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1997-01-28 第140回国会 衆議院 予算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年一月二十八日(火曜日)     午前九時開議  出席委員   委員長 深谷 隆司君    理事 小里 貞利君 理事 高橋 一郎君    理事 中川 秀直君 理事 藤井 孝男君    理事 石井  一君 理事 権藤 恒夫君    理事 二階 俊博君 理事 中沢 健次君    理事 穀田 恵二君       相沢 英之君    飯島 忠義君       石川 要三君    臼井日出男君       江渡 聡徳君    江藤 隆美君       尾身 幸次君    越智 通雄君       大石 秀政君    大原 一三君       嘉数 知賢君    菊池福治郎君       佐藤 剛男君    桜井 郁三君       桜井  新君    砂田 圭佑君       高鳥  修君    滝   実君       野中 広務君    葉梨 信行君       松永  光君    村上誠一郎君       村山 達雄君    谷津 義男君       柳本 卓治君    愛知 和男君       愛野興一郎君    石田 勝之君       太田 昭宏君    岡田 克也君       北側 一雄君    小池百合子君       田中 慶秋君    達増 拓也君       玉置 一弥君    中井  洽君       西川 知雄君    平田 米男君       安住  淳君    生方 幸夫君       海江田万里君    川内 博史君       日野 市朗君    山本 譲司君       藤木 洋子君    松本 善明君       矢島 恒夫君    上原 康助君       北沢 清功君    岩國 哲人君       新井将敬君  出席国務大臣         内閣総理大臣  橋本龍太郎君         法 務 大 臣 松浦  功君         外 務 大 臣 池田 行彦君         大 蔵 大 臣 三塚  博君         文 部 大 臣 小杉  隆君         厚 生 大 臣 小泉純一郎君         農林水産大臣  藤本 孝雄君         通商産業大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)事務代理  佐藤 信二君         運 輸 大 臣 古賀  誠君         郵 政 大 臣 堀之内久男君         労 働 大 臣 岡野  裕君         建 設 大 臣 亀井 静香君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     白川 勝彦君         国 務 大 臣         (内閣官房長官)梶山 静六君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 武藤 嘉文君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (沖縄開発庁長         官)      稲垣 実男君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 久間 章生君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      麻生 太郎君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 石井 道子君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 伊藤 公介君  出席政府委員         内閣官房内閣外         政審議室長         兼内閣総理大臣         官房外政審議室         長       平林  博君         内閣官房内閣安         全保障室長         兼内閣総理大臣         官房安全保障室         長       三井 康有君         内閣法制局長官 大森 政輔君         内閣法制局第一         部長      秋山  收君         内閣総理大臣官         房管理室長   榊   誠君         阪神・淡路復興         対策本部事務局         次長      生田 長人君         警察庁刑事局長 佐藤 英彦君         総務庁人事局長 菊池 光興君         総務庁行政管理         局長      陶山  晧君         総務庁行政監察         局長      土屋  勲君         防衛庁参事官  山崎隆一郎君         防衛庁参事官  澤  宏紀君         防衛庁長官官房         長       江間 清二君         防衛庁防衛局長 秋山 昌廣君         防衛庁教育訓練         局長      粟  威之君         防衛施設庁建設         部長      竹永 三英君         防衛施設庁労務         部長      早矢仕哲夫君         経済企画庁調整         局長      土志田征一君         経済企画庁総合         計画局長    坂本 導聰君         科学技術庁長官         官房長     沖村 憲樹君         科学技術庁長官         官房審議官   興  直孝君         科学技術庁科学         技術振興局長  青江  茂君         科学技術庁研究         開発局長    落合 俊雄君         環境庁企画調整         局長      田中 健次君         環境庁大気保全         局長      野村  瞭君         国土庁土地局長 窪田  武君         国土庁防災局長 福田 秀文君         法務省刑事局長 原田 明夫君         外務省総合外交         政策局長    川島  裕君         外務省総合外交         政策局国際社会         協力部長    朝海 和夫君         外務省アジア局         長       加藤 良三君         外務省欧亜局長 浦部 和好君         外務省経済協力         局長      畠中  篤君         外務省条約局長 林   暘君         大蔵大臣官房総         務審議官    武藤 敏郎君         大蔵省主計局長 小村  武君         大蔵省主税局長 薄井 信明君         大蔵省理財局長 伏屋 和彦君         大蔵省銀行局長 山口 公生君         国税庁次長   堀田 隆夫君         文部大臣官房長 佐藤 禎一君         文部大臣官房総         務審議官    富岡 賢治君         文部省生涯学習         局長      草原 克豪君         文部省初等中等         教育局長    辻村 哲夫君         文部省教育助成         局長      小林 敬治君         文部省高等教育         局長      雨宮  忠君         文部省体育局長 佐々木正峰君         厚生大臣官房総         務審議官    中西 明典君         厚生省社会・援         護局長     亀田 克彦君         厚生省老人保健         福祉局長    羽毛田信吾君         厚生省年金局長 矢野 朝水君         農林水産大臣官         防長      堤  英隆君         農林水産省構造         改善局長    山本  徹君         農林水産省農産         園芸局長    高木  賢君         農林水産省畜産         局長      中須 勇雄君         林野庁長官   高橋  勲君         水産庁長官   嶌田 道夫君         通商産業大臣官         房長      広瀬 勝貞君         資源エネルギー         庁長官     江崎  格君         運輸大臣官房長 土井 勝二君         運輸省運輸政策         局長      相原  力君         運輸省海上交通         局長      岩田 貞男君         運輸省海上技術         安全局長    山本  孝君         海上保安庁長官 土坂 泰敏君         郵政大臣官房総         務審議官    高田 昭義君         労働大臣官房長 渡邊  信君         労働省労働基準         局長      伊藤 庄平君         労働省職業安定         局長      征矢 紀臣君         建設大臣官房長 小野 邦久君         建設省建設経済         局長      小鷲  茂君         建設省河川局長 尾田 栄章君         建設省道路局長 佐藤 信彦君         建設省住宅局長 小川 忠男君         自治大臣官房長 谷合 靖夫君         自治大臣官房総         務審議官    嶋津  昭君         自治省行政局長 松本 英昭君         自治省行政局公         務員部長    芳山 達郎君         自治省行政局選         挙部長     牧之内隆久君         自治省税務局長 湊  和夫君         消防庁長官   佐野 徹治君  委員外出席者         参  考  人         (社会福祉・医         療事業団理事         長)      黒木 武弘君         予算委員会調査         室長      大坪 道信君     ————————————— 委員の異動 一月二十八日  辞任         補欠選任   臼井日出男君     砂田 圭佑君   関谷 勝嗣君     桜井 郁三君   中山 正暉君     柳本 卓治君   葉梨 信行君     滝   実君   松永  光君     飯島 忠義君   谷津 義男君     嘉数 知賢君   北側 一雄君     達増 拓也君   西川 知雄君     玉置 一弥君   生方 幸夫君     安住  淳君   海江田万里君     山本 譲司君   仙谷 由人君     川内 博史君   松本 善明君     藤木 洋子君 同日  辞任         補欠選任   飯島 忠義君     松永  光君   嘉数 知賢君     谷津 義男君   桜井 郁三君     佐藤 剛男君   砂田 圭佑君     江渡 聡徳君   滝   実君     葉梨 信行君   柳本 卓治君     大石 秀政君   達増 拓也君     北側 一雄君   玉置 一弥君     西川 知雄君   安住  淳君     生方 幸夫君   川内 博史君     仙谷 由人君   山本 譲司君     海江田万里君   藤木 洋子君     松本 善明君 同日  辞任         補欠選任   江渡 聡徳君     臼井日出男君   大石 秀政君     中山 正暉君   佐藤 剛男君     関谷 勝嗣君     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成八年度一般会計補正予算(第1号)  平成八年度特別会計補正予算(特第1号)  平成八年度政府関係機関補正予算(機第1号)      ————◇—————
  2. 深谷隆司

    深谷委員長 これより会議を開きます。  平成八年度一般会計補正予算(第1号)、平成八年度特別会計補正予算(特第1号)、平成八年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。相沢英之君。
  3. 相沢英之

    相沢委員 橋本総理には、第二次としての政権を迎えまして、自民党の単独内閣ということで久しぶりに我々も大いに期待をしているわけでありますが、暮れからペルー大使公邸人質事件とか、あるいはまた年明け早々ナホトカ号による重油流出等々の問題も起きまして、なかなか前途多事の思いがいたしますが、しかし、それだけにひとつ勇気を奮って政治の前進を図っていただきたいというのが我々の願いでございます。  そこで、総理としては、今一番政治上で問題としてお考えになっていること、これだけはぜひやり遂げたいというふうにお考えになっていることにつきまして、ひとつお示しを願いたいと思います。
  4. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 一つと言われますと非常にお答えに困りますのが、まさにペルーにおける大使公邸人質事件をいかにして、テロに屈服するのではなくしかも人質になっておられる方々の安全な全員の解放を図るか、これはやはり私の脳裏に常に残っておると申し上げていい問題だと思いますし、ナホトカ号の問題もその意味では同様の重みを持っております。また、沖縄県における状況というものも、その意味では常に胸中に相当な重みを持っておるということは覆いようがありません。  その上であえて申し上げますならば、やはり私にとりましては、現在の日本経済、そして、それにいかに積極的な活力を民間の力で戻していけるか、そして、そのためにもこの行き詰まったシステムをそれぞれの分野においていかに変えていき得るか、しかも、その切りかえに際して、余分なトラブルを起こさないような切りかえをいかに図るか、いわゆる六つ改革というものを進めてまいります上での意識というものが今大きな問題と申し上げていいと思います。
  5. 相沢英之

    相沢委員 私は今の総理のお考えに全く賛成でございますが、ひとつここでは景気対策と、それから特に総理も御熱心な行財政の改革、これは地方を含めてまず取り上げてみたい、このように考えております。  そこで、今の日本経済は、よく言われますように円安債券安株安。そして、アメリカ株価が五年前の三倍にも上昇している。そして、あの双子の赤字に悩んだアメリカがこれを克服して今や三%台の経済成長を続けている、ヨーロッパの各国もそれなりの成長を示している時期において日本経済が低迷をしているということについて、私どもはいろいろな面から大きな関心を持たざるを得ない、このように考えております。  そこで、まず企画庁長官に、日本経済の現状並びに見通しについて、簡潔にお考えを示していただきたいと思います。
  6. 麻生太郎

    麻生国務大臣 日本景気情勢いかんということの御質問だと思いますけれども、景気は基本的には、いろいろな表現を使われておりますが、緩やかとか、きのうも申し上げましたが、いろいろな表現はあっておりますが、確実に回復基調にあると思っております。  今いろいろ御意見のあるところだと思いますが、少なくとも先行き、足元、いろいろありますが、委員よく御存じのディフュージョンインデックスを初めすべての指標は、先行、遅行いずれも、三つとも二カ月連続でディフュージョンインデックスが五〇%を超えたなどというのは久しぶりのことでもありますので、そういった状況は確実になってきております。  また、住宅着工件数設備投資機械受注等々、先物に関しましてもいずれもプラス、大幅なプラスで、これは今から、機械受注というものは非常に先行きを示す指標としては大事な数字でありますけれども、これも非常に伸びてきておりますし、自動車等々、いずれもそういったものが先行きを示しておりますので、今後四月以降、消費税値上げ、また特別減税の打ち切りなどなどマイナスの要素があるのは十分承知をいたしておりますが、基本的にはそういうものを含めて民間需要が堅調さを確実に増してきております。  今後いろいろな意味での、経済構造改革六つ分野など、各省庁、いずれもそれに対して前向きの姿勢を示してきておられることなどが規制の緩和につながっていくものと思っており、それが民間需要をさらに伸ばしていく要素があると思っておりますので、今申し上げたように、雇用情勢、いま少し不安なところもありますが、雇用内容は間違いなく増加の傾向を示しておりますし、その内容につきましても、自己都合によります退職が、いわゆる解雇とは違った意味での退職ですけれども、その数字がふえておるなどなど、いろいろ御批判のあるところだとは思いますけれども、そういった数字を見ます限り、緩やかではありますけれども回復基調にあると思っております。
  7. 相沢英之

    相沢委員 そういうようなお答えは予想しておるところでありますが、ただそういうふうにここ数年ずっと言い暮らしてきたわけですね。我々も選挙民にいろいろと質問されるときに、今はあれだけれども、大体経済のファンダメンタルズは悪くはないのだから、まあ、この秋ごろにはよくなるのじゃないかというようなことを答えてまいったのですが、どうもこの数年間、それが裏切られてきている。  平成八年度、GDPは実質二・五%で、そしてこれは企画庁作成経済見通し閣議決定をしているわけでありますが、それによりますと、平成九年が実質一・九%、名目で三・一%ということでありますから、これには特別減税とか消費税のアップあるいは医療費改定等によるところの影響は含まれているとはいえ、とにかく大体平成八年度と大差ない、こういう数字になっているわけでございます。したがいまして、我々の実感としてはまだまだ景気回復したというところまではいっていない、そこが非常に気がかりであります。  そこで、どういう点で問題かというと、いろいろありますけれども、ひとつ我々、関心が深いのは雇用問題でありまして、完全失業者の率が、最高ではありませんが、まだ依然として三・三%、非常に高い水準にある。それから、新規の学卒者就職状況も依然としてよろしくないということであります。この雇用状況あるいは就職状況について、重ねて労働大臣文部大臣に御答弁を願いたいと思います。
  8. 岡野裕

    岡野国務大臣 相沢先生おっしゃいます最近の雇用状況でございますが、なるほど完全失業率、これは今なお三・三%ということで、昨年の五月ごろ三・五というのからしますと多少好転したかということでありますが、非常に厳しい数値を示しているところでございます。  ただ、経済企画庁長官もお話しになりましたけれども、最近の有効求人倍率、これは上昇をいたしております。具体的に求人がふえ、かつ雇用が成立をしたという件数が上がっているというようなことで、この動向を見守っているところでございます。  全般的な対策といたしましては、当然景気の好不況に伴います場合には雇用調整助成金、これでもって対処をいたしますし、さらに産業構造改革、それに伴うところの雇用空洞化等々につきましては、中小企業活性化でありますとか、失業なき労働移転というような具体的な措置をそれぞれ準備をいたし、かつそれぞれの状況に照らし合わせまして適当な施策も講じてまいるというようなことで対処をいたしておるところでございます。よろしゅうございましょうか。
  9. 小杉隆

    小杉国務大臣 学生生徒新卒者就職状況につきましては、昨年同期に比べますと若干改善の気配が見えておりますが、特に女子については依然厳しい状況が続いております。  少し具体的な数字で申しますと、昨年の十二月一日現在、ことしの卒業予定者就職内定状況を見ますと、大学生は八三・五%で昨年より一・五ポイントふえております。それから、高等学校も六八・六%で昨年より〇・六ポイントふえております。そういう結果から見ますと、十二月現在で、大学卒業予定者で十四万人、高校生で十一万人が就職を希望していながらまだ内定していない、こういう状況でございます。  このために、文部省としては就職指導に万全を期しておりまして、大学側あるいは高校側に対してそうした就職指導の一層の充実を要請するとともに、文部省主催で、東京と名古屋二カ所におきまして、全国就職指導ガイダンスというものを実施しております。  それから、先週二十二日の日に、私も日経連との懇談会におきまして、根本会長初め幹部の皆様に学生生徒、特に女子採用枠の拡大を要請したところであり、また、今後とも大学等と緊密な連携をとって、経済団体等採用方について全力を尽くしていきたいと考えております。
  10. 相沢英之

    相沢委員 学生就職についていろいろとお世請願うということももちろん大事なことでありますが、根本はやはり景気回復にあるわけで、それなくしては就職状況もよくならない。大学卒の一四、五%もいまだに就職できないという、大学は出たけれどという嘆きを早く解消できるような努力をしなきゃならないというふうに我々は思っておるのであります。  そこで一つ、最近における円安為替相場の問題をちょっと取り上げてみたいと思いますが、一ドル八十円を割るような高値からして、現在は一ドル百二十円、ちょっと最近は百二十円を割っておりますが、そういうように非常に円安が進んでおります。  これはいろいろな面に当然影響を及ぼすわけで、輸入物価の高騰からしてやがて物価高を招かないか。電気、ガス、タクシーなどについては既に料金値上げが言われているところでありまして、原油高と相まってこれが日本経済の逼塞にまたつながらないか。円安自動車その他の輸出を促進しているという面のプラスはありますけれども、ではこの百二十円でいいのかということになりますと、どうもこれは少し安過ぎるんじゃないかという意見が強い。  この点について、大蔵大臣はどのようにお考えになっておりますか。
  11. 三塚博

    三塚国務大臣 為替レートはそれぞれの国の力、総合力がその中であらわれてくるという一面がございます。しかし、安定しておるということの方が、その国の経済もまた全体的に世界経済の中における我が国経済でありアジア経済であったりするわけでございますから、その方向がマクロ経済の中で自然に仕上がっていくというのが極めて重要なことであろうと思っております。  相沢議員は長い間官界におり、またその後経済財政専門家としておられるわけでございますが、行き過ぎた円安は、また行き過ぎた円高同様好ましくないわけであります。ただいま御指摘の問題点がそれをあらわしておるわけでありまして、本件が、しからば今の水準がどうかと問われるかもしれませんが、これも全体を見ていかなければならない今日の状況でございますから、重大な関心を持って見詰めていかなければならない、こういうことであろうと思います。
  12. 相沢英之

    相沢委員 大蔵大臣のお立場からしてなかなかはっきりと答弁をいただきかねる問題かもしれませんが、ただ、今のお話の中に、行き過ぎた円高、行き過ぎた円安はこれは問題だということをもってして、私は、今の状態が言うなれば行き過ぎた円安にあると大蔵大臣もお考えになっているというふうに私は承知をいたしまして、次に参りたいと思うのでございます。  もう一つ株価でありますが、御承知のように平成元年の十二月の二十九日に日経平均は三万八千九百十五円八十七銭、最高値をつけましてから以来、バブルの崩壊とともに下落を続け、ついに平成四年の八月十八日、一万四千三百九円と、ちょうど高いときの四割ぐらいまで、つまり六割ぐらいダウンをしたわけであります。その後二万円台に乗せましたが、再び株価は二万円を割って、きのうは一万七千三百三十四円何がしというところで大きく下落をしているわけであります。  なぜそういうようになったか。ニューヨークは九二年平均が三千二百八十四ドル、それが七千ドル台に乗るというようなことであります。この株価は、結局日本のファンダメンタルズを反映しているというふうに考えるのか、あるいは、言われますようにかなり投機的な要因が多い、これは当然あると思いますが、そういうものによる経過的なものなのか。私は必ずしもそうじゃないという気がしてならないのであります。  その辺が問題でありますが、同時に、株価下落をいたしますと金融機関の含み益が非常に減ってまいりまして、含み益がゼロとなる株価、例えばこれはメリルリンチが言っています、東京三菱が一方三千五百七十三円、債券信用が一万八千五百五十三円、それになるともう含み益がゼロになる。これはゴールドマン・サックスの数字では、東京三菱が一万三千三百六十九円、債券信用が一万八千四百五十五円ということになっていますが、いずれにしても、一万七千円前後からさらに割るということになりますと、かなりの金融機関で含み益がなくなるということになってくる。それがまた銀行株の下落の原因になる。現に不良債権の処理がまだまだ多くの問題を抱えている、住専処理だけではないというようなことがあって、特に最近の株価下落の主因は金融株の下落なんですね。  こういった点について、このままでいいのか。私は非常に問題が多い、このように思っていますが、この点につきまして大蔵大臣の御見解を承りたいと思います。
  13. 三塚博

    三塚国務大臣 ファンダメンタルズ、経済力を株価が、株式市場がそのとおり反映しておるのかどうかということについて言いますと、それだけではないということであります。今日の株価がファンダメンタルズをそのまましっかりと分析をし理解をしておるのであれば、もっと日本経済力というものの底がたさが、先ほど来の経企庁長官の説明にもありますとおり、そういうものだと思っておるわけでございます。  そういう点から、株式市場はさまざまな要素、御案内のとおりの要素があるわけであります。それをその都度その都度反映をしながら動くわけでございまして、我が国の経済力、また今後の可能性、これは行財政改革を初め、ビッグバンを初め、経済構造システムを初め、その他総理が言われる六改革目標を、着実に今準備に入り、その前倒しに向けてスタートを切っておるわけであります。  そういうことを考えますと、今日の株価というものに対して主管大臣とすれば、冷静にこれを重大な関心を持って見ていくということで精いっぱいだと思っておるわけであります。自由市場という、資本市場という自由主義のセンターにあるわけでございますから、その中の行動を冷静に分析をしながら備える、こういうことであってよろしいのであろうと思います。
  14. 相沢英之

    相沢委員 市場のことは市場に聞け、あるいは市場に任すという考え方もわからないわけじゃありませんが、ただ、株価が今のように下落をしているということは、日本経済にとって決していい影響を与えないということは明らかでありますし、日本経済のファンダメンタルズに照らしても今の株価は安いということを、恐らくこれは大蔵省の事務当局もそういう認識を持っておられるというふうに過日も聞いておりましたが、ただ、それならば任せておいていいのかということになると、私は問題がいろいろ多いと思うのです。  そこで、やはり株価対策として、言われておりますように例えば有取税を廃止するとか、キャピタルゲイン課税を軽減するとかいうことを当然私は検討していかなきゃならないと思いますが、この点について大蔵省はどのように考えておられますか。
  15. 薄井信明

    ○薄井政府委員 お答え申し上げます。  株の日々の動きに対応して税制である有取税あるいはキャピタルゲイン課税について対応することにつきましてはいかがかと思いますが、金融システム改革あるいは為替の自由化といったようなことが日程に上ってきております。そういった事柄に、時期を失することのないように、これらの税制について考えていくことは重要だと思っております。  なお、その際に、今証券関係税制のお話が出ましたが、各国の状況がどうなっているかといったようなことも冷静に見なければいけないと思います。例えば、ロンドンでは有取税に近い税制がございます。ニューヨークにはございませんが、一方でキャピタルゲイン課税が総合課税になっております。そういったことも見ながら検討するべき問題だと思っております。
  16. 相沢英之

    相沢委員 今すぐできぬが検討するということですが、私は、できるだけひとつ早急にこれを検討していただきたい。  ビッグバンの話がございましたが、確かにイギリスは、証券取引所を中心とするところの改革、いわゆるビッグバンによって非常に株式取引所の活気を取り戻した。その原因は、手数料の自由化、あるいは単一資格制度の廃止、あるいは取引所会員に対する外部資本当資の制限の撤廃等が挙げられるわけでありますが、いずれにしましても、そのビッグバンを契機にしてロンドンの市場が活気を取り戻したということは、これはもう紛れもない事実なのであります。  その証券を中心とするビッグバンではなく、さらに金融システムを、全体としてのビッグバンを実施するということについていろいろ取り組んでおられるようであります。ただ、目標が二〇〇一年というのでは、余りにも気が長い話なんじゃないか。総理はこれを繰り上げるということをお話をされたようであります、新聞によりますと。その点について、これは大蔵大臣並びに総理のお考えをお聞きしたいと思います。
  17. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、たまたま議員から有取税にも触れられましたが、有取税あるいは手数料の問題等を含めまして、総合的なメニューを大蔵大臣に金融システム改革についてお渡しをいたし、順次その手順を踏んでもらいたい、遅くも二〇〇一年ということを申し上げてまいりました。当然ながら、準備の整い次第実施されるということは大蔵大臣からも申し上げると存じます。
  18. 三塚博

    三塚国務大臣 今、総理が基本的な考え方を申し述べられました。二〇〇一年は、完成をしてスタートするということであります。そこで、担当大臣として、本問題については鋭意すべての面を摘出をいたし、整理をいたしております。  第一弾が、外為法の改正によりまして、この法律を間もなく提出するため最後のピッチを上げておりますが、できるだけ早く成立を願う。そしてさらに、その他総理も言われました諸課題、ビッグバン、ロンドンの例をまつまでもなく、今日の国際市場の中において、また国内経済の中において、千二百兆に及ぶ国民資産が有利に活用をされて、そのためのシステムをつくり上げる、要すれば、一言で言いますと護送船団からの決別なのであります。真に自由市場としての、資本市場としての新たなものをつくり上げるということでございまして、それぞれの諸準備をやっております。  同時に、関係五審議会に対しても、六月と言わず、結論を、中間報告を急いでお出しをいただきたい。審議会に諮問をしております以上、この審議会を大事にしなければなりません。作業をお急ぎをいただきたい、こういうことで、作業を急いでもらうことによりまして万全の体制をつくり上げるスタート台にしたい。ですから、そのことは二〇〇一年を待ってやるわけではございませんで、できるものからスタートを切っていく、こういうところに基本を置いて全力を尽くしておるというのが現況であります。
  19. 相沢英之

    相沢委員 私ももう少しいろいろ申し上げたいと思いますが、まあ与党の質問でありますし、多少その辺はかげんをいたしますが、そういうように五年先に、まあそれはもちろん一番最終的な目標だと言いますが、少し時間がかかり過ぎるんじゃないか、遠い目標過ぎるんじゃないか。もっとひとつ早く、一日も早くこの実現に向けて今後御努力をお願い申し上げたいというふうに思っております。  それから、景気の問題に触れてさらに申し上げますと、バブルが崩壊をした最大の原因は、私は、土地価格の下落だというふうに思っております。無論そのバブルになった原因も土地価格の急激な上昇である。東京、大阪の中心地がそれまでの三倍、五倍、あるいは十倍にも上るようなところがあったわけであります。このままでいいだろうかという懸念は当然持っておりましたが、それにしても余りにも急激な下落ということでありまして、それがもう少し軟着陸ができぬものだったろうかということが反省されるわけであります。  ただ、土地の価格がさらに下がる、あるいは下がらなくちゃならないというような考え方が政府にあるとすると、私は、土地の流動化というものは進まない。企業にしましても、設備投資をするに際しては、まだ土地が下がるということであればなかなか取りかかれない。地方公共団体が土地の先行取得をするにしても同じような問題があるわけであります。したがいまして、土地の価格を引き上げるということを言うのじゃありませんが、少なくとも土地の価格はこの程度だ、もうこれ以上大きく下げない、下げる必要はないというようなことをはっきりさせれば、これは無論役所がそう言ったからどうというのじゃありませんが、私は、土地の流動化も促進されるだろうというふうに思いますし、またその流動化の促進のための手だてを考えていかなきゃならない。  そこで、これについては、土地に関する税制も、平成八年に地価税の半減あるいは譲渡所得税の軽減等の措置をとりましたが、ただ、私は、どうもあれはまだまだ不十分だったんじゃないか。地価税の廃止あるいは譲渡所得税のさらなる軽減。軽減いたしましたが、四千万以上は従来どおりというようなことになっておりますから、これを一律、前に戻す。あるいは買いかえの特例を全面的に認める、あるいは固定資産税の税率について調整を図る、そういうような土地に関する税制の早急な見直しをぜひ私はやっていただきたいと思いますが、これにつきまして大蔵省並びに自治省の見解をお聞きしたいと思います。
  20. 薄井信明

