に今回のGVHD対策ばかりじゃなくて、もちろんエイズ対策にもなりますし、そのほかの感染症の対策にも私は十分なり得る対策の一つだと思うわけですけれども、政府としては、将来の数値目標、これはどの辺のところに、パーセンテージで申し上げたいわけですけれども、どの辺のところに置いておられるか、どういうふうにして普及を考えているか、その辺のお考えはどうでしょうか。
  174. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 普及状況等を含めまして、自己血輸血につきましては最近大変関心が高まってまいりまして、特に待機型の手術、整形外科ですとか心臓血管外科といったような、出血量が多いけれども、手術の予定時期があらかじめ予想できるといったような場合に御自分の血液をあらかじめ採血をして保存しておく、こういったようなことで自己血輸血が大変関心を持たれております。現在、整形外科あるいは心臓血管外科を中心としてかなりの実施がされております。  ただ、これは現在いわば普及段階でございまして、もうしばらくその進展を見ながら、そういったような目標値といったことについても将来検討してまいりたいと考えておる次第でございます。
  175. 加藤修一

    加藤修一君 私の認識ではそれほど普及率が向上していないというふうに伺っていますし、その普及しない理由の一つは、そういう自己血輸血という方法があるということが患者の方に余り知らされていないということも一つあると思うんですけれども、もう一つは、やはり自己血輸血の保険点数の関係もあるのではないかというふうに理解しております。  いわゆる採血を行った量ではなくて、実際に輸血を行った一日当たりの量として考えているわけでして、実際は採血して保存するのに費用も手間もかかるわけですよ。この保険点数のあり方、これが一つは普及を拡大しない理由というふうに考えられることができると思いますし、そういった意味でインセンティブの働く政策をとらなければいけない、そういうふうに考えているわけですけれども、この辺について思い切った予算措置を考えることも必要だと思いますけれども、大臣どうでしょうか。
  176. 小泉純一郎

    ○国務大臣(小泉純一郎君) 自己血輸血というのは、確かに今いろいろ言われているような、被害を最小限に食いとめる有効な方法だということを聞いております。  今後とも、この自己血輸血、この普及をどうやって図るべきか、具体的に検討して何とか普及促進に努力をしていきたいと考えております。
  177. 加藤修一

    加藤修一君 自己血輸血の普及のパーセンテージは今何%ぐらいですかね。
  178. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 三百床以上の施設につきましての調査がございますが、約七%でございます。
  179. 加藤修一

    加藤修一君 それでは次に、血液事業法の制定をお願いしたいということなんですけれども、日本製薬の血液製剤グロブリン、これがC型肝炎ウイルスが混入していた可能性があるということで五千八百本が自主回収されたと。こういったいろいろなことがあって、例えば血液行政の在り方に関する懇談会とかさまざまな懇談会をつくって、あるいは一九七五年から厚生省が諮問機関等で、血液製剤も国内の献血血液で賄うようにと、そういう結論を出しているわけですけれども、似たような形でいろいろやってきていて、実はもう実際の行動というのはやるべきとぎにあるにもかかわらずなかなかやられていないという私は認識でおります。  そういったことから考えて、要するに一日も早く血液事業と輸血の安全に関する法律を制定すべきではないかと、このように思うわけですけれども、大臣の御見解をお願いいたしたいと思います。
  180. 小泉純一郎

    ○国務大臣(小泉純一郎君) 血液製剤の安全性確保等につきましては、いろいろ懇談会でも検討されております。できるだけ早期に立法措置を含めて適切な対応を検討していきたいと思います。
  181. 加藤修一

    加藤修一君 終わります。
  182. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 平成会の魚住裕一郎でございます。  中国を中心としまして、留学生の問題についてお聞きをしたいと思います。  この中にも、長年にわたり日中国交に、友好に尽力をされてきた先輩諸氏もおられますけれども、ことしは正常化二十五周年ということでございますので、この問題に触れたいと思います。  今、私たち決算の審議をやっておりますが、ゴールデンウイークでもありますし、多くの政治家が外遊、また与野党を問わず訪中されているというような状況があります。また、中国からもこの春、中華全国青年連合会の代表であるとか、あるいは中華全国婦女連合会主席の陳慕華さんまで見えて、特に女性国会議員の方々が主催されて歓迎会というのもやりました、私も出たんですが。そういういろんな交流がある。  また一方、勃興するアジアの勢力の中心として中国脅威論というのもありますし、先般、銭其シン外相がアメリカに行ってその辺の中国脅威論について打ち消すというような講演をされていたように思います。  また一方で、勃興するとともに不安定になるということで、ガイドライン見直しも、またもちろん半島情勢を含めてそういう作業がされているというふうに思いますが、東アジアの平和と安定、私はそういう中で、軍事的な観点からの安定化策のみならず、信頼醸成をどう図っていくかということが一番大事ではないか。そういう中で、そのために民間の交流、最も端的に申し上げれば、留学生にいかに多く来てもらって日本を知ってもらうか、そういうことが一番大事ではないかなというふうに思うわけであります。  一九八三年、留学生受け入れ十万人計画というものが二〇〇〇年をめどに策定されて一生懸命やってこられたと思いますけれども、近年、後半に来まして勢いが衰えて減少ぎみになっているというようなこともございます。  私は、今後の日本の立場を考えて、民間交流はもっともっと大事ではないかな、留学生の受け入れをもっとしっかり後押しをすべきであるというふうに考える次第でございますけれども、外務省として今後この問題についてどう後押しをしていくのか、外務大臣の御所見をまずお伺いしたいと思います。
  183. 池田行彦

    ○国務大臣(池田行彦君) まず、留学生十万人計画につきましてはおっしゃるとおりでございまして、計画が始まった時点では、これはむしろ自然の勢いに任せておいても十万人が達成できるんじゃないかといった、いわば楽観的な見通しが強かったと記憶しておりますけれども、ちょっと五万人を超えたところでずっと頭打ちになっているというのが現状でございます。  私どもといたしましては、委員指摘のとおり、いろいろな種類の交流の中でも若い方々、とりわけ留学という形での交流というのは、その国の国づくりにおいて大きな役割を果たすだけじゃなくて、真の意味での我が国とその関係国との友好の土台を築くものだと思っております。そういった意味で、文部省が中心として進められる留学生の事業ではございますが、外務省といたしましても積極的に進めておるところでございます。  具体的に申しますと、例えば外務省としては、我が国に留学するについての事前のいろいろな情報の提供、そういうものを渡すとか、あるいは事前に海外で日本語をある程度習得してこられるという方にいろいろ便宜を提供するとか、また海外において国費留学生の募集や選考などをする、そういった業務をやっております。  それからもう一つ大切なのは、留学からそれぞれの母国に帰られた後、その留学経験を生かして現地社会で活躍されると同時に、また日本に対する理解あるいは友好な関係を深めていただくという面でも、寄与、貢献をしていただくといった観点から帰国留学生に対するいろんな支援事業をやっておるところでございまして、今後ともそういった事業を推進してまいりたい、こう考えている次第でございます。  それからいま一点、最初の方にございました中国との関係でございますが、おっしゃるとおりことしは日中共同声明によって国交が正常化、回復いたしましてから二十五周年の節目の年でございます。これまで二十五年間に限りましてもいろいろな起伏がございました。それは近隣ゆえにやむを得ない摩擦も時にはあるわけでございますが、しかし基本的にはやはり日中関係を良好に保ち、さらに進めていくということは両国のために不可欠なことでございますし、さらに両国がこれだけ大きな地位をいろんな分野で占めてくるということになりますと、国際社会全体のためにも良好な関係を進めていくという責務があるのだと思います。  そういった中でも、留学生の果たす役割というのは、先ほど留学生関係全般について申し上げましたように、極めて大きな意味を持っておると思いますので、私どもも文部省と協力しながらこれからも意を尽くしてまいりたいと思っております。  現在でも五万、これはちょっと古うございます、平成七年五月時点の統計でございますが、その時点で全体としての留学生が五万三千八百余名でございますが、そのうち二万四千名弱でございますから半数以上が中国からの留学生ということになっておりまして、そういった意味では中国との関係は留学生の分野でも非常に充実はしておるわけでございます。何しろ相手が大きゅうございますし、関係も大切でございますので、今後とも一層積極的に取り組んでまいりたい、こう考える次第でございます。
  184. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 今、外務大臣からもお話ございましたけれども、特に後半になって大きく目標到達が難しいんではないか、絶望的だというような新聞の見出しもあったのでございますけれども、これはどうしてそうなったのか、文部大臣御答弁をお願いいたします。
  185. 小杉隆

    ○国務大臣(小杉隆君) 委員が御指摘のとおり九八三年、つまり昭和五十八年以来十四年間にわたって留学生十万人受け入れ計画を実施してまいりまして、御指摘のように今までは急ピッチでふえてまいりまして、二〇〇〇年までに十万人の計画は容易に達成できると思っていたところですが、平成五年あたり、バブルの崩壊とともに鈍化いたしまして、平成八年はついに前年度を下回るという状況になりまして、我々も大変危機意識を持ちまして、何とかこの留学生の受け入れ計画の目標達成に向けて努力をしようということでやっております。  今お尋ねの、なぜそうなったかということは、最近東南アジア、中国にしても、韓国にしても、台湾あるいはASEAN諸国にいたしましても、経済が発展してくるにつれまして高等教育を充実させてきております。かなり高いお金を払って欧米の優秀な学者を教授に引き入れたりというようなことで、自分のところで高等教育を充実させていこうという動きが一つあります。  それからもう一つは、日本に対しての魅力が薄れたといいますか、バブルまでは日本の高度な科学技術を学べとかあるいは経営のノウハウを学べと、こういうような風潮があったんですが、どうもバブル崩壊後、そういった日本に対する魅力というものが失われてきたということ。それから日本における生活コストが非常に高い、ヨーロッパやアメリカの人に言わせますと、オーストラリアへ行けば日本の半分で生活ができる。こんなようなことが重なり合いまして、こういった状況になったと考えております。
  186. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 ただ、外的な経済であるとかアジアの発展というような原因だけではないと私は思うんですね。  これは、昨年の九月十九日付の朝日新聞の「論壇」のところに王建鋼さんという方が投稿されておりますけれども、留学経験者でございます。  その中で要するに、海外に、特に中国ですが、日本の企業がいっぱい出ている、日本語ができる人材がいっぱい欲しいんだというようなことを前提にしながら、こういう背景からいうと、「日本への留学の魅力が薄くなってしまったわけではない。日本への留学ブームは過ぎたといっても、留学志願者はそれほど減ってはいないからだ」というような指摘がございます。また、そこの中にも載ってるんですが、減った「根源は日本の留学規制の厳しさや入国手続きの難しさなどにある」というような指摘もされておるんです。  今、文部大臣の私的諮問機関として留学生政策懇談会をずっとやっておられると思いますけれども、この推移というか原因並びに打開策についてどんな進展になっておるのか、簡略にちょっと教えていただければと思います。
  187. 小杉隆

    ○国務大臣(小杉隆君) 最近のその受け入れ状況にかんがみまして、本年の一月から留学生政策懇談会を開催いたしまして、何とか本年の夏を目途に第一次の報告取りまとめていただきたい、こう思っております。  先ほど申し上げた理由のほかに、先ほど外務大臣からもお話がありましたが、いろいろこちらへ来て入学手続をするんじゃなくて、こちらへ渡日する前に入学の募集等ができて手続ができるというようなこととか、あるいは日本語の習得に日本へ来てからまた一年とか一年半余分にかかってしまうというような問題とか、そういう教育上の問題と、もう一つ、さっき申し上げた生活上の問題と、大きく分けて二つあると思うんです。  そういったような教育上の問題、生活上の問題、そして今御指摘の入国管理というような問題につきまして、懇談会におきましては外務省、法務省にも参加をいただいて突っ込んだ討議をしていただくということになっております。
  188. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 同じくことしの四月七日付の読売新聞の記事によりますと、大体、留学生は国費だけじゃなくて、ほとんど八割以上が私費留学生だと。そんな中で、今お話も出ましたけれども、「日本へ来てから学力試験や面接を受ける例がほとんど」である。そのために、「私費学生の多くは、日本語学校への就学ビザで来日してから大学を目指さざるを得ない」というような記事になっておるんですね。  確かに、私も語学だめですから、もし留学といった場合に、現地に行って語学の特訓をした上で大学を受けようかなというふうに思うわけでございます。この点、就学ビザというのがあるというふうに聞いておるんですが、ここ数年間のこの就学の入国者数推移を見てみますと、韓国の場合は平成元年からいきますと、平成元年が三千八百五十八、二年が五千三百四十六、大体五千ぐらいで推移して、平成八年は四千七名。これに対して中国、昭和六十三年に二万八千二百五十六ありましたけれども、どんどん減ってきて、昨年は二千五百六十七という数字になっております。  もちろん、あの有名な昭和六十三年十一月の上海就学生問題というものがございましたけれども、余りにも中国の就学生絞り込んできているなというのが私の実感なんです。この変化につきまして、どういうことからそうなっているのか、法務省としてどのようにお考えなのかお聞きをしたいと思います。
  189. 伊集院明夫

    政府委員伊集院明夫君) 委員指摘のとおり、就学を目的として中国から入ってくる新規入国者数、これは、平成六年には四千五百二十二名、七年には二千四百九十一名と減少してまいりました。平成八年は二千五百六十七と若干増加しております。  この就学生問題については、委員指摘のとおり、昭和六十三年のいわゆる上海問題というのが非常に大きな社会問題となりまして、平成元年十二月十一日の衆議院決算委員会におきまして、一部の日本語学校の利益本位の反社会的行為等について、関係省庁は厳正な措置を行うと同時に再発防止の行政指導を強化すべきである旨の決議がなされております。  当局といたしましては、かかる指摘等を踏まえまして、就学生問題に適切に対処するために、日本語教育施設におきます就学生の在籍管理等の指導の徹底と就学生の滞在経費支弁能力等についての厳格な審査を実施してきたところでございますけれども、最近は就学生の不法残留者等が減少傾向にございますし、また不法就労の隠れみのとなってきたような日本語教育施設も減少して、適正化が図られてきております。  このような状況等も踏まえまして、今後とも就学生の受け入れについては適正な審査を実施してまいりたいと考えております。
  190. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 留学生は、大体ここ近年を見ますと、中国からの留学生が一番なわけなんですね。  それで、先ほど申し上げた私費留学生の実態を考えると、就学で入って日本語を習得して、それからまた留学する、これが大半だと。そうすると、平成八年度二千五百六十七、そこまで絞り込んで、かつての十分の一まで一番留学生をたくさん供給するところから絞り込んできている。これは本来十万人計画達成のために一生懸命やらなきゃいけないことを法務省が絞っているというふうに見えるわけなんですね。  もちろん、そういういろいろ問題があったとは思いますが、先般もこの国会で、いわゆるスネークヘッドですか、蛇頭の密入国に関連して、出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案を通して密入国を取り締まるという形でやったわけでございますが、何か不正に裏口から入ろうというんであれば、これはきちっとしなきゃいけない。しかし、正門から門をたたいて来る人を絞り込むのはいかがなものかというふうに私は思うわけであります。  よくフルブライトの留学制度と比較して、戦後アメリカで学んだ日本人の多くは知米あるいは親米家になると言いますけれども、日本に留学した人は逆に反日家になってしまうと、そういうような言われ方もするわけであります。私は、この就学生の申請段階でも、もっと温かいというか間口を広げていけるような方策をぜひとってもらいたい。少なくとも、韓国からの就学生と同じぐらいのレベルであってもいいんではないかというふうに思うわけでございますけれども、この点についての法務大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  191. 松浦功

