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1997-06-06 第140回国会 参議院 科学技術特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年六月六日(金曜日)    午後一時開会     —————————————    委員異動  六月四日     辞任         補欠選任      中尾 則幸君     萱野  茂君  六月五日     辞任         補欠選任      二木 秀夫君     山崎 正昭君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         猪熊 重二君     理 事                 鹿熊 安正君                 吉川 芳男君                 高橋 令則君                 川橋 幸子君     委 員                 岩永 浩美君                 海老原義彦君                 北岡 秀二君                 沓掛 哲男君                 松村 龍二君                 山崎 正昭君                 及川 順郎君                 広中和歌子君                 水島  裕君                 山本 正和君                 萱野  茂君                 阿部 幸代君                 立木  洋君                 矢田部 理君    国務大臣        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       近岡理一郎君    政府委員        科学技術庁長官        官房長      沖村 憲樹君        科学技術庁長官        官房審議官    興  直孝君        科学技術庁原子        力局長      加藤 康宏君        科学技術庁原子        力安全局長    池田  要君        外務省総合外交        政策局軍備管        理・科学審議官  河村 武和君        資源エネルギー        庁長官官房審議        官        谷口 富裕君    事務局側        第三特別調査室        長        塩入 武三君    説明員        原子力安全委員        会委員長     都甲 泰正君        外務大臣官房審        議官       稲川 照芳君        気象庁地震火山        部管理課長    内池 浩生君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関  する法律の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 猪熊重二

    委員長猪熊重二君) ただいまから科学技術特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る四日、中尾則幸君が委員辞任され、その補欠として萱野茂君が選任されました。  また、昨五日、二木秀夫君が委員辞任され、その補欠として山崎正昭君が選任されました。     —————————————
  3. 猪熊重二

    委員長猪熊重二君) 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 猪熊重二

    委員長猪熊重二君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事川橋幸子君を指名いたします。     —————————————
  5. 猪熊重二

    委員長猪熊重二君) 核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 北岡秀二

    北岡秀二君 自民党の北岡でございます。  これから約二十分間、このたびの法改正についての質疑をさせていただきたいと思います。外務省の方は出席いただいておりますね。  このたびの法改正というのは御承知のとおりCTBT関連しての国内法整備ということで、まず外務省の方にCTBT関連して基本的なことを二、三お伺いしたいと思います。  御承知のとおり、冷戦構造が崩壊しておる、こういう状況の中で核軍縮軍縮にどんどん進展していって、新たなる世界平和の秩序を構築していくという過程の中で、このCTBT日本においても批准される、あるいは国際的にもこの条約自体発効するということは非常に大きな意義があるように私どもも認識するわけでございます。  ところが、これはもう御承知のとおり、この条約発効というのは、条約の中で指定されておる四十四カ国が批准をしなければ発効しないというようなことでございますけれども、現段階の中にあって、条約で指定されておる四十四カ国の中でもインドパキスタン北朝鮮、この三つがまだ現在署名すらしていないというような状況であるということを聞いておるわけでございますが、このあたり、この三国が今なぜ署名ができないのか、あるいは署名に至る見通し、さらに我が国がこの三国に対してどのような働きかけを今現在されておるのか、まずお聞きしたいと思います。
  7. 稲川照芳

    説明員稲川照芳君) お答え申し上げます。  委員指摘のように、インドパキスタン北朝鮮署名をいまだやっておりません。  その理由といたしましては、インド条約交渉過程におきましても、時間的枠組みを付した核廃絶ということが明確に条約規定されない限り条約に加入しないとか、あるいは自分の国が反対しているにもかかわらず、インド批准条約発効要件となっているということは主権の侵害であるというような理由によって、CTBTには署名しないとの立場を九六年六月の段階から明らかにしておりまして、八月の軍縮会議におけるいわゆるコンセンサスで採択されることに対して反対した経緯がございます。このインド考え方は、基本的には現在も変わっていないというふうに理解しております。  パキスタンCTBTそのものについては支持しておりまして、現に九六年九月の国連総会におきましてこの条約が採択されましたときには賛成しております。しかし、安全保障上の観点から、インド署名しない限り自国も署名しないということで、いまだ署名しておりません。  それから、北朝鮮に関しましてはこれまでのところCTBTについての考え方を明らかにしておりません。  こういうような状況で、CTBT発効のためには、ただいま先生がおっしゃいましたようにインドパキスタンなどの条約十四条一に特定された四十四カ国がすべて批准書を寄託しなければ発効しないということになっておりますが、現時点で発効見通しは具体的に立っていない、申し上げることはできない段階でございます。  我が国といたしましては、これらの国に対して、やはりより多くの国がCTBT批准することにより核実験禁止に対する国際社会総意というものを示していくこと、現在のところ百四十四カ国が署名しており、批准国が二カ国というふうに承知しておりますけれども、この数が大きくなって国際的な総意を形成していくこと、それから多数国間のいろんなフォーラムがございますけれども、例えばASEANのリージョナルフォーラムというような機会を設けまして、特にインド等との間で対話を重ねて信頼醸成を進めていきたいと思っておりますし、他方、二国間のいろんな対話の形がございますので、そういう機会署名批准ということを働きかけていきたいと思っております。  我が国といたしましては、先生指摘のようにCTBTというのは極めて大事な条約でございまして、これが一刻も早く発効するように努力してまいりたいと思っております。
  8. 北岡秀二

    北岡秀二君 もうこれ言わずとも御承知のとおりでございますけれども、本来、核を保有する力がありながら核を保有しない国、世界の中でも経済的なことも含めて非常に大きな役割を担わなければならない日本として、今のお話ではそれなりの努力はされていらっしゃるということでございますけれども、これは基本的に四十四カ国が署名批准しない限り発効しないというような前提があるものでございますので、そういう観点から申し上げますと、過去のいろいろな経過等を踏まえて考えてみますときに、日本が果たしていく役割というのは非常に大きなものがあるだろうと思います。そのあたり、重々御承知だろうと思いますけれども、ぜひともそういう観点にのっとった上で、継続してより強力にそのあたり外交を推進していただきたいと思う次第でございます。  CTBT条約の中身の問題について、ちょっとこれは基本的なことでございますけれども発効したら、例えば核爆発あるいは核実験をやった国に対してどのような制裁措置がとられるようになっておるのか。そしてまた、なおかつ今申し上げましたとおり、条約発効までどのぐらいあと年数がかかるかわからない。ちょうど昨年でしたね、中国あるいはフランスの核実験ということで、日本国内はもとより全世界にいろいろな波紋を及ぼしたというような状況の中で、発効前、これからどのぐらいかかるかわかりませんけれども、その間の制裁措置というのは何らかの方策というのはないものですか。
  9. 稲川照芳

    説明員稲川照芳君) お答え申し上げます。  ただいま先生がおっしゃいましたように、条約発効しました場合におきましては、条約上は次のような措置をとるということになっております。  まず、第五条でございますけれども条約に違反する事態を是正し及び改善するための制裁を含む措置について規定しておりまして、核爆発実施により条約上の義務に違反した国がある場合には、締約国会議、これは最高の機関でございますけれども、同条に基づきまして次の具体的な措置をとることができます。  まず第一に、第五条二という規定がございまして、締約国条約に基づく権利及び特権、例えば締約国会議に出席して投票する権利、それから現地査察を要請する権利を行使することを別段の決定を締約国会議が行うまで制限しあるいは停止することができる。それから、五条三には、締約国に対して国際法に適合する集団的措置、例えば外交関係の断絶を通告することができる。さらに、五条四におきまして、締約国会議または事態が緊急である場合には、執行理事会は問題について国際連合の注意を喚起することができるというふうになっております。  しかしながら、条約自体がまだ発効しておりませんので、こういう条約上の制裁措置ということをとれないことになっております。しかしながら、CTBT条約自体は既に百四十四の国が署名しておりまして、二カ国が批准しているという状況で、ウィーン条約法によりますと、一たん署名した国につきましては条約趣旨に反することができないということになっております。  そういう意味で、このような多数の国が参加あるいは署名しております核実験禁止に違反する行為を行うということは実際上はなかなか難しいということでございます。そういう意味で、この条約自体が採択されたということが核実験禁止のための一歩前進であると理解しております。
  10. 北岡秀二

    北岡秀二君 制裁措置ということにこれまた関連することでありますけれども条約の中では国際的な監視体制を置くというようなことになるわけでございますけれども、今の論点と同じ質問でございますが、発効までの間に国際的な監視体制がとれないか、このあたりはどうでしょうか。
  11. 稲川照芳

    説明員稲川照芳君) お答え申し上げます。  条約の第四条一はいわゆる検証制度、この条約の最も根幹をなす検証制度でございますけれども、この条約効力を生ずるときに、検証について条約が定める要件を満たすことができるものとするというふうに規定しておりまして、この条約発効時までに検証制度整備するということになっております。  しかしながら、条約署名されていまだ間もない段階でございまして、この段階におきまして現在ウィーンにおいて包括的核実験禁止条約機関準備委員会というものが設けられておりまして、国際監視制度を含む検証制度整備について作業計画に関して鋭意検討を行っているところでございます。具体的な整備状況がいつになるかということは現在のところ申し上げられませんけれども、その準備段階をやっておるというところでございます。
  12. 北岡秀二

