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1997-03-03 第140回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会平成九年二月二十五日(火曜日)委員 会において、設置することに決した。 二月二十八日  本分科員委員長指名で、次のとおり選任さ れた。       臼井日出男君    深谷 隆司君       村上誠一郎君    田中 慶秋君       平田 米男君    岩國 哲人君 二月二十八日  臼井日出男君が委員長指名で、主査選任さ  れた。 ――――――――――――――――――――― 平成九年三月三日(月曜日)     午前十時開議  出席分科員    主 査 臼井日出男君       深谷 隆司君    村上誠一郎君       漆原 良夫君    田中 慶秋君       平田 米男君    兼務 尾身 幸次君 兼務 今田 保典君    兼務 西野  陽君 兼務 吉田  治君    兼務 鉢呂 吉雄君 兼務 正森 成二君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (内閣官房長官梶山 静六君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   白川 勝彦君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 武藤 嘉文君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (沖縄開発庁長         官)      稲垣 実男君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 久間 章生君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      近岡理一郎君  出席政府委員         内閣参事官         兼内閣総理大臣         官房会計課長  吉井 一弥君         人事院総裁   弥富啓之助君         人事院事務総局         任用局長    角野 敬明君         内閣総理大臣官         房審議官         兼内閣審議官  安藤 昌弘君         警察庁長官官房         長       野田  健君         警察庁刑事局長 佐藤 英彦君         警察庁交通局長 田中 節夫君         宮内庁次長   森  幸男君         皇室経済主管  角田 素文君         総務庁長官官房         長       河野  昭君         総務庁人事局長 菊池 光興君         総務庁行政管理         局長      陶山  晧君         総務庁行政監察         局長      土屋  勲君         北海道開発庁総         務管理官    松川 隆志君         科学技術庁長官         官房長     沖村 憲樹君         科学技術庁科学         技術振興局長  青江  茂君         沖縄開発庁総務         局長      嘉手川 勇君         工業技術院長  佐藤 壮郎君  分科員外出席者         衆議院事務総長 谷  福丸君         参議院事務総長 黒澤 隆雄君         裁判官弾劾裁判         所事務局長   藤田 教稔君         裁判官訴追委員         会事務局長   舟橋 定之君         国立国会図書館         長       緒方信一郎君         人事院事務総局         管理局会計課長 林   剛君         公正取引委員会         事務総局官房庶         務課長     伊東 章二君         警察庁長官官房         会計課長    伊藤 哲朗君         北海道開発庁予         算課長     小林 敏雄君         防衛庁経理局会         計課長     田中 正昭君         防衛施設庁総務         部会計課長   清水  繁君         科学技術庁長官         官房会計課長  白川 哲久君         環境庁自然保護         局企画調整課長 斉藤 照夫君         法務省刑事局刑         事課長     麻生 光洋君         大蔵省主計局主         計官      松川 忠晴君         大蔵省主計局主         計官      村瀬 吉彦君         大蔵省銀行局中         小金融課金融会         社室長     古谷 一之君         農林水産省構造         改善局建設部開         発課長     江頭  輝君         水産庁振興部沿         岸課長     石木 俊治君         水産庁研究部研         究課長     杉浦 正悟君         郵政省電気通信         局電波部移動通         信課長     寺崎  明君         会計検査院事務         総長      中島 孝夫君         最高裁判所事務         総長      泉  徳治君         内閣委員会調査         室長      新倉 紀一君         地方行政委員会         調査室長    黒沢  宥君         予算委員会調査         室長      大坪 道信君     ――――――――――――― 分科員の異動 三月三日  辞任         補欠選任   村上誠一郎君     小林 多門君   田中 慶秋君     吉田 幸弘君   平田 米男君     漆原 良夫君   岩國 哲人君     小坂 憲次君 同日  辞任         補欠選任   小林 多門君     吉川 貴盛君   漆原 良夫君     冬柴 鐵三君   吉田 幸弘君     田中 慶秋君   小坂 憲次君     岩國 哲人君 同日  辞任         補欠選任   吉川 貴盛君     村上誠一郎君   冬柴 鐵三君     松崎 公昭君 同口口  辞任         補欠選任   松崎 公昭君     平田 米男君 同日  第二分科員西野陽君、第三分科員吉田治君、第  六分科員尾身幸次君、第七分科員今田保典君、  正森成二君及び第八分科員鉢呂吉雄君が本分科  兼務となった。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  平成九年度一般会計予算  平成九年度特別会計予算  平成九年度政府関係機関予算  〔皇室費国会裁判所会計検査院内閣及  び総理府所管経済企画庁環境庁国土庁を  除く)〕      ――――◇―――――
  2. 臼井日出男

    臼井主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  私が本分科会主査を務めることになりました。よろしくお願いいたします。  本分科会は、皇室費国会裁判所会計検査院内閣及総理府並びに他の分科会所管以外の事項、なお、総理府につきましては経済企画庁環境庁及び国土庁を除く所管についての審査を行うことになっております。  平成九年度一般会計予算平成九年度特別会計予算及び平成九年度政府関係機関予算皇室費について審査を進めます。  政府から説明を聴取いたします。森宮内庁次長
  3. 森幸男

    森政府委員 平成九年度における皇室費歳出予算について、その概要を御説明いたします。  皇室費平成九年度における歳出予算要求額は六十七億二千五百十三万五千円でありまして、これを前年度予算額六十三億八千百四万三千円と比較いたしますと、三億四千四百九万二千円の増加となっております。  皇室費歳出予算計上いたしましたものは、内廷に必要な経費宮廷に必要な経費及び皇族に必要な経費であります。  以下、予定経費要求書の順に従って事項別に申し述べますと、内廷に必要な経費三億二千四百万円、宮廷に必要な経費六十億九千四百六十一万円、皇族に必要な経費三億六百五十二万五千円であります。  次に、その概要を御説明いたします。  内廷に必要な経費は、皇室経済法第四条第一項の規定に基づき、同法施行法第七条に規定する定額計上することになっておりますが、前年度と同額となっております。  宮廷に必要な経費は、内廷費以外の宮廷に必要な経費計上したものでありまして、その内容といたしましては、皇室の公的御活動に必要な経費六億四千百十四万九千円、皇室用財産維持管理等に必要な経費五十四億五千三百四十六万一千円でありまして、前年度に比較して三億四千四百九万二千円の増加となっております。  皇族に必要な経費は、皇室経済法第六条第一項の規定に基づき、同法施行法第八条に規定する定額によって計算した額を計上することになっておりますが、前年度と同額となっております。  以上をもちまして平成九年度皇室費歳出予算計上額説明を終わります。  よろしく御審議くださるようお願いいたします。
  4. 臼井日出男

    臼井主査 以上で説明は終わりました。  別に質疑申し出もありませんので、皇室費については終了いたしました。     ―――――――――――――
  5. 臼井日出男

    臼井主査 次に、国会所管について審査を進めます。  まず、衆議院関係予算説明を聴取いたします。谷衆議院事務総長
  6. 谷福丸

    谷事務総長 平成九年度衆議院関係歳出予算について御説明申し上げます。  平成九年度国会所管衆議院関係歳出予算要求額は六百九十四億四千九百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、九億二百万円余の増加となっております。  次に、その概略を御説明申し上げますと、第一は、国会運営に必要な経費でありまして、六百五十億八千九百万円余を計上いたしております。  この経費は、議員関係の諸経費職員人件費並びに事務局及び法制局事務処理するために必要な経費でありまして、前年度に比し三億三千二百万円余の増加となっておりますが、これは、議員定数十一名減に伴う議員歳費等の当然減があるものの、インターネット構築議員会館議員室へのパソコン導入等情報化推進関係経費及び日本国憲法五十周年記念行事経費等増加によるものであります。  第二は、本院の施設整備に必要な経費といたしまして、四十三億五千三百万円余を計上いたしております。  この主なものは、第二別館の増築費平成十一年度完成を目途とする国会審議テレビ中継施設新築費情報機器導入に伴う電力施設等整備費及び本館等庁舎の諸整備に要する経費並びに国会周辺等整備に必要な土地購入費でございます。  第三は、国会予備金に必要な経費といたしまして、前年度同額の七百万円を計上いたしております。  以上、簡単でありますが、衆議院関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  7. 臼井日出男

    臼井主査 次に、参議院関係予算説明を聴取いたします。黒澤参議院事務総長
  8. 黒澤隆雄

    黒澤参議院事務総長 平成九年度参議院関係歳出予算について御説明申し上げます。  平成九年度国会所管参議院関係歳出予算要求額は四百十四億五千百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、二十億七千六百万円余の増加となっております。  次に、その概略を御説明申し上げます。  第一は、国会運営に必要な経費でありまして、三百八十四億一千万円余を計上いたしております。  この経費は、議員関係の諸経費職員人件費並びに事務局及び法制局所掌事務処理するために必要な経費でありまして、前年度に比し九億九千万円余の増加となっております。  これは、主として人件費増加によるもののほか、参議院五十周年記念関係経費及び麹町議員宿舎増築棟完成に伴う経費計上並びに国会会議録フルテキストデータベースシステム構築経費増加によるものでございます。  第二は、参議院施設整備に必要な経費でありまして、三十億三千六百万円余を計上いたしております。これは、情報通信関連施設整備費電子式投票装置整備費及び本館その他庁舎等施設整備に要する経費でありまして、前年度に比し十億八千六百万円余の増加となっております。  第三は、国会予備金に必要な経費でありまして、前年度同額の五百万円を計上いたしております。  以上、平成九年度参議院関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  9. 臼井日出男

  10. 緒方信一郎

    緒方国立国会図書館長 平成九年度国立国会図書館関係歳出予算について御説明申し上げます。  平成九年度国会所管国立国会図書館関係歳出予算要求額は百七十八億八千七百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、十一億三千万円余の増額となっております。  次に、その概要を御説明申し上げます。  第一は、管理運営に必要な経費であります。その総額は百三十六億五千九百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、一億五千六百万円余の増額となっておりますが、これは主として図書館業務情報システム化国会会議録フルテキストデータベース構築等国会サービス充実のための経費児童書図書館設立準備経費図書館資料収集のための経費等についての増額に伴うものであります。  第二は、科学技術関係資料購入に必要な経費でありまして、五億九千百万円余を計上いたしております。これを前年度予算額と比較いたしますと、二千七百万円余の増額となっております。  第三は、施設整備に必要な経費でありまして、三十六億三千六百万円余を計上いたしております。これは、本館改修に要する経費関西館の設計及び用地の取得に要する経費支部上野図書館庁舎改修経費等でありまして、前年度予算額と比較いたしますと、九億四千六百万円余の増額となります。  以上、国立国会図書館関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  11. 臼井日出男

  12. 藤田教稔

    藤田裁判官弾劾裁判所参事 平成九年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算について御説明申し上げます。  平成九年度国会所管裁判官弾劾裁判所関係歳出予算要求額は一億二千七百一万円余でありまして、これを前年度予算額一億二千百九十万円余に比較いたしますと、五百十万円余の増加となっております。  この要求額は、裁判官弾劾裁判所における裁判長職務雑費委員旅費及び事務局職員給与に関する経費、その他の事務処理費並びに裁判官弾劾法に基づく裁判官弾劾裁判に直接必要な旅費庁費でありまして、前年度に比し増加となっておりますのは、職員給与関係経費等増加並びに裁判官弾劾制度五十周年記念行事経費によるものであります。  以上、簡単でありますが、裁判官弾劾裁判所関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  13. 臼井日出男

  14. 舟橋定之

    舟橋裁判官訴追委員会参事 平成九年度裁判官訴追委員会関係歳出予算について御説明申し上げます。  平成九年度国会所管裁判官訴追委員会関係歳出予算要求額は一億四千三百二十六万円余でありまして、これを前年度予算額一億三千五百二万円余に比較いたしますと、八百二十三万円余の増加となっております。  この要求額は、裁判官訴追委員会における委員長職務雑費及び事務局職員給与に関する経費並びに訴追事案審査に要する旅費その他の事務費でありまして、前年度に比し増加となっておりますのは、職員給与関係経費等増加並びに裁判官弾劾制度五十周年記念行事経費によるものであります。  以上、簡単でありますが、裁判官訴追委員会関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  15. 臼井日出男

    臼井主査 以上で説明は終わりました。  別に質疑申し出もありませんので、国会所管については終了いたしました。     ―――――――――――――
  16. 臼井日出男

    臼井主査 次に、裁判所所管について審査を進めます。  最高裁判所当局から説明を聴取いたします。泉事務総長
  17. 泉徳治

    泉最高裁判所長官 代理者平成九年度裁判所所管歳出予算要求額について御説明申し上げます。  平成九年度裁判所所管歳出予算要求額総額は三千百七億八千八百万円でありまして、これを前年度当初予算額三千五十二億八千六百万円に比較いたしますと、差し引き五十五億二百万円の増加となっております。  これは、人件費において十九億一千万円、裁判費において十八億一千五百万円、施設費において七億七千六百万円、司法行政事務を行うために必要な庁費等において十億一百万円が増加した結果であります。  次に、平成九年度歳出予算要求額のうち、主な事項について御説明申し上げます。  まず人的機構充実、すなわち増員等であります。  民事訴訟事件及び民事執行法に基づく執行事件の適正かつ迅速な処理を図るため、裁判官二十人、書記官百五十人、合計百七十人の増員等をすることとしております。  他方定員削減等として一般職員百二十九人が減員されることになりますので、差し引き四十一人の定員増となるわけであります。  次は、司法体制強化に必要な経費であります。  裁戦運営効率化及び近代化のため、庁用図書等裁判資料整備に要する経費として七億八千二百万円、ワープロ、パソコン等裁判事務能率化器具等整備に要する経費として四十五億六千九百万円、調停委員に支給する手当として七十九億二千五百万円、裁判費充実を図るため、国選弁護人報酬に要する経費として四十一億八千九百万円、証人、司法委員参与員等旅費として十一億三千三百万円を計上しております。また、裁判所施設整備を図るため裁判所庁舎の新営、増築等に必要な経費として百四十七億六千七百万円を計上しております。  以上が、平成九年度裁判所所管歳出予算要求額の大要であります。  よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  18. 臼井日出男

    臼井主査 以上で説明は終わりました。  別に質疑申し出もありませんので、裁判所所管については終了いたしました。     ―――――――――――――
  19. 臼井日出男

    臼井主査 次に、会計検査院所管について審査を進めます。  会計検査院当局から説明を聴取いたします。中島事務総長
  20. 中島孝夫

    中島会計検査院説明員 平成九年度会計検査院所管歳出予算について御説明いたします。  会計検査院平成九年度予定経費要求額は百六十一億二千五百八十三万七千円でありまして、これは、日本国憲法第九十条及び会計検査院法規定に基づく、本院の一般事務処理及び検査業務を行うために必要な経費であります。  今、要求額の主なものについて申し上げますと、一、人件費として百三十五億一千四百八十八万五千円を計上いたしましたが、これは総額の八三・八%に当たっております。このうちには、会計検査充実を図るため、調査官三人、一般職員七人、計十人を増置する経費も含まれております。  二、旅費として八億三千四百三十九万八千円を計上いたしましたが、このうち主なものは、検査旅費が七億二千四百七十四万一千円、海外検査等外国旅費が三千九十九万七千円であります。  三、施設整備費として四億二千百六万三千円を計上いたしましたが、このうち主なものは、安中研修所工事検査実習施設関係工事費三億七十八万三千円、庁舎改修工事費一億五百七十二万七千円、宿舎改修工事費一千四百五十五万三千円であります。  四、その他の経費として十三億五千五百四十九万一千円を計上いたしましたが、このうちには、検査の円滑な実施を図るための会計検査活動費二億百四十九万八千円、会計検査充実強化のための経費七千六百三十一万円、検査業務効率化を図るための経費四億一千三百三十九万七千円及び検査要員等充実強化のための研修研究体制整備経費二億八千九百八万九千円が含まれております。  ただいま申し上げました平成九年度予定経費要求額百六十一億二千五百八十三万七千円を前年度予算額百五十五億一千四百五十六万四千円に比較いたしますと、六億一千百二十七万三千円の増加となっております。  以上、簡単でありますが、本院の平成九年度予定経費要求額概要の御説明を終わります。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  21. 臼井日出男

    臼井主査 以上で説明は終わりました。  別に質疑申し出もありませんので、会計検査院所管については終了いたしました。     ―――――――――――――
  22. 臼井日出男

    臼井主査 次に、内閣及総理府、ただし経済企画庁環境庁及び国土庁を除く所管について審 査を進めます。  政府から説明を聴取いたします。梶山内閣官房長官
  23. 梶山静六

    梶山国務大臣 平成九年度における内閣及び総理府所管歳出予算要求額について、その概要を御説明いたします。  内閣所管平成九年度における歳出予算要求額は百八十億三千五百万円でありまして、これを前年度当初予算額百六十九億七千五百万円に比較いたしますと、十億六千万円の増額となっております。  次に、総理府所管平成九年度における歳出予算要求額は九兆二千九十八億九千七百万円でありまして、これを前年度当初予算額九兆八百三十億八千六百万円に比較いたしますと、千二百六十八億一千百万円の増額となっております。  このうち、経済企画庁環境庁及び国土庁に関する歳出予算要求額については、他の分科会において御審議を願っておりますので、それ以外の経費のうち主なものについて、以下、順を追って御説明いたします。  総理本府には、政府広報栄典関係、平和祈念事業特別基金、沖縄米軍基地所在市町村活性化特別事業等のための経費として三百六十四億一千万円、警察庁には、警察庁、その附属機関及び地方機関経費並びに都道府県警察費補助等のための経費として二千五百四十億八千二百万円、総務庁には、総務庁一般行政、恩給の支給、統計調査等のための経費として一兆五千五百六十二億三千三百万円、北海道開発庁には、北海道における治山・治水対策道路整備、港湾・漁港・空港整備、住宅、下水道等生活環境整備農業農村整備等公共事業関係費等として一兆五十九億三千二百万円、防衛本庁には、陸上、海上、航空自衛隊等運営武器車両及び航空機等購入並びに艦船の建造等のための経費として四兆三千六百四十三億九千三百万円、防衛施設庁には、基地周辺対策事業在日米軍駐留経費負担及びSACO関連事業等のための経費として五千八百二十八億七千百万円、科学技術庁には、社会的、経済的ニーズに対応した研究開発推進、新たな研究開発システム構築研究開発基盤整備国民生活に密着した科学技術推進等経費として五千七百十四億一千百万円、沖縄開発庁には、自由貿易地域拡充強化に関する調査沖縄における教育振興保健衛生対策及び農業振興に要する経費並びに沖縄開発事業に要する公共事業関係費等として三千三百三十二億三千百万円を計上いたしております。  以上をもって平成九年度内閣及び総理府所管歳出予算要求額概要説明を終わります。  よろしく御審議くださるようにお願いいたします。
  24. 臼井日出男

    臼井主査 以上で説明は終わりました。     ―――――――――――――
  25. 臼井日出男

    臼井主査 警察庁について質疑申し出がありますので、順次これを許します。漆原良夫君。
  26. 漆原良夫

    漆原分科員 おはようございます。新進党の漆原でございます。  私は、携帯電話使用交通事故関係についてお尋ね申し上げます。  携帯電話が、その利便性と比較的安く手に入るということで、すさまじい勢いで今普及しております。他方自動車運転中に携帯電話を使用して交通事故が発生するという事例も多くなっております。自動車運転時における携帯電話の使用について、私は非常な危惧を持っております。  そこで、郵政省にまずお尋ねしますが、携帯電話の現在の普及台数、それから将来の見込みについて御説明いただきたいと思います。
  27. 寺崎明

    ○寺崎説明員 お答えいたします。  携帯電話につきましては、平成九年一月末現在で一千八百九十三万加入いたしており、この一年間で一千二十六万加入がふえているところでございます。  なお、携帯電話の需要予測につきましては、去る二月二十四日に電気通信技術審議会から答申をいただいているところでありますが、これによりますと、二〇〇〇年度末には約四千五百万加入、また二〇一〇年度末には約六千三百万加入と予測されているところでございます。
  28. 漆原良夫

    漆原分科員 携帯電話の急速な普及に伴って、自動車運転時の携帯電話使用による交通事故もふえていくのではないかというふうに私は予想しておりますが、郵政省はどのように認識されているでしょうか。  また、私と同じように、将来ふえていくという予想であれば、ソフトとかハードの面で具体的な対応をしておられれば、その対応について御説明いただきたいと思います。
  29. 寺崎明

    ○寺崎説明員 近年、移動体通信はいつでもどこでも使える通信手段として急速に普及し、利用者の利便の向上に寄与しておりますが、一方、自動車運転中の携帯電話利用の危険性等の問題が指摘されているところでございます。  郵政省では、業界に呼びかけ、平成七年十月、社団法人電気通信事業者協会や電気通信事業者が、自動車内での携帯電話は安全な場所に停車して使用することなどを内容とした携帯電話マニュアル集を作成し、新規加入者などに配布しておるところでございます。さらに社団法人電気通信事業者協会は、昨年の七月に携帯電話利用マナー委員会を設置いたしまして、全国紙への共同広告、ポスターの掲示等のマナー啓発キャンペーンを実施しているところでございます。  さらに、郵政省では、昨年の九月から、携帯自動車電話を含めた自動車通信の将来ビジョンの具体化を検討するために、自動車と電波利用のあり方に関する調査研究会を開催いたしまして、携帯電話の安全な利用のあり方、操作方法などについて今検討を行っているところでございます。  今後郵政省といたしましては、利用者へのマナー向上の啓発活動について適切な指導に努めるとともに、調査研究会の検討結果を受けまして、交通の取り締まりを所管しております警察庁関係の向きと連携をとりまして、携帯電話の適正利用を図るための方策について検討してまいりたいと考えております。
  30. 漆原良夫