    ○国務大臣(松浦功君) お答え申し上げます。  入国審査の厳格さが非常に影響しているというような御意見でございますが、当省といたしましては、昨年の十二月から身元保証人制度を廃止する、さらにことしの四月からは在留資格に関する提出書類についてその簡素化を図ると、そういったことで非常に入りやすいように行政を進めているつもりでございます。したがって、私は先生の御意見にはにわかには賛成できない。  私どもとしては、これからは文部省あるいは外務省からの御要請があれば、そこらの点は具体的に不正なものとのかかわりを分離できるということを前提に十分検討してまいるということはお約束できると思います。
  192. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 終わります。
  193. 田英夫

    ○田英夫君 私は、きょうは、国会で余り取り上げられない問題ですが、スポーツの問題を取り上げたいと思います。幸い、小杉文部大臣は国会議員でも有数のスポーツマンであり、自宅から走って国会まで通っておられるという方ですから、大いにひとつスポーツ論をやりたいと思います。  最近、むしろ国民の間では非常にスポーツ愛好者がふえて、高齢化社会の中でお年寄りのスポーツも大変盛んになっておりますが、私も年寄りかもしれませんが、シルバー競技なども大変あって、世界記録をつくるような人たちも日本からお年寄りでたくさん出ているわけですね。  一方で、もちろん小学生、中学生などの子供さんたちに正しいスポーツを教えるということは非常に重要なことですから、そういう意味最初に取り上げたいのは、昭和六十二年に文部省が提案された社会体育指導者制度、これは正式の名前は社会体育指導者の知識・技能審査事業の認定に関する規程という文部大臣告示という形で出されたんですが、これはいかにもお役所の文章で、一般の国民の方はこれを読んでも何のことだかわからないだろうと思うんです。要するに、スポーツの指導者養成の制度というものを保健体育審議会の建議に基づいて文部省が出されたということでありますが、この制度を新設して、すべてのスポーツに対してスポーツ団体に一律にこれをやりなさい、こういうふうに言われたわけですが、この制度を制定された目的というのは一体どういうことになるんでしょうか。
  194. 小杉隆

    ○国務大臣(小杉隆君) 今、田委員が御指摘のように、最近国民各層のスポーツに対するニーズが高まってまいりまして、例えば世論調査によりますと、生涯スポーツをこれから振興させていく場合にはすぐれたスポーツの指導者が欲しいというのが約四割に達しております。  そういうことで、文部省は、今御指摘のとおり、昭和六十二年から各スポーツ団体が自主的に実施するそういったスポーツ指導者養成事業、こういうものについて一定の水準を備え奨励するべきものを文部大臣が認定をする、こういう形で新しい制度を設けたわけでございます。  これは何も文部省が一方的に指定するんではなくて、各スポーツ団体が自主的に行う養成事業について団体からの申請をいただいて、それについて認定をするものであるということですから、各スポーツ団体に画一的に導入するものではないということでありまして、今後とも各スポーツ団体と十分協議をしながら指導者の養成に努めていきたいと思っております。
  195. 田英夫

    ○田英夫君 今の文部大臣が言われたようなことであれば私もまことに結構だと思うんです。  実は私はスキーの指導員の資格を持っておりまして、今、日本スキー指導員会の会長という仕事をしております。スキーの場合を一つの例にしながら論を進めたいんですが、今まで文部省のこの告示によって、これを採用しているスポーツ団体と採用していないいわばお断りしますと言っているスポーツ団体とあると思うんです。例えば剣道、柔道なんというのはもう歴史的に伝統的に立派な指導者の制度がありますから恐らく採用していないと思うんですが、大まかでいいですけれども採用していない方がどのくらいあるのか、おわかりになりますか。
  196. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) お答え申し上げます。  現在、日本体育協会、日本レクリエーション協会などを初めとする四十七のスポーツ団体が御指摘の制度による認定を受けた養成事業を実施しております。そこで、これは各スポーツ団体の自主的な判断によるものでございまして、現在、指導者養成事業を行っている団体の中でこの文部大臣による事業認定を申請していない団体は二団体でございます。
  197. 田英夫

    ○田英夫君 実は、私にとって大変話しやすいものですからスキーの例をとりますと、残念ながら、文部大臣の言われたような自主的にスポーツ団体が採用するかどうかを決めればいいということになっていないのですね。  経過的に申しますと、六十二年に告示が出る前に、実は私もそのときは日本全体でなくて東京の指導員会の会長をしておりましたから、この情報を聞きましてすぐ文部省体育局の担当の方に来ていただいて、そういうことをやるのですかということを言いましたら、その当時の名前は国家認定指導員制度ということでありましたから、日本はいつから社会主義国になったんだという冗談をその方に言ったことを覚えております。つまり国家が認定するという大変大上段に振りかぶった制度でありましたが、実際に六十二年に出てきたものは社会体育指導員ということであります。  しかし現在も、実はその上に文部大臣認定、そして社会体育指導員と、こうきているんですね。そうすると純情なスポーツマンは、スポーツ団体の方なんかは、文部大臣認定というところに大変とらわれるわけです。国家認定ということも私などから見るといかにも大上段で、戦前のことを考えてしまうようなそういう印象ですが、実はスポーツを愛好して一生懸命指導者になりたいと思っている人は、国家認定とかあるいは文部大臣認定とくるとこれは大変な名誉なんですね。  ごく最近、私どもの日本スキー指導員会の役員会をやりましたら、お年寄りでかつて全日本スキー連盟の幹部をおやりになったような方が、我々はだまされた、こういう発言をされたんです。私も驚きましたが、つまり国家認定とか、今でも文部大臣認定とか言っているが、実際に小杉文部大臣という認定証が来るわけじゃないんです。実施するのは文部省じゃないわけです、国でもないわけです。実際やるのは、一番上のA級の指導員に対しては、日本体育協会と全日本スキー連盟とか中央のスポーツ団体、日本陸上競技連盟とかそういうところがやる。だから、体協は主催者でスポーツ団体が実施者と。それから、B級、C級というランクがその一つ下の指導者については都道府県の体育協会と都道府県のスポーツ団体が同じような形で実施する。  こういうことでありますから、実際は、文部省がそういう制度を基準としてつくられて、それを実施するスポーツ団体が体協と組んでやる。そこをあるお年寄りはいかにも権威あるもののように言われたので、スキーの場合なんかは全日本スキー連盟はこれを受け入れました。しかし、私ども指導員会は今までの制度で十分だと思いましたから受け入れに反対をして、現在に至っているという経過があります。  つまり、スキーの指導員制度というのは昭和十五年にできましたから六十数年の歴史を持っている。こういう歴史と伝統というものがありまして、しかも完全に指導員、準指導員、一級、二級、三級というランクがもうずっと以前からできておりまして、その検定試験というのは二日間にわたって実技と学科をやる。自動車免許の取得よりもはるかに厳しい制度を採用して現在に至って、全国で三万六千人の指導員、準指導員がいるという実態でありますから、文部省のこの制度を採用しなくても十分やっていける、こういうことで私どもは現在も反対をしております。  ところが、文部省の体育局の方からは早く実施しろとしきりに言ってくると。私どもの上部団体の全日本スキー連盟の幹部の方が私ども指導員会の会議に出てこられて言われた言葉が、お上の言われることですから従わなければなりませんと、こういうことがスポーツ団体の中では言われる雰囲気があるんです。まあ参考に基準を設けるからこれをやったらどうですかという程度には受け取っていないんです。それで、文部省から早く実施してくださいというような催促をいただいておりますので、全日本スキー連盟としては大変窮地に立っている。指導員会、どうぞひとつこれを受け入れてくださいと、こういうことが実態であります。  実はそういう困惑の中で、全日本スキー連盟は文部省との間に平成三年十一月に一つの確認書を取り交わしまして、「全日本スキー連盟の指導員制度の歴史的背景等を考慮し、」、つまり今までの制度ですね、「特例措置としてその制度の存続を認める。」と、これが文部省との間の合意の正式文書です。しかし、その後に附則のようにして、文部省の希望として「将来の一本化についての推進を計って貰いたい」、こういう要望がついております。こういうのが実情なんです。  つまり、お上のというような感覚があり、国家認定とか文部大臣認定ということが大変光栄であるというような雰囲気がスポーツ団体の中にあるということをおわかりいただかないと、なかなかこの制度はうまく滑らかに運用され、あるいは受け入れられないんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  198. 小杉隆

    ○国務大臣(小杉隆君) 大体、スポーツをやる人というのは割と素直な方が多いものですから、文部大臣認定なんというと、お上からの押しつけというふうに受け取る向きもあるかもしれませんが、私どもはそういう権威主義的な、決して上から押しつけるような考えは毛頭ございません。それはぜひ誤解として御理解いただきたいと思うんです。  ただ、これから人生八十年時代を迎えて、高齢者がさまざまなスポーツに親しむ機会がふえてくると思うんです。私自身も水泳とか陸上のマスターズ大会にも出ております。ゲートボールももちろん結構ですけれども、それ以外の各種スポーツにみんなが参加できる、そういう生涯スポーツということを目指しているさなかでありますので、私どもはそういう生涯スポーツの指導者の養成ということを非常に大事に考えております。  スキー連盟は、今お話しのとおり、本当に長い伝統と歴史と、そして非常に権威のある制度を持っておりますので、私どもは決してそれを阻害しようという考えはありませんし、現実に今併存という形でやっているわけですが、将来、これはいつになるかわかりませんが、指導者養成の制度というのが二つあるというのもどうもちょっと問題じゃないかなと思いまして、私は、できれば文部省あるいは体育協会とスキー連盟とがお互いにもうちょっと腹蔵なく話し合いをして、将来的には何かいい形で一本化できれば非常にいいんじゃないかなと思っている次第でございます。
  199. 田英夫

    ○田英夫君 御参考までに申し上げますと、スキーの場合、国際的に指導者の組織が確立をしております。私は実は陸上競技を学生時代にやっていたものですから短距離を走っていまして、今、東京陸上競技協会、東京陸協の会長もしております。陸上競技、走るということは人間なら普通身体に異常がなければ必ず子供のときから走れる。ところが、スキーというのは改めて教わらなければちゃんと滑れないということがあります。陸上よりははるかに指導ということが大事なものですから、歴史的に一番、世界的にも指導者制度というのが確立しているスポーツだと思います。  例えば、私どものようなアマチュアの指導者、その全体の国際組織に国際スキー指導者連盟というのがあります、IVSI。四年に一度、この主催でそれぞれの国のスキー教程の技術のデモンストレーションをどこかの国でやる。去年は日本野沢温泉でやった。これは実に見事なものですけれども、そういう組織があります。それから国際職業スキー教師連盟、これはプロのスキー教師の国際的な組織です。もう一つ、国際学校体育スキー連盟、IVSSと言っておりますが、これは学校の先生がスキーを教える、雪国だとみんなそれをやるわけですね、その国際組織もあります。アマとプロと学校の先生、この三つの組織を統合して国際スキー教育連盟という組織があります。これは一つの御参考までですけれども。  したがって、文部省が直接御担当になるとすれば、学校の先生のスキー教師というもの、これは日本にはまだ実は組織がありません。我々アマチュアの組織の中に学校の先生もいるというそういう仕組みになっておりますが、あらゆるスポーツについて、確かに画一的でなくていいから一つの、レベルが大体同じになるような指導者をつくっていくということはおっしゃるとおり私も必要だろうと思う。  ただ、その意味で、この文部省の案を具体的に拝見しますと、例えば学科については大変厳しいですね。スキーもさっき申し上げたように学科試験がありますけれども、その中にはスポーツ医学とか救急法とかスポーツ心理学とか、あるいはスキーの場合はツアーで遭難しますから、そのときの対策とか、そういうことまで含めて、実技の理論はもちろんです。ところが、文部省の案を拝見しますと、社会体育概論、スポーツ心理学、スポーツ経営学、経営学というのは何のために必要なのかなと思うんですが、そういうスポーツ医学も含めて、それからスポーツ指導論というようなことですね。四十時間こなさなくては受験資格が満たされない。  こういう点で、体育大学の学生でもなければなかなかこれだけのものをこなせないんですね、実際に指導員、準指導員をやっている人はサラリーマンであったりするわけですから。スキーの方は二十五歳以上です。文部省の方は二十歳以上です。二十歳以上だと大学生が入ってくるわけですが、我々の方は二十五歳ですからほとんど社会人なんですね。そういうところにこの制度を課せられると大変厳しいことになるので、この点を含めて再検討というか御検討いただきたい。  ただ、きょう、小杉文部大臣が強制するものではないということを言ってくださったことは、スキー連盟並びにスキーの指導員会にとってはまことにありがたい御答弁、お言葉であるということは申し上げておきたいと思います。  もう一つ、スポーツのことが余り国会で取り上げられないと言っておりましたけれども、実は、この国会にはスポーツ振興くじ、くじと言っていいのかどうかわかりませんが、間もなく提出されるということでいや応なしにスポーツ論議をこの国会ではすることになると思いますが、結論を申し上げると、私は大変この制度に疑問を持っております。  実は私は、今度法案を提出するスポーツ議員連盟の創設以来のメンバーでありますが、私は全く知りませんでした。こういうものが計画されているということを知りませんでした。現在も何にも御連絡をいただいておりません。それが残念ながら実情であります。  文部省がおやりになるわけではなくて議員立法で出すわけですから、文部省はスポーツの責任官庁という立場からになるでしょうが、いわゆるスポーツ振興くじについて文部大臣はどういうふうにお考えですか。
  200. 小杉隆

    ○国務大臣(小杉隆君) この法案につきましては、平成四年に体協とJOCからスポーツ振興の財源確保ということでこういう制度を創設してほしいと要望して以来、たしかスポーツ議員連盟、田委員も有力なメンバー、私もそのメンバーに入っておりますが、十分連絡が行かなかったというのは、私も実はそんなにたびたび連絡を受けたわけではございませんが、各党ではいろいろ数年に及んで討議が重ねられてきた結果、今回各党で国会に提出されたと聞いております。  私どもとしては、これはあくまでも議員立法ということで関心は持っておりますので、今後の国会審議であらゆる点から十分に審議していただくということを期待して見守っていきたいと考えております。
  201. 田英夫

