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1997-03-27 第140回国会 参議院 科学技術特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年三月二十七日(木曜日)    午前十時開会     —————————————    委員の異動  三月十七日     辞任         補欠選任      関根 則之君     岩永 浩美君  三月十八日     辞任         補欠選任      中原  爽君     志村 哲良君  三月二十一日     辞任         補欠選任      山本 正和君     大渕 絹子君  三月二十四日     辞任         補欠選任      大渕 絹子君     山本 正和君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         猪熊 重二君     理 事                 鹿熊 安正君                 吉川 芳男君                 高橋 令則君                 中尾 則幸君     委 員                 岩永 浩美君                 海老原義彦君                 北岡 秀二君                 志村 哲良君                 二木 秀夫君                 松村 龍二君                 長谷川道郎君                 広中和歌子君                 水島  裕君                 山本 正和君                 川橋 幸子君                 阿部 幸代君                 立木  洋君                 矢田部 理君    国務大臣        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       近岡理一郎君    政府委員        科学技術庁長官        官房長      沖村 憲樹君        科学技術庁長官        官房審議官    興  直孝君        科学技術庁科学        技術政策局長   近藤 隆彦君        科学技術庁科学        技術振興局長   青江  茂君        科学技術庁研究        開発局長     落合 俊雄君        科学技術庁原子        力局長      加藤 康宏君        科学技術庁原子        力安全局長    池田  要君    事務局側        第三特別調査室        長        塩入 武三君    説明員        文部省高等教育        局専門教育課長  梶野 愼一君        文部省学術国際        局国際学術課長  岩本  渉君    参考人        動力炉核燃料        開発事業団理事        長        近藤 俊幸君        動力炉核燃料        開発事業団副理        事長       植松 邦彦君        動力炉核燃料        開発事業団理事  中野 啓昌君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成九年度一般会計予算内閣提出、衆議院送  付)、平成九年度特別会計予算内閣提出、衆  議院送付)、平成九年度政府関係機関予算(内  閣提出、衆議院送付)について  (総理府所管科学技術庁)) ○科学技術振興対策樹立に関する調査  (動燃東海事業所処理施設における火災爆発  事故に関する件)     —————————————
  2. 猪熊重二

    委員長猪熊重二君) ただいまから科学技術特別委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成九年度一般会計予算外二案の委嘱審査のため、本日の委員会動力炉・核燃料開発事業団理事長近藤俊幸君、同副理事長植松邦彦君及び同理事中野啓昌君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 猪熊重二

    委員長猪熊重二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 猪熊重二

    委員長猪熊重二君) 次に、昨三月二十六日、予算委員会から、本日の午前、平成九年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち科学技術庁について審査委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  本件説明につきましては既に聴取いたしておりますので、これより直ちに質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 鹿熊安正

    鹿熊安正君 おはようございます。  早速質問に入りますが、我が国は一昨年、科学技術基本法を制定し、昨年七月に科学技術基本計画を閣議決定いたしました。九年度予算は、科学技術基本計画決定後初めての本予算で、予算折衝に当たっては科学技術庁長官として強い決意があったと思われます。その結果、予算特別会計を含めて七千三百四十五億円、対前年度比六%増となりました。また、科学技術関係経費で見ても三兆二十八億円、対前年度比六・八%ということで、初めて三兆円台の大台に乗ることになりました。  そこで、長官にお伺いいたします。平成九年度予算要求、大蔵省との折衝に当たり、どのような方針を持って行われたのか、そして、九年度予算を眺めてどのような御所見をお持ちなのか、お伺いいたします。
  6. 近岡理一郎

    国務大臣近岡理一郎君) ただいま先生おっしゃられましたように、科学技術基本法に基づきまして、昨年七月閣議決定されました基本計画に基づきまして予算編成に当たったわけでありますが、その内容を申し上げさせていただきたいと思います。  この基本計画を達成するために、まず第一に社会的、経済的ニーズ対応した未踏科学技術分野への挑戦であります。第二番目に、独創的な基礎研究推進と新たな研究開発システム研究開発基盤構築整備であります。第三番目に、安全で豊かな生活を実現するために必要な国民生活に密着した科学技術推進。四番目には、安全確保国民理解を大前提としたエネルギー安全確保。こういった諸点に重点を置きまして予算編成を進めてまいったところでございます。
  7. 鹿熊安正

    鹿熊安正君 ありがとうございました。  我が国は、世界のフロントランナーの一員になることを目指しております。私は、一昨年の科学技術基本法案審査質疑をいたしましたが、そのときの答弁では、基礎研究重視人材確保研究環境整備情報化推進国際交流推進科学技術に関する学習の振興などの内容基本法規定されており、今後、我が国科学技術創造立国を目指していくということでありました。  その後、基本法の成立を受け、科学技術基本計画、九年度予算へとつながっていくわけでありますが、法律精神基本計画、そして予算にどのように反映されているのか、主なものについて御説明願います。
  8. 近藤隆彦

    政府委員近藤隆彦君) お答え申し上げます。  科学技術基本計画におきましては二つ大きな柱がございまして、一つは、政府研究開発投資拡充でございます。これにつきましては、先ほどおっしゃられましたとおり、政府全体の科学技術関係経費で対前年度比六・八%という大きな伸びを計上しております。今後、このような基本計画方針に沿いまして、五年間で十七兆円という目標に向かいまして頑張っていこうと思っております。  また一方、その具体的な中身につきましても、基本計画におきましていろいろ指摘がございますものですから、それを踏まえまして、基本計画の具体的な施策の強力な実施を図るための予算というものに幾つかの工夫をしてございます。  例えば、基本計画に掲げておりますけれども、競争的資金拡充という点でございますが、例えば科学技術振興調整費というものにつきましては、今年度の二百十五億円から二百四十九・五億円への拡充とか、文部省におきます科研費科学研究費補助金につきましては一千十八億円を千百二十二億円でございますとか、さらには特殊法人等出資金活用しまして公募方式によります基礎研究推進につきましては三百二十億円のものを五百六十九億円とかというふうに拡充をしております。  また一方、新しい創造的でかつ集中的な研究ができるような研究開発システム構築という観点から、例えば任期つき研究員活用という点もございます。これに関しましても、科学技術振興調整費の中で特別に三億円を準備しまして、特に任期つき研究員を採用する場合に、集中して研究できるようにというふうなことも考えております。また、例えばポスドクの問題につきましては、現在の六千人規模の援助から七千八百人程度までふやそうということで、各省協力しまして、現在のところ二百四十四億円の予算を三百五十二億円にふやすなど、経費拡充をしております。  今後ともこのようなことを踏まえまして、関係省庁と密接な連携をとりまして、厳しい財政事情ではございますけれども、科学技術基本計画に従いまして施策を着実に実行していきたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。
  9. 鹿熊安正

    鹿熊安正君 いろいろ大変御苦労さまでございました。  次に、研究という視点から予算がふえることはよいことですが、予算増額に当たっては国民理解が必要であります。最近の先端研究国民の目からはどうもよくわからない、わからないから、そんな予算が要るのかという議論になってしまうことがあります。そのためには、この研究はこのような目的で行い、いつごろまでに結果を出し、研究結果はこのように活用することができますという説明が必要だと思います。  その意味から、九年度予算を見ると幾つかの新規事項があります。その中の、社会的、経済的ニーズ対応した未踏科学技術分野への挑戦ということで、脳科学研究地球変動予測に関する研究開発、新世紀構造材料研究開発次世代音速機技術研究開発という施策新規事項として力を入れているようですが、これらの新規事項研究目的研究期間及び研究成果活用方法について御説明いただきたいと思います。
  10. 落合俊雄

    政府委員落合俊雄君) ただいま御指摘ございましたように、平成九年度から幾つかの新規のプロジェクトを立ち上げたいと思っております。先生指摘ございました地球変動予測に関する研究開発につきましては、平成年度予算案で、「地球シミュレータ」の開発等を含め四十一億円、新世紀構造材料研究につきましては平成九年度二十一億円の予算、それから次世代音速機技術研究開発につきましては平成九年度十七億円というような予算を計上いたしております。  地球変動予測に関しましては、地球温暖化冷夏暖冬等地球規模の諸現象の解明とその予測を目指しておりますし、構造物安全性の向上それから環境負荷の低減というような観点から新世紀構造材料研究を行う、さらに次世代音速機につきましては国際共同開発に主体的に参加するというような観点から取り組んでまいりたいと思っております。  特にその中で、ただいま御指摘ございました脳研究でございます。脳研究につきましては、平成九年度から科学技術庁関係予算で九十九億四千三百万円、政府全体では約百五十億円の予算をお願いしているわけでございます。  具体的に申し上げますと、例えばアルツハイマー病等脳精神疾患原因解明によりますこれらの疾患克服でございますとか、新しい原理によります脳型情報処理システム等開発を通じまして、情報社会の発展、新技術、新産業の創出につなげたいと思っているところでございます。  一つの例を御紹介申し上げたいと思いますが、脳研究の中では五年後、十年後、十五年後、二十年後というような目標のスケジュールをつくっておりまして、例えば、今御紹介申し上げましたアルツハイマー病等につきましては、脳の病気の克服という観点から、十五年後ぐらいにはアルツハイマー病パーキンソン病などについての克服を目指したいという観点から取り組んでまいりたいと思っているところでございます。
  11. 鹿熊安正

    鹿熊安正君 科学技術基本計画では、平成八年から十二年までの五年間で十七兆円が必要と明記されております。八、九年度では補正予算を含めて六兆円が計上されているので、残り十一兆円が十年、十一年、十二年度の課題となります。  財政難の折、科学技術予算をふやしていく努力は並大抵のことではございません。限られた歳入の中での各省庁の割り当てですから、なぜ科学技術関係予算を増額する必要があるのか、あらゆる機会をとらえてPRに努めてほしいと思います。そして、配分された予算が有効に使われる努力ということも大変重要なことで、これがなければ今後の予算獲得に支障を来すこととなります。また、国民理解をさらに得るために、研究内容紹介研究成果活用等についての広報活動をより積極的に行い、先端研究国民の身近なものに感じてもらう努力が必要だと思います。  そこら辺の確認も含めて、長官から今後の予算獲得に当たっての決意をお伺いいたしたいと思います。よろしくお願いします。
  12. 近岡理一郎

    国務大臣近岡理一郎君) 科学技術推進を図っていくためには予算確保でありますが、その場合に何といってもまず第一に、納税者でもあり、またその成果受益者たる国民科学技術につきまして御理解をいただくことが大事でございまして、それをさらに支持していただくということが不可欠であります。  このため、科学技術に対する国民理解が広くかつ深く醸成されるように、科学技術に関する普及啓発活動、また科学技術施策広報実施関連情報公開などをさらに一層進めまして、国民の関心の喚起と理解の増進に努めなければならないと思います。  なお、具体的には事務方から答弁させます。
  13. 青江茂

    政府委員青江茂君) 国民方々の御理解を得ていくための基本的な考え方ということにつきまして、今ほど大臣から御答弁を申し上げたとおりでございますが、もう少し具体的にどういうことをやっておるかといいましょうか、そういったことにつきまして御紹介をさせていただきたいと思うわけでございます。  まずは、各種メディアというものを使いまして、情報発信者の顔が見えると申しましょうか、汗のにおいがかげるような、そういうたぐいの科学技術情報というものをどう提供していくのかというふうなこととか、それから先端的な科学技術というものを直接国民皆様方に体験していただく、なれ親しんでいただくというふうな機会というものをどう提供していくのかとか、それから研究者でございますとか技術者、そういった方々国民方々が直接触れ合う機会、そういうチャンスというものも非常に多様化させていきたい、こういうふうな施策というものをより積極的に進めてまいりたいというふうに思うわけでございます。  それに加えまして、研究成果でございますとか施設といったものをより積極的に公開していくということも大変重要なことではないかということ、それから科学技術に関しましてさまざまな議論がございますが、そういう多角的な議論というものを闘わせていただける場というものを提供していくといったことも大変重要ではないかということで、今申し上げましたようなことを通じまして積極的に展開していきたい、かように思っているところでございます。
  14. 鹿熊安正