    漆原分科員 ちょっと不明確な点がございまして確認しますが、将来も交通事故がふえると予想されているかどうか、これが一点です。  それから、ハードの面ではハンズフリーの開発を進めておるやに聞いておりますが、この辺はいかがになっておりましょうか。
  31. 寺崎明

    ○寺崎説明員 警察庁さんの方で交通事故の原因等の統計をとっていらっしゃるのですけれども、携帯電話増加するに伴いまして、そのパーセンテージ等々傾向を見なくちゃいけないと思うのですけれども、携帯電話が年間一千万台もふえておりますので、少なくなるとは思っておりません。  それから、ハンズフリーの開発の状況ですけれども、今、調査研究会を開いていると申し上げましたが、その中でも実証実験等を今行っているところでございます。
  32. 漆原良夫

    漆原分科員 はい、わかりました。  今度は警察庁ですが、警察庁は、昨年の七月から九月までの三カ月間、運転中の携帯電話使用が原因とされる交通事故について調査、発表をされております。その結果をちょっと読ませていただきますと、まず、この三カ月の事故件数が五百三十七件、全事故の〇・三%でございます。死亡者五名、負傷者七百五十四名。それから携帯電話の受信操作時が二百三十件で四三%、発信操作時が百五十一件で二八%、通話中が百件で一八・六%。そして事故の特徴については、事故類型としては車両相互の追突が約七三%、それから携帯電話の使用形態としましては、受信操作時の事故が最も多く約四三%、次いで架電操作時、発信操作時ですが、架電操作時の約二八%、こういうふうに報告されております。  そこでお尋ね申し上げたいのですが、警察庁がそもそもこのような調査を行うに至った経緯は、どういうことがあったのでございましょうか。  もう一点、六月から調査をしておられるようですけれども、警察庁はこのころからこの携帯電話使用についての関心を持たれたのかどうか。この二点をお伺いします。
  33. 田中節夫

    田中(節)政府委員 お答えいたします。  携帯電話の使用中によります交通事故につきましては、先ほど委員御指摘のとおり、携帯電話が非常に普及しております、それに伴いまして非常にふえてきております。昨年六月に、またその後七月から九月の二回に分けて調査をしております。  どのような状況の中でこれに関心を持ったかという御指摘でございますけれども、これはかねて、いろいろな場面、いろいろな段階、いろいろな事故の状況の中で携帯電話に係るところの事故が多いのではないか、あるいは通行中のいろいろな場面でほかの車両の運転者の方から、携帯電話を使用しながら運転している場面が非常に多い、それは危険ではないのかというような御指摘等がございました。  ただ、それが具体的にどのように事故とのかかわりがあるのかということについては、死亡事故が発生するというような事例も見られましたので、早急に調査をする必要があるということで、従来、事故の統計の形としてはとっておらなかったわけでございますけれども、個別に昨年の六月にとったわけでございます。その結果に基づきまして、やはりこれは大きな問題であるので継続的に調査をする必要があるということで、七月から九月の三カ月にわたって調査をいたしました。それが今委員御指摘のような数字となってあらわれたわけでございます。
  34. 漆原良夫

    漆原分科員 第二番目の質問についてはどうだったのでしょうか、六月から調査をされたのは。この六月が初めての調査だったのかどうか。
  35. 田中節夫

    田中(節)政府委員 お答えいたします。  事故の類型につきましては、全国的な調査は六月が初めてでございました。ただ、都道府県におきましては、具体的な事故が起きました場合に大変問題ではないかというような指摘がいろいろな段階で出ておりまして、府県個別につきましては既に調査をしていたところもございますけれども、問題を全国的に取り上げて対応を措置すべきであるということで、六月に初めてそういうような調査に取りかかったというような実情でございます。
  36. 漆原良夫

    漆原分科員 この調査結果では、追突事故が七三%、受信操作時及び架電操作時が合わせますと七一%となっております。  分析結果を三点お尋ねしたいのですが、一点は、なぜ追突事故が多いのか。二番目は、なぜ受信、架電操作時が多いのか。三点目、なぜ受信時が架電時より多いのか、どのように分析されているか、お聞きしたいと思います。
  37. 田中節夫

    田中(節)政府委員 お答えいたします。  委員の御指摘三点ございましたけれども、事故の類型として車両相互の追突が約七三%を示しております。  これは、後続の運転手が追突するという形が非常に多いわけでございます。恐らくこれは、携帯電話を受信する際あるいは架電する際さらに通話する際に漫然と運転をする、集中力が欠けるというところで漫然進行して運転をするというようなことが、この追突事故が多いというような数字になってあらわれているというふうに思っております。  それから二つ目に、受信操作時及び架電操作時の事故が七一%を示しておりました。どうしてこのような形になるのかという御指摘でございます。  恐らくこれは、手で携帯電話を操作する、そのときにやはり前方に対する注意力というようなのが欠けてくる。それがどうしても、受信操作時あるいは架電操作時の手によるところのいろいろな操作が運転に影響を及ぼすのではないかというふうに思っております。  それから、受信操作時と架電操作時とを比較いたしまして、受信操作時が多いのはどうしてかという三点目の御指摘でございました。  これは、架電操作時の場合にはあらかじめこちらの意思でもっていろいろなものを動かす、操作をするという判断があろうかと思いますけれども、受信の場合には、全く自分の予想に反してといいますか、そういうような準備がない状態で電話がかかってくるということでございますので、一瞬の判断の誤り、あるいは意表をつかれる場面とかいうような、自分め考えの及ばないところで外から情報が入ってくるというところで起こるということ、それから、もしくは携帯電話の位置が明確でないというところで、音だけを頼りにして探すというような行動、そういうものがやはり受信操作時に事故が多くなるということではないかというふうに推察をしております。
  38. 漆原良夫

    漆原分科員 今の調査結果を踏まえて、警察庁としては、走行時における携帯電話の使用についてどのようにお考えでしょうか。また、現在何か対策をとっておられるとすれば、どのような対策をとっておられますでしょうか。
  39. 田中節夫

    田中(節)政府委員 委員御指摘の現在の交通事故の状況分析の結果を踏まえまして、走行時の携帯電話につきましては、私どもといたしましては、運転中、走行中でございますが、携帯電話を使用しないということ、それから、運転する前に電源を切るなどして、呼び出し音が鳴らない、外からの受信を受けないような状態にしてほしいというようなことも基本ではないかというふうに思っております。  このような問題意識に基づきましてどのような対応をとっているかという御指摘でございますけれども、事故の分析結果を踏まえまして、私どもは、交通の方法に関する教則というのがございます。これは国民の方々に、道路交通法の基本的な仕組みとか、あるいは交通安全での諸注意をまとめているものでございますけれども、昨年その一部分を改正いたしまして、今申し上げましたような、運転中は携帯電話を使用しない、それから、運転する前に電源を切るなどして呼び出し音が鳴らないようにするというこの二点について規定を改めまして、国民の方一般に広報啓発活動を図るとともに、特に自動車教習所におきましては、運転者教育を通じて運転者に周知を図っております。  さらに、この危険性につきまして、政府広報を通じて広く国民に呼びかける。あるいは、先ほど郵政省の方からもお話がございましたように、携帯電話のメーカーが携帯電話を売る際に、具体的に携帯電話の使用方法につきまして指導を徹底するというようなこともございますし、メーカーからも、直接国民に向けて大きな広報キャンペーンを開いていただく。それを私どもの方から積極的にお願いするというようなことで、今申し上げましたような携帯電話使用時に係るところの問題点につきまして、国民にきちっと意識をしていただくためのいろいろな努力を重ねているところでございます。
  40. 漆原良夫

    漆原分科員 昨年秋の全国交通安全運動の際に、携帯電話に関する広報活動警察庁としては行ったと思いますが、具体的にはどのようなことを行ったのか、御説明ください。
  41. 田中節夫

    田中(節)政府委員 秋の全国交通安全運動に際しましては、交通安全対策本部決定等におきましてもいろいろな項目が書かれておりますけれども、私どもといたしましては、携帯電話につきましては郵政省ともいろいろな協力をしながらキャンペーンを張る、あるいは都道府県警察を指導いたしまして、街頭におきまして携帯電話の使用について注意を促すというようなこと、あるいは都道府県段階で協議会を設けまして、その周知徹底を図るというようなことをしておったところでございます。
  42. 漆原良夫

    漆原分科員 現在のところ、携帯電話の走行時での不使用あるいは乗車時は電源オフにする、これは運転者のモラルの問題とされております。車の中はいわば個室でございまして、その中で、安易さから、自分で自分を規制するというのは非常に難しいと思います。したがって、運転中に携帯電話を使用することはよくないことなんだ、こういう意識、国民世論を全体的に喚起していかなければならない問題ではないかと思います。そういう意味で、新聞、ラジオ、テレビ等のメディアを利用するなど、日常的な広報宣伝活動強化すべきではないだろうか。  また、今まで警察庁、あるいは郵政省もそうですが、業者と一体となってやってこられたということなんですが、この宣伝が業者主体にやられているように思うのですね。むしろ警察庁独自で、新聞とかチラシとかラジオとかあるいはテレビ等、警察庁の名前の入ったそういう方法で、独自の広報宣伝活動をする意思があるかないか、お聞きしたいと思います。
  43. 田中節夫

    田中(節)政府委員 後ほど、国民の意識をどうやって盛り上げるかということにつきましては大臣から御答弁があるかもしれないと思いますが、事務的にどういうことを考えているかと申しますと、今お話しのように、日常的に国民の意識を盛り上げていく、この携帯電話の使用につきましても意識を改めていくということは、御指摘のとおり大変必要でございまして、日常の広報活動の活性化あるいは宣伝ということを強めなければいけないのは御指摘のとおりでございます。  具体的な広報宣伝、普及活動の形といたしまして、現在は政府広報をやっておりますけれども、政府広報の中で、警察庁の名前を入れましたそういう広報活動というのもやっております。今お話しのように、私どもは郵政省とも協力をしながらやっておりますし、また業者の力といいますか、事業者の力もかりなければいけないところでございますけれども、私どもは事故を所管している省庁でもございますし、また事故の分析結果も相当に持っておりますので、御指摘のように、今後私どもの主体的な取り組みにつきましても積極的に検討してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  44. 漆原良夫

    漆原分科員 ぜひそれを進めていただきたいと思います。  まだ町で見かけるのですけれども、御婦人や若い人が携帯電話で話しながら、いわゆる片手運転をしている姿をよく見かけます。また、先日私が埼玉から東京までタクシーに乗りましたら、タクシーの運転手さんが、私が乗っている約四、五十分だと思うのですけれども、その間に二回くらい携帯電話が鳴りまして、それに応対しておったわけです。私は後ろに乗っていて、大変危険だなというふうに感じた次第でございます。そういう意味では、今おっしゃった徹底がまだ十分じゃないのじゃないかという気持ちを持っております。  もう一つは、特にタクシーなんかの場合はほとんど無線がついているわけでございますから、あえて携帯電話は要らないんじゃないかと思うのですね。私があるタクシー会社に聞きましたところ、そのタクシー会社は、携帯電話を乗車の際には持たないということに徹底しているそうでございまして、特に持っていることが見つかった場合には社内処分を受けるのだと、そこまできちっとやっているタクシー会社もございます。  そういう意味で、とりあえずタクシードライバーに関しては行政指導という格好で、何らかの、乗るときは持たないという趣旨の徹底を図られないものかどうか、まだそういう意思がおありかどうか、いかがでございましょうか。
  45. 田中節夫

    田中(節)政府委員 御指摘のように、タクシーの運転に際しましても、今お話しのような、運転手が携帯電話を使用しているという事例が見られるということは、御指摘のとおりでございます。それと、既にタクシーにつきましては無線というのがございますので、運行に伴ういろいろな指示等は無線でなされているので、携帯電話は要らないのではないか、不要ではないかというような御指摘だろうと思います。  今お話しのように、専ら人の運送を業としているものでございますので、危険というような観点からも、通常の自動車のドライバーよりは重い注意義務があるというのは御指摘のとおりであろうと思いますし、その点から、必要があれば、私どもといたしましては、運輸省等関係行政庁に、そのようなことにつきまして積極的な申し入れをしてまいりたいと考えております。
  46. 漆原良夫

    漆原分科員 よろしくお願いします。  次に、法規制の問題について若干お尋ねしたいと思います。  自動車運転時における携帯電話の使用を運転者のマナーの問題にとどめておくべきか、あるいは法的規制の対象にすべきか、これは非常に難しい問題があろうかと思います。  前にシートベルトの条文をつくって、シートベルト着装を規制したわけでございますけれども、あれも第一段階では何も、処罰といいますか行政処分もなかった。しかしその後、点数制の導入、点数の対象にした経緯がございまして、その点数の対象にする前と後では、シートベルトの着用、着装の実態についてどのような差がございましたでしょうか。
  47. 田中節夫

    田中(節)政府委員 御指摘のように、シートベルトの装着につきましては、最初高速道路から平場への義務づけの範囲の拡大とか、あるいは、今お話しのように、訓示規定から点数制度の導入というような段階を経てやってきております。  これにつきましては、着用率の推移を見ながら点数制度を導入するということで、国会のいろいろな御意見もございまして、あの当時はたしか、着用率が五〇%を超えたような段階で点数制度を導入してはどうかというような国会の御意見ではなかったかというように思っております。  ただ、今お話しのように、訓示規定が導入されたというようなことでもって、やはり国民の間に着用の必要性の意識が高まるということもございますので、これは、着用率が高まってきたということは御指摘のとおりだと思います。
  48. 漆原良夫

    漆原分科員 マナーの問題と法的規制の問題にした場合には、その実効性に著しい差があると私は思います。ただ、だからといって、即座に今の段階で法的規制の対象にするかどうかはまだまだ問題があると思いますが、日本以外の諸外国の法規制についてお調べされたかどうか。もし実情をお調べであれば、諸外国では一体どうなっておるのか、この辺をお教え願いたいと思います。
  49. 田中節夫

    田中(節)政府委員 携帯電話の法規制につきまして、外国の状況はどうかという御質問でございます。  私ども、すべてをつまびらかにしているわけではございませんけれども、現在規制をしているというような地域につきましては、スイス、イタリア、オーストラリアの一部の州におきまして、運転中の携帯電話の使用に関して法規制が行われているということを把握しております。  規定の方法はこの三つの国におきましても区々でございますけれども、いわゆるハンズフリー装置をしている場合には規制の対象としない、あるいは運転手によりましても、緊急自動車の運転手でありますとかいうものにつきましては対象から外すというようなことでございまして、それぞれ区々でございますけれども、いずれも、ハンズフリーは規制から外しておるというのが実情のようでございます。
  50. 漆原良夫

    漆原分科員 そうなんですね。私も調べましたが、ハンズフリーは規制の対象から外れているようでございます。  しかし、平成八年十二月二日、これは埼玉県警の実験結果が公表されているわけでございますけれども、「携帯電話を使用しないで運転する場合は、目の動きが、前方車両や左右の道路状況を確認するため、広い範囲で動いていたが、携帯電話で通話中は、一点に集中する傾向にあることが判明した。」これはいわゆる意識のわき見とも言われているのですけれども、前を見ているのですが、しかし、意識がどこかに行っているために前にいるものが見えないということが、埼玉県警の研究結果で指摘されております。この調査結果に対してはどのように評価されておりますでしょうか。
  51. 田中節夫

    田中(節)政府委員 委員御指摘の、昨年の埼玉県警察におきますところの携帯電話調査でございますけれども、ハンズフリー装置につきましては、今委員御指摘のように、通話中におきましても意識のわき見というのがあるのではないかという指摘がございまして、ハンズフリーであるからといって、それが運転について安全であるというようなことは必ずしも言えないというような調査結果でございました。  したがいまして、ハンズフリー装置につきましては、さらに科学的な検証を踏まえる必要があるのかなと。さらに、私どもでも現在いろいろな研究を重ねておりますけれども、その研究を続けていく必要があるというふうに考えておるところでございます。
  52. 漆原良夫

    漆原分科員 運転中の通話は、絶えず片手運転になります。それから、端末操作や会話に気をとられて、前方が不注意になりがちでございます。そういう意味では、具体的な危険が発生しない場合には道交法七十条適用はないんですけれども、この行為自体が非常に事故発生の蓋然性が高いのではないかというふうに考えられます。  そういうことで、ぜひとも早く調査をしていただきたいと思うのですが、今の段階で、法的規制の対象にする意思がありや否や。また、現在では法的規制は無理だとすれば、その理由は何か。そこを教えていただきたいと思います。
  53. 田中節夫

    田中(節)政府委員 先ほど申し上げましたように、外国でもいろいろな法制をとっておる国がございまして、その法制の内容も区々でございます。また、今お話しのように、七十条違反、安全運転義務違反でございますけれども、そういうような形態でとらえている国もございます。携帯電話そのものの規制ではございませんが、その行為を、具体的な事案が発生いたしました場合に安全運転義務違反ととらえるというような、間接的といいますか、そういう法規制をとっている国もございます。  いろいろな法規制の形態がございますので、私どもといたしましては、それぞれの国の実情あるいは法規制の内容等を慎重に検討した上で、法規制の必要性、あるいは法規制をいたします場合におきましても、その法規制の内容につきましては、これは慎重に検討する必要があるというふうに思っております。  また、これは具体的に、先ほど申し上げましたような、訓示規定から点数あるいは罰則というような段階を仮に法規制の中で経るといたしました場合には、取り締まりのあり方というものも当然に念頭に置きながら検討する必要がございますので、やはりそういう意味では慎重に判断をする必要がある。直ちに法規制をするということにつきましては、若干研究をする必要があるのではないかというように思っております。
  54. 漆原良夫

    漆原分科員 結論としまして、運転時の携帯電話の使用については、昨年六月ごろから関心を持たれて、調査研究の対象とされてきた。したがって、今の段階では、事故と携帯電話使用の因果関係等がまだまだ十分調査し尽くされていない、したがって、今の段階では法的規制は難しいというふうに聞いてよろしいでしょうか。
  55. 田中節夫

    田中(節)政府委員 今委員御指摘のとおり、この携帯電話につきましては、昨年六月に初めて統計をとり出しました。現在も継続して統計をとつておりますし、先ほど御説明申し上げましたように、このハンズフリーにつきましては科学的な研究もしております。したがいまして、現段階では、その調査研究を積極的に続けて、そして、それを踏まえた上で、法規制の必要性があるのかどうかにつきましては検討させていただきたいということでございます。
  56. 漆原良夫

    漆原分科員 警察庁は、本年度から携帯電話の問題について調査研究されると聞いておりますが、その具体的内容は一体どんなことなのか、また、その検討内容の中に法規制の問題も含まれているのかどうか、お聞きしたいと思います。
  57. 田中節夫

    田中(節)政府委員 今委員御指摘の、本年度から、平成九年度からというお話かと思いますが、重要性から一応前倒して、一部研究を始めております。平成九年度は本格的な検討をしたいというふうに考えておりますが、その検討の過程におきましては、当面は、携帯電話と事故との関係につきまして分析をするということでございまして、法規制の検討につきましては、直接はその中には含まれておりません。
  58. 漆原良夫

    漆原分科員 車は、時速四十キロメートルで一秒十一メートル進むわけでございまして、そういう意味では、動く凶器と言われております。瞬間の判断のおくれが多くの人の命にかかわる大事故へとつながってまいります。一日も早い調査の完了と、それまでの間、運転中の携帯電話の使用は悪なんだという、徹底した啓蒙活動を改めてお願いさせていただいて、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  59. 臼井日出男

    臼井主査 これにて漆原良夫君の質疑は終了いたしました。  次に、今田保典君。
  60. 今田保典

    今田分科員 私は、新進党の今田保典でございます。  御案内のように、私は、この衆議院に当選するまでは交通運輸産業に携わっておりました関係で、交通運輸産業でいろいろと問題視されていることにつきまして、御質問をさせていただきたいと思います。  バス、タクシー、トラックなどの自動車運送事業の立場からの交通警察行政に対しての質問、こういうことで五点ほど質問させていただきますけれども、一つは、交通渋滞が非常に今激しくなっております。自動車運送の事業運営に深刻な影響を与えておるわけでありますけれども、これは、運転者にとっては非常に不満やいらいらがありまして、そのことが途中で爆発寸前になりかけておるということもありまして、事故を誘発しているのではないかというふうに言われておるわけであります。しかし、一向に、目に見えた渋滞の改善はされていないという状況にあります。したがいまして、このことについて、警察を初めいろんな関係当局への不満が高まりつつあるわけであります。  そこで、警察当局は交通需要マネジメントというものを打ち出しまして、いろいろ注目をされてきておったわけでありますけれども、実際にこの効果が見えていません。このことにつきまして、どのように警察当局は思っておられるのか、第一点、お聞きをしたいと思います。
  61. 田中節夫

