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1997-05-28 第140回国会 参議院 環境特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月二十八日(水曜日)    午前十一時十二分開会     —————————————    委員異動  五月二十七日     辞任         補欠選任      長谷川 清君     吉田 之久君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         渡辺 四郎君     理 事                 狩野  安君                 成瀬 守重君                 山下 栄一君                 大渕 絹子君     委 員                 景山俊太郎君                 河本 英典君                 谷川 秀善君                 馳   浩君                 平田 耕一君                 山本 一太君                 足立 良平君                 加藤 修一君                 寺澤 芳男君                 吉田 之久君                 小川 勝也君                 竹村 泰子君                 有働 正治君                 末広真樹子君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  石井 道子君    政府委員        環境庁長官官房        長        岡田 康彦君        環境庁企画調整        局長       田中 健次君        環境庁企画調整        局地球環境部長  浜中 裕徳君        環境庁自然保護        局長       澤村  宏君        環境庁大気保全        局長       野村  瞭君        環境庁水質保全        局長       渡辺 好明君    事務局側        第二特別調査室        長        林 五津夫君    説明員        防衛施設庁施設        部施設取得第一        課長       小竹 秀雄君        国土庁地方振興        局総務課長    猪野  積君        外務省総合外交        政策局国際社会        協力部審議官   古屋 昭彦君        文部大臣官房審        議官       高  為重君        農林水産省構造        改善局計画部事        業計画課長    太田 信介君        農林水産省構造        改善局建設部開        発課長      江頭  輝君        通商産業省産業        政策局商政課商        務室長      松尾 隆之君        通商産業省環境        立地局環境政策        課長       松永 和夫君        建設省都市局下        水道部流域下水        道課長      橋本  健君        建設省河川局河        川環境課長    白波瀬正道君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○環境影響評価法案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) ただいまから環境特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨二十七日、長谷川清君が委員を辞任され、その補欠として吉田之久君が選任されました。
  3. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) この際、御報告申し上げます。  去る二十一日の委員会における山下栄一君の質疑に対する石井環境庁長官の答弁につきましては、速記録調査し、不適当な箇所について取り消すことといたしました。石井環境庁長官
  4. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 私の発言の件につきましては、委員長初め理事の皆様方に御迷惑をおかけいたしまして、まことに申しわけなく存じております。
  5. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 環境影響評価法案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 平田耕一

    平田耕一君 よろしくお願いします。  持続可能な経済社会構築を図るために、環境保全基本的理念とこれに基づく基本的施策の総合的な枠組みを示すものとして環境基本法が制定されたわけであります。そして、その流れを受けまして本法案が提案された、こういうことであろうかというふうに思います。そして、この法案は、本年二月に提出をされました中央環境審議会答申におおむね基づいているものであるというふうに認識をするわけでございます。したがいまして、そのことを少しお尋ね申し上げたいと思います。  その審議会答申の二ページの「制度見直し基本的考え方」の項に、環境上の配慮を「国が許認可等関与によって確保することが可能な事業」、こういうふうにあるわけであります。法案も厳密にそのようになっておるわけでありますが、そうしますと、国が許認可等関与によって環境への配慮を確保できない事業についてはじゃどうするのかということについて、まず御返答をお願い申し上げたいと思います。
  7. 田中健次

    政府委員田中健次君) この法案におきましては、先生お話がございましたように、答申を受けまして法案も作成したわけでございまして、規模が大きく、それから環境影響の程度が著しいものとなるおそれがあり、かつ国が実施をし、または許認可等を行う事業、これを対象としているわけでございます。  環境影響評価実施を義務づけまして、環境影響評価の結果により環境保全を確保しようとする以上、その結果が何らかの形で担保されるということが必要でございまして、そのための仕組みといたしまして、環境影響評価の結果を許認可等に反映することによりまして環境保全についての適正な配慮が行われるようにする、こういう必要があったわけでございます。  それから、地方分権流れの中で、国と地方との適切な役割分担を図る必要がある、こういうことから、本法案対象となる事業につきましては、国が実施をし、または許認可等を行うという国の関与を定めたものでございます。そうしたことでこの対象事業整理をいたしたわけでございまして、私どもといたしましては、今回はこの答申趣旨に沿ってこういう整理をいたしたということでございます。  先生お尋ねがございましたが、これ以外の事業があるのではないか許認可にかかわらない事業があるのではないか、こういうことでございます。これらにつきましては今回はこの法案対象にはいたしておりませんで、それらにつきましては地方地方地方分権の視点からいろいろ対応されるということでございます。  今回は答申を受けましてこういう整理をいたしたということを御理解賜りたいと存じます。
  8. 平田耕一

    平田耕一君 出された法案だけでいきますとそれはよくわかるわけでございますが、例えば、私は根本的なことを、ちょっとこれは余りよくないじゃないかということを申し上げておるので大変言いにくいんですけれども審議会答申前文とか、環境基本法、それから今回の法案提案理由も、その文章をつらつらと読んでいきますと、やっぱり持続可能な経済社会構築というのは、多分に国民なりそれぞれの事業者が必ずしも国の事業でなくても自律的に環境に対する配慮をやっていく社会だと、これを目指すんだというふうに明確に書いてあるわけであります。  そんな中で、国が国がと、国が行う、国が許認可を与える、そのことについてやるということについて、法案をつくるのはこれはこれで結構でありますけれども、大きな前文のうたい文句からいきますと、余りにも部分的な現象ではないのかなというふうに実は思うんです。国が関与し、あるいは国が行う事業については、法案がなくてもこれだけの手続をやろうと思えば実施できるわけでありますから、むしろ今日いろいろな問題で大事なのは、みんなが、国が関与しない、国が行わない事業も総合的に自律的にやれる法案をやっぱり目指すべきではないかなというふうに思うんですが、再度、その私の考え方について何か御意見があれば、どなたでも結構ですが、お聞かせいただきたいというふうに思いますけれども
  9. 田中健次

    政府委員田中健次君) 本法案対象事業につきましては、ただいま申し上げましたように、答申を踏まえてこのような内容にいたしたわけでございまして、その前提には、昭和五十九年から閣議要綱によりましてアセスメント実施してきたという経験と経緯もあるわけでございまして、そういうもろもろの点を踏まえまして今回この法案になったということで、そういう意味でぜひ御理解を賜りたいと存じます。
  10. 平田耕一

    平田耕一君 私は、この提案理由を読んで、このことを素直に解釈して、そして御質問を申し上げていきたいというふうに思うんですけれども提案理由に、一ページの終わりの方にそのおっしゃったことが書いてあります。閣議了解以来取り組みが進んで、多くの地方公共団体においても環境影響評価制度が整備されるなど、着実な進展を見てきたところでありますが、そして、行政運営の公正の確保と透明性の向上も求められ、国と地方役割分担あり方も示されるなど、新たな状況が生じてきておりますと。そのことに適切に対応するために、とりあえず国がやることだけ決めましたというのは余り適切ではないというふうに私は思います。  この適切な対応というのは、今後国が行う、国が関与する以外についても何らかの方向性というか、そういうものがあれば、やっぱり環境庁として皆様方はお示しをいただく必要があるんじゃないかなというふうに思いますので、どうぞお答えいただきたいと思います。
  11. 田中健次

    政府委員田中健次君) 先ほども申し上げましたように、審議会答申を受けまして、国が行うべきアセスメント対象事業、どれが適当かということで、国の立場から見て一定水準を確保した環境影響評価をする必要がある事業、こういう言葉があるわけでございまして、そういうことで私どもとしては、過去の経緯、それから答申趣旨等も踏まえましてこういう整理にさせていただいたわけです。その背景には、国と地方との役割分担ということもあるわけでございまして、そうしたことで整理をいたしたということでございます。今後この法案が成立した暁には、またいろいろと実績を積んでいくという経緯になるわけでございまして、そういう点も踏まえまして、とりあえず今回こういう形で法案をまとめたわけでございまして、その点はぜひ御理解をいただきたいと存じます。
  12. 平田耕一

    平田耕一君 答申のことをそのまま盛り込んだ法案であるから了解せよということであります。  それは了解をいたしますけれども、しかし環境行政はこの答申すべてではないというふうに私は明確に思いますので、今後の御検討をよろしくお願い申し上げたいと思います。  そして、先ほどお答えの中で、国と地方分担、こういうふうに言われました。国の行う、国の関与する事業はこの手続でよしといたしまして、それでは、今おっしゃられた地方分担ということについてはどのように具体的にお考えなのか、お答えをいただきたいと思います。
  13. 田中健次

    政府委員田中健次君) このアセスメント制度につきましては、経緯から申しますと、国が昭和四十七年ごろから公共事業につきましてアセスメントを始めまして、その後個別法で、港湾法あるいはその他の法律の改正もいたしまして、個別に環境影響評価を導入する制度も図りました。それから、環境庁といたしましては、昭和五十六年から法案提出いたしたところでございます。  その過程で、地方におきましてもいろいろと条例なり要綱制度が進んでまいりました。そういうことで、地方につきましても現在五十一の自治体で条例なり要綱アセスメントが行われている、こんな実態にあるわけでございます。  そうしたことを踏まえまして、私どもとしては、今回の整理で、国が対象としております事業以外の事業につきまして地方でそれぞれやっていただくということについては、この法律に抵触しない限り何の問題はない、こういう整理にいたしておりまして、地方の方でそれぞれの御判断でいろいろ環境影響評価等環境保全施策をやっていただくということで、私ども制度と国の制度の仕分けをいたしまして、両々相まって環境保全が進展する、こういうふうな考え方整理をいたしておるところでございます。
  14. 平田耕一

    平田耕一君 そうすると、この環境影響評価法案で、国が行う、国が関与する事業について行うと、そして地方地方で、今五十一やっているじゃないか、さらにそれを充実していってくれと、明確にこの分担ということを宣言されたんだろうというふうに思いますので、それはそれで今後の推移を見たいというふうに思います。  しからば、国が行いあるいは国が関与するこの法案でございますけれども、そのことでちょっとお尋ねをいたしますけれども方法書についてもいろんなさまざまな意見を集め、あるいは評価書もいろんな意見を集めするわけでありますけれども、そして評価後、前提が、もちろん国が環境に対する配慮を担保できる事業ということで事業選定しておられますので、これは当然なのかもしれませんけれども、そのことを具体的に国の許認可等に反映して環境への配慮を担保するという法案に実際になっているわけですね。  そして、同じくやっぱりその答申の中に、そのことは十分認識しつつも、規制緩和が行われる場合や、国と地方との役割分担が見直される場合には、その時点で本制度対象事業あり方についても再度検討が行われることが適当であると、こういうふうに答申で述べておるわけであります。  その答申に忠実にいくとすれば、確実に現今やっておる規制緩和をどんどんしていくということ、それからこの環境影響評価法案が現実に規制でもって成り立っていくということについては大きな矛盾だというふうにみずから書いているわけなんですけれども、その辺についてはいかがお考えでございましょうか。
  15. 田中健次

    政府委員田中健次君) 本法案につきましては、先ほど来申し上げておりますように、国の立場から見て一定水準が確保された環境影響評価実施することにより環境保全上の配慮をする必要があり、かつ国が実施をし、または許認可等を行う事業対象としているわけでございますが、今お話がございましたように、仮に事業にかかわります規制緩和が行われた場合等でございますけれども事業許認可等自体についての見直しが行われた場合につきましては、その時点で本制度対象事業あり方についても再検討を行うことが適当というふうに、これは答申にもそういうふうにちょうだいをいたしているところでございまして、これを踏まえまして、そうした時点で必要に応じて私どもは対処をしてまいりたいと、こういうふうに考えておるところでございます。  この法案の策定に当たりましては、現時点仕組み前提として制度を最善の仕組みとすることが適当と考えておりまして、私どもとしては、そういうことで整理をさせていただいております。
  16. 平田耕一

    平田耕一君 もう一度法案提案理由に戻ります。  環境影響評価制度をめぐり新たな状況が生じてきております、こうした状況に適切に対応するための法案として、ただし申しわけないが現今の規制のもとに法律をつくって、そして新たな状況ができたらその都度対応しますというのは、新しい法律をつくって審議をするに当たって、まことに私は張り合いのなさを覚えておりますので、これ、どういうことなのか、なぜ今新しく法案を提案するに当たってそういったことを真摯に取り込めないのかなと。  私が申し上げたいのは、何も環境上の配慮を既存の規制、いろんな許認可にのっとってやっていかなくても、環境庁なりいろんな組織でダイレクトに、環境のための保全命令であれ指示であれ、ダイレクトに出してやっていくのが本筋じゃないかなというふうに思いますし、そういう基本的な法案にすれば、何も今みんながやろうとしている規制緩和にその都度対応するというようなことは必要ないわけでありますが、それについてはいかがでしょうか。
  17. 田中健次

    政府委員田中健次君) 環境影響評価制度におきましては、手続過程で収集あるいは形成された環境情報が、これが事業実施に関します意思決定に的確に反映されることが必要でございます。このための仕組みといたしまして、本法案では、事業の特性を熟知いたしておりまして、事業実施自体についての許認可を有する主務大臣が、環境庁長官意見を踏まえながら許認可等を通じてアセスメントの結果を反映させていく方法が実効を上げることができると、こういうふうに判断をいたしたわけでございます。この場合でも、環境庁長官の述べた意見につきましては、許認可等を行う者に十分の重みを持って受けとめられるものと考えておりまして、その意見内容は十分その審査結果に生かされまして、環境保全上適切な配慮が行われることになるものと考えております。  こういう考えで本法案を仕組んで整理をして提案させていただいております。
  18. 平田耕一

    平田耕一君 言いたいことはわかっていただいたと思いますので、自由民主党でございます、賛成はいたしますけれども。  そこで、先ほどお話を受けまして、そうしますと主務大臣という話が出てまいりまして、法案中身のもうちょっと細かいことを聞きますと、法案の二条の二の該当事業規定がございます。  その中で、これは法制上このようにしたというふうにお聞きをしたんですけれども、今申されたように、国が行う事業というのはやっぱり主務大臣というものが主導権をもって判断をし、そしてもし他省庁認可が要るのであればそれはそれでやっていくということをお答えになったというふうに思うんです。  そういたしますと、二条の二の二の「国が行う事業(イ及びホに掲げるものを除く。)」の「イ及び」という文言が不要になるんじゃないかなと思う。二の国が行う事業、そしてホ、国が行う事業のうち、法律規定とか許可を必要とするもの、ニとホに国の事業規定してあるわけですけれども、御説明によりますと、そのイにも国の事業が含まれるんだと。その違いは何だとお尋ねをいたしましたら、イは、主務大臣はいざ知らず、とりあえず許認可をする省庁大臣のところへ届け出ることなんだ、ホは両方へ届け出ることなんだと、このように私は聞いたんです。  今おっしゃったことで、やっぱりすべからく国が行う事業というのは、他省庁認可が要ることであっても、担当の主務大臣というのは必ずそれは報告を受け、事業に対する責任を持っていくわけでありますから、私はホだけで足りるんじゃないかなと。そうすると、ニの「国が行う事業(イ及びホに掲げるものを除く。)」の言葉のうち、「イ及び」というのが要らないというふうに思いますので、それはもう一度御説明いただけませんでしょうか。
  19. 田中健次

    政府委員田中健次君) 今お話ございました法案の第二条第二項第二号のイからホまでの規定につきましては、この区分によりまして環境影響評価指針等を定める主務大臣やあるいは評価書送付先等決定をされることになるわけでございます。  具体的に、同号のホでございますが、ホにつきましては、主務大臣評価書送付先等事業実施に関する事務を所掌する大臣及び事業についての免許等を行う者の両者になるような場合を想定いたしまして設けた規定でございます。  この法案におきましては、当該事業につきましての知見を有しております者が主務大臣として指針を策定したり、あるいは評価書について環境保全上の審査を行うことが最も適当であるという考えに基づいておりまして、このような観点から、対象事業について、事業についての免許等を行う者のみが事業についての知見を有しておる場合、これが一つでございます。それから二番目に、事業につきましての免許等を行う者に加えまして、事業実施に関する事務を所掌する者が事業についての知見を有している場合があると考えられることから、今申しました前者につきましては同号のイとして規定をいたしまして、後者については同号のホとして規定をすることとしたものでございます。  この規定につきましては、こうした区分を設けることによりまして、先ほど申しましたように、主務大臣評価書送付先に係る規定の部分をこの法案でより簡潔に規定できるという、これは立法技術上、法技術上の理由によるものでございまして、この点をぜひ御理解賜りたいと存じます。
  20. 平田耕一

    平田耕一君 そのことはそのぐらいにしまして、次に行きたいというふうに思います。  この法案による期間がそれぞれあるわけですけれども評価方法書ができてから、評価実施期間が無制限になっておるわけなんですけれども、これによって相当期間経れば評価方法書中身自体が陳腐化する可能性があるかなというふうに思いますが、それについていかがお考えお答えいただきたいのと、もう一つ評価終了後、公示期間については無制限になっておるわけでありまして、これも答申の中には、もしかしたら無制限というのはだめかもしれない、そういった場合はまた自主的にやりなさいよということが書いてあるわけですね。  そういうことで、具体的に評価中身が陳腐化しかかった物件というのが、申しませんけれども、かなり出てきておるような気もいたしますので、そのことについて二点、期間が無制限になっていることについてのお考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。
  21. 田中健次

    政府委員田中健次君) 本法案は、環境影響評価の結果を許認可等に反映させる仕組みでございまして、まず先生お尋ねの、事業者が例えば評価項目を選定してからその後準備者等を作成するまでの間に時間が開き過ぎると、その間に状況変化をしたり、いろいろ環境保全上の問題が出てくるのではないか、こういうお尋ねが一点だと思いますが、これにつきましては、事業者が具体的な調査、予測あるいは評価を進める過程状況変化が生じた場合等には、その変化に応じまして、事業種ごとに定められた指針あるいは環境保全上の見地から述べられました意見等対応しながら環境影響評価項目を適切に見直すことが可能と考えております。  さらに、調査等の結果として取りまとめられました準備書に対しましては、地方公共団体あるいは住民等からの再度の意見提出機会を設けておりますとともに、評価書の段階で環境庁やあるいは主務大臣意見を述べるプロセスがございまして、その過程で必要があれば追加調査等が行われる仕組みとなっておりますことから、御懸念のような場合にも適切な対応ができるというふうに考えております。  それから、環境影響評価実施してから長期間を経過してもなかなか着工がされない事業等についてのお尋ねが二番目だと思います。  環境影響評価手続終了後、許認可等がなされた事業につきましては、事業実施に対します許認可等が見直される場合、その許認可そのものが見直される場合はともかくといたしまして、環境影響評価を再実施することにつきまして、これを一律に法律上の義務として課することはなかなか難しいというふうに考えております。また、環境状況変化事業者以外の者の行為によることが明らかな場合など、事業者に再実施を義務づけることが必ずしも合理的とは考えられない場合もあるわけでございます。  このようなことから、法案では第三十二条におきまして、一定の場合を特定いたしまして、これは必ず再実施を義務づけることとはせずに、事業者が再実施できる旨の規定を置くことにより、実質上適切に再実施が行われるよう措置したものでございます。  ということで、一律に義務づけるのはなかなか難しいけれども、再実施事業者の自発によってできるように、そういうことで制度構築しておりますことを御理解いただきたいと思います。
  22. 平田耕一

    平田耕一君 それについては、後者の問題につきましては、ぜひとも環境庁の主導でもって適宜なされたらいいなというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げたいというふうに思います。  もう一点、この法律が国の事業ということについて規定をしていくのであれば、港湾についてちょっとお尋ねいたしますが、港湾事業については、港湾計画自体が対象になっておって、港湾事業対象になっていないということでありますが、それはなぜでございましょうか。
  23. 田中健次

    政府委員田中健次君) 港湾計画に係ります環境影響評価では、計画段階でのアセスメントをするということで、本法律規定をいたしたわけでございます。  本法案では、何度も申し上げておりますように、規模が大きくて環境影響の程度が著しいものとなるおそれがあり、かつ国が実施し、あるいは許認可を行う事業対象として選定することといたしております。これは、中央環境審議会答申を踏まえたものでございます。  御指摘の、港湾施設の建設や改良等のいわゆる港湾計画以下の港湾工事についてお尋ねでございますけれども、港湾工事の実施一定規模以上の埋め立てを伴う場合には、その埋め立てにつきましては本法の対象になるものでございますけれども、その他の場合につきましては、これはその港湾工事の事業規模あるいは環境影響の点で一般的に他の対象事業に匹敵するものとは考えにくいということから、今回対象とはいたしておらないところでございます。
  24. 平田耕一

    平田耕一君 これで後ほどまた細かいことが定まるんだと思いますが、その事業規定していく政令というんですか、いろんな細かいことが出てくると思うんですけれども、全部その広さとか面積とか量であらわして規定をしていくだろうというふうに思う、大きな事業というものを。  その国の行う事業のうち、唯一そういう環境への影響ということが数字にあらわされない事業というのが港湾ではないのかなというふうに思っておるんですけれども、そこを抜いてしまうというのがどうも私は、より海の環境考えた場合に、これは量でできないし、それからもう一つ、これはお尋ねなんですが、その港湾計画、じゃ港湾計画で結構でしょう、そうした場合に、港湾計画には評価方法書がないんですよね、このフローでいきますと。  それで、先ほど申し上げたように、港湾であればなおさら量とか計数とかそういうものであらわしにくいだけに、より評価方法書というのは重要なんじゃないかなと。小さくても影響は大きいかもしれないし、方法こそが推測する唯一の手だてのような気がする。結果はなかなか海のことだからわからぬと思うし、いろんなことがあって難しいと思うけれども、したがって港湾計画に関する特例手続にも、私はそういった観点で評価方法書をむしろ入れるべきだと思うが、これは抜いてあるんですね。それについては、なぜでしょうか。
  25. 田中健次

    政府委員田中健次君) 港湾計画に係ります環境影響評価では、計画段階でのアセスメントであるという港湾計画の特性を踏まえまして、先生おっしゃいますように、スコーピングの手続を省略いたしております。  具体的には、港湾計画の段階では事業のより具体的なイメージが固まっていないと、こういう一方で、事業を行う場所等が臨海部である点で共通でございまして、計画に定められている事項等もおおむね共通であるということから、調査等項目及び手法についても、あらかじめ定めます技術指針におきまして相当程度定型的に定め得ることができると、こういうふうに判断をいたしておるところでございます。  この場合におきましても、調査等項目それから手法の選定は、主務大臣が定める技術指針に基づいて行われることとしておるわけでございまして、こうしたことで調査等が適切に行われるというふうに考えておるところでございます。
  26. 平田耕一

    平田耕一君 これで質問を終わります。ありがとうございました。
  27. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 本案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後零時五十分まで休憩いたします。    午前十一時四十八分休憩      —————・—————    午後零時五十三分開会
  28. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) ただいまから環境特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、環境影響評価法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  29. 河本英典

    ○河本英典君 自民党の河本英典でございます。  先般も環境影響評価法案についての質問をさせていただいたわけでございますけれども、きょうもまた少し立たせていただきます。きょうは、本来のアセス法と少し変えまして、先般の質疑の中で諌早湾の干拓問題が取り上げられておりましたので、私も幾つか気になる点がございましたので、農林水産省を中心にその諌早湾の問題をお聞きしたいと思っておるわけでございます。  まず最初にお聞きしたいわけでございますけれども昭和五十八年にまとめられました諌早湾防災対策検討委員会の中間報告書についてでございます。  新聞等の報道によりますれば、この事業が防災上の効果がないというようなことが書かれておるわけでございますけれども、また、このような立場から質問も幾つか行われておるわけでございますけれども、なぜこういった話になるのか。まさかその中間報告が幾通りの見解を言われておるわけではないと思うわけでございますけれども、そのあたりにつきまして、農水省の知っておられる範囲で結構でございますので、事実関係をお聞きしたいと思います。お願いいたします。
  30. 太田信介

    説明員(太田信介君) 諌早湾防災対策検討委員会中間報告書に関する御質問でございますが、この報告書は、漁業者の意向を踏まえました漁場の確保、それから防災機能の確保の観点から閉め切り規模を比較検討した結果を取りまとめたものでございます。  内容といたしましては、「築堤についての検討」、あるいは「水文水理からみた締切規模」の検討ということで、六千ヘクタール、四千六百ヘクタール、三千三百ヘクタール、三千九百ヘクタールの四つの閉め切り案について検討が行われております。このうち、特に一番小さい三千三百ヘクタール案につきましては、技術的、経済的に問題の多い案というそういう結論がなされておりますが、三千九百ヘクタール、最終的に出された案につきましては「許容しうる案」という形で報告がなされておるわけでございます。  この中間報告書の一部の記述において、申し上げましたように、三千三百ヘクタール案については問題が多いということもありまして、そこらあたりが若干誤解に基づくような報道ということになっておるんじゃないかというように推察しております。  現在の事業計画の中身につきましては、この中間報告の結果に基づきまして、さらに漁場の確保、諌早大水害級の洪水を貯留し得る調整池容量、妥当な水準の農地造成面積につきまして検討、調整を行いまして、地元住民、農業者、漁業者、関係市町、県等の総意として、閉め切り面積を三千五百五十ヘクタールといたします現在の計画を昭和六十一年十二月に決定したところでございます。  この現在の計画につきましては、標高七メーターで二門の排水門を有します潮受け堤防、それから潮受け堤防の内側に千七百十ヘクタールの調整池を設けまして、調整池水位を標高マイナス一メーターに管理することによりまして、高潮、洪水の対策、それから周辺低平地の排水改良対策といった防災機能を発揮するものとして計画されておるところでございます。
  31. 河本英典

    ○河本英典君 そうすると、その中間報告書では、全体が防災上の効果がないと言っているわけじゃないわけですね。
  32. 太田信介

    説明員(太田信介君) 先ほど申し上げました三千九百ヘクタールの閉め切り案からさらに絞り込んでおるわけでございますけれども、その過程におきましては干陸地の面積を絞りながら必要な調整池容量を確保するということで、御指摘のとおり、これが防災上の効果がないということにはならず、むしろしっかりとした防災機能を果たす計画になっておるということでございます。
  33. 河本英典

    ○河本英典君 次に、今話が出ました調整池の効果についてお伺いしたいと思うんですけれども、潮受け堤防を閉め切りの後、去る五月十三日から十四日にかけて諌早湾沿岸地域でかなりの雨が降ったそうでございます。その際の調整池の効果についていろいろな評価があるように聞いておるわけでございます。これについてなぜこういったいろいろな評価が出るのか、効果があったのかなかったのか、農水省にわかりやすく説明をしていただきたいと思います。
  34. 太田信介

    説明員(太田信介君) 五月十三日から十四日の降雨におきまして洪水被害が発生したのではないかということでございますが、この二日間にわたります諌早地域におきます総雨量百六十四ミリという数字が水門のところの管理センターの数字としてございます。そのときの最大時間雨量は四十三ミリという降雨でございますが、降雨の前に調整池の水位は既にマイナス一メーターという形で管理しておりました。降雨中におきましても干満の差がございますので、干潮のときには排水門を開いて中の水位を外に流し出すという形で水門操作を行いましたことによりまして、調整池の水位は最高マイナス〇・一メーターまで上昇いたしましたが、その後速やかに低下させるという形で、低い水位での調整池の水位が管理されたという実態がございます。  その結果、諌早湾周辺一市四町におきましては約百六十ヘクタールの農地におきまして一時的に湛水ということが生じたわけでございますが、諌早市ほか四町におきます農業被害ということで報告されております数字を見ますと、農地、施設それから作物、合わせまして八百万円という被害報告がなされているところでございます。実質的には麦を中心といたします作物被害のみという形になっておりまして、被害としては極めて軽微なものであったというように考えております。  なお、単純に比較することは困難でございますけれども、今回の降雨に類似した過去の被害の実績と比較いたしますと、平成三年七月二十八日から二十九日にございました雨、これは期間内の雨量が百四十八ミリ、時間雨量二十九ミリという雨でございます。このときの農業被害額は諌早市のみの数字が記録されておりますけれども、農地、施設、作物、合わせまして四億二千八百万円という数字が記録として残されております。さらに、平成四年八月十五日の雨でございますけれども、雨量として百五十四ミリ、時間雨量五十四ミリという雨に対します農業被害額、この場合は作物被害が数字として残っておりませんけれども、農地、施設について三億六千三百万円というような被害が記録されておりまして、このことからも防災効果があったものというように考えております。
  35. 河本英典

