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1997-04-02 第140回国会 衆議院 労働委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月二日(水曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 青山  丘君    理事 荒井 広幸君 理事 大野 功統君    理事 佐藤 剛男君 理事 森  英介君    理事 河上 覃雄君 理事 桝屋 敬悟君    理事 岩田 順介君 理事 金子 満広君       飯島 忠義君    大石 秀政君       粕谷  茂君    河井 克行君       小林 興起君    竹本 直一君       棚橋 泰文君    能勢 和子君       桧田  仁君    綿貫 民輔君       鍵田 節哉君    塩田  晋君       西田  猛君    福岡 宗也君       吉田  治君    近藤 昭一君       中桐 伸五君    松本 惟子君       大森  猛君    北沢 清功君       吉田 公一君  出席国務大臣         労 働 大 臣 岡野  裕君  出席政府委員         労働政務次官  小林 興起君         労働大臣官房長 渡邊  信君         労働省労働基準         局長      伊藤 庄平君         労働省職業安定         局長      征矢 紀臣君         労働省職業安定         局高齢障害者         対策部長    坂本 哲也君         労働省職業能力         開発局長    山中 秀樹君  委員外出席者         法務省人権擁護         局総務課長   坂井  靖君         文部省教育助成         局地方課長   清水  潔君         厚生大臣官房障         害保健福祉部障         害福祉課長   林  民夫君         労働委員会調査         室長      中島  勝君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二日  辞任         補欠選任   能勢 和子君     桧田  仁君   村山 富市君     北沢 清功君   畑 英次郎君     吉田 公一君 同日  辞任         補欠選任   桧田  仁君     能勢 和子君   北沢 清功君     村山 富市君   吉田 公一君     畑 英次郎君     ――――――――――――― 三月二十五日  障害者雇用促進等に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出第六二号)(参議院送  付) 同日  パートタイム労働者雇用の安定と権利確立の  ためのパート労働法改正に関する請願金子満  広君紹介)(第一二四三号)  同(佐々木憲昭紹介)(第一二四四号)  同(佐々木陸海紹介)(第一二四五号)  同(藤木洋子紹介)(第一二四六号)  労働基準法女子保護規定撤廃中止に関する  請願石井郁子紹介)(第一二四七号)  同(大森猛紹介)(第一二四八号)  同(金子満広紹介)(第一二四九号)  同(瀬古由起子紹介)(第一二五〇号)  同(藤木洋子紹介)(第一二五一号)  同(藤田スミ紹介)(第一二五二号)  男女雇用機会均等法改正に関する請願村山  富市紹介)(第一二五三号)  労働基準法女子保護規定撤廃反対に関する  請願藤田スミ紹介)(第一二五四号)  同(大森猛紹介)(第一三二二号) 四月一日  パートタイム労働者雇用の安定と権利確立の  ためのパート労働法改正に関する請願大森猛  君紹)(第一四一七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  障害者雇用促進等に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出第六二号)(参議院送  付)      ――――◇―――――
  2. 青山丘

    青山委員長 これより会議を開きます。  内閣提出参議院送付障害者雇用促進等に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。岡野労働大臣。     ――――――――――――― 障害者雇用促進等に関する法律の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  3. 岡野裕

    岡野国務大臣 おはようございます。  ただいま議題となりました障害者雇用促進等に関する法律の一部を改正する法律案、これにつきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  障害者雇用促進等に関する法律に基づく雇用率制度につきましては、現在、身体障害者のみを対象として法定雇用率設定され、精神薄弱者はその算定基礎には加えられていないため雇用義務はありませんが、精神薄弱者身体障害者とみなして実雇用率にカウントできることとされ、その雇用が進み、その職域も広がりを見せているところであります。しかしながら、その一方で、このような取り扱いが身体障害者雇用促進に対して影響を及ぼすに至っております。  また、精神薄弱者への雇用率制度適用を求める社会的機運が盛り上がり、平成七年十二月に政府において策定いたしました障害者プラン及び平成八年五月の総務庁の行政監察結果に基づく勧告におきましても、精神薄弱者を含む雇用率設定について検討をするべきこと等の指摘が行われたところであります。  これらの問題について、障害者雇用審議会において昨年九月以来御議論をいただきましたところ、本年一月に意見書をちょうだいし、法的整備方向が示されたところであります。  政府といたしましては、この意見書に沿って本法律案を作成して障害者雇用審議会にお諮りし、全会一致の答申をいただいて、ここに提出した次第であります。  次に、その内容概要を御説明申し上げます。  第一に、精神薄弱者を含む障害者雇用率設定することとしております。  身体障害者または精神薄弱者である労働者の総数を算定基礎とした障害者雇用率設定し、事業主はその雇用する身体障害者または精神薄弱者労働者の数が障害者雇用率以上であるようにしなければならないこととしております。  第二に、子会社雇用する障害者親事業主雇用する障害者とみなすことができる特例子会社認定要件を緩和し、子会社雇用する労働者親事業主雇用する労働者とみなす場合の当該子会社認定要件について、親事業主と営業上の関係が緊密であることという要件を廃止することとしております。  第三に、福祉的就労から一般雇用への移行のための支援体制充実することとしております。  市町村レベル授産施設における福祉的就労等一般雇用に結びつけていくための相談援助を一貫して行う障害者雇用支援センターについて、その設置主体社会福祉法人を加える等、その指定要件を緩和することとしております。  第四に、精神障害者に対する雇用施策充実し、精神障害者である短時間労働者についても助成金対象とすることとしております。  なお、この法律は、平成十年七月一日から施行することとしておりますが、特例子会社認定要件の緩和に関する部分については平成九年十月一日から、福祉的就労から一般雇用への移行のための支援体制充実及び精神障害者に対する雇用施策充実に関する部分につきましては平成十年四月一日から施行することとしております。  以上、この法律案提案理由及びその内容概要につきまして御説明を申し上げました。  何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。どうぞよろしくお願いをいたします。
  4. 青山丘

    青山委員長 以上で趣旨説明は終わりました。     ―――――――――――――
  5. 青山丘

    青山委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤剛男君。
  6. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 自由民主党の佐藤剛男でございます。  ただいま、私のふるさと、福島の御出身であられます岡野労働大臣、私ども福島県の期待を一手に担っておられる大臣でございまして、日々の御活躍に敬意を表する次第でございます。また、このたび障害者雇用促進に関する法律改正に踏み切られまして、改めまして敬意を表する次第でございます。  私も、小規模施設授産所にいたしたり、あるいはそういう障害者施設に対しましていろいろな、政治家としまして弱い人の、と言ってはいかぬですが、そういう立場にある人を守る、こういうことを基本としている姿勢を持っておりますので、この問題に対しまして、この機会に幾つか、日ごろ考えております見解等につきまして、大臣にお伺いいたしたいと思うわけであります。  この障害者のといいますのは、労働省の面におきましては雇用、それから人のライフサイクルからいえば、精神障害という形で生まれた方もありますし、身体障害で生まれた方もある。そして文部省関係になりますか、養護関係学校、それから親の会を経て授産所あるいは施設、こういう人たち最後は、最後と言ってはなんですが、ライフサイクルといたしまして、高齢者問題というものを非常に重要視いたしておるわけであります。  現在、厚生委員会において介護保険という問題を議論しているわけでありますが、そういう問題も人間の一つライフサイクルでございますから、そういう中において各省が、労働省一つの切り口をし、そして厚生省があれし、文部省がやっておる、そういう面でございまして、お互いの省の連携というのは極めて重要だという意識でございます。  私が非常に感銘しております作文コンクールというのがございます。これは親の会の母親の作文コンクールでございまして、その一等賞がこういうものでございました。神様、私を娘より一日長く生かしてください。これが一等賞でございました。それから障害者子供一等賞は、お嬢さんでしたけれども、こういうものでした。神様、私を一日お母さんより長く生かしてくださいと。私は、障害者問題の悩みというのはそこにあるのだろうと思うわけですね。  ところが、親がいる場合はいいのです。親兄弟がもういなくなってきます。高齢者問題というのが出てまいります。そこで、施設という問題が出るわけでありますが、施設等については、私の場合福島でございますけれども、十分ではない。また、古い建物があるわけでありまして、それを直さなければならぬという問題を抱えるわけであります。  そういういろいろな問題を含んでいる問題でございまして、その面で、今般、今まで身体障害者のみを対象といたして法定雇用率設定されたものを、精神薄弱者について算定基礎へ入れるということは一歩前進であると私は思いますが、それと同時に、問題は、企業立場考えてもらわなければいけない。  今の状況はどうかといいますと、企業側立場といいますのは、採用をしたがらない。なぜしたがらないかというと、それは、トイレの施設整備をしなければいけない、あるいは段差を直さなければいけない、もろもろの問題があるわけでございます。それならば、三百人以上の従業員を雇っている人たちは、納付金を出してしまおう、そしてあれしようという一つの動きがあることは事実でございます。ですから、そういうふうなこともあって、今まで精神薄弱者というのが算定基礎には加えられないで来ていた経緯もあるんだろうと私は思うわけであります。  それは、障害者雇用対策の変遷を見てみますと、昭和三十五年に身体障害者雇用促進法が制定されまして、そのときは身体障害者雇用率設定というのは強制的じゃございませんでした。それから、昭和五十一年に身体障害者雇用促進法改正されまして、そして、身体障害者雇用率制度が法的に義務化される。それと同時に、精神薄弱者への適用というのがなされたわけでございまして、それによって、納付金の減額あるいは助成金というようなものができ上がっております。それから、昭和六十二年にこの法律改正されているわけであります。そして、いろいろ近時における世界的な流れ、ESCAPにおいての障害者十年対策とか、それから、平成七年には障害者プランができ上がったわけであります。  それで、大臣参考資料で拝見いたしますれば、大まかに言いますと、現在障害者は五百万人おられます。その中で、身体障害者というのが約三百万人、それから精神薄弱者というのが約四十万、それから精神障害者が約百六十万、私はそんなような感じで全体を思っているわけであります。そして、精神障害者それから精神薄弱者授産施設、できるだけ私も自分でお手伝いして手がけたわけでございますが、そういう授産施設、三十人なら三十人のところに集まって、そこへ仕事が来て、部品関係なら部品関係のそういう仕事をする。定型的なものなら十分できるのです。企業に行くにはいろいろな問題があります。ですから、母の会の人たちは、社会復帰よりも授産所の中で仕事が欲しい、こういう声が多いわけでございます。  つまり、こういうことが考えられないかという問題提起なんですが、雇用率算定基礎ということで、今度は精神薄弱の人を企業に入れる、こういう思想でございますけれども企業側から、例えば三百人以上の中小企業あるいは大企業、結構下請関係で、例えば紙器ののりをつける作業だとかいろいろな作業があります。そういう人たちに対して雇用率という形じゃなくて、仕事授産所に行ったならば、そういうのを一つ雇用率と同じような形でこれを計算してみる。これを将来の、将来の問題でいいですが、そういうふうなことをお考えいただけないか。  これは、この法律をけなしているわけじゃないですよ。私の言っているのは御理解賜れると思いますが、そういう授産所仕事が欲しい。それで、授産所に持ってきてくれた、金額で計算できますから、Aという会社がこのところにのり加工、何々というのを持ってくる、それを促進させる、そういうふうなことを思っているわけでございます。  私、まず、十分の間に御質問する問題点だけを指摘しますが、それが一点。それから次は、時短の問題との関係がございまして、時間短縮措置ということで四十時間へ移行ということで、このたびは法律も衆議院では通したわけですね。それでそのときに、時短の問題と障害者雇用促進との問題に矛盾が出てくるのじゃないかという感じを私持っているのであります。  といいますのは、今般、指導期間という形になりましたが、中小企業の四十四時間の対応になっている例えばパン屋さんあるいは豆腐屋さん、具体的に言いますと。そういう、朝早くしなければいけないような方、結構雇っているわけでございます。時短が四十時間になると、経営者としては、雇っている人たちが非常に困ったなという声を現実に聞いて、そういう意味で私は、罰則を適用するというようなことじゃなくで、この時短というのはみんなが望んでいるのだから、慌ててやることはないので、そういう指導期間をという形でやることがいいのだということの議論をした経緯があるわけでございます。  しかし、そういう時短へという道をやっていきますと、時短奨励金とかなんとかありますけれども、この人たちを雇ってくれている人が非常に困る部分がある。ですから、今現在、中小企業は四十四時間になっている。小売、卸それから旅館、サービスは四十六時間になっている。そういう、業種でとらえていますね。そういうようなものについて、障害者を雇っている人たちを、業種単位ではなくて何かうまい形で、業種にとらわれずに、そういう形で救われる、救われるというか猶予措置を講ずることを考えるべきではないか。これが第二点目でございます。  それから第三は、次の高齢者の問題でございまして、社会復帰いたしましたが、豆腐屋さんに行きました、パン屋さんに行きました、ところが年をとるわけですよ。先ほど言いましたようにライフサイクル、例えば六十歳が定年でありますと、その後に、これはお母さん、お父さんがいればいいのですよ、子供の還暦、親も立ち会う長寿国と言われているのだから、子供が六十歳になって親がおるかもしれませんが、どちらかといいますともうお年寄りです。そういうふうな場合に、引き取る施設というのはすごく難しいのです。一たん社会復帰した人で、今度は戻ってくる、戻ってくるといっても、既存の施設なり、施設自身が足りないわけですから。これは人生八十年、九十年の時代に来ているわけだから、そういう面での配慮が必要なのではないか、私はこういうことを、この三点を中心にお聞きいたしたいと思っているわけでございます。  ということの前提で、まず最初に戻りまして、法律達成率基礎には、今この法案にはありませんが、将来の問題として、私の考え方をどのように大臣考えになるか。つまり、授産施設に物を頼む、三百人を超えない、それで資本金が一億未満というものは中小企業ですから、そういう中小企業がいます。つまり、親企業というのがあって、下請があって、中小企業があって、さらにその下請、孫ですね、孫の孫みたいな形。しかし、ちょっとした部分だけはできる、それで非常に福祉に対して関心を持っておる、こういうような方々を、そういうことを何かでやりますと、そこのところに、授産所に物が来るのですよ。そうしますと授産所が非常に潤ってきまして、また待機している人たちを入れることができる。そういう点について、まず大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。
  7. 岡野裕

    岡野国務大臣 先生お話、一々ごもっともで、私も例えて言いますならば、今先生お話にあったような、身体障害を持たれる、あるいは精神障害を、精神といいますか、精神的に薄弱であるという皆さんに働いてもらうのには、段差を設ける等のいろいろの施設も準備しなければいけない、それについてはやはりコストもかかる。やはりどこかに集中的に、授産所とおっしゃいました、というようなところに、その皆さんに合うような仕事を運んで、そこでやってもらう。能率も上がる、コストも比較的割安に済む、こう考えた時期がありました。しかし、社会全般としては、こういう身体障害者精神薄弱者皆さんも、ともにこの社会で生き抜こうではないかという風潮というものが、ここ数十年の間に非常にどんどん高まってまいりました。  聾唖聾唖だから耳と口でしたかな、障害を持たれる皆さんには、そういった皆さんを集めて教育をするという学校施設がありました。そこで満足をなさっている皆さんおいでになりますが、やはり一般大学に行きたいというような身体障害者精神薄弱者皆さんおいでになるということで、点字その他で当該本人の学力を判定して、大学にそういう学生諸君を収容し、立派に健常者皆さんとともに学び、ともに遊びというような方向になってまいりました。  身体障害あるいは精神薄弱者皆さんも、学ぶだけではなくて社会活動をみんなと一緒にやりたい、みんなと一緒仕事をやりたいというような心根というものが大きくなったので、私どもとしては、そういう健常者皆さんの中に一緒に入って、そういう皆さんとともに心を通い合わせながら仕事をするということが、本人、それぞれの皆さん考え基本ではないか。  自分の持てる能力を存分に発揮をし、それを周囲の皆さん初め社会皆さんから正当に評価をしていただく、あるいは十分に自分満足をできるような、言いますならばポストにもっけるというようなことが本当の気持ちではないかということで、まあ例えて言いますならば、障害者皆さん子会社に大勢集めて、それで雇用率を親会社の方で換算できるというような仕組みもつくって、先生のお気持ちも一部入れているつもりではありますが、やはり本来的に言うならば、私が申し上げた、健常皆さんとともに働きともに生きるということで、今回はこのような法律を準備させていただいた、そんな次第であります。
  8. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 岡野労働大臣のおっしゃる共生というのは、まさしくそこが原点だろうと思うわけでございます。そして、それはグローバルに、地球的にということをやらなければいけない。しかし、地球のこと、これは世界全体のあれだけれども、我が国の、自分の国のところの足元がきちんとできないようではどうしようもないということだろうと思うのです。  ですから、予算だの何だの限られた中で、これは厚生省部分であるわけでありますけれども授産所施設の増大と同時に、社会福祉法人授産所を持っていますが、それを膨らませる。簡単に言いますと分場一つ一つ法人をつくるのではなくて、簡単に言えば持ち株会社みたいなものなんだけれども地域ごと一つ福祉法人がたくさんあるというような形をやっていくことが私は必要なんじゃないか、かように考えているわけでございます。  そこら辺で、厚生省担当課長をお呼びしているのですけれども、私が事前に申し上げましたりしておりますから、それについての御見解を伺いたいと思います。
  9. 林民夫

    林説明員 お答え申し上げます。厚生省といたしましても、福祉的な配慮のされました働く場を確保するということが極めて重要なことであるというふうに考えておるところでございます。  もう先生御案内のとおり、障害者プランに基づきまして授産施設整備等を計画的に進めておるわけでございますけれども、特に今御指摘のございました小さな授産所、これを支所と申しますか、分場として位置づけるというようなことにつきましても、そういった小さな作業所運営安定化にも資するという観点から促進をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。  例えて申しますと、従来は授産施設、本体になります施設授産施設の場合にのみ認めておりましたものを、もう少し施設の範囲を拡大するというようなことにも手がけておるところでございます。  引き続き、先生御発言のような方向を含めまして、小さな授産所運営の安定に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  10. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 ありがとうございます。  ですから、厚生省労働省、ぴったり息が合ったような形で進めていただきたいと思います。  それから次に、先ほど申し上げました第二の時短の問題との関係で、私は政策展開障害者を一雇っておる例を申し上げましたが、パン屋さんとか豆腐屋さん、そういう職場に、非常に社長さんが障害者雇用関心を持っていて、そして雇われる。ところが、労働省が四十時間へ向けて、四十四時間でやっている人たち、四十六時間の適用を受けている人たち、それが進んでいくことに対してすごく危惧を持っている方々がいるわけです。それについて、その政策をどういうふうに調整されるかということを質問申し上げたわけでございますが、それに対する労働大臣の御見解を伺いたい。
  11. 岡野裕

    岡野国務大臣 今度の時短、この四月一日から労働基準法どおりに実施をする、従前までの懸案を踏み越えたということでありますが、やはりこれの負担というものは、主として中小企業雇用主皆さんには大きいものがあろうか、こう思っております。先ほどお話が出ました、身体障害あるいは精神薄弱というような皆さんを雇われる場合にも、段差をなくすだとかあるいはそれ用の機材を、器具を使うとか、これも同じく負担であります。  そういう意味合いではダブルの負担になる、先生お話はそういうことかと思いますけれども、やはり、身体障害者皆さん健常者皆さん一緒に働くという話をさっきいたしました。そうだとするならば、健常者皆さんはどうぞ四十時間、障害を持たれる皆さんの場合には、雇用主のためにこれを配慮して、四十時間でなくてもいいとか、そういう方をお雇いになっている雇用主の場合には、そういう方がおいでになるがゆえに四十時間ではない、いささかの猶予をということに相なるのは、これは時代を逆行するものではないかと私どもは思います。  それで、時短のためにいろいろ御苦労をなさる、例えばベルトコンベヤーを導入される、あるいはパソコンを導入されるということで時短をなさるというような場合には、これはそれなりの助成制度というものを設けておりますし、身体障害者あるいは精神薄弱皆さんをお雇いになられる、これも御負担でありましょう、しかしひとつということで、これまた助成制度を設けるというようなことで、その他もろもろの、言いますならば、こうやるといい、ああやるといいというような、ケースメソッド的なお知恵もいろいろ周知できるように我々が準備をいたして、この二つの制度をともに実行をし、日本の国づくりに資してまいりたい、こう思っておるわけでございます。
  12. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 労働大臣、ひとつそういう考え方もあるということをお含みの上、労働行政をお進めいただきたいとお願い申し上げる次第でございます。  次は第三の問題で、いわゆる社会復帰いたした、そこでいわゆる高齢者が働いておるわけです。そこのところに、例えば六十なら六十という会社の定年がある、そうすると今度は戻らなきゃならない。戻るところというのは、家か施設か、どうだというわけです。しかし、今の時代というのは、働いていたわけでございますが、その戻る施設とかあるいは親というのがいない場合、帰るに帰れないという部分というのはある。何といいますか、帰るというか、自分のあれがなくなってきますから、そういうケースというのもあるわけでございます。  高齢者の人について、障害者の人で六十以上の人の実態というのはどのように労働省としまして把握されているか、そしてそれを今後の問題としてどのようにお考えになるかということを事務当局からちょっとお聞きいたしたい。
  13. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 私ども平成五年に実態調査をやっておりますけれども、これによりますと、六十歳以上で働いておられる障害者の方の数ですけれども、五人以上規模事業所に雇用されている身体障害者の方が全部で三十四万四千人おられるわけですけれども、そのうち六十歳以上の方が四万三千人、率にしまして一二・六%。また、精神薄弱者の方についてみますと、雇用されている方が六万人、そのうち六十歳以上の方が三百人、〇・五%といったような状況になっております。  高齢で働いておられるこういった方々に対する基本的な考え方としまして、障害者に限らず、私ども、これからの高齢化社会の到来をにらみながら、六十五歳まで現役といったような形での施策の推進を図っておるところでございます。  また一方で、障害者につきまして、加齢に伴っていろいろな機能の低下とか、こういったものが早く出てくるのではないかといったような問題指摘もございますので、こういった状況につきましても、障害者雇用促進協会等を通じましていろいろ調査研究を行っておるところでございます。こういったものを踏まえて対応してまいりたいと思っております。
  14. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 時間も来ておりますので、要望しておきます。そういう障害者高齢者に対する問題、それは片方、厚生省の問題と非常に接点があるわけですが、その問題をひとつお願いいたしたい。  それから、先ほど三つのうちの中で言わなかったのですが、一つは、もう一つ私思っておる、これは要望だけとして厚生省に要望しておきます。  これは介護保険関係するのですが、あんま、はり、きゅうですね、目の悪い方々障害方々に対して、今、御承知のように、厚生委員会の方では介護保険の導入について真摯な、もう本当に、毎日と言ってはあれですけれども、すごい集中的なる議論をやっているわけでございます。  その介護保険の中に、これはなかなか難しい部分であることは承知しておりますけれども、回答は要りませんが、厚生省の課長、そこでにこやかに笑っておられるから要望いたしておきますが、はり、きゅう、指圧、そういう方々で目の悪い方々、そういう方々への道というものの検討を、これはまだ法律もできてない、何もしてないときにそんな話をする話じゃないですけれども、いろいろ知恵を絞りて、頭のいい皆さんのことですから、考えていただきたいと要望申し上げまして、委員長、私の質問をこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。
  15. 青山丘

    青山委員長 次に、飯島忠義君。
  16. 飯島忠義

    ○飯島委員 労働委員会で初めての質問をさせていただきます飯島忠義でございます。  私自身は、地方議員として四期十六年、横浜市政の方で活躍の場をいただいたわけでございますけれども、とりわけ障害者雇用問題、大変地道な努力が、労働省さらには厚生省皆さんの御苦労で今日の状況になったという現状認識をしております。  それで、私自身も、この労働委員会質疑の中身というのが、本来地方議員として議事録等を取り寄せて勉強する機会もあったのでしょうけれども、時間的なことも含めて、先輩代議士にすべてお任せする、そんなこともありまして、今回の質問に先立って初めて勉強させていただいたのですが、本当に地味な論議がなされておるのですね。  例えば、前回のこの障害者雇用促進等に関する法律の一部改正、これは平成六年の六月の議会、第百二十九回国会でございますけれども、本当にこういう地味な論議の積み重ねが今の状況になったのかな。そういう面で、私自身も、若干細かくはなりますけれども、それらを踏まえて質問をさせていただきたいと思っております。  まず、これは我が党の宣伝になってしまうかもしれませんがお許しいただきたいのですけれども、今回の、昨年の十月二十日に向けての衆議院議員総選挙の自由民主党の公約、私自身は地方からの挑戦でございますから、この公約、消費税も三%から五%にお願いします、国民負担についての御理解をいただきたい、それらも含めて、党の公約にのっとって戦った一人の候補者でございまして、幸いに衆議院に議席をいただいたわけでございます。  その中で、障害者雇用促進については、自由民主党はこのように有権者の皆さんにお訴えをしたところでございます。「働く意欲と能力を有するすべての障害者にその適性と能力に応じた雇用の場が確保されるような社会を実現するため、雇用率達成指導をはじめ、重度障害者対策充実精神薄弱者精神障害回復者などの職業リハビリテーションの充実を図るとともに、精神薄弱者雇用対策を一層強化するなど、障害者雇用促進に努めます。」こういうふうに訴えて勝たせていただいたわけでございます。それが、くしくも今回の国会でこういう法案の中身の一部改正ということで提出されまして、我が意を得たりと大変うれしくも思いますし、この法が成立されて、そして環境条件が大きく進捗することを求めておきたいと思います。  そういう視点からでございますから、賛成の意味を込めまして、質問をさせていただきます。  そもそも、我が国の障害者雇用施策についてでございますけれども佐藤委員からも流れについて冒頭説明がございました。我が国経済の成長の中にも幾多の苦境というものを経験しながら大きな波を乗り越えてきた、こういう認識を持っております。そのような苦境の中にあっても、障害者雇用施策は、完全参加と平等の実現に向けて、障害者が他の一般市民と同様に社会の一員として種々の分野で活動することができるようにするというノーマライゼーションの理念に従って、政府とともに進めてきたところでございます。  今回、障害者雇用施策をさらに一歩進め、精神薄弱者を含む法定雇用率設定するわけでありますが、これを機に、さまざまな障害を持った方々健常者とともに生きがいを持って働けるよう、労働省に一層の努力をお願いしたいと考えております。  そこで、質問のまず第一でございますけれども、これは総括的な大臣考えで結構でございますが、障害者の就労の場を確保し、生活の安定を図ることは大変重要と考えておりますけれども、今後、障害者雇用を一層促進することについて大臣はどのようにお考えか。基本的な姿勢について、まずお伺いしておきたいと思います。
  17. 岡野裕