    ○田英夫君 この法案の中身を少し見てみますと、私が一番実は心配しているのは、PTAのお母さんたちが言っておられる子供たちの射幸心をあおるというような点。これは私もその心配はあると思いますが、この問題はお母さんたちに譲るとして、スポーツに関係をしてスポーツ団体の役員もしているという立場からしますと、各スポーツ団体の内情をかなり承知しているつもりですが、お金の配分です。  結局、五〇%を当せん者に対する払戻金に充てる、残る五〇%のうちの一七・五%がスポーツ振興のための助成金になる、もう一つ一七・五%が国庫に納入される、こういう計画になっているようであります。したがって、JOCを初め各スポーツ団体は大変熱心に推進をしてこられたし、近く何か総決起集会をスポーツ議連とJOCなどでおやりになるという通知をきょういただきました。  そのくらい熱心なんですけれども、それはスポーツ振興助成金というものが入ってくる。事実、来年は長野オリンピックがありますし、二〇〇八年には大阪と横浜が立候補しようとしているというようなこともあります。オリンピックでメダルをとるような選手を養成したいというのは当然各スポーツ団体の願いでありますから、それには大変お金がかかることは事実です。そういうことで熱心に推進をされていることもわかります。  くじというお母さんたちの心配されることを横に置いてこれを実施したとすると、この問題で私は率直に言って、スポーツ団体というのは必ずしもお金の問題について過去に非常にクリーンであったとは言いがたい。お金の問題をめぐっていろいろあったスポーツ団体も、この場で申し上げるのはあれですが、国政の方でもいろいろ問題になることが残念ながらあるわけですが、スポーツ団体も皆無ではないんです。同時に、しかし大変大きなお金がかかるようになってしまったことも事実であります。それから、国庫に入る方は一体何に使われるのかも、これは文部省の方が直接タッチされるわけでしょうけれども、まだ不透明である。  この法案をつくられた資料を拝見すると、さすがにその点は、透明性確保しなければならないというようなことが随所に出てまいりますから御配慮はいただいていると思いますけれども、私はその点を実は心配しているということを申し上げておきたいと思います。  時間がもうなくなってきましたけれども、小杉さんとは改めてスポーツ論を大いにやりたいんですが、最近オリンピックが全く変質してしまった、私のスポーツ哲学からすると、私は悪く変わってきていると思えてならないんです。金権オリンピックというような言葉がスポーツジャーナリストの間でも言われております。  これは一九八四年のロサンゼルスのオリンピックのときから全く変わって、その前はオリンピックムーブメントのガンは政治でありました。モスクワ・オリンピックに日本もアメリカも行かなかったというような政治的対立がオリンピックを毒しておりましたが、その次のロサンゼルスから一転して商業主義のオリンピックになってしまった。ピーター・ユベロスという人が組織委員会の会長になって、普通は組織委員会の責任者というのは主催する市の責任者がなられるのが普通ですけれども、それで絶対にもうけてみせると言われて、以来そのとおりオリンピックというのはもうかるものになっちゃった。  ただ、例外は冬のオリンピックですね。ノルウェーの冬のオリンピックは、実に見事に市民の手でつくられた市民オリンピックと言われている。長野はぜひそうあってほしいんですが、スポーツ関係者の間ではお役人オリンピックという言葉が、市と県のお役人が握っているオリンピックという言葉が実はまかり通っている。そのために、スポーツ団体との間などであるいは国際的なスポーツ組織との間でいろいろ問題が起こっていることは事実であります。  これはひとつお互いに、生涯スポーツという言葉が出てきているくらい、若い人からお年寄りまでの問題でありますから、政治に携わる立場からも、本当にいいスポーツというのはどうやったら組み立てられていくのかということを、子供に対する教育から、楽しむスポーツから、海水浴にどんなに大勢の人が行っていても水泳は強くならないんですね。スキー場にどんなに大勢の人がスキーを滑りに行っていても、冬のオリンピックで金メダルをとることはできない。メダルをとったのはいまだにジャンプを除いては猪谷さんだけと、こういうことは一体何を示しているのか。  もうピラミッドではなくなったんですね。底辺を広げれば山が高くなってここが強くなるということではなくて、お金をかけて別に育てなければオリンピックでメダルをとるような選手ができないというのが世界的なスポーツ界の実情です。これはこれでいいのか。アマチュアリズムが完全に壊れました。もう今はプロがオリンピックに出ていく、これでいいのかと、そういうことが根本から問われていかなければいけないんじゃないか。  ですから、少なくとも日本のスポーツは底辺を広げる、大勢の人にスポーツをやっていただく、楽しんでもらう。同時に、正しいスポーツを教えていかなくちゃいけない、これは指導者の問題に絡んでくる。そして強く、この三つを全部満たしていくというのがこれからのスポーツを考えるときに一番大事じゃないかなということを一方的に申しましたが、もう小杉さんには釈迦に説法ですが、最後に御意見を伺いたいと思います。
  202. 小杉隆

    ○国務大臣(小杉隆君) 私も最近のオリンピックの商業主義はちょっと行き過ぎているのではないかなというふうに思います。  例えば、この間、バレーボールの世界選手権を東京でやりましたけれども、実際にスポンサーになっている方も非常に悲鳴を上げているんですね。こんなに高いお金じゃもう私たち主催できない、こういうようなことを言われております。私は世界的にもそんな商業主義ではやっていけない時代がやがて来ると思っておりますので、それを期待していきたいと思います。  それから、私は、スポーツといっても三つの分野があるというのは同感です。そこで、私、文部大臣に就任しましてから保健体育審議会、これもちょっとネーミングは古いんですけれども、三つの分野で諮問をいたしました。  それは、まず高齢社会のスポーツのあり方について、それから競技スポーツの向上について、それからもう一つは学校における体育、最近非常に体格は立派になったけれども運動能力とか体力は落ちてきたというようなことで、その三つが大事だと思うんです。競技スポーツも、もちろん、これは来年長野オリンピック、我々としてもぜひ強化していただきたいと思っております。  そこで、今年度の予算でも国立スポーツ科学センター、きのう実は看板かけを文部省の中でやりましたけれども、そういうものを通じましてぜひ日本の競技力の向上を図り、また生涯スポーツあるいは学校スポーツの育成に、今後とも審議会の答申等も踏まえて一生懸命やっていきたいと思っております。
  203. 田英夫

    ○田英夫君 終わります。ありがとうございました。
  204. 小川勝也

    小川勝也君 民主党・新緑風会の小川勝也でございます。  今国会に廃棄物処理法案が提出されたこともあり、厚生委員会あるいは環境委員会でダイオキシン問題が盛んに取り上げられておりました。私も、こんなことを国会で審議しておりますということをいろんな方とお話をしていく中で、学校の焼却炉のことが非常に問題になっているということを耳にいたしました。これは私が事前にいろいろなことを調べたわけではありませんけれども、この機会に文部省あるいは大臣にお伺いをしたいということで、まず最初質問をさせていただきます。  私の記憶によりますと、学校といいますと必ず焼却炉があったように思っております。最近はもうないのかななどともちょっと疑問に思っておりますけれども、今でも学校に焼却炉というのはっきものなのかどうなのか、政府委員の方にお伺いしたいと思います。
  205. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) お答え申し上げます。  各学校に焼却炉を設置するかどうかということは設置者の判断に任されております。ただ、焼却炉を設ける場合には、設置位置に関し、校舎、周辺地域等にばい煙、臭気等による悪影響を及ぼさないよう設置者に対し指導しておるところでございます。    〔委員長退席、理事吉川芳男君着席〕
  206. 小川勝也

    小川勝也君 その委員会の経過の中で私が聞き知ったことでありますけれども、ダイオキシンがどういうふうに発生するのか。いわゆる塩素、元素記号で言いますとClが含まれているプラスチックであるとか塩化ビニール、これを高温ではなく、おおむね三百度前後で燃やしたときに発生しやすい。ということは、燃焼温度が高い焼却炉であっても、燃え盛っていく最中と消す最中にその三百度があるわけですので、いわゆる都市に設置してあります大型のごみ処理場のようにずっと燃えっ放しの焼却炉であればダイオキシンの発生率は低いということでありますけれども、当該の学校に置いてあります焼却炉はごみがあったときだけ燃やすということなのでその発生の可能性が高くなるわけでありますし、最近の文房具とか教材、あるいは子供たちの持っているものの中にプラスチック製品がたくさん含まれていると思っております。  そんなところで、学校の焼却炉におけるダイオキシンの発生について、文部省として今まで調査をしたことがあるかないか、お答えを願います。
  207. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 現在までそのような調査はいたしたことはございません。
  208. 小川勝也

    小川勝也君 大臣にお伺いしたいわけでございますけれども、大臣はかねてより環境問題に御造詣が深くて、このダイオキシン問題についても私なんかよりも数倍知識があると私は思っております。子供たちということになりますと、大人よりも体が成長していないわけですので、ダイオキシンの被害ということになりますと非常に心配なわけであります。この懸念が大臣としておありになるかどうか、そして今後、今まで調査していないということであれば、調査のプログラム等を考えた方がいいのかどうか、御答弁を願います。
  209. 小杉隆

    ○国務大臣(小杉隆君) 先ほど体育局長がお答えしたとおり、何せ小中高合わせますと、全国で小学校が二万四千、中学校が一万百、それから高等学校は四千百、こういうことで、合わせますと数万の学校があるわけでして、これを全部把握するというのはなかなか大変なことでありまして、特に小中学校は義務教育ということで、市町村が中心で設置をしているものですから、なかなかそこの隅々までの調査が行き届いていないということは御指摘のとおりでございます。  しかし、先ほどもお答えしたように、もし焼却炉を設置する場合には、ばい煙とか臭気等で近隣に悪影響を及ぼさない、あるいは生徒にも影響が及ばないような位置に設置するようにということを指導しているということは事実でございます。  最近、このダイオキシンにつきましては、環境庁あるいは厚生省が非常に抑制策あるいは規制等の検討を始めたということでございますので、私どもとしても、環境に配慮した教育施設、こういう観点から十分研究してまいりたいと思っております。  特に、今とりあえずやれることとしては、今御指摘のようなプラスチック類とそれからそのほかのごみとの分別収集とか、あるいはごみそのものを減量化する、そういった対策に取り組んでいきたいと思っております。
  210. 小川勝也

    小川勝也君 今御答弁の中にありましたように、文部省がすべての学校に対して調査をできるわけではございませんので、これは設置者であります都道府県あるいは市町村、教育委員会との連携が求められるべきだと思いますが、私はそんな中で、やはり厚生省との連携というのが非常に重要だと思っております。  焼却炉の設置が、今例えば学校の裏側とか、その設置の距離であるとか、子供たちから遠いとか、私が委員会の中で見たり聞いたりした内容によりますと余り意味がないことだと思います。  というのは、ごみ焼却施設というのは、ばい煙の処理であるとか、それなりにさまざまな高価な投資をしてまで設置をした施設でありますし、また、いろいろな情報によりますと、風下二キロあるいは五キロなんというところでも高い数値のダイオキシンが検出されているという例もあると思います。  そんな中で、どんなタイプの焼却炉がダイオキシンを発生させやすいか、あるいは焼却の仕方によって発生を抑えられるかどうかということも厚生省にさまざまなノウハウが蓄積されてきていると思いますので、連携を密にしていただきたいと思います。  幸いにと言っては申しわけありませんけれども、暖かくなってきますと、O157の問題でも文部省と厚生省が綿密に連絡をとらなきゃいけない問題が発生してくると思いますので、あわせてこの問題をお願いしたいと思います。  何せ、日本の、我が国の将来を担う子供たちのことでございますので、少し神経質なぐらいに目をあるいは気を配っていただければと思っております。  では、次の問題に移らせていただきたいと思いますが、学校におけるコンピューター教育についてお伺いをしたいと思います。  さまざまな角度からコンピューター教育の是非が論じられ、ここ数年間で相当の配慮がなされたと伺っております。  学校にコンピューターが設置されるようになったのはいつからか、そして国費として投じられた金額は累積どのくらいなのか、お伺いしたいと思います。
  211. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) 小中、高等学校、それぞれ段階があるわけでございますが、高等学校につきましては、これは工業高校あるいは商業高校を中心といたしまして、戦後の制度以降、少しずつ進んできておりまして、十年、二十年という長い歴史を持っております。  ただ、中学校につきましては、先回の学習指導要領の改訂におきまして初めて教科の中に位置づけられました。具体的には、技術・家庭という教科でございますけれども、その中の技術のところに情報基礎という分野が設けられまして、そこで子供たちが学習をするようになっております。これは平成元年の学習指導要領の告示でございまして、中学校は移行措置を講じまして、平成五年から実施されております。  それから、小学校につきましては、教科としては取り上げませんで、各学校、地域の実情に応じてコンピューターになれ親しませるという形でコンピューターに触れるというような状況になってございます。  それから、予算措置でございますけれども、今ちょっと手元に補助金の詳細は持っておりませんが、現在は地方交付税によりまして財源措置を講じてきております。現在は平成六年度から十一年度までのおおむね六年間に小学校の子供につきましては二人に一台、中学校、高等学校につきましては一人一台という設置基準を設けまして、それに向けて今整備を図っているというのが現状でございます。
  212. 小川勝也

    小川勝也君 設置されましたときよりもコンピューター教育の必要性がますます高くなっていると私は認識をしておりますし、これから先もっともっとこの必要性が高まっていくと私は確信をしております。  そんな中で、私は二つの問題点を指摘したいわけでございますが、一つはその指導者の問題であります。今、中学校においては技術・家庭の中に取り入れられているということでございますので、技術・家庭科の先生が指導されるということだと思いますが、いかがですか。
  213. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) 教科の技術・家庭の指導につきましては技術・家庭の免状を持ちました先生が担当しております。ただ、コンピューターにつきましては単に技術・家庭の教科ということだけに限りませんで、例えば算数、数学の授業でありますとか理科の授業でありますとか、それ以外さまざまな教科で指導いたしますので、我々といたしましては、技術・家庭の先生はもちろんでございますけれども、おおむねどの先生もコンピューターの操作ができる、あるいは指導ができるということが望ましい状態なのではないかなというふうに思っております。
  214. 小川勝也

    小川勝也君 教科とは関係なしにできるだけ多くの先生が教えられるようにということで御理解をさせていただきますけれども、それでは、その先生方が例えばどういうふうにコンピューターの習熟を図るのか、その点についてお伺いをしたいと思います。
  215. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) まず、養成段階でございますけれども、先般の学習指導要領の改訂に合わせまして教育職員免許法施行規則というものが改正されました。これまでは必修ではございませんでしたけれども、それ以降、現在、教師の免許を取ろうとする人につきましては、単位数は限られておりますが、必ずコンピューターについての指導を受ける、その単位を取るということになってございます。  それから、すべての先生がそうした形で免許状を、現にいる先生方はそういった単位を取らないまま教師になっておりますので、現職の研修ということも大変重要だと思っております。そこで、文部省としては大きく三つに分けて行っております。  一つは、工業、商業等の専門の先生方、あるいは中学校でいいますと技術というような専門的にコンピューターを扱わなければならない先生の研修、これは国が直接やります。また、もちろん都道府県でも行います。それが一つでございます。それからもう一つは、それ以外の先生の中でコンピューターの指導に当たっていただきたい先生方、この先生方についての研修会も催しております。それから、広く一般的には、十年研修あるいは二十年研修というふうに申しているわけでございますが、年度を区切りまして、これは各都道府県にお願いをしてございますけれども、研修をすることにしておりますが、その中の研修の一環として先生方にはこの情報についての研修を受けていただく。    〔理事吉川芳男君退席、理事松谷蒼一郎君着席〕  こういうような大きく三つ段階に分けまして、先生方の資質あるいは指導力の向上ということに努力をしているところでございます。
  216. 小川勝也

    小川勝也君 その専門的なところはわかりました。例えば小学校において小学生に指導する場合、先生方の中にも得意な人もあればそうじゃない人もあると思います。小学校の先生ぐらいになりますと、必ず一校に一人や二人はオタクと呼ばれるような本当に詳しい方も存在しているように私は想像いたしますけれども、例えばその人が得意だから教えてくれということになりますと、その人のいわゆるボランティアでやることになるのか、あるいはコンピューターを指導することによって何らかの手当が支給されるのか、その辺、細かいことでございますけれども、お伺いしたいと思います。
  217. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) 学校の中での情報指導の対応でございますけれども、ひとつ数字を御紹介させていただきたいと思いますが、文部省では毎年先生方に、操作できるかできないか、あるいはそれをさらに超えて指導できるかできないかということで、全国の学校を対象に調査をいたしております。  現在、小中高、盲・聾・養護学校等公立学校の先生方は全国で九十二万六千人ほどいらっしゃいますが、その中でコンピューターの操作をできるという先生、小中高、特殊教育諸学校合わせまして三十八万人余でございます。  ただ、指導ができるかどうかということになりますと、小学校の場合ですと五万人余、中学校の場合ですと五万人余ということで、率といたしますと小学校で一二%、中学校で二一%、それから高等学校では四万七千人余ということで二二%、全体で平均をいたしますと一七%、つまり五人に一人弱という先生方が指導ができるというような状況になってございます。  しかし、五人に一人という意味はすべての先生が指導することができるというわけではございませんので、それぞれの学校におきましてチームティーチングを組みますとかというような形で工夫がなされているというふうに思われますし、また、校内研修等で国の研修あるいは県の研修等を受け、あるいはみずから勉強されて指導力を高められた方々が校内の研修の機会を通してすべての先生方に指導、助言と申しましょうか、支援をしていただく、こういうような仕組みがとられているというふうに思っております。  それからもう一点でございますが、この指導に当たる先生につきまして給与上の特別の措置は現在のところ何もございません。
  218. 小川勝也

