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1997-06-10 第140回国会 参議院 運輸委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年六月十日(火曜日)    午前十時開会     —————————————    委員の異動  六月三日     辞任         補欠選任      須藤美也子君     筆坂 秀世君  六月五日     辞任         補欠選任      瀬谷 英行君     菅野  壽君  六月六日     辞任         補欠選任      菅野  壽君     瀬谷 英行君   出席者は左のとおり。     委員長         直嶋 正行君     理 事                 佐藤 泰三君                 二木 秀夫君                 戸田 邦司君                 中尾 則幸君     委 員                 亀谷 博昭君                 鈴木 政二君                 竹山  裕君                 野沢 太三君                 溝手 顕正君                 吉川 芳男君                 泉  信也君                 平井 卓志君                 横尾 和伸君                 瀬谷 英行君                 筆坂 秀世君                 末広真樹子君                 栗原 君子君                 芦尾 長司君    国務大臣        運 輸 大 臣  古賀  誠君    政府委員        運輸大臣官房長  土井 勝二君        運輸省運輸政策        局長       相原  力君        運輸省運輸政策        局観光部長    和田 敬司君        運輸省鉄道局長  梅崎  壽君        運輸省港湾局長  木本 英明君    事務局側        常任委員会専門        員        志村 昌俊君    説明員        警察庁生活安全        局生活環境課長  吉川 幸夫君        法務省入国管理        局警備課長    安田 博延君        労働省労働基準        局監督課長    青木  豊君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○外国人観光旅客来訪地域多様化促進によ  る国際観光振興に関する法律案内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  外国人観光旅客来訪地域多様化促進による国際観光振興に関する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 鈴木政二

    鈴木政二君 おはようございます。  久しぶりにというか、やっとかめに質問させていただきます。本法案観光というのは大変久しぶり質問だそうでありまして、ただ、時間が亀谷先生と二人で分けますのでちょっと短いので簡潔にひとつ進めさせていただきます。  御承知のように、去年海外へ訪れた客は世界で何と六億人だそうであります。この六億人というのは大変な数でありますけれども世界観光機関の推定では、どうも二〇〇〇年には七億人、二〇一〇年、あと十年ちょっとで十億人の人が海外を行き交うということだそうであります。まさに私どもが昔習った民族大移動ではありませんけれども、本当に世界の人が大交流をする時代を迎えてきたなという感じがします。  しかし、この間から資料を見させていただいて、我が国を見ますと、確かに海外へ行く方は非常に多くて、今、去年の数字で千六百七十万だそうであります。まだブームが続いておりまして、かなりの勢いでこれがまた伸びておる。ちょっと円高の問題やいろんな問題はありましたけれども、若いOLさんもどんどん行かれるし、本当にこれからはどんどん海外に行かれる。逆に、今度の法案趣旨であります訪問してくださる外国人が三百八十万人ぐらいだと。これ数字から見ると、インバウンド・アウトバウンド比というのは四分の一よりも切れてくるような数字なんですね。入ってくる方が世界で三十一番目。韓国香港アジアの中で大変低い数字を見ておる。  ちなみに、金で換算するのは大変おかしな話かもわかりませんけれども旅行収支でいきますと三百三十五億ドルの赤字だそうであります。日本円にすると何と三兆八千億円ということであります。これ皮肉でもないかもわかりませんけれども日本経常収支の問題で黒字減らしに非常に貢献しているということであります。三兆八千億円なんですから大変なことであります。  まず第一点伺いたいのは、御存じのように東京オリンピックの一九六四年に海外への旅行自由化が始まったわけでありますけれども最初のころは外国へ行く方よりも外国から日本へ来る方の方が多かったわけでありますけれども、六年後の一九七〇年にこれが逆転して今のような傾向を示している。調べておりましたら、十年前に運輸省が打ち出しましたテンミリオン計画、これは当時、十年前は五百万人海外日本人が行かれる、これをテンミリオンというんですから一千万人にしようという目標をつくったそうであります。もちろん、円高やいろんな国民所得のアップの中でこの目標計画より一年前にもう達成された。  そこで、私は非常に不思議に思ったのは、今度のウエルカム21ですね、三百五十万の倍増をしよう、約七百万という数字を挙げたわけなんですけれども、どうしてこの時期に同じように訪日する外国人の方の倍増計画をしなかったのか非常に不思議に思います。その理由をちょっと一遍聞かせていただきたいと思います。また、ここへ来て急にウエルカム21のような、また本法案のような訪日の外国人倍増計画を打ち出したのはそれは一体なぜかということであります。簡単に言いますと、もっと前にやるべきではなかったかと思うんですけれども、なぜここへ来て急にこういう法案が出たか、まずこの二点をあわせて聞かせていただきたいと思います。
  4. 相原力

    政府委員相原力君) お答え申し上げます。  先生指摘のように、国際観光というのは、インバウンドアウトバウンド、両方があって初めて十分な機能が発揮できるものというふうに認識しているところでございます。  御指摘テンミリオン計画でございますが、昭和六十一年に策定いたしたわけでございます。当時の背景といたしましては、国民所得水準も非常に急激に向上してきたと、それから特に当時円高が急速に進行しておりまして円高による海外旅行割安感等社会状況、それから先ほど先生からも御指摘ございましたように国際収支バランスの改善の問題、それからひいては国民国際感覚の涵養、そういうような事柄を目的といたしまして五年間で日本人海外旅行者数を一千万人の水準に乗せるという計画策定されたわけでございます。  当時はそういう背景日本人海外旅行者数倍増するという計画であったわけでございますが、先ほど申し上げましたように、国際観光交流というのは、日本人海外旅行振興だけではなくて、日本に来る外国人観光客誘致推進という双方向交流基本であろうというふうに考えているところでございます。そういう観点で、日本人海外旅行者数が一千万人達成しましたのが計画策定の四年後の平成二年でございますが、その段階で、双方向交流を一層推進する必要があるという観点から観光交流拡大計画というのを、これは平成三年度でございますが策定いたしました。  そういう意味で、インバウンドについて全然計画等を講じてこなかったということではなくて、平成三年度の段階双方向交流の一層の促進重要性という観点から双方向交流目的とした観光交流拡大計画策定して推進してきたところでございます。  しかしながら、特にインバウンド日本に来る外国人海外旅行者の増加というのはなかなか思うようにふえてこなかった。特にここ数年横ばい状態でありまして、御指摘のように、世界的に見ても世界第三十一位という非常に低水準のまま推移した。そういうことから、今回改めて外客誘致を重点的に行うウエルカムプラン21を昨年策定いたしました。これに関連して、今回、特に外国人旅客地方の方にも大勢行っていただこうというような観点からこの法律案を提出させていただいた、そういう経緯でございます。
  5. 鈴木政二

    鈴木政二君 ちょっと遅かったんじゃないかなという気が非常にします、正直言いまして。平成三年にしていこうということで、具体的に今度の法案、これから六年もたっているわけでありまして、もっと何とかしなきゃいけなかったんじゃないかなという気がいたします。  時間がありませんから次に移ります。  もう一つ、私は非常に不思議に思うのは、昭和三十年に運輸省観光局というのがあったんです。それが昭和四十三年にわざわざ観光局をやめた、やめたという言い方になるんですかね、名前を変えたというふうには思えない。大臣官房観光部として、いわば世間から見ると格下げなんです。今の時代、私もこの間から万博ずっと回ってきまして、観光省観光局、特に観光大臣というのは大体いるものであります。そんな中で、観光局があったのをわざわざ大臣官房観光部というのにしたという背景というのか、一体何でこんなふうにしたのかお伺いしたいと思います。
  6. 相原力

    政府委員相原力君) 御指摘のように、昭和三十年代から運輸省の中に観光局という局がございまして観光行政を担当しておったわけでございますが、昭和四十二年、現時点でも行政機構簡素能率化という観点行政改革が言われておりますが、当時も行政機構簡素能率化観点から、各省庁一局を整理するという一律一局削減という方針昭和四十二年の十二月に閣議決定をされました。そういう中で、運輸省の中で観光局大臣官房観光部に組織変更するということで、御指摘のように局がなくなって大臣官房観光部に変更になったということでございます。  各省一律に行われた行政改革方針に従って大臣官房観光部となったものでございますけれども、人員、予算などについては従来どおり確保させていただきまして、従来の観光局の場合とほぼ実質的には同様の機能を果たすよう努力しておるところでございます。
  7. 鈴木政二

    鈴木政二君 地方に行きますと、運輸省がそういう形で名前が下がっているものですから、地方市町村、県もそうですけれども、意外と観光課というのは単独でないんですね、経済観光課とか商工観光課。こういう名前というのは運輸省がきちっと、内容は余り変わっていないという話なんだけれども、私はここが行政改革でなくなるとは思わないし、また上へアップして局になるのもなかなか難しいと思いますので、大臣、その話もちらっと最後に一遍触れていただきたいと思います。  今度のウエルカムプラン21で、倍増計画で七百万にするという話であります。この七百万という数字が一体どこから出た七百万なのか聞かせてください。
  8. 相原力

    政府委員相原力君) 七百万人の根拠ということでございますが、策定時の約三百五十万人の倍増ということで七百万人でございますが、根拠という意味におきましては、先ほど先生からも世界観光機関の需要予測的なお話ございましたけれども世界観光機関の試算によりますと、東アジア太平洋地域におきます国際観光旅客の伸びが十年間で約二倍に増加するというふうに予想されているところでございます。それから、周辺アジア諸国来訪外国人数が多い香港とかシンガポール、タイ等でございますが、これらの諸国がおおむね七百万人程度、そういうこと等を総合的に勘案いたしまして、我が国の目指す目標といたしましても十年間で七百万人というのが適切な目標ではないかということで目標に掲げたという次第でございます。
  9. 鈴木政二

    鈴木政二君 今のお話聞いておりまして、当然ながらアジア中心にふえていくと思うんですね。我が国と同じように、当然アジア経済発展してきますから国民所得が上がる。この間業界の人に聞きましたら、大体海外旅行ブームというのは、一人当たり五千ドルの国民所得が個人にあれば必然的にどこの国でも海外ブームになるそうなんですよ。今の状況の中で航空会社アジアへもうみんな集中する、市場だと思っておる。  そうすると、今のお話聞いていると、世界観光機関の中でいろいろ推定して大体七百万ではないかというような話、私はこの状況から見てこの目標年次には何もしなくたって恐らく六百万ぐらいは来る。こうして低廉化しようという今度の法案の中で地方をバックアップして、それからアジア経済を見れば、そして後からちょっと触れますけれども中国ビザ関係なんかも緩和になれば、この七百万という数字なんてちょっと甘いような数字、さっきの十年前にやったテンミリオン計画ぐらいの数字で私は十分できると思いますけれども、きょうはこの意見だけにしておきます。七百万よりもっとどんどんふえていきますから、もっとバックアップして頑張っていただきたいと思います。  時間もありませんので次に、今地方のことをちょっと言いましたけれども、この間たまたま首都機能の移転のときに隣に東京選出の同僚の議員がおりました、そう言えば名前すぐわかりますけれども。その人が、鈴木さん、あなた名古屋だろうと言うからそうですよと言ったら、おもしろいったを教えてあげようかというんですね。何かといったら、昔からよくうたわれておりますけれども尾張名古屋は城でもつ、城がなければただの町と言われたんです。これはうまいこと言うなと、地元の本人が感心しておっちゃだめなんですけれども。確かに言われてみれば観光資源というのはそういうものかもしれない。ちょっと隣方温泉地の御出身の人がおりましたものですから、その人に、温泉地、温泉かれればただの村と私は言ったんです、冗談ぽく。  そうしてみますと、東京都の人がなぜそう言ったかというのは、東京都はやはり観光資源がすごくたくさんあるんです。浅草しかり、皇居しかり、最近では秋葉原の買い物もそうだし、東京は本当に観光資源がたくさんある。ただ地方に行きますと、大阪はわかりません、たくさんあると思います、末広さんね。  そういう面では、今度の地方計画でテーマを決めて、外客来訪促進地域の四泊ぐらいのコースをブロックに分けてそれをしていくということは、大変私はいいアイデアだなという気がいたします。特に、観光地といいましても今言いましたようにたくさん持っているわけじゃありませんから、隣の県やまた自分たちの県、そういうふうにつなげてこれを盛っていく計画というのは私は非常にいいアイデアだなという気がいたします。  そういう面で、今言った外客来訪促進地域、多分四泊五日ぐらいというふうに聞いておりますけれども全国でどのくらいの数を整備して、どのような手順でいつまでにこれを決定するのか。そしてもう一つ、ちょっとうわさに聞きますと、東京大阪はこの地域には余り関係ないようなことも聞いておりますけれども、そこも簡潔にひとつ答えていただきたいと思います。
  10. 和田敬司

    政府委員和田敬司君) お答えいたします。  この法律の予定しております外客来訪促進地域でございますが、これは各地方におきまして固有の歴史、文化、自然、こういった観光資源を活用いたしまして、外国人観光旅客の利用に適したような宿泊拠点地区を有機的に結びまして、委員指摘のように、外国人観光旅客が三泊から五泊程度で周遊できる、こういう観光ルートを整備するということを考え方としております。  この外国人観光客に来てもらうという来訪促進計画でございますが、これは都道府県が自主的に単独あるいは隣接都道府県と共同しまして策定する考え方でございます。この際には、地域の特性を十分に発揮する、あるいは官民連携するという必要がございますので、周辺市町村あるいは交通、観光関係事業者意見も十分反映するということとしております。  いつごろかという御質問でございますが、既に各都道府県からはこの法案に対しまして関心を寄せてきております。多くの都道府県促進計画策定するという意向を既に有していると承知しておるところでございます。これらの都道府県におきまして、この法案が成立後早い時期に広域的に連携した計画策定されるということを期待しているところでございます。  また、海外へのアピール度ということを考えますと、スケールの大きい地域、広域的な地域として設定されることが望ましいと考えておりますので、各地方がおおむねブロック単位で取り組むということが予想されておりまして、全国で少なくとも十カ所程度は設定されるのではないかと予想しておるところでございます。  それで、この促進地域東京が含まれるかどうかでございますが、外国人観光客にとりまして入り口、ゲートウエーとなる都市でございます東京でございますが、ここはもう既に外国人観光旅客受け入れ体制の整備も進んでおりまして、来訪が非常に集中しているという状況にございます。一方で、地方圏については大変恵まれた観光資源が豊富にあるにもかかわらず、これまで十分にPRされていなかったということでございます。また、受け入れ体制も必ずしも十分ではなかったという状況にございます。こういうことで、この法案は、そうした地域外国人観光旅客来訪してもらうということで外国人観光客全体の来訪促進しようということでございます。  したがいまして、東京はこの法律促進地域の対象として直接想定していないところでございます。しかしながら、東京ゲートウエー都市として地方促進地域連携を図りまして、全体的に外客来訪促進になるように期待している次第でございます。
  11. 鈴木政二

    鈴木政二君 地方も大変張り切っていろいろ勉強会を開いたり、隣接都道府県等一緒になって今やっているようでありまして、非常に期待をしております。  次に、この法案とは余り関係ありませんけれども、これを支援する運輸省としてもひとつ考えてほしいのは、国際的イベントコンベンション法による国際会議、そういうものをやっぱり積極的にやっていただきたい。御存じかもわかりませんけれども、あさって十二日の深夜に愛知万博、万国博覧会が投票によって決定するわけであります。もう地元大変熱が入っておりまして、これが決定したら地域といいますか先ほど言った県内も大変大きな影響があるし、運輸大臣も大変御支援いただいているようなことも聞いておりますし、局長部長もやっていただいていること、本当に感謝申し上げます。結果はどうなるか、大変私どもとしては期待をしておりますけれども、そういう面。  もう一つ末広さんも同じ愛知でありますけれども、最近愛知県の動向を見ていますと、愛知県は製造業が非常に高い、トヨタを中心として。委員長もそうであり、よく御存じのとおりでありますけれども産業視察や工場の視察が非常に多いわけですね。  この視察を、恐らく全国的にいろんな企業やいろんなものがあると思いますけれども運輸省も、例の振興会か何かが外国でそういうのをまとめて、公的な機関産業界と手を結んで、これを促進するために窓口をつくられたらどうか、この質問についてまず聞かせていただきます。
  12. 和田敬司

    政府委員和田敬司君) 国際的イベントあるいは国際コンベンションでございますが、これにつきましても、委員指摘のように、国際観光振興のための大きな柱の一つ運輸省でも位置づけております。去年取りまとめられましたウエルカムプラン21におきましても、こうした位置づけがされているところでございます。  運輸省といたしましては、国際観光振興会一緒になりまして、平成六年に制定されましたいわゆるコンベンション法に基づきまして、地方自治体による国際会議誘致等の支援を初めとして、国際会議等積極的誘致に取り組んでいるところでございます。  ちなみに、我が国における国際会議開催件数でございますが、昭和六十一年には五百二件でございましたが、平成三年には千二百四十四件、平成七年には千八百二十件と増加してきている状況にございます。  また、ただいまお話がありました万国博のような大規模な国際的イベントにつきましても、国際観光観点から外客誘致効果は極めて大きいと考えております。運輸省といたしましても、関係省庁と連絡を図りながら、あるいは二国間の観光の協議の場、あるいは観光促進ミッション等の場、こうした場を活用しながら誘致に取り組んできたところでございまして、今後とも引き続き強力に推進していきたいと思っているところでございます。  それから、先ほど委員指摘のように、特に中部圏中心として企業訪問あるいは産業視察に関連した観光推進というのが熱心に取り組まれているところでございます。これらにつきましては、特にアジア地域からの要望が強いということは承知しております。産業観光につきましては、これは視察を希望する側と受け入れる企業側意見調整を図りながら進める必要があるわけでございます。今後、さらに各地での意向等を踏まえつつ、国際観光振興会あるいは関係自治体あるいは関係産業団体連携を図りながら、統一した窓口必要性等も含めて検討してまいりたいと思っておるところでございます。
  13. 鈴木政二

    鈴木政二君 時間が来てしまいました。たくさん質問したいわけでありますけれども、これが最後質問になろうかと思います。  大臣最後に御答弁願いたいんですけれども、実は観光国際化から見て一番大きな問題の一つだなというのは、ビザ、査証の関係であります。  御存じのように、先ほど来ずっと話をしておりますけれどもアジア地区がこれからはかなりふえていく。ただ日本は、アメリカと同じでありますけれどもビザの取得が非常に困難な国なんですね。例えば一つの例をとりますと、中国は当然ながら全然観光に関してはビザが今の現在はなっていない。それから、例えば一たん取得したビザでも、アメリカは三年ですけれども日本は一年、下手すると九十日とか十五日とか、そういう国もあるわけであります。  もちろん、この間から私どもの理事の佐藤先生が非常に心配をしておりました不法就労の問題だとか、外国人の犯罪の問題ももちろんきちっと考慮しての話でありますけれども、こういうビザの問題をきちっと解決といいますか、来やすい国にしてあげる。私は非常に感じますのは、そういう最初窓口から、ああ、日本というのはそういう感じの国だなという、評判も悪くなるし、一番基本である国民同士の触れ合いがそこで最初からイメージが悪くなる。この問題は大変重要な問題でありますので、私は大臣の御所見を伺いたいと思う。  もう一つ、今回の法案を見ておりますと、やはり基本的には国際観光振興会が本当に充実しなきやならない。ここが本当にしっかりやらなきゃいけない。よその国や韓国を見ましても、規模的にもそして人的にも予算的にも非常に乏しい。ここまで腹をくくって大臣法案を出される。そして局長以下、部長以下みんな一生懸命やろうとしている。今大変な厳しい行財政の中でありますけれども、この振興会予算もやっぱりしっかり送ってあげる。そして運輸省観光部としてきちっとした大きな予算を組む。  中国とかアジア諸国の中で南京虐殺だとかいろんな昔の話が出てきて、本当に日本をまだ理解してもらっていない。たくさんの方に来ていただいて、たくさんの方に日本人と触れていただき、日本のよさ、文化それからすべてのものを見ていただくことが何よりの外交の一つでもあり、これから我が国アジアの一員として大事なことだと私は思っております。  そういう面で、ビザ関係やもろもろの関係大臣運輸大臣でありますけれどもいわば観光大臣にも世界の人は見ているわけでありますので、強い信念の方と聞いておりますし、すごいパワーの方だと聞いておりますが、所見をお伺いして質問を終わりたいと思います。
  14. 古賀誠

