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1997-03-17 第140回国会 参議院 科学技術特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年三月十七日(月曜日)    午後二時二分開会     —————————————    委員異動  三月十四日     辞任         補欠選任      岩永 浩美君     関根 則之君  三月十七日     辞任         補欠選任      志村 哲良君     中原  爽君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         猪熊 重二君     理 事                 吉川 芳男君                 高橋 令則君                 中尾 則幸君     委 員                 海老原義彦君                 北岡 秀二君                 沓掛 哲男君                 関根 則之君                 中原  爽君                 長谷川道郎君                 水島  裕君                 山本 正和君                 川橋 幸子君                 阿部 幸代君                 立木  洋君                 矢田部 理君    国務大臣        国 務 大 臣        (科学技術庁長  近岡理一郎君        官)    政府委員        科学技術庁長官        官房長      沖村 憲樹君        科学技術庁原子        力局長      加藤 康宏君        科学技術庁原子        力安全局長    池田  要君    事務局側        第三特別調査        室       塩入  武三君    説明員        内閣官房内閣情        報調査室内閣調        査官       芦刈 勝治君        科学技術庁原子        力安全局次長   田中 徳夫君        消防庁特殊災害        室長       佐藤 和寿君    参考人        動力炉核燃料        開発事業団理事        長        近藤 俊幸君        動力炉核燃料        開発事業団副理        事長       植松 邦彦君        動力炉核燃料        開発事業団理事  中野 啓昌君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○科学技術振興対策樹立に関する調査  (動燃東海事業所処理施設における火災爆発  事故に関する件)     —————————————
  2. 猪熊重二

    委員長猪熊重二君) ただいまから科学技術特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十四日、岩永浩美君が委員辞任され、その補欠として関根則之君が選任されました。  また、本日、志村哲良君が委員辞任され、その補欠として中原爽君が選任されました。     —————————————
  3. 猪熊重二

    委員長猪熊重二君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  科学技術振興対策樹立に関する調査のため、本日の委員会動力炉・核燃料開発事業団理事長近藤俊幸君、同副理事長植松邦彦君及び同理事中野啓昌君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 猪熊重二

    委員長猪熊重二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 猪熊重二

    委員長猪熊重二君) 科学技術振興対策樹立に関する調査のうち、動燃東海事業所処理施設における火災爆発事故に関する件を議題といたします。  この際、近岡科学技術庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。近岡科学技術庁長官
  6. 近岡理一郎

    国務大臣近岡理一郎君) 動燃事業団アスファルト固化処理施設火災爆発事故状況と今後の対応について御説明申し上げます。  三月十一日十時六分、アスファルト固化処理施設において火災が発生し、十時二十二分に消火したと報告を受けましたが、同日二十時四分ごろ、同じ施設爆発が発生して、窓などを破損し、放射性物質建屋外に放出されました。建屋周辺放射線モニタリングの結果によると一時的にわずかに上昇が見られましたが、それ以降は通常の変動の範囲内でありました。また、敷地外放射線測定結果は現在に至るまで異常な値は計測されておりません。さらに、同施設等作業に従事した者百十二人について全身測定を実施した結果、三十七人の体内から微量放射性物質が検出されましたが、その量は最大のものでも基準値の約二千分の一以下でありました。  このような事故が発生し、地元方々を初め国民皆様に不安を与えたことは大変重く受けとめております。また、事故後の対応において迅速かつ正確な通報連絡が十分ではなかったことは極めて遺憾であります。  この間、十二日に、動燃事業団近藤理事長を呼び、早期事態の収束及び原因究明等に万全を期すとともに、通報連絡体制改善及び地元住民等の不安、不信の払拭に真剣に取り組むよう強く指示いたしました。  十三日には、橋本茨城県知事とお会いし、事故原因徹底究明情報伝達体制改善などについて要請を受け、これらに真剣に取り組む決意を御説明いたしました。  十五日には、私自身、梶山官房長官及び佐藤通商産業大臣とともに現地を訪問し、現場を視察するとともに、茨城県知事東海村村長を初めとする地元関係者とお会いし、直接、状況の把握を行ってまいりました。これらを通じ、地元方々の御心配を肌で感じ、今回の事故の重さを改めて厳しく受けとめるとともに、徹底的な原因究明及び地元の不安を解消することの必要性を強く認識いたしました。  現在、科学技術庁としては、原因究明再発防止のための万全の対策を講じるため、十二日に専門家から成る調査委員会を設置し、十三日に現地で第一回会合を開催しました。この委員会公開調査検討を進めてまいります。  「もんじゅ」に続き二度目の大きな事故を起こしましたことは、原子力行政に携わる私にとって、まことに申しわけなく残念に思っている次第であります。私は、安全の確保に万全を期すとともに、地元方々国民皆様原子力に対する不安を解消し、信頼が得られるよう最大限の努力を重ねてまいりたいと考えております。委員長を初め委員皆様の御支援、御協力を心からお願い申し上げます。
  7. 猪熊重二

    委員長猪熊重二君) これより質疑を行います。  なお、近岡科学技術庁長官の御答弁は着席のままで結構です。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 海老原義彦

    海老原義彦君 自民党の海老原義彦でございます。  今回のアスファルト固化処理施設における事故はまことに遺憾でございました。私は、日本のエネルギーの将来を考え、原子力の推進はぜひ必要だと思っておる立場から申しておりますけれども、この事故のために我が国の原子力開発がどれほどおくれることになるか。国民に不安を与え、その不安を除去するだけでもこれは大変なことであろうと思うわけでございます。  動燃では、さきに「もんじゅ」の事故もございました。「もんじゅ」の事故はまことにつまらぬ原因と私はあえて言いますけれども、温度計設計が間違っておったと。温度計というのはいわば小さな附属部品でございますが、そういう附属部品設計が誤っておったということから起こったと。今回はどうなんだろうか。今回はもう少し重いものがあるのではないか。また、事故程度としても、これはだんだん伺いますが、前回よりはかなり重いのではないか。前回放射能の漏出ということは全くなかったわけでございますが、今回は若干なりともあったと、まことに重いのではないかと。  私は、今後どうやって国民安全意識を戻して原子力開発を進めていくか、非常に頭の痛い問題だなと思っておりまして、ここで皆様方と協議していかにやならぬなと思うわけでございます。  そういうことでございますので、別に動燃理事長さんに私はこの席で謝っていただこうとかそういうことではございません。ここで謝ったからといって将来のために何の役にも立つ話ではございません。そういう見地から、動燃理事長さんの御発言をいただきたいと思います。
  9. 近藤俊幸

    参考人近藤俊幸君) 謝ってもせんないこととおっしゃいましたけれども、やはり冒頭に一言だけは謝らせていただきます。  三月十一日に発生しました処理施設火災爆発事故につきましては、本当に、地元並びにここにいらっしゃる先生たちを初め、大変な御迷惑、御不安をかけたことを深くおわび申し上げます。  さらに、ごく少量とはいえ建物外部への放射能の放出、それから三十七名の従事者の被曝がありまして、また、通報連絡のおくれなど、先ほどおっしゃいました「もんじゅ事故で失われた信頼の回復に努力中にもかかわらず、教訓が十分に生かせなかったことは、まことにざんきにたえません。  直ちに副理事長現地に派遣した後、私も、災害対策本部を設置し、全社態勢を確立した後、現地入りし、みずから陣頭指揮に当たっております。よろしくこの場において先生の御指導をいただきたいと思います。  それで、先ほど、今後不安の解消にどう努力していくかということをおっしゃいましたけれども、私は昨年の五月二十四日就任して以来、動燃の進むべく方向として、安全に徹する動燃、開かれた動燃地元重視動燃、この三つの方針を立てて、それに従って全職員を指導してきたつもりでございますが、まだ十分に末端までには浸透に至らずという状況かと思います。  今後は、こういった重大な事故を引き起こしまして、この解消にはさらに時間はかかると思いますが、そういう三つ方向に沿って、特に安全に徹するという方向でしっかり努めていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
  10. 海老原義彦

    海老原義彦君 今回の事故原因は、今、事故調査委員会で究明しておられるということでございますが、これもなかなか時間のかかる話だろうと思います。この事故調査委員会につきましても、後でまたお尋ねすることがございますけれども、私思いますに、これは基本的に非常に問題があった。  アスファルトというのは可燃物でございましょう。それで、核廃液の主体は硝酸ナトリウムでございます。硝酸ナトリウムというのは強力な助燃剤だと。助燃剤可燃物一緒にしたら、これは火薬ですよ。火薬をつくっているようなものです。もちろん、硝酸ナトリウム一定基準以下になるように、私、いろいろ新聞情報でございますけれども読んでおりますと、なっておる」ということでございます。そうはいっても、いわば火薬の上に寝ているようなものですから、これはどうしても非常に難しい綱渡りだったんだなと思うんです。  私は、だんだん申し上げますけれども、こういったシステム自体を直さにゃいかぬことだろうなと。アスファルト固化するという技術は国際的にも認められ、かつて行われた、今はもうほとんどの国がやめておるという技術でございます。  これはもともと海中投棄を目的として開発された技術でございまして、海の底へ捨てるというのは、いろいろ湧出物が出てきて海の環境を汚染するという問題があるから海中投棄はやらぬということになった、それはわかります。もともと海の中へ捨てるということで、回りを水で冷やすということが前提になって開発された技術でございましょう。  それが、そういった火薬みたいなものを、配合のいかんによってはいつ爆発するかわからぬというようなものを保存しておくだけでも、今、保存施設東海村の中にあるんでしょうけれども、保存しておくだけでもこれはなかなかの問題がある。それを問題でなくするためにいろいろと難しい技術的開発が必要であって、それは十分遂げられていて、安全に自信を持っておられるんだろうと私は思いますけれども、何もそんな難しいことをしなくともいいじゃないかという気もいたします。  さて、一定基準以下になるように硝酸塩の割合を決めておるということでございますけれども、この基準というのは動燃が独自に開発されたものでございましょうか。それとも国際的な基準があって、技術書などに書いてある常識的なものなのでございましょうか。まずそのあたりを伺いたいと思います。
  11. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) 先生指摘ございましたように、アスファルトを使う固化方式というのは、本来海中投棄ということを考えてつくり出され、使われるようになった方法だというふうに私たちも理解をいたしております。現状としては、ロンドン条約により海中投棄が行えなくなった、したがってアスファルト固化方式というのは次第に下火になってきておるということも事実かと存じ上げております。  放射性廃液固化には幾つかの方法がございまして、もちろんそれぞれ特徴がございます。代表的な固化方法には、アスファルトのほかにセメントを使う、それからプラスチックを使う、こういった方法が現在も使われております。  ただ、アスファルト固化というのは、アスファルト廃液とを混合してドラム缶に入れて固化するというものでございますが、セメント固化などに比べて非常に減容効果最終製品としてでき上がったものの体積を小さくすることができるということから使われるようになっておるわけでございますし、また水に対する放射性物質の浸出も少ないというような利点も持っておったわけでございます。  もちろん、この技術動燃が開発したわけではございませんで、動燃といたしましては、ヨーロッパで実際に使っておりました技術を導入してまいりました。特にベルギーからいろいろな技術を持ってまいったというのが実情でございます。
  12. 海老原義彦

    海老原義彦君 私の質問は、硝酸ナトリウム配合量一定基準以下にしなきゃいかぬと考えておられる、その一定基準というのは、推察いたしますに、恐らくこれもヨーロッパにおいて通常用いられておる基準ということだろうと思いますけれども、動燃としてはこれを導入するに当たって、アスファルト硝酸とを混ぜたらどういう問題があるか、どのぐらいの量硝酸が入ったらどうなるかというような試験はせずに、ヨーロッパ基準をそのまま文献上の基準によって持ち込んだんですか。
  13. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) 先生お話がございました、参考人の方からも申し上げましたが、この施設につきましてはベルギーで使われておりまして、ベルギーで使われておりましたものを設計を中心につくられたものでございます。  したがいまして、この運転に当たりましても、ベルギーでの実績、それからベルギー動燃との間での共同の実験等を踏まえた上で、先ほどの先生お話にございました基準内部基準として定め、実施しておるものでございます。  詳細につきましては、ここに手持ちがございませんので、御必要とあらば後ほどお渡ししても結構でございます。
  14. 海老原義彦

    海老原義彦君 今お手持ちもないようですから、詳細は後ほどいただければと思います。  そういうことで、アスファルト固化施設ベルギー技術によって運営しておったと。そこで、私がもう一つ伺いたいのは、動燃の中におけるこのアスファルト固化施設の比重と申しては何ですが、技術的にどの程度重視しておられたのか。  と申しますのは、新聞報道でございますけれども、ここで働いている従業員はほとんどが下請の人だと、動燃自体職員現場には一人もおらなかったと。どこか奥の方に一人おりまして、その人と連絡して火が発生したときの応急処置をとるということで、応急処置にも大変時間を要した、こういうようなことでございます。  私は、先ほど申し上げましたように、アスファルト固化施設というのは、硝酸という非常に危ない助燃物と可燃物とを混ぜるということでありますから、本当に綱渡りのような運営をしているので、もっとこれを重大なものとして扱っていただかないと、下請に任せておけばできるというような姿勢であればこれはだめだ、こういう問題もあったんじゃないかなと思うんですが、いかがでしょうか。
  15. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) 決してアスファルト固化施設運転について軽視をしておったわけではございません。  確かに、おっしゃられるように、その当時作業に従事しておった従業員の多くがいわゆる役務であった方々であるということも事実でございますが、施設運転に当たっては必ず動燃職員責任を持つという形で、保安に万全を期するという形で運転をしてきております。
  16. 海老原義彦

    海老原義彦君 下請なら下請でいいんです。下請責任を持ってもらえばいいと思うんですが、最終責任職員にあるということで、職員の指示を仰がないと何もできない。そうすると、こういう緊急事態のときにはどんどん手当てがおくれるということになるわけです。前回の「もんじゅ」の事故教訓を生かすということを当然考えておられたんだろうと思いますけれども、今回さらに重い事故が起こってしまったということはまことに残念でございました。  さて、事故の態様でございますけれども、低レベル放射性物質がかなり出た、といっても、それは許容量に比べればはるかに少ない。それから、高レベルと申しますか、アルファ線を出すような超ウラン元素も出たということで、新聞によってはウラニウム、プルトニウムが放出されたと伝えられておりますけれども、これはむしろ私は誤りじゃないかと。核分裂生成物であるアメリシウムあたりだったら半減期も短い、そういうものが主として出たんだろうと思うんですが、その辺はいかがでございましょうか。
  17. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) お答え申し上げます。  新聞に出ました、放出されたものの中にプルトニウムが大量に含まれておるんではないかという記事のことを申されておるのかと存じます。それにつきましては大半がアメリシウムであったんではないか、そういう御指摘かと存じます。  現在のところ、放出されましたガスそのものについての分析結果というのは出ておりません。私ども、トータルとして放射線がどれだけ出たかというのは既に計測値でつかまえてございます。そのうちアルファ、ベータ、ガンマのうち、御指摘プルトニウムアメリシウムといいますのはアルファ体でございます。このアルファ体の中にどれだけのプルトニウム、あるいはどれだけのアメリシウムが含まれておるかということになるわけでございます。  それにつきましては、先生の御質問にまずはお答えいたしますと、もともとの原料の中に入っているアルファ体が、全体から見るとアメリシウムが八〇%以上を占めているということから推測いたしまして、外に出たものもほとんどアメリシウムではないかと、そのように現在推定しておるところでございます。
  18. 海老原義彦

    海老原義彦君 わかりました。いずれにせよ、アルファ線の線量というのは許容量に比べて極めてわずかであると言えるわけでございますね。  それからベータ線についても同様でございますけれども、ベータ線の出すような核分裂生成物、例えばセシウムストロンチウムなどと言われておりますが、ストロンチウム半減期も非常に長い。これが体内に入るとカルシウムと代位されるというような話を昔聞いたような記憶があるんですが、いずれにせよ、量的にこれが体内へ入ってもごく微量であれば問題ないわけでありまして、そういうような量である、特に、被曝された従業員方々が吸った量でもそんな程度のものであるということが言い切れるかどうか、はっきり伺いたいと思います。
  19. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) 先生の御質問は、吸入摂取量の内訳の中でセシウム摂取量が十分に基準値を下回っているものかどうか、そういう御質問かと存じます。基準値に比べまして、例えば、セシウム137で申しますと二千百分の一相当かと存じます。これは既に新聞等にも報道されておるわけでございます。トータルセシウムでまいりましても二百七十から三千百ぐらいでございますので、ほぼそれ以下であろうかと存じます。
  20. 海老原義彦

    海老原義彦君 ちょっとしつこいようですが、セシウム以外の、例えば私が例示したストロンチウム、昔、どうもストロンチウムは非常に怖いんだという話を聞いたような気がしますので、ストロンチウムについても一言、大丈夫なんだということをデータをもって示してください。
  21. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) ストロンチウムにおきましても一測定の結果といたしましてはトータルで実は測定いたしておりますけれども、基準値以下というふうに報告を受けております。
  22. 海老原義彦

    海老原義彦君 次に、先ほどもちょっと言いかけましたが、事故調査委員会について伺いたいと思います。  事故調査委員会に立派な先生方を六人お願いしているようでございますが、それぞれの先生の御専攻をちょっと伺いたいと思うんです。
  23. 池田要