    北岡秀二君 もう前段にも申し上げましたけれども、今まさに日本国際貢献というのが内外問わず問われておる状況にございます。私は本当に今の日本の特色というか、これからの本当の意味での貢献ということを考えてみますときに、国連舞台あるいは国際舞台の中で日本がこういう分野においてどんどん先進国の一員として積極的に貢献をしていくというのが非常に大きな役割のような感じがいたします。  ですから、ぜひとも、これからまだまだいろんな課題もあるだろうと思いますけれども日本側はこのたび先進国の他の諸国に先駆けて批准をするという動きがほぼ目前でございますので、そのあたりどんどんフォローしていただきたいと思う次第でございます。  法律について科学技術庁にお伺いしたいわけでございますけれども、このたびの法案というのは核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律部分改正でございます。これは本当に文字どおり、核物質原子炉利用等についての規制を行う法律というふうに私ども理解をしておるわけでございますけれども、このCTBT関連しての国内法整備ということで、なぜこの条約に対して法改正で臨もうとしておるのか、そのあたりのねらいをお伺いさせていただきたいと思います。
  13. 池田要

    政府委員池田要君) お答え申し上げます。  先生が今おっしゃいました法律は短くは原子炉等規制法と称しておりますけれども、そもそも核爆発装置が原爆と水爆に大別されるわけでございますし、現在の技術レベルではそのいずれもが実際には核燃料物質、ウランですとかプルトニウムを用いて核爆発を生じさせるものでございます。我が国では製錬から使用、再処理、廃棄と申しました一連核燃料物質にかかわりますこういった行為原子炉等規制法によって規制しております。したがいまして、核爆発という行為につきましてもこの原子炉等規制法規制することが適当であると考えるに至った次第でございます。  また、この原子炉等規制法につきましては、日米原子力協力協定などの二国間の原子力条約、それから核兵器の不拡散に関する条約、それから核物質の防護に関する条約、こういった原子力関係条約国内で担保しますときの法律として機能もしてございます。  CTBTが禁止いたします核爆発核燃料物質を用いた事象でございますし、原子力、いわゆる核エネルギーを伴いますものでございますから、CTBT原子力関係条約と位置づけることが可能であると考えておりますし、こうした観点からも原子炉等規制法で担保することが適当だという判断に至った次第でございます。
  14. 北岡秀二

    北岡秀二君 ありがとうございました。  次に、核物質管理という観点からちょっと質問をさせていただきたいと思います。  このCTBTということに関して我が国が、国が間違いを犯すということは基本的にはまずあり得ないだろうと思うわけでございますが、最近の犯罪の凶悪化の傾向あるいはテロリストという問題等を考えてみますときに、私はCTBT批准ということを機に、より核物質管理というのを強化する必要があるのではないかなというような感じがするわけでございます。  と申しますのは、これもちょっと全然違う例えでございますけれども、つい先日の東海村の動燃の事故の現場においても、イタリア人侵入をして写真を撮ったというような出来事もございました。これは多分、本来侵入禁止の領域まで入って、どさくさに紛れて入ったのかどうか知りませんけれども、入られた。これがもし万が一テロリストであればというようなことを考えてみますときに、私は内部構造等を十分に承知しませんけれども、ややもすると危険な場面もあるんじゃないかなというような感じがするわけでございます。  従来、今までの原子炉等規制法によって核物質はどのように管理されてきたのか、そしてまたより一層強化する必要があるように感じるわけですけれども、そのあたりの御見解をお伺いいたします。
  15. 池田要

    政府委員池田要君) お答え申し上げます。  我が国は、原子力基本法の精神にのっとりまして、先ほど申しました原子炉等規制法などによりまして原子力の開発、利用につきましては平和の目的に限定して進めてきてございます。  具体的に申しますと、原子力事業者に対しましては計量管理、こういった規定の作成、それに基づきます核燃料物質等の厳格な管理、それから核燃料物質取り扱い状況の記録とか報告を義務づけております。また、このほか封印をいたしますとか、監視装置によってこういった核燃料物質の移動を監視する。また、こうした原子力事業者から報告されました核燃料物質取り扱い状況、それから実際の活動内容との間にそごがないということを現場で確認いたしますために査察実施しております。  また、我が国は核不拡散条約に基づきまして日本IAEAの間の保障措置協定を締結しておりますし、IAEAによります保障措置を受け入れております。IAEAの職員によりまして主要な原子力施設への査察が行われておりまして、国際的にも厳格な管理が行われているところでございます。  このように核燃料物質につきましては厳格な管理が行われているところということでございますけれども、先ほど先生から御指摘がありましたようなことも考えますと、このCTBT条約の締結を機にさらに一層こうした現在の核物質管理体制の徹底に努めてまいる必要があるかと考えております。
  16. 北岡秀二

    北岡秀二君 いろんな意味日本国内安全神話というのが崩れておりますので、そのあたりも、これも動燃の問題でいろいろ原子力関連の問題について再点検をされるだろうと思いますけれども、今申し上げた部分もこのたびの法律改正という意味じゃなくて、トータルで積極的にお取り組みをいただきたいと思う次第でございます。  最後に、もうあと時間がわずかしかございませんが、大臣にお伺いをいたします。  今の管理という観点でもそうですけれども我が国プルトニウム利用政策を推進していく上で、管理というのも非常に重要な要点でございます。ところが、プルトニウム利用関連して、我が国プルサーマル計画一連東海村の出来事以降、ある意味でいうと順調にそのあたり計画を推進していく環境というのは整いつつあったんですけれども、一挙にそのあたりも非常に大きな大きな障害がやってきたということでございます。しかしながら、我が国のいろいろな将来の原子力政策エネルギー政策ということを考えてみるときに避けて通れない問題である。  このプルサーマル計画について、今後の取り組みの姿勢、大臣はどういうふうに考えていらっしゃいますか、お伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  17. 近岡理一郎

    国務大臣近岡理一郎君) プルサーマル計画の推進につきましては、先生御案内のとおり、二月四日の閣議了解を踏まえまして、今もお話ありましたとおり、何としてもやはり国民全体あるいはまた立地の地域の方々の理解協力がなければできないわけでありまして、そういった意味で最大限の努力をしていかなきゃならぬと、このように思っております。過般、私も通産大臣と一緒に、さらには総理からも福島、新潟、福井の三県の知事へ説明を行いましたし、また両省庁で協力して地方自治体あるいは議会等への説明も行ってきたところでございます。  今後とも地元の意向を十分踏まえながら、地元の県議会あるいはシンポジウムあるいはフォーラム等の場での説明、さらにプルサーマル意義安全性等にかかわる一層の情報公開等政府が一体となって積極的な対応をこれから行ってまいりたい、このように思います。
  18. 北岡秀二

    北岡秀二君 結構です。
  19. 高橋令則

    高橋令則君 法案関連をして、少し前提となります条約の問題をお尋ねしたいと思います。  いわゆるCTBT包括的核実験禁止条約そのものはきょう午前中、参議院で承認議案として可決をされております。そういう意味で、まさに我が国条約実施に向けて大きく踏み出したということが言えるわけでございまして、非常に意義のあることだというふうに理解をしております。  しかしながら、さっき北岡委員も言われましたように、条約発効まではどうも相当山がありそうだと。条約そのもの我が国批准したとしても、国際的に本当に効力を持つまでにはどうも一山も二山もありそうだというふうなことが大いに懸念をされているわけです。それで、さっきインド等、保有しているあるいは反対している国の名前が挙がりました。ちょっとこれは難しいことですけれども北岡委員の御質問の中で今後の見通しについてのお答えが私にはちょっと不十分だったように思われますので、一体このCTBT発効するのにどういう期間的な見通しとかそういうものをお持ちであるか、もう少しお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  20. 稲川照芳

    説明員稲川照芳君) お答え申し上げます。  CTBTは、先ほども申し上げましたように百四十四という国が署名いたしまして、さらにニカ国がこのうち批准しております。この条約発効のためには特定の四十四カ国の批准の寄託が必要であるとなっておりまして、この四十四の批准が必要な国の中にはインドパキスタン、それから北朝鮮も入っております。もちろん、そのほか日本も含めまして原子力施設を有している国が入っておりますけれども、特にこのインドパキスタン北朝鮮につきましては、条約署名そのものもしておらないということで大きなネックになっておるわけでございます。  したがいまして、インドパキスタン北朝鮮、特にこの三つの国を挙げておりますけれども、基本的にこの条約署名を拒否している国をまず署名、そして批准というふうに持っていくかがこれからの国際社会課題であると思っておりまして、その意味でこれらの国に対していかにして働きかけを行っていくかということが私どもにとりまして大変大切な努力目的であると思っております。  その方法といたしましては、国際社会全体の意思として、この条約はぜひ批准すべきであるという政治的なプレッシャーをかけています。そういう意味で、条約批准を一刻も早く国際社会を代表するような大きな声としていきたいということでございまして、今回批准の手続をいただいておるわけでございます。  それと、さらにこれらの国が属しております地域のいろいろな対話フォーラムがございますけれども、そういうフォーラムにおきましても各国の総意として働きかけていく。さらに二国間のレベルでいろんなことで対応の場がございます。若干北朝鮮については難しいわけでございますけれども国際連合加盟国でございますから、国連におきまして条約についての対応を明らかにし一て、そして国際連合全体として条約批准が重要であるということを働きかけていくということが現在考えられております方法でございます。  こういうあらゆる手段を使いまして、特に三国の条約批准を実現して条約発効させていきたいというふうに考えております。
  21. 高橋令則

