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1997-03-04 第140回国会 衆議院 予算委員会第八分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年三月四日(火曜日)     午前十時開議  出席分科員    主 査 藤井 孝男君       阪上 善秀君    田村 憲久君       高鳥  修君    竹本 直一君       松本 和那君    村山 達雄君       太田 昭宏君    斉藤 鉄夫君       西川 知雄君    西田  猛君       海江田万里君    山元  勉君    兼務 河井 克行君 兼務 東  祥三君    兼務 北脇 保之君 兼務 塩田  晋君    兼務 川内 博史君 兼務 中桐 伸五君    兼務 春名 直章君 兼務 岩國 哲人君  出席国務大臣        建 設 大 臣  亀井 静香君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  伊藤 公介君  出席政府委員         阪神・淡路復興         対策本部事務局         次長      生田 長人君         国土庁長官官房         長       近藤 茂夫君         国土庁土地局長 窪田  武君         国土庁大都市圏         整備局長    五十嵐健之君         国土庁防災局長 福田 秀文君         建設大臣官房長 小野 邦久君         建設大臣官房総         務審議官    村瀬 興一君         建設省建設経済         局長      小鷲  茂君         建設省都市局長 木下 博夫君         建設省河川局長 尾田 栄章君         建設省道路局長 佐藤 信彦君         建設省住宅局長 小川 忠男君  分科員外出席者         内閣官房内閣情         報調査室内閣調         査官      芦刈 勝治君         国土庁長官官房         会計課長    平川 勇夫君         大蔵省主計局調         査課長     松元  崇君         大蔵省主計局主         計官      松川 忠晴君         大蔵省主計局主         計官      村瀬 吉彦君         国税庁課税部資         産評価企画官  高木  薫君         厚生省生活衛生         局水道環境部水         道整備課長   浜田 康敬君         厚生省社会・援         護局保護課長  西沢 英雄君         通商産業省環境         立地局産業施設         課長      乾  敏一君         中小企業庁計画         部金融課長   寺坂 信昭君         運輸省鉄道局施         設課長     白取 健治君         建設大臣官房会         計課長     倉林 公夫君         自治省税務局資         産評価室長   北谷富士雄君         予算委員会調査         室長      大坪 道信君     ————————————— 分科員の異動 三月四日  辞任         補欠選任   村山 達雄君     田村 憲久君   太田 昭宏君     上田  勇君   西川 知雄君     富田 茂之君   海江田万里君     藤田 幸久君 同日  辞任         補欠選任   田村 憲久君     松本 和那君   上田  勇君     西田  猛君   富田 茂之君     斉藤 鉄夫君   藤田 幸久君     山元  勉君 同日  辞任         補欠選任   松本 和那君     竹本 直一君   斉藤 鉄夫君     西川 知雄君   西田  猛君     並木 正芳君   山元  勉君     海江田万里君 同日  辞任         補欠選任   竹本 直一君     阪上 善秀君   並木 正芳君     太田 昭宏君 同日  辞任         補欠選任   阪上 善秀君     村山 達雄君 同日  第一分科員東祥三君、岩國哲人君、第二分科員  塩田晋君、第三分科員北脇保之君、第四分科員  河井克行君、第五分科員川内博史君、第六分科  員中桐伸五君及び第七分科員春名直章君が本分  科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成年度一般会計予算  平成年度特別会計予算  平成年度政府関係機関予算  〔総理府(国土庁)及び建設省所管〕      ————◇—————
  2. 藤井孝男

    藤井主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。  平成年度一般会計予算平成年度特別会計予算及び平成年度政府関係機関予算建設省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河井克行君。
  3. 河井克行

    河井分科員 おはようございます。自由民主党の河井克行です。  昨年秋の総選挙で初当選をさせていただきまして、こんなに早く衆議院予算委員会質問の機会をいただけるとは全く思っておりませんで、本当に先生方の御配慮、感謝を申し上げたいと思います。  また、特にこの委員会で、きょうは、私広島の出身でございますけれども、我が郷土広島が生んだ大政治家であります亀井建設大臣に対して初質問をさせていただくということで、感謝と感激と緊張で身が打ち震えております。何とぞ大臣、温かい、そしてお慈悲のある御回答をいただければ大変ありがたいというふうに思います。  それでは、まず第一問日ですけれども財政再建とそれから公共事業関係について、大枠の質問を最初にさせていただきたいと思います。  今、証券市場がずっと、ことし年明け以来低迷状態を続けてきております。このマーケットシグナルをどのように解釈をすべきかという点について質問をさせていただこうと思いますけれども、私は、はっきり言わせていただければ、金融証券関係銘柄につきましては、橋本総理が一生懸命これから真っ先におやりになろうとしていらっしゃいます金融改革を先取りして、余り業績がよくない銘柄が若干株価を下げているということだと思いますが、それ以外にも、日本の将来について、やはり大きな意味での不安感がひとつ持たれているのじゃないかというふうに思います。  しかしながら、その不安感といいますのは、私は一般的に今報道関係等が言っているような不安感ではなく、もっと日本内需拡大をすべきだ。今のような、本当に肺炎の患者さんをちょうど目の前にしまして投薬も打ち切る、そして注射も打ち切る、そういうふうなことばかりやっていますと、一九三〇年代のアメリカの第一次、第二次大戦のちょうど真つただ中にあったような緊縮財政、そしてその後景気がなかなか思うように回復しないということの再現につながるんじゃないかという指摘も、実はマーケット関係者からはずっと、余り大きな声じゃありませんけれども指摘をされてきたわけであります。  そのように、私もそういう一面もあるなと思ったのですけれども、二月二十一日、これはここにちょうど現物がございますけれども、財務省がアメリカ連邦議会の方に年次報告書報告をいたしました。  その中で、過度な公共事業抑制等によりまして、日本の九七年度実質成長率が、前年は三・七%だったのですけれども、一・五%へと低下が見込まれているという趣旨報告がありまして、日本内需回復に対して若干の心配の気持ちを持っているというふうな報告がありました。  きょうは大蔵省の方もお越しをいただいていると思いますけれども、まずこの点について、アメリカ連邦政府がこのような見解を連邦議会に突きつけたということにつきまして、どのような認識を現段階でお持ちなのか、お答えをいただければありがたいと思います。
  4. 松元崇

    松元説明員 お答え申し上げます。  政府経済見通しによりますと、九年度我が国経済につきましては、民需が軸となりまして経済全体を緩やかにリードしていく結果、九年度実質GDP成長率は一・九%程度ということで見込んでおります。  ちなみに、米国が来年度実質GDP成長率として見込んでおりますのが二・〇%でございますので、大体ほぼ同程度成長になるものというふうに見込まれております。  また、その中で貿易収支は、平成年度、今年度と同程度と見込んでおりまして、内需主導型の成長が継続すると見込まれているところでございます。
  5. 河井克行

    河井分科員 そういうふうな大蔵省といいましょうか日本政府考え方なんですけれども、少なくともそれが海外ではそのように評価されていない一面もあるということの今回あらわれじゃないかなと思います。私は、これから恐らくG7の席だとかあるいはサミットの席におきまして、この日本内需拡大について、かなり強硬な注文といいましょうか意見がいろいろな各国政府からやってくるのじゃないかなというふうに思っています。  といいますのも、今は円安ですから、そうでなくても輸出をしようというふうな空気が強いときに、余計輸出ドライブがかかってきているということですから、製造業中心としてそういう面で輸出がふえていくということについて、外国政府が、ちょっとおかしいのじゃないかというふうな視点から、こういう趣旨の発言をしてくることは十分考えられると思っております。  そういう面では、もちろんむだ遣いはいけませんけれども、やはり日本政府として健全なシグナルは、外国政府日本市場、つまりマーケットに発信すべきじゃないか。といいますのが、過度な公共事業の削減、そういったことを今この時期に余りし過ぎると、それがかえって日本の将来にとって危ないことにつながりかねないなというふうに思っておりますけれども大蔵省、もう一つ、今後の展望、そういうふうな二国間協議なりあるいはサミット等の席で、今言ったような注文を突きつけられる可能性も十分あると思うのですが、その点についてどのように処していくおつもりなのか、お答えをお聞かせいただきたいと思います。
  6. 松元崇

    松元説明員 お答え申し上げます。  繰り返しになりますが、九年度につきましては、貿易収支、八年度と同程度ということで、内需主導型の成長が継続するというふうに見込まれております。また、そのような状況のもと、公的需要につきましては、来年度は今年度とほぼ横ばいと見込んでいるところでございまして、九年度予算景気の自律的な回復に対して中立的なものと考えておりますが、いずれにしましても、御指摘のような場合におきましては、ただいま申し上げました我が国経済状況を御説明するとともに、また我が国における財政構造改革必要性についても御説明していくことになると考えております。
  7. 河井克行

    河井分科員 説明をして、向こうがそのように理解してくれればいいのですけれども、問題は、やはり平成年度以降の、今後の新しい次の次の年の政府予算案の策定についての公共事業のことが大きくかかわってくると思います。  大臣、今のこのやりとりをお聞きになって、そしてまた、そういうふうな諸外国からの意見もぼちぼち出始めたという実態があるわけですけれども、お考えをお示しをいただければありがたいと思います。
  8. 亀井静香

    亀井国務大臣 経済運営財政運営の面でも、国際協調ということは、世界経済の中での日本経済でありますから、欠くことのできない視点であると私は思いますが、外国がこう言っておるから、こう要求されたからこうやるという立場からではなくて、世界経済に貢献をしていくという立場の中で日本経済をどう活性化をしていくか、そういう観点から経済運営財政運営はされなければならないと私は思います。  財政再建はどうしてもやらなければならない長期的な課題でありますけれども、どんなに単年度予算で借銭を減らす努力をいたしましても、これは国、地方を合わせて五百兆程度の規模には残念ながら達せざるを得ないと思います。これをどう返していくかという形になりますと、単年度のいわゆる単純な意味での収支均衡、入るを図って出るを制すというような観点だけでそうした、もう現にあるわけでありますから、巨大な財政赤字をどう消していくかということにはなかなかなっていかない。  やはり長期的に経済活性化をしていくということしかないわけでありまして、そういう意味景気を、バブルの再現というわけにいきませんけれども、またそうあってはなりませんが、これを三%程度の安定的な成長軌道にどう乗せていくかということが戦略的な目標でなければならないと思います。  そういう意味で、今財政事情が悪いからといって、それを公共事業を削減するということでの調整で単年度収支健全化というようなことでやっていくということになりますと、それだけという形になってまいりますと、委員が御指摘のように、内需が果たしてどこで出てくるかという問題があるわけであります。もちろん規制緩和その他を必死になってやっていく、経済構造改革をやっていくということの中で出していくわけでありますけれども、しかし、これには時間がかかるわけであります。  それで、せっかく今緩やかな回復軌道に乗ってきた経済をきっちりと自力回復軌道に乗せていくには、公共投資の役割というのは非常に強いわけで、これは過去も証明しておるわけでありまして、ここで二〇%近いGNPに対する波及効果のある建設関係、これが冷えてしまうという事態になりますと、私は、なかなか一・九%の来年度トータルでの成長というのが難しくなってくる危険があると思います。  そういう意味で、今減額執行というような声もいろいろ出ておるようでありますけれども、ここで経済運営財政運営を間違えますと、委員が御心配をされておられるような状況が出てくる、そうすると財政支出も減る、一方では内需が出てこないということになってきますと、縮小生産の過程に入っていく危険があります。それをそうならないようにしていくというのが今からの眼目であろうと思います。  大蔵省も、入るを図って出るを制すということだけ考えるのであれば何も頭を使う必要はないわけでありまして、長期的に経済活性化をしていく、そうして、今せっかくいい状況に来ている経済をどう乗せていくかという細心の注意を払う財政運営財政当局も考えなければならないと私は思っております。
  9. 河井克行

    河井分科員 今大臣がおっしゃったような縮小生産に入っていきますと、結局、先ほど言いました一九三〇年代のアメリカ経済は、第二次世界大戦というあのようないわゆるカンフル剤を使わないと今のような大きな復活はできなかったわけでありますので、やはりしっかりとマーケットの声を聞きながら、良識と、そしてバランスをとって経済運営に努めていただきたいというふうに思います。  それでは、以下三点、個別の事項を少し質問をさせていただきたいと思います。いずれも私の選挙区の地元のことについて、地域の方々、そして市町村長さんから切実な声が上がっている事柄につきまして、地方社会資本整備促進という観点から質問をいたします。  まず一つが、一般国道五十四号線の可部地域バイパス、この整備を一日も早く促進をしていただきたい。今、途中までは開通をしているわけですけれども、途中まで開通していただいてもそこから先が通じてなかったら、これはもったいないのです。せっかくつくっていただいた投資が生きてないわけでありまして、早く用地買収に入っていただくことも含めまして、現状考え方と、そして今後の方針、ぜひ積極的な御答弁をいただければありがたいと思います。
  10. 亀井静香

    亀井国務大臣 私は現地を、委員の御要請によりまして見てまいった経験もございます。たまたま建設大臣を拝命をいたしまして、そのとき、現在の交通事情その他からこれを早急に改良しなければならないという思いでございましたので、そういう意味で全力を挙げまして取り組まさせてまいりたいと思います。  あとは、道路局長から具体的に答弁をさせます。
  11. 佐藤信彦

    佐藤信彦政府委員 一般国道の五十四号の可部バイパスでございますが、これは、広島市の北部交通混雑解消と交通安全の確保ということを目的といたしまして昭和五十六年に事業に着手したところでございます。最も交通渋滞の激しかった国道百九十一号線、これとの交差点が非常に交通渋滞が激しかったわけでございますが、ここから南の区間二・八キロにつきましては、先生指摘のように、暫定二車線で、昨年の八月二十四日に供用しているところでございます。  ですが、北部区間についてはまだ残っているといった状況で、これを引き続き、百九十一号から終点の大林の区間、六・九キロございます、これについても積極的に事業を進めていきたいということで、ことしから、買い取り請求の対応も含めまして、この交差点の百九十一号、そこの周辺からの用地買収にまず着手するといったことで、地元では既に入っている状況でございます。  したがいまして、一刻も早く早期供用が図られるよう私どもとしては事業促進していきたいというふうに考えておりますので、現地におきます御支援等、よろしくお願いいたしたいと思っております。
  12. 河井克行

    河井分科員 ぜひとも、一日でも一週間でも  一カ月でも早い全通地域の住民は本当に切願をしております。どうかよろしくお願いをしたいと思います。  続きまして、具体質問の二問目、これは一般国道四百三十三号線についてなんですけれども、山県郡の豊平町というところから加計町に至る地域が、これは大変急峻な山の上の方をずっと走っておりまして、これが本当に国道かと思われるような道路になっております。  これについても、一部仕事は進みつつあるわけですけれども、やはりここは、冬になりましたら積雪が多い地域でもありますし、また、人口の減少が際立って進んでいる地域だということで、定住促進という意味もございますので、ぜひともこの豊平加計町分の整備、早急にお進めをいただきたいと思いますけれども現状と今後の展望をお教えをいただければありがたいと思います。
  13. 佐藤信彦

    佐藤信彦政府委員 一般国道の四百三十三号線でございますが、これは昇格してからまだ間もない道路でございますが、そういったことで、現在一次改築部分が大分残っております。一次改築は、もともと線形の悪いところとか、それから、二車線を確保できない、そういったところを二車線を確保して線形をよくするといった事業を進めております。  御指摘豊平町から加計町でございますが、特に中国山地の急峻な山の中でございますので、現在二カ所につきましてその第一次改築を行っているところでございます。  一つは、加計勝草地区でございます。これは、延長四キロの間の整備を進めているところでございます。平成七年までに〇・九キロの区間について部分供用を行っております。さらにそれに加えて、続く区間でございますが、〇・五キロの区間について、ことしの、平成九年の六月に供用を開始するという予定で進んでいるところでございます。  それから、もう一つ豊平戸谷地区でございますが、延長約二・九キロの整備を進めております。平成年度用地買収並びに工事の促進をしてきているところでございます。地形上の制約からトンネルとか橋梁が連続する計画となっておりますが、今後とも、地元の皆様の御理解、御協力を得ながら、早期供用を目指しまして鋭意事業を進めていきたいというふうに思っております。
  14. 河井克行

    河井分科員 今のこの国道四三三の問題につきましては、大臣は就任以来、陳情という言葉を使ってはいかぬと言われておりまして、御説明に、地域町村長さんと私も一緒に何度も大臣室の方にお邪魔をさせていただいている件でございます。ぜひとも早期全通、本当に心からお願いをしたいというふうに思っております。  具体最後質問ですけれども、私の住まいがあります地元広島市安佐南区におきまして、現在、市が中心となりまして、大きな新都市をつくろうという構想がございます。ひろしま西風新都構想と、それから実行に既に入っております。そして、新年度予算では、広島市内中心部に至る新しい都心短絡トンネル、これは二十七億円も満額でおつけをいただいたわけでありますけれども、その中身の問題ですけれども、この西風新都建設促進をすべきだというふうに考えておりますけれども、そのためにはやはりどうしても公共関係支援が必要でありまして、この場合で言いますと、住宅宅地関連公共施設整備促進事業が当てはまるというふうに思っております。  全国枠で新年度は千八百九十億円をつけていただいておりますけれども、この点について、特にこの西風新都具体のことについて、この事業現状、そして今後どのような展望と展開をお持ちなのか、お答えをいただければと思います。
  15. 小鷲茂

    ○小鷲政府委員 御質問にございましたひろしま西風新都でございますが、御説明にもありましたように、広島中心市街から北西に五キロないし十キロの全体区域といたしまして四千五百七十ヘクタールと承知いたしておりますが、かなり壮大な地域におきまして住宅あるいは業務、そういった複合機能を持った一大新市街地を開発しようという大構想でございます。  これは、一極集中の現在の広島市の都市構造を多極化するという意味で、広島市にとりましても大変重要なプロジェクトであるというふうに私どもも思っておりますし、さらにまた、多極分散型国土形成を図るという国の政策の立場から見ましても大変重要なプロジェクトである、このように認識をいたしております。  建設省といたしましては、そういう基本的な認識に立ちまして、通常の公共事業ももちろんあるわけでございますので、そういったものを活用しながら、かつそれでは足りない分を、御指摘になりました住宅宅地関連公共施設整備促進事業という特別の予算枠がございますので、限られた予算でございますが、この中から当該都市開発につきまして重点的な配分をいたしておるつもりでございます。  現在、千四百ヘクタールの地域につきまして計画が固まっておりまして、約半分の地域事業が進んでおります。これに伴います関連公共施設につきましては、約三分の二程度消化をいたしておりまして、残事業が三分の一程度ございますけれども、これらの都市基盤整備に要する予算につきましても、今後の都市開発に支障がないように十分配慮してまいりたいと考えております。
  16. 亀井静香

    亀井国務大臣 今局長が御答弁申し上げたとおりでありますが、この件について、ぜひ委員の方から市長に対して、もっと地元から、委員選出をされておるわけでありますから、国との関係、市と建設省との関係について委員をもっと活用して地元の声を上げるように、委員の方からも市長に伝えていただければと思います。  こうした大きな事業というのは、自治体、そこから選出をされておる国会議員等が一丸となって取り組んでいかなければなかなかできない事業である、このように考えております。
  17. 河井克行

    河井分科員 どうもいろいろと、最後大臣からおまけの答弁までいただきまして、どうもありがとうございました。  それでは、大臣とのお約束どおり、少し時間が早うございますけれども、この辺で切り上げさせていただきたいと思います。  本日は、どうもありがとうございました。
  18. 藤井孝男

    藤井主査 これにて河井克行君の質疑は終了いたしました。  次に、西川知雄君。
  19. 西川知雄

    西川(知)分科員 西川知雄でございます。  亀井大臣とは、予算委員会の初日からずっと仲よく顔を合わせてきたところでございますけれども、きょうは分科会ということでございますが、実はこの間、建設省のある役人の方が来られて、分科会であるからきょうは地元のことを話されるのでしようというようなことをおっしゃったのです。  きょうの各新聞にも書いてありますように、今回の国会での、特にまだ衆議院ですけれども、論戦は非常に低調であった、これは一つには、やはり野党の第一党である新進党も悪いところがあるというふうに書いてあったわけです。  私は、したがいまして、きのうも分科会委員ということで若干皆さんの質問等をお聞きしていたわけですけれども、やはりちょっと寂しいなというような気がいたしたところです。  それはどういうことかと申しますと、私、横浜市の鶴見区と神奈川区というところから選出されておるのですけれども地元バイパスが例えば完成年度は何年であるとか、どこにどういうふうに道路は引かれるとか、そういう質問が非常に多くて、私は、これで果たして日本の国の将来を憂える者としていいのだろうか、実はそういうふうに思いましたし、私は国会議員になったのも、地元の声を聞くことはやはりその国家の政策、百年の計を考える上で非常に重要なことですけれども、先ほどの河井議員がおっしゃったように、やはりこの分科会というのも建設省なり建設大臣に対する陳情であってはならない、日本の国をよくするためにどんなふうな手だてが必要なのかということを考えていくということが大切だと思っております。  実は私、意見亀井大臣と大分異なるところがあるのですけれども亀井大臣がいろいろと答弁をされるときに、お役人の書いた書類を持たないで、自分の言葉で答弁をされる、そしてそれがいろいろな閣僚にも広まって、本当に国会での論戦とまではいきませんけれども、そういうきっかけとなるということをされたというふうに聞いておりまして、私はその点は非常に評価をし、立派であるというふうには思っております。  ところで、この橋本内閣で、予算委員会で、たしか二月二十八日だったと思うのですけれども、官房長官が、閣内の非常に不統一な発言がある、これは小泉厚生大臣と郵政大臣との間のけんかと言ったらあれなんでしょうけれども、そういう閣内の不統一がありましたので、官房長官が、たしか朝だったと思うのですけれども、今後は気をつけて、そんなことがないようにします、そういうふうにおっしゃったと思うのです。  ところが、私もそれをなるほどなと思っておりまして、次に本会議に出ました。そうしたら、そこでは道路特定財源のこととかそういうこともありましたけれども、民主党の方が質問をされて、その後、郵政三事業の民営化について質問をされたところ、小泉厚生大臣は、厚生大臣としてか個人としてか、これは私よくわからないのですけれども、十五分ぐらいにわたってまた民営化論をとうとうと述べられました。  私、ある意味でそういう信念を持たれることは立派なことではあるかとは思いますけれども、官房長官が言ったすぐ後に、舌の根も乾かないうちにこういう発言をされたということで、橋本内閣がいろいろな行革を火だるまとなってやると国民の皆さんに言っておられるところですけれども、こういうことがあって本当に行革というものができるのだろうか、閣内統一がない限りなかなかできないのじゃないか、こういうふうに思うのですけれども、まずこの点について亀井建設大臣の御所見を例えればと思います。
  20. 亀井静香

    亀井国務大臣 私は、政治の原点というのは、一人一人で政治理念も政策についても考え方も違うわけでありますから、やはり徹底的に議論をしていく、その中で最大公約数といいますか、それを求めていくということが原点であろうと思います。そのための議会制度であり、その場合に、政党が組織されていくのは、てんでんばらばらでは実際問題として集約をしていくことについてもいろいろな面で困難なことがあるということで、似たような者が集まって政党をつくっていく、それを単位に議会も運営をしていくということになっておろうかと思うわけであります。  そういうことでありますので、基本的に、自由な論議が閣内においても党内においてもどんどんされていくということは、私はもっともっと助長すべきだと思います。  私も、前は村山連立政権の閣僚の一員でございました。かつては安全保障政策を含めて真っ向から対立をした経験のある党の出身者が閣僚を構成しておるわけでございましたけれども、閣議の後、閣僚懇で大変な議論がいつも激しくやりとりされました。しかし、その結果一つの方向が出ていく、最後村山総理がこうだと結論を出されまして、それに従っていったわけであります。今は自民党のいわゆる単独内閣でありますけれども、やはり私は閣内において議論が自由にされていくべきだと思います。  それが、意見が違っているということが外にいろいろな形に出ましても、そのことをもって閣内不統一だというふうなこと、あるいは、この間小泉大臣も、あの人も質問されたから答えられたわけでありまして、そうしたことをもって、別に郵政三事業について今橋本内閣どうするという方向を出しておるわけじゃありません。一つの方向を出しておって、その反対のことをああいう形でやられますとこれは閣内不統一になりますけれども、しかし、そうじゃない段階で、自由に議論をするということまでタブーだという形になるということは、やはり議会制民主主義は形式化しないで、委員もそのうち経験されると思いますけれども、私は、今一番の政治の問題は、国会がいろいろな意味で形骸化してきてしまっている、形式的になっている、手続の世界になってきているという傾向があるということだと思うのですね。これをもっともっと活性化をしていくという努力をしていくべきだと私は思います。  もちろん、小泉大臣の発言が適当か適当でないかという別な次元の議論はあろうかと思いますけれども、少なくとも私は、閣内統一か不統一かということについて言えば、別に現段階で閣内不統一ということで言われるべきではない、このように考えております。
  21. 西川知雄

    西川(知)分科員 亀井大臣のおっしゃることは、私も半分ぐらい理解はできるのです。というのは、閣内でそういう意見が違うとか十分な議論をする、これは非常に望ましいことで、またそうしなければならないというふうに私も思います。  ただ、国会の本会議場というところは、国会議員に聞かれてそれぞれの大臣が見解を表明されるところではあるのですが、その質問形式は今大臣がおっしゃったように極めて形骸化している、あんなものは質問答弁じゃないというふうに私も思っているところでございますが、ただ、これはやはり国民の代表たる国会議員に対する答弁でございますから、その答弁というのは国民に向かってなされているというふうに私は思っております。  そういう意味で、ある人がこういうことを言い、また別の大臣が、この大臣というのは議員としての閣僚ではなくて政府の代表としての閣僚でございますから、ある閣僚はこういうことを言うというと、一体この政府は何を考えているのだろうというふうに実は思わざるを得ないのではないかというところで私はちょっと亀井建設大臣意見が異なるところでございますけれども、もし何か私の意見にそうではないというところがございましたら、御答弁を願いたいと思います。
  22. 亀井静香

    亀井国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、郵政三事業について、橋本内閣としてあるいは自民党として、こうやるんだというきちっとした方針を出しておる中でああいう答弁が出たというのと、そうじゃなくて、聖域のない行革をやろうという中で今政府の部内でも議論をしておるわけでありますから、そういう状況の中でああいう発言が出たということは、私は、国民から見ると閣内不統一というよりも、行革に向けて閣内でいろいろな形で議論がされているんだなと、型にはまらないという意味の逆に期待感といいますか、先ほど申しました、形骸化して、どこかの国のどこかの党やどこかの国会のように、金太郎あめのようなことではない、これはやはり自由主義社会における政治のあり方であろうと思います。  ただ、そういうことが、もっと閣内でどんどん議論をした上で答弁すべきじゃないかというような声は私は確かにあろうと思います。もっともっと閣内で我々はそうした問題について一致点を見出すようにどんどん議論を進めていき、外で発言するときは一つの方向が見えるということが望ましいことはあろうかと思います。     〔主査退席、高鳥主査代理着席〕
  23. 西川知雄

    西川(知)分科員 なるべく国民にわかりやすい内閣の、また政府の方針というものをやはり統一的に出していただきたいというふうに私は要望をいたしたいと思います。  そこで、一つ、私個人的に亀井大臣にその意味でもう一回見解をただしておきたいということがございます。私、しつこくて申しわけないのですが、これも弁護士をやっておりましたのでお許しください。  実は、公共投資基本計画の見直し論のことについてでございますが、たしか私が二月の二十四日に道路整備五カ年計画のことについて御質問を、実はそれをしようと思った前提で公共投資基本計画の見直しが言われているので、見直しということはきっと増額する見直しじゃなくて減額であろうということで、それが第十二次の五カ年計画にどんな影響を与えるのかということを実は御質問しようと思ったときに、御回答として、委員の考えていることは前提が違う、前提というのは、そういう公共投資基本計画を与党としてまた政府として見直すとか見直さないとか、そういう論議はまだされていないというような御発言がたしかあったと思います。  それで私は、私の記憶違いかなと思いまして、二月六日と二月十日の予算委員会の総括の議事録を開いてみました。二月六日の議事録、これは五十三ページでございますが、太田昭宏議員がこの件について質問をされたときに、橋本内閣総理大臣は、公共投資基本計画、これはちょっと正確を期すために読ませていただきますけれども、「社会経済情勢の変化等に対応して見直すことあり得べしというのは、それはそのとおりであります。当然ながら財政構造改革会議等で議論をしていく中に聖域はないわけでありまして、そうしたところで議論も出てこようかと存じます。」それからさらに、六百三十兆というのは、何でこんな六百三十兆になっているのだという議論に対して、橋本総理は、「私は、数字の点におきましてもそうでありますけれども、この公共投資基本計画そのものがこの弾力枠」、これは三十兆ですけれども、「を持つという性格から、さまざまな角度からの見直しが行われる、議論が行われる素地はあると申し上げたいと思います。」こう答えておられます。  二月十日、これは議事録の五十五ページでございますけれども、これは民主党の方の質問で、やはり公共投資基本計画、このことについての質問で、橋本内閣総理大臣がやはりこういうことを申されております。「その上で、今後将来を考えましたときに、公共事業の分野も聖域とは言えないということを繰り返し申し上げてまいりました。」「当然のことながら、特定の分野が聖域だというものはございません。どうぞ、これからもそうした視点から国会としての御意見あるいは御注意等をいただき、それを参考にしながら我々が努力をしてまいりたい、そのように思います。」こう答弁されておるのです。  この答弁と、亀井大臣の私に対する御答弁……(亀井国務大臣「私の答弁をちょっと読んで、違っているよ」と呼ぶ)その答弁が、速記録というのは総括しかまずございませんで……(亀井国務大臣「それは頭には入っているけれども、違っているよ」と呼ぶ)それでは、ちょっとお待ちください。  私が最初に引用した答弁亀井大臣答弁とがもし違う、また私の記憶違いだということであれば、ここでもう一回亀井大臣の御見解を賜れればと思います。
  24. 亀井静香

    亀井国務大臣 聡明な西川議員にしてやはり記憶違いがおありなんだなという感じがいたしますが、一つ申し上げますが、私が予算委員会で申し上げましたのは、公共投資基本計画の見直しは決めていない、党も見直しは決めていないということを申し上げたわけでありまして、党も政府も議論をしていないということは私は言っておりませんので、これはちょっと御記憶違いではないかなと思います。  それでは、よろしいですか。
  25. 西川知雄

    西川(知)分科員 結構です、それで。  議論は、当然のことながら、これから十二分にされていくということだと今御見解を賜りました。  ところで、建設省の事務方の方から、例えば、私道路だけを言っているわけではございませんが、道路整備五カ年計画とかいろいろな五カ年計画がございます。そして、毎年予算での箇所づけがございます。このことについて、一体どうやってこういうことを決めていくのかという御質問を何回もいたしました。私も、予算の編成というのを全く知らないわけではなくて、建設省に入りましたときは、会計課に一番初めに配属されましたわけですから、多少は知っているつもりなのですけれども、やはりよくわからない。  というのは、例えば新規の箇所、これを箇所づけするときは、役人であったとか役人であるという立場を離れて、国民で自分たちの税金がどうやって使われるかということに非常に関心を持っている人は、一体このお金がどこにどういうふうに使われるのだろうな。特に継続の場合というのは、継続していって、工事の進捗状況によって、ことしはこれぐらいにしようとか、これぐらいできそうだ、これは当然のことながら、数字を出して正確に言うのはなかなか難しいと思うのですが、新規の箇所づけについてはやはり積算というものがあって、それとかいろいろな希望がある。  例えば、四十六個こういう申請が新規着工でやってくれと来たら、予算のいろいろなシーリングの枠とかありますので、そのうち二十個ぐらいに決めたといったら、どういう基準でその二十個を決めたのか。四十六というのが果たしてもともとあったのか。例えば、十八しか希望はなかったのに予算が余っているから二十つけたとか、そんなことはないのだろうと思うのですけれども、そういう根拠というのはどこにあるのか。やはりこれは出していただきたいなというふうに実は思っているわけです。  当然、この間の一般のときでも議論があったと思うのですが、財政法二十八条の十号、質問者は十項、十項と言っていましたが、これは十号だと思います。これによりますと、国会に提出する予算には、参考のために一から九に掲げるいろいろな書類を添付しなければならない。十号に「その他財政の状況及び予算の内容を明らかにするため必要な書類」、これを出さないといけないというふうに書いてあるわけです。  そこで、先ほどから申し上げていますように、ちょっと論点を絞りまして、新規着工分、この箇所づけを今からやるというのはどうも解せない。そして、自分たちの多額な税金がどことどこに使われているのかということを建設省のお役人さんだけで決めると、特に建設省のお役人さんが決めるのですけれども、それもしっくりこない。  特に、私は神奈川県の出身でございまして、この間の総括でも申し上げましたように、我々が所得税を一万円払って、いろいろな国庫支出金で返ってくるのは、二千六百円しか返ってこないのです。そういうベネフィットを受けないわけです。それに反して、恐縮ですが、亀井大臣のところは、一万円出せば一万四千四百円返ってくるわけです。  私は、それが果たして公正になされているか、どんなふうになされているのか、こういう資料を、我々国民の税金でございますし、やはり都会から選出された東京都民、神奈川県民といたしましては、非常にちょっとしっくりしないものがあると思いますけれども、この辺のところはどういうふうに解釈すればよろしいか。大臣、御答弁願えればと思います。
  26. 亀井静香

    亀井国務大臣 私は、一万円払っているのに二千六百円しか返ってこない、私の中国山脈の山の中は一万円で一万四千円返ってうらやましいなということであれば、委員、庄原に移ってくださいとまでは申しませんけれども、やはりこれは自治体の財政力、こんなこともう釈迦に説法ですね、違いもあるわけでありまして、もっと言えば、東京や神奈川の豊かさが神奈川や東京だけの力でできているかというと、やはりそうではないということがあると思いますね。そのようなことを含めまして、こんなことをあなたに言う必要はないと思いますが、重々御承知の上だと思います。  それで、箇所づけの話ですが、これも私は、委員のように会計課というエリートポストにも座っておられた方ですから、十分御承知の上で意地悪質問をされているんじゃないかなという気がせぬでもないのですが、例えば大型プロジェクト、また新規のものについても、大型のもの等については御承知のように資料としてお出しをしておるわけでありますが、新規といいましても各市町村、自治体から、数えたことはございませんけれども、恐らく何千というのがやはり挙がってくるわけですね。それの必要性だとかそういうこと等も精査をしながら予算編成をやっていく。  では、基礎がないのに総額をどうやって決めるのかという議論がありますが、これは、例えば市町村道の改良率が全国今この程度の感じになっているから、全体として、国全体の予算の中でもっとこれに力を入れるべきじゃないかとか、そこは抑えてもいいんじゃないか、ここまで市町村道の改良が進んできたらこれは抑えてもいいんじゃないか、そういうトータルな御議論、これは私は国会でもなされてきておると思います。  それを超えてさらに、私の広島県の口和町の町道について、これを補助対象にするのがいいのか悪いのかというようなことについてまでと言ったら失礼かもしれませんが、国会の審議の中で対象にするほど国会は時間的にも能力的にも余裕があるのかという一つの大きな問題があろうと思います。  しかも、委員御承知のように、実施計画をするわけですね、実施計画を今つくっている最中ですね。中には用地の問題だとか議会の関係で、新規要求しているけれども取り下げますというところも出てくるわけですね、御承知のように。そういうことを毎日毎日夜遅くまで調整している。そういう意味で、変わることを、毎日毎日ここが変わりました、ここが変わりましたという形で議会に資料を御提出することまで、憲法は立法権と行政権の関係で求めておるのか。例えば、法律を国会で議決する場合、審議していただきます、そのとき、規則、省令まできちっとして持ってこいということなのかどうか。それは望ましいかもしれません。しかし、これは、行政権にそういう細部についてはゆだねるということで法律を審議をして議決をいただいているというのがほとんどであろうかと私は思います。  このあたりは議員はすべて御承知の上で意地悪質問をされているんじゃないかと私は思うのでありますが、そうした実務との関係、また立法権と行政権との関係を含めて、お互いに能率的に、相互牽制をしながら、しかもお互いに基本的には信頼をしながらやっていくことが大事だ、このように考えております。
  27. 高鳥修

    ○高鳥主査代理 時間が来ておりますので、御協力をお願いします。
  28. 西川知雄

    西川(知)分科員 ありがとうございます。  最後に、亀井大臣もおっしゃっているように、やはり効率的にお金を使わないといけないということで、私、道路の特定財源についてこの間御質問したわけですけれども、例えば地元のことも言いますと、やはりあかずの踏切というのは鶴見でもたくさんございまして、道路をだれも走らないところにたくさんつくるよりも、そういうこともどんどん考えていっていただきたい、そういうふうに思います。  これで私の質疑は終わります。
  29. 高鳥修

