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1997-02-24 第140回国会 衆議院 予算委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年二月二十四日(月曜日)     午前九時三十分開議  出席委員   委員長 深谷 隆司君    理事 小里 貞利君 理事 高橋 一郎君    理事 中川 秀直君 理事 藤井 孝男君    理事 石井  一君 理事 権藤 恒夫君    理事 二階 俊博君 理事 中沢 健次君    理事 穀田 恵二君       相沢 英之君    飯島 忠義君       石川 要三君    臼井日出男君       江藤 隆美君    尾身 幸次君       越智 伊平君    菊池福治郎君       桜井  新君    関谷 勝嗣君       高鳥  修君    野中 広務君       葉梨 信行君    林  幹雄君       松永  光君    村上誠一郎君       村山 達雄君    谷津 義男君       吉川 貴盛君   吉田左エ門君       愛知 和男君    愛野興一郎君       青木 宏之君    石垣 一夫君       大野由利子君    太田 昭宏君       岡田 克也君    北側 一雄君       小池百合子君    斉藤 鉄夫君       城島 正光君    白保 台一君       田中 慶秋君    中井  洽君       仲村 正治君    西川 知雄君       平田 米男君    石井 紘基君       生方 幸夫君    海江田万里君       日野 市朗君    前原 誠司君       中島 武敏君    松本 善明君       矢島 恒夫君    上原 康助君       北沢 清功君    岩國 哲人君       新井 将敬君  出席国務大臣         外 務 大 臣 池田 行彦君         大 蔵 大 臣 三塚  博君         文 部 大 臣 小杉  隆君         厚 生 大 臣 小泉純一郎君         農林水産大臣  藤本 孝雄君         通商産業大臣  佐藤 信二君         運 輸 大 臣 古賀  誠君         郵 政 大 臣 堀之内久男君         建 設 大 臣 亀井 静香君         自 治 大 臣 白川 勝彦君         国 務 大 臣         (内閣官房長官)梶山 静六君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 武藤 嘉文君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 久間 章生君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      麻生 太郎君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      近岡理一郎君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 石井 道子君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 伊藤 公介君  出席政府委員         内閣審議官   及川 耕造君         内閣官房内閣安         全保障室長   三井 康有君         内閣法制局長官 大森 政輔君         内閣総理大臣官         房管理室長   榊   誠君         公正取引委員会         委員長     根來 泰周君         公正取引委員会         事務総局経済取         引局長     塩田 薫範君         総務庁行政管理         局長      陶山  晧君         総務庁行政監察         局長      土屋  勲君         防衛庁防衛局長 秋山 昌廣君         防衛施設庁長官 諸冨 増夫君         防衛施設庁総務         部長      伊藤 康成君         防衛施設庁施設         部長      首藤 新悟君         経済企画庁調整         局長      土志田征一君         経済企画庁総合         計画局長    坂本 導聰君         科学技術庁長官         官房長     沖村 憲樹君         科学技術庁長官         官房審議官   興  直孝君         科学技術庁研究         開発局長    落合 俊雄君         科学技術庁原子         力局長     加藤 康宏君         環境庁長官官房         長       岡田 康彦君         環境庁企画調整         局長      田中 健次君         環境庁企画調整         局地球環境部長 浜中 裕徳君         環境庁自然保護         局長      澤村  宏君         環境庁大気保全         局長      野村  瞭君         環境庁水質保全         局長      渡辺 好明君         国土庁長官官房         長       近藤 茂夫君         国土庁土地局長 窪田  武君         国土庁防災局長 福田 秀文君         外務大臣官房長 原口 幸市君         外務省総合外交         政策局長    川島  裕君         外務省総合外交         政策局軍備管         理・科学審議官 河村 武和君         外務省総合外交         政策局国際社会         協力部長    朝海 和夫君         外務省アジア局         長       加藤 良三君         外務省北米局長 折田 正樹君         外務省条約局長 林   暘君         大蔵省主計局長 小村  武君         大蔵省主税局長 薄井 信明君         大蔵省関税局長 久保田勇夫君         大蔵省理財局長 伏屋 和彦君         文部大臣官房長 佐藤 禎一君         文部省初等中等         教育局長    辻村 哲夫君         文部省学術国際         局長      林田 英樹君         厚生省生活衛生         局長      小野 昭雄君         厚生省老人保健         福祉局長    羽毛田信吾君         厚生省保険局長 高木 俊明君         厚生省年金局長 矢野 朝水君         農林水産大臣官         房長      堤  英隆君         農林水産大臣官         房審議官    小畑 勝裕君         農林水産省構造         改善局長    山本  徹君         農林水産省農産         園芸局長    高木  賢君         食糧庁長官   高木 勇樹君         林野庁長官   高橋  勲君         通商産業省貿易         局長      伊佐山建志君         通商産業省環境         立地局長    稲川 泰弘君         資源エネルギー         庁長官     江崎  格君         運輸省運輸政策         局長      相原  力君         運輸省鉄道局長 梅崎  壽君         運輸省港湾局長 木本 英明君         郵政大臣官房総         務審議官    高田 昭義君         郵政省貯金局長 品川 萬里君         郵政省簡易保険         局長      金澤  薫君         労働大臣官房長 渡邊  信君         労働省労働基準         局長      伊藤 庄平君         建設大臣官房長 小野 邦久君         建設省建設経済         局長      小鷲  茂君         建設省道路局長 佐藤 信彦君         建設省住宅局長 小川 忠男君         自治省行政局長 松本 英昭君         自治省行政局選         挙部長     牧之内隆久君         自治省税務局長 湊  和夫君  委員外出席者         参  考  人         (日本道路公団         理事)     黒川  弘君         予算委員会調査         室長      大坪 道信君     ————————————— 委員の異動 二月二十四日  辞任         補欠選任   越智 通雄君     飯島 忠義君   大原 一三君     吉川 貴盛君   中山 正暉君     林  幹雄君   石田 勝之君     斉藤 鉄夫君   北側 一雄君     石垣 一夫君   海江田万里君     石井 紘基君   仙谷 由人君     前原 誠司君   松本 善明君     中島 武敏君 同日  辞任         補欠選任   飯島 忠義君    吉田左エ門君   林  幹雄君     中山 正暉君   吉川 貴盛君     大原 一三君   石垣 一夫君     城島 正光君   斉藤 鉄夫君     青木 宏之君   石井 紘基君     海江田万里君   前原 誠司君     仙谷 由人君   中島 武敏君     松本 善明君 同日  辞任          補欠選任  吉田左エ門君     越智 通雄君   青木 宏之君     仲村 正治君   城島 正光君     白保 台一君 同日  辞任         補欠選任   白保 台一君     北側 一雄君   仲村 正治君     大野由利子君 同日  辞任         補欠選任   大野由利子君     石田 勝之君     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成九年度一般会計予算  平成九年度特別会計予算  平成九年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 深谷隆司

    深谷委員長 これより会議を開きます。  平成九年度一般会計予算平成九年度特別会計予算平成九年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。斉藤鉄夫君。
  3. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 新進党の斉藤鉄夫でございます。  きょうは、最近新聞プルサーマルという聞きなれない言葉が躍っておりますけれども、原子力エネルギー問題について、まず最初科学技術庁長官通産大臣環境庁長官議論をしてまいりたい、このように思っております。どうかよろしくお願いいたします。  まず最初に、科学技術庁長官通産大臣にお伺いいたしますけれども、今や日本発電量の三分の一を占めるに至った原子力をどのように評価されているかという点でございます。  いろいろな評価がございまして、二十一世紀エネルギーの柱になるべきだという積極的評価と、いや、これは原子力必要悪なんだ、できればなくしたいけれどもしようがないんだ、こういう消極的評価があるかと思いますが、そういうことも含めて原子力に対する評価をお伺いいたします。
  4. 近岡理一郎

    近岡国務大臣 エネルギー資源の八割以上を海外からの輸入に依存している我が国にとりまして、社会経済の発展にはエネルギー安定確保が不可欠でございます。このためには、地球環境問題にも配慮しながら、各種エネルギー源を最適に組み合わせていくことが重要であります。  中でも原子力は、発電の過程で二酸化炭素を発生せず、地球環境問題の解決に貢献することができるし、また供給安定性経済性にすぐれておるなどの特徴がありまして、既に総発電電力量の三分の一を担う主要なエネルギーとなっております。その役割は、今後ともますます重要になるものと積極的に評価したいと思います。  今後とも、安全確保大前提として、国民理解を得ながら、その着実な開発利用を推進してまいりたい、このように思います。
  5. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 資源小国日本にとっては、エネルギー安定供給、これは言うまでもなく重要な課題でございますし、また一方、CO2の排出による地球の環境問題、これにも対応していかなければいけません。  こうした状況にかんがみて、安定供給環境特性の点ですぐれており、そして、発電コストについてもすぐれた安定性がある原子力発電というものは重要なエネルギー源であるというのは御指摘のとおりでございます。  そこで、これからは省エネルギーの徹底ということと、それから新エネルギー開発導入ということについて最大限努力する一方、安全の確保及び平和利用の堅持ということを大前提に、国民理解協力を得て着実に原子力開発、これを進めていきたい、こんな考え方でございます。
  6. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 科技庁長官通産大臣も、安全性に最大の配慮をしながら積極的に評価をするというお答えだったと思います。  今ある原子炉軽水炉でございまして、燃料であるウランを燃やす。ウランを燃やして燃えかすをそのままにしておくという方法ですと、ウランの確認可採年数は七十三年と言われております。今のままでウランを使い続けていけば、七十三年で資源もなくなってしまう。ですから、一世紀燃料需要も満たさないということになってきます。  そこで、そのウランを六十倍有効に使える高速増殖炉ウランをうまくプルトニウムに転換しながらそのプルトニウムをまた燃やす、この高速増殖炉意味が出てくるわけでございます。六十倍有効に使えるということでございますので、ウランをただ燃やすだけですと七十年でした。六十倍しますと四千年。四千年間は日本エネルギーは問題がなくなるということで、夢のようなエネルギー源高速増殖炉がなるわけでございます。  そういうわけで日本も、エネルギー長期計画の中でこの高速増殖炉を中核に据えて研究開発を行ってきました。これまでに費やした国費は一兆円を超えております。民間が出したお金も含めますと、一兆一千億円を超えております。そういう状況。  また、昭和四十二年から日本もこの高速増殖炉研究を始めたわけですが、他の先進諸国用意ドンで同じように始めた。ところが、ほかの先進諸国は一抜け、二抜けしていって、気がついてみたら日本フランスだけが残っていた。フランスも、もうそろそろやめようかなという雰囲気がある。しかし日本は、もう一兆円以上のお金を使った、高速増殖炉をやるのだということでやっていた。そこへ、一昨年の十二月に起きたのが「もんじゅ」の事故でございます。高速増殖炉の最先端の研究をする原型炉もんじゅ」の事故でございます。絶対漏れないと言っていたその冷却剤ナトリウムが、実際に漏れてしまった。  二月二十日、つい先日、この最終報告書、「もんじゅナトリウム漏えい事故原因究明結果についてが科学技術庁から出ました。この結果も踏まえて、この研究開発の総責任者であります科学技術庁長官の「もんじゅ事故に対する総括といいましょうか、感想をお聞かせ願いたいと思います。
  7. 近岡理一郎

    近岡国務大臣 今月二十日に公表した事故報告書により、「もんじゅ」のナトリウム漏えい事故の技術的な原因究明は一応終了いたしました。  今後は、昨年十二月より実施している「もんじゅ」の安全性点検を着実に進めるとともに、原子力委員会に設置した高速増殖炉懇談会において、「もんじゅ」の扱いを含めた将来の高速増殖炉開発のあり方について幅広い審議を行い、国民各界各層の意見を政策に的確に反映していくことといたしております。  「もんじゅナトリウム漏えい事故は、事故の発生はもとより、その後の情報の取り扱いが極めて不適切であったことから、原子力政策に対する国民の不安、不信を著しく高める等社会的に極めて大きな影響を及ぼした事故であったと認識をいたしております。このことを十分に念頭に置き、原因究明は終了したものの、今後とも引き続き、積極的な情報公開を行い、原子力政策に対する国民的合意形成、信頼の回復に向け、最善の努力を尽くしてまいりたい、このように思います。
  8. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 この「もんじゅ」の事故が、日本国民に非常に大きないろいろな意味でのインパクトを与えた。行政に対する不信という意味でも、また、大きな言葉で言えば、文明論的な意味でも大きなインパクトを与えた割には、先ほどの近岡科学技術庁長官総括はちょっと甘いのじゃないかなという感想でありますけれども、これはまた引き続いて議論をしていきたいと思います。  さて、「もんじゅ」がとまって一年以上、最近新しい動きが出てまいりました。一月二十日に通産省が、総合エネルギー調査会原子力部会中間報告書というのを出しました。これを受けて、一月三十一日に、当面の核燃料サイクル具体的施策についてという決定科技庁原子力委員会が出しました。それを受けて、二月四日に閣議で当面の核燃料サイクルの推進に関する閣議了解というのが出ました。  通産科学技術庁閣議という一連の動きの中でございますが、いろいろなことがそこで書かれているわけですが、一番大きなポイントは、プルサーマルという言葉前面に出てきたわけでございます。つまり、これまでは、使用済み核燃料を再処理をして、そこから出てくるプルトニウム高速増殖炉で使う、高速増殖炉で使えばまた余分のプルトニウムができる、それをぐるぐる回せば何千年もエネルギー心配ない、この高速増殖炉路線だったわけですが、その高速増殖炉がとんざした。だから、使用済み核燃料を再処理して出てきたプルトニウムを、今全国五十基動いておりますが、その今ある軽水炉でこのプルトニウムを燃やす、これがプルサーマルということだと思うわけですが、このプルサーマル前面に出てきました。  余剰プルトニウムを持ちたくない、余剰プルトニウムを持っていれば核武装をするんじゃないかという要らぬ心配を外国からされる、だからできるだけ使ってしまいたいというのはわかりますし、軽水炉で燃やすということもわかるわけですが、私が今ここで問題にしたいのは、そういう大きな方針変更、これまでは高速増殖炉でやっていくんだといったのが、国会で一度の議論もされずにプルサーマルに徐々に変わりつつある。一体どこで民主的プロセスを経てそういう方針変更がされたのか、私はその点を問題にしたいと思います。  原子力は、民主公開平和利用、これが三原則でございます。民主という以上、小さな方針変換はさておいて、こういう大きな方針変換国民の代表であるこの国会できちんと議論をして、そして方針変換をするというのが民主的プロセスじゃないでしょうか。今回プルサーマルが知らぬうちに出てきたそのプロセスを簡単に説明していただきたいと思います。
  9. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 お答えをいたします。  プルサーマルと申しますのは、既存の軽水炉プルトニウム燃料を燃やすということでございますが、この考え方につきましては、平成六年の原子力委員会が策定しました原子力開発利用長期計画、それから、それ以前の累次の長期計画におきまして、既に軽水炉プルトニウム利用しようという方針がもうできております。その後、将来的には高速増殖炉での利用を図っていく、これが原子力政策の基本でございます。  ところで、今回のプロセスでございますけれども、「もんじゅ」の事故を契機といたしまして、昨年の一月二十三日でございますが、福島、新潟、福井の三県の知事から、原子力に関する国民的合意形成核燃料サイクルの全体像の明確化等を求める提言が出されました。そういう提言等を踏まえまして、原子力委員会におきましては昨年の四月から九月まで原子力政策円卓会議というものを、大臣も出席されまして、計十一回開催したわけでございます。  その円卓会議議論を踏まえまして、昨年の十月、原子力委員会で今後の原子力政策の展開についてという考え方を示しまして、そこでプルサーマルにつきましては、総合エネルギー調査会の検討結果も勘案して、その目的、内容を改めて早急に示す。それから、エネルギー調査会におきましては、そういうものも取りまとめまして、一月二十日、先生今御指摘ございましたように取りまとめたわけでございます。  それから、その考えに続きまして一月三十一日、プルサーマルにつきましての考え方を改めて示すなどの先ほどの原子力委員会決定がされ、さらに四日に閣議了解を行ったという次第でございます。  以上でございます。
  10. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 プルサーマルはもう以前からの方針だ、かつ原子力円卓会議にもかけた、だから問題ないんだ、要するにそういうお答えだったと思うんですけれども、プルサーマルを、高速増殖炉を柱に置いてそれを達成するときの一時的な補完をするものだという考え方であれば、確かに以前固まっていた方針だというふうに言えるかもしれません。  ところが、現在報道を読みますと、その報道を読んで国民皆さんがどう感じているかといいますと、もう高速増殖炉路線は捨てたんだ、もうプルサーマルでいくんだ、こういうふうに国民皆さん理解されていますよ。私が地元を回っても、皆さん、もう高速増殖炉はやらないんですね、こういう理解です。これでいいんでしょうか。いいんでしょうかというのは、そういう大きな方針転換国会で一遍の議論もせずに変えたというふうに国民の皆様は思っております。  新型転換炉というのがございました。これも昭和四十二年に始まりました。これは、高速増殖炉軽水炉の間をつなぐものとして新型転換炉というものの開発が行われておりました。投入された国費は三千五百億円。青森県の大間にこの新型転換炉実証炉をつくる。つい三年前の原子力白書にも、この新型転換炉は建設するんだ、研究をこのまま続けていくんだという白書が出たにもかかわらず、その白書の直後にこの新型転換炉をやめるという方針転換が突如なされました。これは、電力業界、電事連が、もう新型転換炉なんか電力業界は興味ない、こういうことで、その電力業界意向を全面に受けて、三千五百億円、我々の国税を投入したその研究が突如中止をされたわけです。あのときも国会での議論は一遍もなしです。予算委員会でも科学技術委員会でも一遍の議論もなしに、この三千五百億円、投入した国税をもうどぶに流しましょうということが決められているわけです。これは国会無視じゃないでしょうか。  今回も、同じように一兆円以上かけてきたこの高速増殖炉を、また電力業界意向を多分に受けてプルサーマルに徐々に変換していこう、こういうふうに私には思えますし、新聞報道もそうなっているわけですけれども、科学技術庁長官、これは先ほど政府委員の答弁にあったように、いや、プルサーマルはやはり当面の措置なんだ、やはり高速増殖炉を目指すんだということなんでしょうか、それとも、いや、本音は実質的転換なんだ、新聞に書いてあるように実質的転換なんだということなんでしょうか。
  11. 近岡理一郎

    近岡国務大臣 先ほど私が申し上げましたとおり、高速増殖炉懇談会で、これから総点検の結果を踏まえながらこれは慎重に処理すべきものであって、決して新聞に報じられているようなものではない。先ほど私どもの政府委員から申し上げたようなことであるというふうに私は理解しております。
  12. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 先ほど御説明しましたように、高速増殖炉開発につきましては、我が国では二〇三〇年ごろの実用化を考えております。しかも、二〇三〇年ごろに高速増殖炉実用化されましても最初から大量に投入することはなくて、その二〇三〇年以降も軽水炉と併存する状況になるかと思います。したがいまして、二〇三〇年、それからそれに引き続きましてやはりプルトニウムを使っていくためにはプルサーマルしかないわけでございまして、それは累次過去の長期計画から一貫した考え方でございます。  しかしながら、今回ニュース等に転換とか変換とか見出しが出ましたので、国民皆さんに誤解を与えていることにつきましては、もう少し我々は一生懸命説明したいと考えております。
  13. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 私は、高速増殖炉路線、決めたんだからそれを推し進めろと言っているんじゃないんです。ただ、そういう大きな方針転換があるときにはきちんと国会議論をすべきだ。国費、税金を使って研究していないんだったらいいんですけれども、税金を使って研究しているわけですから、そのプロセスを大事にするのが原子力で今一番大事ではないかということを言っているわけでございます。  高速増殖炉を目指す方針は変更していないというお答えでございました。  それでは、原子力委員会の中に今度、高速増殖炉懇談会というものができました。この位置づけはどうなるんでしょうか。高速増殖炉懇談会の「目的」のところに、「「もんじゅ」の扱いを含めた将来の高速増殖炉開発のあり方について幅広い審議を行い、」と書いてございます。これを素直に読めば、「もんじゅ」をどうするか、もうこのままとめてしまうのか、そして高速増殖炉研究そのものも、一兆円使ってきたけれども、ここでやめるのか、やめないのか、そういうのを審議してもらって、その審議結果を十分尊重してこれからの高速増殖炉路線を決めますというふうに読めます。つまり、この高速増殖炉懇談会は、先ほど進めるんだとおっしゃいましたけれども、この懇談会の結果を見てやめることもあり得る、そういう位置づけの懇談会である、こういう理解でよろしいですか。
  14. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 先ほど高速増殖炉の意義につきましては先生の方からお話がございました。しかしながら、「もんじゅ」の事故を契機といたしまして、高速増殖炉開発を初めとします原子力政策につきましては、国民の不安、不信が非常に高まった次第でございます。そのために、先ほど申しましたように、円卓会議等、国民的な合意を図っていく、そういうことが必要であることはもう痛感しております。  特に「もんじゅ」をこれからどうするかということにつきましては、地元の方々あるいは国民の方々の理解を得ないと、この高速増殖炉路線も進めるわけにいきません。したがいまして、その「もんじゅ」の扱いも含めまして、将来の高速増殖炉開発のあり方につきまして、委員になるべく幅広い方々、学識経験者の参加を得まして、国民各界各層の意見をさらに政策的に的確に反映させるために今回懇談会を開いた次第でございます。  原子力委員会としての基本的な考え方はあるわけでございますが、やはり各界の幅広い人たちの意見を聞きまして、そこに国民の声や地元の声も反映していきたいということでございまして、そういうことによりまして国民理解の得られる高速増殖炉政策を進めてまいりたいと考えております。
  15. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 どうもよくわからないんですけれども、つまり高速増殖炉路線はあきらめていないんだ、やるんだ、しかし、いろいろな不満があるから、その不満の声を言ってもらって、多少色づけを変えながらいきましょう、ガス抜きの高速増殖炉懇談会、こういうふうに見えるわけですけれども、それじゃ委員の先生に余りに失礼なんじゃないでしょうか。どうもこの位置づけが本当にはっきりしない。もしそういうガス抜きであるのであれば、もうガス抜きという位置づけをすればいい、これはまた難しいと思いますが。しかし、そういう位置づけを、原子力の意思決定の位置づけをはっきりさせる、そのためにこの懇談会をどういうふうに位置づけるかをはっきりさせるということが必要だと思いますが、いま一度明確な答弁を。
  16. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 もちろん、懇談会を開きまして、そういうために来ていただいているわけでございますから、予断なしに議論していただきたいと思っておりますし、我々としてはいろいろな資料も十分持っておりますので、そういうものを説明しながら、先生方の御意見で決めていただきたいと思っております。
  17. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 民主的プロセスを大事にするという意味で、この懇談会の議論を尊重していただきたい、このように思います。、  それから、通産大臣科学技術庁長官、先日、福井、新潟、福島の三県知事にお会いになって、この席でプルサーマル路線の説明をされたようでございます。高速増殖炉路線と「もんじゅ事故プルサーマル路線、これをどのように説明されたのか、また、そのときの知事のお答えはどういうものであったのか、お答え願いたいと思います。
  18. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今委員が御指摘のように、二月四日の日の閣議了解を受けまして、二月の十四日に福島と新潟と福井の三県知事さん、御上京願いまして、そして昨年の一月の、先ほど説明がありましたような三県知事の提言を踏まえて、通産科技庁、両省のさまざまな努力や先般の二月四日の日の閣議了解、この内容を説明して、御協力をお願いしたわけです。  今御指摘プルサーマルについては、FBRが実施されるまでの間、プルトニウム利用の柱とすること等を説明いたしました。これは、将来的に重要な高速増殖炉について、閣議了解にもあるとおり、高速増殖炉懇談会において将来の開発のあり方について幅広く検討することを前提として説明を行ったものであります。  したがって、FBR路線とプルサーマル路線を対峙する形での説明はしておりません。  なお、三県知事さんからは、閣議了解を含めこれまでの通産及び科学技術庁の努力について総じて評価をいただくとともに、今後県議会、地元市町村と相談しつつ対応するという旨の発言がございました。
  19. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 今後の「もんじゅ」の扱い、またプルサーマルを実際の軽水炉で、今動いている軽水炉で燃やすという問題、これは住民の合意、そういう民主的プロセスをとりながら進めるということが今後のエネルギー行政にとって一番大事だと思いますので、その点、よろしくお願いします。  また、先ほど申し上げましたように、知らず知らずのうちに方針を転換するんではなく、その都度国会でもきちんと議論をしていきたい、このように思いますので、よろしくお願いします。  それから、原子力といいますと環境という言葉が出てくるわけでございますが、ちょっと環境庁長官にお伺いいたします。  この十二月、京都で気候変動枠組み条約締約国会議第三回、COP3が行われるわけです。一九九〇年の二酸化炭素排出レベルに各国抑えなきゃいけないという義務があるわけですけれども、こういう中で、原子力というものを環境庁長官としてどういうふうにとらえていらっしゃるか。普通、原子力というと反環境というふうなイメージがあるわけですけれども、この二酸化炭素排出抑制という観点から原子力をどうとらえていらっしゃるか。  それと、もしよろしければ、これとは直接関係ありませんが、先ほど来議論が続いておりますプルトニウムを燃やすということ。プルトニウムを燃やさなければ、ウランを燃やしてそのまま使用済み核燃料にしておけばいいわけですからあれなんですが、プルトニウムを出すということになりますと、再処理でプルトニウム抽出という過程が入ります。これは大変大きな環境負荷をもたらすわけで、プルトニウムを燃やすということについて、これは環境庁として正式な見解はまだ出ていないと思いますが、石井環境庁長官個人の見解でよろしゅうございますので、プルトニウムをどう考えていらっしゃるか、お聞かせ願いたいと思います。
  20. 石井道子

    石井国務大臣 地球温暖化の問題につきましては、地球的規模で大きな関心を持っているわけでございまして、今度の京都会議につきましては、これからの二十一世紀に向かっての国際的取り組みの枠組みを決める重要な会議であると認識しております。  日本では、世界第四位の二酸化炭素排出国でございますので、それなりにやはり国内対策に積極的に取り組まなければなりません。そのようなことで、二酸化炭素の排出量を大幅に減らしていくことが必要でございまして、そのためにエネルギーの効率的な利用でございますとか省エネルギー、そして二酸化炭素排出量の少ないエネルギー開発とか二酸化炭素を排出しないエネルギー開発研究、そして導入、普及というふうなことをする必要があるわけでございまして、それは国民的な規模で普及啓発や国民参加の対策を進めていくことが重要と認識しておりまして、今それについて取り組んでいるところでもございます。  環境基本法にも示されているのでございますが、放射性物質によります大気汚染等の防止については原子力基本法その他の関係法律で定めるということになっておりますので、エネルギー政策としての原子力利用のあり方につきましてはお答えできる立場にはないのでございますけれども、しかし、原子力発電というものは二酸化炭素を排出しないエネルギーであるということを踏まえまして、地球温暖化防止行動計画や環境基本計画におきまして、放射性廃棄物対策や、また安全性確保されるということを前提としてその利用を進めるということの方針が位置づけられておりますから、私としてもそのように考えているところでございます。
  21. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 環境庁としてもCO2を出さないエネルギー源として評価するということでございましたが、どうも環境庁のCOP3に対してのいろいろな提出されている書類を読みますと、原子力という言葉が余り出てこないような気がします。今度のCOP3を推進する環境庁ともう一方の大きな力であるNGO、NGOを刺激しないために原子力という言葉は余り使ってないんじゃないかなというような気がするわけですが、もし環境庁として原子力をそう評価するということであれば、自信を持って書かれるべきじゃないでしょうか。一方でこちらに配慮するために、本当はこうしたいと思っているんだけれども、その言葉を出さないという姿勢はちょっとどうかと思います。本当に原子力評価するというふうにお考えであるのであれば、きちんとそれを明示されてしかるべきだと私は思います。  それからもう一点、環境庁長官、最近の環境アセスメントの審議会の中で、環境アセスメントの対象から発電所は外すべきだ、こういう議論が、特に通産系からたくさんあったというふうに聞いて一まあ通産系からというのは取り消します。発電所は外すべきだという意見がたくさんあったというふうに聞いておりますけれども、環境庁長官、それに対してはどういうふうにお考えでしょうか。
  22. 石井道子

    石井国務大臣 この問題につきましては、随分長い間いろいろと検討を進めてまいりました。そして、中環審の答申が総理に出されました段階で、総理の御答弁にもありましたように、やはり発電所も含めて統一的な枠組みの中で考えていく、そして透明性を確保しなければならないということになっておりますので、今法律の中身につきましては、事務局なりいろいろと慎重に、十分に調整を図りながら検討しているところでございます。
  23. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 よろしくお願いいたします。私は発電所も加えるべきだ、このように思います。  それから、今プルサーマル高速増殖炉議論を進めてきたんですが、もう一つ先のエネルギー源、核融合について最後にちょっと御質問をしたいと思うんですけれども、現在、核融合については、日本にJT60、アメリカにTFTR、そしてヨーロッパにJET、こういう三つの、三大トカマクがございまして、競争をして研究をしております。日本もこの核融合に費やした研究予算、トータルはもう高速増殖炉と変わらないぐらいになっているんじゃないでしょうか。JT60はこの三つの中でも非常に優秀な成績をおさめている。ひょっとすれば、核融合エネルギー最初に実現する力を持っているのは日本ではないかと言われるぐらいこのJT60がいい成績を上げているわけでございます。  このJT60の次の核融合炉をどうするかということで、この次の核融合炉は余りに金額が大きくなり過ぎて日本一国ではつくれない、国際協力でつくろうということになっております。日本、アメリカ、ヨーロッパそれにロシアも加わって、国際協力で国際熱核融合炉をつくろう。私はこの建設をぜひ日本に持ってくるべきだ、このJT60の結果を有効に使うためにも日本に持ってくる。これは非常に幅広い周辺技術がございます。日本に来るだけで、日本の科学技術力というのは格段に上がる。これは、橋本総理のおっしゃる科学技術創造立国、それを推進する非常に大きな起爆剤になる、このように思います。このITER誘致について、科学技術庁長官、どのようにお考えでしょうか。
  24. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 ITERにつきましてでございますが、現在、アメリカ、ヨーロッパ、ロシア、日本と、四カ国の共同で進められているところでございますが、このITERにつきましては、非常に長期にわたりまして、大きな資金、人材等を要する計画でございます。そのために、先般、原子力委員会でITER計画懇談会というのを設置いたしまして、第一回の会合を開いたところでございます。座長には吉川東大総長をお願いしております。  しかしながら、ITERにつきましては、国際間で実際に協力ができるかどうか、膨大な投資に対して国民理解が得られるかどうか、あるいは財源の確保ができるかどうか、いろいろな問題がございます。したがいまして、そういうものを含めまして、同懇談会の議論、内外のさまざまな環境を十分見極めましてITER計画に取り組んでまいりたいと思います。そういう中で、そういう誘致の問題につきましても考えてまいりたいと思います。
  25. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 科学技術創造立国建設のためにもぜひ前向きに御検討いただきたいと思います。原子力エネルギー問題についての質問は以上でございます。  次に、これも環境に関連した問題でございますが、森林の荒廃と環境問題について、農水大臣また環境庁長官議論をさせていただきたいと思います。  森林荒廃、特に松枯れが非常にひどくなっております。特に、私の地元広島では目を覆うばかりでございまして、大臣も、広島空港からおりて広島市へ行くその高速道路の両側、まさに死の山が続いております。  森林それから海洋というのは、我々生物の存在を根底から支えている基底部分でございます。この森林の荒廃は、まさに我々の将来を暗示しているような気がしてしようがございません。こういう森林の荒廃を見て、農水大臣また環境庁長官、地元ではどういう状況か、またどういうふうにお感じになるか、お聞かせ願いたいと思います。
  26. 藤本孝雄

    ○藤本国務大臣 委員は広島で、私は高松でございまして、瀬戸内海を挟んでおります。今松くい虫の被害が全国的に非常な広範囲に発生をしておりますことは御承知のとおりでございます。私の地元は、香川県の中で約四割が松林でございますし、私の郷里の高松は、松が多いから高松と言っているんじゃないかというぐらい松が多いわけでございます。  今の被害状況は、残念ながら全国の中で四%、香川県は人口単位からいたしますとよく一%行政と言われておりますから、全国の四%という被害は非常に大きいわけでございます。私も、地元の問題でございますから、この松くい虫の対策には長年頭を痛めておりまして、要は、私専門家でございませんから学問的なことはよくわかりませんが、私が知り得た情報からいたしますと、この害虫が松の表面に出てくるのが短期間である、その短期間にこの害虫を駆除するということが対策上は一番的確なやり方である、それに一番的確な方法は空中散布だ、こういうふうに聞いております。  ただ、その空中散布に対しましては、いろいろ地元で意見もございまして、なかなかその点が十分にできないということも今の現状だろうと思います。ただ、私は、この森林を守る、松林を守るという観点からいたしますと、地元の方々の理解を得ながら、どういう対策が最もこの松くい虫防除の対策として有効かということについて辛抱強く話し合って結論を出さなければ、これは対策としては立たないというふうに思っておるわけでございまして、私もこの問題には非常に頭を痛めておりますし、同時に、この松くい虫の対策については力を入れていかなきゃならない、そういうふうに思っております。
  27. 石井道子

    石井国務大臣 広島県につきましては、森林に占める松林の面積が三九・三%と伺っております。私どもの埼玉県ではそれが四%でございますので、それほど松枯れ状況がひどくはないという状況でございます。広島県を初めといたしまして瀬戸内海におきましては、ひどい被害が広範囲に発生しているということでございまして、その対策については大変複雑で困難な状況であると聞いているわけでございます。  白砂青松というような言葉もありますように、我が国におきましては、松林は景観の構成要素としては大変重要な役割を果たしていると思っておりますが、この代表的な風景としての守るべき松林につきましては、この美しい景観を後世に引き継ぐためにも、私といたしましてもできるだけの努力をしていきたいと思っております。
  28. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 この森林の荒廃、松くい虫の問題、農水省は、主因は松くい虫であるということで、昭和五十二年に松くい虫被害対策特別措置法で、主に農薬の空中散布で被害をなくすのだという方針のもとで、これまで莫大な費用をかけて行われてきました。  しかし、効果が余り上がっていないという声が大きくなっております。また、効果が上がっていないということのほかに、環境庁の国立環境研究所でも、農薬の森林への空中散布というのは非常に生態系を破壊するという研究報告も出ております。松くい虫だけを殺すというわけにはなりませんで、やはり他の昆虫も皆殺しにするわけでございますし、またその地域が、我々が飲んでいる水の水源地域であるということを考えれば、非常に環境上も大きな問題であろう、こういうことが言われてきております。また、空中散布が多く行われている地域では、住民の頭痛、腹痛それから目のちかちかというふうなことも報告をされております。  こういうことから考えますと、効果という意味でも、また環境上の観点からも、もうこの空中散布をやめて、その限られた予算を被害地対策に集中的に使う、例えば伐倒駆除、それから樹種を転換する、あとは手を入れていろいろ森をきれいにする、こういう対策に集中すべきではないかという声が上がっております。  また、それに時を同じくして、この松くい虫主犯説はおかしいのではないかという学説が今また出てきております。学界の方でも今大きな論争になっているようでございますが、松くい虫が主犯ではないんだ、基本的に環境要因なんだ、酸性雨、また大気汚染、ディーゼルの排気ガスの微粒子、それが葉っぱの穴に詰まる、こういう環境が主因である、体力が弱ったところに松くい虫がただ繁殖するにすぎない、こういう学説も出てまいりました。これはかなり説得力を持っておりまして、高速道路に面した山は全部松が死んでいるのに、その頂上を過ぎた裏側はほとんど松が枯れていないというふうなものをよく見ます。こういう状況を見ますと、確かにこの学説も正しいのかなと思ったりもします。  ここで学術論争をする気はありませんので、いずれにしましても、松くい虫主犯説で行ってきたこの空中散布、これは今非常に大きな曲がり角に、考えるべきときに来ているのではないか。ところが、もう二十年来の予算、いろいろ既得権がある。農薬会社それから空中散布をする会社、そういう既得権の関係からこの予算が切れないんだというふうな説もあるわけでございまして、これは行政改革が叫ばれている今、もう一度この環境という意味から、また効果という意味から考え直してみるべきではないかと思いますが、農水大臣、いかがでございましょうか。
  29. 藤本孝雄