    ○薄井政府委員 お答え申し上げます。  委員御指摘のように、平成八年度の税制改正で、譲渡所得課税につきましては、個人のケースでありますと平成二年の水準にほぼ戻っております。御指摘のように譲渡益四千万以上のものについて残っている部分はありますが、譲渡件数の比率からしますと数%程度のものでございまして、ほとんどのケースにつきましてはむしろ平成二年の水準よりも低い税率がかかる、二〇%がまだ生きているという意味では軽減されてきているところは御指摘のとおりでございます。  地価税につきましては、地価税は地価の価格に応じてかけますので、地価が下がってきていることによる軽減と、それから税率を半分にしたことによりまして、かつての数分の一になっております。税収千五百億でございますが、この税金につきましては、同法の附則に書いてありますように、固定資産税の負担水準との関係で常に見直していくべきものだと思っております。  自治省からお答えがあろうかと思いますが、固定資産税、ことし、評価基準が九年の一月で変わっております。これによりまして負担も下がっているというような状況でございますが、今後とも御指摘の点については勉強してまいりたいと思います。
  21. 相沢英之

    相沢委員 今の答弁で満足するものではありませんが、税制の問題、それから建築基準法の改正を初めとするところの規制緩和、土地の流動化対策を含む景気対策についてさらに検討をお願い申し上げたいということで、次に進みたいと思います。  時間が足らなくなってまいりましたが、ひとつ簡潔に答弁をお願いするとしまして、次に行政改革の問題を取り上げたいと思います。  行政改革が大変重要な課題であるということは言うまでもないことでありますし、総理も、かつて自民党の行革委員長をされたときからこの問題に関しては非常に大きな関心を持って、しかも今回の内閣におきましてもこの行革は最大の課題としてお考えになっている、私はまさにそうあるべきだというふうに思っているものであります。  ただ、行革は何を目標として今後進めていくかということが問題なんでありまして、私は、省庁の再編成ということは目標にはならない。それは自民党として省庁の数を半分に減らすとかいうような案もありましたが、いずれにいたしましても、それは機構、組織の問題。  問題は、いかにして中央省庁の権限を減らしていくか、そしてそれは民間に任す、あるいは地方分権の時代でありますから地方の自治体にそれをゆだねていく。つまり、仕事そのものの内容を変えていくことが必要なんだろう。  そういう意味におきまして、これは政府関係の特殊法人でありますが、建設大臣が住都公団について分譲住宅の建設をやめる、あるいは賃貸しをごく例外的なものにとどめるというようなことは、まさにそういう意味では行革の考え方に沿うものだというふうにこれは高く評価しているんでありますが、中央の省庁につきましても、私はそういうことでこれは進めなきゃならない。  私も役人を三十年もやっていましたから、役所にとって権限はいかに大事なものであるか、この権限を守るためにどれだけ苦労しているかということはよくわかります。わかりますが、それでは行革というのは進まないというふうに思っていますので、その点についてひとつ行革担当の総務庁長官のお考えを聞きたいと思います。
  22. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 私は、今の行革というのはもう日本の国にとってやらなくてはならないことであるという点は、きっと御認識は一緒だと思います。ただ、その仕組みというか手続というか進め方というか、それが問題だろうと思うわけでございまして、中央の省庁の統廃合というのは、私は、最後というか一番最終的なところで出てくることであって、今お話しのように、やはり財政を立て直していくという点からいっても、スリムな行政機構にしなきゃならないのは当然だと思いますし、あるいはまた縦割り行政の弊害が云々されているわけでございますから、新しい時代に対応できる行政機構をつくっていかなきゃならぬのも当然だろうと思います。  しかしその前に、今お話しのように、やはりスリムな行政機構にするためにはどういう機構にしていくのか、その中でどういう行政事務をやっていくのか。あるいはこれはもう民間に任せたらいいんじゃないか、先ほど住都公団のお話もありましたが、中央省庁の仕事の中でも役所が何もやっている必要はないんじゃないかというものも当然あるのではなかろうか。そういうことで、できるだけ官から民へ仕事を移していったらいいんじゃなかろうか。  それからいま一つは、規制緩和をもう去年の三月にも改定をして今実施を、努力をいたしておりますけれども、またこの三月もなお改定をしようという形で規制緩和をどんどんやっております。要は、経済的規制は原則廃止、そして社会的規制については見直し、こういうことを言っているわけでございまして、当然、そういう形からいけば許認可も相当なくなってくるものも出てくるんじゃなかろうか。そうすると、今度事務は要らなくなってくるんじゃないか、当然人間は減っていくということであろうと思います。  そういう形の中で、ここはこの仕事は要らない、この仕事は要らない。残ったどうしてもこれだけはやっていかなきゃならない仕事は、今度は新しい時代に対応して、縦割り行政ではなくて、そして国民のニーズに合ったような機構にするにはどうしたらいいかというところで中央の省庁の統廃合というのが当然出てくるのではないか。そして、そのときには、総理がおっしゃっておられます四つのくくりによって私どもは考えていくのがいいんじゃなかろうか、こう思っているわけであります。
  23. 相沢英之

    相沢委員 そういうお考えでひとつお進めをいただきたいと思うのであります。  公務員の数が問題になりますけれども、詳しく申し上げる時間もありませんが、諸外国に比べて日本の、特に中央省庁の公務員の数は決して多いとは言えない。したがいまして、行革の目的としては、やはり今おっしゃるように、あくまでも中央の官庁の仕事を減らしていくことを中心にお考えいただく、その結果、人員が当然に減っていくということであろうかというふうに思っているのであります。行革は、ぜひそういう線に沿って進めていただきたいと思うのであります。  時間の関係で次に財政改革についてに参りたいと思いますが、財政の現状は、言うなれば大変によくない状態だと見ざるを得ないのでありまして、これは国債残高で、九年度末見込みが二百五十四兆円、それから地方債が百四十六兆円ですから、締めて四百兆円というのが国、地方の表向きの国債、借金であります。そのほかに、隠れ債務として九年度末に一十七兆三千七百四十億、これは大蔵省の数字であります。それに国鉄清算事業団の抱えている債務が二十八兆、合わせて四十五兆ある。  そのほかに、この国債費の定率繰り入れの停止、これは隠れ債務として挙げてないようでありますが、これは国債の整理基金特別会計にその期首における国債残高の一定パーセントを入れるということになっているので、それをストップしておりますから、そういう意味におきましてはこれはやはり一種の隠れ債務と見ざるを得ない。これが二十四兆九千五百二十七億、約二十五兆円あります。  締めますと四百七十兆あるわけで、これはGDPの五百十五兆にほぼ近い。つまり、GDPの丸一年分が国、地方の債務となっているという状況であります。  そこで私は、この状態を改善をしていくためには、当然計画をつくって、そしてその健全化を図っていかなきゃならない、いわゆる財政再建に取り組んでいかなきゃならないと思っていますが、財政の中期展望その他の点を見ましても、なかなか現状のままでは容易ではないというふうに思っています。  その財政再建に関して、法律をつくってこれからの手順を決めて対処するというお考えがあるやに承っておりますが、この点、大蔵大臣、どのようにお考えですか。
  24. 三塚博

    三塚国務大臣 ただいまの我が国財政の分析、詳しく御披瀝をいただきました。まさに正鵠を得た数値でございます。これをどうやって再建ををし、健全な経済に立て直していくかは、現下与えられた最大の政治課題でありますことは御案内のとおりであります。  よって、与党三党、本件についての財政再建会議を、そして総理官房長官の手元におきまして本件について政府・与党一体となりまして会議を詰め、できるだけ早目に本件の結論を得ようということで、御案内のとおり、二十一日に会議が開催をされ、予算委員会中でありますけれども、二月上中旬には第二回をやり、その後、専門委員会、企画委員会という名前になろうかと思いますが、三党の代表、そして政府の代表が出席をしながら具体的な項目を絞り上げまして、その改善改革のため、解消のために何をやるべきかという、本件をしっかりと踏まえる。  これは、国際的な状況は御案内のとおり、先進国といえどもGDP比財政赤字三%以下を目指す、そして累積赤字は六〇%以下を目指す。こういうことからほど遠い先進国における我が日本の現状でありますから、大胆、率直な、そして痛みは伴いますけれども、法律をつくるまでにいかなければならないだろう。数値目標を明示をしながら、年次計画を明確にしながらそれに取り組むべきである。  私の意気込みといたしまして、総理にも申し上げておるのでありますが、この通常国会会期末に財政再建法を出す態勢でいきたいと申し上げております。総理表現は、九月臨時国会において財政再建法を提出をし、再建のための御協力を、国民各位に国会の論議を通じて参加をいただく。決定をいたしましたら、そのことは平成十年度予算編成に名実ともに反映をせしめて、まさに元年プラス元年、こういう形の中で実行にスタートをしていく。そのことは、概算要求のあり方をも含めまして、各種制度の見直しを含めまして、それで取り組むということになろうと思います。
  25. 相沢英之

    相沢委員 財政再建は日本だけではないので、非常に厳しい状況にありました米国、イギリス、ドイツ、フランス等々も皆、このための努力をしている。米国も、OBRAという包括財政調整法の施行によりまして、個別の歳出についてもキャップシーリングを設けるとか、ペイ・アズ・ユー・ゴー原則を導入するとか、いろいろとやっております。  もうそれ以上申し上げる暇がありませんが、とにかくそのようなことで各国とも財政再建には本当に真剣に取り組んでいますので、当然我が国もこれを進めていかなきゃならないというふうに思っております。  私は、今後の進め方として、一部お話もありますが、例えば、これは景気との関連で問題も残りますが、公共投資の年次計画を延長をする。官房長官が発言されているとおりでありますが、そういう点とか、あるいは私は、このシーリングの制度についてはぜひひとつ見直しをしていただきたい。これは、たしか昭和三十六年に対前年度予算五〇%増の範囲内で要求するというふうにしたのがスタートであります。これは連邦予算局のシーリングの制度を導入したわけでありますが、自来、それをだんだん減らしてゼロシーリングになり、マイナスシーリングになって今日に至っているわけであります。  ただ、このシーリングは、では果たして厳格に守られているかというと、例えばマイナス一〇%でやりますと、十四年たつと大体四分の一になるはずなんですね。それから、マイナス五%でいっても二分の一になる。ですから、結局、シーリングは設けるものの、新規の事業というその他の理由でもってこれをカバーしてきているから現在のようなことになっているわけなんです。  そこで、そのシーリングの制度について、一律にやるということではなくて、ぜひこれは弾力的に考えてもらいたい。各省庁で差別を設けることについて難しいでしょうが、本来アメリカがやっていたシーリングもそうなんですね。ですから、省庁によって、事項の性質によって、厳しくそのシーリングを設けていく、これを実施していく。  同時に、一律シーリングにすると、これはある意味では、まあ各省そこまでは大丈夫だ、各局そこまではいい、各課それまではいい、つまり所領安堵みたいな形になっておるのですね。ですから、その意味では非常に悪平等になっている。ですから、重点的な予算編成というのはできない、そういう弊害が著しくなってきていると思います。  シーリングについては総理もこれを見直すということをおっしゃっているようでありますが、お考えをひとつ承りたいと思います。
  26. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、十年度の概算要求基準そのものについて具体的なことを申し上げる状況にはなっておらないことは御理解をいただきたいと存じます。  そして、私自身、シーリングという言葉が何かひとり歩きをしている感じがあるのですけれども、要求のための何らかのルールは必要だと私は思っております。しかし、それが今の、例えば平成九年度予算編成に向けての概算要求基準と同じでいいかといえば、それは絶対にそういうことではあり得ない、よりよい方法を探さなければならないという点は議員の御指摘のとおりでありまして、私ども何らかの新しいルールを、十年度概算要求の時点までにそのルールをつくらなければならない。これは先ほど大蔵大臣から申し上げました財政再建構造改革会議の中で、十分これからその問題の議論をしなければならないもの、そのように思います。  いずれにしても、このままの概算要求基準を踏襲するつもりはございません。
  27. 相沢英之

    相沢委員 もう少しこの点は御質問をしたいのでありますけれども、時間がなくなりましたので、次に参ります。  地方行財政の改革という問題でありますが、端的に申し上げます。やはり今の状況のもとにおいて、地方分権を進めるにしても、あるいは地方財政の再建を図るにしても、三千有余の市町村というものがそのままでいるということは問題があるのではないか。昭和三十年代に新市町村合併促進法によって、従来一万あった市町村が三分の一になった。その後はそう大した変化がなくて今日に至っておりますが、そういう意味におきまして、ぜひひとつ市町村の合併促進をしていただきたいなと思います。  白川大臣はこの点は大変に御熱心だというふうに聞いておりますが、ひとつ見解を承りたいと思います。
  28. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 熱心で進むぐらいなら苦労はないのでございますが、地方自治体の合併という問題は、多くの人が努力をしてきても、なかなか率直なところ進まなかったと言っても私は過言でないだろうと思います。また、それを国の方から一方的にやれと押しつけるものでもないだろうと思いますが、今地方分権ということ、そしてできるだけ多くの仕事を地方にやってもらおう、こういうことになれば、明らかに現在の地方自治体のままでいいのかというのは多くの人が感じつつありますし、またそうなのだろうと思います。  そんなことで、今まで自治省としてもそういう趣旨で努力はいたしてきましたが、今までと同じような手法の中で市町村合併をやろうとしても進まないよ、そして、そういうときではないだろうということで、少しく党を挙げてやろうといたしておりますが、果たしてその程度でできるかどうか、私も自信がありません。ですから、皆様方の御意見をいただきまして、市町村合併はやらなければならないという、中央はもちろんでございますが、地方でもそういう機運を醸成して、この問題をみんなの問題として考えていく中でやっていかなきゃならない、こう思っております。
  29. 相沢英之

    相沢委員 まさにそのとおりでありまして、これは地方でそういう動きがなければならないという、そのとおりであります。事実そういうような動きがあちこちにあるようでありますし、昭和三十年代の初めに市町村合併が促進されたのは、やはり、当時はまだ自治庁でありましたか、中心になって、そして、殊に都道府県が真剣に取り組んだ。無論、町村合併は、推進するについてはいろいろと大きな困難があり、血と涙の物語もあるわけでありますけれども、やはり自治省とそれから県が、中央からの押しつけということではなくて、それに取り組むという気迫をもってしないとなかなか進むものではないと私は思いますので、その点、今後さらに御努力をお願い申し上げたいと思います。  時間があと三分ぐらいになりましたから、最後に、デノミの問題について一言御質問をしたいと思います。  私は、大蔵省在職中からデノミ論者でありまして、デノミを実施すべしということで今日までまいり、また自民党内でもデノミ促進の議員連盟をつくっているのでございます。  なぜデノミが必要かという理由はいろいろあります。詳しく申し上げる時間はありませんが、とにかく、アメリカのドルに対して三けた以上というのは、もう大きい国では日本とイタリーしかない。そこで、特に、貨幣の基本的な単位である円が、円というものの価値がほとんどない。一円玉が落ちていても子供も拾わない。こういうような状態では、とても円としての威信はない。  いろいろと言われますが、戦後の日本の未処理事項の大きな一つでありまして、言うなれば、デノミなくして戦後の処理は終わらないという気持ちを我々は持っているのでございます。  デノミを実施するについては、当然に、貨幣の鋳造とか紙幣の刷りかえとか、あるいはいろいろな帳簿類の改定とか自動販売機の改造とか、そういうコスト面の影響はございます。昔の試算ですが、約二兆円ぐらいかかるだろうということでありますが、同時にそれは需要の喚起という意味もあるわけであります。  私は、このデノミに伴うところの景気刺激的な意味を、これを強調することはないと思います。その必要はないと思いますが、とにかく、経済が今のように安定をしている、企画庁長官のお言葉にもありますが、安定している、それから国際収支も堅調である、それから物価も落ちついているということは、デノミを実施するための条件を満たしていると思うのであります。  そこで、ひとつぜひこのことは橋本内閣としてお考えいただきたい。デノミを実施したということになれば、これは非常に大きな業績にもなることでありますし、何よりも私は、今の日本経済にとって一つの大きな景気に対するショック効果もあるんじゃないかというふうに思いますので、この点について総理並びに大蔵大臣の御答弁をお願いして、終わります。
  30. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、議員の御意見を承りましたけれども、このデノミというものは、実行した場合、これは間違いなしに国民各層に大変幅広く影響を与えます。そして、現在の通貨単位としての円になれ親しんできておられる世代が既にもう国民の三分の二を占めているという状況の中で、国民の受けとめ方あるいは経済社会の環境、実施に伴う技術的な、これは困難の部分もいろいろなものがございますし、それから議員が挙げられたようなプラスの面も当然あります。そうしたものを総合的に判断をして決めなければならない問題でございますけれども、今、私としては、これを実施するという考え方は持っておりません。
  31. 三塚博

    三塚国務大臣 総理大臣から問題点の指摘がありました。相沢議員からは、今時の経済収支、経済も安定しておるという御披瀝もありました。  いずれにいたしましても、困難を起こすということは避けなければなりませんし、円に親しんだ国民の多くがそのことによって戸惑いを起こすということであってはなりません。そういう点から、基本的な考え方は総理と全く同じであります。
  32. 相沢英之

    相沢委員 少し質問を残しましたが、これをもって終わらせていただきます。ありがとうございました。
  33. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて相沢君の質疑は終了いたしました。  次に、田中慶秋君。
  34. 田中慶秋

    田中(慶)委員 私は、新進党の立場で、それぞれ今当面する問題についてこれから質問をさせていただきたいと思います。  その前に、私自身六年半ぶりでこの質問に立つものですから若干緊張しておりますけれども、しかし、この六年半の間、それぞれ国民の皆さんと会話をし、地域を歩きながら、その声を私の質問の中に多く反映をさせていただいておりますので、総理初めそれぞれ関係閣僚の皆さんにおかれましては、明快な答弁を求めてまいりたいと思っております。  最初に一橋本総理の基本的な政治姿勢についてお伺いいたします。  今日、我が国の社会は、高齢化あるいは少子化、産業の空洞化、この道が進んでいるわけでありますが、どれ一つとっても政治のリーダーシップによる緊急対処すべき問題であり、政治の空白は許されない問題ではなかろうかと思います。政治は今、イデオロギーの時代は終わり、政策を中心とした時代であり、政府は、野党の政策や意見にも謙虚に耳を傾けながら政策に反映させるべきではないかと考えております。  特に総理は、一億二千万の国民の頂点に立ち、あるいは国会議員や地方議員の最高の指導者として、それぞれ極めて厳しい、責任の重い立場におられるわけでありますが、今日のこの厳しい社会情勢や政治情勢に対する総理の基本的な姿勢をまずお伺いいたします。
  35. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 国民の声を受けて、それを背にと言われた言葉は、私も重く拝聴いたしました。  その上で、この数年間を振り返りましたとき、はっきりと言えること、その一つは、高齢化社会という言葉が既に現実のものの高齢社会になり、しかも少子化の傾向が一層顕著になってきた。まさに高齢・少子社会というものが現実の課題となり、その中で我々はこれからのすべてを考えなければならない、基本条件がますます厳しくなっているということが一つ申し上げられるかと思います。  今、高齢者一人を働く世代五人で支えているわけでありますけれども、二〇一五年になりますと半分の二・五人でこれを支えなければならない。当然ながら、社会保障の構造もそれで維持できる仕組みというものを脳裏に描かざるを得ません。  また、国際的には、冷戦構造の終結ということが言われましてからしばらくの時間がたちましたが、情報化あるいは自由化というものが世界の中でどんどん進展していく中におきまして、産業というものが、コストの点を含めて自分の産業をどこで立地するのが一番有利かという、いわば企業が国を選ぶ時代というものが定着化をしているという状況がございます。  そして、そういう中において今日本を振り返りましたとき、むしろ我々はこの戦後の五十年間というものを、豊かな国家をつくろう、そしてできるだけ質のそろった均質的な平等な社会というものを目指して進んでまいりました。それはそれなりに意義があり、私は成果を上げてきたと思いますけれども、そのためのシステムというものが今日もなお日本に現存をしている、我々はこれを変えなければならない。  今御指摘にございましたように、あらゆる分野におきまして政治が全力を挙げてその責任を果たしていくことによって、次の世代にバトンをきちんと渡せるだけの仕事を仕上げていかなければならない、そのように考えております。
  36. 田中慶秋

    田中(慶)委員 そこで、まずお伺いしたいのは、行政改革に対する姿勢であります。  今から二十年前、国が行政改革を訴え、土光臨調が発足しました。そして当時、それはこの土光臨調に対するそれぞれの動きがあったわけでありますが、族議員の中においてはこの臨調あるいは行政改革に反対する方もいたと聞いております。総理はこれらの問題をどう受けとめておられるのか。  現在、国、地方あるいはJR等々を合わせて約五百兆円の債務を抱えているとよく言われるわけでありますが、当時、この問題を含めて考えてみますと、少なくともこんなに膨大な借金にならなくても済んだのではないか、こういうことをよく言われるわけであります。  過去のことを言ってもそれぞれしようがないということになるかもわかりませんけれども、しかし、その姿勢というもの、根底にある行革というものについて、総理はどのように認識をされていたのか、お伺いをしたいと思います。
  37. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今議員から、土光臨調から評価を求められましたが、私は、その前の第一次臨調についてもごくわずか触れさせていただきたいと思うのであります。  私は、この第一次臨調が上げました一番大きな功績というものは、国家公務員の総定員法というルールをつくり、そして国家公務員の総定数管理というものをルール化することを確立されたということであったと思います。それ以来、国家公務員の定数というものは、少しずつではありますが、新しい部門に当然増員は要りますけれども、減少の一途をたどってまいりました。そして今、いろいろな御意見がございますけれども、少なくとも極めて他国に比して少ない国家公務員で我が国が運営されている、これは私は第一次臨調の非常に大きな評価すべき業績であると思います。  しかし、その第一次臨調の関係者が残された言葉は、国と地方との関係にメスを入れ切れなかったという言葉でありました。そして、その状況は、土光臨調と言われました第二次臨調にも引き継がれたと思っております。  そして、第二臨調は、まさに三公社の民営化を初めとしてさまざまな分野で非常に大きな業績を上げられました。  しかし、その間、例えば国の出先機関整理等につきましては、官庁の抵抗だけではなく、地域社会からも猛烈な抵抗があったことを私は熾烈に覚えております。むしろ、政党政派の問題ではない、国の出先機関が廃止されることが地域にとっての不名誉という受けとめが第二臨調のお仕事に随分足かせになっていたことを私は今も記憶をいたしております。  さらに、その意味では、規制緩和等につきましても同じ問題があったと思います。当時官が抱え、官が資格認定をいたしておりましたようなものを、土光臨調という立場では、むしろ官から切り離して民間の自主ルールにというつもりで整理をされましたものが、今日になりますとそれが公益法人という形に生まれ変わり、いつの間にかそれ自体がまた新たな問題を起こす一つの温床をつくっておる。  こうしたことを振り返ってみますと、私は、行政改革というもの、拙速をとうとぶのでは決してないのです、むしろ当時十分考え考え抜いたつもりでありましてもそうした悔いを今残すことを考え合わせますと、果断に進めなければなりません、しかし、その前には十分なやはり検討を必要とするものだということを今骨身にしみております。  むしろ、その問題について申し上げますならば、その後、プラザ合意以降、バブルによる経済の実力以上の税収の伸びがあった時期もあった、そして、この継続的な土光臨調の答申というものは、その後においても行財政改革の上の指針として今日まで残ってまいりました。そして、平成二年度には、一たん特例公債の発行から脱却というところまで参りましたが、その時点では実は諸外国に比べても我が国の財政力というものは見劣りするものではなかったと思います。  しかし、高齢化の進む中でバブルが崩壊をした。そして、その後の累次にわたる景気対策、あるいは税収が低迷をしていた。そうした中でさまざまな財政健全化対策というものを努力をしてまいりましたけれども、結果として平成八年度は、七年ぶりに、当初予算の段階から財源手当てのない特例公債の発行を含めて二十一兆円にも上る公債発行に依存をせざるを得ないという状況になりました。こうした事態を招いたことを恥ずかしいと思います。そして、これから切り抜けていきますためには、慎重な上にも慎重な検討はいたしますけれども、同時に、今まで申し上げてまいりましたような問題意識を持ちつつも諸般の改革というものに全力を挙げていかねばならない、そのように考えております。
  38. 田中慶秋