    岡野国務大臣 先生の御質問にけちをつけるというわけでもないのでありますが、先生のお言葉を聞いておりましたら、障害者の就労の場を確保し、生活の安定を図ることは重要だ。先生、今私は佐藤先生にもお話をいたしましたが、生活の糧を得て、その生活が安定をするためであるならば、目の悪い方だけを集めて特定の学校に行ってもらい、特定の職業についてもらうということだけでもこれは生活の安定にはなる。それだけれども、お金さえあって、食っていければいいということではない今の日本の実態だろうと思っております。  だから、やはり生きがいを感ずるというような意味合いで、普通の大学の門をたたけるようにしたい、だから我々も、生活の糧を得るためのみではない、やはりおれは自分の力量を十分職場で発揮し、周りの皆さんも、健常者と並べてその当該本人の評価をしてもらえるということに人生、生きがいを感ずるのではないか、これを私は目的としてこの法律案を御提案している次第であります。そんなところで御理解をいただいて、ちょっと生意気でありますが、お答えにかえさせていただきます。
  18. 飯島忠義

    ○飯島委員 生活の安定という意味でのとらえ方が、大臣と私の認識が若干違うのでしょうけれども、目指すところは、生きがい、それも含めて、身障者あるいは精薄者がともに共生できる、そういう世の中をつくろうということであろうかと思うのです。  そこで、今回のこの雇用率、この諸制度についてでございますが、海外との比較、私も勉強で一覧表をいただいたわけでございます。割り当て雇用制というのですか、パーセンテージを設定してというところでいいますと、日本はドイツ、フランス、オランダ等に似ているのかなというようか理解をしているのですけれども、そちらの雇用率ですと、例えばドイツ、これは十六人以上雇用民間企業及び公的機関では六%。フランスは二十人以上の事業所で六%、ただし書きもいろいろありますけれども。時間がございませんので大まかにさせていただきますが、大変高い率の設定になっております。  これに比べますと、我が国法定雇用率は低いという理解をせざるを得ないのですけれども、この違いというのですか、例えば基礎数字、算入の数字が、そうではないのですよ、日本の場合はこうですよというようなものも含めて、ひとつ御説明いただきたいと思います。
  19. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 先進諸国の障害者雇用に関する制度でございますけれども一般的に、共通的に行われております施策としましては、年令による所得保障ですとか、あるいは福祉施設に対する公的援助によって福祉的な就労対策をやろう、そういったことが一般的に行われております。  それに加えまして二つの大きな流れがございまして、一つは、先生今御指摘のように、ドイツやフランスといった大陸系諸国で、一定の割合の障害者雇用企業に義務づける割り当て雇用制度、こういった制度で対応しているところと、それから一方、もう一つは、アメリカ、イギリスのように、雇用を初めとしまして、社会における障害者の差別をなくす、障害者機会均等の確保を目指す、こういった流れ、二つございます。  そのうち、ドイツ、フランス、こういった割り当て雇用制度をとっております国の雇用率でございますけれども、ドイツ、フランスとも、いずれも法定雇用率六%ということになっておるわけでございます。数値だけを比較しますとかなり高く設定されておりますけれども、それぞれのいろいろな事情がございまして、障害者の数に相当な差があるといいますか、障害者のとらえ方が大外違っておる。  ドイツでは全人口の約八%が障害者。これに対しまして日本では、先ほど佐藤先生お話にもございましたように、障害者と言われる方が大体全部で二・五%程度、四百万から五百万ぐらいではないかといったようなところでございます。  それから、我が国では障害者とはみなされない、例えばアレルギー性鼻炎の症状が長期間継続している人ですとかあるいは戦争未亡人とか、こういった方々もそれぞれドイツ、フランス等では算定対象に含まれている。こういったようないろいろな違いもございますので、一概にその数値だけで比較というのはなかなか難しいのではないかなというふうに思っております。  ちなみに、ドイツ、フランス、法定雇用率六%でございますが、実雇用率について見ますと大体四%、ドイツでは四・二%、フランスでは四%程度、こういった状況というふうに承知をいたしております。
  20. 飯島忠義

    ○飯島委員 そういう面でいうと、その法定雇用率の数字そのものの対象が日本と大分違う、ですから決して日本の数値そのものは低いことではない、そういう答弁かなと思うのですけれども。  そこで、政府において障害者施策の一層の充実を図るとして、一昨年の十二月、障害者プランを策定しました。この四月で第二年度に入るわけでございますけれども労働省雇用の分野で各般の施策を講じてきたと思いますけれども、まず、最近の障害者雇用状況についてお伺いします。  現在、経済全般の景気の低迷のさなかでございますから、若干、その一筋の光明が光り出した今日でございますけれども、最近の障害者雇用状況はどうかということと、また、一般的に言って企業規模が大きいほど障害者雇用状況がよくないという傾向もあるようですが、ここに資料もいただいて、私も数字を把握はしておりますけれども、確認の意味で、企業規模や業種ごとの障害者雇用状況について御説明いただきたいと思います。
  21. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 最近におきます障害者雇用の状況でございますけれども平成八年の六月一日現在での障害者雇用状況について見ますと、一・六%の法定雇用率適用されます規模六十三人以上の企業について、常用労働者数は前年に比べて五万七千人ほど減少しておる中にありまして、障害者の実雇用率について見ますと一・四七%、前年比〇・〇二ポイントの伸びということになっておるところでございます。この一・四七%という割合は、これまでの実雇用率、過去最高という水準に達してきておるところでございます。  この雇用状況を企業規模別に見ますと、企業規模の小さいところでは高い、規模の大きいところでは低いという従来からの傾向は基本的には変わっておりませんけれども、前の年と比較した実雇用率について見ますと、五百人以上の規模では上昇してきておる。例えば、千人以上の企業では、前の年が一・四一%でございましたが、これが昨年は一・四四%に上昇しておりますし、五百人から千人未満のところでは一・三四%から一・三五%に若干の改善を見ておるというのに対しまして、五百人以下の規模では逆に残念ながら減少しておるという実態もございまして、三百人から五百人未満の企業では一・三六%が一・三四%になっておるというような状況でございます。  また、産業別に見てみますと、卸、小売、飲食店、こういったところ、あるいはまた金融、保険、不動産業、こういった第三次産業で、数字としましては改善が見られておりますけれども、依然として低いということでございまして、卸、小売、飲食店では昨年が一・〇一%、ちなみに前の年が〇・九八%でしたので、〇・〇三ポイントの改善ではございますけれども、まだまだ低いといったような状況になっております。
  22. 飯島忠義

    ○飯島委員 資料をいただいて確認をさせていただいたのですけれども、確かに業種ごとにも大分差異があることは数字の上で明らかでございますので、これらを含めて地方自治体の皆さんにも御苦労いただいて、それらの数字が達成されるように御努力をお願いしたいと思っています。  さて、精神薄弱者に対する施策として、その法定雇用率設定に相なるわけでございますけれども昭和五十一年に身体障害者雇用率制度ができて以来、さまざまな議論の経過があることと思いますけれども精神薄弱者雇用対策をめぐるこれまでの経緯についてひとつ御説明をいただきたいと思います。
  23. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 精神薄弱者に対します雇用対策でございますけれども、ただいまお話ございましたように、昭和五十一年に法律改正が行われました。その当時は、障害者雇用促進法の前身でございます身体障害者雇用促進法といったものが改正をされたわけでございまして、この五十一年に身体障害者雇用が義務化をされる、また納付金制度が創設をされたわけでございますけれども、その際に、精神薄弱者の方につきましては、こういった雇用の義務化の対象にはしない。ただ、通勤対策ですとか、あるいは人的な援助に係るいろいろな助成金等の対象にしたということでございます。  その後、十年経過いたしまして、昭和六十二年の法改正によりまして、雇用率制度上、精神薄弱者につきましては、法定雇用率算定基礎には入れませんけれども、実際に雇用した場合には身体障害者とみなして実雇用率にカウントできるということにされまして、現在に至っておるところでございます。
  24. 飯島忠義

    ○飯島委員 答弁いただいたわけでございますけれども、流れについては大まかに理解をさせていただきましたが、昭和六十二年の改正においては、法定雇用率はそれまでの取り扱いと同様に身体障害者のみを対象として設定した。精神薄弱者は実雇用率のみにカウントできることとされている。  その当時、なぜそのような取り扱いをしたのかということと、もう一つ、その昭和六十二年の法改正当時と比較して、現在までに精神薄弱者に対して具体的にどのような施策を講じてきたのか、この二点について、関連して伺っておきたいと思います。
  25. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 精神薄弱者につきまして、雇用率制度上、昭和六十二年の法改正当時に、身体障害者とみなして実雇用率にカウントできることとしたわけですが、その理由でございますけれども四点ほどあろうかと思っております。  一つは、その当時はまだ精神薄弱者に対します職業前の教育ですとか能力開発体制、こういった条件整備の進捗状況がまだ十分とは言いがたい状況にあったということ。二点目としましては、精神薄弱者の就業が非常に困難な職種も多い、職種の広がりがまだまだなかったということ。三点目は、個々の精神薄弱者の把握ですとか確認に難点があるといったような問題もございました。四点目としましては、社会生活指導の面で特別な配慮を必要とするものが多いといったような問題が未解決であるというようなことで、現行のような取り扱いで雇用を進めていくということになったわけでございますけれども、その後、六十二年の改正以後、精神薄弱者に対します雇用施策充実強化に努めてきたわけでございます。  その後の状況の変化といたしましては、まず第一点目の職業前教育等の進捗状況がまだまだ不十分であるといったような点につきましては、職業準備訓練ですとか、あるいは事業所を活用した職業リハビリテーションですとか、こういった新しい施策も展開しておりますし、また障害者職業能力開発校におきます精神薄弱者向けの訓練科を設置をする、あるいはまた第三セクター方式による精神薄弱者能力開発センター、こういったものの設置、育成を進めるといったような施策の展開を図ってまいりたところでございます。  また、非常に困難な職種も多いではないかという点につきましては、事業所を活用した職業リハビリテーションの実施ですとか、あるいは精神薄弱者雇用の好事例集、こういったものを作成して事業主に周知、啓発をするといったようなことで、現在、精神薄弱者の就業分野というのは業種、職種ともに従来に比べ相当な広がりを見せてきておりますし、また個々の精神薄弱者の把握、確認の問題につきましては、療育手帳制度の普及、定着が図られてきた、また地域障害者職業センターにおける精神薄弱者の判定も相当進んできておる、件数も大きく増加しているといった実態にございます。  また、社会生活指導の面での特別な配慮につきましては、精神薄弱者担当の職業相談員ですとか、あるいは障害者職業生活相談員を配置したり、業務遂行援助者の配置に係る助成、こういったものによりまして雇用後の職場定着の促進を図ってまいったといりたようなことでございます。  こういった施策の展開が相まちまして、精神薄弱者雇用はかなり進んでおりまして、規模六十三人以上の企業で見ますと、現在で、精神薄弱部分では実雇用率で〇・一四%分、数にしまして約二万四千人ということになっております。これは昭和六十三年に比べますと二倍近い状況になつておるところでございます。
  26. 飯島忠義

    ○飯島委員 歴史的経緯をお尋ねして、改めてこの法律の地道な努力というものが大切なのだなという実感を持つわけでございますけれども障害者団体等の関係者にとってはまさに二十年来の悲願、そういう状況じゃないかなと思うわけでございます。そういう障害者団体の皆さんが待ち望んでいた今回のこの改正でございます。その法定雇用率精神薄弱者を含む、こういうことについて労働大臣基本的な考え方を伺っておきたいと照います。
  27. 岡野裕

    岡野国務大臣 雇用率設定をいたしましたり、その雇用率精神薄弱者皆さんもカウントをする、これは一つの手法でありまして、心から我々が願っておりますのは、障害を持たれる皆さんがやはり一人でも多く自分の好む職場に職を求め得て、そこで存分に力を発揮していただくということが願いであります。  先生、二十年の歴史をけみして今日というありがたいお言葉をいただきましたが、これは雇用主側からいたしましても、障害を持たれる方を雇用されて立派な実績を上げている雇用主企業がある。それから、雇われる側のその障害者皆さんも、ちゃんとやっているぞ、そして力が十分できているぞ、指導者にもなったぞというような自信を持たれる皆さんも多くなってきた。我々労働省としては、そういう雇用主も、それから雇用される皆さんも、両方を見て、我々にも自信が出てまいった。  精神薄弱者皆さんの言いますならば職業訓練、これの実態も私見てまいりましたが、本当に楽しげにやっておられます。無論重い仕事ではないですけれども、しかし、容易な労働で済む仕事であっても、その労働を立派に果たしたというのが、顔に、体に出ています。私は抱きつく癖がありまして、一人一人抱きついてはおずりをして帰ってまいったのですけれども、そういった労働省の経験、以上三つを考えまして、この際ひとつ本法のようなことでやりたい、こう思った、そんな次第であります。
  28. 飯島忠義

    ○飯島委員 本当に、大臣のそういう視察の開陳もあって、改めて意義のあることだなと思うわけでございます。  さて、そこで、精神薄弱者雇用でございますけれども、意義があることではございますけれども雇用する側の企業にとっては大変困難な面もあると思うわけでございます。そこで、実際に精神薄弱者雇用するに当たって、職域としては、職業ですね、どういうものがあるのか、最近の状況についてわかる範囲でお願いしたいと思います。
  29. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 精神薄弱者の方を含めまして障害者の職業能力といいますのは、その障害の種類ですとか特性ですとか程度、また体力とかその方の性格、就業経験、こういった多様な要因によっていろいろ異なってまいるわけですけれども、適切な職業リハビリテーションあるいは就業の機会を提供することによりまして、その職域というのは拡大し得るものであるというふうに私ども考えておるところでございます。  現在、私どもあるいは日本障害者雇用促進協会を通じての調査の結果でございますけれども精神薄弱者が就業しておられる分野としましては、業種、職種ともにかなり多様なものがあるわけでございます。  具体的に申し上げますと、精神薄弱者の方が多く就労しておられます職種としましては、従来からクリーニング工あるいは清掃員という職種がございましたけれども、最近では、製造業では例えば食料品製造ですとかあるいは輸送用機械器具製造を初めとした各種の製品の製造工、それからまた組み立て工ですとか縫製工、こういった分野に広がっておりますし、また飲食店業におきましては調理員ですとか、また卸、小売業におきましては商品管理をやっておられる方もおられますし、また倉庫作業員、包装員、ラッピングですね、こういった職種についておられる方もございます。  また、事務的な分野では、事務補助としてOA機器を使用してのデータの入力ですとか、あるいは伝票や台帳の管理、文書の作成、こういったことに従事しておられる方もございますし、ホテルの客室係、こういったような部門に雇用される例も見られておるところでございます。  今後とも私どもとしましても、事業所を活用した職業リハビリテーションを充実させながら、人的援助のための助成措置を整備して、あるいはまた精神薄弱者雇用の好事例集を作成する、こういったようなことを通じまして、その職域拡大に努めてまいりたいと思っております。
  30. 飯島忠義

    ○飯島委員 ちょっと時間が足りなくなったもので、法定雇用率それから企業名の公表等についてはまたほかの委員に譲るといたしまして、せっかく厚生省の林さんお見えでございますから、福祉施策の現状等についても伺っておきたいと思います。  今回の改正では、福祉との連携も重要な課題〉なっております。その中で、障害者雇用支援センター充実し、雇用部門と福祉部門との連携の強化を図るとのことでございますけれども、とりわけ精神薄弱者雇用促進、職場定着のためには、良好な住居の確保、家族や友人関係等の私生活における悩み事相談の体制強化、余暇活動の充実など、職場以外の生活面がしっかりしていることが大前提だと思います。そのような観点からいえば、精神薄弱者に対する福祉施策を充実させていくことが欠かせないと考えます。  そこで、厚生省にお伺いしたいのですけれども、現在の精神薄弱者に対する福祉施策の現状はどうかということと、相まって、授産施設等の施設についてのことでございますけれども障害者プラン等でも設置目標等を定めているようですが、今後、精神薄弱者に対する福祉施策、例えば施設の整備や在宅福祉、また地域における障害者の総合支援体制はどうかということを伺っておきたいと思います。
  31. 林民夫

    林説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のように、就労するということとあわせまして、バックアップと申しますか生活を支えるという観点から、私ども厚生省福祉的な施策というものがあるというふうに考えておるところでございます。基本的には、障害のある人々が社会の構成員として地域の中で一緒に生活を送れるようにということで、必要な保健福祉サービスを的確に提供できるような体制にしてまいりたいということで各般の施策を進めておるところでございます。  御案内の障害者プランにおきまして、例えばグループホームですとか授産施設といったような働く場とか住まいといったようなもの、その他在宅サービス等々につきまして具体的な数値目標を掲げまして、計画的にその整備を図ってきたところでございます。例えば、本年度で予算だけ申しましても、このプランの関係のものを厚生省関係で積み上げますと、二千二百四十六億円ということでございまして、一〇・九%の増ということにいたしておるところでございます。現状そういうことでございますけれども、これからの障害者の保健福祉施策ということにつきましては、現在、関係審議会にお諮りをいたしまして、特に障害者の保健福祉施策を総合的かつ積極的に推進していこうという観点から御議論もいただいておるところでございますので、その検討状況も踏まえながら、一層の充実に努めてまいりたいというように考えておるところでございます。
  32. 飯島忠義

    ○飯島委員 済みません、次の質問者に若干時間が食い込んでしまって。要望だけ手短に。  大変地道な努力が要る。この法がきちっと履行されるということは地道な努力をおいてほかにないわけでございますから、これからもひとつ、労働省厚生省力を合わせてお願いをしたい。障害者雇用率、これを守らない企業については公表するなど厳しく御指導をお願いしたいと思います。  以上でございます。
  33. 青山丘

    青山委員長 次に、塩田晋君。
  34. 塩田晋

    ○塩田委員 まず、岡野労働大臣に対しまして、障害者雇用促進に関する基本理念といいますか基本的な、哲学的なお考え、簡単に言われますとどういうことでございましょうか。
  35. 岡野裕

    岡野国務大臣 繰り返しになりましたら申しわけありませんが、身体障害者精神薄弱者、あわせて障害者、こういう皆さんが人間として一つの職場を確保し得る、そこで自分の存分の力が発揮できて、周りの皆さんがこれを正当に評価をする、そういう雰囲気ができますならば、障害者皆さんも人間として非常に大きな生きがいを感ずるのではないか。その環境づくりを労働省の所管の面からひとつぜひ努力をしたいといいますのが、本法を御提案申し上げている目的でございます。
  36. 塩田晋

    ○塩田委員 ありがとうございました。  障害者の生きがいということを最も重点に置いて労働施策、雇用対策を進められるということについては、私も同感でございます。法律にもございますように、障害者は経済社会を構成する一員だ、その観点に立って職業能力のできる限りの発揮をするという、そして自立するということが基本だと思うのですが、やはり事業主におきましても、社会の連帯として責務を負うという自覚をしていただくということ、その中で労働行政が雇用する者、雇用される者の中に立っての適切な施策を強力に進めていただくということが最も重要な考え方だと思うのです。  次に、愛知県にございますリハビリ作業所付設の自動車教習所の卒業生は今までどういう実績があるか、御説明をいただきます。
  37. 伊藤庄平

    ○伊藤(庄)政府委員 御指摘ございました労災リハビリテーションの愛知作業所に付設しております自動車教習所でございますが、これは労働災害等による脊損患者あるいは下肢障害者の方にそういった社会復帰を促すための自動車の教習を行う施設として四十六年に設置いたしたものでございます。卒業生、四十七年度から出ておりますが、四十七年度当時は労働災害による被災者の方が百十人、それから一般障害者の方が二人、合計百十二人という状況でございました。  現在、その後全体の卒業生、年々減少してきておりますが、とりわけ労働災害による被災者の数が減ってきておりまして、平成七年度では労働災害による被災者の方の卒業生が七人、それから一般障害者の方が三十四人、その比率も逆転いたしておりますが、合計四十一人の卒業生を出している、そういった状況でございます。
  38. 塩田晋

    ○塩田委員 当該教習所は全国でただ一つというふうに承っておりますが、非常に行き届いた施設で、またその教育実習も非常に評判がいいように承っております。そういう実績があるわけですが、どうして全国一カ所だけでやってきたのか、もっと需要する方は、全国的には入所希望者は相当あったと思うのですけれども、それをなぜ一カ所だけで今までやってこられたか、お伺いいたします。
  39. 伊藤庄平

    ○伊藤(庄)政府委員 御指摘のございました施設につきましては、当初全国に八カ所ございます労災リハビリテーション作業所の、そこにおいて技能の習得等に当たっておられます方々の要望等を聞きまして、この愛知作業所に附属する形で設置をいたしました。  先ほど御説明申し上げましたように、当初の昭和四十七年度こそ労働災害の被災者百十名、一般の方が二名、こういった状況でございましたが、その後、年々卒業生全体の数、また労働災害による被災者を対象としてつくられた施設でございますが、その労働災害の被災者の数が減少している、こういった状況がございまして、昭和五十九年以降二度にわたる行政監察の結果、この施設につきまして廃止を含めてそのあり方を検討すべきである、こういう指摘も受けておりまして、私ども、そういった状況の中で、全国に展開していく、そういった方向をとりがたい状況にあったわけでございます。
  40. 塩田晋

    ○塩田委員 障害者の方が、愛知県、日本の中心の場所にあるとはいえ、そこ一カ所に集まるということはなかなかできなかった。最寄りのもっと身近なところで受けられれば、もっと希望者に対してのこの教習ができたのじゃないかと思うのですが、その一カ所の愛知リハビリ作業所付設自動車教習所を今度廃止してしまうということでございますが、先ほど、利用者が少なくなっているということが一つの理由かと思いますが、愛知県内におきましてもやはり希望者もあるわけですから、これをどうして廃止されたのか、お聞きいたします。
  41. 伊藤庄平

    ○伊藤(庄)政府委員 先ほど申し上げましたように、全体の卒業生の数が減少してきておる、また労働災害の被災者の社会復帰に資していくということで労災補償事業の一環として設けられた施設でございますが、一般障害者の方の方が比率として上回って労災の被災者の数が減る、そういった状況がございまして、過去二度にわたりまして行政監察の結果として、廃止を含めそのあり方を見直すべきことの勧告を受けてきておりました。また、その運営に当たっております労働福祉事業団が特殊法人であることから、その合理化等も強く要請されてまいっておったわけでございます。  そういった状況を踏まえまして、平成八年度をもってその廃止をいたしたい、こういう決定をいたしたところでございますが、ただ、せっかくの機能を持った施設でございますし、またその存続を求める要望も私どものところへ多数届いてきておる状況もございました。それで私どもも、この機能を障害者方々雇用の安定なり雇用促進のために有効利用できないか、こういう観点から関係方面とも協議、検討を重ねてきておりました。  そういった状況の中で、このたび社団法人でございます愛知県の障害者雇用促進協会が、障害者方々雇用促進のために役立てる、こういう見地からこの施設を活用して運営を引き受けていただく、こういう話が調いまして、そういうことで新しい形でこの自動車教習所を活用していく方針を決定いたしまして、目下準備に当たっているところでございます。
  42. 塩田晋

    ○塩田委員 愛知県障害者雇用促進協会に移管されて、今後はそこで運営をしていくということでございますが、脊髄損傷の方、これは労災に限らず全国的にはたくさんおられるわけですね。希望も多い。そして先ほど申し上げましたように、施設も整い、また指導員の方も非常に懇切丁寧にされて評判がよかった。  これはやはり、全国的な展開として、労災に限らず一般障害者方々のためにも、やはり運転免許が取れるということは非常に魅力的だし、雇用促進、また生きがいの発揮にもつながるわけでございますから、これは雇用促進関係対策として、職業安定局として一般的に広げていくというお考えはございますか。
  43. 征矢紀臣