    ○藤本国務大臣 我々は決して頭がかたいわけではございません。いかにして森林を守るか、その森林を守るためにどういう選択肢があるか、従来やってきた対策について、それが果たして効果があるかどうか、そういう観点で考えていかなきゃならない、そういう課題であると思っております。  ただ、委員指摘の中で、松くい虫に松が影響を受ける場合には赤くなります、御承知のとおり。これはもう判然とこの結果が出るわけでございまして、その点については、確かに言われましたようないろいろな原因が複合しておると思いますけれども、一番大きな原因はやはり松くい虫だというふうに思っておるわけでございます。ただ、最初に申し上げましたように、決して頭がかたいわけではございませんので、十分に検討、研究をいたしまして適切な対応をするということは当然のことだと思っております。
  30. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 環境庁長官、こういう空中散布、環境庁の研究所も、環境上問題がある、こういう結果を出されているわけでございまして、私は、環境庁がもっと大きな声で行政について発言すべきだ、今の環境庁は声が小さ過ぎる、このように思うわけでございます。  この空中散布の問題、先ほどの原子力の問題、これから環境行政について、環境庁としてもっと声を高らかに頑張っていくぞという決意をいただきたいと思います。
  31. 石井道子

    石井国務大臣 御指摘になりました国立環境研究所の研究における結果につきましては、水田への農薬の空中散布のときに河川生物が減少するということが報告をされているところでございます。最近の農薬は、過去のものと比べまして、選択性とかあるいは分解性の面で改良されたものが多くなっているわけでもございますが、散布地域に生息する昆虫等に一時的にもせよ影響を及ぼすことは避けられない状態があるわけでございます。  このようなことを踏まえて、農薬の空中散布に際しましては、散布される薬剤の特殊性を十分把握をした上で散布することが肝要であると考えておりますし、また、あらかじめ自然環境の実態把握に努めまして、貴重な野生生物、動植物の生息または生育地であることが判明した場合には、散布地域から除外する等の配慮の上実施する必要があると考えております。  森林荒廃の原因というものにつきましては、大気汚染とか松くい虫の複合的なものと考えられると思うわけでございまして、そのような点ではこれから大いに研究をして調査をしていく必要があろうと思います。特に都市地域におきます大気汚染につきましては、依然として深刻な状態にあるわけでございますので、工場とか事業所に対します排出規制とか自動車排出ガスの規制や、また低公害車の普及など総合的な対策を進めていく必要がありますので、関係各省庁にも声を大きくしてこれからも申し上げていきたいと思っております。  松枯れも含めまして、樹木の衰退の原因につきましては、病害虫のほかにも酸性雨などの影響もあるというふうに考えられるわけでございますが、このようないろいろな説があるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、樹木の衰退を十分に説明できない状況でもございます。現時点では、大気汚染それから樹木の衰退との関係が科学的に解明できるようにさらに調査研究を進めていきたいと思っております。
  32. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 私は、環境とエネルギー、環境と森林荒廃という観点から質問をさせていただきました。環境庁の踏ん張りを期待して、関連質問で石垣一夫君に時間を譲ります。
  33. 深谷隆司

    深谷委員長 この際、石垣一夫君から関連質疑の申し出があります。斉藤君の持ち時間の範囲内でこれを許します。石垣一夫君。
  34. 石垣一夫

    石垣委員 最初に、実は橋本総理に一つずつお聞きをしたがったのでございますけれども、御出席できないということでございましたので、総理と一心同体である立場におられる梶山官房長官にお聞きをしたいと思うのです。  先般、朝鮮民主主義人民共和国の体制危機に伴い、日米共同対処ということで、今ワシントンにおいてこの論議が行われている、こういう報道があったのですけれども、この報道は事実でございますか。
  35. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 そのような協議の申し入ればなかったと承知いたします。
  36. 石垣一夫

    石垣委員 そこで、この朝鮮民主主義共和国が体制危機に陥った場合、いろいろのケースが予想されるのですけれども、難民流出あるいは朝鮮艦船の日本領海への侵入問題等。アメリカは、日米防衛協力の見直しと別枠で日米共同でこの問題に対する指針を求めている、こういうことは聞いておるのですけれども、我が国はこの北朝鮮の情勢についてかなりアメリカと認識に落差がある、一部こういう報道がございますけれども、この点はどうなのですか。
  37. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 いわゆる朝鮮半島有事の際のことでございますが、仮定のことでお答えをするわけにはまいりませんけれども、昨年夏、私はあるセミナーの講師として招かれまして、その問題に触れたことがございます。やはり有事のときにどう対応するか、まずもって私は、自分の国の自衛とは何なのか、その場合、我が国古来の、いや、国家本来の権利である自衛権をどう発動するかという問題に関して、残念ながら外務省や防衛庁の研究が足りない、こういうことで国民を安心させておけるかどうか、こういう問題を申し上げたことがございます。  一方、防衛庁やあるいは外務省というより、政府は、総体で、いわば日米間のいろいろな協議のもとに朝鮮半島有事の際にどう備えるかということは、私はこれから日米間の大きな協議になろうと思います。しかし、どんなことがあっても憲法上の制約がございます。ですから、自衛隊がみずから海外に出ていくことは絶対あり得ない。しかし、日本を守ってもらう日米安保というのがあるならば、五条、それは私は片務であってはならないはず。ですから、当然双務にするためには、米軍の存在がアジアにあることによって得るアジアの利益ないしは米国の利益、これを補完して担保しない限り、日米安保条約というのは片務になってしまう、そういうものを想定に入れながら物事は対処しなければならない、このように考えております。
  38. 石垣一夫

    石垣委員 今官房長官の答弁にありましたように、米軍との共同行動なれば集団的自衛権の行使を禁じた我が憲法との関係も大きな問題が出てくるのは当然であります。しかし、そういっていつまでもこれを放棄するわけにいかない、こう私は思います。だから、憲法と日米協力の整合性を現実のものと踏まえてこれに対処すべき時期が来ているのではないか、このように思うわけであります。  さらに、日米共同の体制が憲法によってかなりハードルがあるという場合は、やはり我が国独自のガイドラインをつくらにゃいかない、こういうふうに考えるのですけれども、いかがでしょうか。
  39. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 まず私が明確に申し上げられることは、いわば自衛権、憲法以前の自衛権というものの存在、それに基づいて日本の有事の際、日本の国土に万一のことがある場合は、当然これは有事に対応する能力と法制度を整備しておかなければならない。これは私は、官房長官としてよりも、むしろ議員としての責任だという感じを前から持っております。  それから、これだけ交通機関や通信機関、兵器の発達した今日、日本の領海ないしは日本の領土内でのみ処理ができるのかどうなのか、この問題にどう対応するかという問題が大きい問題ではないかと思います。幸いに日本は日米安保条約を結んでおりますから、一義的にそういうものはアメリカの力をかりる、ないしはアメリカの日米安全保障における義務として日本の防衛をしていただくならば、そこに私は画然とした分野があってもいい。しかし、それのみで達成できないときにどうするか、この問題は真剣に研究をしておかなければならない大切な問題だというふうに考えております。
  40. 石垣一夫

    石垣委員 いわゆる朝鮮半島の危機認識の問題でございますけれども、官房長官も早急にこれは考えにゃならない、こうおっしゃるのですけれども、万一、我々はあり得べからざることとして考えたいのですけれども、こういう政治情勢ですから、どういうことがあるかわかりません。すなわちこれは有事であります。  そのときに、例えば朝鮮半島に緊張が高まった場合、考えられるケースとしては、いわゆる難民船の監視、保護、あるいはまた武装難民や工作員の侵入問題、海上自衛隊の出動問題、あるいはまた海上保安庁と自衛隊の役割分担、海上自衛隊と米軍の共同行動への役割や活動内容の明確化、あるいは海上自衛隊と米軍の共同行動のその根拠や手続、こういう問題がいろいろ想定されるのですけれども、私は、有事に際して、常に、備えあれば憂いなし、これは古来のことわざであります。果たして今、日本政府にこれができておるのか、非常に危惧を抱くわけでありますけれども、さらにもう一度官房長官の御答弁をお願いしたいと思います。
  41. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 みだりに有事を想定していろいろなことを具体的に申し上げるべき立場にはございません。政府としての役割ないしは公的な立場、これは理解をいたしているつもりでありますが、委員おっしゃるとおり、いろいろなものは想定してやっておかなければなりません。そういうものに対して準備を進めていると私は期待をいたしておりますし、これを対外的に申し上げる立場にないことをお許しを願いたいと思います。
  42. 石垣一夫

    石垣委員 では、質問を次に変えます。  法制局長官にお聞きしたいのですけれども、閣議決定ということは、法的に内閣に対してどのような拘束力を持つのか、お伺いしたいと思います。
  43. 大森政輔

    ○大森(政)政府委員 閣議決定と申しますのは、最高行政機関である内閣の意思決定でございます。したがいまして、それを構成する国務大臣のみならず、その統括下にある関係行政機関及びその職員を拘束するということが言えようかと思います。
  44. 石垣一夫

    石垣委員 そこでお伺いしたいと思うのですけれども、特殊法人の整理合理化の問題に関連して、歴代内閣は、昭和三十九年以来、実に二十四回にわたって閣議決定をされているわけであります。ところが、例えば、例を挙げますと、帝都高速交通営団ですか、これは昭和六十一年十二月三十日に第一回の閣議決定をされて、五年以内に可及的速やかに特殊会社に改組せいと、平成元年の一月二十四日には、平成三年を目途に可及的速やかに特殊会社へ脱皮を図ろう、こういうふうに閣議決定がなされまして、実に九回にわたって閣議決定されているのです。一番最近は、平成八年十二月二十五日であります。  北海道東北開発公庫、これは五十九年一月二十五日第一回、以降五回にわたって閣議決定されておる。環境衛生金融公庫、これまた五十九年一月二十五日以来五回にわたって。以下、年金福祉事業団、これが四回。雇用促進事業団、四回。地域振興整備公団、五回。簡易保険郵便年金福祉事業団、四回。農用地開発公団、六回。  今例を挙げましたけれども、こういう閣議決定が行われているにもかかわらず、全然これが今日に至るまで、その閣議決定の、いわゆる内閣の最高意思決定である閣議決定行政に対する担保がない。これはどのように解釈したらいいのですか。
  45. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 確かに今御指摘のいろいろな案件があったと思います。いろいろ報告を聞いておりますと、その都度その都度事情はあったようでございますけれども、少なくとも、閣議決定したものがそういう形で行われるについては、閣議決定する前に、それは不測の事態もあったとは思うのですけれども、もう少しきちんとすべきではないかと私は思っております。
  46. 石垣一夫

    石垣委員 いやいや、閣議決定が内閣の最高の意思決定機関でありますね。これはもう総理大臣のリーダーシップですわ、言うたら。これが現実に、今申し上げたように各部門にわたって実現されていない。では、閣議決定、言うたらこれ、これは言葉が過ぎるかわかりませんけれども、これは無用の長物じゃないですか。まあ、そこまで言ったら言い過ぎかわかりませんけれども、私は極めて素朴な疑問を感じるのです。  恐らく国会皆さんは、閣議決定イコール決定、これは現場でどんどん事業は進むんだ、こういう認識を持っておられると思うのですね。ところが、今例を挙げましたように、全然これが実現されていない。特にこの帝都高速の問題なんかは、次々事業が変わっている。まさにこれはカメレオンであります。こんな閣議決定があるのか。閣議決定の権威を問われますよ。だから、巷間、今の法律を改正する以外にないじゃないか、いわゆる内閣法を改正する以外にないのじゃないか、それで総理大臣のいわゆる権限、リーダーシップを強化する以外にない、こういう意見も出てきているわけであります。これについて、どうお考えですか。
  47. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 今いろいろ、けしからぬというような話もありますが、まあ私自身が、正直、閣僚をいろいろやっておりまして、閣議決定がなされたことを変更せざるを得ないことがありまして、予算委員会でも相当強い御指摘をいただいた経験がございます。これはやはり、閣議決定をやりましても、その後、先ほど申し上げたように、いろいろの事情があって変更せざるを得ない場合はあるわけであります。ただ、そのときには、やはりきちんとすべきことは当然だと思っております。  それはそれといたしまして、今御指摘のように、今後のこの特殊法人の問題についてどうするかということでございますけれども、この間申し上げたように、これは今度の行政改革の大きな柱に私どもはするつもりでございまして、今、自民党並びに与党の中でいろいろと御審議をお願いをいたしておりますが、私どもの方も、平成九年度の行政監察の中で特殊法人の見直しを、その要否を含めて、必要かどうかということを含めて、すべてできるだけ監察をしていきたい。  そして、自民党並びに与党のいろいろの御意見がある程度結論が出てきたところで、よく御協議をしながら、特殊法人全体について、必要なものは残す、必要でないものはなくしていく、あるいは統合していく、その辺のところをきちんとしたものにし、それを一つの法律にするのか、あるいは、特殊法人それぞれが法律に基づいて行われておりますので、それぞれの法律の改正なり廃止に持っていくのか、その辺はまだ結論は出ておりませんが、御指摘のように、全体についてきちんとした法律の仕組みをつくっていかなきゃならぬ、こう考えております。
  48. 石垣一夫

    石垣委員 総務長官の決意はわかるのですけれども、今回の行革に対する橋本総理の並々ならぬ決意、これは私は高く評価いたしたいと思うのです。したがって、こういう問題については、野党といえども私は賛成するにやぶさかではない、このように理解いたします。  ところで、今の法体制の中で、どうしてもさっき申し上げたような、閣議決定が現実に実現されていないという率直な疑問を持つわけであります。したがって、今後、この閣議決定が、まあ少なくとも、それは世の中の情勢ですから、変化はわかります。それにしても、余りにもやはりひどい、こういうことを私は感じるわけであります。  したがって、この特殊法人の整理統合問題を含めて、やはり国民に納得のできる、そういう今後の閣議決定のいわゆる事業に対する拘束といいますか、そういうことをぜひ私は改めて要望を申し上げたい、このように思うわけであります。  では、次に入りたいと思います。官房長官は結構です。どうもありがとうございました。  関連して、いわゆる森林開発公団の問題についてお伺いしたいと思います。  これは、昭和三十一年七月十六日、いわゆる森林開発公団が設立されまして、設立当初は、紀伊熊野川流域と徳島の剣山周辺地域の森林開発ということで出発したわけであります。これは、昭和三十一年から三十四年で全路線三百二十キロメートルの林道づくりということで終わっておるわけであります。この計画が終了段階になると、今度は国有林と民有林の境界が不明なため、これを区別するために林道をつくるということで、また事業団法を改正したわけであります。本当はこの時点で当初の設立目的は終わっているわけでありますけれども、その後、昭和三十六年にはいわゆる水源林の造成事業を営むために事業団法の改正をした、いわゆる緑のダム構想であります。  このような森林開発公団の経過に対して、既に昭和三十九年、第一次臨調では、森林開発公団は水資源公団、鉄建公団とともに改組再編成すべき対象に挙げられているわけであります。既に三十三年前の指摘であります。  緑のダムが進むと、今度はいよいよスーパー林道が始まるわけであります。いわゆる特定森林地域開発林道事業、砂利道で幅四・六メートル、これは昭和四十年から始まる。ところが、この事業に対しては全国的な批判があって、昭和六十二年に全面中止になった、こういう経緯がありますね。  スーパー林道が問題化してきますと、今度は、昭和四十八年からはいわゆる山のハイウエーという大規模林業圏開発林道事業が始まるわけであります。この事業は林道工事だけではなくして、他産業に役立つ道路づくりということで出発したのでありますけれども、これまた当初の目的から逸脱したいわゆる事業拡大であります。  今度は、山のハイウエーが問題化すると、昭和六十三年には、山村の生活と銘打って特定森林総合利用基盤整備事業、これをつくるわけであります。これは第三セクターへのいわゆる資金貸しを始めるわけであります、金融を始めるわけであります。全くこういうことはやる必要がない、農林漁業金融公庫があるわけでありますから。そういうところにも手を出していった。  このように森林開発公団の逸脱したいわゆる拡大路線は、これはもう公団の延命しか考えられない。そのように、昭和三十九年九月二十八日提出の臨時行政調査会(会長佐藤喜一郎)も、「統廃合基準」の中で「設立当初に目的とした機能を現実に果たしていないものは廃止する。」このように指摘をされているわけであります。スーパー林道の失敗は、まさに森林開発公団はこの時点で全面的に廃止をしなければならない。次々といわゆる延命工作に事業を展開している、私はこれは許されない、このように思うのですね。  臨時行政調査会の改革意見では、既に、「改組再編成すべきものの例示」として十八項目挙がっているのです。この中に、七番目に森林開発公団が挙げられているわけであります。これは昭和三十九年の臨時行政調査会の改革意見であります。  以下、今日まで、さっき申し上げたように臨調で二回指摘閣議で五回決定、こういうふうに指摘をされておりますけれども、率直な御感想を、農林大臣、どうですか。
  49. 藤本孝雄

    ○藤本国務大臣 委員、専らこの森林開発公団の事業につきまして、山村地域の林道の整備の問題について御指摘がございましたけれども、この森林開発公団の事業というのは御承知のように二つございまして、一つは水源林の造成という事業でございます。今、予算的に見ますと、こちらの事業の予算の方が多いわけでございまして、この水源林の造成という問題は、現在全国的な渇水問題が問題になっておりまして、例えば平成六年には名古屋、福岡市等では百日以上の取水制限があったというようなことから、この山奥での水源林の造成という問題は非常に重要な問題であるというふうに認識されているわけでございます。  しかし、このような山奥の水源林の造成につきましては、この山林の所有者の力ではなかなか水源林の造成ができない、こういうことから、森林開発公団がこの水源林の造成の事業を行っている、こういうことでございまして、私どもは、この森林開発公団の事業につきましては、林道の問題については、環境問題に十分に配慮しながらこれは進めていくべき事業であるというふうに思っておりますし、その上、この水源林の造成事業につきましては、今の現状からすれば、この植林の問題はさらに進めていかなければならぬ、こういうふうに考えておるわけでございます。
  50. 石垣一夫

    石垣委員 森林開発公団の業務内容案内には、「森林をつくる 林道をつくる ゆとりをつくる」、こういう大きな三本柱があるわけであります。今、農林大臣はいわゆる造林事業を中心に話されましたけれども、特に林道問題、いわゆる今日問題になっております山のハイウエー道路、今日、やはり環境アセスを取り入れねばならない状況が来ているわけです。環境アセスが必要な、ということは、これは裏返せば、やはり自然破壊、環境破壊へつながっているわけであります。そういうことをなぜあえてしなければならないのか。  今日、では、いわゆるスーパーハイウエーと言われる大規模林業圏開発林道事業、全舗装、幅七メートル、二車線、これは後ほど修正、五メートルになりましたけれども、これの進捗状況はどうなんですか。全国で三十二路線、五十七カ所。調べてみますと、ほとんど全体で今日進捗率四〇%であります。  その中で、北海道の白滝−丸瀬布、これは十七年前に着工して、今日進捗率が二八・八%。山形県の朝日−小国が二十一年前、これが二三・一%の進捗率。富山県にまたがっております岐阜県の有峰、これが二十二年かかって三三%。それから馬瀬−萩原が、十九年かかって一八%。小田−池川、これは愛媛県ですけれども、二十三年、四七%。清水−三原、これが十六年。このように、非常に長期間かかりながら、全体としてこういう進捗率であります。その後さらに路線ごとの完了予定年度をそれぞれ大幅に変更いたしております。  こういう問題について、農林大臣はどう考えますか。
  51. 藤本孝雄

    ○藤本国務大臣 今委員指摘の効率化の問題、原則七メートルから五メートル、これは御指摘のとおり改善されております。  それから、早期完成という問題、これも極めて私は重要な問題だと考えておるわけでございまして、着工区間を削減したり、また予算をふやしたり、そういう対応は十分に考えていかなきゃならぬと思っております。  それから、環境アセスの問題は、これは極めて重要な問題でございまして、この環境アセスの技法が非常に進歩をしてまいっておりますので、この環境アセスを十分に使いまして、環境問題との問題がないように考えていきたいというふうに考えております。
  52. 石垣一夫

    石垣委員 五十八年三月十四日の臨調最終答申では、大規模林業圏の開発林道については、開設延長の短縮、林道の構造、規格の改定を行うとともに、投資効果発現の見地から、原則として新規区間の着工を見合わせる、こういう指摘があるわけであります。  ところが、五十八年以来、新規事業は三十三カ所に及んでいるわけであります。臨調の指摘を受けながら、新規着工は見合わせようと。ところが、この五十八年以来、さらに三十三カ所も新しい工事を始めておる。さらにまた、平成九年には新しくまた事業を始める、こういうことなのですね。平成九年の新規着工はどこですか、何カ所ですか。
  53. 高橋勲

    高橋政府委員 平成九年度の新規着工は四カ所でございます。
  54. 石垣一夫

    石垣委員 今答弁がございましたように、これは、五十八年から三十三カ所やりながら、また平成九年に四カ所やる。この臨調の指摘はどうなるのですか。閣議決定とあわせて、先ほど申し上げたように、いわゆる閣議決定の実効力が全くないということを指摘しましたけれども、これは、現場で全く無視されたわけであります。これをどう思いますか、総務長官。
  55. 高橋勲

    高橋政府委員 これまでの臨調の答申や閣議決定につきまして、昭和五十八年に勧告されたのは、路線を短縮しようとか構造を、規模を縮小しょう、こういうことでございまして、路線の短縮では、当初二千三百十六キロを予定しておりましたのを二千百キロに縮減いたしましたし、それから、原則七メートルの構造を五メートルにするということで対応した次第であります。それから、平成七年の二月の閣議決定を踏まえまして、環境アセスをすべきではないかという閣議決定でございました、このことに基づきまして、環境アセスメントを実施している次第でございます。
  56. 石垣一夫

    石垣委員 だから、環境アセスをしなければならないことは、裏返したら環境破壊なのですよ。それはそれとして、この五十八年の新規着工を見合わせるという臨調の指摘は一体どうなるのですか。臨調の指摘は無視ではありませんか。一部道路幅を縮めたり距離を縮めたりしておりますけれども、五十八年以降、三十三カ所も新規に着工している。また、本年についても、平成九年についても四カ所も新規着工をやると。全くこれは無視でありますね。  では、今政治力という話を聞きましたけれども、いわゆる族議員と言われる政治力が閣議決定を上回るのですか。臨調の意見を上回るのですか。閣議決定そのものは一体何ですか。内閣の存亡の危機を問われますよ、これは。だから、こういう閣議決定というのは、一年生議員の質問ですけれども、こういう素朴な質問をぶつけたわけであります、私は。総務庁長官はどうですか。
  57. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 今いろいろ与党側からも御意見もありますし、野党側からもいろいろ御意見があるようでございます。  いずれにいたしましても、森林開発公団がどうしてもそれはやらなきゃならない仕事なのか、それとも今のお話のあるように、過去において調査会なり臨調なりで御指摘もあったように、やる必要はないのか、正直その辺は、私はきちんと公団が判断をしてやるべきであると。我々は、その辺も踏まえて、従来の公団のやり方が果たしてすべてが適正であったのかどうか、こういう形で行政監察で見直しをしょう、こう言っているわけでございまして、もし今のお話が、公正な第三者的な判断でそれは不要であるというようなときは、森林開発公団の仕事はそれは必要ではないのではないか、こういう結論が私は出てくるものと思っております。
  58. 石垣一夫

    石垣委員 時間がありませんので、最後にお尋ね申し上げたいと思うのですけれども、これは、いわゆる財政的な面から、政府補助金、出資金、財政投融資、いろいろと調べてみますと、平成三年度から今日までに、大体平成八年では五百八十一億、平成六年六百十一億、平成四年五百三十三億という出資金、補助金が出ておるわけであります。さらにまた、財政投融資から、平成九年度では、予定でございますけれども二千八百四十九億の債務残高がある。こういう多額の、財政的にも大きな赤字を持つ公団であります。  この際、この森林開発公団については、もう一度設立当時の趣旨に戻って、これをやはり再検討し、当然その使命は終わったわけでありますから廃止をする、こういう方向に持っていくべきではないか、このように私は思うわけでありますけれども、最後に総務庁長官の答弁、もう一度求めたいと思います。
  59. 深谷隆司

    深谷委員長 石垣議員、時間が過ぎておりますので、次の委員さんの質問時間の中に入っていいですね。よろしいですか。はい、どうぞ続けてください。
  60. 石垣一夫

    石垣委員 じゃ、最後の、今申し上げた、大臣お答えになって結構です。
  61. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 十分御意見も、この予算委員会でもいろいろ御意見をちょうだいをいたしておりますので、私ども、見直しをいたしていくときには、十分それぞれの御意見を尊重しながら見直しを進めてまいります。
  62. 石垣一夫

    石垣委員 どうもありがとうございました。
  63. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて斉藤君、石垣君の質疑は終了いたしました。  次に、青木宏之君。
  64. 青木宏之

    青木委員 新進党の青木宏之であります。  きょうは、環境という問題についていろいろとお尋ねをしてまいりたいと思っておりますけれども、私ども人間が生活をすることすべてにかかわることでありますので、大変多岐にわたります。しかし、特に、これからの政治、行政、あるいは、国内のみならず国際的にもこの環境というテーマは我々人間そして人類にとって最重要のテーマではないか、こんなふうに考えておるわけでありまして、そこで本日は、いろいろと細かいこともたくさんありますけれども、基本的に人間と自然とのかかわりに関する根本的なことに関して、絞ってお尋ねをしてまいりたいと思います。  最近ですけれども、最近というか前からですけれども、私は名古屋市内で生まれて名古屋市内で育ったわけですけれども、私の子供時代は、ちょうど戦後でございますので、いろいろな焼け野原の跡で遊んだものであります。そんな思い出がいつも何かの拍子に脳裏に浮かんでくるわけであります。それはほとんどが楽しい、ふくよかな、何となしに心が和む、そんな思い出が非常に多いわけであります。  例えば、春になって菜の花が一斉に咲き乱れますと、モンシロチョウが、これはもう固まりのようになっていわゆる群舞をする光景、あるいは、秋にはアカトンボがこれまた群れをなして飛び交う、夏にはセミ、バッタ等々、そんなことが何とはなしに浮かんできて、ああ、いいときに子供の時代を過ごしたなというふうに思うわけであります。  また、長じて、私はゴルフが好きなものですから、県会議員を愛知県でやっておりましたが、キャリアはかなり長いわけですけれども、かつて私が始めたころ、もう二十数年前になりますけれども、ゴルフ場へ行きますと、やはりそこにはチョウチョウが見られ、トンボが見られ、そして、地べたへ腰をおろしますと、もうすぐ周りにアリが行き交うのが見られた。     〔委員長退席、高橋委員長代理着席〕  ところが、例の農薬問題がやかましくなっておったころでありますけれども、小十年前ですか、あのころ本当にいつも感じたのですが、かつて見られたチョウチョウやトンボ、そしてアリすらゴルフ場から姿をほとんど消してしまった。大変寂しい思いをいたしておりまして、県会のときもこの農薬問題等々についていろいろと指摘をしてきたものでありますけれども、昨今、ようやくそれらは若干でありますけれども改善をされてきたかな、こんなふうに思っております。そんな思い出、あるいは、ここにおられる皆さん方もそうでしょうけれども、川でジャブジャブとつかって魚をつかみ取るとか、そんな楽しい思い出が頭に浮かんでくるわけであります。  それからもう一つ、天候のことでありますけれども、日本は、春夏秋冬、四季に恵まれた、非常にめり張りのきいたといいますか、変化の多い気候風土、そういったものゆえに、昔から歌に詠まれたり絵にかかれたりして、非常に情緒豊かな日本文化というものが培われてきた。私は、一番象徴的にこの気候の変化で前から思っておりますのは、夏の夕立てす。これは、夏、かあっと照って、ところが、四時か五時かぐらいになりますともう決まってざあっといわゆるスコール的な夕立があって、そしてもう小一時間でさっと上がって、そうすると涼風がすうっと夕方吹いて、いわゆる縁台将棋ですか、あんなようなものをやったり、ああいう、絵にかかれているような、あれがもう毎日毎日決まってたしかあった。  ところが、いつからか夕立というものがとんと見られなくなってしまった。雨が夕方になっても降らない。何となく昔のそういう懐かしい思いに浸っておるわけですけれども、やはりそこに、今申し上げたいろいろな自然の変化、気候の変化というものが、時代の進展とともに、あるいは人間社会の進展とともに変化をしていくんだという程度のことであれば、これは残念がるだけのことであります。  これからずっとお尋ねをしていきたいと思いますが、やはりこれは、どうも取り戻すことのできない、結局地球そのもののメカニズム、それを人間がついつい破壊をしてしまった。そういうことで、これはある一定の、これはわかりませんけれども、ある一定の時点を、チャンスを逃しますと、いわゆる不可逆、戻らない、取り返すことができない、そういったことであるといういろいろな指摘が、特に科学者あるいは宗教者、政治家でもそうですけれども、あちらこちらで唱えられ始めているわけであります。  それで、いささかちょっと前置きが長くなりましたけれども、私は、そういう意味で、人間と自然とのかかわり、そういったことにずっといろいろな方面から考えてきたものでありますが、現在のところ、私の考えるところは、人間といえどもこれは自然の単なる一部の存在である。極論すれば、道端の石ころでもあるいは水や空気でも、存在としては自然という中では人間と同じ、同等の存在だという考え方に至っておるわけであります。  したがって、過去の人間の、人類の来た道をいろいろ反省しながら見ておりますと、何かこう、人間は考える能力がある、頭脳がある。考える能力があるから、ついつい自然を制御する、支配する、またできる。現実に、人間は一部いろいろなところで制御したり支配したりしてきたわけでありまして、だから、いつしか、おごりといいますか、何でもかんでも人間は人間のために自然を利用して、何でもできるんだというような思いについついなってきてしまっておったのではないか。  そんなところから、後ほど申します地球的規模の環境問題のいわゆる危機性の指摘というものは、その辺に、今申し上げた人間のおごり、そういったものに対するこれは警告だ、最後のチャンスを与えられている、こんなふうに思うわけでありまして、そこで、いつでも本当はそうなんでしょうけれども、特にこれからの政治あるいは行政、国内、国際かかわりなく、これを展開していく、なしていく、その中心、背骨、大黒柱、それにやはり環境というものをどっかと据えてかからなければならないのではないか、こういうふうに思うわけであります。  したがって、ぜひ政治の大先輩であられます、そしてまた行政の長であられます各大臣から、私が今申し上げてきた自然と人間とのかかわりということについて、あるいは私の今申し上げたことが、いや実は違うよ、こういう考えもあるよということなのか、あるいは、細かい部分まで議論すればこれは相当な時間を要することかと思いますけれども、ぜひその辺をこの際お聞かせいただいて、それが現在の橋本内閣のこれからの政治、行政の背骨、そういったものがそこからうかがい知ることができるのではなかろうか、こんな気持ちでお尋ねをさせていただきます。  かといって、非常に限られた時間でありますから、大変恐縮ですけれども、大体私が申し上げたとおりのことか、あるいはもっと違う考えがある、持っているということか、もし違う考えがあるということであれば、これは相当御意見をおっしゃっていただく時間も必要であろうし、議論する時間も必要であろうと思いますから、それはまた後日に譲らせていただきますので、ぜひひとつそのあたりのお考えを一言ずつお聞かせをいただけたらと思います。
  65. 石井道子

    石井国務大臣 委員の人間と自然とのかかわりについての御意見を伺う中で、改めて自然の大切さを認識をしたところでございます。  人間が生きているこの地球ができたのが約四十六億年前ではないかと言われているわけでございます。また、人間らしきものが誕生したのが五百万年前だというふうにも今研究をされているわけでございますが、この地球そのもののメカニズム、発生のいろいろな問題につきましては、科学的解明が進んではおりますけれども、しかし、まだまだ不解明の部分が多いわけでございまして、この地球そのものについてのやはり存在、そしてそこに生きる人間を含めて動物、植物すべての生き物についてのかかわり合いにつきましては、大変私は不思議な自然の摂理といいますか、そういう動きというものを感じているところでございます。  このような地球に生きているすべての生き物が生存競争を繰り返しながら特殊な生態系をつくってきたわけでございまして、そのような点について、これは一朝一夕にできたものではありませんし、自然とのかかわりの中で今後もこの貴重な、豊かな自然を守り育てていくということが必要であるというふうに思っております。これは国民共有の財産、地球全体の共有の財産でありますので、これは健全な形で後世に伝えていかなければならないという使命を痛感しているところでございます。  そのような豊かな自然の恵みを受けて人間も生活をしてきているわけでございますが、最近は非常に経済発展、科学技術の進展というふうなことがありまして、とかく大量生産、そして大量消費、大量廃棄型の経済活動や生活様式が生まれてしまいました。それによって自然が破壊されてしまったという大変残念な状況でありますので、それだからこそ、今、環境問題を改めて問い直し、そして環境問題に配慮した政策を計画、実行していかなければならないという大変重要なときではないかと思っております。そのために、環境政策、環境行政の中では、特にその問題を配慮して、自然と人間との共生が図れるような、そういう環境基本計画のもとにおいての計画を進めているところでございまして、今後ともよろしくお願いをしたいと思っております。
  66. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 この予算委員会でも環境問題がこうして議論されるということは、私は、本当に今までの国会では珍しいことだったと思います。たしか四人ぐらい発言をされたと思います。  自然と人間とのかかわりというのは、私、今青木さんのおっしゃること、ほとんど同感でございます。日本人は特に農耕民族としてやってまいりましたし、人間というのは自然の中でしか生きられない、人間も自然の一部である、そして自然の恵みを受けて我々が生活をしてきた、これは私は東洋文明のすぐれた点であろうと思いますし、日本もまさにそうした文明を持ってきたわけであります。しかし、最近、どうも自然をおろそかにし、経済発展にウエートをかけてきた、そういうツケが今回ってきたと思います。  この自然と人間のかかわり、あるいは科学技術やあるいは経済発展と環境保全の問題というのは、既にもう三十年ぐらい前から問題意識としてはありました。例えば、ローマ・クラブの「成長の限界」というようなこと、あるいはアメリカ政府の「西暦二〇〇〇年の地球」というような報告書、あるいは一九七二年のストックホルム会議におきまして経済発展と自然の保全、環境の保全、こういうことのテーマの議論がなされました。そして、つい最近では、五年前の一九九二年、リオ、ブラジルで行われました地球会議ですね、この会議におきまして大変画期的な提言がされました。これはいわゆる長続きのする成長、そういうテーマでリオ宣言が発せられたわけでありますし、そこで具体的な今後の、例えば地球温暖化をどう食いとめるかという気候変動防止条約、あるいはまた自然の生態系をどう守っていくかという生態系条約というようなものが締結をされたわけであります。  私たちは、確かに経済の発展は遂げなければなりませんけれども、今後の地球の将来を考えてみますと、エネルギーの制約あるいは、人口はまあ日本は減っておりますが、世界的に見れば来世紀の半ばには百億人を突破する、こういう制約条件がありますし、また資源エネルギー、これもたかだか数十年、長くても数百年ということで枯渇をする。そういうことを考えますと、果たして、今までのように安易に資源エネルギーを使って経済発展を遂げていくということは私は不可能になってくると思います。  そういう中で、私たちは、やはり人間の活動も自然の中でしか営むことができないんだ、そういう発想に立って、できる限り私たち一人一人の生活においても、昔は、日本人は、もったいないという言葉が随分聞かれました。しかし、最近そういう言葉というのはなかなか聞けないんですね。もうあり余る電気をつけ放題とか、そういうライフスタイルを今改めていかなきゃいけない。また、企業活動においても、安くて豊富な資源エネルギーをどんどん外国から輸入して、それに日本の高い技術で加工し、そして輸出をする、そういう経済パターンを繰り返してまいりましたけれども、私は、今こそできるだけ大量生産、大量消費、大量廃棄という、そういう経済パターンを変えていかない限り、この地球の将来は非常に暗いと言わざるを得ないわけでございます。  そうした観点に立って、申し上げたいことは多々ありますけれどももうこの辺でやめますけれども、私は、そういう面で、今文部大臣として、特に小さいころからそういう考え方を子供さんに植えつけていく、そういう環境教育をやっていくということが必要だということで、また後ほど御質問があればお答えしますが、とりあえずそういうことだけ申し上げておきます。  ありがとうございました。
  67. 青木宏之