    田中(慶)委員 総理の行革に対する考え方等について述べられたわけでありますが、特に総理は、火だるまとなって行政改革を行うという基本姿勢を述べておられるわけでありますけれども、これだけ今の行革そのものがあらゆることを含めて大変な時代を迎えているわけですが、ただ、どのような方法や手段、あるいは具体的なタイムスケジュール等ももっと明確にする必要があるだろう。今、確かに総理は勇気を持ってこれに取り組んでいる姿勢はわかりますけれども、日本の現状は、もっと具体的に、いつから、こういうタイムスケジュールを含めて行う時期になってきているのではないかな、こんなふうに思っているわけであります。  特に、いろいろな質疑の中で、いろいろな委員会あるいは諮問をしながら、来年度、特に平成十年度ということをよく言われるわけでありますけれども、現在のその考え方が、ある面では円安やあるいは株価の低落にもそれぞれ現実に出ている。このことは、少なくとも今の政府に対する、あるいは行政改革に対する一つ考え方としての警鐘を鳴らされているんではないか、こんなふうに私は受けとめているわけです。  特に総理、今回の予算を見たときに、自民党内の族議員の復活ということがよくマスコミにも書かれましたし、あるいはまた、ある面ではそういうことが目につくところがあるわけであります。大変失礼な言い方をして恐縮ですが、総理は厚生族のトップだと、これは皆さんが周知の事実として認めておられると思うんです。そういうときに当たって、今の行政改革等について、族議員の存在、行政改革を実行するに当たって障害になってはいないかどうか。  この二点について、総理にお伺いをしたいと思います。
  39. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 ちょっと順番をひっくり返させていただきまして、その族議員という言葉から申し上げたいと思うんですが、私は、やはり行政改革というのは、国民が求めておられるサービスに対して最小の費用でいかにそれにこたえていくかということに尽きると思います。そして、そうした視点で考えてまいりますときに、どの分野でありましても、政治もそうですし行政もそうですが、個別の地域あるいは特定業界の利益をいたずらに守っているという批判を受けることのないように我々は行動をしていかなければなりません。  そして、議員からは自由民主党のみを御指摘をいただきましたけれども、本年度予算の編成の際に、党派を超えて、地域の問題で非常に強い御要請の出たような問題もございました。我々はそうしたものに対しても、これから政治のリーダーシップというものを発揮していかなければならない、それは今日までと全く状況の変わるものではないと思います。  そして同時に、例えば国会で法律をもって御承認をいただきました、例えば地方分権推進委員会あるいは行政改革委員会、それぞれに現在作業を続けていただいております。  規制緩和につきましても、例えば本年度末、規制緩和推進計画を再改定するわけでありますから、内外から当然ながら御意見を伺いながら、この行政改革委員会の意見というものを最大限尊重する方向で、我々は新たな規制緩和項目を取り上げていこうとしております。  また、地方分権につきましても、昨年の末、地方分権推進委員会からいただきましたものは第一次勧告でありまして、機関委任事務のうちの一定数の部分についてのお考えをちょうだいをいたしました。そして、これは既に地方分権推進計画の作成のための所要の作業に入っております。  しかし、今年の前半に予定されております勧告とあわせて、これは一本のものとして仕上げなければなりません。そういたしますと、分権法の趣旨に沿いますと、平成十年の通常国会の終了するまでという期間が法的に決められておりますから我々としては、そのできるだけ早い機会にこの推進計画を作成し分権を進めてまいりたい、そう申し上げているわけであります。  ただ、計画の策定を待たなくても実行に移せるものは当然あるはずでありまして、そうしたものは早期に着実に実行に移していく、そうした姿勢は今後ともとり続けてまいりたい、そのように思います。
  40. 田中慶秋

    田中(慶)委員 今、この行政改革を初めとする問題の一つに、特殊法人の問題等々がそれぞれ話題になっているわけであります。国の省庁の統廃合もさることながら、各省のすそ野を形成されている特殊法人あるいは公益法人、大変今多いわけであります。  確かに、現在の特殊法人九十二、あるいは公益法人が六千九百二十二とか、また、この資料でもお渡し申し上げているように、地方を含めると何とこれが二万五千にも及ぶと言われる公益法人等々を含めて、こういう問題が本当の意味での、特殊法人や行政改革をする上に当たって大変至難のわざではないかとよく言われておりますけれども、しかし、それは今の時代、思い切ってこのことに取り組まなければ、高齢化が進み、少子化が進み、産業の空洞化が進んで、財政的にも日本のそれぞれ社会の仕組みも大きく変わっていくわけでありますから、こういう問題に徹底的に私は取り組む必要があるだろうと思っております。  特殊法人、外郭団体、公益法人を含めますと、大体五十二万人ここにいらっしゃると言われているわけでありますが、こういう問題について、少なくとも基本的な考え方として、役割を終わったものは廃止すべきであろうし、あるいはまたこの統廃合等の問題、あるいは民営化の問題、民間の問題等々を振り分けた手順の中で、このことをタイムスケジュール的にやっていく必要があるんじゃないか、こんなふうに思っているわけであります。  例えば、先般来建設大臣が言われているように、住宅・都市整備公団、確かに戦後、大変その役割は大きかったと思いますが、今日では、それぞれの県の住宅供給公社、あるいは市の住宅供給公社、あるいは県営住宅、市営住宅等々を含めて競今されているわけでありますから、そういう問題を含めて、少なくともこの住宅・都市整備公団の役割はむしろ終わった、こんなふうに思っているわけであります。  特に、この住宅公団は、ある面では商社的な仕事をされていると言っても過言じゃないと思います。ということは、設計から監督すべてが丸投げをして、そして現実には事務的な仕事しかしていない、こういうことがそれぞれ調べている中で明確になっているわけでありまして、むしろ、そうであるならば、これからの一つの方向の中で、建設大臣が言われているような、市街化地区における整備を進ませるという、そんな仕事に方向転換をするということでありますが、地方自治体やあるいは民間等のことを考慮しますと、むしろ、この住宅・都市整備公団あるいは住宅公団は完全な民営化になった方がよろしいんじゃないかと例示を申し上げたわけでありますが、建設大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  41. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 委員が御指摘のように、住宅整備公団も時の流れとともにその業務について、必要なものとあるいは不必要なもの、また新しい任務、それぞれ生まれてくると思いますけれども、このたびは国家機能を新たな視点からこれを類別をして、それに従った省庁の再編成もやっていくという大改革でございますから、そういう中で、当然住都公団を含めすべての特殊法人について聖域なしに洗い直しをしていこう、こういうことで建設省は取り組んでおるわけであります。  委員も先ほど御指摘になりましたけれども、本来役所みずからがやってもいい、あるいはやるべきことを特殊法人等を使って間接的手法によって業務を遂行していっておる。これが都合がいいという場合もありますが、一つはやはり、こんなことを言っちゃあれですが、役人の定年が非常にそれぞれ早いというようなこともあって、そうした方々を有効活用すると言えば聞こえはいいわけでありますが、そうした方々の生活に対する配慮みたいな現実の必要の中で特殊法人等が存在をしていると言われても仕方のない面も私はあろうかと思います。  そういう意味で、この際、中央官庁みずから実施をする面、あるいは民にゆだねていく面、あるいは地方にゆだねていく面、これをとにかくちまちました改革じゃなくて抜本的に総洗いをする中で、じゃ建設行政に携わっていく中央官庁はどうあるべきか、それに対して現在ある特殊法人はどうしていくべきかということについて検討しておるわけでございまして、そういう過程の中で住都公団については一応そういう方向を打ち出しておるわけであります。  民営化はどうかという御指摘がございましたが、私は、道路公団等を含めてすべての特殊法人について、最初に申し上げましたような視点からすべてを見直していく、それで、国民のために、また国家にとってどういうあり方が一番いいかということをいわば白紙で私は検討をさせていきたい、このように考えております。
  42. 田中慶秋

    田中(慶)委員 私はなぜ民営化ということを申し上げたかというと、現実に行われている問題、あるいはまた先般来、この住宅公団の関西支社で競争入札もせずに随意契約、そしてそこには御承知のように資格のないところまでそういう契約を結んでおられる。こういうことがやはり長い間のこの公団の体質となっている。今大臣から言われたように、家族的なつながりもあるでしょう、先輩後輩もあるのでしょう、そんなことから資格もないところに仕事を出しておられる。こんな現実を見たときに、私はある面では商社的ということを申し上げたのはそういうところから申し上げているので、完全に民営化だったらそれは関知するところではありませんので、そんな時代に変わってきているのではないかな、こんなふうに思っておりますので、もう一度大臣の見解をお伺いしたいと思っております。
  43. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 マスコミ等から、また本委員会でも指摘をされておりますが、住都公団につきましても、やはり長い長い歴史の中で知らず知らずのうちにお互いのもたれ合い、そういうことが生まれてきておると私自身も判断をいたしております。  住都公団で最近取り上げられている関西支社の問題等につきましても、これはあってはならないことでありますし、また、住都公団に対して国民の税金が一方ではいろいろな形でつぎ込まれておる、そういう中で住都公団の業務を遂行しておる関連企業その他が膨大な利益を上げておるということは、これはトータルとして見た場合、あってはならない姿であります。  そういう意味で、契約関係、随契を入札制度にもちろん変えていくというようなことを含めて、現在公団が全力を挙げてこの改革に、当面のそういう改革についても取り組んでおりますし、全体の改革、どうあるべきかということも今後十一月末をめどにきっちりと姿を出していきたい。もちろん民営化ということが本当に国民のためにいいのか、国家のためにいいのかということも当然これは検討課題に入れるわけでありますが、最初からまず民営ありきということじゃなくて、国民のために何が一番いいかという視点から考えていきたいと思っております。
  44. 田中慶秋

    田中(慶)委員 そこでお伺いします。  大蔵大臣、特殊法人、公益法人、外郭団体等に対する現在の補助というものはどのぐらいになっておりますか、お伺いしたいと思います。
  45. 小村武

    ○小村政府委員 平成九年度におきます特殊法人に対する負担金、補助金等でございますが、二兆五百二十四億円でございます。  なお、公益法人等について私どもまだ精査をした額は本年度ベースで正確につかんでおりませんが、手元にある資料で申し上げますと、国所管の公益法人に対する補助金は二千四百七十七億円、その他交付金が千四百二十一億円ございます。
  46. 田中慶秋

    田中(慶)委員 特殊法人、公益法人等々を含めて約二兆三千億程度の補助金が出ているわけであります。特に、先ほど来この公益法人等のあり方の問題で、長い伝統があるかもわかりません、そういう中でOBとかいろいろな形で受け皿になっている。そういうものが、この財政的な逼迫している中でもそこに約二兆三千億程度の補助金が行かれているという問題、やはりここにメスを入れていかないとどうにもならないことじゃないか。一方において節約を強いる。  ですから、私は、この特殊法人、公益法人等の行政改革、もうゼロから、そして、どうしても必要なものは積み重ねていけばよろしいのではないか、こんな考え方を持っておりますから、総務庁、ひとつこの考え方についてお伺いをしたいと思います。
  47. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 平成九年度の行政監察の中で、特殊法人、公益法人の業務その他について監察をすることにいたしております。  私から特に事務当局に対して、せっかくこういう時代であるので、その必要かどうかという観点も含めて監察をするようにという指示をいたしておりますので、その結果に基づいて、できるだけ、必要でないものはぜひやめていただくようにお願いをするのは当然だと思っております。
  48. 田中慶秋

    田中(慶)委員 約二兆三千億の補助金が出ているわけでありますが、その財務報告等々について大蔵省は、あるいはそれぞれの省庁は掌握をしているのかどうか。また、先ほど来問題になっておりますOBの人たちがそれぞれの部署に、私の調査では恐らく約一千人程度の人たちがそこに行かれているという、こんな数値が出ているわけでありますが、この数字ももっと多いのかもわかりません。  こんなことを含めながら、この税務調査なり、役員の出身のところが明確でない部分がたくさんある。調べようにも、もとどこどこにいたかというところが明確になっていない。ですから、そういうことを含めながら、この特殊法人や外郭団体の徹底した改革をするときにはそこまでメスを入れていかなければいけないんじゃないかと思います。  当面、その財務報告について掌握をされているのかどうかお伺いしたいと思います。
  49. 小村武

    ○小村政府委員 全体の特殊法人に関する権限等につきましては、その内容は区々でありますが、私ども、国の予算を使用している団体につきまして、認可予算等を通じましてその財務について掌握をしているところでございます。  あと、総務庁が所管をしている特殊法人については、当然総務庁がその財務内容について把握をし、監督をしているところでございます。
  50. 田中慶秋

    田中(慶)委員 この補助金の財務に対する監査や、あるいはそれぞれの厳しい指導というものは当然されていると思いますけれども、OBが何人行っているかによって、こんなことを言っては大変失礼なんですけれども、補助金の額も違うと言われているんです、はっきり申し上げて。その事業の内容やあるいは事業の計画に基づいて補助金が決まるんではない、OBがどれだけ受け皿となって受けていただいているかによって補助金が決まっている、こんなことまで言われているのですが、その事実はどうなんでしょう。総務庁あるいは大蔵大臣
  51. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 私は、そこまでは自分自身は承知をいたしておりませんが、ただ、今度この国会に私どもが提案をしたいと思っている法律は、そういういろいろと不透明な点がございますので、ぜひひとつ、財務諸表その他については必ず明確にするという必要があると思って、そのようなことをしていただくように特殊法人に対してお願いをする法律をこの通常国会に出したい、こう思っております。その法律を通していただければ、そういう点は心配はなくなるというふうに考えております。
  52. 三塚博

    三塚国務大臣 財政を主管する大蔵大臣といたしまして申し上げますが、適材適所、天下りという言葉もありますが、そのことで事業内容に査定を加えたり、また、ましてや補助金、交付金等にそういうことをするということは断じてありません。
  53. 田中慶秋

    田中(慶)委員 その補助金のあり方が、今、大蔵大臣は断じてないということでありますけれども、やはりそれは大蔵大臣の目の届かないところに、補助金のあり方の中で、その計画やあるいはまたその内容とは別に、そこにOBが何人行かれているか、それぞれの具体的な時代の背景を踏まえてそれぞれ受け皿になっていただいたのでしょうけれども、現実には、その役割が終わっていたところであっても、あるいはその問題が必要とされていなくても、現実のOBの受け入れがあるために補助金が出されていることもありますから、よく調べておいていただきたい。これは要望しておきます。  そこで、地方分権等々も今言われているわけでありますが、その地方行革の中で、特に今三千二百余の市町村があるわけでありますけれども、少なくともこの三千余の市町村が同じような形の中で行政を行っているわけであります。千人のところも、五千人のところも、一万人のところも行政を行うわけであります。そこには、村長さんも助役さんも収入役さんも、議会もあるわけです。そういう中で、財政そのものが大変厳しい、結果的に住民サービスも、ある面ではサービスを行っていない部分もあるわけであります。  こんなことを含めて考えてまいりますと、ある例で言いますと、千人の村があり、固定資産税や所得税が約一億余入ってくるそうです。ところが、やはりいろいろな形で、年金、医療等々を含めて考えてみますと、大体十四、五億かかると言われております。その差は国からそれぞれ補助金なり交付金なり、こんな形になっている。それが一つでありますから、この三千幾つという、もうこの問題が、すべてが同じとは言い切れないと思いますが、そういうふうになってきたときには、財政そのものが幾ら節約をしようとしてもなかなか難しいだろう。  そこで、昔から、明治維新の時代、幕藩体制そのものが三百余というふうに承り、今度の小選挙区制でもいみじくも三百等々を考えて、私は、町村合併を含めて行政の見直しというものが、この三百程度にすることが、財政的にもあるいはまたそれぞれの行政サービスやあるいは住民の福祉のためにもより効果的ではないかと思っておるのですが、この点について、自治大臣あるいは総理の見解をお伺いしたいと思います。
  54. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 地方自治体の数を三百というような話は、新進党の小沢党首等からよく聞いておることでございます。地方公共団体という、そして江戸時代三百余の藩があったということでありますが、都道府県と地元市町村との関係をどのように考えておるんだろうか。戦前の少なくとも藩は、今の市町村のたぐいよりは、私は、都道府県の方に近い権限を持っていたところがいっぱいあるのじゃないだろうか、そう考えております。  ですから私は、率直に申し上げて、三百、これがいいんだという意見に、直ちにそれが正しいという気持ちにどうしてもなれません。さりとて、御案内のとおり三千三百、そのうちの二千近くが町村でございます。これがこのままでいいのかというと、やはりこれも見直す必要があるだろう、こう考えております。  いずれにいたしましても、地方分権の時代でございますから、その地方のいろいろな仕事をやっていくということが大事なんでございまして、それにふさわしい行政の規模はどのぐらいなのか、ここを真剣に考える中からおのずと数は出てくるだろうと思います。  ただ、最後に一つだけ申し上げますが、私は地方自治というのは手ざわり感というか、自分たちがこの地域を自分たちでコントロール、ガバメントしているという要素を抜きにしてあり得るのでしょうか。だから、余り大きな規模の場合はどうしてもそういう気持ちにはならない。  それからもう一つ、例えば小選挙区と一緒だというと、多分一番大きいのが北海道七区だと思いますが、ほとんど普通の県の、小さな県の三倍ぐらいあるようなところを、確かに人口は四十万ぐらいなんでしょうが、そこを一つの市町村にして、一つの市町村を行くのに二時間も三時間もかかる、市民会館に行くのも二時間も三時間もかかるというのをもって、どうでしょうか、地方自治と言うに値するのでしょうか。  ですから、この辺の問題は、私も合併しなきゃならぬと思いますけれども、直ちに三百が正しいという見解にはどうしても立てません。
  55. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私も、地方自治体、地方公共団体の行政能力を高めていくためにいろいろな工夫が要ると思います。  ただ、私の郷里岡山県は、私が国会に出ます前に、その合併問題を契機に県内を真っ二つにするような事態がございました。私が国会に出ましても、そのしこりをほぐすまでに随分時間がかかったと思います。その後、幾つかの市町村を含めました合併がございました。  やはり私は、地方公共団体が合併を選択するには、地域の住民が合併の必要性を納得されない限り、人為的には大変難しいということを自分の郷里の歴史の中で学んでおります。それだけに、合併という手法だけではなく、広域連合あるいは一部事務組合等々さまざまな手法を活用しながら、その行政単位というものを確保していく必要がある、そのように思っております。
  56. 田中慶秋

    田中(慶)委員 地方分権という形と、あるいはまた合併という問題、それぞれ相反している部分もあろうかと思いますが、いずれにしても、二十一世紀を目前にして、何らかの形で今の行政の見直しというものが私は必要だと思っております。一部のところでやれば今総理が言っているようにいろいろなしこりがあるかもわかりませんが、国全体、国土全体でそのことをやるということになれば、国民の理解も私は得られると思います。  それから、面積や人口によってその分け方もあるわけですから、自治大臣、ただサービスが面積が大きいからどうのこうのという問題じゃないと思っております。それは、少なくともそれぞれの行政の組織の中でのやりくりができるわけでありますから、出先機関があったりいろいろなことをすればいいことなんですから。ただ、先ほど私が申し上げているように、与党だ野党だは関係なくして、二十一世紀の行政のあり方をちゃんと考える必要があると思います。  ですから、私は新進党を名乗って質問しているわけですから、新進党の案であろうと、そのことが将来、二十一世紀、まさしく市町村のあり方、行政のあり方、その方がベターであるならば謙虚に受けて、そういう方向をこれから模索して努力をしていただきたい、要望しておきます。  そこで、規制緩和の問題を重ねて関連して申し上げたいと思っております。  これは、経企庁が経済成長率といいますか、この補正の中でも規制緩和、行政改革を推進して、成長率を二・五%見積もり、平成九年度一・九%ですか、そういうことを出されているわけですが、現実に規制緩和、行政改革がことしのこの経済指数に本当に反映されていくのかどうか、私は若干疑問であるわけであります。  今回の予算を見ても、直接今の景気に反映をする緊急性のあるものというのは非常に少ないのじゃないかな、こんなふうに考えているわけであります。やはり今緊急性を求められているものは、規制緩和なり行革なり、それを具体的なスケジュールをもってやることで、そしてそれが結果的に経済にもこのように反映をするよという、こういうことでなければ納得もしないと思います。ただ活字の中で、行政改革あるいは規制緩和を推進して経済見通しをこうだと言うことは余りにも冒険ではないかな。企画庁長官、どう考えますか。
  57. 麻生太郎

    麻生国務大臣 御質問の中で三%というのは、平成八年度から平成十二年度までで実質平均約三%程度の成長可能ではないかという数字が今言われた三%だと思っておりますが、今おっしゃるとおりに、構造改革、私ども規制緩和より構造改革の方を担当させていただいておりますが、構造改革というものの中で、何だかんだ言って一番これらで問答になりましたのは、いわゆる閉塞感と言われる、何となく景気に対して閉塞感があるというところから始まったんだと思っております。  これに伴いまして経済構造改革に関するプログラムを設置させていただいて、今日までいろいろさせてきていただいておりますが、この数字が直ちに今から出るかと言われると、これは時間のかかるものも確かにございますし、各役所にとって、先ほど御質問のあっておりました二〇〇一年までというのが、じゃことし出るかといえば、なかなか出ないわけで、そういったことがすぐ出てくるものというのは、いろいろ段階を追って出てくると思いますので、直ちに全部が全部とは申し上げているわけではありません。  しかし、今御質問の中で、なかなか出ないのではないかという御質問ではありますけれども、各役所、昨年の十一月以降、各大臣の御発言やら中間報告やらいろいろ出ておりますのが一部新聞に出ておりますけれども、私ども経済企画庁が予想しておりました以上に出たもの、例えば先ほどお話のあったような住宅・都市整備公団の話やら何やらは、この経済構造改革の中に最初は入っていなかった部分もぽんと早い段階で出てきたりいたしておりますので、いろいろ資料はございますけれども、結構進んでいる部分もございます。そういった意味では、新聞で逐次ちょこちょこ出たような感じでおりますけれども、あれがぽんと出ればそれこそビッグバンということになるのかもしれませんが、そういったようなことは結構進んでおる部分というのはございます。  したがいまして、こういったものが出るということがもっと民間なりなんなりにわかってくるようになりますと、これは商売をしております者からいきますと、こういうものになるらしいというような、そこに新しい分野の仕事が出てくることになるということがわかりさえずればそちらの方に動き始めますので、それが直ちにすぐ出るかと言われると業界によっても違いますでしょうけれども、いろいろな意味で大きな影響が十分に出てくるものだと思っております。
  58. 田中慶秋

    田中(慶)委員 経企庁が言われるようにそんなに甘いものじゃないと思っております。タクシーに乗っても去年の八割、地域の町の中小零細のところ、売り上げも少ない、非常に厳しい環境にあるわけですから。確かに、一部には消費税を含めて飛び込み、駆け込みというものが三月までの間に多い部分があるでしょう。しかし全般的にはそんな甘いものじゃないですから、経企庁はここのところ見通し数字が合ったことがないわけですから、もっとちゃんとして、国民に信頼の置ける数字をできるだけ出していただきたいということを、時間の関係で要望しておきます。  次に、ロシアの重油の流出の問題について、運輸大臣ほかに質問をさせていただきます。  一つは、今回大変皆さん御苦労されておられる。地域住民やボランティアの人々、あるいはそれぞれ協力を得られてこの対応がされているんですけれども、現実にあの対応の仕方を見て、経済大国日本、技術大国日本がひしゃくで重油をすくう姿を見たときに、余りにも哀れじゃないかな。もう既にアメリカでは民間の、バイオを使って、どんな形の中でもバイオの問題が非常に進んでおられるわけであります。日本でも、京都大学でもこのことが成功されております。まして、エネルギーそのものが日本は、少なくても油やあるいは石油、重油等に頼る率が多いわけであります。  ところが、その重油の回収船がただ一隻しかない。これでは、ある面では世界に経済大国なり技術大国として恥じるんじゃないか。むしろ、これだけあるからそういう惨事があったら使ってほしいよというぐらいの問題でなければいけないだろう。  ですから、問題は、まずもう少し回収船をつくる必要があるだろうということが一つと、あるいはバイオを使って緊急にその処理を進めるべきじゃないか、こんなふうに考えておりますけれども、これは官房長官も含めて、運輸大臣。
  59. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 昨日から何回となく御答弁を申し上げておりますけれども、二日に起きましたタンカー事故によります油の流出、御承知のとおり、海上保安庁職員の必死の努力によりまして、三十一名の人命救助は成功したわけでございます。浮流油の防除作業、それから船首部の沖合曳航、これも大変な努力をしてくれましたけれども、残念ながら結果として成功いたしておりません。  そういう中で、今先生からお話しいただきました油の回収船、御案内のとおり、清龍丸を初めといたしまして、今我が国にあります油の回収船、静穏な海域を前提としてつくらせていただいているということで、一番外洋でも有効だと言われております、一隻と今おっしゃった、清龍丸のことだと思うんですが、これも、有効に活用するためには波高は二メートル以下でなければいけない。こういうことを考えますと、日本海のあの四メーターから六メーター、ひどいときには八メーターを超すというときには有効に活用できていないというのが現状でありまして、一つの大変大きな反省材料だろうと思っております。  また、先生御指摘いただきました油の処理の微生物を利用した分というのは、恐らく一九八九年三月、アラスカで起きました大きな流出事故のことをおっしゃっていただいていると思っておりますが、私の聞いておりますところによりますと、この石油を分解する微生物というのは、これを活性化させた栄養剤を使用するという手法だろうというふうに思っております。  海上災害防止センターの資料によりますと、この栄養剤が窒素や燐酸を非常に含むものであることから、海水の富栄養化が進む、逆に栄養化が進み過ぎて生物にとって極めて危険な状況になる、こういうことが問題として今提起されている、こういうことを解決する必要があるのではないか。  同時にこの方法は、油の性状だとか海水の温度、こういうところにも大きく左右されるということで、実際の使用につきましては、今後あらゆる角度から検討していく必要がある、こういう認識を持っております。
  60. 田中慶秋

    田中(慶)委員 資源のない日本であり、エネルギーが石油なり重油に頼る日本なんですから、そういう環境を、四万海、こういうことを考えても、技術的にも絶対に今のような形であっては、天気でなければ何もできないというこの発想は間違いだと思っております。やはり日本海は冬は荒れているわけですから、そういうことを含めてぜひ検討していただきたいと思います。  時間もありませんが、次は公務員倫理法の制定についてお伺いをしたいと思います。  実は、厚生省の岡光元次官があれだけの犯罪等々を犯してボーナスを支給されたということは、国民の感情として納得ができないという、こういう問題が多く聞かれるわけであります。このような問題、例えばアメリカの公務員倫理法の中でも、下院議長さんが寄附金の虚偽の申告をして罰金三十万ドル払ったという、こういう新聞報道もされているわけであります。日本の場合、公務員倫理法がないものですから、我が党としてはこの議会中に、政治家、公務員あるいは特殊法人、みなし公務員といいますか、そういうことを含めて、倫理法を議員立法として提案をさせていただきたいと考えております。  これらに対するもし総理の見解があったらお聞かせをいただきたいわけでありますが、その前に、やはり公務員の中にも就業規則があると思うのです。今、就業規則を現実に幹部の皆さんが守っているかどうか。大変忙しいこともわかりますけれども、今、公務員の就業規則は恐らく九時なり九時半なり、こういうことだろうと思いますが、大体幹部の皆さんは、もう十時にならなければ出てこない、これが現実であります。どの省庁、一部を除いてすべてがそうであります。  確かに夜遅くまで勉強もされるでしょう。それだったら、フレックスタイムをちゃんととるとか、そういう形で規律をちゃんと守ることから始まる、院より始める、これが私は倫理の一番大切なことではないかな。これらについて総理並びに官房長官、考え方があったらお聞かせをいただきたいと思います。
  61. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 たび重なる公務員の不祥事について、特に昨年十二月に事務次官等会議を開催をいたしまして、その対策を研究いたさせ、全省庁における訓令として制定をされた公務員倫理規程の厳格な遵守をしろ、こういうことで目下その成果を見守りつつあるところであります。関係閣僚会議あるいは閣僚懇談会としては、倫理法の制定も視野に入れながらその対応をしてまいりたい。  それからもう一つは、罰則や規則の強化もさることながら、善良に働いている公務員の方々を余りにも萎縮させてもいけない。その両面を見ながら、目下この対策に当たっているところであります。
  62. 田中慶秋

