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1997-02-20 第140回国会 参議院 運輸委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年二月二十日(木曜日)    午前十時開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         直嶋 正行君     理 事                 佐藤 泰三君                 二木 秀夫君                 戸田 邦司君                 中尾 則幸君     委 員                 亀谷 博昭君                 鈴木 政二君                 野沢 太三君                 真鍋 賢二君                 溝手 顕正君                 吉川 芳男君                 泉  信也君                 平井 卓志君                 横尾 和伸君                 瀬谷 英行君                 筆坂 秀世君                 末広真樹子君                 栗原 君子君                 芦尾 長司君    国務大臣        運 輸 大 臣  古賀  誠君    政府委員        運輸大臣官房長  土井 勝二君        運輸大臣官房総        務審議官     西村 泰彦君        運輸省運輸政策        局長       相原  力君        運輸省鉄道局長  梅崎  壽君        運輸省自動車交        通局長      荒谷 俊昭君        運輸省海上交通        局長       岩田 貞男君        運輸省海上技術        安全局長     山本  孝君        運輸省港湾局長  木本 英明君        運輸省航空局長  黒野 匡彦君        海上保安庁長官  土坂 泰敏君    事務局側        常任委員会専門        員        志村 昌俊君    説明員        警察庁長官官房        国際部長     兼元 俊徳君        法務省入国管理        局警備課長    安田 博延君        水産庁研究部漁        場保全課長    櫻井 謙一君        自治省税務局府        県税課長     石田 直裕君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査  (運輸行政基本施策に関する件)  (ナホトカ号海難流出油災害に関する件)     —————————————
  2. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  運輸事情等に関する調査を議題といたします。  運輸行政基本施策に関する件及びナホトカ号海難流出油災害に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 佐藤泰三

    佐藤泰三君 このたび運輸省から、空港整備運輸施設整備、旧国鉄清算事業新幹線整備、船舶の安全や海洋汚染海上災害防止等法案が提出される予定と伺っておりますが、そのうちの外国人観光客に関する法案、いわゆるウェルカムプラン21につきまして幾点か疑点がございますので、質問をさせていただきます。  持ち時間が少ない関係質問を一括いたしますので、終わってから答弁願いたいと思っています。法務省警察庁運輸省と三省にまたがりますので、よろしくお願い申し上げます。  ウェルカムプラン21は、外国人観光客倍増する計画だと伺っております。運輸大臣は、十八日の所信表明ウェルカムプラン21について、「国際的に低水準にある訪日外国人観光客増加を図る」と言われておられましたが、今や我が国は、中国韓国台湾東南アジア不法滞在者密航者、いわゆる低水準地域訪日外国人の天国になっている状態でございます。  平成八年の不法滞在者は二十八万八千人に上り、中国韓国台湾、フィリピン、タイ、マレーシア、バングラデシュ、パキスタン等東南アジア出身者が八割近い二十一万人以上に上っているわけでございます。その大部分が、観光客など正規ビザ入国した者が出稼ぎ目的帰国せず、不法残留しておるいわゆる不法滞在者だと言われております。  さきに東京荒川で発生しました中国人グループによります身の代金誘拐事件不法滞在者の犯行だったが、国内における外国人犯罪の七〇%が不法滞在者であり、検挙者の八〇%が中国人を主とするアジア人だと聞いております。  けさの新聞報道にも、岐阜県において偽造旅券が大量に発覚したと報道されておりまして、このところ新聞報道のない日はないぐらいの激しさでございます。  中国では、一人前になったら日本出稼ぎをして親に楽をさせるのが親孝行だと言われているそうでございまして、不法滞在者密航者の間では、日本で一日働けば一カ月の収入がある、多少危険があっても日本は地上の楽園だと言われているそうでございます。  不法滞在者出入国管理の問題でありますが、日本では正規ビザ取得して入国した者は後ほとんど野放し状態になっておるのではないか、一たん入ってしまえば何とかなるので密航者不法滞在者の数が絶えないのだろうと、マスコミは非常にずさんな出入国管理を批判しております。  警察当局に聞きましても、不法滞在一年半を超過した者を検挙しておる、それ未満はもう無数であると聞いております。入国後の帰国までの対応はどのようになっているのか、これは入管でございますが、お伺いしたいと思っております。  また、外国人犯罪は、検挙されたものだけで昨年一年間で二万七千四百件、検挙者が一万二千人に上っておりますが、検挙者の七〇%が観光就労など正規ビザ入国した者が占めております。そのうち、検挙者の八〇%が主として中国人密航者中国人大半だと承っております。ビザ取得渡航費多額借金をして来るので、借金返済のため犯罪に走るのだということも聞いております。  次に、ウェルカムプラン21は、中国語韓国語などアジア語通訳案内人の一部試験を免除するなどして、韓国台湾中国観光客誘致に力を入れるようでございますが、不法滞在者実態などから考えますと、観光客倍増計画不法滞在者倍増外国人犯罪倍増につながりかねないという不安を抱かざるを得ない状況でございます。  観光業の振興を図ることはまことに結構なことでございますが、国の治安を守るということはもっともっと重大なことだと思います。水と治安は世界一と誇っている日本でございますが、最近の治安状況は決してそうではない、だんだんアメリカに追いつくんじゃないかというふうに思考されるところでございます。  そこで、計画の立案に当たりまして不法滞在者実態調査し、運輸省ウェルカムプラン21は不法滞在者のおそれがない団体旅行に限定するとか、あるいは旅行業者出入国管理についても厳重な責任を持たせるとかあるいは観光旅行者不法滞在者に化けないよう十分な配慮をするように義務づけるべきではないかと考えます。  そこで、まず第一点としまして、法務省から不法滞在者実態出入国管理体制につきましてひとつ御答弁願いたい。次に、警察庁から外国人犯罪実態につきまして、昨年の実績で結構でございますからお教え願いたい。最後に、運輸省のお考えを伺いたいと思います。  また、この計画作成に当たりまして、運輸省法務省警察庁十分協議をして、単なる縦割りではないと思いますが、あくまでも国家百年の大計、治安というものを考えていただきたいと思います。  現に、きのうもおとといも私、夜ちょっと歩いてみました。川口駅、西川口駅、南浦和駅の周辺、八時を過ぎますとちょっと一人で歩けません。よく似てますけれども、言葉はわかりません、大勢たむろしております。非常な不安感を持っているのが実態でございますので、その点も考慮いただきまして質問を終わります。
  4. 安田博延

    説明員安田博延君) お答えいたします。  まず、外国人入国帰国までの対策ということでございますが、入国後につきましては、在留期間更新等がございます場合にはその審査を厳格に行う、こういうことにいたしております。ただ、そうした審査に対しましては偽変造の文書等を行使するというようなことが起きておるのが実情でございます。  委員指摘のとおり、そうした悪質な対応での不法在留者、これが多数おるのは事実でございますので、次はその摘発ということで、警察等関係機関とも協力いたしまして、対策につきましては定期的に協議をして検討し、さらに悪質事案中心とした合同の摘発、あるいは広報等中心とする防止措置を講じております。  なお、入国の段階でいろいろな短期滞在等正規の形で入ってくる者が多い、こういうことでございますが、その点につきましても、入国審査時点偽造旅券等を行使する者を阻止するということで、入国審査厳格化、それからさらには事前の審査厳格化も行っておるところでございます。  次に、不法就労対策実態ということでございますが、今述べた点になるわけでございますが、さらに加えますと、最近の密航事案等も踏まえまして、関係機関との協力、それから、こうした不法滞在者国籍国等に対する働きかけ等も進めていくべきものと考えておりまして、これも関係省庁との協議を進めておるところでございます。
  5. 兼元俊徳

    説明員(兼元俊徳君) お答えいたします。  お尋ねのとおり、来日外国人による犯罪検挙が最近増加を続けております。特に、最近では犯罪者グループ組織化犯罪凶悪化が進んでおりまして、来日外国人犯罪日本治安を直接脅かす問題になってきていると私どもは考えております。  その実態でございますが、簡単に数字の面からまず御説明をしたいと思います。  まず、この十年、昭和六十二年から昨年平成八年までの十年間で来日外国人犯罪刑法犯被疑者検挙件数でございますが、検挙件数で七倍、検挙人員で三・五倍という急増ぶりを示しております。  平成八年について詳しく見てまいりますと、刑法犯検挙人員が六千二十六人、検挙件数が一万九千五百十三件、我が国刑法犯検挙人員の二%、検挙件数の二・七%という数字になっております。検挙人員出身地別でございますが、全体の七九%がアジア出身でございます。そして、台湾、香港を除く中国国籍の者が全体の四一・六%という実態になっております。  それから、特別法犯でございますが、検挙人員が五千九百二十三人、検挙件数が七千九百一件ということになっておりまして、特に薬物事犯については総検挙人員の三・七%を外国人が占めております。  とりわけ凶悪犯につきまして、委員御発言の中にございましたが、昨年の外国人被疑者にかかわる凶悪犯、そのうち不法滞在者が六七%を占めております。  それから、薬物事犯につきましては七〇・四%と、非常に平成に入ってから増加をしておりまして、昨年の数字平成三年以降最も高い比率となっております。  それから、具体的なケースを若干例を挙げますと、平成八年中に発生をしました凶悪犯検挙をされた凶悪犯でございますが、名古屋でパチンコ中国人不正グループの内輪もめで仲間同士被害者を拉致してナイフで刺し殺して川に遺棄したというケースがございます。  それから二番目は、昨年の二月の末にございました銀座のクラブに中国人被疑者が押し入りまして、従業員とお客さん三十名ほどを縛って多額の金品を奪って従業員けがをさせたというケースがございます。  それから、姫路でパチンコ裏ROMをめぐる利権争いでやはり中国人同士のけんかがありまして、けん銃で中国人の元留学生二人が重傷を負っております。  それから、宇都宮でイラン人二名を含む外国人被疑者が駅前で買物をしていた日本人女性をホテルに拉致して強姦するというケースがございました。  最後でございますが、愛知県の岡崎で不法残留トルコ人が三人、仲間日本暴力団と組んでいろいろ犯罪をやっていたんですが、その暴力団員と対立のあった暴力団の組長を襲ってナイフで三カ月の大けがをさせた。  そういうふうなケースが昨年中に目立ったケースでございます。以上でございます。
  6. 相原力

    政府委員相原力君) 運輸省の方からお答え申し上げます。  佐藤委員が御指摘のように、ウェルカムプラン21というのを昨年運輸省として策定いたしたわけでございますが、平成七年に観光政策審議会から答申をいただきまして、それに基づきまして昨年ウェルカムプラン21というのを策定いたしたわけでございます。  日本を訪れる外国人旅行者の数が平成七年で見ますと約三百三十万人でございます。一方、日本から外国へ行く旅行客約千六百万人ぐらいになっているわけでございますが、年間三百二十万人の外国人旅客というのは国際的に見ても非常に低水準でございます。数の順位づけから言いますと全世界で三十一番目に該当するわけでございますが、数字という問題よりもむしろ中身の問題といたしまして、我が国に対する理解不足による誤解とかあるいは政治経済的な国際摩擦を回避して、国際社会における孤立化を避けるためにも訪日外国人旅行客をふやすことは重要な課題であるというふうに認識しているところでございます。  そういう意味ウェルカムプラン21を推進しているところでございますが、特に数をふやすということだけではなくて、現在の外国人旅客東京大阪に集中しているということもございます。そういう意味で、地方圏への誘致を図るというのを重点に置いて、国、地方公共団体民間一体となって取り組んでいるところでございます。  佐藤委員指摘の個別の点についてちょっと触れさせていただきますが、まず通訳案内業について、限定免許制度について検討していることについての御質問がございました。これは先ほども申し上げましたように、真に日本の姿を理解していただき、そして国際相互交流を深めるためには、もっと我が国の各地方にもよりたくさん訪れてもらうことが必要であるということを考えているわけでございますが、現在の通訳案内業実態を見ますと、その八割以上が東京圏大阪圏に集中しております。そういう意味で、東京圏大阪圏以外の地域におきましては通訳案内業者が十分でないという実態もございますので、その点を踏まえましてこういう制度を検討をしているということでございます。その点、御理解をいただけたらというふうに思っております。  それから、委員指摘のように、不法就労防止というのも非常に重要な課題であるというふうに考えております。観光客をふやすだけが目的ということではもちろんございません。委員の御指摘の中で、外国人旅行を取り扱う旅行業者に対しても十分に指導すべきではないかという御指摘があったわけでございますが、現時点でも旅行業者外国人パック旅行を催すに当たりましては、従来から、団体から外れる者のないように管理する、そして万が一行方不明者が出た場合には関係当局へ通報する措置をとっているところでございます。運輸省といたしましても、不法就労防止の観点からこの趣旨をさらに十分徹底いたしまして、改めて旅行業者を指導してまいりたいというふうに考えております。  ウェルカムプラン21を今後実施していきたいというふうに考えておるわけでございますが、不法就労外国人がふえることがないように、特に縦割り行政の弊害の御指摘がございました。それにつきましては私どもも十分認識しているところでございまして、内閣に外国人労働者問題の関係省庁会議も設置されておりまして、近くまたその会議も開かれる予定にもなっておりますが、そういう場も活用しつつ、また警察庁法務省等々、特に関係の深い省庁とも十分密接な連携をとりながら適切に対応してまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。
  7. 佐藤泰三

    佐藤泰三君 入管にお伺いいたしますが、入るときは、確かに成田あたりでもよく見つけたなと思うくらい逮捕、押さえているようですが、結局、問題は入ってからの問題で、観光は名目で出稼ぎに来るのが大半だと思います。また、現在の東南アジア経済状況では観光よりまず生活が先だと思いますから、恐らく観光は表看板で出稼ぎ大半じゃないかと。ですから、入国後出るまで、この間はひとつぜひ入管の方でも対応を具体的に考えていただきたい。  地元警察に聞きましたら、一年半以上出た人は送還するけれども、金がないから送り返せない云々とちょっと聞きました。その辺もよくわかりませんけれども、これからあくまでも百年の基幹でございますから、その点をいま一歩お答え願いたい。  それから、運輸省でございますが、三百三十万人、これは当然なんでございまして、日本円高基本でございますから。かつて三百円、二百円だったんですから。そのために、日本円高だからどんどん海外に遊びに行ける、逆に来れないと。それは決して皆さん方旅行業を怠ったんじゃなくて、円高の影響でございます。その点誤解のないようにしていただきたいと思います。それを履き違えまして千七百万を三百二十万と合わせておる、これとんでもない話。経済を御存じないからだ。  その点につきまして、旅行業者責任を持たせる。入るときに百人入って出るとき五十人では、その旅行業者指名停止とか当然あると思いますから、その点を厳重にひとつ入管と連絡してやっていただきたいと思います。いかがでしょうか。
  8. 安田博延

    説明員安田博延君) 委員の御指摘のとおり、入国後にそのまま居残るということが大変多いわけでございます。入国時点観光者を装う、こういう事案があることは事実でございます。そういう者につきましては、これはもう入った後はまさに摘発をしていくというほかないわけでございまして、先ほど申しましたようなことで、関係機関と協力しまして摘発をどんどん進めるということで対応してまいりたいと思います。  それから、摘発を恐れまして、正規在留者を装うために、先ほど申しましたが在留期間更新の際偽造取得をする、それから、中には偽装結婚を装って、従来短期滞在ということで入ってきた者が日本人配偶者等と、こういう資格で滞在しようとして在留資格変更申請をする、こういった事案がございます。これに対しましては、そういった実態があるのかどうかといったことの調査も含めまして厳重に検討していくということで、審査厳格化ということで進めていきたいと考えております。  この摘発を私ども今推し進めておりますが、現状としましては、こういった在留更新等の際に偽造のいろいろな文書をつくることに手をかすブローカー、あるいは日本人配偶者を装うための偽装婚ブローカー、こういった者がおります。こういったブローカーが今暗躍しておりますので、こうしたブローカー事案につきましても特に重点を置いて摘発を進めていきたいと考えております。  以上です。
  9. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 先生の御質問運輸省政府委員の方からもお答えをいたしておりますけれども、確かに円高だとかいろんな要素によってということはそのとおりだと思うんですが、いずれにいたしましても、平成七年の実績我が国をお訪ねいただいております外国人が三百三十万というのは、これは余りにも低水準ではないかなというように思います。  国際社会の中で日本の国が孤立化しない、むしろ信頼を高めていくというのには、やはり一番大事なことは人と人との触れ合い、また、実際に外国の多くの方々日本の国のよき歴史、伝統、文化というものを知っていただく、そういう意味では、やはり一番ありがたいことは日本の国をお訪ねいただくこと、そして多くの方々と直接触れていただくこと、こういうことではないかなというような気がいたしております。  もう一方では、観光資源をどう生かして地域経済に結びつけていくのか。そういう意味では、何も東京だとか大阪だとか京都だとかというところだけではなくて、地域にも立派ないいところがたくさんあります。例えば私の九州にもたくさん見ていただきたいというところがあるわけでございます。  そういう意味で、今度の運輸省が考えておりますウェルカムプラン21というのは、十年間で何とかして日本をお訪ねいただく外国の方を倍にしたい。そして同時に、今申し上げましたようにできるだけ地域の方にも足を伸ばしていただくような、そういうことができないかということで、今、国や地方公共団体とか民間一体となって実は取り組んでいるプランであるわけでございます。  ただ、今先生指摘いただいている、せっかく外国から来ていただいた方々が本当の日本のいいところを持って帰って、そして自国に帰ってそれを広めていただくということが一番大切なことなのでございますが、不法就労のために来ていただくというのではこれはその目的を達しないわけでございます。  今、御議論いただいておりますように、私といたしましても、関係省庁とそういうことのないような連携を図って適切に対応していくということは基本になろうかと思っております。先生の御指摘を十分踏まえてこれから検討してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたしておきます。
  10. 佐藤泰三

    佐藤泰三君 今、大臣から御答弁いただきましたけれども、あくまでも治安国家基本でございますので、一時目先のエコノミーじゃなしに、その点重視していただきたいと思います。  それからニュージーランド、オーストラリア、これは非常にその点厳しゅうございます。日本から向こうに行って営業していても、三年たつと無条件国外追放と聞いておりますけれどもイギリス関係は非常に言論はうまいですが中身は厳しいので、少し日本もよく調べて、そういったものを参考にしてやはり国の治安を守るようにしていただきたい。旅行業者もいろんな業者がいますから、この免許権を厳しくやっていただきたいというふうに思いますので、強く治安の要望としてですが、旅行業者の厳しい監督を要望します。
  11. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 亀谷博昭でございます。  ナホトカ号海難流出油災害につきましてお尋ねをいたしたいと思います。  去る一月三十日、真島団長、直嶋委員長を副団長とする調査団に私も同行させていただきまして現地を見させていただきました。改めて油災害実態というものを肌で感じてきたわけでありますが、同時に、人の力の大きさといいますか人海戦術のすさまじさというのもまた別な面で実感をいたしました。改めて地元皆様あるいはボランティアの皆様、自衛隊の方々等々に感謝を申し上げたいと思いますし、たまたまその中でお亡くなりになった方もいらっしゃるわけでありまして、心から哀悼の意を表したいと存じます。  大分日にちもたってまいりまして、浮遊油あるいは漂着油処理回収は大分進んでいるようでありますけれども、ただ、岩石に付着した油等は竹べらで大分削り取っているようですが、まだ油膜みたいなものがどうしても残っているわけで、これが気温が上がるに従って溶けてくるというような問題もこれから出てくるんだろうと思います。また、砂浜の油の処理については、砂と一緒に別なところに隔離をしている状況にありまして、これもまた気温の上昇とともにさまざまな形で流れ出すのではないかという不安も当然あるわけであります。今後、こういった面の処理にも万全を期していただきたい。油の除去、回収については今後の取り組みに心から御期待を申し上げておきたいと思います。  そこで、以下幾つかの点について質問を申し上げたいのですが、今回の政府災害対策関係閣僚会議に三つのプロジェクトチームがありますが、いずれも運輸省取りまとめ省庁ということになっているようでありますし、また、賠償問題ワーキンググループ運輸省取りまとめの役所、こういうことになっているようでありますから、きょうは全般についてお伺いをさせていただきたいと思っております。  まず、島根県沖に沈没している船尾部でありますが、二千五百メーターの海底に沈んでいるということでありまして、今、科学技術庁の深海観測装置あるいは深海探査機等で調査が進められております。聞くところによりますと、世界で深い海から引き揚げられた船というのは千五百メーターぐらいが今までの実績であって、二千五百メーターから船を引き揚げたということはまだないように伺っております。とすれば、二千五百メーターの海底に沈んでいる船を引き揚げるということは技術的にも大変難しいのかなと思います。  ただ、問題はここから油がまだ湧出しているんですね。ですから、これからの対策としては、この船を引き揚げるかあるいは引き揚げないで現状のままで何かの工夫をしてこの油の湧出を抑えるかどちらかになっていくのだろうと思います。しかも、かなり船が老朽化していて、技術的に、例えばクレーンみたいなもので引き揚げようとしても船体がそれに耐え得るかというような問題もあるやに聞いております。  そこで、まだ調査の段階だと思いますが、この船尾部についてこれからどういうふうに対応しようとしていかれるのか。それで、もし引き揚げられないということになれば、この湧出している油をどのようにこれから湧出しないような方法をとっていくのかということについて今後の見通しを伺いたいと思います。
  12. 相原力

    政府委員相原力君) 委員指摘の船尾部の問題でございますが、委員からも御指摘ございましたように、現在の状況はドルフィン3Kという深海観測艇でいろいろと調査をしておりますが、水深約二千五百メートルの海底にほぼ横倒しになって沈没しているわけでございます。そのドルフィン3Kの調査によれば、甲板上のハッチから油が漏出している状況が認められているわけでございます。現時点で、気象状況あるいは回収条件によって日によって違いがございますけれども、おおむね幅で二百メートルから三百メートルぐらい、長さで数キロから十数キロぐらいの帯状になっておりますが、その先端は拡散して消滅している、こういう湧出油の状況でございます。  これに対しまして、現在、海上保安庁は巡視船あるいは航空機によりまして監視を行っております。また、巡視船によりまして航走拡散、巡視船を走らせて油を拡散させるとか、あるいは放水によって拡散させるなどの防除作業を続けているところでございまして、今後もこのような監視、警戒、防除等の措置の万全を期していきたいというふうに考えているところでございます。  それから委員から御指摘の、今後どういうふうな対応がとれるのかという御指摘でございます。  御指摘のように、船尾部にまだ相当大量の油が残っているわけでございますが、今後その油の漏出がどうなるのかあるいは船体についてどういった対策が講じられるのかといったことを十分国民にも明らかにしていくことが非常に重要であるというふうに考えております。こういう観点から、従来から運輸省内でも検討を続けてきたわけでございますが、今月の十四日に、災害対策本部長でもある運輸大臣の委嘱によりましてこの船尾部の対策のための検討委員会を設置いたしました。  学識経験者あるいは専門家にその委員会に入っていただきまして、油の漏出の状態が今後どうなるのかとかあるいは船体について現在どういう状況になっているのか、そしてそれについてどういうような対策がとり得るのか。これは先生の御指摘のように、二千五百メートルの深海で何らかの工事あるいは引き揚げ等をこういう船について行ったという例は世界的にもございませんし、またこの船も相当、二十六年たっている船ということもございまして、非常に技術的に制約は多いというふうに私どもも考えておりますが、先ほど申し上げました委員会の場でそういうふうなものも含めまして今後の見通しについて早急に結論をいただきたいというふうに考えております。どのような対策があるのかについて十分検討してまいりたい、このように考えているところでございます。
  13. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 観測、監視、また流出した油の除去、これは当然続けていただかなくちゃいけないんですが、とにかくこの油が出てこないようにとりあえずしないといけないわけですから、そこの対策をぜひ急いでいただきたいと思います。  次、船首部ですが、油はほとんど抜き取った、今は残存しているものを処理しているという段階と伺っておりますが、次に考えられるのは船首部を引き揚げて原因究明をするということになると思います。先日、二月の初めにロシアと海洋汚染防止当局者会合というのが開かれたようでありますが、船首部の引き揚げは今後どんなスケジュールでなされるのか、そして原因究明のロシアとの協議はどういう形でこれから進んでいくのかについてお答えをいただきたいと思います。
  14. 山本孝

    政府委員(山本孝君) お答えいたします。  船首部の引き揚げにつきましては、油の抜き取り後のタンク内の後処理を行いました後、船主の責任において行うこととなっております。したがいまして、船首部の引き揚げのスケジュールにつきましては、現在タンク内の後処理状況あるいは天候などを勘案しながら具体的なスケジュールについて調整を行っているところでございます。  また、事故原因調査につきましては、原因究明を早急に行いますために、船首部の引き揚げ準備作業と並行いたしまして海中調査を行い、また引き揚げの後に詳細な調査を行うこととしております。  なお、ロシア政府とは船首部の調査計画について既に合意を行っております。  以上でございます。
  15. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 ロシアは、まだ調査をしない段階で自分たちなりの見解を発表するというようなこともあったようであります。この原因究明の調査結果によって今後の賠償問題も生じてくるわけでありますから、しっかりした形でロシアとの協議を進めていただきますようにお願いを申し上げたいと思います。  時間がありませんので次に進みますが、今回の船は老朽タンカーであった、こう言われております。老朽というのは何年ぐらいたったのを指すのか私も定かには存じないのでありますけれども、ただ、今後の問題として、いわゆる古い船あるいは老朽のタンカー、こういうものについての国際的な取り決めというんでしょうか、申し合わせというんでしょうか、そういうものは存在するのかどうか。例えば何年以上たって何年間検査してないものは公海上を走ってはいかぬとか何かそういうようなものがあるのかどうか。  あるいは、そういう明確なものがないとすれば、国際的なそういう対応を含めて、老朽タンカー事故の再発防止の観点からも、例えば寄港地による監督の強化とかあるいは立入検査をするとか、そういうような対策が必要ではないかと思いますが、その辺についてはいかがでしょうか。
  16. 山本孝

    政府委員(山本孝君) 老朽タンカーの事故防止のための国際的対応でございますが、政府といたしましては、事故再発防止のため事故原因の究明に努めますとともに、老朽船を含め国際条約の基準を満たしておりませんいわゆるサブスタンダード船と呼ばれておるものがございますが、こういったものの事故防止のために、我が国のみならず各国政府連携した取り組みを行うことが必要と認識しております。  こういった認識のもとに、今回の事故直後の一月十三日でございますが、ロンドンで開催されました国際海事機関、これは国連のもとの専門的な機関でございますが、そこの会合におきまして、直ちにかかる事故の再発防止のため、関係条約の一層の徹底した実施及び老齢の外国船舶に対する立入検査、いわゆるポートステートコントロールと呼んでおります、これの強化について検討を呼びかけたところでございます。  また、我が国中心となりまして、アジア太平洋諸国の間におきましてポートステートコントロールをより効果的に実施いたすための協力体制、これを東京MOU、こう呼んでおりますが、これを構築いたしまして、周辺諸国における検査能力の向上などに取り組んでおるところでございます。  我が国といたしましては、今後とも各国政府連携いたしまして、サブスタンダード船による事故防止に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  17. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 今回の事故災害は、多分他国にも相当深刻な影響を与えたんだろうと思います。再発しないという保証はないわけでありますので、ぜひ国際的な取り組みを強めていただきますようにお願いをしたいと思います。  次に、油回収船の問題でありますが、今回清龍丸、三千五百二十六トン、このほかに小型の防除艦とか防除艇とか回収艇とかオイルフェンスを張る船とかいろんなのがあったようでありますが、いずれにしてもまず数が足りない。それから、清龍丸は波の高さ二・五メートルに対応して設計された、こう伺っておりますが、冬の日本海の荒天にはなかなか対応できない、こういう問題が現実になったわけであります。  今後、今回のような経験を踏まえて、例えば波の高さ四メートルか五メートルぐらいに対応できるような回収船をつくるとか、あるいは配備の問題も今回指摘をされました。名古屋港から回送されたわけでありますが、そういった油回収船の増強拡大、あるいはまた適正な配備配置、そしてまた多目的といいますか、油回収だけを目的に巨大な船をつくってしまうと、それは事故が起こるまでは何にも使わないということになるわけでありますから、ある意味でほかの目的にも使える船も必要だろうと思うんです。  そういうような検討等がどの程度なされているのか。要するに、船の能力の向上、あるいはまた配置配備の問題、そしてある意味での多目的な新しい船についての検討等について今どのように考えられているのか。
  18. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 最初にお礼を申し上げたいと思いますが、今回のナホトカ号の事故災害に当たりましては、直嶋委員長初め当委員会の委員先生方には現地を御視察いただく等、また的確な御指導と御支援をいただきましたことにまず心からお礼を申し上げたいと思います。  先生お尋ねの件でございますけれども、残念ながら、今回の事故を振り返って反省をいたしますと、油の回収船それから油回収の装置、実はこれらのものがすべて静穏な海域を前提として整備されていた。理由はあります。確かに船舶交通がふくそうする地域、一たび事故が起きると大災害になるだろうと言われているような太平洋沿岸、こういったところを想定いたしていたことは事実でございます。これは、今度の再発防止のための問題点としての一つの大きな反省点だろうというふうに私は思います。  そうした反省を踏まえまして、今先生がおっしゃっていただいております、例えば油の回収船が、清龍丸は波高が大体二メーターから三メーターを超えますとほとんど活用できない、効果を発揮することができないということでございます。しかし、冬の日本海を考えてみますと、あの事故が起きたときには風速が三十メーターから、波の高さは七メーター、八メーター、こういう状況であったということを考えてみますと、じゃ、それにたえ得るような油の回収船、そういう状況の中で活用できる油の回収船というのが技術的にできるんだろうか。まず専門としてつくるというだけではないにしましても、そういうものが技術的にできるだろうかという問題があるだろうと思います。油の回収装置にいたしましても同じことが言えるだろうと思います。  しかし、これだけ科学が発達し、また技術的にも向上している今日でございますので、専門的な方々、学識経験者の方々の意見を聞くと、私は、できる可能性としては非常に高いと思っております。ぜひひとつ、先生方の御支援もいただきまして、今回のこの事故の重大性にかんがみまして、そういう荒天の中ででも十分使用可能な回収船、そしてまた装置等を研究し、そして実用化に向かって総合的に今度の事故に反省を重ねると同時に、今後の事故防止対策の一つとして前向きに検討してまいりたいと思いますので、ぜひ御支援をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  19. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 京都でも前にこういう事故があった、その教訓が余り生かされていなかったという指摘もありますので、今回、大臣のお話しのような方向で進めていただきますように御期待を申し上げたいと思います。  同時に、海上保安庁の油処理の機動防除隊というんですか、それから潜水技術を持っている特殊救難隊、機動防除隊は八名、特殊救難隊は二十七名、こう聞いておりますが、献身的な御努力には心から敬意を表したいと存じます。ただ、今回のような災害になると、いかにもこの体制では不十分であったということも事実だと思います。  こういう人的な訓練、対応、配置等についても今後どのように考えていかれようとしているのか、お伺いをしたいと思います。
  20. 土坂泰敏

