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1997-04-11 第140回国会 衆議院 労働委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月十一日(金曜日)     午前九時三十分開議 出席委員   委員長 青山  丘君    理事 荒井 広幸君 理事 大野 功統君    理事 佐藤 剛男君 理事 森  英介君    理事 河上 覃雄君 理事 桝屋 敬悟君    理事 岩田 順介君 理事 金子 満広君       飯島 忠義君    大石 秀政君       粕谷  茂君    河井 克行君       小林 興起君    竹本 直一君       棚橋 泰文君    能勢 和子君       藤波 孝生君    綿貫 民輔君       鍵田 節哉君    塩田  晋君       西田  猛君    福岡 宗也君       吉田  治君    近藤 昭一君       中桐 伸五君    松本 惟子君       大森  猛君    村山 富市君       畑 英次郎君  出席国務大臣         労 働 大 臣 岡野  裕君  出席政府委員         労働政務次官  小林 興起君         労働大臣官房長 渡邊  信君         労働省労働基準         局長      伊藤 庄平君  委員外出席者         科学技術庁原子         力安全局核燃料         規制課長    片山正一郎君         参  考  人         (動力炉・核燃         料開発事業団理         事)      中野 啓昌君         労働委員会調査         室長      中島  勝君     ――――――――――――― 四月八日  労働福祉事業団法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一二号) 同日  季節労働者冬期援護制度の延長・改善に関する  請願大森猛紹介)(第一五四三号)  労働基準法女子保護規定撤廃反対に関する  請願畠山健治郎紹介)(第一六二七号)  実効ある男女雇用機会均等法改正労働時間に  かかわる労基法改正に関する請願坂上富男君  紹介)(第一七五三号) 同月十一日  実効ある男女雇用機会均等法改正労働時間に  かかわる労基法改正に関する請願瀬古由起子  君紹介)(第一八五三号)  労働基準法女子保護規定撤廃反対に関する  請願石井郁子紹介)(第一八五四号)  同(大森猛紹介)(第一八五五号)  同(金子満広紹介)(第一八五六号)  同(藤木洋子紹介)(第一八五七号)  同(藤田スミ紹介)(第一八五八号)  労働法制改悪反対等に関する請願石井郁子  君紹介)(第一九三四号)  同(辻第一君紹介)(第一九三五号)  同(春名直章紹介)(第一九三六号)  同(東中光雄紹介)(第一九三七号)  同(藤木洋子紹介)(第一九三八号)  同(藤田スミ紹介)(第一九三九号)  同(古堅実吉紹介)(第一九四〇号)  同(正森成二君紹介)(第一九四一号)  同(山原健二郎紹介)(第一九四二号)  同(吉井英勝紹介)(第一九四三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月三日  労働基準法女子保護規定撤廃反対に関する陳  情書外五件  (第一五五号) 同月十日  労働法制充実に関する陳情書  (第一九一号)  労働基準法女子保護規定撤廃中止と実効ある  男女雇用機会均等法に関する陳情書外四件  (第一九二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  労働福祉事業団法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一二号)      ――――◇―――――
  2. 青山丘

    青山委員長 これより会議を開きます。  内閣提出労働福祉事業団法の一部を改正する法律案議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。岡野労働大臣。     —————————————労働福祉事業団法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 岡野裕

    岡野国務大臣 おはようございます。  ただいま議題となりました労働福祉事業団法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  我が国における東京都区部への人口及び諸機能の過度の集中による弊害に対応するため、政府におきましては、多極分散型国土形成促進法規定に従い、国の行政機関及び特殊法人について、東京都区部からの移転の推進を図る旨の閣議決定等を行っているところであります。  この法律案は、このような要請を踏まえ、労働福祉事業団の主たる事務所移転を初め、所要の改正を行おうとするものであります。  次に、その要旨を御説明申し上げます。  まず第一に、労働福祉事業団の主たる事務所の所在地を東京都から川崎市に変更することといたしております。  第二に、労働福祉事業団監事理事長または労働大臣意見を提出することができるようにすることとしております。  第三に、労働福祉事業団理事及び監事任期を四年から二年に変更することとしております。  その他、関係規定整備を行うこととしております。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。
  4. 青山丘

    青山委員長 以上で趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 青山丘

    青山委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として動力炉・核燃料開発事業団理事中野啓昌君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 青山丘

    青山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  7. 青山丘

    青山委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福岡宗也君
  8. 福岡宗也

    福岡委員 私、ちょっと腰を痛めておりますので、立ちっ放しできようは質問をさせていただきたいというふうに思いますので、御了承をいただきたいというふうに思います。  新進党の福岡宗也でございます。  先ほど趣旨説明のございました労働福祉事業団法の一部改正法案につきましての御質問を申し上げたいと存じます。  ただいまの趣旨説明にございましたように、この法案の主な内容というのは、事業団の主たる事務所東京都から川崎市に移転をするということと、それから役員任期を四年から二年に短縮をする、また監事意見を提出するということを法に定める、こういうようなことが主な内容のようでありますけれども行政改革におきまして特殊法人改革審議をされておるという折でもございますので、事業団設立当時の目的理念というものが現在十分に実現されているかどうかということを検証するというような趣旨で、若干全般にわたって御質疑を申し上げたいというふうに思うわけでございます。  労働福祉事業団は、昭和三十二年に法律に基づいて設立をされた特殊法人でございます。その設置目的とするところは、国が実施をすべき労働者災害補償保険法労働福祉事業を、国に代行をして適切に、かつ能率的に行うとともに、労働災害予防に資するための必要な資金の融資を行うことによって労働者福祉の増進に寄与するということになっているわけでございます。そしてその目的を達成するための業務といたしまして、労働福祉事業のうち療養施設リハビリテーション施設設置運営並びに労働災害予防労働者健康維持のための資金の貸し付けを行うこととされておるわけでございます。  そして、昭和三十二年、この法案提案がなされまして、衆議院において審議をされたわけでありますけれども、そのときに労働省は、労働福祉事業団設立する必要性ということについて次のようなことを述べているわけであります。説明をしておるわけであります。  その第一の説明は、当時国は保険施設設置運営を一財団に委託をしていたわけでありますけれども、その事務能力等の点から責任体制に欠けるところがある、適当ではない、そして政府がみずからこれを実施をするという、いわゆる直営ですね、直営とするということについても、行政機構の拡大というおそれがある、またその能率的、合理的な運営という面から考えてみても最善の方法ではない、したがって、むしろこの際、このような設置運営業務というものは、国の代行機関たる性質を有する労働福祉事業団というような法人設立しまして、これに行わせるということが最も適切なんだというふうに言っているわけであります。  それから第二の理由としまして、この事業団は、国の代行としていろいろな運営を行わせるわけでありますので、労働大臣が十分にこれを監督していく、そして監督上必要な命令等も発するようにします。そしてまた事業団業務監督については、特に労働省の中に労働福祉事業団監理官一人を置くこと、そして十分にやっていきます、こういうような説明をしておるわけであります。  すなわち、保険施設設置運営においては、そのことだけを運営する目的を有する法人設立してこれに専念させるということで、適切で、かつ能率的、合理的な運営を図っていくのだ、しかし同時に、その設置運営が適切で合理的で、かつ公正になされているかどうか、これについては労働大臣が十分に監督をしますから、ぜひともこういう法人設立させてほしい、こういうようなことであったわけであります。  しかも、さらに当時の社会労働委員の中からの質問答弁をするという形でもって、労災による傷病療養リハビリテーション施設設置運営ということは、広く国民医療一端、いわゆる国民全体の医療というものの一端を担うというものであって、他の国公立医療施設設置運営等を総合的に検討をして、適切なる設置運営をなしていく。したがって他の省庁、地方公共団体とも十分に協議をして、国民医療を受ける権利の均等等についての配慮も十分にするという説明をしておるわけであります。かような理念、それから総合的な国民医療という見地から十分な施策実施していく、監督もしていく、こういうようなことなのであります。  したがいまして、果たして現在の労働福祉事業団設置運営というものがこのような理念目的に沿ってなされているかどうか、これを検証したいというふうに思うわけでございます。  そこで、まず最初に、国の医療行政総合的施策実施という点から見て、こういった施設設置、拡充をしてきたということについてお伺いしたいわけであります。  そこで、まず第一に、昭和三十二年に事業団設立をされました当時における労災病院及びその他の諸施設の数といいますかその内容と、それから現在の労災病院とその他の諸施設の数、これをまずお教えいただきたいというふうに思うわけであります。  これは担当者の方、お願いします。
  9. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 お答え申し上げます。  御指摘ございました労災病院でございますが、それを運営する労働福祉事業団昭和三十二年に設置されまして、この労災病院等運営に当たってまいったわけでございます。  この労災病院設置数につきましては、逐年ふえてきておりまして、ただ、平成三年以降新設をストップいたしておりますので、現時点では三十九の労災病院運営に至っております。それで、そのうち医療リハビリテーションセンター、総合せき損センターというかなり専門性に特化したものがございますが、それを含めて三十九でございます。  それで、設立当時は、労災病院設置に当たりまして、やはり当該地域での労働災害状況あるいはその地域での医療機関状況、さらには当該地域における都市計画、あるいは勤労者、家族の利用の便、そういったものを考慮しながら設置してまいりまして、現在の数に至っているところでございます。
  10. 福岡宗也

    福岡委員 そうしますと、労災病院といたしましては、設立当初十九だったのが三十九と、二十ぐらいふえたということですね。その他の施設もふえている。こういうようなことですけれども、この諸施設設置についての基本方針ということでは、この事業団業務方法書の第四条に規定があるわけでございます。  ちょっと紹介しますと、「施設設置する場合は、当該施設設置目的を勘案して、当該地域事業場及び労働者状況、同種の機関設置及び運営状況当該施設設置後の利用者状況並びに事業団経理状況及び既設の設置運営状況等を十分に考慮しなければならない。」こういうような規定になっております。  さらに、労災病院設置につきましては、これも法律ではなくて業務方法書の第八条に、「労災病院設置するにあたっては、特に当該地域における業務災害及び通勤災害状況当該地域における各種医療機関設置状況等を考慮しなければならない。」というふうに規定がございます。  さらに、医療法の第七条の二の第五項によると、「事業団は、病院を開設し、又はその開設した病院につき病床数を増加させ、若しくは病床の種別を変更しようとするときは、あらかじめ、その計画に関し、厚生大臣協議をしなければならない。」こういうような規定が置かれているわけであります。  すなわち、総合的医療という観点から、いろいろな諸施設との間の整合性というものを考えて適正配置をしなければならぬということで、そういった施設、また施設管理者等と十分な協議をしなければならぬということなんですけれども先ほど言ったように倍以上の施設をどんどん設置してきたのですけれども、具体的にどういうような協議がなされてきたか、ちょっとお教えいただきたいのです。
  11. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 労災病院設置でございますが、先生御指摘ございましたように、労働福祉事業団法、それからそれに基づく業務方法書におきまして、御指摘のございましたような他の医療機関あるいは勤労者分布状況利用便等を考慮しながら設置してまいったわけでございます。  ただ、御指摘のように三十年代に始まっておるわけでございますので、その当時の労働災害動向というものも当然考慮しながら設置を進めてまいりました。そういった結果、現在、先ほど申し上げましたように、二十八都道府県に三十九の病院という状況になっておりますが、例えば当時の炭鉱による労働災害、こういったものも多かった時期に進められてきた経過もございまして、例えば同一都道府県に複数の労災病院があるといったようなケース、そういったところも七都道府県に存在するわけでございます。  そういったことも現時点では見られておりますが、私ども、今後の労働福祉事業団、さらには労災病院のあり方の一つとして、そういった点も今後の問題点として認識はいたしておるところでございます。
  12. 福岡宗也