    高橋令則君 見通しをもう少し具体的に答えていただければよかったんですが、実際には難しいということはわかります。というのは、各紙に伝えられておりますインドの言い分なんか見ておりますと、なかなかそう簡単に、はいそうですかというふうな雰囲気にはちょっと見えないようなことがあるわけです。また、いろいろ批判をされるマスコミなんかでも、よく眺めてみますと、これについて具体的な提案があるわけじゃない。結局、やはりインドパキスタンに対して核保有の選択肢を残したいという政策、これをなかなか外しようもない。やっぱりこれを外していくのは、アメリカを中心として国際社会がこの地域全体の安全保障、そういったものでいわばインドの気持ちというんですか、パキスタンというか、今反対している国々の気持ちを和らげていくしかないのかなというふうな、やはり抽象的な話にしかなつていないわけです。  しかし、それではCTBTがこれだけの国の賛成で国連で採択されたといっても、発効までには本当に時間がかかる話でありますので、今審議官が言われましたけれども、もう少し具体的な、もっと具体的な見通しが持てるように日本としてもぜひとも御努力をいただきたい、これは要望でございます。  その次に、ちょっとお尋ねをいたしたいんですが、CTBT国連総会で採択されたわけですが、やはり次のステップの核軍縮に進む必要があると思うんです。それについて次に考えておられるのは何なのか、それに対してどういう取り組みをしておられるのか、その辺をお伺いしたいと思います。
  22. 稲川照芳

    説明員稲川照芳君) お答え申し上げます。  我が国は、核兵器のない世界を目指して具体的な核軍縮措置を一歩一歩実施していくことによりまして核のない世界を実現していきたいというふうに考えております。このような観点からいたしまして、CTBTに引き続き、ジュネーブ軍縮会議におきましてカットオフ条約、いわゆる兵器用の核分裂物質の生産禁止ということを目指した条約交渉でございますけれども、これが早期に開始されることが核軍縮の重要なステップであると考えております。  カットオフ条約は、NPT非締約国及び核兵器国の核能力そのものを凍結することによって、核不拡散、核軍縮のいずれにも資する措置であると考えておりまして、この問題はNPT無期限延長決定が九五年に意思表示されたわけでございますけれども、このときに採択されました「核不拡散と核軍縮の原則と目標」という決定におきましても、この交渉の即時開始と早期妥結がうたわれているところでございます。  しかしながら、ジュネーブの軍縮交渉におきまして、カットオフ条約に関して特別委員会を設けて直ちに交渉に入ろうというのが大多数の意見でございますけれども、依然として非同盟の一部の国はカットオフ条約と並行して核軍縮交渉を行うべきであるということを主張しておりまして、この点がネックでございます。すなわち、非同盟諸国は核軍縮を行うための特別委員会を設けようという動きをしておりまして、これが核保有国の拒絶に遭っているということで、交渉が進んでおりません。  そこで、日本といたしましては、少なくとも核軍縮に関する特別措置調整者というものを設定いたしまして、一刻も早くカットオフ条約の交渉を始めるべきだということで、現在も努力している段階でございます。
  23. 高橋令則

    高橋令則君 今、審議官がおっしゃいましたように、CTBTに続く核軍縮の次のステップは核保有国の核にも監視の網をかぶせることができる、いわゆるカットオフ条約かなというふうなことで取り組みが進められていることは承知しておりますが、これまた非常に難しい問題で、CTBTを上回る困難な前途が予測されるわけです。しかしながら、我が国は唯一の被爆国ということでありますので、次のステップ、このカットオフ条約の実現に向けて精いっぱい努力をしていただきたい、このように思います。  次の質問ですけれども、ちょっと戻りますが、CTBT実施機関と申しますか、この条約の実効を担保していくための国際機関が設けられるわけですが、これに対して、やはり我が国は相当関与していく、貢献していくことが重要だと思うんです。人の問題もあると思いますし、それから経費の負担の問題も条約にありましたけれども、具体的にその辺あたりはどうなっているのか、どのようにお考えなのか、お伺いします。
  24. 稲川照芳

    説明員稲川照芳君) お答え申し上げます。  委員がただいま御指摘されましたように、包括的核実験禁止条約機関条約趣旨及び目的を達成して、条約規定実施を確保し、並びに締約国間の協議及び協力のための場を提供するために条約により設立されたものであり、オーストリアの首都ウィーンに設置されることになっております。昨年十一月に包括的核実験禁止条約機関のための準備委員会というものが設立されまして、我が国はそのもとに置かれました暫定技術事務局における五つの局長ポストのうち、法務、対外関係局長のポストに外務省員を派遣いたしました。  そしてまた、国際監視制度検証局にも、先般、検証分野の専門家として気象庁から派遣いたしたところでございまして、今後とも、本条約機関の果たす重要性にかんがみまして、可能な限り人的な貢献を行ってまいりたいと思っておりまして、邦人の職員の活躍を期待してまいりたいと思っております。
  25. 高橋令則

    高橋令則君 我が国の国際機関における人的貢献が足りないという話がよく出るわけですので、ぜひこの面についても御努力をいただきたいと思います。  それから次に、このCTBTでは核実験を国際的に監視する観測網の整備が非常に重要なわけです。この中身を見ますと、地震、放射性核種、水中音波、微気圧振動というふうな内容になっておるようですけれども、まず現状からお聞きをしますが、外務省の把握として現在の世界の、幾らでしたか、百八十でしたか、ちょっと資料を見落としましたが、現状の核爆発を探知する能力というのはどの程度だというふうに把握されていますか。
  26. 稲川照芳

    説明員稲川照芳君) お答え申し上げます。  現在のところ核実験、最近では中国それからフランス等の実験が実施されてきたわけでございますけれども、これに関しましては世界的にいろいろな監視網ができておりまして、特に地震とか放射性核種あるいは微気圧振動等の監視技術を用いた監視によりまして、大体カバーできておるというふうに考えております。この条約発効するまでに、地震とか放射性核種、水中音波及び微気圧振動の四種類の監視技術を用いて監視網を完成することになっております。その意味で、条約目的といたします核実験核爆発について十分に対応できるような監視網ができるというふうに思っております。
  27. 高橋令則

    高橋令則君 手元の資料によりますと、四つの観測網のトータルは全世界で合計三百二十カ所という数字が手元にあるんですけれども、いずれにしても、少なくとも条約で決められた、あるいは予想された爆発、これはきちんと検証しなければ実効が期せられないわけです。特に、地震とかそれから微気圧振動、それから放射性核種監視といった、日本が関与できるあるいは貢献できる分野については、我が国の技術精度という点からいたしまして期待が大きいようでございますので、我が国としてもその面では十分貢献していく必要があるというふうに思います。  それで、我が国状況についてお尋ねしたいんですが、現状はそうだとして、恐らく今後国際機関に対する経費の分担等も含んで、全世界的に観測網の整備を進められると思いますが、我が国の今後の条約発効に向けて、こういう観測網の整備はどのように進められる御予定なのか、それをお伺いしたいと思います。
  28. 加藤康宏

    政府委員(加藤康宏君) 今、先生指摘の二種類でございますが、私の方から放射性核種の監視の方につきまして、御説明させていただきたいと思います。  御指摘のように、CTBTを受けまして、放射性核種の監視施設といたしまして国内で二カ所、これは沖縄と群馬県高崎でございますが、そこの観測所及び一カ所の実験施設、これは東海村でございますが、これらを設置する予定としております。具体的には日本原子力研究所においてその設置に向けて調査検討を開始したところでございます。  また、先ほども説明ございましたが、ウィーンの方におきまして、そのCTBT条約準備委員会におきまして、放射性核種の施設を含めました施設につきまして、その能力とか運営方法について技術的な検討が進められているところでございます。  それらの検討結果を踏まえながら、今後具体的な整備計画が立てられ、それに従って設置されていくということでございます。したがいまして、我が国としましてもそういう技術的な検討に積極的に参加をするなど、国際監視体制が早期に整備できるよう、できる限り協力していきたいと考えている次第でございます。
  29. 高橋令則

    高橋令則君 総括的に外務省、どうですか、今の件。
  30. 稲川照芳

    説明員稲川照芳君) お答え申し上げます。  今、原子力局長からもお答えがございましたけれども、放射性核種につきましては御説明のとおりでございます。それから、我が国に設置予定の監視施設でございますけれども、地震学的な監視施設につきましては気象庁の長野県松代に観測所がございますけれども、これを主要観測所として、あるいは北海道から沖縄までに点在する五地点の観測所を補助観測所とすることになっております。これらの観測所は、松代の観測所を中心に、実は八四年から関係国の任意の協力として行われてきている地震学的データの国際的な交換実験に参加してきておりまして、そういう意味で、地震学的な観点からの国際貢献というものは極めて大きいものがあるということで、期待いたしております。
  31. 高橋令則

    高橋令則君 ちょっと実務的な話をお尋ねしたいんですけれども、そういう観測網が国内の既存の施設それから新しい施設を含めて位置づけられますね。その場合、それに対する指揮命令系統というのは、アメリカの国際センターに直結しちゃって、途中、我が国機関が関与するのかしないのか。それとも、一たんそういうところで観測したやつは科技庁なり気象庁なり、外務省は技術屋さんじゃないからちょっとわかりませんけれども、そういうところで一たん集約して日本としてこうだというような形になるのか。その辺の国際監視網に組み込まれた施設の指揮命令、情報伝達のルートというのはどうなるんですか。
  32. 加藤康宏

    政府委員(加藤康宏君) 条約の履行に関するものでございますので、そういうデータは日本のものにつきましても一元的に外交チャンネルを通して報告されるものと考えておりますので、外務省の調整のもとに進められる話だと考えております。
  33. 高橋令則

    高橋令則君 外務省、そういうことですか。  ということは、今までこういうことがあったわけでしょう。チェルノブイリだったか何だか核爆発があった。そうしたら、オーストラリアとかそっちの方が速くて日本は遅かった。それは伝達の、要するに観測機関と行政の連携等やいろいろなことがあってそんなになっちゃったという話があるわけです。同じようなことが各国で起きるとすれば、国際的な監視網というのは機動的に作動しないという場合があり得るわけです。かといって、国には国の主権がありますから、国家主権との関連でそれは一体どういうふうに整理されているんだろうと思ってお聞きしているわけです。
  34. 稲川照芳