    政府委員池田要君) お答え申し上げます。  今回、事故の翌日に発足させました火災爆発事故調査委員会構成員についてお尋ねでございますが、委員長にお願いしております金川先生は再処理プロセス全般専門でございます。それから飯嶋委員安全評価についての専門家でございます。井澤委員廃棄物処理プロセスについての専門家でございます。西尾委員は再処理化学プロセスについての専門家でございます。火災等についても経験を持っている専門家の方と理解しております。それから前田委員は再処理プロセス全般専門家でございます。吉澤委員は一般的な火災とか爆発プロセスについての専門家でございます。それから、本日までに消防研究所の第二研究部長をされております長谷川さんを加えてございまして、化学火災専門家でございます。  このように、今回の委員会構成に当たりましては、できるだけ今回の事故特殊性も考えながら、かつまた一般的な見方から十分な検討ができるように、ただいま御報告いたしましたようなメンバーで発足しておりますけれども、今後、また必要に応じて専門家については適宜参加の方をふやしてまいりたいと考えておるところでございます。
  24. 海老原義彦

    海老原義彦君 伺いますと、火災とか爆発とか、そういったものの専門家もおられるということで、あとアスファルト処理に関する、例えば石油工学サイドからの人もあった方がいいのかなとかいろいろ思いますけれども、いずれにせよ、この専門家方々知見を糾合して、一刻も早く原因究明ができることを望むわけでございます。この原因究明ができませんと国民がいたずらに不安を抱く。早く原因究明をするということが何よりも大切なことかと思いますので、その辺のところをよろしくお願いいたしたいと思います。  原因究明できるのはいつごろになりますでしょうか。
  25. 池田要

    政府委員池田要君) これは、先週の段階で第一回目の会合を開催させていただきました。それから、本日この時点では、ただいま御紹介申し上げました専門家事故現場に立ち入っております。具体的な検討も進めておるところでございまして、今週のうちには第二回目の会合、これも公開でございますけれども、進めさせていただきたいと思っております。  今、現場におきましては、とりあえず外とつながっております窓等をふさぐというようなこともしているところでございますし、こういった措置の進捗を見ながら、ただいま申しましたような専門家方々現場をつぶさに見ていただく。それから、検討の過程で動燃事業団からも新たな知見が出てくると思います。  こういったことで、慎重に、かつまた先ほど御指摘ございましたように、本件が地元住民方々を初め非常に多くの方に不安を抱かせていることを考えますと早期結論を出したいと思っております。  ただ、非常に技術的な専門的な検討でもございますし、私ども結論を急ぐよりはむしろしっかりとした原因究明の内容をもって検討を進めていただきたいと思っているところでございます。
  26. 海老原義彦

    海老原義彦君 もちろんしっかりとした原因究明が必要でございますが、さらにそれを早く出していただきたいなと望む次第でございます。  何しろ非常に難しいんだろうなということは私も想像はつきます。何だか素人が見たらもう本当にわからないですね、これは。二十四時間ぐらいたって大分冷めたやつから火が上り始めたなんていうのはよくわからない。全くわからない。また、資料も少ないようですから、専門家検討もなかなか難航するということもわかります。  そこで、私は、原因究明と並行してもう一つ科学技術庁に考えていただきたいことは、こういうアスファルト固化という方式は、再三私言っておりますように、非常に簡単なようでいて実は火災が発生しないためには非常に難しい要件を幾つもクリアしなきゃならぬ。こういうことはやめてしまって、例えば、先ほどお話のあったコンクリートでございますとか、プラスチックはやっぱり同じ危険があるかもしれません。あるいは、何か蒸発、濃縮してエッセンスだけ固めてドラム缶に入れるというような方式だとか、いろいろお考えだろうと思いますけれども、そこら辺、なるべく早くこういった危険な方式は転換するということをお考えいただけませんでしょうか。
  27. 加藤康宏

    政府委員(加藤康宏君) アスファルトの問題につきましては、先ほど動燃植松理事長からもお話しございました。  今の先生の御指摘は、アスファルト固化にかわる新しい技術をどうかということでございまして、現在、動燃事業団では、研究開発の一環といたしまして再処理の低レベル放射性廃棄処理技術、そういうものをやっております。それは、廃液を中である程度循環させるような格好をとりまして減容、量を減らそうということでございます。  これにつきましては、今年度から建設の計画がございまして、平成十三年度ごろの運転の開始を目途にしておりますが、これの成果にもよるわけでございますし、またこれができますと、現在のアスファルト固化やっているものがすべてカバーできるかどうか、これはまだわからないわけでございます。  とにかく、新しい技術を開発するのは動燃事業団の使命でございますので、研究開発として一生懸命やる。その成果を見まして、また検討していただきたいと考えている次第でございます。
  28. 関根則之

    関根則之君 今度の火災を見てまして、最初出たときに、あのセルの中で火事が起こるとは設計上予定していなかったんだなんという説明がちょっと一時ありましたけれども、そんなことはないようです。私は、火が出たときに実効的に火を消せるような、設計上も、通常の管理上も、職員の配置上も、それができてなかったんじゃないかと思うんですけれども、いかがですか。結論だけでいいですよ。
  29. 池田要

    政府委員池田要君) ただいまこの施設について、どういうふうにできたかということでございます。  この施設につきましても、当初、設置に当たりましての申請書類等に記載されておりますところは、アスファルト固化処理施設につきましては、火災爆発の防止のために幾つかの要件を満たすこととなってございます。施設面でも、アスファルトにつきましては、そういう意味では非常に引火性の高い触媒を含まないことにしようということでございますとか、あるいは加熱に当たっては、非常に間接的な加熱方式で温度を抑えるといったことでございますとか、あるいは機器、配管等は必要なアースをしていることとか、それから固化体につきましては冷却に適切な措置を講ずるといったようなこともございますし、さらに火災につきましては水をかける、あるいは炭酸ガスを吹きつけられるように必要な設備を整える、こういった準備をしてつくった施設でございます。
  30. 関根則之

    関根則之君 こっちはリード部分で、結果論としてこういうことになっちゃって、放射能が外に出ちゃっているんです。だから、一応は火災が出たときに、それを鎮火するために設計上も管理上もやってはいたけれども、それが不十分だったんじゃないかということを言っているわけですよ。何をやったなんて、そんなことを聞いているわけじゃないんですよ。  あなた方、素人に対して、こういうテレビの取材や何かがあるときに、何か聞くとすぐ具体的な細かい技術的な問題に逃げ込んじゃうんだよ。それじゃだめなんだ、やっぱり結果責任をきちっととってもらわなきゃだめなんですよ。  そういう意味で申し上げますと、例えばマニュアルで、これはスプリンクラーによる放水をやるのか、それからCO2を充満して窒息させるのか、そういうマニュアルはきちっとできていますか。どういう場合にどういう方法をとるというもの、何かきちっと決まっていますか。
  31. 田中徳夫

    説明員(田中徳夫君) 御説明申し上げます。  今御指摘のように、動燃事業団におきましては、火災という災害が起きましたときに備えましてマニュアルができてございます。それで、方法といたしまして、今お話にございましたように、水によります消火、それから炭酸ガスによります消火、それを行うことになってございます。それは、火災を発見いたしましてから、マニュアルに従いまして、ここに書いておるところによりますと、班長に判断を仰ぎましてからとり行う、こういうふうになっております。
  32. 関根則之

    関根則之君 決して私はあなた方を非難する立場から質問しているんじゃないんだから、余り警戒した答弁しなくていいんです。  それでは聞きますけれども、これは手動のスプリンクラーが動いていますね。そのスプリンクラーを動かすについては上司まで行って相談をしてからでなきゃ使えないわけでしょう。そんなのんきなことをやっていたら火なんか消えませんよ。大体温度センサーはセルの中に何カ所あるんですか。  それから、一たん火が消えたときに、火が消えたかどうか、本当に温度が下がったのかどうか、センサーは、長さが三十五メートルぐらいあるセルが中にあるそうですから、その中には、普通のこういうスプリンクラーだって五平方メートルぐらいに一個ずつあるんですから、それだけの面積だったら少なくも二、三十個なければいけないんですけれども、何個あったんですか。結論だけ言ってください。
  33. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) 先生今お尋ねの温度計につきましては、排出口に一カ所つけてございます。
  34. 関根則之

    関根則之君 スプリンクラーの噴出口は何個ですか。
  35. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) セルの中全体で十一カ所、スプリンクラーの出口がございます。
  36. 関根則之

    関根則之君 一個当たりのカバー面積はどのくらいですか。
  37. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) 面積は具体的にちょっと数えておりませんが、配置から申しまして一応全体を、特にアスファルトを入れた缶が移動する全体をカバーするような配置になっているというふうに承知しております。
  38. 関根則之

    関根則之君 わかりました。十一個じゃ物すごく少ないと思います。通常の建物火災のときのスプリンクラーの配置数からしてもうんと少ないんじゃないかと思います。  それから、問題は、スプリンクラーで消したって、瞬間的に炎は消えるかもしれないけれども、温度を下げなきゃいけませんね。温度を下げる、何時間たったらどのくらい下がったんだということを確認するための温度センサーがあるはずですけれども、それは何個ぐらいあるんですか。
  39. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) 先生の御指摘は、アスファルトの入ったドラム缶そのものをはかる温度センサーがあるかと、こういう御指摘だと思いますが、現在のところ設置されておりませんで、参考のために、事件後、外部から間接的に測定したデータはございます。現在、設置されておりません。
  40. 関根則之

    関根則之君 それではスプリンクラーで火を消したといったって、消火対象物が本当に温度が下がって消えたのか消えてないのか確認しようがないじゃないですか。  今の説明で、外からのセンサーで温度が下がったか下がらないかをつかむと言っていますけれども、本当にそれはできたんですか。
  41. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) 今申し上げましたのは、事件後のドラム缶がどれだけの温度になっているかということでそういうこともやりましたけれども、実際上はそういうものはづけておりませんということを申し上げたわけでございます。
  42. 関根則之

    関根則之君 だとすると、設計上スプリンクラーで消しますといったって、スプリンクラーで放水をしたって、何度に下がって、再発火の心配はないというまで確認ができないじゃないですか。外からのぞいて温度をはかりますといったって、そんなものは事故がおさまっちゃってからやっているだけの話であって、現に燃えているときにその確認ができなかったら何の意味もないじゃないですか。  そこで、そうなってくれば、大体スプリンクラーで一度放水したって、温度は一たん下がるかもしれないけれども、また中から化学反応みたいなものが起こって熱を持つかもしれないじゃないですか。常時監視を必要としますよ、再発火しないための。そういう点で、設計上非常に問題があったんじゃないかと思う。  それから、例えば水噴射をやりますと、ドレーンが必要ですよ。これはずっと低温で温度を管理して冷やしていくためには物すごい量の水量が必要でしょう。それは当然放射能を含んでくるはずですから、それをやたらめったら下水に流すわけにはいかないんですよ。ドレーンで必ず貯留槽をつくっておいてやらなきゃいけないんでしょう。貯留槽の容量はどのくらいですか。
  43. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) ドレーンの貯留槽についての御質問かと思いますが、現在の建物に設置されておりますドレーンの貯水量は約七立米というふうに思います。
  44. 関根則之

    関根則之君 それだけの、幅が十五メートルぐらいあるんですか、それで長さが三十五メートルぐらいある、高さは二階分だというんでしょう。それだけのものを消すのに、スプリンクラーで消して温度を下げて、しかもそれを長時間維持するといったら七立米じゃオーバーフローしちやうんですよ。設計上そこにも非常に大きな問題があると私は思いますよ。  それからもう一つは、初め火事が起こった時点で既にもう放射能が外へ漏れていたというんですね。どこから漏れたんですか。  時間がないから、ちょっと余り相談をしてもらっちゃ困るんで、続けますけれども、要するにあの室内は負圧がかかっているわけでしょう。負圧がかかると言っちゃおかしいのか、負圧のところで火事が起こって、それを消すということになると大変に難しい問題なんですよ。大体、操作する人はどこにいるんですか。操作する人のところまで放射能が既に出ていっちゃったというんでしょう。そんなことをやっていたらもう設計上、完全に負圧のかかった、しかも密室、中へ入れないような状態の中で起こる火事を消すためのしっかりしたシステムができ上がっていないということじゃないかと思うんです。だから最初に聞いたんですけれども、それはあなた方は認めなかった。認めなかったから一つずつつぶしていくんです。  操作員が、現にスプリンクラーを操作している人たちの部屋へそのとき既に放射能が漏れていったというんですよ。被曝しているというんだ。それは本当かどうか。もし被曝しているとすれば、どこを伝わっていったのか。爆発の後ならわかりますよ、爆発の後なら排出口か何か破れちゃっているようだから、そこから出たんでしょうけれども、そうじゃなくて、まだ何も物理的におかしくないときに放射能が外へ出ているというのは、どこから行ったのか。現実にそういう問題があったのか、どこまで行ったのか、ちょっと教えてください。
  45. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) 火災が起きますと、先生既に御案内のことかと存じますが、同時にダンパーが閉まりまして、確かにセルの中の圧力が一時上昇する傾向がございます。報告書にも示されておりますように、煙が出まして、若干煙が室内に出たとか出なかったかという、その辺はまだ調査中でございますけれども、そういうような現象が起きますので、外側に出てくるというおそれはあろうかと思います。ただ、どこから漏れたのかという先生の御指摘については、今ちょっと調査中でございます。
  46. 関根則之

    関根則之君 私は、設計上、負圧を信じ過ぎたんじゃないかと思うんですよ。負圧なら外へ出ていく心配はないんだから、密室性が多少薄くなっていても外へ出る心配はないですよ。ところが、逆にダンパーがばんと閉まっちゃって、排出口のところが閉まっちゃって、負圧がプラス圧に変わってしまえば、すき間があったらそこから出ていきますよ。私はそういうことじゃないかと思うんだけれども、まだその原因究明がしっかりできていないから私も断定しませんし、あなた方に聞いても多分断定はできないだろうと思うんです。  いずれにしろ、そんな状況ですから、負圧の密室で火災が起こったときに、それを消すためのパーフェクトな設計もしていないし管理もしていないし、メンテナンスが必要ですから。それから訓練もしていないでしょう、訓練をやりましたか。スプリンクラーを使って訓練をしたかどうか。それから、消防も来ていると思いますが、消防もそういう訓練に立ち会ったことがあるかどうか。実際、水を出したかどうかですよ。
  47. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) 現在のところ、この一年間にはやっておりません。
  48. 関根則之

    関根則之君 かつては。
  49. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) かつてもやっていないそうでございます。
  50. 関根則之

    関根則之君 それなのにどうして一年と言うんだ。
  51. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) 失礼いたしました。  それから、先ほど先生がおっしゃいました、汚水をためる量が七立米で小さいということでございましたが、いわゆる床にまずためるということになっておるそうでございまして、全体、一たん保有する量としてはもう少し多い量かと存じます。
  52. 佐藤和寿

    説明員佐藤和寿君) 東海村消防本部では、平成二年以降、毎年一回、動燃東海事業所内において原子力施設火災防御訓練を事業者との連携のもとに行っておりますけれども、今回事故のありましたアスファルト固化処理施設での火災を想定した訓練はなされていないと聞いております。
  53. 関根則之

    関根則之君 こういうものは、具体的に幾ら頭の中でどんな頭のいい人が考えたって、実際やってみなきやわからないのがいっぱいあるんです。皆さん方よく知っているでしょう、そういうことは。だから、訓練をまずしなきゃだめです。しかも訓練というのは、図上訓練じゃなくて、現実に水を出してみて訓練しなきゃだめです。  ちょっと時間がないから次に行きますが、今度は低レベルだから本当によかった。そうでしょう。これがもし本体のガラス固化の方の高レベル廃棄物の処理のところで火事が起こったらどうなんですか。同じような状況になるんじゃないですか。  それから、MOX燃料つくってますよね。それからプルの燃料つくっているでしょう、あそこ。そこの現場プルトニウムが現にあり、しかもMOXの、ウラン235がいっぱいある。そこのところでこういう火事が起こったらどういうことになるんですか。そういうところはここの場合とは格別違うような仕組みがしてあるのかどうか、ちょっと教えてください。
  54. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) 先生指摘のガラス固化施設及びMOX燃料の加工施設でございますが、ガラス固化施設は、先生も御存じのように、ガラスに電気を通じて溶かすというやり方をやっておりまして、これ自体、その周辺もしくはセル内に可燃物というのを全く使っておりません。したがって、アスファルトの今回のようなケースは考えなくてもよろしいかというふうに考えております。  それから、MOX燃料の方でございますが、これはボックスと申しておりますそれぞれの小さい部屋に分かれたところにプルトニウム一定量以下に抑えられるようにして運転をしております。そして、もし火災ということがあったとしても、それは窒息消火をすることができるようにしておりますし、ボックスの体積がアスファルトのようなものに比べてうんと小そうございますので、比較的容易な消火ができるんではないかと考えております。
  55. 関根則之