    福岡委員 そうしますと、他施設管理者との協議ということでなされたということのようですけれども労災病院配置といいますか、そういったものが、他の国公立病院と違った配置特色のようなものがあるのかどうかということがまず第一点。  それからさらに、労災に基づく傷病療養リハビリをするという目的を有する施設ということでございますから、その医療内容等についても、他の医療機関と違った特色というものはどういう点にあるか、その点をどういうふうに工夫されてきたのかという点について御質問をいたしたいというふうに思います。  この二点をお伺いいたします。
  13. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 労災病院は、勤労者方々の健康を確保し、災害あるいは疾病等予防から、もし不幸にしてそういった災害に遭われた場合には、高度な医療によって治療を行い、さらには社会復帰につなげていくためのリハビリテーション、これらを一貫して行う、こういうところに労災病院の大きな特徴がございます。  したがいまして、そういった点に我々も着目いたしまして、一つは、地域勤労者方々疾病予防のために、職業歴疾病との関係について情報を把握しながら、適切な予防について指導なり情報提供を行っていく。  また、治療面におきましては、労働災害動向に合わせまして、例えば脳神経あるいは整形外科等の分野でかなり高度な医療技術開発あるいは水準の向上を図ってきておりまして、そういった治療を行っているところでございます。  それから、とりわけ労災病院一つ特徴といたしましては、日常生活をまた送れるようにするためのリハビリというよりは、さらに社会復帰職業復帰をにらんだリハビリテーションを行う、こういうことで、理学療法等にもかなり力を入れておるのが労災病院の大きな特徴一つになっております。
  14. 福岡宗也

    福岡委員 では、引き続きましてもう一つ質問したいのですけれども労災病院におきます労災患者一般患者との比率の推移について、資料があればこれもお教えをいただきたいわけであります。ここ数年ぐらいのところ、十年未満ぐらいのところでどういうふうに推移しているか、ちょっと御説明いただきたいというように思います。
  15. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 設立当時から若干経緯を申し上げます。  まず、入院外来数字が異なりますので、入院外来に分けて御説明申し上げたいと思います。  まず、入院の方で申し上げますと、発足当時の昭和三十年代は労災被災者比率が大体三割後半から四割の水準でございました。当時は病床数等も非常に少ない、あるいは労働災害動向かなり重度の災害が多発していた、こういう背景がございます。その後こういった比率は下がってきておりますが、平成七年で申し上げますと六・五%の水準でございまして、ここ数年、大体そういった横ばいの動向でございます。  それから、外来の方で申し上げますと、発足当時の昭和三十年代は大体十数%、こういう水準でございましたが、現時点で、平成七年で申し上げますと三・六%という数字でございます。  こういった背景には、もちろん労働災害動向という事情がございますが、私ども、一方では、広く勤労者医療という考えのもとに勤労者健康確保というような方面にも力を入れてきたこと。あるいは産業医制度発足等もございまして、そういったところで把握された健康診断等の有所見者を、労働災害という以前の段階から、できるだけ労災病院の方にお迎えするような形をとってきたこと。それから労災保険制度事務処理便宜等、あるいは被災者便宜等も考えまして、一々被災労働者が費用を一たん負担しなければならないという形をなくすために、労災指定病院制度を拡大してまいりました。そういった病院に対しては、もちろん労災病院各種臨床データ等提供、援助を行っておるわけでございますが、そういったところで第一次的な診療を受ける労災被災者がふえた、こういったこと等の背景もございまして現在のような水準になっている次第でございます。
  16. 福岡宗也

    福岡委員 次の質問ですけれども昭和五十九年の四月に、労働者災害補償保険事業に関する行政監察が行われまして、その改善勧告がなされているわけでございます。その内容をちょっと言いますと、今後需要の伸びが期待をできないものとして新しく設置をする必要に乏しいものということで、労災病院労災保険会館労災委託病棟というのが挙げられているわけであります。  このうち、労災病院について新設する必要がないと言っておる勧告内容、どういう理由でそういうことを言っているのかということ、それから、それに対応して労働福祉事業団の方ではどのような対応をしてきたかという点について御答弁いただきたいと思います。
  17. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 御指摘のございました行政監察の結果に基づく勧告でございますが、その中では、今後労災病院新設を抑制することという指摘を受けておるところでございます。  これにつきましては、労災病院については、先ほども申し上げましたように、地域的な位置づけ等もいろいろ今後の課題としてあるというようなことも問題の背景にございまして、労災病院の今後の新設を抑制し、むしろ労災病院としての役割を高めていくための内容、質の改善に向けてはどうか、こういうことがあったのではないかというふうに考えております。  私ども、そういった見地から出されました勧告につきましてはこれを真摯に受けとめまして、例えば労災病院新設につきましては、平成三年に横浜労災病院ができましたが、これを最後に今後新設は行わないということで、そういった方針のもとに対応をいたしてきておるところでございます。
  18. 福岡宗也

    福岡委員 そうしますと、端的に言うと、そこで指摘されているというのは、先ほどもあなたの方から御説明いただきました、労災患者比率というのが年々著しく低下をしてきておるということですね。さらには、労災指定医療機関というものが非常に多くなって、私ども調査によると現在二万六千ぐらいになっているようですけれども、そうすると、労災病院の果たす役割というのが相対的に低下しておるという現状を踏まえて、これ以上投資をしてそういうものをふやしていくこと自体は不適切だ、結局はこういうことになるのですか。結論だけ。
  19. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 この勧告につきましては、今後の新設については抑制するようにという指摘を受けているところでございますが、その背景につきましては、必ずしも御指摘のように労災病院としての役割が減ってきたということではないというふうに私ども理解しております。  と申しますのは、労災病院先ほども御説明しましたように、労災病院としての特色を出すために、予防から高度な医療あるいは社会復帰のためのリハビリテーションというものを一貫して行うかなり高い水準病院として社会的な信頼も得ておりまして、そういったことから地域医療計画の中にも組み込まれて、地域住民からも信頼を得て、外来等の方も、一般労働災害被災者以外の方もかなり見えてこられている、そういった状況にあるわけでございます。  私ども、これからの役割といたしましては、むしろ数としてはある程度整備されてきた。したがいまして、労災病院として、ただいま申し上げましたような特色を本当に勤労者の方の役に立てる、そしてそれが健康の確保なり労働災害予防、あるいは不幸にして被災された方の社会復帰促進につなげる、こういったことの質を高めていく、そういう方向に努力してまいりたいと思っておるところでございます。
  20. 福岡宗也

    福岡委員 そうしますと、結局、数としてはもう大体整備がついてきて、要するに当初の目的労働災害特有治療、システムといいますか、そういう治療充実強化、そういうような形の方にむしろ重点を置く時期に来た、こういうようなことですね。  それにも関連しますのでちょっとお聞きしますけれども平成五年六月の行政監察による改善措置というのがまたなされておりまして、やはりこの場合も、労災病院の数の新設の抑制ということが指摘をされている。これは同じ問題だから結構ですけれども、それと同時に、労災病院配置検討ということが挙げられておると思うのですね。結局、この配置が適正でなくなっておるということだと思うのです、他の国公立病院との、病院全体、国民医療という面から見て。  そういうようなことだと思うのですけれども、その内容と、これに対して現在、事業団の方としてはどのように対応しておるか、この点について御答弁をいただきたいというふうに思います。
  21. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 御指摘のございました平成五年の行政監察結果に基づく勧告でございますが、その中で、今後労災病院配置については、地域医療動向等も踏まえつつ、労災病院としての果たすべき役割機能を含めて検討して、その配置等についても具体的な検討を行え、こういう趣旨の御指摘を受けているところでございます。  それで、私どもこの労災病院設置につきましては、現在新設は行っていないところでございますが、過去、労働災害動向等に応じつう設置してきた病院につきまして、現時点地域医療、とりわけ地域こ住んでおられる勤労者の役に立てていく、こういう観点から見ると、やはりその役割機能という一面と同時に、その配置の場所についても今後一つ検討課題であろうというふうに受けとめております。  現在私ども特殊法人の今後のあり方等が問われている中で、やはりこの労災病院についても、その役割機能というものを高めると同時に、効率的なものにしていくための検討を急いでおりますが、そういった中の一環として、地域関係者等の意見も聞きつつ、この配置のあり方についても一つの課題として真剣に検討をいたしてまいりたいということで取り組んでおる……(福岡委員検討しておるのですね、今」と呼ぶ)はい、取り組んでおるところでございます。
  22. 福岡宗也

    福岡委員 そこで、結局、今の配置の問題というのは、事業所の数とか労働者数というのが地域によって、例えば炭鉱などは、その当時非常に人員も多かったし事業所も多かったということで労働災害がたくさんあった、だから、その地域にはある程度集中してきたという過去のこと、これはやむを得ないというふうに思うのですけれども、そういうものが時代によってどんどん変化しているわけですよ。  したがって、それに的確に対応して真に労働者のためになるような配置を行っていくという見百しを常時していかなければならないのが、はっきり言えば後手後手になってきてしまった。したがって、行政監察においてそのような指摘を受けるという結果になったというふうに思うわけです。したがって、これからはやはり、きめの細かいそういった対応というものを不断に心がけていく必要があるというふうに考えるわけであります。  特に、先ほども御指摘ありましたような、労災病院における労働災害比率が年々減少しておる。しかもまた、後に言いますように、非常に経費も増大して赤字が累積しておるというようなこともありますので、やはり、本当に質を高めて、配置も的確にやるというようなことをきちっとしてもらわなければいかぬ、そうでなければ、むしろこういった事業団必要性すらまた問われてしまうということになりかねないというふうに思うわけです。それをまた恐れるわけであります。  そういう意味で、今後どういうふうにしていくかということについて、これは労働大臣の方から所見を承りたいというふうに思うのです。こういうぐあいにやっていくということについての決意のほどをちょっとお願いしたいと思います。
  23. 岡野裕

    岡野国務大臣 先生おっしゃいますような一言一言、皆肯繁に当たっていると私は思います。  何せ昭和三十二年にできました。配置から見ましても、先生、炭鉱向けになっているではないかでありますが、私も、この全国の配置の地図を見ておりますと、北海道は非常に広いです。広い中でどこにあるか、美唄にあります。三井、三菱、両方とも美唄は大炭鉱でありますね。釧路、今もまだ健全であります太平洋炭礦ですね。それから岩見沢、この辺は全部閉山になった地域でありますが、やはり炭鉱中心。東北、八戸、もう東北北部では唯一の工業都市です。その次が大館、ああ同和鉱業の小坂鉱山だな。私の福島県はどこにあるか、いわきにあります。つぶれてしまった常磐炭田。ああ、なるほどなと思いつつ先生のお話を聞いております。  やはり、ちょうど病気の場合でも、戦後間もなくは肺病がまだまだ一番大変だったのです。今は肺病じゃなくて三大成人病と言われる方にどんどん移ってまいりました。そういうようなことで、病院配置も、それから患者さんの中身も変わってきている、それに合わせてどんどんやりたい。  しかしながら、案ずるところ、一遍病院を置きますれば、患者の皆さんがやはり便利であります。その市としても、やはりいなくなってしまうというようなことではということで、我々は行革の勧告と、前々から自分でも知っております、その方向でなければならぬと。しかしながら、簡単につぶして、はい、というわけにいきません。だから、ここを小さくして大きなところを新たに設ける、いや、新設はまかりならぬ、というようなことがあって、私まだ数カ月しか労働省経験ありませんけれども、先生のおっしゃるような御意図が、私どもも持ちながら、なかなか実行し得ないのではないか。  しかし、時まさに行革の時期であります。これらもそれぞれ保険によって賄っているわけでありますので、これから鋭意その方向で我々も努力してまいりたい、こう思っております。よろしくお願いいたします。
  24. 福岡宗也