    ○高鳥主査代理 これにて西川知雄君の質疑は終了いたしました。  次に、田村憲久君。
  30. 田村憲久

    田村分科員 自民党の田村でございます。  本日は、この第八分科会亀井大臣の前で御質問させていただくこと、大変光栄に思っておるわけでありまして、このような御機会をいただきましたこと、心より感謝を申し上げる次第でございます。  さて、橋本内閣も、昨年そしてことしの年頭初、いよいよ改革が六大改革ということで、行政改革また財政構造の改革、経済構造、金融のビッグバン、さらには社会保障制度、そして教育と、大胆な改革で二十一世紀に向かって日本に活力を取り戻そう、そういうことでやられておるわけであります。そんな中で、いろいろと先般から小泉大臣等々の発言もあるわけでありますけれども、私は、自民党というのは開かれたすばらしい政党だな、そのように改めて感じております。聖域がないわけでありますから、いろいろな議論があった上で、その中で本当に何が一番有効なのか、重要なのか、そういう視点から物事を決め、そして決まれば改革を断行していく、そういう姿勢というものがこれから必要になってくるであろう、そのようにも思っておるわけであります。  そんな中ではありますけれども、確かに財政の状況、大変厳しいわけでありまして、国債の累積残高もいよいよ二百五十兆円に迫ってまいりました、また超そうとしております。地方債の累積残高まで含めますと、国民一人当たりの公債の借金、これ三百万円に及ぶと言われておるわけであります。いろいろな隠れ借金まで入れますと五百兆円、GDPに相当するぐらいの借金を抱えておるというわけでありますからこれは大変でありまして、今、自転車操業で日本の国は運営しておるのかな、そんな気もいたすわけであります。  聖域なき歳出削減でありますから、当然その中には公共事業も入ってまいる、これもいたし方がないことであろう、やはり次の世代の人々に我々のツケを回すわけにいきませんから。でありますから、財政を立て直すためには、これは何としても、むだなものといいますか、効率よくしてむだを省いていく必要がある。二〇〇五年までに国、地方財政赤字をGDPの三%以内にする、二〇〇五年までということはできる限り早くでありますから、このような視点から考えても、私も、何としてもそのために努力をしていかなければならないのだ、そのように思うわけであります。  しかし、昨今いろいろなマスコミ、まあマスコミと言ったらいろいろ語弊があるかもわかりませんけれども、論調を見聞きしておりますと、公共事業すべてが悪いとは言いませんけれども、どうもそのような風潮が、何もかも悪いですよ、そんな風潮が生まれつつあるのじゃないのかな、そんな気がして仕方がないのです。特に地方などはまだまだ必要な部分がたくさんあるわけでありますけれども、その地方においても、いろいろな風潮に流される中で、公共事業垂れ流しですね、そんなことで消費税を上げるのはどうも、そんな話をお聞きする。  ここら辺のところ、しっかりとこれから国民にも説明をしていく必要があるのじゃないのかな、私はそのようにも思うわけでありますけれども、むだなものを省いて効率を上げていかなきゃならない、しかし日本の国をよく見ておりますと、公共事業は、欧米の先進主要国と比較をいたしましてもまだまだこれ社会資本整備、蓄積もないわけでありますから歴史も浅い、まだまだ足りないわけであります。でありますから、公共事業の重要性というものはこれは当然言えるわけであります。  今の大臣の話でありましたけれども、生活基盤が充実しております都会においては、これはもう公共事業はそれほど要らないよ、交通渋滞になってきて、新しく道をつけて緩和しようなんていう話はありますけれども、しかしそれほど要らないよ、そういう議論はあるのかもわかりません。しかし、地方へ行きますと、まだまだ直さなきゃいけない道路もある、橋もある。河川だって、はんらんをするから何とか早く河川改修してくれ。治山に関しましても、これは山崩れするから何とかしてくれ。海岸にしましてもそうであります。いろいろな公共事業のニーズというものがあるわけでありまして、これはある意味においては、むだを省くのは当然でありますけれども、そこは精査して、やるべきことは着実にやっていかなきゃいけない、そのようにも思うわけであります。  そんな中で、いろいろな公共事業の優劣といいますか順位をつけてまいると、何がいい、何が悪いというのは言えないわけでありますけれども、やはり国民の生命財産、こういうものに係る公共事業というのは、これは早急に進めていかなければならないのであろう。  日本の国は災害列島だと言われることがありますけれども、大変災害の多い地域、国であります。そのような国柄といいますか、地形的な問題を含めまして、やはりこの部分というものをでき得る限り未然に防いでいく。河川改修、これはやはり古代より世界の人々、人類というのは河川のはんらんと闘って文明を築き上げてきたわけでありますから、そう思いますと、台風や大雨やそのようなものによる堤防の決壊などによる災害、こういうものは、未然に防げるものは防いでいかなければならないわけであります。国民の生命と財産を守るという観点からも、この治水という部分をぜひともひとつこれからも早急にお進めをいただきたい。  さて、そんな中で、実は何年かに一度大雨が降るということを見越しまして、川の水が増水するということを見越しまして、川の水をある一定地域に流し込んで、そして川下の洪水を防ごう、こういう遊水地という事業があるわけでありますけれども、この遊水地事業というもの、一体どういうものであるか、一点お聞きしたいわけであります。  それと同時に、建設省としてはこの事業をいかに考えておられ、どのように受けとめてやられておられるのか、この二点をお聞きしたいわけであります。
  31. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 ただいま委員から遊水地事業の内容についてのお尋ねがございました。  遊水地事業計画遊水地として整備をいたします場合には、これは通常の場合、年に一回、数年に一回水につかる、そういう浸水地域を対象にして計画する場合が多いわけでございますが、そういう地域に周りを囲います囲焼堤というのをつくります。そして、本当の洪水のピークのところだけをその遊水地に入れるというような形で下流を洪水被害から守る。そして、なおかつ普通の状態においては、この遊水地の中は水田等々によってお使いをいただく。土地の有効利用という意味からも大変効果的といいますか、多様な機能をあわせ持った事業だというふうに考えております。  ただ、そういう洪水時に水を入れるという機能はどうしても必然でございますので、数年に一回、数十年に一回は水につかるということを前提とした土地利用をお願いをする、そういう制約はございますが、そういう意味合いでは、平常時の土地利用と洪水時の遊水機能とあわせ持った、そういう事業としてとらえておるところでございます。
  32. 田村憲久

    田村分科員 私どもの三重県、私の選出されておる県でありますけれども、ここにも一級河川で雲出川という川があるわけなんです。実はこの雲出川にも、今、整備をしていく中で遊水地計画というのが上がってまいっております。  今お話をるるお聞かせいただいたわけでありますけれども、遊水地に指定といいますか、多分指定されるであろうなというふうに思っておられる地域の住民の方々、こういう方々はともすれば、我々はほかの人たちの犠牲になるんじゃないのかな、我々を犠牲にして他の川下の方々とか近隣の方々の洪水を防ぐ、自分たちがばかを見るんじゃないか、極端な話ですが、そういう不安といいますか、お気持ちをお持ちなんです。十分な補償ももらわなければなどということも思っておられるわけでありますけれども、そういう観点からいたしますと、十分にこれからそういう地域の方々にいろいろな情報というものを流していただきまして、遊水地というものはこういうものですよ、そういうこともぜひとも御説明をしていただきたいな、そのようにも思うわけであります。  その中で、この雲出川というのは何年かに一度は必ずはんらんをするのです。はっきり言いまして、住宅地域まで水が流れ込んでくることもたびたびある。でありますから、地元の方々は不安というものを常に持たれながら、それと同時に、今まで、整備には以前からかかっていただいておるわけでありまして、何十年とかかっておるわけでありますけれども、いつすべての河川改修を終わってもらえるのだろう、そういう期待も持っておるわけなんです。その中にこの遊水地の問題もある。  そういうことを考えますと、非常に入りまじった複雑な環境といいますか状況の中で、皆さん方がこの事業に対してのいろいろなお考えをお持ちなんであるわけでありますけれども、この雲出川の河川改修、河川整備事業、現在の進捗状況及びこれからの展望といいますか計画というものをぜひともお聞かせいただきますようお願いします。
  33. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 ただいまお尋ねをいただきましたとおり、雲出川につきましては、昭和三十四年の伊勢湾台風で大被害を受けたわけでございます。それを契機にいたしまして、昭和三十六年度から直轄事業として取り組んでおるところでございます。  そして、その改修がある程度進んだ段階で、昭和五十七年の台風十号でこれまた未曾有の、計画規模を超える大出水を受けたということで、昭和六十一年に工事実施基本計画の改定を行ったところでございます。この工事実施基本計画の中で、先ほど先生の方からお尋ねがございました遊水地計画、これが計画に盛り込まれておるところでございます。  それで、その工事実施基本計画に従いまして現在鋭意事業を進めておるところでございますが、この水系におきましては、今お尋ねのとおり、この計画遊水地をどう進めるかというのが一番大きな眼目の一つだというふうに受けとめております。そして、これから国会でも御審議をいただきますが、第九次の治水事業五カ年計画の中でこの遊水地の計画の内容を詰めまして、そしてこの計画の五カ年間におきまして工事に着手できるよう、最大限努力をしたいというふうに考えておるところでございます。
  34. 田村憲久

    田村分科員 生命財産にかかわっておる問題であります。でき得る限り早急によろしくお願いをいたしたいと思います。  さて、昨年十二月十日に公表になったと思うのですけれども、新しい全国総合開発計画の「計画部会調査検討報告」こういうものがあったように記憶するわけであります。日本の国をこれからどのような形で発展をさせていくか、そういう新しい全総に関することであるわけでありますけれども、多軸型の国土構造の実現ということで、西日本国土軸でありますとか、また日本海国土軸、北東国土軸、そして太平洋新国土軸がうたわれております。  阪神大震災を見ましても、単軸型の一本しか軸がないような国土形成においては、やはり災害等々不測の事態が生じますと、これは国家のさまざまな機能というものが麻痺してしまう。大変国として機能を果たせなくなってしまうわけでありまして、国土軸の複数化というものは絶対必要だ、これは言うまでもないわけであります。  そんな中で、太平洋新国土軸の一環といたしまして、今世界で一番長い橋を目指して調査、計画が進められておるわけでありますけれども、伊勢湾架橋、伊勢湾口道路でありますね、これでありますとか、またこの地域で、関連してでありますが、空港整備必要性から重要性がますます昨今言われておりますが、中部新国際空港、こういうものの巨大プロジェクトというものが、実はこの東海地域といいますか伊勢湾中心に幾つか考えられておる、進められておるわけであります。日本活性化、そういうことを考えますと、いよいよ伊勢湾の時代が来たかな、そのように私も思いますし、またいろいろな方々がそのようなことを言われるわけであります。  しかし、まだまだこれらの国家プロジェクト、これをつなぐ地方の幹線道路整備というのは進んでいないのです。そういうことを考えますと、より効率的にこの国の計画というものを効果が出るようにするためには、このような幹線道路をぜひとも早急に整備をしていく、そんな必要があるのではないか、そう思うわけであります。  三重県というのは大変縦に長い地形をしておるわけでありますけれども、例えば国道一号線、また国道二十三号線、四十二号線、こういう主要幹線とつなぐといいますか、こういう主要幹線を通していく中でのバイパス整備というのが今緊急課題に挙がってきております。その中で、中勢バイパス、そして松阪多気バイパス、さらには、東海といいますか伊勢湾と関西圏を結んでいく大変重要な道路になってまいりました国道百六十六号線、この三線こつきまして現在の進捗状況なりこれからの計画というものをぜひともお聞かせいただきますようお願いいたします。
  35. 佐藤信彦

    佐藤信彦政府委員 先生おっしゃられるとおり、三重県というよりも伊勢湾の西側でございますが、近畿道の伊勢線は開通しましたが、紀勢線がまだ道半ばといった状況でございます。その中で、やはり国道のネットでそれをカバーしながら高速道路も進めなければならないのですが、そういった意味では、国道のカバーも十分に力を注いで確保しておかないと一体となっての交通がさばけないといったことで、私ども国道整備についてはその重要性を十分認識して整備を進めているところでございます。  先生指摘国道二十三号の中勢バイパスでございますが、中勢地域の津市を初めとする六市町村を通過する三十四キロの大規模バイパスでございますが、昭和五十九年より事業が進められております。特にこの地域は、区画整理とかそれから関連の御薗工業団地とか、そういう関連の事業がいろいろございまして、これにあわせて事業を進めるといった形で、既に二十五キロ、半分以上でございますが、事業化が進められておりまして、現在、近畿道伊勢線の津インターチェンジの関連区間について四キロほど部分供用をしているところでございます。事業の中でむしろ重点的に現在行っておりますのが津市の河辺地区でございますが、こちらにつきましては、中勢の北部サイエンスシティの関連事業の工事、それからさらに御薗地区、こちらもそういった事業がございますので、こういったところについてなるべく早く部分供用したいといったことで、今五計では無理でございますが、次期五計の半ばくらいまで、前半ぐらいで何とか仕上げていきたいといったことで進めております。  それから、四十二号の松阪多気バイパスでございます。これは松阪市内あるいは多気町の交通混雑を緩和するための十二キロのバイパスでございます。六十二年から事業を始めてきているところでございますが、現在、南の多気町の方から事業を始めております。特に交通混雑の激しい両郡橋付近でございます。ここら辺が、現在、用地並びに工事の重点ポイントになってきております。これにつきましても、なるべく早い時期、できれば平成年度ぐらいには供用開始ができるよう一層努力しているところでございます。  それから、百六十六号の高見峠でございますが、これは先生御承知のように、峠はトンネルが抜けてございます。もともと県管理の区間でございましたが、直轄で代行して必死になってやっているところでございます。今は残っている区間が大分少なくなってきました。ですが、特に加波地区などにおきましては現道が狭いといったことで、これについての現道拡幅など、引き続き整備を進めていきたいというふうに考えているところでございます。
  36. 田村憲久

    田村分科員 ありがとうございました。財政的に大変厳しいこの時期というのは重々わかっておるわけでありますけれども、何よりこれから日本の発展のためにも伊勢湾の時代でありますから、どうかその点ひとつ御了承いただきまして、よろしくお願いをいたしたいと思います。  公共事業、いろいろと厳しいことが言われておるわけでありますけれども、しかし、御承知のとおり、建設工事の日本経済に与える影響というのは大変大きいものがあるわけであります。いろいろと数字を挙げてみましてもそれが実証されるわけでありますけれども、例えば平成八年の総務庁、労働省調査によりますと、総労働人口数六千四百八十六万人中建設事業に従事されておられる方々六百七十万人、一割強の方々がおられるわけでありますから、経済並びに雇用に対してもこれは影響力が大変ある、こういうことも言えるわけであります。  バブル崩壊後不況になったわけでありますけれども、この不況に際しましても公共投資というのはそれなりの効果を上げてきたのである、私はそのようにも思うわけでありまして、本来でしたら、できる限り、やれる限りは、公共事業というものをやりたいといいますかふやしていきたいわけでもあります。しかし、国家の財政の悪化を考えますとこれもなかなか難しい。公共投資基本計画を含めまして、公共事業の効率化、スリム化、こういうものを進めまして、前にも述べたわけでありますけれども、ある意味ではより効率的に景気に対して好影響を与えるような、そういうシステムづくりというのも実はこれからは考えていかなければいけないところなのではないかな、そのようにも思うわけであります。そういう中で、実は限られた事業量といいますか事業金額、これをより能率的に運用していくのがやはり建設省の役割でもあるのではないのかな、そう思うわけであります。  そこで、公共工事の発注形態について少しお聞きをさせていただきたいわけであります。  現在、建設省だけではないのでしょうけれども、国の直轄工事においては経営事項審査、経審というものの点数によって入札の参加資格というものを区分されておるわけであります。建設業者の施工能力、この施工能力とその発注金額の限度額の間にどうもかなりの乖離が生じておるのではないのかな、私はそのようにも思うわけであります。現在の建設省の直轄工事について、一般競争入札に地方の業者がもっと幅広く参加できるように客観点数の条件というものをぜひとも設定をしていただきたい、そのように思うわけであります。この点に関しまして、どうか御意見をお聞かせいただきたいわけであります。
  37. 小野邦久

    ○小野(邦)政府委員 お答えいたします。  建設省の直轄工事の場合の一般競争をどうするかということでございますけれども、一般的には平成年度から一般競争を実施したわけでございますが、いい業者の方というか信頼できる企業の方をどう選んでいくのかということから、私どもでは、建設業法に規定のございます経営事項審査というのを利用することにいたしました。  経営事項審査における客観点数、これは経営の規模とか経営状況とか技術力とかいろいろなことを数値化したものでございますが、これによるいわゆる客観的な事項の審査、それから、いろいろな工事を業者の方にやっていただくわけでございますけれども、その場合の工事成績、これを主観的要素といたしまして、この客観的要素と主観的要素を総合して格付をする、こういうことにしているわけでございます。客観的要素が大変大きいわけでございまして、先生指摘のとおり、経営事項審査の結果を客観的な事項の審査の点数ということで活用しているわけでございます。  私どもの直轄工事の場合には、例えば一般土木工事につきましては、この客観的事項の点数というものが千五百点以上で一般競争の有資格業者とする、現在は、WTOの規制等もございまして、直轄工事では六億五千万円以上の工事を一般競争に付すということで、各省あるいは関係公団、若干関係公団は高いのでございますが、各省庁統一をとってやっている、こういうような状況でございます。
  38. 亀井静香

    亀井国務大臣 私からもちょっと、大事な問題ですので答弁します。  今官房長が答弁をいたしましたのが仕組みであります。しかし、私、実感から申しまして、千五百点とらぬとといいますが、神様が正確にきっちりとそのあたりを測定をして門戸が開放されておるのかというと、建設省の役人もやはり人間でありまして、どうしてもそういう意味では、中小業者が伸び上がっていくといいますか、そういうことに対してきつくなっておる現実が現にあると私は思います。  そういう意味では、基準を設けないわけにはもちろんいきませんけれども、その運用その他において、既得権を尊重することもある面は大事かもしれませんが、既得権尊重、偏重に流れるような発注があってはならない。私は、就任以来やんややんやと、具体的に実績としてそうした中小業者の受注の機会がふえていくことをやってくれということを厳命をいたしております。これは、ちゃんと後でトレースを私なりこしようと思っておりますので、今、官房長、局長以下、地建の局長以下、そういうことで現実的な努力をやってくれておる最中であります。
  39. 田村憲久

    田村分科員 大臣から、大変心強い御回答をいただきました。いろいろと、御努力といいますか、されておられるのは私も重々承知をしております。細かいことを言いますといろいろなことはあるわけでありますけれども、その点はもう十分に御承知をいただいておるということで、これから、大臣のいろいろな改革に対して、私もお願いをさせていただきたいなと思うわけであります。  大きい企業でありますとか都会でありますとか、そういうところは景気状況が若干上向いてきておるかな、そういういろいろな数字が出てきております。ところが、地方に行きますと、まだまだやはり悪いのです。これは、地方の中小零細、また地域柄ということもあると思いますが、そういう部分から景気の足腰がまだしっかり立っていない。そういう状況を考えますと、建設業というものは地方経済に対する影響力が大変大きいわけでありまして、そのような地方建設業者が、潤うとは言いませんけれども、せっかく地方の仕事であるわけでありますから、適切に仕事量を確保できるような発注形態、これは、建設業者のみならず、地方経済に対するインパクトが大変あると私は思うわけでありまして、ぜひともよろしくお願いをいたしたいと思います。  そろそろ時間でございますので、これにて質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  40. 高鳥修

    ○高鳥主査代理 これにて田村憲久君の質疑は終了いたしました。  次に、東祥三君。
  41. 東祥三

    ○東分科員 おはようございます。建設大臣建設省の皆さん、新進党の東祥三でございます。  本日は、公営住宅について質問させていただきます。  まず初めに、昨年の五月末に大改正されまして公布いたしました公営住宅法の一部を改正する法律では、我が党が主張していたことも大いに取り入れられたと思っております。内容は、きめ細かな家賃設定、あるいは入居収入基準の変更、あるいは一種、二種の区分の廃止、高齢者や身障者の収入基準の緩和、買い取り・借り上げ制度の導入のほか、多岐にわたります。昨年八月末に施行されて、来年四月一日より、もう既に存在しますすべての公営住宅に適用されると聞いております。  これを踏まえた上で、この法律の一部を改正する法律の内容等について、どのような広報手段を講じておられるのか、また、今日までいろいろな反応、反響等があったと思いますが、まず、その点についてお伺いさせていただきたいと思います。
  42. 小川忠男

    ○小川政府委員 お答えいたします。  ただいまお話ございましたように、昨年の五月でございますが、公営住宅法、ほぼ半世紀ぶりの大改正をさせていただきました。今先生いろいろ御指摘いただきましたが、大きな改正点は、あえて言えば二つあったと思います。  一つは、どういう方々に公営住宅にお入りいただくのかという点が第一点でございます。従来は、収入階層、貧しい方から積み上げていって、貧しい方々の三分の一、収入分位三三%の方々までを公営住宅の対象とするというのを、むしろ的を絞って二五%というふうにさせていただきました。これが第一点です。  それから、第二点は家賃、一体どういう考え方で家賃をお払いいただくのかという点でございます。従来は原価主義でございます。それに対しまして、応能応益主義といいますか、払えない方々に対しては徹底的に公的支援を厚くする、しかし、払う能力のある方からはしかるべく家賃をいただく、そういう体系に切りかえようという点があったかと思います。  そういうふうになってまいりますと、今御指摘いただきましたように、既に入居されている方々に対してもやはり基本的なところで影響が出てくる、こういう改正でございました。  それで、現段階で、公営住宅を管理している、これは都道府県、市町村になりますが、全部で三千市町村ございます、三千の事業主体が実はあるわけでございます。東京都から始まりまして人口数千の村に至るまで、三千市町村でございます。一方、現在、公営住宅のストックは二百十万戸になっております。したがいまして、二百万を超える世帯の方々、人数に置き直して、正確にはわかりません、恐らく五百万人を超えると思いますが、二百万世帯五百万人の方々が入居していらっしゃる。したがいまして、基本的なところでの大改正でございましたので、一方で三千市町村に対して改正の趣旨を徹底するということと同時に、二百万世帯五百万人の方々に御理解いただく、この二つが実は大問題でございました。  そういうふうなこともございまして、昨年来、ことしにかけまして、全国十四会場でございますが、延べ数千人の市町村の担当職員に対して、繰り返し繰り返し説明会等々を行わせていただきました。私どもの方でも、改正の趣旨をわかりやすく記したパンフレットを三十三万枚印刷いたしまして、各市町村に配りました。また県、市町村によりましては、それを増し刷りして団地に配っているというところもあるやに聞いておりますので、全国では、恐らく百万枚を超える周知徹底のためのパンフレットが配付されたと思います。  おかげさまでそれだけのことをやらせていただきましたが、率直に申し上げまして、改正直後には多分に誤解と思われるような反応といいますか御意見もちょうだいいたしました。ただ、最近では、ほぼ正確に御理解いただいて改正の趣旨が浸透しつつあるというふうなことではないだろうかと思います。ただ、来年の四月でございますので、それまでに引き続き周知徹底のための努力をさせていただきたいと思います。  以上でございます。
  43. 東祥三

    ○東分科員 住宅問題といいますと、究極の問題は何かといえば、供給と需要の関係になってしまう。とりわけ、地方がこの問題を抱えていないというわけではありませんが、基本的に、住宅問題といえば都市部での最重要の課題の一つであろう、こういうふうに認識します。その上で、東京の生活者という視点から御質問させていただきます。  今局長の方から既に幾つかのお話があったわけでございますが、まず入居収入基準について伺いたい、このように思います。  この入居収入基準というのは全国一律になっております。そして、この入居収入基準が全国一律で設定されたのが、ちょうど私が生まれた一九五一年だ、昭和二十六年だというふうに聞いております。  四十五年の間における日本の国内における状況は大きく変貌している。戦後間もないころですから、全国レベルにおける各地域間の生活水準の格差というものは余りなかったのではないのか。今日ではその差というものがいろいろな形であらわれてきているのではないのか。  そういう意味から考えますと、例えば本来ならば、大臣、都道府県別の収入の格差がわかるようなデータというのは、本来国として持っていなければいけないのだろうというふうに僕は思うのですが、残念ながらそういうデータがない。  したがって、ある意味で別のデータを利用させていただきますと、消費者物価指数でいきますと、東京を一〇〇といたします。一九九六年ベースで考えますと、沖縄は八六、鹿児島、山口は八八、富山、山形は八九、岐阜は九〇、新潟は九一。東京での生活は一割前後高いものになっている。当然そのサンプルにもよると思うのですが、ここから導き出されるのは、東京の生活というのは一割前後高いだろう。  また、勤労者世帯の実収入でいきますと、東京は十一番目であります。一位富山の八七%、ちなみに、二位は新潟、三位は岐阜、四位は山形、五位は山口等々、こういうふうになっています。また、消費支出に対する住居費の割合も全国で四番目の高さになっている。ちなみに、一番目は神奈川である。このように理解しております。  そういう意味から考えますと、先ほどおっしゃられた、収入分位、三三%から二五%に変更されて、一見数字だけを見ると入居のハードルが高くなったかのような感じを抱くわけですけれども、実際のところは、例えば三三%分位は平成年度に改定されていて、四人世帯では年収約四百九十六万、そしてそれを今回の大改定によって二五%分位にすることによって、平成年度、推定で年収約五百万円なので、とりわけ二種住宅で収入超過になっている人々にとって見れば、この区分配置によって二五%以内の基準内におさまっている。そういう意味においてはこれは評価できることなんだろう。  ただ、今申し上げましたとおり、東京という大都会、そういう状況の中でやはり公営住宅を利用したいと思う人は多いわけですが、供給量が少ない。さらにまた、収入の基準によって入れなくなっている人々も多い。そういう意味で、私自身は、四十五年前にできた一つの物の見方が、四十五年後、地域格差がいろいろ出てきている今日を踏まえたときに、ある意味で東京は東京という、そこでの一つの分位の基準ですね、これを全国一律で考える必要はないのではないのか。もちろん、じゃ供給できるのか、こういう問題がありますから、それは別個の問題としておいておきます。  一つ考え方として、やはり地方分権というものを射程に入れて論じていったときに、全国一律でこういう入居収入基準というものをそもそも維持しておく必要性というものがあるのかどうなのか、これを何らかの形で考慮すべきときに差しかかっているのではないのか、このように思うのですが、この点についていかがでしょうか。
  44. 亀井静香

    亀井国務大臣 今議員の御質問をお聞きしておりまして、私自身非常に不勉強な面がまだあるということを痛感をいたしておりますが、御承知のように、中低所得者層に対する住宅供給をどうしていくかという問題、民間ディベロッパーが大きく成長はしてきておりますけれども、その重要性は相変わらず非常に強いわけでありまして、今度住都公団がこうした分譲面、また賃貸面からも一部、限定的にして撤退をするという方針も出しておるわけでありますから、特に低所得者向けの住宅供給については地方自治体の公営住宅あるいは特定優良住宅中心はそういう施策の中でこれを実施をしていかなければならぬわけであります。  これは住宅局長から、また亀井、突っ走った、跳びはねた答弁をされては困るといって後から文句を言われるかもしれませんが、今委員が御指摘のように、やはり地方自治体がその地域の住民の生活について一番責任を持っておるわけでありますから、これは所得水準、物価水準、いろいろな面が地域によって違うわけでありますから、そうした実態を踏まえた入居政策をとっていくということが私はあるべき方向ではあろう、このように思っております。  ただ、これについてはまだ私と事務方と議論をしておりませんけれども、今後議論をしていきたいと思いますが、委員の御指摘というのは一つの方向であろう、私はこのように思っております。
  45. 東祥三

    ○東分科員 リーダーシップを発揮してくださって、事務局の側の意見と若干食い違いが出てくるという御推察をされましたけれども、多分そのとおりになると思いますが、ぜひそういう方向性で考えていただきたい。  もちろん、地域格差による収入基準というものをつくった場合、当然、こちらも勉強させていただきましたが、東京に住んでいる人が地方に行ったときに全国一律でないということで逆の問題というのも出てくる。そういうことも踏まえた上で、やはり大臣おっしゃられるとおり、各都道府県単位で地域住宅政策といいますか、そういうものがあってもいいのだろう。  四十五年前ですから、四十五年前、焼け野原、日本がこっぱみじんにアメリカにやられて荒廃し、そのときというのは地域格差というのはなかった。そこには一定の正当な理由があったのだろうというふうに僕は思うのです。それが、四十五年たって、今日の状況を迎えている。そういう中で改めて基本的な部分についてぜひとも深く検討していただければと思います。  今大臣の方からも御指摘になりましたが、今何が起こっているのかということを思いますと、とりわけ中堅所得者を対象にした良質な賃貸住宅戸数はまだまだ不足している。その結果として何が起こっているかといいますと、公営住宅住宅に困窮する低額所得者に供給することを目的としている、これは私は当然だというふうに思います。  しかし、低額所得者とはいえ一定額以上の収入を有する高額所得者が公営住宅にい続けることは、公営住宅に入居を希望しながらできないでいる低額所得者が多数いるという現状においては、公営住宅法の目的に反して不公平である、こういう一律の物の見方があると思います。それはそれとして、基本的に私は正しい、こういうふうに思います。  ただ、この運用、また適用の問題で幾つかの無視できない問題が起こっている。つまり、収入が超過した方が公営住宅に住むのは、他の低額所得者で入りたいと思っている人が入れなくなる、したがって、公営住宅にそういう方が住むのは不公平だ。つまり、基準を上回った人は全員出ていってください、これをそのまま適用することが正しいことなのかどうなのか。各家庭の状況に応じてここは判断していかなければならないのじゃないのか。つまり、悪質なもの、昨日の新聞にも出ておりました、いろいろな形で、自分が入っている公営住宅を倉庫として使っていたり、こういう悪質なものはもちろん論外でありますが、例えば明け渡し請求を受けた後で病気になった場合だとかあるいは突然失職した場合などを一律に論じることはできないのじゃないのか。  また、収入基準以内の家庭が、子供が働き始めて収入が一気にふえるというケースがございます。一応一定額、政令九条二項というところですが、一人当たり百四十七万六千円の所得が控除されているという、こういう一つの措置も施されているわけでありますが、現実には、実際はそれを上回ってしまう場合が出てくる。子供が自立したら収入がまたもとに下がる場合がある。その場合、例えば子供の収入に関しては、収入発生後数年間カウントしないだとか、こういう考え方もできるのじゃないのか、このように考えます。  制度がある意味整備されたわけですから、十把一からげで対応しないということのPRを、これを積極的に行っていく必要があるのじゃないのか。また、個々のケースについて地方自治体でよく相談の上、事情を酌み取ってより一層の対応をしていただきたい、このように要望するわけですが、この点についていかがでしょうか。
  46. 亀井静香

    亀井国務大臣 私は、委員のお持ちの問題点、大変大事なことだと思います。もちろん、入りたくても入れない人がおられるその地域社会の中で、いわば基準を大きく超えた高額所得の方がずっとそこに入居されたままでおるということについての問題点はあります。  しかし一方、公営住宅に入った方がどんどん所得がふえていくということは望ましいことでありまして、簡単に言いますと、豊かになられるということはいいことでありまして、そうした場合、豊かになっていかれた場合に、直ちにすぐ出ていけというようなことで四角四面にやっていくことがいいことかどうかという問題がある。  それには、猶予期間をある程度置くとか、今委員がおっしゃいましたような家庭の中のいろいろな事情がありますね。たまたま一時的に家族として所得がふえるというような場合もあるでしょうから、そのあたりは、やはり花も実もある住宅政策をとっていくべきだという委員考え方には基本的には私は同じでございます。
  47. 東祥三

    ○東分科員 そこで、先ほど局長の方からも事業主体の数として約三千市町村、これが事業主体になっている。昨年の改正で、ある意味で高齢者世帯あるいはまた障害者世帯が公営住宅に入居しやすくなるだろう、こういうふうに思います。  しかしながら、公営住宅の管理の問題というものが今までずっと見過ごされてきたのではないのか。三千のその事業主体にずっと任せ続けてきたそして、聞くところによりますと、その公営住宅を管理する人々、これは、公営住宅に住んでいる人で、またボランティア精神があり、また身の回りの、他の人々の、他の家庭の、身の回りを見ること、面倒見が好きな人、こういう人に任されていたというふうに聞いております。  しかし、問題がどんどんどんどん出てくると、その人たちはやはりもうあっぷあっぷにならざるを得ない。そういう意味で、管理人のなり手というものがほとんどいなくなってしまっている。苦情だけ来て、ある意味で何のメリットもない。そういう意味で、最近では管理人のなり手がなくなってしまって、責任を持って公営住宅の団地内の諸問題を処理する役割を担える人がいなくなっている。これはゆゆしき問題なのだろう、僕はこのように思います。  そうであるとすれば、ある意味で何らかのメリット、例えば家賃を軽減してあげる、または家賃をなくしてあげる、こういうメリットを与えて、管理人になる人を置く政策を遂行すべきなのではないのか。今までこういう政策をとられていないということを聞いております。  そのためには建設省内でいろいろ議論しなければいけないことかもわかりませんが、現実には管理人がいない。ある意味で、そのことをずっと放置していくならば、せっかく前向きな形で公営住宅の問題を考えようとしていたとしても、そのおひざ元から公営住宅状況がさらに荒廃していくかもしれない。ちゃんとした責任を持って担える管理人、これを何らかのメリットを与えながら確保していく、そういう政策をとられた方がいいのではないのか。このように提案させていただきますが、大臣、いかがでしょう。
  48. 亀井静香

    亀井国務大臣 これもまだ、住宅局長初め事務方と私は議論をしたこともございませんから、また勝手なことを言うなということを言われるかもしれませんが、私は基本的には委員の御指摘のとおりだと思います。  本来であれば、公務員が出向くかどうかは別といたしまして、管理責任をやはり全うしていくのが本来筋でありますから、それを入居者の方に事実上代行してもらっておる以上は、それに対して何らかの形のやはりお礼といいますか、そういうものがあるのは私は当然だと思います。この点は、私はまだ議論したことがございませんけれども局長以下事務方と具体的に検討をしたい、このように思っております。
  49. 東祥三

    ○東分科員 よろしくお願いします。非常に前向きな御発言で、とってもうれしく思います。  さて、これが最大の問題だろうと思いますが、公営住宅の中でも都営住宅に関して若干言及させていただきます。  平成年度の三月三十一日現在で、収入超過者数は、全戸数を二十五万戸としますと、そのうち十万二千三百九十軒ある、五〇%弱に上っている、このうち高額所得者は一万二千百二十四軒ある、このように報告を受けております。一方、中堅所得者向けの特定優良賃貸住宅であります都民住宅は、過去五年間で約二万戸供給して、今後十年間で五万二千戸供給の予定だ、このように聞いております。  ただし、東京では、都民住宅の今後の供給については、昨年十一月に策定いたしました東京都財政健全化計画で見直し対象事業として挙げられている。また、住宅都市整備公団の賃貸、空き家の存在が問題にもなっておりますが、周りの状況と比較いたしまして極めて高額な家賃やあるいは利便性の悪いところを除くと簡単には入居できない、そういう状況です。そういう意味で、中堅勤労者等が良質で適正な家賃で入居できる住宅がまだまだ圧倒的に不足している。供給不足になっている。  そこで、建設大臣にお伺いさせていただきたいのですが、この本質的な問題ですが、この問題に対して、今後の住宅行政にどのように取り組まれていかれるのか、これを最後にさせていただきたいと思います。
  50. 亀井静香

    亀井国務大臣 委員指摘のように、従来私どもが中堅、低所得者向けの住都公団を中心とするそうした供給をやってきたわけでありますが、それが、御案内のような状況の中で必ずしも安くないという状況、また一方では、民間ディベロッパーが非常に出てこなくなってきたという状況の中で、御承知のように住宅公団、分譲から撤退、賃貸からも限定して撤退という方針を出したわけであります。  今後、しかし、民間だけに任せてそのあたりがきっちりといくのかいかないのかという大きな問題があるわけでありまして、それについては、やはり特定優良住宅というのは、そうした民間の力を組み合わせての、自治体の力をおかりしてそのあたりのことをやっていくこと、あるいは自治体の公営住宅あるいはその他の住宅事業に対して住都公団が別の観点からこれをサポートをしていくというようなことも必要だと思いますが、問題意識としては、やはりそのあたりを民間の住宅供給事業にだけ任して、さっと撤退したらおしまいよということには私はならない、このように考えておりますので、住宅局長以下住宅局の連中の知恵の出しどころでもあると思いますし、ぜひ委員からも具体的なお知恵をちょうだいをしたいと思います。
  51. 東祥三

    ○東分科員 質問を終わります。ありがとうございました。
  52. 高鳥修

    ○高鳥主査代理 これにて東祥三君の質疑は終了いたしました。  午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十二分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  53. 藤井孝男

    藤井主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  建設省所管について質疑を続行いたします。斉藤鉄夫君。
  54. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)分科員 新進党の斉藤鉄夫でございます。  きょうは、公共工事の品質保証の問題について質問をさせていただきます。  阪神大震災において高速道路が倒壊して多くの方が亡くなったというのは記憶に新しいところでございます。安全と思われていたそういう公共構造物が倒れたその原因は、一つは設計で想定していた以上の地震動があった、揺れがあったということだと思います。もう一つは、ちょうど鉄筋や鉄骨の溶接部、接全部が破断して倒れたという例に見られますように、施工の不良、これが考えられると思います。  一番目の設計で想定した以上の揺れがあったということにつきましては、先日の予算委員会でも亀井大臣、耐震基準の見直しをされているということで進んでいると思いますので、きょうは、この施工不良の問題について、真に安心して住める日本をつくりたいという観点から質問をさせていただきます。  この阪神大震災では、阪神高速道路のあの橋脚が倒れました。その教訓を踏まえて、現在、震災対策緊急橋梁補強工事、いわゆる耐震補強工事が進んでおります。平成七、八、九の三年度で二万八千本、数千億円に上る事業でございます。  このほとんどの耐震補強工事は、鋼板巻き立てという方法でやられております。つまり、橋脚に鋼板を巻きつける、その強度を補強するということでございますが、この工事の一番のポイントは、銅板で巻きまして、その巻いたところを、一枚物ではございませんので当然溶接をいたします。この溶接がきちんとされているかどうかというところがこの補強が地震のときにきちんと働くかどうかというポイントになるわけでございます。座屈で随分倒れました。座屈で柱が膨れようとします。その膨れようとするのを回りからがちっと押さえる。そのときに溶接できちんとくっついておりませんと、引っ張り力が働いてすぐそこで破断をして意味がなくなるわけでございます。  この鋼板巻き立てという方法、実はこの阪神大震災が起きる前にも宮城県沖地震に対応する補強工事として行われておりましたが、先日、読売新聞でしょうか一月に、この補強工事で溶接の部分で手抜き工事があった、溶接をしていないというふうな状態であったという新聞報道がございました。  まさにお金をかけてやった意味がないということも言えるかと思いますが、この手抜きを許した要因と、それから反省点はどうか、またその後の対策をどうしているかについてお伺いいたします。
  55. 佐藤信彦

    佐藤信彦政府委員 お答えいたします。  首都高速道路公団の橋脚の耐震補強工事におきます施工不良問題につきましては、阪神・淡路大震災以前に行った橋梁補強箇所におきまして、公団の定期点検の際に、溶接厚の不足が発見されたというものでございます。  公団の調査によりますと、本件施工不良は、溶接工事を行った二次下請業者が不良な溶接を行ったものであり、元請及び一次下請業者が適切な工事監督を行わず、所要の品質を確保するための適切な検査を怠ったものでございます。  この施工不良箇所四十三基につきまして、施工業者に対して手直しをさせるとともに、厳正な処分を行ったところでございます。  なお、公団につきましては、請負業者に対する工事監督の強化について改めて担当役職員の注意を喚起するほか、検査管理体制の充実を図ったところでございます。
  56. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)分科員 再発防止をきちんとしていただきたいと思います。  この例は阪神大震災前の例でございました。いよいよ阪神大震災が起きて、阪神大震災級の揺れにも耐え得るその耐震補強工事が今始まっているわけでございますが、この溶接についてちょっと議論を進めていきたいと思います。  この溶接がきちんとできているかどうかを調べるには二種類ございます。一つは表面を見る方法、浸透探傷とか目視検査、表面がきちんとしているかどうかで見る方法。それからもう一つは、表面の奥、中まできちんとくっついているかどうか、この二つの方法がございます。  この耐震補強の場合は、先ほど申し上げましたように地震時に引っ張り力がかかる、その溶接部で切れてはいけないということで、その母材部と同じ強度を保つ必要があるわけでございまして、中まできちっとくっついている必要がございます。先ほどの御答弁の中にも溶接厚が足らなかったというふうなお答えがございましたけれども、きちんと母材と同じ程度の溶接厚がある必要があるわけでございます。  そういう意味では、この耐震補強については中まできちんと見る検査方法を用いなくてはいけないわけですけれども、中まで見る方法としては、よく一般にレントゲンと超音波がある、これは医学と一緒でございます。しかし、この場合はレントゲンが、中身は柱でもう既にコンクリートがございますので、外から見るしかできませんので、超音波を使うしかないと思います。  今回の耐震補強工事、いろいろな会社、公団が施工しておりますので、一番多くやっている首都高速道路公団を例にとりまして、きちんと内部まで溶接ができているかどうかというその超音波探傷法を採用されているのかどうか、採用されているとしたら、いつごろから採用されているのかについてお伺いします。
  57. 佐藤信彦

