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1997-03-27 第140回国会 参議院 環境特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年三月二十七日(木曜日)    午前九時開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         渡辺 四郎君     理 事                 狩野  安君                 成瀬 守重君                 山下 栄一君                 大渕 絹子君     委 員                 景山俊太郎君                 河本 英典君                 小山 孝雄君                 谷川 秀善君                 馳   浩君                 平田 耕一君                 山本 一太君                 足立 良平君                 常田 享詳君                 寺澤 芳男君                 長谷川 清君                 小川 勝也君                 竹村 泰子君                 有働 正治君                 末広真樹子君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  石井 道子君    政府委員        公害等調整委員        会事務局長    下野 省三君        環境庁長官官房        長        岡田 康彦君        環境庁企画調整        局長       田中 健次君        環境庁企画調整        地球環境部長   浜中 裕徳君        環境庁自然保護        局長       澤村  宏君        環境庁大気保全        局長       野村  瞭君        環境庁水質保全        局長       渡辺 好明君        厚生省生活衛生        局長       小野 昭雄君        労働省労働基準        局長       伊藤 庄平君    事務局側        第二特別調査室        長        林 五津夫君    説明員        外務省経済協力        局調査計画課長  吉田 雅治君        厚生省生活衛生        局企画課生活化        学安全対策室長  内田 康策君        厚生省生活衛生        局水道環境部環        境整備課長    三本木 徹君        農林水産省構造        改善局農政部構        造改善事業課長  井上 直聖君   本日の会議に付した案件 ○平成九年度一般会計予算内閣提出、衆議院送  付)、平成九年度特別会計予算内閣提出、衆  議院送付)、平成九年度政府関係機関予算(内  閣提出、衆議院送付)について  (総理府所管公害等調整委員会環境庁)) ○南極地域環境保護に関する法律案内閣提  出)     —————————————
  2. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) ただいまから環境特別委員会を開会いたします。  昨二十六日、予算委員会から、本日午前の半日間、平成九年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち公害等調整委員会及び環境庁について審査の委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  予算説明につきましては既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 平田耕一

    平田耕一君 自民党の平田でございます。  予算関連につきまして御質問する前に、ちょっと気になっておることがありますのでお尋ねを申し上げたいというふうに思います。  「もんじゅ」、動燃放射能漏れ事故対応のおくれというのが連続してあって、どうもなかなか抜本的な対策がないなどいう感じがしておりましたのでお尋ねをするわけなんですけれども、これは元来科学技術庁所管である、環境庁仕事ではないというふうに伺っておりますけれども、そういったことの慣習なり取り決めがあったと思いますけれども、そんな点についてちょっと御説明をいただきたいと思います。
  4. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) お答え申し上げます。  まず、私どもとのかかわりで申し上げますと、歴史的には環境庁設置当時の議論といたしまして、放射性物質については、その性質上高度の専門性を有し、原子力に関する行政を所掌する科学技術庁で一元的に処理することが望ましいとの判断があったように承知しております。  現在の法律体系の中で見てまいりますと、環境基本法第十二条におきまして、放射性物質による大気汚染等防止のための措置については、環境基本法ではなく原子力基本法核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律等関係法律で定めることが規定されておるところでございます。  一方、今申し上げました核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律に基づく内閣総理大臣権限に属する事項についての内閣総理大臣補佐科学技術庁所掌事務となっておることを初めといたしまして、原子力基本法体系のもとで行われている原子力研究、開発、利用から放射性降下物による障害の防止に至るまでの施策については科学技術庁が一貫して所掌しているものでございます。
  5. 平田耕一

    平田耕一君 法的なことを御説明いただきましたけれども、それでいきますと、実際に環境庁設置法でいけば、その四条は、職掌規定の中に、環境基本法による仕事をやると、こう書いてあるわけでありますけれども、その環境基本法の中には、放射能による大気汚染等防止ですか、十三条の規定の中にこれ明確にある。環境庁設置法の中の四条の五ですね、これは内閣総理大臣補佐する、「環境基本法に基づく内閣総理大臣権限に属する事項について内閣総理大臣補佐する」というふうに書いてあるわけであります。  先ほどおっしゃった、環境基本法の中にはもちろん放射能による大気汚染防止は「原子力基本法その他の関係法律で定めるところによる。」と書いてあるわけでありますけれども、そして、なおかつ内閣総理大臣仕事科学技術庁長官委任をされておられるわけでありますけれども、その科学技術庁長官委任をしたことと環境庁設置法の中の「内閣総理大臣補佐すること。」ということと違うんじゃないかなと私は思うんです。そして、委任された科学技術庁長官がそういった放射能漏れ等事故で対処するときにも、やっぱり補佐をするということは法律上は残っているんじゃないのかなと。  過去の経緯があって、環境庁も新しい、それからそういう機能をなかなか持ち合わせない、科技庁に一括集中してぐっとレベルを上げるという必要もあったと思いますので、過去のことはとやかく言う気はないわけでありますけれども、厳密に法律的にいきますと、環境庁がそれらのことを補佐する義務があるということは法律的に残っているんじゃないかなというふうに思うんですけれども、その辺は官房長いかがでしょうか。
  6. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) お答え申し上げます。  環境庁設置法第四条第五号におきましては、環境庁所掌事務といたしまして、「環境基本法に基づく内閣総理大臣権限に属する事項について内閣総理大臣補佐すること。」が定められておるのは先生指摘のとおりでございます。  一方、環境基本法に基づく内閣総理大臣権限と申しますのは、基本法の中で、一つには環境基本計画の案の作成、公表、これは十五条でございます。それから公害防止計画策定指示承認等、これは十七条でございます。それから中央環境審議会委員任命、これは四十二条でございます。それから公害対策会議委員任命、四十六条でございますが、等、内閣総理大臣が行うべき事務として具体的に明示がされておるところでございます。  一方、今御指摘環境基本法十三条の規定法律適用範囲を整理したものでございまして、内閣総理大臣の具体的な事務を行う権限を定めたものではございません。  したがいまして、環境庁は、放射性物質による大気汚染等防止のための措置につきまして科学技術庁補佐するという、今先生の御指摘のようなことができるというように解する余地がないものと考えております。
  7. 平田耕一

    平田耕一君 なければあれなんですけれども、ここには、大気汚染等防止措置については「原子力基本法その他の関係法律で定めるところによる。」と書いてあるわけでありまして、やっぱり及ぶんじゃないでしょうか。  そして、その原子力基本法の中には、そういった規制は別の法律によるというその法律が、核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の中で内閣総理大臣の職務がうたってあるわけなんですね。ですから、要はこの「関係法律で定めるところによる。」ということの解釈だというふうに思いますけれども、事は大変国民にとって重大な件でございます。  環境庁というのは名前からいったら何でもできるような庁でありまして、これから大変、将来は重要な省になるんだろうというように思うんですけれども、一生懸命皆さんが緑の保存や森林保護して緑を守っていく、そしてまた海岸や河川、これの環境を守っていくということに手をかけていらっしゃるわけであります。知恵を使ってお金も使って一生懸命やる。だけれども、それは環境庁仕事だけれども、そこが放射能汚染をしたら環境庁仕事ではないんだよというのも、これは本当は国民にはなかなか理解のしがたいことだろうというふうに思うんです。  それで、私は何を申し上げたいかと言いますと、なぜあんなに「もんじゅ」、動燃という事故対策対応がおくれるかというのは、彼らは、科学技術庁が、要は安全性を確認するために技術的な研究を一生懸命やる、そして安全だという前提でもってそこに設置をし運転をしておるわけなんですね。そういうことを進めなきゃならない立場人たちが、事事故が起こったときに、その事故報告はどうなるかというと、絶対マイナスサイド報告しますよね。レベル3で報告しようかなと思っても、もしかしたらレベル2かもしれないなというならば、進めようとしてきた人、またこれは安全だよと言ってきた人たちは、もしレベル2でおさまるかもしれないなという可能性があれば、絶対レベル2で報告しますよ。  きのうもたまたま地震がありました。そして、原発のあるところです。放射能漏れは検知していないという報告があったようであります、確認はしておりませんけれども。そんな場合もやっぱりマイナスサイドでやりたいし、やる立場にある人たちだと思うんですね。  エンジンを、アクセルを踏む人とブレーキを踏む人と同時にやりなさいといったって、こんなことは無理なので、やっぱりそこに連続して起こる原因があるんやないかな、構造的な問題があるんやないかな。ぜひひとつ、これは法律のことをもうちょっと厳密にお調べいただきまして、そしてこれは国民のためですから、安全対策についても、技術的な検討というのはなかなか各省でやるというのは無理ですから、科技庁でずっとやっていくにしたって、実際に事が起こったときにブレーキを踏めという指示とかある程度の踏む仕掛けまでは他省庁でやるのが望ましいのではないかなと。  そして、それはやっぱり環境庁でそういう体制を整えていただいて、きちんとした安全対策、そして事故後の処置についてもこうするんだよという、いざというときにそういう面でプラスサイドで働ける、やれる立場でおやりいただきたいなと思ってお尋ねをしたまででございますけれども官房長なり、今後そういう大きな省庁の再編なりいろいろなことがあると思いますけれども、そんな際には鋭意御検討いただきたいなというふうに思うし、どうぞひとつ御見解があればお尋ねをしたいというふうに思います。
  8. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) 先ほど来申し上げてまいりましたように、環境庁におきましては原子力安全問題の具体的権限を有していないわけではございますが、環境への影響はもちろん大きいということは我々十分認識しておりますので、今後とも大いな関心を持って見守っていきたいと思っております。  また、原子力安全に係る行政組織も含めまして、今後の行政組織あり方につきましては行政改革会議において審議をされているところでございまして、いろいろな角度から議論がなされるものだと承知しております。
  9. 平田耕一

    平田耕一君 官房長のお立場で、他省庁仕事にまで入っていくような話とか仕事範囲を変える話というのは、なかなかそれはできかねることでありまして、今のこれまでの御答弁もよく理解できるわけでありますけれども、実はそういうことは政治の分野の仕事ではないのかなと浅い経験の中で感じるのでございます。  これは本当に大事なことでありまして、思い切ってひとつ進めるべきところは石井環境庁長官政治家としての側面でいつかは御英断でぐいぐい進めていただくような立場が想像できればうれしいなと思いますけれども、御所見なり御感想なり、議論を聞いていただきまして一言お願いを申し上げたいというふうに思います。
  10. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 現行法では、環境庁としては原子力安全問題につきまして権限を持っていないということは大変残念ではあります。しかし最近、原子力発電所事故も多発をしておりまして大変その安全性が危惧されているところでございます。そういう点では、今後も、行政組織あり方についての問題でもあろうかと思いますので、今後行政改革会議において審議されるときには、環境庁としてもその会議議論を踏まえまして政府全体の取り組みの中で適切に対処していかなければならないと考えているところでございます。
  11. 平田耕一

    平田耕一君 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。  それで、次に行かせていただきますけれども、これまた他省庁に入っていくような話でございまして申しわけないんですが、林野行政林業についてやっぱり環境庁も大いにかかわりがあるだろうというふうに思うんです。そしてまた、林野行政そのものにも、林業にもいろいろな対策が講じられておるわけですが、そこに大変な行き詰まりを感じておるわけであります。  特に林業というのは、御承知のようにもう国内材が外材にほとんど太刀打ちできないような状況になっておりまして、多少の円高がもとに戻りましたところでとてもこれはうまくいかないだろうというぐらいの厳しい業種であるわけなんです。  そういう状況でありながら、実はそれらに携わるほとんどの人たちがそれらを抜本的に解決しようと思うと、いつかは環境的な見地からばっさりと何かをやっていかにゃいかぬなということを薄関係者は思っておるわけであります。  一般林業に携わっている経営者もそうでありますし、そのことを強く申し上げて、森林というのはしかし国土の中で大変重要な部分であって、実際に環境維持機能としては、公益的な機能としては大変なものがあるだろうというふうに思っておりますが、そういった評価を例えば金額みたいな杉であらわしたものがあるとすれば、ぜひ一遍御開示をいただきたいなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
  12. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) お答え申し上げます。  森林公益機能についてでございますが、平成七年度の林業白書によりますと、森林公益機能を年間約三十九兆円とした林野庁試算例が紹介されているところでございます。
  13. 平田耕一

    平田耕一君 それは多分明らかに計算できるというか、そういう機能の集積だろうというふうに思います。三十九兆円の効果があるということは大変なことでありますけれども。  片や、環境庁予算ではなくて、そういった環境保全に関する予算を概略まとめられた数字が二兆何ぼだったかあると思いますけれども、そんな中で、そういった森林機能保全にかかわる費用というのをそういう横の機能でくくった予算というものが過去二、三年でもわかるのであれば、お教えをいただきたいなというふうに思います。
  14. 田中健次

    政府委員田中健次君) ただいまお話のございました環境保全経費、これは環境保全に係る施策政府全体として効率的あるいは効果的に展開されるように、私ども環境庁見積もり方針調整を行いまして取りまとめているところでございますが、これは、今御提案をいたしております平成九年度のそうした環境保全経費が二兆八千億円でございますが、その中でのお尋ね森林保護とか育成のために費やされる予算でございますが、これはいろいろ項目がございましてなかなかその費用範囲が必ずしも明らかでございません。難しいところでございますけれども、私ども林野庁予算としていろいろ見た場合に一千五十億円程度ではないか、一千五十億円、こういうふうな判断をいたしております。
  15. 平田耕一

    平田耕一君 ぜひひとつ、三十九兆円の効果に対して、その維持保全にかけておるお金が一千五十億というその落差を強くお訴えいただきまして頑張っていただきたいなというふうに思います。  こういった観点で、環境的な側面でぜひとも林野行政そして林業につきましても、何らか抜本策は近い将来でなくても中期的に見て方策を立てられないかなとか、何かを考えることができないかなというふうに希望はいたしますが、そんな今後の環境庁としての取り組みについて御所見なりお考えがあれば、ぜひともお聞かせをいただきたいというふうに思いますけれども、どなたでも結構でございます。
  16. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 森林行政につきましては、森林法所管する林野庁が主体となって実施しているところでございます。  森林国土の六七%を占めておりまして自然環境の重要な構成要素でありますので、森林保全環境行政にとっても大変重要な課題でございます。環境庁としても、従来から自然公園において森林保全を図っているところでありますが、森林に係る行政も含めまして、今後の国の行政機関あり方については行政改革会議において調査審議されるものと認識をしております。環境庁といたしましては、同会議におきます検討を踏まえて政府全体の取り組みの中で適切に対処してまいりたいと思っております。
  17. 平田耕一