    ○征矢政府委員 ただいま御指摘の点でございますが、実は私どもも、労働基準局からお話がございまして、それから先生指摘のような点もあって、これをどうするかということでいろいろ検討いたしたわけでございまして、具体的には、これは私どもの直接の傘下の団体ではございませんが、障害者雇用促進対策について非常に熱心にやっていただいております愛知県の障害者雇用促進協会、これが具体的な運営を引き受けていただけるということで、ただいまのような報告になったわけでございます。  これについてさらに全国的展開いかがかという点でございますが、実はこの施設自体が、実際の収容人員は、定員百二十名でございます。現状は最新で四十一名というようなことでございまして、そういうところの運営状況も見る必要もございます。  それから、新たな観点から検討することになりますと、施設関係、別の面の検討も相当必要でございますので、私どもとしては、まず当面この運営状況を見ながら、さらに研究をさせていただきたいというふうに考えております。     〔委員長退席、河上委員長代理着席〕
  44. 塩田晋

    ○塩田委員 この問題は要望が多いことでございますし、労災に限らなければ対象者も相当な人数の方がいらっしゃるわけですから、ぜひとも前向きに全国展開として考えていただきたい。職業安定行政の上で考えていただくということが今後必要ではないかと思います。  やはり、一般にある自動車教習所も活用して、何らかのそういう特別の措置をするような方法はないものかということを、今後前向きに検討するということでございますから、ぜひともその点重点的に推進をしていただきたいと思います。
  45. 岡野裕

    岡野国務大臣 あるいはお話が途中かも存じ主せんが、身体に障害を持たれる方が運転免許を取りたいということは非常に数として多かろうと思っております。したがって、そのようなサービスを提供する施設は国としてあるいは公共団体等を含めて公の立場でやるという意義は非常に大きいと存じます。  しからばそれを何省の所管において行うかということになりますと、運転免許証を取ってタクシーの運転手さんになられるということでありますならば労働省が大きく寄与しなければいけないと思います。しかしながら、今、自動車免許証を取りたいという一般的な志向は、一般的な社会生活の中で取りたいという皆さんの方が、それをもって職業を得たいという皆さんから比べるとずっと大きいと思います。  したがって、身体障害者の運転免許証というようなことからいたしますと、労働省以外にしかるべきところがあろうかというようなことを私は考えております。労災が原因でありますれば労働省だと思います。そういう意味合いで、関係省庁にその向きはお話をしてまいっております。その意味で前向きに検討をということを職安局長は申し上げた、こう思いますので、ひとつ御了承いただきたい。
  46. 塩田晋

    ○塩田委員 自動車教習所で免許を得るための施策としてということでございますが、それは一般に自動車の運転免許を取りたいということだけでなくして、また、タクシーその他の自動車の、運送のための職業につくために必要だということだけではなくして、身障者が就職する場合の雇用の場を開拓するという意味におきましても、やはりそういう運転免許を取りたいという希望者には取りやすくするということ、そのことによって一般的な雇用促進になるという観点から、これはぜひとも前向きに施策を進めていただきたいと思うのです。  大臣が今言われましたのは、恐らく警察庁の関係、自動車教習所と免許の関係からいって警察庁との関係が深いということをおっしゃったと思うのですが、私は、職業につくという雇用促進の観点から相当幅広い問題だと思いますので、その点、なおよろしく御配慮いただきたいと思います。
  47. 岡野裕

    岡野国務大臣 例えば、三井三池閉山に伴いまして、約二千名に及ぶ離職者が出るであろうというような想定をいたしております。  そういう皆さんが、あるいはショベルカーでありますとか、あるいはフォークリフトでありますとか、あるいは特別な大型の自動車の運転免許証を取って、そして今準備をしているような、そういう職場に職業を求めること、就職先を見出すというような場合が非常に強うございます。  したがって、三井三池閉山に伴う対策としましては、労働省は全力投球で、構内にもそういった練習場を設ける、三井三池の鉱業所の中にも設けるということでやっておりますが、広く一般的な身体障害者の運転免許証という問題になりますと、私は警察は頭に入れておりませんでした。お隣、仲よしの厚生省を頭に入れておりました。  いずれ、ともあれ、政府としてやはりそういう種類のサービスはやるべきことであるという点については、私も十分理解をしているつもりであります。
  48. 塩田晋

    ○塩田委員 そういった観点で、なお労働行政としても十分に検討して、前向きに取り組んでいただきたいということを要望いたします。  続きまして、ドイツその他欧米諸国におきまして我が国の障害者雇用対策と同じような施策をいろいろと行っていると思うのですが、その欧米先進国の状況と比較して、我が国の今の障害者雇用対策はどういうレベルにあるといいますか、どういうふうに認識をしておられますか。
  49. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 先進諸国の障害者雇用制度につきましては、先ほども説明申し上げましたけれども一般的な所得保障ですとか福祉的な諸対策のほかに、雇用という面につきましては大きく二つの流れがございまして、先生お話しのドイツあるいはフランス、こういったところは、事業主社会連帯といった理念に立ちまして、一定の割合の障害者雇用企業に義務づけるという方策をとっております。いわゆる割り当て雇用制度と言われる流れでございます。もう一方、アメリカ、イギリス、こういったところでは、障害者の差別をなくす、機会均等の確保を目指すという流れになっているわけでございます。  こういった諸外国の制度との比較において我が国はどうかということでございます。  アメリカやイギリスのように差別の禁止というアプローチ、これにつきましても、その思想はそれなりに評価をされるべきものであろうかと思いますけれども、我が国ではドイツ、フランスと同じような割り当て雇用制度を採用しておりまして、これまでのところ、この障害者雇用促進法に基づきます雇用率制度によりまして、着実に、重度障害者を初めとした障害者雇用の場を拡大してきている、改善が図られてきておるといったようなことで、我が国の社会情勢にはこういった形のものが一番適しているのかなというふうに思っておるわけでございます。  今後とも、私どもとしましては、この雇用率の達成指導といったものを推進しながら、職業リハビリテーションサービスの充実を図りながら、また、事業主を初めとする関係者の意識の啓発を行いながら、雇用促進に取り組んでまいりたいと思っております。
  50. 塩田晋

    ○塩田委員 欧米、特にドイツの場合は、戦傷者が非常に多いということから、特に戦後、ドイツでは大変に力を入れて、世界のトップの先進国として障害者雇用対策をやってきたと思うのです。  雇用率が高い、ドイツ、フランス等が六%ということでございますし、またそれはやはり障害者そのものの数が非常に多いという、特に第二次世界大戦の結果もそこに出ていると思うのですけれども、そういう雇用率が高いということと実雇用率との差もかなりあるように聞いております。各国の実情はそれぞれ違いますけれども、英国、米国においても考え方は若干違った状況ですが、かなり身障者雇用対策は進めておる。その中で我が国のレベルといいますか、水準はかなり先進国と並んでいいところにある、こういう御認識だと思います。  ところで大臣障害者雇用の場をつくるという考え方ですね。その考え方としては、雇用主の方がむしろ設備、機械を設置して障害者に合わせていく。機械、設備を合わせていくという考え方ですね。これはドイツなんかも相当早い時期からそういう考え方があって施策を進めているというふうに見ておるのです。片や、職業訓練その他をもって障害者能力を発揮できるような、リハビリをやり、職業訓練をやり、仕事に適合していくような人をつくっていく、職業人をつくっていく、この二つの方向があると思うのですね。日本の場合は、特に大臣はこれについてどういう方向でやろうということをお考えか、お聞きしたいのです。
  51. 岡野裕

    岡野国務大臣 塩田先生、両方ある、こうおっしゃいました。私も両方だなと。つまり雇用主の方が、障害を持たれる皆さんが働きやすい、来てくれる、そういうような設備を整えた作業所というようなものをつくるというのが一つで、また、先生がおっしゃいました、障害を持たれる皆さん自分でそういうのに合わせていくというような、言いますならば努力をする、二つあると思います。  申しわけありません。労働省先輩の塩田先生でありますので、甘えてお話をいたします。  私は洋服屋へ行って洋服をつくろうと思います。三越なら三越へ行きます。L型というのかな、M型、S型でありますか、私は標準のものを着ますと、おなかにちょうどいいやつはズボンが浅野内匠頭になります。なかなか難しいわけです。だけれども、デパートの方はやはり三種類から四種類なんですね。だから、私はS型なんというものに合うはずはないけれどもL型ぐらいなところで着てみて、浅野内匠頭なのは三十センチぐらい女房に縮ませてもらう。だから、企業主の方はL型、S型、M型ぐらいを準備し、労働提供をされる障害を持つ皆さんの方はそのどれかに合うように御努力をなさる。先生がおっしゃったように両方からだ、こう思っております。  甘えた答弁で申しわけありません。     〔河上委員長代理退席、委員長署席〕
  52. 塩田晋

    ○塩田委員 卑近なわかりやすい例を言われたわけでございますけれども、今の例でいいますと、体に合ったようなものを幾つも準備するというのが店の側、洋服屋さんの側のことですし、洋服屋さんにあるものにこちらの体を合わせる、すると、太っている人はやせるしかないし、やせている人は太るしかない、そういうふうに自分で合わせていくというのが今の一つ方向だと思うのですね。  それももちろん大事ですけれども、まだまだ日本の場合、科学技術の振興発展によって障害者がみずからを直さなくてもできるような機械、ロボット化がされていますが、省力化の中でそういう機械を開発する、むしろそういうことを一生懸命やって、障害者が多少のハンディキャップがあっても十分穴埋めができるというか、補強ができるというような機械、設備等を、あるいは職場環境もそうですが、障害者に適合するように環境を変えていく。あるいは仕事内容それ自体を障害者に合わせていくということですね。これは技術開発も当然必要でございますが、やはりかなりその面の設備投資が必要だと私は思うのです。そういったことにかなりの力を入れていただく、これは効果があると思うのですが、やはり事業主雇用主に対しましての開発あるいは投資の援助があれば効果的だと思うのですね。  こういった点についてどのように考えておられ、また施策を進めておられるかをお聞きいたします。
  53. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 先生おっしゃいます職場の機械、設備を人間に合わせるといったことに関する施策でございますけれども、いろいろございまして、一つは、納付金制度に基づくものといたしましては、障害者用に改造されました施設や設備、こういったものの設置に対して助成措置がございます。また、それぞれ障害者の特性に配慮した第三セクター方式による重度障害者雇用企業、こういったものを全国的に育成をしておる、こういったものが挙げられようかと思います。  また、納付金制度ではございません、国の制度、一般会計あるいは雇用保険の特別会計ということになりますが、例えば視覚障害者用のコンピューター機器を初めとしまして障害者雇用に必要な支援のための機器の開発、こういったものに障害者職業総合センター等を通じまして努力いたしておる、こういった施策が挙げられようかと思っております。  逆に、人間を職場に合わせるといいますか、逆の方の施策も私どもいろいろ用意をいたしておるわけでございまして、障害者雇用支援センターですとか、あるいは障害者職業能力開発事業、こういったものを納付金制度に基づいて実施をいたしております。また、国の会計に基づくものとしましては、障害者の職業能力開発校の運営ですとか、障害者職業センターによります職業リハビリテーション事業、こういったものを展開しているところでございます。
  54. 塩田晋

    ○塩田委員 ありがとうございました。両面あるということは当然でございますし、それぞれの方向で努力しておられることはよくわかりました。  ただ、私の考えとしては、もう少し設備なり機械等の環境整備、障害者に合わせたそういった投資あるいは研究開発といったことに一段と力を入れていただきたいと思うし、また事業主も、そういったことをやろうという意欲がある人でもやはり資金面等の問題がありますから、事業者はなかなかそういう制度があることを知らないというか、PRの不足もあるかもわかりませんし、またわかった人も、手続が非常に面倒だ、厳しいということも聞くのですが、そういったことを含めまして、そういう方向で積極的に施策を進めていただきたいということを要望いたします。  続きまして、職業能力の開発につきまして、障害者に対して今後どう進めていこうとしておられるか、お聞きいたします。
  55. 山中秀樹

    ○山中政府委員 障害者能力開発・障害者自身が職業能力の開発・向上を図ることは極めて重要なことだと私ども考えておりまして、適切な職業訓練を実施し、障害の特性やあるいは程度に配慮した職業訓練の実施に努めているところでありまして、今後どのようにこの能力開発を進めていくかという点でございますが、具体的には、まず、就業現場に即した実戦的な能力開発というのを積極的に推進したいということが第一点であります。  第二点目は、今般の法改正に伴いました、精神薄弱者についてその特性に応じた能力開発を図るという点などを重点に進めていきたいというふうに思っております。  平成九年度、新たに、障害者職業能力開発校、全国に十九校設置いたしておりますが、特に事業主の訓練ニーズに対応した訓練を実施する必要があるということで、具体的に事業主との連携強化を図るということに重点を置いていきたいというふうに思っておりますし、特に今後、一たん就職してなお職場に定着するようなことについて、一段とそういう事業主等との連絡を通じて強化いたしてまいりたいというふうに思っております。  精神薄弱者対策につきましては、現在縫製、製本、園芸等々いろいろな職種でやっておりますが、なお精神薄弱者に向けた新たなコースの開発や、あるいはどういう形で訓練をやっていったらいいかということについても調査研究を強化いたしてまいりたいというふうに思っております。  そんなような形で、障害者の職業能力充実を図り、一層の雇用促進が図られるよう努力してまいりたい、そんなふうに考えております。
  56. 塩田晋

    ○塩田委員 ありがとうございました。  今回、雇用率設定の中に新たに含まれます精神薄弱者に対する特別の配慮を、やはりこの際能力開発の面からも、あるいは先ほど申し上げました職場の環境整備、あるいは直接、機械、投資等の関係も格別に御高配を賜りたいと思います。  続きましてお伺いいたしますが、官公庁の雇用率の達成状況はいかがでございますか。
  57. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 官公庁の障害者雇用率の達成状況ということでございますが、昨年六月一日現在の国、それから地方公共団体の実雇用率でございますが、国の非現業的機関、これは二・〇%が適用されるところでございますけれども、この実雇用率が二・〇八%でございます。また、現業的な機関、ここは一・九%適用の機関でございますが、ここでは二・〇四%ということで、いずれも上回っております。  また、都道府県の機関、都道府県のうちの非現業的機関、二・〇%適用のところにつきましては一・六五%、それから現業的な機関、一・九%適用のところは三・一八%となっております。  また、市町村の機関でございますが、非現業的機関につきましては二・二九%、また現業的な機関につきましては二・五六%という状況でございます。
  58. 塩田晋

    ○塩田委員 今、官公庁におきましては大体雇用率を達成しているという報告でございましたから、非常に努力された結果だと思いますが、ただ、今言われました中で、都道府県の非現業ですかでかなり低いですね。これはどういうことでしょうか。理由はございますか。
  59. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 都道府県の非現業的機関で法定雇用率に達していないということになっておりますけれども、都道府県の教育委員会あたりは率直に言って大分おくれておるという状況でございます。
  60. 塩田晋

    ○塩田委員 都道府県の教育現場での雇用率の達成が非常に低いということですね。これにつきまして、文部省来ていただいておりますか、教員の障害者雇用率、現実にどうなっているのか、低いのはなぜなのか、そのことをお聞きいたします。
  61. 清水潔

    ○清水説明員 まず第一番目のお尋ねの障害者雇用率の問題でございますが、昨年五月になされました障害者雇用・就業に関する行政監察において総務庁が示した数字でございますけれども、都道府県教育委員会が任命権を有する教職員に係る障害者雇用率は、平成七年六月一日現在で〇・九八%となっており、法定雇用率二・〇%を下回っているという状況にございます。  そして、二番目のお尋ねの、特に法定雇用率に比べましたところの雇用率が低い要因についてというお尋ねでございますけれども、この要因といたしましては、第一番目に、教育委員会がいわゆる雇用する、雇用率対象となる職員の構成を見ますと、約八割が御指摘のように教職員というふうな状況になっております。  そこで第二点目に、教員の場合ですと教員免許状を保持することがその資格要件となっているわけでありますけれども、教員免許状を保持している障害者の数がかなり少ないというふうな実態もございます。  そして三点目に、教員の場合には、御案内のように教員採用試験制度をとっているわけでございますけれども、教員として求められる資質、能力を判断するその場合の試験の制度と、そして最近の採用教員数が、児童生徒数の減少等の状況を踏まえまして、具体的な数字をお許しいただければ一例えば平成元年には小中高、特殊教育学校を含めまして三万人の新規採用教員を採用することができたわけでございますけれども平成八年度現在ではその半分、一万五千人、こういうふうな状況になっている等々の要因が考えられるということでございます。
  62. 塩田晋

    ○塩田委員 非常に雇用率が低いということ、よく出ておりますね。それで、その原因も、免許状の関係だということもおっしゃいました。免許状が取りやすいようにやはり相当思い切った施策をやらないと、ここだけ官公庁を含めましてぽかっと穴があいているという状況ですね、これはこのままほっておいていいものではございませんね。  そして、教員以外の障害者雇用率はおわかりですか。
  63. 清水潔

    ○清水説明員 先ほどお答え申し上げました数字は、総務庁が監察の際に推計いたしました数値でございます。教育委員会が任命権を有する職員のうち障害者雇用状況につきましては、障害者雇用促進法に基づいて都道府県教育委員会労働省さんの方に報告されているというふうに承知しておるところでございます。
  64. 塩田晋

    ○塩田委員 教員と教員以外の障害者雇用率、それは分けてわかりますか。
  65. 清水潔

    ○清水説明員 お答え申し上げましたように、障害者雇用促進法に基づいて都道府県教育委員会労働大臣に対して提出されておることでございますけれども、その校種あるいは職種ごとの内容について、私ども内容を把握しておりません。
  66. 塩田晋

    ○塩田委員 先ほどは教員と教員以外の職員の方を合わせての数字ですね。  そこで、教育の観点からいいまして、先ほど大臣もノーマライゼーションのこともお考え一つとして言われましたが、やはり偏見を取り除くという点からも、生徒、教わる側にしましても、障害者先生を見ながら、また教えられながら育つということ。  これは、いろいろな問題があることはわかりますよ、わかりますけれども、国が定めた雇用率を達成するという意味からも免許を取りやすくするということも必要なことでございますが、やはり教育上から見て、生徒、教師の関係から見て、また教えられた子供たちが将来障害者についての考え方を教育の場で学んでいくというか体得していくというか、それがやはり社会に出てからの一般障害者に対する理解、温かい気持ちを持てる、そういうことにも大きく貢献するんだと思いますので、教育現場での雇用率を達成するために、ひとつ文部省としても格段の御努力をいただき、各都道府県の教育委員会に対しましても格段の配慮をして、それを達成するように積極的に取り組んでいただきたいということを要望したいと思います。よろしゅうございますか。
  67. 清水潔

    ○清水説明員 先生指摘のように、障害者方々が教壇に立って教育活動に従事するというのは、まさに児童生徒が障害者あるいは障害についてということも含めて、そういう理解、認識を深めるということから、そういう意味で非常に大きな効果があるというふうに思っております。  お許しをいただきまして、私ども基本的に障害者、身障者雇用という観点でポイントと思われるところを三つ申し上げさせていただきます。  一つは、障害者の方が教員としての勤務を行うに当たってのさまざまな配慮でございます。例えば、人事管理上の配慮もございますし、施設設備の面についての配慮もございますし、あるいは障害の程度に応じて、例えば担任であるとかさまざまな学校行事を軽減する、そういう配慮もございます。そういう配慮が一点でございますし、それについてはそれぞれ、さまざまな都道府県教育委員会での取り組みがなされているというふうな現状がございます。  もう一つのポイントは、採用選考試験における配慮でございます。採用選考試験に当たりまして、障害の種類、内容に応じて、選考試験場において、例えば点字による受験、拡大文字による受験等々のさまざまな配慮が行われている、こういうふうな状況でございます。  三点目が、私どもこれは最も重要だというふうに思っているところでございますが、先生御案内のように、例えば、実際上教員免許状の取得者といいますのは、私ども見てみますと、全体として年間で約百人程度でございます。平成八年度の数字でございます。それで、教員採用試験の受験者は約百人弱ということでございます。採用選考試験の合格率自体は三十数名と、一般の受験者よりかなり高くなっているという現状はございますが、問題は、身障者の方が教員たらんと志していただけるかということもございますし、それは大学進学率の、いわゆる進学状況の問題でもございます。  基本的にそういうところで、私どもとして今、都道府県教育委員会に事例等を示しながら指導しておりますのは、現に教員として身障者の方が教壇に立っているさまざまな事例というものをもっと積極的に広報、周知していただきたいということをお願いし、私どもとしても、さまざまな会議等の場と同時に、好事例を取りまとめて、昨年でございますけれども教育委員会等にそれを提供している、こんな状況でございます。
  68. 塩田晋

    ○塩田委員 ありがとうございました。  いろいろな問題があるということはよくわかりました。御配慮を加えていただいて温かく迎え、まだそういう障害者方々教育の場においても雇用の場が広がるように、格段の御努力をお願いいたします。  ところで、労働省はこういった雇用率の達成状況、民間についてはいいですが、官公庁につきましてどのような報告を受け、どのような指導監督をし、足らないところに対してはどういう手を打っておられるか。あるいは、達成しましたという報告だけでなしに、それをどう確認しておられるかということについてお伺いいたします。
  69. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 国あるいは地方公共団体につきましては、みずから率先垂範して障害者雇用を実行すべき立場にあるということで、法定雇用率も民間企業よりは高く設定をされておるわけでございます。そういったこともございまして、雇用率未達成の機関につきましては、すべて採用計画の作成命令を発出するといったような、ある意味で民間に比べますと厳しい指導を行っておるところでございます。  このように、国あるいは地方公共団体につきまして、毎年六月一日現在の職員の任免状況につきまして私ども把握をいたしておるわけでございまして、労働大臣あるいは都道府県知事に対して通報するということになっておるわけでございます。  この通報の際には、実際に雇用している障害者につきまして身体障害者職員名簿といったものを添えることになっておりまして、この名簿によりまして実際の雇用数を確認しておるわけでござい ます。この身体障害者職員名簿といったものは民間企業には義務づけがないわけでございますので、そういった意味では公務部門については厳しい確認が行われているということが言えようかと思います。
  70. 塩田晋

    ○塩田委員 官公庁につきましては、民間に対して指導するわけですから、みずから模範的な雇用率を達成し、快適な、また就職しやすい環境をつくるということは当然のことでございますので、ぜひともその辺は各省並ぶ中で遠慮するということのないように、ひとつ確実にそれを把握してしかるべき手を打っていただきたいと思います。  それから、納付金財政の今後の見通しはどうなっておりますか。
  71. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 納付金財政の状況でございますけれども、今後の見通しの前に、現在の状況を御説明させていただきたいと思います。  平成七年度の納付金会計の収支状況を見ますと、収入が二百三十二億六千八百万、これに対しまして支出は三百十一億七百万ということでございまして、単年度収支では七十八億三千九百万の歳入不足といいますか、歳出超過になっております。これにつきましては積立金を取りますことによって対応いたしておるところでございます。  この納付金財政の今後の見通しということでございますけれども、今回、精神薄弱者法定雇用率算定基礎に算入するということで、法定雇用率が変わってまいります。この具体的な率の設定につきましては改正法成立後に改めて御議論いただくことになるわけでございますので、現時点で明確な見通しというのはなかなか算定をしにくいところでございます。しかしながら、法定雇用率が上昇するということになりますので、納付金財政の点からすれば今よりは好転するだろうと。  ただ、単年度収支で赤字が消えて黒字化していくのかどうか、そういったところにつきましては、まだまだ今後の雇用率設定等を見ないと何とも言えない状況であろうと思っております。
  72. 塩田晋

    ○塩田委員 法定雇用率は、こういう財政の関係だけでなくして考えていかれると思うのですが、いつごろ改定をされる見通しを持っておられるか。  それから、大体どれぐらいのアップかということはいろいろ検討しておられると思うのですが、決めるまでずばりまだ蓄えないでしょうけれども、しかし、少なくとも一%じゃないとか、〇・一ぐらいじゃないとか、大体のめどはおよそわかるので、〇・何%から〇・何%の間ぐらいの話は今できませんか。
  73. 征矢紀臣

    ○征矢政府委員 納付金につきましては、この制度の実施の時期につきましては、御承知のように十年の七月一日からということで、一定の経過期間、準備期間を置いておるところでございます。  それから、具体的にどのくらいの率になるかという点につきましては、これは法律を成立させていただきましたら関係審議会に御議論いただくことになるのですが、一つは、調査の結果を踏まえ、それからもう一つは、現に精神薄弱者の方が〇・一四%雇用されておる、そういう数字等を見た上で判断をしていくことになろうかというふうに考えております。
  74. 塩田晋

    ○塩田委員 大体輪郭はわかりました。それに加えれば、〇・二とか三とかいうようなものになるかと私は思いますが、それは別といたしまして、これは率が上がりますと、現実に雇用されている障害者の数、率とギャップができますね。その場合には納付金というものが出てくる。直ちにギャップができて、直ちに納めないといけないということではなしに、やはりソフトランディングといいますか、そういった納付金についての配慮は何か考えておられますか。
  75. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 法定雇用率が引き上げられるということに伴っての事業主に対する負担といいますか、ソフトランディングの対応の方法でございますけれども、この法定雇用率設定に当たりましても、今実雇用率精神薄弱者〇・一四%という実情にあるわけですけれども、片方で、やはり事業主に過度の負担になることのないように配慮しなければいかぬというような意見書も、関係審議会の方から私どもいただいておりますので、そういったものをまず踏まえて設定することになるだろうと思っております。  それからもう一点、具体的に法定雇用率引き上げの時期といたしましても、私どもこの法律を成立させていただきまして一その施行の時期ですけれども、具体的な率の引き上げは来年の七月一日ということで、一年以上の周知期間、準備期間を設けて、円滑な雇用率達成ができるような、そういった配慮もしてまいりたい。それからさらに、それにあわせまして、事業主障害者雇用しやすくなるような各種の支援措置、助成措置、こういったものにつきましてもさらに見直しをしてまいりたいというふうに思っております。
  76. 塩田晋