    福岡委員 それから次に、やはり昭和三十二年、労働福祉事業団法案を提出されましたときの説明におきまして、こういった事業団という法人設立いたしまして、これに代行させるということによって、適切でしかも能率的な、かつ合理的な運営をする、経営的にも非常にしっかりとした経営をしていく、こういうような御説明がなされているわけでございます。  そこで質問ですけれども、この事業団の過去十年間の損益の額、それから現在の累積赤字の額、これをちょっと御説明をいただきたいというふうに思います。
  25. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 まず、労災病院の収支面でございますが、平成七年度で見ますと、私ども、収入が労災病院関係約二千四百五十億程度でございます。それから、支出につきましては二千四百十五億、こういったことで行ってきております。  ただ、この労災病院につきましては、収支、こういったことで現在プラスになるように私ども効率的な改善に努めてきたところでございます。ただ、先生御指摘ございました中に今までの欠損の点の御指摘がございますが、これにつきましては、労災病院特殊法人である労働福祉事業団運営に当たっておりますので、特殊法人等の会計処理基準に従いまして、私ども、こういった民間でいえば減価償却費に相当する部分につきましては、一応、損金、欠損として計上する経理上の扱いをいたしております。  これに見合いますのが、私ども先ほど来申し上げていますような、労災病院としての特徴ある、予防から医療リハビリというものを行うための、いわば採算になかなか合っていかない部分につきまして、いわば出資金という形で高額医療機器あるいは施設整備等行っております。こういったことに相当するわけでございまして、これは必ずしも民間でいう赤字に相当するものではございませんが、そういったあれにつきましては、例えば平成七年度で申し上げますと二百億程度の減価償却費見合いの損金を出している。ただそれは、冒頭も申し上げましたような、収支計算すれば、全体とすれば四十二億弱の利益を出している、こういった状況こなるわけでございます。  それから、人数につきましては、今、過去の人数、ちょっと資料持ち合わせていないので大変恐縮でございますが、現時点では約一万三千人の労働福祉事業団全体の規模になっております。そのうち、労災病院の医師、看護婦あるいは理学療法等を行う技術者が大多数でございます。医療法水準に合わせていくために確かに定員はずっとふえてきております。  ただ、ここ二、三年、特殊法人としての定員の抑制に厳に取り組むために、いわば共適役務等につきましては民間委託等を進める、定年退職者の不補充を図る、こういうことで、定員の増加につきましては、ここ二、三年かなり抑制をいたしておりまして、ごくわずかの増にとどめている状況にございます。
  26. 福岡宗也

    福岡委員 累積の損金の総額はちょっと御説明なかったのですが、これは現在どうなっておりますでしょうか。
  27. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 繰り越ししてまいりました欠損金の累計でございますが、平成七年度で千五百三十億という額になっております。
  28. 福岡宗也

    福岡委員 ただいま御説明のありましたように、減価償却というもので落としてきたからこういう累積の損金が出たということですけれども、やはり設備投資をしていく、さらには労災にふさわしいよりな医療施設も、医療機器もどんどん入れていかなければならない、これは全部政府の方から出資金という形で出てくるわけであります。そして、つぎ込んだのが、結局、今の千五百幾つぐらいのものが、どんどんつぎ込んで累積になつてきたという結果だろうと私も思うのです。  そうすると、今後やっていくことについて、この累積赤字をどんどんふやしていくということは、国庫の負担がそれだけ大きくなる、税金がかかるということで、しかも相対的に役割が減少するというようなことになれば、やはり効率的じゃないから、一般医療機関と統合的な施策でやれというような話にもなりかねないので、これは、やはり減価償却というけれども、その辺も含めてプラスになるような形で経営努力をしていく必要がある、こう考えるわけですけれども、その点、どうでございましょうか。
  29. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 お話にございましたこの繰り越しの欠損金でございますが、もちろん、先ほど説明申し上げましたように、減価償却費見合いを会計基準上上げているということで、いわゆる赤字という性格のものではございませんが、ただ、一般の民間企業では、減価償却費を、みずからの利益からその財源を捻出いたすわけでございまして、そういったこととの均衡上、それが大きな額になっていくということは好ましくないということは私どもも認識いたしているところでございます。したがいまして、労災病院につきましても、その機能充実等を図ることはもちろんでございますが、同時に効率化を進めてまいりたい。  例えば、平成三年以降、この新設のストップをいたしてきておりますし、また既設の労災病院につきましても、例えば、施設整備等につきましても真に必要なものに限って行う、こういう方針をとってきておりまして、今後、そういった方針をより的確な運営に当てはめをしていくことによりまして、その欠損として計上しなければならない大もとになります国の出資金につきまして極力抑制を行う、そういったことで減価償却費に係る損失金として計上する額等も減少させていく、こういう努力をいたしてまいりたいと思っております。
  30. 福岡宗也

    福岡委員 それに関連しまして、平成五年の六月にやはり行政監察が行われまして、その第一は、やはり労災病院運営改善ということが指摘されております。いわゆる合理的な経営をもつと進めろということであります。第二は、会計規程等に沿った適正な執行、それから、先ほど指摘ありました共適役務業務の民間委託の推進、そういうことによって経費を節減せよ、こういうようなことを指摘されているようですけれども、この内容について若干コメントをいただいた上で、この対応についてどうされているか、説明していただきたいと思います。
  31. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 ただいま御指摘のございました平成五年の行政監察結果の中で、機器等の整備についての考え方、それから会計規程に沿った適正な執行、共適役務業務の民間委託の推進等について指摘を受けたところでございます。  私ども、そういった勧告を受けとめまして、出資金による機器の整備の点につきましては、機器等整備方針、この通達に基づきまして、おおむね一千万未満の機器につきましては各労災病院運営による自主的な財源の中から整備していくこと、これは出資金を充てないということになります。  それからもう一つ、同時に特殊健康診断についても、各病院によってその実施率についてはむらがある、そういったことに充てるための交付金につきましても、そういった実績に応じた配分を進めていくことによって効率的な予算の執行につなげていく、こういう措置をとりました。  また、共適役務業務につきましては、例えば、退職者は補充しないというような方針とあわせまして、そういった結果、そういった業務について民間委託化が促進されていく、こういう姿をつくりまして、現在もその推進に努めているところでございます。  また、そういった委託先の業者等の選定に当たりましても、適正な選定等を行いまして委託経費の節減に努める、こういったことを労働福祉事業団に対して厳しく指導をいたしてきておるところでございます。
  32. 福岡宗也

    福岡委員 そういう対応で一応頑張っておられるということですけれども、その他、私この内容を見ますと、高価な医療機器なんかも従来は随契でやっている。そうじゃなくて、もっと競争をさせて廉価に購入すべきような企業努力をしなきゃいけないじゃないかとか、いろいろ細かい点指摘されているのですね。そういう点について、やはり従来甘い措置があったというふうに私も思うわけであります。  したがいまして、今後も、これは本当にそういった努力を、本当に不断に見直して積み重ねてもらうという必要があろうかという意味で、努力をしていただきたいというふうに思います。  それから、引き続きまして、やはりこの三十二年のときに、事業団代行を任せるかわりに、労働省としても、労働大臣が適切で能率的な運営、公正な運営がなされているかどうか十分監督するということを、これは本当に説明をされておるわけでありますし、さらに、実際にこの法律の中においても、第三十二条、三十三条に監督についてのかなり厳しい具体的な規定が置かれているのですね。  ちょっと簡単に説明しますと、すなわちこの法律によりますと、事業団労働大臣がこれは監督する。これは、監督する権限があると同時に、これは責任があるということだと思うのですね。それから、必要があるときは、事業団に対してその業務に関して監督上必要な命令を発することができるというふうに三十二条はなっているわけです。  それからさらに、三十三条では、その業務、資産状況を報告をさせる、さらに、事業場に立ち入って業務状況、帳簿、書類等を検査させることができる、こうなっているわけであります。かなり厳しい規定が実際に置かれているわけであります。  そこで、今日までこの四十年の間にどのような監督を実際に労働省の方としてなしてきたかということについて、御説明をいただきたいというふうに思います。
  33. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 御指摘ございましたように、労働福祉事業団法におきましては、労働大臣監督権限、それから報告や検査についての権限、こういうことを定めておるところでございます。私ども、この法律に基づいた公式の命令や立入検査という形での権限を、公式に権限を行使したことはございません。  ただ、私ども、予算、業務方法書の認可とか決算等に当たってのいろいろな労働大臣の承認、そういった際に、審査、チェック、そういうことを通じまして、労働福祉事業団業務運営の適正さを確保すると同時に、問題のある都度労働省に呼び、あるいはこちらから向こうの事務所にも行き、いろいろな書類等もチェックしながら、今後の改善の方向について話し合うというようなことを繰り返してきたわけでございます。  そういったことで、公式の手続による権限行使という場面はございませんでしたが、労働福祉事業団のあり方が問われている中で、先ほど来申し上げましたように、労働福祉事業団の一層の効率化等も目指していく、そういった中で、今後もし必要があれば、先生御指摘のありましたような形のことも念頭に置いて、十分適正な、また効率的な業務運営が執行できるように、労働省としても責任を持って対応してまいりたいと思っております。
  34. 福岡宗也

    福岡委員 そうしますと、結局、この法律規定がされておるような、事業所に立ち入って検査をするとか、特にこういう問題について命令を発して検査をするとか監督をするとかいうような、そういうことはされていないということのようなんですけれども、やはり、先ほど、二回ばかり行政監察の中で、運営の合理性、経営の合理性の問題についてもかなり細かい指摘がなされているわけです。それで、改善すべき点、それからまた配置の問題についてもやはり見直しがされていないということで、こういう監察を受けている。  そういう状況からすると、やはりここに、設立当初に説明をしたのは、十分監督するからという説明をしているわけでありますし、それから、たまにはそういう厳しいことをやることによって、やはり引き締まった気持ちになって事業団自体が今後努力するということにもなるので、やはり四十年間一回もそういうことを行使していないということは、僕は、問題はある、職務権限をこれは怠っていたのじゃないかという気もするわけです。  そういう意味では、やはり、行政監察を受けて、またそんなみっともない指摘を受けないように、みずから労働省の方の側でしっかりした検査をする、たまには帳簿等も見て精査をする、そして合理的に改めるべきところは改めるというようなことの命令をするというぐらいの形をしていただきたいというふうに思うわけであります。  そうでないとすると、相対的には確かに比率の面から見て役割が低下しておるというふうに数字的には見られるわけでありますから、といって、私の方は、やはり労働災害というのは特色のあるものでありますから、労働者にとって的確な対応を受けて、そしてすぐに職場に復帰ができるような体制というものをやはり堅持してもらいたいというふうにも思うわけですから、その辺のところ、今後しっかりした監督体制をやっていくかどうか、これは労働大臣の方に決意のほどをちょっとお伺いしたいのです。
  35. 岡野裕

    岡野国務大臣 先生、若干意に沿わなかったら申しわけありません。学校の子供さんがなかなか言うことを聞かない、だから直ちに処分ということではなくて、先生が放課後なり昼休みに当該生徒といろいろ話をして、坊や、これではいけないよと言ったらよくなった。まあ、よくならなくて、言うことを聞かないでがんがん反抗してくるということであれば話は別だと思います。また、私も労務経験者でありますが、団体交渉をやって歩み寄りがついて、経営者の方も労働改善をこれだけすると言ってしまうと、ストライキというわけにはいかないのですな、これは金もかかるわけですから。  という意味合いで、病院に遠慮をして労働省の職員が入っていかないということではなくて、大臣から業務命令書というものをひっ提げてそれで中へ入るということをせぬでも、ふだんの格好で行って話をすると、院長も事務長も、わかりました、ではその方向でいきましようというふうになっていれば、何も監督だという重々しいにしきの御旗を振りかざさぬでも和やかに改善が行われるのではないか。  先ほどと同じように、まだ経験年数が足りません。労災病院、申しわけありません、まだ一カ所も行っておりません。そういう意味合いでは、これからもう一度私の自分の目で細かく見てみたい、こう思っておりますので、いろいろと今のような御指導をいただけますならば、まことに幸せに思います。
  36. 福岡宗也

    福岡委員 ありがとうございました。  私の申し上げているのは、振りかざせということを言っているわけでは決してないわけであります。実際にたまには見ていただいて、十分なそういった話し合いをして監督する、これも結構だと思いますね。そういう形でやはり十分な意思の疎通を持った監督体制を確立していただくということが必要だろうというふうに思いますので、大臣、そういう決意のほどを言っていただきましたので、頑張っていただきたいというふうに思います。  それからあと役員、この任期が四年から二年に短縮をするということなのでお尋ねをしたいと思いますけれども、役員の現在の人数、さらに役員の前職、前のお役所等どうなっているのか、そこのところをまずお答えいただきたいと思います。
  37. 渡邊信

