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1997-05-29 第140回国会 参議院 運輸委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月二十九日(木曜日)    午前九時三十分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         直嶋 正行君     理 事                 佐藤 泰三君                 二木 秀夫君                 戸田 邦司君                 中尾 則幸君     委 員                 亀谷 博昭君                 鈴木 政二君                 竹山  裕君                 野沢 太三君                 溝手 顕正君                 吉川 芳男君                 泉  信也君                 平井 卓志君                 横尾 和伸君                 瀬谷 英行君                 筆坂 秀世君                 末広真樹子君                 栗原 君子君                 芦尾 長司君    国務大臣        運 輸 大 臣  古賀  誠君    政府委員        大蔵政務次官   西田 吉宏君        大蔵省主計局次        長        細川 興一君        運輸大臣官房長  土井 勝二君        運輸省運輸政策        局長       相原  力君        運輸省鉄道局長  梅崎  壽君    事務局側        常任委員会専門        員        志村 昌俊君    説明員        大蔵大臣官房審        議官       渡辺 裕泰君        大蔵省理財局次        長        中川 雅治君    参考人        早稲田大学商学        部教授      杉山 雅洋君        交通評論家    角本 良平君        株式会社旭リサ        ーチセンター代  鈴木 良男君        表取締役社長        日本国有鉄道清        算事業団理事長  西村 康雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○日本国有鉄道清算事業団債務負担軽減を  図るために平成九年度において緊急に講すべき  特別措置に関する法律案内閣提出、衆議院送  付) ○運輸施設整備事業団法案内閣提出、衆議院送  付)     —————————————
  2. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  日本国有鉄道清算事業団債務負担軽減を図るために平成九年度において緊急に講すべき特別措置に関する法律案を議題とし、参考人から意見を聴取することといたします。  本日は、本案審査のため、早稲田大学商学部教授杉山雅洋君、交通評論家角本良平君及び株式会社旭リサーチセンター代表取締役社長鈴木良男君に御出席をいただいております。  この際、参考人の皆様に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ、本委員会に御出席をいただきましてまことにありがとうございます。  各参考人におかれましては、それぞれの立場から忌憚のない御意見を賜りますようお願いを申し上げます。  次に、議事の進め方について申し上げます。  まず、参考人の方々からそれぞれ十五分程度御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、意見陳述委員質疑及び参考人答弁とも発言は着席のままで行うことといたしますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得ていただきたいと存じます。  また、各委員質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔にお願いをいたします。  それでは、まず杉山参考人お願いを申し上げます。
  3. 杉山雅洋

    参考人杉山雅洋君) 早稲田大学杉山と申します。  旧国鉄長期債務処理問題につきまして、私の考えているところを三点申し上げてみたいと思います。  第一点目は、処理のための基本方針として何を考えるべきかという点でございます。  御案内のように、債務の額が膨大でございますので、当面の緊急処置をまず講ずる必要があるのではなかろうか。そして、それと同時並行的に抜本的な対応をするべきではないだろうかというように考えております。  当面の緊急処置として何が要求されるかということになりますと、金利負担軽減策が何より必要だというように思います。その点におきまして、閣法第二六号には基本的に同意するものでございます。  ただ、金利負担問題は当面の処置だけでなくしてこれからも必要であるというように考えますので、この閣法二六号に記されておりますような対応策につきましてはまた別途考えてみる必要があろうかというように思います。基本的な考え方は同じでございますけれども、方法として別の角度から論じる必要があるのではなかろうか。後ほど時間がありましたら具体的に申し上げてみたいと思います。  それから、抜本的な対応策でございますけれども、これは債務清算事業団に二十五兆強残された。それは一体なぜ残されざるを得なかったのか。また、改革十年たってその額が二十八兆を超えるように膨らんでしまった。その膨張の原因がどこにあるのか。これを考えて、それに照らして対応することが必要だろうというように思います。  前者については、競争市場となった交通市場の中で競争対応型の政策をとるのが筋であったというように思いますけれども、必ずしもそのような政策をとれなかった。これが大きな原因ではなかろうか。具体的に申し上げますと、縮小再建を考えるべきであったのが必ずしもそうではなかった、拡大再建と言われてもいたし方のない政策をとったという点でございます。  それから、後者につきましては、具体的な債務処理がおくれてしまった、資産売却、具体的に申し上げますと用地売却株式売却のタイミングを失してしまったという点があろうかと思います。  このように考えてみますと、昭和六十年七月に国鉄再建監理委員会が出しました意見書、これが核心を突いているのではなかろうかなと思います。意見書をひもといてみますと、自主財源を充ててもなお最終的に残る、当時の試算ですと十六兆七千億でございますけれども、それは最終的に国民負担に求めざるを得ないと明記されているわけでございます。  そして、この意見書考え方が六十三年一月、あるいは平成になりますと元年十二月の閣議決定を見ております。したがいまして、この閣議決定を基調とすべきなのではなかろうかなと思います。閣議決定が覆されたケースは、オイルショックのような特別な事情を除きましてほとんどないというように私は理解しております。閣議決定の持つ重み、これを尊重すべきではなかろうかなと思います。  そういたしますと、国民税負担ということになりますので、歳出削減等の大前提は申すまでもありません。その際に、安易な処理をぜひ回避していただきたい。それから、国民理解が得られるようなそういう方策が必要ではなかろうかなと思います。緊急事態であるがゆえに国家百年の計を考えることが重要だというように思います。  次は、第二点目でございますけれども、処理のための基本理念として何を考えるべきかという点でございますが、私は資源配分効率性を前面に考えるべきではなかろうかなと思います。  そのための具体的手段として考えられますのは受益者負担原則でございます。これは合理的でわかりやすいシステムでございますし、また資源効率的配分に有効な原則であります。今言われております規制緩和市場原理を活用しろという声にも合致する、そういう方策であるというように私は位置づけております。  やや具体的に受益者負担原則を考えてみますと、道路ケース鉄道ケース二つあろうかと思います。  一つ道路でございますけれども、これは道路特定財源一般財源に転用してみたらという声が非常に強いわけでございますけれども、これが果たして受益者負担原則にのっとっているのかどうなのかという点を考えてみたいと思います。  御承知のように、道路特定財源揮発油税石油ガス税自動車重量税、ただし自動車重量税は形式上は一般財源になっておりますから、今ここが論点とされております。この特定財源が余っているのではなかろうか、あるいは道路資本ストックが既に十分ではないか、ならばこれを一般財源にして多目的に利用したらいかがかと、こういう提案でございますけれども、私は、道路特定財源受益者負担原則にのっとっているという点から考えてみますと、転用論、すなわち一般財源化は好ましくないんではなかろうかなと思います。  その一つ理由といたしまして、道路資本ストックが十分であるという判断は少なくとも私にはしかねるという点と、それからもう一つは、このような特定財源制度を継続していきますと財政硬直化を招くのではなかろうかという指摘があるわけでございますけれども、ならば一般財源に移した場合に財政硬直化が防げるかどうかという点、これは過去の経緯に照らしても非常に疑問でございます。したがいまして、道路特定財源制度受益者負担原則に基づいてこれを考えるべきではないかというのが私の立場でございます。  次に、鉄道についてでございますけれども、これは新たに鉄道利用者鉄道利用税を課すべきではないか、あるいはJR追加負担を求めるべきではないかと、このように言われておりますけれども、まず鉄道利用税でございますが、これは受益負担関係が明確になっておりません。すなわち、現在ないしは将来の利用者鉄道利用税を賦課いたしますと、その受益が彼らに戻らないという点から見てみますと受益者負担原則にのっとっているというようには理解しがたいわけでございます。  それから、JR追加負担でございますが、これはJRを旧国鉄と同じと見るのかどうなのかという点でございますが、私は国鉄改革の趣旨に照らして現JRは旧国鉄とは別に考えるべきではなかろうかというように思います。  追加負担を求める理由といたしまして、現JRは旧国鉄から資産を継承したのではないかと、こういう点が言われているわけでございますけれども、その資産の継承は、JR企業としてネットワークを存続させる、あるいは維持させるために必要な資産を継承したのか、場合によりますと、本来は企業としては好ましくないそういう線路まで維持させられたんではなかろうか、このように考えてみますと、これも受益者負担原則には好ましくないというように思います。  そういたしますと、道路利用者あるいは鉄道利用者JR負担すべきでないということになりますと、じゃ何を考えるべきなのかという点でございますが、三点といたしまして、私は各種方策組み合わせ、言ってみますとポリシーミックスとでもいいましょうか、これを提唱してみたいというように思います。  一つ一つ方法には問題点がございます。その問題点をできる限り小さくして、対応でき得るようなそういう組み合わせをこれから真剣に模索すべきではないだろうかなというのが考え方でございます。  過去の債務についてでございますけれども、これは何よりも金利負担軽減が必要とされます。具体的に言いますと、有利子債務の無利子化、あるいは財投の繰り上げ償還、さらに低利民間資金への振りかえ等々がございます。ただ、これを行う場合に、一般会計にそのままの形で移しかえますと、歳入歳出が明確になっておりません。旧国鉄債務処理というのは、国民的な大きな課題でございますし、また国民負担を求めなければならない、そういうものでございますので、歳入歳出が透明であるというような形で、一般会計につけかえというよりはむしろ特別会計をつくって、その姿が納税者に明確な形で映るような、そういうシステムが必要ではなかろうかなというように思います。  また、新たな償還財源が必要になってまいりますけれども、これは資源配分をゆがめないような形での税負担、ただし期限つきの形ということになりますけれども、このような手段が必要かなというように思います。純理論的に言いますと、直接税が資源配分をゆがめないということでございますけれども、直接税の場合には負担公平性という問題が出ますので、これは慎重に議論する必要があろうかと存じます。  さらに、無利子国債、何らかの特典をつけませんとこれは市場でさばけませんから、特典をつけた形での無利子国債、ただしこれは公平性の問題もあろうかと思いますし、また市場がそれを受け入れるだけの余地があるのかという点もあろうかと存じます。しかし、一つ手段として考えてよろしいのではなかろうか。  このように考えてみますと、一つ一つには問題がございます。ですから、この案一本でいけというのは非常に難しい。そこで、各案を組み合わせてみて、そして債務償還計画を明示して、そしてこの償還計画のためにはこのような対応が必要なんだという数案を考えて国民に提示すべきなのではなかろうかなというように考えます。その際に、私どもは情報が限られております。したがいまして、政府広報等を通じまして国民に実態を知らせて、そして広く議論をくみ上げるということが必要ではなかろうかなというように思います。  いずれにいたしましても、そこに財源があるからというような形ではなくして、論理が明確に伝わるようなそういう形で対応をしていくということが何より要求されるのではなかろうかなというように存じます。  私の考えている基本的なところは以上でございます。
  4. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) ありがとうございました。  次に、角本参考人お願いいたします。
  5. 角本良平

    参考人角本良平君) 三つに分けて申し上げます。  第一は、責任論理であります。  日本国有鉄道清算事業団債務処理に当たっては、まず最初にこの事業団自体負債増大阻止できるようにつくられていたかどうかという問題でありまして、答えは否定であります。そうつくられておりません。  営業収入のない組織ですから、当初に与えられた資産以上の返済ができるはずはなかったわけです。いわば一千万円しか資産がないのに三千万円の負債を始末せよと命じられておりました。差額の二千万円は返しようがありませんから、当初にそれは不可能と自己破産すべきでありました。債権者は、それは不良債権処理すべき性質でありました。返済能力のない者に貸した責任が逆にございます。  次に、資産処分は、利子がかさまないように一日も早く実施すべきでありました。また、当初は、バブル経済のもとで価格も有利でありました。ところが、それを行わせなかったのは国と地方自治体でございます。事業団責任ではございません。阻止した人たちはそれによって何らかの利益を得ていたのではなかろうか。一体、この行為が経済常識に反していたかどうかは別にいたしまして、この場合は責任者は明確でありまして、被害者事業団でございました。  この時点で事業団は運営不可能と投げ出すべきだったのですが、実際にはそうしませんでしたし、利払いのためにさらに借りました。借りた方にも貸した方にも責任を生じたわけでありまして、返済能力のない者にお金を貸して、返さないと嘆いていても、これは解決にならないわけであります。  以上三つの点、すなわち事業団の設置、土地処分阻止利払いのための債務増加責任、この三つ責任が問われるわけであります。  当然のことですが、事業団債務は、その結果を招いた責任者が負うべきものであります。これが私の申し上げる責任論理であります。法治国では当然そうであります。  そこで、対策議論は、この責任論理に基づいてなされるべきでありますが、大変不思議な話が私の小さな耳にも伝わってまいります。  例えば、国鉄が残した債務だからJRにも道義的責任があるという主張がございます。しかし、JRといっても、その利用者からの収入を主とする組織でありまして、JR利用者が過去の政治行政が発生させた債務にどうしてそんな責任があるのか説明できるでしょうか。大体、道義的というのは、法律制度上あるいは経済論理によって説明できないことをもっともらしく言うための言葉であります。  二つ目の例は、事業団運輸省の所管だから運輸行政の全体の中で責任を持つべきだという話で、港湾や空港の経費を削ってこちらへ回せといった主張であります。これはいわばたかりの論理です。因果関係がつながらない者に金品をせびるわけで、隣には金があるから出せというような話であります。  三つ目は、もっとひどい主張で、鉄道欠損道路整備による、したがって事業団には道路経費から金を出させようというものであります。確かに、道路が三十年前のままなら国鉄は安泰だったでしょう。しかし、向こうの商店が繁盛したのでこちらが寂れた、その分を向こうに賠償させよう。世の中ではこんなことは通用いたしません。  以上が第一に申し上げる責任論理であります。  そこで、第二は、現状悪化させないように、悪化の防止であります。  十年間に事業団債務は膨らみました。次の十年放置しておけば、何倍にもなるでしょう。その対策を今ここで我々議論しておりますが、第二、第三の事業団が次々と出てさましたら国民対応できなくなります。  次の十年に、私は、今の運賃政策のもとでは、大手民鉄もそうでありますが、JR各社は行き詰まり破滅すると思います。現在の運賃政策のもとで、大手民鉄でさえ過去二十一年間に十四年は、すなわち三分の二の年度は欠損でした。恐らくその前を調べてもやはり同じだったと思います。JRの場合は、貨物は既に今年度を含んで五年連続経常損失と見込まれます。旅客では、北海道が三年連続になります。一体このような状態でJR本州三社といえども今後に欠損は避けられないと思います。  法律では原価を償うことになっておりますが、一体世界の常識として、このように法律が明記しているにもかかわらず今申し上げた運賃政策が行われる、これはどうしてか理解のできないことであります。と申しますのは、今の運賃政策収入支出よりも少ないということを認めているわけであります。原価算定方式につきましてはこの一月から改めたと言われておりますけれども、その原価運賃とが結びついておりません。解説では、従来の運賃政策と変わらないんだということが言われております。  ここで国鉄欠損の経過を手短に申し上げます。それは事業団債務理解にも重要であります。  国鉄の赤字の定着は六四年度、昭和三十九年度からであり、その前七年間は健全経営でありました。五七年と六一年の運賃改定物価上昇対応できたわけです。ところが、六三年に八%近くも物価が上がりましたのに対して、六四年一月に政府公共料金値上げを凍結いたしました。さらに、十月東海道新幹線が開通しまして、営業支出が急増いたしました。国鉄欠損といえばだれでも労使の争いを思い出します。しかし、その前に運賃抑制と大投資という二つ原因がございました。  さらに、自動車時代になっていましたから、鉄道道路交通で足りるところがらは撤退すべきで、民鉄は早くからそうしていたのに、六〇年代後半に国鉄が希望したときには政治は認めませんでした。それどころか、逆にローカル線建設のため六四年に日本鉄道建設公団を設置いたしました。これが三つ目原因であります。  六〇年代後半、欠損続き国鉄政治の干渉のもとに経営管理能力が低下しておりました。そこへ六八年に現場協議制という労使慣行政府によって導入され、以後順法闘争違法ストが定着いたしました。これが四つ目原因であります。  五つ目原因貨物輸送でありまして、産業振興の旗のもとに低運賃が強制され、さらに需要もないのに大投資を強制されました。  最後に、六番目に、事業団と同じことが七一年度から起こりました。すなわち、利払いのために借金する政策債務は増加し、八〇年代には金利負担企業を押しつぶしてしまいました。結果がJRとなったわけですが、また事業団もそのとき生まれました。  以上の六つの原因の中で、運賃抑制投資二つJRを今も脅かしております。やがてローカル線の撤去も必要になります。貨物輸送は思い切った縮小をしないと小型の国鉄になるのが明らかであります。今後十年間に大手民鉄の大部分は何とか生き延びましても、JR七社はほとんど不可能と私は考えております。  以上、第一に責任論理を申し上げ、第二に現状悪化させない、悪化阻止を申し上げました。  次は、第三に、それでは対策はどうするか。対策は、私は節約よりほかにないと思います。事業団債務政治行政の指導によるものでありますから、国全体の財政の中で処理するよりほかにありません。国民としては、増税による増収よりも、その前に節約を望んでいると思います。国民の一人としてそう申し上げたいわけであります。  幸いに、我が国の各部門施設能力は増加してまいりました。交通部門を見ましても、これまでのように能力不足のために投資が必要というのではなくなっておりまして、また、一部の区間で確かに混雑し能力不足が言われましても、ここは資金があっても工事がもはや不可能であります。  交通だけではなく、すべての部門において財政支出削減が今や求められていると思います。削減される部分では、確かに産業縮小も避けられません。しかし、それは時代の変化として当然起こるべきことでありまして、自動車時代になれば四十五万人の国鉄が二十万人のJRになる、これは仕方のないことであります。施設整備されてまいりますと建設関係縮小は当然であります。供給力が豊富になってまいりますと、今までの輸送能力不足時代規制は必要ではなくなりまして、企業行政もその面の要員は不要になります。このようにして経費節約し、そして過去の債務を返して、同時に新しい分野にお金を使う、これが私の考えであります。  交通について言えば、陸海空の投資は数年間、私は差し当たり半分に抑えたらいかがかと思っております。その間にもう一度今の投資数字ではっきり評価していただきたいと思います。何が必要なのか、重点をはっきり決めるべきだと思います。整備新幹線あるいは大都市の地下鉄投資、いずれも必要と言われましても、建設の速度をいま少し緩めましても決して輸送力不足という問題は生じないと思います。輸送需要は今や停滞あるいは減少の段階に入っていると思います。  このような縮小に対して景気対策を考慮せよと言われるかもしれません。しかし、利用率の悪い施設をつくるため一時建設期間中の資金を動かしましても、その資金負担が今度は景気の足かせになります。それよりも、返すべきものは早く返して、返済された資金が有効に働いていく方が景気のためになると思います。  最後に、我が国交通投資がいかに巨大かという例を申し上げます。  道路投資額は、国土面積が二十六倍のアメリカに匹敵する規模であります。西ヨーロッパ諸国の数倍であります。よく人口当たり普及率がおくれていると言われます。数字の上では確かにそうでありますが、これは人口高密度国として避けられない宿命であります。現在の道路投資額を半分にしても、なお国際比較の上では飛び抜けて大きいわけであります。交通投資はたとえ財政問題がなくても縮小すべき段階に来ております。まして資金不足であれば縮小の必要があります。  以上、御清聴ありがとうございました。あとは御質問いただいてお答えいたします。
  6. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) どうもありがとうございました。  続きまして、鈴木参考人お願いいたします。
  7. 鈴木良男

    参考人鈴木良男君) 鈴木でございます。本日は意見陳述の機会を与えていただきましてありがとうございます。  まず、当面する緊急に措置すべき特別措置に関する法律案について申し上げます。  これは臨時、異例の措置として今年度の借入分債務一般会計に移すとともに、既往の無利子貸付金五・三兆円の償還据置期間を一年間さらに猶予するという措置であり、いずれも緊急の止血措置として行われるのは妥当なことと考えて賛成であります。  問題は、実質ベースで見ますと、JR発足の昭和六十二年当時に二十二・七兆円、うち国民負担は十三・八兆円と見積もられていましたが、数々の失敗の中で平成九年度首で二十八・一兆円、うち国民負担は二十兆円を超すと見込まれている清算事業団債務処理であることは言うまでもありません。  一口に国鉄長期債務と言いますけれども、これは二つに分けて考えないといけないと思います。  旧国鉄時代昭和三十九年から累積され、二十三年後の六十二年にはついに三十七・一兆円にまでなった長期債務は、JR発足の昭和六十二年四月時点で二つに明確に分離されました。第一は新生JR三社が負担するとされた十四・五兆円部分で、いま一つ清算事業団に帰属された二十二・七兆円の部分であります。この二つ部分はその後運命を全く異にしました。  前者は、負担したJR三社の努力により、その後新幹線保有機構からの買い取りの際に一・一兆の上乗せ評価がえをさせられましたが、発足時の売り上げの四・五倍という明らかに過重な負担にもかかわらず、着々と利息及び元金の支払いがされており、旧国鉄時代のような返済不能とみなされる債務ではなく、通常の長期債務となっております。  後者の方は、八・二兆円に及ぶ土地や株式の売却にもかかわらず、数々の政府の失敗の中で、平成九年度首で国民負担は二十兆円余と、当初より六兆円もふえる見込みとなっております。  失敗の第一は、当初の処理フレームが処理案となっていなかったという点です。いつの日にか処理ができるだろうという安易な考えを紙の上に書いただけで、金利に対してはほおかぶりをし、知らぬ顔の十年を徒過した責任は重いと言わざるを得ません。  失敗の第二は、何の役にも立たなかった清算事業団という特殊法人です。事業団の最大の役割というのは国民負担軽減だったはずです。国の地価政策に引きずられたバブル時の売却の中止は、特殊法人全体が持つ自主性の尊重と言いながら、何一つそれが認められず、国の政策どおりの運営を強いられるという特殊法人の欠陥をそのまま露呈いたしました。しかし、この問題についてはだれも清算事業団責任とは思わないでしょう。そういう特殊法人制度自体が問題だということを私は言いたいのであります。  失敗の三は、財投制度が隠れ借金を可能にしました。あるから余るから使う財投、使うから生き残る特殊法人という弊害がここにもあらわれております。  以上、三つの失敗は旧国鉄が歩いた失敗の軌跡そのものと言えます。国鉄破綻の最大の原因であった長期債務に対する利払いという生きた教訓を目の前にしながら、同じ間違いを犯したのであります。本当に解決する気持ちが、政治を含め政策当局に今日まであったとは思えません。あったのはすべてこれは先送りの魂胆と無責任さだけでしょう。JRが民間の成功の典型例なら、事業団政府の失敗の典型と言えましょう。  現在、清算事業団債務処理についてのアイデアは出そろっていると言えます。ほぼ一致しているのは、そのほとんどを何らかの形で国民負担とせざるを得ないという点でしょう。これは、臨調答申のときから予定されていたことで、今さら議論する問題ではありません。  問題は、国民負担を仰ぐとしても、一般会計に移しかえをして赤字国債等で措置するのか、臨時、特別の租税措置によるのかという点と、それらをするにしても、その前に歳入歳出面で何らかの努力をしないと国民理解を得られないだろうという点でしょう。  そのような案として、歳入面では、JR利用者を含め広く交通全体系の各部分利用者による負担、つまり料金値上げ、交通全体系の各部分が現に得ている財源の一部拠出による負担、あるいは無利子国債の発行、特殊法人の民営化による株式売却益、そしてJR自体による負担等々が言われます。歳出面での案としては、整備新幹線の新規建設の凍結等が言われます。  この関係で最大の争点になるのは、JR自体による負担の是非の問題だと思います。  昭和六十二年の債務配分は適切だったのか、従来線は簿価で引き継いだのではないのか、種をまいたのはJRの先輩たちではないのか。これらを考えると、なるほどJR清算事業団とは一線を画したといっても、国民負担を仰ぐ以上、何らかの協力があってしかるべきではないかというのが論拠となるようです。  私のこの問題に対する考えは、JR負担を求めてはならないということです。  臨調以来これまでの行政改革の歴史の中で、国鉄改革は最大の成果だったと言われます。それはこれまで親方日の丸に安住してきた旧国鉄の職員を含め、組織全体に自己責任原則を徹底的に植え込むことができたからです。それが昭和六十二年の債務配分であって、ここで決まったルールに従って、後は自助努力をせよというそういう仕切りであったはずです。  今、政府は中央省庁の再編を行革会議で検討しております。その中の重要テーマには執行部門のエージェンシー化や民営化が挙げられております。中央省庁の仕事の中には、民間と同じ仕事をしている部分がいかにも多くあり過ぎます。郵政三事業においてしかり、印刷においてしかりです。結論的には、私は、こういう仕事はすべて例外なく民営化の方向を目指すべきと考えます。また、それが世界の趨勢でもあります。  今後、陸続として出現が期待される官業の民営化を考えるときには、株主に対する責任を持つという民間会社の基本にのっとって、定められたルールによってその民間会社が運営されるという大原則はいかなることがあっても曲げてはならないと考えます。  JRを含めて、広く交通利用者からの負担を求めよう、または総合交通体系の中から財源を求めようというのも、まず旧国鉄に近いところがらという発想でしょう。  日本の運輸関係は長年の規制により弱体化しており、料金の国際比較をすると著しく高いものとなっております。これが日本の産業の空洞化を促進する原因一つとなっております。ことし三月の規制緩和推進計画では、このような規制分野に競争を導入することにより、その活性化、それに伴う料金の低廉化を目指しております。そのときに家が隣だからといって負担を求めるのは、弱いこの分野をより弱くするだけで賛成できません。無利子国債発行は唐突であります。また意図の不純ささえ感じます。  財源措置を政府が考えるのは、国民負担を受けるに当たって、何らかの努力らしい足跡を残さないと政府責任が問われることを心配してのものでしょう。昭和六十二年以来、清算事業団債務に対しては、まだ時間があるからそのうちにと思って、何の手も打たずに、あたら土地、JR株式などの売却益を金利の支払いにも足りないものとしてきたのは政府責任です。問われるべきは政府ですから、その政府責任逃れに近隣の人が巻き添えにされるいわれはないと言わざるを得ません。  それではどう措置するのかという問いに対しては、広く国民負担を求めるしかないと回答いたします。現実論としては、一たん一般会計の赤字勘定に繰り入れるしかないということはもう自明のことです。  財源の担保がなく、一般会計の赤字勘定に繰り入れるのでは財政節度がないという言い分に対しては、清算事業団に属する返済不能分の長期債務は、既に隠れ借金として十年以上前から公然の別勘定の事実上の赤字国債として、他の隠れ借金、総計四十五兆円とともにもう隠れもないものでした。この意味で隠れでも何でもありません。国民は二百四十兆円が国債残高のすべてだなどとは思っておりません。こういう赤字国債のほかに別勘定を持って、時によって財政の破綻状況に対して違った説明を可能にすること自体が財政の節度を曲げてきたのです。  政府は今財政再建に懸命のようです。遅過ぎたとは言え、やらないと日本が沈没するから当然のことです。さきの財政構造改革原則では、二〇〇三年までに国、地方を合わせた財政赤字の額をGDPの三%以内にするとしました。また、国民負担率を財政赤字を含んで五〇%以下にするとしました。この財政赤字には、清算事業団債務二十兆円を含めた隠れ借金にかかわるものは今のままの形では含まれないことになりましょう。  政府が今やることは、こそくなやりくりではなく、トータルの財政現状直視とその解決です。隠れ借金を一般会計に繰り入れるのは、それがどうしょうもないものであり、かつ政府責任に属するものなら、むしろ日本の財政の健全化を促進するためにも行うべきことです。そして、隠れ借金を含んだ財政赤字に対して、目標とした三%以内、五〇%以下の原則を適用して財政構造改革のハードルを高めるべきです。  一般会計清算事業団返済不能分を繰り入れるに当たっては、本質的には赤字国債発行という手段に頼らざるを得ないでしょう。昭和三十九年から六十二年までの旧国鉄の破綻のうみを六十年先の将来世代に負担してもらうのは大変なことです。それなればこそ、政府は本当の現実を直視しつつ、国民の納得を受ける歳出の削減を徹底的にやることがまずもって求められます。現在、行政改革のかけ声は大きくなっております。だが、本当にやるのかについては国民はまだ疑惑の目で眺めております。徹底した歳出削減政治政府に課せられた最優先の責務です。  さらに、歳入面が大切です。まず政府資産の売却を大胆に行うべきです。そのために、土地等の資産売却も重要ですが、なかんずく政府事業を、現在中央省庁で行っているものを含めて民営化することによって稼ぎ出すことだと思います。それはまた、先ほど言いましたが、政府部門の減量・効率化にも役立つことですし、現在の中央省庁の見直しの真の目的にも奉仕するものであります。  以上のとおりでありますから、私の国鉄長期債務に対する意見は、やりくりを考える必要はない、本来政府責任に属するが、別勘定にしているものは自分の勘定に移せ、そして、その勘定を含んだものとしてトータルの赤字の重みを厳粛に受けとめた上で対策を考えよというに尽きます。  政府が、この前提は忠実に守る、だがそれだけではどうしても財政再建はできない、遅延は国債に対する利払いを生むだけにそれは急ぐというならば、そのことを国民にはっきり真剣に説明して、国民の納得を受けるべきです。その手順を踏んだものとしてならば、究極の手段として次の方法をとることも許されましょう。  それは、臨調初心に戻って解決すべき問題は解決する、諸悪の根源であった先送りはしないということです。臨調がやむを得ないと判断した抜本的な解決は、最終的には臨時、一時の国民による税負担を求めることでした。当時で十五兆円、国民一人当たり十五万円、私のように五人家族では七十五万円、大変な金額だが仕方がないというに尽きました。今ですと二十兆円、一人当たり二十万円。家族が減って我が家では四十万円ですが、  私はJR再生の生みの親の一人ですから払います。だが、ワイフは嫌だと言っております。  このように、この案は、増税に対してはいかなる意味でも拒絶反応を示す国民からは到底受け入れられないという声が出るのは当然です。しかし、その案の実行の過程で、政治関係者が国民と真剣な対話を進めることによってのみ本当の財政再建が可能になると悟るべきです。  臨時、一時の特別課税は、広く薄い課税ベースによる国鉄再建特別税という形をとるでしょう。一例として国鉄再建特別消費税が考えられます。三%なら毎年七・五兆円で二・六年で解決します。二%なら毎年五兆円で四年かかるでしょう。国鉄の再生はそれができ上がりつつある今日、かつてのように不可能ではないのかという危機意識は国民の中にも日々に薄れていきます。臨調以来最大の行政改革の成果と言われてきた課題でもそういうことです。風化するのはもう時間の問題でしょう。  現実性は極めて低いけれども、政府国民の納得を受ける歳出の削減、歳入の増加を行い、国民との体当たりの話し合いでこの臨時、一時の手段をとるというなら、そのときに限り、交通に近いところで特別負担をしてもらうというのも合理性を回復すると考えます。  JRによる負担も、各方面から現実の負担を受けた以上、株主代表訴訟の問題があるとしても、むしろJRから自発的に一部の協力を申し出て、今述べた抜本解決の呼び水にするのは好ましいと言えます。繰り返しますが、このような負担を求めることは好ましいことではありません。しかし、国民の現在の現実の租税負担という協力によって積年の問題を早く抜本的に解決するという場合に限っての私の見解であることを御理解願いたいと思います。  以上でございます。
  8. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) ありがとうございました。  以上で参考人意見陳述は終わりました。これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  9. 野沢太三

