○瀬谷英行君 外交上の問題になると思いますけれ
ども、やはり我々が感じただけでもちょっとこれは逃げ腰じゃないかな、
責任を回避しようとしているんじゃないかなということがありありとわかるような姿勢をとるというのは余り利口じゃないと思うんですね、ロシアとしても。今後の問題、そういう態度をとるのならいろいろな協力や援助ということについても考えなきゃいけないということになるんですから。
そこで、何かぶつかってこうなったんじゃないかなんという言い逃れをしますけれ
ども、五十年前ならば残っている機雷がぶつかって船が沈んだんじゃないかという想定もできるんですけれ
ども、戦争が終わってからもう半世紀以上たっているんですから、そんなことはやはり言い逃れの理由にはならないんですよ。
そこで、こういう問題を今後どうしたらいいか。何しろ、こういう古い船を使うということは、
日本で使っているわけじゃないんだから、ロシアに対して物を言うといっても向こうが素直に言うことを聞くかどうか、これがわからないんです。このタンカーだって一万三千トンもあって、それが少しぐらい波が高いからといってぼっきり折れてしまって沈むということは我々には考えられないですよ。そういう老齢船で今でも重油をたくさん積んで運んでいるということ自体が問題なんです。これはやはり国際的な問題として
指摘をしなきゃならないと思います。
日本では、老齢船というのは十四年以上は老齢船と、こう言っているんですね。これは二十七年というんでしょう。二十七年になるとどういうことになっちゃうか。老齢も老齢いいところです。これは犬だったら十五、六歳が寿命だから、とっくに寿命が過ぎて死んでしまっているんです。人間だったら百以上です。ぎんざん、ぎんさんに重い荷物をしょわせて働かせているようなものだ。こういうことをやらせちゃいかぬと思うんですね。
しかし、
外国のことだから指図するわけにいかないが、しかし事の次第によっては近海に迷惑をかけるんですから、こういうことはやはり隣の国として言うべきことはちゃんと言わなきゃいかぬだろうというふうに思います。だから、そういう点も考慮をして物を言ってもらいたい、こういう気がいたします。
それから、この
対策なんですけれ
ども、
日本海沿岸に油が流れてしまった、どうしたらいいか、いい知恵がないからというので、結局はバケツとかひしゃくでもって油をすくうと。ボランティアの人たちに御苦労を願うということになるんですけれ
ども、あの広い海に流れた油をひしゃくとバケツでもってすくい出すというようなことじゃ、いかにもらちの明かない話なんですね。だから、こういう場合の船がある程度配備されているということが必要になってきます。
海上保安庁でもっていろいろと、この間ビデオも見せていただきましたけれ
ども、あの荒天の中を千トンぐらいの保安庁の船が揺れに揺れながら仕事をしているのを見せていただきました。ああいう苦労をしているんですけれ
ども、じゃ、そういう油
対策の船というのが特にあるかというと、清龍丸といいましたかね、一隻しかない。それが名古屋か何かに配備されているというんでしょう。仮にあの船がそういう仕掛けを持っていたとしても、
日本海でもって事故が起きた場合に、名古屋から
日本海に駆けつけるとなったら、これは新幹線で行くわけにいかないんだから、そうするといいかげん日にちがかかりますね、いや応なしに。急場に間に合わないということになる。
こんなことはめったにないことだとは思うのですけれ
ども、やはりそういう
対策というものが立てられるような、あるいは処置ができるような船を持っている必要があると思うんです。だから、それには、そんな船が一隻ぐらいしかないというのではこれはいけないと思うんで、例えば
日本海側に一隻、太平洋側に一隻、九州に一隻、北海道に一隻ぐらいの割合でその種の多
目的の船が配備をされていたならば役に立つんじゃないかなという気がいたします。
ただ、そういうことを専門にして動く船をつくるとなるとなかなか大変だろうという気がいたしますけれ
ども、この海上保安庁の巡視船にいたしましても、そういういろんな
ケースに適応できるような設備を整えるということは工夫すればできるんじゃないでしょうか。今回の経験を生かさなきゃいけないと思うんです。今回の経験を生かして、例えば油をこぼすなんというのは、そういう船はめったにないとは思いますけれ
ども、あった場合には今回のように大変な思いをしなきゃならない。だから、そういうことも考えた設計をこの巡視船に施すということもあっていいんじゃないだろうか。
それから、これは海上自衛隊との協力
関係ですよ。これは
運輸省だけの問題じゃなくて、こういう海上でもってこの種の事故が起きた場合には海上自衛隊とも
連携をとって仕事をするという体制を考えたらどうかという気がいたします。
昔は海軍の軍艦の中に掃海艇というのがあったんですね。機雷か何かを処置するというのが
目的だったらしいんですけれ
ども、海の掃除をするという字句が今でも掃海艇といって残っているんですから、ああいう船なんかもやはり
日本の港、各地に配備されているんですね、北から南まで。だから、そういう船舶の性能なんかについても、いろいろ金はかかるかもしれないけれ
ども、多
目的に活動ができるように考える。そして、
日本の要所要所にそういう船が配備をされて、事があるときには直ちに出動できる、こういう体制がとれないものだろうかということをやはり今回考えました。
その点も
運輸行政の一環として、自衛隊とどういう程度に協力できるかということはこれまた別の問題かもしれないけれ
ども、
運輸省、海上保安庁として考えられることはやはり今までよりも手を広げてその
対策というものを考えていいんじゃないかなと、こういう気がするので、その点、
大臣の見解を伺いたいと思います。