    小川勝也君 教育現場の現状についてはもう少し私も情報を集めてみたいと思います。  それともう一つは、機種が古くなっていくという問題点でございます。  これはほかの学校の施設、備品と違いまして、例えば跳び箱であれば一回買えばずっと使えるわけでございますし、オルガンであれば何代の児童生徒にわたっても使えるわけでございますが、しかしながら技術が日進月歩でございますので、例えば外見上見えるハードウエア、そして中にインストールされておりますソフトウエア、これも物すごいスピードで進歩しております。ですから、せっかく多くのお金を投じて設置しましたその機材も年数がたってくるといずれただの箱になってまいります。  そんなことの問題点をお伺いしたいと思いますが、この耐用年数は多分五年に設定してあるんだと思いますけれども、最長のものでどのぐらいのものがまだ学校の現場に残っている計算になるでしょうか。
  219. 小林敬治

    政府委員小林敬治君) お答えいたします。  私どもが国庫補助金で買い取りで導入をいたしましたコンピューターの耐用年数を一応六年といたしました。それで、今先生が御指摘のように、この情報機器の分野は大変進歩の激しい分野でございます。日進月歩と言ってよろしいかと思います。ということで、もしこれを長いこと使っていたのでは子供たちが古い機種で勉強をしてしまうという弊害がどうしても免れないということがございますので、この国庫補助金方式による買い取りから現在はレンタル、リースを主流にしているところでございます。  お尋ねのどのくらい長いのがあるかというのは、ちょっと今手元に資料がございません。
  220. 小川勝也

    小川勝也君 そのリース化の問題をちょっと知りたかったのでございますけれども、それともう一つは、コンピューターを操作する中でインターネットなどというのがございます。そしてそれは使えば使うだけ電話代がかかってきます。例えばその電話代の使い方を考えますと、本来ならば、例えばヨーロッパのお友達とのメールのやりとりであるとかいろんなことを実験したいと考えていても予算上なかなかできないなどという問題もあるでしょう。そして、先ほどから技術が日進月歩ということがございますが、ソフトウエアの面もそれに当てはまると思います。例えばDOSなどというものからウインドウズ95になり、今度97になる。  先ほど、局長がお話しになりましたように、家にあるやつよりも古いもので学校で習いたいと思う児童生徒はいないわけです。そんなことも考え合わせながら、ただ導入をするというんじゃなくて、その後のランニングコストあるいは附帯的にかかってくるコストも相応に見積もっていただかなきゃいけないと思うんです。  先ほども申し上げましたとおり、学校教育におけるコンピューター教育の重要性はこれからますます高まってまいりますし、せっかくハードウエアの面でさまざまな助成措置をとりながら小学校においても中学校においてもここまで来たんですから、私は、もうちょっと使えるような教育体制にするために、そのリース化、あるいはソフトの買えるお金、あるいはその電話代の補助をどこまでするか、そういったところでもお考えをいただきたいと思いますけれども、その辺についてコメントをいただきたいと思います。
  221. 小林敬治

    政府委員小林敬治君) コンピューターの際に、御指摘のようにソフトウエアとか運用に係る経費でございますが、これにつきましても交付税措置がなされております。私どもは、実態をいろいろお聞きいたしまして増額等に努力をしているところでございますが、今後ともそういうことをやってまいりたいと思っております。
  222. 小川勝也

    小川勝也君 ここは決算委員会でございますので、せっかくいい機械をお金を出して投入いたしましても、その後のフォローがないとそれがむだな投資になってしまうという観点から、いい機種を投入したとすればそれに見合うだけの、先ほど申し上げましたようなソフト面あるいは電話の利用代をどういうふうに処理するかというような細やかなところまでの御配慮をお願いして、ますます国際化社会における学校においてのコンピューターの教育が進むようにお知恵を絞っていただきたいことを要望いたします。  次の問題に移らせていただきます。次はエネルギー問題に入りたいと思います。  先ほど松谷委員の方からエネルギー問題いろいろと論じられておりました。原子力エネルギーあるいは原子力発電政策が今回のさまざまな問題や事故によってとんざするということがあってはならない、私はそれはそう思います。しかしながら、「ふげん」あるいは「もんじゅ」、動燃事故、そして巻町における住民投票などから原子力政策の未来は必ずしも明るいものじゃないと考えております。    〔理事松谷蒼一郎君退席、委員長着席〕  エネルギー庁にお伺いをしたいと思いますけれども、私は、二〇一五年とか二〇二〇年に向けてのエネルギーの需給見通しの中で、原子力に依存したいと考えているその率の達成が難しいと考えています。どう考えているのか、お答えを願いたいと思います。
  223. 江崎格

    政府委員(江崎格君) 現在の長期エネルギー需給見通しによりますと、二〇一〇年時点で原子力による電力の供給というものを四千八百億キロワットアワーと想定しておりまして、これはその時点における一次エネルギー供給の一六・九%、約一七%というものでございます。それから、発電電力量における原子力のシェアというので見ますと四二%、現在大体三割ぐらいでございますから、それをさらにふやして四二%ぐらいというふうに想定をしているわけでございます。  それで、今御指摘のように、いろいろな事故が起こりまして大変原子力立地というものが難しくなっているわけでございますけれども、原子力発電というのは大変いろいろな面ですぐれておりまして、例えば原料の入手、ウランをどこから輸入しているかということを考えますと、カナダですとかオーストラリアとかあるいは南アフリカとか、比較的政治的に安定した先進国が多うございまして供給確保という点で非常にすぐれておりますし、それから発電のコストという点でも、原子力発電というのは発電のコストのうちの原料、燃料の部分というのは大体一割ぐらいということで、コストの安定性でも非常にすぐれている。それから、もちろん最近非常に国際的に問題になっております地球温暖化問題、こうした点でも炭酸ガスの排出で非常にすぐれている……
  224. 小川勝也

    小川勝也君 そんなことを聞いているんじゃなくて、こういう事件が続いたので、原子力に頼ると思っていたけれどもそれが難しいかどうかということをお伺いしたいわけでございます。  じゃ、質問を変えましょう。  その二〇一〇年の目標を達成するために、一般的な原子力発電所で構いません、あと何基必要ですか。
  225. 江崎格

    政府委員(江崎格君) 先ほど申し上げました二〇一〇年の目標を達成するためには、もちろん発電所のサイズによりますが、今最新鋭のものを想定しますと、大体あと二十基ぐらいが必要かと思います。
  226. 小川勝也

    小川勝也君 今こういう御時世でございますので、二〇一〇年までにあと二十基というのは私は非常に難しい目標ではないかなというふうに考えるわけでございます。しかしながら、先ほども委員会の中で御審議ありましたように、住民の皆さんの御理解をいただきながら、そして国民の意識を啓蒙しながら、その目標に向かってどんどん進んでいっていただきたいと思います。  しかしながら、この難しい現状であるからして、私はもう一つの備えを考えてもいいのではないかなというふうに考えています。  エネルギーのベストミックスという考え方がございますが、我が国は石油に対する依存率を五〇%以下に抑えたいという願望も持っておりますし、私もそう思っております。もし達成できればそれにこしたことはないわけでございますが、原子力発電が予定どおり進まなかった場合、私は、新しいエネルギーではありませんけれども、天然ガスに今以上に着目すべきだと考えています。  今、北海道のすぐそばのサハリンにおきまして、サハリンⅠ、サハリンⅡ、サハリンⅢというガス田が開発をされております。まず、このサハリンのガス田に対して、外務大臣の御感想といいますか、どのように着目をしておられるのか、お伺いをしたいと思うんです。
  227. 池田行彦

    ○国務大臣(池田行彦君) お説のとおり、現在サハリンでは我が国の石油公団あるいは民間企業も参加した幾つかのプロジェクトが進んでおりまして、その中のサハリンⅡの方につきましては、早ければ一九九九年にも石油の生産が始まるんじゃないかなと、天然ガスは若干おくれると思いますが。それから、サハリンーにつきましてもそれほどのおくれがなく商業生産に移れるんじゃないかと期待されているところでございます。  そういった意味で、エネルギー全体の需給については、先ほど来エネ庁長官からもいろいろお話のあるところでございますが、私どもといたしましても、我が国エネルギー安全保障の観点からいってもその供給源の多様化ということは大切なことでございますし、とりわけ我が国に比較的近い地域からこういった石油あるいは天然ガスが入手できるということは好ましいことだと思っております。また同時に、それはロシアとの関係において、経済関係が緊密になるといったことでも好ましい効果があるものと考えている次第でございます。
  228. 小川勝也

    小川勝也君 私は、このサハリンの天然ガスには大きく着目をしているわけでございますけれども、そんな中で我が国はたくさんの天然ガスを輸入しております。それは当然のことながら船によって日本まで運ばれてきております。これは日本が島国であるという理由から仕方のないことかもしれません。しかしながら、先進諸外国では国内に必ずパイプラインの敷設が終了しておりますし、そして最新の技術によりますと海を渡ることも可能でございます。この原子力がどうなるかわからないという今こそ、私は日本国内あるいは国際パイプラインというものを真剣に考える時期ではないかなというふうに考えております。  一つは、今、外務大臣からも御答弁いただきましたサハリンのことでございます。サハリンと稚内の間というのは非常に短うございますし、これが我が国のパイプライン計画への一石になることを私は望んでいるわけでございますが、実は構想はもっと壮大でありまして、中央アジアあるいはシベリア・イルクーツク地区などには豊富なガス田が存在しております。そして、それを中華人民共和国を通って我が国にパイプライン網を整備するという研究を行っている方もたくさんおります。  これがいろいろなメリットも生じるわけでございますが、例えば中国は最近目まぐるしく経済が成長しておりまして、工業も発達をし、煙もくもくの工場がたくさんできております。それは国内産の石炭を使って、これが環境に対する影響が著しい。我が国は隣の国でございますので、中国の工場から出た煙もくもくが我が国に酸性雨をもたらすということも、確実な情報ではありませんけれども、認識をされております。そして、中国のエネルギー転換、我が国における環境の問題、そして今ロシアとの関係についてということを外務大臣からもお話をいただきました。この極東地区における新たな安全保障政策的な考え方の一環としても私は考えるべきだと思っております。  そして、なぜ今私がこの問題にこだわるかといいますと、御案内のとおり、先ほども申し上げましたとおり、今までは船で買っております。そして、ガスが出る国から長期的な契約で買っておりまして、これの主な需要者は電力会社であります。電力会社は民間企業でありますので、コストの意識を優先させますので、パイプライン敷設にコストの高い部分があればなかなかこのインセンティブが働かない。しかしながら、私はサハリンの開発が進む今こそこのパイプラインのことを考える時期だと思います。  といいますのも、ずっと船で買い続けますとその分の投資がむだになるわけでございまして、どうせ投資をするなら早い段階からという計算が成り立つと思うからであります。サハリンの計画が煮詰まって、日本がこれを買うということはほとんど間違いないと思いますけれども、これをぜひともパイプラインでやることを計画していただきたいと思います。  そして、その最大の難関はコストの問題であります。私は、できれば、社会資本とまではいきませんけれども、それに準じた扱いをしてもいいのではないかというふうに考えております。こう考えるからには、決断ができるのは政治の問題であります。  幸いにして、きょうおられませんけれども、佐藤通産大臣も非常に御理解をいただいておりますので、私はここで外務大臣が通産大臣と個別に御協議をいただいて両省の打ち合わせをしていただければありがたいと思いますし、コストの分も、船で運ぶ分とそのコストの差が出たときに、その差の分だけ政治的に解決をする方法も残っておると思います。今こそ外務大臣の政治的御決断を求めたいわけでございますけれども、一言御感想をお願いいたします。
  229. 池田行彦

    ○国務大臣(池田行彦君) あるいは御期待に沿えない御答弁になるかもしれません、決断力が鈍い方でございますから。  先ほど御答弁申し上げましたように、基本的にサハリンの石油なり天然ガスを我が国が入手できるということは大変結構なことだと思います。ただ、その輸送手段として、タンカーによるのがいいのか、あるいはパイプラインによるのがいいのか、これはいろいろな観点から考えなくちゃいけないと思います。  一つは、おっしゃいましたコストの面でございます。この点につきましても、今お話ございましたけれども、まだサハリンから出ます天然ガスを一体だれが買うのか最終的な需要者が確定していない段階でございます。そういった段階でも、お話のございましたように、電力業界その他ではパイプラインについてはどうかなという若干の疑問も提起されていることがある。それで、一方でプロジェクトに出資しておられる方では積極的というふうに伺っております。  そういったことで、まずは民間の方で、そういったコストの面はどうなるのか、いろいろ御検討いただくことが肝要かと思います。  それから、さらにもう一点つけ加えますと、パイプラインという恒常的な施設を敷設するとなると、やはりそれが走る地域の政治あるいは社会的な状況はどうかという点も考慮に入れなくちゃいけないんだと思います。  特に、先ほどお話のございました中央アジアの方となりますと、経由する地域が、先ほどお話があったのは中国経由、これは八千キロを超える壮大な計画でございますけれども、それ以外にも、イラン経由であるとか、あるいはアフガニスタン経由だとかというような構想もあるように伺っておりますけれども、そういうことになりますと、ますますコスト面だけでなくてパイプラインの走る地域の政治状況ということも考慮しなくちゃいけないんじゃないかと思います。  いずれにしても、委員の御提起、大切な点でございますので、政府部内におきましてもよく相談しながら将来に向かって誤りのない対応をしてまいりたい、こう考えております。
  230. 小川勝也

    小川勝也君 江崎長官にも言いただきたいわけでございますけれども、一番問題点となるのは、今外務大臣から御答弁がありました使用者側のコストの問題だと思います。あくまでもそれを解決するのは私は政治の場だと思いますので、そのことを大臣によろしくお伝えをいただきたいわけでございますが、一言だけお願いいたします。
  231. 江崎格

    政府委員(江崎格君) 私ども、このサハリンのプロジェクトをなるべく早く実現されまして、日本に早く供給されるということになれば非常に好ましいことだというふうに思っております。  パイプラインの問題ですが、これは実は最近、関係事業者によりましてフィージビリティースタディーが始められております。私ども、この経過を注意深く見守っていきたいというふうに思っております。
  232. 小川勝也

    小川勝也君 時間がなくなりましたから、次の質問をさせていただきます。  次は、光ファイバーの整備についてでございます。  この光ファイバー整備というものが新たな社会資本として新しい産業を生み出すかぎになっていくのではないかと私は思っております。  実は、詳しい知識がありませんので郵政省の御答弁をいただきたいわけでございますが、光ファイバーの問題でございますけれども、多分NTTを初めとする電話回線を使う業者が今やっておるんだと思いますが、これの敷設状況と将来的な見通しをまずお伺いしたいと思います。
  233. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 光ファイバーにつきましては、いわゆる電話局と電話局を結ぶ中継糸の問題と、それから電話局から各加入者宅へのいわゆる加入者系の問題がございまして、前者につきましては必要な容量はもう既に確保されておりますので、問題はこの加入者系でございます。  この加入者系につきましては、御指摘のように、光ファイバーネットワークが二十一世紀の高度情報通信社会を支える基盤的な社会資本になるということで、我が国の経済力の国際競争力を確保するという観点からもその早期の全国整備が必要だと考えております。ただ、この整備につきましては、御指摘ございましたように、基本的には民間の事業者、NTT、それから新規参入の事業者、それからCATVの事業者といった方々が整備をされるわけでございます。  したがいまして、その整備はサービスを受ける方々の、利用者の方々の需要に対応するということになるわけでございますけれども、現時点では直ちにその整備も進みませんし、またこれだけの大容量の通信システムを使いこなすだけの需要が出てくるわけでもございません。という意味で、当面需要見合いではこの整備が十分進捗しないものと考えておりまして、私どもといたしましては、二〇一〇年を一応の一〇〇%整備のめどと考えておりまして、その全国整備完了に向けまして、二〇〇〇年段階で人口のカバレッジ二〇%ということを目標としております。  このために、超低利融資でございますとか、税制による支援措置を民間の方々の立ち上がりのための先行整備期間に対する助成として措置を講じております。その結果、現在の進捗状況でございますけれども、九六年度末でおおむね一六%の整備が完了しておりまして、これは当初の予測に比べましてかなり前倒しに進んでおるというふうに考えております。  今申し上げましたように大変重要な基幹的な資本になると考えておりますので、今後ともこの二〇一〇年の全国整備の目標に向けまして施策の充実等、環境整備を図っていきたいというふうに考えております。
  234. 小川勝也