    田中(節)政府委員 委員御指摘の交通渋滞の問題でございますが、大変大きな問題でございまして、なかなか解決は容易でございません。特に都市部におきますところの交通渋滞の原因は、根本的には、都市部の道路交通容量を上回ります交通需要が存在するというところに原因があるわけでございまして、これを解消するためには、都市構造その他の問題いろいろございますけれども、私どもといたしましては、交通需要のコントロールすなわち交通需要マネジメントを推進することが必要不可欠だというふうに認識をしておりまして、現在、私どもと建設省、運輸省の三省庁で渋滞対策協議会を設置いたしまして、この交通需要マネジメントに積極的に取り組もうとして、全国で十二のモデル都市を指定してやっております。  具体的な効果がないのではないか、見えないのではないかというような御指摘でございます。なかなかこの問題は難しゅうございますが、私どもといたしましては、既存道路の有効利用の観点から、交通管制センター、信号機の高度化とかあるいは交通流の分散、誘導等を促すための交通情報収集・提供装置でありますとか、あるいはバス優先、さらに総合的な駐車対策、いろいろやっております。  この結果、今お話しのように、具体的な効果はどうかという御指摘でございますが、一部の都市におきましては、公共輸送機関、これはバスでございますけれども、バスの旅行時間の短縮あるいは定時性の確保につきましていい面が出てきた、あるいは、マイカーからのモードのシフトと申しますか、マイカーから公共輸送機関へのシフトが出てきたというような効果が若干ではございますけれども、出てきております。  したがいまして、この効果がやはり国民の皆様方に目に見えるような形で、どのようにしてそれを出していくかということにつきましては、御指摘のように、まだまだ不十分なところがございますので、私どもといたしましても、さらに努力をしていく必要があるというように考えておるところでございます。
  62. 今田保典

    今田分科員 今ほどマネジメントの件でいろいろ言われましたけれども、確かに、この交通渋滞の解消のためには非常に国民全体が何とかしなきゃならぬということで盛り上がりつつあるわけでありますけれども、総量規制などの直接規制を含めて、やはり抜本的に対策を講じなければこのことについては解消しないのではないかというふうに思うわけであります。  また、国民の世論の喚起でありますが、いわゆる渋滞に対する運転者のいらいらというものが確かにあるわけでありますけれども、それともう一つ、国民あるいは国家としての年間の損失が十二兆円もこの渋滞によって出ているというふうに言われておりますし、また、時間的には国民一人一人が年間で五十時間も渋滞に費やしている、こういう実態が数年前に出ておるわけであります。このことにつきまして、警察庁としてどのように把握しておるかお聞かせをいただきたいわけであります。先ほど申し上げました数字的なものについては数年前ということでございますが、現在はどのような把握をしておられるか、お聞きをしたいと思います。     〔主査退席、村上主査代理着席〕
  63. 田中節夫

    田中(節)政府委員 委員御指摘のように、交通渋滞が運転者個人にいろんな影響を与えましてそれが事故の遠因となるというようなこと、それから今お話しのように、経済的損失あるいは時間のロス等が大変膨大なものになるというようなことは、私どもも同様な認識でおります。  ただ、数字につきまして、新しい数字は手元に持ち合わせておりませんので、今お話しのような数字が、ふえることはありましても劇的に減ることは多分ないであろうというふうな想像をしておるところでございます。  そこで、総量規制の問題等につきましては、やはり国民のコンセンサスが必要でございまして、これが国民生活あるいは経済活動に非常に大きな影響を与えるということになりかねませんので、これは代替輸送手段の整備とか、あるいはほかの都市計画の問題とかというようなことを絡めながら、総合的に対策を推進して、しかもその過程におきまして常に国民の動向、国民の意見というものを十分に反映させた上でそれらの対策に取り組んでいく必要がある、そしてまた我々としては、問題の重要性を国民に常に認識をしていただくというような努力を重ねる必要があるというように考えておるところでございます。
  64. 今田保典

    今田分科員 先ほど言ったように、経済的な損失についてはまだ把握していない、こういうことでございますが、私は、これらを十分調査していただいて国民に知らせるべきだ、こういうふうに思うわけであります。そして、そういう損失を国民全体が何とか解決をしなきゃならぬというような世論の盛り上がりにすべきではないかというふうに思うわけでありますが、この点についてどうお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  65. 田中節夫

    田中(節)政府委員 委員御指摘のように、この問題は大変大きな問題でございまして、通常の国民生活あるいは国民経済活動に非常に大きなかかわり合いがございます。今お話しのように、この問題の抱える重要性、あるいは経済に与える影響、それから事故等に与える影響等につきましては、私どもは今後とも国民に対し問題を提起していくような姿勢をとり続ける必要があるというふうに考えておるところでございます。
  66. 今田保典

    今田分科員 そういうことで、やはり国民に十分理解をしてもらわなければならないわけでありますので、ぜひひとついろんな調査をしていただいて、国民にアピールをお願い申し上げたいというふうに思います。  これも先ほどの質問と関係あるわけですが、違法駐車によって渋滞が非常に出ておるということは御案内のとおりでございます。そこで、違法駐車防止条例というものが各都道府県でつくられておりまして、いろいろとやっておられるようでありますけれども、先ほども申し上げましたように、そういったことで渋滞がひどくなっているということ、さらにバス、タクシー、集配トラック、いわば公共輸送にとっては大打撃を受けておるわけであります。その原因は、先ほど言ったようにほとんど違法駐車であります。最近のデータでは、瞬間道路駐車ということで調査したところ、東京都内では十六万五千台、大阪府内では二十八万三千台、こういうことでありまして、そのうちほとんどが違法駐車をやっておられる、こういうことでございます。  したがいまして、各地方自治体で、先ほど言ったように違法駐車防止条例というものを制定をして進めておるわけでありますが、これについては予想した以上に効果を上げておるわけであります。したがって、先ほど申し上げましたように、バス、タクシー、トラック、いわば公共輸送の業者からは大変好評であるわけであります。  ただ、残念ながら、この条例を制定しているのは、私どもの調査では、三百十三の市区町村しかまだやっておりません。いわば三千三百の自治体の一割にも到達をしていない、このことについては警察庁ではどのように把握しておられるか、まず一点お聞きしたいと思います。
  67. 田中節夫

    田中(節)政府委員 委員御指摘の違法駐車の問題でございますけれども、これも基本的に、都市構造、道路構造と駐車事情のアンバランスといいますか、そういうものが招いておるところがございます。  この問題につきましては、かねてより私ども、やはり大きな問題として取り組み、また国会等でもいろいろ御指摘を受けております。ただ、この問題につきましては、私どもは警察として取り組むところには限界がございますし、またやはりこの問題は市町村等の地方自治体の方が積極的に取り組んでいただく、地域の問題として取り組んでいただく必要があるということで、違法駐車防止条例の積極的な制定につきましてこれまでもお願いをしてまいりました。そこで、平成二年に東京都の武蔵野市において初めて制定されまして、私どもの数字では、統計の日時が違っているかもしれませんが、十二月末現在で三百十九の自治体において制定されているところでございます。  ただ、今委員御指摘のように、全国市区町村の約三千から見ると一割にも満たないのではないかというような御指摘でございます。ただ、私どもの調査の中を見ますと、この一割、数では一割でございますが、四十六の道府県の県庁所在地のうち三十四市でやっておりますし、また政令指定都市は十市全部で制定されております。したがいまして、大きなところにつきましては、かなりの程度カバーをされているのではないかというふうに思っております。  ただ、御指摘のように、一割にも満たない数字はそのとおりでございます。また、市町村の協力も得て大変今効果が上がっているというような報告も受けておりますので、さらにその積極的な制定につきまして都道府県警察を指導してまいりたい、都道府県警察から地方公共団体の長に積極的な働きかけをしてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  68. 今田保典

    今田分科員 今ほど、三百十九の市町村で違法駐車の条例がつくられている、こういうことでございますが、いかにも少ない数字でございまして、各自治体でこういったことを制定されていない原因にはいろいろあるだろうというふうに思うんですよ。例えば商店街の反対に遭ったり、あるいはいろんな業者から、駐車することによっていろいろ商売する上で非常にまずいというようなことで、警察当局あるいは各市町村の自治体にいろいろと圧力ですか、そういったたぐいのものが行っているのではないかというふうに思うわけであります。  ただ、やはりこういったものは大変社会的な問題でありますので、やはり各自治体で積極的に進めていただかないと、これからも大変な事態が起きるのではないかというふうに思うわけでありまして、どうぞ関係するところと連携をとりながら、このことについて取り組みをしていただきたい、このようにお願いを申し上げたいと思います。  そこで、こういったものを何とか解決をしていただきたいということが大半の国民の世論の声でありますけれども、ただ、トラック関係の方から言わせれば、道路上でそういう仕事を、いわば荷受け、荷おろしをしなければならない実態があるわけですよね。それは、なぜそういうふうな実態になっているかということになりますと、いわば荷受け、荷おろしのできる場所がない、商店街とかあるいは工業団地内とか、そういったところで集中的に荷受け、荷おろしをできる場所がないためにどうしても道路上でやらなければならないというふうなこと。さらに、荷主のニーズが多様化しておりまして、頻繁に小口化の傾向が出ております。そのことによって、どうしても道路上で仕事をしなければならぬという事態になっているというのは御案内のとおりでございます。  そういった関係で、トラック関係の仕事をされている方々に対して非常に非難が高まっております。高まってはおりますけれども、そういう場所がないために、どうしても道路上で仕事をしなければならぬというふうに言わざるを得ない状況でございまして、やはりこのことを解決するには、基本的には都市の中で、物流対策というもの、あるいは交通対策というものをきっちり打ち出して、その荷受けあるいは荷おろしをできる場所を設置していただかないと解決しないのではないかというふうに思うわけであります。この点について、やはり駐車場附置条例というものをきっちりつくっておくべきではないかというふうに思うわけでありますが、この点についてお伺いをいたします。
  69. 田中節夫

    田中(節)政府委員 委員御指摘の、特に配送用貨物自動車を中心といたしますところの、貨物自動車の都市部におきます駐車の問題でございます。  今お話しのように、大都市の、特に商業集積地域等におきましては、駐車あるいは荷さばき等の施設が十分ではございませんで、その結果、道路上でそのような作業を行うという形態が見られます。ある意味では、道路交通上は必ずしも好ましくないことではありますけれども、商業活動上、万やむを得ないというようなところがございます。したがいまして、そういうようなことのないように、違法駐車防止条例とあわせまして、駐車場の附置義務条例の制定につきましては積極的に働きかけを行っておりますけれども、御指摘のように、必ずしも十分ではないというような状況にございます。  したがいまして、私どもは駐車場附置義務条例の制定の促進を図ると同時に、現状の中でどういうことができるかということにつきまして、いろいろ検討を重ねておりまして、例えば、商業集積地域におきましては、一定の時間帯におきましては、貨物自動車専用のパーキングメーターをつくる、あるいは、貨物自動車だけにつきましては、時間帯を限って駐車禁止の規制を除外するというような措置もとっております。また、関係機関あるいは関係団体等とも連携をとりながら、共同集配システムというものを構築いたしまして、むだな走行をなくするというようなこともやっておりまして、現実には、福岡市でありますとか東京におきましては具体的な成果を見ている事例がございますので、私どもが今申し上げました施策を関係各団体と協力して積極的に進め、なおかつ、また駐車場附置義務条例につきましても、今後努力を重ねてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  70. 今田保典

    今田分科員 先ほども申し上げましたけれども、違法駐車防止条例、あるいは駐車場附置条例、これはいずれも地方自治体との連携をとりながらやっていかないとまずいたぐいなわけでありますので、そういった意味からして、各自治体に対してどのような指導をこの件についてこれからやっていくのか、これまでやってきたのか、自治大臣にお聞かせをいただきたい、このように思います。
  71. 田中節夫

    田中(節)政府委員 この駐車の問題あるいは駐車防止条例の問題、それから駐車場附置義務条例の問題でございますが、今お話しのように、やはり地方自治体の御協力、地方自治体が主体的にこれに取り組んでいただく必要がございます。特に、違法駐車防止条例につきましては、自治省におきましては、特別交付税で措置するというような御努力も私どもがお願いして措置が講じられました。  そういうことで、自治省におきましても、地方自治体に対しまして、いろいろな形でこのような駐車防止条例あるいは駐車場附置義務条例につきまして積極的に取り組むよう指導がなされているというふうに伺っております。  私どもといたしましても、現状を十分に踏まえながら、さらにそれが積極的に推進されるよう、今後とも自治省あるいは都道府県警察におきましても、知事部局その他の関係団体に積極的に働きかけを行うよう指導してまいりたいと考えているところでございます。
  72. 今田保典

    今田分科員 いずれにしろ、大変な道路渋滞が起きているわけでありまして、ぜひひとつ、先ほど申し上げましたように、いろいろなところで御努力をしていただきたい、このことをお願いを申し上げたいと思います。  次に、先ほど申し上げましたように、私、交通運輸産業に携わっていた関係もありまして、質問させていただきますが、貸し切りバスガイドあるいは添乗員の着席案内について今非常に問題になっております。いわば高速道路で、あるいは急勾配のところで、立ったまま案内をするということはいかにも危険性がある、さらに、御案内のように平成七年に重大事故が発生しまして、このことが大きく取り上げられておるわけであります。ただ、残念ながら、運輸省から通達として努力義務というものを出していただいておりますけれども、いわば規制緩和がいろいろ取りざたされている中で、競争の原理が非常に激しくなっております。したがいまして、なかなか着席案内はできない状況になっております。  しかし、そうはいっても、非常に危険性のあるものでございますので、やはりガイドあるいは添乗員についてはシートベルトの義務づけをするべきではないかという声が出ておるわけであります。このことについて、どのようなお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。
  73. 田中節夫

    田中(節)政府委員 委員御指摘の、貸し切りバスあるいは高速バスにおきまして、バスガイドあるいは添乗員の安全確保をするために、着席したままで案内することを義務づけてはどうかという御指摘でございます。  基本的には、運輸省の運行管理に伴う問題でございますので、運輸省の段階で措置されるべき問題かもしれませんけれども、私どもといたしましては、やはり今お話しのように、こういう乗務員の安全という問題は、規制緩和とは異なるやはり国民の安全にかかわる基本的な問題でございまして、そのような問題とは異なるであろうという認識をしております。  ただ、今お話しのように、競争原理の働く中でいろいろな形での乗務の形態が出てくるのだろうというふうに私どもは考えておるところでございますが、やはり今申し上げましたような状況から考えますと、運転手の横にありますところの座席にシートベルトを着装して座っていただくというのが最も望ましい形態ではないかというふうに思っております。  ただ、この義務づけにつきましては、基本的には運輸省の運行管理にかかわる問題でございますので、私どもだけで直ちにこうだというふうに判断するわけにまいりませんけれども、今委員の御指摘のことも十分踏まえまして、運輸省とも検討してまいりたいと考えているところでございます。
  74. 今田保典

    今田分科員 ぜひひとつ、いろいろな観点から御検討いただければ大変ありがたい、このように思います。  次に、高速道路での自動車教習車両への回転灯装備についてお伺いをしたいと思います。  御案内のように、自動車教習所での教習課程に高速道路教習が正式に加えられました、たしか二時間ぐらいだったと思いますけれども。しかし、全くハンドルに携わってきていない方が勉強して自動車免許を取る、こういうことでございますので、当然危険性を伴うわけであります。したがいまして、高速道路上でのやはり何か、この人は自動車の教習をやっているのですよという一つの目印というものが必要なのではないかというふうに思っておるわけであります。  手前どもの調べでは、いわば自動車教習される指導員の方から伺ったデータによりますと、約八割の方が非常に危険な体験をされたというふうに言われております。このことはやはり重要視をしなければならないだろうというふうに思うわけでありまして、御案内のように、例えば建設省でいろいろな道路工事を、あるいは道路を視察する際に、回転灯というものを装備して運転をしている、そのことによって周りの方におわかりいただける、こういう状況なわけでありまして、やはりこういう自動車教習所の高速道路での教習についても、車両に対して回転灯などをつけて周りの運転者に知らせるということが、これからの高速道路での教習について非常に大切な部分ではないかというふうに思うわけでありますが、この点についてお伺いをしたいと思います。
  75. 田中節夫

    田中(節)政府委員 委員御指摘のように、高速道路時代を迎えまして、運転免許を取られた方は割合早い段階でも高速道路を使うということが一般的でございますので、教習におきましても高速道路の教習を義務づけたところでございます。  この教習に当たりましては、あらかじめ指定された教習所から教習コース及び教習車両を明示した具体的な計画を提出させまして、これに基づいて道路公団とも緊密な連携をとって、どのコースで教習をするかというようなこともやっております。そういうことで、事故防止上問題がないかという確認をした上で、円滑な教習が実施されるよう現在は指導しておりますし、また、具体的な教習計画に当たりましても、事前によく実地踏査をして、その区間、距離、時間、天候の状況等も十分に把握をしてやるように指導をしております。  ただ、お話しのように、現在そのような車には仮免許練習中という表示をつけております。しかし、それはやはり運転が拙劣であるとか、あるいは運転が余りうまくないということではございませんで、基本的にはこのような車に対しては他の車両が注意をしてほしいという、注意喚起をしていただくというようなことでもってこの標識をつけさせているわけでございます。  ただ、これが不十分である、もう少しほかの車両に、この車両が練習中であるということを知らしめるための方策はないかということでの御指摘だろうというふうに思います。これにつきましては、回転灯という具体的な御提案がございました。これは車両の保安基準にもかかわることでございますので、私どもで直ちにこうだという判断はしかねますけれども、今お話がありましたようなことにつきましても、運輸省に十分伝えまして、さらに安全対策にどのようなものがあるのかということにつきましては、これは検討させていただきたいと思っております。     〔村上主査代理退席、主査着席〕
  76. 今田保典

    今田分科員 ぜひひとつこの点について、運輸省と十分連携をとりながら御配慮をいただければ大変ありがたい、このように思っています。  時間もなくなりましたが、もう一点御質問させていただきたいと思います。現在、日本の車両に義務づけはなっていないわけですけれども、しかし危険であるということで、幼児に対してチャイルドシートというものを使って運転をされている方が大変ふえております。アメリカでは、このことについては非常に重要な課題ということで、いろいろこれまで研究をされまして、大変力を入れているようでありますが、日本ではまだまだちょっと足りないのではないかというふうな感じがするわけであります。  御案内のように、親御さんと一緒に車の中に乗っておって不幸にも衝突をされた、しかし、運転をしている親の方は助かったけれども、幼児が車両から外に飛び出して死亡されるケースが非常にふえております。そのことを防止するためにチャイルドシートというものができたわけであります。ただ、残念ながら日本のチャイルドシートは、そのものに欠点はないのですが、チャイルドシートを装着するための現在のシートベルトに欠点があるというふうに言われておるわけであります。いわばチャイルドシートをシートベルトで装着をする、ところがそのシートベルトが、ロックの関係もあるのでしょうけれども、欠点もあるのでしょうけれども、シートベルトそのものが急な衝撃によりまして緩んでしまう、このことによってチャイルドシートの役目を果たしていないという状況が今続いているようでございます。  やはりこの点については、運輸省との絡みもあるのでしょうけれども、警察当局として十分研究をしていただいて、何とかそういう幼児が外に飛び出して死亡されるというようなことのないようにやっていかなければならぬではないかというふうに思うわけですが、ぜひお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  77. 田中節夫

    田中(節)政府委員 チャイルドシートについての御質問でございますけれども、チャイルドシートは交通事故発生時におきまして子供の命を助けるという意味で大変有効なものというふうに認識しております。  従来、私ども、これにつきましては、その有効性それから着用率を高めるためにいろいろな広報啓発活動を展開してまいりました。その法制化につきましては、やはり着用義務の法制化に関する世論が高まる、あるいは着用率が高まるというようなことを待って行いたいというふうな態度でございましたけれども、最近とみにこの義務化の世論が高まってきておりますし、また二歳以下の例をとってみますと、着用率が三〇%ぐらいに上がってきている状況にございます。そういうような状況から、法制化に対しますところの理解が高まってきているというふうに理解をしております。  ただ、今委員御指摘のように、この法制化を検討する場合には、簡単で、かつ容易に安全に取りつけられるかどうかということにつきまして克服すべき課題がやはりあります。ですから、そういう問題も含めまして着用義務の内容、対象等について検討する必要がありますけれども、いずれにいたしましても、法制化につきましては積極的に検討する時期に参ったというふうに考えておるところでございます。
  78. 今田保典

    今田分科員 今社会的な問題になりつつあるわけでありますので、そういうことでひとつ早急に、ぜひ積極的に取り組んでいただきたい、このことをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  79. 臼井日出男