    鹿熊安正君 ありがとうございました。  次に、動燃東海処理工場火災爆発事故に関して質問いたします。  去る三月十一日に発生したこの事故は、三十七人の被曝者を出し、施設の外にも放射性物質を放出するという我が国原子力開発史上例を見ない大事故となりました。現在も原因究明作業が進んでいるようでありますが、この爆発事故に至った経緯として、初期火災鎮火作業確認作業に不十分な点があったのではないかと指摘されております。  動燃内部においては、自主的に火災時に対するマニュアルを定めていると承知しておりますが、今回これが守られていなかったようで、これについてどのようにお考えか。また、自主的に定めるマニュアル類の法的位置づけ、その責任の所在についてもお伺いいたしたいと思います。  あわせて、今回、消防署に対する連絡体制及び実際行った行動についても不適切な点があったようですが、原子力施設においては、今回の事故のように、通常の服装、装備では立ち入れない施設が多々あると思います。こういった施設に対する消火作業は、平時の訓練設備の点検を初めとした消防当局との綿密な協力体制を築いていくことが大変重要だと思います。これらに実効性を持たすためには十分な情報公開が欠かせないことは言うまでもありません。  そこで、動燃は、これまで地元消防当局とどのような訓練を行い、連絡協力体制を築いてきたのか。また、科学技術庁原子炉等規制法第五十条に基づき指導監督する責務があるが、どのように行ってきたか、お伺いいたします。  なお、我が国は限りある資源を有効に活用する観点から、原子力政策の中でも核燃料リサイクル政策を重要な柱に位置づけ、これを推進してきたところであります。  しかしながら、平成七年十二月の高速増殖原型炉もんじゅ」のナトリウム漏えい事故、そして今回の東海事業所処理工場における火災爆発事故核燃料リサイクルの中核となる重要な施設において続けてこのような大きな事故が起きたことはまことに遺憾であります。そして、この二つ事故を起こしたのは同一の事業者、しかも政府が監督すべき特殊法人である動燃事業団であるということは、これを監督指導する立場にある科学技術庁についても応分の責任はあろうかと思います。  「もんじゅナトリウム漏えい事故に関して、科学技術庁が五月に報告した中間報告書において、動燃に対し、事故の教訓を踏まえた対応及び改善策として、運転員への支援の充実、事故時の対応のための体制整備自主保安の強化、自己改革推進本部の設置などを挙げ、指導監督していくと明言していたにもかかわらず今回の事故が起きたことは、指導監督が不十分であったと言わざるを得ないが、今回の事故を踏まえ、科学技術庁として、今後動燃の組織、運営面についてどのように対応改善するつもりか、お伺いいたします。
  15. 近岡理一郎

    国務大臣近岡理一郎君) ただいま御指摘のとおり、今回の事故を発生させたということは、特に建屋外に放射能が放出されたということは結果的には大変な事故であるというふうに深く認識しておりますし、これが国民全般に対して大変な不安、不信感を与えてしまったということは我々監督官庁としても深く反省しているわけであります。  したがいまして、今後この問題につきましては、御指摘のように今調査委員会で徹底的な原因究明に当たっているわけでありまして、さらに今後原子力行政を進めていくためにはどうしても国民の信頼を得なければなりません。そういった意味で徹底的に情報その他を公開してやってまいりたいと思っております。  さらにまた、我が国エネルギー全般から見まして、現在の原子力利用というものが今後本当にどうあるべきかというようなことを、閣議了解を得た今日に至りましても、特に先ほどの御指摘のように「もんじゅ」並びに今回の事故等が発生したわけでありますから、今現在、高速増殖炉開発懇談会におきましても、今後の高速増殖炉あり方等を含めましてさらに検討してまいらなきゃならぬというふうに思っているわけでありまして、今回の事故に対しまして、監督官庁の長として、私は非常に大きな責任を痛感して反省いたしております。  なお、つけ加えることがありましたら、事務局から説明させます。
  16. 池田要

    政府委員池田要君) ただいま先生が御指摘になりましたように、今回の事故におきましては、初期火災における対応ぶりがかなりその後の進展等に重要な要素を占めているというところが現在段階でも見られるわけでございます。今後、この事故原因につきましては、既に調査委員会も発足しておりますから、その過程で明らかにされると思います。  ただいま先生から御指摘ありましたように、消防との関係、特にそういった準備がどうなされているかといった点でございますけれども、動燃事業団は再処理事業者といたしまして施設をつくり、事業を開始する前にはまず保安規定というものを原子炉等規制法に基づきまして定めることになってございます。その保安規定というものは事業者従業者も守らなきゃならないということが法律上明記されているわけでございます。  その保安規定のいわゆる下部規定といたしまして、保安規定が基本的な内容を定めているのに対しまして、より具体的な内容等につきましては、例えば消火設備作業要領でございますとか、こういった内容につきましては事業者が自主的に定めてございまして、特にこれは法令上の規定が直接適用されるというものではございません。  ただし、基本的な内容につきましては、例えばマニュアルにつきましても、今回の事故原因究明等を踏まえまして、今回の事故の結果から学び取ることがございますれば、その必要な改善について取り組んでいくつもりでございます。  なお、特に先ほどの消防について付言させていただきますと、この保安規定の中に、火災時の非常事態の措置についての総合的な実地訓練ということで毎年一回以上必要な訓練を行う。消火訓練等保安上必要な訓練につきましては毎年二回以上実施しなければならないとしているところでございます。  また、こういう火災等非常事態に当たりまして、拡大防止のために必要があると認めた場合には、外部の関係機関に対して、対策活動について協力を求めるということになってございます。動燃事業団は毎年こうした規定に基づきまして総合防災訓練実施する、必要に応じて東海村の消防署等との共同訓練実施しているということも承知してございます。  いずれにしましても、今回事故を起こしたわけでございまして、この施設を含めて東海事業所火災等対策にかかわります教育訓練が適切になされていたかどうかといった点につきましては、今後、先ほど申しました事故調査過程において私ども慎重に検討してまいりたいと思っております。
  17. 鹿熊安正

    鹿熊安正君 時間が来ましたので終わります。ありがとうございました。
  18. 広中和歌子

    広中和歌子君 平成会・新進党の広中和歌子でございます。  科学技術基本計画が決まり、その中に五年間で約十七兆円という大きな予算が盛り込まれたことで、科学技術分野で新しい時代が到来するという期待を私自身も持っておりますし、多くの方がそうした期待を共有しているんじゃないかと思います。  その中で、新しい科学技術のフロンティアとして重点的に科学技術庁が考えていらっしゃる分野というものはどういうものなのか、そして今度の予算の中でどういうふうに反映されているのか、お伺いいたします。
  19. 近岡理一郎

    国務大臣近岡理一郎君) 科学技術基本計画におきましては、新たな研究開発システム構築を図るほか、厳しい財政事情を勘案しながら同計画に掲げる施策推進に必要な経費拡充を図ることとしているわけであります。  本年度予算案について申し上げますと、一般会計科学技術振興費は、対前年比に対しまして一一・九%の増であります。政府全体の科学技術関係経費につきましては、一般会計特別会計を合わせますと御案内のように三兆二十八億円となっているわけであります。これは初めて三兆円を超えるものでありますが、一般歳出の対前年比は一・五%増に対しまして、今回は六・八%の高い伸びとなっておるわけであります。したがいまして、基本計画の策定後編成した初めての予算案としては、同計画実施を図る上で重要な第一歩となったものと考えております。  この予算案によりまして、科学技術基本計画に掲げた具体的な施策を強力に実施していかなければならないわけでありますが、例を申し上げますと、若手研究者への活躍の機会提供等を図るほかに、競争的資金拡充として科学技術振興調整費、あるいはまた科学研究費補助金特殊法人等公募方式等による基礎研究推進制度の経費拡充することなどいたしております。また、関係省庁との連携協力によりまして、社会的、経済的ニーズ対応した脳科学研究等を重点的に推進することといたしております。  今後とも各省庁と密接な連携のもとに、厳しい財政事情ではございますが、同基本計画に示された施策を着実に推進していくために最大限の努力をしてまいりたい、このように思います。
  20. 広中和歌子

    広中和歌子君 予算がふえるということはすばらしいことだと思います。  ただ、その予算を使ってどのような成果を上げるかということに関して、やはり政策としてだれがどういうふうに予算を配分するかということなんでございますけれども、現実に研究費をどういう形で分配していらっしゃるんでしょうか。
  21. 近藤隆彦

    政府委員近藤隆彦君) 国全体としまして、特に最近のように大きな予算をいただきますと、調整をしまして、整合性を保ちまして効率的に全体の推進を図っていくことは当然必要でございます。  それで、まず行政庁としまして、科学技術行政の総合調整官庁でございます科技庁としましては、毎年度の概算要求段階で予算要求全体の方針の調整をしておりまして、具体的にその基本方針を示しております。それで、その基本方針に従いまして各省庁要求する段階で、いろいろな項目がありますけれども、ヒアリングをしておりまして、全体において不必要な重複を排するとかいったことをしまして、連携をとりながらかつ余分なものがないようにといったような調整をしておるところでございます。このような調整をした上で、科技庁としまして科学技術会議の答申などを踏まえまして、関係省庁が連携できるように総合調整をしていくということでございます。  科学技術会議の方では、大きな政策、例えばエネルギーとかあるいは情報関係とか、そういったものにつきましては全体的な研究開発計画といったものをつくっておりまして、各省庁はそれに従いまして分担しながら、また連携しながらやっていくといった方針をとっております。  行政庁としましても、同時に科学技術会議という総理府のあれでございますけれども、そういったものを十分活用して、全体として整合性のある、また効率的に使われるように予算推進を図ってまいりたいということでございます。
  22. 広中和歌子

    広中和歌子君 科学技術会議が主に政策を科学技術庁に出す、そういうような役割分担になっているわけですね。科学技術会議というのは主として学者から成っているんでしょうか。  つまり、私が御質問申し上げたいのは、ほかの問題と違いまして、科学技術、特に基礎研究分野におきましては今までと違ったことを新たに開拓していくという側面もあるわけで、もちろん今までの継続もありますでしょうけれども、そうしたときにどういう形でオリジナリティーが出せるのかということをお聞きしているわけでございます。
  23. 近藤隆彦

    政府委員近藤隆彦君) 科学技術会議の構成員は、特に、行政の総合調整なり、それから行政庁に対しまして具体的な実行を迫るといったことがあるものでございますから、内閣総理大臣が議長をしておりまして、あと関係の閣僚が入っております。  それと同時に、学界と産業界から専門家が来ております。今、委員もおっしゃいましたように、研究の専門的な立場から、新しい研究テーマでありますとかいったことを含めて十分な議論ができるように、特に学界の関係の方に多く入っていただいております。  例えば、学術会議の会長も法律で定められた議員でございますし、現在おられます議員の中では、全体で十人いらっしゃいますけれども、そのうち四人が学界の関係の方、それから一名が産業界の関係の方といったふうにいろんな関係の方の意見を伺っております。  また、その下部に大変多くの組織を持っておりまして、いろんな専門家の意見を反映しながら進めていくようにしております。
  24. 広中和歌子

    広中和歌子君 こういう質問をしましたのは、大分前のことになりますけれども、私は二重らせんを発表したワトソン博士という方をインタビューしたことがございます。そうすると、科学技術で何がいいか、どこに研究費を出すかというのはほとんどワンマンでやっていかなくちゃだめなんじゃないかというようなことをおっしゃって、つまりコンセンサスではなかなかいいものができないんじゃないかなということをおっしゃっていました。  せっかく予算がふえた、そして、全部じゃございませんけれども一部を未踏分野にというようなことになりますと、今までの学界とか今までの常識とか、そういうものを破るようなところにもお金が行かなくちゃならないんじゃないかなと。そうしたときに、全然無名の、若手の、それが全国どこにいらっしゃるかわからないけれども、そういうような人たちにもチャンスが与えられるような、そうした予算の配分であってほしいなと思うわけでございまして、この点に関して何かコメントをいただけたらと思います。
  25. 青江茂