    ○渡邊(信)政府委員 労働福祉事業団の役員でございますが、人数は理事長が一名、理事が四名、監事が二名で、合計七名でございます。また、監事二名のうち一名は非常勤監事というふうになっております。  役員の前職でございますけれども理事長は元労働事務次官でございました。理事四名のうち三名は労働省の出身者、一名は民間企業の出身者の方でございます。また、監事の一名は労働省の出身者、それから非常勤監事一名は民間企業の顧問でございました。  以上でございます。
  38. 福岡宗也

    福岡委員 そうしますと、民間からは一名で、その他は労働省の出身者ということですね。  そして、現在の任期は四年ということですけれども、これは従来再任を認められていたようですけれども、実際の過去の役員の在任期間は平均で何年になっていますでしょうか。
  39. 渡邊信

    ○渡邊(信)政府委員 過去の役員の平均在職年数を見ますと、理事長につきましては七年四月、理事は四年八月、監事は三年十月というふうになっております。
  40. 福岡宗也

    福岡委員 大体そういうようなことになっているということなんですけれども、これは閣議か何かのそういった基準みたいなものがあってそうなっているのでしょうか。
  41. 渡邊信

    ○渡邊(信)政府委員 特殊法人の役員の任期につきましては、従来の閣議決定あるいは閣議了解あるいはその運用方針等におきまして、原則として役員は六年以内とする、また、総裁、副総裁あるいは理事長等につきましては、特別の事情があれば八年とするというふうなことになっておりまして、その原則にのっとって従来から運用してきております。
  42. 福岡宗也

    福岡委員 そうしますと、今回の改正では任期を二年とするということなんですけれども、これは再任を認めるかどうかということと、それから、先ほどの閣議の基準、これはそのまま維持してやっていくということで、従来どおり大体七年と五年ですか、理事長七年、理事五年という、そういった基準で大体今後もやっていくということなんでしょうか。
  43. 渡邊信

    ○渡邊(信)政府委員 今般の改正をお願いしております中で、理事任期は二年にするというようなことをお願いしているわけでございまして、そういった法律上の任期あるいは従来からの閣議の運用、閣議決定に基づく運用方針、そういったものを総合的に見ながら運用していくべきではないかというふうに考えております。
  44. 福岡宗也

    福岡委員 若干見直しがあるということですね。  それから次に、役員の給与と賞与の規程、どういう規程になっているか、ちょっとお教えいただきたいと思います。
  45. 渡邊信

    ○渡邊(信)政府委員 役員の報酬につきましては、労働福祉事業団に定めました役員給与規程というものに基づいて支給をされております。  なお、この給与規程につきましては、事業団が定めます際に労働大臣が認可を行います。また、その認可に当たりましては大蔵大臣と協議をするということが法律上決められておりまして、こういった手続を経て役員給与規程が定められておるわけでございます。  常勤の役員につきましては、俸給、特別調整手当、通勤手当が支給されています。さらに、賞与は年間四月分が支給されておりまして、常勤役員の平均給与を見ますと、年収で約二千万円程度というふうになっております。
  46. 福岡宗也

    福岡委員 それから、役員退職金の規程、これはどうなっていますでしょうか。
  47. 渡邊信

    ○渡邊(信)政府委員 役員の退職金でございますが、これは役員退職金規程というものがございまして、これに基づいて支給をされております。支給額は、俸給掛ける百分の三十六掛ける在職月数ということで支給をしておりまして、実際の例で見ますと、過去の役員の平均在職月数を用いて現在の俸給で試算をし直してみますと、平均で約二千三百万円ぐらいになっております。
  48. 福岡宗也

    福岡委員 理事長はどうですか。理事長についてもちょっと答えてください。今は普通の理事ですね、普通の理事が五年間で二千三百万でございますね。理事長はどうですか、七年間で。
  49. 渡邊信

    ○渡邊(信)政府委員 理事長につきましては、約八十八月という平均をとりますと四千百九十七万円ということになっております。
  50. 福岡宗也

    福岡委員 そうしますと、私の調べた一般公務員の、大体七号俸の関係で百万円ぐらいの給与の方の退職金、在職三十年で計算したのがあるのですけれども、これは大体五千四百万ぐらいの退職金をもらうということなんですけれども、七年間で四千万を超えるということになると、かなり高額のような気がするわけですね。こういった点についても今までに検討されたということがあるのでしょうか、見直しですね。
  51. 渡邊信

    ○渡邊(信)政府委員 特殊法人の役員の退職金につきまして、これは利潤の世界のことでございませんので、いろいろな政府関係特殊法人におきます退職金規程とのバランス、あるいは、例えば労災病院につきましては、一万四千人の職員を指揮して三十九の病院設置事業を行っている、そういった業務におきます責任、任務、権限、そういったものをいろいろ考えながら、事業団が単独で決めるのではなくて、先ほど申しましたように労働大臣の認可、あるいはその際におきます財政当局との協議、こういったものを経て決めていると思います。  しかし、いずれにしましても、現在いろいろとこういったことについても議論があるわけでございますから、私どもとしても必要な検討をしていく必要があろうというふうに考えております。
  52. 福岡宗也

    福岡委員 これは他の特殊法人とのバランスがあるので、総合的に検討しなければならぬ問題でありますけれども、行革の中で検討すべき重要な問題だろうという意味で、やはりこれも、こういう累積赤字もあることですし、合理化を図るという意味の中の一環として、多少検討しなければならぬというふうに思うわけです。よろしくお願いしたいと思います。  それから最後に、労働福祉事業団事務所移転、この所在地を東京から川崎市に変更するという件です。  この事務所移転は、多極分散型国土形成促進法に基づく方針にのっとって、東京の一極集中の是正という施策の一環として、閣議決定で、国が移転を要請する特殊法人一つとして事業団が対象とされて移転が決まった、川崎市になったものだ、こういうことのようであります。そして、前述しました法律目的を見ますと、結局、「人口及び行政、経済、文化等に関する機能が過度に集中している地域からこれらの機能の分散を図り、地方の振興開発と大都市地域の秩序ある整備を推進」するためなのだ、こういうようなことになっているわけです。  しかしながら、今回移転するという川崎市は、京浜工業地帯の中にある、首都圏の中の中核都市の一つであるわけであります。機能が集中しておる地域からの分散という目的を図るということについては、ふさわしい場所とはちょっと思えないのですね。東海へ行くとか北陸、東北の方に行くというならわかるのです。  そこで、このような近くに移転をする、京浜工業地帯の中核都市に移転してしまうというようなこと、これはどういうような考え方でこうなったか、その理由をちょっとお伺いしたいのです。
  53. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 御指摘のように、国の行政機関あるいはこういった特殊法人につきまして、東京の過密を是正していくために東京の外へ出るようにという閣議決定でございますが、東京一極集中是正という全国的な視野から見ますと、そういった御指摘、確かにそういった面は私ども理解をさせていただくところでございます。  ただ、例えば国の行政機関ですと、大宮操車場跡といったようなことで、実際行われているわけでございますが、今回、こういった移転の閣議決定の趣旨は、東京のいわば二十三区内の過密を何とか、国の関係機関移転によってまずそこから改善していく、こういう点が一つあったかと思います。  そういったものを受けて、今回、労働福祉事業団については川崎市への移転を決めさせていただこうとしているわけでございますが、こういったことは、一つは、この労働福祉事業団の主たる業務労災病院運営でございまして、高度な医療等を行っていくために、労災病院の医師、看護婦あるいは技師の方等にかなり頻繁に集まっていただいて、最新の医療技術状況等についての研修を実施したり意見交換を行っております。そういうために近隣の病院を活用させていただいておりますので、そういった意味で、川崎が一番最適の地であったという点でそういったことをやりましたので、御理解をいただきたいと思います。
  54. 福岡宗也

    福岡委員 そういう経済的効用の面もあってやったということで、ちょっと問題はあるけれども、了解いたします。  そこで、もう時間が参りましたので、最後に一つだけ、事務所移転に要する費用は総額で幾らかということと、それから、移転前と移転後における事務所運営に対するランニングコスト、この比較だけ、数字だけおっしゃってください、もう時間がありませんから。
  55. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 今回の移転に伴う費用、経常経費と引っ越し費用両方合わせまして十三億二千三百万を計上いたしております。  ランニングコストという意味で、これは平年度化いたしますと、現在の事務所運営費は一億一千五百万でございますが、新事務所運営費は四億三千七百万いうコストになる予定でございます。
  56. 福岡宗也

    福岡委員 ありがとうございました。  今まで大体ざっとお聞きしたのですけれども、十三億もかけてそういう、十分な首都の一極集中というものが解消できるとは言いがたいようなものをやることは若干問題がありますが、そういったような事情もあるということで了解するわけです。  結局、今一番大切なことは、こういうリストラの時代、行政改革で経費節減と今叫ばれている時代の中において、やはりきめ細かい見直しをしていただいて、労働行政の中で、労災傷病に対する的確な対応というものもやはり今必要だろうと私は思っておりますので、その必要性は相対的に若干減少しておるとはいいながら、指定して他の病院に任せるというだけではやはり十分な体制もとれないというふうに私も思うわけであります。  ぜひとも、十分な合理化を図るとともに、その目的に見合った充実した医療内容を確立して、その存在価値というものがはっきりとわかるような形にしていただきたいという希望を申し上げまして、私の質問を終わります。
  57. 青山丘

    青山委員長 次に、近藤昭一君。
  58. 近藤昭一

    ○近藤委員 おはようございます。民主党の近藤昭一でございます。  今回の労働福祉事業団法の一部を改正する法律案について、幾つかの質問をさせていただきたいと思います。  まず、先ほど福岡議員からも御質問がありましたけれども、なぜ川崎市に決まったのか。とにかく、東京一極集中、この是正の一環として一九八八年七月の閣議決定に従ったということはよくわかるのでありますけれども、そしてまた、そのときの決定としましては二十三区から外に出るということではわかったわけでありますが、もう一度、その川崎市になぜ決まったかということをお伺いしたいと思います。
  59. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 川崎に今回の移転先を決定した理由でございますが、労働福祉事業団労災病院運営がそのほとんどの部分を占める業務でございます。労災病院業務運営の専門性、また最新の医療技術に合わせてその水準の向上を図っていくために、日ごろから医師あるいは看護婦、医療検査技師等の職員につきまして、日常的な意見交換や高度の医療機器を用いた臨床研修等の実施を行っております。  そういう際に活用いたしますのが東京労災病院、大田区でございます。それから関東労災病院あるいま横浜労災病院といり、いわま川崎から比較的近いところにそういった病院がございまして、そこを活用しながら研修を行っているわけでございますが、そういった事情を考慮してこの本部の移転先も決める必要があるということを考えた点が一つでございます。  それから、労働福祉事業団の本部は、そういった意見交換や研修もあわせまして、労災病院運営等についても、指導を行うための全国会議等をかなり頻繁に開催し、連絡をとっております。そういったために、本部と地方施設とのアクセスが便利なところということで、例えば羽田空港等にも近い、こういうことも考慮いたしまして、この川崎市が最も適当ではないかということで決定をさせていただいて、御審議をお願いしているところでございます。
  60. 近藤昭一

    ○近藤委員 そういったいろいろな事情において川崎市が非常にふさわしい場所だとおっしゃられるわけでありますが、そうしますと、今回の移転に伴いまして、なぜ新たに東京連絡事務所設置する必要があるのか、このことをちょっとお伺いしたいと思います。
  61. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 今回の移転に伴いまして、御指摘のように、東京にいわば作業場所的な東京事務所設置いたしたいと思っておりますが、これは、労働福祉事業団特殊法人であること、また病院運営を主たる業務としていることから、各種業務について、もちろん予算等の問題それから医療関係各種承認の問題等ございまして、大蔵省等、財政当局との連絡調整事務へそれから厚生省等との、関係機関の連絡調整事務、こういうものが実はたくさんあるわけでございます。  したがいまして、今回の本部移転によりましてそういった事務が非効率になることのないように、東京にそういった業務、作業に当たる場所といいますか部屋を確保いたしたい、こういうことで東京事務所というものを設置させていただく予定にいたしております。  したがいまして、この東京連絡事務所はあくまで業務調整作業等の作業場所でございまして、常駐の職員等を配置した新たな組織を設けるといったようなものではございません。そういった考えでございますので、御理解をいただきたいと思っております。
  62. 近藤昭一