    関根則之君 そこが心配なんだ、私は。電気でガラス固化体をつくっているんだ、ガラスなんか燃えやしませんよ、大丈夫だと言ったって、アスファルトだって大丈夫だということであなた方やっていたんでしょう、さっきの設計で、そうでしょう。スプリンクラーの数だって足りないんですよ。レーンの容量だって違うんですよ。それから内圧が高まったときに、外へ破れないようなそういう施設だってしてないんですよ。  それで、ガラスだから大丈夫だと言うけれども、ガラスは自然にガラスなんですか。そうじゃないでしょう。いろんな電気配線だって何だってあるでしょう。そういう可燃物はないんですか。  それから、MOX燃料をつくっているところはグローブボックスでしょう。グローブボックスのあのグローブは何ですか、材料は、素材は。絶対に燃えないんですか。いろんな可燃物はあると思いますよ。例えばピストンがありますよね、物を送るときのピストン。あれは中は必ずオイルが詰まっているんですよ、オイルというか潤滑、潤滑をどうしているのかね。  そういうもの、もう可燃物は配線の問題から考えたら必ずあるんですよ。大丈夫だからいいとか、小規模で終わるとか、そんな説明では、素人はごまかせるかもしれないけれども、私はごまかされませんよ、どうですか。感想だけでいいです。
  56. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) 今の副理事長の答えに追加させていただきますが、グローブボックスの場合、今、先生例に挙げられましたけれども、窒素雰囲気にして消火するということと同時に、グローブボックスの中に消火剤を覆いておりまして、これにつきましては年に一度必ず訓練を行う等実施いたしております。
  57. 関根則之

    関根則之君 わかりました。窒素消火、わかりますよ。あれは、いわゆる酸化は防げるでしょうね。しかし熱は防げませんよ。熱処理はどうするんですか。
  58. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) 現在のグローブボックスの場合でございますと、臨界上の問題がございまして水等で冷やすわけにはまいりませんので、今申し上げましたように、消火剤とかそれから砂をかけるとかそういう方法で、直接的な先生のおっしゃる大きな熱量を取るわけにはいきませんけれども、酸素を遮断する方法をとっております。
  59. 関根則之

    関根則之君 そういう技術的な話をしていたら、あなた方の方が細かい知識、もちろんはるか上の知識をお持ちなんですけれども、全体として私は非常に心配なんです。  全体の設計が、低レベルであれだけのことを起こしているんだから、低レベルだからといってばかにしていたわけじゃないでしょうけれども、あれだけのことを起こしているんだから、これはもう一回ハイレベルのところへも戻って間違いないか。大容量の熱が出たときには対応が難しいかもしれないなんという答弁が出てきたんでは困るんだよ、私は。  グローブボックスのグローブが燃えただけだって物すごい熱を出すことありますから、どこへ飛び火するかわからないんですよ。私も火を扱ってきた人間として、火なんというのはもうとんでもないところへ行きますから、それから量的にも多くなりますから、それをひとつぜひやって、外の消防署が行って原子力発電所の火を消さなきゃならないという事態にならないようにお願いしているんです。  それで、ちょっとせっかく官邸から来ていただいていると思いますのでお尋ねしますが、何か官房長官が午後四時になるまで、記者会見の席で、被曝、そんな被曝なんて大変なことになるような状態になるのをおれ午後四時の時点で知らないよと言ったそうですけれども、それは本当なんですか。だとすればどうしてそんなに遅くなったのか。科学技術庁からの報告は何時ごろ行っているのか。それを受けた、官邸の何か情報集約センターというのがあるんですか、それが余り機能しなかったんじゃないかという心配もあるし、そこから官房長官の耳に達しなかった、どこにどういう問題があったのか、わかったら教えてください。
  60. 芦刈勝治

    説明員(芦刈勝治君) 動燃の再処理工場の火災につきましては、内閣情報センターにおきましては、三月十一日の午後四時ごろ、また爆破事故につきましては、同日の午後十時ごろに同センターにおきまして官邸関係者に対して第一報を連絡したところでございます。火災が四時、それから第二の爆発が十時ごろでございます。
  61. 関根則之

    関根則之君 時間がありませんので余り詳しいこと言っていませんが、そういう連絡体制をもう一回見直して的確に連絡が行くようにぜひしていただきたいと思います。  それから、今度の事件で、被曝の曝と字が違うんだけれども、爆発の爆と間違えて、原子爆弾でも破裂したんじゃないかと、そんな印象を一般の国民が受けているんですよ。これはさらすという方の曝でしょうからいいんだけれども、こういうことを平たい普通の言葉で、一般の国民にもわかるような言葉で私はぜひ説明をしてもらいたいと思うんですよ。  今、動燃は苦しい立場だから大したことなかったんだということは言えないかもしれないけれども、だとすれば、だれか科学技術庁なり第三者を通じて国民に対するPRをやってもらいたい。今度の被曝で受けた三十七人ですか、被曝量というのは〇・〇三ミリシーベルトだというんでしょう。レントゲン一回かけたら幾らですか。
  62. 池田要

    政府委員池田要君) 胸部レントゲン一回の場合には約〇・三ミリシーベルトと承知しております。
  63. 関根則之

    関根則之君 ということなんですよね。だから、これだけの被曝を十回繰り返して初めて胸のレントゲンを一回撮ったのと同じぐらいの程度、幸いなことに。事態は重大だと思いますよ、この事故は。重大だけれども、幸いなことに、結果としては被曝量としては本当に少なくてよかったんですよ。一回のレントゲン、胸の写真の十分の一。  それから、胃のレントゲンというのは四ミリシーベルトですから一回、胃の撮影をずっと精密検査したやつの百三十分の一ぐらいだと、自然放射線だって年間に一・一ミリシーベルトあるわけでしょう。だから一年間に受ける自然放射線の量の三十七分の一ですよね。その程度で済んだんだということだけは、これからも地域の住民に対する安全性の信頼の問題、そういうものを説明するときもきちっと説明してあげてください。  今まで新聞なんかに出ている数字を見たってわからないんだよ、あなた方のやつは。ベクレルを使ってみたり、二千七百分の一だとか言うけれども、それではわからないんで、もっとわかりやすい、レントゲンに比べてどうなんだと、そういう説明をするように努力をお願いして私の質問を終わります。
  64. 高橋令則

    ○高橋令則君 平成会の高橋ですが、質問をさせていただきます。  まず、今回の事故について共通していることは、「もんじゅ」の事故教訓が生かされていないのではないか、またか、そういう印象が強いわけでございます。  そこで、まず冒頭に「もんじゅ」の事故動燃はどういうことを学んだか、それに対してその後どのような処置をしたか、それが今回どのように生きたか、これを整理しておっしゃってください。
  65. 近藤俊幸

    参考人近藤俊幸君) 連絡通報につきましては、「もんじゅ事故において緊急事態に対する初動の連絡通報を初め、迅速な情報伝達体制が重要であるなど、早急な改善強化の必要性指摘されたところでございます。  そのために、新たな連絡通報体制を確立しまして、これを全事業所に徹底させる取り組みを実施しているところでございます。残念ながら、組織の末端まで至っていない面もあり、全体としてまだその改善途上にあったと思います。さらに改善を加える点があると認識しております。  今回の事故におきましては、火災の第一発見者が直ちに消防機関に通報できなかったということもあり、さらなる措置を早急に講じてまいりたい、こう思っております。
  66. 高橋令則

    ○高橋令則君 今、情報連絡のことだけおっしゃいましたが、「もんじゅ」の事故で学んだのはその通報の問題だけですか。
  67. 近藤俊幸

    参考人近藤俊幸君) 動燃といたしましては、「もんじゅ」の事故教訓から、動燃のあり方として、安全に徹した動燃、開かれた動燃地元重視動燃を基本方針としてやってまいりました。特に、開かれた動燃という中には情報の公開が第一でございまして、その中にこういった緊急時の情報の提供のあり方等についても一応指導してまいりましたが、今回十分生かされなかったということは非常に遺憾に思っております。
  68. 加藤康宏

    政府委員(加藤康宏君) 今の理事長お話に加えまして、もう少し具体的な改善努力でございますけれども、一つは安全管理の面につきまして施設設備の設計、それから製作、運転、保守、管理等の品質の強化、運転マニュアル類等の再チェック、それから危機管理体制の強化のために安全担当理事の機能を強化する、何かあった場合の全社的な支援体制を整備する、そういうこともとられていることをつけ加えさせていただきたいと思います。
  69. 高橋令則

    ○高橋令則君 今、加藤局長がおっしゃったことを再処理工場について具体的に言ってくれませんか。  つまり、「もんじゅ」の事故後、その安全マニュアルをどう改善し、さっき関根委員がおっしゃった訓練をどうし、やっていなかったそうですけれども、今あなたがおっしゃったことを、前と後に分けて改善点をおっしゃってください。
  70. 加藤康宏

    政府委員(加藤康宏君) 具体的なことは実は十分承知しておりませんが、例えば連絡通報の点につきましては、「もんじゅ」の場合は社内で外部に出すためにいろんなチェックポイントがありまして非常におくれてしまった。したがって、それを担当者から外に出すための経路の短縮化と申しますか、そういうことをして迅速に外に公表できるようにしたとか、相互の支援体制のために今回もほかの事業所から直ちに応援部隊を送るとか、そういうことはされていると思います。マニュアル等の再チェックについてはちょっと中身はわかりかねます。
  71. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) 先生の御指摘は、前と後でどういうふうに違ったのか、その間で何をやったのかと、こういう御指摘かと存じます。  具体的に申しますと、まず保安規程を初めとする保安関係の書類、マニュアル等の一斉の見直しを全社的に行っております。それから、安全総点検、その後の安全総点検においては、全事業所くまなく毎年一回はやっておるのでございますが、特に念を入れてやっております。  そのほか、第一報の通報につきましては、先ほど出ましたが、現場責任者から当直長を経て外側に出すというようなシステムの見直し、それからさらに、通報のハードシステムにつきましても整備いたしておるところでございます。
  72. 高橋令則

    ○高橋令則君 実は「もんじゅ」の事故の最終報告というか、原因についての報告をこの間いただいたんですが、「もんじゅ」の事故が温度管の設計ミスというか、言うなれば最先端の原子力技術ではなくて通常技術の部分で起きているんですね。  それで、最先端の技術でも、それを支えているのはいわば通常の技術、通常の基盤的なものでしょうから、そういうものについてもこの際総点検して全部見直していただいたらどうでしょうか、ぜひやってくださいというお願いをしたんですが、どうも今回の再処理工場の過程を見ていると、そういうふうな通常技術の部分の施設設備の基準とか、そういうものを点検したように見えないんですけれども、先ほど関根委員もおっしゃいましたが、それはどうなんですか。
  73. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) 安全点検をどのような方向でといいますか、方法でやったかと、こういうことかと思います。  今回、火災及び爆発のございましたアスファルト固化施設、既に新聞等にも出ておりますが、昭和五十九年に一度火災を起こしております。前回事故を反省いたしまして、ああいったような特に火災の起きやすい場所が、エクストルーダーと申しまして、混合器のあたりなものでございますから、そのあたりを中、心に、さらに火災報知機、検知機等がきちっとした正常状態で動いているかどうか、そういったようなものを中心に点検いたしました。  なお、そうは言うものの今回のような事態を起こしたわけでございまして、今後さらに点検といいましょうか、点検の方法等については改善していかなければならないと考えているところでございます。
  74. 高橋令則

    ○高橋令則君 高度な最先端の原子力技術を支えている通常技術というんですか、その面への配慮がどうしても欠けているのではないかという念をぬぐえません。したがって、それをぜひともしっかりやっていただきたい、これはお願いを申し上げておきます。  ちょっと戻りますけれども、全体的なことをお尋ねしたいんですが、こういう事故が起きますと、まず事実確認をきちんとしなければなりませんね。事実確認に基づいて原因調査究明が必要です。そして、それに対してどういう対策対策も応急対策と恒久対策がありますね。断片的にそれぞれおっしゃっていますが、事故の事実確認の調査、それから原因把握、そして当面は応急対策でしょうが、その三つに分けて、現況と特に今時点の進みぐあいを教えてください。富士山のあれで言えば、この辺は一合目まで来たとか、この辺は八〇%来たとか、この辺はまだ手つかずですとか、おおむねそういうふうなことでわかりやすくおっしゃっていただけませんか。
  75. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) 今現在の状況といいましょうか、けさほどの状況について、我々がつかんでおる状態を御説明させていただきたいと思います。  まず一つは、緊急の対策ということが最も肝心かというふうに考えておりまして、その中で最も大切なのは、この前の爆発事故によって窓ガラス、扉、その他が破損した、開口部ができたということについての閉塞作業というのが最大の関心事かというふうに考えております。  現在、外に面しましたすべての開口部につきましては、ビニールシートでもって一応外気と遮断するという作業を終わっております。それだけでは十分でございませんので、さらにその外側からビニールシートを保護するためのベニヤ板等の保護板を取りつけておる最中でございまして、この保護板取りつけは開口部の大体四〇%くらいが終わったところじゃないかというふうに思っております。今の目標といたしましては、十九日、お休みに入る前までに手当てをしてしまいたいというふうに考えております。  また、周辺の掃除をしませんと放射性のものを含んだものが飛散した結果になっておりますので、それの掃除も終わりました。そして、一時立入禁止区域を設定しておりましたが、それもごく一部の場所に限って管理区域の縮小をすることができるようなところまで参ったというふうに思っております。  あと、さらに、排風機関連の修理をいたしまして、できるだけ早急に負圧の保持ができるようにまでしていきたいというふうに考えております。それからでありませんと、職員の立ち入りがなかなか容易ではございませんので、具体的な原因究明になかなか取りかかれませんし、原因物質であるセル内のアスファルトを他の場所に移すということもそれからでなければならないかなというふうに思っております。  大体そういう感じでおりまして、できるだけ早急に調査が、具体的に現場に入れるようにしたいというふうに思っております。ただ、状況がまた変化するということを起こすようでは困りますので、温度の計測などを含めて状況調査を今随時やっておるところでございます。
  76. 高橋令則

    ○高橋令則君 そうすると、事実確認のための調査は進度からいえばほとんど進んでいない。したがって、原因調査もこれからだというふうな初期段階であるというふうに理解をしてよろしいですか。事実確認の調査はいつごろまでに終わり、原因究明は、委員会も開かれるようですけれども、いつごろまでにというめどは立ちませんか。
  77. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) 先ほど申し上げましたように、なかなか内部に立ち入ること自体が今の状況では非常に困難でございます。先日来、原子力安全委員長都甲先生にも入って具体的に中を見ていただきました。それから、県側の方にも具体的に立ち入っていただきましたが、出入りというのが、出たり入ったりするときの装備がなかなか容易なものではございませんので、今のところ急速に具体的な原因究明作業が、セル内における作業が進行するとはちょっと考えられないと。まずは周辺の整備というところから取りかかるのかなというふうに思っております。  ただ、使っておりましたアスファルトなどはほかにも試料として残っておりますので、そういうものを使って、どういうことが起こった可能性があるかということについての試験は、既に原因調査班をつくりまして東海で始めております。
  78. 池田要

    政府委員池田要君) 科学技術庁といたしましても、先ほど御紹介申し上げましたように、専門家を動員いたしまして事故調査委員会を発足させてございます。第一回目は先週開きましたし、きょうの段階では新たに追加された専門家も含めてすべてのメンバーで現地現場に臨んでおります。今回、そういう現場についての観察状況も踏まえまして、第二回目をこの金曜日を目途に開催しようと思っております。私ども、こういう会合公開で進めてまいりたいと考えておりまして、その都度、その節目節目には、それまでに得ました情報をその段階で明らかにしてまいりたいと思っております。  それから、事故が発生しましてからちょうどこの時期が十日目ぐらいで、十日目の時点では法律に基づきましても正式に報告をもらうというような手当てもございますから、そういった過程で、事業団の方にもそういう節目節目をとらえてできるだけ原因を早急に明らかにするように努力もしてもらいたいと思っておりますし、私どもの立場でもできるだけ早く答えを出したいということで、専門家にも御協力いただいて審議を進めたいと思っております。
  79. 高橋令則

    ○高橋令則君 いろいろお聞きしますと、再処理工場が動かないことによる影響というのは非常に深刻になるというふうな予測をされているんです。現実に我が国の発電といったものが三割を原子力に依存しているわけですから、この関係がもういずれ、何といいますか、正常な形に戻らないと大変だと思うんです。  そういう心配をしながら見ておりましたら、年内にも東海事業所の他の部門を動かせるようにしたいというふうな話も出ているようですけれども、その辺の再稼働のめどはいかがですか。
  80. 加藤康宏

    政府委員(加藤康宏君) 再処理工場の方につきましては、もともと来年度一年間計画停止をする予定でございまして、ことしは五十トンぐらい処理する予定でございました。事故が起きましてとりあえずとめましたが、現在処理の途中のものがございます。前方断をしているものとか溶解槽に入っているものとか、そういう状態で停止をしておきますとかえって問題がございますので、御理解を得てそういう現在入っているものにつきましては処理を終了させる、その方がより安心できるからそうさせていただきたいと考えている次第でございます。それは工場全体を、操業と申しますか、新しいものを始めるということじゃなくて、現在途中のものを速やかに処理し終わって中をきれいにする、そういう趣旨でございます。
  81. 高橋令則