    佐藤信彦政府委員 首都公団におきましては、従来から震災対策緊急橋梁補強事業の鋼板の現場溶接部の検査につきましては、溶接延長全線の目視と、それから薬液を用います浸透探傷試験による検査を実施してきたところでございます。ですが、先生おっしゃられているその超音波の探傷試験でございますか、これを昨年、平成八年の五月以降加えて実施しているところでございます。
  58. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)分科員 表面については初めから浸透探傷と目視検査をやってこられた、中がちゃんとくっついているかの超音波については平成八年五月からということでございますが、工事は平成七年から始まっているわけでございまして、この平成七年五月までに行った橋梁工事については、そうすると内部がきちんとくっついているかどうかは検査をしていないということになるかと思いますが、その橋脚数はどのくらいあるのか、またそれに対してはどのような処置をされるのかについてお伺いいたします。
  59. 佐藤信彦

    佐藤信彦政府委員 超音波探傷によります検査を八年五月以降行っているわけでございますが、それまでに施工を終えた橋脚としては三百五十基ございます。超音波探傷試験による検査を行っておりませんが、これにつきましては当時、目視と浸透探傷試験を実施して、必要な品質の確保が行われたというふうに伺っております。  橋脚の耐震補強の鋼板の巻き立ての現場溶接に超音波の探傷試験が用いられたのはごく最近のことでございますので、耐震補強としての必要とされる強度と超音波探傷試験の結果の関係について、必ずしも明快なことが得られているわけではございません。  そういったことで、こういった橋梁一般についてでございますが、現場の溶接が非常にふえてきております。そういったこともございまして、今後、橋梁の現場溶接の施工管理とか、それから検査方法について、専門家から成る検討委員会を設置して検討していく予定でございます。そういったことの中で、いろいろこういったことについての検討を踏まえまして対応していきたいというふうに思っているところでございます。
  60. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)分科員 先ほどの御答弁の中に、超音波探傷の結果欠陥が見つかったからといって、それが強度とどの程度の相関があるかはまだ必ずしも明らかではないというふうな御答弁がございましたが、実は探傷というものはそもそもそういうものでございまして、これだけの欠陥があるからその接全部の強度はこうなるということは、ほかの、例えば綿密に検査をしている原子力についてもまだ言えないことなのです。  ただ、そういう欠陥があるということは、溶接のその施工、溶接に限りませんけれども、その施工に不手際がある可能性がある、だからそれを事前につぶす、そういう意味で検査をしているわけでございますので、強度と関係がないから超音波探傷というのはそう無理やりしなくてもいいのだという先ほどの御答弁はちょっと違うかと思いますが、これについては議論しておりますと時間がなくなりますので、ちょっと先に進ませていただきます。  「鉄構技術」という雑誌がございますが、この昨年十二月号に、各公団また各会社で行われている耐震補強工事についてアンケートした結果が載っております。道路公団、首都高速道路公団、阪神高速、名古屋高速、福岡北九州高速、帝都交通営団、建設省関東地建、中部地建、そしてJR東海、この結果が載っているわけでございます。  JR東海を除く各公団公社、すべてこの鋼板巻き立ての工事の検査に超音波を使っておりますが、JR東海だけ、表面検査のみ、浸透探傷と目視検査だけということになっております。これで果たしてきちんとくっついているということ、大丈夫なのでしょうか。また、JR西日本、東日本はどうなっているのか、お伺いいたします。
  61. 白取健治

    ○白取説明員 まず、JRのJR東海以外の各社でございますけれども、JR東につきましては、東海と同様に、目視検査あるいは浸透探傷の全数調査を行っております。それから、西日本につきましては、目視検査は当然全数行っておりますけれども、浸透探傷につきましてはその一部についてやっております。これは非常に本数が多いということもありまして、浸透探傷については一部ということになっております。  それから、JR各社におきましては、これは民間会社として当然のことでありますけれども、工事発注の際、信頼できる業者を選定するということを大前提にしておりますし、発注後も品質が確保されるような十分な施工管理を行っているというような中で、工事中のチェックも各社ともきちんとやられておりますし、あるいは工事後、受取検査のときには、先ほど申しました目視と浸透探傷によって行っておりますので、現在のところ、我々としては大きな問題は生じていないというふうな認識でおります。
  62. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)分科員 施工管理をきちんと各工程でやっているから大丈夫なんだ、各工程できちんと施工管理をするのは当たり前でございまして、その結果出てきたものが果たして受け入れられるものなのかどうかという検査、やはりそれはそれとしてあるべきだと私は思います。  JRは民間企業でございますので、運輸省の指導がどれだけ行き届くのかどうか、私にはわかりませんけれども、JRという非常に安全が重要視される部門でございますので、今後御検討いただければ、このように思う次第でございます。  何度も同じことを言うようですけれども、この耐震補強工事はその溶接部の品質が非常にクリティカルである、そこが一番ポイントであるということでございます。建設省管轄のいろいろなこの工事は、税金が実際に使われております。その税金がむだにならないために、この溶接部の検査は、内部まできちんとくっついているかどうかという超音波探傷検査を標準化すべきだと私は思います。  何も全数やれ、やるべきだと言ってはおりません。極端なことを言えば、一%でも二%でもいいと思うのです。私も昔、技術者でございまして、いろいろな現場がございましたけれども、検査をするぞと言う場合としないと言う場合と、不良率が二けた以上違うという私自身の経験もございます。ですから、費用をかけなくていい、ただやると言うことだけで施工者の心構えが変わってくるということもございますので、この内部検査を標準化すべきだと思いますけれども、いかがでございましょうか。
  63. 亀井静香

    亀井国務大臣 私は、委員のような工学博士で大変造詣の深い方とは違いまして、専門技術的なことははっきり言ってよくわかりませんけれども、私も、阪神・淡路大震災が発生しましたときの運輸大臣でございました。施工者は大丈夫と言い、それの検査に当たった者も大丈夫だと言っておったのが、ああした被害に遭った、これは厳粛な事実であります。  そういう意味では、今運輸省の担当官がお答えしておりますけれども、JRの耐震補強につきましても私が当時指示をしたわけでございますが、委員のお話を聞いておりまして、やはり検査が重要であるということは論をまたないわけで、工事をすればいいというものではありませんから、きちっとしたことがなされているか、それについて、委員が御指摘のようなより的確にちゃんとしているかどうかを検査できる装置なり機械があるというのであれば、それをもって検査をするのは私は当然なことだと思いますので、建設省所管のそうした耐震補強工事について、委員の提唱しておられます、何というのですか、超音波、それを使ってやるように私どもの方からも業者に対しての指導をしていきたい。  また、運輸省、ちゃんとやらなきゃだめだよ。JRに対しても、そのようにきちっとやらせていきたいと思います。
  64. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)分科員 本当にありがとうございます。さすがリーダーシップのある大臣で、大変心強く思いました。  先日NHKニュースで、建設省の中に、この耐震補強工事の溶接の基準が各公団でまちまちだ、だから専門委員会を設けて検討するとの報道が七時のニュースで流れましたけれども、その概要と今後のスケジュールについてお伺いいたします。
  65. 佐藤信彦

    佐藤信彦政府委員 先ほどちょっと先生の御質問お答えした中に申し上げましたが、最近、橋梁施工、現場溶接の場が鋼床版とか結構たくさん出てきております。従来は工場製作でほとんど済んでいたものでございますが、そういったものもございますので、今回の溶接のことも含めまして、専門家から成る委員会を設けて検討していきたいというふうに考えております。  中身といたしましては、先生おっしゃられる検査方法、これも非常に大事な観点でございますが、むしろ、私ども現場を預かっている身としては、現場の施工管理、これがやはりペアとなって恐らく立派な構造物ができていくのじゃないかと私どもも思っておりますので、そういった施工管理と検査方法を中心に、そういった委員会を設けていきたいと思っております。時期もなるべく早く発足させて、結果を受け取っていきたいというふうに思っております。また、決まり次第発表させていただきます。
  66. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)分科員 どうかよろしくお願いします。  今度は、検査の発注の問題にちょっと移らせていただきますけれども、先ほどの「鉄構技術」のアンケートの中で、検査業務はどういう発注形式ですかという問いがございまして、すべて元請一括方式でございました。つまり、検査費用も含めてゼネコンに投げる、ゼネコンがその一括請負金額の中で検査を行って、検査技術者が行った報告書はゼネコンに上がってくる、こういう方式でございます。  これまで、建設省管轄の工事や公団の工事の中で、そうではなくて、ゼネコンとは別に発注者が直接検査事業者に検査を発注して、そのゼネコンが行った工事を検査して、その報告書を直接発注者が受け取ったという例はございますでしょうか。
  67. 佐藤信彦

    佐藤信彦政府委員 公団関係だけをちょっと調べておりますが、今まで検査業務をそういった工事請負業者以外の第三者へ発注するということは基本的にはないと伺っております。  ただ、例外的に、むしろ非常に高度な部材を使っての溶接とか、それから発注の溶接の範囲が物すごく大規模なものとか、そういうものについては直接専門業者に発注したという例は幾つかございます。
  68. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)分科員 私が聞いている範囲では、本四公団のあの架橋、児島−坂出ルートで使ったというふうに聞いております。これは多分、溶接がきちんとできているかどうかが本四架橋が落ちるかどうかのまさに生命線を握っていた、だからその検査はゼネコンに任すわけにはいかなかった、だから発注者が直接専門業者にきちんとした検査をやってくれということで発注をして、ゼネコンを経ずに直接その結果を見たということだと思います。それはまさに、溶接、その検査がクリティカルであったからだ、本四架橋の品質にとってクリティカルであったからだと思うわけでございます。  日本の公共工事の場合、責任施工という考え方でございまして、とにかく、品質保証も、品質管理も、一切含めて責任施工でやってくれということでございます。ですから、ゼネコンの方は、検査費用も含めて受注する、しかし現実には、できるだけ検査に費用は使いたくない、検査の費用を切り詰める、それでおざなりの検査を行ってしまうということが言われておりまして、これが日本において公共工事における手抜き工事の温床になっている、こういう声もあるわけでございます。  私は、責任施工というこの日本独特のやり方、決してすべて悪いと思いません。いい点もたくさんございます。しかし、こういう問題については、まさに品質にとってクリティカルな部分については、第三者検査といいましょうか、発注者が直接専門業者に発注をしてその報告を直接受ける、それでゼネコンを指導するということがこれからの公共工事にとっては必要なのではないかな、私はこのように思うわけでございます。  民間工事では既に、大きな工事の場合、設計事務所がその施主にかわって直接第三者検査を行うということもふえてきております。公共工事にこういう考え方を導入する、全く新しい考え方でございますが、大臣、いかがでございましょうか。
  69. 亀井静香

    亀井国務大臣 私は、やはり国民から預かっておる税金の執行でありますから、原則として発注者が責任を持って検査をするということであろうと思いますが、しかし、委員が御指摘のように、検査能力がない者が検査したってどうしようもない場合が起きてくるわけでありますから、建設省も時代の最先端の技術を常時身につけておるわけではございませんから、そういう面ではやはり謙虚に、いかにいいものを仕上げるかということであろうかと思いますから、そういう観点からは割り切って、委員指摘のようなクリティカルな問題とか、あるいは自分たちの検査能力を超えておると思われるものの発注に関しては、特別なそうした技術を持っている集団にそれをゆだねるということは、私はあってしかるべきだ、このように思います。
  70. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)分科員 大変前向きな御答弁をいただきまして、本当にありがとうございます。そういう考え方でいけば、私は、日本の土木構造物、建築構造物の安全性は格段に向上する、このように思っておりますし、施工管理もきちんとされる、このように思います。  最後に、建築基準法の改定についてお伺いいたしますけれども、現在、建築基準法の改定の作業が進んでいると聞いております。  建築基準法の場合、民間工事のバイブルになるわけでございますが、民間工事におきましても、今までのように、ゼネコンにすべて、検査も含めて元請一括方式ではなくて、第三者検査、利害関係のない第三者がきちんと検査をしてその建物の安全性を保証する、民間の建物でございましてもそこに不特定多数の人が出入りするということでございますので、こういう形で品質保証をする、こういう考え方を導入したらどうかと思いますけれども、いかがでございましょうか。
  71. 小川忠男

    ○小川政府委員 ただいま御指摘のように、建築基準法の抜本改正に向けまして、いろいろな点で一総点検作業を現在やっております。  その中の大きな検討テーマの一つが、今お話しございましたような工事監理の徹底でございますとか、あるいは、行政が行う検査ではございますが、中間検査あるいは完了検査、これをもう少しきちっとやるためにはどうすればいいのかというふうなことが論点の一つになっております。  いろいろな角度からの検討をやっておりますが、その中の大きな選択肢の一つとして、第三者機関といいますか、民間の企業になるのでしょうか、検査機関、検査会社、これをどう有効に活用する方途があるのかというふうなことも、極めて大きな問題意識として現在検討の俎上にのせております。  若干のお時間をいただいた上で、きょうの御議論も十分検討のベースにさせていただきたいと思います。
  72. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)分科員 どうかよろしくお願いいたします。  最後に、大臣、先ほど大変前向きな御答弁をいただいて、もうこれ以上言うあれはないのですけれども、私は、この議論を聞いていただいて、民間構造物それから公共構造物、両方、安心して住める構造物の安全というのは、今大臣の両肩にこれからうまくいくかどうかの当否がかかっているような気がいたします。そういう意味で、最後に、御決意を聞かせていただければと思います。
  73. 亀井静香

    亀井国務大臣 私は、公共事業、ただやればいいというものではない、防災的な観点を含めて、二十一世紀の我々の子々孫々の時代まできちっとたえ得るものを、本格的なものをつくっていかなければならない、このように考えております。  最近、コスト縮減論とかが非常に強いわけでありますが、総理からもコスト縮減をしろというきついお達しがございまして、我々も全力を挙げてこれと取り組んでおりますけれども、しかし、この議論が矮小化をされまして、ただ安くすればいい、安く発注をすればいいという安易な形で決着をいたしますと、私は、そうした安全面、品質面、いろいろな面で問題が出てこようかと思いますので、このコスト削減への努力も、そうした点をきっちりと見据えながら取り組んでいく決意でございます。
  74. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)分科員 終わります。どうもありがとうございました。
  75. 藤井孝男

    藤井主査 これにて斉藤鉄夫君の質疑は終了いたしました。  次に、北脇保之君。
  76. 北脇保之

    北脇分科員 私は、新進党の北脇保之と申します。  昨年十月の衆議院選挙におきまして、静岡第八区、静岡県浜松市の選挙区で初当選をさせていただきました。  きょうは、私の地元でございます静岡県の浜松市で二〇〇四年に開催される予定の国際園芸博のことにつきましてお尋ねをさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。  国際園芸博、これは名前のとおり園芸を中心とした水と緑、そういったものを国際的な一つの博覧会として提供しよう、こういうものでございます。この国際園芸博、どのような理念のもとに行われるか、その必要性を私なりに考えてみますと、大きく言えば二つあると思います。  一つは、非常に大げさな言い方をお許しいただければ、文明論的な意義があると思います。  もう今、技術革新が大変著しい、特にコンピューターの発達ということで私どもの生活が非常に人工的なものになってきている、そして環境も人工的である、今まで人類が経験したことのないような生活、そういう時代に入ってきている、そのことは言うまでもないことと思います。そういう時代であるだけに、私どもが自然の一部であるということをもう一度とらえ直す、そして身近な自然環境を大事にしていく、そういう中で人間がいつまでも人間らしく暮らしていく、そんなバランスをとっていくということが非常に重要なことであろうと私は思います。そんな意味で、そうした今の文明のあり方、そんなことをもう一度私どもが考えるきっかけを与える、そういう意味でこの園芸を中心とした博覧会の意義が一つあろうかと思います。  そしてまた、もう少し具体的に政策面で考えてまいりますと、やはりこうした花と緑、こういったことに着目していくというのは、いろいろな政策の分野に関連があると思います。  一つは町づくり。人工的な都市、そういうものではなくて、やはり花とか緑、そういったものを大事にして潤いのある住みやすい町をつくっていく、そういうことの一つの提案として花や緑の貴重さ、そういったものを一つの博覧会として提示をしていく、こういった町づくりの観点の意義が一つあると思います。  そしてまた、さらに別の角度から見ると、この園芸関係、農業、こういったものは、バイオテクノロジーの最近の発展などを考えれば、新しい技術革新の分野でもありますし、新しい産業につながっていく、こんな意味合いもあると思います。そしてさらに、園芸とか花の、生け花などを初めとして芸術の振興、文化の振興、こういった面でも大きな意義があると思います。  こうした政策の追求を通じて、大きく言えば我々の生活のスタイルを変えていく、自然と共生するようなそういう生活のスタイルに切りかえていく、これを政策的に進めていく、こんな意味でもこの園芸博の意義がある、そんなふうに私どもは考えております。  そして、国際園芸博というものが二〇〇四年ということでまだそれほど注目されてもおりませんし、政府の皆様方も余り詳しいことは御存じのない方が多いと思いますので、きょうは紹介を兼ねてということで御質問させていただいておりますので、私の方からの紹介が長くなること、ちょっとお許しをいただきたいと思います。  そういう考え方で行われる国際園芸博、内容はどういうことかといいますと、国際博というのはいろいろな種類があるということは御存じと思いますが、この博覧会は、国際的な博覧会としてやる部分と国内的な博覧会としてやる部分、これをあわせてやるというような内容になっております。  大阪で行われた花博のようなああいういわゆる万博というものま、この博覧会のランクづけでいうとA類の1ということで、これは非常に大きな、条約に基づいた博覧会ということになってくるわけでございますが、この静岡県で行われる国際園芸博はその次のランクのものでございます。A類の2ということで、国際的な博覧会であり、ある程度短期間で行う、こういう部分を核にしながら、その前後に、もう一つ下のランクになるB類の1という国内的な博覧会であり長期の博覧会、こういうものをかませていくということで、平成十六年の春から秋の六カ月間にわたって行われるというものでございます。  場所は、静岡県浜松市の庄内地区という、浜名湖の東岸の、浜名湖に向かって半島の形で突き出ている箇所、庄内半島というのがあるのですが、そこで行われる。会場の規模が五十ヘクタール以上、来場者の見込みが三百六十万人と見込まれております。開催の主体は静岡県、浜松市、そしてさらには周辺の市町や民間企業などから成る財団法人をつくってやろう、こういうことでございます。  この博覧会については、国際園芸家協会というものが中心になっておりまして、平成八年の九月に、この国際園芸家協会の総会で二〇〇四年の静岡県における開催が承認をされた、こういうことでございます。  このテーマは「花・緑・水〜新たな暮らしの創造〜」ということでやるわけですが、特に水という点では、この開催地の浜名湖、大変風光明媚な土地でございまして、国際園芸家協会の役員が事前に調査に来たときにも、大変すばらしい景観であるということで激賞したというところでございますので、そうした浜名湖のすばらしさというものも生かしながらの計画というふうになってまいるわけでございます。  以上、この博覧会について紹介をさせていただきました。  特に、もう一つ具体的なことをつけ加えておきたいのは、浜松の地域というのは産業都市ということで、楽器、繊維、それからオートバイ、自動車、こういった面が非常に有名なんですけれども、この浜名湖沿岸の地域では、園芸とか造園産業、そういったものも非常に盛んでございまして、平成年度の花卉の粗生産額を見ますと、全国シェアで五・五%を占めている、愛知県、長野県に次いで全国の三位を占めている、こういう県でもございます。特に、一つ一つの品目で見ていきますと、切り花ではガーベラとかフリージア、マーガレットとかそういったものは全国一位の生産を誇っている、こんな地域でございます。  そういうことで、こうしたことを生かしながら国際園芸博を行おうということで準備をしているわけでございますが、建設省におかれましては、このような園芸博の意義をどのように評価をされるか、このことをちょっとお尋ねをしたいと思います。
  77. 木下博夫

    ○木下政府委員 お答えいたします。  今先生の方からいろいろお話ございまして、あえて私からつけ加えるほどではないのでございますが、建設省都市局といたしましても、かねてからこの博覧会については注目しております。したがいまして、今後、県の方でいろいろ御準備なさることについてはできるだけのお手伝いをするということの姿勢は、基本に置いておきたいと思います。  翻って考えてみますと、今ほどお話ございましたように文明論まで私は申し上げるだけの能力はございませんけれども建設省には、ことしからスタートしております都市公園の五カ年計画という施設計画中心とした計画がございます。それ以外にも、緑の政策大綱というものを決めまして、これはお話ございましたように、単に施設の整備だけじゃなく、その他関連の事業も含めてでございますが、とりわけ民間の方々がやはりみずから緑を、あるいは潤いをつくることについて御努力いただいているところを再確認しながら、広い意味での緑の政策をこれから進めていきたいということをまとめておりますが、それの具体的なアクションプログラムを昨年の十二月に亀井大臣のもとでつくらせていただきまして、それをグリーンプラン二〇〇〇と銘打っております。これは申し上げた公園以外の、例えば他の河川あるいは下水道、そういう水あるいは緑という問題に対して関係するものをまとめておるわけでございます。  したがいまして、今回の静岡県が実施なさろうとしております二〇〇四年の国際園芸博も、そういう意味での建設省のいき方に大変私どもは符合していると認識しておりますので、ぜひ関係省庁とも御協力しながらやってまいりたいと思っております。  御案内のとおり、既に平成の二年でございますか、大阪で開かれました国際花と緑の博覧会も経験しておりますし、それから静岡県が予定されている二〇〇四年との間に、実は兵庫県の方で、開催時期は平成の十二年になろうかと思いますが、ちょうど二〇〇〇年ということでございましょうか、西暦二〇〇〇年にやはり国内で開かれます二番目の国際園芸博も開きたいと思っておりますから、そういう経験を一歩ずつ積み重ねる中で、ぜひ静岡県で開かれる園芸博も立派なものにできるように考えていきたいと思っております。
  78. 北脇保之

    北脇分科員 ただいまは大変前向きな御答弁をいただきましてありがとうございました。静岡県の国際園芸博、このプロジェクトが、今建設省の進められている緑の政策大綱に基づく政策、これにも合致するものというお言葉をいただきましたので、ぜひともこの博覧会の成功に向けて御支援を賜りたいと思います。  それで、具体的にお願いしたいこともこれからいろいろと出てくると思いますが、とりあえず今の段階でちょっとお願いしたいことを申し上げさせていただきたいと思います。  その一つは、建設省が毎年全国で行っていらっしゃいます全国都市緑化フェアというのがございますが、これは、その趣旨といったものが静岡県の国際園芸博覧会と本当に一致するものと思いますので、これを、この博覧会の開催の時期に合わせてこの博覧会の会場地において開催をいただけないか。そうすれば、またこの博覧会の内容が一段と厚みを増すということになってくるのではないかというふうに思います。二〇〇四年ですからまだ先のことではございますが、この点についての現時点での基本的なお考えをお聞かせいただければと思います。  そしてもう一つお願いということで申し上げたいことがございます。  それは、会場へのアクセスということでございます。これはまだ静岡県自体が、平成年度中に具体的に検討してアクセスの計画をまとめていこう、こういう段階でございますから、今の県の基本的な考え方を紹介するにとどめて、この点についてはぜひ念頭に置いていただいて、県の検討の進行に合わせてまた御支援をいただければ、こういう意味でお話をさせていただきたいと思います。  ちょっと地図がないと説明しにくいことで大変申しわけないのですが、先ほど申し上げました庄内半島というのは、浜名湖に突き出ているわけでございますが、これは浜松市の中心部から見ますと西の方に当たるわけです。ですから、ここへどうやって行くかという問題でございます。ルートは幾つかございますが、一つは、通称雄踏街道と呼ばれている浜松の中心部から雄踏町にかけての道路があるわけでございます。これが非常に狭くて、ただでさえ渋滞を来しがちであるということで、これを四車線化する、これがアクセス整備一つのポイントでございます。  そしてもう一つのポイントは、現在浜松市の中心部を取り囲むような格好で浜松環状線というのを整備中でございます。これが、この博覧会に関連する部分でまだ未整備部分がございます。それは、国道一号線のバイパスからいわゆる篠原地区というところに行く、そこの部分がまだ未完成でございますので、これを完成させることでその国道一号バイパスから北上していくような道をしっかり確保する。そしてさらに、その浜松環状線の真ん中辺からといいますか途中から庄内半島の会場に向かって最短距離で行くような、いわゆる西部放射道路と仮称している道路、これをぜひとも整備したい、こういうのが今の県の基本的な考え方でございます。  特にこの西部放射道路というものについては、浜松市方面から一つの内海みたいな感じになっている浜名湖の一部分を渡って庄内半島に行くという格好になるものですから、ここに千五百メートルの橋をかけるという必要が出てまいります。これについては、従来からこの地域の人たちにとっては浜松中心部と庄内半島の行き来の際にここに橋があったら大変便利だという悲願がございまして、この国際園芸博を契機に浜松環状線から庄内半島につなぐ橋をかけたい、こういう計画が今県の方で準備をされているところでございます。  話がちょっと前後いたしますけれども、国際園芸博の会期中の来場者は半年間で三百六十万人、ピーク時には一日十万人の人出が予想されるということでございますので、これをさばくためにも、今申し上げたいわゆる雄踏街道、竜禅寺雄踏線の四車線化、そして浜松環状線の国道一号バイパスから北上する部分整備、そしてまた今の庄内半島への架橋、橋をかけることを含めた西部放射道路、こういったものについてもぜひとも御配慮いただきたい。  これは、今、県の検討中の計画ということで、要望ということでございますから、特にどう対応するという御答弁は結構でございますが、先ほど申し上げました全国都市緑化フェアの開催のことについては御答弁をちょうだいしたいと思います。
  79. 木下博夫

    ○木下政府委員 一点目でございますが、全国都市緑化フェアでございます。これは御承知かと思いますが、昭和五十八年にちょうど大阪の服部緑地のところで第一回を開かせていただきまして、昨年といいますか本年度平成八年は富山でやりまして、都合十三回開いております。  ちなみに、本年第十四回は広島市で開くことになっておりますが、現在まで十七回、平成十二年まで開催会場が決まっておりまして、せんだっても大臣から平成十二年の第十七回の栃木県の方にも開催についての伝達をした直後でございます。  お話ございましたように、趣旨としては、全国都市緑化フェアにつきましては、都市緑化の意識の高揚とか、あるいは都市緑化に関する知識の普及ということを踏まえながら、一方では、先ほども先生からお話がございました地場の緑に関係する業界あるいは技術の向上ということもあわせてやっておるところでございます。私どもといたしましては、ちょうど今、二〇〇〇年までの開催地を決めたところでございますから、二〇〇四年となりますと、その間にまだ二つ、三つの開催会場をこれから物色していくわけでございますが、従来から、地元の強い御要請を受けながら開催会場を決めていくというプロセスを踏んでおりますので、県の方がぜひその際に全国都市緑化フェアも一緒にやろうじゃないかというお考えがあるとすれば、その間は御相談に乗れるのじゃなかろうかと思っております。  それから、先ほど、特に答弁を要しないということでございましたが、いろいろネットワークについてお話がございました。園芸博があるなしにかかわらず、静岡県全体を見ますと、全体的には全県域は三つぐらいに私はエリアが分かれるかと思いますが、そういう意味では、一番西のエリアの中心としての浜松市の位置づけというのは大変大きいと思っておりますので、話が少し外れますが、駅周辺の区画整理事業ども今精力的に建設省として進めさせていただいておりますし、お話のございました道路関係事業も一部は既にやっておりますけれども、博覧会場にアプローチするといいますかアクセスする道路については、まだまだこれからいろいろ、パーソントリップその他の交通需要もはかりながら地元を含めて検討するという段階でございます。現在の状況をあえて申し上げますとそういうことでございます。
  80. 北脇保之

    北脇分科員 ただいまは道路整備のことにまで踏み込んでのお答えをいただきまして、ありがとうございました。  おっしゃるとおり、浜松は静岡県西部の中心ということでございます。市域も大変広くて、今申し上げたような浜名湖の方まで含んでいる。非常に市域が広いものですから、ともすると周辺部分へのアクセスが十分でない、そういう問題がございます。広い見地で、この博覧会を契機に道路網の整備をぜひともお願いをしたいというふうに思います。  そこで次に、私は次に申し上げる点は意見として申し上げようと思ったんですが、時間がございますので、大臣に御答弁をいただければと思います。  というのは、本日、私は地域の問題を取り上げて質問させていただきました。そういうときに非常に一つひっかかってくるのは、今の選挙制度が小選挙区制度であるということです。国政の問題を論じるときには、小選挙区制の中でいろんな意見を闘わせて、そこで与党、野党に分かれてくる、そういうことは当然なことで、これはもう制度の予定しているところと思います。しかし、地域の問題になると、与党であれ野党であれ、地域の皆様の幸福を願いその地域の発展を願う、こういう点では何も変わるところはないというふうに思います。  しかし、国政を見たときには、確かに、政党政治というのは政権をめぐって争うというのが本質でございますから、政権をとった与党が政権を与党の考えで使っていく、自分たちの考えを実現するために政権を運営していく、これはまた当然なことだと思います。しかしそこで、先ほど申し上げた地域振興ということになってきた場合に、与党、野党といういわゆる国政をめぐるものと違う局面がある。そのことを考えますと、この地域振興の問題、そういったことについては広い国土の国土政策というような見地から客観的な目で公平な資源配分を、政府にいろんな資源が、税金であれいろんな形で資源が集中するわけですから、その配分を客観的、公平にやるということでぜひともお願いをしたいと私は思います。  この点について、建設大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  81. 亀井静香

    亀井国務大臣 委員指摘のように、国政レベルの政治とそれぞれの自分が選出されている地域の発展、二つの課題を抱えて議員というのは出てくるわけでありますが、国政がいわば一党一派に偏する形で地域政策を推進するというようなことがございますと、政権がかわるごとに大変な混乱が自治体との関係でも起きてまいるわけであります。選挙の前は選挙に勝つためにいろいろと言いますけれども、やはり戦いが終わり国民の審判が出ました以上は、一体となって、国土をどう均衡ある形で発展をさせていくかということについては力を合わせていくべきだと私は思いますし、政府はそういう立場で行政を展開をしていくべきだ、このように私も考えております。
  82. 北脇保之

    北脇分科員 ただいまは大変頼もしいお言葉をいただきまして、ありがとうございました。先ほど建設省当局の担当の方のお話も、緑の政策大綱ということで進めていく中で、この静岡県浜松市の国際園芸博、これは方向が合致しているからきちんと対応していくというお話もございましたので、あわせて、本当に前向きなお考えということで受けとめさせていただきます。  そういうことで、私本日お聞きをしたかったことは大体尽きているわけでございますが、最後にちょっと申し上げさせていただきますと、先ほどもちょっと触れましたが、浜松というのは、もう本当に産業の発展という点では全国でもまれに見るすぐれた土地であると思います。というのは、浜松市の場合は、先ほど申し上げたような楽器とか繊維とかオートバイ、自動車という産業が外から誘致で来たわけではなくて、すべてが内発的にその場で展開をしてきた、このことに私は非常に誇りを持っております。  非常に古くさかのぼれば、天竜川の木材業があって、それの中から楽器の木材部分も出てきていますし、そしてまた繊維産業の中、綿関係の繊維というのは非常にもう浜松は盛んであったわけですが、そういう中から織機が出てきて、豊田佐吉さんなんかも非常に浜松で活躍された方でございますが、その織機産業から自動車といいますか、まずオートバイが出てきて、そのオートバイから自動車が出てきている。そして、楽器の方からは半導体、電機関係の方も今や出てまいっておりますし、そういう非常に内発的な産業展開がされている大変すばらしいところです。しかし、今いろいろ経済構造の変革ということもありますので、やはりそういうことだけではなくて、今度の国際園芸博で取り上げられるような緑とか農業、園芸、こういったこともあわせて振興していく、こういうことが大事と思っております。  そしてもう一つ大事なことは、浜松を一つの例として言いますと、今まで物づくりの町で来ましたけれども、これからは国際的な交流をやっていく、その中で新しい産業を伸ばしていったり町の発展を考えていかなくちゃいけない、そういうことが本当に大事になってくると思います。その意味で、浜松の地区では今まで国際的なイベントというものはございませんでしたが、それを今度、国際園芸博ということで世界各地からお客様をお呼びして浜松のそうした産業の集積を知っていただくと同時に、この浜名湖の大変風光明媚な自然環境のよさ、こういうものを知っていただく。浜名湖というのは、地元の人間というのは余りにも身近で余り宣伝をしないんですけれども、大変入り組んだ湖岸線がきれいなところでございますし、内海で湖面も静かな、船とかヨットとかそういうマリンスポーツ、それから釣りにも大変適したすばらしいところでございますので、こういったものも大事にしながら世界に向かっていろいろ情報発信をしていく、そういうところにこれからの地域の発展があると思っております。  ちょっと地元のことばかりを申し上げましたけれども、本当にこれは、一つの国土の中における地域振興の例ということにもなろうかと思いますので、そんな意味を込めて地域振興の今後のあるべき姿、私なりの考えを申し上げさせていただきました。  重ねて申し上げさせていただきますが、先ほど建設大臣からも、そういう国土政策、地域政策に関しては公平な立場で力を合わせてやっていくという御趣旨答弁をいただきましたので、これからもそういう趣旨で、地元の方も頑張ってまいりますが、国の方からもぜひとも御支援お願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  83. 藤井孝男

    藤井主査 これにて北脇保之君の質疑は終了いたしました。  次に、松本和那君
  84. 松本和那

    松本(和)分科員 千葉県の七区であります、ちょうど江戸川、利根川に囲まれた地区から自由民主党で出ております松本和那でございます。  実は、亀井大臣が運輸大臣のときに、地下鉄八号線の延伸の決定をされました。大変地元では神様ぐらいに思っております。そういうことと、きょう、新総合土地政策推進要綱が二月に閣議決定されましたが、その問題の中に調整区域の問題がございますので、そして河川問題について、地元の問題としてお尋ねいたします。  しかし、土地問題というのは、この間、都心部の容積率の大幅な増加という形でもって大臣が決定をされまして、新聞に報道されました。この問題につきましては、私も建設委員でございますので後ほどまた質問させていただきますけれども、実は、この市街化調整区域の開発問題につきましても、過去の経緯の中から見てまいりますと、ここでもって本当に決断を下さなければならぬ問題がたくさんあるわけでありますけれども、決断と実行力のある大臣でございますから、ここではっと決断されてしまいましても、なかなか土地問題はややこしい問題がございますので、私の質問は全部局長さんにお答え願って、ひとつお休みいただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  まず、今申し上げました新総合土地政策推進要綱の発表がされまして、地価の抑制から土地の有効利用という形でこれから新しい土地政策が始まるわけでありますけれども、これから、土地の所有から有効に土地を使っていこう、そういう時代になってきた、どうやらバブル以降の地価もだんだんおさまりつつありますし、ある意味では、ちょうど六年ぶりに要綱の見直しがされて、時期的にも大変時宜を得たというふうに考えております。しかし、そういう中でやはり、私ども特に千葉県の、都心に近い首都圏の地区に住んでおりまして、今まで市街化調整区域というものは非常に問題になってきているということでございます。  御承知のように、昭和四十三年に都市計画法が新しく施行されて、市街化区域と市街化調整区域に分けて、市街化を図るべき地区とそれからまた抑制していく地区に分けられて今日の都市計画法が施行されてきたわけであります。その見直しも昨年あたりから、今各市町村でもってマスタープランを土台にして新しく都市計画法が運用されていく時期を迎えてきたわけでありますけれども、実際は、今市街化調整区域というのは、首都圏の中で土地の非常に少ない、開発地域の少なくなった土地の問題として、これは避けて通れませんし、そういう問題を、もう一回ここで過去の経緯というものをしっかりと見直ししつつ、これからの土地問題に当たっていく必要があるだろうということで質問をさせていただきたいというふうに思います。  その調整区域、今実は困っておりますのは、そういった開発をする開発予備軍の地域なのか、それとも、建前どおり保全をするのかということの中で、ちょうど都市計画の聖域でありますこの地区が、今本当に、性格づけをはっきりしないと大変まずいところに来ているのではないかという気がいたします。  そういう中で、調整区域というのは、農水省の農地法との問題があって、建設省だけではなかなか難しい問題でありますけれども、特に今回、周辺環境との調和のとれた計画的な住宅宅地の整備を推進し、あわせて、東京圏等における都市計画の広域調整を踏まえ、周辺地方公共団体における住宅地開発の抑制の方針についての見直しを図る、今回の土地政策推進要綱にこういうふうに明記されているわけでありますけれども、今申し上げたように、ちょうど四十三年から、長い、三十年弱にわたって、都市計画法の中でもって市街化調整区域のあり方というものを、どうもいま一つはっきりしない性格のもとで運用されてきたということでございますので、今反省を込めながら、こういった経緯をもう一回とらえるという意味でもって、まず第一点目に、市街化調整区域内での住宅開発というものをどのような方針で今まで進めてこられたのか、お尋ねしたいというふうに思います。
  85. 小鷲茂