    政府委員青江茂君) お答えが十分できるかどうかあれなんでございますが、先生今おっしゃったところというのは大変難しいといいましょうか、現実には。非常に大きなサイズのサイエンスというものをプロモートしていくというふうな場合には、科学技術会議といったふうな場を中心にいたしまして、例えば今挙がってございますような脳、こちらの方に大きくリソースを振り分けていくんだというふうなことがあるわけでございます。  先生ちょっとおっしゃられたような、言ってみればスモールサイエンスとでも言うべき、そういうふうなフィールドにおきましてどういうオリジナリティーのあるものを拾い上げ育てていくのかということになりますと、なかなかそこの仕組みというのが現実問題としては難しいということになるわけでございます。  たまたま、私どもの方に創造科学技術推進制度でございますとか、さきがけ研究21といったふうな仕組みがございます。そういう中で、学者のコミュニティーの中で出てきたものをかなり的確に拾い上げるような仕組みになってございますし、それからもう一つは、戦略的基礎研究推進事業というのを一昨年の末からスタートさせましたが、そのときにも提案公募型でございまして、フィールドというものを大体決めますけれども、そこに上がってくるのが提案公募型でございますから、その発想は全部研究者方々から上がってまいります。そこのところを、かなり若い人たちを含めまして審査というものにかけていくというふうな過程の中におきまして、先生のおっしゃるようなことというのはかなり的確な対応ができつつあるのではないかというふうに思っておるところでございます。
  26. 広中和歌子

    広中和歌子君 私、この科学技術基本法が成立したときにはこの委員会に属していなかったわけでございます。そして、予算の額を聞きましたときに、ちょうど一九六〇年代のアメリカを思い出したわけでございます。六〇年代にはアポロ計画で一九六八年でしたか、月面到着をした。それだけではなくて、ともかくアメリカそしてヨーロッパ、旧ソ連、その国々でサイエンスに対する非常に大きなブームが起こったわけでございます。そして、科学者の人的交流というのが始まり、日本からも多くの方が海外に行った。  そういうようなことで、やはりさまざまな人材の交流、さっき申し上げましたワトソンなんかもケンブリッジで二重らせんを研究しているわけです。それから日本でいえば利根川さんが、ワトソンの弟子ですけれども、MITで研究しているとか、そういうふうにいろんな若手の無名の人がチャンスを与えられて、しかもいろいろな交流の結果として出てきているわけです。  私は基本法を読んだときに、今度日本がそういう国際的な学問の研究のフロンティアになるんじゃないかな、そういう期待を持ったわけでございます。先ほどの同僚委員の御質問の中でも出てまいりましたけれども、たくさんの若手の研究者に対する多くの研究費というのが出されるわけでございますが、当然、もちろん日本の学者を支えるということも大切でございますけれども、そういう国際交流分野にどのような配慮をしていただけるのか。  今、幸いにして円は比較的、ちょっと安くなったとはいえまだ高いし、それから日本の生活レベルも非常に高いですし、研究施設設備も整っておりますし、学者の質もそれなりに上がっておりますから、喜んで来てくれる人がいっぱいいると思うんですね。そういうことに対してどういうふうな積極的な取り組みをなさっているのか。今までの文部省のお取り組みだけではなくて、科学技術庁としてはどういうリーダーシップを発揮していらっしゃるかお伺いします。
  27. 青江茂

    政府委員青江茂君) 今、広中先生の御指摘科学技術政策上非常に重要なポイントをつかれておるといいましょうか、一つのキーワードとしましては、若手ということと、それから交流なかんずく国際交流、この辺がいわゆる独創的な基礎研究というものを強化していくという場合のキーワードじゃないかというふうにも私ども受けとめてございます。  まず、若手ということに関連いたしましては、いわゆる御案内のようにポスドク一万人計画というふうなことを銘打ちまして、いわゆるポスドクの方々に良好な研究環境というものを供与していこうではないかということで、きょう文部省にも来ていただいてございますけれども、文部省を中心にいたしまして、学振でございますが、私どもの方でも相当そこのところは充実してきてございます。それが一つでございます。  それから、交流というのは、まさにいわゆる独創的な研究の場合には研究者の触発といいましょうか、そこのところでもちましていろんな手を打ってきてございますが、とりわけ国際交流ということでございますと、私どもの方ではSTAフェローシップという仕組みを持っておりまして、そこのところのいわゆる量的拡充というものはここのところ飛躍的に図ってきてございまして、充実を図っておるのでございます。  ただ、先生が今おっしゃるように、基本的にはやはりそういう仕組みを設けましても、やはり研究機関そのものに引きつけるだけの魅力がないとこれはどうにもならないと。いわゆる滞在費とかなんとかありましてもこれはしようがないということがございまして、一番もとはやはり日本の研究機関を世界の新鋭を引きつけるだけの魅力のある研究機関たり得る状態に持っていくこと、これが一番根っこではないかなというふうに思ってございます。
  28. 広中和歌子

    広中和歌子君 どうもありがとうございました。  それで、私、個人的に大変興味を持っているのが幾つかの新しいフロンティアの計画の中の宇宙ステーション計画なのでございます。これは、日、米、欧、カナダ、そしてロシアも参加して立てられた、宇宙に研究所をつくってそこで共同で研究をしようというプロジェクトでございますけれども、今どういう現状にあるのか、そしてどのような予算を日本が出しているのかということをまずお伺いいたします。
  29. 落合俊雄

    政府委員落合俊雄君) 宇宙ステーションにつきましては、今御指摘のとおり、国際共同プログラムでございます。  この目的といたしましては、人類が宇宙で活動していくための将来の基盤を形成したい、それから宇宙環境を利用いたしまして、微小重力下での物理化学現象の解明、新材料創製等の物質科学、それからライフサイエンス、宇宙医学というような研究実施することによりまして科学技術の新たな展開を求めるというのが目的でございます。  私ども日本といたしましては、独自の実験棟、JEMと呼んでおりますが、これをもって参加することにいたしておりまして、平成十二年、二〇〇〇年でございますが、JEMの打ち上げ、組み立て開始に向けまして現在実機を開発いたしているところでございます。  今後は、二〇〇二年ごろに本格運用が予定されておりますので、各局の作業がスケジュールに沿って円滑に進められるということが重要であろうと思っております。  さらに、この宇宙ステーションの有効利用に向けた取り組みを私ども開始いたしておりまして、平成九年度には宇宙環境利用に係る公募型地上研究ということをスタートさせたいと思っておりまして、新規予算として二十三億円をお願いしている状況でございます。  こういうような形で、将来の宇宙ステーションの有効利用のための研究環境整備ということをやっていきたいと思っているところでございます。
  30. 広中和歌子

    広中和歌子君 ともかく、日本は総予算の一二・数%というところでございますけれども、それでもトータルにすると今の段階では四千億という膨大なものだろうと思います。予算を出してそして参加する以上、やはり日本の科学者がそこに行けて十分に活躍しなきゃならない。しかし、それは新幹線に乗ってどこかの研究所に行くのと違いまして、アストロノーツというんですか、宇宙飛行士みたいな人が現場に行かなきゃならないので、日本ではそういう人材の育成というのは、二〇〇二年に向けてどういうふうになっているんでしょうか。どのくらいの学者が、しかも最先端の学者がそこに行って研究ができるのか、予想についてお伺いいたします。
  31. 落合俊雄

    政府委員落合俊雄君) 宇宙ステーションにおきます日本人の宇宙飛行士の参加につきましては、今御指摘ございました、経費の負担割合に応じまして日本人宇宙飛行士が宇宙ステーションに滞在する期間を確保いたしているところでございます。一二・八%の権利を持っておりますので、これは毎年一人の日本人宇宙飛行士を六カ月間宇宙ステーションに滞在させる権利に相当するわけでございます。  それで、この宇宙飛行士の現状でございますが、御承知のとおり現在四名の宇宙飛行士がおりまして、さらにもう一人宇宙飛行士の候補者というのが訓練中でございます。  将来の宇宙ステーション計画が始まりましたときに、先ほど申し上げました人数から計算をいたしますと、本格運用の開始、二〇〇二年でございますが、これまでの間には日本人宇宙飛行士が常時六人は必要になると考えておりまして、さらに二名程度のバックアップ要員が必要であろうと考えております。  したがいまして、現状から勘案いたしますと、今後さらに三、四名の日本人宇宙飛行士が必要であると考えておりまして、この宇宙ステーション計画のスケジュールを勘案しながら、必要な宇宙飛行士の募集、育成というものに努めてまいりたいと考えているところでございます。
  32. 広中和歌子

    広中和歌子君 これは私の想像でございますけれども、恐らくアメリカなんかにはそういう人材が日本とは比較にならないぐらい大勢いるんじゃないかと思うんです。現実にいよいよ研究を開始するといったときに、日本はお金だけ出して人は出さないという今までの、そんなこと言っちゃ悪いけれども、他の分野と同じようなことになっては大変残念でございますので、そういうことも含めてぜひ御検討いただきたいなと思います。  それで、宇宙ステーション計画に関心を持ちますのは、この前毛利さんとか、日本から二人いらっしゃいましたね、そして宇宙から映像を送っていただいた。それはアメリカのスペースシャトルに乗っているんですから自前でやったのとは大分違いますけれども、それでもやはり非常に多くの国民の関心が集まったと。科学技術に対するやはり一つのいいシンボリックな宣伝材料になるんじゃないかと思います。  科学技術、特に基礎研究なんかでともかく日本が最先端のところへ行くんだと言う以上、やはり外国から人を呼ぶだけじゃなくて日本からも人材を出さなきゃならないわけで、それには科学を志す人がふえていかなくちゃならないわけです。  それで、宇宙ステーションを含めまして、こういう新たな分野でもっと国民にわかるような形で、それは一般の人だけじゃなくて、特に若い人たちが科学に夢を持つような世の中にならないといい人材が集まらないんじゃないかなと。いい人材というのはもちろん最初からでき上がるものじゃございませんけれども、やはり、何というんでしょうか、そういう話を聞いたときに目を輝かすような若者がいなきゃいけないんじゃないかと思います。  いただいた資料によりますと、科学技術に興味を持っているのは私のような世代の方が多くて、だんだん若くなるほど、二十代になったら一番低いんですね。これはどういうわけなんだろうかと。文部省の方がいらしているので文部省にお伺いしてもいいし、科学技術庁の方からお答えいただいてもいいんですけれども、やはりこの問題は何とかしなきゃならないんじゃないかと思いますが、ちょっとコメントがあったらお願いいたします。
  33. 青江茂

    政府委員青江茂君) 御指摘のような、いわゆる若者の科学技術離れといった傾向といいますものが何年か前から深刻な問題と指摘されて以来、いろんな手を打ってきているのでございますけれども、なお、いわゆる解消とでも申しましょうか、そういう事態に立ち至っていないということであるわけでございます。  先生おっしゃるとおり、研究というのは、人、もの、金というふうなことが言われますけれども、やはりぎりぎり絞り込んでまいりますと要は人ということでございますので、人のところが脆弱になってくるということはもう大変深刻な問題というふうに私ども受けとめてございまして、先生おっしゃられたような、若者に将来的に科学というものに対して夢を抱いてもらえるような、そういうふうなことというものを末長く、息長くやっていかなきゃいかぬのじゃないかというふうに思っているわけでございます。  もう少し具体的に申し上げますと、ちょっと一、二、例を御紹介させていただきたいのでございますが、研究者とか技術者、現場におられる方々が例えば学校に出かける、ここのところを支援をする、出前レクチャーというふうなことを言ってございますが、そういうことでございますとか、サイエンスキャンプというふうに言っているのでございますけれども、いわゆる研究機関というものに、夏休み、何人かの高校生、中学生の方々に泊まり込みで来ていただきまして、そして研究現場に入っていただく、そして研究者とインタラクトしていただくというふうなことをオーガナイズする。  それから、科学技術週間というのを毎年やってございますけれども、そこでは全国で八千を超えるようなイベントを持ちまして研究機関というものを開放していく、それとか、全国には三百超のいわゆる科学館というのがございますが、この科学館といいますものをより活性なものにしていくということでもちまして、いわゆるメディア技術みたいなものを使いましてそういったことができぬだろうかということの試みとか、それから、もう少し、どう言いましょうか、最先端の科学館というものを地方公共団体がこれから先お建てになる、そこのところを資金的に支援する等々の施策というものを進めてございます。  同時に、将来的には、近時、多チャンネルのデジタル放送というようなことが急速に進展してございますけれども、そういったものの活用もできぬだろうかというふうな検討も進めてございます。  いずれにしましても、そういう非常に多角的な事業というものを進めつつ、息長くこれをやっていかなければならぬのではないかなというふうに思ってございます。
  34. 広中和歌子