    青木委員 答弁で時間が全部終わってしまいそうなので、もう少し、ほんの一言ずつ、私の考えが違っているのか、そう思うのかというぐらいのお答えを求めたつもりですけれども、御答弁が大変長いので、違うという方だけ簡単にひとつお願いしたいと思います。
  68. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今、青木委員の言われるように、やはり人類の進歩の中において、科学技術、これの発達、あるいは経済万能社会というものをつくったこと自体、これはまさに人間のおごりと言われてもいたし方ない、かように思うんです。  そこで、これからどうするか。といって、これだけ発達した社会が後退するわけにはいきません。これから自然との共生ということ、これをやはり力点に置くべきではないだろうかということで、私たちは、これから環境調和型経済社会というものの形成を図っていきたいと思うんです。  ちょうどこの橋本内閣、それから前からの実は課題でございますが、二〇〇五年に愛知県でもって万博をするということはお聞きになっていると思います。委員は愛知県の御出身ですから非常に御関心も強いと思いますが、このときのテーマが自然との共生ということで、開発を越えてというサブタイトルがついているということで、そこでもって日本のこの問題に対する姿勢というものを内外的に披瀝したい、こういうことでございますので、この万博につきましても深い御理解をいただきたい、かように思っております。
  69. 藤本孝雄

    ○藤本国務大臣 今の時代のキーワードは、共助共生、ともに生き、ともに助ける、それがキーワードであると思います。農林水産業につきましても、環境と共助共生を図りながら推進していかなければならぬ、かように考えております。
  70. 高橋一郎

    高橋委員長代理 今、四大臣から御答弁いただきましたが、他の大臣で特に御発言の向きはありますか。  久間防衛庁長官
  71. 久間章生

    ○久間国務大臣 私は、雲仙が噴火しましたときに、雲仙の噴火を見ておりまして、とにかく何をやっても噴火が続いているときはもうどうしようもなかったんです。それで、前のときには三十日で終わった。多分三年で終わるだろう。しかし、桜島は三百年かかっている。そういうふうなことを考えますと、自然の前には三十日も、三カ月も、三年も、三百年も一緒なんだなと思いました。だから、そう考えますと、私たちはやはり自然に生かされているんだということをきっちり知った上でやっていかなきゃいけないんだなと思っております。  ただ、いいことには、日本人というのは自然との関係を昔から非常に大事にしていたんじゃないかと思います。例えば、委員のお名前だって青木さんでございますけれども、必ず、日本の姓の中の九割はネーチャーをとっているわけです。世界の中でもこういうのは珍しいんですね。  だから、そういうことを考えますと、四季の変化に富んだこの日本というのは、やはり自然との中で共生してきたんじゃないか、そういうような気がいたしますので、これから先も自然を大事にしながらやっていきたいと思っております。私は、数少ない一割の方に入るわけです。
  72. 池田行彦

    ○池田国務大臣 宇宙の生々発展の悠久の流れ、その中で、地球の歴史だけでも、先ほど環境庁長官からお答えがございましたように、四十数億年になります。そういうことを考えますと、そういった宇宙あるいは自然と人間のかかわりというものは、本当にどういうふうにとらえていいのか、いろいろな見方があると思うんでございますけれども、私ども自然破壊をしちやいけない、これは当然でございますけれども、そういった長い宇宙あるいは地球の歴史の中で見ると、我々がいろいろ自然を生かしながら、活用しながら生きてきたといいましても、果たしてどれだけの変化を実現することができたのかなという感じもいたします。逆に言いますと、自然を非常に大切にしなくちゃいけない、そのために我々が守るというのもあるいは不遜な言い方であるのかなという気もいたします。  余りそういうことを言っても何でございますから、恐らく委員がおっしゃるのは、そういった長い宇宙や地球の歴史の中で、人類が発生し、人類がこうして生活を営んできた、そのような地球の環境を今後とも維持していこう、そういう観点からおっしゃっているんじゃないかと思います。それは私も大切だと思います。そういった意味で、国内の政治においてもいろいろ施策を講じていかなくちゃいけませんけれども、この環境の問題あるいは自然の中で人間がどうするかという問題は、地球全体、人類全体で取り組んでいかなくちゃいけない、そういった課題であろうかと思います。  そういった意味で、今日、国際社会においても、政府間あるいは非政府の組織の間におけるいろいろな共同の活動が行われておるわけでございますが、とりわけことしは、六月には国連で環境問題に関する特別総会も開催されます。そしてまた、十二月には京都におきまして気候変動枠組み条約に基づく第三回の会議我が国の主催において行われるところでございます。  そういった意味で、この自然と人間とのかかわり、どういうふうに考え、取り組んでいくか、国際的な面でもそれを真剣に考え、行動してまいりたいと思う次第でございます。
  73. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 私は、委員のお話の大筋といいますか、大体同じ感覚だなと思うんですが、ただ一つ、言葉じりをとらえて言うわけではございませんが、委員が、人間の存在が道端の石や草木と同じようなものだみたいな表現をされましたが、これはちょっと私は同感しかねるわけでありまして、やはり人間は赤い血の流れた偉大な存在だと私は思います。この人間がいかに幸せになっていくかということ、これを求めて活動もしておるわけであります。我々建設省も自然を破壊する場合が事実上あるわけでございますけれども、それもやはりそうした偉大な人間の存在をいかに豊かにしていくかという観点からやむを得ない場合もあろうかとは思います。  しかし一方、悠久に流れていくといいますか、そうした宇宙の中で、小さな、本当に小さな惑星であります地球、これは瞬時我々はそこを住みかとしておるということであろうかと私は思いますけれども、それであるだけに、宇宙、自然に対する畏敬の念を我々は忘れてはなりませんし、そうした自然を子や孫に対して少しでも美しい形で、いい形で残していくということが、私は、政治、行政の前提条件である、このように考えております。建設省はそういう観点から建設行政を進めておることを御理解を賜りたいと思います。
  74. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 自然を大事にしなければいけないという議員の認識は、皆が共有しているものだと思います。  我々は、自然の恩恵を受けて生かされているという視点を大事に、いろいろな行政に取り組んでいかなきゃいけないと思っております。
  75. 伊藤公介

    伊藤国務大臣 私は、二十一世紀日本のキーワードは科学技術創造立国と環境先進国日本だ、そういつも申し上げてまいりました。  自然を破壊しないということも大切なことでありますが、もう一つのテーマ、大変いい機会を持たせていただきましたので、私も問題提起として申し上げたいと思いますが、これから環境は一つの産業だ。そういう意味では、通産、文教、それから科学技術、私はそうしたところの予算を、改めて環境の研究に対する予算を見てみたわけでありますが、こういうことは産学が協同し、今申し上げたような各省庁がもっとネットワークして、新しい時代の環境行政というものを産業としてとらえることも必要なのではないかと考えております。  国土行政の立場からは、豊かな自然の中に共生して生きられる二十一世紀の国土ビジョンを進めてまいりたいと思っております。
  76. 青木宏之

    青木委員 ありがとうございました。一言ずつお聞かせをいただこうというのがどだい無理だったかと思いますが、しかしその中でそれぞれお答えをいただきまして、大変参考になりました。  きょうお尋ねをしたい問題、たくさん用意をしておったのですが、もう時間がほとんどとられてしまいまして、主なものに絞ってお尋ねをし、その他の分は今後にまた機会を得たいと思います。  しかし、私もずっと調べたわけじゃないのですが、今小杉大臣からお答えがありましたときに、この予算委員会で余り取り上げられたことがなかったということにびっくりしております。私がもっと早く国会に来ておったら取り上げておったかもしれませんけれども、びっくりしております。これは、私は最初に申し上げたように、今後の人間生活、人類の根幹問題だ。人類の生存にかかわる問題ですから、これが我が国のこの予算委員会で数多く取り上げられていない。それは、何の心配もないからというなら大変結構でありますけれども、残念ながら毎日毎日のようにマスコミ報道されており、私もここに少しばかり持ってきておりますけれども、環境破壊、自然破壊、枚挙にいとまがない。  これは、千葉県銚子新大橋「希少トンボ「消滅」させ着工」、これはうその報告をしておる、千葉県土木部。これは環境庁は聴取されたのかどうか、またこれはその機会にお尋ねします。あるいは、日本海沿岸で幻の鯨メソプロドン漂着相次ぐですか、その胃の中にごみ袋があったり、肉にはPCB、これは魚は大丈夫なんでしょうかね。山の中へ入っていきますと、これはクマですけれども、岐阜県。とにかくこんなこと、挙げていったら切りがない。  そして、地球規模でいけば、これはきょうの新聞ですけれども、前から聞いておったことは聞いておったのですが、オーストラリア、赤ちゃんまでサングラスをかける。それから、テレビ、ラジオ、新聞、最近はインターネットまで、天気予報と同じようにあしたの紫外線情報を十八段階で出しているそうです。それで、それが危ないという日は外出をしない。私は、オーストラリアなんてきれいでいいところだなという思いしかありませんが、こんな報道を聞きますとびっくりします。これは、御案内のとおり、オゾン層の破壊によって紫外線がふえ、特に白人の場合はこの影響を受けやすいということから、これは目で直接、裸眼にしておりますと目がやられてしまうということですね。だから、サングラスを赤ちゃんまでかける。  事ほどさように、そんなことはないだろう。いろいろなニュースが連日報道されておりましても、環境というのは自分が直接目の前で何かそういう侵されるものがないと切実感がないんですね、漠然としてしまって。食べ物でも、日本の政府が輸入するものはちゃんと検査もしておるだろう、海でとれる魚もきちっと調べておるだろう、だから大丈夫だわということ。何か事件が起こると、わあっといってそのときだけは大騒ぎになりますけれども、直接自分に被害意識が迫ってこない、被害感が迫ってこないというところに、環境庁でもいろいろな文書でそれをおっしゃってみえるが、問題がある。  しかし、これは必ずもう間もない後世に非常な影響が出てくるということが指摘をされ、今お話がありました、ことし十二月のCOP3京都会議というものも日本で開かれる。これは大変私は意義深いことだと思います。開くのはいいのですけれども、これが、何だという結果になってしまってはもう世界の笑い物になってしまうということで、これは、現在の政府挙げてこの成功は必ずかち取らなければならない。  これは日本だけの問題ではもちろんないわけでありまして、私の認識では、まあ人類というのは、どちらにしたって地球は滅亡しますし、人類もやがては当然滅亡しましょう。しかし、いろいろ科学者が指摘しておりますように、これはもう考えられる手の届くところにその危機が迫っておるんだという御指摘皆さんも御承知だと思います。  例えば、地球温暖化、COP3で非常な論議になると思いますけれども、シミュレーション、いろいろあります。差はあります。百年後、二一〇〇年でいろいろシミュレーションされておりますけれども、平均しますと二度程度この地球の気温が上昇する。低い値は〇・八度らしいですが、高いところでは四・五ですね。そうしますと、海面上昇は、環境庁が言われるのは平均二十センチから五十センチ上昇、いろいろなシミュレーションで一番低い値は十三センチ、高いので百十センチと言われておりますけれども、これは数字を聞いても、ああそうかという程度でわかりません。  今ここで、この気候温暖化のシミュレーションで具体的にどういうことが予想されるのか、一つは世界的な面と、我が国に当てはめて、ひとつこの機会に御説明をいただきたいと思います。
  77. 浜中裕徳

    ○浜中政府委員 お答えを申し上げます。  世界の気候変動問題に関します専門家が集まっております気候変動に関する政府間パネル、IPCCというところが平成七年十二月にまとめました第二次評価報告書によりますと、地球の温暖化が今後二十一世紀にかけまして進行することが予測されておりまして、そのことによりまして地球の、例えば森林につきましては、全森林面積のおよそ三分の一で現在生えております植物種の生育が困難になるといったような大きな影響を受ける、あるいは植生が変化してまいりますが、その過程で森林が大幅に影響を受けまして損壊をする、そのことによりまして大量の二酸化炭素が発生をするということが起こり得るといったようなことが言われております。  また、水資源につきましても、洪水や干ばつを激化させる可能性がございまして、特に乾燥地帯あるいは半乾燥地帯におきましては、水資源の入手が極めて難しくなる地域がふえるという可能性も指摘されているところでございます。  また、食糧生産につきましても、世界全体として見たときの食糧需給はバランスすると見られるものの、増産地域や減産地域が生じまして格差が拡大をする。例えば、乾燥地域、半乾燥地域におきましては貧困地域が重なっていることが多いわけでございますが、そういったところでは飢餓や難民の危険が増大をするおそれがある。  その他、洪水や高潮によりまして被害を受け、そして移住を余儀なくされる人々が海面上昇五十センチの場合に九千二百万人に及ぶ、あるいは、一メーター海面が上昇いたしますと一億一千八百万人に上るといったようなことも言われているわけでございます。また、マラリアなどの患者が非常に多く増大をする。マラリアについて申し上げますと、五千万人から八千万人増加するおそれがあるといったようなことも言われているわけでございます。  また、我が国につきましても、我が国の専門家が種々調査検討をしておりますけれども、例えば、夏の時期に豪雨や干ばつが増加する可能性がある、あるいは気温の上昇によりまして、西日本では米や小麦の減収、日本の南部におきましてはやはりマラリアなどの感染症の発生の危険性が増大することが予測されておるところでございます。また、海抜ゼロメートル地域の範囲が拡大をいたしまして高潮による被害が増加することも懸念されておりますほか、仮に海面が六十五センチ上昇した場合には我が国の砂浜の八割以上が喪失するといったようなことも影響が予測されているところでございまして、環境庁におきましては、さらに我が国に予測されております影響の詳細な科学的な評価をさらに進めてまいりたい、このように考えている次第でございます。
  78. 青木宏之

    青木委員 時間が大分迫ってきておりますのでちょっとはしょりたいのですが、いずれにしても、今そういう科学者からいろいろ国際的にも指摘をされておるわけですけれども、残念ながらといいますか、一般国民は余りこの認識がないと。これはアンケートを私はやっておりませんのでわかりませんが、大体周りの者に聞きましても、気候が変だなとか、さっき私が言った、昆虫類がほとんど見かけられないなという話は聞きますけれども、今のままいったら百年後にそんな事態になるのだ、そういう認識というのはほとんどないのだなと。  それで、COP3が十二月に開かれるので、環境庁挙げて、あるいは政府はそこへ向かってこれからいこう、もう十カ月しかない。だから、これはまずみんなに知ってもらう、事実を知ってもらうということが非常に大事だと思いますので、これは精力的に、環境庁中心でしょうが、文部省におかれましても、あるいはそれぞれの関係行政省庁において、鋭意これは相当なスピードと覚悟でもってその周知徹底をしていただきたい、要望しておきたいと思います。  それで、先般、これは毎日新聞さんですけれども、何か、地球環境の危機を打開するために国連に地球環境保全理事会を設置するよう、21世紀危機警告委員会というものを創設されまして、この二十日ですか、会議が開かれ、東京宣言が採択されて、その中で提案をされて、これは世界各方面に呼びかけられるということをお聞きしたわけですけれども、私も、これは大変すばらしい提案だというふうに思います。  この環境における人類の危機ということが、世界的に相当なレベルで危機意識が認識されてきたのは、もう本当につい昨今のことではないか。何となくこのままではいけないんじゃないかというのはもう相当、先ほどのお話のように数十年前からそれはいろいろ言われておったんでしょうが、その危機意識の高まりというのは非常に最近のこと。そういう意味で、我が国行政においてもしかりでありますし、あるいは国際的にもこの面は非常に立ちおくれている、今の危機状況からすると余りにもおくれている。したがって、これは相当急ピッチで、国内的にも世界的にも、この作業をいろいろ国境を越えてしていかなければならない問題だ、そういう意味でこの提案は非常に実現性が望まれる、こういう思いがするわけでありますけれども、この提案についてのお考えを、外務大臣、お願いいたします。
  79. 池田行彦

    ○池田国務大臣 委員指摘の、先般の会議における東京宣言、この概要を見てみますと、先ほど委員が冒頭に述べられました、人類は地球生態系の一部である、そういった認識、あるいは経済発展と環境保全を両立させなくてはいかぬ等々、十項目にわたりまして非常に傾聴すべき提案がなされておるわけでございます。  その中の第十番目に、今御指摘のございました、地球環境保全理事会を国連につくってはどうかという御提案もございます。地球環境問題の重要性、先ほど来御指摘にもなっておりますように、人類の生存そのものがかかっておる、こういうことにもかんがみまして、国際場裏でいろいろ環境問題に取り組んでいく、こういう努力がこれまでも進んでおるわけでございますが、そういったものをさらに進展させていくという意味合いにおいて、傾聴すべき御提言であろうかと存じます。  しかしながら、一方において、例えば、環境問題に取り組む国際的なフォーラムもいろいろございます。国連の中でも、UNCEDを初めといたしましていろいろあるわけでございます。そういった既存の機関との関係をどういうふうに調整していくかという問題、さらには、国連におきましても、御承知のとおり、財政的な観点もあり、いろいろ国連機関の効率化を図っていかなくてはいけないといったような要請もあるわけでございまして、いろいろそういった観点も総合的に勘案しながら、今後どういうふうに考えていくかということだろうと思う次第でございます。
  80. 青木宏之

    青木委員 今回のこの予算にもありますように、先ほど来出ております京都会議、これは本当に重要な会議だと思いますので、ぜひとも成功させるべく、これは全内閣を挙げて、総力を結集してこれに向かっていただきたい、強く要望させていただきます。  たくさん問題をお尋ねしようと思っておりましたが、もう残りわずかになってまいりました。  一つ、焦眉の急といいますか、重要問題だと私は考えておりますいわゆる産廃問題について、この際、時間的制約がありますので大枠的なことに限られますけれども、お尋ねをさせていただきたいと思います。また、細部にわたってはいろいろ委員会等でお願いをしたいと思います。  さて、その産廃問題でありますが、人間が生活をしていけば、そしてまた現在のような高度の経済活動をしておれば、ごみという問題が、生活のごみあるいは産業のごみ、たくさん出てまいりまして、大変な問題であることは皆さん御承知のとおりでありますが、特にこの産廃問題というのが我が国においては大変な状況にある。あるいは、全国二百数十ですか、現在もいろいろトラブルで決着がつかないところがあるようでありますけれども、私の愛知県の隣の岐阜県でも、御案内のとおり、あのような暴力事件が起こるほど今も問題になっておる、御嵩町ですね。これは住民投票がやられるわけですけれども、これは沖縄の問題ともかかわって関係しますし、あるいは原発の問題でも同じようなことになってくるのではないか。  その辺の考え方ですね、原発にしても基地にしても、あるいは産廃処理施設にしても、どこかへこれはっくるわけですから。そうすると、そこに住民が全くいないところならまあ反対はなかろうということにあるいはなるかもしれませんが、住民とのかかわり、しかしそれはなくてはならない、我々の人間社会に必要なものだ、必要不可欠なものだという観点からしますと、そのあたりの整合性というものをどう考えたらいいのか、なかなか難しい問題だと思います。  この産廃問題は、特に、もうお答えをいろいろ聞いておりますと時間がありませんので申し上げますと、今のシミュレーションでは、二〇〇八年ですか、二〇〇八年にはもう産廃は、我が国では処理場は余地はゼロになる。二〇〇八年、もうすぐそこです。そこから先は、これは最終処分場のことですけれども、日本国内に処分するところはないというシミュレーションがあるそうですから、じゃどうするのかという問題は、もう今から急ピッチで対策を考えても遅い問題ではない、むしろ考えなければならない。  現在までのところ、産廃の処分のいわゆる第一責任者、主責任者は排出業者だという考えで、いわゆる民間任せでずっとやってきた。しかし、どうもうまくいかないようないろいろな問題が出てきて、御案内のとおり廃掃法を改正して、そしていわゆる第三セクター等もオーケーだよという道を開いた。道を開いたところが、現実にはやはりあちらこちらでこれは反対に遭って、八カ所ばかり申請があったそうですが一カ所しかできない。これもいろいろ問題があるかと思います。  したがって、現段階、今申し上げた日本の産廃問題のこれまた危機的な状況にある中で、どう対処されていかれるのか、あるいはどういうお考えに基づいてこれから対処されていかれるのか、そのあたりをこの際、お聞かせをいただきたいと思います。
  81. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 産業廃棄物をめぐる不法投棄等の問題を解決するために今いろいろ苦心しているわけでありますが、今後廃棄物処理法の改正を含む総合的な対策は必要と考えております。  委員が御指摘のように、もう最終処分場の設置にも限度がある。これから廃棄物の減量化にも取り組まなきゃいけないし、循環型社会をどうやって国民理解を得ながら構築していくか、そして施設の信頼性や安全性の向上、不法投棄対策の強化を図る等を主な内容とします廃棄物処理法の改正案の取りまとめを今厚生省としても急いでいるところであります。  これは、単に厚生省のみならず国民的な課題でありますから、関係者が一体となってこの廃棄物問題の解決に向けて取り組んでいただきたい、そう思っております。
  82. 青木宏之

    青木委員 ぜひひとつ、鋭意この問題については、具体的な問題ですから、取り組んでいただきたいと思います。  もう時間がなくなってきましたが、偶然、きのうの夜、夕方だったと思いますが、地元におりましてテレビを見ておりましたら、江戸時代の江戸、東京ですね、江戸の町の状況を放映しておりまして、非常におもしろい内容で参考になった。百万人の世界一の大都市だったそうですけれども、非常にきれいな町だった、江戸という町は。川は、水はきれいたし、ごみがない。それは今と比べればもちろん比較になりませんけれども、そこにいろいろなシステムがどうもあったということをやっておりまして、これを見ましてはうっとびっくりしたわけです。徳川家康という人は偉い人だなと改めて思ったわけですけれども、ぜひ機会がありましたら、ちょっとどこのテレビか私、忘れましたからいけませんが、ごらんをいただくと、非常に産廃問題、リサイクル社会、そういったものの、徳川家康に教えられるなという部分がありますので、ちょっと申し上げさせていただきます。  さて、もう時間がありませんので、最後に、今申し上げました地球規模の環境問題、再三申し上げますけれども、もうこれからの政治、行政、国内、国際限らず、とにかく人類、人間生活のこれは根幹にかかわるキーワードということで、ぜひ我が国政においても、そしてまた我が国政から海外へコミュニケーションするにしても、この環境というキーワードで処していっていただけたら、またいかなければならない、こんなふうに思っておりますので、ぜひ現政府の一層の御努力をお願いをしたいと思います。  そこで、最後のお尋ねですけれども、これらの環境問題を考えておりましたら、何と、まあ前々から薄々私も知っておるというか聞いておった問題で、というのは、子供のころから私、宇宙が大変好きなんで、宇宙のことをいろいろ自分で勉強しておりますので。  そうしたら、この間新聞に、ついに地球防衛構想ですかが具体的にアメリカで指示をされた。米国防総省と航空宇宙局が、いわゆる巨大陽石が、まあ小惑星等ですね、地球に衝突する可能性やその対策について共同で研究をし始めた。地球接近小惑星追跡プログラムと呼ばれるものだそうです。これは、もうことしの十月にこの報告書がまとめられるということだそうですが、もちろん、そういうことが近々起こり得るぞと言えばもうこれはパニックになってしまいますから、そういうことではないということをつけ加えて発表はしておりますけれども。  このことは、私は、当然予想されることだ。昨今は、御案内のとおりいろいろ数学の発展、コンピューターの技術の発展等々で、隕石あるいは小惑星の軌跡というものがかなり精密に把握をされる、確認をされる、そういうふうになってきたことから、ひょっとすると地球にぶつかる可能性があるぞということは、ちょっと前に私も何かで読んだ記憶がある。だから、こういう具体的なことがついに現実のアメリカで動き出した。  このことについて、我が国政府としてはどのような情報、そして対処をされていく用意があるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  83. 池田行彦

    ○池田国務大臣 国防総省がNASAの協力を得ながらそのような構想を進めておるという話は承知しておりますが、具体的に米国から協力等の要請は実際に来ておるわけではございません。なお我々としても関心は持って見守ってまいりたい、こう思っております。
  84. 青木宏之

    青木委員 向こうから連絡はなくても、もうこういうマスコミ報道がされたわけですから、ぜひこちらからも内容を伺うなり、あるいは日本としてはどう考えるか、その辺の作業もぜひひとつお進めをいただきたい、進める必要があると思いますので、御要望を申し上げる次第でございます。  以上で終わります。
  85. 高橋一郎

    高橋委員長代理 この際、城島正光君から関連質疑の申し出があります。青木君の持ち時間の範囲内でこれを許します。城島正光君。
  86. 城島正光

    城島委員 新進党の城島でございます。  私は、昨年の秋まで、この選挙に出ますまで、民間企業の労働組合で労働運動をやってきました。そうした体験からしましても、実は今の勤労者の最大の関心あるいは最大の悩み、懸念材料というのは雇用問題であります。そうした雇用問題をベースとしながら、今回の予算案について、新進党としては、二兆円にわたる特別減税の継続あるいは制度化、さらには地価税の凍結、有取税の廃止といったことを要請をしているわけでありますが、特に私の立場から、今申し上げたように雇用問題ということを一つ軸にしながら、特に二兆円の特別減税の継続について御要請するという立場から幾つか御質問をさせていただきたいというふうに思います。  今申し上げましたように、今最大の勤労者の悩みあるいは懸念材料というのは雇用にあるということであります。先ほど申し上げたように、私、昨年秋まで民間の企業部門で労働運動をやってまいりましたけれども、特に、いわゆる東西の冷戦構造崩壊以降、よく言われますように、一気に経済のグローバル化が起こった、まさしく世界全体を巻き込んだメガコンペティションの時代に入ったということであります。それを私ども本当に痛烈に実感をしてきたのはこの五、六年でありまして、なかんずくその中でも、経済のグローバル化という面において我々働く者に最も大きなインパクトを与えてきたのは、いろいろな要素はありますが、一番大きなものは、やはり価格体系が国際価格体系の波にもまれ始めたということからくるさまざまな難しい問題であるということに尽きるのではないかというふうに思っております。  すなわち、いろいろな面でよく言われますように、国内の製品価格、さまざまな分野において固定費も含めて高いわけでありますが、最終的な製品価格というのは、まさしく今申し上げたように、最終的には国際価格体系の中で競争を強いられる。最後の価格の帳じりというのは、今でいう中国やベトナムや、ASEANはもとよりでありますけれども、そういった製品との競争という面において価格競争が入っている。  まさしくそういう競争を乗り越えるために、企業においては本当に毎日毎日、五十銭単位でありますけれども、コストダウン、経費節減、そういった努力の積み重ねをやっているわけであります。一円でも安く製品をつくろう、あるいは、工場においてもそうでありますけれども、営業部門を含めていわゆるローコストオペレーションをやろう、徹底したコストダウンをやろう、そういう中でやっと今の雇用が維持されている、あるいは今の労働条件がある、一口で言うとそういうことではないかというふうに思っております。  そういう点で、まさしく今雇用情勢というのは非常に悪化をしておりますし、戦後最悪の三%台の失業率ということになっているわけでありまして、そうした現状も踏まえて見たときに、職場で懸命になって取り組んでいるさまざまな努力、そうした中で最大の関心は、最初申し上げたようにやはり雇用である。今回のこの政府の予算、一言で言って、先ほど申し上げたような観点からしても、ぜひ国民へのあるいは勤労者への負担を少しでも少なくすることによって景気を確実なものにしていくということが雇用を守る上においても切実な叫びであります。  そうした実態を踏まえて今回の予算案について大蔵大臣にお尋ねしたいわけでありますが、予算を執行するに当たり、あるいは予算を策定するに当たって、国民というよりはどちらかというと勤労者に対して一体どういうメッセージを送りたいと思われているのかをお聞きしたいというふうに思います。     〔高橋委員長代理退席、委員長着席〕
  87. 三塚博

    ○三塚国務大臣 勤労者は、地域また国家にとりましても中核としてすべてを担い、頑張り抜いております。ですから、生活の安定という基本は、財政の面からも最大限の努力をし、今日、九年度予算編成の中でもマクロ、ミクロ等できるだけの措置をとっておると言って間違いございません。こうした観点は短期的なものにとどまってなりませんことは御案内のとおりであります。国家があって地域社会があって我々がある、個人があって地域社会があり国家が存在する、いずれも同義語でイーブンだと私は思っております。  そういう点から考えますと、忘れてなりませんのは、後世に対する現世代の責任ということであろうと思います。御案内のとおり、先行減税三カ年、特別減税三カ年、五・五兆、ですから十六・五兆円のベースをつくりながら、雇用改正も含めましてその前提である経済構造システムの思い切った改革、改善のために措置を講じてまいりましたこと、御承知のとおりであります。  そういう点で、私どもは、このシステムがチャンスの多い、また魅力のある職場、また、従前の給料体系とはまた別に、生きがいのある、頑張りがいのある給与体系、経営体質というものがつくられていくことに通ずるのではないだろうか。あらゆる六つの行政改革は、そういう意味で中核である勤労者が自由自在に、また家庭を大事にしながら、また展望がしっかりと見え得るような社会経済体制をつくり上げるためにはどうしても重要である、こういうことでありますので、暫時の辛抱でありますけれども、まず世代間の断絶を乗り越えるためにも、この機会に赤字体質から何としても脱却をするために勤労者各位に格段の御辛抱をいただく時期、辛抱だけではなく、政治、行政も規制緩和の中で前進の形をつくれるように全力を投球してまいる、こういうことであります。
  88. 城島正光

    城島委員 もちろん、そうした状況というのは勤労者はよく知っているわけでありますが、将来展望が開くような具体的な施策というのが目に見えてきていないというところがやはり一番の問題点ではないか、そういう点が勤労者の目に見えるような政策をぜひ実施をしてほしいというふうに思います。  そこで、雇用に一番影響を与える景気問題についてちょっとお尋ねしたいわけでありますが、実質成長率一・九%と見込まれているということでありますが、これは、見込みとしてですけれども、政府の見通しとして見ますと九四年度の二・四%を下回る過去最低の見通しになっておりますが、その背景及び理由についてお伺いしたいというふうに思います。
  89. 麻生太郎

    ○麻生国務大臣 経済成長率につきましては、昨年度二・四%、今年度二・五%ということでいずれも、今年度はその見込みを、経企庁の出す経済予想は余り当たらぬという御批判もよく新進党の方にいただいておるところなんですが、今年度、初め二・五%と申し上げたときには、民間等々では一%台の方が多くて、二・五%いくわけないじゃないかという御指摘も随分ありましたが、今年度末、二・五%、ほぼ間違いなく二・五%の様相になっております。  それに対して、一・九%に下がったという理由は、基本的には、いわゆる消費税の値上がり分二%、特別減税分二兆円のものが是を引っ張る分が約〇・九%と予測をされておりますので、経済成長率が上がります分、平成九年度の年度前半、特に四—六ではその影響が強く出るであろうということを勘案して一・九%というので、経済企画庁始まって以来初めて二%を切ったのを出しておりますけれども、今申し上げたようなのがその背景でありまして、現実、実経済に即してそのような数字を出させていただいたというのが背景であります。
  90. 城島正光

    城島委員 そういうことだと思いますが、それにしても、この閣議決定された経済見通しの基本的なベースとなっている幾つかの指標について見ますと、本当にそういうことになるのかなというような重要な項目が幾つかあるというふうに思うわけであります。  その中で、先ほどからこだわっておりますが、特にGNPに大きな影響を与えています民間の最終消費支出、これはGDPの六割を占めるということでありますけれども、これが見通しでは三・一%増ですか、ということを見込まれている。つけ加えていきますと、恐らくそれを支えるであろうと思う雇用者所得の伸び、これも、今年度に比べて、来年の平成九年度はこの八年度の見通しであった二・二に比べて三・〇%の伸びと、雇用者所得がかなり伸びる。ということが一つはその前提になっているかと思いますが、雇用者総数の伸びはほとんど変わらない、一・一に対して一・〇。ということでいきますと、いわゆる新しい雇用者でない、つまり、何と表現したらいいか、在籍者と申しましょうか、その人たちの所得というのがかなり伸びるというふうに見ているということでしょうか。
  91. 麻生太郎

    ○麻生国務大臣 御存じのように、今言われました雇用者の所得の伸びを過去で見ますと、一番高かった平成二年度、伸び率が八・三%からだんだん下がってまいりまして、二・五、二・五、続いて平成七年度一・八というところまでずっと下がってきたのは御存じのとおりで、多分今その数字を言っておられるのだと思いますが、平成八年度に上がって、それがプラスに変じて二・二%に上がったということであろうと思います。  平成九年度につきましては、御存じのように、雇用情勢というのに関して、いろいろな景気の回復が見込まれておりますので、雇用者数は引き続き増加をするということが見込まれておりますほか、新聞などで出ておりますように、企業収益というのは間違いなく回復の傾向にありまして、雇用率というのも今一部挙げられておりますけれども、雇用者率が回復する傾向にあるということだと思っておりますので、今回の政府見通し三・〇というのはそうむちゃくちゃに高いあれではない、無理な数字の設定ではないのではないか、基本的にはそのように思っております。
  92. 城島正光

    城島委員 確認でありますけれども、その在籍者の所得というのはかなりふえる、景気も回復をして企業収益も改善するということであるからかなり伸びるであろうというふうにとらえているということですね。
  93. 麻生太郎

    ○麻生国務大臣 基本的にはそう思っておりますが、詳しい数字の方は調整局長の方から説明させます。
  94. 土志田征一

    ○土志田政府委員 全体の見方は既に大臣からお答えをいたしましたが、雇用情勢の改善、それから企業収益が増益を続けておりますので、そういったことで、もちろん現在いる方あるいは新しく雇われる方を含めまして、それぞれ一人当たりの賃金というのはややふえるであろうというふうに、今年度あたりの伸び率に比べればややふえるであろうというふうに見込んでおります。
  95. 城島正光

    城島委員 先ほど既に大臣もおっしゃったように〇・九%足を引っ張るような情勢の中で、ややふえるぐらいでこれだけ伸びるかどうかについては甚だ疑問だなというふうに思わざるを得ないということであります。さらにプラスして見れば、これは民間住宅についてもマイナス四・九%となっていますが、これは先日の新聞等でも、どちらかというと二けた、マイナス十数%、一二・八とかいう数字もありましたけれども、かなり大幅に減少するのではないかという見方もあるということを含めて、この一・九%そのものも、そういう面でいうと、我々の実感からすると非常にある面でいうと楽観的なところがあるのではないかというふうにとらえざるを得ないというふうに思います。  現実的に、一昨日だったと思いますけれども、アメリカの財務省の報告も、先進諸国は二・二ですか、日本の成長率一・五という、そういう見通しを立てておりますし、先ほど答弁の中には、最近は政府の予測どおり大体落ちついている、民間の予測の方が外れているという御指摘がありました。それはここ一、二年そのとおりでありますけれども、残念ながら、今回のこの経済成長率にしても、五十六の民間の調査機関、政府見通しを上回るところは五機関ぐらいでありまして、あとは軒並みやはり一%の半ばぐらい、少なくともこの一・九を下回るような推測を立てているわけであります。  それで、そういう状況の中で一・九というのがどうかというのは論議をしても平行線になると思いますが、感覚として見るとかなり前提条件がいい方向の中での数字ではないかというふうに思われます。それでも私が問題だと思うのは、村山内閣のときだったと思いますけれども、構造改革のための経済社会計画、この中に、これから日本の構造改革、何としても進展していかなければ、潜在的な成長率三%程度あたりを発揮できないというために、いろいろな提起がされております。これはそのとおりだと思います。  しかし、大事なことは、そのときに「本計画における経済の姿」として、これはもちろん平成八年から十二年度のラウンドの話ではありますが、「構造改革が進展しない場合の経済の姿」として、経済成長率が一カ四分の三%程度という指標があるわけですね。ということは、一・九%というのはもうほとんどこれに近いという数字になっている。これは、ラウンドとはいいながら、この一・九というのは、そういう面でいうとかなり、政府からすると死守せざるを得ないような数字だろうというふうに思うのですね。そうでない限り、この構造改革がなかなか進展していないということを証左するような数字になってしまう、何としてもこの数字は達成しなきゃ自己否定につながるような成長率ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  96. 麻生太郎