    田中(慶)委員 いずれにしても、公僕と言われる公務員の皆さんも含めながら、この倫理の問題はこれから私たちこの議会を通じて議論をさせていただきたいと思っております。次に、時間もありませんが、少子化の問題についてお伺いをしたいと思います。  日本の重要課題の一つに少子化があるわけであります。世帯当たり一・四三、こんな形で、年金や社会構造が世帯当たり二で計算をされていた、こんなふうに記憶をしております。一・四三ということは、もう抜本的に崩れていることも事実であります。こういう数字が出ているにもかかわらず、いかにして子供を産んでもらうか、産める環境づくりというものをもっともっと重要課題として行うべきじゃないかな。  例えば、お産の費用を公費負担にするとか、あるいはまた育児休業法、私も、育児休業法をつくるときには、議員立法として出させていただく、そのときの一人で勉強させていただいたわけでありますが、スタートの時点の我々の考え方は、当時、健康保険並みの七〇%を保障しょうじゃないか、そのためには国も百円、企業も百円、あるいはまた働いている従業員も百円ずつ出せば賃金の大体七〇%ぐらいまで保障できるという計算値に基づいてこの育児休業法を提案をいたしました。現在では四分の一、こんな形になっております。  また、教育費が負担が多いということで、確かに授業料あるいは入学金が高いわけであります。そんなことから、教育環境の整備というものも当然必要であろう。例えば教育費の入学金や授業料、それぞれ収入の中で授業料等々は所得控除にすればもっと産める環境ができるのではないかな、こんなことも考えてみました。いろいろなことを考えながら、やはり少子化の時代をどのようにして克服するかがこれからの日本の運命にかかわっているんだろう、こんなふうに思っております。  これらについて、文部大臣、厚生大臣、この考え方、あるいは労働大臣も含めてお聞かせをいただきたいと思います。
  63. 岡野裕

    岡野国務大臣 先生のお話、各大臣の上に労働大臣、こういうお話がございましたので、手を挙げさせていただきました。  先生のお話の中で、いかにして子供が産めるか、私ども労働行政の中では、職場にある女性、この皆さんに安んじて仕事をしながら子供が産めるような環境づくりをしようではないか、これが先生お話しになりました育児休業制度でございます。  結局今のところ二五%ということでございますが、これはやはり失業給付、これとの均衡を図らなければならないということから、十カ月二五%ということに今現行法制はできております。それで、一年半たったわけでございますが、この情勢を見ながらこれからも検討してまいる余地があるかなと思いますが、結局、掛金を、負担を多くしなければこれ以上の給付というものは難しいというところがやはり基本ということに相なっております。  そんなところで、これからも検討してまいろうと思っております。よろしくお願いいたします。
  64. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 少子・高齢化の社会にどういう対応が必要か。特に少子化の問題は、今後年金を考えますと大変大きな影響を与える問題であります。そして、子育て支援だけでは解決できない問題ではないか。出産費用を与えるというお話もありましたけれども、今国立病院の分娩費、これを平均してみると大体二十九万三千円です、費用が。しかし、健康保険で出産の一時金として三十万円出ますね。だから、出産手当を与えれば子を産んでくれるのか。必ずしもそうではない。  これは非常に難しい問題ですから、人口問題審議会等あるいは各省庁いろいろな御意見を伺いながら議論を深めていって、どうやって社会全体の宝である子供を支援していくか、また子供を産んでもらうような環境を整えるか、もっといろいろな幅広い意見を聞いて議論を深めていきたい、そう思っております。
  65. 小杉隆

    小杉国務大臣 委員御指摘のとおり、少子化社会においてあらゆる子育てがしやすい社会を構築していくということは大切なことであり、これは各省協力して、政府として一元的、総合的にやっていかなければいけないと思っております。  文教関係、教育関係におきましても、予算面、税制面で、委員がいろいろ御指摘されましたけれども、できることとできないこととありますが、私どもはまず、例えば十六歳以上から二十三歳までの学校へ行っている子供さんを持っている方には扶養控除、これを割り増しで十五万円とか、それから住民税では八万円、そういう特別の制度を設けておりますし、それから、育英奨学事業につきましては、予算においても六・一%増の二千五百億円余を計上しておりますし、幼稚園の就園奨励費につきましてもできる限りの対策を講じているところであります。
  66. 田中慶秋

    田中(慶)委員 もう時間も参りましたけれども、総理、私の記憶が間違いでなければ、海部総理大臣のときに、この少子化問題を各省挙げて検討委員会をつくっておられたと思います。そんなことを含めながら、是非これらの問題について
  67. 深谷隆司

    深谷委員長 田中委員、時間を過ぎておりますので、御協力をお願いします。
  68. 田中慶秋

    田中(慶)委員 はい、わかりました。  そのことを含めて是非検討されるよう要望して、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  69. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて田中君の質疑は終了いたしました。  石田勝之君から質問の申し出があります。どうぞ。
  70. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 新進党の石田勝之でございます。  若干私の質問時間が減りまして、質問通告の順序とはちょっと違いますけれども、先に総理に、行政改革に関して一、二点お尋ねをしたいと思います。  官僚の仕事が減らない限り人が減らない。ですから、規制緩和を強力に推進して官僚の仕事を減らす、それによって国家公務員の削減を図る必要があるのではないか。行革と規制緩和で国を再生したニュージーランドの場合には、公務員の数を八万八千から三万四千に、約三分の一になりました。単純な比較はできないわけでありますけれども、このくらい大胆な改革をやって初めて成功するものだろうと思っております。  そこで、総理にお尋ねをいたしますが、中央官庁の再編について行革会議で検討してもらい、来年の国会に関連法案を出して二〇〇一年に移行を開始することを目指す、相当慎重な言い回しをされておりまして、昨年閣議決定を行っておられますけれども、行革を後押しする国民の声にこたえてこのタイムスケジュールを前倒しして実施するお考えがあるかどうか。それから、例えば再編にあわせて公務員をどれだけ減らすかという新しい数値目標を掲げるつもりがあるかどうか、まずお聞かせいただきたいと思います。
  71. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今議員からもお触れになりましたように、一方で我々は地方分権を進めてまいります。当然のことながら、官から民へという視点の努力もいたします。そして、規制緩和等も行ってまいります。そして、それぞれが、既に私が内閣を率いることになります以前から、行政改革委員会、あるいは地方分権推進委員会という、国会で法律をもっておつくりになりました審議会で作業が進められております。  そして、例えば地方分権推進委は、昨年末、第一次の勧告を私にお届けをいただきました。当然、これを尊重していくのは我々の責任であります一次のステップは恐らく春になると言われております。そして、その春のときにちょうだいをいたしますもので恐らく機関委任事務のほとんどのものを整理をつけていただけると私は期待をいたしておりますが、こうしたものをいただいて、その上で地方に渡すべきもの、民間に渡すべきもの、また、規制緩和によって削減をしていくもの、そうしたものを踏まえて作業をしてまいります。  私は、十一月末までに中央省庁の再編の姿をお示しするというプロセスは、時間的に相当むしろ厳しい目標をみずからに課したと考えております。当然ながら、それによって残ります業務の量で定員というものは変化するもの、そのように思います。
  72. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 数値目標についてはいかがでしょうか。
  73. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 現在も総定員法に基づき、定員削減の計画を既に第何次までと重ねてきております。そうした目標は現在も持っておりますし、これからも当然持っていくものでございます。
  74. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 時間がありませんから、補正予算についてお聞かせいただきたいと思いますが、この補正の中身を見ていますと、高齢者・障害者在宅福祉等の整備基金の新設、そのために社会福祉事業団へ五百億円の出資をするという項目がありますが、きのう来、この予算委員会でも補正予算の緊急性についてさまざまな角度から質疑をされておるわけでありますが、この基金をつくって五百億円を出資するということはどこに緊急性があるのか。助成の中身について、項目別に緊急性を明らかにしていただきたいと思います。
  75. 小村武

    ○小村政府委員 今回補正予算で計上いたしました中に、税制改革関連のものとして、消費税の引き上げ、四月一日から行われますが、それに関連して、激変緩和措置として臨時福祉給付金を計上しておりますが、このほかに今お尋ねの消費税関連といたしまして、与党の合意に基づきまして、高齢者・障害者在宅福祉等の整備基金を増額をすることにいたしております。  これは社会福祉・医療事業団に対して出資をするものでございますが、本件につきましても、四月からの消費税引き上げを踏まえまして、できるだけ早期にこの基金を積み上げることによりまして、その収益を活用して障害者等の社会的弱者対策を充実するという配慮から補正に計上させていただいた次第でございます。
  76. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 今局長から答弁を聞きましたところ、どこに緊急性があるのか全く理解できないわけでありますが、そこで、角度を変えて聞きますが、大蔵省は、平成九年度予算の内示の段階で、厚生省の施設関係の補助金、たしか五百三十三億円だったと思いますが、この要求を最初認めなかったわけでありますが、この理由についてはどういう理由でございますか。
  77. 小村武

    ○小村政府委員 いわゆる社会福祉施設整備費のうち特別養護老人ホームにつきまして、このたびの厚生省の不祥事等を踏まえまして、その執行等々を含めまして、私ども、予算の段階でいろいろな議論をしてまいりました。そうした議論の中でなお話し合いがつかないということで、私ども、いろいろな条件について引き続き内示の後協議をしようということで、最終的には大臣折衝で決着を見たところでございます。
  78. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 まあ、そうですね。  つまり、補助金が随分ずさんな使われ方をした、このまま要求を認めると国会で批判が集中しかねない、そこで、内示段階では外して最終的に閣僚折衝で復活した。そのときにどういう条件をつけたんでしょうか。
  79. 小村武

    ○小村政府委員 大臣折衝におきましては、厚生省関係の施設整備費補助金全体につきましてその業務の再点検を行うこと、第二としては、特別養護老人ホーム等の老人福祉施設については、大蔵省、厚生省合同で工事契約等について実態調査を行い、その結果を、厚生省における業務の再点検結果等踏まえて、本年の一月末を目途に具体的な改善策を取りまとめること、第三点としては、厚生省関係のその他の施設についても九年三月末を目途に具体的改善事項を取りまとめること、この三つの条件を付して最終的に決着をした次第でございます。
  80. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 今御答弁にありましたように、再発防止のために、一月いっぱいに補助金の執行の業務の見直し案をつくれ、これが厚生省と大蔵省との大臣折衝の条件だ、それは当然の姿勢だろうと思います。  ところで、その厚生省の見直し案についてお聞きをしたいと思うのですが、福祉にお金を出してそれがきちんと使われているか、国民が大変今回の事件を踏まえて関心を持ってきているところであります。  消費税のアップ対策の名目で、いわばこじつけのように拙速に補正予算に取り組む前に、この事件の反省に立って、再発防止へ向けた補助金執行業務等の見直し案を大至急まとめるのが私は先ではないか、かように思っております。そこでこの予算を、これだけお金がかかるから認めてくれというのが筋ではないか、これが順序だろうと思いますが、順序が逆になっているわけであります。その点、厚生省どう考えておりますか。
  81. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 補正予算における基金と、今主計局長答弁しました特別養護老人施設に対する補助金、これは別であります。  特に、基金に対するものは、消費税が四月に引き上げられます。平成元年消費税が導入されたときも同様の施策を行っている、それに倣ってするべきだという与党の御意見を踏まえて基金を積み立てた。そして、特別養護老人ホームに対する補助金の問題は、この一月末、もうじきでありますけれども、今鋭意、再点検業務、項目見直しが進んでおります。いずれ近いうちにこれは発表できると思います。  そういうことで、基金と今回の補助金とは別であるということを御理解いただきたいと思います。
  82. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 一月中というように今大臣からも御答弁ありましたが、一月中といってもあと何日もないわけでありまして、もうほとんど原案の中身ができ上がっていて、字句修正の段階ではなかろうか、私はそのように理解をするわけであります。  そこで、例えば特別養護老人ホームの建設の発注の場合の入札のチェックだとか、あるいは丸投げの確認だとか、あるいは契約の方式だとか、あるいは社会福祉・医療事業団からの融資の際の償還者、いわゆる寄附者ですね、このチェックだとか、あるいは法人の理事会の運営方式、あるいは理事会等々、これらの点が見直し案の中に入るのが当然だろうと思いますが、そういう項目について見直し作業でどのような今議論をされているのか、どこまでまとまっているのか。もう既に埼玉では再発防止についての対応策というのはまとまって、ペーパーをちゃんと出しておるわけでありますが、厚生省はどこまでまとまっていて、今何を検討しているのか、ちょっと具体的に説明をしていただきたいと思います。
  83. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 お尋ねの、今月末を目途に進めております施設の補助等にかかわります再点検の内容でございますけれども、今先生御指摘のございましたような項目にわたりまして、今最後の詰めをいたしております。  具体的な内容につきましては、今調査委員会という形で省内に設置をしました委員会で詰めておるところでございますので、ごく近日中には発表する予定でございますから、それをお待ちをいただければというふうに思いますが、一つの方向としましては、先生もお話のございましたように、今回の事件にかんがみまして、幾つかの点がございますが、一つには、補助金の交付対象施設の決定につきまして、その要件なりあるいは手続、方法といった点について甘いところがあったということにつきまして、この見直しを行いましてその後適正に行われるようにするという点が一つでございます。  それから、補助金の交付決定あるいは法人の認可、あるいは事業団の融資の決定、こういったことに当たりまして、関係機関の間に相互に連絡調整をする体制というものが必ずしも今まで十分でなかったのではないかということで、連絡調整を密にして総合的な審査ができるような形に持っていくということを一つの方向として考えております。  それから、今お話のございました中で契約等にかかわるところでございますけれども、特別養護老人ホームあるいは社会福祉施設といったものの性格にかんがみまして、その建設に当たりましては公共事業に準ずるような厳格な取り扱いが行われるように、契約等につきまして、手続、審査等につきまして、今まで以上に厳格なルールあるいはルール自体の透明化というようなことを図ってまいりたいということで、今その具体策につきまして近日中に取りまとめをしたいというふうに思っております。  それからもう一つの点は、今回の事件がいろいろに、法人が特定の個人によりましていわば専断と申しますか独断でやられていたということが今回のこういった事態をもたらしたという側面がございますので、法人の運営あるいは財務といったようなものが恣意的に、独断専行ということにならないように、理事者の構成の問題でございますとか、あるいは運営、財務の公正、そういったようなもの、あるいはその中の情報の透明化といったような点につきまして、具体策を今政府部内、厚生省におきましての調査委員会で一月末をめどに進めておるところでございます。  なお、与党におきましてもそういったことにつきまして部会等設けていただいて御審議をいただいている、各党におかれましてもそういうことで御審議をいただいているところでございますが、政府におきましては、今のようなことで一月末をめどにあれしていますので、近日中に発表をさせていただけることと思います。
  84. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 では、一月いっぱいにそれが出されるということですね。  そこで、問題の彩福祉グループについてお尋ねをしたいと思いますが、社会福祉・医療事業団理事長、来ていますか。  社会福祉・医療事業団の融資の条件のうち、老人福祉法に規定されている特養ホームなどの融資限度額及び融資率はどうなっているのか、お尋ねをしたいと思います。  これは事業団の「融資のご案内」というパンフレットでありますが、これによりますと特別養護老人ホームなどを設置する社会福祉法人は自己負担のうち八〇%を限度として事業団から融資が受けられる、こうなっているわけであります。  そこで、厚生省の今回の汚職事件、例えば彩福祉グループの社会福祉法人、具体的に言いますと桃泉園が設置している特養、上福岡苑の場合だと、設置者の負担額が八億七千万円に対して事業団からの融資額は九億円になっている。川里苑の場合は、二億九千万に対して融資額が三億四千万。「融資のご案内」にある融資限度額は自己資金の八〇%というのと違っている。その点について事業団の理事長から明らかにしていただきたいと思います。
  85. 黒木武弘

    ○黒木参考人 答えさせていただきます。  事業団が自己負担額を上回って、八〇%の上限を超えて融資をしているのではないかという御疑念だと思います。  これは、端的に申し上げますと、国なり県の補助ベースになります対象事業費と、事業団が融資をする場合の基準対象事業費のとらえ方に差があるからでございます。  本件で具体的に言いますと、職員宿舎だとか上水道の工事だとかその他いろいろな附帯工事については国の補助対象の、今回の事業費の枠の外でございますけれども、我が方はもっと大きな補助対象基準額の中から国庫補助、制度的な補助を除きまして、そこから自己負担を算出し、その中からの八〇%の上限の枠内で融資をしているわけでございまして、端的に申しますと、基準事業費のとらえ方が差があるということからきたものでございまして、上限を超えた融資はいたしておりません。
  86. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 その精算についてはいつされるのですか。
  87. 黒木武弘

    ○黒木参考人 これは事業が確定してからでございますけれども、例えば今回の我が方の融資の申し込みに出ておりましたいろんな工事が、例えば行われなかったとか、あるいは今回三年間にまたがって補助金をいただいておりますが、申し込みのときよりも補助単価がふえておりますので若干自己負担部分が縮小したりとか、いろいろ我が方の基準対象事業費が増減がございますので、それを精査して行うわけでありますけれども、これは順次事業費が確定する、あるいは工事が確定した段階で事業費を確定して、必要があれば精算に入ってまいりたいと思っております。
  88. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 福祉ということで、ほかの金融機関だとかあるいは政府系の金融機関なんかと違って精算の時期が異なっているんだ、かように私は理解をするわけでありますが、それでは、事業団の融資の際の審査のあり方についてお尋ねをしたいと思いますが、この事業団が重点を置いてその審査をする審査事項、どのような点なのか、それをちょっと明らかにしていただきたいと思います。
  89. 黒木武弘

    ○黒木参考人 融資に当たりましては、当然のことながら借入申込書に基づきまして、担保が大丈夫であるか、あるいは保証人が大丈夫であるか、償還財源等についての見通しは大丈夫なのか、あるいは過去に不良債権がないとかあるいは既往貸付分についての延滞がないとか、総合的にあらゆる角度から審査をいたしまして、審査決定をいたしておるわけでありますけれども、基本的に申し上げますと、我が方の債権保全上の観点は物的担保でございまして、担保が融資の額の範囲内できちっとあるかどうかが基本でございます。  その次には、保証人でございまして、保証人の立て方あるいは保証人の資産能力等が第二になります。  あるいは、最後になりますけれども、償還財源について、寄附という形で善意の寄附を集めて償還されるのが通常でございますけれども、その場合の償還予定者について一応我が方はお聞かせをいただいているということでございますが、基本は物的担保でございます。
  90. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 今理事長から償還財源の話がありまして、この点について触れさせていただきたいと思いますが、例えば社会福祉法人に九億円を貸し付ける場合に、その九億円を返済する財源が確かにその法人にあるかどうか。これを証明するのに、私の調査では、複数の個人がその法人に、例えば九億に相当する金額を贈与するという契約を事前に結んであるということが必要であって、その個人の所得証明書を提出させて、その贈与額がその個人の課税所得の四分の一以内かどうかを判断して、そして償還計画の財源として無理があるかどうか、無理がないかどうかを審査のポイントとしている、私どもではこういうように調査しているんですが、そのように理解をしてよいか。  そして、その法人の理事長が償還者に含まれていなければいけないと私どもは聞いているわけでありますが、それで間違いがないかどうか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  91. 黒木武弘

    ○黒木参考人 一応償還予定者と申しますか、寄附をしていただく善意の形で福祉施設は建設されるわけでございます。大部分は無理がないように手厚い補助、あるいは、その寄附者が一時の拠出ができないということもあり、我が方が二十年の長きにわたって低利融資することによって、善意の寄附者からの寄附が集まった形で、善意の形で福祉施設はでき上がるわけでございます。  その際、我が方が融資するに当たりまして、その善意の寄附者が一応大丈夫かどうかということで前年の所得を見させていただきまして、無理がない範囲内、先生御指摘がありましたけれども、四分の一以内の範囲であれば、まあ我が方としては問題なかろうという判断の物差しにしているのは事実でございます。  それから理事長につきましては、当然我が方は、経営責任を持っていただくということで保証人になっていただく。それから、いろいろ都合があるでしょうけれども、少なくともほかの人から善意の寄附を集めるわけでございますから、理事長みずからも何らかの償還財源予定者に加わってもらうのが望ましいということで、そういう考え方でおるところでございます。
  92. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 お手元に「彩グループ償還者覧」という六つ社会福祉法人の資料をお配りをいたしたわけでありますが、ここに書いてあるAというのは小山博史被告であります。これをいろいろ見てみますと、一人で一年間で二千万、寄附者として二十年払い続ける、大変奇特な方もいらっしゃるなと思うわけであります。  ここの桃泉園の上福岡苑、ここには理事長である小山が含まれておりません。これについて、どういうことなのかお聞かせいただきたいと思いますが、そのほかの五つの法人は小山被告が寄附者として出ております。この小山被告の償還額の年間トータルは約八百四十万円ぐらいになると思うわけでありますが、小山は、私は埼玉ですからいろいろ事情は知っておるんですが、地元ではできの悪いどら息子と言われていて、大変評判が悪い。なおかつ、個人の借金が約十八億円あるんですよ。事業団の融資の償還額が、二十年ですが、こういう男が一年間八百四十万円も二十年間も返済できると思っているのか。  また、この中には、先ほど申しましたように、年間二千万円を二十年償還しなければいけない人もいる。これは常識的に考えて容易なことではない、こう私は思うわけでありますが、審査の段階でこれらについてどう判断されたのか、事業団からお聞かせいただきたいと思います。
  93. 黒木武弘

    ○黒木参考人 まず第一点の上福岡苑について、小山氏が償還者になっていないのではないかというお尋ねでございますが、先ほども申し上げましたように前年の所得で見させていただいているわけでございまして、対比で、無理があるかどうか。小山氏の所得につきましては定かではありませんけれども、私のいただいている限りにおいては、前年所得が大変変動いたしておりまして、このときの申し込み時点においては前年所得が償還者に足りる所得がないということで、私どもではやむを得ず償還予定者から外した措置をしたというふうに聞いております。  それから、年間相当巨額の償還をする人があるのではないかということでございますが、例えば、病院経営者あるいは事業の経営者等から、同じように二千万近く毎年寄附をしていただけるという例もほかにあるわけでございまして、私どもは、全体的には、そういう善意の協力者で施設ができるという、それがほかの施設でも実態でございますので、今回の償還者については、私どもは無理のない範囲の償還計画であるというふうに審査をいたしまして、今回の融資決定をいたしたところでございます。
  94. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 今理事長から無理のない償還の金額ではないか、こういう答弁がありましたが、私も、同じ埼玉県の同様の百ベッドあるしにせというか、古くからやっている優良の特養の関係者からいろいろ話を聞きました。その年間の償還財源について、これは埼玉の東松山にある特養の関係者から聞いたわけであります。  その償還財源で集めるのは、そこは県内では優良の社会福祉法人だと言われているわけですが、それでも大体一年間で三百万円程度だとその人は言っているわけであります。お手元に配付しましたあけぼの苑にしてもあるいは上福岡苑にしても、償還金額のトータルが五千万を超えているとか三千万を超えているとか、その方は、とても私ども携わっていてこんな償還金額が二十年も続くわけがない、こういうふうにその関係者が言っているのです。今理事長は無理のない償還金だとおっしゃっていましたけれども、同じ県内の同様の百ベッドを持っているその関係者は、とてもうちでは、長らくやっているうちですら三百万ぐらいしか集まらないんだ、そういうふうに実際言っているわけです。  それで、五千万も償還金を集めると言って、そんな、無理のない範囲だと今おっしゃっていますが、現実の、実際のあれと理事長の答弁とかなりかけ離れておると私思うのです。そういうやり方がこういう事件を生んでくる一つの要因になっているのじゃないか、私はかように思うのですね。  それで、埼玉県議会でもこれらの問題は取り上げられていて、連日にわたって百十条の特別委員会でいろいろ調査をしているわけでありますが、彩福祉グループの社会福祉法人の理事を呼んで、あんた、どういう経過で理事になったんだと言ったら、いや、私は理事になった覚えがないとか、小山さんから電話で頼まれたとか、そういう極めていいかげんな内容になっているのです。それで、この償還者も本当に趣旨を理解して承諾したかどうか、これは極めて疑問なのです。そういうところに、ただ、ここにある「寄付申込書」というこういう用紙に、特別養護老人ホーム、例えば上福岡苑の設立に当たって、社会福祉事業団の借入金返済金として、二十年間償還、幾ら幾らを寄附いたしますという紙っぺらをつけて、それで送って、それで県が意見書をつけて認める、こういう形になっているわけなのですよ。  それで、本来、事業団も財投のお金が入っているわけですから国民のお金です。そういうものが融資して、本来福祉のために生かそう、そういう福祉を食い物にする中でこういう事件が起こった中で、そういう審査にしても何にしても現実の話とは全く違うし、今答弁された理事長のお話を聞いていると全く無理のない範囲ですとか、私はその答弁にはとても納得できないのです。事業団としては、その融資を行う際に一人一人の償還能力について審査したのですか。
  95. 黒木武弘