    小川勝也君 これが一日も早く整備されるように望むものでありますが、民間企業でありますNTTが中心となってやっております。実は、そのNTTにはもっともっと通話料金、回線使用料金を下げてもらわなきゃいけないという命題も我々は抱えております。光ファイバー網を整備するから電話料金の値下げが進まないとか値上げするなどということがないように、これはお願いになるかと思いますけれども、御配慮をいただければと思います。  その安くなければならない問題に航空運賃がございます。私も、先ほど質問に立たれた加藤委員も北海道でございます。地域経済を支える大きなかぎにもなっております。  最近、運輸省は規制の緩和が進みまして、航空の分野がやっと動いたなというふうに感じております。まだまだ満足するものではございませんので、これ以上の自由競争と、あるいはサービスの多様化等、最終的には運賃の大幅な値下げに向けて運輸大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
  235. 古賀誠

    ○国務大臣(古賀誠君) 先生指摘いただきまし一た航空運賃の低廉化につきましては、幅運賃制度、また割引制度の弾力化、そういった中で、規制緩和の流れの中で本来的には航空会社間の競争によって実現されるべきものだというふうに理解をいたしております。行政としては、そういった環境整備に今後全力を尽くしていくということが必要になろうかと思っております。  そういった意味で、昨年の十二月に国内航空にかかわります需給調整規制を廃止するということで決定いたしておりまして、今後、運政審で有識者の方々等の航空運賃を含むさまざまな御論議を踏まえまして、一層競争促進策を着実に進めていくということに努力をしてまいります。
  236. 小川勝也

    小川勝也君 引き続きの御努力をお願いしたいと思います。私たちを初めとして利用者は結果を求めておりますので、大臣、よろしくお願いをいたします。  最後質問になるかと思いますが、先日、白川自治大臣が北海道にお越しをいただきました。全国で約三千三百の自治体があると言われておりますが、北海道には二百十二市町村があります。  私は、かねてより市町村合併をもっともっと推進する施策はないかというふうに考えておったものでございますが、逆に大臣にお伺いをしたいわけでございますけれども、市町村合併によって将来的にどのように財政的メリットが起こるのか、こんなところをもしおわかりならば御発言いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  237. 白川勝彦

    ○国務大臣(白川勝彦君) 委員お尋ねのメリットという点でございますが、なかなか具体的に数値を申し上げて言うのは一概には難しいわけでございますが、まず第一は福祉のサービスが安定的かつ充実して提供できるということなどは大変大きなことだと思います。また、保健、土木などの専門的かつ高度な能力を持った職員を確保することができる、公共施設の広範囲な利用ができること、広域的な視点から一体的な町づくりを進めることができる。  合併実施にはこのようなメリットがあるわけでございますが、財政的にというと、効率的に行政運営を行うことができ、行政経費が間違いなく節約されることは事実だと思います。かつ、少ない経費で高い水準の行政サービスも可能になる。  こういうことで、自治省といたしましてはこれまでも機運の醸成ということに努力をしてまいったわけでございますが、機運の醸成というだけでは、空気というのはまたどこにいるかわからぬものでございますから、第二段階の問題に入ろうということで、省内に総務課長を初めとするプロジェクトチームをつくりまして、どういうのが合併を阻害してきた要因なのか、あるいは合併を促進させるためにはどういうメリットを与えることによって促進できるのか、こんなようなことについていろいろ今協議を始めたところであります。
  238. 小川勝也

    小川勝也君 これはあくまでも住民の発意が大事だということだと思いますので、自治省におかれては特段のメニューの用意ということになると思いますので、一層の御配慮をお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
  239. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。  女子労働者の深夜勤務、時間外・休日労働を禁止、制限している労働基準法の女子保護規定の撤廃、これを含む法案が二月七日に上程され、今大問題になっております。労働大臣は国会答弁で、女子保護規定が撤廃された場合でも規制がなくなるわけではない、そう言われています。それは、理由として挙げられているのは、労働基準法の三十六条に基づく労使協定、いわゆる三六協定、この締結が前提条件になっているからだ、そう言われていると思います。その際、本当に時間外労働は三百六十時間の範囲内しかできない、そういうことになるかどうか、お尋ねいたします。
  240. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) 御指摘ございました三六協定の問題でございますが、お話ございましたように、私ども労働大臣の告示によりまして労使が決める際の上限を目安として定めておりまして、三六協定の届け出を受け付ける際に、私ども窓口におきましてそれに沿うような労使協定がなされるように指導いたしているところでございまして、今後、女子保護規定が解消された後で、やはり家庭との両立等の問題がいろいろ意識されてくる中で、そういった指導というものも適切かつ丁寧に行うことによりまして、先生指摘のような趣旨に沿った指導ができるものというふうに考えております。
  241. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 三六協定は目安だという話がありましたけれども、法的拘束力はあるかどうか。
  242. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) 法的拘束力というのはどういうものであるか確かではございませんが、私ども三六協定を受け付ける際に、窓口でのそれに沿った労使協定がなされるような指導の基準として効果を持っておるものでございます。
  243. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 法的拘束力がないということは明らかなんです。労働省が出している「時間外労働協定を結ぶに当たって」、こういう。パンフレットがありますけれども、それを見ても、これは要するに目安だと、今言われたとおり指導上の目安なんです。そういうことが言えるわけで、法的拘束力はない。そうするといろんな問題が起きるわけです。私は、今三六協定の実態がどうなっているかということについて示したいと思います。  これについては、実は昨年の十二月に連合がこういう資料を出しているんです。大変興味深い資料なんですよ。何しろ約千四百三十の企業の三六協定の実態を一冊にまとめて、それで示しているわけです。これを見ると、男性の年間平均締結時間三百七十一時間。産業別の内訳を見ると、交通・運輸が一番長くて四百五十一・九時間、次いで建設資材・林産四百六・九時間、金属三百九十六時間、こういうふうになっているわけですね。個々の企業を見ても、例えば運送会社のセンコーというところでは九百二十四時間です。九百二十四時間の協定を結んでいる。  じゃ、女性の場合はどうか。女性の場合は、八五年のあの均等法制定と同時に実施された女子保護規定の緩和ということがありまして、百五十時間の適用外ということが生まれてきました。その結果で、女性で平均して百六十時間です。この中の企業の平均が百六十時間。その中でも物すごく多いところがあります。あの日立の関連企業の日立電線、ここは何と八百四十一時間です。八百四十一時間です、女性の時間外労働。  大臣、こういう事態を御存じですか。大臣、大臣に聞いておる。
  244. 岡野裕

    ○国務大臣(岡野裕君) 先生のお話は、私、数値をそのまま前から存じ上げているわけではございませんけれども、実態がこうだというような意味合いで先生の数字をそのまま受けとめさせていただきます。  なお、労働省は労働省なりに調査をいたしたい、こう思っております。
  245. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 個々の数字を挙げていくと切りがないけれども、八百時間、七百時間、六百時間、ずらっと並ぶんです。女性の労働時間ですよ、時間外労働だから。こういう実態がある。今大臣言われたけれども、しっかり調査していただきたい。規定がなくても三六協定があるから大丈夫だと国会答弁をこれまでしてきた、その大臣がこういう実態を知らないんでしょう。実態を知らないんですよ。ですから、きちっとつかんでいただきたい。今労働現場で一体何が起きているか、このことを調査すると言われましたけれども、それをきちっとやっていただく、このことをまず要求したいと思います。  その上で、三六協定には例外措置が設けられていますね。特別条項つき協定を結べばこういう形で幾らでも時間を上積みできるんです。すると何が起こるかというと、こういう形でまさに青天井が生まれるわけです。女性の時間外労働が八百時間とか七百時間とか六百時間、こういう実態が今あちこちであるわけです。私はそういった意味で、まさに三六協定があるといってもこれは青天井だ、歯どめがない、このことははっきり述べておきたいと思うんです。  私はそういう点で、労働大臣が三六協定があるから女子保護規定を撤廃しても大丈夫だと言っているそのことが実態を全く踏まえていない、まさに認識を間違えた考えであると思うんです。私はその認識を根本的に改める必要があると思う。大臣、いかがですか。
  246. 岡野裕

    ○国務大臣(岡野裕君) 時間外労働につきましては、私は予算委員会等でもお話をいたしました。先生も先ほどお挙げになりましたが、業種、業態、それぞれの事業所がございます。したがいまして、労働省の方から目安としては出しておりますけれども、こうしなければならないというような、先生がおっしゃるような拘束力は必ずしも持つも一のではない。  したがって、そういうような実態を踏まえて、そこの使用主とそれから労働者側の方の代表が話し合いをして、現場に即した、そうしてそこの労働者の皆さんの力にも即した、そういうような三十六条協定を締結して実際の時間外労働が行われる、こういうように考えております。
  247. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 その三六協定がほとんど歯どめになっていない、青天井だということを申し上げたんです。ですから、大臣は、これから審議が始まると思うんだけれども、国会の審議の中で三六協定があるから女子保護規定を撤廃しても大丈夫だ、そういうことは一切言わないでほしい。それは破綻したんだから、あなたの言っていることは。  次に移ります。  この問題についてですけれども、労働省はことし一月になって、労働省の所管にかかわる規制緩和要望及びその検討状況について公表いたしました。その中で女子保護規定の撤廃を要望している団体、それはどこか挙げてください。
  248. 太田芳枝

    政府委員(太田芳枝君) お答えいたします。  女性労働者に対する時間外・休日労働、深夜業の規制の廃止を求めております団体といたしましては、経済団体連合会、日本商工会議所、経済同友会、日本経営者団体連盟などがございます。
  249. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 などじゃなくて、全部挙げて、全部。
  250. 太田芳枝

    政府委員(太田芳枝君) そのほかに、行政改革委員会、経済審議会、大阪工業会、電気事業連合会、日本電子工業振興協会、日本フランチャイズチェーン協会、日本紡績協会、日本チェーンストア協会でございます。
  251. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 お聞きのように、全部財界、産業界なんです、要望しているのは。そしてさらに、この間ずっと要望してきた自動車工業会があるんです、これがその急先鋒なんだけれども。  私は、自動車関係ということでトヨタ、世界のトヨタですよ、その労働状態がどうなっているかということを最近現地で調査してまいりました。トヨタの生産ラインに働く方々の実態がどうなっているか、これを調べました。  トヨタでは、一九六三年以降三十二年間続いてきた昼夜二交代制、これを九五年の五月から全社一斉に生産部門では連続二交代勤務に変えたんです。二万六千人の労働者が、早番の場合は仕事は朝六時半から始まる。そして遅番では深夜一時、残業の場合には午前二時半まで作業が続けられる。その行動はビデオとストップウォッチで一部始終チェックされる。働いていて目に汗が入るでしょう、ふく暇もない。トイレに行っちゃいけないから水も飲まない。そういう過酷なことが行われているんです。  さらに驚いたのは、ハンドルメーンシャフトの製作工程がどうなっているか。一工程のサイクルタイムはわずか四十一・五六秒です。その間に平均五十四回の動作が繰り返されるんです。歩く時間を除いた一動作当たりの所要時間は〇・四八秒、一工程の歩行距離は何と三十メートル、歩幅六十センチで二歩一秒で歩くのがトヨタの基準なんです。絶えず労働者は小走りしている。だからマラソンラインとみんな名をつけているんです。労働者一日の作業総回数は三万七千回ですよ、三万七千回。走る距離、それは何と一日二十キロメートルに及ぶんです。  大臣はこうした実態をどう受けとめられますか。
  252. 岡野裕

    ○国務大臣(岡野裕君) 先生のお話は、決算委員会においてそういう御発言があったというように受けとめさせていただきます。
  253. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 ひどい発言ですね。  労働大臣、あなたはこういう実態を知っていますか。そういう現場に行ったことがありますか。労働者が目に入る汗をぬぐう暇もない、こんなテンポで働いている現場、見たことがありますか。
  254. 岡野裕

    ○国務大臣(岡野裕君) 私はトヨタの工場は拝見をしたことがございますけれども、先生がおっしゃったそういう状態は拝見しておりません。  なお、トヨタには大きな労働組合がありまして、その幹部の皆さんともいろいろお話をしたことがございます。
  255. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 そういう実態を見ないで今回の規制の撤廃を行う、そういうことがいかに重大かということを私は次に述べたいと思うんです。それは、トヨタの女性労働者の実態がどうなっているかという問題です。肝心な問題です。  トヨタでは、九一年四月からこういう過酷な生産ラインに女性の労働者が投入され始めたんです。愛知のトヨタでは既に二百人がついている。トヨタ自動車九州の工場では、生産にかかわる千六百五十人のうち五十人の女性が現在もう既に働いている。数年のうちにこれを五%にする、今三%ですか、そういう計画です。そのために今トヨタでは女子保護規定の撤廃、これを最大限の目標にしているんです。今規定があるために、女性はラインで働いていてもせいぜい十時半までしか働けない。それ以降は職制が変わるんです。それを深夜まで、午前一時とか二時半までトヨタは働かせたい。だから規定の撤廃ということを要求しているんです。  そして、この女性の場合、みんな若い女性です、高校を卒業してわずかしか働かないんだから、こんな激しい労働だから。すると賃金は男性の半分なんです。そして大量の女性を使う。それがトヨタの人件費コスト削減なんです。だから、トヨタが超過利潤を追求しようとするときにどうしても女性が必要なんです。  トヨタのスローガンを知っていますか。将来の夢はパートの女性でもできる生産ラインづくり、これを今掲げてやっているわけです。  しかし皆さん、女性でもできる、そう言うけれども、男でも人間の生理的限界ぎりぎりの超超過密労働。この五年間見ても男性の在職死亡者は二百九十人ですよ。休職期間満了による退職者は五十人、うち十人近くはその後亡くなっている。労働大臣、こういう深刻な実態、こういうところに女性労働者が投入されたら女性に一体何が起こるか。どう考えられますか。
  256. 岡野裕

    ○国務大臣(岡野裕君) 先生、私どもがこれから御審議を賜りますところの男女雇用機会均等法、これは十年の経験を経ました上で、先ほど政府委員である私どもの方の局長がお話をいたしましたけれども、関係審議会から積極的な建議というようなことでちょうだいをいたし、それを我々労働省といたしましては十分検討し、法案をつくらせていただいた次第でございます。その審議会にはいろいろの学識経験者、これは使用者側の声もそれから労働者側と言われる皆さんの声も、それぞれ入ったそういう中身のものでございます。したがいまして、これに基づきましての法案でありますので、ひとつよろしく審議をお願いいたしたい。  先生がお話しになられた実態については私、そのまま目にいたしておりませんけれども、そのような発言があったというように理解をいたしておきます。
  257. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 すべて机上の話なんです。審議会で会議をしているとかいろいろ言われたけれども、大臣、やっぱり労働現場を見なければ。そして今何が起こっているか。トヨタでこういうことが起こっているんですよ。  ですから、さっき調査を約束されたけれども、この労働実態についても大臣みずから調査する、どういう問題が起きているかを自分の目でちゃんと見る、自分の耳で聞く、そういうことをやられることを約束していただけませんか。
  258. 岡野裕