    ○国務大臣(古賀誠君) きょうは、鈴木先生の方から国際観光重要性のお立場に立って御論議をいただいているわけでございます。申すまでもなく、この国際観光といいますのは、いろいろな方々に直接日本の国を訪ねていただくということ、これは国と国、人と人、まさに直接的な交流を通じまして、今先生がお触れいただきましたように、日本文化や歴史も知っていただくでしょうし、またそうすることによって初めて日本の国に対する理解、そしてまた日本国民に対する信頼、そういったものが構築されてくるものだというふうに思っております。そういう意味からも、私は、この国際観光重要性というのは非常に大切な分野だというふうに認識をいたしております。  ただ、残念ながら先生が冒頭お触れいただきましたように、日本から外国を訪ねる方々はおかげさまで順調過ぎるほど順調に推移をしてまいっておりますけれども、逆に日本の国をお訪ねいただ外国観光客が非常に低い水準にあるということは、担当いたします私といたしましても大変残念なことだというふうに思っております。そういうことを考えまして、今回この法案を提案させていただいているところでございます。  具体の取り組みとして、先生から査証の問題についてお触れをいただいたわけでございますけれども、御承知のとおり、国際観光振興するに当たりまして、一つの大きな分野がこの査証の緩和の問題だろうというふうに私も認識をいたしております。運輸省といたしましては、外務省に対しまして、旅行業界の方々のそれぞれの意見を聞かせていただく中で適時緩和について要望いたしてきているところでございます。  特に、中国との問題について具体的にお触れいただきましたけれども、現在、運輸省からの申し入れもございまして、外務省におきましては、御心配をいただいているような不法滞在や不法就労防止等の観点を総合的に検討しながら査証の緩和につきまして今検討いただいているというふうに聞いております。  また、一査証の問題だけではなくて、先生も御指摘ただいたように、さまざまな分野で今後検討していかなければいけない問題があろうかと思います。例えば、国際観光振興会の今後の活躍の場をどう力強く推進していくかという具体的な先生指摘一つあろうかと思いますし、また地方公共団体や観光関係団体の方々との連携をどのように深めていくかという問題もございましょう。いろいろなものを総合的にこの法案を提案させていただいた中で一つずつ前進をさせていくために最大限の努力をしてまいりたいと思っております。  特に、観光局観光部になった経過につきましては政府委員の方から答弁させていただきましたけれども、今こういう行政改革という非常に難しい時期でございますので、それではまたこれを局にというのはなかなか困難なことだろうと思っておりますが、いずれにいたしましても中身のやる気によって全職員が一丸となる。おかげさまで、地方自治体の方では今までより以上に観光に非常に力を入れていただいている地方自治体がふえてまいっておりまして、観光課だとか部とかという単独のはまだなかなか少ないようでございますけれども、商工観光部だとか課だとかということで観光の二文字が入ってきている地方自治体が非常に多くなってきているということは大変私どもとしては心強いことだと思っております。  そういう意味で、予算の確保等を通じまして、局に負けないような職員の前向きな姿勢というものを私ども力を合わせて喚起していく中で期待にこたえていきたいというふうに思っておりますので、御支援また御指導を心からお願いを申し上げる次第でございます。
  15. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 自由民主党の亀谷博昭でございます。鈴木委員に続いて質問させていただきます。  ただいまの質疑の中で、なぜ二〇〇五年までに七百万人という数字を設定したのかというお話がありました。今、運輸政策局長お話は、東アジア等が世界的趨勢の中でこれからますます外国旅行の方がふえていくであろう、そういうことを総合的に勘案してこの数字を想定しているというように私は聞いたんですが、物事を決めるときはいろんな手法があると思うんです。例えば七百万という数字を設定して、これはなぜ七百万か。今こういう流れになってきて周りもそういう雰囲気になってきたから多分なるでしょうというやり方と、設定をしてそのために何かをやる、これをやってこの数字を実現する、設定の仕方というのはいろいろあると思うんです。私は、今の流れあるいは周りの状況を見て七百万という今のお話は余り納得できないですね。  鈴木先生からは、七百万は甘いんじゃないか、一千万でもいいんじゃないかというお話もあった。例えばこれ一千万でもいいんです。そのためにどういう方法をとって一千万を達成するのかというこの達成に至る道筋というものをきちっと考えなければいけないのではないか。  私は県会議員をやっていましたが、例えば都道府県が工業出荷額を平成何年までこのぐらいに上げますというとき、やっぱり同じことなんですよ。担当課に聞くと、こういうふうにふえているからこうなりますと、それは計画ではない。今例えば五十万トンであれば三百万トンにします、そのためには工業をこのように振興してこのように取り組んでいくから三百万になるので、そういう計画を立てています、そういう取り組み方が必要なんじゃないかと思うんです。そういう意味で、とりあえず七百万でもいいですよ、七百万に至る過程というか、これを達成する手法をどう考えておるのか。なるでしょうということではやっぱりちょっと考え方としては甘いのではないかと思います。  というのは、十年刻みの数字を見ても、昭和五十年は約八十万です。六十年は二百三十万、百五十万ここでふえました。それから十年後はまだ百万しかふえてないんです。平成七年から八年はたまたま五十万ふえた。これが相原局長が言うようなことなのかもしれない。これはこのままいけば七百万に届くかもしれませんけれども、今までは百五十万、百万、余りふえてきてないんですよ。  そういう意味では、こういう数字を設定するときはもう少し、こういうことをやるからこの数字に届くんです、これをやるためにこの数字を設定したんです、こういう考え方が必要ではないかと思いますが、いかがですか。
  16. 相原力

    政府委員相原力君) お答え申し上げます。  十年後に倍増の七百万人という数字が甘い数字であるという見方もありますし、あるいは最近の状況を見ればなかなか厳しいんではないかという見方もあろうかと思います。  特に、先ほどお答えした世界観光機関の需要予測の中で、ここ十年で東アジアでは倍に伸びるという数字も御披露したわけでございますが、我が国におきましては、先ほど来御議論ございますように、日本へ訪れる外国人旅客平成二年度が約三百二十万ちょっとでございますが、それが平成七年度で三百三十四万、ほぼ横ばい状態がここ五年ほど続いてきたわけでございます。平成八年度は、これは若干円安傾向でふえたというようなこともございまして、五十万ほど増加して三百八十万になったわけでございます。そういう意味で、私どもといたしましては、日本に来ていただ外国人観光客をふやすのはこれはなかなか大変なことであるなという認識を持っていたわけでございます。  そういうような観点ウエルカムプラン21も昨年策定いたしましたところであり、また今回この法律案を提出させていただいたわけでございますが、そういう意味目標値というのは、先生指摘の、いわば積み上げでこういうことをやるから七百万になるというよりも、むしろこうしたいという、十年後には倍の七百万人にしたいというそういう気持ちが非常に多く出ております。先ほど御説明しました根拠は、その背景としてアジアでは倍増になるとか、あるいは他のシンガポール、香港等では七百万人も来ているというそういう背景的な御説明をしたわけでございますが、気持ちとしては十年で倍増をぜひ実現したい、そういうのが先に立っているということは事実でございます。  ただ、それを実現させるために私どもは最大限の努力をしなければならないということで、ウエルカムプラン21あるいは今回の法律の中身を通じましてぜひ実現をしたいというふうに思っているわけでございます。  具体的には、特に日本を訪れる外国人観光客が伸び悩んでいるという原因がどこにあるのかというところがら始まるのではないかと思いますが、まず、日本円高等によりまして物価が高いというイメージがある、あるいはほかの魅力ある観光地と競合している、特に日本のPRが必ずしも十分でないということで観光地としての知名度が低いとか、あるいは日本語のわかりにくさということでコミュニケーションの難しさ、そういった問題が主な理由であろうというふうに分析しているところでございますので、そういったところを一つ一つ少しずつ解決していけば少しでも多くの外国人観光客が来ていただけるのではないかというふうに考えているところでございます。  具体的に申し上げますと、まず、従来印象が薄いと言われてきた日本について新しい観光イメージづくりが必要ではないかということで、これについて具体的な委員会をつくって日本についての新しい観光イメージづくりを行い、それに基づいて積極的なPRを観光振興会とか関係業界等を通じて行うことといたしております。また、対象地域ごとに日本に来るお客さんのニーズが異なりますので、その地域ごとの、国ごとのニーズに関する詳細なマーケッティングも実施することといたしております。  それから、具体的には例えば修学旅行等、韓国等からも大分ふえておりますが、修学旅行等の誘致等も関係者が一体となって推進する。また、この法律目的としております例えば旅行費用の低廉化等々、そういうことを実施することによりましてぜひ七百万人を実現したいというふうに思っておるところでございます。
  17. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 お気持ちもよくわかるし、これから一生懸命お取り組みになるということで今回の法案も出されている、そのことはよくわかります。ただ、どうもこの七百万人を達成するための根拠というか手段というか、説得力に欠ける部分があるような感じが私はいたしますので、これをやるからこういうふうにふえていくという具体的なものをぜひこれからおつくりいただければと思っております。  そこで、今回の法案を見ますと、今局長お話にもありましたが、どうも国内対策が中心のように私には見えるわけです。もちろん国内をきちっとしないと、来たお客さんが二度目は来ないとか来にくいとかということもありますから、それはもちろん必要なんですけれども、でもやっぱりお客さんをどうやって日本に来させるかということがまずなければいけないと思うんです。  特に、今までもお話ありましたが、外国人のお客さんの六〇%以上はアジアだ、これからもこれはふえていくであろうというような考え方に立ては、特にこのアジア戦略というものが考えられなければいけないのではないか。別の統計によれば、例えばヨーロッパであるとかアメリカであるとかアジアであるとか、各地域から来ているお客さんの旅行の仕方の分類によれば、アジアはパッケージツアーがほかの地域よりも飛び抜けて多いというような統計もあるようであります。  あるいはまた、我々が例えば外国旅行するときも、一つの国に行って帰ってくるということは余りないんですね。二つか三つ、そのついでに回るということが多いわけであります。ですから、このアジアの国々を結ぶようなルートというものもやっぱり考えられていいのではないか。  そういうパッケージツアーを強化していくとか、あるいはアジアのいろんな国をセットした中で日本というものをメーンにしてそういう組み合わせの中でのルートをつくっていくとか、さっきのビザの話もありますけれども、そういうことがアジア向けに対して、もっとあっていいのではないかと思いますが、このアジア戦略についてはどんなふうにお考えでしょうか。
  18. 和田敬司

    政府委員和田敬司君) 御指摘のように、最近大変にアジア諸国観光客が伸びているわけでございます。言うまでもなく、アジア諸国我が国にとりましても政治経済面のみならず文化社会面でも非常に重要なパートナーでございます。先ほど御指摘にありましたように、現在訪日観光旅行者数の過半数、具体的には六〇%程度アジア諸国からの観光客が占めているわけでございます。今後も、経済力の拡大に伴いまして旅行者が大幅に増大するということが期待されているところでございます。  こうしたアジア諸国からの観光客につきましては、一般的に歴史的建造物あるいは自然、こういうものを見てみたいということのほかに、特に日本の近代都市を見てみたい、あるいは温泉、雪景色等を含めた大自然に興味を持っておられる、あるいは首都圏、あるいは九州にございますようなテーマパーク、こういうものに大変関心が深いというような方々もございます。さらに、当該国ではなかなか雪を見ることができないという国にとりまして、例えば札幌へ行きまして雪景色を見てみたいというようなことがございます。  こうして国によりまして、地域によりまして、あるいはさらに年齢、階層等によりまして観光ニーズというのが異なってくるわけでございます。こうした点につきましては、今後さらに細かいマーケティングをやりまして、このニーズを踏まえた十分効果の上がるような宣伝等の誘致活動を行っていきたいと思っているところでございます。  また、特別な旅行需要として修学旅行あるいは研修旅行、こうしたものにつきましてもその訪日の誘致ということを積極的に進めてまいりたいと考えているところでございます。  委員指摘の中に、アジアの国々を結ぶパッケージはどうかということでございます。アジアの国全体、特に東アジアでございますが、この圏域、日本を含めた東アジア地域に欧米を含めました他の方面から観光誘致を図ろうというために一つの国際的な協議会の場もございます。EATAと言っていますが、東アジア観光の協議会でございますが、こうした場でもそうした共同で取り組むことをこれまでも議論されておりますし、御指摘の点を踏まえて今後ともそうしたことによって効果的な観光需要を呼び起こすことができましたらそれも検討していきたい、こういうふうに思っているところでございます。
  19. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 世界的に見てもアジア日本のみならずターゲットのはずでありますから、これからの積極的な取り組みをぜひお願いしたいと思います。  アメリカ、イギリスを除けば、アジアから来ているお客さんの中で、韓国、台湾、中国香港、特にこういうアジア四カ国、四地域からのお客さんが多いわけでありますね。これはもちろん成田、関空という日本におけるハブ空港にお客さんが多いのは当然でありますが、地方空港が果たしている役割というのが非常に大きいのではないかという感じがするんです。いわゆるハブ空港に来て鉄道なんかを使ってアクセスして地方に行くというのと、ダイレクトで地方に来るというのと両方あるわけですけれども、近年の地方空港の外国とのダイレクト便の増加を見れば、かなりこの傾向が出てきているのではないかという感じがいたします。大体外国から日本においでになっている中の五〇%はこの四カ国ということにもなるわけであります。  その中で、三大都市圏を除く地方空港を見てみますと、直行便が飛んでいたのが例えば一九九一年は九空港、三十七路線だったんですね。それが一九九六年、五年後には十七空港、六十七路線ダイレクト便が地方から飛んでいるんです。ほぼ倍になってきている。それにつれて直接地方に来る外国人の訪問客が非常にふえている。この五年間で地方空港に来ているお客さんは五〇%ぐらいふえているんです。  そういうことを考えていくと、地方空港の果たしている役割というのが今でもかなり大きなものがあるし、それからこれからもふえていくのではないかというふうに思います。例えば韓国便を見ても、一九九一年と一九九七年の比較で、一九九一年は十一の地域からソウル便、釜山便なんかがあったのが今十八便です。それから、中国は三便だったのが八便。香港は四便だったのが六便というふうにどんどんふえてきている。これからもますますこの傾向がふえていくのではないかという感じがいたします。  そしてもう一つは、今回の法案目的来訪促進地域の整備ということで国際観光のテーマルートを開発してテーマ地区を設ける、これはさっきもお話ありましたが主に十カ所ぐらい全国で設ける、それはほぼ地方であります。そういうことになってきますと、地方圏にダイレクトに外国のお客さんをいかに誘致するかということが今後の戦略の大きな柱になってくるのではないか。数ではそれはもちろん成田、関空にかなわないわけでありますけれども、伸び率あるいはこれから予想される直行便の増加ということを考えれば、地方空港というのは非常に大きな役割を果たしていくはずだと思うんですね。  そういう意味地方空港の役割、そしてまた地方空港の整備を進めてダイレクト便をふやしていくという、これは空港整備という意味だけではなくて観光面からそういうことが今後の我が国の国際振興に大きく資するのではないかと思いますが、これはこの計画を進めていく上での大きな柱だと思いますので、大臣の御見解を伺いたいと思います。
  20. 古賀誠

    ○国務大臣(古賀誠君) 先生に御指摘ただいておりますように、この法案を提案させていただいております一つの大きな中身は、地方をどう観光で生かしていくのかという観点でございます。今私が申し上げておりますように、非常に外国からの観光客が少ない、その上外国から観光でお見えいただいている方々がともすれば東京大阪圏という都市部に集中をしている、そういうことも踏まえまして今回このような法案を提案させていただいております。  そうなりますと、まさに先生から今御指摘ただいたように、地方空港をどう生かしていくのかというのは、私どもがこの七百万に向かって、これから二〇〇五年までに観光客を、外国からのお客さんをふやしていくという意味では非常に大きなポイントになるだろう、まさに私も先生と同じ認識に立っております。  今、具体的に地方空港の数値を先生の方からお示しいただいて定期便の便数等御報告があったわけでございますけれども、これはただ基本的には需要の動向がどうなのかということを、日本の国もそうですが外国のエアライン等が具体的に決めてくる問題だろうと思っておりますが、ただ受け入れ体制としてやはり整備しなければいけないという分野もたくさんございます。例えばCIQ、税関だとか入国管理、それから検疫の問題、こういった体制を整えてやりませんとなかなか地方空港というものが生かされないということは当然のことだろうと思っております。そういうことを踏まえまして、私どもといたしましては適切な処理、処置というものは当然図っていくことだと思っております。努力をしてみたいと考えているところでございます。
  21. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 七次空整もそうですけれども日本のハブ空港というのは世界的にはハブではないと言われている中でそれを整備充実することはもちろん我々大変賛成なことでありますが、ともすると地方空港というのはもう整備は終わったみたいな言い方がすぐ運輸省からなされまして、どうも余り地方空港というものの果たす役割というのがもう一つ認識されていない部分があるかなという感じもいたしますので、観光ということも含め今後とものお取り組みをお願いしたいと思っております。  次に、JNTO、国際観光振興会が今回非常に大きな役割を果たすというような言い方がなされているわけですが、これは運輸大臣の管轄下にあるということのようであります。国際観光振興会法に基づく特殊法人でありますが、このJNTOの定款といいますか、目的とか業務なんかを見ますと、外国人観光客来訪促進するための宣伝をやる、それから来たお客さんの観光案内所の運営等国内対策、そのほか日本人外国に行くときのお手伝い、こういうのがあるわけですけれども外国のお客さんを連れてくる、連れてくるという言い方がおかしいのかもしれませんが、誘致するということになりますと、この法人がどこまでその業務をやることになるのかというのは非常に微妙な感じがするんです。  一方で、さっき鈴木先生お話しのように、観光機関は非常に変遷をし、そしてなおかつ現在は観光部ということで、まあお話お話としまして外から見れば充実されたというふうには見えない格好に今なっているわけであります。  そういう意味で、JNTOが政府観光局に相当する組織だと、こうなっていますけれども、やっぱり観光客を増加させるためには政府がもっと前面に出た取り組みということが必要なのではないかという感じがするんです。もちろん海外における宣伝も必要です、それがなければ日本を知ってもらうことができないわけですから。ただ、さっきパッケージツアーのお話なんかもいたしましたけれども外国政府とのかかわり方、いろんなことを含めてもう少し政府が前面に出た誘致対策というものが講じられなければいけないのではないかという感じもいたします。  このJNTOと運輸省とのかかわり方、そして今後の観光振興に向けてのそれぞれの役割というようなものについてお話をいただきたいと思います。
  22. 古賀誠