    ○近藤委員 そうしますと、今後の連絡について必要であるから東京にも事務所を置いておく必要があるということでありますと、機能的にはまだまだ東京に置いておかなければいけないのにもかかわらず、閣議決定をされたからしようがなく川崎に移さざるを得ないというふうに聞こえてしまうわけですが、いかがでしょうか。
  63. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 これは、もちろん閣議決定を尊重しなければならないことは確かでございます。  ただ、先ほども申し上げましたように、私ども移転することによってむしろ便利さ、効率性がかなり確保できるという理由もあるということで川崎移転を決定させてもらったわけでございますが、もう一つ大きな理由としては、現在の事務所が、もうそこに入居してかなり年数がたっておるわけでございますが、当時六十九人ぐらいの定員でございました本部事務所が、現在百三十人を超える規模で行っておりまして、かなり手狭になり、事務の効率化のためのOA化等もなかなか今の施設状況では図れないという状況がございます。  そういった事務の効率化をやるために、もし移転をするとすれば川崎市の方でそういったことも可能になる事務所確保したい、こういうことでございますので、今回の移転につきまして、私ども、むしろ事務の効率化に資するためにもそういったことを目指してまいりたいという気持ちであることを御理解いただきたいと思っております。
  64. 近藤昭一

    ○近藤委員 そうしますと、とにかく移転につきましては機能の効率性、今おっしゃった東京事務所が手狭になったということで、閣議決定の目的も踏まえ、そしてまた事務所の現実的な状況も踏まえ移転なさりたというふうに理解させていただきますと、逆に、先ほどの繰り返しになりますが、東京連絡事務所は常勤の方はいらっしゃらないということでありますね。  そうすると、常勤の方もいらっしゃらないような、ようなというと失礼かもしれませんが、常勤の方もいらっしゃらないとなりますと、時々、何か係の方が集まってそこで打ち合わせをされるという、どういう目的なのかちょっと理解しがたいところがあるのですけれども
  65. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 東京の連絡事務所につきましては、先ほど説明申し上げましたように、特殊法人であることからくるいろいろな財政当局等との連絡調整、あるいは病院に関しますいろいろな、承認申請等にかかわるいろいろな厚生省との連絡調整等ございます。担当者がそういった事務に当たるため都内に出てくるわけでございますが、いろいろな待ち時間、あるいは連絡のために待機していなくてはいかぬ時間、あるいはその連絡に当たってすぐコピーをとるとか、あるいは簡単な書類はその場でつくるといったような作業、こういったことが当然予想されるわけでございます。  そういった際に、やはり近くて至便な場所で、そういったある程度の簡単な作業が行えるような、コピー機、ワープロその他を備えた作業場所としての部屋を確保しておきたい、こういうのが東京事務所目的でございます。
  66. 近藤昭一

    ○近藤委員 わかりました。  とにかく、東京都内に出てきていろいろな打ち合わせをするに当たって、その準備のため、あるいは打ち合わせのために場所が必要ということで理解はさせていただきますが、ただ、この東京の連絡事務所事務所自体の広さ、またこの事務所の家賃というのはどれぐらいでありましょうか。
  67. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 現在予定しておりますのは、約百五十平米ぐらいの場所を確保したい。したがいまして、そこのいろいろな印刷機、コピー機等々を入れまして、全体としての所要額は大体平年度ベースで三千二百万程度の経費というふうに見込んでおります。
  68. 近藤昭一

    ○近藤委員 三千二百万円の経費ということ。これをとにかく移転に伴って都内に拠点がなくなる、その拠点の場所として連絡事務所を置く、そのために三千二百万円という経費を使う。これがいろいろな仕事の効率のぐあい、進みぐあいを考えますと適正なのかどうか、ちょっと私は判断しかねるわけでありますが、とにかく三千二百万円の費用がかかるということ。この財政状況の厳しい中で、なかなか大変だなという認識を持つわけであります。  それに関連してまいりまして、先ほど福岡議員もお尋ねになりましたが、今回の事務所移転することによって移転の費用がもちろんかかるということと、そしてまた、移転に伴いまして事務所がたしか規模が大きくなるわけだと思いますが、その移転の費用、そしてまた経常費用というかランニングコスト、先ほどお聞きしましたけれども、もう一度お聞かせいただきたいのですが、お願いします。
  69. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 新事務所を管理運営していくための費用でございますが、平年度化いたしましてそのランニングコストを推計いたしますと、約四億三千七百万程度かというふうに考えております。今回の引っ越しの費用等を含めまして九年度限りの費用というのがもちろんあるわけでございますが、それらは約十億でございます。当初、初年度はそういった経費がかかりますが、以後は、四億三千万程度でランニングコストとしていきたいというふうに考えております。  もちろんこれは現事務所の費用に比べますとふえるわけでございますが、これは主として借り上げ面積がふえることによる借り上げ料の増加でございまして、これが約三億まどふえるわけでございます。これは先ほども申し上げましたように、本部の職員数が、現在入居しています、借りておりますものを当時六十九人という定員で借りておるわけでございますが、現在百四十三人、先ほどちょっと不確かな数字を申し上げて恐縮でございますが、百四十三人に増加している。こういったことから、必然的にふえるスペースぎりぎりのものとして私ども対応していきたいと思っておりますので、よろしく御理解をお願いしたいと思っております。
  70. 近藤昭一

    ○近藤委員 移転に十億以上かかり、ランニングコストとして四億三千万かかる。そうしますと、経常費用、通常の運営にかかる費用は従前に比べてどういうふうに変わったのでしょうか。
  71. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 先ほどのランニングコストに相当する平年度化した数字で申し上げますと、現事務所にかかる費用が約一億一千五百万でございます。先ほど申し上げましたように、新しい事務所で見込みますと、四億三千七百万程度というふうに考えております。
  72. 近藤昭一

    ○近藤委員 三倍以上の経常の費用がかかるわけでありますけれども、その大きな理由というのはやはり家賃の部分でしょうか。
  73. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 御指摘のとおりでございまして、もちろん借り上げでございますが、事務所の借り上げ料の増加、約三億円が増加になります。これは、大分前に入居した現在のものがかなり手狭になって収容がなかなか難しくなってきている、こういった状況等を踏まえて、それに見合うぎりぎりのスペースを確保するためのものでございます。
  74. 近藤昭一

    ○近藤委員 今まで大変に手狭であった、たしか職員の方の数が六十九人から今百四十三人になったということ、そうしますと、多分国の方に規定がおありになって、職員一人当たりの大体の職場面積というか事務所の面積というのがあると思うのですが、今回の移転によってそれが随分改善されるのだと思います。  その改善状況、例えば国の規定よりもどれぐらいよくなるのかということと、また、似たような規模の団体の事務所に比べてそれは広いのか広くないのか、どうでしょうか。
  75. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 御指摘ございました、例えば職員一人当たりの基準面積、これは、建設省の新営庁舎の面積算定基準というのがあるわけでございますが、これは既にかなり前に大体四平米がその基準になっているわけでございますが、現在の事務所はこれが大体三・三ぐらいの状況になっております。したがいまして、この新しい基準に見合う程度のスペースで確保をしていく、こういうことを基本的な考えにいたしております。  また、ほかの法人あるいは民間の企業等に比べてこの広さ等が不要に拡大しないようにということは、これはもちろんでございまして、こういった現体制を収容し、OA化等の事務効率化のための措置をしていくに見合うぎりぎりのスペースを確保してまいりたいと思っております。
  76. 近藤昭一

    ○近藤委員 その基準よりも随分低い中で御苦労なさってきた、そして今回その基準を大体クリアするという状況で引っ越しなされる。また、似たような規模の団体あるいは民間と余り遜色ない、あるいは余りにも過度に大きくないということだと思います。  ところで、先ほど、今後のランニングコストの増加についてお伺いしたわけでありますけれども、今回の移転に伴いまして、そこで働いていらっしゃる職員の方の労働条件というか労働環境が変わると思うのですけれども移転することによって通勤時間が大幅に変わる方、こういう方がどれぐらいいらっしゃるのか、あるいは転居を余儀なくされる方が何人かいらっしゃるのか、このことについてお伺いしたいと思います。
  77. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 今、これによって通勤困難者がどのくらい出るかという具体的な数字は持ち合わせておりませんので、もし必要があれば、また後ほど御提出したいと思います。  ただ、労働福祉事業団、まだ持ち家等のない職員のために宿舎等も一部持っておりますが、例えばそれが浦和にある、こういう状況でございますので、そういった意味で、かなり通勤の点では状況が変わる職員もおることは事実でございます。  そういった点については、例えば、どうしても通勤困難になる方について、そういった宿舎に見合うものを借り上げて対応するとか、そういったことはこれから職員との話し合いの中で十分固めてまいりたいと思っております。
  78. 近藤昭一

    ○近藤委員 とにかく、労働福祉に寄与していくという労働福祉事業団目的のためにも、そこで勤めていらっしゃる皆さんの労働条件をよいものにしていただく、そういうことにもぜひ御配慮をして、もちろん御配慮なされていると思いますが、ぜひとも配慮をしていただきたい、そういう思いであります。  いろいろなこと、幾つか質問させていただきました。正直に申しますと、やはりこの財政状況が厳しい中で、一億一千五百万ぐらいだったランニングコストが、事務所が手狭になってきたということ、また、一極集中を是正するという閣議決定があったということの中で、移転するという状況は確かにわからなくはないのでありますが、経常費が三倍以上に膨れ上がることについては、やはり国民の皆さんが十分に納得していただけるようにしていただきたいと思うわけであります。  正直な感じとしては、三倍以上というのは随分とかかるな、そしてまた、東京連絡事務所、いろいろな事情で置かなくてはならないのかもしれないけれども、大変だなという思いであります。  そういった意味で、行財政改革に逆行することのないように、とにかくこの移転によって労働福祉事業がさらに充実したと言われるように、ぜひともいろいろな面でチェックをしながらやっていただきたいという思いを抱くわけであります。  その労働福祉事業をより充実したものにしていただく、そういった意味でも、私どもは、この労働福祉事業団運営についてちょっとお伺いをしたいわけであります。  やはり、今後移転してさらに労働福祉事業充実していくために、市民参加あるいは情報公開、これをしっかりとしていっていただきたいと思うのですが、このことについては、労働大臣、いかにお考えになっておられますでしょうか。
  79. 岡野裕

    岡野国務大臣 労働福祉事業団の主たる仕事は労災病院運営だと政府委員からお話を申し上げてまいりました。  そうすると、病院でありますので、労災患者の皆さんも、それから一歩広げて一般市民にも開放ということをいたしておりますが、すべてこれはお客様であります。患者そのもの及び潜在的な患者、ひっくるめますと市民そのもの、これがお客様であります。  そうだとすれば、そういったお客様の御意向を反映できるような病院でなければ、これは本来の病院機能を十分的に営むわけにはいかぬのではないかと、う意味合い、で、先生のおっしゃる市民参加でありますとか一般情報公開というようなものは積極的に進めていかなければならない、こう私も思っております。  具体的には、財務諸表を官報に掲載いたしますとか、あるいは総務庁の方で開設いたしております特殊法人資料閲覧室に事業報告等の各種の資料を提出して一般の皆さんが自由にごらんになれるような、そんな体制をしいておりますほか、今国会に、総務庁所管でありますが、特殊法人の財務諸表等の作成及び公開の推進に関する法律案、これを御審議賜るということに相なっております。  そういうようなものを大体私どもやっておるころでありますけれども、そういうようなものにも積極的に公開してまいりたいというようなこで、市民の皆さんの意見を反映する、情報公開は大いに努めるという方向でやってまいりたい、こう思っております。
  80. 近藤昭一

