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1997-03-18 第140回国会 参議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年三月十八日(火曜日)    午後三時開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         楢崎 泰昌君     理 事                 鈴木 栄治君                 高木 正明君                 星野 朋市君                 照屋 寛徳君     委 員                 尾辻 秀久君                 永田 良雄君                 長峯  基君                 三浦 一水君                 加藤 修一君                 風間  昶君                 高野 博師君                 鈴木 和美君                 萱野  茂君                 前川 忠夫君                 吉岡 吉典君                 島袋 宗康君    国務大臣        国 務 大 臣        (沖縄開発庁長        官)       稲垣 実男君    政府委員        内閣審議官    及川 耕造君        防衛施設庁総務        部長       伊藤 康成君        防衛施設庁施設         部長       首藤 新悟君        沖縄開発庁総務        局長       嘉手川 勇君        沖縄開発庁振興        局長       牧  隆壽君    事務局側        第一特別調査室        長        入内島 修君    説明員        外務省アジア局        中国課長     佐藤 重和君        外務省北米局日        米安全保障条約        課長       梅本 和義君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○沖縄振興開発特別措置法及び沖縄復帰に伴う  特別措置に関する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 楢崎泰昌

    委員長楢崎泰昌君) ただいまから沖縄及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。  沖縄振興開発特別措置法及び沖縄復帰に伴う特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 鈴木栄治

    鈴木栄治君 最近、開発庁が要らないんだとか、開発庁って一体何をやっているんだとか、それから何か地元の方でも開発庁はもういいという声があるや否やと聞いておりますけれども、私はとんでもないことだと思うんです。開発庁は本当に努力していますよ。  私は前は次官だったんですが、こんなことがあったんです。経済振興、特に観光産業は大事ですよね、大臣。私はこういう男ですから、これはもう飛行機の運賃を安くすればいいじゃないか、半額にすればいいんだなんて、そんなことを言っちゃったものですから、そうしたら開発庁皆さんが、えらいことをまた森田は言ったと。でも、どうだろう、僕らみんなで頑張ったら何とかなるんじゃないか。私はどうしても昔の青春ドラマの乗りが残っておりまして、みんなで腕を組んで頑張ろうと。  そして、当時、嘉手川局長も一生懸命に情熱を持って、みんなで航空会社に交渉して、いろんな知恵を絞ってやった。その中において、全日空さんが大英断といいますか、大変な企業努力をしてくださいまして、関西空港から沖縄、夏休みの間、五〇%割引パラダイス切符をつくってくださった。これは、何といってもあのとき開発庁皆さんが一致団結してやらなかったらできなかったことなんです。私は本当にあのときの情熱には今でも頭が下がります。そのおかげで、全日空さんは、これが好評だったものですから冬もやり、そして今度、これは東京新聞にも出ていますが、羽田が二十四時間になるということで、夜間は半額切符をやろうじゃないか、こういうことをも打ち出しているんです。  嘉手川局長、どうでしょうか。ここまで来たんですから、運賃運輸だなんていうのじゃなくて、開発庁ももっといろんな形で、今度は日航さんにもこんなような形をお願いしたらどうですか。
  4. 嘉手川勇

    政府委員嘉手川勇君) ただいま森田先生からお話のございました、昨年の全日空割引でございますが、平成八年七月十九日から八月十三日の期間限定ではございましたけれども関西空港から沖縄夜間時間帯に臨時便設定いたしまして、この臨時便を往復利用する旅客に対しまして、大人普通運賃から約五〇%の営業割引設定するというような内容でございました。おかげさまで、これは大変地元にも好評でございまして、地元新聞でも大きく取り上げられたことでございます。地元の方も大変感謝していたことを改めて申し添えておきたいと存じます。  ただいま委員指摘全日空の件でございますが、全日空が、期間を限定しまして東京-沖縄線につきまして格安便を深夜に飛ばす方向で検討しているということは新聞報道により承知をいたしているところでございます。  一昨年の航空法改正によりまして、運賃割引制度拡充が図られ、委員指摘のように特定の航空便について大幅な割引が実施される動きがあることなど、弾力的な運賃設定が行われるようになったところでございます。さらに、今回の航空運賃低減措置を行うことにより、観光振興、さらには沖縄振興開発にとって大いに効果があるものと考えているところでございます。  航空運賃につきましては、もちろん運輸大臣の所管するところでございまして、またその設定民間航空会社自主性にゆだね、競争を通じて引き下げられるべきものと考えておりますが、沖縄開発庁といたしましては、沖縄にとって航空機が必要不可欠な交通手段であること等、沖縄の事情を関係省庁等に対しまして今後とも説明し、所要の対応策をとってまいりたい、このように考えるところでございます。
  5. 鈴木栄治

    鈴木栄治君 僕は思いましたよ。三本の弓矢じゃないですが、皆さんが一生懸命やればできる、そう強く私は思いました。  それから、離島関係でございますが、沖縄離島交流推進事業愛称青春アイランド事業を当時申請するに当たって、これは島の自然や文化、芸能などの特性、個性を生かしたイベントの開催などを援助しようとするものであり、島を訪れる人と島に住む人がともに青春の心で生涯生き生きと過ごせるような豊かで活力ある島づくり、訪れた人の心に残る夢のある島づくりを目指すものである。それで第一回といたしまして、ムーンライトマラソンでございますか、補助対象事業費の三分の二は国が補助することになった。  大臣沖縄には有人島が四十九、無人島が百十一ございます。私も鳩間島というところに行ってきました。ちょうど雨と風が強くて、それこそもう一時間ぐらい揺られて行ったんですよ。島民の人口は約五十名。本当に皆さんは私を温かく迎えてくれまして、帰るときに、じゃ皆さん元気でねなんて私が行こうとしたら、次官ちょっと待ってくれと。ちょっと待ってくれといったって、もう船がいるんだからと。もうちょっと待ってくれ、今おばあちゃんが来ると。そうしたら、九十歳近い、ちょっと足の悪いおばあちゃんが一生懸命に来て、森田さん、あなた沖縄のために頑張ってくれよと、それを私に言いにわざわざ来てくれた。  私はそれを聞いたとき本当に胸が熱くなる思いで、やっぱり私たちは、例えば沖縄だとどうしても本島だとかそういうところに目を向けがちですが、ああいう離島を何とかしていかなきゃいけないと。言うなれば離島一つ一つ本土の人間から見れば、きれいな砂浜、満天の星空、真っ青な海、よだれを垂らすようなところですよ。これを開発庁観光育成のためにも何とか一つずつの特徴を生かして育成していかなきゃいけないんではないかなと私は思うんです。大臣、何かお考えがありましたらお聞かせ願いたいんです。
  6. 稲垣実男

    国務大臣稲垣実男君) 森田先生が先回まで政務次官として、沖縄を何とかしなきゃいかぬ、離島振興情熱を注がれておる姿が今ほうふつとして描かれて、大変感銘を深くした次第でございます。  私も、実は沖縄離島へまだ一度も行っておりませんので早く参りたいと思いましても、国会の審議が今連日続いておりますので、できるだけ早い機会に、今度は石垣や宮古やそういう離島の方を中心的に参りたいと思っています。  何にしましても、離島振興ということは、今、先生がおっしゃいましたとおり、本島のほかに多くの離島から成り立っておりますので、これらの離島は、先生承知のとおり、地理的にも自然条件によりまして経済社会の発展が極めて制約を受けておる、そしてまた生活水準生産機能は他の地域に比較してみますと極めて低いということでもありますので、過疎化進行等多くの問題を今日抱えておることはよく承知しております。  このために、離島地域活性化を図っていくことは沖縄振興開発にとって極めて重要な課題であることでありますので、私といたしましても、離島振興についてはかねてから住民生活安定向上を図り、また交通が空あるいはまた船によるというような手段でなくちゃなりませんし、通信体系もまだ整備を続けておるところでありますし、産業振興といいましても限りがございますので、できるだけその土地特性を生かした産業振興をしていかなきゃならぬ。あるいは、水資源というものが島なるがゆえになかなか得られませんので、例えば地下ダムをやるとか等々いたして、そういう開発保健医療の対策、あるいは教育文化施設生活環境施設整備等を積極的に今日まで推進してきたところであります。  今後とも、第三次沖縄振興開発に基づきまして、先ほど来から申し上げますとおり、離島特性を生かし、あるいは住民の創意を生かして、またそれぞれの島々の可能性というものを十分発揮できるようなことを基本にしながら、これからどういう産業振興がさらにいいかということも図らっていかなきやなりませんし、交通通信体系を初めとする各種の基盤施設整備を推進して、そういう点は、先生がよく言っておられます沖縄離島交流推進事業、すなわち提唱しておられました青春アイランド事業、そういうものを新設するなどして、沖縄コミュニティーアイランド事業というものをもっと振興していくようにしていかなきゃならぬなと思っておるわけであります。県内外との交流を促進することによって、離島地域におきましてもまた本土との交流も密にいたしまして、活力ある地域社会の形成に努めてまいりたい、こう思う次第でございます。
  7. 鈴木栄治

    鈴木栄治君 ありがとうございます。  私は石垣島にたしか四回参ったのでございますが、石垣島パイナップルがうまいんですね。あとマンゴーがうまいんですね。私がパイナップルがうまいですねと言ったら、何をおっしゃっているんですか、森田さん、石垣島パイナップルのうまさは世界一ですよと言う。そうですがと。ふと思ったんです。どのぐらいつくっているんですかと言ったら、いや、今は余りつくっていないんですがねと。ある雑誌で、お隣の台湾はパイナップルがうまいと。そこの大きな農場が会員制をつくっているんです。もちろん日本に来ている週刊誌です。その中で会員になると、しゅんの時期にそのパイナップルを送ってくれるんです。それが非常に受けているんですよ、大臣。  公共事業ももちろん大切でございますが、せっかく地元人たちパイナップル世界一だと言って誇っているものを何かいろんなアイデア考えて、それを本土人たちにいろんな形で供給するようにしたら、僕は非常に喜ばれるんじゃないかな、そう思うんですが、大臣なり事務方の方、もし御意見がございましたら。
  8. 牧隆壽

    政府委員牧隆壽君) 御提言お話は、各離島特性を生かした農産物とか、そういうものの振興を図るべきじゃないかという御提言だと思います。  石垣島の話で申しますと、実は、石垣復帰の前の年でございますか、大変な大干ばつがございました。要するに、農業用水としてとるべき水が全然なかったわけでございます。本当の干ばつになりました。それから、復帰のときに、諸先輩の努力によりましてあそこに国営かんがい排水事業を入れようということになりまして、底原ダムという千三百メーターぐらいの、飛行場の滑走路にでもいいじゃないかと言われるぐらいの堤体を持ったダムをつくっておりますし、それからまたもう一つ名蔵ダムというのを、もう底原ダムはでき上がっておりますが、名蔵ダムというのを今つくっております。それから、あの山のふもとのずっと平地の方を畑地や圃場の整備をやっておりまして、御提言のような特色ある作物をつくるということは、すなわち水を確保することであり、農地整備することでございます。  そういう観点から、開発庁としましては、基盤整備という観点から、この二十五年間、石垣島においてはそういう国営かんがい排水事業、それからまた宮古島におきましては地下ダムという特色あるダムをつくりまして、水の確保、それから農地整備を行っております。  さらに、離島で来年度お願いしておりますのは、伊是名島に今度は国営のを離島としてはお願いしようと。沖縄本島で申しますと、本島南部国営かんがい排水事業あるいは県のかんがい排水事業、あるいは北部の方の羽地かんがい排水事業というようなことを行っております。  私どもは、農家が非常に特色ある営農を展開できるようなそういう基盤整備を今後とも一生懸命やっていきたい。その上で、また営農のことにつきましても、御提言がございましたような、観光客が四十万から今三百五十万に迫ろうというような観光客になっておりますから、そこらにどういうものを提供できるかという営農部分のバラエティーあるものに、いわゆるソフトの部分でございますが、その部分にこれから取り組んでいく段階ではないか、こういうふうに考えております。
  9. 鈴木栄治

    鈴木栄治君 沖縄と申しますと、どうしてもニュースで何かいつももめているんじゃないかと。言うなればちょっと暗く見えちゃうんです。  でも、実際は、私も沖縄に友人が多いんですが、みんな明るいし、沖縄っていいなとみんな思っているんですよ。私は奇抜なアイデアでもいいと思うんです。やっぱりみんなが沖縄を振り向いてくれるような、沖縄もその明るさをみんなに振りまくようなものをやってもらいたい。極端な話、映画だって歌だって、人が振り向かなきゃ商売にならないんです。  ですから、そういう意味において、開発庁はどんどんいろんなアイデアを出していく。あるときは、やゆする人もいます。私もさんざんやゆされました。でも、それよりもまず向いてもらうこと、沖縄のこれからというものが大事だ。あとは、実力はあるんですから、ぴしっとやってもらえればいいんです。私はそう思っております。  時間もそろそろ来まして、三浦先生が早く終われ終われと私に言っておるものですから、最後に一つだけ。  大臣沖縄総合事務局は汚いですね。行きましたか。汚いんですよ。今にも倒れそうなんです。  ちゃんとやってください。大丈夫ですか。私は思うんです。県庁があれだけすばらしいんだから、沖縄総合事務局をもう少し何か、建てかえるといううわさもちらほら聞いておりますが、その辺の進展はどうなっておりますか。ちょっと聞かせてください。
  10. 嘉手川勇

    政府委員嘉手川勇君) 先生おっしゃるとおり、非常に惨たんたるビルに入居させていただいているわけでございます。現在の沖縄総合事務局庁舎は、貸しビルでございまして自前のものではございません。しかも、昭和四十七年の復帰当時から入居いたしておりまして、老朽化が著しく、また非常に狭い、隣のビルも借りている状況でございます。  現在、那覇新都心整備中でございますが、この那覇新都心建設予定の第二合同庁舎に入居することといたしております。この那覇新都心地区における第二合同庁舎建設については、これは米軍基地返還跡地でございますので、この返還跡地町づくり先導的役割を果たすものである、このように考えております。  この件につきましては、ぜひ沖縄総合事務局が新しい那覇新都心地区ビルを建てて移転してほしいということで、沖縄県及び那覇市からの要請も受けているところでございます。現在既に敷地面積およそ二万三千平米を平成七年度に取得いたしておりまして、今後この建物の予算をいかにして確保していくか、この方面に全力を尽くしてまいりたい、そして一日も早い新庁舎の実現を図ってまいりたい、このように考えております。
  11. 鈴木栄治

    鈴木栄治君 リーダーシップのある稲垣大臣のもと、勇気と情熱を持って、開発庁頑張ってください。  ありがとうございました。終わります。
  12. 三浦一水

    三浦一水君 鈴木先生に時間を割愛いただいたようで、精一杯あとの残りを務めさせていただきたいと思います。  自民党の三浦でございます。  まず冒頭に、今回の提出法案二法の内容についてお尋ねしたいと思います。  自由貿易地域昭和六十三年に開設されて、その当初でありますが、スタート時点入居企業数は二十七社と聞いておりました。その後、入居企業が減少いたしまして、現在は十一社になっている。面積で見ましても三ヘクタールほど、二棟、このような状態だと聞いておるわけでございます。期待された割には不振と言わざるを得ないんじゃないかと思いますが、このような現状に照らして、今回幾つかの改正点が提案されているわけでございます。  今、鈴木先生も触れられました沖縄への航空料金の値下げに利する航空機燃料税軽減でありますとか、自由貿易地域内の許可手数料の削減でありますとか、個別には一定の効果をもたらすものとして私なりに評価いたすところでございますが、これらの法案改正点に伴う一連の措置によってどのような効果を期待されているか、まず第一に伺いたいと思います。
  13. 嘉手川勇