    政府委員(土坂泰敏君) 特殊救難隊は、先生からもお話がございましたけれども、船舶が火災を起こしているとかあるいは転覆している、そういう場合の海難の救助を任務としておりまして、ヘリコプターからロープで伝って船の上におりるとか、あるいは潜水して船の中に曳索を取りつけるとか、非常に特殊な技術を身につけたいわばスペシャリストでございます。それから機動防除隊の方も、油の処理に関しまして高度の専門的な知識、技能を身につけた人々でございまして、実際の現場に行って多くの人が油防除に当たるときの指導というか中心的役割を担う、そういう使命を持っております。  これらの人たちの一番の大事な点は、技能というかスキルレベルというか、そういうものであろうと思います。まず、海上保安庁全員で一万二千人おりますが、すぐれた人材を選びまして徹底した訓練をしております。それによって高い技能、知識を身につける、これが機動防除隊なり特殊救難隊を維持していく、あるいは効果を発揮させる一番大事な点だと思います。  それから、やはり常にこういう問題についての士気というんでしょうか、使命感というんでしょうか、そういうものもきちんと持っていただくということだと思います。いろんな意味で、装備等にお金をかけるよりもそういう内面できちんとした精鋭を育てていきたい、そういうつもりで対処しておるところでございます。
  21. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 ぜひ、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  次に、補償・賠償問題についてお伺いをいたします。  被害は、例えば観光の面であるとか漁業の面であるとか、あるいはその他のさまざまな除去にかかわる関係であるとか各方面にいろんな被害が及んでおりまして、これから被害者がそういう補償、賠償等の要求をしていくのに相談窓口というのが一つに固定されていなければならない。例えば交付金の関係は自治省ですよと、そういう仕分けは役所の中の話でありますから、やっぱり被害者からすればどうしても窓口というのは一つでないと困るわけです。これはこの災害にかかわらず、常に言われることであります。  今回については運輸省の運輸政策局が被害者の窓口である、こう聞いておりますが、とにかく全部そこにまず行くと、そこで役所の方の仕分けはしていただくんだ、こういう認識でよろしいのでしょうか。
  22. 相原力

    政府委員相原力君) そのとおりでございます。政府全体の被害者等に対する対応窓口として運輸省の運輸政策局が行うことといたしております。
  23. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 これから起こる問題で大変だと思いますが、しっかり頑張っていただきたいと思います。  そこで、これから船主側とか国際油濁補償基金等への対応ということが出てくるわけでありますが、実はこのタンカ−による油濁事故に係る補償の事例というのを世界的に見ると、いまだ係争中というのも随分あるんですね、数年かかる。今回の事故がどういう原因であったか究明されて、そして船主側にどのような過失があったかなかったのか、いろんな結果が出てくるのだと思いますけれども、いずれにしても今までの補償の事例を見ると、余り短期間には処理が行われていないということのようであります。  ただ、今回日本側からの要請もあり、この国際油濁補償基金の方では示談で決着した額の六〇%までは早期に支払う権限を事務局長に与えたということで、大変それは結構なことだと思いますが、本格的な交渉はこれからになるわけであります。  そこで、この賠償金が確定して出るまでの間、これは二年になるのか数年になるのかわかりませんが、その間の現実に支払われている自治体、漁業団体あるいは個人、例えば民宿もボランティアの方をお泊めする、本当は六千円いただくのだけれども二千円か三千円でやっているという実態もあるわけであります。これが補償の対象になるかどうかわかりませんけれども、そういうことも含めてさまざまなものがある。  そうした場合に、今緊急に支出しなければいけない経費について、そういう補償、賠償が行われるまでの間の手だてというのは、政府でこれからどんなふうに考えていかれるのでしょうか。
  24. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) その辺が一番今後の対策として大事な点だろうというふうに思います。  まず政府としてやらなければいけないのは、先生に今御指摘いただきましたけれども、基金からどう速やかに支払っていただくことができるかということだろうというふうに思いますので、これにつきましては、政府を挙げまして外交ルート等を通じ、全力を挙げて基金等に円滑な支払いが行われるように働きかけていきたいというふうに思っております。  それからもう一点。そうはいいましても、今おっしゃっているように過去の事例からいいましてもなかなか長時間かかっているという過去のデータもございます。そうなりますと、今御心配いただいているように、当面手だてをしなければいけない分野というものは当然あろうかと思っております。政府といたしましても、例えば漁業者方々、それから地域の沿岸の中小の経営者の方々、そういった方々には関係機関を通じまして、融資等を通じ今までも全力を挙げて取り組んでいるところでございます。今後もこれらの機関を通じまして可能な限り期待にこたえていかなければいけないというふうに思っております。  同時に、それぞれの地方公共団体等につきましても地方の財政に支障のないような支援措置を行っていきたい、こういうふうに思っております。  ぜひひとつ期待にこたえていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたしておきます。
  25. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 まさにこれは災害でありまして、公共団体のみならず個人、特に海女さんとか一人一人が生計を立てている方々が多いわけでありますから、ぜひしっかりした手だてを講じていただきたいと思います。船主の責任がどういうことであるかということによって船主の賠償も違ってきますけれども、油濁基金と合わせて上限が二百二十五億とも二百三十億とも言われます。ひょっとしてこちらの被害額がそれを上回ることもあるかもしれない。その場合の対策というのもこれから、そういうことも考えられないわけではないと思いますので、もしそうなればひとつこの補償・賠償問題についてはそういうことも含めお取り組みをいただければと思っております。  最後に、補償、賠償等について定めている国際条約の中でロシアがまだ加入していない条約が幾つかあるというふうに伺っております。今回の事故を起こしたのはロシアのタンカーでありますから、ロシアに締約国になっていない国際条約について早期に加盟するような働きかけも我が国としてなすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  26. 岩田貞男

    政府委員(岩田貞男君) 今、先生の御指摘のとおり、ロシアにおきましては現在のところ一九七一年の油による汚染損害の補償のための国際基金の設立に関する国際条約、いわゆる七一年条約には加盟しているところでございます。ただ、この条約に基づく補償限度額を引き上げることを定めた一九九二年の議定書については締結しておりません。今回のナホトカ号の事故につきましてはたまたまと言ってはあれですが、被害を受けた国が我が国でありますので、新しい方の限度額の引き上がった方の議定書、条約が適用されるものですから、被害者に対する補償限度額についてはロシアの条約の加盟の有無にかかわらず新しい限度額が適用されておるところでございます。  いずれにしても、国際社会の公平の観点からロシアにつきましてもこの条約に入るべきだと思っています。今までも早く批准がされるように働きかけてきたところでございますが、今後この基金の締約国の会議あるいはその他の国際会議の場におきましても、早期にロシアに対して新しい条約の締結に向けて入ってもらうように呼びかけていきたいと思っております。
  27. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 いろいろ御質問させていただきました。運輸省が今回の災害のいろいろな問題についての取りまとめ省庁であるという意味で、大変御苦労が多いと思います。我々も一生懸命やらなくちゃいけませんけれども、今後の皆様方のお取り組みを心からお願いをいたしまして私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  28. 鈴木政二

    ○鈴木政二君 古賀大臣におかれては初めての質問でありますけれども委員長が名前を間違えるぐらい初めてでありましたので、去年の十一月に就任されまして、旧国鉄の債務問題だとか、それから運輸における需給調整の廃止の問題、そして整備新幹線の問題、おまけにナホトカ号の問題、本当にたくさん問題がありまして、おめでとうというよりも御苦労さまという感じがいたします。  名古屋ですと大臣とは言いませんで、でゃあじんと言いますけれども、本当にどえりゃあときになりゃあたなという感じであります。でも、張り切ってやっていただいて、かえって非常に強い使命感を持っていらっしゃるような感じがいたしました。  時間が大分切迫しまして、佐藤先生も張り切って御質問されたし、亀谷先生も本当に張り切って質問されましたので、ナホトカ号のこともちょっと聞きたかったんですけれども、先にもし時間があれば質問をさせていただきますけれども、きょうも、先輩の各委員先生方、真鍋先生や野沢先生やなんか大変頑張っていただいた例の整備新幹線の問題をちょっと時間まで質問をさせていただくわけであります。  御案内のように二十三年ぶりということであります。私は名古屋でありますから新幹線は通っているわけですけれども地元関係者が本当に首を長くしていたというのを正直言って国会内でも感じたわけであります。御存じのように、ジャンボ機、それから旅客の超大型の船、そしてこの新幹線と、大変な我が国にとっては歴史的なものでありまして、日本人の生活の様式や、また外国に行くとかいろんな中で私どもの大変大きなウエートを占めました。  ここへ来て、本当に地元の皆さんの要望もありましたけれども、やはり首都圏の移転だとか、それから地方分権とか、いろんな形の中で熟してきたという感じを、今時に地方分権の推進については大変与野党ともに非常に強い要望を持っているわけでありますので、そこらあたりが非常に私は熟してきた整備新幹線だなと思います。経済波及を見ましても、建設の当時に比べれば三倍以上もあるという、この間小里委員長の話を聞かせていただいて、なるほどなと。  今、人の流れを見てますと、大体百キロから百五十キロぐらいが自家用車というのが多いようであります。新幹線はやはり八百キロから千キロぐらい、そして飛行機になりますと千キロ以上のものだというふうに、人の流れが今トータルで出ているわけであります。それだけに、先ほど言いましたように地方分権の中で、地方と都市間というのが非常に私は重要になってきたと。  私の恩師でもありますけれども、衆議院の村田敬次郎先生、この方が大分昔、日本列島の各都市を輝かせる、真珠のネックレス構想という構想を打ち出していたわけであります。実はうちは仏壇屋なものですから真珠の数珠みたいなことで表現もしていただいたらいいかなという気もありますけれども、ネックレスの方が非常に感じがいい。その個性的な都市を結ぶ中で、やっぱり私は新幹線というのは非常に大きなウエートを占める大変重要なものだと思います。  ただ、御案内のように個人個人といいますか、各党でもそうでありますけれども、また新聞紙上も非常にこの問題について大変な議論がありました。例えば、行政改革に逆行していないかとか、それからばらまき予算だとか第二の国鉄をつくると。私ども見てますと、何となく財政改革に反対するような象徴として取り上げられているような節も感じられます。これらいわれなき批判を受けることなく、大臣、国民にしっかりとした説明が私は必要だと思います。そして理解をして、力強い推進を私は求めるわけであります。  そこで、与党の取り決めの話をずっと読ませていただいて、いろいろ調査会、部会にも出させていただいたわけでありますけれども、今回の財源のスキームとか、そして新規着工区間の事業の規模だとか、そして今後の整備に当たってどのような考え方といいますか、基本の所見をまず大臣からお伺いし、また担当局長からもお伺いしたいと思います。
  29. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 鈴木先生には、大変個人的にも激励をいただきましてまことにありがとうございました。また、整備新幹線につきましても、大変御熱心にお取り組みをいただいて御指導をいただいておりますことにもお礼を申し上げたいと思います。  先生の方から既に何点かについてお触れをいただきましたけれども、私は、新幹線が我が国経済の発展に果たした役割は非常に大きいと思っております。そういう意味でも、これから我が国の高速交通ネットワークをどう形成していくのかという意味で、この整備新幹線は、いろんな角度から検討した場合、これにまさる大量輸送機関はないと。例えば環境の問題だとか正確さ、それから安全性、特にエネルギーのコストも随分低い数字が出ております。そういうことを総体的に考えてみますと、この整備新幹線、国土の均衡ある発展、地域格差を是正するという意味からも当然でございますけれども、ぜひひとつ国民の皆さん方の期待にこたえていきたい。  同時に、先生に御指摘いただいたように、今いろいろな御論議をいただいておりますけれども、まず大切なことは、国民の皆さん方に正しい理解をしていただくということだろうと思います。そういう意味で私ども先生方にもぜひひとつお力添えをいただいて、国民の皆さん方に整備新幹線の持つ役割、そういったことをしっかりとお伝えしていくということに努力していかなきゃいけないんじゃないかなというふうに思います。  未着工区間の整備についての新しい財源スキームにいたしましても、今言われておりますように、まさに財政構造改革元年ということでございまして、大変な英知を寄せていただきまして相当な絞り込みでございます。恐らく全線フル規格でやれば五兆円を超すということを言われておりましたけれども、御承知のとおり、政府、与党合意いたしました新しい財源スキームは一兆二千億でございます。  また、それぞれの未着工区間を着工するに当たっては、整備区間ごとに、既に先生も御承知だと思いますけれども、収支採算性の見通しだとかJRの貸付料等の負担、それに並行在来線の経営分離によります沿線地方公共団体との同意、JRの同意と、極めて基本的な条件というものをしっかりと整えた上で適切に対処していこう、こういう与党・政府の合意が実はなされているわけでございます。  二度と国鉄のような赤字体質にならないように、また、そういった中でも、今おっしゃっているような地域格差の生じないための高速交通機関として、何としても子供さん、お孫さんたちの次世代に大きな財産として残していきたい、そういう気持ちで全力をもって取り組んでまいりたいと思っております。
  30. 梅崎壽

    政府委員(梅崎壽君) ただいま財源スキームにつきましての御質問がございましたので、私の方からその内容を簡単に御答弁させていただきたいと思います。  今回、政府・与党の合意で調整がつきました財源の考え方は、JRが鉄道整備基金に支払っております既設新幹線の譲渡収入、これは年額七百二十四億円でございますけれども、これを国の分とみなしまして、これに国の公共事業関係費を加えました額を国の負担分といたしまして、その二分の一を地方公共団体の負担分とすることといたしております。また、JRにつきましては、受益の範囲を限度といたしました貸付料等による負担である、こういう考え方によりまして新しい財源スキームの骨格ができ上がっております。
  31. 鈴木政二

    ○鈴木政二君 今、大臣から非常に力強い御答弁をいただいたわけです。本当に、日本責任者として大変力強く思うわけであります。  局長、今大臣が国民の皆さんにわかっていただくという話を非常に強調されました。私も、また先輩の皆さんも同様だと思うんです。  そこで、地元へ帰るとよく御批判をいただいて、また第二の国鉄になるんじゃないかという話をすごくされるんです。特に、今度の平成九年度のこの整備新幹線の関連の予算を見ていて、一千七百三十五億円、このうちで一千六百三十五億円、三線五区に充てると。それで、新規着工の整備のために百億円という別途の確保をしているということですね。これで、例えば着工区間が決まったときにこの程度の財源で本当にいいのかというのが、非常に国民の皆さんの中で危惧をしております、正直言いますと。  この新規着工区間の事業規模は三区間で合計で二百二十キロの一兆二千億円としておる、こういう話ですね。新聞論調やマスコミの皆さんやいろんな方々からの話で、この先もっと建設費が膨らむんじゃないかと、本当に大丈夫なのかと、すごくみんな心配しております。局長にひとつそこらのところを明確に一遍答えていただきたいと思います。
  32. 梅崎壽

    政府委員(梅崎壽君) 二点御指摘かと思います。  第一点は、第二の国鉄になるのではないかという点でございますが、これは先ほどお答え申し上げましたとおり、JRの負担は受益の範囲を限度といたします貸付料等ということが明確に決められております。これは今建設をやっております三線五区間も同様でございます。したがいまして、JRの経営にとりまして受益以上のものの負担を求めていることはございませんので、第二の国鉄ができるというようなことは絶対にあり得ないと私ども考えております。  それから、財源の規模といいますか全体の事業規模でございますが、先ほど大臣お答え申し上げましたとおり平成三十年度までで一・二兆円でございますが、これは平成七年の価格でございまして、当然のことながら今後物価騰貴等による工事費の増加というのは一般的にあり得るわけでございます。平成七年の価格でおおむね一・二兆円、これもJRの貸付料等を除きまして一・二兆円というぐあいにしてございますので、私どもはその範囲内におきまして各線区の具体的な状況をこれから十分審査いたしまして、先ほど大臣が申し上げましたような幾つかの基本条件をさらに審査することによりまして適切に対応できるものと考えております。
  33. 鈴木政二

    ○鈴木政二君 それから、この検討委員会の話でありまして、これも非常にわかりにくい部分が国民の皆さんにあるわけで、その中で「政府及び与党からなる検討委員会において、整備区間ごとに、収支採算性の見通し、受益の範囲を限度としたJRの貸付料等の負担」、この受益の範囲を限度としたJRの貸付料の負担、この問題ですね。じゃ受益の範囲を限度というのは一体何を指しているのかそれから貸付料は一体いつごろからするのか、非常にわかりにくいですね、この文面。ちょっと説明をお願いしたい。
  34. 梅崎壽

    政府委員(梅崎壽君) 収支採算性の見通し、それからJRの受益の範囲を限度とした貸付料ということは、この二つは連動したものでございますが、まず受益を考えます場合には、整備新幹線を整備する場合の収支と、それから整備しない場合、現在のまま在来線のままであるといった場合の収支、これを比較いたしまして、その差額をもって受益の範囲といたしております。  さらに具体的に申し上げますと、整備新幹線を整備する場合は、当然のことながら需要の誘発効果等ございますけれども、新幹線そのものの収支、それから並行在来線の分離というのを原則的にこれを行うというふうになっておりますが、並行在来線を分離する場合は、一般的に並行在来線の経営が赤字でございますので、これをJRの経営から分離することに伴いますJRの経営にとっての収支改善効果等が見込まれるわけでございます。それから、関連線区、関連いたしました在来線で需要がさらにふえる、要するに新幹線の整備に伴いまして誘発効果があるということがございますので、そういったようなプラスの面が新幹線を整備する場合の収支として計上される、こういうことでございます。  これに対しまして、新幹線を整備しない場合は現在の在来線のまま運営するということで先々も同様の前提で予測いたしまして、この差額をもって受益の範囲とするということでございます。  それから、貸付料と申しますのは、これは施設の使用の対価に伴う料金の徴収というような考え方でございます。今の三線五区間も同様でございますけれども、新幹線が建設されまして開業されましてから、建設主体である鉄道建設公団が運営主体であるJRからこの対価を徴収するということでございます。
  35. 鈴木政二

    ○鈴木政二君 私ども、多分先輩の皆さんも、またきょういる委員の皆さんもよくそれはわかっていると思うんです。  私は一番肝心なのは、この国会いろいろ進んでいきますけれども、きちっと決まったときに、やはり国民の皆さん方にわかりやすい何らかの形のパンフレットなり広報なりを、チャート式でも何でもいいんですけれども、そういうものを局長きちっとした方がいいんですよ、この話は。非常にまだまだくすんでいるところはありますから、今国会できちっと論議をして皆さんにわかっていただくということで、あえて今質問をさせていただきました。  今、在来線の話が出たんですけれども、この在来線、いろんな地方へ行きますと非常に心配して、首長さんあたりが特に心配しております。外れたところですね。ほかの地域の発展の利便のためになぜ我々が火の粉をかぶらないかぬかという話まで堂々としている首長さんもおるわけですよ。  もう一つ厳しいなと思うのは、第三セクターの鉄道経営がもう容易でないのに、鉄道の経営のプロであるJRが経営を維持できないから分離する路線を素人の第三セクターでやれるかという大変強烈な意見がありますよ。確かに調べてみたら、旧国鉄の民営化によって第三セクでやったのが三十七あるそうです。黒字は五路線しかない。たまたまうちの県はしっかりやっていますけれども、多分厳しいなという感じがいたします。だから、維持管理に、負担に本当に耐えられるかなというのも非常に心配しています。  そうしますと、お決まりのコースになってくるわけですよ。例えば利便性の低下だとか乗客減だとか赤字の拡大。そうすると便数を減らす。そうするとまた利便性が低下する。これはやっていけないから、しようがないからバス路線にする。バス路線もなかなか厳しいから、もう全部これは廃線になっていく。こういうスタイルがよく見受けられるんですね。これは地域の人に、特に高齢者や通学をしている子供たちやそういう者に対して非常に私はかわいそうだという気がいたします。  そこらの在来線について、JRからの経営分離について、基本的にどのような考え方をしているかもう一遍聞かせてください。
  36. 梅崎壽

    政府委員(梅崎壽君) ただいま在来線の分離の問題、大変難しい問題があるという御指摘をいただきましたが、整備新幹線の建設に当たりましては、今の三線五区間のときからの大原則としておりますのは、第二の国鉄をつくらないという観点から、開業時にはJRの経営から分離するというのが原則である、こういう考え方で臨んでおりまして、これは今回の未着工区間の取り扱いに関しても同じ考え方で合意が成立しております。具体的には、当該区間にかかわります工事実施計画を認可する前に、沿線の地方公共団体、それからJRの同意を得て確定するということでございます。  ところで、分離する場合、御指摘のとおり地域の足をどうするかというのは大変私どもも大きな問題だと思います。具体的には、この秋に完成をいたします北陸新幹線の高崎−長野におきましても、大変大きな問題として地域皆様方が何回も会議を重ねられましてこの問題に取り組んでいただき、一応の方向がまとまりまして新しく出発しようとしております。このように地域の足の確保につきましては、これに支障が生ずることがないように、関係自治体の皆様の間で十分協議を行っていただきまして、適切に対処していくことが必要と考えております。
  37. 鈴木政二

    ○鈴木政二君 もう時間が参りました。最後大臣、今後の検討委員会に大変皆さん注目をしております。そんな中で、今後のスケジュール、また今後の決意ということをお聞かせ願いまして質問を終わりたいと思います。
  38. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 御承知のとおり、新規着工区間に取り組みますためには、今予算委員会でも御審議いただいております新しい財源スキームがまず確立するということが前提となっているわけでございます。そのために、九年度予算が成立をいたしまして、同時に関連の法律改正が当然必要になってまいります。そういう手順を踏まえながら今後の政府・与党からなる検討委員会というのは設置されていくというふうに理解していただきたいと思っております。  先生から御指摘いただきましたこの整備新幹線に対するさまざまなPR、本当に必要なことだと思っております。  そういうことも踏まえまして、先ほども申し上げましたけれども、昭和十四年に弾丸列車ということで実は東京から、東海道については今で言う新幹線という構想はできてきたんだそうですね。私も初めて知ったんですけれども、そしてやっと我々の青年時代にその夢がかなったということでございます。そういうことを考えてみますと、大変時間のかかることであるでしょうけれども、本当に未来、次世代への夢は、私たちの勇気と決断の中で新規着工区間にもぜひひとつ努力をして着実な着工に入っていきたい、こう思っております。
  39. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 平成会の横尾和伸でございます。福岡県の選出ですので大臣とは同じ地域で頑張らせていただいておりますけれども、きょうはそういう関係もありまして、三井三池鉱の閉山の話から質問をさせていただきたいと思います。  言うまでもなく、去る二月十七日に三井三池鉱山が閉山となりました。会社側が組合側に提案するという形で事実上の決定を見たわけですけれども、これは、近代日本の繁栄を石炭エネルギーという面から支えてきた、あるいはリードしてきた炭鉱の最大手の幕引きということにもなるかと思うんです。  私、こういう時期に先立って先週地元大牟田を訪れまして、私ども関係議員とともに大牟田市また熊本県側の荒尾市の両市の市長さん、また商工会の幹部の方、また三池鉱の会社側の幹部の方や労働組合の幹部の方々にそれぞれ直接お会いをしまして、丸一日をかけて、限られた時間とはいえ直接お話を、実情やら切実な要望を伺ってまいったわけであります。私としては、あらん限りの力を出し切ってありとあらゆる場で御要望の内容の実現に全力を尽くすということを約束してきたわけですけれども、それとともに、人の世の常として立場の浮き沈みというのはある、弱い立場の方々に光を当てていくのが政治の役割の大きな目的の一つであろうということも、私自身の信念として持っておることも地元の皆さんに一緒にお話をして、全力で頑張りますと、こう言ってきたわけです。  地元の問題、当然言うまでもありませんけれども、千二百名の直接解雇の方と、それから関連会社も含めますと三千名の皆さんが失業をされるということで、この雇用問題がもちろん中心にどかっとあるわけです。今度は視点を変えると、地元の十五万弱の住民の方々にとっては必ずしも、雇用問題というのはある程度の広がりと全国に雇用の可能性というのを場合によっては考えなきゃいけないということもありますけれども地元の側からすると地域の活性化、地域の振興ということ、この地域を動くわけにはいかない、そういう人たちが十五万人の中のほとんどの方なんですが、そういう観点から特に運輸省関連の切実な問題を二つほどお聞きしております。  これは一朝一夕に解決する問題ではないかもしれないけれども、何としてもしかし地元と私たち関係者の全力を挙げた努力の積み重ねしかない、こういう思いでおります。その内容については、地元からいただいた要望書、その部分についてはもう既に事務的には大臣にはお届けしております。  その点について、まず第一点、三池港の整備について、第九次港湾整備五カ年計画、これは国として港湾整備を計画的に行っていくという大きな流れの中で、この三池港の整備について、有明海では唯一の重要港湾ですけれども、この重要港湾として集中的に促進をしていくということがどうしても必要であると。しかも、地域にとっても大事ですし、日本、また九州の発展にとっても位置づけがなされることが最も望ましいわけで、そういう観点から私自身も全力を挙げたいと決意しておりますが、大臣は特別運輸大臣というお立場ですので思いもあろうかと思います、大臣の御決意を伺いたいと思います。
  40. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 先生も私と同じ郷里が福岡でございます。今度の三井三池石炭の閉山提案、私と全く同じお気持ちで今受けとめてあるのではないかなと、また、現実にそうした受けとめをしていただいておりますことをお聞きいたしまして、大変私も心強く思ったところでございます。  考えてみますと、百二十四年の歴史のある炭鉱でございます。我が国の戦後の復興に果たした役割は本当に大きかったと思いますが、最終的には企業の経営判断の中で閉山提案がなされたわけでございますけれども、これによりまして今先生指摘いただきましたように労使の交渉、特に労働者の再雇用の問題、こういった問題は非常に大事な分野だというふうに思います。しかし、一方では先生がおっしゃっていただきましたような地域の問題、特に大牟田市それから荒尾市、そして私どもの郷里の三池郡や山門郡といった非常に広範囲に私は地域的な振興を考えていかなければいけない問題を一つずつ解決をしていくということが私たちに課せられている責任だというふうに思っております。  そういう意味で、具体的に御指摘をいただきました三池港でございますけれども、これは先生も御承知のとおり、主要港湾としては公共港湾として活用されていない唯一の実は港でございまして、これを何とかこれからの地域の活性化の拠点にしたいと、物流のみならず人流も含めて。そういうことで、この三池港の公共港湾としての活用というものは非常に大牟田市を初めとして地域皆さん方の期待が大きいわけでございます。  先生にもそういう意味でまたお力添えをいただくわけでございますが、今具体的には大牟田市、それから第四港湾建設局、そして地元の三井鉱山を初めとする関係者、そういったところとの調整、それから今後の三池港のあり方等について具体的に御協議をいただいておりまして、私といたしましては、第九次港湾五カ年計画の中でぜひひとつ事業の着工にこぎつけたいと、こういう意気込みで今後取り組んでまいりたい、そういう強い決意を持っております。どうぞひとつ一緒に力をおかしいただきまして、大牟田の浮揚、あの地域の活性化、振興のために御指導いただければありがたいと思っております。
  41. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 私も、大臣のお言葉、相当部分一緒であるということが確認できましたので安心をいたしました。  実は地域問題ということで、大臣と私は福岡の関係でローカルな問題だというふうにお考えの向きもあろうかと思うんですけれども、私はむしろそういう観点よりも、日本の復興を支えてきた、リードしてきた、国策として柱となってきた産業が、今その最大手というかある意味でのピークを過ぎたということを明示する大事な事件であって、それに対する国民の見方、国のかかわり方、これ自体がやはり日本の国がどういう性格の国であるかということにも通じる大事な問題だと思うんです。日本の国ってどういう国なんだろう、そういう観点から国民の皆さんが確認して安心するという面も大きいと思うんです。  ローカル的に見えるかもしれませんけれども、そういう観点も含めまして、もう一点地元からの切実な要望として上がっているのが、JRと西鉄線がそれぞれ並行して市内を縦断しておりまして、いわば真っ二つに線路で仕切られているということで、地域の活性化に道路と鉄道の交差していること自体が大変な障害になっているという現状があるわけですけれども、これの立体交差化を進めてほしいという切実な要望なんです。  これは、ちょうど一年前に踏切道改良促進法という法律をこの運輸委員会でも審議いたしましたけれども、この趣旨は道路と鉄道の交差の立体化を促進するんだ、積極的に進めるんだと、こういう趣旨の法律だったので私も大賛成をしたわけなんです。そういう趣旨からしても、今回、今申し上げている大牟田市内のJR及び西鉄線の鉄道と道路との立体交差を実現するということの必要性は大きいと思うんですけれども、これを強力に推し進めるべきと思いますが、大臣のお考えを伺いたいと思います。  ただし、これは道路と鉄道ですので、運輸省と建設省が一緒になって共同でやらなければ、一方だけ予算をつけても一方では道路はつけないようではこれは困るので、大臣としては建設省との連携、働きかけ、リード、そういったことも含めてお役目があろうかと思うんですけれども、それをお踏まえの上でお答えいただきたいと思います。
  42. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) まさに先生指摘いただきましたように、大牟田の新しい再生という意味では、三池港の問題どこの鉄道の連続立体交差という問題に尽きるだろうというふうに思います。いろいろ再雇用の問題だとか閉山に伴います子供さんたちの就学の問題だとか問題点たくさんありますが、大牟田を再生し活性化していく、そういう意味での一番大切な重要なことはインフラの整備だと僕は常々言ってまいりました。そう考えてみますと、この二つ、どう解決していくかということが企業誘致につながりますし、大牟田の新しい地域の振興につながっていく、私も全く先生と同じ考えでいるわけでございます。  この大牟田の駅周辺の連続立体交差化につきましては、現在の取り組みは県、市で検討は進められているということのようでございますが、いま一つ具体的なところまで積極的な踏み込みは正直言って感じられないところでございます。いろいろ難しい問題ございますけれども、私としては、先生が御指摘いただきましたように建設省と十分連携をとりまして、むしろ私どもの方から県、市に積極的なさらなる取り組みについて指導していきたい、こういう立場でこの問題には取り組みたいと考えているところでございます。
  43. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 期待していたとおり、大変積極的なお言葉をいただきました。まさに地元から声が上がらないからなんということを言うんだったら、私はちょっと机をたたいて怒るうかと思ったんですけれども、やはり立場が弱くなったとき、大変なときこそ国が、また行政が、政治が目を向けるということがどこまでできるか、どこまで努力をするかということも含めてやはり大切なことだと思うんです。そういう意味で、お答えをいただいて大変私も大臣と同じ気持ちで頑張れるなと、こう思いましたので今後ともよろしくお願いしたいと思います。  次に、航空運賃といいますか、関連で伺いたい。最近、新規航空会社、正確な言い方はどうかわかりませんけれども、その会社の設立なり新しい路線への新規参入なりというような話題だと思うんですけれども、テレビや新聞等で大分、半年にもなりませんけれども数カ月、新しい風が吹いているように思うんです。これは運輸省は何かそれに対する施策らしきことを打ち出しておられるのか、その辺の背景を御説明いただきたいと思います。
  44. 黒野匡彦

