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1997-09-25 第140回国会 参議院 科学技術特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年九月二十五日(木曜日)    午後三時開会     —————————————    委員異動  七月四日     辞任         補欠選任      岩永 浩美君     木宮 和彦君      鹿熊 安正君     永田 良雄君      志村 哲良君     畑   恵君      吉川 芳男君     高木 正明君  七月七日     辞任        補欠選任      高木 正明君     吉川 芳男君      永田 良雄君     鹿熊 安正君 九月二十四日     辞任         補欠選任      沓掛 哲男君     狩野  安君      広中和歌子君     山崎  力君      矢田部 理君     山口 哲夫君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         山下 栄一君     理 事                 木宮 和彦君                 畑   恵君                 高橋 令則君                 中尾 則幸君    委 員                 海老原義彦君                 狩野  安君                 鹿熊 安正君                 二木 秀夫君                 吉川 芳男君                 及川 順郎君                 水島  裕君                 山崎  力君                 松前 達郎君                 山本 正和君                 阿部 幸代君                 山口 哲夫君    国務大臣        国 務 大 臣        (科学技術庁長        事務局側官)   谷垣 禎一君        第三特別調査室        長        塩入 武三君    説明員        科学技術政務次        官        加藤 紀文君        科学技術庁原子        力局長      加藤 康宏君        科学技術庁原子        力安全局長    池田  要君        資源エネルギー        庁公益事業部原        子力発電安全管        理課長      平岡 英治君        会計検査院事務        総局第五局長   小川 光吉君    参考人        動力炉核燃料        開発事業団理事        長        近藤 俊幸君        動力炉核燃料        開発事業団理事  中野 啓昌君        動力炉核燃料        開発事業団理事  井田 勝久君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○参考人出席要求に関する件 ○科学技術振興対策樹立に関する調査  (動燃東海事業所におけるウラン廃棄物管理問  題等に関する件)     —————————————
  2. 山下栄一

    委員長山下栄一君) ただいまから科学技術特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る七月四日、岩永浩美君及び志村哲良君が委員辞任され、その補欠として木宮和彦君及び畑恵君がそれぞれ選任されました。  また、昨二十四日、矢田部理君、沓掛哲男君及び広中和歌子君が委員辞任され、その補欠として山口哲夫君、狩野安君及び山崎力君がそれぞれ選任されました。
  3. 山下栄一

    委員長山下栄一君) 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山下栄一

    委員長山下栄一君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事木宮和彦君及び畑恵君を指名いたします。     —————————————
  5. 山下栄一

    委員長山下栄一君) この際、谷垣科学技術庁長官及び加藤科学技術政務次官から発言を求められておりますので、順次これを許します。谷垣科学技術庁長官
  6. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) このたび、第二次橋本改造内閣発足に伴い、科学技術庁長官を拝命いたしました谷垣禎一でございます。  委員長を初め委員各位におかれましては、日ごろより科学技術行政の推進に当たりまして格段の御理解、御支援を賜り、まことにありがとうございます。  我が国が二十一世紀に向けて経済構造改革を実現し、豊かな社会を迎えるため、積極的に科学技術振興することにより、科学技術創造立国を実現することが最重要政策課題となっております。  このため、科学技術庁といたしましては、科学技術基本法及び科学技術基本計画を踏まえ、社会的、経済的ニーズ対応した未踏の科学技術分野へ挑戦していくなど、積極的な政策展開を図っているところでございます。私は、これらを初めとした科学技術振興策科学技術政策責任者として全力を尽くしてまいる所存でございます。  また、原子力開発利用につきましては、安全の確保を図ることはもちろんのこと、地元を初めとする国民皆様の御理解と御協力を得ることが不可欠であります。特に、一連の問題を起こした動燃につきましては、就任後直ちに私自身動燃東海事業所や敦賀にある「もんじゅ」と「ふげん」を視察いたしまして、現場状況を把握してまいりました。  今後、この現場重視姿勢を持って取り組むことによりまして、これまでのうみをすべて出し尽くし、動燃を真に国民信頼される新法人に改組するとともに、安全確保の徹底、積極的な情報公開などにより、国民信頼される原子力行政の確立に向けて最大限の努力を講じてまいる所存でございます。  今後とも、科学技術振興に鋭意努力してまいりますので、委員長を初め委員皆様方の御指導、御鞭撻を賜りますように心からお願い申し上げまして、私のごあいさつとさせていただきます。
  7. 山下栄一

  8. 加藤紀文

    説明員加藤紀文君) 科学技術政務次官を拝命いたしました加藤紀文でございます。  ただいま大臣あいさつにもありましたように、我が国が二十一世紀に向けて、産業の空洞化社会の活力の喪失等を回避し、豊かな国民生活を実現するためには、科学技術振興我が国の最重要課題として強力に推進することが極めて重要であります。  また、動燃については、これを抜本的に改革するとともに、国民信頼される原子力行政を確立することが必要不可欠であり、これらの遂行のために全力を挙げて大臣の補佐に努めてまいる所存であります。  委員長を初め委員皆様方の御指導、御鞭撻を賜りまして、政務次官として科学技術振興に精励してまいりたいと考えておりますので、何とぞよろしくお願い申し上げ、あいさつとさせていただきます。ありがとうございました。     —————————————
  9. 山下栄一

    委員長山下栄一君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  科学技術振興対策樹立に関する調査のため、本日の委員会に、動力炉・核燃料開発事業団理事長近藤俊幸君、同理事中野啓昌君及び同理事井田勝久君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 山下栄一

    委員長山下栄一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  11. 山下栄一

    委員長山下栄一君) 科学技術振興対策樹立に関する調査のうち、動燃東海事業所におけるウラン廃棄物管理問題等に関する件を議題といたします。  動燃東海事業所におけるウラン廃棄物管理問題について、政府から報告を聴取いたします。谷垣科学技術庁長官
  12. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 動燃事業団東海事業所におけるウラン廃棄物管理問題について御説明申し上げます。  まず、本件問題を考えていく上で現場の実態を把握することが重要と考えまして、九月十五日、動燃東海事業所を視察いたしました。そのときに、ウラン廃棄物貯蔵施設におきまして、施設内に収納したドラム缶腐食、破損が生じていることを私自身みずから確認いたしました。  当庁におきましては、八月二十六日から原子炉等規制法に基づく立入検査を実施しておりまして、施設状況及びこれまでの保安管理状況など、これまでに判明している調査結果につきましては適時公表してまいったところでございます。また、周辺河川水井戸水等環境調査結果には問題がないことが確認されております。  しかし、今後、立入検査及び環境調査を継続いたしますとともに、当該廃棄物貯蔵施設については、安全な状態にするために、管理状況改善のための抜本的措置を早急に実施するよう動燃指導してまいります。  また、本件に係る動燃予算執行問題につきましては、法令上は弾力的、効率的な予算執行が認められておりますが、改修費として計上された予算止水工事等応急措置に使って抜本的な対策を講じなかったこと、また改修計画の変更があった段階予算要求に反映してこなかったことなどが問題であると考えております。  当庁は、予算執行状況等業務状況調査を本社及び東海事業所において実施してまいりましたが、今後も引き続き調査を行い、問題点をえぐり出した上で適切な改善措置を講じてまいります。  なお、事態重要性にかんがみ、動燃事業団は一刻も早く国民信頼が得られるよう、責任関係を明確にして適切な措置をとる必要があると認識しております。科学技術庁についても、動燃事業団指導監督等の立場から反省すべき点があり、調査を継続の上必要な対応を講じていく考えであります。  さらに、動燃事業団の全事業所のすべての施設設備管理運営等状況を把握するため、科学技術庁職員による現地調査を九月十六日から開始させたところであり、調査の結果も踏まえて問題点を洗い出し、今後の動燃改革に適切に反映してまいります。  今後とも、委員長を初め委員皆様の御支援、御協力をお願い申し上げます。
  13. 山下栄一

  14. 池田要

    説明員池田要君) お手元の「動燃東海事業所におけるウラン廃棄物管理問題について」という資料で補足して御説明申し上げます。  今回問題になっております施設は、昭和四十四年ごろまでに発生しましたウラン廃棄物地下構造コンクリート構造物内に保管している施設でございます。お手元資料の六ページ以降にその場所でございますとか施設の概要を示してございます。  八月二十六日から当庁職員がこの事業所に対しまして原子炉等規制法に基づきます立入検査を行ってございます。これまでに明らかになった点につきまして御報告申し上げます。  ピットと呼んでおりますけれども、このピット内の各槽ともに水が滞留していたということでございます。また、貯蔵ピットに保管されております放射性廃棄物は、記録が保存されていないために正確な数量等は不明でございますが、製錬施設から発生した固体状ウラン廃棄物でございます。また、貯蔵ピットは二つあるわけでございますけれども、その一つ許可申請と異なって防水モルタル施工がなされていないという事実がございました。また、貯蔵ピットに水がたまって、これから放射性物質が検出されておったにもかかわらず、必要な措置が講ぜられていなかったということがございます。また、最近、その滞留水処理を行った際に、法律に基づきます許可を得ていない蒸発処理設備等を用いていたといったことが判明してございます。  こういった問題につきましては、原子炉等規制法上問題があると考えておりまして、この取り扱いについて今後さらに調査検討を行う予定でございます。  なお、周辺環境モニタリングにつきましては、専門家によって構成しますデータ評価検討会において分析をしてございますが、これまで環境、健康に影響を及ぼすようなものは発見されてございません。  また、ほかの事業所につきましても同様な問題がないかどうか調べてございますが、これまでに同様な事態はないことを確認したところでございます。  また、今回の立入検査につきましては、今後とも継続してまいります。  なお、動燃事業団周辺ボーリング調査等を行ってございまして、この施設周辺放射性物質が漏れ出していないかどうかを見きわめるために、そのデータが得られ次第、専門家によりますデータ評価検討会において検討評価を行う予定にしてございます。  以上でございます。
  15. 山下栄一

  16. 加藤康宏

    説明員加藤康宏君) 引き続きまして、予算執行の問題について御説明をさせていただきます。  三ページの「問題点」のところにつきましては、先ほど大臣から御説明いたしましたので省略させていただきまして、四ページ、「予算執行に関する調査」のところにつきまして御説明いたします。  動燃事業団に対する調査によりまして判明した主要な点といたしまして、まず「予算執行状況」でございますが、当該施設用に計上されていました予算が実際どのように使われたか、その結果につきまして、契約書類回議書帳簿等調査及び現地設備整備状況調査を行いました結果、これまでの調査では適正に執行されておりました。  二番目に、「予算実行乖離の問題」でございますが、平成六年度に建屋工事予算が認可されているにもかかわらず、当時の東海事業所長ピット周辺での作業は極力目立たないように進めることを遂行上の条件の一つとしていたこと等から、二年後の減容処理施設完成まで工事着工をおくらせたことがわかりました。  平成七年度以降、既に予算実行乖離しているにもかかわらず、一度敷いたレールは容易に変えられないとの認識があったこと等により、予算要求上のスケジュールを変更しなかったこと、それからなお、昭和五十八年、五十九年度に貯蔵ピット内廃棄物調査移転経費、これは額は少額ではございましたが計上されていたにもかかわらず、内部の腐食状況、他の貯蔵庫の保管能力等から整理に着手しなかったことがわかりました。  そのほかの問題といたしまして、平成五年度以降、予算要求編成作業の際に、当局といたしましては、貯蔵ピット改修に関する必要な予算措置はしておりました、事情も聞いておりましたが、安全局情報を十分伝えていなかったことを反省しております。  それから、アスファルト事故後に行いました一斉点検におきましても、当該施設につきましては本来点検対象にもかかわらず対象から抜けていたことがわかりました。  今後の対応といたしまして、これらの事情につきましては近く報告書を取りまとめる予定でございます。さらに、動燃事業団の全事業所につきましても、科技庁の新法人タスクフォース調査をいたしておりますが、これにつきましても大臣が言及いたしましたので省略させていただきます。  以上でございます。
  17. 山下栄一

    委員長山下栄一君) 次に、同問題について、動力炉・核燃料開発事業団から発言を求められておりますので、これを許します。近藤参考人
  18. 近藤俊幸

    参考人近藤俊幸君) 一昨年の「もんじゅ事故、本年三月のアスファルト事故に続いて、今回のウラン廃棄物貯蔵施設の長期間にわたる極めて不適切な管理等が明らかになり、先生方を初め多くの皆様に多大の御不信、御迷惑をおかけしてまことに申しわけございません。  東海事業所の本施設は、昭和四十二年から四十六年にかけて建設された貯蔵施設で、原子燃料公社時代ウラン鉱石の製錬等で発生したウラン系不燃性廃棄物を保管しておりました。  今般、廃棄物を詰めたドラム缶滞留水により腐食するなど、極めて不適切な管理状態にあったこと、またこれに関連した不適切な予算に関する問題が明らかになりました。  施設内に滞留した水のくみ出しは今月十二日に終了し、今後、来年一月末を目標に廃棄物の搬出を完了することとしております。なお、これまでの河川水井戸水分析の結果では、環境及び健康への影響はないとの評価を受けておりますが、周辺への漏えいの有無を確かめるため、本施設周辺環境モニタリングボーリング調査を続けて進めてまいります。  以上が本件についての経過と現状でございますが、本件を初め一連事故等により、原子力に対する社会信頼を大きく損ねたことを深く反省しております。  この反省を踏まえ、改革を進めるため、第一に、社会に安心していただく施設とするための総点検を実施しております。安全上、社会上、事の大小を問わず、管理のあり方も含め動燃のすべての施設設備を総洗いし、隠れた問題がないか、すべてを出し尽くすよう点検し、その結果出された問題点には直ちに対処してまいります。  第二に、品質保証活動の強化を行います。事業団のすべての業務について、一連の流れをチェックし業務の質を高めるための改善が必要であると考え、安全確保社会信頼確保及び業務品質確保観点から業務品質保証活動を行っております。  第三に、意識改革を図ってまいります。動燃は、原子燃料公社以来の古い体質を引きずっている面もあり、安全意識社会性の点において一般社会との乖離が大きいと痛感しております。この乖離をなくしていくため、職員がとるべき行動を明示した行動規範を定め、全職員に研修、教育、評価を行って意識改革を図ってまいります。  以上の改革を通じて全職員意識改革体質改善を進め、事業団抜本的改革にさらに不退転の決意で臨む覚悟でございますので、先生方の一層厳しい御指導をお願い申し上げる次第でございます。
  19. 山下栄一

    委員長山下栄一君) これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  20. 鹿熊安正

    鹿熊安正君 質問に入る前に、このたび就任されました谷垣科学技術庁長官、おめでとうございます。また、加藤政務次官さん、どうもおめでとうございます。  それでは質問に入ります。  日本の原子力政策に深刻な影響を与えた動燃のこれまでの幾つかの不祥事について、すなわち一昨年の高速増殖原型炉もんじゅ」の火災事故、ことし三月のアスファルト固化処理施設爆発火災事故、そして今回明らかになったウラン廃棄物貯蔵施設のずさんな管理等が、その地域の住民はもちろん国民全体に大きな不安を与え、原子力行政に対する信頼を著しく損なったことは言うまでもありません。  本日ただいま谷垣科学技術庁長官より、動燃問題に対して所見をお聞きいたしました。  それでは、谷垣長官に御質問申し上げます。  問題の重大さを認識されて、就任早々休日を返上して動燃東海事業所施設や「もんじゅ」、「ふげん」を視察され、現場職員と積極的に意見交換をされたと伺い、非常に結構なことだったと思います。  そこで、原子力政策は国家的重要な施策であるという観点から、動燃一連不祥事について総合的にどのような印象を持っておられるのか、率直な気持ちをお聞かせください。まず第一点であります。
  21. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) ただいま鹿熊先生が御指摘になりましたように、一昨年暮れの「もんじゅ」の事故、それからことしに入りまして東海村でのアスファルト固化処理施設事故、それからこのたびのウラン廃棄物の不適切な管理、こういう一連の問題が出てまいりまして、しかも事故自体も重大でございますけれども、その後の処理につきましても甚だ不適切と申しますか遺憾な面があったわけでございます。  このことは、先生指摘のように、まず立地をした地元皆様に大変な不安感を与えているということがございます。それから、広く国民皆様原子力に対する不安なり不信というものを植えつけました。それからまた、我が国原子力政策遂行していく上でも非常に大きな問題を生んだ非常に重大な問題であるというふうに認識しております。  こういう不信感不安感を取り除くために、動燃につきましては、ことしの八月一日に動燃改革検討委員会報告書が出たところでございますけれども、私自身動燃根本的改革、これが私に課せられた一番大きな仕事ではないかというふうに考えております。動燃のうみをすべてこれから出し尽くしていく。そして、新たな法人として出直す覚悟で真に国民信頼される体制に組みかえていきたい。このために全力を挙げて取り組みたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
  22. 鹿熊安正