    ○小鷲政府委員 おただしの市街化調整区域における開発方針、従来どういう経過をたどってきたのか、こういうおただしでございますが、おただしの意味は、いわゆるある程度まとまった開発という意味だと思いますので、そういう点に論点を絞って申し上げてみたいと思います。  先生御承知のとおり、都市計画の制度は、いわゆる市街化区域と調整区域の線引き制度で支えられておるわけでございまして、調整区域につきましては、将来の開発に備えて当面は開発を抑制する、市街化を抑制する地域、こう位置づけられているわけでございます。  そういった中で、原則的には開発が禁止されるわけでございますが、ある程度規模のまとまった自立的な市街地として他に悪影響を及ぼすことのないような形で開発ができるであろうというものについては、一定の場合に認めようという制度になっております。  具体的に言いますると、二十ヘクタール以上のまとまったもので、将来の都市計画地域全体の市街化に悪影響を及ぼさないようなものであれば許可ができる、こういう仕組みになっております。この点につきましてま、その後、昭和五十八年に、もう少し弾力化をせよという要望もございまして、二十ヘクタールという要件を都道府県の判断によりまして五ヘクタール以上まで下げることができるという制度改正をいたしております。  こういう制度改正をたどってまいったわけでございますが、運用の実態を申し上げますと、都市計画法制定以来、残念ながら、総体的に言って、開発には抑制的な運営がされてきたと判断せざるを得ないのではないかと思っております。これは、開発許可のみならず、いわゆる大都市地域の人口急増に対応しまして地元市町村の財政負担が急増する、これに伴いまして市町村自身も開発を抑制する、こういう風潮があったわけでございまして、これが開発許可にも影響を及ぼしている、こういうことではないかというふうに思っておる次第でございます。  ただいまは、新しい土地対策要綱をお引きになって、今後の対応についてお話もございましたけれども、そういう中にあって、私ども建設省といたしましては、地価対策という意味もありまして、終始、調整区域の秩序ある開発のお願い関係都府県にしてまいったわけでございますが、必ずしも十分成功しているとは言えない実態がございます。  しかしながら、例えば、昨年、いわゆる大都市法の改正をさせていただきましたけれども、こういった機会にも、今後は、地価の安定を見ておる状況でもあるので、自治体みずからが積極的に町づくりをするという視点から調整区域における開発問題を考えてほしい、こういったことをお願いをいたしておる次第でございます。  今後、そういった視点で都道府県の理解を得ていく努力が必要なのではないか、このように考えておる次第でございます。
  86. 松本和那

    松本(和)分科員 二十ヘクタールが五ヘクタールあたりに大分緩和されたという経緯はわかります。実はこの都市計画法の、特に調整区域に対する扱いの法律というのは、緩和時期というのが二つあったと思うのですよ。一つは、一九七四年に議員立法で、既存宅地の確認制度というものをつくって、そこで一たん緩和する。それから、八二年から八三年ぐらいにかけて、今の都市計画法三十四条の十号の扱いですね、一号から九号まで、こういうものはできますよ、だめですよというのが大体書かれているのですけれども、十号のこの扱いというのは、非常にあいまいといいますか余りはっきりしていない。  実は十号のイというのは、これは大規模面開発で、特に市町村がいろいろな意味でもって地域振興のために大学とか研究所とか、そういったものを誘致して地域活性化を図るというような形の中から、そして特に首都圏は市街地では土地がもうないという中で調整区域を選んでそれを進めてきた。  それからまた、十号のロというのは、これは個別開発、俗に言う既存宅地、既存宅地団地みたいな形で進められてきた法律だというふうに思いますが、その中で、建物について非常に、建てていいんだか、各自治体とも可能性ありと、市街化調整区域だから開発してはだめだという建前はあっても、可能性ありというような形でもって、別に完全に否定はしていないわけであります。  これはどういうことかというと、やはり都道府県が、国の方が権限の移譲をしている関係から、各自治体でこの扱いについては非常に千差万別の形になっているわけでありまして、この辺のことを考えて、この首都圏において、一都三県で結構ですから、法三十四条の十号のイに当たる開発許可制度、運用というのは各県ともそれぞれどんな形でやってきていたのか、ちょっとお尋ねしたいと思います。
  87. 小鷲茂

    ○小鷲政府委員 お尋ねになりました首都圏の一都三県の実態について私ども調べておりますが、かなり抑制的な中にも微妙に県によりまして扱いが違っておりまして、相対的に言うならば、埼玉県がやや住宅開発について緩いかな、こんなことも言えるのではないかというふうに思います。  細かいお話になって恐縮でございますが、せっかくのお尋ねでございますので個別に申し上げてみますると、例えば千葉県の場合には、二十ヘクタール以上の開発につきましては、工場でありまするとか研究所、流通業務施設、こういったたぐいの業務用施設と住宅とのセット開発でなければ認めないということを言っております。しかも規模につきましては、制度上五ヘクタールまで選択できるわけでございますが、十ヘクタールということで、立地につきましても、既存の市街化区域あるいは調整区域内の既存の集落に近接している立地でなければならない、こういった扱いになっております。  埼玉県におきましては、市街化区域に、全体の開発区域の周長といいますか周りでございますが、それに四分の一以上接していなければならない、こういう基準を持っております。さらには、二十ヘクタール以下の規模のものにつきましては、県北では認めるけれども県南では認めないといったような方針を持っております。  それから東京都でございますが、東京都の場合には、多摩地域の自立都市形成に資するようなものであれば認める、こういう扱いになっております。  それから神奈川県につきましては、原則的には認めないという大変厳しいものになっておりますけれども、研究機関あるいは大学の立地、こういうものであれば一定規模の緑地をとればよろしいということになっております。ただ、これも規模が小さくなりますると、同じような業務機能であり、かつ緑地率が五〇%以上と、条件が厳しくなっている、こういった扱いになっております。
  88. 松本和那

    松本(和)分科員 事ほどさように、各県ともそれぞれの裁量権で、首都圏の中でこの扱いが非常にばらばらだ、まちまちだということが、ある意味では市街化調整区域のあり方を非常に複雑にしてしまったということだと思います。  それからもう一点、この法三十四条の十の口、個別開発、既存宅地についてですけれども、これは七四年の議員立法の形で制定されて、その後この既得権者の利益の保護ということ、この土地の扱いというのはそれがどうしても一番問題になるわけでありますけれども、特に問題になるのは、この地域が調整区域で用途地域が定められていないために、もう御承知のように建ぺい率が七〇%、容積率が四〇〇%、商業地と同じなんですね。  特にリゾート法が五、六年前にバブルのときに施行されたときに、千葉県なんかでも、都市計画がされていない白地地区というのは同じなんですよ。市街化地域よりいい容積率。そのためにマンションが乱立して、社会資本整備、公共施設なんか全く追いつかない。これがリゾート法、バブルが消えてなくなったので、この扱いというのは落ちつきましたけれども。  要するに千葉県でもそういった地区はなるべく制限しようということでもって随分規制をして受け付けるような形で指導をしているのですけれども、それでも大体建ぺい率五〇%から六〇%、容積率も一〇〇から二〇〇くらいの基準で許可されている、こういう経緯があるわけですね。  それからまた、分家住宅というような形でここに既存に土地を持っていた人がこれを第三者に売っても、その後これを転売した場合に、果たしてそれがまた建てかえるときに許可になるのかというような問題も抱えていて、今日に見えないところでこういった調整区域の扱いについて非常に問題になっているわけであります。  そこで、首都圏でこの五年間でこれらの大規模面開発、十号のイ、それからまた個別の開発、これはどのくらいあったのでしょうか。それと、また首都圏四十キロ圏内で市街化調整区域の面積というのは今どのくらいあるのか、その二点、ちょっとお尋ねしたいと思います。     〔主査退席、高鳥主査代理着席〕
  89. 小鷲茂

    ○小鷲政府委員 一都三県におきます都市計画法三十四条十号イ及びロによる開発許可の過去五年の実績でございますが、合わせてトータルでいいますると、過去五年間で二万一千七十八件の件数がございます。このうち、御指摘の三十四条十号イによるものが二十七件でございます。したがいまして、この差、圧倒的な部分が三十四条十号のロによる許可であるというふうに言えると思います。  なお、御参考までに、十号イによります二十七件のうち三件が住宅用途の開発であるということでございます。  それから、市街化区域面積のお尋ねにつきましては、都市局長の方からお答えさせていただきます。
  90. 木下博夫

    ○木下政府委員 一都三県の市街化調整区域についてのお尋ねでございますが、市街化調整区域は全体で四十二万ヘクタールございまして、ちなみに、線引きされております都市計画区域全体が七十五万五千でございますので、おおむね五六%を占めているかと思います。  念のためでございますが、全国的に見ますと、市街化調整区域のシェアが線引き区域の中の七三%でございますから、まあこの一都三県につきましては、全国平均に比べますと、地域の事情は当然ございますけれども、多少少な目という感じをいたしております。
  91. 小鷲茂

    ○小鷲政府委員 申しわけございません。ちょっと私質疑の取り違いをいたしまして、冒頭件数で二万一千七十八件と申し上げましたのは調整区域全体の許可件数でございまして、このうちイとロに分けますと、ロの件数は一万八千五百二十一件でございました。訂正させていただきます。一万八千五百二十一件でございます。
  92. 松本和那

    松本(和)分科員 まあ、大変いろいろな扱いの件数があるわけでありますけれども、実は今回の新しい土地政策要綱の中でこういった調整区域にも地区計画をかぶせて、そしてまた一方では集落地域整備法を当てはめながら運用をしていくということで、大変前向きな形になってまいりまして、大変期待をいたしておりますが、簡単で結構ですから、この地区計画と、特に集落地域整備法、これは農水省との関係がありますけれども、この辺の調整をどういうふうにやるのか、ちょっとお尋ねしたいのですが。
  93. 小鷲茂

    ○小鷲政府委員 地区計画を決める作業は、実は都市局の方でやっております。後ほど都市局長から御説明いたしますが、その後で開発許可を受けなければなりませんものですから、まず、そちらの方からお話をさせていただきたいと思います。  先ほど、冒頭申し上げましたように、調整区域の基本的な性格は、将来に備えて予備軍としてとっておく、こういうところでございますので、地区計画を決めれば無条件で全部それが許可対象になるかというと、必ずしもそうでない場合がございますが、なるべくならば、都市計画で積極的に計画が決められたところについては、いわゆる計画的な開発と考えて開発許可ができるような方向に持っていきたいというふうに考えておりまして、具体的には現在お答えするわけにいきませんけれども、そういった考え方に基づいて今農水省そのほか関係省庁と調整を進めておりまして、早急に結論を得たいと考えております。
  94. 木下博夫

    ○木下政府委員 今経済局長お答えしたことに若干補足させていただきますが、まさに、先般来、建設省では都心の居住問題をやっておりますが、先生の御質問の大半は、周辺部における調和のある整備ということでは、やはり農村地域も一部含みながらの整備ということは当然あろうかと思います。そういう意味では、先般からやってまいっております集落地域整備については、我々も、農水省と十分調整をやっておりますし、さらに重ねて、今後も、その法律の趣旨を踏まえて、要件の緩和等々やっていきたいと思っております。
  95. 松本和那

    松本(和)分科員 ありがとうございました。  これは自分の考えですけれども、バブルのときの全国的な地価の高騰というのも、よく考えてみますと、実は都心部、国際化のためにオフィスビルをつくるというような形で、本当に都心三区ぐらいの問題だったのですね。それが、政策的にちょっとおくれたこと、それから税制の問題等でもって全国に波及してしまった。  調整区域の問題も、土地の有効利用といいますけれども、これからの有効利用というのは、実は、箱をつくることじゃなくて、住宅をつくることじゃなくて、やはり環境整備、いろいろな意味で公共施設をつくって、そして大きく、また美しくて、緑のあるというような宅地、そういった住宅をつくっていくのが私は有効利用だというふうに解釈するのです。  ですから、まず手始めに首都圏三十キロ圏、さっき四十キロ圏の数字を聞きましたけれども、三十キロ圏ぐらいにまず絞って、今度は中核都市と三大都市圏になっておりますけれども、絞って、そこの中でもって、地区計画、集落地域整備法、こんなものを活用しながらやっていったらどうなのかなという気がいたします。  大体、地方の方は、整備新幹線を考えていただいてもわかるように、大事なのは地価問題よりも経済問題なんですよ。ですから、その辺をひとつお考えいただければというふうに思います。  あと、時間がございませんので、地域の問題で大変恐縮でございますけれども、江戸川のスーパー堤防事業についてお尋ねいたしたいと思います。  今、河川と人のつながりというのは、もう切っても切れない時期になってまいりました。特に、私、地元の野田でございます。野田市の座生地区は、おかげさまで今、このスーパー堤防を中心にして区画整理事業が進行中でありますけれども、これができ上がっても、堤台地区というのがございまして、やはりこの辺のきちっとした整理ができませんと、下流部分で冠水になったときに、野田市の市街地全体に大変影響が出るということでございますので、まず第一点目に、現在の地点から野田橋までの距離約七百メートル、面積十五ヘクタールぐらいですが、これを延長できないかという点が一点であります。  それからもう一つは、野田は、利根運河というのがあるわけでありますけれども、そこに江川三ケ尾地区というのがございます。ここも非常に堤防が弱くなっているので、その辺の地区のスーパー堤防の整備ができないか。  この二点についてお尋ねしたいと思います。
  96. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 ただいま先生お話をいただいております、いわゆるスーパー堤防でございますが、堤台地区、これは、御指摘のとおり、現在行っております座生地区の直下流の部分でございますし、三ケ尾地区、利根運河のところでございます。本川及び利根運河全川におきまして、スーパー堤防整備計画をしておるところでございます。  それで、このスーパー堤防を進めるに際しましては、河川単独ではできませんので、区画整理事業とあわせて実施をさせていただくという形で、現在まで整備を進めてきておるところでございます。  今お話しの堤台地区と三ケ尾地区、それぞれの地区におきまして、区画整理事業を進めるべく、組合設立準備会が既に結成をされたというふうに承知をしておるところでございます。  この両地区の区画整理事業と積極的に調整を図ることによりまして、治水施設の整備と町づくりが一体となった良好な水辺空間が形成されるよう、これからも全力を挙げていきたいと存じておるところでございます。
  97. 松本和那

    松本(和)分科員 時間がございませんので、大分質問通告をしてあったのですが、一つ重点的なものだけお尋ねいたします。  十六号バイパスでございますけれども、御承知のように、千葉東葛道路地方の高規格道路として第十一次五カ年計画の中で年度内で決定されるということで、大変喜んでおります。  問題は、このバイパス道路を、柏市内を避けて常磐道柏インターチェンジから沼南の方につくる予定となっておりますが、実際は、インターチェンジよりも先、野田地区の方での混雑が物すごいということでございますので、このバイパスをひとつ野田の方まで延伸できないかということでございます。それについてお答えいただきたいと思います。
  98. 佐藤信彦

    佐藤信彦政府委員 国道十六号におきます柏、野田周辺の交通混雑に対応するために、千葉柏道路というバイパスの調査を現在行っております。この中には、先生おっしゃられた野田の区間も含まれております。これを含みまして、二十八キロの十六号の大規模バイパスでございます。  現在、調査を促進しているところでございますが、環境影響評価準備書案の取りまとめを行っているところでございまして、ここら辺の関係機関との調整が終わり次第、都市計画決定の手続、それから、それに続いて事業化を進めるといった方向で、今、少しでも早くということで進めているところでございます。
  99. 松本和那

    松本(和)分科員 大変ありがとうございます。ぜひその辺の御検討をいただきまして実現できるよう、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  通告ではまだ、江戸川の水上バスの舟運事業の概要についてとか、あるいは江戸川の緊急用河川敷道路の問題がありましたけれども、時間がございませんので、これらはまた委員会の場でさせていただきたいと思います。大変ありがとうございました。
  100. 高鳥修

    ○高鳥主査代理 これにて松本和那君質疑は終了いたしました。  次に、春名直章君。
  101. 春名直章

    春名分科員 日本共産党の春名直章でございます。四国ブロックから選出をさせていただきまして、徳島県木頭村の細川内ダムの問題を中心質問させていただきたいと思います。  細川内ダムの問題に入る前に、ダム建設一般に当たっての質問ですが、建設予定地の地元自治体の合意なくしては、ごり押しするとか推進するということはありませんというふうに私は理解しておりますが、それは間違いございませんね。
  102. 亀井静香

    亀井国務大臣 ダムの建設は、委員も御承知のように、治水ダム、多目的ダム等いろいろございます。建設省が手がけますのは、別に、予算を伸ばしたいとか消化したいとかということでやるわけではございませんで、それぞれ必要性があってやるわけであります。その地域の自治体の協力がなければ、建設をしていくということはなかなか困難であることは事実でございます。  しかし一方、ダムの目的によっては、水没とかその周辺の自治体だけの利益というよりも、もっと広域的な利益を目的としてダムをつくる場合もあるわけでございまして、そういう意味では、ある意味では犠牲を払っていただく地元の方々に対して、公共的な見地から御協力をいただきたいという粘り強いそうした働きかけをしていくという場合も間々あるわけでございます。  願わくは、自分の生活の向上を願わない者はだれもおらぬわけでありますけれども、やはり広い意味地域全体の幸せのために、自分が場合によっては公共のために犠牲と言ったら言葉があれでございますけれども、奉仕をするという観点からの協力が必要である、残念ながら今の日本はそういう気持ちがだんだん薄れてきておるということは今後の日本を考えた場合非常に問題ではないかな、私はこのように思っております。
  103. 春名直章

    春名分科員 私が聞いているのは、地元の自治体の合意は大前提である、犠牲があるのだったら、広域的なあれがあればそれはもう犠牲を払ってでもやらすのだ、そういう意味ですか。
  104. 亀井静香

    亀井国務大臣 今法律的な立場は、委員御承知のように、いろいろ手続をきっちりと踏んでいくという形にもなっておるわけであります。  しかし私は、法律的な手段があるから、地元の方々の真の理解が得られないにもかかわらず、場合によっては機動隊によってそれをやっていくというような乱暴なことを言っているわけではございません。地元の理解、合意を得る努力を粘り強くしていかなければならない。ただ、広域的な目的があるわけでありますから、今反対を一部の方がしておられるからやめたというようなことをやっていくわけにもまいりません。粘り強い活動が必要であります。
  105. 春名直章

    春名分科員 では、広域的な利益ということは後でお話ししましょう。  二月の六日の予算委員会大臣は、私の在任中に細川内ダム建設については結論を出したいというふうにおっしゃいました。早期に結論を出すつもりだというふうにも述べていらっしゃいます。  そこで、地元の姿を見てみますど、私も何度も木頭村の村長さんともお会いしてお話をしてきたのですけれども、御承知のとおり、一九九一年に木頭村の村議会では細川内ダム建設計画の白紙撤回要求決議が上げられています。御存じですね。一九九四年には木頭村ダム建設阻止条例が制定をされています。圧倒的な村民がこれは絶対に村の衰退になるということを含めて反対しております。  しかも大事なことは、一九九五年七月二日付の徳島新聞によりますと、細川内ダム建設に賛成という県民が二四%、反対が四一%という新たな世論調査の結果も出ています。つまり、木頭村民だけではなしに徳島県民の中でもダム建設に反対する声が今多数派になっている。このことをこういう調査は示しているわけであります。  それで、こういう大きな怒りの声に、御存じのとおり、その先頭に立って村長、議長さんはダム審議会に参加をしておりません。そういう態度をとっていらっしゃいます。  ですから、亀井大臣が私の在任中に結論を出したい、早期に結論を出したいというふうに述べているということと結びつけて考えれば、在任中に村民そしてそれを代表される村長さんの態度が変わらない限り、中止をするという決断もあり得ますね。そのことを明確にお答えいただきたい。
  106. 亀井静香

    亀井国務大臣 私は、先ほどもお答えしましたように、良識のある委員でございますから御理解いただきたい。その村の方の幸せのためにだけそうしたダム等、公共事業をやるということであれば、その村の方々の多数決で嫌だと言われるものを我々が牛のよだれのように引きずるというのはおかしな話だと思います。しかし、これは多目的ダムでございまして、下流における洪水、何度も起きていますね、委員御承知のように。そうした洪水を防ぐ。  これは別に建設省のためにダムをつくるわけじゃございませんで、用地を提供される方々の幸せもさりながら、下流の大勢の方々が洪水に遭わない、そうしたためにこのダムがどうなのかという視点も当然必要なわけでありまして、そういう意味で、下流が洪水の被害に遭うという危険性が他の代替的な手段をもってもこれが防げないということであれば、その村の方々に粘り強く御協力くださいという努力をしていくのが私は建設省立場だと思うのです。これは御理解いただけますね。  私が言っておりますのは、下流のそうした洪水を防止するというような観点、他の利水というような観点から見てほかに代替的な方法が、住民の方が反対されるのであれば代替的な方法があるのかないのかというようなことを含めて、私は総合的な判断を出さなければならない。  残念ながら審議会にも参加していただけない、私はこの態度は余りよくないと思いますよ。やはり出られてきっちりと意見を述べられればいいわけで、ぜひ委員、村長さんにお出になってくださいということを御説得いただくぐらいな国政への御協力はいただきたいと私は思うのですね。出られて、反対意見を堂々と述べられるのなら述べられたらいいと思うわけでありまして、やはりそうした民主的な手続、ルールをみんなで大事にしていくということがなければならないと私は思います。  そうした御意見等も踏まえて、私が最終的に判断をいたします。     〔高鳥主査代理退席、主査着席〕
  107. 春名直章

    春名分科員 民主的な手続とおっしゃるのであれば私は反論しておきますけれども、このダム審議会はダムを推進する先頭に立っている県知事が任命するのです。その中に一人一人だれを決めるかという中身がありまして、地元の議長さんと村長さんも入れなければならない、こういうふうになっているわけです。学識経験者の人とかいろいろな方を入れるわけですが、それを任命するのは県知事さんですね。(亀井国務大臣「当たり前だ」と呼ぶ)当たり前だと言うけれども、それが問題だと村長は言っているのですよ、だって、推進しているのですから。  そういう議論があって村長さんは、議長さんも含めて、ここの議長さんは日本共産党の議長さんでありましたけれども、こういうところに出て、みんながそういう議論をして推進していくというふうになるのは困る、だから反対だという意思をはっきり示すために私はその審議会には入らないという原則的な立場で頑張っていらっしゃって、それが村民を励まして、県民を励ましている。そして、そういう世論が今生まれてきているわけですね。  そういう点はちゃんと見てもらわないと、村長さんだけが悪い、民主的じゃない、そんな言い方をされるのは心外です。そのことははっきりしておきたいと思います。
  108. 亀井静香

    亀井国務大臣 ここであなたと民主主義に関する論争をやろうとは思いませんけれども、しかし、村民の代表である村長さん、議会の代表である議長さん等にお入りをいただいて、そこで御意見を述べていただくということは私は非常に民主的なルール、手続だと思いますよ。そういうところに出ないことが反対の意思表示をする有効な手段だということであれば、私はこの世の中、そうした話し合いの場所を設けるということが事実上機能しなくなると思いますね。  私は、あなたが推奨しておられるのではないとは思いますけれども、やはりそういうところへ出てお話し合いをしていただくという、私どもはそれでちゃんとした反対意見をされればこれにきっちりと耳を傾けるつもりでありまして、何度も申し上げますように、今全国のダム予定地等につきましても、いろいろな条件が変わってきておる場合、それを現時点において見直すということで私は四つ中止をさせておりますよ。そういう意味で、かたくなな態度でおるわけではありません。  建設省のためにダムをつくるわけじゃございませんで、人命、財産等あるいは国土を守るためのダム建設をやっておるわけでありますから、それについてはやはり地元の方々のお気持ちももちろん我々としては一つの判断材料になるわけでございますから、ぜひひとつそういうルールだけは守るように、日本共産党及び委員は御指導賜りたい。
  109. 春名直章

    春名分科員 ある新聞に木頭村の林業をずっとやっておられる六十歳代の女性の声が載っていたのですね。それを読みましたら、僕はびっくりしたのですけれども、ダムができるのか、水没してしまうのか、このことを考えなかった日は一日たりともない、もうやめにしてくれ、やめるというふうに言ってくれたらどんなにすっきりするだろうというような文章も載っていました。そういうことも考えていただきたいわけです。  今大臣がおっしゃられましたけれども、私が言いたいのは、この細川内ダムの必要性そのものについて建設省の皆さんが今どう認識されているのかということであります。その必要性がないということを、そういう論拠があるから、村長さんもそれから県民の皆さんも、多くの人が反対を今は表明しているのであって、そのことをこの場所でよく議論していきたいと思います。  細川内ダムは、治水、利水、これを目的にした多目的ダムですね。そういう計画ですね。それで、今後見込まれる水需要の増加について、徳島県から受けている報告、どうなっているか御報告ください。
  110. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 細川内ダムは、委員御承知のとおり那賀川水系の治水と、そしてこの水系の利水をあわせました多目的ダムでございます。特に、この地域におきましては、平成元年、二年、五年、六年、七年と連年のように取水制限を強いられるという状況にあるわけでございまして、既得用水の安定化を図るということも大変大事な仕事だというふうに考えております。  それで、お尋ねの新規利水についてどう承知をしておるかという点でございますが、私ども徳島県からお聞きをしておる状況で申しますと、工業用水につきましては、阿南の臨海地区等に対しまして日量約三万立方メートル、水道用水につきましては、阿南市等の要望に基づきまして日量約二万立方メートルの参画希望があるというふうに承知をいたしておるところであります。
  111. 春名直章

    春名分科員 その数字はどのように妥当なのかという点の御検討の結果をちょっと聞かせていただけますか。
  112. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 私どもは、水需要につきましてはそれぞれその地区の責任者であります県の知事あるいは市町村それぞれの長の皆さん方の御要望に応じて計画に盛り込むという形で対応しておるところでございます。それぞれの責任者におかれましては、その部分について相当の負担額を負担をした上でダムに参画をするということでございますので、それぞれ将来の見通しをお立てになった上で算定をされておられるもの、それを私どもはそのままに受け取らせていただくという立場でございます。
  113. 春名直章

    春名分科員 建設省としては、その中身の価格性というものは確認していないということですね。そういうことですね。それでいいのかということも私は問われていると思いますが……。
  114. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 私どもが確認をしているかしていないかということではなしに、それぞれの責任者が負担をするということを覚悟の上でお決めになっておる数字でございまして、それを私どもはそのまま受け取らせていただくというのが筋だというふうに思っております。
  115. 春名直章

    春名分科員 二十数年間たってもなかなかこれが着工にまでもいかないというところには、例えば今お話があった水需要という問題でも、今建設省に連絡があっているその三万トン、二万トンというのが本当にそのまま受け取っていいのかどうかということなども吟味するべきだと思うのですね。  例えば、工業用水について私もちょっと調べましたけれども、徳島県の企画調整部統計課が毎年発表している「徳島県の工業」という冊子がございます。これを見ますと、その二万トン、三万トンというものの対象になっている阿南市、それから那賀郡の相生町、那賀川町、羽ノ浦町、それからこの数字は鷲敷町もちょっと入っているのですが、この四つの町ですけれども、従業員三十人以上の事業所の用水量の変化というのが出ています。  一九八五年から九四年までの十年間で約一・一二倍、用水量がふえております。これは県の調査です。しかし、回収水を除いた工業用水として使用した量は一・〇四倍で、ほとんどこれはふえておりません。しかも、現在の回収率は、一九九四年度ですが、四一・五%という数字が出ています。  通産省に来ていただいているのですが、工業用水の回収率の全国的な平均はお幾らでしょうか。
  116. 乾敏一

    ○乾説明員 お答え申し上げます。  工業用水の使用水量に対します回収水量でございますけれども、これは年々上昇をいたしておりまして、業種でございますとか使用目的、それによりまして若干異なってまいりますけれども平成六年で企業種の平均回収率七六・八%、約七七%に上っておるものでございます。
  117. 春名直章

    春名分科員 この地域は回収率が比較的低い製紙業が多いそうですから、これをそのまま当てはめるわけにはいかないわけですけれども、全国平均までとはいかないだろうと思いますけれども、少なくとも回収率を五割程度まで引き上げるというふうにすれば、今必要水量の一五%は削減することができるということになります。こうした企業の皆さん方の努力も進めていただくということも求められております。  それから、現在那賀川流域における工業用水の取水実績ですが、細川内ダムに関する意見交換会で県から提出された資料を見ましても、一九九三年度ですが、水利権量の約五四%しか使っていないという数字が出ています。ですから、工業用水の供給というのは、こういう数字から見ますと、現状で十分賄えると私は考えますが、いかがでしょう。
  118. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 工業用水あるいは上水道の水源をいかに確保するかというのは、私は、過去のトレンドからの物の見方とともに、将来その地域の開発をどうするかということを見越した、まさに政策的な面と両方絡んでくる問題だというふうに考えております。  そして、水の確保の問題というのは、世界的に見ましても持続的な発展の可能性を決める最後の制約条件になるのは水だということも言われております。そういう中で、将来の水需要をどのように確保していくかというのは、まさにそれぞれの行政の立場の衝に立たれる方の非常に大きな政策判断、決断だというふうに私は存じております。  そういう中で、現時点において、徳島県としては先ほど私が申した数字でお考えになっておられるというふうに受けとめておるところでございます。
  119. 春名直章

    春名分科員 私が言った中身については反論はされませんでした。そういうふうに聞いておるという話だけだったと思います。  水道用水についてお聞きします。  細川内ダムの工事事務所と徳島県が出しているパンフレットがございます。このパンフレットですけれども、ここのパンフレットの十三ページに「上水道の日最大給水量の伸び」というのがグラフに出されています。これは九二年までのものがありますけれども、この表を指して水需要が水道用水の方も大きく増大するかのような描き方がこれは意図的にされているわけです。  しかし、日最大給水量というのは、このグラフでは一市三町、それぞれの上水道が最大の給水をした日の給水量を、それぞれ別の日のものを合計して出したものです。水需要の予測を図る一つの指標にはもちろんなり得る一つの指標ですが、これだけで生活用水二万トン必要だという根拠はどこにもありません。  厚生省にお伺いしますが、対象となっている自治体で最も人口の多いこの阿南市、五万八千人おりますが、阿南市について八九年度から九四年度までの上水道の給水量の実績、これがどのように推移しているかを教えてください。
  120. 浜田康敬

    ○浜田説明員 お答えいたします。  先生お尋ねの阿南市の水道事業の一日最大給水量の実績でございますが、平成年度から申し上げますと、平成年度約二万九千八百立方メートル、一日当たりでございます。以下単位は同じでございますので省略させていただきますが、平成年度二万八千百、平成年度二万八千九百、平成年度二万九千八百、平成年度三万六百、平成年度二万九千三百というふうに徳島県から入手した資料で把握をしております。
  121. 春名直章

    春名分科員 お聞きのとおり、上水道の供給量もこの六年間で多少でこぼこはありますけれども、大きくふえるというような見通しが立てられるようなものは余りないわけですね。  そして、調べてみますと、給水人口は八六年から九五年の十年間で見ますと、〇・九四倍と逆に低下をしている傾向もあるわけであります。だから、ダムを建設してまで新たに水源を確保しなければならないような水道用水の需要の増加が生まれるというはっきりした根拠は到底生まれないような状況になっていると私は思います。  先ほど大臣の方から治水ということもお話がありましたけれども、この治水の問題でもいろいろな議論があるわけですね。ダムがあるためにむしろ浸水が広がってしまったというような例も、下流にある長安ロダムの訴訟の判決の文章の中で、例えば、浸水の被害は、長安ロダム下流域における降雨と長安ロダムからの放流が原因しているものと推認せざるを得ない、このようなダム訴訟の控訴審の判決の文章もあります。  だから、きょうは治水ということもまた話をすると大変な時間がかかりますのでできませんけれども、この利水という問題、水需要という問題一つとってもこれだけ根拠があいまいなものなんですね。それもちゃんとしっかり皆さん見ていただいて、そういうものに四十五億円この間使っておるわけです。そして今度も四億円立てるということになっています。  公共事業の見直しということが、大臣、総理大臣も聖域にしないということもおっしゃって、今それが国民的な関心になり、怒りにもなっている面もあります。公共事業全部悪いというふうに私も思いません。しかし、むだなものはちゃんと削っていくというのはどうしても大事です。  そして、これからの河川行政ということで考えてみても、ちょうどきょう建設省の皆さん、政府は、河川管理の目的に河川環境の整備と保全、水質や景観や生態系などを保全していくということを、治水や利水だけではなしに新たにそれも加えて改正していくということを閣議決定をされておられます。  そういう立場に立とうというのであれば、本当にそのことを本気でやろうということであれば、まさに今具体的に問われているのが、私はこの細川内ダム建設の問題だと思います。これをぜひ大臣、決意をしていただいて、中止をするというふうに言明していただきたい、いかがでしょうか。
  122. 亀井静香

    亀井国務大臣 今国会に提出いたしました河川法につきまして御理解をいただき御賛成をいただきまして、大変心強く思っております。  細川内ダムの件でありますが、今まで私が申し上げておりましたように、今日この時点において、やはりダムを建設するといたしますと大変な犠牲をその地域の方にお願いをしなければならぬことは事実であります。  私はダムの予定地に生まれた者であります。子供のときから大変な反対運動が行われるさなかで育ったわけでもございます。湖底に沈んでいくということに対する精神的な面あるいは生活面でその地域の方々が大変な不安を持つことは、私自身が体験をしておることでありますから、できることであればそうした犠牲を払っていただかなくて治水なり利水の目的を達するということがいいということは当然のことだと私自身が思っております。  そういうことでありますので、治水、利水の面で、今委員状況が変わったというようなお話がございましたけれども、我々といたしましては、今後知事、地域の自治体の方々とその問題についても、ほかに代替的な方法があるのかないのか、あるいは利水についての今後の見通しその他について突き詰めて、どうなんだ、地域経済発展という面からもそういうことを総合的に私どもは一緒に検討をしていかなければならない、このように考えております。  その地域の方が、村長さんが審議会に出てこなかったからおかげでダムができなかったというわけにはまいりません、はっきり申し上げまして。私はそういう立場をとるわけではありません。また、委員がこの委員会でしつこくやめろやめろとおっしゃったからやめるという立場をとるわけにはまいりませんし、逆に私がむきになって継続してやれという立場をとるわけじゃございません。  先ほど申し上げましたように冷静に、大変に犠牲を伴うことでありますから、今日この時点、治水、利水という観点から建設すべきかどうかということをやはり我々としては検討をしていかなければならないということは、前から言っておるとおりであります。
  123. 春名直章

    春名分科員 犠牲が必要なものがある場合もあるというふうにおっしゃるわけで、だから、きょうも時間が短いのであれですけれども、本当に必要だという説得力あるものがあれば、それを示したらよろしい。しかし、その論拠は、一つのこれは利水だけですけれども、私は今お話ししたようにないということもあります。それをぜひ参考にしていただいて真剣に検討をしていただきたいということを心からお願いをしておきたいと思います。  時間がありませんので、最後に一言それにかかわる問題で質問させてもらいます。  同じく木頭村民の切実な要求で、この細川内ダム建設との絡みで、その近くを通っている国道百九十五号線、この改良の問題についてであります。  木頭村の西宇というところから折宇という間の約四キロメートルが未改良のまま放置されてまいりました。これは細川内ダム建設に伴って水没予定とされているということから、本腰を入れて改良に取り組んでこなかったところであります。  木頭村からの報告によりますと、この未改良区間で過去に少なくとも五件の人身事故があって、そのうち三件は死亡事故となっております。  私、今度の質問を準備するに当たって調べてまいりましたが、最新の情報ですが、九五年の十月以降だけでこの未改良の道路の範囲で六件の事故が発生をしています。人身事故は二件です。幅が三メートルにも満たない現状がありまして、救急車などの緊急車両の通行にも非常に支障を来すという懸念の声も上がっている状況であります。非常に危険なわけです。  それで、今どういうふうに進捗をされているのか、来年度計画はどうかということと、私は昨年の七月二十九日に日本共産党の山原健二郎衆議院議員も参加して建設省の皆さんと交渉したとき、建設省の方は、大型バスがすれ違えるようにはしたいと考えている、現在の位置でできる限り早く重点的に整備したい、このようにお答えになっております。  ですから、今待避所の設置ということで特殊二種ということでやられているようですけれども、それにとどめないで、二車線道路として抜本的な改良をぜひ進めていただきたい、このことをぜひ要望したいと思いますが、いかがでしょうか。
  124. 亀井静香

    亀井国務大臣 先ほど申し上げましたように私自身がダム予定地に生まれたわけでありまして、私どもの近辺で、予定地であるがゆえに道路整備しないという状況が長く続いてまいりました。そのことについて、それはやはり理不尽だ、ここで生活をしておる以上は、そうした勝手に予定をされて、そこで生活道等の整備がされないということはあってはならないということで、私は当時の知事とも話をいたしまして、建設省にも話をいたしまして、ダムの予定地にしておってもそうした面についてはきっちりと整備をすべきだということで今やっていただいておりますけれども、基本的にはやはりそこに住んでいる方々が現におられる以上は、生活面についてきちっとした道路行政もやらなければならない、このように基本的に考えております。
  125. 春名直章

    春名分科員 時間が来ましたので、終わります。ぜひよろしくお願いしたいと思います。
  126. 藤井孝男

    藤井主査 これにて春名直章君の質疑は終了いたしました。  次に、西田猛君。
  127. 西田猛

    西田(猛)分科員 新進党の西田猛でございます。  きょうは朝早くから大変お疲れさまでございますが、いま少し、私は、大臣それから政府委員の方に対しまして、全体的な、経済構造改革あるいは財政改革、それから予算編成システムの変革などなどについて御質問をさせていただきたいと思っております。  まず、建設大臣にお伺いしたいのですけれども、今、経済改革あるいは財政改革と、いろいろな改革が叫ばれております。そういう中で私思いますのは、一番の抜本的な問題は、やはり我が国の七十七兆円にもなんなんとする今の予算が、日本の国あるいは国家の基なのではないかなというふうに考えておるわけですね。その中でも、特に予算の中で公共事業の大半を占める建設省におかれては、いろいろな意味予算の編成をしてこられているのだと思います。  そこで、お聞きしたいのですけれども、とかく建設省における公共事業予算予算の編成の仕方というのは、例えば河川費ですとか道路費ですとか何々費とかいうことで、各費目ごとに毎年少しずつ同じ率だけ伸びていくという、いわば増し分主義といいますか、そういう査定がなされてきているし、要求官庁である建設省としてもそういうことをしている。  それはなぜかというと、それぞれの費目に対して、それぞれの民間の業者さんもいらっしゃいますでしょうし、それに対する役所の方の連携もありまして、あるいはそれに対する国会議員のつながりもあって、例えば道路建設費だけがぽんと伸び率が高ければ、ほかの費目を所管しているところ、あるいはそれに関連する議員さんたちから、何であそこだけ伸びてうちはこんなに伸びないんだというふうな話も出るというようなこともあって、各費目ごとに同じような率ずつ伸びてくるということが今まで行われてきたのではないか。そういうことが予算の、特に公共事業関係予算の硬直化を招いてきているのではないかなという指摘が多々なされているわけでございます。  そこで、所管される建設大臣とされて、平成年度予算も見据えて、今の建設省予算編成のあり方、それから、今後どのようにしていけばよりよく国民のためになる公共事業予算が組めていけるのかという点についてお伺いしたいと思うのです。
  128. 亀井静香