    ○国務大臣(古賀誠君) 先生から御指摘ただいておりますように、まず外国の方々が日本旅行客として来ていただくというためには、日本の国を宣伝して、またそれを誘致するということが大変大事な業務だと思います。  先生がお触れいただいておりますように、今それを国際観光振興会が実は中心になってやらせていただいております。今世界の十四カ所に実は事務所を持っておりまして努力をしているというふうに承知をいたしているわけでございますが、御承知のとおり、ただそれだけで手をこまねいていたのでは、恐らく先生から御指摘ただくように計画どおりの外国からの観光客を増員させていくということはなかなか難しいだろうと思っております。やはり国が積極的に前面に立って、政府を挙げてこのことに努力をしていくということは先生指摘のとおりだろうと思っております。  もう既に運輸省といたしまして、カナダだとかオーストラリアだとか、この観光協議を行うための二カ国協議会というのも実は七カ国においてはつくらせていただいておりますし、それぞれの世界観光機関だとかAPECのワーキンググループ、こういった機関を通じまして積極的な努力をさせていただいているわけでございます。今後とも、この法案を提案させていただきそして成立させていただきますと、さらに強力にその中身等について世界の多くの国々に理解していただき、また知っていただくために政府を挙げて努力をしていきたい、こういう認識でございます。ぜひひとつ、先生も御指導いただければ大変ありがたいというふうに思っているところでございます。
  23. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 我が国インバウンド数は世界でも三十位か三十一位ということで、やはりすばらしい観光地がいっぱいあると我々も自認をいたしているわけでありますから、積極的なお取り組みをお願いしたいと思います。  最後に、さっき大臣からもちょっとお触れになられましたけれども観光経済面の効果ももちろんあるし地域活性化にも資するものであるし、また雇用の促進にもなる、あるいはまた文化伝統の承継という意味からも非常に大切なものである。と同時に、では観光地に来やすく、そして余り御不便をかけずにおいでいただくということになればアクセスの問題も当然必要になってくるわけでありまして、一つの役所で取り組めることではないわけであります。  それは、ビザ等の法務省の関係もある、アクセス道の整備とかいろんなものを含め都道府県のかかわりもありますが、そうなれば自治省ということになるのかもしれません。いろんな役所とのかかわりも当然出てくるわけであります。せっかくこの法案をお出しになってこれからおいでになるお客さんを倍増させようということでありますから、他省庁とのかかわりというものもこれまでもちろん図ってこられたのだと思いますが、そういう他省庁とのかかわりの中で日本を挙げて観光客をふやすというための他省庁とのかかわり方、今後どのように進めておられようとしているのか、法案提出に際して、その部分について最後にお聞きをしたいと思います。
  24. 相原力

    政府委員相原力君) 先生指摘のとおり、観光は大変関係省庁も多岐にわたっているところでございます。そういう意味で、従来から関係省庁と密接な連携をとって取り進めてきておるわけでございます。  観光の憲法とも言われる観光基本法というのが制定されておりますが、その中でいわゆる年次報告を毎年することになっておりますが、例えば今年度でございますれば、「平成九年度において講じようとする観光政策」というのを、つい先日でございますが六月六日に閣議決定をしたところでございます。これは当然のことながら関係各省、全体の施策をまとめたものでございます。閣議決定いたしまして国会にも報告をさせていただいているところでございます。このような場を通じて十分関係省庁とも連携を図ってまいりたいというふうに考えております。  なお、本法律案の実施に向けましては、特に関係地方公共団体それから観光関係事業者それから関係省庁の協力が不可欠でございますので、この法律が制定されましたらば、その実施に際しましては、新たに全国レベルの協議会、これは地方も協議会の設立を考えてございますが、全国レベルの協議会等におきましても関係省庁関係者と一体となって総合的な取り組みを行ってまいる所存でございます。
  25. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 この法律ができて、そして目標を超える訪日客がふえていく、そしてまた日本の国際的な地位が上がっていく、また日本というものがよく知られていく、そういうことを心から御期待を申し上げ、大臣を初め運輸省の皆様方の今後の積極的なお取り組みを期待して、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  26. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 平成会の戸田でございます。  本日は国際観光振興に関する法律の審議ということでございます。今国会、本委員会における法律の審議、最終日となるわけでありますが、我々ももちろん本法案の成立に大賛成であります。  最近、地方分権論というのが盛んに言われておりまして、これを究極まで進めてまいりますと、国の役割といいますか、それが非常に限定されたものになるんじゃないか。地方分権と皆さん言っておられますが、私はこの言葉は余り好きじゃありませんで、何か国が権限を地方に分けてやるぞというような響きさえありまして、本来の意味でいきますと真の意味地方自治ということになるだろうと思いますが、地方の役割が非常に重要になっていく、そういう時代になっていくということではないかと思います。  そうなりますと、その国の役割ということでありますが、国の役割というのは本来外交とか安全保障、危機管理、基礎的な社会保障、あるいは基本的な教育の仕組み、そういったことに非常に限定されてくるんじゃないかと思います。  国家とそれから国民生活の根幹にかかわる問題だけを中央政府が扱っていくということが理想ではないかと思いますが、そういった仕切りで考えますと、この観光というものの位置づけが非常に重要になってきはしないか。我が国の国際的な社会での位置づけ、評価、そういったことの一環としてこの観光というものが果たしていくべき政策といいますか、そういったことを国が重要視していかなければならない、そういうことになりはしないか、こう思っております。  そこで、我が国に対する評価とか国際的な社会における地位、そういった観点から考えての重要さということになるわけでありますが、運輸大臣のこの観光というものについての御認識はいかがなものか、御卓見をお伺いしたいと思います。
  27. 古賀誠

    ○国務大臣(古賀誠君) ただいま戸田先生もお触れいただきましたけれども国際観光交流というのは、我が国にとりまして、非常に世界の多くの、また幅の広い層の方々に直接触れていただくということで、日本の国の伝統や文化を知っていただくと同時に、人と人、国と国との交流の中でやはりその国に対する理解、そして日本人に対する信頼、こういつたことを構築することのできる非常に大事な役割を私は持っているというふうに思っております。そういう意味では、今、戸田先生も御指摘ただきましたように、ある意味では我が国の安全保障という立場からも重要な政策でなければいけない、私はこういう認識を持っているところでございます。  特に、今冷戦が終結をいたしまして、非常に国境に垣根のない、地球儀が一つになったような時代でございます。そういった中でも国際観光交流というのは、平和のパスポートだとか、二十一世紀はまさに国際観光時代だと、こういうことでよく表現をされているわけでございます。そういうことを考えてみますと、一人でも多くの方々が世界の多くの国から日本を直接観光で訪ねていただく、そういう必要性があろうかと思っております。  また同時に、我が国の国内におきましても、ただいまもお話があっておりましたように、経済だとか産業振興、またそれぞれの地域の活性化や雇用の拡大という観点からも非常にすそ野の広い分野でございますので、私は大きな貢献が果たせるものだというふうに思っておりまして、これからますます国際観光についての重要性というものは大きくなっていくものだというふうに考えているところでございます。  運輸省といたしましても、また私自身といたしましても、今申し上げましたような観点に立って、国際観光振興というのがいかに大事な重要な政策であるかという位置づけして、最大限の努力をしてまいりたい、こういう認識でございます。
  28. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 大臣にまさしく包括的にこの問題の重要性をとらえていただいておると理解いたしますが、これまでの国際観光とのかかわりということを考えてみますと、その重要性、位置づけ、そういったものが必ずしも日本国内においても十分に皆さんの理解されるところとなってきていない、そういうような大変残念な状況ではないかと思っております。一般的にもそうであるかもしれませんし、またメディアもこの重要性をそれほど認識していない。政治の世界においても同じようなことが言えるかなと思います。  一つは、やっぱりこの観光問題を担当している運輸省の責任もあるかと思います。そういうような重要な国際観光振興問題でありますが、一般的に言ってかなりの部分を民間に負っているというのも否定できない。国からお仕着せだけでできる政策でもない。一方で、国際観光といいますと、一般的には国際観光事業の振興という面が強調され過ぎている、そういうような見方もできるかなと。  そこで、国際戦略としての観光という、まさに大臣がおっしゃられましたような観点に立ちますと、政府はどういうような役割を果たしていくべきなのだろうか、ここがきょうのこの法案の審議についての一つの論点ではないかと思います。非常に難しい問題のとらえ方かもしれませんが、その辺について運輸省としてはどう考えておられるか、お聞かせいただければと思います。
  29. 相原力

    政府委員相原力君) 国際観光重要性等につきましては、先ほど大臣の方から御答弁申し上げましたとおりでございますが、特に、国際社会におきます相互理解の増進に大きく寄与するということから非常に重要な課題であるということで、政府としても主体的な役割を担っていかなければならないというふうに考えているところでございます。  具体的に国際観光振興のためには、外国から見た魅力とか関心の問題、あるいは国内における旅行費用の問題、あるいは地域受け入れ体制の問題など多岐にわたる課題が存在しているわけでございまして、これらを解決していくためには、国とそれから特殊法人である国際観光振興会、それから地方自治体、関係事業者等、多くの関係者が一体となって取り組んでいく必要があるわけでございます。そういう中で、国は全体を取りまとめ、かつリードしていく主体的な役割を担わなければならない立場にあるというふうに考えているところでございます。  具体的に申し上げますれば、運輸省といたしましては、国際観光振興のための基本的な方針策定、あるいは多数にわたる関係者間の緊密な連絡のための調整、そして海外における日本全体の宣伝、これは先ほど申し上げました国際観光振興会とも連携をとりつつ海外との十分な緊密な連携、宣伝等、これらの事柄を推進していく必要のあるような事業の実施などを中心に政府としてその役割を担っていく必要があるというふうに考えているところでございます。
  30. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 一般的に考えまして、これまでの状況を見ますと、国際観光において国が果たすべき役割というのがなかなか見えてこない。見えてこないところか、その重要さが認識されるような努力がいささか足りなかったんじゃないかという気がしておりますが、国際観光を、これは先ほども申し上げましたが、官主導だけでは進まない、一方で官がやり過ぎるとうまくいかない、そういう面もあるかと思います。  これまでの国際観光関係法律を見ましても、コンベンション法による国際観光振興、それから国際観光ホテル整備法、国際観光振興会法、それに国際観光事業の助成に関する法律、そういったものが考えられるわけですが、長い時間かかってといいますか、このような法律が出てきた。やはりいろいろ検討していく上で今までみたいに拠点主義といいますか、京都、奈良、東京、鎌倉とか、そういう有名なところだけで観光をやっていく、そういうような時代でもない。ですから、そういうものも拠点にしながらネットワークを広く整備していく、そういうことではなかったかと思います。行財政改革の必要性が非常に強く叫ばれているときになぜ新法かというような疑問が一般的にはあるかもしれませんが、やはり事の重要性を考えますと、こういった法律は当然あってしかるべきだったかと私は私なりにその重要性を認識しているつもりでありますが、この法律ができたことをきっかけにしましてこれからの政策の展開が変わっていくのではないかという大きな期待感を持っておりますが、その辺についてはいかがでしょうか。
  31. 相原力

    政府委員相原力君) 政府としての役割、国の役割は非常に大きいものがあるということで現在いろいろと進めておるわけでございますが、政府として現在実施しておりますのは、国際観光振興会、これは政府の別働隊という意味での組織でございますが、国際観光振興会中心とした外客誘致活動の推進、それから先ほど来御議論ございます観光交流促進するための二国間の協議の開催を既に七カ国との間でやっております。それから、世界レベルでの観光交流促進のための世界観光機関の活動への積極的な参加等に今まで取り組んできたところでございます。  今後は、この法律案を成立させていただきました場合に、今までのような施策を引き続き強力に取り組んでいくことはもちろんでございますが、特に外客誘致活動につきましては、ウエルカムプラン21と、それから本法案の実施を受けまして、特に地域の活性化も視野に入れまして地方への外客来訪促進を図る、特に地方の自主性も重んじつつ、そういう観点での国際観光振興に特に重点を置いて施策を進めていく必要があると考えているところでございます。
  32. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 また違った面でこの国際観光という問題を切っていきますと、例えば文化とか歴史とか、あるいは日本の社会そのものが観光の対象になっていくという場合に、我が国の歴史の問題なんということを考えますと、我々日本人も正しく理解していない、あるいは一般の人に聞いてもわからないというような点もあるかと思いますが、実はその点が非常に重要な点ではないかと認識しております。  日本の国自身に対する理解と同様に、日本の社会あるいは日本人に対する理解を深めていただく、それにはやはりそういった面での切り口について十分な仕組みがないとそれなりの効果が上がっていかないんじゃないかと思いますが、その点についてはいかがお考えでしょうか。
  33. 相原力

    政府委員相原力君) 先生指摘のように、日本を十分理解していただくためには、日本の歴史、文化あるいは社会に対する理解をしていただくということが必要不可欠であろうというふうに考えておるところでございます。  そういう意味でも、日本にできるだけ多くの外国人観光客に来ていただいて、百聞は一見にしかずという言葉もございますが、日本文化あるいは歴史的遺産もいっぱいあるわけでございますので、日本文化、歴史あるいは自然に直接接していただくことにより多様な日本に出会っていただいて、また多様な各地域日本の人たちとも直接出会っていただいて、そういうことによって日本文化とか伝統あるいは歴史等を外国人に十分理解をしていただくというのが必要不可欠であろうというふうに考えているところでございます。  そういう観点で、本法律案も、できるだけ多くの外国人観光客に多様な地域に行っていただいて、そういう日本の歴史、文化、自然等に触れていただくというのが大きな目的として提案をさせていただいているところでございます。
  34. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 観光関係する人たちといいますか、運輸省を初め、関係者の皆さんだけがそういう認識であってもなかなか浸透しない。今回の法律によってそのネットワークを広げていくというようなことでありますから、そういう点も十分認識していただいて、それぞれの地域で十分な効果が上がるような体制が必要ではないかと思います。  ここで、各地方都市で今非常に熱心に進めておられるコンベンション問題を取り上げてみたいと思います。  現在、地方自治体などでコンベンション問題というのは観光の非常に重要な要素といいますか、手法の一つととらえられて盛んに振興が叫ばれ、振興策がとられている、そういうことではないかと思います。国際コンベンションというのはなかなか難しい仕事でありまして、箱物がないとできないとかいうようなこともありますし、例えば京都のように一年間スケジュールを決めて、何年か先までちゃんと予定が入っているというようなところもあります。  私は、仙台のコンベンションの活動を見てきまして、この話をすると亀谷さんの宣伝をしているみたいになるので余り詳しく申し上げるつもりはありませんが、東北大学の学者先生方がいろんな国際会議に出ていって、次に世界のどこでどういうテーマで会議をやるかというようなことを検討している際に、地元の支援をあらかじめ得ていろんな会議を引っ張ってくるわけですね。  このコンベンションの地元への効果、これは専門家同士のやりとりのほかに、地元文化とかあるいは経済界に与えるインパクトは非常に大きい、そういうような性格のもので、これまで運輸省法律振興しているわけですから相当力を入れてきているわけです。このコンベンションの振興どもあわせて考えていかなければならないということだろうと思いますが、この辺についてはどんなふうにお考えになっているわけですか。
  35. 和田敬司

    政府委員和田敬司君) 国際コンベンション振興というのは、国際観光の中でも非常に重要な分野だと政府としても認識しておるところでございます。  ちなみに、現在日本における開催状況ですが、件数で世界十一位という状況にございます。そのシェアを見てみましても、世界の三%程度にとどまっている状況にございます。しかしながら、昭和六十一年ごろから平成七年までの間の伸びを見てみますと三倍以上になりまして、平成七年には千八百二十件というような増加をしてきているところでございます。  運輸省といたしましても、この国際コンベンション誘致を通じた国際観光振興を図るということを目的といたしまして、平成六年にいわゆるコンベンション法を制定いたしまして、国際観光振興会を通じた地方自治体による国際会議誘致あるいはその運営につきまして積極的に支援を行ってきているところでございます。去年四月に取りまとめられましたウエルカムプラン21の中におきましても、国際コンベンション振興国際観光の重要な柱の一つとされております。  委員指摘のように、国際コンベンションの前後には必ず地域観光需要というもの、プレコンベンションあるいはアフターコンベンションのエクスカーションというのがございます。地域文化的な、あるいは観光的な資源を見ていただく機会があるわけでございます。そういう意味でも、地域経済への貢献もありますし、あるいは地域文化の活性化にもつながるところでございます。政府といたしましても、今後とも国際観光振興会、さらに地方自治体等と一緒になりまして誘致振興に取り組んでいきたいと考えておるところでございます。
  36. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 そういった個々のテーマがあるわけですが、そういったものの有機的な組み立て、そういうことがこれからの国際観光振興において非常に重要なテーマになってくるかと思います。  いろんな国がいろんな観光振興をやっているわけですが、それぞれの国に特色があって、やり方が違う。日本には日本のやり方があるんだろうと思うんですが、例えば相原局長は非常にお詳しいだろうと思いますが、スイスの国際観光、風光明媚という言葉がそのまま当てはまるのがスイスの観光ではないかと思います。スイスという国は、考えてみますとなかなかおもしろいというか非常に興味深い国でありまして、一方で武器の輸出などを正々堂々とやっている、一方で観光宣伝もやっている。それから、ジュネーブなどは国際機関誘致を非常に熱心にやってきているというそういう歴史があるわけで、大分前ですが、SALTの事務局をウィーンと争った、そういうようなときにはもう地元を挙げてといいますか国を挙げてアクションを起こしている、そういうようなことであろうかと思います。  私は、ノルウェーという国に住んでいまして、あそこも風光明媚な国ですが、観光には余り熱心じゃない。なぜかといいますと、国内産業もほどほどにある、石油も出てくる、何で観光なんかに血道を上げなきゃならないかという基本的な考え方があって、観光振興をやると外国人がどんどん入ってくるので、それだけのマイナス分があるという考え方もある。国それぞれですが、我が国にとって観光というのは、そのレベルまではまだまだ達していないというところではないかと思います。  そういったことで、今後の新しい観光資源、資源というのは単に景色がいいとかそういうことだけじゃないと思いますが、これを戦略的に組み立てていかなければならないという仕事はまさに運輸省に負わされた課題ではないかと思いますが、この点についてはいかがお考えでしょうか。
  37. 相原力

    政府委員相原力君) 先生からスイスあるいはノルウェー等の御指摘がございましたが、世界の特にいわゆる観光の先進国といいますか観光に重点を置いている国々はいっぱいあるわけでございますが、それぞれ国によってどういう資源を売り物にしているかというのは異なるわけでございまして、そういった意味での戦略というのが非常に重要であろうというふうに考えておるところでございます。  日本におきましても、観光目的地はいっぱいあるわけでございまして、世界の人たちにその中で日本を選んで来ていただくという観点から、できるだけ魅力ある資源を売り出すということも非常に重要ではないかというふうに思っておるところでございます。従来から言われておりますいわゆる富士山とかあるいは伝統的な社寺仏閣とか、そういうようなものもあるわけでございますが、それに加えて新しい観光資源、例えば南の国の人たちにとっては雪があるということも一つ大きな資源ではないか、それから温泉のない国の人たちにとっては日本のようにどこに行っても温泉があるというのも一つの大きな資源でもありますので、そういうような新しい観光資源を求めて、またそれを戦略的に外国に売り出すということも非常に重要な課題であるというふうに考えているところでございます。
  38. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 先ほど日本人海外旅行者がどんどんふえていっている、一方で我が国を訪れる観光客は伸びていないということについていろいろお話がありました。目標を設定して外国からの観光客をふやしていく、これも一つの方法ではあろうと思いますが、私は外国から観光に来られる人たちの数がただふえればいいということではなかろうと思います。当然皆さんもそう思っておられるのだろうと思いますが、観光の中身、質を高めていく、そういうことがこれから重要になっていく時代ではないかと思います。伸び悩みの理由も先ほどお話をお伺いしましたが、そういうところに主眼点を置いてこれからの国際観光を考えるべきではないかと思っております。  そこで、観光関係予算ですが、予算的に十分なんというのは今までだってなかなかなかったに違いないし、これからますます難しくなっていくわけですが、現状どれぐらいの予算で、理想を言ってちょうだいとは言いませんが、これからどんな事業展開するとどんなことになるか、その辺もあわせてお伺いしたいと思います。
  39. 和田敬司