    ○河本英典君 だから、最初の質問と一緒ですけれども、防災上の効果がないと言われるのは農水省としてはまことに遺憾であるというところなんでしょうね。お話を聞く限り、それなりの効果があるように思うわけでございますけれども。  次に、環境モニタリングについてお伺いするわけですけれども、この諌早湾は環境モニタリングを実施しながら工事を行っているとのことでありますが、具体的にどのような環境モニタリングを実施されているのか、また、潮受け堤防外側で干潟の再生促進を検討しているというふうに聞いておりますが、その検討状況説明していただけますか。
  36. 江頭輝

    説明員(江頭輝君) まず、環境モニタリングでございますけれども事業実施に先立ちまして環境影響評価を行いましたけれども、その際に定められました環境モニタリング計画に沿いまして、水質、底質、大気質、それから野鳥、水生生物等の調査を現在行っております。こういうことによりまして、工事による周辺地域の環境への影響が最小限になるように努めているところであります。  それから、干潟の再生促進についてでありますけれども、これも環境庁長官意見がございまして、それを踏まえまして潮受け堤防の外側に干潟をなるべく早く再生する、そういう観点から現在、実験的に干潟再生促進施設を設置し、実証的な調査を行っております。  その内容といたしましては、干潟の再生の状況、それから底生生物や鳥類等の生息状況がどう変わっていくか、こういったことについて調査実施しておりまして、今後、これらの調査結果を踏まえまして、潮受け堤防が完成しました後に干潟再生促進のための本格的な適切な対策を講じる予定にいたしております。
  37. 河本英典

    ○河本英典君 いろいろ聞かせていただいたわけでございますけれども、私がなぜあえてこの諌早湾の問題を農水省にお聞きしたいかといいますと、私も実はテレビでこの諌早湾の報道を聞いたわけでございますけれども、何かあれを聞いていますと、環境を無視して農地をつくろうと、干拓しておると。今もちょうどJAのいろいろ陳情を受けたところなんですけれども、お米は減反せいと言っているようなときに何で農地をつくらにゃいかぬのかと、そんな中で要らぬ農地をつくるために環境を破壊して農地をつくっているじゃないかというような印象をまず受けたわけでございます。  それなりに事業の根拠というのは、もちろん何もなしにされるはずはございませんけれども、十分な調査をやられて、いろいろ考えてやられていることはわかるわけでございますけれども、なぜ今突然にこの諌早湾の問題がクローズアップされるのか。もちろん環境委員会でございますので我々は環境の観点から議論するわけでございますけれども事業との兼ね合いという意味ではアセス法案の中にある事業者云々の話と関連するわけでございますけれども昭和六十一年から実施してこられた事業について、なぜ今になって突然、印象としては降ってわいたように議論が行われているのかなというふうに思うわけでございます。  我々はそういう印象を持っておるわけでございますけれども、地元の人というのは一体どのように考えておられるのかなというふうに思うわけでございます。その辺、行ってこられた方もおられますし、私は行ったわけじゃございませんのでわからぬですけれども、地元が全部こぞって反対しているわけでもないでしょうし、何%がどうだということも意味のないことですけれども、とにかく報道というのはすぐ熱くなりますので。この間の沖縄の問題もそうでございますけれども、何か沖縄じゅうが反対しているような話になっておりましたけれども、決してそうではないわけでございまして、基地を認めて調印されている方もおられるわけでございます。一部の反対されている方々がおられるということが非常に取り上げられるという、そんなことで、一度農水省に聞いてみたいなと思って、あえてこの諌早湾のお話を聞かせていただいておるわけでございます。  地元の話として伺いたいわけでございますけれども、地元の状況というのは一体どういうものなのかということ、地元が本来どういうことを希望されておるかということをわかりやすくちょっと説明していただけるでしょうか。
  38. 江頭輝

    説明員(江頭輝君) 先ほど事業経緯について事業計画課長から御説明がありましたけれども、諌早湾の干拓事業につきましては非常に長い経緯があるわけであります。その間に、県あるいは関係市町、地元において長い議論がなされてきております。現在の事業内容、規模は、先ほどの御説明にありましたような経緯を踏まえておりまして、漁業者を含めた地域の住民、農民の方々の地域の総意として規模、内容がまとめられている、こういう経緯がございます。  そういう経緯もございまして、地元にとっては待望久しい事業でありまして、漁業者を含めて地元住民の大多数は事業の推進を強く要望しているところであります。現に、閉め切りに当たりましては、長崎県あるいは関係市町、それから地元住民、農業者、さらに関係漁業者から農水省に対し、繰り返し早期閉め切りの要請があったところであります。  それから、先ほど御質問がありましたように、閉め切り後に事業見直しを求めている運動がある意味では降ってわいたように出てきたわけですけれども、これにつきましては、これら地元の方々は本当に戸惑いを見せておるという状況でございます。  以上です。
  39. 河本英典

    ○河本英典君 地元は長年の悲願として非常に望んでおられるというふうに認識していいわけですね。  もともとあの地域は火山灰が大変多く昔から水の流れが悪くて、そういうことをせにゃいかぬところであるというようなこと、何か古くは推古天皇のときに及ぶんだというような話も聞きまして、現在のこの数カ月の報道を見て知る範囲と随分違った内容だなということを認識しておるわけでございます。もちろん、環境という立場からムツゴロウの話が云々と出てまいりまして、ムツゴロウが大切なのか地元の生活が大切なのかということにもなるわけでございますけれども、その辺はこれからいろいろ議論していったらいいと思うわけでございますけれども、あえて少しそういったお話をさせていただいておるわけでございます。  農水省への質問はそのぐらいにさせていただいて、きょうは環境特別委員会ですので環境庁の方にもちょっとお聞きせにゃいかぬと思います。  今、諌早湾の干拓事業につきましては環境庁の姿勢を問うような意見が見られるわけでございますけれども、本事業については、昭和六十三年の公有水面埋立法の手続の際に長官意見を述べられたことを初め、これまでも環境庁として必要な環境保全面での関与をしてこられたわけであります。これからも環境庁として環境保全のために必要なことをやっていく姿勢はお持ちであると思うわけでございますけれども、この問題についての基本的な姿勢を長官に御説明願いたいと思います。よろしくお願いします。
  40. 石井道子

    国務大臣石井道子君) この問題につきましては、今、大変議論が活発に行われているところでもございます。環境庁といたしましては、本事業については環境保全の観点から過去二回にわたりまして意見を述べてまいりました。そして、この意見に沿って十分な環境保全対策が講じられることが重要であるというふうに考えているところでございます。  先ほど農水省の方からも御説明がございましたけれども、このような状況になったことを踏まえまして、私は先日、農水大臣にお目にかかりまして、環境庁意見内容について環境保全のために万全を期していただきたいということを申し上げてまいりました。そして、今後の環境保全対策について農水省との連携をさらに強化する必要があるということを感じまして、その体制を整備するように事務方に指示をしたところでございます。  潮受け堤防閉め切り後の環境変化にも速やかに対応が図られるようにということで職員を現地に派遣いたしましたところでございますが、地元の長崎県に対しましても、監視体制の充実とそれから環境庁との密接な連絡をお願いしたところでございます。さらに、水質汚濁負荷削減対策につきましては、生活雑排水の処理の問題もありましてなお一層の努力を必要とするところから、今後とも関係機関に強力に働きかけていきたいというふうに思っております。  環境庁といたしましては、これまでの環境庁意見をたびたび申し上げてまいりましたことを基本として、そして環境状況変化にも十分に目配りをしながら、今後も必要に応じて本事業環境保全について必要な対応を行ってまいりたいと考えております。
  41. 河本英典

    ○河本英典君 この間かなりお話が出ていましたので、早速動いていただいたのかなというような気がいたしますけれども立場はちょっと違うわけでございますけれども環境庁というお立場でぜひとも頑張っていただきたいと思うわけでございます。  先ほどから言っておりますように、本事業実施に関しましては、本当にムツゴロウが大事なのか、そこにいる人が大事なのかという、これは極論でございますけれども、そんな議論にさえ聞こえるわけでございますけれども、本来、環境保全の見地からはより幅の広い問題であると思うわけであります。これらにつきまして環境庁として対応した意見をおっしゃってきていると思うわけですけれども、これまで環境庁がおっしゃってこられた意見内容について、たくさんあるか少ないか知りませんけれども、具体的にお教え願いたいと思います。
  42. 田中健次

    政府委員田中健次君) この事業につきましては、昭和六十三年に公有水面埋立法の当初の手続がございました。それから、平成四年に事業計画の一部変更に伴う手続がございまして、これらにつきまして環境影響評価が行われ、それぞれ環境庁意見を述べているところでございます。これに加えまして、ことしの三月には環境保全対策の実施状況等につきまして検討した上でさらに意見を述べております。  こういうことで、この三回の意見内容は広範多岐にわたりますけれども、その要点を申し上げますと、意見の主要なものは、自然環境保全に係るものと水質の保全に係るものでございます。  、まず、自然環境保全面につきましては、この事業実施に伴い潮受け堤防内側の干潟は消滅することになりますが、そこに形成されます調整池はヨシ湿原等の新たな豊かな生物環境となることが予想されますことから、そこにおきます自然植生の維持を求めました。  それから、諌早湾におきましては、有明海の潮流によりまして次々と干潟が生成されることから、潮受け堤防の前面部、外側にもいずれ干潟が形成されると考えられるところでございますけれども、長期を要します自然の推移に任せるのではなくて、当面、堤防前面部においての干潟の再生促進の対策の実施を求めました。  また、この事業が有明海におきます重要な渡り鳥の渡来地を改変するというところから、有明海全体の広域的観点からの追跡調査を求めたところでございます。  次に、水質保全面でございますが、調整池へ流入いたします汚濁の負荷削減対策を求めまして、特に下水処理施設からの処理水の放流先を潮受け堤防の外側から内側に変更するという平成四年の事業計画の変更に際しましては、予測の前提となりました高度処理の導入を含みます下水道の整備等の汚濁負荷削減対策の確実な実施を求めました。  また、水質汚濁未然防止の観点から、排水門の操作に関しまして、昭和六十三年には定期的なフラッシュ操作が行えるような配慮、それから平成四年には調整池全体の流動を促進するための排水門の適切な操作が行えるような配慮を求めたところでございます。  また、工事中はもちろん、工事完了後につきましても環境モニタリングを求めますとともに、モニタリングにつきましての監視計画の策定、それから実施結果の公表、それからこれを踏まえた対策の検討、こういったものを求めているところでございます。
  43. 河本英典

    ○河本英典君 私も行ったことのないところの話をしておりますので、非常にしゃべりにくいところもありまして、これだけ質問するなら行っておけばよかったなと思っておるんですけれども。  本当にかなり広大なところで、いろんなことを考えていただいて、渡り鳥の話も出たわけでございます。自然環境保全や水質汚濁防止のことでいろいろ考えていただいて、意見を述べていただいたわけでございますけれども、大切なのは、これから進行するわけでございますけれども、これからのフォローアップというんですか、これからどうしていくかということが非常に大事になると思うんです。  先ほど長官も農水省と連携してというふうにおっしゃいましたのですけれども事業者である農林水産省との連携を本当にしっかり図っていただきたいなというふうにお願いするわけでございますけれども、どのように図っていかれるのか、考えでおられることがあったら少しお聞かせ願いたいのですが。
  44. 田中健次

    政府委員田中健次君) 潮受け堤防の閉め切りという新たな段階を踏まえまして、諌早湾の環境保全が一層重要性を増しておりまして、環境庁、農林水産省の連携を強化することで両大臣が一致したことを受けまして、大臣の御指示によりまして農林水産省との連携を強化すべく体制整備を行ったところでございます。  具体的に申しますと、環境庁と農林水産省の担当課室長から成ります諌早湾干拓環境保全連絡会議を設置いたしました。環境庁からは企画調整局それから自然保護局、水質保全局のそれぞれの担当課室長をメンバーといたしたところでございます。これまでも農林水産省とは緊密な連携を図ってきたところでございますが、この会議の設置によりましてさらに一層円滑かつ機動的な対応が図られるとともに、環境保全対策の具体的内容についても突っ込んだ話し合いが可能になりますし、また両省庁間の意思の疎通が一層速やかになることを期待いたしております。  この会議は、来る三十日に第一回の会合を開きまして、その後も定期的に開催しまして、環境モニタリング結果の整理、分析、あるいは環境保全対策についての意見交換を活発に行ってまいるというふうに考えております。
  45. 河本英典

    ○河本英典君 先ほどから話の出ております調整池のことをちょっとお聞きしたいんですが、調整池の水質が悪化しているのではないかというような懸念があるというふうに伺ったわけです。環境庁もこれまで水質汚濁防止の見地から意見をおっしゃっているわけでございますが、環境がまた随分変わっているわけでありまして、これについて十分な注意深い対応が必要と思いますが、この辺の方針はいかがなものでしょうか。
  46. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 調整池の水質の問題でありますけれどもお話ししてまいりましたように環境変化がございましたので、まず何はともあれ監視の強化をするという方向で臨んでおります。これまで調整池区域では二ポイントでありました観測地点を五ポイントにふやしました。それから、月に一回の観測を毎週ということで進めてきております。  水質の現状でございますけれども、代表的な水質のデータをあわらすものとしてCOD、化学的酸素要求量というのがございますけれども、過去三カ年の平均で数値が一リットル当たり二ないし五ミリグラムというふうな状況でございましたけれども、閉め切り後、今は先週の月曜日ぐらいの数字で七ミリぐらいまで上昇しております。また、富栄養化の原因になります窒素や燐につきましても上昇の傾向が見られるわけでございます。  ただ、調整池内のこういったデータにつきましては、毎週毎週やっているということもございまして、天候に非常に左右されるということがあります。それから、工事がまだ続行中でございます。さらに、ちょうど塩水、海の状態から、淡水、湖の状態に移行している時期でございますので、データの確実性というものがいま一つまだしっかりとつかめておりません。データを蓄積する、あるいは水質が悪くなる夏場の時期を注視するということが必要かなというふうに思っております。  私ども、このデータにつきましてはできるだけ早い機会に、できるだけ速やかにと申し上げてもいいんですが、公開をしたいと思っております。  先ほど企画調整局長から答弁申し上げましたように、両省庁の連絡会議を設けておりますし、現場にも今行っておりますので、その現場の調査団が戻りまして連絡会議を開きましたところでデータを検証いたしまして、速やかに公開をいたしたいと思っております。同時に、学識経験者から成る委員会も設置いたしておりますので、この委員会にかけまして、中長期的な対策のほかに当面何が対策としてとり得るか、そういうことについて御提言を賜りまして実行に移したい、そのためには農林水産省と緊密に連携をしたいというふうに考えております。
  47. 河本英典

    ○河本英典君 本日、職員を現地に派遣されたというふうに聞いておりますが、現地の実情を把握するのは結構なんですが、同時に環境保全対策について地元の県との意思疎通が非常に大切だと思います。だから、先日は担当者レベルで現地視察をされたと承っておりますが、今回はどのような職員をどのような目的で派遣されたのかというのを御説明願いたいと思います。
  48. 田中健次

    政府委員田中健次君) 本日、大臣の御指示を受けまして、企画調整局それから自然保護局、水質保全局から三名の課長を現地に派遣いたしておるところでございます。派遣の目的は、まず現地の環境変化環境庁意見を踏まえた環境保全対策の実施状況について、担当課長が実際に自分で確認をいたしまして現地の状況を把握することにございます。  また、今回は、責任がある管理職を派遣いたしまして、副知事以下の県庁幹部と今後の環境保全対策や環境監視につきまして意見交換を行うこととしておりまして、その席で長崎県当局に対しまして、下水道の整備等の水質汚濁負荷削減対策の一層の推進を要請いたしますとともに、現地におきます環境モニタリングの強化やあるいは環境庁との連絡体制の整備を要請することといたしております。  環境庁といたしましては、現地で環境状況変化を確認するとともに、地元長崎県とも密接な連携が不可欠と考えているところでございまして、今後とも定期的に職員を現地に派遣してまいりたい、こう思っております。
  49. 河本英典

    ○河本英典君 ありがとうございます。  農水省にもう一つ、ちょっと戻ってお話を伺いたいんですけれども、諌早湾の背後の地域は、土地が低く台風や集中豪雨に見舞われることが多くて、昔から高潮や洪水によって農作物が冠水し、住宅が浸水する被害、災害に見舞われているということです。昭和三十二年のいわゆる諌早大水害の際には、集中豪雨によって湾沿岸のすべての河川がはんらんしました。死者、行方不明七百六十人、家屋の全壊二千二百四十八戸、半壊が三千六十戸、床上浸水一万二千二上戸、田畑の流失や埋没が千三百八十九ヘクタールという大変大きな被害をこの地域の住民に与えたのであります。このような大災害を大きなきっかけとして、防災対策の機運が高まって、傾斜地が多く農地に乏しいこの地域に優良な農地を確保するという二つの大きな目的を持ってこの干拓事業が始められたのであります。  このような地域の住民にとって、潮受け堤防の閉め切りは、事業着手以来十一年ぶり、それから諌早大水害以来四十年ぶりに安心できる生活に向けての大きな一歩であったのではないでしょうか。そのような地域住民の心の支えである閉め切り堤防の水門をあけるあけないの話がこの間から出ておったわけでございますけれども、あけるということは海水を入れろということなんですが、地域住民の心の支えを奪うだけでなく、政治に対する信頼をなくすのではないかというふうに心配するわけであります。  この際、改めて農水省にお伺いしたいんですけれども、潮受け堤防の排水門はどのような機能を担っているのかということ、それから海水を入れるために排水門をあけた場合どのような状況になるかというのをちょっと参考に伺っておきたいので、お伺いします。
  50. 江頭輝

    説明員(江頭輝君) 今御指摘がございましたように、この諌早湾周辺地域は昔から干拓が繰り返されて形成された地域でございまして、非常に低平でありまして、いわゆる海抜ゼロメーター地帯と言われるところであります。それで、諌早湾の潮汐につきましても、潮差が大潮時には五メーターにも及ぶ、小潮時にも約二メーターになる、そういうことでございまして、上げ潮のときには地域の相当の部分が海面下になる、こういう地域でございます。  そういうことで、閉め切り堤防、潮受け堤防と排水樋門の機能はどうかということでございますけれども、まず高潮対策といたしまして、標高士メーターの潮受け堤防を建設しておりまして、高潮はこれでしっかり受けとめる、伊勢湾台風クラスの規模の高潮の被害をこれで防止することができると、このような計画でございます。  また、洪水対策といたしましては、先ほども申し上げましたように、干満の差が非常に大きいということでございますので、洪水のときに外潮位の影響を遮断する、そういうことによりまして上げ潮時には洪水を一時調整池に貯留しておく、そして下げ潮時に排水門の操作によって外海に安全に排水するということによって洪水被害を軽減する、このような役割になっております。  また、常時の排水対策といたしまして、外潮位の変動の影響を排除いたしまして、排水門の操作により調整池の水位をマイナス一メーターに管理することによりまして低平な背後地の排水を容易にする、こういう機能になっております。  また、干拓でございますので、排水門の操作によりまして調整池を淡水化する、それによりまして干拓地あるいは周辺のかんがい用水源として利用できるようにするというものであります。  次に、排水門をあけて海水を流入させるということはどうかということでございますけれども、人為的に調整池の水位を上昇させるということでございますので周辺の低位地からの排水に支障を余儀なくされる、そういうことでございますので防災機能の発揮ができなくなる、しかもこれから雨期を迎える時期に当たっておりまして、地元住民からは強く反対されている、こういう状況がございます。  それから、人為的に海水を入れる、そういう場合に海水の水門からの出入りが非常に大きな流速を持つわけでございまして、この濁りといったものが漁業への影響をもたらす、こういったことで漁業者の理解もなかなか難しいであろうと、こういうふうに考えております。  また、干拓事業で使いますかんがい用水の淡水化ができなくなるということで今後の干陸に向けた事業に支障を来す、こういうことでございますので、海水を流入させるということは困難であるというふうに考えております。
  51. 河本英典

    ○河本英典君 この間、水門をあげるとか、ちょっとあけたらいいじゃないかというような話もあったんですけれども、私もそんなに言うんならあけたらいいじゃないかと思っておったんですけれども、聞いてみたらかなり不都合だということのようでございます。きょうは農水省にわざわざ来ていただいて聞かせていただいて、少しは事情がわかったような気がいたします。きょうはアセス法の審議でありますので、諌早湾の話ばかりが何かこの間から出ておりまして、一つのアセスのモデルだということなのかもしれませんけれども。  最後に、環境庁長官にこれからの諌早湾の本事業環境保全について、これは要するに一つの代表的な事例になると思うんですが、大臣の取り組みについての決意をお伺いして質問を終わりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  52. 石井道子

    国務大臣石井道子君) この事業につきましては大変長い経緯があるということ、そして今政府委員からも御説明がありましたとおりでございまして、事業者であります農林水産省や地元の長崎県に対しましての御答弁もいただいたわけでございますが、そういうふうな点でさらに連携を密にしながら、環境状況変化を的確に見定めながら、必要な対応がとれるような体制をとっていかなければならないというふうに考えております。  これから連絡会議をつくりまして、また専門家による水質に関する委員会も整備をするというふうな点もありますが、これまでの環境庁意見を十分に踏まえていただいて、そして環境保全対策が実施されることを期待しているわけでございますし、環境保全対策の実施状況とか、あるいは環境状況変化を踏まえた関係機関への環境庁としての要望、意見というものについては、必要な問題につきましては積極的に働きかけていきたいというふうに思っております。
  53. 河本英典

    ○河本英典君 どうもありがとうございます。  我々といたしましては、環境庁環境によく配慮して独自の意見をきっちり言っていただいて、これから農水省だけじゃなしにいろんな省庁との事業が出てくるわけでございますし、その辺は自主性、独自性を持って頑張っていただきたい。  我々もそれの委員会でございますので、よろしく頑張っていただきたいことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
  54. 山本一太

    ○山本一太君 今、河本委員のおっしゃった諌早湾の問題につきましては、私も自由民主党の立場から申し上げたいこと山ほどあるんですけれども、きょうは質問時間三十五分ということですから、アセス法関連の別の問題、温暖化防止京都会議について、ここに焦点をちょっと絞らせていただいて質問をさせていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。  環境アセス法案というのは、個々のプロジェクトに対して環境の汚染を未然に防ぐ、これが主な目的だと思いますし、今回のアセス法案見直しの中で、評価対象を見直すということで、この中に温暖化も入ってきていると思うんですね。これに対して、温暖化対策というのは、もう個々のプロジェクトのレベルではなくて、地球環境全体、根っこから環境の悪化を防ぐという、国際社会のいわば力量が試される問題ではないかというふうに私も思っているところでございます。  ことし十二月の通称COP3については、これまでの委員会で各委員の方々がいろいろ言及をされて、随分議論もされたわけなんですけれども、あえて私がこの時点で長官初め関係者の方々に御質問をさせていただきたいのは理由がありまして、実は私はこの会議については大変懸念を今のところ持っております。この会議は、恐らく日本の環境政策の中では場合によっては一つのブレークスルーになる。環境政策を転換させるような大きなイベントであるということと、大げさでなく、二十一世紀以降の地球の命がかかっている、地球の命運を左右する問題だという認識があります。  それと、これもやはり世間が思っている以上に実はこの会議は非常に大規模なもので、総勢で五千人ぐらいの方が何と世界各国から京都に集まってくる。こういう会議の中で、招致国である日本が、残念ながら今のところ会議に対する、このCO2削減に対するスタンスがきちんと固まっていないという状況に大変危機感を覚えまして、そういうことできょうは、あと残り三十三分ぐらいですけれども、この問題について幾つか御質問をさせていただきたいと思います。  まず第一に、最初の段階にちょっと戻って考えてみたいと思うんですけれども、このCOP3を日本に、わざわざ京都に招致した理由について、環境庁長官、それからきょうは外務省の方からもおいでをいただいておりますので、改めてお聞きしたいと思うんですけれども、お願いします。
  55. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 地球レベルでの環境問題、さまざまな課題がありますけれども、その中で地球温暖化防止問題、これはこれからの人類とか自然の生態系に深刻な影響を与えるおそれがある問題でございまして、この問題に対しまして、二〇〇〇年以降の温暖化対策の国際的な枠組みについて合意する機会となるのがこのCOP3でありまして、まさに人類の将来を左右する重要な会議であるというふうに受けとめております。  環境庁といたしましては、我が国がこうした重要な会議を招致した理由につきましては、まず我が国が地球環境問題を外交及び国際貢献の最重要課題の一つとして掲げているということ、そして我が国の地球環境問題に対する積極的な姿勢を内外に示す必要があるというふうに考えたところであります。  また第二には、我が国がこの一世紀はどの間に飛躍的な経済発展を遂げてまいりましたけれども、それと同時に、現在では環境保全の観点で比較的効率的な社会経済活動を営むに至っているという、このような経験を活用して、そして国際合意の取りまとめに貢献していきたいということを考えました。  そして第三に、京都会議の開催は、国民の温暖化問題に対する意識を高めていく、そのようなよいチャンスになるというふうに思いますし、今後長期的に拡大していくエコビジネスに対します国民の目を向かわせるよい機会になるというふうに期待をされているところでございまして、今後も持続的発展が可能な社会経済づくりを進めていく契機となるということを期待しているところでございます。  このような点から、日本への招致が非常に意義が大きいということを考えまして招致をしたところでございます。
  56. 山本一太

    ○山本一太君 それでは、外務省、簡単で結構ですから。
  57. 古屋昭彦

    説明員(古屋昭彦君) 外務省も石井長官が述べられたような認識を共有しているわけでございますが、この条約の第一回の締約国会議で、第三回目では二十一世紀への枠組みをつくろうということが決定したわけで、私どもといたしましてはこの第三回のCOP3締約国会議が重要であるということを深く認識しておりまして、我が国の経験を生かして国際的な合意の形成に貢献する機会であろうと、そしてまた我が国の取り組む姿勢というものを示す上で極めて有意義だと、このような考えで招致を決定したということでございます。
  58. 山本一太

    ○山本一太君 今、大臣のおっしゃった、あるいは外務省の方からの御説明であったように、一つは国際貢献、日本のきちっとした姿勢を示すということと、これまで日本が環境分野でいろいろな実績を上げてきた、それがやはり取りまとめに生きるのではないかということと、さらには長官おっしゃいましたけれども、やはり環境問題はリオのサミットで随分盛り上がって、サステーナブルディベロプメントが流行語になりましたけれども、最近になってやや少し世間の関心が冷めているところもありますので、改めて国民、企業に対してきちっとした環境問題に対する啓発を促進するという、大きく言ってこの三つの理由、京都に会議を招致するという十分な納得できる理由があると私は思うんですね。  こうした背景の中で、環境庁と、そして今外務省の方から御答弁ありましたけれども環境庁と外務省はかなり積極的にこの会議を誘致したというふうに伺っておりまして、通産省の方は、数値目標等もあったんですけれども、やや慎重であったということも伺っているわけです。この招致が正式に決定したのは、例の昨年七月のCOP2の決議だと思うんですけれども、その前にもいろんな機会で、いろんなアドホックな会議とか、日本は事あるごとに手を挙げて、うちでやらせてくれ、ぜひ京都でやらせてくれとおっしゃってこの会議を持ってきたわけなんですね。そういう意味からいいますと、やはりこの会議、議長国にはまだ決まっていないんですね、今の段階では。恐らく議長国になる可能性が多いと思うんですが、ポスト国、議長国として、この会議の取りまとめできちっと国際社会にリーダーシップを示すということは、これは日本の国際社会における立場、国益からいっても大変私は重要だというふうに認識をしております。  あともう一つ、外務省の方がどうお考えかは知りませんが、今度の会議には特にこの地球温暖化問題、海面の上昇で影響を受ける例の小島嶼諸国が随分来ていまして、マーシャル諸島であるとかあそこら辺のバヌアツ、ニューギニアあたりでしょうかね。あそこら辺の国々も参加しているわけなんですが、こうした国々はやはり国際社会においては日本の強力な味方ですから、特に先般、国連総会のラザリ議長の案が出て、日本の常任理事国入りの問題もここ一年ぐらいの間に二回ぐらい山が来るんじゃないかというこういう状況の中で、いろんな意味でやはり日本が国際社会からサポートを受けるということが大事だということから考えると、この会議においできちんとそうした島嶼の諸国に対してもリーダーシップを示し、また配慮をするということについてもやはりこれは大変日本にとっては重要な会議だと思っているんです。  一言御確認をさせていただきたいんですけれども、この会議で日本がきちっとホスト国としてのリーダーシップを果たすことが日本の国益にかなう、これは極めて重要だということについてはそういう御認識でしょうか、環境庁長官。そのとおりですと言ってくださればそれで結構です。
  59. 石井道子