    ○野沢太三君 自民党の野沢太三でございます。  先生方には、大変お忙しい中、貴重な御意見を開陳していただきまして、当委員会の法案審議に御協力をいただきましたことを心から感謝を申し上げます。  それぞれの先生方からの御意見、肝に銘じておるわけでございますが、これより与えられました時間、十五分程度でございますけれども、各先生方に一つずつお伺いをしてまいりたいと思います。  最初に杉山先生にお伺いいたしたいんですが、先ほどからお話しのように再建監理委員会の答申では、土地、株を売りまして、あるいは新幹線の評価差益等の差額を充当しまして、なお残る債務国民負担という答申が既に監理委員会から出され、それを閣議で、六十一年の一月あるいは六十三年の一月、それから最近では平成八年の閣議と、再三確認をしながら今日まで来ておるわけでございます。そういう中で、最近また行財政改革によりまして歳出削減をやろうじゃないか、こういうことも打ち出しておるわけでございます。  私どもは、この国鉄改革の仕事、十年たちましてまだ残っているのがこの債務処理である、こう思うわけでございますが、これが解決しないことにはせっかく大筋で成功と言われた改革がまだでき上がっていない、こういう評価になってしまうわけでございます。  ところが、今、なぜそれではあのときに決めた債務がふえたのかということが、国民の皆様にもう一つわかりにくい状態で推移している。今それぞれ分析をしていただきました。そしてそれが、毎年売ろうという土地が予定どおり売れない、あるいは株式の公開がおくれるという中でどんどん欠損が出る、そこへ財投資金を入れるということで金利がさらにかさむ、こういう悪循環を重ねて今日まで来た、これはもう先ほどから御指摘のとおり、国鉄時代にやってきたやり方がそのまままた事業団の赤字処理に引きずられて適用されているんだ、こういうことで今日を迎えているわけでございます。  そこで、私ども今、党の方でも勉強会をやりましてあらゆる選択肢を検討する、こういうことで進めてきておるわけでございますが、その中の一つといたしまして道路等の特定財源、これをひとつ検討してみたらどうかという項目がございます。  利用者負担という原則は今御説明ございましたが、外国の例等を見ますと、例えば西ドイツあるいは韓国等で、いわゆる自動車に使われております鉱油税等につきまして、これを一部値上げをして債務償還に充てる、こういった実例もあると伺っておるところでございます。  日本の場合につきましても、いわゆる自動車重量税につきましては、本来一般会計一般財源として創設された経緯もあり、一部既にそのようにも使われておるわけでございまして、現在暫定税率で倍以上の税率で仕事をしておりますが、これの期限ももう本年度末で参りますことを考えまして、この辺のところを開かれた議論の中でどう使うかというそういった議論があってもおかしくないと思います。各特定財源、そして特別会計という囲い込みによって財政がやはり硬直化しているんじゃないかという今嘆きが聞こえるわけでございます。この点につきまして、先生から再度一つお話をいただければと思います。
  10. 杉山雅洋

    参考人杉山雅洋君) 今、二つ御質問がございました。一つは西ドイツあるいは韓国の例があるのではないか、こういう御指摘でございますけれども、旧西ドイツにつきましては非常に古い歴史がございまして、一九六〇年代の後半に租税改正法というのをやりまして、そこで鉱油税、日本で言うこれはガソリン税に相当しますけれども、これをリッター当たりたしか当時三ペニヒ上げました。その増税分を市町村の交通改善のために使ってよろしいと、こういう経緯でございます。そして、その市町村の交通改善というのは、道路もあれば軌道系もあるということなものですから、そこで軌道に入ったのではなかろうか、こういう理解がされておりますけれども、これはあくまでも増税分でございまして、鉱油税そのものを一般財源化したという例ではございません。したがいまして、そこを明確に知っておく必要があろうかというように存じます。  それともう一つ、西ドイツのケースですと、現在ドイツになりましたけれども、国土面積はほぼ同じでございますが、道路ネットワークあるいは鉄道ネットワークが相当違っておりますので、そこを横並びに議論するのにはもう少し慎重な取り扱いが必要ではないかということが私は必要ではなかろうかと思います。  それから、自動車重量税、これは確かに一般財源でございます。ただ、昭和四十六年に創設されたその経緯の国会答弁等をフォローしてみますと、当時の福田大蔵大臣が、これは形式的には一般財源だけれども道路整備に使うんだ、五カ年計画の不足分に使うんだということを明言されておりますし、また政府委員としての大蔵省の主計局の方々もそのように言っております。現実問題といたしまして、私どもが車検のときに自動車重量税を払うわけでございますが、そのときに、これを一般財源として納付しているという認識を持っている人はほとんどいないのではなかろうかなと思います。  したがいまして、議論をする際には国民に、形式的には一般財源ですけれども、これが今までこういう経緯で使われてきました、さてこれをどうしましょうかということを明示する必要があるのではなかろうかなと思います。そして、その際には、暫定税率がいかなるものなのか、本則税率に戻すべきなのか否かということを含めて議論をするのが筋ではなかろうかなというように考えております。
  11. 野沢太三

    ○野沢太三君 先生の御指摘のとおりと思いますが、これからの議論の中で、本来の趣旨を踏まえながら国会での議論を積み重ねまして、やはり資源資金が有効適切にという先ほどからの御指摘に沿って工夫をしなければならないと思うわけでございます。  西ドイツ等の場合には、交通省ということで道路鉄道も一元的な行政が行われている、環境が非常にいいということもあります。私どもの今後の行革目標としては、建設、運輸一本の省にしたらどうかということも既に検討の対象にしておるような状況でございまして、その辺については今後一層弾力的な配分の仕方を我々自身がこれは責任を持って工夫しなければならない、こう思っておるわけでございます。  時間がございませんので進めさせていただきます。  角本先生には国鉄改革の当初から御関係をいただきまして、分割・民営という厳しい手法の中で結果としては非常によい結果を生んでおるわけでございます。ただ、本州三社は何とか株式上場にこぎつけられる見込みでございますが、まだ三島、貨物が苦戦をしております。まだというよりむしろ悪い方向に行っているんじゃないかという心配すらあるわけでございますが、今後こういったアンバランスが出ておりますことをどのような方向で解決をしていったらいいのか、これがまず一つでございます。  それからもう一つ債務処理につきまして、節約が何よりも大事という御指摘はまさにおっしゃるとおりで、これはもう家計であろうと国の会計であろうと間違いのない原則と思いますが、ただいま交通、特に鉄道市場を見たときに、新幹線について言えば、既にあるところとないところのアンバランスが非常に出ておるということで、やはり地方の格差是正という面での、地方負担をしてもやろうという法律も今回通したわけであります。公共事業方式でやりまして運営主体に迷惑をかけないようにしよう、こういうやり方でやっておる。それから、東京の地下鉄あたり、あるいはJRにつきましても、まだまだ混雑率が大変厳しゅうございまして、投資は一層必要ではないか。鉄道の安全性あるいは環境に対する効果等を考えますと、やはり必要な投資はしっかり進めながらかつ財政再建とどう両立させるか、この辺が非常に大事だと思います。  三島、貨物の将来と、やはりやるべき投資はほかを切ってもやるんだという必要性について御意見を承れればありがたいと思います。
  12. 角本良平

    参考人角本良平君) まず第一点でございますが、私はこの三つの島につきまして、従来ありました民鉄運賃と比較いたしますと、JR運賃の一・五倍あるいは二倍の運賃を取って成り立っております。同じような条件の三島のJRが従来のJR運賃で成り立つはずはない、このことが実証されております。あるいは長野電鉄の場合でも同じでありまして、今度民間になる、JRから移られる部分につきましても同じ措置が必要であり、また、このように運賃を従来の民鉄と同じ水準にすれば三島は当分は成り立っていくと私は思います。  それから、貨物につきましては、これはもうトラックの十分の一しか運んでおりません。そして、私は政府がとやかく言うからかえって政府依存心が起こっていると思います。民営の趣旨から考えまして運輸省は全面手を引くべきであります。そして、彼らがどれだけの範囲を自前でできるか、これを明確に自分ではじき出す、この責任を持たせることが何よりも大事であります。  そして、第二番目に、その責任のもとで、恐らくは非常に大きな範囲を縮小する、極端に申しますと東海道と山陽だけを残す。これくらいの縮小をして、国民としてもそれほど困りませんし、またJR貨物としても残せればその方がよいのではなかろうか。  第二点につきましては、新幹線あるいは大都市の交通の地下鉄が必要なことは否定いたしませんけれども、先立つものがなければ、差し当たり赤字をまず処理する。  そこで私は、これから三年間だけはまずすべての陸海空の投資を半分にしてみるという計算をしていただいたらどうだろうか。それで困るところがそんなにあるかということになりますと、私が見る範囲では困るところはそれほどないのではなかろうか、こう考えております。ですから、三年間だけ我慢をして、その次に考えるということが国のために必要ではなかろうかというのが私の意見でございます。
  13. 野沢太三

    ○野沢太三君 時間が厳しくなりました。あと一問だけ鈴木先生にお伺いしたいんですが、薄く広い特別な、臨時な税で何とかできないかと。大変卓見かと思いますが、ただいま橋本内閣、私ども支えながらやっておりますが、増税なき再建ということで、何とか歳出のカットその他もろもろの工夫の中でできないかということで腐心しておるわけでございますが、こういった消費税について、あるいは特別な税について国民的な合意を得られるにはどうしたらいいのか。先ほどからもるるお話しいただいておりますが、ひとつ再度お話しいただければと思います。
  14. 鈴木良男

    参考人鈴木良男君) 腐心しておられる、まことにそのとおりで、また現実問題として、今そういう国鉄再建税というようなことを言っても国民が納得しない。さっき言ったけれども、私の女房も納得してくれないんです、というのは当然だと思うんです。  ですから、私さっき申し上げましたけれども、やはり行政改革というのがいかに必要だ、しかもそれはかけ声じゃだめだ、とにかく徹底的に歳出をカットするんだと。私は何も旧国鉄に近いところでという着眼はいたしておりません、先ほどから申しましたように。しかし、費用効果の問題であるものの関係を見て、それがないものに対しては思い切ったなたを振るわないと出てくるわけがない。  それともう一つは、要するに徹底した財産の処分というのを国がやるべきだ。今まさにエージェンシーだとか民営化ということをやっておる。それを徹底して進める。私はエージェンシーという過程を通るのは反対であって、むしろ全部民営化をするのが一番最後の姿だと思いますが、そういうことをとにかく早くやって国民に見せる。その国民に見せたのを国民理解して、しかし、その上でもなおこれだけの財政の赤字であっては、国家はこれから運営できないわけですから、特に外為法の緩和等によって、金が世界を走るときには国債を買ってくれる人がいるとは限らないということを納得してもらうということしかないと思います。  要するに、まずやってみせて結果を出すこと、それを政府が先にやることだ、こういうふうに私は思っております。
  15. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 平成会の横尾和伸でございます。  本日は、お忙しい中、お三方の参考人の皆さん、大変ありがとうございました。貴重な御意見をいただきまして、私も大変参考にしつつあるんです。  まずそういう中で、確認の意味で、ちょっと聞き漏らしたこともありまして先にお聞きしたいんですが、鈴木参考人に、JRの新たな負担は求めるべきでない、道義的な問題をここに交えてはせっかくの国鉄の再建の理念がおかしくなってしまうと。これ、よくわかります。  そういう意味ではそのとおりなんですけれども、今回の問題、逆に言うと理詰めでだれに責任があるのか、そして道義的なものもすべて排除して突き詰めていくと、例えば一つは、国民の側からすると、国民も二十兆円を超すような負担なんてそんなことは初めから考えてもいなかった、降ってわいたような話だと。十三・八兆円というのはあったかもしれないけれども、それは減っていくであろうという前提での認識であったと思うんです。そういう中で、どういうサイドもそれなりにこれから、ある意味での理屈だけでない辛抱の時代みたいな、理屈を超えた部分をどのように努力し合っていくかということが求められるんではないかと特にこの問題については思うんです。  ちょっと前置きが長くなりましたけれども、お聞きしたいのは、JRに新たな負担を求めるべきでないという理屈上の問題はわかりますけれども、その中に自主的な協力といいますか、そういったことまでもするべきでないという意味合いが込められているのかどうか。最後にたしかその点についてのお話があったかと思うんですが、ちょっと聞き漏らしたものですから。
  16. 鈴木良男

    参考人鈴木良男君) 私は、基本的にJR責任を持つ筋合いではない、旧国鉄というものとJRというのは画然と区別されたものであるという事柄、これは基本だと思います。  ただ、私が先ほど申しましたのは、そういう国家危機、何といいますか財政の状態というのは極めて悪化して世界にも例を見ないほど悪化しておる。しかもグローバル化して、世界の経済の中で財政を運営しないといけない。今までは千二百兆の国民の貯蓄というものをベースとして国債を幾ら発行しても買ってくれる、こういうハッピーな時代だったわけですけれども、そういう時代ではなくなるという事柄から財政再建が必要だと、この問題がある。  そのためには、先ほど申しましたようにとにかく行政改革というものを、歳入歳出面、歳入面というのは、要するに物を売れ、財産を売れ、そして資金をつくれということを基本にしておりますが、そういうことをやってもなおできないときに、国債の利払いにいたずらにお金を使っておるだけでは国家は成り立たない。そのときの緊急やむを得ない問題として、私は、臨時、一時の課税によって乗り切るという事柄は、いわゆる政治がむしろ責任を持って先導して国民を説得してやらざるを得ないんじゃないか、こういうことを申し上げたわけです。  それをやるということになったら、さすがに現実に税金を払うわけです、みんな嫌だと言っておるのに。そのときに、JRそれから総合交通体系というものが全くほおかむりという事柄は、これはやっぱりできないんじゃないか。だから、そのときに限り、しかもそれは関係がないんだからある自発性というものがあっていいんじゃないか、しかしそれはまさにそういうときに限る、一般的に求めるものではない、こういうことを申し上げたわけでございます。
  17. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 よくわかりました。ありがとうございます。  角本参考人にお伺いしたいのですけれども、先ほど来の責任論、よくわかります。国、政府責任、しっかり苦労しなきゃいけないと、そしてそこには節約ということが原則になるという御趣旨だと思います。節約を本格的にやっていくというのは、これは国の財政全体の問題でもあるんですが、特に今回の問題であるからこういう言い方をされたんだとも思うんですけれども、陸海空の投資を三年間半分にするという大胆な、かつある意味で具体的な御指摘をいただいたんです。  一つは、もちろん詳細な詰めという意味で求めるわけじゃないんですが、それなりの大ざっぱなお答えで結構なんですけれども、三年間ということの意味合いと、それからもう一つ、陸海空の投資を半分にするという表現は、公共投資とほぼイコールという意味なのか、あるいはその中から陸海空の輸送だけを取り上げられたのか、そうであればその理由といいますか根拠といいますか、お伺いできたらと思います。
  18. 角本良平

    参考人角本良平君) 第一番目の三年間という意味は、三年ございますと我々が十分検討できるであろう、それからまた三年間の実績というもので国民がよく理解できるようになるであろうという意味で三年という限定を申し上げたわけであります。これは世の中で普通に行われる期間ではなかろうかと思います。もちろん、二年間で検討を終えて、その後ずっと永続してある割合で減らしていくということは可能であります。  それから、どれだけの金額をということになりますと、現在なされておるすべての金額の半分というような目標でありまして、財源がどこから出ている、公共事業費から出ているとか、そういうふうな考え方ではなくて、むしろ、実は必要の面から見てこんなに交通投資をしてよいのかという疑問が先にございまして、仮に財政がよかったとしてももう交通投資は減らす段階に来ているんだという認識のもとで申し上げているわけであります。  マスコミが幸いにこのごろ、港は船が来ていないのに投資をしているというような指摘をしております。あるいは、高速道路で自動車の交通量がいかに少ないかということであります。あるいは、本四の橋でも同じような問題が起きていると私は思います。今や本当に投資が必要なのだろうかということから考えますと、例えば東京付近の常磐新線、これはいつできるかわからないわけです。こうしたものが本当に必要なのか。確かに混雑しております。しかしながら、混雑に対しての有効性ということを考えると非常に疑問がある。  このような意味で、財源はどこからということは別にいたしまして、現在のトータルの金額を半減しても差し支えないのではなかろうか。もちろん、局地ではいろいろ御要望がありますから私は反対されると思います。しかしながら、分割・民営化を私が最初に申し上げた一人でありますが、その申し上げたときには袋だたきに遭いました。しかしながら実現はできました。同じことが今交通投資について必要である、そう考えて申し上げた次第でございます。
  19. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 私は、今回の問題、三人の参考人の皆さんがおっしゃられた責任論、基本的にはよくわかるのですが、それで具体的な解決策の骨子としてはますやはり歳出の削減節約と言ってもいいんですけれども、さらに最終的には増税ということがないとはどうしても言えないので、増税または赤字のツケ回し、その部分はどうしても残る。つまりそれは否定できないんであって、そのことを考えると、歳出削減と減税と増税とが三つセットで進まざるを得ないんじゃないか。  ポリシーミックスというお言葉もありましたけれども、そういう観点から、私は、つまみ食いといいますか例えば道路財源を転用するとか、そういうことには反対なんですけれども、そういう意味ではなくて歳出を削減する。あるいは減税、要らなくなった税金、税を取らなければならなかった事情が変わってきた、だから要らないものはなくす。そして要るものは増税する。  こういうプロセスを前提として、一つの例として、先ほどは自動車重量税の話が出ましたけれども、むしろ私は、揮発油税が、大変額が二兆五千億程度の年収からすると大きいということもあるんですけれども、額の問題もさることながら、根本的な問題は、この揮発油税の目的税としての意味合いがこの四十年の間に相当変わってきている。車を運転する特定の人間というよりも国民全体、道路ができて車を運転されるのは運転手だけではなくていわゆる輸送力の問題とか、あるいは大気汚染、温暖化の問題とか、国民全体の問題にかかってくるところがかなり大きくなってきている、こういう変化があると思うんです。  そういう意味で、道路特定財源としての揮発油税は四十年の間に相当変質していて、その必要性もある意味では今のままでは薄れてきているんじゃないかと、ゼロとは言いませんけれども、そういう観点での疑問があるんですが、杉山参考人にその点についてのお考えをお伺いしたいと思います。
  20. 杉山雅洋

    参考人杉山雅洋君) 私も、その目的税は未来永劫続くものとは考えておりません。やはり考えなければいけないのは、道路整備のためにということから課している税金でございますから、その道路整備の状況がどうであるのか、こことリンクさせて判断すべき問題ではなかろうかと思います。  仮に道路整備が十分であるという判断をした場合には、この揮発油税は三十九年に二十四円三十銭という形で設定されたのが、その後暫定税率ということでもってふえまして、現在ではその倍の四十八円六十銭、こういう形になっております。したがいまして、本則税率に一たん戻して、そしてそこで国民に問うてみる。これが既にもう道路整備に必要でないとしたならば、再び四十八円六十銭に戻すけれども、その差額を別の用途に用いていいのかどうかということの了解を得ないとやはり国民は納得しにくいんではなかろうかというように思います。
  21. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 私も同じ意見で、そういう意味で、つまみ食いとか今申し上げたのは誤解のないように私も一言申し上げておきたいんですが、参考人のおっしゃるとおり、これはもし今のような部分をいじるとすれば、そこだけを持ってくるというんじゃなくて、いわゆる税制のあり方の大論議をしなければいけない。この部分だけじゃなくて本来の税制はどうあるべきか、そういった大税制論議というのは、やはり現在の財政再建、行政改革、そういう中でどうしても避けて通れない問題じゃないか、私はそう思うんです。  最後に一言、角本参考人道路投資については少し縮小してもいいんではないかということをおっしゃられましたが、いわゆる辛抱の時代という前提であっちもこっちも辛抱しなきゃいけないという意味では私も同感の部分があるんですけれども、その点について追加的に御意見がありましたら。
  22. 角本良平

    参考人角本良平君) 一言、私は目的税を維持すべきかどうかということについては、もはや維持しなくてよい、むしろ一般財源に投入するという形にした方がよくないか。ただ、その前に道路財源に入れている一般財源の方をまず削っていくということを先にいたしまして、目的税も普通の税に直すという措置にしたらいかがかと思っております。
  23. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 終わります。
  24. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 社会民主党の瀬谷でございます。  私は、けさのニュースから取り上げてみたいと思うことがあるんですが、首相官邸の建設、再建はしばらく延期をする、こういうニュースが一つ。それから、回収見込みのない融資をした会社の責任者が逮捕されるというニュースが一つあります。これからどの程度進展するかわかりませんが、きのうは予算委員会参考人においでを願いましていろいろと御意見を聞いたんですが、それは野村証券と第一勧銀の参考人だったんです。だから、余り建設的な意見じゃなくて専ら弁明のための御意見を拝聴したんですが、きょうはそういう心配はございませんので、建設的な御意見だけをひとつお聞きしたいと期待をしております。  そこで、それぞれの御意見をお聞きしたいと思っておりますから小刻みに質問いたしますけれども、西ドイツの交通政策の中でどういう点が我々として参考にできるのか、こういうことですね。この点をまずお聞きしたいと思います。  それから、国鉄改革のための再建監理委員会の答申というものは、実質的にはこれは十年ほど前ですけれども、政府が提案をしてほとんど修正も何もなくて通ってしまったんですが、その中で今までの何でこういうことになったかということがいろいろと問題になっておりますけれども、一番重要な点としては、国会あるいは政府の関与が非常に大きく国鉄問題をねじ曲げたと、こういう意味のことが書いてあるわけです。  今日、長期債務の問題で端的に言うとふえているわけですね。十年前に比べると格段に、二十八兆、あるいは間もなく三十兆円を突破するんじゃないかと思うんですが、ふえているということは、やはり政府の関与あるいは方針というものが結果的には長期債務を回収不能な状態に持っていくんじゃないかという心配があるんです。このまま長期債務がどんどんふえていってどうやっていいかわからないということになると、JRは脳死状態になってしまうのではないか、こういう気がいたします。今問題になっております臓器移植は脳死状態の人から臓器をちょうだいするというんですけれども、国鉄の場合は臓器を移植してもらわないというと脳死状態になってしまう、こういう心配があるんです。  そこで、こういう問題に対しては角本さんからは節約をしなきゃいかぬと言われました。確かにかなり節約をして、今在来線が通っているだけで、昔わらじを履いて歩いて旅行したころに比べると随分便利になりましたから、ある程度は我慢してもらうということも考えられるのでありますが、そういう中で過去の問題について言うならば、例えば青函トンネルというのが投資に見合う効果があったのかどうか、本四架橋がそのような効果があったのかどうか、これから先も四国に橋をかけるという話はまだ続いておりますけれども、そういう点は果たしてどういうものかということ。  それからもう一つ、リニアモーターカーというのが今現実に実験段階に入っております。笹子トンネルを中心にして約四十キロ、このトンネルの建設と実験が行われているのでありますけれども、時速五百キロだというんですね。時速五百キロの新しい新幹線を建設するということが果たしていいのかどうか、これらのことも考えてみる必要があると思うんです。今の新幹線だって三百キロ近くのスピードは出るようになっていますから、スピードの点ではそんなに日本はどこを走ったって大差はないと思うんですけれども、こういう実験が果たして必要なのかどうか、急ぐ必要があるのかどうかということもあると思いますので、このリニアをどうお考えになるのか。  私どもも一度委員会で行きましたけれども、笹子トンネルというのはもうでき上がっているんですね。だけれども、今までの新幹線よりも中が大きいんです。五百キロ出すためには大きくないとやっぱりまずいということらしいんですけれども、果たしてこういうスピードを競う必要があるのかどうか。私は、日本のように狭い国土だったら、シベリア大陸みたいなところは別ですけれども、今の新幹線のスピードで十分じゃないかと思っているんですけれども、さらに五百キロを目指して新しい開拓をする必要があるのかどうかということも考えなきゃいけないことだろうと思うのであります。  それらの点について、それぞれの参考人の方から御意見がございましたらお聞きをしたい、こう思います。
  25. 杉山雅洋

    参考人杉山雅洋君) 西ドイツの御質問が出ましたから、これ多分私にということで若干申し述べさせていただきたいと思います。  旧西ドイツですね、現在のドイツから何を学ぶことができるかという点でございますけれども、基本的には私は余りないんではなかろうかなというように思います。と申しますのは、現在鉄道改革をやっておりますけれども、ドイツの鉄道改革は日本の国鉄改革を相当参考にしております。また、全線無料、速度無制限といううたい文句でありましたアウトバーンでさえも、九五年一月から、重量トラック十二トン以上でございますけれども、これはベネルクス三国とデンマーク、この五カ国を対象にしまして有料制に入っております。したがいまして、日本の高速道路料金政策をも参考にしております。  あえて参考になる例を模索してみますと、私は公共プロジェクトに効率性分析を導入しているという点ではなかろうかなと思います。具体的に申し上げますと、額は今ちょっと定かではございませんけれども、ある一定額以上の公共プロジェクトを行う場合には、そこに費用便益分析ないしは費用有効度分析を課しまして、そしてその結果を見て判断する、こういうプロセスをとっておりますから、ここは参考になるのではなかろうか、こんなように考えております。
  26. 角本良平

    参考人角本良平君) 私は、きょうリニアについて意見を申し上げられたら大変幸せだと思って参りましたら、まさに誘導尋問していただきましたので、リニアのことから先に申し上げます。  これはドイツと日本が張り合っているだけでありまして、世界じゅうの笑い物だと私は思っております。ドイツはベルリン−ハンブルク間、二百八十キロをつくると言いますが、お金はございませんと思います。日本も同じことでありまして、一体こんなにお金がない国で東京から八王子の間の土地が買えるでしょうか、あるいは名古屋から大阪の土地が買えるでしょうか、これは不可能であります。ですから、テクニカルにはできるといたしましても、実際の計画は全く不可能であります。ですから、私は、せっかく技術の方がなさっているものに何か副産物が出るかもしれませんから、最小限の技術は開発していただいて、実採用はやめるというのが一番正しい判断だと思っております。  それから、青函トンネルにつきましては、けさの新聞で青森−函館間を二時間で行く船がもうできると。現在の時刻表では大体二時間弱ぐらいですけれども、議論をする方は新幹線ができればもっと早くなると言われますが、連絡船時代よりも利用者が減っておる、貨物も減っている、このような実情であります。  ですから、鉄道というのは二十世紀の産物でございまして、余り二十一世紀の乗り物というわけにはいかない、そういう性質だと思います。そこで、これから後は鉄道需要は増大しないということで考えまして、それでJRも脳死に入らないように運賃だけはよく見直していただきたいと思います。
  27. 鈴木良男