    政府委員嘉手川勇君) ただいまの先生自由貿易地域についての評価は、まことに的を射た適切な評価を下されたと思っております。この自由貿易地域現状につきましては、当初期待されたような効果が生じていないというふうに私ども認識しているところでございます。  今回、この自由貿易地域につきましては保税許可手数料軽減措置を盛り込んでいるところでございますが、これにつきましては、できるだけのことを現時点でやっておこうという考え方に立つものでございます。このほかにも、現在改正の御審議をお願いいたしております沖振法とは別に、租税特別措置法におきまして特別償却の恩典といいますか、利益を活用できる投資下限額を引き下げるという措置、これは利用を容易たらしめるためでございます。また、自由貿易地域投資損失準備金、現在この準備金は積み立てが一五%でございますが、これを四〇%に引き上げる、こういうふうな措置も別途行っているところでございます。それからもう一つ地方税につきましても特別土地保有税投資下限額の引き下げをお願いいたしております。  先ほども申し上げましたように、現時点でできることは何でもやっておこうという発想に基づいておるところでございます。  御審議をお願いいたしております保税許可手数料軽減でございますけれども、これにつきましては、その意図は、那覇地区活性化が喫緊の課題であるという認識に基づきまして、既に入居いたしております企業事業活動を支援し、那覇地区への企業立地促進を図ることが必要であるということでございます。今回の措置は、当面の措置といたしまして、自由貿易地域那覇地区現状にかんがみ、保税蔵置場及び保税工場に係る許可手数料軽減を図るものでございまして、これにより、額は少のうございますが、一企業当たり年間約十六万、入居企業十一社全体で年間二百万円の手数料軽減されることとなる見込みでございます。そのような状況でございます。
  14. 三浦一水

    三浦一水君 ただいまの答弁をお聞きいたしまして、私は、今回の法律案沖縄活性化のあくまでも第一歩にすぎないという印象を強くいたします。今後、さらに大胆な制度改革に踏み込んでいくべきだろう、また御認識をお持ちのようだと受けとめたわけでございます。  特に、この問題を考える上で、時節柄、見落としていけないのは、本年七月に予定されております香港返還のことではないかと考えております。  私はちょうど十年前に香港中国ビジネスに二年ほど携わっておりました。そのような経験から、香港の経済的な現在の繁栄返還後も継続すると思いますし、また大方の見方もそうであろうなという感じがいたしております。しかし、政治的、社会的な面を報道で見ますと、表現の自由とかそのような面から、いわゆる規制強化が一方で予測されるわけであります。自由貿易港として規制を極端に抑えながらやってきましたフリーポート香港魅力が、世界フリーポート魅力がこれはいずれ薄れていくのではないか、そのような感じがいたしております。また、これらの心配を裏づけるかのように、御存じのとおり、香港域内の資本でありますとかあるいは住民が海外に居住権を求めるといった動きも一時期多く見られたようでございます。  そのようなことから、沖縄が今後、世界フリーポートであります香港の後継として、いわゆるポスト香港の一翼を担う千載一遇のチャンスでもあるのではないかと考えておりますが、香港返還後の情勢の見通しについて、外務省にちょっとお尋ねしたいと思います。  続いて、九年度予算では、自由貿易地域拡充強化に対する調査費が四千二百万円ほどついております。大げさに言いますと、自由貿易地域の成否が沖縄振興のかぎを握っていると言っても過言ではないんじゃないかと私は認識しております。  この調査費で具体的に何を行い、その結果を行政にどう反映させていこうとお考えなのか、加えて沖縄自由貿易地域としての展望について、稲垣沖縄開発庁長官にお尋ねしたいと思います。
  15. 佐藤重和

    説明員佐藤重和君) まず、中国返還後の香港情勢についての御質問でございますが、今、先生からお話がありましたとおり、本年七月一日をもって香港主権中国返還されるということでございます。その後の香港の体制につきましては、これまでに英国と中国との間の取り決め、そして中国香港基本法という法律、こういった形でいわゆる一国二制度というものが明らかにされておるわけでございます。すなわち、香港のこれまでの社会経済制度というものは、引き続きこれを変えることなく維持していくということが一応決まっておるということでございます。そういうこともありますので、大方の見るところでは、ただいま先生がおっしゃられたとおり、香港経済繁栄というものは基本的には続くのではないかというふうに見られておるわけでございます。  他方、現実の問題といたしましては、主権中国返還されるということでございますから、今、先生から御指摘がございましたように、中国の領土の一部になるということの影響というものはいろいろな形で香港に少しずつ浸透していくということは大いにあり得ることだろうと思います。  これからの香港経済の行方、あるいは今お話がありました自由貿易港としての地位というものがどうなっていくかということについては、やはり一番重要なポイントは、これまでの香港の自由で開かれた制度のもとでの効率的なシステムというものがいかに維持されていくかということにあるんだろうと思います。その点では、これから主権を取り戻すことになる中国の方で、こういった点にどの程度配慮して香港に対するコントロールを行っていけるのか、その辺が一番大事なポイントとなると思いますし、その点に中国側も気を使ってはいると思いますけれども、我々としてもそこを注目していきたいというふうに考えております。
  16. 嘉手川勇

    政府委員嘉手川勇君) 大臣の御答弁の前に、自由貿易地域拡充強化に関する調査について御説明を申し上げます。  自由貿易地域につきましては、沖縄県及び沖縄県の経済団体等から、税制、関税面を中心とした特別措置の導入、指定地域の拡大などにつきまして拡充強化が要望されております。  沖縄開発庁におきましては、平成九年度におきまして、自由貿易地域についての沖縄県の要望を踏まえ、自由貿易地域拡充強化に関する調査を行うこととしております。その内容といたしましては、沖縄の経済や貿易の取引の現状を分析しながら、沖縄産業振興、貿易振興のため、沖縄に展開する自由貿易地域のあり方、そのために必要な機能等について、海外のフリートレードゾーンの実例の分析も加え、調査、検討を行うものでございます。私どもは、この調査をできるだけ速やかに行いたいと考えているところでございます。  また、この調査の検討結果につきましては、開発庁における今後の検討に反映させるとともにへ自由貿易地域拡充強化に資するため、関係省庁や沖縄県により構成されております沖縄政策協議会のプロジェクトチームにも提供し、必要に応じ討議を重ねてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  17. 稲垣実男

    国務大臣稲垣実男君) 三浦議員からお尋ねの、中国返還された後の香港の姿につきましては、ただいま外務省から答弁がございましたとおりでございます。基本的に香港の独自の地位が維持されていくであろうと見ておりますが、今後の動向については、我が国の南における交流拠点の形成というものを目指す沖縄振興考えていく上で、三浦議員が今言われましたことについては、その視点は見過ごしのできない要素の一つであろうと思うわけでございます。  お尋ねの、香港返還沖縄自由貿易地域との関係につきましては、現段階で明確に申し上げることはちょっと困難でございます。私は、最近、地図の平面的なものじゃなくて、地球儀をよく持ち出していろいろ見ておりますと、今まで我々は、日本の国というと北の端の方は北海道、南の端の方は沖縄、こういうような単純に平面的な視点で考えておりましたが、地球儀を回してみますといろんなことを思い浮かべるわけでございます。そういうグローバルな見方でいきますと、いや、沖縄は南の出入り口であり、南の重大な、これから二十一世紀を制するような一つの拠点になり得るなと。だから、ここをどうこれから開発庁として考えて、議員御指摘のように振興策を考えていくか、あるいは自由貿易地域としてフリーゾーンをどんなふうに考えていくかということが極めて将来展望として必要であろうというわけでございます。  そこで、沖縄開発庁としては、ただいま総務局長から申し上げましたとおり、平成九年度において自由貿易地域拡充強化に関する調査を行うこととしておりますので、香港中国返還後の状況や、またそれに伴う台湾等周辺アジア諸国の情勢の変化というものを十二分に視野に入れながら調査、検討してまいりたいと考えております。
  18. 三浦一水

    三浦一水君 今後の自由貿易のあり方を十分調査しながら、また、沖縄が南の出入り口だという認識の中での取り組みをいただくということであります。ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。  私は、ちょうど日中条約締結直後の一九七九年から二年ほど北京におりました。逝去されました鄧小平さんが、深センを初めとする経済特区構想をちょうど打ち出したさなかでございました。それに対する大方の受けとめ方というのは、規制があり、そしてまた非常に官僚主義と言わざるを得ない共産中国においてそんなものができるかいと、おおむねまゆつばで見ていたわけであります。しかしながら、これはもう敬服に値する中国政府の大きな英断と強い姿勢でもって見事に立ち上がってきている、あるいは我が国の空洞化の受け入れ先にもなっている、このような現状であります。  その際に、やっぱり見落とせないのは、地域における制度のあり方ではないかという感じがします。深切では、一般企業は法人税が一五%、それから輸出を中心にします企業は一〇%。まさに、低いと言われる香港の法人税二八・五%を下回るものなんです。この辺の状況というものが、香港人を初めとします世界のビジネスマンに歓迎された、あるいは、香港返還されるに当たっての大きな安心感にもつながってきた。そのような鄧小平さんを初めとする中国政府の布石ではなかったかなと今感じております。  沖縄の問題を考える際にも、沖縄は特殊な地勢と歴史を持つわけでございますが、稲垣長官、この辺、沖縄のことと深切の出来事、香港の出来事を照らし合わせてどのような印象をお持ちか、もう一言御所見をいただきたいと思います。
  19. 稲垣実男

    国務大臣稲垣実男君) 私も、この自由貿易地域をどういうふうにしていったらいいかということでいろいろな調査もしておるんですが、現実のところ、実は深別はまだ見ておりませんし、ビデオだとかいろんなもので見ているところでございますけれども、開放政策があのような形になって爆発的な、数年の間に見違えるような発展を期した。そこには、やはりその地域に実に自由聞達な、どこよりも制度的にといいますか、いろんな面においてすぐれた点があるから思い切った投資が民間サイドでどんどん外資の導入も得てやったと。そこに意欲と意気込みと投資の魅力があっただろう、こう私は思うわけでございます。  そういう意味で、香港がいよいよそういうことを失いかけてくるんじゃないかという思惑が今あるわけでありますが、今度我々は視点を沖縄というものを考えてみたときに、やはり政府が太鼓をたたいて、どうぞいらっしゃいいらっしゃいということも今まさにやろうとしておるわけであります。もう沖縄に行かなければといったような、国内の企業もまた外からもどんどん来るような魅力あるものを制度的にも税制的にもいろんな面で、フリーゾーン地域という一つの囲みの中では自由聞達な活動ができる魅力あるものにしてみたいな、こんなようなことを感じておるわけでございます。  ひとつこの委員会でも大いに応援をしていただいて、沖縄が一年、二年、三年とたったときに、基地の沖縄じゃなくて自由貿易の拠点の沖縄だというふうにうまくいいイメージが転換できぬかな、こんな夢を実は描いておるわけでございますので、よろしく御協力のほど願いたいと思います。
  20. 三浦一水

    三浦一水君 大臣がおっしゃるとおりに、一方でフィリピンはスービックという地域におきまして米軍の跡地利用を大胆に行ってきたという実例もあるようでございます。私は、今回の法改正内容等を見まして、沖縄の問題を考えていくに当たって視点を変えなければ、規制の緩和ではなくて新しい制度を創出していくんだ、そういう考えが必要じゃないかな、そのように強く感じるところであります。  それと、制度的な条件を整えていけば、現在国内的に非常に問題になっております産業の空洞化でありますが、沖縄がその受け皿として有力な地域になってきはしないかということを思います。  この点につきましては、東南アジアを中心として進出はしてみたものの、インフラが不足している、ノウハウが不足している、経営はもちろんでありますが生産管理能力も不足している、あるいは当然のことながら言語が通じにくい。沖縄はそれがすべて利点に変わってくるわけでございますし、またベンチャービジネス等でかかわる方々というのは若い方々が多いんですが、沖縄にその職を求めるならば、レジャーという非常に表裏一体のすばらしい資源も沖縄は持ち合わせるんじゃなかろうかと考えております。  そういう意味では、空洞化対策の一つの戦略的な拠点として沖縄を位置づけていくということも一つの方向かと思いますので、フリーゾーンの設定と同時に、このような思考もぜひ組み入れていっていただきたいと強く要望するところでございます。  私は、最近、税制ダンピングといったような国際世論の盛り上がりを聞いているわけでありますが、その国際世論の盛り上がりを待って我が国の空洞化の状況がおさまるという待ちの姿勢ではだめなんじゃないか。我々がもう一回ハングリーに、沖縄は遠隔の地域だからこそ、本土との経済的な接点が歴史的な背景からも薄いと言わざるを得ない地域であるがために、逆にこの地域はそのような手の入れ方ということが必要なんではなかろうかと私は考えております。これは沖縄ばかりでない、日本の国がこの閉塞状態の中でどう活路を見出していくか、そのモデル地域にもなる、大きな試みの場所にもなるんではないかという認識をしております。  いろいろと申してまいりましたが、残念なことは、昨年の十二月に台湾の経済ミッションが沖縄を訪ねております。それはとりもなおさず我が国の自由貿易地域等の構想を聞いてのことであったと聞いております。しかしながら、彼らのその視察の結果は、沖縄現状では、規制が強過ぎて大型の投資はできないと失望して帰っていったという結果であったやに聞いております。私は、彼らが先ほど来申しております中国の経済特区なり香港なり、あるいはタイ、ベトナム、フィリピンにしましても、よくアジアの制度を熟知している台湾の方々でありますから、それも当然のことかなという思いがするわけでございます。  私は、沖縄自由貿易地域考えるときは、再度申し上げますが、本当にもはや現行の規制緩和の枠組みで考えてはいけない、そのように強く思います。沖縄自由貿易地域をまずは全島に広げるというお考えはないか、この点についてお尋ねをしたいと思います。結果としてそれが一国二制度中国語で申しますとイーグオリャンジ、一国二制と申しておったようでございますが、こういうことになったとしても、私は、先ほど来申しておりますように、沖縄の特殊な状況の中では、あるいは我が国が今置かれた閉塞状況の中では、あえて試みることも必要ではないかと考えております。  重ねて大臣の御所見を賜って、私の質問としたいと思うんです。  私は、むしろ沖縄を新しいジャパニーズドリームが追い求められる、国内の若い方々はもとより、海外からもそういう方々が集まってくるような地域にできればなと強く期待をしております。  最後に、大臣の御所見を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  21. 稲垣実男