    平田耕一君 ありがとうございます。  済みません。環境庁質問が初めてですので何か変なことを質問するような気もしておるんですが、でも強烈に環境庁関係があるんやないかなと思って続けてお尋ねをします。  森林機能森林につきまして関連することでちょっと。最近、毎日杉花粉症杉花粉予報というのをテレビでされるようになりました。天気予報と同じくああいう形でやっているというのは実は国民的な大問題ではないのかなというふうに思うわけであります。その杉花粉症に実は私がもう十年ぐらい悩んでおるわけでありまして、でも決して個人的な意見ではないんですけれども杉花粉症もやっぱり森林のいろいろな政策にかかわって起こった人災みたいなところもあるというふうに思いますけれども環境庁としてこれまで取り組まれたのか、あるいは取り組まれたのであれば、その経緯と、今後の対応があればお聞かせをいただきたいなというふうに思います。
  18. 田中健次

    政府委員田中健次君) お尋ね花粉症の問題でございますけれども、これの発症メカニズムあるいは診断、治療予防方法等は未解明の点も多くございまして、研究を進める必要性につきましては私ども十分認識をしております。  こうしたことで、環境庁といたしましては、従来から動物実験実験動物を用いまして、大気汚染物質、これはディーゼルの排気微粒子でございますけれども大気汚染物質花粉症との関係解明研究をいたしておりますし、また人間の疫学調査によります花粉症の素因の調査、それから花粉症予防のための情報提供あり方検討等環境保全観点から実施をしておるところでございまして、そうしたことで動物実験からは大気汚染物質花粉症との関連につきまして示唆をする結果が得られておりますが、疫学調査からはまだ結論を得るまでには至っておりません。  そうしたことで、花粉症研究につきましては、花粉飛散状況あるいは大気汚染物質等環境要因との関係あるいは具体的な治療法等、非常に多岐にわたる問題でございます。  ということで、これは環境庁のほかに厚生省あるいは林野庁、それから気象庁、科学技術庁、それから文部省等でそれぞれ連絡をとりながら研究を進めているところでございます。今後ともこうした関係省庁との連携を図りながら積極的に調査研究を進めていきたいと、こういうふうに思っております。
  19. 平田耕一

    平田耕一君 ちょっとその御答弁をお聞きして、私は杉花粉症と言いましたけれども花粉症とおっしゃってみえるので、杉との関連がもっと具体的にはっきり認知できないと環境庁としては杉まで突っ込めないんだと、こういうお話でございましたでしょうか。
  20. 田中健次

    政府委員田中健次君) 中心杉花粉症でございますけれども、そのほかにいろんなアレルギーもございますので、杉が中心は間違いございません。
  21. 平田耕一

    平田耕一君 森林に関する項で御質問を申し上げたわけですけれども、ぜひひとつ鋭意御検討をいただいて、広範に強力に環境庁が主導でお進めをいただければありがたいというふうに思います。  次に行きます。  さて、本予算長官所信重点事項についてお尋ねをいたしたいというふうに思います。  その第一番目だったですか、地球環境対策の一層の推進を目指してというところで、本年の十二月に地球温暖化防止京都会議開催を準備しておられます。これは大変な問題であるわけでございますけれども、この開催までの経緯、あるいはその本当の問題の基本的なお考え方等ございましたら、まずお伺いをいたしたいというふうに思います。
  22. 浜中裕徳

    政府委員浜中裕徳君) お答えを申し上げます。  ただいまお話のございました十二月に京都開催を予定しております地球温暖化防止京都会議でございますが、これは気候変動枠組み条約の第三回目の締約国会議でございまして、一昨年に開催をされました第一回締約国会議におきまして西暦二〇〇〇年以降の地球温暖化対策の国際的な枠組みについて検討を開始し、そうした検討結論といたしまして、議定書またはその他の公的文書を第三回締約国会議で採択することを目指すということが決定をされたわけでございます。これを受けて、これまで既に六回の準備会合が重ねられてきているところでございます。  現在までのところ、国際的な議論といたしましては、主にまず二酸化炭素などの地球温暖化原因となります温室効果ガス排出の抑制あるいは削減のための数量目標、こうした数量目標をどの程度削減するか、そうした程度、あるいはいつまでにそうした目標を達成するかという期限の問題。それから、削減目標の定め方といたしまして、各国状況の違いを踏まえた国ごとの異なる目標とするかあるいは各国一律の目標とするかといったような点。さらに、こうした目標を達成いたしますための政策措置につきまして、これを各国の自主的な選択に任せるべきか、あるいは炭素税や自動車の燃費基準などのように国際的に協調して実施することによって効果が期待できる措置について約束をするべきなのかといったことにつきまして、各国の主張がなお分かれている状況でございます。  我が国といたしましては、昨年十二月に開催をされました五回目の準備会合におきまして、我が国として議定書に盛り込むべき要素の案について提案をいたしましたところでございます。  日本の提案は、国際的な合意が環境保全効果があり、かつ公平でしかも実行可能なものとなることが必要であるという認識のもとで、まずその目標につきましては、国全体としての総排出量について一律削減目標を採用するか、または最小限の国別の事情の違いを踏まえまして途上国にも受け入れやすい一人当たりの排出量目標を採用するか、いずれかを選択するということといたしましたほか政策措置につきましては各国を拘束せず、推奨される政策措置のリストをつくりまして、これに照らして各国の努力の成果を審査することにより、適切な政策措置の採用を促す仕組みとしているところでございます。  これまでに各国からの提案は大方出そろってきておりまして、京都会議の六カ月前でございます六月一日までに各国に配付される予定の交渉案文の内容もほぼまとまったところでございます。  今後は議定書の採択に向けて各国の本格的な外交交渉が進むこととなると見込まれておりますが、我が国といたしましては、開催国といたしまして、今後なお二回の準備会合が予定されておりますが、こうした会合のほかさまざまな機会を通じて国際的な合意が形成されるよう議論を促していきたいと、このように考えている次第でございます。
  23. 平田耕一

    平田耕一君 御答弁の中で、かなり中身までお詰めをいただいておることをお伺いいたしましたが、その中でちょっとお尋ねをいたします。  日本が提案をするということでありますけれども、その案で選択制という、結果的にはそういうことになるんだろうということでありますけれども、そうしますと、日本の場合は先進国を自負してリーダーシップを発揮していかなければならぬというふうに思うわけでありまして、かなり厳しい方の条件を自分自身が選択をしていってリーダーシップを発揮するということになるのかなとも思います。そんなことで、なかなか大変だなというような数字が各国との調整の中でもしあれば、目安としてちょっと数字をお聞かせいただきたいというふうに思います。
  24. 浜中裕徳

    政府委員浜中裕徳君) 先ほど申し上げましたとおり、各国からの提案はほぼ出そろってきているところでございますが、ただ、数量目標につきましてはこれまで具体的な数値を持った提案というのはまだ限られているところでございます。  最近、最も注目されますのは、欧州連合、EUでございますが、今月初旬にボンで開催されました六回目の準備会合におきまして、EU全体といたしまして一九九〇年の水準に比べまして一五%削減をする、これを二〇一〇年までに達成をする、こういうようなことにしたらどうだろうかという、これは京都会議に向けましての交渉上の提案といたしまして提案をしてきたところでございます。  このほか、既に地球温暖化により影響を最もこうむると考えられております小さな島国、これは太平洋あるいはインド洋、カリブ海などに多数ございますけれども、そうした国々が小島嶼国連合というものを結成しております。これが京都会議に向けましての交渉の途上でかなり早い段階におきまして、やはり一九九〇年の水準に比べまして二〇〇五年までに二〇%削減をすべきだというような提案を出しているところでございます。  これ以外につきましては、アメリカ、我が国あるいはその他の主要国につきましても、いずれもまだ具体的な提案を出すに至っていないというような状況でございます。  こうした中におきまして、先ほど申し上げましたように、我が国といたしましては一方で地球温暖化防止といった環境保全上やはり実効あるものにしていく必要があるということと、しかし国ごとの事情の違いも踏まえて公平なものである必要がある、それから同時に、それらが目標として設定されました場合に実行可能なもの、達成可能なものにしていく必要があるという三つの要件を考え方として提案しているところでございまして、こうしたものを踏まえて私どもも鋭意国際的な調整を進めていくにふさわしいような我が国なりの案を早急に検討を国内で進めてまいりたいと、このように考えているところでございます。
  25. 平田耕一

    平田耕一君 なかなか厳しい状況に結局はなってくるんだろうなというふうに思いますが、事問題は国家のみならず地球の大変重要な問題でございますので、ぜひ我が国開催の機に議長国としてのリーダーシップも見事に評価をされるような御活躍をお願い申し上げたいというふうに思います。なおかつまた、そういったいろんな中身の場面で、これは環境庁長官のいろんな政治的決断の場面というものもあろうかというふうに思いますけれども、それらについて御決意なりございましたら、お伺いをいたしたいというふうに思います。
  26. 石井道子

    国務大臣石井道子君) このたびの地球温暖化防止京都会議は、我が国開催国でありまして、議長国と目されている立場もあります。そういう点では、政治的なリーダーシップを発揮して国際合意に至るまでいろいろと調整を進めていかなければならないと思っております。  今までも、昨年来からずっと国際会議もたびたび開かれまして、各国状況ども先ほど御説明がありましたように数字なども出されている状況でもありますが、二酸化炭素排出国としては第一位がアメリカで、そして次が中国、ロシア、日本が第四位という、そういう状況でございますから、まず我が国の国内における対策を強化していく必要があるわけでございます。  そのために、各産業界、経済界も前向きに取り組んでいただいているわけでもございますけれども、やはり国民総ぐるみの運動が必要でございまして、そのための運動をこれからさらに充実していきたいというふうに思っております。  そして、この国際合意に際して積極的な決断を行えることが必要でありまして、ぜひこのようなリーダーシップをとってこの会議を成功させるためにさらに努力をいたします決意をしているところでもございます。
  27. 平田耕一

    平田耕一君 ありがとうございます。  ぜひひとつ、せっかくの機会、京都会議をとらえての国内の盛り上がりというものをうまくつくっていただきたいというふうに思います。  次に行きます。  重点策第二の環境保全型社会システムの実現の項で、これも重要な法案でありますけれども環境影響評価法案を御提出されておられますけれども、一番重要な点、どんな点をこれ法制化するんだという具体的なポイントがありましたら簡単にお教えいただきたいと思います。
  28. 田中健次

    政府委員田中健次君) お尋ね環境影響評価法案、アセス制度でございますけれども、今回の法制化に当たりましては、ことしの二月の中央環境審議会の答申に基づきまして、まず一つは重点事項といたしましては、事業のできるだけ早期の段階から外部の意見を聴取する仕組みを設けるということとともに、アセスメントも終わりまして事業実施後のフォローアップの措置を制度的に位置づけるということによりまして環境配慮の徹底を図るというのが一点でございます。それから、現行制度よりも対象とする事業を拡大するというのが二点目でございます。それから、環境基本法対応いたしまして、新たな要素を評価できるように、例えば生物多様性などのそうした要素を評価できるようにするということとともに、環境影響をできる限り回避して低減するという観点からの評価する視点を取り入れる、こういうところが従来の制度に比べまして改善をするという重点でございます。  こうした点を盛り込んだ法案を早急に国会に提出させていただきまして御審議をお願いしたいというふうに考えておる次第でございます。
  29. 平田耕一

    平田耕一君 ありがとうございます。  大変重要な法案ですので、ぜひともよろしくお願い申し上げたいんですが、例えば、私なんかは三重県の四日市出身でありまして、これは独自で大変厳しい規制を持っているわけであります。そこへ、例えば新たにそういうアセスを受けようかというような主体があれば、四日市だな、大変厳しいなという形で、これは国家の法律よりも多分厳しいだろうということで腹をくくって取りかかるわけであります。  川崎とか四日市とかそういった以外のところは、若干細かい問題になりますので恐縮なんですが、今各自治体で言っておるのは、お耳に達しているとは思いますけれども、その内容の中の第二種事業にもならなかったといった場合に、なおかつ、そういう公害で有名でないけれども、もうちょっと厳しい地方の規制を持っておるよというところは、この国のアセスで第二種事業にもならなかったということで大変やりにくくなるというようなことの配慮をひとつしてもらいたいという声が各自治体から上がっているはずでありますけれども、その辺につきましてお考えがあればお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  30. 田中健次

    政府委員田中健次君) 今お話ございましたように、多くの地方自治体におきまして、私どもが、国が閣議要綱でアセスメントをやっておりました関係もございまして、それぞれ独自の条例なり要綱でこれまで地域の環境保全のために取り組んでこられました。独自のアセスメント制度で進めてこられたところでございます。条例や要綱を合わせまして今五十一ございます。  そうしたことで、今回法律によります環境影響評価制度ができました後も、ただいまお話にございました、第二種事業にもならないような小規模な事業、それから法律の対象外の事業等につきまして、地方公共団体それぞれの立場から環境影響評価制度を定めまして地域の環境保全を図ること、これは当然そういうことで今後も進めていただきたいというふうに考えておりますし、それから法律の対象となる事業につきましても、例えば、知事意見を事業者に出しますが、その知事意見を聞く地方公共団体における手続に、知事意見の形成に当たって専門家から成る審査会を設けて意見を聞くとか、そういう地方公共団体における手続を条例等で定めることは私どもとしても認めていきたいというふうに考えておりまして、そうしたことで、地方のこれまでやってきたことなんかを当然阻害することのないように配慮して法案を取りまとめていきたいというふうに考えております。  私どもとしては、法案の中身は、これまで地方自治体が先進的に実施をされました制度あるいは内容、運用実態等を踏まえた充実した制度にする所存でございまして、今申し上げましたように、地方の制度との関係もバランスをとりながら、法制化によります。その地域における環境保全取り組みが後退しないように、そうしたことに配慮しながら法律をつくって提出したいと、こういうふうに考えております。
  31. 平田耕一