    参考人鈴木良男君) 国鉄の再建といいますか、いわゆる衣がえといいますか、この問題というのは昭和五十七年の七月に出しました臨調答申というのに端を発しておるわけでございまして、私はそのときに事務局調査員として現実に案を書いた一人でございます。要するに、あの当時としては、一つは経営者が全く経営責任を自覚していない、これが一つ。それから、労働側はまことに職務規律素乱も甚たしかった。それともう一つ挙げたのが、いわゆる政治及び国民による過大な期待、こういうものの中で国鉄というのは崩壊に陥っていったという分析をしてあのような案を書いたわけでございます。  その中に書いてありますのは、要するに分割の会社、すなわちJRが最大限の経営努力をする、そしてそれを前提として、それでもどうしても足らないものに対しては国が責任を持つということを明確に書いた。国鉄再建監理委員会というのはそれを受けて、そういう表現をし、それが閣議決定になっていったわけでございます。  そういう問題から考えまして、いわゆる国鉄、私どもはこれを国鉄と表現し、その後清算事業団というふうに言いましたが、同じことですが、これは国鉄はその時代においてもう既に脳死状態になったわけなんです。そして、そのまま脳死状態を今日までやってきた。それはさっき政府が関与したからというふうにおっしゃいましたが、しかし脳死状態になった国鉄、そしてそこからある魂が抜け出して新生JRというのが出ていったわけです。大変な苦労をしながら出ていった、こういう形なんです。その脳死状態になった国鉄に対して政府が余りにも関与しなさ過ぎた。それが毎年一兆円の利子を生む、十年たてば十兆円になるということはわかり切っておりながら、その利子にほおかむりをした、これが問題であったわけですね。  そして、もったいない、もうほとんど売ってしまいましたが、土地だとか株式を売っても、それでも八兆円ぐらいのもの、つまり利子も払えないような処理をなぜやってきたのだと。だから、今日まで、今この問題がここでこうやって議論されているのは、ちょうど十年目になったから解決しなければいけないというのでやっと腰が上がったんですけれども、どうして放置してきたのか、わかり切ったことじゃないか、それは国鉄の歩んだ道じゃないか、こういうことだと思います。  JR三社に対しては角本参考人がこいつも危ないぞという警告を発しておられるのは、これはJR三社も要するに拳々服膺、聞くべきだと思いますが、私はJR三社は脳死はしていない。そういうように脳死をさせないためにも政府は今後とも関与してはならない。関与してはならないものの最大のものは何かといったら、今回のようにJR各社負担を持たせようというがごときものは、これは昔のたかり、たかりと言っては言葉は悪いですけれども、国民政治の過大な期待、これは地方交通線の問題であり、そういうもろもろの問題です。青函もそうです。そういう事柄は断じてやってはいけない、それは二の舞だ、こういうことを申し上げたいと思います。
  28. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 民主党・新緑風会の中尾でございます。  きょうは、お三人の先生に本当に貴重な御意見を伺いまして大変ありがとうございました。持ち時間が限られておりますので、何点か絞って御質問を申し上げたいと思っております。  先ほどからのお三人の先生の御意見を拝聴いたしておりまして、なぜ債務が雪だるま式にふえたか等々の責任の所在について、政府もございましょうし、なおかつ私ども政治家の政治の分野にも責任があるということを私は重く受けとめなければならないと思います。  さまざまな論議の中で二十八・一兆円の債務をどうするかということ、これは二十八・一兆円をすぐさま返す、一括して返す方法があれば悩まないんでございますが、そのためにこれまでさまざまなところでいろいろな選択肢を用意しながら議論が今進んでいるところだと思います。  杉山先生にまず伺いたいんですが、杉山先生も各種の組み合わせが必要なんだという御意見でございました。その中の一つの大きな意見として、昭和六十三年一月の閣議決定、最終的には国民負担を求めざるを得ないという閣議決定がございました。そのときは十三・八兆円でございました。それを一般会計につけかえるのもやむを得ないんではないだろうかという御意見がございますが、先生の先ほどのお話では歳入歳出が不明確になると、むしろ特別会計をつくって透明性を高めてはどうかという御意見でございましたが、もう少し御説明願えますでしょうか。
  29. 杉山雅洋

    参考人杉山雅洋君) 一般会計につけかえるということは、これは当面の処置としてはやむを得ないだろうというふうに私は思います。したがいまして、閣法二六号に関しましては基本的に同意しているわけでございますけれども、この二六号は平成九年度だけの処置でございますからやむを得ないわけでございますけれども、これが次年度以降もこのような類似の政策が続くといたしますと、実はどこからどのように入ってきて、それが本当に清算事業団債務の解消に振り向けられたのかということの確認が、これは特別の情報を持っている人でない限りわからないんではなかろうか。  やはり国民負担するものですから、こういう形でもって負担していて、そして事業団債務が今年度はこれだけ減りましたよというような透明性を国民に提示することが負担を求める大前提だというふうに考えまして、このように申し上げた次第でございます。
  30. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 続いて鈴木先生に伺います。  鈴木先生も、この一般会計の繰り入れといいますか、での処理、これはやむを得ない、もともと隠れ借金だったんだから明らかにして処理をすべきだということを御提案なさいました。当然その前提としては歳出削減努力は必要だということもごもっともでございます。  一般会計処理すべきだということについて詳しく伺いますけれども、十三・八兆円の元本のみについて処理をすべきだという意見と、この間十年間に派生じた金利負担分も含めてという意見もございますけれども、先生はどういうふうにお考えでしょうか。
  31. 鈴木良男

    参考人鈴木良男君) 私は、この二十八・一兆円、もう国鉄清算事業団というのはこの際解散するという前提で、その中でまだわずかに残った土地、株式の売却という問題もございますが、大部分、約二十兆円はこれはほぼ返済不可能だというふうにみなされておると思います。このすべてを一たん一般会計が引き取るという事柄を御提案申し上げておるわけでございます。  ただ、その一般会計が引き取った後に、一体その後どう管理するのかという問題、清算事業団の持っております債権債務を含めて一般会計の中でずっと処理し続けるというのは、これは先ほど杉山参考人もおっしゃられたように、経理の勘定としては不明確になる点はあるということは確かにそのとおりだと思います。したがって、整理特会のようなものをつくるという事柄で出入りははっきりするというのは賛成でございます。  ただ、特会は従来非常に伏魔殿と言われて、やりくりやりくりでわけがわからぬようにするという問題がこれが非難の対象になっておるわけですけれども、このような整理特会といいますか、清算特会においては、そのような心配というのはない。したがって、一般会計が引き取った後、特別会計に入れ、そして足らざるものは一般会計から常に補てんしていくというそのシステムが一番合理的であろうかと思います。
  32. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 ありがとうございました。  続いて角本先生にお伺いしたいと思います。  一般会計へのつけかえというか、での処理ということに並んで、今回のいろいろなメニューの中に、先ほどからも出ていましたけれども、道路特定財源の問題がございます。特に、揮発油税をどうするかということが今各党各会派で論議されておるところなんですが、この揮発油税の私は一部一般財源化と呼ばせていただきますが、先ほどからのお話の中で、やはり目的税なんでこれを国鉄の長期債務処理に充てるのは非常に難しい、無理があるという意見がかなりございます。  角本先生、もう一度この考え方道路財源の特に揮発油税、自動車従量税等についての一般財源化を含めて国鉄処理に一部充てるという考えについてはどんな御意見をお持ちでしょうか。
  33. 角本良平

    参考人角本良平君) 私は、直接これら二つを結びつけることには反対であります。と申しますのは、責任論理から申しましてこれを結びつけて説明はつけられない、そういう不合理な、あるいは公正でない方法政治はとるべきではない、このように考えております。  ただし、目的税にしております国は先進国ではほとんどなくなってきていると思いますし、ピアノはピアノのために、酒は酒のためにというこんなことを考えていったんでは行き詰まる。いわば緊急避難的なものが目的税でありまして、一九五四年の段階ではまさにこれは必要でありました。しかし、それから四十年以上たちまして、このような緊急避難を続ける理由は全くございませんし、事業団債務は、計算は今後も明確にしておく必要がありますけれども、やはり一般財源一般会計の中で処理するほかにない。  そして、その一般会計の中の財源として道路負担するというような意味になりますから、これは道路負担するというよりも、国民がお酒を買うときにも税金を払う、ガソリンを買うときにも税金を払う、このような意味で考えれば明確に割り切れる、国民理解できると私は考えております。  そこで、一言だけつけ加えさせていただきますが、この目的のためにこういう税金、この目的のためにこういう税金と言われたのでは、国民は何を何のために払っているのかわからなくなってしまう。やはりまとめて財政責任者処理すべき段階ではなかろうか、こう考えております。
  34. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 ありがとうございました。  それでは、この道路特定財源揮発油税について杉山先生にお伺いしますけれども、先ほどの質疑の中で杉山先生は揮発油税については、今角本先生からもお話がございましたけれども、道路目的として果たしてこれまでの税率でいいのかという意見がございます。特に、本法税率がリッター二十四・三円だと思います。揮発油税法で規定されております。ところが、租税特別措置法でちょうど現行は倍になっております。この租特法は来年の三月三十一日で切れるわけでございます。  これはこれからの税制論議になろうと思いますけれども、今の角本先生のお話も含めて、私は、やはり本法税率に戻す、目的税として戻す。あと、一たん戻した上で、これらのいわゆる暫定税率を、目的税じゃなくて一般税として総合交通特別基金というような、まあ仮の名称でございますけれども、そういう形で一般会計の中でこれからの交通体系のあり方、旧国鉄債務処理も含めてどうだろうかという私なりの考え方を持っておるんですけれども、先生のお考え方を伺わせてください。
  35. 杉山雅洋

    参考人杉山雅洋君) 揮発油税の話でございますけれども、原則がこれは二十四円三十銭という本則税率でございますから、やはり基本はここに置くべきだというように思います。これが暫定で倍になってきたというのは、やはり道路整備が必要であった、こういう認識が横たわっていたからこそのような形が続いているのではなかろうかなと思います。  したがいまして、繰り返しになりますけれども、道路整備の状況をどう判断するのかということとリンクさせて考えないと、これは非常に判断が難しいというように思います。もう十分であるという判断がある一方で、まだまだ我が国道路整備はおくれているんだという判断も一方でございます。ここの客観的なデータで比較するということがそこの判断材料の最もいいものではなかろうかなと思います。  それからもう一点は、本則税率に戻して、総合交通税としてまた再び倍にしてそれを充当したら、こういう御提案でございますけれども、これはひとえに納税者の判断にかかっているというように思います。納税者がそれで納得すれば私はそれも一つの案だと思いますけれども、納税者の納得が得られないといたしますと非常に難しいなという感じがしている次第でございます。
  36. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 ありがとうございました。  それでは、いろいろ伺いたいんですが、時間もありませんのでもう一、二点御質問申し上げます。鈴木先生にちょっと伺いたいんですが、JR各社に再負担、これ鈴木先生ばかりでなく各先生がそういう御意向だろうと思いますけれども、国鉄改革時の精神からいきまして、JR特に収益のいいJR三社に負担を求めるのはどうかという意見だと思いますけれども、私もそれについては賛成の立場でございます。  ただ、今回の処理スキームに当たって、大方が本州三社だと思いますがJR各社の法人税を債務返済に充ててはどうか。固定資産税等含めて平成七年度で二千二百億円あろうかと思いますけれども、固定資産税は別として、今一般会計に入っておるんですが、これは国民の納得が得られる話ではないかなと思うんです。多分もう一千億を超えていると思いますが、これについて鈴木先生はどのようにお考えでしょうか。
  37. 鈴木良男

    参考人鈴木良男君) 今のように私のただいまの発言をとられるのを非常に危惧して慎重に申し上げたつもりでございますが、JR各社負担させることは私まかりならないという事柄を申し上げたつもりでございます。  ただ、私は、とにかく早く問題を解決することが大事だ、そのためには臨時、一時の租税措置によってこの問題というのに終止符を打つべきだということを五十七年に考えて、そのような臨調答申を書いたわけです。先ほど申しましたように、十五兆円は負担だなということを覚悟したんですね。その前提で私は申し上げたのであって、もしそういう事柄が今日の財政あるいは国民の感情、そういうものの中でできるとするならば、それを国民がアクセプトするとするならば、そのときに限ってという前提をきっちりかけて申し上げたつもりです。  私は、とにかくあれだこれだ、あちらから取ろうこちらから取ろうだなんていうことを言わずに、一般会計に素直に入れて、何もそれで問題ありません、迷うことはありませんということを大原則として申し上げておる。そのときに、隣近所の人から少し寄附金をよこせというようなことを言う必要はどうしてあるんでしょう、こういうことを申し上げておる。そういう形の処理ではなくて、今、例えば消費税を二%、三%上げるというような大変なことをやるからには、JRも総合交通体系も何らかの協力というのが自発的にあってもいいんじゃないか、こういう極めて限定した意味で申し上げておる。  それの前提は、国民がそういうことを納得するためにはさぞかし国民を納得させるだけの行政改革、つまり歳入の増大、それは資産の売却、それから歳出のカット、それはあらゆる支出項目の見直し、こういうものが本当にやられて、その上で国民が納得してそういう事態が来る、来るのは非常に難しい問題だと思いますが。  そういう極めて限定されたケースにおいてのみという条件つきで申し上げておりますから、くれぐれも、今のまま少しどっちかから何かを取るために総合交通体系で、ガソリン税がちょっと入ったらそしたらJRもだとか、そういうふうにはおとりいただきたくないということを申し上げておきたいと思います。  次の、JRは税金払っておるじゃないか、あるいは今まで半分だったものがこれから普通に戻るじゃないかというものは、これはJRがそういうことを言っておるんでしょうけれども、右のポケットから左に入れたといって説明をしてみたところで、何も国家全体の税金がふえるわけでも何でもないわけですね。  ですから、そういうのはJRが自分たちは貢献をしておるつもりだということを言っておるので、それはそのとおりでしょう、それは事実として素直に受け取ればいいんだけれども、それを特別に出して、まさにこれは右のポケットから左という議論であって、ということをやってみても、何か努力した、何か連れてきたということをそれの所管当局が言いたいだけの話であって、そんな努力を考える必要はない、そんな小さいところに問題があるんじゃない。大きく視野を開いてさっき言ったようなところでやるべきだということを申し上げておるわけでございます。
  38. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 時間が参りました。ありがとうございました。
  39. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 日本共産党の筆坂秀世です。きょうはお忙しいところをありがとうございます。  最初に杉山参考人角本参考人にお伺いしますけれども、この間の清算事業団債務の増大を考える場合に、いろいろ努力はしたけれども収入よりも利払いの方が上回る、この利払いを何とかしなきゃいかぬというのがやはり私大きな課題だと思うんですね。分割・民営化直前の八五年度で見ますと、鉄道債券が約十兆円ありました。この償還先の中には、銀行あるいは国鉄の工事を受注していたゼネコンやあるいは車両会社等々があります。高いものは利率が七%あるいは六・九%、平均でも六・五から六・六%ぐらいになっています。やはり、これをある程度引き下げていくということによって金利負担軽減するというのが緊急にとるべき対策ではないかというふうに私考えるわけですけれども、御意見をお伺いしたいと思います。
  40. 杉山雅洋

    参考人杉山雅洋君) 私も、金利軽減というのは緊急にやらなければならないという点では全く同じでございます。ただ、そこでやはり金利軽減をするためにはその財源が必要でございますので、その財源について国民に透明性を示すような形を今後は考えていくべきではないかという点を先ほど申し上げた次第です。
  41. 角本良平

    参考人角本良平君) 私は、金利負担を考えるのは七、八年前でしたら大変有効な施策になっていたと思います。特に、バブルの時期からバブルが外れた時期に大事であった。しかし、今日の時点になりますと、元本も利息の分も両方あわせまして、やはり一括して大きな枠の中で処理すべき段階と考えております。
  42. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 今度は三人の方々にお伺いしたいと思うんですけれども、先ほど来出ております道路特定財源、これをどうするか。受益負担の問題であるとかあるいは目的税であるとか、いろいろ御意見をお伺いしたわけですけれども、やはり今考える上で一つ大事なことは、全体の交通ネットワークをどうしていくのか、鉄道であるとか空港であるとかあるいは自動車であるとか、こういうことを我々としては考えていく必要がある。それぞれをばらばらで整備するというのでは、当然社会全体から見ても浪費が生まれるということが一つあると思うんですね。  いま一つ、この特定財源方式というのは、下手をすると必要性よりもその予算を使い切るというためにいわば後から計画が出てくる。そして、何とかその財源を使い切る、そして実績をつくっていく、そういう意味でいえばこれが一つの公共事業の浪費の原因にもなっているんじゃないか、そういう点も一つ考える必要がある。  ちょっと古い数字になりますけれども、一九六〇年から七五年の十五年間で、交通関係全体の投資の中で道路投資が約七割を占めている。これは大体八割が税金で賄われている。一方、鉄道国鉄投資はどうかといいますと、約九割が借金、こういう構図にもなってきたわけです。ですから、いわゆるモータリゼーションがどんどん進んでいくというもとで、これはもうだれが悪いということではなくて、必然的に鉄道が圧迫されるという事態が生まれてきた。  今は、今度は逆にモーダルシフトということが課題として挙げられている。確かに、今は特定財源として道路整備ということで取られているわけです。しかし、これは考えようで、例えば道路をつくって自動車が走ればこれは環境が破壊されるとか、その意味では道路をつくって自動車ということだけでは決して済まない、その他の社会的な費用をもう一方では必要としている。こういう側面も否定できないと思うんですね。  そういうことを考えますと、おっしゃったように、もちろん国民の納得は必要でしょうし、あるいはその目的を変えるとかいうふうなことは当然必要でしょう、ただ単につけかえます、流用しますということではまずいわけですけれども、そういうことの全体を踏まえて、やはり今この道路特定財源方式のあり方というのを考えていく必要があるんじゃないかというふうに考えるわけですけれども、三人の参考人の方々の御意見お願いしたいと思います。
  43. 杉山雅洋

    参考人杉山雅洋君) 今、御指摘の総合交通政策論、これは昭和四十年代以降、日本の運輸省がとってきた政策でございますけれども、ただそこで考えなければいけないのは、国が主導型でもって分野を決めていくのかシェアを決めていくのかという点と、それから利用者市場での選択を通してその結果としてシェアが決まっていくんだという考え方二つがあろうかと思います。  交通関係のインフラストラクチャーですと市場での選択が非常に難しいわけですから、その点では政府の役割というのは重要になってくるわけでございますけれども、やはり現在の規制緩和が要請されている時代から見ますと、基本的には利用者の判断で市場参加者の判断をベースにすべきではなかろうかなと思います。  その場合に、今御指摘になられましたような社会的費用の問題がございます。ですから、それは社会的費用を含めた形で利用者市場で選択するというのが私の考え方でございますが、ただ問題は社会的費用というのは非常に計測が難しいことと、それから社会的費用というのは一体何だという定義もあるものですから、ここは広範に議論していく必要があろうかと存じます。
  44. 角本良平

    参考人角本良平君) 二つだけ申し上げます。  全国の交通ネットワークとか総合交通というのは、大変耳に気持ちよく響く。しかしながら、その具体案をつくった政府は世界じゅうどこにもありません。それは不可能なことです。そして、今現在、国民が何に困っているのかというチェックをしていただきまして、空港ができたけれども道路がない、そういったふうに解決していけば十分であり、またそんなに困っているところはもう残っていないと私は思います。  第二点は、鉄道道路の費用の負担の仕方でございます。  ある時期には今御指摘のとおりでありました。しかしながら、最近二十年あるいは三十年をとりますと、むしろ道路投資の金額に対しまして、特別目的税とそれから普通の税金とで道路利用者が払っている金額は五〇%以上あるいは一〇〇%に近い、時期によって違うと思います。  これに対しまして国鉄利用者は、巨額の赤字を残したという意味では、とにかく払わないで国鉄を利用するという期間が二十三年間も続いたわけであります。しかも、私が特に今申し上げたいのは、この二十三年の最初の半分におきまして非常に安い運賃を設定した。したがって、その結果、最初の運賃抑制政策によりまして後の方では極端に高い運賃利用者がむしろ被害者立場に置かれていたという事実がございます。  御参考までに申し上げました。
  45. 鈴木良男

    参考人鈴木良男君) 今の話を承っておりまして、私ちょっと記憶が間違っておったらと思うんですけれども、臨調時代にあれしましたときに、総合交通体系というのはどういう経緯で出てきたのかということをいいますと、たしか国鉄の赤字が累積してそしてそれが巨大なものになっていく、そのときに助けてください道路と、あるいは空港ということを言うためにつくられた言葉ではないかというふうに記憶しております。間違っておったら角本参考人に訂正していただきたいんですけれども。その中でそれが現実にファンクションしていないのは、今言われたとおりだと思います。  さらにこれは、私三番目ですから、もうほとんど同じことを言わなくちゃいけないのでなんですけれども、杉山参考人が言われたように、交通体系といえどもそれは確かにいろいろインフラの問題で難しい問題はあっても市場原理というものの中で決まるんであって、政府の施策だとかいうものがあらかじめこういうものがこうだというんじゃなくて、それを選んでいくべきであると。こういう世界に今後、規制緩和の世の中というのはまさしくそういうことを言っておるわけですから、そうなるべきだというふうには基本的に思っております。  それは何によって選ばれるのかといったら、いわゆるコストとベネフィットの関係において最も有利なるものが最も社会的貢献をして最も経済的貢献をしておる、この原則に立って問題は判断されるべきだというふうに思います。  そこで、特定財源というようなものが約束づきのひもつきであるがゆえにというところが問題になってきて、もしそれがそこのほかへ行くんだったら、なぜ自動車重量税だとかあるいはガソリン税という極めて高い税率のものをかけられなくちゃいけないのか。この問題は確かにあるわけであって、その間の税の負担の公平という問題はこれは確かに起こるかと思います。  しかし、その点は、改革するに当たっては見直しをして、そういうガソリンなり自動車を持つ人の負担は一体何であるべきか、本当にそれを定義づけるのは難しい問題ですけれども。その上で、一般財源化した後はコストベネフィットですべてを選ぶ。それにはマーケットメカニズムが入るという原則が適用可能な問題となってくるのではないか、こういうふうに思うわけでございます。
  46. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 最後に、杉山参考人にお伺いしますけれども、冒頭の御意見で私が言おうとしたことは大体批判をされましたので言いにくいんですけれども、JR負担の問題なんです。  一つは、やはり分割・民営化のときに、貨物であるとかあるいは旧国鉄時代の赤字部門、こういうものは基本的に切り離すと。そして、いわばもうかりそうなところを分割する、特に本州三社の場合には。三島の場合には事情が多少違うと思います。  同時に、大体簿価でこれが譲渡される。私調べてみましたら、例えば山手線で見ますと、二十九駅あるわけですけれども簿価でいいますと七十九億円、承継当時の時価でいいますと約二十兆円に上る。東日本が承継した債務が約四兆円程度ですかね。ですから、そういう意味では含み資産というのはこれはもう相当なものがある。しかも、今その土地を利用して駅ビルであるとかいろんなものをつくって、これは東日本が二〇〇一年に向けてどうやるかといいますと、大体売り上げ規模五兆五千億にする、鉄道の売り上げは二兆五千億、関連事業で三兆円ということになっているんです。やはりそういうことをできる条件が本州三社の場合にはあったわけです。こういう経過が一つある。  もう一方で、例えば今でも、国鉄当時であったなら国鉄に対して出されておった国の負担財政再建利子補給金であるとか、こういうものが、確かに今はJR清算事業団に分かれましたからJRには出されていないけれども、しかし本来なら、これは清算事業団だけにじゃなくて一体のものだったわけですね。こういうこともある。  あるいは鉄道共済年金問題がありますね。これも清算事業団負担している。この額も、既に毎年三千五百億円ずつぐらいたしか清算事業団負担していると思うんです。  こういう事情を考えますと、やはり今二十八兆円を超える債務を抱えてさてどうするか、大変だという場合に、JRにある負担を求めていくというのはそれなりの合理性があるんじゃないかと思うんですけれども、最後杉山先生の御意見
  47. 杉山雅洋

    参考人杉山雅洋君) 私は、前に申し上げましたように、JRと旧国鉄とは違うんだという認識を持っております。  それで、今JR追加負担を求めますと、当然に運賃料金にそれが転嫁されざるを得ないわけです。そういたしますと、交通市場の中で資源をゆがめてしまう、JRの競争力を落としてしまうという点で改革の趣旨が生かされないんではないか。ですから、現在の競争的な交通市場の中でJRが生き残っていくためには、やはり追加負担は求めるべきではないというのが私の基本的な考え方でございます。
  48. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 どうもありがとうございました。
  49. 末広まきこ

    末広真樹子君 自由の会の末広真樹子でございます。  本日は皆様ありがとうございます。大変てきぱきとわかりやすく御説明いただいて、感謝しております。  そもそも国はいろいろなポケットをつくるな。それがあるから、こうやってつけかえだの、たらい回しだの、隠してまた出してくるだの、手品もどきのことが起きてくる。それから、歳入歳出においてはいろんなポケットは全廃せよ。こういうお三方の声に聞こえましたんですが、それでよろしいんでしょうか。違うよという方は御発言ください。皆さんそれでいいということでございますか。
  50. 鈴木良男

    参考人鈴木良男君) 違うという意味ではございませんけれども、ちょっとよろしいですか。  言ってみますと、長い期間手をこまねいて、本来やらなければいけないのを放置しておいた組長さん、隣組の組長さんという意味ですよ、それがちょっと今度十年目にひとつ何か行事をやるから、隣近所の人に嫌だと言うのに寄附金を出してくれと言って一生懸命に集めて頭をひねっておるというのが、大変失礼だが今の政府のこの問題に対するあれですね。  それはわからぬではないんです。ということは、これを一般会計に入れて赤字国債を発行する、あるいは租税措置をとるとまで私は申し上げておるんですけれども、何らかの説明がやる側の人としては欲しいでしょう。だからそういうことをやつておられるんですけれども、何を言っても合理性がないから結局反対になっちゃうんです。  その話は、やっておりますと、結局JRからも取り損なった、それから総合交通体系からも取り損なった、なにからも取り損なった、だからもう仕方がないから清算事業団はこのままにしておこう、また利子はふえるけれどもと、この結論が私は一番怖いんです。だから、そういう事柄について利害のいろいろ反するところに対してなにを出せ、かにを出せと。しかも、理由があったら出すだろうと思います、ないときに出す人はおりません。  だから、私が申し上げるのは、早く処理しなさい、そして国の持っておる債務の全体の重みを考えて行政改革をやるこれはまたとないチャンスだから、今のうちに何だめらうことなくこれを一般会計に入れてください、そして措置は赤字国債なり、前提が非常にたくさん要りますけれども租税措置をやってと。とにかく放置するのが一番いけません、こういうことなんです。
  51. 末広まきこ

    末広真樹子君 その点は非常によく理解しております。それが最も望ましい。  というのは、我々議員が国の歳出歳入を見ましても、あっちにも引き出しある、こっちにも引き出しあるで非常にわかりづらい。普通の会社ではああいうことはやっていない。それを国はやっている。だから、これはもうこの機会に、長期債務だけと言っていないで、すべからくすべて発想を変えるべきと思っております。  それで、お聞きしたいのは、一たん民営化したんだから再負担はいけない、民営化の大原則というものを貫き通さなければいけないのだとおっしゃっていますね。ところが、私が思うには、十年前の民営化時に全然問題はなかったんですか、債務の公平な清算事業団負担とそれからJR負担があったんだろうかと。JRはちゃんと商売として成り立っていくようにしつらえられて嫁いだ。それで、清算事業団はそういうしつらえがなくて、いわゆる何にもお金を生み出す手だてを持たない事業体として残されて、しかも借金を減らしなさい、こういう無理難題を押しつけられてきたんじゃないのかなと。  一般の商売でいいますと、板前さんで勤め上げて、それで御主人が店舗も用意したよ、それでお客さんも全部上げるよ、あんたの腕で後はやっていきなさい、腕のいい板さんも、これは運転士さんなんかを初めとする技術者ですけれども、これをつけてあげるよ、それでやっていきなさいと。それであとは、残された清算事業団の職員たち、おれたちは何のために残るんだいって、そういう悲哀を持ってこの十年過ごしてきたんじゃないのか、こういうふうな不公平感も私は感じるんです。  角本先生がずっと発言したそうにしていらっしゃいますので、どうぞ。
  52. 角本良平