    臼井主査 これにて今田保典君の質疑は終了いたしました。  次に、吉田治君。
  80. 吉田治

    吉田(治)分科員 私の実家の百メーター先に交番がございまして、小学校時代は学校が終わったら本当によくその交番に遊びに行って、お巡りさんに非常にかわいがってもらった。ああ、いい人だなと。中学、高校時代は、体格がよかったものですから、どうだ、府警へ来ないか。ひょっとしてそのままその話に乗っておれば、私は本日こうして質問することもなく、大阪府警のどこかの警察署で働いていたのかなということも感じております。  そういう中で、警察庁に質問をさせていただくのですけれども、現在、日々、外国人による凶悪事件、例えばつい過日には中国人による中国人の誘拐事件であるとか、また、宝石商にやはり外国人が押し入ったとか、随分手荒な、荒っぽい事件を引き起こしている。こういう凶悪事件。それからまた、ここで非常に話題になってきているのが銃器、これが一般市民にまで広がってきている。そして薬物の問題、これはもう今や中学、高校生まで。  一体全体、この日本という国は本当に日本なのかな。マスコミ報道だけを見ると、どこかアメリカの一州、一つの町のような様相を呈している。また、悪質な経済事犯。オレンジ共済の問題にいたしましても、KKCですか、そういうふうな経済事犯。私たち普通の感覚からすると、なぜそんなものにひっかかるのかなという感じがしているのですけれども、そういうふうなもの等さまざまな事件が多様に起こってきている。  そこで、やはり私たち国民が一番よりどころとするのは、先ほど言いました日本のお巡りさんだ。日本では、お巡りさんだけは信用できる、お巡りさんは頼りにできるというふうな感じですけれども、こういうふうなさまざまな事件が起こってきた場合に、現在というよりも少し前のといった言い方がいいと思いますが、現在よりも少し前のあの治安水準というものがこれから先も保てるのかというと、どうも不安を感じざるを得ないと思います。  この治安維持のためには、例えば新年度予算に地方警察官千五百十二人の増員要求等がなされ、今審議をされているのですけれども、この辺の増員というものについて、これは数だけではなく、その質というのですか、例えばテレビ報道等では、税理士さんであるとか公認会計士さんがこの経済事犯の対応のために採用をされたということがニュースになる。私は、これはニュースになるということ自身がまだまだかなと。もっとそういう人が至極当たり前に警察の中で働いている――例がいいかどうかわかりませんけれども、全然別個とは考えられませんが、例のシカゴのギャングのアル・カポネというのを最終的に捕まえたのも、警察のみならず、やはり脱税、税務という経済事犯の側面での逮捕だというふうに聞いております。  この辺すべてを含めて、警察官の増員、またこの増員の振り分けというふうなことについて、警察の見解をお聞きしたいと思います。
  81. 白川勝彦

    白川国務大臣 吉田委員がただいま指摘をされました件は、私が国家公安委員長に就任以来、同じ認識で今日まで参っております。  私どもも、日本人は水と安全はただ、こういう民族だ、こう言われていましたが、それは大方の人がそう思っていたのではないでしょうか。海外旅行に行かれる人が多くなってきて、ああ、こういうふうに治安の悪い国もあるのかな、こういうことを実際見聞すると、治安のいい日本というのは大変すばらしいのだな、こういうふうに、みんなこのことは誇りにしてきたと思うわけでございます。もちろん日本の警察官の努力もあったと思うわけでございますが、それ以外の、国の成り立ちその他が相まって、少なくとも日本の治安がいいというのは事実でございましたし、日本人それぞれそれを誇りとしてきたと思うわけでございます。  それが、この数年、異常あるいは特殊な凶悪犯罪の頻発によりまして、今委員がおっしゃったとおり、日本の治安、本当に日本は大丈夫なのかな、外国のどこかの国みたいになってしまうのではないのかなという不安を持ちつつあるのは事実だと思います。  ただ同時に、一方ではこの治安の良好さというのが壊れていないことは事実でございます。ですから、私は就任以来、この数年が正念場かもしれない、こういうことを繰り返し繰り返し警察官諸君に言ってきたことであります。と同時に、本当に強い警察官というのは、警察官の増員、資機材も考えるけれども、やはり国民に信頼され、国民から貴重な情報を提供される警察官にならなければこれまた本当の意味での強い警察にはなれないので、そこはひとつ十分意を用いてほしい、こういうことを機会あるごとに言ってまいった次第でございます。  さてそこで、お尋ねの地方警察官の増員の問題なのでございますが、昨年は大幅に増員いたしまして、去年の関係でことしはもう少しというようなのが何となく自治省と警察庁の間にはあったようでございますけれども、御案内のとおり、行政改革の真つただ中でございます。地方行革もしなければならないという中で、私は大変このことを悩みました。悩みましたが、今るる申し上げたとおり、今日の治安に対する信頼の揺らぎあるいは陰りというのは国民多くが感じていることだから多分御理解がいただけることだろう、こういうことで決断をいたしまして、自治大臣といたしまして千五百十二名の増員を認めたところであります。  ただ、これは漫然とふやすのではなくて、特殊金融犯罪、それから来日外国人の犯罪防止という限定的な目標で、かつ十年間の特別の措置である、こういう限定をつけてこういうことにいたしたわけでございます。  どうかこの点御理解を賜り、そのかわり警察官諸君には、特にこの二つの分野を強化してまいりたいということで今指導しているところでございますので、またよろしく御支援のほどをお願いしたいと思っております。
  82. 野田健

    ○野田(健)政府委員 御指摘のとおり、近年、警察の各事象は大変いろいろと増加の一途をたどっている、良好な治安が揺らぎ出しているという指摘も聞かされているところでございます。  警察といたしましては、いわゆる組織のフラット化ということをいいまして、徹底した組織の合理化を目指してやっておるところであり、また、街頭配置を強化する必要があるということで、配置であるとかあるいは勤務員の勤務時間を調整するというようなこともやっております。また、警察力の質的な向上を図る、あるいは機動力の向上を図る、そしてまた情報処理やあるいは科学利用の高度化というようなことに努力しているところでございます。  そういう中で、警察の仕事というのは、警察官あるいは警察職員という、やはり人が仕事をしないと成果として成り立ちませんので、どうしてもやむを得ない分についての増員をお願いしているという状況にございます。  御指摘のように、数だけではだめでございますので、質という面におきまして、ニュースになるようではまだまだ足りないとの御指摘でありますが、財務捜査官あるいは国際捜査官というように、警察官になってから鍛えるよりは、社会の中で、既に会計士の資格を持っているとかあるいは外国語にたけて外国で勤務したことがあるというような人に警察官になってもらう、そして警察官として仕事をしてもらうということについても進めているところでございます。  また、警察官の中に、退職はいたしましても、住民の困り事の相談というようなことについては警察力をそのまま使うわけではありませんので、大変上手にやっていただける方もあります。あるいは、少年非行であるとか暴力団被害その他の相談の聴取あるいは指導、それから、免許の更新時における講習であるとか警察官の調書作成についての指導ということにつきまして、長年職務に精励して大変な実力を持っているという退職した警察職員に、再び警察の仕事ということで指導いただくというようなことについても現在努力しているという状況にございます。
  83. 吉田治

    吉田(治)分科員 量の確保と質の確保というのは非常に難しい問題ですので、まず量を確保して、後で質ということになっていくのかと思います。  今、最後に官房長が触れられたように、昔話で申しわけないですけれども、やはり子供時分に見たお巡りさんというのは眉目秀麗というのですか、お若い方が多かったな。小学生からすると、十か二十ぐらい上の方かな。  私もたまに警察署の方へお伺いしたりしていろいろお話を聞かせていただくのですけれども、残念ながら、このごろ参りますとそういうお若い方が余りおられないのかなと。手持ちの資料で見ますと、やはり圧倒的に四十代、三十代という方が多い。聞きましたら、安保騒動のときに大量に採用された、俗に言う団塊の世代という方がたくさんいらっしゃる。現場の警察官の皆さん方のお話を聞くと、自分たちは頑張ってやっていると。しかしながら、十年たつと皆さん定年退職。ここ数年で随分定年退職の年齢を引き上げられて、中には署長さんが、いや、自分も退職するつもりでおったのが、うまいこと定年が延びてもう一つ警察署の署長ができるわという方もそういう意味ではいらっしゃるのですけれども。  やはりあるときに、世代構成でいいますとこの四十代の方々がごそっと抜けてしまうということになってさましたら、これからの社会というのは、御承知のとおり少子化という問題が出てくると思うのです。ただでさえ三Kと言われている職場には行きたくない。やはり警察の持つイメージ、後ほど質問させていただきますが、待遇というものを随分改善されたやにも聞いております。週休二日の問題だとかその辺も随分やられていると聞いておりますけれども、やはりイメージ的に大変厳しい。  今まで割と使命感の多い方がたくさん応募され、採用されている。現在でも倍率は二倍、三倍、非常にいい人たちを採用できるというふうな声も聞いておりますが、この大量の定年退職者が出た後の新規採用というふうなものを、これは世代交代というのですか、どうスムーズに量的にも質的にも行っていくのか。  それから二点目は、今官房長も少し触れられましたけれども、それでは、大量に出られる定年退職者、今言われましたように、再雇用制度であるとか、専門技能にたけた人についてはそのまま、パートタイムという言い方がいいかどうかわかりませんけれども、そういう形で、嘱託みたいな形で残ってもらうんだという話もなさいましたけれども、具体的にどういう制度、施策を考えておられるのか。  この二点について、お聞かせをいただきたいと思います。
  84. 野田健

    ○野田(健)政府委員 昭和三十年代の終わりから昭和四十年代にかけまして、当時の交番勤務員は二交代制勤務をとっておりましたが、それを三交代勤務にするとか、あるいは当時急速にモータリゼーションがふえたということで街頭交通配置の警察官をふやす、あるいは交通事故捜査を行うというようなことで交通警察官の増員、そしてまた安保闘争を初めとする警備所の増大に伴いまして大量増員をしたという経緯がございます。  それからおよそ三十年ほどたちまして現在になってみますと、平均年齢がついに四十歳を超えてしまったという状況にあります。現在は毎年三千五百名から四千名ぐらいの退職者でありますけれども、近い将来、おおむね十年ぐらいたちますと、数年間にわたって毎年一万人前後が退職するというような状況にあります。したがって、委員御指摘のとおり、委員がお若いころには若い警察官が大勢交番にいたと思いますが、現在は平均で四十歳ぐらいの警察官になっておりますので、相当年齢の高い者がいる、こういう状況にございます。  そこで、この大量退職をどのように乗り切って、そして世代交代をするかということでありますが、その一つの方法として、中途採用といったものについてこれを制度化し、そして中途で採用された方が気分よく仕事ができるように職場環境を整備するということが必要であろうと思っております。  また、この十数年ぐらい後になりまして大量退職の時期になりますと、そのころ就職を希望するであろう適齢人口といいますか、そういった方は現在よりも大幅に減少することが考えられます。そこで、そういった状況にかんがみまして、今のうちからいわゆる婦人警察官が職場で気分よく働けるようにということを考えまして、婦人警察官の積極的な採用ということにも今努めているという状況にございます。  御指摘のとおり、三K職場と言われておりますけれども、警察としては、気分よく仕事ができる、効率的な運営が行われる、そして社会に貢献できる、いい意味での三Kということで努力してまいりたいというふうに思っておるところであります。  また、いろいろな意味で、先ほども少し申し上げましたけれども、部外にある専門的知識、こういったものについても警察の中に取り入れる。あるいは退職警察官についても、いわゆる職権行使に至らない、なおかつ、警察部内ではどうしてもしなければならない仕事といった面について、これはどの分野にもかなりありますので、そういった分野にこの退職された方を非常勤の再雇用という形で雇用いたしまして、そして経験を伝承していただくような制度をさらに強化してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  85. 吉田治

    吉田(治)分科員 官房長、ちょっと聞かせていただきたいのですが、その辺は地域によるばらつきというのはやはり出てくるのですか、各都道府県警に任せるということで。それとも、警察庁がやはり中心で、これに対して、今言われたような婦人警官の問題、中途採用の問題、それからこれから先の再雇用の問題というのは、警察庁が基本計画をつくって各都道府県警に示すのか、それとも各都道府県警に主体的に全体的にお任せするのか、その辺はどういうことなんでしょう。
  86. 野田健

    ○野田(健)政府委員 基本的な対処方針につきましては警察庁で示しておりますけれども、勤務制度その他につきましては都道府県単位で組織化されることになっておりますので、具体的な、例えば非常勤の手当の額であるとか、非常勤を何人雇用するかということにつきましては、どうしても都道府県単位でやらざるを得ないという状況にございます。
  87. 吉田治

    吉田(治)分科員 それはそれでよくわかったのですが、ちょっとこのごろ感じるのは、例えば大阪の場合でしたら、警視までがたしか地方公務員になるのですよね。その上になってきますと、国家公務員になると給与で逆転現象が起こるのですよね。そうしますと、ポジションは高くなって責任も大きくなるのだけれども、給与面では国家公務員だから少ないというふうなこともあるやに聞いておりますので、その辺の特段の配慮を、それぞれ地域地域に、国の部分と地方の部分と両方分かれできますけれども、私は配慮をお願いしたいと思います。  ところで、本年度の予算案を見ておりますと、非常に目につくのが金融・不良債権関連事犯対策という形で、平成八年度予算額が二十五億のところが本年度は九十六億と、先ほどの大臣の話の中で、行財政改革だと言われる中でも非常に大きな伸び、それだけにこの問題については並々ならぬ意欲を警察としては持っているというふうなことを非常に感じるのですけれども、やはり一国民として感じるのは、さまざまな金融それから不良債権等の不祥事を見ていると、もっと警察頑張れよと。  昨年の予算案のときには、ちょうど今ごろですかね、住専ピケというふうな形でこの部屋を押さえて頑張ったのは。あのときの問題は、六千八百五十億という国民の血税を、放漫経営をしたとんでもない人たちの経営の後始末のために使うのは許せないという議論で闘ったわけです。しかしながら、それが通ってしまった。私は、その後のフォローというのが、議院自身も余りこれは正直言ってできてないんじゃないかなと。  その中において、やはり問題は、一つは債権回収ということ、これは民事の問題ですね。そして二つ目は刑事の問題で、非常に厳しく取り締まりをしていくということが大事ではないか。特に、よく引き合いに出されますが、アメリカでのこういう不祥事のときに、当時の政権は特別立法までつくって、こういうことを行った。レーガン政権の時代には、こういうことを行った金融業者またそれにかかわる人たちにはびしびし取り締まりをした。日本では今の法体系の中でやるということですけれども。  一点目は、これまでの金融・不良債権関連事犯に対する取り組み状況というのですか、資料では毎年毎年ウナギ登りにこの取り締まりをされているというふうに出ておりますけれども、具体的な取り組み状況というのはいかがなんでしょうか。
  88. 佐藤英彦

    佐藤(英)政府委員 御指摘のように、金融・不良債権関連事犯対策の重要性にかんがみまして、警察といたしましては、まず、昨年初めに警察庁にこの種事犯の対策室を設置いたしました。その上で、都道府県警察に対しまして、この種事犯に対する取り組みの強化を指示したところでございます。  ところで、金融・不良債権関連事犯と申しますと、まず融資過程における背任等がございます。次に債権回収過程における競売入札妨害等の事犯、さらには金融機関の役職員により行われる横領等がございます。  これらのその後の検挙状況について申し上げますと、まず平成五年から七年の三カ年における検挙が百十五件でございました。これが、取り組みを強化いたしました昨年は、一年間で百七件ということでございまして、過去三年分とほぼ同数の検挙を昨年一年間で行っております。  そのうち住専関連の事犯は、三カ年で三件でございましたが、昨年一年間で十五件検挙をいたしております。御承知のように、末野興産、桃源社、ニシキファイナンス、日本ハウジングローンあるいは農協等に係るもの等でございます。そして、ことしに入りまして既に二十五件検挙いたしておりまして、昨年一年間の四分の一弱の検挙になっております。大阪信組あるいは住専の大口融資先の三豊恒産等の事件がございました。  いずれにいたしましても、この種事犯は、金融システムの安定性と国内外からの信頼の確保の問題あるいは預金者保護に係る重要な事項でございますので、警察といたしましても、引き続きこの種事犯に対する取り締まりの強化を行ってまいりたいというぐあいに考えております。
  89. 吉田治

    吉田(治)分科員 その中で、やはり暴力団絡みというのは非常に多いと思うのですね。このごろ暴力団も、暴対法ができて以来、そういう業界の言葉でシノギというのですか、非常に厳しい。そうしますと、フロント企業とよく言われているそういう企業関係での、今局長言われた回収の妨害であるとか融資における圧力であるとか、そういうふうなもので随分経済的な方向に出てきている。日本のやくざの、アメリカで言うマフィア化というのですか、そういうことも言われているのですけれども、その中においての暴力団に対する取り組みというのは、特に何をなされておられるのでしょうか。
  90. 佐藤英彦

    佐藤(英)政府委員 ただいま申し上げました事件のうち暴力団が関連いたしました事件は、昨年一年間、百七件のうち五十五件でございました。また、本年に入りましての二十五件のうち十件が暴力団関連でございますけれども、一般的に申しまして、暴力団に対しましては、刑罰法令の適用という取り締まり、それからいわゆる暴力団対策法の適用、さらには世論とともになりまして暴力団の排除活動という大きな三本柱を立てましてその対策をやっておりますけれども、特にこの金融・不良債権関連事犯には暴力団が介入しているということで、ここに捜査力を集中して取り締まりを実施いたしております。
  91. 吉田治

    吉田(治)分科員 特に債権回収というのは、警察当局のみならず、例えば預金保険機構であるとか住宅金融債権管理機構等々との連携というのが非常に重要になってくる。単に、刑事は刑事事件、民事は民事事件というだけではなくて、それぞれが連携をしていかなければならない事案ではないか。  そうでないと、本年の予算で六千八百五十億も国民の税金を使って住専処理だ、それからまた、これからノンバンクがどうもおかしくなるんだ、ゼネコンがおかしくなってくるんだというふうな中で、やはり国民の国に対する信頼というもの、何か、悪いことをしている人間、しかも小さい悪いことじゃなくて大きな悪いことをしている人間の方が得なんだ、巨悪は眠るんだというふうな感情を抱かせないようにすることが非常に重要だと私は思うのですけれども、この辺の連携というもの、これについて、警察、法務、大蔵、それぞれどういうふうな形で連携をとり合っているのかということをお聞かせいただきたいと思います。
  92. 佐藤英彦

    佐藤(英)政府委員 連携状況でございますけれども、まず、警察、財務局それから預金保険機構、住宅金融債権管理機構等によりまして、不良債権回収対策連絡協議会というものを設置いたしました。そして、東京、大阪で第一回会合を既に実施いたしておりますし、各地域におきます相互の通報ルートというものを確立いたしました。  それから、昨年の十二月でございますけれども、預金保険機構、住管機構、整理回収銀行から警察庁に対しまして、債権回収業務に対する支援要請が行われました。これを受けまして直ちに都道府県警察に対しまして、これらの機関からの相談、告訴、告発が行われました場合には積極的に対応するように指示をいたしました。  本年に入りましてそれが行われたわけでありますけれども、住管機構からの告発が四件、整理回収銀行からの告発が一件、都合五件の告発がございまして、既にいずれもこれを検挙いたしております。  このようなことで連携を強化しつつ、御指摘がございましたように、競売入札あるいは民事執行の妨害行為を排除する等の回収に対する支援を、先般千葉県でも一件実施をいたしましたけれども、これを強化いたしてまいるとともに、住管機構の幹部のお話によりますと、末野興産に係ります警察、検察それから国税当局の活動の過程で、およそ千二百億円余の債権の保全ができるようになったやに伺っておりますけれども、我々の捜査を通じまして隠匿財産を発見するなどによって債権回収に資してまいりたいというぐあいに考えております。
  93. 麻生光洋

    ○麻生説明員 お尋ねの住専関連の事件につきましては、検察当局におきまして、従来から、警察当局や国税当局と緊密な連絡を図りながら、鋭意所要の捜査を遂げまして、適正に事件を処理してきたところでございます。また、現在も、関係者らを逮捕するなどして捜査を継続している事件もある実情にございます。  検察当局におきましては、今後とも引き続き警察当局や国税当局と緊密な連携を維持しながら、鋭意所要の捜査を進めまして、適正に事件を処理するものと考えております。
  94. 古谷一之

    ○古谷説明員 住専処理につきましては、関係省庁で連携をし対応を図ってきているところでございますが、警察、法務・検察の両当局からもさまざまな御協力をいただいているところでございます。  具体的には、先ほど答弁がございましたとおりでございますが、追加をして申し上げますと、住宅金融債権管理機構の発足や預金保険機構の拡充に当たりましては、専門家としての助言や当局との連携を図るべく、警察、法務・検察の関係者ないし出身者の方にも両機構の役職員として参加をいただいているところでございます。  今後とも、大蔵省といたしましても、回収、責任の追及の実績を上げていくように、両当局とよく連携に努めてまいりたいと考えております。
  95. 吉田治

    吉田(治)分科員 昨年は、私、オウムのことに関して広域捜査について質問させていただきましたけれども、これは別の意味での広域捜査ではないか。昨年は警察という中での広域化、今度は省をまたがって、日本で俗に言う縦割り行政というものを取っ払った中での大きな捜査をしていただかなければ、やはり国民は納得しない。  今後とも、住専処理機構であるとか、今申し上げましたさまざまな機構等についての取り組み状況については、この国会の場において積極的に政府の対応またその機構の対応を問いただしていきたい、私はかように思う次第でございます。  時間もございませんので、最後に国家公安委員長に、今後の警察の人的基盤の充実、そしてやはり一般警察官、今官房長等々の説明がございましたように、本当に一番前線で立たれている警察の皆さん、正直言ってだんだんお年を召してきた、交番勤務もつらいなという中で、国民の信頼を得るために、地域の安全と治安のために頑張られている。その待遇、処遇の改善に向けて、御所見を聞きたいなと思います。  また、多分、公安委員長のお年からすると俗に言う全共闘時代というのですか、私は聞いておりませんけれども、ひょっとしたら大学で放水車に水をまかれた人かな、その方が今公安委員長としてまいた方の責任者をやるというのも時代かなという感じがしますので、今度はまかれた方の立場からまく方の立場かもしれませんけれども、その辺を含めて、一線の警察の皆さんの処遇、待遇、そして今るる申し上げてきた人的基盤の充実についての公安委員長としての御所見を最後にお聞きしたいと思います。
  96. 白川勝彦