    平田耕一君 ありがとうございます。  これは大変重要なことだろうというふうに思いますので、継続して、また法案成立後もよくその辺をウォッチしていただいて、また、手直しの必要があればどんどん深化していってこれをいい法律にしていただければと思っております。  次に行きます。  重点第三でありますけれども環境保全活動の中で、地球環境パートナーシッププラザを昨年十月に設置されたということでありますけれども、その後の実績と今後の抱負でもございましたら簡単にひとつお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  32. 田中健次

    政府委員田中健次君) お話ございましたように、持続可能な社会の実現に向けまして、行政あるいは企業、市民等が、あらゆる主体がパートナーシップのもとに環境保全に取り組む、その重要性は一九九二年の地球サミットのリオ宣言においてもうたわれておりまして、また環境基本計画におきましても長期目標の一つとなっているところでございます。  そういうことで、今お話ございましたように昨年の十月に、これは国連大学との共同事業ということで地球環境パートナーシッププラザを設立いたしました。これまで、およそ一千の団体につきましての環境保全に向けた取り組みに関する資料の収集とか展示をいたしております。それから、地球温暖化資料室というのを設けまして、国内外の気候変動に関する広範な資料の収集あるいは展示を行っております。それから、地球温暖化とNGOの役割をテーマにした国際シンポジウムも開催をいたしました。それから、地方自治体に環境学習センターというのがございますけれども、そうしたところとのネットワークの構築も進めております。こうしたことで各種の事業を実施いたしまして、これまでに延べおよそ五千人の方が来館をされております。  こうしたことで、今後とも全国的に、さらには国際的なパートナーシップの形成を図るためにいろんな施策を強化していきたいと、こういうふうに思っております。
  33. 平田耕一

    平田耕一君 質問した後で、五千人と聞いて、ああ自分は五千人の中に入っていないなと思って反省しておりますので、また行って見できます。  次に行きますが、重点第四は自然との共生ということでありますけれども、これちょっと具体的に自分の地元で熊野灘に面する七里御浜というのがございまして、三重県でございますけれども、ウミガメの産卵で有名な砂浜があるわけでございますけれども、非常に浸食をされておって、だんだん海岸が減っていくわけですね。大変重要な問題だなと思って気にしておりまして、こういう例は各所でたくさんあるんだろうというふうに思いますけれども、海岸の保全につきまして現状のお考えなり対策なり、簡略にお聞かせいただければありがたいというふうに思います。
  34. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 砂浜海岸につきましては、多様な生物が生息する場を提供するわけでございまして、また、自然体験や自然学習の場としても広く活用されている貴重な自然であると思っております。  自然環境保全基礎調査によりますと、砂浜海岸を含む自然海岸は、最近の十五年間で約五%程度減少しております。その保全については重要な課題であると考えているところでございます。  環境庁といたしましては、関係省庁や地方公共団体と連携を図りながら、自然公園制度の適切な運用によって砂浜の適切な保全に努めてまいる所存でございます。
  35. 平田耕一

    平田耕一君 そうしますと、自然公園制度と、こういうことでございますけれども、それは環境庁唯一の公共事業であるわけでありますけれども、それが平成九年度は百二十八億円、これは前年比でいけば一一〇%でございますけれども、国全体でいけば公共事業費の〇・一三%という本当にわずかでございまして、先ほど申し上げたような大変重要でありかつ緊急を要するそういう大きなことにはなかなかこれでは取り組めないかなというふうに思いますので、頑張っていただきたいという意味を込めて御見解をお尋ねしたいと思います。
  36. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 自然公園等の事業費につきましては、平成六年度から公共事業関係費に位置づけられました。そして、環境基本計画の柱の一つであります自然と人間との共生を実現するために重要な経費として考えられているところでございます。  自然公園等の事業予算につきましては、必要な経費を確保するために平成九年度予算案でも一〇%増の額を計上したところでございますが、大自然の中での自然との共生を体験するための新たな事業としてふれあい自然塾整備事業を盛り込んでおります。  今後とも、自然公園等の事業の推進を図りまして、自然環境保全や自然との触れ合いの実現に努めていく所存でございます。
  37. 平田耕一

    平田耕一君 よろしくお願いいたします。  同じく自然との共生でございますが、これも三重県の英虞湾というのがございまして、これは大変な閉鎖性水域の水産養殖の汚染、海底汚染、汚濁による水質汚濁の問題に直面をしているわけでございまして、これをちょっと自分も気にしていろいろ話を聞いてみますと、水産庁とかいろんなことの縦割り行政の中の弊害でもって、どんな形で研究に着手する、そしてどうやって対策を立てるというのは、どうも省庁のはざまになって、大変重要な問題でありながらなかなか動きにならないという感じがしておりますので、そのことについて御見解を賜りたいなというふうに思います。
  38. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 御指摘の英虞湾も含めまして、内湾というのは閉鎖性海域ということで、水の滞留性が高いために汚濁物質が蓄積をしやすいという特徴を持っていますし、富栄養化の問題も生じてきております。ほかの海域と比べて違ったやはり手法が必要なんだろうというふうに思います。  このために、閉鎖性海域につきましては平成五年から特に窒素と燐の環境基準を設定いたしまして、その達成を図るために、非常に多様な発生源がございますので、それぞれに応じた各般の施策を総合的に講ずるというふうにしてきているところでございます。  とりわけこの問題、今先生指摘ありましたように、縦割りの弊害というのを避けるために、平成五年の八月に関係省庁が合意をいたしまして、統一的な意思確認をした上で対策に乗り出してきております。とりわけ英虞湾、養殖漁業の盛んなところでございます。養殖による水質の汚濁というのは魚類と海藻類あるいは貝類とでは大分差があるわけでございますけれども、この養殖漁場の底質の改善対策もこうした閉鎖性海域の対策の一環として推進をしてきております。  水産庁ともお話をいたしまして、例えばえさについては、配合飼料が使えればそうした汚濁の少ないえさにできるだけ切りかえていただく、それからえさの星もできるだけ効率的に減らしていただく、それから養殖の密度を低くする、さらにはできるだけ沖出しをして地先の海が汚れないような形にするというふうな、飼養の方の点での対策。あるいはたまってしまいましたヘドロにつきましてはそれをしゅんせつする、場合によると砂をかけてそれが浮上しないようにするというふうな対策も講じてきているところでございます。  地元三重県では、平成九年度から平成十一年度にかけまして環境改善の計画策定調査を実施するということになっておりますので、私どもといたしましては、こうした計画策定調査の結果が効果的に事業に結びつくように、関係省庁や地方公共団体とも連携をしながら、総合的な施策推進に支援をしていきたいというふうに考えております。
  39. 平田耕一

    平田耕一君 ありがとうございます。  何か三重県のことだけで環境庁仕事を全部賄えるんじゃないかなというふうに思うくらい、実はいいところでありながら、四日市に始まって七里御浜、そして英虞湾、そして最後の質問でありますけれども、きわめつきが長良川河口堰でありまして、これは実は三重県であります。  余り多くは申し上げませんけれども、先日の報道で、ゲートを上げた途端に対岸の、あれは常滑というんですけれども、そこら辺のノリ養殖が全滅したみたいなことで、いや、それは関係ないんだと言ったりしているんですけれども、なかなかこれは難しい問題だと思いますが、長官も見に行かれたというふうに伺っておりますけれども、簡単に御見解なり今後の取り組みとお考えがおありでしたら最後にお聞かせをいただきまして、質問を終わりたいというふうに思います。
  40. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 今先生から御指摘ありました報道に私ども接しまして、実情について建設省にも問い合わせをいたしました。  その被害が生じたという十二月の六日に確かにアンダーフローが実施をされておりまして、そのときの水質がどうだったかということも客観的なデータとしてつかんでおります。  環境庁からも建設省に対していろいろ申し入れをした結果、あの地域にはかなり客観的かつ高度な水質測定体制が整っておりまして、シラベールシステムと言うんですが、河口堰の下の方にもそれが設置をされております。  当日のデータでは、木曽川なり揖斐川本流の水質の汚濁の状況に比べて、河口堰下流の水質は五分の一ないしは十分の一ということで、水質面では確かに客観的に見て直接の関係が立証されないような状況にございます。ただ、こうした人工工作物をああいうところに建てているわけでございますので、まだまだはかり知れない問題もございますから、こうした状況が出れば必ずそれについて原因調査をする、それから入手をしたデータについては極力公開をしていくという方向で、いろいろとこれから先もモニタリングを実施し、私どもも注意深く見守ってまいりたいというふうに考えております。
  41. 平田耕一

    平田耕一君 ありがとうございました。  質問を終わりますけれども、実際、長良川の河口ではカレイがたくさん釣れたんですけれども、もう近年全然釣れなくなりましたので、そのことだけ申し上げて質問を終わりたいと思います。
  42. 山下栄一

    ○山下栄一君 平成会の山下でございます。  きょうは、ダイオキシンの汚染問題、あと先ほども質問で出てまいりましたが、地球温暖化防止にかかわる京都会議に向けての取り組み、この二つの問題を中心質問させていただきたいと思います。  それで、厚生省の方、労働省の方にも来ていただいておりますでしょうか。お忙しいところ、大変ありがとうございます。  ダイオキシンの特殊性といいますか、これが日本でも一九八〇年代からごみの焼却場を中心にしまして発生してきていると。その人体への影響等が非常に心配されてきたわけでございます、もう十五、六年にもなるわけでございますが。ベトナム戦争の枯れ葉剤の中にもダイオキシンが入っていて、その影響がベトナムの住民それから子供、そしてまたアメリカの兵隊さんにもその人体への影響が出ておるというふうなことで、大変有名になったわけでございます。  ところが、毒性がどれだけ大変な影響を与えるのかというふうなことがいろいろと発表されているんですけれども、何か研究もまだ途中なのかなというふうなことを感じております用地上最強の猛毒化学物質サリンの二倍、それからDDTの百万倍とかそんなことも言われておるわけでございますけれども、そんな中で、じゃ日本でそのダイオキシン類の発生状況といいますか大気や水や土壌やそんなところにどれぐらいまき散らされているんだと。河川、海の汚染というふうなことが厚生省環境庁その他で進んでおるわけでございますけれども、この実態調査なんですけれども、これについてちょっと質問したいと思います。  それで、ダイオキシンの発生は、廃棄物を燃やして、燃やした結果出てくる、発生するという、量的にはこれが一割から九割を占めておるというふうなことが、権威ある厚生省環境庁検討中心的な仕事をされている方の発表でされておるわけでございます。ごみの焼却によってそれがもう大半なんだと、こういうことでございますけれども、これについて、だから余りごみを燃やしたらまずいのと違うかという、ごみの燃やし方、燃やす施設の技術的なものもちゃんとチェックしないと大変なことになるんじゃないかなということになっていくわけですけれども、ダイオキシンの発生の大半がごみの焼却であるならば、これは厚生省、これについてどのように今認識し、取り組まれておるかということをお聞きしたいと思います。
  43. 小野昭雄

    政府委員(小野昭雄君) 我が国のダイオキシンの発生源につきましては、その約八割がごみ焼却に由来するというふうに言われているところでございまして、ごみ焼却施設からのダイオキシン類の排出削減というのは、先生指摘のとおり、緊急の課題であるというふうに認識をしておりますし、そのことが国民の健康に及ぼす影響につきましても十分な配慮を払う必要があるというふうに認識をいたしているところでございます。  このため、厚生省といたしましては、平成八年の七月に市町村に対しまして、ごみ焼却施設からのダイオキシン類の排出実態についての調査指示いたしますとともに、平成九年の一月に「ごみ処理に係るダイオキシン類発生防止等ガイドライン」というのを策定いたしまして、具体的なダイオキシン類の発生防止対策を推進することとしておるところでございます。  このガイドラインにおきましては、新設の焼却炉におきましては欧米諸国並みの基準を設定してその達成を求めているほかに、既設の焼却炉につきましては施設の改良を含みます恒久的な対策を推進いたしますとともに、一定の施設につきましては、緊急対策といたしまして、燃焼管理の徹底、あるいは施設の休廃止等の対策を講じるよう求めているところでございます。今後、都道府県を通じまして、市町村の実情を十分勘案しながら適正な対策を推進してまいりたいと考えているところでございます。
  44. 山下栄一

    ○山下栄一君 今、焼却炉にかかわる発生状況の実態調査、これは自治体を通して全国の一定規模以上の焼却炉について調査をしつつある、全部はまだ集まっていないと、こういうことだと思います。それ以外に、例えば食品に関する安全基準を設けるための事前の調査、これはどうなっていますか。
  45. 小野昭雄

    政府委員(小野昭雄君) 食品中のダイオキシン類の汚染実態につきましては、平成四年度から、食品中のダイオキシン汚染実態調査研究班を設置いたしまして、魚介類等の調査を実施してきたところでございます。その結果、2・3・7・8TCDDに換算されますダイオキシン類が二百五十試料中七十四試料で検出をされましたが、検出頻度を勘案いたしまして、最大濃度ですべての魚介類が汚染されているというふうに仮定をいたしましても、魚介類からのダイオキシン類の一日摂取量は五ピコグラムでございまして、TDIであります十ピコグラムを下回ることから、食品衛生上問題はないというふうに考えております。  なお、引き続き魚介類を含め食品全体のダイオキシン類の汚染実態について調査を行っているところでございまして、その結果を踏まえまして、食品衛生上の対策必要性につきまして、食品衛生調査会の御意見等も踏まえながら対処をしてまいりたいと考えております。
  46. 山下栄一