    参考人角本良平君) 私は発言したそうにしていたわけでございます。  と申しますのは、恐らく、私の記憶が間違いなければ、再建監理委員会はこのような事業団をつくることは考えていなかったと思います。私個人が分割・民営化を主張したときも、赤字は全部これは納税者負担処理していただくほかにない、こう考えておりました。ですから、事業団をつくった方がどのような考え方でつくられたのか、もう一度はっきりさせていただきたいと思います。ですから、事業団をつくったのは我々分割・民営化を言った者の責任ではございません。そのことだけは私個人としてははっきり申し上げます。  しかも、民営化してJRとして発足したものの、金利負担を考えますと、これは明治の終わりに国鉄に買収いたしましたその買収資金金利負担、これが一九〇六年以後の国鉄には非常に重い負担でありました。それが大正の末期に若干緩和したところでまた昭和の不況が来まして、非常に重い負担になりました。それを何とか当時の鉄道省は切り抜けたわけでございます。  今JRが、私は本州三社も非常に危ないと申し上げているのは、この金利負担が依然として非常に重いということです。うまくいっているということをJR三社は株主の手前言いますけれども、彼らの中身はそんなに安全なものではございません。自動車時代鉄道企業が世界じゅう全部破産しているんです。後進国は別であります。先進国では全部破産している。このような状態をぜひお考えください。  その上で、我が日本がとっておる運賃政策は、原価を下回る運賃が当然であるということを言っておるんです。原価を下回る運賃で一体企業が成り立つでしょうか。JRが皆さん今後安泰だと思って議論を進められたら、これは大間違いだと、きょう私はぜひそのことを聞いていただきたくて引き受けたわけでございます。
  53. 杉山雅洋

    参考人杉山雅洋君) ポケット論でございますけれども、私は各種の歳入手段組み合わせを申し上げたわけでございますので、そういう意味では持ってくるポケットは幾つあってもよろしい、しかしその処理一つでやりなさいということですから、誤解のないようにしていただきたいというように存じます。  それから、清算事業団の件でございますけれども、これはまさに清算事業団でございますから、清算がなくなれば使命は終わりということで、ゴーイングコンサーンではないわけです。そういうことからいたしますと、恐らくそこで働く人たちの労働インセンティブというのは、ほかのJRに移った方に比べるとはるかに少なかったんではなかろうかなというように思います。例えば、私に清算事業団に行けと言われたら嫌だというようにお答えしただろうと思います。
  54. 末広まきこ

    末広真樹子君 私もそう思うんですね。何かこの十年、つらい思いで来られただろうなと。そして、今また国民の総非難をこれから浴びていくわけでございます。あなたのところのお父さんどこ勤めているのって、国鉄清算事業団と言うと、いやあなたのところのおかげで私たち二十万ずつまた負担させられそうじゃないのという。それは、だれに責任があるのか、責任の所在をきちんと明確にしてあげないと何か浮かばれないなという気がするのでございますが。  質問としては、大体皆さんいろんなことをお聞きになっていらっしゃるので、ちょっと変わった質問をここでさせていただきますが、清算事業団は今の段階で破産宣告できないんでしょうか。しちゃったらどうなるのでしょうか。これをお聞かせください。
  55. 角本良平

    参考人角本良平君) これは鈴木参考人が御専門だと思いますけれども、私が国鉄時代に自分が勤めておりまして、日本国有鉄道という公共企業体の一番大きな間違いは破産できない組織であったということであります。国の政府あるいは国の政府を代行するものは破産できない、そこのところに根本の間違いがあったと思います。ですから、日本政府も破産できるという組織にすればもっとみんなまじめに考えたと思っております。
  56. 鈴木良男

    参考人鈴木良男君) 清算事業団というのは、破産した後の管財人であるにすぎないわけですね。破産はもう六十二年のときに終わっておるわけです、国鉄としては。それをただ管財人としてやったにすぎない。しかし、その管財人にしても、国が協力してくれるのがなさ過ぎた。だから、清算事業団金利がふえていっても、まあそちら側の方でやっておった方が国の一般会計を傷めないからいいだろうといってやってきたのが、九兆、十兆に及ぶ利子の払いということになるわけです。  そこら辺に対しては清算事業団は何の責任もない。土地を売りたいと思ったでしょう。土地を売りたいと思ったけれども、とめたのも国です。それをやってきたことは清算事業団には何の責任もありません。そういうふうに考えていただいて結構です。
  57. 末広まきこ

    末広真樹子君 そうすると、清算事業団はもうもともと破産しているんだ、管財人だということになりますと、じゃ国はその管財人からも利子を取り続けてきたんですね。そんなことはいいんですか。管財人からも利子を取るんですか。
  58. 鈴木良男

    参考人鈴木良男君) 管財人が利子を払う金が欲しいと言ったけれども国が出さないから、だから管財人は、仕方がないから財投という機関に行って五・五%でお金を借りてこざるを得なかった。また、財投も、本来郵便局から預かったお金ですから有利に回すのが当たり前なのに返ってこないのを承知の上というので貸し続けた、そして金利を稼いだというのが実態ですね。しかし、その財投も国ですから、だから国のまにまに漂わされたということですから、ここの委員会はもうそれに決着をつけていただきたい、こういうことであります。
  59. 末広まきこ

    末広真樹子君 そうすると、ますます不思議になるのが、管財人にも貸すんですね、お金。これが不思議。普通、民間的に発想しますと、破産している管財人にお金を貸す人はどこにいますか。だれも貸しませんよ、そんな。見向きもしませんけれども、これについてはどう考えればよろしいですか。
  60. 鈴木良男

    参考人鈴木良男君) あるから余るから使う財投制度、使うから生き延びる特殊法人という、それがまさに原因であって、財投にお金があり余っておる。貸付先がある。清算事業団に貸したら、お国同士ですから返ってこないとはまさか思わないというわけで、財投はそういう分野にもお金を貸し続けておる。これは国鉄だけじゃありません。林野もそうです。そういう財投の持っておる基本的な大きな問題というのもこの際はっきりさせておかないといけないというふうに思います。
  61. 末広まきこ

    末広真樹子君 私の望んでいるお答えがどんどん来ているものですから続けて聞かせていただきますけれども、そうしますと財投は今後どうあるべきでございましょうか。
  62. 鈴木良男

    参考人鈴木良男君) 基本的には廃止すべきだというふうに思っております。と申しますのは、財投の使い先である財投機関、この仕事というものは、もはやほとんどのものが現在的に行う意味というものを失っております。また、多くのものは、多くとは申しませんが、もう少し市場原理というものに任せる、例えば道路とかというようなものですね、という時期にもう来ておるというふうに思っております。
  63. 末広まきこ

    末広真樹子君 あと一分ありますので、財投は今後どうあるべきか、同じ質問を残りの方お二人にお願いしたいと思います。
  64. 角本良平

    参考人角本良平君) 私も鈴木参考人と全く同じ意見でございます。これは要りません。
  65. 杉山雅洋

    参考人杉山雅洋君) 私も同じでございます。
  66. 末広まきこ

    末広真樹子君 ありがとうございます。とても私合点いたしました。
  67. 栗原君子

    ○栗原君子君 まず杉山先生にお伺いいたしますけれども、清算事業団は土地を売る、あるいはまた株を売るということでこの間ずっとやってまいりましたけれども、結局はこれはもう利払いに追われて、売っても売っても解消することはできなかった。大変むだなように思えるところがございますけれども、いまだにこれを売り続けようとしているわけでございますが、こういうむだなことはもうやめた方がいい、こういうことに解釈してよろしいんでしょうか。
  68. 杉山雅洋

    参考人杉山雅洋君) まだ清算事業団が持っている資産が残っているわけです。そして最終的に負担国民に行くわけでございますから、その国民負担軽減を最大限図るために、現在持っている資産の売却というのは私は必要だというように認識しております。
  69. 栗原君子

    ○栗原君子君 そこで、売れるところは大体もうそれなりのことができた、まだそうでないところもありますけれども。だけれども、今もって売れないところというのはいよいよ最後まで引きずっていくと思うんですけれども、これについてはもうそれは仕方がないであろうと思えばいいですか。
  70. 杉山雅洋

    参考人杉山雅洋君) それでも、最大限の努力をしないと、負担を求める国民の納得が得られにくいだろうというように思います。
  71. 栗原君子

    ○栗原君子君 角本先生にお伺いいたしますけれども、ローカル線の撤去、あるいはまた貨物縮小などをお考えのようでいらっしゃいますけれども、そういたしますと、地方のそうした輸送業務というのはバスとかトラックとか、そうした自動車に頼っていくことになるんでしょうか。  そしてまた、それらは環境への影響ということで考えますと、やはり一定の鉄道の役割ということも必要ではないかなということも言えるんですけれども、いかがでしょうか。
  72. 角本良平

    参考人角本良平君) この事柄は、実はきょう私がぜひ聞いていただきたいと思って来た一つでございます。  と申しますのは、鉄道を見捨てたのは鉄道利用者であります。国鉄側あるいは民鉄企業側ではございません。美祢線という山口の短い区間ですけれども、これは三月末に廃止になりました。あるいは青森県で黒石線というのがございまして、これは一度民間企業が引き受けられて、十年間にお客が六割ぐらい減ったと思います。見捨てているのは鉄道企業側ではなくて国民の側であります。ですから、見捨てられたものは無理にこれ以上立ち直ろうとはできない、もう努力の精根尽きたというのがローカル線であり、貨物であります。  私が今心配していますのは、こういうローカル線貨物のために、また我々の税金を使われるのでは税金は幾らあっても足りないということです。JR貨物、これは五年続きで赤字になろうとしております。この赤字の始末は恐らくJR貨物はできないと思います。そして、第二の清算事業団が必要になります。しかも、二千億円の収入があるところへ四百億円も設備投資の計画をしておるということで、この二千億円の収入に対しまして欠損が千百億毎年出ているというぐらいの計算になっておりますから、勘定は絶対合いません。  ということで、この二つは環境問題と絡めてと言われましても、鉄道サービスを続けておりましても自動車利用者はやまない。ですから、鉄道があったからといって環境がよくなるわけではない。この点をよく御認識願いたいと思います。
  73. 栗原君子

    ○栗原君子君 鈴木先生にお伺いいたします。  鈴木先生は民営化論に大変積極的なように受けとめることができたんですけれども、例えば郵政の民営化もこれも必要である、そういうお考えでございますけれども、今の資本主義体制の中では、やはり弱肉強食の様相が大変あちらこちらで見られるわけでございまして、その民営化していくことによって弱者が切り捨てられていく、あるいは地方のそうした中山間地域が切り捨てられていくということに対しては、どういうことで対応していけばいいのでございましょうか。
  74. 鈴木良男

    参考人鈴木良男君) 私が民営化と言っておりますのは、もちろん官業の民営化、例を郵政三事業にとってみたいと思います。  いろいろ現在議論されておりますが、私はぜひ郵政三事業は民営化すべきだと。しかも、先ほどから言っております、最も株式の売却益を国家にもたらしてくれる最大の存在だというふうに思っておるわけです。  そこで、民営化したらどうなるのかというのが郵政省側から提起されるわけです。そうしますと、現在、特定郵便局が全国に二万四千あると。しかし、もうからないところは要するにどんどんやめてしまうと言うわけですね。それが弱者の切り捨て論という形になると思います。しかし、これは、私は郵政省もそうはお考えになっていない。むしろ現在、少しやっぱりためらいがある。そのためらいはやめた方が郵政省のためだと思います。そのために言っておられるだけのことである。  民営会社というのは、特にネットワークを張っておるようなああいう産業の中において、山の中といえどもだれもいないわけで、しかも特定郵便局というものは要するにもう償却も終わって費用は要りません。そして何でもかんでもいろいろな商売がやれるわけです。セブンイレブンの下請になってもいいわけです。というような形で、地域の中での物流、流通の拠点になり得るものです。そうしたときのネットワーク産業というのは、資産はネットワークなんです。ですから、それを私は捨てる民営会社というのはない。経費は安い。それから、特定郵便局の方もその地で育っておられる方です。ですから、店を閉めて働く場所もないという関係に立つから経費は安い。そこでネットワークは維持したい。これが民間の原理なんです。  ですから、私は、民営化すると切り捨ててしまうよというような話は、これはある意味での反対のためのおどしとして言われますけれども、しかし、それに余り惑わされないでいただきたい。  さらに申し上げるならば、国鉄です。国鉄時代は、国家の存在であった国鉄が地方交通線というものをどんどんカットしていった。これは当然私はカットすべきだと思います。需要もないものに供給をつけておくのは間違いです。しかし、これは国家である間に激しく葛藤していったというのが現実であって、JRの方になってもそれは進めるべきです。しかし、国だからいわゆる全国あまねくサービスを提供する、民間はしない、これは間違いであります。国の方がむしろ公共性の名においてそういう行動に走りがちであるという事柄は歴史が証明しているというふうに思います。
  75. 栗原君子

    ○栗原君子君 鈴木先生、他の先生もそうでございましょうけれども、清算事業団というのは役立たなかった、そういうことをおっしゃったように受けとめたんですけれども、役立たない状況にしてしまった国の責任もあるわけでございますが、本来は、だからそういうものは必要でなくして直接政府の方でやるべきだった、全部赤字も政府の国債の中に入れてというように解釈していいんですか、ちょっとそこをはっきりつかめないものですから。
  76. 鈴木良男

    参考人鈴木良男君) 役立たなかったことはそのとおりです。清算事業団といえども一つの特殊法人ですから、清算をするという役割を持っておるわけですから、だからその役割を果たすためには、有利に土地が売れるときには売らせてくださいという事柄を言ってその要求を通すべきだったけれども、運輸省からだめだ、内閣からだめだと言われたら、そのままさっと引き下がったわけですね。そういう点では役立たなかったと言っているけれども、しかしそれはもう役立たない仕組みになっておるというのか、特殊法人にそんな権限はありませんから、だからこれはやむを得ない。清算事業団を責めても仕方がない。責めるならば政府だという事柄になるわけです。  そこで、どうしたらよかったのかということを言ったら、いわゆる六十二年において配分のルールができ上がったそのときに引き継いだ二十二・一兆円ですか、二十五兆円というのは新幹線のあれを入れていますから実質は二十二二兆円だと思いますけれども、その中で返済不能が十三・八兆円というふうに見積もられておった。これは見積もりの問題ですけれども、その時点で相当部分、その計算どおりのものでも結構です、あるいは全額でも私は結構だと思う、それをすべて一般会計の中に引き込んでおけば今日の問題はないと。そして、その後、もし有利に土地が売れたりなんかしたら今度は一般会計の歳入として入れればいいことであって、そのときに終わりを告げるべきだったと思う。  隠れ借金としてほうっておくから、みんな隠れているとちっとも思わないのに、隠れ借金として結局政治の目も余り注目しない、国民の目も注目しない、こういう形にした。これが十年のツケだったというふうに思うわけです。
  77. 栗原君子

    ○栗原君子君 時間がございませんので、もう一点ちょっとお伺いしたいと思います。  先般、当委員会におきましても整備新幹線の問題を議題として審議をしたわけでございますけれども、リニアは実用化しない方がいいとおっしゃったのは角本先生ですね。運輸省の中でも、新幹線とそれから債務の問題は別の問題であるから、新幹線は新幹線で、整備新幹線はこれを進めていくといった考えが一つあり、また一方では、これは昨年の十一月三十日の新聞記事に出ておりますけれども、病気の父親を放置しておいて家族はフランス料理を食べに行くようなものだと、このように運輸省の幹部がおっしゃっているといったようなことも出ておりますけれども、この整備新幹線債務関係というのはどのように解釈すればよろしいでしょうか。
  78. 角本良平

    参考人角本良平君) 一言で申し上げますと、二つのことは全く別であります。ですから別々に議論されればよいと思います。ただし、別々に議論して、整備新幹線も即刻中止あるいはしばらく延期するということであります。ですから、一緒に議論して混乱するわけでありますから別にした方がよい。しかし、一緒に議論しようと別に議論しょうと、整備新幹線は私は効果の極めて少ない状態であると。  一言だけ申し上げておきますが、皆さんのお手元にあるはずの資料では、例えば新幹線旅客輸送量は東海道・山陽込みで出ております。これくらい不都合なことはございません。東海道と山陽は傾向が全く違うんです。それで、山陽が落ちぶれているということをごまかすために東海道をかぶせている。こういつたことを見破っていただきたい。ですから、今後の資料は東海道と山陽とを別にする、これをはっきり国民に示していただきたい。山陽は、一九七五年度が輸送量の最高でございます。今から二十一年前なんです。こういった事実をよく御認識願いたいと思います。
  79. 栗原君子

    ○栗原君子君 恐れ入ります、あと整備新幹線は進めた方がいいとおっしゃる先生がいらっしゃればちょっとお伺いしたいと思います。お二人の先生、どうでしょうか。
  80. 杉山雅洋

    参考人杉山雅洋君) 進めたらいいという意味で手を挙げたわけじゃございません。私も反対でございます。  と申しますのは、政府・与党の申し合わせの中で採算性という言葉がちゃんと明記されているにもかかわらず、採算性の検討をやりましたという報告はほとんどないわけでございます。私どもが研究会で整備新幹線のフィージビリティースタディーをやりますと、ほとんど採算に乗ってこないという点でございますので、赤字が赤字を呼ぶということが非常に懸念されるわけでございます。
  81. 栗原君子

    ○栗原君子君 鈴木先生も大体同じような意見でしょうか。
  82. 鈴木良男

    参考人鈴木良男君) 私は、整備新幹線であるがゆえに国鉄問題の長期債務と絡みつけて議論するつもりは全くありません。整備新幹線に限らず、あらゆる投資という問題に対しては、いわゆる費用効果という問題を考えて、はっきり言えば、もうからないものはもうやめてくださいという事柄を、それが大前提だということを申し上げたいと思います。  さらば、新規着工分の今の三線五区間はどうだというのが一番問題になってくると思います。その意味でいきましたら、新規着工分というようなのは約一兆二千億というふうに書いてありますが、私は角本先生と違って交通専門家ではありませんが、一見して、従来の流れからもうからないことは素人にも自明だと思います。  では、かかっている三線五区間はどうかということになりますと、素人目で見まして、高崎−長野間ぐらいがまあまあ何とかというものであって、そのほかのものについては恐らく非常に失望的なもの、あるいは赤字の原因になるでしょうというふうに従来から見ざるを得ない。  そこで問題は、高崎−長野はもう終わっていますからそれはそれでよろしいけれども、またしかかっておる例えば盛岡—八戸、二七%の進捗率ですね。それから、糸魚川−魚津一四%、石動−金沢三七%、八代−西鹿児島二四%、こういうところをどうするのかという問題だと思います。五〇%を超えたんだったら仕方がないというのが、これが今までの投下資本も考えてある一つの目安ではないかというふうに私は思うわけです。そして、資料にありますそれによる短縮効果というのもほとんどそれほどらしい問題ではないという事柄から、新規着工分は言うに及ばず、今の着工分においてすらもその目を持っていただきたいというふうに思うわけであります。
  83. 栗原君子

    ○栗原君子君 ありがとうございます。終わります。
  84. 芦尾長司

    芦尾長司君 芦尾長司でございます。最後になりまして、お疲れのところ参考人の先生方よろしくお願いいたします。  まず、この長期債務の解消ということにつきまして国民理解を得ていかなければならないということは、もう大前提であろうかと思っております。そうしたことの中で、先ほど杉山先生がポリシーミックスということをおっしゃられましたけれども、私も全く同感でございまして、先般もそんなような質問をさせてもらったわけでございます。  そこで考えられますのが、経過はあったにいたしましても長期債務が発生しておる、その長期債務が発生してきているその原因というものを大くくりではあろうができるだけ定性的に分析をして、その分析の基本としては、一つ経済性、料金が取り足らなかったというかそういうことと、それから一つは公共性で、あるいは税金を投資し足りなかったというか、そういうふうに考える。その上で、それではポリシーミックスというときに一番のところは税金で充てるべきだろう、経済性のところでは、あるいは御議論あるかもしらぬけれども料金アップで充てていくべきであろうと。  そういうふうに分析して、ある程度類型化して、そして国民の前に示して、そしてこれからのポリシーミックスでやられる部分をこういうふうに充てますよというふうに説明していくのが大切ではなかろうか、そういうふうに今考えておるのでございましょうけれども、いかがでしょうか。まず杉山先生にお願いしたいんですが。
  85. 杉山雅洋

    参考人杉山雅洋君) 私は、現在残されております事業団分の債務償還計画をまず明示して、これはいろいろな選択肢がありますから一本ではできませんけれども、数案償還計画を計算し、それを明示して、そのためには何がどれだけ必要なのかということの組み合わせ、これは分析によって可能でございますから、それを問うためにまずその償還表を出して、このためにこういう手段が考えられますけれどもどうでしょうかというような形を政府広報を通してやっていただけないだろうかという感じがいたします。そうでなければ多くの人にその情報が行き渡らないということから、それをお願いしたいということを申し上げております。
  86. 芦尾長司

    芦尾長司君 例えばその場合に、これは利子分であるからこの利子分についてはこういう形、これとこれとの組み合わせで解消していきましょうとかといったようなそういう類型化というんですか、そこまでこれから考えていかなければならぬと思うんですけれども、その辺はいかがでございましょうか。
  87. 杉山雅洋

    参考人杉山雅洋君) それはやりようによってはできると思います。ただ、責任を回避するわけではございませんけれども、私どもにはそのデータがないものですから、そのデータを持っているところがまずその試算をやってみるべきだというように思います。
  88. 芦尾長司

    芦尾長司君 ありがとうございました。  角本先生、今のようなそういった考え方でおるわけでございますが、先生は、特にこれからの公共投資も三分の一ぐらいにしろ、余った税でこういう解消を図っていけといったようなことも含めておっしゃられておるのでございましょうか。そのときに、この前読売の「論点」で御発表されておったのでございますけれども、一人が一キロ行くコストが料金の二倍ぐらいの程度だったら国民は納得してくれるんではないか。要するに、料金と倍ぐらいの公共投資をしても納得していただける限界があるのではないかといった論文も発表されておりますが、その辺も含めてお願いしたいと思います。
  89. 角本良平

    参考人角本良平君) 私は、この面の専門家ではありませんけれども、事業団原因として生じた債務というのは、土地を売らせなかったことと利息と、この二つだと思います。その二つに類型化しまして対策を講ずるといっても、原因は分類できますが対策の分類は不可能。したがって、原因対策とを結びつけて類型化していくのは私の頭ではできそうにありませんから、これ以上お答え能力ありません。  それで、後の方は私は専門家でございますが、国鉄時代ローカル線は十倍とか二十倍とかいうコストをかけるような路線がございました。それはおかしいんじゃないかと。一円しか払わない人に九円も我々が応援することはおかしい。しかし、選挙の話でも一対三ぐらいなら認めるとか、一対二なら我慢するとかいうお話がありまして、そこらのところを考えますと、運賃百円払う人に対して山の中の路線はもう百円ぐらいは税金で応援しましょう、これが限界ではなかろうか。そういうふうに考えていきますと、これからの整備新幹線で合格するものはまずないんじゃなかろうか、こういうふうに考えて書いたわけでございます。
  90. 芦尾長司

    芦尾長司君 ありがとうございました。  私なりにポリシーミックスを考えるときに、どの辺が税金で負担すべき部分の限界なのかなという判断材料になるかなと思いまして御質問をさせていただいたわけです。  同じような考え方鈴木先生にもお願いしたいんですが、JR負担につきましては先ほどおっしゃられてよくわかりました。日経でも気は心だといったふうにおっしゃっておりますからその点はわかるのでございますが、例えばそのJRから気は、心にしても何かいただくとしたときに、その部分はこういうところへ充てていくんですよといったようなことを、新税を取るにしてもその新税分はこういう部分に充てるんですよといったような国民に対する説明があるいは必要ではないかなというふうに思うんです。特に、ポケット右から左というさっきのお話でございますけれども、右から左に渡していくにしても、一応の説明がつくんならそういう説明をむだでも、むだと言うとおかしいんですけれども、することが必要ではないかなというふうに思うんですけれども、いかがでございましょうか。
  91. 鈴木良男

    参考人鈴木良男君) 私の気は心が大分誤解を呼んでおるようなので、先ほども申し上げましたが、もう一度させていただきます。本来は必要ですけれども、国民は税金を払うのを好んでおりません。この問題に対しては払ってやろうという人がおったとしても、ほかの政府のパフォーマンスが悪いから払いたくない、こういうのが実情だと思います。私は払います、国鉄の再建に関する限りは。ほかは異論があります。  そういう意味合いで、もしこの問題を抜本解決するときに、私は早く処理しろということを言っている。早く処理するにはこれは税金によるしかない。もしくは、国債によるんだったら、これは六十年物だなんというようなことになったらとんでもない、昭和三十九年からのもうなくなった国鉄の罪を将来の六十年先にひっかけるわけにいきませんから。そういうのに対して、早くやるために税金をお願いするという非常手段をとる場合には、これは日本的、情緒的かもしれませんが、その場合には、JRも総合交通体系も、これは義務がないんだから自発的に、やっぱり国民の皆様ありがとうございますと、それはやはりJRが、旧国鉄に近いことは間違いないですから。  そこで、呼び水としてそういうことをやったんだからというので呼び水としてやるのはこれが限界だ、こういうことを申し上げたんで、JRから取ってやってくれだなんてことは断じて申し上げておりませんので、誤解なきようお願いしたいと思います。
  92. 芦尾長司

    芦尾長司君 先生の御趣旨はよくわかっておるつもりでございますが、ただ、仮にJRからいただくとしたときにもこういう部分に充てますよというところをはっきりしないといけないんではないか、そういう意味でございます。
  93. 鈴木良男

    参考人鈴木良男君) わかりました。  呼び水でございます。あくまで使命は呼び水でございまして、充てる先ではございません。
  94. 芦尾長司

    芦尾長司君 わかりました。  それから、もう最後になりますけれども、先ほど財投は先生方皆廃止だ、要らないというふうにおっしゃられたんですけれども、私は、今の財投の運営がいいか悪いかということは議論があるとしても、全部を経済原則に任せて財投のこのような機能が国の中からなくなるというのは問題じゃないかと思うんですが、その辺はやっぱりそういうふうにお考えでございましょうか。
  95. 角本良平

    参考人角本良平君) 私は鈴木さんと違いまして素人でありますけれども、素人が考えますと、我々が支払うお金利用者として払うか税金として払うかどちらかに割り切っていただきたい。郵便局へ貯金したらそれがいつの間にかあらぬ方へ行く、このような仕掛けをつぶしてしまいますと財投は消滅せざるを得ないんじゃないか、財投を残そうと思いましても財源がなくなってしまうんじゃないでしょうかということであります。
  96. 杉山雅洋

    参考人杉山雅洋君) 財投が今まで機能してきたという点を私は否定するつもりはありません。しかし、昨今、昨今といいましても相当長いスパンを振り返ってみますと、財投が現在の経済システムの運営上プラスに機能してきたかという判断は非常にしにくいわけでございまして、これ以上財投に頼ることのマイナスの方がむしろ大きいという意味で私は不要論を申し上げた次第でございます。
  97. 鈴木良男

    参考人鈴木良男君) 財投は確かに三十年代日本が復興するときにそれなりの意味を持った、これは事実です。しかし、日本が合成熟段階、ポストキャッチアップ時代と言われる時代に入っておるときにその財投の存在というものが、例えば公的金融の流れというものを、市場メカニズムのないものですからその中で著しくゆがめているという弊害はもうまさに出ております。  特に今、金融のビッグバンというのが行われて、民間金融というのが生まれ変わってこようとしておるわけですね。従来財投がなぜ生きたのかといったら、これは民間金融機関のだらしのなさの裏返しであるわけです。そのために生きてきたんですけれども、しかし民間金融機関というのはそれではもはや存在ができない時期に入っておる、だからビッグバンだと。そして生まれ変わってくる、その過程の中では幾つかが整理されていく、これは当然予定されておるわけです。  そういう時代というのがもうそこに来ておるわけですから、その時代においては国が、まさにさっき角本先生おっしゃられましたけれども、定額貯金した人はまさかそこへ行くとは思っていない話の中で、それをしかも国の配分計画によってやるという仕方というのはもう限界だと、マーケットメカニズムによって配分するというメカニズムに抜本的に変えないといけないんではないかというふうに私は思っております。
  98. 芦尾長司