    ○国務大臣(岡野裕君) 私は、労使関係の現場をおおよそ二十五年間、先生がおっしゃいまするような、似たような意味での御発言に基づいて職場を見たことがございます。  しかしながら、先生がお話しなされた、トヨタならトヨタのその現場そのものを見たかと言われますならば、今の時点では見ておりません。
  259. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 約束してください。
  260. 岡野裕

    ○国務大臣(岡野裕君) もう全国無理でありますので、私はできる限り現場を歩くという方針で労働行政さお差しているつもりであります。
  261. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 実態を知らない、そういう労働行政の責任者というのは私は失格だと思います。ですから、そういった意味できちっと現場を知る、そのことを要望しておきたいと思います。  トヨタで、さっきの話になるけれども、私改めて思いましたけれども、現時点で、若い女性が仕事が終わった後歩けずにしゃがみ込んじゃうんだから、そういうことが起こる。もちろん結婚したらみんなやめていく、子供が生まれたらもちろんやめる、そういうサイクルでの仕事にしかならない。だから、結果として女性は働き続けることができないんですよ。しかもそれだけじゃなくて、健康を破壊される、母性も破壊される、そういう問題が起こる、これが重大なわけです。  しかも、トヨタの経営者に有名な言葉があります。豊田英二名誉会長、何と言っていると思いますか。締め過ぎて死んでしまったら元も子もない、そこは上手にやる、こういう発想でやっている。本当残酷な言葉、人間とも思えない。  こういうことで労働者から搾り取る、そういうことを進めている際に、労働大臣がそういう現場を知らない、そして話は聞き及んだと。その程度で仕事が務まるか、私は率直に言ってそう思います。  したがいまして、今言われたような労働現場、これを知らずにあなたが議論しているということがはっきりしましたよ、今回。ですから、そういう点を踏まえていただきたい。そして、最大限その現場を知っていただきたい。  今、各界からすごくいろんな批判が出ています。その中に、日本弁護士連合会、その意見書があります。ことし三月採択されたものです。これは全弁護士の団体ですよ。そこで、この女子保護規定の撤廃には反対するということをはっきり書いている。何が書かれているかというと、「女子保護規定の撤廃は、職場における労働実態、家庭生活の実態を無視したもので、女性労働者の健康、家庭生活に大きな支障を及ぼし、さらに働き続けることをも困難とするものである。」と、こう書いているんですよ。  ですから、私はその点で、この実態をはっきり見て、こういうとんでもないこと、女性の労働者を痛めつけるだけじゃなくて結局は男性労働者の労働条件を悪化させる、そういうものです。ですから、私はそのことを要望しておきたいと思います。  そして、私、外務大臣にお聞きしたいんですけれども、今この問題でアジア諸国から女子保護規定の撤廃はやめてほしい、そういう声がいろいろ沸き起こっております。  私、きょう資料を持ってまいりました。委員長、恐れ入りますけれども、これを外務大臣にお渡ししてよろしいでしょうか。(緒方靖夫君資料を手渡す)その中に、やはり非常に重要な声があるんです。今、日系の企業に勤めている現地の労働者は百七十六万人です。女性が非常に多い。その中で、ただでさえも今、日本企業で大変な状況で働いている、日本は厳しい労働管理や長時間労働で悪名高い国だとその手紙の中にも書いている。そして、日本でそういう法改正、法改悪と私は思いますが、それが行われたらこれから大変なことになる、そういうことはやめてほしいと。  国内法の改正に対してそういう声が海外から上がる。これはやはり異常な事態だと思うんです。それだけに、深刻な改悪がやられようとしているということの証拠なんですよ。  ですから、私はそういった点で、今外務大臣を先頭にしてアジアとの友好という点で非常に努力されていると思います。やはりこういう問題にきちっと耳を傾けて、西ドイツの宰相ヘルムート・シュミットさんが言ったように、日本はアジアに友人が一人もいない、そう言われましたけれども、そういう状況を回復するために外交をやっているわけでしょう、今。それをもっと悪化させるようなこういうとんでもない労働法の改悪、こういうことは絶対やらせない、そういう立場でこういう声にきちっと耳を傾けていただきたい。アジアでは、これはアジア版女工哀史だ、そう言われているんですよ。  私は、その点で最後に外務大臣に、こういうアジアの労働者やNGO、人権団体、労働組合の声に耳を傾けていただきたい、このことを要望したいと思いますが、いかがでしょうか。
  262. 池田行彦

    ○国務大臣(池田行彦君) 基本的に、我が国における労働基準法の中の女子保護規定が撤廃されるということがございましても、これは海外の諸国において活動している日系企業に適用されるものじゃございません。そういうこともございますし、現段階で私の立場から影響のあるなしも含めてコメントするのは適切ではないと思います。  あえて申し上げますならば、そういった海外で活動している日本企業も長期的にそこで活動しようとするならば、やはりその社会に受け入れられて歓迎されるという状況をつくらなくちゃいけない、当然そういう配慮はするんだろうと、こう考えます。  いずれにしても、我々は、邦人や日系企業がアジアを初め各国との友好関係に好ましくない影響を与えないように配慮はしていただきたいし、また、していただいているものと考えております。
  263. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 外務大臣にフォローをお願いして、終わります。
  264. 椎名素夫

    ○椎名素夫君 きのうの続きのような話で、国債のお話を実はしようと思ってきのう事務方にお願いしておきました。大変たくさん国債がある、これを一体どうしていくか、減らすということだけでなしに、しばらくはゼロというわけにいかないでしょうから続くんだろうと思うんです。  幾つかのポイントがあると思いますが、ひとつ知識として教えておいていただきたいのは、一体国債保有というのはどういうふうな分布になっているかということ、これが一つ。  それから、建設国債ならいいということになっておりますが、よくよく調べてみると一部消費的な国債になってしまっているという要素が必ずしもないわけではない。借金として見たときに特例国債と建設国債というのは一体はっきり区別がつくものかどうか、このあたりも考えなきゃいかぬ。  それから第三点目としては、二百五十兆全部を一たん減らして全くの均衡予算にしなければいけないのかというふうな話があると思うんです。  我々の眼目は後世に借金を残さない、ということよりは、迷惑をかけないということですとあるレベルがあり得ると私は思っておるわけです。大体その適正なレベルというのは一体どのぐらいなものになるか。国債が証券市場から全部消えうせるということが一体いいことかどうかということもその中には入ってくると思うんですが、その適正レベルというのはどのぐらいかということをお聞きしますよということをきのう申し上げておいたんですが、ほかのことはともかくとして、その点について大臣からお考えがあればお聞かせを願いたい。
  265. 三塚博

    ○国務大臣(三塚博君) 詳細なところは政府委員から説明させるといたします。  御案内のとおり、国債の実態でございますが、二百五十四兆が政府一般会計の抱える数字でございます。それに地方を含め、特別会計を含めということになりますと四百八十五でしょうか。世に言われる隠れ借金四十八兆がありますが、これは厳密な財政法上の扱いからいきますと国債ではないと、こういう見方もございまして、これは別にしました。これを入れますとそれにカウントしますから五百二十兆、こういうことになります。  そこで、次の御質問でありますが、建設国債につきましては六十年償還という原則がございまして、インフラ整備等これの発行できる要件を定めておるところであります。そういう中で椎名議員が指摘をされる消費の部分があるのではないかと、これはあります。いわゆる建設国債該当部門ということで指定をされますとこれができるということになるわけでございまして、その場合は償還年の短いものもある。本件については、次長が来ておりますから、詳細にまた説明させることといたしますが、ここまで国債が累積をいたしてまいりますと、建設国債といえども国の借金であると、これは当たり前に考えますとそういうことなんですね。  適正な基準がどこにあるかというのが椎名議員の言われるところでありまして……
  266. 椎名素夫

    ○椎名素夫君 我慢のできる。
  267. 三塚博

    ○国務大臣(三塚博君) 適正な基準というのは何なのかというと、これはなかなか定義がございません。定義がございませんけれども、昨今ヨーロッパ統一通貨に向けて最後努力を各国がいたしておるときに出しましたのが、GDP比でございますが、ストックで六〇%以下に下げること、そして同時に、フローでGDP比単年度三%、こういうことであれば健全財政と言われるだろう、こういうことなのであります。  我が国の現況は、御案内のとおり対GDP比九〇%を超えておる。それを要処理額としてカウント外にしておるものを加えますと先ほど申し上げました五百二十兆でございますから、そうしますと、GDPは五百十五でありますから、九年度の予想額はそちらの方が高くなりましたと、こういうことでございまして、基準とすればそういうことになるんでしょうか。  それと、平たく言えば、昨日も申し上げました、借金の利子を払うのにその利払いにまた借金と、これはいけませんですね。もう限界に来ておるということでありますから、この辺のところは、一般会社であれば整理に入っていく直前、債務の清算をしてどうするかと。  幸いに、国有鉄道は、そのことに英断を持って政府と国会がこれに賛同しましたから、分割・民営をした後は、参考のために申し上げますと、毎年二千五百億円の国税、地方税を払うところに参りました。  それともう一つは、旧国鉄時代はまさに利払いにも間に合いませんような補助金でありましたが、これが分割にスタート、民営にスタートするまでの十年間の平均をとりますと毎年六千五百億円出してまいりました。ですから、民営化することによって六兆五千億円を国は出さずに済みました。しかし二十八兆がありますから、この次元とは全くまた違った次元になりまして、先ほどの五百二十兆にはこの二十八兆が入るわけでありますけれども、こういうところでございます。
  268. 椎名素夫

    ○椎名素夫君 もう少し詳しく教えていただくというのがあるんですが、この次にします。申しわけない。国債の話はもう結構です。また国債の話は改めてやります、あと十三分しかありませんから。まあ用意しておいてください。  それで、きのうも会計検査院長さんに来ていただいて済みませんでした。会計検査院のお仕事を五十年着実にやってこられたこと、大変敬意を表するわけですが、重箱の隅じゃないかという話がありますね。考えてみると、不正、不適切というようなことを細かく指摘されて、しかしそれを足してみると二百数十億ですか、一般会計の中で言えば本当に重箱の隅というような話になるかもしれない。しかし私は、決してそれがそれでは困るという話じゃないだろうと思うんですね。世間ではもう少し踏み込んでいろんなことをやれというような話がありますが、重箱の隅というのはやっぱり非常に大事なんで、重箱の隅をきちっとやる人がいないとそこらじゆうでだらしなくなってしまうという意味で、私はそういう仕事をきちっとやっていただくということが非常に大事だと思うんです。  例えば、今これだけ借金を積み重ねた大変な時代になって、それから、あるいはどうもいろいろな公共事業がどうであるとかさまざまな問題が出てきている。そういう中で、どこかもう少ししっかりやるところはないかといったら、会計検査院というのがあるじゃないかという話で、恐らく話を持ってくるんだと思うんです。考えてみれば、もしも我々の財政が非常に健全で均衡財政でもやっていて、しかも国会がしっかりしておっていいかげんな予算をつけないということだと、この重箱の隅がもう非常に役に立つ話であって、みんな、いや、よくやってくれてという話になるんだろうと思うんです。しかし、こういうことになっているから、総理大臣、大蔵大臣以下、一生懸命これを何とかしなきゃいけないというときだから、猫の手も借りたいというような話で会計検査院ももう少し踏み込んだり幅を広くしたりしてやれと、こういう話なんだろうと思うんですね。  しかし、考えてみると、けさもいろいろお話があったけれども、一体予算の執行に当たって不正規の問題はあるか、不適切はないかというような話ですが、そこで一歩踏み出して、その有効性というところまで目を向けることにしたというお話がありました。  しかし、これは伺いたいんですが、あくまでも法令があって、そしてそれを基礎にしながらきちっと予算というものが決まる、その枠の中での話にとどまるわけだと思うんですが、いかがでしょうか。  それを踏み越えて、例えばたくさんの省庁にまたがって同じようなことをやっているという、きのうも下水の話か何か出ましたが、これはむだだから三省の組織をみんなまとめて一本でやれとか、そういうところにはそもそも会計検査院というものは踏み込めない、なじまない。あるいは守備範囲であるさまざまな特殊法人とかああいうものを、これとこれはやめてしまえとか、これとこれは一緒にしろとか、そこに踏み込むだけの権限というのはないし、またそもそも守備範囲じゃないんだろうと思うんですが、そのあたりの区別というのはどういうふうにお考えになって仕事をしていらっしゃるか、伺いたい。
  269. 疋田周朗

    会計検査院長(疋田周朗君) お答え申し上げます。  結論といたしましては、今委員がおっしゃったような考え方で私どもも検査に当たっておりますが、若干御説明をさせていただきたいと思います。  私ども会計検査院の検査の対象は、決算と各種の会計経理、すなわち予算や政策の執行過程あるいは結果が私どもの検査の対象でございまして、したがいまして、この予算の執行ということを離れて、予算あるいは政策そのもの自体を直接取り上げて評価するという立場にはないわけでございます。  しかしながら、こういった予算や政策の執行過程におきましていろいろな問題がある場合には、その原因を徹底して究明するということなどによりまして、関連する予算や政策の効果、こういったことまで含めて積極的に取り上げていこうというのが、現在私どもで取り組んでいる姿でございます。
  270. 椎名素夫

    ○椎名素夫君 今おっしゃったとおりだと思うんです。ですから、会計検査院のお仕事というのは、やはりお仕事の組み立て方もそうなっているんで、各省庁の担当などがいらっしゃつて、そこから出てくる検査を監査するというのが中心の仕事ですね。  しかし、これから先は、行政改革とかなんとかいうかけ声ということにとどまらずさまざまなことを大胆に考えていかなければいけない時代に入ってくると、一応決めたことをきちっとやっているかどうかということだけでは落ちつかないところに、本当は政治が立ち入っていかなければいけないということだと私は思うわけです。そのために国会というのがあって、そういうことで考えていくと、国会における決算というのはそういうことに、会計検査院がここまででとまったら、その先に踏み込むということを本当はやっていかなければならないことだと思うんです。.それで委員長、これは委員長に申し上げたいんです。参議院は決算で衆議院は予算というようなことを我々申しますが、ここで困るのは、先ほど会計検査院は法令があり、そして予算があり、その執行段階で何か妙なことが起こらなかったか、あるいはもう少し調べてみたら問題はあるというような範囲にとどまるわけですが、それを乗り越えたところで決算というのをやって、きのうも大蔵大臣おっしゃったけれども、これからの予算のつくり方に参考になるようなことでなければいけない。  ところが、決めたことからはみ出すためには本当はフリーハンドがなきゃいかぬのですね。ところが、国会というのは衆参両方に予算委員会があって、そして多くの場合予算が否決されたというのは余りない、みんな通っちゃっているということになると、我々参議院も予算をこれで結構といって通しちゃっているわけですな。そうすると、それから余りにもはみ出したようなことで、これはおかしい、あれはおかしいと言うのは大体理屈に合わなくなってくるわけだと思うんです。したがって、ちょうど会計検査院に似たようなことで決算委員会というのはやらざるを得ないというような話になってしまっているんじゃないかと思うんですね。そこを一体どう考えるかということが、私は参議院は決算だというときに一番根底にある問題だと実は思っております。  予算委員会をこっちでもやりますが、衆議院で議決して三十日たつと自然成立してだれも困らない、当面はね。我々もちろん毎年の予算を参議院でじっくりと研究するのはいいけれども、むしろ議決しない方がいいんじゃないかと私は思うんですね。  決算では勝負させてもらうよという話というのは一体成り立たないんだろうか。非常に荒っぽい話ですが、私は、衆議院は予算で参議院は決算だというようなことを本気になって考えたら、これから非常に難しい時代に、この傾きかけた予算を何年かかかってじっくり直していって、我々がいなくなったときに困らないようにするというような荒仕事をやるためには相当腰を入れてやらなきゃいかぬ、これを私は一つの考え方として皆さんにぜひ考えていただきたい。提出をして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  271. 水野誠一