    政府委員(黒野匡彦君) きょう先生の御質問があるということで、前回の議事録を読み直してまいりました。そのときに先生の方から、三社体制だけではだめだ、運賃の福運賃制も問題があるし、やはり新規を入れるという方向で努力できないかと、こういう御指摘がありました。その段階で私のお答え申し上げましたのは、羽田の現状から考えると、我々はそれは理想だとは思うけれどもなかなか難しい、こういう答弁をさせていただいております。  実はその後、新しく今度できますCラン、三月二十七日に一応供用は開始いたしますが、このランウエーができることによってどのくらい羽田のキャパシティーがふえるかということをコンピューターを使いましてはじいた結果、四十便、四十往復、そのくらいの便はふやすことができそうだ、こういう感触を得ました。  実際は、我が国の中でも航空に進出してみたいという方が見えたと思うんですが、何分にも羽田に足が入らない、そういう航空事業ではなかなか採算性も難しいし魅力も少ないということで、結局それらの方々が航空に対して手を挙げることをちゅうちょしていたということではないかと思うんです。  そこで私ども、この四十便が実現できるということがわかりましたものですから、そのうちの幾らかを新しい会社に使っていただく、そういうことを公表いたしまして、皆さん方関心のあるところからそれぞれ問い合わせが来ている状況でございます。
  45. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 今、局長から一部お話がありましたので重ね重ねになりますけれども、もうちょっと詳しく言いますと、昨年の航空法の改正に関連して私の方から質問させていただいた際に、それは運輸省側から航空運賃についての福運賃の新しい制度をスタートさせるということに関連してですけれども、私は昨年の二月二十二日と四月二十六日の二回、その同じ問題について質問をさせていただきました。  その間にもいろいろ疑問があったものですから、黒野局長初め幹部の方に私の議員会館の部屋まで三回、四回と御足労願いながら、私としては大論争をしたつもりなんですけれども、そういう中で私が一貫して主張し続けたのは、路線枠への新規参入を前提としない限りは、幅運賃制の提案は運賃値上げの根拠になる可能性が高くて、それだけだと政策として絶対間違っていると。もしやるとすれば結論は二つしかないと。一つは幅運賃制の提案を取り下げるか、あるいはもう一つは、路線枠への新規参入が可能なように、要するに自由競争を前提とした、幅運賃制とのいわゆるセットであれば生きてくる可能性が出てくる、それであれば自由競争を促進するという意味で動き出す。その微調整については動き出しながら、走りながらでもできるから、少なくとも新規参入の可能性をつくるべきであるということを二者択一で私自身は必死になって迫って、新規参入を認めないんだったらもう福運賃のこの線の引き方は絶対に間違っているということで頑張ったわけであります。  そんなことで私としては、私の意見が取り入れられたかどうかは、直接的にどうかは確認するすべもないんですけれども、ただ私の主張しているところの幅運賃制と新規参入の道を開くということは、これはセットで初めて効用が、本来のねらいといいますか目的が達成されるであろうと、こう私は考えているんですけれども、この点についての運輸省の見解を伺いたいと思います。
  46. 黒野匡彦

    政府委員(黒野匡彦君) 率直に申し上げまして、幅運賃制度に対する評価は先生と私どもと若干違うところがあるかと思います。  ただ、運賃制度だけを動かすだけでは決して十分ではない、新しい企業が入る、あるいは入る可能性を設けるということでなければ競争のメリットは出ないというところは私も全く同感でございまして、そんなこともございまして、この機に何とか新しい会社が、もちろん一番大事なのは安全基準でございますが、そういう難しいハードルを越えた上で日本の空に第四番目あるいは第五番目のエアラインが飛ぶということは我々も期待しているところでございます。  今のところ四社ほどというか四グループほど手を挙げられていますが、それぞれのグループの中の検討の熟度といいましょうかこれは大変差がございますし、中には本気かなと思わざるを得ないようなところもございますので、その辺も踏まえて、とにかく安全というこのハードルをまず越えていただく、その後、私どもといたしましては、なるべく参入して既存の会社と競争していただくと、そういう環境をつくりたいと思っております。
  47. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 新規参入を推進して自由競争を今後も進めるべきであるというのは私もむしろ持論ですし、局長の今のお答えで私もある意味で納得をしております。それらを含めて、もちろん過度の競争によって安全性が二の次になるというようなことは絶対これはあってはならないので、そういう意味で過度の混乱というのは避けるという前提ですけれども、自由度を増して競争をさせるという方向性について、包括的な観点で結構ですけれども大臣の航空業界に関する基本的なお考えを伺いたいと思います。
  48. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 私といたしましても、この航空業界の中にも新しい会社が参入することによって自由競争が導入されてくるということは歓迎でございます。  ただ、政府委員の方からも、また先生の方からもお話があっておりますように、まず一番大事なのは安全の確保だろうということでございますので、この安全確保の基準という一つの大きなハードルを越えた新しい参入について適切な競争が行われ、航空業界の発展につながっていき、また飛行機を御利用なさる国民の皆様方のニーズにもこたえていくことができるということであろうかと思っております。
  49. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 それでは、次に特別地方消費税について伺いたいと思いますが、これは言うまでもありませんけれども、料理店等で一人一回七千五百円を超える場合とか旅館で一泊二食、実質的には二食もつくのが普通でしょうけれども一万五千円を超える場合、これが三%の税金がかかる。これは消費税とは別だということで二重課税の指摘もこれまで随分長い間されながら、いまだに続いている悪法だと私は思うんです。  こういうものに対して、特に運輸省は旅館業、観光業についての指導監督をするお立場でもありますし、その旅館業なり観光業方々がとても説明ができないということで悲鳴を上げていらっしゃるということも十分御認識いただいていると思うんです。その点についてまず、飲食の方はきょうは運輸委員会ですのでちょっとおきまして、旅館で一泊二食で一万五千円ということについて、地方税の御担当であります自治省の方から、一万五千円というのはどういう理由で決められたものか、また税金を何で二重課税で取らなきゃいけないのか、この点についてお考えを伺いたいと思います。
  50. 石田直裕

    説明員(石田直裕君) 自治省の府県税課長の石田でございます。  ただいま横尾先生の御質問でございますが、まず一泊二食の一万五千円の免税点でございますが、これは先生御承知のとおり平成元年度に消費税が導入されたときに、宿泊については従来の五千円から一万円に大幅に引き上げたという経緯もございます。さらにはその後、所得水準の向上、価値観の多様化ということも踏まえまして、あるいは旅行等の機会も増加しているということも踏まえまして、平成三年度に免税点をさらに一万円から一万五千円に引き上げたという経緯がございます。私どもとしましては、この免税点の水準につきましては、通常の宿泊については課税されない程度のかなりの水準に設定されているのではないかというふうに考えております。  それから第二点目の、これは二重課税ではないかという御指摘でございますけれども、私どもこの特別地方消費税、従来、消費税があった後、平成元年度以降も存続しておったわけですけれども、この税の課税標準となります宿泊だとか飲食等の利用行為が都道府県や市町村の行政サービスと密接な関連を有している、さらには十分な担税力を認められる一定の飲食とか宿泊等を課税対象としているという特徴がございまして、課税範囲の広い消費税とは課税の趣旨や目的を異にしているというふうに考えております。
  51. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 そうしたら、ちょっと今の理由は次にしまして、一万五千円についての数字が変わってきた経緯についての御説明が多くて、別に経緯なんか聞いてないんで、一万五千円というのはどういう位置づけなんだということで聞きたかったんですが、その部分のお答えは通常の宿泊というお話をされました。  通常の宿泊以上、つまり、公務員の皆さんは共済組合とか便利なものがありまして非常に安く泊まれるということもあろうかと思うんですけれども、一般の方が、また旅館業なりホテル業なりをやっている方々がサービスのレベルをもうちょっと上げでゆっくりと温泉に入っていただこうという観点からしたときに、一万五千円というのは、本当に通常の宿泊でそれ以上のものは税金取るよ、それ以下のものは要らないよ、そういう判断基準に合うのかどうか。旅館業、観光業を担当されております運輸省はこれをどう思いますか。
  52. 相原力

    政府委員相原力君) 先生指摘の件でございますが、一万五千円までに引き上げられた経緯については先ほど自治省の方から御答弁したとおりでございますが、この水準につきましては、一般の旅行者の宿泊単価、これは必ずしも今正確な数字を持っているわけではございませんが、一般の旅行者の宿泊単価よりは高いものとなっているというふうな認識はいたしております。  なお、先生の御指摘のように、旅館、ホテル等の観光分野におきまして過重な負担になっているという問題提起を踏まえまして、政府・与党におきまして今回特消税を三年後には廃止するという方針が決定されたものというふうに考えております。
  53. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 時間もないので、次の問題の観点からいきますけれども、特別三%を消費税以外に取らなきゃいけないという理由を聞いたところ、何か幾つか挙げた中で、その税金をもらうだけの施設整備が必要だったりいろいろするということを言われるんですが、それだったら、例えば野球場ができたり、そういった人が集まる施設をつくったら税金かけていますか、バランスとっているんですか。
  54. 石田直裕

    説明員(石田直裕君) ただいま御説明いたしたわけですけれども、この旅館飲食、宿泊という行為が特別に地方団体の行政サービスと密接な関係があるということから課税されているということで御理解いただきたいと存じます。
  55. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 特別に行政サービスと密接なものはこれ以外にないと言っているんですか、それだけ答えてください。
  56. 石田直裕

    説明員(石田直裕君) 委員指摘のとおり、たくさんの行政サービスに関連する行為がございますけれども、特別にこみ処理だとか消防、観光振興等さまざまな行政サービスとこの行為が関連しておる、さらには一定の担税力のあるものだけに課税させていただいているということで、他とは区別させていただいておるということでございます。
  57. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 それでは、私の地元の話で大変恐縮ですけれども、決して個別の問題という意味じゃなくてわかりやすい意味で言うんですけれども、福岡ドームというのが福岡市内にできました。これは担税力もあるし、それから行政サービスも特別必要なんです。道路も整備しなきゃいけない、何から何までいろいろ必要なんです。今言われたこととぴったり一致するんですよ、特別に。ここでその矛盾点についていろいろやり合いたいんですけれども、時間に制限があっていろいろ次に言いたいことを抱えておりますから、この件はこれまでにしておきます。  では、同じ自治省に伺いますけれども、この特別地方消費税について地方税法の改正案を用意されているということですけれども、その内容と根拠を手短に、骨子だけで結構ですからお伺いしたいと思います。
  58. 石田直裕

    説明員(石田直裕君) 今回の改正案はおおむね三つでございまして、先ほど運輸省の方から御説明ありましたとおり、平成十二年三月三十一日をもって廃止いたしたいというのが一点でございます。二点目には、それまでの間、市町村に対する交付率を、現在五分の一でございますが、二分の一までに引き上げさせていただきたい。さらに三点目につきまして、長野のオリンピック冬季競技大会の開催に伴いまして、平成十年の一月一日から三月三十一日までの間に旅館におきます外客の方の宿泊、飲食につきまして特別地方消費税を非課税としたい、この三点を提案させていただいておるわけでございます。  まず、第一点目の三年後に廃止させていただきたいというのは、先生も御指摘のように、この税金問題についてのさまざまな御議論がございます。一方では廃止すべきであるという御議論もございますし、これは先ほど私が御説明いたしましたように地方団体にとっては極めて貴重な税源ですし、地方団体のサービスと密接に関連しているから存続すべきであるという御意見もございましたけれども、これらのことを総合的に考慮いたしまして、また現下の財政状況は極めて厳しいということも踏まえまして三年後に廃止させていただきたいということを御提案させていただいておるということでございます。  二点目につきましての交付率の引き上げでございますが、先ほど来御説明しておりますとおり、この税の課税対象である行為が市町村行政とも密接に関連しております。これらの財政需要が多額に上っておるということですので、こうした事情にもかんがみまして、今回この交付率を五分の一から二分の一に引き上げさせていただきたい。  三点目の長野オリンピック大会につきましては、御承知のとおり、この大会自体国際親善やスポーツの振興等大きな意義を有しております。昭和三十九年のオリンピック東京大会や四十七年の札幌オリンピックの冬季大会におきます取り扱いも考慮して、私が先ほど申し上げましたような措置を講じさせていただきたいということでございます。
  59. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 三年後は廃止するからという言い方だったけれども、私がそれを聞いていますと、三年間もまだふんだくるのかということで根拠も明確でないものを三年間も二重課税させられてたまるか、そういう気持ちですが、これは大事な問題ですので、後ほどもう一度言います。  ちょっと個別の問題で今長野オリンピックの話が出たんですが、大臣所信の中にはこれに関連すると思われる記述がありまして、「国際的に低水準にある訪日外国人観光客増加を図るとともに、多様な地域への来訪を促進するための施策を推進してまいります。」、こういう記述があるんですけれども、これのことを言っているのかどうか、イエスかノーかだけで結構です。
  60. 相原力

    政府委員相原力君) ウェルカムプラン21は、全般的な外国人観光旅客の多様な地域への来訪を促進するということでございまして、今回の長野オリンピックに関する特消税の措置とは直接関係していないというふうに認識いたしております。
  61. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 ちょっと自治省に伺います。  そうしますと、訪日外国人観光客増加とかそういう人たちの利便を図るとか、そういう観点ではないとなると、前例があるとかと言いましたけれども、これは何のためなのかと私なりに考えると、要するに特例を三カ月間だけ設ける、それは外国の人がリーズナブルな発想をするので、二重課税なんか払わないよということでいろいろ問題が大きくなる、それを避けるために、要するに国際社会では通用しないことをやっているために恥ずかしくてしようがないから、だからその部分だけ外すんだ、嵐が過ぎ去るのを待つんだ、こういう意味合いに受け取ったんですけれどもいかがですか。
  62. 石田直裕

    説明員(石田直裕君) 先ほど御答弁申し上げましたけれども、この冬季オリンピック大会自体が国際親善やスポーツの振興等の大きな意義を有するということからこういう措置を講じさせていただきたいということですし、従来もこういう措置を講じておった、あるいは関係省庁から強い御要望があったということです。  諸外国にないからこうだということでございますけれども、これは諸外国のスイスとかオーストリアとかニューヨーク等にもこういう税金がございますので、特に諸外国がないからどうだということではないというふうに理解しております。
  63. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 諸外国にあるないじゃなくて、諸外国の人たちは、消費税も取りますよ、そして特別地方消費税も取りますよということに対して、実際に支払いをするホテルなり旅館のカウンターで非常に厳しい交渉があるという話をよく聞いているんですよ。そういうことを想定すると、問題があちこち出るのは説明がつかなくて困る、格好が悪い、何とか嵐の過ぎ去るのを待とう、そういう意味なのかなと。お話を聞いていて、ちょっとそれ以外理解のしようがないんですよ。  運輸省も先ほど言った、国際的な云々という観点からはこれ関係ないんだと、こういうことを言われているわけで、関係省庁の協力云々といったって、運輸省はそれは知らないよと、こう言っているわけで、自治省が恥ずかしいからこの分だけ隠して、外国人観光客がピークを過ぎたらまたもとに戻しますよ、三年間取りますよということだと思うんですよ。  それで、もっと大きな三年後の問題があるので話を戻しますけれども、今度新設を用意されている地方消費税と特別地方消費税による税収あるいは税収見込み額、これの大ざっぱな比較、端数はいいですけれども、これはどういう数字になるんでしょうか。
  64. 石田直裕

    説明員(石田直裕君) 地方消費税自体、ことしの四月一日からでございますので満額は入らないわけですが、平年度ベースで申し上げますと、約二兆六千億円ぐらい入ることを期待しております。また、特別地方消費税の平成七年度の税収の実績でございますけれども、一千三百三十億円ということでございます。
  65. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 先ほど言った、地方の財源がないから仕方なく二重課税だけれども取っているんだという理由はおかしいじゃないですか。地方消費税で二十倍の収入があると。今後これ以上の事件というか、これ以上大きな財源調整をするきっかけというかチャンスはない、一番大事な時期にこれを残してしまった。二十分の一の問題、要するに二十倍の別途税収がある。二十分の一のものを、前々から問題視されていた、二重課税としての指摘もある、そういう中で、しかもこれはきのうきょうに始まったことじゃない。  そうなると、二十倍の収入があるほど新しく出てくる大きな事件あるいはそういう事例というのはもう今後期待できないんですね。絶好のチャンスなんです。このチャンスを何で生かさなかったのかなぜ三年間もまだ取り続けなきゃいけないのか、もう一度お答えいただきたいと思います。
  66. 石田直裕

    説明員(石田直裕君) 今二十倍の収入があると言われたわけですが、ちょっと私の説明不足でございますが、確かに地方消費税二兆数千億円入るわけでございますが、それとは差しかえといいますか、消費譲与税というのが一兆四千億円もあったわけですが、それがなくなると。さらには、今回の税制改革自体が個人住民税、所得税の減税と一体として行われておりますので、全体としてのフレームとしてはおおむね減収額と見合うものになっているということになっておるわけで、特別にこのための財源があるというふうには理解をしておらないということでございます。
  67. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 個別に自治省としてはあれやこれややっているから、部分的にあっち持ってきてはこうといろいろ説明をしたいんでしょうけれども、要はインプットとアウトプットがこれだけ大きく二十倍の税収があるという、こんなことは今後ないんですから、そういう意味で小手先の説明で視点をそらそうとしてもちょっと違うと思いますよ。  きょうはそのことだけを申し上げるためじゃないものですから、ちょっと次に移ります。  この点についての与党側の姿勢、これまでも消費税を五%に上げた法律を二年半前の国会で決めた。そしてさらに、与党の税制改正大綱などでは二回ないし三回、もうこれ回数は数え方による、要するに複数回同じことを繰り返している。その趣旨は、与党税制改正大綱の中で言っていることですけれども、「特別地方消費税については、地方消費税の導入の時期までに、その在り方を抜本的に検討する。」、こういう記述があり、また平成七年十二月には政府税制調査会の答申でも同様の内容のものが答申されております。こういう意味で、抜本的に検討すると、こう言っているんですけれども、どこが抜本的なのか、その点を中心にお答えいただきたいと思います。
  68. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) ただいま御論議をいただいている特消税の問題でございますけれども、今先生も御指摘いただきましたように、政府・与党におきましては、この地方消費税が導入される時期までにそのあり方を抜本的に検討すると、こういう方針を実は踏まえまして、私ども運輸省といたしましても観光分野を所管いたしておりますし、またウェルカムプラン21、これから外国のお客さんたちにますます日本の国に来ていただかなければいけない、そういう観点から考えてみますと、特消税というのは導入と同時に廃止するというのが一番望ましいことだという考えの中でさまざまな論議を党税調等で踏まえてまいりました。  しかし、残念ながら結果といたしまして三年後には廃止をするということで、今自治省の方からも御説明いたしておりますけれども、それまでの間は市町村の交付金の交付率だけを引き上げさせていただくということで納得をしたということでございます。さまざまな論議をいたしましたけれども、結果として三年後の廃止ということで運輸省といたしましても納得をしたということでございます。
  69. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 運輸省が旅館業、観光業を所管する立場からやむを得ず納得をしたということについては、方向性としてはもっと踏み込んでほしかったという意味だと思うんですけれども、それはわかります。  今後とも、三年後に決まったからもういいんじゃなくて、三年間要らない税金を取られるわけですから、国民からすると。大半の人がそう思っているわけですから、事実。そういう面については、免税点をさらに一万五千円を五万円にするとか十万円にするとか、あるいはもう三年を一年で区切るとか、そういう可能性も今後あるわけですから、頑張っていただきたいと思います。私どもも頑張ってまいります。要らない税金はもっとすっきりさせて、要らない税金はいただかない、要るものはちゃんと理由をつけて、御納得をいただく最大限の努力をしながら協力をいただく、これが税金のあり方だと思いますので。  それから次に、運輸施設整備事業団の件で伺いたいんですけれども大臣の所信によると、行政改革の要請等に応じでみずからの行政について抜本的に見直すと、こういう趣旨のことを宣言されて、具体的には、特殊法人については鉄道整備基金と船舶整備公団を統合して合理化する、合理化してその結果が運輸施設整備事業団を設立するということなんだそうですが、これは例えば具体的に職員数、役員数、それから国費、この三点でどういうことになるのか、数字で端的に説明していただきたいと思います。
  70. 相原力

    政府委員相原力君) 鉄道整備基金と船舶整備公団の統合でございますが、役員につきましては、現在鉄道整備基金が五名、船舶整備公団六名、合わせまして十一名ございますが、それを三人削減いたします。八名とすることといたしております。  職員につきましては、現在鉄道整備基金五十八名、船舶整備公団七十八名、計百三十六名でございますが、今後五年間で九人削減することといたしております。  国費の助成金につきましては、これは整備新幹線あるいは都市鉄道、幹線鉄道等に対する助成金でございますが、平成八年度が千三百十三億円でございます。これを平成九年度予算案では千三百五十一億円を計上いたしているところでございます。
  71. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 これは、大臣所信の中では「既定の閣議決定を踏まえ、」、それを中抜きで言いますと「合理化を進めてまいります。」、その中身のあんこの部分なんですね。「閣議決定を踏まえ、」という、その閣議決定の内容というのは何かというと、平成七年の二月二十四日あるいは八年の十二月二十五日、つい先日ですけれども、こういう中で特に平成八年十二月二十五日の閣議決定で行政改革プログラム云々という、この閣議決定の中では「新時代に対応できる簡素で効率的な行政の実現」、こういうタイトルが第一に上がっていまして、その中の一つに「特殊法人等の整理・合理化」、「特殊法人等については、「特殊法人の整理合理化について」(平成七年二月二十四日閣議決定)」、これに基づいて改革を着実に推進する、その前の閣議決定に基づいてと、こうある。  その前の閣議決定の趣旨は、「行政の減量化と新たな時代の要請に応えるため、」と、こういう趣旨なんですね。要するに、減量化ということ、合理化、簡素化、これが看板になっている。  ですから、恐らく、法案が通って新しい事業団が設立されたら、こういうとおり簡素化をやったんだ、減量化をやったんだ、合理化をやったんだ、こういう宣伝するところの中身になると思うんです。どうもその宣伝の言っていることと中身が違うんじゃないんですかと。人数にすると一割も削減されない、百三十六人が九人減る、役員が十一人が八人になる、予算は千三百十二億が千三百五十一億にふえる。国民の目から見たら、これ合理化なのか簡素化なのか何をやっているんだろうと。看板だけは合理化、簡素化あるいは減量化、こういう看板がついているんです。  しかも、これどうも行政改革の一環のようなにおいがするんです。まさかそうじゃないと思うんですが、これはちょっと大臣に伺いますけれども、橋本政権が言うところの行政改革の一環として位置づけられるものかどうか。そうでないと思うんですけれども大臣のお考えを伺いたいと思います。
  72. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 特殊法人を初めとして、行政改革プログラムというのも閣議決定を行ったところでございます。  今後いろいろと、先生方との御論議の中で運輸省といたしましても思い切った特殊法人の整理合理化というものを積極的に進めていきたいと、私は基本姿勢としてそういう姿勢で臨んでまいりたいと思っておりますが、いずれにいたしましても、この今回の鉄道整備基金、船舶整備公団というものの統合は決定いたしているとおりに進めさせていただくわけでありますけれども、その中身につきましても、今先生の御指摘等を踏まえて精査すべきところは精査していくべきだろう、このように考えているところでございます。
  73. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 橋本総理が、火だるまになってもという通常使わない言葉、恐らく造語なのか、火だるまになっても頑張るというのは。火の玉になって頑張るという言葉はあるけれども、火だるまになって頑張るというのはよくわからないんですが、要するに一生懸命にやるという意味だと思うんですが、再三再四これを明言されている。その実態の一部が、こういう百三十六人が九人減りますよ、役員が十一人のところ八人になりますよ、予算はふえますよ、これなのかということを感じますと、これは国民の皆さんがっかりされるんじゃないかと思います。  もうちょっとまじめに行政改革、これは言うところの行政改革じゃないんだと、行政改革は本格的にまだ、次にすぐに用意しているんだというぐらいのことがお答えとして戻ってくるかなと思ったんですが、どうもそうでもないんで、もう少し頑張っていただきたい。もう少しではなくて、もう相当頑張っていただかなければいけないと思います。今の日本の命運を左右するような大きな時代の転換期に来てますので、特にそのことを強調しておきたいと思います。
  74. 相原力

    政府委員相原力君) ただいまの先生の御指摘でございますが、平成七年の二月の閣議決定におきまして、御指摘のように、行政の減量化と新たな時代の要請にこたえるために特殊法人について総合的かつ全般的な見直しを行うということで決定されたわけでございまして、本件につきましては、運輸関係施設の効率的な整備等を推進する観点から、鉄道整備基金と船舶整備公団とを統合するということが決定されたわけでございます。  したがいまして、仕事の中身につきまして、時代に合わなくなったものについては当然廃止するものもございますが、例えば鉄道につきましては、先ほど申し上げましたように、助成金につきましても、整備新幹線あるいは都市鉄道等々、重要な業務ばかりでございます。そういう観点の助成金が時代のニーズに応じてふえているということでございまして、必要な業務を行う執行体制は確保していくということでございますが、当然、統合に伴いまして総務部門を中心に重複いたします。そういう観点で、役員の縮減あるいは定員の縮減等、できるだけ可能な限り大幅な行政の簡素化、整理合理化を推進していく、そういう趣旨で行っているものでございますので、どうぞよろしく御理解をいただきたいというふうに思います。
  75. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 時間の都合で、それに対する応対をするいとまがありませんので次に移らせていただきます。  陸運賛助会について、新聞にも取り上げられております。その観点とは少し違うんですけれども、昨年、平成八年九月二十日に「公益法人の設立許可及び指導監督基準」云々というのを閣議決定されているんですね。その中で、「公益法人は、積極的に不特定多数の者の利益の実現を目的とするものでなければならず、次のようなものは、公益法人として適当でない。」と。三項目挙がっていまして、その一つに「後援会等特定個人の精神的、経済的支援を目的とするもの」、これはいけない、適当でないと明確に閣議決定の中でうたっているわけです、指導監督基準。  この賛助会の設立目的を読みますと、運輸省退職者及びその遺家族云々と、こうあるんですけれども、どうも業務は、車のナンバーが指定される、指定されたナンバーを今度はナンバープレートをつくってそれをつけると。これはだれでもできるわけじゃないので、行政代行的な業務としてその決まった地域の中では独占的に仕事をさせていただくということを運輸省から指定なのか許可なのか何しろそういう権限を守られてやっているというところが、運輸省退職者云々ということのためにやるのか、その本来の権限というのは国民のものじゃないのか、何で運輸省退職者のために陸運賛助会があるのか。これは、先ほど冒頭に申し上げました指導監督基準、「特定個人の」云々というものに抵触するんじゃないかと思うんです。  これがいまだに生きているというのは、これはどういうわけか、あるいはこれは特別な解釈があるのかお伺いしたいと思います。
  76. 荒谷俊昭

