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瀬谷英行君 短い時間でありますから、端的に結論から私は申し上げたいと思うんです。
日本に来る
観光客は、先般
運輸省の資料を拝見してみましたら三十何番ですね、少ないんです。もちろん、これは距離的なハンディもあると思うんです。しかし、今は昔と違って飛行機というものができたから、何十日もかかって
日本へ来るというようなことはないんですから、そうすると距離的なハンディはある
程度克服されている。
では、どうしたらいいかということになると思うんですが、私はやはり
外国人の
日本に対する好奇心を助長する、
日本に行ってみたいな、こう思わせるようにしなければなかなか来ないと思うんですよ。それはどうしたらいいかということになるんですけれ
ども、
日本をいろんな国において紹介するということも必要だろうし、あるいは、来てみようという気を起こした人に対して
旅行の便宜を図るという方法も必要だろうと思うんです。そういう点が果たして十分に行われるかどうかということが、
外国のお客を
誘致する場合に必要な条件になってくると思うんです。
そこで、私は申し上げたいんですけれ
ども、
日本人だって
日本の国内で行ってみたいけれ
どもまだ行ったことがないというところはたくさんあると思うんです。それで、わざわざ高い金をかけて
外国まで行かなくたって、
日本だっておもしろいところがいっぱいあるということは、私は言えると思うんです。例えば北海道なんかは、割合と本州とはかけ離れた雄大な風景というのがあるわけです。それから、東北
地方だってそういう場所がいっぱいあるわけです。九州だって、あるいは沖縄だってそういう
地域がまだまだあると思います。だから、
外国人に対しても通り一遍の紹介をするんじゃなくて、
日本という国はおもしろいぞ、見るところもあるし、食べるものも変わっているぞということを宣伝して、好奇心を起こすようにするということが必要だろうと思うんですね。
それで、考えてみると、食べるものだって
日本料理というのは独特です。それから、例えばお菓子だってそうです。これだって、
外国へ行ってケーキを食べるとなると必ず甘い。しょっぱいケーキなんというのはないですよ。そこへいくと、
日本は甘いものもあるかわりに、辛いものもあるいはしょっぱいものもある。
例えば、せんべいなんというのはいい例です。あれは甘いものもあるけれ
ども、辛いものも最近出てきたけれ
ども、元来せんべいなんというものは甘いものじゃないですね。かといって、だれも見向きもしないかというとそうじゃない。新幹線の中で、
東京名物草加せんべいなんて売って歩いているんです。草加せんべいというのは
東京じゃないぞ、あれは埼玉県の草加というところだと教えてやると、はあそうかなんということになっちゃう。
それから、じゃ甘いものがないかというと、ちゃんと甘みを抑えた菓子があるんですね。蒸しようかんだとか
名古屋のういろうだとか。あの種のものはほのかな甘みでもって好まれているんです。だから、そういう点で、食べるものもあるいは見るものも
日本は珍しいものがいっぱいあるというふうに言っていいと思うんです。
それから、そのためには
受け入れ体制、宿泊体制、安全、清潔、こういうことが必要になってきます。だから、宿泊設備でもちょっと工夫をして、
日本風の座敷に布団を敷いて寝るといったような部屋をホテルでも幾つか用意して、
外国人に経験させるということもいいんじゃないかと思うんです。どこへ行っても
日本人がヨーロッパへ行って泊まるのと同じようなホテルで、そして同じようないわゆる洋食でということになると、
日本に来たかどこへ行ったんだかわからないということになるんですね。そういう特色を出して、その特色を大いに宣伝をするということを考えてみたらどうかというふうに思うんです。
これは部分的な問題じゃなくて全体的な問題だと思うので、その点についてのお考えをお伺いしたいと思います。