    説明員稲川照芳君) お答え申し上げます。  実験を探知するためのデータでございますけれども、これはウィーンに本部を置きます事務局内にセンターを設けまして、そこに対して各国の各地域に設置されます国際監視網によってデータが随時入るようになっております。そして、そのデータセンターに入りました情報につきましては各国に対して直ちに伝達されるということになっておりまして、この情報のシェアというものはキーワードでございまして、この点が十分確保されるように条約上はなっております。  したがいまして、我が国といたしましては、この国際監視制度によって得られますデータというものを各国との間でシェアして、日本国内におきましては関係省庁との間で情報をシェアして十分にこれを活用してやっていきたいというふうに考えております。
  35. 高橋令則

    高橋令則君 ちょっといまいちわからないところがあるんですが、これだけにこだわっているわけにはいきませんので、国際機関にいわゆる端末から直接データが行くのか、それとも途中で、我が国として国の主権というものがありますから、それをカットして、そして、加工とは言いませんけれども、そんなことをするのかしないのか。そういうふうなルートによっても非常に違ってくると思います。それは条約の問題があるでしょうから、そこら辺をきちんと整理して混乱が生じないように、しかも迅速に条約目的が達せられるように措置していただきたい。これは要望を申し上げておきます。  それから、気象庁の方においでいただいているのでちょっとお尋ねをしたいんですが、微気圧振動監視は気象庁の御担当でいらっしゃいますね。これは四つの観測網のうちの、四分の一というのはなんですが、非常に大事なパートを占めるわけですが、これはもう既にある装置だというふうに聞いておりますので、過去に核爆発等についてどういうふうに探知をされて、どの程度の成果があって、そして今後はそのままでいけるのか、それともやはり条約に伴ってさらにより精度の高いものに整備を要するのか、その辺を、過去の実績と庁としての条約発効に向けての整備のお見込みについてちょっとお尋ねをしたいというふうに思います。
  36. 内池浩生

    説明員(内池浩生君) お答え申し上げます。  地震の方で説明いたしますと、気象庁では我が国及びその周辺に発焦する自然地震の活動監視を目的に地震観測網を構築しております。この観測網を構成いたします長野市の松代町にあります精密地震観測室におきまして、最近では平成七年五月、同年八月、それから平成八年六月に中国が行った地下核実験により生じたと思われる地震波を観測してございます。  御質問のありました微気圧振動でございますけれども、過去において大気中で核爆発実験が行われた時期がございますが、その時期には微気圧振動をとらえたことはございます。  ただ、近年、核爆発実験が地下で行われておりますので、そのために気象庁の観測では微気圧振動があらわれたことはありません。
  37. 高橋令則

    高橋令則君 ちょっと時間も過ぎましたので、法文に入って二、三お尋ねをしたいと思います。  第一条のところで「原子力利用等」という改正がございますね。技術的な改正だと思いますが、研究、開発の利用を「利用等」というふうにくくってしまった理由、法令用語で「等」というのは大変いろいろな意味に使うわけでありまして、この点をお尋ねしたいと思います。  それから第二点は、六十七条の第四項、第五項、それから六十八条の三の第一項にかかわってですが、内閣総理大臣は関係者に対して報告をさせることができるとありますが、こういう国際機関から報告を求められたことについて関係者に対し報告をさせるというのは、国際機関に直接ではなくて、一たん国として受けとめて国が報告するという形になるんだろうと私は解釈をしているんですが、そういうことでよろしいかどうか。  それから、六十八条の三ではいわゆる条約機関の職員が入ってくるわけです。これが国内の職員と同じように一定の行動をすることになっているんですが、これにかかわって、もし不法行為的なものが生じた場合の賠償の問題がどうなのか、これをお尋ねしたいと思います。  それから罰則ですが、第七十六条の三で七年以下の懲役というふうになっております。これは、既存の条文は、御承知のように、生命それから財産の危険を生じさせた者は十年以下、それからこれらをもって脅迫したのが三年以下というふうになっているわけでして、ちょうど真ん中辺でこれはいいのかなというふうな気もしないではありませんが、その辺の罰則の考え方、以上の点をお尋ねしたい。
  38. 池田要

    政府委員池田要君) 今般、原子炉等規制法につきましては「目的」を改正いたしました。  この「利用等」と改正した理由でございますけれども、このCTBTにつきましては、そもそも核爆発といいます原子力利用を一切禁止するということを目的とするものでございまして、現行の法律が考えておりました「原子力の研究、開発及び利用」という範囲ではなかなか読みにくいといったことから、むしろ「等」を加えまして、またそういうことによってこの利用の禁止を改めるようにしたと。  この際に、この考え方といたしましては、そもそももともとの規制法にございました「原子力の研究、開発及び利用」において使っておりました「利用」という用語でございますけれども、これはこの当時は、もともとの趣旨は、研究、開発、その次の利用ということで、これはそもそも実用化といったことでの使われ方がされておったと。そうしたことから、今回はこの「利用」ということをむしろ「研究、開発及び利用」、これも一切含めまして広い範囲で「利用」という言葉を用いることにし、かつ「等」ということでこのような核爆発利用の禁止といった意味合いまで含めることにさせていただいた次第でございます。  それからもう一つ、報告につきまして、このCTBT機関に対する報告については、一たん国が受けとめて、それから報告をするということでよろしいかといったお尋ねがございました。  確かに先生指摘のように、この報告の徴収は、国が関係者から一たん報告を徴収した上で、国際機関として設けられますCTBT機関に報告することとしてございます。  それからもう一つ、外国人が査察におきましては入ってくるわけでございます。その際に不法行為が行われた場合に、これに対する賠償等はどうなっているかといった御質問がございました。  今回、査察が行われます際には、この法律におきましても政府の職員が立ち会うといったことにしてございます。したがいまして、この査察が適法に行われるように確認をするということが行われるわけでございますから、一般的に申し上げまして、査察員が不法行為を行うといったような事態が起こるという可能性は極めて低いと思っております。  また、これにつきましては、これまで原子炉等規制法におきましても保障措置ということで国際原子力機関の職員が査察を行ってきておりますけれども、これもかなり長年の経験を持っておりますけれども、一切そういった問題が生じたことはないということもあわせて申し上げたいと思います。  ただし、先生が御指摘のように、仮に査察員の不法行為があったといった場合につきまして、今回の改正におきましても、それからこれまで類似の国際機関によります査察におきましても、特に賠償請求といったようなことについての規定は設けてございませんけれども、仮にこういった不法行為が行われたといったことになりますと、国民の権利保護のために政府としていかなる対応をするかといったことにつきましては、査察員に与えられました資格の取り扱い、例えば外交上の特権ですとか、こういった扱いも含めてどうするかという点につきましても外務省と相談してまいるといったことになろうかと思っております。  それからもう一つ、罰則につきまして、七年以下の懲役ということにつきましてのお尋ねがございました。  今回のこの規定は、包括的な核実験の禁止を担保するために、危険の発生といったことの有無を問わないで、核爆発を生じさせたといったこと自体を禁止するものでございまして、これを生じさせた者を罰しようといったものでございます。  量刑といったことになりますと、現行の原子炉等規制法におきましても、核爆発を含めてこの核分裂を起こさせて、仮にそれが放射線を発生させて危険を生じたといった場合の量刑ということになりますと、十年の懲役としてございます。  こういったことから比較しました場合に、危険の発生を必ずしも要件としないで、核爆発を生じさせた者を罰する場合の量刑といたしましては、その一つ下のランクとしての七年ということにした次第でございます。
  39. 高橋令則

    高橋令則君 時間ですから、終わります。
  40. 川橋幸子

    川橋幸子君 CTBT締結そのものにも賛成でございますし、それに伴います国内法制の整備ということで、今回、原子炉等規制法、フルネームは大変長い名前のようでございますが、この法改正にも賛成でございます。  きょうは、私は、我が国プルトニウム政策といいましょうか核燃料サイクル政策のあり方といいましょうか、あるいは見直しの必要についてという観点から、今法案関連して質問させていただきたいと思います。  動燃が国民各層からの大変大きな不信を受けているわけでございますが、これは動燃にとどまらずに科技庁に対する不信にもなっていると残念ながら言わざるを得ないと思いますし、それから、役所に対するというよりも、むしろ日本原子力行政、原子力政策はこれでいいんだろうかという、そういう基本的な問いかけを国民の側から現在私どもはいただいているような気がいたします。  安全神話といいましても、今回の経験を踏まえると、やはりどんなに日本の技術力が優秀であったとしても、日本だけが例外ではあり得ない。核の問題あるいは核燃料の問題というのは、どの国も非常に夢を追いながらも手痛い失敗を繰り返して、現在、高速増殖炉からは撤退という、こういう状況になっているわけです。日本だけが例外ではあり得ないのではないかという、こういう気持ちが素人の国民であるからこそ余計強くでしょうか、私自身もそうでございますけれども、もう一回この核燃料サイクルの計画を基本的に見直す必要があるのではないかと思っているわけでございます。  ということで、まず第一点は、現在運転停止といいますか、運転凍結しておられる「もんじゅ」でございますが、高速増殖炉につきましては、電力業界からのコストの問題等々も提起されているところでございまして、当面の運転凍結というよりも、むしろ計画そのものを凍結して、「もんじゅ」の役割というものを見直す必要があるのではないかと思いますが、いかがでございましょうか。  役割の見直しという意味は、せっかくここまで研究が重ねられてまいりました「もんじゅ」でございますので、「もんじゅ」の性格をプルトニウム増殖から、むしろ国際的な研究機関というような、核燃料のごみとしての要素を解消できるような、そういう新たな研究機関として見直すということが考えられると思いますが、いかがでございましょうか。
  41. 加藤康宏