    広中和歌子君 いろいろな取り組みをなさっていらっしゃって、それはそれぞれすばらしいと思いますけれども、さらに進めていただきたい。  科学技術庁には特殊法人がいっぱいあって、日本原子力研究所とか日本科学技術情報センター、理化学研究所、それぞれ最先端分野で科学者がいらっしゃるわけですね。だれかから聞いた話なんですけれども、研究者は最高の教師だと言うんですよ。それで、やっぱりその現場にいる研究者、最先端研究者が時々は大学生とまみえるといったようなそういう交流ですね、それを文部省と一緒にぜひ連携してやっていく。文部省自身にもいろいろすばらしい研究機関がございますけれども、日本というのは、どちらかというと一たん就職しちゃいますとそれがずっと続くわけですけれども、大学の先生も時々研究所に行くとか、そういうような人事交流というものをもっとやっていただけないかなと、文部省からいらしていただいていますので、その点も含めて科学技術庁文部省にお答えいただければと思います。
  35. 梶野愼一

    説明員(梶野愼一君) 御指摘のように、大学が学外のそういった高度な研究水準を持つ国立あるいは民間の研究所と連携協力するというのは大変有意義なことだと考えているわけでございます。  御指摘のことで具体的な例を申し上げますと、大学院が国立や民間の研究所と協定を結びまして、学生の研究指導を研究所に委託をする、あるいは研究所の研究員が大学の教育研究に参画する、そういったことを現在行っているところでございます。平成元年度には埼玉大学の理工学研究科と理化学研究所が始めたわけでございますけれども、平成八年度現在では十五大学で、研究所は延べでございますが約百二十の研究所になっているというような状況でございます。
  36. 青江茂

    政府委員青江茂君) 先生、今おっしゃいました研究者、いわゆるトップレベルの研究者というのが最高の教師というのはそのとおりではないかというふうに思うわけでございます。それから、今文部省の方からお話ございました、いわゆる連携大学院でございますね、これが今少しずつ進んでおると、私どももう少しそこをアクセレレートできぬだろうかということが一つございます。  それからもう一つは、兼業が大分楽になってまいりました。ということでもちまして、国立試験研究機関の研究者、いわゆるトップレベルの研究者が大学に行って、例えば講座を持つといったふうな機会というのもふえるんじゃないかというふうに思ってございます。そういったふうなことを通じまして、いわゆる研究者が教育の場にといいましょうか、そちらの方に入っていくようなことというのも積極的に推し進めてまいりたい、かように思っておるところでございます。
  37. 広中和歌子

    広中和歌子君 期待しております。  それから、先ほどちょっと博物館のことをおっしゃいましたけれども、博物館というのは美術館と違って、美術館はいい物を買えば年がたつほどその価値は増すわけですけれども、科学博物館なんというのは年じゅう新しくしていかなくちゃならないという、すごく予算のかかることだろうと思います。しかし、遺伝子みたいなもののように蓄積が大切なところもございますので、ぜひ科学博物館ということに関してもお取り組みをお願いいたします。ちょっと時間がないので、御答弁は結構でございます。  最後に申し上げたいのは、私はひよんなことからユネスコの国際科学諮問委員会のメンバーにさせていただいて、この前ちょっとユネスコの会議に行ってきたわけでございますけれども、そのときに、二十世紀の終わりに世界科学会議をしたらどうかということがその会議のテーマでございまして、出席者のほとんどはそれに対して前向きの立場で討議をしたわけでございます。  考えてみますと、二十世紀の特徴を一つ挙げろと言われれば、何といったって科学技術の進歩だろうと思います。それが経済に影響し、戦争の形を変え、そしてまた産業をこれだけ発展させ豊かさをもたらした人口爆発もあり、さまざまな形で科学というのは我々に恩恵をもたらすと同時に、何というんでしょうか、いろいろマイナス面もあったと。私は二十世紀の終わりに、そうした科学の役割を総括して、そして二十一世紀につなげていく、されど科学だということなんだろうと思います。  そういう意味で、世界科学会議が開かれたらすばらしいなと、それもよその国で開かれるんじゃなくて、先ほど申しましたように日本で開かれれば、アジアの人もそうですけれども、日本の人たち自身が非常に関心を持って科学に興味を持つ、そういう新しいうねりが出てくるんじゃないかと思います。そのことについて文部省の方のお考えと、そして科学技術庁長官のコメントをお願いして、私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。
  38. 岩本渉

    説明員(岩本渉君) 今御指摘のとおり、ユネスコにおきましては、二十一世紀に向けて人文、社会、自然を含みます科学の役割と展望を検討することを目的といたしまして、一九九九年に世界科学会議の開催を予定しているところであります。ユネスコ活動の国内の責任官庁であります私どもといたしましても、知的協力機関であるユネスコにふさわしい活動であり、重要なものと考えているわけでございます。  先ほど先生おっしゃいましたように、本年一月に広中先生を含め、五十数名の世界有数の科学者から成ります国際科学諮問委員会の第一回が開催されたわけでございます。ようやくこの会議の骨格について審議が始められ、いろいろな提案がなされたと伺っておりますが、まだ会議の具体的なテーマでございますとか形態、規模あるいは国際学術連合等を含めました関係機関協力体制等につきましては、ユネスコにおいて検討中であると伺っておるわけでございます。  文部省といたしましては、情報収集に努めた上で、本会議の日本における開催の可能性につきましては、関係省庁と十分協議してまいりたいと思っております。
  39. 近岡理一郎

    国務大臣近岡理一郎君) 当庁としましては、文部省における検討状況をこれから十分に注視しつつ、その検討結果に基づきまして適切に対応していかなければならない、このように思います。
  40. 広中和歌子

    広中和歌子君 どうもありがとうございました。
  41. 山本正和

    山本正和君 今、広中委員の御質問を聞いておりまして、これはもう文部省帰ってしまったからちょっと言いにくいんですが、これは閣議で総理を長とした立場で長官も重要な役割を科学技術振興あるいは科学技術教育についてお持ちだろうと思うんで、申し上げておきたいんです。  私は、昭和二十四年に高校の教員になって化学を教えていたんです。それから十年間をずっと考えてみますと、ここにも教え子と同じ世代の方が大分お見えでございますが、振り返ると、大体塾へ行ったり家庭教師をつけたり予備校へ行ったりした子で、その世代の人たちを調べた場合、ノーベル賞をもらえるような人は大体おらぬです、同じように東大に入っても。現役で入ったというふうな子は、私の教えた子の中にも例の次世代コンピューターに取り組んでかなり成果を上げている者もいます。  ですから、今の学校教育そのものに対しても科学技術という立場から物申してほしいと思いますね。本当の意味での独創的な力はどこから生まれるかということは、これはひとつ長官の立場からやかましく閣議の中でもぜひ言っていただいて、今の教育の状況をどう変えたらいいのか。塾や家庭教師やあるいは予備校へ行かなくても東大へちゃんと入れるというふうにするためにはどうしたらいいかということも考えてもいい時代に来ていると思います。そんなことはひとつぜひお願いしたいと思います。  広中平祐先生も予備校へも塾へも行っておられなかったと私は思っておりますし、ひとつどうかそういう意味長官も教育の場に対しても物申していただきたい、ちょっと初めに要望しておきたいと思います。  そこで、今日、私は質問は二つほどしたいと思うんですが、本年度予算を見ておりまして、また科学技術関係の資料等をずっと調べておりまして、予算が大変少ないんです。来年ぐらいには本格化するというこのマイティーホエール、浮体式波力装置というのが研究されて、いよいよ実用化されようとしている、こういう状況だと。私は、これは農水省の方も随分苦労しているんじゃないかと思うんですけれども、日本のいわゆる養殖漁業が大変今困難な状況になってきている。  例えば、真珠養殖で言いますと、もう私どもの三重県はもともと発祥地ですけれども、あちらこちらでやってもなかなかうまいこといかない。ハマチの養殖でもそうです。最近は瀬戸内海のさまざまな養殖漁業も非常に苦しんでいるんです。  そうすると、このマイティーホエールというのは、我が国の漁業といいますか養殖業といいますか、これは日本の食料を支える非常に重要な産業なんですけれども、それに対して一つの光明を与えるのではないか、これだけ海が汚れている中でと、そんなことを思うものですから、ちょっとこのマイティーホエールの開発の現状あるいは将来の展望、その点をちょっと。  今年度予算を見ると余り大きいあれじゃないけれども、一億八千七百万円ぐらいしかついていないんです。それは別として、科学技術庁としてどういう展望を持っているか、その辺についてまずお聞かせいただきたいと思います。
  42. 落合俊雄

    政府委員落合俊雄君) ただいまお話がございましたマイティーホエールでございますが、海洋科学技術センターにおきまして研究開発実施いたしております。  具体的に申し上げますと、鯨の形をいたしました装置を海域に浮かべまして、波のエネルギーを吸収して装置の後方の海域を静穏化するとともに、吸収した波のエネルギーを利用して圧縮空気をつくり出して、汚濁した海域に送り込むということによって海域の浄化を行おうというものでございます。  これまでに理論的な検討、それから縮尺模型を用いました水槽実験等を実施いたしておりまして、基本的な機能それから経済性についての見通しがある程度得られましたことから、平成八年度から幅三十メートル、長さ五十メートル、深さ約十二メートルの実機規模の実験装置の製作に着手をいたしたところでございます。  ただいま御指摘ございましたように、平成九年度予算では一億八千七百万円でございますが、全体の建造費は平成十年度までの間に約十億円を予定いたしているような規模事業でございます。十年度にこの装置の製作を完了いたしまして、十年度から海域実験、さらにその後十二年度ごろから運用の調査を行うというような手順で研究開発を進めてまいりたいと思っているところでございます。
  43. 山本正和

    山本正和君 実は、私どもの三重県の南勢町というところに五ケ所湾があるんですが、そこでもいよいよ十年度から実験をやっていくんだというふうなお話を聞いているんです。これは一体どういう特徴で、ああいう五ケ所湾という大変入り組んだ湾ですけれども、どういう効果があるのか。そしてまた、これが事実上、日本の国のいろんなそういう養殖業あるいは海洋の浄化というような問題でどんな効果があるのか、ちょっとその辺を聞かせてほしいんです。
  44. 落合俊雄

    政府委員落合俊雄君) マイティーホエールの考え方につきましては、ただいま御答弁申し上げましたけれども、実機規模の実験装置を実際の海域に設置いたしまして、波のエネルギーの吸収性能でございますとか空気の圧縮性能、係留力等の機能を実証することが必要でございます。  そのために、ただいまお話がございましたように、地元の御協力を得まして三重県の五ケ所湾におきまして実海域での実験を行うことといたしております。特に、この三重県五ケ所湾は、ただいま御指摘ございましたように養殖漁業が非常に盛んなところと聞いておりまして、この装置の後方では静穏でクリーンな海域が得られることを目的といたしておりますので、養殖でございますとか海洋レジャー等の総合的な沿岸開発に貢献できるということを期待いたしているところでございます。
  45. 山本正和

    山本正和君 実用化といったらおかしいんですけれども、それをひとつぜひ私のところでもやりたいというようなことでいろんなところからやつてくるという場合、そのプラントというか、それぞれの地域で必要な全体の経費はどれぐらいになりますか、将来の見通しとして。仮にこれが成功した場合ですね。
  46. 落合俊雄

    政府委員落合俊雄君) 先ほどお話し申し上げましたマイティーホエールの実機規模の実験装置、全体の建造費が約十億円でございます。これは現在のところは国費で賄っているわけでございます。将来、これが実用化された段階にどのような地元負担との関係になるのか等々につきましてはまだこれからの研究課題というふうに考えております。
  47. 山本正和