    ○黒木参考人 無理のないと申し上げましたのは、私どもの方の判断基準として前年所得の対比で見させていただいている、その限りにおいては無理のないという御答弁をしたわけでございます。償還予定者あるいは寄附予定者が、その後のいろいろな事情で寄附できないという事態ももちろんあるわけでございます。  私どもは、法人と事業団の間には貸付契約、金銭消費貸借契約証書というのを結んでおりますけれども、これは事業団と法人との契約でございまして、寄附をされる、されないというのは法人と寄附者との契約関係でございまして、私どもの契約の中では、償還をいつからいつまでしていただくか、あるいはどの程度していただくか、担保をどうするか、保証人をどう立てていただくかというのが契約の中身でございまして、償還予定者、寄附予定者と法人との関係は、法人とその個人との関係でございます。そういう意味で、契約外におられる第三者について、私どもの確認は限界があるわけでございます。  そこで、どうしているかと申しますと、贈与契約書というものを提出していただきます。この贈与契約書によって寄附をしていただけるかどうかというのを確認するわけでございますけれども、それが不正につくられることがないように、県当局では、実印が押されているかどうか、印鑑証明をとつだ上で贈与契約の形がつくられて、私どもが審査しているわけでございますから、私どもは本人に直接、寄附する意思がありますかということを一々、たくさんの協力者、寄附者が全国におられるわけでありますから、法律上あるいは契約上あるいは事実上、なかなか確認することは困難だということで、御理解をいただきたいと思います。
  96. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 今私が聞いているのは、同じ特養の関係者が一年間で償還金を集められるのは三百万が限度だと言っている中で、五千万も集めるということを、一年間の所得証明書を添付して出して、それで実際にその書類を見たときに、本当にここで五千万集められるかどうかを他例と比較して疑問に思わないのかということなんですよ。  それは前年度の所得の金額の四分の一になっているからいいとか悪いとかじゃなくて、常識的に考えて、二千万も二十年間も寄附をしてくれる人だとか、あるいは五千万もその償還財源として二十年間にわたってあれするだとか、そういうことを、ほかの、全国にいっぱいありますから、こうおっしゃっているけれども、全国にある中で正直言ってそんなに集められるのかどうなのかということなんですよ。  それと、先ほど印鑑証明つけてと言いましたが、では、印鑑証明全部出せますか、これ。  県に聞きましたら、印鑑証明がないものまで出されているという話ですよ。ちゃんとそれ確認したのですか、全部、印鑑証明。県も今、寄附者が本当に二千万だとか一千万だとか一千二百万だとか寄附できるかどうかを確認しているのですよ。ところが、印鑑証明が添付されていないものまであるから確認できないと言うんだ。  だから、事業団として確認できているのですか、これ。
  97. 黒木武弘

    ○黒木参考人 事業団としては、贈与申し込みの契約書で確認させていただいている。県御当局が印鑑証明書で確認をしているということでございまして、私どもが確認する仕組みにはなっていないということを申し上げているわけでございます。  それから、確かに私どもは、手厚い補助と長期にわたる融資によって、できるだけ寄附が無理がないようにという制度をつくっているわけでありますけれども、ほかの法人も、例えば協力会だとかあるいは篤志家を見つけた形で施設が現実にできているわけでございますから、私どもの融資の判断として、ほかの法人と同じように、贈与契約書の写しを前年所得と対比しながら無理がないかどうかと判断をし、ほかの法人等についても、たくさんの協力者がおられる場合がございます、あるいは特定の資産家が寄附されるわけでございますけれども、そういう中で、それぞれ法人が責任を持って、自己負担の財源は長期にわたってお願い、あるいは協力者を得てやっていくというのが現在の仕組みでございますので、これから法人側がそういう努力なりされると思いますけれども、それが今後、こういう不祥事が起こったためにいろんな問題が生じることと思います。私どもは当然それについて、県当局あるいは国ももちろんでございますけれども、法人の新しい理事様方と、今後の償還についてどうするか、十分御協議を申し上げまして、直ちに返さないから強制執行とかいう考えは毛頭ございませんので、十分慎重に、県等の意見を聞きながら、法人等の意見を聞きながら対応してまいりたいと考えております。
  98. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 対応するといったって、もう融資の金額出ているわけでしょう。そんなことは最初から慎重にやるべきなんですよ。こういう数字が五千万とか、一人で二千万も一年間で出して二十年間も出し続けるとか、そういうのは本来常識から考えて無理だろう。そんなもの、上がってきたからはいはいと言って判こを押してやるからこういう問題が出るんですよ。はっきり言って、この五千万とか三千万とか、一人で二千万とか二十年間にわたって寄附者として寄附し続けることは不可能だろう、そういうふうに私は思いますよ。  では、ちょっと角度を変えますが、これは国税庁にお尋ねしますけれども、実は小山被告は埼玉県志木市の自宅建物や北本市に所在する桃泉園北本病院の土地を所有している。この土地と建物は国税を滞納したために平成二年十一月に大蔵省に差し押さえられて、平成五年一月にはさらに大蔵省の参加差し押さえを受けている。大蔵省の差し押さえ及び参加差し押さえが解除されたのが平成七年五月なんです。この時期に税金は払ったのですか。この小山氏の登記簿を見ると、差し押さえを受けているのですよ、税金滞納で。
  99. 薄井信明

    ○薄井政府委員 国税庁参っておりませんので、事実関係を承知しておりません。
  100. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 質問通告を、私、きのう政府委員が来たときに、こういう質問をするよと言っておいたんですよ。国税庁にちゃんと答弁するようにと私言っておいたんですが。
  101. 深谷隆司

    深谷委員長 国税庁、だれか来ていますか。国税庁。
  102. 薄井信明

    ○薄井政府委員 至急連絡いたしますので、御了承ください。
  103. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 私はきのうちゃんと、質問するに当たって、各参事官だとか政府委員が来て、どういう質問をしますかと。私なりに懇切丁寧に説明してやったつもりなんですよ。この話だってちゃんと私は言っておいたんです、国税庁にこういう質問をしますよと。それでいないというのはどういうことなんですか。それなら質問続かないですよ、これ、委員長
  104. 深谷隆司

    深谷委員長 委員長からも大蔵省当局に厳重注意をいたします。恐縮でございますが、他の質問があったら続けてください。
  105. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 私どもの調査では滞納していたんです。それで、滞納して差し押さえを受けた平成二年十一月から差し押さえを解除された平成七年五月の間に、彩福祉グループの社会福祉法人桃泉園、それから彩吹会、彩光会、この三法人に対して事業団は十七億三千万の貸し付けを行っているのですよ。滞納していて、それが、滞納していた人間が八百四十万もその償還者になると言っている、そういう中で十七億三千万も貸し付けているのですよ。いろいろ精査して、よく審査してなんて先ほど理事長言っていたけれども、ちっとも審査なんかしてないじゃないですか、これ。  もちろん、この三法人から事業団に提出された借入申込書の書類の中には、償還者の名前として税金を滞納していた、今言ったように小山の名前があって、だから、税金を滞納していても、その償還者が問題なしとなってしまうのですか。そういう調査の仕方なんですか。社会福祉事業団としては、税金を滞納している人物が償還者であっても、書類さえ整っていれば、審査方法に問題ないから認めるということなんですか、どうなんですか。
  106. 黒木武弘

    ○黒木参考人 何度も御答弁申し上げておりますように、償還財源予定者、寄附申込者というのは、法人とその寄附をされるという善意の方との関係でございまして、私どもの消費貸借契約には登場しないものでございますけれども、ただ念には念をということで、償還予定者のリストをいただいて、前年所得で無理があるかどうか判断しておりますけれども、その償還財源予定者について、負債があるか、あるいは税の滞納があるか等について、今そこまで調査する仕組みにはなっておりません。
  107. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 これまでの参考人のお話を聞いていますと、どうもこの事業団の融資のあり方に、私は大変疑問が残ります。  それで、厚生省のOBがこの事業団の中に、理事以上で五人、黒木さんも厚生省の次官経験者でOBであられますけれども、五人いるのだ。どうも融資のあり方で疑問が起こって、例えば船舶振興会の日本財団に茶谷が乗り込んで融資をお願いしている、こういう例もあるわけですよ。ですから、融資の際に、あなた方のところに岡光だとかあるいは茶谷だとか、そういう人物から働きかけがあったのじゃないですか。どうなのですか、参考人、それは。
  108. 黒木武弘

    ○黒木参考人 正直に申し上げます。  本不祥事が起こりまして、私も事業団の今回の一連の融資案件について内部調査を行いました。私を含めまして事業団の役職員に岡光前次官からの働きかけは一切ございませんでしたし、そのために便宜を図ったという事実もございません。  ただ、茶谷前課長については、融資に当たりまして事業団は県の意向を聴取することになっております。県の考え方を聞くために接触があったことは当然でありますけれども、茶谷容疑者から何らかの圧力があり、それについて便宜を図った事実も一切ございません。
  109. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 厚生省に今度聞きますが、この償還者が社会福祉法人と結んだ贈与契約が、真正に結ばれたものかどうか非常に疑問なんです。そこで、今大変心配をされているわけでありますが、小山被告が償還者に十分な理解を得ることなく贈与契約を結んだことがないだろうか。厚生省は事業団をきっちり指導して、これは早急に調査させるべきだと思いますよ。それが、この彩福祉グループのもろもろの厚生省の疑惑、あるいは各法人の私は再建策につながってくるものだろうと思います。そういう中で早急に調査してほしい、こう思いますが、厚生大臣のちょっと御答弁をいただきたいと思います。
  110. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 調査いたします。
  111. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 さて、埼玉県の彩関係の六施設のうち、三つはもう既にオープンしております。残る三つ、ここにもありますが、上福岡とか川里とか鷲宮とかこれはまだなんです。一応三月を目標にオープンさせたいという県の意向があるようですが、しかし、ジェイ・ダブリュー・エムという会社、まあ後で言いますが小山が実質オーナーをやっていて、ここの大株主が村田士郎氏という人物だったわけですが、そのジェイ・ダブリュー・エムから下請に入った建設会社に工事代金がまだ支払われていない、そういう現実なのです。  そういう中で国としては、今補助金が平成八年分が凍結されておりますから、この補助金についてどう考えておられるのか、厚生省の御答弁をいただきたいと思います。
  112. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 お答えを申し上げます。  平成八年度の補助金で、今御指摘のございましたように凍結をいたしている部分がございます。  これにつきましては、やはり今回の事件にかんがみまして、要すれば、今問題になっておりますそれぞれの福祉法人、そしてそれぞれの施設がきちんと問題のない適正な体制で事業運営ができるような体制ができない限りは、やはりそのまま補助金を出すべきではなかろうということで、現在、適正化等につきまして、必要な改善策をとってもらうということで県当局とも相談をいたしまして、その体制づくりを進めていただいているところでございます。  今、それぞれ県におきましても、福祉法人の理事体制の刷新でございますとか、そういったことを進めていただいておりますので、そこらあたりのところの適正化の状況を見きわめながら、また、私どもとしても、そういう適正化に向けての指導をいたしながら、そのことを待って執行してまいりたいというふうに思っております。  今先生御指摘のございましたように、その施設に入っておられる、あるいはそこの施設を非常に待ち望んでおられる地域の方々は大変多うございますから、そういったことを十分に考えながら、適正な執行と、そしてそういった地域のニーズにこたえるという面と両方成り立つように努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  113. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 今局長から答弁がありましたように、一番心配しているのは、入所を待ち望んでいる人たちのことなんです。そういう人たちがたくさんおられる。  先ほど申し上げましたように、事業団からの融資について、償還人の人たちが本当に寄附をし続けることができるか。その寄附を続けることができないということになったら、その社会福祉法人を運営してくることができなくなっちゃう、それが一番の問題なんだ。寄附者が一年間で二千万も二十年間もずっと寄附を続けられればいいですよ、黒木さんが言っているように。私はできないと思う、常識から考えて。そうすると、結局その法人が運営ができなくなっちゃう。運営ができなくなっちゃうと、そこが、社会福祉・医療事業団としては土地と建物を担保にとっているからいいですと言うだろうけれども、それは社会福祉・医療事業団はそれでいいかもしれない。しかし、中に入っている入居者が一番困るんです、これは。  例えば、その法人がだめになっちゃって、お年寄りを別な場所に措置がえといって移したり、そういう事態が私はこれ起こっちゃうんだと思いますよ、いずれ。措置がえ。そこの社会福祉法人が運営できなくなっちゃって、それで、入っている人たちをどうしようか、ほかのところへ行ってもらうといって分散して、分けて行ってもらう。そうじゃなくたって埼玉はどんどんどんどん人口がふえてきて、これから高齢化も入ってくる、そういう中で、結局ほかの施設に措置がえ、そういう事態もこれ起こってしまうんじゃないか。  そういう意味で、国として、凍結は解除するにしても、債務の確定だとか、お手元に配付したこの一覧にあるように、償還者の能力だとか、今後の再建計画だとか、相当慎重な見きわめをしないと私はそういうことになってしまうのではないかと思いますが、厚生大臣、いかがですか。
  114. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 今までの御質問にありますように、この補助金の仕組みを悪用したために今回のような不祥事が起こった。業務の再点検、審査体制、今進めておりますので、再発防止のためにどのような措置を講じたらいいか、今の御質問、御指摘を参考にしながら、これからよりよき再発防止策をつくっていきたい、そう考えております。
  115. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 国税庁。私は質問通告をちゃんとしていて、それは怠慢です、はっきり言って。  先ほどの質問について、私言うと時間ないから、ひとつ答えてください。
  116. 堀田隆夫

    ○堀田政府委員 ちょっと手違いがございまして、大変失礼いたしました。  御質問でございますけれども、私ども、個別にわたる話についてはお答えできないということで答弁を差し控えさせていただきたいと思いますけれども、差し押さえを解除するということにつきましては、その場合には納付があったということでございます。一般論として申し上げると、そういうことでございます。
  117. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 時間がないから先へ進みますが、橋本総理、今までのやりとりを聞いていて、政府に補助金とかそういう執行業務の見直しなど、しっかりしていただくのはこれは当然のことですが、厚生省の前の次官に続いて、またつい先日運輸省の元次官が逮捕されたり、国民はまた官僚か、こう思っていて、また政治家か、また官僚か。その政官業の癒着について今非常に国民の不信が高まっている。  そういう中で、これは本会議においても質問が出ましたけれども、政治・行政倫理法の制定を私は強く求めたいと思いますが、今までのやりとりを踏まえて、総理大臣の感想等、その政治・行政倫理法の制定についての御答弁をいただきたいと思います。
  118. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 むしろ従来から、私は予算委員会で申し上げたかどうか記憶がございません、本会議では申し上げたと思いますが、私はむしろ法律をもって律しなければならないということ自体が恥と、私はそう思いますということを申し上げておりました。そしてその上で、昨年末まとめました公務員のルールというもの、これが遵守され、厳正に対応されることによって国民の信頼を取り戻したい、そう申し上げてまいりました。その上で、閣僚懇談会等でも我々はそうした問題も視野に入れながら議論をいたしております。  相願わくば、そうした法律といったもの以前の段階、みずからの行動規範においてこうした事態がなくなることを本当に願いますけれども、閣僚懇談会等における議論の中でそうしたものを視野に入れて議論をいたしておることは事実でございます。
  119. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 さて、これは参議院の本会議でも出たわけですが、六千万円を収賄して辞職願を受理されて、昨年の暮れにボーナスさえ受けた岡光前次官と、百万円もらって懲戒免職になって、ボーナスも退職金もなくなっちゃった和田審議官の処分に大きな落差があるんじゃないか、こういうふうにせんだっての参議院の本会議でも取り上げられたと思うのであります。総理はその答弁で、岡光前次官は疑惑を認めていなかったから、実態解明を急ぐ意味から小泉厚生大臣が辞職承認を政治決断した、こういうふうに答弁されておりまして、和田審議官は逆に疑惑を認めた、だから御指摘に当たらない、大筋このように答弁されているわけですが、これでは国民がとても納得できない。どうして辞職を認めないと実態解明がおくれるのか。こういう答弁を繰り返していると、厚生族の大物である総理が旧知の岡光次官をかばう、そういうふうに思われちゃうんじゃないかな、かように思います。  きょうのたしか読売新聞だったと思いますが、国家公務員が不祥事を起こしたときに、在職し続ける場合でも、起訴の有無にかかわらず退職金を支払わないことができるように政府は国家公務員退職手当法の改正の検討に着手したとの報道がされている。この報道の中身について、事実なのか。今申し上げましたように、辞職を認めてあれした落差が次官と審議官であるわけでありますが、この処置は、まあ総理答弁などそういうのを踏まえて、これは理解されないと思ったから改正を検討しているんじゃないか、そういうふうに思いますが、その点の報道の事実と改正の検討についてお答えいただきたいと思います。
  120. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 岡光次官の件について御質問が出ましたので、総理の前に答弁させていただきたいと思います。  十一月十九日の時点で新聞に疑惑の報道が出ました。その時点で岡光自身は否定しておりました。そして、事務次官という事務方の最高責任者の立場、そしてこれからの厚生行政を進める、そういう観点から、私は、岡光氏が判断して、それでは自分が身を引いた方が厚生行政推進のためにいいだろう、その判断を尊重して辞表を受け取り、認めました。退職金は速やかに支給しなきゃならない規定がありました。私は支給を停止いたしました。そして、介護保険法案を初め、山積する厚生行政を推進するためにいち早く体制をとらなきゃならないと思いまして、三日後に新次官を決定しました。退職を認め辞表を受け取ったこと、退職金支給を停止したこと、新次官を決定したこと、すべて私の政治判断であります。  そして、それでは、皆さんが言われるように、疑惑が本当だろうと。本当だったらば、私は司法当局が判断すると思います。しかし、本人が否定しているとおり、疑惑がもし事実でなかった場合に、どのような名誉回復があるんだろうか。それはあり得ないと思いますね。しかしながら、それではということで官房付に万が一したと思います、次官が官房付になった例は今までないと思いますけれども。そういう場合に、逮捕の時点で懲戒免職にすべきだという意見がありました。逮捕されたのは十二月四日であります。その場合においてもボーナスは全額支給されます。  和田審議官の場合は、審議官でありますから、疑惑が報道され、本人も認めるような発言をしていたから、私は官房付にしました。そして結果的に、いろいろな判断から、何人か懲戒処分の対象におりましたから、その他の者と含めて総合的に判断するということで、本人は懲戒処分にしました。しかし、懲戒処分でもボーナスは支給されます。これは給与の一部だということであります。  そういう観点から、私は、何が不公平なのかと。和田審議官は懲戒処分にして、逮捕されない。岡光氏は次官として身を引いた、そして逮捕された。退職金は支給していない。そういう観点から、いろいろな議論が起きましたから、もし退職しても在任中にも懲戒処分に当たるような行為が出てきたらば、退職後懲戒処分できるように法律改正するのは、それは一つの見識ではないかというのは私自身も思っております。そういう観点から今いろいろな議論が出ているんではないかと私は感じております。
  121. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 時間がありませんから、最後に私の方から、先ほど来、質疑を踏まえて、今回の彩グループの事件、特に小山とかあるいはジェイ・ダブリュー・エム、これは、ジェイ・ダブリュー・エムというのは大変けしからぬ会社。岡光、茶谷、福祉を食い物にした、許せない事件であります。さらに原因を求めていかなければならない。  本院においても、さきの臨時国会で、ジェイ・ダブリュー・エム元役員、大株主の村田士郎氏が、寝具協会、同政治連盟等から総理や厚生大臣に多額の献金をしていたことが明らかになって、ここで、今回福祉を食い物にした彩福祉グループなどの厚生省疑惑解明のために、村田士郎氏の証人喚問を要求したいと思います。委員長において取り計らいをお願いをいたしまして、質疑を終わらせていただきます。
  122. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて石田君の質疑は終了いたしました。  午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時八分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  123. 深谷隆司

    深谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。玉置一弥君。
  124. 玉置一弥

    玉置委員 大変御苦労さまでございます。私は、もう久々の質問でございますので、的を絞りまして御質問をいたしたいと思います。  今日本海沿岸をにぎわしておりますナホトカ号海難事故、そして油流出事故、事件についてということでございますが、昨日まで準備しておりました質問がちょっと変わりまして、実はけさの新聞によりますと、ロシア政府の事故調査委員会が結論を出した、こういう記事が各紙に載っておりました。この件について一応事実確認をまずいたしたいというふうに思います。  朝日新聞によりますと、日本海で大規模な重油の流出事故を起こしたロシアタンカー・ナホトカの沈没事故を調査していたロシア政府の調査委員会が、浮遊物などにより衝突した可能性が強いということで、老朽化とは無関係だ、こういう結論を出しまして、この事故には責任がない、こういうようなことを公表したわけであります。この件について政府はどの程度情報をつかんでおられるか、まずそれについてお伺いしたいと思います。
  125. 池田行彦

    ○池田国務大臣 委員御指摘の報道につきましては、私どもといたしまして早速ロシアに照会いたしました。けさの朝刊を見てというより、昨夜の段階でそういった報道がなされるということを察知したものでございますから、直ちに照会をしたわけでございますが、ロシア外務省及びロシアの運輸省に確認いたしましたけれども、ナホトカにある原因究明委員会の作業はいまだ終了していない、そうして最終結論が出たとの報道は事実に反する、このような回答があったところでございます。
  126. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 お答えいたします。  ただいま外務大臣から御答弁いただきましたように、私どもの方も二十七日、在ロシア日本大使館を通じましてロシア政府に対し確認をさせていただきましたところ、今回の報道は事実に反するという回答を得ているところでございます。  また、運輸省といたしましては、かねてから事故原因究明捜査の協力的な実施について申し入れを行っているところでありまして、そういう報道が事実に反するということは当然のことだというふうに認識いたしております。
  127. 玉置一弥

    玉置委員 今はロシア政府に確認したということでございますが、私どもの手元にありますのは、一応朝日新聞、産経新聞、この両方でございますが、新聞社にはどういうふうに確認されましたでしょうか。
  128. 池田行彦

    ○池田国務大臣 実は、先ほど申しましたように、私ども昨日の段階でそのような情報が流れるということは承知しておりました。それは、我が国の新聞社には確認しておりませんけれども、どうもロシアの通信社の流した情報がもとになって各社に回った、このように考えられます。そうして、いずれにいたしましても、大もとでございますロシアの政府当局に確認して、先ほど御答弁申し上げましたように、そのような事実がないということを確認しているところでございます。
  129. 玉置一弥

    玉置委員 それでは本来の質問に戻りたいと思いますけれども、一応関連ということで先にこちらの方からお聞きをしていきたいと思います。  現在、一月二日の事故がございまして、一月七日に日本海沿岸に漂着をした、こういうことで被害が非常に拡大をされているということでございますが、海上保安庁が一月二日、事故の報告を受けたということから始まったわけでありますが、危機管理という面から一応確認をしたいということで、海上保安庁から運輸大臣へ、運輸大臣から総理大臣にということで、どういうルートでいつごろ情報が入り、どういう指示をされたか、またそれは何に基づいて行われたかということを確認したいと思います。
  130. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 お答えいたします。  ナホトカ号の海難事故につきましては、一月二日午前十時五十七分ごろ、海上保安庁から、海難の概要、海上保安庁の対応等の報告を受けたところでございます。私といたしましては、早速対応いたしておりました人命救助に全力を尽くすように指示いたしたところでございます。その後、午後二時ごろ、同船の乗務員三十一名を救助したこと、また同船の船首部分が漂流をしていること及びその付近に油が流れていること等について報告を受けたところでございます。  また、対総理でございますけれども、同じく一月二日午前十時五十七分ごろ、海上保安庁が、内閣情報集約センターを通じまして、私が報告を受けたと同じ海難の概要、海上保安庁の対応等を報告いたしているところでございます。また、午後二時ごろ、ただいま申し上げましたように、同船の乗務員の三十一名の人命救助、そして船首部分の漂流している状況、その付近に油が流れていることについて、同様に報告をいたしているところでございます。  今回のような大規模災害等が発生した場合には、各省庁は直ちにその情報を官邸に報告するとされているところでありまして、これに従って報告をさせていただいたところでございます。
  131. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、運輸大臣からもお話がありましたように、一月二日の午前十時五十七分ごろに海上保安庁から内閣情報集約センターに情報が入り、それを二、三分後には警察庁出身の秘書官から私のところへ連絡をとってくれております。  同様に、一名行方不明者がありましたけれども、ゴムボートで漂流中の乗組員三十一名を無事に救助したという知らせとともに、船首部分が漂流し付近に油が流れているといった報告が、多分二時をちょっと回っていたと思いますが、それぐらいに参っております。
  132. 玉置一弥

    玉置委員 海上保安庁が即座に現場に到着をし、また無事三十一名、救助された。非常に早い時期で、あんなに荒れた中でよく見つかったなとむしろ感心したぐらいでございます。  私どもも、十一日には現地調査をさせていただいたり、あるいは関係各方面にいろいろな情報を提供いただいて調べてまいりました。どう考えてもわからないのは、一月二日から一月七日の漂着までの間、政府としてというよりも、現地に対して指示がなぜなされなかったのか。いわゆる防除、防災といいますか、これがどうしても何かおくれているような感じがするわけです。  今までもいろいろな方の質問の中にもありましたけれども、二年前に阪神大震災がありました。その後に、災害に対するということでいろいろ研究をされていると思いますが、具体的にシステム化されたとかあるいはルールづくりをされたという話を余り聞かないわけであります。  それから、OPRC条約というのがございまして、これは油汚染事件への準備及び対応のための国家的な緊急時計画ということで、昭和五十七年十二月十四日の閣議で一応決定をされて関係各省に流されたということでございますが、これに沿って計画をされたところがない。そして、今回の原油による汚染事故を見ておりましても、そのルールにのっとった統一的な動きというのが見られない。  それから、政府としての対策本部ができましたのが一月十日、それから関係閣僚会議が、これは官房長官を中心として一月二十日というふうに、非常に日にちがかかっているわけであります。  これについて、阪神大震災の後を受けて、どういうふうに政府が対応し、今回、このオイル事故でどうだったのかということを端的にお伺いしたいと思います。
  133. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 お答えいたします。  今、対策本部の設置等についても触れられたわけでございますが、御案内のとおり、四日、第八管区、六日には第九管区、引き続いての現地の合同対策本部、これには警救監を常駐させております。また、七日には海上保安庁の長官を本部長といたします対策本部、そして、今先生が触れられました、十日、私を本部長といたします応急対策についての災害対策本部を設置させていただき、二十日に関係閣僚の会議を設置させていただいたという経緯は、事実としてお伝えを申し上げておきたいというふうに思います。  なお、国家的緊急時の計画のお話が出たわけでございますけれども、これは先生も御承知のとおり、油の流出事故に備えまして関係行政機関が情報交換や必要な調整を行うことによりまして、国としての、油の汚染事故に対し敏速かつ効果的に対応するということを目的として定められたものであります。  その内容は、関係省庁連絡会議の設置、訓練の実施、防除の資機材の整備、防除措置の実施等について定められているわけでございますが、今回の海難に伴う油の流出事故に際しましては、この緊急時の計画に基づきまして、海上保安庁から関係省庁に情報を伝達するということと同時に、関係省庁連絡会議を開催させていただきまして、情報の交換、必要な調整、そういったところを行ってきたところでございます。  これを受けまして、防衛庁は防除措置等の御協力、科学技術庁は深海観測装置による調査、外務省におきましては、ロシア政府との調整や国際海事機関における再発防止策の呼びかけ等に御協力をいただく、資源エネルギー庁は石油業界等が所有する防除の資機材の貸し出し、また、自治省は地方公共団体との間における情報の収集、そしてこちらからの的確な伝達、環境庁におきましては環境調査等、それぞれの関係省庁のもとに最大限の御支援と御協力をいただいてきているところでございます。
  134. 玉置一弥