    鹿熊安正君 全くそのとおりだと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いをいたします。  次に、動力炉・核燃料開発事業団法に基づき、昭和四十二年十月二日に平和目的に限り設立された動燃に対して、平成九年度までに政府出資額累計は約二兆四千億円に達しており、それがすべて国民共有の財産となる研究開発費であるという点を科学技術庁において決して忘れずに、先ほどから長官が申された動燃問題に対する取り組みの姿勢原子力行政全体に浸透させていただきたいと思います。これは強く要望いたしておきます。次に、ウラン廃棄物貯蔵施設のずさんな管理の問題を通して、動燃一連の問題の根源をただしてみたいと思います。  まず、今回の問題においては、貯蔵施設内に水がたまり、ドラム缶が水に浸って腐食し、滞留水ウランが溶け出すなどのずさんな管理を数十年にわたり放置してきた動燃事業団責任は大変重大なことでありますが、この問題を過去に科学技術庁も知っていたと聞いて唖然といたしております。動燃ウラン廃棄物貯蔵施設のずさんな管理を十五年も前に指摘しておりながら、その後改善したかどうかも確認もせず放置してきた科学技術庁は、この監督責任をどのように受けとめておられるのか、また現在どのような措置をしたのか、説明をしてください。
  23. 池田要

    説明員池田要君) 先生指摘のとおりに、今回問題となってございますウラン廃棄物貯蔵ピットにつきましては、昭和五十七年に、すなわちこの施設ができましてから十二年ほどたった段階でございますけれども、当庁職員がこの事業所状況調査を行った機会がございました。  この施設は、そもそもウラン廃棄物を貯蔵しますような施設につきましては、つくる段階許可段階では必ずしもと申しますか、法律上、役所が施設検査等を行うようなことにはなってございません。こういった私どものむしろ任意調査によりまして現場を見る機会がございました。その際に、底の方に水がたまっていたといった事実を見ております。そうしたことから、その水を取り除くこと、それから廃棄物に異常があった場合についての、管理についての必要な指導を行ったところでございました。  そういった改善指示に対しまして、当時、約一カ月後に動燃事業団からは改善状況について文書で報告を受けてございます。底の方にたまっておった水たまりは除去をした、それから対策に時間のかかる事項につきましては後日二次報告として報告するといった内容の答えでございました。しかしながら、この報告がないままに時間を経過したといったことでございました。  本件につきまして、その後動燃事業団がどのように対応したかといったことにつきましては、現在まだ立入検査の一環として調査中でございますけれども、科学技術庁といたしましても先生指摘のとおりに、こうした現場を見る機会がありながら、組織としてその際に問題の所在ということを認識できておれば、改めてその調査を行うなど継続的にその解決に取り組むことができたのではないかと考えられるところでございます。この点は私ども反省しなければならないと考えてございます。  現在どうしているかといったお尋ねでございますけれども、今回このような時間を経まして、現状のような甚だ問題がある状況がわかってまいりました。現在立入検査をしているところでございますけれども、こういった状況を通じて問題点を明らかにすると同時に、このような不適切な状況は可能な限り早く改善するよう事業団に対して指導してまいりたいと考えております。
  24. 鹿熊安正

    鹿熊安正君 さらに、科学技術庁平成五年度の概算要求をまとめるのに当たって、動燃から今回漏れていた廃棄物処理状況について報告を受けていたにもかかわらず適切な措置、そして確認を講じていなかったのはどういうわけか、今ほどの話の中でもう少し詳しくお聞かせ願いたいと思います。  また、同施設の改修のための予算についても、どのような事業執行が行われていたかも確認せずに、しかも予算の大部分が施設改善することなく、ほかに流用されていたとのことですが、流用はある程度会計法上認められていたとしても、限度額もあることだし、これら一連のことについてもっと詳しく内容をお聞かせ願います。
  25. 加藤康宏

    説明員加藤康宏君) 平成五年度の予算要求の際に、ピットの改修のための予算要求があった際に、その中で、ピットの下に水が少したまったり、あるいはドラム缶腐食がある、そういう説明を受けておりまして、当局といたしましては、改修が必要だということで予算を要求してつけていただいたわけでございますが、そういう実態を安全局の方に知らせておけば、あるいは安全局からのチェックが入って、もっと改善が進んだかもしれないという意味で反省をしているわけでございます。  それから、予算の問題でございますけれども、平成五年度からつけていただきました予算につきまして、一部その部分を使いましたが、それ以外のものにつきましては、例えば動燃事業団では、主としてプルトニウム燃料の第一開発室あるいはユーティリティー施設の安全の維持のための設備更新、そういうものに使いましたし、当時IAEA、国際原子力機関からプルトニウム関連施設の中にプルトニウムがたまっている、そういうところをもっと明確、確定しなければいけないということがございまして、それに関連した事項等に充当させていただいたということでございます。  先生指摘のように、一般論としては弾力的、効率的な執行が認められているとはいえ、今回そのような安全管理に関するような改修費、それを止水工事等応急措置だけに使いまして、抜本的な対策を講じなかったということが一つ問題でございますし、また改修計画の変更があった段階で、その状況予算要求に反映しなかった、これまた問題と考えております。  我々としましては、そのような予算執行状況を十分把握してなかったという反省の上に立ちまして、例えば今後は数年間かかるような工事につきましては、現場予算要求を聞いてチェックする、そういうようなことを織り込みながら現場状況を把握しながら予算の要求ができるような改善を考えていきたいと考えておる次第でございます。
  26. 鹿熊安正

    鹿熊安正君 そこで、流用額については限度額というものがあると思いますが、限度額がどの程度まで許されておるのか、それは各省庁が別々に限度額があるのかどうか、それも含めてちょっとお聞かせ願います。
  27. 加藤康宏

    説明員加藤康宏君) 動燃事業団の場合は、国の認可する予算というところで流用についての制限がされておりますが、それにつきましては、例えば給与とか退職金とか福利厚生費、そういうようなものに使う場合は、科学技術庁長官の承認を得て行いなさい。例えば、途中で給与改定されますと給与をふやさなきゃいけませんが、そういう場合は承認を得てからそちらに使うわけでございますが、一般的には目的ごとの事業に使ってもいいということでございまして、流用額として上限を幾らにするというようなことにはなっておりません。
  28. 鹿熊安正

    鹿熊安正君 先ほど長官からいろいろと説明を聞いたのでありますけれども、重複してお尋ねする点もあろうかと思います。  このような事態に至ったのは、動燃から提出される報告書のみを信じて現場に足を運ぼうとしなかったのか、現場に行ったのに気がつかなかったのか、それとも黙認すべきと判断したのか、いずれにせよ科学技術庁姿勢にも問題があると思います。  今回の問題を踏まえ、今後、立入検査の徹底や不時検査を頻繁に行うなど、現場を重視した安全管理規制を徹底すべきだと考えます。これまでどのような内容の立入検査を行ってきたのか、今後事故再発の防止が本当にできるのか、率直にお聞かせ願います。
  29. 池田要

    説明員池田要君) 今回、問題となってございますウラン廃棄物貯蔵施設でございますけれども、原子炉等規制法上、この施設は、つくります段階での施設検査でございますとか、あるいは原子炉施設等に要求されますような定期検査の対象とはなってございません。このような施設につきましては、必要に応じて保安規定の遵守状況調査でございますとか、あるいは使用状況調査等を行いまして、私ども施設管理状況を確認しているところでございます。  この施設につきましては、先ほども御指摘ございましたように、昭和五十七年に調査の一環で現場を見る機会がございました。問題点指摘し、改善を指示するというチャンスがあったわけでございますけれども、その後継続的な取り組みができなかったといったことで、この点は非常に私ども重大なこと、反省しなきゃならないことと考えております。しかしながら、そもそも法律あるいは規則に書いてございます技術基準等、そういったものを守るというのが規制法上の約束事でございますし、事業者はそういったことを自主的に履行する義務を負っているわけでございます。  しかしながら、今回そういった約束が守られていなかったといったことが動燃一連事故ないしは今回の問題を私どもに突きつけたわけでございまして、こういったことにつきまして私ども大変貴重な教訓と考えてございますし、御指摘のように抜き打ちで立入検査を行うとか、そういったことを初めとしまして、現場をより重視した実践的な安全規制を行う必要がある、厳格な安全管理に取り組んでまいる必要があると考えておるところでございます。
  30. 鹿熊安正

    鹿熊安正君 そこで、法的に技術基準とおっしゃいましたが、この技術基準に乗ってやっておられたのでありましょうが、このような災害あるいは事故が発生した場合にこの技術基準ではまだ徹底的に、それらの事故が発生しやすい場面が生じたんだから、この技術基準を改正しなければならないという問題があるとすれば率直に大胆に基準を改善されて、そしてその衝に当たるのが科学技術庁としての監督責任ではなかろうか、かように思いますので一応要望をしておきますが、今のところはそういったことはございませんか。
  31. 池田要

    説明員池田要君) 先ほど私お答えの中で触れました技術的な基準でございますけれども、このような放射性廃棄物を廃棄しますときにはしかるべき容器に入れる、あるいはそれから漏出することがないように管理をするといったことについて、規則の中に幾つかの項目が明らかに書いてあるわけでございます。  そういったことを見ますと、今回のように施設の中に水が入り、それが容器の腐食ということも招いているといった事態を考えますと、そういった技術基準を守る上で適切な措置がされていたといったことではないわけでございます。  こういったことにつきましては、特に周辺の時代状況が変わったからどう変わるということでもないかと思いますし、むしろ放射性廃棄物管理しますときにはきちんと閉じ込めるといった、それから日ごろからその点検ができるといったことにつきましては常に変わらない基本的な要件の一つだと思っております。そういったことが今後とも現場できちんと事業者によって守られることが必要だと考えているところでございますし、この基準の履行につきましてはそれぞれ現場においてしかるべき努力がされているわけでございます。  私ども今回、動燃のこの施設事態にかんがみまして、ほかの事業所につきましても一斉に点検をいたしました。そうしたところ、ほかには同様な事態はないということは確認したところでございますし、そうしたことを考えますと、むしろこの施設特有の、当初施設を設けます段階、そういったときに十分な配慮がなされなかった、そういった事情について私ども今回立入検査をしているところでございますし、経緯等その他調べましたところで明らかにしていく必要があると考えているところでございます。
  32. 鹿熊安正

    鹿熊安正君 私に与えられた時間がもうそろそろ来ておりますので、もう一点だけお伺いさせていただきます。  私、今後この事故再発の防止ができるかどうか、この気持ちもちょっとお聞きしたがったんですが、それは最後に長官にひとつお尋ねすることといたしまして、もう一点は、動燃のこれまでの一連不祥事については、動燃だけの組織の問題というよりも、原子力行政の体制そのものに根差す問題と考えます。原子力に対する不信感不安感国民の生命を脅かす重大事故を繰り返し、そのたびに虚偽の報告を重ねたことで社会全体に広まっております。それを払拭するために、科学技術庁責任問題を含めて原子力行政の体制に相当の荒療治が必要であります。  これからの日本のエネルギーを考えたとき、より原子力に期待をし依存しなければならないという現実を踏まえ、最後に原子力行政責任を持つ科学技術庁長官の決意をお伺いいたしまして終わります。
  33. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 動燃の問題、あるいは科学技術庁責任があるのではないかという御指摘もございました。私はこの問題を考えるときに、動燃という組織は我が国核燃料サイクルを推し進めていく上で中核的な施設でございますから、我々科学技術庁がはしの上げおろしまで一々指図をし監督をしなければならないということでは本来情けないことだと思うんです。動燃改革の目的も、動燃動燃としてみずから責任を持って安全対策も講じ、物事を処理していく体制でなければいかぬと思います。  しかしながら、科学技術庁動燃業務現場を十分把握して、そして適切な安全監視や業務指導をしていればいろんな一連不祥事は防げたかもしれないと考えますときに、科学技術庁にも反省すべき点が多い。動燃科学技術庁の間で適切な緊張関係を保てなかった面があるのではないか、こういう気もいたすわけであります。  今後、調査も継続しまして適切な対応をとらなければならないと思っておりますが、私、十五日に東海村を視察しまして、先ほど御指摘ウラン廃棄物処理等につきましても、なぜこういう問題が長い間放置をされていたのか、昔はそれでいいと思っていたのかもしれませんが、現在の国民の気持ちからすればいささかずさんであるということは否定できない。それが長い間放置されていたことに私は奇異な感じ、奇異という言葉がいいかどうかわかりませんが、現場に行きましてそういう奇異な感じを持ったわけであります。  科学技術庁としても、先ほど先生が御指摘のように、やはり自分の目で現場を見て、現場はどういうふうに処理されているのかということをみずから現場を踏んで知る必要があるのではないか、そういうところから科学技術庁意識改革をしていかなきゃいけないと思っております。  それから、こういうことを二度と起こさないようなことができるのかという鹿熊先生の御指摘でございますけれども、これは本当に根本的な問題でございますが、情報の公開とかできるだけ透明度を増して安心をしていただくようなそういう努力も講じ、それから地元の方との対話とかそういうことも講じて、安全性の徹底のために私も全力を傾けてやらせていただきたいと思っております。
  34. 鹿熊安正

    鹿熊安正君 以上で終わりますが、長官の力強いお言葉をいただきまして、それを信じて、ひとつしっかり頑張ってください。よろしくお願いいたします。  終わります。
  35. 海老原義彦

    海老原義彦君 今、鹿熊先生から東海事業所ウラン廃棄物管理問題についていろいろと御質問がございました。また、長官から、今後そういうことのないように前向きに検討していくんだという御答弁もいただきました。  私は、今回のウラン廃棄物保管庫の問題は、長官もおっしゃいましたけれども、非常に奇異な感じがする、不思議なことでございます。これだけほったらかしにしておった。予算もありながら予算は他の緊急な目的に流用しておった。だけれども、他に緊急な目的の業務があるとしても、放射性物質の防護ということはより以上に緊急だと思うんです。そういうことからこの件について質問したいこともございます。  しかし、もう一つ考えてみますと、本件は今まで動燃が起こした数々の事故の中ではどちらかというとウエートの低い問題であった。一番最初に起こりました「もんじゅ」のナトリウム漏えい事故、これは大変な問題でございました。これが起こってから一年ちょっとで次の東海処理工場のアスファルト充てん施設における火災爆発事故が起こった。これが今までで最大の事故だと思うんです。これは動燃の体制が本当にどうなっているのかと思わせるような事故でございますので、私はこの問題に重点を置きまして質問をいたしたいと思います。  まず最初に、東海処理工場の火災爆発事故について、新聞報道によりますといろいろな事実が伝えられておりますが、二つほど摘示いたしますので、新聞報道は本当か、それとも誤りかお答えいただきたいと思います。これは動燃の御当局からお願いします。  まず第一点は、事故の数日前からエクストルーダーの運転方法の変更、廃液供給量を毎時二百リットルから百六十リットルに下げるというそういう変更が行われたということ。それから第二点は、この変更の結果、事故の前日という新聞もありますし二日前という新聞もありますが、いずれにせよ一両日前からエクストルーダーの中の温度が異常に上昇して、廃液とアスファルトとの混合物が柔軟化とか体積増加とか、そういった現象が見られるようになった。  この二点について新聞報道は正しいのかうそなのかお答えいただきたいと思います。
  36. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) お答え申し上げます。  アスファルト処理施設におきまして、事故が起きましたその数日前からでございますが、エクストルーダーの運転方法のうち、幾つか条件がございますけれども、そのうちの廃液供給量に関しまして毎時二百リットル、それから百八十リットル、それから百六十リットルというふうに段階的に下げていっております。したがいまして、先生今御質問のように、下げて運転をしたということは事実でございます。  二点目でございますが、事故当日の一両日前からでございます。この一両日と申しますのは、二日ほど前には若干温度は上がりましたけれども、ちょっとした措置をしましたらすぐ下がったという状況もございましたので、一両日と申し上げるわけでございますが、御指摘のようにドラム充てん時にアスファルトのはねが生じるといったような従来よりは柔軟になっていたことがございました。また、アスファルト混合物の充てん量の減少、すなわち体積増加が認められておりますなど、運転状況が通常と異なっているということが観察されておりました。これらのことがその後の調査から明らかになっております。  しかしながら、エクストルーダー内の温度がどの程度上昇していたか、また、この廃液の供給速度を下げたことがどのように事故にかかわっているかにつきましては、現在原因を究明しているところでございます。
  37. 海老原義彦