    国務大臣石井道子君) そのとおりでございます。
  60. 山本一太

    ○山本一太君 外務省、そのとおりですね。
  61. 古屋昭彦

    説明員(古屋昭彦君) そのように認識しております。
  62. 山本一太

    ○山本一太君 はい、わかりました。  それで、今の話にあったように、この会議は非常に日本の国益にとって大事だと。少なくとも、いろいろあってもこれからの温暖化問題の協議、あるいは施策についてこれを円滑に進める土台づくりだけは、日本がホスト国としてきっちりリードしなければいけないというふうに思います。  それを踏まえた上で、次にこの問題をめぐる世界の潮流についてちょっとお話を伺いたいと思います。  簡単に言いますと、この先進国からのCO2排出削減というものが、一つは科学的あるいは政治的にも国際社会の不可避など言うとちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、これは押しとどめることのできない大きな流れであるかどうかということの認識についてちょっと伺いたいと思うんです。よく地球温暖化防止、これはこのままほっておくと何か二一〇〇年に二度温度が上がって十五センチから九十五センチくらいまでの間で海面が上昇する。そうすると、モーリタニアも沈んじゃうし、一メートルになったらバングラデシュなんかは三割ぐらいなくなりますし、マーシャル諸島なんか多分半分ぐらいなくなるわけですね。  これが本当にこういうことが起こるかという話の科学的根拠にいつもなるのが、例の気候変動に関する政府間パネルと言うんでしょうか、IPCCという名前しか知らないのでちょっと正確な訳がこうだかわかりませんけれども、これは世界の科学者が集まっているわけで、この報告書ではっきりと明示をされているわけなんですね。まずこの点、どうも何か幾つかの産油国は違うことを言っていますけれども、科学的にこれについてはもういわゆる国際的なコンセンサスができているのかというのが一点です。  もう一点は、開発途上国については、これから福祉や経済を向上させなきゃいけないという中で、ある程度CO2の排出量がふえるということが予想される中で、やはり最初に環境汚染を出してきた先進国がイニシアチブをとってきちっとCO2の排出規制をやらなければいけない、こういう政治的な側面。この両方において、もちろん削減の目標とか強度とか施策のやり方というのは各国いろいろ温度差があるわけですけれども、これについては世界全体の崩せない潮流であるというそういう御認識をお持ちでしょうか。環境庁長官からちょっとお答えをいただきたいんですが。
  63. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 山本委員御指摘の問題でございますが、確かに世界の科学者の集まりでありますIPCC、この報告によりますと、既に地球の温暖化が起こりつつあるということを示す相当数の証拠が示されております。そして、温暖化を防止するための政策が実施されないと、今後も気温の上昇が続いて、そして広範で深刻な影響が生ずるということが指摘をされているところでございます。それに対しまして、今後の温暖化の進行に伴って生ずる影響を危険のない水準にとどめるためには、二十一世紀末までに全世界の排出量を徐々に減らしていくということ、そして今後数世紀の間に世界全体で今よりはるかに低い排出量を実現する必要があるとされているところでございます。  途上国からの排出量は当面ふえざるを得ないということを考えますと、世界全体の排出量の増加を抑制するためには、まず先進国全体の排出量において十分な削減を可能な限り早い時期に実施することが必要であるというふうに考えます。そして、国際的にも、現在EUが二〇一〇年までに二酸化炭素の排出量を一五%削減するということを提案しているほか、またアメリカは五月上旬に開催されました八カ国環境大臣会合の際に、排出量の抑制にとどまらず削減を目標とすべきであるということを強く主張していると聞いております。  主要先進国の間では削減すべきとの方向に大きく傾きつつあるというふうに認識をしております。
  64. 山本一太

    ○山本一太君 大変明快な御説明をありがとうございました。  おっしゃったとおり、アメリカ、欧米諸国、それからいろんな途上国も含めてなんですけれども、どのくらいの目標に設定するかとか施策をどういうふうに展開していくかについては、いろいろ大臣がおっしゃったように温度差のあるところだと思います。やっぱり島嶼諸国、小さい島国はかなり温暖化のことを心配していますから、二〇〇五年で一九九〇年比で二〇%削減と言っていますし、EUは一五%削減、よく考えてみたら域内では各国別と言っていますからちょっと何かいろいろマジックもあるんですけれども、少なくともEU全体では一五%と言っておりますし、また施策についてもヨーロッパはどうもダブルバインドで、目標もきっちり決めろ、施策についても国際協調できる、例えばデンマークとかオランダとか、そこら辺ではもう実施されていますけれども炭素税とか、そこら辺についてはきっちりやるべきだというものを書き込むべきだというふうに言っておりますし、オーストラリアはとんでもないと言っているようですし、そういう温度差はあっても、今大臣お話を聞きますと、もう先進国が率先してこのCO2排出問題に取り組まなければいけないというのは世界のやはり潮流であるということを今改めて認識をさせていただきました。  その二つの質問を今させていただいたことを踏まえまして次の質問をさせていただきたいんですが、ここがポイントなんですけれども、今、日本政府においで、我が国の二酸化炭素排出削減についてのきちっとした政府全体の方針が固まっているのかという、まさにここがきょうお聞きしたいポイントなんですけれども、そういう質問をさせていただきたいと思うんです。  例の国別報告書を日本は出すことになっています。たしか九四年に一回出しているんですね、ですから二回目になると思いますけれども、今度の二回目の方がずっと大事だと思いますが、たしか提出期限が四月十五日ですね。ということはもう約束した提出期限から一カ月半もおくれているわけです。それがいまだに出ていないということは、すなわち日本の国の中でこの削減についてのきちっとしたコンセンサスがまだ現時点でホスト国であるにもかかわらずできていない、こういうことであろうというふうに思います。これは、先ほど言ったいろんな省庁の温度差なんかもあると思います。国内のいろんな調整がまだできていないということだと思うんですけれども、これについてはいかがでしょうか。長官があるいは地球環境部長から、今どういう状況でどういう御見解が、お話しください。
  65. 浜中裕徳

    政府委員(浜中裕徳君) ただいま御指摘の報告書でございますが、これは気候変動枠組み条約に基づく情報の送付をする必要があるということでございまして、各国の地球温暖化防止対策の実施状況などにつきまして、国際的に比較可能な形でこれを明らかにするものでございます。  第二回目の情報でございますが、昨年来、政府部内で作業を進めてきたところでございまして、現在の状況は、我が国の対策の内容それから温室効果ガスの排出量などの将来の見通しにつきましてなお詰めの作業が残されているという状況でございます。  政府といたしましては、地球温暖化防止京都会議の開催国としての立場からも的確な内容の情報を送付する必要があると考えておりまして、現在、関係省庁間の調整を急いでいるところでございます。
  66. 山本一太

    ○山本一太君 今現在、関係省庁間の調整を急いでいるというお話なんですけれども、部長、余り時間がないと思います。  六月二十日から橋本総理がデンバー・サミットヘ行かれます。非常に大事なサミットで、御存じのとおり今度は経済問題と同じぐらいの比重でほかの地球関係の、いわゆるグローバルの問題を取り扱うということになりまして、当然環境問題も大きなテーマになるということになります。御存じのとおり、二十三日から今度は国連で環境の特別総会が始まりまして、最初の一日だけだと思いますけれども、橋本総理が行かれて、どうもキーノートスピーチをされるという予定になっているわけで、これまでにはせめてきちんと国別の報告書をまとめていただいて、これはきちっと提出をしていただきたいと思いますが、いつぐらいまでに提出できそうなそんな状況でしょうか。もしそこら辺のところ、何かあれば。
  67. 浜中裕徳

    政府委員(浜中裕徳君) 先ほどお答え申し上げましたように、現在、関係省庁の間の調整を急いでいるところでございます。  他方、やはり先生先ほど御指摘のとおり、我が国が京都会議に向けまして我が国自身の排出量を将来削減していけるのかどうか、あるいは削減していくべきだという考え方もございますけれども、現実にしていけるのか、こういった検討をあらゆる機会を活用いたしまして精力的に進めていくことも重要でございます。  そのような検討を同時に並行しながら、私どもとして可能な限り早期に御指摘の情報につきましても通報をしてまいりたい、このように考えているところでございます。
  68. 山本一太

    ○山本一太君 後で通産省の方にもちょっといろいろ御質問をさせていただきますけれども、いずれにせよ、デンバー・サミットとか国連の環境特別総会の前ぐらいまでにはきちっとこの国別の報告もまとめていただくよう最大限の努力をしていただくように御要望を申し上げたいと思います。  この国別報告書の話が先ですけれども、もう一つやっぱりホスト国としてきちっとやらなきゃいけないことがあると思うんです。それは、もちろんこの国別報告書を出して二酸化炭素の排出に対するきちっとした日本の方針を決めるということが前提ですけれども、その後必要なのは、当然ですけれども国際的削減目標ですね。これをきちっとやはりホスト国、恐らく議長国になるであろうそのホスト国として提案する必要があると思いますけれども、この国際的な削減目標についてはどういう状況でしょうか、どういう御見解でしょうか。長官があるいは部長からお願いします。
  69. 浜中裕徳

    政府委員(浜中裕徳君) 国際的な目標についてのお尋ねでございますが、我が国は京都会議の議長国となることが目されているわけでございまして、そのような立場から各国の積極的な対策の努力を引き出すことができる、そして、かつ国際合意が可能であるような目標の数値を提案することが重要であるというふうに認識をしているところでございます。  その際に当たりまして、先ほど来繰り返し申し上げておりますとおり、我が国自身が二酸化炭素の排出量をどの程度減らしていくべきなのか、あるいは減らしていけるのか、そういったことについて十分検討をしていく必要があろうかと考えておりまして、現在、関係省庁間での検討作業も進めているところでございますが、基本的には各国のこれまでの主張、それから考えられるさまざまな国際的対策のもとでの排出削減の可能性ども踏まえまして、国際的な目標につきましては、環境保全上効果が高く公平でかつ実行可能性の高いものとして各国の賛同を得られるような具体的数値を含んだ国際的な目標を提案してまいりたいと考えております。  この場合、先ほど来御指摘のとおり、今後の交渉に許される時間は限られておりますので、できるだけ早い時期に国際的な目標を提案できるよう、政府部内の検討を急いでまいりたいと、このように考えているところでございます。
  70. 山本一太

    ○山本一太君 環境庁の方としていろいろ努力をいただいているということはそのとおりだと思うんですけれども、その国際化の目標、今打ち出すためにもいろんな協議をされているということですが、これは環境部長、難航しておりますか。難航していると言っていただければ結構です。
  71. 浜中裕徳

    政府委員(浜中裕徳君) この点につきましては、各国の主張もいまださまざまでございます。  そういう意味で、国際的な交渉の場における検討も大変難航をしている状況でございます。  国内におきましては、先ほど来いろいろ情報の送付につきまして申し上げましたような詰めの作業が残されているという状況でございますが、私どもとしては、残された時間も限られておりますので、なるべく早くそうした調整が終了するように努力してまいりたいと、このように考えているところでございます。
  72. 山本一太

    ○山本一太君 はっきりおっしゃいませんでしたけれども、なかなか難しい状況だということは読んでとれました。  今のところ、何となくこの件について小田原評定が続いているような状況で、通産省の方もいろいろお立場があるかと思いますけれども、私はこういう状況で、大臣、せっかく日本がこれだけ努力をして誘致した、日本の環境政策についてはエポックメーキングなこの会議にきちっとした姿勢を、踏み込んだ姿勢をもって臨めなくて、リーダーシップを発揮できないような状況ですと、国際社会でかなり孤立するのではないかという、そういう危機感を持っておりますので、その点はよく御認識の上、また御努力を続けていただきたいと思います。  この点に関しまして、きょうわざわざ通産省の方からも来ていただきましたので、一言伺いたいと思います。  この間、IEAの閣僚会議が行われました。これが五月二十三日に閉幕したというふうに記憶をしていますけれども、その共同声明の中で、共同声明のちょっと一文持っているんですけれども、たしか、現実的で達成可能なエネルギー政策の立案・実施と、こういう言葉を日本語でいえば使っていたと思います。  これは、見方によっては、各国の一律削減ということについては疑問を呈したというふうに言えるかもしれませんけれども、どうもその後のいろんな新聞の報道、きのうあたりから見ているんですが、京都において、これは国ごとに違いのある目標を策定するということがもう決定したような何か印象を受けるわけですけれども、アメリカとかヨーロッパはこれまでいわば一律削減を主張していたわけですね。これについてはどういう御認識ですか。大体、国際社会もこの国ごとのいろんな状況を踏まえた目標設定というのに賛成したと、そういうふうなニュアンスでよろしいんですか。そこら辺ちょっと簡潔にお願いします。
  73. 松永和夫

    説明員(松永和夫君) 先生御指摘のとおり、IEAは二十三日に閣僚理事会を閉幕いたしまして、コミュニケを採択いたしました。気候変動問題につきましても、本問題は同時にエネルギー問題でもございますので、理事会の主要な議題として取り上げられました。かなり積極的な議論が闘わされたわけでございます。  ただ、今回の閣僚理事会の決定はCOP3に向けましての交渉会合そのものではございません。  それは確かでございますけれども、理事会で採択されたコミュニケにおきましては、一つは数量目的のレベルあるいは政策措置の内容を定める上ではコストの効率性、公平性、国や部門ごとの状況の差異が重要であること。それからまた、二〇〇〇年以降の数量目的につきましては、公平で現実的で実行可能なものとなるようCOP3での積極的な成果を求めることという内容の提言がアメリカ、ヨーロッパを含めまして全会一致で採択されたということは御指摘のとおりであります。
  74. 山本一太

    ○山本一太君 今のお話を聞きますと、この閣僚会議の位置づけなんかからいいまして、必ずしも別に一律削減で加盟国が全部賛同したというニュアンスではないというふうに受け取りましたけれども、今の件について何か環境庁からつけ加えることありますか、このIEA会議の結果について。簡単に。
  75. 浜中裕徳

    政府委員(浜中裕徳君) 基本的にただいま通産省からお答えがあった認識を私どもも共有しておりますけれども、あえてつけ加えさせていただきますれば、これまでの各国間の共通認識というものを再確認したと、ベルリン・マンデートにも基本的に同様の配慮事項が、目標などの設定に当たって配慮すべきことが書かれてございますので、そういった点を再確認したのではないかというふうに受けとめているところでございまして、特に国別に異なる目標の設定という問題について、そういう考え方について米国やEUが合意したものではないというふうに受けとめているところでございます。
  76. 山本一太

    ○山本一太君 大体わかりました、感触は。  いろんな事情、それぞれの国の状況を踏まえて、国別の削減目標を決めるか、あるいは一律削減をするかというのは、いろんな議論があると思うんですけれども、私は、日本の立場はこれに近いかもしれませんが、余り一律削減ということにこだわって、せっかくのコンセンサスを流すようなことがないように、そこはきちっとホスト国として土台をつくるという観点に立ってやはり進めていただきたいということだけちょっと申し上げておきます。  それで、通産省にもう一問ちょっとお聞きしたいんですが、このエネルギー、CO2の排出削減について省庁間だけじゃなくて国内でいろんなその議論があるということは十分私は認識をしております。  例えば、今まで聞き伝えたようなことをちょっとここにメモしてみたんですけれども、例えば通産省は、産業部門ではもう随分省エネが進んでいる、だからそう簡単にこれ以上進めることは難しいと言っておられるし、あるいは民生部門、例えば家庭とかいろんなオフィスとか、そこら辺のエネルギーの需要の伸びが今かなり増加していると。だから、原子力を含めたさまざまな対策を行っても二〇三〇年になってようやく九〇年あたりにいくかなと、そんな見解であるやにも伺っているわけです。  これに対して、環境庁が言っているのは、大臣、御存じだと思いますけれども、とにかく投資をちゃんとふやしていけば環境技術も向上するし、今まで使っていない技術もあるし、さらなる省エネは十分可能だと。そういった技術を使いながら産業構造をむしろ省エネ型の構造に脱却できるような流れをつくれば、二〇三〇年ごろには九〇年比で一〇%以上、二〇%ぐらいできると思っておられるようですけれども、一〇%以上の削減が可能だというような話もあります。  また、これは通産省というか産業界の方にちょっとお聞きしてみれば、通産省も同様の見解かもしれませんが、日本は先進国中で随分成績がいいと、GDP当たりにしても、あるいは一人当たりの排出量もアメリカとかカナダから比べると随分いいと。それなのに、同じ削減をしていったら国際競争力が弱まって、ひいては何か産業の空洞化みたいなことにもなっちゃうじゃないかというような意見も一部あることも存じておりますし、環境庁立場は、公平に削減するというのはもともと不可能だと、それよりも大事なことは、日本がリーダーシップをとってきちっと踏み込んだ削減目標を示すということなんじゃないかというような議論もあります。  あと、私がおもしろいなと思っているのは、例のマクロ経済に対する影響で、これも多分環境庁の研究所か環境庁の試算だと思いますが、大体一五%ぐらい削減するために必要な投資が一年で一兆円から五兆円ぐらいというふうに試算をされていて、一兆円から五兆円というのはGDPで言うと一%ぐらいになるわけでしょうか、一%ではちっともマクロ経済に影響は出ないと。例えばあの公害が盛んだったころにやっぱりGDPの五、六%を使っていて、経済に影響は出ないと言える立場もありますし、いや、そうじゃなくてやはり余りにもエネルギーを制約すると石油ショックみたいなことになって経済が停滞するという、そんないろんな私が今まで読んだりお聞きしたりした議論でいろんなことがあることはわかっているんです。  しかしながら、通産省の見解も一つの産業界のいろいろな実態とかそこら辺を受けたお話だと思うんですが、しかしやはり日本は旧西側といえば第二位、先進国中でいつでも、全部を含めても世界第四位の排出国なんです、しかも経済大国で。  課長、今回はわざわざ京都に非常に大規模な会議を招致してそこで勝負をするわけですよ、日本の国益を掲げて。これはやはり、ここで日本がきちっと環境分野でリーダーシップを発揮できるかどうかというのは非常にこれからの日本の国際社会における貢献から考えても大事なことですから。  通産省いろんな見解あると思います、今のエネルギーレベルを抑えるのは難しい。私はアメリカの環境庁の関係者にきのう国際電話をして、一五%というのは本当にできると思うかと言ったら、やっぱりまじめにできる、いろいろな技術を駆使すれば決して一律削減というのは不自然な話じゃないと、こういう話もきのうしていたわけですけれども、ぜひそこを踏まえて、やはりいろんな見解があると思いますけれども、ここはやはり一歩踏み出した、日本はここまで言うのかというぐらいのきちっとした数値目標を協議の上、もちろんいろんな情報をインプットして結構ですから、ぜひとも提示をしていただくように、このことは強く要望申し上げたいと思いますので、佐藤通産大臣に必ずそのようにお伝えいただきたい、そのように思います。その件について御回答いただきたいんですが、あと四分しかありませんですから結構でございます。  最後に、あと四分ありますから、地球温暖化の取り組みについてなんですけれども先ほど申し上げたとおり、昨今環境に対する意識が意外とまた薄まってきました。あのリオ会議のころから環境庁も随分御苦労されて、いろんな意味でPRをし、いろんな会議があり、一般の国民の間に環境というのは大事だな、地球環境というのは自分たちの生活にも随分密接に結びついているんだなという流れがあったんですけれども、どうもごこら辺に来て、ツーマッチとは言いませんけれども、もう環境はいいんじゃないかというムードがあるような気がします。  企業につきましても、先ほど大臣はエコビジネスとおっしゃいました。これも恐らく環境庁の試算でしょうが、エコビジネスが大体数兆円ぐらいの潜在的な市場があるという、そういう話は先走りするんですが、各企業に、地元も含めて聞いてみますと、やっぱり本当にエコビジネスが物になる、だから今多少エネルギーを費やしても環境対策をやるという認識まで企業は来ておりませんので、そこら辺も含めて、この京都会議も国民の意識をさらに高める一つの契機だと思いますけれども、企業に対してもいかにエコビジネスに先に参入するということが効果があって、長い目で見ると日本の産業のためになるかということをやはりきちっと取り組みの上で考えていただきたいと思います。今までのやり方だけじゃなくて、時には役所の発想を飛び越えたようないろんな試みを、歌をつくって歌えとは言いませんが、私が例えば歌をつくるとすれば、セービングアースといいまして、副題でここから始めよう、こういう歌をつくって歌うとか、御要請があればつくりますけれども、そういういろんな今までと違った発想も含めてやっぱりそういう取り組みをしていただきたいと思います。  今後の取り組みにつきまして長官からお話をいただいて、あと一分ですから、私の質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  77. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 山本委員から大変励ましの御質問もまた御意見も伺ったというふうに受けとめさせていただいておりますし、環境庁としては、温暖化の原因となります炭酸ガス、二酸化炭素の排出をいかにして削減するかということになりますと、エネルギーの消費を減らさなければなりません。その辺のところが通産行政とのなかなかマッチしない点もあるのでございますけれども、産業界の取り組みもいろいろと御努力をいただいているというふうに思いますが、それにも限界があると。さらに、この問題を解決するためには、やはり民生部門また運輸部門についての地道な国民総ぐるみの運動を展開する必要があるだろうというふうに考えているところでございます。  その点では、環境庁でもいろいろと今まで、大変地味ではありますけれども、いろんなことを考えて実行していただいてきたのでございますが、一つには環境家計簿の普及でございます。これは、環境家計簿をつけることによって毎日の生活の中から二酸化炭素の排出量が計算できるという家計簿でございます。それからアイドリングストップの活動とか、これもいろいろと各方面に呼びかけているところでありますし、またこの間は代々木の公園で低公害車フェアを行いました。かなり最近は電気自動車を初めといたしまして非常に多くの自動車が開発をされておりまして、性能もよくなったというふうに聞いているところでございます。  そしてまた、六月は環境月間でございまして、六月五日は環境の日ということになっております。そのような機会をとらえまして、実はポスターをつくりました。真っ赤な字で、そしてそこに「地球が発熱 あなたが止める温暖化」というようなスローガンを掲げましてポスターをつくったわけでございますが、そのようなことをしていきましたり、またここで新しく考えましたのは「一〇〇万人の誓い あなたが止める温暖化」というふうなことで、それぞれ一般の方々にアンケートをとらせていただいて、それぞれの皆様方ができることからやっていただこうというような誓いのパンフレットでございます。そのようなことも呼びかけで始めました。ぜひ先生にも、地元の皆様方にもいろいろとこのような問題も啓蒙していただきたいというふうに思っております。  このようなことで、どうしても国民全般の方々に対します御理解が必要でございまして、そのような努力をしなければやはり二酸化炭素の排出削減ということにつながらないのではないかということを心配しているところでございます。  先ほど御指摘のとおり、エコビジネスの問題もあります。ですから、環境対策を行うことによって環境関連の産業の振興に対するやはり環境庁のビジョンの試案も取りまとめまして、そして公表したところでもございます。そのような新しい分野で新しい角度から環境配慮した、環境に視点を置いた産業活動をすることによって、また日常活動のライフスタイルを変えるというふうなことによりまして、政府全体の取り組みとして今後も一生懸命取り組んでいきたいというふうに思っているところでございます。  このような政府全体の取り組みの重要なものにつきましては、今月閣議で決定いたしました「経済構造の変革と創造のための行動計画」にも位置づけられているところでもございます。今後とも、それぞれの事業者がエコビジネスの推進にも具体的なイメージを持っていただきながら取り組んでいただくように、環境庁といたしましてもできる限りの支援をしていきたいというふうに思っております。どうぞよろしく御支援のほどお願いいたします。
  78. 山本一太

    ○山本一太君 ありがとうございました
  79. 足立良平

    ○足立良平君 平成会の足立てございます。  私の後から平成会の真打ちは加藤議員にやっていただきますので、私は前座で三十分程度、少しお聞きをいたしたい、こう思います。  きょうも午前中からいろんな議論がなされているわけでありますが、環境問題というのは、今も話がございましたけれども、産業構造の問題あるいはエネルギーの問題、あるいは突き詰めていったら人口問題に帰結していくのかもしれないというふうに私は思ったりいたしているわけであります。  言葉として、環境を守っていかなきゃならない、あるいは地球の二十一世紀というものを守っていかなきゃならないということは、大変耳ざわりのいい言葉として我々に響いてまいります。しかし、現実に日本の例えば江戸時代でありますと、約三百年間は約三千万弱くらいの人口でずっと推移してきた。そしてエネルギーの開発、発展段階に応じて人口というのはどんどんふえてきて、現在約一億二千四百万、五百万くらいになっているんじゃないでしょうか。そして、これはさらにふえていくというふうに考えてみると、環境とそしてよくこのアセスメント法案にも出てまいります持続的発展可能なということとの調和あるいは共生というものをどういうふうに図っていくかということは、実は言うべくして大変に難しい問題なのではないかというふうに私は思っておりまして、まずその点について長官の基本的な考え方をお聞かせを願いたい、このように思います。
  80. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 環境問題は大変最近大きな関心を持って皆様方に受けとめていただけるようになりました。環境はやはり社会経済活動の基盤として重要なものであると認識をしております。そして、このような環境が我が国においても通常の社会経済活動の拡大による環境負荷の増大によって損なわれてしまうというおそれが出てきたわけでございまして、このためにやはり経済社会システムや生活様式のあり方このものを問い直して、環境負荷の少ない持続的発展が可能な社会をつくっていくことが不可欠でございます。  環境基本法におきましても、健全で恵み豊かな環境を維持しつつ、環境への負荷の少ない健全な経済の発展を図りながら持続的に発展することができる社会構築していくというふうに示されているわけでございまして、今度の環境アセスメント法案このものもやはりこの基本理念にのっとったものでございまして、環境保全行政を推進していくためには大変重要な意味を持っているというふうに思います。ぜひこれからも環境立場を優先した、環境に視点を置いた政策の実行のために努力をしていかなければならない、そういう時代であるというふうに考えております。
  81. 足立良平

    ○足立良平君 わかりました。  そこで、今お話を聞いておりましてふと思ったんですが、ある面におきましてはこれから環境を中心に考えていくと、その面からすると、今までの例えば人間の生活なり人間の生活パターンというものを根本的に変えていかなきゃならないということになってまいりますと、これは大変な問題に実はなるわけです。言葉をかえて言うと、そのコストというものをだれが負担をしていくのかという問題にもつながってくるわけでございます。  例えば諌早湾の問題、きょうもいろんな議論が出たり、あるいはまた前回のこの環境特別委員会におきましてもいろんな議論が出ているわけでありますが、これはちょっと言葉じりをとらまえてまことに失礼かもしれませんが、長官のお話をずっと聞いておりまして、今の農水省と環境庁の置かれている状況の中で、長官のお話は、環境庁として要望を出しております、意見を出しております、その意見についてそれをそのとおりやっていただくことを期待いたしておりますというふうな表現であったように私はお聞きをいたしております。間違っていたら訂正をいたしますが、要は、環境庁としては意見を言っています、要望を言っていますと、そこでとどまっている。  そうすると、いわゆる環境を中心にして極端に言うなら国民の生活も変えていかなきゃなりません。経済のあり方も変えていかなきゃなりません。あるいはもう大きく経済構造を転換させていかなきゃならない。あるいはまた、先ほども炭素税というふうな問題も出ておりましたけれども、日本が第一次、第二次石油ショック以降ずっと環境問題なりそういう問題で省エネが物すごく発展したのは、石油が物すごい高騰をして、大変な高騰をして、それが経済的にそういう問題で省エネをやることに一種のインセンティブを与えることにつながったという一面性がある。国民がみずから生活の転換をしていったわけではない。  したがって、そういう面からすると、この環境問題を中心に置いてこれからやっていくというきょうの長官の話に私は全く賛成だし、そのとおりだと思うんだけれども、それではそれをそのとおりにやろうとするなら、長官として一体どういう政治的な例えば立場というものをこれからとられようとするのか、あるいはまた環境庁としての権限の問題も含めてこれから一体どういうふうにこの問題についで取り組んでいかれようとするのか。ここまでは質問を出していませんでしたけれども、今お話を聞いておりまして、ちょっと質問をさせていただきたいと思います。
  82. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 日本の今までの社会経済活動というものを考えますと、やはり産業界、経済界優先の政策が進められてきたのではないかと思います。そして、そのことによって大量生産、大量消費、大量廃棄ということがごく当たり前のように考えられてずっと来ているわけでございまして、そのために日本は世界に冠たる経済大国になりました。  しかし、現在では今までの時代とは違いまして、これは五年前に地球サミットが開かれ、そして三年前でしょうか環境基本法ができたという時代から、かなり環境問題に対する考え方また取り組み方が変わってきたのではないかと思います。  ですから、過去に決定されました事業については、その時代の社会的、政治的な背景の中で決定をされた事業が随分ございまして、そのことに対してやはりいろいろと現在問題が起こってきたのではないかというふうに考えております。  ですから、もしこれからの事業を進める上においては、必ず環境に視点を置いた、また今回環境アセスメント法案ができるわけでございますから、そのことを大きな土台としてチャンスとして、そして環境問題に対して十分に配慮した政策が立案、実行できる、そういう時代を迎えたのではないかというふうに考えているところでございます。
  83. 足立良平