    玉置委員 ルールとして迅速に反応されて動かれたという、そういう感じは全然受けないわけでございまして、だから皆さんがいろいろとそのときそのとき質問される、こういうふうに思います。ですから、ある想定をやられて、そしてこういう海洋の事故とかいう対応をやっていかない限りは、なかなか進まないだろうと思います。  その中で一番気になりますのは、OPRC条約を締結するときに日本が非常に消極的であった。これはもういろんなところの国々の人たちが言っているんだということがいろんな文面に書かれているわけでありまして、石油輸入国としてはかなり大きい日本の国でございますから、当然、こういうタンカーによる輸送ということを重点的に考えてみた場合にも、積極的に対応していかなければいけないと思うわけでありますが、なぜこういうふうに条約締結のときに消極的と言われたのか、この辺についてお伺いをしたいと思います。
  135. 池田行彦

    ○池田国務大臣 OPRC条約は、IMO、国際海事機関でございますが、そこで採択されたのが一九九〇年でございますが、我が国がその締結の手続を終えましたのは、締結しましたのは一九九五年の十月でございます。その間、五年弱かかっておりますけれども、決してこれは我が国が消極的だったというわけではございません。  我が国は言うまでもなく世界有数のタンカー保有国でございますし、また石油の大口輸入国でございます。そういった立場からいいまして、この条約によって汚染事故に対応していくためのいろいろな国内的な措置あるいは国際協力を進めていくということは肝要だと考えておりますので、そういったことでこれを締結したところでございますが、この採択から締結までの時間的な間隔をもって消極的と言われるあれがあるいはあるかもしれませんけれども、決してそういうことではなくて、いろいろな国内の調整手続その他でこれだけの時間を要したわけでございます。我が国としてはこれを重要な条約と考え、締結に至った、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  136. 玉置一弥

    玉置委員 このOPRC条約に基づいて、それぞれの関係各省が対応のための具体化をすべきということで閣議決定をされましたけれども、一応海洋の関係ということで今度は運輸省に、それを受けてどう対応されたかということをお聞きしたい。
  137. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 お答えをいたします。  ただいまもお話を申し上げましたように、国家的緊急時計画に沿いまして、今回の事故に関して関係省庁連絡会議を開かしていただき、それぞれの情報交換、そして必要な調整を行ってまいりました。  ただいま申し上げましたように、それぞれの関係省庁によって可能な限りの御協力と御支援、そういう体制のもとに今必死に取り組んでいるところでございます。
  138. 玉置一弥

    玉置委員 その具体的な例がなかなか出てこないで、言葉だけで何か取り組んでいるということを一生懸命言われるわけでありますが、事実関係を見ても、例えば今回の海上災害防止センターというのが一つあるわけですが、この活用も、石油関連という意味で見たら非常に対応がおくれているというような感じを受けます。  事実、湾内あるいはコンビナート付近の消防という意味でかなり力を入れておられまして、このOPRC条約以降、海上センターに対してもっとオイルフェンスとかそれから油回収、そういう技術的な研究とか指示されたということも聞いたことがございませんし、設備的にも全然ふえていないということで、消防船の入れかえはありましたけれども、例の運輸省が持っている清龍丸ですね、あれ一台だけで、それをどう配備するか、あるいは、それも太平洋側にほとんど集中しておりまして、日本海側は一カ所しかない、こんな状況でございますから、とてもじゃないけれども、それを受けた対応にはなっていない、こういうふうに思います。  ちょっと時間がないので、あとは、詰めるのはまた後日にしたいと思いますが、今回の事故を見て、いかに、このOPRC条約を本当に理解し、日本の国家的責任といいますか、そういう意味での対応がおくれていたかということをまず指摘をしておきたいというふうに思います。  それから、今回調査をさせていただきまして、いろいろと現地の方とお話をさせていただきましたけれども、その中で、見たときに一番驚きましたのは、ともかく手作業でみんなやっているわけですね、どろどろになって首までつかりながら。本当に大変な作業だと思います。また、海上保安庁の方も徹夜でやっておられるということで、やはりそういう健康という面で、後でまた同僚議員の方から質問ありますけれども、その人たちにぜひ配慮をお願いしたいということが一つ。  それから技術的な、さっき田中慶秋さんが質問されましたけれども、回収方法でも世界を探せばいろいろあるわけですから、この辺をぜひまた究明をしていただきたい。  それから、まず一番はというふうに聞きますと、いや、お金がどこから出るんでしようというのが一番率直な意見だったんですね。確かにそうだと思います。各府県あるいは市町村についても、今回、本当に慌てて補正で追加措置をされているというような状況でございます。それに対して、国はまだ予算的な面では何もやっていないということでございますので、その辺を考えますと、これから新しい技術にしてもお金がかかるわけですし、オイルフェンスももう全然数が足りないし、ドラム缶ももう目いっぱいだ。むしろ民間の業界の方にいろいろ運賃まで負担をしていただいている、こういうようなことになるわけであります。回収あるいは最後の分解まで考えていきますと日数もまだまだかかりますし、費用もかかるわけであります。私としては、まず一番目、災害として認定をしていただきたい。  これは、対策本部ができて災害だということですが、実はこれからの海産物の補償、そういうものを含めますと、それぞれのところで確認をしたいということでございますので、現在のところ災害対策本部に含まれているところはいいのですが、その中でも、農水省として、これから予想し得る海産物の被害というものを災害と認定するのかどうかという点についてお伺いしたいと思います。
  139. 藤本孝雄

    ○藤本国務大臣 二十一日に私も現地を見てまいりまして、被害を受けられました漁業者の方々に対しましては、農林水産省としてもできる限りの対策を講じていかなければならぬというふうに現在考えております。  私どもが対策として考えられますのは融資の問題、それから、具体的に申し上げますと、経営資金、生活資金の円滑な融通であるとか、既借入金の貸し付け条件の緩和であるとか、それから、経営が困難になる漁業者に対する漁業経営維持安定資金の活用、こういう金融措置がまずございます。  それから二番目には、これまた現地の三国町長ほか漁業関係者から強く求められましたのは、漁場の保全、もとの漁場に戻してもらいたい、こういう強い御要望があったわけでございまして、それに対しまして、今後漁業被害の状況を踏まえながら適切に対応していかなければならぬと思っておりますし、また、漁業資源に対する被害の影響調査、これも非常に大事な問題でございますので、この点につきましては、これから力を入れていかなければならぬというふうに考えております。  全力を尽くして対応いたしたいと考えております。
  140. 玉置一弥

    玉置委員 これから、平成八年度の補正予算の論議がまだ継続して、決着を迎えるわけでありますが、既に事故がありまして費用が発生しているということで、対策費を計上してはどうかということがございます。これは、今質問して、答えられると、後の交渉にいろいろ響くと思うので、一応提案だけという形でしておきたいと思います。  それからもう一つは、これは神戸の災害のときに、府県の方で対策基金的なものをつくられたわけでありますが、今回は非常に幅広く府県が散らばっておりまして、市町村にも影響しているということでございますので、これからの災害ということを考えた場合に、国として災害対策基金的なものの設立をしてはどうかということでございまして、これはいろいろなところに、地震もありますし、例えば大規模な火事もありますし、今回のような海洋汚染という問題もあります。いろいろな要素を踏まえての話でございまして、アメリカでは今センター基金という名前で呼ばれておりますけれども、こういうふうな基金を持ってはどうかという提案でございますが、いかがでございましょうか。
  141. 伊藤公介

    伊藤国務大臣 災害に対して、いずれの災害にも対応できるような国の基金の設立をしたらどうかという先生の御提案でありますけれども、御案内のとおり、災害にはさまざまなケースがあるわけであります。したがって、もともとから基金をつくって対応するということよりは、今ある制度を、さまざまなそのときそのときの規模に対応して、そして対応することの方が非常に現実的であろうというふうに考えております。  ただ、阪神・淡路の経験がございまして、今現地の兵庫県知事さんなどの提案で、全国知事会などで、いわゆるやってくる震災等に対する基金制度といいますか、そういうものはどうかというようなお話が出ていることは私もよく伺っております。これは、私どもといたしましても、関係機関とよく連絡を今後ともとってまいりたい、こんなふうに考えております。
  142. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今国土庁長官からも御答弁を申し上げましたけれども、私はやはり、本当にきめの細かい災害対策をしようとする場合に、むしろファンドよりも個別の対応の方が大事ではないかと思います。  先ほど農水大臣から今後の点について触れられましたときにも、漁場の回復というテーマがございました。海藻が汚染する、それは当然ながら貝類あるいは底魚がやられる、それは生態系を確実に崩すわけでありまして、これを復活させるのは大変地道な努力を要することになろうと思います。  そうしたことまでを考えました場合に、やはり個別の災害に対しいかにきめ細かく対応するかが課題ではないでしょうか。その上で、先ほど農水大臣からも申し上げましたように、全力を尽くしたいと考えております。
  143. 玉置一弥

    玉置委員 これも危機管理の一つだと思うのですが、やはりだれがやるかということが非常に大きく左右するだろう。あっちへこっちへ振られている間に被害がだんだん拡大していって、阪神大震災がまさにそうだったと思うのですが、今回は横に広がって府県がまたがったということであります。ういうふうに考えると、やはりこういう府県をまたがった場合には国が指揮をしないとなかなか動きがとれないということで、例えば海洋の場合とか、いろいろな具体的な事例を想定してそれぞれの対応策というものをルール化しておかなければいけない、こういうふうに思います。それをぜひお願いを申し上げたいというふうに思います。  それから、今回の事故で、船の折損が第一原因でございますが、二番目が強風による漂着ということになります。  そこで、情報が、当初は海流に乗って北上するのではないか、こういうふうに言われておりましたけれども、風で漂着をした。ゴルフなんかでも、上に上がると勝手に風が方向を曲げますけれども、あれだけの強風がありながらなぜ想定できなかったのか。  それから、初日、一日の間に方向がある程度計測できるわけでありますが、一日で計測して慌てて対応するということができたはずなんですが、二、三日、一応救助が終わってからということはわかりますけれども、府県に対して情報が流されたのも結構遅いということを聞いておりますので、その辺で、いつの時点で油が日本にたどり着くというふうにわかったかということをもうちょっとお聞きしたい。  もう一つ、海上保安庁が、一応領海外での事故ということで、乗組員の人たちを救助され、事情聴取を一日で終えて帰されたということであります。これは、誤報ではありましたけれども、ロシアの今みたいな話があったときに十分な証拠になり得ないのじゃないかということもありますので、その調査状況を一分でお答えをいただいて終わりたいと思います。
  144. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 まず、漂流の予測でございますが、一月の五日に対馬暖流に沿うように流れるという予報を発表したわけでございますが、一月の六日に対馬暖流を離れて沿岸に近づくということで訂正をいたしております。  これは、御承知のように潮の流れと風の流れ両方に左右されて油は動くわけでございますが、予想以上の強風、二十メートルから三十メートルというのがこの間続くということについて必ずしも予見できなかったということによるものでございまして、予見ができ次第速やかに修正をいたしました。  それから、第二点のお尋ねでございますが、救助した乗組員から保安庁は当然事情を聴取いたします。その聴取は、一月の二日から、二、三、四、五の四日間かけて聴取をいたしております。調査した人数は七名でございます。
  145. 玉置一弥

    玉置委員 今回の事故を見ても、現場の方は本当に大変な状況の中で活躍をされておりますことを十分承知をしておりますし、また感謝をしているところでございます。やはり、十分そういう人たちが安心して動けるような体制を政府の方でぜひとっていただきたいし、また、ボランティアの方が、後でまた話がありますけれども、いろいろと弱っている部分があるわけでありまして、その辺について、後の同僚の議員の質問を聞いて、十分にお考えをいただきたいということを申し上げまして、終わります。  ありがとうございました。
  146. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて玉置君の質疑は終了いたしました。  次に、達増拓也君。
  147. 達増拓也

    達増委員 新進党の達増拓也でございます。新進党のチャレンジ精神、そして改革にかける志を示すため、一回生、三十二歳の私が質問に立たせていただきます。  私は、新進党の代表として質問させていただくと同時に、三十歳代以下の若い世代、若い国民を代表して質問をさせていただきたいと思います。  私は、地元盛岡市で盛岡青年会議所の会員といたしまして活動をしておりますが、同じ世代のメンバーと意見を交えて痛感いたしますところは、政治が発するメッセージというものが自分たちにストレートに響いてこない、こういうことに若い世代が強くいら立っているということであります。若い世代が自分たちの未来に展望を見出せるような、そういうメッセージを、総理を初めといたします閣僚の皆様方からちょうだいできるように張り切って質問をしてまいりたいと思います。  私は、今日の前にある重要課題について質問をさせていただきますが、その根底にありますのは、二十一世紀の日本はいかにあるべきかという問題意識でございますので、答弁者の皆様方にもビジョンあふれる答弁をお願いしたいと思います。  第一の質問は、在ペルー日本大使公邸占拠事件に関連いたしまして、我が国のODA政策のあり方についてです。この事件ができるだけ早く最善の形で解決することを強く願うものであります。  一方、中長期的視点に立てば、今回の事件で、ODAが相手国国内事情や国際テロの問題、そして人権の問題等と深く関連していることが改めて浮き彫りとなったと言えます。  そこで、外務大臣に質問です。  ODAでたくさんのお金を外国に提供し、その結果こんなひどい目に遭うのであれば、ODAはやめた方がいいのではないかという素朴な意見を耳にいたします。この点について、政府の見解を伺いたいと思います。
  148. 池田行彦

    ○池田国務大臣 我が国は、従来からペルーとの間の伝統的な友好関係を考え、そしてまた日系人と言われる方がペルーに約八万人おいでになります、そういった方の存在も十分念頭に置き、さらにはフジモリ大統領のもとにおきまして持続的な経済成長を遂げている、その中で貧困の撲滅を図ろうということでいろいろな経済改革が進められておるわけでございますが、そのような経済改革の努力を、ペルー政府の努力を評価いたしまして、積極的に我が国としても経済協力を実施してきたところでございます。  一九九五年の例で申しますと、有償で三百十七億円余、それから無償、技術協力を合わせまして、合計で三百六十三億近いものがペルーに対する経済協力として実施されております。  そのような我が国からの経済協力は、民生向上のための社会分野でのいろいろな協力であるとか、あるいは道路とか港湾整備といったようなインフラ整備、そういった幅広い分野にわたりまして実施されておりまして、先ほど申しましたペルーにおける貧困の撲滅、経済成長等を図る上において大きな役割を果たしておるわけでございまして、これは単にペルー政府だけではなくて、ペルーの国民にも広く、また高い高い評価を受けている、このように認識しております。  今般の事件が起こりまして、これがゆえにペルーへの経済協力をやめたらどうかという、今委員も素朴な疑問がとおっしゃいましたけれども、そういった声があるとするならば、やはりそこのところは、もう少し幅広く、また深く考えていただけないか、このように考えます。  この事件のゆえに、もし経済協力を控えるということになりますと、先ほど申しましたペルーの政府やペルーの国民の期待、貧困を撲滅するという上で日本政府の協力を高く評価しているペルー国民の期待に反することになるわけでございますし、また、考えようによりますと、いわばテロリストがこういうことをやったから経済協力がとまった、テロに屈するということにもなりかねないわけでございます。  むしろ、例えば今回のテロの一つの原因になつているのはあの国の貧困でありましょうから、その貧困を撲滅する、解決するという意味でも、今後とも経済協力は積極的に進めていくべきもの、  このように考えている次第でございます。
  149. 達増拓也

    達増委員 ありがとうございました。  今外務大臣がお答えになったような我が国の経済協力政策、ODA政策に対する覚悟を踏まえますと、今回のペルーにおける事件の解決の重要性が改めて痛感されるところだと思います。  そこで、総理に質問であります。  今回の事件は、国際的にも大きく報道され、我が国の対応ぶりが諸外国から注目されております。まさに、我が国の国家としての底力が問われていると考えますが、総理の所感、決意を伺いたいと思います。
  150. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、この事件が起こった段階から、まず人質の生命の安全ということに意を用いてまいりました。同時に、我々はテロというものに屈することはできない、そうした姿勢を日本政府の基本とし、今日までペルー政府に全幅の信頼を置きながら緊密な連携をとり続け、事件解決に努力をいたしております。  この事件が大変国際的にも非常に大きな関心を呼ぶ、それは今議員が御指摘のとおりでありまして、そうした中におきまして、G7プラスロシア、P8の決議の取りまとめ、あるいはASEAN諸国の、ペルー政府の、また日本政府の方針に対する全面的な支持、こういったものも既に表明されているところであります。  事件の発生から既に一カ月以上たちました。まだ解決に向かっていないということは本当に残念でありますけれども、一刻も早くこの事件が平和裏に終結をし、人質の方々が全員無事に解放されることが一日でも早く実現をいたしますように、引き続き全力を尽くしてまいりたいと考えております。
  151. 達増拓也

    達増委員 ありがとうございました。  この事件の解決に向けましては、党派を超えて、国民が一つになって全力で取り組んでいく必要があると考えます。政府がその責任を全うすることを期待いたします。  次に、先ほど玉置委員から質問がありました日本海原油流出事故に関しまして、私からも一つ質問をさせていただきます。  漂着重油の回収作業は一地元住民やボランティアの方々が中心になって行っているわけでありますが、これらの方々の健康状態の悪化が非常に深刻になってきております。一月十八日、作業をしていた住民の方が帰宅中に倒れて亡くなったのを最初に、二十一日には住民の方一人とボランティアの方一人、そして二十四日にはさらに住民の方一人が亡くなられております。合わせて四名の方が犠牲になっております。住民やボランティアの方々の健康状態が著しく悪化しているということは、最初の犠牲者が出た翌日の一月十九日付読売新聞等でも報道されておりました。  また、一月二十日付の福井新聞によれば、十九日、三国町で集会が開かれ、大阪から駆けつけた近畿大学医学部助手の沫田靖夫医師三十七歳がボランティアに健康管理を訴え、さまざまな具体的な助言をされたとのことであります。ちなみに、福井新聞は、インターネットのホームページで重油流出事故関連の記事を速報しておりまして、私も議員会館事務所のパソコンでこの情報を入手いたしました。  そこで伺いたいのですが、国家的な危機に際して献身的な作業を続ける地元住民やボランティアの方々の安全に対し、政府はいかなる措置をとっているのかということであります。私が政府からいただいた一月二十一日付の海上保安庁作成の資料には、そのような政府の措置については言及がございませんでした。ところが、同じ資料を一部改定した翌二十二日付の海上保安庁作成の資料には、取ってつけたように、引用いたしますと、「ボランティアの方々等の健康管理等については、万全の対策をとるよう本部長」、これは運輸大臣のことでございますが、「本部長から関係省庁に対して指示している。」と記載されておりました。推測すれば、政府は、一月二十一日のお二方の死亡により犠牲者が三名となったという衝撃的な事態を受けて、慌てて運輸省から関係省庁への指示を出したということなのでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
  152. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 お答えいたします。  先生と全く同じように、私も、今回の油の防除作業におきまして、不幸にして沿岸に漂着いたしました防除作業は、地域住民の方々、また漁業者の方々、そして何といっても多くの民間のボランティアの方々の参加をいただいております。もちろん政府関係機関の方々もそうでございますけれども、とりわけ民間のボランティアの方々のそのお気持ち、本当に心から感謝を申し上げ、敬意を表したいと思います。  が、一方で、御承知のとおり、あの冬の日本海の天候でございます。ましてや大変油の防除作業が長期化すること等を踏まえますと、一番大切なことは健康管理であります。私も、私の災害対策本部を通じまして、開く会合のたびに各関係省庁には、まず民間ボランティアの方々を含む健康管理について十分注意するように、その会合の都度にお願いをしてまいりました。  また、私も再三現地を訪れております。関係自治体の知事さん、また市町村長さんにも、ボランティアの方々の健康管理、また事故には十分注意していただくように、口頭ではございますけれどもお願いを申してきたところでございますが、不幸にしてこのようなお亡くなりになる、こういう事態に際し、本当に胸痛むと同時に、心から私も弔意を表したいと思います。  そして、これからさらなる健康管理をすることによって、二度とこうした不幸な方々の犠牲を出さないことが大切なことであろうと思います。二十一日には、再度私の対策本部におきまして、それぞれの関係省庁に強く健康管理についての対策に指示をいたしたところでございます。それを踏まえまして、一番民間ボランティアの窓口として御苦労いただいております関係自治体の皆様方に、自治省の方から文書によって喚起の、健康管理に対する通達を行わしていただいたという事実でございます。  改めまして、このたびの、ボランティアによって御活躍いただき、不幸にして亡くなられた方々に、この委員会を通じまして私も心から弔意を表すると同時に、御家族の皆様方にお見舞いを申し上げる次第でございます。
  153. 達増拓也

    達増委員 最前線で危険な作業に従事する方々に対し、政府が必要な支援等をとることを強く訴えたいと思います。  なお、先ほど紹介いたしました大阪から三国町に駆けつけたボランティア医師は、阪神・淡路大震災の被災地、西宮市役所の職員の平成七年度死者数が例年より二倍近くに上ったということを三国町での集会で報告しております。西宮市役所職員の死者数が二倍近くに上ったというその死因でございますけれども、心身の疲労が原因と見られる心筋梗塞や自殺であることが指摘されております。  国家的危機に際しまして、政府首脳部が適切な対応をとらず、結局住民やボランティアあるいは現場で働く公務員の献身的な努力に頼らざるを得なくなってしまうというパターンは、これは何とかしなければならないのではないでしょうか。  先週、クリントン大統領が二期目の大統領就任演説を行い、独立以来の米国の歴史を振り返り、その偉大さを確認しつつ二十一世紀に向けて決意を新たにしておりました。翻って我が国の歴史を振り返るとき、この国が曲がりなりにも今日に至るまで続いてまいりましたのは、政治家や官僚のリーダーシップのおかげではなく、現場や末端にいる国民一人一人の我慢や努力のおかげではなかったのかとの思いがいたします。この国の宝は、政治家、政府ではなく、一人一人の国民であるということを今回の日本海原油流出事故からも実感いたします。  今、我が国の政治と行政が問われている最大の課題は、引き続き忍耐強く勤勉な国民にさらなる犠牲を強いて、おんぶにだっこでやっていくのか、それともそのような国民に報いるためのきちんとした仕事をやっていくのかということではないでしょうか。  そうした観点に立ちますとき、大蔵省、厚生省、通産省と続き、そして運輸省にも広がった官僚不祥事と政官業の癒着問題は、国民に対する大きな裏切りであります。この政官業癒着の体質を抜本的に改革することなしには、いかなる予算案も納税者国民の支持を得ることはできないでありましょう。  一月二十三日、元運輸事務次官である服部前関西国際空港社長と泉井石油商会代表の泉井被告が贈収賄で逮捕されました。泉井被告は、決して道楽で官僚や官僚OBあるいは政治家に接待攻勢をかけたり金品を贈っていたわけではないということが明らかになったと思います。  そこで、通産大臣に質問をさせていただきたいと思います。  通産省は、昨年、泉井疑惑に関する内部調査を行い、その結果を十二月五日に発表しておりますが、その後、本件に関して何か対応しましたでしょうか。
  154. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今御指摘のように、十二月の五日、調査の結果を発表して、同時に、綱紀に問題があるということを率直な反省のもとに、二度とこうした事件が起こらぬようにということで六名の処分を実施いたしました。  その後は一体何をしているかという御質問でございますが、政府全体として新たな綱紀粛正案が定められたことにより、通産省では通産大臣の名前でもって、通商産業省職員倫理規程、こういうものを設定いたしまして、省内全員、全職員及びその関係業者、団体に対して徹底的に周知しているところでございます。
  155. 達増拓也

    達増委員 通産大臣は、昨年十二月五日の衆議院商工委員会におきまして、通産大臣に犯罪の捜査をする捜査権はなく、通産省の職員として恥ずかしい行動をしたかどうかに力点を置いて調査をしたと答弁しておられます。OBについては注意も何もできないので調査しなかったとも述べておられます。  さらに、議事録からそのまま引用いたしますが、調査の目的というのが、この泉井事件の事実の究明ということではございませんで、通産省の職員の綱紀粛正ということに力点を置いていると答弁されております。  通産大臣に犯罪捜査権がないのは当然でありますが、通産大臣には、公正で効率的な通産行政を推進するという責任があるはずであります。したがって、通産省としては、泉井事件に見られるような政官業癒着の体質が通産行政の公正さと効率性をむしばんでいないかという見直しを行い、必要な措置をとらなければならないはずであります。  通産大臣は、そうした観点から、検察当局の捜査とは別に徹底した事実関係の究明を独自に行うべきであり、その際、OBや前大臣あるいは元大臣、さらに政策に重要な影響を与える政治家についても調査の対象から外すべきではないと考えますが、大臣のお考えはいかがでしょうか。
  156. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今申したように、まずこの問題、当時は泉井事件というのは、脱税でもって泉井本人が逮捕されているというふうな捜査が進んでいたと思います。私の方は、それとは別に、綱紀粛正という見地から、若干、つき合いその他に乱れた点があるということであのような処分をしたわけでございますから、その限りにおきましては、この事件の本質というものを究明し、あるいはまた、OBというものに聞くということは考えておりませんし、そのとき私が申し上げたのは、事件の推移を冷静に見守ると言ったはずでございます。ですから、事件が今後どういうふうに進展するかということには大変な関心は持っております。
  157. 達増拓也

    達増委員 通産省における内部調査では、今大臣が答弁されたように、職員が泉井被告と会ったかどうかですとか、あるいは何かもらったかといったことが調査されたわけですけれども、そうしたプロセスの問題とは別に、結果として通産行政、特に石油行政について公正さや効率性を欠くところはなかったかといった調査はしなかったのでしょうか。
  158. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 本事件というか、本件に関しては調査はしておりませんが、石油行政そのもの、これのいわゆるレクチャーの段階において、そういうことも私なりに判断をしております。不正がなかったということであります。
  159. 達増拓也