    山本正和君 ひとつぜひ実用化へ向かってしつかり取り組んでいただきたい。これ要望しておきますし、もう少し全国に宣伝していただいたらいいんじゃないかと思います。割合知らぬ人が多いですね。  それから、農水省との連絡が果たして十分どこまで行っているか、ちょっとその辺、恐らくやつておられると思うけれども、さらに緊密にやっていただきたい。  それからその次に、ちょっとこれも我が国が国際社会で果たす役割にも大変貢献するんじゃないかと思うんですけれども、SPring8、大型放射光施設ですね。これもひとつ我が国も負けずに取り組もうということで、実は三重県も立候補したのだけれどもアウトになりましたが、今、兵庫県でどんどん取り組んでいる。いよいよ何とか実現に向かおう、こういう構えだというふうに聞いておりますし、科学技術基本計画の中でも重要な位置づけがされていると。予算もちょっと調べていただくと、何か二百億近くことしも組んであるということなんですけれども、ちょっとそれの状況とこれからどう取り組むか、時間が余りありませんが、簡単に。
  48. 青江茂

    政府委員青江茂君) SPring8でございますけれども、御案内のとおり、いわゆる放射光といいますものは大変明るい光ということで、一言で申しますとそういうことで、性質のよい光ということでございますけれども、それの用途、使い道といいますものは大変多様で、この施設の完成が待たれているわけでございます。  ちょうどだまたま昨日、最後の試験とでも申しましょうか、段階での試験、いわゆる蓄積リングにおきまして光が初めて出ました。ということでもちまして、新聞発表もさせていただくという手はずになってございますが、そういう形でもちまして、この施設は順調に建設が進行中というところでもちまして、本年の秋には完成、供用開始という運びに至れるのではないかというふうに思ってございます。
  49. 山本正和

    山本正和君 これを待望しているといったらおかしいのですけれども、ぜひこれができ上がったら一緒に利用していきたいというふうな要請はどういう方面から出ているんですか。
  50. 青江茂

    政府委員青江茂君) このような大型施設でございますので、言ってみれば世界に三つ、日本に一つつくるような性格の施設でございますので、私どもこういう施設をつくりますに先立ちまして、この施設は共用施設としてつくるんだ、みんなに開かれた共用施設としてつくるんだということでもってスタートいたしてございます。したがいまして、日本の国内の関係研究者はもちろんのこと、海外にも開かれた施設としてこの施設は運用してまいりたいと思ってございます。  具体的には、この研究施設を待ってございますいわゆるべーシックサイエンスの関係研究者、今大体千人ほどのいわゆる一つのグループができておりまして、そこでもってこれができ上がった暁にはどんな研究から順次スタートさせようじゃないかという詰めをやってございます。その辺の研究者の人たちが一つ。  それから、産業界もこの施設を使って何か産業利用というものを考えようじゃないかということでもちまして、具体的には二本のビームラインをスタートさせようじゃないかという議論が進行してございます。  それから、海外からも幾つかの国から自分の国として専用ビームラインを持ちたいんだというふうな話も一部来てございます。そういう形でもちましてできるだけ開いた形でもって施設を運用し  てまいりたい、こう思ってございます。
  51. 山本正和

    山本正和君 この前、私ちょっと時間があって、有楽町にある前の都庁跡の国際フォーラムで東芝の展示会があって、そこでもこの問題が出て、ずっとやっておったんです。そしたら、やつばりこれは日本がアジアで最初につくるということなものですから、海外からも、特にアジアの各国からも大変注目されている。ですから、我が国が国際社会において占める位置づけという意味からも非常に重要だと思うんです。一千百億ですか、基本施設の建設費が。これからまだまだ要ると思います。それはみんなで応援していかなきゃいけないと思いますが、しっかり頑張っていただきたいと思います。  あと時間がもう余りありませんが、一つ動燃のことに関連して要望をしておきたいと思います。これはお答えは要りません。  私どもの三重県で芦浜原発という問題がずっと長い間議論されてきました。私もその当時まだ若かったんですけれども、中曽根元総理が初めて大臣になられたのが科学技術庁長官だった。そのときに現地に来られて、私ども現地ですからいろんな折衝も見ておったんです。ところが、当時南島町は、今は南島町になっていますけれども昔はいろんな名前の村があった、その漁はブイ方式で大変豊かな漁業ができた。それがだめになるんじゃないかというおそれですね、本当はそうじゃないんだけれども。いろんなことがあって大変な勢いで漁業組合を中心に反対運動が起きた。  科学技術庁長官がお見えになったときに、漁師がみんな小さな船で海水をぶっかけたんですよ、反対運動で。そしたら、中曽根さんがけしからぬといって現地の県警本部に、ああいう不邊なやからとは言わなかったけれども、何しとるんだというふうなわけで、数百人に及ぶ現地の小さな村の漁師たちが尋問を受ける。そして逮捕勾留された者約二百二十名ぐらいですかね、その怨念が今もって残っていると。  ところが、なぜそういうふうになったかといったら、我が国は被爆国である。そして、これは怖いぞというような話がぽっと出て、ちょうど福竜丸に絡んでですね。そういうことに対して、現地の住民の皆さんの理解を得ずにやるといつまでも残る。この前も南島町では反対決議が出てしまって、県議会としてもこれは取り上げざるを得ない。そこまで怨念があるんですよ。  ですから、この原子力というかこういう放射能が必ず伴う科学技術の発展というものは、あくまで住民の理解を得ることをしなくちゃいけないしくれぐれも慎重にしなきゃいけない。そのことの教訓を私どもはよく知っているわけです。中電の皆さんと私はきょう話すんですけれども、やつぱりそこへ来る、出発点なので。おじいさんが刑務所にほうり込まれたと言って怒っています、まだね。もう大変なものです。  だから、住民に対する理解を得るということのためには徹底的な宣伝、啓蒙、それから本当に慎重な対応です。今度の動燃でもそうだと私は思いますので、その点ひとつ今後の動燃の運営について慎重な対応を重ねて要望しまして、私の質問を終わりたいと思います。
  52. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 民主党・新緑風会の中尾でございます。  私は、今回の動燃東海村の火災爆発事故並びに国の原子力防災体制について若干質問を申し上げたいと思います。  既に報道もされておりますけれども、かいつまんで申し上げますが、動燃は低レベル固化処理技術開発、あるいは安全評価のために七一年から七三年に実験を行っておると。これはもう既に報道されておることでございますが、そのリポートの中で、アスファルトのみ燃えた場合は二酸化炭素だけで消火できる。しかし、今回問題とされていますアスファルトと硝酸ナトリウムを含んだ放射性廃液の混合物の場合は二酸化炭素では消火できない。逆に燃焼を拡大させるおそれがある等々のリポートが、実験結果が既に出ているわけです。つまり、二酸化炭素の有効性は認められない。しかし、設置承認申請書によりますと、その二酸化炭素噴き出し設備があることなど火災事故が考えられないとなっているわけです。これで審査を通ってきたわけです。  これについて科学技術庁、事実はこの事故後まで知らなかったかどうか。それから、もう既にリポートは手に入っていると思いますけれども、これをどう受けとめているか、簡単にお答え願いたいと思います。
  53. 池田要

    政府委員池田要君) ただいま先生指摘のレポートは七三年にまとめられてございますけれども、アスファルト固化処理技術のプロセスの安全性ですとか、固化体の物性とか安全性についての評価をまとめたものというふうに承知しております。  この中では、先生指摘のように、硝酸ナトリウム等を含む場合には水が有効的でありますとか、あるいはその硝酸ナトリウム等が含まれない場合には炭酸ガスあるいは窒素ガスによる消火が有効だといった旨の記載がなされてございます。  動燃事業団が昭和五十三年に固化処理施設のための基本設計についての書類を出してございますけれども、この中には、火災、爆発を防止するための安全対策を講じた上で万が一の場合に備えてということで、このアスファルト充てん室につきましては炭酸ガスの噴き出し設備を設けるといった旨の記載がされているところでございます。  この安全性についての審査の結果、支障がないものということで結論を出したわけでございますけれども、その後、動燃事業団は昭和五十四年に詳細設計の段階に至りまして、アスファルト充てん室には消火設備としまして炭酸ガス消火設備及び水の噴霧設備の双方を設置するということになってございます。  そういった意味では、消火設備についてのただいまの一九七三年にまとめました報告書の内容につきましては、消火設備を水噴霧についても整えるということで、その知見が反映されたということになったというように理解してございます。  なお、この過程で、まだほかにもアスファルトに対する技術的な試験についてもいろいろ記載がされてございまして、品質の管理でございますとか温度管理でございますとか、そういった内容につきましても五十三年の申請書類におきまして既に反映されている状況については我々も承知しております。
  54. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 ちょっと簡単にやっていただきたいんですが、私が聞いているのは、この事実を知っていたのかどうか、科学技術庁が。知っていたんですか、それとも事故が起こってから初めてわかったのか、それだけでいいです。
  55. 池田要

    政府委員池田要君) 安全審査の時期が何分にも約二十年前のことでございますから、具体的に承知していたかということについてはなかなかお答え難しゅうございますけれども、ただ、今申しましたように報告書の内容の多くがこの関係書類に盛り込まれていることを考えますと、この試験内容についても十分活用されていたというふうに考える次第でございます。
  56. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 私が聞いているのは、少なくとも主務官庁である科学技術庁がこういう大事なところの、いわゆるリポートや報告を事故が起こってから知ったのかどうか、それを問題にしているんですよ。知らなかったわけですね。事故が起こるまでこういう実験がなされていたのは知らなかったんですね。
  57. 池田要

    政府委員池田要君) 今回事故が起こりましてから、この施設の安全審査それから設計工事の過程でどういう配慮がなされていたかということにつきましては、ただいま確かに先生おっしゃるとおり今現在調べているところでございます。
  58. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 あのね、回りくどいんですよ。二十年前の話だ、それはわかりますよ。しかし、重大事故が起こっているわけです。  それで、今お話しありました昭和五十三年、一九七八年、原子力委員長から当時総理に、再処理施設の一部変更に係る安全性について、この話を今ちょっと触れてますが、答申があるんです。この答申のもとになったのは核燃料安全専門審査会の報告書がもとになっているんです。この中での結論は、安全上支障がないものと認められるとなっているんですよ。同じことを書いてあるんです、炭酸ガスの噴き出し装置があるなどから、これは水噴霧設備のことも書いてありますよ。しかし、ここでも依然として炭酸ガス噴き出し設備の有効性を認めておるんです。だから火災、爆発のおそれは考えられないというような結論になっているわけです。  私がもう一度お伺いしたいのは、こういう原子力の安全審査について、例えば当時の核燃料安全専門審査会は何をもってこういう結論を導き出しているのか。つまり私が聞きたいのは、当時のことだからなかなかわからないというお答えであるから私が申し上げますけれども、今現在でも、例えばこの安全審査委員会、組織がどうなっているか私は承知しておりませんけれども、安全審査について、私は、少なくとも事業者の追認になっているんじゃないか、リポート。例えば問題だったら調査をするとか、もうそういう必要性に迫られているんじゃないかと私は思うわけです。事業者からの報告を追認して安全性に問題はない、これじゃ安全審査基準は私は手抜かりがあると指摘したいんですが、これについてお答え願います。
  59. 池田要