    ○足立良平君 私が期待した以上に本当にいいお話を聞かせていただきました。さすが石井長官だと思います。この点についてはもう少しまた後ほとお考えをお聞きいたしたいと思うんです。    〔委員長退席、理事大渕絹子君着席〕  あえて言うなら、アセスメント法案を今審議いたしておりますが、今長官がおっしゃいましたように、高成長なり、ずっと今日まで我が国が経済優先あるいはまた産業界の物の考え方を優先してきた。したがって、そういう面からすると、その時代に決定をしたプロジェクトなり物の考え方というものに問題が今日発生しているというふうに今長官おっしゃったわけですが、例えばそういう面からすると、諌早の問題にいたしましてもひょっとしたらそういう問題であるのかもしれない。ある面においてはその他いろんな問題があるのかもしれない。  そうすると、例えばこのアセスメント法案が成立をしたときに、既にそういう時代にプロジェクトとして決定した問題を今度はこのアセスメント法案そのものの中に一体どういうふうにこれから適用していくかという問題に私はなってくると思うんですね。ですから、ちょっとその点については後ほどもし長官のお考え方があればお聞かせをお願いいたしたいというふうに思います。  それと、もう二点目に、さらに長官にちょっと、これは通告をいたしていますからお聞きをしておきたいと思いますのは、このアセスメント法の制度化についての意義あるいはまた閣講評価の問題なんでありますが、一応いろんな資料等々を拝見いたしていますと、いわゆるこのアセスメント法案というものをつくるに当たっては、先ほども長官のお話の中にありましたように、環境基本法が制定をされました、あるいはまた行政手続法がこれまたできた、それからまた地方分権推進法というものもできておりますというふうな前提アセスメント法案というもの、いわゆる行政手続としてこの法案を制定したいということと理解をいたしております。  ただ、私はその前にちょっとお聞きをしなければならないのは、それでは今日まで省議あるいはまた閣議でアセスメントをやってきて、そして今までのアセスメントについて一体どこに問題点があったのか、どういうふうに改善をしなければならないのかということがきちんと分析をされて、その上でそれを解消していくためにこういう法律をつくるというふうになるのが私は立法の基本的な姿勢なのではないかなというふうに実は思うんですね。  ところが、ずっと環境庁なりそれぞれの皆さん方からいただいた資料を私何回拝見いたしましても、一体今までの閣議アセスを含めて全体のアセスがどうであったのかという評価がちょっと見当たらないんです。その点について長官のお考えをお聞きいたしたいと思います。
  84. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 今まで行われてまいりました閣議アセスにつきましてその成果がどうだったか、具体的な箇所の問題になるかとも思いますが、今までの閣議アセスの段階では環境行政をつかさどる環境庁長官意見は求められなければ言えないという状態であったわけでございまして、かなり開発行為が何百件と行われる中で、数字はまた後で政府委員から申し上げたいと思いますが、二十三件だけであったと聞いております。  ですから、そのような中で、後から考えると随分環境を無視した行政が、開発が、事業が行われたのではないかということが反省されたのではないかと思います。  そのような経過を踏まえて中央環境審議会で一応さまざまな議論がされたと伺っておりまして、その答申を受けてこのたびの環境アセスメント法案の問題に着手をすることになったわけでございますので、それはそれ、長い間の、日本としての長い経過の中で、閣議アセスとしての経験とかあるいは地方における条例とか要綱とか、そういうふうな取り組みの成果とか実績も踏まえながら、これからさらにもっとよい環境アセスの問題について取り組めるというふうなことになるのではないか、そうしなければならないというふうに思っているところでございます。  いろいろ過去におきましての事業について、それが現在どう扱われるべきかという反省点はかなりありますけれども、これから行われます環境アセスメント法案についてはそれは残念ながら適用にならないというところがあるのでございまして、それは残念ではありますけれども、今後の課題としてまた取り組むべき問題も多々あるのではないかというふうに考えております。
  85. 足立良平

    ○足立良平君 長官が残念だというふうにおっしゃいますのは、私も同じように残念だというふうに思います。ですから、そういう面では、対象事業というもののこれからの見直しの問題については、そういう観点でもう一度、残念と言うだけでとどめずに、改めてそういう問題にどういうふうにこれから取り組んでいくかということが検討をされなければならないのではないか、していただきたい、このように私はきょうの段階は一応要望ということにしておきたいと思います。  それで、私は三十分しか時間をいただいておりませんが、もうこれだけで大分過ぎてしまいました。相当通告をさせていただいています、かれこれ十五、六項目通告したと思いますが、一項目か二項目しかやっておりません。まことに申しわけありません。ちょっとそういう点で、ひょっとしたらほとんどやることがなくなって、申しわけないんですが。  それで、きょう朝からお聞きをしておって疑問に思ったことばかりちょっとやらせていただきます。  対象事業の問題なんです。対象事業の問題できょうも朝から同僚議員から御質問等が出まして、そして考え方としては基本的なものとして、規模が大きいもの、そして国が認可をするもの、それからそのことによって大変大きな影響を与える、こういうのが三つの原則のように私はお聞きをいたしました。    〔理事大渕絹子君退席、委員長着席〕  そこで、私は、これは局長の答弁ですからあえて局長にお聞きをいたしたいと思うのでありますが、国が認可をする事業について云々というふうに午前に話がありました。現在、規制緩和というものを進めていくときに、国の認可事項でなくなった事業あるいは業種、これが外れたら当然これはこの対象事業から外れるというふうにお聞きをいたしましたけれども、それは間違いございませんか。
  86. 田中健次

    政府委員田中健次君) ただいま御提案を申し上げております法案では、国が直接やるかあるいは何らかのかかわりを持っている事業、こういうことでございます。そういうことで整理をさせていただいております。  一つは、規制緩和で今後許認可整理されるかどうか、それから地方分権ということで現在国の権限となっております許認可地方の自治事務になる、こういう二つの今後の整理があるわけでございまして、審議会答申でもそういう事態を想定いたしまして、そういう事態になればやはりこの制度も見直す必要があるのではないか、こういう御指摘を受けております。  したがいまして、そういう事態になりますと、またその時期にいろいろ考えなければなりませんが、基本的にはただいま御提案をしております対象事業、かなりの部分が公共事業でございまして、直接許認可にかかわるのではなくて直接事業を行うのが非常に大部分でございます。そういうことで、実態的には先生おっしゃるような御懸念は余りないと思いますけれども、しかし建前といたしましてはそういう問題もあるわけでございますが、それはまたそのときにいろいろと私どもとしては考えていきたい、こういうことで整理をさせていただいております。
  87. 足立良平

    ○足立良平君 規制緩和という問題については、これからの二十一世紀の我が国の経済というものなりあるいはまた行政というものを考えてみるときに、思い切った規制緩和をしていかなきゃならないというふうに私は実は思っております。そして、その規制緩和ということによって、例えば民間の企業なりいろんな事業をとってみましても、例えば、大変あってはならないわけでありますけれども、ひょっとしたら労働の流動化とかいろんな問題もこれから生じてくるだろう。しかし、その問題も乗り越えていかないとこれからの日本の二十一世紀というものはあり得ないというふうに実は私は考えている一人なんです。  ただ、問題は、そういう経済的な規制の緩和あるいは撤廃ということと、この環境問題を中心にして社会規制、あるいはまた先ほど山本議員も御指摘になったように地球環境という一つの日本の国内の経済問題だけにとどまらずにグローバルな視点から環境問題とかいろんな問題を考えてくると、私はこれはまさに社会規制としてこういう問題はきちんとやっていかなきゃならない性格を持っているものだろうと思います。  そうすると、国の規制緩和であるとかあるいはまた規制を撤廃するとかいうことによってこのアセスメント法案対象事業から外れるとか外れないとかということになってくると本末転倒ではないか、これは実際問題として。何のためにこのアセスをやるのかという問題にひょっとしたらなってくるんじゃないんですかね、局長。ちょっとその点、再度お考えをお聞きいたしたいと思うんです。
  88. 田中健次

    政府委員田中健次君) 先生今おっしゃいましたとおり、規制にも経済的規制社会規制があるわけでございまして、この対象となります事業種等につきましても、これも許認可等社会的な規制の一種だろうというふうに考えておるわけでございます。  そうしたことで、私ども対象といたします事業につきましては、非常に大規模でございますし、また環境の影響も大きい事業でございます。  そういうことで、私どもといたしましては、現在のこうした規制は今後とも必要性はそのまま続くのではないか、こういうふうに考えておりまして、私どもが構成をいたしましたこういう法律仕組み、これで相当程度今後も対応していける、こういうふうに考えておるところでございます。
  89. 足立良平

    ○足立良平君 今の説明をお聞きいたしていますと、ちょっと私頭が悪いんですか、ちょっと理解ができないんですよ。  それでは、一回視点を変えさせていただきましょう。  ことしの五月二十三日の読売新聞を見ておりまして、これはもう御承知と思いますが、「リゾート開発見直し」ということで、「自然破壊には中止要請」と、これは勝手にマスコミは整理部でつけちゃうわけですから、このとおりかどうかはわかりませんが。このアセスメント法案の中にリゾート開発というふうな問題については対象事業から外しているということは、これを入れるか入れないかというのは、本来だったらこれは入れておかなきゃならない対象事業ではないかというふうに私は思っておりますが、それはちょっと別にして、これのリゾート開発について今日までの実績というものを見ると、いろんな問題点があり過ぎるというふうに環境庁考えられて、そしてその調査の結果、環境の影響が大きい場合は事業の中止も含めた対応を求める厳しいガイドラインをつくっていこうというふうに方針が決められたというふうに出ております。  これは、従来の閣議アセスメントのように、ある面においてはガイドラインのような状態でアセスをやっていることについては、先ほどの中では若干出ておりませんが、法案化してきちんと透明性を出していくという、きちんとしていくということが私はある面においては閣議からこの法案をつくったもう一つの大きな目的だろうと思う。そうすると、一方ではこういうふうなリゾート開発等の問題について、ガイドラインでもってやっていくというよりも、本来はこれはきちんと法律の中に書き込んで、そしてより透明性を出していくということが私は必要な事項なのではないか。  しかも、もう一つの問題点は、このリゾート問題というのはあくまでも地方公共団体の問題だというふうに位置づけをされてきた。けれども環境庁としてガイドラインを今はっきり出して、しかも、それは国の環境庁としてだめなものはやっぱり中止をさせますよということになると、これは手続認可事項とかなんとかと同じような、準ずるようなことになってしまう。ですから、私はそういう面では局長がおっしゃったような先ほどの答弁と私が今ここで提起するようなのとは相当てれこといったらこれは日本語ですか、ちょっと私はその点理解がしにくいというふうに考えるんです。  この二点について再度局長考え方をお聞きいたしまして、私はこの程度で終わらせていただきたいと思います。
  90. 田中健次

    政府委員田中健次君) 今、先生お話にございましたせんだって新聞報道をされました件でございますけれども、これはいろいろとリゾートに関しまして環境保全上からもできるだけリゾート事業実施が適切になるようにということで、私どもがやっておりますのは環境面で配慮すべき事項をどのように把握していくかということで、私どもがいろいろ調査を今実施をいたしておるところでございます。  現地におきますいろんな問題につきまして、その実情をつぶさに把握をする調査をしておるということでございまして、この調査におきまして把握をいたしました環境保全上の留意事項につきましては、私どもとしては、これを事例を含めまして整理して取りまとめて、これを地方公共団体の参考のために御送付をして、それで今後の地方行政の参考のために供すると、こういうことで今調査をやっておるわけでございまして、私どもがリゾートの指針云々というのは、ここまでは考えておるわけでございませんで、とにかく実情をよくつぶさに承知をして、それから地方団体にこれを参考のために送付をして今後の対応のために供すると、こういうことで今調査をやっておるという状況でございまして、若干この新聞報道は不正確と、こういうことでございます。  したがいまして、私どもは、先般来御質問ございましたが、ゴルフ場あるいはスキー場等のリゾート施設につきましては、やはり国と地方の仕事の分担ということ、それから事業そのものをとらえる許認可法がないということでこれは今回の対象にしておらないと、こういうところでございまして、ぜひ御理解を賜りたいと存じます。
  91. 足立良平

    ○足立良平君 終わります。あとは引き継ぎます。
  92. 加藤修一

    ○加藤修一君 今の答弁は納得できないところが多いんですけれども。  OECDの二十九カ国の中で環境アセスメント法を持っていないのは我が国だけであるということで、前回の審議の中でもそういう話がございました。こういう形で国会で審議ができるようになったということは非常に喜ぶべきことでありますけれども、まだまだ内容については基本的な面についても非常に明確になっていない部分もございますし、私はその基本的なところから少しいろいろとお聞きしたいと思います。  まず最初に、累積的なインパクト、それをどういうふうに考えるかということですけれども一つは、最終処分場が複数立地になった場合にどういうふうに環境アセスメント考えるかということです。最終処分場が新規に立地するということを考えた場合、それは第一種であろうと第二種でもよろしいんですけれども、要するに、そのときに既設の最終処分場に隣接して立地される場合、その既に立地されている最終処分場の影響を今回の環境アセスメント法の中ではどういうふうに扱うのか、どういうふうに評価するのか、その辺のことについてまず第一点お願いいたします。
  93. 田中健次

    政府委員田中健次君) 今回、環境影響評価ということで調査、予測、評価をやっていただくわけでございますけれども、ただいま先生お話にございましたように、既設の施設等がある、そこにさらに新たに施設をつくる、こういう場合でございますけれども、その対象事業以外のほかの事業によります環境影響につきましては、一般的にこれはその事業の影響を評価するときにバックグラウンドということで位置づけまして、その辺の既存のやつのデータ等も評価に反映をさせるというふうに私どもとしては考えております。  それから、複数の対象施設が相互に関連して行われる場合につきましては、これはアセスメント手続を合わせて行うことができるという規定を盛り込んでおるところでございまして、こうしたことで累積的あるいは複合的な影響を評価することも考えておるわけでございます。
  94. 加藤修一

    ○加藤修一君 それでは、新規立地の最終処分場の場合ですけれども、第一種、第二種の規模を満たさない場合、しかし複数ある場合、その面積が第一種に相当するあるいは第二種に相当する、そういった場合にはどういうふうに考えたらいいですか。
  95. 田中健次

    政府委員田中健次君) 先生の今のお尋ねは、例えばA施設、B施設ともに我々が定めた基準を下回っているけれども、二つ合わせると基準を超える、こういうお尋ねだと思います。  私どもといたしましては、今回対象施設を選定するというときに第一種事業のほか第二種事業も位置づけましたのは、やはり対象事業からぎりぎりで落ちるという事業につきましても環境影響考えますとかなり影響が出るということで、それらを防ぐために第二種事業というスクリーニング制度を設けたわけでございまして、そういうことで必要なかなりのものはそれで対象になるというふうに考えております。  いずれにいたしましても、個別の事業種を対象といたしておるわけでございまして、今先生が例に出されましたようなケース、これが現実にあるのかないのかわかりませんけれども、そうしたケースについて私ども一つ一つ対象考えるということで、合わせて判断するという考えは今回とっておりません。
  96. 加藤修一

    ○加藤修一君 現実にそういう問題があったから、廃掃法の関係ではそれが問題になっていた。  一定の規模以下については申請しなくてもいいとか、そういったことがありますが、しかしそれが全体として集まってくると規模を超えてしまって大きな影響を与える。第一章の「総則」の「目的」の中には「規模が大きく環境影響の程度が著しいもの」と書いてございます。規模が大きいということは、こういったケースの場合だって考えられるんです。  しかも、同じ面積で考えていくと、第一種をクリアしている場合もある。クリアというのは第一種のいわゆる対象事業になる、あるいは第二種の対象事業になる。そういう場合も当然考えられるんです。しかも、環境影響の程度が著しくなるであろうということも想定し得ると、面積的に考えていった場合には。これはちょっと理解できない先ほどの答弁だと思うんですけれども、もう一度答弁いただけますか。
  97. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) ちょっと速記をとめてください。    〔速記中止〕
  98. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 速記を起こして。
  99. 田中健次

    政府委員田中健次君) 我々といたしましては、先ほどから御答弁申し上げておりますように、個別の事業対象にいたしておるわけでございますけれども、そこの周辺で同時に当該事業が二つ行われる、こういうことでありますと、先ほど説明をいたしましたように、合わせて環境影響評価をする、こういう仕組みも加えておりまして、そういうことで仕組んでおりますので、御理解を賜りたいと存じます。
  100. 加藤修一

    ○加藤修一君 同時にという話、そういうケースはなかなかないケースかもしれませんが、既にあって、第二種の対象事業じゃないけれども、今度それが加わることによって全体としての面積は第二種になる場合もあるんです。第一種になる場合もある。そういう場合に、今まであったやつもひっくるめて全体的な環境アセスメントをやるという話になりますか。
  101. 田中健次

    政府委員田中健次君) 今回は一つ一つ事業に着目をして制度を構成いたしましたので、既にある施設の上にさらに第二種にも満たない施設ができる、既存のやっと合わせて規模が大きくなるというケースにつきましては、残念ながら今回はそれは対象にはなっておりません。  私どもとしては、個別に判断をいたしまして、後からできる当該施設が環境に与える影響がそう大きくないということで判断をいたしておるわけでございます。
  102. 加藤修一

    ○加藤修一君 個別という話をされましたけれども、個別というのは今回の法律の中にどういうふうに表現されていますか。
  103. 田中健次

    政府委員田中健次君) 私どもは、前提といたしまして対象事業を第二条で定めます。この対象事業と申しますのは、私どもといたしましては当然個別の事業考えておりまして、その対象事業についてそれぞれ政令で規模要件を定めていく、こういう法律構成にいたしているところでございます。
  104. 加藤修一

    ○加藤修一君 いや、対象事業と言った中身は、一個の事業もあれば二個の事業も複数も入るという読み方はできないんですか。政令でどういうふうに書く予定ですか。
  105. 田中健次

    政府委員田中健次君) 法律の第二条でございますけれども、第二条の「環境影響評価」というところに「事業」という規定がございまして、これが「特定の目的のために行われる一連の土地の形状の変更並びに工作物の新設及び増改築をいう。」ということでございまして、ここで私どもは個々の事業というふうに考えておるところでございます。
  106. 加藤修一

    ○加藤修一君 そういうことであるならば、私が最初に質問したやっとちょっと矛盾するのではないかなと思うんです。というのは、最初の質問というのは、例えば新規に第一種、第二種の事業をやる場合に、周辺に既設の最終処分場がある場合は環境アセスメントをやるということですからいいわけです。ただ、ここの事業の一連の土地の形状の変更ということが個別の事業という理解をするということですか。
  107. 田中健次

    政府委員田中健次君) 特定の目的のために行われる一連の土地の形状、こういうことで御判断をいただきたいと思います。
  108. 加藤修一

    ○加藤修一君 それじゃ、今Aという施設とBという施設がある。Aが対象規模以上である、いわゆる第一種、第二種、Bが第一種、第二種でないという場合に、対象規模以下ですよ、Bが既にあって、新たに第一種、第二種ということでAが立地される。これは環境アセスメントを行うわけですよね。そうですね。  それじゃその逆で、Aが既にあって新たにBが立地される。このBについての環境アセスメントは行うんですか、行わないんですか。
  109. 田中健次

    政府委員田中健次君) 新たにできるBが私どもが定めます対象規模に該当しない、それ以下のものにつきましては私ども制度アセスメント対象にはなりません。
  110. 加藤修一

    ○加藤修一君 そうしますと、同じ規模でありながら、BプラスAであり、かつ片一方はAプラスBというふうに新旧等で考えますとそういう言い方になるんですけれども、すなわち規模が大きく環境影響の程度が著しいものという意味合いがあるわけですけれども、同じ規模でありながら片一方は環境アセスメントをやりますよ、片一方はやりませんよと。これ、統一性を欠きませんか、法律上で。どうですか、その辺の判断は。違いますか。
  111. 田中健次

    政府委員田中健次君) 今、先生が例示を出されましたけれども、この場合に、いずれのケースもAが対象以上というスケールでございますので、Aについてそれぞれアセスメントが行われておるということ、私どもはそういうことで今回は考え整理させていただいております。  それで、対象以下の施設が既にあって、それは一つでも複数でもよろしゅうございますが、その後に対象となるスケールの施設ができるというときには、先ほどから御説明を申し上げておりますように、対象となる施設の評価をするときに、対象となっていない施設の出しておる影響につきましてもバックグラウンドデータとしてそれを評価に含めましていろいろと評価をやっていくと、こういう整理になるわけでございます。
  112. 加藤修一

    ○加藤修一君 要するに、両方違うということですね。両方がそれぞれ違うという言い方ですね。  私は同じだというふうに考えたんですけれども、それは違うと、違ってもいいと。何かちょっと違う言い方をしたんではないかなという感じがしているんですけれども、ちょっとそれを整理できませんか。
  113. 田中健次

    政府委員田中健次君) 私どもはこれから新たに法律をつくるわけでございまして、私どもとしては一定規模以上の施設につきましてこの国の法律対象にすると。その場合に、既設の類似のもの、あるいは環境に影響を出すいろいろ施設なり事業なりがある場合には、その辺のこともバックデータとして含めて新たな事業考えていく、こういうことで整理をさせていただいておりますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
  114. 加藤修一

    ○加藤修一君 ちょっと答弁が違うと思うんですけれどもね。いや、それは地域特性としてバックデータ云々というのはよろしいんです、前々から聞いていますから。そうじゃなくて、既にAという対象規模のやつがあって、新たに対象以外の、第一種、第二種にならないものが近くに立地される場合、このBについて環境アセスメントをしますかということですよ。
  115. 田中健次

    政府委員田中健次君) それは、このBのスケールが対象以下でございますと、この制度対象にはならないということでございます。
  116. 加藤修一

    ○加藤修一君 そうすると、Aは地域特性にならないですか。ならないんでしょうね、法律で言うと。ただ、そのAプラスBとBプラスAというのは言ってみれば同じなんですよね。それで行政上の一貫性を欠くという話にはならないかどうかということの確認をしたいんです。これは一貫性を欠かないと、そういう理解でよろしいですか。どういうふうに理解したらよろしいんですか、あえて確認したい。
  117. 田中健次

    政府委員田中健次君) 私どもといたしましては、今回法律を制定するに当たりまして、対象事業を規模で選び個々の事業整理をする、それからバックデータとしていろいろ取り入れる、こういうことで整理をいたしたわけでございまして、新たに法律を仕組む、こういうことでどこかでスケールを切るという必要があるわけでございまして、こういう整理になったということでぜひ御理解をいただきたいと存じます。
  118. 加藤修一

    ○加藤修一君 ちょっと答弁になっていないように私は理解しているんですけれども、どうでしょうか、いわゆる行政の一貫性があるかないか、そこだけちょっとお願いします。
  119. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) ちょっと速記をとめてください。    〔速記中止〕
  120. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 速記を起こしてくださ
  121. 田中健次

    政府委員田中健次君) 先生がおっしゃいました例示でございますけれども、いずれの場合もAにつきまして先でも後でも対象になるということで、私どもはこうした点で一貫してAは対象になっているということで、そうそごはないというふうに思います。
  122. 加藤修一

    ○加藤修一君 じゃ、別の質問に行きます。  今後の課題として、例えば戦略的な環境アセスメントというのが考えられているということですけれども、まず最初に、今回の法案については二年後施行するということですけれども、これ十年後に見直し考えているというふうに書いてございますけれども、これはどういう理由でしょうか。途中で見直しということが考えられないかどうか。具体的な例示を挙げないで言うのもなんですけれども、要するに十年というふうに決めた理由ですね、これをちょっとお伺いしたいんです。
  123. 田中健次

    政府委員田中健次君) 今回の法案も、中身が国民に新たな負担を課するという点もあるわけでございまして、事業者に対しまして新たな負担を課す制度の新設になるわけでございます。そういうことで、閣議で一つの方針がございまして、こういう新たな制度を設けるときには必ずその法律にその制度の存廃も含めて見直し規定を置くというふうな方針がございまして、それに基づきまして今回はこういう規定を置いたわけでございます。  それで、この法案内容につきましては、閣議アセスの実績を踏まえながらも、スクリーニングの制度、あるいはスコーピングなどの事前の手続、それからフォローアップ措置等の導入など多くの新たな要素を備えたものでございます。こうした点の運用状況を踏まえまして、法施行後十年を経過した段階で法律の施行の状況について検討を加えるということでございます。  これは一つアセスメント制度実施するにも、やはりアセスに短くて一年、長ければ三年ぐらいかかります。アセスメントがそれでございまして、それで事業に着手をしてでき上がってフォローアップをやっていくということで、今回の新しい制度が実行に移りまして、それでその制度状況等をつぶさに検討するためにはやはり十年程度の時間は必要であるということで、十年にしたわけでございます。  しかしながら、これは制度の存廃等も含めて根本的に見直すというふうな趣旨でございまして、その間にもいろいろと状況は日進月歩をすると思いますので、その間でも、技術的な問題その他いろいろがございまして、必要な修正等は適宜私どもはやってまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  124. 加藤修一

    ○加藤修一君 その修正というのは法改正という意味も含むということですか、その修正というのは政令の話ですか、どういうふうになりますか。
  125. 田中健次

    政府委員田中健次君) 私どもといたしましては、制度の運用を点検いたしまして、内外のいろんな知見の集積状況も踏まえましてやっていくわけでございまして、対応ができるだけ迅速に行われるということで、主として政令以下の内容になろうかと思います。  今後、社会情勢がどう動くかわかりませんので、場合によってはまた法律改正も必要な場合があろうかと思います。十年間は全然法律を見直さない、こういう意味ではございませんので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
  126. 加藤修一

    ○加藤修一君 それでは、環境庁長官お尋ねしたいんですけれども、戦略的環境アセスメント、今回は港湾計画、これだけが取り入れられているわけですけれども、将来的にいわゆるこの戦略的な環境アセスメントをどういうふうに、どういうふうにというよりは、それについて積極的に取り入れていく決意であるのかないのか、その点を踏まえて御答弁をお願いしたいと思います。
  127. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 環境基本法の第十九条におきまして、「国は、環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、環境保全について配慮」することとされております。  個別の事業の計画や実施に枠組みを与える政府の計画や政策につきましても、環境保全上の配慮が必要であるということでございますが、今回の法案におきましては、我が国の過去の実績などを踏まえて、港湾におきます土地利用等のマスタープランである港湾計画についてのアセスメントを盛り込んだところでございます。  今後、中央環境審議会答申に従いまして、国際的動向や我が国での現状を踏まえて、政府の計画や政策についてのアセスメント手続等のあり方について具体的に検討を進めていく考えでございます。
  128. 加藤修一

    ○加藤修一君 今回は港湾計画を取り入れているわけですけれども、そもそも港湾計画をいわゆる戦略的環境アセスメント一つとして取り入れた理由と、それじゃそもそも上位計画というのは具体的にどういうものが我が国にあるか、その辺についてお願いします。
  129. 田中健次