    達増委員 不正はなかったということでありますけれども、徹底した事実関係の究明ということについて行われていない以上、そうした結論を出せるのかどうかというのには甚だ疑問があるわけであります。もっとも、通産省独自での調査能力に限界があること、特に政界との関係について調査の限界があるということについては理解いたします。  そこで、検察当局に質問をしたいと思います。  泉井事件については、官僚との関係に加えまして、泉井被告が政界へ二億六千万円の資金を支出しておりやみ献金の疑いが強いと、例えば元日付の読売新聞などでも報道しておりまして、政治家絡みの疑惑も盛んに報道されているところであります。これらの点に関しまして、検察当局の見解を求めたいと思います。
  160. 原田明夫

    ○原田政府委員 お答え申し上げます。  お尋ねの泉井純一に係る事件につきましては、東京地方検察庁におきまして、現在、詐欺、また関西国際空港株式会社法違反の容疑で鋭意捜査中でございます。これらの事件の解明に向けまして、今後とも鋭意所要の捜査を進めてまいるものと思います。その上で、まさに法と証拠に基づきまして適正に対処してまいるものと考えております。
  161. 達増拓也

    達増委員 泉井マネーをめぐる国民の疑惑に対し、一日も早く真実が究明されるよう検察当局の奮闘に大いに期待するものでありますけれども、本件に関しましては、先ほど述べましたように政治家の関与が取りざたされているわけでありまして、国会におきましても、国会の自浄努力といった観点からも、真相究明のため真剣な努力をしていく必要があると考えます。  例えば、泉井被告の手帳にあった献金リストというものが既に広く報じられているところでございますけれども、そのリスト、主要な名前を拾ってまいりますと、山崎拓議員、及川一夫議員、三塚博議員、森喜朗議員、小泉純一郎議員、加藤紘一議員と、こういった名前がリストに挙がっているわけでございます。  国民の皆様の前で真相を究明し、政治の信頼を回復する必要があるわけでありまして、委員長に対しまして、証人喚問等御検討をいただければと思います。  このような政官業の癒着の問題に関しましては、行政、事務当局、検察当局、そして国会と、総力を結集して問題に取り組んでいかなければならないと考えます。  さて、既に事実関係の究明がある程度進んでいる厚生省不祥事に関してでございますけれども、厚生省では厚生行政再生のためにどのような取り組みをしているのか、改めて、今のこの質問の流れの中で質問させていただきたいと思います。
  162. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 昨年の厚生省不祥事を反省しまして、年末に新たに厚生省職員倫理規程を設けまして、行政の信頼回復に努めているところであります。  また、社会福祉施設整備補助金等の仕組みを悪用したこの不祥事について、二度と悪用されないように、どういう点が悪かったのか、業務の再点検をしまして、選定の手続やら、あるいは工事の契約、もろもろの今までの仕組みを総点検した後に、特別養護老人ホームにつきましては、今月末を目途に結果が報告できるように今鋭意準備を進めております。その他の補助金等については、三月末を目途に今点検を進めている最中であります。  いずれにしても、この不祥事を契機に、いかに再発防止に必要な措置を講ずるか、そして本来の厚生行政の推進に新たな体制をとって取り組むことができるか、鋭意検討中でありますので、よろしく御指導、御鞭撻をお願いしたいと思います。
  163. 達増拓也

    達増委員 厚生省において補助金行政の見直しまで踏み込んだということでございますけれども、やはりそれには岡光前次官の逮捕という衝撃があったからこそと思われますが、このような補助金行政のあり方等、政官業癒着のその根本にまで切り込んでいく取り組みというものは、政府全体としてすぐに取り組んでいかなければならないことであると考えます。  そこで、総務庁長官に伺いたいと思います。  一連の官僚不祥事と政官業癒着問題に関しまして、政府としては各省庁ごとに倫理規程の見直しを行わせるなど、各省庁ばらばらの対応ということになっていて、政府としての統一的な対策をとっていないように見受けられるわけでありますけれども、いかがでございましょうか。
  164. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 各省庁ばらばらというお話でございましたけれども、いろいろの残念な事件が起きてまいりまして、昨年の十一月十九日、総理から閣議においても指示があり、私に対しても総理から指示がありまして、各省庁共通するようなそういう倫理規程のモデルというか、そういうものをぜひひとつまとめてほしい、こういう指示がございまして、それを受けて、総理は事務次官会議にも御出席されて、またそこで御指示になりましたし、私の方からは官房長会議でいろいろお願いをして、そしてその後約一カ月間、各省庁の人事担当者が何回も会合を開いてそこで案をつくっていただき、その案を閣僚懇談会にもお諮りをし、そして、最終的に閣議でも了解をしていただいた上で事務次官会議で申し合わせ事項としたわけであります。  御承知のとおり、各省庁の人事権というか職員の服務に対する監督権限は各省庁大臣にありますから、やはりまたそれぞれの役所でそれに基づいていろいろの倫理規程をつくっていただいた、こういうことでありまして、ばらばらというよりは、一つのある程度のモデルを私の方でつくってそれに基づいて各省庁でやっていただいたので、今回の倫理規程は共通的なものがあるというふうに私は思っております。
  165. 達増拓也

    達増委員 各省庁統一的な倫理規程のモデルをつくっているということでありますけれども、もう一歩踏み込んでこれを法制化すべきではないかという議論、これはきょうも午前中からされているところでございます。改めてまた政治・行政倫理法といった法制の問題について伺いたいと思います。  総理は、先ほど石田委員からの質問に答えまして、法律で律しなければならないのは恥と思うとおっしゃられておりました。しかし、けさの読売新聞等でも報道されておりましたが、現場の公務員の発想といたしましては、例えば小川大蔵事務次官が、自分で自分を律するということのほかに何らかの明確な基準があった方がいいという趣旨の発言をされております。  田中慶秋委員の質問に対し梶山官房長官は、現場の公務員を萎縮させてはいけないということをおっしゃっておられましたけれども、やはり、やっていいことと悪いことがあいまいになり、その判断が個々の公務員に任せられたり、あるいは課長レベル、各局総務課課長レベル、そういったところに判断が任せられているからこそ萎縮して動きにくくなるという問題が起こってくるのでありましょうし、また、あるべき一線を踏み越えるということも起こってくるのだと思います。  そういう意味で法制化、国会によってきちんと法律の形でそこを定めることによって現場の公務員も動きやすくなるということがあると思うわけでありますけれども、政府の見解を改めて伺いたいと思います。
  166. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 便宜、取りまとめの衝に当たっている官房長官でございますので、私からお答えを申し上げます。  既に総務庁長官からもお話がありましたように、昨年来このたび重なる公務員の不祥事、これに対応して、もちろん国家公務員法に基づいて、のっとってやっていれば何の問題もないんです、実際は。それにはしかし余りにも細かい規則がなさ過ぎますから、それぞれの守るべき倫理規程をつくり上げまして、各省庁の特性に合ったものをつくって今やっていただいているわけであります。  もちろん、刑罰主義によれという意見もございます。しかし、法律をつくり刑罰を科すれば犯罪がなくなるのかというと、それは抑止力には若干なるでしょうけれども、必ずしもそうではない。刑罰主義は必ずしも結果としていい場合ばかりではないということを考えますと、今私たちは、その規程に基づいて行政が執行され、それで過失がなくなればこれにこしたことがない。いわんや、公務員全般の大半の者は懸命な努力を払っているわけでありますから、この人たちにあながち公務員として恥ずかしいことがあるがごとき印象を与え、その者たちが萎廃沈滞をすることはむしろ好ましくないということもございます。我々閣僚懇談会においては、いわば公務員の倫理法の規定も視野に入れながら、今推移を見守りながらこれからの対策に当たってまいりたい、このように考えております。
  167. 達増拓也

    達増委員 公務員倫理法等も視野に入れて取り組んでおられるということで、その方向での努力がさらに進むことを期待いたしたいと思います。  なお、近年の大蔵省、厚生省、通産省と続けて明らかになった官僚不祥事が行われた時期といいますのは、バブル崩壊と不良債権問題、薬害エイズ問題、日本経済空洞化景気の低迷などが進行した時期でありまして、官僚の不正が深刻化することと行政が機能不全に陥って問題解決能力を失うことは、軌を一にしているわけであります。したがって、この問題は、綱紀粛正の問題に矮小化するのではなく、日本の行政のあり方を根本から見直すという発想で取り組まなければならないわけであります。  昨年十二月十二日付の米国ワシントン・ポスト紙の社説は、次のように述べております。  日本の官僚機構に関連した最近の一連のスキャンダルはその規模において前例のないもので、社会主義と資本主義とをないまぜにしたこの官僚機構がもはや存続不可能なことを明白にした。日本世界経済においてあれほど恐るべき競争相手にしたそのモデルも、このモデルというのは政官業が一体となったシステムのことでございますけれども、そのモデルも、もはや日本の競争力を保ち続けることはできない。さらに、同紙の社説はこのように述べております。  橋本首相は今や政府部内における「綱紀粛正」を呼び掛けている。しかし、それだけでは問題は解決しないだろう。日本は、政府が経済的な力を一手に集めれば集めるほど汚職に染まる機会も増えるということを、遅ればせながら明白に証明しているからだ。日本が必要としているのは、官僚を政策決定の地位から外し、決定は消費者や投資家に任せた方がよいということである。このワシントン・ポスト紙が指摘するとおり、総理は、官僚不祥事問題を綱紀粛正という官僚個々人の規律の問題に矮小化し、国民の怒りをとりあえず沈静化するためのその易しのぎの対処を各省庁にやらせているだけであり、そこには、行政のあり方を根本的に改革しようという発想が見られないと思います。これでは、橋本行革は口先だけだと言われても仕方がないのではないでしょうか。総理考えをお聞かせ願います。
  168. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 そういうふうにお尋ねをいただきましたので改めて御答弁を申し上げたいと思いますが、今まで、綱紀粛正についてというお尋ねについて、私は綱紀粛正というお答えから申し上げておりました。しかし、私自身、本院でありましたか参議院でありましたか忘れましたけれども、むしろ、例えば規制緩和を進め、地方分権を進め、官から民への移しかえを進めることによって中央官僚の権限を縮小すること、これが一つ大事なことではないであろうかということを申し上げた記憶がございます。  ただ、行政改革というのは、官僚が不正を行ったから行うという性格のものではございません、そこは当然のことながら御理解をいただけると存じますが。我々が規制緩和を進め、それによって中央官庁の権限を縮小し、地方分権を進め、また、官から民への移しかえを進める中において、当然ながら中央官庁の持つ権限は縮小するわけでありまして、当然、その結果として問題の発生する確率も減ることは事実。しかし、行政改革というのはそういう視点からやる性格のものではなく、あくまでも国民の様々なニーズにいかに最小のコストでこたえ得るか、そうした発想を持って進むべきだと私は考えております。
  169. 達増拓也

    達増委員 ありがとうございました。  私の質問の趣旨は、官僚不祥事があるから行政改革を進めなければならないということではございませんで、官僚不祥事がこれだけ大量に発生するということが、まさに行政の行き詰まりを証明、象徴していることでありまして、それだけ行政の改革という作業を急いで全面的にやっていかなければならないはずであって、それを一年間先送りにしたりとかやっている余裕はないのではないかという問題意識に基づいて質問させていただいているわけでございます。  例えば、今、青少年問題として社会問題化していることに、おやじ狩り、そして援助交際というものがございます。この二つに共通しているのは、お金を得るためにはどんなひどいことをしてもよいという発想であります。政治家やトップ官僚がまさにそういう、お金を得るためにはどんなひどいことをしてもいいというメッセージを身をもって示し続けている今日、そういう大人のまねをする少年少女に対していかなる教育改革も効果はないのではないでしょうか。  総理は、五つの改革六つ目の改革として教育改革を加えておられますが、私は、政官業の癒着を断ち切る抜本的な行政改革を今すぐ行うことこそ、少年少女に対して最大の教育的効果を持つと考えますが、総理考えをお聞かせください。
  170. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、私としては大変残念な御質問をいただいたように存じます。  今、行政改革というもの、その中で、さまざまな論議をここでもいたしておりますけれども、個別地域や、先ほど例を引いて一つ私は申し上げた記憶がございますけれども、あるいは特定業界の利益をいたずらに守っているというおしかりを政官ともに受けるようなことのないように努力をしなければならないのは当然でありますし、国や地方公共団体が規制などによって民間活動に関与していることを廃止できないだろうか、あるいは国の現業や特殊法人などの公的部門が提供しているサービスも民間にゆだねられないだろうか、あるいは行政が関与する場合でありましても、その主体を国から地方にゆだねられないだろうか。そうした観点から私は問題を提起し、一切の聖域を設けずこれを進めていきたいと申し上げてまいりました。  しかし、当然、私はそういう御意見もあり得るのかもしれないと思います。しかし、例えばボーイスカウトの中に私はおります。あるいはスポーツを通じて地域の少年活動の中に、最近こそ残念ながらその時間がありませんけれども、おりました。そして、それ以上に、今あなたが御指摘になりましたようなことよりも、私がそのころに痛感しましたことは、よその子供のしていることを怒れない地域社会、あるいは自分の子供が他人から当然と思われるような注意を受けたときに感情的に反発をする親、逆に、地域の親たちが非常に足並みをそろえて地域の中で子供たちをしっかりと育てているケース、いろいろな場面を見てまいりました。  私は、今例示に引かれましたような言葉があり、問題が起きておること自身を大変残念なことだと思いますけれども、それは、ただ単にあなたの言われるような行政改革をすればすべてが解決するというような問題ではない。むしろ我々は、もっともっと地域社会の中で子供たちが伸び伸びと育ち得るような環境をつくるためにさまざまな努力をしていかなければならないのではなかろうか、そのように思います。
  171. 達増拓也

    達増委員 ありがとうございました。総理の青少年たちに対する願い、そして社会のあり方に関する願いというものについて比較的生の言葉を聞くことができた点、非常にありがたいと思っております。  他方、今政府としてこの国家にできることを、やらなければならないことを考えた場合に、例えば先ほど引用したクリントン大統領の就任演説、もう一度ここで引用させていただきますと、こういう言葉がありまして、私は非常にぎくっといたしました。  それは、「We need a new government for a new century,a gobernment that is smaller,and does more with less.」新しい世紀には新しい政府が必要である、それは小さな政府であり、より少ない費用でより多くの仕事をする政府だという意味であります。  これはまさに今の我が国にこそ当てはまる言葉ではないかということで、私は非常に驚いたわけであります。経済や行財政がある程度うまくいっている米国にして、指導者がこれほどのビジョンを明確に示しているわけでありますから、我が国の指導者は、それに負けないくらいの覚悟を持って、より大胆なビジョンを内外に示していかなければならないと思います。  新進党は、さきの小沢党首の代表質問、代表演説の中でそういったビジョンを示したわけでありますが、我々新進党には、いつでも現政権にかわって我が国を未来に向けてリードしていく用意があることを述べて、質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  172. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて達増君の質疑は終了いたしました。  次に、日野市朗君。
  173. 日野市朗

    ○日野委員 ついこの間三カ月ほど前までは、一緒に仕事をさせていただきました。いい仕事ができたなというふうに私も思っているわけでありますが、今は立場をかえまして、こういう形でいろいろ相まみえることになりました。これもお互いに切磋琢磨をしながらさらによき政治を目指していく、こういう一つ政治家の行動であろうかというふうに思います。  まず私は、補正予算の審議でありますから、この補正予算の審議にふさわしい論点を構えて質問をさせていただきたいというふうに思っております。  この補正予算につきましては、これは編成の前から随分いろいろ論議がございまして、与党三党の合意、これもかなり難航をいたしました。それから、私はそんたくするところ、自民党の内部にもこれはかなりの論議があったようであります。また、マスコミ等の中でも、この補正予算は編成すべきかすべきでないかというような議論もあり、また世論も、大きな注意、非常に注意をしながらこれを見守っていたというふうに思います。  それで、そういう経過を経てこの補正予算は編成をされ、今審議が行われているわけでありますが、これに関して、内閣が閣議で決定をしたことはそれは当然のことでありますが、そこまでに行く過程で、いろいろ論議があった中で、総理はどのような立場をとってこられたのか、忌憚なくお話しをいただきたいと思います。
  174. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 どのような議論があったかという点になりますと、議員自身、衆議院選が終了いたしますまで内閣の一員としてその論議のまさに中枢におられたわけでありまして、よく御承知のとおりであります。  平成八年度に補正予算が必要であるかないかということについては、私は必要だということを申してまいりました。それは、なぜなら、阪神・淡路大震災の対策費、あるいは災害、これがどの程度起きるか。それは少ないにこしたことはないけれども、そういうことを考えれば補正予算の必要が生じるかもしれない。殊に、O157という全く予測しておりませんでした病気が大量に発生し、死者を出し、しかも地方自治体に非常に御苦労をかけて、それが一体費用的にどれぐらいかかるか当時わからなかったといった状況の中で、当然ながらそういう問題を考えれば補正予算は必要であろうということを申しておりました。  同時に、いわゆる在来型の景気対策という観点からの議論がございましたものに対しては、私は非常に慎重に発言を続けていたことも議員は御記憶でおられようと思います。  今回、八年度補正予算は、まさに阪神・淡路大震災対策費あるいは緊急防災対策費など、こうしたものを中心に編成をいたしたもので、必要なものをきちんと積み上げてきた、私はそう考えております。そして、この財源につきましては建設公債を発行いたしましたけれども、その一方で、既定経費の節減を思い切って行いながら、同時に剰余金を国債の償還などに充てる、特例公債の減額を行う、こうした努力もしてまいりました。  八年度予算、こうした役割を持つと同時に、八年度末から九年度初にかけての需要の下支えという効果もございまして、自律的な回復への基盤が整いつつある我が国の経済への信認を高めますためにも、一日も早い補正予算の成立というものを私は願っております。
  175. 日野市朗

    ○日野委員 総理のおっしゃることで、よくわかる部分とわからぬ部分とあるわけでございます。  確かに阪神・淡路大震災復興対策費、これは支出をしていかなければならないものでありましょう。また、災害復旧等の事業費についても、これは山崩れなどもありましたし、土砂崩れの災害など。それから、緊急防災対策で必要な部分もあるでしょう。それから、ウルグアイ・ラウンドの農業関連なんかで、これは日本の農業構造を早急に改めていかなければならないというものがあることはよくわかります。それから、何しろこれから日本が世界の中できちっと経済発展を遂げていくというためには、緊急経済構造の改革という、その対策費も計上しなければならないことはよく私もわかります。  ただ、この補正予算ができる過程で異常なまでに論議になりましたこと、それは、選挙があったわけでございますから、その中で特に自民党の方々がいろいろの公約を選挙を通して選挙民に語り、その収拾を補正予算という形でつけなければならなくなったという事態があったのだということが、非常に強くこれは主張をされております。私も、それはあったのだろうと思うのですよ。この点についてはいかがでございましょうか。  私は、今このような、政治家が選挙のために公約をしたこと、そのためにまた赤字公債を出しながら予算を編成せざるを得ないということになりますと、これは非常に政治そのものが悪い状況の方に立たされると思うのですね。  現在の状況を見てみて、政治とか官僚の腐敗というような問題が前面に出ている。そして、景気の停滞、そしてその理由が構造の改革のおくれというようなことが言われていますね。それで総理も、身を燃焼し尽くしてもこの改革をやる、こういうかたい決意を示された。何かこのごろ、その表現が火だるまという表現に変わってきているわけですがね。  そういう状況の中でこういう予算を組むこと、そしてその内容が必ずしも明確に国民の目に触れていない。例えば緊急防災対策費、これを計上しておられるけれども、何が緊急で、そしてどういう対策であるのかという一つ一つの、個々の必要度というものは全く国民の目に触れていない。こういう事態になっているわけですが、この点についてはどうお考えになりますか。
  176. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 細かい点、場合によりましては大蔵大臣または財政当局から御説明をすることをお許しをいただきたいと存じますけれども、私自身、先般の衆議院選挙、党の最前線に立って選挙戦を戦ったつもりであります。そこで私は国民に訴えましたのは、行政改革というテーマであり、また、我が国の社会保障構造を変えていくためにも介護保険という仕組みをつくらなければならないということであり、同時に、消費税率を二%引き上げさせていただきたい、そのうちの一%は既に先行して実施している所得税減税等の財源を補てんするためであり、また地方に渡す財源であるという、私は率直なお訴えを国民にしてまいりました。  この補正予算の中について、例えば緊急防災対策費、これは、阪神・淡路大震災、また、昨年発生いたしました北海道における豊浜トンネル崩落事故、そして長野県と新潟県の県境における土石流災害、こうしたさまざまな事故がございました。こういう事故を、教訓というものを踏まえながら、新たな知見あるいは技術というものを新しい年度を待つまでもなく直ちに個々の防災対策に反映させたい、そして一層充実した効果のあるものにしたいということを考えて行動したことであります。  ウルグアイ・ラウンド対策の関係については、議員からもお触れをいただきましたが、予算要求を行うに当たりまして設定をする概算要求基準、また予算編成後に生じました補正事由に基づいて編成をする補正予算、性格を異にするものでありますし、そうした個々の趣旨を踏まえながら対応してまいった、そう考えております。  今議員から御指摘のありました選挙と言われますならば、私自身が国民に対し申し上げてきたことは、先ほど申し上げたとおりであります。
  177. 日野市朗

    ○日野委員 選挙において個々の公約ということもありましょうが、経済界の人たち、それから政治家、どれもみんな景気対策ということについてはやはり非常に強い関心を持ちますね。これはもちろん当然であります。私だってそれは持ちます。  その中で、従来型の景気対策を講ずる、補正予算を編成してそれを講ずる、景気対策を講じていくんだというような公約でございますね。これはかなり幅広く候補者の方から選挙を通して訴えられていたと思うんですよ。いかがでございますか。
  178. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 各党各候補、それぞれ御自分の主張というものは出されたであろうと存じます。私も景気対策の必要性は訴えました。  ただ同時に、それは従来型の景気対策、それが効果を出す状態ではなくなっている、規制緩和等を行うことによって新たな業が起きるような状態をつくらなければならないという訴え方を私はいたしておりました。
  179. 日野市朗

    ○日野委員 私も、従来型の景気対策が功を奏するというような状況下ではない。それから、この補正予算を見て、災害復旧事業費、それから緊急防災対策費、こういうものをずっと見て、この程度のもので景気がずっと上向くというようなことは私は考えておりませんし、現在そういった従来型の手法がもう功を奏さないような経済状況になっていることは、私も総理とこれは同じような考えです。  ただ何となく、これはこういう一つの補正予算を組まないとどうにも立場が悪いということで、それは自民党さん、そういう立場になって、それでこの追加財政需要として出ております諸項目について計上していったのではないかなというような感じがするのですよ。  それで、私、それならもっと詳しく伺いましょうね。まず緊急防災対策費について聞きます。  これはまだ、具体的にどこでどのような緊急対策をやるのでございますということが出てきていないわけでございますね。ひとつ御説明いただけませんか。
  180. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 先ほどから委員の御質問を聞いておりまして、ちょっと私、私の方から御質問を申し上げるわけにはまいらぬわけでありますけれども、最近の状況を見ましても、地震はもちろん、いろいろな災害が次から次と日本列島を襲ってきておることは委員承知のとおりであります。これは予告があるわけではございません。また、地震につきましても、一応危険地帯だと言われているところはありますけれども、どこが確実にいつ襲われるかということは、現在の予知技術ではほとんど東海地震以外は不可能であると言われておるわけであります。  そういう状況の中で、また土砂崩れを含めて、そういう災害について、やはり国民は、備えといいますか、これは自然災害、どの程度のものが起きるかということは予測できぬわけでありますから、万全とはいきません、しかし、ある程度自分たちの、そうした災害が発生した場合、安全についてきちっと事前に対応してくれという要請は極めて強いというように私どもは受けとめております。日本列島、北海道から沖縄までの間、そういう意味で措置をしなければならないところはたくさんあるわけでございまして、これは各自治体の長、議会からも我々に大変要請がございます。  それを同時にやるわけにはいきませんから、当初予算についてできるだけ措置をし、また、その後のそうした具体的な、緊急な要請に対して、もちろんこれは財源との関係がございますけれども、このたびは建設国債という財源の中でできるだけ緊急に措置をしようということで、各自治体と協議をしながら積み上げてきたわけでございまして、そのことをもってばらまきだとか従来型だということをおっしゃるというのは、今の予算制度全体のあり方から見ましても、その御指摘は当たっていない。常に政治は柔軟に、機敏に、機動的に対応をしていかなければならない。当初予算で決めたらあとは何もしないというわけには私はまいらないと思います。  また、もう一つ付言させていただきますと、従来型の公共事業は景気浮揚について余り効果がないという意味のこともおっしゃいましたけれども、建設関連の事業はGNPの大体二八、七%に影響を与えているのは御承知のとおりであります。そうした中で、第四・四半期が、従来のままで推移をいたしますと大体三、四〇%これは穴があいてまいります。それが間違いなく景気に対して打撃を与えることはもう目に見えておるわけでありますから、このたびの補正予算は、そうした防災的な観点からと、そうした景気の下支えをしていくという、一石二鳥の見事な補正予算であると私は考えております。
  181. 日野市朗

    ○日野委員 あなたは今、災害はいつどこで起こるかわからぬ。それはもう日本全国どこだって同じです。活断層一つ見ても、活断層のあの多さ、それに緊急対策をするのに六千四百七十二億ですか。それからまた洪水被害、山崩れ、それからトンネルの崩落、そういうのを全部やっていくために六千四百七十二億ですか。  財政法には、補正予算を組むのは特に緊要な経費を支出する場合に組める、こうなっているわけですね。あなたの言うようにいったら、これはもう全部やらなくちゃいかぬ。果たしてそれが財政法の言う緊要性ということに当たるのかどうか、この問題が一つありますね。  そこで私、あなたにまたここで長広舌を振るわれると困るから、どの部分が緊要性があるものか、この答えを出すのは、この緊急防災対策費の内訳、これをきちんと出して一つ一つ点検するしかないのだ、こう思いますよ。だって、今国民が見ているんだから。情報を公開をするということがこれからの政治改革一つの大きな柱でしょう。しかも、これは予算の話だ。これはお出しなさいよ、一つ一つの箇所まで示して。それでなければ、あなたと私の間は、これは議論の行ったり来たり、水かけ論ですよ。
  182. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 委員におかれましては、行政権の中枢の中でも長い間お仕事をされておりますので、すべて御承知の上での御発言でございますから大変な重みがあるというように受けとめておるわけでありますが、先ほど申し上げましたように、ここを緊急に手当てをしていただきたいという各自治体等からの要請が大変多く来ておるわけであります。それを同時に処理するわけにはまいりません。  そういう中で、私の方も、地建が全国にございます。各地建の判断等から、やはりここは優先的に措置しなければ危ないというようなところについて自治体とも協議をしながらやっておる、その過程を皆様方にお示しをしながら予算を審議をするということは、現在これは事実上不可能でございます。申し上げますと、現時点についても各自治体との中身の協議は続けながらやっておるわけでございまして、もともと国会における予算の審議が、個々のそうした予算の費目の項目について中身までこの予算委員会で御審議をいただくということであれば、予算審議のあり方全体について御協議をいただかなければ、これは私ども公共事業の予算分野以外のことについても私は同様の問題が出てこようと思います。  そういうことでございますので、予算の執行権との関係もございます。そういう意味で、議会と行政府とのそれぞれの所を得た形で、できるだけ我々が情報を御提供も申し上げていく。ですから、委員から、じゃここはどうなんだというようなことがございましたら、その自治体との折衝状況を含めて我々は可能な限りお伝えをいたしたいと私は思いますが、ただ、全国、そうしたところについてどうなんだということを一々この場でお出しするなんということをやりましたら、恐らく委員会の審議は、先ほどから私の答弁が長過ぎるとおっしゃるわけでございますが、こんなものではおさまらなくなるわけでございまして、一週間でも二週間でも要ることを御承知いただきたい。
  183. 日野市朗