    芦尾長司君 ありがとうございました。
  99. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の皆様方には、本日は長時間にわたりましてまことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして御礼を申し上げます。(拍手)  午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時十七分休憩      —————・—————    午後一時三十分開会
  100. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  日本国有鉄道清算事業団債務負担軽減を図るために平成九年度において緊急に講すべき特別措置に関する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  101. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 平成会の横尾和伸でございます。  私ども平成会は、本件につきましては運輸委員会のみで扱うのではなくて大蔵委員会との合同審査が必要だということを当初から一貫して主張してまいったわけですけれども、それが残念ながら実現しなかったわけです。その関係もありまして、きょうは、前々日の二十七日には大蔵省からは説明員の方だけでございまして、この重大問題に財政当局から説明されるということだけじゃ済まない、責任ある答弁なり見解が求められているということでございますので、前回二十七日にはそういう事情がありましたので、二十七日に申し上げたことを重ねて申し上げることがあるかと思いますけれども、大蔵省の政務次官には初めてでございますので御質問させていただきたいと思います。  まず、これ大問題ですね、二十兆円にも上る国民負担を求めるかもしれないと。国民から見れば事実上新たな負担ということで、何の根拠があるのか、なぜ国民が払わなきゃいけないのか、そういったことはもう既に問題化されておりますけれども、これからおいおい大問題になるだろうと思います。  こういった問題について、債務残高が減少するどころではなくて増加させてしまったこと自体も大問題であるということで、私は去る五月九日の本会議で質問をいたしました。総理に、当時運輸大臣であった総理自身も責任が重いのではないかという趣旨で、あえてそのことを取り上げて質問しましたところ、総理からは責任を感じているとかあるいは申しわけないとか、そういった文言は一言もなく、答えは「政府としては、そのときそのときの情勢の中で国鉄長期債務処理に最善と思われる措置を講じてまいりました。」と、こう言って、私から見るとこれは開き直りです。ベストを尽くしてきたんだから何を文句があるのか、ベストを尽くしたからいいんだなんていうことはあえて言うべきことではなくて、政治家がベストを尽くすのは当たり前であって、ベストを尽くした、だからどうなんだというような態度は私は極めて不適当である。  国民にこれから二十兆円を超えるかもしれないという負担を新たに求めなきゃいけない、それをお願いするのに、その原点をつくった総理自身がこういう態度であっていいのかどうか、私は大変怒りを感じているんですけれども、その点について財政当局の責任者であられる大蔵省政務次官はどのようにとらえられているのか、お伺いいたします。
  102. 西田吉宏

    政府委員(西田吉宏君) 御指名いただきましてありがとうございます。  私ですべての意を尽くせるかどうかわかりませんけれども、今委員からおっしゃいますように、これは国民的な大変な課題、問題であります。財政が大変逼迫した中で、財政構造改革を含めましていろいろ改革をやっておるわけであります。  総理が本会議の中でそのように答えたということでありまするけれども、総理は決して責任逃れで言っているんじゃありませんで、誠心誠意を持って答弁したものと私は理解をいたしているところであります。特に、今のこの国鉄長期債務問題につきましては、過去いろいろ考えてみますと、地価の高騰問題等があってそのときに対処すべき土地の売却の見合わせをやってきた、こういうこともあり、またその後の不動産市況や株式市況の低迷等から結果としては思いどおりに債務償還できなかったことは、私どもも事実そのとおり認めておるところであります。  政府といたしましては、その時々の情勢の中で国鉄長期債務処理に最善と思われる措置を講じてきたところであります。総理も本会議においてその趣旨で答弁をいたした、このように私も理解をいたしておりますので、どうぞ御理解を賜りたい、このように思います。
  103. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 私は理解がちょっとできないんですが、総理が答弁した議事録はお読みになっていますか。そういう心があったんだと解釈するのはわかりますけれども、そういう文言はないんですよ。今は何かそういう文言があるかのような言い方をされた、私はその文言がないから怒っているんです。こんなことがあっていいのかということで怒っているんで、その点、文言はないということは認めていただきたい。その上で、総理はどういう気持ちだったかということを主観で述べるんだったらわかります。もう一度お願いします。
  104. 西田吉宏

    政府委員(西田吉宏君) 今も御答弁申し上げましたように、五月九日の参議院本会議の問題を御指摘されておるんだろう、このように思いますけれども、私自体といたしましては、この中では、政府といたしましてはその時々の情勢の中で国鉄長期債務処理に最善と思われる措置を講じてきたところである、このように答弁をいたしておりまして、総理としては先ほど申し上げましたような趣旨から答弁をしておる、このように理解をいたしますので、どうぞひとつ御理解をいただきたい、このように思います。
  105. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 それでは、次の問題をお聞きします。今、いろいろ検討されているのはよく存じ上げておりますけれども、運輸省がつくられた四月時点の資料なんですけれども、これをちょっと引用させていただきますが、以来いろんな問題、解決策が議論されていると。今からそれを列挙いたしますけれども、ちょっとお聞きいただきたいのは、列挙するこの一つ一つの選択肢が大蔵省と極めて重要な関係にある、むしろ大蔵省が中心である、ほかの省庁が中心になってはできないものばかりだということです。  ちょっと申し上げますと、要するに国鉄長期債務処理方策に関する主な論点ということでまとめられた運輸省の資料ですけれども、歳出の見直し、これは大蔵省抜きではできないし、中心ですよ。事業団債務一般会計へのつけかえ、これも大蔵省でしょう。それから、財投資金の繰り上げ償還あるいは金利の減免、相続税軽減等の特典をつけた無利子国債の発行、交通機関利用者全体の負担揮発油税等の活用、JR追加負担鉄道利用税等の形によるJR利用者負担、増税による国民負担、こういつたことが列挙されているわけですけれども、それぞれ大蔵省が中心にならざるを得ないということをおわかりいただけると思うんです。  そういった意味で、どのように本問題について大蔵省の立場を自覚されているのか。これは運輸大臣にも一昨日お聞きしておりますけれども、運輸大臣は、念のため申し上げますと、あえて私が説明するのもなんですけれども、中心になって頑張る、それとともに大蔵省も中心になって頑張るはずだ、大蔵省もうなずいてそうだということだったと思います。責任ある立場で、大蔵省はこの重大問題について大蔵省の立場を他省庁等の中の一つの省庁というようなとらえ方はまさかしていないと思いますけれども、財政当局としての重要な立場を踏まえて重みのある御答弁をいただきたいと思います。
  106. 細川興一

    政府委員(細川興一君) 先生今お挙げになられました方策は、与党内等でいろいろ意見が出ているのを運輸省がまとめられたんだと思いますが、先ほどからも強調されておりますように、本問題はいわゆる財政構造改革の見地からも極めて重要であると考えております。避けて通れない課題であると考えております。したがいまして、私ども大蔵省としましても財政当局として真剣に対応し、本年中に成案が得られるよう最善を尽くす所存でございます。
  107. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 政務次官、どうぞ。
  108. 西田吉宏

    政府委員(西田吉宏君) ただいま事務当局から答弁をいたしましたとおりでございます。
  109. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 大蔵省の立場は非常に重大である、ほかの省庁とは違う、二十兆円の国民負担を新たに求めなきゃいけないかもしれない問題だと。この重大問題について、今わざわざ私一つ一つ列挙したのは、大蔵省と関係ないものはないというだけじゃなくて、大蔵省が中心にならなければ話にならないでしょうということを申し上げているのであって、それを責任ある立場の人が説明員が言ったとおりですとは何ですか、それは。
  110. 西田吉宏

    政府委員(西田吉宏君) 大蔵財政当局といたしましては、これは真剣に対応して、本年中に成案が得られるように最善を尽くしてまいりたい、このように考えております。
  111. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 そこで、今週か来週かわかりませんけれども、近々財政構造改革の最終目標だか案だか、その辺の言い方間違っていたら訂正していただければいいですが、政府・与党か与党三党かなりの案が出てくる、こういうお話も伺っておりますし、今の答弁の中でも、財政構造改革の中心的課題であるという話をされております。  ただ、例えば今出ている中間報告を新聞情報レベルで見てみますと、公共投資については公共投資基本計画六百三十兆円の期間延長である、これ構造改革なのか、長方形をつぶしてひし形にしてちょっと長くしただけじゃないのか。これ構造が変わっていない、私はそういう意味で大変レベルが違うのかなというふうに少し落胆をしているんです。  それはともかくとして、その構造改革の中心であると言っているんですが、今回の解決の具体策は九年末、ことしの十二月までに詰める、こういうお話に半年前の閣議決定でなっているわけです。もう半年たって残り半分しかないという状態ですけれども、その中で財政構造改革の中心と言いながら、財政構造改革は申し上げたとおり非常に大ざっぱな、もうちょっといい言葉で言えば骨格だけを示す。そのことと、今回の問題で平成九年末までに具体案を提示するということとはレベルが全然違う。  したがって、本年つまり平成九年末までにこの具体案を得るということと財政構造改革との関係について、大蔵省としてもう少し具体的に関連性を説明していただきたいと思います。
  112. 細川興一

    政府委員(細川興一君) 先ほど申し上げましたように、この長期債務問題は財政構造改革の見地からも極めて重要でありまして、その解決は避けて通れない、解決が不可欠であるというふうに認識しているところであります。財政構造改革会議につきましては、今御議論が行われているところでありますが、本問題の解決に当たりましては、その処理財政構造改革と整合性がとれたものとしなければならないと考えているところでございます。
  113. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 整合性がとれたものとしなければならないという事務的な意味はわかりました。これからそれをそうするという決意を大蔵省の幹部であられる副大臣にお伺いいたします。
  114. 西田吉宏

    政府委員(西田吉宏君) まさに今、財政構造改革会議は、これ十五回ほどやりながらこういう問題も協議をし、さらに親委員会と称するものの中でも五回の議論を積み重ねてきたところであります。何といたしましても避けて通れない問題でありますこの財政構造改革の問題を、今御指摘でありますけれども、これとの整合性をとりながらやっていかなければならない、このように基本的には考えながら、先ほど来申し上げておりますように、これは閣議決定もいたしておりまするから、重要な課題として鋭意取り組んでまいりたい、このように思っておるところであります。
  115. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 決意としてはわかりました。  ちょっと事務的にもう少し詰めをお聞きしたいんですけれども、これだけ骨子しかまだ示されてないから、財政構造改革の最終目標値だかそういったものがあと半年の間に、本件の解決策を本年中に示すといったその具体的内容、全然レベルが天地雲泥の差なんですね。これ、半年間でどうやって埋めるのか。つまり、来年度予算の中できちっと整理ができるのか。本件の問題とそれから財政構造改革の問題と、本年末の政府予算案の編成の過程できちっと整理ができるのかどうか、その点事務当局からの御答弁をいただきたいと思います。
  116. 梅崎壽

    政府委員(梅崎壽君) 運輸省の方から御答弁させていただきます。  国鉄長期債務の具体的な処理方策、これを政府として決定していくという今後の手続といたしましては、まず運輸省におきまして平成十年度の予算の概算要求として取りまとめまして、その後で財政当局等との調整を行いまして、平成十年度予算編成におきましてこの長期債務の具体的処理方策が確定されていく、このような進め方で進んでいくものだと考えております。
  117. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 私に与えられた時間が少なくなってきましたので、ちょっと別な観点から伺います。  今回の問題の中心の一つでありますJR各社が旧国鉄とイコールとは理解しておりませんけれども、現在あるJR各社政治献金ができるのかどうかということを一昨日私はお聞きしましたところ、政治資金規正法上の判断については難しい問題なので理事会協議ということで、現在そういう位置づけになっております。  そこで、規正法上の判断についてはそういうことで結果を待ちますけれども、監督官庁としての運輸省は、これ普通の問題じゃないですよ、二十兆円ですよ、こういった問題を国民に提示されるそういった状況下での周辺整備といいますか環境整備、言葉がちょっと適当かどうかわかりませんけれども、そういった観点からやっぱり十分な手を打たなきゃいけないと思うんですよ。そういう観点から監督官庁としての運輸省はどうあるべきか、JR各社政治献金をすべきかどうか、その点についてのお考えを伺いたいと思います。
  118. 梅崎壽

    政府委員(梅崎壽君) 先生が先般御指摘されましたような点を踏まえますと、JR各社政治献金を行うことにつきましては極めて慎重であるべきであろう、このように私どもも考えております。
  119. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 それでは重ねて伺いますけれども、JR各社自身はやはり慎重であるべきだと思います。さらに、一〇〇%出資の子会社、これはもう形式論や法律論じゃなくて、実質的に今お答えになったJR本社と何ら変わらないと思うんですが、JR一〇〇%出資の子会社については、同じように監督官庁としての運輸省はどのようにお考えなのか、お伺いします。
  120. 梅崎壽

    政府委員(梅崎壽君) この点は、先般もお答えさせていただきましたが、JR各社政治献金の取り扱いにつきましては、政治資金規正法の規定に抵触しない範囲におきましてそれぞれ子会社の判断におきまして対応する問題である、このような態度がJRの基本的な立場でございまして、私どもも、JR各社がこのような考え方をとること自体は、法人として別の主体でございますので特に問題があるとは考えておりません。
  121. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 確かに制度上の問題からするとそう答えざるを得ないという一面は理解できます。しかし、先ほど言いましたように、これからこの二十兆円の問題というのは大変な問題になってくると思いますので、あらゆる関係者が辛抱に辛抱をする、普通では考えられない辛抱をするという、その歩み寄りと言っては何ですが、そういう中でのいろんな問題、これも一つの問題として、あえて運輸省からJR一〇〇%出資の子会社に言うべきことでないかもしれないけれども、私がここで言ったことをやはりみずからとらえてそれなりの自粛がされるものと期待しております。  時間ですので、私の質問はこれで終わります。
  122. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 平成会の戸田でございます。  先ほど横尾委員の方からもお話申し上げましたが、問題が問題であるだけに、本日は大蔵省からも御出席いただいております。お忙しいところありがとうございます。  まず、法案の賛否についてまだ我々の立場を表明していなかったように思いますが、我々はこの法案には賛成です。ただ、もろ手を挙げてこれはよかったと言うわけにもいかないなというのが本心であります。もしこういうようなことが可能であったというならば、そういう理屈をきちっと立ててもっと早くこういう手当てをしていてもよかったんじゃないかという気がしております。  そこで、一番最初にお尋ねしたいと思いますが、いわゆる国鉄長期債務は隠れ借金だと、こう言われております。隠れ借金とは非常に嫌な言葉です、これは。だれかがどこかに隠しておいたみたいな話でしてね。へそくりじゃないですから。そういう表現をされること自身がやはりこの問題の扱いについての国の姿勢をちょっとあらわしている部分があるんじゃないかと思うぐらいです。  隠れ借金と言われるものについてどういうものがどれぐらいあるかちょっとお話しいただければと思います。答弁を簡潔にしていただければ、私は時間が来なくても質問を早目に切り上げるつもりでおりますので、よろしくお願いします。
  123. 細川興一

    政府委員(細川興一君) 今、先生の御指摘になりました隠れ借金という言葉でございますが、具体的にどういう措置を隠れ借金というか明確な定義があるわけではございませんが、厳しい財政事情のもとで講じてまいりました特例的な歳出削減措置や、今お話がありました国鉄清算事業団債務など今後国が繰り入れを行う等の適切な措置を行う必要がある措置ということで、今後処理を要する措置ということでまとめまして毎年国会に資料として提出させていただいております。  何本かございますけれども、その中で一番大きいものは国鉄債務で、これは九年度末でいきますと約二十八兆ということになっております。あと細かいものがたくさんありますけれども、これらの中には今申し上げましたようにさまざまな性質のものがございまして、これらを合計して一つのものとして考えることは必ずしも適当ではないかもしれませんが、あえて足し合わせまして、九年度末において単純な合計を行いますと約四十五兆円になっております。
  124. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 実に膨大な債務が国自身の長期債務のほかに存在しているということになるかと思います。国の債務議論する場合にいつも言われますのはGDP比で幾らになるかということになりますが、見方によっては、その辺のGDP比の議論をされるときに嫌だからちょっと外に置いておこうかというようなことでわざわざ余り触れないできたのではないかと言われても仕方がない部分があるかなと、こう思っております。しかし、こういうような債務について、やはり政府・与党としてこういうような借金がありますよということを常々言っておかなければ、その債務処理について国民理解を得るときになかなか難しい、そういうことではないかと思っております。  そこで、この債務の性格についていろんなことをあちこちで言われているわけでありますが、債務のそもそもの生い立ち、育ち方、それで現在どうなっているかというようなことでこの債務に対する対応が考えられるのではないかと思います。評論家などで、これは住専と同じですから、こういうことを言う人もおりますが、私は全然違う性格だと思いますし、先日、野沢委員もこれは住専とは明らかに違うというようなことも言っておられました。そうだろうと思います。ただ、国鉄清算事業団を設立して国鉄長期債務処理しようということになったときに、国鉄清算事業団が自力で全部処理できることにはなっていなかったという点があると思います。  そこで、最初の見込みでは、十三・八兆円に関する限りはどんなことがあってもこれは国民負担にならざるを得ないという試算をしておりましたが、あの試算の中ではその後の債務利子負担などを含んでいなかった。累計すると約十兆円になると思いますが、そういうようなことで、土地の売却あるいは株の売却、こういうことについて、そうじゃないとおっしゃられるに違いありませんが、楽観的な部分があったんじゃないかと思います。  そういうことから考えると、どうしても最後国民負担にゆだねざるを得ない分というのは最初から国が引き受けておくべきではなかったかとも思われますが、この点については大蔵省はどういうふうにお考えになっておられますか。
  125. 細川興一

    政府委員(細川興一君) 国鉄長期債務処理につきましては、当時、土地や株式等がいつ幾らで処分できるかということを確定的に見通すことは困難でございました。そのため、六十三年一月二十六日の閣議決定に基づきまして、まずは国鉄清算事業団の「土地、株式等の資産の適切かつ効率的な処分を進め、自主財源の増大を図り、極力国民負担軽減に努める」こととされたところでございます。  その上で、同閣議決定におきましては、「土地処分収入等の自主財源を充ててもなお残る事業団債務等については最終的には国において処理する」こととし、「その本格的な処理のために必要な「新たな財源・措置」については、雇用対策、土地の処分等の見通しのおおよそつくと考えられる段階で、歳入・歳出の全般的見直しとあわせて検討、決定する。」というふうにされたところでございます。
  126. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 あのときの処理の仕方としてはそういうような方針でやってこられたということでしょうが、清算事業団がどういう形で最終的に清算するかということを考えれば、どうしても返せない部分まで清算事業団に負わせていたという部分についてはなかなか問題があるなという考え方であります。  そこで、清算事業団債務が大きく膨らんだ一つの要因として、財投からの借り入れがあります。清算事業団発足当時のことを考えますと、資金の調達その他を考えると、財投というのは当時では金利水準からいってもそんなに一般の金利に比べて高いわけではなかったかと思いますが、バブル崩壊が直後にあって、それから低金利時代になっていった。そういうようなこともありまして、この財投の金利負担が相当大きくきいてきているという点はあると思います。  それで、住専の場合などに金利の減免、その他元本なども取り立てを一部やめたというような部分もあったやに聞いておりますが、この財投からの借入金十一兆円ということになりますが、言うなれば大口債権者という立場もありまして、これらの財投について繰り上げ償還とかあるいは低利借りかえとか、そういった弾力的な運用が要求されるところではないかと思います。今までの財投の運用がそういう意味では一般の市場考え方に比べますと相当硬直していたのではないかという気がいたします。  国民全体が注目しているそういうような問題でもありますから、金利あるいは元本の減免なども含め弾力的な運用についてどのようにお考えになっておられるか、お聞きしたいと思います。
  127. 中川雅治

    説明員(中川雅治君) 金利の低下を理由とする繰り上げ償還あるいは低利借りかえにつきましては、借り手が負担軽減を受けるかわりに資金運用部にそのコストを転嫁するものでございまして、政府全体としてのコストが軽くなるものではないというふうに考えております。資金運用部は、できるだけ低利の資金を供給するために、貸付金利と預託金利を同一とし、利ざやを取らずに長期固定の貸し付けを行いながら収支相償うように運営されておりまして、このようなコストの転嫁を受け入れる余地はないわけでございます。  資金運用部は公団、事業団等に対しまして長期固定金利資金を供給しているわけでございますが、低金利時に貸し付けた債権について、その後市場金利が上昇したことによりましてその時点での預託金利を下回るに至ったといたしましても、貸付先である公団、事業団等から既往の低利貸付金の繰り上げ償還金利引き上げを求めることはないわけでございます。したがいまして、逆に高金利時に貸し付けられた債権について、その後市場金利が低下したからといって繰り上げ償還や借りかえによる金利引き下げ、いわば低利借りかえに応ずることとなりますと、市場金利の変動の影響の不利な面だけを片面的に受けることになるわけでございまして、今御指摘のような繰り上げ償還、低利借りかえというのは困難であるというふうに考えております。
  128. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 いつでもそういうような回答が返ってくる、この間のどなたかの質問でも同じような答弁をいただいておりますが、財投全体が問題になっているときでもありますし、これからの運用について、やはり少しと言わず、相当運用について考えていかなければならないんじゃないかと私は思っております。  そこで、これまでの議論の中でたびたび問題になっておりましたのは、JR負担ということであります。国鉄改革で十四・五兆円の債務JR自身が背負って、それは経営努力によって立派に返済した。あのときの仕切りで、少々甘かったんじゃないかというようなことを言う方がおられますが、今からJRに何らかの負担をさせるという点については、既に株の売却もしているような場合には株主に対して説明ができないという点もあるかと思います。  一つだけ問題になるとすれば、JRがああいう形で独立したときにJRがもっと債務を背負ってもよかったんじゃないかなという理屈があるとすれば、JRに自主的にそういう点を背負って手伝ってもらうということもあるかと思いますが、そういう疑念についてはどういうふうにお考えでしょうか。
  129. 梅崎壽

    政府委員(梅崎壽君) 御指摘のJR追加負担の問題でございますけれども、この点に関しましては、国鉄改革後のJRの経営状況が好調であるという、これは本州三社の場合でございますが、そういった点も踏まえましてJRについて一定の負担をすべきではないかというような御意見、あるいは国鉄清算事業団国鉄職員の年金を負担いたしておりますのでJRも一層の負担をすべきではないか、あるいは国民負担を求める以上JRが全くこの問題について知らないということでは国民が納得しないのではないか等々の意見がございます。一方では、JRによる長期債務等の負担国鉄改革時に決定済みではないか、あるいは、先生も今御指摘ございましたが、JRに対して追加負担を求めるということは一般株主との関係で問題ではないか等々の御意見もございます。  私ども、この問題に関しましても賛否両論あるわけでございますが、国鉄長期債務の本格的処理のための新たな財源措置につきまして国民的な議論を十分に尽くして国民のコンセンサスを得ることが不可欠でございますので、今後における幅広い論議を十分踏まえました上で、平成九年中に成案を得るべく検討していく必要があると考えております。
  130. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 JRに対する新たな負担を求めるような話というのは、やはり国鉄再建といいますか、JRがああいう形で発足する前提となった原則に照らせばやるべきではないというのが一般的な主張ではないかと思います。  そこで、もう一つ問題になりますのは、特定財源について検討すべきであると。先ほどもちょっと議論になっておりました。石油ガス税それから揮発油税、重量税、いろいろ議論になって、大変議論がかまびすしい。しかも、JR自身が法人税あるいは固定資産税を払うようになって相当の税金を払っているから、それは国庫に入ったやつをこっちへ回すべきじゃないかとかいうことになつておりますが、私自身は、特定財源にこの債務の償却を求めていくのは非常に難しくもあるし、やるべきではないんじゃないか。これはハチの巣をつついたような議論になりはしないかと思いますし、それぞれの理屈づけもなかなか難しい。  そんなことをやっているうちに時間がだんだんたっていってより債務が大きくなるなんということがあってはなおさら悪いということですが、これらの点については大蔵省はどのようにお考えになっておられますか。
  131. 細川興一

    政府委員(細川興一君) 今、先生御指摘になりました特定財源を活用すべき等につきまして、これも各方面でさまざまの御意見がございます。なかなかぎりぎり検討していかなきやならない問題だと思っておりますが、いずれにしましても、先ほどから申し上げておりますように避けて通れない問題でございますので、最終的な国民負担のあり方について、今後やはりあらゆる選択肢についてぎりぎりの検討を精力的に行っていく必要があるというふうに考えております。
  132. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 一方で二百五十四兆円と言われる債務があり、また先ほど四十五兆円、こう言っておられましたが、その中での国鉄債務ということになりますが、少々のテクニックを使ってあちこちからそういう財源を集めてくるというようなことで問題は解決しないんじゃないかと私は思っております。財政当局としてそういう努力をされるということをやるべきじゃないなどとは私は申し上げませんが、議論になっておりますから全部検討しないとならないとは思いますが、最終的にそこが目的であるというようなことにはならないようにお願いしたいな、こう思っております。そこで、もう一つの問題ですが、先ほども国鉄清算事業団が自分で清算して全部身ぎれいになるというようなことには最初からなっていなかったというお話を申し上げておりますが、この清算事業団が長く存続するというようなことになりますと、やはりそれで相当のコストがかかっていく。残った資産処分にこれからどれぐらいの時間をかけてどれぐらい資産処分できるかということになると、ことしと来年がもう山場ではないか。あとは時間をかけてもそれほど効率的に資産処分が行えるかどうかというような感じがしております。  そういったことを考えると、清算事業団が長く今のような形で存続していく限りはそれだけコストもかかっていく、そういうことを考えますと、国鉄清算事業団はできるだけ早く整理すべきではないかと思います。職員の問題その他、整理するに当たってはいろんな問題があるのは私も承知しておりますが、この問題については運輸省の方でどうお考えになっておられますか。
  133. 梅崎壽

    政府委員(梅崎壽君) 清算事業団のあり方の問題でございますけれども、昨年十二月の閣議決定におきまして、国鉄長期債務等の本格的処理平成十年度より実施し平成九年中にその成案を得ること、これにあわせまして、国鉄長期債務の本格的処理を実施した上で速やかに事業団を整理する方向で事業団組織、定員の合理化を進めるとともに、再就職対策平成九年度より開始するということにされたところでございます。  今後、事業団をどうしていくかということにつきましては、長期債務の本格的処理のための具体的処理方策の内容にかかわる問題でございますので、具体的処理方策の策定に向けての取り組みの一環といたしまして、今後この事業団組織のあり方につきまして検討してまいりたいと考えております。
  134. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 運輸省立場でそのとおりですと言うわけにはなかなかいかないし、物理的にも実際の運用上も非常に難しいということはわかりますが、やはりその辺については相当の決心を持って臨まないとなかなか後処理が進んでいかないという問題ではないかと思います。  時間もだんだん迫ってまいりましたから、最後に私の方からひとつ強く御提案申し上げたいと思います。  この問題を相当長期にわたって私も考えてみました。また、党内でもいろんな機会に検討してみました。しかし、そんなに名案があるわけではないと思います。そこで、最終的には、いろいろ考え方はあるかもしれませんが、そうしかならないんじゃないか、こう思っている案があります。  それはただいま申し上げましたように、清算事業団の今後の資産処分について今年、来年が山場であるということであるのなら、残務処理その他は別にしまして、今の機能としての清算事業団平成十年度末で廃止すべきではないか。その際に、JR各社の株は可能な限り売却する。貨物会社の株とかそういったものについては必ずしも市場ですぐさばけるとは思えないものもありますから、そういうものを別にして可能な限り売却する。また、土地についても最大限の努力をして売却していただく。それで債務を可能な限り圧縮する。  それで、一番大きな問題と考えられますのは職員の問題です。これは聞くところによりますと、今年度、来年度で相当減員できるんじゃないかというような見通しもおありのようですが、そんなことをいっても最後にどうしてもどうにもならない職員、どうにもならないという言い方は悪いですが、整理するとなるとどうしても雇用の面で考えてやらなければならない人々もあるわけです。それについては政府で全部責任を負って当たってもらう。こういう方法しかないんじゃないかと私は思っております。  一般会計へのつけかえとかいろんな議論がありますが、国民に対する透明性ということを考えますと、債務はわかりやすいような形で処理していかなければならない。そういう点から考えますと特会という考え方もあるかもしれませんが、いずれにしましても、清算事業団を整理したところで資産債務ともに国に移管する、それが今後最も債務をふやさないで済む方法ではないかと私は思っております。  これについて御感想なりコメントなりがございましたら、大蔵省西田政務次官、運輸大臣からお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  135. 古賀誠