    ○麻生国務大臣 先ほどもお話しがありました、中期的ないわゆる経済成長をこれは安定的なものにさせるためにはという前提でいろいろ計画が出されておりますのは、もう委員指摘のとおりでありますけれども、基本的には、経済構造改革をやらない限りは、少なくとも日本の経済構造を今のままにしておけば、成長率というものは大幅に鈍化する、すなわち高コスト構造がそのまま維持されるなどなど、もういろいろ世間で言われておりますとおりです。  おかげさまでいろいろな経済構造改革に関する指針などが出されて、特に私ども経済企画庁が担当いたしております六つの分野につきましては、第二次橋本内閣が発足をいたしました十一月前後と比べて今の状況というのは、少なくともいろいろな面で、例えば私どもがお願いをいたしておりました部分に関しましては、各省庁いろいろ御努力をいただいたところでして、景気刺激に非常に大きな影響を与えるであろう問題につきましても大幅にいろいろ前向きにやっておられて、いろいろ新聞に出ておりますのは御存じのとおりです。  例えば、きょう容積率の変更とか住宅・都市整備公団の話とかが出ましたが、先ほど委員が御心配しておられました雇用の問題につきましても、経済構造が変われば、間違いなくこれは労働需要の移動が起きるのは当然なのです。それを、今までは職業安定所以外はやれないということになっておりました部分に関しましても、有料職業紹介所のいわゆるあっせん範囲を大幅に広げるということが労働省で正式にその方向で打ち出されておられたりして、そういうような労働人口の移動というのができやすい状態をつくるように今努力をされておるところであります。  いろいろなそういったことができることによって、今申し上げたような点が少しずつ改善をされていくことになりますので、確かに数字からいけば、二・五が一・九に落ちれば、残り三年間で平均三・〇をやりますと、後半は三・三とか四とかいう数字を出さないと数字が合わないことになってまいりますので、今、経済構造改革を行うことによってそういったような数字が達成できるように、今後とも一生懸命ここのところはやらなければいかぬところだ、さように思っております。
  97. 城島正光

    城島委員 そういう観点に立っても、最低と言った方がいいと思いますけれども、一・九あたりを達成しないと後半年度が大変になってくる。そのためにもやはり構造改革というのは必須でありますが、同時に、当面する景気も確実なものにしていくということもあわせて、やはり両にらみが必要だろうというふうに思います。  そういう点で、ちょっと時間がありませんので雇用情勢についてこれ以上立ち入ることはやめますが、少なくとも今雇用情勢、最近で三・四、間もなく今月発表されるであろう失業率も三%台は確実であろうというふうに思いますが、その中でも特に十五歳から二十四歳の新卒者の失業率というのは、これは六%台なんですね。さらに、働く意欲がある高齢者についても六%台、大変な深刻な事態になっている。これを解決していくためにも、当面する景気をぜひきちっとしていただきたい。  次に減税問題に入らせていただきますが、少なくとも今もう一つ、こういう情勢の中で、今回の政府の予算の中で、消費税の五%へのアップ、二%アップする、さらには特別減税二兆円の打ち切りあるいは医療保険の問題等々があって、約九兆円程度の国民への負担増になるということであります。  プラス、そのベースの中に、この数年間、いわゆるどんどん下がった超低金利政策という面において、これはプラスマイナスありますが、既に、史上最低の〇・五%への公定歩合の九五年九月からの超低金利政策というのはかなり、どちらかといえば勤労者にとっては大幅な所得移転が、企業、金融部門へ移っている。すなわち、家計部門から企業、金融部門へ移っていく、マイナスの面が大きくきいている。こういったことがずっと続いている中に、今申し上げましたように特別減税の廃止あるいは消費税のアップといったようなこと、さらには医療問題アップが重なってくるわけであります。  現実的に、今、平成七年度のデータしかありませんが、全国平均の勤労者世帯の生活の実態がどうなっているかということを申し上げますと、平均で申し上げますと、平均の世帯主の年齢が約四十六歳であります。正確に言うと四十五・六歳でありますが、この世帯主の収入が、これはボーナスも時間外労働も全部合わせてこれを十二で割った数字でありますけれども、月給プラス今申し上げたボーナス等も入れて四十六万七千七百九十九円、約四十七万円であります。ほとんどの人が奥さんはパートないしフルタイムで働いておりますから、世帯全体の収入は五十七万八百十七円、これが一世帯全体の収入であります。世帯主の収入が四十六万七千七百九十九円、約四十七万円、いわゆる世帯主以外の収入が約十万円あるということですね。  こういう世帯の中で消費に回る数字が三十四万九千六百六十三円、約三十五万円。非消費支出、いわゆる所得税、社会保険料というのが八万八千六百四十四円、約九万円。可処分所得が約四十八万円。黒字が十三万二千五百十円という数字であります。この黒字の中でローンの返済あるいは貯蓄が行われるということになっているわけであります。この中で、小遣いとして三万四千五百五十二円、約三万五千円。これが今、勤労者の平均的な世帯の実態であるわけであります。  こういう中で、いわゆる今回の一連の、先ほど申し上げたような、大臣も言われたように〇・九%引き下げるであろうと言われる負担が、大ざっぱに申し上げると、年収約六百万の世帯にしますと、約でありますけれども、月々一万円の負担になってくるということであります。詳しくは申し上げませんが、約一万円の負担になってくる。  こういった状況の中で、本当に先ほど申し上げたような個人消費がきちっとなっていくのかどうか、あるいは、こういった状況の中でもなおかつやはり特別減税二兆円というのを考えられないのかどうか、お伺いしたいというふうに思います。
  98. 麻生太郎

    ○麻生国務大臣 細部にわたります数字につきましては政府委員の方からお答えを申し上げますが、最初の金利につきましては、やはり金利が確かにいろいろな意味で、いわゆる年金所得者、年金生活者という方々の所得に影響を与えているというのは、これは否めない事実であろうと思っておりますが、同時に、金利が低いことによって、やはり企業にとりましてはこれは非常に大きなメリットを与えておって、企業は逆にそれによって雇用を賄い得るという面があります。ここのところが経済全体で回っていく非常に大事なところだと思っておって、そこのところがもたなくなりますと、これは企業が倒れれば、結論、倒産をすれば、いわゆる解雇される、自己都合でない退職者がふえることになるということで、いろいろな要素が出てきますので、これは判断がいろいろ分かれるところだと思っております。  また、今減税につきましていろいろお話があっておりましたけれども、この減税の分につきましては、その前の恒久減税のありました分もちょっと考えていただかなければいかぬところなのであって、それとトータルして考えていかないと、この面一面だけを限って言いますと今御指摘の点もあろうかと思いますが、その前のところから考えていただきますと、今申し上げたような意味で、消費をある程度引っ張りますことは先ほど申し上げたとおりでありますけれども、それ以上に、ここは注意深く見守っていかなければいかぬところだとは思いますけれども、今申し上げたような極端な意味でのマイナスというような形にはならないのではないか、さように考えております。
  99. 城島正光

    城島委員 そういうことであろうかと思いますけれども。最後になりましたけれども、私は、やはり政治のあり方が問われているというふうに思うんですね。  今我が国の財政が大変ピンチであるということは大体国民全体の共通の理解だと思いますけれども、我々こういう大事な時期に、既にいい先人がいるわけですよね。有名な上杉鷹山しかり、松代藩の恩田杢しかりでありますけれども、彼らは何をやったかというと、そういう中でまさしくみずからが範を垂れたわけですね。率先垂範した。そういうことによって、今でいえば、国民のまず理解を得るということをやったわけであります。  まず求めるのは自分たちである、隗より始めよではありませんか。それは何かというと、まさしく行革を断行する、あるいは不要な特殊法人あたりに大胆にメスを入れていく、そういうことをまずやる。その上において、国民に対して理解を求め、負担を求めていくというのが政治ではないかというふうに思うわけであります。それこそが、今まさしくこういう状況の中において一番求められるポイントではないかというふうに思います。  そういう点においても、我が国は、財産は国民であり、人しかないわけでありますから、こういう大変難しい状況の中で人に投資をするということが私は減税であるというふうに思います。そういうことにおいて、この財政再建もやっていくのは国民でありますから、国民に期待をする、投資をするという意味で、この二兆円の特別減税というものをどうしてもやっていく。そういうプロセスの中でこそ、初めて政治が国民との距離感を短くし、政治に信頼が出てきて、この国の再建について力強い動きが出てくるんではないかというふうに思っております。そういう点でも、ぜひもう一度そういう点を再考していただきたいということをお願いして、私の質問を終わります。
  100. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて青木君、城島君の質疑は終了いたしました。  午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十一分休憩      ————◇—————     午後一時三十分開議
  101. 深谷隆司

    深谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。前原誠司君。
  102. 前原誠司

    前原委員 民主党の前原でございます。  先般、三十分の時間をいただきまして、国鉄清算事業団の債務の問題について質問させていただきました。引き続き、それを一つの切り口として財政投融資の改革の問題について、大臣四名に来ていただいておりますが、御質問させていただきたいと思います。  まず、先般運輸大臣に御質問をした件でございますけれども、さらに積み残しがございましたので御質問いたしますが、現在の国鉄の債務というものの処理、平成九年中に対応策を決められてそして処理をするということでございますが、この間申し上げたように、鉄道共済の部分も含めますと一日三十六億円の利子がかかり、それで、全体として年間では一兆三千億になるということで、できる限り速やかにそれができないかということで、平成十年からの本格的な処理ということでございますが、それをもっと前倒しをしていただけないかどうかについて大臣に御答弁いただきたいと思います。
  103. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 先生には前回から国鉄の長期債務の件でそれぞれの御指摘をいただいているところでございます。  御案内のとおり、大変膨大な金額になっているわけでございまして、本格的な処理に早期に着手するということは極めて重要なことだと思っております。その認識は私ども全く先生と同じ認識でおります。  ただ、今申し上げましたように、本格的な処理に着手するということになりますと、膨大な金額でありますだけに、新たな処理策としての財源措置等というものについては国民的な御論議をいただく中でコンセンサスを得るということが極めて私は重要なことだというふうに認識いたしております。そのためにも、今先生もお触れいただきましたけれども、昨年暮れの閣議におきまして、十年から本格的な処理に取りかかり、九年中に国民のコンセンサスを得る本格的処理策を、成案を得るということにいたしているところでございまして、それに向かって全力を挙げて努力してまいりたい、このような認識でおります。
  104. 前原誠司

    前原委員 この問題は、政府・与党に任せておくだけではなくて野党側も対案をきっちり示して、そして議論を高めていくということも必要だと思いますので、我々も、野党の立場でございますけれども、早急に案をまとめて議論を闘わさせていただきたいと思いますし、一日も早い処理というものを要望させていただきます。  続きまして、事業団の金利負担の軽減のために去年の末に閣議決定がなされておりますけれども、これは先般もちょっと触れましたけれども、一般会計から事業団に対して無利子で貸し付けている債務、これを償還を猶予するために据置期限の延長等を行う、あるいは最近の金利情勢を勘案し、低利の民間短期資金の拡充等、より有利な資金の調達を図る、平成九年度における事業団の借入見込み額に相当する額の有利子債務を無利子化し、事業団の金利負担の軽減を図る、こういうことでございます。  言ってみれば、これは国鉄清算事業団の負債のある程度の軽減には役立つけれども、それを国が補てんをするということになって、国全体トータルとして考えれば、まあ借金を右から左へという、移しただけにほかならないと思うわけでありますけれども、そういう認識でよろしいのでしょうか、大蔵大臣
  105. 三塚博

    ○三塚国務大臣 おっしゃるとおり、そのとおりであります。
  106. 前原誠司

    前原委員 となると、この国鉄清算事業団の問題というのは、ただ単に清算事業団の収支というものを軽減をしてやるということでなくて、先ほど運輸大臣にも御要望いたしましたとおり、トータルの処理というものをいかに早急に示していくかということが必要だと私自身思うわけであります。  もう一つ同じような例を申し上げたいと思います。  国鉄清算事業団が抱えている長期債務、これは平成八年度の頭で二十三兆八千億円なんですね。これを、じゃ一体どこから借りているのかということでございますけれども、有利子債務、そのうち財投資金からの借り入れというものが、債務残高というものが十五兆五千億円ございます。これの平均利率が五・三五%。それから民間の借入金については二・七兆円ということですね。これの平均利率は二・四四%なんですね。三%近い金利の隔たりがある。  この予算委員会でもこれに着目をされて、借りかえをしたらどうだという議論がありました。しかし先ほどの閣議決定と同じ議論で、これは財政投融資の資金からある年限を決めて、そのもとに返してもらうという前提で利率も設定をしているわけで、これを早目に返してもらったりすれば財投の計画自身がマイナスになってしまう、こういうことで、国としてトータルで見れば、借りかえをしても余り意味がないのではないかと私は思うわけですけれども、その点について大臣、私の認識正しいでしょうか。
  107. 三塚博

    ○三塚国務大臣 認識はそのとおりです。
  108. 前原誠司

    前原委員 ということは、今認識は正しいということを言っていただいたということは、本来なら、この国鉄清算事業団の債務というものを軽減するためには民間の資金というものに借りかえた方が有利なんだけれども、しかしながら、財投というものの計画があって、それに基づいてお金を借りている、したがって早く返してもらっては困る、こういうことになってくるわけであります。  ということはどんなことかといえば、結局は、財政投融資の資金が現段階においてはだぶついている、財政投融資の資金の供給過多であるということが私は言えると思います。ということは、今までは財政投融資そのものが安い資金調達のもとにおいて日本の発展を支えてきた部分があるのはこれは事実だと思いますけれども、しかし、現段階においては、この財政投融資そのものが日本の財政の赤字というものをある意味で後押しをするような悪循環に陥っている部分もあるというのは、この国鉄清算事業団の債務そのものを見ても明らかであります。  ということで、財政投融資そのものの改革ということを、ここからはぜひ、きょう集まっていただいた大臣皆さん方と議論をさせていただきたいと思うわけであります。  単純に考えまして、一般の金融機関というのは、お金を集めるところと使うところというのは一緒であります。つまり同じ会社がそれをやっている。集めるだけ集めても、それを運用しなきゃいけない、集めたお金については預けていただいた分の金利をつけなきゃいけない、それから必要経費も要るでありましょう。したがって、集めたお金を運用するためには、それを上回るだけの運用益というのを得なきゃいけない。だから、金利もそれに応じて設定をしなきゃいけないし、そしてまた運用の仕方というものも、どれぐらい集めてどういうもので運用できるかということをトータルに考えて集めなきゃいけないということになっています。それが普通の金融機関では全く当たり前のことになっている。  しかし、国は違います。郵貯、それから簡易保険、それから年金、これが財政投融資の原資のメーンでございますけれども、集めるだけ集めて、そしてそれの運用については基本的には資金運用部に任せる、そして資金運用部がそれを、国債を引き受けたりあるいは特殊法人なんかに貸し付けを行っているということで、つまり集めるところと使うところ、あるいは使うものを指図するところ、そして使うところはまだ別個にあるということで、随分そういうところに間が入っているわけですね。  したがって、私は、この集めるところ、入り口と言われているところでありますけれども、入り口と、そしてそれを集約するところ、中間、そしてまた使うところというのが別々であるということ自体が、財政投融資の供給過多にもつながっているし、それがまた全体の財政投融資をゆがめる結果になっているのではないかと思うわけでありますけれども、これについての大蔵大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  109. 伏屋和彦

    ○伏屋政府委員 今委員が御指摘されました点は非常に大事な点でございますので、ちょっと時間をいただいて御説明させていただきたいのですが、資金運用部は、財政投融資の中の中心的役割を果たしております。これはまず預託の方のケースですが、国債の表面金利を基準といたしまして、預託金利と同一の利ざやのない金利で財政投融資の対象となっている公団、事業団等に貸し付けているわけでございます。先ほど先生もお話ありましたが、国鉄清算事業団もそうでございますが、この貸付金利は、その時々の金利ということから考えますと、やはり最も有利な優遇されたものとなっておりまして、その意味では、貸付時点では、同じ貸付機関ということで比べていただきますと、これは民間金利を当時は下回っていたわけでございます。  そこで、まさに先生が言われました低利借りかえの話になるわけでございまして、これは借り手、先ほどの先生の御意見の場合は国鉄清算事業団ですが、それがコストを貸し手である資金運用部にいわば転嫁するものでございまして、まさに先ほど先生言われました点と一致するわけでございますが、貸付金利と預託金利を同一として利ざやをとっていないものでございますので、そうして収支相償うように運営しておるものでございますので、また制度上も一般会計からの補てんを予定していないものですから、結局はコストの転嫁、ツケ回しを受けなければならない、またそれは受ける余地はないということになるわけでございます。  したがって、一たん貸しますと、低金利時にお貸ししたものはその後金利が上昇したとしても、これは資金運用部から上げてくださいということは言わないわけでございます。他方、今回のような場合は、高金利時にお貸ししているわけでございますね。それが下がってきたときでございますが、これが結局、低利借りかえになりますと不利な面だけを受けることになりまして、国の制度、信用に基づいて国民からお預かりしている資金を一方的な不利益を受けるリスクにさらすことはできないわけでございます。  そこで、さっき先生が言われました、余っているのではないかという話になるわけでございますが、財政投融資の資金は、すべて預託の直後から公団とか事業団に貸し付けられるか、または国債等への運用がされておりまして、必ず金融市場に還流されているわけで、先生おわかりであると思いますが、これが国鉄清算事業団の、例えば民間資金を活用するからといって、その資金が、いわば清算事業団という一機関の計画額が減少したからといって、政府部内に資金が滞留しているわけではないわけでございます。  そこで、そういう前提をおわかりいただいての御質問だと思いますが、財政投融資において不要な資金が特殊法人に、預かっているところと貸しているところが異なるから流れているのではないかということでございます。これは必ずしもそういうぐあいに流れているわけではなくて、それぞれ独立に決定されているものですから、そういうことではないということを御理解いただきたいと思います。
  110. 前原誠司

    前原委員 質問していないところまで答弁をしていただきましたが、これからそれについては質問しようと思ったのですけれども、要は、今の私の問題意識というのは、郵貯、それから簡保、年金を初めとして財投資金の原資と言われるものは、言ってみれば集めるだけ集める、特に郵便貯金については、これは徹底的に郵便局の職員の方を通じて集めることになっているわけですね。つまり、金利を設定されていて、これは市中金利にある程度は連動されるといっても、集めるだけ集めて、そして、それについては今二百二十兆を超えるようなところまで膨れ上がってしまっている。  しかし、使うところについては、その集まったものを使うわけですから、さっきむだなことは全くないとおっしゃったけれども、特殊法人、あるいは特殊法人以外の、例えば国債の引き受けでもいいわけでありますけれども、資金運用部と対特殊法人の、あるいは財政投融資のお金が使われている部分については、これは収支はちゃんとうまくいっているのですよ。ただ、資金運用部が貸し付けているところで本当に効率よくやられているか、あるいはそのお金というものがどういう使われ方をしているか、あるいは赤字というものを生み出すような素地になっていないか、そこら辺の問題意識というのが私は必要だと思うのですね。  したがって、集めるところと使うところが違う、そしてその集めたお金はとにかく流さなければいけない、金利は一緒だといっても流さなければいけない、その流したお金の後については、それがむだなところになっているかもしれない、こういう構造自体を私は変える必要があると思うわけです。  そこで、一つの提案をさせていただきたいと思います。  今、郵貯が二百二十兆円集まっている中で、四十兆円ぐらいの自主運用をされております。簡易保険についてはほぼ全額に近い形で自主運用がなされております。年金についても一部自主運用がされています。これの評価を行うと、簡易保険が一番うまくやっている。次が郵貯、そして年金が、これは赤字を生んでいるということでランクづけができると思うのでありますけれども、やはり集めたところと使うところは一緒でなかったらいけないということで、郵貯、そして簡保、そして年金については、これは完全自主運用をするということが私は必要になってくるのではないかと思います。  これは、ただ単に集めるところと使うところが違うことが問題だというだけではなくて、二〇〇一年までにビッグバンをやっていくわけですね、大蔵大臣。ビッグバンというのは、金融機関をいわば競争状況にほうり込んで、そして自由な競争をさせる、そのために垣根をなくしていきましようということなのですね。  しかし一方では、主要大手銀行の五、六行集めたぐらいの大きな郵貯というものがあって、それには政府保証がしっかりついている。そして、金融機関の不安というものが広がってきて、そしてほかのみんなは自由に競争しなさいと言いながらも、そういう郵貯とか簡保だけ、公的な金融機関は政府保証がついているというものが片やあるということは、私は、ビッグバンが完全なビッグバンには絶対にならない。これは郵貯自体も同列にそういう競争原理の中に入るようなものにしないと、ビッグバンというのはいびつなものになってしまう。そういう意味からも、完全自主運用という形で郵貯も自主運用をしてもらう、簡易保険も自主運用をしてもらう、その中で民間の金融機関と同じ競争条件のもとでやってもらうということが私はまず必要だと思うわけです。  したがって、そういう形にしていくべきだという私の意見を申し上げたのでありますけれども、これについて所管の大臣であります郵政大臣と、そして厚生大臣に御意見をお伺いしたいと思います。
  111. 堀之内久男

    ○堀之内国務大臣 ただいまの御質問にお答えいたしますが、まず財投の問題、先ほどからいろいろお話がありましたが、私はやはり、今までの日本の社会資本の整備、あるいは産業、経済発展のために財投というのが非常に大きな役割を果たしてきた、こういうふうに高く評価をいたしております。  委員の先ほどからの御質問で、金利の高い部分、今急激に下がりましたが、これは、金利というのはずっと波があるわけでありますから、確かに高いときに借りた人が今非常に苦しんでおるということで、借りかえをすべきだという意見もあることも承知をいたしておりますが、長いタイムスパンでいくならば、やはり国の事業の中では一部やむを得ない面もあろうと考えます。恐らく、財投でなければ、二十年、二十五年という長期資金の調達はできません。  私は、昨年、住専問題で農協資金の財投投入を相談したことがありましたが、ほとんど、十年以上だったら財投の投資にはやはり民間資金は回せない。今の市中銀行でも、長期金利というけれども五年ですから、長いので七年、大体そういう金利の体系でいきますときに、私はやはりこの財投資金というのは極めて大事な資金の一つだ、こういうように考えております。これから先見直していくことは当然だ、こう思っておりますが、そういう意味で将来とも、いかなる方法になるかは別として、やはりこうした長期資金の調達というのが日本の経済あるいは産業経済、さらに社会資本の整備というものに重要になってくることは変わらない、こういうように思っております。  そういう意味で、今郵便貯金というのは、これは法律によって資金運用部に全額預託することになっておりますが、御承知のとおり、十年前から自由化対策資金として、約一八%であります。二百十三兆円でありますが、その中の約一八%が、平成七年度まで三十五兆円の自主運用をさせていただいております。これも非常に制約、枠がはめられておりながら、五%以上の利潤を確保しながら自主運用をやっておりますし、恐らく平成八年度は預託金の約一九%ぐらい、約四十兆円、これが自主運用をなされておりますが、恐らく四%後半の利益が確保できるのじゃないか、こういうように思っております。  また、簡保資金におきましては、これは先ほど委員の御指摘のとおり、大変、全額もうほとんど、余裕金の約一割ですから九兆円を除いて、残りは全額自主運用であります。しかし、これも大変、御指摘のような立派な成績を上げております。  そのように、これからも私どもも、いろいろ批判があります中で、自主運用のノウハウというか、そうした面も十分研究しながら取り組んでおるところでありますが、将来とも私は今日のような形態を残しながらそうした長期資金の確保を図っていくことは、やはり政府、国の大事な仕事だ、こういうように思っております。
  112. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 財投改革の重要性を指摘されている議員の認識というのは、私も大変似ている点があります。  財政投融資制度をなぜ改革しなければならないか。簡単に言いますと、財政投融資制度というのは国営の金融機関であります。政府の金融機関であります。今それが多量の不良債権を抱えている。その財政投融資制度、資金運用部、ここに年金、郵貯、簡保の金が入ってくる、入り口。資金運用部で管理して、それを各特殊法人に融資、出資している。財政投融資制度の基本的な制度の第一義的な意義は、年金の金、郵貯の金、簡保の金を預かっているんだから、この金は有利かつ確実に運用しなければならないという規定があるわけです。  ところが、旧国鉄清算事業団一つとってみても、既に十年前にこの債務は国民負担するということで、今年じゅうにこの処理方法を決定しなければなりません。しかるに今、旧国鉄清算事業団、株を全部売っても、土地を全部処分しても、恐らく七兆円以上出ないであろうと言われております。ということは、二十兆円以上は国民負担するということが、これは今後政治で決めなければならない。  本来だと、その二十兆円の債務は、年金のお金、郵貯を預けている人、簡保に入っている人が負担しなければいけないわけです。そうでしょう、入り口、出口、政府の金融機関ですから。ところが、年金を掛けている人にそんな負担はさせられない、郵便貯金に入っている人にはそんな負担させられない、簡易保険に入っている人はそんな負担させられないから、国民全部で持ちなさいということであります。こんな無責任なことを続けていっていいのかということから、今財投の見直しをしなければならないということがだんだん争点になってきたと思います。  そこで、そもそも年金と郵貯と簡保を一緒に運用して、特殊法人を初め政府関係機関に融資して有利な運用をできるのか。全然有利になっていない。確実であるということは、国民は税金で負担して初めて確実なんです。その趣旨を逸脱している財政投融資制度、このままで財政構造改革できるのか、行政改革できるのか、金融のビッグバンできるのかというと、私は、この財投の本格的改革なしに、抜本的な行政改革も財政構造改革も金融改革もでき得ない。ここにぜひとも焦点を当てるべきだ、私はそう思います。
  113. 前原誠司

    前原委員 厚生大臣の発言は、本当に拍手を送りたい気分というのはありますが、質問は、完全自主運用についてはどう思うかということを聞いているわけで、お二人ともそれについてはお答えになっていない。
  114. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 当然、不利に運用されているわけですから、そんな有利に運用できないのだったらば自分で運用しますということで、今大蔵省に自主運用を要求しております。
  115. 前原誠司

    前原委員 郵政大臣、財投は長期のそういう安定したお金を供給するということで必要だということをおっしゃいましたけれども、いろいろこれはやり方はあるわけですよ。つまり、郵貯、簡保、年金等は自主運用にして、そしてそれについては自由に国債を買ってもいいし、あるいは後で申し上げるような、財投機関というものが財投機関債というのを発行したらいいのですよ。そして、それがもし本当に必要だと思われる特殊法人ならば、市場は買いますよ。そして、要らないというような財投機関債は売れないし、そして必要だと思うものについては残っていくのですよね。そういう中で、長期のお金確保というのはいろいろな形で可能なわけですよ。  要は、郵政大臣にお伺いしたいのは、今四十兆円というお金を自主運用されている中で、それを拡大していって、本気でみずからがお金を預けてもらって、財政投融資の必要性の御持論はわかりましたけれども、みずからそういう意思があるのか、やる気があるのか、あるいはその能力が今の郵政省にあると思っておられるのか、その点を聞きたいのです。一言で結構です。
  116. 堀之内久男

    ○堀之内国務大臣 ただいまの問題は、私は先ほど小泉大臣のお話を聞いておりましたが、やはり自主運用、自主運用と言うけれども、今私の郵政省は二つともいい成績を上げておるわけですよ。年金事業団は赤字を出しておるわけですから、やはりこれはなかなか簡単に、自主運用とおっしゃるけれども、相当のノウハウがなければ、プロでさえ、今の都市銀行で見てみなさいよ、あれだけの不良債権つくったじゃないですか。これはやはり私は、簡単におっしゃるが、我々は国民の利益をいかに確保していくか、預金者の利益を確保していくかということをまず念頭に置きながら、この運用というのばなしでいかなければなりません。将来とも長期資金が必要でない、民間銀行で賄えるというならば——現実には実際賄えないのだから、今まで。だから、その調達をやってきたのは、我々貯金であり、年金であり、簡保であった、これは理解をいただきたいと思います。
  117. 前原誠司

    前原委員 言われていることは全くその逆なんですよ。  要は、自主運用をして、そしてうまく扱えるかどうかわからない。それについて、赤字が出ればどうするのかという話をされましたけれども、今、国全体が運用していること自体で赤字がどんどんどんどん膨らんでいっているわけです。それについての抜本的な改革をしなければいけない中で、自主運用と言っているわけです。そんな、個別に自主運用をして、それが赤字が出てくるかもしれないので、それについて責任は持てませんというような御答弁では、日本全体の赤字をどうするかという財政改革の議論で、そんな中途半端な答えをしてもらったら困ると思いますよ。  ですから、全体の国の赤字をどうするか、財政投融資として不要な部分に流れていって、それが先ほどの小泉郵政大臣の御指摘のように、厚生大臣のように、不良債権というものを生み出していって、それが最終的に国鉄清算事業団の問題のように、ふえた赤字というものを最終的に国民負担で処理をしなければいけないという議論になったときに、それ自体は入り口のやはりその財政投融資の原資の部分から改革をしていかないと、トータルとしては改革はできないということの中で、自主運用というものを私は一つの策として申し上げて、そして本当に出口の機関が必要であれば、おのずとそこら辺の出口で財投機関債というものを発行する中で、必要なものは残るし、そしてだめなものは淘汰されていく、そういうシステムに全体として変えていかなければいけないということを申し上げているだけで、個別の郵貯の話だけを私は申し上げているわけではないわけですよ。  まあ時間が来ましたので、これから石井議員が個別の財投機関についての問題点を指摘をさせていただきますけれども、とにかく私の申し上げたいのは、金融ビッグバンというものがある。それは民間の金融機関に、要は今まで護送船団方式という中で保護をしてきたのを、それを解き放って、自由競争の中で、本当に弱肉強食の世界でやりなさいということをこれからやろうとしている中で、巨大な公的機関が一方であって、そしてそれについては政府保証がついている、そんないびつな形でビッグバンなんというのはとてもできない。そういう中で郵貯や簡保や年金の改革というものは絶対避けて通れない、そういうことを私は申し上げたかったわけであります。また時間があればこのことについて御質問をさせていただきます。  以上で終わります。
  118. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて前原君の質疑は終了いたしました。  次に、石井紘基君。
  119. 石井紘基

    石井(紘)委員 石井紘基でございます。  今国民の中で税金のむだ遣いに対する怒りは心頭に発していると思います。同時に、あのオレンジ共済の友部議員に対して、事ここに至ってもまだ歳費などが払われているということに対しても、大いに腹を立てていると思います。  二つの点を総務庁長官それから官房長官、小泉厚生大臣に、国会議員個人としての意見として承りたいと思うのですが、一つは、友部氏は詐欺行為を働いたと思うかどうか、もう一つは、歳費等を何らかの方法をもって差しとめるべきだと思うけれども、どう思いますか。
  120. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 今訴訟をされている事件でございますから、私の立場からとやかく言うべきでないかもしれませんが、常識的に考えて最初から詐欺行為であったということは間違いのないことではないかと私は思っております。  それから、歳費につきましては、これまたどうも私のところの所管ではございませんので大変恐縮でございますけれども、決して好ましいことはない。これは前の岡光次官のときといい、私ども今検討いたしておりますが、いろいろ問題があったときに退職金が今の仕組みでいけば払われる。たまたま起訴になりましたから今ストップしておるわけでございますが、依願退職の場合には払わなければいけないということになっておる。期末手当も同じようなこと。これは国民的な常識から考えれば大変おかしなことであるわけでありまして、ただ、法律上仕組みがそうなっているためにやられている。  そういう点から考えれば、法律が不備であり、何らかの形で早急に、この国会中に私はぜひ法律を改正をいたしまして、今後はそのようなことにならないようにさせていただきたいと思っておるわけであります。
  121. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 議員の歳費差しとめという話に聞いたのですが、私の方からこれを申し上げる立場にありません。
  122. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 友部氏の件については、新聞報道で見る限り、私もこれは詐欺だなと思っております。また、友部氏の当選というのは、国民がじかに友部氏の名前を書いて投票したわけではありませんし、なぜこういう人を国会議員にしてしまったのか、また、なってしまったのかというのは、法的な問題もあると思います。  また、議員の歳費差しとめでありますけれども、これは法律上決まっている限り、どうするかというのは本人の判断にまっしかないのではないでしょうか。
  123. 石井紘基

    石井(紘)委員 ありがとうございました。  それでは、前段に申し上げた、税金のむだ遣いをなくす方向に話を進めてまいりたいと思います。  私は、行政改革というのを進める上で、どういう基本的な考え方で、どういう原則でもってこれを進めていくのかということをはっきりとまず先に確立をする必要があると思うのですね。  私は、四つの点を申し上げたい。一つは借金の整理、もう一つは歳出の削減、三つ目は民間への事業の放出、民営化とちょっと違うのですけれどもね、四つ目は人的なリストラ、そしてそれらの効果として市場経済の活性化と増税なき税収増を図る、こういうことであろうと思っているわけですが、こういう原則を確立するということについて、どのようにお考えになるでしょうか。これも、恐縮ですが、総務庁長官にまずお伺いしたいと思います。
  124. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 今五つ申されましたが、私は、行政改革はそれもすべて含んでおるわけでありますけれども、もう一つやはり今問題は、大変日本が高齢化社会、少子化社会になってきた、労働環境が二十一世紀には非常に変わってくる、あるいはまた高度情報化時代になってきて、いろいろ事務的なものが、そういう高度の情報化時代にふさわしいものを入れていかなければいけない、こういうものも私は入っているのではないかと思っております。  いずれにいたしましても、今御指摘のありましたように、借金を減らしていかなければならない、それには行政あるいは政治の世界がリストラを当然民間と同じようにやっていかなければいかぬというのは、私はおっしゃるとおりだと思います。  それから、その中でリストラをやっていくには、役所がやらなくてもいい仕事、これはやはり民間に持っていったらいいのではなかろうか、あるいはまた時代に合わなくなってきておる規制がいろいろ多い、そういう規制というものはやはり思い切ってこの際なくしていったらいいのではなかろうか。結果的にそれはリストラをやって事務が少なくなっていくわけであります。そうなってくれば、今御指摘のように人も減っていくわけでございます。  それからもう一つは、なるべくそういう形によって税収を、いわゆる増税をなくして歳出をカットしていくという中で、結果的に今申し上げたことをいろいろやっていけば歳出は要らなくなるわけですから、歳出が要らなければ税のより多くの負担も必要がなくなるということになるということは当然だと思います。  ただ、これは今までのおっしゃったことを言っているわけでありまして、しかし一方、大きな赤字を、というか財政赤字を抱えてしまった現実というものがありますから、これを将来どうしていくかという問題は、私は相当先になると思います。政府も、二〇〇五年までにはGDP三%以内に借金を抑えて、そしてその後は財政を均衡していく、歳出歳入を同じようにしていく、こういう目標で今やっておるわけでございますが、私は強いて言えば、それに加えて、それでは従来の負のストック、大きな借金はそのまましていっていいのか。こういう問題は私は当然あるのではないか。  将来においてはそういう借金も減らしていく努力をしていかないと、いつまでたっても次の時代の国民の負担に負うところが多くなるわけでございますから、そういう面では、将来においてはそういう負のストック、今できてしまった大きな借金をいかに減らしていくかということも考えていかなければならない。それは今お話しのように、私が申し上げたような手法を将来ともとり続けていかなければいけないのじゃないかというふうに考えております。
  125. 石井紘基