    政府委員田中健次君) 上位計画あるいは政策を言う場合、一般論といたしましては、個別事業が特定される前に策定される個別の事業の計画や実施に枠組みを与えることとなる計画とか政策を私どもは想定いたしております。  しかし、計画、政策には地域的な土地利用等に関する計画、あるいは個別事業の計画が検討をされる前の基本計画、それから事業種ごとの年次計画、それから全国総合開発計画のような全国計画等、さまざまな対応考えられるわけでございます。  そういうことで、いずれにいたしましても、今後中央環境審議会答申に従いまして、私どもとしては国際的な動向、あるいは我が国の現状を踏まえまして、上位計画・政策についてどのような手続、手法が環境への影響を評価できるか、こういうことを具体的に検討して、この上位計画アセスというものを具体的に検討を進めていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  130. 加藤修一

    ○加藤修一君 答弁の中で、港湾計画をなぜ取り入れたかと、それについての理由がちょっとなかったように思いますし、我が国の上位計画というのは道路やなんかも含めていろいろあるわけですよね。それをシンプルでよろしいですから、簡単でよろしいですから、お話ししていただきた
  131. 田中健次

    政府委員田中健次君) ただいま一般的に申し上げたわけでございますが、例示で申しますと、個別の事業の計画が検討される前の基本計画としては、国土開発の幹線自動車道とか、あるいはまた新幹線等あるわけでございます。それから、事業種ごとの年次計画といたしましては、いろいろな五カ年計画等があるわけでございます。あるいはまた全国総合開発計画のような全国計画がある、こういうことになろうかと思います。
  132. 加藤修一

    ○加藤修一君 先ほどから申し上げているんですけれども、港湾計画をなぜ今回対象にしたかという理由を聞かせていただきたいと言っているんです。
  133. 田中健次

    政府委員田中健次君) 港湾計画につきましては、大規模な施設の立地あるいは大量の物流の発生がある一方で、沿岸域は生態的に見で重要な場所が多いということから、一般に環境に与える影響が大きいわけでございます。これが第一点。  それから、港湾計画は、埋め立てによる土地の形状の変更等を主たる内容とするものでございまして、事業アセスにおける調査等の手法が利用できる、こういう点もあるわけでございます。  それから、これまでも港湾法の枠組みの中で、港湾計画の決定または変更に際しまして環境影響評価が行われている、こういう特徴を有するわけでございます。  こうしたことから、私どもといたしましては、今回は特にそれが可能であるということで、この港湾計画を上位アセスメントの計画として本法案対象としたものでございます。
  134. 加藤修一

    ○加藤修一君 そうしますと、今言った選定の理由として要件をさまざま挙げたと思いますけれども、そういった要件が整えられている計画については戦略的環境アセスメント対象として考えていいという理解でもよろしいわけですね。
  135. 田中健次

    政府委員田中健次君) 今後、いろいろその辺の手法等も、各計画によってどういう手法で環境への評価ができるかということをそれぞれ個別に検討いたしながら、考え方整理して対象に取り込んでいくという作業に着手したいというふうに思っております。
  136. 加藤修一

    ○加藤修一君 先ほど環境庁長官が、戦略的環境アセスメントについて、国内の事情あるいは国際的な動向を踏まえながらという話ですけれども、かなり私は調査が進んでいるというふうに理解しているわけです。  それで、どのくらいをめどにしてお考えかと。  タイムスケジュール的な話ですけれども、その辺どうでしょうか。
  137. 田中健次

    政府委員田中健次君) いや、まだまだ国際的に見ても学会の研究等も今行われているような状況もございます。そうしたことで、私どもとしてはこれから鋭意具体的に検討を進めてまいりますけれども、いつごろまでにこれができるかということにつきましては、政府部内でいろいろと検討もございますし、ここで明確に申し上げるまでに至っていないということを御理解賜りたいと存じます。
  138. 加藤修一

    ○加藤修一君 何らかの検討会を設けてやるということで、先ほど審議会の話がありましたから、その審議会の方でやるということでよろしいわけですね。
  139. 田中健次

    政府委員田中健次君) 私どもとしては、どういう形になるかわかりませんけれども、具体的に研究、検討を進めていきたいということでございます。それには、国際的な学会の動向等、これから調べていくことも非常に多うございます。そういうことで、私どもといたしましては、とにかく研究、検討を進めていく、それも鋭意やっていくということで御理解をいただきたいと存じます。
  140. 加藤修一

    ○加藤修一君 じゃ、その鋭意という言葉に期待したいと思います。  それでは、次に評価項目に行きたいわけですけれども環境影響評価項目調査、手法ということですけれども、それをするための指針、いわゆる主務大臣環境庁長官に協議して定める、そういうふうになっているわけですけれども、既に閣議アセスで実施している項目があるわけですが、この評価項目等の指針についてどういう基本的な考え方を持っているのか。  環境基本法環境保全施策の確保のための評価になるわけですけれども、特に地球環境の問題について具体的な評価項目というのは一体何をお考えか。  その辺について御答弁をお願いしたいと思います。
  141. 田中健次

    政府委員田中健次君) 環境基本法の制定によりまして、これまで公害と自然という区分を超えた統一的な環境行政の枠組みが形成されまして、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会構築が求められるところでございまして、私どもといたしましては、これを踏まえまして、調査等項目見直し環境基本法に示されました環境保全施策対象評価できる枠組みをいたすということとともに、環境への影響をできる限り回避して低減するものであるか否かを評価する視点を取り込んでいくために、いろんな複数案の検討等もその検討過程に記載をさせるということで検討を進めていきたいというふうに思っております。  評価項目につきましては、環境基本法十四条各号の確保を旨といたしまして、事業の特性等を踏まえましてその選定の指針をこれから定めるということになりますが、全般的には、生物の多様性あるいは地球環境問題、廃棄物の発生の抑制、人と自然との触れ合いなどについて評価できるように項目を定めていきたいというふうに思うわけでございます。  御指摘の、地球環境保全についてどう評価していくのかと、こういうお尋ねでございます。地球環境保全につきましては、地球温暖化あるいはオゾン層の破壊、酸性雨、野生生物の種の減少等さまざまな分野にわたるものでございます。  環境庁といたしましては、事業によりまして地球環境保全に関する事項について評価対象とし得るものもあるというふうに考えておりますけれども、具体的にどの種でどのような項目評価を行うことが必要になるかにつきまして、これは事業特性を踏まえまして各事業ごとにこれから指針により定められることになると思います。特に地球環境評価先生おっしゃいますようになかなか難しい問題でございまして、これから関係各省とも相談しながら、その指針をどう定めるか検討をしていきたいというふうに思っております。
  142. 加藤修一

    ○加藤修一君 なかなかわかりづらいな、明確でないなという感じがしておりますけれども先ほど山本委員が地球温暖化の問題を取り上げましたけれども、要するに日本の炭素排出量、CO2の排出量ですけれども、一九九〇年の水準から比べていきますと、一九九四年がたしか七・数%ですか、九五年が最近の新聞によりますと八・三%と。そういう形で九〇年水準に比べて極めて大きく伸びてきているわけですよね。  ですから、主犯であるCO2について、こういった点でどう取り組んでいくかということが非常に大切なように私は思うんですけれども、その辺についてもう既に御見解はないですか、CO2について。
  143. 田中健次

    政府委員田中健次君) 大変重要な問題でございますけれども評価項目を実行していくという、なかなか難しいところでございます。特にCO2につきましてどういう方法でどう評価していくか、私どもは負荷段階でできるだけこれを低減させるという考え方で今後いろいろ考えていきたいと思いますけれども、なかなか難しい問題でございまして、もう少し時間をちょうだいしたいというふうにお願いを申し上げます。
  144. 加藤修一

    ○加藤修一君 それは、法律はともかくとして、要するに政令の中できちっと明確にしていくと、そういう姿勢と理解したいんですけれども
  145. 田中健次

    政府委員田中健次君) これは手法としてはなかなか難しい問題でございまして、今後政令、これは法成立から六カ月以内ということでございまして、その間に、これも一生懸命関係省庁と協議しながら考えてまいると思いますので、もう少し時間をいただきたいと思います。
  146. 加藤修一

    ○加藤修一君 何か審議になっていない感じがするんですよね、その非常に難しいという。
  147. 田中健次

    政府委員田中健次君) ちょっと訂正を。これは省令で決めることで、期間が一年ございますので、その間によく考えさせていただきますので、御理解をいただきたいと思います。
  148. 加藤修一

    ○加藤修一君 先ほどの答弁の中に極めて難しいという話がありましたけれども、じゃ、いかに難しいかということを調査して委員会に出してください。これこれこういう理由で難しいんだと。私は理解できないんですよ。理解できない人を理解させるような努力も必要じゃないですか。
  149. 田中健次

    政府委員田中健次君) できるだけ負荷段階で低減もさせる、こういう考え方で具体策を考えてまいりますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
  150. 加藤修一

    ○加藤修一君 じゃ、もう一つ評価項目について。これは今までほかの委員が質問している可能性があるんですけれども地方自治体が指針にないものを要求してもスコーピングの対象になるという理解でよろしいですね。
  151. 田中健次

    政府委員田中健次君) それは地方自治体が意見を申し上げる過程でそういう意見を出すということは結構でございます。
  152. 加藤修一

    ○加藤修一君 それでは、第八条の方に「方法書について環境保全の見地からの意見を有する者は、」と書いてございます。それから第十八条「準備書について環境保全の見地からの意見を有する者」と、こういう者が意見書の提出云々をすることができるということですけれども、その「意見を有する者」、これ地域制限なしと伺っておりますけれども、外国人あるいは在日米軍基地の中の住人、あるいは海外の環境団体、そういうものも含まれるかどうか。
  153. 田中健次

    政府委員田中健次君) 一般意見の聴取は、有益な環境情報を提供していただくということで、環境保全の見地からの意見提出を期待するものでございます。そういうことで、環境保全の見地からの意見でございますと、その地域住民に限らずどういう方でも、今お話がございましたように海外の方あるいは在日米軍の住宅の方々、それから海外の団体等からも意見を言えると、こういうことでございます。
  154. 加藤修一

    ○加藤修一君 私は、この文言を非常に大事だと思いますし、非常にいいと思っています、基本的に。  例えば、今、団体あるいは法人も入る、半官半民も恐らく入るという答弁になると思いますけれども、国も入りますか。
  155. 田中健次

    政府委員田中健次君) 私ども立法過程でそういうところまで想定はいたしませんでしたが、観念的には入るんじゃないかと思います。
  156. 加藤修一

    ○加藤修一君 私、記憶は定かでないですけれども、今回の諌早湾の関係については、日本の国内でも非常に問題にしているわけですけれども、海外でも問題にしていて、海外からもそういう何かクレームが出てきているという話なんですよ。だから、国も対象にして入っているというふうに理解して、具体的には既にこういう問題があるということです。だから、理解していいんですかという確認をとりたいんです。  つまり、例えば韓国が、日本でやっている事業についてはあの辺はおかしい、環境保全上問題がある、そういうことで意見書を提出してきたと。  それに対してどういうふうにこれは理解したらいいのかなという私自身の疑問なんですよ。その辺、環境庁はどういうふうに見解を持っておられるかということです。
  157. 田中健次

    政府委員田中健次君) 外国が日本の国内のことに意見を言ってくる、これは非常に微妙な外交上の問題もあろうかと思いますが、建前といたしましては、意見はどこから来た意見でも受け付けると、こういうことで法律は構成をいたしておりますので、建前はそういうことで御理解をいただきたいと思います。
  158. 加藤修一

    ○加藤修一君 まあ主権の問題と絡んでくる可能性がなくはないなという感想を言っておきたいと思います。  次に、普天間飛行場返還の件で代替ヘリポートを沖縄本島の東海岸沖に建設が予定されているわけですけれども、このヘリポートの滑走路が千三百メーター。第二種事業中身が政令で決められると、七掛けになるのか五掛けになるのかよくわかりませんが、これは防衛施設庁が事業主になると思いますけれども、これはアセスメント法の対象になるかどうかということですけれども、これは防衛施設庁としてはどうお考えですか。
  159. 小竹秀雄

    説明員(小竹秀雄君) 御説明いたします。  今お尋ねの普天間飛行場代替ヘリポートにつきましては、御案内のように、昨年の十二月、SACOの最終報告において、必要がなくなった際に撤去可能であること、それから自然環境や安全、騒音など沖縄県民の生活の質に配慮する必要などから、海上施設の追求をするとしたところでございます。  この普天間飛行場の代替海上施設については、現在、移設場所、工法等も含めて今後日米間で検討することになっております。当庁としましては、移設場所及び工法等が明確になった段階におきまして、環境庁などとも十分調整しながら適切に対処していきたいと考えているところでございます。
  160. 加藤修一

    ○加藤修一君 環境アセスメント対象にするかしないかと。これ、総理が何かするという話を私は新聞では確認しているんですけれども、どうですか。
  161. 小竹秀雄

    説明員(小竹秀雄君) 今のお尋ねの橋本総理、これは平成八年の九月でございましたが、沖縄県での講演におきまして、ヘリポートの移設先につきましては関係当局にさまざまなオプションを検討させる一方、自分なりに勉強して、自然破壊につながらず撤去可能な海上ヘリポート案をも選択肢の一つとしていろいろな可能性を探ってきたという御発言があったところでございます。  普天間飛行場の代替ヘリポートの建設につきまして、自然環境への影響も考慮し検討することとしており、当庁としては、このような総理のお気持ちを十分踏まえ、今後環境庁とも調整いたしまして適切に対処していきたいと考えているところでございます。
  162. 加藤修一

    ○加藤修一君 適切というのは、要するに環境アセスメント法を適用するしないは別にしても、環境アセスメント法の中のさまざまな手続、それにのっとってやるという理解でよろしいですか。
  163. 小竹秀雄

    説明員(小竹秀雄君) ちょっと繰り返しになりますが、今の代替海上施設については、移設場所等、今、日米間で検討しておりますので、具体的になった段階でやはり環境庁ともよく御相談しながら対処していきたいというふうに考えております。
  164. 加藤修一

    ○加藤修一君 それじゃ、環境庁長官の方にお尋ねしたいんですけれども、そういうふうに相談をしたいという話なんです、相談したいと。じゃ、相談に対して、これは環境アセスメント法のいわゆる第二種の対象事業になるかどうかわかりません。第一種の場合は二千五百メーターですか、七掛け、五掛けになってくるとそれはわかりませんけれども、要するに相談したいということで、環境庁としては環境アセスメント手続についてやっていただきたいと、そういうふうな見解はおありですか。
  165. 田中健次

    政府委員田中健次君) 今、先生お話にございましたが、この法令によります対象事業のスケール等はこれから政令で決めるわけでございますが、基本的に申しまして、飛行場は二千五百メートル以上の滑走路ということでございます。したがいまして、二種事業につきましてもどこまでになるかわかりませんが、想像では、やはり通常のヘリポートの規模であればこの閣議アセスの対象にはならないというふうに予測をされるところでございます。  環境庁といたしましては、ただいまアセス法の御審議をいただいておるところでございまして、環境保全についてはいろいろ十分配慮していく必要があるわけでございます。本件につきましても、ただいま防衛庁の方からも御答弁がございましたが、環境庁と十分相談、協議をすると、こういうことでございますので、私どもといたしましてはいろんな趣旨を体しまして、環境保全の関係から必要な意見を十分述べていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  166. 加藤修一

    ○加藤修一君 必要な意見を十分言っていただきたいと思います。  次に、発電所アセスの関係ですけれども、電事法の改正が伴うあれでございますけれども、電気事業審議会需給部会電力保安問題検討委員会報告、それをもとにして発電所アセスの手続が行われていますけれども、その中で、審査の段階が三つある。通産省における審査、中に括弧して勧告と書いてございます。次に、通産省における審査、これも勧告。この二段目の審査の段階で環境庁長官意見を言えるようになっているわけです。さらに、三番目で通産省における審査、変更命令と罰則担保と。こういう三段階の審査をするところがあるわけですけれども、通産省は国の主体的関与による厳格な環境影響評価手続をやりたいと、厳格なですね。  私は思うんですけれども、厳格にやりたいというので三カ所に通産省が入っているという話なんで、それはそれとして、三カ所のところで環境庁長官意見を言えるのは一カ所だけなんです。前と後ろの方、足し合わせると三つになるわけですけれども、そこに環境庁長官意見を言える場所があっても私はいいんじゃないかと。より厳格な、これは実は通産省がそうあってほしいと思っていることなんですけれども、ですから、環境庁がそこで意見が言えるようにしたらどうかというふうに私なんかは理解しているんですけれども、その辺の見解についてお尋ねしたいんです。
  167. 田中健次

    政府委員田中健次君) 環境影響評価制度におきましては、環境庁長官は、事業者が取りまとめた環境影響評価の結果について主務大臣意見を述べるということでございまして、発電所の手続におきましては準備書の段階で通産大臣が勧告を行うということとされておりますために、この段階で環境庁長官意見を述べる必要があるわけでございます。その他のものにつきましては評価書の段階で主務大臣意見を言うということでございますので、私ども大臣評価書の段階で意見を申し上げるわけでございますが、この発電所の手続におきましては、ただいま申しましたように、準備書の段階で通産大臣が勧告をするということでございますので、これに間に合わせる意見を言う必要があるわけでございまして、こういうことでこの段階で環境庁長官意見を述べると、こういう必要があってこうしたわけでございます。  それで、発電所の手続におきましては、準備書の前の方法書の段階でも通産大臣が勧告を行うこととされておりますけれども、この勧告は環境影響評価項目の選定等に関するものでございますが、項目の選定等に関しましては、これは環境庁長官が基本的事項を定めますとともに項目の選定等の指針につきましても通産大臣から協議を受けるということで、これは適切に行えると考えておりまして、環境庁長官が個別に意見を述べる仕組みにはしておらないところでございます。基本的事項あるいは指針等環境庁長官意見が十分伝わると、こういうことになっておるわけでございます。  また、評価書の作成後に通産大臣が変更命令を行うこととされておりますけれども、この変更命令は準備書の段階で述べられた通産大臣の勧告などを踏まえて行われるべきものでございます。環境庁長官意見準備書の段階で述べられた通産大臣の勧告に反映をされておりますことから、この段階で改めて環境庁長官意見を述べることとはしなかったと、こういうことでございまして、こういう仕組みになっておりますことを御理解いただきたいと思います。
  168. 加藤修一

    ○加藤修一君 納得できませんが、別の機会にやりたいと思います。  忘れていましたけれども、防衛施設庁、どうぞお帰りください。  次に、事後調査規定の明確化とかそういう話をしたかったわけですけれども、あるいはライフサイクルアセスメントあるいはリスクアセスメント、エンドクリンの問題で、今皆さんの手元に資料が行っていると思いますけれども、いわゆる規模が大きくて云々という話じゃなくて、規模が小さくてもさまざまな影響を与えるものは現実に存在し得る可能性が当然ある、低濃度で長期暴露云々の話です。それが直接的に環境アセスメントにどうつながるかということについてはまだこれからの研究にまつところが多いかもしれません。  私は、事後評価の関係で環境庁長官お尋ねしたいんですけれども、要するに、飯能病院の関係で事後評価をやりたいと私は思っているわけです。  私が前に、四月十六日のときにアスベストの関係で質問いたしました。そのときの質問とそれに対する長官の発言、そして過日五月二十一日の報告で上がってきたこととの間には明確な矛盾がございます。矛盾があるという理解はできていませんですか。
  169. 石井道子

    国務大臣石井道子君) アスベスト工事の問題につきましては、先日お答えをしたところでございますが、改修工事の点で現在わかる範囲内で報告をさせていただきました。その工事のやり方については全部囲い込み方式であると聞いているわけでございます。
  170. 加藤修一

    ○加藤修一君 四月十六日の私に対する答弁は、「スプリンクラーの工事とアスベストの工事とを同時にやるように指示をいたしまして、」と、そういうふうに言っているわけです。これは今回上がってきたやっとは全然違う感じがします。つまり、今回の調査報告は平成五年、平成七年、さらに平成八年と。大臣の答弁は、平成八年にスプリンクラーと同時にやった、アスベストの関係については。そういうことですけれども、矛盾しませんか。
  171. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 前回答弁させていただきましたときには私も十分に現状を把握し切れていなかったというふうに思いました。それで、その後十分にいろいろ現場の調査をいたしまして、そして資料などを見ました結果、一部既に行っていたわけでございます。それでたしか三回に分かれたのではないかと思います。最後に残りました大部分についてはスプリンクラーの工事と一緒に囲い込み方式で行ったということでございまして、その点は、前回答弁させていただきましたときにはその実情を十分に把握していなかったという点で御理解をいただきたいと思っております。
  172. 加藤修一

    ○加藤修一君 この答弁じゃなくてほかの答弁も、先週いろいろ聞いていたときに、アセスメントに対する答弁もそうだったんですけれども、非常に私は寂しい気持ちをして聞いていたわけなんですよ。例の諌早湾の関係、あの辺の話にしても、閣議に行って話あるいはそういうことも全然しないと。今回のこういうことについても、実はアスベストについて加藤委員の方から質問があるということでアスベストについてだけは一生懸命調査したと、そういう答弁をされているんですよ、四月十六日のときに。質問通告も遅かったと。私は二時半にしました。この二時半が遅いかどうかは議論があるかもしれませんが、そういう表現で答弁されていることに対して何ら感じませんか。
  173. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 答弁の食い違いがあったという点については申しわけなく思っております。  それで私も、今までもずっとそうでございましたが、現場に任せていたという実情でございましたので、その後十分に報告を委員会の方でさせていただくということになった時点で、さらに詳しく調べた結果あのような報告になったわけでございますので、失礼の点がございましたらお許しをいただきたいと思っております。
  174. 加藤修一

    ○加藤修一君 現場に任せていたという話は通らないですよ。一般世間で通らないですよ。政治家ですよ。いわゆる社会的な指導者なんですよ。僕はそういう表現はちょっと当たらないんじゃないかなと思うんです。誠実性に欠けるなと思います。  こういう言い方を余りしたくないですけれども、無神経な表現を余りしない方がいいと思いますね。神経がないというわけじゃないですけれども、やり方が、言い方が無責任ですよ。もう少し心を込めて発言すべき内容だと思いますよ、真摯に反省して。実際に法を犯しているわけですから。やるべき期間にやらないで延長してしまっているわけですよ。それ以外にもさまざまほかの委員から質問があったわけですけれども、それに対する答弁もなっていない。誠実性に著しく欠ける。  アスベストの話になりますけれども、囲い込みをやったときに、本当に囲い込みだけの話ですか。最初に天井をはがすわけですよ。はがしませんか。はがすということは、環境庁のアスベストの関係のガイドラインか何かありますね。そういうときに、これは囲い込みとはちょっと違った話になりませんか。
  175. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 前回報告をさせていただきましたときに申し上げたとおりでございまして、今回はすべて囲い込み方式であると報告を受けております。ですから、はがすとかということはなかったというふうに報告を受けておりまして、先日もよく調べてわかる範囲で報告をさせていただきました。
  176. 加藤修一

    ○加藤修一君 アスベストをばかすという言い方を私はしたんじゃなくて、天井をはがすとか、その中にアスベストはあるわけですね。工事はそういうふうにしないんですか。どういう理解ですか。どういうふうに理解したらいいですか。
  177. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 工事の具体的な方法については現場に任せていたのでございまして、事業者に任せてやっていただきました。ですから、囲い込み方式という報告を受けているところでございます。
  178. 加藤修一

    ○加藤修一君 要するに、理解できないことが報告の中にもあります。一つ一つ取り上げて言う時間がございませんから申し上げませんが、ただ、山下委員が再報告を求めた事項が何点かございます。非常に疑問が多くなるだけなんです、今の時点では。だから、やはり自分がいろいろと疑惑をかけられている、そういった面があるのでしたならば、明々白々になるように、理解させるような努力だってこれは必要だと思いますよ。委員会の方にその報告を出してください。既に山下委員の方から出しているやつを委員会提出してください。どうですか。
  179. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 私が誠意をもって時間をかけて調べた限りのことを先日報告させていただきましたので、ぜひ御理解をいただきたいと思っております。
  180. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 時間です。
  181. 加藤修一

    ○加藤修一君 時間が来ましたのでやめます。
  182. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 私も、先ほど足立委員の方から質問がございましたけれども、「リゾート開発見直し」というこの五月二十三日の読売新聞に取り上げられた件についてお尋ねをしていきたいと思っています。  この新聞によりますと、「「リゾート構想見直しのための環境配慮指針」を策定し、」「民間も含むすべてのリゾート開発行為、構想について環境対策の抜本的な見直しを求める。」としておりまして、これを読んだときには、ああうれしいニュースだなと思いました。  そして、さらにニュースの中では、  環境保全規定を持たないリゾート法の欠陥を補完する内容で、環境への影響が大きい場合は事業中止も含めた対応を求めるようにしたい。ゴルフ場、スキー場、ホテル建設などのリゾート開発を対象に、構想策定段階から環境対策に取り組むよう自治体、事業者に指示をしたい。  用地選定の際に、貴重な動植物の生息地や水源地など環境に重大影響を与える地域を避けたり、事業の中止や代替案を検討したりするよう求めている。   一定の開発行為の許認可権を持つ自治体に対しては、構想の進度に応じた環境アセスメントのほか、自治体独自の環境調査も進め、イヌワシなど貴重な動植物の生息状況など地域の特性の正確な把握を要求。   事業者には、構想、工事、手法、営業段階での環境対策を具体的に示し、特に地域住民や自然保護団体との協議、情報公開を積極的に行い、環境アセスメントについては自然保護団体などの協力を得るよう求めている。 こういうふうな書き出しでニュースされました。  しかし、先ほど田中局長の方の御答弁をお聞きいたしますと、大変腰が引けたといいますか、これはただアンケート調査をしただけで、その調査結果を自治体に公開して、そしてこれからの政策に資していただくような御答弁だったというふうに思うわけですね。  私たち社民党もさっそく環境庁を呼びましてこの内容についてコメントを求めたところ、これはスクープされ誇張されている、四十一道府県にアンケートを求め、ヒアリングなども行って集約しているところであり、これに基づき事例集を作成し、六月中に発表するということで、この新聞報道は非常に自分たちの思いとは違うということで、これ否定をされているわけですね。これは私は非常に残念だなという思いをして、きょうは、できれば先ほど来の局長の答弁を撤回していただけるかなという思いを込めて質疑をしていきたいというふうに思っています。  まず、国土庁にお尋ねをいたしますけれども、国土庁ではこのニュースを見ていただきまして、何か大臣を初め関係の皆さんが集まりましてこの記事に対する対応策といいますか、そういうことの御相談の会を開かれたというふうに聞いていますけれども、国土庁としては環境庁が今回なされているような計画に対してどのように受けとめておられますか。
  183. 猪野積

    説明員(猪野積君) お答えいたします。  リゾート法は、リゾート整備に当たりまして自然環境保全との調和を重要なものとして求めておりまして、国土庁といたしましても、自然環境保全との調和などリゾートの政策理念の再確立を求める平成五年二月に取りまとめられた総合保養地域整備研究会の報告を受けて、自然環境保全について十分留意するよう地方公共団体に要請をしているところでございます。  御指摘の環境庁から出されると報道されました報告書につきましては、内容がまだ未確定なものと承っておりますが、いずれにいたしましても、リゾート整備に当たって自然環境保全との調和を図ることは極めて重要なことでありますので、報告書の動向や内容には十分関心を払い、関係省庁と連携をとりながら適切に対処してまいりたいと考えております。
  184. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 リゾート法の管轄省庁であります国土庁では、環境庁の今回の企画に対して非常に大きな関心を持って、そして環境庁が示される資料についても的確に対応して、そしてこれからの政策に生かしていきたいと、こういうふうにお答えをしているわけでございますが、田中局長、関係省庁は国土庁だけではございませんよね。運輸省、それから通産省、農水省、建設省、それぞれリゾート開発については関係する省庁があるわけでございますが、そういう省庁に今回の調査結果をきちんと報告し、あるいはガイドラインとして環境庁としての指針を示すぐらいな強い姿勢があっていいと思うんですね。  リゾート法が制定されて十年になりますけれども、リゾート法によって日本の自然環境は本当に荒廃をさせられてきていることはもう環境庁みずからが御存じのとおりでございます。ですから、強い姿勢を持って、先ほど来の答弁のような感じではなくて、関係省庁に指導力を発揮していただきたいと思いますが、御答弁をお願いいたします。
  185. 田中健次