    政府委員和田敬司君) お答えします。  平成九年度の観光部予算でございますが、国際観光振興会への助成として約二十五億円、それから家族キャンプ村あるいは国際交流村といった観光基盤施設整備に必要な経費といたしまして約三億円、それから世界観光機関等の国際機関関係費で約二億円、その他も合わせまして合計約三十二億円となっております。  この法律に関連した予算につきましては、例えば国際観光振興会によりまして国際観光テーマルート外客誘致のキャンペーンの実施という予算を初めといたしまして、全体的には約八千万円を計上しておるところでございます。
  40. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 合計で三十二億円。国の宣伝費の一環として考えても、余りにも少額であるかもしらぬ。ジャンボ機一機とか船一隻とかいうことを考えても非常に少ない予算であるということで、運輸省の皆さんも相当苦労しておられるんじゃないかと思います。やはり基本的な考え方で国の宣伝の一環、これからそういうような考え方もあわせて予算の要求のところで強く主張していただくということも重要ではないかと思います。  そこで、国際観光について先ほどお話がありましたように、観光省を持っている国もたくさんある。そういうところはかなり多額の予算を持って事業を進めている。出先機関の配置も相当になっている。そういうような観点から考えると、我が国の場合、体制的には非常に小型過ぎはしないかというとらえ方がありますが、主要国のそういった組織と比べて、日本の組織というのはどういうふうに評価しておられますか。
  41. 和田敬司

    政府委員和田敬司君) 主要国の観光を直接担当する国の行政機関につきましては、委員指摘のように、イタリアを初めヨーロッパ諸国あるいは中南米、アジア諸国では、独立した観光省あるいは観光庁というような形で機関が置かれている国がございます。また、海外観光宣伝する機関といたしましては、例えばヨーロッパの主要国の例をとりますと、政府がみずから政府の一組織として取り組む、あるいは、国の業務を実施する特殊法人という形で政府観光局といった組織を設置いたしまして、海外に十数カ所から三十カ所程度の事務所を配置しまして外客誘致活動に取り組んでおります。  ちなみにフランスでございますが、受け入れ外客数が六千万人を超えるということで世界でも第一位でございますが、この国では特殊法人としてフランス政府観光局というのを設置しておりまして、約二百七十名の定員を有して世界三十三カ所に事務所を配置することによりまして海外宣伝活動を実施しているという状況にございます。  我が国における各国の状況を見ましても、東京中心アメリカ、イギリス、フランスを初め約六十カ国で百以上の海外宣伝事務所が設置されている状況にございます。  日本の現状でございますが、行政機関としては観光部で取り組まさせていただいております。また、特殊法人でございます国際観光振興会で百十八名の人員をもちまして、海外十四カ所の事務所で鋭意観光宣伝に努めているところでございます。  組織のあり方につきましては、組織の持てる機能を最大限発揮するために、限られた組織、定員の中ではございますが、効率的な予算の執行、業務の執行ということを心がけてやっている次第でございます。
  42. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 この法律の中にも国際観光振興会の組織機能期待しての条項というのも出てまいりまして、国際観光振興会の活用がさらに重要になってくるということではないかと思います。  この国際観光振興会の活用の仕方、これは外国人に聞きますと非常によく活用している人もおりまして、事務所というのは大体町の中心地にあるところが多い。ですから気楽に行っていろんな資料をもらったりいろんな話を聞いたり、観光に来る前にそういうようなところでの交流が始まるというような面もあります。海外事務所の重要さというのは、この国際観光振興会機能を果たしていく上でそれなりの効果があったということではないかと思います。  この国際観光振興会海外において事業を展開していく際に、国際観光振興会だけではなくて、例えば貿易振興会連携してとかあるいは国際交流基金と連携してと、そういうような連携の仕方もありますし、もちろん外務省の出先機関との事業の展開もある。  ただ我が国の外務省というのは、国際観光振興会とか貿易振興会とか、そういうところに非常に冷たいところがあると思います、そういう事業に関してはそちらの方が専門で我々は余り関知していませんと。文化宣伝ぐらいはやっておりますが、外務省は人員が非常に少ないという点もあるかと思いますが、アメリカのようにおもちゃ屋の店開きに大統領が来るなんていうような国さえあるんですが、どうも我が国の外務省というのはそういうような民間活動には非常に冷たいと。JNTOもジェトロも民間部門だからというところがあるかもしれませんが、いずれにしましても、そういったほかの機関との有機的なつながりによっての仕事の展開の仕方というものもこれからは重要になってきはしないか。  特殊法人ということで今、整理統合のまないたにのっていることは確かでありますが、先ほどお話をお伺いしましたように、どこの国でもその国の文化の宣伝のためとかあるいは国の宣伝のためとかいうことで、この国際観光部門というのを非常に重要視している。そういうことから考えますと、運輸省も必要性を堂々と主張されればよろしいんじゃないか。  若干腰が引けているのかなという気がいたしておりますが、国際観光振興会の今後の仕事の展開の仕方といいますか、そういった点と、これをどう位置づけていくか、それらの点についてお伺いしたいと思います。
  43. 和田敬司

    政府委員和田敬司君) お答えします。  国際観光振興会は、先ほども定員申しましたが、九年度で定員百十八名、事業費は約三十五億円ということで外客誘致を鋭意実施しているところでございます。現在やっている業務の内容でございますが、世界十四カ所にございます海外事務所で観光情報を提供する、あるいは、地方自治体と共同いたしまして誘客活動あるいはセミナー等の実施ということを行っているわけでございます。さらに国内では、外国人観光旅客に対して案内所で情報提供を行う、あるいは各自治体を中心に市民レベルでの観光交流活動が行われていますがこれを積極的に支援する、さらに国際コンベンション誘致の支援と多岐にわたる活動を行っているところでございます。  今後、この法律を成立させていただきますと、観光振興会はこの法律に則した業務を重点的に実施していくわけでございます。特に、今年度は新しい日本観光イメージの策定ということがございます。それから、都道府県がこれから具体的に策定していきます外客来訪促進地域につきましての外国へのキャンペーンの実施。それから、低廉な宿泊施設等につきましても相当程度組織化されておりますので、この辺の情報提供を行っていく。さらに、各地域における観光案内所の職員に対して研修、助言等を行っていくということで、これらを強力に展開していく予定としております。  さらに新しい仕事といたしまして、インターネットの活用をさらに促進するというようなことで、情報高度化への対応を図るということも考えておりますし、重点的、効率的な外客誘致活動を実施して国民の御要請にこたえていきたいと思っている次第でございます。
  44. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 特殊法人という位置づけでいろいろ批判も多いところであると聞いておりますが、私は、特殊法人一般論として申し上げますと、国が本来やるべきことであるけれどもある組織をつくってそこで一括してやってもらった方が非常に効率的である、一方でこれまでの行政改革の中で国家公務員はふやせない、そういうようなこともあって設立された特殊法人というのが幾つかあると思います。例えば宇宙開発事業団とか、国が本来やるべきことであろうと思いますが、ああいう形になっている。国際観光振興会も同じような性格を有しているんじゃないかと思っております。  そういったことで、ひとつ運輸省も、その必要性を堂々と喧伝していただいてよろしいんじゃないかと思いますし、一方で、国際観光振興会の出先の仕事のあり方などについては余りまじめに受け取られていない面もあるのかなという気もいたします。一つは出来高を問われない。ですから、幾ら一生懸命やっても効果が余りわからない。やらなくても済んでしまうと言ったら怒られると思いますが、そういう面がないわけでもない。ですから、そこはやはり運輸省それから国際観光振興会の本部がしっかりとノルマを課して、遊ぶことのないように目を光らせていただければと、そういうことが必要ではないか。それが国際観光振興会の評価を上げていく一つのやり方でもあるかなと、こう思っておりまして、老婆心ながらつけ加えさせていただきます。  次に、この法律の条項といいますか基本的なところでありますが、この法律の第一条、まさしくこの法律目的とするところを極めて端的にあらわしていると思います。  そこで、基本方針というものを第三条の中で決めていくことになっておりますが、これがともすると官主導と受け取られかねないものではないかと思います。そういったことで、この基本方針の決め方、具体的にはどういうようなやり方で、どういう内容のことを盛っていくおつもりか、お聞かせいただければと思います。
  45. 和田敬司

    政府委員和田敬司君) この法律の第三条に基づきます基本方針についてでございますが、これは法律の中で具体的な促進計画策定あるいは実施に当たっての指針となる位置づけを与えられております。この法律の全体の中でも大変重要な位置づけをされているところでございます。  国際観光振興につきましては、これは日本の国際社会における位置づけとも関連いたします非常に重要な観光政策を進めていくわけでございますので、広く各界の意見をお聞きしながら定めていく必要があるのではないかと考えている次第でございます。  具体的に申しますと、平成七年六月に観光政策審議会で「今後の観光政策の基本的な方向について」の答申をいただいております。また平成八年四月には、学識経験者や観光関係事業者で構成されました研究会でウエルカムプラン21、またの名を訪日観光交流倍増計画と申していますが、こうした提言が出されておりますので、この提言に盛られた各界の意見を十分踏まえていく必要があると考えております。  さらに、今後法律の施行に伴いまして、全国レベルあるいは地方レベルで協議会等の形でこの法律の実施を図っていくわけでございますが、その中でも地方公共団体あるいは観光関係事業者、学識経験者、多くの関係者の方の意見が十分反映されるよう留意しながらこの基本方針策定に当たっていきたいと思っております。
  46. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 この基本方針法律目的とするところを推進していく極めて中核になる部分でありますから、この基本方針を定めることについては、やはり在来の概念にとらわれないで幅広く意見を聞き、将来を見据えてそれなりの戦略的、戦術的なアプローチが必要ではないかと思います。  同様なことでありますが、各都道府県外客来訪促進計画というのを第四条で定めることになっております。これは地方によっていろいろ相当特色もありますが、しかし基本的な考え方などについてはやはり全国一律のとは言いませんが、根本的な考え方に従ってこういうものを決定していくことになるだろうと思います。この辺については運輸省地方との連携といいますか、その辺も含めてどういうことになるか、お教えいただきたいと思います。
  47. 和田敬司

    政府委員和田敬司君) この法律に基づきまして外客来訪促進計画というのがつくられるわけでございますが、これは都道府県がみずから自主的に単独で、あるいは隣接都道府県と共同いたしまして策定することとなっております。  その策定に際しましては、地域の特性が十分発揮されるということが必要でございます。また官民連携いたしまして一体的な取り組みが必要となるわけでございます。そうした理由がございますので、地方公共団体が具体的な計画策定するに当たりましても、県は関係市町村あるいは観光関係事業者等の意見も十分反映させながら計画策定が行われることが重要でございます。こうした趣旨については十分周知していく予定にしております。  計画自体はこうして都道府県が自主的に策定いたしますが、運輸省も国として御相談にあずかりますので、そこでは十分意見の調整を図りまして、お互いに意思の合致をした上で国としてもできるだけの支援をしていける体制をつくっていきたいと思っております。
  48. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 広域的に観光の内容もより充実したものとしてネットワークを進めていくというようなことではないかと思いますが、やはり安価でといいますか、リーズナブルプライスで旅を十分に楽しめる、そういうようなことが基本になるだろうと思います。  この要綱関係を見ましても「国の援助等」というところにいろいろと考え方が書いてあります。これから指定していくネットワークの中で、例えばヨーロッパの例を見ますと、ヨーロッパの田舎へ行きますと小さなホテルとレストランというようなものが必ず観光施設の周りにあって安心して利用できるということになっておりまして、和田部長なんかはその辺はよく御存じで相当利用された方じゃないかと思いますが、こういったものを日本の田舎に備えつけていくということになるとやはり相当の努力が必要ではないか。国自身も国の役割として考えていかなければならないし、さらに地方自治体が相当力を入れなければならない。その辺の組み立ても含めて、これらの施設の整備についてはどのようにお考えになっておられますか。
  49. 和田敬司

    政府委員和田敬司君) 御指摘のありましたように、外国人観光旅客にとりまして、宿泊に適した施設あるいは利用に適したレストランが整備されているということが観光の魅力の増進のために非常に重要なわけでございます。  宿泊施設につきましては、従来外国人観光客の利用に適したということで登録旅館あるいは登録ホテルを中心として宿泊施設の充実を図ってきておるところでございますが、今回これらにあわせまして、さらに低廉な価格でもそれなりに快適な滞在ができるというような施設につきましても、例えば国際観光振興会が現在組織化を進めておりますウエルカム・インというグループがございますが、こうしたものにつきましてはそうした要望に沿う施設となっておるわけでございます。これらを初め、飲食施設につきましてもリーズナブルな価格で快適な旅ができるということを基本にして、各地区でこうしたテーマルート、観光ルートの開発に当たっていくこととしております。  国としても努力いたしますし、地方公共団体あるいは関係事業者ともそうした方向で努力していきたいと思っておるところでございます。
  50. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 実はこの法律の実効あるところを期待するといえば、そういうところがきちっとできないとうまくいかない、そういうことではないかと思いますので、ひとつ運輸省地方自治体などとよく連携をとってこれらの対応を進めていただきたい、こう思います。  国際観光と言って我が国国際観光振興を進める場合に、我が国世界に恥じることのない国際観光国であると言えるかどうかということについてはいろいろ疑問の点なしとしないと私は思います。  一般的に言いますと、例えば組織的に物事をやるとか、コンベンションなんか中核的なというか典型的な観光の一端ではないかと思いますが、ジャパニーズホスピタリティーとよく言われておりますが、実に整然とすべてを進めていく、皆さんにも十分に満足いけるような体制で催し物を進めていくというところがあるわけです。  一方で、個人で観光して歩いている人々にとってはなかなか容易な国ではありませんですね。よく駅とかそういったところで観光客がガイドブックを片手にきょろきょろとしながら何かしているけれども、もうほとんどの人は見向きもしない。国によっては非常に親切に声をかけて、何かお困りですかというようなことを言ってくれる。そういうところは、日本は言葉の問題もあるかもしらないですが、失格ではないかと思います。  それから、もっと悪いことだってある。電車なんかに乗りますと、私は北欧に住んでいたとき、子供たちが電車に乗ってきて席に座ったのを見たことはありませんね。日本じゃ親が争って席をとって子供を座らせる。あれは非常に奇妙なことのように受け取られているようですし、大体しつけが悪い、日本人は子供のしつけもできないんじゃないかというようなことまで言われてしまう。  そういうことを考えますと、いいところばかりじゃない。そういった問題もあるということを御認識いただきながら、国際観光重要性というものを国政のレベルで国の政策としてとらえていかなければならないということで、一般的には、国政レベルで考えますと、観光なんというのは一段低いんじゃないかと思われているかもしれませんが、冒頭大臣お話にもございましたように、やはり外交とか安全保障とかそういったレベルと同様に考えるべき問題ではないかと思います。最後に、日本政府の取り組みとして運輸大臣の御決意をお伺いして、質問を終わりにしたいと思います。
  51. 古賀誠

    ○国務大臣(古賀誠君) 私冒頭に申し上げましたように、国際観光振興というのは、二十一世紀の我が国にとりまして国家の安全保障に貢献するという観点からも極めて重要な政策だというふうに思います。そのため、世界の各国におきましても国が積極的な役割を果たしているというのは先生指摘ただいたとおりでございます。  我が国におきまして、現在、観光に訪れられる外国人というのが非常に低い水準にあるということは私も極めて残念なことだというふうに思っております。そういう意味からも、この御提案を申し上げております法案は、国際観光振興策の一つの大きな柱として、今申し上げましたような現状を踏まえまして外国人観光旅客の来訪地域多様化する、さらに日本に対する本当の理解をしていただく、また伝統や文化を知っていただくという意味での増進を図っていこうというものでございます。  この法案を成立させていただくことによりまして、私どもといたしましては、国際観光重要性を十分認識していく中で、国際観光振興会のこれからの活躍のあり方、また関係地方公共団体や観光関連事業者、そういった関係者と一体となった総合的な取り組みを行わせていただくことによりまして、我が国もこれから観光立国を目指して努力をしてまいりたい、そういう決意をいたしているところでございます。先生初め委員先生方の御指導を心からお願い申し上げる次第でございます。
  52. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 短い時間でありますから、端的に結論から私は申し上げたいと思うんです。  日本に来る観光客は、先般運輸省の資料を拝見してみましたら三十何番ですね、少ないんです。もちろん、これは距離的なハンディもあると思うんです。しかし、今は昔と違って飛行機というものができたから、何十日もかかって日本へ来るというようなことはないんですから、そうすると距離的なハンディはある程度克服されている。  では、どうしたらいいかということになると思うんですが、私はやはり外国人日本に対する好奇心を助長する、日本に行ってみたいな、こう思わせるようにしなければなかなか来ないと思うんですよ。それはどうしたらいいかということになるんですけれども日本をいろんな国において紹介するということも必要だろうし、あるいは、来てみようという気を起こした人に対して旅行の便宜を図るという方法も必要だろうと思うんです。そういう点が果たして十分に行われるかどうかということが、外国のお客を誘致する場合に必要な条件になってくると思うんです。  そこで、私は申し上げたいんですけれども日本人だって日本の国内で行ってみたいけれどもまだ行ったことがないというところはたくさんあると思うんです。それで、わざわざ高い金をかけて外国まで行かなくたって、日本だっておもしろいところがいっぱいあるということは、私は言えると思うんです。例えば北海道なんかは、割合と本州とはかけ離れた雄大な風景というのがあるわけです。それから、東北地方だってそういう場所がいっぱいあるわけです。九州だって、あるいは沖縄だってそういう地域がまだまだあると思います。だから、外国人に対しても通り一遍の紹介をするんじゃなくて、日本という国はおもしろいぞ、見るところもあるし、食べるものも変わっているぞということを宣伝して、好奇心を起こすようにするということが必要だろうと思うんですね。  それで、考えてみると、食べるものだって日本料理というのは独特です。それから、例えばお菓子だってそうです。これだって、外国へ行ってケーキを食べるとなると必ず甘い。しょっぱいケーキなんというのはないですよ。そこへいくと、日本は甘いものもあるかわりに、辛いものもあるいはしょっぱいものもある。  例えば、せんべいなんというのはいい例です。あれは甘いものもあるけれども、辛いものも最近出てきたけれども、元来せんべいなんというものは甘いものじゃないですね。かといって、だれも見向きもしないかというとそうじゃない。新幹線の中で、東京名物草加せんべいなんて売って歩いているんです。草加せんべいというのは東京じゃないぞ、あれは埼玉県の草加というところだと教えてやると、はあそうかなんということになっちゃう。  それから、じゃ甘いものがないかというと、ちゃんと甘みを抑えた菓子があるんですね。蒸しようかんだとか名古屋のういろうだとか。あの種のものはほのかな甘みでもって好まれているんです。だから、そういう点で、食べるものもあるいは見るものも日本は珍しいものがいっぱいあるというふうに言っていいと思うんです。  それから、そのためには受け入れ体制、宿泊体制、安全、清潔、こういうことが必要になってきます。だから、宿泊設備でもちょっと工夫をして、日本風の座敷に布団を敷いて寝るといったような部屋をホテルでも幾つか用意して、外国人に経験させるということもいいんじゃないかと思うんです。どこへ行っても日本人がヨーロッパへ行って泊まるのと同じようなホテルで、そして同じようないわゆる洋食でということになると、日本に来たかどこへ行ったんだかわからないということになるんですね。そういう特色を出して、その特色を大いに宣伝をするということを考えてみたらどうかというふうに思うんです。  これは部分的な問題じゃなくて全体的な問題だと思うので、その点についてのお考えをお伺いしたいと思います。
  53. 相原力