    石井(紘)委員 大変な御丁寧な御答弁、大変ありがたいのですが、私の方はちょっと時間を急いでおります。  小泉厚生大臣にも一言この点について御感想を例えれば、お願いをしたいと思うのですが。
  126. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 この十数年来、行政改革の主眼、出てくる言葉、これは、官業は民業の補完に徹すべしという言葉がありました、中曽根内閣以来。役所の仕事は民間にできない仕事、しかし国民生活にどうしても必要なものにせよ、民間にできることはどんどん民間に任せておくべきだという考えだと思います。  私は、役人がやっているのは公共的なものだ、民間人がやっているのは公共的なものでないという時代ではないと思います。むしろ、民間企業でも民間人でも、今や官業、公共的な分野に進出して社会に貢献している人なり企業なりがたくさんあります。今後は、官業は民業の補完に徹すべしから一歩進んで、民から官の分野へ、民間が官業の分野に進出できるような環境を整えていくことが大事だ。  役人を減らせというのはみんな言いますけれども、役所の仕事をふやして、役人の仕事をふやして役人を減らすことはできないと思います。役人を減らす、役所の仕事を減らすというのだったらば、むしろ役人の仕事を減らして民間にできることをどんどん民間に任せていく。同じ仕事をしても、役所がやれば法人税を払わない、固定資産税を払わない。民間がやれば法人税を払う、固定資産税を払う。  そういうことを考えると、私は、民間にできることはどんどん民間に任せていった方が、税収も上がってくる、なおかつ役人の数も少なくて済む、行政改革ができるのではないか、そう思っております。
  127. 石井紘基

    石井(紘)委員 ありがとうございました。  公益法人の問題に触れたいと思うのですが、道路公団本体の問題をちょっと後にして、時間があればやるということにして、この道路公団の下にというか横にというか、財団法人道路施設協会というのがある。この施設協会にまつわるさまざまな、私に言わせれば疑惑について、私は二、三年前からずっと取り上げてきているわけでありますが、最近、ようやく大変これが注目を浴びるようになってまいりました。  公益法人というのは、まず、これは積極的に不特定多数の者の利益を実現することを目的とするものでなければならないということはあちこちに書いてありますけれども、こういうことでよろしいのでしょうか。
  128. 榊誠

    ○榊政府委員 お答えいたします。  民法三十四条におきまして公益法人に関しての定義がございますが、先生、今お話のございましたように、営利を目的とせざるものでございますが、実際の運用といたしましては、不特定多数の利益の実現を目指すものというふうに私ども理解してございます。
  129. 石井紘基

    石井(紘)委員 この道路施設協会という財団法人は、昭和四十年に道路公団職員の福利厚生団体である厚生会というものが基本財産と運用資産、計二千万円を出してつくったのだというふうに建設省から私の方に報告が来ておりますが、これは、平成八年九月の閣議決定を見てみますと、この閣議決定に、「次のようなものは、公益法人として適当でない。」という項目がありまして、その中に、「特定団体の構成員又は特定職域の者のみを対象とする福利厚生、相互救済等を主たる目的とするもの」、こういうものは適当でないと言っているわけですね。それからまた、公益法人の事業として、「営利企業として行うことが適当と認められる性格、内容の事業を主とするものでないこと。」というのもこの中にあるわけです。  これを類推して判断しますと、こうした設立の経緯から見て、この道路施設協会というのは極めてその資格に問題があるというふうに言わなければならないと思うのです。まさに、これから申し上げますように、この団体は、特定の団体、特定の職域の人々の利益とか金もうけのためにつくられた団体であるというふうに私は思うのです。  昭和四十二年に建設省の道路局長通達が出まして、これは大変疑惑のにおいの強いものだと思います。ちょうど施設協会が設立されてから二年後です。この局長通達というものを契機にそれ以降、道路施設協会は毎年続々と子会社、孫会社を設立して、今日、六十七の子会社、それにプラス孫会社をつくってきたわけであります。このままだと、道路を新しい区間を整備する都度そこにこうした会社ができるわけでありますから、何とか中四国道路施設サービスだとか何とか協会だとかいうものができるわけでありますから、延々とこの子会社の設立というものは続いていくということになるわけであります。  この通達の中には、「道路サービス施設の占用主体は」「公共的な団体に限る」、こういうふうに書いてあるわけですね。そして、その上で、「同一路線及び関連する路線の道路サービス施設については、一括して同一の占用主体に占用を認めるものとする。」というふうに明記されている。これは、明らかにこの道路施設協会と呼吸を合わせた通達であるというふうに言わざるを得ませんし、また、現にそうなっております。道路施設協会にビジネスの独占権を与えるというのがこの通達の目的であっただろうと思うのですね。  そこで、私は、この通達というものは道路施設協会にサービスエリアやパーキングエリアの事業についての独占権を与える、こういうものであったのだろうと今言いましたが、これについて建設省はいかがですか。これは違いますか。
  130. 佐藤信彦

    佐藤(信彦)政府委員 お答えいたします。  この通達は四十二年に出されておりますが、ちょうどこの時期というのは、高速道路が名神高速から東名の段階にといった、高速道路の草分けの時代でございます。そういった時期に、高速道路に、それまでの道路とは違って、高速道路とかそれからそのほかの自動車専用道でございます、こういったものについてのサービスエリアとかパーキングエリアにおきます休憩所、それから給油所、それから自動車修理所、ガソリンの補給なども行うところもございますが、こういった高速道路、自動車専用道を使われる方のサービス施設といったものがどういった形のものが一番適切かといったことで、その占用基準を示したものでございます。  そういった中でございますので、このサービス施設は、やはり、高速道路において、適切な間隔とか適切な施設を置いていくといったことが考えられております。
  131. 石井紘基

    石井(紘)委員 私の質問にどう答えたのか意味不明でありましたけれども、道路施設協会以外に、日本道路公団のパーキングエリアあるいはサービスエリアの施設の管理だとか、あるいは食堂やレストランを貸すとか、駐車場を管理するとか、そういうことはできないのですか。それとも、道路施設協会が独占しているのですか。どっちですか、一言で言ってください。
  132. 佐藤信彦

    佐藤(信彦)政府委員 通達上は、同一及び関連する道路について、一括して同一の占用主体に占用させることであり、必ずしも施設協会に占用させるといった一つのものではございません。
  133. 石井紘基

    石井(紘)委員 そうすると、道路施設協会以外でも、今道路施設協会がやっているような事業に参画できるということですね。
  134. 佐藤信彦

    佐藤(信彦)政府委員 ちょっと言葉が不十分だったと思いますが……(石井(紘)委員「はっきり、ちょっと一言で」と呼ぶ)一言というよりも、高速道路の中の同一路線及び関連する路線については、一括して同一の主体ということになっております。
  135. 石井紘基

    石井(紘)委員 では、つながっているのはどうなんですか。
  136. 佐藤信彦

    佐藤(信彦)政府委員 つながっているのは、その一つの路線とか関連するものといったことで、特に、その路線におきます採算性とかそういうものを含めましての、高速道路になりますと、路線によりますが、かなりの範囲がそういう一括した占用といったことになるかと思います。
  137. 石井紘基

    石井(紘)委員 わかりました。とにかく、独占しているということを余り言いたくないのだろうと思うのですが、実際には道路施設協会が、独占をせざるを得ないというか、結果的に独占することになるということを言っているのだろうと思います。  この道路施設協会の寄附行為の中には、例えば、役員を決める場合どうするか。この場合、「理事長は、日本道路公団総裁の意見をきき、評議員会が選任する。」理事及び監事も、日本道路公団総裁の意見を聞いて任命する。そして、事業については、「有料道路における休憩施設の設置に関する事業」とか、「有料道路における案内に関する事業」だとか、いろいろと書いてあるわけですね。この寄附行為というのも設立のときにできているわけですから、これは、こちらサイドからいくと、道路公団のこうした事業というものは私のところで一手でやるのですよというような内容になっているわけです。  現に、あなたがおっしゃるように、もし独占しているのじゃないとするならば、どうして道路施設協会だけにしかこの休憩施設等々の管理をやらせていないのですか。
  138. 黒川弘

    ○黒川参考人 先ほどの道路局長通達にもございますとおり、具体的に名神高速道路が開通いたしました段階で、若干、創成期には道路公団みずからもやった時代がございますけれども、やはり、予算の面の制約とか、あるいは、民間の資金を使って機動的かつきめ細かなサービスをやろうということで、民間の立場での道路施設協会が設立されました。  しかし、協会につきましては、道路局長通達にもございますように、やはりそのものは「道路管理者に代わり得る公共的な団体に限る」というふうにされておりまして、そういった意味で、やはりそういった財団法人のようなものが必要であるということと、もう一つは、全体のサービスレベルというのを、それぞれの地域にわたりある程度長期的に、あるいはレベルを合わせて持っていこうということで、一括して同一の占用主体に一つの路線及び関連の路線は許可する一括許可という方針が示されておりまして、その関係で、具体的には道路施設協会に、今まで占用許可をしてまいったわけでございます。  具体的な運営に当たりましては、民間のテナントさんを募集されて、そこでやっていただいているのが現状でございます。
  139. 石井紘基

    石井(紘)委員 ちなみに、道路施設協会というのは年商売り上げが七百三十億、経常利益が百億、不動産賃貸、これは業としては全国第七位、総資産五百四十億、こういうことになって、役員の十六人のうち十三人は道路公団から行っている。  子会社は、すべて経常利益を上げ優良企業である。この六十七社のうち五十四社の社長は道路公団からのいわゆる天下りで占められており、年間の総売り上げは合計五千五百億円であり、職員は二万六千人を擁している。中には政治家への献金もしているところも幾つもあるということでありますが、この莫大な利益とか資産とかいうものはどういうふうに処分されるのか。もちろん、国の事業を競争なく受けて、そして役人がそこへいわゆる天下ってやっているという構造の中で、税の優遇措置も当然いろいろな形である、便宜もある中で、この蓄積された資産とか利益というものはどう処分されるのですか。
  140. 佐藤信彦

    佐藤(信彦)政府委員 先生がおっしゃられた内容のとおりでございますが、平成七年度の決算によりますと、サービスエリアのテナント等の事業収入でございますが、営業収入、おっしゃられたとおり、七百億程度でございます。それから、サービスエリアの運営費、それから清掃費、それから道路公団への占用費、一般管理費等、営業費用は六百八十二億ございます。したがって、営業利益は二十四億円となっております。ですが、これに営業外利益六億円を加えまして、経常利益としては三十億円、これから法人税等二十二億円を引いた後の税引き後の当期利益でございますが、七億六千万というオーダーになっております。  この七億六千万についてでございますが、高速道路の利用者の便宜増進を図るために、新たな休憩施設の建設費として充当しているところでございます。
  141. 石井紘基

    石井(紘)委員 今の話は、もうかった金はまた次のサービスエリアをつくるんだということでありますが、こういうのは、結局、民間の企業の設備投資と同じですね。こうやってどんどんこれが拡大していくという構造になっているわけですね。  まあ、今までるる申し上げましたさまざまな点から、建設大臣、この財団法人道路施設協会というものは、これは、ただ単に中間搾取をしているような側面が非常に強い、そういう部分が多い。これがもしなかりせば、もっといろいろ、道路公団そのものの経営というものは今大変厳しい状態ですけれども、違ってくるというふうに思うのです。  大体、国が直接経営している特殊法人は、先ほど来話があるように、ほとんど全部が大赤字で、火だるま、火の車。その下の子会社、孫会社、ひ孫会社、こういうところが太っているというのは、私、もう三年前からずっと言ってきていることでありますが、この道路施設協会というのは、閣議決定にも反しているわけですから直ちに廃止をすべきだ、これはさまざまな改革に先行して廃止すべきだというふうに思いますが、いかがですか。
  142. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 お答えいたします。  委員から道路施設協会をめぐるいろいろな問題点を指摘をされましたが、本来は、道路公団が道路を建設、良好な維持管理をする上において、直接そうしたサービスエリア等の問題を扱うよりもという観点で、そうした意味では極めて前向きな考え方で設置をしたということは、私は疑う余地がありません。先ほど来、委員の発言の中に時々かちっとくることがあるわけでございますが、別に悪いことをしてやろうとか、うまいことをしてやろうとか、そういうことでつくったことではないことは事実で、やはり人を悪くばかり見られたら、委員、私はまずいと思いますよ。  しかし、その後の長い年月の中で、人間のやることでございますから、だんだんと委員が御指摘のような、国民の目から見て、何か日本道路公団一家といいますか、それが生み出すそうした付加価値を分け合って食っておるんじゃないか、一方では、国民の税金が道路建設に吸い込まれていく、また通行料が高いというような、そうした御批判が生まれておるのが現在の状況であると思います。  私は、そういう意味では、この際、橋本総理から厳しい行政改革、特殊法人等にわたっての御指示もある中で、抜本的な改革をやっていくということで現に取り組んでおるわけであります。そういう意味では、道路施設協会の今後のあり方を含めて、聖域はございません。委員よりも年齢が若いからいいというわけじゃございませんが、三十代の道路局の職員を中心に、今、徹夜とは申しませんが、夜を徹するような状況の中で徹底的な勉強をし、改革案を今練っておるところでございます。真剣に取り組んでまいる所存でございます。
  143. 石井紘基

    石井(紘)委員 道路審議会の答申等を見ましても、これから先の高速道路建設というものは負担が格段に重くなるということにもなっているし、まだそういうところは採算の上からも効率の非常に悪いところにかかってくることになるということで、道路料金についても、今やもう三分の二が利息と借金の返済金でしょう。そして、例えば一日当たりの利息は、一日でですよ、幾ら払っているかというと、私が計算しました、間違ってなきゃ三十三億円ですよ、一日に。借金の返済と合わせると七十億円。一日、毎日毎日、こうやっている瞬間瞬間にお金が飛んでいくというような構造です。  そういう中で、ぜひひとつ、建設大臣、二、三日前にも道路公団の改革についても取り組むという指示をされたと言っておりますが、建設省に指示してもだめなんですよ。道路公団に指示しても。改革されるべきところに改革案をつくれと言う、これは、何といいますか、もうそれはマグロにすし握れと言うようなもので、肝心なものが出てこない、これでは。  ということを申し上げて、道路公団のこともやりたかったのですが、ちょっと時間が押しております。  そこで、今の道路施設協会の役員の給与は一体どうなっているのか。現在の理事長さんは四年ぐらい勤めている。その前職は、この方は日本道路公団の副総裁をやっておられて、その前は国土庁の次官をされておった。国土庁から伺いたいと思うのですが、恐縮ですが、個人のことにもなりますが、これは公の立場ですので、国土庁をおやめになるときの退職金は幾らだったんでしょうか。
  144. 近藤茂夫

    ○近藤(茂)政府委員 国土庁事務次官を退職されておりますので、私の方からお答えさせていただきたいと思いますが、国家公務員退職手当法の規定にのっとりまして、約五千五百万円払われているということでございます。
  145. 石井紘基

    石井(紘)委員 その後の、日本道路公団副総裁から総裁になられた、これは七年間ぐらいの間こういう職責についておられたのですが、道路公団の方の退職金はお幾らだったでしょうか。
  146. 佐藤信彦

    佐藤(信彦)政府委員 平成三年に退職するまでの退職金といたしまして三千九百万円と伺っております。
  147. 石井紘基

    石井(紘)委員 現職道路施設協会理事長、仮に四年間で計算をするとしたら、どのくらいになりますか。建設省。
  148. 佐藤信彦

    佐藤(信彦)政府委員 約二千六百万ぐらいでございます。
  149. 石井紘基

    石井(紘)委員 ざっと計算して一億をちょっと超えるような金額ですか。  この間、私は建設委員会で住都公団の子会社の社長をやっている方の退職金を伺いましたら、今でおやめになるとすれば大体七千万円で、その前職が三千六百万円で、その前職の国土庁が二千二百四十……、これは出なかったのですが、住都公団総裁で三千六百万円、その前の国土庁で二千二百四十三万で、合計一億三千万というふうに私がこれは計算をしているのですが、それは建設省さん、間違いはないでしょうかね。これは国土庁が入るから、わからないですか。
  150. 小野邦久

    小野(邦)政府委員 国土庁からの退職の方ということでもございまして、私の方からちょっとお答えするのはあれでございますけれども、この前建設委員会で御質疑をいただきまして、お答えをいたしましたとおりだというふうに思っております。
  151. 石井紘基

    石井(紘)委員 それですと住都公団のときと国土庁のときの数字がわからないのですが、じゃ、私が今申し上げた総計で一億三千万円ということで、ほぼ間違っていないんだろうというふうに判断をしたいと思います。  こうした退職金については、これはもう国民が許さないだろうと思うのですね。今申し上げたお二人の方には大変恐縮で、たまたま例に挙げさせていただいたわけですが、これは従来どおりのやり方でやはり今後も支払い続けるということになるんでしょうか。これは官房長官、いかがでございますか。
  152. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 委員から御指摘になりました役員、職員のいわゆる待遇の問題、これも当然行政改革の中での抜本的な見直しの対象になっていくということであります。
  153. 石井紘基

    石井(紘)委員 ありがとうございました。  道路施設協会の子会社等の業務あるいは財務の内容について、私は、随分前から資料をお出しくださるようにお願いをしてきたわけでありますが、二年ぐらいたちましたが、全然出てまいりません。この子会社、孫会社についてのそうした資料の公開をされるように要求をしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  154. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 それぞれ出資がされておる子会社、孫会社につきましては、これは純然たる民間企業ではございませんから、現在国民の関心が非常に強い状況の中において、その透明性をこの際きっちりとするという意味におきましても、私は、それぞれに対して提出方をお願いをするのが当然であろうと思いますし、そういう努力は全力を挙げましてやっていきたいと、このように思っています。
  155. 石井紘基

    石井(紘)委員 大変前向きな御答弁をいただきまして、ぜひ早急にお願いをしたいと思います。  公益法人のその他の問題に移りたいと思いますが、公益法人の政治団体や政治家に対する献金という問題が先ごろから指摘をされているわけですが、税の優遇措置を先ほど申しましたように受けながら、そして省庁の認可、指導監督のもとにあるこの公益法人が特定の政治家や政治団体に寄附をしている、こういう事例が非常に多いんですが、これは、この公益法人の趣旨や目的からいってふさわしくないのではないかと思われるわけですが、いかがでございましょうか。これは見解を伺いたいんですが、総務庁長官お願いできますか。
  156. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 助成を受けている公益法人などが政治献金をすることは禁止をされておって、それはできないことになっておると思います。
  157. 石井紘基

    石井(紘)委員 助成を受けている公益法人だけではなくて、それ以外の公益法人のことも聞いたつもりなんですが。  またさらに話を進めますと、こうした公益法人に補助金が今おっしゃるように出ているものが多数ございます。そうした公益法人の代表者に政治家がなるというのは、これはどういうことかといいますと、大体、予算を決める、補助金を出すことを決めるその人が受ける方の立場の代表をしているという関係になるわけでありまして、これは極めておかしなことではないかと思いますので、こうした補助金を受けている団体の代表者を政治家が務めているということは今後あるべからざることであろうかと思いますが、いかがでしょうか。
  158. 榊誠

    ○榊政府委員 お答えいたします。  公益法人は民間のイニシアチブによって設立される、そういう性格の団体でございまして、その公益法人の理事長なり会長なりがどなたがなるかということについては、その公益法人が最もふさわしい事業をやる方を選ばれておるというふうに理解しておるところでございます。
  159. 石井紘基

    石井(紘)委員 それは非常におかしいと思いますね。ましてや、大臣なんかをやっていらっしゃる方がこうした、というのは、こういった補助金というのは、この中身をよく調べてみますと、いろいろな政治団体とか政治連盟というようなものが並行的につくられておったり、あるいは選挙なんかにもいろいろな支部等を通していろいろな形でつながっていたり、そして、補助金をとるという場合にはやはりここに政治家がいるということが大きく物を言うわけです。  現に、この前ある新聞指摘をされていたある議員の事務所ではコメントを出しているわけですが、そしてそれに対して、これはその寄附金を出した公益法人の方がどう言っているかというと、あの先生には大変お世話になっているので寄附をしたんだとこういうふうに言っているわけですね。こういうことから見ても、こうした公益法人の代表者をやはり政治家が務めるということは、利権政治なりあるいは利益誘導なりそういうものにつながってくる。ここに今の政治不信国民皆さんの政治への不信の大きな原因があるんだというふうに思うんですね。  これについてはっきりした御答弁がいただければぜひ答弁をしてもらいたいんですが、いかがでしょうか、もう一回。
  160. 榊誠

    ○榊政府委員 お答えいたします。  私どもは、公益法人が民間のイニシアチブによって設立されるということでございますが、設立の許可を主務官庁に対して出してくるわけでございますが、それに対して、公益法人が本当に公益事業を行う、同時にまた、政府が定めておる一定の基準にそれなりの内容等が合致しておる場合にはそれは設立許可をしているという状況でございますので、その点から御理解いただければと思いますが。
  161. 石井紘基

    石井(紘)委員 農水省に伺いますが、農水省は社団法人国際農業交流協会という団体に補助金を出していますか。出していると思いますが、それはどのぐらい出しているか。最近三年間の分を言ってくれませんか。
  162. 高木賢

    高木(賢)政府委員 補助金を出しております。平成六年度が一億五千五百万円、七年度が一億五千八百万円、これはいずれも決算ベースであります。八年度が一億六千五百万円でございます。
  163. 石井紘基

    石井(紘)委員 この団体はその決算において寄附金を出していますか、出していませんか。
  164. 高木賢

    高木(賢)政府委員 寄附金支出につきましては、七年度におきまして日本農林漁業振興会に対しまして四万円の寄附を行っております。  それから六年度につきましては、日本農林漁業振興会に対しまして農林水産祭寄附金三万円、それから、政治団体である二十一世紀基本政策研究会に十万円、それから、兵庫県知事に対する阪神大震災義援金五万円、計十八万円の寄附を行っております。
  165. 石井紘基

    石井(紘)委員 私もこの収支決算書というのをもらっているんですが、この中にはさっぱりそういう項目がないんですが、これはどの項目に該当するんですか。
  166. 高木賢

    高木(賢)政府委員 諸雑費という項目でございます。
  167. 石井紘基

    石井(紘)委員 寄附金が諸雑費ですか。随分いいかげんなこれ決算……。これは非常に問題の多い……。  もう一つの問題は、今言われた二十一世紀基本政策研究会という、これはさる政治家の政治団体でありますが、ここに寄附をしているというのは、私もこれ、こちらの方の政治団体の方に載っているか載っていないかということが気になっているんですが、これは自治省に伺いたいと思いますが、この政治団体は国際農業交流協会から寄附金を受けておりますか、おりませんか。
  168. 牧之内隆久

    ○牧之内政府委員 お尋ねの二十一世紀基本政策研究会の収支報告によりますと、平成七年の一月十七日に社団法人の国際農業者交流協会という団体から十万円の寄附を受けた旨の記載がなされております。
  169. 石井紘基

    石井(紘)委員 政治資金規正法には、第二十二条の三「国から補助金、負担金、利子補給金その他の給付金の交付の決定を受けた会社その他の法人は、当該給付金の交付の決定の通知を受けた日から同日後一年を経過する日までの間、政治活動に関する寄附をしてはならない。」これは一年以内の寄附ですか。一年以内の寄附だとしたら、この政治資金規正法に違反をしますか、しませんか。
  170. 高木賢

    高木(賢)政府委員 自治省さんのお答えの前に、事実関係として一年以内だということでございます。
  171. 石井紘基

    石井(紘)委員 こういう場合は、これは「政治活動に関する寄附をしてはならない。」というふうに書いてあるから、この受けた方の政治団体、これはやはり、出した方が違反だというのだから、受けた方も同じく違反なんでしょうね。
  172. 牧之内隆久

    ○牧之内政府委員 先ほどの二十二条の三に違反をするかどうかという点からお答えをしたいと思いますが、個別具体の問題につきましては、私どもは、事実関係を調査する権限を有しておりませんのでお答えができかねるところでございますが、ただ仮に、先生御指摘のように、あるいは農林水産省からお答えがありましたように、補助金を受けていたという事実があったとしますれば、あとは二十二条の三で、性質上利益を伴わないものについては規制の対象から除外をしておりますので、これに該当するかどうかという点が問題になるわけでございますが、この補助金がどういう性格のものかどうか、私ども詳しい内容をまだ承知しておりませんので、現段階ではお答えを差し控えさせていただきます。  それから、二つ目の受けた側の規制でございますが、これは、そういう補助金であることを知り得ていた場合に規制の対象になるということでございます。
  173. 石井紘基

    石井(紘)委員 先ほどの答弁では、これはこの規定に抵触するということですが、こうした違法行為を犯している団体が国から補助金を受けるということについては、農水省は、こうした事実関係を以前からわかっていたんですか、それともどうなんですか。
  174. 高木賢

    高木(賢)政府委員 大変残念ですが、わかりましたのは二月二十一日になってからでございます。
  175. 石井紘基

    石井(紘)委員 こうした社団法人日本農業者交流協会に、大体一億五千万を超える補助金が農水省から少なくともこの三年間にわたって毎年出されている。これについては問題だと思いませんか。
  176. 高木賢

    高木(賢)政府委員 国際農業者交流協会は、我が国の農業者が……(石井(紘)委員「いや、そういうことじゃなくて、問題だと思うか、もう時間がないんだから。」と呼ぶ)はい。出している理由を申し上げませんとそのお答えにならぬと思いますので、申し上げたいと思いますが……
  177. 石井紘基

    石井(紘)委員 聞いたことを答えてくれればいいんだから、そんなことは、もうしゃべられちゃったら時間が終わっちゃうよ。
  178. 高木賢

    高木(賢)政府委員 はい、わかりました。我が国の農業者の海外派遣の研修並びにASEANなどから研修生の受け入れという大変重要な仕事をしている、そういうことで補助金を出しているわけでございます。
  179. 石井紘基

    石井(紘)委員 そうした海外の交流やあるいは農業関係の事業に補助金を出している団体、活動をしている団体というのはたくさんあるわけでありまして、補助金が出されている同種の団体もたくさんあるわけであります。  こういう、やはり法律に違反しているような行為を行っている団体に補助金を出すということは、これはやはり考え直すべきじゃないでしょうかね。農水大臣
  180. 藤本孝雄

    ○藤本国務大臣 農水省から補助金を受けております公益法人、この公益法人が政治資金の寄附を行ったということについて、先ほどからいろいろとお話があったわけでございますが、この公益法人としては、政府から補助金を受けている、こういう実態、実情から考えまして、慎重な行動をとることが必要でございまして、今後、当該団体に対しましては十分に指導してまいりたいと考えております。
  181. 石井紘基

    石井(紘)委員 ちょっと待ってください。どういう指導をするんでしょうかね。補助金を今後も出すのか出さないのかということを聞いているのですが、もう一回答弁をお願いします。
  182. 藤本孝雄

    ○藤本国務大臣 政治資金を寄附するということとその公益法人が与えられた事業をするということは、おのずから別のものだと考えております。
  183. 石井紘基

    石井(紘)委員 それは話のすりかえでありまして、寄附をするということと事業とは別だということじゃなくて、法律を犯すということと事業ということがどういう関係にあるのかということじゃないですか。
  184. 藤本孝雄

    ○藤本国務大臣 政府から補助金をもらっている公益法人が政治資金を行うということにつきましては、先ほどから御答弁申し上げておりますように、一年間はできない、かような規定があるわけでございまして、その一年間の中で寄附をした、こういう実態でございますから、その点については、十分に指導をいたします、かようなことを申し上げているわけでございます。
  185. 石井紘基

    石井(紘)委員 そういう答弁では、私は、この問題、もうこれはこれ以上進められないじゃないですか。補助金を今出すのか出さないのかと言っているのにその返事をしないというんじゃ。どうなんですか、指導する指導すると言って、どういう指導をするのですか。こういう団体に、法律を犯している団体に貴重な税金をつぎ込むということは、国民が許しませんよ。
  186. 牧之内隆久

    ○牧之内政府委員 今委員は法律を犯しているという前提のもとにお話をされておりますけれども、先ほど私御答弁申し上げましたように、その性質上利益を伴わないものでありますれば二十二条の三の規制の対象外でございます。  この補助金がこれに該当するかどうかということにつきましては、当該補助金の内容等を十分農水省からもお聞きをして判断をいたしたいと思います。
  187. 石井紘基

    石井(紘)委員 そういう何か問題をはぐらかすような答弁をするのだったら、早くそれを調べなさいよ。該当するのかしないのか調べなさいよ。それまで質問が続けられない。
  188. 牧之内隆久

    ○牧之内政府委員 農林水産省の方から補助要綱等を十分詳しくお聞かせをいただきまして、判断をいたしたいと思います。
  189. 石井紘基

    石井(紘)委員 これはひとつ、それじゃ委員会において、委員長、私、まだこれは答弁はいただいてませんので、ひとつ取り計らっていただきたい。
  190. 深谷隆司

    深谷委員長 何の資料をどう出せというのですか、具体的におっしゃってください。
  191. 石井紘基

    石井(紘)委員 いやいや、今、それは法に触れるか触れないかわからないと言うから……
  192. 深谷隆司

    深谷委員長 もう一回まとめて、申しわけないですがまとめて、何を求めているかおっしゃってください。
  193. 石井紘基

    石井(紘)委員 一つは、この今申し上げました事件が法に違反しているということについて、今違反しているかしていないかわからないと言うから、それを調べなきゃわからないと言うから、それを調べてはっきりさせるということが一つ。もう一つは、違反をしているのであれば、こうした団体に補助金を出すということは停止すべきだということです。
  194. 深谷隆司

    深谷委員長 それでは、ただいま理事間で協議をいたしまして、石井紘基君の言われている、違反しているかどうかということについての調査、これはお調べして、後刻お答えを出すということを含めて、理事会で協議をいたします。  二番目に、補助金を出すか出さないか云々については、当委員理事会のあずかるところではございません。一番の件だけ理事会で協議をいたします。
  195. 石井紘基

    石井(紘)委員 ありがとうございました。
  196. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて石井君の質疑は終了いたしました。  次に、仲村正治君。
  197. 仲村正治

    仲村委員 私は、安全保障政策の基本についてお尋ねをしたいと思います。  私が答弁を求めております官房長官おられませんけれども……。
  198. 深谷隆司

    深谷委員長 お静かにお願いします。
  199. 仲村正治

    仲村委員 国家国民の平和と安全、そして安定した社会を保持するための国策は、与党とか野党とか、あるいは保守とか革新とかの立場でくるくる変えられるべきものであってはならないと思います。特に、政権交代があったとしても、独立国家存立の基本である安全保障政策は、手のひらをひっくり返すように変えられてはならない不変のものでなければならないと思っております。  戦後五十年近く、世界は米ソを頂点に自由主義陣営と共産主義陣営の対決の中で、我が国政府は自由主義陣営の側に立ち、日米安保体制で安全保障政策を進めてまいりました。これに対して、我が国の革新政党は、どちらかといえばソ連を頂点とした共産主義陣営を支持し、自衛隊に反対、日米安保に反対を主張した、いわゆる五五年体制が四十年間も続いた。その中心的勢力であった旧日本社会党の村山さんが総理になったことによって、一夜にして何のちゅうちょもなく自衛隊合憲、日米安保条約堅持と言って、我が国国民だけでなく全世界の人々を唖然とさせたことは、私たちの脳裏にいまだにはっきり残っているところであります。  しかし、ある面、我が国の革新政党の中心勢力であった旧日本社会党が安全保障政策を百八十度転換させたことによって、我が国の安全保障政策はようやく共通の土俵で議論ができるようになったと私は思っていますが、この点について、梶山官房長官と久間防衛庁長官の御所見をお聞きいたしたいと思います。
  200. 久間章生

    ○久間国務大臣 今委員がおっしゃられましたように、我が国の安全を守っていくためには、政権がかわろうと何しようと、本当に考えていくならば、大体軌は一にしていくのではないかというふうにかねてから私どもも思っておったわけでございますが、先般来いろいろと政権はかわりましたけれども、細かい点では違ったかもしれませんが、その中に脈々と流れる政策についてはほとんど変わらなかった。これはやはり我が国の現在の置かれた状況、憲法のああいう制約の中でいろいろ考えていきますと、日米安保体制を軸としながら、最小限の武力をもって我が国を守るという現在のとっている姿というのは、政権がかわってもかわらなくてもやはりこれしかないのではないかというふうな、そういう確信を持って私どもはやっているところでございます。
  201. 仲村正治

    仲村委員 私は、あえてこの際、梶山官房長官に確認をしたいと思っております。  我が国がサンフランシスコ平和条約締結後の戦後の再出発の後今日まで、日米安保体制を基軸とした安全保障政策を的確に進めてきたことによって安全を保持し、国民は平和を享受することができたと思っております。特に、その日米安保体制の重要な役割を担ってきたのは、沖縄の祖国復帰前も復帰後も沖縄にある米軍基地であったと思っておりますが、しかし、ここで申し上げなければならないことは、沖縄の米軍基地のつくられたのは、日米安保条約に基づいて我が国が提供したものでは決してない。  沖縄の米軍基地は、日米安保条約とは全く関係のない話であって、昭和二十年四月一日に沖縄戦で米軍が沖縄に上陸、占領し、沖縄の県民の土地を片っ端から有無を言わさずに戦争行為によって略奪して基地を建設し、その基地のすべては沖縄県が日本本土から施政権が切り離されていた米軍占領時代に建設されたものであったことは、何人も否定することができない歴史的事実であります。この点について、梶山官房長官と池田外務大臣の御見解をお尋ねいたしたいと思います。
  202. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 サンフランシスコ平和条約によって独立を回復し、その後日米安保条約によって日本の安全と平和を維持してまいったことは、委員指摘のとおりであります。自来、約四十五年、その体制のもとで今日まで参ったことも、これまた事実であります。そして、日本のいわば日米安保条約という米軍の防衛義務、これが日本の今日までの発展を下支えしてきてくれた大きな原動力であるということも、これまた同様であります。  そして、今仲村委員指摘のように、この日米安保条約に基づく、特に沖縄の基地がかつて太平洋戦争の末期に沖縄のいわば戦闘状態のもとでアメリカに占領され、その後米軍が占領下の米軍基地として、そして特に朝鮮動乱、こういうものを控え、基地の拡充強化がなされたことも事実でありますし、特にこの一年、いろいろ沖縄の勉強をさせていただいた中に、大変な悲劇的なことが・あったことも、これまた事実であります。  しかし、それを乗り越えて今日の沖縄があり、そしてその上に今、日米安保条約が、皆さん方のいわば苦しみの中に、痛みの中に現存をするという事実も、これまた否定し得ないものであります。  私たちは、この五十年負ってこられた沖縄の人たちの心や痛みというものを、これを感じ合いながら、そして今大きな国益、公益というのを考えますると、日本全体に及ぼす日米安保の大きな影響力、これと沖縄の置かれている地位、いわゆる沖縄県民の県益とでも言うべきでしょうか、このギャップにいろいろな問題が起きていることも、これまた私たちは直視をしなければなりません。そういうものをもろもろ踏まえながら今後の対策に当たってまいりたい、このように考えます。
  203. 池田行彦

    ○池田国務大臣 委員指摘のとおり、我が国の平和と安全が日米安保条約によって保障されている、そしてその日米安保体制を機能していく上において、沖縄にございます米軍の存在、そしてそのための基地の存在というものが極めて大きな意味を持っているというのは、そのとおり認識しております。  そしてまた、沖縄において提供されております施設・区域につきましては、いわゆる沖縄の本土復帰後は安保条約あるいは地位協定の枠組みの中で提供されているという形になっている。これは他の本土の基地と同じになっているわけでございますけれども、それに至るまでの過程において、先ほど委員がお述べになりましたような歴史的な事実があったという、これは厳然とした事実があったということは私どももよく承知しております。  そのこともよく我々踏まえ、そしてまた今日に至るまで、あの全国の〇・六%の面積しかない沖縄県に全体としての米軍基地の七五%が存在するということ、その大変大きな御負担というもの、それが沖縄の県民の皆様方の暮らしにどれだけの御不自由やあるいは御不便をおかけしているかということもよく認識しておるわけでございまして、そういったことを踏まえ、また先ほど御指摘の歴史的な事実というものも十分踏まえながら、今後、安保条約の目的との調和を図りながらでございますが、でき得る限りの御負担の軽減を図るために全力を傾注してまいりたい、こう考えておるところでございます。
  204. 仲村正治

