○国務大臣(池田行彦君)
我が国のODAのあり方につきましてはいろいろな意見が最近国会においてもあるいは
国民の中においても出てきているのはよく承知しております。そういった中で、今
委員も御
指摘になりましたが、
一つはこれだけ財政が逼迫した
状況にある中で、幾ら国際貢献とはいえODAだけが聖域としてどんどんふえていくというのはどうかという意見、とりわけ各国がいわゆる援助疲れという
状況を見せる中で、
我が国がこれまでも着実にODAを伸ばしてまいりましたので、ここ五年間ぐらい量においては世界一になっているじゃないか、ぼつぼつこのあたりで見直してもいいんじゃないかという意見があるのはよく承知しております。
しかしながら、私
どもは、やはり
日本という国の国際社会でのあり方、そして国際社会に一体何が我々は貢献できるかということも
考えなくちゃいけないと思っておるところでございます。
確かに、量的に世界一だと言われますけれ
ども、これを例えばGNP比で見ますと、
日本の場合は九五年ベースでたしか〇・二八でございます。米国はたしか〇・一でございますけれ
ども、例えばフランスは〇・四台、それからカナダは〇・五台だと思いますし、ドイツ、イギリス等も
我が国よりは上位にランクされているということ、つまりGNPでございますから
自分たちがつくり出した富の中でどれだけを国際的なそういったODAとして提供しておるかという
観点からいいますと、必ずしも
日本だけが飛び抜けて大きなODAを供与しているとは言えない、こういうことは言えるかと思うのでございます。
それからまた、アメリカなんかは確かに〇・一ではございますけれ
ども、世界の安定なり繁栄というものを
考えた場合には、ODA以外にもいろいろな取り組み、寄与あるいは貢献があると思うのでございます。国際公共財の
一つと言ってもいい
安全保障という面で、やはり今アメリカは全体として見れば大きな役割を果たしておると思います。それからまた、経済の面に限ってみましても、米国のマーケット、あれだけ巨大なマーケットが、いろいろなことはございますけれ
ども、総合的に見ればやはり世界で最も開かれた市場、しかも大きな市場である。そういったことで、開発途上の国々にもそういった便益といいましょうか利益を供与していることもあると思うのでございます。
そういった
観点から見ますと、
我が国は確かにODAは量では大きいかもしれないけれ
ども、先ほど言ったように、GNP比では必ずしもそんなに胸を張れたものじゃない。それから、
安全保障の面で申しますと、最近PKOその他の貢献はしておりますけれ
ども、全体として見るとどうかというところがある。それから市場の
関係でも、今規制緩和をどんどん進めてはおりますけれ
ども、果たして本当にLDCの目から見て
日本のマーケットは非常に開かれたものでありマーケットアクセスが容易であると言えるかどうかということも
考えていかなくちゃいかぬ。そういうこともいろいろ
考えながらこれからのODAのあり方を
考えてまいらなくちゃいけない、こう思っております。
もとより、財政の状態も大変でございますから、私
どもこれを聖域とは
考えておりません。そういった
意味で、現在本院で御審議いただいております来年度予算におきましてもその伸び率は過去最低の二・一%にとどまっておるわけでございます。円相場の変化、今年度、八年度の予算は一ドル九十七円で算定されているわけでございますから、そういうことを
考えれば二・一%の増というのは実質はドルベースで見ればどうなるかというのは御
理解いただけると思います。
そういうふうに財政の状態も十分
考えながら、しかしながらODAは
我が国が国際社会に存立していくために大切な意義を有するものであるということも
考え、これからも対処してまいりたい。そして、そのためにもむだを省き、一層効率的、効果的なODA予算の執行に当たってまいりたい、こう
考えている次第でございます。