    ○水野誠一君 新党さきがけの水野でございます。ダイオキシンについて私は質問をさせていただきたいと思います。  皆さん御承知のように、最近ダイオキシンの危険性が新聞、テレビなどでも大変盛んに取り上げられているわけでありますが、ダイオキシンというものは、塩素あるいは塩素を含む化合物の生産、使用、廃棄によって全く意図することなく発生する有機化合物である。そしてまた、その毒性は青酸カリの一万倍以上の急性毒性を持つ。そういう意味では人類のつくり出した中で最も最悪の毒物だと言われている物質であります。  ダイオキシンというのは、我々記憶にありますところのベトナム戦争のときに、アメリカ軍が使いました枯れ葉剤の中に含まれていたということでベトちゃん、ドクちゃんなどという悲劇が生まれたわけでありますが、このように奇形を誘発する毒性でもある。そしてまた、がんの発生ということはもちろんあるわけでありますが、それよりもはるかに低い暴露レベルであっても生命の生殖機能を狂わせる、いわゆる生殖毒性というようなものもあって、非常にたちの悪い毒性だと、このように指摘をされております。  このような猛毒でありますダイオキシンについて、かなり遅きに失している感はありますが、我が国でもようやくその取り組みが始まり、最近になって厚生省、それから環境庁がその検討を始めました。  そこで、まず環境庁に二点ほどお尋ねをしたいと思います。  環境庁で昨年五月より、ダイオキシンリスク評価検討会とダイオキシン排出抑制対策検討会の二つ検討会が立ち上げられまして、十二月に中間報告が出されました。二つ検討会はそれぞれ役割が違うわけでありまして、前者が、主にダイオキシンの毒性と我が国における暴露状況の評価から総合的なリスク評価をしているものであり、後者が、それを受けて健康リスクを低減するという観点から各種の規制や排出抑制の方策を考える、こういうものだというふうに聞いております。  そこで、このリスク評価検討会の中間報告というものを拝見したわけですが、毒性評価について健康リスク評価指針値というものが出されております。これは、環境保全対策を講ずるに当たっての目安ということで、許容限度としてではなくて、より積極的に維持されることが望ましい水準という説明がなされておりまして、一日当たり体重一キロに対して五ピコグラム、この一ピコグラムというのは一兆分の一グラムということでございますが、等を設定されているわけであります。また一方で、その暴露評価については、我が国における平均的な暴露は〇・三から三・五ピコグラムであるという評価がされております。ということは、この発表を信ずるとすれば、我が国の現状というのは一応のところリスク指針値以下であるということになるわけです。  このように、いろいろな検討我が国でも始まったわけでありますが、その間に、実は皆様御存じかと思いますが、大変重要な発表がWHOの附属機関でありますIARC、つまり国際がん研究機関から出されました。それは、ダイオキシンのうちでも最も毒性の強い数種類があるわけですが、その発がん性の評価を、人に対して発がん性を持つ可能性があるという今までの評価から、もう明らかに発がん性があるという最も危険性の強い厳しい評価に変更されたわけであります。この発表というのは、ダイオキシンの毒性のすごさというものを考える上でも非常に重い発表であるというふうに私は受けとめました。  私は、このダイオキシンを含めたさまざまな有機化合物が人体や環境にいかなる影響を与えるかというリスクの評価というのは、このダイオキシンに限らず歴史的にいろいろなものがあるわけでありますが、これはもう必ず厳し目にしなければいけないというふうに考えています。判明しているデータだけをもとにしたリスク評価に限界があることは過去の公害の事例がすべて物語っているわけでありまして、往々にして後手後手に回るとそれが大変大きなリスクを招くということはもう既に繰り返すまでもないと思っております。  私は、この健康リスク評価指針値の五ピコグラムという数値は、この二月のIARCの発がん性があるという非常に重要な発表を踏まえる意味からも、そして今私が申し上げましたように予防していく、予知していくという観点からも、もっと厳しく改めるべきではないかというふうに思います。  環境庁はこの連休明けにも最終報告を出されるというふうにお聞きしておりますが、その方向で、つまりもっと厳しくしていくというような御検討がなされているのかどうか伺わせていただきたいと思います。
  272. 田中健次

    政府委員(田中健次君) 今お話がございましたリスク評価でございますけれども、これは客観的なデータに基づきまして科学的な方法によって行われるべきものと私どもは考えております。ダイオキシンリスク評価検討会におきましては、このような考え方を踏まえまして、昨年十二月にまとめられました中間報告におきまして、健康リスク評価指針値ということにつきまして先生から今お話がございましたように、人の健康を維持するための許容限度ではなくて、より積極的に維持されることが望ましい水準といたしまして体重一キログラム当たり一日当たり五ピコグラム、こういうふうに設定をされておるところでございます。  本年二月開催をされました国際がん研究機関、IARCの作業部会におきましては、高濃度の2・3・7・8TCDD、これに暴露した人の疫学調査の結果やあるいは発がん性に係ります動物実験等につきまして検討を行いまして、総合的に2・3・7・8TCDDは人に対して発がん性がある、こういうふうに評価されたところで、これも先生のおっしゃったとおりでございます。  ダイオキシンリスク評価検討会におきましては、昨年十二月にまとめられました中間報告の後、IARCの作業部会に提出されました既存の疫学調査等のデータあるいは我が国から会議出席をいたしました専門家から聴取をいたしました情報も考慮をいたしまして検討を行いまして、現在、最終報告書を取りまとめ中でございます。  昨年十二月の中間報告におきまして、疫学調査の結果からは2・3・7・8TCDDは人に対して発がんの可能性がある、こう評価されておりますが、さらに動物実験の結果も考慮をいたしまして、2・3・7・8TCDDは人に対して発がん性があると、こういうことを織り込んで健康リスク評価指針値が算定をされておるところでございます。  したがいまして、検討会の最終報告に当たりましては、中間報告の健康リスク評価指針値、体重一キログラム当たり一日当たり五ピコグラムにつきましては変更の必要性はないという結論になるものと伺っておるところでございます。
  273. 水野誠一

    ○水野誠一君 今の御答弁は一応伺っておきたいと思います。  四月二十八日の朝日新聞の報道によりますと、環境庁はダイオキシンを大気汚染防止法の有害指定物質に指定して、排出抑制基準や環境基準を定めて規制に乗り出す方針であるというふうに伝えております。また、ダイオキシンだけではなくばいじんについても、ダイオキシンが付着している可能性があるという点から新たな規制を設けるという報告もございました。  同じ日に開催されましたダイオキシン排出抑制対策検討会の終了後に発表された報告でもそういった趣旨が盛り込まれているわけであります。ダイオキシンが法的規制の対象に初めてなることについては遅きに失した感は否めないわけではありますが、またこの規則に罰則がない、そういうことから実効性ということにやや疑問が残る点もあるんですが、その辺は別としましても、ともかく一歩前進というふうに評価してよろしいのかなと思っております。  しかし、報告書にある「基本的考え方」を見ますと、今し方お聞きした健康リスク評価指針値などの中間報告の内容をそのまま引用しているということでありまして、リスク評価については「一般的な生活環境においては、現時点で人の健康に影響を及ぼしている可能性は小さいと考えられる」といった表現になっている、この辺は私はやや物足りないんではないかなという感じがいたします。ただ一方では、同報告においては「ダイオキシン類については、長期暴露に伴う健康影響が顕在化してから対策に取り組むのでは手遅れになるため」「健康影響の未然防止の観点に立って」「排出抑制対策を推進すること」が重要である、こういう記述もございました。これは中間報告のトーンより一歩前進をしているのかな、そういうことを感じました。それだけに環境庁の今後の取り組みには大いに期待をしているところでございます。  排出抑制対策検討会の方も近日中に最終的な取りまとめがなされると聞いておりますが、具体的な排出基準の提示はその中にはあるのか、またその基準は今申し上げた未然防止の観点に基づくものになっていくのか、それとも中間報告の方針、今の御答弁を聞くとどうもそういう感じなんですが、その方針に沿ったものでとどまるのか、その辺について伺いたいと思います。  また、長官は、昨日、水俣病の慰霊祭で熊本に行かれました。人類の科学が生み出した恐ろしい悲劇に改めて思いをいたされたと存じますが、先ほどのリスク評価の限界を謙虚に認識するという意味からもダイオキシンのような全く有用性のない有害物質を最終的になくしていく、つまりもとから絶っていく政策が必要であるとお考えかどうか、この辺を長官に伺いたいと思います。
  274. 野村瞭

    政府委員(野村瞭君) 前段の御質問にお答えを申し上げたいと思います。  御指摘もございましたが、先ごろダイオキシン排出抑制対策検討会の取りまとめの要旨を発表させていただきましたが、ここにおきまして、規制的措置の導入に当たりましては、健康影響の未然防止の観点から排出実態や適用可能な排出抑制技術を踏まえ検討することが必要とされております。その上で、具体的な排出抑制方策といたしまして、ダイオキシン類を大気汚染防止法に基づく指定物質として指定することが適当としております。指定物質抑制基準につきましては、現時点で実施可能な排出抑制対策を講じた場合に達成可能なものとすることが適当であり、特に新設の施設につきましては、ダイオキシン類の環境負荷を中長期的な視点に立って着実に低減していくため、実施可能な最善の対策技術も考慮することが必要という考え方を提示しておるわけでございます。  排出抑制基準値等の詳細につきましては、今後、舞台が変わるわけでございますけれども、中央環境審議会の大気部会におきまして具体的な排出抑制対策のあり方について御審議をいただいた後、政令改正や告示等で示されることになろうかと思います。  私どもといたしましては、最初に申し上げましたように、健康影響の未然防止の観点に基づいて、今後、発生源対策の強化に取り組んでまいりたいと考えておりますので、御理解をいただきたいと存じます。
  275. 石井道子

    ○国務大臣(石井道子君) 水俣病問題につきましては公害の原点であると言われております。実は昨日、水俣市におきます慰霊祭に出席をすることができまして、現地を訪れまして患者の皆様方ともお会いをしたわけでございます。この水俣病が公式に発見されて四十一年目という節目の中で、長い間にわたっての大変つらい苦しい思いを皆様方がお持ちになりながら、しかし前向きにこれからの問題に取り組んでいこうという印象を持ったところでございます。そして今後もこのような悲惨な公害が二度と起こらないようにしなければということで、環境行政の充実に対して全力を挙げて取り組んでいきたいと思いを新たにしたところでございます。  このダイオキシンの問題につきましては、さまざまな用途に用いられるということでは、我々の生活と切り離すことのできない多数の化学物質の中に入っているわけでございますが、人の健康や生態系に有害な影響を及ぼすものであります。水俣病の悲劇を繰り返さないためにも、より安全な環境を確保するとの観点から、これらの化学物質の環境リスクを評価し、そしてその結果に基づいて、環境リスクをできる限り最小限にしていくために各般の施策を講じていくことが必要であると考えております。  具体的には、個々の化学物質ごとの特性に応じまして適切な施策を講じることになりますが、ダイオキシンのように、つくろうとしてできるものではなくて、燃焼過程の中で副産物として生成されてしまう物質ということでございますので、こうした考え方に基づきまして、リスク評価結果を踏まえて、より安全な環境を確保するとの観点から適切な対策を講じていく所存でございます。
  276. 水野誠一

    ○水野誠一君 時間がなくなってまいりましたが、次に厚生省にお尋ねしたいと思います。  厚生省も、昨年六月、ごみ処理に係るダイオキシン削減対策検討会を設けられて、一月に最終報告としてごみ処理に係るダイオキシン類発生防止等ガイドラインをまとめられました。そしてまた、四月には一般ごみ焼却施設排ガス中のダイオキシン類濃度が発表されました。これによりますと、緊急対策が必要とされる判断基準、つまり一立方メーター当たり八十ナノグラムという基準だそうですが、これを超える施設報告のあった施設の六二二%に当たる七十二施設あったという非常に深刻な問題が提示されております。  そこで伺いたいんですが、我が国のごみ処理についての基本方針でございます。  現在、我が国は一般ごみだけに限っても千八百余りの焼却施設がありますが、これは他の先進諸国と比べても二けたばかり多い数だというふうに言われております。基準値を考えることも必要でありますが、そもそもごみ焼却施設を削減する、あるいは焼却依存から脱却して資源循環型の社会を目指すことこそが重要ではないかと思うわけでありますが、一方、東京都ではまたさらにごみ焼却場を建設していく、こういう計画もあるということでございます。  厚生省はごみ処理の広域化を検討されているというふうに聞いておりますが、ごみ焼却場の削減についていかがお考えなのか。欧米諸国のレベル等の比較において例えればと思います。
  277. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 我が国は、申し上げるまでもなく国土が非常に狭うございますし、最終処分場に適する場所が少ないということがございますので、国土に余裕のあります欧米諸国の状況と異なっておりまして、廃棄物を可能な限り減量化する必要がございます。さらに、衛生的に処理することも必要でございますので、従来より焼却処理が行われてきたところでございます。  他方、ダイオキシンの排出削減対策は急務でございまして、今後新たに建設されますごみ焼却施設につきましては、ダイオキシンの発生防止対策を十分に講じた全連続炉を中心とすることといたしまして、ごみ処理の広域化を進めまして小規模施設の集約化を図ってまいる考えでございます。  さらに、ごみの排出抑制やリサイクルの推進に努めまして焼却量をできるだけ減らしていくことも重要でございますので、リサイクル関連施設の整備等も促進をいたしまして循環型社会の実現を目指してまいりたいと考えております。  焼却施設の削減でございますが、こういった総合的な対策を進めていくことが重要でございまして、急激に削減をするということはなかなか難しいと考えておりますが、長期的には焼却施設の削減を目指していくべきものであろうというふうに考えております。
  278. 水野誠一

    ○水野誠一君 厚生大臣がいらしていますが、もう時間もございませんので、ひとつ厚生大臣から、このダイオキシンに関する取り組みの覚悟、そしてまたこの情報公開という視点についてどうお考えか、一言だけいただければと思います。
  279. 小泉純一郎

    ○国務大臣(小泉純一郎君) この情報公開、できるだけできるように努めていきたいと思います。
  280. 水野誠一

    ○水野誠一君 大変簡単な御決意だったんで、それだけ重く受けとめたいと思います。  外務大臣にODAについて伺おうと思いましたが、もうほとんど時間がございません。  ODAについては、実は政府・与党財政構造改革会議の場でも何度か大臣と議論させていただきました。量から質への転換あるいはその評価システムをいかに確立するかということで伺ったわけでありますが、その中で大臣からもちょっとお話がありました、このODAというものが十九省庁にまたがるという問題があって、これは外務省だけの問題ではないというお答えがございました。特にその中で十九省庁の取りまとめをする機能、これはようやく昨年度から各省庁の概要について報告を受ける形はできたというふうに伺いました。これは一歩前進なんですが、これをさらに進めて、ODAの把握を外務省がしっかりとできる仕組みをつくっていかないと、ODAの効果的な運用、削減あるいは量から質への転換、これができないというふうに思いますので、ひとつその点について一言だけ御覚悟を例えればと思います。
  281. 池田行彦