    政府委員(加藤康宏君) 高速増殖炉につきまして、もう先生十分御承知と思いますが、限りある貴重なウラン資源の利用効率を軽水炉の数十倍に高めることができるということで、資源の乏しい我が国にとっては、将来にわたるエネルギーの安定供給力確保のためには非常に重要なものと考えております。しかも、技術を確立すればエネルギしが得られるという意味で、日本にとっても非常に適したエネルギー確保手段ではないかと思っております。  今、先生から「もんじゅ」は研究炉として活用すべきだという話がございましたが、もともと「もんじゅ」自身は研究開発のための炉でございます。増殖というのも当然その目的ではございますが、高速炉のシステムがきちっと機能して動く、そういうことを実証するということが非常に重要なわけでございまして、そういうのが動きますれば、先ほど先生が燃焼に重点を置くとたしかおっしゃったと思いますが、そういうようなことも研究としては可能なわけでございます。いずれにせよ、「もんじゅ」がきちっと動かないとそういう研究もできないわけでございます。  その「もんじゅ」でございますが、事故を起こした後、現在、原子力委員会の高速増殖炉懇談会におきまして、幅広い人からの御意見をいただいているわけでございます。そういうところで当然そういうような御意見も出るかと思いますが、いずれにせよ、そういう「もんじゅ」の扱いを含めました将来の高速増殖炉開発のあり方につきまして、現在審議中でございます。  それらの結論を踏まえながら、高速増殖炉のあり方については適切に対処してまいりたいと考える次第でございます。
  42. 川橋幸子

    川橋幸子君 現在審議中ということでその事情はわかるわけでございますが、私が申し上げておりますのは、三十年間一つの路線をずっと追い続けてきたけれども、残念ながら大きな転換期といいますか、大きな課題にぶち当たっていると。ですから、「もんじゅ」を動かすなとか何とかというよりも、もうひとつ打開点を探るためにどうすればいいかという意味で私きょうは質問しているつもりでございます。  ということで、次に移りたいと思いますが、使用済み燃料といいますのは、以前も私、この委員会で、大変厄介なごみと考えるのか、新たなエネルギー源と考えるのか、あるいはもう一つは、日本原子力は平和利用に限ると申しておりますけれども、絶えず国際社会では核兵器の要素になるのではないかという、非常に大きな三つのことが問われてきております。この三つをうまく解決するのが「もんじゅ」に象徴されることだったのでございますが、それがとんざしているということの問題をどう解決すればいいかということになるわけでございます。  私は、ここはひとつ、国民の信頼を得るというのは、厄介なごみと言われるその要素に対してどういうふうに対応していくのか、誠実な対応の姿勢を示すことがむしろ国民の不信を解消していく新たな出発のもとになるのではないかというそういう感じがするわけでございます。  つきましては、「もんじゅ」が現在、御案内のような状況にあるといたしますと、まず需要に見合った規模にプルトニウムの再生産というと変ですね、何というんでしょうか、専門家の言葉でもう一回言っていただいて結構でございますが、そういうことを考えるとすると、六ケ所村の再処理工場の規模というのはいま一度見直しまして、規模抑制、どの程度抑制すればよいのかもう一回見直す必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  43. 加藤康宏

    政府委員(加藤康宏君) 使用済み燃料は我々は資源と考えておりまして、その中に含まれておりますプルトニウムを再利用していこうというのが我々の基本的な考え方でございます。  それからもう一点、「もんじゅ」とか高速増殖炉は非常に将来のものでございまして、将来のエネルギー確保のためにそういう技術を確立していきたいということでございます。  現実の六ケ所村の再処理工場は年間八百トンの処理規模でございますが、そこから得られますプルトニウムは、必ずしも高速炉ということじゃなくて、プルサーマルとしまして現実の現存する軽水炉で使っていくということでございまして、そういう意味で、需要に見合った規模と先ほど御指摘いただきましたが、プルサーマル計画で現在の軽水炉で燃やしていく分につきましては十分処理できる量と考えている次第でございます。
  44. 川橋幸子

    川橋幸子君 現在検討中のことが多々ありお答えにくいことはわかるのでございますけれども、今までの路線のままで余り見直す必要はないというふうなそんなニュアンスで私には聞こえてしまいまして、私にとっては残念な感じを抱かざるを得ないのでございますが、需要に見合った規模にすると言ってくださっているわけでございまして、そのあたりはチェックを常時お願いしたいと思います。  さて、原子力発電の新増設といいますのもさまざま、核燃料サイクルといいますか、「もんじゅ」以降の一連の問題に対して出てくるわけでございます。  九四年のエネルギー将来需給の見通しに基づいて今は原子力発電のこれからの設備投資も検討されているのではないかと思いますが、さきの見通しは九四年というふうに伺っておりますので、そろそろ見直しの時期に来るということを考えますと、原子力発電の新増設についても抑制というそういう国の姿勢がそろそろ出てもいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  45. 谷口富裕

    政府委員(谷口富裕君) お答えいたします。  先生指摘の九四年の見通しの後、「もんじゅ」の事故等の状況も踏まえまして、総合エネルギー調査会の基本政策小委員会、さらには原子力部会という二つの部会でエネルギー全体の今後の長期的な見通し、とりわけその中での原子力の位置づけ、進め方について検討してまいりまして、それぞれ、昨年末、原子力部会についてはことしの一月末に報告が出たところでございます。  それらの報告、議論を踏まえましても、アジア地域を中心としました今後の世界のエネルギー消費の堅調な伸びというのを背景としますと、資源に乏しい我が国にとりましてはエネルギーの安定供給を確保するということが一層重要な課題になっていくということでございます。それから、とりわけ化石燃料の消費に伴いまして発生しますCO2の排出によります地球環境問題、いわゆる地球温暖化問題への対応も重要だという認識でございます。  こういった状況にかんがみまして、供給の安定性、環境特性の点ですぐれており、さらに発電コストの安定性という点でもすぐれた特性を有しております原子力発電は重要なエネルギー源であるということで、既に我が国の総発電量の約三割を担っているところでございます。  今後とも、省エネルギーの徹底、新エネルギー開発導入に最大限努力するということと並行しまして、安全の確保及び平和利用の堅持を大前提にしました、さらに国民の理解協力を得ながら着実に原子力開発を進めていくことが重要であるというふうに認識しております。
  46. 川橋幸子

    川橋幸子君 私は、本当に素人ですからわからないことをわからないと言ってしまうのですけれども、CO2の排出量、日本がことし京都の国際会議まで招致しまして熱心に取り組んでいるというのはよくわかるのでございますけれども、CO2の抑制について原子力発電の寄与度というのはそんなに大きいものかどうか、ほかにもCO2の発生源はたくさんあるような気がいたしまして、その辺は少々わからないのでございます。  でもまあこの場で伺っても仕方ございませんので、またわからない点はお教えいただきたいと思いますが、国民的な信頼を得るように説明をしてくださるということでございますので、その説明をよろしくお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。  そこで、また科技庁の方に質問を返したいと思います。  原子力発電は動かさざるを得ない、動かなければ日本のエネルギーは賄えないというのは私もよくわかっております。動かす以上は、使用済み燃料といいますか、私はこの場ではごみと称しておりますけれども、そういうものが出てくるわけです。どうやってそれを保管するというのでしょうか、貯蔵するというのでしょうか、これも言葉が難しい、ごみというと貯蔵も保管も変なんですけれども、現在のところは六ケ所村と、それから発電所があるその施設の立地場所ということになっています。  ごみの発想で伺いますと、やっぱりごみは、ごみ持ち帰り運動なんという言葉もございますように、それによって受益をする消費地でその貯蔵というのは考えるべきではないかという話が出てきているわけでございますが、新たな貯蔵場所というものを検討していただくというのはいかがでございましょうか。これは大臣にお尋ねさせていただきたいと思います。
  47. 近岡理一郎

    国務大臣近岡理一郎君) 使用済み燃料保管につきましては、幾つかの発電所におきまして、その貯蔵能力の増強を地元理解を得ながら行ってきたわけであります。さらに、長期的な対応としまして、二〇一〇年を目途に、発電所敷地外における貯蔵も可能となるような所要の環境整備につきまして早期に結論を得るべく、当庁並びに通産省及び事業者等から成る使用済み燃料貯蔵対策検討会を設置いたしまして、三月より検討を開始したところでございます。  発電所の敷地外における貯蔵につきまして、現時点で特定の立地地点の見通しを有しているわけではございませんが、当庁としましては、今後、通産省と連携をとりながら、今申し上げました検討会の場等を通じまして議論を深めてまいりた  い、このように思います。
  48. 川橋幸子

    川橋幸子君 新たな場所について、ぜひ御工夫いただきたいと思います。  そこで、先ほどもプルサーマル計画質問にもありましたし、私の答弁にも局長の方からお答えいただいておるそのプルサーマル計画でございますが、このプルサーマル計画といいますのも、やはり高速増殖炉の計画がとんざしたための代替的な計画というような感じで急浮上したような印象があるわけでございます。原子炉の制御というのは、通常のウランを燃やすよりもプルトニウムをまぜればその安全性の確保というのは難しくなることは当然かと思います。  そういう意味で、プルサーマル計画を浮上させてこれでやっていくしかないという、そういう現状であるとすれば、その技術面の安全性などにつきまして格段の努力が必要な感じがいたします。この点についてお尋ねいたします。
  49. 加藤康宏