    仲村委員 私は、今安全保障政策の基本についてお尋ねをいたしましたが、その安全保障政策を円滑に推進していくための負担というものは、国民がひとしく負担すべきものであると私は考えております。  その点についての考え方をまずお聞きしたいと思いますが、なぜ私があえてこの点について言及するかといいますと、また私は、返ってくる言葉も大体私が思っているとおりのことが返ってくる、こういうふうにわかっておきながら、それをあえて質問するかと申しますと、我が国の平和と安全を確保するために日米安保は不可欠である、そしてそれに続くせりふは、沖縄の米軍基地は日米安保体制を維持するために必要不可欠なんだという、このような無神経な論理で今まで押し通そうとしてきたこともまた事実であります。  このような沖縄の基地に対する政府の無神経な感覚は、沖縄の米軍基地のつくられた歴史的背景、またその規模の大きさ、軍事優先の基地使用あるいは運用のあり方、これによっていかに沖縄県民が過重な負担と苦しみを受けているかを知ってのことか、あるいは知らないために無神経さが露呈しているのかわかりませんが、もはやこのような沖縄県民だけに基地を押しつけようとすることは、これは許されません。  先ほどから繰り返し申し上げておりますように、安保と関係なくつくられた沖縄の米軍基地は今でも全在日米軍基地の七五%もあって、たとえそれが国家の平和と安全のためとはいっても、一方的に沖縄県民だけに負担を押しつけている国の責任は、厳しくこれは問われなければなりません。このような現状をどのように認識され、またその改善に対する決意をお聞きいたしたいと思います。これは政府の中枢におられる梶山官房長官にお聞きをしたいと思っております。
  205. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 仲村委員指摘によらなくても、沖縄の今日まで味わってきたこの五十一年に及ぶ苦痛というのはよく存じ上げております。そして、占領下の中で米軍の基地が建設された事実も、これまたよく承知をいたしております。そういう発生起源、それから基地というものが一つの一体性をなすという軍事的な効用、もろもろのことを考えてやむを得ざる今日の現況があるというふうに私は理解をし、この埋め合わせをどんなことをすればできるのかどうなのか、大変苦痛に耐えながらその方式を今研究をいたしておるところであります。  いずれにしても、沖縄県民の方々が基地のない沖縄を願うことはよく存じております。しかし、今日的な課題として、日米安保条約の果たす役割、今冒頭こういう答えが返ってくるだろうとお述べになりましたけれども、まさにそのとおりであります。私は、やはり国益というものと国民や沖縄の痛みというもの、このはざまに立ってどういう解決をこれからやっていくか、このために橋本内閣は全力を傾けます。
  206. 仲村正治

    仲村委員 これはぜひ、このための痛みの償いをするために何があるのかということを考えておられるということでありますが、沖縄県民はとにかく基地をなくしてほしい、基地を整理縮小してほしい、こういう気持ちでありますので、これに誠実にひとつこたえていただきたい、こういうことを特に私は申し添えておきたいと思っております。  次に、SACOの最終報告についてお尋ねいたします。  このSACOの作業は、平成七年十一月から一年間かけて、ワーキンググループが二十回、審議官クラスのミニSACOを十六回、局長クラスが四回、そして2プラス2が四回という協議を経て決定したことを最終報告として平成八年十二月二日に発表されたのであります。  しかし、その内容は、県民が期待していた基地の整理縮小ではなくて、またしても沖縄県内に基地を新しくつくろうとする、まさに基地の整理、強化、固定化そのものであります。この中で普天間基地だけは新しい事案として出てきたが、県内に海上ヘリポートをつくるという条件で返すということであって、無条件返還ではありません。その他の事案も、従来から繰り返し言われているとおり、すべて県内に移設を条件に返還する。いわゆる基地のたらい回しというものであって、何一つ解決のめどが立ったものはなく、全く見通しの立てられないような難題をペーパーに書いただけにすぎないというのがまさにSACOの最終報告だ。私の認識は間違いでしょうか。  なぜなら、まず二十三年も前に県内移設を条件に返還決定した那覇軍港を浦添地先に移すとか、読谷補助飛行場のパラシュート訓練場を伊江島に移すとか、楚辺通信所をキャンプ・ハンセンに移すとか、ギンバル訓練場のハリアーパッドをブルービーチに移すと書いてある。その中で新しく出てきたのが、普天間飛行場を返還するかわりに海上ヘリポートをキャンプ・シュワブの海上に移すとされている。  この発表に対して、それぞれ当該市町村はいち早く移設は絶対にまかりならぬと反対の意思表明をしています。これは決して反対のポーズをとっているのではないということをおわかりいただきたい、こういうふうに思います。このことは、県民の要求は基地の整理、縮小、返還であって、政府の発表のような新たな基地をつくることではないということをきっぱり示したものであると思っております。  このように県内での厳しい意思表示された内容のSACOの最終報告をどのように評価し、またその報告で明示された事案処理の見通しについてどのような御見解をお持ちであるのか、官房長官並びに池田外務大臣に御意見を承りたいと思います。
  207. 池田行彦

    ○池田国務大臣 昨年一年間、日米間で精力的に作業を進めましてまとめ上げましたSACOの最終報告、私どもは、現在与えられた条件の中ででき得る限りの沖縄県の県民の方々の御負担の軽減を図るように全力を傾注したつもりでございます。  しかしながら、その結果、報告が出ましたSACOの最終報告に盛られている内容が、決して沖縄県の県民の皆様方に完全に御理解をちょうだいし、それが歓迎されているものである、そういうものではないということは私どももよく承知しております。  一昨日、私も外務大臣といたしまして沖縄へ行ってまいりまして、沖縄県の皆様方、そしてまた基地関連の市町村長さん方からもいろいろお話をお伺いさせていただきました。そういった過程を通じましても、決してSACOの最終報告で十分だというふうに沖縄県の皆様方が考えておられないということは、十分承知しております。  しかしながら、私どもとしても、先ほど申しましたように最善の努力は傾注したつもりでございます。沖縄県の皆様方が願っておられるように、本当に米軍がいなくてもいい、そういった状況ができるということがあればいいわけでございますけれども、現在の国際情勢のもとでは、やはり安保条約、その中での米軍の駐留というものは避けることができないものでございます。そうして、今沖縄に駐留します米軍の果たしている機能というものも、基本的にはこれを維持をしなければいけないという、こういう前提がございます。  そういった中で、どうして御負担を軽減できるか、いろいろ工夫をいたしました。その中では、当然、沖縄にある基地を日本のほかのところへ移すべきじゃないか、先ほどもおっしゃいました、安全保障のための負担は国民がひとしく分かち合うべきである、我々もそう考えております。そういったこともいろいろ工夫をいたしましたが、現実問題としてわずかなことしかできない。県道一〇四号線沿いの射撃訓練を本土の複数の訓練場にお願いするというようなこと、あるいはKC130の部隊を岩国の基地でお引き受けいただく、そういったことはできましたけれども、全体として見るならば、やはり依然として沖縄に負担を強いているじゃないかと言われれば、それは私どももお返しする言葉がないわけでございます。しかし、そういった中でも、何とか御負担を軽減したいということで努力いたしました。  そうして、基地を、一番問題のございます普天間、あれは本当に、一昨日も見てまいりましたけれども、人口密集地、住宅街の真ん中でございまして、本当にこういった危険きわまりない状況のもとで生活を強いられておる住民の方々が一日も早いこれの移設をお求めになるお気持ちというのは、本当に痛いほどわかるわけでございまして、そういったことで、ああいった海上施設案を追求するというふうな考え方も出てきたわけでございます。それからまた、そのほかの施設につきましても、いろいろ削減していく、縮小していく。  しかし、そのかわりに、申しわけないんですが、やはり沖縄にございますほかの基地でその機能を受けていただくとか、あるいは先ほどもお話ございました伊江島とかそういうところで新たなる御提供をいただく、こういったこともやむを得ないこととしてお願いするようなSACOの報告になっております。  それを住民の皆様方から見れば、それはたらい回しだ、新たな基地建設だとおっしゃるかもしれませんけれども、全体として見れば、やはり御負担の軽減につながるんだ。面積で申し上げますと、いろいろ御批判はあろうかと思いますけれども、今回のSACOの最終報告が実施されますと、現在ございます基地のうちの二〇%を超える面積が返還されるということになっております。  そういったことで、私ども、住民の皆様方が決してこれをすべてよしとしておられないということはよく存じておりますが、何とか次善あるいは三善の策としてでも御理解をちょうだいできないか、こう考えている次第でございまして、私どもといたしましては、何分にもSACOの最終報告に盛られましたような作業をお地元の御理解をちょうだいしながら着実に実施してまいりたい、そのために全力を傾注してまいりたいと考えている次第でございます。
  208. 仲村正治

    仲村委員 さらにSACOの最終報告で、今いみじくも大臣がおっしゃったんですが、約五千ヘクタール、十一施設の返還を決定し、それは沖縄県の米軍基地の二一%に当たる面積であると言っているが、これは、よく言われるとおり単なる数合わせであって、全く中身のない内容であると言わざるを得ないのであります。なぜならば、そのうちの約四千ヘクタールは北部訓練場の山林であって、しかもその土地は国有地なんです。だから、返ってきても、自然環境保護などの理由で、地域の経済振興のために開発ができる状態の土地でないということであります。  SACOの内容を見た場合、私がいつも言っているように、米軍が必要ないから返しますよという土地と沖縄県民が返してほしいという土地とは必ずしも一致していないということであります。まさにそのことを私は言っているのでありまして、このSACOに示された内容よりもむしろ地元の市町村が返してほしいという地域は、次の場所であります。なぜ政府は、地元市町村が返してほしいという場所を、アメリカに対して率直に要求ができないのか。このような政府の弱腰外交に、私たち沖縄県民は不満とふがいなさを感じているわけであります。  その一つが、浦添市のキャンプ・キンザーの西方海岸の制限水域五十メーター、いわゆる立入禁止されている区域を返してくれないと、浦添市の西海岸開発の埋立事業が前に進められない、同時にこの五十八号線バイパスの渋滞の解消ができない、こういうためにこれを返せと言っているわけであります。  二つ目に、沖縄市の泡瀬通信施設東方海岸の、同じく制限水域百五十メーターが返還されないために、沖縄市の東部海浜開発埋立事業が実施できなくて困っているわけであります。  三つ目に、町の面積の八三%を基地にとられ、町の閉塞状態を何とか打開しなければならないということで、嘉手納町が、西海岸にある米軍のヨットハーバーを移転してほしい、こういう点であります。  四つ目に、北中城村の喜舎場地区と瑞慶覧地区が基地によって分断されているわけでありますが、これはもう学校教育あるいは村民の生活の面から非常に不便を来しているので、何とか一体化できるように一部を返してくれ、こういう陳情を繰り返しているのであります。  五つ目に、今回のSACOの報告で、金武町のギンバル訓練場のハリアーパッドをブルービーチに移すと言っているわけであります。地元金武町は、ブルービーチをリゾート開発の核にしようと以前から返還要求しているが、事もあろうにそこにギンバル訓練場のハリアー機の離着陸施設を持ってくる、大変怒りを示しているわけであります。  私が今述べたこれらの基地の一部を返したからといって、基地の機能が大きく損なわれることは全くない。しかし、地元市町村がこれだけ繰り返し繰り返し要求をしているにもかかわらず、この実現ができないということについて、一体これは何なのか、こういうふうに思っているわけであります。  梶山官房長官、官房長官の責任で、この今私が申し上げた点をぜひ近日中に目鼻をつけていただきたい。これはSACOの内容よりも非常に重要な問題であると思っております。これについて御意見をお聞きしたいと思っております。
  209. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 近日中と言われましても、できないものはできないと申し上げる以外にありません。  それから、先ほどの質問でありますが、昨年のちょうど今ごろから以降、この予算委員会で、やがて知花さんのいわば問題が起きて、果たして合法的な権原の取得ができるのかどうなのか、そういう大変なせっぱ詰まった思いをこの三月末にいたしたことをついこの間のように覚えております。遅きに失したと言えばそれっきりかもしれませんが、こういう状態を何とか脱却をしなければならない、そういう思いが私にあったことは事実でありますし、橋本総理もまたそうであったと思います。  そして、沖縄の一番重く感じている、一番切実に感じているものは何かとお聞きをいたしますと、普天間飛行場の返還だ、この一点にかけてみよう、総理、命をかけてやってみようじゃないかと。結果として返還は決まったけれども、代替地を沖縄に求めることは相まかりならぬ、要らないものは、だめと言うだけかもしれませんが、一歩でも二歩でも前進をしなければならないという思いでこの一年間全力を尽くしてまいったつもりであります。  そして、沖縄振興にかける総理の意気込み、何とか我々の時代に、この二十五年、いや五十年のおくれを取り戻すことが私たちの責任だ、そういう思いに駆られて今日まで努力をいたしております。  今、SACOの取り決めによる幾つかの実は問題点の指摘がございました。私も、現地へ行ってそれを感じ取った次第であります。しかし、両国間で取り決めたことが、この数日中に直せるとは思っておりません。しかし、いずれの日か、近い機会に、私はすべてをかけてこの問題の解決に取り組んでまいりたい、このことはお約束申し上げます。
  210. 仲村正治

    仲村委員 次に、沖縄の米軍基地の整理縮小は、決してこのSACOで一件落着ということではございません。私が先ほど申し上げたのは、数よりも内容なのです。この角っこだけは返してほしいということをなかなかアメリカに遠慮して言わない。これを私はぜひ、近日中と申し上げたのはこれは少し言い過ぎかもしれませんが、ぜひ、これは沖縄の振興開発を阻害している最大の要因になっておりますので、この目鼻を早急に立てていただきたいということを希望申し上げておきたいと思います。  沖縄県民が、朝鮮動乱やベトナム戦争のときに沖縄に移駐してきた海兵隊、これはもう今ごろこのような世界情勢の中でなぜこれが沖縄に駐屯しなければならないのか、まず海兵隊は中長期的視点でこれを撤退すべきである、こういうふうに主張しておりますが、その点について池田外務大臣から御答弁をいただきたいと思います。
  211. 池田行彦

    ○池田国務大臣 私どもは、沖縄の県民の皆様方の御負担が軽減できるように最善の努力をしてまいりたい、こう存じますし、また、そういった観点から、沖縄に駐留をしている米軍の規模なり兵力構成がいかにあるべきかということもこれは当然考えなくてはいけない、こう思っております。  しかしながら、現在の我が国の周辺の国際情勢、安全保障環境というものを考えました場合に、やはり現時点においては、海兵隊も含めまして我が国に駐留する米軍の兵力構成、そしてそのレベル、水準というものが、安保条約上アメリカがコミットしております役割を果たしていく上に必要だ、こういうふうに我々は考えている次第でございまして、現時点においては、お気持ちは痛いほどわかるわけでございますけれども、海兵隊も含めまして、その撤退を近い将来の問題として求められるという状況にはないところでございます。
  212. 仲村正治

    仲村委員 ただいまの外務大臣の答弁は私は非常に矛盾した内容になっていると思います。基地の返還は大いに進めていきますよ、兵力の削減は求めませんよというようなことでは、これは全く中身のない話で、こんな子供だましみたいな話はおやめになってください。一昨日、池田外務大臣が沖縄に行かれて、基地所在市町村長から、日本の外務省は国民から非常に遠いところにあると言われたようですね。もう少し国民の側に立って我が国の外交政策を示してほしい、こういうふうに私は思うのであります。  政府は、沖縄の復帰が秒読みの段階に来ていた昭和四十七年一月に米国のサクラメンテで首脳会談をし、東京周辺の関東地区の基地を沖縄に肩がわりさせるため、関東空軍施設整理統合計画、KPCPに合意したのであります。それ以来、関東地区の米軍基地を中心に本土の米軍基地は約二千二百三ヘクタールも返還され、米軍基地の六〇%以上も返還されたのであります。なぜ沖縄の基地が返還できないのか。  しかも橋本総理は、きょうのオルブライト国務長官との会談の中で、中長期的視点で沖縄の海兵隊の削減、撤退を検討すべきである、こういうふうに言われたと報じているわけであります。アメリカはしばしば、日米安保に基づく日本側の基地の提供について、日本のどこにするかは日本の責任で決めるべき問題であると。ならば、日米安保を理由に、またはアメリカ側の都合に遠慮して沖縄の基地の縮小も兵力の削減もできないということであれば、本土にこの五年以内に必ず沖縄の基地を移して兵力も移す、こういうことを約束できますか。
  213. 池田行彦

    ○池田国務大臣 現時点において、先ほど申しましたように、在日米軍の兵力構成なり水準というものは維持されることが必要であるという認識は、日本の政府、そして米側も一致しているところでございます。  本日、オルブライト米国務長官とのお話し合いの中で橋本総理がお話しされたところもその基本線にのっとっているものでございまして、私の承知しているところでは、これは、海兵隊に言及されたところ、海兵隊の駐留の問題について、米国あるいは日本でもいろいろな議論がある。しかしながら、米国政府の認識あるいは日本政府の認識、これは、昨年四月の日米安保共同宣言を初めさまざまな場で繰り返し明らかにされておりますように、現在の国際情勢のもとでは、先ほどから繰り返し申しておりますように、現在の兵力構成と現在の水準の駐留が必要であるということ。  ただし、しかしながら中長期的には、国際情勢のいろいろな変化を見ながらそういったレベルや兵力構成の問題についても日米間でいろいろ協議していこう。それは日米安保宣言の中でも明記してある。そういうことを踏まえて総理もきょうオルブライト長官との間で話をされた、そういうふうに承知しております。
  214. 仲村正治

    仲村委員 先ほど申し上げたように、これは、昭和四十七年の一月にサクラメンテで首脳会談で決めたことを、関東計画の中で全部、府中空軍施設の大部分、キャンプ朝霞の大部分、立川飛行場の大部分、関東村住宅地区、それからジョンソン飛行場住宅地区、水戸空対地射爆場、こういうふうに、沖縄が復帰することによって関東地方の、関東地区の基地を全部整理縮小している。これは全部しわ寄せが沖縄に来て、沖縄はその荷物を今も背負わされているということであります。  次に、沖縄の復帰のときに日米間で合意した五・一五メモの問題についてであります。  沖縄の復帰に当たって、日米両政府は、沖縄の米軍基地の機能の維持、運用について核抜き、本土並みと決めた。しかし、アメリカは核兵器の存在についてイエスともノーとも言わないので、本当に核抜きになっているのか、これは非常に疑問に思っているわけであります。  官房長官、その点、劣化ウラン弾のことからいたしますと、あるいは核兵器があるのかなという感じもいたします。その点についてひとつお答えをいただきたいと思います。
  215. 池田行彦

    ○池田国務大臣 ただいま御質問の点は外務省の所管するところでございますので、私から御答弁させていただきます。  沖縄返還の際に、核抜きということは明確な方針であり合意であったわけでございまして、私どもは、そのような状態で返還された、その後今日に至るまで、核が沖縄を含めまして日本に持ち込まれた、こういうことはない、このように御答弁申し上げる次第でございます。
  216. 仲村正治

    仲村委員 先ほど申し上げたように、沖縄の復帰前の軍事優先、民生不在の行政というものは、もう本当に言葉に絶するものがございました。そういう意味で、米軍としては、この基地の運用それから規模の維持、これをぜひ復帰前と同様に復帰後も使いたい、こういうことを考えていたわけであります。  したがいまして、復帰後も、読谷補助飛行場のパラシュート訓練場で、パラシュートで落下してきたトラックに子供がひき殺された。そして、その風向きをはかるためにパラシュートに約百キロぐらいの鉄塊をつるしておろしたら、それが民家の庭に落ちた。それから、住宅地の至近の距離であの一〇四号線越えの砲撃演習をやっているのです。これはもうしばしば伊芸とか屋嘉に流れ弾が飛んできたり破片が飛んできたり、大変な状態が続いているわけでございます。そして福地ダム、ここでは米軍が渡河訓練をしている。  こういうことが本土で本当にありますか。こういうことを復帰後もやりたいために、アメリカは五・一五メモでこれを利用しようと。これはまさに復帰時の核抜き、本土並みということに反する話ではないでしょうか。  このように、米軍が施政権返還後も占領当時時代と全く変わらない基地使用をしているのは、これは表看板だけであって、その裏、いわゆる五・一五メモという裏協定が、秘密協定があったからだ、私たちはこのように考えております。  当時としては、アメリカからすれば既得権の主張であったし、また我が国政府としては、沖縄の施政権奪還のためにはアメリカの言い分を聞かざるを得ないという弱みがあったと思う。しかし、あれからもう二十五年も経過し、アメリカがターゲットとしていた旧ソ連邦の崩壊で東西冷戦構造も終結をしているわけであります。世界の軍事情勢は大きく変化して、このような秘密協定が今生きているということが全くのナンセンスな話であると私は考えております。  よく五・一五メモの公表、公表と言っておりますが、公表で済まされるものではないと私は思います。この秘密協定を破棄して一般の日本の地位協定の中での基地の運用を図るべきである。この五・一五メモの公表と破棄について、明確にひとつ答弁をいただきたいと思います。
  217. 池田行彦

    ○池田国務大臣 いわゆる五・一五メモを含めまして、日米合同委員会等における日米間の安保条約あるいは地位協定運用上のいろいろな合意事項がございます。  そういった事柄につきましては、従来は非公表を原則にしてずっと運用されてきておったわけでございますが、昨年三月二十八日だったと思いますが、日米間で話し合いの結果、自後の合同委員会の討議内容は、その内容を公表していくというふうに取り扱いの方針を一変いたしました。そして、それ以来、現実にその内容は公表されてきておるわけでございます。それだけではなくて、非公表の原則のもとに運用されてきました過去の合同委員会の内容につきましても、順次公表できるように検討を進めていこう、こういうことで作業を進めてきたわけでございます。  そういった中で、沖縄返還時に日米間で合意されましたいわゆる五・一五メモを公表すべしという御議論が非常に強くなってきた。とりわけ、先般大田沖縄県知事が橋本総理にお会いになりましたときに、直接そういったお話がございました。それに対しまして、橋本総理から前向きの検討を約されたわけでございまして、外務省といたしましては、直ちに米側にこの公表に向けて協議を申し入れたわけでございます。  一昨日私もその件について大田知事ともお話ししましたし、昨日は私がオルブライト米国務長官と会談いたしました中でも、私からこの五・一五メモの公表について米側に申し入れているけれども、早急にかつ前向きの協力、検討を求めまして、オルブライト長官もそれに合意されたところでございます。極力早く全貌がわかるようにしてまいりたいと思います。  そして、私は、ごらんいただきますならば、決して、これが秘密協定であって、そのことによって沖縄における米軍基地の運用が格別にひどいことになっているというようなものではないということは御理解いただけると思いますけれども、まず公表を早くしたいと思いますので、それをごらんいただきたいと存ずる次第でございます。  それからなお、その後もいろいろな日米合同委員会における協議等を通じまして、基地運用についてもいろいろな改善が図られていることは委員御高承のとおりでございまして、つい最近におきましても、例えば嘉手納あるいは普天間におけるいわゆる騒音協定の締結等々の改善もなされておるところでございます。今後も、そういった地位協定運用上の改善も、できるものから一つ一つ図ってまいりたい、こう思います。
  218. 仲村正治

    仲村委員 私は、これは公表すればいいというものじゃない、もう今ごろそういう裏取引はあってはならないことだと思いますので、これはぜひ破棄するようにしていただきたい、こういうことを強く申し上げておきたいと思います。  それから、沖縄の県漁連が、今回キャンプ・シュワブに海上ヘリポートをつくるということに対して、絶対できない、こういうふうに拒否しているわけであります。これはなぜか。  沖縄の沿岸部は、沿岸部で二土地区、面積にして五百五十平方キロ、沖全部分で十一地区、面積にして五万四千七百三十一平方キロ、これだけ演習期間中漁業してはいけない。もう島の周辺全部そういうふうに制限水域になっているんです。そのために、これ以上制限水域をふやされる、また、この海上施設をつくって、航空機の洗浄薬剤で海上が汚染される、廃油の垂れ流しが行われる、これはけしからぬ、こういうことで漁連は反対をしているわけであります。  しかし、ちょうど昭和二十七年に、日米安保条約が、旧安保が締結されたときに、二十七年に制定された本土の漁業補償法というのがあります。沖縄が復帰したときに、昭和四十七年五月十五日時点で漁業者であった者はその法律の適用を受けますよ、こういうことになっているわけです。あれからもう二十五年になっているのです。その後、漁業をしている人は該当しないということであったわけでありますが、繰り返し繰り返しお願いをして、十年たった者は、正組合員は半分を上げようということになっているようでありますが、本土で二十七年に法律をつくったときの制限水域というものがどういうものであったのか、それはわかりません。しかし、私が今申し上げたように、もう沖縄の島の周辺、全部演習場になっているのです。そういうことで、手も足も出ない状態の中で、今キャンプ・シュワブにこれをつくろうとするのは、反対するのは当然の話です。  したがって、漁業者の本来の希望は、この制限水域を全部なくしろということなんです。しかし、今なくすることができなければ、ちゃんと漁業補償をやってくれ、こういうことでございます。恐らく、官房長官、沖縄に行かれたときに、県漁連の皆さんからその陳情をお受けになられたと思いますが、その件についてどういう対応をなされているのか、お答えをいただきたいと思います。
  219. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 お答えいたします。  今先生御指摘のように、私ども制限水域を設けておりまして、米軍の訓練のために水面の提供をしておるところでございます。従来から、沖縄県漁連等を初め関係の漁協からは、そういうこれ以上の制限海域の拡張は許せないというような御趣旨のお話を私どもは承っております。  私どもとしては、現在、漁業補償ということで、従来そういう制限をされておる漁民の方々に対しまして、平成八年度約十八億の漁業補償金を支払っておるところでございまして、先ほど先生御指摘のございました、従来からの漁業権を持っておられる方、それから十年以上いわゆる船を持って漁業に従事しておられる方々に対しましては、漁業見舞金という形でこういう漁業補償の中に含まれておる、こういう状況でございます。
  220. 仲村正治

    仲村委員 これは、なぜ農水省は、どんどん新規参入を、若い人たちが農業に参入しろ、漁業に参入しろ、こういうふうに言っておる中で、新規参入は認めない。ならば、その制限水域、全部返してくださいよ。そうすれば、こういった補償要求はしません、これは要りません。もしそれができないということであれば、これはちゃんとした、もし今の、現行の法律でできないということであれば、法律改正してでもこれは補償すべきである、こういうふうに思いますが、どうですか。
  221. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 ただいま御説明いたしましたように、訓練の必要性上、私ども、日米合同委員会で一応合意をいたしまして提供をしておる水面に見合った、いわゆる操業制限に伴います損失補償は毎年予算に計上してお支払いをしているところでございまして、それ以外にも、いろいろな実損補償等はもちろんやっておりますし、あるいは漁業組合等からの御要望がございますと、いろいろな形の、いわゆる周辺対策事業の一環として、魚礁をつくるとかあるいはいわゆる航路の啓開であるとか、そういういろいろなことをしておる、こういう状況でございます。
  222. 仲村正治

    仲村委員 なぜ、復帰時点、昭和四十七年五月十五日時点で漁業者であった者しか認めないのか。それで十年後は見舞金として払うのか。ここはおかしいのですよ。そういう点で、今県漁連が要求していることは、皆さんは法律を盾にこれはきちっとやらぬそうだ。だから、法律が沖縄の実情に合わないような状態であれば、これは改正すべきである、この点を強く私は指摘をしておきたいと思います。  次に、沖縄の泡盛の酒税の増税と原料米の問題についてであります。  沖縄の伝統的な酒の泡盛は、五、六百年も前にアンナン、シャム、現在のタイからその製法を伝授したと伝えられていて、現在でもタイの米でそれをつくっている。戦後も、本土復帰前は独自でタイから本土の米の約三分の一ぐらいの値段で輸入していたが、復帰してから食管法に組み入れられて、平成六年九月までは食糧庁が決める値段で、大体食糧庁はトン当たり三万から四万程度で輸入していると思いますけれども、それをトン当たり十三万から十四万円ぐらいで沖縄の酒屋に売っている状況であります。  最近ではミニマムアクセスで輸入されるようになったので、平成六年九月以降は、トン当たり十万三千四百八円になっているということであります。それでも、タイの米の輸入価格は、運賃あるいは商社のマージン、倉敷料、そういう諸掛かりをくっつけても大体四万円程度だと私は思っておりますが、これをトン当たり十万三千四百八円ということは、約一六〇%ぐらいの利益率になっているわけであります。こんなぼろいもうけはないと私は思っております。  一方において、WTOから国内しょうちゅうの酒税が安いことを提訴されて、平成九年から十三年まで、三段階で酒税を上げることを決定した。これによると、沖縄の泡盛の大体六〇%はアルコール度数三十度でありますから、三十度で一升瓶、一・八リットル当たり現在百五十円二十二銭が……
  223. 深谷隆司

    深谷委員長 仲村委員に申し上げますが、時間を過ぎておりますが、次の白保委員に時間が食い込んでよろしいですね。——はい。どうぞお続けください。
  224. 仲村正治

    仲村委員 平成九年、ことしの十月一日から二百二十一円三十六銭、それから平成十年十月一日から二百八十四円八十九銭、平成十三年十月一日から三百四十八円三十三銭で大幅に引き上げられるようになっているのであります。  そうなれば、県内で五、六百年の伝統のあるこの特産品の泡盛産業は、原料代は安い米を買ってきて高く買わされている、酒税は三年間で二・五倍に引き上げられる。これでは、今後もう続けていくことはできないはずであります。  しかし、方法は一つあります。それは何かといいますと、まず現在の原料代の食糧庁の利益率を一六〇%じゃなくて一〇〇%程度にもうけ幅を縮めて、大体トン当たり七、八万円ぐらいにしていくならば、これはやっていけると考えております。  政府は、このミニマムアクセスで処分に困っている米を使ってくれるわけですから、こんなにありがたいことはないわけであります。そういう中で、なぜこういうぼろいもうけをしなければならないのか、この点についてひとつお答えをいただきたいと思っております。
  225. 高木勇樹

    高木(勇)政府委員 お答え申し上げます。ちょっと数字のことでございますので私の方からお答え申し上げますが、先ほど三、四万円で買い入れているのではないかということでございますが、実は、数字といたしましては、八年度でございますが、これはウルチの精米の長粒種、タイの米でございますが、五万六千円ぐらいで入れておりますが、それに港湾諸掛かり、それから安全性検査のための経費が乗りまして、トン当たり六万六千二百円。これを、国内では特に加工原材料用の米穀の価格体系がございます。特に泡盛と競合関係にございますしょうちゅう用の売り渡し価格とのバランスということもございます。  それで、先生おっしゃられたような丸精米でございますが、十万三千四百円ぐらいで売り渡しておる。これも、沖縄には離島が多いということで、国内のしょうちゅう用の米よりは、特にタイ産砕精米でございますが、若干値を下げて売っておるという状況でございます。
  226. 仲村正治

    仲村委員 私は、食糧庁がなぜ利益を取らなければならないのか、これだけ食管法が廃止されて新食糧法ができても、相変わらず食糧庁の職員というのは減らされてないわけであります。そういうやはり人件費を賄うために、このようにぼろいもうけをしなければならない状態になっていると思っております。  ならば、そういうことができないというのであれば、このミニマムアクセスの枠を沖縄に別枠で与えて独自で輸入させるようにしたらどうか、できますか。
  227. 高木勇樹

    高木(勇)政府委員 お答え申し上げます。  米につきましては、御案内のとおり、食糧法の六十五条でございますが、これに基づきまして、国家貿易でその輸入を行うということでございます。これは国内の米の需給、価格の安定に悪影響を及ぼさないようにということでございまして、泡盛用のタイ米につきましても、こういった点から国が輸入を行っているということでございまして、御理解をいただきたいと思います。
  228. 仲村正治

    仲村委員 これは幾ら理解しろと言ったって、税金も上がる、その原料代もこんなに高い原料代を払わされている、これじゃ業界はもう本当につぶれていくしかない、こういう状況でありますので、これはぜひひとつ検討をしていただきたい、こういうことを申し上げて、私の質問を終わります。
  229. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて仲村君の質疑は終了いたしました。  次に、白保台一君。
  230. 白保台一

    白保委員 新進党の白保台一でございます。  外務大臣は、二十一日、二十二日と外務省の沖縄事務所の開設のために来県されたわけでございますが、宮澤外務大臣がかつて海洋博のときに行かれて以来二十二年ぶりだそうでございます。しかし、基地問題を目的として行かれたのは初めての外務大臣じゃないかな、こう思いますので、後ほどゆっくりと御感想なり今後の対応なりお聞きしたいと思います。  私は、初めに、沖縄県の経済の自立の問題について聞きたい、こう思っているわけでございます。  沖縄県の経済の自立の問題は、御存じのように基地問題とこれは一体の問題でございまして、多くの土地を基地として提供しておる、狭隘な県土の中で、ある町においては八三%も基地にとられる、あるいはまた、視察をされたと思いますが、宜野湾市のように市の中央部に普天間空港がある、こういうことで、多くの市町村長が、このような状況の中で体系的なその整備を、あるいは振興開発をやっていこうといっても結局は閉塞状況にある、こういうふうに訴える首長の皆さん方が多いわけであります。  当然、その土地で生まれてその土地で生活をしていく、そういう方々にとっては、これからもこの地域を活用して発展させていかなければならない、豊かさをそこに求めていかなければいけない、こういう状況にあります。  そこで、経済自立の問題についてお伺いしますが、沖縄県は御存じのように、歴史的にも地理的条件からいっても、古くから交易で栄えました。そういう意味で、これからの経済の自立という問題については、勢い、国際交流あるいは貿易、その交易という形でもって自立を果たしていくことが一番いいのではないか、こういうような機運が盛り上がってきておるところでございます。  そこで、先般のこの委員会でも、梶山官房長官が蓬莱経済圏ということをおっしゃいました。先ほどまで官房長官がおられたのでお聞きしようと思ったのですが、定例の記者会見で出席できないということでございます。担当の方がお答えできるということでございますので、この蓬莱経済圏の問題について、長官がお答えになったその蓬莱経済圏の真意というのは一体何なのか、そしてまたその範囲、そしてその展望についてまずお伺いをしたい、こう思います。
  231. 及川耕造

    ○及川政府委員 お答え申し上げます。  官房長官から、本予算委員会で蓬莱経済圏についてのお話がございました。蓬莱経済圏そのものにつきましては、沖縄県の二十一世紀のグランドデザインの中で触れられた概念だと存じますけれども、沖縄の独自の資源、そしてすぐれたこれまでの歴史的な財産等を生かして何とか自立への道を政策に結びつけていけないか、こういう御趣旨で触れられたものだというふうに考えております。
  232. 白保台一

    白保委員 範囲とかこれからの展望、そういったものについて。
  233. 及川耕造

    ○及川政府委員 範囲につきまして官房長官から特にコメントはございませんけれども、従来沖縄県の出されました蓬莱経済圏の考え方は、近隣の日本、中国、台湾あるいは韓国、香港といった、沖縄県を中心といたします近隣諸国との間での経済圏をつくりたい、こういうことではないかと思います。  展望につきましては、確かにこれまで沖縄県と台湾、中国の関係、それなりにございますけれども、なお相当のいろいろ検討しなければならない課題があるのではないかというふうに思っておるところでございます。
  234. 白保台一

    白保委員 先ほども、私の出身地であります石垣島の市長が参りました。お話伺っておりましたら、石垣島と台北の航空路の開設の問題だとか、それから、マレーシアの船籍で基隆—石垣島—那覇、これを週三便、航路を開設して、来月の二週目あたりから、一便八百人ぐらいの青年を乗せて観光で回る、こういうことがもう実現する。こういうふうに、地域の近隣でお互いに国際交流を始めて、そしてまた、物資の交流を始めてやっていこうという機運が極めて高くなっています。  恐らくそういった機運の中で、沖縄県の方から、法人税や関税の軽減措置を求める経済特別区の設置や、あるいはまた台湾、香港からの入国者が必要な、ノービザ制度等の導入を軸とした大幅な規制緩和の措置を政府に提言していると思います。これはもう思いつきでも何でもない、現実にそういった動きが出てきておるといったことを踏まえてこういう要請が出ておると思いますが、これらの提案に対して、政府は、特に大蔵大臣通産大臣も関係するかと思いますので、この対応についてお答えをお願いしたいと思います。
  235. 薄井信明