    ○国務大臣(池田行彦君) これまでも円借款につきましては、外務、大蔵、経企、通産の四省庁の協調体制で進めておりました。それで、技術協力につきまして、お説のように十九省庁があれしておりますのでその間の調整が難しいのでございますが、お話がございましたように、昨年度からその報告について協調するようにしましたし、ことしの四月から連絡会議もつくりました。そのように連絡、調整をしっかりやってまいりたいと思いますし、また全体としての仕組みをどうするかは今党の方でもいろいろ御審議でございます。今後の課題として真剣に考えたいと思います。
  282. 水野誠一

    ○水野誠一君 ありがとうございました。
  283. 栗原君子

    栗原君子君 新社会党・平和連合の栗原君子でございます。  実は化学兵器の開発、生産、取得、保管、移転、使用を全面的に禁止し、十年以内に地球上から化学兵器全廃を目指すとした化学兵器禁止条約が先日、四月二十九日に発効いたしました。現在百六十四カ国が調印いたしまして、八十一カ国が批准をしていると聞いております。同条約は、発効後原則として二年以内、その生産施設は一年以内に廃棄を開始し、発効後十年以内に廃棄完了をうたっているわけでございます。  日本につきましては、旧日本軍が中国に遺棄いたしました化学兵器の処理はもちろん、有毒ガスなどの製造やあるいはまた所持の禁止が迫られているわけでございます。  そこで、科学国日本といたしまして、そうした施設も民間などにも大変多いと聞くわけでございますけれども、査察の対象になるところを申請することになっておりますけれども、これら査察の対象は具体的にどのようなところが対象になるのでございましょうか。公的機関あるいはまた民間の産業面での対象と思われるようなところと申しますとどのようなところなのか、お聞かせいただきたいと思います。
  284. 稲川照芳

    政府委員(稲川照芳君) お答えをいたします。  ただいま委員が仰せになりましたように、この化学兵器禁止条約は四月二十九日に正式に発効いたしまして、現在のところ八十七カ国が批准いたしております。  条約上締約国が負う義務といたしましては、化学兵器の開発、生産、その他の方法による取得、貯蔵あるいは保有、移譲または使用を行わないこと、化学兵器、化学兵器生産施設等に関する申告及び廃棄を行うこと、さらに化学物質に関する附属書の表に掲げられました化学物質及び関連する施設等について申告を行い検証措置の対象とすること、さらに化学兵器禁止条約機関の活動に要する費用を払うこととか、そういう義務がございます。  御質問の査察対象施設等でございますけれども、化学兵器禁止条約は、締約国に対して条約発効後三十日以内、すなわち五月二十九日までに化学兵器や化学兵器生産施設の有無あるいは関連する化学物質及びその施設等に関する申告を行うことを義務づけております。この申告内容に基づきまして化学兵器禁止機関による査察が行われることになっております。  我が国といたしましては、特に産業関連施設等を中心にいたしまして申告に向けて鋭意検討準備を進めているところでございまして、ただ現段階におきまして査察の対象となります施設を具体的に確定しているわけではございません。なお詳細に検討させていただいております。
  285. 栗原君子

    栗原君子君 例えば、日本国内にあります米軍の軍事施設等につきましては、これはどういう形になりますか。
  286. 稲川照芳

    政府委員(稲川照芳君) 米軍施設につきましても申告の義務が生じております。
  287. 栗原君子

    栗原君子君 これは日本政府が申告をすることになるわけですね。
  288. 稲川照芳

    政府委員(稲川照芳君) これは米国の申告を援用いたしまして我が国が申告するということでございます。
  289. 栗原君子

    栗原君子君 それでは、日本政府が対応を急がれている問題、旧日本軍が中国国内に遺棄いたしました化学兵器の件でございますけれども、一九九一年から外務省が始めた調査でもおおよそ七十万発、さらには中国政府は二百万発中国国内にある、そしてまた化学剤が百トン、被害者が二千名以上いると、これらは戦後被害を受けた人たちだと言っております。これらの処理につきましても十年以内に廃棄するとなっております。処理につきまして日中政府間で何度かこの協議がなされているように伺っておりますけれども、どういった協議がなされているんですか。お答えください。
  290. 加藤良三

    政府委員加藤良三君) これまで六回の協議、そして一番最近のものは十二月における局長協議でございました。その後、局長協議において合意された共同作業グループ、これは課長レベルのグループでございますが、この会合が四月の十日、十一日、北京で行われました。そこで広範な問題について意見交換が行われております。このような共同作業グループの会合が今後も続けられていくことになります。
  291. 栗原君子

    栗原君子君 私は昨年の十一月二十六日にこの問題で官房長官にお尋ねしたことがございます。特に私が大変気になっておりますことは研究者の方でございますけれども、私のところにファクスを下さいました。  このファクスの中では、外務省の外郭団体、国際問題研究所軍縮センターで開催された勉強会があったということを言われております。それへの外務省関係以外の出席者防衛庁の三佐が一人であった、あと他の省庁はいらっしゃらなかったと、このようにこのファクスにお書きになっていらっしゃるわけでございます。以前、私も指摘をさせていただきましたように、これは外務省だけではこれ以上なかなか、努力しても窓口ももう手いっぱいやっているといったような状況に私は見受けるわけでございます。  だから、それぞれ予算的なものもありますし、あるいはまた被害者のこともありますし、環境問題もございますし、さまざまな形で各省庁がこれに大きくかかわっていただかなければならないと思います。そのためには、内閣の外政審議室にこれらのコーディネートをするところが必要である、こういった指摘を私はさせていただいておりますけれども、この件に関してはどこまで進捗しておりますのでしょうか、お尋ねします。
  292. 平林博

    政府委員(平林博君) 先生の御指摘の点はまことにもっともだと存じております。  昨年四月から内閣の外政審議室の主催によりまして関係省庁会合を随時開催してきております。これまでに局長級の会合を四回、課長級の会合を十一回開催いたしておりまして、一関係省庁に集まってもらって中国における現地調査のための対処方針あるいは本件処理の枠組みのための協議等、鋭意やってきておりまして、これからはまた改めてどういう体制で取り組むかを含めて、内閣全体として取り組んでいきたいというふうに思っております。
  293. 栗原君子

    栗原君子君 漏れ聞きますところによりますと、なかなか各省庁の体制が十分にとれていないといったこともあるようにうかがうわけでございます。  そこで、どの省のどの課がどのように仕事に関与するのか、こういったことをきちんと決めていただきたい。その調整をするところが必要でございますけれども、こうしたところを、私は官房長官に以前お尋ねをしておりますので官房長官から答弁をいただきたいと思いますけれども、ぜひ官房長官が中心になっていただきましてコーディネートしていただくようにお願いをしたいと思いますけれども、御答弁お願いします。
  294. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) 御承知のように、日中間でこの問題に誠心誠意取り組んでいることは御案内のとおりであります。  しかし、現実を申し上げますと、化学兵器というものに対する知見が日本は余りにも戦後五十年たってなくなっております。恐らく、私は聞いたことがありませんけれども、防衛庁でもこの種の研究開発はなされていないのではないかと思うほどでありますから、我が国がどこが主催になってやることができるかとなりますと、一義的にはやはり、事外交の問題でありますから、外務省あるいは外政審議室が中心になって中国側との話を今進めているさなかでございます。  そして、これから現地処理をする場合にはどんなプラントをつくらなきゃならないのか、こういう問題でこれから科学的な知見の集約をしなければなりません。それを考えますと、科学技術庁なりあるいはそういう民間のノウハウを動員できる通産省、そういうことが一体になって外務省と、あるいは防衛庁も、他の国の化学兵器、こういうものの類似性というものを見ながらこの処理に当たっていかなければならない問題であるというふうに考えております。  ですから、今々どこの省庁にどれを所管させるかといっても、それだけの力を持って手を挙げられるところが現実にないわけでありますから、これから誠心誠意この問題には取り組んで、どういうことができるか、なるたけ早い機会に結論を得るような準備体制を整えていく以外にないという気がいたします。
  295. 栗原君子

    栗原君子君 ぜひよろしくお願いをいたします。  そこで、防衛庁長官にお伺いをしたいと思いますけれども、自衛隊が旧日本軍のそうした技術は別組織であるとはいっても引き継いでいるわけでございます。抜き取るまではヨーロッパでも軍がやっているわけでございます。抜き取った後のものにつきましては廃棄物の業者がこれらの処理をしていると、このように報告を受けておりますけれども、自衛隊が中国に行って作業をする場合、中国の人々の国民感情あるいは日本国憲法との整合性、自衛隊法との整合性、これらについてはどのようになっておりますでしょうか。
  296. 久間章生

    ○国務大臣(久間章生君) この中国に遺棄されております遺棄化学兵器の問題につきましては、政府全体の取り組みの中において本件処理のための諸課題についての検討が行われているわけでございまして、現段階で法的根拠も含めましてその処理の可能性云々について申し上げるわけにはいきませんが、いずれにしましても、防衛庁は遺棄化学兵器を処理する設備や装備、経験等を有していないわけであります。ただ、政府全体の取り組みの中で、防衛庁として現在の能力と知見の範囲内で可能な限り協力を行っていくという姿勢はとっておりますけれども、現在の我が自衛隊の中でそれだけの装備、設備、そういうことは残念ながら持っておりません。  しかしながら、化学についての研究は一応防護の形でやっておりますから、そういうようないわゆる知識を持っている人たちがそういう中でどれだけの協力ができるか、その程度しか現段階ではできないということでございます。
  297. 栗原君子

    栗原君子君 これには多額の費用がかかるわけでございまして、マスコミ等が報道しておりますものを見ても、二千億円から五千億円はかかるであろう、こうしたことも報じられておりますが、国民の血税でこれらの処理に当たるわけでございますので、金の流れだけはぜひはっきりとしていただいて、そして情報公開をしていただきますように、重ねてお願いをしておきたいと思います。  そこでもう一つ、国内に老朽化した化学兵器もあるわけでございまして、それらの一つに北海道の屈斜路湖で発見されたものがございます。  昨年の十月に、旧日本軍の関係者の証言に基づきまして屈斜路湖から引き揚げ、鑑定したところ、これらが旧日本軍の化学爆弾と判明したところだと、こうした記事もございまして、そしてそれに対しまして北海道知事の方から、これはあくまでも一時的な措置と考えていると、今北海道が預かりになっているということでございますので、この四月二十九日から化学兵器禁止条約も発効することにあわせて、地域住民の一刻も早い不安の解消及び盗難等の不測の事態の防止のためにぜひ早期に無害化等の最終処理を行っていただきたいと、こういうものが政府に寄せられているわけでございますけれども、この取り組みについてはどなたがなさっていらっしゃるのでしょうか。
  298. 平林博

    政府委員(平林博君) 旧日本軍の化学砲弾が国内で発見された場合についての御質問でございますが、発見された場所とか状況等、対応はさまざまでございます。  したがいまして、従来その都度必要に応じまして関係省庁連絡会議を開催して、これは内閣官房が開催して政府としての対応を決定してきておりますが、本件につきましても、内閣全体として責任のある対応をするために、これからもいろいろと協議あるいは体制など考えてまいりたいというふうに思っています。
  299. 栗原君子

    栗原君子君 今、弟子屈町内に保管をしてあるということが書かれておりますけれども、私ここで防衛庁長官に再度お尋ねしたいと思いますけれども、まずこれの安全処理をやってみられるお気持ちはございませんか、お答えください。
  300. 久間章生

    ○国務大臣(久間章生君) 今委員指摘のように、北海道庁から依頼がございましたために、内政審議室あるいは北海道庁と緊密な連携を図りながら対応して、この引き揚げ作業及び密閉容器への収納作業等の安全措置の協力は行ったところでございます。  しかしながら、この無害化処理については、化学弾を分解しまた焼却する等の処理を行うための特別に設計された設備及び装備が必要でありますけれども、自衛隊にはそうした設備、装備、さらにはそれに必要な知識や経験を有しておりませんために、自衛隊協力し得る範囲を超えているものと、そういうふうに思われます。
  301. 栗原君子

    栗原君子君 ぜひ、私は官房長官にお願いをさせていただきたいと思いますけれども、こうしたやはり地域住民から不安の声も上がっておりますので、政府として取り組み方をよろしくお願いいたします。  そこでもう一つ、化学兵器は貧者の核兵器と言われておりますけれども、強者の兵器であります核兵器の被害についてでございますが、被爆者援護法は、再び核兵器による被害者をつくらない、そうした精神のもとにできたわけでございます。被爆後五十二年たってもなお後障害が続きまして、非人道的で国際法違反の原爆被害に国家補償を明記していただきたい、こうした声もずっと引き続きあるわけでございます。  さらにここで、特に被爆者援護法の目玉とされております特別葬祭給付金についてでございますが、この六月末にこれらの請求期限の打ち切りになるわけでございます。このことにつきまして、引き続き延長していただくことにはなりませんでしょうか、厚生大臣、お願いします。
  302. 小林秀資

    政府委員小林秀資君) 今御質問がありました特別葬祭給付金につきましては、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律によりまして、平成七年七月一日から平成九年六月三十日までの期間内に行われた申請に基づき二年償還の記各国債により支給することとなっております。これまで全被爆者に対し直接パンフレットと申請書を送付したほか、広報紙による広報を行い、また健康診断や手帳の更新時に相談窓口を設けるなど、さまざまな機会をとらえてその周知に努めてきたところでございます。  しかしながら、法律上、請求期間が本年六月までとなっていることを踏まえ、期間内に支給対象者に申請漏れがないよう引き続き制度の周知徹底に努めてまいることとしておりまして、請求期限の延長は考えておりません。
  303. 栗原君子

    栗原君子君 対象者は遺族が手帳を持った人でないと対象になっていないわけでございまして、学童疎開などで出ていた人たちに対しては遺族が手帳を持っていない場合が多いわけでございますし、うっかりして申請をするのを忘れていた、そういう人たちに対してもやはり道を開いておいていただきたいということを再度お願いしておきます。  そこで、実は化学兵器を旧日本軍が中国大陸に大量に遺棄したわけでございますけれども、それらを製造いたしておりましたのが池田外務大臣の地元でもございます広島県の大久野島でございまして、これは一八九九年、百年前から芸予要塞地帯法が施行されまして、一九〇一年から大久野島には要塞が構築されまして、島の三カ所に砲台跡などがあるわけでございます。そして一九二九年から終戦の四五年まで、東京第二陸軍造兵廠火工廠忠海兵器製造所がつくられまして、ここで大量に毒ガスを製造いたしたわけでございます。  そして、今日、島内には毒ガスの資料館もございますし、さらには全国から年間五万人の人たちがこの島を訪れております。そのうちおおよそ三万人は修学旅行生でございます。  そこで、地元を中心にいたしまして、ぜひこの施設を残していただきたい、そういう大きな運動が盛り上がっているわけでございまして、広島県議会の中でも何度か議論がなされまして、藤田知事も、登録の前提となる国の史跡の指定を受けるための方策についてどんな取り組みが可能かを検討していきたいとか、あるいは戦争の事実を後世に伝える歴史的意義を持っている、そういった意味でぜひこの史跡の指定をしていただきたい、こういったことを述べておられますけれども、文部大臣、いかがでございましょうか。
  304. 小杉隆

    ○国務大臣(小杉隆君) まず、世界遺産委員会では戦争関連施設の指定については慎重にやろうと、原爆ドーム、あれは世界でも本当に希有な爆弾ですからあれですけれども、毒ガス製造というのは世界各地であったわけですから、これは事実上非常に困難だと思います。  その前に、国内の史跡として指定するかどうか、これは昨年度から八年計画で二〇〇三年までかけて、今、日本全国どこに所在しているか、特に明治以降の近代の遺跡の調査を始めたところでありまして、今年度予算でも一千万円を計上しております。  まず、国内で指定できるかどうか、これはその調査結果を待って専門家の審議を経て決めるべきことだというふうに考えております。
  305. 栗原君子

    栗原君子君 終わります。
  306. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 以上で平成七年度決算外二件の全般的質疑は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十分散会