    政府委員相原力君) 瀬谷先生の御指摘のとおりだというふうに思います。日本になかなか外国人観光客が来ていただけない理由、いろいろあるわけでございますが、その中で、日本観光地がほかの国の魅力ある観光地と競合しているとか、あるいは日本のPRが必ずしも十分でないことなどによって観光地としての知名度が低い、これが大きな原因の一つになっているわけでございます。そういう観点先生から御指摘ございましたように、日本の自然でも、あるいは例えば先ほど来お話ございました食べ物にしても、あるいはそれ以外の宿泊施設等にしても、日本独特のもの、逆に言えば外国人にとって非常に好奇心の持てる対象がいっぱいあるわけでございますので、そういうのを積極的に売り込むとともに、また日本の中でもそういう受け入れ体制を十分整備していく必要があるんではないかというふうに思っております。先生お話にもございましたように、日本の和室で畳の上に布団を敷いて宿泊したいというそういう外国人旅行者も年々ふえておりまして、そういう観点での安い宿泊設備、畳のある和室の宿泊設備等も充実しつつあります。  それから、食べ物の点では、従来からいわゆる刺身とかしゃぶしゃぶというふうに一般的には言われているわけでございますが、それ以外に先生お話のような点、食べ物は非常に国によって嗜好が違いますので、どれほど受け入れられてまいるかという問題もあろうかと思いますが、そういう観点での好奇心を持って来ていただける方々も多いのではないかと思っておりますので、そういう観点で総合的に、世界の国々の方々が日本を選んで来ていただけるような対策を積極的に講じていきたいというふうに考えているところでございます。
  54. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 珍しい風習とかいうこともまた一つの好奇心を誘うことになると思うんです。例えば私がビルマへ行ったときに、あそこにはパゴダというのがあるんですね、一つの塔が。それで、やはり仏教国ですから、ほかの国ではフィリピンあたりでは余りそういうことはなかったけれども、あの国では戦争による日本の軍隊の戦死者の名前を刻んだパゴダなんというのがあって、そして、私感心したんですけれども日本人のそういう戦没者の墓なんというのも非常に清潔に保たれているということを見ました。そのパゴダへ行くと、みんな靴を脱いで靴下も脱がなきゃいけないんです。これは男女を問わずなんです。だから、そういうのも一つの習慣だろうと思いますけれども、こんなことはそんなに難しい習慣じゃないから、我々はその習慣に従うわけです。だけれども、ほかの国ではああいう例は余りないですね。だから、ああいったような習慣の違いというのもやはり旅の一つの思い出になるわけです。  それから、場所によってはこじきがいっぱいいたり不潔な感じを与えられたりする場所もありますが、そういうようなことは日本ではないと思うし、また、そういう不潔感ということは与えないようにするのが観光客を誘致するためには非常に必要になってくるというふうに思います。  そこで、例えば我々スイスなんかに行きますと、スイスの山には圧倒されるわけですよ、アルプス連山には。すばらしいなと思うんです。だけれども、ああいう雄大な山岳風景というのは、幾ら感心したって買い占めて持ってくるわけにいかないですからね。それじゃ、日本でもそれ相応の対抗策を練って、富士山というのもあるし、それからまた中部山岳地帯のアルプス連山というのもあるんですから、スイスほどにはいかないかもしれないけれどもああいうところを紹介する。あるいは、外国に対する書物にもそういうものを宣伝するということで、外国人の好奇心を何とか満足させることができるんじゃないかという気がいたします。  また海だって、沖縄あたりの海というものは非常にきれいで、東京湾とは違った、東京湾あたりじゃ見られないようなきれいな海が沖縄近辺では見られるわけです。だけれども、スイスが幾ら頑張ったって船旅はできませんからね。日本でなきゃこれはできません。だから、瀬戸内海の船旅はおもしろいぞ、あるいは沖縄の船旅はきれいな海が見られるぞ、あそこへ旅行すれば珍しい食べ物もあるし珍しい踊りもあるし非常に楽しいと。たまには台風なんというのも襲ってくるからこういうのも一つの体験になるということになれば、北海道から沖縄に至るまで日本は非常に魅力のあるところが多いんです。  だから、そういう点も細大漏らさず宣伝をして外国人の好奇心をそそるということが必要だろうと思うのでありますが、その種の宣伝というものは外国向けにおいて十分なされているのかどうかということをちょっとお伺いしたいと思います。
  55. 和田敬司

    政府委員和田敬司君) 委員指摘のとおり、各国独自の文化、歴史あるいは自然を持っているわけでございます。日本におきましても、先ほど御指摘のありましたような山の自然あるいは海の美しさ、あるいは船旅の楽しさ、こうしたものが各地にございます。今回この法律を御提案させていただいた理由も、まさにこういうところが従来必ずしも十分にはPRされていなかったんではないか、もっと各地域の魅力を、観光資源を掘り起こして、これを積極的に売り込んでいくべきではないかということでございます。  従来、典型的な観光地については十分PRされていましたが、こうした今まで必ずしも広く知られていなかった独自の文化、自然、こうしたものにつきまして都道府県中心となって促進のための計画をつくるわけでございますが、この計画に盛られた事項は観光振興会等を通じまして十分海外に広く宣伝されるように努力していこうと思っておるところでございます。  送り先の国につきましても、先ほどの審議の中でもございましたが、その国によって、あるいはその中の男女によって、あるいは年齢階層によってということで、どういうものに興味を持ち、どういう観光ニーズがあるかというのはなかなか難しいところでございますが、これにつきましても十分に細かいマーケティングということで需要分析を行いまして、それに合わせた海外宣伝に努めていって日本観光振興に力を入れていきたい、こう思っている次第でございます。
  56. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 私は、やはり外国人日本に対してどういう興味を持つか、興味を持たせるためにはどうしたらいいかということを考えないと、日本人だけを対象にしていたのでは外客誘致することにならないと思うんですね。だから、外客誘致するためにはその点で抜かりのないように対外的な宣伝活動というものをやらなければならないだろう、それにはどこが主体になってそういうことができるんだろうかということを考えてみたいと思うんです。  果たして、そういう宣伝活動というものが日本で十分行われておるのかどうか。外国に比べると三十何番という低い水準にあるということは、余り外国人日本観光に対して興味を持っていないんじゃないかということになると思います。興味を持たせるためにはどういうふうな活動、宣伝をしたらいいかということを考えるのが根本になると思うのでありますが、その点は一体、外務省がやるのかあるいは運輸省がやるのかへどこが主管となってその種の行動を行うのか。役所の縄張りを越えて私はやるべきではないか、こういうふうに思います。  大臣としてこの法律を提案する以上は基本的なお考えがあってのことかと思いますが、その点についてお伺いをしたいと思います。
  57. 古賀誠

    ○国務大臣(古賀誠君) 外国客の誘致について、運輸省がその中心でやらせていただくということでございます。その運輸省中心は、国際観光振興会の方が前面に出てその役割を果たしていくわけでございます。  そういう意味で、今、先生からさまざまなユーモアを交えたアイデアを含めて御指摘をいただいております。確かに、日本の国は北海道から沖縄県まで、文化といい伝統といい、また歴史といい、またそれぞれの自然というものは世界のそれぞれの国に負けない非常にすばらしいものを持っていると思っております。それをどのように世界の多くの方々に宣伝することができるか、知っていただくか、そして知っていただくだけではなくてぜひ行ってみたいという気をどう起こさせるかということは、国際観光振興会中心となってやってくれております宣伝誘致の業務の中で非常に大事な分野だろうというふうに思います。今までもそれぞれ大変な努力をいたしてくれておりますけれども、さらに、きめ細かな宣伝誘致というこの業務を充実させていくということが大変大事なことではないかというふうに思っております。  また一方では、日本の国をお訪ねいただいた外客の方々に、実際に今度はそれぞれの地域でこの分野を広げていくわけでございますから、地域に見えたときにどういう接遇の向上を図っていくかということも大事な分野でございます。残念ながら、ガイドさんと申しますか通訳、英語また急速にふえておりますアジアの各国語のガイドさん、通訳のできるガイドさんというのが非常に少ないわけでございます。しかも、東京とか大阪とかという都市圏に八割以上が集中しているということで、こういった分野も、今度提案させていただいております法律の中で可能な限り地方においての接遇の向上を図っていこうということでガイドさんの充実も考えているところでございます。  いろんな意味で、運輸省中心となりまして、各省庁間の連絡を密にしていくことも当然でございますが、先ほどから御答弁申し上げておりますように国際観光振興会、そして関係いたします自治体、そして何といっても直接観光事業に携わっていただいている関係者の方々、そういった方々と一体となりまして国を挙げて観光立国を目指して頑張ってまいりたい、こういう決意でございます。
  58. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 時間ですから終わります。
  59. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時二十分まで休憩いたします。    午後零時二十分休憩      —————・—————    午後一時二十分開会
  60. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、外国人観光旅客来訪地域多様化促進による国際観光振興に関する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  61. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 民主党・新緑風会の中尾でございます。  私は、外国人観光客受け入れ体制とその問題について初めに伺います。  平成八年の運輸省が行いました地方自治体へのアンケート調査がございます。それによりますと、受け入れ体制で問題点の第一番目に挙げられているのが、海外に向けてのPR不足ということでございます。  八年四月二十五日のウエルカムプラン21の提言によりますと、「国際観光振興会は、我が国の魅力を見直し、対日イメージ等について外国人意見をも聞きながら海外宣伝戦略を策定し、」云々となってございます。国際観光振興会等による海外宣伝につきましては先ほどからも議論がございましたけれども、今後どう展開あるいは充実させていくのか、伺いたいと思います。  さらには、インターネットなど具体的なメディア戦略をどう考えているのか、まず最初にお聞かせください。
  62. 相原力

    政府委員相原力君) 海外に向けてのPRというのは非常に重要だというふうに認識しているところでございます。  現在、国際観光振興会におきましては、海外に十四都市の宣伝事務所があるわけでございますが、そういう宣伝事務所を通じまして一般の旅行者あるいは旅行業界あるいはマスコミなどに対して情報提供を行ったり、あるいはセミナーとか旅行見本市等を開催いたしまして日本観光宣伝に努めているところでございます。特に最近の動向といたしましては、地方公共団体とか旅行関連会社と共同いたしまして、アジアの主要都市を対象とした海外観光プロモーションを実施しているところでございます。  それから、先生からも御指摘ございました、特に最近インターネットの活用というのが重要になってきておりますが、国際観光振興会におきましても、昨年度から海外広報用のインターネット、これはジャパン・トラベル・アップデーツというような名称になっておりますが、インターネットを開設いたしております。最初は月十数万件ぐらいから始まりましたけれども、最近におきましては月間のアクセス件数が百万件を超える、そういう好評を博している状況になっております。  今後ともこういう海外宣伝活動をより一層充実させていくことといたしておるところでございます。
  63. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 私の聞き違いではないと思うんですが、今、月間アクセス件数が百万件ということでございますね。平成八年の資料では三十万件台だというふうに理解していました。それでよろしいんですね。
  64. 相原力

    政府委員相原力君) ただいま申し上げましたように、平成八年度から開始したものでございますので、当初は二十万件、三十万件のオーダーでございましたが、ごく最近の状況では百万件のオーダーになっておる、そういうことでございます。
  65. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 インターネットは世界各国につながるものですから、この活用というのは大変有効な戦略になると思うんです。  続いて、ビデオの制作等についてどう行われているか。  私は、実は国際観光振興会からビデオをお借りしまして、十分程度のプロモーションビデオを見ました。富士山が出ておりまして、新幹線が走る、それから金閣寺だとか出ていまして、ちょっと目を引いたのはディスコが映っていたりしまして、ただ十分の映像でございましたけれども、何か目を引くような感じが、ちょっと制作している人に悪いけれども、先ほどの瀬谷先生の御指摘のとおり、何か日本に行ってみたいというような肌ざわりが余り感じられないなというのが私の感想でございました。  先ほどはインターネットの話をしましたけれども、今BSそれからCS、特にデジタル化になりまして日本も、世界各国も多チャンネル時代になっている。特に多チャンネル時代になりますと、ソフトが非常に不足してくるのは当然でございまして、ここに目をつけてはどうかという私の提言でございます。  つまり、どういうことかといいますと、今までのビデオ戦略というのは、日本はこういうところですよときれいな景色を映しているけれども、例えばアメリカにも地方都市にはCATVが多いんですが、たくさんの地方局がございます。これは東アジアもそのとおりでございます。そういった意味で例えば二次使用ができる、著作権の問題もクリアしなければいけませんけれども、そういうビデオというものをやはりJNTOで持っていて、あるいは配布しておく、どうぞお使いくださいという方法をとってはいかがかなと思っております。  実は私、かつてこういうマスコミで経験しましたが、海外の例えばコアラがどうしてもワンカット欲しいという場合に政府観光局の理解を得てその映像が手に入るということで、間接的に例えばオーストラリアの宣伝ができるというような方法がございました。  そのビデオ制作あるいはメディア戦略について、もうちょっと詳しく、簡単にお答えください。
  66. 相原力

    政府委員相原力君) 観光振興会におきましても、ただいま先生の御指摘のようなメディア戦略という一環で、PRのビデオあるいはPR写真あるいはPR用のCD・ROMを作成しているところでございます。ただ中身につきましては、先生から御指摘ございましたように、これからの新しい観光資源の発掘というような観点で不十分である面も否めないわけでございますが、そういう点については極力アップ・ツー・デートしていく必要があろうかと思っております。  それから、海外のマスコミ等に対しての貸し出し等の関係でございますが、これも現在海外にございます十四の事務所を通じて、直接放映する場合もございますし、あるいは海外のマスコミなどの要請に応じまして、一般のテレビとか新聞、雑誌等に引用してもらうことによりまして効果的な海外宣伝を実施しているところでございます。よりそういう点でも充実していきたいというふうに思っています。
  67. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 次に、在外公館の果たす役割も大変大きいなと思うんです。例えば、委員派遣で海外に行きますと、ポスターが張ってあったりしてございます。今後十年間の倍増計画、いろいろな手段を講じていかなきゃいけないなと思うんですが、在外公館での取り組みについてどういうふうに展開していくのか。これは外務省の協力も得てというか共同作戦になりましょうか、これは大臣からちょっとどのようなお考えか伺いたい。
  68. 古賀誠

    ○国務大臣(古賀誠君) 在外公館の役割でございますけれども、現在、我が国文化や歴史、社会経済情勢等、大変幅広く相手国に実は紹介をいたしているわけでございますが、御承知のとおり、観光の分野におきましても在外公館を通じまして国際観光振興会我が国観光情報を今日までも提供いたしております。しかしながら、外客誘致ということにつきましては、在外公館をより活用するということは先生指摘のとおりだと思っております。外務省とも連携をとりながら、今後とも在外公館を通じました観光情報の提供の充実強化というのは大変大事なことだと思っておりますので、その充実に努力をしてまいりたいと考えております。
  69. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 さまざまなPRがあると思うんですが、旅行会社は当然のことですね。それから海外にある航空会社の支店、これも当然日本へどうぞと、誘致大変熱心にやられていると思います。そのほかすべてとは言いませんけれども、在外の日本企業、特に日本料理店、これは地方の中枢都市だけじゃなくて地方都市にも今海外にたくさんございます。その日本料理店等の御協力もいただく、そういう方法もあるんではないか。私も何回か目にはしたんですが、その取り組みなんかも今後倍増計画には私はぜひとも必要なんではないかと思っているんですが、この点についてはいかがでしょうか。
  70. 相原力

    政府委員相原力君) 先生の御指摘のとおりでございまして、日本の魅力をより一層海外に宣伝していくためには、旅行会社とか航空会社はもちろんでございますけれども、それ以外の在外の日本企業などにも協力していただくのがぜひ必要であるというふうに考えております。  具体的に申し上げますれば、観光振興会の事務所が先ほど申し上げましたように十四都市にあるわけでございますが、特にそれらの都市中心として、普通、日本商工会議所とかあるいは日本人会という組織があるわけでございますが、そういう活動を通じまして各種企業に協力を求めているところでございます。また、大きな国際的な観光見本市もございますが、そういうところに出展するに当たりましても在外の日本企業に協力を求めているところでございまして、広く在外の日本企業にも理解、協力を求めているところでございます。  今後ともこれらの活動を一層充実、推進していくこととしております。
  71. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 PRもさることながら、外国から来られるお客さん、なかなか日本に足が向かないという理由の一つには、非常に日本は物価が高い、旅行も非常に割高感が残るということが挙げられると思うんです。  今回の法案趣旨もその一点にあろうかと思うんですが、旅行費用の低廉化対策についてでございます。仮称ウエルカムカード等の発行推進をこれからやっていくというような方向にあるように思います。導入、普及計画についてどうなのか。例えば拝観料だとか入館料だとか、いろいろな割引なんですが、これは今後この法案が成立した段階でどういうふうに具体的に進んでいくのか。ちょっとわからないところがあるものですから御説明願えますか。
  72. 和田敬司

    政府委員和田敬司君) ウエルカムカードにつきましては、ヨーロッパの、特に北欧を中心に似たような制度が既に導入されております。オランダ、デンマーク、ノルウェーあるいはスウェーデン、この辺にいろいろな形で既に実施されております。日本の例といたしましては、滋賀県の長浜市におきまして長浜カルチャーカードというのがございます。その地域内にある博物館あるいは美術館、こうした施設について各国の制度とも大幅な割引をする、あるいは場合によっては全くただにするというような施設もございます。また、それ以外の宿泊施設、飲食店、土産物店、その他につきましても料金が一定程度割り引きされるというような特典を持ったものでございます。  その地域観光振興のために具体的に日本の中のどの地域でどんな形で導入されるかということは、法律の成立を待ちまして、各地方が主体性を持って決めていくことになるわけでございますが、こうしたカードの導入に当たりましては、交通機関を含む割引対象範囲の拡充あるいは割引対象の広域化、あるいは売る場合の頒布ルートの拡充ということに努めまして高度化を図っていくことが効果的であると考えている次第でございます。  こうした趣旨から運輸省におきましても、今年度からこうしたカードの導入、高度化を推進するためのモデルプロジェクトの調査に着手することとしておりまして、こうしたカードの全国的な普及を図っていきたいと思っておるところでございます。
  73. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 旅行費用の低廉化対策のもう一つの側面として、今回の法案の第七条、第八条に共通乗車船券の発行促進でございますが、現在、JR六社のジャパン・レール・パスが実際に機能しておるわけですけれども、具体的にどの程度割引率が実行されていくのか、予想されるのか。これも私鉄だとか皆さんに大変協力をいただくことになろうと思うんですが、これについてはどういうようなあんばいでありますか。
  74. 和田敬司