    国務大臣稲垣実男君) 今、三浦議員から、私自身も我が意を得たりというような感じがするような質問でございまして、この自由貿易地域については、前からまた最近におきましても、沖縄県や県の経済団体等から、税制、関税面を中心としたさらに一歩踏み込んだ特別措置の導入、あるいは指定地域の拡大等による拡充強化の要望が強くされております。自由貿易地域については、委員承知のとおり、昨年九月の内閣総理大臣談話におきましても、その拡充策等による産業や貿易の振興について沖縄県とともに検討を行うことになっております。今後、沖縄政策協議会の中の国際貿易・物流基地の形成プロジェクトチームにおきまして、この自由貿易地域拡充強化について幅広く検討されることになっております。  同時に、議員が今おっしゃっておられるように、沖縄全島を自由貿易地域に指定できないかということでございますが、こういったこともまた要望されていることをよく存じ上げておるところであります。今直ちにこのことについてどうこうと申し上げることはできませんが、自由貿易地域の性格や内容をどのように考えていくか、あるいは他の地域と区別して管理ができるかどうか、そういったことに十二分に検討すべき課題が多いと思います。今申し上げたように、沖縄政策協議会の中でせっかくプロジェクトチームを編成しておりますので、ここで十二分に検討してまいりたいと思います。また、開発庁としましても、自由貿易地域についての沖縄県の要望を踏まえて、沖縄産業振興、貿易振興のための沖縄に展開する自由貿易地域のあり方、そのために必要な機能について、調査費としまして平成九年度に四千二百万円を行うことにしております。  議員が今おっしゃいましたように、私も先ほどちょっと申し上げたように、全島ということが無理であるならば、これだけの囲みの中では自由闊達にできるようなところをつくったらどうかとか、いろんなことが言われておるわけでございます。また、先ほど私が申し上げましたとおり、南の拠点としてのあり方として、官房長官が蓬莱経済圏というようなことまでおっしゃったわけでございまして、やってやれぬことはないぐらいに踏み込んだ発言もしておられますので、きっとこれからいろいろと検討してまいれば思い切ったこともできるのではないのかな、こんなふうにも思います。  いずれにしましても、沖縄県が地域経済として何としても経済的に自立をしていきませんとでき得ません。いろんな産業を興すにしましても、これはいいぞということであらゆるところが自分で資金を持ってきて投資して、どんどん発展するような仕組み、あるいはそういう産業というものを見つけ出していく、そこにまた新しいビジネスというものも生まれてくるでありましょう。あるいは、若い人たちの雇用が少ないということでありますから、今の失業の半分は若年層だと言われておりますので、そういう人たちを積極的に雇用できるような確保の施策も行っていく。そのための新しい産業といいますか、マスメディアとかいろんなことが言われているものもどんどん取り入れていくということによりまして、沖縄の県民の人たち本土に比べて七五%とか、そのぐらいの水準しかないとかいろいろ言われておりますが、沖縄が二十一世紀には本土以上の所得あるいは生活向上ができるような施策をやることが重要な課題だと認識しております。  今後とも、関係省庁や沖縄県と連携をとりながら、産業や貿易の振興のために自由貿易地域の充実強化に鋭意取り組んでまいる所存でございます。
  22. 三浦一水

    三浦一水君 共産主義中国がなし遂げた経済自由貿易地域であります。我が国がやってやれないことはない、そう確信しております。よろしくお願い申し上げます。  終わります。
  23. 加藤修一

    ○加藤修一君 平成会の加藤修一でございます。  沖縄県の振興開発を図っていく上で避けて通れないものは在日米軍基地問題であると思います。  私は、前回の委員質疑を踏まえまして、沖縄在日米軍基地における劣化ウラン弾誤射事件についてお伺いしたいと思います。  なぜ誤射したのかについてもう少し詳しくお伺いしたいわけでございます。  前回の答弁では、カタログの記載が不適切であったということであります。二週間がたっておりますが、そのカタログをごらんになりましたでしょうか。また、その訂正されたカタログを確認されましたですか。同じカタログが日本国内のほかの基地にも存在している場合には、同じような誤射の危険を回避できないという可能性が残されますので。  以上、二点についてまずお伺いしたいと思います。
  24. 梅本和義

    説明員(梅本和義君) ただいまカタログについてお尋ねがございました。  私どもアメリカ側と現在も引き続きいろいろな話をしておりまして、情報収集をしております。  残念ながら、弾薬カタログそのものは、これは米側といろいろ話はしておりますけれども、いろいろ軍事運用にかかわり得る面もあるということで私どもはまだそれを実際には見ておりませんけれども、こういうカタログがあるということについては、アメリカ側からも説明を聞いております。  また、そのカタログにおきましては、本件徹甲焼夷弾につきまして支給制限があるということを示すマークがつけられたということ、それからさらに、いわゆるピースタイム、平時、訓練といったことには使用してはいけないということが明記されたという説明を私どもは米側の担当者より聞いておる次第でございます。
  25. 加藤修一

    ○加藤修一君 今の御説明の中のことに関しまして、現物について確認する気持ちはおありですか。
  26. 梅本和義

    説明員(梅本和義君) 私どもアメリカ側に、果たして米側の規則上このようなものが私ども日本政府に対して開示し得るかどうかということについては照会をしておるところでございます。現在米側において検討されているというふうに承知しておりますけれども、このようなカタログあるいはマニュアルというようなものについては、なかなかいろいろな軍事運用上のこともあって必ずしも出せないかもしれない、ただし検討はしてみるというふうに先方は言っておる次第でございます。
  27. 加藤修一

    ○加藤修一君 ぜひ確認をお願いしたいと思います。  次に、嘉手納飛行場で武器を整備する者が劣化ウラン弾の装着に気づいたとのことですが、一回目、二回目ではこの者が携わっていなかったのかどうなのか、携わっていても気がつかなかったのか。また、どの弾薬をいっ使ったかということはきちんと記録に残っていると前回答弁されておりますが、そうすると一回目、二回目でなぜ発見できなかったかという疑問が残りますが、この点について御説明をいただきたい。要するに、劣化ウラン弾の装着が判明した理由は一体何であるか、その辺のことについてよろしくお願いします。
  28. 梅本和義

    説明員(梅本和義君) ただいまお尋ねの件につきましても、私ども米側よりいろいろ情報収集をしております。  私どもがこれまでに得ております説明によりますと、一九九六年一月二十四日、嘉手納飛行場におきまして、同飛行場に展開しておりました第一海兵隊航空団第一二海兵航空群第五一三海兵攻撃飛行隊所属の海兵隊ハリアーについております二十五ミリ機関砲が故障したということがございました。  これは、海軍の規則によりますと、このような主要装備が故障した場合には、通常兵器不一致報告というようなものを本部に出すということになっているようでございまして、それに従いましてこの報告がなされた。この報告を海兵隊本部の方で見ていた海兵隊の航空機兵器担当者がこの報告のいろいろな説明を見まして、そこにこの本件徹甲焼夷弾というものの識別コードが書いてあった。それを見て、この兵器担当者はまさにそういうことについての専門家でもあったということで、これは本来訓練に使ってはいけない劣化ウラン含有弾薬ではないかということで、妥当性に疑問を提起した。そこで調査が行われた。劣化ウラン含有弾薬も含めまして、弾薬については使用状況についていろいろ記録がとってございます。その記録、ファイルをチェックしていった。そういたしますと、実は九五年十二月から一月にかけて三回にわたってこの弾薬が合計千五百二十発使用されていたということが判明したというふうな説明を得ているところでございます。
  29. 加藤修一

    ○加藤修一君 そうしますと、一個人あるいは一専門家が個人の頭の中にあった情報に基づいて照らし合わせたということがきっかけになったというふうに理解してよろしいですね。  それでは、この件に関しましては三月十三日の予算委員会におきましても、橋本総理が「これがなぜ起こったのか、そしてどうすれば二度と起こらないかを私たちはきちんと押さえてまいります。」と、このように答弁されているわけですけれども、この種の事故が起こったときに、今のような形で事故報告等々を含めて、詳細な報告書について要求していくという姿勢についてはどうでしょうか。
  30. 梅本和義

    説明員(梅本和義君) 私ども、事件事故につきましては、昨年十二月に爆弾投棄事件というものもあったわけでございますし、その前にSACOの最終報告におきましても、事件事故が万一不幸にして起きました場合には、私どもに迅速かつ正確に連絡が行われるシステムをつくろうということ、それからまた、過去に起きました事件等についてその原因等を究明するいろいろな調査が行われるわけでございますが、それについての報告書をきちんと出してもらおうということで、まさにそういうことについてどういうシステムをつくるべきか、その具体的な詳細について検討を行ってきたわけでございます。この劣化ウラン弾の誤使用の件もそういう話し合いの中で、実はこういう話があったんだということが出てきたわけでございます。  そういう経緯で出てきたわけでございまして、本件につきましても、これは橋本総理からも大臣からも御答弁がございますけれども、三月末までにアメリカ政府から本件についての包括的な報告書を出す、出してもらいたいということを米側に申し上げ、米側の方でも現在それに向けて作業しておるということでございます。
  31. 加藤修一

    ○加藤修一君 毅然とした処理あるいはそういったシステム、制度というものを明確にしていただきたいと思います。  それで、本年三月十一日の時点で一千五百二十発のうち約二百数十発を回収したと伺っておりますが、これを全部回収するまでどのぐらいかかるか、それは一体可能であるか、最後の一発まで外務省が責任を持って米側に主張するということでしょうか。そういう厳しい姿勢で臨む決意があるかどうか、あるいは最終的にどこまで回収できたか、それを当委員会に報告していただきたいと思いますけれども、どうでしょうか。
  32. 梅本和義

    説明員(梅本和義君) 米側からはただいま御案内のとおり、三月十一日現在で、昨年の調査を含めまして、また今年三月に行われました調査、回収作業の結果として二百二十九発の劣化ウラン含有弾薬を回収しているという報告がございます。  米側は、今後とも定期的に最低年に一回は回収作業を行いたいということでございますので、それについては私どももその都度報告を受けてまいりたいというふうに考えております。
  33. 加藤修一

    ○加藤修一君 これまでの調査による内容によりますと、放射能汚染は微々たるものであるという報告があるわけですけれども、三月末予定の日米合同の調査をやるというふうに聞いております。  要するに、何回か調査されておりますけれども、さらに重点的な調査ということと理解しておりますけれども、調査の位置づけ、考え方、その辺の内容について教えていただきたいと思います。
  34. 梅本和義

    説明員(梅本和義君) 今回の劣化ウラン含有弾の誤使用が判明いたしまして、米側の方では昨年の三月と四月に調査しておるわけで、その結果に基づいてアメリカ側としては危険がないと判断しておるという説明を受けているわけでございます。  ただ、政府としては、アメリカ側の説明は説明として私どもとしても受けとめつつ、安全確保に万全を期すということで関係省庁とも御連絡をしながら、また沖縄県の協力も得ながら、日本側としてもアメリカの協力を得て調査して環境への影響を評価したいということで、実は二月の二十四日にまず鳥島周辺の海域におきまして調査いたしました。  その結果、空間放射線量率及び水中放射線量率とも鳥島周辺海域あるいは久米島西沖はほぼ等しい、したがって異常な値は検出されなかったという結果が出ておりますし、また採取した海水サンプルのウラン濃度等についても異常な値は検出されなかったというふうに聞いております。なお、同時に漁協の御協力も得まして魚等を採取して、現在ウラン濃度等について分析を行っているところでございますが、この結果はまだ出ておりません。  米側はその後、三月七日に再調査いたしまして、またそれに先立って三月五日、六日に回収作業を行ったところでございます。そしてさらに、三月十一日にも再調査を行いまして、計六十四の土壌サンプルを採取するとともに、新たに幾つかの劣化ウラン含有弾を回収したというふうに聞いております。この分析結果はできるだけ早く公表されるというふうに承知しております。  これは主として米側の調査でございまして、私どもとしては、どちらかというと日本が主体となってアメリカの協力を得ながら行う日米協力の調査を三月末までに行おうということで、現在アメリカ側と協議しております。この場合には、二月の日本側調査において調査されなかった鳥島射爆撃場の陸上部分、陸域及び海岸をその調査対象といたしまして、空間の放射線量それから土壌中のウラン濃度の調査、海岸の海水中のウラン濃度の調査等を行うことを検討中でございます。
  35. 加藤修一

    ○加藤修一君 万全を期すという意味での調査をやっていくという話でございますけれども、この種の環境汚染、米軍基地周辺部における環境汚染、こういうことに対して今の調査の内容、さまざま説明があったわけですけれども、こういうことについては先例とするというふうに考えてよろしいですか。
  36. 梅本和義

    説明員(梅本和義君) このような劣化ウラン含有弾の誤使用というのは、むしろ私どもそうめつたにあってはならないような件ではないかというふうに思いますので、これが果たして先例になりますのかどうかということについてはなかなかお答えするのは難しゅうございますけれども、やはり環境に対して何らかの影響があったということについて、やはり日本政府も、もちろん一義的にまずアメリカ政府の調査というものがあるわけでございますけれども、それを日本政府としてアメリカの調査結果をどう評価するか。その評価をした結果として、やはり日本政府としてさらに独自の評価、追加的な評価が必要であるというふうに考える場合には、これはアメリカ側との協力によってそういうような調査を行うということはあり得るんではないかと思います。  いずれにしましても、本件のような事件というものは二度と起きてほしくないというふうに思っておりますので、そういう意味では先例というようなことになりますかどうかわかりませんけれども、今申し上げたような次第でございます。
  37. 加藤修一

    ○加藤修一君 質問の角度を変えますけれども、先例というのは、劣化ウラン弾ということじゃなくして、一般的な意味において米軍基地における環境汚染に関して踏み込んだ調査をするということについて先例とすべきではないかという私の意図です。そういうふうに理解してよろしいですか。
  38. 梅本和義

    説明員(梅本和義君) 事件事故はその都度いろいろな性質を持っておりますので、必ずしも一概に申し上げることが適当かどうかわかりませんけれども、環境に対して相当の影響があり得るというような場合について、アメリカ側で調査が行われ、それを日本として評価し、その評価の上で日本としても評価が必要であるという場合には、これはやはりアメリカと話し合いをして日本側として調査を行っていくということになろうかというふうに考えております。
  39. 加藤修一

    ○加藤修一君 相当の影響があるという内容、それ自体が私は問題だと思います。  それでは次に、防衛施設庁にお願いしたいわけです。  昨年四月の予算委員会で私は、米軍基地返還された場合に防衛施設庁は地主への返還の際に原状回復すること、その原状回復については環境汚染も含まれると、こういう形で実は施設庁の方から御答弁をいただいているわけです。これは確認したいわけですけれども、これでよろしいですね。
  40. 首藤新悟

    政府委員(首藤新悟君) 先ほど来話に出ておりました鳥島射爆撃場、こういったことについてあるいは一般的にもそうでございますが、こういった施設が仮に将来返還されるような際には、原状回復措置の一環といたしまして実弾、演習弾、その他危険物等の調査を行いまして、それらのものが存在することが判明いたしました場合は、これを除去、処理いたしました上で当該返還財産を土地所有者に引き渡すということにしておりますので、こういった劣化ウラン弾につきましても当然この処理方針に従いまして処理されるというふうに考えております。
  41. 加藤修一

    ○加藤修一君 土地あるいは施設等という、その等という中には、原状回復する場合に、有害な化学物質等々、そういったことも含めているというふうに理解してよろしいですね。要するに、環境汚染全般について原状回復するというふうに理解してよろしいですね。こういう答弁があったということを再確認したいんです。
  42. 首藤新悟

    政府委員(首藤新悟君) 先生おっしゃいました前回の答弁基本的に確認いたしたいわけでございますが、私ども返還されました施設・区域の土壌などに何らかの汚染が認められる場合には、これを除去するなど適切な処理を行うということで、後に残さないようにするというのが基本方針でございます。
  43. 加藤修一