    ○山下栄一君 これは基準、何かあるようでないようでというような感じがすると思う。一応それは、難しい数字が今出てまいりましたですけれども、要するに、体内にどれだけの量のダイオキシンが入ったら影響が出始めるのかなというふうな基準が今十ピコグラムとかいう話が、耐容一日摂取量ですかTDIという、これもADIとか基準があるようなんでございますけれども、だけれどもそれもまだ調査の段階。とりあえず十ピコグラムというふうな、体重一キログラム・一日摂取量ということなんですけれども、じゃ、それが本当にそれで大丈夫なのかというふうなこと。十まで行っていなくて五やからええんじゃないかというふうなことを今ちょっとおっしゃったような気がします。これからも調査会の科学的知見の進行状況によってはまだ変わる可能性もあるというふうなことをちらっとおっしゃったような気もしますけれども。  僕はこの実態調査、とにかくどれだけ日本の国は、日本の中に住んでいる人間はダイオキシンで汚れているのやという、それをきちんとやっぱり調査するということ。そして、日本も世界的な環境先進国というのやったら、ヨーロッパとかアメリカの先進国で設けられている基準、その摂取量とか、また廃棄物から出てくる、ごみを燃やした処理施設から出てくる基準の値そのものもやはりヨーロッパ並みにやらないかぬのではないかなと思うわけでございまして、実態調査をやっても、何か知らぬけれども、結果的にはまだ問題ない程度です、これからも続けていきますというふうなこと、あらゆる調査で出てくるわけですよ。  何で大丈夫なんですかと。基準そのものははっきりしていませんよ、ヨーロッパの水準よりも低いですよ、低いというか甘いですよと、こうなってきたら何か余り根拠のないことを言っているような気がするわけです。実態調査をきちっとやってほしい、こういうことでございます。  それで、焼却施設の実態調査なんですけれども、これは去年の七月から、まだまだ途中なんですが、千八百五十四の全国自治体のごみ焼却施設、大型やと思いますけれども、小型は多分入っていない。そのうち、自治体所有の中でも、とりあえず七百五、全焼却施設じゃないけれども、千八百五十四のうち七百五施設しか調査の結果が出ていない、こういうことでございます。  そして、自治体に調査をやらすわけですね。厚生省はやっていないわけで、自治体が自分の予算調査するわけです。このダイオキシンの調査というのは非常に金がかかるということでございますけれども、自治体はそんなノウハウはないからどこかに委託するわけです。その委託された方も忙しいから、体制的にも弱いからそんなどんどんできるわけはないということもあって、なかなか結果は出てこないのかなと思いますし、自治体も自分の金でやるわけやからどうしても強制的にやれというわけにもいかぬというようなことで、なかなか集まらぬというふうな状況やと思うんですね。  これは完璧に、千八百五十四施設が全部ダイオキシンの実態調査報告が出てくる状態になるんでしょうかこれをまず。
  47. 小野昭雄

    政府委員(小野昭雄君) 昨年の七月に全国の市町村に対しましてごみ焼却施設のダイオキシンの排出濃度を測定するよう指示をしたところでございまして、本年一月に出しましたガイドラインの策定に合わせまして、その時点までに報告されたものにつきましての結果は取りまとめ、概要を公表しているところでございます。その後、測定がおくれました市町村からの報告が現在も届いておりますので、厚生省といたしまして、今年度末までに報告をされましたものを含め、再度取りまとめることといたしているところでございます。  なお、取りまとめに当たりましては、データのチェックあるいは解析というふうなことが必要でございますので、公表までには多少の時間が必要かというふうに考えております。
  48. 山下栄一

    ○山下栄一君 それで、調査方法なんですけれども、もちろん自治体に調査方法を指示したと思いますけれども、このダイオキシンというのは三百度、燃焼温度ですけれども、ごみの燃やす温度、三百度ぐらいのときが一番よく出てくると。燃やし始め、燃やし終わりにどっさり出てくるという、そういうことだそうですけれども、一番燃え盛っているときというのは余り出てこない。ところが、調査するときに、一番燃えているとき、燃えている時間四時間の平均値で出せ、こういう指示を自治体にやっていると聞いておりますけれども、これは事実でしょうか。
  49. 小野昭雄

    政府委員(小野昭雄君) 今回の調査におきましては、焼却炉の立ち上げ時を除きましてサンプリングを行っているところでございます。これは、立ち上げ時におきましては燃焼状態や排ガス量が不安定でございまして、的確なサンプリングが困難でありますこと、あるいはダイオキシン濃度が変動しやすいためにデータの評価が難しいためでございます。  なお、立ち上げ時におきましてダイオキシン類の濃度が高くなることがありますので、今後はできるだけ二十四時間運転に変更いたしますとともに、間欠運転の場合であっても立ち上げ時間の短縮を図るということが必要でございます。  これらの対策につきましては、ガイドラインに示されておりますので、これをもとにいたしまして市町村を指導しているところでございます。
  50. 山下栄一

    ○山下栄一君 余りよくわかりませんけれども、とにかく一番出ない状態で検査しても意味はないということを僕は申し上げているわけですよ。  それで、公表ですけれども、これはどんな公表をするのか。先ほど、一回目の中間発表をしたと、今年度末をめどに全部集まった段階でまた報告するということですけれども、公表はどんなことを公表するんですか。
  51. 小野昭雄

    政府委員(小野昭雄君) 公表の中身につきましては現在細部を検討中でございますが、ダイオキシンの濃度の分布あるいは処理能力とダイオキシン濃度の関係、あるいはその処理実態とダイオキシン濃度の関係等々につきまして検討いたしまして、できるだけ的確な情報を提供したいというふうに考えているところでございます。
  52. 山下栄一

    ○山下栄一君 的確な情報というのは難しいんだと思いますけれども、これは国民の健康にかかわる大変なことでございますので、非常に甘い方法でやる調査ではあるけれども、公表は詳しくやっていただきたい。  それから、小型の焼却炉、大型焼却炉でない小型焼却炉、自治体所有であるけれども、そういう小型焼却炉についてはまだ余り調査されていないということ。それから、公立の学校とか病院とか公民館等の公共施設、そういうところではとにかくちっちゃな簡易型の焼却炉でどんどん燃やしている。だけれども、それは規制の対象になっていない焼却炉ですから非常にダイオキシンの大量の発生が考えられる。こういうところについても、簡易型の焼却炉であればあるほどきちっとやっぱり僕は調査せないかぬと思うんです。  全部調査せいとは言いませんけれども、抽出で結構ですけれども、こういうことをやるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  53. 小野昭雄

    政府委員(小野昭雄君) 御指摘のように、焼却炉にはさまざまな大きさのものがございますが、それらの中でも市町村が設置をいたしますごみ焼却施設によって処理されるごみの量が一番多いわけでございます。そういう意味から申しますとダイオキシンの発生源としての主要な部分を占めていると言われているわけでございまして、優先的にその対策を講ずるべきと考えているわけでございます。  そういう観点から、先ほどから申し上げておりますように、市町村の設置いたしますごみ焼却施設を対象といたしましてダイオキシン発生防止のためのガイドラインを策定いたしまして、市町村を指導しているところでございます。  なお、こういった状況、あるいはそのダイオキシンの排出実態あるいはその施設の運転の状況等の詳細な検討を踏まえました上で、御指摘のような小規模な焼却炉につきましても、どういった対応が必要かということにつきましては検討してまいりたいと考えているところでございます。
  54. 山下栄一

    ○山下栄一君 産業廃棄物の処理施設、焼却施設ですね、これについても私はぜひ、とにかく焼却施設については燃やしてダイオキシンが発生する率がほとんどであるということなんですから、網羅的に実態調査すべきであると思うわけです。自治体の大型の焼却施設はもう当然のことでございますけれども、先ほど申し上げた学校、病院等、そういう簡易型の焼却施設を持っているところ、それから産業廃棄物の焼却施設ですね、これについてはどうでしょうか。
  55. 小野昭雄

    政府委員(小野昭雄君) 廃棄物は大きく分けて、一般廃棄物いわゆる家庭ごみと産業廃棄物に分類されるわけでございますが、産業廃棄物の年間の焼却量につきまして、平成五年度ベースで見ますと八百二十万トンでございまして、一般廃棄物の焼却量のおよそ五分の一でございます。また、産業廃棄物の焼却の場合には比較的均一な状態で焼却をされる。いわゆる一般廃棄物の場合には雑多なものがいろいろまじっているわけでございます。これを焼却するわけでございますが、それに比べまして産業廃棄物は比較的均一な状態で焼却をされるというふうなことのために、ダイオキシンの発生量は一般廃棄物の焼却に比べまして少ないというふうに言われているわけでございます。  しかしながら、焼却をされます産業廃棄物の種類、あるいは御指摘のございました燃焼状態等によりましては、一般の廃棄物と同様にダイオキシンの発生の可能性が考えられるわけでございまして、産業廃棄物の焼却施設につきましても同様に適正な燃焼管理等を図りましてダイオキシンの低減対策が図られる必要があるというふうに考えております。そのために、産業廃棄物処理施設から排出されますダイオキシンにつきまして知見の収集に努めているところでございますし、また現在、生活環境審議会の廃棄物処理基準等専門委員会におきましても、その処理基準の中で検討をお願いしているところでございまして、これらの結果を踏まえまして適正な対処を図ってまいりたいと考えております。
  56. 山下栄一

    ○山下栄一君 次に環境庁にちょっとお聞きしたいと思いますが、その前にちょっと厚生省にあれですけれども、ごみを燃やすことによって処理するという、埋める、燃やすと。日本の場合は、またリサイクルするとかいろいろあると思いますけれども、焼却の、ごみを燃やす比率が日本は非常に高い、こういうふうに言われているわけでございますけれども一般固形廃棄物の焼却率は七五%だと、燃やす率が。これは先進国では一番高いというふうに言われているわけでございますけれども、この辺についても私は、ごみの減量は当然ですけれども、焼却そのものを少なくする努力、リサイクルもその努力かもわかりませんけれども、こういうことをやっぱり全力を挙げてやる必要があるのではないかということを申し上げておきたいと思います。  環境庁調査活動でございますが、環境庁調査活動についても私いろいろと注文したいことがあるんですけれども、現在どのような形でやってこられ、やっておられるかということをちょっとお聞きしたいと思います。
  57. 田中健次

    政府委員田中健次君) 環境庁におきましては、これまでの調査でございますが、一般環境調査といたしまして海の底、底質とそれから魚類や貝類等の生物におきますダイオキシンの残留性の調査を、これは昭和六十年度から毎年実施をいたしております。また、大気のモニタリング調査につきましても、六十一年度から隔年で実施をしてきております。それから発生源調査といたしまして、昭和五十九年度とそれから平成五年度から毎年廃棄物の焼却施設の調査をやっております。それから平成二年度に紙パルプ工場、また平成七年度には廃棄物の不法投棄場所といたしまして豊島周辺環境におきますダイオキシン類の調査を実施してきたところでございます。  これらの調査によりますと、環境中のダイオキシン濃度は近年大きな変化はございませんが、各地で広範囲に検出をされるようになってきておりまして、そうしたことで今後とも引き続き汚染状況の推移を監視していく必要があるというふうに考えております。
  58. 山下栄一

    ○山下栄一君 一般環境調査なんですけれども、私、平成七年度の非意図的生成化学物質汚染実態追跡調査結果の概要という書類をいただいているんですけれども、非意図的生成化学物質、だから意図しないのに勝手に出てきよったというダイオキシンなんです。その調査地点で具体的に数字、濃度が書いてあるんですけれども、これについても大きな影響を与えるような程度じゃないという評価なんですけれども、そうじゃないと思うんです、これを見たら。  例えば、大阪湾ではこれは七・五ピコグラムという、これは先ほどおっしゃった2・3・7・8TCDD当量、それは一番もう毒性の強い、ダイオキシンにもいろんな種類があるから、そういう一番毒性の強いダイオキシンに換算した濃度なんですね。これが大阪湾で七・五ピコグラムも魚介類から出ておると。これは先ほどおっしゃった、人間の体内に許容できる量は環境庁の基準では五ピコグラムという、それより多いわけですよ、これ。厚生省の方はちょっと緩くて十ピコグラムですか、その前、一応検討会で基準を出していることから申し上げているんですけれどもね。その基準に照らしても、これは環境庁の基準よりもオーバーしている。  それから河川の、これは一般環境調査で河川をやっているんです。河川でいうと、特に信濃川なんてこれは二十四ピコグラムやから、これ。それから利根川もこれ大変レベル高いと。霞ヶ浦も四十四ピコグラム、諏訪湖も三十六ピコグラム。物すごく多いわけですよ、これ。こういうところは集中的に僕は、いっぱいそれは全国たくさんやらないかぬけれども、多いところをやっぱりずっと続けて調査し、集中的にやる必要がある。魚介類から出ているやつとか、川の底、海の底、あるいは湖の底ですか、そういうところの濃度ですよ、これ。大変なレベルであると思うんですけれども、これはどうですか。
  59. 田中健次

    政府委員田中健次君) 先ほど申し上げましたように、毎年その調査を続けております。  先生今、大阪湾のお話の数字がございましたが、かなり大阪湾でも奥の汚染の進んでいるところの魚介類だと思います。数字はそういう数字でございまして、これが直ちに食品として市場に出ているかどうかというところは疑問でございますけれども、私どもといたしましてはそういう汚れの目立つようなところを調査しておりますけれども、そうしたことで引き続き調査を、追跡をしていきたいと、こういうふうに思っております。
  60. 山下栄一

    ○山下栄一君 だから、毎年やっておられるわけですけれども、僕はこれは大阪湾の場合は魚介類も、海の底も非常にこれレベルが高いんだという認識を持って、問題ないことないわけですよ、これ。それから、先ほど申し上げた河川、信濃川とか利根川の川の底のところ、湖では霞ヶ浦、諏訪湖、レベルが高いという認識を持ってもらいたい。そこが問題だということは、その辺の周辺の住民の影響は大変大きいのではないかというふうに考えないかぬと、私も大阪ですけれども、ということになるんではないかと思うんです。問題ないことはないということ。  それから、発生源別の話ですけれども、廃棄物施設でもやっているという話だったけれども、これは産業廃棄物の周辺というか、関連する大気汚染の発生、そこも調べているはずだと思うんですね。それから最終処分場、これについては毎年やっているんでしょうか。また、これからも毎年やるんでしょうか。それをお聞きしたいと思います。
  61. 野村瞭

    政府委員(野村瞭君) ダイオキシンの発生源としては、産業廃棄物施設もあるわけでございますが、私ども産業廃棄物の排出口における調査もいたしておりまして、最近では平成五年から継続的に調査をいたしておるところでございます。  特に、私ども昨年から、環境保全立場から、これは産業廃棄物だけではございませんけれども排出抑制をいかにすべきかという観点から発生施設に係る実態調査をいたしておりまして、これに基づきまして排出抑制の規制も含めて検討いたしておるところでございます。したがいまして、産業廃棄物につきましてもそのための調査の一環としてやっておりますし、今後とも引き続き調査をしていく考えでございます。
  62. 山下栄一