    政府委員和田敬司君) 本法案で予定しております共通乗車船券でございますが、これもまた各国で幾つか例がございます。スイス・パス、あるいはドイツでも似たような制度がとられているわけでございます。  具体的にどのくらい割引になっているかということですが、これもなかなか難しい面がありまして、利用が多くなればなるほど実際的には一定の料金で買うものですから割引率は高くなるというような面もございます。なかなか算定も難しいところがございます。  日本で導入する場合の具体的な制度の内容でございますが、現在、各方面からもこの法律に基づく制度の問い合わせが来ているところでございます。法律の成立に伴いまして、各地域で具体的な促進地域が決まり促進計画策定される、そういう過程で、割引率を含めました共通乗車船券制度の具体的内容が決められていくことになるかと思います。できるだけ日本に来ていただ外国人旅行客の便宜に供せられるような形となるよう関係先に働きかけていきたいと思っておるところでございます。
  75. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 例えば、来訪促進地域の指定ということで法案が今回出されているわけですけれども、これは全国共通じゃなくて、その地域独自の例えばフリーパスというか割引パス等なんかも考えられるということですか。
  76. 和田敬司

    政府委員和田敬司君) 今回、法律の立て方でございますが、法律に予定しておりますような外客来訪促進計画というのは、各都道府県が主体となりまして、自分の県あるいは隣接の県と共同いたしまして比較的広域的な促進地域を定めてその促進を図っていくということになっております。  そうした考え方から、やはりその地域でどういうプロモーションとしての政策をとっていくかというのはこの地域の自主性で定められるところでございます。あるいは、隣接のそうした地域を参考にして、結果としては同じような制度になることもあり得ると思いますが、あくまでも個々の地方公共団体が広域的な地域を指定する中でそうした制度のあり方がこれから検討されていくかと思っております。
  77. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 地域の自主性に任せるということであれば、北海道地区だとか東北地区だとか、その取り組みによって少し値段の差があるというふうになるわけですね。  それで、次に運賃や旅費の低廉化対策に続いて問題となっているのは言葉の壁、今回の法案の中にも書いてありますけれども地域限定通訳案内業免許制度を創設するということになっておりますが、第一点、例えば英語の看板だとか通訳、英語の表記に比べて、六〇%と言われているアジアからのお客さんの例えば通訳、特に中国語、韓国語等のあれが非常に少ない、表記も含めて少ない。これについてどのように考えているのか。  それからもう一点、善意の通訳制度というのがございます。三十年間累計で四万人というふうにあるんですが、組織的には財政基盤が大変弱いというふうに指摘されております。この支援策についてあわせて伺いたいと思います。
  78. 和田敬司

    政府委員和田敬司君) お答えします。  外国人観光客に対して言葉の壁をできるだけ解決をするということから、委員指摘のように、一つ地域限定通訳制度というのを設けております。  この趣旨と申しますのは、従来ガイドが全国で約六千五百人ほどおるわけでございますが、英語の通訳ガイドがほとんどでございます。また、英語に限らずどの言語もそうですが、その八割以上が大きな都市東京大阪中心のところに集中しているわけでございます。今回、この法律を提案いたしまして促進を図っていこうという地域はあくまで地方観光地でございますので、そうしたところでは、英語はもとより、他の言語になると全くガイドが足りないという実情にございますので、一定限度の規制緩和を図りまして、その地域で活躍していただけるようなガイドをふやして言葉の壁を少なくしたいという制度でございます。  他方でまた、東京は比較的整っている方でございますが、地方において、特に英語あるいは外国語の表記が少なくなっておりますので、これに対しては、御指摘のとおり、これからこの法律の施行に伴いまして、アジア言語を中心に英語についても外国人の便宜を図っていきたいと思っております。  善意通訳もそうでございますが、これは国際観光振興会昭和三十九年からこの運動を実施しておりまして、今日までに既に四万五千人が参加しております。善意通訳は外国人観光客にとられましても非常に重宝で、便宜に供されているということでございますので、今後ともこうした制度の取り組みに十分力を入れていきたいと思っております。
  79. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 時間がもう残り少なくなってきました。最後に、大臣にちょっと伺いたいんです。  来訪促進地域の設定のほかに、地方都市空港の国際化の問題、行きたくてもそういう便が不便であればなかなか外国人観光客が来れない。せんだって当委員会でも私質問を申し上げました。例えば、札幌・千歳のオランダからのKLMの乗り入れ問題、各地にそういう問題があろうと思います。運輸省としては地域空港の国際化にどう取り組んでいくか、最後にお伺いして私の質問を終わります。
  80. 古賀誠

    ○国務大臣(古賀誠君) 午前中の御質問にも御答弁申し上げましたけれども、まさに外客来訪促進地域内における地方空港をどう活用するかということは非常に大事な分野だと思っております。そういう意味で、今後、国際定期路線の新規の開設の問題、今まさに先生が札幌とオランダのお話をなさいましたけれどもそういう問題、また増便、こういった問題につきましては、基本的には需要の動向というのが一番の問題だろうというふうに思います。  いずれにいたしましても、外国それから日本国内の航空企業の運航計画、そういったことに沿って地方の空港をこれからどう生かしていくかということになろうと思いますけれども、政府といたしまして、また運輸省といたしまして、当然外国からの外客を迎えるということになりますと、税関や入国管理、検疫、そういったCIQの受け入れ体制の整備というのは必要になってこようかと思っております。そういうことを考えながら、適切に措置してまいりたいと思っております。
  81. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 外国観光客の方が日本にたくさん来られる、それで国際交流が前進するというのはこれは大いに結構なことで、したがって私この法案に賛成であります。きょうは討論もいたしません。  ただ外国人観光客の方にたくさん来ていただく、そのために国や自治体が大いに力を入れる、これはもちろん否定すべきことではないと思うんです。しかし同時に、やはり大手の観光業者、ここも大いに日本をもっと見てもらおうという努力を私はする必要がある、こう思うんです。  ところが、聞くところによると、大手の旅行業界というのは余りアジアには関心がないうまみがないというので余り関心を示していないということも聞きます。やはり運輸省として、こういう法律までつくって税金まで使って大いに日本観光客来ていただこうというわけですから、大手の旅行業者に対してもそういう努力をすべきであると、こういう指導をなさるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  82. 相原力

    政府委員相原力君) 先生の御指摘のとおりでございます。運輸省といたしましても、昨年来ウエルカムプラン21、それから今回提案させていただいています法案の実施に当たりましては、関係業界、旅行業界等の協力が不可欠であるというふうに認識しているところでございます。  旅行業界におきましても、ウエルカムプラン21あるいは今回提案いたしております法案考え方にのっとりまして、積極的に外国人旅行客の誘致あるいは受け入れ業務体制の強化を図ることとしているところでございまして、旅行業者の団体であります日本旅行業協会におきましても、本法律の成立を契機に取り組み体制を一層充実する予定であるというふうに聞いているところでございます。運輸省といたしましても、このような旅行業界の取り組み体制の強化等を強調しながら、積極的に必要な施策を実施してまいりたいというふうに考えております。
  83. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 次に、通訳案内業にかかわる問題について一、二お伺いします。  今度の法案地域限定免許、ローカルガイドという制度が導入されることになっております。各地域に限って免許を与えるというもので、試験を見ますと、第一次試験が語学筆記試験、第二次が会話、これは従来どおり。そして第三次、従来は我が国文化、歴史、地理、そして一般常識等について試験があったわけですけれども、これは研修だけでよろしいということになっております。  ここで問題になるのは、既に免許を取得し通訳案内業を営んでいるたくさんのガイドの方がいらっしゃる、これらのガイドさんと今回の法案で生み出されるいわゆるローカルガイド、ここに格差が出てくるのじゃないか、あるいはガイドのレベルダウンにつながるのではないかという懸念が出されているわけですけれども、この点についてどうお考えでしょうか。
  84. 和田敬司

    政府委員和田敬司君) お答えいたします。  今回導入を考えております地域限定通訳案内免許でございますが、委員指摘のように、第一次試験である外国語の筆記試験、それから第二次試験でございます面接試験、これについては全く全国免許と同一の試験を行います。一般教養についてだけ運輸大臣の指定する研修を修了することをもって要件としているということでございます。  この研修におきましては、その各地域の歴史、地理等に関してそれぞれの地域で通訳案内業務を行うにふさわしい高度なレベルの知識経験を修得させる、そういう研修を行った上で、その修得度をチェックして修了認定をするということにしております。したがいまして、地域限定免許ということで通訳案内業者のレベルが低下するということは全くないんではないかと考えております。  また、通訳免許自体は一定レベルの能力のチェックを行って利用するお客に対してそれを保障するという意味で資格の付与の試験でございます。したがいまして、業としての需給調整を行うような制度とはなっておらないわけでございます。しかしながら外国人旅行客がこうした……
  85. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 大体いいよ、そのぐらいで。
  86. 和田敬司

    政府委員和田敬司君) ガイドができるだけ確保できるようにしておるところでございます。
  87. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 レベルダウンにつながる心配はないということはよくわかりました。  いま一つ、無免許で事実上のガイドを行っておるという問題があるようです。通訳案内業法に基づいて免許制がしかれているわけですけれども、業法がつくられているにもかかわらず、無免許での通訳案内業というのがやられておると。  例えば、今度地域限定ローカルガイドというのが導入される、これは地域限定されている。しかし、旅行というのはいろんな地域へ行くのが旅行だから、Aという地域からBという地域へ入った、しかし通訳案内業はAで免許を取得した方がそのままBに行くということはこれはあり得ることじゃないか。そうなりますと、そのたびにガイドを変更してということは実際上はなかなか難しいと。  したがって、こういう無免許ガイドがこの制度を導入することによってさらに横行することにならないのかどうか。これは業界団体、例えば日本通訳案内業者連盟や日本観光通訳協会というのがありますけれども、こちらと連携して、この法律が施行されてそういう弊害が出てこないのかというのはやはりしっかり調査もし、監視していく必要があるというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
  88. 和田敬司

    政府委員和田敬司君) 地域限定免許制度でございますが、これは現在法律で予定しております外客来訪促進区域というのは大体各ブロックの中で一カ所ぐらいの大きさになるのではないか、広域的なことを前提といたしましてそういうことを予想しておるわけでございますが、そうした中を三泊から五泊をかけて外国人観光客旅行するのに適している、そういった地域を一まとまりの区域として指定するわけでございます。この地域限定ガイドも、そうしたパターンの旅行の便宜に資するようにということで設けた制度でございます。したがいまして、通常はその地域内での旅行に役立っていただけるんではないかと思っておるところでございます。  御指摘のありましたような法律に違反するような形で通訳ガイドをすることがないように、これは従来からも外国人旅行を扱う旅行業者あるいはそうした協会を通じまして通訳ガイドの業務の実態把握に努めてきているところでございます。そうした法律に違反するようなことがないように、今後ともこうした実態把握を十分やって通訳案内業務に関して違法行為の出ないように注視していくことにしております。
  89. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 今国会、運輸委員会質問する機会はもしかするときょう最後になるかもしれませんので、ちょっと一、二、別の問題でお伺いしておきたいと思うんです。  一つは、国鉄の分割・民営化から十年たって、長期債務問題と並んで大きないわば宿題となってきたのが一千四十七名の問題であります。あるいはJRの不当労働行為の問題であります。  この事件に対して、五月二十八日、東京地裁が和解を勧告しました。その内容というのは、既に十年の歳月を数え、早期に抜本的な解決を図るべき時期に来ているということで、JR、労働組合、そして中労委、国鉄清算事業団、この四者で早期解決を目指して和解の席に着くよう勧告するというものであります。私はこれは極めて重要な勧告だと思います。なぜなら、従来は労働者とJRの話し合いということで来たわけですけれども、今度の和解勧告というのは、中労委もこれに加わりなさい、つまり事実上労働省もこれにかかわりなさいということであります。そこへ清算事業団もかかわりなさい、つまり運輸省もかかわりなさいということであります。つまり、政府もかかわって、この一千四十七名の問題、あるいは不当労働行為の問題、この早期解決を図るべきであるというのがこれが東京地裁の和解勧告であります。  新聞の社説等を見ましても、例えば、これは北海道新聞の社説ですけれども、「JR側は、早くも和解勧告を拒否する姿勢を見せているが、それでは、裁判が果てしなく続くばかりである。」と、和解につく時期だと述べております。あるいは、「これは、清算事業団の監督官庁である運輸省を通じ、政府になんらかの行動を促すよう求めたともいえる。」と。朝日新聞は、これは「国策として実施された国鉄改革の「負」の遺産」である未採用問題について政府としても早期に解決に努めるよう促したものと。もう一つ毎日新聞ですが、「「一〇四七人問題」の解決について、重い責任は政府にある。だからこそ、政府の窓口ともいえる国鉄清算事業団に和解のメンバーに加わるよう呼びかけたのだ。」ということで、一様に運輸省が、あるいは清算事業団が積極的な役割を果たすべきだと。  これは事の経過からして当然のことで、例えば当時の中曽根首相は、一人だって路頭に迷わせることはしない、こういうふうに言ったわけですね。古賀運輸大臣も先般、この問題で、なすべきことがあればどんな努力もしていかなければならないという御答弁をされております。私、この勧告が出たのはこの問題を解決していく絶好の機会が訪れたというふうに思うわけですけれども大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  90. 古賀誠

    ○国務大臣(古賀誠君) 今、先生がお述べいただいておりますように、このJR発足時の不採用問題というものに関して、五月二十八日、労使ともにこの地方裁判所に中央労働委員会の命令を取り消すべく行政訴訟を起こしていたわけでございますが、結審を見たわけでございます。その内容については、先生がお述べいただいたとおりでございますので、私の方からあえて繰り返しません。その際、今先生もお述べいただいておりますように、東京地裁から、当事者でありますJRの各社、また中労委、補助参加者であります国労、訴訟にはこれまで参加していない国鉄清算事業団、これらに対しまして和解の席に着くように要望があったということも承知をいたしております。  これに対しまして、先生も御承知かと思いますが、JR各社は、JRは国鉄改革法上、不当労働行為の責任を負う立場にない、その旨の主張に対する裁判所の判断を得たい、こういう立場から和解の席には着かないという回答をしたというふうに承知をいたしているところでございます。  非常に長い経過がございまして、またいろいろと難しい点がございます。この点について、私も就任以来その経過、そして難しい点等々について十分承知をいたしているつもりでございますが、いずれにいたしましても、新しい展開の中ではありますけれども運輸省といたしましては、これまでのように経過をしっかりと踏まえた中で、今回裁判所から出されております和解勧告に対する、今申し上げましたようなそれぞれの関係者の対応がどうあるのかということをしっかり見定めていく必要もあろうかと思っております。  そういう点を踏まえながら、先ほど先生からも述べられましたけれども先生の御質問にも御答弁を申し上げておりますように、問題解決のためになすべきものがあればそれはどんな努力でもして、展開が好転できるようなことに努力をしていく考えでおります。
  91. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 この紛争は、国鉄の分割・民営化という国の政策遂行のいわば途上で起きた問題です。今、JRのことをおっしゃいましたけれども、例えば九州、北海道などは清算事業団の一〇〇%出資会社でもあります。清算事業団はもちろん国の機関の一部であります。したがって、今なすべきことは何でもやっていくと、好転できるようなことがあれば、という御答弁がありましたけれども、やはり十年の歳月、そしてこの地裁勧告の重みというものをしっかり受けとめていただきたいと思います。  最後にもう一つお聞きしたいのは、私ここに、平成二年六月一日付で財団法人運輸振興協会が出した元運輸省在職者名簿というのを持ってきました。編集はこれを見ますと運輸省大臣官房人事課、ここでどうもつくっているようで、最初のページには、この名簿は局部長級以上の方を掲載しました、今後異動を生じた場合は御面倒ながらお知らせくださいというので、変更届用の料金受取人払いのはがきもつけられている。こういう名簿がつくられていることは間違いございませんね。
  92. 土井勝二

    政府委員(土井勝二君) 基本的に内部資料として扱わせていただいておりますが、そういう名簿を人事課の方で関与してつくっているということは間違いございません。
  93. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 内部資料が何で入ってきたのかあれですが、これを見ますと、運輸省官僚のゼネコンへの天下り、これが相当すさまじいものがあるというのがよくわかります。例えば港湾局で見ますと、マリコンというのがあるんですね、港湾関係の建設会社。ゼネコン、マリコンへの天下りというのはこれは大変なもので、私、きょう後でもし大臣何だったら差し上げますけれども。  名簿を持ってきましたが、ちょっと一部紹介しますと、例えばゼネコンあるいはマリコンの大手である五洋建設には顧問二名、副社長、常務、これ運輸省から天下っている。うち三人は元港湾建設局長という要職についております。東亜建設には顧問三名、相談役、そして社長が天下っている。このうち二名が元港湾局長で、あとは港湾建設局長。東洋建設は顧問二名、専務一名。国土総合建設は名誉顧問と社長。若築建設は顧問と専務等々が天下っている。これ、ほとんどが港湾局長や港湾建設局長であります。この方々がまさに港湾をつくる、その建設工事を請け負うゼネコン、マリコンに天下っている。  もう一つ、コンサルタント会社があります。日本港湾コンサルタント、ここには相談役二名、元港湾建設局長と港湾技術研究所長が天下っている。これは港湾の設計を運輸省から受注しているこういう会社です。会長は元港湾局長。社長及び副社長は元港湾建設局長。  これじゃ発注する人、設計する人、請け負う人と、局長という名前が常務になったり専務になったり社長になっただけで、これ文字どおり運輸省が上から下までこういう事業を独占している。私は取り上げましたけれども、この前、財政構造改革会議の最終報告が出て閣議決定されたけれども、公共事業の浪費のいわば典型になっているのがこの港湾建設ですよ。ここに運輸官僚がこれだけ天下っておる。これではこの浪費にメスは入らない、港湾整備計画、浪費の構造、私これを改めることはできないと思うんです。  今、財政再建で大変だ、国民にいっぱい犠牲を転嫁する、医療保険を改悪する、あの財政構造改革会議なんかが年金も改悪する、教育予算を切り捨てる、中小企業予算なんというのはずっと下がりっ放しなのにまだ下げるといっているときに、こういう実態がある。私、こういうところにメスを入れてこそああ政府も財政構造改革に本気で取り組むようになったということが言われると思うんです。  大臣最後に、時間ありませんので、やっぱりこれちょっと改めないと、前、農水省官僚の天下りをやったときに橋本首相が私の言ったことを聞いて、なるほどそれは度が過ぎるということをおっしゃいましたけれども、度が過ぎると思いませんか。
  94. 古賀誠

    ○国務大臣(古賀誠君) 先生に御指摘ただいた点でございますけれども、職員が民間企業へ再就職をする、こういう事態がいやしくも官民癒着といったような批判を招くということがないようにまず十分注意するということは当然のことだるりと思っております。しかしながら、一方でやはり職員の方々が退職後もまた新しい分野で本人の今までの識見や能力を生かしていくということは、また社会的に見てそれは一つの有用な、必要なことではないかという面もあろうかと思っております。  こういうことから、今港湾関係について職員の営利企業への再就職について先生の方から具体的にお述べいただきましたけれども運輸省といたしましては、国家公務員法に基づきまして、現行制度というものをきちっと守って厳正にそれを運用していくということで行わせていただいているわけでございまして、しかし、その際にも国民の行政に対する信頼を確保するということは十分心がけていかなければいけないということは当然のことだろうと思っておりまして、そういう認識を持っているところでございます。
  95. 末広まきこ