    白川国務大臣 先ほどから官房長がいろいろお答えをさせていただいておりますが、日本の警察、世界に比べても非常に質の高い警察だと私は思っておりますけれども、しかし、さらに徹底した組織の合理化ということを一生懸命考えていかなきゃならない。それから、警察の質的向上を図っていかなきゃならない。そして、私はいつも申し上げるのでございますが、警察だけで治安が守れるというようにうぬぼれてはならない、やはり国民の理解と協力がなければだめなんだ、こういうことをいつも申し上げておるところでございます。  しかし、さはさりながら、第一線の現場の捜査に携わる人あるいは警備に携わる人あるいは地域警察に携わる警察官の労に報いる賃金体系その他にもまた一方ではしていかなきゃならない、こう思っております。したがいまして、今般も警察庁の定員は伸び率ゼロでございますが、地方警察官に限って千五百十二名、こういう増員を認めたわけでございます。  そういう警察庁あるいは全体としての大変意欲を感じ取っていただいたのか、ここのところ、来日外国人の密航をことしだけでも去年分を挙げたということで、それは密航者がふえているんでしょうが、一方では、国が本気で密航を取り締まるんだなという意欲が現場警察官に伝わったことだと思います。  しかも、これは警察だけでできる話じゃないので、海上保安庁、そしてやはりちょっと不審なものがあれば一番わかるのは水産庁、漁師の方でございますので、水産庁等ともいろいろ連携をとりながら、やはり警察は一つ一つ重要な事犯を検挙していくことが何よりも治安への信頼に貢献することだということを肝に銘じて、現場の警察官が本当に毎日元気で頑張っておるということに国家公安委員長として喜んでいるところでございますが、さらに引き締めてまいりたいと思っております。  どうもいろいろ貴重な御指摘ありがとうございました。
  97. 吉田治

    吉田(治)分科員 もう時間ですので、最後に一言申し上げたいのは、ある本を読んでおりましたら、日本の警察力というのは、例えばアメリカの警察に対して、FBIとかそういうのに対して劣る。それは密告、密告という言い方がいいかどうかわかりませんが、市民の情報に非常に頼っている部分が多いのじゃないか。  本年度予算の中でも確かに情報だとかそういう機器に対してのお金も随分出されておりますけれども、私は、その議論のよしあしは別にして、日本の警察のよって立つところはやはり市民の協力がある、市民とともに歩んでいる警察だということで日本の刑事捜査体制はできているんじゃないかなというふうな感じを受けておりますので、今公安委員長が言われたことをできるだけ、いやそっくりそのまま実現できるように協力して頑張っていただきたいと思います。  以上で質問を終わらせていただきます。
  98. 臼井日出男

    臼井主査 これにて吉田治君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして警察庁についての質疑は終了いたしました。  午後一時に本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二分休憩      ――――◇―――――     午後一時開議
  99. 臼井日出男

    臼井主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  北海道開発庁について質疑申し出がありますので、これを許します。鉢呂吉雄君。
  100. 鉢呂吉雄

    鉢呂分科員 民主党の鉢呂吉雄でございます。  稲垣北海道開発庁長官に、三十分でありますので端的に簡明に質問いたしますので、御答弁をよろしくお願いいたします。  まず最初に、橋本総理も省庁半減論、あるいは武藤総務庁長官北海道開発庁の廃止論に言及しておるわけでありますけれども、稲垣北海道開発庁長官として、これらの廃止論についてどのような見解を持ち、どのように臨むか、この点についてまずお聞きいたしたいと思います。
  101. 稲垣実男

    ○稲垣国務大臣 鉢呂議員にお答えをいたします。  この北海道開発庁の廃止論につきましては、いろいろな形で既に議員からも質問等はございますが、押しなべてこの件につきましては、中央省庁の再編成ということでございまして、行政改革会議を中心にただいま具体的な検討が進められておるものと考えております。行政改革の中でも極めて重要な課題の一つであると認識をしております。北海道開発庁のあり方については、個々の組織の問題というだけではなくして、そのような中央省庁全体の見直しの中で検討されるべきものであると考えておるわけであります。  また、その検討に当たりましては、現行の体制というものが北海道開発を推進する上で今日まで相当な成果を上げてきたことを踏まえまして、今後とも北海道開発が着実に推進される体制が確保されることが大切だと思うわけでありますし、また縦割りの弊害を排しまして、地域の実情を踏まえた総合的な行政を推進するシステムといいますか体制というものが確保されることが極めて大切であると考えております。
  102. 鉢呂吉雄

    鉢呂分科員 今、行政全体の再編成をどうするかという大きな問題でもあるというふうに言いました。私もそう思います。しかし、数合わせであってはならないというふうに思いますから、北海道開発庁のこれまでの成果、あるいはこれからどういう存在意義があるのか、ここをやはり北海道開発庁としてはきちんと整理をして、国民に示していく必要がある、こういうふうに思います。  今、縦割りの弊害を排して大変な成果もあったというふうにおっしゃいました。また、今後とも北海道開発にとっては総合的な行政として必要だというような認識を示されたわけであります。私も、単にこの廃止論というものも問題があろうと思っておりますし、また、今後どうあるべきかということも、私ども議員としても大変重大な関心事であるというふうに考えております。  我々北海道から選出されている議員として、北海道開発庁は、縦割りでないんだ、農水、運輸あるいは建設のそれぞれの省庁の意味合いを総合的なものとして、いわゆる北海道という地域に即してやっておるんだというふうに言っておるわけであります。むしろ、この省庁の縦割りを先進的に行政改革という形でやっておるんだというふうにも強調しております。  しかし、実際中身を見てみますと、私も少し調べてみたんですけれども、事実上は、農水、運輸、建設の各省庁の北海道部分を単に一元的に扱っているにすぎない面があるのではないか。むしろ、各省庁の地方局の役割が、ただ単に同じ建物の中にいるだけである。もちろん、それはそれとしての意味はあったと思いますけれども、むしろ今日、これらの三つの省庁を本当に総合的に北海道の実情に合わせて意味があるという形にするのであれば、本当に独自性を持って行う必要があるというふうに私は思います。  端的に言いますと、北海道開発事業費の一般公共事業費に占める割合は、ここ十年ずっと一〇・二%から一〇・八%です。平成九年も一〇・二%。まさに固定的、本当に固定化されておるわけであります。また、事業別のシェアを見ましても、河川、道路、港湾、農業といったシェアを見ても、例えば河川が一五%台、道路が昭和五十一年三六%、この平成八年、九年も三五%というふうに、驚くべき固定化を示しておるわけでありまして、そこら辺も単なる省庁の寄せ集めにすぎないというふうに言わざるを得ません。  私も七年議員をやっておりますから、しかも開発庁の仕事を内容的に見ましても、もっと各省庁と切り離して、北海道開発庁としての独自性を、特色を示すべきであるというふうなことが大変多いのでありますけれども、そういう点で長官として、まさにもう省庁半減論も出ておる大変にせっぱ詰まった今の段階で、北海道開発庁にどういう存在意義を持たせていくのかというのは、大臣、長官として大変重い責任があるというふうに思いますけれども、その辺でどういうふうに、今の固定的なシェアというものの関連も持って御答弁願いたいというふうに思います。
  103. 稲垣実男

    ○稲垣国務大臣 今、鉢呂議員から御指摘のあった観点から申し上げますと、確かにそういう一面が見えておるかもしれませんが、実は私はかつて決算委員長をさせていただいたことがございまして、北海道の開発行政のあり方ということを、監察といいますか視察に行ったときがあります。開発庁のあり方というのが、縦割り的ないろいろな予算の配分の中で、総合的でまた効率よく、経済的によく調和のとれた、また調整をよくやっているなとその当時私は感じたわけであります。  というのは、体制をどうするかということでありますけれども、やはり、ある事業が突出的に進行している、ある事業は非常におくれているということになりますと、事業の効果、税の使われ方という視点に立ってみると、それは一面、ある面にはむだが多く出る、ある面には足らないじゃないかということになるので、これはやはり調和的なものをうまくシステムとしてとっていかなきゃならぬ。  そういうことからいきますと、議員から指摘のあったように、一つの固定的な比率になるんじゃないか、こういうことをおっしゃるわけでありますけれども、北海道開発庁は、開発予算の一括計上ということで総合開発計画を推進してきておりますので、各年の開発予算の編成に当たりましても、北海道開発の現状と課題及び各地域のニーズ等を勘案して行っているのであります。  ちなみに、ただいま審議していただいております九年度予算について見ますと、厳しい財政状況のもとで、経済社会構造の変化に対応したいわゆる交通ネットワーク等の整備や、あるいは食糧供給基地としての機能強化に向けた農業生産基盤等の整備、それからまた大規模地震や事故等を踏まえた防災対策の充実等を重点事項として、予算編成を行っているところであります。  北海道の抱えている課題というのは、議員御承知のとおり、非常に広大な面積を持っている、内地に比べまして、二二%もの広さを持つという特殊性というか独自性があるわけでありまして、また積雪寒冷地帯でもありますし、過日も、積雪問題がどうなっているかということで私も視察に行ってまいりまして、なるほど本土の都府県等に比べますと、実は私は愛知の出身でありますので、あんなに雪がふぶいたというのは最近ないわけでありまして、それに対する融雪、こういうふうにやっておる作業等も見てまいりまして、これは大変だな、そういった面。あるいはまた将来の食糧というものを考えたときに、やはり農業の問題をどうしていくか。あるいは漁港等々非常に抱えておりますので、これらの港湾の進捗状況。あるいは道路整備等々、そういった北海道の抱えておる課題を踏まえて、それに対応する予算になっていると考えておる次第であります。
  104. 鉢呂吉雄

    鉢呂分科員 そういうおくれているものが平準化して、いわゆる調整機能を発揮しているというような形では、北海道開発庁が今後生き残るという形にはなかなかならない、非常に大きな懸念を持っております。もっとめり張りをつけるということであれば、北海道開発庁単独で予算の再配分を行うというぐらいの強い姿勢がなければ、北海道開発庁の存在意義というのは出てこないというふうに私は思います。このように、省庁ごとの固定化したシェアというのは驚くべきものがありまして、これは、おくれた地域あるいはおくれた事業を調和するのによかったということだけでは決して済まない大きな問題が隠されておるのではないかというふうに私は思います。  時間がありませんから、ぜひ長官、この点について、私は北海道開発庁廃止論に単純にくみするものでもありません。しかし、現状ではその存在意義は決してあるとは言えないし、また、今後本当に北海道開発庁そのものが変わっていくにしても、その中身については、やはり北海道開発庁独自のというものが必要になってくるだろうというふうに私は思います。最大の検討をして、北海道民あるいは全国の皆さんに北海道開発庁の意義というものを示す責任があると私は思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。  次に、北東公庫の統合問題でございます。  自民党の行革本部や、さきにも伊藤国土庁長官が、開銀等との北海道開発公庫の統合論に言及をされております。この点についても、稲垣長官としてどのように考えるのか、お聞かせを願いたいと思います。
  105. 稲垣実男

    ○稲垣国務大臣 北東公庫の統廃合問題でございますが、現在、北海道開発庁は、平成十年度を初年度とする新しい北海道総合開発計画の策定作業を行っているところであります。これからの北海道開発の方向としては、議員もよく言われますとおり、自立する北海道の実現を目指して、道路、港湾、空港等の基盤整備はもとよりでございますが、民間部門における新しい産業の育成や、地場産業等の高度化を初めとした産業の振興開発を積極的に推進していく必要があると考えておるのであります。  北東公庫は、北海道・東北地域におきまして、地場産業や地域の開発を誘導するための出融資を行っている政策金融機関であるのは御承知のとおりでございますが、これからの北海道開発、中でも、民間金融が相対的に弱体な北海道におきましては、地場産業など産業の振興開発を進めるためには、こうした地域開発金融の役割がますます重要と考えております。
  106. 鉢呂吉雄

    鉢呂分科員 地元の課題を二、三御質問いたします。  一つは、函館新外環状道路の整備についてでございます。時間がございませんから、三つほど連続して質問いたします。  まず第一に、函館新外環状線の緊急性、重要性等についてどのように見ておられるのか。それから、この実情を踏まえて、地域高規格道路の候補路線から計画路線への昇格あるいは整備区間への採択について、開発庁としてどのように考えておるのか、またいつ昇格を行う考えがあるのか。また同時に、この環状線道路については、事業主体をどこにするのかまだ決まっておらないというふうに聞いております。事業主体は国が行うべきと思いますけれども、これをどのように考えるのか。あと三つほど質問がございますので、一括まとめて端的に答えていただきたいと思います。
  107. 松川隆志

    松川政府委員 お答えいたします。  この函館新外環状道路でございますが、昭和六十三年に函館開発建設部が実施いたしました函館圏パーソントリップ調査におきまして、都市内交通と広域交通の適切な分散を図ることによって、既にございます産業道路等の都市内における渋滞を緩和し、函館テクノパーク等の地域開発を促進する、さらには函館空港等の広域交通拠点との連結性を高めるなど、いわゆる函館都市圏における 重要な機能を有する路線に位置づけられておりまして、我々といたしましては、地域高規格道路としての緊急性、重要性、必要性は高いというふうに考えております。  それで、これについて今後どういうふうに考えるかということでございますが、我々といたしましては、本路線の重要性、必要性にかんがみまして、計画路線への指定に向けて調査を促進しているところでございます。地域高規格道路の新たな路線の指定の時期でございますが、この点につきましては、やはり全国の整備計画との関連もございますので、現在建設省において検討中であるというふうに聞いております。  それから、事業主体の問題でございますが、今後、いわゆる函館都市圏及び道南圏における土地利用計画や交通体系等の将来像と、その中におきますこの路線の果たす役割、整備効果、さらには基本的道路構造等につきまして調査を促進いたしまして、道庁、地元自治体等とともに、国がやるのかあるいは道がやるのか、早期に事業主体を決定すべく検討を進めてまいりたいと考えております。
  108. 鉢呂吉雄

    鉢呂分科員 続きまして、国道二百七十七号線の早期整備についてお聞かせを願います。  国道二百七十七号線は、渡島半島中央部を日本海側と太平洋側を最短距離で横断する重要幹線ルートであります。いまだ国道として一次改良が実施されておらないところでありまして、しばしば夏においては落石、地すべり、また冬については積雪による雪崩等により通行どめが頻繁に生じております。本線の整備は長年の懸案でありまして、稲垣長官にかわりましたけれども、前長官時代も、北海道の道路の重要な懸案事項ということで、知事からも要請がありましたし、そういうことで北海道開発庁自体としても重要な課題だというふうに思っております。  特に峠部といいますか、頂上部の雲石橋からおぼこ荘間のルートについてはいまだ確定をしておらないということで、この調査についていつまでに結論を出すのか、またそれに基づく事業の着手について、具体的に答弁を願いたいと思います。
  109. 松川隆志

    松川政府委員 お答えいたします。  国道二百七十七号線は、檜山支庁所在地の江差町から八雲町に至る幹線道路でございまして、かなり交通も、地域の人たちに利用されているというふうに聞いております。ただ、先生御指摘のとおり、峠の部分におきまして、落石、地すべり、雪崩などによる特殊通行規制区間ということでございますので、走行の安全性を確保するための事業を推進するということにしております。現在起点側の熊石町において雲石道路三・一キロの整備を促進しているところでございます。  峠の部分でございますが、非常に急峻な地形であるということ、あるいは檜山道立自然公園あるいは地質的に地すべり区域を通過するということで、大変難しい工事になることが予想されるということもございまして、ルート確定に向けて現在調査を実施しているところでございますが、まだ調査を完了するという段階には至っておりません。それから、この区間につきましては、これらの調査結果、さらには現在雲石道路の整備を進めているところでございますが、この整備状況を見つつ、できるだけ早期に事業着手を図っていきたいというふうに考えております。
  110. 鉢呂吉雄

    鉢呂分科員 次に、国道二百七十八号線鹿部バイパスの整備についてであります。  鹿部町内を縦走する国道二百七十八号線は延長十三・三キロありますけれども、そのうち七・三キロは未改良区間ということで、道幅が狭くて、市街地は歩道もないという大変危険な状態でございます。加えて、昨年、八年三月五日に周辺の駒ケ岳が五十六年ぶりに噴火を起こしまして、住民の避難道路の複数確保という点でも緊急不可欠のものになっております。  鹿部町では、将来を考慮して、町民、議会等が既に八年ほど前に、総意でもってこのバイパスの整備をするという結論を得ておりまして、しかし、その間ずっと開発庁ではこのバイパスの工事にまだ踏み切っておらないところでありまして、先ほどの駒ケ岳災害も含めて、早急にこのバイパス整備について開発庁は調査を終えまして、事業に着手すべきだということで強く御要請申し上げます。御答弁願います。
  111. 松川隆志

    松川政府委員 お答えいたします。  国道二百七十八号線は、函館市を起点といたしまして森町に至ります、いわゆる駒ケ岳の山ろくをめぐる海岸線の幹線道路でございまして、この道路の拡幅問題が議論されたわけでございますが、現道を拡幅するのは非常に困難であるということで、山側にバイパスをつくろうということで、この鹿部バイパスというものができたわけでございます。  他方、地域の活性化等も、道路交通安全対策とともに計画されているわけでございます。すなわち、地域としては、このバイパスの沿道に各種の施設を展開することによって地域開発にも資そうということで、現在沿道の開発計画をいろいろ策定中でございまして、それとルートをミートすることによりまして、バイパスの整備と地域開発、両方進めるということをねらっております。  こういう観点から、現在事業化に向けて、沿道の開発計画等との整合性を図って、ルート及び道路構造を決定するなど、今後調査推進してまいりたいというふうに考えております。
  112. 鉢呂吉雄

    鉢呂分科員 長官、今道路の三つの問題について松川監理官から聞かせていただきました。いずれも長期にわたる課題なんですけれども、検討をする、調査をしておる、このことでずっと今日まで事業着手もされないで来たわけでありまして、こういうことが縦割りの弊害にもなっておる。  長官、御承知のとおり、私の地元は函館開発建設部というところが所管しております。この函館開発建設部の予算も、全体開発の予算の九・七%前後にほぼ固定化されて今日まで来ています。まだ平成九年度の個別箇所づけはされておりませんから長官に期待するわけでありますけれども、この開建、建設部が北海道に何ぼありますかね、五、六カ所だと思いますけれども。このシェアも、驚くなかれ、平成五年からずっと見ましても、九・八、九・九、九・六、九・八と全く固定されておるんですね。  例えば、道路の予算は三百二十億ぐらいです。少しずつ伸びておるんだという言い方もされておりますけれども、例えば豊浜トンネルの崩落事故がありまして、あれに急激にお金をかけております。それはそのとおり、大変大事なことであります。しかし、そのことによってほかの開発建設部の道路予算がとられていくというのは、戦々恐々に地元の皆さんは陥っておるわけであります。  むしろ、本当に北海道のあの豊浜トンネルが全国共通の課題であるならば、全国の建設道路予算を充てるというような特殊な方法をとるとか、あるいは本当に北海道南部が、南西沖地震でも被害を受けて、あるいは地理的、土地条件的にも道路というものがまだまだ非常におくれておる。北海道のこの大平原のところばかりが北海道ではないわけでありまして、そういうところにくみした予算上の配慮をするのが、これが稲垣長官のその指導性にあるのではないですか。  それでなかったら、大臣も何も要らないということになるわけでありまして、この点、これから箇所づけ、もう箇所づけされて内々決まっておるというような情報も週刊誌等では出ていますけれども、そんなことはないわけでありまして、予算が決まるまでまだ時間がありますから、稲垣長官としてこれらの問題について重点的に配分をする、今聞いたとおり、七年、八年同じことを繰り返されておりますから、この点について長官の意気込みといいますか、お考えを明確に答えていただきたいものだと強く思います。
  113. 稲垣実男

    ○稲垣国務大臣 今鉢呂議員から、北海道に抱える問題、また道南地域といいますか、本土と結びつけるのにどうしていくか、それからまた、地域を見てまいりますと、なかなか北海道は、非常に広大な面積といえども、確かに道南の地域を見てみますと大変起伏の激しいところである、山にはそれぞれの、雪崩とかその他特殊的な問題を抱えておるということもよく理解をしております。いろいろな事情があろうと思いますけれども、重点的に何を先にするか、どうするかということにつきましては、十分開発庁内で討議を重ねまして、適切な対応をしていきたいと思う次第でございます。
  114. 鉢呂吉雄

    鉢呂分科員 時間が三十分ですけれども、長官、十分協議をして、適切に対応していきたいということでありますけれども、先ほど数字を挙げましたように、例えば函館開発建設部のは九・八で固定化されておるわけですね。九・七ですね、平成八年は。これを本当に重点化するということは、突破をして、私は、何も函館建設開発部だけを言っておりません。  例えば、開発建設部が道南が道路が大変大事だということであれば、道路だけとってみても、稲垣長官の時代に、本当に特色ある、あるいは数字的にも重点化されたものとして示したんだということを、今度の予算が通った後の箇所づけに、明確に長官の指導性でやったという姿が見えるような結果を生じさせていただきたい。再度、この点について長官の御答弁、前向きの御答弁をお願いいたしたいものだというふうに思います。
  115. 稲垣実男

    ○稲垣国務大臣 先ほど答弁してまいりましたが、やはりめり張りのきいたといいますか、北海道の今日抱えておる問題を十分考慮に入れながらさらに検討を進めてまいりますので、よろしくお願いいたします。
  116. 鉢呂吉雄