    ○塩田委員 ありがとうございました。  いろいろと御配慮をいただいておるようでございますので、ぜひともよろしくお願いいたします。  最後にお伺いいたしたいと思いますのは、公表制度でございますが、どういうような方法で公表をしておられるか、公表をしていっておられる公表の実績、そしてどのような手段で今後ともやっていこうとしておられるのか、お伺いいたします。
  77. 征矢紀臣

    ○征矢政府委員 公表につきましては、過去、平成四年に公表を行った経験がございます。ちょうど私、高齢・障害者対策部長だった時期でございますが。公表につきましては、まず一連の法律に基づく指導をきちんと公平に行った上で、なかなか一定の対処をしていただけない企業について公表する、こういう仕組みできちんと運用しなければならないというふうに考えております。  したがいまして、平成四年以降はそういう枠組みで毎年の指導を積み重ね、今日まで来ているわけでございまして、そういう中で、その後はたまたま公表する企業、該当企業がなかった、こういうことでございます。  今回につきましても、新しい制度になるわけでございますが、そういう制度の枠組みについて、やはり事業主方々にきちんと御理解、御協力をいただきながら対処する。ただいま高齢部長申し上げたとおりのことで対処をしながら、やはりこの雇用率制度の厳正な運用という観点から、公表も含めて、雇用率の達成指導を今後行っていく必要があるというふうに考えておるところでございます。
  78. 塩田晋

    ○塩田委員 公表をした企業名は要りませんが、数はどれぐらいになっているか。また、今言われました、公表に至らないけれども指導してきた、そういう数、それを言っていただきたいのと、どういう手段で公表されたか、それもお伺いします。
  79. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 平成四年に公表いたしました企業の数でございますけれども、四社でございます。具体的な公表の方法というのは、新聞発表という形で発表いたしております。  また、平成四年度以降も、公表を前提としたいろんな指導を行ってきておるわけでございますけれども、具体的に最後の特別指導という段階まで来た企業は、平成四年度以降九十三ほどございました。特別指導を行ったわけですけれども、これらの企業では、障害者雇用について大変な御理解をいただいて相当な改善がなされたということで、公表に至らなかったということでございます。
  80. 塩田晋

    ○塩田委員 従来、大企業雇用率の達成が非常に低かった銀行、金融機関ですね、これが最近急速に改善されて雇用率を達成された。非常に結構なことでございますが、一体、これはどういう手を打たれたからそうなったのか。どう見ておられますか。お伺いいたします。
  81. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 常用雇用労働者千人以上規模の企業の実雇用率について見ますと、実は制度創設の昭和五十二年は〇・八〇%でございましたけれども、これが平成八年度には一・四四%ということで、著しい改善を見ているということが言えようと思っております。  このように著しい改善が見られました理由、背景でございますけれども一つは、やはり平成四年の企業名の公表、これを契機といたしまして、大企業での障害者雇用の取り組み、理解が大変進んだという状況がございます。そういったことで、この雇用率の達成指導というのが大変大きく寄与したのではないかというふうに思っております。  また、近年の不況下におきましても、大企業の方が、いろいろいいましても新規に雇い入れる常用労働者の数というのは、中小企業に比べますとやはり多いというようなことで、そういった中で新規に障害者を雇い入れておられるところもある、そういった企業努力もあるのではないかというふうに思っております。
  82. 塩田晋

    ○塩田委員 企業努力もあったということでございますが、もちろんそうだと思いますが、やはり公表ということがかなり効いた、有効であったということでもあろうかと思います。  今後そういった手段を有効に使いながら、正さないところの企業はまだまだあるわけですから、ぜひとも雇用率の達成に向かって有効な施策を、積極的に手を打っていただきたいということを要望いたしまして、質問を終わります。
  83. 青山丘

    青山委員長 この際、午後一時より再開することとし、休憩いたします。     午後零時九分休憩      ――――◇―――――     午後一時一分開議
  84. 青山丘

    青山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。桝屋敬悟君。
  85. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 午前中の塩田先生の後を引き続き、障害者雇用促進等に関する法律の一部を改正する法律案審議をさせていただきます。  最初に、いつも申し上げていることでございますが、きょうは説明員で厚生省からもおいでいただきました。障害者の用語につきまして御要望を申し上げたいと思います。  当然ながら、精神薄弱者福祉法という法律が現在あるわけでありますから、これはもうこの用語はいたし方ないわけでありますが、今回この障対法改正に当たりまして、私は知的障害者という言葉を使っておるのでありますが、精神薄弱者法定雇用率に加える、こういうことでございまして、この精神薄弱という言葉がまた盛んにこの委員会で出るわけでありまして、これは法律がありますからやむを得ないとは思いますが、実は厚生省さんにもおいでいただきました。  一昨年の十二月に障害者プランというものが出まして、このプランの中で用語についても、精神薄弱という言葉は検討していこう、いわゆる薄弱という言葉が果たして適切な言い方であるかどうか検討していこう、こういう話がございます。プランの中にも入っております。検討するということでありますから、私は、聞くところによりますと、大体、団体等のコンセンサスでは知的障害という言葉が適切ではないかというふうに意見もほぼ固まりつつあるというふうに伺っております。  この法律審議の中でも私は知的障害者という表現でいきたいと思うのですが、その辺の配慮を、今後、特に労働省におかれても、現場もありますし、それから組織の中でもそんなお取り組みもお願いを申し上げたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  86. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 精神薄弱という用語の問題でございますけれども先生指摘のとおり、好ましからぬ障害観をあらわすとか、実態を的確に表現し得ていないのではないかといったような理由から、当事者の方、あるいはその家族を初めとする関係者の皆さん方から見直しが求められておりまして、平成七年の七月には厚生省の研究会の方で一定の報告が出ておりまして、精神薄弱にかわる障害区分の言葉として知的発達障害、あるいはまたこれを簡略化して知的障害とする、こういったような報告も出ております。また、御指摘のように、障害者プランにおきましても、この精神薄弱用語の見直しというのは盛り込まれているわけでございます。  私どもといたしましては、法律上の用語として用いる場合は、ちょっと制約があるものですから精神薄弱を使いますけれども、その法律上の用語を離れた場面ではできる限り精神薄弱という言草を使わない、避けまして、知的障害といったような言葉を用いるということでやっておりまして、そういった点に配慮した日常の業務運営に努めてまいりたいと思っております。
  87. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 ぜひお願いを申し上げたいと思います。精神薄弱と表現する間はまだいいのですけれども、短縮しまして精薄、身障、精薄という、特に職安の現場で障害者担当の雇用担当者がいらっしゃると思うのですが、今の人どうかなと内部で検討するときに、あれは精薄のAさんよとか、こういう表現になるわけですね。本当にそうした言葉を変えていくという、その中に私は現場での職員の、また心の変化といいますか、私は大事な要素があるだろうと思っておりますので、法律改正を待つということもあろうと思いますが、どうか御配慮をいただきたいということでございます。  それでは、具体的な内容に入ってまいりますが、現状では身体障害者、実雇用率が一・三二、精神薄弱、知的障害者で〇・一四、合わせて一・四七というような数字を伺っているわけでありますが、午前中、塩田先生の方からも議論がありました。  今回の改正法定雇用率、今後どういう取り扱いになるのか、〇・二ぐらいじゃないかという話もあって、御返事もなかったようでありますが、もちろん御返事ができないのだろうと思いますが、今後の具体的な日程等を改めて確認させていただきたい、このように思います。
  88. 征矢紀臣

    ○征矢政府委員 御指摘のように、現在の法定雇用率丁六%でございますが、今回の改正によります法定雇用率の具体的な率につきましては、手順としまして、法案成立後改めて障害者雇用審議会での御審議をいただき、その答申をいただいて政府として政令で定める、こういう手はずになっております。  ただ、先般提出されました障害者雇用審議会からの意見書におきまして、「一体的な法定雇用率設定に当たっては、調査結果を基本としつつ、既に精神薄弱者の実雇用率が〇・一四%となっていること、精神薄弱者雇用に伴う事業主の様々な負担を考慮し、その負担が過度にならないようにすること等に留意する必要がある。」こういう意見書をいただいておるわけでございまして、この考え方を尊重しながら定めてまいりたいというふうに考えております。
  89. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 そうしますと、今後、前回が平成三年ですか、五年ごとに見直しということでございまして、五年ごとというと八年ですか、九年ですか。それで、実際いつからどうなるのか、具体的な日程もお教えいただきたいと思います。
  90. 征矢紀臣

    ○征矢政府委員 御指摘のように、この雇用率等の前回の見直しが平成三年でございまして、五年ごとに見直すということで平成八年に見直し作業を実は進めてきたわけでございます。その際に、あわせて、かねがねの懸案事項でございました精神薄弱者対策の強化、そういうものもあわせて検討いたしました結果、これにつきましては法定雇用率にカウントするということで法律改正が必要、こういうことから、全体として法律改正を国会に御審議をお願いした上で対処しよう、こういうふうになったところでございます。  したがいまして、現在御審議いただいておる法律、これを成立させていただきましたら、これは実施に移すということになるわけですが、ただ、この法定雇用率関係につきましては、これは具体的には納付金制度がセットになっているわけでございまして、そうしますと、これはやはり事業主に新たな負担を求めるということになるわけで、一定の準備期間、周知期間も必要であろうということから、この実施時期につきましては一年余の猶予期間を置いて、平成十年の七月一日、こういう形で実施をいたしたいと考えておるところでございます。
  91. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 十年という見通してございますが、前回が平成三年、八年、そうすると、十年にやると、その次は十五年ですか、それとも八年からスタートなのですか、その次の五年というのは。うまらない話ですが、後世のために確認をさせていただきます。
  92. 征矢紀臣

    ○征矢政府委員 一応、見直し時期につきましては五年ごとということでやってきておりまして、そういう観点でいきますと、三年の次は八年、八年の次には十三年ということになろうかと思います。(桝屋委員「それは流れていくということですか、これから」と呼ぶ)そうです。
  93. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 私は十年に見直しをして、十年から施行でへまた十五年かなと思っておりましたけれども、十三年でもう一回見直しをする、こういうことですね。ありがとうございます。  さて、この法律なんですが、今回は知的障害精神薄弱者の方を法定雇用率に入れる、こういう作業でありまして、かねてから要望もあったことでございますから、反対をする向きはそんなにないのだろうと思っております。いい機会ですから、さまざまな議論をこの委員会でもさせていただきたい、こんなふうに思っているところでございます。  この障対法の中には、大臣障害者対策基本方針を策定するということになっておりまして、直近のものも、平成五年四月の内容も見させていただきました。この基本方針の中には障害者の就業の動向に関する事項を定める、こういうことになっているわけでございます。  大臣にぜひこの機会にお聞きしてみたいのですが、午前中、佐藤委員の方からも全体の大きな数字の話がありました。今回知的障害精神薄弱者法定雇用率に入れるということになるわけでありますが、身体障害精神薄弱、あるいは後ほどお話を出しますが精神障害も含めまして、障害者全体として、大体、今後の我が国の雇用政策として、どの程度の方が就業されておられる、どういう姿を描かれているのか。やはり国として、この労働委員会議論をする場合に、そんなイメージも一回私はお聞きしてみたい。  特に今回、法が改正になるわけでありますから、大臣がどんなふうにお考えになっているのか。身体障害者のうち大体このぐらいは働いている日本の社会をつくりたい、知的障害者の中でこのぐらいは何とか働けるような環境をつくっていきたい、どういう絵を描いておられるのか、お聞きしたいと思います。
  94. 岡野裕