    政府委員(荒谷俊昭君) 今、先生指摘の指導監督基準の上におきましては、そういった業務を主たる目的とするもの、これはふさわしくない、こういうことでございまして、この指導監督基準の運用指針というのが別途ございまして、主たる目的ではなくて従たる目的の場合は容認をされるというふうになってございます。  陸運賛助会の現在の業務でございますが、先生今御指摘のとおりでございまして、ナンバープレートの交付代行ということで運輸行政の協力業務、これが主たる業務でございます。もともと、陸運賛助会は陸運関係職員の遺族の救済といったことが第一の目的に書いてございますけれども、これはこの法人ができたときにそれが主たる目的であったということでございまして、現在では実態はもう従たる業務になっていると。  それで、先生の御指摘もございますので、この辺の寄附行為の変更につきましては今後私どもの方から指導をしてまいりたい、このように考えております。
  77. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 もう一つ伺いたいんですが、この独占的な行政代行業が運輸省によって保証されている仕事をしているところのこの陸運賛助会が特定の政治家に献金をしているということも言われているんですけれども、これが事実かどうか、またそれが適切かどうか伺いたいと思います。
  78. 荒谷俊昭

    政府委員(荒谷俊昭君) 運輸省として把握いたしておりますのは、平成七年と平成八年この二年間におきまして、一名の政治家にかかわります政治団体に対して年間十二万円ずつの献金をしたということを承知いたしております。この問題につきましては、政治資金規正法上、例えば国から補助金等を受けている法人が政治献金をする場合の規制は確かにございますけれども、それ以外の公益法人一般を対象とした政治献金の禁止規定は定められていないというふうに私承知をいたしております。  ただ、いずれにいたしましても、現下の諸状況にかんがみまして、この問題については陸運賛助会の方においてどのように今後対応をするのか私どもとしては見守ってまいりたいというふうに考えております。
  79. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 最後に、大臣に一言。  この件はちょっと大臣に対する質問として通告してなかったかもしれませんけれども、包括的な観点で結構ですが、特定の云々という話ですね。これは運輸省が独占状態を守っているというそういう法人が、やはり特定の運輸省関係者だけのために何かするとかあるいは特定の政治家にするということについては、これは今後検討の対象にすべきではないか、検討すべきことはいっぱいあるんですけれども、その一つにやっぱり挙げるべきじゃないかと、こう思うんですけれども大臣のお考えを伺います。
  80. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) この件につきましては、例えば献金が法に触れるものではない、いろいろと今日の諸事情をかんがみながら、先生指摘いただいたように私といたしましては検討していきたい、こう思っております。
  81. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 終わります。
  82. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時二十分まで休憩いたします。    午後零時二十四分休憩      —————・—————    午後一時二十分開会
  83. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、運輸事情等に関する調査を議題とし、運輸行政基本施策に関する件及びナホトカ号海難流出油災害に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  84. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 平成会の戸田邦司でございます。  運輸大臣の所信に関しまして二問ほど、それから主として重油流出問題についてお尋ねしたいと思います。  先ほど新幹線の問題も出ておりましたが、私は新幹線についても一言だけお話し申し上げておきたいと思いますが、やはり国土の均衡ある発展とか地方の時代とかそういうようなことも考え合わせますと、新幹線の建設というのは非常に大きなインパクトがある、そういうふうに認識しております。財源の問題その他もあるかと思いますが、基本的には、いろんな条件もついているようですからひとつその辺もよく考えていただいて、それで建設を進めるべきではないかと私は考えております。これは、大臣ももうお答えいただかなくてもそういうようなお答えになられるんじゃないかと思いますから、その点については特別お尋ねするという性格のものではございません。  まず最初にお尋ねしたいと思いますのは、後刻法案も出てまいりますが、国鉄の長期債務の処理問題であります。  来年度予算の中で一部手当てをするということで、これは運輸省にとりましても国鉄清算事業団にとりましても一つの前向きな解決の端緒ではないかと思いますが、しかしこの問題は根本的な道筋をきちっと出していただかないと解決できない、そういう性格の問題だと私はとらえております。国全体としての債務の問題がありますが、この国鉄清算事業団の債務も、別問題とは言いながらその一部と考えていい問題ではないかと思っております。  先ごろの住専国会で住専問題検討中に、評論家などから国鉄の累積債務、清算事業団の負っている債務でありますが、あれも住専と同じ性格ではないかというようなことをあちこちで言う人がおりましたが、これは性格が全く違っていると私はとらえておりまして、今までの政府の決定によりましても、この債務の償還に関する基本方針などでも、最終的に残る債務等について国民に負担を求めざるを得ないということになっておりますし、これは政府責任において解決するということにもなっております。そういうことで、この問題については国鉄問題解決後の大きな課題としてずっと残ってきているわけでありまして、歴代の運輸大臣すべてが私は責任を負うべき性格かなとも思っております。  前運輸大臣亀井善之先生にも私はお願いしたことがありますが、この問題を解決するに当たりまして、運輸省事務当局が幾ら努力をしても解決できるような性格の問題ではないと受けとめております。そういった大臣歴任者に国鉄債務組なんていう印のついた印ばんてんぐらい贈って一生懸命皆さんにやっていただかないとならない、私はそういうような思いでいるぐらいであります。どうか古賀大臣に、この問題については運輸省の事務当局が後顧の憂いなくということにはいかないとは思いますが、そういう意味合いにおいてこれを政治的に解決していただく、そういうようなことでひとつ大臣に頑張っていただかなければならないと思いますが、運輸大臣の御決断についてお話しいただければと思います。
  85. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 先生には日ごろから運輸行政につきましては特段の御指導をいただいているわけでございまして、また今、整備新幹線の件についてもお触れいただきましたけれども、全く私も先生と同じ考えでおりますことを大変心強く先生の御発言を承ったところでございます。  また同時に、国鉄の長期債務等の本格的な処理の問題につきましても先生の長年の識見の中でいろいろとお触れをいただいたわけでございますけれども、何といいましてもこれに要する費用が莫大でございます。それだけに、国民の皆様方のコンセンサスをどう得ていくかということが非常に大事なことではないかなというふうに私自身考えております。御承知のとおり、昭和六十三年一月二十六日の閣議決定におきましても示されているとおりでありまして、新たな財源措置について国民的な論議を十分尽くす必要があるということが私はまず第一ではないかなというふうに思います。  一方、先生御指導いただきましたように、国鉄の長期債務がこれ以上増加するということは許されないわけでございます。そういう意味では、平成九年度の予算で金利の負担増の軽減のために緊急措置として予算に実は計上させていただいているわけでございますが、これはまさに臨時的な措置でございまして、今後本格的なこの処理策というものをどう策定していくのか、どう国民の皆様方の理解を得る努力をするのか、国鉄改革十年というまさに総決算として大切な課題だというふうに思っております。そういう意味合いから、昨年の十二月二十五日の閣議決定を踏まえまして、平成十年度より債務等の本格的な処理を実施するということにいたしておりまして、その具体的な処理方策につきましては平成九年じゅうに成案を得るべく最大限の努力をしてまいろうという決意でございます。  本当に難しい、そしてまた重要な課題でございます。住専とともすれば一緒に考えがちでありますけれども、全然基本的な中身が違うという認識の中で、まずは国民の皆様方にしっかり御認識をいただくということで、国民のコンセンサスを得る成案づくりに私もひとつ全力を尽くしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いをいたしておきます。
  86. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 古賀大臣の後輩といいますか、これから運輸大臣になられる方々が、あのときにあの大臣がしっかりやっておいてくれればおれたちはこんな思いをしなくて済んだんだというような思いが起こらないようにといいますか、ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。  次に、大臣の所信の中での公共事業関係でありますが、この中で港湾関係、海岸事業関係空港整備関係、いずれも、昨年十二月に閣議決定されました本年度を初年度とする第九次港湾整備五カ年計画に基づいて進めていくこの港湾整備にしても、海岸事業にしましても、空港整備にしましても、私は、運輸行政の中で極めて重要な地位を占める事業でありますから、これをしっかり進めなければならないという点では同じ考えといいますか、大賛成であります。  特に、国際ハブ空港の問題、耐震性の問題、それから空港整備につきましても、これも我が国の空港が国際的に立ちおくれてきているというような状況も考えますと、相当力を入れて進めなければならないものではないかと思います。  昨年十二月に閣議決定された本年度を初年度とする何とか次五カ年計画、これを引用してありまして、これがあたかも金科玉条のごとくというか、そういうふうに映ってしまうわけであります。公共事業の六百三十兆円につきましては見直しをするというような話も出ているわけでありますが、この五カ年計画、ほかの部門も全部合わせてみますと、公共事業の中での部門別のシェアはほとんど変わらない、そういうようなことに相なっているわけであります。そういう点から考えますと、六百三十兆円の見直し、さらにこういった各部門の問題を考えますと、同じシェアでおさまるというようなことにも相ならないかという心配があります。  ですから、公共事葉全体の中で、特に運輸関係の中でこういった重要な問題については重点的に進めるんだと、弾力的に考えていかないとこれからのそういう重要な事業が進んでいかないという心配もあるかと思います。単年度でどうこうという問題ではないかと思いますが、仕上がりでどういうようなことになるかというようなことも考え、非常に弾力的に、また部門別、重点的に進めるべきではないかということを考えておりますが、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  87. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 御承知のとおり、運輸省関連の公共事業、これからますます激しくなります国際競争の中で、また経済構造改革等が言われている中に高コストをどうやって是正をしていくのか、まさに運輸省関係の社会資本の整備というのは、ある意味では私は非常に重要な役割をこれからますます持ってくるのではないかなというふうに思っております。今日までも運輸省といたしましては、そういう観点を踏まえまして、運輸関連の公共事業を通じまして社会資本の整備に努めてきたところでございますけれども、今後効率的な効果的な事業の推進にさらに努力をしていかなければいけないということは申すまでもないことだと思っております。  そこで、先生がお触れいただきました長期計画の問題でございますけれども、御承知のとおり運輸省では、海岸が第六次でございます。港湾が第九次、空港が第七次、それぞれ平成八年度から十二年までの五カ年計画を対象に長期計画を策定いたしまして、昨年の十二月十三日に実は閣議決定をさせていただいているところでございます。  この長期計画の実施に当たりましては、この閣議決定の文中においても言っておりますように、また先生も今お触れいただきましたように、「今後の社会・経済の動向、財政事情等を勘案しつつ、一弾力的にその実施を図る」、このようにされているわけでございまして、私といたしましては、これは計画的な整備のための目安といった性格のものではないかなというふうに思っております。極めて必要性の高いもの、また緊急を要するもの、こういったものにつきましては、とりわけ弾力的な予算、それから予算の配分並びに事業の執行というものが大切ではなかろうかというふうに私は思っております。  ただいまも申し上げましたけれども、今時の我が国を取り巻く環境を十分踏まえながら、さらに重点的かつ効果的な運輸関係の公共事業の推進に努めてまいりたいと思いますので、委員各位の御指導と御支援をお願い申し上げる次第でございます。
  88. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 財政事情その他非常に苦しい中でこういったことを進める、なかなか予算の獲得、計画の推進、非常に難しい点があるかと思いますが、大臣、ひとつその辺を頑張って進めていただければと思います。  次に、油流出問題に移ります。ただいまの二問の関係方々、どうぞお引き取りいただいて結構です。  重油流出事故につきましては、今まで予算委員会その他で相当の議論が重ねられておりまして、私も議事録その他全部読ませていただきました。運輸大臣が予算委員会であんなに答弁に立つ、なかなか珍しいことではないかと思います。大臣、相当頑張っておられますが、しかし事故が事故だけに、非常に難しい点があったのではないかと思っております。  発生以来五十日近くの日数を経ております。その間、海上保安庁、自衛隊あるいは地元の方、その他ボランティアの人々が流出油の除去のため涙ぐましい努力をしてきたと思っております。特に海上保安庁は、二日以来現地に張りつきというような状況でもありまして、非常に気象条件が厳しいところでの勤務といいますか作業についていただいて、乗組員の方々ももう疲労こんぱいしているんじゃないかと思いますが、いずれにしましても皆さんの努力には深甚なる敬意を表したいと思いますし、その間ボランティアで出てきて亡くなられた方々にも深くお悔やみ申し上げたいと思います。  それにしましても、地元が受けた損害、これは相当甚大なものがあったと思いますし、またこれからどれぐらいの期間こういう損害が引き続くのかというような点についてもなかなか定かに見通しがつかない、そういう状況ではないかと思います。関係各県にとりましても非常に大きな問題でありますし、これについてやはり国自体としていろんな対応を考えなければならないということは確かではないかと思います。  これまで予算委員会などで議論されたことにつきましては、なるべく重複しないような形で私なりに問題点を挙げさせていただきます。  まず、事故が発生して対応の態勢がどういうふうに展開されたかという点であります。  私、当時の天気図その他も取り寄せてつくづく眺めてみました。実は私は、一日、非常に平穏だったものですから、二日、海の上に遊びに行こうかと思って一日の夜天気図を見ていましたら、これはすごい、台風並みの低気圧が日本海を通過しつつあったというようなことでありまして、日本海の真ん中に気象庁のブイロボットがありますが、それの記録を見ましても、一日ほとんど波がなかったんですが、二日に波高八メーター、これは専門的に言いますと有義波高と言っていまして、一種の平均的な波高でありますから、実際に立っていた波の高さは最大十二メーターぐらいあったんじゃないかと想定されます。天気予報を見ましても、風速五十ノット、これは二十五メートルぐらいになるかと思いますが、それぐらいの風が吹く、こう言っておりました。急速に発達した低気圧、それから出ている前線、そういったことで日本海は大荒れになっていたという状況でありますが、そこで発生した事故。  海上保安庁は人命の救助につきまして非常に素早い対応をされておりましたが、油の流出につきましては、恐らくあの天候のもとではどれぐらい流れているか確認できなかったと思います。テレビの画像などを見ておりましても、波頭が砕けている非常に大きな波の中で油が視認できない、そういうような状況だったと思います。  そこで、海上保安庁長官お尋ねしたいんですが、ああいうような状況である程度油が流れたなという想定をしなければならない。どの時点でどういうような事故が起こるんじゃないかということを想定されましたか。その点、ひとつお願いします。
  89. 土坂泰敏

    政府委員(土坂泰敏君) 一月二日の未明に事故が発生いたしまして、同日の十一時十分には浮流油を確認いたしております。これは航空機で確認をいたしました。この段階で、この事故を起こした船がタンカーであるということと浮流油があるということと二つわかったわけでございますから、非常に大きな事故になる可能性があるという認識は持ったわけでございます。  続きまして、一月三日の午後八時四十分、夜でございますが、救助した乗組員からいろいろ事情を聞いておりましたところ、乗組員の推定で約三千七百キロリットルのC重油が流れたという証言が得られたわけでございまして、この時点で非常に大きな事故になるということが考えられたわけでございます。  ただ、今先生からお話がありましたように、非常に荒れた気象状況でございまして、それがどういうふうに流れていくかということは必ずしも即断を許さない、そういう状況でございました。ただ、御承知のように、あそこは対馬暖流が北へ向かって流れておりますので、一つの見方としては、その海流の力の方が強ければ当然北へ向かって流れるであろうという気持ちがあったわけでございます。  ただ、その後やはりフォローをいたしまして、水路部等でもいろんなシミュレーションなどもいたしましたところ、一月六日には、これは暖流を離れて沿岸の方へ近づいていくという予測結果が出まして、この時点で明確にこれは海に大きな被害が出るという認識を持つに至った、こういう経緯でございました。
  90. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 流出油の確認ができたのは恐らく四日、五日、六日、その辺ではなかったかと思います。そのころになってようやく気象条件が一たん落ちついたというようなことでありまして、当時の風は西または西北西というような風だったと思いますが、強風が三日、四日吹き続けますと表層が流れるんですね。表層流と言っていますが、時に二、三ノットになることもある、そういうようなこともあります。  こういうような事故があった場合に、どういう方向にどれくらいの油が流れて、どういうような事故になるんじゃないかという想定がどれぐらい早くできるか、それによってその対応が左右されるということがあると思います。そういった意味では、海上保安庁も専門家の集団であると思いますが、これからの油流出事故については、そういった事故想定といいますか、それをきちっと科学的にある確率をもってできるような手法が必要ではないかと思っております。大変技術的な問題ではないかと思いますが、そういうことができるようにならないと対応がおくれる、そういうことだろうと思います。  今回の対応につきましては、参議院の予算委員会で官房長官も答えておられますが、やはり対応がちゃんとできていなかったということをはっきりお答えになっているようです。私も、どういう対応ができたかということについてはなかなか難しいと思いますが、しかし、たとえそういうような事故が想定されたとしても、対応できるような体制になかったというのが真実ではないかと思います。これは、現場で大変苦労されている海上保安庁の皆さんあるいは一生懸命やった海上保安庁を非難するわけでも何でもありませんが、しかし、これからの問題としては、大量流出が起こったときにそれに対応できる体制をつくらなければならないということを考えれば極めて重要なことであります。  そういったことで私は、OPRC条約に基づく緊急計画も全部読ませていただきましたが、そういう意味からいいますと、この緊急計画は非常によくできた計画ではないかと思っております。  OPRC条約自身、これは運輸省責任でもなければ海上保安庁の責任でもありませんが、一九九〇年に条約が採択されて五年後、九五年の五月十三日に国際的に発効している。しかし、我が国についての発効は九六年の一月十七日、八カ月ほどおくれている。年間三億キロリットルもの原油を輸入している我が国としては率先して条約を批准し、国内体制を立てなければならないということではなかったかと思いますが、その点、外務大臣は予算委員会で、別にそんなにおくれたわけではありませんからひとつ御理解いただきたいと言っていますが、私は、その件は全く理解できないということです。  しかし、それにしましてもこの緊急計画というのは非常に内容的によくできている計画でありまして、これをしっかりと実施する体制ができれば、私は、油の問題というのは相当大量の油が流れても対応できるような体制ができるんじゃないかと思っております。  しかし、そうはいいましてもこれも予算が伴う問題でありますから、海上保安庁に今のシーリング方式の中でこういう体制をしっかりとやれと言われても、海上保安庁は相当老朽巡視船も持っている、代替もしなければならない、かわいそうなような状態でありまして、巡視船の整備もここのところ補正予算で相当進めてきている。本当はこういうものは当初予算できちっと組み込んでやるべきではないかと思いますが、今のシーリング方式でいきますとそういうことができない。苦肉の策でやっておられるようでして、我が党は補正予算に相当文句を言っておりますが、海上保安庁のそういう巡視船艇の建造も含んでおりまして、私はその辺はまあしようがないだろうなという思いで見ておりました。  しかし、いずれにしましてもこういう相当の予算が伴って、海上保安庁自身も体制を立てなければならない。それから、海上保安庁と連携して対応することになっている海上災害防止センターも相当体制を充実しないと、例えば一万キロリッターとか、エクソン・バルディーズがアラスカで流した油の量は四万一千キロリッターと言われておりますが、そういうような事故になかなか対応できないというようなことではないかと思います。  この点、海上保安庁長官はどのようにお考えになっておられるか、ひとつお答えいただければと思います。
  91. 土坂泰敏

    政府委員(土坂泰敏君) いかなる事故が起きても対応できるような体制の整備というのが重要であるというのは、もう先生の御指摘のとおりでございまして、先生プロでいらっしゃいますから、今いろんな観点から御指摘がありました。  このうち船艇、航空機、あるいは防除資機材の整備、この辺は予算を伴うことでございます。なかなか苦しいわけでございますが、しかしいろんな方の御配慮によって着実に少しずつ前進はしておるという状況でございます。  ただ、一つだけ申し上げておきたいと思いましたのは、緊急時計画に基づいて具体的に海域ごとに防除計画というのをまた決めるわけですが、その防除計画では、例えばどこでどんな大きさの船が衝突なり座礁してどれだけ油が出るか、それを何日以内に回収するために油回収装置はどれくらい要るかとか処理剤はどれくらい要るかというような計算をいたしまして、その必要な量を、これは今御指摘のありました保安庁とセンターだけでなくて、石油業界であるとか地方自治体であるとか、あるいは港湾管理者であるとか、いろんな方の御協力を得て集めるということになっておりまして、またそのためのマニュアルも決めておるわけでございます。  例えば、どこの港にだれがどういう機材を持っているね、それじゃ一たん事故があったらそれをどこへ持っていらっしゃい、そのときの輸送手段はこうだよ、時間は何分かかるよ、そういうふうなところまで決めておりまして、一たん事故がある場合にはそういう関係者全員の力を集めて防除体制を整えるということでやらせていただいております。  そうなってきますと、どうしてもお互いの実戦に臨んだときの一体感というか連携というのが非常に大事になりますので、そのための訓練なども積み重ねながら、足らざる分は民間その他の力も総動員して、防除体制に万全を期していかなきゃいかぬということで取り組んでいるところでございます。
  92. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 今後の問題として、四万キロリッターとか五万キロリッターとか、そういうような事故が起こらないとも限らない。ですから、私はそういう事故でも対応できるような体制をひとつ考えておいていただきたいと思っております。  しかし、それにしましてもこの船舶の安全、予防的にそういう点も力を入れていかなければならないわけでありまして、これは外国船でありますからその旗国が責任を持って整備するということになっておりますが、老朽船が相当多数出ているというような状況もあります。また、我が国に関して言いますと、日本籍船が非常に少なくなっていて外国籍船が多い。しかも、相当ひどい船も我が国に入ってきているような状況になっているわけでありますが、外国船でありますから我が国が立ち入り臨検をしていくようなシステムになって、ポートステートコントロールと言っていますが、これも私から見るとようやくまあ何とか格好がついたというかそういうような体制ができたのかなというようなところで、まだまだ万全を期してなんというようなことにはならない。  そういう点もありますし、また、国際的には船の検査などについてきちっと国が監督して進めていかなければならないようなことになっておりますが、そういったことについてもこれから国際海事機関の場などでアピールしていかなければならないということでありますが、その辺について一言簡単にお話しいただければと思います。
  93. 山本孝