    海老原義彦君 前回の当委員会で私が質問しましたときに、エクストルーダーの運転方法というのはベルギーのある会社で確立した技術によってマニュアルどおり行われてきたんだということを答弁しておられますけれども、廃液の供給速度を二割も減少させるというようなことは本当にマニュアル上許されておるものなのか。もとのマニュアルでは安全上の見地からそういうことはないんじゃないかと私は疑っているわけでございます。  と申しますのは、運転速度を落とすということはそれだけ煮詰めるということでありまして、煮詰めるということはつまり硝酸ナトリウムの濃度が濃くなる。より多くの硝酸ナトリウムがアスファルトの中へまざっていってしまう。そうすると、硝酸ナトリウムとアスファルトをまぜるということは、私前にも申しましたが、これは非常に危険な作業でございまして、硝酸ナトリウムの割合が一定基準以下でなきゃならぬということは当然あると思うんです。そういった意味から、余り硝酸の濃度を濃くするということは危険でありますけれども、そういったことが本当にマニュアル上許されておるのか。  また、あのときベルギーの技術という御答弁がございましたが、あるいはドイツの技術という御答弁も後にあったようでございますけれども、いずれにせよ、そういったことが現技術開発社のマニュアルで許されておるものかどうかということを次に伺いたいと思います。
  38. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) 三月十七日にございました当委員会におきまして、先生の御質問に私、硝酸ナトリウムの配合量につきましてベルギーでの実績、それからベルギーと動燃との間での共同実験等を踏まえた上で内部基準を定め、実施しておりますという旨お答えしたかと存じます。先生のおっしゃるとおりでございます。  ところで、エクストルーダーの運転でございますが、動燃が作成いたしましたマニュアルに従ってこの日も運転をいたしておりました。このエクストルーダーの設計、製作におきます設計基準といたしまして、今先生がおっしゃいました硝酸塩とアスファルトの比率が五〇対五〇、半々以下、塩の濃度が半分以下ということで決めておりまして、私ども実験の結果、それが四五以下であれば常に安全な状態であるというふうに実験の結果から内部基準にそれを定めておるところでございます。  したがいまして、その場合のアスファルトの供給量というのは三十五キログラムと一定でございますので、仮に溶液の量を下げたといたしましても、先生指摘のように塩の濃度がふえるという形にはならないわけでございます。アスファルトを出す量が一定でございますので、塩の量はむしろ下げていることになりますので、ふえることにはならないかと存じます。  いずれにいたしましても、そういった設計基準の中で溶液の速度をどんどん下げてまいりますと、今度は実はアスファルトがかたくなって機械が動かなくなります。そういうような設計条件がございまして、その設計条件からまいりますと、百二十リットル・パー・アワー以下にいたしますと機械が動かなくなるということで設計されております。  そういうことが念頭にございまして、百六十リッターというのは二割の減少になりますけれども、それほど運転上問題がないんではないかという認識をしていたということがその後の調査でわかっております。しかし、先生がおっしゃいましたように、安全上、特に火災防止の観点からは廃液供給の速度の変動幅についてもマニュアルにきちっと記載すべきであったんでございますが、この時点では記載されてございません。  いずれにいたしても、速度の問題、それから塩の濃度の問題、それから触媒の問題等もございますが、こういったいろいろな問題が重なり合わさって今回このような事故を起こしたのではないかと思っておりますが、いずれにいたしても、先生指摘のように、より正確なといいましょうか、詳細な検討をした上でマニュアルをきちっと整えておくべきであったというふうに反省をしておるところでございます。
  39. 海老原義彦

    海老原義彦君 エクストルーダーの運転方法、今までの方法からこのように大幅に変えていくということは、いずれにせよ非常な危険物を扱っているわけですから、これはあらゆる危険な可能性を予想しなければならない。そういたしますと、現場放射性廃棄物が入っている液でもってそういう新しい運転方法のテストをするというのはいかにもむちゃくちゃな話でございます。  これは、化学上同じような組成の液を、ただし放射能は含まないというものをつくって、これでテストするというのが本来のやり方、もうこれは素人が考えてもだれが考えても当たり前のやり方だと思うんです。  こういう非常識な、不可解な方法でテストをやったというのは、一体だれが提案して、だれが認めたんですか。
  40. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) 先生、前段でこうした放射能を扱うようなものについてはあらかじめ放射能のない、私ども専門用語でコールドテストと呼んでおりますけれども、そういったものをきちっと実施すべきではなかったかというまず御指摘があって、その上で、このこと自体をだれが決定したかという御質問かと存じますが、まず、今回のアスファルト固化処理技術の研究開発につきましては、今申し上げました、いわゆる放射能を含まないコールド試験を昭和四十六年以来いろいろな形で実施してまいりました。それは、先ほど申し上げました塩濃度を変えるとか、あるいは温度を変えるとか、いろいろな実験をしてきました結果といたしまして、混合比率を先ほど申しましたように四五を五五にするとかいったような結果を得ておるわけでございます。  しかし、今回の事故を、今、事故調で調べていただいておる最中でございますが、いろいろ調査してまいりますと、エクストルーダー内での酸化反応、それからエクストルーダーの摩擦による温度の上昇、さらには廃液の中に微量に含まれている金属、金属がいわゆるアスファルトとの間で酸化反応の触媒になるわけでございますが、そういったものの触媒成分の有無、それから充てん後の発熱の状況、そういったいろいろなものが重なり合わさって起きたのではないかというふうに思っておるところでございます。  しかしながら、先生指摘のように、今、私が申し上げました重なったような事象のすべてについてコールド試験をきちっとしたのかということでは、確かに抜けている点があったかと反省をしておるところでございます。  ところで、今回の操業でございますが、通常、キャンペーンの許可につきましては東海事業所長を初め部長を入れた委員会で審議をすることになっておりますが、エクストルーダーの条件とかあるいは処理量とかそういったこと、特に今回のようなエクストルーダーの中での条件等につきましては、担当の課長が下から上がってきた書類を見た上で判断をし許可をしたということでございます。そういうような手続をとることになっておりましたので、手続に従って行っております。もちろんそういうやり方でいいのかどうかということについてはただいまもう一度考察をし直しておるところでございます。
  41. 海老原義彦

    海老原義彦君 今、コールドテストはいろいろ行っておるというお話でございましたけれども、私が申しておりますのは、エクストルーダーと同じ条件にしてというよりも、むしろエクストルーダー内で、エクストルーダーに入れるのとインビトロとでは違うと思うんです。エクストルーダーの現場で実際に試験してみなければこういう現象が起こるということはわからぬと思うんです。私は本当にむちゃなことをやっているんだなという気がしてならないんです。これは放射能を扱っているんですから慎重にも慎重を重ねなきゃいけないんであづて、インビトロの試験でうまくいったからどうこうという問題じゃないと思うんです。そこら辺、十分検討していただいて、エクストルーダー内できっちりそういったコールドテストをやっておるのかということと、それからさらには、コールドテストはあるけれども、もしエクストルーダー内のコールドテストはないという状況でやっておるとすれば、最初から申しておるように、やった者の責任というのは非常に重いと思うんです。そこら辺、御答弁いただきたい。
  42. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) 先生の御指摘、実機を使ってコールドテストをやったのかどうかと、こういう御指摘かと存じます。  今、私がいろいろ条件を申し上げました中には、実機ではなくて外側でやった実験もございます。特に化学反応のような場合は外側でも代替できると思いましてそういう形でやっておりますが、いわゆる供給速度、供給速度といいますと実機を使いませんと実際その供給速度が再現できませんので、たしかそのときには実機を使ってやっておるかと思います。ただし、すべてについて先生指摘のように慎重に、さらに慎重にという意味では実機を使ってあらゆることをやってみるのが適切であったかと今反省をしているところでございます。
  43. 海老原義彦

    海老原義彦君 この事故の原因は、今、事故調で調査して、調査結果が出ればわかることでございますけれども、調査結果が出なくとも、ともかく運転方法の変更が何らかの影響をしたんだということは素人でもわかる話でございます。そうすると、この運転方法の変更が、それまでのコールドテストでは大丈夫なはずだといっても、それはやはりコールドテストに欠陥があったんだとしか言えないわけでございます。  そういう意味で、私はこういったテストが一課長の判断で行われているということをまことに疑問に思うんです。こういった非常に危険なテストが行われたということは、中野さん、あなたはいつごろ知りましたか。また、理事長、あなたはいつごろ知りましたか。
  44. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) 残念ながら、私が知りましたのは、国会でいろいろ先生方に御質問にお答えさせていただく段階の中で知った次第でございます。  なお、試験そのものでございますが、このときに実は初めてやったことではなくて、前年にも約二割ぐらいの速度を落とした形での実績もあったというようなことから判断をしたというふうに聞いております。
  45. 近藤俊幸

    参考人近藤俊幸君) 申しわけございません、私も知り得ませんでした。  このような事故を未然に防いでいくためには、現場における試験や研究について、計画、実施の段階で過去の研究成果や最新の知見に基づく事前の評価とチェック、これが十分行われるような組織体制を強化していくというふうに思っております。
  46. 海老原義彦

    海老原義彦君 理事長の今の御答弁は大変重要だと思います。  私は、理事長はせっかく動燃理事長として、いわば動燃の体制を直していくために御就任になった。ところが、動燃の体制というのは理事長一人の力じゃなかなか直らぬかもしらぬということでこういうことになってしまったということなんだろうと思うんです。これは理事長はもっと怒っていただかにやならぬ、我々と一緒になって追及する立場になっていただかなきゃいかぬ。むしろ、動燃を代表してここへ来て謝るよりも、我々と全く同じ立場で、一体おまえらは何やつてんだと職員をしかっていただかにゃいかぬと思うんです。そのために動燃理事長になっていただいたんだろうと思うんです。  そこら辺を含めてもう一回御答弁をいただきたいと思います。
  47. 近藤俊幸

    参考人近藤俊幸君) 先生の御指摘、身にしみてありがたく思います。  私も、御指摘のとおり、来てみますと、思ったよりもこの改革は大変なことだと痛感しております。今御指摘のように、今後さらに厳しく対処していきたいと思いますので、御指導のほどをお願いいたします。
  48. 海老原義彦

    海老原義彦君 次に、アスファルト固化施設に関する危機管理の問題でございますけれども、危機管理はだれが行っているんだろうか、これがどうもよくわからない。  これは前にもちょっとどなたか同僚委員質問があったかもしれませんけれども、動燃が行っているならば、こういった火災発生のときに事故現場職員が不在だったということは大変な手落ちでございます。また、現場を預かっておる三井東圧機工が行っているのであれば、火災発生のとき、危機管理について三井東圧機工は何ほどのことを知っていたか。八分間注水しなきゃならぬとか、そんな基本的なことも知らなかったんじゃないかと思うんです。  そういう意味で、やはり問題がある。そういったノウハウを十分下請にも平素教えておかなかったという動燃の体制に問題がある。この辺はいかがでございましょうか。
  49. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) 危機管理につきましては、一義的に動燃責任を持ち、動燃が行っていたものというふうに思っております。もちろん、個々の現場におきまして直接運転に携わっております運転委託会社の各社員も、それぞれが現場で任されておった者としての立場からは、そういう範囲の中で危機管理を行っていたかと存じます。  当日でございますが、平日昼間、班長がいないとか、あるいは当日また課長がいなかったとかといったようなことがございましたが、こういったような場合に、代替者を置くことなく、いわゆる居室におりまして、職員がその危機に対して対応する、指揮するというような措置を実際に行ったわけでございまして、これは極めて危機管理上は抜けていたというか、残念なことであったというふうに思っております。こうしたことがなくて、現場にすぐおり、あるいはすぐ飛び、指揮をしておれば、初期活動、初期消火開始がおくれないで済んだんではないかという反省はしておるところでございます。  また、ノウハウがきちっと運転員の方々に伝わっていたのかというお尋ねに関してでございますが、その後の調査によりますと、昭和五十八年にいろいろな消火試験等を行っております。その際に、消火試験を行った結果、もちろん消火試験だけではなくていろいろな試験を行ったわけでございますが、結果を動燃職員並びに運転委託会社の運転員の方々合わせまして十数名の方々で討議をしまして一つのレポートにまとめております。そして、こういった火災の場合にはどういうふうに対応するか、今、先生のございました八分間の消火といったようなことも含めまして議論をし、レポートをまとめておられます。  したがいまして、この施設がスタートしたころには、恐らくそういった情報が皆さんに共有された中でスタートされていったのだろうと思いますが、動燃も含め、こうした運転委託会社におきましてもそうしたノウハウがきちっと伝承されていかなかった、ここに大きな欠陥があったんではないかというふうに反省をしているところでございます。  したがいまして、こうしたことを十分にマニュアル化し、あるいは日ごろから教育し気をつけることによって、今後このようなことがないように気をつけていきたいと思っておるところでございます。
  50. 海老原義彦

    海老原義彦君 事故調査委員会で結論が出ればいろいろな問題がもっとはっきりしてくると思うんですが、事故調査委員会の結論はいつごろ出るんでしょうか。  先ほどから議論のあったウラン廃棄物保管庫の問題だとか、その後、とうとうしっかりと管理されている高放射性固体廃棄物貯蔵庫の問題まで新聞に出て騒がれておる。いかに国民動燃に対して信頼を失っておるかということのあらわれだと思うんです。  この際、速やかに事故調の結論を出さなければ、その結論に基づいて問題点をえぐり出して処分すべきものは処分する、正すものは正す、そういうことを行わなければ、いつまでもずるずるべったりにしていたら国民信頼は減る一方です。そこら辺、科学技術庁に伺います。
  51. 池田要

    説明員池田要君) 先生指摘のアスファルトの固化処理施設の火災爆発事故につきましては、事故調査委員会を毎週のように開催してございます。実はきょうもあったところでございますけれども、全面公開のもとで事故原因の徹底的な究明を実施しているところでございます。  これまでに、火災発生につきましては、このエクストルーダーの温度計の計測値よりもアスファルト混合物の温度が高かった可能性があるとか、あるいは不純物が廃液に混入したことによって硝酸塩との反応が進行した可能性があるとか、こういったことも含めまして六つほどの原因が複合的に重なった結果、アスファルト混合物の温度がエクストルーダーの運転温度からアスファルトと硝酸塩の発熱開始の温度まで上がってしまったといったことが原因となっているといったことが明らかになってきた次第でございます。  現在、以上のような状況がどのように実際複合して事象が進展したかといった、私どもシナリオと言っておりますけれども、そういった検討を行っているところでございます。こういう原因の検討に加えまして、これが後に爆発にまで至った検討、それからただいま先生指摘のありましたような運転管理上の問題点の抽出、そういった問題につきまして現在この事故調査委員会の検討は技術的な議論を深めつつございまして、私ども、現在もう既に取りまとめの段階に入っているといったことだと承知しております。
  52. 海老原義彦

    海老原義彦君 結論はいつごろ出ますか。
  53. 池田要

    説明員池田要君) これはけさほど開きました委員会におきましても、今回のほかにあとまだ三回ほどでございましょうか、数回の会合を重ねる必要があるといったことのようでございます。これは、何分にも期限を区切ってそれまでに結論を出すべきということでもございませんので、主査、それからメンバーの先生方には事故調査委員会報告自身委員会としてまとめていただく必要がございますから、公開の場で衆目環視のもとで皆さんが納得するような技術的な結論をきちんと出していただく必要がございますから、私ども事務方としましても、先生指摘のように私ども十分問題意識は持っておりますけれども、いつまでにということはなかなか申し上げられない。むしろ、急ぎながらも慎重にきちんとした議論をして結論を出していただきたいとお願いをしている状況でございます。
  54. 海老原義彦