    ○近藤委員 ありがとうございました。  とにかく、そういった市民参加あるいは情報公開がこれから大変に必要になってくると思うわけでありますが、今大臣から教えていただいたほかに、例えば今、情報化社会といりことでインターネット等が盛んに利用されているわけでありますが、このインターネットによる情報公開は、たしかされておったのでしょうか。
  81. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 本年一月に、労働福祉事業団ホームページを開設いたしまして、労働福祉事業団が行っている業務の概要なり施設利用の案内等の情報提供いたしているところでございます。
  82. 近藤昭一

    ○近藤委員 ありがとうございます。  最近は随分とそういった意味で、そういった意味というか情報化社会で、インターネットを利用する方も多いようでありますので、大変に結構なことだと思います。  また、これは労働福祉事業団についてなのでありますが、毎年事業報告書をお出しになっている。そこに患者数の推移や病床利用率などの数字は示されておるわけでありますが、その数字背景、あるいはこれから解決すべき問題点、あるいは被災労働者の職場復帰の状況といった情報提供されていないようであります。今後、労働福祉事業団としてのそういった情報も含めた情報提供、白書のようなものをお考えになっているかどうか、お伺いしたいのであります。
  83. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 この労働福祉事業団につきましての情報公開でございますが、これは平成七年の十二月の閣議決定によりまして、こういった特殊法人のディスクロージャーについて、特殊法人は作成された財務諸表等の公開を積極的に実施していくことが決められておるわけでございまして、そういった方向に沿って私ども対応してい去たいということで考えております。  また、労働福祉事業団は、いろいろな財務諸表等の公開に努めてきておりますが、平成七年度からは、そういったものを二カ月ほど前倒しして早く官報に掲載して公開していくというようなことにも努めてきております。  それから、先ほど大臣の方からも申し上げましたように、総務庁が開設いたしております特殊法人資料閲覧室の活用、こういったことも進めてきております。  また、この労働福祉事業団は、労働福祉事業団に関する最近の業務状況なりそういった問題点を知っていただくためのいわば情報誌、こういったものも編さんをいたすほか、先ほど説明申し上げましたようなホームページの開設によって情報提供に努めてきておるわけでございます。  目下こういったものを総合的に積極的に活用して情報公開に資していこうというつもりでおりまして、別の白書というものの策定は考えておりませんが、当面こういった施策の推進、活用を進めてまいりたいと思っております。
  84. 近藤昭一

    ○近藤委員 わかりました。  繰り返しになりますけれども、やはり情報公開を広くしていただいて、とにかく今回、労働福祉事業団も大変に大きな予算を使って移転するわけでありますので、移転してさらに事業が充実したとなるようにお願いしたいと思います。  ところで、先ほども既に質問はありましたけれども労働福祉事業団運営に関しまして、理事長及び監事理事の方、全員で七名でいらっしゃいましたでしょうか。
  85. 渡邊信

    ○渡邊(信)政府委員 労働福祉事業団の役員数でございますけれども理事長が一名、理事が四名、監事二名の合計七名でございます。
  86. 近藤昭一

    ○近藤委員 役員の方が七名いらっしゃる。そして先ほど福岡議員の質問の中で、給与のこと、また退職金のことが御説明があったわけでありますが、労働福祉事業団の職員の方が、労災病院とかそういった系列のところは別といたしまして、労働福祉事業団そのものはたしか百四十三人の職員の方だったと思うのですが、その中で七人の役員がいらっしゃるというのは随分多いような気がいたすのですが。
  87. 渡邊信

    ○渡邊(信)政府委員 労働福祉事業団では、この七名の役員が全国の労災病院あるいはそこに働く職員の方の指揮監督、命令をしているということでございまして、職員数は先ほど申し上げましたが、全国で一万四千名でございます。その方たち、それから三十九の労災病院設置運営をしておりますが、その全体の統括をこの七名の役員でやっておる、こういうことでございます。
  88. 近藤昭一

    ○近藤委員 わかりました。  確かに全体の職員の方の数が大変多い、一万人以上いらっしゃる、そして全国各地に労災病院がある、そこを管轄している労働福祉事業団の役員が七人いるということで、決してそれは多くないと。  しかしながら、役員給与、退職金について、これは多いのかどうかの判断は別といたしまして、この財政状況が非常に厳しい中で、そういった給与あるいは退職金、また今七名が多いのではないかと申し上げたわけでありますが、多いのか少ないのか、そういった見直しをされる予定があるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  89. 渡邊信

    ○渡邊(信)政府委員 この役員の数自体につきましては、先ほど申し上げました職員数あるいは労災病院運営等々からいって、ややきついのではないかなという感じを持っておりますが、いずれにしましても、人数、あるいはそこにおきます民間からの登用、あるいは給与の水準、こういうことについてはやはり必要な見直しを行っていく必要はあろうというふうに思っております。
  90. 近藤昭一

    ○近藤委員 非常に財政状況が厳しいわけでありますし、そういった中で必要なものは必要でありますし、不必要なものは不必要なのでありますから、その辺は随時見直しをお願いしたいと思います。  ところで、先ほどお答えの中にありましたのでお伺いしませんけれども、結論から申しますと、役員の方の構成が随分と労働省出身の方に偏っているのではないかというふうに思うわけでありますが、いかがでありましょうか。
  91. 渡邊信

    ○渡邊(信)政府委員 役員七名のうち一名の非常勤監事先ほど前職は民間出身と申し上げましたが、その前は労働省にやはりおられた方でございまして、そういたしますと役員の七名のうち六名の方が労働省の出身者ということになっております。  これは、政府方針といたしましては、政府各省で所管します特殊法人を平均いたしまして各省出身者は五割程度にするということが決められているわけであります。労働省としましても、全体の水準もそうでありますが、個々の事業団についてもできる限りそういった方向を目指していく必要があるというふうに思っているところでございます。
  92. 近藤昭一

    ○近藤委員 労働福祉事業団というのは、やはり労働者災害補償保険法労働福祉事業を担っていらっしゃる。労災被災者御本人やその家族に人間らしい生活を保障するというために事業を推進されるわけであります。そういった推進、運営に当たっては、労働省出身の方、経験がしっかりとあられる方が役員になられることはもちろん大事だと思うわけでありますが、関係者である被災労働者労働者団体、事業者団体などの意見が十分に反映されるようにすべきだとも思うわけでありますが、いかがでありましょうか。
  93. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 労働福祉事業団運営、さらには労災病院を本当に勤労者の役に立つ形にしていくためにも、先生御指摘の点を私ども十分念頭に置いて運営に当たらなければならないと思っております。  労働福祉事業団におきましては、そういった業務運営について幅広く労使の意見を聞き、反映させていくための制度として、参与制度というものを設けております。この参与制度、関係団体の推薦で、それぞれ労使を代表する各三名の方を任命いたしまして、業務運営等に関して意見を述べていただくための活動を行っていただいているわけでございます。  先生御指摘のように、そういった声を私ども真剣に受けとめていくべきであると考えておりますので、この制度がより実効あるものとして機能していくように私ども努力をしてまいりたいと思っております。
  94. 近藤昭一

    ○近藤委員 そういった労働者、事業者の方の声を聞くために参与制度があるということはわかりました。  ところで、この参与制度でありますけれども、どうでしょう、年にどれくらいの会合が開かれているのか、お聞きしたいと思います。
  95. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 現時点で見ますと、大体年に一回あるいは二回という状況でございます。  先ほど先生から御指摘がありましたように、こういった制度をもっと実効の上がるものにしていく必要があるというふうに考えておりますので、今後、この機能をより高めるように努力をしてまいりたいと思っております。
  96. 近藤昭一

    ○近藤委員 年に一回、二回という会議というのは随分驚くわけでありますが、しっかりと声を聞く機会というのがもっと多くあるべきではないかと思うわけであります。  そういった意見をお聞きした上で、やはりそこで検討され、それがどういうふうに反映されていくか、そのチェックも参与制度というか、意見を聞いた方に対してはしっかりと報告していく。こういった意見があった、じゃ、それについてこういうふうな改善をしたと言う必要があると思うのですが、それは、年に一回あるいは二回の中でしっかり行われているのでありましょうか。
  97. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 この参与制度、先生、一、二回では不十分ではないかという御指摘でございます。  確かに、労災病院運営をより効率的な姿に持っていくことが求められている中、そういった中で、どうやって本当に勤労者の役に立てていくかという問題も同時にあるわけでございまして、今後、一、二回というものではなくて、そういった回数の増加も含めて検討をしていかなければならないと思っております。  それから、こういったところで出ました労使の方の御意見、これは労働省としても把握いたしまして、そういった声にどうこたえ、あるいは反映させているかというようなことについても、十分関心を持ってフォローをしていきたいと思っております。
  98. 近藤昭一

    ○近藤委員 ぜひとも、やはりせっかくある参与制度でありますので、それが実効あるようにしていただきたいと思うわけであります。せっかく意見が出たならば、やはりそれにどう対応していくか、それをしっかりしていただきたいと思います。  ということで、ちょっと横道にそれるというかちょっとずれるわけでありますが、意見の提出ということで申しますと、今回の法改正の中で、監事理事長または労働大臣意見を提出できるという法改正の部分があるわけでありますが、そういった法改正に至った背景というものをちょっとお知らせいただきたいと思います。
  99. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 今回、監事理事長あるいは労働大臣意見を言うことができるという規定を加えたわけでございますが、これは、特殊法人の監査制度のあり方について、かねてから、行政改革なりそういった立場から議論がありまして、内部監査制度の充実を図るべきである、こういう要請を受けていたところでございます。  私ども、そういった方向に沿って、監査機能充実を図るという観点からこのような措置をとらせていただいているわけでございますが、こういった措置、他の特殊法人でもとっているところが大体ほとんどでございまして、労働福祉事業団につきましても、今回の機会に、そういった内部監査の充実のための制度を整備いたしたいということが理由でございます。
  100. 近藤昭一

    ○近藤委員 そうしますと、そういった内部監査を充実させていく、そのために意見が提出できるように法改正をするということでありますが、その提出した意見がどういうふうに反映したか、これはどういうふうにチェックしていくわけでありましょうか。
  101. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 これは法律規定に基づく意見の提出ということになりますので、これは、理事長あてに出たものであれ、労働省といたしまして十分把握し、その後どのように改善されていくかということについては、必要であれば指導も行い、フォローをしていくことになろうかと思います。  もちろん、労働大臣あてに出されたケースにつきましては、これは重要な、またそういった改善等に向けて真剣に考えなければならない意見として真摯こ受けとめさせていただいて、労働福祉事業団業務改善に結びつけていくための努力をいたしてまいる考えでございます。
  102. 近藤昭一

    ○近藤委員 先ほどの繰り返しになるわけでありますが、提出された意見についてはしっかりとそれを反映していただき、もちろんそこで判断していただいて、必要なものにつきましては採用していただき、意見を提出した人に対してそれをしっかりと御報告をお願いしたいと思うわけであります。  ところで、先ほど福岡議員の質問の中にもあったわけでありますが、労災病院のあり方というか入院状況あるいは利用患者状況が随分と変わってきている、そういった資料が出ているようでありますけれども、こういった全利用患者における労災患者比率が随分と減っているようでありますが、この減ってきた理由はどのようにお考えであり、今後どのように対応されていかれるのか、お聞きしたいと思います。
  103. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 この労災病院におきます直接労災の被災、あるいは労働災害としての疾病等になられた方の比率でございますが、平成七年度では、入院の方で六・五%、外来の方で三・六%。これは、制度発足当初に比べると確かに低い比率になってきております。  この点につきましては、労働災害動向、近年減少傾向にあること等も背景にございますが、労災病院がこういった勤労者医療、特に労働災害に遭われた方に対しまして高度な医療提供し、もちろん予防体制からへそういった高度の医療そして社会復帰のためのリハビリテーションという、特色ある一貫したいわば政策医療に近いものを確立いたしておりまして、そういったことからきます地域住民信頼が相当高まってきております。  そういったことで、地域医療計画の中に組み込まれていることとも相まって、全体として、特に外来患者の増加、こういうことが背景にあろうかと思います。そのほか、労災指定医療機関をふやしてきていること等いろいろ理由がございますが、そういったもののいわば重複した形で現在のような状況になっているかというふうに理解をいたしております。
  104. 近藤昭一