    政府委員(山本孝君) ただいま先生のお話のとおり、我が国は比較的新しい船を中心として持っておりますが、世界にはまだ老齢船が残念ながら存在しておる実態がございます。こういった老齢船に対しまして、国際的にどのような対応でこれら老齢船の事故防止を図るかということが先生指摘のとおり私どもにも大きな課題だと考えております。  そこで、まず海上人命安全条約におきましては、御案内のとおり、その船籍を有するいわゆる旗国が条約に定められておりますところの安全基準その他の基準に合致する、そのために定期的な船舶検査を行うということが基本になっておりますが、これを関係の国際会議あるいは今度の事故を起こしましたロシアなども十分に認識を高めてもらいまして、その徹底を図るようにあらゆる機会を通じて申し入れていくことが必要であると考えております。  また、これらの条約の中には、老齢船の安全確保を目指しまして、昨年一月から老齢船に対する船体構造の徹底的な検査等を内容といたします検査強化も合意をされております。こういったことについても抜かりなく実施していくように各国への働きかけに努めるとともに、我が国自体もこのような検査体制の強化を実施していきたい、いくべきであると考えております。  また、他方、先生も御指摘のありましたポートステートコントロールでございますが、こういったいわゆる国際基準を満たしていないおそれのあるサブスタンダード船というものに対しましても入港国の方で立ち入り臨検を徹底する必要がありますので、こういった関係では、三年ほど前からですが、我が国中心になりまして、この周りの国のこういった立ち入り検査のやり方、方法といったようなものを一層強化すべく、東京MOUという合意をつくりまして、これによって各国ともどもに立ち入り検査の強化を図っておるところでございます。まだこれも緒についたところでございますので、先生指摘のように今後一層その連携強化を図っていくべきであると考えております。  最後に、我が国もようやく来年度、九年度から、これまで細々と船舶検査官などがやっておりましたポートステートコントロールの体制を本格的にやるべく、外国船監督官制度を設けることといたしました。これの一層の拡充を図ってまいるように努力をいたしたいと思います。  先生のさらなる御支援をよろしくお願い申し上げます。
  94. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 私は、先ほどの質問の中で横尾議員が三井三池の問題にちょっと触れられて、大牟田の市内ではJRと西鉄が並行して走っていて、これがまだ踏切を使っておると、こういう話を聞いたんですが、私のところも、高崎線と秩父鉄道と、新幹線は踏切に関係ありませんけれども、一緒に走っているところがあるんです。  昔はそんなに踏切がとまりっ放しということはなかった。ところが、最近はダイヤが過密になってまいりまして、それから列車のスピードも速くなっているということになると、往々にして踏切でもって車がとめられてしまうことがあるんです。一々勘定したことがありませんけれども、乗用車が二十台ぐらいずらっと並ぶんですよ。  そうすると、その乗用車が並んでいるところを突っ切るのも大変なことになる。交通渋滞が往々にして出てくるんです。だから、この踏切の問題はやはりなるべく早く高架にするという方針が打ち立てられなきゃいけないんじゃないかということを痛感いたします。交通渋滞だけはどこに文句の言いようがないんですね。車の連中だってただいらいらしているだけなんです。だから、こういう問題の解決は、交通事故を防止するということにも非常に大きな関連があると思います。  だから、まず大臣としては、在来線、JRでもあるいは私鉄でもスピードアップされて頻繁に走るようになったんだから、路面電車のような場合は別ですけれども、高速鉄道の場合は原則として高架にして立体交差をする、立体交差を義務づける、こういうようにしなければならないんじゃないかというふうに私は思います。これは日常生活の体験からそういうことを感ずるものですから、その点、単にどこそこというだけの話じゃなくて日本全国の問題として、これは運輸行政責任者として考えていただきたいと思うんでありますが、いかがでしょうか。
  95. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 確かに、全国の鉄道の踏切の問題というのは、今先生から御指摘いただきましたように、いろいろな問題を今提起していると思います。  最初から立体交差を義務づけるということができればそれが一番いいんでございますが、これはこれからの問題として私は検討に値する御提言だというふうに思いますが、実際、在来線の中で今後どう取り組んでいくかということは、非常に費用がこれもかかるという難点がございます。  同時に、建設省と今連携をとりながら立体交差の問題について運輸省も取り組ませていただいておりますけれども、建設省の方は、立体交差をやる以上は都市計画の中で区画整理だとかというものを一緒に、町づくりを一緒にやっていこうという概念が非常に強うございます。そういたしますと、地元協議というのがなかなか難しいという問題がございます。その辺はもっと弾力的に運用できないのかということを私は常々申し上げているんでございますが、そういうことも踏まえまして、さらに建設省との協議というものを私は前進させていきたい、今後重要な課題として、私は宿題としてこれからの検討をきょうはお約束させていただきたい、このように思っております。
  96. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 どうもありがとうございました。ぜひ、積極的にひとつ御尽力をお願いしたいと思います。  それから、この問題と関連をいたしまして、踏切の渋滞を何とかするために道路の方を線路の下をくぐらせる、こういう工事も始めているんです。それはそれで結構だとは思っているんですが、どういうわけだか知らないけれども、その道路工事の方は毎日仕事をしないんですね、様子を見ていると。何か思い出したときに仕事をする。あれは気が向いたときに仕事をするようになっているんじゃないかなというような、そんな感じがしちゃうんですよ。  だから、それは運輸省の所管じゃないと思うけれども、道路工事といえどもやはり仕事を始めたら何月何日から何月何日まで通行どめにしてやりますから御協力をお願いしますと。協力する方はそれは協力せざるを得ないですよ。だけれども、仕事をしていないんだからこれはやる気があるんだろうかと、こう思っちゃうんですね。だから、どういう仕掛けになっているんだかそこら辺の道路行政、これも関連のある問題ですから、やはり運輸省も建設省も連携をとってやっていただきたい、こういうふうに思います。  それから、今回のナホトカ号の問題なんですけれども大臣の所信の中でも、外国船舶の検査の徹底あるいは監督の強化を各国政府に対して求め、監視、取り締まり等を充実強化してまいります、こういうふうに述べておられるんですけれども、ニュースに出てくる範囲では、ロシアと日本といろいろ話をしている。そうするとロシア側は、あのナホトカ号には過失はなかった、何か衝撃があって沈んだんじゃないかという言い方をしているんですよ。要するに言い逃れですね、我々がニュースを見ていて感じるのは。言い逃れをして責任を回避しようとする、そういう感じがするんです。  立場を変えて、日本の船がシベリア沿海か何かでもって沈んであのシベリア沿岸一帯に油を流すようなことになったら、そんなしらばっくれた顔をしちゃいられないと思うんです。それは責任を感じざるを得ない、全力を挙げて何とかしましょうということになると思うんです。ロシアという国はまだソビエト時代の影響があるのかどうかはわかりませんけれども、なるべく責任を回避して、おれのせいじゃないと、こういう態度をとっているんですね。衝撃によって沈んだものじゃないかと思う、不可抗力だ、だから国として責任を負う必要はないんだという方向に向いているような感じがいたします。  そういう感じは、当事者としてやっぱり感じられませんか。そういう点は、どうも我々がニュースを見ていて、おかしいなこの国は、何とか言い逃れをしようとしているんじゃないかなと、こう思っちゃうんですよ。大臣、どういうふうにお考えになりますか。
  97. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 今度のこの事故の重大性をかんがみますと、再発防止対策というのが一番大事なこれからの私たちの役割だというふうに思っております。  その再発防止の一つに老朽タンカーというものの対策をどうするのかということがあると思いますが、これにつきましては先ほどから政府委員の方からお話を申し上げているところでございまして、今先生がお話しいただいておるように、この事故がどういう原因で起きたかという原因究明というのも私は非常に重要なことだろうと思います。その原因究明にまさに今取りかかっている最中にロシア側から、何かこれは一つの大きな障害の中で沈没したんじゃないか、外的な要素によって起きたんではないかとか、私に言わせてもある意味では無責任な報道がロシア側からなされるということに対してはまことに遺憾だというふうに思っております。  今後、徹底的な原因究明を我が国といたしましても全力を挙げて徹底的に図っていきたい、このように思っております。
  98. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 外交上の問題になると思いますけれども、やはり我々が感じただけでもちょっとこれは逃げ腰じゃないかな、責任を回避しようとしているんじゃないかなということがありありとわかるような姿勢をとるというのは余り利口じゃないと思うんですね、ロシアとしても。今後の問題、そういう態度をとるのならいろいろな協力や援助ということについても考えなきゃいけないということになるんですから。  そこで、何かぶつかってこうなったんじゃないかなんという言い逃れをしますけれども、五十年前ならば残っている機雷がぶつかって船が沈んだんじゃないかという想定もできるんですけれども、戦争が終わってからもう半世紀以上たっているんですから、そんなことはやはり言い逃れの理由にはならないんですよ。  そこで、こういう問題を今後どうしたらいいか。何しろ、こういう古い船を使うということは、日本で使っているわけじゃないんだから、ロシアに対して物を言うといっても向こうが素直に言うことを聞くかどうか、これがわからないんです。このタンカーだって一万三千トンもあって、それが少しぐらい波が高いからといってぼっきり折れてしまって沈むということは我々には考えられないですよ。そういう老齢船で今でも重油をたくさん積んで運んでいるということ自体が問題なんです。これはやはり国際的な問題として指摘をしなきゃならないと思います。  日本では、老齢船というのは十四年以上は老齢船と、こう言っているんですね。これは二十七年というんでしょう。二十七年になるとどういうことになっちゃうか。老齢も老齢いいところです。これは犬だったら十五、六歳が寿命だから、とっくに寿命が過ぎて死んでしまっているんです。人間だったら百以上です。ぎんざん、ぎんさんに重い荷物をしょわせて働かせているようなものだ。こういうことをやらせちゃいかぬと思うんですね。  しかし、外国のことだから指図するわけにいかないが、しかし事の次第によっては近海に迷惑をかけるんですから、こういうことはやはり隣の国として言うべきことはちゃんと言わなきゃいかぬだろうというふうに思います。だから、そういう点も考慮をして物を言ってもらいたい、こういう気がいたします。  それから、この対策なんですけれども日本海沿岸に油が流れてしまった、どうしたらいいか、いい知恵がないからというので、結局はバケツとかひしゃくでもって油をすくうと。ボランティアの人たちに御苦労を願うということになるんですけれども、あの広い海に流れた油をひしゃくとバケツでもってすくい出すというようなことじゃ、いかにもらちの明かない話なんですね。だから、こういう場合の船がある程度配備されているということが必要になってきます。  海上保安庁でもっていろいろと、この間ビデオも見せていただきましたけれども、あの荒天の中を千トンぐらいの保安庁の船が揺れに揺れながら仕事をしているのを見せていただきました。ああいう苦労をしているんですけれども、じゃ、そういう油対策の船というのが特にあるかというと、清龍丸といいましたかね、一隻しかない。それが名古屋か何かに配備されているというんでしょう。仮にあの船がそういう仕掛けを持っていたとしても、日本海でもって事故が起きた場合に、名古屋から日本海に駆けつけるとなったら、これは新幹線で行くわけにいかないんだから、そうするといいかげん日にちがかかりますね、いや応なしに。急場に間に合わないということになる。  こんなことはめったにないことだとは思うのですけれども、やはりそういう対策というものが立てられるような、あるいは処置ができるような船を持っている必要があると思うんです。だから、それには、そんな船が一隻ぐらいしかないというのではこれはいけないと思うんで、例えば日本海側に一隻、太平洋側に一隻、九州に一隻、北海道に一隻ぐらいの割合でその種の多目的の船が配備をされていたならば役に立つんじゃないかなという気がいたします。  ただ、そういうことを専門にして動く船をつくるとなるとなかなか大変だろうという気がいたしますけれども、この海上保安庁の巡視船にいたしましても、そういういろんなケースに適応できるような設備を整えるということは工夫すればできるんじゃないでしょうか。今回の経験を生かさなきゃいけないと思うんです。今回の経験を生かして、例えば油をこぼすなんというのは、そういう船はめったにないとは思いますけれども、あった場合には今回のように大変な思いをしなきゃならない。だから、そういうことも考えた設計をこの巡視船に施すということもあっていいんじゃないだろうか。  それから、これは海上自衛隊との協力関係ですよ。これは運輸省だけの問題じゃなくて、こういう海上でもってこの種の事故が起きた場合には海上自衛隊とも連携をとって仕事をするという体制を考えたらどうかという気がいたします。  昔は海軍の軍艦の中に掃海艇というのがあったんですね。機雷か何かを処置するというのが目的だったらしいんですけれども、海の掃除をするという字句が今でも掃海艇といって残っているんですから、ああいう船なんかもやはり日本の港、各地に配備されているんですね、北から南まで。だから、そういう船舶の性能なんかについても、いろいろ金はかかるかもしれないけれども、多目的に活動ができるように考える。そして、日本の要所要所にそういう船が配備をされて、事があるときには直ちに出動できる、こういう体制がとれないものだろうかということをやはり今回考えました。  その点も運輸行政の一環として、自衛隊とどういう程度に協力できるかということはこれまた別の問題かもしれないけれども運輸省、海上保安庁として考えられることはやはり今までよりも手を広げてその対策というものを考えていいんじゃないかなと、こういう気がするので、その点、大臣の見解を伺いたいと思います。
  99. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 先生の御経験から今回のナホトカの油流出事故についてさまざまな観点から今御提言をいただいたところでございまして、それぞれ大切な御提言だと拝聴いたしたところでございます。  具体的に油の回収船、多目的にどういう船をこのような災害に備えておくのか、当然でございますがまず海上保安庁とも一緒になって研究してみたいというふうに思っております。  まず、技術的にあの日本海の荒天の中で有効に活用できるかどうかという問題もございますし、またある意味ではこれは大変な費用のかかる、予算が伴う話になろうかとも思います。さまざまな角度から今お話をいただきましたようなことを踏まえながら、今後またこういった事故が起きないとは限らないわけでございますので、先生指摘のとおりでございます、それにどう私たちは備えていくかということが責務だろうと思いますので、十分技術的な観点、また財源的な問題等々を踏まえながら前向きに検討をさせていただきたい、このように思います。
  100. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 もう一つ、保安庁の船でもっていろいろ活躍をしているところを我々も拝見をするんでありますけれども、密入国に対する取り締まり、最近これがどうも我々の常識だけでは判断できないものがある。中国から何であんな小船に乗って無理をして日本に密入国しなきゃならないんだろうかというふうに思うんですよ。日本に来たけりゃちゃんとパスポートをもらってまともに来ればいいだろうと、こう思うんですけれども、それが密入国をする。それで、捕まってまた戻される。考えてみればむだな話なんですね。そんな思いをして旅行する必要はなかろうと我々は思うんだけれども、そういうグループがあるということは事実なんです。  しかも、それが犯罪行為と結びついているということになると、これまたゆゆしい問題である。取り締まりをする方だって、中国からわざわざ来るんじゃ捕まえてみたところで日本語が通じないということになると厄介だろうと思うんですね。  だから、一体日本へ来てそういう密入国というのは何をやるのか、一体どういう目的を持って来るのか、それにはどういう背景があるのかということを調べてみる必要があると思うんです。ただいたずらに海岸の守りだけを固めて、あっちで密入国があったといってすっ飛んでいくということだけじゃ、今度はそれぞれの海上保安庁の受け持ちの分野と内容がまたいろいろ複雑になってきますからね。だから、問題の根本を調べる。  これは運輸省だけの問題じゃないと思うんです。だから、関係各省と連絡をとって、そういう密入国の媒介をする組織があるのかないのか、あるとすればどういう目的でやっているのか、彼らは一体何を目指しているのかということを突き詰めなければ問題の根本的解決ができないと思うんですが、その点について大臣の所信をお伺いしたいと思うんです。
  101. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 御承知のとおり、日本の国は四方を海に囲まれているわけでございまして、そういう意味で船を利用して密入国というのが盛んに実は行われているわけでございます。私も運輸大臣として就任してまだわずかでございますが、海上保安庁は本当によくやってくれているというふうに思いますが、この日本列島、四方が海でございまして、大変な広範囲でございます。そういった状況の中で、水際作戦だけでこの密入国防止できるか、ごく限られたことになってくるだろうと。御指摘いただいているとおりだと思います。  まさに、その根っこのところをどう解決するかということでなければいけないというふうに思いますが、これは一運輸省だけではなくて、今も御指摘いただいておりますように、それぞれの関係する省庁一体となりまして、根っこの解決を図ることによって日本の国への密入国防止するということは極めて重要なことだというふうに私も認識いたしております。各省庁間の連携を密にしながら、根っこの問題、ここのところに早急に検討して手を入れていく時期に来ている、こういう認識でおりますので、各省庁間の連絡を密にさせていただきたいというふうに思っております。
  102. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 それから、理事会でもちょっと視察の内容が話されましたけれども、リニアモーターカーあるいはメガフロート、こういう問題は先のことだと思っていましたけれども大臣の報告にもある先進安全自動車、こういったようなことも出てまいりました。具体的にこれがどの程度まで進んでいるのか、これは大変魅力のある問題であります。金はかかるだろうと思うんです。  ただ、実際問題として、リニアモーターカーだって何で五百キロも出さなきゃいけないのか、この狭い日本で。こういう気もするんですがね。速ければ速いにこしたことはないかもしれませんが、これの実用性というものはどんなものだろうか。無理に五百キロで走る必要もなかろうという気がするんです。そんなに急ぐのなら飛行機に乗ればいいわけです。だから、私はこのリニアモーターカーの実用性というのはどういうところにあるのかと、ちょっとそんな感じもしましたから、この点もひとつこの機会にお伺いしておきたいと思います。
  103. 相原力

    政府委員相原力君) リニアモーターカーにつきましては、先生指摘のように、時速五百キロを目指して技術開発が進んでいるところでございまして、運用のめどにつきましては現在山梨実験線が一部ほぼ完成しておりまして、近いうちに走行試験で実際の実運用に耐えられるかどうか、そういうような評価をするという運びになっております。そういう意味では、走行試験が行える段階に至っているということで、相当程度技術開発は進捗しているというふうに考えているところでございます。  なお、実際に実用化するためには、技術開発の点だけでなくて、採算性等の問題、あるいは当然のことながら周辺に与える環境問題等も関係してくると思いますが、その辺を総合的に勘案して実際上の運用がなされるかどうかというのが判断されるということになろうかというふうに思っております。
  104. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 もう一つ、メガフロートですけれども、これも先ほど視察の中にメガフロートの見学というのも入っておりました。これは非常に狭い日本ですから海を利用するということは、普天間基地だけじゃなくて日本国じゅうで、これの実用化が計算をしてみて採算に合うならば、こういう方法でもって、土地問題でごたごたしないで空港を拡張するということに使われるならば、非常に私は有意義じゃないかなという気もするんであります。  実際問題として、このメガフロートについてはどの程度までその実用性について進んでいるのか研究が行われているのか、その点もお伺いしたいと思います。
  105. 山本孝

    政府委員(山本孝君) メガフロートにつきましては、ただいま横須賀市の沖合の海面に実際に浮かべまして実用の実験ということをやっておるところでございます。これは大きさは、長さ三百メートル、幅が六十メートルというものでございますが、これが実は九つのブロックに切り分けてつくられていたものを海の上で接合いたしまして現在の形に至っておるものでございます。  課題としていろいろ解決すべき点がございましたんですが、その一つが、大きなブロックを持っていって海の上でつなげる工事ができるのかというのがございました。これは昨年の実験で確実にできるというのを皆さんにお見せすることができました。これはもう解決したと考えております。  それから、海の上で長い年月ずっと浮かんでおるわけですので、その間に環境にどのような影響を与えるかといったようなこととかあるいは逆にそのもの自体が海水などで腐食その他でどういった影響を受けるのか、こういったようなことを検討する。  さらには、長年の間にはいろんな波、あらしというものも襲ってまいります。こういったものに対して、その動きその他が机の上で計算し設計で考えたような形と同じようなものなのか想像を超えるものがあるのか、こういったものを確かめる、こういうことをやっておりますが、現在のところでは、波の力にしても風の力にしてもそれによる変動の仕方につきましても、すべて計算で想像した以下ということでございまして、技術的な確実性はもうほぼ確定したのかなと、こういう感じでございます。  なお、残る環境の影響実験などを今後平成九年度に行いますれば、ほぼもう実用化へ向かってのめどが立つと考えております。  最後に、これを空港に利用できるか否かでございますが、空港に利用するに当たりましては、関係者の皆様方からさらなる調査を行って、まだ研究課題が残るのか、あるいはもう解決方法は見つかって、どのように対応すれば具体的に解決と言えるのか、こういったことを調査するということで、やはり平成九年度でこの調査を集中的に行うという計画でございます。  以上でございます。
  106. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 民主党・新緑風会の中尾でございます。私も、ナホトカ号の油流出事故について絞って御質問申し上げたいと思います。  一月三十日、私も機会がございまして院の派遣で現地に視察調査に行ってまいりました。海岸線等はボランティアの方、地元方々の懸命な努力で砂浜も大分復旧したなというふうな感じを抱いてまいりましたが、残された油をどうするのかというような大変さまざまな問題も抱えていることも事実ということも承ってまいりました。  さらには、この機会でございますけれども、不幸にして亡くなられたボランティアの方、それから地元漁民の方、本当に心から哀悼の意をささげたいと思います。また、地元方々には本当に心からお見舞い申し上げたいと思っております。  さて、一月二十三日でございますけれども、当委員会の理事会の部屋でございましたが、海上保安庁の撮影のビデオも拝見させていただきました。大変な激浪といいますか、日本海の厳しい中でちょうど一月二日の十一時ですか、それから一時ぐらいの間に撮影したビデオでございましたでしょうか、あのロシアの漂流した方々を懸命に救う姿、私はもう本当に感動をもって拝見させていただきました。その後油流出に航走拡散でしょうか防除をしようという海上保安庁職員の皆さんのいろいろ懸命な御努力には本当に頭が下がる思いでございます。  さて、こうした努力にもかかわらず、御存じのように今回さまざまな方面から初動態勢のおくれが指摘されてございます。この点について、まず御質問申し上げたいと思います。  事故発生、御存じのように一月二日でございます。一月七日には福井県沿岸に油が漂着いたしました。この間いろいろ経過概要なども私もいただきましたけれども、救助活動を含めて、海上保安庁、各省庁、いろいろ各方面で大変な努力をやっていらっしゃることは私も承知しておりますが、ただ国民の目の前といいますか、住民にもわかりにくかったのは、少なくともナホトカ号関係省庁連絡会議が開かれたのが、これ十八省庁でございましょうか、一月六日、正月明けでございます。それから、災害対策本部が正式に運輸大臣が本部長でスタートしたのが一月十日です。事故から八日目のことでございます。もう十日という時点は福井県沿岸、石川には重油がおびただしく着いている時点でございまして、こうしたことについて地元方々は大変不信がぬぐえないというのも事実ではないかと思います。  この初動態勢のおくれについて、まず大臣から御所見を伺いたいと思います。
  107. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 先生の方からもお触れいただきましたけれども、私も今回の事故の経過を見まして、まず海上保安庁、本当にあの荒天の中で二日の日、事故発生と同時に三十一名の人命救助、あの姿をビデオで見させていただきました。全く先生と同じように私も感動いたしました。同時に、海上保安庁の職員が使命感に燃えてその職責を全うしているという姿に、本当に感動さえ覚えたところでございます。  さらに、この油の流出事故に際し、海上保安庁の例えば第八管区、第九管区、それぞれの現地へ対策本部をつくらしていただく。また、合同の対策本部を引き続いて設置させていただき、海上保安庁の本部から警救監に本部長として現地に陣頭指揮をとっていただく。また六日、七日、各省庁から成る連絡会議を持たしていただく。そして、私の対策本部を設置したのが十日。  いろいろな努力の中で、結果として大量の油が一府七県でございますか沿岸に漂着をした。その事実は私は率直に反省していかなければいけないと思いますし、その結果として、今も先生のお話にありましたように、政府機関はもとよりでございますけれども、沿岸の多くの住民の方々、漁業者方々、それから石油業界の方々、大変な御苦労をおかけいたしました。また、不幸にして民間ボランティアの方々がお亡くなりになるというような悲しい出来事も起きました。私も、お亡くなりになった方に心から弔意を表しますと同時に、御苦労いただきました地域皆様方におわびを申し上げ、そしてまた感謝を申し上げなければいけないと思っております。  危機管理についての重要性と難しさというのを私は今改めて痛感をいたしております。そして、常にこの危機管理に対しましては、問題点の検証と改善の中にまた危機管理体制というものが充実をしていくということもそのとおりだろうと思いますけれども、いずれにいたしましても、今回の事故の重大性にかんがみまして、どこに問題があったのか、反省すべきところは私は素直に反省していくべきだと思います。そして、その反省すべき点は、初動態勢のおくれのみならず幾つかあっただろうと思っております。十分反省をし、そしてその問題点の検証の上に立って、ともかく再発防止に全力を尽くしていくというのが今の私の心境でございます。
  108. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 大臣から真摯な前向きな答弁をいただきまして、ありがとうございました。  経過概要を見てみますと、これだけでお答えはよろしいんですが、唯一の外洋での油回収船、清龍丸が名古屋港を出航したのが一月四日二十三時、浮流油の回収を開始したのが五日後の九日であると。それから、海上保安庁八管本部が海上自衛隊に災害派遣要請を行ったのが事故四日後の一月六日でございます。福井県沿岸に漂着する前日でございます。これは迅速な処理態勢を行うべきということで今大臣が申されましたのでこれ以上お答えは要りませんが、その中で一点ちょっと気になることがございます。  先ほどもちょっと質疑の中であったやに思いますけれども、海流の問題。例えば荒天、荒海でございますから、なかなか出ていってもすぐ油を回収できるという状況じゃなかったということも了解はしておるんですが、その前に、この海流にちょっと予断があったんじゃないかという指摘もございます。つまり、島根県沖には北東に向かって強い対馬海流があるそうでございまして、油は沿岸に達せず北上するんじゃないかという見方が一部に出されておりますけれども、これについての判断はどうだったのかということを一言お伺いしたいと思います。
  109. 土坂泰敏

    政府委員(土坂泰敏君) 先ほど申し上げましたように、二日の時点で浮流油を確認した。タンカーの事故で浮流油があるということですから、その時点でこれは重大な事態になるという認識を持ったわけでございます。それから、なお三日の段階で乗組員から三千七百キロリットルの油が出たという証言を得まして、さらにこれは重大な事態になるという確証というか心証を得たと、そういう状況でございまして、したがいまして、私どもはもう二日の段階からこれは重大な事故になるという強い認識を持ちました。三日の段階でそういう確認が得られましたので、前後いたしまして各府県に通知もいたしております。漂流の危険があるということはその段階で各府県に連絡もした、そういう状況でございます。  それから、自衛隊などとの関係につきましても、もう四日の段階から自衛隊との調整は開始をいたしておりまして、自衛隊の準備が整った段階で正式に要請をしたのが六日になった、こういうような経緯でございまして、時系列的に申し上げますと、早い段階から漂流の可能性というのは予測をし、それなりの対応はしてきたということでございます。  ただ、ちょっと誤解があったらいけませんが、二つに割れて流れた船首部の方でございますけれども、これにつきましては実は北の方へ流れるんではないかという予測が五日の段階までございました。ただ、それが六日の段階になって暖流から離れて岸の方へ向かうという予測に変わったということでございまして、油の方についてはそれとは別に早い段階から漂流の予測をしてそれなりの手を打ってきた、こういう状況でございました。
  110. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 続いて、海洋汚染防止法と今回の流出油処理の業務をちょっと重ねて伺いたいと思います。  この海防法に海上災害防止センターが規定されておりますが、一体どんな仕事を任務としているのか、これは目的が書いてありますけれども、簡単に御説明願えますか。
  111. 土坂泰敏

    政府委員(土坂泰敏君) センターの仕事は端的にいいまして二つございます。  一つは船主、原因者になる船主でございますが、この人が油の防除の責務を負っておるわけですが、実際に自分が手足を持っているわけではございません。そうしますと、船主から委託を受けまして、例えば漁船の手配をするとかドラム缶の購入をするとかいったそういう防除の実務をやる、委託業務と言っていますが、それが一つございます。  それからもう一点の業務は、船主、つまり原因者になる人が防除措置をちゃんとやっていない場合には保安庁の方からやりなさいという命令をすることになるんですが、命令をしてもなおきちんとやらない、あるいは命令をするいとまがない、こういう場合には、もうセンターの方に直接保安庁から指示をいたしまして、センターが防除義務者にかわって措置をとる、その上で最終的に防除義務者に求償をする、こういう段取りになります。  大きく言ってこういう二つの業務をやっておるということでございます。
  112. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 私も大変勉強不足でございまして、今回の事故をきっかけにそういうシステムかということがわかりました。つまり、今の御説明にもありましたけれども、海上災害防止センターが業務発動したのは一月五日でございまして、不思議に思ったんです。先ほどの説明では一月三日にはもう油の漂着のおそれもあると、何で海上災害防止センターが手をこまねいているんだろうと。  それで法律をくってみましたら、今の御説明のように、海防法第四十二条の三十六第一項第二号の中に今のお話の文言が書いてございました。船主からの依頼があって初めて動くことができる。私は素人でございますが、海防法というのはなかなか不自由な法律だなというふうな実感がいたしました。確かに原則論は船主からの依頼だということになっております。  さて、そうしますと、一月十四日火曜日十時四十五分、海上保安庁長官から海上災害防止センターに対して、海防法四十二条の三十七に基づく緊急措置を指示しております。この指示を出すのになぜ事故後十二日もたってからか。この場合、海防法を読んでみますと、「センターに対する指示」が四十二条の三十七にございます。「海上保安庁長官は、緊急に排出特定油の防除のための措置を講ずる必要がある場合において、」この緊急措置を「指示することができる。」と。  そうしますと、例えば五日に海上災害防止センターが船主の依頼を受けて出動することができたわけです。さらにそれからしばらくたって海上保安庁長官が緊急措置を指示したということは、これちょっと私は腑に落ちないんですが、この点について御説明願います。
  113. 土坂泰敏

    政府委員(土坂泰敏君) 二日に浮流油を確認しまして、三日に大規模な流出油が数量まで確認されたわけでございますので、三日の段階で船主に対しまして、具体的な防除措置をきちんとやりなさい、そのために必要な措置を講じなさいという指導をいたしました。これを受けまして、五日に正式の契約がセンターと船主との間でできた、こういう段階を踏んだわけでございます。  それから、もう一つ、十四日の指示のことのお尋ねがありましたのでこちらを申し上げますと、今私が最初に申し上げたのが委託業務の方でございます。その委託業務に従って、以後船主は防除措置をやったわけでございます。つまり、例えばセンターが漁船の手配をするとかバキュームカーの手配をするとかそういうことで委託業務の方の防除措置は流れていった。  問題は、三国の沖に着いたあの船首、これの処置の方なんですが、これはほうっておけば、やはり船主がそういう委託業務としてセンターを使ってやっていくという手順になっていくわけでございます。ところが、この船首部分の撤去というのは非常に技術的に難しい問題がありました。というのは、不安定な格好で逆さまにひっくり返って海底にちょっと揺れている状態にあったわけですね。ちょっと動かすと油が漏れる可能性がある。  したがって、何回も潜水調査をして、どういう措置を講じれば油が抜けるかということを調べなければいけない。それから、やはり専門家を集めてどういう工法が一番いいのかという検討もしなければいけない。それから、その上で関係の自治体とか地元の漁協とかとの調整もしなきゃいけない。そういうようなことを考えますと、これを船主に任せてセンターに頼んでやらせるということでは困る。そこで、これは国が直接手がけたわけでございます。  ただ、今申し上げましたように、まず潜水調査からやらなけきゃいけない。そうすると、海が荒れているときに潜水調査というのはできませんし、海が比較的穏やかなときでも、潜りますと海の中というのは非常に濁っていてよく見えないとか、船底の中に吸い込まれそうになって危ないとか、いろんな状況が重なって、なかなか潜水調査ができませんでした。  しかし、潜水調査をやって、その結果に基づいて専門家で検討して工法を決めて、そして地元の調整もした上で具体的な指示を対策本部として決めてセンターにした。これが指示業務の方でございます。それが十四日になった、こういう経緯でございます。
  114. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 説明が長くてだんだんわからなくなりました。  私が聞いているのは、緊急措置というのは、これは先ほどの法律の解釈でございますけれども、「排出特定油の防除のための措置を講ずる必要がある場合において、」と。船首の話をされて言われますとだんだんわからなくなりますけれども、私はこれが十四日までできなかったかどうかという話をしていまして、これはお答えはいいです、またわからなくなりますので。こういうことも一つの、確かに積み上げでいけばそれはそうかもしれないけれども、いざ鎌倉のときにやっぱりそこの部分が見えないということなんですよ。  法律上どうしてもだめかどうかと聞いたら、だめでないですね。それだけ確認して、この海防法、これ一部見直しも必要になってくるのではないか。これは民事だとかいろいろな問題もございますけれども、こんな不自由なもので果たして海の防災に適用するのが適当なのかどうかということを、私は素人でございますけれどもお答え願います。
  115. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 実は、先生だけじゃなくて私も全く、この事故が起きるまで海上災害防止センターというのがどういう役割なのかというのはまことに勉強不足で知らなかったわけでございまして、私自身恥じているわけでございます。  先生、今御指摘いただいておりますこの海防法、確かに原因者による防除措置基本といたしておりますが、今回のような事故を考えた場合に、しかも先ほどの瀬谷先生との論議じゃございませんが、相手国によってはなかなか我々が期待するどおりのことをやっていただけない。こういうことを踏まえますと、やはりこうした見直しという観点からも検討する必要はあると、私自身そう思っております。
  116. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 大臣の前向きな発言、本当にありがとうございました。  いろいろ質問を用意しておったんですが、ちょっとはしょりまして、農水省の方いらっしゃっていますが、現地へ一月三十日に行きましたら、現地の方々は、先ほどの御質問にもありましたけれども、補償交渉の政府の窓口を一元化してほしいということ、これが大きな要請でございまして、先ほど答弁の中で運輸省の運輸政策局が責任を持ってやるということで理解してよろしいんですね。
  117. 相原力

    政府委員相原力君) 政府被害者等に対する対応窓口として、一元的に運輸省の運輸政策局が対応することといたしております。
  118. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 そこで、農水省にお伺いしたいんですが、重油が漂着した、これは漁業に大変壊滅的な被害を与えている部分がございまして、浅瀬の海ですが、岩ノリだとかアワビ、それからサザエ、ワカメ等の被害が特にひどいと。今日までの被害の状況を簡単に説明していただけますか。
  119. 櫻井謙一

    説明員(櫻井謙一君) 現在までの状況でございますが、今回の重油流出事故による漁業被害につきましてはまだ進行中といいますか、まだ完全に終わっておりませんので、完全な形では被害そのものが取りまとめはできておりませんけれども、現在までのところ、関係府県から聞いておりますところによりますと、油が漂着した地域におきましては、岩ノリ、アワビ、サザエなど、これを対象といたします採貝藻漁業に被害が生じております。  これ以外にも、底びき網漁業などの漁船漁業、これにおきましては操業海域の制約を受けておりました。それからまた、一部の定置網漁業、これにおきましては、油を避けるために網揚げ等を行っておりましたなどということが報告されております。  また、これ以外に、油処理のために休漁せざるを得なかったこと、それから操業を再開する漁船にありましても、あの油処理のために漁船を使ったことで油がついたというようなことから漁船の洗浄作業、これに時間を要したというような報告を受けております。  また今後、春以降に本格的な操業が行われます漁業種類がございます。これは定置網とか採貝藻漁業でございますが、こういったこともございますことから、現在の段階では漁業被害の状況について全容は把握できていないというのが実は現状でございます。これにつきましては、できるだけ早い段階で把握できるように、各府県それから漁業者団体等を通じまして実態の把握に努めてまいっておるところでございます。
  120. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 先ほどロンドンの国際油濁補償基金で示談が成立した分の六〇%をなるべく早く支払うという、それもあるんですが、漁業者方々は本当に漁を休んで油除去に汗を流しているわけですね。実際に大変厳しい状況に置かれておる。  当座の支援策はどんなふうに考えているんですか。簡単で結構です、お答えください。
  121. 櫻井謙一

    説明員(櫻井謙一君) 当座の支援策といたしましては、漁業者に対する融資、これにつきまして被害漁業者の経営と生活の安定を図りますために、まず経営資金それから生活資金の円滑な融通、借入金の償還条件の緩和、経営が困難となる漁業者に対しまして漁業経営維持安定資金の活用、これらの金融措置を既に講じておるところでございます。
  122. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 先ほどのお話にもありましたけれども、特に能登半島を含めて漁業と観光ということで、漁業も大変被害を受けたけれども、民宿あるいは旅館はお客さんのキャンセルが相次いでいるという中で、大臣が全力を挙げて融資等の当座の支援に取り組むということでございますので、ぜひともその声、願いも聞き届けていただきたいと思っております。  一つ、これも新聞報道あるいは私も直接研究者に話を伺ったんですが、岩場にこびりついた油はなかなか取れない。これを取るためにバイオ技術を活用した油分解処理法も、アメリカのエクソン・バルディーズ号の例でございますけれども、実際効果を発揮したと。  簡単に調べましたら、油に汚染された海岸に燐や窒素などの養分を含む薬剤を散布、石油を分解させるとでこれは、エクソン・バルディーズの四万二千キロリットルの重油が流出したときにこれを用いたら、生態系への影響が余りなくて、環境もそう影響を受けずに海をきれいにできたというような報道が伝わっておるんです。かといってこれをすぐ応用するというのはやはり生態系の問題、日本の場合どうかというふうに私も即断はできないと思うんですが、こうした研究、取り組みについてはどう考えていらっしゃるか、お答え願います。
  123. 土坂泰敏