    政府委員池田要君) 先生指摘のように、当初の安全審査の申請におきましては、ただいま充てん室につきましてはガスの消火ということになっていたわけでございますけれども、先ほどお答え申し上げましたように、その後の詳細設計の段階に至りましたときに、水噴霧とガスとを両方備えるといったことに修正されているということについては既に申し上げたところでございます。  今御指摘のような安全審査が当時どうなされていたかということでございますけれども、この施設の安全審査につきましても核燃料の安全専門審査会の再処理につきましての部会がございまして、施設安全性及び周辺環境への影響についても厳格な審査を行ってございます。  ただし、申し上げますと、申請書の追認ではないかという御指摘でございますけれども、申請書に書かれたことはもちろんでございますけれども、例えば書かれておりませんような事故時の評価の妥当性ですとか、こういったことについても検討がなされているということはその後の公表いたしました審査書をごらんになっても明らかになっているところでございます。
  60. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 時間があり余ればいろいろゆっくり聞きたいんですが、少なくとも私が聞いているのは、例えば現地で実験をするなり調査をするという、これは事実上すべてにわたってできないということは私は承知しているんですよ。だからそう言えばいいじゃないですか。  次に動燃さん、さきの三月十七日の委員会で、植松参考人から、放射能漏れの警報当時鳴りましたと。少なくとも通報体制がおくれたんですよ。私はその指摘しているときに、時々鳴るのかと言ったら、確かめたところ時々鳴ると言っているんですよ、今まで過去に鳴っていたと。だから資料を出してくださいと。いただきました。  私は、固化処理施設の再処理施設についての当然警報の問題を言っているんです。五年間の発報事例聞きましたら、これ再処理施設、五年間で一件だけじゃないですか。これを時々、珍しいことじゃないと言っているんです。そういう趣旨のことを御答弁なさいました。間違いですか、訂正しますか。
  61. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) 三月十七日の私の御説明、「時々」という言葉が表現としてまことに説明としては不十分であったというふうに感じております。まずそれはおわび申し上げたいと思っております。  先生指摘のように、過去五年間に発報し、それと同時に被曝が認められたというものは三件でございます。しかしながら、その他東海事業所全体を調べますと、特に天然のラドン、トロンなどに起因する警報、まあ誤報といいましょうか、そういうものは時々鳴っておったということは確認されております。  私は、幅広く東海事業所全体について申し上げようと思ったわけでございまして、資料としては再処理工場ということだけになれば先生おっしゃるとおりだと思います。説明不足であったというふうに反省しております。
  62. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 言葉じりを私とらえているつもりはないんです。何度も「もんじゅ」の報告書の後に私は申し上げました。先回の委員会で申し上げました。つまり、わからないところは誠意を持って、現在のところ確かめようがないとなぜお答えにならないんですか。この質問のときにお困りだったんです。  つまり、そんなにめったに鳴らないものならすぐ知らせるべきだという私の論点でございましたから、それで言い逃れのために、はっきりいって、いや、たまたま鳴っていたと、そういう姿勢を私は改めていただきたいと思います。御答弁要りません。  次に、通報のおくれ、科学技術庁にも後でちょっとお答えいただきたいんですが、マニュアルを変えただけではもう私はどうしようもないと思うんです。  例えば八四年、これ試運転中に今回の出火場所と同じアスファルト固化処理施設でこれぼや騒ぎがあったということはもう既に報道もされておりますし、事実でございます。地元の消防本部に通報しなかった。当時消防本部から抗議を受けて、通報体制改善の申し入れがあったと、東海村の消防本部から。  今回の火災を見ますと、十時六分に発生して、通報が十時四十五分、約四十分たっているんです。これも鎮火の確認に来ていただきたいというのがどうも本当のところではないかなと思っているんです。今回、委員長を初め科学技術委員会で現地も見させていただきました。地元の方のこうした不信感にどうこたえていくか、一言で結構です。動燃からお答えいただきたいと思います。
  63. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) 先生の御指摘、昭和五十九年のアスファルト事故、アスファルトのところで発煙があった。その際も通報が遅かったのではないかという御指摘かと存じます。その当時の記録を調べてまいりますと、消防署の方から、火災であったか発煙であったか、その辺についての判断というのは消防がするんだと、したがって、できるだけ早く消防を呼ぶべきではないかと、そういう御注意をいただいておるかと存じます。  常日ごろ、消防から、火災があった場合に早くやるようにという指導をされておるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、今回の事故の発生を見ても迅速性を欠いたということは事実だと思います。深く反省をいたしておりまして、今後速やかな通報が行えるように、例えば消防署との間にホットラインを設置するなど今検討しておるところでございます。
  64. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 反省だけを何度重ねても、これは体制、いわゆる体制といいますか組織のあり方が私大変問題だと思うんです。火事が起こったら、しかも原子力再処理施設ですよ。直ちに火を消すか、すぐ消防署に通報するんじゃないですか。  御自分の家を考えてごらんなさいよ。四十分もかけて、私は、後ほど動燃の組織体制のあり方最後にお伺いします、長官に。今、通報体制の話ありました。何度指摘しても変わらない。これはもうどうにもならぬと私恩っているんです。  各地方自治体、せんだっても茨城県あるいは福井県の副知事さん初めいろんな方から直接お会いしてお話を伺いました。大変不信感を持っております。  その中で、もうこの初期活動を行うためには、現場の状況がいち早くやっぱりこれ関係市町村というのは、例えば避難命令を出さなきゃいけない、備えなきゃいけないんです。情報が、まず第一報が欲しい、迅速な情報が欲しい。しかし、これではもうなかなか手に入らない。法的な規制も必要でないかというような御意見もあります。これについて科学技術庁の見解を伺いたいと思います。
  65. 池田要

    政府委員池田要君) 先生指摘のとおりに、確かにこういう事故のような緊急事態の場合には、速やかにその事故情報について地方自治体を初め関係者に連絡されることが必要不可欠だと思います。  このために、既に事業者から地方自治体への直接の連絡等につきましては、中央防災会議の決定が緊急の第一報の連絡体制ということで、もう既にその基本的なところを定めているところでございます。また、事業者とそれから地方自治体との間におきましても、それぞれ安全協定によりまして事故時の通報が定められておりますし、また地域の防災計画等につきましても、地方自治体への情報提供ですとか、事業者と自治体との情報連絡体制整備については図ってきているところでございます。  今後とも、今回の事故にかんがみまして、このような事業者と自治体との連絡体制につきましても強化を図ってまいりたいと考えております。
  66. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 これいつでも言うんです、連絡体制は迅速にと言っているんです。それができてないから私は申し上げたんです。  例えば、安全協定の話も先回も申し上げました。守っておらないんです。そして、安全協定違反じゃない、例えば四時間も五時間も放射能漏れを知っておきながら、もう繰り返しませんけれども、放射能漏れを確認してから科学技術庁にその情報が入ったのは十五時五十七分でしょう。少なくとも茨城県東海村にも情報が入ったのは五時間あるいは六時間おくれである。  だから、もう時間がありません、私がきょうお伺いしようと思ったのは、原子力防災特別措置法についてもう設置が必要ではないか。つまり、今の災害基本法ではもうこれ処理し切れないと。これは地元の人たちの御意見でございます、災害対策基本法。  もう一点。例えば、サイト内であれば事業者責任を持って防災に努める、サイト外については一義的にはこれは自治体が責任を負うとなっておりますけれども、いろいろ福井県あるいは茨城県の自治体の関係者に聞きますと、事が原子力であるだけに判断に迷うと言うんですよ。だから、一元的にこの際、国の専門家を現地に配置してほしい。もちろん地方自治体もやるでしょう。それについて大臣、一言。
  67. 近岡理一郎

    国務大臣近岡理一郎君) 今までも自治体からの要望が強く行われてきたわけでありまして、国の防災基本計画並びに原子力防災指針の改定のために検討を進めてきたところでございます。  そこで、御承知のように、さらに昨年の十二月から原子力防災検討会を開催してまいりました。したがって、これからも公共団体の参加を得て法的措置の必要性の有無も含めて検討を行っているところであります。今後とも、そこでの論議も踏まえながら、原子力防災対策の充実に積極的に取り組まなきゃならない問題だと私は認識いたしております。
  68. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 残り時間があと一分しかありません。  今、長官から特別措置法を含めて、それも視野に入れてということで、ぜひとも実効性のあるものを検討していただきたいなと思っています。  最後になります。三月十七日、石田事務次官が「もんじゅ事故以来動燃の組織運営の改善が不十分である、組織の大幅な見直しを今検討しなければならないという、これは記者会見で発表されたということを伺っております。長官、ここまで来て「もんじゅ」、そして東海村、国の原子力政策推進する上で、これは人事面も含めて大胆な改革、見直しが私は必要だと思いますけれども、最後に長官の意見を伺って質問を終わります。
  69. 近岡理一郎

    国務大臣近岡理一郎君) 「もんじゅ」の事故並びに今回の事故を踏まえまして、大変に国民に対して不安あるいは不信を与えたことは本当に遺憾なことでございます。  この問題につきましては、やはり危機管理体制につきまして徹底的に第三者的なチェックを行わなければならない。そして、緊急時において的確な対応が図れるようにこれから取り組まなきゃならないと思っております。今、第三者のチェックをどうすべきかというふうなこと等を含めまして、その内容並びに人事を含めて現在検討している最中でございます。
  70. 立木洋

    ○立木洋君 再処理工場事故の問題からちょっとお尋ねしたいと思います。  十一日、事故が起こった当日、科学技術庁の職員五名が直ちに現場に派遣されたというふうに承知しております。もちろん、事故の究明や今後の事故対策をとる上で、当初の現場の状況を正確に把握するということは非常に大切だと思いますが、この五名の中で原子力安全局の職員の方は何名おられたでしょうか。人数だけで結構です。
  71. 池田要

    政府委員池田要君) 四名でございます。
  72. 立木洋

    ○立木洋君 科技庁からいただいた最初の状況報告、これを見てみますと、十時六分に火災が発生というふうに書かれておりますし、先日いただきました動燃の資料の中でも火災というふうに述べられております。ところが、実際に火災だったのかどうかというのは、もう既にこの委員会でもいろいろ質問が出されました。私は独自に東海消防署から資料を入手いたしました。東海消防署動燃再処理内火災資料というものによりますと、その発見状況としては次のように述べられています。  本来、操作室グリーン一一五には常時二名で従事しているが、ただし本日は休みの者がいて一名で従事していた。そして、その者から聞いたところによると、十時八分、セル内で最初に何か光るもの、カメラのストロボのようなものを見た。改めて別の窓から中の状況を確認すると、最初見た位置から少し離れたところに火柱が上がっていた。こういうふうに説明しているということがその資料に述べられています。この状況について消防署では、彼の話では、火災というより爆発と言えるというふうに述べられています。監視テレビの画面が白っぽくなったのは爆発の閃光だというふうに私たちに説明しております。  中野参考人は、先ほど、消防の問題については消防の見解を重視しなければならないということを八四年の経験から述べられました。ところが、どの文章を見ても、発見した当時の事実については動燃の文書にも科技庁の文書にも一つも書かれていないんです。そして、ただ問題は火災だということを述べられるだけです。  火災かあるいは爆発か、これを私はただ単に問題にしようとしているんじゃないんです。原因を究明するためには、まだどこに原因があったのかということがはっきりしていないわけです。火災だということを最初に断定してしまって、その側面からだけ原因を究明するというようなことで本当に科学的に原因が究明できるのだろうか。私は爆発の可能性はあったということをも念頭に入れながら、そうしたなら、どういうふうな原因だったのかということが本当に究明できるのではないかというふうに思います。  火災あるいは爆発の定義については、消防署では消防統計のための火災報告を求めるに当たって爆発についての定義を定めております。そこには人の意図に反して発生しまたは拡大した爆発現象として、爆発現象とは急速に進行する化学反応によって多量のガスと熱とを発生し、爆鳴、火炎及び破壊作用を伴う現象というふうに述べられています。破壊作用については消防署確認をとったところ、初期の現象によって火災が発生し破壊が起こったような場合でも爆発ということであるというふうに回答をいただきました。  ですから、私はこの原因不明の状況にある中で、火災だということを科技庁も断定し動燃も断定し、そういう側面からだけ原因究明するというふうな態度ではなくて、爆発という事態もあり得るということをも念頭に入れながら原因究明するための努力をしていただくことが当然ではないだろうかと思いますけれども、簡潔で結構ですが御答弁をいただきたいと思います。
  73. 池田要

    政府委員池田要君) 先ほど私四名と申しましたけれども、一名水戸事務所から派遣した者が安全局の職員に併任しておりますから、正しくは五名でございます。訂正させていただきます。  それから、ただいまの事故火災か爆発かという点でございますけれども、確かに十日以内ということで、法令に基づきまして事業団から出された報告書には、まだ内容につきましては具体的な記載がございません。そういった意味で、先生の御指摘の点につきましては、今既に発足して三回目の会合をきょう開こうとしております事故調査委員会で明らかにさせていただきたいと思っております。
  74. 立木洋