    岡野国務大臣 それぞれの種類の障害をお持ちの皆さんが、この改正法によって我々が努力して、それぞれの障害皆さんがどのくらいの数、就業されておられるか、なかなか数字では申し上げにくいのでありますが、念のためでありますが、今現在、雇用されている身体障害者は全部で三十四万人ぐらいであります。それから精神薄弱者へこれまた先ほどお話がありましたが、知的障害皆さん六万人というようなことになり、これがこれからどうだという話ですが、公共職業安定所に求職を申し込んでおられる身体障害者、この皆さんの数が七万人、こういうふうに私の手元に数字が参っております。しからば知的障害皆さんはどうだ、約一万五千人、こんなふうになっております。  だから、我々はとりあえずこういうことで、手を挙げて職安を訪ねていただいたそういう皆さんを、よりよい職場に、ミスマッチがなるべく少ないような形でごあっせんを申し上げる、そのために全力投球をしていくのだ、こんなつもりでおりますことをひとつ頭に描いてみていただけますか。
  95. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 ありがとうございます。  我が国全体として、マクロの話でございますが、障害者の中でどのくらいの人に働いていただける環境をつくるか、そんな議論はなかなか難しいとは思います。今大臣の方から、少なくとも求職をされている方々、求職活動をされておられる方々は何とか円滑に就業の道が開けるように努力をしたい、こんなお答えをいただいたわけであります。  それでちょっと私、基本的なことを確認させていただきたいのです。  きのう見せていただいたのですが、障害者雇用対策基本方針、大臣が策定をされておられる平成五年四月のものでございます。この実態からいきますと、障害者の就業の状態ということで「身体障害者の就業者数は、増加傾向にあり、昭和六十二年においては七十万人を超すに至った」、就業率は二九%、まあ三分の一という数字が出ているわけでありまして、今大臣、三十万という数字を言われましたが、この「七十万人を超す」というのはどういう理解をすればいいのか、ちょっとお教えいただきたいと思います。     〔委員長退席、河上委員長代理着席〕
  96. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 先生今御指摘の、障害者雇用対策基本方針に記述をいたしております「障害者の就業状況」の就業者数ということでございますが、これでは昭和六十二年で七十万人ということでございますけれども、就業者の中にはいろいろな形がございまして、自営業主ですとかあるいは家族従業者ですとか臨時雇いとか内職等々ございます。この記述の中では一般雇用者が三九・五%というふうに書いてございますけれども、この当時へ七十万人のうちの約四割の方、四、七、二十八万人の方が一般雇用者ということになるわけでございます。
  97. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 わかりました。  一般雇用者以外のいろいろな形があるということで、そうしますと、七十万という数は大変多い数であります。我が国の在宅の身体障害者の方が大体二百七十万ぐらいとお聞きしておりますが、七十万という数字は、まさにここに二九%で出ているわけでありますから、三割ぐらいの方には何とか就業の場があるというのが現状の姿でございます。  大臣は、もちろん労働大臣としてそんなことは軽々に言えないと思いますけれども、私などの立場からいきますと、在宅の身体障害者、それこそ三割くらいの方は働いている、働く機会がある、そういう社会なのかな、こんなふうに理解をしているわけであります。同じように、では、今回新たに法定雇用率に入ってまいります知的障害では一体どんなふうになるのかな、こんなことも思ったりするわけであります。  それで、先ほど大臣が、身体障害で三十万、知的障害、精薄で六万という数字を言われました。これはいわゆる法定雇用率の世界で伺う数、例えば今の実雇用率一・四七の数字で身体障害が二十二万三千、精神薄弱者は二万四千、こういう数字も聞くのですが、この違いというのはどういうことなんでしょうか。
  98. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 身体障害者が三十四万四千人、精神薄弱者が六万人という数字でございますけれども、これは平成五年に私どもが行いました障害者雇用実態調査で、対象事業所が五人以上規模の全数の推計でございます。  先ほど来申しております、雇用率適用されるところの六十三人以上の事業所に雇用されている障害者の数が二十四万あるいは二十二万、こういった数字になっておるところでございます。
  99. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 ありがとうございます。大体理解ができました。  先ほど、身体障害の世界は三割ぐらいじゃないかという話を申し上げたのですが、知的障害精神薄弱者は、私の理解では在宅の精神薄弱者は約十七万人ぐらいではないかなというふうに理解をしているわけであります。  この大臣平成五年版の基本方針では、さっきの数字は精神薄弱者の就業者数は十万、これはもちろん一般雇用以外が入っているわけでありますが、御説明では十万という数字。在宅の知的障害者は十六、七万。一つの調査では十万というもの がある。それから先ほどの五人以上の調査では六万という数字がある。そうしますと、知的障害の場合は就業の機会というのはかなり多いのかなというふうに感じるわけでありまして、場合によっては五割以上の方が就業されている、こういうイメージが描かれるのかな、このように私は思っている次第であります。  大臣はそんなことはもちろん、なかなか軽々に言えないと思いますが、私は、障害者福祉あるいは障害者雇用も含めての社会保障の分野をずっと一貫して追い続けている立場でございまして、そんな私からいたしますと、大体我が国は今後とも、身体障害者で在宅の方は三割ぐらい、あるいは知的障害者は半分以上の方が働けるような、そういう社会になっているのかな、ある意味では大きく進んできたな、私はこういう評価もするわけであります。  さて、もう少し数字を確認させていただきたいのでありますが、実雇用率一・四七の数字で身体障害者が二十二万三千、精神薄弱者は二万四千という数字を何度も伺いました。これはダブりが多分入っているだろうと思うのですが、重度障害者はダブルカウントができる、こういうことになっているようでございます。ダブりを除きますと実人数はどのぐらいになるのかお教えいただきたいと思います。
  100. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 昨年の六月一日現在での六十三人以上企業雇用障害者数でございますけれども、これまでトータルとして二十四万七千九百八十二人というように申しておりましたけれども、このうち重度の方が六万七百二十二人おられます。また、二十四万七千九百八十二人のうち、身体障害の方が二十二万三千九百四十五人、そのうち重度の方が五万六千六十五人、それから精神薄弱者の方が二万四千三十七人で、そのうち重度の方が四千六百五十七人となっておりまして、ダブルカウントを除いた実数で見ますと、障害者の数、トータルが十八万七千二百六十人、身体障害者がそのうち十六万七千八百八十人、精神薄弱者の方が一万九千三百八十人ということになっております。
  101. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 わかりました。  かなりの数字としてダブルカウント、重度の方も雇用しておられるという、これは当然、ダブルカウントするということは雇用促進するという観点でありましょうから、そこは評価するべきなのかなというふうに感じます。  もう一点、最初の話に戻りますが、さきの大臣のお示しになった身体障害三十万、精神薄弱、知的障害六万という数字と、今お聞きした実雇用率の世界で言うところの二十四万ぐらいの数字、この差があるわけであります。これは恐らく、法定雇用率の数字というのは六十三人未満の企業の数字だろうというふうに理解をいたします。大臣がさっきおっしゃった三十万、あるいは知的障害で六万という数字、これは五人以上、いわゆる中小企業等も入った数字でありまして、私なりに考えますと、身体障害部分で半分ぐらい、あるいは知的障害部分ではそれ以上の方が六十三人以下の企業で働いておられるという実態があるのかなというふうに思うのですが、その辺はいかがでしょうか。ちょっとお教えいただきたいと思います。
  102. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 六十三人以上の企業と六十三人未満の企業との障害者雇用者数の比較ということでございますけれども、調査自体が厳密に言うと大分違っておりますので比較ができにくいわけでございますけれども平成五年の五人以上を対象とした調査、それから平成五年六月の雇用率の達成状況報告、この状況報告から見ますと、六十三人未満企業で全体の半数強の障害者雇用されているのではないかというふうに見ております。  また、障害種類別に見ますと、身体障害者で約半数、精神薄弱者の方につきましてはもっと多くて七割程度が六十三人未満企業雇用されているのかな、そういった推計が出ております。
  103. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 ありがとうございました。  大体全体像が私なりに把握できたわけであります。法定雇用率という世界は、確かに大きな成果を上げてまいりましたけれども、今御説明いたがきましたように、実態としては、身体障害者で半分ぐらいの方、あるいは知的障害では七割ぐらいの方がやはり六十三人未満の中小零細事業所で幹業しておられる、こういう実態があるわけであります。私の地元もそうでありますけれども、多くの障害者方々雇用というのは、やはりこういう中小零細の事業所の役割というのは極めて大きいものがあるだろうというふうに思います。  ただ、問題は、六十三人未満になりますと法定の雇用義務はないということでありまして、必ず採用しなければいかぬということにはなっていないわけであります。なっていないといいますか、きのう説明を聞いてなるほどなと思ったのですが、雇用義務はあるけれども一が立たないというまことに人を食った話、言い得て妙といいますか、義務はあるけれども一が立たない、したがって実際には雇用する必要がない、こういうことになるわけであります。  しかし片方、実態を聞きますと、身体障害者の半分以上の方あるいは知的障害者の七割の方はむしろそういう世界で職を求めておられるという実態もあるわけであります。  さらに、後ほど議論いたしますけれども適用除外職種という世界があるようであります。要するに、障害者の方が就業することはなかなか難しい職種があるのではないかということでありまして、これも私は理解ができる、理解できないわけではない議論でありますけれども、そういう全く逆の世界、適用除外職種といいますから、逆に言いますと障害者の就業に向いている、雇用しやすい、そういう職種もあろうと思うのですね、そういう言葉があるかどうかでありますが。  むしろそういう職種というのはこういう中小零細企業に多いわけでありまして、ただ最近は、産業構造の変化の中で、ハイテクでありますとか、事業形態はかなり変わってきております。そうはいいましても、やはり私の地元で、この前も月曜日、ずっと地元を歩かせていただきました。その中で、やはり何といいましても中小零細企業の役割は大きいわけでありまして、この世界をどうするのかということがやはりあるだろうと思うのですね。  先ほど言いましたように、雇用義務はあるが一が立たない、しかし実際は働いておられる。逆に、その義務がないということは、納付金を出す、そしてそれで調整金を出すというシステムも六十三人未満にはもちろんないわけでありますから、その辺で、ここの部分をどうするのかなというのが私は大変心を悩ませるわけであります。何を言いたいかといいますと、要するに、障害者雇用促進という法律議論するときに、六十三人以上の世界がこの議論対象ですよということでは済まないのだろう。実態としては六十三人未満がたくさんあるし、そこの中に障害者雇用に向いた適切な職種もある。その部分が、単に義務はあるが一は立たないということで終わるのではなくて、そういう世界にしっかりと就業の促進ができるようなことも考えなければいかぬのじゃないかな、こう思ったり、いろいろ考えるわけでありますが、御見解を承りたいと思います。
  104. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 この障害者雇用率制度の基本的な考え方に触れなければいかぬと思うのですけれども、これは、事業主社会連帯という理念に基づきまして、それぞれの事業主が平等に障害者雇用している、そういう状態を実現するということを目的としておるわけでございまして、事業主間にできるだけ不公平が生じないようにということで、全産業、また企業規模を問わずに一律に同じ雇用率ということにしているわけでございます。  そして、現在のところ一・六%という率になっておりますので、その逆数として、六十三人未満が実際に具体的には一人が立たないということで雇用義務が生じていないということでございますけれども、これは、法定雇用率が変わってまいりますと、六十三人といいますか、規模の区切りも変わってまいるわけでございます。  その六十三人未満のところが全然この納付金制度の対象外かというとそういうことではございませんで、もちろん納付金は徴収いたしておりませんけれども、そういったところで多数障害者の方を雇っていただきますれば、また報奨金の支給対象にもなりますし、納付金制度に基づく各種助成金の支給対象ということにもなるわけでございまして、こういった中小や零細企業に対しましても、障害者雇用を支援する枠組みというものが用意をされているわけでございます。  こういった助成措置を活用しながら、周知を図りながら、中小あるいは零細事業主障害者雇用に対する理解も深めながら、障害者雇用機会の拡大に私どもとしても今後大いに努めてまいりたいと思っております。
  105. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 六十三人未満の企業については、おっしゃるように、納付金を財源にした報奨金でありますとかいろいろのシステムはあるのだ、こういうことでございます。そこは理解をいたしました。その上でそういう六十三人未満のところについては、恐らく雇用率も日本全体として見ると非常にいいのだろうというふうに思っております。  しかし、そうは言いましても、さっきも言いましたように、適切な障害者雇用が、非常に向いている職種がありながら事業主の方が考えようともしない、障害者雇用考えるチャンスがないというようなことがあってはならぬだろうというふうに思うわけでありまして、そこはしっかりPRを続けなければいかぬのではないかな、こんなふうに思っているわけであります。  もう一点、実は納付金と調整金のシステムで、よく現場で聞く話なんですが、いわゆる暫定措置がありまして、三百人以下の事業所の部分では障害者雇用が進んでいないという実態があるよと、この暫定措置の矛盾というものが出てきておるのではないかと。しかも、三百人以下の部分で比較検討すると、時系則的に見ると雇用が進んでいない、変化していないという事実があるのではないかという議論がよくございますが、この点についてどんな検討をされているのかお伺いしたいと思います。
  106. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 三百人以下の規模の企業でございますけれども、昨年の六月現在の実雇用率、三百人以下規模だけ見ますと一・五九%ということでございまして、全体の一・四七という平均は上回っておるわけでございます。そういった意味では障害者雇用が必ずしも進んでいないという状況ではないわけですけれども、ただ、全体として雇用率が徐々に改善を見ている中で、三百人以下の規模のところではここ数年横ばいあるいは若干低下傾向にあるというのは御指摘のとおりでございます。  これはどういった原因によるものかということですけれども一つはやはり長引く景気の低迷の影響が出ているのではないかというふうに考えております。納付金の徴収を免除しているからではないかという指摘もあるようでございますけれども、暫定措置のために障害者雇用が停滞しているというよりは景気の低迷の影響の方がもっと大きいのではないかというふうに思っておるわけでございます。  この納付金免除の暫定措置につきましては、現行制度上中小企業では伸び悩んでいると言いながらも、全体として実雇用率がまだ高い水準にあるわけでございますし、また中小企業の経済的能力が大企業に比してそんなに大きくないわけでございます。また、従業員三百人以下の中小企業からも納付金を徴収するとした場合には、かなり徴収コストの面から非効率なものになってしまうというような問題もございまして、今のような制度が設けられているわけでございます。  現段階でも、基本的にはこういった事情はそう変わっていないのではないかと思っておりまして、中長期的な検討課題というふうに受けとめておるところでございます。
  107. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 中長期的という言葉で、さっきいろいろばっと言われたものは検討されているやに理解をしたわけでありますが、しかし、三百人以下は徴収しないというこの暫定措置、これは本則ではないですね。暫定措置ですね。  それで、実際に三百人と三百一人を比較すると、三百人と三百一で差があるわけでしょう。障害者を全く雇用しない場合、三百人だったら徴収金はなし、三百一人だったら一人五万だったですか、したがって四、五の二十万取られるということになるわけでありまして、明確にやはり差が出ている。それが雇用が進まないという原因ではない、このようにおっしゃったけれども、私は要素の一つではあるだろうと。  確かに、取られるか取られないかというのはこれは大きいですよ、事業所から見たら。したがって、確かに全体として雇用率はいいのかもしれないけれども、時系列的に見るとこの部分は動いていないということもあるわけであります。さらに行監からの御指摘もあったやに伺っておりまして、これは政策日程に入れない、今のところ検討していない、こういうふうに理解をしていいのですか。それとも、いや、検討をしておりますということなのか。どっちでございますか。
  108. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 先生ただいま御指摘ございましたように、昨年五月の総務庁の勧告においても御指摘はいただいておるわけでございます。そういった意味で、検討しないということではないのですが、当面の検討課題というよりは中長期的な検討課題というふうに受けとめておるところでございます。
  109. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 総務庁の勧告を聞きおいておるということなのかどうか、そこから先は余り言えないのかもしれませんが、今の景気ということだけで片づけずに、引き続き御検討はぜひお願いを申し上げたいというふうに私は思うわけであります。  さて、あとこれも現場で伺いました。特に今回は知的障害者を新たに法定雇用率に入れるということでありますから、特に知的障害者雇用促進という観点で現場でいろいろ声を聞きますと、例えば、以前は納付金制度を活用した重度障害者職場適応助成金というのは、例の特定求職者雇用開発助成金とあわせて極めて有効な手段であった。特に、私の地元は山口県でありますが、山口県のように中小零細企業でほとんど知的障害者雇用を開発している、こういう実態から見ますと、この重度障害者職場適応助成金なんというのは極めて有効な手段であったというように聞いております。  ただ最近は、これはできるだけ出さぬようにしよう、納付金財政が極めて厳しくなってきて、基本的にだめだというような状況もあって、今までがよかったものですから現場での活動に大変苦慮しておられる、こういうお話を伺いました。私がこんなことを言いますと、現場を責めたりせぬでくださいね。だれがつまらぬことをしゃべったのかとか、そういうふうに言われると大変困るわけでありまして、そんな話も聞いておりますが、その辺の状況をちょっと伺わせていただきたいと思います。
  110. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 納付金制度でございますけれども基本的な考え方といたしまして、雇用率未達成企業から不足労働者数に応じて拠出をしていただいて、それを財源としまして、多数雇用されているところに調整金とか報奨金とかあるいは各種の助成金を支給するということで、一般的に納付金収入というのは、雇用率が上がる、雇用の状況がよくなれば収入が減ってくる、そういった性格を持っているわけでございます。いずれにしても、予算の範囲内で適正に運営をしていかなければいかぬ、そういった性格のものだというふうに考えております。  そういった観点で納付金制度に基づく助成金制度もこれまでそれぞれの段階で見直しもずっと行ってきたわけでございます。また、今回の法改正を契機といたしまして、利便性といったものを配慮して簡素化も図っていきたい、使いやすいものにしていきたいといったようなことも考えておるわけでございます。  ただいま御指摘の重度障害者職場適応助成金、これにつきましては一昨年の十一月に運用改善を行ったところでございます。これは、それまでの助成金がどちらかといいますと設備投資の肩がわりというような形で非常に利用といいますか、かなりそれが目に余るような形で使われていたという問題指摘もございまして、支給対象に大変偏りが生じておるといったようなこともございました。  本来、障害の種類とか程度に応じてきめ細かな施策を講ずるための支援措置ということで用意した制度が、どうも特定のところに偏って使われていた、全体として有効に活用されているとは言いがたいような状況が生じていた、こういったことも踏まえまして全体の見直しを行ったところでございます。  そういったことで、現在でも納付金財政は単年度で見ると支出の方がかなり上回っておるという厳しい状況にあるわけでございまして、こういった予算上の制約も踏まえながら適切な運営に努めてまいりたいと思っております。
  111. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 極めてよくわからない話になってまいりまして、具体的に今のお話を何点か確認させてもらいたいのですが、一つは、今一番最後に話がありました、納付金財政は厳しくなってきておる、単年度で見ると赤というふうに理解していいのですか。実際に、ちょっと数字でもって、どの程度納付金が入ってきて、それから支出の方がどのぐらいで、赤であればどういうような運営をされておられるのか、最初にそこをまずお伺いしたいと思います。
  112. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 平成七年度の納付金の収入でございますけれども納付金収入としましては二百二十七億円でございます。それで、支出といたしましては、全体が三百十一億円でございまして、雇用調整金ですとか報奨金ですとか助成金、こういったものの総合計は二百七十億円となっております。これの差、足りない分は、これまでの積立金の取りましということで対応しておるところでございます。
  113. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 先ほど御説明があったように、当然ながら、障害者雇用が進めば納付金の収入は少なくなるという構造があろうと思います。したがって、この納付金財政というのは確かに悩ましい微妙な問題を持っていると思うのですが、今の話では、七年度実績で見ると納付金収入が二百二十七億、それに比べて支出の方が二百七十億、全体では三百以上あるのでしょうが、そうしますと本当に赤でありまして、この部分は今までの積立金を取りましながらやっていると。積み立てがどのぐらい残っているのですか。あと、どのぐらいあるのでしょう。
  114. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 積立金は、平成七年度で二百二十四億円ほど残っております。
  115. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 であるならば、当然ながら、ここで将来の財政見通しということが出てくるわけでありますが、ここがまさに今回の法改正に絡む部分法定雇用率を上げれば収入もふえるのじゃないかということがあるのかもしれません。したがって、法定雇用率の検討というのは極めて大事な部分でありまして、これは日障協がやられているのですね。日障協の納付金財政を何とか守るために雇用率を上げるということでは決してないだろうというふうに思うのでありまして、結果だろうというふうに思っているのであります。  財政が厳しいのは、当然ながら障害者雇用が進む、と同時に、今までの経緯の中でいろいろな雇用促進策を、調整金なり報奨金なりいろいろなことでやって拡充してきた、もう広げたものはなかなかもとへ戻せませんから、厳しくなってきておる。  その中で、例えば私が先ほど申し上げた重度障害者職場適応助成金、今までは非常に有効に活用されていたけれども、これは十一月に運用改善を図った。あの改善というのは、幾つか説明がありましたけれども、端的に、現場の声ではほとんど使えなくなった、僕はこう聞いているのですが、先ほどの御説明、運用改善は具体的にどういうことなのですか。  もうちょっとわかりやすく、いやいや、必要なものは出していますよということなのか、極めて適正な実施をやっているのですということなのか、具体的にお教えいただきたいと思います。
  116. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 重度障害者職場適応助成金でございますけれども、これは、事業主が重度障害者の職場適応のための措置を講ずるために通常必要とされる費用を少しでも軽減しようということを目的として支給する助成金でございますけれども、実態といたしましては、平成七年十一月の運用改善の前までは……(桝屋委員平成七年ですね」と呼ぶ)そうです、一昨年の十一月です。職場適応措置を具体的に行っているかどうかの確認というのが、実は余り厳格には行われておりませんでして、重度障害者雇用すれば半ば自動的に支給されるというような実態にございまして、そういったことで、制度がある意味ではちょっとゆがめられておったという実態もございました。  具体的な運用改善の例でございますけれども、例えば作業機械の操作実習ですとか、そういったものは、重度障害者であるか否かを問わず一般的に行われる職場適応措置というのがあるわけですけれども、こういったものは、本来、個々の障害によるハンディキャップを克服する、あるいは軽減する、そういったものとは認められないわけでございますので、こういったものは支給の対象外ですよというように、その趣旨を改めて徹底したというものでございます。
  117. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 よくわかりました。  これはあえてもう一回入念に言う必要はないのかもしれませんが、制度の趣旨に十分適応した支出になっていたかどうか、もっと言えばもう障害者さえいればみんな出していた、こういうことがあるのかもしれません。したがって適正化を図ったということかもしれませんが、しかし、いみじくも先ほどおっしゃったけれども、重度の障害者を雇い入れたところについてはもう自動的になどというようなこと、それは制度の趣旨に反する、逸脱したことかもしれないが、しかし現場としては、結果的にそれが極めて有効に役に立っていたわけでありまして、ここは難しいところであります。  したがって、私は、納付金財政が豊かであふれるような財政があればそういうこともいいのでしょうが、当然ながら、ここは制度の趣旨を大事にしていく、制度の趣旨にのっとっておやりになるということなんでしょうが、今の制度のあり方も検討されている、こうおっしゃっていましたね。  私は、そろそろこの厳しい財政状況、将来、法定雇用率がどうなるかわかりません。したがって、それが決まった段階で将来の財政見通し、この目障協における納付金財政の運営の将来見通しというものは明確にしていただかなければいかぬ、展望を立てていかなければいかぬと思います。今の状況で二百億円ぐらいの積み立てでは、私は今すぐ厳しくなるのではないかという危惧も持つわけでありまして、そういう意味では、今からその作業に入るのだろうと思います。  しかし、私は、それと同時に、場合によっては支出の方の各種助成金の措置も必要に応じて見直しをする、先ほど利用しやすいようにと言われたけれども、いみじくもそのとおりでありまして、全くこういうのがよく理解されていない、あるいは面倒くさいから使わないとかという声もあるわけでありまして、やはり現場で利用しやすいように整理統合化を図るということは極めて大事だろうと思いますが、どんなふうな方向で検討されておられるのか、具体的にお示しいただければ、お願いします。
  118. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 今回、助成金につきましてもいろいろ見直しをしようというふうに考えておるところでございますけれども基本的には利便性に配慮して簡素化を図りたいということがございます。  具体的な内容といたしましては、例えばハードの施設設備の関係では、現在、障害者作業施設設置等助成金というのと、障害者作業設備更新助成金、それから障害者処遇改善施設設備等助成金、こういった三つがあるわけですけれども、いずれも同じ物的支援に係る助成金ということでございますので、こういったものはできるだけ整理統合して、より使いやすいものにしたいというのがございます。  また、今度は人的支援に係る助成金でございますけれども先ほどお話がございました重度障害者職場適応助成金、それとまた、重度障害者特別雇用管理助成金というのもございます。こういったものにつきましては、障害の種類とか程度によって非常に細分化されておるわけですけれども、例えば通勤対策に係る助成金と介助者等の人的支援に係る助成金、こういった区分けを行いまして、内容もはっきりわかりやすいものにしていきたいというのがございます。  それから、人的支援につきましては、業務遂行援助者の配置に対する助成要件としまして、現在、三人以上雇い入れた場合に助成金対象とするということになっておりますけれども、今後、その対象者につきましては、要件を緩和して一人でも助成金対象にするというような形で、特に知的障害者の方につきましては、人的支援助成金、こういったものが使いやすいようなものにしていきたいというふうに思っております。
  119. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 今の方向、検討の方向性でありますが、私もぜひそういう方向で整理されるべきだろう、こういうふうに思います。今、最後の方で言われました、現場で利用しやすいように、あるいは効き目のいく、効果のある、そういう制度にぜひ整理される必要があるのではないかというふうに私は思います。  そこで悩ましいのは、さっき申し上げたように、制度の趣旨を逸脱しておったとはいえ非常に効果を発揮してきた、そういう重度障害者の今の職場適応助成金、実際支出がないのに、もうとにかく機械的にということがあったかもしれませんけれども、それで大きな効果を、もちろんそれだけに効果があったわけでありまして、そこをどうするかという問題があります。  私は、やはり余り、さっきも言いましたように、変な話、重度障害者助成金の名前を三つか四つ言われましたね。名前を聞いただけで何が何やらよくわからぬわけでありまして、私がわからぬわけでありますから中小企業事業者はますますわからぬわけでありまして、そこら辺のネーミングも、大体労働省の名前というのは私も見てもわからないのがいっぱいあるわけで、その辺は一工夫も二工夫もお願いしたいのであります。  と同時に、重度障害者を雇い入れれば、本当にある意味では、特定求職者開発助成金もありますが、重度障害者であればやはり機械的にプラスアルファされるというようなシステムもあってもいいのではないか。もちろん財政見通しが立てばということが前提でありますが、そういう、より簡略化したシステムの方が現場は使いやすいということがありますから、あわせて、ぜひその辺の御検討もお願いを申し上げたいというふうに思います。  当面、現在の制度で重度障害者職場適応助成金、機械的にだめだよというようなことは現場で指導されていませんね。まさにこの制度で、現制度で必要なものについてはやはりきちっと対応してもらいたいと思うのですが、そこだけ確認を一点させていただきたい。
  120. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 この重度職場適応助成金、一切だめというようなことではございませんで、制度の趣旨に沿ったものであるかどうか、これを厳正に審査をしながら支給対象にするということでございます。
  121. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 これがどういうルートで支給されるのか、まだつまびらかにしておりませんが、私は、ここで労働省とやるときにいつも思うのでありますが、ここの回答はそれで納得しますけれども、どうか中間で、現場で御確認を、モデル的にどこか点検をしてみていただきたいなという声を現に聞きましたので、お願いを申し上げたいと思います。  それからもう一点、今回、知的障害者精神薄弱者が新たに法定雇用率の世界に入ってくるわけでありますが、障害者という表現の中で、きょうは厚生省にもおいでいただいていますが、身体障害それから知的障害精神薄弱、それに精神障害者という世界、もちろん今の障害者雇用の世界でも整理されている部分でありますが、この方々は、最近は新たに身体障害者、知的障害者精神薄弱者と同じように手帳制度も整備されておりますし、障害者の範疇として総合的な対策をやっていこう、こういう流れになっているわけでありまして、そういう意味では精神障害者の取り扱い、今回の改正で知的障害者は入ってきます、そうすると今後精神障害者をどうするかという問題、これはずっと検討していただいておりますが、当面、今回の改正で一歩進んだ取り組みがあるのかないのか、その辺をお伺いしたいと思います。
  122. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 精神障害者に関します現状の施策でございますけれども、私どもといたしましては、精神障害者の方につきましては、長期にわたって職業生活に相当の制限を受ける、あるいはまた職業生活を営むことが著しく困難な方、こういった人たち障害者雇用促進法の対象にいたしております。具体的には、精神分裂病、躁うつ病、それからまたてんかん、この三つのいずれかにかかっておられる方について、通勤対策ですとかあるいは人的援助のための助成、こういった各種助成金の支給対象ということで雇用促進に努めておるところでございます。  また、精神障害者だけを対象とした施策といたしましては、平成六年度から職業準備訓練を行っておりますし、また平成八年度から就職ガイダンスといったようなものを実施いたしております。また、精神障害者雇用に関する好事例集といったものも作成をいたしまして、事業主に対してその周知を図っておるところでございます。  それからまた、精神障害者だけということではございませんけれども、地域障害者職業センター、こういったところで職業リハビリテーションを実施いたしておるわけでございます。  今回の改正を契機としてさらにどういった取り組みを行うのかという点でございますけれども、今回の改正によりまして、一つは、精神障害者である短時間労働者の方につきましては助成金対象にしてまいりたいと思っておりますし、また、障害者雇用審議会でいろいろ御意見、御議論ございました、そういったものを踏まえまして、精神障害者の範囲につきましても、先ほど言いました分裂病、躁うつ病、てんかんだけではなしに、そのほかにも、先生先ほどお話ございました平成七年十月から精神障害者保健福祉手帳が交付されておるわけでございますので、この手帳の交付を受けておられる方もその対象に加えていきたいというふうに考えておるところでございます。  また、第三セクター方式の重度障害者多数雇用企業の設立を進めておりますけれども、その設立に当たっては、精神障害者雇用されるような、そういった指導といいますか誘導も考えていきたいというようなことを考えておるところでございます。     〔河上委員長代理退席、委員長着席〕
  123. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 ありがとうございます。  それでは次に、特定求職者雇用開発助成金障害者雇用期間について議論をさせていただきたいと思います。  職業安定所におかれましては、鋭意障害者雇用の取り組みをいただいておりまして、職安の紹介を受けて就業するという方は随分いらっしゃいますが、障害者雇用が実際にどの程度進んでいるのかということが大変に気になるところであります。一番心配なのは、助成金の期間が終わると同時に、金の切れ目が縁の切れ目で離職をしてしまう、結果的に。そういう実態があるのじゃないか ということも心配をしております。それから、最近の経済状況の中で、最初にリストラあたりの犠牲になっているのは障害者ではないかということも、これはやむを得ないところもあるわけでありますけれども、大変気になるところでございます。  実際に私の県で、これは県議会で実際に出た議論であります。山口県の実態で、山口県、実は胸を張って報告できるのでありますが、実雇用率は一・八一という大変に全国を上回る、一生懸命取り組んでいただいているという成果だと評価しておるのでありますが、こういう大変に取り組みの進んだ地域、良好な地域においてさえも、いろいろ聞いてみますと、例えば平成六年度、なかなかデータがなかったらしいのでありますが、職安を通じて就職された方三百十七人を調査してみた。  その方々の中で、三百十七人の中で六カ月以内の離職が一七%、それから一年以内の離職が二六%、これは累計でありますが。それから二年以内の離職が三四%ということで、まあ六カ月で一七%、二割弱の方がおやめになっている。もちろん、これは金の切れ目が縁の切れ目ということではないのでありましょうが、いろいろな要素があるのだろうと思いますが、その部分もあるのではないかと思うのです。  それと、平成七年度の実態として四十九名の解雇者、これもデータがなかなかなかったのを出していただいた、調べていただいたら、山口県の事例でありますが平成七年度で四十九名解雇されている。リストラでの解雇が四十名、八二%という厳しい実態。これを多いと見るか少ないと見るか、議論はあるところでありますが、やはり実態としては、助成期間が切れて結果的に離職をしている、あるいはリストラということで八割ぐらいの方が離職をしているという実態もあるわけであります。  実は私も、個別具体的に、そういう助成期間が終わって、助成期間の間にしっかりといろいろな制度を全部活用されて、設備投資もして、もちろん障害者雇用ということを前提におやりになったそうでありますけれども、結果的にその方は期間が終わって解職をされたという事実も御相談にあずかりまして、大変に頭を痛めたわけであります。こうした実態について、職安を通じて就職をされた上でどのぐらい、まさかすぱっとその時点で多くの方が切られているということはないと思うのですが、全国的な統計がありましたらお示しをいただきたいと思います。
  124. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 雇用された障害者の方の離職の実態ということでございますけれども、新しい時点での調査というのが実はなかなかないわけでございますけれども、先ほど来申しております、平成五年度に実施いたしました障害者雇用実態調査、従業員五人以上の事業所について行ったこの調査によりますと、身体障害者の方の平均勤続年数は、実は十年七カ月という数字になっております。ちなみに五十八年度の調査ではこれが八年七カ月でございましたので、二年ほど延びておる。精神薄弱者の方について見ますと、平均勤続年数が七年九カ月、これも五十八年調査が六年九カ月ですので、一年延びておるといったような状況になっております。  それからまた、その調査で、過去に転職を経験した障害者がどのくらいおられるかという割合を見ますと、三一%の方が転職経験あり。その離職理由について見ますと、事業主都合が一一・八%という数字がございます。先ほど先生がおっしゃいましたリストラの割合ですとか、あるいは就職から何年以内の離職の割合という数字が、直接はちょっと私どもとしては調査も持っておりませんけれども、ちょっと推計できるものとして今言ったような調査があるわけでございます。  また、職安紹介による障害者の就職状況でございますけれども平成七年度、安定所を通して就職をしました障害者の数、全体で二万七千三百六十一人ということになっております。身体障害者が一万八千八百五十六人、精神薄弱者が七千百九十五人、その他、精神障害者等のその他の障害者が千三百十人といったような状況でございます。
  125. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 どのぐらいいっておるかデータがないということであります。山口県の事例でもなかなかデータがなかったようでありますからやむを得ないのでありますが、さっき雇用期間の平均が十年とかあるいは七年というお話がありましたけれども、そうすると、大体分布は出るのじゃないですか、一年以内がどのぐらい、二年がどのぐらいという。平均があるということは分布があるということではないんですか。
  126. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 この調査では、概数、まとめて集計しておるものですから、ちょっと今持ち合わせておりません。
  127. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 わかりました。  私危惧をいたしますのは、今申し上げたように、助成期間が終わって、いろいろな制度だけ利用して解雇されるというようなことがあってはならぬな。制度を悪用するような事例はないと思うのですけれども、しかし、制度の悪用なんかまだいい方でありまして、大臣が首を振っておられますけれども、水戸の事例もあるわけでありますから。私は大変に、実際に山口県のこの数字あたりからしましても、やはり現場における職安あるいは関係団体の一生懸命な取り組みが求められるんだろうと思うのです。  そういう意味でお尋ねを申し上げたいのですが、実は職安の障害者雇用の担当者、これは担当者によってえらい違いがありまして、特に、知的障害なり身体障害なり、いわゆる対人行政として、対人サービスとして障害者の就職のお世話をする、こういう観点では、大臣、これははっきり言いまして、本当に向いた方と向いていない方がいらっしゃるわけであります。  私は実はこういう男でありますから、県内からいろいろな市民相談がいっぱい来ます。障害者雇用の問題も随分いただきまして、実際に窓口へ障害者とともに行ったことも何度もあります。そうしますと、担当者によってえらい違いがありまして、批判は余りできないのでありますが、個人名は。  ただ、現実に障害者の団体から声を聞いても、あの方がいなくなったのでこの職安は全く魅力がなくなった、あの方がいるから、むしろ管内を越えてあっちへ行きたいという声もあるぐらいでありまして、それぐらいやはり窓口行政、窓口だけではありません、恐らく現場に行っていろんな指導もあるんだろうと思うのですが、この職安の担当者の研修なり資質、こういう人をもっと充てるようにしているのだ、特別人事で配慮しているとか、その辺の実態をお教えいただきたいと思います。
  128. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 公共職業安定所の職員の配置ということでございますけれども、御指摘ございましたように、そういった職員の資質の向上を図るということは極めて重要なことであるというふうに考えておるわけでございます。  できる限り、専門的知識を有しております障害者担当の就職促進指導官というのがございますので、これを全国の公共職業安定所に配置をいたしております。ちなみに現在では、障害者担当の就職促進指導官五百七十二人ほど配置をいたしておるわけでございます。  こういった職員に対しまして、一般的な研修あるいは総合的な研修はもちろん、労働研修所、朝霞にございますけれども、ここで十八日間の障害者雇用に関する専門的な研修というものを実施する中で、その資質の向上に努めておるところでございます。  こういった職員のほかに、障害者の職業問題等について専門的な知識を持っておられる方を相談員という形で配置いたしております。お互いに専門性を相互に補完し合いながら、安定所としての障害者行政の体制の充実に努めておるところでございます。  今後とも、中央のみならず、各地方レベルも含めての研修の充実を図って、職員の資質の向上、 体制の整備に努めてまいりたいと思っております。
  129. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 人の配置でありますから、ぜひ私は、与えられた環境の中で、より向いた方をお願い申し上げたいと思うのであります。  福祉の心というものを理解される方と理解がなかなかしにくい方とタイプがあるわけでありまして、それが証拠に、あの職安は行きやすいという声と、あの職安はなかなかという声があるという事実を御報告させていただきたいと思います。  それからもう一つは、例の水戸の事件にしても、あれは福祉サイドからいろいろ声があったということでありますが、指導する立場の職安あたりがやはりアンテナを広げて事前にキャッチできなかったのかどうなのかということもあるわけでありまして、窓口の担当職員の資質というのは極めて大事だということを私は御指摘申し上げたいと思います。  それからもう一点。さっきの話に戻るのでありますが、特定求職者雇用開発助成金あたりも悪用している事例は、大臣首を振られたけれども、ここは悪いよとブラックリストに載せるような、そんなやり方もあるわけでありますが、逆に、地域で障害者の方が実際に求職活動をするときには優良企業といいますか、ここは安心できるよという確かな情報がある方が好ましいわけでありまして、それを一番求めているわけであります。  実際に、福祉工場を出て地域で仕事をしたいけれども、せっかく身につけた技術で仕事をしたい、印刷で仕事をしたいと思っても、本当にここは安心できるというような職場が材料としてないというようなこともあるわけでありまして、今の窓口の体制と同時に、それは工夫の余地があるのではないか、私はこんなふうに思っておりまして、きめ細かな対策をぜひお願い申し上げたいと思います。  そういう意味で、今回、月曜日に私現場を見てまいりまして、障害者雇用促進協会の業務として実施されている地域の障害者職業センターを見てまいりました。  それから、実際に職業センターがどんな活動をされているか、私は以前から大変関心を持っておったわけでありまして、随分助けられたこともございます。最近も、地域における職域開発援助事業等新たに取り組まれたり、熱心な活動に敬意を表したい、私はこう思っておるわけであります。  今申し上げた職域開発援助事業、これは極めていい制度でありまして、いわゆる職域の開発という観点で取り組まれている。正式な雇用に至るまでに、さっき言いましたような、まだ雇用されていないような事業所に対して、何とか障害者の職域部分を開発しようということで取り組まれている部分でありまして、非常にいい制度なんですね。  実際に生活支援パートナーというものを職業センターから派遣をして、実際に障害者の方にパートナーとしてついて、一緒に職場に行って人間関係やいろいろなことを調整されている。そして、あわせて事業主に対してもいろいろときめ細かな指導をされておられる。極めて私はいい事業だと思いました。  しかし、これは恐らくアメリカのシステム、ジョブコーチというような話も伺いますけれども、そんなものを参考にしたのだろうと思うのですが、問題は、問題はといいますか、非常にいい制度なんですが、欲を言えばということで申し上げさせていただくと、システムとしては、障害者職業センターから生活支援パートナーが派遣をされて生活面でのサポートをする、片方、職場の方では、職場に、事業所に技術支援パートナーというのがいらっしゃって、これが連携をしながらその当該障害者の全体的な職業リハビリをされる、こういうシステムというふうに伺っているわけであります。  しかし、この事業所の技術支援パートナー、それからこっちの職業センターの生活支援パートナー、別の人間だというのはなかなかこれは大変なのです。アメリカなんかは、一人の人が職業リハビリの計画も立て、実際に現地へ行って一緒仕事をして汗をかき、雇用主とも話をして、そうして取り組んでいるという話も聞きまして、システムとしてはいいのですけれども、なかなか職場で技術支援パートナーをつくるということも大変だし、できれば職業センターにおいて完結する形にならないのかな、私はこんな制度を要望も申し上げたいなと思うのですが、首を振っておられるから、ほとんど現場はわからぬという、おまえが言うことはわからぬということではなくて、御要望でございますが、お願いします。
  130. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 大変お褒めをいただきましたけれども、職域開発援助事業につきましては、今先生指摘のように、生活支援パートナーと事業所での技術支援パートナー、両々相まって新しい職域を開発する、拡大をしていく、そういったことで職務面でのリハビリテーションも受けられるように、そういったシステムで運用しているわけでございますけれども、アメリカのジョブコーチといったもの、こういったものも念頭に置きながら、現在の私どもの行政的な能力ですとか、こういった形で展開をいたしておるところでございます。  こういったものの運用の実績、こういったものも十分分析しながら、さらにいろいろな御意見を聞きながら、充実できるところは充実させてまいりたいというふうに思っておりますが、ただ、今直ちにジョブコーチのような形で全部一人がやるというような形のものは、なかなか今すぐはまだちょっと難しいのではないかなというふうに感じております。
  131. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 おっしゃるとおりでありまして、今の職業センターの生活支援パートナーと職場の技術支援パートナー、この両方の努力が相まっていけばいいのですが、相またぬのです。なかなか人間というのは別だと大変でありまして、しかも職域を開発するという部分ですから、私は、相まっているところは相まっていい、しかし、相またぬところはこっちで、職業センターの方でしっかり完結するような、そういうきめ細かな制度をぜひお願い申し上げたい。  私がこんなことを申し上げるのは、きょうは厚生省さんにもおいでいただいていますが、現場ではどうなっているかといいますと、そういう、県に一カ所の地域職業センター、それと福祉の制度、午前中佐藤先生の方からもお話がありましたけれども、一番私が注目しているのは通勤寮なんです。  福祉の制度の通勤寮、これが極めてうまくタイアップして、通勤寮には実は生活支援センターという機能がついておりまして、この生活支援パートナーと同じような言葉でありますが、生活支援センターなるものがありまして、こっちにも専門員がいらっしゃる。生活支援員がいらっしゃって、極めてうまく良好に機能して、障害者雇用、職域開発ということが進んでいるということを、私は実態を見させていただきました。現場では営々として障害者雇用に取り組んでおられる実態を、特に知的障害部分では本当に息の長い作業だなということを改めて私は感心をさせられた次第であります。  そこで、きょうは厚生省さんにもおいでいただいていますが、今申し上げたように、厚生省さんの通勤寮、それから、通勤寮にかぶさっています、通勤寮を出た人の後フォローの生活支援センターという機能、それと労働省障害者職業センター、この機能が極めてうまく動いているという実態があるわけであります。  ただ、これが地域的に非常にカバーされていないところがありまして、あの地域にはいい職域開発の可能性がある、ぜひ行きたいけれども受け皿として通勤寮あたりがないものですから、県一本の職業センターとしてはそこの地域はなかなか手が出せない。できるだけ地域に近い、家庭から通える、家庭に近いところにあることが望ましいわけでありますが、そういう意味ではどうでしょうか、先ほど障害者プランお話もしましたけれども、通勤寮が現在どのくらいあるのか。  それから、障害者プランの世界では、障害者保健福祉圏域という、人口二十万くらいの規模をお考えでございましょうが、これに対して生活支援センターを今後どういうふうに予定されているのか、プランのお考え方をちょっとお示しいただきたいと思います。
  132. 林民夫