    政府委員(土坂泰敏君) 今、先生から詳しくお話がありまして、エクソン・バルディーズの経緯はそのとおりでございます。  ただ、この問題点、これも御指摘がありましたけれども、結局油を分解するバクテリアを活性化するために栄養剤をまく。その栄養剤の中に燐とか窒素が入っておって、これが富栄養化をもたらすという問題点が指摘されております。それからもう一つは、やはり温度によって有効性が随分違ってくるとか、表面と下の方でも違いがあるとか、有効性についての検証もいま一つ確認されていないという面があると聞いております。  いずれにしましても、この問題は、さっきお話がありました海上災害防止センターなども入りまして今研究を進めておるところでございます。
  124. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 私も専門的にはよくわからないのですけれども、富栄養化の問題だとかいろいろ解決すべき点があると思いますけれども、この機会でございますので、また今後何が起こるかわからないので、研究ぐらいは進めておかれた方がいいのではないかと思っております。  再発防止対策について、私も老朽タンカーの対策について質問いたしたかったんですが、先ほどの答弁でかなりの部分お答えいただきました。  ただ一点、これは海洋汚染防止条約いわゆるMARPOL条約では、老朽化した二万トン未満の原油タンカー、それから三万トン未満の精製油タンカーについてはダブルハル、いわゆる二重船底が義務づけられていない。これらの古い、今回のロシアの二十六年か七年たったこれを二重船底にせいと言う前に廃船にした方が早いかなと思うんですが、先ほど言いましたポートステートコントロールを強化すると。大変結構なことですが、例えばポートステートコントロールによる外国船舶の検査率が言われておりますね。どうやっていわゆる検査、まあ全部検査はできないんでしょうけれども。  それで、ちょっと資料を調べましたら、日本を含めた十五カ国は二〇〇〇年までに外国船の五〇%検査を目標としていると。しかし、先ほどの話によりますと、五〇%じゃなくてもっと積極的に、これは今回のナホトカ号の油流出事故の前の話だろうと思うんですが、外国船舶の検査率をさらに高めていくんだというようなこと、この点についてちょっとお伺いしたいなと思っています。
  125. 山本孝

    政府委員(山本孝君) 二〇〇〇年までに十五カ国・地域で入港いたします総数の五〇%のポートステートコントロールを行う目標というのは、確かに私ども現在持って作業を進めております。  これの率をさらに高めるということは、これはどういう取り組みになるかといいますと、それまでの目標五〇%をさらに高めるという方法もございますが、二〇〇〇年を越えてさらに今度は後の数年にわたってその率を累積的に高めていくというような方法もございまして、その辺どのような方法が現実に持っております能力を、もちろん努力をいたしまして十五カ国・区域全体のポートステートコントロールの能力を高めるように働きかけも行う必要はございますが、それのほかにただいまのような目標のさらなる新たな設定といいますか、そういうものについても私ども検討させていただきたいと思います。
  126. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 ちょっとうかつでございました。あくまでも目標が五〇%でございますので、その上は幾らでも上限は構わないということで、私も正直なものですから五〇%だろう、五〇%に近づけるなんというようなことで、大変失礼しました。頑張ってください。  最後に申し上げますけれども大臣、今この委員会の質問の中で危機管理体制のあり方、これはもう阪神・淡路を例に出すまでもなく、災害はどこからやってくるかわからない、予想もできないという状況の中で、いつも危機管理のあり方が問われているんです。  ある専門家の話を聞きますと、危機管理には三つ大事なことがある。まずシステムの確立だろう、第二点はリーダーシップですか、権限の一元化、いわゆる権限の付与、第三点目が訓練の実施だと。ただ、訓練の実施もふだんの訓練をやっていたんじゃだめだと言うんですね。あり得ない、あり得ない訓練というのは何だと言いますけれども、予想もできない訓練を予想する、これが本当の危機管理の訓練だと言うんです。今回もそうですね。ふだん静かな海の流出事故については訓練をやっても、荒海だと。この部分の三点が大変大事だということを私は専門家からお話を伺いました。  最後になりますけれども、今回の十八省庁の連絡会議、立派な計画も一昨年できております。しかし、このリーダーシップ、例えば今回、本部長の運輸大臣、今後この油対策については運輸省並びに海上保安庁長官がリーダーシップをとっていくんだというような体制がさらに必要だろうと思います。その点について決意を一言伺いまして、私の質問を終わります。
  127. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 先ほども申し上げましたけれども、今回の事故に際し危機管理の重要性と難しさ、本当に私自身痛感いたしました。  今、先生が三点、システムと権限と訓練ということをお示しいただきまして、私もそのとおりだと思っております。とりわけ一昨年できております国家的緊急時計画、これを生かすという意味でも、権限というこの三つの一つの重要な視点でございますが、これがいかに大事かということも私自身が実は本部長という職責の中で痛感をいたしているところでございます。十分先生の御指摘の点を踏まえまして、今後の再発防止に生かしていきたい、このように思っております。
  128. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 私は、国鉄分割・民営化の評価をめぐって質疑したいと思います。  今年度の運輸白書は「国鉄改革十年目に当たって」ということで、章を立てて百ページ以上を使って分割・民営化の検証を行っています。十年目を迎えた今、この問題について検証を行うというのは、これは大いに結構なことであります。  しかし、白書というのは、これは言うまでもなく運輸行政について国民に広く知ってもらうということで出されるものでありますから、これは当然正確でなければならないということであります。ところが、この白書を見ますと国鉄の分割・民営化についてひたすら礼賛をしている。果たしてそういう評価でいいのか。  例えば、評価の中で大きな柱になっているのが、国民負担は軽減されたということであります。どういうことが書いてあるかといいますと、国鉄時代には国の補助金が国鉄の納付金を大きく上回って、約六千億円国の側から見れば持ち出しになっていた、JRになってからは納付額の方が上回って、補助金よりも納付額が一千億円上回った、こういうことが指摘された上で、「国鉄改革は国の財政の改善効果をもたらし、ひいては納税者たる国民にとって負担軽減効果をもたらしている」と、こういう結論づけを行っています。  そこで伺いたいと思うんですけれども、例えば国鉄時代の補助金に財政再建利子補給金というのがありました。これは、当時国鉄の長期債務である、特定債務と呼ばれていますけれども、一部である五兆円、この特定債務についてこれを棚上げにする、そしてその利子を国の一般会計で持つ、これが財政再建利子補給金というふうに呼ばれていたわけですけれども、これは間違いないですね。
  129. 梅崎壽

    政府委員(梅崎壽君) ただいま御指摘ございました特定債務、財政再建利子補給金でございますが、これは昭和六十一年度におきまして国鉄事業の運営の改善を図るための措置といたしまして、当時国鉄が持っておりました五兆五百九十九億円の資金運用部に対する有利子債務、これを一般会計に承継させました。同時に、同額の無利子貸付金を国鉄に負わせる措置を講じたものでございます。  この点につきましては、五十一年度以降国が国鉄に対しまして行ってきました債務の償還の猶予と利子補給、これが昭和六十一年度の措置に伴いまして利子補給の分がなくなっているという点は事実でございます。
  130. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 もう少し大きな声で答弁してくれませんか、声が聞こえないから。  JR移行後も、この財政再建利子補給金に当たるものが出されていますね。毎年どのくらいの額になっているんですか。
  131. 梅崎壽

    政府委員(梅崎壽君) 国鉄改革後、JRに対してこのような利子補給金は出されておりません。
  132. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 いや、JRじゃない。JR移行後だよ、分割・民営化後ということ。
  133. 梅崎壽

    政府委員(梅崎壽君) 分割・民営化後、JRに対して利子補給金は出されておりませんが、先ほど申し上げましたとおり、この利子補給金に関しましては、この特定債務に関しましては一般会計に承継いたしましたので、この利子補給分を一般会計で負担いたしております。これは事実でございます。  ただ、これが具体的に一般会計でどの程度の負担をしているかは承知しておりませんが、利子補給金としては、六十年度は三千四百五十七億円ということでございました。
  134. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 要するに、国鉄当時にも財政再建利子補給金ということで出されて、その後、分割・民営化されて、五兆円については一般会計に承継する、清算事業団に対して国が無利子貸し付けをするということですよ。大蔵省から資料をいただきましたけれども、大体毎年三千四百五十七億あるいは三千三百億円台、こういう利子補給金が行われています。  ところが、この白書の評価では、一千億円、納付額の方が補助金よりも上回ると。何でこんなことになるかというと、分割・民営化後は、あなたが今おっしゃったように、JRに直接利子補給をしているわけじゃないというので、国の負担、国民負担ということから、これをカウントから除外しているでしょう。そうじゃありませんか。
  135. 梅崎壽

    政府委員(梅崎壽君) 御指摘の白書の私どもの記述の部分は、あくまでも国鉄に対する補助金、それから国鉄改革後は国鉄の業務を引き継ぎましたJR、清算事業団等に対する補助金を合計いたしまして、これを比較したものでございます。
  136. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 いや、今言った三千四百五十七億円、これ無利子貸し付けになっておるわけでしょう、清算事業団に対して。その分、当然一般会計でその利子分は持っているわけです、そうでしょう。それはカウントされていますか。
  137. 梅崎壽

    政府委員(梅崎壽君) それは、先ほど申し上げましたような理由によりカウントいたしておりません。  先ほど申し上げましたとおり、国鉄とその業務を引き継ぎましたJR、清算事業団、これに対する直接的な補助金、これをそれぞれ計上して比較しております。
  138. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 それは当たり前の話で、分割・民営化したんだから、一部のものしかカウントしていないんですよ。三千数百億円というのは、あなた方の白書では国民負担は軽減した、財政の改善効果があったと言うけれども、全くこれカウントしていないだけじゃないですか、三千数百億円。しかも、それだけじゃないです、九〇年度からは新たに九千億円の債務が一般会計に繰り入れられているんです。  ですから、利子補給金は三千九百九十二億円、約四千億円に上っている。国鉄時代は、この補給金というのは国鉄に対する国民負担としてあなた方は計算していた。分割・民営化後はこれは計算していないんです、国民負担として。これだけじゃないです、これは一つです。  もう一つ、鉄道共済にかかわる負担であります。  白書でも、清算事業団が一九九〇年度から九六年度まで七年度にわたって年間一千億円、総計七千億円、この特別負担を行っているということは書かれています。あるいはまた、厚生年金への統合に伴う移換金債務についても清算事業団が八千億円負担する予定だということも書かれている。  しかし、これだけじゃないですね。清算事業団の西村理事長がある雑誌で対談の中で語っておられるんですけれども、鉄道年金追加費用として清算事業団で毎年三千五百億円の負担もされている。これは間違いございませんね。
  139. 梅崎壽

    政府委員(梅崎壽君) 先生今御指摘ございました特別負担、それから、厚生年金への移行に伴う移換金債務のほかに追加費用を負担しているのは事実でございます。
  140. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 これらは国鉄当時には全部国鉄に負担させていた。今、分割・民営化されてJRができたと、JRには負担させていない。清算事業団にこれは全部肩がわりをさせたんです。新たな負担です。これは、清算事業団は今長期債務が大問題になっていますけれども、このツケというのが結局国民負担でやろうというわけでしょう。  ですから、清算事業団に回したこういう共済年金に係る特別負担あるいは移換金債務、あるいは鉄道年金追加費用、これ合わせただけだって一兆八千億、これ毎年、今でもね。もっとなりますね、三千五百億円ずっと負担しているわけだから。つまり、これもカウントされていないんですよ。  そして、あなた方、一千億円浮いた浮いたと、財政に大いに貢献したと、国民負担が軽減されたと、ちっとも軽減してないじゃないですか。
  141. 梅崎壽

    政府委員(梅崎壽君) 今、御指摘がございました共済年金という問題でございますけれども、これは追加費用というのは国鉄が事業主として負担していたものでございます。国鉄改革後はこの国鉄の事業主としての地位を引き継ぎました清算事業団が支払いを続けているというものでございまして、この問題は国鉄改革の有無にかかわらず必要な支払いでございます。  この問題に関しましては、この白書の中では、今先生も御指摘されましたけれども、長期債務の問題としてこの追加費用のみならず特別負担、移換金債務もその中の問題として私どもとらえております。この後の方に、国鉄改革後なお残る二つの重要な課題のうちの大きな問題として、長期債務問題の処理という形でこの問題をとらえておるところでございます。
  142. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 あなた方の白書を見ると、こう書いてあるんですよ。これは八十九ページ、「国鉄改革は国の財政の改善効果をもたらし、」と言っているんです。JRの財政の改善効果をもたらしたなんて書いてないんです。ひいては納税者たる国民にとって負担軽減効果をもたらしたと書いてある。長期債務にしようが清算事業団にしようが、どこに持っていこうが国民負担であることは間違いないわけでしょう。あなた方、このことを区別して書いていないじゃない、白書には。そして、あたかも国鉄時代には六千億円持ち出しにだったと、分割・民営化後は一千億浮いていると言っているんじゃない。  そんなものは長期債務に移そうと何にしようと会計処理だけの話、国民負担になることは何の変わりもない、それどころか借金かさむだけだ、そんなものは。現に長期債務どんどんふえ続けているじゃない。これで何で財政効果をもたらしたと言えるの。
  143. 梅崎壽

    政府委員(梅崎壽君) 御指摘の白書の八十九ページの記載の考え方は、先ほど申し上げましたように、国鉄とその業務を引き継ぎましたJR、清算事業団に対する補助金を計上した上で比較したものでございます。
  144. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 そんなこと書いてない、そういうちゃんと主語がついてないでしょう。
  145. 梅崎壽

    政府委員(梅崎壽君) そういう考え方で整理しておりまして、九十ページの表の一−五−一表も「国鉄・JRの納税、補助金等の額の推移」と、このような表題のもとに整理をさせていただいております。  先と言われましたような点に関しましては、確かに特定債務の問題、一般会計でこの金利分を負担しておりますが、仮にそれを入れたといたしましてもJRになりましてからの納税額は国鉄時代に比べまして大層ふえておりますので、そういう意味では国の財政との関係におきましては負担が軽減しているのは事実でございます。
  146. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 だから、それはJRだけ取り出すからそうなるだけの話。  じゃ三つ目に聞きますが、整備新幹線の建設費についても、これ白書には国民負担としてカウントしていないでしょう。八九年度からこの間国の負担分が三千四百十二億円、自治体の負担分が千九百十四億円、既存新幹線の譲渡収入二千五百四億円、合わせて七千八百三十億円。既存新幹線の譲渡収入と、既存新幹線は国民の財産だからね、自治体負担、国の財政負担、これ合わせて七千八百三十億円、これも国民負担として、この中では少なくとも八十九ページではカウントしていないでしょう。
  147. 梅崎壽

    政府委員(梅崎壽君) 今言われました整備新幹線の負担の問題でございますけれども、これは御承知のとおり、今の三線五区間に関しましては昭和六十三年、平成元年、平成二年の政府・与党によります財源スキームを受けまして、その後、国、自治体が負担し、それからJRが既設新幹線の譲渡分といたしまして毎年七百二十四億円負担しているものでございます。  ただ、これは、新幹線の整備は御承知のとおり当初はNTTのBタイプ、その後は公共事業関係費そのものということで、公共事業関係費として支出されているものでございまして、JRに対する補助金とかいうようなものではございませんので、ここではJR、先ほど申し上げましたような形で整備いたしておりますので、この点は性格が違うものと私ども考えております。
  148. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 要するに、公共事業費として処理しているからカウントしていないんです。しかし、そんなことをやれば鉄道なんというのはみんな黒字になりますよ。当たり前じゃない、鉄道全部、公共事業費でやってくれて、その上走らせるだけ、収入に応じて使用料を払う、赤字になるわけがない。  国鉄時代、そんなことをやっておりましたか。国鉄時代にはちゃんと国鉄が鉄道を敷設していたんですよ。だから、私たちは当時から、そんなやり方をやっていたら国鉄は破綻するのは当たり前じゃないかと。赤字になることがわかっている路線をつくって、そして走らせる、赤字になるのは最初からわかっている。しかし、国鉄時代ではそれをやってきたんですよ。だから、国鉄に対する負担金がふえるのは当たり前なんだ。今度のやり方がこのままいいとは私は言いませんけれども。  例えば大手の私鉄が鉄道を敷く場合に公共事業費でやっていますか国で。そんなことやってないじゃない。だから、これに対する支出だって、分割・民営化に伴う負担金なんですよ、あれは。分割・民営化に伴う国民の負担なんです。それはJRに直接補助金出してないですよ、やり方変えたんだから。  しかし、それが分割・民営化の成果だと言えますか。国民から見れば一緒じゃないですか、国鉄に出そうと別の形で出そうと。国民の負担という角度から見れば何一つ変わらぬでしょう。公共事業費として七千八百億円出すのか、あるいは国鉄なら国鉄がやってそこへ補助金を出すのか。国の税金から金を出すということには何一つ変わりない。これもカウントされていないんですよ。  もう一つ、まだありますよ。JR北海道、JR四国、九州、この各社に対する経営安定基金というのがあります。総額一兆二千七百八十一億円、これが積まれている。運用益は年平均九百億円となっている。これも一種の国民負担ですよ、税金でやっているんだから。どこからか出てきたわけじゃないんだから、この一兆二千八百億円というのは。そして、そこから九百億円一気に出して、運用益出して、これ三島の会社に補助しているわけですよ。これも国民負担ですよ。これカウントしていますか。
  149. 梅崎壽

    政府委員(梅崎壽君) 今、御指摘の三島基金でございますが、これは国鉄改革の際に、経営基盤の弱いJR北海道、JR四国、JR九州に対する経営支援のために設けられたものでございます。これにつきましては、法律に基づきまして旧国鉄が負担をするということにいたしまして、国鉄清算事業団が引き継いでいるものでございます。したがいまして、この経営安定基金の負担の問題は清算事業団の長期債務の一部をなすものでございますので、その長期債務の問題として私どもとらえております。  それから、先ほどの整備新幹線の問題でございますが、整備新幹線の整備に対する助成費、これはこの表で比較しておりますような国鉄に対する助成というような性格のものではなくて、国の社会資本の整備という形で、三線五区間以降はその整備のためのスキームが認められ公共事業関係費として処理していけるものでございます。
  150. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 そんなことを言ったって、それ以前は全部国鉄が負担していたんだから。大手私鉄と同じようにやるなら、今だってJRが負担しなければならないという理屈になるわけですから、それを公共事業費として出しているだけの話。国民負担が減ったわけでも何でもない。国民負担が減ったといろんなら別ですよ、減っていないじゃないですか。  三島基金だってそう。あなたは今、三島基金がなぜつくられたかという説明をしただけですよ。国民の負担になっているということは否定できないんですよ。当たり前の話です、そんなことは。どこかから出てきた金じゃないんだから、国民の税金なんだから。  そのほかにも幹線活性化事業、山形や秋田などのミニ新幹線事業に対する国そして自治体の補助金、出資、これは全部国民負担です。これは国民負担じゃないなんて、そんなことを言う人はだれもいません。  今指摘をしただけでもこれは五つ、六つ、いっぱいありますよ。したがって、白書では分割・民営化後の国民負担は年平均千九百六十九億円、約二千億だと、しかし、実際には今言ったのを足しただけだって七千九百一億円、約八千億円ということになるんです。国民負担は減っちゃいない。ところが、白書では国民負担が軽減したと。  私、大臣に伺いたいんですけれども、要するに全部清算事業団に押しつける、あるいは一般会計の負担に押しつけるということをやって、JRを身軽にしただけの話なんですよ。だから、そこだけとればそれは国民負担が減ったということになるでしょう。しかし、総体として見れば何も国民負担は減っていない。  私は、この叙述というのは、さっきから条件つきだと言うけれども、ここは条件なんか何もついていないんだから。「国鉄改革は国の財政の改善効果をもたらし、」と、こうまで言い切っているんですよ。ほかの名目で国の財政をいっぱい出動しているじゃないですか。私は、こんな無責任な白書があるかと。けちをつけるようだけれども、私が見ただけだって三カ所間違いがある。百ページから百一ページなんて文章がつながっていない。そして、こういう評価まである。  私、これは閣議決定されたものだから簡単に出し直すというわけにはいかないだろうけれども、やはり必要な訂正はすべきだと思う。そうでなかったら白書の権威が疑われますよ。いかがでしょうか大臣
  151. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 御承知のとおり、白書につきましては閣議決定がもう既に行われているわけでございますから、先生もお触れいただきましたけれども、そう簡単にこれを訂正するというわけにはまいりません。  ただ、今後の課題といたしまして、今それぞれの御論議をお聞きいたしておりましたが、国民の皆様方にもわかりやすいような、もっと理解しやすいような中身にするというようなことには心がけていく必要はあるだろう、このように感じて御論議を聞かせていただいたところでございます。
  152. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 国民に理解できるというには国民を惑わすようなやっぱり叙述はやめるべきだということを指摘しておきたいと思うんです。  長期債務問題についても一点聞きたいと思うんですけれども、八七年の分割・民営化当時に二十五兆五千億だったものが、九七年度には二十八兆三千億ということで大変な債務額に上っています。金利負担だけで、予定の金利負担は十兆円を超えるというふうに言われております。本当にこれが国民負担なんですよ。だから、こんなものをそのままにして、二十八兆もの借金をつくっておいて国民負担を軽減しましたなんて、これはとても言えない。  私、ここで言いたいのは、きょうも自民党の国鉄長期債務問題の何か委員会が行われたようでありますけれども、この問題を解決していく上で、やはり今のままで、土地売却や株の売却ということだけでこれは到底解決できる問題ではないと思うんですね。  私たち、以前から言っているんですけれども、例えば総合的な交通政策、これはやっぱり立てていく必要があると思います。ところが、例えば道路について言えば道路特会、特定財源があって、盛んにモーダルシフトというんだけれども、一方ではもう全然それとは関係なしに建設省主管ですけれども道路をどんどんつくっていく。これじゃ、幾らモーダルシフトといったってなかなか実現しないと思う。  これは大変な財源があるわけですから、私はこの道路財源も含めて総合交通特会のようなものをつくっていく、そういう中でこの国鉄の長期債務問題についても解決への道筋を見つけていくという方向も今やはり真剣に検討すべき時期に来ているんじゃないかというふうに思うんですけれども大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  153. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 先ほど戸田先生のこの長期債務のときにもお話を申し上げましたけれども、おっしゃるようにこの問題、国民の皆様方に理解していただく本格的な処理策というものがどうできるかきょうも与党の方では亀井前運輸大臣委員長とした検討委員会の方で御議論があったようでございます。  確かに、これだけ長期債務が累増しているというこの十年の経過を見ますと、私も政治家として反省する点はあろうかと思っておりますし、それは反省は反省といたしまして、今御指摘をいただきました総合交通体系の中でプールして何とかできないかというこれらのことも、恐らく財政審の中ででもそういう御議論がございますし、きょうの恐らく与党の中でも御論議があったように私は聞いております。  ただ、非常に難しい面はございます。もう先生は百も承知でお聞きいただいているわけでございますが、例えば道路の特定財源のお話をされましたけれども、これも御承知のとおり、その施設を利用する人の負担、それとそれによって生ずる受益というこのバランスの上に立って道路財源というのもできております。そういたしますと、本当にこの施設から利用者の負担というものが行われているのに別の施設にそのまま整備を図るために使えるかどうかというのは、やはりなかなか難しい問題ではないかな、国民の合意を得るというのは今の状況の中では極めて困難ではなかろうか、私はそんな感じを持っております。
  154. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 確かに今、道路財源ということでやられておるわけですからそういう問題はあるでしょうけれども、そこはやはり知恵の出し方だと思うんですね。そして、確かに国民合意を図っていく必要があるということはこれはもう間違いありません。ですから、大いにそういう角度からの研究をして、そして今や二十八兆三千億に膨れ上がった国鉄長期債務、これは国民負担にそのままかぶさっちゃうというふうなことでは余りにも芸がないというふうに思いますので、この点は指摘しておきたいと思います。  次に、精神障害者の運賃割引問題についてお伺いしたいと思います。  これは私、一昨年取り上げまして大臣から、当時平沼運輸大臣でしたけれども、厚生省と問題を詰めている、今努力中であるという答弁がございました。これは実は、既に五年前に私ども取り上げていまして、当時奥田敬和運輸大臣でしたけれども、前向きに対応したいということで、この間五年間、何度か取り上げてまいりました。もう古賀運輸大臣でちょうど五人目の運輸大臣にこの問題を取り上げてからなるわけですね。  幸い、厚生省、運輸省当局の方もいろいろ御努力をされて約六万人に精神障害者の手帳交付も実施をされたということで、もう詰めた議論ができるというかそれがいわば大詰めに来ているということだと思うんです。ですから、直ちに来月、再来月というわけにはいかぬでしょうけれども、やはり来年度内あるいはことしじゅうには、他の障害者に対しては既に実施されているわけですから、やはり実施していくという方向でぜひ実現をしていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  155. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 私は、本当に節目節目に当たっているなと思って、先生がこの問題を取り上げられて五年目、国鉄の長期債務でこれは国鉄改革が行われて十年目、改めて全く節目の大臣だと思っておりますけれども、御承知のとおり、平沼大臣が前向きに御検討いただくということで御答弁を申し上げているということは承知いたしております。  また同時に、そのときの状況がどうだったかということを私も承知いたしているところでございまして、ちょうど平成七年の十月でございますか、精神障害者の手帳制度の導入というのが行われたわけでございます。ただ一つ、現在行われておりますこの割引、身体障害者の方と精神障害者の方との一番の違いは、申すまでもないことなんですが、精神の場合は中身の問題でございますので、なかなか移動制約というこの問題をきちっと明らかにするということが難しいという面がございます。  そういうこともございまして、厚生省の方に医学的な検討をお願いいたしまして、平成八年、昨年の十二月にその回答をいただいたところでございますので、さらに一、二調整をするところがあるようでございます。それを進めさせていただきたいと思っているところでございます。  御承知のとおり、この運賃割引制度の導入というのは事業者が最終的には判断してお決めいただくということでございますから、この調整というものが大事なことだというふうに思います。この調整を踏まえて事業者にも理解と協力をどう求めていくかということになろうかと思いますが、私も五年目でございますけれども前向きに検討したい、こういうふうに思っております。
  156. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 来年度中ぐらいにはどうですか、めどがつきそうですか。
  157. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 来年度じゅうに私がいるかどうかは別問題といたしまして、ともかく調整に時間をかけるということが一番政治不信につながっているということはもう御承知のとおりでございます。できる限り検討の時間は短くしたいというのが私の基本的な姿勢でございます。
  158. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 終わります。
  159. 末広まきこ

    末広真樹子君 自由の会の末広真樹子でございます。よろしくお願いいたします。  日本海重油流出災害についてお尋ねしてまいりたいと思います。  まず申し上げなければならない点は、不慮の災害、突発事故に際しては、最悪の事態を想定して、できるだけ素早く対応策を講じなくてはならないという当たり前のことが実行されなかったという点です。アメリカでは、オイル流出事故に当たっては、質問する前にピストルで撃て、こういうジョークがあるそうでございます。つまり、過剰反応してちょうどよい、こういう教訓ですね。  今回の政府のとった初動態勢は、わずか二年前の阪神大震災のあのときの教訓が生かされなかった。これは、先例にあるかないかを論ずる余りに突発事故に対応できなかったという本質的な問題ではなかろうか。こういう体質的な先例主義に対する反省はお持ちなのでしょうか、お伺いします。
  160. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 初動態勢のあり方等につきましても、予算委員会また本委員会におきましてもたびたび申し上げておりますけれども、反省をいたしております。
  161. 末広まきこ

    末広真樹子君 率直なお気持ちをありがとうございます。  十九世紀に戻ることは簡単なんですね、先例をたどれば。でも、未知なる二十一世紀に勇気を持って進んでいくのには何の手引きにもならないんですね、先例は。大変難しいなと感じさせられました。  アメリカでは、エクソン・バルディーズ号の教訓から油濁法というのが制定されておりますね。その目的は三つあります。まず一つ目が、油流出に際して迅速に公平に補償を与える。二つ目、そのために国際条約に頼らない補償体制の独自性を確保している。十億ドルの基金で、支払い能力のない、今回のような場合ですね、こういう加害者の場合にはここから被害を救済しております。三つ目、必ず起きるという認識のもとに予防措置をとっています。そのためには日ごろからアクションプランやトレーニング、実戦演習を行うべしとしております。  どういうことかといいますと、一つ、当事者の健康と安全の確保、これは第一優先順位です。一つ、テクニックや道具の規定。一つ、エリアごとのナショナルコンティンジェンシープランを採用。一つ、前もって漁場、野生動物、発電所、経済などの課題を一同で検討し合う。これらを日ごろから把握した上で、日本の海上保安官に当たると思いますが、沿岸警備隊員は行動を即起こします。  顧みて我が国は、平成七年四月、海防法の一部改正を行い、同年七月には重大な油流出事故に備え十八省庁で構成する油汚染事件に対する準備及び対応に関する関係省庁連絡会議というのを閣議決定により設置しております。  また、さかのぼりましては、昭和五十一年には海上災害防止センターが運輸省の認可法人として設置され、その事業内容はこう記されております。海上保安庁長官の指示による排出油防除措置の実施業務と規定されております。年間予算三十六億円なんですが、実動部隊を持たない実施業務というのは矛盾ありませんか。事は海上災害なんですね、練習していないとできない。そんなこと可能なんですかね。  そこでお尋ねします。これら十八省庁連絡会議や海防センターの機能は、今回スムーズに働いたんでしょうか。
  162. 土坂泰敏