    ○近藤委員 いろいろな意味で、労働環境というか労働状況が変わってくる。そういう中で、労災病院のあり方等も変わってくると思いますし、その中で労災患者の方の比率が減る。しかしながら、その地域の中で、労災患者でない方の患者、その地域医療のためこ随分と労災病院が果たす役割、これも大切だと私は思っておるわけであります。  ただ、本来の労災病院のあり方からしますと、やはり勤労者に対する予防医学といいますか、勤労者に対するそういった医療充実になってくると思います。最近の産業構造の変化あるいは技術革新の進展によって、心身のストレスあるいは疲労による労働者の健康被害が非常に深刻になっている。そして、それに対してはもちろん治療も大切ではあるけれども予防的な医療が大変に重要だという見方が大きくなっているわけであります。  そういった中で、特に過労死等の現代的な労働災害について、労災病院を通して労働福祉事業団または労働省がどういうふうに対応なさっていくのか、そのお考えをお聞きしたいと思います。
  105. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 労災病院としての役割を高めていくために、より現代的な予防の面に役割を果たすべきだという御指摘、私どもも同じように認識をさせていただいております。  とりわけ、これからの労災病院のあり方としても、労災病院が各地域の産業医の方との連携、これを非常に大事にした病院にしてまいりたいと思っております。  産業医の方は、実際職場でメンタル面の問題を抱えられた方、あるいまそういった過労というようなことからくる健康障害の問題を抱えられた方、そういうことの情報を一番よく把握し対処しておられる方々でございますので、そことの連携を強化してまいりたいというふうに思っております。  産業医の方につきましては、昨年十月に新しい労働安全衛生法を施行いたしまして産業医の方の権限も強化しておりますので、そういったことと相まって、労災病院としての予防面での役割の向上に努めていく考えでございます。
  106. 近藤昭一

    ○近藤委員 質問時間も参りましたので、最後はお願いをして質問を終了したいと思いますが、今お答えの中にもありました産業医、この制度について、実効あるものにしていく、そういったために御努力をお願いしたいと思うわけであります。  とにかく、今回労働福祉事業団移転することによって随分と予算が必要である。この財政状況が厳しい中でそういった予算が支出されるわけでありますから、どうぞ時代の変化に刻々と対応していただきたい、そのために市民参加、情報公開というものを大切にしていっていただきたいというお願いをいたしまして、質問を終了させていただきます。  ありがとうございました。
  107. 青山丘

    青山委員長 次に、大森猛君。
  108. 大森猛

    大森委員 今回の労働福祉事業団法改正案が提出されて、私も先日、この本部が移転いたします川崎市にあります関東労災病院の視察もしてまいりましたけれども労災病院といえば労働災害労働災害といえば、今大変緊急な問題になっております、労働者の健康、安全にとってもゆるがせにできない動燃問題について若干お聞きをしたいと思います。  きようでちょうど一カ月になりますけれども、去る三月十一日に動燃東海再処理工場で発生した火災爆発事故、これは我が国の原子力開発史上最大で最悪の事故となりました。絶対にあってはならないプルトニウムなどの放射能漏れを引き起こし、周辺住民を大きな不安に陥れただけではなく、内部被曝を含む三十七人もの大量の被曝を引き起こした、極めてこれは重大な問題と言わなければならないと思います。  しかも、これは一昨日明らかになりましたように、動燃が科学技術庁に三月二十一日提出した報告書で、「十時二十二分頃に操作区域から、目視により消火していると判断した。」と記載していたことが虚偽の報告だった、しかもその隠ぺい工作が政府の事故調査委員会に対してまで行われていたというようなことまで明らかになった。本当にこれは言語道断と言わざるを得ないことであると思います。  しかも、労働者の安全からいって極めて重大なことは、消火の確認という一番基本的な安全確認もしないまま、爆発のあったアスファルト固化施設労働者を三度にわたって立ち入らせる、しかも爆発のまさに直前にもたくさんの労働者が中に入っていくというようなことまであったわけであります。  ある報道によれば、死者が出なかったのは幸運としか言いようがない、こうまで書いておりましたけれども、橋本首相は、報告に虚偽があったことを聞いて、動燃という言葉も聞きたくないというようなコメントが報道されておりましたけれども労働大臣、あなたはこの辺についてどういう思いを持たれたでしょうか、まずお聞かせいただけますか。
  109. 岡野裕

    岡野国務大臣 先生がおっしゃいますように、三月十一日、動燃の東海の事故は、労働省といたしましても極めてゆゆしい事故だという判断で対処をいたしております。
  110. 大森猛

    大森委員 動力炉・核燃料開発事業団法の四十条では、「事業団は、内閣総理大臣が監督する。」こうなっておるわけですから、その意味では、首相のコメントというのは、いわば天につばする、極めて無責任な発言と言わなくてはならないと思います。そして直接には、この事業団法の四十三条で、この権限は科学技術庁長官に委任をされているわけでありますけれども、事業者に、動燃に労働者の安全を守らせる、その責任は、これは労働大臣にあると思います。  動燃は、東海再処理工場だけでも延べ二千人を超える下請労働者を危険な作業に従事させておりますし、より一層その労働者の安全を守る、その責任は極めて重い。しかし、そういう意味からいっても、今回の動燃の行為は極めて悪質な行為と私は言わなくてはならないと思います。  動燃の労働者の安全を守る、そういう面からそれぞれ、科学技術庁等行っておりますけれども、そういう労働者の安全を守る立場から、労働省として、科学技術庁とは別個に立入調査あるいは厳重な安全対策での指導等、これを行う必要があると思いますけれども、重ねて労働大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
  111. 岡野裕

    岡野国務大臣 先生おっしゃいますまでもなく、私どもは科学技術庁と連携をとるのは、これはもう当然のことでありますが、連絡をとりながら、これの所管は地元茨城の労働基準局、これであります。したがいまして、茨城労働基準局を中心として、この災害発生の原因の究明その他について鋭意努力を払っているところであります。  そうして、この安全衛生管理対策の徹底、つまり災害発生の原因の究明と同時に、二次災害の発生というようなことが考えられるというような意味合いで、安全衛生管理対策を徹底させようということで、動燃そのものに対して指導をしている ところであります。
  112. 大森猛

    大森委員 動燃の虚偽報告という点でいえば、これは科技庁に対してだけではなくて、実は労働省に対しても虚偽の報告がされております。これは、三月二十五日付で労働安全衛生法に基づいて労働省に提出された事故報告書、この中では、問題の十時二十二分の記述がやはり明確にこれは盛り込まれているわけであります。  労働安全衛生法では、虚偽の報告は明白な罰則も設けられている。今回の虚偽報告は、これは悪質な労働安全衛生法違反だということで、労安法違反事件として告発すべき、それに相当するこれは事柄、行為だと思いますが、これはどうでしょうか。
  113. 岡野裕

    岡野国務大臣 先生がおっしゃいます、この事故の報告につきましては法定されております。今の時点では、一部誤りがあったという連絡を動燃当局から労働基準局は受けております。したがいまして、これが安全衛生法百条の虚偽の報告となるかどうかというようなことも問題になるなというような観点もありまして、災害防止を進める上で、これが本当であるとすればまことに遺憾であり、労働基準局からの調査結果等々の報告を待ちまして、科学技術庁と連携をとりながらこれに対処をいたしてまいりたい、こう思っております。
  114. 大森猛

    大森委員 基準局、水戸労働基準監督署に提出された事故報告書は、事故後約二週間たって提出をされておりますけれども、本当に、率直に言って極めてお粗末な、なぐり書きに近い、そういう形で出された、これ自体も大変私も驚きましたけれども、これはぜひ厳しい対応をしていただきたいと思います。  それで、この直接の監督責任を負う科学技術庁にも……(岡野国務大臣「委員長、ちょっと失礼します」と呼ぶ)ちょっと待ってください。おっしゃることありますか。
  115. 岡野裕

    岡野国務大臣 先生、失礼でございますが、動燃から私どもの方の茨城基準局あるいは水戸監督署に出された報告を、先生のお話でありますと、なぐり書きだとおっしゃいましたが、この公文書をまことにごらんでございますか。
  116. 大森猛

    大森委員 拝見しました。  科学技術庁にお聞きをしますけれども事業団法に基づいて、総理大臣の監督権限が委任をされているわけなんですが、動燃においては、「もんじゅ」の事故の際にもビデオを隠す等々で、これは本当に社会的な批判を浴びたわけですけれども、今回も同様な事故、あるいは真相隠しが大問題になっているわけであります。  原子炉等規制法に基づく法令報告でも、二十三件の事故がこれまであり、しかも日本でも群を抜く被曝事故の実績を持つ、そういう体質が、労働者の安全を保障する点からいっても大変問題になっている。これほど繰り返されますと、直接の監督責任を負う科学技術庁の責任も極めてこれは大きいものがあると言わなくてはならないと思います。  監督官庁としての責任をどのように考え、今後どのようにしていくのか。事業団法四十一条では報告の徴取、立入検査、それから規制法違反行為に対してどう対処していくのか、これも含めてお聞きをしたいと思います。
  117. 片山正一郎

    ○片山説明員 御説明を申し上げます。  今回の動燃事業団のアスファルト固化処理施設の火災爆発事故については、放射性物質が環境中に出たり、あるいは従業員の皆さんに放射性物質の吸引があったということについては、甚だ遺憾なことであるということと考えておるところでございます。  我々としては、徹底的な原因究明、さらにその原因究明については公開の場で、関係の皆様、御関心の皆様、報道機関の皆様、そういう方が皆見ている公開の状況の中で徹底的な原因究明を行う、再発防止を考えていくということを行いたいというふうに考えており、既にもう五回の原因究明のための事故調査委員会を開催しておるところでございます。  また、もう一点の偽りの報告があったのではないかという点でございます。  我々も、三月二十一日に原子炉等規制法に基づき報告書を動燃事業団より受領しているわけでございますが、四月八日になりまして、動燃事業団より偽りの記載があるという報告があったということでございますが、これにつきましては、直ちに翌日、科学技術庁の原子力安全局次長を初め関係者を現地に派遣をいたしまして、動燃事業団関係者から直接事情を聞いてございます。  また、この結果については、翌四月十日に、公開の場で開催されております事故調査委員会で科学技術庁より報告をさせておるところでございます。  また、さらに本件について、原子炉等規制法に基づきまして、事実関係を詳細に報告するよう、昨日、動燃事業団に対して指示をしたところでございます。  今後、こういう動燃事業団に対して指示をした報告徴収の結果及び一昨日我々が現地に参りまして徴収した結果等を踏まえて、速やかに提出を求めているわけでございますので、徹底的な分析を行うということとしておるところでございます。     〔委員長退席、河上委員長代理着席〕
  118. 大森猛

    大森委員 前回の「もんじゅ」の際にも、科技庁あるいは原子力安全委員会、そして動燃と調査をやって、なれ合い調査じゃないかというような批判がありました。今回についても、やはり緊張感を欠くそういう調査ではなかったか。  例えば、問題の鎮火の確認という点についてでも、これは本当にその気になって調べればすぐわかるような事柄ではなかったかと思います。ちなみに、私ども機関紙である新聞、赤旗ですが、これは事故の翌々日であります。「動燃事故 鎮火をだれも確認せず」ということが既に、我が赤旗ではありますけれども、そこでこういうことを確認している。こういうことを明らかにして、しかも報道しているわけですね。ですから、科学技術庁がその権限を最大限に生かして本当に調査をすれば、そういう虚偽があったこと等はすぐにこれは明らかになる事柄ではなかったかと思います。  今後の調査について、先ほどの御見解もありましたけれども、私は、既に一部からも指摘をされておりますように、これはもう第三者機関を含めて、公正かつ客観的な徹底的な調査、それはもう開発体制、安全審査体制も含めてこれを行う必要があるということが一つと、それから万全の対策で住民の納得が得られるまで再処理工場の運転を中止し、そして事故等についてどういう立場かをまずきちんと明確にすることが必要じゃないかと思いますが、再度科技庁の御見解をお聞きしたいと思います。     〔河上委員長代理退席、委員長着席〕
  119. 片山正一郎