    海老原義彦君 慎重なのは結構ですけれども、急がなきゃならぬです。あと三回やるというなら、三回の日を詰めて行うとか、そういうことで急がなきゃならない。こうやって何が何だか原因もわからないでほうっておくと、原子力というのは恐ろしいものだということだけが国民に残ってくるわけです。  原子力は、私は本来クリーンエネルギーだと思うんです、異論のある方もおられますでしょうけれども。少なくとも地球環境上問題のあるCO2を出さない。そういう意味で化石エネルギーとは違う地球環境のためになるエネルギーだと考えておる。いわばCO2削減の決め手の一つにもなるものだろうと思っておるわけです。ところが、これが放射能汚染をもたらすというようなことであったらもう問題外でありまして、そんなものは使えないぞということになる。私は国民がそういう気持ち、そういうおそれを抱くことを非常に心配しているんですよ。  でありますから、一刻も早く事故調の結論を出すと同時に、今後は無事故の実績を積み重ねて国民信頼を取り戻さなければならないと思うんですが、この点につきまして動燃理事長及び長官の御決意を伺いたいと思います。
  55. 近藤俊幸

    参考人近藤俊幸君) 私、安全意識あるいは危機管理が不十分だ、その根底にあるものを考えてみますと、どうしても今まで動燃の技術集団の傾向として、技術的なことは我々だけわかっておればいいじゃないかと、そういった独善性といいますかあるいは閉鎖性といいますか、そういうものが確かに感じられます。  それからまた、放射能に関しましては、基準値以下ならばいいじゃないか、何のための基準値だといった意識がございます。これは一般と大きく乖離しているところでございまして、一般の方は、放射能が出たか出なかったか、危険な状態にあるかないか、そこが非常に厳しく問われているところでございます。  それからまた、先ほど来エクストルーダーの話も出ましたけれども、新しい開発には結構熱意を持ちますけれども、設備の運転、保守ということになりますとどうしても関心が薄れる、事故はここから起こる、こういう問題がございます。  したがいまして、そういった乖離を埋めるためには社会に安心していただける設備、運用も含めまして、そのための総点検をここでしっかりやる。それから、品質保証活動を企業務にわたって徹底していく。それから、先ほど申しましたが、行動規範動燃マンとしてあるべき姿、社会的な常識を踏まえてどう行動すべきか、その基準をつくりまして、一人一人徹底的な研修、教育、評価をやり、またそれは人事評価にも反映させたい、こう思っております。  そういうことで、動燃体質を何としても改善していきたいと思っておりますので、さらなる御指導のほどをお願いいたします。
  56. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、海老原委員がおっしゃいましたように、原子力というのは、地球温暖化とかそういう問題に対して、化石燃料に比べるとはるかにクリーンなエネルギーである、これを何とか推し進めて成功させたい、私はそういうふうに思っておりますが、その前提が安全性だということはもうおっしゃるとおりだと思います。  今回の事故を振り返ってみますと、やっぱり事故は起こってはならないことでありますけれども、起こしたものは徹底的にそれから学ぶということがなければいけないと思います。とかく従来、原子力に関しては、臭い物にはふたと言うと語弊があるかもしれませんが、事故を隠すような体質もあるいはあったんではないか。だから、今回の場合は、先生指摘事故調査委員会でも徹底的に問題点分析してもらって、やっぱり今回の事故に十分学ぶということが私は必要だと思っております。  それから、今、近藤理事長からも今後の進め方についていろいろ御決意の披歴がございましたけれども、八月一日の動燃改革検討委員会報告書、これは私も熟読させていただきましたけれども、なかなか周到な報告書であると思っております。今、近藤理事長も言われましたように、従来、動燃はとかく研究開発というようなものには重きを置いて進んでいくけれども、運転面とか安全管理面において、ほかの産業界や日本の科学技術がつくってきた安全管理のシステム等現在の水準を取り入れていくのに必ずしも熱心でなかったというような指摘がこの報告書でも行われておりまして、そういうことができるような体質に、新しい法人に組みかえていくということでやはり安全性を確保していかなければならないと思っております。  しかし同時に、今の理事長のお話の中にもあったわけでありますけれども、組織をつくり変えるということだけで本当に安全性が確保できるのか、やはり新しい法人に参加される方々の意識改革というものがなければならないと思っております。報告書の中にもございますように、核燃料サイクルをきちっと基礎づけていく上におきまして、今まで動燃が積み重ねてきたノウハウや経験というのは、日本だけでなく世界的にも貴重なものだと私は思っているわけでございまして、何とかこの貴重な遺産を意識改革をやり遂げて新しい組織の中で生かしていけるように私も全身全霊を挙げて臨んでいきたい、このように思っております。
  57. 及川順郎

    ○及川順郎君 それでは質問させていただきます。  我が国のエネルギー政策の展開、こういう観点から、いろんな事故が起きているゆゆしき時代のときに、問題多いときに御就任になられました谷垣長官加藤次官、私は祝意とともに、どうかこの問題解決とよりよき方向へ展開できるようなリーダーシップを冒頭心から期待をいたしたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。  まず、動燃理事長、先ほど来からの答弁を聞いておりまして、もう一回私は確認をしたい点がございます。今のエネルギー産業の中で水力や風力や火力やあるいは太陽エネルギーやさまざまな利用方法というものがございますけれども、その中において原子力エネルギーに対してはいまだに賛否両論ある。しかし、その中において、我が国のエネルギー確保、エネルギー政策の展開においてこの原子力エネルギーの平和利用、これを否定したんでは今のエネルギー事業の展開は成り立たない、これは非常に私もいたく感じているところであります。  同僚委員からも発言がございましたが、クリーンエネルギーという点から考えますと、核燃料を使うというのは、放射性廃棄物があるという点においてはクリーンとは言い切れない部分がある。その点での比較から考えれば、むしろプラズマを熱エネルギーに変えていく今研究が進んでおります核融合エネルギーの方がはるかに平和利用の面でクリーンである、こういう議論も承知をいたしております。ただ、これらの政策の展開の底流で一番大事なものは何かということなんです。それは安全管理体制の確立とともに、国民が安心して信頼を寄せられるに足る事業展開、これが私は必要だと思うんです。  三月の火災爆発事故のときも私は現場にお邪魔いたしました。今回のピットの問題化した状況の中で先日私も現場を見させていただきました。大変丁寧な御説明をちょうだいいたしましたが、私は、一つの技術水準として考えた場合に、現在問題になっているピットはかなり前のものかもしれませんが、浸透水が出るようなピットでは、本当に放射性物質を安全管理する、処理する、貯蔵するものとしては失格だなと。私は、表現がどうかということはありますけれども、仮設住宅に例えるならばその部類かなと、こういう感じをいたしました。  いみじくも私は、その中において、やはりこれは安全管理に対する職員の人たちや関係者の緊張感、それから事業展開に対する厳格さの欠落だろうかということも考えましたけれども、今、理事長がお答えになった中で、むしろ我々だけがわかっていればいいという思い、それから安全基準以下であればいいという思い、この考えが事業展開をする当事者に上から下まであったならば事故はなくならない。  もし理事長がこのことを本当に思っておられるならば、生命にかかわる危険物の取り扱い、安全管理体制の確立ですから、理事長もその責任の上に立って、命がけでこの改革をなし遂げていこう、そういう姿勢動燃にも、それから所管の科技庁あるいは資源エネルギー庁にもそういう緊張感がぴんと出たときに、そして、それが持続的に具体的に目に見えるような形で国民の前に展開されたときに、失墜した信頼を取り戻す第一歩が始まるんではないか、こんなぐあいに思うんです。ぜひこの点について、まず理事長の所感を伺いたいと思います。
  58. 近藤俊幸

    参考人近藤俊幸君) 今、先生指摘のように、現場を見ていただいて、あの状況は技術水準からいって一応保たれているかもしれないけれども、見たところああいう管理状況は失格だとおっしゃいました。私も失格だと思います。  三十年前に建設されたものではございますが、やはり外の目、社会の目というのは年とともに非常に厳しくなってきております。恐らく、外が変わってきておるにもかかわらず動燃自体の変わり方が非常に遅い、あるいは変わっていない部分もあるやに感じます。何としても、この時代に合った管理、先ほど申し上げましたように、動燃の方では基準以下ならばいいじゃないかというふうな感覚がまだ残っておると私は感じ取っております。  それに対して、先ほども言いましたように、社会の感覚は非常に鋭いものになっておりますので、これに当然合わせて、また、本来放射能は危険なものでございますので、本来そうあるべきだと思いますが、もっと厳しい管理を今後やっていく必要がある。そのためには、手法だけでなくて根本になる意識改革をぜひともここでやらねばならぬというふうに思っております。これにとにかく真剣に取り組んでいきます。よろしく御指導のほどをお願いします。
  59. 及川順郎

    ○及川順郎君 くどいようですけれども、もし自分たちだけがわかっていればいいというような考え方を持つ者があったらかわってもらう、この意識を明確にして今後ぜひ取り組んでいただきたい、こう思います。  具体的な問題について伺いたいと思いますが、ドラム缶の中身です。一般に報道されている状況は承知しておりますけれども、こういう事態が発覚して問題化されてから、あの中身について検査、検討をされましたでしょうか。
  60. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) まず、あのピットの周りの状況でございますが、先生御視察いただきましたように水がたまっておりましたので、その措置といたしまして、まず中の水を全部出しました。ごらんのようにさびたドラム缶もあり、また非常に配列も悪く、あのままの形では取り出せない状況になっております。したがいまして、中の観察はまだ行われておりません。  この後、ピットの上をあけるためには、上に建屋を建ててきちっとした管理をしなきゃなりませんので、建屋を建てて、その上でピットにふたをあけ、中を調査していきたい、そのように思っているところでございます。
  61. 及川順郎

    ○及川順郎君 ドラム缶の中身を取り出そうと思えば取り出せます。マンホールの寸法から考えますと技術的にそれは可能です。問題は、もし仮にそれができないとしたならば、これを貯蔵したときからの記録の保管状況はどうなっていますか。
  62. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) 規制法に従いまして、こうしたピットの中に廃棄物を保管する場合には、数量それから内容物等につきましての記録を保管することになってございます。現在までのところ、調査をいたしておりますが、いかんせん昭和四十二年ころからのものでございまして、まだ発見されておりません。そういう状況でございます。
  63. 及川順郎

    ○及川順郎君 記録が保管されている状況がきちっとないということ自体がもうずさんそのものです。危険物を貯蔵し管理するという姿勢がここでも欠落していると言わざるを得ない、大変申しわけないけれども。  資料としてお願いして出していただきましたけれども、ピット内にあるドラム缶の本数は数字として伺いました。その中で、腐食して穴があいているのはどのぐらいの推計と見ておられますか。
  64. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) 先生の御要請がございまして、ピット内にございます現在のドラム缶の数が、いろいろの調査の結果からおおよそ二千本ぐらいではないかということで報告させていただいております。  腐食したドラム缶の数量でございますが、現状では上の方の観察はできますが、下の方のドラム缶に関しましての観察ができない状態でございまして、数量の把握が困難な状況にございます。今後、詰めかえ作業等を行っていく中で確実にしていきたいと思っておるところでございます。
  65. 及川順郎

    ○及川順郎君 これは中の状況がつまびらかになっておりませんから、現状ではやむを得ないところだと思います。問題は、貯蔵ピットの中の放射能数値ですけれども、これは測定した数値がございますが、この測定した状況が安全基準値と比べてどうだったのか。また、周辺のことも言われておりますけれども、動植物などの生態系に対しては影響がない、こういう先ほどの御答弁がございました。これを裏づけるものはどういうものかということをもう一度お答えいただきたいと思います。
  66. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) 現在、調査中ではございますが、ピットの中のウランの濃度につきましては既に測定をいたしておりまして、ウランの濃度といたしましては、一番高いもので十三ベクレル・パー・ミリリッターでございます。この数値は、ピットから水を放出する際の基準値、これはトータルアルファについて申し上げておりますけれども、一掛ける十のマイナス三乗ベクレル・パー・ミリリッターに比べますと数万倍のオーダーになるわけでございますが、一応ピットの中にあるものということで、今の比較は排出する場合の基準と比較した次第でございます。  そこで、周りに影響がないのかということにつきましては、事件後、このことが発覚いたしました直後にも直ちに実施いたしましたし、また、従前私どもの事業所周辺にございます家庭用の井戸水とか河川水あるいは河底土等の中のウランの濃度等々を分析してきております。  そして、その結果につきましては先日も国の委員会の方に御報告させていただきました。その範囲の中では、特に環境への影響、人体への影響、健康への影響はないというふうな御評価をいただいておるところでございます。
  67. 及川順郎

    ○及川順郎君 これも持続的な状況の中でなお正確に今後実態をつまびらかにしていただきたいと思います。  視察の際に、私、お願いをしましていただきました書類に目を通させていただいた中に、滞留水処理施設も拝見させていただきました。その処理方法とか処理の濃度、水の濃度ということについては御説明の中でよく理解できましたが、問題は、まとめました資料の中に、ピットの中の状況滞留水の多い槽の放射能濃度はすべての排出基準と比較して約十倍程度、ところが滞留水のわずかな槽の放射能濃度は十の三乗から十の四乗倍の濃度がある。このことは、空間の多いところは濃度が高いわけですよね。水があるところの空間の少ないところは濃度が低いと。ということは、かなりこれはドラム缶の中身が高い放射能濃度の廃棄物じゃないかということが、これは中身を見てみなきやわからないが、推定されると。  ですから、そういう意味でもなるべく早い時期に中身をサンプリングでもいいから取り出して、そして調査を急いでいくべきではないか、私はこのことを強く要望いたしたいと思いますが、それに対応する姿勢はございますか。
  68. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) 先生、中身について今御言及されましたので若干つけ加えさせていただきます。  あのピットの中に入れてございますドラム缶の中身につきましては、昭和四十年代初めから四十年代後半にかけましてあそこでウラン製錬を実施いたしておりました。そのウラン製錬の工程から出てまいりました廃棄物がまずナンバーワンピットを主体にいたしまして保管されておるものと推測いたしております。  また、ナンバーツーピットにつきましては、これは過去の記録からかなり明らかになっておりますが、それらの製錬施設を解体いたしましたときに出てまいりました建築物とかあるいははつりましたコンクリートとか、そういったものが保管されておるようでございます。  現在、写真なども調査の中で出てきておりますので、今後も調査を続けていきたいと思っておりますが、中のウラン濃度等につきましてはできるだけ早い時期に測定はしてみたいと思いますが、ただ固体廃棄物でございますので、なかなかそういった放射能の測定という意味では技術的に難しい点がございます。まずは中身を確実に確認をし、そしてそれらのものが全体としてどの程度汚染されているものかといったようなことを確実にしていくべきではないかというふうに思っております。  私どもも、先生おっしゃるように、できるだけ早い時期にそういった調査に入りたいと思っております。
  69. 及川順郎

    ○及川順郎君 三月の火災爆発事故の後、施設の総点検をおやりになったというふうにさっきお話しになりました。ところが、報道等によりますと貯蔵ドラム缶施設だけは対象外になっていた、これが今回科学技術庁の立ち入りで明らかになったわけです。  理由は何だったのかということなんですが、その後中野理事が記者会見で発表して、点検しなかったことは故意ではないと聞いている、非常に重要な問題なので経緯を詳しく調べると。調べましたでしょうか。もしお調べになっていたとしたならば、その結果について御開陳いただきたいと思います。
  70. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) 先生指摘の、私が記者会見の中で当該ピットが安全総点検から外れていたので、これについては故意ではないとは信じるけれどもきちっと状況調査いたしたい、御報告申し上げたいということで、九月五日の記者会見で答えております。  その後、調査をいたしました結果につきましては、九月十一日に記者会見をいたしまして、改めて調査状況を発表させていただきました。  その内容でございますが、本社及び東海事業所の私ども安全担当のレベルでは、一斉点検対象がこのアスファルト固化施設の爆発の後でございましたので、火災爆発にかかわる施設に関して一斉点検を行うという認識が非常に強うございました。もちろん、詳細に私どもが立案した計画書の中には、そういうものをまず重点的にやるとともに、放射線を取り扱うような施設についてはすべてということはきちっと指示の中に書いておったのでございますが、どちらかというと今申し上げましたような火災爆発にかかわる施設という認識が非常に強うございまして、まずはそういったところから施設がリストアップされていったということでございます。  この点検リストを現場で検討いたしました際に、担当者が貯蔵ピットが抜けているんではないかという報告現場責任者報告しております。それに対しまして、現場責任者は、一斉点検対象が火災爆発にかかわる施設という認識が非常に強かったために、簡単にそうではないかと思い込んで、それはいいんじゃないかということで除外してしまったようでございます。  また、一斉点検にかかわる計画をつくっていた時期でございますが、ちょうど東海アスファルト事故の虚偽報告が行われたことが発覚いたしました。また、当時、東海事業所での幹部の更迭があったりいたしました時期で、非常に本社及び所の幹部が一連対応に忙殺されておりましたために、十分なこうしたリストのチェックがなされないままに、結果として除かれた形で安全総点検が実施されたというふうに考えております。  先ほども先生おっしゃられましたが、私も新聞記者会見で言っておりますが、何度も当人たちに確認をいたしておりますが、意図的に隠そうとした意思はなく、一斉点検対象が火災爆発にかかわる施設という誤った認識が強かったために生じたものということで新聞記者会見で報告させていただいております。
  71. 及川順郎