    ○山下栄一君 産業廃棄物は平成五年から毎年やるし、これからもやるんだと、二十八カ所ですか幾つか箇所を決めて。最終処分場もやる、やっているし、これからも毎年やると。こういうことでよろしいですか。やっていくんですか。——これ厚生省と違いますよ、環境庁ですよ、僕が言っているのは。ちょっとおかしいですか。済みません。  発生源別の、環境庁調査の話をしているんですよ、僕は今。環境庁調査活動をしっかりやってもらいたいということを言っているんです。  一般環境調査はわかりましたよ。だから、魚とか海と川と湖、それから大気中の未規制大気汚染物質調査をやっている、これはわかりました。ですから、発生源別の話をしているんです。煙突の方は一般ごみの方も産廃もやっているというから、産廃も毎年やるやつ、これもこれからもやってくださいよと。最終処分場もやっているし、これからもやるんですかということを聞いているわけです。
  63. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 済みません、最終処分場が両省庁にまたがっているものですから、今ちょっと打ち合わせをいたしておりまして。  実は、昭和五十九年度に最終処分場二施設につきましてダイオキシンの調査を実施したことがございます。その際、2・3・7・8TCDDにつきましては検出されていないという結果がございましたので、その後対象にこれを絞り込んでやったという状況はないんですが、今先生から御指摘もいただきましたので、ちょっと今後どうするかということを両省庁でよく話をした上で臨みたいと思っております。
  64. 山下栄一

    ○山下栄一君 昭和五十九年に一回やって、問題がなかったからやっていないんです、これは。——いやいや、そうおっしゃった。そう聞いております。それが問題だと。だから、発生源別の中で最終処分場は焼却灰があるわけだから、焼却灰を埋めるわけでしょう。焼却灰からダイオキシンが発生する可能性が極めて高いわけです。  これは、例えば所沢周辺、問題になっている、あの辺の雑木林はほとんど枯れているという、これはもう半径五百メートルの中に十五だったかな、産廃焼却施設があるわけですよ。もうあの辺の人たちは、そこで生まれる赤ちゃん、死亡率がほかの県の死亡率よりも高い、二倍近いというようなことも言われているわけでございまして、後から申しますけれども。  それから日の出町、東京に日の出町というところがあるらしいですね、私は行ったことがないけれども、そこも大変大きな問題になっているんですよ、これ、最終処分場だったと思いますけれども。  だから、昭和五十九年にやったから、問題なかったからというんじゃなくて、これはもうしっかりやっていただきたい。検討するんじゃなくて、本当に検討してやっていただきたいと思います。これは継続調査しないと意味がないというふうに思うわけです。  それから、地域を特化して私はやるべきこともあるのではないか。これは環境庁というよりも県に、県と相談してやらないかぬかもわかりませんけれども、例えば先ほど申し上げた所沢周辺というのは埼玉県、環境庁長官の御出身の県だと思いますので、特に力を入れてやっていただきたいと思うわけでございますけれども、それから茨城の方も大変に心配な状況があるということを聞いております。それから、豊島もやったとさっき聞きましたけれども、豊島も五カ所、八百万かけてやったと。それは、だけれども、ある部分については高い濃度も示しているわけでございまして、これも継続調査せないかぬ。阪神大震災の野焼き、建築廃材、これももう三十万トン近く野焼きをやっているわけですよ。あの辺の河川とかそれからあの近くの海、人体への影響とかこれはやっぱりきちっとそういう心配なところについては集中的にやれば、環境庁、全然意識が変わると僕は思うんです。  それは全国網羅的にやらないかぬけれども、特に問題が指摘されているところについては県と連携して、場合によっては予算も援助しながら、厚生省にも援助してもらって私はしっかりと、大気だけじゃなくて川も海もそれから食品も、それから場合によっては人体に対する影響のチェックも含めて、そういう地域を特化して集中的にきちっとやるということも考えられてはどうかと、このように思いますけれども、いかがでしょうか、環境庁長官
  65. 石井道子

    国務大臣石井道子君) ダイオキシンの問題は、大変最近さまざまな分野で問題が提起をされております。  環境庁といたしましては、ダイオキシンによります環境汚染の未然防止というものは大変重要な課題と認識をしております。これまでも、ダイオキシンの発生源や一般環境汚染状況等に関する実態把握など各種の調査も進めてまいりました。  そして、私といたしましても、ダイオキシン対策の重要性にかんがみまして、環境モニタリングの実施や各種発生源の調査等、実態把握のための調査を引き続き充実していくことが重要であると考えております。平成九年度予算案には必要な予算は計上されたところでありますが、これらの調査が議員御指摘のように適切に行われますように対処してまいりたいと思っております。
  66. 山下栄一

    ○山下栄一君 適切にやることが大事だと思うんです。だからある程度、先ほど申し上げたように、埼玉県を今も例に挙げましたけれども、そういうところについては県とよく連携をとりながら、非常に濃度が高いという可能性があるわけでございますので、そういう地域を特化してやるということもぜひ御検討していただきたいということについての御答弁を願いたいんです、長官に。
  67. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 慎重に検討をさせていただきまして、調査をしてまいりたいと思っております。
  68. 山下栄一

    ○山下栄一君 慎重じゃなくて、積極的にやるということが大事だと思います。  生活衛生局長とうでしょうか、連携をとって、今申し上げた問題ですけれども、処分場の問題とか産廃の問題もあるわけですけれども、どうでしょうか。
  69. 小野昭雄

    政府委員(小野昭雄君) ダイオキシンの検査、測定につきましては、その検査の手法が必ずしも容易でないというふうなこと等、いろいろ困難な点もあることもまた御理解を賜りたいとは思いますが、御指摘のように、さまざまな分野でこの問題が国民の皆様方の健康不安を招来していることもまた事実でございますので、環境庁を初めといたします関係省庁と十分連携をとりながら、できるだけきちっとした実態の把握に努めてまいりたいと考えております。
  70. 山下栄一

    ○山下栄一君 人体への影響ですけれども、こういう調査もあるわけでございます。  このダイオキシンというのは、水に溶けなくて油に溶けやすい。お母さんの母乳に非常に集中して出てくる可能性が高いそうなんです。大阪なんですけれども、これ。これは環境庁検討会のメンバーでもございます宮田教授が調査されたことなんですけれども、この大阪の母乳汚染レベルというのは、ベトナム戦争で枯れ葉剤を大量に散布された南ベトナムのタイ・ニン省の女性の母乳よりも、倍近くもダイオキシン濃度が高いという結果になっていると、こういう調査もあるわけでございます。  それから、九州大学の医療短期大学部の長山助教授の調査によりましても、日本人の平均的な普通の生活をしている母親の母乳中、これは具体的に調査されたそうですけれども、これ調べてみても非常にレベルが高くて、要するに厚生省研究班が決めたTDIの七倍から三十四倍という高さになっているという、こういう調査もあるわけでございまして、非常に人体への影響が心配されております。母乳を飲んだ赤ちゃん、母乳で育てた方が赤ちゃんはより成長が充実するというふうなお話もあるんですが、その母乳が危ないという状況になっているということでございまして、そういうこともございますので先ほどから私申し上げているわけでございます。  それから、焼却場の清掃作業員なんですけれども、これ労働省にもかかわることでございますけれども、ごみ焼却場の修繕、補修、そういう仕事をされる方のダイオキシン摂取の濃度ですね、特に髪の毛で調べている。これが非常に汚染度を調べるのに効果的だそうなんですけれども、このも髪中のダイオキシン濃度が、これも摂南大学の宮田教授の分析でわかったことだそうでございますけれども、非常にこれがレベルが高いと。一般人の濃度と比べると五倍の濃度が調査の結果わかったとか。  これは大阪府内の理髪店で、髪の毛は理髪店でカットされるわけでございますけれども、そこで入手した八十二人の人のも髪を比べて、都市ごみの焼却施設で働く六十人のも髪を集めて比較してみたら五倍だったということでございます。特に職場環境が厳しくなっている焼却場作業員の健康状態が極めて心配な状況になっているという、そういう指摘でございます。さまざまな今厚生省環境庁も学識経験者を集めて検討されているわけですけれども、この宮田先生検討メンバーなわけでございまして、そういう科学的知見の一つの大事なまた調査であると思うわけでございます。  そういうことを考えましたら、労働省もこの労働環境改善のために、清掃作業員がダイオキシン汚染されている可能性があるということについてきちっと認識していただいて取り組んでいただきたいと思うんですけれども、いかがでしょう。
  71. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) 御指摘ございました焼却施設を有します清掃工場等につきましては、私ども平成五年にこういった事業に特別の安全衛生管理要綱を定めまして、各都道府県の環境衛生部局あるいは事業者団体等と連絡協議の場を持ったり、監督、指導の際に周知徹底に努めてきたところでございます。例えばその中では、焼却炉の炉をあける際には保護面、あるいは吸引しないような呼吸用の保護具、そういったものを着用するようにという指導を行ってきたところでございます。  ただ、今回、先ほどもお話ございましたように、ダイオキシン等の発生防止についてのガイドラインが新たにされ、また先生指摘のような報告もなされている状況を踏まえまして、さらに私ども関係省庁と連携をとりまして関係情報の収集に努めますとともに、そういう焼却施設におきます作業員の作業態様、こういったものについてさらに実態等をよく調べまして、今後こういった有害物質等にさらされることのないようにさらにこういった安全衛生管理要綱、どういう手だてがあるか急ぎ検討をしてまいりたいと思っているところでございます。
  72. 山下栄一

    ○山下栄一君 私の時間が来ましたので、終わります。
  73. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 山下委員に引き続きましてダイオキシンの汚染関係質疑を続けていきたいと思っております。  厚生省では、ごみ焼却施設のダイオキシン類の排出濃度調査を実施したことは今の山下委員の御指摘でも明らかになっているわけでございますけれども判断基準であります八十ナノグラムを超えていた施設が全連続炉では六、それから准連続炉では二十三、それから機械化バッチ炉では二十三施設と、七百五施設中に五十二施設あったということがわかっているわけでございますが、これらの施設に対して何らかの手当ての御指示がされたかどうかお尋ねします。
  74. 三本木徹

    説明員(三本木徹君) 先生指摘のとおり、本年一月時点でダイオキシン濃度の測定結果が報告されておりました七百五の施設のうち、五十二施設においてダイオキシン濃度が一立方メートル当たり八十ナノグラムを超えておりました。これらの施設については直ちに対策をとるように指導しているところでございます。  現在、市町村におきましては、一部平成九年度から施設の改造工事に取りかかるという市町村もございますし、また、今現在検討しているというところもございます。  いずれにいたしましても、この緊急対策につきましては、燃焼管理の適正化というのが一つのやり方でございますし、また、施設の改造ということもございます。これらについては、各市町村において予算措置を伴う、結構巨額なお金がかかる場合がございます。そういったこともございますので、今後、順次改良工事が行われるものであろうと考えております。  なお、私どもといたしましては、個々の市町村の事情をよくお聞きいたしまして、年度途中であっても直ちにその改良工事等に取りかかりたい、こういう市町村が出てまいりましたら、適切に財政支援等を行えるようにしていきたいと思っております。
  75. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 大変早い対応でよろしいと思いますけれども、特に機械化バッチ炉では、全体の九・八%という比率で危険な炉ということで指定されていますね。そうすると、検査結果がわかっておらない施設、全国で八百六十六の施設があるわけですけれども、この九・八を適用しますと八十五の施設については既にもう危険な状態にあるということを認識しなければならない。そこに対して早急な手当てをしていかなければならない。  予算措置も含めて対応するということですので、そこはどうぞ間違いのない対応をしていただきたいというふうに思うわけでございます。  先ほど山下委員からの御指摘もありましたけれども、今回の調査に当たって、排ガスの採取時点を焼却炉が八百度に達した時点で、安定した時点で採取をしなさいという指示がなされて、そういうことで出てきた数値がこの数値ということでございますから、一日の総排出量ということを推定をいたしますと、恐らくこれの倍ぐらいの数値が総排出量の中でまたあるんじゃなかろうかというふうに心配をしているわけでございますけれども、そこらの推定はどのようになさっていますか。
  76. 三本木徹

    説明員(三本木徹君) いわゆる立ち上げ時、立ち下げ時の時点でどの程度のダイオキシンが通常の運転時に比べてふえているのかというのは、正確には実は私どもまだ把握できておりません。  ただ、施策を講じていく上では、いずれにいたしましても、平常運転時においての比較をすることによって削減効果を見ていくというのは一つの方法であろうとは思っておりますが、先生おっしゃられますように、正確に負荷量がどうかということになると、この立ち下げ時、立ち上げ時においてどの程度出ているかというのを、これは私どもとしては把握をしていかなければならないだろうと思っておりますが、残念ながら、今のところ明確なものを持っておらないというのが実態でございます。
  77. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 一つ一つの炉について、この炉はダイオキシンの排出量がどのくらいの炉なんだということをきちんと認識した中で対応策をとらないと手おくれになっていくというふうに思いますので、広い施設ですと焼却炉が一つでない場合もございます。そういう場合には、今回の調査では平均をして値を出しなさいという指示がなされておりまして、一つ一つの炉についてどれだけのダイオキシンが出ているかというのを的確に把握できない状況になっています。  今度の厚生省のデータではそれがわかりませんので、ぜひ自治体から上がってきた生のデータを情報提供していただきたいということで申し上げているわけですが、データを出さないんですけれども、この委員会の名においてデータ要求をしたいと思いますが、よろしくお願い申し上げます。  委員長、よろしく。
  78. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 後ほど理事会にお諮りをして協議をいたします。
  79. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 先ほどの山下さんと重ならないよつにと思っていますが、ごみ焼却炉から排出されるダイオキシンの八割から九割が燃え殼とか飛灰の中に残っているということがずっと指摘をされているわけですけれども、その焼却炉のこれらのものについて適切な処置が行われているのかどうか、お聞きをいたします。
  80. 三本木徹