    政府委員(加藤康宏君) まず最初に、プルサーマルという考え方は、我が国も高速増殖炉の開発をしようと、これは昭和三十年ごろだったかと思いますが、そのころから軽水炉でプルトニウムを燃やそうという構想がございまして、それ以降の長期計画におきましては、プルサーマルと新型転換炉、そういうもので当面プルトニウムを燃やして将来的には高速増殖炉につなごう、こういう話でございまして、急浮上したというよりも、前々からそういうことが計画されておりまして、だんだん現実のものになってきた、いよいよ実施する段階になってきたということで御理解いただきたいと思います。  なお、それから安全性の点につきましても御指摘がございましたけれども、既に欧米諸国におきましては、一九六〇年代からプルサーマルが着実に進められておりまして、諸外国では千六百体を超える実績、我が国では数体の実験的なものに加えまして、「ふげん」ではかなりの経験がございます。  いずれにせよ、当然プルトニウムとウランのMOX燃料といいますか、混合燃料とウラン燃料というのは多少違いますけれども、それは安全上特段の問題になるようなものとは考えておりませんで、我々としては技術はもう完成されているものと考えている次第でございます。  したがいまして、先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、先般の閣議了解を踏まえまして、立地地域の方々あるいは国民の理解を得られるよう最大限努力してまいりたいと考える次第でございます。
  50. 川橋幸子

    川橋幸子君 言葉は悪いですけれども、私はいつも役所側の御答弁を伺っていますと、物は言いようだなという気がしてしまうのでございます。従来からこうであって、今度こそ従来からの考え方が軌道に乗るというような、そういう御説明には私はくみしない人間でございます。  それでは最後に、余剰プルトニウムの蓄積といいましょうか、これも役所の方ではそういう表現については異論があるかもわかりませんけれども、諸外国が見る目というのは、どうしてもこういう目から、意地悪な目で諸外国の方からは監視の目が入ってくるわけでございます。特にアメリカの場合は、日本プルトニウムに対して、不思議な感じがするんですけれども、日米防衛協力ということがある中での日本プルトニウムに対して非常に厳しい目を持っていると私は伺っております。  こういうことから考えますと、これから余剰プルトニウムがふえていくといたしますと、余計日本のそうした問題に対する、日本政府に対する意識、政策に対する政府対応に対して監視の目が強くなっていくような気がいたします。  ということで、まず一つ、ごみを出さない工夫、夢のような工夫があるのかどうかはわかりませんけれども、もう一回初心に立ち返って基礎研究からこうした問題に取り組んでいただくという、そういう基礎研究重視の姿勢を核の問題にも核燃料の問題にも示していただきたいと、私の希望でございます。  そうした点から、夢を語る原子力政策ではなくて、現実を説明して困難さを打開するその道を説明する、そういう原子力政策に転換していただきたいと思いますが、もう時間もございませんので、大臣から一言伺って終わりたいと思います。
  51. 加藤康宏

    政府委員(加藤康宏君) まず最初に、国際的なプルトニウムのことでございますけれども我が国としましては、プルトニウムの問題は透明性を大事にするということで、余剰のプルトニウムを持たないという政策のもとに、当然先ほどございましたIAEA保障措置等も受けておりまして、国際的な理解も十分得てやっているつもりでございます。  それから、基礎研究に戻って原子力を見直すという話もございました。特に、高レベルの廃棄物の処理処分に関連したものにつきましては、なおいろんな基礎研究が必要でございます。放射性核種を消滅するような夢のある分野もございますし、そういうようなところにつきましては、またそういう夢の多いことでございますので、そういう基礎研究を重視しながら原子力を進めていきたいと考える次第でございます。
  52. 立木洋

    ○立木洋君 この法律は、CTBT条約批准するに当たって、それを履行するための一部改正であるというふうに承知しており、私は妥当なものであるというふうに考えております。CTBTの本来の問題に関しては、きのう一日、外務委員会でいろいろお尋ねしましたから、そのことは省いて、きょうは特に核燃料物質規制の問題に関して、若干この法案関連してお尋ねしたいというふうに思います。  プルトニウムが核に利用されやすいということは前々から言われておりますし、とりわけこの問題に対しては、今お話がありましたように、プルトニウムの需給の透明性あるいはバランスの維持等々については非常に注意を払わなければならない問題として求められてきたというふうに考えているわけです。ですから、原子力白書で、一九九四年初めてこの問題に対しての需給バランス等の内容が公表されるようになりました。九五年十月にも同じように原子力白書によって公表されております。ところが、その後、一九九五年の十二月に「もんじゅ」での事故が起こりました。プルトニウムの消費に対するいわゆる見通しが立たなくなった、こういう事態が生じたわけです。  私は、ここに平成八年、つまり一九九六年十二月の原子力委員会の原子力白書というのを持ってきているわけですけれども、ここに書かれてある我が国プルトニウム需給見通しというのは、前の年のものが記載されているんです。新しい数字にはなっていないんです。つまり、プルトニウムは平成七年の白書で示された需給の見通しがそのまま掲載されているわけです。  現在の状況のもとでは検討されているというふうな先ほどお話がありましたけれども、現実には需給の見通しが立たなくなっているんではないか、一体どうなっているのかということをまず最初にお尋ねしたいんです。今のプルトニウムの需給の見通しについてはどうなっているのか、いかがでしょうか。
  53. 加藤康宏

    政府委員(加藤康宏君) 今、先生が御指摘プルトニウムの話は、平成七年の八月に立てたものでございまして、実はそれ以降改定しておりません。  我が国におきましては、先ほどから申しておりますが、核燃料サイクルを進めていく上でプルトニウム利用状況をより透明性のあるものにしていく努力はしているわけでございまして、そのために長期的な二〇一〇年ごろまでのプルトニウムの需給見通しをつくって明らかにする、それが先ほどのでございます。そのプルトニウムの需給の見通し関連する計画の進捗状況によって変わるものでございまして、現在示されている需給見通しも変わり得る、そういう前提のものであります。  現在におきましては、「もんじゅ」の事故とか東海の再処理工場アスファルト処理施設の事故等でプルトニウム需給の見通しにかかわる状況の変化はございますけれども、大きな目で見ますと、基本的には使用済み燃料を再処理して回収されるプルトニウム利用していくという核燃料サイクルの重要性は変わりようがございません。状況の変化につきましてよく見きわめながら、先ほども申しました余剰のプルトニウムを持たないという原則のもとに適切に進めていきたいと考えている次第でございます。
  54. 立木洋

    ○立木洋君 加藤さん、一九九五年の八月以降見直しを行っていないということ自身がだめなんですよ、おかしいんです。「もんじゅ」の問題があってプルトニウムの消費に対する見通しが変わってきたわけでしょう。その当時の、一九九五年の八月時点に基づくプルトニウムの需給の見通しについてはバランスをとって書いてあるじゃないですか。これから後変わっているんですよ。  私は言いますけれども、「もんじゅ」の問題というのは、技術的な問題だけでなくて地元で稼働する見込みがないんです。再稼働ができるかどうかめどが立っていないじゃないですか。「ふげん」は再稼働しましたけれども、ここも満杯になっている使用済み核燃料の貯蔵問題の解決と「ふげん」の位置づけの明確化が条件として取り上げられて、現地紙も見通しが不鮮明であるというふうな報道をしております。さらに、動燃東海再処理工場の停止など、プルトニウムの需給は今後も当面明らかにできる状況にはないんじゃないですか。  ここに書いてある内容をあれしますと、一九九四年から一九九〇年代末までの国内累積需要というのは、「常陽」、「もんじゅ」、「ふげん」、合わせて約四トンです。そして、同じようにこの供給についても約四トンになっております、東海再処理工場及びその既返還分。ところが、「もんじゅ」はだめなんです。それより小型の「常陽」で使われるのがどれぐらいの量になるのか。さらに問題は、二〇〇〇年から二〇一〇年までの年ベースの需給の問題も、供給の問題もバランスが合うように五トン、五トンというふうになっております。しかし、そこに出されている需要の面からいえば、「もんじゅ」はいまだ再開の見通しができていない。  それから、高速増殖実証炉は「もんじゅ」が動かなければスタートしないんですよ。そして、建設が始まったとしても数年かかる。設置の場所さえ決まっていない。ここで、この高速増殖実証炉は年間〇・七トン需要が生じるという事態が起こるんでしょうか。  さらに問題なのは、フルMOXlABWRについても、大間あるいは柏崎、福島などが挙げられていますけれども、すぐにフルMOXにいくわけではないわけです。そうすると、ここで出されている年間一・一トン需要が生じるというのは、そのとおりでいいんでしょうか。  さらに、軽水炉MOX燃料利用、これについても地元自治体はまだ受け入れていないんです。先ほど、長官がおっしゃいましたけれども、いろいろ話をしていますけれども、なかなか動く状態になっていない。そうすると、これは年間二・六トン需要が生じると言っているけれども、この見通しで果たしていいんですか。  問題は、これについてバランスが合うように六ケ所村の再処理工場では四・八トン供給ができるし、東海再処理工場では〇・ニトン年間供給ができる、この数字でいいんですか。そして、これから二〇一〇年までの間にイギリスやフランスなんかで再処理してもらったプルトニウムやMOX等が三十トン入ってくる。  全体的にバランスよく考えるならば、需給の見通しというのは立たないんじゃないですか。こういう状態になると過剰プルトニウムが生じる、剰余プルトニウムが生じると世界からの目、今もお話がありましたように、より厳しくなってくるんです。いつプルトニウムの需給見通しが明確な形で出せるんですか。何年の何月までに出せるかという問題について明確にひとつしていただきたい。
  55. 加藤康宏

    政府委員(加藤康宏君) 先ほどから申しておりますこのプルトニウム需給の見通しというのは約二年前のものでございますが、非常にいろいろな仮定を置いておるわけでございます。  それで、いつごろこれが見直せるかということでございますが、当然我々も二年前のものをずっとこのまま使うというわけではございません。いずれの時期には見直さなきゃいけないと考えております。  一つの考え方としましては、先ほど申しました高速増殖炉懇談会、原子力委員会がやっておりますが、そういうところで高速増殖炉の開発の見通し、そういうのが定まればそれに従ってまた検討はできますし、再処理工場につきましても再開の見通しをどう考えるか、そういうのがまとまればそちらの方も出てくると思いますので、それぞれのことを勘案しながら適切なときに見直しをしたいと考えている次第でございます。
  56. 立木洋