    ○及川順郎君 そうしますと、宮原監事が九日の記者会見で、この問題に関連して、安全上の問題はないと判断した、外部に管理の実態が知れるくらいなら工事を急ぐ必要はないと考えた、世間に説明してもわかってもらえない、手間がかかるだけだと。隠ぺい工作、そういう指示をしたかのようなことが報道されておりまして、衆議院におきましては、参考人で出てきてくれと言ったが病気を理由に出てこなかった。この発言は、今の関連でいいますと宮原さんの個人的な考え方であって、今の報告が実態であるというぐあいに受けとめてよろしいですね。
  72. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) 宮原所長の発言に関してでございますが、私、書類等を送りまして、現在入院中のものでございますから、当人から直接面談して聞いたわけではございませんけれども、いろいろ伺った上でまとめて申し上げますと、いわゆる宮原監事御自身が所長時代に、ピットの中を観察されたときの感想として、管理上好ましい状況ではないけれども、安全上特に問題があるというふうには考えなかったという感想を言ったようでございます。  したがいまして、彼の発言はどちらかといいますとその当時の考え方として申し述べたものではないかというふうに思っておりまして、今回のリストアップから除かれたものとは直接的には関係していないというふうに私ども考えております。
  73. 及川順郎

    ○及川順郎君 きょうの段階はその御答弁をそのまま受けておきたいと思います。  なお、宮原さんにはその辺のところは直接お聞きする事態があるかもしれませんので、今後当委員会において開催される時期がありましたときには委員長にその取り計らいをお願いすることがあるかと思いますので、その点もぜひそのときには取り計らいをお願いしたいと思います。委員長、いかがですか。
  74. 山下栄一

    委員長山下栄一君) 承りました。
  75. 及川順郎

    ○及川順郎君 科学技術庁は、調査官がピット内の浸水を指摘したというのは十五年前ですね。その後ずっとこの水がたまっているのが引き継ぎ事項になっている。具体的にどんな引き継ぎ事項だったんでしょうか。
  76. 池田要

    説明員池田要君) ただいまの件は動燃事業団の中でどういうふうに引き継がれたかということかと存じましたけれども、私ども役所の……
  77. 及川順郎

    ○及川順郎君 いやいや、動燃ですよ。動燃の所長の引き継ぎ事項を答えてください。
  78. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) 大変失礼いたしました。科学技術庁の中でというふうに伺ったものですから、手を挙げませんでした。  昭和五十七年に、先生、先ほど来御指摘のように、科学技術庁の立入調査におきまして貯蔵ピット内の管理改善指摘されております。これを受けまして事業団といたしましては、当時五カ年計画で廃棄物の詰めかえ、移転の計画を立てまして概算要求を直ちに実施いたしたわけでございます。概算要求を行いまして、五十八年、五十九年に廃棄物調査、移転費をちょうだいいたしております。  この計画に基づきましてピットの中を点検いたしましたところ、ドラム缶状況をさらに詳しく調べ、その結果をもとに工事方法等の詳細検討が必要になったと。要するに、もっと細かく見ないとなかなか工事方法が定まらないということ。それから、科学技術庁による立入調査の際に、移転先に予定しておりましたウラン系廃棄物貯蔵庫の管理状況改善についても御指導がございまして、その作業をまず優先すべきではないかといったようなことを総合判断いたしまして、これらのピットのものにつきましては減容処理施設の見通しがついてから処理するといったような経緯がございました。  その後、六十年には本件につきまして担当部におきまして報告書が作成されておりまして、ウラン系廃棄物屋外貯蔵ピットの現況と問題点ということで引き継がれております。また、六十一年及び平成元年の組織改正におきましても、本件につきましてはそれぞれ当時、担当部が技術部から環境工学開発部、さらに平成元年には環境施設部という違った組織になっていっておるわけでございますが、引き継がれてきております。  その後、平成四年に至りまして貯蔵ピットの改修につきまして事業団としての概算要求をし、現在に至っておるわけでございまして、部の中でこうした問題があるということにつきましては引き継がれておりますが、具体的に先生がおっしゃいましたように、どういう書類でどうなってということにつきましては、特にこれこれこうで引き継ぐよといったような書類はございませんが、そういう問題があるということは認識しておるところでございます。
  79. 及川順郎

    ○及川順郎君 大体、人の記憶だとかしゃべったとかというのは忘れちゃうものですから、やはりきちっとした書類をもってやるのがもうイロハです。そういうところがまだ全然緊張感、厳格さ、こういうのを一貫して私は申し上げておりますが、その点が欠落しているということを指摘せざるを得ません。  それからもう一つ現地へ参りまして、茨城県や周辺自治体から非常に情報公開についてあるいは連携についていろいろ声がありました。地元自治体等につきましては、原子力施設周辺安全確保及び環境保全に関する協定書を取り交わしておりますね。ところが、現状管理状況の隠ぺいがあったり報告がおくれたり、あるいは当然守られているという状況評価できるような状況で機能していないという声が非常に強くあります。先月の二十七日にも県と周辺十四市町村が立入調査を行って具体的な申し入れを行っていると。  ですから、この周辺自治体と住民の不安を取り除くために、連絡、連携、事故が起きたときの通報、これに対してどういう改善策を考えているのか、簡潔にお答えいただきたいと思います。
  80. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) 地元と締結しております安全協定をきちっと遵守していくということが信頼関係を築く上で非常に大事なことは先生指摘のとおりでございます。地元の自治体への通報連絡に関しましては、安全協定があるか否かにつきましては自治体の御判断もあるかと思いますが、本件につきましては、安全確保のために動燃といたしましてはできるだけ速やかに連絡すべきというふうに考えております。  具体的にどんな措置をとったかという先生の御質問でございますので、私どもといたしましては、先ほど理事長が申しておりましたように、事の大小を問わず、できるだけ速やかに外側に向かって発信をしていくということをベースにいたしまして、地元の市町村並びに県それから隣接の市町村等々にもこういった情報をできるだけ早く出していくということで改善を進めておるところでございます。また、消防署等の関係機関につきましては、ホットラインといいましょうかをつけまして、すぐに連絡がとれるような方法をとったりいたしておるところでございます。
  81. 及川順郎

    ○及川順郎君 三月の火災爆発事故の後、原子力発電関係団体協議会から出された要望書の中に「地方自治体への通報義務を国と同じく制度化すること」というのが第四項目めに盛り込まれております。これは科技庁と資源エネルギー庁両方に対しての要望になっておるわけでございますが、どういうぐあいに具体的な対応を考えておられますか。
  82. 池田要

    説明員池田要君) 御質問にございました緊急事態が発生しましたような場合に、第一報の通報を初めとしまして、例えば放射性物質の放出の状況でございますとか事故の推移、こういった情報が国ばかりでなく地方自治体にも迅速かつ正確に連絡される必要があると私ども考えております。そのための体制整備をしなければならないと思っているところでございます。  この点につきまして、先ほど御指摘ございましたように、五月の段階原子力発電関係団体協議会から御指摘がありましたような要望が出されてございます。  私ども事業者からこういった地方自治体への連絡につきましては、災害対策基本法に基づきます地域防災計画、それから事業者と自治体との間の安全協定、こういったものによって既にいろいろと定められているところではございますけれども、さらに原子炉等規制法の運用によって改善できないか。例えば保安規定等にいろいろ緊急時の措置等を決めておるわけでございますけれども、そういった過程でこういった通報につきましても何らかの格好で位置づけるといったことができないかといったことにつきましても検討してまいることとしてございます。
  83. 平岡英治

    説明員(平岡英治君) 原子力発電関係団体協議会の通報に関します御要望につきましては、私ども資源エネルギー庁の方も承っておるところでございます。  原子力発電所におきます通報の問題につきましても、万一緊急の事態が発生したような場合につきましては、災害対策基本法に基づく防災計画といったようなもので電気事業者から地方自治体への通報というものは定められておるわけでございます。また、緊急時に当たらないようなトラブルの発生におきましても、電気事業者と地方自治体の間で締結しております安全協定等に基づきまして迅速、適切に通報連絡を行うということになっておるものと承知しております。  当省といたしましては、地方自治体、具体的には県とか市町村ということになりますが、この通報連絡につきましては、国に対する通報連絡と同様、迅速かつ適切に行うということが重要と考えておりまして、この点で電気事業者に対して厳しく指導をしてきておるところでございますが、地元理解協力が大前提でございますので、今後とも引き続き適切な指導を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
  84. 及川順郎

    ○及川順郎君 制度化するということで理解してよろしいですか。
  85. 平岡英治

    説明員(平岡英治君) 通報義務というものにつきまして、法律上の要求とすることについてはいろいろ検討すべき事項が多いかと考えておりますが、今現在、地元と電力会社の信頼関係で安全協定というものがございまして、この遵守について徹底的に指導していくという方針をとっておるところでございます。
  86. 及川順郎

    ○及川順郎君 制度化する方針を確認しているというぐあいには今の答弁では受けとめられないんですよ。制度化するという方向で取り組む、このことを強く要望しておきます。あなたに言ってもしょうがないから。  次の問題に移ります。一般紙で報道されております予算の流用問題です。  予算の八割ぐらいが目的外に流用されていると。このことについては先ほどの答弁で法的に問題はないと承りましたが、その理解でよろしいですか。
  87. 加藤康宏

    説明員加藤康宏君) 一般論といたしまして、動燃事業団におきましては動燃事業団法の規則等におきまして弾力的、効率的な執行が認められております。そして、最初に申し上げました予算の流用の際には人件費等の特殊なものを除きまして監督官庁の許可等を要することになっておりません。
  88. 及川順郎

    ○及川順郎君 今度のことは問題ないと。問題であるかないかと、そこだけです。  私の認識では、動燃事業団法施行規則に基づいて今のような判断が出てきたというぐあいに認識してよろしいですか。
  89. 加藤康宏

    説明員加藤康宏君) 施行規則に従いましてそういう判断をしておる次第でございます。
  90. 及川順郎

    ○及川順郎君 第十条にあるんですが、「事業団は、支出予算については、当該予算に定める目的のほかに使用してはならない」、原則論を定めてありますね。目的をどのように限定した形で予算を計上したか、こういうことなんです。お答えいただけますか。
  91. 加藤康宏

    説明員加藤康宏君) 動燃事業団予算につきましては、目的と申しますのは、例えば高速増殖炉の開発に要する経費が幾ら、新型転換炉の開発に要する経費が幾ら、それから今回当該のものは燃料の開発でございますから燃料の開発に要する経費が幾ら、そういうような形で一応整理してございます。
  92. 及川順郎

    ○及川順郎君 ちょっと今の答弁では……。では、一つ限定しましょう。原則としてはやってはいけない、これは原則でしょう。この解釈はどうですか。
  93. 加藤康宏

    説明員加藤康宏君) したがいまして、その目的が高速増殖炉の開発に必要な経費は高速増殖炉の開発のためにだったら使えるわけです。それ以外のことについてはそうでないわけでございますが、現在この当該のものにつきましてはその目的の中でございますので、我々はこの規則で言っております流用とは言っておりません。
  94. 及川順郎

    ○及川順郎君 ただし書きのところであくまで例外、例外規定を盾にそういうことを言っていると思いますけれども、今回の流用の内容、理由、本当に事実上適切、必要であったのかどうなのかということは、私は今の答弁とは変わった見方をしております。  というのは、国会は予算審議をする場ですから、予算計上されたものを審議して、決められた予算の八割、報道で言うならば八割がほかのものに流用されている。これを例外あるいはまた例外規定、ただし書き規定で釈明するというのは無理がある、私はこう思います。これは谷垣大臣が私の方のこっち側の質問する側に立ったときも同じような考え方に立つと私は思います。これは無理である、こう思います。  もしこのようなことを本当にこれからも続けると言うならば、これは予算、決算でこういう予算執行についてのあり方について引き続き私は追及せざるを得ない。少なくとも今回の出来事を謙虚に受けとめて、以後こういうことのないように予算の計上、執行については改めるという姿勢を私は持ってもらいたい。この点についての御答弁をいただきたい。
  95. 加藤康宏

    説明員加藤康宏君) その点はまさしく先生の御指摘のとおりでございまして、今回安全管理上重要な改修のために予算化された経費を止水工事等応急措置に使いまして、抜本的な対策を講じなかった。あるいは予算要求におきまして計画変更があった段階で、その変更された計画で予算要求しなかった。こういうことはまことに問題でございまして、今後そういうことがないように適切な指導をしてまいりたいと考えている次第でございます。
  96. 及川順郎

    ○及川順郎君 長官の見解も伺っておきます。
  97. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、加藤局長が申しましたように、本来、適切なウラン廃棄物処理をできるような目的のために予算がとられたものでないかと私は思っておりますが、それが止水工事等応急措置に使われた。それから、そういう変更をされたのに、以後その形で予算要求がなされていないというのは私は甚だ不当だと思っております。  そこで、見て奇異な感じがするということを先ほど申しましたけれども、今までの大体の私たちの常識ですと、予算がとれなかったから仕事ができないというのは今まであったわけでありますけれども、予算がとれているのに本来の目的のために使われていない、ここに私は非常に奇異な感じを受けているわけでございます。  でございますから、予算執行状況等業務状況調査、これを今までも実施してまいりましたが、今後も引き続き調査を行いまして、問題点をえぐり出した上で適切な対応改善措置を講じなければならないと思っております。
  98. 及川順郎

    ○及川順郎君 今回の一連事故がやはりいろんなところに影響が出ているのは否めないと思うんです。私たちも当委員会に籍を置いて責任を分かち合っている者としてはこういうやりとりはなくて済むならばないにこしたことはない、こういう思いはみんな持っていると思うんです。今回のようなことを二度と繰り返さないという状況の中でぜひこれから取り組みをしていただきたい。  ただ、私が憂慮しますのは、今回の一連事故核燃料リサイクル技術の今後の研究開発とか実用技術開発に影響が出てくるんじゃないか。現に、プルサーマル計画の実施に備えた同使用済み燃料の再処理技術を研究していた動燃の工場は三月の事故以来閉鎖になっておるわけです。  それから今、電力会社が立地自治体においてこれを何とか理解を求めようとしているけれども、地元の住民の反感や自治体の理解が得られているという状況には立ち至っていない、むしろ不信感や反対の声が増幅している、こういう状況があるわけです。  非常に残念なことですが、こういう状況を踏まえまして、これらの計画見直しを含めて、科学技術庁資源エネルギー庁としてはこの問題にどういうぐあいに取り組んでいこうとしておられるのか、これは非常に私は関心のあるところ。きょう、私は、これに対して所見を伺いたいと思ったんですが、動燃改革検討委員会報告書にもその位置づけも明確じゃない状況の中で答弁を求めるというのは時期尚早かなと思いますので後に譲りまして、最後に長官質問して私の質問を閉じたいと思っております。  今回の橋本内閣の行革会議では、科学技術庁解体論が焦点の一つになっている。中央省庁の削減改革では、理念を置き去りにして数合わせだど、こういう批判も非常に強い、そういう指摘もある。こういう状況も承知しておりますが、長官は過日の記者会見で、一連動燃不祥事を教訓といたしまして、解体して新しいものをつくる気持ちでないとモラルの立て直しはできない、繰り返し起こるのはモラルが欠如している証拠であると、非常に私は適切にごらんになっているな、こういうぐあいに率直に思いました。  この改革に対する取り組みというのは、これは動燃改革だけではなくて科学技術庁にも、科技庁改革にもやはり当てはまることではないか。縦割りでもって今省庁が少なくなって仕事を分散させれば済むという問題じゃない。そういう状況の中で、私は、科学技術創造立国として立ち行く我が国の将来性というものは私も同じ方向を見ているわけでございまして、この点についての長官の所見を求めまして私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  99. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、行政改革は橋本内閣が六つの改革の中の一つに位置づけまして推し進めておりまして、私としても一番今重要な政治課題である、これに協力をしなければならないと思っております。  先般八月に取りまとめられました行政改革会議の中間報告でございますけれども、これはこれから議論が煮詰められる、一読いたしまして、非常に議論が進んでいるものとまだ十分に煮詰まっていないところが私は率直に言ってあるように思うんです。  それで、科学技術関係では、今、及川先生指摘になりましたけれども、科学技術行政とそれから教育・文化・学術行政を統合して文部・科学技術省をつくろう、それから、内閣府に人文・社会・自然科学を総合した総合科学技術会議というものを設置して強力な調整を行おう、こういうふうにされているわけです。これは、先ほど申しましたように、まだ大きな方向性を示したもので、これから議論を煮詰めなきゃいけないと思っておりますが、私は、及川先生がおっしゃったように、科学技術創造立国というものをきちっと位置づけていくということが、我々この行革に臨む上でも基本的な視点でなければならないと思うんです。一府十二省にまとめていくという大きな方向が出ておりますから、それを前提として考えますと、この文部・科学技術省というのは一つの方向だとは思うんです。  ただ、科学技術政策を後退させないという観点から申しますと、大学等で行われている学術研究というもの、これは学問の自由とか大学の自治とかいうことが当然なければいけないんだろうと思いますが、私どもが推し進めなければならない科学技術政策というのは、かなり長期的に幅広い見地から行わなければならないというまた別の要請があるわけでございまして、そういう科学技術を推し進めていくという観点が後退しないような形でこれから議論をさせていただくということが肝要ではないか、こんなふうに思っておりまして、今後ともいろいろと御指導をお願いする次第でございます。
  100. 及川順郎