    説明員(三本木徹君) ごみ焼却施設から排出されます焼却灰は、これらはいわゆる管理型の処分場で埋立処分をされているわけでございます。ダイオキシン含有量が比較的多いいわゆるフライアッシュ、電気集じん器とかバグフィルターで捕捉されるフライアッシュでございますけれども、これは廃棄物処理法によって特別管理廃棄物として規制が強化をされております。具体的にはコンクリートでもって固形化するなど、一定の処理を行った上で管理型処分場で埋立処分する、こういうことになっているわけでございます。  なお、平成九年一月に策定いたしましたガイドラインにおきましては、飛尿中へのダイオキシンの移行をできるだけ少なくしていくという意味においては、燃焼をきっちりやっていく、すなわち完全燃焼にできるだけ近づけていくことによって飛灰中へのダイオキシンの移行というものをもとから絶つといいましょうか、低減していくというのが一つの方法でございます。それが一つ。  それから、焼却灰にはそれでもやはりダイオキシンが幾らかは入ってまいります。これについては、できるだけ高温で溶融するなどの無害化処理をする、それによってダイオキシンの含有量自体も極力低減する。  それから、三つ目でございますけれども、埋立地にこの焼却灰が搬入されるわけでございますが、通常ダイオキシン類は水中では懸濁物質に付着しているというのが一般的でございますので、したがいまして、埋立処分場の浸出水処理設備においてはこの懸濁物質をきちんと除去する、これが大事であろうというようなことでございますので、こういう対策がこのガイドラインの中に入ってございます。これに沿って指導してまいりたいと考えております。
  81. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 アメリカの環境保護庁では、百万人に一人が発がんする危険性のあるダイオキシン摂取量を〇・〇一ピコグラムというふうにしておりますが、厚生省では十ピコグラムで大丈夫ということで言っておるわけで、この基準が非常に甘いのではないかというふうに思うわけでございます。  環境庁では、一日のリスク評価指針といいますか、それが五ピコグラムということで発表しているわけで、環境庁厚生省とも違う、またアメリカの基準から比べれば千倍もの基準で大丈夫と言っていることに対して、非常に私は日本の基準というのは甘過ぎるのではないかということを思っているわけでございます。  特に魚などは、水俣病のときも、有機水銀の食物連鎖によって発生してから何年かたって人体への影響があらわれてくるということは、もう既に公害として経験しているわけでございますので、食物連鎖、魚の中に蓄積されていくとすると、そういうことも引き起こしかねないような状態になっているというふうに思うわけでございますが、この基準について見直すつもりはありませんか。
  82. 内田康策

    説明員(内田康策君) ただいまの御質問にお答えいたします。  ダイオキシンの健康影響評価につきましては、先進国の中でも見解がいろいろ分かれているところでございます。厚生省研究班が提案いたしました耐容一日摂取量につきましては、世界保健機関の値と同じでございまして、国際的にも妥当なものであると、こう考えております。  それから、環境庁との違いについても御指摘がございましたが、これはちょっと専門的になりますが、環境庁の方ではアカゲザルの子宮内膜症に関するデータを採用してございます。私どもは、このデータにつきましては多くの問題があって厚生省では採用していないわけでございますが、その取り扱いにつきまして、いろいろまだ議論があるところでございますので、その部分につきましてはさらに詳細に検討したいと、このように考えております。
  83. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 ダイオキシンの摂取量ということで計算をしていきますと、大都市に住んで、そして魚の好きな方が食事をする、それから大気とか水とか土壌から摂取をしていきますと、三・五九ぐらいは一日のうちに必ずとれてしまうという状況があるわけですよね。そういうことからすると、環境庁指針でもまだまだ危ないと思わなければならない。特に、水俣病を引き起こした日本ですから、こういうものに対してはうんときつくして、先進国の模範を示さなければならないと思うわけでございます。厚生省の見解はまことに私はいけないと思いますし、環境庁にも、五ピコグラムでは甘いというふうに思いますが、環境庁どうでしょうか。
  84. 田中健次

    政府委員田中健次君) 私どもといたしましては、検討会をつくりまして、いろいろ御検討をいただいたわけでございます。その中間報告として、昨年の十二月に健康リスクの評価指針値を出したわけでございますが、これは環境保全対策を講ずるに当たっての目安となるように、人の健康を確保するためにより積極的に維持されることが望ましい水準ということで五ピコグラムにしたわけでございまして、今お話がございましたように、厚生省のは許容限度でございまして、これが十ピコグラムでございますが、こういうことで定めさせていただいたわけでございます。私どもとしては、日本の学界、有識者の方に出していただいた数値でございまして、これが望ましい指針として適当ではないかというふうに考えております。
  85. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 これからの課題としてできるだけ厳しい基準で、そして国民の健康管理をしていただきたいというふうに思うわけでございます。  それから、毒性換算濃度、TEQですけれども、この中にダイオキシンとジベンゾフランというのが入っているわけですけれども、コプラナPCBも含めるべきではないかという御意見がありますけれども厚生省いかがでしょう。
  86. 内田康策

    説明員(内田康策君) 今、先生指摘のコプラナPCBもTDIに含めるべきではないかという御指摘に関しましては、コプラナPCBのダイオキシン作用につきましては、現在、国際的にも評価が定まっていない状況でございます。  厚生省では、ダイオキシンのリスクアセスメントに関する研究班という研究班で、コプラナの毒性データにつきましてデータを収集し、その検討を行っているところでございます。
  87. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 欧米諸国がやらなければやらないというような態度はもうやめて、率先して日本が世界のリーダーとしてやるというぐらいの意気込みでぜひ頑張っていただきたいと思います。  ダイオキシンの対策予算というのが組まれたといって、調べたわけですけれども、わずか一億四百六十八万八千円ということだと思いますが、この数字でよろしゅうございますか。
  88. 三本木徹

    説明員(三本木徹君) 平成九年度の廃棄物に関連したダイオキシン対策関連する予算でございますが、先生お話にありましたような、まずダイオキシンの発生しにくい新たな焼却技術の開発等の研究のための予算として一億円が計上されておるところでございます。それが一つ。  それからもう一つは、ごみ処理施設の技術管理者、これは法律で施設にそのような能力のある方を置くということになっておりますが、こういう方々に対する適正な運転管理の研修を行うということが大事でございます。そのための予算として四百六十八万八千円が計上されてございます。  さらに、先ほど申し上げましたように、廃棄物処理施設整備費の予算が国費で一千六百二十八億円が計上されております。これはもろもろ廃棄物処理施設整備を実施していくのに必要な費用でございますが、その中でダイオキシン対策のために行う各種の改良工事につきましては優先的にこの予算の枠の中で補助をしていく、こういうことにしてございます。
  89. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 大臣、きのう埼玉県の所沢市ではダイオキシンの規制条例をつくりました。市独自の条例をつくってダイオキシンの規制に乗り出したところでございますが、国においても法的規制を準備しなければならない時期に来ているのではないかというふうに思いますけれども、大臣の御見解をお願いいたします。
  90. 石井道子

    国務大臣石井道子君) ダイオキシン問題は、国民の健康影響を未然に防止するために大変重要な問題でありますし、対策を急がなければならないと思っております。  環境庁でも、有識者で構成いたします検討会を設けまして、ダイオキシン対策あり方について検討を進めてまいりまして、昨年には中間報告が出されましたけれども、さらにこの検討会の最終報告を近々まとめられる予定でございます。そして、今後、検討会の成果を踏まえまして、できるだけ早期に規制措置の導入も含めて対処してまいりたいと思っております。
  91. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 時間が来ました。終わります。
  92. 小川勝也

    ○小川勝也君 民主党・新緑風会の小川でございます。  幾つかの質問をさせていただきますが、まず私の関心事から御質問させていただきたいと思います。  酸性雨の問題と大陸側からの風の問題がいろいろと指摘されておりますけれども、そんな中で、因果関係がはっきりと証明されておるのかおられないのかというのが問題となっております。特に中国の工場からのばい煙等が我が国森林にどのような影響を与えておるのか、それが酸性雨の影響によるものなのかどうなのか、環境庁の御見解をお伺いしたいと思います。
  93. 野村瞭

    政府委員(野村瞭君) 環境庁におきましては、昭和五十八年から酸性雨に関するモニタリング調査を実施いたしておりますが、この結果によりますと、日本海側で、十月から三月の秋から冬にかけてでございますが、この間において特に硫酸イオン濃度の高いことが明らかになっておりまして、これにつきましては、酸性雨の原因物質が季節風に乗って運ばれてきている可能性が示唆をされているということでございます。  こういうことがありましたので、環境庁といたしましては、東アジアの地域で共同してこの酸性雨に対する取り組みをしなければならないということで、その第一歩といたしまして、御指摘ありました中国も含めまして東アジア酸性雨モニタリングネットワークの設立を我が国が提唱いたしまして、二〇〇〇年を目途にその実現を目指しているというところでございます。  これらの取り組みを通じまして、各国間で酸性雨に関する測定データ等を共有いたしますとともに、酸性雨対策に対する共通の認識を醸成いたしまして、広く東アジア地域の対策の推進に結びつけてまいりたい、そのように考えております。
  94. 小川勝也

    ○小川勝也君 外交上の理由もありまして、はっきりと中国からのということが断言できるかどうかというのは私にも定かではありませんけれども、その中国が巨大なダムの建設を計画しているやに聞いております。  環境庁におかれましても、いろいろな形で注視をされておると思います。その中国からの煙と我が国に酸性雨をもたらすということの因果関係がはっきりと今お答えをいただけたわけではございませんけれども、三峡ダムというんでしょうか、このダムについてどのように注視をしておられるのかあるいは我が国環境に対してどのような影響を与えるとお考えなのか、お伺いをしたいと思います。
  95. 浜中裕徳

    政府委員浜中裕徳君) ただいまお話のございました三峡ダムでございますが、環境庁といたしましてはこれまでのところこれに直接関与する機会がございませんでしたけれども、この事業の環境の影響につきましては、中国政府において種々検討がなされてきていると承知しております。  そういうことではございますが、ただいままで私どもとしてのかかわる機会がございませんでしたので、私どもがこれまでに入手することができましたのは極めて概括的なものでございます。したがいまして、そうした資料の範囲からは、三峡ダム建設によります環境への影響につきまして十分に判断することは今までのところでは困難でございました。しかしながら、限られた範囲内ではございますが、私どもが入手いたしました資料の範囲内で考えてまいりますと、次のような点を指摘することができるのではないかというふうに考えております。  第一には、三峡ダムによる水力発電がなされるわけでございますが、この水力発電と同じ規模の発電を火力発電所により代替した場合、火力発電所によって行った場合に比べますと、酸性雨の原因物質の発生は水力発電の方がその分抑えられるということは一般的に申し上げられると思います。  しかしながら、ダム建設によります揚子江あるいは東シナ海の水質や生態系、あるいは動物や植物相を初めとした自然環境への影響という点についても私ども注視をしておりますし、それからダムが完成をいたしますと、その上流に当たります四川省等の広大な流域は我が国の面積の三倍にも当たるというふうに言われておりますし、そこに莫大な人口や産業を擁する地域が含まれておりますので、そこで開発も進められると思いますので、そこから発生いたします膨大な汚染負荷がどのように環境に影響を及ぼすか、こういった点については総合的な見地から十分慎重に検討を加えていく必要があろうというふうに考えている次第でございます。
  96. 小川勝也

    ○小川勝也君 地球環境などという美しい言葉がありますけれども環境分野へのODAを我が国が幾ら支出をしておるのか、そして今話題となりました中国のSOx問題について限定をするならばどのぐらいの額と言えるのか、この二点をお伺いしたいと思います。
  97. 吉田雅治

    説明員(吉田雅治君) お答えいたします。  環境分野のODAにつきましては、九二年六月にございました国連環境特別総会におきまして、九二年度から五年間で環境分野の援助、おおむね九千億円から一兆円ということで大幅に拡充強化する旨発表いたしました。  実績といたしましては、九二年から九五年までの四年間で現在約九千八百億円ということで、既に表明しました目標額は一年前倒しで達成いたしております。九六年度におきましても引き続き環境分野の援助の実施に努めてまいりたいと考えております。  それから、ただいま御指摘ございました中国の硫黄酸化物に特定した場合の対策の額は幾らかということでございますが、これは大気汚染ということで全体に環境分野でやっておりますので、硫黄酸化物で合計幾らかということの額は難しいのでございますけれども、いずれにいたしましても、中国の環境問題については我が国としても非常に強い関心を有しておりますものですから、まず大事なことは、中国自身が主体的に環境問題に取り組んでいくことが不可欠でございますので、一つは政策対話を通じまして中国側にこうした努力を促しているところでございます。その代表例といたしまして、昨年五月に北京で日中環境総合協力フォーラムという官民合同の政策対話を実施いたしました。  先生お尋ねの、具体的にどういうことをやっているかということにつきましては、技術協力といたしまして、公害防止に携わる行政官あるいは技術者の養成を行う対中環境協力の拠点といたしまして日中友好環境保全センター、これは無償資金協力で約百三億円でございますけれども、これにプロジェクト方式の技術協力をつけまして資金技術協力を行っております。その中には硫黄酸化物対策というものも含まれておりまして、さらに、昨年十二月に供与を決定いたしました九六年度円借款におきましても、柳州酸性雨及び環境汚染対策総合整備事業計画あるいはフフホト・包頭大気汚染対策事業計画等、重点的に環境について実施してきております。  今後とも、中国の政策対話を通じてこうした分野での協力を進めてまいりたいと考えております。
  98. 小川勝也

    ○小川勝也君 なぜそのような質問をさせていただいたかと申し上げますと、これは私の考えが狭いのかもしれませんが、地球環境という美名のもとに我が国が世界に、あらゆる国々にODAを通じてのいろいろいな援助をすることがまさにすばらしいことであることは重々承知しておりますが、頭の上のハエも追えないという言葉もあるとおり、中国からのそういう廃棄物が我が国に大きな影響をもたらすとするならば、そのことに対する解決というのがほかのことに優先されてもいいのではないかと私が考えるからでございます。  仄聞するところによりますと、中国国内で産出される硫黄分の非常に高い石炭、石炭エネルギーが中国のエネルギー分野の中の重要な点を占めているということも聞いておるわけでございます。  エネルギー転換を含めて我が国にできることがあれば、ほかの諸問題に優先をして中国問題というのにかかわってもよいのではないかというふうに考えております。  大臣、御所見がございましたらお伺いをしたいと思いますが。
  99. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 日本の隣国としての中国が及ぼす我が国環境への影響は大変大きなものがあるわけでございまして、中国が開発途上国という立場で大変今開発が盛んでございます。ですから、そのような地球環境規模で環境問題を考える場合には、中国の対策を抜きにしては考えられないというふうに思います。  そんな関係で、東アジアの酸性雨モニタリングネットワークの設立をいたしましたり、また地球環境戦略研究機関もこのたび日本で準備をいたしまして、いろいろと、特にアジア地域の対策については鋭意努力をしておるところでもございますので、ぜひそういう面で日本の環境先進国としての技術を、経済的な面も必要かとも思いますが、できるだけ中国に対して提供いたしまして、そして環境対策に取り組んでいく必要があるというふうに思っております。
  100. 小川勝也