    政府委員田中健次君) 本件については、先ほども御答弁を申し上げましたように、環境保全上の観点からも、リゾート構想の見直しが適切になるようにということで、まず環境面の配慮すべき事項を把握する、こういう趣旨調査をしたものでございまして、この調査が取りまとめられますと、私どもとしては、リゾート事業に関して事業者を指導する際に地方自治体の参考となるようにということで、各自治体においてこれを参考としていただくように、地域性に応じた対応をとられることを希望してこれを送付申し上げる、こういうことで始めた調査でございます。  したがいまして、私どもといたしましては、環境庁もリゾート法に関しましては基本方針等につきまして主務大臣から協議を受ける、こういう立場にあるわけでございまして、こうした環境保全上の審査を行う際に私どもは参考の資料として活用をいたしたいと思います。  先生お話がございましたように、リゾート法の主務官庁につきましても、この調査報告がまとまりますと早速御送付をして参考にしていただくということをやりたいと思います。
  186. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 石井長官、どうですか。もう少し積極的な答弁をしていただけませんか。アセスメント法ができるわけですから、そこをてこにして環境庁いかに日本の自然を守っていくかということをやっぱり前向きに態度で示していただく、あるいはこたえていただきたいと思いますが。
  187. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 今回の環境庁が取り組んでおりますリゾート構想の見直しにつきましては、今作業中であるということでございますので、いろいろと調査をし整理をいたしまして、その結果をできるだけ生かせるようなそういう仕組み考えていくべきであろうというふうに思いますし、それは当然地方公共団体とかまた関係省庁などにもお話を申し上げるべきであるというふうに思います。  そのようなリゾート構想について、過去のものについてはそのような方法が、またチェックすることも必要でありますが、今後、これから計画される場合には、十分に環境庁がリーダーシップをとって環境保全に対する問題を重視しながら取り組むべき問題であるというふうに思います。
  188. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 今までのものについても問題があると思われるから調査をなさったわけですよね、今回。そしてこの調査結果を出されている。それはリゾート法でやられている事業についても、あるいはリゾート法以外でも、ゴルフ場、スキー場、それからホテル、そういうものの開発について、途中で中止になっているものとか計画段階で中止になっているものとか、どんなものがあるかと詳細に調べてあるじゃありませんか。これに基づいてそれぞれの関係省庁に対して指導されるのは環境庁としてごく当たり前のことなんですよ。  ごく当然のことなんですよね。そして、国土庁でもああいうふうにして謙虚に受けとめると言っていらっしゃるわけですから、ここは自信を持って指導していく、やっていただきたいと思いますが、いかがですか。もう一度お願いします。
  189. 田中健次

    政府委員田中健次君) このリゾート法におきまして、私ども環境庁長官主務大臣から協議を受ける、こういう立場でございますので、その立場から、今回この報告が出ますと関係省庁にもこの報告書を送付してそれぞれ心得でいただくと、こういうことをやりたいと思います。
  190. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 そんなことではなかなか日本の自然環境は守れるのかなとちょっと心配でございますが。  じゃ国土庁、済みません、きょう来ていただいたのでもう一問だけちょっと聞かせてください。  これ、通告してあったかなかったかちょっとわかりませんが。  このパンフレット、(資料を示す)「リゾートがつくる豊かな国土」といって、リゾート開発がいかに日本の将来にとって必要であり、あるいは活性化をしていくかということがきれいに書かれてあるわけですけれども、この中で「リゾート整備の事例」ということの中で、北海道の占冠トマムの事例、それから宮崎県シーガイアの事例、それから福島県のスキー場開発の事例ということできれいな写真入りのパンフレットが出ているわけですけれども、これ、現地の人たちからお話を聞く機会がございました。ちょうど三例とも同じ会場でお話を聞く機会がございました。  この北海道の占冠トマムのこの写真はリゾート開発構想とは全く違う写真が載せられてありまして、そして今このトマムのリゾート構想は、週刊誌にも出ておりますけれども、「塩漬けになった負債八百億円」ということで全くとんざしようとしている状況であり、人口の増加が図られたというふうにパンフレットには書いてありますけれども、これは工事のときに人口がふえただけであって、その後は人口はふえでいないのだというようなことが現地から報告をされました。  また宮崎県のシーガイアについては、この間のニュースでも赤字が五百億円にも達していて経営が成り立つかどうか微妙な段階ということが言われています。  それから福島県のスキー場については、大規模ながけ崩れが発生をしておりまして、リゾート開発のつめ跡というのが非常に強く今もまだ後を引いているという、そういう現地からの御報告をいただいたわけでございます。  このパンフレットだけを見ますと、リゾート開発構想がいかにも成功をして、国民から期待をされ、そしてさらに自然環境とも配慮して共生できるような形に見えるわけですけれども、これはやっぱり問題があるのではないかというふうに思うわけですけれども、国土庁の御意見いかがでしょうか。
  191. 猪野積

    説明員(猪野積君) 全国では今御指摘の例も含めましてこれまで四十一の都道府県において基本構想が策定されまして、スポーツ・レクリエーション施設とか教養文化施設などの特定施設が整備されまして、全体としては緩やかではありますが着実に整備が進捗していると考えております。  これにより、全国的には五万人を超す新たな雇用が創出されるなど地域経済の活性化や地域振興に役立っている施設も出てきているわけでございます。  ただ、これまでのリゾート整備の中には、近年の経済情勢の変化によりまして開発事業者が撤退をしたとか、あるいは自然環境保全との調和の点が指摘をされるといったこともあるのも事実でございます。  先ほども申し上げましたように、特に自然環境保全との調和につきましては、リゾート法はこれを重要なものとして求めておるわけでございまして、国土庁といたしましても、自然環境保全との調和などリゾートの政策理念の再確立を求める研究会の報告を受けまして、自然環境保全について十分留意するよう地方公共団体に要請をしているところでございます。  今後とも、リゾート開発がこのようなリゾート法の理念に基づいて適切に行われまして、自然環境保全との調和が図られるよう適切な運用に努めてまりたいというふうに考えております。
  192. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 石井長官、こうしたパンフレットのこととか国全体の開発構想などに対して意見が言えるのはやっぱり環境庁だけですよね、自然環境の破壊について。そういう面でやっぱり先ほどから言っておりますように、しっかりと環境庁意見が言えるという強い立場に立って指導を発揮していただきたいと思うんですね。国土庁さんありがとうございました。もう結構です。  リゾート開発というと国土庁だけかと思っていました、あるいは建設省とかそういうところだけかと思っていたら、環境庁でもやられているんですね。これは私は驚いちゃったんですけれども。  環境庁管轄の事業団で環境事業団というところがございますけれども環境事業団が私はリゾート開発をやっているとはゆめゆめ思わなかったわけですけれども環境事業団としての事業の中に、岡山県の玉野市というところがございますが、王子が岳地区国立公園施設建設事業というのをこの事業団が手がけています。これは国立あるいは国定公園の中に施設を環境事業団がつくって、でき上がったところで民間に譲渡をするという事業なんだそうです。  そして、この玉野市の場合では、第三セクター方式で玉野市自体も加わった中で、王子リゾート株式会社というところがつくられておりまして、こことの契約の中で事業団が四十五億円の事業費を予定して財投から資金を借りて、そしてホテルをつくっているということなんですが、そのホテルはその事業団が受け持つところの外装部分そして骨組み、あと内装を残すばかりとなっています。そうですけれども、そういう事業団がやることに契約されていた部分についてはすべて完成をして、そして第三セクターに譲渡がされているわけです。それは五年前なんです。しかし、この五年間、譲渡されました第三セクターでは全くその後の工事に手がつけられない状況にあると。そして、そのまま放置をされていて、そのホテル自体がまだ使える状況にないというような事実が明らかになったわけでございますけれども、これについて環境庁はどういう御見解をお持ちでございましょうか。
  193. 澤村宏

    政府委員(澤村宏君) お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘になられました事業は、旧公害防止事業団法に基づきます国立・国定公園施設建設譲渡事業として、地元第三セクターの申し出によりまして環境事業団が宿舎本体それから園地等を建設しまして、平成五年十二月に地元第三セクターに対して譲渡されたものでございます。  その後、地元第三セクターの資金調達が難航したため、宿舎の内装等の工事ができないで中断している状況にございます。  このため、現在、地元自治体など第三セクター関係者が宿舎事業の完成のための方策を鋭意検討しているところでございますが、環境事業団としても第三セクター関係者と密接に連絡をとり、対応しているものというふうに聞いているところでございます。
  194. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 計画が持ち上がったのが平成元年ですよね。その平成元年の契約を結ぶときには総事業費四十四億六千五百五十万円ですね。そういうことで契約をされておったにもかかわらず、それでやっておられれば中まで全部完成をした状態で第三セクターに譲られるというふうな中身だったわけでございます。  平成五年になりまして、第三セクターがもっと大規模なホテルにしたいということで計画変更を申し出て、そしてその計画変更にかかる費用についてはみずからが負担をするという契約変更をなさっているんですけれども、そのときに環境庁あるいは環境事業団は、この計画変更に対して調査といいますか、変更しても完全に遂行できるというふうに読んだんでしょうかね。環境事業団自身は四十五億円しか提供することができないという、この事業に対しては四十五億円という上限があるそうなんですけれども、それを超えての計画に対して再契約をするということがなされているわけですけれども、ここらについて不備はなかったのでしょうか。
  195. 澤村宏

    政府委員(澤村宏君) ただいまいろんな数字を申されましたが、ちょっと私詳細なことを全部フォローしているわけではございませんが、この事業計画に当たりまして、途中で何回か状況等に応じまして内容が変わってきたという経緯はあるようでございます。  いずれにいたしましても、この事業が始まるときには、事業団において内装を除く宿舎、それから園地、野営場等を整備する、それから第三セクター側におきまして宿舎の内装及び内部の設備工事をするということでこの事業が始まったものというふうに理解しております。
  196. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 環境庁にもう一つ問題があるのは、ここは国立公園の中ですよね。国立公園の中にういう施設をつくるときには、十分な調査をした上で許可がなされなければならないと思いますし、本来はこういう建物は、なかなか民間のものが建つことはできないような状況であると思うんですけれども、これを建てるためにわざわざ法律をつくって、そしてこれが第一号目の事業だったわけなんでしょう。そういうふうに聞いていますけれども、違うのかな。第一号事業ですね。公害防止事業団法第十八条第一項第四号、これはもう改定されて、ないそうですけれども、これで国立・国定公園施設建設譲渡事業の第一号事業として始められているわけですよね。  だから、国立・国定公園の中にこういう事業ができるようにするための法律をわざわざつくって、そして環境事業団が四十五億円を財投から借りて出資をして、そしてやった事業にもかかわらずとんざをしてしまうというのは、いかにも計画段階で無理があり、そしてなれない仕事、環境庁あるいは環境事業団がホテルをつくるというようなことは全くなれない仕事であるわけですが、そういうものにかかわって失敗をした例というふうに言わざるを得ないと思いますが、いかがでしょう。
  197. 澤村宏

    政府委員(澤村宏君) これは、ただいま先生御指摘がありましたが、いわゆる建設譲渡事業ということで、これまでにもいろんな形でもって公害防止事業団、当時ですが、行ってきたわけでございます。そして、その中に、国立・国定公園の複合施設といたしまして、いわゆる国立・国定公園の利用拠点となります集団施設地区においてそういった事業をやることについてのいろんな各方面からの要望等もあって事業団として受けるようになったわけでございます。そして、ここの地区におきましては、いわゆる利用拠点の分散を図るということ、そういったねらいのもとにこの計画が立てられているところでございます。  そして、先ほど先生御指摘がありましたが、また先ほどお答え申しましたように、現在、これが本来の目的を達成するように、地元自治体など第三セクター関係者が宿舎事業の完成のための方策を検討しているという状況にあるという、そこのところを御理解賜りたいと思います。
  198. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 不幸な事件も重なったことは事実なんですよね。この第三セクターの一番の出資元であります王子ケ岳観光開発株式会社の社長さんが死亡するという事件があり、あるいはホテル周辺一帯の山が山火事を起こして全部木が燃えてしまっていて、非常に景観が悪くなって、今ホテルを開業してもなかなかお客がとれないような状況にあるということで、不幸な事件も重なっていることは事実ですけれども、しかし、環境保全を監視したり、あるいは指導したりする立場環境庁が中心になって行った事業として、このまま放置をしておくことは許されないことだろうと思いますが、もう既に建てられてから五年たって、人が住んでいると建物というのは丈夫ですけれども、人が住まない閉め切った状況に置かれている建物というのは非常に壊れやすくなるというふうにも聞いておりますけれども、これの解決のために、どのくらいのめどで、そしてどういう方法で解決をしていこうとなさるのか、何か方法がございますか。
  199. 澤村宏

    政府委員(澤村宏君) そういうことで、ただいま先生から不幸なことがというお話もありましたが、確かに、経済の状況が変わった、あるいは主としてなさっていた方が亡くなられるというようなこと等々がありましたが、地元におきましてこの事業につきまして大変な要望があったということも踏まえまして、地元自治体、第三セクター等が連絡を密にとりながら、今、本来の目的に沿うように努力しているということでございます。  環境事業団におきましてもいろいろ努力しておりますので、環境庁といたしましても、本件事業の目的が早期に達成できるように、事業団に対しまして必要な指導を行ってまいりたいと考えております。
  200. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 よろしくお願いします。もしこの第三セクターが倒産をしたというようなことになりますと、投資をした四十四億円ですか、実際には三十九億二千百二十三万円ということですけれども、これが国民の税金によって賄わなければならないような事態になってくるわけですから、ぜひ知恵を絞って、せっかく立派なのができているんですね、すばらしいホテルなんですね、外から見たら。だから、それが活用できるような方法考えていただいて、地元とも密接に協議をしながら有効利用していただきたいと心から思うところでございます。  それでは、法案中身の方に少し入らせでいただきます前に、もう一点だけ済みません、よろしいでしょうか。きょう新聞報道で、先ほど自民党の先生からも御質疑がございましたけれども、「閉鎖水域の汚濁進む」ということで、大きな見出しで諌早湾のニュースが出ておりました。環境庁長官も先週のここの委員会質疑の中でも、環境庁としても調査の職員を派遣して今調査をさせているということで、その結果が出たんだろうというふうに思いますけれども。  この閉鎖水域の排水、真水の方を排水するだけで水質浄化が本当にこれから可能なのかどうかということですね。干潟の浄化作用が全く消えていった中で水質浄化が排水だけで保たれるかどうかということが一点目。  それから二点目は、環境庁として干潟の生物に対する何らかの措置というか対策はとれないのか、あるいはなぜこれに対して、干潟の生き物に対しての環境影響評価が行われなかったのかということが二点目。  それから三点目は、農地の干拓計画について、環境庁はこれから意見の変更というのはないのかどうかということが三点目です。  それから、これは朝日新聞ですけれども、長崎。  県民のアンケート調査によりますと、干拓と干潟の保護の両立を探ってほしい、そういうふうに期待をしている人たちが一番多かったんですね、五六%。全国の調査でも五七%と。ここが一番多かったわけですけれども、干拓と干潟の保護が両立できるようなよい方法環境庁として何か考えられないのかどうかという、この四点まとめてお答えをいただければと思います。
  201. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 初めに、排水と水質浄化の関係についてお答え申し上げたいと思います。  排水門の適切な操作ということにつきまして私ども意見を申し上げました。適切に操作をされれば相当な効果が上がるというふうに私ども考えております。具体的なやり方につきましては、これから長崎県あるいは農林水産省と十分詰めてまいりたいと思っております。  ただしかし、それだけでは必ずしも、十分な水質浄化の効果が上がるかどうかという点につきましては、閉鎖水域の性格上、それ一つだけでは無理であろうと思います。事柄はやはり、言葉を選ばずに申し上げますと、合わせわざ、総合でございますので、環境庁もいろいろ御意見具申し上げておりますけれども、基本的には汚濁負荷の軽減ということで、下水道の整備、あるいは農業用の水利用、畜産のふん尿の問題、それからさらには自然生態系を利用した浄化をどうするかというふうなアシやヨシを使った話、そして、私ども申し上げておりますけれども、排水門の操作その他を通じた水の流動化、フラッシュ、それから酸素を入れるというふうな操作、そういったものを幅広くやるということで対応することが必要だろうと思います。  幸い、全国にやはり指定湖沼ということで水質保全計画を立てた湖沼がございます。そこでいろいろな経験がございますので、そういったことを生かしながら、この問題は農業者も含めた地域全体として取り組むように指導もしたいし、支援もしていきたいと考えております。
  202. 澤村宏

    政府委員(澤村宏君) 第二点目の生物に対する措置についてお答え申し上げます。  事業者が行いました環境影響評価によりますと、潮受け堤防の閉め切りによりまして、この干潟に依存しておりますシギ・チドリ類やムツゴロウ等、干潟特有の生物は生息が困難になりますが、これらは諌早湾のみに生息するものではなく、有明海の他の干潟でも確認されていることから、事業による著しい影響はないと予測評価されているところでございます。  環境庁といたしましては、諌早湾の干潟の多くは消滅するものの、有明海全体の生態系という視点から見た場合、このような予測評価はおおむね妥当と判断した上で意見を申し述べたという状況になっております。
  203. 田中健次

    政府委員田中健次君) 三番目のお尋ねでございますけれども環境庁意見の変更はないのかということでございますが、環境庁といたしましては、既に本事業について環境保全の観点から意見を申し上げておるところでございます。  今般、潮受け堤防の閉め切り後、一層環境保全が重要となったところから、農林水産省との間に連絡会議を設置する等によりまして、環境庁意見に沿った環境保全対策の促進、あるいは環境状況変化の把握のための体制の整備を行ったところでございます。  環境庁といたしましては、環境状況変化対応して今後も必要な対応を図る所存でございますが、その基本は、これまでの環境庁意見に沿って十分な対策を講じることでございまして、事業そのものについての当庁の基本姿勢が変化したものではございません。  それから、四番目の干拓と干潟の保護の両立を図る何か策はないかと、こういうことでございますけれども、本事業について申しますと、潮の干満を前提とした干潟を保護いたしますことと農地を造成する干拓を同一視で両立させるということは、私どもとしてはこれは不可能であるというふうに考えております。  しかしながら、本事業におきましても、潮受け堤防の外側、前面部におきます干潟再生措置を環境庁長官意見で求めているところでございまして、また干潟とは質は異なるものの、新たに形成される豊かな生物環境といたしまして、ヨシ湿原の保全も求めたところでございます。  このように、こうした失われる環境をできる限り代償、代替するいわゆるミディケーションによりまして環境保全を図ることも一つの両立の手法であるというふうに考えておるところでございます。
  204. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 最後に、きょうは文部省に来ていただいておりますが、アセスメントの充実を図るためには専門家の育成がこれは急務だろうというふうに思っています。行政官庁にはそういう人材がおると思います。あるいはコンサルタント会社なども、それを仕事にするわけですからそういう人材の確保があると思いますけれども、その見張り役である住民の側に決定的にその人材が不足をしているということがあると思います。関心のある市民を育てて、国民全体で環境保全をしていくための人材育成のための施策が本当に急がれなければならないと思っています。  現在、日本の大学、大学院では、環境学部といいますか、環境についての研究科を持っているところは全国で二十六校しかない、そういうふうに聞いているわけでございますが、さらに研究あるいは専門家の育成に文部省としては取り組んでいただきたいと思いますが、お答えをいただきたいと思います。
  205. 高為重

    説明員(高為重君) お答えします。  御指摘のように、今日、環境問題の重要性にかんがみまして、大学、大学院において自然環境の維持、保全等に関します教育研究を推進することは大変重要なことだと認識しております。従来からも大学、大学院においては、環境問題に関する専門的な教育研究が理学部、工学部あるいは農学部等を中心に行われてきましたが、近年、学問の進展や社会のさまざまなニーズに対応して、環境関連の特色ある学部、研究科、大学院の研究科等の整備充実が図られているところでございます。  例えば、これは学部の性格によって直接環境学部というような名称を使っているところもあれば、従来の学部の中にそうした関連の学科を置いているところもございますので、平成八年度で私どもが承知しておりますのは、学部レベルでは六十七大学七十八学部に八十五の関係の学科が設置されておりますし、大学院レベルでは七十大学に八十八の研究科に百八専攻という形で環境に関連した学科、専攻等が設置されているところでございます。  平成九年度につきましても、大変厳しい行財政事情のもとでございましたが、国立大学におきましては、長崎大学に環境科学部を新設するほか、豊橋技術科学大学の工学研究科にエコロジー工学専攻を設置するなど、環境問題に関します教育研究体制の一層の整備を図っておるところでございます。
  206. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 終わります。
  207. 小川勝也

    ○小川勝也君 民主党・新緑風会の小川でございます。今の大渕先生の後を引き継ぎまして、諌早湾の干拓問題についてお尋ねしたいと思います。  竹村委員、有働委員を初め諸先輩はこの問題に造詣が深くで、私はいわば後発の勉強組でございまして、何が問題になっているのか簡単にみんながわかるようにおさらいをしてみたいと思います。  まず、私なりの解釈でございますけれども、この問題は、防災の観点、農地をふやすという観点、そして環境を守るという観点、この三つがうまく並立すれば一番いいわけでありますけれども、これがうまくいかいからみんなが悩んでおる、こういうふうにとらえさせていただいているわけでございます。  まず、環境というのがありますけれども、これが広く国民の方から、一部分の方からは非常にこの環境を守れとか干潟を守れとかメッセージもたくさんいただいておるわけでございますが、片や、人よりムツゴロウが大事なのかというような論議もございまして、この干潟とかこの諌早湾の環境というのがどういうものなのか、まず環境庁からお話を伺いたいと思います。  私がお伺いしたいのは、例えば、世界的な会議の中でこの干潟の重要性が問われたりすることがあるとかないとか、あるいはこの日本の自然を次の世代に伝えていくのにこの干潟というのがどういう役割なのか、まずお伺いしたいと思います。
  208. 澤村宏

    政府委員(澤村宏君) この現在問題になっております諌早湾を含みます有明海の干潟は、我が国有数の渡り鳥の渡来地であり、また干潟特有の生物も生息しております良好な自然環境を有する場所と、そのように考えております。
  209. 小川勝也

    ○小川勝也君 長崎県の住民の方からもいろんなお手紙をいただいているわけなんですけれども、その中で生物多様性条約というのがあります。これは、私はよく詳しいことはわかりませんけれども、大事な条約なんでしょうか、これは簡単などうでもいい条約なんでしょうか。
  210. 澤村宏

    政府委員(澤村宏君) 端的に申し上げますと、大変に大切な条約でございます。  それに基づきまして、我が国におきましても生物多様性の国家戦略というものを一昨年策定いたしまして、その中でも、現在問題となっております干潟の重要性、そういったことを明確に位置づけているところでございます。
  211. 小川勝也

    ○小川勝也君 五月二十日付の朝日新聞に、環境庁のリストに載っておる絶滅に瀕している生物群のうち、この諌早湾で発見されたものが二十種類に及ぶという記事がございました。事実関係を含めて環境庁に御答弁をお願いしたいと思います。
  212. 澤村宏

    政府委員(澤村宏君) 確かにこの諌早湾にはそうした貴重な種がおりますが、どの種をもって二十種類としているかということ、ちょっと私そのリストとの関係はわかりませんが、貴重な種がいるということ、そのことは事実でございます。
  213. 小川勝也

    ○小川勝也君 それともう一つ重ねてお伺いしたいわけですけれども、アメリカのNGO連合、これは百万人の会員と支持者を擁するということでございますけれども、この諌早湾に非常に関心をお持ちな団体なんだろうなと思っておりますけれども、総理にお手紙が来たそうであります。これ環境庁から私手紙いただきまして、訳はいただけませんでしたのでうちの秘書の高橋さんが訳してくれましたけれども、その中で諌早湾を救えというのがこのアメリカのNGO組織のみんなの意見であると。これは私は一〇〇%その人たちの言い分を信じるわけではありませんけれども、もし例えば世界的な条約が前提となったり、ここに書いてあるように総理が六月に国連特別総会に出席されるということもかんがみると、余りあながち無視もできないかなと思っておるんですけれども、どうとらえておられますでしょうか。
  214. 田中健次

    政府委員田中健次君) 諌早湾の干拓事業に関連をいたしまして、その見直しあるいは中止の要望が国内それから国外の自然保護団体からも寄せられているということは承知をいたしております。  それで、今お話がございましたアメリカのNGOからも総理大臣への要望書が参っておりまして、本事業は国際的に重要な自然資源である日本最大の干潟を消滅させるものであり、アメリカの自然保護団体を代表して諌早湾干拓事業の中断と見直しを要望するという内容のものであったというふうに承知をいたしております。
  215. 小川勝也

    ○小川勝也君 先ほどの御質問の御答弁の中に、大切な干潟だと今聞いたんですけれども、さっきは干潟はほかにもあるからいいんだみたいな言い方をされたんですけれども、そういう言い方をすると、例えば森林を守れなどと言う人たちがいるとすれば、森林は日本国じゅうどこにでもあるわけですね。全部裸にして北海道の礼文島だけ残っているからいいよという話になるのかなということにもなると思いますけれども、余り意地悪言ってもしようがありませんが、何はともあれこの諌早湾の干潟は大切なんだという御認識でよろしいですね。
  216. 澤村宏

    政府委員(澤村宏君) 諌早湾を含みます有明海全体のこの干潟ということ、そういったことは重要であるということを申しているわけでございます。
  217. 小川勝也

    ○小川勝也君 ここで一つ目の環境が大切だということがわかったような気がいたします。そうしますと、あとは防災の点と農地をふやす点ということになると思います。  まず、農地の方だと思いますが、この間農水省の部長さんがわざわざお部屋まで来てくれまして、いろいろ御説明をいただきました。御説明をいただいて、私の考えの方が正しかったなということを確信させていただいたわけですが、まず、干拓するあるいは農地になる面積というのはどのぐらいなんでしょうか。
  218. 太田信介

    説明員(太田信介君) 約千五百ヘクタールということになります。
  219. 小川勝也

    ○小川勝也君 全国に耕作放棄地と呼ばれている元農地はどのぐらいあるでしょうか。
  220. 太田信介

    説明員(太田信介君) 十六万ヘクタールという状況でございます。
  221. 小川勝也

    ○小川勝也君 私も北海道農業地帯の出身でございますので、農業や農地がいかに大切かということに関しましてはかなり理解がある方だと自負しております。  そして、構造改善局が行っております、例えば使い道の悪い農地を区画整理する事業であるとか、例えば農地を持っておられる方がばらばらなので非常にやりにくいから、それを構造改善局がいろんなメニューを用意して、例えば竹村さんはここからこっち、小川はこっちからこっちと分けるような事業があったり、あるいは農地がふえれば収量がふえるということだけではありません。  これは例えば土地改良などという有益な事業もたくさんあると私は確信をしておりますし、ただ単に千五百ヘクタールここにふやすから将来の我が国の食糧自給率を上げるために役立つという考え方ではなくて、この諌早湾以外で僕は農地を確保するという手だても幾らでもあるかと思います。  そこでお伺いしたいわけですが、例えば、諌早湾のその千五百ヘクタールの農地を得るための予定の事業費は幾らでしょうか。
  222. 太田信介

    説明員(太田信介君) 総事業費は、現在、二千三百七十億円ということになっております。これは潮受け堤防、それから内部の干拓に要する費用、一応全体を網羅した数字でございます。
  223. 小川勝也

    ○小川勝也君 干拓して農地になる部分だけというのはわかりませんか。
  224. 太田信介

    説明員(太田信介君) これは、潮受け堤防そのものが農地をつくる機能もございますので、それをはっきりと数字的に分けることは若干困難な状況がございます。
  225. 小川勝也