    鉢呂分科員 めり張りをつけるということでありますから、それに期待をかけたいと思います。  あと二分程度時間がありますので、ありますか  一分。最後の質問でございます。  函館港の大型公共埠頭の整備についてでございます。  このことについては、第一次ということで、直轄事業十四メーター岸壁工事が既に行われております。これに続く十二メーター岸壁工事を行うべく、開発庁は既にもう二年越しで概算要求にはこの二期の新規ということで要求をしておるところでありますけれども、いまだこれについては採択をされておりません。ぜひ平成十年に向けても、このことが第二期工事として新規着工できるように、開発庁の特段の御努力を願いたい。御答弁を願いたいと思います。
  117. 松川隆志

    松川政府委員 函館港の整備でございますが、これは、道南における国際貿易の拠点として、非常に重要かつ緊急の課題であるというふうに考えております。現在、港町地区において初めての水深十四メートル岸壁を有する多目的国際ターミナルを整備中でございます。  それで、平成九年度につきましては、まずその水深十四メートル岸壁の整備を重点にするということで、これに接続いたします十二メートル岸壁の整備につきましては、御指摘のとおり、採択されなかったわけでございますが、これについても、やはり物流コスト削減の観点から重要な課題というふうに認識しておりまして、水深十四メートル岸壁の整備との関連を踏まえて、この実現に向けて、関係省庁と調整してまいりたいというふうに考えております。
  118. 鉢呂吉雄

    鉢呂分科員 終わります。ありがとうございました。
  119. 臼井日出男

    臼井主査 これにて鉢呂吉雄君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして北海道開発庁についての質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  120. 臼井日出男

    臼井主査 次に、総務庁について質疑申し出がありますので、順次これを許します。尾身幸次君。
  121. 尾身幸次

    尾身分科員 武藤大臣、連日御苦労さまでございます。  きょうは分科会の時間をいただきまして、科学技術に関する規制緩和、総務庁に大変関係のある問題が生じておりまして、この点につきまして大臣に質問をするという形でぜひ御理解をいただき、大臣のリーダーシップを発揮して解決をしていただきたい、こういうことで質問をさせていただくわけでございます。  一昨年の十一月に科学技術基本法ができまして、我が国が科学技術創造立国に向けて大きく方向を決めたということがございました。そして、昨年の七月に科学技術基本計画をつくりまして、それに基づきまして、予算面においてもかなり充実したものになりました。  平成七年度までの五年間で十一兆円でありました科学技術のパブリックセクターの投資額を、それから後の五年間、平成八年度からの五年間で十七兆円にする、ほぼ倍増をねらって増額をするということになっておりまして、平成九年度予算におきましても、一般歳出の伸びが平均で一・五%でございましたが、科学技術関係だけはトータルで六・八という断然突出した伸びになっておりまして、いわば科学技術創造立国に向けて予算面では第一歩を踏み出したということになっているわけでございます。  ところが、この科学技術研究開発を促進するためには、そのパブリックセクターのお金をふやすだけではありませんで、研究開発体制の活性化を図る必要があるということで、この基本計画にも盛られております幾つかのことをやっております。  一つは、国立試験研究機関や大学の先生の民間との兼業の問題でありまして、今までは兼業はできないという、原則不許可ということだったのでありますが、五時以降、つまりアフターファイブ、勤務時間外であれば給料、報酬をもらって技術を教えたり共同研究を民間の人とやってもいいというふうに、原則許可というふうに直りました。これは文部省関係の国立大学の先生もそうですし、国立試験研究機関の研究者もそういうことになりました。  それから、特許の問題につきましても、今までは、国立試験研究機関の研究者がとった特許は全部国が召し上げて、研究者には報奨金という形で最高額六百万円まで出すという制度だったのでありますが、それを直して、国と研究者の共有にするというような体制整備をしたわけでございます。  それから、もう一つは、研究支援者につきまして、日本は、今までは大学の場合に、大学の研究者八人に対して一人しか研究の支援者がいない、国立試験研究機関は四人に対して一人しかいないという実情でございます。ところが、外国は、研究者一人に対して大体一人ずつ、一対一ぐらいの研究支援者がいるということで、これを是正しなければならないということになりまして、このためには、定員がありますから、定員を増加させるわけにいかないということで、人材派遣業の活用によりまして、これは労働省の規則を直してもらいまして、人材派遣の対象に研究支援者も入れる、こういうことに直したわけであります。そういう幾つかの制度改正をやりまして、特に兼業の問題については総務庁所管でもございましたから、大臣にもお願いをしてルールを直していただいたところであります。  それから、提案公募型の研究推進制度というのをつくりまして、各大学とか国立試験研究機関とか民間から研究テーマの提案をしてもらって、それで審査をしてやらせようと。例えば、単価が一億円とか、少ないところで一千万円とか二千万円なのですが、テーマを公募してやらせるというのを、実は政府関係の研究機関に対する投資資金を使ってやる、この制度もできたわけでございます。  そういう科学技術基本計画で提案をしましたいろいろな制度がほとんど整いまして、実はあと一つ残っているのが、きょうのテーマの任期つき任用という問題でございます。  これについては、科学技術基本計画で、任期つき任用についてこれを促進していくと。国立試験研究機関にいます研究者というのは、一たん入りますと終身雇用制でありまして、若いときはいろいろ研究しますけれども、だんだん年をとってきても定年までいるということになって、なかなか新しい血が入らない。そこで、二年とか三年とか任期つきの研究者を入れて、三年たったらまたかわる、そういうシステムを入れようということになりまして、今人事院で研究をしていただいている。そして、もうあらかた去年の暮れごろに結論が出まして、これを総務庁に申し入れて、そして、むしろ提案は総務庁で、法律改正になりますので、これを出していただかなければいけません。そういうことでございますので、今進めている、こういうことでございます。  そこで、最初に人事院総裁にお伺いをいたしますが、今、任期つき任用制度につきまして、どういうことをお考えになっているか、簡単に概略を御質問をさせていただきます。
  122. 弥富啓之助

    ○弥富政府委員 お答えを申し上げます。  ただいま委員から御発言がありましたとおり、昨年の七月の閣議決定、科学技術基本計画、それに基づきまして、あそこで言われております科学技術創造立国を目指しまして、柔軟で競争的な研究開発環境の実現を図るために、人事院といたしましては、国の試験研究機関において実効的に機能し得る任期制を導入する必要があると考えておりまして、この任期制には二つのタイプを考えております。  一つは、招聘型といいますか、当該研究分野で特にすぐれた研究者を招聘し結集をするというような型。もう一つは若生育成型、これはもう文字どおりでございまして、優秀な若手を将来有為な研究者とするために、いわばその登竜門という形で能力を育成していく型。この二つのそれぞれの型を想定いたしまして、それぞれのタイプに、その任期制にふさわしい給与とか勤務形態を含む新たな雇用の仕組みとしての任期制の導入を、ただいま鋭意考えているところでございます。
  123. 尾身幸次

    尾身分科員 そこで、総務庁にお伺いをしたいわけでございますが、今のような考え方で、実際上、人事院、総務庁、いろいろ折衝をし相談をされていると思うのでありますが、これについてのお考えをお伺いさせていただきたいと思います。
  124. 菊池光興

    ○菊池政府委員 お答えさせていただきます。  ただいま人事院総裁からも御答弁ございましたように、研究公務員の任期制、昨年七月に閣議決定されました科学技術基本計画、あるいは十二月に閣議決定いたしました経済構造の変革と創造のためのプログラム、この中でも、「国立試験研究機関における任期付任用制度の導入を図る」ということをはっきり言っておるわけでございますが、柔軟で競争的な研究開発環境の実現に不可欠な研究者の流動性を確保、促進するということで、その導入を図ることとされたところでございます。  今後、我が国の発展を考える場合、科学技術立国と創造的な科学技術の振興というのは極めて重要不可欠である、こう考えておりまして、研究公務員の任期制の導入というものがこれに資するものであると考えておりまして、人事院から意見の申し出がございましたら、総務庁としてもこれに対して適切に対応して、できるだけ早期の導入に努めてまいりたい、こういうふうに思っております。
  125. 尾身幸次

    尾身分科員 基本的なお考えはよくわかりましたし、これも前向きに取り組んでいるというのでありますが、任期つき任用制の問題は二つありまして、一つは若手の研究者を入れる、もう一つは、本当の世界のトップレベルの、いわばノーベル賞クラスの人を連れてきて研究リーダーとしてやっていただく、この二種類であります。後の方のトップクラスの人材を入れる場合には、これは国内から、民間とかそういうところから持ってくる場合もありますけれども、むしろ外国のトップクラスの人を入れて研究を活性化するということがあるわけでございます。  そのときに実は二つの問題がありまして、一つは給料の問題。これは、例えば年齢とか、今までの日本の公務員制度でありますと、三十五歳でしたら大学卒業してから十年だからどのぐらいとか、そういう基準みたいなものがあると思うのでありますが、これが仮に外国でトップクラスだとすると、日本のお金にして二千万円から三千万円ぐらいの高い給料を研究所で取っている。その人たちを呼んできて働いてもらうときに、やはり実力に応じて弾力的に給料を決めて処遇をしていかなければいけない、そういう問題が一つございます。  もう一つは、外国におけるそういう方々の研究体制というか勤務体制は、九時に出ていって五時に帰るというのではなしに、全く弾力的に、研究するときは夜中までやる、しかし、うちで本を読むときには本を読むというような、フレキシブルタイムの極致みたいな形での勤務体制になっておりまして、これを実現しないと本当のトップクラスの人を連れてこられない、そういう形ができないということになっております。  そこで、人事院の方、この点についてかなり前向きに対応をしたいという意向を持っていると思うのでありますが、この点についてのお考えをまずお伺いをさせていただきたいと思います。大臣にもこれを聞いておいていただきたいと思います。
  126. 弥富啓之助

    ○弥富政府委員 ただいまお尋ねの二つの点でございます。  まず、勤務形態と申しますか、御承知のとおり、労基法の改正によりまして、民間におきましては昭和六十二年に裁量労働制というのがとられておるわけでございます。  さて、科学技術基本計画の中で、ただいま言われましたように、人事院にその任期つき研究公務員の導入についての検討が要請されたわけでございまして、人事院といたしましては、その基本計画に基づいて、指摘されておりますように、例えば研究者がその能力を涵養して創造性を発揮できるような環境を整備していくためにはどうしたらいいかということで、任期つき研究公務員について、研究方法あるいは時間配分の自由度を高めることが重要ではないかというふうに考え、先ほど申し上げました招聘型の期限つき職員につきまして、これは、自己の責任に基づいて研究を管理できるということを考えまして、裁量労働制を適用したらどうかということをただいま研究をいたしております。  これによりまして、業務遂行に対する研究者の自己責任やあるいは目的意識を明確化させまして、より高い研究成果の達成を期待することができるのではないかというふうに考えております。  それからもう一点でございますが、給与の問題でございます。  確かに任期制研究員は、特定の研究業務にあらかじめ一定の業績を上げることを期待して任期を限って任用されるものでございまして、ただいまの公務員のように長期継続雇用型を前提とした現行の枠では、これはとても中に入らない場合があるわけでございまして、その職責に見合いました給与を確保する必要がございます。  また、人材確保の面におきましても、招聘型研究員については、各国研の特定のニーズがございまして、それぞれの研究分野において顕著な業績等のある優秀な研究者を確保する必要がございます。もう一つの育成型についても、登竜門として、将来の優秀な研究員を確保する必要があるわけでございますから、これらの諸事情を考慮いたしまして、招聘型及び若生育成型、それぞれに適切な水準が確保できるような給与体系の検討を行っているところでございます。
  127. 尾身幸次

    尾身分科員 今、人事院総裁から大変前向きのお話がありましたが、ほかの国立試験研究機関を抱えている役所の方ではこれついて一体どういう準備をしているかということで、科学技術庁と通産省、来ていただいておりますので、科学技術庁の方、通産省の方、それぞれ簡単に、どういう体制で今準備をしているか聞かせていただきたいと思います。
  128. 青江茂

    ○青江政府委員 お答え申し上げます。  私ども科学技術推進の任にあるものとしましては、この制度に大変期待しておるということでございます。一方、研究現場の状況でございますが、人の採用というのは、御案内のとおり、右から左にいくものではございませんので、もう今から具体的な準備を進めてございまして、この制度が開かれますれば即座に動き得るようにということで、私どもの傘下の研究機関、それからほかの省の研究機関も同様だと聞いてございますけれども、具体的に進めておるというふうに伺ってございます。
  129. 佐藤壮郎

    佐藤(壮)政府委員 私どもといたしましても、任期つき任用制度は、研究者の流動性を高めること、それから外部の優秀な研究者を登用していくために不可欠な制度と考えております。今般、工業技術院の研究で実施しております一連の制度改革の中でも、最も重要なものの一つであると認識しております。この制度が実施された場合には、施行され次第、直ちにこの制度を導入したいと思っております。具体的には、五月にも募集を開始したいと思っております。
  130. 尾身幸次

    尾身分科員 総務庁事務当局の方にお伺いをいたしますが、これはできるだけ早期に実現をしなければいかぬわけでありますけれども、今のような各現場の国立試験研究機関、それから人事院の方でもそういう態勢であるという実情を踏まえて、今どういうふうにお考えになっているかお聞かせいただきたいと思います。
  131. 菊池光興

    ○菊池政府委員 お答えさせていただきます。  極めてすぐれた研究者を任期つきで採用する、その重要性というのは先ほども申し上げたところでございますけれども、御指摘のとおり、その研究者にふさわしい処遇、また、その研究者の研究能力というものが十分に発揮していただけるような環境というものをつくることが必要であると思います。これは当然だと思います。  そこで、任期を付して特に招聘した優秀な研究者につきまして、しかも、その中で自己管理能力にすぐれた人、こういうような人に勤務時間の割り振りを行わない裁量労働制を導入したらどうかということでございます。これも、その必要な研究環境条件を整備するという面で大変意義があるものであろう、こういうふうに考えております。  ただ、そこで考えなければならないのは、法律的に見ますと、この人たちもいわゆる一般職の国家公務員であります。そうすると、一般職の国家公務員で勤務時間の割り振りがない裁量労働制というものをとっている例が今までございません。  それで、そういうような人たちに勤務時間を割り振らないということになりますと、職務専念義務ということにつきましては勤務時間というものを一つの媒介としてやっておりますから、こういう人たちが本当に職務に専念していただいているかどうか、勤務時間で割り振る必要はございませんけれども、そこのところの実証を、きちっと研究活動の実績を評価するシステムというのを片一方で確立しておかなければ、本当に招聘した人が期待どおりに研究活動をしていただいているのかどうか、国立研究機関の活性化に役立っているのかどうかというところの評価ができませんので、そういうような面での勤務時間にかわる何らかの形の評価制度というものが必要ではなかろうか、こういうようなことを裁量労働制については考えております。  また、給与につきましては、極めてすぐれた研究者を招聘し、あるいは登竜門として若生育成という目的で採用するわけでございますので、それにつきましてもふさわしい給与の仕組みというものを考えていかなければならないと思います。  今、工業技術院あるいは科学技術庁からもお話がございましたように、各研究所で具体的にいろいろな想定をしておられるようでございますから、そういうような研究者をどういうような形でどういうようなところから招聘しようとしておられるのか、採用しようとしておられるのかというところを十分伺った上で、既存の研究公務員の給与の体系との整合性、あるいは国家公務員全体としての給与の体系との整合性、あるいは民間の研究者の給与、あるいは外国から招聘する場合には諸外国の研究機関の給与というようなものの水準も十分考慮しつつ、柔軟な対応ができるような形で考えてまいりたいと思っておりまして、具体的なことについては、今後意見を伺いながら鋭意検討を進めてまいりたい、こう考えております。
  132. 尾身幸次

    尾身分科員 そこで、大臣にお伺いをしたいのでありますけれども、むしろお願いをしたいのでありますが、こういう状況で、この問題はこれからの基礎的な研究開発を進める上に非常にバイタルな影響を持つ問題であります。  そこで、ぜひこの給与水準についても、向こうで例えば三千万円の給料を取っている人を、こっちへ来て日本のルールだから千五百万でやってくれと言ったってこれは来るはずがないわけでありますから、本当にそういう人が連れてこられるようなことにしなければいけませんし、それからフレキシブルタイムの問題にしても、向こうでフレキシブルタイムでやっている研究者でありますから、自己管理能力があるということであれば、そういう人はつまり先方のニーズに合わせたようなシステムをこちらでつくらないと結果として来ない。形をつくっても実質的に動かないというようなことになっては実は大変なことなので、ぜひこの点について大臣のお考えもお伺いをいたしたいと思いますし、これはまさに大臣のリーダーシップで進めていただきたい、こういうふうに思いますので、お考えをひとつお聞きしたいと思います。
  133. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 本当に、科学技術立国という観点から、尾身さんあたりも大変御熱心に科学技術基本法をおつくりいただき、昨年はそれに基づいて科学技術基本計画ができたわけでございます。  正直、今までは日本はどちらかといえばアメリカの技術をまねをして経済が栄えてきた。なかなかこれからアメリカはそうはいってくれないわけでありまして、日本自身がこれからは新しい技術を開発をしていかなければいけない。そういう時代になってきたわけですから、当然、今御指摘のようなすばらしい技術者を何らかの形で、日本の国立研究機関なりあるいは国立大学なりその他の機関に、できるだけ多く来ていただくということが必要だと思います。  そういう面で、今御指摘の一つは給与の問題、それからもう一つは勤務状況の問題、両方ともに今事務的に答弁を聞いておりますとなかなか簡単ではないとは思いますが、これはやはり今までの観念でできないと私は思うのです。やはり一つの給与体系なら給与体系の中に、こういうものについての新しい一つの考え方を入れた給与体系というのをつくっていかなければいけないのじゃないか。あるいは勤務状況も同じことでありまして、今御指摘のとおりで、向こうでやっているのに、こちらへ来たら今度は時間の割り振りであなたこれだけ働きなさいよなんということはできっこないわけですから、やはりそこは自由な、研究を阻害しないような形で勤務していただく。どこで勤務していただいても構わないと思うのです。  ただ、やはり公務員という立場になりますと、ほかの方とのつり合いということもありますから、私は、例えばこういうテーマをこの先生にひとつ研究していただきたいといったら、そのテーマについては少なくとも何カ月後には、今こんな状況の研究ができてきておりますとか、あるいはもうあとどのぐらいたてばこんなような成果が上がりますとか、そんなような報告をしていただいて、そしてその人がどういう形で勤務していただいているかを掌握していくというようなことができればいいのじゃなかろうかと。  だから、私は、勤務状態にしても給与の問題にしても、そういう今までと違った形の一つの物差しというものをつくっていくということで十分ではないかと。ぜひまだそういう物差しをつくっていかなければ、今尾身さん御指摘のとおりでありまして、アメリカでたくさん給与をもらっているのになぜ日本へ帰って働かなければいけないのかということになるわけですから、そういうような観点から、新しいものをぜひつくっていく。  これは、人事院と私どもと一緒になって相談をしながら、なるべく早い機会に、もう既に昨年の七月にこれは言われているわけなんですから、もう既に半年以上です。私は、こういう科学技術の話ならばもっとスピーディーにやっていくべきことであるから、もっと早く結論を出すようにしたい。少なくとも私は、きょうお話を聞きましたので、なるべく早いうちに結論を出すように努力をしていきたいと思っております。
  134. 尾身幸次

    尾身分科員 そこで、ちょっと簡単に、人事院の総裁の方にお伺いをさせていただきますが、あらかた人事院の考え方はまとまっていると思うのでありますが、人事院の意見具申というのか、そういうものはいつごろ出せる態勢になりますでしょうか。
  135. 弥富啓之助

    ○弥富政府委員 お答えを申し上げます。  ただいま総務庁初め関係各機関と鋭意検討を進めておるところでございまして、最終手続の段階に入っているということで、間もなく、そう時間を置かないで意見の申し入れができればというふうに考えております。
  136. 尾身幸次

    尾身分科員 そこで最後の質問なのでありますが、これは実は、現場の国立試験研究機関は、もう連休前にでも募集活動に入りたい、そして秋口には特に招聘型のトップクラスの研究者については招聘をして現場で働いてもらうということで、実際上の準備はできております。それから、若手の方についてもそういう態勢になっているということで、実はこれを入れて研究を活性化したいという現場の意欲が大変強くなっております。  そこで、これは法律改正になるものですから、ぜひ三月十一日ぐらいには間に合わせていただきたいというのが現場の声でございまして、今国会ではどうしても法律を、今国会というよりもむしろ制度が確定するのはもっと早く確定をしていただいて、今年度というか九年度からこれを動かさないと一年おくれになってしまいますので、これをぜひお願いをしたいということであります。  人事院の方も内容的には意見が固まっていると思いますので、いわゆる人事行政の観点からこういう体制でやるべきだということで固まっていると思いますので、事務的な手続はできるというふうに思っております。  ですから、先ほどの公務員全般との関係について非常に難しく考えれば、つまり、日本の制度を押し通そうと思えば、これは違う制度を入れようという話ですから時間がかかることは当然なのでありますが、これは基本的な規制緩和の問題でもあります、日本の社会を国際社会と研究体制の面で同一のシステムにしていきたいということでもありますので、ぜひ大臣のリーダーシップでこれを早急に実現をして、研究体制の確立をお願いをしたい、こういうことでございますので、大臣からのお答えをいただきまして、質問を終えさせていただきます。
  137. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 今、工業技術院の院長も、五月というような話も具体的に出ておりました。私、今お話、答弁いろいろ聞いておりまして、大体詰まってきたということですけれども、どこまで詰まってきたかをもう一度確認させていただいて、どんなに遅くてもやはり五月、工業技術院がおやりになる、そういう人を集めたい、こうおっしゃっているわけですから、少なくともそれに間に合うように法律が成立すれば一番いいのですけれども、国会の状況もあるわけでございますから、この国会で成立する法律案だけは少なくとも四月いっぱいに出す、そして後は、五月にこの国会でちゃんとこういう法律が通るのですから大丈夫ですよといって工業技術院がそういう方にお話しかけができるように、四月いっぱいには法案がまとまるように、ぜひ人事院とも相談しながら努力していきたいと思っております。
  138. 尾身幸次