    ○加藤修一君 今、土壌汚染等々の答弁がございましたけれども、環境汚染の原状回復措置をするためには、返還された基地、そこでどういう有害化学物質、兵器等が使用されたか、あるいは環境汚染にかかわる事故があったか、そういったものが米軍から情報開示されなければなかなか十分に原状回復ができないと思うわけです。  これは外務省にお尋ねしたいんです。  今回の劣化ウラン弾の性質、危険性、あるいは環境影響についてどれだけ情報を米国から入手しているか。あるいはさらに、一般的な意味ですけれども、原状回復措置のために必要な情報を入手するシステム、いわゆる基地の事故経歴等、何があったか、例えば経歴という言い方をしておりますけれども、記録、いわゆる環境汚染情報の入手システム、そういったものを確立すべきだと思いますけれども外務省の見解はどうでしょうか。
  44. 梅本和義

    説明員(梅本和義君) 私どもは、まず第一に、いわゆる事件事故があった場合に、これが迅速かつ正確にアメリカ側から日本側に通報されるシステムを確立したいということで、昨年のSACO報告を受けて以来その詰めを行っておりまして、三月末までに日米間で合意をし、公表したいというふうに考えております。これにおきましても、そういう事件事故通報システムの中に、例えば施設・区域の中で起きたようなものであっても環境への影響があるようなものについてはきちんと通報の対象となるようなシステムにしたいということで、現在作業をしておるところでございます。  また、そのほかの環境問題につきましても、施設・区域内におきまして、例えばPCBの漏出等が過去にも問題になっておりますけれども、こういう環境汚染の事故事例というものが起きました際に、米側からその状況、経過等について日本側にできる限り速やかに連絡し、必要に応じて環境分科委員会等を通じ日本側と協議をするというメカニズムができておりまして、現にこの環境分科委員会におきましていろいろな案件が話し合われておるところでございます。
  45. 加藤修一

    ○加藤修一君 今、環境分科委員会の話が出ましたけれども、そういうものがありながら、実は今回のような通報が一年以上にわたって来ない、そういうことになっているわけでして、実際に機能していたかどうかというのは非常に疑問視せざるを得ないわけでございます。そういった意味では、情報を入手するシステム、答弁の中では迅速かつ云々の話がございましたけれども、きちっとした制度、システムというのをぜひともつくっていただきたいと思うわけであります。  それでは次に、防衛施設庁にお願いしたいわけです。  九五年十一月に米国から返還された恩納村、その米軍恩納通信所跡地で、汚水処理槽に残った汚泥から猛毒のPCBやシアン等十一種類の有害物質が検出された問題があります。九六年十一月十五日に防衛施設庁は、除去作業を九六年内に着手すると言っておりましたが、これは一体どういうふうになっておりますか。もし除去していなければ、何がおくれの原因になっておりますか。
  46. 首藤新悟

    政府委員(首藤新悟君) 恩納通信所跡地におきます汚泥の検査に当たりましては、当時私ども沖縄県当局とも十分調整いたしました上で、アルキル水銀化合物など十一項目について検査を行ったわけでございます。その結果、基準値を超えたものが一つには水銀またはその化合物、それからもう一つはPCB、この二項目でございます。十一種類いたしましたけれどもあとの九項目につきましては、検出されたけれども基準値以下のものが三項目、それから全く検出されなかったものが六項目ということで、いわば基準値を超えたものは二項目だけであったというのがまず一点でございます。  次に、これを受けまして当庁としましては、この汚水処理槽の早期撤去を図るために、有害物質を含む汚泥を一たん施設・区域内に保管することにつきまして検討しているところでございまして、米側に対して保管可能な場所について現在協議している、その協議がまだ実は終わっておらないということでございます。今後は、この保管場所が決定され次第、県当局とも調整を行いまして、関係法令に基づき適正に保管することといたしております。  なお、先生が今おっしゃいました、着手したということでございますが、この汚水処理槽内の上澄みの水があるわけでございます。これにつきましては、今述べました検査結果におきまして有害物質は検出されておりませんけれども、さらにその際に再検査を行いました上で、昨年十一月二十日から、沖縄県及び地元関係者の立ち会いのもとに廃棄処分を実施したということでございます。
  47. 加藤修一

    ○加藤修一君 それじゃ、最後の質問にいたします。  米軍基地周辺の環境汚染についてはアメリカでも相当問題になっているわけでございまして、そして日本においても今取り上げた問題ばかりじゃなくて、多々出ている。住環境の保全を図る意味からも大事なことは、やはり在日米軍基地の環境汚染の総点検をすべきだと私は思いますけれども外務省並びに防衛施設庁はどういうふうにこの辺についてお考えでしょうか。
  48. 梅本和義

    説明員(梅本和義君) 御案内のとおり、在日米軍に対しましては、これは一般国際法上のステータスもございますので、環境保全等に係ります国内法令が直ちに直接的に適用されるわけではございませんけれども、在日米軍も我が国の法令を尊重して、公共の安全や国民生活に妥当な配慮を払うということになっておるわけでございます。  特に環境につきましては、米軍は、外国における基地におきましてファイナル・ガバニング・スタンダーズという一種の評価基準を作成いたしまして、これは我が国の環境保全に係る国内法令を尊重したものとしてつくっておるわけでございますが、これに基づいて環境管理行動をとっているというふうに聞いております。この評価基準につきましては、国防省の方針によりまして、外国における基地にあっては健康及び環境保護のために、アメリカでオーバーシーズ・エンバイロンメンタル・ベースライン・ガイダンス・ドキュメントというものに示されるアメリカの国内法の基準と、それからホスト国である日本の基準のうち、より厳格な方を選択して定めるということになっているというふうに聞いております。  したがいまして、在日米軍が用いる評価基準につきましては、今申し上げたような考え方にのっとって作成されておるわけでございますが、この評価基準についても、合同委員会のもとの環境分科委員会を通じまして、日本側に対してこれについてチェックしてほしいというようなことを求めてきておりまして、それについて毎年日本側の基準とのチェックを行っているということがございます。  こういうふうに、どういう環境基準を満たして米軍の運用なりいろいろな活動をやるのかということについては、環境分科委員会でそれなりのメカニズムというのはございますので、私どもとしては、こういう環境分科委員会での話し合いあるいは合同委員会、外交ルートを通じる話し合い等で、やはり環境の問題については米側として引き続き細心の注意でやってもらいたいということを要請し続けていきたいというふうに考えております。
  49. 首藤新悟

    政府委員(首藤新悟君) 外務省考え方と同じでございます。在日米軍は、我が国の環境保全に係る国内法令を尊重しつつ、今ありましたファイナル・ガバニング・スタンダーズを作成して、これに基づいて環境管理行動をとっているものと承知いたしておりますが、当庁といたしましては、周辺住民の方々の環境保全を図る上から、日米合同委員会の枠組みなどを活用することによりまして、機会あるごとに環境保全を含め、公共の安全あるいは国民生活に妥当な配慮があるよう今後とも申し入れてまいりたいと存じます。
  50. 風間昶

    ○風間昶君 平成会の風間ですけれども、質問に先立ちまして、去る二月十四日に逝去されました屋良朝苗氏の御高徳をしのびつつ、心より御冥福をお祈りしたいというふうに思います。  生涯を通じて屋良さんは核も基地もない平和な沖縄というのを願っておられましたけれども、御逝去の直前に劣化ウラン弾の誤射事件が発覚する。まさに氏の願いとは本当にほど遠い状況を目の当たりにして、県民ならずとも私は複雑な気持ちになるわけであります。昨日の自民党役員会で、総理は四月二日の県民葬に出席する方向との話があったように聞いておりますけれども、屋良氏逝去の報に接せられての御所感を長官に伺いたいと思います。
  51. 稲垣実男

    国務大臣稲垣実男君) 委員承知のとおり、初の公選による琉球政府行政主席、復帰後の初代沖縄県知事を務められました屋良朝苗氏におかれましては、去る二月十四日に御逝去されました。  謹んでお悔やみを申し上げ、心から御冥福をお祈りする次第であります。  屋良朝苗氏は、戦後、米国施政権下の沖縄にありまして、教職の立場から復興に尽力されますとともに、本土復帰運動の先頭に立たれました。昭和四十三年には初の公選による琉球政府行政主席に就任され、さまざまな困難を克服して沖縄本土復帰へと導かれましたところであります。また、復帰後は沖縄県知事として沖縄振興開発計画原案の策定をされ、沖縄国際海洋博覧会の開催などに御尽力されました。沖縄の良心と言われました誠実で温厚な人柄は、現在でも多くの人々に敬愛されているところでございます。  屋良氏の目指されました本土との格差是正など沖縄振興開発の推進、米軍基地問題の解決は、復帰後二十五年になろうとしている現在でもいまだ道半ばでございます。沖縄開発庁としても、沖縄振興開発を所管する立場から今後とも努力を重ねてまいる所存であります。
  52. 風間昶

    ○風間昶君 そこで、昭和四十六年、沖縄返還に当たりましての沖縄開発庁設置法など七法案審議が、屋良知事が慎重審議してほしいという建議書を持って上京したその日に、衆議院での沖縄返還協定特別委員会で、ある意味では県民の心を踏みにじった形で強行採決されてしまった。まさに歴史が繰り返されようとしているんではないかというおそれを私は抱くものであります。あるいは、この三十年間進歩がなかったと言うべきかもしれません。  特措法改正が二十八日にも閣議決定になるという記事が本日の新聞に出ております。沖縄県民の納得と合意の上で駐留軍用地特措法の改正をどのように進めようとされているのか、防衛施設庁の方にお伺いしたいと思います。
  53. 伊藤康成

    政府委員(伊藤康成君) 委員承知のとおりと思いますが、駐留軍用地というものにつきましては、基本的には賃貸借契約で国が使用権原を取得いたしまして駐留米軍に提供するというのが建前でございます。私ども本土沖縄を通じましてかなりたくさんの土地を提供しているわけでございますが、そのような考え方のもとでできる限り契約をお願いしてきたところでございます。  本土につきましては全部そういうことで賃貸借契約で提供しているわけでございますが、沖縄県につきましては、御承知のとおり、約三万二千名の地主さんのうち、約三千人余りがどうしても契約に応じていただいておりません。大変残念なことでございますが、私どもといたしましては、この方々のお持ちの土地につきましては、いわゆる駐留軍用地特措法という手続で現在収用委員会に手続をお願いしているというところでございます。収用委員会のその手続そのものは、先月二月二十一日から公開審理ということで、過去の例から見ますと大変厳しい日程ではございますけれども、私どもとしては、現在、この収用委員会の審理が円滑に進みまして、何とか五月十四日までに使用権原が得られるということを期待しているところでございます。  先ほど新聞記事を御引用になりましたけれども、そのような決定をしたということはございません。
  54. 風間昶

    ○風間昶君 人ごとのようにしゃべってはいけないわけですよ。あなたの肉親がもし沖縄県民だったらどうだと。この心を自分の心としなければならないんじゃないかというふうに思うわけです。  法案の方に移りたいと思います。  沖縄振興のためにやっぱりある程度政府部門による資金の投入、すなわち公共事業は私は必要だと考えられますけれども、北海道も同じような状況である部分が似通っているわけであります。特に、本州に本社のある十二ぐらいのゼネコンが請負代金の大部分を持っていくために地元にお金が残らない、どうしても投資効率が悪いということがよく言われるわけであります。沖縄も同じことが状況としてあると思いますけれども、政府として、こういう指摘に対して長官はどう受けとめられていらっしゃるのか。
  55. 稲垣実男

    国務大臣稲垣実男君) 公共工事の地元への発注がどうも少ないではないかというような御指摘でございます。  この発注が増大することは沖縄にとりまして、地域経済にとって極めて重大なことと考えております。ちなみに、平成七年度におきまして件数では約七〇%、金額では約四〇%が地元企業に発注されている状況にございます。これは、工事内容によってはその規模の大きさや高度な技術を要することもございます。したがって、地元業者では施工が困難なものもありますので、受注件数に対しまして受注の金額が低くなっているものでございます。しかしながら、工事内容に応じまして、これからやはり分離・分割発注やあるいは混合入札ということを活用いたします等、可能な限り地元業者の受注機会を確保するようにしてまいりたい、こう思っている次第であります。
  56. 風間昶

    ○風間昶君 今、長官がおっしゃったように、まさにそこなんです。沖縄振興にやっぱり欠かせないのは産業の育成、誘致だというふうに思うわけです。そうなりますと、沖縄企業、法人を誘致して沖縄に本社を構えることが必要となるんじゃないか、単純に言いますと。今回の沖振法の改正を見ますと、確かに現存の企業、法人に対する税の緩和措置は継続しているけれども、もっと新しい産業、新しいものを新たに沖縄に誘致するだけの魅力に欠けていることを考えますと、思い切って法人税の軽減を、東南アジア並みとは言わないまでもそのぐらい、あるいは独自の関税制度をつくってみてはどうかと思います。  これは外務省や大蔵省は答えづらいと思うんです。だから、開発庁としては、応援官庁としてどういうふうにしていったらいいのか。知恵を出すところはやっぱり開発庁じゃないかと思うんです。ぜひ答弁していただきたいと思います。
  57. 嘉手川勇

    政府委員嘉手川勇君) ただいま委員指摘の法人税等の軽減につきまして、沖縄県からは自由貿易地域拡充強化策の一環として要望が参っております。  この自由貿易地域につきましては、委員御案内のとおりかと存じますが、昨年九月の内閣総理大臣談話において、その拡充等による産業や貿易の振興について沖縄県とともに検討を行うこととされているところでございます。今後、沖縄政策協議会の国際貿易・物流基地の形成プロジェクトチームにおいて、自由貿易地域拡充強化について幅広く検討していくこととなると考えております。  なお、この自由貿易地域拡充強化については、沖縄開発庁が取りまとめ官庁としてプロジェクトチームに加わっております。沖縄開発庁におきましては、平成九年度におきまして、委員指摘の税制上の特別措置を含めて、自由貿易地域についての沖縄県の要望を踏まえ、沖縄産業振興、貿易振興のため、沖縄に展開いたします自由貿易地域のあり方、そのために必要な機能などについて調査を行うことといたしております。  沖縄開発庁としましては、今後とも関係省庁、沖縄県と連携をとりながら自由貿易地域拡充強化に取り組んでまいりたい、このように考えております。
  58. 風間昶

    ○風間昶君 はぐらかさないで質問にちゃんとまともに答えてくださいよ。
  59. 嘉手川勇

    政府委員嘉手川勇君) 法人税その他、企業の誘致に必要な税制の改正という点について、沖縄開発庁の立場としては、そういうような税制を導入することができれば非常にありがたいという気持ちは重々持っております。
  60. 風間昶

    ○風間昶君 応援しますから。  そういう意味で、沖縄振興を二十一世紀前に打ち立てないと本当に大変な状況になるのじゃないかと私は思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  そこで、ちょっとお金を出す側の方の問題について、これは大変大事な問題なので、去る二月上旬に自民党の佐藤孝行行革本部長が、三月中に三ないし四の法人の統合縮小案を作成する段取りだと、その後で、北海道出身にもかかわらず、北東公庫を日本開発銀行に統合する案を検討中と述べられていらっしゃる記事が載っております。  沖縄公庫については、きょうの産経新聞でも、特殊法人存続の根回しが行われているのかどうかわかりませんが、沖縄公庫について統合もしくは民営化についての議論がなされていないような気がして私はならないわけですけれども沖縄公庫の合理化について、長官はどのようにお考えなのか伺いたいと思います。
  61. 嘉手川勇