    ○及川順郎君 終わります。
  101. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 民主党・新緑風会の中尾でございます。  ただいまの質疑あるいはこれまでの質疑を伺っておりまして気づいたことを二、三点、質問通告にはございませんけれども、御質問申し上げたいと思います。  私も、この問題について先週の十七日の参議院決算委員会で、予算流用問題を中心に質問させていただきました。その際、これまでの「もんじゅ」あるいは東海村の火災爆発事故、「ふげん」、そして今回の事故等々の背景にあるものは何かということを私はお尋ねしましたら、近藤理事長が、先ほど来も答えておりますように、動燃技術者特有の閉鎖性にあると、一つは。もう一つは、社会一般への常識のずれ、いわゆる安全性へのずれ等々にあるということを重ねて答弁されました。  私は先週の委員会理事長に重ねて伺ったのは、動燃技術者のみの閉鎖性ではない、少なくとも今回の事故には、東海事業所長といういわゆる事業所の最高責任者が非常にかんでいる。ですから、私は理事長の発言を聞いていまして、これだったら動燃改革は難しいなと思ったんです。もちろん技術者の閉鎖性もあるでしょう。しかし、私はきちっとお答えいただきたかったのは、動燃そのものの管理体制、いわゆる管理責任者の問題が第一義的にあると私は答えていただきたかったわけです。このことについてはもう結構です。  それから、先ほど池田局長の話を、ただいまの及川先生とのやりとりを聞いていまして、ここにも問題があるなと思ったんです。少なくとも予算の目的外使用、例えば架空の存在もしない建屋の予算要求をなさる。そうしたいろいろな、一般の国民から見て非常にこの予算の使われ方はおかしいぞと指摘しているわけです。確かに動燃事業団の施行規則十条にはあります、ただいまも質疑にもありましたけれども。しかし、答弁の中に最初に出てくるのは、例えばそういう法律に書いてあるじゃないか、例外規定にあるじゃないかということだけが先にあって、突き詰めていくとやはり責任はあると刀なぜ一般国民の目線に立った答弁ができないのか、私は非常に腹が立ってしょうがないんです。  ただ一つ救われるのは、長官発言でございました。国民の目線に立ってきちっと答えられている。業務状況調査をしなきゃいけない。私は新長官に期待するところはそこでございます。ぜひともその国民の目線に立ってやっていただきたい。初めに言い逃れしようということが、私もこの二月からずっとこの問題やってきていて、言い逃れ先にありきじゃだめなんですよ。  ですから、いろいろ聞きたいんですが、関連してお伺いしたいのは、先ほど来の質疑の中で情報伝達の話がなされていました。私も、当委員会で再三、情報伝達は簡素なシステムが必要だ、それから現場の発見者、例えば警報が鳴ったときにすぐ地方自治体に、先ほどホットラインと言いましたけれども、そういうシステムが必要なんだ、迅速が先にあって、その後に確実性がついてくると。迅速かつ確実と言っているからだめなんです、今まで。まず一義的なものは、住民に知らせることではなくて、地方自治体の担当者に第一報を迅速に送ること、そのシステムを簡潔にすることを私は指摘してきました。迅速かつ確実ではだめなんです。まず迅速ありき、続いて第二報は確実性の問題なんです。  これについて、中野理事にお答えいただきましたね、今どんなようなことをやっていますか。
  102. 中野啓昌

    参考人中野啓昌君) 従来の委員会でたびたび先生から通報連絡の迅速化について御指摘いただいたことは御指摘のとおりでございます。その後、ハード面それからまたソフト面、両方の面からさまざまの改善を行いつつあるところでございます。  具体的に申し上げますと、東海事業所、全事業所でございますが、まず一番最初に第一報を入れるということから一斉ファクスの設備を全事業所に入れました。この一斉ファクスの相手先でございますが、地方自治体それから主なる部落の代表者の方、そういう方も含めて、東海事業所の場合でございますと、第一回だけで四十回線から五十回線ぐらいたしか使ったかと思います。数字につきましてはまた後ほど正確に申し上げたいと思いますが、そういう改善を行っております。それから、先ほど申し上げましたようなホットラインをつけるとかといったハード面の訓練をさまざま行っております。  一方、ソフト面でございますけれども、要するに、いろいろなことをやってみますと、どういう情報をどういうふうに伝えるかという訓練が日ごろ行われていませんと幾らハードがそろってもちゃんと情報が伝わらない、それがよくわかりました。それで、ただいま二、三の事業所におきましては、宿直者には毎晩訓練の一斉ファクスを入れさせるというようなことをここ数カ月続けております。いましばらく続けていきたいと思っておるところでございます。
  103. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 マニュアルだけをつくってマニュアルを覚えて、ようやく習知したときに課が変わるということはあるんですよ。ですから、マニュアルを見たんですけれども、すごい、屋上屋を重ねている、それはやめていただきたい、簡潔にしていただきたいと要望を申し上げます。  それでは、ウラン廃棄物管理に関する問題を何点かお伺いします。  科技庁は、八月二十六日から原子炉等規制法に基づいて立入検査を行っております。今までの調査を踏まえて、この炉規法等違反があったと判断しているか、もしあったとすればどの点か、いわゆるどういった部分か示していただきたいと思います。
  104. 池田要

    説明員池田要君) これまでの調査によりますと、貯蔵ピットの内部に水がたまっておって、その水から放射性物質が検出されていること、それから容器の一部に腐食があること、それから内容物についての点検、監視をすることが困難なピットの構造になっていること、こういったことに加えまして、この貯蔵ピットに保管されております放射性廃棄物の記録が保存されていないこと、それから、貯蔵ピットにつきまして許可申請と違って防水モルタル施工をしていないといった事実が明らかになったこと、それから最近、滞留水処理を行った際に法律に基づきます許可を得ない施設を使用していたことなどがこれまでに明らかになってございます。  こうした点につきましては、法令上問題がある事項と考えております。
  105. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 先ほど来から質疑もありましたけれども、貯蔵ピット廃棄物の内容について今も御答弁がありましたが、正確な記録が残っていない、内容の把握がなかなかできない、ドラム缶の中身が、昭和四十年代の初めなので、ナンバーワンピットウラン製錬の工程から出てきたものであろうというようなことが先ほど来の質疑にございました。そして、貯蔵ピット内のドラム缶の数量についても今なおはっきりしていないということでございます。  このような動燃廃棄物に対する管理状況、ずさん管理、これは保安規定上違反しているのではないかと思われるんですが、いかがでしょうか。
  106. 池田要

    説明員池田要君) 放射性廃棄物を廃棄します場合には、事業者は、原子炉等規制法に基づきまして、放射性廃棄物の種類、数量及び放射性物質の数量、それから容器の数量及び比重、それから廃棄の日時、場所及び方法、こういったものを記録いたしまして、廃棄施設を廃止するまで保存しておかなければならないといったことになってございます。また、保安規定においても同様に定めているところでございます。  そうした意味では、保安規定に違反ということがいかがかというお尋ねでございますけれども、むしろ法律上の規定に対して問題があるといったことをまず申し上げなければなりません。  こういったことから、現在、廃棄物の記録がいかがかといったことも調査しているところでございますけれども、備えられていないといったことを確認したところから、今後、この調査の過程で、こういったことにつきましての規制法上の取り扱い、こういったことにつきましてもさらに検討する必要があると考えております。
  107. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 昭和五十七年の四月に科学技術庁が保安規定遵守状況調査として調査を行ったと先ほどの質疑もございました。その結果に基づいて、ピットの底に水たまりができているので、その水を取り除くこと、また廃棄物の異常の有無を定期的に確認することと指示した、これは任意の調査であったというふうにお聞きしました。  これを受けて、動燃は文書で、底の水たまりの除去を完了し、適切な点検方法等を検討する旨一カ月後に回答してきたと。残念ながら、科学技術庁は、その後、指示どおり適切な対応が行われていたかどうかをフォローアップしなかったということで、今回の問題の背景にあるフォローアップがなかったと私は指摘してもいいのではないかと思います。  問題のあることを認識しながら、なぜその後フォローアップ、いわゆる実際に確認することができなかったのか、放置しておいたのか、科技庁内部のどのシステム、どの仕事のやり方がまずかったのか、お聞きしたいと思います。
  108. 池田要

    説明員池田要君) ただいま御指摘の点につきましては、確かに御指摘のとおりに、五十七年の四月に私ども任意の調査によってその現場を見る機会がございました。  その際に、問題点指摘して改善を指示したわけでございますけれども、ただ指摘しつ放しということではなくて、それを確約させるために事業団から一カ月後に文書による報告を受けたといったことでございました。その際に、廃棄物の異常の有無を確認しなさいといったことにつきましては、時間がかかるといったことから、改めて第二次報告として出すといったことで約束をしていた次第でございます。しかるに、その報告が出ないままに時間を経過してしまったといったことでございました。  この間、事業団がどういうふうに考えていたといったことにつきましては、以前の御質疑の中で事業団からその経緯につきましての御報告はございました。私ども、こういった事情につきましても現在まだ私ども自身確認する必要もございますので、立入検査の一環として調査をさせていただいているところでございます。  ただ、今御指摘のように、科学技術庁自身がそういう指摘をし、事業団からの改善報告を求める状況のままで時間を経過してしまった、その後、継続的にフォローすべきだったのではないかといったことでございました。確かに、この点は当時、職員が見ました現状を私ども聞いておりますけれども、底の方に水たまりがあったといったことでございました。  それから、廃棄物状況につきましても、適切でないといったことを含めて先生から御指摘のあったような指摘をしたわけでございますが、その当時に、将来の、その後ドラム缶が浸るほどの水が入るといったこともあるいは予見されておれば、それなりのフォローもできたのかもしれません。むしろ、そういった意味で、私どもこういう指摘をし、かつ、その後のフォローが必要なような事態があったときに、組織としてそれを受けとめて、たとえ時間がかかり担当者がかわるようなことがあっても、しっかりそれを見逃さないような仕組みを確保する必要があるのではないかと考えております。  こうした点につきましては、今回の件を大変貴重な教訓だと思っておりまして、私ども、こういう現場に問題が生ずることがないように教訓を生かして取り組んでまいりたいと考えております。
  109. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 ぜひ今回の教訓を生かして取り組んでいただきたいと思っております。  会計検査院、見えていらっしゃると思いますけれども、会計検査院では科学技術庁に対しても九月十日から定例検査を行ったということでございますが、動燃のいわゆる予算流用に関する経緯や背景についてどのような説明を受けられているのか、また動燃からの予算要求に関して、実態を把握せずに予算を認めていた科技庁の対応について会計検査院はどのような認識を持っておられるのか、お答えいただきたいと思います。
  110. 小川光吉

    説明員(小川光吉君) 会計検査院は行政から独立しております官庁で、今現在検査もこの問題について実施中でありまして、詳細には答弁は御容赦いただきたいのでございますけれども、先ほど来本委員会科学技術庁の方から答弁があったようなことと同様の説明を受けているところでございます。  それから、後段の科学技術庁対応についての本院の見解でございますけれども、検査院といたしましては、科学技術庁の認可に基づく予算でございますので、予算そのものを取り上げて、その適否につきまして言及するということはなかなか困難でございますけれども、予算執行の結果を検査しまして、その結果、不適切な事態が現に生じていると認められるような場合については予算についても言及するということがあるわけでございます。  今回の流用に関する問題につきましては、科学技術庁予算執行の結果をもう少し調査した上で結論を出していきたい、そういうふうに考えているところでございます。
  111. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 質問通告していなかったんですが、先ほどの関連でちょっと質問したいんですが、いわゆる予算流用の問題なんです。  動燃事業団法施行規則第十条に「当該予算に定める目的のほかに使用してはならない」ということと、それから適用除外といいますかただし書きがありまして、「ただし、予算の実施上適当かつ必要であるとき」と。これは必要であるという話は先ほどから何度も聞きました。しかし、この前に「適当」という言葉がございます。いわゆる理にかなったということだろうと思いますけれども、今回の一連のこういういわゆる予算流用について、現にかなった、「適当」という規定に当てはまるのかどうか、所見を承りたいと思います。
  112. 小川光吉

    説明員(小川光吉君) 先ほど来、団の施行規則の十条について御議論があっているわけでございます。  形の上と申しますか、十条の規則からだけで判断いたしますと流用は認められる、先ほど科学技術庁さんの方から答弁がありましたけれども、というふうに思われます。  しかし、先生おっしゃいますとおりに、予算の実施上適当かつ必要であるかどうかということにつきまして、今後いろいろな、多角的と申しますか、事態がかなり長い年月継続している、認可された予算が使われていないとか、あるいは実態にそぐわない予算が認可されているとか、そういうことが長いこと続いているというようなこともございます。  したがいまして、そういうところの原因でありますとか、なぜそうなったかということでありますとか、そういうことをきわめてみませんと、予算の実施上適当かつ必要であるかどうかという判断は今のところなかなか困難でございまして、今そういうところも視野に入れながら検査を実施しているところでございます。
  113. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 あと残り一分三十秒になりまして、最後に長官、ひとつよろしくお願いいたします。  今回の一連不祥事、第一義的には動燃にある、これは疑うところではないんですが、やっぱり科学技術庁責任も大きいと私は言わざるを得ません。また、原子力委員会原子力安全委員会のあり方も問われているのではないかと思っております。  長官原子力委員長という地位でもありまして、こういった点についてどう認識され、どう改革していくのか、簡単に一分以内でお答えいただきたいと思います。  これで質問を終わります。
  114. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、中尾先生がおっしゃいましたように、一連の問題に関しまして、科学技術庁がやっぱり現場をよく把握して適切に指導監督をしていれば不祥事ないし事故が防げたのではないか、こういうふうに考えますと、科学技術庁責任というものは私は否定できないと思っております。  この点についても私もいろいろ考えていかなければならないと思っておりますが、現場の把握というものができていないということが今の問題の一つの基本でありますので、やはり現場をよく踏んでみずからの目でみずからの行政課題を確かめていく、こういう気風をもう一回起こす必要があるのじゃないか。そういう実態を把握し、それを踏まえた業務監査の実施等に取り組んでいかなきゃならぬと思っております。  また、原子力委員会についてもお尋ねがございました。  ことしの八月一日に委員長談話を発表しておりまして、その中で、今般、類似の事故の再発を防ぎ得ず、動燃のあり方を根本的に問われる状況を招くに至った状況等を真摯に受けとめる、新法人の運営に係る原子力委員会責任を果たしていくということが述べられております。  私といたしましても、科学技術庁長官あるいは原子力委員会委員長として、動燃を抜本的に改革して、原子力行政への国民信頼をもう一回回復することができれば政治家として甚だ責任を果たせる、このように考えておりまして、全力を挙げて取り組みたいと思っております。
  115. 山本正和