    ○小川勝也君 それと、発売されるお値段でございますけれども、十アール当たり百十万円と聞いておりますが、いかがでしょうか。
  226. 太田信介

    説明員(太田信介君) 現在想定しております配分の価格は、十アール当たり約百十万円でございます。
  227. 小川勝也

    ○小川勝也君 これは高いと見るか安いと見るか、人それぞれだと思いますけれども、例えば、パンフレットを読ませていただきますと、酪農を経営する場合、八ヘクタールを予定している。そうしますと、まず、ここで農業を始めるという方は土地の取得に約九千万円かかるわけですね。それから例えば、農業というのは合すきとくわだけでできるものじゃありませんので、それなりに大型機械を購入したり、牛舎あるいはサイレージというえさを入れておくところとか、さまざまな設備投資がかかるわけです。私、ふだんから北海道の農業者といろんな農業経営の上での悩みや苦しみを聞いている立場として、これから当然一億円以上になる借金を背負って高いミルクを搾っても採算がとれるかなというふうに非常に心配するわけであります。  そして、例えば三ヘクタールで野菜農家を始める方もそれなりに初期投資をするわけですね。その方が優良農地だからということで採算が合って借金を返済していけるということであれば、ちょっとここは意地悪な言い方になりますけれども、先祖伝来の農地をお持ちの方はその分だけがっぽがっぽたまっていくという計算になりはしないか。そのくらい求めにくい土地なんじゃないかなというふうに考えるわけであります。  これはうわさで聞いた話ですが、今その農地を買いたい人はいますかと言ったときに、問い合わせがあったのが長崎県から一名と熊本県から一名だという情報を聞きましたけれども、その辺情報があればお答えください。
  228. 太田信介

    説明員(太田信介君) 今御指摘ありました熊本県とそれからもう一つは長崎県の話については、私残念ながら承知しておりません。申しわけございません。
  229. 小川勝也

    ○小川勝也君 じゃ、ゼロかもしれないということですね。そのくらい私は、今耕作放棄地と呼ばれるところをどんどん農地にする、あるいは国土保全上大切な部分からやっていくということには大いに賛成でありますが、なぜそのときに環境庁環境は大事だと言っているここの場所につくらなきゃいけないのか。  実は、計画をされたときには、米が足りないんじゃないか、このまま日本人は米が足りなくなったら大変だということで計画をされたことは、私は高く評価したいと思います。時代の変化と同時に、本当に正しいことというのは変わっていくんじゃないかなというふうに思います。  そこで次に、ちょっと防災の方に話を移したいわけでございますが、この地区は先ほどの質問にもありましたとおりたびたびの洪水に見舞われている地域だと思います。聞くところによりますと、この本明川という、暴れ川というんですか、この結構危険な川とこの湾との関係によっていろいろな洪水が起きるということを聞いております。  建設省の方にお伺いしたいのは、本明川のこれからの治水対策の計画の全容についてお伺いしたいと思います。
  230. 白波瀬正道

    説明員白波瀬正道君) 本明川の治水対策でございますが、本明川につきましては、昭和二十二年七月の諌早大水害、これをこうむっておるわけでございまして、これを契機といたしまして昭和三十三年、その翌年度でございますが、直轄事業として改修を進めてきております。基本的に河道の拡幅、築堤等でございまして、諌早大水害時の洪水規模の流量、これを安全に流下させることができるように事業を進めておるということでございます。
  231. 小川勝也

    ○小川勝也君 農水省にお伺いをしたいと思います。  これは例えば、農地を造成する計画と防災対策と、この二つのミックスした事業だと私は考えております。仮にの話で大変恐縮でございますが、私が言います農地の部分を埋め立てないでそのまま内水面といいますか水がたまる場所にしておいて、近ごろ完成いたしました潮受け堤防という立派なものができておりますが、これはむだになってしまうものなんでしょうか。
  232. 太田信介

    説明員(太田信介君) 防災機能の点に関して申し上げれば、その分の効果は出るということでございます。
  233. 小川勝也

    ○小川勝也君 また仮にの話で恐縮でございますが、ここで計画を変更して、農地は別なところで特別な予算をつけて、長崎県中心でもいいでしょう、ほかの場所を探しましょうと。先ほど言いました耕作放棄地等たくさんありますし、構造改善事業も優秀な技術をもっていわゆる反当たり収量というのが確実に上がるような施策もたくさんお持ちなんですから、そういう観点で補う。そして今回の事業は、潮受け堤防と、建設省さんが申されたように本明川の治水対策を万全に行うということでやったときに、今回の事業の中でどこかでこれはむだだったという部分はあるんでしょうか。
  234. 太田信介

    説明員(太田信介君) 仮に農地をほかに求めるという御議論でございますけれども、基本的にはこの計画そのものが増反、いわゆる周辺の農家の農地をふやすという観点で進めておりますので、その観点からいたしますと、周辺の農地、特に畑地につきましては非常に傾斜度の急な、しかも農道等も整備しておらない、非常に生産環境としては必ずしも良好と言えない、そういった意味で、そういうところに経営を拡大するような余地は極めて限られておるといった意味で、やはりこの干拓事業におきます農地の造成が必要だというように考えております。
  235. 小川勝也

    ○小川勝也君 ということは、近隣の農家の方々がこの干拓地に新しい農地ができたら買いたいということですね。先ほど私が聞きました二件さえも知らないとおっしゃったのに、結局農地を買いたいという人はいるんですか、いないんですか。
  236. 太田信介

    説明員(太田信介君) 私、先ほどお答えいたしましたのは、先ほど議員御指摘のそういう情報についてはちょっと知らないということを申し上げましたけれども、平成七年に近隣の若手の農家等にアンケートをいたしまして、その中では四割程度の農家がこの事業に非常に関心を持っていただいておるという状況がございます。
  237. 小川勝也

    ○小川勝也君 関心を持っているのは、私も持っております。  それから、例えば、最初に大変な金額を出して農地を買うというのは今の農業政策上大変なことだと思います。私どもの方のことばかり言うわけじゃありませんけれども、この長崎県よりも諌早湾よりも、当然のことながら北海道は農地の価格も低いわけでございます。それでも、現在の農業政策がいい悪いは別にして、農業経営が厳しいということでなかなか新規参入者が踏み切れないでいる。そんな状況考え合わせていただきますと、さまざまな判断ができるのではないかなというふうに考えます。  そうしますと、私は多分、これは仮説でございますけれども、潮受け堤防は高潮防止で非常に大切な役割を果たせる。そして例えば、仮にの話で恐縮ですけれども、湾の中に農地はつくらない。  そうしたときに、例えば農水省は英断をして防災効果だけ高めた、こういう話になると思いますが、その場合、その内水面に海水がまじっていれば防災上何らかのデメリットがあるのかどうか、これをお伺いしたいわけでございます。  どなたも担当者はおられないと思いますので、建設省の方にちょっと聞いてみようかと思います。
  238. 白波瀬正道

    説明員白波瀬正道君) 御趣旨は諌早湾干拓事業におけるところの防災効果いかにという趣旨であろうかと思いますが、この事業は、農水省さんがその干拓事業の必要性から判断をされて実施されておるということでございまして、建設省としてその効果あるいはその状況等について説明あるいは判断できるという立場にはないわけでございます。
  239. 小川勝也

    ○小川勝也君 では、農水省の方にお伺いしたいと思いますけれども、もし仮にの話で大変恐縮です。  農地はつくらない、立派な高潮堤防はできている。そのときに、計算上によりますと、そこの部分が、湾の中の水がマイナス一メートルであれば本明川から水が流れてきても大丈夫だという計算だとお伺いしていますけれども、それが海水と淡水がまじっていたときには防災の効果は下がるんでしょうか。
  240. 太田信介

    説明員(太田信介君) 防災にも幾つかございまして、河川洪水を受け入れるという意味におきましては必ずしもそうはならないところでございますが、細かな計算をしておるわけではございませんけれども、今回整備いたします潮受け堤防が既存の農地から相当離れて位置することになりますので、また潮風害についてはそれなりの効果が農業用としても出るということが言えるのではないかと思います。
  241. 小川勝也

    ○小川勝也君 では、質問を変えます。  仮にの話でまた申しわけありませんけれども、干拓地に農地をつくらない、すなわち土を埋め立てないということになりますと、そこに例えば大雨のときに河川から流れてくる水が入ってくる量がふえるので防災上の効果は高まるのじゃないかと私は素人考えで思うわけでございますが、その点いかがか、農水省の方にお伺いしたいと思います。
  242. 太田信介

    説明員(太田信介君) 現在の計画におきましては干陸地、堤防で仕切りましてその中の水を吐き出していわゆる乾いた土地をつくるわけでございますけれども、そこには周辺からの水は引き入れないということで、そこ自身の排水ポンプを整備して乾いた状態に保つという計画になってございます。
  243. 小川勝也

    ○小川勝也君 ちょっと質問の趣旨理解していただけなかったと思うわけでございますが、本当にお答えいただきにくい質問だということは重々承知しております。  ですから、例えば今回の計画の一部を変更しての話です。高潮堤防はできています、立派なものができています。そして、内側の堤防と内側の新しくできる農地、これをつくらないと仮定した場合、防災の効果が、それは何を指して言うかというと、最初につくった高潮堤防の意義が低くなるのか失われるのかという質問でございます。
  244. 太田信介

    説明員(太田信介君) その点につきましては失われないということが言えるかと思います。
  245. 小川勝也

    ○小川勝也君 それは当然だと思いますね。  というのは、実はこれは八三年の農水省の諌早湾防災対策検討委員会の中間報告で、干拓地を遊水池にしない限り大規模な洪水には対応できない、こうあるわけですね。  ということはどういうことかというと、これは私の素人考えが当たっていたわけで、潮をとめる、その中の水位を低くして、川から水が流れてきたときにそれを受け入れやすくするわけですから、その容量が大きいほど防災上の効果が高まるわけでございます。  そういう意味でいいますと、これは仮にの話ですけれども、諌早湾の農地ができることを心待ちにしていた入植希望者の方には申しわけないけれども、それを別なところに、国の食糧政策上の農地をふやすということで構造改善局の予算がほかに回れば、その防災上の効果は上がるということだと私は考えさせていただきます。そうしますと、これからその農地を買おうと思っておられる方には申しわけないけれども、そこさえ我慢すれば、環境の問題と防災の問題は僕はクリアできると思います。  それはどういうことかといいますと、ここがちょっと技術的に難しいかもしれませんけれども、高潮の堤防はつくる、そして本明川あるいはその湾の堤防等一般的な治水あるいはそれ以外の対策は行う。そして、今は閉め切っていて淡水にしようとしているわけでございますけれども、実はきょうの新聞に、汚濁が進んでいて、水門を開放することを環境庁が提案すると書いてありましたけれども、まず、ここまでの話が事実関係と合っているかどうか、お答えをお願いします。
  246. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 排水門の適切な操作をするということは当初から環境庁意見に載っております。これは排水門でございますので、農用地としての利用、それから農業用水としての淡水湖、そういうことを考えますと、この排水門の適切な操作というのは海水を引き入れるということを前提にしたものではございません。
  247. 小川勝也

    ○小川勝也君 先ほど環境庁から、干潟は大切だ、国際的にも条約があってそれも大事だという話をいただきました。  これも万が一の話で恐縮ですけれども、農水省が、諌早湾の農地を期待していた皆様には申しわけないが、農水省として別の農地の開拓に計画を変更することになったということになったときに、環境庁は干潟が救われるということでうれしいんじゃないでしょうか、これは。どうなんですか。環境を守りたいのか、干潟を守りたくないのか、うれしくないのか、御答弁をお願いします。
  248. 澤村宏

    政府委員(澤村宏君) 大変難しい御質問で、仮の話ではございますが、先ほど来申しておりますように、この地区は、諌早湾を含めまして有明海の干潟は我が国有数のものであるという認識に立っております。
  249. 小川勝也

    ○小川勝也君 環境庁環境を守ろうとしないでだれが守るんですか、これ、我々みんなは応援していますけれども環境庁が別に農水省は農地をつくるから干潟はほかにもあるよぐらいの気持ちでやられていたんじゃ、そんな日本の環境なんか自然なんかだれが守れるかというふうに、我々は環境庁にだまされてきて、環境庁の応援団になりたいと思ってみんなここの委員会で勉強して、日本の自然を守りたいと思ってここに来ているんじゃないですか。それを環境庁が別になくなってもいいやみたいなことを思われているんじゃ、やりがいがなくなってしまいますよね、これ。  そういうことで、私は、環境がすべてにまさると言いたいところだけれども、実際国民生活に対する責任を負う立場としては、環境だけが全部大事だということを言っているわけじゃありません。物事をはかるときには、多分これはバランスだと思います。何が大事で何が大事でないか。それはこの場合、農地をつくることも防災上のことも大切、そして環境も大切、それを乗っけたときにどういってんびんになるかということで政治家は政治的判断をするべきだと私は思います。  そんな中で、私の個人的な意見ではありますけれども、これは農水省の計画、当初はすばらしかったと思います。しかしながら、時代が変わり、米が余り、そして田んぼをつくりたい人が田んぼをつくれなくなった。そんな時代になったとき、農地を高い金を出して買う人は少ないんじゃないかなと思う。それでもどうしても計画を実行したいという方に私は無理があるんじゃないかなというふうに思う次第であります。  そして、そういうときに農地を何としてもこの諌早湾につくらなきゃならないという意義が減っていくと、相対的なものでありますので、先ほどもおっしゃいましたように、この諌早湾の干潟は大切なものだったというのが自然に上に上がってくるんだと思うんです。そして、この干潟を守りながら、淡水と海水が共存するように適切な形で水門を変更することにより、残りの事業をきっちりとやれば、防災と環境が両立できると私は思うのであります。  そして、農水省にはこれは勇気ある撤退を僕は本当はしてほしいわけですね。ところが、きょうは課長さんでございますので、そこまで申し上げても酷かと思います。その場合は、私は別に農水省の族議員じゃありませんけれども、もし勇気ある撤退をされるということであれば、構造改善局担当の例えば先ほど申し上げましたような区画整理事業であるとかあるいは土地改良事業、これは与野党を超えてみんなで応援していきたいなというふうに思う次第であります。  この問題の中でいろいろな問題があります。例えば、地元はどう思っているんだという話でありますが、先ほど大渕先生からも質問の中で触れられておりますように、ここにきょうの朝日新聞がございます。そして、長崎県の方だけに聞きましたという問題があります。そして、これを読みますと、諌早湾の干拓事業に賛成か反対か、県内、賛成二一%、反対五〇%。これは一概に僕は該る問題じゃないかとも思います。そして、例えば本当に農地が欲しい人があれば、この人のパーセンテージは同じ一%でも価値が高いのかもしれ行い。しかしながら、そうじゃないんだということも御理解いただけると思います。干潟の生物が死ぬということで気にしておられる方もたくさんおられますし、農地造成の必要はないと答える方もたくさんいます。  そして、実は、先ほど言ったことと矛盾しますけれども、賛成と答えた理由の中で県内の方が、農地が造成されるから賛成だと言っている方は五%しかいません。そして、そんな中に、農地をふやすことと防災対策をいつの間にか議論的にミックスして、農地をつくらなきゃ防災効果が出ないんじゃないかと思っておられる方も私はいるんじゃないかと思うんですね。本当にこれは今まで立派な堤防ができたことを喜んでおられる方もたくさんおられますし、諌早湾の国営の干拓事業ということで自分たちを洪水から守ってもらえるんだと思うからこそ賛成する人が多いんだと思います。  だから僕は、これは防災の見地、そして農業を守るあるいは農地をふやすという見地は分けてとらえた方がいいのではないか考えています。  環境庁長官から、今までの議論の中で御感想があれば、お伺いをしたいと思います。
  250. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 環境庁立場としては、干潟を守るとかあるいは生物多様性の問題に配慮をして環境対策に取り組まなければならないということは当然のことでございますし、そしてそれにつきましては環境庁といたしましてもそれぞれに取り組んできたところでもありますが、今回の諌早湾の事業につきましては、いろいろと今まで私もあらゆる立場の方々から意見を聞いたり、またいろいろな状況も把握をするようにいたしまして、研究をしてまいりました。  この事業については長い間の経緯があったということ、そして、事業者そして地元の要望ということでいろいろの事業が進められてきたというふうに聞いております。その段階で、環境庁としては三回にわたって環境保全のための要望を続けてきたわけでございまして、その最初からのいろいろないきさつとかそういうことを全く無視することはできないのではないかということを感じております。  それで、環境庁としては、今まで申し上げてまいりました意見に対して事業者が適切に対応できるようにということを申し上げてきたわけでございまして、今回も、潮どめ堤防が閉じられたということによってかなりまた環境の状態が変わってきたということを受けまして、先日、農林水産大臣にお会いをいたしまして、そして環境庁意見に対して万全を期していただきたいということを申し上げてまいりました。そして今回、連絡会議もスタートさせまして、今後の問題については農水省と環境庁と十分に話し合いをしながら、的確に状況を把握しながら、そして今後の対策をとっていきたいということになっているところでございます。  いろいろとさまざまな立場の方、多くの御意見があるわけでございますが、今までの政策の継続といいますか、そういう点についての環境庁立場というのは今そのような段階でございまして、これからもできるだけ環境保全については十分配慮して、環境庁がリーダーシップをとって取り組んでいかなければならないと改めて思いを強くしているところでございます。
  251. 小川勝也

    ○小川勝也君 これは当然、今回この法案審議されている最中だからこの問題がクローズアップされたということと私は決して無関係じゃないと思います。こういう問題こそ、環境庁長官意見陳述の機会がふえるということが望まれる問題だからでありましょう。私は、この問題に対して意見を言わないような環境庁長官なら、環境庁も要らないし、この環境アセスメント法案も要らないんじゃないかなと思ってしまいます。  環境庁長官の仕事は、事業の継続性を心配することではなくて、我が国や地球の将来にわたっての環境を守るんだと、そして私はちょっと酷なことを言いますけれども環境庁長官というのはほかの事業官庁の大臣とは違うんじゃないかなというふうに思わせていただいております。  そして、石井環境庁長官が在任中に評価されようと思ったら間違いだと思いますし、私は石井長官が参議院議員の在職中に評価されるのも間違いだと思います。二十年後や五十年後、あるいは二百年後、石井道子さんという人が環境庁長官をやったからこの日本は守られたんだと、そういう評価を受ける立場だと僕は思います。  そして、いろんな先生方どお話をしていますと、環境庁をもっともっと応援したいという先生方が非常に多いわけでございますし、私みたいな若造が言うのは生意気でありますけれども、歯がゆい部分もたくさんお持ちなんじゃないでしょうか。  石井長官に、今の現世においての評価を求めず、将来の日本のために働ける大臣としてやっていただければ、みんな応援団になることをここで表明をしたいと思います。  質問を終わります。
  252. 末広まきこ

    末広真樹子君 自由の会の末広真樹子でございます。  私も、この法案を待ち望んだ一人ですが、かつて名古屋で行われました中央環境審議会地方ヒアリング、これを会場の中で一般の方にまじって拝聴いたしました。具体的意見としての最大公約数は、初めに計画ありきではなく、まず住民の声を聞いてほしいというものでございました。そして、アセス法制化への国民の期待が高いなということを痛いほど感じました。  アセスメント制度は、事業者や行政だけが情報を持っているわけではない、国だって間違えることもあれば知らないこともある、地域の住民やNGOにすばらしい知恵が眠っていることがあるということを前提にしている制度だと思います。  ところが、政府が開催する万博であるにもかかわらず、ある時期までは政府のチェックもろくにないまま、しかも地元での合意形成も不十分なまま、環境破壊型の万博構想が進められたんです。  私が議員当選の翌日に、環境庁自然保護局長にお電話をいたしました。そのときのお答えが、愛知万博って何ですかという素朴なものでございました。これがすべてを物語っていると思います。  地方でやることというのはなかなか中央で認知されていない、それがすべての立ちおくれの原因になっていく、こういうことだと思うんですね。  私は、これに危機感を感じて、この委員会において当時の大島環境庁長官に、何とかこの自然破壊型の万博構想を環境庁の力でとめていただきたいとお願いいたしました。そして、その後大島長官の指示のもと、万博についての地元構想は大きく変更され、愛知万博は環境保全を最優先とし、むしろ二十一世紀の環境保全あり方を世界に提示するものと位置づけられました。しかし、本当に環境保全を最優先にする万博が行われるのかどうか、いまだに地元では根強い不信感があります。  さて、閣議了解では異例のことながら、「本博覧会の開催に当たっては、環境影響評価を適切に行うこと。」と明記されております。このアセスを十分なものにすることが地元の不信を解消し、政府としての環境重視の姿勢を明確にする道だと考えます。私は、この万博アセスの問題について質疑を行う中で、理想のアセスメントあり方とはどんなものなのか考えてまいりたいと思います。  まずは、環境庁長官に、万博のアセスを十分万全に行っていくという力強い御決意をお願いします。
  253. 石井道子

    国務大臣石井道子君) この万博の問題につきましては、閣議アセスで平成七年十二月に決定をしていることでございます。  今、何カ国かの希望が出ているということで、これからその場所が決定される、開催地が決定されるという段階ではあります。そして、もしこれが日本において行われる場合には、環境アセスについては万全を期してやっていかなければならないと、こういうふうに思っております。
  254. 末広まきこ

    末広真樹子君 力強さにはちょっと欠けておりましたが、ともかくも御決意をいただきまして、ありがとうございます。  環境保全を掲げる万博、しかも我が国政府が実施する事業でございますから、そのアセスメントも世界の模範となるようなしっかりとしたアセスであることが必要であると考えます。  そうした視点から考えますと、少なくともこの法案に盛り込まれましたスコーピングなどの手続環境基本法対応した評価考え方、あるいは複数案の検討の記述など、当然万博アセスにも最低限取り入れられるべきと考えますが、環境庁、通産省、それぞれ考え方をお聞かせください。
  255. 田中健次

    政府委員田中健次君) 今お話ございましたように、この万博のアセスでございますけれども、人と自然との共生を目指す今回の万博の趣旨からいたしましても、他の模範となるようなものでなければならないということは御指摘のとおりでございます。この法案やあるいは中央環境審議会答申考え方を十分に参考といたしまして、また万博固有の事情等も踏まえまして、環境保全に万全を期するアセスを考えるべきであるというふうに私ども考えておるところでございます。
  256. 松尾隆之

    説明員(松尾隆之君) ただいまお話ございましたように、一昨年の閣議了解の際に、環境アセスメントの必要性について合意されてございます。  国際博覧会の事業についてのアセスメントを行う予定でございますが、まさに短期間に人口が集中するような博覧会特有の生態系への影響を含めまして、最適なアセスの手法により実施されるよう、環境庁を初めとする関係省庁とともに、事業主体になる予定でございます博覧会協会というのを指導してまいりたいというふうに考えております。
  257. 末広まきこ

    末広真樹子君 たった一問でありがとうございました。  さて、日本のアセスは事業計画が先にありきで、後になってつじつま合わせのアセスメントをやっていたのではないかなと思います。私は、本来、アセスは事業計画と一体となって行われるべきものであると考えます。アセスメントで収集された情報が敏感に事業計画に反映されて、アセスと事業計画とがあたかも車の両輪のように進んでいくのが本来のアセスメントだと思います。そのような観点からすれば、万博アセスも万博の会場構想、事業計画と一体となったものである必要があります。  そして、それは決まった固定観念のもとでの会場構想や事前計画を前提にするのではなく、幅広く会場候補地の代替案を比較検討して住民や専門家の知恵と工夫が生かせるようなものであるべきと考えます。そして、これは万博アセスに限らず本来のアセスの姿であろうと考えますが、環境庁の御見解を伺います。
  258. 田中健次

    政府委員田中健次君) 環境影響評価制度、これは事業者みずからがその事業計画の熟度を高めていく過程におきまして、十分な環境情報のもとに適正に環境保全上の配慮が行われるようにするために地方公共団体あるいは住民等事業者以外の方から環境情報を幅広く収集いたしまして、その情報が適切に事業計画に反映される、そういうことを目的とするものでございまして、この点につきましては今先生が述べられた考え方と基本的に同じでございます。  また、本法案におきましては、環境影響評価制度、現行の制度につきまして事業計画がほぼ固まった段階で準備書提出によって手続が開始されており、環境影響評価の結果が事業内容に反映されにくい、こういう問題点が指摘されておるところを踏まえまして、早期段階からの環境配慮の要請にこたえるために新たにスコーピングの手続を導入いたしました。  また、環境保全の見地からの事業計画の検討過程が明らかになるように、環境保全対策の検討過程準備書及び評価書に記載事項として記載させることにいたしておりますし、また環境影響評価の結果を事業許認可等に的確に反映するためにいわゆる横断条項を規定しておりまして、これらによりまして環境影響評価の結果が事業計画により適切に反映されるものになるものと思っております。  万博アセスにつきましては、博覧会の開催が正式に決定された後に構想が具体化された段階で実施をする、こういうことになるわけでございます。今後とも、その細かな詳細を決定していくに当たりまして通産省と十分協議をして対応をしていきたいというふうに思っております。
  259. 末広まきこ

    末広真樹子君 万博が成功するかどうかというのは、一に地元の理解にかかっていると言っても言い過ぎではないと思います。環境保全に万全を期し世界に自然と人との共生を示すといっても、会場周辺に反対のプラカードが林立するようでは逆に日本の恥を世界にさらすことにもなりかねません。  なぜ、根強い反対運動があるのか。それは、例えば愛知県のやった調査についても、その後でレッドデータブック掲載の絶滅危惧種が見落とされていたことが判明しております。あるいはサキソウの写真が上下逆さまに載ったりもしています。とても住民の信頼を得るに足るとは思えません。県のアセス調査内容と手法について御説明願いたいと思います。そして、調査体制及びスタッフに十分な人材がそろっていたのかどうかも含めて、県のアセスヘの評価を率直にお聞かせください。
  260. 田中健次

    政府委員田中健次君) ただいま御指摘の調査は、愛知県が実施をいたしました環境影響調査、それから植生回復改良基礎調査等を指すものと考えますけれども、これらの報告書には通常この種の調査で使用されております手法を用いて調査実施したこと等が記述されておりまして、報告書として一定水準には達しているものと考えております。  しかし、新聞報道等でも指摘をされておりますように、絶滅危惧種に指定されております植物種の記載が誤っている等の不備も見受けられるところでございます。また、詳細は承知をしておりませんが、一般の方々から調査手法やあるいは調査結果に問題点を指摘する声があることも聞いております。  環境庁といたしましては、愛知万博の開催が決定した場合には環境影響評価手続の中で改めて詳細な調査が必要になるものと考えておりまして、その具体的内容あるいは手続等につきましては今後通産省と十分協議をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  261. 末広まきこ

    末広真樹子君 ありがとうございます。  それじゃ、財団法人日本自然保護協会が万博問題小委員会というのを設立しまして、本年二月二十七日、現地視察を十五名で行っているのをちょっと御紹介します。  そのうち、専門の研究者は半数を数えます。愛知県の場合は、たしか農林課から何人か連れてきて今一生懸命頑張っているんだというような状況だと思いますが、この自然保護協会の方は動物生態、動物地理、昆虫、鳥類、植物生態、自然復元、環境生態、森林生態、自然地理・地形等々の専門の研究者でございます。  その現地調査報告書は小委員会見解書として、図解資料と英文訳まで含めて四部発表されたところでございます。これは大変わかりやすく書かれていますので、委員会の皆様にもぜひお読みいただきたいと思います。  ここでは、要点を三つだけ御紹介させていただきます。  まず一点目です。開催地となっている海上の森は活断層の真上にあるそうです。地震の巣の上で万博をするようなものと断言されています。二点目。万博会場を三つのゾーンに分けておりますが、調査の結果、ゾーニングと生物の関係は何もなかった。何のためのゾーニングだったのか、その根拠が見られない。三点目。何本もの川沿いに気にしなくてはいけない生き物が東西に分布している。ところが、それを分断するように南北に道路二本が通る計画となっている。通常は道路もこういった場合東西に計画されるのが普通であるのに、わざわざ九十度の角度で分断するとは、一体生態系にどう考慮したのか。  以上、大きく三点を指摘しまして、この場所からの万博の完全撤退と跡地利用の見直しを求めています。なぜ、こんなに県の調査と日本自然保護協会の調査が食い違うのでしょうか。  そこで、お尋ねします。  愛知県の制度において、原則として予測評価対象とされている環境要素に地下水、生態系、安全、災害、国土保全、土地利用、地球環境等々の調査項目は入っていたのでしょうか。
  262. 田中健次