    ○高橋令則君 そうすると、再処理は残っているものを処理するという程度のことをやるということですね。あとは一年間もともととめる予定なのでその後になるというふうなことですね、どうするかは。  そのほかの、東海事業所の他の部分の運転というのはどうなりますか。通常どおりですか。
  82. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) 現在、東海事業所にあります施設は、再処理に直接関連した施設のほかにMOX燃料の加工施設、それからウラン濃縮の研究施設というものが主でございます。それからもう一つ重要な仕事をやっておりますのは、高レベルの廃棄物の処分にかかわる研究開発を行うというのが大きな四本柱と申しましょうか、ものでございます。  今御説明しましたように、再処理工場の方は今後一年間は必ずとまることになるというふうに思います。  高レベルの処分に関する研究施設は、ホットの施設ではございませんで放射性物質を使っておりませんので、これは重要な仕事としてさらに研究開発を続けることになるというふうに考えております。  それから、ウラン濃縮の研究施設でございますが、これもごく最近の仕事量というのは少なくなってきておりますので、通常どおり継続しても危険があるというものではないと考えております。  最後に、MOX工場でございますが、これは今「もんじゅ」がとまっておりますので、当面大量のMOX燃料をつくらなければならないという要求がございません。現在もこの前のプルトニウムがMOX内に大量にたまりましたという問題を解決するための努力をしておる最中でございまして、そういう機器の改善が中心になっておりますので、これも続けても特に問題はないんではないかというふうに今のところ判断しております。
  83. 高橋令則

    ○高橋令則君 事故の影響がいたずらに広がって、通常やれる業務までとめてしまうというのは、これは国民の税金を使っているわけですからそういうことはできないと思いますので、そこは区分をして、安全を確認し、しかも事業執行の適否を考えてきちんとやっていただきたい、このように思います。  少し事故に戻らせていただきたいんですけれども、関根委員がおっしゃったことと別の角度からお尋ねをしたいんですが、私は、中でも放射能漏れの発見がおくれたというふうに聞いておりまして、これが非常に気にかかるんですね。あれは第一附属排気筒のモニターが事故直後から後で記録盤を見たら指示値が上昇している、そういうことがわかったんですね。これが確認されたのはたしか十五時ごろという記録があるようなんですけれども、マニュアル上はどうなっているんですか、このモニターの確認というものは。
  84. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) 第一排気筒の指示値が上昇しておるようだということにつきましては担当者が確認をしましたけれども、この第一附属排気筒のデータというのは、八時間に一回ぐらい通常運転ですとチェックをするというシステムになっております。特別に大きな何かが起こらない限りはそういう状況でチェックをしておりますので、今回も特に指示値をデータロガー、計算機の方から打ち出してそれを詳細に見ませんと、警報レベルに達しない限りは特にわからないわけでございまして、実際に作業員が今回の火災事故ということを考えて、通常やらないようなデータのチェックを行ってみた、データロガーからデータを出してチェックをしてみたということでございまして、それを見ると上昇の傾向を示しておったということを確認しておるわけでございます。
  85. 高橋令則

    ○高橋令則君 三十七人が放射能を浴びたというか、被曝者というのは、被曝というのは少し刺激的ですけれども、出たということなんですが、私が聞いているところでは、爆発前、つまり火災から爆発の間に吸い込んだという人の方が圧倒的に多いわけですね。ということは、つまり火災の後の、今、副理事長がおっしゃった第一附属排気筒の排気モニターが検知しているもの、それによる放射能漏れがいわゆる放射能を吸った大きな原因だと思うんですね。  したがって、確かに警報は出なかったとかなんとか言っても、こういう火災のような事故が起きたときは、私が聞いているところでは、マニュアルでは、異常のときには常時監視するというあれがあるんじゃありませんか。どうしてこういうときに常時監視するようなシステムになっていないんでしょうか。マニュアルがそうでなければ、どうしてそうしなかったのだ。それから、マニュアルに反していれば、なぜマニュアルを守らなかったんだろう、こういう疑問が残るんですけれども、その点はいかがでございますか。
  86. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) マニュアルについては後で中野参考人の方から御説明いただきたいと思っておりますが、今回の火災は時系列的によく調べてみますと、火災を発見して直ちに上司に相談をして、水噴射による消火作業を行ったという事実がございます。そして、一分間の水噴霧で火が消えたというふうに操作員は判断をしております。  したがいまして、火災は発生したけれども直ちに消火できたようだという報告になっておりますので、特にそれ以上の注目を払わなかったというところがあったんではないかと思います。特に大きな異常だと判断しなかったんではないかというふうに考えております。
  87. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) 私どもが内部で定めておりますマニュアルによりますと、べータ線のダストモニターが吹鳴した場合には、その確認した者が直ちにそれを知らせるとともに、当該場所より廊下等の安全な場所に退避する、そして退避は可能な範囲で必要な処置を講じながらいくということで、まず退避ということを入れてございます。
  88. 高橋令則

    ○高橋令則君 そうすると、そういう事案が出ると、確認すべき人まで避難しちゃうと確認できなくなっちゃうということになるんですね。
  89. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) 今申し忘れましたが、まず人命が大事でございますから、最低限の確認をして退避するということになっております。
  90. 高橋令則

    ○高橋令則君 二次災害が起きては大変ですから、それは逃げるのは当然、避難するのが第一です。  だけれども、こういう肝心の、後で非常に問題になる放射能漏れのようなものは、みんな逃げちゃってだれも確認する人がいない、戻ってきて何時間もたったら漏れていた、被曝したというふうなのを当たり前だろうということはないでしょうね。これはやっぱりそういうことがないように仕組みを考える。それが人的体制なのか、それからいわゆる装置としての何かの施設設備が要るというならそれをやるなり、そういう手当てが必要だったと私は思うんですが、その辺についての御反省はないんですか。
  91. 池田要

    政府委員池田要君) ただいまこのような火災のときにとりあえず退避というような議論ございましたけれども、今回のアスファルト固化処理施設において火災が発生しました際にも、消火につきましては即座にそこで処置をする、そういった応急処置をしかるべくやった後に退避するというのが原則だと思っております。今回、このような約束事がきちんと守れておったかどうか、こういったことにつきましては今後の調査の過程で明らかにしてまいりたいと考えているところでございます。
  92. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) 今、局長のおっしゃったとおりでございますが、今回も実際には一分間ほど、一分から約二分ぐらい消火をいたしまして、それから退避をするということをしたわけでございます。  それから、先生の反省することがないのかという御指摘でございますが、おっしゃるように、こういうような中で火災が起きますと外に出てくるというようなこともわかりましたので、例えば今後のマニュアルの中には、ほかの施設などでは既にやっておることでございますけれども、火災を発見したらすぐにマスクをした上で、それから応急の措置に入るとか、そういったいろいろな措置があろうかと思います。
  93. 高橋令則

    ○高橋令則君 いずれにしても、先ほどお話がありましたけれども、今回の大きな原因というのは事故が起きたときの事後対策が非常に不十分だということに尽きると思うんです。その一は、関根委員がおっしゃったいわゆる鎮火の確認の問題です。それからもう一つは放射能漏れのチェックが物すごく遅かったと。これが言うなれば今回の事故の一番遺憾な点だと私は思うんです。  鎮火の確認の問題はもう繰り返しになりますので申し上げませんけれども、私も消防の実務をやったことがありますけれども、火災の鎮火というのはもう本当に確認が大変なんです。ひっかき回して調べる、それでも残り火があるんです。消防は、また燃えたというと大変な恥辱なんですね。どうしてそういうことが行われなかったのか。  私は爆発が起きたというのを聞いて驚いたのですけれども、爆発の直前に作業員が五十二名ですか、入室しようとしてスタンバイしておったというのでしょう。うっかり入っておったら大変な惨害ですよね。このいわゆる二次災害の危険があったということを物すごく大きく受けとめておいていただかなきゃならないと思うんですね。  それから、放射能漏れのチェックのおくれですね。放射能を扱っていらっしゃる日本の最先端の動燃でこんなことがあったというのは信じられない思いですね。やはり、この仕組みはぜひとも徹底的にチェックをして、何も難しいことではないはずですから直していただきたい、そのように思います。  それから、少しまた別な角度でございますけれども、いわゆる放射能の拡散の状況ですが、茨城県からちょうだいした資料等によりますと、いわゆる敷地外の茨城県が設置しておられるモニター等ではほとんど異常がないという資料を私はいただいておりますが、その確認。  それから、施設の中は今調査中でしょうけれども、敷地のいろんなモニタしの数値がありますね。本当は施設の中もわかればいいんですが、周辺の緑地等の環境、そしてまた敷地外、そういう三つに分けての放射能測定。心配がないなら、心配ない、かくかくしかじか心配ない、それぞれの点に分けての説明をしていただきたい、物質ごとには要りません。
  94. 田中徳夫

    説明員(田中徳夫君) 御説明申し上げます。  敷地の中のことについては後ほど動燃から御報告あろうかと思いますが、外のポストにつきましては、今、先生が御指摘のように、敷地外のモニタリングポストが今まで測定をずっと続けております。その結果はすべて通常の値の範囲内でございまして、その後現在に至るまで異常な値は計測されておりません。  今後とも今回の事故によって放出された放射能量を詳細に調査をなお継続したいと思っておりますし、影響につきましてもできるだけ分析できればしてまいりたいというように考えております。
  95. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) お答えいたします。  動燃の敷地内につきましては、モニタリングポスト等につきましては一カ所を除きまして正常値を示しております。若干上がっておりますが、わずかでございます。  それから、その後、施設の周りについても直接サーベイをいたしておりますが、ゼロから五ベクレル程度でございまして、極めて低いものでございます。  それからもう一つ、施設の中と先生おっしゃいましたでしょうか、施設の中につきましては、その後サーベイメータを持って入っておりますが、セル内その他はまだ入れませんので、正確なデータは出ておりません。
  96. 高橋令則

    ○高橋令則君 非常に周辺住民が心配しておられると思いますので、今のようなことを茨城県側のデータともクロスチェックをして、そしてきちんとわかるように、本当にこれは素人にわかるように御説明をいただきたい。しかも、その後のフォローもきちんとしていただきたいと思います。そうでないと心配されると思いますので、その点をお願いしておきたい、このように思います。  それから、次はいわゆる通報の問題ですね。これはいわゆる官邸とか科技庁、そういったところに対する通報もそうですけれども、地元への通報も非常に問題があるというふうに私は思っております。東海村、そして茨城県への通報の経過をお聞かせください。
  97. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) 火災が発生いたしました後の通報の状況でございますが、もちろん事業所の内部の責任者への連絡ということが最初に始まるわけでございまして、まずは消火作業に手をとられておりました結果、施設責任者から東海事業所の連絡責任者に第一報が入りましたのが十時二十五分ということがわかっております。  そして、その結果に基づきまして、事業所の連絡責任者は一斉ファクスと申しておりますが、各所にファクスを流しております。国、県、それから動燃本社等、近隣の市町村も含めて十八カ所に一斉のファクスを送信しております。これが十時三十八分でございます。こういったことで、県、村その他には十時三十八分に一斉ファクスでもって連絡が行われておるという状況でございます。
  98. 高橋令則

    ○高橋令則君 いわゆる放射能を吸い込んだ人が出たということ、それから放射能漏れがあったということの通報についてはいかがですか。
  99. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) 放射性物質が漏れたということにつきましては、先ほどもちょっとお話がありましたように、排気筒でモニターの数値が多少上がりぎみであるということを確認したのが十時四十分でございます。しかし、それは通常の変動の幅の中のように担当員は考えたようでございまして、十時五十二分までに第一附属排気筒の数値の確認の結果、変動は認められないという情報を流しております。したがいまして、これに基づいて特に情報を外部に通達するということをその瞬間は考えなかったようでございます。  その後、また各アスファルト固化処理施設の隣にあります、Z施設と我々は呼んでおりますが、Z施設の排気モニターのベータダスト数値も上昇しておるということを認めておりまして、こういったことから放射線安全管理課長はモニターの数値が上昇ぎみであるということを事業所の対策本部に連絡をいたしております。これが我々の記録では十時三十分ごろというふうになっております。  事業所が放射線管理のデータを受信いたしまして、それを科学技術庁にファクスで送信いたしましたのが十二時五十八分ごろというふうに我々は聞いております。
  100. 高橋令則

    ○高橋令則君 私がちょうだいしておる資料では、十二時五十五分、五名について鼻スミアー有意値を確認したと。そして、十五時ごろ、例の私が先ほど申し上げた排気筒のモニターの異常値が出ましたね。そして本社へ五十七分ごろ連絡をし、茨城県にもそのころ連絡したというふうな情報に私は聞いているんですが、そこまでおくれたんじゃありませんか。
  101. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) 確かに御説明が不十分でございまして、十二時五十八分ごろの通報というのは鼻スミアーの汚染の結果でございまして、放射線の第一附属排気筒によるトレンドデータを解析した結果を本社及び科学技術庁の方に連絡をいたしましたのは十五時五十七分ごろというふうに聞いております。
  102. 高橋令則

    ○高橋令則君 情報関係は一つだけ確認をしておきますが、茨城県及び東海村等々、地元と結んでいる安全協定及びそれに基づく覚書、それから運営要項というのがついていますね。これによると、どういうふうな義務を動燃側は負っていらっしゃいますか。通報についてですよ、この種の事故の。
  103. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) 動燃事業団と茨城県の間に結びました協定に関しましては、通報義務を明記してございます。
  104. 高橋令則

    ○高橋令則君 そのとおりなんですが、私がちょうだいをしているものでは、協定第十六条に基づく覚書の第七条に、「協定第十三条に定める連絡事項」云々、「その都度速やかに連絡する」と書いてありまして、その第八号が「原子力施設に重大な故障があったとき。」、第九号が「管理区域内で火災があったとき。」と書いてあるんです。そして、これを受けて第八条には連絡方法が書いてありますが、「前条第六号から同条第十二号」、つまり八号、九号入っておるんですね。この中には、「直ちに口頭により連絡するものとし、事態の経過に応じ」云々と書いてある。それから、重大事故の異常時の連絡については運営要項の第十一条にも書いてありますが、いずれにしても、速やかにとかなんじゃなくて、直ちにということになっているんですね。火災も入っているんですよ。  したがって、これは、茨城県知事からその後、あれは十四日でしたか、国に対して要望がありました。これは長官もお立ち会いになっているでしょうが、非常にこのことについての御不満があったようですけれども、やはりこういう協定、覚書があるわけですから、これは明記をしていただいて、まさに明記をしてきちんと守る、そして履行をするということがないと地元は安心しないと思うんです。ぜひ、今私の方から申し上げましたが、明記をしてきちんと守るように御努力を、御努力というかやっていただきたい、このように思います。  この件についてのきちんとしたお答えをいただきます。
  105. 近藤俊幸

    参考人近藤俊幸君) 通報連絡を直ちにということでございますが、県警部長ともこの間お会いしまして、うちとの間でホットラインを引いたらどうかという話をしてまいりました。そういったホットラインを設定するというような方向も含めて前向きに検討していきたいと思っております。
  106. 高橋令則

    ○高橋令則君 ホットラインもいいんですけれども、その東海村の消防本部への連絡では、緊急通報系統があったのに使わなかったと言われているんですね。これではホットラインをやっても何も役に立たないんですが、そういう事実はあったんですか。  いずれきちんと体制をとったらそれが行われるように、実効のあるような仕組みにしていただきたいんですね。今の地元との協定、その遵守その他について政府委員どうですか。
  107. 池田要

    政府委員池田要君) 今回の事故につきましても、午前中に火災が起こりましたときに、私どもに対しましてはそれから三十分ほどの間に第一報は送られてきてございます。その直後から、私どもは同時に県との間で本件の受けとめ方についての相談も始めてございますし、発表ぶり、そういったことについてもこれは十分な連絡をとらせていただいております。  もう一つ、先ほど御議論ございましたように、敷地周辺のモニタリングにつきましては県自身が私どもと協力してやっていただいていると。私ども、例えば交付金というようなことでのお手伝いもさせていただいておりますけれども、県自身が広範に実施をしていただいておりますから、こういったデータに基づきます判断というのは私大事だと思っておりまして、こういう県独自の判断、そういったことも踏まえながら本件については対処してきたところでございます。  県につきましては、最初の段階からこの第一報を受け取るところ、それから私どもが動燃事業団から受け取ったところ、こういったところにつきましては、第一報につきましては、さほどこれは特段のおくれがあったということではないかと思います。  ただ、その第一報のときに、その後の事故の見通しについて必ずしも明らかなものがなかったと、その後のフォローにおいて的確な情報の事業団による把握、それから私どもに対する連絡が必ずしも正確に行われなかったといったことで、私どもも当初の対応については判断に誤りを起こすといったこともあったところでございまして、この辺は、今回の事故に対する対処ぶりとしましては、私ども自身も反省すべき点があると考えておるところでございます。  ただ、私が今申し上げたかったことは、県との間では、日ごろから私ども十分連絡をとっておりますし、モニタリング等を通じまして、こういった事故が起きた場合の対処ぶりについては十分な連絡体制をとっているところだといったことはぜひ御理解いただきたいと思います。
  108. 高橋令則

    ○高橋令則君 十時三十八分の緊急一斉ファクスというような手段は、これは消防なんかがよくやっているというか、一般的にとられていることですから、防災対策はもうそういうふうに機能したようですから、私はそれは評価します。  やっぱりそういうことをきちんとやって、地元公共団体との間にきちんと信頼関係をつくっていくことが大事ですから、それをぜひ科技庁も動燃に指導して、また科技庁の方もその中に入ってやっていただきたい、このように思います。  時間が残り少なくなりましたので、少し飛ばしていただいて、今回の事故の損害の把握、これはまだできてないだろうと思いますが、もし見積もりがあるなら見積もり、なければやむを得ませんが、当然、損害が出ているわけですから、その補てんがどうなるのか。たしか保険か何かあるはずですが、そういった関係がどうなのか。それをお聞かせいただきたい、そう思います。
  109. 加藤康宏