    政府委員(土坂泰敏君) 今お触れになりました緊急時計画に基づいて基本的な考え方を定めて油の防除に当たるわけでございますが、油の防除は海上保安庁なりセンターだけでできることではございません。自衛隊の御協力、外務省の国家間の交渉あるいは環境庁の環境保護、非常に多面的な、いわば総合戦略として取り組むものでございます。その全体としての一体性というのがどうしても必要になりますので、十八省庁連絡会議で調整をしながらやる。さらに、政治的な決断を要する場合がありますので、対策本部をつくって運輸大臣が全体の指揮をされるということでやっておったわけでございまして、私は、今回それがきちんと機能しておるというふうに考えております。  それから、もう一つのセンターの方でございますが、今先生が仰せになりました書き方になっておると思いますが、正確に申し上げますとセンターは二つ業務がございまして、一つは、原因者から頼まれまして、委託を受けまして原因者のために防除義務をやるということでございます。これは具体的にどういうことかといいますと、油の防除のために漁船を動員しなきゃいかぬ、バキュームカーを動員しなきゃいかぬ、ドラム缶を買ってこなきゃいかぬというようなことが起こるんですが、そういうことをセンターは船主から委託を受けてやる、それが一つの業務でございます。  それからもう一つの業務が、実はそういう原因者がきちんと自分の防除義務を講じていないときに、それじゃ困るので国が防除義務者にやりなさいと命令するわけですが、命令してもやらないときにはセンターにかわりにやってもらう、それが今先生のお挙げになった条文だと思います。  この二つの業務がありまして、センターは今回その二つともどもにやっておるわけでございます。そういうようなことで、それぞれの立場でセンターも含めまして油の防除に取り組んできたというふうに私としては感じておるところでございます。
  163. 末広まきこ

    末広真樹子君 それは、スキームとしてはできているんですよ。実効性があったのかというお尋ねをしたわけでございます。新たなるスキームの説明をお聞きしたのではございません。お願いします。
  164. 土坂泰敏

    政府委員(土坂泰敏君) スキームとしては今申し上げたようなことでございます。  それで、それについて実効性が上がったかというようなお尋ねではないだろうかと私は推測するのでございますが、例えば、十八省庁と言っておりますが、油の防除に当たるのはやっぱり現場でございまして、現場の各機関間の連絡というのが非常に重要になります。こういう点はあらかじめ連絡体制も決めておりますし、訓練もやっておりますので、現場に対策本部もつくりましたし、その統括のもとに私は効果は上がっておると思います。  それから、センターにつきましても、船主から委託された業務はきちんと遂行をしておるというふうに感じております。
  165. 末広まきこ

    末広真樹子君 海防センターの実質的な訓練内容として海洋汚染対応コース、油回収装置の取り扱い訓練、オイルフェンスの展張訓練、具体的に挙がっているんです。何回やりました、昭和五十一年から。お答えください。——とても時間がかかりそうですので、後日委員長のところへ報告してください。  次に移ります。  海上災害防止センターの排出油防除資材配備基地は、全国に三十三カ所ございます。油回収船は合計十一隻、その配備は日本海側に一カ所もないというのはどういうわけなんでしょうか。名古屋港の清龍丸が、パンフレットによりますと六十時間で三国港に到着するように記載されておりますが、現実には重い装備と人員で到着に五日間を要したのでございます。これはやっぱり見積もりが甘かったなと思うんですね。  今後の日本海側への油回収船配置計画と、油回収機材、これを空路で折り畳んで輸送するについてどのような対策をお持ちですか。
  166. 相原力

    政府委員相原力君) 先生指摘のように、油回収船の配備の問題、それから防除資機材の配備の問題等々、今回の重大な事故の影響にかんがみましてそういう問題点、特に油回収船の活動の状況あるいは防除体制など、関係機関間の活動がどのように行われてどのような問題点があったかにつきましては、私どもも十分検証しているところでございます。  今回、日本海の荒波の、荒天の中で起こった事故ということで、従来必ずしも十分対応していなかったことにつきましては大変反省しているところでございまして、今後、外洋におきます大規模かつ広域的な油汚染事故にも対応可能な防除体制のあり方について総合的に検討することといたしております。  先生指摘の空輸の、飛行機で運ぶような問題点につきましても、そういうような調達の計画等についても、技術的、科学的検討を含めまして、また関係業界あるいは関係団体、学識経験者との密接な連携もとりまして検討してまいりたいというふうに思っております。
  167. 末広まきこ

    末広真樹子君 緊急事態に関する手段のとり方の話をしているので、お答えも緊急事態にふさわしく簡明に、エキスでお願いしたい。  また、アメリカのタンカー、エクソン・バルディーズ号事故の重油回収の現場指揮官、元コーストガードのキャプテン、ジェンセンさんという方は、その経験上流出時のステップを具体的に話していらっしゃいます。まず、政府がコーディネーターとなって管理組織を設立する。二番目が、目的、戦略、優先課題について検討し、プランのサイクル、目標日程です、これを決定して業者に発注。情報センターの立ち上げ。健康、安全のためのプランニング。そして、事は気象に左右されるために、油の向かいつつある方向を常時モニターしつつ、油を絶対に陸地に来させない。発生から二日間が最も有効な除去期間である、こう述べられているんです。  これに反して、日本海重油流出事故は、コーディネーターを自認する海防センターが現地に入ったのが一月五日、十八省庁の連絡会議が開かれたのが六日、災害対策本部が立ち上げられたのが事故から一週間後のことなんです。たとえ他国のタンカー事故でも、日本海沖で起きれば早急に対策に乗り出すのが政府責任ではないでしょうか。お考えをお聞かせください。
  168. 土坂泰敏

    政府委員(土坂泰敏君) もしお許しいただければ、海上災害防止センターの訓練実績、一言だけ御報告させていただきますが、平成八年度に八百四十一名という数字が出ております。  それから、今の御指摘のお答えでございますが、海防センターは全体のコーディネーターではございません。海防センターは、船主の委託を受けて、船主の指示に基づいて実施業務に当たるものでございます。全体の調整をするのは関係省庁会議ということになりますし、それを政治的にさらに統括されるのが対策本部長の運輸大臣でございます。  今、先生のおっしゃったことと大体同じでございまして、なるべく簡潔に申し上げますが、まず事件の調査をする、それで、この事件によってどういう影響が出るかという評価をする、それによってどれだけの出動が要るかという対策を決める、それに従って発動の指示をする、それを対策本部なりいろんなところで調整をしながら実動を図っていく、こういうやり方を日本でもやっております。
  169. 末広まきこ

    末広真樹子君 それだけたくさんのことをやり、なおかつ二日以内に重油は沖でたたけ、これをやってもらわないことには何ともしようがない、ぜひお願いしたいと思います。  ロシアは、政変以降、各自治体ごとに単価の安い重油を国外から調達するようになったと言われております。今回のナホトカ号も、カムチャツカ市が毎週一回上海から重油を運ばなければならないほど極東の重油事情は激変しております。しかも、その重油を運んでいた船は建造二十六年、老齢船が毎週あの荒れる海で有名な玄界灘を経て日本海を航行するということは、百歳で戦場へ行くのに等しいんじゃないでしょうか。このような油流出事故は、ロシアがタンカーを新設しない限り再び起きる可能性があります。  油汚染に関する関係省庁連絡会議の今後のあり方と、時代に対応していないような海防センターはその存続も含めて根本から見直す必要があるんではないでしょうか。多省庁にまたがる問題であると思いますが、縦割り行政の弊害も含めて運輸大臣の御見解をお願いいたします。
  170. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 大変手厳しい御指摘をいただいております。まさに中尾先生のこの問題に対しての御論議の中でも出ましたけれども、危機管理に対してのシステム、それから権限、訓練と、まさに末広先生がおっしゃっていることだと思います。私は、今回の事故の重大性にかんがみ、いろんな点で反省する意味で、この三つとも問題点として十分検証して反省していかなければいけない点だということを率直に反省点として申し上げておかなければいけないというふうに思います。  また同時に、海上災害防止センターの問題と関連しまして、これもお話が出ておりましたけれども、海防法の見直し等を含めまして、今後この荒天の外洋における油災害、どういう整備が必要なのかいろんな角度で検討していかなきゃいけないと思います。その一つには、今御指摘をいただきました老朽タンカーのあり方、これも当然含まれてくるだろうと思います。  私も、応急対策を旨とする本部長をお引き受けいたしまして、十八省庁とたび重なる会合も重ねてまいりました。私自身も反省するところがございます。また、今後の問題としては、賠償の問題、再発防止の問題、内閣官房長官が主宰する関係閣僚会議をたびたび開かせていただいておりますし、これからも開いていかなければいけないと思います。  先生指摘いただきました点、各分野にわたる問題でありますので、十分ひとつ検討して、期待にこたえていきたいと思います。
  171. 末広まきこ

    末広真樹子君 まことに大変でございますわね、こういう縦割り行政下で一つ一つと折衝を重ねるというのは。もう体が十八欲しいと思います。  私は、今回の油事故を契機にひとつ提案したいと思います。まず、油事故に関して処理のための専門的な機関の設置です。英国の海洋汚染管理班とかそれからフランスの海洋事務局というような機動力のある専門組織を設置して、緊急事故に対応することを考えていってはいかがでしょうか。
  172. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 御提言として承っておきます。
  173. 末広まきこ

    末広真樹子君 重油流出事故に関しての最後質問になりますが、多くのボランティアの皆さんに今現在も御協力いただいています。私も一月三十日に被災地、三国町を訪れまして現地の様子、被災者の生の声、そしてボランティア本部も訪れました。  あの寒さ、絶え間なく降りしきる雪の中で、海岸のそばのボランティア本部が床のない、テント張りなんですよ。テントというのは、風入り放題、雪入り放題、床がないから下はぐちゃぐちゃ、そこに石油ストーブがぼんと一個。せめて空き施設かプレハブはなかったんでしょうか。また、健康管理のために検診車を常時とめておいて、ボランティアに出かける前と後の健康チェックが必要なんじゃないでしょうか。  私、他人事とは思えませんでした。余りの悲惨さに、地元へすっ飛んで帰って、私自身被災地へ送る募金集めに街頭に立ちました。それで、名古屋も空っ風が強いので、声帯の奥深くやられまして、今ちょっと声は出にくいけれども熱は出ているという状態で申しわけないんですが。  現地の厳しい寒さと、もう一点怖いなと思ったのは、今回の重油には日本では使われていない不凍液、フルフリルアルコールが含まれておりまして、これは呼吸困難を引き起こすことがある物質であると判明しております。直接の死亡原因はわかっておりませんが、天国の五人のボランティアのためにも、そして地域の漁業、観光、住民のためにも、一刻も早い災害補償と油流出危機に対する新しいシステムの構築をお願いしたい。  また、気象条件の厳しいところではボランティアを直接回収現場、つまり最前線に配置するのではなく、これ危険です、回収作業は当面はやっぱり海上保安官や自衛隊、機動隊などのトレーニングを積んだ人にお願いして、ボランティアはとりあえず総務的なセクションに一たん配備して、その後に最低四時間ぐらいのトレーニングを実施してから現場に出てもらうような、健康と安全のためのマニュアルづくり、これが必要なのではないでしょうか。医学的なモニターチェックというのも必要かと思います。ボランティアへの配慮をどうお考えでしょうか。
  174. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 末広先生も現地をお訪ねいただいて、私も現地を数回お訪ねいたしました。テントの中でボランティアの方々が頑張っていただいている。大変日本海の厳しい寒さの中で、本当に第一に私も感じましたのは、民間ボランティアの方々が献身的に油防除に御参加いただいていることに対する感謝と同時に、やはり健康ということに本当にどういう配慮をすべきなのか、健康管理について一番気をつけなければいけないことだなということを感じてまいりました。  それぞれ関係省庁の立場の中で、健康管理については私も本部長としてお願いを申し上げ、それを受けて関係官庁それぞれの立場で責任を果たしてきてくれたと思っておりますが、とりわけ、ボランティアの方々で不幸にしてお亡くなりになる、こういう事態を受けまして本当に私どもが心配したことが現実になったということで、正直言ってショックでございました。  改めて、民間ボランティアの窓口になっております地方関係公共団体に対しまして、具体的に、例えばマスクをはめてください、眼鏡をちゃんと着用してください、手袋はもちろんですよと、間違って皮膚に油がついた場合には即座に洗い落としてくださいと、大変きめ細かい健康に関する喚起を通達させていただいた、こういう手段はとらせていただいたところでございます。本当に崇高な精神で民間ボランティアとしてこの油の防除に参加していただいている多くのボランティアの方々の健康管理というものに対してのさらなる喚起というものは、大変大事な点だろうというふうに思います。  ただ、先生が御指摘いただきました同じ作業の現場につきましても、できる限りと申しますよりも、現場の役割を果たしていただいている方々には、安全なところで、しかも長時間はだめですよというようなことはその都度ボランティアの方々によく通知徹底をさせていただいているようでございまして、とりわけ政府関係者、自衛隊、海上保安庁そして消防関係方々、日ごろのトレーニングを積んでいる方々に厳しい岩場だとか岸壁だとか、そういうところの油の防除に優先して当たっていただいているというのは当然のことだというふうに思っておりまして、その点はぜひひとつ御理解をいただきたいと思います。
  175. 末広まきこ

    末広真樹子君 夏が来る前に、水温がつまり上がる前に完了していただきたいことがございます。これはもうお願いです。沿岸漂着油の除去作業でございます。この前視察しましたときには、自衛隊員の方が岩をぞうきんでふいておりました。ちょっと首をかしげます、あれは。  アメリカのエクソン・バルディーズ号の体験を経た方にどうしているんだということを聞きましたら、ああいう足場の悪いところ、岩場とかそれから砂利場、これは陸路からは行かない、バージ船をつけるんだと。バージ船から高水圧水あるいは高温水、それはケース・バイ・ケースだそうです、それでだあっと洗い出し、たたき出しをやるんですね。それで潜っている油を全部表面に浮かしてきて、浮かしてきたらそれではがれやすくなるんだそうです。それで一たんそれをはがしておいて、それでもなおかつはがれない付着している分に対してはバイオ処理剤を散布する、こういうことをもう既にやって成功しているそうです。  夏が来る前に、しかも事は人海作戦である、やっぱり人手が要るんですね。そうすると、春休みとかゴールデンウイークを上手にお使いになって徹底した油の洗い出し作業を完了していただきたい。でないと、この災害は日本海の漁場だけではなく、夏の観光産業、あの辺一帯はやっぱり観光産業なんですね、これに大きなダメージを与えてしまいます。一たん人が寄らなくなった観光地というのは復活が大変難しい。そこのところをどうぞ御留意なさって、水温が上がらない前にやるプランニングを具体的にお立てになって、それで地元への協力を呼びかけていただきたいと思います。  冒頭申しましたように、実効性のある危機管理体制の再構築、そして先例に頼らない現実対応型の災害対策と環境保護対策で不安のない二十一世紀を指し示していただきたい。大臣の御決意をお願いします。
  176. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 大変細かい技術的なことについてもお述べいただきました。参考にさせていただき、御期待にこたえていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
  177. 末広まきこ

    末広真樹子君 なお、提案がございます。いろいろ言って済みません。危機管理庁の設置でございます。  阪神大震災や今回の油流出事故を見るまでもなく、我が国は危機に関する政府の反応が大変鈍い。災害時の危機に関しては一を聞いて十を知るという敏感な対応が求められております。事故が起こったときに、関係省庁による連絡会議を持っていたり、対策本部等を設置して三役そろい踏みしたりなんかしているのでは、危機管理庁とか災害管理庁という常設の機関を設置しておいて、そこで緊急かつ効果的な対策を打ち出し、被害を最小限に食いとどめる必要があると思いますが、大臣いかがですか。
  178. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 承っておきます。
  179. 末広まきこ

    末広真樹子君 二十一世紀を間近に控えまして、財政問題、高齢社会への対応等の課題が山積しております。これらの懸案の処理に当たっては、行政改革も早急に必要です。これは国民とのお約束事でございますね。反面、新たなる危機に迅速に生きた対応をする機能を創設することが国民にとっての節税につながります。政府の歳出削減等の表裏一体課題であるといえます。決して行政改革にさお差すものではないと私は信じております。  その意味では、私の先ほどの二つの提案、油処理のための専門機関と危機管理庁あるいは災害管理庁の設置は、国民生活の安全と安心のためにつながる大事なことと思います。このような問題は、これからも機会があることに提案してまいりたいと思います。お答えをぜひいただきとうございます。お願いいたします。
  180. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 先生の御意見は全くそのとおりと承りました。ただ承るだけではなくて、前向きに承っておきます。
  181. 末広まきこ

    末広真樹子君 ありがとうございました。  通告質問があったと思いますが、ちょっと時間が来ましたので、次回に送らせていただきます。
  182. 栗原君子

    ○栗原君子君 新社会党・平和連合の栗原でございます。  私は、今回のこの重油の流出事故にかかわりまして、日本がこうした大規模災害に対して大変社会基盤がもろいということが出てまいりまして、さまざまなものが今回のこの事故を通して見えてきたと思います。  そのような中で私も、一月二十八日の夕方から二十九日にかけまして、福井県の三国町を中心にボランティアセンターとか、あるいは三国町の町長さんとか、県のセンターにも伺いましたし、そうしたところで皆様の声を伺ってまいりました。大変厳しい言葉がどこへ行っても投げかけられたわけでございます。  さらに、二月十五日でございますけれども、今この回収いたしました重油を全国六カ所の事業所において燃やしているということがございまして、私の出身の広島県の福山市でもこれを燃やしている企業がございます。従業員二十七名の企業でございますが、そこに参りまして社長の声も伺ってまいりました。とにかく何とかこれは協力してやらなければいけないんだということで、不眠不休のような状況でやっているといったことを聞かされたわけでございます。  運輸省港湾局は、ことしのこの事故の教訓はもとより、関係の自治体とか住民からの、油回収船の建造にかかわっての体制の強化の要望も強いわけでございます。また、事故対策の強化などのさまざまなそうした要望を踏まえて、ぜひ早期に回収のための、さらにはまた後処理のための収束を図っていただくことをまずお願い申し上げたいと思います。  そこで最初に、今回の事故を通じまして運輸省の職員の働きざまというのを見せていただきました。ここでは、私も福井県に参りましたとき、不眠不休で頑張っている職員の声も聞くことができました。それらを通じまして、今、橋本総理は火だるまの行革ということをおっしゃっておられますけれども、さて、この火だるまの行革をこの目の前で頑張っている人たちに適応して果たして住民にとってプラスになるのかどうかと、大変胸を痛めつけられる思いで聞いてまいりました。  この中で、ふだんは港湾の航路のしゅんせつ作業などをやっております清龍丸あるいはまた海鵬丸、白山丸といった船がございますけれども、とりわけ今回清龍丸の活躍ぶりというのはマスコミでも報道されたような状況でございますが、この海鵬丸と白山丸につきましてかなり耐用年数も来ております。  海鵬丸につきましては、運輸省の第四港湾建設局が持っているものでございますけれども、これも既に三十三年を経過しております。それから、白山丸につきましても、これは運輸省の第一港湾建設局に所属をいたしておりますけれども、これも三十二年になるわけでございます。耐用年数は大体二十五年だと言われておりますが、そうしてみますとかなりこれは古い船になっておりますが、この代替船をお考えになることについてはいかがでございましょうか。
  183. 木本英明

    政府委員(木本英明君) 今、先生の方から私どもがしゅんせつ事業等で使っております船についていろいろ御意見等を賜りましたが、関門航路でしゅんせつ事業をやっております海鵬丸は昭和三十九年三月につくられておりまして、先生指摘のように相当の年数がたっております。それから、新潟港でしゅんせつ事業に従事しております白山丸は、昭和四十年に建造されておりますけれども、その後四十八年に新造並みの大改造が行われておりまして、その分海鵬丸に比べましてまだ新しい、そういった状況でございます。  そこで、これらの船の代替の問題といいますか、代替建造の必要性でございますが、やはりしゅんせつ事業がメーンの主たる業務でございますので、そういったしゅんせつ事業の今後の見通しといいますか、かなり長期の見通しがどうかといった問題だとか、あるいはそれの運用方法あるいは技術開発等の可能性、そういったことを総合的に踏まえて検討していかなきゃいかぬのかなと、こういったことで考えております。  その際、清龍丸のように油回収機能だとかあるいはその他の機能を付加するのかしないのかどういうふうにしていくのか、そういったことについても今回の事故の経験も踏まえまして今後適切に検討していく必要があるだろう、こういうふうに考えております。
  184. 栗原君子

    ○栗原君子君 そこでお願いをするわけでございますけれども、これは今しゅんせつ船としてお考えであるようでございますけれども、あくまでも私は運輸省の港湾建設局がこれを持っていただきたいということを思うんです。海上保安庁とかあるいはまた自衛隊でこれを持つというようなことでなくして、運輸省の港湾建設局の方で持っていただきたいということをお願いするものでございます。  そして、これにはごみの回収とかあるいは油の回収はもちろんでございますが、そしてしゅんせつももちろんでございますが、そうした多機能のものにしていただきたいということです。そして、冬の日本海でも十分に耐えられるようなものにしていただきたい。これだけ技術も進んでまいりましたから、私はできないことではない、このように思うわけでございます。  そして、いつでも早い状況の中で回収船が行けるように、例えば清龍丸につきましては太平洋側に待機をしていてそこで作業をするとか、あるいはまた海鵬丸につきましては太平洋側さらには東シナ海を中心日本海、西日本中心に作業をしていただくとか、さらには白山丸につきましては日本海側に置くとかいたしますと、大体今回のように長い日にちをかけることなくもっと短時間、日数の少ない中でも現場に駆けつけることができるんではなかろうか、こんなことを思うわけでございますが、これらについてはいかがでございますか。
  185. 木本英明

    政府委員(木本英明君) 確かにそういった体制ということになれば、それぞれの海域で万が一こういった事故が起きれば速やかに対応できるかなという感じもいたしておりますが、やはり私どもの業務といいますかメーンの仕事は、それぞれの港で防波堤をつくったり、あるいは航路をしゅんせつしたりするそういう事業がメーンでございまして、そういったものに必要な機材を国として持つべきものがあれば持っていくというのがメーンの考え方であろうというふうに考えております。  そういった船を万が一つくる際に、それだけの単一機能でつくるのではなくて、例えば清龍丸も実は五十三年につくっておりますけれども、たしか四十九年に水島の大量流出事故がありまして、それを契機に、清龍丸の前は海竜丸というしゅんせつ船でございましたが、それがたまたま更新する時期に来ておりましたので、そういった検討しているときに事故が起きまして、どうせつくるならあわせて油回収機能、たしか十数億円ぐらいだったと思いますけれども、少し付加しましてつくったらどうだろうという考え方が政府部内でも固まりましてつくられたという経緯がございます。  私ども、先ほど言いましたようにしゅんせつ事業がやはりメーンでございますので、そういった船をつくりかえる時期が来れば、先ほども言いましたけれども回収機能を付加するのかしないのか、いろんな角度から総合的に検討して対応していくことになるのかな、またそういうふうに考えていくのかな、こういうふうに私は考えております。
  186. 栗原君子

    ○栗原君子君 これを所有するのは運輸省の港湾建設局が所有していただきたいということを私は強く思うんですけれども、この点についてはよろしいですね。
  187. 木本英明

    政府委員(木本英明君) 現在の海鵬丸とか清龍丸は私どもが所有してやっておりますけれども、今後、先ほども言いましたけれどもメーンはしゅんせつ事業でありますから、しゅんせつ事業の長期見通しを踏まえて、引き続きそういった船を更新して私どもが持っていくことがいいのか悪いのか、検討もやはり必要でございますので、そういったことを踏まえて総合的に検討していきたい、こういうふうに考えております。
  188. 栗原君子

    ○栗原君子君 今回の油流出事故の対応は、海洋汚染防止法に基づいて海上保安庁が担務したのと、そしてまた海上環境整備事業の一環として運輸省の港湾建設局が担務しておりますけれども、この事業の法律的な位置づけや、さらにはこの事業の予算規模から見まして大変希薄である、こう感じるわけでございます。見直しが必要ではないのか、こう思うわけでございます。  また、緊急時の指揮命令の一貫性、統一性、官民の協力、あるいは支援体制、資機材の確保、また国外での同様な災害に対する出動方策、これらにかかわる人の処遇とか労働条件など、緊急出動対応マニュアルが整備されていなかったのではないか、こういった声も聞くわけでございますけれども、この点についてはいかがでございましょうか。
  189. 土坂泰敏

    政府委員(土坂泰敏君) まず、マニュアルのことを申し上げますと、いろいろ御議論のあります緊急時計画、これは閣議決定で基本的な事項が決まっておるわけでございますが、これを受けまして、海域ごとに今度は防除計画というのをまた別につくっております。それから、さらにその防除計画を受けまして、協議会ごとに今度はマニュアルをつくっているという三段階構成になっておりまして、マニュアルが整備されているところとされていないところがまだございますが、マニュアルはあるわけでございます。  それから、指揮命令系統その他につきましても、先ほどから御説明申し上げているようにきちっと私は整備されていると思いますが、やはりこれだけの大事故で現実に被害が起きているということも事実でございます。この点につきましては、学ぶべき点は学んでこれからの体制づくりに生かしていかなきゃいかぬ、そこは私も強く感じておるところでございます。
  190. 栗原君子

    ○栗原君子君 そこで、九五年の十二月十五日に閣議決定をされております「油汚染事件への準備及び対応のための国家的な緊急時計画」といったものが定められておりまして、これを私も目を通させていただきました。確かに、これがきちんと守られていれば現場であれだけの混乱はなかったであろう、こういった声も聞くのでありますけれども、これについてはどの程度守られていたとお感じでございましょうか。
  191. 土坂泰敏

    政府委員(土坂泰敏君) 今、先生の仰せになりました緊急時計画は、非常に基本的な事項が決まっておりまして、例えば実際に事件が起きたときにはまず事件の調査をしなさい、その調査結果に基づいて評価をしなさい、評価に基づいてどれだけの動員をしなきゃいかぬか決めなさいとかそういう基本的なところが書いてあるわけでございます。そういうもののために関係省庁の調整が必要だから関係省庁会議が要るよというようなことが書いてございまして、そういう基本的な事項を定めたものとしては、私はこれはある程度普遍的なものでございますし、今回の事故でも十分機能したと思います。  ただ、前から御議論がありますように、これは非常にしけた海で、思いがけない今まで予想しなかった事故でございましたので、それに見合う油回収船その他の体制が現実に整備されていなかった、そこが確かに一つの問題点として今後の反省材料になろうと思います。
  192. 栗原君子

    ○栗原君子君 それで、結果として効率的、有効的な作業ができなかったということを現場の職員が言っているのを聞きました。特に、労働条件とかあるいは手当なども確立されない中でこの作業が続けられていったということを聞きましたけれども、こういうことについてはどうだったんですか。
  193. 土坂泰敏

    政府委員(土坂泰敏君) 実際の現場で働きます者は、保安庁以外にも自衛隊の人もいらっしゃいますし、警察も消防もいらっしゃるし、あるいは漁民の方、それから先ほどからお話のありますボランティアの方、いろんな方がそれぞれの立場で参画して本当に一生懸命やっていただいておるというのが実態でございまして、今労働条件のお話が出ましたけれども、労働条件といってもやはりそれぞれ違っておるのではなかろうか、一概に評価はしにくいなという感じがいたします。
  194. 栗原君子

    ○栗原君子君 第五港湾建設局所属の清龍丸の乗組員はもとより、敦賀港の工事事務所の人たち、あるいは日本海側にほかにも事務所がございますけれども、ここでも休日あるいはまた深夜、泊まり込みを含めた連日の作業が続いておりました。これらに対しての対応はどのように考えられていたのでしょうか。  また、これはこちらの本庁の職員でもそうでございますけれども、例年でも二月から三月にかけては特に超過勤務が多いわけでございますが、今回のように油対策にかかわる超勤手当などについてはどのようになっているのか。  あるいはまた、清龍丸の出動、回収業務に関して正月早々から出航いたしまして、日本海の荒天と闘いながら、二カ月近くも交代要員が全くないままで清龍丸に乗った人たちは作業を続けておりました。精神的にも肉体的にも疲労が蓄積をいたしまして、もう極限状態であったという報告を聞きます。本来のしゅんせつ作業と異なり、緊急、特別、応急作業であるということ、あるいは海事職、乗組員の必要な要員体制の補充とか強化とか賃金とか処遇、手当などの改善についてはどうなのでございましょうか。
  195. 木本英明

    政府委員(木本英明君) 実は、清龍丸がこういう長期間にわたって大規模な油流出事故に出動したというのは初めてでございます。七年前に丹後半島の経ヶ岬で流出事故がありましたけれども、その際はたしか一、二週間の出動で終了したわけでございますが、今回非常に長期にわたりまして、今先生指摘のように、乗組員を初め、それをバックアップする敦賀港工事事務所、金沢港工事事務所、あるいは舞鶴港工事事務所等の職員が大変な尽力をしていただきまして、私も非常に感動し、感謝を申し上げているわけでございます。  そういった超勤の問題だとかいろんな問題については、できる限りの手当て、対応をしてまいりたい、こういうふうに考えております。既に事務的にいろいろ関係のところとも詰めさせておりますので、そういったことで御理解を賜りたい、こういうふうに思います。
  196. 栗原君子

    ○栗原君子君 職員の削減計画があるようでございますけれども運輸省港湾建設局の行政職(二)の不補充方針、あるいは民間とか民営化移行政策により、一九六八年には当初六千八百人いた職員でございますけれども、これが第八次の五カ年の最終年度の九六年には三千四百人にと定数が半減をいたしております。  こうしたもとで、港湾当局は同船舶について今後とも維持をするという方針でいらっしゃるようでございますけれども、運航に必要な行政職(二)、船舶職員の採用を厳しく抑えているような状況の中で、果たして事業を続けることができるのかどうか、お伺いしたいと思うんです。
  197. 木本英明