    ○立木洋君 よく状況を聞いて、現場の現状はどうだったのかということを正確に把握していただくために特に努力をしていただきたいということを重ねて要望しておきたいと思います。ですから、発言者の証言あるいは基礎的なデータ、知り得た現在までのデータの公表をすべて行っていただきたい。  排気筒から検出された放射能の問題についてはいろいろ出されておりますけれども、それは解釈だとか希釈だとかではなくて、生の資料をやっぱり出すべきだというふうに思うんです。  あそこには、放射能の測定値を一週間で平均すると幾ら、三カ月で平均すると幾らというふうなことも書かれていますが、時間的にいつの時間帯で生の資料はどうだったのかということをやっぱり正確に出すということが原因究明の上でも重要ですから、そういうことも改めて、放射能が放出された量がどういう放射能で、それからどういう種類の放射能だったのかと。これはもう前回も問題になっていますが、そういう生の資料をきちっと出していただきたいということを要望したいんですが、いかがでしょうか。
  75. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) 先生の御指摘、生のデータをも含め、またその後解析評価したものも含めすべて公表していくべきであると、基本的に私どもそう思っております。  最近の例をちょっと御紹介したいと思いますが、例えば法令報告の中では、まだアルファについてはいっていないんですけれども、事故調査委員会には生のデータを既に出してあって、この後解析評価をまた法令報告のところに出す、そういったような手だてをとってございます。先生のおっしゃるとおりでございます。
  76. 立木洋

    ○立木洋君 次に、動燃の体質の問題について、この間時間がなかったから余りお聞きすることができなかったんですけれども、先日の委員会で、動燃東海事業所、あの事故の起こったアスファルト固化施設では、全員で四十九名が仕事をされておるということでした。ところが、この中で固化施設で働いておる動燃の社員は四名だという説明でありました。これは、先日いただいた資料の中でも書いてあります。そこでは結局、三井東圧機工の社員あるいは草野工業の社員、これは合わせて四十五名というふうになっております。  ところが、この四十一名の三井東圧機工から送られている人が全部三井東圧機工の社員なのかというと、そうじゃないんです。三井機工が雇っている一年契約の社員、他社の。だから、下請の孫請というんですかね、そんなような人までが加わっている状況だということも、資料をいただいてよく見るとわかるわけであります。  ところが、問題は、動燃技術開発を行っており、技術移転を行う、そういうことに努力しているというわけですが、しかし、この数字で見ると、四十九名のうち動燃社員がたった四名だと。そこでどんな技術開発をやるのか。いただいた資料によりますと、五年以下しか働いていないのが半数ぐらいいるんです。そして、技術移転をするといったら、だれにどのように移転をするのかという問題まで問題になっている。こんなような人員構成の事態で、そういうやり方をやっていて、本当に全体的に安全の問題や技術的な保障の問題が十分になされると言えるんだろうかどうだろうか、大変疑念を持たざるを得ないんですが、この点についてはいかがお考えでしょうか。
  77. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) 確かに、このアスファルト固化施設には非常にたくさんの役務の人間が働いておるということも事実でございます。しかし、その中の主要な人、責任を持っていただくような主要な人は、ここにもデータがございますが、経験年数十三年とか十四年とか十五年というふうな非常に長い経験を持った方々もまじっておられます。確かに、二年ぐらいの方もいらっしゃいますが、そういうふうにいろいろな人がまざっております。  それから、動燃職員を通じ、経験した人たちを通じて、この前も御説明しましたが、オン・ザ・ジョブ・トレーニング、そこの場で訓練をするということも含め、さらには従事者教育を含め、動燃の職員とともに働くことができるような条件を整えるという努力動燃は今までしてまいりました。
  78. 立木洋

    ○立木洋君 これは、話は変わりますけれども、例えば病院なんかの経営の場合に、正式な社員じゃなくていわゆる臨時雇いなんかの形で、本当に看護が行き届いて、患者に対して完全な医療が保障できるのだろうかというふうなことは、再々問題になったことであります。  同じように、工場においても、本当に安全施設を完全に熟知して十分にそれを操作するように、そういうようなことが本当に、そんな協力社員という名目でかぎ括弧で書いてありますけれども、協力社員といえば呼び方がいいかもしれませんが、しかし孫請だというふうなことになってくると、本当にそういう形で責任を持てるんだろうかというふうなことを、私はその個人の方々に対してどうこうという意味ではなく、そういう体制をとるようなやり方では、私は本当に技術上の保障だとか安全上の保障だとか問題が起こるというのは当然あり得ることになってしまうということを指摘したいんです。  動燃の九六年度の定員は二千八百二十名です。ところが、このうち予算が二千三百四十六億、うち政府出資金は千六百十六億というふうになっております。再処理の費用は六百六十三億で、再処理関係業務に千三百名います。そのうち相当数の人々が管理部門にいるということを考えてみますと、この費用、研究費、管理部門に人員がいることも考えれば、研究費は年間一人当たり一億円を優に超えるというふうな数字になるんです。一人で一年間に一億円も研究費を使うような形で本当に研究がなされているんだろうか。こんな一億円の金を一人でどんなして一年間で使うのか。そういうふうなことを考えてみますと、これは研究ということではなくて、いわゆるマネジメントをするというふうなことが主になっているんではないか、機構のあり方としては。  ですから、私は先般もアメリカのNASAみたいなものだという指摘があったということを言いましたけれども、そういうふうになってしまうと、十分な基礎研究を行わないで、問題がわかっていても問題にならなければよいというような開発優先で、そしてそれがすべて多くの部分が民間にゆだねられてしまう。それが下請、孫請というふうなことになるならば、これは体制上も極めてやっぱり重大な機構上も問題が起こり得るということを私は指摘したいわけです。  ですから、政府のとってきたそういうような核燃料リサイクル開発というのを、こういうふうな形の事業団にゆだねるのではなくて、根本的に中止という問題も考えた抜本的な見直しをやるべきではないかということを強調したいんです。  前の話になりますけれども、原子力船「むつ」の放射能漏れの事故が起こったときに、いわゆる大山委員会が報告書を出しております。若干目を通しました。そのときの報告書の中に、「大規模開発計画を遂行するためには、十分な組織と強力な指導者が必要であり、かつ、その組織の技術上の責任分担が明確であること」という指摘がありました。さらに、「自ら主体的に開発するのではなく、協力を得てまとめるという方向にあり、人事もそのような線で行われたということにも今回の問題の遠因を求めることができる。」という、事故の遠因についてもこのように指摘をしております。  私は、大山委員会の報告書をすべて肯定するものではありませんけれども、この指摘は含蓄のある指摘であるということを十分に考えていただきたい。こういうことを知らないはずはないと思うんです、動燃の皆さん方が。そういうことを十分に考慮に入れて問題の原因を抜本的に見直すということを科技庁の指導のもとで行うということを強く要望したいんですが、その点について動燃の考え方を理事長お願いします。
  79. 近藤俊幸

    参考人近藤俊幸君) 前段で関連会社との協力の話がございましたけれども、御指摘のとおり、いろいろ問題を含んでいる点もあろうかと思いますので、事故調査の結果を踏まえて、この関連会社との協力関係、もう一回再度見直します。  それから、全体の話でございますが、私はここに就任して以来、私の運営方針として、動燃のあり方として、まず安全に徹するということが一つ、それから次に開かれた動燃をつくっていく、これは情報公開等を指しております。結局、皆さんに理解していただき、信頼をいただくためには情報を積極的に提供していく、それがもとであるということで、開かれた動燃をつくる。それから、こういったウランとかプルトニウムとか危険なものを扱っている事業所でございますので、そういう事業所を認めていただいている、置いていただいている地域に対しては感謝をしながら十分配慮していくということ、それで絶えず地元との会話を交わしながら理解を求め、私らの事業運営にも地域の声を反映していくということで、この三つの方針を立てて今までやってきましたけれども、まだ至らないところがございます。その途中でこういう事故を起こしてまことに申しわけなく思いますが、先生が今おっしゃった点を含めて今後精力的にやっていきたい、こう思っておりますのでお許しをいただきたいと思います。
  80. 立木洋

    ○立木洋君 もう時間がなくなるわけですが、最後に長官に所感をお願いしたいと思うんです。  一つは、先日申し上げましたように、動燃の体質の問題では、やっぱり人命を尊重するという観点から安全の問題を徹底してやらなければならないということを先般私強調しました。きょうはその機構のあり方、民間にこれほど委託されるような状態で本当の安全だとか技術上の保障はできるんだろうか、技術開発だとか技術の移転だとかというふうなことが言われますけれども、マネジメントをやっているような状況ではないのか、そういうようなことで、本当にこんな動燃の体質では重大な事故が繰り返して起こっているようなことを避けることができないんではないか、これは本当に中止の問題も含めて抜本的にやっぱり見直しをすべきではないかという点が一つです。  それから、予算上の関係の問題がありますが、今国会で問題になっている日本の財政の問題というのは、非常に危機的な状況にあるということが再々議論をされ、各省庁でむだやあるいは浪費をどうなくしていくか、そのことによって財政再建をどう図るかということが非常に大きな問題になっていると思うんです。  科技庁においても、監督省庁のもとにあるこのあり方の問題としては、こういう原子力行政の中で大きな事故が相次いで起こるということは多大な損失をもたらすことになるわけですから、こういうふうなことが起こるということは何としても避けなければならない、最大のやっぱり国民にとっての損失になるわけで、それを避けることが極めて重要だと。そういう経済的な観点からも、やっぱりよくこの事故の性格上の問題も見ていただく必要があるんじゃないかということも感じるわけです。  それから、コストの問題で先般申し上げましたけれども、プルサーマルの問題で、MOXという混合燃料をつくって運転していくというふうなことで、コストはより高くなるんじゃないかということが、専門家の指摘でそういうふうに言われます。本当にコストを高くすることまでやらなければならないんだろうか。プルサーマルの全体のあり方が今問題にされている状況の中で、そういう問題も含めて検討されることが重要だということもあわせて指摘しておきたいんです。それらの問題について、最後に長官の御所見をいただきたいと思います。
  81. 近岡理一郎

    国務大臣近岡理一郎君) 戦後の日本のあの復興経済から今日に至るまでの間、特にエネルギーの中に占める電力、御案内のとおり既に三割を原子力が占めておるというふうな現況があるわけでございますが、「もんじゅ」並びに今回の事故等が発生してみますと、本当にこれからの日本のエネルギー確保上、原子力の安全性を含めて、御案内のとおり、当時日本の政界あるいは学界あるいは産業界等がどうしても日本の将来のエネルギーとして必要なために、その先端に立ってそして責任体制の一元化を目指して特殊法人として発足したのが動燃であります。  したがいまして、今宮の事故を十分に踏まえながら、私は衆議院の委員会で申し上げたのでありますが、こういったことを今後将来日本のエネルギー行政を進める上におきましても、やはり監督官庁科学技術庁を含めまして、第一線の動燃の方ももちろんでございますが、今回、初心と原点に返って、そして本当に日本人みずからがエネルギー問題としてこれからの原子力研究開発、利用というものはどうあるべきかということを真剣に考える時期じゃないかというふうなことで、過般も申し上げましたとおり、私はこのエネルギー問題というのは、科学技術庁だけじゃなくして、内閣全体の問題としてぜひとらえていただきたいということを強く要望しているゆえんもここにあるのでございます。  これからの予算の使い方につきましても、国会の審議を十分に踏まえながら、効率的にまた効果的に予算執行に当たらなければならないし、皆様方先生から御指摘があった点については、改めるにはやぶさかではありませんから、これからこの問題を教訓といたしまして真剣に取り組んでまいりたい、このように思います。
  82. 立木洋

    ○立木洋君 プルサーマルの問題を一言お願いします。
  83. 近岡理一郎

    国務大臣近岡理一郎君) プルサーマルの問題につきましても、閣議了解を得たわけでありますが、この問題等も含めてこれから、今私たちもいろんな機関がございますので、これまた検討する分野でもあるんじゃないかなと思っておりますが、私たち科学技術庁だけの問題ではなくして、了解事項でございますから、やはり内閣全体としても今後十分に検討していかなきゃならぬ問題じゃないかと、こういうふうに思います。
  84. 矢田部理