    政府委員(加藤康宏君) 事故に関する損害につきまして御質問でございますが、現在、事故原因調査が進められてきているところでございまして、私どもの方ではどれぐらいの被害になるかということはちょっと現時点では承知しておりません。
  110. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) 損害の状況については、まだ金銭的にどの程度かということについては十分把握はできておらないのが事実でございます。  この施設は昭和五十四年に着工しておる非常に古い施設でございますので、いわゆる建設中の建物とは違いますので、建設中にいろいろ起こったことに対する保険というものはもちろんかかっておりませんし、これは動燃施設でございますので特にいろんな保険がかかっておるものでもないというふうに理解をいたしております。  ただ、この施設の建設総額は、その当時のお金ですが、約五十四億ぐらいのお金であったものでございます。それを上回ることは余りないんじゃないかなというふうには考えておりますが、よくまだつかんではおりません。
  111. 高橋令則

    ○高橋令則君 私は、何らかのいわゆる建設途中の組み立て保険じゃなくて、それ以外の維持管理中、運転中の事故を担保するような保険に入っておるものだとばっかり思っておったんですが、「もんじゅ」の場合は入ってなかったですね、あれはたしか「もんじゅ」は何か特殊な施設だということでね。これも入ってないんですね。やっぱり特殊な施設というと入れないんですね。お尋ねします。入っているか入っていないかだけです。
  112. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) 正確には確認をさせていただく必要がありますが、私の今知っておる範囲内ではそういう保険には動燃のような施設は入っていないというふうに理解をいたしております。
  113. 高橋令則

    ○高橋令則君 最後です。  残念ながら、こういう事故が起きますとやっぱり結果について責任を感じていただくということが国民に対して重要だと思うんです。これについて長官及び理事長の御答弁をいただきます。
  114. 近岡理一郎

    国務大臣近岡理一郎君) 今回の事故を、先ほど来、各先生方の御指摘を聞いておりまして、本当に日ごろのこういった安全に対する心構え、また実質的な訓練というものがいかに手薄であったかと。  したがって、火災そのものが発生した時点において本当に消火そのものが確認されていない。もしそれが、先ほども、今も御指摘があったわけでありますが、あれが大丈夫だという、あの時間帯においてもし人があの付近に、もし爆発するような被害が起こったらこれは大変な事故につながったんじゃないかななんというようなことを考えますと、これは本当に「もんじゅ」の事故以来、今、日本のエネルギー問題で、その分野の三割以上を占める原子力の利用というものは、我々国民にとっては最も大事なエネルギjということを考えますと、私たち役所はもちろんのこと、動燃方々にも本当に今まで以上に真剣に、事故の再発というのはあり得ないんだと国民信頼感、不信感をなくするために本当に心から反省すると同時に、今までのあり方というものを改めて、やはり国民とともにある原子力なんだなというようなことに本当に身をもってこれから取り組んでいかなきゃならぬという責任の重さを先ほど来しみじみと感じておりまして、我々科技庁としましても、そういった意味でおわびをしながら真剣により一層努力しなきゃならぬ、こんな感じを持ちました。
  115. 近藤俊幸

    参考人近藤俊幸君) 今、長官がおっしゃったとおり、今回の事故は非常に重く、重大だと受けとめております。  ただ、現実は一刻も早く事故の収束を図りまして、徹底した原因究明を行い、再発防止に万全を期したい、今の段階はそれを考えている段階でございます。
  116. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 「もんじゅ」のナトリウム漏えい事故に続く使用済み核燃料処理工場アスファルト固化処理施設火災爆発事故の発生で、動燃のいわゆる技術開発はもとより、国の原子力行政そのものの根本的見直しが求められていると思います。その立場から質問します。  再処理工場が本格的運転を開始する前、ウラン試験が開始された直後の一九七五年十一月に、衆議院の科学技術振興対策特別委員会参考人を呼んでの集中審議が行われています。議事録を確認しました。そこで当時の動燃の労働組合委員長参考人として、単なる労使間の問題ではなく、将来の科学技術のあり方として、現場技術者の声を尊重すること、あらかじめ問題だとわかっていることを処置しないでそのまま進むのは科学の方法論に反する、こういうことを何度も強調しています。  このときの集中審議は、再処理工場で事故が頻発する中で行われた経緯がありますが、当時の労働組合はウラン試験に入る前に人員の不足、技術者の教育と訓練の不足、安全管理体制など十四項目の問題と要求を出したり、試験に際して八十二件の要修正箇所リストを提出したりしていました。にもかかわらず、試験が強行されて予想どおりの事故が起こった。このまま次の使用済み燃料を使うホット試験に入れば、現場技術者はもとより広く国民にも迷惑をかけるのではないか、こういうことを指摘していました。  あれから随分時間がたっているんですけれども、再処理工場では、硝酸で使用済み核燃料を溶かした溶液のタンクに穴があくとか事故が頻発したと聞いています。今回の火災爆発事故を含め、今までに何回事故が起こっているのかお聞きします。
  117. 池田要

    政府委員池田要君) 今回の事故を含めて、これまでの再処理工場におきます事故の件数についてお尋ねがございました。  動燃の再処理施設は昭和五十二年九月にホット試験を開始してございまして、五十五年十二月には使用前検査合格証の交付を受け、五十六年一月から本格的に運転を開始してございます。  こういう経過で、昭和五十二年九月以降、原子炉等規制法の規定に基づきます報告が行われました動燃処理施設事故、故障等トラブルでございますけれども、保守作業時に作業員が内部被曝を起こした、これは平成五年十二月でございます。それから開閉場における感電死に伴う停電が平成三年、溶解槽の腐食による工場の長期停止が昭和五十八年、こういったものがございます。今回の事故も含めますと二十三件に上ると承知しております。
  118. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 次に、事故の重大性の認識の問題です。  今回の事故で、放射能による被曝者が三十七人。加えて放射能放出が確認されています。とりわけ、プルトニウムや沃素129の放出が確認されていることは重大だと思います。沃素129の半減期は千五百万年を超えます。半減期の長い沃素129がどんどんたまっていって、その比率が高まっていくというのはいわば自然の成り行きになりますが、全国の使用済み核燃料が集められる動燃のプラントにもたまってきていると言えるのではないか。それが外に放出されれば、沈着し、土地を汚染し続け、舞い上がって人間の体に入ればその振る舞いはチェルノブイリ事故で甲状腺がんの原因となった沃素131と同じだと言われています。  健康上の影響はないレベルだとか、周辺環境への影響はないなどとか、そういって済ますのではなくて、半減期が長いわけですからふえていくわけなんです。今後の経口性とあわせて重視するべきではないか。そのためにも土壌の放射能測定が必要と思いますが、どうか。また、大気に拡散する前の段階の計測値を得る必要、爆発事故のあったセルの中あるいはその直近での計測値を得る必要があります。それを公表していただきたいし、そもそも計測しているのかいたのか、伺います。
  119. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) 先生のお尋ねは、施設の外側での土壌の分析をどのようにやっていたのかという……
  120. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 どのようにじゃない。やっているかです。
  121. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) 土壌の分析をやっているのかどうかということでございます。  土壌の分析につきましては、定期的に定点を決めまして土壌をサンプリングし、放射能測定をいたしております。それから、中につきましては通常測定装置のあるところ、セルの中という意味でございますね、測定装置が中にセンサーを置いてございますので、その部分についてはやっております。
  122. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 今も。
  123. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) 今は、爆発のために故障いたしておりまして、この後中に入れるようになりましたら、具体的に中に入って測定をしたい、セルの中の値を測定したい。
  124. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 直近の場所は、セルに一番近いところです。つまり、どうして私がこだわりますかといいますと、いわば原子炉の過酷事故と今回は違うわけです。ですから、大気に拡散する直前のものではなくて大もとを測定する必要があるということなんです。
  125. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) 通常状態ではエアスニッファーというものを使いまして、施設の中のエアをサンプリングいたしまして、定期的に測定をいたしております。  そして、今回の事故後でございますけれども、一部報道等でごらんになりましたテレビ、VTRを撮りましたけれども、あの際にモニター、計測器を持ちまして数カ所測定をいたしております。
  126. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 それをぜひ公表していただきたいと思います。  再処理工場が放射能工場と化学工場のいわば二重の性格を持つ、硝酸や薬品、有機溶媒など引火性の強いものを使ったり、またアスファルトも可燃ガスが発生しやすいというところから、火災爆発が起こりやすいというのはいわば常識とされていました。  にもかかわらず、アスファルト固化処理施設について火災事故が起こることは考えられないが、万一に備えて火災報知機、消火設備などを設けて重大な事故に至らないようにする、こういう申請書が提出され、安全審査はこれを追認しました。今回、火災爆発事故がこうして現実のものとなった以上、再処理技術が未確立てあり、安全審査の見直しが必要であるということを確認してもよろしいですね。これは科技庁。
  127. 池田要

    政府委員池田要君) お答え申し上げます。  今回の火災爆発事故によりまして、建屋の外に放射性物質が放出されるような事態になったこと、また、地元を初め国民の皆さんに多大な不安を与えたことについては、私ども極めて重く受けとめてございます。  そういう意味で、事故調査委員会公開して行うこととか、事故原因早期かつ徹底的な究明、それから再発防止のための万全の措置を講じてまいる所存でございますが、そういう意味で、今回の事故から謙虚に教訓を学び取ることが重要であると考えてございます。  当初申し上げましたように、再処理施設アスファルト固化処理施設につきましても、施設面それから取り扱い面につきましても火災が起こらないように、爆発を防ぐようにという手だては講じてきたところでございます。にもかかわらず、今回のような事態を招いたということでございますから、この間の理由、原因、そういった面を委員会等を通じて徹底的に究明することによって、安全規制面におきましても改善すべき点があれば改めるといった考え方で取り組んでまいりたいと考えております。
  128. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 長々と答える必要はなくて、要するに再処理技術が未確立てあるということ、安全審査の見直しが必要であるということ、この二点を確認してもよろしいですか。
  129. 池田要

    政府委員池田要君) ただいまの御質問につきましては、今事故調査委員会が発足しているところでございますから、この結果を待って考えさせていただきたいと思っております。
  130. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 科技庁のその態度がやはり問題だと思います。再処理技術が未確立だということがいわば証明されたんです、事故で。安全審査がいいかげんだったということが証明されたんです。なぜそれを認めないんですか。今回も「もんじゅ」の事故教訓が生かされることなく、事故隠しと住民や現場労働者への通報のおくれが大きく問題視されています。  そもそも動燃で働く職員、労働者に事故を知らせる全館放送が行われたのは十四日です。十一日の夜に防護隊、これは職員の防護組織ですね、これが招集されたにもかかわらず緊急時放送が行われなかったのはなぜか。訓練のときにはやっていることがやられないのはなぜなのか。そもそもどういう決まりになっているのか。室内の放射性ちりの濃度が上昇しで警報が四カ所同時に鳴り、中央制御室でもこれを把握した、そして東海事業所安全管理部放射線管理第二課長が、施設内全体が危険な状況だと感じたと、これは新聞で報道されています。にもかかわらず、なぜ避難がおくれたんでしょうか、動燃
  131. 池田要

    政府委員池田要君) 先生、今二つの点、大きく分けまして触れられましたが、最初の再処理技術が未確立てあるといった御指摘でございますけれども、今回の事故は、東海事業所におきまして再処理の工程から出てまいります低レベルの廃棄物を固化処理するためのアスファルト固化処理施設で起こったわけでございます。  そうした意味で、この経緯でございますとか、この施設でなぜこういう事故が起こったのか、こういった点につきましては、私ども専門家も動員しまして徹底的に解明したいと思っております。  この結果を待って、先ほど先生の御指摘のような点がどういうことになるかといったことにつきましては、考えさせていただきたいと思っております。現在のところ、私ども必ずしも再処理技術そのものが未確立てあると考えることはないと考えております。
  132. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 安全審査の見直し。
  133. 池田要

    政府委員池田要君) 安全審査につきましてお尋ねでございますけれども、今回の事故原因を明らかにする過程で、当初のこの施設設計、それから設計だけではございませんで、安全審査というのは基本設計にかかわるものでございますけれども、それだけでございませんで、その後の施設の施工一それから運転管理、こういった点につきましてどういう問題があったのかといったことについての見きわめが必要だと思っております。
  134. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 動燃
  135. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) 現場の労働者にどのような形でいつ知らせたのかと、こういうお尋ねかと思います。
  136. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 いやいや、いつもやっていることがなぜやられないのか、緊急時放送。
  137. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) 緊急時には、まずは直接事故に、被害に遭うといいましょうか、マニュアルで決めてある、例えば中の人たちに退避をするようにというのを施設のページングを使ったりして放送するようになっております。それにつきましては、手順に従いまして実施しております。  先生のおっしゃいました十四日になってからという話は、これは連日、私ども朝ミーティングをやっておるわけでございますけれども、そういう中で、きのう何があったかといったようなことを所属長から伝えるように通常いたしております。  例えばこの話が他の事業所、人形峠事業所にその日のうちに詳細に伝えられたかというと、なかなかそこまでいかないところはございますけれども、間接的にはいろいろな形で事業所に伝えております。  十四日に行いましたのは、毎日の新聞にいろいろ出てくるけれども、理事長が何を考えておられるのか、どういうことを思っておられるのかということを全従業員にメッセージとして出したものが十四日に出したものでございます。
  138. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 要するに、現場労働者には緊急連絡されていないんですよ。Z施設に三十六人いました。そのうちの二十七人が被曝しているんですよ。中央制御室に放射能漏れが知れても、この人たちは知らないで動かされているわけです。訓練のときには緊急緊急とやって一斉に放送がされるわけです。今回やっていないわけですよ、それは。これ事実なんです。  質問を続けます。  「被ばく三十四人は民間社員」と朝日三月十四日付夕刊が報道しています。その中で十人の被曝者を出した放射線管理業務を請け負う検査会社の業務担当者が「事故の概要などについては動燃から連絡があったが、うちの社員のだれが被ばくしたかという情報はない。お客様なので同等にものを言える立場にないが、社員の健康のことだから気がかりだ」と、こう言っています。  下請にとって動燃はお客様だから同等に物を言えない。事故のあったアスファルト固化処理施設に従事する労働者が全員委託労働者だったというのは本当か。また、再処理工場で業務委託している民間企業の数及び派遣労働者と出向労働者の数と、全従業者の中に占める比率、どれくらいになるか。また、それぞれの会社名と業務内容、これはそこで答弁していただくと時間がかかりますので提出を約束していただければいいと思います。数をお聞きします。
  139. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) 動燃事業団ではいろんな形で専門的な知識を持って訓練を受けた人たちにいろいろの仕事を手伝っていただくという形をとっております。
  140. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 数だけでいいです。
  141. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) 技術をできるだけ移転するという責任を持っておりますので、そういった意味で外部の方にも来ていただいて一緒に働いていただく、それを通じて技術の移転が可能になるように考えておるわけです。  特に、アスファルト固化施設にかかわる人員につきましては、施設に配備されておる人間は四十九名で運転、保守をやっております。そのうちの動燃職員というのは四名でございます。四十五名の方が外部から来ておられる方ですが、その中で、さらに嘱託職員という制度がございまして、その方々職員と同じ扱いになっておりますし、ほかの皆様方職員と同じような訓練を受けて仕事をしておられます。
  142. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 再処理工場全体での。
  143. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) 再処理工場だけということでございますと、再処理工場には三百四名の方々が来て働いておられます。もちろんこれは四直交代作業でございますので数は多くなりますが、そういう形で外部の方が来て一緒に仕事をしていただいております。
  144. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 全従業員に占める比率、後でこれは計算すればわかりますからいいです。  下請の場合、会社も動燃に同等に物が言えないというふうに言うわけですから、労働者はなお一層動燃に物が言えないということになります、自分の会社に迷惑をかけることになりかねないわけですから。現場の重要な仕事をほかの会社に任せるというのは民間では考えられない、こういう指摘を聞きました。  放射能を伴いながら、火災爆発が常に起こり得る再処理工場で自由に物が言えない体制でいわば支配されている。言いかえると、動燃の強引と無責任の体制で支配されているから「もんじゅ」の事故、これを教訓化できないんではないかと私は考えます。  私は、かつて「もんじゅ」の事故について動燃の無責任体制をこの場で指摘し問題にしたことがあります。問題の温度計ですね、これを受注したのは東芝、製造したのが石川島播磨重工でしたが、ナトリウム漏えい事故の直接の原因となった一本の温度計だけが、実はそのシースがだれも知らない中で九一年にこっそり取りかえられていたわけです。動燃は、私の質問に対する答弁の中で、知らなかった、記録も報告もないのは東芝、石川島播磨のルール違反だ、こういうふうに言っています。このようなずさんな無責任体制のもとであの大規模事故が起こったわけです。  そして、今回の火災爆発事故です。民間会社ならもうとっくにつぶれているのではないかと思います。ところが、国の資金がたっぷりあるからつぶれない。そして、無責任体質は一向に改善されない。無責任体制を助長する業務委託を見直すべきではないか。  もっと言えば、一九六七年の動燃法案審議の国会がありました。これも議事録で確認しましたが、その中で説明員が、必要な研究開発は委託して、その成果を統合して開発を進めていくのが動燃だというふうに言っています。モザイク会社動燃には、もはや責任ある統合能力がないことが明らかになってきているんじゃないんでしょうか。  業務委託で国家資金を分配するだけの動燃の無責任体制ぶりは個々の労働者の安全を顧みない体制でもあるわけで、放射線警報が鳴っても避難をさせなかった責任は重い、知らせなかった責任は重いと思います。こういうところに原子力のいわゆる技術開発をゆだねるのはもうやめるべきだと思います。  そして、もう時間ですから、「もんじゅ」の事故教訓として生かされなかった。こうなったからには今度こそ、今回の事故調査も、またそもそも動燃をどうするのかという廃止も含む抜本対策検討も、政府からも原子力安全委員会からも、もちろん動燃からも独立した第三者機関にゆだねるべきではないでしょうか。これは大臣に伺います。
  145. 近岡理一郎