    亀井国務大臣 御指摘のように、各省庁、何も建設省だけではなくて、前年度をいわば踏襲をして、お互いの局間のシェアも変えないでいくのが平穏だということで、そうした予算編成になる嫌いがあることは否定できません。委員指摘のように、やはり国家的な観点から、当面何に重点を置くべきか、そういうことからシェアというのは変えていくのが私は当然だと思っております。  私は、運輸大臣のときは、概算要求のときから大臣をしておりましたから、思い切って、御承知のようにシェアを変えて大蔵に要求いたしました。私は、大蔵省に言いましたことは、民間企業でいえば、こちらは事業部だ、あなたたちは経理係だ、事業部がどういう事業をやるかという価値判断をして予算編成をして出したんだから、経理係が勝手にこれをどうだこうだといじってもらっては困るということを大蔵に対して申し渡したわけでありまして、我々は事業官庁としてのプライドを持って予算編成をしなければならない、このように私は考えます。  今、それぞれぶら下がっている議員がとかいう話がございましたが、私は、実態面で申し上げますと、新進党がどうか私は知りませんけれども、自民党と予算関係を見ますと、例えば道路局の予算を専門に応援する議員がおるとか、河川局を応援する議員がおるとかという状況ではございません。ある意味ではオールラウンドでありまして、議員というのはオールラウンドプレーヤーだというように考えていただいていいと私は思います。  むしろそういうことの弊害よりも、私も役人もいたしておりました、そういう経験からいいますと、役人の陥りがちな弊害というのは、自分の属しておる局なり課の予算をいかにふやすかということに血眼になる、また、職員の定員をいかにふやすかということに血眼になって、それがうまくいった局長なり課長が腕がいいという評価がされるというような、非常に単純なことですね、ある意味では。非常に単純なエネルギーが、今委員が御指摘のように、なかなか局と局と、あるいは課と課との間のシェアを変えにくくしているという、非常に単純な理由だと私は思います。  ただ、そういう意味で、今建設省は、そうした局益だとか省益とはもう決別をする、明治維新政府の役人になったつもりで一もう建設省はなくなるのですからね、御承知のように。もう農林省もなくなるでしょう。大蔵も、十一月末までには新しい国家機能に基づいた省庁の再編成をやるわけです。しかし、その中でも建設行政は、残るというよりもっと重要になってくるわけでありますから、建設行政を将来どう伸ばしていくか、その観点から、組織のあり方はどうすべきか、また予算はどうすべきかという観点で今建設省の役人は取り組んでおりますから、局益だとかそういう形で来年度予算に対応することは絶対なkgそういう意味で私は、次官以下を大変信用し、信頼をしております。
  129. 西田猛

    西田(猛)分科員 ただいま大臣お答えいただいた中で、私、大変示唆に富んだお話がいろいろあったのだと思うのです。そのうちで、言うならば各省庁を事業部にお例えこなられて、大蔵省、なかんずく主計局だと思うのですけれども、それを経理担当だと。それで、我々が一生懸命仕事をするのだ。おっしゃるとおりだと思うのですね。国の中において、事業官庁もそれから各省庁も、あるいはさらに、実際に仕事をする地方公共団体も、これが一番の、営業の第一線部隊だというふうに思うわけですね。それに対して、今おっしゃったように、言うならば奥座敷に鎮座ましましている主計局の方たちがああだこうだと言うこと、これは確かにいろいろな問題をはらんできていたのだと思います。  そこで、今申し上げた予算編成システム全体の中でのお尋ねになるのですけれども、そういう主計局主導型の予算編成のあり方、これは明治以来百年続いてきているわけですけれども、何とかもっと活力のある、国民のためになる本当の予算をつくっていくためにはどういう予算編成システムのあり方が望ましいと、政治家亀井大臣はどのようにお考えになられますでしょうか。
  130. 亀井静香

    亀井国務大臣 私はまず、国家の財源には限りがあるわけでありますから、トータルとしてどの分野にどれだけ使っていったらいいのかというトータルの決定をしていく必要があると思います。それを必要性に応じて積み上げるというのも一つ考え方でありますけれども、財源が無限にある場合にはそれも有効であろうと思いますけれども、財源が限られた場合、御承知のように公共事業費を削るべきだという大合唱が今起きておりますけれども、果たして、子々孫々のために社会資本整備するという観点でそういうことを本当にやっていいのか。社会保障費、文教予算あるいはODA、いろいろな分野があるわけでありますが、そういうことについてトータルな政治判断が、やはり財源が限られているときにはなされていくべきだ、私はこのように思います。そうした中で、社会資本整備、この程度使おうということであれば、その中で重点的に、建設省はなくなるかもしれませんが、道路、河川あるいは都市関係等、ではそれをどういう形で使っていくのかという判断をそれぞれの省でやっていくということでいかざるを得ないのではないかな、このように私は思っております。
  131. 西田猛

    西田(猛)分科員 最初にお話になられたことと二番目のお話で、ちょっとトーンが落ちてしまったのかなと思って残念なのですけれども、また三番目のお答えでトーンを上げていただけることだと思います。  その前に、自民党におかれても恐らくそうだと思いますけれども、新進党においても各予算ごとに特別の議員が、また私はぶら下がるという言葉を使っておりませんので、そのような特定の結びつきを持った議員がいるということは事実としてありませんし、まだそういうことがあってはならないことだというふうに考えております。  ということは、大臣は行く行く予算編成のあり方としては、一省であるところの、憲法で言えば内閣に予算編成権があるということにはなっておりますから、もしそれを変えるならば、例えば国会委員会があるとかいうことであれば、これは憲法の改正なりが必要になってくるのだと思うのですけれども、そういうことであれば、予算編成の政府の中におけるやり方としては、やはりだれかが最終的には総合的な調整をして一つ予算に、九年度なら七十七兆円にまとめなければいけないわけですけれども、それの取りまとめはだれがやったらいいというふうにお考えでしょうか。
  132. 亀井静香

    亀井国務大臣 私は、閣僚が国務大臣という立場で徹底的に議論をしていくべきだと思いますね。そうした中で一つの結論を出していくということだ、それについて総理が最終的な判断を下すということだと思いますね。
  133. 西田猛

    西田(猛)分科員 今のお話は大変示唆に富んだお話だと思います。  それから、実際にやはり事業を行っていく現場の地方公共団体の役割が非常に大きいわけですけれども、特に建設省におかれては大きな公共事業費を所管しておられて、各地方公共団体に対する補助金がかなり多くあると思います。  そこでお尋ねしたいのですが、今のところ予定でしょうけれども平成年度建設省予算に占める地方公共団体あるいはその他の団体に対する補助金の金額及び割合はどの程度になっておられますでしょうか。
  134. 小野邦久

    ○小野(邦)政府委員 お答え申し上げます。  平成年度建設省予算における地方公共団体への補助金等でございますけれども、これは全体が三兆三千四百六十七億円でございまして、補助金全体の八四%ということでございます。ちなみに、補助金の全体でございますけれども、三兆九千七百七十二億円余ということになっております。
  135. 西田猛

    西田(猛)分科員 そのそれぞれの補助金には、やはり補助金の本質というのは、日本国全体におけるナショナルシビルミニマムを維持するために、日本のどこへ行っても同じような、ひとしく皆さんが公共サービスを受けられるというための促進剤だというふうに私は考えておるわけですけれども、そういう意味合いで、それぞれの補助金は大きな役割を持っておるのだと思います。その中で、国が関与する補助金なり国が関与して促進していかなければいけない事業も、これは厳然としてあると思うのですね、背骨になるような高速道ですとか。  しかし他方、地域地域において総合的に勘案して、その地域の住民の皆さん、直接的には住民の皆様から選ばれた市長なりが考えて、そして実施していくということにもうお任せをしておいた方がいいこともたくさんあるのではないですか。これはもう昔からなされている議論だと思うのですね。ですから、あらゆる補助金を国がということじゃなくて、一括してお渡しする、そしてどうぞ使ってくださいという一括交付のやり方に進化していってもいいのじゃないか。あるいは、さらに進めて、地方交付税の算定品目をさらにふやしてもう交付税化してしまってもいいのではないかなという議論が多々あると思うのですけれども大臣はこれについてどのようにお考えでしょうか。
  136. 亀井静香

    亀井国務大臣 私は基本的には委員のお考えのとおりだと思います。  ただ、問題は地方分権、そうした権限を移していくにいたしましても、もっと広域化を含めて、受け皿がきっちりとしてまいりませんと、例えば市町村道にいたしましても、その町や村だけをその道路は通っておるわけじゃございません。隣の市町村ともつながっておるわけでありますから、そうしたものの道路を、各市町村がここまではやります、でも隣の町はやりませんというようなことでは、道路はつながっておるわけでありますから、河川にしても同様であります、そうした問題をなくして、その地域が自分たちのために何を整備したらいいかということを一体となって考えて、住民にとっても不都合のない形でなっていくような、いわば地方の受け皿といいますか地方自治の受け皿、これがやはり前提ではないかなと私は思います。  そういうことがちゃんとしていけば、建設省が何も市町村道に補助金を出すことはないわけでありまして、また交付税等の措置でやって、自主財源を自治体がつくって自主的に判断すればいいということもあろうと思いますが、今申し上げましたように、今のように非常に細分化された市町村、またてんでんばらばらの考え方を持ってやられるような状況がある地域については、住民が大変迷惑をする場合も起きてこようかと思いますので、国がそういう広域的な調整機能を含めて今そうした仕事をやっているというのが現実ではないかなと思いますね。
  137. 西田猛

    西田(猛)分科員 今のお話の中で出てまいりました地方公共団体の方の受け皿という問題でございますね。これは今まさに私お尋ねしようかなと思っていた点なのですけれども、非常に大きな問題だと思います。特に一つの例を申し上げますと——今おっしゃった中で非常に市町村の単位が細分化されている、それぞれで物をお考えになられておる、もちろん勝手ではないと思うのですけれども、整合性がとれていないといいましょうか、そういうことがあると思います。  例えば、私の地元で申しますと、選挙区でいいますと、かつて大阪第三区という選挙区がございまして、これは定員五名の非常に大きな地域でした。ここには七つの市がございます。市が七つありまして、町が三町ございました。これらは北摂というふうに大体総体的に言われておりまして、職員の採用についても一つの試験をやっております。七市で一つの試験をして、そして合格された方については合格された方の希望で何々市、何々市とそれぞれ個別の面接を受けて採用されるというふうな一つの広域市町村圏的な考え方でやっているわけなのですね。もちろん今回の小選挙区になってそこが四つに分かれたわけです。  そこで、一つの、そういう意味では大臣も言われた地方公共団体の方の受け皿という観点からの実例としてお尋ねをしたいのですけれども、私ども地元の方で、今大阪府の茨木市と箕面市にまたがりまして国際文化学園都市という一つの町づくりが計画をされています。それから他方、さらにそれの西隣の箕面市と豊能町にまたがりまして、今度は水と緑の健康都市、エージレスタウンと言っておりますけれども、どんなお年寄りでも安心して住めるというふうな町づくりが行われております。このように大阪府の中では珍しくまだ大規模な開発がこの北摂地域の方で二つながらに残っているわけなのですね。これら二つの都市開発地域開発、これは非常に私どもも注目をしていることなのです。  ちなみに申し上げますと、国際文化学園都市の方は、専ら事業主体は住都公団等と民間企業でございます。それからいわゆる水と緑の健康都市の方は大阪府の企業局でございます。それぞれに対してやはり都市計画地域開発について重要なことは、その地域に対する都心部との総合的な交通網の整備だと私は思うのです。  そういう意味で、今ありますのは、大阪市内から北へ延びております国道四百二十三号線というのがございまして、バイパスが今箕面の山の手前でとまっております。これを、やはり山を抜かないことには新しい地域開発に対するアクセスができないという状況がございまして、平成年度予算では事業費ベースでしたか、十五億円が予算計上されておるところでございますけれども、この四百二十三号線のバイパスの今後の進捗状況について、それから完成見込み等についてお聞かせ願いたいのが一つ。  それから、そのバイパスは終局的にはいわゆる第二名神国道、第二名神高速道路の箕面インターチェンジというものに接合されるというふうに聞いておるのですけれども、その第二名神国道、高速道路そのものの今の進捗状況あるいは完成見込み等についてはどのようになっているのか、都市計画観点も含めてお尋ねしたいと思うのです。
  138. 佐藤信彦

    佐藤信彦政府委員 一般国道の四百二十三号の新御堂筋の延伸を私どもの間では箕面道路というふうに言っております。これは現在の道路の交通混雑の緩和とか交通安全確保といったようなことと、それから地域の振興プロジェクトがお話のように大分ありますので、こういったものに対処するために、第二名神の箕面インターチェンジにつながる七キロの間の道路として整備を始める段階でございます。  これは、平成八年八月に、地域高規格道路として整備区間の指定が行われておりまして、今年度から延伸部として事業化する予定になっております。  今後、これら地元の皆様の御理解と御協力がなくては道路整備というのは進みませんので、プロジェクト等の調整もありますが、そういったところを円滑に進めて整備促進していきたいというふうに考えております。  それから、高速道路、つながるところの第二名神高速道路の方でございますが、これは、昨年末に開催された第三十回の国幹審におきまして、第二名神高速道路については、箕面から神戸までの二十二キロの整備計画が決定されております。  当該区間につきましては、公団がこれから調査並びに予備設計を行いまして、その調査、調整が完了でき次第建設大臣からの施行命令をいただくといった形で事業の実施に取りかかることになっております。  事業実施から供用まで、そういったことで、施行命令が出てからそういったことが進められますが、最近の実績としましてはおおむね十年から十二年ぐらい、これはあくまでも平均でございますので、早くできるところもございますし、もっと時間のかかるところも、これは地元での対応、用地とかそういった対応がございますので、その中でこのくらいの期間で大体平均的には行われているといった状況でございます。  そういったことで、今後、整備等を高速道路についても進めていきたいというふうに思っております。
  139. 西田猛

    西田(猛)分科員 その地域の開発についてもう一つ大きなポイントがありまして、それは余野川ダムというものなんですけれども、これがやはり、それらの地域の開発について水の供給源等になり得るのですが、なかなかこの開発がおくれているというふうに私ども聞いておるのです。  地域開発についての観点から、この余野川ダムの進捗状況についてお聞かせ願えればと思うのです。
  140. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 今お話ございました余野川ダムでございますが、これは猪名川総合開発事業の一環、この猪名川総合開発事業というのは大変珍しい事業でございまして、下水処理水の再利用をしながらダムと組み合わせて水資源開発をする、水需要の非常に逼迫した地域での非常に新しいタイプの施設といいますか、事業計画だというふうに考えておるところでございます。  お話のとおり、昭和五十五年に実施計画調査に着手して以降大変時間がかかっておりましたが、平成七年十月に用地の補償基準を妥結をいただきまして、現在、特定公共用地先行取得融資制度も組み合わせながら、大車輪で用地の買収に当たらせていただいておるところでございます。  このダム自体が、水と緑の健康都市、エージレスタウンの非常に大きな役割を果たすということも十分承知をしておるところでございますので、なるべく早く完成できるように全力を挙げたいと考えておるところでございます。
  141. 西田猛

    西田(猛)分科員 今お答えいただきましたように、国が関与しておられる各種の大きなプロジェクトの中でも、地域あるいは地元地方公共団体及び住民の皆様の協力なくしてはやっていけないわけでございますので、今後とも、大きな公共工事は国のプロジェクトでございましょうけれども地方公共団体を活用しながらの公共事業の進め方について意を用いていただければなというふうに考えております。  そのような中で、二十一世紀に向けて、今全体的に日本がどうも元気がないではないかということが言われているわけですね。本当に二十世紀末だなという状況を呈しているわけですけれども、私が考えますに、二十一世紀に向けて本当に活力のある日本になっていくためには、やはりある程度経済成長を担保していかなければならないだろうというふうに考えるのです。  そこで、亀井大臣もその作成方に大きくかかわられました、今ここで審議されております平成年度予算案を見ておりますと、よく言われておりますように、九兆円の負担増なんだ、ただ、二兆円の特別減税の停止は前の減税の見返りなんだからというお話もあります。それから、社会保障も、改悪なのではなくて改善なんだという話もありますし、消費税率のアップ、これは約束されたことなんだ、こういうこともあります。ありますけれども、まだ経済の先行きに明るさが見えないこの時点で、国民の皆さんが九兆円もの負担が少なくとも八年よりはふえるという事実があって、果たしてそれで、元気のある、二十一世紀に向けた、先ほど大臣が言われた一番目、二番目のお答えは私もまさにそのとおりだったなと思うのですけれども、そういう予算編成だったのかなという気がするのですね。  最初に大臣お答えいただいたことは、私は非常にすばらしくお伺いしていたのですけれども、そのことと、大臣がおつくりになられた、少なくとも大きく関与された平成年度予算、これは現実とのギャップがかなりあるのではないかなと思うのですが、まず、それについてお伺いしたいのです。
  142. 亀井静香

    亀井国務大臣 私自身について言えば、運輸大臣のときと建設大臣のときは就任の時期が違いますから、本当は大臣は概算要求のときから予算編成にタッチをしていかなければ、全体像をきっちりと仕上げながら中身も仕上げていくということが技術的には非常に難しい面もあろうかと思いますが、私なりに、めり張りをつけろという総理からの強い指示でもございましたので、若干の工夫はしたつもりでございます。  例えば、電線の地中化という事業は、事業量を倍にいたしました。公共事業がいわゆる民需も喚起をしていくという、そうしたことに工夫をしなければならない、私はこのように思っておりますから、そういう意味で、これも事業量を倍にするという措置をいたしました。残念ながら、電力各社が極めて非協力な点が多々見えたわけでありますので、私は、社長に直接電話いたしまして、非一協力なところは名前を公表するということまで言ったわけでありますが、おかげさまで、今民間と一体の中で進める体制が進んでおりますけれども、多々申し上げませんけれども、総理からの強い御指示もございましたので、そうした中の努力はしたつもりであります。  ただ、委員が御指摘のように、四月からの消費税のアップ、特別減税の打ち切りというような状況の中でどうして民需を出していくかということ、これは相当な努力が要ると私は思います。もちろん、規制の緩和もそれでありましょうし、経済構造改革ということもそうでありますけれども、そうした中で、やはり公共事業景気を下支えをしていく力があることはもう否定できないわけでありますから、やはりそういう意味では、今減額執行とか——新進党は唱えておられぬようでありますが……(西田(猛)分科員「それはやり方がおかしいと言っているのです。後で言います」と呼ぶ)  だから、減額執行というような議論が今いろいろ出ておりますけれども、私はやはり、そうした内需をどうやって——今緩やかな回復基調に乗っておることは事実ですから、これが四月以降のそうしたことでポシャることがないように下支えをしていくには、やはり公共投資をきちっと効果の上がる形で執行していかなければならぬということであろうと私は思います。経済活性化しない中で財政再建なんというのはあるはずがないと私は思います。そういう意味では、単年度収支均衡という点だけに着眼をしての財政経済運営は、私はやってはならない、このように考えています。
  143. 西田猛

    西田(猛)分科員 今大臣がおっしゃられた中で、電柱の地中化、非常に大きな問題だったと思います。私の地元箕面でもその事業を今進めたいなと思っているところなんです。  そこで、最後なんですけれども、今おっしゃったお話の、部分的には私ども新進党が言っている基本政策の一部を大臣はお読みになったのじゃないかなというふうに思う部分もございました。  ただ、私たちが思っているのは、増税をしてそして公共投資をふやすということは民の力を弱めるのじゃないか。だから、まず減税ありき、減税をして皆さんのもとにたくさんお金を残して、そして民需を喚起する、サプライサイドを喚起するということで経済が伸びる、そうすると税率は同じでも税収はふえるということで、天使の循環に経済はしなければいけないのじゃないでしょうか。今は悪魔の循環に、増税、疲弊、増税、疲弊、こうなるんじゃないかと思います。
  144. 藤井孝男

    藤井主査 西田君に申し上げます。質疑は終了いたしております。
  145. 西田猛

    西田(猛)分科員 それについてだけお聞きして終わりたいと思いますので。
  146. 亀井静香

    亀井国務大臣 それは税金は安いにこしたことはないのは当たり前であります。しかし、減税をして、その分が天から降ってくるわけでもない、地からわいてくるわけでもない。そういたしますと、またこれは財政支出を減らさなければいかぬわけですね。まあ借銭をすれば別です。別ですけれども、私は、減税の乗数効果と公共投資の乗数効果、新進党の議員の方とも予算委員会でこの問題について話をしたことがございますけれども、やはり私どもとしては、減税をして収入を減らして、その分を公共事業を減らすというようなことになっていってはならない、私はこのように思っています。
  147. 西田猛

    西田(猛)分科員 時間が来ましたので、またにします。終わります。
  148. 藤井孝男

    藤井主査 これにて西田猛君の質疑は終了いたしました。  次に、塩田晋君。
  149. 塩田晋

    塩田分科員 私、兵庫第十区の塩田晋でございます。  亀井建設大臣は既に運輸大臣等の要職を経験され、今や閣内、党内におきまして最大の実力者として国家国民のために日夜挺身されておりますことに心から敬意を表し、また感謝を申し上げる次第でございます。先日、陽性の武闘派という記事を、大下英治さんの文章を読ませていただきまして改めて敬意を表する次第で、感銘を受けました。  私も分科会に十年ぶりに出させていただきまして、感慨ひとしおでございます。大臣はもとよりのことでございますが、私も国のため、現状を憂い、また将来を思って国政に必死に取り組んでおるところでございます。  本日は、私の選挙区であります、生まれ育ちました加古川市、高砂市、稲美町、播磨町、二市二町のいわゆる東播磨地域というところの状況につきまして御説明を求め、また要望を申し上げたいと思いますので、郷土を愛するという気持ちでもって申し上げますので、ひとつよろしく御答弁お願いしたいと思います。  問題は三、四点に絞りまして申し上げたいと思います。  まず、この東播磨地域でございますけれども、これは農業を中心として発展をし、また各農村地域に中小企業が散在をして今日まで至っておりましたが、昭和に入りまして、特に戦後この地域の海岸地域一帯に重工業が発展をしております。製鉄会社の主力工場も立地されておりますし、戦後でもやはり重化学工業が発展をいたしております。  この東播地域は、加古川という大きな川がございますが、これが南北に流れておりまして、ずっと以前、昔は舟運をもって物産が北の方から運ばれ、南のこの地域の高砂とか別府とかいった港から運ばれていく、こういう状況がありました。  ところで、最近、交通事情状況が一変するように、鉄道、JRができ、また軌道、山陽電車ができ、そして二国、これは山陽道でございますが、それからバイパス、加古川バイパスでありますが、それから中国縦貫はちょっと北の方を通っていますが、加古川市の北の方、山陽自動車道が今建設中で、間もなく完成という状況に至っております。  今申し上げました線は皆東西に走っている線でございます。昔は南北の交通が非常に盛んであって、先ほど申し上げましたような経済、交通の状況であったわけですが、今や東西のそういった幹線道路なり鉄道でもって南北の交通路が輪切りにされている、こういう状況でございます。  片や重化学工業が誘致され盛んになっております海岸地域に北の奥の方から通勤者がどっと通っておる。朝晩のラッシュ、南北の交通については非常に渋滞をいたしております。  何とか交通渋滞を解消してもらうと同時に、これは産業基盤の整備あるいは生活基盤の整備にもなることでございますので、交通網の整備、特に道路建設については非常にこの地域の住民の皆さん、関心の深いところでございますし、要望が多いわけです。これにつきまして、建設省の担当局長から御説明をいただきたいと思います。
  150. 亀井静香

    亀井国務大臣 まず私の方からお答え申します。  ちょっと私情を挟むようでありますが、私は初めての社会人の生活をあの地域で始めたわけでございまして、今の住友精化、当時の別府化学に私は勤務をいたしておったわけでございますので、初めての社会人生活をやったというそういった私情で言うわけじゃございませんが、私は極めて愛着を感じておるわけでございまして、私情を交えて建設行政をやるつもりはございませんけれども、そういう意味でも私のできる範囲、全力を挙げまして、私は委員の御要望にこたえたいと思っておるものです。  以下、事務局に答えさせます。
  151. 塩田晋

    塩田分科員 ありがとうございます。  それでは、局長に御質問したいと思います。  加古川の河川改修の状況について御説明をいただきたいと思います。
  152. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 それでは、加古川の改修状況についてお答えをさせていただきます。  先生よく御存じいただいておりますとおり、加古川の現況といたしましては、河口部及び上流部の一部に無堤地域あるいは弱小堤防と私ども呼んでおりますが、堤防の必要な断面を確保できない、そういう区間がございますが、下流の市街地部分につきましては堤防そのものとしては概成をしておるというふうに考えております。  そして、現在実施をいたしております整備の内容といたしましては、上流部につきましては無堤部の解消に向けての無堤部対策、堤防をつくるということ。そして下流部におきましては、水衝部、水の流れが当たるところでございますが、そこに対します対策。そして、先ほど先生からお話ございました加古川を横に横切っております橋梁、これはいろいろな形で水の流れに対して悪影響を及ぼしておるわけでございますが、今特にJRの山陽本線の加古川橋梁のかけかえに全力を挙げておるところでございます。これは、加古川駅の周辺連続立体交差化事業とあわせて一体的に整備をいたしておるところでございます。  そのほか、阪神・淡路の大震災の経験も踏まえまして、緊急用河川敷道路につきましても、おおよそれ〇%から九五%ぐらいの整備率のところまで整備をいたしてきておりますし、また、ソフトの対策としての河川防災ステーションについても、その整備を図るべく全力を挙げておるところでございます。
  153. 塩田晋

    塩田分科員 加古川の河川敷にヘリポートの設置は可能かどうか、お伺いいたします。
  154. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 河川敷地におきますヘリポートの設置につきましては、当然のことながら治水上あるいは利水上の支障がないということ、そして、河川及びその周辺の自然的及び社会的環境を損なわないということ、特に加古川は、先ほどお話が出ましたとおり、高砂市を初めといたしますあのあたりの都市化された地域の中では非常に貴重な空間でございます。  そういう非常に貴重な水と緑の空間をどう使うかということも大変大事な視点だと考えておるわけでございますが、そういう条件を満たして、なおかつ、河川敷に設置することが必要やむを得ない、ほかに代替性がないという場合に限って、従前、許可をしてきておるところでございます。  先ほど申しましたが、ヘリポートにつきましては、一般的に申しますと、騒音の発生の問題あるいは他の河川利用者が、ヘリポートとして一たん使いますと、なかなか利用がしにくいというような問題もございまして、そういう中で、その設置については従前から非常に慎重に判断をする必要があると考えておるところでございます。
  155. 塩田晋

    塩田分科員 河川敷のヘリポート設置につきましては、緊急時はもとよりのことでございますが、平時におきましてもそういう要望がありますので、前向きにひとつ検討をお願いいたします。  次に、加古川の下流流域下水道の整備状況についてお伺いいたします。いかがになっていますか。
  156. 木下博夫

    ○木下政府委員 御質問のございました加古川流域下水道につきましては、先ほどもお話がございましたように、工市二町を対象にしておりまして、昭和六十二年に事業着手しました。既に平成年度から一部供用開始をさせていただいておりまして、七年度からは、一部でございますけれども、すべての市町が現在供用を開始している、そういう状況でございます。  ちなみに、現在の兵庫県下の平均で下水道の普及率はおおむね七割でございますから、全国平均の五四%よりは高うございますが、先生の御質問のあった加古川とか高砂あたりばこの兵庫県の平均よりもまだ若干低い状況でありますから、この流域下水道についてはこれからもさらに一層力を入れていきたいと思っております。  平成年度末には、一応当面必要な幹線の管渠については概成をしたいと考えておりますし、それから、現在の下水道の五カ年計画平成十二年、二〇〇〇年にちょうど終わるわけでございます。まだ見通してございますが、この段階では恐らく加古川市あたりは八割を超える普及率になろうかと思っておりますので、なお一層頑張ってまいりたいと思っております。
  157. 塩田晋

    塩田分科員 ありがとうございます。ちょうど十年になるわけでございますが、私は以前にもこの問題を強く要望いたしまして、それ以来主要幹線につきましては大体でき上がっておると承りまして、感謝いたしております。  これに関連いたしまして、公共下水道、また各戸への配管の見通しはいかがでございますか。
  158. 木下博夫

    ○木下政府委員 先ほどの御答弁にも若干触れておりますが、平成年度におきまして流域関連の公共下水道については、各市町におきまして、一部でございますが、供用を開始させていただいております。現在の普及率は加古川市が五〇%、高砂市が四〇%という状況でございますので、先ほど申し上げましたが、さらにこれらの市町につきまして、下水道整備については推進してまいりたいと思っております。
  159. 塩田晋

    塩田分科員 今の御答弁にありましたように、整備につきましてなお一層の推進方をお願いいたします。  次に、東播地域における南北連絡交通の円滑化について伺いますが、その一番の大きいネックといいますか最大の問題は、JRの加古川駅周辺の連続立体交差事業の推進に早く取りかかってもらいたいということでございます。  加古川だけでも南北道路と目されるものが十五本ほどありますが、その多くのものがこのJRの一本だけの跨線橋にかかっている、頼っているという状況でございまして、非常に混難いたしております。ぜひともこの連続立体交差事業を進めていただきたいと思います。これは運輸省の関係もあろうかと思いますが、建設省関係で答えられるところをお願いしたいと思います。
  160. 木下博夫

    ○木下政府委員 御質問のございました加古川駅周辺におきます連続立体でございますが、お話にございましたように、全部で十五路線がこの鉄道と交差しております。東西に走る、いわば山陽本線がまさに動脈でございますから、これらとぶつかる道路についての立体交差を早く完成しなければいけないことは言うまでもないわけでございます。  今までの経緯を若干補足いたしますと、平成五年三月に事業認可をいたしておりまして、今日まで用地買収を鋭意進めておりまして、この二月末でおおむね七割は用地買収できたと考えております。  ただ、実は事業採択されましたのは昭和五十九年でございますので、なぜおくれたのかという御懸念もお持ちだと思いますが、これは実は、この機会でありますから駅の北にあります地区についてあわせて土地区画整理事業をかけまして、いわばこの事業と一体的な地域整備をしたいということで御地元を調整したように伺っております。  図面を見ましても、大変そういう意味では、南北道路それぞれがこの鉄道とクロスしておりますので、一刻も早く解決していかなければならないのでありますが、昨日来の分科会でも、この連続立体交差についての御要請が大変多いことを私どもは承知しております。  先ほども大臣からお答えしましたよりに、建設省のそれぞれの分野でのめり張りのきいた予算をつけていきたいということでございますが、とりわけ街路の中でもこの連続立体につきましては、実は街路事業は今回国費が一を切るという大変厳しい中でございますけれども、四%余りの伸び率を、わずかでございますが、持たせて、この事業に重点的に今予算をつけさせていただこうと思っておりますので、ぜひその辺もお含みいただきたいと思っております。  全国で約六十六カ所ありまして、大変競争の激しいところでございますが、その後からも続く事業もございますので、何とかそれぞれ着手した箇所については一刻も早く実現をしていきたい、こう考えております。
  161. 塩田晋

    塩田分科員 今御答弁ございましたように、五十九年のころに、もう既にこの問題につきましていろいろ申し上げて、もう今にも着工というふうに期待をしておったところでございますが、非常におくれたということ。  これは国鉄のJRへの民営化のときに高砂線の廃止と絡んでおるということで、それの廃止が決まれば直ちにという話も承っていたのですけれども、その高砂線の廃止はとっくにそのとき決まってもう既にないのですけれども、それから十年間本当に事業が全然動いていないというような感じ、用地買収はかなり進んでいるということと、やはり駅の北側の市街地の整備がおくれていることもあろうかと思いますが、過去のことはともかくといたしまして、今後ひとつ南北道路交通の円滑化のためにも、ぜひともこれを早急に進めていただきたい。いろいろ事情はあろうかと思いますけれども、万難を排してひとつ、相当以前からの懸案のことでございますので、よろしくお願いいたします。
  162. 木下博夫

    ○木下政府委員 お答えは先ほど申し上げたとおりでございますが、ちなみに、先ほど委員も御質問ございましたが、運輸省との関係でございます。  おおむねこれらの事業は、平均的でございますけれども事業費の大体九割は道路事業費でやらしていただいておりまして、駅舎その他のところの一割ぐらいが、平均値でございますが、鉄道サイドということでありますから、そのいわば九割を占める街路事業あるいは道路事業がしっかりしませんとこういう事業は進まないと思っておりますので、そのつもりでしっかりやらしていただきたいと思っております。
  163. 塩田晋

    塩田分科員 よろしくお願いします。  続きまして、東播地域の南北道路の円滑化の問題でございますが、一般国道二百五十号明姫幹線の交差点の立体交差事業はどのような現状でございますか。また、今後の見通しについて御説明お願いします。
  164. 佐藤信彦

    佐藤信彦政府委員 一般国道の二百五十号の明姫幹線でございますが、これは現在全線四車線供用しております。ですが、完成の段階では立体交差を進めるといったことで事業を始めているところでございます。  これまでの間に、平成年度に立体交差としては加古川市の平岡町地内の一色高架橋、これが整備されております。それから平成八年三月には加古川町地内の南備後高架橋が供用されております。現在事業しておりますのが二見高架橋、二見町地内でございますが、この事業促進しているところでございます。したがいまして、これを早期供用が図られるよう努めてまいりたいと思っております。  なお、さらに一つ残っております尾上町の安田高架橋、これは現在まだ事業に着手しておりませんが、なるべく早い時期に事業着手できるよう検討していきたいというふうに思っております。
  165. 塩田晋

    塩田分科員 ありがとうございました。早期に安田高架橋につきましても着工して推進をしていただきたいと存じます。  次に、旧県道の尾上小野線と重なると思うんですが、東播磨南北道路の調査をしておられますか。また、用地買収等どういう状況になっておりますか、お伺いいたします。
  166. 佐藤信彦

    佐藤信彦政府委員 東播磨南北道路は、兵庫県におきます東播磨地域の臨海部と内陸部の連携を目的としておりまして、幹線道路整備を行う調査を行っているところでございます。これは既に尾上小野線という形で都市計画決定がされております。ですが、この都市計画は、御存じのように平面の道路計画決定されております。  この道路の性格といたしましては、山陽道と国道二号を結ぶ道路になりますので、自動車専用道での整備がやはり必要なんではないかといったことで、今回、むしろ先生がおっしゃられました旧尾上小野線のルートに改めまして、都市計画決定の手続をことしから始める予定とさせていただいております。  そういったことで、早目に事業に着手して整備を進めたいというふうに思っております。
  167. 塩田晋

    塩田分科員 ありがとうございました。この地域の南北道路の言うならば幹線になろうかと思いますが、よろしく事業の進捗方をお願いします。  続きまして、山陽自動車道が今着々完成に向かっておりますが、加古川北インターも間もなくできるところでございます。それへのアクセスとしての県道等、特に高砂北条線の整備状況についてお伺いいたします。  山陽自動車道のインターができますと、南へ出てくる車はどっとこの高砂北条線あるいはその他の県道に流れると思いますが、非常にまだ狭いし、私は舗装のない道路道路ではないということを再三申し上げてきたんですけれども、高規格のもので整備をしていただきたくお願いいたします。
  168. 佐藤信彦

    佐藤信彦政府委員 高砂北条線でございますが、これも先ほどの県道と同じように、山陽道から国道二号にわたるアクセス道路でございます。その間十一キロほどございますが、現在、人家連檐で幅員の狭小な区間を四キロほど優先的に整備を行っているところでございます。そのうち国道二号の加古川バイパス以南の一・八キロが完成しておりまして、東神吉町北地区も〇・九キロにつきましては平成年度末に暫定二車線供用を図ることになっております。  したがいまして、残る区間につきましても鋭意国庫補助事業として事業推進を図っていきたいというふうに考えているところでございます。
  169. 塩田晋

    塩田分科員 よろしくお願いをいたします。  あと、県道になろうかと思うんですけれども、宝殿志方街道と言われている、これは県道宝殿小原線といいますか、これなんかにも北インターから出てくる車が回ってくると思うんですが、これはまた非常に狭くて非常に危険な状況で、歩道も自転車道も車道ももう一緒に行き来しているという状況でございますので、これはぜひともバイパスをつくるなり、バスも通っていますが、何とかしていただきたいと思います。これは将来の問題でございますので、要望いたしておきます。  それから、県道明石高砂線の橋梁でございますが、高砂にかかっております、元国道二百五十号線ですが、相生橋という橋の点検整備状況等につきましてお尋ねいたします。
  170. 佐藤信彦

    佐藤信彦政府委員 明石高砂線の相生橋でございますが、これは加古川の河口にかかるコンクリート橋でございます。  本橋につきましては、阪神・淡路大震災後の平成七年一月に兵庫県において緊急点検を実施したところでございます。その結果、支承部、それから伸縮装置の損傷が一部発見されまして、平成八年三月までにこの支承部と伸縮装置を取りかえまして、所要の安全性を確保したところでございます。
  171. 塩田晋

    塩田分科員 ありがとうございました。  大臣、第二の故郷というつもりでひとつこれらの問題の解決のためによろしくお願いいたします。  終わります。
  172. 藤井孝男

    藤井主査 これにて塩田晋君の質疑は終了いたしました。  次に、岩國哲人君。
  173. 岩國哲人

    岩國分科員 岩國哲人でございます。  建設大臣、大変お忙しいところをこの分科会に御出席いただきましていから感謝をいたします。  きょうは、私の住んでおります世田谷区、それから地球、この二つの問題について質問させていただきたいと思っております。  まず最初に、東京の六区、選挙の六区は世田谷でございますけれども、この六区というのは、世田谷区を初めとしまして、大田区、北区、杉並区、練馬区、そして板橋区と、東京の六区で、大臣御承知と思いますけれども、環状八号線、通称環八と呼んでおります、この環八の下に地下鉄を走らせて、交通渋滞の解消、そして、万一のときにはそこを使って羽田から早く物、人が運べるようにという構想が約十年前に六区の行政を中心として発足しております。  そうした一兆一千五百億という当初の事業予算で始まった構想でありますけれども、この六区に関係する周辺の人たちの関心も非常に強く、そしてなかなか立派な構想でありまして、非常に構想がすばらし過ぎて一メートルもできていないというところが問題であります。  なぜ一メートルもできていないのか。やる気と金がないからです。はっきり言って、やる気もいま一つ、そして金についても、東京都やあるいは地元の区の規模ではとても手に負えない。これはやはり、首都圏の住民のための交通網の整備という観点から、国がもっと主導権を持ってやるべきことではないか。大臣のお好きな公共事業というのはまさにこういうところにこそ重点的にやらなければならないことであって、三千万人の人が喜ぶことでありますから、三十万の人が喜ぶようなことももちろん大切でありますけれども、やはりめり張りのきくそのような首都圏整備というもの、その観点から、このエイトライナー構想、環八の八をとってエイトと名づけられたエイトライナー構想について、どのように国として取り組んでおられたのか。  これは国土庁の問題でもあり、あるいは運輸省の問題でもありますけれども、総合的に見て、大体こういう首都圏の交通行政がばらばらになっておるというのはまずおかしい。二番目に、こういう国の大きな公共事業が縦割りだということもおかしいし、三番目に、このような地方自治体の手に負えないことをいつまでも、都の責任だ、区の責任だと、そういうところに押しつけている、都合のいいことは中央集権、都合の悪いことは地方分権、こういうふうなこともいかがかと思います。こういった点について大臣の御所見をまずお伺いしたいと思います。
  174. 亀井静香