    ○国務大臣(古賀誠君) 私の方から先に御答弁させていただきたいと思います。  一昨日来、国鉄長期債務の問題についてこの委員会で御論議をいただいております。各委員の先生方からさまざまな御意見、また御審議を賜っているわけでございまして、本当にこの問題の難しさと申しますか、二十兆円を超えます膨大な債務額でございますゆえにその難しさというものが日増しに実は増してきているような状況でございまして、大変私もその責任を感じているところでございます。  さまざまな選択肢が先生方の御意見の中からも出てまいっておりますし、財政構造改革会議の企画委員会の中間発表の中にも出てきておりますが、具体的にその項目ごとに審議を深めてまいりますと、なかなか容易ではないということがこの御審議を通じてでも先生方にも御理解をいただけるのではないかなというふうに思います。  しかしながら、先生から御指摘いただいておりますように、いろいろな反省はありますけれども、事ここに至っては先送りは許されない。何が何でも前に進めていかなければいけないという現実がございます。そういうことを考えてみますと、いろいろな選択肢の中で精力的に検討すると申しましても、やはりおのずから考えられるところはだんだん具体化していくごとに詰められてくる問題ではないかなというふうに思います。  今まさに先生が御指摘いただいているように、国鉄清算事業団のあり方、そして将来的に残りました債務についての処理の具体策、今先生がおっしゃっている一般会計へのつけかえと申しますか、確かにポケットの右から左へ国民負担には間違いないじゃないか、そんな御議論はあろうかと思いますけれども、一つの選択肢の中でやはり私たちもいろんなことを検討していきます。そして、できるだけそういうことにならない努力をするということは当然のことだと思いますけれども、今先生の御指摘いただいたことも私は一つの選択肢の中で考えられる、またそうせざるを得ない、そういう状況がないように努力する中で先生のきょうの御提言を大変貴重なものとして受けとめさせていただきたいと思っております。
  136. 西田吉宏

    政府委員(西田吉宏君) 私ども答弁いたしておりますように、本年中に何とか方向を決めたい、こういうことで今私ども取り組んでおるところであります。  今日までの経過等を考えてみまして、今も委員御指摘のように、株の売却、さらには土地の売却等を含めまして特定財源等のお話もいろいろと出たところであります。しかし、今委員の私に対するお尋ねといたしましては、最終的には一般会計処理をするしかないんじゃないかな、こういうような御示唆もあるように私は受けとめるわけであります。  大蔵省といたしましては、この長期債務処理につきましては、仮にすべてを一般会計につけかえる、その結果国の債務が累増する、こういうことになるわけであります。政府の中で債務主体が変わっただけでありまして、将来ともに子や孫にそのツケが回っていく、こういうことになるんじゃなかろうか、このように思いながらも、先ほど来答弁をいたしておりますように、あらゆる選択肢を考えながら精力的に方向を見出していきたい、このように考えておりますので御理解を賜りたいと思います。
  137. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 大蔵省からきょうは御出席をいただいておりますが、政務次官はいわば大蔵大臣の代理でございますから、代理よりもっと何といいますかね、財布に例えれば財布のひもとかチャックに該当するぐらいの重要な立場にあるわけですね。  そこで、大蔵大臣に対する質問だと思って聞いてください。きょう午前中に三人の参考人意見を聞いたんですよ。そこには政務次官も大臣もいらっしゃらなかったから、午前中の委員会出席をしていた一人として耳に残っておることを申し上げたいと思うんですが、三人の参考人が財投について質問をされたら、財投は要らない、あるいはもう廃止すべきだ、こういう意見が、正確には議事録にどういう表現があったか知らないが、そういう意味のことを言われたんです。要するに、皆さんが財投なんか要らないというような、こういう意見だったんです。  そこで、この財投の金利が今となってみればなかなかばかにならない。一体、この問題について大蔵省としてはどのようにお考えになっているのかということをまずお伺いしたいと思います。
  138. 中川雅治

    説明員(中川雅治君) 財政投融資の金利、いわば財投金利と申しますのは、これは預託金利つまり郵貯、年金等の預託者から資金運用部がお預かりする金利、これと同一になっているわけでございまして、いわば資金運用部は利ざやをとらずに長期固定の貸し付けを行いながら収支相償うように運営しているということでございます。  この預託金利は、その時々の国債の金利等をもとにそれに基本的には連動するという形で決められておりまして、したがいまして、その時々の財投金利というのは長期の金利ということで考えますと最も低い、そういう金利になっているわけでございます。  ただ、その金利水準自体が低下をしてまいりますと、先ほども御質問ございましたが、繰り上げ償還あるいは低利借りかえという要求が出てくるわけでございますけれども、これは先ほど申しましたように、借り手が負担軽減を受けるかわりに資金運用部にそのコストを転嫁するというものでございまして、政府全体として見ればコストが軽くなるものではないということで、この繰り上げ償還とか低利借りかえということでは問題は解決しないというふうに考えているところでございます。
  139. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 では、大蔵大臣としてはどうしたらいいというふうにお考えになっておるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  140. 西田吉宏

    政府委員(西田吉宏君) 大蔵大臣の考えといたしましては、政府委員答弁をいたしましたけれども、先ほど来私からも申し上げておりますように、長期債務の問題は財政構造改革の観点からももう避けては通れない、時期的にももうこの時期に来て何とか方策を出さなければならない、こういうことでございます。  その処理に当たっては、先ほど来申し上げておりまするけれども、将来世代への負担の単なるツケ回しとならないように考えていかなければならない、このように思っております。そういう中でいろいろの方策を、知恵を絞りながら選択肢を精力的に検討してまいりたい、このように考えておるところであります。
  141. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 午前中の参考人に対する質問のときにも私申し上げたんだけれども、いわゆる国鉄長期債務の問題は、大臣自体がお認めになっているように、にっちもさっちもいかなくなってきていると、じゃどうしたらいいのか。いわば脳死状態に近づいちゃっているわけだ。脳死状態に近づいて、今論議されている脳死の問題は脳死の人から内臓をもらうということなんだけれども、国鉄の場合はどこからか内臓のかわりをもらいたいような、あるいは脳の方をもらいたいような、そういう状態に来ているわけですね。この状態をどうしたらいいのか。ほっておけば息が絶えてしまう。ここまで来ているんですけれども一体どうしたらいいのか、深刻な問題になっております。  その点について、やはり大蔵省が知らないよということを言われてしまうと、これはあとどこからももう持ってくるところないんです。株とか土地とかいったって土地なんというものは売ればなくなつちゃうんですから、もっと高いときに売っておけばよかったなんていったって間に合わないんだから。だから、間に合わせるためにどうしたらいいのかということは、まず大蔵省自体が考えてもらわないといけないと思うんです。これは病人を前に置いておくようなものだから、ゆっくりしていられないから早速でも決めてもらいたい、そういう状態にあるんですね。その点についてお伺いしたいと思います。
  142. 西田吉宏

    政府委員(西田吉宏君) 大先輩の委員から物の例えで脳死というようなお話まで出たわけでありまするけれども、そこまで言うことは別にいたしまして、まことに大変頭の痛い問題だと、このように形容しておきたいと思います。  先ほど来言っておりますように、財政構造改革会議が、先ほどのをちょっと訂正いたしますが、今現在企画委員会が十二回、さらには親会議が六回持たれて、今いろいろ財源問題を含めまして検討の最中でございます。決して財政当局の私どもはそれに対して逃げを申し上げているわけではありませんで、私どもも先ほど来申し上げておりますように真剣にこの問題を考えております。  しかし、現段階でどうだと、こういうことで御質問があるとするならば、現在の構造改革会議、親会議を含めまして検討し、まだ成案は出ておらないところでありまするから、今ここでこれでやるんだということの明確な答弁を出すということは言葉は悪うございますけれども時期尚早だと、このように考えておるところであります。鋭意努力をしてまいりたいと思っております。
  143. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 今までの財政的な問題で、去年は住専がいろいろ問題になりました。けさのニュースでは、どこかの会社の責任者が回収の見込みのない金を貸し出して商法違反で逮捕された、こういうニュースがありました。それともう一つ、総理官邸の建設は延期をするという話もありました。  それから、きょうの参考人にお聞きしましたが、取りざたされておりますリニアモーターカー、これもちょっとここまでは手が出ない、どこから土地代を持ってくるんだ、仮に東京−大阪間を走らせるとしても土地買収費がとても莫大なものになるだろう、こういう話があったんです。  そうすると、計画そのものがどんどん崩れてしまうわけですね。だから節約以外に方法がない、結論的に言えばそういうことになってくると思うんです。では、この節約はどこで節約をするのか、  一体どうやってこの長期債務を返していくのか、解決をするのか、ある程度の目安が立たないと、これからどうにも動きがとれないと思うんですね。本当の脳死状態になってしまうから、そうならないうちに、注射ぐらいじゃ間に合わないかもしれないけれども、何とか手当てをしなきやならないだろうと思うんです。  それはやはり運輸大臣だけに任せておくんじゃちょっと荷が重過ぎるというふうに私らも思うんです。いやそんなことはないと大臣が言ってくれれば安心するんですけれども、そうもいかないだろうと思うので、その点について、もう限られた時間でありますから率直に御意見をお伺いしたいと思います。
  144. 西田吉宏

    政府委員(西田吉宏君) 私ども、本問題の解決のために大蔵省は中心的役割を果たしていかなければならないと、このように考えておるところであります。本問題は、財政構造改革の経過も申し上げているところでありますが、私は重ねて申し上げますが、この見地からも極めて重要である、避けて通れない、このように認識いたしておるところてあります。当局といたしましては、真剣に対応して本年中に成案が得られるように最善を尽くす所存でありますので、どうぞひとつ御理解を賜りたいと思います。
  145. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 国鉄改革についての監理委員会の答申なんですけれども、この監理委員会の答申はいろいろ問題があると思います。  私は、かつて監理委員会の答申についての質問をしたことがあるんです。あのころは三塚さんだとかあるいはまた橋本総理だとか、どっちが先でどっちが後だったか覚えてないけれども、いずれも前後して運輸大臣をやっておられました。そして、そういう人たちがいわば先輩としてこの監理委員会の答申を承認したわけです。  ところが、監理委員会の答申がもし万全であったならば今ごろはもう何も問題が残らないわけなんだけれども、それどころか実にけた違いの借金が残っちゃった。住専は六千何百億だし、総理官邸の改築の方は何百億だと。何百億なんというのはこの兆という単位に比べればはした金みたいなものですね。実際問題としてはこういうふうに時世が変わって動きがとれないような状態になってきているけれども、これで監理委員会の答申を丸のみにしたということが正しかったかどうかということは問題があると思います。  だから、これをもう一度見直しをして、そして問題が外れてしまったところは補強をするとか見直しをするとかしなければならないんじゃないかという気がするんですが、どうですか。
  146. 梅崎壽

    政府委員(梅崎壽君) 国鉄再建監理委員会意見では、債務との関連等々合わせまして三点ほど言っております。  一つは、我が国鉄道事業を再生するために国鉄の分割・民営化を実施すべきであるということ。それから、毎年巨額な赤字を生み出す国鉄経営を放置すれば将来はかり知れない国民負担増を招くということからも、赤字を生み出さない鉄道への改革を行うということが必要である、これが第一点でございます。それから、新事業体が負担し切れない長期債務等につきましては別途処理せざるを得ないが、その場合であっても土地を最大限債務処理財源に充てるといったことなど可能な限りの手段を尽くすべきである、これが第二点でございます。その上でもなお残る債務は、何らかの形で国民負担を求めざるを得ない、これが第三点であります。このような国鉄再建監理委員会考え方自体は、私どもこれを間違っていたとは考えておりません。  この考え方に従いまして国鉄改革を実施してきたところでございますが、債務の問題に関しまして、当時から、清算事業団自主財源処分した後も残る債務につきましては国民負担を求めざるを得ない、その点に関しましては、土地の処分の状況等を見ながらこれに必要な新たな財源措置について歳入歳出の全般的見直しをあわせて検討していく、こういうことになっておりますので、それを具体化すべき時期に来ているということでございまして、基本的な流れ自体は再建監理委員会も指摘しているとおりでございます。
  147. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 結論的に言うと、監理委員会の答申というのは必ずしも正直に守られていないと私は思います。  なぜかというと、特にこれは制度の問題が重要だと、大事からあるいは予算から施設から、あらゆる面で政府及び国会のという言い方をしておりますけれども関与が甚だしい、そういう関与がやはり国鉄をこういうところに追い込んだんだと、こういう意味のことが監理委員会の答申に書いてあります。  それならば、監理委員会自体が当時の国会の質問に対する答弁に立たなきゃならないはずなんですよ。ところが、監理委員長初め監理委員会のメンバーは、言を左右にして委員会出席をすることを拒みました。私は今でも覚えておるのであります。それで運輸委員長が憤慨をして、直接電話をかけて監理委員長出席を求めた、こういう事実がございました。そして、やっと出てくると、本当に時間を区切ってわずかの時間だけでお茶を濁して帰る、こういうことがあったんですよ。非常にそのことが、十年も前のことになりますけれども、腹立たしい思いとして私の記憶に残っております。  しかも、でき上がったものはどうかというと、俗な言葉で言うと、国鉄という財産をいろいろ分割をして輪切りにして山分けをする、こういう格好になつちゃったわけです。  それで、その中で一番収益のいい東日本の方には、役員の大事に関係してきますけれども、この監理委員会のメンバーで恐らく筋書きをつくったであろうと思われる中心的な人がそのまま社長になって出ていったんですよ。こういう事実があるんです。山分けの天下りですよ、これは。山分けの天下りというものをそのまま認めちゃっているんです。だからやり直しをしなきゃいかぬ、あるいは見直しをしなきゃいかぬということを言っているんであります。これはもう別に隠す必要もないから実名を言ってもいいんだけれども、言わなくたってわかっていると思うんだよ。これは運輸省自体も心してもらわなきゃいけないんです。これらの山分けあるいは天下りといったようなことはこの答申が認めていることとは大いに違うんです。  その点は、今後の問題もありますから十分心してもらわなきゃいけないと思うのでありますが、せっかくおいでをいただきました大蔵大臣代理並びに運輸大臣のお答えを聞きまして、私の質問を終わります。
  148. 古賀誠

    ○国務大臣(古賀誠君) 監理委員会の問題につきましては、その答申を受けまして国鉄改革がなされたわけでございます。この成果につきましては、先般のこの委員会の中でも私申し上げましたけれども、あのまま放置しておれば、昭和三十九年、単年度赤字を生じまして以来ずっと赤字が累憎いたしておりまして破綻を来すということは目に見えていたわけでございます。委員も十分その点については御承知のところだろうと思っております。そういう中で国鉄の民営化、分割が行われたわけでございます。その成果につきましては、それぞれの視点によって評価はいろいろあろうかと思いますけれども、私は、成功している、こう認識しているところでございます。  しかしながら、結果として旧国鉄長期債務という問題が、今こうして御論議をいただかなければいけない大変大きな問題になっていることは事実でございます。国鉄改革総決算という意味でこの国鉄長期債務を、国民のコンセンサスをどのように得て抜本的に本格的な処理策を得ることができるかというのがまさに国鉄改革の最終的な成果だろう、私は、そういう意味で国鉄長期債務についてはあらゆる選択肢の中で真剣な検討を行っていくということを再三皆様方にお約束を申し上げているところでございます。  全力を尽くして具体的な本格処理策の実現に向かって頑張っていきたい、改めて決意を申し上げているところでございます。
  149. 西田吉宏

    政府委員(西田吉宏君) 監理委員会の答申等につきましては、今運輸大臣からその所感が述べられたところであります。  財政当局としての問題でありますけれども、振り返ってみますと三つ改革をやったわけです。JTの問題さらにはNTTは昭和六十年、御案内のとおり。そして旧国鉄は、これ六十二年四月からやってまいりました。そういう中で、民営化したことによってのメリットそのものも出ているわけでありますが、片方、予期しないこういう長期債務を出してしまった。こういうところが今問題で、いよいよ大詰めの時期が来ておる、こういうふうに認識しているところをただいままで一貫して私は所信を述べてきたところであります。財政当局といたしましても、今現在この問題は避けて通れない問題として待ったなしたと、委員は脳死状態と、こういうふうにまで御表現をなさるぐらい全く瀬戸際に詰まったような時期に来ておる、このように認識をいたしております。  何としましてもこの問題の解決を図っていくべく、具体的に各方面をもう一度精査し、いろいろ検討しながら九年中にその方針をまとめたい、その方策を出したい、こういう決意で臨んでおるということを御理解賜りたいと思います。
  150. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 民主党・新緑風会の中尾でございます。  一昨日、当委員会で旧国鉄長期債務運輸省責任あるいは財源確保をどうするか等々御質問申し上げましたので、本日は財政当局を中心に御質問いたしたいと思います。  午前中の参考人質疑で三人の専門家の方からいろいろ御意見を拝聴する機会を得ました。ひとしく今回の国鉄長期債務の増大した要因は政府にあり、また政治にもあるという厳しい御指摘でございました。財投の高金利の問題あるいは土地の売却の問題等々いろいろございましたが、時間の関係上私は早速本論に入りたいと思います。  まず大蔵省に伺いたいと思いますが、財政当局として債務を増大させた要因をどうこれまで認識しておられたのか、また債務軽減するために大蔵省としてはこの間具体的にどんな手を打ってこられたのか、端的にお答え願います。
  151. 細川興一

    政府委員(細川興一君) まず、前段の増大した主な理由といたしましては、一つは地価高騰時に土地の売却が見合わされることになったこと、また、バブル崩壊に伴う土地の需要、株式市場の低迷により土地及びJR株式の売却が必ずしも順調に進まなかった等の要因があったものと考えております。  後段の財政当局としてどんな手を打ってきたかということでございますが、この間財政当局としましては、長期債務等の処理のため、厳しい財政事情の中ではありましたが、六十二年度から平成八年度までに総額約一兆六千億円の補助金を交付してきております。また、平成二年度には、帝都高速度交通営団に対する出資の持ち分の評価額、約九千三百七十二億円でございますが、その相当の有利子債務を国が承継する等の措置を講じたところでございます。  また、ただいま御審議いただいております本法案におきましては、金利負担軽減を図る観点から、約三兆円の有利子債務一般会計による承継等の措置を講ずることといたしているところでございます。
  152. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 今お話を伺っておりまして、そうした手を打ってさらに結果としてこういうふうないわゆる金利負担で雪だるま式に借金がふえた、これは事実でございます。  政治もそうでございますが、これは結果責任でございますから、今後、今一刻の猶予もならないときに、大蔵もちろん運輸もそうでございますが、我々も含めて前向きな議論をすべきである。先ほどから財投の話も聞きました。それは説明いただければそのとおりでございます。それで解決するんなら私は問題はないと言っているんです。しなかったわけです。結果でございます。そういうことを踏まえて御議論願いたいと思います。  続いて運輸省に伺います。  午前中の参考人質疑でもございました。結果として二十八兆円余り、土地売却あるいは株売却を含めても二十一兆円に上るというこの債務処理をどうするのか。最終的には税の形であれ何らかの形であれ国民の皆様に御負担を、一部でも御負担をこれはお願いしなきやならない、私はそう思ってございます。それにはやはり政府みずからが歳出削減、行財政改革を断行してやらなければならない、これが大条件でございます。  そのために、これは政府全体の問題でございますが、当事者であります運輸省が、今後例えば公共事業費の見直しを含めて歳出削減にどう取り組んでいくのか、あるいは今具体的にどう取り組もうとしておられるのか、具体的な話をお伺いします。
  153. 土井勝二

    政府委員(土井勝二君) お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘の公共事業等の歳出削減努力の問題でございますが、実は運輸省の予算でございますが、これはここ約十年を比べさせていただきたいと思うんですが、国鉄改革直前の昭和六十一年度を一〇〇とした場合に、これを平成九年度、今年度の予算と比較をいたしますと、政府全体の一般歳出予算は、二八、三八ポイント増加をしている、これに対しまして運輸省の予算は九四、六ポイント減額となっております。  これは、当然のことながら国鉄改革が行われまして国鉄の助成の減少ということが大きく寄与しているわけではございますが、ただ、いずれにいたしましても全体として運輸省としてこれまで歳出の削減の努力をしている、政府の中でもかなり努力をしているということが言えるのではないかと思ってございます。  それで平成九年度の運輸省の予算でございますが、全体で九千五百三十五億円でありまして、この中身の約四分の一が人件費、また約半分余りが公共事業関係費でございます。そうしますと、残りが約二千億円になるわけでございますが、この二千億円の中でいろんな経費、前向きなものも含めまして、あるいは国民生活の維持等に必要なものも含めましていろいろなものを賄っている。例えば海上保安庁でありますとか気象庁でありますとか、そういった部局のいわゆる現場の経費増、それから地域交通維持のための補助など、こういうニーズに対応してきているということでございます。  公共事業につきまして、現在、財政構造改革会議において議論されておりますが、運輸省といたしましても、従来から重点化あるいは公共工事のコストの縮減をしておりまして、これを今後とも一生懸命やってまいりたいというふうに思っております。  こういういわゆる長期債務の……
  154. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 答弁は簡潔にお願いします。
  155. 土井勝二

    政府委員(土井勝二君) はい、失礼しました。  そういうことで、財政構造改革に向けまして、公共事業予算を含めまして予算の一層の重点化、効率化を図る努力をいたしたいというふうに思っております。
  156. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 ポイントを話していただきましたけれども、よく具体的にはのみ込めません。  時間がありません。続いて参ります。  先日来の審議の中で、さまざまな選択肢を今政府当局が考えておられるということでございますが、一昨日の委員会でも指摘しましたが、昭和六十三年一月の閣議決定に基づく事業団債務のうちの、これは明記されました十三・八兆円という国民負担について、この扱いがこれまで大変あいまいではなかったかと思うわけでございます。あるいは楽観視しておられたんじゃないか。平成二年当時のバブルのときは、大変土地が高騰したピークだったというふうに私認識しております。十数兆円、土地だけでも売却益があるんではないかという話もございました。  しかし、この段において、当時あの改革の時点で、閣議決定でございますから、十三・八兆円は、国民の皆さん、もともと国民負担でございましたと。私はそれは正論だと思うんですが、国民の目から見れば何を今さらというのが実感ではないでしょうか。しかし、じゃどうやって財源スキームをつくるんだと言えば、私にも知恵がございません。  この際政府は、問題を先送りしてきたことについて、先ほど横尾先生からも話がありましたけれども、総理は私の本会議の質問でもやっぱり明確に責任には言及いたしませんでしたが、こういうことではなくて、政府責任をはっきり国民の前に認めて、その上で財政負担について国民に求めていくのが私は筋じゃないかなと思っております。それでなければ、財政が厳しい折からどこからお金が出てくるのか、私は大変心配してございます。  一昨日、運輸大臣にもこのお話は伺いました。そして、運輸省考え方を今こそきちっと明確にすべきである、たとえ批判を受けても運輸省で今考えられる実態は、状態はこうなんだということを提起しない限り国民理解を得られないと私は思います。財政当局も同じでございますが、運輸大臣にこの一般会計処理について改めてどのような所見をお持ちか、お尋ね申し上げます。
  157. 古賀誠

    ○国務大臣(古賀誠君) 一昨日の先生の御質問にも答弁をさせていただいたわけでございますけれども、今まさに先生から御指摘いただいておりますように、国鉄改革時に政府として十三・八兆円分は国民負担であるということを国会等でも明らかにさせていただいたところでございます。その後の経過は、今先生がおっしゃったように、私は、政府はそのときそのときの可能な限りの措置を講じてきたとは思っておりますけれども、結果としてこれは政治家一人一人がひとしく責任を感じる問題だと思っております。  そういう意味で、四月十四日だったと思いますけれども、財政構造改革会議の企画委員会の中で省庁のヒアリングを行わせていただいた場がございました。その中におきまして、私の考え方一つといたしまして、もちろんあらゆる選択肢をこれから検討するわけでございますけれども、この十三・八兆円の原資とそれに伴う利子の分の大半は一般会計で考えるべきではないかということを申し上げたところでございます。
  158. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 午前中の参考人質疑の中でも、十三・八兆円含め最終的に残るであろうと見られている二十一兆円について、一般会計での処理もやむを得ないというお考えを示された参考人の方もいらっしゃいました。隠れ借金ではないんだと、もう国民のみんなはわかっているんだという考え方でございます。もう包み隠さず責任を持って処理すべきじゃないかという御提言でございました。  そこで、大蔵省に伺います。  同じような質問でございますが、この一般会計においての処理、中には責任の所在があいまいになるとかいう御議論は私も承知しておるつもりでございますが、ここに至ってこれは私は有力な選択肢の一つではないかと思うんでございますが、大蔵省の考え方を伺いたいと思います。
  159. 細川興一

    政府委員(細川興一君) 国鉄長期債務処理につきましては、これまでもいろいろ議論がございますが、現在さまざまの処理方策議論されているところであります。先ほどからも申し上げておりますが、仮にすべてを一般会計につけかえ、その結果国の債務が累増するということになりますと、単に債務の主体がかわったにすぎないということになってしまうと思います。  しかしながら、この問題は、先ほどから申し上げておりますように、財政構造改革の観点からも避けて通れない、解決が不可欠の問題でございますので、基本としては将来世代への負担の単なるツケ回しとならないよう、やはりあらゆる選択肢をぎりぎり精力的に検討していく必要があると考えております。
  160. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 今の御答弁の中でちょっと違うなと思うのは、私は重要な選択肢の一つと考えられないかという御質問を申し上げたはずです。わかっているんですよ、さまざまな選択肢。一昨日のあれでも申し上げました。例えば無利子国債の発行だとか、これから聞きます道路特定財源のあり方だとかいろいろあります。十数項目にわたるものが今出されていると思いますが、そのことではなくて、一般会計につけかえる、単なるツケ回しに終わるという批判もあろうかと思うと言ったら、あなたたち財政当局が責任を持って単なるツケ回しに終わらないという方法を考えるのが財政当局じゃないかと私は申し上げたいと思います。  時間がありません。次に移ります。  道路特定財源の問題でございます。  本来であれば個別の問題でないということは、私もそれなりに承知しております。例えば一般会計の中で一本化して、国民にわかりやすい、責任の所在がはっきりできた形でいろいろな総合戦力をこの長期債務に充てるべきだという考え方を私は持ってございますが、その有力な選択肢のもう一つとして道路特定財源の問題がございます。  それで、伺いますが、揮発油税の見直し。これは目的税でございまして、いろいろな御議論がありますが、ただ一つ私は御提案申し上げたいのは、この揮発油税は本法税率がリッター当たり二十四・三円、これは揮発油税法なんですが、現在は租税特別措置法でちょうど倍になってございます。この期限は来年の三月三十一日まででございます。  ですから、これを一たん本法税率に戻す。道路事情の問題もございますけれども、四十年前の道路のいわゆる需要度と今とは少し様相を異にしてきているのではないかなと私は思うわけでございます。これについて大蔵省はどうお考えなのか。本法税率に戻して、そして一たん国民の皆さんにお返しする、残りをどうするかという、何か非常に衣の下からよろいが見えるような、確かにそういう話でございますが、それについて大蔵省のお考えを伺いたいと思います。
  161. 渡辺裕泰

    説明員(渡辺裕泰君) 揮発油税についてのお尋ねでございます。  現在、揮発油税及び地方道路税は、ただいま先生御指摘のとおり、道路整備緊急措置法等によりましてその税収を道路整備に充てるということにされております。  御質問の趣旨は、道路歳出が削減されれば揮発油税の税率を下げよということと思われますが、揮発油税税負担水準と申しますのは道路事業費の規模との関係が大変強調されがちでございますけれども、こういった歳出面の議論以外にもさまざまな側面から検討されるべきものというふうに考えております。過去の税率引き上げをお願いいたしました際の国会等の御議論を見ましても、税率引き上げの理由といたしましては、道路整備計画の財源調達といったことのほかに、税負担が国際的に見て低位であるということ、あるいは希少資源節約、消費抑制、環境保全といったようなことが挙げられているわけでございます。  まず、道路整備計画の財源という観点から見ますと、来年度の歳出がどうなるか、まさに今議論されているところでよくわかりませんが、現在のところは御存じのとおり特定財源のみでは足りませんで、一般財源をも投入しなければならない、そういう状況になってきているわけでございます。  それから、税負担の話でございますが、主要諸外国におきましても、ガソリンに対しましては付加価値税に加えまして個別物品税としての揮発油税、炭化水素税等を課しております。これらの国の負担水準を見ますと、我が国は総じてヨーロッパ諸国よりも低く、国際的には決して高いと言えるような水準ではございません。  それから、資源節約、消費抑制、環境保全といった観点から見ますと、ガソリンなどの化石燃料に対する課税は国際的に見ますと二酸化炭素抑制のための経済手段としても認識されておりまして、諸外国では税負担を上げる方向にはございますが、下げる方向にはないというのが現在の状況でございます。  したがいまして、揮発油税等の税負担水準につきましては、道路事業費の規模という歳出との関係も考慮していく必要がございますけれども、同時にただいま申し述べましたガソリン課税の有します税制上の意義あるいは財政状況、そういったものも踏まえていく必要があるというふうに考えております。
  162. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 御丁寧な答弁で、僕もう一分しかなくなりました。JR各社の法人税の問題でございますけれども、これを債務返済に充当してはどうかというお話も伺いました。しかし、もう時間がございません。  最後に、大蔵政務次官と運輸大臣に一言ずつお伺いします。  債務処理平成九年中に成案を得るという形になっておりますが、しかしこうした国民の中でもさまざまな論議がある中で、一日も早く処理案なるものを提示すべきじゃないか。十二月の予算編成の間際にがたがたっとこうなったというのであれば、これは国民は納得しないと私は思うんです。できるだけ早くその前に処理案を示し、この国会、臨時国会でやっぱり討議する、国民の皆さんの前に討議する。例えば一案、二案、三案になりましょうか、そういう必要が私はあろうと思います。それが国民理解される本当の財政構造改革になるのではないかと思っておりますが、大蔵副大臣とそれから運輸大臣に御所見、御決意を伺って私の質問を終わります。
  163. 古賀誠