    国務大臣近岡理一郎君) ただいまいろいろ厳しい御指摘を受けたわけでございます。  先ほど来、局長を初め答弁しておりますように、今回の事故に関しましては現在調査委員会で徹底的に原因を究明するべく努力中でございますし、先ほど私が申し上げましたとおり、我が国における原子力の利用というものに対する現状、そういったものを踏まえてみますと、委員今御指摘のような事柄は意見として十分私わからないわけではございませんが、これから幅広く、やはりこういった問題を二度と起こさないようにするためにどうするかというようなことを含めて慎重に対処すべきものであって、今ここで直ちにこうだというふうな結論を申し上げる今現在余裕はありません。
  146. 立木洋

    ○立木洋君 長官にお尋ねしますが、時間が極めて短いので端的に基本的な問題だけをお尋ねすることにしたいと思うんです。  第一に、今回の事故を基本的にどのような事故と認識なさっておられるかという問題です。つまり、既にいろいろ問題になりましたように、ダイナマイトが爆発するような爆発事故原子力関係の施設の中で起こった。そして放射能が放出された。そして一つの事故で三十七人に上るいわゆる被曝者が出たと。これはもう日本で初めてですよね。一回の事故で三十七人も被曝者が出た。それがどの程度の被曝者かという問題は別にして、そういう事故が起こったということ自体を私は大変深刻に考えるべきです。日本の国内での最大の事故だろうというふうに言えると私は思うんです。この問題をどういう事故だというふうに御認識なさるのか。  つまり、今日本の政府が進めている政策は、核燃料のリサイクル政策を進めております。その過程の中で、御承知のように先般の「もんじゅ」、高速増殖原型炉がああいう大事故がありました。今度の場合には処理施設と言われるものの、実際に言うならばリサイクルの関係の系統の中にある施設に今度のような爆発事故が起こった、これは重要な二つの柱において見逃し得ない大事故が起こったわけです。  少なくとも、日本の核燃料リサイクル路線を推し進めていく上で見逃し得ない、長官がこの間記者会見でおっしゃっていました、根幹を揺るがしかねない問題だというふうに言われていますけれども、そこまで深刻に考えて今回の事故の根本問題を認識される必要があると私は思いますが、その点についての長官のもう一度の御確認をいただきたいと思うんです。
  147. 近岡理一郎

    国務大臣近岡理一郎君) 先ほど来、私お答えしておりますように、今回の事故というのは、本当に今まで長年国民が、今日の我が国のエネルギー状態から見まして、原子力活用というものもやはり必要なんだということで、大変な信頼感を持って、今日まで政府に対しましてもまた現場に対しましても、大変な御支援、御協力をいただいてきたことは事実でございます。  それが「もんじゅ」に引き続いて今回の事故というものは、今も御指摘のとおり私はこれは大変な事故だと。したがって、決して小さな事故なんということは私は全然思っておりません。これこそが我が国の将来のエネルギーにかかわり、また今日本が置かれている国際的な現状から見ての我が国の経済構造改革その他あらゆる場面において、日本人の将来の生活あるいは社会的経済的あらゆる分野に影響を及ぼす事故だなというふうに私はとらえております。  先ほど来答弁しておりますとおり、今回の事故は本当に素直に受けとめまして、いかにしてこれから国民の不信感をなくしていくかということは、我々役所のみならずもちろん現場の方もそうでございますが、信頼を取り返すためには大変な努力というのが必要なんだなというようなことを本当に私は真剣に考えております。  また、今御指摘のようなぐあいで、我が国の現状から見て、今後この払拭のために最大限の努力を払っていかなきゃならないということで、今まで以上に、過去を反省するばかりではなくして実践的に、国民にこたえていくための現実的な問題を身をもってみんなが、現場なんかもちろんそうでありますが、我々もこれに取り組んでいかなきゃならぬ、こう思います。
  148. 立木洋

    ○立木洋君 二つ目の点は、動燃の体質の問題についてです。  これは十四日、御承知のように閣僚会議が行われた後、数人の閣僚の方が記者会見をされております。だれがどういう発言をなさったかということはもう長官御存じだろうと思うんです。ある大臣は、この動燃の体質は一体何だということを記者会見の場でぶつけられました。そして同時に、動燃自体のあり方を根本的に見直す必要があるという発言をなさった大臣もおられます。極めて私は問題だと思うんです。  先ほど乗出されておりますから、もう詳しいことは申し上げません。いろいろなマニュアルが決まっているにもかかわらずマニュアルが守られていない。ただ訓練の問題だろうか、私はそうではないと思うんです。私はやっぱり動燃の体質に問題があると思う。  私は、そのマニュアルが守られていないという幾つかの問題を挙げる、とりわけ私は強調したいのは、事故が起こった場合に人命と環境を尊重し、完全にそれを最優先する措置を本当にとったのか。人命が大切だったら、いわゆる警報が鳴ったら直ちに退避させなければだめです。それが数分間おくれていた、現地の役場に対する通報もおくれていた。また、最初は環境に影響がないというふうな報告までがあった。あるいは、結局施設内の状況が十分把握されてなく、爆発の危険があるにもかかわらず、先ほどの指摘もあったように、そういうことを知らせないで作業員を入れた、消防署員にもそういう被曝の危険があることも知らせないでその仕事に当たらせている。人命を軽視するということが、今度の事故が起こった後に取り上げてみたら数知れない、たくさんあるんです。  私は、マニュアルが守られていない、マニュアルが十分に守られるべきだ、いろいろな問題があります、そして実際には私は、アメリカなんかにあるNASAみたいなものですよ、金は持って、そしてどこかの会社に仕事をやらせていく、そんなようなやり方で本当に人命を尊重して、日本の最も重要な今エネルギー問題に体ごとぶつかっていけるような体質があるのか、私も本当にそういうことを厳しく指摘したい。  人命を本当に尊重する、長官が前回のときにおっしゃいました、政府が一体となって、「もんじゅ」の後です。前回委員会の私の質問に対して、安全性の確保を大前提に、積極的な情報公開のもとに、地元を初めとする国民の理解を得ながら着実に進めていきますという御発言があってからわずかの期間ですよ。  私は、人命を大切にしないという動燃の体質のあり方、ここにすべての問題がやっぱり発する。本当にそういうことに根差すならば、このような被曝の事態も少なくすることができたでしょうし、さらに、こういうことも事態が起こる前にあるいは防止することが可能だったかもしれない。最大の出発点はそこにある。  私は、そういう意味で動燃の体質の問題を根本的に掘り下げてメスを入れる、そして根本的に見直すこと。それとあわせて、原子力行政のこれからのあり方、今まだ十分に全体の状況というのが根本的に明らかにされたわけではないという状況にありますから、最終的な結論をいただこうとは私は思いません、今回の問題で。  しかし、少なくとも根本問題について動燃の問題、原子力行政のあり方の問題、これについてはやっぱり見直す必要があるとお考えになるのか、見直す必要はないとお考えになるのか、基本問題について、最後に長官の答弁をいただいて私の質問を終わりたいと思います。
  149. 近岡理一郎

    国務大臣近岡理一郎君) 今御指摘になったことに対しまして、先ほど来いろいろな御意見の中に、動燃現場における委託している技術者の方々なんかが、いろいろ今回事故が起きてみると、そういった方々に対する訓練といいますか、やっているということで言われておりますが、本当に現実的に火災が発生した、それどうだというふうな、実戦なれしていないといいますか、本当にそういったことを考えてみますと、今、行政改革だ何だかんだというようなことを言われておりますが、組織上あるいは人員の問題等を含めまして、やはり動燃なりこういったものを扱う施設が本当に安全にやっていくためにはどうあるべきかということは、やっぱりお互いに、現場方々も、また我々も安全審査する場合には本当に将来事故を起こさないようにするためにどうするんだというようなことを、これを本当に調査の結果において見直すことが、あるいはまたいろいろの改めるべき点があるならば、国民のために安全な原子力行政が確立するための施策ということになりますと、それも一部でございますから、私はそういったことを含めて十分に検討していって、安全な原子力行政というのを確立すべきだと、こんな考えでおります。
  150. 山本正和

    ○山本正和君 まず、この施設設計したところ、それから工事をした会社、どこでやったのか、ちょっと聞かせていただきたいんですが。
  151. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) お答え申し上げます。  先ほどもちょっと申し上げたと思いますが、技術そのものはヨーロッパ技術を使ってこの施設がつくられております。  実際に動燃が契約をいたしましたのは、日本揮発油、現在の日揮と称しておる会社でございます。この日揮が設計と建設を請け負っていただいております。もちろん、日揮は技術ベルギーのベルゴニュークリア社と技術提携をいたしまして、そこから技術を入れてきております。  それから、肝心のエクストルーダーというところはドイツのウェルナー&フライドラーというところから装置を輸入いたしております。
  152. 山本正和

    ○山本正和君 ちょっと日本のは何という会社ですか。もう二遍。聞こえない。
  153. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) 日本の会社は日本揮発油、現在の名前は日揮と呼んでおりますが、日揮株式会社です。
  154. 山本正和

    ○山本正和君 そうすると、ヨーロッパ技術を受けてこの会社がやったと。となると、ヨーロッパではこの種の事故は今まで一遍もなかったんですか。
  155. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) ヨーロッパでいろいろこの種の施設における事故というのもございました。そういうこともあり、ヨーロッパの経験を取り入れてこの施設設計され、建設されたわけでございます。
  156. 山本正和

    ○山本正和君 どうもその辺が、ヨーロッパでも事故があったと、それに対応し得るように考えてやったんだと、十分に対応したんだと、こういうふうに判断をしておったと。そうすると、この施設そのものには瑕疵はなかったと考えていいんですか、そこは。
  157. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) 技術そのものはヨーロッパでその当時通常使われておった技術でございますので、我々としては、その技術を導入してきてっくった施設、その施設がきちんとつくられておりましたので、特に瑕疵があるというふうには考えておりません。
  158. 山本正和

    ○山本正和君 それでは、設計し、あるいは建設をしたという過程において、手抜きとは言わぬけれども、設計図どおりきちっとできたという、これ全部終わったときに監査しますね、でき上がったときにね。それはどこがやったんですか。
  159. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) 設計の管理監督は動燃の建設室が担当してやっております。
  160. 山本正和

    ○山本正和君 そうすると、このでき上がったものを監査した責任動燃にあるわけですね。
  161. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) 今申し上げましたように、最終的な設計の監査は動燃の建設室がやっておりますので、監査の責任動燃にあるかというふうに考えます。
  162. 山本正和

    ○山本正和君 それじゃ、今回こういう事故が起こったが、一体、建設した会社はどう思うか、あるいは設計について、この日本揮発油に対していろいろ問い合わせをしたり、あるいは議論をしたりしてありますか。
  163. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) もちろん、今回の事故原因究明のためには、我々だけではなくて、その施設設計し建設をした人たちとも、すなわち日揮株式会社とも連絡をとりながら検討を進めておるところでございます。
  164. 山本正和

    ○山本正和君 それから次に、このアスファルト固化処理という方法ですが、これは今後ともこの方式をずっと継続していくべきなのか、それとも新しい技術が今生まれつつあるのか、この辺はどうですか。
  165. 加藤康宏

    政府委員(加藤康宏君) アスファルト固化技術は続けるつもりでございます。ただし、先ほどもほかの委員の御質問にお答えいたしましたように、新しい形の低レベルの廃棄物処理施設をこれからつくろうとしております。それがうまくいきますれば、ある部分アスファルト固化が代替される、そういうことはあり得るかと思います。
  166. 山本正和

    ○山本正和君 新しい技術の問題も新聞等で報道されておりますし、いろいろなところでもちょっと載ったりするんですが、新しい技術とこのアスファルト固化処理方法、コストはどうですか。
  167. 加藤康宏

    政府委員(加藤康宏君) 先ほど話がございましたが、アスファルト固化施設は七十億ぐらいの、過去、昭和五十年ぐらいの当時のお金でございますが、今回の低レベルの廃棄物処理の研究施設は約三百九十億円ぐらいのものでございます。
  168. 山本正和

    ○山本正和君 科学技術の進歩というか開発といいますか、それに伴っていろいろな問題が出てくるのは当然だと思うんです。  この前も東芝があそこの有楽町の国際フォーラムで新技術について展示をやっていますけれども、原子力についても随分いろいろ変わってきておると。となるとお役所仕事とは言いませんが、要するにどんどん発達していく科学技術というものに対応して、この種の問題は常に検討されなきゃいけないと思うんですけれども、この種の検討はずっとされておられますか、今。
  169. 加藤康宏

    政府委員(加藤康宏君) 先ほど申しましたように、低レベル放射性廃棄物処理技術開発施設というのは、今のアスファルト固化でございますと原料費が五分の一でございますが、液体ですと二十分の一ぐらいにできるということと同時にアスファルトを使わないというメリットもございますので、新しい技術につきましては動燃事業団も開発する使命があると思います。そういうことにつきましても積極的に研究していきたいと考えております。
  170. 山本正和

    ○山本正和君 やっぱり今度の火災の中に、運転のミスがあるのかあるいは設計工事に問題があったのかということは別にして、アスファルトという素材そのものが持っている問題点というのは皆さん御承知のとおりなんですね。ですから、そういうことから考えたら、当然こういう問題も含めて抜本的な検討をされるべきだと私は思うんですが、その辺についてのお考えはどうですか。
  171. 加藤康宏

    政府委員(加藤康宏君) 先ほどから答弁しておりますように、新しい研究開発をこれから始めるところでございますので、そういう成果もあわせながら検討させていただきたいと考えております。
  172. 山本正和

    ○山本正和君 実際はアスファルトじゃなしにできるように私は聞いておるんですけれども、それは置いておきましょう。この種の問題はコストをつい言うんですが、やっぱり一番大事なのは安全の問題ですから、そういう観点からぜひひとつ検討していただくように、これは要望です。  それから次に、事故調査委員会が今後取り組まれるについてオープンで情報公開でおやりになる、こういうことなんですけれども、この際、関係する学会その他企業、そういうものを含めての体制になっていると思うんですけれども、それはずっと情報公開の中で衆人環視の中でおやりになるということでよろしいですか。
  173. 池田要

    政府委員池田要君) ただいま先生指摘のように、今回の事故調査委員会につきましては公開で進めたいと思っておりますし、その進捗状況はつぶさにごらんいただくことになりますし、かっただいま御指摘のような学会、企業、そういったところから十分な知見を反映して議論していただく必要があると思っております。そういった意味では、この進め方につきましても、またいろいろ御指導いただければと思っております。
  174. 山本正和