    尾身分科員 それでは質問を終わります。ありがとうございました。
  139. 臼井日出男

    臼井主査 これにて尾身幸次君の質疑は終了いたしました。  次に、西野陽君。     〔主査退席、村上主査代理着席〕
  140. 西野陽

    西野分科員 新進党の西野陽でございます。  私は、武藤総務長官にこうして相対峙する形で御質問をさせていただくのはもちろん初めてでございますし、本国会に登院をさせていただいたのも、過ぐる第四十一回の総選挙が初めてでございますが、大臣の御尊顔はかねてから私は存じ上げておるわけでございます。  とりわけ昨年の総選挙前には、私の選挙区に、私の対立の候補者でいらっしゃいましたけれどもその先生と、武藤大臣、当時は自民党の総務会長さんでいらっしゃいましたが、並んで立っておられました。率直なところ、こうして委員会、国会で拝見させていただいて、お写真で拝見するよりは大臣の御尊顔を身近に拝する方が非常に若々しくて、しかも闊達な、数ある政治家の皆さんの中で、やはりキャリアも十分お持ちでございますし、私どもいろいろと勉強させていただける、そういう意味で、政治の先輩として羨望のまなざしで拝見させていただいているところでございます。  それでは、質問に入らせていただきたいと思います。  今まさに、国そして地方を問わず行財政改革というのは言われて久しくなりますけれども、喫緊の課題であることも事実でございます。特に、橋本内閣におかれましても、行政改革は積極的に推進すべし、表現では、いわば火だるま内閣、こうみずからおっしゃっているわけでございます。どうか火だるまになっていただいて、焼けついてしまわれないように、ぜひ言葉どおりの熱意でもって、とりわけ武藤大臣は総務庁長官でいらっしゃいますから、この行政改革という問題については先頭に立ってお取り組みをいただく、行革に挑む大臣ということでございます。  この機会に改めて、これらの行財政改革に取り組む武藤大臣の哲学と申しますか決意と申しますか、冒頭にそういうことをお尋ねしたいと思います。
  141. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 行政改革担当大臣を仰せつかりまして、大変責任を感じております。  今御指摘のございましたように、この間の選挙は、新進党さんも同じように行政改革を一つの大きな柱として公約されておられました。どの政党もみんな公約をしておられて、私どももそうでございます。ということは、もう今の日本の国の現状が大変なことになってきてしまった。  今お話しのように、財政の問題もしかりでございます。この間、この委員会でも言われているように、公的な債務が国、地方を通じて五百二十一兆、一年の日本のGDPの金額よりも大きくなってしまった。こういう現状から見ますと、どうしても日本の国の財政は立て直しをしていかなければいけない。  それからいま一つは、西野さんも多分地元でいろいろ現実にお気づきになっていると思いますけれども、縦割り行政というものがそれぞれ住民に非常にマイナスになってきておる。住民に対してサービスをすべき行政が縦割り行政であるがためにマイナスになっている、これではいけないわけでございます。  それからいま一つは、二十一世紀をもう目前にして、時代が非常に変わってまいりました。日本の社会は高齢化・少子化社会になってきてしまった。このままほうっておいたら一体年金はどうなるのか、将来パンクしてしまうのじゃなかろうか。あるいは労働者の数がどんどん減ってきてしまって、そして引退した人がどんどんふえていくという状態が続いていく。  あるいはまた、高度情報化時代ということになってきた。あるいはもう一つは、国際社会の中で日本が生きていかなければならなくなってきた。  そういう非常に変わってきた中で、今までどおりの日本ではとても二十一世紀には生きていけない、それこそ沈没してしまうのじゃないかということは、多分西野さんもそういうお気持ちだと思うのでございます。私もそういう気持ちでおります。  ですから、次の時代までのこの数年間に、もう一回日本という国を根本から立て直さなければいけない。それが橋本総理も言っておられます六つの改革だろうと私は思うのでございます。とりわけ財政をまず立て直しをしていこうと思えば、これからは国民にある程度御辛抱願わなければならない点が出てくる。  そういうときに、民間は既にリストラをやっているのに、行政面は依然として一向にリストラが進んでいないじゃないか。確かに行政改革、行政改革と言われてきているけれども、少なくとも民間と比べるとそのリストラというのは非常に度合いが少ない。そういう面からいけば、思い切ってここで小さな政府というか簡素な政府にしていかなければいけない。そしてもう一つ、効率のよい、むだのない行政にしていかなければいけない。  それからもう一つは、先ほどの縦割り行政にも関連しますけれども、規制が余りにも日本は多過ぎる。これは諸外国から指摘をされているとおりでございまして、もうできるだけ規制というのはなくしていく。  それから、役所でやる仕事は、小さい政府にしようというのですから、なるべく仕事は少なくしてしまう。どうしても役所でやらなければならない仕事は別だけれども、民間でやれる仕事というのは極力民間にこれからは移していく。こういう形で、いわゆるスリムな行政機構というものをつくり上げていく。  そしてもう一つ、その次の段階として、そういうスリムになった行政機構を新しい時代に、橋本総理が四つのフレームを言っておられる。国家の安全、それから国を富ます、あるいは国民生活を守っていく、いま一つは教育、科学技術、こういったような四つのフレームで考えていきたいということを橋本総理は言っておられますが、私ども行革会議でも、その辺は橋本総理も必ずしも自分の意見にはとらわれないとおっしゃっておられるので、私ども、行革会議の方々の御意見も踏まえながら、私自身も、もう少しその辺の哲学、二十一世紀はどういう形の国家機能をきちんとやっていくべきなのか、そしてその中で一体総理のおっしゃっておられる官邸機能を強化していくべきなのかどうか、この辺を踏まえて、リストラした小さい政府にした上で中央の省庁はどうあるべきなのか。  もう一つ、強いて言えば、イギリスのエージェンシー、要はイギリスの場合には、政策立案、こういうものは従来の役所のようなところでやる、しかしそれで決まったことを執行する部門は外へ出してやろう、こういうのが最近はやって、英国のエージェンシーという言葉が流行語になっておりますけれども、場合によれば、私はそういう考え方も日本の中に取り入れていってもいいのではなかろうかと。この辺のところは行革会議でこれから秋に向けていろいろと議論を活発にやっていく。  そしてもう一つは、特殊法人という問題がいろいろ言われておりますが、私は、強いて言えば、特殊法人もそういうエージェンシーもある程度性格は似ているのじゃなかろうかと。その辺は、現在の行政の機構、そしてその付随している特殊法人、こういうものも一括の中で、日本のこれからの行政機構が一体どうあるべきか、そしてその中でエージェンシー化をしていくのかどうかというところは、特殊法人も含めた形で私は考えていっていいのではなかろうかと思います。  それからもう一つの問題は、やはり地方へなるべく移すということでございます。これも大切なことでありまして、地方分権推進委員会もできているわけですから、できるだけ地方に、もう機関委任事務はやめよう、その他の事務についても地方でやれることは地方でやっていただこうということであります。  ただ、私は、この点は地方分権の推進委員長である諸井さんにも申し上げておりますが、やらなきゃいけないけれども、国がリストラをやって、そして地方へそういうお仕事を持っていった、あるいは財源も持っていってもいい。しかし、そのときに受け入れ体制が果たして今の市町村でいいのかどうか。本当に田舎の町へ行って、あるいは村へ行って、こういうことを今まで国がやってきたけれども、あなたの方でやってくださいよといって、果たしてできるのかどうか。  この辺、やはり思い切って受け入れ体制の地方自治体はどうあるべきなのかということをきちんとしてからでないと、なかなか地方分権というものはうまくいかないのじゃなかろうか。国は小さくなったけれども、中央は小さくなったが地方がかえって大きくなったのじゃ、これは国全体としての行政改革になりませんので、その辺のところも踏まえて、私はこの地方分権は時間的には少しかかるのじゃないかなとは思っておりますが、これもぜひやらなきゃならない問題だろう、こう思っておるわけであります。
  142. 西野陽

    西野分科員 武藤長官の行政改革に取り組む考えの一端を御披瀝いただいたわけで、まさしく同感でございます。  確かに、言葉では一言で行政改革と言われますが、総論は賛成で、各論になりましたらいろいろございましょうし、御指摘の縦割り行政の問題、規制緩和の問題、さて小さな政府にどういう形で持っていくのか、受けた地方は体制だけあって財政が伴わないとか、マンパワーの問題も含めて非常に多岐にわたるわけでございますから、大変な決意と体制をとりませんと実効が上がらないというふうに思っておるところであります。  その中で、一つちょっと気になりましたことは、今の御発言の中で、秋ごろまで議論を尽くしという御発言がございましたのですが、私は地方議会が長かったので国会のことをあるいは不勉強なのかもしれませんが、年初めの通常国会というところで、いろいろなビジョン並びに政策、予算というものが上程をされ、かなりの期間にわたって審議がなされる。これを越えますと、夏来り、秋にも臨時国会を開会されるのでございましょうが、夏以降はまた次年度の予算の問題、概算要求等々、当面の課題も今現実にあるわけでございます。  そういたしますと、そういった秋ぐらいまでにこの一つの議論が出尽くして、政府としての方針をお出しになるということになりますと、物理的に年内には行政改革の具体的な方策というものは出てくるのかな、やはり来年の通常国会になるのかな、さればその実行はさらに向こうになるのかな、こういった時間的な問題ですね、この辺につきましてさらにちょっとお答えをいただけますか。
  143. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 もう少し詳しく行程表を申し上げなければいけなかったかもしれません。  今、規制緩和をとりあえず一生懸命やっております。これについては、ある程度のものは三月末で方向が出てくるわけでございます。しかし、それも、中には法律を改正しなきゃならない問題もあるわけでございますが、要は、規制緩和の方向はできるだけ三月末でまず方向を打ち出していきたい。それから、それに引き続いて審議会のあり方、これをその後引き続いて検討していきたい。そして、並行して先ほどの地方分権の問題をやっていきたい。そして、特殊法人は今私どもの党と与党でいろいろ御議論いただいておるようでございますが、これもその辺やはり並行しながらやっていかなきゃならないだろう。  そんなようなことでやってまいりまして、そしてそれの集約が、先ほど申し上げた秋が中央省庁の統廃合と。もちろん、それは方向が出るわけでございまして、今御指摘のように法律案はとてもことしは間に合わないと思います。  そこで方向を打ち出したものを法律案にするのは、私は、ですからそれは来年だと思うのでございますが、来年の通常国会に中央省庁統廃合ということになりますと、今それぞれの役所の設置法がございますし、あるいは国家行政組織法がありますが、私は、一つの大きな国家行政組織法みたいな、新国家行政組織法と申しますか、そういう新しい全体の国家行政組織のあり方を決めた法律というものを来年の通常国会で御審議願うということになれば、大体私どもが最初から言っているスケジュールと同じようなスケジュールではないかというふうに考えておるわけであります。
  144. 西野陽

    西野分科員 この問題は、第一次臨調から始まりまして、私どもの知る範囲でもかなりの期間を要しておるわけでございますので、どうぞ武藤長官の御英断、率先したこれからのお取り組みを切望しておきたいというふうに思っております。  したがって、それらの問題の取り組みにつきましては、ひとり大臣だけではいけないと思いますし、当然、例えば総務庁の中でございましたら、課長さん、局長さん、次官さん、あるいは政務次官さんに至りますまで、いわば総務庁挙げての取り組みというものが必要でございましょうから、そこには意思統一ということがあるのだろうと思いますが、これらの問題についての意思統一は確実にできておるのか、そこらあたりは。
  145. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 私は、見たところは優しいように見えると思うのでございますが、案外言い出すと聞かない方でございますので、その辺のところはリーダーシップをきちんとして、役所の人がどうあろうとも、あるいはほかの役所の皆さんがどうおっしゃろうとも、今の日本の国を救うのだ、このままほっておいたら二十一世紀の日本の繁栄はあり得ない、どうしてもこれは思い切って行政改革をやらなきゃいけないのだから、反対があろうが何だろうがやらなきゃいけないということで私は努力をしておるつもりでございます。  時たま言っておることは、反対する方は、国家公務員というのは国民全体に対する奉仕者なんだ、国民にマイナスになるようなことをする人は国家公務員としての資格がないのだから、そういう人はやめていただいたらいいのじゃないかということもたまには言っておるぐらいで、リーダーシップを発揮しておるつもりでございます。ぜひひとつ見ておっていただきまして、結果的に必ず、やったときにはよくやったとおっしゃっていただきたいと思いますし、やれなかったら私は責任をとらなきゃいけない、こういうことだと思っております。
  146. 西野陽

    西野分科員 決意のほどを聞かせていただきました。  これは、単に政府そして与党の自民党さんだけというわけにもいかないだろうと思います。冒頭に大臣がおっしゃったとおり、各党が挙げて行革という問題については訴えておるところでございますから、野党ももう当然であろうというふうに思っております。したがって、与野党問わずの理解、協力が必要だというふうに私自身も思うわけであります。  そこで、国そして政党はそのとおりでございますが、さてもう一つ、ここにはある意味での、すべてというわけには実質はいかないでしょうけれども、そういう大綱が示されて動き出したときにやはり最も理解をいただくのは国民であろうと思いますし、国民が、何やつているんだ、そんなものは期待してまへんで、こういうことになったら、これは、せっかくの政府としても、政党人としてもだめだというふうに思うのでございます。国民の理解と協力も必要だというふうに思うのでございますが、ここらあたりにつきましては大臣はどのようにお考えですか。
  147. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 もうおっしゃるとおりだと思います。  今、行政改革会議も地方で何回か公聴会的なものを開いていろいろ御意見を承っていただいておりますし、また、国会がある程度終わる状況になりますれば、私ども自身ももっと外へ出ていって国民に訴える、あるいはテレビその他の媒体を通じて国民の御理解を得るように努力する、これはもう当然のことだろうと思いますし、また、野党の皆様方にも、お願いをするところは率直にお願いをして御協力をいただかなければいけない、こう思っております。
  148. 西野陽

    西野分科員 そこで、政府の、いわば大臣の片腕と思われます政務次官がおいでになるわけでございますが、この政務次官が地方に出張をされましたときに記者会見で次のようなことをおっしゃっているんですね。ちょっと御披瀝しますと、御存じだと思いますが、九年度政府予算案について、三月五日に衆議院を通過する見通しで暫定予算を組む必要はなくなったと述べるとともに、野党から要求のある公共事業費の削減等の予算修正には現時点では応じないと明言をされたわけでございます。  この発言はお聞きになっているかどうか知りませんが、こういうふうに新聞報道をされているわけでございます。この会見をされたのは二月二十四日でございます。二月二十四日、先日でございまして、まだ予算審議の真つただ中でございまして、読むことは、先を見通すことは、大事でございましょうけれども、それを国民に対して、政府のしかるべき片腕にならんとする方が、もう何も野党の言うことは聞かぬでもいい、もう五日に上がるんだというようなことを公言されるということは、これは予算審議を、今やっておりますことを軽視したことでありましょうし、これは冒涜をしたことだろうというふうに思うのでございますが、大臣、いかがお考えでございますか。
  149. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 私はまだその記事を正直見ておりませんので、具体的にそれに対してのお答えにはなりませんけれども、一般論といたしましては、私どもはもちろんのこと、政務次官といえども行政府におる人間として、国会で今予算を御審議願っているわけでございますから、当然、政府としては、なるべく早く御審議を願い、できるだけ年度内成立をお願いしたいというのは、これは気持ちとしてはわかるのでございますが、何も外へ行って、もうそれは間違いないよとかいうようなことを言うのは大変不見識なことだ、私は一般論としてはそう思いまして、もしそういうようなことがあっては、これは決して好ましいことではない、こう申し上げられると思います。
  150. 西野陽

    西野分科員 それでさらに、大臣、このようなことをおっしゃっているんですね。この背景には、無所属議員などで、社民党と新党さきがけを除いても既に過半数の二百五十一人を確保できる見通しが立ったこと、さらに、新進党の現状はもう解党過程に入っていると分析をされまして、新進党の所属議員のうち二十人から正式に自民党に入りたいと言ってきており、現在それを選別しておるという舞台裏を吐露していただいたわけでございまして、二十人以外でもさらに離党の予備軍というのがある、それは数十人いるということで、したがって新進党は近いうちに分裂して自民党の勢力は最終的には二百八十人程度になると、具体的にこれは数値を挙げておっしゃっているんですね。  これを私ども聞きまして、ちょっと私、一年生坊主でありながら思うのでございますけれども、先般来の我が党の動き等々も踏まえておっしゃっている、あるいは既に見えないところでそういう懐柔作戦をおとりになっているのかなと思うのですけれども、特に、もう今この時点で自分の党を離党して、そして自民党に行きたいという方があれば、私は党首でも何でもありませんけれども、率直に言って、私どもとしてはそういう方がおられたらやむを得ないと思っているのですよ。どうぞと言わざるを得ないと思っているのです、逆に。私は、しかし現実に今はそんな力はおられないと信じているのです。  大臣は関係ありませんから出ておられませんけれども、私ども新進党で、去る二十六日、両院議員懇談会を開催いたしました。マスコミ報道では、現執行部体制に対する批判続出、もう近々に我が党が分裂するというような雰囲気の報道がされておりまして、私はおかしいなと思ったのですけれども、二百人前後の国会議員が集結をした中で延々七時間やらせていただいて、意見はそれぞれ全員が言いましたけれども、我が党の手法に対して御批判を具体的にされた方はごくわずかなんです。本当に四、五人なんです。その四、五人の方も、自分自身で離党はするつもりはないとおっしゃっているのです。  ですから、そういうような、二十人はもう間近であって、それ以外にもさらに予備軍はあるなんというようなことを地方出張のときに発言をされるということは、どちらかといいましたら、他人様の懐の中に手を突っ込んで、その他人様の懐の中の二十枚のあの札はもうそれはわしのものや、ちょっと表現が悪いかもしれませんが、そんなことを言っているようなことでございまして、これが一国民の方がわからずにおっしゃっておるのならまだ理解ができるのでございますが、少なくともその方が政務次官という行政のしかるべきお立場にある方が、ましてや、与党、野党を問わず、おっしゃったとおりこの当面の課題である行政改革というものに取り組んでいかなければいかぬというときに、他党のそのような形での懐に手を突っ込んだような表現をされての発言あるいは記者会見ということに対しては、私どもは本当にもう不愉快な思いがいたすわけでございます。  先ほど来の行政改革に取り組む大臣の熱意というものと、その片腕である方の発言と、何か裏腹な気がいたしてなりません。これらのことも踏まえて、最後に大臣から、この御発言をされた次官さんについてどう思っておられるか、今後の取り組みも含めて御決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。     〔村上主査代理退席、主査着席〕
  151. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 政務次官会議というのがあるわけでございますが、これは私ではなくて官房長官が責任を持っておやりをいただいておりますので、私、今の事実関係を全く存じませんので、名前もわからないのでございますが、具体的な名前ではなくて、そういうことを言っている人があるようだけれども、そういうことは決していいことではない、まことに遺憾なことでございますから、そういう発言というものは慎むようにした方がいいということは、私から官房長官に申し上げておきます。
  152. 西野陽