    林説明員 もう先生御案内のとおり、知的障害者の通勤寮、ここにおきましては、就労しておられます知的障害者の方に一定の期間の住まいの場を与える、そして自立に必要な助言とか指導とかいうことをやっております。また、生活支援センターという事業でございますけれども、主としてその通勤寮に設置をいたしまして、単身で生活をしておられる知的障害者の方の援助を提供するというようなことでやっておるわけでございます。いずれも、きょうの御議論でいえば、就労を生活面からサポートするという意味でも非常に重要な事業であるというふうに考えております。  現在の数でございますけれども、通勤寮は全国で百三十五カ所でございます。生活支援センターは全国で四十カ所ということでございます。特にこの生活支援センターなどは、まずとりあえず全県に設置をするということからやっていかなければいかぬのかなという感じが、正直な気持ちとして持っております。  九年度予算におきましては、それぞれ、通勤寮の方は六カ所、生活支援センターの方は五カ所という増を図るという予定にいたしておるところでございますけれども障害者プランにおきましても、通勤寮の整備の促進を図るということが書いてございますし、また、生活支援センターにつきましては、先ほど御指摘のような事件の再発防止という観点も考えますと、また新たな光を当てていくということも考えてまいりたいと思っておるところでございまして、今後とも通勤寮あるいは生活支援センターの整備を今申し上げましたような観点から進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  133. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 もう一点、厚生省に確認します。  恐らく厚生省の世界でも、障害者プランができて、人口三十万規模ぐらいで障害者の戦略を考えようということが多分あるだろうと思うのですが、そうしますと、これは身体障害精神薄弱で違うのかもしれません、四百ぐらいの圏域になると思うのですが、その中に百三十五ぐらい通勤寮がある、それにかぶせるところの生活支援センターというのは現在四十カ所だ、こうおっしゃるのですが、通勤寮は、私は正直申し上げて、そんなに数はふえないのだろう。ただ、少なくともこの通勤寮の数だけは生活支援センターはいくのかどうか、目標とされているのかどうか、もう一点確認をさせてください。
  134. 林民夫

    林説明員 今年度予算の伸びで申しますと、まだまだ五カ所の増ということでございますので、直ちにそこまでということは予算の制約もありましてなかなか難しいかもしれませんけれども、先ほど申しましたような観点も含めまして、新たな位置づけも含めて考えてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  135. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 大臣、大分お疲れのようでございまして、ただ、大臣にかわりまして今厚生省に私お願いをしているわけでありまして、そのことをぜひ御認識をいただきたいと思います。  大臣、余り関心がないようでありますが、この障害者の職業センターとそれから通勤寮、極めてこの連携は大事、福祉の施策との連携は大事なんです。やはり障害者の場合は、親御さんがいない、家庭との線が切れている、その部分をまさに福祉部分の通勤寮が作業されている。通勤寮に乗っかっている生活支援センターというこの機能の中で、その生活指導員あたりは、まさに通勤寮を巣立った人たちの里として、我々が結婚して子供ができたら里へ帰って女房が面倒見てもらうように、知恵おくれの方々はそこへ子供を預け、本当に親に成りかわって作業している、その部分があってこそ初めて地域の雇用というのは進むわけでありまして、やはり生活の場というものを確保しなければならぬ。  職業センターがいつも悩むのは、この人は家庭さえあれば、受け皿がちゃんとあればこの地域でいい仕事があるんだ、だけれどもそれを実験する場がない、導入する場がない。それはまさに通勤寮でありまして、この通勤寮というのがしっかり、労働大臣立場であれば、今回知的障害者法定雇用率に入れる、就職を、就業を促進したいというのであれば、厚生省においてはぜひ通勤寮を数ふやしてよ、それからどこが全国の中で抜けておるのか、地域的にどこが弱いのかというようなこともお考えいただき、そして生活支援センターというのはまだたかだか四十カ所であります。  私は、この数は、少なくとも各県に二、三カ所必要でありますから、そういう意味では百ぐらいの数がぜひ必要なわけでありまして、障害者雇用をやるから、知的障害者は今回法定雇用率に入れたから、生活支援センターは、どうか厚生省さん、百カ所を当面目指してくれ、これぐらい大臣関心を持っていただきたい。それをきょうはぜひお願いを申し上げたい。  やはり労働行政と厚生行政というのは密接にかかわっているという、もちろん商工の行政ともかかわっていますけれども最後の受け皿といいますか、基本部分を支えていくのはやはり厚生行政でありますから、大臣お疲れでありましょうが、私の話を聞いての御感想をひとつ。
  136. 岡野裕

    岡野国務大臣 先ほど塩田先生が、愛知におきますところの労災を受けた皆さんの、身体障害者の自動車教習所、これについて御質問がありました。これも、身体障害者用の自動車教習所であれば、私はあのときに、一番適しているのは厚生省さんがおやりになることではないか、労災原因であれば労働省プロパーだというようなことで、労働省としましては厚生省と、引き取ってくれるだろうかどうであろうかというような相談を命じていたわけですが、これに限りませんで、やはり、先生御専門の身体障害者一般障害者等につきましての国としての施策は、労働省厚生省、密接な連携のもとでなければ効果は上がらない、こう思っております。  大臣も、極めてポンユー同士でございますので、大臣間でも意思の疎通を図りまして、先生が御意図されているような方向で実現すべく努力をしたい、こう思っております。
  137. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。  あわせて、中央においてそういう関係ができれば、地方においても、やはり県なりあるいは市町村においても、労働サイドそして福祉サイドの連携がよくなるわけでありまして、連絡会議等も積極的にやっていこう、こういうお話も伺っております。  そういう地道な活動がなければ、あの水戸のような事件は防ぐことができない。水戸のような事件は、あれだけではないだろう、あそこまでのものはないにしても、厚生省の彩事件も、彩グループの事件も警鐘を発しているわけでありますが、こういう事件が起きたときには、ほかにはないかということを当然検討されるべきであるし、あるというぐらいの発想を持って現場を点検するということもまた大事な姿勢だろうというふうに私は思います。それを防ぐことができるのは、やはり一にそういう関係省庁、関係機関の連携だというふうに私は思うわけでありまして、どうかそういうことを今後ともお取り組みをいただきたい。  この法律機会に、障害者雇用が、社会の景気の発展の中で、経済の発展の中でますます進んでいくことを念願して、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  138. 青山丘

    青山委員長 次に、中桐伸五君。
  139. 中桐伸五

    ○中桐委員 民主党の中桐伸五です。  まず第一番目に、精神薄弱者を含む法定雇用率を新たに設定したという点については、今回の法案は極めて評価できるわけであります。しかしながら、今後、精神薄弱者雇用促進されることに伴って、最近発生しましたアカス紙器事件に見られるような障害者への虐待というふうな事件、そういったものが発生する、増加する、そういうおそれもあると思います。そういうことに対しまして、そういった虐待事件など人権問題の発生をどう防ぐかということが重要な課題になろうかと思います。  そこで、障害者の人権擁護という観点から労働省がこれまでどのような措置をとってこられたのかについて、まずお伺いしたいというふうに思います。
  140. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 労働省におきましては、一つは、賃金の支払いですとかあるいは社内預金の適正化、こういったものに努めますとともに、就職をされた障害者につきましては、職場適応指導ですとか、事業主に対する雇用管理指導、こういったものを通じまして人権侵害の防止にも努めてきておるところでございます。  しかしながら、ただいま御指摘ございましたようなアカス紙器事件、ございますけれども、こういった措置をとりましても早期発見ができなかったということは大変残念でございまして、今後は、本件を教訓といたしまして、五人以上の障害者雇用しておる事業所を重点的に実際に訪問をいたしまして、職場適応指導を実施するといったようなことをこれまで以上に徹底をしてまいりたいと考えております。  また、今後は、各公共職業安定所単位で設置をいたしております障害者社会復帰連絡会議というのがございますけれども、この構成メンバーに、人権侵害防止の観点から、労働基準監督機関ですとかあるいは人権擁護機関あるいはまた障害者団体、こういった方たちにも加入をしていただいて、また協議内容につきましても、就職後のアフターケアに関すること、こういったものも加えまして、定期的に開催するといったような形で、この連絡会議内容やあるいは運営方法を充実強化してまいりたい。こういったことを通じて事件の再発防止に努めてまいりたいというふうに思っております。
  141. 中桐伸五

    ○中桐委員 五人以上ということでございますが、五人以上という規模をお決めになった根拠と、それから五人以上といいますと、今障害者雇用をしている事業所をどのぐらいカバーするのかについてお伺いしたいと思います。
  142. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 障害者を五人以上雇用している事業所では生活相談員を選任するということになっておりますので、それを一つの基準として設けたものでございます。  また、五人以上雇用している企業の数でございますけれども平成八年六月一日現在で一万一千四百八十一カ所、事業所、企業の数で一万一千四百八十一ということになっております。
  143. 中桐伸五

    ○中桐委員 一万一千四百八十一企業というのは、障害者雇用している事業所の何%ですか。すぐ答えが出なければ後でもいいですが。  生活相談員ということでございますが、行政監察局の平成八年五月の勧告によりますと、障害者の方の相談業務ということで、障害者職業相談員という人がいらっしゃるということなんですが、その相談員の方と今の生活相談員の方とどのような関係にあるのでしょうか。
  144. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 職業相談員は安定所に配置をしているものでございまして、生活相談員はそれぞれの企業内で選任をしていただくというものでございます。
  145. 中桐伸五

    ○中桐委員 具体的にその連携というのはどのようにやられるということになっているのでしょうか。その障害者職業相談員と生活相談員の具体的な連携というのはどのようになるのでしょうか。
  146. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 安定所に配置しております職業相談員も実際に出向いていって職場適応指導を行うことになりますし、その際は、選任されておる生活相談員と十分連絡をとりながら話を聞くということになりますし、また、日常的にはその生活相談員の方で企業内での定着指導に当たっていただくといったような形で、連絡をとりながらやっていくということになっております。
  147. 中桐伸五

    ○中桐委員 出かけていくということなんですが、ぜひそのようにしていただきたいのです。  平成八年五月に出しています行政監察局の勧告によりますと、実際に、障害者職業相談員の方が訪問業務を全然やっていないという都道府県の安定所もあるという指摘があるわけでありますし、また、障害者職業相談員の方々が必ずしも専門的な知識をお持ちになっていないというふうな、これは具体的な数字も上がっております。調査対象の、回答が返ってきた百六人中六十六人、六二・三%の方は専門的な知識を有するという条件にどうも当てはまらないのではないかというふうなことがあるのです。  先ほどのアカス事件のような事件が起こらないようにするためには、やはり具体的に、障害者の方がアクセスするのを待つのではなく、特に精神的な障害をお持ちの方などになりますと、事業所に出かけていってのきめ細かいアクセスということがやはり重要になってくるのではないかと思うので、その点で、この行政監察局の指摘というのをどのように労働省はお考えなんでしょうか。
  148. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 職業相談員でございますけれども、活動日数は月十五日ということになっておるわけでございますが、一人一カ月平均の活動状況を見てみますと、事業所訪問の件数が三・五件程度、相談件数が三十六件程度ということになっておるところでございます。  本来、その職業相談員の業務といいますのは、障害者の求職状況の把握ですとか、障害者あるいは保護者に対する生活相談の実施、あるいは事業主や就業中の障害者に対する職場適応指導ということになるわけでございますけれども、その職業相談員の果たす役割というのは非常に大きいものがございます。  今後、いろいろな指摘も踏まえまして、具体的な活動指針を策定してもらうようにということで、別途指示をすることにいたしております。これまで以上に効果的、積極的な活用に取り組んでまいりたいと思っております。
  149. 中桐伸五

    ○中桐委員 現場に重点を置いたきめの細かい相談業務というものをぜひ強化していっていただきたいというふうにお願いしておきたいと思うのです。  しかし、このアカス事件のような事件を考えてみますと、新聞報道あるいは傷害事件としてこの事件を担当することになっている弁護士の方の発言などを聞いていますと、この事件の訴えを被害者が労働基準監督署や職業安定所、福祉事務所あるいは警察、そういったところへ訴えをしても、その訴えをちゃんと正当に受け付けてくれなかった、そういう報道があるわけなんですけれども、その点についてはどのようにお考えなのか。  これは、労働基準監督署や職業安定所、労働省の管轄のところでございますので、どのようにお考えなのかお聞きしたいと思います。
  150. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 アカス事件に関します労働行政機関の対応でございますけれども平成七年の十一月に、アカス紙器を退職した女性社員から茨城県庁行政相談室に、特定求職者雇用開発助成金の不正受給の調査依頼、これがございました。それからまた、当人に対する暴行を水戸警察署に告訴したといったことについての申し出がございました。  これを受けまして、水戸職安の方では、この特定求職者雇用開発助成金につきまして早速調査を行いました。その結果、不正受給が判明をしたわけでございます。直ちに水戸警察署に被害届を提出する一方、返還命令を発出いたしました。ちなみに、八年の六月に全額の返済をいただいたところでございます。  また、その社長によります障害者に対する暴行による傷害が行われていたということが判明をいたしまして、これは警察の方で、八年の一月に詐欺罪で、三月に傷害罪で追起訴、さらに八年の十月には傷害罪での追起訴というようなことで起訴されたところでございます。  一方、監督署の方の対応でございますけれども平成七年の十一月に水戸の監督署に最賃法違反の申告がございまして、これを受けて調査を行いました。平成八年の一月に水戸の監督署では、最低賃金法違反また労働基準法違反ということで書類送検を行いまして、八年の三月に水戸地検がこれら法律違反でこの法人を起訴した、こういった経過でございました。     〔委員長退席、森(英)委員長代理着席〕
  151. 中桐伸五

    ○中桐委員 最初の事件の発生というのは、相当前からこういう虐待の事実があったということで、もう既に時効になっているというようなこともたくさんあると聞いているのです。そのことを考えますと、今回の場合は、社会的な問題になってそれぞれの関係者が動いたということになっておりますが、実際上は、これはもう泣き寝入りというか、そういったことも起こっているかもしれない。そういう問題について、どのようにしたらアクセスをきちんとできるようになるだろうかということについて議論をしたいのです。  先ほどの障害者職業相談員の方という立場から見ますと、人権の擁護という観点からいいますと、ややその任務が少し外れるのかなというふうな気がするわけでございますが、その点で、やはりこれは人権擁護のためのアクセスのシステム、そしてその苦情処理をちゃんとできる、そういう社会的に権限を持った人がどうしても必要だろうというふうに思います。  そうしますと、これは労働省だけの体制では不十分なのかなというふうにも思ったりするのですが、しかし労働条件のことに関して労働基準監督署に監督官がいらっしゃる、あるいは職業安定所に今相談員の方がいらっしゃる、そのような方々がこういう人権問題が発生したときにどのような権限というものを持つべきか、またそのようなものが発生したときにどのような最初のアクションを起こすのかということについてはどうでしょうか、労働省
  152. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 人権擁護の観点ということになりますと、労働行政が正面にといいますか、主体的に取り組むというのはなかなか難しい問題があるわけでございまして、安定行政等では、障害者雇用の安定、職業生活の安定、こういったものを図っていく中で、そういった情報を知り得た場合には必要に応じて関係の機関、司法機関等に連絡をとる、そういった情報交換が迅速に行えるようなそういった体制づくりを私どもとしても雇用の安定の立場から取り組んでいきたいというふうに思っておるところでございまして、安定行政の職員にそういった権限を持たせるというようなことはなかなか難しい問題があろうかと思っております。
  153. 中桐伸五

    ○中桐委員 そこで、法務大臣が任命される人権擁護委員という制度があって、この委員方々に、今の虐待事件のような問題については、その役割に私期待をしたいというふうに思うのですが、しかしながら、この人権擁護委員という方々がこういった事件のアクセスに適した現状に今あるのかどうかという問題があります。  例えば、これは私、介護の問題で、オンブズマンシステムというものを、やはりこれから日本の介護制度を新しく導入するに当たって、そういう苦情処理機関をきちんとつくらないといけないのではないかというふうに思っていろいろ調べておったわけであります。そこで、非常に数少ないのですが、既に中野区だとか幾つかの、全国五カ所ぐらいのところに福祉オンブズマンという制度ができている。非常に参考になる制度ではないかというふうに思うのです。  その福祉オンブズマンの導入に当たりまして、中野区が検討委員会なるものを設けまして、さまざまな苦情処理、これはサービスに対する苦情もありますし、人権にかかわるような問題についての苦情も一切合財受け付けるというふうな形で検討を始めて、報告書を出しておるのですね。その報告書の中にこういうくだりがあるわけです。  ちょっと読んでみますと、この人権擁護委員並びに総務庁の行政相談委員、このいわゆる国の方で任命をするといいますか、委嘱をするといいますか、そういう形になっている委員、これは人権擁護委員も入るわけなんですが、この委員の任務というのは非常に地味だ、目立たない、委員の作務の内容を知らない、住民が、区民が。だれがこれらの委員を務めているのかも知らない区民も少なからずいる、必ずしも区民にとって行政相談委員や人権擁護委員の存在あるいはその役割というものがなじみのある制度になっていないというふうな検討委員会の報告があるわけなんですね。これは一九九〇年に出されているわけであります。  そこで、次に法務省の方に、この人権擁護委員というものについて、その委員が、こういうアカス事件のような障害者の虐待事件が発生した場合にどのような役割を持てばいいか、またそのような事件に対して、そういう人権擁護委員の役割こそ、そういう事件を処理するために設置しているのかどうか、そこらあたりを法務省の方にお伺いしたいと思います。
  154. 坂井靖

    ○坂井説明員 お答えいたします。  現在、人権擁護委員、まず数でございますけれども、九年度予算で二百名余りの増員が認められまして、全国で一万四千百七十八名の人権擁護委員がいるわけでございます。  それから、人権擁護委員の任務といいますか、職務内容でございますが、これは人権擁護委員注によりまして、「人権侵犯事件につき、その救済のため、調査及び情報の収集をなし、法務大臣への報告、関係機関への勧告等適切な処置を講ずること。」ができる、このように規定されております。具体的な人権侵犯の疑いのある事案につきましては、事案に応じた適切な措置を講ずることができることになっております。
  155. 中桐伸五

    ○中桐委員 ということは、アカス事件のようなものについては十分できるというふうに理解していいわけですね。
  156. 坂井靖

    ○坂井説明員 まず、事実関係の調査を行いまして、その調査の結果、人権侵犯の疑いのあるという場合には人権侵犯事件として取り扱いまして、事案に応じた適切な措置を講ずる、人権擁護委員としてもできるということでございます。
  157. 中桐伸五

    ○中桐委員 人権擁護委員でできるということなので、次の問題はそのアクセスですね。  先ほど、中野区のオンブズマンの検討委員会が報告しておりますように、だれがそういう役割をしているかというのもわからない、そういう委員がいるということも十分認知されない。つまり、アクセスがいま一つであるということではないか、これはあくまで一九九〇年の段階ですが。事件の事実関係を調べるというアクションを起こす前のアクセスの問題が重要なわけですから、そのことについてこれまで法務省としてどのような取り組みをされたんでしょうか。
  158. 坂井靖

    ○坂井説明員 まず、人権擁護委員による人権相談というものがございます。そのアクセスポイントといいますか、窓口としましては、全国の法務局、地方法務局、それから約二百八十カ所ございます。その法務局の支局における常時開いております常設相談所、それから随時、例えば公民館とか市町村役場等で設置いたします特設の人権相談所、これらのほかに、全国に配置されております人権擁護委員の自宅におきまして、人権問題に関する国民からの苦情あるいは相談を受け付けて、相談者の問題解決に対しまして助言を与えるなどの活動を行っているところでございます。  その結果、人権侵犯の疑いがあるという事案につきましては、先ほども申し上げたように、人権擁護委員におきまして、法務局とも緊密な連携をとりつつ、人権侵犯事件として処理しているところでございます。また、委員につきまして、直接に委員が人権侵犯の事実を認知した場合におきましても、やはり同様に人権侵犯事件として処理しているということでございます。
  159. 中桐伸五

    ○中桐委員 外国のオンブズマンのような苦情処理のシステム、十分に全部掌握しているわけではありませんが、いわゆる公共の場所に紙をちゃんと置いておきまして、人権問題についてはこの方にこの紙に書いて出してくれればよろしい、善処しますというふうなシステムをつくっているというふうに聞いているのですね。そういうことはやられているのですか。
  160. 坂井靖