    ○山本正和君 時間がありませんので私はこれ以上言いませんが、本当に国民から疑念を持たれないように、すべて公開する立場で、そして本当にひとつ余り経済性のことを考えずにきっちりと対応していただきたい、これだけ要望して私の質問を終わります。
  175. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 民主党・新緑風会の中尾でございます。私も委員会をかけ持ちで途中聞いておらなかったものですから、一部重複をお許しいただきたいと思います。  先ほど来から聞いていますと、もはや私が前づけする必要は何もないなと。二月二十六日ですから、まだ二十日たっておりません。当委員会で、「もんじゅ」の最終報告についての大臣の所信について私はいろいろ指摘させていただきました、情報公開であるとか、あるいは安全神話に偏っているんではないだろうかと。私は今回の事故を見まして、二度あることは三度あるというふうな思いが強くいたしてございます。時間もございませんので、その当時の質疑をもう一度、情報伝達の手段の悪さ、情報隠しとは申しませんけれども、きょうも橋本総理が本会議の席で遺憾の意をあらわしております。  まず、二月二十六日でございますが、中野参考人動燃から私はお呼びしました。そのときは、「もんじゅ」の事故最終報告についてでございます。緊急時の通報体制、いわゆる速報体制をどうするのか、地方公共団体がかねてからいろいろ要望を、これは科学技術庁にでございますけれども申し上げていた、繰り返し私は御質問、御指摘申し上げました。  そのときに中野参考人はこう答えておるんです、二月二十六日ですよ、先月です。第一点は、事故が起きた際に迅速に正確な情報をちゃんと具体的に出せるようになっているのか、これが重要だと言っております。事件後、この事件後は一昨年の「もんじゅ」のことでございます、休日、祭日を含めまして常に連絡担当者というのを現場の全事業所に置くようにしてございます。そして、事故が起きた際には、第一線の現場責任者が直接外に向かって情報を発信するという方策をとっております。  今回の事故で、連絡担当者が、中野参考人が言ったように、どこにいて、この方が情報を提供したんですか。したのかどうかで結構です、時間がありませんから。
  176. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) 中野理事からこの前いろいろ御説明したとおりでございまして、我々といたしましても、緊急の場合にきちっと連絡をするようなシステムをつくっております。  第一報のファクスは、十時三十八分に東海事業所から関連する場所に一斉ファクスでもって通報されております。
  177. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 それはわかっていますから、質問、に答えてください。連絡担当者がいたのかどうか、その方が連絡したのかどうかですよ、私が聞いているのは。
  178. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) 当日、連絡担当者はおりました。そして、その者が中心になりまして、今、植松参考人が申し上げましたように、ファクスを使って一斉に第一報を入れたわけでございます。
  179. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 連絡担当者がいて、その方がファクスを一斉に流した、これは十時三十八分と承知しておりますが、間違いございませんね。
  180. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) 一斉ファクスを流しましたのは、事業所から十時三十八分に各所に流しております。
  181. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 それは連絡担当者からでございますね。——はい、わかりました。  続いて、今回の事故は国際基準に照らせばグレード三番目の非常に重大な事故だということでございます。施設外に放射能が漏れた大変な事故でございますけれども、さて、この放射能漏れをだれが、いつ、どこで確認して、確認した段階でどのように、例えば県やあるいは科学技術庁、もちろん国ですね、等々に伝えたのか。私は三日ほど前から動燃に、第一義的な問題なんですよ、わかりましたか、いつ、どこで、だれがこの放射能漏れをイの一番に確認したのか、それをお答えください。
  182. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) まず、放射性物質が排気筒に回ったときの排気筒モニター指示値の上昇というのが、後でデータを調べてみますと、十時十四分ごろから起こっておったようでございます。第一附属排気筒モニターは、通常状態では八時間に一回データを入手してチェックするという体制になっております。今回の火災事故は直ちに消火されたものという判断に立っておりましたので、担当者は必ずしも排気モニターのデータを直ちに読み取るということをいたしておりませんでした。  そのために、トレンドグラフと呼んでおりますが、排気筒モニターの変化の状況を入手しましたのは十一時三十二分になっております。そのデータを見て、それでもそのデータそのものは特に異常を示しておるようには思えないということで、異常の範囲ではないという判断を十一時三十二分にいたしております。  したがって、十二時までの間に環境への影響があるとの報告は出てきておりませんので、事業所の方から県の方に特に環境に影響があるという報告はいたしておりません。
  183. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 端的にお答え願いたいんですが、そうしますと、例えば十一時三十二分、第一附属排気筒排気モニター、トレンドグラフ、ここで一応何か異常が起こったのかなという判断をしたということですね。ここで初めてわかったということですね。  そうしますと、これは皆さんきちっと情報をくれないものだから、私は新聞等々のいろいろな情報を総合して確認したいと思うんです。  十時十三分、放射能濃度の上昇を告げる警報、これは処理施設内四カ所、別棟の中央制御室で一斉に鳴ったという報道がございます。これは事実ですか。確認したんですか。それとも報道の誤りですか。
  184. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) 報道の内容は事実でございます。
  185. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 そうしたら、例えば放射能濃度の上昇を告げる警報が鳴ったときに、今言ったら十一時三十二分ですよ。そして、十二時には環境に影響はないなんて言っているんですよ。十時十三分にもう既に動燃職員作業員は放射能濃度の異常に気づいているんじゃないですか。なぜこういうことを言えないんですか。もう一度。
  186. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) 確かに四カ所の警報が鳴ったということは事実でございます。したがって、何らかの異常が起こったということも確認しております。  しかしながら、外部に対する影響ではなくて、常時放射性物質を扱っている場所の中での異常でありましたので、特に大きな値が出てこない限り特別の作業をしたというふうには聞いておりません。
  187. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 そんな答弁は論弁ですよ。それじゃもう一問しましょう。時々鳴るんですか、この警報は、かつて今まで。時間がないから早く答えてよ。
  188. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) 確かめましたところ、時々鳴ることもあったそうであります。
  189. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 時間がないから、これは後から、委員会終了後その実態を、何基鳴ったかお知らせください。詳細にですよ。いいですか。  それにしても、警報が鳴ったんですよ、何も処置しなかったということですか。
  190. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) 警報が鳴りましてから、直ちにその相前後いたしまして火災を発見したりいたしております。今、先生がおっしゃっておられます警報でございますが、十時十三分に始まりまして四カ所で大体一分間隔で鳴っております。実際に起きましたのは十時六分でございまして、消火に入りましたのは十二分でございますから、その間消火をやったり、消火をやって、一応消火のめどがついたところで、警報も鳴っているということもあって、それに引き続いて退避命令を出したという時系になっております。
  191. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 言い繕ったってだめですよ。消火は四分後に一分しかしていないんだから、終わってるんですよ、消火が。そして、この異常事態を放置したわけですね。放置したのかどうか、それだけを確認させてくださいよ。
  192. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) 今御質問の四カ所の警報が鳴ったことに対しての処置ということはやられておりませんが、十時二十六分、局所排気モニターが発報しておりまして、これについては退避指示が出ております。
  193. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 ですから、こういう緊急事態のときに、警報が鳴って、少なくとも放置しておいた。この体制は大変重大ですよ。だから、微量とはいえ退避もさせられなかったんですよ。火災もあるでしょう。一人しかいないわけじゃないでしょう。こういう体制で済まそうとしているから問題があるんですよ。  長官、今大体放射能漏れのあれをわかったと思いますけれども、警報が十三分に鳴っているんです。消火も不完全だけれども一応終わっているんですよ。こういったことで私は大変問題があると思うんですが、長官、長官に一言御意見を聞きたいんですよ。今の動燃のやりとり、初めて私わかったんですよ。
  194. 近岡理一郎

    国務大臣近岡理一郎君) 私は、先ほども申し上げましたとおり、科学技術庁に参りましてから、すべての情報は全面的に公開するように、しかもできるだけ早くやれるものはやりなさいと。けさも、聞くところによりますと、別の施設で機械が誤って作動したんだそうです。それも、すぐプレスに言えと言ってあるものだから、言ったら、これは間違いだったというようなことなんで、したがってプレスの方々に大変怒られたと言っておりました。私は、怒られるとか怒られないとかを別にしても、やっぱり事実は事実としてできるだけ早く的確に知らせるものは知らせるんだということが基本だということで、今聞いておりまして、なぜそんなあることをもっと早く教えることができないのかと、ちょっと不思議に思うくらいに聞いていました。
  195. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 多分、推定しますと、十時二十六分、別のエリアで放射能検知機が発報ずる、このときに気づいたんですよ。時系列も科技庁から全部いただきました。このことについて触れていないんです。それで、最終的にもらったのは、放射能云々と一言も書いていないんです。「第一付属排気筒排気モニタ指示値上昇」と書いてあるんですよ。  今、長官が指摘したとおり、こういう体質だからだめなんですよ。だから、二度あることは三度あると。だれが、国民が信用しますか。  それからもう一つ。じゃ、放射能漏れについていつ茨城県あるいは東海村、隣接市町村、あるいは国に知らせたんですか、時間を言ってください。
  196. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) 先ほども申し上げましたが、放射線データを事業所の方で受理いたしまして、そこからファックス送信をしております。それが十二時五十八分に鼻スミアーが起こったということで通報いたしております。  それから、そのほかに、第一排気筒のトレンドデータを確認した結果については、十五時五十七分ごろに本社にも通報が行われておりますし、科学技術庁にも通報が行われております。
  197. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 今、言いましたね。確かに書いてあります。科学技術庁に入ったのは約十六時なんですよ。科学技術庁の担当官も怒っていましたよ。十六時なんです。何時間たっているんですか。  しかも、その間、県の問い合わせにも、正午、今のところ放射能漏れはないと。漏れていたんじゃないですか。こういううそを、つまり過小評価、なるべく見せないように見せないようにするから、私もニュースを見ていてこんなに大きな事故だとは思わなかった。そういうことを「もんじゅ」のときに皆さんは教訓として学んだんじゃないですか。だから、梶山官房長官も怒ったんですよ。  そしたら、先ほども、恐らくこういう質問あったと思いますけれども、協定書あるでしょう、県とそれから動燃の。私もいただきました、事業所との協定書及び覚書。今回の例えば放射能漏れはこれに違反していますね。この事実を認めますか。  つまり、県、所在町村及び隣接市町村と原子力事業所との協定書及び覚書第七条、「迅速な連絡」とあるんですよ。その一つに、「管理区域内で火災があったとき。」、異常があったとき。それから「原子力施設において別に定める軽易な事故、故障等があったとき。」。第八条、「連絡方法」、「直ちに口頭により連絡」、これは火災があったとき。いわゆる軽易な事故、故障があったときでも速やかに口頭で連絡と第八条にうたわれているんです。これに違反していますね。しているかどうか。私は違反していると思いますよ。しているならしていると答えてくださいよ。
  198. 近藤俊幸

    参考人近藤俊幸君) 認めてません。
  199. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 もう一度、今の聞き取れなかったんですが。理事長お願いします。
  200. 近藤俊幸

    参考人近藤俊幸君) 認めてません。
  201. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 認めてませんというのは何を認めないんですか。
  202. 近藤俊幸

    参考人近藤俊幸君) 協定違反でないということでございます。
  203. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 そうですが、協定違反ではない。すると、この文書は一体何なんですか。協定違反ではない。「迅速な連絡」、これは書いてあるだけ。私は持ってますよ。違反でないと言ったら、県との協定書、覚書、これは全部白紙ですよ。そこまで言われるんですか。確認だけでいいですよ。
  204. 近藤俊幸

    参考人近藤俊幸君) 県との関係で話してきました植松の方からちょっと経過を説明させます。
  205. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) 確かに県との協定の中には迅速にという言葉があると思います。我々としましては、できるだけ物事を確認して直ちに通報をいたしております。確認するのに非常に時間がかかったというのが我々の実情でございます。
  206. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 この基本精神を踏まえれば、「直ちに」という言葉は何時間たってもいいとお思いですか。「直ちに」に当たりますか。こういうことが通じますか、通じませんか。聞きたいですよ、それは言いがかりだよ。
  207. 近藤俊幸

    参考人近藤俊幸君) 若干、前段言わせていただきたいと思いますけれども、御指摘のとおり、どうしても事故を小さく見せようとする心理は従業者の中に働く要素がございます。したがって、絶対うそを言うな、ごまかすな、勇気を持って事実は事実として説明せよという指導は厳しくやってきております。ただ、事実の正確な確認をする際にどうしても時間がある程度かかるケース等がございます。私は、この場合にもそういった確認に時間をとったんではないかというふうに判断しております。
  208. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 これだけ話していますと、このことを聞いている方々、長官も科学技術庁の皆さんも、これで国民が納得すると思いますか。  一般住民に知らせろなんて言ってないんですよ。少なくとも警報が鳴ったと、火災があったということの第一報というのは必要不可欠じゃないですか。池田局長もこのことを言っているんですよ。二月二十六日、必要不可欠だと言っているんです。だから橋本総理も怒ったんだ。これについて池田局長、感想を述べてください。
  209. 池田要

    政府委員池田要君) ただいま先生から御指摘ございましたように、モニターによって異常値が検出されましたときに、その分析に動燃事業団が時間を費やしたということは大変残念なことだと思っております。  私ども常日ごろから、原子力施設現場におきましては、ささいなトラブルにつきましても現場から直ちに連絡をしてほしいということで指導しているところでございますし、こういう信頼関係が何よりも大事だと考えております。
  210. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 恐らく池田局長は煮えくり返る思いで今答えているんですよ。私は何も科学技術庁をかばうわけじゃないけれども、今回の事故は少なくとも「もんじゅ」の教訓が生かされてない。今だってそうじゃないですか。
  211. 近藤俊幸

    参考人近藤俊幸君) 先ほど言いましたように、そういう訓練はやっておりますけれども、今回、先生指摘のとおりに十分的確に通報できなかったということは深く反省しております。  それから、先ほど長官から紹介がございましたが、きょうの通報はまた逆でございまして、臨界に達したという情報を即座に出しました。これは警報は出てない状態で、掲示板に表示された、それが出たということで外に出してしまった。これは誤報だったということで、先生、ここはもう今後とも迅速に的確にということでやっていきます。  ただ、ふれ方によるときようのように逆に今度は誤報を出してしまうということで、まことに恐縮でございますが、今後しっかり迅速にかつ的確にということで指導していきますので、よろしくお願いしたいと思います。
  212. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 何も変わってないんですよ。私も今のやり取りをしていまして、情けない思いです。  もう一点、これは十一日十時六分、これもよく指摘されていますけれども、セル換気系温度警報機が鳴った、ターンテーブルの上のドラム缶へのアスファルト充てん状況を監視するテレビカメラの画像が白っぽくなったことを制御室G二一八のテレビで確認した。それで、これ十二日、夜までテレビはなかったと言っているんですよ。あげつらうわけじゃないですけれども、今回の事故は「もんじゅ」そのもの、もっと悪いですよ。これについてどう思っていますか。  こんなテレビカメラがある、モニターがある、これがわからないものですか。しかも再三あるのかないのかと聞かれているんですよ。簡単に答えてください。
  213. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) テレビがあるかないかを聞かれた職員たちの反応は、普通、通常の操作室内における作業その他をモニターするものだというふうに感じておったようであります。これはセル内にあって、実際のドラム缶にアスファルトを詰めるようなところの操作の監視用のテレビでありまして、特に大きな画面を映せるわけでなくて、ごく局部的な固定的な場所のみを映せるカメラでありましたので、そういう認識から特別のカメラは持っておりませんという返事をしたんだというふうに思っております。
  214. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 もうそういう答弁はやめてくださいよ。  カメラニ台でしょう。何のために監視するんですか。私はカメラよく知っているんですよ、昔テレビ局にいましたから。ワイドレンズで撮れないようなカメラは設置そのものに問題がある。それは言いわけです、誤りです、はっきり指摘しておきます。  もう一点。先ほどの質問にもありましたけれども、こうした数々の不手際から被曝した人は三十七人。それでもう一点は、これは単なるヒューマンエラーだとかいうことで私は問題解決できないと思うんです。私は動燃から資料いただきました。例えば今回のアスファルト固化処理施設の体制です。動燃職員四人、作業を請け負っている民間企業の方が四十五人、ほとんどが現場にいるのは下請といいますか、請負の社員です、なかなか言えない。これに問題があると。だからこそ、火災を発見したけれども、このときは副班長だと言っていましたね、本当はあなたは消火の権限があると言ったって、電話したんですよ。少なくともここの精神的な状況を理解しない限りこれは解決しない。  マニュアルだけっくったってだめなんですよ。少なくとも置かれた立場、火災が起こった、しかしこれを私の判断でどうしたらいいだろうかといって電話したんです。だから四分もおくれたんです。この人員体制もきちっと見ておかないと、今度何かあったら、動燃職員が四人か三人か、全部厳しくやったら解決しないんです。複合的なんですよ。だから、動燃の今までの体制を見ていたら、だれだって下に働いている人は物を言えなくなりますよ。いいですか。  もう一度放射能漏れについて聞きます。  先ほど、放射能漏れを確認したと、二十六分。これが実際に科学技術庁に入ったのは十六時三十六分だというんですね。確認した後、モニタリングをだれが続けてやっておりましたか。
  215. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) 東海事業所の放射線管理課の係員が常時巡回をして測定をしたり、モニタリングポストのデータを見たりしておりました。
  216. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 その後、常時見ていましたね、常時見ていましたか。
  217. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) 常時という表現でございますが、ただいま申し上げましたように、放射線管理課の人間が巡回をしながら施設内外のモニターをしておったということでございます。
  218. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 その報告で一番、これは外部に漏れたといった報告は何時に来ましたか。
  219. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) 外部というのが敷地外ということでございますれば、第一排気筒のモニターデータを確認したときに認識をしたというふうに考えてよろしいかと思っております。第一排気筒のモニターのデータを見ましたのが十一時三十二分でございます。そのときがいわゆる敷地外への放出があり得たと認識をしたときだと思います。
  220. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 十一時三十二分にモニターした職員が、外気に漏れたということを確認したわけですね。
  221. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) それは違っておりまして、第一排気筒のモニターのデータを読んだのが十一時三十二分であったということであります。
  222. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 もう時間がありません。また後からこのことについては詳しく御説明いただきます。  最後になります。大臣、いろいろ今動燃の体制、私も大変情けなく聞いておりました。日本の原子力政策の中で大変な、重大な瑕疵でございます。国民信頼を失った、著しく。これについて核燃料サイクル、いわゆる原子力政策の見直しを含めて大臣のお考えをお聞かせ願いたい。これで質問を終わります。
  223. 近岡理一郎

    国務大臣近岡理一郎君) 先ほど来お答え申し上げているとおり、今回の爆発事故というのは、本当に外に放射線が放出されたという重大な事故でございます。したがって、国民皆様に大変な不安を与えてしまったということは、本当に残念でございます。  したがって、先ほどお答えしておりますとおり、今回のこの事故に関しては、事故調査委員会公開を原則として、この原因というものを早期にかつ徹底的に究明して、そして再発防止のための万全の対策を講じてまいる所存でございます。  したがいまして、今回の事故から得ました教訓というものを謙虚に学び取らなきゃならぬというふうに重要に考えております。今後、安全規制面におきましても改善すべきものがあれば改めるという考え方で取り組んでまいりたい、二度とこういったことのないように本当に努力しなきゃならぬ、こんな気持ちで取り組みたいと思います。
  224. 矢田部理