    ○山本正和君 大変難しい時期に長官に御就任でございます。また、政務次官も大変難しい状況で御就任でございまして、御苦労が多いかと思いますが、頑張っていただきたいと思います。  私は、きょうは時間が余りありませんので少し感想めいたことを申し上げて、最後に御決意だけ聞いておこうと思います。  私は三重県でございまして、三重県の南島に原子力発電所をつくろうという計画が出たのが四十数年前、なかなかうまくいかないというので、現在は政治家としては我々の大先輩、大御所でございますが、中曽根さんが初めて大臣就任した、科学技術庁長官です。そこで三重県にお見えになって、何とか南島でひとつつくってくれ、こういう要請に来られたわけです。ところが、その当時南島というあの町はブリの大敷があり、大変豊かな町だった。そんなことから漁師が非常に強い反発をいたしまして、中曽根さんが来たら船をみんなで囲んで、ひしゃくで船の水をかけた。長官は服がびしょびしょになった。大変憤慨されました、本来暴力行為ですから。そうすると、三重県警は何をしているんだということになりまして、数百人の者が召喚、場合によっては留置、起訴数十名という大事件があった。その孫たちが今一生懸命まだ南島の原発に反対しているんです。  要するに、住民の理解を得ずにこの種の問題をやることがいかに困難であるか。三重県では現在、この南島問題に対してはどういうことを言っているかといいますと、要するに、これは安全である、その確認を国が保証する。そして住民の合意それから公開、こういうふうな原則が確認されなければ、どうしてもこれは南島に原子力発電所をつくるのは反対だ、こういう空気に今なっているんです。  先ほど海老原委員からもお話がございましたが、私どもの党の中でも、原子力というだけでアレルギーを来すのもおるんです。そうじゃないのもおるんです。やっぱり今の日本のエネルギー状況から見て、現在あるものをやめろとか、あるいはなしていいとかいうことにはならぬぞという議論も真剣にやっているわけですね、今。しかし、それだけに科学技術庁が果たさなければいけない原子力行政における役割というのは非常に大きいと私は思うんです。その中で実はこういう事故が起こってきたと。  これは、先ほど海老原委員がおっしゃったように、恐らく国民の間に大変な不信感が生まれたと。これを直すには、これはもう長官政務次官も本当に大変な時代に御就任になったということで、御苦労を私は思うわけでございます。  そこで、きょうのいろんな議論も聞いておりましたが、やっぱり一つ情報公開の問題だろうと思うんです。要するに、今までの動燃なら動燃が取り組んできたことについて、本当に国民の間にしっかりと情報が提供されておっただろうか、そして国民的な論議ができただろうか、この部分があります。  私は、実は浜岡の原子力発電所にも行きまして、随分勉強もした。そうしたら、浜岡の原発は何か事故一つあったら運転を停止しますと言うんです。それぐらい住民に責任を持ってやりますということを言っているんです。それでもなかなかいろんな問題があります。あるけれども、少なくともそれぐらいの気持ちでもって浜岡の原発をやっているというのを私は見てきたんです。  ですから、これは動燃が、本当に民間の電力会社がそれなりの思いでもって一生懸命やっているという中での問題というものと共通認識にやっぱり立っておったんだろうかという疑問ですね、ちょっと私が心配するのは。  そういうことと、情報を公開して、浜岡へ行ったらだれでもどうぞ見てくださいといろんなものを見せるんです。そして、原子力のよって来る理念まで、展示場があってそこでいろいろ書いてある。また、世界のエネルギー事情はどうですと、みんなあるんですよ。ですから、そういう情報公開が十分にされているということがなかったら、これはもうなかなか大変な問題だろうというふうに私は思うんですよ。  あわせて科学技術庁というのは、実はやっぱり名前のとおり科学技術庁ですから我が国科学技術の展望を切り開く役所だろうと私は思うんです。そうすると、これは正直言いまして、ちょっと質問をすると、いや太陽光なんてだめですよという話になるんです。  実は、私は今度自分の家を直すので屋根を太陽光エネルギーにするんです、キャノンのやつでね。三・九キロワットできる、私の家一軒で三・九キロワット。すると、百万戸ありますと一体どれだけになるか、これはちょっと計算してみたんですけれどもね。私の家を直すのに幾ら金かかるかといったら、五百万かかる。しかし、百万円は国から補助が出るそうです。当たればですよ、抽せんで当たればね。まあ、なるべく当たってほしいものだと。  そういう部分についても、実は科学技術庁、いや、こういう問題もありますよ、しかしまだ技術的には困難なことがありますよということも国民にやっぱり知らさにゃいかぬと私は思う。もちろん通産省に資源エネルギー庁がありますから、これはそこの役割かもしれないけれども、科学技術庁国民の前にいろんなものを、エネルギー問題をオープンにする。今原子力はこうなんですと、これやめるわけにいきませんと、こういう話ならわかるんだけれども、それ以外にも話を持っていくと、だめということを言われると、これはどうもということになってしまうんですね。だから、これは科学技術庁がやっていただいている、三重県で非常にありがたいものが五カ所に、すばらしいものを今つくってもらっているんですね。  それから、「しんかい」なんかのエネルギーの問題も含めて、風力も随分いろいろ指導してもらったり、いろんなことをやってもらっているんですけれども、そういうことも含めて国民に日本の国のエネルギー問題はこうですよと、しかし、皆さん、今ここにはこういうまだ欠陥がありますと、直すためにはこうしますよという格好で大胆に国民情報提供をしていただくということが何よりも必要なんじゃないかと思う。  そしてまた、過ちを改めるにはばかることなかれです。誤ったら誤っておりましたということをはっきり言って直せばいい。ところが動燃は、ちょっと最初のときになかなかその過ちを率直にお認めにならなかったということから、こういう繰り返しの事故の中で国民不信感になったような気がするんです。  そういうことを含めて、何とか新しい大臣政務次官の体制の中でひとつしっかり頑張っていただきたい。御決意を伺って私の質問を終わりたいと思います。
  116. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、山本先生からいろいろお話を伺いまして、決意ということでありますが、動燃のうみを出し切って抜本的に新しい組織にするという決意はもう何度も述べておりますので、ちょっと違った角度から申し上げたいと思うんですが、私は十五日に東海村へ参りまして、アスファルト固化処理施設、それからウラン貯蔵ピットを見まして、また二十二日は福井県の敦賀に出まして「ふげん」や「もんじゅ」を見てまいりました。  それで、率直に申しますと、先ほど申しましたように、ウラン貯蔵ピットはどうしてこのままほってあったんだろうかという奇異の念を抱きましたし、またアスファルトの方は、いまだに放射能が高くて入れないようなところもちょっとのぞいてはみましたけれども、これは爆発したときは大変なことだったろうと思ったわけです。  ところが、「もんじゅ」の方はもう事故から一年半もたっておりまして、中もきれいに掃除してありますので、事故当時の生々しさというのを直接体験することはできませんでした。ただ、科学技術庁に参りまして、今まで事務方からいろいろ説明を聞いておりまして、現地に行ってそれはそのとおりだと思ったんですが、役所にいてわからなかったことは、住民の方々あるいは現地でその行政を担当しておられる方々の言うなれば困惑といいますか当惑といいますか、御心配でございます。特に住民の方々の不安ももちろんでございますし、それから現地でこういう炉を招致することが地元の発展につながるんだと、日本の未来はこれにかけなきゃいかぬのだといって立地をしていただいたにもかかわらず、こういう事故が起きて、そういう方々のお立場も非常に苦しくなっているというようなことも感じたわけでございます。  私は、やっぱりそういう気持ちを感じながら行政をしなければいけないんじゃないか、こう思っておりまして、結論から申しますと、先生が御指摘になったことに尽きるんだと思っております。思い切った情報公開と、美浜の方でも昔事故がありましたときに、昔の発想でいうと、そういう事故を起こしたものを公開して展示するなんということは発想になかったようでありますが、現在ではこういうことが壊れて事故になりましたということを展示しているというようなことも聞きまして、やっぱりそういうものをオープンにしていって、失敗はたびたびあってはいかぬわけでありますけれども、失敗から学ぶということも基本的に大事だろうと思っております。  そして、今、先生指摘のように、やっぱり対話を繰り返して、この間大分そういう努力も科学技術庁としてもしてきてもらったようでありますけれども、いろんなフォーラムを開いたり、対話をしていくということも、円卓会議というようなこともやってきたわけでありますが、そういうことを積み重ねて理解を得ていくという姿勢がやはり大事なのではないか。そういう上でやはり安全をきちっと確保していく、そういうことに結局尽きるのかなと、こんなふうに思っております。  今後とも、いろいろ御指摘をいただきながら一生懸命取り組ませていただきたい、このように思っております。どうぞよろしくお願いをいたします。
  117. 山本正和

    ○山本正和君 終わります。
  118. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 日本共産党の阿部幸代でございます。  きょうは、科学技術庁にだけ質問をしたいと思います。  最初に、ウラン廃棄物貯蔵ピットのずさんな管理に関してですが、動燃は、九四年に仮建屋建設に備えるということでピット周辺三地点のボーリングを実施し、そのときに採取した土壌資料をことしの二月に分析しています。その結果によりますと、ピットから約三メートル離れた地点と約二メートル離れた地点の、しかもピットの底の深さに相当する地下三ないし三・四五メートルから採取した資料が最も強い放射能を示していたということです。土壌一キログラムの中のウラン238が四百六十ないし四百七十ベクレル、通常の二十倍以上の値です。二メートル離れた地点では、地下二メートルないし二・四五メートルでウラン238が百三十八ベクレル、地下四ないし四・四五メートルで百三十六ベクレルとこれまた高い値です。それ以外の深さやピットから遠く離れた地点の資料はほとんど通常レベルだったということです。  そこで、ピットに近くてピットの底の深さに相当する地点の濃度が高いということは、ピットからの漏えいの可能性が強いということですね。
  119. 池田要

    説明員池田要君) 現在、ウラン廃棄物貯蔵施設周辺につきましては、施設の中に滞留しました水、この中に放射性物質が検出されたといったことから、それが施設の外に漏れ出していないかどうかといったことに焦点を当てるためにボーリング調査等をしているところでございます。    〔委員長退席、理事高橋令則君着席〕  今、先生が御指摘になったようなところは、過去にこの周辺において動燃事業団自身調査をしておったと。その過程で、御指摘のように土の中からは通常よりは高い放射性物質が、これはウランが発見されたということがございました。これは当然ながら、そもそもこの地点がこの施設を設けましたときにどういう状況だったかといったこととあわせて考える必要があると思っております。これまでにほぼわかってきておりますのは、この施設周辺につきましては、先ほど施設の中に何が入っているかといったところのまず疑問がございましたときに、四十四年ごろまでにウランの製錬ということで、いろいろ動燃事業団が仕事をした結果出た廃棄物が貯蔵されているようだといったことでの御照会がございました。それ以前にもこの周辺につきましては、ウランの鉱石からウランを取り出す過程で生じた残りかす、こういったものをこの近くで処分していたようでございます。これは製錬という事業の範囲で行っていたわけでございますけれども、そういったものがこの施設周辺に埋設されていたといったことがわかってきております。  今、先生指摘の、この施設から漏れたんじゃないかといった御指摘がございましたけれども、この周辺に今かなり綿密なボーリング調査をしております用地下水がどうなっているかとか、あるいはこの施設からの今御指摘ありましたような位置関係、こうしたものも綿密な調査をやることによってこの施設の中の放射性物質があるいは漏れているかどうかといったことと、今言及いたしましたような、過去にこの周辺ウランの鉱石、こういったたぐいを捨てておったといったこととの関係、こういったことにつきましてもボーリング調査等の結果をあわせて評価する際に考える必要があると思っています。  この点は、もう既に専門家を集めましたデータ評価検討会でも動燃事業団から過去のそういう事実についての報告がされておりまして、こういったことを踏まえて、この施設からの放射性物質の漏えいの有無を見きわめるためにどういった技術的な検討が必要かといったことについてももう既に検討が始められております。  こういったことを踏まえれば、先生のような今の御指摘におこたえできるような状況になるんじゃないかと考えております。
  120. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 ウラン廃棄物をいわば野積みというか外に捨てたということ自体が問題ですし、今回この施設から漏出したということもあり得るということも重大だというふうに思っております。ピット周辺の詳しいボーリング調査を私は第三者の手でぜひ実施していただきたい。また、汚染した土壌の撤去など徹底した安全対策も講じていただきたいと思うんですが、どうですか。
  121. 池田要

    説明員池田要君) ボーリング調査につきましては、動燃事業団が衆人環視のもとでやっております。  それから、そのデータにつきましては、先ほど申しましたように専門家を動員しましたデータ評価検討会において、これも公開の場でそのデータ分析結果についての御審議をいただくことにしてございます。  そうした意味で、今御指摘のような第三者による調査といったことでの、そのねらいとするところは十分果たせるんじゃないかと思っております。    〔理事高橋令則君退席、委員長着席〕
  122. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 安全対策について、土壌撤去など。
  123. 池田要

    説明員池田要君) 失礼しました。  これは、今周辺ウランの鉱石からウランを取り出したときの残滓が捨てられていたんじゃないかといったこともございます。ただ、この点はウランの鉱石でございますから、ウランの鉱石からウランを取り出した残りかす、これは規制法上の取り扱いがなかなか難しゅうございます。いわゆる規制の対象にならないというものがございます。  そうした意味で、まずそこにあるものは何かといったことをボーリング等の結果で、実際に規制法上取り扱いができるものか、あるいはそういうことを抜きにしてもしかるべき処分をしなきゃいけないものかどうか、処理をしなきゃいけないかどうか、こういったことについてのまず分析の結果を踏まえて検討させていただきたいと思っております。
  124. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 八月二十八日付の動燃説明資料によりますと、ピット滞留水の放射能濃度は排出基準の約十倍から一万倍になっています。一九六七年以降今日に至るまで三十年間にわたって放射能で汚染された水が漏出してきたと考えさせるずさんな実態が次々と明らかになっていることは重大だというふうに思います。  例えば、九三年にはピットの改修のための業者による事前調査が行われていて、その報告の中で貯蔵ピットの、Cピットですか、側壁に亀裂、こういう記述があり、写真も撮られていて、これは新聞紙上で私も見ました。あわせて、モルタル加工なしという、こういう記述もあって、その失態も今日明らかになっています。  科学技術庁は、このほかに一九八二年に保安規定遵守状況調査をしていますが、目視でピット内の水の除去と廃棄物の異常の有無を定期的に確認することと指導したのみで、ほかの委員先生方が何度も指摘されていますが、その後のフォローはなく放置したままでした。結局、三十年間も放射能管理を放棄してきた科学技術庁責任は重大ではないんでしょうか。
  125. 池田要

    説明員池田要君) この施設につきましては、確かに許可を得ましたのが四十五年でございました。そうした意味で、今まで三十年ほどたっているわけでございます。その間に、この施設につきましてはいかなる規制かといった点につきまして一言申し上げれば、使用許可に基づく廃棄施設といったことでございますから、事業者はこの施設につきましての技術基準を守って管理する必要があるわけでございます。そういった状況のもとにしかるべき管理がされておれば、そもそもこういった施設状況にならなかったんじゃないかといったことがまず考えられます。  しかしながら、今御指摘ございましたように、昭和五十七年には現場状況調査する機会がございました。ですから、このときに状況をどういうふうに評価したかといったことに私ども関心を持たざるを得ないわけですけれども、そのときの担当者に聞きましても、底の方に水たまりがあったといったことで、その容器が水浸しになるとかそういった状況ではなかったようでございます。これが今から十五年前でございます。その後、動燃事業団から聞きます状況から御報告する次第でございますけれども、十年ぐらい前からこの水がたまっておって、一時、多いときには二メートルを超えるものもあったといったことでございますから、御指摘のように、三十年も前から水浸しだったということではないようでございます。  そうした意味では、こういう状況が十年ぐらいの過程で水が入るようになり、それを適宜くみ上げていたものの最近ではくみ上げ切れなくなったといった状況でございますから、今のような非常に問題がある状況になったといったことがある程度私ども今までにつかんでいる事実でございます。  もう一つ、先ほど亀裂があったんじゃないかといった点がございました。  これは、事業団がこの施設に手を加えようとして業者に頼んだといった過程があったのは事実のようでございます。その際に中を写したときに一部亀裂のようなものがあったといったことでございますけれども、これまでに、これは事業団自身調査した内容を私ども聞いている限りでございますけれども、亀裂が、外から水が入ったということであればそれなりの跡があるはずだ、そういったことでは必ずしもないらしいといった、今現在の状況についてはそういう見方でいるようでございます。  しかし、私どもそれはそうだからといって問題なしとはできませんから、いずれにしましてもこの施設につきましては、中のものをいかに確認するかといったこともございますし、施設についての安全性を確認しますためには今のような点も含めてしかるべく内容の検査、それから施設についての確認、必要な改善措置、こういったことは一環のものとして考える必要があると思っております。
  126. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 そもそもウラン廃棄物貯蔵ピットが五十センチメートルの点検口からしか中を見ることができないで、科学技術庁の八二年の廃棄物の異常の有無を定期的に確認することという指導も現実に実行に移すことが構造的に難しく、また、防水モルタル施工がなされていなかったピットもあるということが九三年の業者による調査までわからなかったこと自体が問題だというふうに思うわけです。  そもそも施設検査は行われたのですか。行われなかったとすると、なぜですか。
  127. 池田要