    ○坂井説明員 いわば目安箱的なものとしては特に制度としては設けてございませんけれども、今お話ししたように、全国に約一万四千名おります委員が、人権相談、先ほど申し上げたような窓口を通じて相談に応ずる体制は整っております。
  161. 中桐伸五

    ○中桐委員 このアカス事件についてはどうですか、人権擁護委員の方には相談はなかったのですか。  また、先ほどの目安箱のようなものをつくってもらいたいというふうに私は強く要望したいのですが、その点についてはいかがでしょうか。
  162. 坂井靖

    ○坂井説明員 人権相談のあり方、あるいは人権擁護委員制度のあり方につきましては、一つの大きな課題であると私ども認識しておりまして、これから設けられます人権擁護推進審議会、この中でそういったアクセスの問題も含めて広く御審議いただけるものと考えております。
  163. 中桐伸五

    ○中桐委員 アカス事件については、人権擁護委員のところには行かなかったのですか。
  164. 坂井靖

    ○坂井説明員 この事件に関しまして、具体的に相談あるいは侵犯事件としての申告が委員の方にあったという報告は受けておりません。
  165. 中桐伸五

    ○中桐委員 やはりアクセスが一番重要だと思いますから、権限があっても動きが起こらなければ何にもなりませんので、人権擁護推進審議会というところで審議されるということを聞きましたので、その審議会の方で、何よりもアクセスのところが重要ですから、そのアクセスをいろいろな諸外国の、比較的日本よりも進んでいると思われますから、非常に簡便な方法で、どういう役割を持った委員がいる、アクセスできますよというところをしっかり議論していただいて、明確なアクセスの改善ができる結論を得ていただきたいというふうに思います。  法務省の方から人権擁護推進審議会の話が出ましたので、私、この人権擁護推進審議会というのは人権問題全般について重要でありますが、障害者の今回のアカス事件のような事件の早期解決という点からいっても非常に重要ではないかというふうに考えております。  この人権擁護推進審議会の内容を少し議論したいというふうに思うのですが、この人権擁護施策推進法によりますと、人権擁護推進審議会というものについては、法務大臣初め関係大臣の諮問に応じて、人権尊重の理念に関する国民相互の理解を深めるための教育、啓発に関する施策、また、法務大臣の諮問に応じて、人権が侵害された場合における被害者の救済に関する施策の充実についての調査審議を行うというふうに理解をしておりますが、その点についてはそのような理解でよろしいでしょうか。
  166. 坂井靖

    ○坂井説明員 委員が御指摘になりましたように、大きな二つの事項について御審議いただくものと考えております。
  167. 中桐伸五

    ○中桐委員 そうしますと、関係大臣ということになっておりますから、まず労働大臣もこれに関係があるというふうに確認できると思うのです。そうしますと、このような人権擁護推進審議会に対して、労働大臣は、今回の障害者の虐待事件のようなものが発生しますし、また、これから障害者雇用を拡大していく必要があるわけですが、その場合にこういう問題が起こってくる可能性は十分予測できるわけでありますので、労働大臣にお伺いしたいのですが、このような人権擁護推進審議会にどのようなかかわりをお持ちになろうというふうに思っていらっしゃるか、御意見をお伺いしたいと思います。
  168. 岡野裕

    岡野国務大臣 今、法務省の方からお話がありました人権擁護推進審議会、これはつい昨年の十二月に法律によりましてできることになり、目下その委員の人選中だ、こういうふうに労働省としては伺っているところであります。しかしながら、その審議会の目的といいますものが、やはり人権擁護という面についての教育、啓発、その他の施策についても議していくというように伺っておりますので、今回のアカス事件というような、人権侵害ということがはっきりいたしております事件については、当然これが取り上げられるであろう。  私どもは一職場適応指導といいますものが十分でなかったということにかんがみまして、社会復帰連絡会議というようなものをより強化をしまして、福祉事務所、精神薄弱者施設、保健所あるいは医療関係機関、教育関係機関、これらの皆さんもぜひ入って、これからこの目的で推進をしていこう、こういうふうになっているところであります。幸いにして人権擁護委員皆さんは全国に数多く委嘱を受けているように今伺いましたので、ぜひ我々のこの会合にはこういった皆さんも適宜御出席をいただくようにというふうに考えて、これから委員の人選等終わりましたならば、法務省の方にも寄り寄り話を持ってまいりたい、こう思っております。
  169. 中桐伸五

    ○中桐委員 労働省は、人権擁護委員の方も社会復帰連絡会議ですか、この中に含めて協力関係をつくっていきたいということでございますので、ぜひその方向で連携を強化していっていただきたいというふうに思うのですが、私の質問は、人権擁護推進審議会に労働大臣はどのようなことを、「諮問に応じ、」ですから、労働大臣は何か強く要望されるお気持ちがおありなのかどうかということをお聞きしているのですが、いかがですか。
  170. 岡野裕

    岡野国務大臣 これは審議会の委員がまだ決まっておらない、したがいまして、発足をしたならばどういう運営になるかということだと思いますが、労働省としては、先生おっしゃるアカス事件というようなものが起こりましたので、ぜひこの審議会がそういった問題も含めて、これは啓蒙、教育となっておりますので実践はどうなるのかという問題がありますが、実践について、我々としては法務省の言いますならば御協力、これを仰ぎたい、こう思っておる次第であります。
  171. 中桐伸五

    ○中桐委員 ぜひ労働大臣からも、これは職場の問題という点では労働省が詳しく掌握をされているわけですから、その点からもぜひ、この人権擁護推進審議会の方にこういった事件に関連する人権問題として意見を述べていただきたいと強く要望をしておきたいというふうに思います。  時間が押してきておりますので次の問題に移らせていただきたいのですが、現在、法定雇用率というものを、精神薄弱者を入れて、午前中からの議論をお聞きしていますと一年ぐらい後にアップをさせるというふうなお話であるわけでありますが、次に議論したいのは法定雇用率の達成に関することでございます。  平成八年度の六月一日現在の法定雇用率の達成状況、これを統計で見てみますと、六十三人から九十九人の小規模事業場では達成率が高いのですけれども、その他の事業場においては、規模別に見まして一・三四%から一・四七%の範囲にありまして、いずれも達成率が低くなっているわけですね。  特に千人以上の大規模企業、こういうところでは経済的には雇用する余力は十分あるというふうに私は考えるのです。しかし残念ながら、近年、この大規模の事業場においても徐々に増加をしてきているということは承知しているのですが、平均的に見るとまだ法定雇用率に達していないというふうに言えますし、一番小さい六十三人から九十九人の企業規模では、企業数の中で法定雇用率に達していない事業場が、六十三人から九十九人では四五・六%である。それに対して千人以上の場合は六九・二%と一・五倍の未達成企業の実態になっているということで理解しているわけです。  経済力、余力からいって本来最も率先して障害者雇用促進すべき大企業が一・五倍もの未達成企業の実態がある。この点について労働省はどのようにお考えなのか、お聞きしたいと思います。     〔森(英)委員長代理退席、委員長着席〕
  172. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 平成八年の六月一日現在の実雇用率の状況を先生今いろいろとお話ございました。企業規模が大きくなるに従って法定雇用率の未達成企業の割合も増大をしている、こういう実情にあるわけでございます。  私どもといたしましては、雇用率の特に低い大企業を中心にいたしまして、雇い入れ計画の作成を命令したり、またその計画の実施状況の悪い企業につきましては適正実施勧告を行ったり、そういうことで雇用改善のための指導をこれまでも行ってきたわけでございますけれども、今回、特に精神薄弱者を含む法定雇用率設定する、雇用率制度が拡充されるということもございますので、雇用率達成のための指導につきまして、この一連の指導の基準を見直しましてより一層厳正な指導を行ってまいりたい、このように考えておるところでございます。  また、このような一連の雇用率達成指導に加えまして、平成三年度からは、雇用率未達成の大企業対象として障害者の雇い入れに係る指導を行うための雇用指導コーナーというものを全国の主要な公共職業安定所に設置をいたしておるところでございまして、こういったところも活用しながら障害者雇用促進に努めてまいりたい、このように考えております。
  173. 中桐伸五

    ○中桐委員 私、原因をお聞きしているのですが、時間が余りないので私なりの考えを申し上げて御答弁いただければと思うのです。  これは、求人倍率といいますか求人の志向性、要するに雇用を求める人がどこに雇用を求めていくか、この強さが企業が大きくなるほどいわば大きい。その場合に、障害者の場合にはやはりその競争の中で相対的に競争力が弱い立場に立っていますから、そのことがそのまま結果に出ているのではないかというふうにも私は考えるわけです。だから、極めて経済的な原則をきれいに表現したのがこの数字ではないかというふうに考えておるわけです。  それで、労働省の方は大企業に対して強力にこれから啓蒙や指導をやっていく、それをやはりしっかりやらないと、経済法則がそのまままかり通っているのがやや残念ながら今日までの、かなり是正はされてきていますがそういう状況ではないかと思いますが、いかがですか。
  174. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 大企業法定雇用率といいますか実雇用率の推移につきましては、午前中も御説明申し上げましたけれども昭和五十二年の雇用率制度発足当初が〇・八〇%だったのが最近では一・四七%ですか、相当な改善を見てきておる。特に、平成四年を境にいたしまして改善が顕著に進んでまいったわけでございまして、これは一つには、公表制度を背景とした雇用率達成指導、これが大変大きな効果を上げたのではないかということで、最近、大企業障害者雇用に対する理解というのは非常に進んできておるというふうに思っておるところでございます。  また、特に先生指摘のように、大企業にはそのほかの求職圧力が強いということもあるわけでございますけれども、私どもとしましては、特例子会社制度といったようなものも通じまして、大企業でもそういった子会社をつくってそこで障害者をたくさん雇っていただく、そういったことを通じて雇用率の達成に努めていただくような、そういった支援措置も用意をいたしておるところでございます。
  175. 中桐伸五

    ○中桐委員 ちょっとはっきりお答えが返ってこない。まあ、ほぼ私の言ったことと同じような御見解だと思いますが、やはり労働力需給のことをきれいに反映していますよね、この結果は。そういう意味で私は、先ほど出ました公表制度ということが一つ重要なポイントになる。それからもう一つ納付金制度という制度、この二つを次に議論したいというふうに思います。  納付金制度という制度は、こういうガイドラインというかミニマムスタンダードを決めてそこに向かって進むときに、まだその意義が全部の企業に十分浸透しない、しかも先はどのような、労働力需給の関係からいいますと大企業というところに一番おくれてそういう対策が進んでくる、そういうふうなことが実際に起こってきたわけですが、その過程では納付金制度というのは確かに音義を持っているし、今日もまだメリットは確かにあるというふうには思います。  しかし、考えてみれば、この納付金制度というのは、ある意味では未達成の状況に対するペナルティーであり、逆に達成している事業場に対するメリットというシステムというふうに理解できると思うのですね。  そうしますと、法定雇用率をすべての企業が達成すれば納付金制度は崩壊するわけでありますから、つまり法定雇用率を達成すれば納付金制度の充実は図れないという矛盾をもう既に発足当初から持った制度なわけですね。だからといって、私は納付金制度を一切ナンセンスと言っているわけではない。  しかし、もう納付金制度が導入されて二十年が経過をしているわけでありますから、そのよう左中で、大企業、比較的大企業、五百人以上の中・大規模の事業場の実情を考えてみますと、やはり経済的な力で、その納付金制度である程度お金々出しても、障害者の実雇用率を上げるというふうなアクションにならない一つの要因にはなっているというふうに私は考えるわけです。  その一つの裏づけとしまして、大企業の場合には、採用前に既に障害者であったという人の雇用の率は、五百人未満の小さい事業場に比べて低いわけであります。これは労働省がお調べになって報告書を出されている数字、最初の数字はどうも誤植だったということで新しい数字をいただきましたが、本来、労働力人口の比率からすれば、これは平成三年度のものでございますが、五百人以上の事業場というのは一六・七%。それに対して、平成五年度の調査では、障害者雇用全体の中の九・九%の比率を占めている。つまり、労働力人口の占める割合からいっても、五百人以上の事業場は、その採用前に障害者であった方の雇用というのはこの時点ではやはり低いわけである。  つまり、自分雇用した職員が脳卒中で障害者になるとか、あるいは労働災害で障害者になる、そういう人たちを解雇しないで、会社から離職という形をとらないで雇用し続けているという傾向があるというふうに考えるわけです。つまり、それ以外のところは納付金で、法定雇用率に達していないところは納付金で対応してきたというのが実態ではないかというふうに私は考えるわけです。  そうしますと、やはりこれは、納付金制度という制度にずっと依拠し続けるということはいかがなものかというふうに思いますが、その点について、労働大臣の御見解いかがですか。
  176. 岡野裕

    岡野国務大臣 先生法定雇用率というのは目的ではなくて手段だというお話を朝お答えとしていたしました。だから、雇用率以上の数の従業員障害者の中から採っていただきたい、こう思っております。  それに至らなかったというような場合には、やはりこれはおきゅうを据えなければいけない。おきゅうが熱いからもっと雇用を伸ばしていこうという気にならせるためのこれまた一つの手段というようなことで今納付金制度というものを設けているわけです。先生よく御存じで、納付金制度というものがまた助成金にも変わって全体の障害者雇用にプラスになるということでありますが、やはりほうっておくわけにはいかないから納付金だと。  それで、全部が率を満たしてしまえば納付金が出てこないじゃないかというお話でありますが、私ども、さっきお話をしました、身体障害者にも、また精神薄弱者の中にも、安定所に手を挙げて来ていただける、そういう皆さんが数多くあるということでありますならば、そういう皆さんもどんどんまた就職に結びつけるために法定雇用率というものを動かすというようなことも、これはあって当然だ、こう思っている次第であります。そういう意味合いで、よろずあれやこれやの手を使って障害者雇用を高めてまいりたい、こう思っているわけであります。
  177. 中桐伸五

    ○中桐委員 納付金制度というものの意義とその持っているメリット、デメリットということについてはもう少し議論しなければいけないというふうに思っているのです。つまり、比較的規模の大きい事業場は、納付金制度という形でこれまで、ちょっと語弊がある言い方かもしれませんが、逃げてきたという傾向はやはりあったのではないかというふうに思うのですね。  そこで、先ほど話が出ました、大企業において実雇用率が上昇してきている重要なきっかけとして公表制度ということがあるということが言われておりまして、これは非常に重要なことではないかと私も思っておるわけです。この納付金制度もそろそろ二十年経過しました。公表制度がやはり効果があったという評価も労働省の方では今の答弁でされているわけですから、そうしますと、この際、この二つを合わせて、もう少し効果を上げる方法を考えたらどうか。  つまり、結論から申しますと、できるだけ早い時期に対象となるすべての企業、ですからこの法律対象、六十三人からですか、それ以上のすべての企業対象としまして、障害者の実雇用率及び納付金、どれだけお金を納めているか、これを毎年公表したらどうか。情報公開法も近いうちに制定されることですし、数字を出すのは別に個々人のプライバシーにかかわるわけじゃありませんから、そのような公表制度を設けたらどうか。  そうすれば、先ほど労働大臣が、これまで日本の労働行政、あるいは労働行政だけではなくて全般の行政の手法として、ペナルティーを科すという形で行われてきましたが、やはりペナルティーという形としてこの公表制度を考えるだけではなくて、つまり労働省が指導したけれどもこれに従わないからけしからぬ企業だという形でペナルティーを科すのではなくて、そういう意味合いではなくて、私のところはこれだけ、障害者法定雇用率、最低基準をはるかに超えて雇っていますよということを社会的に公表することがいい。そうすれば、企業経営者社会的責任感も、そのことを通して企業イメージ等も含めて向上するのではないかというふうに思うのです。  そういう公表制度と、それから今まで労働省が指導して、そしてその指導に従わなかった、つまり障害者雇用改善計画をつくってやりなさいとか、そういう指導でやってきたものを、自発的に、できるだけ自発的に経営者がそういう障害者雇用改善計画を立てるという制度、つまり公表制度と自主的に雇用計画をつくるような制度、それを、罰則で何かやるのではなくて、そういう仕組みを法的にできないものかというふうに思うのですが、その点いかがでしょうか。
  178. 岡野裕

    岡野国務大臣 先生おっしゃる企業名を公表する、私は、非常に大きな力を持っているものだ、こう思っております。大きな企業になればなるほど社会的信用を考える、プライドもある、矜持もあるというものに訴えるのが企業名の公表だ、こう思っております。  ただしかし、我々は、行政指導をやっていきます場合に、現在努力をしているか、その努力のぐあいがどの程度であるか、やはり精いっぱい努力の跡が認められるものをあえてむち打つというようなことはかえってマイナスになろうかというような意味合いで、納付金制度も、それから公表制度も、その制度の運用に当たっている、こういうことだと思っております。  したがいまして、雇用が非常に立派であるといいます場合には、その企業名を公表するというのではありませんで、感謝状を大臣その他から御贈呈を申し上げるというようなことでその名前は一般に周知をされるということでありますし、非常にまずいところは、いろいろ勧告もし、いろいろ手法も教えてきたがだめだ、それでは公表しようということであります。しかし、先生お話は非常に参考になりますので、私は部下に命じまして、公表制度の基準というようなものをもう一遍見直してみろ、少し甘いのではないかということを言っているわけであります。  そんなことで、鋭意雇用の拡大に努めてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
  179. 中桐伸五

    ○中桐委員 非常に前向きのディスカッションに大変ありがたいというふうに思っていますが、私が申し上げているのは、ペナルティーという意味でないというのは、納付金これだけ納めていますよというのも出せばいいではないか、これだけ実雇用率が低ければ、その制度の納付金はちゃんと納めていますよということで公表するならば別にいいのではないかというふうに思うのです。先ほど大臣が、今の指導の基準あるいは公表制度に至るまでの評価の水準がちょっと甘いのではないかというふうに言われているのは、私も平成四年に出されたものを見て、幾つもいろいろな条件が出ていまして、今までに聞くところによりますと四社しか公表していないということを聞いていますので、やはりこれではちょっとまだぐあいが悪いのではないかというふうに思います。  ぜひここは、表彰制度もというふうなポジティブな方向へ持っていくための一つの英断が日本の労働行政にも要るのではないかというふうに思いますので、そういう情報公開と、社会的な評価に任せるというふうなアプローチを少し拡大をしていっていただきたいというふうに思っているところであります。  それで、時間がなくなりましたので、最後に、一九九六年五月に、総務庁の行政監察局が除外率について少し勧告をしておりますので、この点についてお伺いをして、私の質問を終わりたいと思うのです。  行政監察局が最近の製造業を例にとりまして、随分技術革新が進んだ、そういう中で除外率も実際の職場の労働実態に十分合ったものになっていないのではないかというふうなことを勧告しておりますね。具体的には、生産ラインが自動化したとか、あるいは道路運送業における自動車性能の向上、運転操作技術の容易化などが挙がっております。  そのようなことについて、除外対象となっている職種あるいはその労働者割合などについての見直しをしたらどうかという勧告があるのですが、確かに技術革新はどんどんと進んできたわけでありますが、一概に、精神障害者身体障害者の場合には同じようなことは言えないと思います。今まで障害者雇用促進の行政に当たってこられました労働省としては、この行政監察局の勧告はどのようなものなのか、評価及び御意見をいただきたいというふうに思います。
  180. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 この除外率制度でございますけれども、そもそもこの制度の趣旨としますところは、障害者雇用に関する事業主相互間の平等負担の原則、それと、現実に障害者雇用することについて難しいところ、易しいところ、いろいろあるではないか、その調和を図ろうという観点から設けられておりまして、現在三十六の業種について設定をされておるところでございます。昨年五月の総務庁の勧告もございました。  私どもといたしましても、この除外率制度につきましては検討課題と受けとめて検討いたしておるわけでございますけれども障害者雇用審議会におきましてもいろいろ御議論がございました。  ことし一月にこの意見書全会一致で取りまとめられたわけでございますけれども、その意見書の中におきまして、除外率につきましては、「今後、除外率設定業種における障害者雇用事例の収集・提供、職域拡大を図るための措置等を講じ当該業種における障害者雇用促進を図りつつ、除外率制度については、基本的に縮小を前提として検討を行い、次回の法定雇用率の見直しに併せて措置することが適当である。」というようなことで御意見をいただいておるところでございます。  今後こういった考え方に沿って、除外率の縮小に向けた取り組み、検討を行ってまいりたいと思っております。
  181. 中桐伸五

    ○中桐委員 除外率も再検討していただいて、障害者雇用の場が適切な意味で拡大されることを期待しておきたいと思います。  では、以上で私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
  182. 青山丘

    青山委員長 次に、金子満広君。
  183. 金子満広

    金子(満)委員 与えられた時間の中で要点だけ質問をさせていただきたいと思うのです。  本論に入る前に、既に質問をされましたが、茨城県のひたちなか市におけるいわゆるアカス事件のことです。  これは田舎の小さな町の事件として片づけるのではなくて、障害者雇用促進していくという意味からも全国的な意味を持った事件だと私は思うのです。あってはならない事件だ。悪い言葉で言えば、障害者を食い物にして私利私欲を図ったということですよ。しかも、弱点を持っている知的障害者に対して暴力行為を行う、人権侵害もいいところだ。こういうことを見過ごすことは絶対できないと私は思うのです。  そういう中で、一年半にわたって国の助成八百五十万円を自分の懐に入れてしまう、障害者を利用しての不正だ。それから、障害を持った従業員に対して暴力を働く、殴るけるをやる。それだけではなくて、告訴された内容を見れば、知的障害を持った女性に対して性的な暴行まで行う。しかし、これは不起訴処分にされてしまった。これはもう新聞でも報道されていますよ。こういう事件なんですね。  もう論点、そして質問は幾つも出されていますから重複は避けますけれども、一年半にわたってこれが見過ごされてきたという現実があるわけです。そして、水戸地方裁判所は判決を下して、懲役三年、執行猶予四年だ。こういう中で、判決が出たものについては、あれは悪いのだというのはだれでも言うのです。あってはならないこと、だれでも言うのです。  そこで、私は最初に労働省の担当官からも伺いたいのですが、こういう事件がなぜ起きたのか。監督官庁としてどこかに弱点があったのではないか、これは常識的にもそう思うわけですね。制度上に何か問題があるのではないか。私もあの地域はいろいろな点で知っていますから、そうしますと、なぜ一年半もわからなかったのか。三月、半年ぐらいなら、うっかりして点検もできなかった、状況を聞くこともできなかったと言えるけれども、一年半といったら、その間に会計報告や監査や何かがあるのではないか。そこがわからない。  ですから、あれは悪いことで反省しますだけではなくて、やはり問題を見過ごしてきた、そのどこに問題点があったか、これを明らかにすることが再発を防いでいく上でも決定的に重要なポイントだと私は思うのですね。教訓を学ぶという場合、内容を出さなければだめだ、こういう点について担当者からお聞きしたいと思うのです。
  184. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 特定求職者雇用開発助成金の不正受給の件でございますけれども、安定所におきましては、特定求職者雇用開発助成金の支給に際しましては、事業主の方から関係帳簿を提出してもらう、そしてその帳簿に基づいて厳正な審査を行った上で、事業主労働者に幾ら賃金を支払ったかという確認をいたしまして、支給額を決定をいたしておるところでございます。  今回のアカス事件、アカス紙器の不正受給でございますけれども事業主が大変巧妙に偽りの賃金台帳、いわゆる裏帳簿というのですか二重帳簿を作成いたしまして、それを安定所の方に出してきた。実際に労働者に支払った賃金よりも多くの賃金を支払ったという形にしまして申請を行ってきたわけでございます。  安定所におきまして、本件につきましても事業主から提出された関係帳簿を審査したわけでございます。その上で助成金を支給したわけでございますけれども、この帳簿が計画的かつ巧妙に作成をされておったということで、不正受給の事実が即時にはなかなかわからなかった、こういうのが経過でございます。
  185. 金子満広

    金子(満)委員 審査したけれども、簡単に言えば見抜けなかったということだと思うのですね。  では、これはどこから発覚したか。知的障害を持った人から発覚してくるのですよ。そういうことで公になるのです。そしていろいろ調べてみたら、次から次に底なし沼のように出てきて、何だ、婦女暴行まであるのか、ひどいものだと。ですから私は、普通の人間の感覚を持っていたら表を歩けないだろうと思うのですよ、当事者は。そのくらいひどい問題なんですね。背筋が寒くなるというのです。これは大げさな表現ではない、私はそう思うのですね。  そこで、再発を防止するためにどうするかというのが本当に大事だと思うのです。そういう点で人権擁護委員の問題、随分詳しく触れられました。私は、それも一つの大きなポイントで、今後やっていかなければならないと思うのです。  私は、あの事件の判決が先月二十八日に出たときにひょっと思ったのは、かつてこの労働委員会で、百二十三国会で附帯決議をやったということを、私は当時そこにいましたから覚えているのですね。衆議院の労働委員会平成四年五月二十二日ですけれども、そこでは、「政府は、本法の施行に当たり、障害者雇用促進とその職業の安定を図るため、次の事項の実現に努めるべきである。」として、幾つかありますが、一番最初に「障害者雇用対策基本方針については、労使及び障害者団体の」、障害者団体のですよ、「意見を十分尊重して実効ある内容を定めるとともに、適宜その実施状況について検討を加えること。」というのが第一項にある。  私は、大臣にその点はお聞きした方がいいと思うのですけれども、いずれにしても、障害者の出働条件や賃金、人権侵害など、そういう問題について事業主がどうやっているかとか、あるいは障害者、特に障害者団体、この附帯決議にあるのですが、障害者団体の意見についても今後は定期的に話を聞くということを国も地方も持った方がいいだろうと思うのです。こういうようにすれば、一般的に人権委員ということだけではなしに、もう国会でもこういう決議になっているのですから。障害者団体といったら、そこでやられたら大変ですよ、その事業主は。  私は、そういう意味で、労働省が積極的なイニシアチブを発揮して、国みずからも、つまり労働省みずからも、そして地方でも、都道府県でもこういうように障害者団体の意見を聞く、意見交換の場をつくるというようなことをやったらかなり前進するのではないだろうか。障害者団体は、中央でも、またもちろん現地の茨城もそうですけれども、みんな積極的な見解を発表していますから、その点を参考にして。  大臣、はっきり物を言う大臣として私は今までにない人だと思いますから、こういうのはずけずけ言った方がいいと思うのですね。ひとつ見解を承りたいと思うのです。
  186. 岡野裕