    ○薄井政府委員 沖縄の自由貿易地域につきましては、御存じのように、あるいは御指摘いただきましたように、既にいろいろな措置が講ぜられておりまして、ことしもさらなる拡充はいたしますが、今御指摘のように、なお沖縄振興のためにどのような施策を講じていくかにつきましては、沖縄政策協議会のもとに設置されました各省と沖縄県によるプロジェクトチーム、ここで県からの御要望を踏まえまして、精力的に調査研究が進められていくというふうに認識しております。仮にその中で税制上の措置の必要性について議論が及んだ場合には、沖縄開発庁初め関係省庁とともにこの問題について議論してまいりたいと思っております。  各種の御要望が入っているわけでございますが、私が担当しております税に関して申し上げれば、税の特殊性といいますか、税でできることというのはある程度限界がありますが、その点も十分御理解賜りたいと思っております。
  236. 白保台一

    白保委員 こういった問題が県の方から要請が出ております。そうすると、今御答弁ありましたように限界があるというお話でございますが、いつもこういう話が出てきますと、一国二制度という話が出てまいります。私どもは、今の貿易の自由化の中で、あるいはまたボーダーレスの中で、先行的な制度としてこれは進めていかなければいけないんじゃないかな、こういうようなことを考えておるわけでございます。  そういった面で、限界ということを今申されましたけれども、その限界の部分についてはどのようなところでございますか。
  237. 薄井信明

    ○薄井政府委員 国税の問題として御指摘いただいたとすれば、例えば法人税の基本であります法人税率そのものについて例外を設けていくことは難しいと思いますが、しかし、税負担を沖縄振興に役立つような形でいろいろな工夫をするということは十分考えられると思います。具体的なプロジェクトに沿って、税でなじみやすい対応を考えていくということに全力を注ぎたいと思っております。
  238. 白保台一

    白保委員 官房長官の蓬莱経済圏の話や、また、私ども地域の先輩であります上原委員国土庁長官のときにも同趣旨のような提言がなされました。そしてまた県も、先ほどの規制緩和措置の問題、要請等含めて、構想の違いやいろいろ違ったところはあったにしても、基本的にあるものは何かというと、地理的条件を生かして、過去の交易の歴史等も生かして、今後交易こそ、交易をやっていく、自由貿易をやっていく、これがもう沖縄にとっては自立への大きな道筋であろうということは、大体共通の認識として持っております。  私自身も、沖縄を、東アジアに一番近いわけですから、そういう面では東アジアの交流の拠点ということで位置づけて、そして貿易の場として、場を、機会を提供する、そういう地域にしていこうということを考えているわけでございます。これは県の要請している規制緩和が極めて重要になってくるわけでございますが、私は、東アジアの新興工業地帯、工業群、そこの部分と連結をした、東アジアの連結型の経済圏をつくっていくことが極めて重要であろう、こういうようなことを申し上げておるわけでございます。  そのメリットについては、関税や法人税の低減によりまして域内の物価を下げることもできるし、そしてまた県民生活の潤い、当然沖縄県であればそういうふうに県民生活の潤いにつながってまいりますし、同時に、一番大事なことは、今若年層の失業率が高いわけでありまして、そういう雇用の場を広げていくこともできる。こういうことで、私は、国際交流の活発化にも含めて期待されている部分でございますので、これをぜひ進めていきたい、こういう考え方に立っておるわけでございますが、通産大臣、ただいまの提言にありますことについて、大臣の御所見を伺いたいと思います。
  239. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 お答えいたします。  若干長くなるかもしれませんが、今おっしゃるように、沖縄県、これは製造業の比率が全国で大変低い。具体的には、就業者のベースでもって全国平均が二三%に対して沖縄県は六・五%ということで、これから沖縄県の自立的経済発展という場合には、やはり基盤的に非常に弱いということが言えるのではないだろうか。そうすると、やはり二十一世紀に向かって沖縄県をいかに自立と発展を図るかということになると、今御指摘のように近隣諸国との国際経済交流、活性化というのが一つの方法だろう、こういうふうに愚考するわけでございます。  要は、こうした観点から通産省としては、自由貿易地域の拡大、そしてやはり俗に言う国際都市沖縄というもの、これを目指していかなければいけないだろうというのが基本的な考え方で、全く同意見でございますが、そのためには、やはり現在ある沖縄政策協議会というところの検討を踏まえて幅広く政策を具体化する、こういうことになるわけでございます。  そこで、時間も実はないようでございますが、私の方は、そういうことでやはりほかの地域と違った特徴というものを見出さなければ自由貿易港としても発展をすることがないだろう、これが基本的な考え方でございます。  もっと何か細かいことがございましたら、幾らでも御答弁いたします。
  240. 白保台一

    白保委員 現在あります自由貿易地域の那覇地区、これにつきましては、できましてからもう既に十年を経ようとしているわけですが、最初は非常に勢いよくスタートしたのですけれども、現在年々搬入搬出が減少してまいりまして、極めて運営が厳しい状況になっていることはもう御存じのとおりだと思います。大蔵省もいろいろな減免措置を講じてやっていただいておるわけでございますが、非常に厳しいのが現状でございます。  そして、事業不振の原因について申し上げれば、制度上のメリットが余りない。いわゆる世界で言うところの自由貿易地域とは違う。そしてまた、中小企業がスタートに入りましたので、貿易関係のノウハウが余りないことや、市場開拓の力が弱い。あるいは施設が狭隘であって、隣に那覇軍港が控えておりますけれども、あれ全部を引っくるめればまた大きなものになっていくと思いますけれども、その中の二・七ヘクタールぐらいでやっておりますから、施設が狭隘で適正規模の設備やそういったものができない。そしてまた、常設展示場も狭い。先ほどの狭隘のと同じですけれども、集客や商談機能の場が不十分である。こういったことが、現在の那覇地区のFTZの行き詰まりにつながっておる。  したがって、いわゆる自由貿易地域の基本的機能であるところの外国貨物の保税加工や保管あるいは展示販売に加えて、観光施設に連結していくようなFTZをこれからつくっていかなければ大きく現状を変えることはできないのじゃないか、こういうふうに分析しているわけであります。  そこで、沖縄県からは制度上の要望内容が出ておりました。一つは、大蔵省に関係する問題だと思いますが、税制上の問題で、法人税等の軽減措置、あるいはまた独自関税制度の導入の問題。課税の選択制の問題ですね、関税課税の。こういったものが出ておりますが、大臣、承知しておると思いますけれども、それに対する対応はどのようになされておりますか。
  241. 久保田勇夫

    ○久保田政府委員 制度の問題に関連しますので、事務方からお答えをさせていただきます。  一つは、いわゆる独自関税制度を導入したらどうか、こういうことでございまして、私どもも沖縄の方々といろいろ話をしているわけでございます。ただ、そこで言う独自関税制度というのが、その地域とそれ以外の地域で異なる関税率を適用する、こういうことでございますと、これは御承知のところでございますけれども、安価な輸入品が特定の地域を経由して入ってきて、したがって、本来関税に期待されておる国内産業の保護機能を害するとか、あるいは特定の地域内において輸入するものとそれ以外のものとに税率の格差が生じる等の問題がございます。また、我々が承知しております限りにおきまして、諸外国にもそのような例、すなわち、一国の中の特定の地域において独自の関税率を制定している例はどうも見られないようでございます。  しかしながら、いずれにしましても今お話がございましたように、沖縄振興のための自由貿易地域の拡充に関する沖縄県の要望につきましては、先ほど主税局長も答弁いたしましたが、今後、沖縄政策協議会のプロジェクトチームにおいて県からの要望を踏まえつつ精力的に調査検討を行われていくというふうに理解しておりまして、私どもも積極的に参加させていただくつもりでございます。  それから、選択課税の問題で、これは非常に技術的な話でございますが、保税工場に原料で入れたときに、それからその保税工場で物をつくる、物をつくるときに引き取るわけですけれども、そのときの関税率を原料で掛けるか製品で掛けるかという問題でございます。  選択課税は、細かいことで恐縮ですが、技術的に、製品課税の方が低い場合には製品の関税率を掛けい、こういう話でございます。ところが、これをやりますと、原材料にかかる関税によって保護されている産業が保護されなくなるという問題がございまして、そういう難しい問題も含んでいるということを、御理解いただけると思いますが、だからといってどうこうということではございませんで、先ほど申し上げましたような趣旨で検討させていただきたいと思います。
  242. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 私も、この自由貿易地域、FTZ、当初から実はかかわりを持っておりましたが、初めの私の考えているものとは大きく違うようで、名前は自由貿易地域だが何にも役に立っていない、かように実は思っております。  この問題で今大蔵省の方が、問題の提起というか、いろいろな検討の事情を御説明されましたが、私は基本的にはこの問題、一応今までのしきたりとか何か言っているのではなかなか解決しないだろう、こう思うのです。そこで、今ございます沖縄政策協議会、この方に皆様方の声を上げて、そして政府の方とこの問題を取り上げて議論していただきたい、かように実は思っております。
  243. 白保台一

    白保委員 制度上の問題、今税制上の問題等話を伺っておりますと、なかなか、どうこう言うわけじゃありませんと言いながらも、前に進みません。沖縄は百分の一です。そういったものが近隣諸国と交易をすることによってここで自立を果たしていこうという話をしているのです。国全体の制度上の話をしてまいりますと、この部分は今周辺から引き合いがいっぱい出てきているにもかかわらず、国全体の制度上の問題でもってここを許すことができないということであるならば、これはとてもできる話じゃありません。  したがって、私どもは、経済特別区というような考え方でぜひ先行制度として進めていかなきゃならない、今佐藤大臣からもお話がございましたけれども、ぜひこのことは進めていくべきである、こういうふうに考えておりまして、これは、政府がやれないということであるならば議員立法でも皆さんとお話をしながら進めていく以外にないのかな、こんなようなことを考えているところでございます。  次に入りますが、外務大臣、もう時間がだんだん迫ってまいりましたのでお伺いいたしたいと思いますが、普天間基地の中も視察されたようでございますし、知事にもお会いし、基地関係市町村長にもお会いして御意見等も伺ったと思いますが、まず、感想についてお伺いしたいと思います。
  244. 池田行彦

    ○池田国務大臣 私ども、我が国の安全、平和を守るために必要な日米安保体制、そのためだとはいえ、沖縄の皆様方に長年にわたり非常に大きな御負担をお願いしてまいった、そしてまた、将来に向かってもこれを一挙に軽減するということもできない、こういう情勢の中でどういうふうに沖縄の皆様方の御理解を得られるか。そのためには、何としても御負担のできる限りの軽減にあとう限りの努力をしなくちゃいけない、そういう心構えでこれまでも外務省としても、また私自身としても取り組んでまいったつもりでございました。  しかし、一昨日、沖縄を訪問させていただきまして、今お話にもございましたように、大田県知事さんを初め県の皆様方のお考えも、これまでも伺っておりましたけれども、現地でお聞かせいただきました。それからまた、基地所在市町村の首長の皆様方からも、予定していた時間が短うございましたので、倍以上の時間をかけまして、それでも断片的ではございましょうけれども、いろいろ御意見をお伺いいたしました。いや、御意見だけじゃございません、悩み、憤り、やるせない思い、やりきれないお気持ち、お伺いいたしました。そしてまた、嘉手納、普天間の基地も視察いたしましたし、また、過ぐる大戦において大変な辛酸をおなめになった、そういった戦跡でございますね、南部の戦跡も参ってまいりました。  そういった過程で、沖縄の県民の方々のお気持ちを私なりに理解していたつもりでございましたけれども、いや、これほどの大きな苦しみを、そうして御負担を、これだけ長い間耐え忍んでこられた沖縄の皆様方のお気持ち、心というものを、これは本当に従来以上に切実に考え、自分自身のものとして、沖縄の心を自分の心として、御負担の軽減に何としても努力を傾注しなくてはいけない、そういった決意を新たにしたところでございます。  もとより、あの一日の訪問で、とても沖縄の皆様方の悩みや苦しみや憤りを十分に理解した、そんなことを申すつもりはございません。しかしながら、私が接した限りにおいても、かいま見たと言ったところが正しいかもしれません、その限りにおいても、それがいかほどのものであるかを痛切に感じたところでございまして、今後この沖縄の皆様方の御負担の軽減に全身全霊を傾けてまいりたい、このような気持ちでおるところでございます。
  245. 白保台一

    白保委員 外務大臣、初めて行かれていろいろとお感じになってこられたようでございますが、いろいろとお話しされましたのですが、皆さん沖縄の痛みとかいろいろなことをおっしゃるのですが、痛みというのは一体何なんだと。  私たちは、要するに公平であっていただきたい。二十七年に及ぶ米軍支配の中で、そこで何が行われていたのかといえば、人権の抑圧が行われていたんです。焼け野原を勝手に接収したんです。そして、自治は神話なりなどということを言った高等弁務官のもとで、政治も行政も私たちの生活も行わなければならなかった。日本国憲法の平和と人権と民主主義、この中に入っていけば公平である、みんな人権をとうとばれる、こういう思いで復帰をしているんです。それが、二十五年たっても同じようなことが繰り返されているということ。痛みと言いますけれども、等しからざるを嘆いているのです。  このことをわかっていただかないと、先ほど、一日や二日でわかるわけがないけれどもというお話がございました。それはそのとおりです。そのとおりですが、何をみんなが怒っているのか、このことが皆さんおわかりになっているようなことをおっしゃるのですけれども、わかっていないんです。ここを基本に置いたならば、当然基地の整理縮小というのも違った方法で進んでいくだろう、こう私は思うのです。  なぜそれを申し上げるかといえば、前にも申し上げましたが、昨冬の九・八県民投票は、基地の整理縮小と地位協定の見直しを求める投票でした。そして県民の多数が、安保条約を認める人も認めない人も、基地は多過ぎる、こう言って結論を出したんです。それにもかかわらず、県民は基地の整理縮小、こう言っているにもかかわらず、政府から出てくる話は基地の整理、統合、縮小、こうくるのです。  統合とは何なのですか。県民は、一つ一つ整理をしていって、冒頭の経済問題のときにも申し上げましたように、父祖伝来の地を有効活用してみずからの自立を目指したい、こういうふうに考えているわけでございます。  そこの統合ということについて、私たちは先日も新進党で沖縄基地調査へ行った場合にも、吉元副知事もこの統合の問題については理解できないと、知事もそういうふうに言っていました。だから、そこのスタートラインが違うのです、SACOについても。随分と整理してきたじゃないか、こう言いますが、我々が求めているのは統合じゃありません。整理縮小です。  そのことを私は前にも申し上げましたが、既に遊休地は当然のことです。不要不急の土地は当然のことです。しかし、もう一つは、先ほど仲村委員からも話がありましたように、とにかく地域の振興発展のために活用したいという地域の方の要望のあるところ、こういったものも整理縮小の対象にしていかなければいけない。遊休地は当然のことです。そしてまた、五十年前に焼け野原を接収したわけですから、そのころ周りに何もなかった、だけれども、自分のふるさとですからみんな帰ってきます。そして、周辺が住宅地になったり、公共施設ができたり、町並みができていく。そういうところは当然基地としては不適当です。こういったところも考えていかなければいけない。普天間なんかまさにそのとおりです、周辺が全部町ですから。  こういうふうに、一つ一つ整理縮小をしてもらいたいということなんです。統合という文字を外してください。いかがですか。
  246. 池田行彦

    ○池田国務大臣 ただいまの御質疑の前段で委員がおっしゃいましたこと、等しくなくちゃいけない、そうだと思います。その等しくなくちゃいけないということの意味するところは、私は二面あろうかな、こう思いました。  一つは、やはり沖縄にばかりこれだけの過大な負担をかけてはいけない、そちらの意味での負担の、量的な面でのアンバランスでございますね、それに対する憤りというものがあると思います。  いま一つは、米軍による施政下のいろいろな状況、人権の状況についても言及がございましたけれども、そういった本当に耐えることのできなかった過去のことだけじゃなくて、現在においてもあるいはそういった状況が続いているのじゃないか、同じ駐留米軍といっても本土と沖縄では違うんじゃないか、そういった思いがあられるんじゃないかと思います。  一昨日も、大田知事さんも、米軍はいつまでも占領時代と思っているんじゃないか、こういったようなことを実はおっしゃっていました。そういった現実の運用なり、現実の住民と米軍との接触の中での不平等感という、この二つがあると思います。この後の方につきましては、当然のこととして、これは米軍にそんなことがあってはいけない、反省を求め、改めていかなければいけない、外務省といたしましても、繰り返し変化を求めていっております。  さて、今の、量的な意味での負担の平等さを確保しろという観点から、沖縄の今の基地を整理縮小していけ、統合は外せ、こういうお話でございますが、私どもでも、でき得ることならばそのようなことで進めたいと思うのでございます。しかし、現実に今の情勢の中で考えますと、全体としての在日米軍の、とりわけ沖縄の米軍の機能そのものは維持せざるを得ない、その機能を果たしていくために必要な基地をどういうふうに縮小できるか、こういうことで整理縮小を考えているわけでございます。  ただ、その縮小を図るために、全体として必要な、維持しなければいけない機能を、それを、特定の基地で果たされておりました機能を本土に持っていくことができればいいけれども、できないのもどうしてもある。いや、むしろ正直申しまして、できない部分の方が多いわけでございます。それを沖縄の既存の基地の中に統合していく。例えば、今もお話がございました普天間で果たされておりました機能を、これを海上施設に主体を持っていきますが、その一部は嘉手納の方に集約するというのもございます。  したがいまして、統合というのは、これは決してそのために新たに御負担を沖縄の中でお求めしようということを意味するわけではございませんので、文字どおり縮小していきたい。そのために、どうしても必要な手法としてその統合ということがあるというふうに御理解賜りたいと思います。
  247. 白保台一

    白保委員 時間がありませんので主張だけしますけれども、五・一五メモも先ほどございました。あれにつきましても全面公開ということをみんなは求めておりまして、出せない部分というのがあるようだ、こういう話もございますが、むしろ疑念が高まってまいりますので、五・一五メモについては全面公開を強く求めたいと思います。  それから、五・一四の問題についても、防衛庁長官、来られておりますが、ルールを途中から変えないようにしてください。まだ検討されておらないということですから、法改正の問題については、既にもう沖縄の方では、ルールを途中から変えるのか、こういうことでみんなが大変な疑念を持っております。ルールを途中から変えるようなことのないように、法治国家である以上は、このままで来た以上は粛々と進めてもらいたいわけでございます。もう公開審理も静かなものです、みんなまじめに議論をしています。ですから、ルールを途中から変えないようにしていただきたいと思います。  それからもう一つ、最後に、沖縄の社説にもまた出ておりますが、PCBです。「いつまでもずさんな基地管理」。基地の中からPCBが出てくる。県の職員が定期的に行っている検査の中で、PCBが北谷の方から出てきた。これを問いただきれて、それから初めて、そういえばありましたと言うような状況です。  こういうずさんな基地管理がなされておる、ウランもそうです、全部こうやっていいかげんな基地管理がなされておる。こういうことについて、地位協定三条三項は安全を考慮して作業するというふうに言っているにもかかわらず、常に危険な状態にある、この状況をぜひ変えてもらわなきゃいけないと思います。外務大臣、強く主張してもらいたいと思うんです。
  248. 池田行彦

    ○池田国務大臣 五・一五メモにつきましては、先ほど申しましたように、全貌が明らかになるようにその努力を続けます。  それから、PCBの件につきましても、米側にもきちんとその適切な対応を求めておりますし、求めてまいります。  ただ、この件につきましても、県の担当部局では早く御存じであったようでございます。そういった情報を、私ども今度沖縄で現地にもコンタクトポイントをつくりましたので、これから将来に向かっては、早目に御連絡をちょうだいできれば、外務省としても早目に米側にも対応できるわけです。お互いにこれから連絡調整がうまくいくようにしてまいりたいと思います。
  249. 白保台一

    白保委員 それは逆だよ。  終わります。
  250. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて白保君の質疑は終了いたしました。  次に、大野由利子さん。
  251. 大野由利子

    ○大野(由)委員 先日の予算委員会で中断をいたしました住宅・都市整備公団のことについて、続きを質問をさせていただきたいと思います。  去る十二日の予算委員会で建設省に資料要求をいたしました、住宅・都市整備公団の分譲住宅、完成間近でありながら販売の目安が、販売予定が立たないために、いわゆる塩漬け住宅になっております分譲住宅の戸数について質問をいたしまして、回答を十八日にいただきました。  全国に塩漬け状態になっている分譲住宅が、畳やふすまを入れるだけで完成する物件が八百九十戸、工事を中断しているものが二千二百二十戸、合計三千百十戸ある、こういう回答をいただきました。それで、分譲の、販売したが売れ残っている住宅、未入居戸数千七百八十五戸とこの三千百十戸を合わせますと、約五千戸ある、こういう実態が明らかになったわけでございます。  この五千戸というのは大変な数でございまして、公団全体の分譲住宅の約三〇%に該当するのかなと。平成八年の公団の建設戸数二万四千戸の中の分譲住宅は五千戸でございます。一年間の全国の公団の分譲予定数にも相当する大変な数でございますが、販売の予定が立たないで今残っている、こういう状況、建設、住宅供給に対する見込みの甘さがこういう状況を生んだ、まさに国民への弁解の余地がないのではないか、このように思いますが、建設大臣の御見解を伺いたいと思います。
  252. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 委員が御指摘のように、やはり、予定したほど売れなかったという厳粛な事実に我々は今直面をいたしております。  その背景については、経済情勢が、ある意味ではだれも予測しなかった、そうした方向に大きく変わったという面も私はあると思います。しかし、やはり行政にある者が将来に対する予測を的確に立ててやらなければならないというのは当然のことでありますから、そういうことだけで別にエクスキューズをするつもりはございません。  しかし、民間におきましても、やはりいろいろなデベロッパーが同じような苦しみにあえいでいるということも現実あるわけでありますから、我々といたしましては、こうした経験をきっちりと踏まえて、教訓を酌み取りながらやっていかなければならない。そういう意味で、委員御承知のように住都公団の今後の事業の方向を思い切って転換をするということを決定をしたわけでございますので、ぜひひとつ御理解をいただきたい。  ただ、この五千戸が将来とも空き家のままで、がらんどうで売れ残るということでは私どもは絶対にないと考えております。それをどういう工夫でやっていくかということを今一生懸命、撤退という方向の中で検討しておることを御理解を賜りたいと思います。
  253. 大野由利子

    ○大野(由)委員 九〇年の後半からバブルがもう崩壊をしておりまして、民間では五年も六年も前から住宅建設について方向転換をしているわけでございます。ところが、国は、ようやく今回建設大臣が方向転換を打ち出された。五年も六年も、どうして国はこうした方向転換をするのに時間がかかるんだろうか、今後こういう過ちがあってはならない、もっと速やかな対応がなされるべきではないか、このように思うわけでございます。  建設大臣も今反省の弁を述べられたわけでございますが、しかし、この公団の分譲住宅、平均価格が一戸約五千万円、こう言われております。そうなりますと、五千戸になりますと約二千五百億円という大変な売れ残り、塩漬け住宅で、これだけの二千五百億円に相当する金額でございまして、民間であればとつくの昔に倒産をしているであろう。また、当然何らかの形で経営者は、トップは責任をとらなければいけない、そういう状況であるわけですけれども、この公団については、何らかの責任をとる、もしくは処分をされたというか責任をとられた役員がいらっしゃるのかどうか。国民の税金を使っているだけに、済みませんでしたということでこれが済まされていいのかどうか。政治というのはすべてそういうことでいいのかどうか、この点を伺いたいと思います。     〔委員長退席、高橋委員長代理着席〕
  254. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 責任は我々政治家にあると私は思います。そういう意味では、細川政権下におかれましても、残念ながら当時方向転換をされなかったわけでもあります。私は他を顧みて言うわけじゃございません。そうした公団の総裁初め幹部を責める前に、もっと我々は大きな視野で、大きな立場で政治をやっておるわけでありますから、そうした中でもっと早くこうした問題についてお互いに気づいて、いい方向、与党、野党関係なしに我々としては取り組むべきであったろうとは思いますが、私は、今この問題で総裁以下を処分をする考えはございません。
  255. 大野由利子

    ○大野(由)委員 住専の問題にいたしましても、バブルの生んだ日本の問題にいたしましても、すべて日本の政治はだれも責任をとらない、こういう状況を改めていかなければ、私は日本の政治はいつまでたってもよくならないのではないか。どこに原因があって、二度とこういうことを起こさないためにはどうするのがいいのか、その辺をもっと明確にしていかなければ、ただ全員に責任があると言うだけでは、かつての戦争、一億総ざんげという形で責任をあいまいにする、そういう形であっては、同じ過ちの歴史を繰り返すのではないか、このように思いますので、この点についてよくまた御検討をお願いをしたい、このように思います。  それから、塩漬け住宅の戸数をお聞きしたわけでございます。大変御苦労をしていただいたかと思いますが、今この場ですぐでは無理かもしれませんが、支社別、所在別棟数、棟別の戸数の資料をいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。住宅局長に伺います。
  256. 小川忠男

    ○小川政府委員 ただいまのお話、現場におろして積み上げできますので、多少時間がかかるかと思いますし、お出しの仕方につきましては、またいろいろ御相談させていただきながら、できるだけの努力をしたいと思います。
  257. 大野由利子

    ○大野(由)委員 これは、今から現場におろしてじゃなくて、そういうのがあって初めてこの三千百十戸という数が出てきたはずなんですね。三千百十戸というのは、ある日突然出たのじゃなくて、どこの地域で何戸、どの地域で何戸と出てきて、それを合計したのが三千百十戸のはずでございますので、私はそんな難しい調査を依頼した覚えはございませんので、ぜひこれはお願いをしたい、このように思います。  それから、住宅供給に対する見込みの甘さ、公団が民間に比べまして競争力を失った原因はさまざまあるかと思いますが、どうでしょうか、公団の分譲価格や家賃が高いのは、非常に、一つは原価主義によっている、このように言われております。まあ傾斜家賃制度をとっているわけですが、新しく入居する方は、ことしの四月からでしょうか、傾斜家賃が毎年今までは四%であったものを二・五%にして、八年間傾斜家賃で家賃が上がる、そういうふうに変更されたということですが、この二・五%の根拠はどこから来ているのでしょうか。
  258. 小川忠男

    ○小川政府委員 従来の傾斜家賃制度でございますが、当初、本来の家賃の二〇%をカットしたところから出発して、四年間五%ずつアップして本来の価格にするというふうなことでございますが、四月一日からは、この傾斜家賃の期間を御指摘のように八年に延ばします。それで一年二・五%ずつというふうなことでございます。いろいろな背景がございますが、基本的には、やはり収入の伸びが当初五年間で四%と想定したよりは低いというふうなことを念頭に置いて、八年間、二・五%というふうに改定させていただくというふうなことでございます。
  259. 大野由利子

    ○大野(由)委員 給与等がいろいろな面で右肩上がりでどんどん伸びているときは、こういう傾斜家賃制度というのもそれなりの意味があったかと思うのですが、今はそういう状況ではございません。リストラ等々、逆に残業が減ってお給料が減っている、落ちている。そういうような状況もある中で、この傾斜家賃制度というものが、私は、こういう家賃設定の仕方そのものがまず問題があるのではないか、このように思います。  また、戻り入居、三十年以上たって公団住宅、賃貸ですが、建てかえられて戻ってこられる戻り入居の方、減額家賃制度が一応行われているわけですが、七年間とか十年間あるようですが、その減額率がどんどん減っていくわけですね。一〇%ずつぐらい減額率が減っていって、八年目には最終家賃になる。そして、最終的にはもとの家賃の三倍から四倍の値段になる、そういう状況であるわけですけれども、長く入っていた方はその建てかえの費用だけで、その土地代はもう三十数年前に既に購入されているわけですから、建設コストだけで済むわけでございますが、どうしてそういうふうな家賃設定になるのか、伺いたいと思います。
  260. 小川忠男

    ○小川政府委員 住都公団という一つの経営体が賃貸住宅を経営するというふうな場合には、基本的にはポイントは二つあろうかと思います。  一つは、やはり新規に供給されている住宅相互間の家賃のバランス、あるいは周りの民間の賃貸住宅とのバランスという点が一つあろうかと思います。それから、建てかえに固有のお話でございますが、長い間ずっと継続的にお住みになっていた方々の家賃の継続性というふうな点、あるいは居住の安定性という点があろうかと思います。  ただ、一つ御理解賜りたいのは、本当に配慮を必要としなければならない方々、例えば収入が少ない高齢者の方々、こういうふうな方々の戻り入居、建てかえ後の新しい公団にお戻りになる場合には、生活保護の住宅扶助限度額をもって頭打ちにしている。これは、公団という経営体からすれば、やり得る限度いっぱいのことをやらせていただいているというふうな点も片方ではあるというふうなことを御理解賜りたいと思います。
  261. 大野由利子

    ○大野(由)委員 家賃の算定方法というものをもっと根拠を明確にすべきじゃないか。公団はこの辺を明確にされないわけですけれども、私は、この場合の家賃は、建てかえの場合、新居の場合、こういう計算でここの設定はこうなっている、そういう家賃のきちっとした算定根拠を明確にすべきではないか、このように思うわけでございますが、この点はいかがでしょうか。
  262. 小川忠男

    ○小川政府委員 七十二万戸を管理している公団としては、七十二万戸全体として中長期的に収支バランスがとれるというふうなのが基本的な考え方でございますが、個別の団地の個別の住宅について積算を直ちにお示しするというのは現実的にはなかなか難しい面がある。わかりやすい制度にしたいという努力はさせていただきたいと思いますが、個別の話につきましてはなかなか難しい点もあるというふうなことを御理解いただければと思います。
  263. 大野由利子

    ○大野(由)委員 七十二万戸全部プールしてということなものですから、当初申し上げました分譲住宅の売れ残りだとか、そういうものの金利だと、か借金の返済だとか、そういうものが全部足し合わされて、結局、何十年と住んでいる方へも全部負担が来ている、そういう実情じゃないかと思うのですけれども、この辺を、責任逃れになってしまうような状況ではなくて、それぞれ個別にきちっと、私は、やはり算定基準を出すべきではないかと思います。  建設大臣に伺いたいのですが、第七期の住宅建設、九六年から二〇〇〇年まで、公団で大体十二万戸を建設する、そういう予定が今なされているわけですが、これはいつごろどのように見直されるのか伺いたいと思います。
  264. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 先日、御承知のように、今後、分譲からは完全全面撤退する、賃貸については一部限定的にやるけれども、原則的にこれも撤退をしていくという方針を出しておるわけでございますので、当然、この計画につきましては見直しをやるということで、住宅局の方におきまして検討を今進めておるところであります。
  265. 大野由利子

    ○大野(由)委員 公団の役員の方、何名いらっしゃって、そのうち何名の方が天下りの方か、また、その公団の平均在職期間、そして平均の退職金の金額、そしてその退職金の算定方法についてちょっと伺わせていただきたいと思います。
  266. 小川忠男

    ○小川政府委員 住都公団の役員数でございますが、総裁を含め、かつ非常勤一名を含めて、役員は合計十六人でございます。そのうち、建設省出身者は八名でございますが、その他国家公務員を含めますと、合計で、建設省プラスアルファで十二名が国家公務員出身でございます。  それから、退職金の算定方法でございますが、これは昭和五十二年でございますが、特殊法人の退職金制度に関する閣議決定がございます。これに基づいて算出いたしておりますが、具体的には、俸給月額に在職月数を掛けまして、係数として〇・三六を掛けるというふうな算式で計算いたしております。これによりまして、お尋ねの具体的な額でございますが、住都公団が発足以来の副総裁、理事の全平均の任期でございますが、三年五カ月でございます。具体的な退職金は、すべて平均をいたしまして一千百五十六万円というふうな状況になっております。
  267. 大野由利子

    ○大野(由)委員 公団の将来でございますが、住宅部門等々からの撤退、業務の縮小というものを方向として示されたわけでございますが、天下りも減るとかなくなるとか、この天下りについてはどうなるかについて、建設大臣の意見を伺いたいと思います。
  268. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 天下りか天上がりかは知りませんけれども、役人時代のノウハウあるいは人物、そういうものを活用した方がずぶの素人にお願いするよりもいいという場合は、それをやることが国家のために、国民のためになる場合も私はあると思います。そういうことでありますから、一概にそういうものを排除するということは、私は逆に健全なことではない。  しかし、そうした特殊法人が、ただ単に役人の老後といいますか、老後の飯を食う場所だというようなものに成り下がるということがあっては絶対にならない。やはり新生住都公団は、国民のため、国家のために生き生きとした活動をしていける、そのための役人はどうあるべきかという観点でやってまいるべきだ、このように考えます。
  269. 大野由利子

    ○大野(由)委員 公団の発注は、随意契約など一部を除きまして一般競争入札が行われているということになっているわけでございますが、一般競争入札は形だけで、依然として天の声が存在するというような実態がある、このように伺っております。  今、天の声と言わないで、現在は指示というようになっているようでございますが、その指示を受けた業者が実際に自分が落札するために、その後で談合を行っている。受注を断ったら出入り禁止になったという関西の中堅の業者がいるというようなことを伺いました。これは建設省で調べていただきましたら、そんなことはありませんということでございましたけれども、ゼネコンの間では大変有名な話になっております。  また、それだけじゃありませんで、建設を請け負った業者は受注額の五%程度に当たる分譲住宅を無理やり買わされている。これを断れば仕事がとれなくなるということで、公団の無理を聞いているというようなこととか、また、公団は法人には分譲できないということになっているわけですが、現実には法人が何らかの形でその購入をしている、させられている。こういうような実態もある、このように聞いておりますが、建設大臣、この辺の実態を調査をしていただけますでしょうか。
  270. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 私は、委員が今おっしゃいましたような、江戸時代の悪代官みたいな職員がおるとは思っておりません。しかし、人間の集団のやることでありますから、いろいろと不適切なことも場合によっては起きる場合も私はあろうかと思います。そういうことがないように職員も締めてまいりたい、このように考えております。  ただ、委員から具体的なことで調べろというお話でございましたら、私はそれを避けて通るつもりは全然ございません。
  271. 大野由利子

    ○大野(由)委員 先ほど、天の声、指示ということがある、このように申しましたけれども、この点について公正取引委員会委員長に御見解を伺いたいと思います。
  272. 根來泰周

    根來政府委員 今、個々のお話の途中でございますので、その個々のお話を前提にして物を言うわけではありませんけれども、天の声というのは必ずしも実態的にはよくわからない点がございます。  だから、要するに発注者側が何か指示を出して談合するということになりました場合に、独占禁止法としては事業者あるいは事業団体が主体になっておりますので、天の声自身が独占禁止法に直接問題になるということはないわけでございますが、そういう制度あるいはそういう運用について問題があれば、発注者側にそれぞれ適切にしていただくように要請をしているのが現実でございます。
  273. 大野由利子

    ○大野(由)委員 実際にはこういうことがいまだにまかり通っているということがゼネコンの間では常識として語られているわけでございますので、ぜひその辺は今後も厳しい調査とか指導をお願いをしたいと思います。  それから、昨日の朝日新聞にちょっと出ておりましたが、自治体が発注いたします道路舗装工事を地元の中小の業者が受けて、そして大手に丸投げをしている。この数年間で毎年二千社から三千社、大変業者がふえておりまして、非常に許可取得が簡単なことですから、八六年に四万五千社だった舗装業者が、九六年には七万三千六百社に膨れ上がっている。地元で受けた仕事を大手に丸投げしていて、そこに一〇%から三〇%の手数料が取られているということが出ていましたけれども、これは大変な税金のむだ遣いで、国民から見ますととんでもない。こんなことが行われているから公共工事が大変割高なものになっているのであって、この辺を是正しなければどうしようもないという思いでございますが、この点について自治大臣と建設大臣に、どのようにこの辺を是正されるのか、伺いたいと思います。
  274. 松本英昭