    亀井国務大臣 これはもう委員指摘のように、東京都についても、快適な生活圏が、あるいは商業圏が、ビジネス圏がきっちりと構成されている状況ではないと私は思います。そういう意味では、社会資本整備というのはまだまだ今から緒についたばかりという状況の中で、東京都の交通インフラ、委員指摘のように、道路とかそうした地上の既存概念での交通機関だけで解決ができないということは、委員の御認識と同じであります。そういう意味で、立体的にやはり、土地は限られておるわけでありますから、これを利用していく、しかも先手を打っていくということでなければならない。  エイトライナーが今一歩も進んでいないという御指摘でありますが、建設省が主管ではないかもしれませんが、運輸省と一緒に、幻のエイトライナーが走っておるということでは政治になりません。都市局長、ぜひひとつ運輸省と協議をし、東京都との間で、一体どうするんだ、やめるのならやめる、そうしたらまた政府として別なことを考えるわけでありますから、そういう話し合いはさせたいと思っております。
  175. 木下博夫

    ○木下政府委員 まだ議論がこれからだと思いますが、今大臣お答えいたしましたように、私ども、決してこの問題を避けているわけではございません。  若干基本的なことになるかと思いますけれども、やはり東京の都市構造を考えたときに、放射関係は交通機関あるいは道路を含めましてそれなりに整備が進みつつあろうかと私は思いますが、何といいましても、環状ルートというものは都市構想を含めてまだまだの感をいたしておりますので、御提案のことについては、後ほどまたお話があろうかと思いますが、そうした東京都のあり方、かつ加えて、東京都に既に投下された既存ストックが大いに利用され活用されるという意義のある交通機関をつくるべきではなかろうかと基本的には思っております。
  176. 岩國哲人

    岩國分科員 こうした東京の首都圏の交通行政という観点からも、これは非常に大事な事業一つであって、私は、国として責任を回避してはならないと思います。むしろ積極的にもっともっと介入し、あるいはこういったエイトライナーという構想はもうやめさせる、そして国の主体の別の構想に変えていくというぐらいの発想も必要ではないかと思います。  特に、世田谷区に住んでおりますと、地図で見ると羽田空港というのは近いようで非常に遠いし、成田はもっと遠い。私は、ニューヨーク、ロンドン、パリ、そういった世界の大都市に住んできましたけれども、東京ほど時間距離の長いところはないように思います。しかも、二十年前に羽田を成田へ持っていってしまった。国際空港としての玄関を東京が喪失し、田舎の、田舎と言ってはいけませんけれども、成田の方へ持っていった。この二十年前の政府と、そして東京都知事の失政によって、我が愛する東京はアジアの巨大な田舎都市になってしまったと思います。  国際化時代というのは、物、金、人、情報は空からやってくる。その国際化時代に一番大切な玄関、つまり羽田を成田に持っていってしまった。そして、東京はアジアの巨大な田舎都市、今、ソウル、香港、上海、シンガポールに負けています。大企業が日本に来るどころか、日本を通り越して、ジャパン・パッシングと言われる。なぜ負けているのか。それは空の戦いに負けているからです。  今ソウルへ行ってみますと、ソウルの郊外に幅八キロという巨大な空港が建設中です。幅八キロというのは、瀬戸内海の広さが九キロですから、瀬戸内海を埋め尽くすぐらいの大きな空港がソウルに完成する。しかも二十四時間使える。成田と羽田を合わせたよりもまだ大きい。韓国の三倍の人口、韓国の三倍の経済規模を持っている日本が、韓国の半分にも足りない、しかも夜の間は使えない欠陥空港を二つ抱えて、どうやってこれが国際化時代の経済競争に立ち向かうことができるのですか。  私は、今、日本は空の政策において大きな転換をしなければならないと思っております。古い戦争用語で言えば、日本は制空権を失っています。領土を広げること、これは容易ではありませんし、そんなことを口にもできなくなりました。しかし、空を広げる、もっと自由に広げられる空をなぜ広げないのか。そして、経済成長率がアジアで一番低いとか、こんなことを言われている。もっともっと空を見直し、そのためには、空港政策は根本的に改める、そして日本経済の七割を占めるこの東京の経済活力を引き出すためには、私は、羽田を生かすことだと思います。羽田を拡張整備し、二十四時間使える国際ハブ空港にする。  そして、ここからが大事なところですけれども、環八とアクセスを十分にすることによって、羽田から東京の各地に、震度七、震度八、タベからがたがたしておりますけれども、こういうものがあったときに、世界の救援隊はどこへやってくるのですか、夜に。成田にも羽田にもやってこれない。関空ですか。関空から東京に、新幹線はとまつています、東名高速はつぶれているでしょう。世界の救援隊も、そしてフランスの犬もスイスの犬も、東京に着くことはない。  私は、交通対策という発想を転換してほしいと言ったのはここなのです。防災対策として、私はこの環八を見直すべきじゃないかと思います。  エイトライナーと言っておるからいつまでも交通対策。名古屋でも大阪でもみんな交通問題は抱えております。しかし、この東京にいっかやってくるかもしれないと言われている大地震、それに対する備えが全くできていない。二年前の阪神大震災から我々は何を学び取ったのでしょうか。何も東京はできていないじゃないですか。防災対策のための道路が一メートルもできていない。  私は、環八の下は、地下鉄ではなくて、あるいは地下鉄に並行してでも、高速道路を走らせるべきだと思います。その方がはるかに交通渋滞の役にも立ちます。今、環七も環八も、ごらんのように、あれはもう生活道路になっています。とても高速道路とは呼べない。あの下に高速道路を走らせるべきだと私は思います。  そうすることによって、二十四時間使える、震度七、震度八があったときに、夜中にやってきたフランスの犬、世界の救援隊も、環八の下を使って赤羽にも杉並にも世田谷にもやってこれる、そのような構想にして、エイトライナーではなくてライフライナー、命綱として、その構想建設省国土庁一緒になって、首都圏三千万人の人に夢だけではなくて、そういう安心を与える。政治の原点は、釈迦に説法ですけれども、住んでいる人に安心感を与えることじゃないでしょうか。それを、首都機能移転委員会などをつくって、どこへ持っていこうとそんな相談ばかり。こんなむだな予算は私はやめてもらいたいと思います。  東京は危ないから、国会議員と高級官僚だけどこかへ持っていく。では、危ないところに住めと言われている三千万人はどういう思いで住んでいるか。私は、まず、この三千万の税金を払っている人にありがとうという感謝の気持ちを込めて、このような計画を一歩でも二歩でも進めることの方が最初、それを進めておいてから首都機能移転のことを論議すべきではないかと思いますが、この点について大臣の御意見を伺います。
  177. 亀井静香

    亀井国務大臣 首都移転の問題に対して私が反対だと言うわけにはまいりませんけれども、また小泉大臣の二の舞になっても困りますので申し上げるわけにはまいりませんけれども、私は、やはりこの巨大都市東京をいかにするかということを当面真剣に考えるべきだ。そのことと首都移転は矛盾するわけではありませんので、首都が移転したからといって、この巨大都市は、震災にも弱い、また経済活動においても非常にコストが高い、そうした都市に指定するわけにはまいりません。そういう意味では、私は今委員のお話を聞いておりまして、本当に思い切った東京都の都市改造を、委員おっしゃるように、立体的にやはりこれをやっていくときだ、このように思います。  そういう意味でも、東京の方は社会資本整備はもういいなどというふらちなことを言う人も多いわけでありますけれども、ぜひ委員、ひとつオピニオンリーダーとしてそのあたりの世論形成も鋭意やっていただきたい。何も公共事業地方のために必要だということだけではありません。ぜひひとつ私どももそういう立場で頑張ってまいりたいと思います。
  178. 岩國哲人

    岩國分科員 大臣の大変力強いお言葉を聞いて私もうれしく思っております。  確かに日本には、日本という国は二つあって、一つ社会資本整備が過剰なところと、社会資本基盤が全く不足しておる、決して報復予算云々ということを言うつもりはありませんけれども。私は出雲市というところの市長をしておりました。あそこも道路が貧弱。全く細くて短くて曲がっている。道路というのは広くて真っすぐで長いのが一番いいわけですけれども、短くて細くて曲がっている。こういう道路のつなぎ合わせばかりです。これは出雲市に限ったことではなくて、どこでも、これは世田谷なんというのはもっとひどいものです。消防車なども恐らく入らないぐらい。あそこも社会資本整備が非常に不足しているところです。税金は十割、そして整備は五割、こういう差別を受けている一つ地域ではないかと思います。  そういうところに私も、そして近くに連合の芦田会長も住んでおられますけれども、こうした環八の近くに住んでいる住民があの渋滞ぶりを見て、そして震度七、震度八がいつ来るかわからない、そういう不安におののきながら、そこへ公共料金は上がるわ消費税は上がるわ、しかもそのお金はどこか遠くに使われるわ、このようなお粗末な政治をずっと見ておりますと、やはり政治不信、行政不信という気持ちを持ってしまうものです。  ぜひともそういう観点から、東京の住民にも夢と希望、何よりも活力をこの東京の経済に——中小企業の人などを見ていますと、あの踏切の多い世田谷の中で、十分、十五分、二十分。大臣御承知のように、時間にはコストがかかります。そしてあの見えざるコスト。例えば世田谷に住んでいる商業、工業はもう消費税一〇%を払っているような商売ぶりなのです、時間コストを払っておるから。それだけ利潤率は低い。長い時間働かなければいかぬ。こういう大変な状況を見ておりますと、我が国の交通行政の貧困さ。  これが、羽田に着いた部品が五時間ではなくて一時間二十分で着く、そういうふうなことになれば、とりに行く人の時間のコストも随分違ってきます。東京の経済コストを下げてやる、そういういわゆる公共事業のメリットというのが一番、目に見えてわかるのはこの環七とか環八の再整備。再整備というのは、上を整備するのは大変難しい、しかし、地下を整備していく。  例えば、私は先ほどから地下を利用しろということを言っておりますけれども、その地下化ということを考える場合に、地上権と同様に地下権についても地主の権利はどこまで及ぶのか。その場合、防災特定地指定といったような方法でそうした上物、上の地主の権利をある程度制限していく。制限するということは公共のためにもつと使いやすくするといったようなこと、そういった特別な措置はこのような防災地域について考えられないものか。この点について御意見お願いいたします。
  179. 木下博夫

    ○木下政府委員 先ほどからいろいろ東京の整備のあり方について御質問がございました。  地下化の問題はかねてより政府部内でも大深度の問題などをやっておりますが、そうしたかなり深いところだけではなくて、おっしゃったように、地下をもう少し空間として見直すべきじゃないかということでございます。若干卑近な例でございますが、先般来の規制緩和などでも、地下室について容積率から一部でございますけれども適用除外にすることで、できるだけ地下を利用するような方向に行っておりますが、先生お話のございましたのはもう少し大がかりな都市全体の御提案でございます。  ただ、道路のことになりますと、これは決して言いわけではございませんが、やはり現在のエネルギーからしますと、ガソリン等による排気の問題がございますので、そういう問題がクリアできるかどうかという問題は大変大きな課題として残そうと思いますが、将来自動車のエンジンその他が大きく変わっていけば、そういう問題もまた変化があろうかと思います。  いずれにせよ、二十一世紀に向けての都市づくりの中で、やはり大東京というのは日本のいわば心臓部でございますから、それなりにいろいろ知恵を絞って、地下利用なども含めてでございますけれども、検討すべきではなかろうかと思っております。
  180. 岩國哲人

    岩國分科員 私は技術的なことについては大変不勉強でありますけれども、一般的にこの二年前の阪神大震災以降、こうした高架、高いところに道路を走らせるのがいいのか、あるいは低いところに走らせるのがいいのか。これは、例えば小田急線とか京王線とかいろいろな電車が走っておりますけれども、そういう踏切を解消するという点から、下を潜らせた方がいいのか、あるいは上を電車を走らせた方がいいのか。一般的に言ってですけれども、こうした点についてはこの二年の間に、建設省、そうした道路の専門家の間に、高架の方が安全なのか、あるいは地下の方が安全なのか、どちらの方に意見が変わりつつありますか。その点だけをお伺いしたいと思います。
  181. 木下博夫

    ○木下政府委員 私も都市局長としての範囲を若干オーバーするかもわかりませんが、今お話がございましたように、構造的にはやはり地中の方が、地下の方が安定していると思います。  ただ、現状におきまして、これだけ多くの橋脚ができている状況でございますので、我々とりあえず現状の中で施策をするとすれば、首都高速を含めて、そういう橋脚について非常に問題の多いところについては急いでこの三年間で橋梁補強もしております。ただ、先ほど来お話がございましたように、今後大きなねらいとして地下の空間を利用していくことによってより防災性を高めるということも当然念頭に置かねばならないと思います。
  182. 岩國哲人

    岩國分科員 都市局長に重ねて聞きますけれども、ニューヨーク、ロンドン、パリ、そういった世界の大都市を見ておりますと、大体地下鉄というものが上を走ったりなどしておりますと、橋脚等が非常に汚くなって、そしていろいろなポスターがぺたぺた張られている。我々政治家も悪いわけですけれども選挙のポスターなどを張ったりなどしますから。非常に町そのものが汚く、見苦しく、そしてホームレスの人たちがそこに集まりやすくなる。私は、やはり地下の方が町の整備という点からもいいのではないかと思っております。  そういうことに関連して、これもまた世田谷に少し関係しておりますけれども、京王線、小田急線の高架化、地下化ということで今地元意見が大きく分かれております。もちろんそれぞれに、経済的なコストはどうなのか、あるいは安全度がどうなのか、あるいはどちらが早くできるのか、四番目に、でき上がった後の町がどちらが緑の多い住みやすい快適な町ができるのか。あるいは四番目というのが一番大切かもしれません。  都市局長立場から、一般論としてで結構です、この東京の中におけるそうした踏切解消のために、鉄道は下を走るべきか、上でやらせるべきか、局長としてのお考えをお知らせいただきたいと思います。
  183. 木下博夫

    ○木下政府委員 一般論でということでございますので、私も一般的にお答えしたいと思いますが、でき上がった後の姿としては、おっしゃったように、できるだけ見晴らしのきく、眺望のきく空間というのは我々も期待したいわけでございます。ただ、単純に申し上げまして、私の知識のないところで申し上げて恐縮でございますが、約三倍ぐらい地上と地下では価格が違うと言っております。しかし、これは、いろいろ技術的な検討によってその差は小さくなることも事実でございます。  そういう中で、現実に今やっておりますのは、鉄道の場合でございますけれども、比較的高架事業が多いことになっておりますが、長い目で見たときに、やはり投資そのものを将来の子孫その他に生かしていくという意味では、先生おっしゃったように、空間的な問題を含めますと、地下化も場所場所によってはできるだけ導入していくということのお考えは捨てがたいところがあるのではなかろうかと思います。
  184. 岩國哲人

    岩國分科員 私は、パリでは十六区というところ、いわゆる住宅街の一つですけれども、そこに住んでおりました。パリ市はそこに、掘り割りのような形で電車を走らせていました。私はちょっと離れておりましたけれども、その近所に住んでおる人は、やはりどうしても下の方から騒音がわいできますから、その騒音で窓際は非常にうるさい。どっちかと言えば、一番安いアパートがその近辺に並んでおったのです。  四年前に久しぶりにパリへ行って、そこはきれいな公園に化けておるのですね。上をふたをしてしまって、結果的には、計画的に地下にしてしまった。そして、その上はきれいな花園のような公園になっていますから、あの三流アパートがずっと並んでおったところが、高級マンションがずっとできていまして、しかも、何かあったときの避難場所としてもできている。  私は、やはり町づくりというのは、このように計画的に、長期的にやるべきじゃないかなと思います。一時期住民の不満はあったでしょう。しかし、不満は言いながらも、値段は値段なりに、そこに住む人たちもおったわけです。  ですから、東京の場合にも、いろいろなところで踏切解消のための高架化、地下化という議論がこれから行われ、しかも、震度七、震度八がいっか来ると言われている東京だけに、防災対策という点からも、地下が安全なら安全だということをはっきり言い切って、そして、それなりの技術を研究させて、どんどんそれを進めるべきじゃないでしょうか。  それを、民間企業がどちらの方がやりやすいとか、あるいは一部の商店街と、早くできるからこの商店街に有利だといったようなことで、潜らせてみたり上へ上げてみたり、こんなモグラ行政をやっておるからいつまでもきれいな東京ができないと私は思っているのです。こういうことこそむしろ中央がもっと指導をして、安全な町づくりというのはこういうふうにするんだ、快適な町づくりはこういうふうにするんだ。建設省のつくっていらっしゃるパンフレットにしょっちゅうそういうことは書いてあるじゃないですか、安全とか防災とか快適な町づくりということは。  出雲市の場合も随分御指導をいただきました。わざわざ助役を送っていただいて、そして今、高架事業、まあ出雲の場合には地下を走らせるほどのこともありませんから、その土地土地によってやればいいことです。しかし、東京の場合には、これぐらい過密で、しかも土地の値段も高くて、上の方が三分の一安いということを、そういう意見を先ほど引用されただけだと思いますけれども、私は、家屋移転というコストまで考えた場合には、上は随分高いものになると思います。これは出雲の家屋移転とは全然金額が違います。しかも、でき上がった後、その下は余りいいところに使えない。  地下を走らせた場合には、家屋移転は少ない、でき上がった後は埋めて、その上は避難地にもなれば公園にもなる、あるいは立派な商店街にもなるかもしれません。そういう土地の利用度ということも考えれば、私は、十分元が取れるのは地下化ではないかと思います。  私は、首都圏を中心にして、快適な、安全な都市づくりを、地方自治体に任せてしまうとか、あるいは一私鉄と地元住民との話し合い程度で片づけるのではなくて、もっともっと強力なリーダーシップを持ってどんどん片づけるべきじゃないかと思っております。  結局住民は、お上、お上というのは国のことも含めて言っておりますが、いつまでもぐずぐずしておるからこんなことができない。結局、地元住民の意見を二つに割ったままで、まだそれがなかなか進んでいかない。そして、そのうち大地震がやってくるでしょう。このようなことにしてはならないと私は思いますので、重ねてお願いいたしますけれども、一日も早く、そうしたエイトライナーという防災対策の切り札を出動していただきたい、そして、交通渋滞の解消については、地下化、高架化ということについても、もっと町づくりの観点から指導性を発揮していただきたいと思います。  時間がなくなってまいりましたので、次に、地球地図についてお伺いいたします。  九四年十一月に、出雲市で、十五カ国の代表が集まり、米国、英国、フランス、ドイツ、そして中国、韓国、ロシア、世界の主要な国がまずはほとんどと言っていいほど集まって、出雲宣言を発表しております。  これは、今までの世界地図ではなくて、地球地図という発想で、今までの世界地図というのは大体、いろいろな国が不正確なものを持ち寄って張り合わせたのが世界地図。我々は学校で、あれが本当の正確な地図だと思って見ておりましたけれども、いろいろと専門的な方の話を聞きますと、あれほど不正確なものはない、中にはわざと道路のないところに道路をつけてみたりしている、それは国防上の観点から、誤りの多い、間違いの多い地図を提供して、それで外国に見させておるということのようでした。  今はもう時代が変わり、衛星で上の方から正確なものが撮れるようになったから、国防上うそを言って、うそ偽りの地図を出しているわけにはいかなくなってきたといりことと、もう一つ大事なことは、環境対策として、環境問題は国境を越えていきますから、そういう環境を守る、地球環境を守るために正確な地球地図が必要だ。  さらに、もっと大切なことは、食糧問題を解決するためには、中国のどの地域で米をつくる、どの地域で大豆をつくる、どの地域でジャガイモをつくる、世界の食糧生産を合理的に、適材適所にやっていくためには、これもまた地球地図が必要だ。決して環境を守るということだけではなくて、積極的に地球の活力を引き出していくためには地球地図が必要である。  これは、建設省、国土地理院が中心になってやってこられた、大変すばらしい構想であります。  問題は、この早さをもっと早く仕上げること、そして、日本の行う国際貢献は数々ありますけれども、PKOだとか何だとかという前に、こういう地球を守るための、だれにもよその国から文句の言われないことですから、私は、もっともっと、予算を二倍にも三倍にもっけるべきだと思います。  この地球地図の進捗状況について、答弁お願いいたします。
  185. 小鷲茂

    ○小鷲政府委員 お話のありました出雲のワークショップで大変お世話になりましたし、また、その前後から懇談会に御参加いただきまして、終始御尽力いただきまして、この場をおかりいたしまして、厚く御礼を申し上げます。  実は、その後の状況でございますが、建設省中心になりまして、世界各国に呼びかけまして、おっしゃるような地球地図の整備が必要であるということを訴え続けてまいりましたけれども、ようやく国連レベルでもこの話に関心を持っていただきまして、昨年の十一月には、サンタバーバラで、国際セミナーを国連主催で開催をされるような運びになっております。二十三カ国八十名の人間が集まって大いに議論をさせていただいておりまして、ここで九項目の勧告を採択をいたしております。  この勧告は、ことしの七月にも、ニューヨークの国連特別総会で、アジェンダ21のフォローアップ会議がございますが、そこの場の特別セッションに報告をされる、こういう運びになっております。  一方、これから具体的に地図づくりを進めていくためには、どういうぐあいにやっていくのがいいか、いろいろ課題があるわけでございますが、これも、私ども建設省が呼びかけまして、世界各国、十三の国の関係者によりまして、国際地球地図運営委員会という組織をつくっておりまして、ここで今後の運びについては具体的に相談をしてやっていこう、こういうことになっております。  もちろん、予算の面その他、いろいろ問題がこれからございますけれども、世界における提唱国として、今後とも積極的に努力してまいりたいと考えております。
  186. 岩國哲人

    岩國分科員 こうしたことは一日も早く完成できるように、人的、資金的な貢献をしっかりと日本としてやっていただきたいと私は思います。これは、アジアの国ともいろいろな問題があります。特に、食粒の問題は当然浮上してくる。食糧問題、農業問題の解決に、まず最初に必要なのは正確な地球地図。日本の金で、日本の技術で、ここまでできたということに各国が感謝してくれるような、そのような力の入れ方をしっかりと見せていただきたいと思います。  また、こういうことは、完成すればかけたお金の元は取れると私は思います。いろいろな民間企業にどんどん利用させていく、正確な地球地図だからそれを使わなければならないという形になっていくと思いますから、まず建設大臣、大いにこういった予算にしっかりとこれから力を入れていただいて、今年度予算では私は決して十分だとは思っておりませんけれども、もっともっと前倒しでこのようなことをやって、一日も早く、二十一世紀の初めにというのではなくて二十世紀のうちに、こういう人類の財産になるような地球地図を今世紀のうちに仕上げていただきたい。そのように要望して私の質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  187. 藤井孝男

    藤井主査 これにて岩國哲人君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして建設省所管についての質疑は終了いたしました。     —————————————
  188. 藤井孝男

    藤井主査 平成年度一般会計予算平成年度特別会計予算及び平成年度政府関係機関予算中総理府所管国土庁について、政府から説明を聴取いたします。伊藤国土庁長官
  189. 伊藤公介

    ○伊藤国務大臣 総理府所管のうち、国土庁平成年度予算について、その概要を御説明いたします。  国土庁の一般会計歳出予算は、三千八百三十六億五千二百万円余を予定いたしております。  また、大蔵省所管の産業投資特別会計に計上の日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本整備促進に関する特別措置法に該当する事業のうち、国土庁に係る無利子貸付金について、歳出一千五百万円を予定いたしております。  次に、平成年度予算の主な内容は、  第一に、新しい全国総合開発計画の効果的推進等の国土計画の推進  第二に、適正かつ合理的な土地利用の確保等を図るための新たな総合的土地対策の推進  第三に、水資源の開発及び有効利用の促進等の総合的な水資源対策の推進  第四に、首都機能の移転の具体化へ向けた検討及び三大都市圏の基本計画の策定等大都市整備の推進  第五に、人口の地方定住を促進し、国土の均衡ある発展と活力ある地域社会の形成を図るための地方振興の推進  第六に、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、地震、津波、噴火、洪水等の災害から国民の生命及び財産を守るための総合的な災害対策の推進  第七に、人口及び産業の地方への分散と地域の開発発展を図るための地域振興整備公団の事業の推進であります。国土庁予算の重点施策の概要につきましては、お手元に配付してあります平成年度国土庁予算概要説明によりまして御承知願いたいと存じます。  どうぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  190. 藤井孝男

    藤井主査 以上をもちまして総理府所管国土庁についての説明は終わりました。     —————————————
  191. 藤井孝男

    藤井主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願い申し上げます。  なお、政府当局に申し上げます。  質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹本直一君。
  192. 竹本直一

    竹本分科員 国の災害対策というのは今一番国民が関心を持っておることでありまして、そういう意味で、私の個人的な経験、また行政内部における経験を踏まえてどうしてもやってもらいたいと願うこともございまして、これから幾つか質問させていただきたいと思うわけでございます。     〔主査退席、太田(昭)主査代理着席〕  二年前の一月十七日、神戸で大震災がございまして、私、偶然なことに神戸市内に宿泊いたしておりました。高層のホテルでございまして、そこで、明け方五時過ぎでしたか、どんと襲われて、テレビが私の寝ていた布団の上へ飛んできました。何を思ったか、もういいからと言ってちょうど秘書を帰した後でございましたので、私一人だけ部屋におった。そして、なぜかスプリンクラーが回って上から水が落ちてくる。外へ出ますと、廊下が水浸し。隣の部屋の一緒に宿泊していた人たちも外へ出てきている。寝巻き一枚の姿である。ところが、誘導すべき従業員の方が泣き叫んで我々の方にすがりついてくるというような状況を経験いたしたわけでございます。  私も、ホテルに泊まるときは非常扉がどこにあるかぐらいはちゃんと見ておくべきものだと人にも言い、自分にもそう言い聞かせておったのですが、前の晩酒を飲んだせいか、全然見ていなかった。非常扉の方を目指してみんなで歩いたのですが、なかった。方角が違ったのですね。仕方がないから反対方向へ行った。うだうだしていて、ないから、ああやばいと思って階段をおり出したわけです。十三階に泊まっておったのですが、二階分おり、十一階におりたときに非常扉があいておりまして、そこから非常階段へ出た。物すごく冷たい風が吹いてきまして、ああこれで助かったというふうに思った生々しい体験をしておるものでございます。  自分自身が仕事の中で防災対策を人に説いていながら、いざというときに全然その備えがやってない。いささか反省もしたわけでございますが、こういう大地震がまさか関西で来るとは私も思っていなかった。予期せぬものが忘れたころにやってくるどころか、思いもつかないことがこの世の中には起こり得るものだなというふうに思って、反省もした次第であります。  今、国政の一端でこういうことを考えるようになりますと、そのときの怖さをもとにいろいろ、どうしても今の日本の防災体制、このままではやはりおかしいのではないかというふうに思ったわけでございます。  もう少しそのときの経験を申し上げさせていただきますと、一階までおりますと、シャンデリアが下に落ちている、窓ガラスが割れている、もちろんエレベーターやエスカレーターはとまっている、水がどこからかざあざあ流れている、こういう状況でありました、私のホテルは壊れなかったからいいわけでございますが。  そこで、携帯電話でかけましたら、携帯電話は通じない。どうもNTTがそれをとめたようでございます。そして、電話で自分の家に電話をいたしましたら、それはなぜか通じました。やがて帰ろうと思ってタクシーを呼んだら、タクシーが出てこない。これも運輸省がタクシーをとめておるようでございました。仕方がないから結局、私は、神戸市、有馬温泉でございますが、そこから宝塚まで歩きました。十一キロあるのですけれども、六時間ぐらいかかった。そういう経験を持っておるわけでございます。途中はもちろん、高さ三十センチ、四十センチぐらい地割れがしておりますし、石ころがごろごろと時々落ちてくるというようなところでございまして、ただ昼でございましたので、うまく安全に、けがもせず行けたわけでございます。  いずれにいたしましても、こんな災害がこの日本列島には時として来る可能性があるということを考えますと、どうしても国の防災体制、今のままではやはり問題だというふうに私は思うわけでございます。  もちろん、政府におかれましても、災害対策基本法の改正や防災基本計画の改正、あるいはその他もろもろの手は打っていただきましたが、地震は必ずこういったところだけとは限らない、東京で起こるかもしれない、そういうことを考えますと、どうしても万全の体制をやはりとっておく必要があるのではないかというふうに思うわけでございます。  この神戸の地震災害と比べまして、この間のナホトカ号の油の流出事故体制、これは新年早々起こったわけでございますが、どうも国土庁の名前が出てこない。どこでやっているのだろう、ずっと思っておりました。新聞には、運輸大臣が本部長となった災対本部をつくり、それによって、海上保安庁等関係省庁を集めてそれなりの対応をとっておられたようでございますが、残念ながら我々災対の委員をやっておるのに全然知らなかった。そういうことを考えますと、もう少し、災害対策の明確なルールをまずつくって、そしてそれを国民によく知ってもらう体制をとっておく必要があるのではないかな。  例えばよくないかもしれませんけれども、ある災害は町の交番でやっています、ある災害は消防署でやっていますというような感じが国民の間にはしているのではないかなというふうに思うわけでございます。  災害対策基本法では、大規模な自然災害及びその他政令で定める大規模な事故等でしたか、そういう規定がありますが、自然が起こした災害であろうと、人が起こした災害であろうと、遭う人にとっては災害であることは間違いないわけでございます。したがいまして、これが自然災害か事故災害かによって訴えていくところが違うというのは、一般の住民にとっては極めてわかりにくい対応ではないかなというふうに思うわけでございます。  そういう意味におきまして、まず国土庁長官にお聞きしたいわけでございますが、その辺の災害による対応の体制をどのような考えのもとにやっておられるのかということをお聞きいたしたいと思います。
  193. 伊藤公介

    ○伊藤国務大臣 委員はこの道のある意味では専門家でもあるわけでありますが、基本的には事故災害についてはその関係の省庁の大臣を災害対策の本部長にして、しかし、その省庁だけでなしに、もちろん国土庁を初めとして関係省庁が連絡をとって、消防、警察あるいは時に自衛隊、こういうものが十分な連携をとって、そして対応してきているわけでございます。航空機の事故だとかあるいは列車の事故になれば御案内のとおり運輸大臣が、あるいは炭鉱における災害、事故もございました。これは通産大臣中心に立って対策本部をつくる。そして自然災害につきましては、ある一定の規模で、これは大きな自然災害だというときには国土庁の長官が原則としてその災害対策の本部長になって、当然そのときもそれぞれの関係省庁あるいは大臣との連絡をとりながら対応する、こういうことになっているわけでありまして、基本的にはルールは決まっているわけであります。  しかし、社会的に、今度のナホトカ号の事故についても、私も選挙区に帰れば、担当大臣で大変ですね、こう言われるのですね。ということは、一般的な人たちは、災害と言えば国土庁、そういう感覚を持っていられる方が多いということも私は改めて認識をいたしました。  もちろん今度のこのナホトカ号の事故に対しましても、もちろん私たちの国土庁から現地に職員を派遣し、あるいはそれぞれの関係機関で連絡をとり、また私たちの中央防災無線などはフル回転して常に現地との連絡をとる、また官邸を初めとする関係機関に情報を送る、そういう作業をしてきているわけでありますが、今申されたようないろいろな御指摘もあるところでありまして、今後、恐らく十一月ごろ、いわゆる中央省庁のそれこそ大きな再編成、そういう中では、この危機管理とか防災あるいは事故対策、そういうことに対して十分な体制ができる、そういう組織を当然検討していかなければならないと私は思っております。
  194. 竹本直一

    竹本分科員 実は、二十数年前のころにも私は建設省において防災対策の仕事をやっておりました。そのころは、中央防災会議とか言ってもなかなかぴんとこなくて、もちろん国土庁がなかった時代も含めまして、国土庁ができた後も、防災対策を国土庁でやるというと、何をやっているのかなという感じがあったのではないかなというふうに思うわけでございます。  今いみじくも大臣がおっしゃいましたように、災害となると当然、国土庁長官国土庁という感じが、今国民一般が皆そういう認識を持っているわけですね。そういうときに、この間のナホトカ号の事故じゃないけれども、全然国土庁の名前が出てこない。そうすると、これはどこでやっているのだろう。私も災対の委員をやっておりますから、あれはどこでやっているのかと聞かれるのですけれども、よく知らぬのだよ、こういう話をして恥をかいておったわけでございます。  災害を、自然か事故かあるいまその両方かということはもう極めて難しい問題でありまして、はっきりと自然災害と言えるもの、はっきりと事故だと言えるものもありますが、両者のまざったような災害の現象というのは当然起こり得るわけでございます。  私は、昔インドネシアのジャカルタで、日本でもやっておりますような防災訓練の現場を見せていただいたことがあるのです。このときはもう実に愉快で、かつ笑いました。山崩れがある、火山が噴火して山崩れがある、そういう想定でございました。そして、参加者が三千人ぐらいおるわけです。山の間の谷間でそういうことをやるわけです。あるとき、結婚式があるので行列が進んでおる、その後でまた葬式の行列もある、そしてどこかで遊んでいる、どこかへ旅をしている、そういう想定でどかっとやるわけですね。そうしますと、笑いましたのは、人が右往左往する、そこで今度は盗人が出る、盗人の強盗集団があちこちの家に入って物をとってとっとと逃げていく、それを警察が追っかけていく、見ていて実にリアリティーがあって楽しかった、あれは本当に楽しかった防災訓練なのです。ぜひ日本国土庁が主催されるような防災訓練、あるいは東京都がやられるような防災訓練においても、一度そんなことをやってみられるとおもしろいのじゃないかと思います。  災害を契機として事故が起こる、それが実態なのですね。ですから、そういうことを考えますと、余りにもこれは、自然災害だから国土庁、これは事故だから担当大臣関係省庁、こういうふうに割り切るのはなかなか難しいケースもあるのではないかなというふうに思います。  関東大震災、これは確かに十四万数千の人が亡くなりました。しかし、これは自然災害ではありますけれども、人が亡くなったのは、むしろ火事とかそういったことによって亡くなっておりまして、どこまでが自然災害と言えるかどうか問題があります。今度の神戸の震災でも、やはりそういう面があるのではないかというふうに思うわけでございまして、こういった自然災害と事故災害の混合したもの、あるいは自然災害から事故が起こる、あるいは事故からさらに別の事件ないしは事故が起こる、こういうことを想定いたしますと、国の危機管理というものをどのように役割分担し、そしてどれが来ても大丈夫なようにやはりしておく必要があるのではないかなというふうに思うわけでございます。  そういう意味で、ひとつお尋ねしたいわけでございますが、国家安全保障会議設置法という法律がございますが、あの法律の中で、これは総理大臣が主宰する会議でございますが、構成メンバーは外務大臣、大蔵大臣、内閣官房長官、国家公安委員長、防衛庁長官、経済企画庁長官。この正規のメンバーの中に、これは国家安全保障会議設置法第五条でございますが、その中にははっきりと国土庁長官という名前は出てこないわけでございますが、第七条で、必要があるときは、議長は関係の国務大臣を出席させることができる、こうなっております。この関係の国務大臣として恐らく国土庁長官は出席するケースはあり得るのだと思いますが、その辺の解釈がどうなっているのかということと、今まで、この国家安全保障会議との関係でどのような役割を国土庁が果たすかという議論がなされたかどうか、なされていないのであれはどのように考えておられるか、ちょっと御説明いただきたいと思います。
  195. 福田秀文

    ○福田(秀)政府委員 今先生のおっしゃった法律、それからその運用について、実は国土庁でつまびらかに存じ上げている法律、仕組みじゃございません。  それでそのようなお話、例えば国土庁長官をその中に入れるというようなお話も今まで聞いたことはございませんし、そのような事態がどういう事態なのかということも、今までのところ聞いたことがないというような状況でございます。
  196. 竹本直一

    竹本分科員 これは聞いたことがないでは済まされるような法律では実はないと思いますよ。  というのは、これは基本的には国防が危機に瀕したようなときのことを考えているのは事実でありますが、重大緊急事態の対処措置というのが二条で書いてございまして、通常の緊急事態対処体制によって適切に対処することができないような事態が重大緊急事態というわけでございますが、それが、先ほどから申し上げておりますように、単に外国からの侵略とかその他内乱とかいうもののみならず、災害を契機としてそういうふうになり得ることが十分考えられるのではないか、そのような問題意識を私は持っておるわけでございます。  したがいまして、その法律を知らないでは済まないんで、そういった場合にこの国家安全保障会議に諮って、だれを災対本部長にするかとかあるいは緊急対策本部長にするとか、そういう打ち合わせをきっちりやっておく必要があるんではないか、そのように思うわけですが、いかがでしょうか。
  197. 福田秀文

    ○福田(秀)政府委員 担当省庁とお話をしたいと思います。
  198. 竹本直一

    竹本分科員 もしまだでしたら、そういう国家の基本的な機能が危機に瀕する事態が発生した場合にどのように対処するかということについて、ぜひ御研究いただきたいと思うわけでございます。  ところで、我が国の国の中枢的な仕事はほとんど東京、首都圏でやっておられるわけでございますが、余りにも一極集中するということは、ある程度までは効率はいいわけでございますが、度が過ぎると、もしそこで大災害が発生した場合に、日本は完全に麻痺状態に陥ってしまうわけでございます。関東大震災級の大地震がもし東京に今発生すれば、大正時代であればあれで済んだかもしれませんが、これだけ高度に情報化され、日本列島が神経で全部つながっているようなときに、脳の部分がやられてしまうと全身が麻痺する、そして国家が混乱する、国が混乱する。同時に、今日本の国の財力で生きている国が世界に百カ国あると私は申し上げるわけでございますが、そういった場合に国際責任を全然果たせなくなる。そういう意味で、かつての関東大震災時代における日本とは世界における重みが全然違うわけでございます。  そういう意味で、東京の中枢機能がもし侵された場合にどういう対応を考えておくか、このことをぜひ真剣に考えてみたいというふうに思うわけでございます。  国におきましては、立川に防災基地をつくっていただいております。早晩それなりの機能を果たすんだろうと思いますが、それはそれで結構でございますが、ではそれだけで日本の中枢機能が十分確保されるのかというと、そうでもない。例えば証券の取引機能、金融の決済機能、そういったものが立川でできるとは思えない。そういう意味で、もし東京がダウンしてもどこかの別の金融・証券機能がきっちり生きていないと、日本経済的責任が対外的に果たせない。そういう意味で、どうしても首都圏東京に次ぐ第二の中枢機能の集積地である大阪あるいは京阪神、こういったところにおいて東京のかわりをする、心臓として働き得るそういう機能整備をしておく必要があるのではないかというふうに思うわけでございます。  一方、この近畿の方を見てみますと、ちょうど人口を見ますと大体首都圏は三千万、京阪神が大体千六百万、約半分であります。そして、その半分の八百万足らずが名古屋圏です。だから、ちょうど半分半分の関係になっておるわけでございますが、第二番目に人口あるいは社会的、経済的諸機能の集積しているこの京阪神地方を今のままでは、やはりどうしても危ない。たまたまあの災害が神戸だけだったからよかったけれども、全域にわたる災害であればもうどうしても手がつけられない。そういう意味で、近畿の中において今分担している中枢機能が麻痺すると、これは国家的にも結構大変なことになるんではないか。そうなりますと、ああいう災害がもし京阪神のどこか中枢部、例えば大阪で起こった場合にどのようにその救済をやるか、補てんをやるか、応援をやるかといった防災のネットワークを、ぜひとも近畿一円でやはり考えておく必要があるのではないか。  例えば関東大震災のときは、東京で大地震があったからその応援に神戸の港から相当の物資を運んでおります。人も運んでおります。そういうことが近畿の一円の中でどのような対応体制がとれるのかということを考えてみますと、例えば阪神の大震災のときには八尾空港から相当の、二百回ぐらいヘリを飛ばして現地へ向かっております。ほかの地域からもそれなりの応援はありました。しかし、御承知のように、あそこの神戸は、東西を貫く一本の山陽新幹線、それから山陽本線、そして道路も一本だけです。そういうことで、一点が侵されると全部麻痺してしまう、こういう脆弱な都市構造になっておったのも事実であります。  そういう意味で、近畿全体としてそういった場合の機能の確保をどのようにやるか。ぜひ近畿のそういう資産及び人を守る防災の救援体制の検討を、首都圏において立川基地を考えられたと同じように、近畿圏においてもそういったものを考える必要があるのではないかと私は思うわけですが、いかがでしょうか。
  199. 福田秀文