    ○小川勝也君 今、長官の御答弁にございましたように、中国に注視しながら、そして大陸からの風に環境庁としてもずっと注目をしていただきたいと思っております。  ダイオキシンについては後日勉強を新たに深めましてさせていただきたいと思いますが、以前からの関心事についてまた御質問をさせていただきたいと思います。    〔委員長退席、理事大渕絹子君着席〕  私も家庭菜園などというものを少しゃっておるわけでございますけれども我が国の農業の中で農薬が果たしている役割というのは小さくないと考えております。当然、水の循環ということを考え合わせますと、森林から川を伝って流れてきた水が田んぼや畑に利用されて、また川や沼に、あるいは湖に戻っていく、そんなことを考えたときに、畑や田んぼに使われた農薬が河川や湖沼にどのような影響を及ぼすかということを環境庁としてどのように現在とらえておられるのか、総論としてお伺いをしたいと思います。
  101. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 御指摘ございましたように、農薬につきましては水質に対する影響というものを私ども非常に重視いたしております。システムとして安全を考えて極めて慎重かつ丁寧な手続を踏んでおります。人への健康影響あるいは水産動植物等の生態系に対する悪影響を防止するという観点から重要な課題でございますので、言ってみれば念には念を入れるということで、環境庁といたしましても、農薬取締法に基づきましてまず登録段階できちんとした確認をいたしております。  それから、使用段階におきましては、まず農林水産省が使用のための指導を丁寧に行っております。そして、もし万が一ということがございますれば、環境庁としてもこの使用規制をかけていくというふうな手続を踏んでおりますし、最終的には水質の監視の強化ということで農薬について水質汚濁の防止を図っているところでございます。  いずれにいたしましても、農薬につきましては、開発、販売をする、あるいは使う、そしてその結果をモニタリングすると、関係するところが大変多岐にわたっておりますので、農林水産省、厚生省とも連携を密にしながら水質汚濁の未然防止につきまして努力をいたしたいと考えております。
  102. 小川勝也

    ○小川勝也君 時間がなくなってまいりましたので最後の質問になるかと思います。  今の農薬と河川あるいは湖や沼の問題。私はまだ三十三歳でございますけれども、私が子供のときに見かけた小さな生物というのが今になってはもう見られないものがたくさんあります。    〔理事大渕絹子君退席、委員長着席〕  例えば、トンボあるいはザリガニ、蛍、すべてがきれいな水と密接に関係をしております。私の育ちました北海道にはおりませんでしたが、タガメなどという昆虫にも非常に興味を持っておりました。どの時点が我が国にとってすばらしい大地であったかということの論はまた別に譲るといたしまして、現在の環境を守るということでさえも大変な努力が要ることでもございますし、強い決意とエネルギーが要るものだと思います。ましてや、蛍のすめる自然環境を戻そうとなるともっともっと強いエネルギーが必要だと思います。この自然を守る、自然を復活させるということに関しての大臣の抱負をお伺いして、私の質問を終わらせていただきます。
  103. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 御指摘のように、最近は身近な自然が大変減少しております。そして、多くの地域で蛍などの小動物が見られなくなってしまって大変寂しいところでございますが、地域における多様な生態系の健全性を維持するということ、またその回復を図るということが大変重要な問題になってまいりました。生物多様性国家戦略におきましても、地域の特性に応じた生物多様性の保全等を長期的目標として位置づけているところでございます。  このような課題に取り組むために、環境庁では、平成九年度予算案の中に身近な小動物の生息地を回復する事業について地方公共団体を支援いたします自然共生型地域づくり事業を盛り込みました。今後、環境庁といたしましても、これらの取り組みの推進を通じまして、国土の良好な自然環境の再生や形成に努めていきたいと思っております。
  104. 小川勝也

    ○小川勝也君 終わります。
  105. 有働正治

    ○有働正治君 私は、きょうは猛禽類のイヌワシ、クマタカ等の保護の問題で御質問いたします。  イヌワシ、クマタカ、オオタカはそれぞれ、レッドデータブックでのカテゴリー区分、種の保存法、文化財保護法による指定状況、簡潔にお示しいただきたいと思います。
  106. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘の猛禽類の三種につきまして、レッドデータブックにおきましてはイヌワシ及びクマタカは絶滅危惧種、オオタカは危急種に区分されております。それから、種の保存法におきましては三種ともに国内希少野生動植物種に指定されております。また、文化財保護法におきましてはイヌワシが天然記念物に指定されているところでございます。
  107. 有働正治

    ○有働正治君 こうした猛禽類を保護する問題で、少なくとも、昨年八月環境庁から示されました、特にイヌワシ、クマタカ、オオタカについての「猛禽類保護の進め方」、これを国内各地の生息地すべてで厳守することが私は必要だと思うわけでありますが、長官としてこの点どういう決意をお持ちなのか、お示しいただきたいと思います。
  108. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 昨年の八月に「猛禽類保護の進め方」という報告書を作成したところでございまして、この報告書は各都道府県の自然保護、また鳥獣保護部局にイヌワシ等の保護に当たって参考にしてもらうために配付をしたところでございます。  報告書の中では、特に猛禽類の生態に詳しい専門家の指導助言を仰ぐことが肝要であるとしておりまして、個々の案件につきましても、この点も含めて報告書が参考にされることを期待しているところでございます。
  109. 有働正治

    ○有働正治君 そこで私は、具体的な例を挙げてお尋ねしたいわけであります。  鳥取県の国立公園の大山であります。そのふもとで、大山ふれあいリゾート構想というのがございます。一九九一年に承認されて、その一つに大山ビレッジ開発計画の第一期事業のゴルフ場予定地内と周辺でのオオタカ、クマタカ、イヌワシの生息地保護の問題、地元でも大きな問題に今なっているわけであります。  まず、生息状況を私は確認したいわけであります。私が承知しているところでは、一つには、環境庁の過去の特殊鳥類調査によりますと、大山一帯でオオタカ、クマタカの生息記録があると承知しているわけでありますが、この点どうなのか。  二つには、九五年の五月、日本野鳥の会の鳥取県支部の独自調査、これが行われました。その結果、ゴルフ場予定地内にオオタカの営巣と、その年の七月、三羽のひなの巣立ちが確認されているわけであります。翌年の九六年六月に、同じく野鳥の会の県の支部がオオタカ、クマタカの営巣と、後にオオタカのひな二羽、クマタカのひな一羽、この巣立ちを確認しているわけであります。  このことを私は聞いているわけでありますが、この点についてどうなのか。  三つ目は、九六年七月の鳥取県議会への県の報告で、イヌワシ等の生息が判明と発表されています。  ことし二月の県議会でも、県が委託いたしました自然環境研究センターの調査結果として、オオタカの繁殖と巣立ちが確認され、イヌワシ、クマタカに加え、絶滅危惧種のヤイロチョウ、危急種のハヤブサも観察された、こういう説明がされています。  これら一連の事例から見まして、また関係者調査結果から見まして、また県の委嘱した調査結果等から見まして、この大山ビレッジ開発予定地内と周辺で猛禽類三種の生息が実在していると思うわけでありますが、この点、環境庁としてはどういう掌握をなされておられるか、結論だけで結構でございますので、お示しいただければと思います。
  110. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) ただいまの御質問にお答え申し上げます。  御質問のゴルフ場の計画地、それからその周辺にクマタカとオオタカが生息しているということにつきましては鳥取県より聞いております。特にオオタカにつきましては、当該ゴルフ場の計画地内に営巣地があるということもお伺いしております。
  111. 有働正治

    ○有働正治君 この関係者調査結果、それから県の委嘱調査等も取り寄せて、十分実態を掌握していただきたいということを要望しておきます。  そこでお尋ねするわけでありますが、問題なのは開発業者と大山町の開発事業に関する基本協定が鳥取県の立ち会いのもとで締結されているわけであります。その中に、「環境影響評価を行い自然環境保全に充分配慮する」となっているわけであります。ところが、一九九二年から九三年にかけまして開発業者が実施したとされています環境アセスの結果の公表された概要の中には、動物について、「計画地内には、絶滅危惧種等の貴重種・重要種はみあたりません。」、こういうふうに報告されているわけであります。  さらに県が、学識経験者らのオオタカの生息の可能性指摘を受けて、業者に対し再調査を求めました。県としてはそれなりに対応されておるということも聞いているわけでありますが、再調査を求めた。しかし、これに対して開発業者は、再調査の結果としてオオタカの営巣は確認されなかったと、こういうことで生息を否定しているわけであります。特に局長の御答弁で、オオタカが開発地内にいるということを聞いていると先ほど御答弁なされたということと、調査時点の若干の兼ね合いはあるかと思いますけれども、明白に違うそういう業者側の対応であります。  しかも、その調査を指導しました自然環境研究センターが、現地の状況から当該地はオオタカの営巣地であり、継続的に毎年繁殖していると考える、こういうコメント、これは県が委嘱したところでありますが、そういうコメントをしているにもかかわらず、あくまで生息の肯定を避けている、こういう状況であります。  この開発業者の態度は「自然環境保全に充分配慮する」といたしましたこの基本協定、この条項から見ても明らかに私は背反していると考えざるを得ないわけであります。  そこで、今回取り上げたこの開発業者の一連の後ろ向きの態度、極めて私は遺憾だと指摘せざるを得ないわけでありますが、この点、環境庁はどう掌握されておられるのでありましょうか。
  112. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) お答え申し上げます。  オオタカ等の調査につきまして、これらの行動パターンとかあるいは調査時点とか、いろいろな問題はあろうかと思いますが、今我々がお伺いしている点で申し上げますと、御指摘のように、事業者の行った準備段階での調査におきましてはオオタカの営巣は確認されなかったというふうに聞いております。  しかしながら、鳥取県が別途実施しておりましたオオタカ生息実態調査の中におきましては、オオタカの営巣地の情報が得られたというふうにも聞いております。  私どもといたしましては、そうした結果が事業者による評価書の作成に今後反映されていくものであろうというふうに考えているところでございます。
  113. 有働正治

    ○有働正治君 県の委嘱の調査の中では、オオタカだけではないんです、イヌワシ、クマタカ、ヤイロチョウ、ハヤブサ等々も観察されているわけでありまして、極めてこれは大きな問題だと私は考えざるを得ないわけであります。  そこで私は、大臣の方にお尋ねするわけであります。  確かに、調査時点等々の局長言われる問題はあるかもしれません。しかし、今日において、近年におきまして、こういう県の委嘱した調査等々から見ましても、先ほど述べられました絶滅危惧種、危急種、あるいは国内希少種、あるいは天然記念物と言われるそういうものがここに観察されているという公的機関の調査も示されているわけであります。  したがって、この開発計画地におきましても、環境庁が打ち出しました「猛禽類保護の進め方」、マニュアルがやっぱりきっちり厳守されるということが私は大事だと考えるわけであります。その点についての大臣の所見と、同時に、やっぱり県、関係の自治体、そしてとりわけこれに対して否定的な態度をとっている開発業者に対して必要な督励等を求め、環境庁として、こういう大事な鳥が保全保護されていくように、絶滅に至らないようにきっちり対応をいただきたいと求めるわけでありますが、大臣の所見を求めます。
  114. 石井道子

    国務大臣石井道子君) この開発計画予定地のところにオオタカなどの営巣が確認されているのであれば、「猛禽類保護の進め方」を参考にしていただいて、鳥取県において適切に対応されるように期待をしているところでございます。
  115. 有働正治

    ○有働正治君 大臣、期待をされることはよくわかります。それはそのとおりなんです。だれも期待しないなんて言う人はいないと思うんですね。  だから、大臣、所管する長官といたしましてはやっぱりそういうことがきっちり守られるように県と御相談されるなり適切に対応願いたい、そういうことについての御答弁を明確にしていただきたいと思います。
  116. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 適切に対応がなされますものと考えております。
  117. 有働正治

    ○有働正治君 考えていますじゃどうなるかわからないので、環境庁として、大臣としてもしかるべき対応をいたしますということをはっきり言わないと、何のためにマニュアルその他をつくって環境庁としてやっているのか絵にかいたもちということになるわけですから、そこはきっちりやらないと、今の答弁では、第三者みたいな感じでは、地元の自然保護団体、それからこのために頑張っておられる人々等々からいって納得できないということは明瞭だと思うのでありますが、もう一度大臣はっきり。局長じゃだめだよ。
  118. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) ただいま大臣から申し上げたとおりでございますが、私ども先ほど申し上げましたように、県とも連絡をとっております。  また、先ほど先生からその点の調査等についても詳細に把握するようにということもございました。きょうのこうした経過を踏まえまして、今後適切に対応してまいりたいと思います。
  119. 有働正治

    ○有働正治君 大臣、そのとおりで適切に対応する、よろしいですね。
  120. 石井道子

    国務大臣石井道子君) そのとおりでございます。
  121. 有働正治

    ○有働正治君 それとの絡みで、種の保存法に基づく希少野生動植物種保存基本方針に沿った生息地等保護区の指定が早急に求められているわけであります。そのために全国的な生息状況の早急な把握を行うべきだと考えるわけであります。その際、日本イヌワシ研究会や日本オオタカネットワーク、日本野鳥の会などの環境NGOの協力を大いに求めてはいかがかと思います。この点、もちろんこの間も対応されていると思いますけれども、さらに対応願いたい、それが一点であります。  もう一つ、イヌワシ研究会からも要望が出されていたと思うわけでありますが、猛禽類の保護にかかわる国立の調査研究などのセンターの設置を図るべきだという御要望でありますが、この点について環境庁の善処を求めたいと思うわけでありますが、長官、いかがでございますか。
  122. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) 環境庁におきましては、来年度よりイヌワシ、クマタカにつきまして詳細な生態調査を実施するために、平成九年度予算におきまして必要な経費を計上しているところでございます。  この調査関係省庁とも協力して実施することとしておるわけでございますが、先生、御指摘のとおり、多くのそういう民間の方々あるいは学識経験者等のお力も得なきゃならないということを私ども考えております。こうした調査を通じまして、全国の分布状況あるいは生態等を把握してまいりたいと考えております。  それから、第二点目の猛禽類の調査研究所の必要性ということについてでございますが、先ほど来先生が引用されております「猛禽類保護の進め方」というこの報告書の中におきましても、御専門の先生の中からもこの研究所の必要牲ということが指摘をされているところでございます。  いずれにいたしましても、来年度よりイヌワシ、クマタカの調査を実施することとしているところでございますので、そうした結果などを踏まえつつ検討してまいりたいと、そのように考えております。
  123. 有働正治