    ○国務大臣(古賀誠君) 先ほども答弁の中で申し上げておりますけれども、先生御指摘のとおりでございます。まず成案を得るということでございますが、骨格は概算要求の中で示していくべきだと思います。そういう時期を一つのタイムリミットだというふうにお考えいただきたいと思います。
  164. 西田吉宏

    政府委員(西田吉宏君) 長期債務処理につきましては、もう既に各委員からも御発言がありますように、何としても最終的な時期を迎えておる、こういうことでありますし、私の方からも重ねて申し上げておりますが、構造改革会議の中で今検討している最中です。しかし、これは重要な課題だと、このように考えておるわけであります。平成九年中にこの成案を得るべく満身の努力をしてまいりたい、こういうふうに決意を述べたいと思う次第であります。
  165. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 この十年間、長期債務が減るどころかふえている、この原因というのはもちろん幾つかあるわけですけれども、その一つに借入金の高い金利というものがある、これは明らかであります。同時に、私は前回も、JRに対する土地の譲渡、これが分割・民営化されたときに本来鉄道事業に必要なものと、ところがそのJRが土地を売却してかなりの額をもうけているという問題を指摘しましたけれども、清算事業団のあり方にもやはり幾つかの問題があるというふうに考えます。  そこで伺いますけれども、九一年に新幹線が新幹線保有機構からJRに譲渡されました。その譲渡収入というのは鉄道整備基金に入っております。この鉄道整備基金から無利子貸し付けというのがやられている、その額というのが九一年から九七年度までで大体二千三百二十三億円に上っております。この二千三百二十三億円という無利子貸し付けというのは一体どこに使われたんでしょうか。
  166. 梅崎壽

    政府委員(梅崎壽君) 平成三年度に鉄道整備基金が発足しました際に、既設新幹線の譲渡収入を活用いたしまして無利子貸付制度が設けられましたが、これは都市交通におきます鉄道整備、それから幹線鉄道におきます高速化等の整備、こういうことのために使われるということで、その後具体的なプロジェクトに充当されてきております。
  167. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 それが非常におかしいと私は思うんです。  分割・民営化されたときに新幹線保有機構に対して当時五兆七千億円の債務が承継されました。それと合わせて二兆九千億円、これは新幹線保有機構が清算事業団に対する債務として承継されているんです。この二兆九千億円については三十年間定額払いで返済をしていくということになっておりました。現に九二年三月、つまり新幹線がJRに譲渡されるまでは毎年約二千三百億円保有機構から清算事業団返済されていた。ところが、新幹線保有機構からJRに譲渡されたこの時点での債務残高は一兆九千億円、もう約一兆円減っていたんですね。これ以降は毎年一千五百億円ずつ清算事業団返済するということになっていたはずです。ところが、実際には千二百億円しか返済されていないんです。三百億円返済されていない。  どうなったかというと、今指摘したものですね。本来清算事業団返済するはずだった約三百億円、時によっては二百三十三億、二百八十三億、平成八年度は繰り上げ償還で七百二億円、合計二千三百二十三億円、これは本来なら新幹線保有機構から清算事業団に入っていた金が入らなかった。そして、今局長がお答えになったように、都市鉄道であるとか既設新幹線の増強、重要幹線の整備、こういうものに回されたんです。  おかしいじゃないですか。清算事業団に入っていたら、これ清算事業団債務がそれだけ減っていたんですよ。その目的のためにつくられたんですから、特定承継債務と。それが別のところに使われておる。これだけ長期債務が大変なときに、清算事業団に入るためにつくったんだから、清算事業団に対する債務の返還なんだから、それが別の目的で使われた、これ流用と言うんじゃないですか。
  168. 梅崎壽

    政府委員(梅崎壽君) 鉄道整備基金の無利子貸付制度、これは平成三年の鉄道整備基金法の制定によりまして創設されたものでございまして、この国会での御審議も踏まえましてこのような制度がとられたものでございます。  この財源でございますけれども、国鉄改革時に新幹線保有機構が清算事業団に対しまして負担することとされました債務で基金が承継いたしました債務、いわゆる特定承継債務と言っているものでございますが、これに見合う既設新幹線の譲渡収入の一部を活用するということでございまして、清算事業団債務償還に支障を生じない範囲内で実施されているものでございます。  既設新幹線の譲渡収入のうちその特定承継債務の見合い分につきましては、このようにその一部を無利子貸し付けの財源として活用いたしておりますけれども、この無利子貸付資金は貸し付けを受けました事業者から所定の償還条件によりまして基金に償還しました後は基金から清算事業団償還されるということになりまして、清算事業団国鉄長期債務償還に支障がないということで実施されているものでございます。
  169. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 借りた金を返すのは当たり前の話で、無利子貸し付けなら返さなくていいなんてそんな理屈は絶対ありません。支障がないと言うけれども、だって保有機構が清算事業団に対して、これ金利だってつくわけでしょう。無利子じゃないでしょう。その金利だってかさむじゃないですか。支障が出るのは明らかでしょう。二十八兆一千億円の大半を占めるなんてことを言うつもりはないけれども、支障が出ることも明らかです。だから、これだけ長期債務が問題になっているときに清算事業団に返すべき金をほかに回しちゃう、理事長、そんな余裕が清算事業団にないでしょう。あれば苦労しませんよ。  これだけじゃないんです。一兆一千億円、再評価によって債務が保有機構の方、ふえています。これも、性格は一緒で、この部分はすべてこれ新幹線の建設費に回されているんです。何で清算事業団が大変だというときにこれを新幹線の建設費に回さなきゃいかぬのかと。この額が、清算事業団を通じて債務返還に回らなかったという金が七年間毎年七百二十四億円、約七千三百億円に上ります、さっきの二千三百二十三億と合わせれば約七千四百億円、これが本来なら返済に回るんです。それが無利子貸し付けとして都市鉄道整備に回されている、あるいは新幹線の建設費に回されている。もう既に七千四百億ですから、このまま続けたら一兆円なんかすぐですよ。こんなばかなことはないんじゃないですか。運輸大臣いかがでしょうか。
  170. 梅崎壽

    政府委員(梅崎壽君) ただいま御指摘ございました新幹線施設の再評価、第二回目の再評価で一・一兆円の価額の上乗せをしたわけでございますが、この分は、先ほど申し上げましたとおり、鉄道整備基金法を制定する際に新幹線の財源ということで鉄道整備基金の業務の一環として位置づけられたものでございます。  それから、この一・一兆円の負担JRが行っておりますけれども、このような負担が年額七百二十四億でございますが、この点につきましては、新幹線の整備に充てる、それから、後ほど一定の年限の後はこれを財源といたしまして先ほど申し上げました無利子貸付制度にかかわります利子負担分に充てるということで、決して清算事業団長期債務償還に支障を来すことがないスキームになっております。
  171. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 これは支障を来すことにならないと幾ら言ったって七千億円、ほかに使われて支障を来さないわけないじゃないですか。悪い見方をすると、もう清算事業団はどうせどうしょうもないから、この際全部清算事業団におっつけてしまえというやり方をこの間やってきたということじゃないですか。  それだけじゃないですよ。平成四年度から十一年度の事業計画で、札幌駅前の区画整理事業というのが、これがJR清算事業団、札幌市の三者で、事業費は九十三億円で行われています。問題はなぜこれがJR清算事業団、札幌市という三者の共同事業になったか。事業計画書は次のように書いています。土地利用の細分化が障害となり、このままだと土地の有効利用がおくれる、そこで区画整理事業を三者で共同でやりますと、こういうことであります。  これはどういうことかといいますと、私きょうここにその区画整理事業の対象の地図を持ってきました。(資料を示す)分割・民営化するときに土地を細分化して、清算事業団あるいはJR、これに承継させるんです。この黄色いところが清算事業団の持ち物です。ピンクの部分JR北海道の持ち物。ブルーは札幌市です。例えばこの清算事業団、札幌駅真ん前です。これは完全にJRに承継された土地に囲まれているんですよ。つまり、このままだと清算事業団のこの黄色の土地は使いようがないんですよ、JRに囲まれちゃっているんですから。沖縄では象のおりというのがあったけれども、これはJRのおりに囲まれている、これが実態なんです。  だから、結局JRだけじゃどうにもならないというので、そして三者で区画整理事業をやるということにこれならざるを得なかったんですね。そうじやありませんか。
  172. 梅崎壽

    政府委員(梅崎壽君) 御指摘の土地につきましてでございますが、JR北海道に対しまして鉄道事業に最小限必要な土地を承継させまして、残った土地はすべて清算事業団に承継させる、こういうような考え方でやりまして、JRに承継させました分は旅客の移動のために必要なものということでございます。結果的に必要最小限のものをJR北海道に承継させまして、残ったものを清算事業団の方に承継させる、こうなりましたので、御指摘のような袋地というような形になっているのは事実でございますが、やむを得ないものだと考えております。
  173. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 これじゃ清算事業団は囲まれた土地を売るに売れないんですよ。そこでこの区画整理事業をやったと。なかなか巧妙で、もう承継した次の年にはこれをどうするかという検討委員会が設置されて、これはもちろん三社入っています。そして、区画整理事業ができ上がると。仮にJRがこのJRのおりに囲まれた清算事業団の用地を買おうとすれば、これはもう当然莫大な費用がかかります。ところが、区画整理事業をやったことによって、JRは一円も出さずにこの土地を事実上手に入れるということができたわけですよ。そうじやありませんか。理事長さん、せっかくお越しになっているんだから、一回ぐらい答弁されたらどうでしょうか。
  174. 西村康雄

    参考人(西村康雄君) 区画整理事業につきましては、お話しのように、当初の事業団及びJRの承継地、それからこれは札幌市も駅前に土地を持っていたと。これを合理的に使用するために区画整理事業を行ったわけで、その場合に、通常、区画整理の目的たる道路の造成あるいは駅前広場、公園等やるわけでございますが、そのときには公の用に供する部分を各土地の保有者が減歩いたします。減歩をした結果をみんながまた交換をしまして、それぞれ新しい土地として利用しやすい形にすると。この場合の減歩率はお互いに平等にやるのが基本でございます。ただ、従来あった土地の立地条件等を勘案して、それぞれ不利にならないように土地を割り当てていくということで、私ども、この区画整理事業によってJRが非常に利益を受けたというふうには理解しておりません。
  175. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 もう一遍示して恐縮だけれども、これは前のやつでしょう。それで、前は結局JRにとっては札幌駅から通路しかなかったんです。駅の真ん前です。そこが区画整理事業によってまとまった土地になったんですよ。だれが考えたって、通路しかなかった土地が駅前にきちっとまとまった土地ができると、JRにとっては大喜びです。私だって家の前やってもらいたいぐらいだよ、それだったら。まあ残念ながらマンションだけれども。  もともとJRがどれくらいでこの土地を承継したかというと、一平方メートル当たり二千五百円、この簿価ですよ。ところが、この換地に当たって、今おっしゃったように減歩もある、換地がある、一平方メートル当たり五百八十万円の評価になっているんです、二千五百円でもらったものが。何倍になりますかな、これもうただ同然で手に入れたやつが一平方メートル当たり五百八十万、一坪だったらもう二千万弱。ここまでのものをJRは手に入れることができたんです。  しかも、この区画整理事業がやられたことによって容積率は六〇〇%から八〇〇%に引き上げられた。これも三割増し価値が上がったということであります。しかも、JR北海道はこの前に本社があったんです。この本社はもう古いものです、一九五二年に建てているんですから。ところが、この区画整理事業によって本社移転費用七十二億円もらっているんですよ。これ幸いと隣の駅に移りました。  要するに、一円も出さずに、一平方メートル二千五百円の土地が五百八十万になる、古かった本社ビルが七十二億円もらって隣の駅に新しいビルを建てる。JRはもう本当に大喜びですよ。こんなことやって、そして清算事業団の方は借金がふえるばかりですと、こんなばかなことやっていたんじゃ当たり前じゃないですか。
  176. 西村康雄

    参考人(西村康雄君) ただいま御指摘のように、区画整理事業ではJRも非常に土地の効用が上がりまして御指摘のような価格になったわけでございますが、実のところ、この区画整理事業の恩典は当事業団の方も同じように土地の価格が上がりまして、そういう意味では大変区画整理事業の有効性、有用性を深く示していることだと思います。  また、このたびの区画整理では事業団側の用地も大変いい地形になっております。従前は、さっき先生御指摘のように袋地的な、もっとも袋地と申しましても公の広場には面しております。ただし、それはJRの広場に面しているということで、公道に面していないという意味での袋地でございます。そういう意味で、今回の区画整理後は公の広い道路に面するようになりました。また、大きな区画になりまして、駅前としては大変いい区画地になって、私どももこれで入札ができるという態勢に入ったわけでございます。
  177. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 ところが、そうじゃないんだ。そうなっていたら私は文句は言わない。  五百八十万円でJRの土地は評価されたんですよ。あなた方は幾らで売ったのよ。確かに換地によって二カ所にまとまった。その一カ所をJRと大丸に売ったでしょう。一平方メートル当たり五百八十万円で売ってないじゃない。幾らかというと、一平方メートル当たり百四十八万だよ。四百万円以上安いじゃないか。何が、上がって私たち喜んでいますだ。  一体この面積は幾らあるか。全部で百二十六億一千万円ですよ、この一カ所の売り上げが。ところが、もし五百八十万で売っていたなら四百九十一億七千九百万円入ったんです。何と三百六十五億円もこの土地について安く売っているじゃないか。地元の新聞だって書いているでしょう。何でこんな安値で、予想を下回る落札と。  清算事業団が大変なときに、約五百億円で売れるのに百二十億円で売っている。何が、高くなって私たちも喜んでいますと。こんなばかなことをやっていたら、債務が減るわけないよ。  私、もう時間がなくなりましたから、西田政務次官にはせっかくおいでいただいたのに質問しません、申しわけないと思いますが。  こんなやり方、やっぱり改めるべきだと私は思います。こういうのを点検すべきだと思いますけれども、最後に大臣にお伺いしたいと思います。
  178. 古賀誠

    ○国務大臣(古賀誠君) 先生、先日来こういうお話をいただいているわけでございますけれども、清算事業団清算事業団なりに公平に、公正に最善の努力をしているということでございます。  区画整理は、御承知のとおり、その土地の有効化を図ることによって土地そのものの価値を高めていくわけでございます。その間、今御指摘いただいているような、どういう経過があるかは別でございますけれども、結果としてそれだけの金額の差が出ているわけでございますが、ぜひひとつ先生にも御理解いただきたいのは、決して清算事業団がこの膨大な赤字をどうにかなれとか、投げやりの姿勢であるということでは決してございません。可能な限りの努力をしているということはぜひひとつ御理解をいただきたい、このことだけ申し上げておきたいと思います。
  179. 末広まきこ

    末広真樹子君 自由の会の末広真樹子でございます。  本日は大きな止血剤の話をしておりますので、なるたけてきぱき御答弁お願いしたいなと思います。でないと、うだうだと言うと頭から何か血が吹き出そうなぐあいでございますので、よろしくお願いしたいと思います。  十年前の国鉄民営化時に、片やJRには世帯道具一切を持たせて民営化した。そして、片や清算事業団には何の清算効率を上げる手だてもなく、借金だけつけて特殊法人として残しました。いわば破産管財人をつくってしまったわけです。  当時どんな目的でこの事業団をおつくりになったのか。また、発展の未来なき事業団へ取り残された人々のことをどんなふうに考えていたんでしょうか。気の毒だとは思わなかったんですか。明確に御答弁ください。
  180. 梅崎壽

    政府委員(梅崎壽君) 清算事業団は、昭和六十一年に成立いたしました法律日本国有鉄道清算事業団法に基づきまして設立されましたけれども、この目的は、日本国有鉄道の長期借入金及び鉄道債券にかかわる債務その他の債務償還、それから国鉄の土地その他の資産処分等を適切に行いまして、もって国鉄改革法に基づく施策の円滑な遂行に資するということを目的といたしております。  それから、職員の方々につきましては、国鉄から清算事業団の方に移っていただきましてこの目的に従事していただくということで、清算事業団に就職していただいたわけでございます。
  181. 末広まきこ

    末広真樹子君 清算事業団に殉職していただいたと今聞こえちゃいましたね。そのぐらいなものでございますよ、残された人にしてみれば。  しかし、その一方で甘い汁を吸っているところもあるんです。平成九年度首のデータですが、清算事業団有利子債務は十九・一兆円に及んでいます。そのうち財投資金によるものは十五・五兆円、民間からの借り入れによるものは二・八兆円。利率は、財投資金によるものは五・二〇%、民間が二・一九%ですからその差は二倍以上でございます。より低利な資金に切りかえなければなりません。低利の資金による切りかえの要望は多いと思いますが、この点についてはっきりとお答えください。
  182. 梅崎壽

    政府委員(梅崎壽君) 私ども、清算事業団ともども、資金の調達につきましては長期的に安定的な資金であること、それから一方ではできる限り低い金利であること、主としてこの二つの面の調和を図りながらやってきたつもりでございます。  御指摘のとおり、民間借入金の金利は、現在は大層低うございますが、数年前までは財投資金の方が低かったという事情もございます。正直申し上げまして、民間の資金を含めまして低金利がこれほど長く続くということを当時正確に見通せなかったという点があるのではないかという点に関しましては、確かにそのような点はあろうかと思いますけれども、なかなかその当時におきましてそのような的確な見通しをすることが困難でございましたのでこのようなことになってまいりましたが、最近におきましては、低利の、短期の民間資金の拡大に努めているところでございます。
  183. 末広まきこ

    末広真樹子君 見通せなかった、これはもう失敗を認めたという発言ですよ。  今どき五・二%なんて、めちゃくちゃ暴利です。しかも、それが十五・五兆円もある。財投にとって清算事業団は高い金利を払ってくださる格好のお得意様でございます。食い物にされているのではありませんか。  利払いのためにこれまでに巨額の財投資金が投入されてきました。安易に財投資金を貸し付けた大蔵省と借りた運輸省責任は大変重大だと思います。財投にしてみれば、大きな金額を安定高金利で、しかも長期で借りてくれる、これはおいしい話ですよ。財投の源流たる郵便貯金ももてあますお金の貸付先としてはこれ以上うまい話はない。いわばこの三者、郵貯、財投、清算事業団の節度なきもたれ合いがここまで債務を膨らませてきたんではないんでしょうか。このことへの反省はありますか。運輸省、大蔵省双方にお聞きします。
  184. 梅崎壽

    政府委員(梅崎壽君) 先ほど申し上げましたとおり、清算事業団資金調達に当たりましては、できるだけ長期間安定的な資金であること、また一方ではできるだけ低利の資金であること、こういつたような要請を毎年勘案しながら、そのときそのとき判断をいたしまして借り入れを行ってきたところでございます。  したがいまして、私ども先ほども触れましたが、今日のような低金利が長期間続くということをなかなか予測することが困難であったということでございまして、そのような点は御理解をいただきたいと思います。決して先生御指摘のようなことではなかったのではないかと思います。
  185. 中川雅治

    説明員(中川雅治君) 国鉄改革を進める上で、国鉄清算事業団は、長期債務の本格的な処理が行われるまでの間、当面土地処分収入等の自己財源のみでは長期債務の元利払いや年金負担の支払いが賄えないことから、資金繰りのための資金が不可欠となったわけでございます。清算事業団に対する財政投融資は、このために必要なつなぎ融資として、国鉄改革法第十六条に基づき昭和六十三年一月の閣議決定の趣旨を踏まえて行われているものでございます。仮に財政投融資が行われなかったとすれば、国鉄改革に大きな支障を生じたものと考えられます。  清算事業団に対する財政投融資の償還確実性につきましては、国鉄清算事業団長期債務等は、昭和六十三年一月の閣議決定において、最終的に残る債務等については国民負担を求めざるを得ないとの考え方に立ちまして、事業団債務等については最終的には国において処理することとされております。さらに、償還確実性を高めるために政府保証が付されているところでございます。  金利でございますけれども、清算事業団に対する財政投融資は政府保証債の引き受けという形をとっておりまして、これは十年の期間でございますので、その時々の十年物の民間の他の金利と比べますと最も低い金利になっていたわけでございます。民間の方は短期の借り入れということになっておりますので、民間と財投の金利を単純に比較すると、これは当然金利自体高いわけですけれども、期間が関係しているということでございます。
  186. 末広まきこ

    末広真樹子君 そうかな。私はそうは思えないんですよ。この辺になってくると何か住専と似ている。あのときの農協系金融機関というのはお金がいっぱいあって、それをどこかへ貸したかったんです。郵貯も今まさにそうなんですよ。もういっぱいあって、どこか貸すところを見つけないと大変なことになってくる。この点では似ていると思うんです。そのくされ縁的なお金の回し方への反省ができていない、何も感じていない、これをきちっとしてもらいたい。  なぜならば、庶民や高齢者はそんなふうに運用されるとは全く知らずに、へそくりや退職金を安心してお任せするという一心で郵貯へお預けしているんです。まさか、回り回って自分のところへ将来の国民負担となって返ってこようとは夢にも思っていないんです。この国民の信頼を裏切ったということについてどうお考えですか。さあ、両大臣出番ですよ、お願いします。
  187. 古賀誠

    ○国務大臣(古賀誠君) 財投につきましては、私は、戦後ある意味では第二国家予算だと言われた時代があるわけでございますけれども、それなりの役割を果たしてきていると思っております。今、政府委員答弁申し上げておりますように、この国鉄改革を円滑に進めていくという意味でも財投はそれなりの役割は果たした、私なりにそう理解をいたしております。
  188. 西田吉宏

    政府委員(西田吉宏君) 将来のこと、なかなか見えにくい問題ですけれども、今政府委員答弁しましたように、いわゆる分割・民営を図りましたときの資金として借りたその財源でありますけれども、当時の金利の問題を考えてみると一番有利な金利だ、こういう問題なんです。それから後のことは全然見えなかったからみんな責任だ、こう言われれば政府を担当している者としては遺憾に思う点はあります。  しかし、それから後のバブルの崩壊、さらには当時、土地の売却等もありました。私ども京都に住んでおりまして、ただいま北海道の問題が出ましたから申し上げますが、ちょうど京都にも旧国鉄貨物扱いの梅小路ヤードというところがあったんです。そのときに市長選挙で市民に「緑陰に憩う」という政策を訴え、そこにいわゆる緑化フェアを事業として清算事業団の土地を買おうと考えた。ところが当時高くて買えない。こういつたところが、幸か不幸か、自治体にしてみればバブルの崩壊で下がって三分の一ぐらいで買えた、こういうような形も出てくるんです。  だから、すべての見通しでこの責任はと、こういうことで言われますと、それは政府を担当してきました私どもといたしましては、行政を継続する中で真摯に受けとめることは受けとめまするけれども、その点の御理解だけはきちっとしておいていただかないと、すべて私どもの問題で結果論だけを申されるということはいかがなものかと、このように思いながら、今後この問題については、先ほど来各委員からの御質問のとおり、平成九年中に何とか鋭意努力をしながら先の見える方策を考えたい、このように考えておりますので、御理解の上よろしくお願いします。
  189. 末広まきこ

    末広真樹子君 反省するという点が実に大事なんです、この問題についてはね。郵貯の民営化を含めた財投の見直し、そして清算事業団債務の民間資金への切りかえというように、それぞれが宵立してもらわないと困る。  午前中の参考人意見聴取で、三人の参考人の方にお聞きしましたよ。財投は要るのですか、要らないのですか。三人、口をそろえて財投の役割は終わった、もう要らない。はっきりおっしゃいました。私も同感です。思わず合点と言いました。  財投は廃止しない限り果てしなくこの種の同じ問題が出てきます。必ず出てきます。財布は一つにせにやならぬ。あっちこっちに隠れ借金があってそれを陰で財投が支える。そのお金をお年寄りの年金とか庶民のへそくりが支えてた。それはあんまりですよ。そういう国民を欺くやり方はきっぱりと反省してやめていただきたい。透明性を高め、財政改革をしっかりやっていただかなければ清算事業団の問題は到底国民に受け入れられてもらえません。  大蔵政務次官に再度お伺いいたします。財投廃止について御見解をお聞かせ願いたい。
  190. 中川雅治

    説明員(中川雅治君) 財政投融資につきましては、財政政策の中で有償資金の活用が適切な分野に対応するという基本的な役割、必要性は将来的にも残ると考えておりますが、その受け持つ具体的役割は社会経済情勢の変化等に応じ変わっていくことが必要であると考えております。したがいまして、財政投融資について改革を推進するとの基本方針のもと、対象となる分野、事業について、公的部門は本来民間の活動を補完すべきものであるとの観点や、償還確実性といった観点などから見直すとともに、効率的かつ重点的な資金配分を図っていくことが必要であると考えているところでございます。  こうした考え方のもと、資金運用審議会の懇談会において、財政投融資について改革を推進する観点から、広く専門家の意見を聞き、本格的な検討、研究を進めていくこととしているところでございます。
  191. 西田吉宏

    政府委員(西田吉宏君) 当時の問題は、私は一方、それで十二分な成果を果たしたと、こういう事実もあるわけなんですから、この点も御理解を賜りたいと思う次第であります。  しかし、今構造改革等の中で言われておりますように、資金運用審議会の懇談会というのがございますが、ここにおきまして財政投融資についても改革を推進する観点から、広く専門家の意見を聞きながら本格的な検討、研究の段階に入っておる、こういうことでありますので、答申また報告を受けながら、現時点におきましてもなお効率的な施策を出してまいりたいと、このように考えているところであります。
  192. 末広まきこ

    末広真樹子君 現段階ではそこまでが限度かなと思うんですけれどもね。でも、政治家の言う改革に向けて検討中というのは、ちょっとこれだけでも改革なんです、今までの例から言うと。ずらっとやるのも改革なんです。私が望んでいる、国民が望んでいるのはずばっとなんです。それは念を押しておきたいと思います。今までのようなちょびっと変えて変えましたというのは通りません。
  193. 西田吉宏

    政府委員(西田吉宏君) おっしゃるように、政治家ですからいろいろの切り口があろうと、このように思っておりますが、私は、今現在、大蔵政務次官として大蔵省としての基本的な考え方を申し上げておるというところです。
  194. 末広まきこ

    末広真樹子君 ありがとうございます。期待しておりますよ。  今までこの長期債務問題は、決算委員会でも余り取り上げられてまいりませんでした。政治家はこの問題に目を向けてこなかった。したがって、国民の目も向くことがなかった。だから、国民の目には突然降ってわいた災難に見えているんです。  監理委員会の答申に一、二、三と書いてあると御答弁が続いておりますけれども、国民負担は三点目なのでございますよ。二点目にあらゆる可能な限りの手段を尽くす、それでもだめな場合は三点目、国民にと、こう来ているんです。この順序を肝に銘じていただきたい。  では、可能な限りの手段を尽くしてきたか。尽くしてきたとは言えません。可能な限りの失敗は尽くしてきました、これは。思い当たると思います。売れるときに売らなんだ。凍結策を出してしまっている。  しかし、事態は急を要します。大蔵省と運輸省は、この借金をどうしても一般財源に入れたがっているようでございます。でも、万一そうなった場合、御提案申し上げたい。歳入もあらゆる目的税を一般財源に入れる。つまり財布を一つにしてもらいたい。これの透明性を高め、国民の目にはっきりとわかる形で重点的に歳出項目を立てていただきたい。こういう具体的な納得のいく歳出削減、歳出削減、もう何遍でも言わせてもらいます、これが必要だと思います。そして、政府はたび重なる失敗を素直に認めて、国民に対してわかりやすく説明して、心を込めて協力をお願いする、こういう姿勢が必要なのであると思います。  最後に、大蔵政務次官の御見解を承ります。
  195. 西田吉宏

    政府委員(西田吉宏君) 我が国財政は、国債残高が九年度末には二百五十四兆になるというのは御高承のとおりであります。なお危機的な状況にあるということは、私どもも痛感をいたしているところであります。財政構造改革は喫緊の課題である、これは何遍も今まで申し上げてきたところでありますし、委員も同感であろうと、このように思うわけであります。  十年度予算編成を含む今後の財政構造改革については、総理から示されたとおり、財政構造改革原則と基本的な考え方に基づき、財政構造会議の企画委員会において歳出の改革と縮減の具体的方策について本格的な検討を今やり、数も申し上げましたが十二回、親会議六回と、こういう形でやっているところでございます。痛みを伴う歳出の改革と縮減の具体的方策を取りまとめてまいりますこの過程においては、国民の皆さん方の御理解を求めつつ、強い決意を持って財政構造改革に取り組むことが大前提であり、必要性のある重大な問題だと、このように考えているところであります。しっかり頑張ってまいりたいと思います。
  196. 末広まきこ