    政府委員田中健次君) 愛知県では、平成二年度から瀬戸市の南東部の丘陵についで環境の現況調査あるいは環境影響に係る調査を行っていることは承知をいたしております。  これらは、環境影響評価要綱、愛知県の要綱に基づく調査ではございませんけれども、自然環境に関する事項として地形・地質、植物、動物等が、それから公害防止に関する事項といたしまして大気汚染、水質汚濁、騒音、振動等が予測評価をされておりまして、御質問の地下水、生態系、安全、災害、国土保全、土地利用、樹林地、地球環境等の要素については予測評価されていないと、こういうふうに聞いております。
  263. 末広まきこ

    末広真樹子君 そのとおりなんです。現行のアセスメントにおける地方自治体の調査対象は、つまりピックアップ型で、ここに私持ってきましたけれども、愛知県の場合はやる項目のところ、皆さん県別で黒ぽつを入れているんですけれども、一番肝心な地下水のところはやっていないんです。そして、生態系、これもやっていないんです。まことに残念で、万博が行われる愛知県でこれでいいのかな、特に地下水、生態系なんかの重要課題をやっていないということは大問題だなと思います。  これからのアセスメントというのは、こういったばらばらの評価ではなくて自然環境を一体的にとらえて予測評価を行うことが必要であって、そのためには生態系そのものを調査対象にしなければならないと思います。また、今回の法案においても自然環境保全評価についてはこれと同様の予測評価を導入してもらいたいと思います。  この点に関する大臣の御見解をお願いいたします。——じゃ、時間ないですから、局長で。
  264. 田中健次

    政府委員田中健次君) 御指摘ありましたように、自然環境を一体的にとらえるという視点は大変重要であると認識をいたしております。本法案におきましては、環境影響評価項目等を選定するための指針は、生物の多様性の確保等を定めました環境基本法十四条各号において掲げられております事項の確保を旨として定められるものとされておるところでございます。  それで、生態系や生物の多様性そのものを調査して評価する手法というものは現時点ではまだ確立をされておりませんけれども環境庁といたしましては、できるところから取り組むということとともに、科学的知見を踏まえた手法の確立に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  265. 末広まきこ

    末広真樹子君 そうですね。民間でこれだけの調査をやるのですから、環境庁、相当頑張らなくちゃ恥ずかしいですよ。  いずれにせよ、海上の森の多様な自然はそう簡単に把握し切れるものではございません。万博アセスでは、当然これまでのデータに加えて国みずからの責任を持った徹底的な調査が必要でございます。  同時に、海上の森を一番よく知っているのは一年を通じて海上の森で自然観察会をしていらっしゃる地元の皆様でございます。どんなコンサルタントや学者よりも海上の森をよく知っています。何年にもわたる自然観察会の記録やそれを通じて地元の方々の間に生まれた海上の森の自然のすばらしさへの評価、これはアセスメントにも生かされなければいけません。  また、日本自然保護協会がかなり詳細な調査実施していることは前段で述べました。突き詰めて言えば、アセスにおいて一番大事なことは、事業者は地域住民やNGOなどにすばらしい知恵があることを認めて、謙虚にその意見やデータを取り入れていくことだと思います。愛知万博の会場構想やアセスメントにおいて地元の方々やNGOの声を最大限に尊重し、本当に世界に向かってこれが日本の自然と人との共生だよ、理想ですよと胸を張って言えるような立派な環境保全型万博とすることについて、石井長官の再度の御決意をぜひお聞かせいただきたいと思います。
  266. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 環境庁は、今後具体的な万博アセスの実施時期とかあるいは実施主体、そして手続等の詳細な面について決定をしていくわけでございますが、できるだけ通産省とも十分に協議をしていきたいというふうに思います。  そして、先ほど環境問題に対します専門的な知識を持っている方々、その方々をやはり育成していく必要があるというふうにも思いますが、そういう面については中央環境審議会答申においても「環境影響評価を支える基盤の整備」ということで指摘をされているところでもございますので、今後責務の一環として取り組まれていくものであるというふうに思います。  環境庁といたしましても、これまでアセスメントの実務者等の方々を対象にいたしまして研修をいたしましたり、調査を行うときには有用なマニュアル等の情報提供に努めてまいったところでございますので、今後もそのような人材育成、確保に積極的に取り組んでいきたいと思っております。
  267. 末広まきこ

    末広真樹子君 アセスメントの信頼性の確保は情報公開に尽きると思います。審査過程判断根拠の公表、そしてそれを国民に向かって説明する責任がございます。当然、報告書の作成に当たってはコンサルタント会社名と所在地、担当者氏名及び立案に関与した人の氏名、所属を明記して、責任の所在を開発事業者名とともに明記する必要があると思いますが、環境庁としては実行させるべく努力していかれるのでしょうか。  もう一点、だれでも世界のどこからでもアクセスできるようにインターネット等による広い情報公開と責任者名の義務づけ、この二点、ちょっと時間がなくなってきましたので、とんとんとお願いします。
  268. 田中健次

    政府委員田中健次君) アセスメントの信頼性の確保を図るということを目的にいたしまして、法案の十四条一項八号におきまして、環境影響評価の全部または一部の委託を受けた者の氏名、住所の記載を求めておるところでございます。  それから、インターネット等の情報公開でございます。アセスメントが適切に行われるためには、中原審の答申でも指摘をされておりますように、アセスメントに関する情報が体系的に整備されて、関係者がその情報を容易に入手することが可能となるよう基盤の整備をすることは重要でございます。このために、環境庁では、平成九年度から環境影響評価情報支援ネットワーク事業というのを開始いたしまして、過去の環境影響評価の事例あるいは調査等の技術的手法に関する情報をインターネットを通じて提供することも含めまして、情報提供のあり方検討に着手をしているところでございまして、これを踏まえまして、この面にも適切に対応してまいりたいと、こういうふうに考えております。
  269. 末広まきこ

    末広真樹子君 まことに前向きで結構がなと思います。  また、地方分権が進む中で地方自治体の判断と政府の判断とで結論が異なる場合が出てくるんじゃないかと思いますが、こうしたときに第三者の専門機関の存在が必要になるんじゃないかなと思うんです。今でさえ石井長官は各省庁との間で大変気苦労をなさっていらっしゃるのかなと推察されるのでございますが、この際は第三者機関の設立が望ましいんじゃないかなと。ちなみにアメリカではCEQという環境諮問委員会というのがこれに当たると思いますが、我が国においても自然保護とアセスメント制度の質的向上のためのCEQ委員会というのを総理の諮問機関として設置してはどうでしょうかというのが私の提案です。  具体的な業務としては、我が国のアセスメント制度を常に監視して、施行規則にかかわる細則を用意し、求めに応じて判断して制度改善のための勧告を行うなどの権限を与えることが望まれます。  これに関しまして、石井環境庁長官の御意見をお聞かせください。
  270. 石井道子

    国務大臣石井道子君) ただいまアメリカにおけるシステムについてお話がありましたけれども、我が国におきましては、このアセス法の運用、改善また個別案件の第三者的な立場からの審査というものは環境行政の総合的な推進を任務とする環境庁が責任を持って行うことが適当であると考えます。法案が成立をした上は、基本的事項の策定とか、また環境影響評価書についての意見提出などを通じまして、実効ある環境影響評価が行われますように、環境庁として法の運用に万全を期していきたいと思っております。
  271. 末広まきこ

    末広真樹子君 万博が開催されるかどうかということが大事なのではなくて、そのことを想定してどれだけのことが我々はできるのか、あるいはやろうとしているのか、そういうお互いの意思確認がこのアセス法案というものについて考えるときにとても大切なのだと思います。  そして、環境庁というのは、先ほどもちょっと触れましたが、所管の事業省庁にとっては何か言うと何だか目の上のたんこぶみたいに、これ以上言うと政治生命がなくなるよとかという、そういう目で見られるというのは大変つらい。そういう意味でも、第三者機関というのがあった方がいいんじゃないかなと私は感じた次第でございます。  過去、押して引き戻されまして難産だったアセスメント法に限りない力と魂が注ぎ込まれ、私たちの命のとりで、地球環境と自然保護に向けて大きな一歩を踏み出すことを願いまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  272. 有働正治

    ○有働正治君 本日は、私が予算委員会と並行審議になりまして、途中中座させていただき、各委員の発言を全部聞くことができませんでした。お許しいただきたいと思います。このため質問のダブり等がございましたらお許しいただきたいと思います。また、質問の順番を各党理事、委員の御高慮によりまして一番最後に回させていただきまして本当にありがとうございました。まずお礼申し上げます。    〔委員長退席、理事大渕絹子君着席〕  まず一つ目の問題、諌早湾の問題をめぐりまして、一、二お尋ねいたします。  一つは、諌早湾の堤防閉め切りに伴いまして調整池の水質悪化が重要な問題になっているようでありますが、環境庁としてその実態を今日的な時点でどう把握しておられるのか。COD濃度その他かなり、二倍を超すとかマスコミでも報道され始めているわけでありますが、こういう事態もあるのかを含めまして、簡潔に御説明いただきたいと思います。
  273. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 環境変化に伴いまして調整池の水質が変わってまいります。まず、私どもでは監視を徹底的にやるという方向で臨んでおります。  現況でございますけれども、瞬間風速でありますけれども、今先生御指摘ありました有機汚濁の代表的指標CODについて見ますと、過去三年ぐらいの平均値が、平均値といいますか幅がリットル当たり二ミリグラムから五ミリグラム程度でございます。先週の二ポイントでの数字が七ミリグラム・パー・リットルというふうな状況になっております。それから富栄養化の原因物質でございます窒素や燐につきましても濃度の上昇が見られるところでございます。  ただ、ちょうどまだ作業をしておりますし、塩水から淡水への移行期でもございますので、なかなか評価は難しいという状況にございます。
  274. 有働正治

    ○有働正治君 かなり高くなっていると。  そこで、環境庁、お願いですございますけれども、具体的なデータを刻々資料として御提出願いたい、そしてまた、当委員会にも、委員会所管の事案でもございますから、きっちりデータをお示しいただきたいと思うのでありますが、いかがでございましょうか。
  275. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 調査の結果のデータを速やかに公表する、その点について異存はございません。  ただ、技術的な問題、御案内のとおり、水質の検査というのは機械化をされておりませんで、サンプルをとるにしても分析をするにしても人の手と目と勘といいますか、そういうことでございますので突合に多少時間はかかりますけれども、精度化をした上でデータを公表いたしたいと思っております。  当委員会への提出等につきましては委員長の御指示に従いたいと考えております。
  276. 有働正治

    ○有働正治君 委員会委員会としてですけれども、私にもきっちりいただきたいということでございます。  それから、これは質問もあったやに聞き及んでいますけれども、けさの朝日新聞で、水門をあけていただきたいというのが全国世論調査によりますと五八%で、あけない方がよいという一二%に比べまして過半数を超えて高いという状況であります。  これは一つの世論調査でございますけれども、この水門をあげるという調査結果につきまして、一つのデータとして長官はやはり重く受けとめるべきではないかと思うわけでありますけれども、この点についての所見を求めます。
  277. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 新聞におきます世論調査の結果が出ておりまして、そのことにつきましては、環境庁といたしましては、この事業については今までも……
  278. 有働正治

    ○有働正治君 いやいや、それじゃなくて世論調査の結果についてだけでいいんです。もうそういうことはわかっていますから。
  279. 石井道子

    国務大臣石井道子君) この問題につきましては、いろいろと考え方があるかと思いますけれども環境庁立場としては、今後も環境状況変化にも十分に目配りをしながら、適切な対応を図っていく必要があると感じているところでございます。
  280. 有働正治

    ○有働正治君 私は、この世論調査で五八%、水門をあげるが三分の二近くあることについて、長官よろしいですか、このことは拝見されておられると思うんですけれども、これについてどう受けとめておられるか。世論としてこういうのがある、過半数を超えているということは私は大事じゃないかと思うので、その点についての所見、それだけで結構なんです。あとのことは今までの繰り返しなんで、そんなことを聞こうなんて毛頭思っていません。長官自身のお言葉で。事前にも連絡してあるんです。
  281. 石井道子

    国務大臣石井道子君) この数字、ちょっと私はまだ十分に分析していないのでございますが、長崎県とそうでない方とか、いろいろと調査対象になられた方の考え方が反映されているというふうに思いますが、この内容につきましては、また十分に分析する必要があるというふうに思います。
  282. 有働正治

    ○有働正治君 そんな答弁じゃ困るんですよ。    〔理事大渕絹子君退席、委員長着席〕 事前にもこういうことで御質問いたしますと御丁寧に私は申し上げた上に、それほど分析するものじゃないんですよ。それについて分析してみなくちゃ答えができないんじゃ審議のしようがないですよ。怒りたくはないけど、だんだん怒りますよ。
  283. 石井道子

    国務大臣石井道子君) この調査の結果について、見直しとか中止の要望がいろいろと自然保護団体を初めとして多くの方々からも寄せられていると。そして、その点については十分承知をしているところでございます。  これから環境庁意見の今までの実施状況とか、あるいは環境モニタリングの結果を踏まえて、これからもこの事業についての環境保全に対して必要に応じて関係機関に働きかけていきたいと思っております。
  284. 有働正治

    ○有働正治君 これだけの、つまり現地もそうなんです、全国的にもそうなんだという結果であるわけですから、今までの環境庁意見は不十分で問題ありと、根本的問題があると、私はこういう認識なんです。  だから、主権者は国民なんです。それに基づいて意思を尊重して仕事をするのが行政府の責任だと。そういう点からいって、重く受けとめて対応すべきだと思って質問しているわけであります。  それで、話を進めます。  もう一つお尋ねしたい問題は博多湾の和白干潟の問題でございます。ここに対して長官意見書を出されています。つまり、人工島の建設等々、工期十年のうち三年経過して仕事が着々と進められているわけでありますが、その意見書の概要、水質保全、下水道整備等、あるいは鳥類等の保全等、述べられている内容を簡潔に御説明くださ
  285. 田中健次

    政府委員田中健次君) 博多港内の公有水面埋め立てにつきまして、平成六年の四月八日付で、公有水面埋立法に基づきまして、運輸大臣に対しまして環境庁意見を申し述べたところでございます。  その意見の概要は、一つは、下水道の整備及び高度処理の導入を計画的かつ確実に実施をして水質の保全を図ること。二つ目が、本埋立地周辺の和白干潟とその前面海域は、希少な鳥類を含む多くの渡り鳥が飛来をいたしまして、また、多様な生物が生息する国際的に重要な湿地となっていることにかんがみ、自然環境を将来にわたり積極的に保全するための方策を講じること。埋立地の施設整備に当たっては、周辺景観との調和に配慮をすること。それから、工事由及び埋立地の利用時における環境監視を組織的、計画的に実施をするとともに、工事途中段階で環境影響評価の予測結果についてレビューを行うこと等でございます。
  286. 有働正治

    ○有働正治君 レビューを行った後、「埋立工事の工程等の変更を含め環境保全上必要な措置を講じること」ということも入っているんじゃないでしょうか。入っているかいないかだけ言ってください。肝心なところを抜かすからだめなんです。
  287. 田中健次

    政府委員田中健次君) 入っております。
  288. 有働正治

    ○有働正治君 ちゃんと大事なところは答弁してもらいたい。  建設省に聞きます。  下水道高度処理状況は万全の体制で今進行しているのでありましょうか、事実関係。
  289. 橋本健

    説明員(橋本健君) 御笠川・那珂川流域下水道に関する六市町につきましての現在の普及率は九三%でございますが、多々良川流域下水道に関しましては六町ございまして、平均普及率が一四%ということで、今後とも普及率の向上を図っていく必要があると考えております。  それから、この二つの流域下水道では、博多湾の水質保全を図るために必要な、窒素、燐の除去のための高度処理というものは現在実施されておりません。  しかしながら、一方、平成八年度に博多湾の窒素、燐に係る環境基準の類型指定がなされた、このことを受けまして、現在、福岡県当局におきまして高度処理導入についての検討を行っていると聞いておりまして、福岡県より今後の高度処理の事業化について相談があれば、建設省としても支援してまいりたいと考えております。
  290. 有働正治

    ○有働正治君 環境庁お尋ねします。  先ほど運輸省に対しての意見書を述べられた。  その意見書の内容からいって、今、建設省の進行状況から見まして意見書どおりに進行しているという認識なのか。その点まだまだ不十分と、もっと努力すべきと、そこらあたりの認識についてお尋ねします。
  291. 田中健次

    政府委員田中健次君) 私ども意見を申し上げて、平成六年七月から工事が開始されておるところでございます。  環境庁意見に対する地元自治体の対応につきましては、公共下水道、これは普及率が向上をしておりますとともに高度処理施設の整備を行っております。  それから、和白干潟とその前面海域それから埋立地の野鳥公園を含みますエコパークゾーンの整備基本計画も策定をされております。  それから、工事中の環境監視については、地元に環境モニタリング委員会ができておりまして、水質、大気、騒音、振動、海生生物、鳥類等の調査実施して、工事前と比較をして大きな変化は見られないという取りまとめ結果が出ております。  こういう状況報告を受けているところでございまして、環境庁といたしましては、地元自治体で環境庁意見を踏まえた環境対策が実施されておるというふうに現在考えておりますが、今後も確実な対応がなされていくものというふうに考えております。
  292. 有働正治

    ○有働正治君 驚くべき答弁であります。  建設省は、事実関係として、御笠川、那珂川流域の下水道、これは九三%とおっしゃいましたが、問題の高度処理はなされていないと言っているわけであります。  もう一方の多々良川流域、これは湾奥部の多々良川流域が非常に影響を受けるわけでありますが、ここで高度処理はされていると言われていますけれども、これは汚れを取るという処理にすぎないわけで、問題の窒素、燐についての高度処理は実施されているという認識でしょうか、環境庁。  実施されていないはずであります。しかも、下水道普及率は一四%だと思います、先ほどの答弁。これを確認します。確認できますか。
  293. 田中健次

    政府委員田中健次君) 私どもが報告を受けておりますのは自治体の対応でございまして、平成八年度末におきます福岡市の公共下水道の普及率は九八%というふうに順調に伸びておると、こういうことでございます。  それから、高度処理の導入につきましても、平成十二年度までに全公共下水道に導入することとして施設整備に着手をして、八年度末で四カ所の処理センターで稼働を開始しておると、こういうふうな報告を受けております。
  294. 有働正治

    ○有働正治君 それに窒素、燐などの高度処理は多々良川水系で高度処理入っていますかということを私は聞いているんですよ。一般論じゃないんですよ。答弁しなさい。そんなあなたいいかげんな自治体の報告をうのみにしているんじゃだめだよ。全くなってないよ。わからなきゃ、きちんと後で調べて報告しなさい。
  295. 田中健次

    政府委員田中健次君) 失礼しました。  私どもは自治体の方から報告を受けておったわけでございまして、先生の御指摘もございましたので、さらに精査をいたしたいと思います。失礼いたしました。
  296. 有働正治

    ○有働正治君 これは、つまり意見を言いっ放し、自治体からペーパーを、福岡市全体で九八%だから結構ですと、こんなのほほんとした報告で環境行政が務まると思いますか。水質汚染に一番影響のある、あるいは環境破壊にかかわるもの、窒素、燐だとか、もう一方の川は高度処理の見通しもないんですよ。だから長官、意見の言いっ放しでなく、局長もおっしゃられましたから、実態をつかんで、そして必要があれば意見を述べるということで対応願いたいと思うのであります。いかがですか。
  297. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 承知いたしました。
  298. 有働正治

    ○有働正治君 国設鳥獣保護区にここをするという意向が環境庁おありかと思いますけれども、その点だけ確認を求めます。
  299. 澤村宏

    政府委員(澤村宏君) 現在、環境庁におきましては、この博多湾に国設鳥獣保護区を設定することについて考え方を示しているところでございます。
  300. 有働正治

    ○有働正治君 そこで、長官、先ほど調べで必要があればというお話がございました。その中で実はこの和白干潟、これは非常に重要な干潟であります。私も何度もここは現地調査に行きましたし、クロツラヘラサギ等々、重要、希少の鳥が渡り鳥としてここを中継地に、そのほか一万羽、種類としては日本一ではないかと言われるところであります。そこに実は都市計画道路が干潟をどんと通ると。それから、その後ろの後背地も道路建設の残土捨て場等々の計画があるようなんで、こうなりますと、私は、諌早もつぶされ、和白もつぶされ、北九州の曽根もつぶされようと、熊本の八代もつぶされようという計画があるんです。日本一の干潟が残っている九州が次々につぶされて、諌早を突破口にして自然破壊が大々的に進むと。二十一世紀に向けてそういう事態が進みかねない。こういう事態でありますから、そういう問題もよくつかんできっちりと必要な協議、指導をやって、意見を述べるなどきっちりやっていただきたいということを再度長官お願いします。
  301. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 和白干潟につきましては、シギ、チドリの類を初めとする大変渡り鳥の渡来地としては重要な地域と認識をしております。そして、御指摘の都市計画道路の問題につきましては、アイランドシティ整備事業計画に含まれるものではなくて、道路自体の審査を行っていないというところでございまして、道路規模等からは環境庁関与しない案件でございます。  しかしながら、和白干潟とその前面海域が国際的にも重要な湿地となっておりますので、公有水面埋め立てに係る環境庁長官意見の中で、鳥類等の生息環境として将来にわたって積極的に保全する旨を申し述べたところでもございます。これを受けて、地方公共団体におきましても現に保全をするということを明確にしているところでありまして、御指摘の道路が和白干潟の保全に支障を及ぼさないよう適切な検討が行われるものと認識をしております。  本件につきましては、環境庁関与する立場にはありませんけれども、やはり地元公共団体の求めに応じまして、環境保全面での相談にあずかっていきたいというふうに思っております。
  302. 有働正治

    ○有働正治君 本当に驚くべき認識だということだけはよくわかりました。だから私は問題にしているのでありまして、環境庁意見の上からいっても問題ありという立場から、先ほどの実情をつかんで必要があれば意見と、私の指摘も念頭に置いて対応願いたいと。  そこで私、話を進めますけれども、問題は、環境庁はいろいろ意見は言うけれども、実際上はこの意見どおりに進んでいますと。先ほどの答弁どおりの全く驚くべき形で次々に環境破壊、自然破壊が行われる、ここにどうメスを入れるかという問題が一つあると思うんです。  そこで、これとの関係で、法案との関係で、第三十三条第二項第二号、第三号で「対象事業実施による利益」という文言が入っているわけであります。そうしますと、アセスはやるけれども意見は述べるけれども、例えば運輸省なら運輸省の事業の利益、あるいは通産省なら通産省の利益という、これが優先されて、結局いわば一種の経済との調和条項みたいにしてどんどん実際上は開発優先でいくのではないかなという市民団体、環境団体等々の強い懸念があるわけであります。  そこで、この三十三条第二項第二号、第三号についての環境庁としての基本的な見地、そういう意見についてどういう所見なのか、基本的な見地をまずお伺いします。
  303. 田中健次

    政府委員田中健次君) 法案の第三十三条、これはいわゆる横断条項と呼ばれるものでございまして、事業に関する個別法免許等審査に当たり、アセスメント審査の結果をあわせて判断をして処分すべきことを規定いたしたものでございます。これまでは行政主導でございまして、環境影響評価の結果を個別の事業法の許認可に反映できなかったということでございますが、今回この規定によりましてあわせて判断をして許認可がおりる、こういうことになったものでございます。  ところで、この免許等に関する法律規定にはさまざまな態様がございます。今申し上げました効果を、これらの規定に対しましてこの三十三条で横断的に付与するためには、この許認可等に関する法律規定のタイプに応じまして条文を書き分ける必要があるわけでございまして、法案の第三十三条第二項には一号から三号までの規定が置かれでおるところでございます。  一号につきましては、一定免許等を行う旨の基準が定められている場合でございますけれども、二号それから三号の免許の振り分けにつきましては、これは二号は一定の基準に該当している場合には免許等は行わない、こういう整理でございます。それから第三号は、免許を行うか行わないかの基準を法律で定めがないという場合でございます。一号の場合には、要件に該当すれば免許を与える、こういうことでございます。したがいまして、第二号及び第三号の「対象事業実施による利益」という表現、文言は、これは当該免許等に当たりまして、従来から考慮をされております環境以外の利益のうちで免許等を行うことによってもたらされるものを指しておるわけでございまして、この規定によりまして、こうした環境以外の利益に加えてアセスメントにより明らかになった環境への影響も考慮して免許等判断が行われることを主務大臣において求められるものでございます。  これによりまして、仮に本規定がない場合には個別法審査におきまして、この利益がより重く判断されることによって免許等が行われるようなケースにつきましても、アセスメント審査の結果が考慮されまして環境配慮が徹底されることになるわけでございます。  このように「対象事業実施による利益」、この文言を法案に位置づけましたのは、こうした対象事業実施による利益に加えまして、環境審査の結果を考慮して判断すべきことを明示する必要があったためでございます。  いずれにいたしましても、これまでの免許の要件に環境審査の結果を反映させるということで、これは免許の態様、形態が違いますので一号、二号、三号に書き分けておりますけれども、第一号の趣旨と第二号、第三号は全く同一のものでございまして、その点御理解をいただきたいと思います。
  304. 有働正治

    ○有働正治君 結論的に言いますと、免許等において環境配慮を徹底しなくちゃいけないということを明文化していると、端的にいいまして。ということでよろしいということですか、今の説明で言うと。
  305. 田中健次

    政府委員田中健次君) 免許等の要件のほかに、環境影響評価を行いましたその結果をあわせて総合的に判断して免許を与える、こういう趣旨でございます。
  306. 有働正治

    ○有働正治君 あわせて云々というと、やっぱり両方をてんびんにかけられて事業の利益ということが優先されて進行されかねないという懸念が残っていくわけです。免許等においでの環境配慮をきっちり徹底するという趣旨であることは間違いないんでしょう。
  307. 田中健次

    政府委員田中健次君) 三十三条二項の第一号のところに、法文の表現といたしましては「審査の結果を併せて判断するもの」ということになっておりますが、精神としては今言ったようなことでございます。
  308. 有働正治

    ○有働正治君 ですから、誤解を与えかねないようなそこの部分というのは私は削った方がすっきりすると。もういろいろ説明されるよりも、私はそういう懸念なきにしもあらずというのは、環境配慮ということをきっちり、しかもアセスメント法という法案ですからそのことを明記して、きっちりそれで貫き通すということが大事じゃないかということを主張しておきます。  それともう一つ環境庁として今回の法案に基づいでいろいろ意見を述べるということになるわけでありますが、問題は、その意見が本当に拘束力を持つような、そしてそれが担保されるようなものとして重みを持つかどうかと。  従来、今までだったら意見は言う、実際上は言っただけであって後は先ほどの答弁しかり、この間の実態しかりのように開発優先で、全然効力はないとは申しません、いろいろ修正されたり幾つかの点はあると。これは私も承知していますけれども、往々にして全体としてはそういうことになるわけです。問題は、環境庁長官意見が、きっちりとこのことを満たさなければ環境上問題があるから許可してはなりませんよというようなことを含めて強い拘束力を持ったものとして意見を出す。そして、そのフォローアップその他もきっちりやっていくべし、そして実効力をちゃんと担保するということが大事だと思うんですけれども、この点についての長官の所見はいかがでしょうか。
  309. 石井道子

    国務大臣石井道子君) このたびの法案の中に盛り込まれました「環境庁長官意見」につきましては、環境保全行政を総合的に推進する責任を持っている立場から述べられるものでありまして、主務大臣等に十分に重みを持って受けとめられるべきものであると考えております。  環境庁長官が述べた意見は、主務大臣等が免許等審査を行うに当たりまして十分反映され、そして仮に環境上の問題があれば免許等の拒否、または条件の付加ができることとなっておりますので、十分実効性のある仕組みとなっていると考えております。  環境庁といたしましても、適切な意見形成に努め、そして事業について、環境保全のための適正な配慮が確保されますように努めていく所存でございます。
  310. 有働正治

    ○有働正治君 最後に一点だけ。  ですから、その際、環境庁意見として、これほど大事な問題が環境上あるということを、したがってこれをもう十分考慮しなければ許可すべきでなしと、そういうことを文言としても入れるというぐらいはっきりしないと、意見は言いっ放しとなりかねないから私は心配しているわけで、そういうことを含めて対応されることを求めるわけでありますが、その点にだけ、長官。
  311. 石井道子

    国務大臣石井道子君) その点につきましては、十分に実効性のある仕組みができるというふうに思っております。
  312. 有働正治

    ○有働正治君 時間ですから、終わります。
  313. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後六時二分散会