    政府委員嘉手川勇君) 長官の御答弁の前に、自由民主党におきます行革推進本部の点につきまして、私ども自由民主党の行政改革推進本部のヒアリングを受けまして、沖縄公庫の持つ重要性、振興開発上非常に重要であるということを十分に御説明申し上げたところでございます。
  62. 稲垣実男

    国務大臣稲垣実男君) ただいま御質問の中にございましたとおり、沖縄振興開発公庫は統廃合も民営化も考えておりません。  その理由といたしましては三つあると思います。一つ目は、本土における七つの政策金融機関、いわゆる日本開発銀行、国民金融公庫、住宅金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、環境衛生金融公庫、社会福祉・医療事業団、これらの業務を一元的に行っている金融公庫であることは御承知のとおりでございます。二つ目は、沖縄はまだ資本の蓄積が非常に乏しいわけでありますし、長期かつ低利の融資を行う沖縄公庫の機能を代替する機関がございません。三つ目は、第三次沖縄振興開発計画の推進のために今後とも沖縄に重点的な投資が必要だと、このように考えておるのでございまして、こうしたことから現行の経営形態が最も適切だと認識しております。
  63. 風間昶

    ○風間昶君 そうなりますと、次に沖縄の位置づけの問題になろうかと思います。それはどうしてかといいますと、首里城の正殿の額に万国津梁という書が掲げられているのを三年前に私も行ったときに見させてもらいました。世界のかけ橋という意味じゃないかと思うんです。  これも新聞記事で恐縮ですが、本日、台湾国民党の代表が沖縄投資に沖縄を訪れているはずです。沖縄振興にとって千載一遇のチャンスじゃないかというふうに私は思うんです。東京発沖縄の視点ではなくて沖縄発東南アジアへ発進するという視点で、基地、観光公共事業という三Kから、むしろ交易、物の交流、人の交流、そして教育を含めた貢献と、新しい三Kをぜひ考えるべきではないかというふうに私は思うわけです。もちろん公共事業の重要性は否定しませんけれども、県内の公共事業中心の現業や調整官庁としてではなくて、交流、交易、貢献という観点から、むしろ沖縄開発庁がそういうことに関してビジョンやプランをつくるべきではないか、そして政策官庁として生き残るべきチャンスじゃないかというふうに思うわけです。  沖縄開発庁の政策官庁としての位置づけを大臣はどう考えていらっしゃるのか、伺いたいと思います。
  64. 稲垣実男

    国務大臣稲垣実男君) 御指摘のように、沖縄は我が国の南西端にございますし、我が国と近隣アジア諸国との接点に位置しております。経済、文化等の各般にわたって豊富な国際交流を今日まで深めてきたという歴史を有しておりますし、このことは重く受けとめております。第三次沖縄振興開発計画におきましても、沖縄地域特性を積極的に活用して、我が国の南における近隣アジア・太平洋諸国との国際協力拠点の形成を図ってまいらなければなりませんし、経済、文化、学術等の国際交流を積極的に推進することとしております。  そういう意味で、委員から今言われましたとおり、台湾あるいはまた中国からも、大変魅力感じておるということでしょうか、最近いろいろ訪れておりますし、沖縄開発庁にもどのように沖縄の将来展望を見てやられるのかというような問い合わせ、その他もあるようでございます。しかし、それにつきましても汽車で来るわけにはいきませんので、やはり空から見える場合がほとんどでありますから、空港をさらに拡大強化していかなければいかぬだろう。それからまた船で参られる方も最近多いわけでありますから、港湾等の必要な基盤整備を推進していかなければなりませんし、また、各種の国際協力や協力活動、イベントとかそういったいろんなもろもろのものが促進されるように努めておるところでございます。  委員指摘のとおり、私も先ほどちょっと申し上げましたが、やはりこれからグローバルな見方をしていく。二十一世紀は平面的じゃなくて地球儀的な視点に立ってこれからやるべきでありましょうし、官房長官もそういうことなどで蓬莱経済圏構想などを練ったり、あるいはそういうことをおっしゃっているわけでありますから、ぜひそういうようなグローバリゼーションの進展のもとでこうした国との交流や相互依存関係が一層強まるものと予測しているわけであります。  そこで、先ほどから申し上げておりますとおり、開発庁といたしましても、沖縄政策協議会における国際協力・交流の推進プロジェクトチームなどに積極的にただいま加わっておりまして、関係省庁や沖縄県と密接な連携をとりながら、先ほど申し上げましたようなもろもろの社会資本の整備自由貿易地域拡充等、国際交流の拠点づくりに向けて一層の支援をしてまいりたい、こう存じ上げておるわけであります。
  65. 風間昶

    ○風間昶君 ありがとうございます。  せっかく内閣内政審議室の方においでいただきましたので、昨年の総理大臣談話から四回にわたって政策協議会が開かれて、プロジェクトをつくって、五十億円の調整費を計上してやられるということで承知しておりますけれども、今後この三十四検討事項をきちっと調整配分して、そしてタイムテーブルを明らかにされていかれることを要望して、質問を終わります。
  66. 及川耕造

    政府委員(及川耕造君) 御指摘の点を十分踏まえまして作業してまいりたいと存じます。
  67. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 私は、質問に入ります前に、今御審議いただいております沖縄振興開発特別措置法及び沖縄復帰に伴う特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について、沖縄選出の国会議員として、今御審議いただいている法案内容沖縄振興のすべてではございませんが、大変重要な内容になっていることは私もよく承知いたしております。  そこで、県民の一人として、また沖縄選出の国会議員の一人として、ぜひ委員長を初め各委員先生方には本法案を全会一致でお認めいただきたいことを私からもお願い申し上げたいと思います。また、理事会で平成会の理事から、附帯決議についても御検討いただきたいという旨のお達しがありました。そのことについても私個人としては全く異議ないし、大変当を得た内容だ、こういうふうに理解いたしております。  さて、稲垣開発庁長官を初め開発庁の職員の皆さん方には、沖縄振興のために、あるいは沖縄の抱えているさまざまな諸問題を解決するために御奮聞いただいていることに心から敬意を表するものでございます。本委員会には高木元開発庁長官もおられるわけでありますが、開発庁が一体となって沖縄県と緊密な連携をとりながら、二十一世紀の新しい時代に沖縄の自立経済の確立と沖縄の未来を切り開いていこう、こういう取り組みをしておられることに重ねて敬意を表するとともに、今後もまた長官を先頭に頑張っていただきたいことをお願い申し上げたいと思います。  さて、いつも私は本委員会で外務省や防衛庁、防衛施設庁に先に質問いたしておるわけでありますが、きょうは稲垣長官がお見えでございますので、ほのぼのとした話題から先に質問させていただきたいな、こういうふうに思っております。  もちろん、ほのぼのとした質問と申し上げましても、今御審議いただいている法案と密接に関連いたすわけであります。嘉手川総務局長や牧振興局長沖縄の銘酒泡盛を御愛飲いただいているということは私もよく存じ上げておりますが、さて、稲垣長官は銘酒泡盛を御愛飲いただいておるでしょうか。
  68. 稲垣実男

    国務大臣稲垣実男君) 酒のことを言われますと大変私はつらいわけであります。二十歳ごろには実は一升瓶を下げまして飲んだぐらいの経験がございます。私の実家も実は料理屋でございます。長年ずっと料亭を経営しておりましたのでいささか酒の心得もありましたが、私の恩師である中垣先生というのが鹿児島の御出身で、しょうちゅうで鍛えた人でありますが、この方が志を立てて国会議員になられるときに思い切って酒をやめたということでありまして、私はその秘書をやりました。その影響から私もぴたっとやめちゃったものですから、今は余り楽しんでおりません。  泡盛は伝統的なすばらしい酒で、しかも年功をとるほどすばらしい酒だということはわかっておりますが、多少味わうことでくるくるとやるぐらいのことはやりますが、どうも銘酒を飲むというようなたしなみが今はございませんので、残念ながら味わいは余りしておりません。そのうちちょっと健康上やってみたいなと思いますが、まだやっておりません。いずれはと思っております。
  69. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 長官、酒イコール日本酒と私は理解いたしておりまして、酒は避けても結構でございますが、泡盛は御愛飲いただきたい。長官の健康にも長寿のためにも銘酒泡盛は大変な効用を持っておりますので、ぜひ一度お試しいただきたいなと、こういうふうに思います。  さて、沖縄の泡盛産業は五百年以上の歴史と伝統を有しておりまして、沖縄固有の地場産業であります。また、生産されている泡盛も大げさに言っているわけじゃなくして本当に世界的に高い評価を受けておるわけであります。長官は、泡盛産業現状についてどういう御認識をお持ちでしょうか。
  70. 稲垣実男

    国務大臣稲垣実男君) 泡盛は沖縄の伝統ある重要な地場産業でございます。しかしながら、その製造業者はいずれも中小零細企業でございますし、いわゆる経営基盤は脆弱であると認識しております。また、今般、しょうちゅうの酒税が大幅に引き上げられると聞いておりまして、泡盛業界にとって大きな打撃をこうむっていくことが予想されておるわけでございます。こうした業界の現状及びそれを取り巻く環境にかんがみまして、今回の復帰特別措置法の延長をお願いしているところでございます。  そこで、実は原料をもう少し、ただ外国からお米を手に入れるとかそれだけじゃなくて、原料の確保の中で質的に例えば低温倉庫で加工とか、最近、清酒が地方の大吟醸だとか吟醸酒で、かつて衰退しておりました私の地元の清酒業界も吟醸だとか大吟醸というようなことがうたわれましてから随分復帰しまして、このごろは大変もうかってきているようであります。  そのようなことでありますから、泡盛にもそういういろいろな措置を講じていけば、すばらしい泡盛が、また国民の多くの人に飲まれるようなものができるだろう、そんなことを私は期待してこれから支援策を講じていきたいと思っております。
  71. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 長官御承知のように、泡盛の原料米は主としてタイの国から輸入しておるわけであります。ところが、輸入する場合に、泡盛の原料米は政府の方で管理しているものですから、いわば市場価格というか国際相場でいうと大変割高になっておる、こういうことがかねてより泡盛業界の皆さん方から指摘されておるわけであります。  それで、私は、長官が今少しお触れになりましたけれども、泡盛の原料米をもっと安く仕入れることができるような仕組みを開発庁で率先して政府の政策として組み入れていく、こういう手だてを尽くしていただけるように長官の御決意をお伺いしたいと思います。
  72. 稲垣実男

    国務大臣稲垣実男君) 今回お願いしております復帰特別措置のほか、照屋委員から今御指摘がありましたとおり、政府のとり得る措置として、御指摘の原料米の価格引き下げが考えられるわけでありますが、これにつきましても、いかにしたらそのようなことが実現できるかということで、沖縄開発庁としても所管省庁にただいま要請しておるところでございますので、そのように御理解していただきたいと思います。
  73. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 確かな具体的な数字はちょっと私も今正確に申し上げられませんけれども、泡盛業界の皆様方の御指摘によりますと、復帰後、もし泡盛の原料輸入米を政府が統制しない、管理しない自由競争の市場価格で購入できたとすると何十億という開きがあるはずだと、こういうことも指摘されております。長官の今の御決意を私も大変うれしく受けとめておりますし、泡盛業界、泡盛産業振興のためにもぜひ実現へ向けてさらに御奮闘、取り組み方をいただきたいと思います。  そこで、振興局長にお伺いいたします。  局長はもう既に御承知だと思いますが、中小零細企業が多いんですね、泡盛産業というのは。泡盛というのは、古酒と言って寝かせれば寝かせるほどうまみも出てくるし、また付加価値も高まってくるということで、貯蔵タンクというんでしょうか貯蔵施設をいかに備えていくかということが業界の課題であります。そういう泡盛業者の古酒を製造する貯蔵施設についての制度的な支援策も私は考えていいんではないかなと思いますが、局長のお考えをお聞かせください。
  74. 嘉手川勇

    政府委員嘉手川勇君) ただいま先生がおっしゃいました、泡盛を寝かせて古酒にする、そのための施設に対する支援策ということでございますが、実は沖縄振興開発金融公庫の方で、泡盛を古酒にする際に金融支援、融資を行っております。その具体的な例といたしまして、沖縄県酒造協同組合が行う長期貯蔵の事業に対しては、これに貸し付け、低利融資をいたしております。泡盛につきましては、泡盛が沖縄の伝統的なものであるという沖縄特性を持っておりますので、沖縄公庫もその点を十分に考慮いたしまして、今申し上げたような融資制度を開設いたしておるところでございます。
  75. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 さて、法案として今御審議いただいている沖縄本土間の航空運賃軽減の問題でございます。  私も七年間県会におりましたときに、航空運賃を低減、軽減してもらいたいという決議を何度も何度も行いました。また、政府の関係要路や航空会社にも要請して回ったことを経験いたしております。今回、歴代長官を初め、また鈴木先生も政務次官のころ大変御努力いただきまして実現する運びになりました。これは沖縄観光産業振興のためにも、また県民生活の中でも大変すばらしいことだと、こういうふうに私は評価いたしております。  それで、今度の燃料税等の軽減による航空運賃の低減というのは、沖縄本島本土との航空路に適用されるわけですね。
  76. 稲垣実男

    国務大臣稲垣実男君) 今、委員指摘のとおり、沖縄本島本土との主要路線ということに限られております。
  77. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 この法案が可決されましたら、引き続いて、沖縄離島県でございますので、ぜひ本島と各離島間の航路の燃料税などについても今度の措置と同じような政策が実現できないものか、こういうふうに私は思っております。その点の開発庁の取り組みというか、長官のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  78. 稲垣実男

    国務大臣稲垣実男君) 沖縄本島離島間の問題、あるいはまた離島本土との問題でございますが、これにつきましては、まず観光客をいかに入れるかというところに今回の措置の重点が置かれたといいますのは、沖縄の経済において重要な位置を占めている観光振興に資することを主たる目的として、沖縄への観光客の大半が利用する路線である本土那覇路線の航空運賃の引き下げが行われるように、またこれに資する措置として今回の措置が特例的に講じられたものでございます。なお、那覇空港は沖縄県内の各地域を結ぶ拠点空港になっておりますし、本土那覇路線の航空運賃を引き下げることによって、全体としてではございますが、沖縄本島はもとより離島を含めての観光客の増加を期待できる、沖縄県全体の観光振興に資することになると考えております。  なお、御指摘の点についてはさらに検討を加えてまいりたいと思います。
  79. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 さて、昨年、沖縄県から政府に対して五項目二十六件に及ぶ規制緩和の要望がなされております。知事を初め県の経済界あるいは多くの県民が望んでいるのは、何といっても沖縄を日本における規制緩和のモデル県にしよう、先進県にしよう、こういう強い思いがあることを長官には御理解いただきたいというふうに思います。  ところが、三月十六日の地元琉球新報が、沖縄県が要望しておった五項目二十六件の規制緩和の要望に対する関係省庁、政府の検討状況をつぶさに報道いたしているわけですが、そのほとんどが前例がないとか県の要望を受け入れると一国二制度になるとか、こういうふうな対応のようでございます。三月四日、首相補佐官の岡本氏が同じく琉球新報のインタビューに答えて、沖縄県は役人が言っている一国二制度ということにひるむ必要はない、軍事基地の面ではもう何十年もいわば一国二制度を押しつけられてきたんだと、こういう趣旨のことをおっしゃっているわけであります。  私は、規制緩和というのは、やはり従来の発想にとらわれないで、復帰後二十五年間の政府の沖縄振興策を振り返って、今、大胆に発想を転換して規制緩和をやっていく、こういう心構えが必要ではなかろうか、こういうふうに思うわけであります。  県から政府に要望いたしております規制緩和策について、開発庁はどういうふうに受けとめておられるのか、また、政府の中でどういうふうにその実現へ向けて政策的なリードを図っていこうとされるのか、決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  80. 稲垣実男