    ○立木洋君 いや、そういう答弁では私は困ると言っているんですよ。  先ほどあなた御自身がおっしゃった、プルトニウムの需給の透明性を高める、こういう必要が国際的にも起こってきている。だから、日本では平和利用に完全に徹する、民生の利用に徹するために余剰のプルトニウムは持ちません、こういう方向で透明性を高めることの必要性から一九九四年に初めて原子力白書で公表したわけでしょう。それが二年たったら、もう崩れちゃったんですよ。崩れちゃったのに見通しはまだ変えていない。これから先検討して必要な時期に改定するというふうなことでは、国際的に果たして納得できるだろうかという問題を私は指摘しておきたいと思うんです。  これは先日の五月二十四日の新聞に報道されたものです。元アメリカ国防総省の核戦略家ダニエル・エルズバーグ氏が、日本は数週間で核武装可能な、いわゆる仮想核保有国、こういうふうに言っているんです。これは事実かどうかという意味合いのことじゃないんです。彼がそう言っているということを紹介するだけなんですが、「エネルギー政策により大量のプルトニウムを保持することで、核保有国になる選択肢を捨てていないというのが世界の共通認識だ」と、ことしの五月二十四日に出されているんです。  問題について言うならば、世界プルトニウム利用は、日本が幾ら民生利用だと言い張っても、現実に需給のバランスや需給の透明性が明らかにできるような状態になければ、こういう考え方や批判というのがますます強まっていくというふうなことにならざるを得ないんじゃないかという懸念を非常に私としてはするわけです。  我々は、「もんじゅ」の事故以後、プルトニウムのリサイクル路線が破綻になったことは明白なんだから、この問題についてはよく御検討していただきたいということを申し上げました。当初は、近岡長官もこの問題についてはいろいろな条件をつけられたものの、プルサーマル計画の再検討もあり得るだろうというふうな答弁をいただいたんです。その後、今お話がありましたように、二月四日の閣議の後、動燃改革に当たってプルトニウムのリサイクル計画には手をつけることができないと。それで、さらに日本のエネルギーの利用から、プルサーマル計画の再検討だけではなくて、社会的に厳しい問題があるわけですから、そういう問題を考える必要があるのではないかということを重ねて私としては述べたいわけです。  今、需給のバランスや需給の透明度が明確にできないような状態に現実になっているんです。この問題を非常に重視しなければならないと思うんです。なぜ九四年からこの需給のバランスを公表するようになったのか、需給の透明性を高めるために公表するようになったのかという原点をもう一度考え直していただくならば、原子力基本法に基づく平和利用に徹する、そして規制もきちっとしなければならない、国際的にも非難を受けるような状態にないようにきちっとした態度をとることによって初めてこうした問題点は解消できることになるわけです。  私たちは、そういう意味からこの計画を再検討すべきではないかということを申し上げてきたわけです。そういう状況にあるということですから、長官、今の時点で一言。
  57. 加藤康宏

    政府委員(加藤康宏君) 国際的な透明性の点でございますけれども、我々二年前に需給の見通しというのはこういう形で出させていただきましたが、毎年白書におきまして、日本がどれだけプルトニウムを持っているかという実際の在庫量、見通してはなくてどれだけあるかということはきちっと公表しておりまして、そういうことは世界にいつも示しているわけでございますので、そういう意味での透明性は十分担保されていると。IAEAもそれを確認しているわけでございますということだと思っております。  それから、プルサーマルのことにつきましてもいろいろ御指摘がございましたが、先ほど大臣も答弁されましたように、先般の閣議了解に従って着実に進めていきたいと考えている次第でございます。
  58. 近岡理一郎

    国務大臣近岡理一郎君) ただいまもお答えしたわけでありますが、日本の場合はどうしても平和利用に徹する、これを貫かなきゃならないと思っております。そういった意味で、今局長から答弁があったわけでありますが、なお整理して、透明性を確保するために必要なことがあるならば、もっと方法その他があるかどうか検討させてみたいと思います。
  59. 立木洋

    ○立木洋君 私は、政府が発表された一九九五年八月時点での状況に基づいて、現実に起こっている今の日本の需要の状況あるいは供給の状況、これが見通しが立たないという根拠を示して指摘したわけです。  それで、このプルトニウムが現在日本にどれだけあるかというふうな問題だけでなくて、これからどう動いていくか、年々動いていくものですから、そういう問題について科学的な根拠のある態度を明確にすることによってのみ初めて国際的にも理解を得ることになり得るだろうと思うんです。私たちはこのリサイクルの問題については賛成ではありませんけれども、少なくともそういうことは規制の問題、平和利用のみに徹するという観点からいっても私は非常に大切だということを重ねて申し述べておきたいと思うんです。  最後に、若干問題は違いますけれども、一言お尋ねしておきたいんですが、兵庫の南部地震を踏まえて原子力施設の耐震設計審査指針が問題になりました。この問題については、原子力安全委員会でこの審査指針については問題がないというふうな報告が出されたわけです。これについては私もその当時質問をいたしました。  ところが、その後私はいろいろ調べてみたんですが、九五年の九月に出された兵庫県南部地震を受けた原子力発電所の耐震安全検討会は、神戸大学に設置された地震計により観測された地震動を岩盤のデータとして耐震指針の妥当性の検討を行い、現行の指針は妥当だという結論を出しました。  確認しておきたいのは、神戸大学で得られた応答スペクトルは長周期側、つまり周期が一秒前後であるが、日本で最大の地震が考慮された浜岡原発三号、四号の設計地震動は上回っているわけです。さらに、浜岡より小さな地震動を想定している大飯原発などでは〇・七秒前後で既に上回っているということが確認できます。さらに、大飯三号機の想定地震動と神戸大学で得られた地震動を比較すると、神戸の地震動が〇・七秒付近で大飯三号機の想定地震動を超えているわけです。大飯三号機の格納容器と遮へい壁を兼用するPCコンクリート製の原子炉建屋の固有振動数は、南北の方向が〇・六六四秒です。東西の方向が〇・五八七秒になっております。この振動数を見るならば、決して主要機器は短周期だからよいという結論には私はならないというふうに思うわけです。  この点に関して当時の原子力安全局長の宮林さんの答弁によりますと、「原子炉施設の安全上重要な建物とか建築物、機器あるいは配管系といったような剛構造でございまして、どちらかといいますと固有周期は短周期側に集中しております。したがいまして、長周期側につきましては問題としなくてもよろしい」、こういうふうに私たちは評価しており妥当なものだという答弁をいただいたわけです。こういう答弁をなさったわけですね。  しかし、原発の主要機器は短周期だから大丈夫だという理由は、逆に言えば短周期側のデータしか必要がないということになるんではないでしょうか。それではなぜ零秒から三秒、四秒程度までの応答スペクトルを考慮して耐震審査を行うのですか。もしこのような理由が正しいとすれば、いわゆる耐震指針の考え方を軽く扱ってもいいと。長周期は問題にする必要がないということになるんだったら、耐震基準そのものに対する態度がいいかげんなものにならざるを得なくなるんではないかというふうに指摘せざるを得ないんですが、改めて、その後私の調べた内容も含めて、今の点についてお答えいただきたい。
  60. 都甲泰正

    説明員(都甲泰正君) それではお答え申し上げます。  最初に、原子力安全委員会で行いました耐震安全検討会の概要をまず御報告申し上げまして、最後に具体的に御指摘いただきました点のお答えを申し上げたいと思います。
  61. 立木洋

    ○立木洋君 前段の方は私知っておりますから、後の方だけで結構です。
  62. 都甲泰正

    説明員(都甲泰正君) はい、わかりました。  確かにこの報告書では、まず神戸大学の地震計の設置地点の地盤につきまして、私どもの耐震安全検討会で実際に現地調査を行いまして詳細な調査を行ったところでございます。それで、耐震設計指針で言っております岩盤に相当する地盤ではないということが判明いたしまして、このため神戸大学における地震計の観測記録は表層地盤による増幅などの影響があったものと、このように判断したわけでございます。  それから、今、委員指摘原子炉施設の安全上重要な建物・構築物、機器・配管系は剛構造になっておるということでございまして、それでこれらの固有周期が短周期側に集中していると。今、委員の御指摘は、もし短周期側に集中しているなら長周期側のデータはなくてもいいんではないかという御趣旨かと思うのでございますが、これは実は地盤との関係がかなりございます。耐震設計を具体的に行いまして、そのときに構築物とか機器・配管系がどういう固有周期を持つかというのは地盤との関係が密接でございますので、あらかじめ指針で短周期側だけを想定しておけばいいというふうに決めることができないわけでございます。  それで、指針で言っておりますように、かなり広い範囲の固有周期の範囲を評価対象といたしまして、それで実際の固有の発電所の設計が出てまいりましたときに、それを指針と検討いたしまして妥当性を評価しておるところでございます。
  63. 立木洋

    ○立木洋君 短周期だけでいいんではないかというふうに言ったのは政府委員が言ったんです。私が言ったのではありません。  ですから、委員長さんが言われたのは、私は正確だと思うんです。だから、零秒から三秒、四秒までを耐震基準にしているわけですから、長周期の問題も当然地盤との関係で考慮に入れなければならないという回答をいただいたことは、私は適切だと思うんです。それは、前回の宮林局長の発言が間違っていたということを立証されたわけです。ありがとうございました。
  64. 矢田部理