    政府委員(木本英明君) 定員削減の問題につきましては、これは政府全体の問題として従来から取り組む課題の一つとして閣議決定もされて、数次にわたって行われてきておるわけでございますが、私ども港湾建設局におきましてもそういった一環の中で必要な対応をしてきた、してこざるを得なかったということでございます。  先ほど来お話をしておりますけれども、特にこのしゅんせつ船の問題につきましては、私どもは、そういった事業が長期にわたってあるのかないのか、やはり総合的に検討をしていく必要があるだろうというふうに思っておりまして、そういったことを踏まえて、今後先生の御指摘にも対応しながら検討を進めていきたい、こういうふうに考えております。
  198. 栗原君子

    ○栗原君子君 ここに第九次の定員削減計画表なるものがございまして、これを見ておりますと、運輸省全体の削減率というのは三・八七%でございますが、とりわけ港湾建設局におきましては八・〇九%と高いわけでございます。こういう状況の中で、今回のような油の流出事故であれだけ厳しい状況の中で不眠不休で仕事を続けております行政職(二)の場合、こうしたことでこれからも事業が進められるとお考えなんでしょうか、どうなんでしょうか。
  199. 木本英明

    政府委員(木本英明君) 必要な人員の手当てその他はきちっと対応してやっていきたいというふうに思っておりますし、政府全体の中で定員削減、いろいろ各分野、各部門でそれぞれ事情があるかと思います。そういったことを踏まえて、政府全体の中で議論、検討がなされて削減率といいますか、そういったものが決まっていくわけですが、そういった中で私ども必要な分野につきましては必要な人員の手当てを確保してきちっとやっていくという、そういう基本的な考え方をいたしておりますので御理解をいただきたいと思います。
  200. 栗原君子

    ○栗原君子君 私は仕事がなくなるわけではないと思うんですね。仕事はあるわけでございます。  そうして、職員を削減することによって民間委託へといった声も聞こえてくるわけでございますけれども、委託労働者一人当たりの年間給与と比較いたしますと、二・四から三・七倍となっております。ということは、一人当たりの委託費用で職員が三人増員できるということになっておりまして、行革も必要なことかもしれませんけれども運輸省のこの部署においては、私は、そうとりたてて行革をする必要はないんではなかろうか、むしろ国民の血税を使ってやるということからすれば、委託でなく職員が作業に当たる方がよろしいのではなかろうか、こういうことを思いますけれども、いかがですか。
  201. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) まず最初に、今回のナホトカ号の油流出事故に際しまして、港湾局の職員の皆様方、清龍丸の乗組員の方々を含めてでございますけれども、職務とはいえ本当に厳しい環境の中で不眠不休で大変な御努力をいただいた。港湾局の職員のみならず、海上保安庁を初め政府関係者の方々、もちろん地域方々、ボランティアの方々は当然でございますけれども、大変私自身、その努力に対しまして感謝をいたしているところでございます。  今、そういったことを踏まえて、港湾局の職員の定数の問題について、政府委員と栗原先生との御論議を聞かせていただいているところでございますが、御承知のとおり、一番大事なことは、国が行うべき業務というものについての範囲、これについて国と地方の役割、また官と民の役割、これをどう踏まえていくかということが今問われているだろうというふうに思います。  そういった意味で、今いろいろなナホトカ号の災害に関して、清龍丸だとか、今港湾局が持っておるしゅんせつを主な業務としておりますそれぞれの船についても御論議いただいておりましたけれども、やはり大事なことは、行政の効率化、簡素化という観点を不断の見直しの中でやっていくということも非常な大事な分野ではないかなというふうに思っております。  今回の事故にかんがみながら、今の御論議を踏まえ、私も、今後港湾建設局の業務について今申し上げましたような観点からの努力も必要ではないか、こういうことを考えておりますので、そういう御論議を踏まえながら私なりに検討してみたいというふうに思っております。
  202. 栗原君子

    ○栗原君子君 この第八次、約三十年に及ぶ定員削減で職員が半減されたということを申し上げましたけれども、一方で事業費は、公共投資の拡大とかあるいは新規事業が始まったとか、大型プロジェクト、そうして空港事業の展開とか、不況対策などのために政府の方針のもとで大幅に事業が拡大している部分もあるわけでございます。そのような中で、百時間から百五十時間を超える長時間労働あるいは過密労働、健康破壊、家庭崩壊などが深刻化している、こういった報告も受けるわけでございますが、この点についてはどのようにお考えなのか、伺いたいと思います。  ここに資料を持っておりますけれども、まさに事業は、一九六五年には六百三億円でございましたものが九六年には六千九百九十六億円ということになっております。それから、定員につきましても、六七年には六千七百六十四人でございましたものが九六年には三千四百三十七人ということになっておりまして、事業量はふえておりますけれども定員は大幅に削減をされているという状況になっております。まだこの中でも、現在よりもさらに削減計画を、八・何%かのものを言われているわけでございますけれども、こうしたことについてはどのようにお考えでございましょうか。
  203. 木本英明

    政府委員(木本英明君) 確かに、先生指摘されましたように、港湾建設局が担っております事業量というのは増大をしてきております。一方で定員削減という問題もありまして、そういった状況の中で良質な社会資本をきちっとつくっていく、提供していくということが我々に課せられた責務であろうというふうに考えておりまして、そういったことで、職員にできるだけ過重な負担がかからないように業務の効率化だとかあるいは簡素化に従前から努めてきておるところでございます。  また、職員のいろんな面での待遇、処遇につきましても、現在の国家公務員制度の中で私としてもできるだけの対応、努力をしていきたい、こういうふうに考えておりまして、今後もそういった姿勢で取り組んでまいりたい、こういうふうに考えております。
  204. 栗原君子

    ○栗原君子君 ここに、八六年以降の若年退職者数あるいはまた八九年以降の現職死亡者数、この現職死亡者数の中には自殺を含む者とか不慮の事故とか病死とか、こういった者もありますけれども結構高い数字になっております。これらを含めますと、せっかく公務員として採用され、自分の青春をかけて、また一生これを自分の仕事としてやろうと意欲を持って入ってきた運輸省の職員の人たちが、こうした途中で若年退職をしてしまうとかいったことになっております。これは単に現場だけでなくしてデスクワークの職員についてもそうでございます。  今、橋本内閣の火だるま行革としきりに叫ばれておりますけれども、確かに私は行革をしていただきたいところがたくさんございます。例えば防衛庁あるいはまた公安調査庁、そういったところは大いにまだ行革をしっかりしていただいてもいいと思うのでありますけれども運輸省につきましては何とか突っ張っていただきまして、職員のそうした待遇改善も含めてぜひ対処していただきたいということを思うわけでございますが、どのようにお考えでございましょうか。  時間が参りましたので、最後運輸大臣の決意のほどを伺いたいと思います。
  205. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) ただいまも申し上げましたように、運輸省に夢と希望を持ってお入りいただき、そして一生懸命努力している方々の問題でございます。ただ、私も先ほど申し上げましたように、今求められているものは国と地方の役割、また官と民の役割、こういったものを十分踏まえながら行政の効率化、簡素化という観点も非常に大事な問題でございます。  その辺の調整と申しますかバランス、こういったものがどうとられるべきなのか、そういうことを十分念頭に置きながら先生の御意見を参考にさせていただき、今後、港湾局の職員の方々の士気がさらに高まるよう努力をしてまいりたい、このように思っております。
  206. 芦尾長司

    芦尾長司君 兵庫県の芦尾長司でございます。ラストバッターになりまして、非常に皆様方お疲れのことと存じますが、私も国会で初めての質問でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。  また、これまで多くの先生方から御質問をいただいておりまして重複することもございますが、初めてということで御容赦いただいて、また御答弁を賜りたいと思います。よろしくお願いいたします。  まず最初に、阪神・淡路大震災から二年が経過をいたしました。当時の兵庫県の行政の関係者といたしまして、運輸省の各位を初めといたしまして、また運輸委員会皆様方に大変御支援をこれまで賜ってまいりましたことを、初めての委員会でございまして、御礼を申し上げたいと存ずる次第でございます。  それからまた、昨日、神戸空港の設置許可、大臣の許可を出していただきまして御礼を申し上げますとともに、これからの復興それから経済再生の切り札になるものと期待をいたしておるところでございます。  それでは、時間の関係もございますので、私の方から港湾整備の問題とそれから油濁対策の二点につきまして質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、地元の神戸港の復興ということについてでございますが、その復興の状況ということでございます。  神戸港は我が国の代表的な国際貿易港といたしまして、日本の産業経済発展の一翼を担ってまいりました。また、私ども神戸人にとりまして、国際港湾都市として発展の原動力となっておりますし、港を通じた世界との交流が神戸独特の文化を形成している、こういうふうな考えで私どもは神戸港を見ておるわけでございます。  そうした中で、神戸港が阪神・淡路大震災で一瞬にして壊滅的な被害を受けたわけでございます。その後、この二年の間に国の御支援、また県、市、地元関係者の懸命な努力の成果によりまして、平成九年の一月二十一日現在で公共・公社岸壁が約六割、外国貿易取り扱いの貨物量も大体八割程度、それから外航船の入港隻数も八割程度と順調な回復はいたしておるわけでございます。  そこで、大臣所信表明でもお触れいただいておりますけれども、神戸港について本年三月に全面復旧が見込まれると力強くお述べいただいておるわけでございますが、改めましてその具体的な見通しにつきましてお伺い申し上げたいと思います。
  207. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) つい先般、阪神・淡路大震災から二周年ということで、私も総理のお供をして追悼式に参加させていただきました。当時、先生はまさにその復興の第一線で御活躍をいただいた先生でありますだけに、当時の痛み、また復興にかけられる情熱、そういったものがひしひしと伝わってくるわけでございます。  具体的に御質問をいただきました件について御報告を申し上げますが、まず神戸港の復旧についてでございますが、平成八年度末を目途に港湾機能の回復を図ろうということで、現在、運輸省、そしてまた港湾管理者であります神戸市を初めといたしまして関係者が大変な復旧事業の推進をしていただいているところでございます。  施設の復旧状況につきましては、第一線の防波堤は平成七年九月に復旧が完了いたしております。また、臨港道路及び新交通システムにつきましては平成八年の八月に復旧を完了いたしました。今後、係留施設について平成九年の二月現在、公共の岸壁が百七十バース中九十七バース、パーセントで申しますと約五七%が復旧を完了しております。残りの七十三バースにつきましても復旧の工事を随時推進しておりまして、三月末にはすべて完了する、こういう予定でおります。
  208. 芦尾長司

    芦尾長司君 ありがとうございました。  そこで、これは神戸港も含んだ話でございますけれども我が国の港湾の国際競争力ということについてお伺いいたしたいと思います。  我が国の国際貿易、ほとんどこれは海上輸送に頼っておると思うわけでございますが、今後我が国経済の活性化を引き続き維持、増大していくということのためには港の占める役割というのは非常に大きいと思います。そうした中で震災以前から、これは神戸港に限らず国際的な港間競争といいますか、それが非常に厳しくなっておるというふうに聞いております。  実際問題といたしましても港湾関係の料金の国際比較を見てみますと、平成八年度はちょっとわからないのですが、運輸省の「日本海運の現況」、平成七年度版でございますけれども、これでも日本が三百五十ドル、百十円換算でございますけれども、香港や高雄や釜山、シンガポールに比べて高くなっております。また、コンテナの取扱量にいたしましても昭和五十年、六十年、平成六年と、大体十年刻みでございますが、三位、五位、六位とだんだん順位を落として香港やシンガポール、高雄に抜かれておる。  こういったようなことになってきておりますが、現時点におきまして我が国の重要港湾の国際競争力をどういうふうに運輸省といたしましては御認識されておりますのか。今後、これは世界、特にアジアの諸港に負けずに、港湾発展のためにもどういうような対策をとっていけるのか、こういうことにつきましてお伺いをいたしておきたいと思います。
  209. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 先生も御指摘いただきましたように、国際競争が激化していく中でこの港湾の国際競争力を強化していくということは、我が国のこれからの経済の発展を考えた場合、非常に大事な、重要な課題だというふうに思います。  特に、今先生も具体的に外国の例をとって比較していただきましたけれども、コンテナ船の大型化が大変進んでいる中で、我が国はこの大水深コンテナターミナルの整備がおくれております。もう先生の御指摘のとおりでございます。そういうことを踏まえまして、第九次港湾整備五カ年計画におきましては、国際海運ネットワークの拠点となる三大港、これに北部九州の中枢国際港湾、いわゆる国際ハブ港湾における大水深、高規格のコンテナターミナルの整備というものに最重点を置かせていただいているところでございまして、積極的に進めてまいりたい、こういうふうに思っているところでございます。  今後、我が国が国際化の進む中で順調に経済発展を遂げるという意味では大変重要な課題だというふうに思っておりまして、積極的に進めてまいりたいと思っております。
  210. 芦尾長司

    芦尾長司君 大臣の力強い言葉をいただきまして、私どももこれから一緒に努力をしてまいらなければならないと思っております。  そうしたことの中で、それでは今度は、二十一世紀に向かって神戸港が国際港としてどういう役割を果たしていけばいいのか、こういうことになろうかと思います。これまでもアジアのマザーポートとして、また国際ハブ港として一応役割を果たしてきたと思っておるわけでございます。  実は今年度、県、市協力をいたしまして、震災復興の起爆剤にもしたいということで企業集積を促進し神戸港の港勢を一層増大していこう、そういうことで進出企業に税の軽減措置等をしていって企業を集積していただこうという、神戸企業ゾーンといいますか、ある意味ではいわば地域版のエンタープライズゾーンということになりましょうか、そうした条例の制定もいたしております。  さらには、今回、運輸省の御支援も得まして、いわゆるFAZ地域でございますか、それの特定集積地区第一号として承認も、一昨日でございますか、いただいた。こういったようなことで県が震災復興の決め手といたしまして推進してきておりますエンタープライズゾーン構想といいますか、そういうことが着々と整備されてきつつあるのを喜んでおるわけでございます。今後、こうした国の施策、例えば国税面でもまた優遇措置を講じていただくとかそうした一層の積極的な国の施策というものも導入いたしまして、総合的なエンタープライズゾーンといったようなものの設定が望まれております。  また、こういったことがこれからの二十一世紀に向かって今の国際的な港間競争に勝ち抜いていくための一つの重要な戦略になっていくのじゃないかなと、そういうふうにも考えられるわけでございますが、そうしたことも含めましてこれからの神戸港の位置づけといいますか、そういったようなことにつきましてお考えをお述べいただけましたら大変ありがたいと思います。
  211. 木本英明

    政府委員(木本英明君) 今、先生指摘になられましたように、神戸港は、震災前は日本外国貿易、コンテナ貿易の約三割強を扱う我が国を代表する、横浜港と並ぶ国際貿易港、いわゆるハブ港として機能をしてきたそういった重要な港でございまして、震災によってその機能は若干落ちましたけれども、先ほどお話しされましたように、現在八割ぐらいまで戻ってきておりますので、私どもは、引き続き神戸港を我が国を代表するいわゆるハブ港湾として整備し、そして機能させていかなければならない、こういうふうに考えているところでございます。  そういうためには、やはりハード、ソフト両面にわたっていろいろなてこ入れといいますか施策を展開していく必要があるだろうというふうに考えておりまして、ハード面では、先ほど大臣の方からもお話がありましたように、国際的に見て遜色のない大水深のコンテナターミナル、例えば十五メートル級のターミナルをやはり着実に整備していく必要もあると考えておりますし、もう既に神戸港は、昨年の四月に我が国最初の十五メートルのバースが二バースできております。引き続き三バース目、四バース目と今進めておるところでございます。そういったことで、国際水準並みのコンテナターミナルを整備しておくということが一つあると考えております。  また、ソフト面でもいろいろな施策が重要でございまして、やはりユーザーにとりまして使い勝手がよい港、そしてまた、できるだけ低コストで使い得る、そういう港にしていく必要もあるわけでございましす。その一環として、私どもと港湾管理者の方で、例えば入出港手続の簡素化にも一緒になって取り組んでおりまして、昨年の十一月でございましたけれども、全国の港に先駆けまして、入出港手続の簡素化の第一段といたしましてファクスでの受け付けをできるようにしてございます。聞くところによりますと、十二月の段階ではもう既に申請の六十数%がファクス化しているということで大変ユーザーに喜ばれておる。これがまた神戸港の機能を強化する一助になっているのではなかろうかと、こういうふうにも思っております。  また、やはり低コストのためにはいろいろな諸料金、貸付料等をできるだけ少なくする必要もあるわけでございまして、そういった面では現在、船が入ってきますと十二時間以内に出港いたしましても一日の料金を取っていたものを、例えば十二時間単位にしてできるだけユーザーにとって安い料金で済むようにするとか、そういったことも始めるように方針として決めておられます。  また、埠頭公社の大水深のコンテナターミナルの整備に対しましても、国の無利子貸し付けの比率を従来二割でございましたけれども三割に引き上げるなど、国としても相当の支援策を講じてきておるところでございまして、そういったことを総合的に展開していくことが大変重要であろうというふうに考えております。  また、そういった面だけじゃなくて、先ほどお話のありましたエンタープライズゾーン、いわゆる貿易機能のそういうソフトの方の機能も高めていく、貿易交流機能の強化を図っていくという観点から、一昨日、FAZの変更承認も得られたところでございまして、これに基づきまして、いわゆる国際流通センターの整備もこれから進められるやに聞いております。そういったことに対しますいわゆる民活法による支援制度も私ども持っておりまして、そういったことも積極的に支援をしていきたい、こういうふうに考えております。  いずれ、手続につきましても、ファクス化だけではなくて、最終的にはいわゆるEDI化、電子情報処理化できるように、いわゆるペーパーレスの手続ができるように、そういう方向にも持っていきたいということで関係の港湾管理者とも今いろいろ調査検討を進めております。  そういったことを総合的に展開することによって、国際的に見ても遜色のない港湾にしていくことができるのではなかろうか、こういうふうに考えておるところでございます。
  212. 芦尾長司

    芦尾長司君 ありがとうございました。  いずれにいたしましても、官民挙げて今真剣にこの港湾整備の問題に取り組んで国際競争力をつけていかなければならない重要な時期を迎えておると思います。一層の御精進をお願いいたしたいと思います。  一点、これは要望でございますけれども、今、神戸港の一層の港勢の活性化を図りたいということで、ポートアイランドの第二期を整備中でございます。そしてさらには、その南に神戸空港ができる、こういうことにもなるわけでございまして、都心とそうしたところを結ぶ鉄軌道の計画、これは運輸政策審議会の答申にも位置づけられておるわけでございますが、そうした計画が今地元でも検討に入っておるわけでございまして、これからどういう軌種等が効率的になるのか、またいろいろお知恵もおかりする場面が出てくるんじゃないかと思いますので、そうした際にはどうか御支援を賜りますようにお願いを申し上げたいと思います。  港湾関係につきましては以上でございまして、もしあれでございましたら、港湾局長御退席いただいて結構でございます。  それでは次に、ナホトカ号海難流出油問題につきましても若干触れさせていただきたいと思いますが、大分いろいろ御質問が出ておりますので、それこそ重複する部分が少しあるかもしれませんが御容赦いただきたいと思います。  まず一つは、今回の流出油事故災害につきまして全国知事会や関係府県、これは一昨日も緊急要望もしておると思いますが、その要望書につきましてはひとつ適切な対処をお願いいたしたいということを前提に申し上げまして、そうしたことを踏まえまして二、三お尋ねをいたしたいわけでございます。  まず一つが、この要望書にも触れられておりますし、先ほど亀谷委員の方からもお話もございましたが、賠償交渉を十分かつ円滑に進めていくための政府の窓口というものをぜひ確立していただきたいということでございます。  と申しますのは、私、考えてみますに、今回の事故災害というものは影響範囲がもう今や一府八県に及ぶ、非常に日本海沿岸について大きな被害をもたらしておるということ。さらには、対象となる被害が、油の回収経費でございますとか、直接被害、漁業とか観光の被害、それから間接被害、風評被害等もあると思いますが、そういうふうに非常に多様にわたっております。また、関係府県、こういうものにとりまして余り経験がない災害になっております。  一方、見てみますと、国際的な海事事件でございまして、保険者側といいますか基金側といいますか、これは経験豊かな海事鑑定人という方もおられるようでございまして、非常にダフネゴシエーターということになろうかと思います。  そういうことを考えてみますと、やはりこの被害というものの全体像というものを把握して対応していかなければならぬのではないかなということが非常に重要になってまいろうと思います。政府もその被害者の一員ということになっておるわけでございますが、そういうことの中で、政府においてはぜひ、先ほど運政局長さんが窓口になっていただくということで、非常に力強く思うわけでございますけれども、指導的な役割を発揮していただきまして、地方団体間の調整でございますとか、取りまとめということにぜひお力添えをいただきたいと思いますが、この点につきましてもう一度御答弁いただければと思います。
  213. 相原力

    政府委員相原力君) ただいま先生から御指摘がありましたように、今回の事故によります被害額、これが非常に広範囲かつ多額にわたっておるわけでございますが、これについての賠償の問題が今後非常に重要な課題であるというふうに認識しているところでございます。  基本的には船主側と被害者側との民事上の問題ではあるわけでございますが、こういう事故の重大性にかんがみまして、政府としても被害額について円滑な賠償が確保されるよう、全面的に支援をしていきたいというふうに思っております。  そういう意味で、国の一元的な対応窓口ということで、運輸省の運輸政策局が対応することといたしているところでございますが、既に今月の六日には関係の自治体あるいは漁業者団体等をお招きいたしまして、賠償の手続等につきましての説明会あるいは地方自治体等からの御要望を承る会も催しております。  また、十八日にロンドンで開催されました油濁損害賠償基金の理事会に日本政府の代表団も派遣いたしまして、ここでは、示談が決定された場合に六〇%まで仮払いをするということで早急な賠償を行う、円滑な賠償ができるというような態勢もとれるように努力しているところでございます。  また、相談体制の整備につきましても、関係者の意向を踏まえながら検討してまいりたい、こういうように考えているところでございます。
  214. 芦尾長司

    芦尾長司君 ぜひお願いをいたしたいと思います。  それからもう一点、これは賠償制度の内容についてでございますが、実は、これはもう知っている人はきちっと知っているということになろうかとも思うんでございますが、関係者を不安にしておる要素の一つに賠償制度の内容というのが非常に難しいということがあろうかと思います。基本的には油濁損害賠償保障法でございますか、これの運用になるわけでございますが、それが船舶所有者、船主といいますか船主責任、それから国際条約、国際基金というものが絡んで非常にわかりにくくなっておるのではないかなと。  そこで、整理をする意味でちょっとお尋ねさせていただきたいと思います。  まず一点は、これはロシアでございますが、これはこの法律の、ちょっとかたい話ですが、六条二項の責任条約のみの締結国として本法が適用されるのではないかなというふうに思います。そしてまた、今回の流出被害というものがこの法律に言う特定油濁損害ということになるというふうに考えるわけでございますが、そういうことを前提といたしますと、故意はともかくといたしまして、議論にもなっておりますけれども、過失の有無によりましては船主の責任が無限になったり有限になったりする、こういうことになろうかと思います。その場合、補償の仕組みというものはどういうふうに違ってくるのか、まずお尋ねいたしたいと思います。
  215. 岩田貞男

    政府委員(岩田貞男君) 今、先生お尋ねになりました内容でございますが、故意、過失の場合、故意がある場合は当然でございますが、過失がある場合であっても船主に賠償責任がございまして、これは限度がございません。損害額だけ、それも後ろに保険がついていますから保険のサーベイの関係があると思いますが、加入している任意保険で担保される、こういうことでございます。  ただ、じゃ船主に過失がない場合は何ももらえないのかというと、そうではなくて、今お尋ねがございましたような船主の責任と、それから国際油濁基金の限度額、これを合わせまして、具体的に言うと、最大一億三千五百万SDR、特別引き出し権、の分だけ基金から補償がされ得るということでございます。
  216. 芦尾長司

    芦尾長司君 そういたしますと、仮に船主の無限責任が問われるということになりますと、国際基金は、この法律からいきますと、船主から賠償を受けることができなかった特定油濁損害の金額について補償が行われる、こういうことになっておるわけでございます。しかし、一部の新聞報道によりますと、船主の過失の有無に関係なく基金から補償がまずなされるというふうに報道されているものもあるわけです。そうであればいいわけでございますが、この辺を確認しておきたいと思います。
  217. 岩田貞男

    政府委員(岩田貞男君) 今お尋ねのように、船主に、故意があったかどうかというのはちょっとこっちへおきますが、過失があったかないかというのは恐らく少し時間がかかるんだろうと思います。そんな場合を救うために、この油濁基金では、船舶所有者の故意や過失の有無が確定しない段階においてもこの油濁基金からの補償はなされるものでございまして、先ほど申し上げましたSDR分だけを限度になされるものでございます。  これを証左するということの一つの事例が、さっき運政局長から申し上げましたように、二月十八日に国際油濁補償基金の理事会におきまして、被害者ができる限り速やかに補償を受け得るように、被害者に対する暫定支払いが行われることが決まったわけでございます。  なお、蛇足でございますが、もし故意が船舶所有者にあったとすれば、あるいは大きな過失があったとすれば、それは油濁基金がその船舶所有者やあるいは船舶所有者が付保している保険会社に後から求償するという制度になってございます。
  218. 芦尾長司

    芦尾長司君 そういうことでございますと、いずれにしても一義的には国際基金が発動してくれると、こういうことになるわけでございます。その点につきまして、既にPRもいただいておると思うんでございますけれども地方団体関係者等に一層徹底していただきますと安心するのではないかなというふうに思いますので、どうかよろしくお願いを申し上げる次第でございます。  それでは、もう少し時間があるようでございますので、これはちょっとまた重複するかもしれませんが、船舶の航行状況の把握ということでございます。  ちょっと見てみますと、フィナンシャル・タイムズがこの一月二十三日に書いておるのによりますと、ロンドンのコンサルタント会社、ペトロリアム・エコノミックスというのがあるんだそうですが、そこで発表したタンカー使用に関する報告書によりますと、二〇一〇年までの世界のタンカーの展望というところでは、これまでも御議論がありますように、古いタンカーがなおこれから増加してくるだろう、こういう見込みのようでございます。  そういう意味では、先ほど来御議論いただいておりますように、ポートステートコントロールというものを強化していくということも今非常に必要であろうと思いますが、いずれにいたしましても、太平洋はともかく日本海をどういうタンカーが一体航行しているのか、そういう情報を把握しておくということがこれから非常に大切になってくるのではなかろうか。  今回の事故を起こしたこの一万三千トン級というのは、ある意味では小型な船ではないのか、もっと大きな船が通っているのではなかろうか、そういう情報の把握というものを国際的にお互いに把握をしておくことが非常に重要ではなかろうかと思うわけでございます。リアルタイムにそういうものをつかまえるということもなかなか難しいと思うわけでございますけれども、今回国際会議も開かれるというふうに聞いておりますが、そうしたことの中で御協議いただくのはどうかなと思うんでございますが、いかがでございましょうか。
  219. 相原力

    政府委員相原力君) 御指摘は、日本海あるいは日本の近海における、例えば老朽タンカーの航行情報について把握できないかという御指摘でございます。  フィナンシャル・タイムズのお話もございましたが、現在載貨重量一万トン以上のオイルタンカーが世界で約二千五百隻、これはロイズ統計によるものでございますが、そのうち船齢二十五年以上の船舶、これは九五年末時点で約百六十隻でございます。総トン数で申し上げますと、全体の約六%に相当すると推計されているところでございます。  ただ、先生指摘のように、その船がどういう形で航行しているかということは、これは日本に出入港する船舶は当然把握できるわけでございますが、出入港しない船舶については残念ながら公表された統計もなく、先生指摘のように、現状では把握が困難であるのが実態でございます。  ただ、御指摘のように、事故再発防止の観点からは、そういう航行情報の把握についても非常に重要な情報であるというふうに認識しておりますので、今後の検討の一環としてそういう実態の把握についても検討してまいりたいというふうに思っております。
  220. 芦尾長司

    芦尾長司君 最後に、即応体制の確立ということで今までも訓練の問題、それから被害想定の問題等も御議論が出ておるわけでございますが、私も今回の災害の関係者の一人といたしまして、やはりこういう被害というものは、被害の全体像というものをいかに早く察知するか、キャッチするかということが一番重要になってまいると思います。  そういう意味で、被害想定というものを、できるだけ今回の災害というものを教訓にされまして、徹底的に分析もいただきまして、被害想定を行いまして、そういうものに基づいて訓練を行う。それはただ単なる訓練じゃなくて、目的意識を持ったそういう訓練というものが非常に大切になってくるのではなかろうかなというふうに思うわけでございます。当然そのときには、先ほど長官も触れられましたが、地方団体関係団体も巻き込んでやっていただく必要もあると思います。  いずれにしても、そうした目的意識を持った訓練というものをぜひこれから有機的にお取り組みいただければと思いますが、御答弁いただければと思います。
  221. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 私も、今回の油の流出事故の重大性にかんがみまして、大変反省をさせられました。具体的に今先生が御指摘いただきました訓練の問題等含めまして、きょうも各先生方から具体的な問題点の御指摘もございましたし、またさまざまな参考になる御提言もちょうだいいたしました。私といたしましては、今回の事故を教訓といたしまして、再発防止に対しましては全力を尽くして取り組んでまいりたいと考えております。
  222. 芦尾長司

    芦尾長司君 どうもありがとうございました。
  223. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時五分散会