    国務大臣稲垣実男君) 沖縄県の規制緩和に関する要望に対する政府の検討状況報道されましたことは承知しております。  沖縄振興策については、現在、沖縄県の要望を踏まえながら内閣官房長官、関係大臣沖縄県知事等で構成いたします沖縄政策協議会において真剣に検討されているところでございます。例えば、自由貿易地域につきましては、沖縄政策協議会の国際貿易・物流基地の形成プロジェクトチームにおいてその拡充強化について幅広く検討していくことになっております。  また、沖縄開発庁におきましては、平成九年度において、自由貿易地域についての沖縄県の要望を踏まえ、沖縄産業振興、貿易振興のための沖縄に展開する自由貿易地域のあり方、そのために必要な諸機能等について調査費を組んでおります。四千二百万円でございますが、これで行おうとしておるわけでございまして、沖縄開発庁としては、今後とも関係省庁及び沖縄県と密接な連携をとりながら沖縄振興開発に鋭意取り組んでまいる所存でございます。
  81. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 思い切った、そして大胆な取り組み方をぜひお願い申し上げたいと思います。  さて、それでは防衛施設庁お見えでございますので、一点お伺いいたします。  現在、嘉手納飛行場を含む十二の施設について使用裁決の申請がなされ、沖縄県収用委員会で公開審理が進められております。三月十二日の第二回の公開審理で、石原正一さん、現に生存している石原正一さんを亡くなったものだと思って職権で相続の代位登記をして使用裁決の申請をしておった、こういう考えられないような人違い事件というか、あるいは地元新聞によると登記簿殺人事件だなどと言って表現する人もおるわけであります。私はこれは非常に重大な手続の瑕疵になるのではないかと。  もちろん、そのことは今月二十四日の収用委員会の会議で判断をされるようでございますが、なぜこのような事態が起こったのか御説明いただきたいと思います。
  82. 首藤新悟

    政府委員(首藤新悟君) 本件は十年ほど前の昭和六十二年九月にさかのぼるわけでございますが、那覇防衛施設局が、静岡県の清水市に在住されている嘉手納飛行場の一坪共有地主一名につきまして、清水市に住民票の交付を依頼いたしましたところ、この方は死亡している旨が記載された住民票除票の交付を受けたわけでございます。このため、那覇局は、四名おられるわけでございますが、この方の法定相続人を調査いたしまして、これを手続の対象者としたというものでございます。また、これらの法定相続人につきまして、昨年の七月でございますけれども、賃貸借契約に応じていただきたいという同意のお願いに参上したわけでございますが、この法定相続人から拒否するという回答があったものでございます。  他方で、これまでに実施されましたいわゆる隠れた権利者を発掘するなどのための手続でございます使用認定土地に係る調書及び図面の縦覧、これは七年五月からでございますが、並びに裁決申請書の公告縦覧、これは昨年の九月、二週間行いましたけれども、におきまして土地登記名義人、すなわち今回真の所有者と判明したこの石原正一さんからの申し出はなかったという経緯がございます。  今般、那覇防衛施設局が改めて清水市に確認いたしましたところ、登記名義人とたまたま同姓同名の清水市在住の別人の住民票除票の交付を受けたことから、その法定相続人を対象として局が手続を進めていたということ、それから登記名義人は現在も清水市において御健在であるということが判明したものでございます。  これまでの調査を通じまして真の所有者が確認されましたことから、私ども沖縄県の収用委員会に対しその事実関係を近日中に説明いたすことにしているものでございます。
  83. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 いずれにしましても、その登記簿上の所有名義人は住所も登記簿に記載されているわけですから、清水市が誤って発行した住民票の除票をそのまま照合もしないで手続を進めるというのは、これはもう重大なミスだ、こういうふうに私は断ぜざるを得ないというふうに思います。  時間も少なくなってまいりましたので、これ以上論争するのはよしておきます。  外務省、簡潔にお答えいただきますが、いわゆる五・一五メモ、附属文書、図面等を含めて全面的に公表するおつもりですか。
  84. 梅本和義

    説明員(梅本和義君) いわゆる五・一五メモでございますが、先月、橋本総理が大田知事に、この公表について前向きに検討させていただきたいというふうに述べられましたことを踏まえまして、現在へ関係省庁間において、できるだけ早期にかつできるだけ多くを公表しようということで真剣に作業に取り組んでいるところでございます。  ただ、何分非常に大部なものでございますので、現在もなお関係省庁及び米側との調整が行われているということでございますが、私どもの気持ちとしてはできるだけ多くを公表したいということで作業しているところでございます。
  85. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 いわゆる五・一五メモについても、復帰直後から沖縄県そして議会も再三再四公表してくれと言っても、今まで外務省はそれをずっとノーと言って拒否し続けた。劣化ウラン弾の事件が起こって沖縄の基地問題が再燃すると、また公表しようや、こういうふうになった。私は、外務省のこれまでの姿勢は、県民から本当にこれでいいだろうかというふうに思われていると思いますよ。  さて、その劣化ウラン弾ですが、国内では演習に使用できないというのが鳥島でこの前やられた。その劣化ウラン弾を嘉手納に貯蔵しているということはもうアメリカの発表でも明らかなわけであります、嘉手納基地から装着していったというわけですからね。その劣化ウラン弾は沖縄を含めて日本国内に貯蔵することをもうやめるようにアメリカに要求すべきだ、県民はこういうふうに考えておるわけでありますが、そのような対米交渉をなさるおつもりはありますか。
  86. 梅本和義

    説明員(梅本和義君) これは、私ども外務大臣、総理大臣の方から累次御答弁がありますことの繰り返してございますが、在日米軍はやはり我が国の安全及び極東における国際の平和と安全の維持に寄与するために必要な活動を行う、また同時に、緊急事態が発生した際にこれに効果的に対処することができるように種々の装備、物資を保有するということでございます。  劣化ウランを含有する徹甲焼夷弾につきましても、我が国の一部施設・区域に保管されているのは、まさに我が国が武力攻撃を受ける場合など緊急事態において米軍がこれを使用する必要がある、あり得るということのためだということでございまして、この点については御理解を願いたいというふうに思います。  もちろん、こういう弾薬につきまして管理がきちんと行われるべきことは当然でございまして、米側からは、こういう弾薬につきましては、ほかの弾薬もそうでございますが、所定の基準を満たした特定の弾薬庫において周辺地域の安全に万全の配慮を払いながら厳重な管理をしておる、また出入庫等についても正確に把握しておるという説明を受けているわけでございますが、私どもとしては、いろいろな機会を通じましてアメリカ側にこういう弾薬の管理というものを一層きちんとしてもらいたいということを働きかけていきたいというふうに思っております。
  87. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 終わります。
  88. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 民主党・新緑風会の前川でございます。  実は、基地の問題について質問しようと思ったんですが、前回、三月三日の防衛施設庁とのやりとりと同じ繰り返しをやるのは時間がもったいない、正直に申し上げて。いろいろと開発庁の方にお聞きしたい点もございましたので、きょうは基地の問題については触れないことにいたします。  ただ、五月十四日がもう二カ月後に控えているということは現実です。私としては大変心が重くなるということだけは申し上げておきたいと思います。  そこで、沖縄の基地問題を含めまして安全保障の問題全体を考えた場合に、今さまざまに沖縄の問題というのは焦点が当てられていますが、私どもは、安全保障の問題に関してこういう場で議論しているときには、沖縄人たちの気持ちがわかったとかわかるとか、こういう議論をしていますが、むしろ日常は、沖縄人たちが負っているその負担を逆に私どもが肩がわりする機会というのはほとんどない。  そういう意味で、沖縄人たちが負担してくれているおかげで私たちは場合によっては平和を享受しているのかもしれないということも、ある意味では私は言えるんじゃないかと。とすれば、やはり平和の配当というものを場合によっては沖縄人たちに払うべき責任もあるんじゃないか。この配当というのは、私は何もお金だけのことを言っているわけではありません。さまざまな制度面で沖縄人たちが望んでいるもの、あるいは沖縄人たちと一緒になって考えて、こうすべきじゃないか、あるいはこうしようということについては、大胆にそのことについてこたえていく責任が私どもにあるんじゃないか、そんな気が実はいたしております。  そういう前提に立ってこれから二、三質問させていただきますが、もしそういう前提について後ほど長官の方から御所見があればお伺いしたいと思います。  まず最初に、第三次沖縄振興開発計画についてであります。  ちょうど折り返し点を過ぎたところでありまして、既に官房長官のもとに設置されております沖縄政策協議会のプロジェクトの中で総合的な評価を含めた議論が始められているというふうにお聞きしています。特に開発庁として、この十カ年計画折り返し点に当たって、どんな点がこれからの見直しのポイントになるのか、どういう点が進捗状況として足りなかったのか、どういう点に重点を置いていこうとされるのか、この辺について一つはお伺いしたい。  と同時に、私は、さまざまな議論の背景にやはり生活のことがどうしてもあるものですから、この計画がスタートしたころと現在とで沖縄の県民の皆さん方の所得がどうなっているのか、あるいは失業率や就労の状況がどうなっているのか、その辺についてのデータがもしございましたら、できればお聞かせいただきたい。この計画の中では平成二年ベースで沖縄の平均所得が約二百万円、十年後の平成十三年で三百十万円ということを推定されておられますが、実態はどうなのか、その辺も含めてお聞かせいただければというふうに思います。
  89. 嘉手川勇

    政府委員嘉手川勇君) まず、基本的なデータから御説明申し上げたいと存じます。  まず第一は県民所得でございますが、県民所得は、平成六年度で見ますと二兆六千六百六十三億円でございまして、これを一人当たりにいたしますと二百十一万九千円となります。一人当たりの県民所得は全国平均の七一・二%でございまして、依然として全国最下位となっております。  なお、本土復帰当時の四十七年度で見ますと、当時の一人当たり県民所得は、四十四万五千円と全国の六〇%でございました。したがいまして、本土との格差は縮まってきてはおりますが、復帰以来、沖縄海洋博覧会の行われた昭和五十年度が四十六位となっておりますが、それを除きまして全国最下位であるという事情は変わっておらないわけでございます。  続きまして、失業率の関係でございますが、沖縄県におきます完全失業率は、平成八年平均で六・五%となっておりまして、全国平均の三・四%の約二倍となっております。このように、沖縄県における雇用情勢は依然として厳しい状況にあるものと考えております。  次に、現在進行中の第三次沖縄振興開発計画の見直し等につきまして御説明申し上げます。  第三次沖縄振興開発計画は平成九年度から後半に入るわけでございますが、計画期間の後半を迎えるに当たって、現在の計画に盛り込まれている諸事業、諸施策の状況について把握するとともに、計画期間後半の施策の展開等について明確にしておくために、現在、沖縄振興開発審議会において今月末を目途に後期展望の調査審議を行っていただいております。現在、最終的な取りまとめを行っていただいている段階でございますが、調査審議内容につきましては、三次振計前期におきます実績と評価といたしまして、たくさんございますので例で申し上げますが、例えば、特色ある産業として農業、製造業、建設業、観光リゾート産業、情報産業等について現状把握を行うとともに、今後どうすべきかという課題の整理を行っております。それから、沖縄開発庁が積極的に進めてまいりました社会資本整備でございますが、これにつきましては、施設整備の面では次第に格差が縮小されてきているが、やはりなお整備を要するものも多く見られる、こういうような御指摘でございます。  また、三次振計策定後の社会経済情勢の変化と沖縄への影響というテーマで、グローバリゼーションの進展でございますとか、環境への認識の高まり、高齢化時代や高度情報化時代の到来、特に米軍施設・区域の整理、統合、縮小と沖縄振興策の検討について指摘がなされております。  そして、このような現状課題を踏まえまして、今後の施策の方向性等についてまとめることとなっております。  具体的に申しますと、その計画期間後半の施策の展開の方向でございますが、一つ経済社会の変化に対応し、地域特性を生かした特色ある産業振興を図る。二つ、国際性豊かな県民性や地域特性を生かし、我が国の南の国際交流拠点の形成を推進する。三つ、これらを推進する上で基盤となり、自立的発展を支える社会資本の整備を推進する。四つ、沖縄の豊かで多様な自然環境の保全、継承など環境に配慮する。離島及び県内のもろもろの圏域がございますが、その圏域につきましては、それぞれの特性を生かしつつ、交通情報通信体系整備県内外交流を促進する。あと一つだけつけ加えさせていただきます。米軍施設・区域の整理、統合、縮小と返還跡地の有効利用を進めること。今申し上げました六点について御指摘をちょうだいいたす予定でございます。  いずれにいたしましても、沖縄振興開発審議会において後期展望が取りまとめられた場合には、今後これを踏まえまして計画の目標達成に向けて一層の努力をしてまいる所存でございます。  説明が長くなりまして、失礼いたしました。
  90. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 計画ですから全部が全部一〇〇%達成できるとは私も思っていませんけれども、これまでの実績に対する評価をきちっとした上で、先ほどからそれぞれの議員の方々からも御指摘がありますように、沖縄県からはさまざまな規制緩和の要望が出ているわけです。そういうものとかみ合わせた場合にこの計画がどうなっていくのか、あるいは、それが実現しなかった場合、ノーと言った場合にどうなっていくのか、机上の議論じゃなくて具体的な要望に対してどうなのかという点検もきちっとやっていただきたいと思います。これは審議会でやるベースの話なのかどうかわからないですよ。僕は、ぜひ開発庁にやっていただきたいわけです。  そこで、規制緩和の問題についても今申し上げましたが、これは大変皮肉な言い方になるのかもしれませんが、沖縄人たちはよく公共投資と観光と基地で生活しているというやゆがあるんです。沖縄人たちにとっては実に不愉快な思いをされていると私は思うんです。つまり、自立をしたいと思いながらもさまざまな条件があるわけです。この条件を何とか取っ払ってくれないか。ある意味では、これはいわゆる規制ですよね。そのことによって沖縄は自立する力を持っている、歴史的にも。このことにやっぱり目を向けるべきだ。  そういう意味で、先ほどから議論がありますように、一つの国に二つの制度があってもいいんですね、国の政策として決めればいいことですから。そういう官僚的な発想を一回ここで捨ててみて、ある意味ではこれからの新しい日本の、口ではよく国際的なあるいはグローバリゼーションなんて簡単に言いますけれども、国の中のことだけしか考えないで沖縄の問題を考えるから、一国二制度はおかしいじゃないかという話になってしまうんです。  そこでお願いしたいのは、こういう言い方はちょっと不遜かもしれませんが、特に私は労働組合の出なものですから、労働省は労働者の味方になってほしい、通産省は場合によっては企業の味方になってもいいよと。ちょうちょうはっしやって折り合うところが一つの政策になればいいじゃないか。同じように、僕は開発庁は徹底して沖縄人たちの味方になってやっていただきたい。大蔵省や外務省や防衛庁とちょうちょうはっしやっていただきたいんですよ。そういう役割を沖縄県から今求められている規制緩和やさまざまな要望についてぜひやっていただきたい。やっていただいていると思います。  しかし、今度の法律改正案は、正直申し上げて、沖縄人たちが望んでいることに関するとちょっとじゃないかなという気がするんです。これでも一歩前進という評価を私はしていますけれども、そういう点はいかがなものなんでしょうか。長官の方からお答えいただければ。
  91. 稲垣実男