    ○矢田部理君 CTBT条約発効するということになりますと、核兵器の実験的爆発あるいはその他の核爆発も含めて国際法上違法ということになりますね。
  65. 河村武和

    政府委員(河村武和君) 今、矢田部委員が言われました義務といいますのは条約の第一条にございまして、「締約国は、核兵器の実験的爆発又は他の核爆発実施せず」ということでございますので、これを実施しました場合にはこの条約に違反する、こういうことでございます。
  66. 矢田部理

    ○矢田部理君 だから、違法ということになりますね。
  67. 河村武和

    政府委員(河村武和君) 違反します。
  68. 矢田部理

    ○矢田部理君 違反するということは国際法上違法ということになりますね。  その違法で禁止された行為国内法的に担保するために今回のこの原子炉等規制法の改正がなされるということになる筋道だと思いますが、核爆発を生じさせた者についてはこれを犯罪として刑罰を科すというのが国内法の建前ですね。それはそのとおりでいいんでしょうか。
  69. 池田要

    政府委員池田要君) 原子炉等規制法におきまして、先生が御指摘のような場合には処罰の対象にするとしてございます。
  70. 矢田部理

    ○矢田部理君 そこで私は、大変重大な疑問を感じるのでありますが、核実験で爆発させた者は犯罪だと、違法だと。刑事罰をもって処罰をする。戦争で核兵器を使用させた者は違法にならないんですか。ここら辺はどうでしょうか。
  71. 河村武和

    政府委員(河村武和君) 今言われましたことはCTBTの枠外のことでございますので、この枠外でどういうぐあいに考えるかという話だろうと思います。
  72. 矢田部理

    ○矢田部理君 いや、考えるかじゃなくて違法にならないのかということ。
  73. 河村武和

    政府委員(河村武和君) いわゆるCTBT上、核兵器の使用が核爆発に該当して禁止されているのではないかということでございましたら、そういうことではないということでございますけれども
  74. 矢田部理

    ○矢田部理君 実験で爆発させたら違法で犯罪で処罰する、いいですか。本番で使って、これは当然実験が違法になるなら本番も違法になるのが当たり前じゃないかというのが私の主張なんですが、いかがなものかと、こう言っているんです。
  75. 河村武和

    政府委員(河村武和君) このCTBTがまさに使用を禁止していないということは国際法的にも認知されている考え方でございまして、それでございますからこそ現在いろいろな場で、例えば国連の決議等の形式において核兵器の使用禁止条約を結んではどうかというような提案がなされている、こういう状況でございます。
  76. 矢田部理

    ○矢田部理君 そんな経過や中身は全部知った上で聞いているんですよ。いいですか、実験は違法で犯罪で処罰するというんでしょう。しかし、本番で使ったときは日本政府は逃げ回る、人道上問題だが違法でないなどという態度をとっているから、頭の均衡を失していませんかとこう言っている。私の理解では、実験やテストが違法だというなら、しかもこれは犯罪として懲役七年もの処罰をするというのであれば、本番はもっと重い処罰をされてしかるべきだ、そうでなきゃ均衡を失するというのは私の主張ですが、あなたに聞いてもなかなか答えないでしょうからこれで終わります。  そこで、その次に聞きたいのは、「核爆発を生じさせた者は、七年以下の懲役に処する」。この「生じさせた者」というのはどういう概念なのか。つまり、例えば核爆発を生じさせるためには大がかりな組織といいますか、段取りゃ計画立案から大量の技術者、それから関係者をやっぱり擁して核爆発というのは行われるわけですが、その中でどの人を処罰するんですか。どういう範囲で処罰するのかを聞きたい。
  77. 池田要

    政府委員池田要君) 私どもの解釈では、今般原子炉等規正法に一点設けましたところは、核爆発を直接的に生じさせた者、もしくはその手伝い等を行った者を処罰するということになってございます。具体的にどこまでといった点については、これは司法の判断ということもありましょうから明確に申し上げるのはなかなか難しゅうございますけれども核爆発実施に直接的にせよ間接的にせよ中心的に携わった者があるとすれば、それが処罰の対象になると考えております。
  78. 矢田部理

    ○矢田部理君 刑事罰を科すための構成要件ですから、これは厳格にしなきゃならぬわけです。立法者が余りはっきりしないんだ、あとは司法の判断にまつんだというのじゃ立法者としての責任としてはいかがなものでしょうか。やっぱりこの範囲で立法者としては処罰を考えているとか、生じさせた者の範囲を構想しているとかということがあってしかるべきだと思いますが、いかがですか。
  79. 池田要

    政府委員池田要君) 今般の規定で、私ども理解では、先ほど実施に中心的に役割を担ったといったことで、そういった者につきましては処罰の可能性があると考えてございますけれども、そういった目的意識を明確に持たずに、ただ単に部分的な行為に対して手伝ったとか関与したとかといったことになれば、必ずしもそれは処罰の対象になるといったことは考えられないのではないかといった意味で申し上げたわけでございます。
  80. 矢田部理

    ○矢田部理君 犯罪ということになれば、共謀共同正犯論もあれば、お手伝いした従犯もある、それを企画立案、教唆扇動した教唆犯もあるわけだ、こういう人たちは処罰されるんでしょうね。
  81. 池田要

    政府委員池田要君) 先生指摘のような教唆した者があれば、それは処罰の対象になると考えております。
  82. 矢田部理

    ○矢田部理君 それから、これは国外犯も処罰することになっていますね。どこかの国で平和的核爆破があった、土木工事用のためにやったと。それを手伝いに行ったりそこで協力を求められた技術者とか科学者、これも処罰の対象になりますか。
  83. 池田要

    政府委員池田要君) 今般の原子炉等規制法におきましては、御指摘のとおり日本国籍を持った者が海外においてそういった行為に加わったということになれば、これは処罰の対象になるということでございます。
  84. 矢田部理

    ○矢田部理君 この刑事罰は自然人に対して決められているんでしょうかね。法人に対しては処罰はどうなるんでしょうか。
  85. 池田要

    政府委員池田要君) これは自然人だけでございます。
  86. 矢田部理

    ○矢田部理君 だから法人はどうなるのか。
  87. 池田要

    政府委員池田要君) 法人に対しては対象にしてございません。  その理由は、法人それ自体が核爆発を生じさせるといったことは考えられないわけでございまして、現実には法人の構成員たる自然人が行うということになるわけでございますから、今般のこの法改正におきましては自然人に関して核爆発を生じさせた場合に処罰する旨規定したところでございます。
  88. 矢田部理

    ○矢田部理君 それは承知の上で伺っているんですが、つまり核爆発ということになれば、ある個人が行ってどこかでボタンを押せばすぐ爆発するほど単純なものじゃないわけですね。大がかりな仕掛け、さっき申し上げたように。そうすると、大きな企業とか法人がやっぱり国家的な事業として引き受けてやるとか、いろんなかかわり方があるわけですが、自然人だけしか処罰をしない、法人に対しては制裁規定がないのはいかがかということで問題を指摘しているわけです。  それからもう一つ、こういうことを行った人たちに刑事罰を科して厳重に処罰をすることは私は結構だと思うのですが、これは条約上何が根拠になって刑事罰まで科せということになっているんでしょうか。国際的にどの国も同じような関係になっているのかどうか。犯罪として刑事罰を科しなさいというのが規定上見当たらないのですが、担保措置としてそこまで求められているのか、各国ともそういう状況になっているのかを伺っておきたい。
  89. 河村武和

    政府委員(河村武和君) 各国がどういう法制をとっているかということについてでございますけれども、御案内のとおり、この条約をまさに批准するために国会等にお諮りしている国は非常に少のうございます。日本がまさにフィジー、カタールに次いで三番目の国でございまして、ほかの国々はまだ条約の提出のための準備過程にあるということでございますので、それらの国々の国内法制がどうなっているかということについては今私たちの方では承知しておりません。  他方、条約自身は、まさに条約の三条でございますけれども、三条におきまして「自国の憲法上の手続に従いこの条約に基づく自国の義務を履行するために必要な措置をとる」ということが規定をしてございまして、まさにこの規定に従いまして各国がこの条約実施を担保するために適当と考える措置をとる、こういうことになってございます。
  90. 矢田部理

    ○矢田部理君 原子炉等規制法の七十六条の二というのがありますね。これはたしか七九年に核物質防護条約ができた際に処罰規定を置いたという経過だと思うのでありますが、これを見ておりますと、「特定核燃料物質をみだりに取り扱うことにより、その原子核分裂の連鎖反応を引き起こし、又はその放射線を発散させて、人の生命、身体又は財産に危険を生じさせた者は、十年以下の懲役」となっておりますね。今度の立法は生じさせただけで、生命、身体に危険を生じさせなくても七年以下ということになって、恐らくこの均衡が一つ問題になったのかと思いますが、本当はもうちょっと聞いた上で質問したいんですが、この核爆発を生じさせて人の生命、身体あるいは財産に危険を生じさせた者はどうなりますか。
  91. 池田要

    政府委員池田要君) これは、ただいま先生が御指摘になりました七十六条の二、この罰則が適用されると理解しております。
  92. 矢田部理

    ○矢田部理君 この七十六条の二については、国外犯にも適用するという条項になっていますか。
  93. 池田要

    政府委員池田要君) 今般の規定によりまして、現在の七十六条の二、先ほど御指摘があったところでございますけれども、この規定も海外で犯した場合にも適用されるように改正してございます。
  94. 矢田部理

    ○矢田部理君 時間ですから、終わります。
  95. 猪熊重二

    委員長猪熊重二君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。——別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  96. 猪熊重二

    委員長猪熊重二君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  97. 猪熊重二

    委員長猪熊重二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十三分散会