    末広真樹子君 自由の会の末広真樹子でございます。  きょうは、外国人観光ということでございまして、平たい御質問になろうかと思いますが、我が国を訪れる外国人旅行者は約三百八十万人、日本人海外渡航者数は昨年度で一千六百六十九万人とざっと五倍の開きがございます。このようなデータを見ると、私は日本人の一人として大変悲しい。もっと世界じゅうの人に日本を見ていただきたい、旅してもらいたい、日本文化に触れてもらいたい、そう思います。そのためには、外国人観光客が安い料金で交通機関を利用できるような仕組みが必要ではないのか、本法案でも運送事業者外国人観光客を対象とする運賃割引の届け出を行うことができるとございます。  私、二十年ぐらい前に鉄道でヨーロッパを旅しまして、お金がなくて安く上げたいというのが大きな目的だったんですが、十五日間もしくは三十日間ヨーロッパじゅうの鉄道が乗り放題というユーレイルパスというのを使いました。真夜中にある駅に列車が到着して、スーツケースを持っておりようと思ったらホームがなくて線路の上に飛びおりたなんていう経験もございましたが、これも今になると、もっといい景色を見たはずなんですが、これが鮮烈に残っているという、思い出とは不思議なものだなと思うんです。  日本にも昭和五十六年からジャパン・レール・パスというものがあるそうでございます。私は今回その存在を初めて知りました。世間にはこのような切符があるということは余り知られていないんじゃないかと思うんですが、ジャパン・レール・パスというのは日本を訪れる外国人観光客にきちんと周知されておりますのでしょうか。また、外国人観光客のうち何%の方がこれを御利用になっていますか。
  96. 相原力

    政府委員相原力君) 末広先生指摘のように、ユーレイルパスというのは非常に有効な制度であるということで私どもも承知しているところでございますが、それに見習ったような形でジャパン・レール・パスが昭和五十六年から発足しているわけでございます。  これにつきましては、外国人の方が日本に来て初めて使えるというものでございますので、外国で、特に国際観光振興会海外事務所あるいは海外で約二百五十カ所の販売代理店を通じまして引きかえ証の販売等を行っているところでございます。  人数的には、平成七年度の数字しか持ち合わせておりませんが、平成七年度は訪日外国人旅客数が三百三十五万人でございましたが、これに対しましてジャパン・レール・パスの発行枚数約九万六千枚でございます。約三%に該当いたします。
  97. 末広まきこ

    末広真樹子君 私、外国人の方に東京大阪以外に田舎をもっと見てほしいなと思うんです。外国の方は、東京大阪あるいは京都、ここまでなんですね。それ以外の地方に余り行きません。でも、大都会よりも地方の方が日本文化に触れてもらうにはふさわしい場合が多々あると思います。  ところで、現在、爆発的な勢いでインターネットが世界じゅうに広がっております。インターネットに国境はございません。世界じゅうのどこからでも望みの国のホームページにアクセスすることができます。例えば、アメリカの鉄道会社アムトラックにはタイムテーブルの検索ができるホームページがございます。日本からでもアクセスできます。そこでは、出発地と目的地、日時を入力すれば、最短のルート、鉄道の時刻、乗り継ぎ及び料金まで計算してくれます。とても便利です。そのほかに、ホテルの予約ができるホームページもございます。それが外国から簡単にアクセスすることができるということです。  そういったホームページがあれば、外国人観光客は大変便利だ、公共団体及び民間会社が外国人観光客向けのホームページを積極的につくっていくよう政府として何らかの働きかけをしていただきたいというのが私の希望ですが、今現在何かやっておりますか。
  98. 相原力

    政府委員相原力君) インターネットによる宣伝というのは非常に有効であるということで、先ほどの御答弁でも申し上げましたけれども国際観光振興会におきましては既にインターネットを開設しておるところでございまして、月間アクセスが当初は十四万件ぐらいでございましたけれども、現在では、例えば四月時点では百万件を超えるアクセス件数になっております。宣伝手段として極めて効果の高いものであるというふうに考えております。  観光振興会のホームページは日本観光紹介の大きな入り口として位置づけているわけでございますが、その中で、広く地方公共団体とかあるいは観光関連民間会社に対しても活用を呼びかけているところでございまして、現時点で既に二十三の地方公共団体、これは県と市が入っております、それから国際会議観光都市で四十五都市、それから関連の民間会社では二百四会社、これは主としてホテル、宿泊施設関係中心でございますが、そういう参加を現に得ているところでございまして、今後も引き続き参加、勧誘に積極的に努力していきたいというふうに思っております。  また、このほかにも独自でホームページを開設している地方公共団体、民間会社がそれぞれあるところでございます。
  99. 末広まきこ

    末広真樹子君 それはタイムテーブルがぱちっと検索できるんですか。
  100. 相原力

    政府委員相原力君) 先ほど申し上げましたように、民間会社の場合は主としてホテル関係、宿泊施設関係ということが中心でございますので、先生の御指摘のようなタイムテーブルがぱちっとというところまでは行っていないのが現状でございます。
  101. 末広まきこ

    末広真樹子君 私、そこを聞いたんですよ。盲伝にインターネットが有効かどうかなんていうことは私質問していないつもりでございます。きちんと質問を把握してお答え願いたい。まさに、今宣伝なんて幾らやってもこれは宣伝だと、消費者は賢いんです。それよりも、もっと具体的に活用できるようなものを開発してほしいなと思います。  街角でも旅行者にもっと情報を与えるような工夫が必要である、インターネットも大事なんですが、街角でも大事。日本人旅行者でさえ街角を歩いていて迷子になってしまう。例えば、愛知県のナゴヤドーム、これは以前にも触れましたが、他府県から来た人の中にはナゴヤドームに行くのに二時間迷ったと、既に多くの方からおしかりを受けております。また、その一方で、旅行者にとって道がわかりやすくて安心したという報告もございます。それはどんな例かというと、大阪には海遊館という水族館がございますが、ここは近鉄難波駅をおりて標示に従って乗り継いでいくと自然と着いてしまったと、名古屋の人が感心しておりました。  このように、自治体によって標示を完備しているところとそうでないところがあって、一度迷った体験を与えてしまうと全体のイメージがばさっと下がってしまうということですね。日本人でさえ道に迷ってしまうんだから外国人はなおさらじゃないかと思いますが、政府はこの点指導を行っていらっしゃいますか。
  102. 和田敬司

    政府委員和田敬司君) 御指摘のように、外国人にとりまして外国旅行した場合に、その国の案内施設というのは非常に重要なわけでございます。  従来から海外に紹介するような観光資源を有する観光地で受け入れにも熱心だという地域国際観光モデル地区として指定をしておりますが、こうした地域が三十九道県、四十二地区ございます。運輸省といたしましては、こうしたモデル地区を中心として、外国人の便宜に供するために国際観光振興策といたしまして外国語による案内標示のマニュアルを作成したり、あるいは世界共通のサインや標示が行われるような指導を行って、観光地の案内標示の整備に支援してきたところでございます。  今回、この法律でさらに外客来訪促進地域として各地の観光地を整備していくわけでございますが、こうした整備に当たりましても、英語の標示はもとより他の言語における標示も可能な限り広めていきたいということで、運輸省といたしましても国際観光振興会あるいは地方自治体、それから各地の観光協会等と連携しながら、できる限りそうした案内施設等の整備の促進を図っていきたいと思っておるところでございます。
  103. 末広まきこ

    末広真樹子君 私の住んでいる愛知県には、トヨタ自動車がつくりましたトヨタ記念館というのがございます。私も訪れたことがございますが、国産一号車からフォードのごく最初のものまで約一千台がずらっとあるさまは、まさにもうここはハリウッドかなというぐらい、歓声を上げてしまうぐらいすばらしい。結構外国人観光客も見学に訪れております。  日本にやってくる外国人観光客のうち、特にアジア系なんですが、こういったテクニカルビジットの占める割合というのが結構あるように聞いておりますが、どれぐらいになるのか。  そしてもう一点、中京圏国際観光交流促進協議会が平成七年に「中京圏におけるテクニカルビジットの推進の方向」と題した報告書を出しております。これには、中京圏におけるテクニカルビジットの課題として積極的プロモーションが行われていない、そして受け入れ窓口が整備されていないことが挙げられております。つまり、テクニカルビジットに当たっては、それぞれの企業へ個別に御依頼することが多い。これでは、外国からやってきた人たちは、特別なルートとかコネがある方はいいです、でもそれのない方はせっかくいいものがあっても見ずに帰ってしまう。非常に不親切ですね。こうしたテクニカルビジット推進のために統一した窓口を設けるのがこれはもう当然必要だと思いますが、この二点いかがでしょうか。
  104. 和田敬司

    政府委員和田敬司君) 訪日外国人観光客のうち、そうしたテクニカルビジットにやってくる人の実数というのは、現在のところ統計として全国的に把握するような仕組みになっておりませんが、御指摘のように名古屋周辺は大変こうしたテクニカルビジットが盛んに取り組まれているところでございます。  その名古屋周辺で調査された結果によりますと、大手企業の見学者に占める外国人の割合というのは約一〇%前後となっています。同じく、名古屋周辺観光地一般における外国人観光客の割合が〇・二から〇・五%であるのと比べますと、極めて高い割合を示しております。このことから、地域によりましては非常に外国人観光客はテクニカルビジットにかなり関心が高いということを理解しているところでございます。  また、ただいま委員指摘のように、中京地区では、中京四県など多くの関係者で促進協議会が設置されて、積極的な取り組みがなされているところでございます。ことし二月にも協議会の皆様でタイ、シンガポール、マレーシアの三カ国に対してプロモーション活動を実施したということも承知しております。  こうしたテクニカルビジットが今後各地でどう取り組まれるかでございますが、各地でのテクニカルビジットへの取り組みの動向というのも踏まえながら、関係自治体あるいは関係産業団体等の意向、これも踏まえつつ必要に応じまして全国的な窓口を設置する必要性等、その全体的な取り組み体制のあり方についても検討していきたいと思っておるところでございます。
  105. 末広まきこ

    末広真樹子君 大変長い御説明でしたが、要は愛知県ではテクニカルビジットが他の観光の五倍の実績がある、それからテクニカルビジット推進のための統一した窓口をつくっていくべき意思があると、こういうことでよろしいんですね。確認です。よろしいかよろしくないか。
  106. 和田敬司

    政府委員和田敬司君) 現在の実態として中京地区は特に熱心に取り組まれているということについては事実でございます。
  107. 末広まきこ

    末広真樹子君 ということは、窓口はつくらないということですか。
  108. 和田敬司

    政府委員和田敬司君) こういうテクニカルビジットにつきましては、単なるほかの観光のパターンと違いまして、特にアジア関係の方が企業の中を見たいという非常に強い傾向がございます。一方で、受け入れる側の熱意といいますか、それに対する取り組み方というのもこれ企業によっていろいろなが差があるわけでございます。  そうした組み合わせを考えた上で、企業の方でも積極的にこれを含めて開放いたします、地域としてもそれを中心とした観光開発と考えていきたい、そういうような地域が次第にあちこちで高まってくる、そういうような状況になりましたら、全国的にそういう窓口体制を含めましてどうあるべきかというのは真剣に取り組んでいきたいと思っておるところでございます。
  109. 末広まきこ

    末広真樹子君 個々の企業に任せる、政府としてはほっておくというお答えでございますね。  ところで、日本を訪れた外国人観光客、あるいは私が外国へ行ってレストランでお話をした外国人なんかのお話を聞きますと、皆さん日本は物価が高いから行くのはちょっと腰が引けてしまうと。もちろん円高のせいということもありますが、どこに行くにもこれはお金が大変かさむところでございます。大変旅行しにくい。  日本で五つ星クラスのホテルに泊まっている外国人観光客がそれにどう対策を立てているか。晩御飯を食べるために近くのコンビニへ行って五百円のお弁当を買ってくるんです。日本の高物価に対する対策を徹底してやっている。それでは日本滞在を十分に楽しんでいると言えるのでしょうか。私などは、旅の楽しみの半分は味覚にある、食文化の向こうにその国の暮らしと人情が見えてくる、こういうふうに思っているものですから、とても残念でございます。  その点について大臣の御認識をお伺いしたいと思います。こういう外国から日本へいらして何かきゅうきゅうとコンビニに行ってお弁当を買っている現状を御存じですか。
  110. 古賀誠

    ○国務大臣(古賀誠君) 確かに末広先生指摘ただきましたように、外国人観光客にとりましては日本での物価は高いというイメージがあるということは承知いたしております。そういうこともあって、外国人の方々が日本旅行を、今先生がおっしゃっている味覚の点で必ずしも十分に楽しめない状況にあるということを認識いたしているところでございます。  そういう観点を踏まえて、今回御審議いただいている法案では、外国人観光旅客を対象といたしましてより低廉な共通の乗車船券を発行できるような制度も創設する、また美術館だとかいろいろな日本文化を見ていただくというような方面では外客向けの割引カードを発行して支援をしていくとか、こういつたことを行おうといたしているところでございます。  また、一つには日本のPR不足と申しますか、確かに今レストランまた宿泊施設などもそうでございますけれども、かなり低廉な料金で利用できるというところがあるわけでございます、日本の現状の中ででもですね。それがなかなかうまいぐあいに外国人観光旅客に伝わっていないという、情報が十分でないという点が私は大いに反省させられる点だと思っております。そういった各種の低廉な情報を積極的に提供するということも、この法案では国際観光振興会に行っていただくということでお願いを申し上げているところでございます。  私がそういう実態を知っているかどうかということでございますが、私、実は新高輪の方の宿舎に住んでおります。あの辺は新高輪プリンスがありますし、高輪プリンスがありますし、大変外国観光客の方々と夜一緒するところがございます。そこはどういうところかというと、日本の和食の定食を提供しているお店でございます。それは恐らく、高輪プリンスとか新高輪プリンスとかいうホテルにおいて、こういうお店もございますよ、そしてこのくらいの料金で日本の味が味わえますよということを教えているようでございます。  それぞれの民間の、外国からお訪ねいただいているお客さんに対する接遇の意味での心の優しさと申しますか、そういうサービスを提供するということも、我々国の政策の中で努力することも当然大事なことでございますが、実際に受け入れていただいている民間のそうしたそれぞれの企業がどれだけ優しく教えてやっていくのか、そういう分野でも私どもとしては指導していく必要があろうかと、こういう認識を持っております。
  111. 末広まきこ

    末広真樹子君 来ていただいたからにはぜひいい思い出を持って帰ってもらいたいと思うんです。  平成七年に農山漁村滞在型余暇活動基盤整備法、いわゆるグリーンツーリズム法というのが施行されております。自然や文化、人々の交流を楽しむ滞在型の余暇活動の推進が進められております。外国人観光客にもそのような旅行の機会を上げてほしい。これはまだ日本ですら浸透しておりませんので、法律はできたけれどもというようなところなんですけれども。  日本観光資源は、莫大な資本をつぎ込んだ高価格な、高い観光スポットに偏り過ぎている。その一方で、お金をかけずに豊かな自然や文化に触れてもらう、そういった安らぎの旅の需要というのが起きていることも事実でございます。日本は、外国人のみならず、日本人にとっても長期滞在型の旅行がしにくい国でございます。二泊三日でぴょっと国内へ行くと十万円飛んでしまう。外国人が訪れやすい日本であるためには、まず日本人自身がゆったり楽しめる旅の形態というものを考え直す必要があるんではないんでしょうか。  最後にその点について、日本は今後どんな形の旅を提唱していくのか、これは大きな政策課題だと思うんです。大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
  112. 古賀誠

    ○国務大臣(古賀誠君) 御指摘ただきましたように、今後余暇時間というのがさらに拡大してくるだろうと思います。そういうことを考えましても、長期滞在型の旅行、これにどう対応していくのか。残念ながら、日本観光地がこれらの現状になかなか適したところが少ないというのは私もそのとおりだというふうに思います。  こういったことを踏まえまして、平成七年六月でございますが、観光政策審議会の答申におきまして、今後の観光政策の基本的な方向ということについて答申をいただいております。これには、今先生がお述べいただいているように、まさに「簡素で低廉な宿泊サービスの提供、家族の長期滞在が可能な宿泊料金の設定、家族のそれぞれに多様な楽しみを提供できる観光地づくり」、こういったことを推進することが提言をされているわけでございます。  このため、これを受けまして設置されております国内観光促進協議会におきまして、こうした施策をどういうふうに具体化していくかということで今取り組んでいるところでありまして、外客誘致促進という観点からも、また今おっしゃったように我が国の今後の余暇の拡大にどう対応していくかという観点からも、大変重要な観光地づくりの分野だと思っておりますので、積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
  113. 末広まきこ

    末広真樹子君 今後に期待して、質問を終わります。
  114. 栗原君子

    ○栗原君子君 新社会党の栗原君子でございます。  本法案の審議に当たりまして幾つか質問をさせていただきたいと思います。  まず、観光地を訪れる外国人に雪景色を見ていただくとかあるいは富士山を見ていただくとか、日本を理解していただくための楽しい思い出、これらをたくさん持って帰ってほしい、そう願う者の一人でございます。  一方、その裏側についても大変私は気になっていることがございます。これは日本国内、よくどこでも見受けることがございますが、特に温泉地とか観光地で目立つものに風俗産業に働く外国人の女性、それらの働き方が大変私は気になっているものでございます。ポルノ産業も大変ひどい状況があるわけでございます。まさに日本人の人権感覚が問われている一部分ではなかろうか、そういう気がいたしております。  まず、法務省の方にお伺いをいたしますけれども平成九年一月現在の不法残留者の数あるいは過去三年間の推移などをお聞かせいただきたいと思います。
  115. 安田博延

    説明員(安田博延君) お答え申し上げます。  まず、平成九年一月一日現在の不法残留者数でございますが、これは約二十八万三千人となっております。それから、国籍、出身地別についてちょっと御説明申し上げますと、多い方から韓国、フィリピン、タイ、中国、ペルーの順となっております。また、在留資格別で申し上げますと、短期滞在が一番多く、次いで就学、興行、留学、研修と、こういう順になっております。  それから、過去三年間の不法残留者数の推移でございますが、これは統計をとる基準日が従前は十一月一日現在でとっておりましたので、若干時期がずれるのでございますが、平成五年十一月一日現在が約二十九万七千人、それから平成六年十一月一日現在が約二十八万八千人、また平成七年十一月一日現在が約二十八万五千人となっております。  以上でございます。
  116. 栗原君子

    ○栗原君子君 もう一点、平成八年中に退去強制手続をとった者の数、あるいはまたそのうちの不法就労者の数などをお聞かせいただければと思います。
  117. 安田博延

    説明員(安田博延君) お答えいたします。  平成八年中に私ども入国管理局が入管法違反で退去強制手続をとった外国人は五万四千二百七十一人であります。そのうち不法就労者は四万七千七百八十五人であります。  以上でございます。
  118. 栗原君子

    ○栗原君子君 そこで、不法就労者あるいはまたそこに働いております外国人労働者の労働条件など、大変悪質なといいますか劣悪な状況が見受けられるわけでございます。とりわけ、これは事業主の責任も大きいところがございますが、この事業主の責任についてはどのように指導なさっていらっしゃるのか、労働省の方にお伺いいたします。
  119. 青木豊

    説明員(青木豊君) 労働基準法でありますとか労働安全衛生法等の労働基準関係法令におきまして、日本国内の事業に使用される労働者であれば外国人についても、あるいは不法就労かどうかを問わず適用されるということになっております。  それで、労働基準監督機関としましては、こういった関係法令について外国人の方々でも適用されるんだということをまずよく周知をするということを今やっているわけでありますが、さらに労働条件の確保上問題があるというような事案については、あるいはまた労働災害で被災をしたというような事案については、それぞれ情報収集に努めまして、同様に必要な指導あるいは監督を行っているところでございます。
  120. 栗原君子

    ○栗原君子君 特に風俗産業に働く外国人、あるいはまたそこに働く日本人とか、平成八年度の風俗犯で検挙をされた者の状況などお聞かせいただければと思います。男女別とかあるいはまた国別などお聞かせいただければと思いますけれども、これは警察庁でしょうか。
  121. 吉川幸夫