    ○福田(秀)政府委員 まず立川の広域防災基地でございますけれども先生もう先刻御案内のとおり、これは、首都東京を抱えるこの地域におきまして広域的な災害が発生した場合の情報の収集、伝達とか救難救助等の災害応急対策の拠点にするというのが一つと、それから、平常時において地域の行政サービスの充実あるいは国民に対する防災知識の普及、こういうものを図るために整備が進められてきているものでございます。特に南関東地域直下の地震、こういう場合に、国の災害対策本部を都心部、まあこの地域一帯に設置できないような場合に備えて、バックアップのために、いわゆる災害対策本部の予備施設、これを設置して、もう一期工事は終わって今二期工事を進めておりますけれども、そういうような特別な位置づけを持った防災基地でございます。  このような特別な位置づけを持った立川の防災基地とは別に、日本全国のほかの地域でどのようなことになるかでございますけれども、それぞれの地域の実情に応じた防災基地、これが必要になってくると思われます。ですから、それぞれの地域地域で、地元の公共団体あるいは公共団体の連携によって検討されるべき問題であろうというふうに考えております。  近畿圏のお話が出ましたけれども、首都圏に次いで人口、産業の集積した大都市圏でございまして、また平成七年の大震災の経験を踏まえて、現在、地元公共団体におきまして防災基地の検討が進められておるというふうに私ども伺っておるわけでございます。今後ともその地元公共団体との連絡をさらに密にしてまいりたいというふうに考えております。
  200. 竹本直一

    竹本分科員 ぜひその辺の御理解を十分いただきたいと思います。  先ほど申し上げましたように、人口規模において首都圏の半分以上居住しておる地域であります。そして、都市機能においては首都圏のその比率よりも以下かもしれませんが、先ほど言いましたように、首都圏は潜在的に震災に遭う危険性がある、もし首都圏の機能がストップすれば経済社会機能が完全にストップするということでありますから、そのかわりをどこかの都市がやらなければいけない、そのかわりの都市日本国としては持っておく必要がある、それを近畿圏において果たさせるべきではないかというのが私の発想であります。  したがいまして、近畿圏に万が一大地震が起こった場合に、その近くにおける、その地域における救援のネットワーク、これをぜひ国土庁において御指導いただき、御支援いただいて、きっちりとした話し合いの場をつくっていただきたい、そのように思うわけでございます。自治体同士話し合えばいいじゃないかというふうにも聞こえますが、国はやはり国の機能を守る責任を持っておりますから、自治体だけに任しておいていいものでは私はないと思うわけでございます。そういう意味で、ぜひ十分な御理解をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
  201. 福田秀文

    ○福田(秀)政府委員 先ほど申しましたとおりに、地元の方の動きというものはいろいろとお聞きしておりますし、その動きを踏まえて各省庁でも連絡会議などを開いたところでございますので、先ほど申しましたとおり、今後とも地元公共団体との連絡、これを密にしてまいりたいというふうに思います。
  202. 竹本直一

    竹本分科員 いずれにいたしましても、高度情報化社会であります。また国際化時代であります。日本一国の事故あるいは日本一国の大災害で、我々日本のみならず世界に対して日本が負っておる責任を果たせない事態が将未来る可能性があるということでございます。ぜひ、あらゆる災害、あらゆる事故等に対して、国土庁が今以上にもっと積極的に国民のために表に立っていただき、シャッポとしての役割を果たしていただきたいなというふうに思います。  年初来、予算委員会にずっと出ておりますけれども、伊藤大臣の明快な、また積極的な発言を聞いておりまして、その可能性を非常に期待する者の一人として意見を述べさせていただいておるわけでございます。  二十年前と違いまして、国民ははっきりと、災害は国土庁が出てきてやるものだというふうに思っておりますので、それについて各省庁もそれなりの協力を惜しまない心構えができているのだと思います。遠慮する必要はない。別に国土庁ではなくてもいいですよ、どこかがやってくれればいいのですけれども、ぜひ今回の行政改革の論議の中で、先ほど大臣がおっしゃいましたように、きっちりとした危機管理体制、きっちりとしたわかりやすい明快な防災体制の確立を望むものであります。  最後大臣の御所感をお聞きしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  203. 伊藤公介

    ○伊藤国務大臣 危機管理に関しては、阪神・淡路の震災以降、それぞれの関係機関とも非常に新しい時代に対応していただいていると、私自身は判断しています。また、国土庁といたしましても、特に危機管理については、初動体制が非常に大事だ、そして加えて、確かな情報をいかに早く的確に把握をするかということが大変大事だというふうに思っておりまして、平成年度予算の中でも実はこのことをお願いをして、無線の、いわゆる情報ができるだけ早く確保できる、そういう体制についても予算お願いをしているところでもございます。  なお、先ほど委員から御指摘をいただきました、近畿・阪神地域におきます、いわゆる東京でいいますと立川のような対応、そうしたことも、何といっても東京、大阪というのは日本を代表する、さまざまな産業を初めとして集積をしている地域でありますから、地元の自治体とも十分連絡を一とってそうした対応ができるようなことも検討していかなければならないのではないかと思っております。
  204. 竹本直一

    竹本分科員 どうもありがとうございました。  これで質問を終わります。
  205. 太田昭宏

    太田(昭)主査代理 これにて竹本直一君の質疑は終了いたしました。  次に、山元勉君。
  206. 山元勉

    山元分科員 民主党の山元でございます。  地元の問題でもありますけれども、琵琶湖総合開発特別措置法が二十五年間続いてきたわけですが、この三月に終わるわけです。その間に、治水、利水、そして、滋賀で大きな課題の一つでしたけれども、水質保全のための下水道等が大変充実、進展をいたしました。これは各省庁の皆さんの御努力、あるいは下流府県の皆さんの御協力等があってできたことで、私ども感謝を申し上げたいと思います。  しかし、大変大きな課題も残しているわけです。きょうは、その残している課題、私どもはポスト琵琶総と言っていますが、琵琶湖総合開発が終わった後、どういうふうに琵琶湖を守るのかということについてお尋ねをし、お願いもしたいわけです。  最初に大臣にお伺いしたいのですが、琵琶湖というものをどのように御認識をいただいているか。  琵琶湖というのは大変大きい、日本一ですけれども、面積でいいますと、淡路島がつかってしまうほどの、六百七十平方キロメートルあるわけですし、蓄えている水も二百七十五億トンですから国民の皆さん全部に二百トンずつ配ってもまだ、ちょっと残るというような大きな水がめだというふうに言われますし、近畿の千四百万人、前に地下水の問題が出ましたときに、日本じゅうで地下水で生活している人が三千万というふうに資料がありましたけれども、琵琶湖だけで千四百万人の皆さんの生活の水、産業の水というのが賄われているわけですから、非常に大きい。そしてそこにはたくさんの漁業資源もありますし、すばらしい景観もあるわけです。この大きな琵琶湖、私は国家的な資産だというふうに思いますけれども、これが大変危機に瀕していると言っては極端な言い方ですけれども、非常に大きな問題を持っているというふうに思っているのです。  そういう、私にしてみればまさにふるさとの母なる湖ですけれども、長官は関東でお育ちですけれども、琵琶湖についてどういう御認識、あるいは今の琵琶湖についてお考えがありましたら、まずお伺いをしたいと思います。
  207. 伊藤公介

    ○伊藤国務大臣 先日行われた琵琶湖マラソンも、全国の皆さんが大変楽しまれたすばらしいマラソンでありました。  琵琶湖は、京阪神の約一千四百万人、そうした方々の生活を支える水資源として、また、滋賀県を初めとする京阪神地域のこれまでの発展や繁栄に大変大きく寄与している、いわゆる国民的な、重要な湖だというふうに認識をしております。  山元委員を初めとして、地元の議員の皆さん、あるいは地方自治体、御関係の皆さんの大変な御協力によって、昭和四十七年以来、措置法も二回にわたって改正をされて、その中で、この琵琶湖に関しますさまざまな整備を進めてきていただきました。これまでの御努力に対しましても心から私からも感謝を申し上げたいと思います。  しかし、御指摘もいただきましたように、琵琶湖のいわゆる水質の問題を含めまして、今後にも多くの課題も残されていると思っております。これまでの御努力は御努力として、さらに未来に向かって、琵琶湖がその役割を果たし、また、多くの国民の皆さんに親しんでいただけるような琵琶湖として、今後もさまざまな対応をしていかなければならないと考えております。
  208. 山元勉

    山元分科員 ありがとうございました。問題についてしっかりと御認識をいただいているようで、ありがたいと思います。  先ほども申し上げましたように、二十五年、二兆円ほどをかけての総合開発でございました。ですから、確かに水資源開発ということでは大きな成果がありました。  例えば、九四年に大渇水があって、日本じゅうが大騒ぎをしました。滋賀県の試算ですけれども、あのとき、九四年の大渇水のときにもしこれが行われていなかったら、あるいは、例えば二十年前の状況であったら、大阪も兵庫も大きな損害を受けただろうというふうに試算をしました。以前の琵琶湖であれば、今一・五メートル下がってもどんどんと、下がるまで流すわけですね。昔は、五十三センチぐらいでもう取水制限をやっていたわけです。そういう時代から比べると、この間の九四年の渇水のときには、大阪は二千二百億円ほど助かっただろう、あるいは兵庫は五百億円ほど助かっただろう、こういう試算があるわけですね。  そういう意味で、私は、京阪神の皆さんへの水を流すという、水資源ということでは大きな前進がありましたし、あるいは、例えば下水道のこともそうですが、今全国の下水道の普及率は五四%を超しました。滋賀県は残念ながらまだ四三%で、一〇%余りの差があるわけです。けれども、十年前を考えると、全国三六%であったときに滋賀県は一二・九%ですから、三分の一ほどの普及率であったわけです。それがやはり随分速いテンポで普及が進んでいった。琵琶湖の水を汚してはならぬということでのそういう事業が行われたことについては大変大きな成果であったわけですが、先ほども申し上げましたように、やはり水質の回復については問題が大きく残されている。  現に、もう二十年ほど前になりますけれども、一九七七年に初めて琵琶湖で赤潮が出ました。赤潮というのは外であるみたいに考えていたところが、琵琶湖で赤潮が発生をして大騒ぎをしましたそれからずっと続いているわけですね。そして、四年ほど前に、ついに今度はアオコ、青いどろどろの、見てもぞっとするようなアオコが発生するようになりました。琵琶湖を守らなければならぬといって、治水、利水だけではなしに、水質保全についても気をつけてきたはずだけれども、こういうふうに悪化をしてきているわけです。そういう今の状況というのは、私早口で申し上げましたけれども国土庁として琵琶湖の水質の現状あるいは回復などについてどういうふうに認識をしていただいているのか、取り組んでいただいているのか、現状についてまずお聞きをしたいと思います。
  209. 五十嵐健之

    ○五十嵐政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘のように、本年度で琵琶湖総合開発事業全体が終わるわけでございます。達成率一〇二%、進捗率一〇二%という見込みでございます。この全体一兆八千六百億の予定に対しまして一兆九千億の事業が行われたわけでありますけれども、この四五%に当たりますのが保全関係事業ということになります。それ以外が治水、利水ということになるわけであります。  半分近くと申しますか、四五%投じました保全関係事業の大きな柱が、今先生おっしゃいました下水道関係、それからこれに限りませんで、し尿処理あるいは畜産環境整備施設、農業集落排水処理関係あるいはごみ処理施設等々でございまして、この五十六年以降の十四年間だけの下水道普及率を見てみますと、当時は五%足らずでありましたのが、もう四三%に達しているということでございます。簡単に言えば、九倍にも達するという、その間全国では一・七倍ぐらいしか普及率が上がっていませんから、大変な勢いで追いついてきたということになろうかと思います。  この効果は、百二十本余り琵琶湖には流入河川がございますけれども、そういう流入河川の水質の改善には非常にはっきりとあらわれているわけであります。特に汚濁の著しいのが南湖でありますけれども、ここでBODで見てまいりますと、総合開発が始まりました直後の五十年初頭では五ミリグラム・パー・リッターでありましたけれども、現在が一・五から二・〇ミリグラム・パー・リッターというようなことで改善は進んできたわけであります。  ただ、この間琵琶湖本体の水質の方がどうなったかということになるわけでありますけれども、CODで見てまいりますと、昭和五十年代の後半はかなり改善の傾向が見られたということは事実でありますが、その後、つまり昭和六十年代、平成の間でありますけれども、そういった改善の傾向が見られていないという状況でございます。
  210. 山元勉

    山元分科員 そういう実態も認識していただいて、今度も千八百万円の、もう一遍改めて調査をしよう、私どもはまだまだ保全についての事業がこの特別措置法でやってもらえないかという意識を持っておりましたけれども、再延長なしということですが、それにしてもきちっと調査を改めてするということで千八百万円の調査費用を予算を今組んでもらっているわけですけれども、大変難しくなっているわけですね。  工場や生活排水がどんどんと流れ込む、だから汚れるんだという単純なものではなしに、膨大な湖底にたまっている泥が燐を出すとか、あるいは開発のために湖岸堤、琵琶湖の周りをコンクリートで固めていろいろなものをつくったから、水の流れが変わっていろいろと汚れを出している。非常に複雑な汚染の状況になっているわけです。  ですから私は、調査をしていただくというのはありがたい、感謝をしたいと思うのですが、何に重点を置いて何をにらみながら調査をされるのか、その重点についてちょっとお伺いをしたいのですが。
  211. 五十嵐健之

    ○五十嵐政府委員 琵琶湖の総合保全ということに関しましては、それぞれの主体がいろいろな事業を展開いたします。あるいは地元の方でいろいろな調査を行うといったような、そしてまた国土庁も来年度平成年度に滋賀県と密接な連携をとりまして調査を行いたい、総合的な取り組みを開始するということになるわけでございます。  国土庁関係の調査といたしましては、琵琶湖周辺の土地利用が琵琶湖に対するどのような影響を与えているのか、それから琵琶湖の保全につながる土地利用はどういうものであるか、あるいは汚濁負荷の状況等々につきまして、名前から申しますと総合保全推進調査というわけでありますけれども、これを行いたい。特に県におかれましては、将来的には現在の琵琶湖保全区域をもっと広げたいという希望をお持ちであります。それをまた前提に保全整備計画をつくりたい、変更したいという希望をお持ちでございます。そういった方向に対しまして具体的に第一歩を踏み出す、そういう取り組みを行いたいと考えておるところでございます。
  212. 山元勉

    山元分科員 いや、その総合保全のための調査ということだけで、私が申し上げた、一体重点ほどこにあるのかということを、やはり国土庁も意図的に持ってもらわないといけないだろうと思うのですね。  今局長おっしゃいました、保全区域を拡大をしていくんだということについて、例えば湖岸だけではなしに山の上の森林までということを言うわけですけれども、一体どういうところが一番、失礼な言い方だけれども感謝をしながら言う言い方ではないかもしれぬけれども、千八百万円の調査費というのは余り多いとは言えないわけですね。  何をやるのかということをしっかりと決めていただかないと、あるいは持っていただかないと、これは成果が上がりにくいというふうに思うのですよ。そこのところ、何が重点なのかということについてもう少しお伺いしたい。
  213. 五十嵐健之

    ○五十嵐政府委員 私どもの調査をいたしますポイントといたしましては、これは滋賀県と密接に絡むのでありますけれども、現在の保全区域がこのままでいいかどうか、それからこの保全区域を前提といたしまして、保全整備計画というのがあります。これは土地利用の規制のあり方から具体事業でありますとかその他のいろいろな施策をここに取り込むことになるわけであります。  琵琶湖総合開発事業が今年度で一応終了するといたしますと、今後一番のポイントは、先ほど大臣答弁申し上げましたように、水質あるいは保全の問題になろうかと思います。この保全の問題に対しまして、各主体ごとに取り組まなければいけないわけでありますけれども、私どもの方は、今言いました保全区域の拡大でありますとか保全整備計画につながるような観点から、地上部分というとちょっと言い過ぎかもしれませんが、そういった土地利用の問題でありますとか、現在の水質汚濁の解析と申しますか、そういった点を重点に取り組みたいと考えております。
  214. 山元勉

    山元分科員 先ほども言いましたように、大変難しくというか、いろいろの原因で琵琶湖の水質が悪くなっていっているわけですけれども、例えば滋賀県の場合でいうと、三本柱で、水質の保全ということが第一番ですし、その次には、やはり開発とも絡むのですけれども、水源の涵養の問題それから自然と景観の問題というふうに三つの柱に分けて言っているのですが、今のお話を聞いていると、やはり水質の保全で水源の涵養とも絡んで保全区域あるいは土地の利用ということに重点が置かれているような気もするのですが、そこのところをもう少し、私はこれから地元と協議をしていただいてお進めをいただくのだろうというふうに思いますけれども、確かに私はそういう重点をしっかりと明確にしながらやっていただきたいなというふうに思います。  時間が短いわけですから次の問題ですが、私は、こういうことを進めていくのには滋賀県だけではどうにもならぬという思いがずっとしてきているわけですね。先ほども言いましたように、非常に巨大な琵琶湖ですから、そしてまた下流の皆さんに大変影響が強いわけですから、下流の府県の皆さんとしっかりと連携することが大事だろうというふうに思うのです。  去年の六月に京都、大阪、兵庫、そして滋賀とで国土庁に要望書というのをお出しをして、今申し上げましたような三つの点でぜひ御協力を賜りたい。これは、四つの府県の知事さん連名で、一緒に来て、国土庁とお話をさせていただいたというふうに思いますが、わかったわかったではちょっとぐあいが悪いわけでして、実際に四府県が共同の事業を連携をしながら行うということが大事なんだろうと思うのですね。  前に私はずけっと言われたことがあって、汚すのは滋賀県じゃから滋賀県がきれいにせいという話がありましたけれども、なかなかそうはならない実態があるわけです。京都や大阪、兵庫の皆さんが、知事さんが署名をして、一緒に行動をしようというふうにおっしゃっていただいて、国土庁と話し合っていただいたということは大変ありがたいわけですが、これを実のあるものにしていくのは、滋賀県の努力でもあろうと思いますけれども国土庁の皆さんの対応も、しっかりとそのことについて、そういう枠組みはあるんだということについて御理解をいただいて、対応をしていただかなければならぬと思うのです。  この四府県の要望についてどういうふうに国土庁がお受けとめをいただいているのか、お伺いをしたいと思うのです。
  215. 五十嵐健之

    ○五十嵐政府委員 先生指摘のように、昨年の六月でございますけれども、滋賀、京都、大阪、兵庫、四県の知事さんのお名前で要望書が出されているところでございます。  それを受けまして、平成年度予算あるいは施策をどうするかということが検討されたわけであります。  全体の姿をどうするかということで、私どもは、ここの要望に出されております「総合的保全のための整備計画を国の計画として」というところがあります。これが、具体的にいろいろお伺いをしておりますと、先ほどの計画のお話、つまり保全整備計画でありますが、保全整備計画の話をずっとしておられる、これを改定してほしいというお話であります。これに向けて、それではまず第一歩を進めようではないかということであります。  それから、琵琶湖の自然的環境あるいは景観の保全、それから水源涵養のための保全区域を拡充すること、これも今申し上げました。  これに限らず、むしろ、ポスト琵琶総としては、具体にどうやって事業をしまして、先ほど先生のお話でいいますと、例えば、湖底にたまったヘドロの処理を含めてどうやったらいいのだということになるわけです。  もちろんそれぞれ、農水省でありますとか建設省はいろいろな事業を展開し、具体に水質がよくなるような対策をこれまでも講じてきたわけでありますけれども、特に九年度から、総合対策事業というのを打ち立てまして、河川事業でありますとか、下水道事業でありますとか、農業集落排水事業でありますとか、それから、かん排事業でも、琵琶湖にもう水をできるだけ落とさない。かん排の一番下のところまでいくと、大変栄養のたまった水があるわけであります、田んぼの話でありますけれども。これがそのまま川を伝わって琵琶湖に行くと、琵琶湖の水質が悪くなる。だから、これを一種クローズドシステムでもう一回上に上げていってつくり直す。  こういうような、持てる事業をできるだけ集中して行うという対策に取り組もうということが、農水省、建設省の間で行われてきたというようなことであります。  これはある方のお話でありますけれども、もしかしましたら要望以上の対応を国の方まとってくれたのではないかというお言葉をいただいたことがありますが、一生懸命取り組んでいるところだと思います。  そして、水質そのものにつきましては、これは先生御案内のように、下流を含めまして、先ほどの三府県含めまして、琵琶湖の水質の保全を進めるためのアオコの削減でありますとか微量有害物質の削減に関する調査、これを行うということになっているわけであります。  将来の話としての保全区域の話、それから当面の集中投資の話、それから水質そのものの話、それぞれの主体が総合的に取り組むということになっているわけでございます。
  216. 山元勉

    山元分科員 今もおっしゃっていただきましたように、滋賀の琵琶湖というだけではないという御認識はお持ちをいただいているようです。  これから県においても、ことしの予算で幾つかの事業を、滋賀県の予算、余り豊かでないのでして、今度は伸び率〇・六%という極めて厳しい予算を組まなければならぬ状態になっているわけですけれども、その中でも、例えば、先ほど千八百万と言いましたが、県独自でも総合調査をやらなければならぬというので四千万組んだり、今、さまざまな細かいところまで、琵琶湖をあらゆることで守るという予算を組んでいるわけです。そして、それは県だけではなしに、例えば、新しく家を建てるときには合併浄化槽の設置を義務づけるというような滋賀県独自の条例もつくって、県民も協力をするんだ、こういうことになっているわけですね。  そういうのはやはり、国の皆さんあるいは近畿の皆さんの支えというのか声援がなかったら、なかなか進まないだろうと思いますし、私は、行政としては、声援だけではなしに、しっかり事ごとに近畿圏の琵琶湖ということでの受けとめ方をぜひしていただきたいというふうに、これはお願いをしておきたいと思います。  もう一つですが、この問題は大変多くの省庁にまたがっているわけですね。開発を中心にやってきたのは建設省とか農水省とかいうところ、そして、守ってくる立場で環境庁。だから、今言いましたように、建設省、農水省、環境庁、通産省、それから、下水のことでいうと厚生省も絡み、自治省も絡みということで、七つも八つもの省庁が今までこの事業にかかわってきていただいたわけです。  けれども、最初に少し申し上げましたが、やはり縦割り行政の弱さというのはどうしてもあるわけですね。これはよく言われることですが、建設省と農水省との下水道がつながらぬというような話まであって、縦割りの弊害というのは、やはりこういう大きな事業の中では痛感をするわけです。  そういう状況の中では、国土庁が一番リーダーシップを発揮していただいて、この各省の連携をしっかりと強めていただきたいというふうに思うのです。事は、建設省がつくったあれだから、農水省がつくったあれだからというように事業がばらばらでは、これはもたぬわけですから、よほど連携をしていただかないといけないわけです。  そして、これは、実際に開発というハードのものが中心になるのとはちょっと違ってきて、本当に気持ちとして、水質を守る、環境を守るということで意思の一致がないといけないわけです。  そういう点でいうと、国土庁のリーダーシップをぜひ発揮をしていただくようにお願いをしたいのですが、そういう連携の場なり、あるいは組織というものはあるのですか。縦割りについては御認識いただいているのだろうと思うのですけれども、ただ頑張りましようというだけではなしに、きちっとしたそういう連携の場なりテーブルなりというのが要るのではないかというふうに私は思いますが、これからどのように進めていただけるのでしょうか。
  217. 五十嵐健之

    ○五十嵐政府委員 琵琶湖総合開発事業は、先ほど来御指摘のように、関係省庁が総合的に取り組んだ仕事でありまして、役人が申し上げるのも変な話かもしれませんけれども、総合的な取り組みで大変うまくいったケースではないかと思います。  ポスト琵琶総というお言葉を使われましたけれども平成年度以降どうするかという問題につきましても、建設省と農水省が、非常にこの問題に積極的に取り組んでもらったわけであります。  私ども、滋賀県庁からいろいろなお話を承り、これを事業官庁につなげて、これらの対応でいろいろ相談を重ねてきたわけでありますけれども、先ほど来申し上げておりますような水質保全あるいは環境対策の総合事業、つまり短期集中事業と申しますか、そういったものに取り組むことになりました。これを具体にやるために、中央で協議会、それから地元で、地方で協議会、二段階の協議会組織をつくるというようなことになっているわけであります。  さらに、今後とも、新しい分野でもこういう参画をいただかなければいけない分野が出てまいりました場合には、これからも積極的な働きかけをしてまいりたいと思っております。
  218. 山元勉

    山元分科員 時間ですから、最後に長官にお伺いをしたいわけですが、日本を環境先進国と言えるのかどうかはいろいろな評価があるわけですね。二、三日前の新聞でも、温暖化の問題なんかでは、世界で二番目に悪いワースト二位やというふうに出ていました。日本の環境行政というものについてはいろいろの評価がございます。けれども地域エゴで申し上げるのではありませんけれども、やはり少なくとも、日本で最大の湖を守れるか守れないかということについては大きな、日本の環境行政の質を問われることだというふうに私は思うのですね。  そういう意味では、先ほど来申し上げてきましたけれども、自分たちの子や孫に美しい国土を譲っていくということの責任において、長官、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思いますが、そのことについての御所見を最後にお伺いをしたいと思うのですが。
  219. 伊藤公介

    ○伊藤国務大臣 私は、二十一世紀の日本のキーワードは科学技術創造立国と環境先進国日本、そう申し上げてまいりました。  そういう観点からも、日本の人々が親しんできた琵琶湖が、特に先生の御地元であります滋賀県は、今全国の中で埼玉県に次いで人口の伸び率が第二位というそういう県でもございますが、新しい未来都市に向かって、この琵琶湖を中心として、環境先進国と言われるような行政が、御指摘をいただきましたように各省庁よく連携をとって、そして縦割り行政と言われないように、この琵琶湖がすばらしい環境の湖ともなれるように努力をしていかなければならないと思っております。御指摘をいただいた点は関係省庁とも十分連絡をとってやってまいりたいと思っております。
  220. 山元勉

    山元分科員 ありがとうございました。  最初にお尋ねをしたときに、長官は琵琶湖へおいでをいただいた経緯があるのかどうかということをお伺いをしませんでした。  二十五年の大事業を終わって、やはりしっかりと立ちどまるというのですか、しっかりと今までのことを総括をして、そして新しいポスト琵琶総といいますか、これから本当に水質が回復していくための取り組みを出発させるということを我々は一生懸命やらなければならないのです。そのときにはぜひ長官、琵琶湖へおいでいただいて直接ごらんいただいて、また御指導をいただきたいとお願い申し上げておきます。  ありがとうございました。
  221. 太田昭宏

    太田(昭)主査代理 これにて山元勉君の質疑は終了いたしました。  次に、川内博史君。
  222. 川内博史

    川内分科員 川内でございます。  我が国の危機管理のことについて、三十分お時間をいただいて質問をさせていただきたいと思います。  災害が起こったときに、まず初動が、最初の一日が、あるいは最初の一時間が大変に重要であるというのが阪神・淡路の大震災以降私たちが学んだことであるというふうこ思うわけでございますが、そういう教訓を生かして、平成八年の五月十一日に内閣情報集約センターというものが設置をされているわけでございます。  その任務は、内閣情報集約センターが出している文書を読みますと、「二十四時間体制で内外の情報を収集・集約し、緊急な情報を速やかに内閣総理大臣、内閣官房長官、内閣官房副長官等に報告すること」であるというふうに書いてございます。速やかに報告をすると書くのは簡単なんですけれども具体的に災害発生時にどのように対応をしているのか、まず内調にお伺いをさせていただきます。
  223. 芦刈勝治

    ○芦刈説明員 内閣情報集約センターにおきましては、大規模災害発生時に気象庁あるいは国土庁など関係省庁から連絡を受けるなどいたしまして、その発生を認知した場合に直ちに、総理大臣官房長官についてはそれぞれ秘書官を通じまして、また内閣官房副長官等につきましては直接電話あるいはファクス等で報告を行っております。また、その後収集、集約した被害の状況につきましても、逐次総理大臣等への報告を行っているところでございます。
  224. 川内博史

    川内分科員 もう一度、大規模災害というのは具体的にどういう基準で大規模災害と言っているのか。大規模でない災害、中規模災害、小規模災害というのがあるのか、基準が。
  225. 芦刈勝治

    ○芦刈説明員 総理等に報告しております大規模災害についてのお尋ねでありますが、報告の対象といたしましては、抽象的に申しますれば、内閣として対処することが求められる大規模災害ということになるわけでありますけれども、現在具体的には、地震におきましては震度四を一応のめどとして報告をすることにしております。  また、それ以外の災害につきましては、これもケース・バイ・ケースでさまざまでございますので一律の基準を申し上げるのはなかなか難しゅうございますが、相当の人的、物的被害を生じ、または生じるおそれのある災害について総理大臣等への報告を行っているところであります。
  226. 川内博史

    川内分科員 その辺が非常にあいまいだということをまず御指摘を申し上げたいと思います。  報告をするのも、文書では総理大臣や官房長官に報告をするというふうに書いてありながら、今お答えでは秘書官に報告をするというふうにおっしゃいましたけれども、まず初動のときにどういう対応をとるのか、危機管理においては一番重要な局面において秘書官に報告をしているようではだめだということを申し上げたいと思います。  それから、アメリカのFEMAでは、大統領が頻繁に声明を出すわけですね、災害が起きた場合。それは、人が一人でも死んでいるということが判明したときには大統領が宣言を出して、総がかりで災害対策へ向かうというそのシステムが確立されているわけですけれども、今のお話を聞いておりますと、どうにも頼りない。その基準は、その都度担当者が判断して、総理に報告する必要があるかどうか考えてから報告しますと。  それは、判断するのは総理が判断するのじゃないのですか。官房長官が、これは大変なことになりそうだということを判断するのじゃないのですか。給料をもらって仕事をしているお役人がお国の一大事を判断して、これはまあ総理に報告しなくてもいいかというようなことをしているから阪神・淡路のようなことになるし、ナホトカ号みたいに原油が物すごい範囲に広がってから慌てふためくということになるということを御指摘をさせていただきたいと思います。  ですから、具体的な例として蒲原沢の土石流災害それからナホトカ号のときに、だれにどのようにだれが報告をしたのか答えてください。
  227. 芦刈勝治

    ○芦刈説明員 蒲原沢の土石流災害につきましては、発生時に警察庁等から土石流発生の第一報を受けまして、総理大臣それから官房長官につきましてはそれぞれ秘書官を通じて御報告をしております。また、官房副長官等には直接災害の概要を報告して、そのまま引き続き被害状況、対応状況について報告をしているところであります。  ナホトカ号についてもほぼ同様でありますが、海上保安庁から海難の概要等の第一報を受けまして、総理大臣、官房長官についてはそれぞれ秘書官を通じまして報告し、官房副長官等には直接報告し、その後も引き続き救助状況、漂流状況等について報告をしたところでございます。     〔太田(昭)主査代理退席、高鳥主査代理     着席〕
  228. 川内博史

    川内分科員 秘書官を通じて秘書官を通じてと、政治家政治家として、国民の代表として選ばれた者として一番真価を発揮しなければならないときに情報がワンクッション置かれて伝わってくるということについては、これはお考えを改めていただかなければならないのかなというふうに考えます。  それから、今気づいたことなんですが、「内閣情報集約センターについて」というペーパーがあるのですが、「緊急参集チーム」というのが「別紙」に出ておりまして、この中にも、やはり事務方の方ばかりで、政治家、いわゆる政務の官房副長官が入っていない。事務方だけでとりあえずごちょごちょ話し合いをして対応していこうという姿勢が見てとれるわけです。この辺も問題があるのではないかということを、危機管理について問題があるのではないかということを御指摘をさせていただきたいと思います。  次に、国土庁の伊藤長官にお伺いをさせていただきます。  先ほどFEMAの話題を出したわけでございますが、阪神・淡路の大震災以降、平成七年二月に国土庁さんはアメリカのFEMA、米国連邦緊急事態管理庁の調査をされていらっしゃいます。ノースリッジのときにも大変な働きをしたということでFEMAは大変な脚光を浴び、また高い評価を受けているわけでございますが、そのFEMAを阪神・淡路以降調査をされて、FEMAから何を学び、今国土庁の組織としてそれをどのように生かしていこうとしているのか、具体的に改善項目があったのかなかったのか、あったとすれば何を改善しようとしていらっしゃるのか、お聞かせをいただければと思います。
  229. 福田秀文

    ○福田(秀)政府委員 阪神・淡路大震災の後間もなく、国土庁ではFEMAに調査団を派遣をいたしまして、主としてFEMAにおける発災直後の初動体制、それから地理情報システムの活用状況、こういうものを調査をいたしました。  その調査の中で、初動体制につきましては、FEMAによる情報の収集・連絡体制、あるいは連邦政府諸機関の支援活動のFEMAによる総合調整、また支援活動を行う現地事務所の活動、さらには地理情報システムを活用して地震被害の早期推定あるいは応急対策への活用、こういうものについて調査をしてまいったわけでございます。  国土庁としては、そのFEMAの状況も参考にし、阪神・淡路大震災の教訓も踏まえまして、災害対策の充実に努めてきているわけでございますけれども具体的にちょっと触れさせていただきますと、一つは、災害対策基本法を改正をいたしまして、緊急災害対策本部の体制強化、あるいは本部長の権限強化、それから現地対策本部の法定化などを図りました。さらに、防災基本計画を見直しまして、初動体制を初めといたしまして、それぞれの段階でだれが何をするか、具体的、実践的になるように改めました。  また、情報の収集・連絡体制の整備でございますけれども、コンピューターを活用をいたしまして、一斉情報連絡体制、これを整備をいたしております用地震で申しますと、気象庁から地震の連絡を受けた場合にコンピューターによって自動的に作動する一斉情報連絡装置、これを整備をいたしまして、国土庁庁内のみならず、官邸を初め関係省庁に即座に連絡が行くというような体制をとっております。それから、中央防災無線網の整備をさらに拡充をしております。この中で、この中央防災無線網と地方公共団体、これを直結させるというようなこともしております。  それから、被災地からの情報でございますけれども、画像情報がリアルタイムで国土庁に入ってくるようこいたしまして、国土庁でまそれを官邸を初め関係省庁に送信する、こういう体制を整備しております。また、被災の状況というものを早期にコンピューターによって推定をする、どの程度の建物倒壊が起きているか、それに伴って人的被害がどの程度出ているかというようなことを早期に推定する地震被害早期評価システム、こういうものを整備しているところでございます。
  230. 川内博史

    川内分科員 今、いろいろの視察の結果のFEMAの分析及びそれに対して国土庁さんが何をやろうとしていらっしゃるかということの詳細な御説明をいただきましたけれども、私は、結局問題点は解決をされていないのだなということを感じるわけでございます。  と申しますのは、情報を集め、それを初動に、災害が、あるいは何かの危機が起きた場合にどう対応していくのかというときに、今の防災局長の御説明では、だれが責任を持って対応するという言葉が全然なかったですね。これをこうしてこうしてこうして、あるいは集めて、分析してというような長々とした説明がありましたけれども、例えば、大変な災害の場合には総理がすぐさま指示を出せるようになっておりますとか、あるいはそうでない場合は官房長官がとか、あるいは副長官が、あるいは国土庁の長官がというような具体的な職名、そういう方々が責任を持って対応するんだという言葉が全然なかったわけです。  もう一度、私不勉強で申しわけないです。そういう具体的なレベルに応じた責任者というものがきちっと決まっているのかどうか、もう一度お答えいただけませんか。
  231. 福田秀文

    ○福田(秀)政府委員 大規模な災害が発生した場合には、非常災害対策本部、政府レベルでこれが設置をされることになります。その本部長は、自然災害の場合に、通常国土庁長官が本部長となります。その本部の中で関係省庁が集まって協議して、それで本部としての決定がなされるわけでありますけれども、そういうときの行動は、無論国土庁長官が率先して国土庁長官の名前で行動する、こういうことになるわけでございます。  また、現地には、現地対策本部、こういうものが設けられます。現地における国の出先機関あるいは地元の公共団体、そういうものと連絡調整をしながら、出先の現地対策本部長に権限も委任されておりますので、その範囲で行動していくということになります。  また、著しく激甚な災害になってまいりますと、緊急災害対策本部、こういうものが設けられますが、これは内閣総理大臣が本部長でございますので、おのずとその場合には総理大臣の名前で行動する、こういうことになります。
  232. 川内博史