    ○矢田部理君 既に触れているわけですが、再処理工場で正規の職員よりも下請その他の関係者の方がはるかに多いということが指摘をされており、いただいた資料では、正規の職員は五百十七名に対して七百九名が外部の人だというような数字もあるわけでありますが、問題のアスファルト固化処理施設における正規の職員と下請その他の人の数の割合はどんなふうになっておりますか。
  85. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) 御指摘のアスファルト施設で従業員の割り振りはどうなっているかということでございますが、総計で四十九名の人間が働いておりますが、職員がそのうちの四名でございます。残りが運転委託その他という人間でございます。
  86. 矢田部理

    ○矢田部理君 そうしますと、四十五名が外の人ということになりますが、その企業名と人数、それから企業も直で雇っている人と、また今ありましたように孫請で雇っている人の中身等々について。
  87. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) 運転委託の業務契約をやっております相手先は、三井東圧機工、これが三十九名でございます。それから草野工業、これが五名でございます。それから、直接施設の運転ではございませんが、計算機へのデータの入力処理を行う者一名がおりますが、これが原子力システムというところから参っております。三井東圧機工のさらに孫請の状況については動燃としてよくつかんではおりません。
  88. 矢田部理

    ○矢田部理君 つかんでいない。すると、三井東圧の直接の従業員なのか、そこがまた別から派遣をしてもらった人なのかという実態はつかんでいないわけですか。
  89. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) これは三井東圧機工そのものの会社の契約の中身だと思いますので、我々としては、聞いてはおりますが、契約上特に動燃が介入すべきものかどうかについては疑問があるというふうに思っております。
  90. 矢田部理

    ○矢田部理君 そこら辺にも大変問題があるので、三井の正式の職員なのかそれともまた別の孫請なりでやっているのかというあたりは、きちっとやつぱりっかむ必要があるということ、これは明確にしてほしいと思います。  それとあわせて、作業現場周辺の人たちのカウンター測定をやったのが百十二名だと言われているわけでありますが、その中身を言ってください。
  91. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) 既に御案内のように、ホール・ボディー・カウンターの測定対象者は百十二名でございました。そのうち事業団職員は二十一名でございます。それから、事業団職員以外の人が九十一名で、これには作業請負だとか研修生もおりますし、その当時その周辺で工事に入っておった人、そういう人たちも含めて九十一名でございます。
  92. 矢田部理

    ○矢田部理君 その工事に入っておった外側の人の企業名とか、工事している人たちの所属組織は。
  93. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) 現在、ちょっとそのデータは持ち合わせてございませんので、またわかり次第御報告申し上げます。
  94. 矢田部理

    ○矢田部理君 そういう人たちが、例えば火災が起きた、それから爆発が起こったというときにどういう対応をすべきかというようなことについては、ほとんど教育とか指示が行われていないのではありませんか。いかがでしょうか。
  95. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) ほかのところでも御説明申し上げたことがございますが、こういった種類の作業をする場合にあらかじめどういう安全教育、どういう作業教育をするかということは規定で決めてございまして、ここで働く作業員はすべてそれらの教育を受けた後、指定従事者という指定を受けた上で作業を行っておりますので、動燃の職員やほかの職員と同じような教育を受けております。
  96. 矢田部理

    ○矢田部理君 そこで伺いたい。ならばどうして被曝したんですか。被曝した場所、被曝した理由、どこにいてだれがどういう状況で被曝をしたのかを明確にしてほしい。
  97. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) アスファルトの固化処理施設の中に二十三名おりまして、そのうちホール・ボディー・カウンターで有意な検出があった者は七名でございます。また、その隣にございます第三低放射性廃液蒸発処理施設の中もしくはその周辺にいた者八十九名のうち、ホール・ボディー・カウンターで有意な検出のあった者は三十名でございます。
  98. 矢田部理

    ○矢田部理君 そういう人たちに、火災が起きたとき、爆発が起こったときはどうしろと教育しているんですか。その教育に反していたために被曝したんですか。そこが知りたい。
  99. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) まず、このホール・ボディーの結果を申し上げなきゃいかぬのですが、すべてがいわゆる関連会社の人ではなくて、職員もいたわけでございますし、職員も同じような教育を受けていたわけでございます。そこで、こういった火災が起きた場合には、まず一義的に火災の防止、火災の消火、それが拡大しないように、汚染が拡大しないように対処するというのがマニュアルの基準になっております。  そういう手順の中で、時間的に、あるいは今後その辺が反省するところじゃないかとは思いますけれども、結果としては被曝をする人が出てきたと、そういうことかと思います。
  100. 矢田部理

    ○矢田部理君 被曝のおそれがある場合には、通常逃げるとかその場から立ち去るとか、あるいは何か被曝を受けないような防護をするとかという教育がなければ、教育していたと言ったって、現に被曝者が出ている、量が多いとかレベルが高いか低いかは別として。ということは、少なくとも安全教育は徹底していなかったということじゃありませんか。どうなんですか。
  101. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) 先ほど中野参考人から申し上げましたように、基本的な訓練をいたしますと同時に、オン・ザ・ジョブ・トレーニングということで現場でそれぞれの教育をいたしております。このアスファルト固化施設での教育訓練の実績がここにちょっとございますが、例えば基本動作、除染、通報その他ということで年に数回の教育訓練を行っております。
  102. 矢田部理

    ○矢田部理君 その中身なんですよ。教育を一般的、抽象的に言われてもしようがないんで、現に被曝をしたわけでしょう。量の多いか少ないかとか、レベルがどうかということは、質の問題もありますが、それは安全教育で、そういう場合には被曝をしても火災を消すことが先だという教育なんですか。それとも避難すべしという教育なんですか。なぜ被曝したのかというその原因を教育との関係で聞きたい。
  103. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) こういった施設の場合に、先生今御指摘の中にもございますが、放射線を扱っておる、放射能を扱っておるわけでございます。したがいまして、いろんな事件あるいは事故、事象があるわけでございますが、そういう中で、一つは、すぐ退避をして被曝しないように対応するということと同時に、施設から漏れないように、その施設のハードの側できちっとやっておく、両面あろうかと思います。そのあたりを総合勘案しながらマニュアルをつくっておるわけでございまして、絶対に被曝をしないマニュアル、こういうものがあるべきではないかという御指摘かと思いますが、その両方を勘案しながら被害を最小にするようにマニュアルをつくっておるかと思っております。
  104. 矢田部理

    ○矢田部理君 現に被曝しているわけだから、その安全教育はなっていないというふうな指摘をせざるを得ないのであります。従業員だって被曝していいというわけじゃありません。これはやっぱり、とりわけ下請者などに対する安全教育とか訓練が不徹底である上に、みんな縦社会で企業ごとに連携がとれていない。その連絡が不十分であり、こちらだけでいってしまうと、職員の間ですら内部の事故などについては知らされないという指摘が既に内部告発的になされておるし、現にそんなことのためにゴルフなどにも出かけていく人が出てしまうということになっているので、そういう安全教育とか連絡システムとか、緊急時の対応策について極めて不徹底だったということがこの事故の反省の中にあってしかるべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
  105. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) 先ほどもちょっと申し上げかけておりましたように、そういう訓練を常日ごろ繰り返してやっておるわけでございますが、今回のケースでは訓練のように達成できなかったという点については大いに反省すべきであるというふうに考えております。
  106. 矢田部理

    ○矢田部理君 それから、安全協定とかが自治体との間に結ばれているわけですが、私は従業員とか住民の立場をこの問題については非常に重視しなきゃならぬと思うのですが、住民の人たちはテレビを見ておって何か爆発があったとか火災があったとかということで、どうしたらいいだろうかという大変不安に駆られるわけですね。そういうときの連絡のおくれというのは決定的に動燃側の責任になるわけでありますが、それと同時に避難訓練などというのもほとんど行われていないと。どうしたらいいかわからぬというときに、きちんとしたマニュアルができていないんじゃないかと、住民に少なくとも周知徹底していないのではないかという指摘もあるわけです。  聞くところによれば、たった一度だけ避難訓練を住民とやったことがあるというお話ですが、風下に逃げなさいとか、どこどこに集まりなさいという程度の話であって、事故のときに窓を閉めたものなのか、外に飛び出して避難をしたものなのかというようなことについてはほとんど知らされないまま不安な一夜を送らざるを得ないということに対するきちっとした対処策があってしかるべきだと私は思うんです。  例えばの話で、これは十分吟味してほしいと思うのでありますが、例えば地震情報というのはテレビで出ますね。そして、津波の危険があるとか、この程度の地震だったということがすぐわかるようになっているのですが、原子力の事故一般についてそういうレベルの報道とか連絡とかということなども検討に値するのではないかと思うのですが、この辺は科技庁を含めていかがなもんでしょうか。  それからもう一つは、もう時間がありませんから言っておきますが、そういう連絡と避難方法とか、そういうときに当たっての住民としての対応の仕方とかいうことについてもっともっとやっぱり周知徹底する必要があると思うんです。  現に、ある自治体、名を挙げませんが、この晩は爆発のファクスは入ったけれども市役所にはだれもいない、翌朝出勤してそれを見たというようなことも近隣の市町村ではあるのでありまして、それは受け皿の問題もあるし、通報のおくれの問題もある。連絡体制の不備の問題もあるわけでありますが、そういう点で住民の不安がいやが上にも高まっておるという状況に対してどうするのか。動燃とそれから科技庁長官から一言お願いして終わります。
  107. 池田要

    政府委員池田要君) ただいま御指摘のように、こういう原子力施設事故が発生しました場合には、まず拡大防止策が適切に講じられることはもちろんでございますけれども、事故に関する情報が迅速かつ的確に自治体等関係機関に連絡されることは極めて重要だと考えております。今回の事故に際しましては、この点の対応について不十分な点があった、結果的には地元の住民の皆様に不安を与えたことを非常に残念に思っております。  ただし、今回爆発事故の直近から、私ども、周囲の放射性レベルですとか、こういったことについては十分監視しておりまして、こういった結果につきまして、住民に対して何らかの措置を促すようなことにはならなかったということは今確信を持っておるわけでございますけれども、ただ、今回のような事故の場合に報道のあり方等を見ますと、情報が先に流れるわけでございますから、こういったときにいたずらに住民の方に不安を与えないような情報の流し方につきましては、今後、県あるいは市町村とも十分この辺のあり方について、改善策についても考えていきたいと思っております。
  108. 近藤俊幸

    参考人近藤俊幸君) 今現在のルールは、動燃から通報が各自治体にということになっております。それで、自治体が各住民に情報を出すという建前になっておりますが、先生がおっしゃるように、事業所の近間の人たちにどうするかという問題は非常に私たちも気になっております。自治体とその点は今後相談して、具体的にどう対応していくかということは検討させていただきたいと思っております。
  109. 近岡理一郎

    国務大臣近岡理一郎君) きょうの委員会でいろいろ御意見を承りました。私は、今回の事故を振り返って、今御指摘あった点については真摯に受けとめて、一刻も早くお互いに実行に移して、国民の不安を除くための最大限の努力をしなきゃならぬ、こんな意思を強く持たせていただきました。ありがとうございました。
  110. 猪熊重二

    委員長猪熊重二君) 以上をもちまして、平成九年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち科学技術庁についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 猪熊重二

    委員長猪熊重二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  112. 猪熊重二

    委員長猪熊重二君) 次に、科学技術振興対策樹立に関する調査のうち、動燃東海事業所処理施設における火災爆発事故に関する件を議題といたします。  この際、委員長より御報告いたします。  本委員会は、去る三月二十一日、動力炉核燃料開発事業団東海事業所処理施設における火災爆発事故に関する実情調査を行いました。  当日は、火災爆発事故現場を視察し、動燃より事故の概況、事後処理等について説明を聴取するとともに質疑を行いました。その後、茨城県及び東海村より事故発生後の県及び村の対応について説明を聴取いたしました。  なお、茨城県から、アスファルト固化処理施設事故原因の徹底究明、原子力施設の安全対策の総点検、事故・故障発生時の情報の伝達体制改善、テレビカメラの設置、スプリンクラーの自動化等、安全対策に係る設備の充実強化の四項目にわたる要望がございました。  以上、御報告いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時十三分散会