    国務大臣稲垣実男君) 今、委員がいみじくも指摘されましたとおり、やはり沖縄県民の人たちにとってみると、思い切った規制緩和をやったり、この間官房長官が出て、思い切ったことをやってやれぬことはないというようなことまで言われまして、私自身は実は我が意を得たりというふうに受けとめたわけであります。  しかし、法のもとに平等という憲法の精神もありますし、しかしながら沖縄県民の人たちが今日まで本当に耐え忍んでこられた姿を見てまいりますと、これはどこかで飛び越えなければならぬところもございましょう。特に、県民の生活にもさまざまな影響が今日まで出てきておることは私としても痛切に認識しておりますし、何にしましてもこのように我が国全体の安全のために沖縄県の方々が担っておられる御負担について、できるだけ国民全体で分かち合うといいますか、そういうような視点というか考え方、認識が必要ではないのかなということからいいますと、今言われましたとおり、沖縄からも、要望を十分踏んまえて計画に盛るのはいいけれども、本当にやれるのかということで強い御要望があることはよく承知しております。  いずれにしましても、内閣官房長官、関係大臣沖縄県知事とで協議する沖縄政策協議会というものがあるわけでありますので、具体的に検討がなされるところでございます。  規制緩和等に関する要望事項についても、それぞれ関係のプロジェクトチームにおいて関係省庁及び沖縄県が一緒になってただいま検討を行っているところでございます。しかも、開発庁としてはこれらすべてのプロジェクトチームに積極的に加わり、関係省庁や沖縄県と密接な連携をとりながら、沖縄県が地域経済として、何にしても自立経済といって言葉だけがあるんじゃなくて、現実の問題として、自分たちでそこへ資本投資して、その土地に根差してそこで十分経営が成り立っていくというような産業をどう興していくか、あるいは、今あるものをどう改善して自立経済していくかというところが出てまいりますと、よく懸念されるように、若い人たちが県外に職を求めるのじゃなくて、県内の中にとどまって新しい魅力ある沖縄をつくっていこうじゃないかというような機運が出てくる、そのことによって県民の所得向上あるいは生活の向上が期待されるということであります。  そういうことで、我が国経済社会の発展に寄与する地域として十二分に整備されるように私も全力を傾注してまいる覚悟でございます。
  92. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 沖縄の最大の産業は基地だという皮肉な言い方があるんです。沖縄の基地で働いておられる方はたしか八千人ぐらいおられるんじゃないでしょうか。その次に大きいのが沖縄電力で、これが大体千人ぐらい。あとは千人以下の企業です。これは、さきの所信に対する質疑、三日ですが、お聞きしたわけですけれども、日本の本土と同じような発想で企業を誘致してもそう簡単に企業はなかなか進出してくれないと私は思うんですよね。  そこで、これは開発庁の中でも議論されておられると思いますし、あるいは政策協議会等の議論もありますし、あるいは沖縄県からも強い要望があるわけですが、沖縄という地理を逆手にとって、発想を少し変えまして、例えば先ほど長官がおっしゃっていましたように、地図の上でじゃなくて地球儀で考えまして、東京から沖縄というのは遠いなというのではなくて、沖縄を中心にして考えて円をかいてみる。例えば、沖縄から東京までの距離と同じような円をかいてみたら、アジアの大半の国は入っちゃうんです。そういう発想に立って、むしろ私はあの地理を逆に活用する発想の転換をやっていただきたい。  それは、沖縄県からも要望がありますように、国際的な貿易の中継基地であったり、自由貿易地区であったり、経済特区であったり、これは先ほど規制緩和との関係がありますけれども、そういうことに大胆に踏み込む、そのための社会基盤を国としてつくり上げていく、このことが逆に企業沖縄に進出してくる条件づくりになると私は思うんです。  それから、例えばこれからは情報通信というのが非常に大きなウエートを占めるようになります。これはもう何も日本あるいは東京にある必要はないわけですよ、まさに人工衛星を使ってやるわけですから。そういう意味で、私は、将来の情報通信基地としての沖縄というのを活用するということだって考えられると思うんです。  もちろん、さまざまにクリアしなければならない課題はありますけれども、ぜひ政府として、これらの社会的な基盤整備をまず最優先していただいて、その上でぜひ新しい企業も、本土から行ってもらう場合もあるでしょう、あるいは沖縄の資本で業を起こす起業家があらわれるかもしれません、そういうような努力をできればしていただきたいというふうに考えますが、いかがでしょうか。
  93. 稲垣実男

    国務大臣稲垣実男君) 二十一世紀の産業とは一体何ぞやということを考えたとき、部品を集めてやりますアセンブリーをやるような重厚長大産業というものが果たしてリード役になり得るかというと、なかなか難しくなってきております。  それにつきましても、国際貿易中継基地としての空港や港湾等の国際情報通信基地の基盤整備ということが、まずこれから沖縄には非常に必要であろうと私は思っております。沖縄の地理的特性から極めて重要であることは十分認識しております。現在、三次振計に基づきまして南の交流拠点の形成や観光リゾート産業等の自立した経済振興を図るための基盤整備を推進しているところでございます。今後、沖縄経済の活性化が最も必要なことであると考えておりますが、現在、沖縄政策協議会プロジェクトチームにおきまして、国際貿易の中継基地というものや、あるいは委員が今御指摘なさいました国際情報通信基地の基盤整備を初めといたしまして、沖縄における振興策の検討を開始したところでございます。  今、盛んにマルチメディアの時代だとか、これからの産業はもう何といったって宇宙通信を通じてということが盛んに言われているところであります。私も先回沖縄に参りまして、空を仰いだら星がいっぱいだ。東京の空はなかなかああいう空の星が見えませんが、もう奥深く立体的に、こんなにも奥の深い星空かということを私は痛切に感じまして、そういう意味でこれからは情報通信時代であるな、しかも高度な通信基地というものをつくっていかないといかぬなと。そのことがまた沖縄の位置づけとして極めて大切じゃないかな、こんなふうに実は思った次第でございます。これらの検討結果を踏まえて適切に推進していく所存であります。
  94. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 最後に、私の方からの要望といいますか、意見を申し上げて質問を終わりたいと思います。  軍事基地というのは戦争のための前線ですよね。沖縄というのは、先ほど申し上げたように、琉球国の時代からまさに平和を希求してきた民族という自負があると私は思うんです。そういう意味ではまさに平和の前進基地になってほしいし、それから経済における新しいモデル地区として発展してほしいというように実は願っています。また、そのためのさまざまな手だてについて、私たちは、沖縄人たちにそれにこたえる責任が正直に言ってあると思います。繰り返しになりますが、そのことを長官にもお訴えして、これからも沖縄の意を体してさまざまな舞台、場面で長官の御健闘を期待いたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  95. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 本土沖縄を結ぶ唯一の交通手段と言ってもいい航空旅客運賃割引が実現しようとしていることは大変歓迎されることであろうと思います。  そこで、これに関連して幾つかの問題をまずお尋ねしたいと思います。  法案によりますと、「沖縄島と沖縄以外の本邦の地域との間を航行する航空機で旅客の運送の用に」と、こうなっております。これをどういうふうに解釈するかですが、沖縄本島、つまり那覇空港と本土との間を運航する、こういうことで、離島は除かれているということだろうと思います。  その沖縄以外の本邦の地域というのは、本土の空港はどこであろうと、本土那覇空港の間には適用されるということかどうか、まず明らかにしてください。
  96. 嘉手川勇

    政府委員嘉手川勇君) ただいま委員指摘のとおりでございます。
  97. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 そうだとすると、私はまず冒頭に、せっかく本土那覇間はこういう割引をやったということなら、それを広げて、宮古、石垣空港との間についても適用される方向を目指していただきたいと。それは沖縄振興、例えば観光というふうな点からいえば、一たん那覇へ行って、そこから行けということでなく、やっぱり直行便にも適用されるということの方がこの趣旨からいっても当たるんじゃないかというふうに思います。  これを第一弾としてそういう方向に努力していただきたいと思いますが、長官、いかがでしょうか。
  98. 稲垣実男

    国務大臣稲垣実男君) 沖縄には今日なお広大な米軍施設や区域が存在しておりますとともに、一人当たりの県民所得の格差の問題や雇用の問題、産業振興の問題など、もろもろの解決すべき多くの課題を抱えております。しかしながら、沖縄経済社会は依然として厳しい諸状況にございます。  こうした中で、今回、沖縄の経済において重要な位置を占めている観光振興に資することを主たる目的として、沖縄への観光客の大半が利用する路線である本土那覇路線の航空運賃の引き下げが行われるよう、これに資する措置として、空港使用料の引き下げ措置、また特例的に航空機燃料税の引き下げ措置を講ずることとしたものでございます。  なお、那覇空港は沖縄県内の各地区を結ぶ拠点空港となっておりますので、本土那覇路線の航空運賃を引き下げることによって、沖縄本島はもとより離島を含めての観光客の増加が期待できる、そういう意味で沖縄振興策、沖縄全体の観光振興に資することになると考えております。  今、吉岡委員が言われましたとおり、さらに那覇から石垣とか宮古といったようなところ、離島間の問題とか、あるいは本土から直接石垣とか宮古へ行くものも同じようにできないのか、こういうことでございますが、今回は本土那覇路線の主要路線を対象にしたということであります。  なお、委員の言われましたことは十分受けとめて、今後の課題としてまいりたいと思っています。
  99. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 今、離島間も一緒にと言っていただいたんですけれども、私は、少し控え目に、まず最初のところは本土離島ということで努力していただき、引き続いて沖縄県民の皆さんの要望にもなっている沖縄離島間でもというふうに、一緒にできれば一番いいし、一緒にできなければ二段階でもぜひ目指していただきたいと思い、長官も受けとめていこうということですから、次に進みます。  さて、ここで「旅客の運送の用に供される」ということになっております。沖縄振興と言うのなら、もちろん旅客は何よりも必要ですが、この際、貨物についても広げるということはできないものか。  実は私は、長官のここでの所信表明の中で、沖縄島と本土との間の航空運賃割引に資するためと、こういうふうにおっしゃったので、これはもしかしたら旅客だけでなく貨物も含まれているかなとぬか喜びいたしまして、それでまたいろいろお伺いもしてきましたけれども、貨物は入っていないということでございました。  貨物の問題ですが、やっぱり貨物についての要望も非常に強いということですね。とりわけ、鮮度が命である園芸作物について、果物とか花卉だとか野菜、こういうものについての要望というのは非常に強い。これは、この委員会には沖縄出身の議員が二人おいでになるわけですから、私が言うまでもなくもっとよく御存じだと思いますけれども、私もそういう点でぜひ実現してもらいたいという直接の要望も受けました。  ちょっとお伺いします。園芸作物の航空機輸送の実績は、最近のところで結構ですが、どの程度になっているかお知らせください。
  100. 牧隆壽

    政府委員牧隆壽君) 園芸作物の最近の実績について申し上げます。  野菜、花卉等の本土出荷のための航空輸送について近年増加傾向にございます。平成七年の輸送実績でございますが、二万六千五十二トンとなつております。品目別に申しますと、サヤインゲン、ニガウリ、スイートコーン等の野菜類が五千七百トン余、それからミカン、マンゴー等の果実類が三千七百トン余、それから菊、洋ラン等の切り花を中心とします花卉類が一万六千五百トン余という数字になっております。
  101. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 これは貨物総輸送量の中の五三・二%だというふうに私はお伺いいたしました。この関係者からは特別に強い要望が出ております。  私らがお伺いしたところによれば、航空運賃コストが一五%から二〇%に当たるということでありました。チャーター便を頼むと、片道が空だということで混載よりもっと高くなる。せっかくこういう割引制度が実現した際に、第二弾となるか第三弾となるかは別としまして、こういうところにも広げていただきたい。私がぬか喜びしたのがぬか喜びにならずに広がるように努力していただきたいものだと思います。  特に私が思うのに、燃料税の減免、それから着陸料の減免と、旅客運賃に対して減免措置をとるわけですね。その飛行機に載せている混載貨物、これだけは、チャーター便等は別としまして、同じ扱いをするのが私は筋じゃないかというふうに思います。あるいは、今回間に合わなかったのか、検討された結果除外されたのか、これは私はよくわかりませんけれども、しかし別じゃなくて、同じ免税を受けたガソリン代で着陸料を払ってやるわけですから、ここまでは早急に実現できるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  102. 稲垣実男

    国務大臣稲垣実男君) 今回の措置は、沖縄の経済において重要な位置を占めております観光振興に資することを主たる目的としておりまして、航空運賃引き下げのために講ずるものでございますが、航空運賃航空会社において自主的に決定されるものであります。したがって、今回の措置で貨物運賃が引き下げられることもあり得るものと考えております。
  103. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 そうなれば、これは私がぬか喜びかなと思っていた部分の一部分は解決することになると思います。  お伺いしたところによると、燃料税と着陸料の減免で七十七億円。その七十七億円を負担して減免措置をとって、旅客だけで、同じ飛行機に載る貨物は恩恵を受けないということでは、これは航空会社の一方的なもうけになるけれどもどうだろうかなと思っていたところですので、ぜひそういう方向で実現するようにしていただきたいものだと思います。  その次の問題は、航空運賃割引が実現したこの際、那覇空港の専用化ということを実現する方向で努力していただきたいという問題であります。  私はかつてもこの問題を外務委員会に所属していたときに取り上げたことがありますけれども沖縄復帰時に那覇空港は専用化するということが大宣伝されました。そして、国会における論議の中でも、四年ぐらいかければ専用化するという趣旨の答弁が行われておりました。したがって、沖縄復帰と同時に那覇空港は民間専用になる、こう思い込んでいた。ところが、今日に至るまでそうならないで、ニアミスを初めいろいろな事故が起こっております。返還後、県議会でも那覇市議会でも繰り返しこの専用化の決議が行われておりますし、その決議の中には復帰時の約束を守ってくれということも強調されているところであります。  去年の十二月、自衛隊機と民間機のニアミスがあった後で市議会の決議も行われ、市長がこの際に那覇空港の民間専用化を望む見解を述べられている。これは政府も御存じでしょう。内閣総理大臣運輸大臣、防衛庁長官、開発庁長官あてに十二月二十日に那覇市議会の決議も行われ、「政府においては、那覇空港における民間航空機の安全を確保すると共に、観光沖縄振興のため、民間専用化を早期に実現するよう再度強く要請する。」と、こう書かれております。  私は、運賃割引が実現したいい機会ですから、ぜひこういう方向での御努力もあわせてお願いしたいというふうに思います。長官いかがでしょうか。
  104. 稲垣実男