    川内分科員 やはり政治家に何かを任せることに抵抗をすごく持っていらっしゃるのか、名前で行動するということが相変わらず出てくるわけですけれども、結局、アメリカのFEMAの考え方国土庁日本の災害対策の考え方の一番の違いというのはどこにあるんだろうなと、私も、つたない勉強ですけれども、分析をさせていただいたんですね。  一番の違いというのは、アメリカの場合には何か起こったときに、もちろん地域の自治体、州政府あるいは市町村、そういうところも災害対策の現地レベルでは対応していくわけですけれどもアメリカの場合には、とにかく何かが起きたぞとFEMAに連絡が入り、大統領に上がり、そして、それ行けと、初動においてもあるいは復興においても、ある程度中央が災害対策をコントロールするというのがFEMAの体制だと思うのです。  日本においては、災害対策がどっちかというと、地方自治体とかあるいはそういう市町村レベルに何か責任を転嫁してしまっているんじゃないか。だから、とりあえず災害対策基本法を改正して、激甚な災害が起きた場合には総理が一応災害対策本部長になって、閣僚も全員そのメンバーになって、国もこの災害については全力で取り組みますよというような形だけは一応つくった。しかし、責任をだれがとるのかということがいま一つ明確ではないというところがあると思うのです。  そこで、伊藤長官、私は、行政改革に逆行するようでございますが、日本の災害対策が後手後手に回っているとは余り申し上げたくはないんですけれども、どうしても、ナホトカ号のことについても、阪神・淡路についても、もっとさっと対応できればもっといいんじゃないかなと思うところがあるんです。それは根本的にどこなのかというと、国土庁の防災局の組織が小さ過ぎると思うのですよね。FEMAは二千六百人いて、防災局は四十八人ですか、五十名ぐらいですか。余りにも組織が小さ過ぎて、もちろん災害の現場に出先の機関もないわけですし、実際に現場に手足となって動く部隊がない。だから、関係省庁の調整機関として一々いろいろなところに意見を聞いてやっていかなければいけないというところで会議に時間がかかってしまう、あるいは連絡に時間がかかってしまうというところがあるのではないかというふうに思うわけでございます。  私が防災局の人員をもっと拡張してくださいと言うのも妙な話ですけれども国土庁の防災局は、平成七年の災害対策特別委員会の議事録によれば、国土庁防災局は、全体を把握しながら調整することが必要であり、防災局が実動部隊をその中に持っているかということは重要な要件ではないというような答弁をしているわけですけれども、私は、この危機管理ということに関しては、現場に近いところに実際の手足となる部隊がいるかどうか。第二次世界大戦日本が負けたのは、参謀本部の頭でっかちな人たちが議論ばかりして、実際の作戦行動をとる現場のことを余りわかっていなかったというところが分析としてよく出てくるわけですね。  そういう意味では、手足を持つということは非常に重要なことだと思うのですが、伊藤長官、防災局の組織をこれから大きくして、アメリカのFEMAのような組織にしていかなければならないという御認識をお持ちでいらっしゃるかどうか、お聞かせください。
  233. 伊藤公介

    ○伊藤国務大臣 それぞれの国の防災対策あるいは危機管理についてはさまざま勉強をする必要があると思いますし、先ほど局長からも答弁ありましたように、アメリカのFEMA等についても現地でさまざまなことを学んできたわけであります。  しかし、それぞれの国はそれぞれの国のいろんな体制の違いがあります。日本の場合には災害は、それぞれの地域地方自治体というものが何といっても非常に大きな役割を果たしていただく。一番身近に情報があるわけでありますね。そういう意味では、例えば日本は、警察あるいは防衛庁それから消防庁、特に日本は独特な消防団組織、全国約百万という、一朝有事のときには、今は法的には準公務員の取り扱いになっていますが、実態としてはボランティアですよね、そういう形で、さまざまな災害で市民の皆さんの御協力をいただいている。そういう体制の中で、国土庁は、さまざまな災害についてまず的確な情報をいち早く得て、その情報を関係機関にきちっと連絡できる。  そして、先ほどから御議論がありましたけれども、どこが責任を持つかということは確かに大事な点です。それは、現状の中では、責任者はだれになるかということは基本的にきちっと決まっているわけですね。事故に対してはそれぞれの省庁そして担当の大臣。災害について、ある一定の規模、これは数値とか、画一的にこのケースはこうだということは言えないけれども、しかし、過去のいろいろな経験の中から、このケースでは災害対策の本部をすぐつくるべきだ、そういう判断をして、非常対策本部になれば国土庁が責任を持って、長官が関係省庁ときちっと連絡をしてやる。あるいは、今申し上げたように、事故であればそれぞれの担当の大臣が責任を持って、それはその担当の大臣だけではなくて、時には関係の閣僚、関係の事務方も全力を挙げてその責任者、対策本部長を支えていくわけですから、私は、今の制度はそういう意味では、初動体制がきちっとする、あるいはその後の判断をきちっとしていけば対応は十分できるのではないか。  しかし、今御指摘もいただいたような点も、今後の課題としてはもちろん勉強はしていかなければならないと思っています。例えば、警察が中心になるのか、あるいは消防が中心になるのか、あるいは自衛隊が中心になるか、そういっても、なかなかそうその一つの役所だけに限るわけにもいかない。そういう意味では、危機管理あるいは災害対策に対する責任をどこにするか。それは、現在では国土庁が責任を持つ。我々が伝達をきちっとできて、あるいは情報をきちっと把握できるかということが大事なことで、平成年度予算の中でもお願いをしておるわけでありますが、災害が起きたときに、その災害がどのくらいに広がっていくかということもコンピューター装置などで的確に把握できるような、そうした予算お願いしているところであります。今後、あらゆる勉強はしていかなければならないと思っております。
  234. 川内博史

    川内分科員 昨日から伊豆半島でまた群発地震も起きておりますし、いつ大規模な地震が、東海大地震とかあるいは首都圏の直下型地震が起きるとも限らない私どもが生活するこの日本という国でございます。  災害対策については、今伊藤長官もおっしゃいましたように、今のところは、それぞれの災害、事故についてそれぞれの省庁が担当大臣となってやっているんだ、またがるものあるいは大規模なものについては自分が責任者でやるんだということで御答弁があったわけですけれども、しかし、学ぶべきところは学ぶ、アメリカの、危機管理についてはFEMAが受け持つというような、そういう体制、縦割りではなく横割りに組織を変えまして、マンパワーもそしてまた予算もしっかりと、やはり国民の生命財産あるいは安全を守るという意味では、危機管理というのは一番重要な部分であるというふうに思うのです。  長官から、警察、消防、自衛隊というお言葉も出たわけですけれども、私なんか、警察、消防、自衛隊の組織を統合して危機管理庁とでもいったようなものを組織して、そこが災害について、あるいは国内外の事故、テロあるいは全般的な危機に対応していくというような、新しい二十一世紀型の組織をつくったらどうかなというふうに考えております。  見解をお聞きしたがったのですが、お聞きすると、ちょっとほかに聞きたいことが聞けなくなってしまうので、済みません、長官。  話題を全然変えまして、具体的なことなのですけれども、阪神・淡路の仮設住宅の一部屋当たりのコスト、坪当たりの単価を、話題はがらっと変わるのですが、建設省になるのですか、厚生省、教えていただけますか。
  235. 西沢英雄

    ○西沢説明員 阪神・淡路大震災におきまする応急仮設住宅の建築費の問題でございますが、これにつきましては地元自治体とも十分相談いたしまして、一戸当たりの面積二十九・二八平方メートル以内、単価につきましては、附帯工事を含めまして二百八十六万七千円として実施したところでございます。これは坪で割り返してみますと、三十二万四千円ということになります。
  236. 川内博史

    川内分科員 私、この前予算委員会でも伊藤長官にも御報告しましたけれども、仮設住宅に泊まってきたのですけれども、あのプレハブの家が坪三十二万円というのは高過ぎるな、ちょっと高いのではないかなという気がしております。災害が起きてから何かを手当てするというのではなくて、やはり起きる以前から、こういう災害についてはこういう仮設を用意してというようなシミュレーションを全部用意しておいて、何か起きたときにさっと取りかかれる、そういう体制づくりというものが求められているのかなというふうに考えます。  また伊藤長官とはいろいろお話をさせていただきたいと思いますが、最後に、アーカンソー州で竜巻、洪水が起こって大変な状況のようでございますが、内調及び国土庁は、このアーカンソー州の竜巻の災害についてFEMAがどういう動きをしているか、ウォッチしていらっしゃいますか。内調と国土庁にお伺いします。
  237. 福田秀文

    ○福田(秀)政府委員 残念ながら、つまびらかに存じておりません。
  238. 高鳥修

    ○高鳥主査代理 時間が来ております。
  239. 川内博史

    川内分科員 終わります。
  240. 高鳥修

    ○高鳥主査代理 これにて川内博史君の質疑は終了いたしました。  次に、阪上善秀君。
  241. 阪上善秀

    阪上分科員 伊藤長官には就任早々御来県をいただきまして、つぶさに現状視察いただき、適切な措置をおとりいただきましたことに、まず心から感謝をいたします。  私の出身地は花の都宝塚、乙女の都宝塚でありまして、あの宝塚歌劇も震災の被害を受けて一年間休演せざるを得なかったという激震を体験した一人として質問をしてまいりたいと思います。  まず初めに、阪神・淡路大震災の被災者に対する公的支援策の拡充についてお伺いをいたします。  阪神・淡路大震災の被災者に対する支援対策については、地元自治体の震災直後の避難所の支援に始まり、仮設住宅の大量建設、そして入居者に対する総合的な支援策、そして住まい復興の総合プログラムの策定、きめ細かな生活復興対策の展開など、被災者を取り巻く状況や被災者の多様な実情に応じて、政府支援を得つつ適切な施策が着実に推進されてまいったと承知をいたしております。  政府におかれましても、このたび、兵庫県など地元自治体が被災高齢者等の生活再建を支援するための阪神・淡路大震災復興基金の積み増しに対しましても支援を行うとしていただいたことに、心から感謝をいたすところでございます。  しかし、時間の経過とともに被災者間の格差が広がり、抱える問題も個別化してきている状況にあり、被災者それぞれの個別的な事情に応じた対策が必要になってきておることも事実であります。  そこで、被災者が自立し、生きがいを持って安心して暮らしていくためには生活再建のための幅広い支援策が必要であり、基本的には福祉対策、保健対策、生活支援対策、就労対策等が総合的に講じられるべきであると思います。  しかし、仮設住宅等の仮住まいの長期化に伴い、病弱や精神的苦労、失業などの要因により生きがいを喪失してしまった被災者や、高齢、病弱に加えて震災後の疲労により老人ホーム等の福祉施設に入らなければならない一歩手前の被災者が増加しておるのも事実であります。そのような人々がふえるのではないかと懸念しておるところでございます。政府として、これらの被災者に対してどのような支援策を講じていただけるのか、まずお伺いをいたしたいと思います。     〔高鳥主査代理退席、海江田主査代理着席〕
  242. 伊藤公介

    ○伊藤国務大臣 委員には御地元ということもございまして、阪神・淡路の復旧、復興に関しては格別の御支援、また、さまざまな情報を御提供いただいておりますことも、心から感謝を申し上げたいと思います。  御指摘をいただきましたように、この阪神・淡路は、現在、仮設住宅から恒久住宅にできる限り早く、そしてできるだけスムーズに移っていただける、そうしたことが今当面の最大の課題だというふうに思っております。  これまで政府は、平成年度予算を含めますと多分約四兆円になる、あるいは四兆円を超えることになるかもしれませんが、さまざまな施策、支援策を進めてまいりました。また、その間、地元の知事さん、あるいは自治体の皆さん、あるいは住民の方々との連絡もとりながら、できる限り国は自治体の皆さんの御要望に従ってきめ細やかな支援をしていかなければならないというふうに考えてきたところでございます。  昨年の十二月の後半に三党プロジェクトチームで決定をいただきました、いわゆる六十五歳以上の方々あるいは要援護者の方々に対する生活支援、月額一万五千円から二万五千円を五年間支給するというような、そうした現地での生活立ち上がり資金あるいま生活支援を、できるだけ私たちも国の立場でお手伝いをしなければならないというふうに思ってきたわけであります。  最近、実は兵庫県の知事さんも上京されまして、その後のいろいろな問題点も御指摘をいただきました。その中で、今委員から特に御指摘をいただきましたような、仮設住宅の方々が非常に高齢者であるということが今後の課題になるであろう、そしてまた、地域の皆さんの御協力をいただいて、既に仮設住宅の中で新しいコミュニケーションといいますか友達もできる、また、そういうものを公的住宅に移るときにもできるだけ大事にしていってほしい、そういうような御指摘もいただいているわけでありまして、恒久住宅に移っていただくときにもそうしたことを配慮しながら、特に高齢者の方々あるいはハンディキャップを持っている方々、特に生活の非常に大変な方々、そういう方々に対するきめ細かい支援も今後さらに地元と連絡をとって検討していかなければならないというふうに思っております。
  243. 阪上善秀

    阪上分科員 次に、中小零細企業の事業再開への支援策については、地元自治体では、仮設店舗、仮設工場の整備や災害復旧資金融資制度を創設して対応してきたところでございますが、中小零細企業や商店等の実情も多様化、個別化してきており、それぞれ一律に取り扱うことが困難になってきております。  今後は、災害復旧資金融資制度等の震災関連制度融資が来年二月の中旬ごろから順次本格的な償還期日が到来することとなってきております。しかし、近隣人口の流出等により、当初の計画どおり経営再建ができず、借入金の返済ができない企業も出るのではないかと懸念しておるところでございます。  地元の新聞によりますと、県と被災九市が実施いたしました震災関連融資は四万七千十一件、五千四百二十一億八千万円に及んでおります。この四万七千件の融資のうち約六四%が、震災前からの設備資金や運転資金、さらに不況対策などの制度融資を受けており、震災融資とそれ以外の融資を合算すると、兵庫県の信用保証協会の保証がついているものだけでも、本年一月末で九千七十六億円にも達しております。来春以降に二重の返済を迫られておる企業が多いということであります。  既に、震災融資を受けた企業のうち、〇・五%に当たる二百三十三社が、本格的返済時期の到来前にもかかわらず倒産に追い込まれたというのも事実であります。  この事例を見ると、融資の据置期間や償還期間の延長等の対策、さらに景気浮揚策等の思い切った施策が切望されるところでございます。これらの企業に対する支援について政府はどのようにお考えか、お伺いをいたします。
  244. 寺坂信昭

    ○寺坂説明員 御説明いたします。  震災で非常に大きな被害を受けられました被災地の中小企業の皆様方、その後懸命に復旧の努力をなさっているわけでございます。そうした努力をなさっているにもかかわらず、先ほど先生指摘のとおり、依然厳しい経営環境に置かれているということにつきましては、当省といたしましても十分認識をしているところでございます。  震災の復旧の特別融資、体質強化資金と呼んでおりますけれども、その特別融資の据置期間は、そのような状況も踏まえまして、通常一年のところを、来年の一月の末を期限といたしまして三年に延長する特例措置を講じ、被災されました中小企業者の皆様方の経営支援を現在図っているところでございます。  そうした期限以降の取り扱いにつきましては、ただいま先生の方からも御指摘ございましたけれども、被災中小企業者の皆様の状況あるいはこの融資制度の趣旨等を踏まえまして、適切に対応してまいりたいと考えておるところでございます。
  245. 阪上善秀

    阪上分科員 我々もまた積極的に働きかけますので、善処方をお願いいたしたいと思います。  続いて、自然災害に対する新しい共済制度の創設に関して政府の所見をお伺いいたしたいと思います。  今回の震災は、高齢社会のもとでの初めての大災害であり、人口、経済とも急成長を続けてきた時代に制定された現行制度の枠組みでは対応できないことが明らかになっております。  そこで、その教訓を生かして、自然災害に対する国民的保障制度の確立を目指し、全国的な署名運動が展開されたところであります。先日も、貝原兵庫県知事や山岸全労済協会理事長が代表世話人をされておられます国民会議から、史上空前の約二千四百万人にも及ぶ署名が総理大臣に届けられたところでございます。提唱されておる内容、署名数とも政府としては重く受けとめていただくべきものと考えておりますが、御所見をお伺いいたします。
  246. 伊藤公介

    ○伊藤国務大臣 署名をいただきましたことは、官房長官に御報告がありましたことも、また、その後御関係者の皆さん、知事を含めて私の長官室にもお見えをいただきまして、その間の経過をよく伺いました。  災害の多い私たちの国ですから、やってくる災害に対して恒久的な制度をつくるという御指摘は、各方面からいろいろな御意見を寄せていただいているところでございまして、私も、長官就任以来、このことは特に役所の中でも勉強してもらいたいと言ってきたところでもございます。  ただ、問題は、今御指摘をいただいている、つまり署名などでも提案をいただいております共済制度というのは、言ってみれば、国民の皆さんがその制度に入ってコストを負担していただかなければ成り立たないという制度であります。昨今の福祉制度であるとかあるいは国民年金であるとか、そうした制度でも、その制度に参加をしていただけない方々がかなりのパーセントいる。  そういうことを考えたときに、確かに皆さんが新しい制度に対して大きな関心を持っていただいていることはよく私もわかりますし、そしてまた、私自身も立場上大変ありがたいと思っています。しかし、問題は、より実現性のある選択をしていかなければならないというふうに思っております。  今度の特に阪神・淡路の大災害を経験をして、ぜひ未来にこの経験を生かさなければならないというふうに思っておりますので、共済制度とか積立基金制度とか、いろいろ御指摘いただいているわけですね。これは今全国の知事会でも検討していただいているところでございまして、兵庫県知事を初めとして全国の知事会の会長さんあるいは静岡県知事さんにもおいでをいただいて、知事会でできるだけ早く意見をまとめてもらいたいということを私の方からも実は要請をしたところでございまして、今後よく関係機関の皆さんとも連絡をとりながら、新しい時代に向かってどのような対応ができるかを私自身も真剣に検討してまいりたいと思っております。
  247. 阪上善秀

    阪上分科員 次に、住宅の再建については、現行の地震保険の拡充では限界があると考えます。多額の財源を必要とすることや個人財産を公的支援することに限界があるならば、国民相互扶助精神に基づく共済制度を新たに創設すべきではないかと思いますが、お考えをお伺いいたしたいと思います。
  248. 伊藤公介

    ○伊藤国務大臣 今少し触れさせていただいたわけでありますけれども、新たな共済制度を創設すべきではないかという御指摘は、一つ考え方ではあると思います。  しかし、先ほども申し上げましたとおり、共済制度を創設するということになりますと、当然強制加入を前提として考えなければその制度は成り立たないわけでありますから、国民的な合意が得られるかどうかということが一番大事な点だと思います。そして、やってくる災害はさまざまなサイズの災害があるわけでして、被害想定額との関係で、いわゆる適切な保険料を設定し得るかどうかということもやはり大事な点だろうというふうに思います。  しかし、そうはいいながら、例年やってくるような災害に対しては、一つの基金制度というようなものであればある一定の対応はできるのではないか。これは、先ほど申し上げた知事会で、ある知事さんの提案もあるところでございまして、いわゆる都道府県が積み立てをする、ある一定の積立金を基金としてつくるわけですね、それに対して国も自治体と協力をし合っていく、そういう基金制度であると、私は個人的にはそれも一つ考え方だというふうに今思っておるわけでありまして、いろいろ提案もあるところでございますし、いろいろ皆さんからも声を寄せていただいているところでありますので、それぞれ私自身もよく勉強をして、またいろいろな御指導も賜って、新しい時代に向かって新しい制度ができるかどうかを十分研究をしてまいりたいと思っております。
  249. 阪上善秀

    阪上分科員 最後に、我々も超党派で震災被災者援護法等を議員立法で出すように水面下では努力をいたしておるのですが、それもこれも、いかに被災者のお役に立つ制度であるかということを暗中模索しておるあかしでもあります。  先ほど申し上げたとおり、震災後、時間の経過とともに被災者間の格差が広がり、抱える問題も個別化している中で、被災者が自立し、生きがいを持って安心して暮らしていくための抜本的な支援措置が、先ほど大臣がおっしゃいましたように必要であると考えます。  そこで、最低限の文化的生活を保障した憲法の精神からも、一日も早い自立、復興を促すことは、公益性が認められるので、国と地方自治体が共同で、静岡方式とおっしゃいましたが、住宅以外の生活基盤を復元するための資金を給付する基金制度を創設すべきであると考えますが、改めて御所見をお伺いいたしたいと思います。
  250. 伊藤公介

    ○伊藤国務大臣 阪神・淡路の貴重な経験を生かして、将来に何か、災害の多い日本がそうした仕組みができないかということを私自身も研究してまいりました。  これは自治体と国が協力をし合わなければなかなか難しい問題だと思いますし、先ほど申し上げたように、全国の知事会の土屋知事さんを初め、三知事とこの問題について話し合いをさせていただきましたが、これは極めて近いうちに、東京を中心としたいわゆる南関東地域にもし同じような災害があったら大変な事態でありますので、東京都の知事を初め、特に東京周辺の知事さんとこの問題について改めて私は懇談をする予定でございます。既に東京都の知事とはその日程の打ち合わせを今させていただいているところでもございます。真剣に今後も取り組んでまいりたいと思っております。
  251. 阪上善秀

    阪上分科員 私も、この貴重な経験を日本全国レベルで、きょうは人の身、あすは我が身という形で皆さんが検討していただきたいと思っております。大臣を初め関係の皆さんの日ごろの御精励に心から感謝をいたしまして、私の質問を終わります。
  252. 海江田万里

    ○海江田主査代理 これにて阪上善秀君の質疑は終了いたしました。  次に、中桐伸五君。
  253. 中桐伸五

    中桐分科員 民主党の中桐でございます。  私は、国土庁、国税庁及び自治省の方に対しまして、公的土地評価制度の一元化に関する議論をこれから行いたいというふうに思います。  御存じのように、公的土地評価制度においては、問題点が三つほど挙げられるというふうに思います。  まず第一は、同一の土地について異なった水準の公的評価が行われてきたという経緯が日本においてはございますから、その結果、土地の価格において混乱を招き、評価制度に対する国民の信頼を損なうという面が第一古一でございます。  第二に、三つの省庁において土地の評価が行われているという現状にかんがみまして、行政の簡素化という観点から、つまり行財政改革という観点から見ますと、複数の評価制度というものを統合すべきではないのかという問題でございます。  さらに、第三点といたしまして、土地行政の総合的実施のためには、税務行政も含めて、土地行政の一元化が必要であり、その一環として、まず公的土地評価制度の一元化を図るべきであるというふうな問題点が今日までに出されてきたというふうに思います。  そこで三省庁、国土庁、国税庁、自治省に対しまして、私はまず最初の質問を申し上げたいわけでありますが、既に、平成元年の衆議院の土地問題に関する特別委員会決議、その第五項におきまして「国民の信頼を確保するとともに、適正な地価の形成、課税の適正化等に資する観点から、地価公示等の公的土地評価制度の一元化について努力すること。」との決議がなされております。その後、七年が経過しておるわけでございますが、この間、公的土地評価における一元化に関して、今日までの国土庁、国税庁、自治省の取り組みの経過についてお伺いしたいと思います。
  254. 伊藤公介

    ○伊藤国務大臣 委員の御指摘をいただいた問題は、一物三価とか一物四価とか、かねてから問題を御指摘いただいてきたところでございまして、公的土地評価の一元化に向けて、私ども関係省庁もそれぞれの努力をしてきたところでございます。  土地基本法では「公的土地評価について相互の均衡と適正化が図られるように努めるものとする。」こうされたところでありますが、この考え方に基づきまして、課税評価については、地価公示価格の一定割合を目標としていわゆる均衡化、適正化が推進をされてきたところでございます。  私ども国土庁では、特に地価公示が課税評価の基準とされたということもございまして、地価公示の地点数をふやすということによって、地価公示制度の充実に努めてきたところでございます。特に、平成元年にはその地点数が一万六千八百四十でございましたけれども平成年度には三万三百地点に増設をして、可能な限り地価公示制度の一元化に向けての努力を国土庁としてもしてきたところでございます。     〔海江田主査代理退席、主査着席〕
  255. 中桐伸五

    中桐分科員 国税庁、お願いします。
  256. 高木薫

    ○高木説明員 国税庁におきます取り組み状況でございますが、土地の相続税評価、いわゆる路線価等につきましては、土地基本法、総合土地政策推進要綱等の趣旨に添いまして、平成四年分の評価から、評価時点を前年の七月一日時点から地価公示の評価時点に合わせ当年の一月一日時点に変更するとともに、評価割合を地価公示価格水準の七〇%程度から八〇%程度に引き上げまして、その適正化、均衡化を図っております。  今後とも、関係省庁との連絡を密にして、相互の均衡と適正化を図るよう努めてまいりたいと考えております。
  257. 中桐伸五

    中桐分科員 次に、自治省にお伺いいたしたいと思います。
  258. 北谷富士雄

    ○北谷説明員 固定資産税の評価でございますが、土地基本法の趣旨に沿って取り組んでいるところでございます。  特に、平成三年に閣議決定されました総合土地政策推進要綱でございますが、ここでは、相続税評価との均衡にも配慮しつつ、地価公示価格の一定割合を目標に、固定資産税評価の均衡化、適正化を推進するとされたところでございます。  具体的には、平成年度から、宅地につきまして、地価公示価格のいわゆる七割評価を行っているところでございます。また、固定資産税評価と相続税の評価につきましては、市町村と国税当局との関係で連絡を密にいたしまして、均衡化、適正化に努めているところでございます。
  259. 中桐伸五

    中桐分科員 地価公示価格の八割あるいは七割という、国税庁及び自治省からのお答えがあったわけでありますが、この調査地点について、もう少し詳しく国税庁及び自治省にお伺いしたいと思います。
  260. 高木薫

    ○高木説明員 相続税評価におきます調査地点でございますが、全国の民有地につきまして評価する必要から、宅地のみならず農地、山林等についても広範に調査地点を設定しております。この調査地点につきましては、その地域の路線の状況及び地価事情を勘案しまして、その付近の最も標準的な価格地を選定いたしまして、不動産鑑定士等による精通者意見価格を求めております。このうち、地価公示とともに、路線価等の評定に当たり基幹となります調査地点につきましては、地価公示の調査地点、公示地とは別に、鑑定標準地として選定し、不動産鑑定士による鑑定評価を求めております。
  261. 中桐伸五

    中桐分科員 自治省、お願いします。
  262. 北谷富士雄

    ○北谷説明員 固定資産税の標準地の選定でございますが、前回、平成年度の評価がえでは三十七万地点を行っておりますが、今回の平成年度評価がえでは四十万地点を超える標準地の選定を行っております。この分に鑑定を入れたということであります。  標準地の選定は、御存じのとおりでございますが、用途別に区分をし、状況類似別に設定をし、その中から標準地を選定する、こういうやり方をしておりまして、標準地ごとに一つの鑑定を入れる、こういう方式で現在実施しているわけでございます。
  263. 中桐伸五

    中桐分科員 それぞれ調査地点の評価を鑑定士によって行っているということでございますが、その評価がそれぞれ三つの省庁にわたって独自に行われているというふうに私は理解しているわけであります。そのように独自的に行っているということによりまして、評価地点の偏在あるいは重複、そういったものが生じているとしたら、これは行政の簡素化、行財政改革との関係で大変重要な問題になってくると思いますし、また、その地点を選定する際に、三省庁がどのような調整あるいは連絡をとって行っておるかということについても、大変重要な問題だというふうに思います。  したがいまして、次の質問ですが、この評価地点の選定の判断の根拠、方法、そして各省庁の調整について、それぞれ三省庁からお答えをいただきたいと思います。  まず、国土庁からお願いします。
  264. 窪田武

    ○窪田政府委員 ただいま自治省なり国税庁の方からそれぞれの選定の方法についてお話があったところでございますが、国土庁の行っております地価公示の標準地の選定につきましても、やはり考え方としてはほぼ同様の考え方をとっているところでございまして、地価公示は都市計画区域内において実施するということになっておりますので、地価公示の標準地は都市計画区域内の土地から選定されます。  その標準地の選定の方法につきましても、法律に、自然的、社会的条件から見て類似の利用価値を有すると認められる地域において、土地の利用状況、環境等が通常と認められる一団の土地について選定するというふうになっておりまして、言いかえますれば、同様の土地利用状況にある一定の範囲の地域というものをまず一つ選びまして、その地域の中におきます標準的な土地を選定するという作業になるわけでございます。  この考え方につきましては、固定資産税評価におきます標準宅地、あるいは相続税評価の標準地につきましても、それぞれ土地の利用の状況等を勘案し、かつ奥行きとか間口等が標準的な土地を調査地点として選定するというふうにしておりますので、公的土地評価全体としても適切に調査地点が配置されているものというふうに私ども考えているところでございます。
  265. 高木薫

    ○高木説明員 国税庁におきましては、平成六年分から、調査地点の一部につきまして不動産鑑定士による鑑定評価を求め、その鑑定評価額を活用するなどにより、より一層の評価精度の向上に努めているところでございます。  この鑑定評価の実施に当たりまして、平成八年分では、昨年の分でございますが、路線価の評定上は一万四千地点について実施したところでございます。  限られた予算の範囲内で効果的、効率的に実施する必要があることから、国土庁もしくは地方税当局が実施いたします鑑定評価地点とは重複しないように選定しているところでございます。  ただし、固定資産税評価額との均衡を図る観点から、各都道府県の最高地などにつきましては、必要最小限の範囲において重複選定している場合があることも事実でございます。この辺については御理解いただきたいと思います。
  266. 北谷富士雄

    ○北谷説明員 固定資産税の場合には、評価主体が市町村でございまして、先ほども若干申し上げましたが、市町村がそれぞれ用途地区を区分いたしまして、これは商業地あるいは住宅地などのように用途地区をまず区分いたしまして、そこから、道路状況あるいは公共施設の状況など価格要因の類似しているものを状況類似地区と設定いたしまして、その状況類似地区から代表的な宅地を選定する、こういう方法で行ってきておりまして、先ほど申し上げましたとおり、平成年度の場合には四十万を超える地点の標準地を選定しているわけでございます。  特に、平成年度の場合には、新たな試みといたしまして、すべての路線価などを公開する方法をとっておりますので、現在、税務署などとも連絡を密にいたしまして、市町村と税務署間の相互の情報交換をよくやるようにという通知もしているところでございます。
  267. 中桐伸五

    中桐分科員 国土庁の調査地点が平成九年三万三百、そして平成八年に国税庁が一万四千、そして自治省関係が四十万地点というふうになっておるということでありますが、この選定を調整し、統一して実施するというふうな仕組みというのはつくれないものであるのかどうか、国土庁の方にお聞きしたいと思います。
  268. 窪田武

    ○窪田政府委員 お答えいたします。  ただいま先生指摘のとおり、それぞれの地点につきましては、若干数字があれなのでございますが、国土庁の方は先ほど大臣が御説明したとおり三万三百地点でございます。これは毎年一月一日現在でやっておるわけでございますが、固定資産税の方は、今までですと三年に一遍、しかも四十万地点という非常に多くの地点でございますし、相続税は一万四千地点、これは評価の話で、全体の地点は四十万地点でございますので……(中桐分科員「鑑定による評価でいいのですね」と呼ぶ)鑑定による評価は一万四千でございますが、全体の地点としては四十万地点あるわけでございます。  そういう意味でへ私どもの地点、公示価格として非常に標準的な話でございますので、しかも私どもの地価公示価格というものを標準にそれぞれ七割なり八割ということにしていただくということになっておりますので、地点もずれますので、そういう意味では、私どもの三万三百地点の評価がまずありまして、それに対しまして、私どもの結果を活用していただくということもございますし、なるべく重複しないように対応していただくということで対応しているところでございます。
  269. 中桐伸五

    中桐分科員 自治省の調査は大変多いと思うのですが、国土庁の調査あるいは国税庁の調査と、重複というのはどのようになっているのでしょうか。
  270. 北谷富士雄

    ○北谷説明員 私どもの四十万地点を超える鑑定でございますが、市町村に対しましては、まず地価公示等の活用を図ると同時に、重複しないように標準地を新たに選定して鑑定を入れる、こういう指導をしております。  したがって、四十万地点を超えます中には、事務的な関係もございまして幾分重複するものもあろうかとは思いますけれども、基本的には重複しない形で鑑定をとる、こういう指導を行っております。
  271. 中桐伸五

    中桐分科員 重複をしないようにという形でとるということと、それからある一定程度重複をさせてチェックをするというふうな、国税庁の場合にはある一定の地点では重複をして調査するというふうなことであるというふうに理解してよろしいでしょうか。  そのような判断というのは、やはり地方税あるいは国税の観点から、当然、全く統一的にトップダウンで評価するというふうなことを私はこれから申し上げるつもりは決してないわけでありますが、しかしながら、そのような調査地点が果たして全国的な土地行政の中で土地価格の評価を行うに当たって適切なものかどうかという点については、やはり相当綿密な調整が必要こなるのではないかと思うのですが、具体的にその調査地点の選定等における調整というのはどのようにやられているのでしょうか。国土庁の方にお伺いします。
  272. 窪田武

    ○窪田政府委員 先ほども申し上げましたとおり、私どもの地点数三万三百点につきましてまず評価をいたしまして、それについての御活用方については、それぞれ固定資産税担当局及び相続税担当局の方でやっていただいているということでございます。
  273. 中桐伸五

    中桐分科員 具体的に調整の会議とかそういうことはおやりになっていないのですか。
  274. 窪田武

    ○窪田政府委員 具体的な土地の鑑定評価の方法なりそのやり方についての担当同士の話し合いというものは行っておりますけれども具体的に地点そのものについて私どもの方と、この地点でこういうふうにした方がいいのじゃないかということまでは調整しているところではございません。
  275. 中桐伸五

    中桐分科員 地点の調整ということが私の今の質問の要点でございまして、そこにおいてやはり調整をしていただかないと、それぞれ独自に地点を選定するという点においては問題がまだ残っておるのではないかというふうに私は思うわけでございます。  そこで、今後の問題といたしまして、私といたしましては、現在、国税及び自治省の地点における情報は、地番を明確にした形で公開されていないというふうに理解しておるわけでございます。そこで、これは私の要望でありますが、この評価地点に関する、国税庁においては鑑定を行っている各税務署における最高地点の地番の情報公開、これをしていただきたい、そしてまた自治省には、市町村ごとの最高地点の地番の情報公開をしていただきたいと思いますが、その点いかがでしょうか。
  276. 高木薫

    ○高木説明員 各年分の土地の相続税評価におきます路線価等の公開に際しましては、国税庁におきましては都道府県所在都市の最高路線価を、また各国税局におきましては各税務署における最高路線価を毎年記者発表しております。  この都道府県所在都市の最高路線価及び各税務署におきます最高路線価につきましては、例えば東京都の場合を例にとりますと、東京都の最高路線価は銀座五丁目鳩居堂前銀座中央通りというように、明らかに評価地点が特定できるように措置しているところでございます。最高地の場所が特定できるように措置しているところでございますので、現状で十分対応できているのではないかと考えております。
  277. 中桐伸五

    中桐分科員 自治省、お願いします。
  278. 北谷富士雄

    ○北谷説明員 固定資産税の最高地点、基準地と申しておりますが、この基準宅地の地番を公開するということにつきましては、地方税法上の守秘義務という観点からできないということ、そういう考え方でおります。  ただ、いろいろな申し出がございますので、先ほども若干触れましたけれども平成年度から路線価の公開を行うということで、平成三年から実施してきておりますけれども平成年度におきましては全路線価あるいは全標準宅地の単位面積当たりの価格、こういったものをすべて公開するという形で今準備を進めているところでございます。  平成年度では三十数万の路線価を公開いたしましたけれども、この中には大都市が三万ないし四万地点ございまして、平成年度は大都市だけで百万地点近くなるのではないかということで、平成年度の全路線価等の公開は相当の数になりますので、こういった部分でだんだんに要望にこたえていきたいと考えておるところでございます。
  279. 中桐伸五

    中桐分科員 国土庁は地番を含めて公開をしているというふうに聞いているのですが、自治省の場合、なぜその地番を含めて公開できないのかという点において、プライバシーというのは、国土庁はプライバシーはないのか、その観点はどのようになるのか。そこがちょっとわからないので、お聞きしたいのです。
  280. 窪田武

    ○窪田政府委員 私どもの鑑定の地価公示価格につきましては、おっしゃるように地番ごとに公開しているところでございます。  と申しますのは、私どもの地価公示の目的そのものが、当該価格が取引の指標となるように、国民の皆様方が取引を行う場合にその取引が適正な価格であるかどうかということについての判断基準でございますので、どこのどの土地であるということがわかっていない限りはその基準になりませんので、そういう意味で公開しているところでございます。  しかしながら、ただいま固定資産税当局なり相続税当局のお話もございましたが、彼らの場合には課税の基礎になるものでございますので、その辺の問題が私どもとは違うということと、さらには、それぞれの鑑定の評価の土地の点も含めまして、全体の路線価についての、特に固定資産税については公開をするということでございますので、その意味では全部公開されているということでございますので、個別の問題についての公開という問題とは少し話は違ってくるのではないかというふうに思っているところでございます。
  281. 中桐伸五

    中桐分科員 これは、税の問題と関連をして調査をしている地点と、それから地価の公示法に基づく調査の地点との違いということをおっしゃっているわけでありますけれども、その点については理解できますが、しかし、固定資産税に関する評価というものも含み込んだ形で例えば国土庁計画的に土地の評価地点を選定するというふうにすべきではないのかというふうに思うのですが、いかがですか。
  282. 窪田武

    ○窪田政府委員 先生おっしゃいますように、それぞれの、全体の効率的な観点からいいますと、確かに全体を全部一元的に評価をし、やっていくというのが大変望ましいということにつきましてはおっしゃるとおりでございますけれども、現実の現在の事務の段階、あるいはそれぞれの土地鑑定価格の評価の仕方、それぞれの組織の形態等から見まして、そこまで直ちに持っていくということはなかなか困難な事態であろうかというふうに考えているところでございます。
  283. 中桐伸五

    中桐分科員 時間がなくなりましたので、これは最後に要望を二点ばかりして終わりたいと思います。  まず、自治省、国税庁を含めて、地番の、先ほど申し上げました最高地点に関する情報公開をぜひ文書でお願いしたいというふうに思います。  それから最後ですが、実はこの地価の一元化に関しましては、既に一九八九年に、日本と同じように四つの機関によって公的土地評価を行ってきておりました韓国におきまして、四つの公的地価のアンバランスをなくする、そして国民の信頼度を回復するという点から、そして地価表示の業務を一元化することによって行政の簡素化と経費の削減を図る、そういう観点から、約十年間をかけて努力した結果、地価公示及び土地などの評価に関する法律というものを単独立法で制定して地価の一元化に踏み切った、こういう経験がある。そういう経験に照らしまして、平成元年、土地の一元化という形でスタートした、今七年が経過しているわけでありますが、そこで我が国においても、近い将来、税務行政の改革とともに公的土地評価の一元化を完成させるために、公的土地評価に関する法律を制定すべきだと考えますので、この点について関係省庁に強く要望いたしまして、私の発言を終わります。  どうもありがとうございました。
  284. 藤井孝男

    藤井主査 これにて中桐伸五君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして総理府所管国土庁についての質疑は終了いたしました。  これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  分科員各位の御協力により、本分科会の議事を滞りなく終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。  これにて散会いたします。     午後六時五十三分散会