    松本政府委員 お答え申し上げます。  ただいまのいわゆる丸投げとか上請とかの問題に関しましては、建設業法に一括下請負の禁止が定められておりまして、建設業に対します指導上の問題と考えておるわけでございますが、自治省といたしましても、地方公共団体の指名競争入札におきます指名のあり方の問題につきまして、従来から指名競争入札の透明性、公平性の確保という観点から、明確な指名基準等の策定及び公表を行うとともに、指名結果とか入札結果及び発注標準の公表を行うように指導しているところでございます。  これからも、地方公共団体の適正な契約、入札の手続が行われますよう、関係省庁とも十分な連携を図りながら指導してまいりたいと考えているところでございます。
  275. 大野由利子

    ○大野(由)委員 建設大臣、自治大臣に伺いたいのですが、こういうことが直ちに違法じゃない面があるようでございますが、どうなんでしょうか。大臣の見解を伺いたい、このように思います。
  276. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 その辺の細かい現場について私必ずしも詳細な知識を持っておりませんが、いずれにいたしましても、建設に絡む入札あるいは工事の受注状況というのは、いろんな意味で問題が多いところが多々あるのではないかな、こう思うわけでございます。そして、いずれにしましても、公共工事というようなものについての国民の厳しい目があるところでございますから、上から下に投げるのも下から上に投げるのも含めて、この際すきっとしたものにしていかなければならぬ、こう思って、建設大臣もやり手でございますので、ひとつよく相談をしながら、この際きちっとしたものにしていくために努力してまいりたいと思っております。
  277. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 建設業法を所管いたします建設省といたしましては、小が大をのむのならどんなのみ方でもいいというわけにはまいりません。建設業法がきちっと守られるということが不可欠である、このように考えております。
  278. 大野由利子

    ○大野(由)委員 ぜひ、この点につきましても改善が行われて、そして納税者が納得のいく、そういう制度を確立をしていただきたい、このように思います。  政治資金規正法について、ちょっと自治大臣に伺いたいと思うのですが、先日の予算委員会でも公益法人の政治資金についていろいろ質問がございました。公益法人にもいろいろございまして、公益法人の中でも国からの委託事業を主たる事業にしている、委託を受けている公益法人というのはより国と関係の深い公益法人であるということを、先日の十二日の予算委員会で、倉田議員の質問に対して、政府委員の回答の中にこのように出ているわけでございます。  一応、政治資金規正法の二十二条の三「寄附の質的制限」についてという法律の中に、国から補助金、負担金、利子補給金その他の給付金の交付の決定を受けた会社その他の法人は、当該給付金の交付の決定の通知を受けた日から一年を経過する日までの間、政治活動に関する寄附をしてはならない、しかし、試験研究とか調査とか、また災害復旧に係るものその他性質上利益を伴わないものを除くということで、この委託費というのは「利益を伴わないもの」である、このように位置づけられているようでございます。しかし、国から委託費を受けて、そして国の仕事をしているということはより公益性が高いんだということも、あわせて政府委員の回答の中にあるわけでございます。  現在の政治資金規正法からいえばその「利益を伴わないもの」に入るわけでして、委託費を払って調査をしてもらっているところから政治資金を受けても違法じゃないというようになるのかもしれませんが、私はこの辺、じゃ違法じゃないからやっていいというふうにはならないんじゃないか。  公益法人からの寄附というものはどうなのか。全衆議院議員のアンケート調査でも、毎日新聞報道によりますと、三百四十二名の衆議院議員のうち八七%が公益法人からの政治献金は「問題あり」、そのように回答しております。まして、より公益性の高い、委託を受けているところからの寄附金というものは、私は当然これは遠慮すべきじゃないか、このように思いますが、御見解を伺いたいと思います。
  279. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 政治資金規正法上許されている寄附の適否について意見を述べることは、法を所管する大臣としての立場上差し控えさせていただきたい、こう存じます。  ただ、一言付言すれば、政治資金についての物の考え方は、その政党の成り立ち、こういうものによって率直に言ってかなり違うという気がいたします。  例えば、先生も何度も選挙をやっておわかりだと思うのでございますが、政党というのはいずれにしろ一つの基盤がある。その基盤がいずれにしましてもある程度の票を稼ぐわけでございますけれども、そういう基盤を一つの政党がつくったり政治家がつくらなければならないという事情にある政党と、俗に言う組織政党というのでしょうか、一つのがっちりとした組織があって、その上に政党や政治家が乗っていればいいという場合とでは、政治資金に対する考え方は一般論として大変違うのだろうということは事実でございまして、そういう政党の基盤の成り立ちによってこの法を、あるいは企業・団体献金をどう見るかということがいろいろ政党によって、政治家によって意見が変わるわけでございまして、自治省といたしましては、こういう問題は極めて政治的な問題でありますから、各党各会派において十分御議論をいただいて、そして詰まったものを我々は執行していく、こういう立場でございます。
  280. 大野由利子

    ○大野(由)委員 違法じゃないから何をしても許されるということであってはいけないのではないか、このように思います。  橋本総理大臣が実は、財団法人の日本環境衛生センター、環境庁から二億二千五百万、平成七年は二億七千九百万の委託費を受けて仕事をしております。本来なら環境庁そのものが仕事をしなければいけないものを、環境庁からお金をもらって調査研究している。場合によっては、国の仕事をやっているわけですから、もう国と同じといっていい、そういう状況なんですね、委託費を受けて仕事をしているということは。そういうところからまさに政治献金を受けている。  それは今は違法じゃないかもしれませんが、私は、一国の総理大臣であれば、まずみずから身を正して、そのようなやはり皆さんから余り望ましくないと、問題ありと言われるようなものはぜひ辞退をしていただきたい、自粛をしていただきたい。閣僚の皆さんは、少なくともこういう公益性の高いところからの寄附、公益法人から、全部からはもちろんですが、特に公益性の高い、国の仕事をしているところからの献金はお断りをしていただきたい。ぜひ検討をいただきたい、このように要望をさせていただきます。  それから、厚生大臣にも来ていただいております。建設大臣と自治大臣、質問終わりましたので、ありがとうございます。  厚生大臣に質問いたしますが、遺伝子組み換え食品、今いろいろ問題になっております。この問題、随分いろいろ話題を呼んでおりますが、除草剤の耐性と害虫の抵抗性の二種類、抵抗力をつけた大豆や菜種やトウモロコシなどの食品が輸入されるようになる。当初は加工食品だけのようですが、これから生の、生食用の食品もどんどん輸入されるような方向に今向かいつつある。こういう状況があるわけですが、健康への影響、環境への影響、安全性について、どのように認識していらっしゃるか伺いたいと思います。
  281. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 遺伝子組み換え食品について、私も個人的にも非常に関心を持っております。  品種改良の高度な技術だと言っておりますが、専門的に私は詳しくはわかりませんが、何らかの形で今我々が知らないうちに口にしているというような状況にもあるやに聞いております。この点については、今国際的にも、欧州連合でもこの問題は議論しているようであります。  今後、国際的に欧州等、アメリカも、この遺伝子組み換え食品について安全性等どのような議論がされているのか、厚生省としてもよく関心を払いまして、この食品の安全性について十分な取り組みをしていきたいと思っております。
  282. 大野由利子

    ○大野(由)委員 現在の知識水準とか科学水準ではその危険性が見い出されなかった。要するに、厚生省の研究調査では、実質的同等性という考え方に立って、姿も形も成分も栄養素も同じなんだ、何ら問題ではないんだというような、今そういう状況で輸入の許可をおろされている、このように伺っているわけでございますが、しかし、やはり現在の科学で予想できないものというのがいっぱいあるわけです。  例のイギリスの狂牛病もそうでございました。羊のたんぱく質が成長にもいいだろうということで牛が食べたところが、これが大変なことになったという、その当時にはよかれと思って行われたことがその後大変な事態を引き起こしている、そういう状況がございます。  また、私も九〇年の二月の総選挙で当選をさせていただいた最初の四月の質問で取り上げさせていただいたのが、例の栄養補助剤Lトリプトファンという必須アミノ酸、やはりこれが遺伝子組み換えによってっくられた栄養補助剤なんですが、これが不純物がまじっていて、アメリカで最終的に三十数名の死者を出し、千五百名の病人を出したという事件がございました。  アメリカで八九年の十一月に販売禁止になっていたのに、私が質問した四月にまだ同じものが日本で売られている、このままほっておいていいんですかという質問をさせていただいたときに、厚生省は、因果関係がはっきりしておりません、また、被害届が出ておりませんという答弁でしたけれども、一週間後に、日本でも同じような患者が見つかったということで販売停止に踏み切ってくださったわけですけれども、このように、そのときは予測できなかったことが必ずある。そのときに表示をしてなかったら、何が原因なのかがっかみょうがないわけです。  そういう意味で、この遺伝子組み換え食品には、現状では余りにも未知なものが多過ぎるわけでございますので、少なくともこれは表示をすべきだ。表示をして、そして何かトラブったときには、遺伝子組み換え食品が原因だったのか、それともそれ以外のことが原因だったのか、これがわかるようにしなければいけないんじゃないか。  普通の食品もまぜこぜに販売されて、まぜこぜに売られている以上は、何かあっても何が原因なのかということが全くつかめない、そういう状況でございますので、私はこれはぜひ、少なくとも現在の状況にあっては表示をきちっとして、そして納得して消費者が買う分にはいいかもしれませんが、口に入れるものはやはり庶民の側、市民の側も選択権がある、選ぶ権利があるはずでございますので、この点についてどう思われるか伺いたいと思います。
  283. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 私も、そういう遺伝子組み換え食品が世界的に認められて多くの国民日本国民にも食せられるというような状況になったならば、ぜひとも表示はしてもらいたいなと思っております。  現に今、いろいろな食品について、この食品はどこの産地ですよとか農薬を使っていませんよとか、いろいろ親切な表示もなされております。それが強制的にできるのか、あるいは自主的にやっているのか、なかなか難しい問題もあるようであります。その具体的な詳しい点について、政府委員から答弁させていただきたいと思います。
  284. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 表示の件でございますが、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、遺伝子組み換え食品につきましては、遺伝子が組み換わるという点におきまして、従来の品種改良品と同等というふうな評価ができるわけでございます。さらに、安全性評価指針に適合するかどうかということを確認をいたしまして、その安全性を確認をしているところでございますので、公衆衛生上他の食品と区別して安全かどうかということを義務づけることは適切でないというふうに考えております。  ただ、今大臣からも御答弁申し上げましたように、国際的にはFAO、WHOの合同食品規格委員会あるいはEU等々の動きもございます。そこでどういうレベルで表示の議論がされているか、すなわち、安全性という意味でされているのか消費者選択というレベルで議論をされているのか、現在情報収集に努めておりまして、それらの国際的な議論も参考にしながら検討してまいりたいと考えております。
  285. 大野由利子

    ○大野(由)委員 農林大臣、済みません。
  286. 藤本孝雄

    ○藤本国務大臣 この食品の安全性の問題は極めて重要な問題でございまして、私も就任いたしましてから、平成九年度の予算でこの食品の安全性について新しく対策の検討をするように事務当局に指示いたしまして、有機・バイテク食品表示対策事業、新規事業といたしまして、有機食品並びに遺伝子組み換え食品の表示のあり方を検討し表示の適正化を図る、こういう事業に今取り組んでおります。  この表示の問題は、そういう組み換えの食品を食べるときに消費者が選択権を持つべきだという委員の御指摘は、私もそうだと思うのです。ただ、表示の問題につきましては、委員も御承知のように、例えば豆腐の問題を考えましたときに、遺伝子組み換えの大豆全部で豆腐をつくった場合には、これは表示できます。ところが、遺伝子組み換えの大豆とそうでない大豆とがまじって豆腐をつくった場合には、これはなかなか表示ができない。そういうような問題もありまして、そういう点も含めてこれから検討しながら、今厚生大臣からの答弁にもございました合同食品規格委員会、ヨーロッパで今この表示の問題について検討しておりますので、そういう検討の内容も十分参考にしながら、この表示のことについては考えていきたいというように考えております。
  287. 大野由利子

    ○大野(由)委員 ありがとうございました。
  288. 高橋一郎

    高橋委員長代理 これにて大野さんの質疑は終了いたしました。  次に、西川知雄君。
  289. 西川知雄

    ○西川(知)委員 西川知雄でございます。  私は、二月十二日のこの予算委員会総括質問で、道路特定財源について大蔵大臣に御所見を賜ったところでございます。  その際に、私、一般財源化の問題とか総合交通特別会計、これも視野に入れてもう一回道路特定財源について考え直してはどうかということを御質問いたしましたところ、大蔵大臣は、大いにこの件については国会で、国民の間で議論をしてほしい、そういうふうに述べられましたので、私は、本日はこの趣旨を受けて大いに議論をいたしたいというふうに思っております。     〔高橋委員長代理退席、委員長着席〕  実はこの議論は、昭和四十六年、一九七一年の自動車重量税の導入を検討したときと、一九七九年及び八〇年、その当時陸上公共輸送特別会計の議論をなしたところですが、それ以来もう二十年間もたっております。その後、議論はほとんど活発になされておりませんので、今財政構造改革元年ということで大蔵大臣が必死にいろいろな改革をしようというふうにされているところでございまして、その結果、この間の二月十二日の発言が出た、私はこういうふうに理解しております。  そこで、まず大蔵大臣にお伺いいたしたいというふうに思っております。  大蔵大臣は、財政構造改革元年で聖域を設けないで財政改革をしようという橋本内閣の予算担当の非常に重要な位置に現在のところおられます。そして、公共工事を当然のことながら見直していこうということがこの予算委員会の中でもずっと議論をされてまいりました。  この間の総括のときに私が引用しましたように、現在の特定財源、道路特定財源というのは、国費ベースで九年度、三兆三千百四十六億円、地方費ベースで二兆六千四百九十二億円、合計して五兆九千六百三十八億円、すなわち約六兆円なわけです。  私は道路の必要性、これは全く否定するものではございません。道路の必要性はわかるのですが、財政当局からしてどうして道路のみを特別に聖域扱いするのか。一般会計の公共事業関係の予算を見ましても、二八%が道路の予算、そして重要だ重要だと言われている住宅対策、これは一三・四%、そして下水道は一一・九%です。この辺についての大蔵大臣の明快な御見解、これをお尋ねしたいと思います。
  290. 三塚博

    ○三塚国務大臣 公共事業は聖域を設けず制度から全体を見直していこう、これは財政再建を目指します以上大原則になるわけであります。しかし、それぞれがそれぞれに歴史を持って、法律によって決定をいたしておる経過がございます。受益者負担というのもございます。そういう意味で、大いに論議が盛んになり、本件についての国民の動向というものが明確になるように期待をいたしたいというのが、本件に対応する私の基本的なスタンスであります。
  291. 西川知雄

    ○西川(知)委員 この間から建設大臣がこの件について御答弁をなされておりませんので、建設大臣にぜひお尋ねをいたしたいと思いますが、実は新聞等々、報道によりますと、またこの予算委員会でも何度も何度も議論をいたしました公共投資基本計画、これが現在見直しの作業中または見直しにがかろうということだ、私はこう理解いたしております。当然このことは、公共投資の規模を縮小をするという方向で見直そうというのが政府そして与党の見解であるというふうに私は理解いたしております。  ところが、第十次道路整備五カ年計画は総額五十三兆、現在の第十一次は七十六兆、十次から十一次にかけて二十三兆増加しております。十二次につきましては、平成十年から始まるということでございますけれども、新聞報道等によりますと、これは百兆円を超えるのではないかというような懸念も示されております。  今の公共投資基本計画見直し、そういうことを勘案いたしまして、私は、次期五カ年計画の概算規模は当然のことながら第十一次並みか少なくともそれ以下であるというふうに理解したいと思うのですけれども、これでいいかどうか、私の理解で正しいかどうか。  そしてまた、道路財源が当然のことながら非常に重要であるということは私はよくわかるところでございますが、先ほど三塚大蔵大臣にも御質問いたしましたように、どうして道路のみが、どうして住宅じゃなくて、どうして公園じゃなくて、どうして鉄道じゃなくて、どうして道路のみがそのように非常に聖域扱いされているのか、この辺について御所見を賜れればと思います。
  292. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 私、まず委員の質問されました前提が間違っておることを御指摘を申し上げます。  公共投資基本計画を、これを見直すということを政府も決めておるわけでもございませんし、政府をお支えいただいております与党三党もお決めになっておるという事実はございませんので、この点の御認識を改めていただきたい、このように思います。したがいまして、今、自分の考えでおる認識は正しいかという御質問でございますが、これは間違っておるに決まっておるわけでございます。  それから、道路財源について、なぜそうした特定財源ということの中でやっておるのかという話でございますけれども、これはユーザーからいただいておる税金でございます。そういう意味では目的税と言っていいと思います。それを目的に従って使っていくということは、これは当たり前の話である、このように考えます。
  293. 西川知雄

    ○西川(知)委員 私、今、建設大臣の御発言を聞いて非常に驚きました。と申しますのは、橋本総理も、この席で何度も何度も公共投資基本計画、このことについていろいろな委員が質問をいたしましたときに、その回答として、財政改革というものは基本的に必要である、したがって公共工事等についても聖域を設けないで見直していきますという発言を何度もされたはずです。私は、こういう今の御答弁を聞きますと、本当に財政改革、行政改革ができるのかということについて疑問視をせざるを得ません。  ところで、私、運輸大臣に一つ御質問をいたしたいと思います。  この件に関連するところでございますが、今の大蔵大臣の御発言、そして二月十二日の総括のときにおける大蔵大臣の積極的な税の議論についての御発言、これを踏まえまして私が総合交通特別会計、このアイデアを提示いたしましたところ、大蔵大臣は、それも含めて大いに議論をしてほしいというふうに御答弁をなされました。そういう御答弁をされたということが間違いでないということは、私、その写しを持ってまいっておりますので、まずそれを御信用いただきたい。  ところで、私は運輸大臣に対してお尋ねをいたしたいのですけれども、交通体系、これをやはり総合的に確立しないといけない。道路だけじゃなく鉄道、それから海、空、それについて総合的な交通体系を整備しないといけない。新時代における交通体系は必要であるということは重々御承知なところであって、御研究されていると思いますが、私はその財源配分というものについてももっと考えていかなければならないというふうに思っております。  私はこの間の二月十二日に整備新幹線のことについて御質問をいたしました。そのとき、古賀運輸大臣は明確に、既着工分、それから今度新規着工をする部分、合計してシーリングを三兆四千億にしますという御発言をされまして、私は非常に明快な回答であったというふうに理解をしておりますが、公共工事の中を全体的に見ますと、道路の整備については約二八%のお金が使われております。そして、これだけ騒がれた整備新幹線、これについてはわずか〇・三%、すなわち三百四十億円のお金が費やされる、今度予算で組み込まれているということでございます。  私は、非常に疑問に感じていることは、こういう道路特定の財源がございまして、そして六兆のお金がつぎ込まれている。この問題については、多分今度の予算委員会で初めて私が問題を提起するということで、整備新幹線の問題については約四回ぐらい議論がされました。私は、運輸大臣がどうしてこの問題について議論をもっと活発化させろということを言われないのか非常に疑問に思っております。この点について、運輸大臣の御所見を賜りたいと思います。
  294. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 一つには私のつつましやかな性格が影響しているのかもわかりませんけれども、先生が御指摘いただいておりますように、二十一世紀に向かって、おっしゃるとおり陸海空、この交通体系の形成、そしてまた質の高い運輸サービスを国民に提供するということは、私は極めて重要な課題だと思っております。運輸省といたしましても、今日までそういうことを十分念頭に置きながら、限られた予算の中ではございますけれども、重点的に効果的に、新幹線それから港湾、空港と社会資本の整備の充実を図ってきているところでございます。  確かに、今道路特定財源のことで御議論をいただいているわけでございますが、正直言いまして、運輸省も過去、五十四年、五十五年だったと思いますけれども、特別会計を目指して与党の方でさまざまな御論議をしたことがございます。しかし、残念ながらその実現を見ていないというのが現状でございます。  そういう経過の中で、今私どもが考えなければいけないのは、国際社会がますます進んでくる、しかも今経済構造改革ということで高コスト是正ということも言われております。何といっても国土の均衡ある発展という意味では、運輸省関係の公共事業、今申し上げました新幹線や港湾や空港ということのさらなる整備というのが必要になってくるということは当然のことでございます。  ぜひひとつ、私も亀井静香大臣の胸をかりるつもりで、今後総合的なこうした交通体系の特別会計というものをどういうふうに実現することができるか、また思い切って運輸省関係の今申し上げましたような社会資本の中で、建設関係の公共事業とどう連携をとっていくのか、こういうことを踏まえながら全力を挙げて検討してまいりたいと思っております。
  295. 西川知雄

    ○西川(知)委員 今の古賀運輸大臣の非常に前向きな力強い御発言、私、期待をしております。  実は、つけ加えますが、昭和四十六年に総合交通体系について、臨時総合交通問題閣僚協議会というのがございまして、いわゆる四六方針というのが出ました。そのときに総合交通特別会計、これについての議論がなされておりまして、その結論といたしましては、昭和四十六年当時は、「各特別会計はそれぞれの目的にしたがって経理されて、その機能を発揮している。したがって、当面はこれを基本的に改める必要性と条件がととのっていない。」というふうに昭和四十六年にはされております。  さらに、昭和五十七年、これは閣僚は入っておりませんが、総合交通担当官会議というので、昭和四十六年の四六方針というものの見直しというのがなされたのですけれども、この四六方針の基本的方向は、現在、というのは昭和五十七年、一九八二年、このときにおいてもおおむね妥当であるというふうにされておりました。  しかしながら、いろいろな地球規模の環境問題、そしてこれからは国土の総合的、均衡ある発展を目指すために、今運輸大臣がおっしゃいましたように、やはりもっと広い見地から交通ということを考えていき、その財源も配慮していくべきである、私はそういうふうに考えますので、これからの議論というものを期待しております。三塚大蔵大臣も、当然のことながら、この議論というものを踏まえて十分な御議論を大蔵省の中でもしていただけるというふうに理解をしております。  ところで、この間、環境庁長官にこの関係で一つ御質問をしようと思っておりまして、時間がなくて大変失礼をいたしましたので、きょうはまず最初環境庁長官に御意見をお聞きしたいというふうに思います。  この予算委員会でも何度も問題点が提起されました地球の温暖化防止、これに対する京都の国際会議、これがことしの十二月にございます。私は、大いにこの国際会議の中で環境庁がリーダーシップを発揮していただきたい、そういうふうに思っております。  ところで、地球の温暖化の大きな原因の一つ、これは当然ながら車から排出されるCO、そういうことでございます。道路建設、自動車利用、こういうことによる環境対策について、私は、財政面からどういうふうにして環境庁がその財源を確保し、そして世界に誇れる環境国といって今度の十二月に環境庁長官が胸を張って国際会議に出席されることができるのか、この辺のことについて絞って御回答を求めたいと思います。
  296. 石井道子

    石井国務大臣 議員御指摘のとおり、ことしは国連環境総会がございます。六月にございますが、十二月にはCOP3が開催をされるわけでございまして、そのための環境問題への取り組みにつきましては今準備を進めているところでございますが、ことしはそういう意味で環境政策、環境問題を大きく前進させるべき大変大切な年であると思っております。  先ほど道路交通の問題についていろいろと伺ってまいりましたが、特に温暖化の最も大きな原因であります二酸化炭素の排出の問題につきましては、それを削減する方向で日本も努力をしていかなければなりません。そして、特にこの道路交通に関します環境問題は、都市部を中心としておりまして、窒素酸化物の大気汚染もありますし、また騒音等もございます。また、地球温暖化に係ります二酸化炭素の排出量の問題もあるわけでございまして、自動車を中心とした問題は大変大きな分野でございます。  そのために、環境庁の方では、今度のCOP3の会議のときにも電気自動車とかあるいは低公害車をなるべく使っていただこうということをお願いをいたしておりまして、その準備もしておりますし、また長野におきますオリンピックですね、このときにもそのような車をできるだけ使っていただこうというふうにお願いをしているところでございます。  環境庁の立場というのは、大変予算が少ないということで御心配をいただいておりますけれども、自動車排出ガス規制等の措置を進めるということと同時に、環境保全に関する総合調整官庁という立場から、環境基本計画または自動車NOx削減計画とか、あるいは地球温暖化防止行動計画の策定等を通じて、関係省庁と十分に連絡をとって、一体となった対策に取り組んでいく必要があると思っております。  そのようなことで、今後も政府が一体となって、道路交通などに係ります環境対策の総合的な推進が図られるように努めてまいりたいと思っております。  特に、議員御心配をいただいております財源の問題でございますが、このような事業の活動、また日常活動などにつきまして環境問題は大きく関係があるわけでございまして、環境税などの経済的な負担を課すことがそのために大きな成果があるかどうか、有効性が期待できるかどうかということについて、現在環境庁においても積極的に調査研究をしております。そのような問題につきまして、環境に関する税のあり方につきましてはさまざまな議論があります。これは今後とも十分に調査研究を行ってまいる所存でございます。
  297. 西川知雄

    ○西川(知)委員 今の環境庁長官の御意見は、先ほどの建設大臣の御答弁に非常に御配慮をされた発言であるのじゃないかというふうに推測しておりますが、橋本総理大臣は、聖域を設けない、そういうのが財政改革であるというふうに述べられましたが、私は、歳出面での聖域を設けない構造改革とともに、歳入面でも聖域を設けない構造改革というものが最も今の状況下では必要ではないかというふうに考えております。  私、先ほどの建設大臣の御答弁を聞きまして、なぜ道路財源が必要なのか、特定財源として必要なのかということを、住宅とか鉄道とか公園とかの比較でなぜ必要かという証明または根拠を出していただきたかったところでございますが、その御回答として、これは法律で決められた目的税であるというようなことを御答弁されました。正確に言うと、法律で決められたというのは大蔵大臣がおっしゃいまして、建設大臣はこれは目的税であるというふうにおっしゃったはずです。私は、そういう回答を実は正確でないというふうに思いますので、御質問を残念ながらさせていただくことにします。  自動車重量税というのが昭和四十六年に創設されました。その四分の三は実は一般財源でございますが、そのうちの八〇%が道路の整備に使われて、そして特定財源というふうにされております。この金額は、約六千七百億円ということに現在のところなっております。これについての、これは大蔵大臣にお尋ねした方が、また事務局にお尋ねした方がいいのかわかりませんが、この法的な根拠、先ほど大蔵大臣は、特定財源というのは法律に根拠があるのだというふうにおっしゃいましたが、この自動車重量税の四分の三、そのうちの八〇%が道路特定財源に使われているという法的根拠というのは何か、お答え願いたいと思います。
  298. 小村武

    ○小村政府委員 委員指摘のように、自動車重量税は一般財源を強化するために創設をされたものでございますが、ただ自動車重量税は、自動車の走行が、道路の建設、改良、維持を初めといたしまして、混雑の解消とか交通安全とか社会的に多くの負担をかけているということ、それから道路について社会資本の充実の要請が非常に強い、こういう情勢を背景にいたしまして創設されたものでございます。委員指摘のように、四十六年に創設されて以来、これは特定財源ではございませんが、国分の八割相当額が今道路財源として使われております。  ただ、道路財源につきましては、特定財源のみでなく、一般財源も今投入をして行っている段階でございますので、特定財源だけで道路整備を行っているという状況ではございません。このような事情を御賢察の上、よろしく御検討のほどをお願いいたします。
  299. 西川知雄

    ○西川(知)委員 特定財源だけで道路が整備されてはいない、そういうことは重々承知しております。  ところが、私が御質問をした趣旨というのは、昭和四十六年、このときから自動車重量税の四分の三は、そのうちの八〇%がもうあたかも法律で決められたような特定財源ということで道路整備に使われているということに対する疑問なわけです。  私の調べたところによりますと、こういう法律に基づかないで、あたかも目的税、そして特定財源というふうにしている、そういう財源というのは日本ではありませんし、多くの諸外国、私の調べた範囲では外国においても全然ございません。  昭和四十六年、福田国務大臣が第六十五回の国会で答弁をされておりますが、そのときは、そもそも第六次五カ年計画、このことについて、財源がそのときに不足していたのでこれに対する暫定的な措置であったというようなニュアンスの発言がされております。  私は、大蔵大臣または大蔵省にお尋ねしたいことは、こういうふうな法律に根拠がないものを、当然のように毎年毎年八〇%道路のために確保しておくということが、昔道路事情が非常に悪いときはそれはまた別として、現在の財政がこんなに緊迫して、そして日本がこれから沈没するかもしれないというときに、このようなことをずっと続けてきていいものか。そして、法律的な根拠がないのにどうしてこういうことができるのか。この辺について大蔵省の御意見を伺いたいと思います。
  300. 小村武

    ○小村政府委員 財源につきましては、委員御案内のように、目的がきちっと定められ、受益と負担が対応関係にある目的税という形をとる場合もございますし、あるいはその関係がやや離れたものとして、ただその目的のために重点的にその財源を使えという、いわゆる特定財源のようなものもございます。それから、御指摘の自動車重量税のように、今までの法制定の経過を見て、主として道路財源にその八割が充てられているという慣行上のものもございます。  ただ、要はこの財源問題と同時に、道路を将来いかに整備していくか、そうした歳出面での検討も加え、将来の道路整備をどうするか、そういった面でこの財源問題も同時に議論すべき問題であろうかと思います。  そういう意味におきまして、先ほど大臣が聖域なくあらゆる事項について見直しを行うという趣旨はそういう意味でございます。
  301. 西川知雄

    ○西川(知)委員 建設省の道路局監修の「道路行政」それから「道路ポケットブック」というところにも、自動車重量税の国分の四分の三の八割、これは道路特定財源というふうに記述がされております。  自動車重量譲与税法というのが昭和四十六年法律第九十号でございます。その第七条におきましては、「市町村は、譲与を受けた自動車重量譲与税の総額を道路に関する費用に充てなければならない。」というふうにされております。  ところで、第一条におきましては、自動車重量譲与税というのは、「自動車重量税の収入額の四分の一に相当する額」とされています。したがって、四分の三については道路に充当しなくてもよろしいということが明確に書かれているのですけれども、この点について、大蔵省の御意見、御見解をお聞かせ願えればと思います。
  302. 小村武

    ○小村政府委員 自動車重量税の創設をする際のいろいろな議論の中で、四分の三に相当する部分が国分でございますが、その八割相当額を道路財源に充てようという趣旨は、この税の創設をする際の経緯から見て、そういう御議論があり、それが今そのとおりやられているということでございます。  ちなみに、その残りの部分についても、先生御案内のように、公害健康補償の部分について、自動車の社会的コストにかんがみて、公害健康補償の財源に使うというような議論も同時になされているところでございます。
  303. 西川知雄

    ○西川(知)委員 今御答弁になったことは、もうすべて調べてありますので、全部わかっております。  私が申し上げたいのは、法律で決められているということであれば、これは国会審議をずっと通って、国民の意見を代表する、またその結果であるということで、私は、それがいい法律であれ悪い法律であれ、一応法律として審査をされたということで理解ができます。  ところが、昭和四十六年にはされましたが、私が申し上げたいのは、今の財政危機のもとにおいて、こういう財源があるということで、やはり入り口の点についても聖域を設けないで毎年毎年見直していく必要があるのではないか、そしてそれをしないといけないというふうに私は主張をいたしたいというふうに思っております。  そこで次に、この点に関しましてもう一点だけ御質問をさせていただきたいと思います。  道路整備緊急措置法というのがございます。これにつきまして、その第五条においては、四分の一について、地方道路整備臨時交付金として、市町村に、地方公共団体に対してこれを交付するというふうに法律で規定がございます。これは、道路整備五カ年計画に照らし緊急に行われる必要があると認められる事業について交付金を交付するということにしているわけですが、建設大臣、この緊急に行われる必要があるかどうかということは、一体建設大臣が御判断される事項なんでしょうか。お尋ねしたいと思います。
  304. 佐藤信彦

    佐藤(信彦)政府委員 地方道路整備臨時交付金でございますが、これの対象事業の判定基準というのがございまして、地方自治体から上がってきたプロジェクトについて、建設省で判断するといった内容になっております。
  305. 西川知雄

    ○西川(知)委員 そうすると、建設省で緊急性を御判断されるということでございますが、第五条の二項は「四分の一に相当する額を限度とする。」というふうに書いてございますが、私の調べた範囲では、自動的にほぼ四分の一がこの交付金として充てられているというふうに思います。  ということは、この法律の趣旨に反して、自動的にその四分の一がこの交付金として充てられているということで、ここにも私は、既得権を守っていこうという趣旨が明らかにされているのじゃないかというふうに考えます。  ところで、道路財源については建設大臣が、これは目的税であるということ、また受益者負担であるということをおっしゃいました。この点について、自治大臣に御出席願っておりますので、地方税に関係しまして、軽油引取税というのがございます。平成八年度でも、一兆三千億という多額の金額でございます。この金額につきましては、税率が、本則で定められた税率の約二倍を附則の項目によって現在徴収をしているところでございます。  トラック業界、バス等々がこのお金を払っているところでございますが、現在の構造不況におきまして、例えば非常に中小の企業が多いトラック業界なんかが非常に困っております。利用者負担であるということでこういう税金をアップすれば、今度はアップしたら利用者でなくなってしまう、すなわち倒産をしてしまうというようなことが考えられるわけです。  こういう点から考えましても、自治省といたしまして、また、自治大臣としてこういうことを考えて、道路の整備計画が改められるごとに税率をアップしていく、やはりこういうことはやめるべきであるというふうに私は考えますが、簡単に御所見をお願いいたします。
  306. 湊和夫

    ○湊政府委員 お答えを申し上げます。  ただいま現在の軽油引取税の税率は、平成九年度までにつきまして、平成五年度の税制改正におきまして定められました。この税率を定められました理由、大きく二点ございますが、一点は、十一次の五カ年計画実施のための道路財源の充実確保が必要でありましたことと、いま一つ、従来、同じ自動車の燃料油でございますガソリンと軽油との間で大きな価格差がありまして、このことが当時、ガソリンから大気汚染負荷の多いディーゼル車への移行を加速しているのではないか、こういう御議論もありまして、この格差を縮小する観点からもこの税率が採択された経緯がございます。  もちろん、その際、関係業界あるいは国民経済に与える影響につきましても十分配慮されながら実施されたものというふうに私ども承知をいたしておりまして、その点、御理解を賜りたいと思っております。  なお、今後のあり方につきましては、もちろん道路整備五カ年計画の今後の状況もございますし、地方の道路整備の状況等も踏まえながら、当然各方面の御意見も伺いながら慎重に判断すべきものというふうに考えております。
  307. 西川知雄

    ○西川(知)委員 特定財源、これは道路の整備の財源として必要である、こういう建設大臣の強い主張でございますが、皆さん御存じのように、民間の道路プロジェクトというので、PFIとかBOT、すなわち民間がインフラ設備の建設、所有、運営をしていくという制度が、イギリスでもアメリカでもどんどん開発されていっております。  これは、公共の財源が少ないということで、こういう民間活力をこれから生かしていこうということでこのような制度がどんどん活用されていくわけでして、例えばイギリスでは、道路、地下鉄についてこの民間の活力の政策がなされております。  また、BOTというのは、民間でやると料金が、またコストが高くなるのじゃないかということがあるわけですけれども、例えば早く終えると一日当たり四万ドルのボーナスを建設する人に与えるということで、かえって建設が促進されるというようなことがございます。  まだまだ検討段階ではあると思いますが、この点については、大蔵省、建設省、運輸省、関係各省でうんと勉強をしていただいて、公共工事について、道路財源を絶対死守しなければならないということを言う必要がないような状況をつくっていただきたいというふうに私は思います。  私は、財政構造、これを改革していく元年であるということで、橋本内閣が一生懸命財政カットをしておられるというふうに信じております。その先頭になるのが大蔵大臣でございます。私は、先ほど後ろの方のやじでありましたが、三年間実は建設省におりました。しかし、建設省にいて、そして建設省から出た国会議員であるから、建設省の中にある問題点について指摘することはけしからぬ、そういうようなことでは私は日本の国は絶対によくならないというふうに思います。やはりそんなことに関係なく、そして日本の国を本当に考えて、そしてどういうふうにしてこの日本を持っていくのかということを、歳出歳入の面から両方とも精査していくというのが本当の政治家としてのあり方であると私は思います。  私の質問をこれで終わります。
  308. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて西川君の質疑は終了いたしました。  次回は、明二十五日午前九時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時一分散会