    説明員吉川幸夫君) 申しわけありませんが、現在、手元に風俗関係だけという資料はございませんが、御参考までに売春防止法の関係で申し上げますと、八年中三千三百四十四件、千四百二十七名を検挙しております。この検挙人員を男女別に見てみますと、男性が八百五名、全体の五六・四%、女性が六百二十二名、全体の四三・六%となっております。また、日本人外国人の別で見ますと、日本人が千二百五十八人、全体の八八・二%、外国人百六十九人、全体の一一・八%というふうになっております。
  122. 栗原君子

    ○栗原君子君 実は、一昨年の北京の女性会議でも人身売買の問題が大きなテーマとなりました。特に日本世界最大の受け入れ国になっていると、こうしたことも議論になったようでございます。  そこで、不法就労者が多い上位の十カ国のうち男性よりも女性が多いのはフィリピン、タイの二カ国となっているわけでございます。この両国で女性全体の三七・五%を占めております。おおよそ四〇%近い状況でございます。また年齢別でも、二十代そして三十代で八一・八%という状況になっております。風俗関連業において若い外国人ホステスを雇い入れる傾向が強いことなどをこれは反映したものである、このように考えられるわけでございます。また、女性はスナック等で働くホステスが最も多く、次いでウエートレスとか工員となっております。  そうした中で、外国人女性の雇用主となっている中に暴力団の関係者も多いといったような報告も、これは法務省からいただいた資料の中にもございます。特に彼女たちは借金絡みで管理売春をさせられていると、入国時にそうしたことについては人権のパンフを配るとか、そういった努力というのはなされているのかどうか、大変気になるところでもございます。報道によりましても、興行ビザで入ってきているけれども、これが来日いたしまして八割が接客の行為をしているとか、こうした報道もございます。  こうしたことについてどのように取り組みをなさっていらっしゃるのか、三省庁の中でお答えいただければと思います。
  123. 安田博延

    説明員(安田博延君) 昨年一年間で売春に直接関係ある業務に従事して退去強制となった外国人は四十六人おるわけでございますが、私ども入国管理局としましては、入管法に規定する退去強制事由に該当している外国人については、同法の手続に従って退去強制手続をとらざるを得ないところであります。ただ、売春を強要されているなど人権侵害の事実が判明した場合には、そうした人権面に配慮しまして所要の措置がとられるよう関係機関に通報するなどいたしております。
  124. 栗原君子

    ○栗原君子君 ここに本当にたくさんの事例がございまして、二、三紹介をしてみたいと思います。  これはフィリピンの女性なんですけれども、  私の店には私以外に八名のフィリピン人女性のほかにオーストラリア人と台湾人女性がそれぞれ二名ずついますが、皆日本人男性と偽装婚している人達です。私達は、毎晩、同伴と指名を必ず一回以上させられ、ホステス同士で競争させられています。抜け出そうにも見張りがいて抜け出せません。  さらには、これはキャバレーで働いているフィリピン人でございますけれども、  私のほかにも十二名のフィリピン人と二名の台湾人がいずれもホステスとして働いていますが、ホステスとは名ばかりで、午後八時以降は二階の個室で売春をさせられています。 と、そうしたことがあります。  あるいはまた、ここにもフィリピンの女性のことがありますけれども、大勢のフィリピン女性がピンクサービスをしている。夜十二時に一応閉店になるが、店の前の駐車場にプレハブのスナックがあって、そこでサービスの延長戦が午前五時頃まで続いています。 と、こういったこともございます。  さらには、暴力団絡みで働かされているという人たちもおります。これは都内でございますけれども、  フィリピン人女性が無理矢理水着姿にさせられホステスとして働いています。仕事は午後六時から翌朝三時三十分頃までで、仕事が終ってからも接客の訓練をさせられています。給料は招へい社にピンハネされ五百から八百ドル程度で、客からもらったチップも取り上げられ、また旅券や外登証は暴力団に取り上げられています。しかもタコ部屋に押し込められて徹底的に監視されているので彼女らは逃げることさえできません。 といったようなこと。たくさんの報告がまだまだあるんです。これが日本の社会の実態なんです。  とりわけ私、観光地あるいはまた温泉地に行きましたらこういう光景を大変目にすることが多うございます。せっかく外国人が楽しい思いで日本においでいただいても、こういつたところを見ないでくださいと言っても目につくわけでございます。  こうしたことに対してはどのように行政として取り組んでいただけるのかと私は思っているわけでございますが、どなたがこれはお答えいただくのでしょうか、警察の方でもう少し取り組み状況などをお聞かせいただければと思います。
  125. 吉川幸夫

    説明員吉川幸夫君) それでは、警察の立場から申し上げますと、現在、先生が御指摘になったような点につきましては、取り締まりを強化して、少しでもそういう事犯をあからさまにして抑止効果を上げるということであろうと思います。  売春防止法の問題につきましては先ほど数字等を申し上げましたので、もう一つ不法就労助長罪、同じように弱い者を連れてきて働かせる、その形態の一つが売春であったりするわけでありますが、その件数で申し上げますと、平成八年中三百五十六件、四百五十二名を検挙の中で立件しておるわけでありますが、そのうち百十九件、百四十六名は売春、風俗関係でございまして、全体の約三分の一というふうになっております。
  126. 栗原君子

    ○栗原君子君 ここで海外でも大変、今は国内の問題を議論いたしておりますけれども、少し観光というところで触れされていただきたいと思っております。ある電子計算機の会社でございますけれども、マニラに顧客の招待旅行をいたしまして、集団買春旅行であったと大きく報道された件がございます。あるいは、ある自動車の販売業界でございますけれども、販売のノルマを達成した社員に報奨の買春旅行を提供した、こういったことがございます。  さらには、アジアから今度は観光ビザ日本に来日をし、だまされて、または知っていて売春を強要される女性は後を絶たないという状況も報告されております。それから、興行ビザで来日してもショー以外に売春をしなくては収入を上げられないケースもあるわけでございます。  女性たちの強制送還など弱者のみが表に出ているわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、マフィア、シンジケートの摘発はなかなか進んでいないように思うわけでございますけれども、こうしたところをぜひ私はしっかり取り組んでいただきたいと思います。日本社会に私は問題があると思います。  さらには、その業者に対する規制はどのようになっているのか、特に雇い主の立場で私はもう少し責任を感じていただきたいという人たちを見るわけでございますけれども、そういうことについてもう一度労働省の方ではどういった対応をしていらっしゃるのかお聞かせいただきたいと思います。
  127. 青木豊

    説明員(青木豊君) 先ほども申し上げましたように、労働基準関係法令につきましては外国人であると否とを問わず適用されるということで、法違反がある場合には事業主に対してその是正を求めるということで指導、監督をいたしております。また、通常のいろんなトラブル相談についても三十二の都道府県の労働基準局におきまして相談コーナーなどを設けまして、これは相当相談実績が上がっておりますが、設けまして指導するというようなこともいたしておるところでございます。
  128. 栗原君子

    ○栗原君子君 関係省庁で連絡会議がつくられていると聞きます。ぜひ情報交換などを十分にしていただき、そしてまた日本旅行業協会にもそうしたことについての十分な協力の要請もしていただきたいということをお願いするものでございます。  最後になりますけれども、今ほんの一部分ではございましたけれども報告を兼ねた質問をさせていただきましたが、大臣は政治家としてどう感じていらっしゃるのか、また一男性としてどう感じていらっしゃるのか、お聞かせいただければと思います。
  129. 古賀誠

    ○国務大臣(古賀誠君) どういう答弁が一番百点満点をいただけるかちょっと困るのでございますけれども、いずれにいたしましても、今回御提案申し上げておりますこの法案は、これからの我が国の二十一世紀を見た場合に、先ほどからも御論議いたしておりますように国際観光交流をさらに深めることによって、世界の多くの国々から多くの観光客を迎えることによって、世界の国々と日本の国、人と人との交流、そういうことによって日本をもっと知っていただきたい。そして、日本の本当の伝統だとか文化だとか、それから歴史とかということを知っていただいて、そしてひいては我が国の安全保障という観点からも役立てていただきたいという、まさにそういうことを踏まえて今回この法案を出させていただいているところでございます。  今、先生が具体的におっしゃっていただいているようなことは、こういった国際観光を広げていく中であってはならないことだというふうにまず思っております。そのために、法務省それから警察庁そして労働省等々の関係機関とも協議会をつくらせていただき、協議をし、また、直接携わっていただいております旅行業者の方々にも外国の方々が安心してそして本当の意味での日本の国を知っていただく、そういう点に努力をしていただくような指導をしていくということは当然のことであります。  具体的に今、先生が御論議いただいていることについてはそれぞれのモラルの問題もございましょうけれども、私としては、来ていただいた外客の方々に立派な日本の本当のよさを知っていただくと同時に、またもう一回日本の国に来てみたい、そういう気持ちにどうなっていただくかということをあらゆる分野で努力をしていくということが重要なことではないか、こういう認識を持っているところでございます。
  130. 栗原君子

    ○栗原君子君 せっかくなさろうとする立派な事業でございますから、ぜひ成功していただきたいと思うのでございます。それには先ほど申しましたように、人権の後進国だと外国の人から思われるようなことがあってはなりません。そしてまた、今外国人の労働者もふえておりますけれども、そうした人たちに対してボランティアの団体で駆け込み寺のようなものまでどうにもならなくてつくっているところもあるわけでございます。だから、そうしたことも十分連携を深めていただきまして、ぜひ恥ずかしくない、日本として世界に誇れるようにますます努力していただきたいということを申し上げて終わります。  ありがとうございました。
  131. 芦尾長司

    芦尾長司君 芦尾長司でございます。第百四十回国会の運輸委員会最後質問をさせていただきましてまことに光栄に存じます。うれしく存じておるところでございます。  三点ばかりお伺いをさせていただきたいと思いますが、まず最初に、今回の法案地方自治体が外客来訪促進に取り組む目的ということでございます。  地方自治体の国際交流活動でございますけれども、今例えば姉妹都市提携でいいますと、平成九年五月一日で八百二十一団体、千二百二十七カ所との姉妹都市提携を行っております。また、いわゆるJETプログラムも、語学指導等を行う外国青年を招致しておる事業でございますけれども、十八カ国から五千人余が日本全国の自治体に展開しておるといったようなことで、いわゆる草の根外交といいますか、地域からの国際親善、相互理解推進地方自治体それぞれ努めておるわけでございますが、そうしたことの中で今回この法律が制定されることになります。  その場合、外客来訪ということになりますが、ある意味では不特定多数の外客を引き受けるといったようなことになります。もちろん地方自治体はそういうことでございますから、国際交流ということにつきましても非常に力を入れていくわけでございますが、そういうことからすれば何といいましても地域振興といいますか、地域経済の活性化ということがその根底になってくる、そういうことが非常に重視されなければならないというふうに考えるわけでございます。  今回のこの法律の性格上、その目的国際観光振興を図る、国際相互理解の増進に寄与する、こういうことになっておりますけれども地方自治体が取り組む場合、その地域振興ということが重視されなければならぬと思うわけでございますが、この法律の運用に当たりまして大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  132. 古賀誠

    ○国務大臣(古賀誠君) 地方自治体におきまして観光振興というものに対する期待と申しますか、これは非常に大きいものがあるということは、運輸省といたしましても十分承知をいたしております。  今、先生お話しになっておりますけれども地域にとって外国からの観光旅客の増加というものは新たな観光需要をもたらすものであろうというふうに私は思っております。また同時に、観光に伴いまして消費、また地域社会との交流を通じて地域産業や雇用、所得といったものに対する波及効果が地域経済の活性化としてつながっていくということで大変期待できるというふうに思っております。  また一方では、地域観光関係者や地域住民によりまして地域観光資源というものを再認識すると申しますか再発見と申しますか、そういう観点もあろうかと思っております。また同時に、国際観光地としての誇りをその地域の方々に持っていただく、またそうした地域づくりによって地域振興を同時に行うことができるということで、非常に効果も大きいものだというふうに期待をいたしているところでございます。  運輸省といたしましては、この法律に基づきましていろいろな施策を地域観光関係者の方々と一体となりまして地域振興観点からも積極的に進めてまいりたい、こういう所存でございます。
  133. 芦尾長司

    芦尾長司君 ありがとうございました。この法律の実効上がらしめるためにも地域に根差した運用というものをお願いいたしたいと思います。  その次は、二点目といたしまして、外客来訪促進計画策定するに際しましての若干の留意点といいますか、私自身が気づいた点につきまして御質問を申し上げたいのでございます。  まず、この法律では、地方自治体によります促進計画策定すること、また運輸事業者によります運賃とか料金の割引に対する取り組みといったことがございますし、さらには地域通訳の免許といいますか、こうしたことが三つ並んでおるわけでございますが、やはりこの法律促進していきますためにはその三者というものをひとつ総合的に計画に取り込んで、そして地方自治体、国もそうでございますけれども、運輸事業者もまた民間の諸団体も一緒になって進めていかなければならない、そういうふうに考えるわけでございます。計画策定するに際してそういう総合的な観点というものが非常に重要だと思いますけれども運輸省の御見解をお願いしたいと思います。
  134. 相原力

    政府委員相原力君) 御指摘のように、外客来訪促進計画というのは地方自治体が策定するわけでございますが、策定するに当たって、民間の関係事業者を初め、それからガイドの方々等を含めました総合的な観点からの計画づくりというのがぜひとも必要であろうというふうに思っているところでございます。そういう観点で、関係市町村はもとよりでございますけれども、運送事業者等といった観光関係事業者等の意見も十分反映されながら計画策定が行われることが肝要であろうというふうに考えております。
  135. 芦尾長司

    芦尾長司君 ぜひそういうことで推進をいただきたいと思います。  もう一点、計画につきましてでございますが、各地域のイベントの連携性というものも非常に重要だろうと思います。  実は今回、神戸祭りというのが神戸でもあるわけでございますけれども、ことしで二十九回目ということになるわけです。平成八年から実は海の日が制定されまして、七月二十日が海の日になりました。従来は春にやっておったんですが、京都の祇園祭りが七月の十七、十八にあって、大阪の天神祭りが七月二十四、二十五とありますものですから、七月の二十日になりますと京阪神のお祭りが並ぶ、こういつたようなこともありまして、今回そういうふうにイベントに連携を持たせるようにいたしました。これからこの計画を進めるに当たりましては、そうしたイベントといいますか、そういうものの連携性というものも非常に重要になってまいろうと思います。  それからもう一点は、実はそういうイベントとの関係でもあるのでございますが、圏際間の連携を深めることが必要だ。つまり、関西圏と中国と中部とか四国とが、それぞれの内部では連携は一応とっていくのでございますが、圏際間の関係が非常に希薄になる部分がありまして、例えば兵庫県の場合は兵庫県と岡山県といったようなつながりがともすると希薄になる場合がある。その辺も留意しながらこうした計画をつくっていく必要もあるんだろうと思うのでございますが、その辺運輸省の方でも十分御注意をいただく。  さらにまた、今回はこれは陸路だけではなくて、先ほどお話もありましたが、空、飛行機を使えば北海道と兵庫県だって結べるわけでございますから、例えばの話でございますけれども、これからそういったようなことも細かい計画策定するに当たって御留意いただければというふうに思いますが、運輸省の御見解をお伺いします。
  136. 和田敬司

    政府委員和田敬司君) 御指摘の方の第一点でございますが、地方のお祭りを含めたイベントの活用でございます。  この外客来訪促進計画というのは都道府県が自主的に単独あるいは近所の都道府県連携を図りながら広域的な区域を対象として定めていくものでございます。そうした中で、おっしゃいましたようなお祭りを含めた各種のイベントが盛り込まれるということは、外国人旅客による我が国の固有の文化、伝統あるいは歴史への理解の増進にも非常になります。それからまた、お祭り等のイベントを目がけたお客の誘致のために海外へのPRが非常にやりやすいということもございます。この法律目的にかんがみましても非常に望ましいことだと思っているところでございます。運輸省としても、関西圏における三つのお祭り、こうした取り組みと同様に各地域で伝統的なお祭り等のイベントが観光資源として活用されていくことを非常に期待している次第でございます。  それから、こうした際にいわゆる単なる一つ地域あるいはブロック単位地域、これを超えた取り組みが場合によっては必要ではないかという御指摘だと思います。これにつきましては、この法律自体が予定しておりますのは、文化、歴史、自然等の一固まりの地域外国人にとりまして大体三泊から五泊程度で周遊できるようなルートというのを予定しております。そういうことから、もともと広域的な地域を予定しているわけでございますが、経済圏のあり方あるいは歴史、自然の条件によりましては、従来のブロックにとらわれず、例えば近畿と四国が結びつくというようなことも十分予想し、または期待もしているわけでございます。  もう一つ提案のありましたのは、北海道と兵庫となりますと、三泊、五泊に適するのだろうかというような考えもございますが、そういういろんな案も含めまして、これから地方公共団体が自主的に案を練っていかれるんだということで、我々もできるだけの支援をしていきたいと思っております。
  137. 芦尾長司

    芦尾長司君 北海道と兵庫というのはちょっと例示で言うたわけでございますが、いずれにしても、ダイナミックな計画になるようなことでの御配慮をお願いいたしたいと思います。  それから、最後でございますが、これは実は前から運輸省の方にお聞きしたいと思っておりましたので一つお伺いしますけれども、実は観光地におきます財政需要に適切に対応していきますためには、観光の動態人口というんですか、これを的確に把握する必要があるわけです。今、地方財政対策で大宗を占めます地方交付税といいますのは定住人口で主に算定をされておるわけでございまして、例えば一つ二つ例外はあるんですが、ほとんど定住人口で策定されております。現在やっておりますのは、市町村の清掃費なんかを、入湯税によります入湯客数、これははっきり把握できますものですから、そういうことで需要を、定住人口を超える部分を把握しておるといったようなことがあるんです。  私も前に担当いたしておりましたものですから、何とか交流入口というんですか、そういうものを把握する方法はないだるりかというふうに考えておったんですが、何か運輸省においては今そうしたことの御検討中だと聞いておりますので、そうした研究調査の状況につきましてわかればお教えいただきたいと思います。
  138. 和田敬司

    政府委員和田敬司君) 委員指摘のとおり、観光振興にとりましてもその交流実態の把握というのが非常に重要な問題でございます。従来、国内の観光の統計につきましては、各都道府県が独自の調査、集計法により作成しておりますので、その手法が必ずしも統一されておらず全国規模での数値の比較がなかなか困難な実態でございます。これにかんがみまして、平成七年度に運輸省の指導のもとに、社団法人の日本観光協会におきまして統計に関する専門委員会を設けて検討を行いまして、観光入り込み客数及び観光消費額についてその統一基準を作成したところでございます。  運輸省といたしましても、この基準は都道府県等におきます調査実施主体の負担を最小限に抑える、そういうことにもなりますし、また有益な統計を整備するということで、去年四月にこの基準にのっとった観光統計の整備について各都道府県に協力を依頼したところでございます。また、統計は継続的な作業が重要でございます。当省としては、今後とも各都道府県の協力を得ながら長期的視点から地道に国内の交流入口の把握に努めていきたいと思っている次第でございます。
  139. 芦尾長司

    芦尾長司君 どうも技術的な質問になりまして恐縮でございましたが、いずれにいたしましても、非常に重要な研究であると思いますので、ぜひ積極的に進めていただきたいと思います。  いずれにいたしましても、これからの国際観光対策といいますものは、国、地方、民間一体となって進めていかなければならないと思いますが、今回この法律の制定に際しまして、ぜひ万全の推進を図っていただきますようにお願いいたしまして、質問を終わります。どうもありがとうございました。
  140. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。——別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  外国人観光旅客来訪地域多様化促進による国際観光振興に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  141. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  142. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時散会      —————・—————