    ○矢田部理君 今回のアスファルト固化処理施設事故、私、大変深刻に受けとめておるわけでありますが、これはやっぱりこの再処理プラントの持つ本質的な欠陥がはしなくも露呈したのではないか。安全管理のずさんさ、責任体制の欠如、その上に住民にとってたまりませんのは、通報連絡体制が決定的におくれて、ごまかしがある、事故をできるだけ小さく見せようという姿勢が随所に感じられる。  私も地域住民の一人でありますが、住民にとつては不安と同時に大変な怒りが渦巻いているのが現状であります。きょういろんな先生方から指摘がありましたが、どうもやっぱり先ほど理事長の話などを聞いておると深刻に反省しているとは思われないんですね、いっぱい過ちや問題がある。  これは、ちょっと二十分やそこらでは聞き切れないのでありますが、十時六分に火災が発生をした。最初は八分と言っていた。県の方に報告をしたのは三十分以上たってです。何と報告したかというと、火災が発生した、その後鎮火したということでございました。環境に対する影響もなければ被曝もないと。ですから、当初の夕刊の新聞は、みんなちょっと小さいぼやがあったという程度の報道なわけでありまして、ここからもう間違っちゃっているんです。  夜になって、爆発事故があったために大変深刻な騒ぎに拡大をしていく。地域住民の不安は、どういう影響があるのか、放射線が外に漏れないのか、何の情報もないわけです。自治体に対するおくれというだけではなくて、住民が避難したものやら、窓でも閉めりゃいいものやら、どういう対処をしていいのかすら全く見当がつかない中で、不安な一夜を送らざるを得なかったというのが現地の実情で、私どもの宿舎にも何本か電話がかかったりしました。  そういう事態に対する認識が極めて甘いのではないかというふうに思っておりますが、自治体に対するおくれというのを本当に認識していないんですか。火災が発生して鎮火して何の心配もありませんという報告を三十分以上過ぎにやって、それでいいというのが理事長のお考えですか。
  225. 近藤俊幸

    参考人近藤俊幸君) 結果的に本当に申しわけないことになったと思っております。ただ、状況を聞いてみますと、反省する点は多々ありますが、私は初めからごまかそうとかうそを言おうとか、そういう意識はなかったと確信しております。  ただ、先ほど言いましたように、事実の確認等に手間取った、それからまたそういったものに対する対応をもっと前向きに積極的に考えていくことが少し弱かったのじゃないか等々は強く反省しております。  今後、絶対こういうことがないように指導していきますので、よろしくお願いしたいと思います。
  226. 矢田部理

    ○矢田部理君 一つ一つの責任、問題点について詰めます。  まず、その事実の確認に手間取ったと言ったって、被曝とか放射線が出たか出ないかは少し時間はかかるかもしれません。しかし、火災が発生したこと自体をすぐ県に通報しなきゃならぬというのは原子力安全協定にきちっと書かれてあるでしょう。この通報を三十分もおくらせて、それでも迅速にやったというふうにあなたはあくまでも主張しますか。
  227. 近藤俊幸

    参考人近藤俊幸君) いえ、それは遅かったと思っております。
  228. 矢田部理

    ○矢田部理君 遅かったということになれば、まずここは原子力協定違反ということになりますね。−そうだと言えばいいんです。
  229. 近藤俊幸

    参考人近藤俊幸君) はい。
  230. 矢田部理

    ○矢田部理君 頭を下げられたからそれは認めたとして、それから二番目に、先ほど理事長も言っておられたが、的確に報告しなきゃならぬ。迅速かつ正確というのがもう一つの条件にあるわけですが、その正確性も著しく欠いているんじゃありませんか。随所にごまかしというか過少な報告がある。誤った報告を次々にしているのではありませんか。その点の関係は一つ一つ時間があればただしていきたいと思うんですが、それはいかがでしょうか。
  231. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) 確かに正しい認識をするのには時間はかかりますが、決してごまかしをしたり過少に評価したりしようということであったとは思っておりません。  ただ、排気モニターの指示値が上がったということは認識しておりますけれども、排気モニターの指示値が上がった範囲が通常考えられるような範囲の中での変動であったので、それを見た人は、外部に対して特に大きな影響があるような問題ではないというふうに認識したようであります。決してそれをごまかそうとしたというふうに認識したとは私は思っておりません。
  232. 矢田部理

    ○矢田部理君 問題点を一つ一つ時間がある限りやり、また残れば次にやりたいと思いますが、一つは、県に三十分後ぐらいに報告をしたときには消火をしたという報告をしているわけです。しかし、どうも後で見ると、消火していなかったのではないか、残り火があったのではないかという可能性、あるいはまたその熱が原因になって爆発を誘発したのではないかという指摘などもあるわけですが、この確認はだれが何時にどういう方法でやったんでしょうか。
  233. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) 消火をいたしましたのは、作業員とその上の担当者と二人で消火作業を行っております。噴射を行った結果、炎が見えなくなったということから、その二人が一応火は消えたものというふうに認識をしたようでございます。  その後、十時二十二分ごろには、上司から再び別の二人に対して確認をしてくるようにという指示が出て二人が現場に入っております。そして、その二人が中を見て炎が見えなかったので、消火したようだというふうに報告をいたしております。
  234. 矢田部理

    ○矢田部理君 その後、東海村の消防職員現地に行って確認をしたというか、施設のところへ出向いたが、セルの中は全く見えなかったということなんですが、そういう状況じゃなかったんですか。
  235. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) 動燃の方から村の消防に連絡をしまして、十時四十五分ごろでございますが、消防の方から確認のために来所をしていただいております。そして、動燃職員二名と消防の方とで現場に入りました。セル内の照明が切れておりましたので、そういう意味では中が暗いという状況であったと思います。しかし、もし火が上がっておれば窓越しに見えたはずではないかというふうに思っております。
  236. 矢田部理

    ○矢田部理君 この議論だけやっているとうんと長くなっちゃいますが、火が見えなけりゃもう鎮火したとか消火したという認識なんですか、動燃の事実の把握は。
  237. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) 動燃職員も、一応火が見えなければそれで消えたものというふうに認識したと思いますし、消防の方も来ていただいておったので、それでよかったんじゃないかというふうにその担当者たちが思ったんではないかというふうに思います。
  238. 矢田部理

    ○矢田部理君 東海村にそんな責任転嫁をされちゃ困る。出向いていったけれども、中が全く見えなかったから見えなかったと報告しただけであって、鎮火したなどとは言っていない。そういう認識の甘さなり受けとめ方の緩さがやっぱりいろんな問題点を派生させていくということをきちっと理事者としては心すべきだと私は思うのです。  それから次に、放射能漏れがあるということを現場で知った時間は、もう一回確認のために聞きますが、何時だったんでしょうか。
  239. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) 私どもが現場から報告を受けておりますのは、十時十四分ごろに排気モニターの指示値の上昇があるということがわかったということを後から、そのころにすぐわかるわけではございませんで、トレンドグラフを入手して、それを見て時間は何時だったと判断すると十四分ごろであったということでございます。それが排気モニターの指示値、その次は二十六分の局所排気モニター発報というもので認識をしております。  先ほど御質問がありました十時十三分ごろに四つのアラームが鳴ったではないかという件につきましては、我々としては十分な情報をつかんでおりません。
  240. 矢田部理

    ○矢田部理君 そういう放射能漏れがあった、十時十四分あるいは十時二十六分の段階で。これを科技庁に報告があったのは何時でしょうか、科技庁。
  241. 田中徳夫

    説明員(田中徳夫君) 私どものところの記録によりますと、十六時三十六分でございます。
  242. 矢田部理

    ○矢田部理君 もう既に十時の段階で、火災発生直後の段階でそういう漏れが検知されておったのに、若干の解析の時間はかかろうかとは思いますが、十六時近くまで報告をしなかったというのは、これは大変なおくれだとは認識しませんか、理事長
  243. 近藤俊幸

    参考人近藤俊幸君) おくれだと思います。申しわけございません。
  244. 矢田部理

    ○矢田部理君 被曝があったのを知ったのは何時でしょうか。現場で確認をしたのは何時でしょうか。しかも、それを科技庁に報告が来たのは何時でしょうか。両方からお答えを。
  245. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) 作業員の鼻スミアーをやったのが被曝の最初の認識かというふうに思います。その鼻スミアーの結果を本社に報告いたしておりますのが十二時五十八分ごろでございます。
  246. 矢田部理

    ○矢田部理君 被曝を最初に知った、現地で確認したのは何時かと聞いている、それを科技庁に報告したのは何時かと聞いております、二つを聞いております。
  247. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) 鼻スミアーを行いました結果、五名について有意値の確認をしたのが十二時五十五分であります。そして、科技庁に放管データとしてファクスを送付したのが十二時五十八分ごろと聞いております。
  248. 矢田部理

    ○矢田部理君 それまでは被曝者なしと言ってきたんですね。そして、最初五名、その次に十名、さらに二十一名、そして三十七名、次々に数値というか数が増加をしている。その発表の仕方が、関係する作業者が何名いてこれだけの人数を調べた結果こうだったというならまだわかるんですが、何か五名がすべてであるような、十名のときは十名が全部であるような報告になっておるんですよ。  だから、新聞に出るたびごとに、あるいは時間が経過するごとに数がふえていく。最初は、この被害というか、被曝の状況をできるだけ隠したかったんじゃないか、小さく抑えたかったんじゃないかというのが住民の物すごい不信なんですよ。それで説明がつきますか。
  249. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) 鼻スミアーのデーターつとりましても、作業がまだ続いておりましたので、順次とっていきましたので、そのデータが集積されるのにある程度時間がかかったというのが一つの理由であります。  それからもう一つ、実際に体内への被曝量をはかりますには鼻スミアーだけでは十分ではありません。ホール・ボディー・カウンターを使って測定をする必要があります。このホール・ボディー・カウンターに一人一人をかけていくのに非常に時間がかかりますので、その数字がわかり次第次々と発表していったということでございまして、決して隠そうとしたわけじゃございません。作業の直が終わり次第、その人がフリーになった時間帯を選んでホール・ボディー・カウンターに次々とかけていったという実情でございました。
  250. 矢田部理

    ○矢田部理君 関係する作業員が何人いて、何人鼻スミアーを検査したところ何人だったというのならわかるんですよ。関係する作業員の数だって次から次と変わるんですよ、逐一ここでは指摘をしませんが。  そして、最初五人、鼻スミアーなんというのはそう難しい検査じゃないでしょう、その後の全身を診るというやつはそれはある程度の時間がかかることはわかりますが。全体像を示して、これだけ調べた結果こうだったとか、こういう方法でやったらこれだけ数が出たと。あとこういう精密な検査をしているとか、全身の状況を診ているとかという説明がないまま数だけが躍るもんだから、それがまた誤解というよりも住民はそれを信じて、一体何やっているんだ、どうなっているんだという心配が二番目です。  それから三番目に、こういう事故が起こった場合に自治体に対する連絡も非常に緊急にやらなきゃなりませんが、自治体の対応の問題も全くなしとはいたしません。しかし、自治体自身も今度は怒っていますよ。もう少し早く、正確にということをどうしてやってくれなかったのかと。幾ら問い合わせても事故を小さくしよう、発表をおくらせようという動きが顕著に見えたということで大変怒っております。住民に直接知らせる、これは地震情報なんかありますね。  テレビでは、爆発が起こったとか、火災があったとか、被曝者が出ているとか、環境に対する影響が考えられるとかというテレビだけが出て、すぐ近くにいる人たちはどうしたらいいのかということで大変な不安と戸惑いをあの晩感じているわけです。これに対して、もう少し事故状況なり住民に対する影響なり、被曝の状況などについて直接知らせる方法検討の余地はないものですか。これは科学技術庁に聞きます。
  251. 加藤康宏

    政府委員(加藤康宏君) ただいまの地元の住民の方の御心配もございますので、科技庁といたしましては、水戸の原子力事務所に東海地区のタスクフォースというのをつくりまして、本件に関しまして環境放射線のモニタリングデータに基づきます東海村等の自治体が行う周辺住民に対する適切な情報提供に関する支援とか、それからそういう自治体が行われます広報活動の企画立案に対する支援、それから問い合わせに対する対応とか、そういうことをするようなチームを現地に常駐させることを決めまして、早速それをしている次第でございます。  そういうことによりまして、科技庁といたしましても、地元住民に対してその不安を抱かせないよう努力してまいりたいと考えている次第でございます。
  252. 矢田部理

    ○矢田部理君 一つ一つやっていると幾らでもあるんですがね。最初は、放射能漏れはない、被曝者もいないと言ったのが実際はあった。その濃度も後でよく検査をしたら、これは計算ミスだというのですが、計算ミスなどということで説明がっくものではない。二十倍もの濃度があったということも訂正記者会見で出てくる。被曝者の数も次から次と多くなっていく。こんなことをやっていたんでは、もう動燃に対する不信、これはもう地元の理解は全く得られませんよ。  もともと私はこの施設は危険きわまりない、安全性に大変重大な疑問がありということで、再処理から高速増殖炉という道は根本的に見直すべきだ、この道から撤退すべきだという基本的な考え方を持っております。  「もんじゅ」の事故があれほどあって、全国的に大変な心配をかけておりながら、通報のおくれ、連絡の不十分さ、責任体制の欠如、どこにどういう責任があるとお思いになりますか。設計上のミスなども幾つか既に指摘をされておりますし、現場対応のまずさも、単におくれただけではなくて不手際も幾つか指摘をされております。  まず現場ではどういう責任があるか、理事長としてどういう責任があるか、監督官庁としての科技庁にどういう責任があるかということを一言ずつお聞きして そろそろ時間でしょうから終わりたいと思います。
  253. 近藤俊幸

    参考人近藤俊幸君) 地元先生としても本当に痛切に感じていらっしゃると思います。  先ほど非常に貴重な御意見をいろいろといただきました。例えば、今は通報等も自治体を通じてという建前になっておりますけれども、近間の村には自分でも入れるということだと思います。それは村の方とも今後相談していきたいと思っております。  それから、少しずつ小出しにして、小さく被曝者の数を見せようとしたということをおっしゃいましたが、実はこれはそうではございません。言いわけになりますけれども、本当に発表の手際、仕方が非常にまずかったと反省しております。先生指摘のとおり、全体の数を、若干異同があってもいいから大枠のところ何人と、こう言っておいて、その中でやっていく、それでそれを発表していく、こういうことを当然とるべきであったと思いますが、済みません。わかったところから小出しに出したという結果になって、住民の方たちに非常に不安を与えたということは非常に深く反一省しております。  とにかく、先生の御意見、本当にありがとうございました。今後に生かす方向で全面的に改善方向改善をやっていきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
  254. 猪熊重二

    委員長猪熊重二君) 長官一言。もう時間だから。
  255. 池田要

    政府委員池田要君) ただいま先生から御指摘がありました二つの点について御説明させていただきます。  放射性物質を体の中に取り込んだ従業員が三十七名に上ったということにつきましては、確かに先生の御指摘のとおり、当初その近くでそういうことになる可能性があった者、これを素早く把握して全体がどれくらいだということについての全容をとらえた上で、これは全体の放射線量をはかりますのに時間がかかりますから、その上でこれをこれからやるんだと、その都度、結果が出次第報告するというような仕方があったんではないかというふうに思います。そうすれば、私どももその進捗状況というのはわかるわけでございますし、最大限どこまで何人やれば終わるのかといったこともわかるわけでございますから、こういった意味での情報開示というのがこれからの課題として残るんではないかなと思います。  もう一つ、住民の退避について御指摘がございました。  この点につきましては、今回、当初の火災のときから、先ほど申しましたように県との間では私ども十分な連絡をとってまいりました。そういう意味では敷地の内外、外につきましても、モニタリングステーションにおけるデータは何ら異常を示さないという状況でございました。  それから、この施設がさほど放射能量を多く抱えている施設ではございませんから、そういった意味でのイメージについてはある程度共有のものがあったと思います。  そうした意味で、そういう外での放射線測定値が、増加の傾向にあるというようなことが仮にあったとすれば対応ぶりは違っていたと思いますけれども、そういったことは何ら見られなかったということで、この状況につきましては住民に対して直接注意を呼びかけるようなこととは判断しなかったということがございます。  ただ、後になりまして、実際は、そうは言っても、火災爆発事態になりましたときには、私どもは直ちに公表しておりますから、そういった情報がテレビ等を通じて流れるということになりまして、地元の住民の方には大変な不安感を呼び起こしたと、これは想像にかたくないわけでございます。  こういったことも考えますと、私ども、自治体等と協力しまして、実際上環境に対する影響等は把握するにいたしましても、住民に対してその状況をどういうふうに説明していくかといったことについては、これから十分検討する必要があると思っております。
  256. 近岡理一郎

    国務大臣近岡理一郎君) 監督官庁の責任者として、これ以上の責任はないほど深刻に、重大に受けとめております。
  257. 猪熊重二

    委員長猪熊重二君) 本件に関する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十二分散会