    国務大臣稲垣実男君) 自衛隊については沖縄開発庁として直接関与できる立場にはございませんが、県民生活の安全を確保する上から事故等があってはならないと考えております。沖縄開発庁としては、こうした問題で沖縄県民に不安が生ずることのないように、適宜関係省庁と連絡をとってまいりたいと考えております。
  105. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 特に、復帰時の国会論戦を振り返ってみますと、速記録の中に「将来四年ぐらい先になった時点では」という答弁まで行われて、沖縄県民をその気にさせたという経過があることを念頭に置いて、この問題を扱っていただきたいと思います。  さて、今の沖縄の自衛隊機と民間機との共用によって専用化されていない問題については、特に沖縄の歴史的な経緯を振り返るなら、この県民の要求というのは私はやっぱり一層早く実現しなくちゃいかぬと思います。沖縄出身の議員が二人もおいでになるところで私が沖縄の歴史にかかわることを言うのも厚かましいかもしれませんけれども沖縄というのは、軍隊、戦争と無縁な歴史であったと私は思います。私は防衛庁の沖縄戦史にかかわる記述を読んでみます。こう書かれております。「今次大戦の直前要塞司令部等が設置されるまで軍の官衙としては聯隊区司令部だけで、「沖縄県には軍馬一頭」といわれたほど沖縄県には防衛に関する施策がほとんど行なわれなかった。」と。そういうふうに、沖縄というのは軍隊とはもう無関係の島だった。  私が幾らか読んだものでは、沖縄の歴史の中の一つの特徴は、徴兵制に対しても徴兵忌避というふうな点で、非常に反軍、平和的志向の強い気持ちを表明してきた、そういう歴史がある県だと思っております。そういう歴史を持つ沖縄県民が、沖縄戦の犠牲となり、戦後は米軍全面占領下の犠牲になり、復帰して後もなお引き続いて米軍基地に悩まされ、また自衛隊機との関係で悩まされるというふうな事態が続いていることは、やはり復帰時の政府の約束に照らしても早く解決すべきであるということを重ねて申し上げまして、長官に再度御決意のほどをお伺いしたいと思います。
  106. 稲垣実男

    国務大臣稲垣実男君) 質問の趣旨が十分理解できなかったのでちょっと戸惑いました。先ほど私から答弁として少し答弁漏れがあったと思いましたが、その点についてさらに言われたと思います。  いわゆる民間専用についての所管である運輸省からは、我が国の狭隙な国土事情に飛行場の適地が求めがたい状況のもとで航空の利便の向上を図るためには、安全に十分配慮しつつ、自衛隊と飛行場を共用することは現状においてはやむを得ないものと考えているというふうに聞いております。  なお、施設整備につきましては、当面まずターミナル地域の統合、拡充整備が重要な課題であり、平成三年度から整備を進めているところでございますし、また沖縄政策協議会のプロジェクトチームにおきましても、沖縄県における国際、国内航空輸送の将来像を展望するとともに、那覇空港の今後の可能性について十分検討してまいります。
  107. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 自衛隊機と民間機との事故の一覧表も、市当局がつくったものもあります。安全を確保しつつといっても、次々にずっといろいろな事故が起こっているわけですね。だから、繰り返し沖縄からは要求が出ているわけです。しかも、復帰時の際の約束であったということです。ですから、これは実現しなければ日本政府は約束を守らないということになりますので、ぜひ実現したいということを要望して、一言御答弁願えますか。
  108. 稲垣実男

    国務大臣稲垣実男君) 沖縄開発庁としては、こうした問題で沖縄県民に不安が生ずることのないよう、適宜関係省庁と連絡をとり合ってまいりたいと思います。
  109. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 今回の法律改正は主に航空運賃軽減問題だということで、私も幾つか準備しておりましたところ、照屋議員あるいはお隣の吉岡先生からもるる御質問がございまして、私の言いたいことはすべて今お答えになったような感じでございます。  ところで、この航空運賃軽減というものは、私ども沖縄県民にとって随分久しい間何回か要請活動をしてまいった大きな観光客誘致という面からすると、今の軽減措置というものが大変ありがたく受けとめられておるということを率直に申し上げまして、皆さんの御努力に対して厚く御礼を申し上げたいと思います。  その反面、離島という観点からいたしますと、先ほど来話がありますように、例えば那覇から石垣、宮古、あるいはそのまた離島、北大東、南大東、与那国といったような各離島軽減についてもなお努力していかれるというふうなことでございましたので、あえて問いませんけれども、そういうふうなことは一層努力していただきたいということを重ねて申し上げておきたいというふうに思います。  ところで、稲垣長官は、先日の所信表明の中で、沖縄県民の視点に立って精いっぱい努力していきたい旨の発言をなされております。県民の視点に立って課題の解決に当たっていきたいという長官の御決意に対しては、私どもは非常に敬意を表するものでございます。  そこで、これは非常に言いやすくて、なかなか実行していくについては容易ではないというふうなことを考えるわけでありますけれども、長官は、このことにどのような意味を与え、またどのような決意を込めて、沖縄県民のために一層努力していくというふうな決意というものを、この点をまた披歴していただきたいと思います。
  110. 稲垣実男

    国務大臣稲垣実男君) 私は、沖縄振興開発を推進するに当たっては、まず現地を訪れて県民の皆さんの生の声を聞くことが非常に大切だと考えました。就任直後の昨年十一月に、本当に久しぶりでございますが、もう十数年行っておりませんでしたが、直接この目で見てまいりました。  その際、普天間基地を視察する機会がございました。基地の中からというお声もございましたが、私はあえて基地の中に入らずに、あそこに嘉数公園がございまして、あそこの高台から市街の真ん中に存在する普天間基地の全体を展望しながら、特に市長さんにお出ましいただいていろいろとお話を聞いたのでございます。それは、県民の皆さんは基地の外から常に基地に接しておられるからでありますし、県民の皆さんが日常見ておられる基地の姿を肌で感ずることが大切だと考えたからでございます。  これは一例にすぎませんが、総理も言われておりますとおり、さきの大戦で本土では唯一の激戦地であり、戦後も二十七年間にわたって被占領地として不自由な体制に苦しんでこられました。なお基地問題に悩まされておられる沖縄の皆様に対して深く理解しようとする努力が今日まで必ずしも十分でなかったことは、国民全体として率直に認め、反省しなければならないと私も感じた次第でございます。所信において沖縄皆さんの視点に立ってと申し上げたのは、そういう気持ちを常に抱いているからでございます。  今後とも、精いっぱい沖縄のこれから二十一世紀へ向けての振興開発という重い責務を果たしてまいる所存いっぱいでございます。
  111. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 ぜひそのようなお気持ちでこれからも取り組んでいただきたいというふうに思っております。  また似たような質問になるかもしれませんけれども、最近、沖縄では米軍によって引き起こされた憤激にたえない事件が相次いでおります。御承知のように、那覇港沖の海兵隊による爆弾投棄事件、そして同じく鳥島射爆撃場の劣化ウラン弾演習、あるいはまたキャンプ瑞慶覧基地におけるPCB汚染の問題等々、本当に枚挙にいとまのないような状況でございます。まさに沖縄米軍基地は諸悪の根源であり、沖縄振興開発の阻害要因になっているというふうなことが言われているわけでございます。  そこで、米軍基地は日米安保条約によって日本の安全のために米国に提供する義務があるという通り一遍の言葉を繰り返しておるわけでございますけれども沖縄県民の視点に立っての発言とはとてもじゃないが思えないというふうな気持ちです。政府の方々の答弁内容を聞いておりますと、私はいつもその気持ちを本当にわかってもらっているのかというふうなことが、通り一遍の、安保条約に基づいて基地を提供する義務というふうなことで何かしら沖縄の諸問題がすべて安保条約によって基地を提供していかなくちゃいけないというような一言で終わってしまっているというふうな感じを、何年かたちますけれども、私は思っております。  そういうふうなことで、沖縄開発庁長官としては、そういうふうな沖縄の基地問題、そして安保条約の問題を絡めて、どのようにこれから、諸悪の根源と言われている沖縄の基地問題あるいは振興開発計画というふうなものをどういうふうな視点で受けとめておられるか、その辺をお伺いしておきたいと思います。
  112. 稲垣実男

    国務大臣稲垣実男君) 今、委員からお話のございましたとおり、米軍関係のたび重なる事件あるいは事故の発生は、県民の方々の生活の安全を確保する上からまことに遺憾なことと考えております。  私もこれまで地元の方々から迅速な通報連絡や事件事故の原因究明と再発防止の徹底などの御要請を伺ってまいっております。私もいろんな事件が発生するたびにもうこれまでかなと思うとまた次にいろいろあって、いかばかりか皆さんがお怒りになっておる気持ち、とめどもない気持ちに、私もやり切れない気持ちでございます。沖縄開発庁としても、これまで事件や事故が発生したときは、速やかに関係省庁と連絡をとるとともに、適切な対応を要請してきておるところでございまして、地元の御要望についても関係省庁でいろいろと努力をいただいているところでございます。開発庁としても、今後こういう問題で沖縄県民の方々に不安を生ずることのないように、引き続いて関係省庁と連絡をとってまいりたいと思っております。  また同時に、沖縄米軍基地・区域はなお沖縄県土全面積の約一一%、沖縄本島に限って見ますと二〇%を占めておる高過密の状況にありますので、土地利用上大きな制約になっていることがまた県民生活にさまざまな影響を及ぼしていることはよく承知しております。このため、第三次沖縄振興開発におきましても、米軍施設・区域の整理、縮小及び返還跡地の有効利用の重要性が指摘されております。私もこれからの沖縄振興開発を進める上で解決を要する重要な課題であると認識しております。  政府といたしましても、沖縄米軍基地問題協議会における協議を踏まえながら、沖縄における米軍施設・区域をめぐる問題の解決に向けて最大限の努力を行っていくこととしております。また、私としましても、沖縄振興開発に責任を持つ立場から、関係省庁と密接な連携をとりながら最善の努力をしてまいりたいと考えております。
  113. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 沖縄の基地の整理、縮小ということは大きな県民の願いであります。  そこで、SACOで合意された分が近々徐々に返還されると、これから基地で働く皆さんの生活保障の問題、雇用の問題、そういったいろんな問題がまた派生するというふうなことになるわけでありますけれども開発庁としては、これから基地が返還された場合のそういうふうないろんな面の対策をどうしても図っていかなくちゃいけないというふうに思っているわけです。  質問にはないんですけれども、今後基地で働く従業員、そういった人たちの生活保障を、開発庁を中心として防衛庁とよく相談をしながら解決していかなくちゃいけない大きな課題をどうしてもこれから抱えることになると思いますので、その辺は基地のある沖縄にとって非常に重要な課題でありますから、ぜひその辺も含めてこれから各省庁と連携を深めながらこの問題解決のために、そういったことを念頭に置きながら一層御努力いただきたいというふうに要望しておきたいと思います。  それから、昨年来SACOの問題で、沖縄からの二十八項目の規制緩和策のうち十三項目について非常に困難だというような評価を政府が下しているということが報道されております。それはどういう理由によってこの十三項目に対して困難なのか、これらの要望項目について沖縄開発庁としてはどういう見解を持っておられるのか、お伺いしておきたいと思います。
  114. 嘉手川勇

    政府委員嘉手川勇君) 私どももこの新聞報道を見て承知いたしておりますが、これは実は私の理解が間違っているかもしれませんが、去年出たものじゃないか、沖縄政策協議会が発足する前の話ではないか、このように理解いたしております。  現在、沖縄県の要望につきまして、また各省庁のいろいろな提案につきましては、内閣内政審議室の沖縄問題担当室におきまして三十四項目に絞り込みまして、それを十のプロジェクトチームに割り振りまして検討を進めているところでございますので、必ずしもこの沖縄県の要望が否定されたというふうには私どもは受け取っておりません。今後の検討課題だ、このように理解いたしております。
  115. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 昨年の時点でこの新聞報道がややもすると間違っているというふうな意味合いですか。それとも、何かしらこの十三項目が新聞報道によると全く評価されていない、困難だというような報道がなされているんですけれども、今おっしゃるようなすべての項目にはこの十三項目というものは、あるんですかないんですか。
  116. 嘉手川勇

    政府委員嘉手川勇君) これがちょっと見えにくいものですから、詳細な検討はいたしておりませんが、沖縄県の要望をはじき出したとか、そういうことは聞いておりません。
  117. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 報道されている立場からすると、今のお答えはちょっと余り答えになっていないような感じもするわけでありますけれども、時間の都合で次に進みます。  それで、沖縄県は自立経済を目指し、国際都市形成構想を打ち出しているわけでございます。従来の沖縄側からの経済政策としては画期的なものだと私は評価しております。先ごろ、那覇港湾整備事業の一環として那覇新港、埠頭ですね、特に浦添地先に大型船舶の接岸可能な新バースが完成したようでありますけれども、その辺、具体的にどういうことなのか、お聞かせ願いたいと思います。
  118. 牧隆壽

    政府委員牧隆壽君) 那覇港湾におきまして外貿埠頭ターミナルは国際交流の拠点ということになっておりますが、外貿埠頭コンテナターミナル、水深十三メーターの整備を一バースやっておりました。それが先ごろ完成しまして、これにあと港湾管理者によりましてガントリークレーンというのがつけられる予定になっておりまして、これが働き出しますとフル装備の一バースができるということになっております。  なお、余分なことでございますが、来年度からまた二バース目に着手させていただくということを予算の中で今お願いしております。
  119. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 今、交流拠点というふうなことで位置づけているということでありましたけれども、いわゆるガントリークレーンは政府が設置するものでなくして港湾管理者が設置するものですか。それで、完成したバースについては何基を設置する予定なのか、御承知であれば御披露願いたいと思います。
  120. 牧隆壽

    政府委員牧隆壽君) 一バースに二基ということになっております。
  121. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 この港湾の整備については、私の沖縄社会大衆党ですけれども、どうしても国際都市形成構想の位置づけをするために、我々は実は去年の暮れに高雄、台中、それからハイテク産業を今ずっとやっております新竹ハイチク工業団地の三カ所を視察してまいりました。それで本当に五階建てぐらいの、カーゴの積み上げをして、本当にびっくりするようなすばらしい施設ができ上がっております。いわゆるガントリークレーンが何基もあって活発に動いております。私は最近東京の副都心部もちょっと見てまいりましたけれども、そこでも韓国や台湾の企業が入っていて、やっぱりそういったガントリークレーンをずっと設置して大きな成果を上げているようであります。  最近のそういった港湾施設というものは、何といってもガントリークレーンそのものが何基存在しているか、あるいはバースがどれぐらい広いのかということによって国際競争力というものが高められるというふうなことを、高雄あたりに行って勉強する中で非常に感じたわけであります。  ところで、もう時間でありますけれども、そういうふうな位置づけをすると、やはり先ほど来問題がありますように、沖縄の港湾整備というものは、そういった面で非常に重要なことになっていくんじゃないかというふうに思いますけれども、そういったガントリークレーンを含めてこれからどういうふうな位置づけを開発庁としてはなさっていくのか、その辺を最後にお聞かせ願いたいと思います。
  122. 牧隆壽

    政府委員牧隆壽君) ちょっと用意された質問でございませんので詳しい数字は持っておりませんが、私どもとしましては、第三次振計の中におきまして南の国際交流拠点ということの位置づけ、それも那覇港湾は外貿埠頭、それから製造業としましては中城ということで位置づけておりまして、現在予測されますこれからの外貿埠頭としての荷物に対しましてはガントリークレーンが一バースに二基ということで、もう一バースできますとこれが四基になります。十分に対応できる能力を持っていると私どもは位置づけているわけでございます。  なお、先ほどお話がございますように、沖縄地域経済活性化につきまして、現在政策協議会で検討中でございます。そこらの検討を踏まえまして、必要な整備について今後とも努力してまいりたいということでございます。
  123. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 終わります。
  124. 楢崎泰昌

    委員長楢崎泰昌君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時十六分散会