    説明員池田要君) ウラン廃棄物貯蔵施設につきましては、法律上、施設検査を要求することになっていないということでございます。法律施設検査を必要としますのは、例えばプルトニウムですとかあるいは使用済み燃料ですとか、こういった放射能濃度が一定量以上のもの、こういったものにつきましては法律許可を得てつくります段階施設検査が必要になります。しかるにこの施設はそれに該当しない、そういった意味で施設検査はなされておりません。
  128. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 九月十日の本委員会理事懇談会の席上、科学技術庁から、三十年前はこの処理が普通だった、世の中が安全問題に厳しくなったのに変えなかった、安全認識で社会とのギャップが生じた、こういう説明がされました。これほど無責任な話はないと思います。要するに、ウラン廃棄物の危険性に対する認識がなかったということです。  そこで、今の答弁にかかわってお聞きしますが、ウラン廃棄物貯蔵ピットが、動燃の独自に作成した保安規定に基づいて自主的に管理する施設、今おっしゃったいわゆる使用施設であって、科学技術庁の定期検査の対象となるいわゆる管理施設ではないということ、この使用施設が日本全体に今およそ百六十ないし百七十はあって、年間二十ないし三十件を調査しているということを伺いました。つまり、十年に一回ぐらい調査が行われているわけです。八二年の調査はこの調査だったわけです。  ほかでもない、政府原子力政策を推進する動燃ウラン廃棄物貯蔵ピットが定期検査の対象外であったために三十年間も放射能管理が放置されてきたということ、これはウラン廃棄物の危険性が制度的に無視されてきたということではありませんか。
  129. 池田要

    説明員池田要君) ただいま先生から定期検査についての言及がございましたけれども、定期検査というのも法律上は一定の施設に対してだけ要求されてございます。例えば、原子炉施設、これは原子炉そのものもございますし、発電機等、そういったものを一年に一遍とめて、全部、分解点検するといったことでございます。再処理施設等も同じような扱いをしてございます。  しかし、こういう、今百六十幾つというふうに御指摘ございましたけれども、核燃料物質としてウランですとかプルトニウムを使っているような事業所事業所等としては全国にございますが、こういった施設につきましてはそのような定期検査、これは法律上義務づけられておりません。  私ども、先ほどございましたような、施設検査があるから事業者は技術基準を守るんだとか、定期検査があるから約束を守るんだとか、そういったことでは必ずしもないんではないかと。むしろこういった施設につきましては、冒頭申しましたように、廃棄施設につきましてはそれなりの技術基準といったものを守らなければいけないということが義務づけられております。  ですから、事業者は自分の責任でそれを守る義務があるわけでございまして、それを役所の立場から申しますと、事業者が約束どおりに安全管理を行っているかどうか、そういったことを確かめるために私どもは保安規定の遵守状況調査ですとか使用状況調査ということで任意に行っております。年間、数は限りがございますけれども、そういったことで五十七年にはこの施設につきましても行う機会があったということでございます。
  130. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 私は動燃の保安規定並びに安全作業基準、管理作業要領書の必要部分を見てみました。しかし結局ずさんな管理改善には役立たなかったわけです。繰り返しますが、問題はウラン廃棄物の危険性が制度上もう実質的に無視されてきたということです。つまり、ここに原子力政策そのものの欠陥が露呈しているんだということです。  私は動燃の高レベル放射性廃棄物管理も大変気になります。九月十八日付読売新聞が動燃の高レベル放射性固体廃棄物貯蔵施設について報道していましたが、こちらの方も気になるんですけれども、時間の都合でガラス固化体について質問します。動燃には、今現在、何本保管されているのか。また、保管能力はどれくらいなのか。今後再処理を続けるとするとガラス固化体もふえ続けることになりますが、動燃の場合、六ケ所村の日本原燃の施設を利用することは筋違いでできないわけですから、中間貯蔵施設と最終処分問題も含めてどのような見通しを持っているのか。以上三点について、これは科技庁の見解を伺いたいんです。
  131. 加藤康宏

    説明員加藤康宏君) 東海の再処理工場の高レベル廃棄物につきましては、ガラス固化にする施設が既に稼働しておりまして、現在六十二本のガラス固化体ができております。全体の容量が約四百本以上の貯蔵能力があるうちの六十二本でございます。  いずれにせよ、高レベル廃棄物につきましては、下北におけます原燃に貯蔵されております廃棄物と同様に高レベル廃棄物対策を現在進めているところでございますが、その中で処分されていくことになると思います。
  132. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 極めてあいまいな答弁で、要するに中間保存施設、それから最終処分問題についてまだ何ら具体的な回答も見通しもないということです。トイレなきマンションという言葉があります。廃棄物対策が先送りされてきたことは安全性の確保なき原発推進、とりわけプルトニウムリサイクル路線推進と並んで今日の原子力政策の致命的欠陥であるというふうに私は考えます。  もう時間になってしまいましたので、新しい大臣質問をしたいと思います。  再処理と高速増殖炉という核燃料サイクルのいわば中核施設の大事故と今回のウラン廃棄物貯蔵ピットのずさんな管理動燃のうそつき体質と秘密主義、科学技術庁の重大責任国民の目は今原子力政策そのものに向けられています。にもかかわらず、動燃が推進役を担ってきた原子力政策そのものはいわば聖域扱いにして動燃改革論議を進めるというのは、結局動燃の衣がえにすぎないのではないんでしょうか。やることは同じ、中身も変わらないということです。動燃改革を進めるに当たっての大臣の基本的なスタンスについて伺います。
  133. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 私は、科学技術庁長官就任いたしましたそのときから、動燃改革というのが私に与えられた一番大きな仕事ではないか、このように思って仕事を開始いたしました。十五日には東海村にも参りましたし、二十二日には敦賀にも行ってみたわけでございます。また、動燃改革検討委員会報告書も熟読いたしまして、お書きになりました御苦労、座長として取りまとめに苦労されました吉川先生のお話も伺わせていただきました。  いろんな報告書の中身については今繰り返すつもりはございませんけれども、私は基本的にあの結論というものが、方向がよいのではないかというふうに思っております。ただ、一番大事なことは、動燃を、先ほどからうみを出し尽くして抜本的に改革するというようなことをこの委員会でも申し上げておりますけれども、幾らそうしても意識改革が伴わなければ仏つくって魂入れずじゃないか、こういう気持ちがございます。ですから、動燃意識改革というのも同時に推し進めていかなければならないことだと思っております。  阿部先生の御関心は、エネルギー政策を見直さなければ、ただ形だけ変えたってどうなのか、こういう御趣旨かと承りました。私としましては、これも当委員会で過去さんざん議論されたことだと思いますけれども、繰り返しになるかもしれませんが、エネルギー資源の大半を海外に依存する我が国において、原子力というものは供給の安定性も高いわけでありますし、発電の過程で二酸化炭素も排出しないという特徴があります。既に電力の約三割も原子力発電に負っているという現状でございます。また、ウラン資源の有効利用とか、あるいは放射性廃棄物による環境への負荷の低減という観点から考えましても、核燃料サイクルを円滑に展開していくということがやはり基本的に大事なのではないかというふうに私自身考えております。  この重要性は、今回いろんな不祥事が起こりましたけれども、それによって基本的には変わることはないのではないかと思っておりまして、先般の六月でしたか、原子力委員会でも改めて委員長談話というものが出て確認をされているところでございます。しかし、一連不祥事不安感不信感を与えている、これはまことに重大でございます。  先ほど山本先生の御意見あるいは御質問にもお答えしたところでありますが、安全確保の充実や強化を推し進めなきゃいけない、その前提として情報の公開やあるいは国民の合意をどうやって取りつけていくかということに対して真剣な努力が要るだろう、しかしそれを私たちは推し進めていきたい、こういうふうに考えているところでございます。どうぞよろしく御理解を賜りますようにお願いをいたします。
  134. 山口哲夫

    山口哲夫君 私は動燃近藤理事長の責任問題について質問をしたいと思います。  近藤理事長が就任されたのは昨年の五月と聞いております。前任者は「もんじゅ」の事故責任をとっておやめになった。その後を受けて就任されたわけですけれども、その中には動燃体質を変えていかなければならないという、そういった目標もあったのでないかと思います。  ところが、就任されて十カ月目にして大変なアスファルト固化施設の爆発事故というのが起きました。爆発事故そのものも大変重大な問題です。先ほど自民党の海老原委員のお話がありましたけれども、「もんじゅ」の事故以上に重要な問題と認識しなければならないというお話もございました。それほど重要な事件が勃発したわけですけれども、その真相というものはとにかく次から次へと追及されて初めて出てくる。極めてうその報告が繰り返されていく。全然動燃体質が変わってない、そう思うわけです。その後、また今度は今問題になっているドラム缶貯蔵施設事故が起きる、そしてまた予算の流用事件が起きる。大変失礼な言い方かもしれないけれども、御就任後一年四カ月たっても体質一つも変わってない。  先ほど来、理事長は技術者の問題を取り上げて、閉鎖性があるからこれをまず改善しなければならないとおっしゃっておりましたけれども、先ほど中尾議員の質問の中にもありましたように、これは技術者の閉鎖性だけの問題ではない、管理責任があるじゃないかというお話がありました。私も全くそのとおりだと思うわけです。  そういうことを考えると、先ほど長官動燃体質改善、徹底してうみを出さなければならないというふうにおっしゃいました。全くそのとおりだと思います。やはり私は、こういう場合に最高責任者である理事長みずから責任をとるべきだと思うんです。こういうことは余り言いたくありませんですよ、私も。しかし、今、国民動燃に対する不信感というのは想像以上のものです。その不信感を払拭するということを考えた場合に、やはり最高責任者というのはそういう責任というものを常に背負って仕事をしていかなければいけないんじゃないだろうか。そして、今後の体質改善のためには新たな人を迎えて徹底した改善をしてもらう、そういう毅然たる態度というものが私はやっぱり事業体のトップに立つ者の責任だと思うんです。  残念ながらその問題については今まで全然触れられておりません。先般の決算委員会の中でも触れられていない。そういう問題について理事長はどうお考えになりますでしょうか。
  135. 近藤俊幸

    参考人近藤俊幸君) 御指摘のように、たび重なる事故、ミスが続いております。その根底には事業団職員安全意識社会性一般社会とかなり大きく乖離しているということを痛感しております。  これを何とか埋めるということが私にとって一番大事な仕事でございますが、そのためには先ほど来申し上げましたように、安心していただける施設とするための総点検の実施あるいは品質保証活動の強化、意識改革、こういったことを進めて事業団改革に不退転の決意で取り組む、これが現在の私の経営責任と考えております。
  136. 山口哲夫

    山口哲夫君 先ほど来、確かに技術者の閉鎖性をなくするとかいろいろな問題についても触れられておりました。しかし、一年四カ月たって実際にこういう改革をしてきた、これだけのことはやってきたんだというものがないんですよ、残念ながら。極めて具体性ということからいけば、そういう問題が何もない。大変失礼だけれども、お言葉だけというふうに私はどうも感ぜざるを得ないんです。ですから、動燃全体の体質を変えるということになれば、これはやっぱり、もしこれが政府の立場に立ったら、恐らく大臣になって何カ月もたたないうちにこれだけの事故が起きたということになると大臣やめるんでないんですかね、普通は。それくらい厳しいものでないんでしょうか。  ですから、私は、やっぱりこの際、本当に理事長に動燃体質を変えるという、そして国民動燃に対する信頼感を取り戻していくという御決意があるならばみずから責任をおとりになるべきだろうと思います。これ以上聞いても同じ答弁だと思いますので、私はそういう考え方を持っている、私だけではない、国民の多くの人たちの中にもそういう気持ちがたくさんあると思いますので、その点十二分にひとつお考えをいただきたいと思います。  動燃問題はこの程度にして、せっかくの機会でございますので、ちょうど一週間前決算委員会で浜岡原発の問題に触れさせていただきましたが、大変長官前向きの御答弁をいただきました。  国民の声にしっかり耳を傾けていきたいということで、私の方から提案したのは、科技庁と同じ問題についても全然違うお考えを持っている学者とかいろんな方々がいらっしゃいます。いっそのこと両方一緒にシンポジウムでもやったらいかがでしょうか、本当に動燃の言っていることが間違いないということがわかれば安心すると思うので、そういうことで一度シンポジウムでもやったらいかがですかという提案をしたことに対して、長官は具体的な問題については十分考えてみたい、こうおつしゃいました。  一週間たったんですけれども、シンポジウムでなくても結構ですけれども、何か具体的にこういうことをやりたいというお考えはございますか。
  137. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) この間の決算委員会山口先生から今お話しのような御示唆、御提案がございまして、私も、こういうときですからできるだけいろんな方面の意見に耳を傾けるべきだと思うという趣旨の御答弁をしたように記憶しております。  浜岡原発の安全性に関しましては、商業用原発ということになりますと通産大臣の所管でございますので、私も余り踏み込んだことを申し上げてはと思っておりますが、科学技術庁でも原子力行政一般に関しましてこれまで原子力委員会原子力政策円卓会議というようなものを開いてきました。それから、シンポジウムやフォーラム等も開催をしてまいりましたし、さまざまな意見を持つ方々との対話集会も開いてまいりました。  このように広く国民皆様との対話の場を設けるとともに、原子力委員会専門部会等の報告書を取りまとめるに当たりましては国民からの意見も募集するというように、原子力政策に関し広く国民の意見を聞いて政策に反映させていこうというふうに努めてまいりました。原子力発電所の安全性についてもこういった場での議論がされてきているというふうに考えております。  それから、原子力安全委員会におきましても、例えば今月十二日に敦賀市で「もんじゅ事故に関する地元説明会を開催しました。そして、主要な安全審査案件について意見を公募して、その調査審議に反映することとしているなど、いろいろ国民との対話を推進している状況でございます。  そういうことを今後とも推し進めまして、国民皆様理解協力を得るために対話の促進に積極的に取り組んでいきたい、こう思っております。
  138. 山口哲夫

    山口哲夫君 お伺いしましたけれども、具体的に浜岡原発と地震との関係についていろんな意見がありますから、そういう学者の意見もぜひ聞く機会を持っていただきたいと思っております。  それで、もうあと三十秒しかありませんので、最後に、浜岡原発の放射能測定を随分やっているようですけれども、全然それが住民の目に見えないんです。十分置きに役場の方に送られてくるけれどもグラフでしか見えない。よほどグラフを読める人でなければわからない。ですから、地域住民の人にしてみますと、本当に基準値よりも低いのであれば、簡単に言えば交通信号の青信号だと。しかし、もしそれ以上の基準以上であれば赤信号が出るという、極端な例かもしれないけれども、そのくらいわかるような方法というものを考えてもらわないとほとんどの住民はわからないというんです。そういうことを一度技術的に検討してみていただけませんですか。
  139. 池田要

    説明員池田要君) 先生の御指摘がありましたように、発電所の周辺につきましては、私ども、自治体の放射線の監視、こういったことにつきましては放射線監視交付金等でこういう活動を支援しているところでございます。  今、先生からこういう測定データ等がわかりにくいという御指摘がございましたから、私ども、住民の方に放射能に関する理解が深まるような意味でどういう工夫があり得るのか、これは自治体の方々とも日ごろから接する機会がございますから、今の御指摘を踏まえて検討させていただきたいと思います。
  140. 山口哲夫

    山口哲夫君 終わります。
  141. 山下栄一

    委員長山下栄一君) 本件に関する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時十一分散会