    西野分科員 以上で終わります。
  153. 臼井日出男

    臼井主査 これにて西野陽君の質疑は終了いたしました。  次に、正森成二君。
  154. 正森成二

    ○正森分科員 武藤総務庁長官、私は、きょうは主として中海・宍道湖の問題について、分科会でございますので、質問をさせていただきます。  二月の宋に、大規模な農業基盤整備事業に関する行政監察結果報告書というのが出ました。事前に新聞に報道されておりましたので、私の選挙区のことでもありますし、私は大阪から中国ブロックにかわりましたので、中国が選挙区であります。それを拝見しますと、干拓事業について、いろいろこれは詳しいのですが、結論に、「休止中の事業については、」中海は今休止しておりますので、「社会経済情勢の変化を踏まえ、環境に十分配慮しつつ、農地利用の見込み、営農の確実性等について、慎重に検討し取扱いを決めること。」というようになっております。  これに対して多くの新聞が論評をしておることは御存じだと思いますが、持ってまいりましたのは毎日新聞の二月二十八日であります。「昨年十一月に入閣した武藤嘉文総務庁長官は、①監察対象の省庁との間で慣習化していた事前協議を原則廃止②従来、匿名扱いだった勧告対象の自治体名を公表③行政監察は事業の必要性の有無にまで踏み込んで勧告することを確認」等々と言われております。私は、実は期待しておりましたけれども、それに対して、今言いましたように、中止ということではなしに、慎重に取り扱うということにとどまりました。  これについては、ちょっと辛口ですが、日本経済新聞が本日付で社説を発表しております。その最後のところで「こうした行政監察結果をまとめながら総務庁が、例えば中海干拓に、明確な中止勧告を出さないのは理解に苦しむ。同庁の存在意義が問われているというべきだ。 もっと非難されるべきは農業関連土木事業の無駄遣いを続ける農水省であり」云々ということが書いてあります。最後の方には、国会が愚かであるということまで言われております。  そういう点から見ますと、総務庁が今度勧告なさった労苦を多といたしますが、最初我々が期待したのからよほど後退したと思われるのですが、これについての担当大臣、長官の御感想といいますかコメントをいただきたいと思います。
  155. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 大変私も、自分で今度の勧告が一〇〇%いいとは思っておりません。今御指摘のありましたように、第一、第二、第三とおっしゃいました。第一、第二は、大体私の要望どおり進みました。第三については、残念ながら、そこまでいっておりません。  ただ、今お持ちいただいているのは「要旨」の方かと思いますが、勧告文は大変分厚いものなのでございますね。それで、私は、大体そんなものは、それは役所同士は読むのでしょうけれども、今情報公開の時代に、やはり一般の人にもわかるようにしなければいけないのではないか。私は、来年度からはこの勧告文というのを、何ページ以下というふうに決めてしまおうと思っております。  しかも、一般の人がわかりやすいように、だれでもわかるようなものにしなければいけないし、そして、もう少し歯切れのいい形にしなければいけないということを私思っておりますし、今度もなるべくそうしたいと思ったのでございますが、何せ今の話、調べてみると大変膨大なもので、それをまたひっくり返してしまうというのもできなかったものでございますから、その辺は、極力営農だけにとらわれないで、ほかの目的にも使われるようにするということも含めて勧告をしたらどうか。  いわんや営農というものについては、米をつくるなんということはもうやめた方がいいんだ、その辺のところはできるだけはっきりした方がいいんじゃないかというふうにアドバイスをしながら指導してきたのでございますが、そうなると、何せその全体の文章を全部変えてしまわなければならないということにもなるものでございますから、その辺は私の意向もある程度踏まえながら、事務局事務局で苦労しながらこの文章をつくったと思います。  しかし、最初に申し上げたように、決して私はそこのところは満足をしておりませんので、まあ点数としても五〇%以下だと私も思っております。しかし、来年度、平成九年度からは思い切った形でこの行政監察というものの勧告はやっていきたい、こう思っておる次第でございます。
  156. 正森成二

    ○正森分科員 武藤長官は行革の担当大臣でもございますし、今率直な御意見がございました。特に、簡潔なものにするというのは賛成で、私もこれをいただきましたが、行政監察局から改めてレクチャー要員を派遣していただいて、どこを見れば一番よくわかるかということで、そのときにこの「要旨」も持ってきていただいて、やっと非常によく理解できたくらいです。  そこで、私から一言言いたいのですが、前総務庁長官の中西績介さんがある新聞の取材に、「「中海」は中止勧告が妥当と思い、事務当局にも指示した」と言われておりまして、去年には、もう中止勧告かということが大きく一般紙に報道をされたくらいでございます。それがどこでどう変わったのかわかりませんが、私は農水省と島根県の対応が一定の影響をしているんじゃないかと思います。  そこで、農水省、来ておられますか。農水省に若干伺いたいと思います。  私は、去年から農水省、環境庁それから大蔵省にも、この問題について話をしに参りました。その中で、たしか今年度の予算では調査費として三億三千三百万円くらいがつきまして、これは二年間を目途に調査をする。これは、中海干陸だけでなしに、環境がどう変わるか、あるいは漁業、あれは湖ですから、漁業がどうなるかという両面について、中立的といいますか、公平な立場で調査をするということが三党合意でも決められているようであります。この点は間違いございませんか。
  157. 江頭輝

    ○江頭説明員 御説明いたします。  今の御指摘でございますけれども、調査は、与党の三党合意を極力尊重いたしまして、中立的な立場で実施する、そのようにしております。  具体的には、今も少しお述べになりましたけれども、事業計画について、技術的、経済的な検証を行うことが一つ、それから環境や資源への影響を把握する、また別途国と県で協力して行います水産調査の結果とあわせまして事業を総合的に評価する、このような考えであります。また、事業の取り扱いにつきましては、この調査結果に基づいて判断する、そのようにいたしております。
  158. 正森成二

    ○正森分科員 そう理解しておりますし、農水大臣も予算委員会でその趣旨の答弁を再々しておられます。  ところが、私がこの間現地へ調査に行ってまいりまして、島根県当局とも懇談いたしましたが、今現地で非常に問題になっておりますのは、北部承水路というところがあります。これは、現地に行かない方には多少わかりにくいかと存じますが、周りを堤でずっと閉じてあるのですね。その中で、まだ閉じきっていないようなところのことを言うのですが、二つありまして、そこの北部承水路という、境水道から日本海の水が入ってまいります。それが真っすぐに当たるところに農道を、四億四千万円ぐらいかけて島根県が主として自分の単独事業でやろうとしております。  これが今調査の中で、場合によっては、そこを二、三十メートル切って潮の流れをよくして、そしてそれが潮の流れや水産にどういう影響があるか、これを試験的開削と呼んでおりますが、そういう対象地にもなっているところであります。国が二年間中立的な立場で両面から調査すると言っているのに、まさにその上に、国の調査予算を上回るような予算をつけて、そして農道をつくるなんというのは、現地では、これは国の方針に対する公然たる、既成事実をつくっての妨害行為であるという声が起こっております。  これに対して農水省の一部には、地方自治の本旨からとやかく言えないということを言っている人もあるようですが、これは地方自治という問題ではなしに、国やら政府国会が一致して、二年間は中立的立場で調査しようということに対する、県民や世論に対する公然たる反抗行為である。反抗行為といいますか、妨害行為である。こういうことは少なくも二年間は慎むべきであると私は思っておりますが、担当省庁としての農水省はどう思いますか。簡潔に。
  159. 江頭輝

    ○江頭説明員 今の御指摘の件でございますけれども、島根県が、北部承水路堤防に単独事業といたしましてふるさと農道というものを整備するということで、平成九年度の県予算案に予算を計上したというふうに聞いております。  それで、県当局に事実を確認いたしましたところ、次のような回答がございました。  まず、北部承水路堤防のふるさと農道整備につきましては以前から地元の強い要望を受けていた、それからまた、ふるさと農道の制度が平成九年度までの措置であることから県予算に計上した、こういう経緯があるということが一つでございます。しかしながら、与党農政協議会で、現在、北部承水路についても開削議論の対象とされた経緯がありまして、予算案には計上しておりますけれども、その執行については与党農政協議会の結果を見守りたい、このように聞いております。  それで、農水省といたしましては、島根県が与党農政協議会の結果を踏まえて予算の執行を行う、このようなことでもございますので、県の対応を見守ってまいりたい、このように考えております。
  160. 正森成二

    ○正森分科員 簡単にまとめますと、予算には計上しておるけれども、執行する気が当面はない、与党三党の合意を見守るということですが、私は、二年間が中立的な調査を行う期間であるとすれば、そういう予算をわざわざ計上しない方が賢明であるということを申し上げて、次の問題に行きたいと思います。  ところで、この干陸が、現在農業政策が根本的に変わりましたからこういう点については詳しく言いませんが、仮に中止になった場合、今までにかかりました国分の二百六十八億、それから県分の百億と利子が百四十億、全部で五百幾らなんですが、それの返済について、現地では、全部島根県が持たなければならないというようなことを言っている者がおります。  現に、そう誤解されるような文書が、これは私、島根県当局と懇談をしましたときにもらったものですが、イメージアップの、こういうきれいなカラーが全戸配布されているのです。それを見ますと、その中の四ページに「すでに建設した堤防などの取り扱いを含め国との協議が必要となり、今までに投資された県の負担部分二百四十億円はもとより、」これは利子も含めてですね、「国費二百六十八億円も支払いが必要となることも考えられます。」これを読むと、島根県が全部負担しなければならないというようにも読めるのですね、それほど明確には書いてありませんが。これが大問題になって、そんなに払わなければならないのなら、毒食わば皿までで、突っ込んで干陸をやれという世論が非常に起こっている。  ところが、私が調べましたら、構造改善局では、そういうことは言わないで、「一般論だが、完成途中であれ、出来ている施設は国の財産。必要なら売却処分、それでも事業費に不足が出るなら、国と県で負担額を話し合うことになる。全額返還は決まったことではない」というように新聞紙上で公然と言っております。  あるいは、現に、霞ケ浦の一部を干拓する高浜入においては計画が廃止されましたが、一部を売却して、その残りの十八億五千万円については、国と県が投資比率に従ってほぼ七対一二の割合で清算したというようになっているはずであります。  したがって、万が一中止になっても、県が全額負担するなどということはほとんどあり得ないことではありませんか。
  161. 江頭輝

    ○江頭説明員 ただいまの件でございますけれども、国営土地改良事業の負担金につきましては、土地改良法の第九十条の規定によりまして、国は、土地改良法施行令で定めるところにより都道府県から徴収する、このようになっております。  それで、国営土地改良事業を廃止することにつきましては、土地改良法において本来予定していない、そういう事情がございまして、お話しの負担金につきましては、まず当初、事業の実施について国と都道府県の間で合意を見ているという経緯があること、それから事業に係る負担割合につきましてはあらかじめ定めていること等々にかんがみまして、国と都道府県とが協議の上決定すべきものだと考えております。
  162. 正森成二

    ○正森分科員 今明確に答弁がございましたように、国と県が協議の上決定する、これは当たり前の話であります。  そこで、環境庁に伺います。  いろいろ質問事項を出しておきましたが、時間の関係で要約いたしますけれども、省略する面が出てまいりますが、環境庁は、たしか九五年かと思いますが、二月ごろ、中海・宍道湖のラムサール条約、特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約の登録を、島根県を含む全県に打診したはずであります。これに対して、島根県はどういうぐあいに回答をいたしましたでしょうか。  これは、ある党が情報公開制度に基づいて既に回答文を入手しているのですね。あらかじめ私もそれを知っておりますから、時間の節約上言いますと、それに対して島根県は、森林整備課長の名前で「宍道湖、中海地域は西日本最大の水鳥の渡来地域として重要な地域であり、現在、鳥獣保護区による保全を行っていますが、宍道湖、中海の淡水化を含む中海干拓事業の一時延期等の問題を抱えており、ラムサール条約に登録するには、その条件が整っていない状況です」、つまり、最大の水鳥の渡来地域なのだけれども、中海・宍道湖の干拓事業の一時延期等の問題があるので登録は差し控えたいという回答をしたはずであります。そのとおりですか、簡潔に答えてください。
  163. 斉藤照夫

    ○斉藤説明員 御説明申し上げます。  私どもの方から平成七年一月に各県に問い合わせを行いまして、これに対する島根県の回答として、七年の二月に先生今御指摘の御回答をいただいているところでございます。
  164. 正森成二

    ○正森分科員 つまり、ラムサール条約の登録は、私は、その水鳥の生息地、この間行って見てきたのです。そうしたら、物すごい数が来まして、そこから冬になったら行くのは、鳥の体に電気発信器をつけますと、驚くべきことに日本海をノンストップでウラジオまで飛んでいっているということまでわかるというような地域ですね。それについて、中海・宍道湖はなくなるかもしらぬので登録は遠慮するというような、そうとれる回答をしているのですね。  これにはいろいろな問題があると言いましたが、その中で、これをごらんください。後で差し上げます。これは非常にきれいなカラー写真で、「自然との調和 それが本庄工区の目標とする干拓です。」というように言いまして、ここにいろいろ書いてあるのですが、まさにこれが本庄工区の将来図である、だれが見てもそうとれるようになっているのです。  ところが、環境庁、これ見てください。これ、どこか思い出しませんか。これ、差し上げます。見てください。私が調べたら、ここにこの写真があります。武藤長官、ほとんど変わらないでしょう。後で差し上げます。これはどこの写真かというと、北海道に釧路湿原駅というのがあるのです、そのすぐ近くに大観測場というのか見渡せる場所があるのですね、そこから写した写真なんです。これは釧路湿原の写真なんです。釧路湿原の写真を、あたかも中海がこうなりますよというように使っているのです。  いいですか。釧路湿原というのは、ラムサール条約によって永久保存ということになって、手をつけないということになっている、そういう湿原ですよ。その写真を、これから埋め立てて、それで畑にするとかあるいは牛を飼うとかというようなもののイメージの、全県民にばらまくカラー写真に使っているのです。島根県の態度は、言語道断じゃないですか。一緒ですよ。ここに島根県がおらぬから、島根県の態度は言語道断ではないかと言っても、島根県にかわって答弁する義務がないから出てこないでもいいけれども、そういうことを環境の問題でも農業の問題でもやっている。そして、県民を惑わすようなうそをつくということをやってまで推進しようというのはもってのほかだというように言わなければならないと思います。  そこで、時間の関係で次の問題に行きますが、水産庁、お見えになっていますか。  まず第一に、水産庁に伺いますが、私の承知しているところでは、昭和三十八年ごろですが、水産庁長官と農水省の農地局長、当時は構造改善局でなしに農地局だったようですが、その連名で、農地法等で漁業権を消滅させた水面で、もし埋立事業や干拓事業が行われない場合は、水面の総合的利用のために漁業権を免許するよう指導しているというように聞いておりますが、そういうことになっているのでしょうか。
  165. 石木俊治

    ○石木説明員 都道府県知事は、漁業上の総合利用を図り、漁業生産力を維持発展させるために漁業権免許をする必要があり、かつ、当該漁業の免許をしても漁業調整その他公益に支障を及ぼさないと認めるときは、漁場計画を立て、漁業権の免許をしなければならないということになっております。これは漁業法の第十一条に書いてございます。  それで、水産庁といたしましては、漁業権の放棄が行われた水面であって、干拓事業計画による工事の施行が相当期間行われる見込みがなく、かつ今述べた条件に合うものについては、知事は干拓事業を実施する機関と協議の上、漁場計画を樹立するよう指導しているところでございます。これは、漁業権の放棄等が行われた水面でございましても、水面が残っている限りは漁業上の利用を図っていくということが必要ではないかという考え方によるものでございます。  ただし、この場合、水面の漁業上の利用を図る場合に、必ずしも漁業権免許という形のみで漁業振興を図るのではなく、漁業振興を図るに適当な方法につきましては、免許の必要性等を総合的に判断して対応すべきものと考えております。
  166. 正森成二

    ○正森分科員 つまり、結局、漁業補償をもらっていても、そこが干拓が中止になるとかということで、水面がなくなれば漁業権が消滅するのは当たり前、陸地になりますから、しかし水面がある限りは、漁業はできるし、新たに漁業権の免許をすることもできるという考え方ですね。それを今農水省が認めたわけであります。  これは事実としてもう行われておりまして、水産庁、記憶にあるかどうかわかりませんが、九二年の話ですが、富津漁協というのがあります。これは、全面的に漁業権を放棄して約千四百人が百八十五億円の補償金をもらった事案でありますが、埋立計画が大幅に縮小されたということのために、九二年に再び知事が漁業権を認める免許状を交付したという事実があるはずであります。これは、そのとおりでしょう。現にそういうことで行われているのでしょう。
  167. 江頭輝

    ○江頭説明員 ただいまのは千葉県富津漁協の件だと思いますけれども、御指摘のとおり、埋立事業の縮小がなされたのでございますけれども、このときに漁業権が復活されている事例がございます。これは、事業計画をしっかりと変更いたしまして、埋立事業の縮小を決定した、その後の措置としてこのような対応をしたと聞いております。
  168. 正森成二

    ○正森分科員 わかりにくい説明だったけれども、結局、私の主張を全面的に認めた答弁であります。  そこで、大臣、委員長にあらかじめお願いしておきましたが、お手元に資料をお配りしておきました。水産庁など関係のところにもお渡しを願いたいと思います。  この資料は、下段の方に「中海・宍道湖漁業実施(補償対策)調査報告書」というように書いてありまして、「昭和三十二年三月島根県発行より引用」、こうなっております。これは、中海・宍道湖干拓干陸のために、この中海と宍道湖の漁業がどの程度の漁獲があり、あるいは売上高があったかということがわからなければ補償ができませんので、詳細に調べたものであります。各漁家ごとに、家がどこにあり、家の広さはどのぐらいで、家族関係はどうであるかということまで調べて、その上で詳細に調べた数字であります。  一々これを読むと非常に長くなりますので、あらかじめお渡しし、かつ赤鉛筆を引っ張っておきました。その上段の総計というところを見ますと、これは宍道湖ですが、一億二千七百三十七万三千三百五十五円の売上高があったということになっております。それから、その次の下段の方になりますと、真ん中の辺に線を引っ張っておきましたが、これは中海でありまして、これは一億八千八百三十二万六百二十八円という数字が出ております。  一番最後の資料③をごらんになってください。「一九五七年に島根県が算定した推定年間生産金額」というところにこれが記載されております。これは昭和三十二年の金額ですから、仮に一九九〇年にデフレートして、そのころの価格なら幾らになるかということを学者が調べたものが次に載っております。約十倍になりまして、宍道湖では十三億五千五百万、中海では二十億三百四十万というようになっております。  それで、一九九五年にはまだ漁業が行われておりまして、推定でありますが、漁民に調べた結果では、宍道湖では年間四十億円の生産が上がっております。そして中海は、御承知のように、今大臣にお見せしましたが、堤防でほとんど閉め切られましたので、水質が変化いたしまして、漁業が非常にやりにくくなりました。それでも十億円あります。そこでこの学者は、宍道湖がかつて十三億あったものが現在四十億になっているということだとすれば、これは、中海では二十億あったのだから、同じようにほぼ三倍になれば、右側の六十億になるのではないか、全部で百億円以上の水産生産が上がるのではないかということを言われているわけです。  そこで、農水省に伺いますが、水産庁の養殖研究所というところが、アカガイなど二枚貝のつり下げ養殖法の開発に成功したということを九六年に発表しているようでありますが、その内容について簡潔に御説明ください。
  169. 杉浦正悟

    ○杉浦説明員 お答えいたします。  二枚貝の養殖技術に関しましては、カキ、ホタテガイ等においては垂下式養殖技術が確立しておりまして、水面の立体的利用が可能となっております。しかし、アカガイ等の砂の中に生息する二枚貝につきましては、そのような技術がこれまでにないというふうな中で、水産庁養殖研究所におきましては、この原因が、アカガイ等砂に潜る貝につきましては、安定的な底質基盤を必要とするということを明らかにしました。この問題を解決するために、砂を収容した小型容器をつり下げる新しい技術を開発することによりまして、アカガイのつり下げ養殖という技術を開発したという形でございます。
  170. 正森成二

    ○正森分科員 今簡潔に御説明になりましたが、そのときの水産庁研究部研究課のプレスリリースというのをもらっております。  これを見ますと、「試験結果」のところに、いろいろ今の実験をしましたら、「一年余の後、貝は商品になりうるサイズ(平均殻長七十一ミリ、全重九十四グラム)に成長した。生存率は七五%以上と高く、十分に実用化が可能である。」これはアカガイだけでなくほかの埋在性の二枚貝に適用できるだろうということを言いまして、本養殖法は特許申請中であるということまで書いてあります。  私が今読み上げたのは、間違いないですね。
  171. 杉浦正悟

    ○杉浦説明員 ただいま先生御指摘のとおり、そういうふうな形でプレスリリースしております。  ただ、この新しい技術、現段階では実験室規模での成功例ということでして、実用化に向けての技術改良……(正森分科員「はい、わかっている、わかっている」と呼ぶ)はい。
  172. 正森成二

    ○正森分科員 この養殖の関係は、ホタテガイで既に北海道とか青森でやっていることなのですね。アカガイにつきましては中国の福建省で現にやっております。だから、十分できることであります。そういうようなのを総合的にやれば、百億円以上の生産を上げることは十分可能であるというように言っているわけで、それに対して、もう漁業補償を行ったのだから中海・宍道湖は死んでもらいましょうなどと公言するなどということはもってのほかです。  今までの例でも、八郎潟というところがあります。これが、五分の四までは陸地になって、五分の一だけ残っていたのです。それが、一九八九年前後に、台風で水門が壊れましたら、海水がどっと入ってきて、シジミが大繁殖して、一万トンもとれて、そのためにシジミの値段が下がったということがあるぐらいです。  ですから、この問題の環境と漁業の両面の調査をするには、どうしても試験的開削をやって、潮を通す必要があるというように私は思います。  そこで、委員長、これで質問を終わらせていただきますが、行政改革の担当の大臣に特にお願いしておきたいと思うのです。  最近では、公共事業も聖域ではない、それで六百三十兆についても見直す、少なくも来年からは一兆円減らすというようなことを言われております。既に我が党がいろいろな場面で言ったことですが、例えば北海道の苫小牧の工業団地では、約五千五百ヘクタールつくりまして、三千六百億円の国費が注ぎ込まれました。しかし、団地になったのは一五%で、八五%は売れ残っております。我が党が調査に行きましたら、ペンペン草どころか草原になっておりまして、何か動くものがあるから、何だろうと思って見たら、シカとキツネが遊んでいる。それで、立て札があって、立て札を見たら……
  173. 臼井日出男

    臼井主査 正森君に申し上げます。  質疑時間が終了しておりますので、簡潔にお願いします。
  174. 正森成二

    ○正森分科員 もう終わります。  このあたりクマが出ますと書いてあるのですよ。三千六百億円も金を使って、クマやキツネの遊び場をつくるというのは何事かという声が出るのは当然です。  中海でもそういうことにならないように、大臣の政治的な御判断を心からお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  175. 臼井日出男

    臼井主査 これにて正森成二君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして総務庁についての質疑は終了いたしました。  次回は、明四日午前十時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時六分散会