    ○片山説明員 御説明を申し上げます。  先生ただいま御指摘の点については、既にさまざまな団体からの申し入れを確かに我々は受けてございます。先生おっしゃるとおり、今回の事故について公正かつ客観性のある徹底した調査を行うということは当然のことであろうということでございます。  そういう意味から、我々としては、翌三月十二日に、公開の場で原因の徹底的な調査を行うために事故調査委員会発足させ、だれもが見ているもとで徹底的な原因究明を行い、資料も全面的に公開をし、その結果についてはできるだけわかりやすい形で説明をしていく、そういうこととしているところでございます。  また、当然、調査結果が出て、安全性が確認されるという段階で、再処理工場というのは運転をされるということになると理解してございます。  また、通報のおくれ、あるいはそういうものが繰り返されないような抜本的な対策という意味から、先ほども申し上げましたように、原子炉等規制法に基づく情報徴収という行為を行って、正しい速やかな情報の伝達のあり方についての報告を徴収し、徹底的に分析をしていくということとしておるところでございます。  いずれにせよ、本件については、当庁としても非常に重要な問題であるというふうに認識してございます。国民の皆さんが納得できるような公明正大な形で原因究明その他を推進してまいりたいというふうに考えております。
  120. 大森猛

    大森委員 きょうは動燃にも来ていただきました。  科学技術庁にも、そして労働省にも虚偽の報告をされた。さらには、事故後、本国会における常任委員会での植松副理事長参考人としての発言の中でも、大変重大な問題を含んだ発言もあると思います。  この報告の段階をさらに踏み込んで、植松参考人、これは三月十八日の科学技術委員会でありますけれども、問題の十時二十二分、「十時二十二分に至って、上司から別の二人を消火確認のために派遣しております。二人が操作室まで入りまして、消火したかどうかということを確認に行ったようでございます。」こういう形でやや事実に反する答弁をされているわけであります。  この動燃に関しては当然いろいろ問題があるわけなんですが、労働者の安全、健康を守る、労働委員会の場でありますから、こういう面からいって、全面的なこれは自己点検が強く求められていると思います。しかも、科技庁、労働省あるいは国会での発言、そして最近の報道によれば、証言を何らかの形でこれを工作するというようなことまで報道をされていて、それこそ組織ぐるみの隠ぺい工作ではないかという指摘までされているわけであります。それらを含めて、現在までの経過について明らかにしていただきたいと思います。
  121. 中野啓昌

    中野参考人 お答えいたします。  先生御指摘のように、三月十一日に発生いたしましたアスファルト固化処理施設の火災爆発事故及びその後の不手際につきましては、ここにいらっしゃる先生方を初め、地元並びに国民の皆様に大変な御迷惑と御不安をおかけしまして、この場をおかりし、深くおわびを申し上げます。  また、法令報告、それから国会等での発言、その他事故調査委員会等での取り調べに対する発言の中に誤りがあったということが後ほど発覚したわけでございますけれども、これにつきましても大変申しわけないというふうに思っておるところでございます。  正確に申し上げますと、法令報告の本文の四の「概況」の中で、「十時二十二分頃に操作区域から、目視により消火していると判断した。」としておるわけでございますが、その後の調査の結果、こういう事実がなかったというわけでございまして、先ほど大臣からもございましたが、水戸労働基準監督署に対しましても、三月二十五日付で同様な誤った事項が入った報告書を提出いたしております。まことに申しわけないと思っております。  そこで、まず、なぜそのような事態になって、そして今後どうしていくかということでございますが、当初、私ども、この事故が発生いたしまして、直ちに、従来ああいった東海事業所のようなところで事故が発生をいたしますと時系列班というのをつくりまして、すぐその当事者たちからその時系列を聞くわけでございます。一つ一つの事象に対して、黒板にそれを記入していきながら後でそれを整理するということを行っております。  その整理をした際に、どうもこの一項が入っておりまして、それがそのまま四月の八日まで来てしまったということでございます。かなりその後チェックを現場ではしたつもりではございますが、結果としては抜けがあったということでございまして、四月八日には本社で独立した特別調査班を結成いたしまして、その後、鋭意もう一度一から出直しをいたしまして、原因の調査それから時系列の調査に当たっておるところでございます。  先ほど片山課長からございました法令報告の御指示を昨日いただいたわけでございますけれども、できるだけ早い時期にこれに基づいて御報告申し上げたい、御訂正申し上げたい、そう思っておるところでございます。まことに申しわけございません。
  122. 大森猛

    大森委員 けさのニュースでもへ事故調査委員会で証言すべき四人のうち、真実を証言しようとした一人に出席させない、こういうようなニュースの報道もありましたけれども、問題はこういう、百歩譲って事実に反する報告、私ども明らかに虚偽の報告だと思いますけれども、虚偽の報告があったということ自体、重大な問題でありますけれども、その問題の性格はそれだけにとどまらないと思うのです。  冒頭に申し上げましたように、問題のアスファルト固化施設労働者を何回か立ち入らせる、これは時系列の中でも制限区域としては一番厳しい、立入禁止区域に既に設定されていて、そこに労働者を立ち入らせてはならないというのがこれは労働安全衛生法の基本的な立場なわけなんですが、そういう立入禁止区域に三度にわたって入域させ、しかも爆発の十分前に十七人ですか、たくさんの労働者を入域させようとされました。  消火という基本的な安全確認もしないまま、しかも目視では、大体もう既に時系列の中でも明らかなように、消火や鎮火の確認ができない状況だ、ガスの組成分析あるいは濃度測定、あるいは揮発性ガスの心配がないことの確認、さらには温度測定、室温や、固化施設にありますエクストルーダーとかドラム缶等々の冷却が十分に行われているかどうか、そういうことを確認した上でないと、これは労働者を立ち入らせることができない。そういう中に数回にわたって立ち入らせ、爆発の十分前に十数人を立ち入らせようとしてきた、これは本当に虚偽の報告以上に大変重大な問題であると思うのです。  この点で、これはもう本来、そういう固化施設が爆発可能性がある、そういう施設であるということがあらかじめ指定されていながら、しかしそういう安全についての確認するシステムというのが全くないということも明らかになっているのじゃないかと思いますが、その点いかがでしょうか。
  123. 中野啓昌

    中野参考人 御説明申し上げます。  安全の確認のないまま、火災後、現場に入れたではないかという先生の御指摘かと存じます。  先生御指摘のように、次の爆発が起きますまでの間に三回入域してございます。この入域に当たりましては、こういう事故が起きたときに一般的に私どもがとりますのは、周りの状況をサーベィをいたしまして少しずつその現場に近づいていくといいましょうか、そういうような行動をとりながら、安全を確認しながら中の方に、中心に近づいていくようにいたします。その場合に、あらかじめ特殊作業計画書というものを作成いたしまして、安全管理関係方々の確認を得た上で班を決め、人を決め、それから装備も決めて実施いたしております。  今回の場合でございますが、火災後、まず最初に初期の消火活動によって一応消火しているなという判断をした上で、しかしまだ中の状態がよくわからぬわけでございますから、放射性物質を吸入しないよう自給式呼吸器、すなわちボンベを後ろに担いだ格好にしまして、かつまたその作業者自身に、線量率を確認しながら、一歩一歩行くたびにその線量率がどのくらいになっているかということを確認しながら入らせていたわけでございます。  その場合、目視で万が一炎を確認した場合には、その段階で退域するという方法をとってまいりまして、第一回目には、大体十分ぐらいをかけまして中を一通り見ましたところ、消火の状況が一応確認されたということで、その後順次、中の汚染の度合いを調査するためのスミアー採取というものをやりますが、そういう作業、あるいはダストモニターのろ紙の交換とか、換気系の運転がうまくいかないかどうかとかいったような点検作業に少しずつ入らせたわけでございます。  したがいまして、私どもといたしましては、先生御心配のように、当然作業者の安全を第一に、少しずつその核心に迫っていくようなやり方で作業を進めてきた所存でございますけれども、今後ともこういった事故に対しては十分気をつけてやっていきたいと思っておるところでございます。
  124. 大森猛

    大森委員 この問題で、私は最大の安全対策は、現在私ども日本共産党の場合、もともと原子力発電行政そのもの、原子力発電そのものが未確立、未成熟、そういう中でとりわけ今、核燃料の再処理技術については、これがもともと原爆製造ということを目的にして開発されたという点で、安全は二の次、三の次にされているという面で、これ自体が大変未確立の、そういう面でそういう問題があるという点からいって、今現在、プルトニウムを循環させる、そういう計画が強引に進められようとしておりますけれども、そういう計画等の抜本的な見直し、これが労働者にとって最大の安全問題になるのではないかと私は思います。  既に現在、日本のエネルギーの二八%が原子力発電で占められている。そこで被曝労働者というのは既に三十万人に達しているわけですけれども、そういう放射性物質あるいは放射線等にかかわる作業に従事する労働者の安全と健康を守る問題というのは、これからいよいよ重大になってくると思います。  これに関して、原子力産業で働く労働者の安全と健康を守るということとのかかわりで労働者が受ける放射線被曝を可能な限り少なくするということも重要な課題だと思いますけれども、この点、労働大臣いかがでしょうか。
  125. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 御指摘のございました問題につきまして、私ども労働安全衛生法に基づきまして電離放射線障害防止規則、これを定めてその遵守を徹底させているところでございます。  また近年、国際放射線防護委員会、ICRPの方からも放射線防護の基準についての勧告が出ておりまして、そういった点につきましては、現在放射線審議会の方で審議が行われているというふうに承知いたしております。私ども電離則と呼んでおりますが、この規則の完全な遵守を徹底させるとともに、関係の動きも関心を持って見守りながら、そういったところでの一定の結論が得られた場合には、速やかに必要な対応を図っていくことといたしたいと思っております。
  126. 大森猛

    大森委員 放射線業務に従事する労働者の被曝限度については、今も若干お話がありましたけれども、ICRP、国際放射線防護委員会でその引き下げの勧告が出されているわけなんですが、現行年五十ミリシーベルトを年平均二十ミリシーベルト以下にすると。九三年に、当時の村上労働大臣はこれを受けた形で、引き下げを検討しなければいけない、科学技術庁にそういう趣旨の申し入れを行うというようなお話も記者会見で行われているわけなんです。既に国際的には、スウェーデン、スイス等国内法令に取り入れているという状況ですが、もう時間が来ましたので、今後こういうICRPの勧告を国内法令にどう取り入れていくか、その時期的なめどをお聞きしたい。  加えて、先般、関東労災病院を視察した際にも拝見したわけなんですが、労災病院で行っている職業歴調査、ことし三年目に入り、中間報告もまだされておりませんけれども、今、職業と疾病あるいは死亡、そのかかわりが大変大きな問題になっているわけで、そういう面で、せっかく労災病院でやられているわけですから、結果を適時公表し、労働条件の改善に生かしていただきたい、この二点を伺って質問を終わりたいと思います。
  127. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 先ほどのICRPの勧告につきましては、現在放射線審議会の方で審議が進められておりますので、私どもとしてはそれを待って対応を急ぎたいというふうに思っております。  また、労災病院につきましての労働条件等の向上につなげていくお話につきましては、これは労災病院自体が勤労者の役に立つべきものでなくてはならないと思っておりますので、そういった方向で努力をしてまいります。
  128. 大森猛

    大森委員 終わります。
  129. 青山丘

    青山委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  130. 青山丘

    青山委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  労働福祉事業団法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  131. 青山丘

    青山委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  132. 青山丘

    青山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  133. 青山丘

    青山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時五十三分散会      ————◇—————