    ○有働正治君 最後に一点だけ。
  124. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 時間もオーバーしておりますから。
  125. 有働正治

    ○有働正治君 じゃ、長官の答弁だけ、その点について。
  126. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 局長答弁したとおりでございます。
  127. 有働正治

    ○有働正治君 終わります。
  128. 末広まきこ

    末広真樹子君 自由の会の末広真樹子でございます。  前回の質問で、愛知県瀬戸市で陶器絵つけを営む青年が陶土採掘跡地を何とかして緑に復元して、ヨーロッパのグリーンツーリズムを取り入れた町づくりができないものか、こういうお訴えがあったということを当委員会で申し上げました。  この問題はとても環境庁だけでは対応し切れるものではないと思いますので、きょうは農水省からもお越しいただいております、よろしくお願いいたします。  政府は、ウルグアイ・ラウンド対策として六年間に約六兆円の国費を投入するとしております。  それだけ膨大な予算がどこにどのように使われたのか見えてこないという国民の声が農家と都市生活者の両方から起きています。今、日本の農業は大きな転換期を迎え、二十一世紀を見据えた我が国の農業のあり方について抜本的な検討が求められています。自立する農業、自由化に勝てる仕組み、収入の安定化等々。  そこで、私は、環境と農業、都市と農村との交流という視点からグリーンツーリズムに予算の軸足を移していくべきではないかと思います。労働科学研究所の調査によれば、休暇を農山漁村で過ごしてみたいという人は八九%に達しています。  我が国でも、議員立法による農山漁村滞在型余暇活動基盤整備法、いわゆるグリーンツーリズム法がようやく平成七年四月から施行されています。  グリーンツーリズム法支援のための予算は、拝見しましたが、随分細分化されておりまして、なかなか一発で幾らと読み取れるような仕組みにはなっておりません。そこでお伺いします。総額で幾らかそして現在の状況はどうなっておりますか。農水省、お願いします。
  129. 井上直聖

    説明員(井上直聖君) 農林水産省の構造改善事業課長でございます。  ただいまお尋ねの件でございますグリーンツーリズム、実は私ども農林水産省といたしましても、やはり物の豊かさから心の豊かさを求めると、そういう動きをとらまえまして、緑豊かな農山漁村地域におきまして、その自然とか文化、人々との交流を楽しむ方の滞在型の余暇活動、これを称してグリーンツーリズムと申しております。これを推進いたしております。  平成五年度以来逐次このための必要な予算も拡充してまいっております。具体的には、平成五年度からグリーンツーリズムの推進に必要な地域での人材の育成、インストラクター等々でございます。それから、諸外国、何と申しましても、西欧がこのグリーンツーリズムの先進国でございます。そうした優良事例の調査等を行います、農山漁村でまさにゆとりある休暇をという推進事業を進めてきております。  この予算平成八年度におきましては三億二千四百万、三億円余の予算措置を本年度講じております。また、来年度、九年度の予算案におきましても、一つは、都市住民に対して農村地域で開催されますイベント、民宿等の情報、情報発進していく事業、そのためのガイドブック、パンフレット、さらにはインターネットなんかも駆使した情報発進の事業でございます、こういったものをやること。さらには都道府県段階では、体験民宿へのいろんな指導を行う、経営指導それから接客のための指導等々でございます、そういったものの事業。さらには市町村レベルにおきますと、地域資源、郷土芸能を紹介する事業、それから農業体験、それから農産物の加工、こういったものを側面から支援できるようにということで、この事業をさらに拡充いたしまして、現在、三億五千六百万円の計上をいたしておるところでございます。  このグリーンツーリズムの事業、私ども大変大事な事業と考えておりますので、こういったソフトの事業に加えましてハード面の整備、これは私どもが行っております構造改善事業等々の事業でございますけれども、ハード面でも支援してまいりたいと思っておりまして、体験農園であるとかそれから農産物の加工の施設であるとかそれから直売の施設とかそういったものを整備していく。このために九年度は六十七億円の予算を計上しておるところでございます。  以上でございます。
  130. 末広まきこ

    末広真樹子君 私は、これは基本的にはよい制度であると思うんです。がしかし、まだこの制度を知る人はほとんどいませんよ。インパクトもないんです。なぜでしょうね。それは、この制度が農家の民宿登録にとどまっておって、融資制度はあっても実績はゼロだと伺っております。もう一つ、農村をグリーンストックとしてとらえる視点がありません。農家の取り組みに対するフランスのような補助制度がないというのも大変残念でございます。  もう一点農水にお尋ねしたいんですが、済みません、三十秒以内でお願いしますよ。  農家民宿を事業助成の対象としてとらえることはできないのか。農家民宿に対する補助制度の可能性についてお答えください。そして、農村をグリーンストックとして認識評価しているのかどうか、手短にお願いします。
  131. 井上直聖

    説明員(井上直聖君) お尋ねの件でございます個人補助ということでございますけれども、これは、我が国あるいは私ども農林水産省の補助体系の中では、やはり個人の資産の形成にじかに資するようなものというのは従来対象にしてきておりません。そのかわりといってはなんでございますけれども、いろんな融資制度であるとかを活用していただくという道で対応をお願いしているところです。  ただ、もちろん個人補助はだめではございますけれども、例えば三戸以上の農家が集まってグループとしてある種の活動をするといった場合になりますと、これは私どもの補助事業の対象になり得るということを申し上げておきたいと思っております。  それからグリーンストック、これは私どもの、言葉としてはあるかもしれませんけれども、これは、緑の豊かな空間、農山漁村の心の豊かさの源という意味では私ども大変大変重要なことと考えております。  以上でございます。
  132. 末広まきこ

    末広真樹子君 ありがとうございます。三戸以上ですね。——はい。  ところで、環境白書には、カエル、ドジョウ、蛍のいる水田、ササや水草の茂る小川等の田園の再生をうたっております。私は、グリーンツーリズムを成功させるには、田園等をグリーンストックと位置づけ、その蓄積を図るところに予算支出の重点を置く必要があると思います。  野村総研が先ごろまとめたところによりますと、我が国の農地の環境保全価値は四兆円と発表しております。これは国の大きな財産です。しかし、ほうっておけば枯渇してしまいます。ウルグアイ・ラウンド対策費で、農水、環境、林野、国土庁と総合的プロジェクトを組んで二十一世紀の我が国国土を守る支出をしたらいかがでしょうか。これはぜひ農水省に持ち帰って御検討いただきたいと思います。  そこで、環境庁長官にお願いしたいんですが、グリーンツーリズムの基盤整備として、環境資源ストックの視点に立って農水大臣と今後調整を図ることが調整官庁として環境庁の力量を問われるところではないかと思いますが、いかがでしょう。
  133. 石井道子

    国務大臣石井道子君) グリーンツーリズムにつきましては、今いろいろと御説明がありましたが、これはやはり自然と直接触れ合って、そして周辺の自然環境を観察することによって大地の生産の仕組みなどを知ったり、また、自然と人間との共生関係を学習するよいプランであるというふうに思います。  環境庁といたしましても、環境行政と大変関係の深い内容でもありますし、このような環境教育を推進するために、農水省また関係自治体などとの連絡をとりながら、その促進に努めていきたいと思っております。
  134. 末広まきこ

    末広真樹子君 ぜひよろしくお願いします。  あらゆる分野が総合的に手を結ばないとこれは進んでいかない。せっかく農水でささやかですがお取り組みをいただいておるところでございますので、大きなバックアップをお願いしたいと思います。  最後に、市民農園と都市公園事業についてお尋ねします。  最近、市民農園復活の兆してございます。愛知県の安城市は、かねてより日本のデンマークと言われてまいりまして、大正末期から昭和の初めにかけては、東京銀座で産みたての卵を販売するなど、大変画期的なことをやってまいってきた地域でございます。  この春に、自然との触れ合いをテーマにしました産業文化公園がこの安城市にオープンします。  大温室と講座つき市民農園、菜園のコース、花のコースなどが総規模十三・一ヘクタールのスケールで、その名もデンマークの公園、田園の公園という意味を込めてデンパークと名づけられております。従来の一坪農園のように、個々にちまちまと何かごっこをして、三年で飽きてほったらかす、そういったものではない、全体を公園として市が運営するテーマパークという趣でございます。  私は、実際に見てまいりまして……
  135. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 時間オーバーしておりますから。
  136. 末広まきこ

    末広真樹子君 目の前にどでかい……(「時間オーバーですよ」と呼ぶ者あり)
  137. 末広まきこ

    末広真樹子君 四十一分までといただいていますよ。
  138. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) ああ、四十一分。(「わかった」と呼ぶ者あり)
  139. 末広まきこ

    末広真樹子君 今どなたがおっしゃったんですか。(「間違えました」と呼ぶ者あり)
  140. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 五分違っておりましたから。
  141. 末広まきこ

    末広真樹子君 そんな違い困りますね、五分も。十五分しかもらっていないのが五分短く削られたらどうなるんですか。
  142. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 間違っておりました。
  143. 末広まきこ

    末広真樹子君 はい。びっくりしましたですよ。もう心臓どきどきしちゃいますよ。どうなるんですか、これ途中で。(「デンパーク」と呼ぶ者あり)デンパークですね。悲しいわ。  デンパーク、私実際に見てまいりましたんですが、目の前にどでかい本物のサイロがそびえているのが何とも心強いと思いました。  中山間部の過疎対策、休耕田の有効利用、都市と農村に住む人々の交流、そして大地に触れる喜び、現代人のストレスをいやす場として、市民農園と都市公園事業のゆったりとした複合化を目指すには、ぜひともこれも農水省と建設省、そして環境庁調整が必要なところでございます。  今度は農水省の御見解をお願いしたいと思います。
  144. 井上直聖

    説明員(井上直聖君) 先ほど先生指摘のございましたデンパーク、これは市の発意に基づきまして、私どもの事業、それから県の単独の事業等々合わせまして実施しておる事業でございまして、まさにそのねらいとするところは、地域の活性化、農産物の販売、それから雇用の確保、都市からの人々の自然へのいざないといったことを目的としておるパークでございます。  一方、建設省のお持ちの都市公園でございますけれども、これは都市公園法に基づきまして整備されておると聞いております。ただ、そのねらいは、一義的には健康で文化的な都市生活等々を基本理念としまして、主として都市計画区域につくられるものと承知しております。  したがいまして、私どもの進めております、言ってみますれば都市交流施設とは、主としてそのねらいとか、つくられる地域だとか等々、若干相違しております。したがいまして、私どもといたしましては、それを整備される地元の市町村なり地方公共団体の方々が、それぞれのねらい、特性に応じてそれぞれの事業をうまく組み合わせて御利用していただくということをお願いしたいと思いますし、また関係省庁ともそういった方向で進んでまいりたいと思っております。  以上でございます。
  145. 末広まきこ

    末広真樹子君 というような地方への放り投げ方ではグリーン・ツーリズム運動は進んでまいらないと私は思います。  作家の司馬遼太郎さんは、一九七〇年に「街道をゆく」という連載を始められるときに、大地が大切である、日本は土地を売り買いし始めたときからだめになるよと、こうおっしゃって連載を始めたそうでございます。大変先見の明があったなと思います。まさに今時代は、大地とともに自然との共生を求めております。ウルグアイ・ラウンド対策の一環として、グリーン・ツーリズムヘの実効性のある財政支援と環境庁の積極的な取り組みに期待をいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  146. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) どうも失礼をしました。  以上をもちまして、平成九年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち公害等調整委員会及び環境庁についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  147. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  148. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 次に、南極地域環境保護に関する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。石井環境庁長官
  149. 石井道子

    国務大臣石井道子君) ただいま議題となりました南極地域環境保護に関する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  南極地域におきましては、一九六一年に領土権の凍結、軍事利用の禁止、科学観測のための国際協力を目的とする南極条約が発効し、以来科学観測の場として利用されてきております。近年、地球環境のモニタリング等の観点から、南極地域環境の重要性が注目される一方で、基地活動や観光利用の増加による環境影響も懸念されており、人類共通の財産としての南極地域環境保護するための国際的取り組みの強化が要請されております。  このため、一九九一年には、南極地域環境の包括的な保護を図るための環境保護に関する南極条約議定書が採択され、同議定書におきましては、南極地域における活動を計画する際の環境影響評価の実施、動植物相の保存、廃棄物の処理等の幅広い義務が規定されたところであります。この議定書の的確かつ円滑な実施を確保するために必要な国内担保措置を講じるため、今般、本法律案提案した次第であります。  次に、この法律案の内容の概要を御説明申し上げます。  第一に、議定書の的確かつ円滑な実施を図るため、南極地域における活動の主宰者及び行為者が南極地域環境保護のために配慮しなければならない基本的な事項を定めて、公表することとしております。  第二に、議定書の定めに従い、南極地域におきまして、科学的調査を除く鉱物資源活動を禁止し、動物相及び植物相の保存のために動植物の捕獲や持ち込み等を制限し、廃棄物の適正な処分及び管理を行い、南極特別保護地区への立ち入りを制限し、南極史跡記念物の破壊等を禁止するとともに、南極地域大気の著しい汚染等南極地域環境に著しい影響を及ぼすおそれのある行為を禁止しております。  第三に、以上の行為の制限を確実なものとするため、南極地域においては原則としてすべての活動を実施する場合に、議定書で禁止されている行為がないこと、議定書で条件つきで認められている行為がその条件に適合すること、南極地域環境に著しい影響を及ぼすおそれがないことについての確認を受けることを義務づけることとしております。この確認のための審査に当たっては、必要に応じ環境影響の検討資料の提出を求めるとともに、環境影響の程度が軽微でない場合には、議定書の締約国等の意見聴取の手続を行うこととしております。  このほか、報告徴収、立入検査、措置命令といった、南極地域環境保護のため必要な監督を行うとともに、周知、罰則、経過措置等に関し、所要の規定を設けることとしております。また、この法律の制定に伴い、南極地域の動物相及び植物相の保存に関する法律は、廃止することとしております。  以上が、本法律案提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  150. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時四十七分散会      —————・—————