    末広真樹子君 ありがとうございます。
  197. 栗原君子

    ○栗原君子君 新社会党・平和連合の栗原君子でございますが、よろしくお願いいたします。  けさほどから財投にかかわって議論が随分となされているわけでございますが、私もこの問題にかかわってます質問をさせていただきたいと思います。  先般、五月二十六日に政府・与党財政構造改革会議の決定を受けまして、国会画委員会が報告書を出しております。この報告書を見ておりましても、国鉄清算事業団債務の件にかかわってさまざまな選択肢があるということを挙げていらっしゃるわけでございます。その中で財投資金の繰り上げ償還あるいは金利の減免といったものが挙げられております。  ここで、今年九七年度の特別会計の予算の中に添付されました資金運用部の特別会計の貸借対照表によりますと、平成九年度末の見込みで積立金が五千五百二十億円というのがございます。この金額の範囲内であれば財投資金の借りかえが可能になるように思いますけれども、この点はいかがでございますか。
  198. 中川雅治

    説明員(中川雅治君) 財政投融資は、民間では実施困難な大規模超長期プロジェクト、民間金融では困難な長期固定金利資金の供給などを行う仕組みでございますが、これに当たって資金運用部は、預託金利と貸付金利との間に利ざやを取らずにその時々で最も優遇された金利資金を提供しているところでございます。  資金運用部は、こうした役割を果たすに当たりまして、受け入れた種々の預託金を長期固定金利資金として貸し付けられるように、資産負債を全体として適正に管理することにより変換、つまり期間変換する必要があるわけでございます。  資金運用部は、このような期間変換を利ざやを取らずに行うに当たって、将来の金利変動などのリスクから国の制度、信用に基づいて多数の国民から集められた公的資金を守る必要があるわけでございますが、ただいま御指摘の資金運用部特別会計の積立金はこのための不可欠の備え、いわばバッファーとして用いられているものでございます。  このような役割を持つ資金運用部特別会計の積立金を他の目的に使うということは適当でないというふうに考えておるところでございます。
  199. 栗原君子

    ○栗原君子君 他の目的に使うことは適当でないと、このようにおっしゃいますけれども、大蔵省預金部等の債権の条件変更等に関する法律、こういったものがございまして、この第一条に、前半は省略いたしますけれども、「公共の利益のため必要があると認める場合に限り、その融通条件の変更又は延滞元利金の支払方法の変更をすることができる。」といったようなことを言っております。これらは、災害その他特殊の事情によりといったこともうたっております。  今回の件は特殊な事情ではあるのですか、ないのですか。
  200. 中川雅治

    説明員(中川雅治君) 国鉄清算事業団に対する財政投融資と申しますのは、政府保証をつけていただいているわけでございます。資金運用部は、郵便貯金や年金の掛金がもとになってそういった預託者からお預かりしているものでございまして、確実かつ有利な運用が義務づけられております。したがいまして、資金運用部からの清算事業団に対する貸し付けというのは政府保証債の引き受けという形をとっておりまして、今申しましたように政府保証がついているということを考えますと、大蔵省預金部等の債権の条件変更等に関する法律の要件には該当しないというように考えております。
  201. 栗原君子

    ○栗原君子君 確実かつ有利な方法ということをおっしゃいましたけれども、平成九年度における資金運用部の預託と貸し付けの状況を見てみますと、貸付金の償還は高金利時代のものでございます。そしてまた新規の貸し付けば低金利時代となっているわけでございます。この預託の金利が急に上昇するという状況にもないわけでございます。将来的な問題はあるかもしれません。しかし、この積立金が既に五千五百二十億円あるわけでございます。  この範囲の中で借りかえを認めたといたしましても、資金運用部の資金運用がパンクするというような状況にはないと思いますけれども、いかがでございますか。
  202. 中川雅治

    説明員(中川雅治君) 今申しましたように、資金運用部は預託金利と財投金利を同一といたしまして利ざやを取っていない仕組みでございまして、その時々の金利情勢にもよりますけれども、運用部の調達コストそれから運用コストはほぼ同一になって、決算上も大体数百億というオーダーでプラスになったりマイナスになったりしているところでございます。  そういう意味では、今後金利が急に上昇する状況にはない、したがってこの積立金を使っても構わないのではないかという御指摘でございますけれども、現実問題といたしまして過去数年間見ますと、若干マイナスになっているという場合もございますしプラスになっている場合もございますので、そういう意味では先ほどのいわば将来の金利変動などのリスクから守るためのバッファーとしてこの積立金はどうしても必要だと。現実に、平成七年度末で申しますと資金運用部資金は三百七十四兆円ございまして、この積立金五千二百八十三億円の割合は〇・一%を占めるにすぎないわけでございまして、この程度のバッファーというのは当然必要であるというふうに考えております。
  203. 栗原君子

    ○栗原君子君 現在、ただいま審議をしておりますこの止血策そのものが私は平成九年度の緊急措置である、このように思います。国鉄清算事業団債務負担軽減を図るには、やはりこの財投資金の繰り上げ償還を含めた選択肢を検討する必要がある。私は絶対これは逃げることができない課題である、このように思っておりますけれども、御検討いただきたいと思います。  また、それらにかかわりまして、国鉄清算事業団の財投資金の債務の残高表を見てみますと、平成七年度末におきます資金運用部からの借入金で金利七%以上のものが一兆七千七百二十二億円あるわけでございます。資金運用部からの借入金の六三%を七%以上のものが占めております。そして、六%以上ということになりますと二兆三千十九億円で八三%にもなるわけでございます。  最近のこの超低金利時代に六%とか七%とか、こういつた高金利のために国鉄清算事業団債務がどんどん膨らむということについては、国民感情からいっても納得できるものではないと思いますけれども、いかがでございますか。納得できるんですか、それで。
  204. 中川雅治

    説明員(中川雅治君) 清算事業団の財投からの借り入れにつきましては、これは過去の分におきましては今御指摘のように六%台、七%台のものもかなりの程度あるわけでございますが、一方、現時点におきまして財投から融資を受けている分につきましては、これは二%台になっているわけでございます。  過去の金利と申しましても、その時点時点で申し上げますと、これは民間の他の金利と比べて最も優遇された金利ということになっているわけでございまして、今後そういった高い金利債務が膨らむわけではございませんで、現在の金利は二%台、ただいまで申しますと二・六%と、こういう金利になっているわけでございます。  そこで、確かに以前の金利に比べますと、現時点におきまして金利水準自体が低下しているわけでございますので、繰り上げ償還あるいは低利借りかえという問題が議論されるわけでございますけれども、これは借り手が負担軽減を受けるかわりに資金運用部にそのコストを転嫁するものでございまして、先ほど来申し上げておりますが、政府全体としてのコストが軽くなるわけではございませんで、問題の解決にはならないというように考えているところでございます。
  205. 栗原君子

    ○栗原君子君 幾ら聞いてもなかなかわかりにくいんですけれども、制度的な問題があるにいたしましてもとりあえず債務の膨張を防ぐという緊急措置の考えに立つべきだと思います。例えば、先ほど申しましたように、七%以上のものについては借りかえとか繰り上げ償還を認めるということがあってもいいような気がいたします。  再度聞きます。積立金の範囲内であっても財投資金の借りかえや繰り上げ償還は制度的に不可能なんですか。政務次官にお答えいただきたいと思います。
  206. 中川雅治

    説明員(中川雅治君) ただいま申しましたように、まず資金運用部特別会計の積立金と申しますのは、これは資金運用部が資産負債を全体として適正に管理することによって、期間変換、要するに郵便貯金や年金からの預託を受けてそれを超長期あるいは長期固定で各財投機関にお貸しする、そのリスクを吸収するための必要な備えということでございますので、こういった備えがなくなりますと、資金運用部が、民間では実施困難な大規模超長期プロジェクト、あるいは民間金融では困難な長期固定の資金の供給といった財政投融資本来の役割を果たせなくなるという意味で、この特別会計の積立金をそういった形で使うことは不可能であるというふうに考えております。
  207. 栗原君子

    ○栗原君子君 せっかく政務次官においでいただいておりますので、この件に関して一言御答弁いただきたいと思います。
  208. 西田吉宏

    政府委員(西田吉宏君) 国鉄清算事業団財政投融資について、金利負担軽減を図るために繰り上げ償還、さらには低利借りかえをしたらどうか、こういう委員の御指摘であります。  現時点でそのものだけを見てみますとなんですが、いわゆる資金運用部の今日まで置かれてきた長期にわたる事業等に対する融資というものは、それはそれなりに今日までの過去を評価しなければならない点も御理解を賜りたい、このように思うところであります。  制度的な問題につきましては、政府委員から答弁をいたしたところでございます。しかし、先ほど来答弁をいたしておりますように、すべてを含めながら財政構造改革会議等におきまして、ただ  いま鋭意その審議をしておる最中でありますので、どうぞ御理解を賜りたいと思います。
  209. 栗原君子

    ○栗原君子君 続きまして、国鉄清算事業団にとりましても、将来長期間にわたりまして支払いの義務が生じてまいります鉄道共済年金の負担にかかわってお尋ねをしたいと思います。  かつて三公社五現業と言っていた時代、この三公社の中のNTTあるいはまたJTとは異なりまして、国鉄には国鉄清算事業団が年金を支払っておりますけれども、これはなぜずっと支払い続けなければいけないのか。いただきました資料を見まして、この数字を見ただけで腰が抜けそうなほどびっくりしたわけでございます。さらに、事業団がこれまで支払ってきた年金の負担額はどのくらいになるものか、お尋ねをいたします。
  210. 梅崎壽

    政府委員(梅崎壽君) 三公社の年金の問題でございますが、昭和三十一年七月に公共企業体職員等共済組合法というものが施行されまして、その施行の前は、当時の三公社に在職した職員の昭和三十一年六月以前の在職期間にかかわります年金負担、これはもともと積み立てがないということでございまして、この年金負担につきましては追加費用といたしまして年金給付のための原資については事業者が負担する、こういうぐあいに整理をされたわけでございます。  したがいまして、国家公務員等共済組合法の長期給付に関する施行法に基づきまして、事業主である三公社が三十一年六月以前の年金負担につきましては全額を負担するということになっておるわけでございます。こういうことから、電電公社あるいは専売公社の民営化に際しましては、御指摘のとおり、各公社の権利義務を承継いたしましたNTTとJTがこの追加費用の負担義務を承継するというぐあいになりました。  これに対しまして、国鉄改革の際に、追加費用の負担を新事業体でございますJR各社負担するということになりますと経営が大きく圧迫されるということを考慮いたしまして、追加費用の負担につきましては、日本国有鉄道改革法等施行法に基づきまして、旧国鉄の移行体でありまして旧国鉄の事業主としての地位を引き継ぎました国鉄清算事業団が全額を負担するということになったわけでございます。この点で国鉄と電電、専売は扱いを異にしたということでございます。  それから、現在までに清算事業団がどれだけ払ってきたかということでございますが、追加費用といたしまして約四兆一千億円、さらに平成二年度から平成八年度まで七年間にわたりまして年間一千億円、合計七千億円の特別負担をしてきております。そういうことで、合計四兆八千億円という支出でございます。  それから、たびたび申し上げておりますが、鉄道共済年金から厚生年金の統合に伴いまして、平成九年度首におきまして約八千億円の移換金の債務が発生したところでございます。
  211. 栗原君子

    ○栗原君子君 国鉄清算事業団平成十年度以降の年金支払いは今後いつまで続いて、幾らぐらい払うことになるのか、お願いします。
  212. 梅崎壽

    政府委員(梅崎壽君) 現在時点におきます清算事業団試算でございますけれども、追加費用の支払いは平成七十二年度まで続くものと見込まれております。  今後の支払い額といたしましては、累計で約六兆四千八百億円になるものと見込まれております。
  213. 栗原君子

    ○栗原君子君 六兆四千八百億円という数字を見まして本当に驚くわけでございますけれども、清算事業団を早い時期に整理する、今そういったことを御指導なさっていらっしゃるわけでございますが、その時点ではどこがこれを引き継いで払うことになるんですか。
  214. 梅崎壽

    政府委員(梅崎壽君) 処理をしなければならない国鉄長期債務の中には、いわゆる過去債務といいますか既に発生しました債務のほかに、今のようなこれから払わなければいけない費用、すなわち将来費用があるわけでございます。年金負担を含めました長期債務の本格的処理につきまして、今後あらゆる選択肢を精力的に検討いたしまして国民的な議論を尽くし、コンセンサスが得られるように具体的処理策を検討していきたいと思っております。全体の国鉄長期債務処理方策の中の一環として、この問題は大きな問題として取り組んでいきたいと考えております。
  215. 栗原君子

    ○栗原君子君 同僚議員の質問の中にもございましたように、JRに対しては本当に家財道具一切を持って送り出した、そして嫌なものは全部清算事業団に引き受けさせてしまった。まさにかつて住専をごみ箱にしたといって批判も随分とあったわけでございますけれども、私は、今回この国鉄清算事業団をごみ箱のようにしているような気がしてなりません。  特にそういった中で、国鉄長期債務の本格的な処理に際しまして、年金の問題についてはどのように考えていらっしゃるのか、運輸大臣の御答弁お願いいたします。
  216. 古賀誠

    ○国務大臣(古賀誠君) 国鉄長期債務の問題は住専の問題とは異にするということだけはぜひ御理解をいただいておきたいというふうに思います。また、それぞれの大きな改革をやる場合にはその痛みをしっかりと担っていくという組織が必要である、そうした組織によってまた大きな改革ができるということについても御理解をいただかなければいけないのではないかと思っております。  今、御指摘をいただきました年金の問題につきましては、ただいま政府委員答弁申し上げましたように、当然、将来費用としてこの負担をどのように処理していくかという問題は大変重要な問題でございます。本格処理を具体策としてこれから検討する中で、これを含めて今後のあらゆる選択肢の中で精力的な検討の一環として考えていくわけでございます。
  217. 栗原君子

    ○栗原君子君 この九年中には成案を得ると先般もたびたび御答弁いただきましたように、これからどういう成案を得るための努力をなさるのか、私たちも大きな期待をしているわけでございます。あくまでも国民の皆さんにはっきりとわかるようにオープンな形でそうした議論を進めていただきたい。このことをお願い申し上げまして終わります。  ありがとうございました。
  218. 芦尾長司

    芦尾長司君 芦尾長司でございます。重要法案のトリの質問をさせていただきまして光栄に存じます。よろしくお願いします。  できるだけ重複を避けまして御質問を申し上げたいと思いますが、ただ一点これだけは、何度も御質問が出て御回答をいただいておりますけれども、重要な問題でございますのでお願いいたしたいと思います。  まず、国鉄改革時、その長期債務清算事業団が引き継いだ時点でその償還のスキームをどのように想定しておりましたか。また、その後そのスキームがどのように誤算を生じて今日のようなことになりましたか。まず運輸省の方からお願いしたいと思います。
  219. 梅崎壽

    政府委員(梅崎壽君) 国鉄長期債務処理でございますけれども、当時、土地あるいは株式がどの時点で、またどの程度で処分できるかということを確定的に見通すことが困難でございました。こういう事情から、昭和六十三年一月の閣議決定におきましては、まずは清算事業団の「土地、株式等の資産の適切かつ効率的な処分を進め、自主財源の増大を図り、極力国民負担軽減に努める」というぐあいにされたところでございます。その上で、その閣議決定では、「土地処分収入等の自主財源を充ててもなお残る事業団債務等については最終的には国において処理する」ということといたしまして、「その本格的な処理のために必要な「新たな財源・措置」については、雇用対策、土地の処分等の見通しのおおよそつくと考えられる段階で、歳入・歳出の全般的見直しとあわせて検討、決定する。」と、こうされたところでございます。  したがいまして、当時自主財源による収入を具体的にいつどの程度見込むかということは極めて困難でございますので、基本的な考え方として、まず自主財源を適切かつ効率的に進めまして、極力国民負担軽減を図るという考え方で出発をしたわけでございます。  その後の状況でございますが、もう先生十分御承知のとおり、昭和六十二年度首におきます清算事業団債務、二十五兆五千億円でございましたけれども、平成九年度首におきましては約二十八兆一千億円、こういうぐあいになる見込みでございまして、約二兆五千億円が増加いたしております。  このように債務が増加した理由といたしましては、地価高騰問題等々ございまして土地の売却が見合わされたこと、それからその後も土地の市況が低迷したこと、それから株式につきましても市況が低迷したり、あるいは阪神・淡路大震災の影響を受けたこと等々の理由によりまして、収入が思うように上がってこなかった。一方これに対しまして、支出面ではこの十年間、金利負担であるとかあるいは年金の負担等々ございまして、収入を上回る負担が生じた、こういうような事情でございます。
  220. 芦尾長司

    芦尾長司君 今、運輸省の方から御答弁がありましたが、財政当局であります大蔵省も同じような御認識でよろしいですか。
  221. 細川興一

    政府委員(細川興一君) 今、運輸省の方からも御答弁がありましたが、基本的には同じような認識でおります。
  222. 芦尾長司

    芦尾長司君 だから、これから清算事業団債務解消に当たっては、大蔵省も運輸省も同じ土俵の場に立って当たっていただくという認識に立ってこれから御質問したいと思います。  先ほど来政務次官もお答えいただいたわけでございますけれども、これから平成十年度に向かって抜本的な対応を講じていただくことになる、九年中にその方策を示していただくということになるわけですが、当面平成十年度の予算編成に当たりましては、いずれにいたしましても、今以上の債務をふやさないというのが大前提になろうと思います。そして、当年度の利子額以上の償還をこれは行って元金を減らしていかなければならぬということになろうかと思います。そしてまた、できれば高利のものから元金償還を行っていかなければならぬだろう。さらには、当面この五年間で七割ぐらい有利子債務を返さなければならぬだろうというような数字も出ておりますから、そういう債務の平準化を行っていかなければいかぬだろう。  そういうことを前提にいたしまして、十年度の予算を立て、そして今後の長期の抜本的な計画を立てていかなければならぬというふうに思いますけれども、これらの点につきまして大蔵省はどういうふうに基本的には考えておられるのか、お答えいただきたいと思います。
  223. 細川興一

    政府委員(細川興一君) 今、先生の方から具体的な提案がございましたけれども、先生の御指摘のようにさまざまな意見が今出されております。我々としましては、単にすべてを一般会計につけかえて債務の主体がかわったというような形にすぎないということになってはならないと思います。基本的には、前から申し上げておりますように、先生から御指摘があったようなさまざまな意見も踏まえながら、あらゆる選択肢について、単に将来へ負担をツケ回すということにならないように一生懸命精力的に検討してまいりたいと思います。
  224. 芦尾長司

    芦尾長司君 これで最後の質問にしたいと思いますので、大臣と政務次官にお願いいたしたいと思います。  先ほど来御質問がありますように、企画委員会からの報告でも十ほどの方策が掲げられておるわけでございます。要するにこれ、長期債務負担の対象を国民一般とするのか、また特にその中でもJRとかJR利用者を含むそういう方々にも負担をさせるのか、そしてまた片一方では新たな負担増を求めるのか、現行制度の枠内で対処するのか、いずれにいたしましても、そういうことで財政改革の中で対応していかなければならぬと思います。  いずれにしても、その対策については、従来からお話が出ておりますように、国民理解を深めていくということが必要であります。そして、利用者負担ということを除いていきますと、国費の支出をするのか、融資制度によるのか、税制度を改正して行っていくのかということに究極されると思うわけでございます。  そこで、十の方策が掲げられておるものを見てみましても、一つにはこれは非常にいろんな工夫があるんだろうと思うんですが、国民負担感を伴わない方法で何かいい方法はないだろうかというようなことの中で、先ほど来出ておりますように、繰り上げ償還をしたらどうだろうかとか、それからまた免税債を出したらどうだろうか、こういう提案がなされておるわけです。それぞれについて今、中川次長も御答弁をされまして、私もそっちに座ればそういうふうな答弁をするだろうと思うんですけれども、当面そういう各局単位で物事を見ておりますと、とてもわかりましたと言って施策に、答えにはつながっていかないんだろうと思うんです。  そういう意味で、従来の制度の枠を超えた発想で、非常時でございますから、どういう施策を講ずるのかということについて積極的な立場で物事を考えていただく必要があるだろう。さらには、各局単位でいろいろ施策を講じようと思いましても、これはなかなか難しいと思います。そういう意味では、大蔵省、運輸省両省が一緒になって、また各局がそれぞれお互いの立場を越えて協力した積極的な対応策を講じていただかなければならぬだろう。  財投が難しければそれに政府の予算を充てていくとか、先ほどの参考人のところでもそういう施策の組み合わせが必要だという議論もありました。そういう総合的な対策というものをぜひ両省でお話をしていただいて、積極的な対応をして当たっていただかなければこの非常時を乗り越えられないだろうと思うわけですが、大臣と政務次官の御答弁をお伺いしまして終わりたいと思います。
  225. 古賀誠

    ○国務大臣(古賀誠君) 先生から御指摘いただいておりますように、この国鉄長期債務の具体的な、抜本的な処理策を策定するに当たりましては、今大蔵省の主計局次長の方からも答弁申し上げましたように、まず、安易な一般会計へのつけかえ、こういう観点からではなくて、国民負担をどう軽減していくのか。こういう立場に立って運輸省、そしてまた大蔵省はもちろんでございますけれども、あらゆる関係省庁の御理解と、またある意味では御協力をいただきながら、いろんな選択肢の結果としてそれが組み合わせになるのか、それとも構造的な、制度をまた変えていかなければならないのか。  こういう点も踏まえながら、まさに今申し上げておりますように、期間も限られているわけでございます。骨格は少なくとも御答弁申し上げておりますように、概算要求の中には踏み込んでいかなければいけない。九年中に成案を得るということであれば、そういう時間的な制限もあるわけでございますから、今申し上げましたような角度からあらゆる選択肢を精力的に、本当に真剣になってこれから限られた期間全力を尽くしていきたい、このように思っております。
  226. 西田吉宏

    政府委員(西田吉宏君) この清算事業団債務につきましての一刻も早い解消、こういうことにつきましては、今も御論議があり、今現在、企画委員会等で出されております幾つかの問題を委員からも御提起にもなったところでありまするけれども、いずれにいたしましても、この厳しい中で改革をしていくということは痛みをお互いに持つわけであります。この分かち合いをしながら、国民理解をしていただけるような方向を期待しながら、財政構造改革の見地からも極めて重要であろうと、このように考えております。  しかし、先ほど来申し上げておりますように、避けて通れない問題であるところでございまして、大蔵省といたしましては、これは財政当局として真剣に対応する、本年中に成案が得られるように最善を尽くしたい、そういう所存でございます。よろしくお願いしたいと思います。
  227. 芦尾長司

    芦尾長司君 ありがとうございました。終わります。
  228. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  西田大蔵政務次官、御退席いただいて結構でございます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  229. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となっております法律案に反対の立場で討論いたします。  旧国鉄長期債務が今日のように膨らんできたのは、土地売却などの収入が追いつかないほどの巨額の利払いが続いたためであり、九年間で十三兆円、毎年一兆三千億円もの金利負担したからであります。同時に、本来、債務償還に充てるべきものが新幹線整備に回されたり、事業団の土地売却についてもJRに対し時価の四分の一で売却するなど、債務処理に逆行するようなことが行われていることが一因になっていることも指摘しなければなりません。今度の法律案も、何ら根本的な解決策を示さず、その易しのぎで解決を先送りするものにすぎません。  長期債務問題の根本的な解決のためには、次の三点が大事であります。  第一に、金利負担を減らすため、低利への借りかえを緊急に進めることが必要です。平均金利を一%減らすだけで年間約二千億円の債務を減らすことができます。また、かつて国鉄からの受注で大いに稼いだゼネコンや車両会社、金融機関が所有する高利の鉄道債券は、長期債務原因ともなった事業投資で稼いだ上に破産会社からまで利ざやを稼いでいるということです。これらも低利借りかえを実行していく必要があります。  第二には、本州JR三社に追加負担を求めることです。これは、鉄道事業に最低限必要ということでただ同然で承継した土地を売却したり、関連事業に活用し莫大な利益をこれら三社が上げていることや、地方自治体からさまざまな名目で巨額の寄附を受けている実態などからも当然のことです。  第三には、総合交通特別会計を創設し、今ばらばらでむだな公共事業の原因ともなっている道路鉄道、港湾、空港などの整備会計を一本化し一バランスよく交通インフラ整備を進めることです。  ところが、今回の法案では、全く解決の展望が示されず、国民負担を減らしていくことにはならないことを指摘し、私の討論を終わります。
  230. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  日本国有鉄道清算事業団債務負担軽減を図るために平成九年度において緊急に講すべき特別措置に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  231. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  戸田君から発言を求められておりますので、これを許します。戸田邦司君。
  232. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 私は、ただいま可決されました日本国有鉄道清算事業団債務負担軽減を図るために平成九年度において緊急に講すべき特別措置に関する法律案に対し、自由民主党、平成会、社会民主党・護憲連合、民主党・新緑風会の各派及び各派に属しない議員芦尾長司君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     日本国有鉄道清算事業団債務負担軽減を図るために平成九年度において緊急に講すべき特別措置に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり次の事項について万全の措置を講すべきである。  一 日本国有鉄道清算事業団の残存資産の有効売却等により、極力債務の圧縮に努めること。  二 日本国有鉄道清算事業団債務の抜本的処理方策を一日も早く策定し、可及的速やかに実施すること。  三 日本国有鉄道清算事業団を可能な限り早期に整理することとし、職員の雇用の確保については政府責任をもって措置すること。  右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  233. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) ただいま戸田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  234. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 多数と認めます。よって、戸田君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、古賀運輸大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。古賀運輸大臣。
  235. 古賀誠

    ○国務大臣(古賀誠君) ただいま、日本国有鉄道清算事業団債務負担軽減を図るために平成九年度において緊急に講すべき特別措置に関する法律案につきまして、慎重御審議の結果御可決をいただき、まことにありがとうございました。  また、附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、政府として十分の努力をしてまいる所存であります。
  236. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  237. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  238. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 次に、運輸施設整備事業団法案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。古賀運輸大臣。
  239. 古賀誠

    ○国務大臣(古賀誠君) ただいま議題となりました運輸施設整備事業団法案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  特殊法人の整理合理化については、行政の減量化と新たな時代の要請にこたえるため、総合的かつ全般的に見直しを行い、平成七年二月に鉄道整備基金と船舶整備公団について、運輸関係施設の効率的な整備等を推進する観点から、これらを統合するとの閣議決定がなされたところであります。  同閣議決定に基づき、特殊法人の整理合理化を推進するため、鉄道整備基金及び船舶整備公団を解散して運輸施設整備事業団を設立することとし、運輸施設整備事業団の設立、組織、運営等に関し必要な事項について定めるこの法案を提出した次第であります。  次に、この法律案の要旨につきまして御説明申し上げます。  第一に、運輸施設整備事業団においては、鉄道事業者、海上運送事業者等による運輸施設整備を推進するための支援を総合的かつ効率的に行うことにより、輸送に対する国民需要の高度化、多様化等に的確に対応した大量輸送機関を基幹とする輸送体系の確立を図ることとしております。また、基礎的研究の推進が、科学技術創造立国を目指す我が国にとって、極めて政策的必要性が高いものであることにかんがみ、運輸技術に関する基礎的研究に関する業務を行い、運送の円滑化を図ることとしております。  第二に、鉄道整備基金と船舶整備公団は、運輸施設整備事業団の成立のときにおいて解散するものとし、その一切の権利及び義務は、そのときにおいて運輸施設整備事業団が承継することとしております。  第三に、運輸施設整備事業団の役員につきましては、特殊法人の統合の趣旨に即して、役員数の縮減を行うこととしております。  第四に、運輸施設整備事業団は、その目的を達成するため、新幹線鉄道建設に要する資金についての交付金の交付、主要幹線鉄道、都市鉄道建設・改良に要する資金についての無利子貸し付け、海上運送事業者との船舶の共有建造、運輸技術に関する基礎的研究などの業務を行うこととしております。  第五に、運輸施設整備事業団の監督等に関し、事業計画、借入金、業務方法書の作成等について運輸大臣の認可を要することとしております。  その他、財務及び会計に関する規定を整備するとともに、鉄道整備基金と船舶整備公団の解散に伴う経過措置等を定めることとしております。  以上がこの法案を提案する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  240. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十二分散会      —————・—————