    岡野国務大臣 先生おっしゃいますように、やはり再発防止のためには信賞必罰がまず第一ということだと思います。  本件は、アカスの社長が刑事判決を受けたということで、執行猶予はついておりますけれども社会的な批判というものが非常に大きい。社長まで交代をするということになったので、信賞必罰の面はこれで目的を達したと。  その次は、再発防止のための二つ目の点は、その事象があるのに我々がどうやってアクセスできるか、できるような道を講じなければならないということで、これも先生の今お話しになった言葉の中に入っております。申しわけありません、去年の十一月七日に労働大臣になりまして、その先生の附帯決議は、私は部下から知らされておりませんので、初めて伺った次第であります。  私が当面考えておりますのは、やはり職場適応の、前からやっておりますものをもっときめ細かにやる。これは職場に行くことになっております。私どもの場合は、雇用関係にある者ということでありますので、どうしても職場に行くのです。  自宅に行くのは、やはり人権擁護委員あるいは社会福祉委員というような皆さんにお任せをするよりほかはありません。これも、人権擁護委員がある家庭にしょっちゅう来ると、来られる方はやはりそう喜んでもてなすのではないのではないか、近所の皆さんはどう思っているかなというようなことも頭に入れて巡回をし、いろいろ相談に乗らなければならない。非常に難しいお役目を担われた皆さんだな、こう思っておりますが、やはりそこをやらなければアクセスはできない。  それで、内部的には、ある程度訴えがあった、しかし窓口で終わったみたいで上司まで入ってこなかったという点につきましては、私どもはこの被害を受けられた皆さんに対して、水戸安定所長がおわびの文書を差し上げております。したがいまして、このおわびがあったということは我々は非を認めたということでありますので、しからば、所として非があったならば、その非は所の中のどこにあったかというものを、時間がたちましたけれども、これからより一層はっきりさせていかなければならない。これが私、二つ目であります。  障害者団体というお言葉がありますが、傷害を受けられた皆さんに対しておわびをしておりますので、そういった皆さんを通じて、先生お話がどのくらいこれから実行できるものか否か、これはひとつ内部で検討させていただきたい、こう思っております。  なお、労働組合というのは、私が言うべき言葉ではありませんけれども、あるところとないところとあるとよく先生方はおっしゃられて困るのでありますが、私どもは、組合がある場合には組合と、組合がない場合にはそこに働いていただいている労働者諸君の代表と、やはりいろいろ平時の間から話し合いをして、労使関係が安定した職場をつくりたい、つくるようにしていただきたいという立場にあります。  以上であります。
  187. 金子満広

    金子(満)委員 方向はわかりました。  やはり障害者自身に聞くというのは、身体障害者の場合は意思表示が正確にできるのですよ。ただ、知的障害者の場合には正確にできない。ですから、婦女暴行についても、ではその証言に信憑性いかに、こう言われると、何かあるのじゃないかというのが周辺ではみんな言われていますし、マスコミにも書かれているわけですね。  そういう点で、ぜひ知的障害者の意見を聞くと同時に、今度は、障害者団体となると正確に物が言えるわけですよ。だから、そういう点からも、今大臣は検討するという方向ですから、ぜひそれをやっていただきたいと思うのです。早く手を打たないと、人のうわさも七十五日で過ぎてしまって、あれもあの程度なら、まねする人はないかもしれないけれども、されたら大変ですからね。こういう点で、時間を置かずに熱いうちに次の手を打ってほしいと思います。  さてそこで、本論の方でありますけれども、今回の法改正について、私は、精神薄弱者、知的障害者と言わせてもらいますけれども雇用を義務的に拡大するという点は非常に積極的であり、これは反対する人はないと思うのですね。問題は、労働省の資料に基づいて私も若干いろいろ計算もしてみたわけですけれども、もうお話に出ているように、民間企業法定雇用率の未達成分というのは、去年の六月で四九・五%ですから、半分ちょっとは達成しているが、残っているのが四九・五あるということになるわけですね。  特に悪い製造業では、日本標準産業分類でのこれは中分類というのですか、そこでは、化学工業は労働省資料で一・二六%という雇用率になっている。一・二六ですから低いわけですね。この中で小分類の医薬品製造業の雇用率は出てないのですけれども、どのぐらいか、これより低いと私は思うのですね。世界の中でも大問題になっている日本の薬価、非常に高い、こういう製薬企業だけれども、低いのは障害者雇用率だと言われるんじゃないか。実際はどうか、わかっていなければ後でいいですけれども、こういう点について一つ。  それから、いっぱい出ていますから、大企業中小企業との雇用率の比較というのは、大ほど悪くて中小の方がいい。これは一九九二年のときも同じ報告が出ていました。若干数字のでこぼこはあるかもしれませんが、そういう点で、医薬品関係とか、それから大企業中小企業との関係で簡潔に話していただければ幸いです。
  188. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 まず、お尋ねの製薬業、小分類では医薬品製造業ということになりますけれども、この雇用率は一・二六%ということになっております。  また、規模別の雇用率の状況でございますけれども、規模が小さいほど高い、規模が大きいほど低いということになっておりますが、昨年六月の実雇用率は、規模の低い方から申しますと、六十三人から九十九人のところ、これが一・九五%、百人から三百人未満のところ一二百九十九人までが一・四七、三百人から四百九十九人が一・三四、五百人から九百九十九人が丁三五、千人以上が一・四四ということになっています。
  189. 金子満広

    金子(満)委員 こういう傾向は、かなり長期にわたって同じ傾向が続いていると思うのですね。でこぼこはあっても大体同じ傾向がある。  そこで、これももう既にお話に出ているわけですけれども、民間企業は、未達成のところは一人について五万円納付すればいいことになっているというと変ですけれども、それで一つの関門は越すわけですね。ですから、これも極端な言葉で言えば、障害者雇用しないが金で片をつける、金さえ払っておけばいいじゃないか、ごちゃごちゃは嫌だ。大企業の場合は金があるわけですね。こういう傾向がずっと続けば、雇用率というのは上がらない。労働省が直接指導して、こうせよと力を入れると、そこは一定期間上がるけれども、日本じゅうの大企業を全部歩くわけにはいかぬと思うのです。  そうなってくると、ここで、納付金があればいいんだというだけではなくて、私は四年前にも、雇用の悪い企業法律に基づいて公表した方がいいということを言いました。きょうもお話に出ていますが、当時四つの企業、これは茨城、東京が二つとか名前が出ました。しかし、私今でも記憶しているのは、やはり悪いところは公表すべきだ、そういう中で、当時の政府委員がこういうことを言っているのですね。公表するということは、「いわば一種の社会的な制裁というような形になるわけでございます。」私はそうだと思うのです。法律で規制されたものを何回言ってもやらなければ、そういうことになるわけですからね。  なぜこれを公表しないのかという点について、いろいろの解釈はあります。指導を入れたらやろうという方向に向いてきているんだから、今ここでやるのは酷だ、これも一つの理由にはなるわけです。  しかし、全体から見ると、達成しない企業が四九・五%あるのです。四九・五%というのは平均ですから、三〇%台もあるのだと思うのですよ。そういう悪いのは、先ほど大臣は、私の前の委員に対する答弁の中で、一定の基準を決めて検討してもらって発表するようにということもありましたが、それも一つの方法です。悪い方から五番目ぐらいまで発表するということは一つの方法ではあろうと思うのです。これが一つであります。  それからもう一つ、私たちは、悪いところばかりためて打つのじゃなくて、いいところを公表したらどうですか。これは大臣大臣が現職にいる間にやったらできると思うのですよ、これは今までやっていないことですけれども。  私は関係者に会ってよく聞くと、障害者団体などは、よく採用している企業については上の方から何企業か、五つでも七つでもいいから発表したらどうか。これは社会的にも非常にいい影響を与えると思うのです。企業が果たしている社会的な責任、そしてまた、その企業に寄せるいろいろな人々のさまざまな思いというのがここに出ると思うのですね。だから、中央段階でもそれをする。  同時に、都道府県段階でも、法定雇用を達成し、さらによくやっているところは、都道府県に公表することをお任せしてやっていった方がいい。こういう点、大臣に積極的な面として私は提起したいのですが、どうでしょう。
  190. 岡野裕

    岡野国務大臣 先生、率直に言うと、私が大臣に来る前にもうそれをやってしまっています。  というのは、公表制度ではないのですけれども、さっき中桐先生お話をいたしましたけれども、トップクラスの方は労働大臣表彰、それから地方の場合は都道府県知事表彰、そのほか、いろいろ促進をしていただいておりますところの協会長名、これで、悪いもの四社どころではない、数十社、先生大臣表彰だけで八十三。労働大臣表彰、都道府県知事表彰、日本障害者雇用促進協会長表彰、また何とか協会長表彰。先生、多分数十じゃきかないな、数百になりました。いい案はとられてしまっている。
  191. 金子満広

    金子(満)委員 賞状というのは聞いたこともあります。  それだけではなくて、つまり、悪いところを公表するときにはマスコミに公表するんですね。そして、どうして悪いかまで出てくるのです。いいところはこのようにいいですとマスコミに発表して、ですから、労働大臣、知事の表彰状というか、これも私はいいとは思うけれども、それでやっただけでは、額に掲げておくだけなんですよ。そうでなくて、マスコミに、こういうことだと。  そして、私は、障害者団体に視察や見学ができるようにした方がいいと思うのですね。そういう点も一歩進めてやっていただきたいということをひとつ提起しておきたいと思うのです。  そこでもう一つ、地方、つまり地方公共団体、都道府県でも、今同じような方向をやれば、幾つかの県では公表したいというのです、いいところも悪いところも。その自由を都道府県に任すことができないか。悪い企業といい企業を公表する権限を都道府県でやっていい、私は地方自治の原則からいえばそれをやっていいと思うのだけれども、その点はどうでしょうね。
  192. 岡野裕

    岡野国務大臣 役人的でありますが、検討させていただきます。
  193. 金子満広

    金子(満)委員 ぜひそれを検討してほしいと思うのですね。都道府県で発表するのを禁止するということはないと思うのです。やめろ、これは政府の命令である、閣議決定だというようなことになったら大変だと思うので、そこのところは一定の自由が私はあると思うのです。それをひとつやってほしい。  時間がなくなりましたから、最後の問題ですが、知的障害者雇用という問題については今度積極的な改正が行われるわけですけれども改正しただけでは中が進まない。形をつくっても魂を入れる、そして行政指導をやっていくということだと思うのですね。  私は、どういうことがあるだろうと思って、この質問をするに当たって、私が居住している東京の文京区の知的障害者関係の団体の責任者に会って、かなり詳しく伺ってきました。これは三十年以上にわたって知的障害者福祉現場で一生懸命頑張ってきている女性です。社会福祉法人である文京槐の会という会の理事であり、また文京区心身障害福祉団体連合会会長、文京区手をつなぐ親の会会長、精神薄弱者相談員で馬道ミヨさんという方でありますけれども、この人は、今度の改定案の話をしたら、非常に積極的な意味を受けとめております。そして、自分の体験を通じて、次のように言っていました。  知恵おくれの人たちは、確かに一つ仕事を覚えるのに時間はかかるけれども、単純作業で、一たん覚えてしまったら飽きずに根気よくきれいに仕事をする、これは確信を持っています、そう言っていました。そして、今回の法改正は一歩前進であると思っています。問題は、行政が率先して意識的に仕事をつくり出すことがどうしても必要だと思いますと。  それで、この馬道氏は、社会福祉法人文京槐の会では、文京区から一部の公園の年間の清掃を請け負って、公園の清掃をずっとやっている。障害者団体の意見もよく聞いて、そういう仕事を積極的につくり出すようにしてほしい。そういう中で、公園の清掃は危険がない、そして自然の中で伸び伸びと、障害、特に知的障害を持ったそういう人たちが喜んで伸び伸びと仕事をしている。公園に来る人も非常に愛情のある目で見てくれる。  こういうようなことをぜひ行政としてやれるように国も地方公共団体もやってくれないか、それをぜひお願いしたい、こういう意味ですから、これは方向としては全然問題ないと思いますけれども、その点は大臣、こういう見解がありますので、最後にちょっとお答えしていただければ幸いだと思うのです。
  194. 岡野裕

    岡野国務大臣 先生、公園の清掃を知的障害者皆さんがやっておられる、その公園に散歩に来た皆さんも非常に愛情の眼を注ぐ、非常にいい光景だと思っております。  ただ、実際に公の国、地方公共団体等がこの種の仕事を発注するにつきましては、競争入札その他いろいろ問題がございます。それがどういうふうにクリアできるかというのが問題だろうと思っております。方向としては非常にいい発想だと思っております。
  195. 金子満広

    金子(満)委員 時間が来たようですから、ではこれで私の質問は終わります。
  196. 青山丘

    青山委員長 次に、北沢清功君。
  197. 北沢清功

    北沢委員 私は質問のしんがりでございますが、極めて短時間ですが、簡潔に御答弁をいただきたいと思います。  今、我が国の身障者の施策というものは、平成七年度末の障害者プランにおいて進められておりますが、今回、精神薄弱者皆さん雇用率の達成目標の中に加えたり、またいろいろ改善を加えるということで、私は、非常に積極的な姿勢については実は高く評価をしておりまして、基本的には賛成の立場で質問をいたしたいと思います。  実は私もこの間、養護学校と国立病院の重度心身障害者の病棟を訪問してきたわけでありますが、そういう中で感じたことは、やはり障害者の父兄も含めて、本当にかつては児といいますか、児童という中で、だんだん最近は者という方がふえまして、三十歳、四十歳の障害者方々が目立っております。父母はお年寄りになるわけでありますから、これらの皆さん障害を含めてどういうふうに介護をしていくかということが非常に大事なわけでありまして、まさにそういう意味では、働く能力を引き出すことによってこれらの皆さんの生活改善を図っていくということが、先ほど申し上げたように、私は今回の法案の意義として極めて高く評価をいたしたいと思います。  いわゆる日本の社会の進歩というものも、やはり人権意識に目覚めまして、そしてともに生きる社会といいますか、そういうものが社会的責任であるというものに、私は微妙に大きな変わり方をしているというふうに見ていいと思います。したがって、今回の法案に基づいて、いわゆるどのような形で充実を図っていくかということについて御質問された向きもございますが、まだ問題がありますから、観点を変えて御質問をいたしたいと思います。  初めに、障害者の状況は、先ほどございましたように、目標としては一・六%でございますが、  現在は一・四七%ということであります。問題は、達成率もさることながら、その中身でありまして、中身の中で、やはり割合は約半数の四九・五%になっているのですが、特に千人以上の大企業が非常にその割合が高いということですね。  この企業における達成率の未達成の状況はいかんであるかということは先ほど質問がございましたので、あえて質問はいたしませんけれども、特に未達成の企業において雇用しなければならない障害者の数、言いかえれば、不足数は全体として幾らなのか、また特に大企業においてはどうなっているかということについて、まず人数の面でお聞きをいたしたいと思います。
  198. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 法定雇用率の未達成企業の割合につきましては、先ほどお話ございました四九・五%でございますが、この未達成企業雇用しなければならない障害者の数、合計いたしますと六万三千二百三人ということになっております。  これを規模別に見てみますと、六十三人から九十九人のところでは七千三百九十五人、百人から二百九十九人のところではこの不足数が二万一千二百四十六人、三百人から四百九十九人のところでは八千八百四十三人、五百人から九百九十九人のところで八千五百八十三人、千人以上規模企業では不足数が一万七千百三十六人、率にいたしまして全体の二七・一%という状況でございます。
  199. 北沢清功

    北沢委員 やはり、今の数字から見て、今後大規模の一層の雇い入れの努力を促す必要が非常にあるのではないかということを私は特に感じます。  先ほどもお話がございましたように、雇用促進を図るための未達成企業名の公表という制度がありまして、これをやはり、従前もやっておるわけですけれども、もっともっと積極的にする必要があるのではないか。そういう中での社会的責任というものをやはり大企業に自覚してもらうということが大事だと私は思います。  これらについても、一層の促進をするための厳正な運用ということについては今後どのように考えているか、この点についてお尋ねをいたしたいと思います。
  200. 征矢紀臣

    ○征矢政府委員 障害者雇用に消極的な企業に対しましては、御指摘のように、これは法律に定められた手順に従いまして、その手順、これは具体的には、まず雇い入れ計画の作成命令を出して雇い入れ計画書を出していただき、かつその計画どおりに雇い入れが進まない場合には適正実施勧告をし、その勧告に従わない場合については特別指導をして公表する、こういう手順でございますが、そういう手順に従いまして、公表を前提とした特別指導、これを毎年実施してきているところでございます。  平成四年に四社を公表したわけでございますが、それ以降につきましては、特別指導の対象となった企業について、障害者雇用に相当の改善が行われておることから公表には至っていない、こういうことでございます。  ただ、今回、精神薄弱者を含む法定雇用率設定し、雇用率制度が拡充されることもございまして、雇用率達成のための指導について、先ほど大臣も申し上げましたとおり、公表に至るまでの一連の指導における基準の見直しを行い、より一層厳正な指導を行い、障害者雇用促進に努めてまいりたいというふうに考えております。
  201. 北沢清功

    北沢委員 今御答弁をお聞きしましたし、先ほどの大臣の御答弁もございましたわけでありますから、ぜひひとつ積極的に厳正な運用に努めていただきたいと思います。  先ほど、全体の不足数についてお伺いをしたわけですが、平たく言いまして、未達成企業の一社当たりの不足数の状況というのは大体何人ぐらいになっているか、この点についてお尋ねをしたいと思います。
  202. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 昨年の六月一日現在の調査結果でございますが、雇用率未達成の企業の数が、合計で二万七千百五十八社でございます。そして、その不足数の合計が六万三千二百三人ということでございますので、これを単純に平均いたしますと、一社当たりの不足数が約二・三人ということになるわけでございます。  また、実際にそれぞれ何人不足しているかという、不足の人数別に見ますと、一人足りないという、一人不足の企業が不足企業全体の五五・九%でございます。それから、あと二人足りないという企業が一九・四%ということで、この一人あるいは二人というところを合計いたしますと全体の七五%を超えておる状況でございます。
  203. 北沢清功

    北沢委員 今の御答弁をお聞きいたしまして、一社当たりの実際の未達成の雇用数というものは多くない、私はそう思っているのですね。それは、それぞれ企業の実情に応じた雇用達成指導が実施されるべきでありますが、個々の企業の中で一人、二人でも、全体で見れば非常に大きな数字になるわけでありますから、私は、労働省がしっかりした指導をすることによって達成が可能ではないかというふうに思うわけです。しかし私は、前の法案が成立した以後における労働省の目標とか努力というものは、末端を含めて、行政の力というものを実は非常に高く評価しておりまして、そのことの中で、今回さらにこの未達成を減らして、一日も早くひとつ達成をしていただきたい。  いずれにいたしましても、最も効果的な指導方法や援助方法で障害者雇用促進に努めていくことが、今の数字を見ている限りにおいては極めて重要であると私は考えております。  この点についての、雇用率達成に向けての今後の取り組みについての労働大臣の御決意のほどをお伺いいたしたいと思います。
  204. 岡野裕

    岡野国務大臣 先生、この間までは弱者という言葉がありました。最近これは使われなくなりましたが、いわゆる身体障害あるいは知的障害皆さん雇用に結びつけるといいますのは、弱者に手を差し伸べるということでは全然なくて、やはり一個の人間としてその人が働く喜びをみずからのものにし得る、そうして周りからも正当な評価がいただけるというようなことが本法の目的だというようなことで、我々はその作業環境といいますか、そういうふうになれるような環境づくりに励んでまいりたい、これが本法を提案いたしまして御審議を賜っているゆえんであります。
  205. 北沢清功

    北沢委員 私はまさに、冒頭申し上げたように、人権意識の高揚ということ、このことがやはり事ほどに人間と生まれてということにつながるわけですから、能力を最高度に、あらゆる制度やまた働きかけを通じて発揮するということが大切である、共生の社会であるということを実は申し上げて、大臣と全く一致をするというふうに考えております。  それではもう一つ、今度、法定の雇用率が上がるだろうと思いますが、実際に雇用する障害者がふえていかないと意味がないと考えるわけです。そういう中で、実際の雇用促進するために、まず今回の法改正の中で特例子会社認定要件を緩和するというふうに言われていますが、具体的にはどのような内容を持っているかお尋ねをしたいと思います。
  206. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 今回の精神薄弱者を含む障害者雇用率設定するに当たりまして、事業主障害者雇用しやすいような環境整備を図っていこう、そういった観点から、特に大企業が難しいと言われておるわけでございますけれども、そういったところでの障害者雇用が容易になるように、特例子会社認定要件を緩和をすることにいたしております。  具体的な緩和の内容といたしましては、親会社子会社との間の営業上の関係が緊密であることという要件が現在法定されておるわけですけれども、この要件を削除したいということでございます。  この理由でございますけれども、親会社から常に一定割合以上の仕事を確保していなければならないというもので、それはそれなりの合理性があるわけでございますけれども、逆に、別の会社から新たな仕事を受けたくても、この要件があるために受けられないといったようなことで、かえって子会社自身の活動を狭めることにもなりかねない、こういった意見、批判もございまして、そういったものを踏まえまして、今回、この要件を削除したいと考えているところでございます。
  207. 北沢清功

    北沢委員 私は、問題は、やはり障害者社会的という面での、その中で、子会社の中へ囲い込むという意味では、職域を狭めたり労働条件を低下させるおそれもあるということは考えられるわけですが、そういう心配はないというふうに思いますけれども、このような条件の緩和によって障害者雇用促進されるというふうに考えるかどうかという点について、効果についてお尋ねをいたしたいと思います。
  208. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 まず、ノーマライゼーションとの関係でございますが、特例子会社制度につきましては、その制度発足当初に、御指摘のように、ノーマライゼーションの理念に反するような囲い込みといった状態を招くのではないか、そういった懸念が指摘をされたのは事実でございますけれども、その後、実際の設立事例を見てみますと、親会社と同じ敷地内にあって同じように働いている、親会社従業員との交流も確保されているというようなことで、むしろノーマライゼーションの理念に反するものになっていない、そういったようなものが現状でございます。  したがいまして、この特例子会社の設置を容易にすることは、むしろ障害者雇用機会の拡大ですとか、障害者配慮された職場環境の中でその能力を有効に発揮する機会がふえる、そういったメリットがあるということで、障害者団体からもこの点については御賛同をいただいておるところでございます。  また、こういった要件緩和によります障害者雇用促進、具体的にどの程度効果があるのかということでございますけれども、これは企業障害者を直接雇用するか、あるいは特例子会社によって雇用するかといった、障害者雇用に関する各企業の取り組み方にもよるわけでございます。  具体的に数値でなかなかはかりがたいわけでございますけれども、この要件、親会社子会社との営業上の関係の緊密さを削除するということになりますと、例えば親会社以外のグループ会社などから大量の受注もできるというようなこと、より柔軟な対応ができるというようなことで一より多くの雇用の場の創出が期待できるのではないかというふうに考えております。
  209. 北沢清功

    北沢委員 理解をいたしました。  特に大企業雇用率が悪いわけでありますが、やはり大企業を指導しつつ、これを契機に、緩和も含めて、特例子会社の制度をもっと積極的に周知徹底して、やはり雇用率の達成に向けて一層ひとつ御努力をいただきたいということを要請いたしまして、質問を終わりたいと思います。
  210. 青山丘

    青山委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  211. 青山丘

    青山委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  障害者雇用促進等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  212. 青山丘

    青山委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  213. 青山丘

    青山委員長 この際、本案に対し、森英介君外五名から、自由民主党、新進党、民主党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び太陽党の六派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨説明を求めます。岩田順介君。
  214. 岩田順介

    ○岩田委員 私は、自由民主党、新進党、民主党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び太陽党を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。  案文を朗読して説明にかえさせていただきます。     障害者雇用促進等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、障害者雇用促進とその人権の擁護を図るため、次の事項の実現に努めるべきである。  一 未達成企業名の公表制度を前提とした指導を強化して雇用率制度の厳正な運用を図るとともに、そのための体制整備に努めること。  二 障害者雇用と就業における人権擁護を図るため、人権擁護委員の任務の充実強化等に努めること。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  215. 青山丘

    青山委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  森英介君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  216. 青山丘

    青山委員長 起立総員。よって、本動議のとおり本案に附帯決議を付することに決しました。  この際、労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。岡野労働大臣
  217. 岡野裕

    岡野国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、努力してまいる所存でございます。     ―――――――――――――
  218. 青山丘

    青山委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一件願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  219. 青山丘

    青山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  220. 青山丘

    青山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十七分散会      ――――◇―――――