    ○日野委員 私も演説を始めれば長い方でございまして、建設大臣に劣らないくらいしゃべりまくることになるかと思いますが、私はここで、私が今個別の箇所まで含めて資料を出せということを言ったことを引っ込めることは絶対ありません。引っ込めるのではない。ただ、時間が余りないものですから、このことはほかの委員からも話が出るでしょうし、これから予算を編成をして国会に出す以上、そういった個々の箇所についても、これを求められれば出すという一つの姿勢をとっていませんと、予算審議というのは本当に上っ面をずっとなでて、時間が経過すればそれで審議打ち切りになってという、そういうパターンの繰り返しになると思うんだな。これは一番いかぬことだと思います。  もう答弁は求めません。公共事業の景気に及ぼす影響については、また後のところでちょっと聞きます。何しろ時間がありませんのでね。  それで、きのう実は、うちの党の仙谷さんの方から繰越金の話が出ましたですね。かなり膨大な公共事業の繰越金が出ているという話がありました。私も、ほう、こんなにあったのかな、こんなふうに思ったのですが、ある程度繰り越しが出るのはしようがないと思いますね。明許の繰り越しとその他の繰り越しと、これはいろいろありましてね。特に補正予算なんかだと、自治体も三月補正、十二月補正、こういうふうなもので対応しますから、繰り越しが出るのはある程度やむを得ないということは私もよく承知をしているのですが、ちょっと繰り越しが多過ぎやしないかなということを思うのですよ。  建設大臣、きのうあなたは地権者の同意が得られなかったりという、そのほか遺跡が出たりとかいろいろあります。それに農水省も相乗りしちゃった。私は、農水省なんか、これとは事情がかなり違うと思うのですよ。かなり大きい部分というのは土地改良とかそういったもので占められているわけでしょう。あそこなんかはもう土地改良法やなんかで厳重な手続を踏んで、そして大蔵省の場まで行くわけですから、ちょっと私はその農水省の言い分、亀井建設大臣の意見もちょっと気にはなるんだが、まず農水省に聞きますからね。
  184. 堤英隆

    ○堤政府委員 きのうもお答えしたのでございますけれども、公共事業を執行します場合に、ほかの省庁の事業との共通性もございます。またさらに、農林水産関係の公共事業の特性もございまして、今もちょっとございましたように、例えば農業基盤整備事業を実施します場合には、これはそれぞれの地域のかなりたくさんの農家の方々の同意を得ながら、それをまとめつつ事業を執行していくという特性がございます。したがいまして、地域によってそういった話し合いに予想以上に手間がかかるというような場合もございまして、そういう理由で繰り越しになるという場合もございます。  それから、北海道、東北といった積雪寒冷地帯での事業量もかなり多いわけでございますが、かつそういうものが面的な整備、まあ線的な整備であれば雪が降りましてもかなり事業ができる場合もございますけれども、非常に広い、何十ヘクタールとか何ヘクタールとか、そういった面的な整備をします場合に、やはり降雪とか寒冷という場合には非常に大きな影響を受けます。そういった地域的な状況で、特別に雪が多いとかそういった状況の中におきましては、やはりそういった事由で繰り越しになるという場合もございます。  そういうことで、たくさんの人たちの、地権者の同意をとりつつ事業を執行しているという特性、それから積雪寒冷地帯等におきます事業量が多い、そういった状況の中で繰り越される場合がやむを得ず出てくるということでございます。私どもも年度内に事業を執行したいということを基本的に思っているわけでございますが、今申し上げましたような努力をいたしましても、なお、そういった事由で繰り越しが起こるという場合があるわけでございます。
  185. 日野市朗

    ○日野委員 特に私は農水省に申し上げておきたい。このウルグアイ・ラウンド対策費の使い方、これは、日本の農業がこれから日本人の食糧をきちんと賄うことができる、そういう農業構造にきちんと変えていくための、もっと積極的な攻めの姿勢で使ってもらわないと困ると私は思いますよ。今までの従来型の積み重ね、そしてあそこについたお金、六兆百億ですな、これをいかに消化するかということになってきゅうきゅうとしている、私にはそう見える。  また、例えば農道空港なんというのがありまして、随分ぶったたかれた。これ、私は同情しているんです、実は農水省に。九州で文化ネギをつくって、それをどんどん東京に空輸して成功した。あれは新しい農業の姿だというふうにみんな思った。それでこれもやろうということで、私自身はそのとき、野菜のような利幅のそんなにないものでそれをやるのは冒険じゃないかなという気はふらっとしたけれども、まあやってみようよというような、私もそんな気持ちになったりしたこともあるので、これは私は一概に責めようと思わない。  しかし、こういう新しいものをどんどん進めていく、これは失敗しないようにということはありますけれども。しかし、やはり今までの従来型の事業を積み重ねていって六兆百億を消化しようなどということでは、農水大臣、困るんですよ。新しい分野を農業の中で開いていく、この覚悟をちょっと示してください。  私は、今度の補正予算のウルグアイ・ラウンドのこの問題については、もっと大胆な使い方ができないのということは言うが、減らそうというふうには今主張はしませんけれども、ちょっと今突然農水大臣に聞いて、お話もあれだから、じゃ堤さん、あなたやりなさい。
  186. 堤英隆

    ○堤政府委員 ウルグアイ・ラウンド対策は、先生も御指摘のように、非常に厳しい決断をしなきゃならなかったという状況の中で、その中でもなお厳しいけれども頑張っていこうという農家の方々の意欲にどうやって行政としてこたえていくか、そういう観点から取りまとめられたというふうに私どもは思っております。したがいまして、その中身につきましても、六年後にはガット・ウルグアイ・ラウンドの再交渉ということもあるわけでございますから、そういう状況の中で、やはり国際化の中に置かれた日本の農業の足腰を強めていくということは基本でございます。御指摘のとおりでございます。  したがいまして、ガット・ウルグアイ・ラウンドの六兆百億円の事業は、何というか、一般の公共事業、一般の農業農村整備事業と違いまして、基本的にはやはり今おっしゃいましたように大規模化、あるいは農地であれば集団化、大区画、そういった事業を中心に据えております。  それからもう一点は、そういった国際化の中で最も影響を受ける地帯でございます中山間地帯、この地域の活性化を図っていくということは、やはり日本の国土の全体の均衡ある発展ということからいっても極めて重要でございます。  そういう意味で、平場地域におきましては区画整理等の大規模化ということに重点を置き、それから山村等の中山間地帯におきましては、地域資源等を活用しながら何とか雇用労働力もそこでとめていただく、とまっていただく、地場産業を活性化していく、かつ生活環境もそこで整えていく、そういうことに重点を置いて事業を実施しているということでございます。  なお、ちなみに、農道空港の話がございましたけれども、これはウルグアイ・ラウンドの六兆百億の事業としてはいたしておりません。かつ、いろいろ御指摘もございますので、平成九年度予算におきましてのその旨の計上はいたしておりません。
  187. 日野市朗

    ○日野委員 どんどん時間というものはつれなくも過ぎていくものでございます。  私、補正のあり方というものについて一つ注文をつけておきたいことがあるんですよ。  シーリングでびしつとその年度の予算を抑えるものですから、どうしても、何か新しい仕事をやろうということになると、じゃ補正でつけようか、こういうことになるわけですな。これは今までまあそういうふうにやられてきたし、私も利用しなかったといえばうそになりますが、しかし、これはやはりやめるべきではないだろうかなと思いますね。そのためには、そのシーリングの方式、これについてもっと見直す必要があると思いますが、どうですか、大蔵大臣
  188. 三塚博

    三塚国務大臣 財政構造改革元年と申し上げまして平成九年度予算を編成をいたしました。これは九年度既に概算要求、シーリングを決めてスタートをしておったわけでございますから、その中でも、前段申し上げております元年にふさわしい構造改革への前進の措置は講じたところ、御案内のとおりであります。  その中で、これからのシーリング、これから年度予算をお願いしようというやさきに構造改革会議、これを二十一日、設置をいたしました。ねらいますところはまさに、二十一世紀に向けてあと残された四年、しっかりとしたものをつくり上げるためにはシーリング是か非か、それと予算編成のあるべき姿はどうあるべきか。  それは、国民の各位の選択、また議論の帰するところ、さらに、政治は議院内閣制における立場でやられておるわけでありますから、与党三党代表による議論の展開、そして内閣もこれに参加をしてやり抜くということで、限られた財源を有効かつ効率的に運営をするためにはどうするべきか、従前のシーリングはシーリングとして横目ににらみながらも、大きな流れは、そういう中で白紙で論議をし、そこで詰めてまいり、来年度予算編成の概算に結びつけ、年度予算編成、こういうことであります。  日野さんの言われるシーリングに対するいろいろな思いは、また時間をとりますから、同じ郷里でもありますので、お聞かせをください。
  189. 日野市朗

    ○日野委員 本予算での論議もあることでありますから、きょうのところはその程度に伺っておいて、次の問題に移りたいと思います。  先ほどから官僚、政治、それからそれにまつわる人々のモラルの退廃の問題、いろいろ出ております。また、私も本当に残念でございますね、よく知っている人たちがどんどんこのごろは逮捕されたりなんかするものですからね。関西国際空港前社長の服部さんなんかは、立派な人だと私は思っていましたよ。現金を出され、絵を出され、金の延べ板ですか、そんなのを出されたら、これは受け取るのは拒否すべきですよね。それを受け取ってしまうというこの神経、それはもう本当に腐敗しているなと思わざるを得ない。まことにこれは私は残念だと思います。今は、その一つ一つについて、ここで厚生大臣とか何だとか、そんな質問をしようとは思わない。ただ、これは正さなくちゃいかぬ。  去年、事務次官たちの間で相談をした、一つの基準をつくりましたね。一緒に飯を食ってもだめだというのですからね、官僚は業者たちと飯を食っちゃいかぬとか丁同じ同級生で、業者と官僚で同級生同士というのだっているんだろうし、ちょっとそこらはもう少し考えなければならぬところがあるのかなと思っていますが、それでもなおかつ、モラルの退廃を正す努力は、これはちゃんとやりましょう。  ただ、私、これは官僚、それから政治家も、何かきょう、あすあたり逮捕される人もいるというのですが、あれは政治家が詐欺をやったというよりは、詐欺師が政治家になったような感じもするのですが、ああいう人なんかも含めて、政治家もこれは身を正さなくちゃいかぬです。やはりこれは、自分の職務の廉潔性というものを余り安易に考えちゃいかぬ、こう思っているのです。  ただ、私は、こういう腐敗というのも、ひとつやはり正していかなければならない構造であろうと思いますね。行政改革、もちろんやらなくちゃいかぬです。総理が言われる六つ改革、これはきちんとやらなくちゃいかぬ。しかし、もう一つ、同時に、そういったモラルを正していくことの必要性というものはあると思いますね。そして、私は、官僚、政治家、これもそうだが、民間もまたモラルを正さなければならないところがあるのではないか。それから、民間もこれからの将来に向かっために、毅然として立ち向かう姿勢を示す必要があるのではないか、こんなふうに私は思っております。今、ここでは余りとやかくは言いますまい。このことについては、後でまた、本予算のところでいろいろ論議をさせていただきたいというふうに思います。  ただ、日本を覆っている閉塞状況と一言に言われますが、もう一つは、日本全体を覆っている名状しがたいモラルの退廃とでも言いますか、そういったものがありはしないかということを私は非常に今心配をしています。  そこで、総理に伺いたいのですが、総理六つ改革をやるというふうにおっしゃいました。後から教育というものをつけ加えられた。あれも私は非常に適切なことであろうというふうに思っています。ただ問題は、今そういう大改革の時代ですね、改革をなさねばならない。そのとき、この改革をなすことによって総理は何をなさりたいのか、どのような国をつくっていかれたいのか。  どんどん先取りをしてしまいます、恐縮ですが。「重ねて申し上げますが、私が目指す社会は、国民一人一人が将来に夢や目標を抱き、創造性とチャレンジ精神を存分に発揮できる社会、世界の人々と分かち合える価値をつくり出すことのできる社会であります。」こうおっしゃっておられます。私もこれは非常に適切であるというふうに思いますね。  ただ、私、ここで心配しますのは、問題はそこでとまっていいのか。今私は、政、官それから民間についてモラルのお話をちょっとさせていただいた。これは、今までの日本の社会、やはり経済発展を目指してきたがために、金銭的価値をもって至上のものとし過ぎてはいなかったかという思いが実は私にはあります。ここで総理は、「一人一人が将来に夢や目標を抱き、創造性とチャレンジ精神を存分に発揮」、こう言っておられるのだが、これがまた経済至上主義的な価値観、これと結びついていくことがありゃしないか、私はこれを非常に恐れるのですね。総理はこの点についてどのようにお考えになられますか。     〔委員長退席、小里委員長代理着席〕
  190. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私はいろいろな言い方をいたしましたけれども、その意味では、何よりもやはり公平な競争のチャンスが常にあるということは私は非常に大事なことだと思うのです。そして、なるほどしかしそれを間違えると議員が御指摘になるような経済至上主義になりはしないか、この御指摘は非常に私も大事にしたいと思います。  戦後の五十年、ある意味では豊かな国家というものを目指し、その中で均質性と平等ということが強調されていく中において、いつの間にか自分の国あるいはふるさとというものに対する思いとか、あるいは先輩に対する敬意といった本来日本人が持っていたと思うものがどこかで失われていたとするならば、当然そうした価値観を取り戻す、そうした必要性もありましょう。そして、その中において、より自由な教育の仕組みを我々は一方で模索したいと思います。  同時に、今議員が御指摘になりましたようなことを避けますために、先ほど達増議員に私申し上げましたけれども、本当に、よそのお子さんを注意して親御さんからどなり込まれたり、よそのお子さんだからほっとけというような社会ではない、そうした社会をつくっていくというお互いの心構えが必要であることは私は御指摘のとおりだと思います。
  191. 日野市朗

    ○日野委員 この話は、後また本予算のときに十分に時間をかけて私もやりたいと思っています。  私、昔、シュペングラーの「西洋の没落」という本を読みました。それからあとは、イギリスのアーノルド・トインビーが、文明論、文明というものの興亡、そしてそのルネッサンスというような論議を展開している。それから、最近ではハンテントン教授の「文明の衝突」などというものがありまして、これからは、グローバルな世界というのも変な話だが、世界全体を見てその中で日本がどのような立場をとっていくかということを考えてまいりますときに、日本人の持つアイデンティティーとか日本の文化、それから日本人が今まで築いてきた文明、こういったものをもう一度我々きちんと見直し、議論をし、そして将来の発展の形というものをしっかり押さえていかなければならないというふうに思います。きょうは問題点の提起にとどめます。  最後に、ナホトカ号の石油の流出事故の問題について、きょうもう随分いろいろ出ておりますから多くを語るつもりはありませんが、確かに対応がかなり後手後手になっているなという印象は私も持ちます。どうも日本の国家機関、これは国家機関のみならず民間もそうかもしれません。できるだけ自分の責任の範囲に物事を呼び込みたくないというような意識がこれはあったんじゃないのかなというような感じがするわけですね。  これは、ナホトカ号がああいう遭難をする、そうすると、船体の処理だとかそれから油の処理、これは船主の責任よ、こっちはそれに触れたくないわというようなことでじっと見守ってしまったというようなことがあったんじゃないかなというような感じが実はいたします。これは答弁を求めれば、いや、そんなことはなかったというような答弁になるだろうから私はあえて答弁は求めません。私の感想だけを述べておいて、これからこういう事態になった場合は、まず、その衝に当たる人たちよ、懸命に自分たちのなすべきことを果たせということを私は申し上げておくにとどめたいというふうに思います。  ただ、問題は、ロシアの船がかなり老朽化した船で石油を上海とか香港あたりからカムチャツカに運ぶというようなことが、これは常にあったことのようですね。私は、ロシアなんというのはもう世界最大の石油産出国でありますから、しかもあそこはパイプラインを国じゅう全部引いているんですよね。それで賄っているのかと思ったら、どうもそうじやなかったらしいんで、それはロシアはロシアの石油の需給事情があるのでございましょう。しかし、そういう船でしょっちゅう運んでいるという状況がある以上、これは我々、それに対するこれからの備えをしておかなければならない。これはぜひともやらなくちゃいかぬことですね。  アメリカなんかを見てみますと、バルディス号の事件がありまして、それから早急に米国油濁法というのをつくって、そしてそれに対する備えを早急に進めたわけですね。ナショナル・リスポンス・チームというのがあるんだそうです。これはそれに対する対策を企画立案するところ。それから、その防除を実行していくナショナル・ストライク・フォースというのもあるらしいんですね。こういうものをきちっとつくっていくということが、これから私は日本に必要だろうと思う。  それから、国際的にも、そんな二十五年もたったような船を航行させるというようなことがいいのか悪いのか。それを航行させないような手段はないのか。そして、もしそういうものがどこかの港に入ったらそれの出港を制限するとか、そういう手段、方法は、これは国際的に考えられないのか。この問題は非常に我々早急になさなければならない問題だと思いますので、政府としていかがお考えになるか、その点について。
  192. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 先生の方から、今回のナホトカ号の事故による災害に対する、今後の再発防止を含めて、大変広範囲な角度からの検討について御示唆をいただいたところでございます。  私といたしましても、今回のこの事故の災害を踏まえ、事の重大さにかんがみ、今御指摘をいただきました点を踏まえながら、あらゆる角度の中から再発防止に対する対策について検討してまいりたい、このように思っております。どうぞ御指導のほど、よろしくお願いいたします。
  193. 池田行彦

    ○池田国務大臣 今後このような事故が起きた場合の対応をいかにするべきか、これにつきましては、国際的な面でもいろいろ改善措置を講ずる必要があろうかと存じます。そういった観点から、もう既に国際海事機構におきまして、十三日にその旗国小委員会というのが開かれましたが、その場におきまして、我が国から、このような問題について今後検討することを提案したところでございます。  さらに、北西太平洋地域海行動計画というものがございますが、その関係の会合も七月に我が国で開くことを考えておりまして、その場でもこのような問題を考えていこうと思っております。  そのほか、二国間あるいは多国間のいろいろなその仕組みの中で、いろいろ国際協力の方途を追求してまいりたいと考えている次第でございます。
  194. 日野市朗

    ○日野委員 この事故は、その被害を受けられた漁民の方々、それから今も一生懸命行って仕事をしておられるであろうボランティアの方々、特に亡くなられた方々、こういう方々のことを思えばまことに胸痛むところでございます。二度とこんな事故の悲惨さを味わわないで済むような措置を講じていくというのが我々政治家の使命ではないかと思います。ひとつ皆さんも頑張ってください。我々も頑張ってまいります。  終わります。
  195. 小里貞利

    ○小里委員長代理 この際、生方幸夫君から関連質疑の申し出があります。日野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。生方幸夫君。
  196. 生方幸夫

    生方委員 民主党の一年生議員の生方と申します。予算委員会での質問は初めてなのでいろいろまずいこともあるかもしれませんが、ひとつよろしくお願いいたします。  まず、総理の行革に対する姿勢ということでお伺いしたいのですが、総理のお姿を拝見していますと、行革に対する取り組みの熱意というものがひしひしと伝わってくるのですけれども、臨時国会、本国会、聞いておりますと、その言動に至っては何かやや後退しているのかなという気がして、懸念をしておるところです。民主党は建設的野党という立場でございますので、総理が行革をおやりになるということであれば、当然これを支えていかなければいけないというふうに思っております。  当初、火だるまになる覚悟で行革に取り組むと言ったことから現在に至るまで二、三カ月の年月がたっておるのですけれども、その間、自民党内の抵抗や官僚の抵抗によって、その火だるまになる決意というものが少し変化があったのかどうか、そこからまず聞きたいと思います。
  197. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 変化があったかとお尋ねをいただきますなら、変化はあったでありましょう。より具体的に進めなければならないという思いは日に日に強くなっております。
  198. 生方幸夫

    生方委員 具体的に進めなければいけないというのは、もうちょっと具体的におっしゃっていただけるとありがたいのですが。
  199. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 何を例示にとればいいのかとっさに、さまざまなテーマがありますので。  例えば、地方分権推進委員会から、先般第一次の勧告をちょうだいをいたしました。そして、私の方からこの勧告をいただきます前にお願いを申しましたのは、どうぞ抽象的なものではない、より具体的な御意見をいただきたいというお願いをし、おかげさまで相当程度の具体性を持った第一次の報告をちょうだいをいたしました。そして、既に地方分権推進計画に向けてこの作業はスタートをいたしております。機関委任事務について、残ります部分については恐らく春になって第二次の勧告をくださる、地方分権推進委員会からはそのようなお話をいただいておりますので、これがちょうだいできれば、第一次にちょうだいした分とあわせて計画が取りまとめられる。  しかし、その間にも、第一次にいただきました勧告の中でも前倒せるものはないかということを自治省にも、また各省にも指示をいたしているといった状況でございます。
  200. 生方幸夫

    生方委員 行革という大変なことをやるには、国民の皆様方の強い支持がなければいけないというふうに考えております。  それで、今回の補正予算に関して、国民の皆様方は、日経の調査によれば七一%が修正をしなければいけないというような意見を持っているというふうに書いてございます。主に批判の集まっているところは、補正予算に見られるばらまき体質、あるいは族議員のばっこで自分たちの地域だけの利益を優先しているのではないか、こうしたことに対する批判があるのではないかというふうに考えております。  私は、国民の皆様方の支持が得られるためには、やはり前例にとらわれないで、国民の皆様方が求めているのであれば、補正予算にしろ本予算にしろ、修正をしていくということにちゅうちょをしてはいけないと思うのですが、その辺についての御意見をお伺いしたいと思います。
  201. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、歴代どの政府も同じだと思いますけれども、そのときそのときのさまざまな状況の中で、与えられるさまざまな課題の中から全力を尽くして最善と信じる予算を編成してきていると思っております。私どももまたそうであります。  そして、言葉でいろいろな御批判をいただきますが、例えば、これをそれじゃ削れという具体的なお話、よく出てまいりますのは新幹線であります。しかし同時に、地域社会の中で新幹線を求めておられる国民の声もございます。そして、私どもは、未着工区間の着工というものについて、例えば収支採算性でありますとか、並行在来線の処分をどうするのか、関係する地方公共団体の同意はどうなのか、JR自身は同意をしているのかといったポイントを押さえながら、その上で厳正な判断を加えるといたしております。一方で、それでもなおかつ地域としては進めたい、JRとしてもその工事を進めたいという場合でありましたなら、それは地域の住民のエゴイズムなのでしょうか。同時に、それだけの厳しい歯どめを我々はかけてきたつもりであります。  どうぞ、そうした努力というものも十分御理解をいただきたいものだ、そのように願っております。
  202. 生方幸夫

    生方委員 整備新幹線の問題に関しては、私も必ずしもそれが必要でないというふうには考えてはおりません。しかしながら、どうも整備新幹線の問題を見ておりますと、整備新幹線をつくるということに重点が置かれていて、整備新幹線を引くことによってその地域の町づくり、あるいはその地域づくりをどういうふうにするのかという視点が欠けているのではないか。したがって、これから、地方分権が叫ばれる中、必ずしも新幹線を東京に向けて引くということだけではなくて、もっと総合的に、その地域振興のために役立てるお金であれば使い道があるのではないか、そのように私は考えておるのですけれども、それについての総理の御意見をちょっとお伺いしたいのです。
  203. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 これはちょっと直接の答えにならない点をお許しいただきたいと思うのです。  一昨年の一月十七日に阪神・淡路大震災が発生をいたしましたとき、私はちょうど通産大臣でした。そして、そのライフラインの復旧という責任と同時に、緊急に少しでも神戸に産業を戻すという役割を持っておりました。その時点で改めて私が痛感しましたのは、国土軸が一本しかないというその脆弱性であります。  そして、そうした目でこの事件を見ましたとき、実は一番最後まで影響が残りましたのは、たまたま鉄道で結ばれておりませんために沖縄県の影響は比較的早く終わりましたが、鹿児島県から北海道までの中小企業の部分に最後までこの影響が残りました。そして、その一つの大きなポイントは、当然ながらお取引先が被害を受けた、あるいは仕入れ先が被害を受けたということでありましたけれども、それ以上に、東西の物流が切れた。東日本から西日本へ、西日本から東日本への商品の移動が、復旧のために交通機関が使われる、それが主体になる、そのためにむしろ輸送路が途絶えてしまう、この影響は随分長く残りたわけであります。  そうした視点から、私はこの国に複数の国土軸を整備する必要性というものを強く感じてまいりました。その国土軸の中において、高速自動車網がいいのか、鉄道網がいいのか、さらに港湾の機能、飛行場の機能、これをどう組み合わせていけばいいのかというのは、これは論議をする部分のあることだと存じます。しかし、私は、やはり国土軸の整備という視点、複数の国土軸を持つ必要性というものは非常に高くなっている、そのように考えております。
  204. 生方幸夫

    生方委員 複数の国土軸を持つ必要性というのは、私も十分自覚をしておるつもりです。  ただ、こういう厳しい財政事情の中で、整備新幹線すべてのところに着工する、着工するかどうかはまだこれから決めることですが、着工する決定をしたことについて、国民がばらまき行政とか自民党内の族議員の復活というような批判になっていると思うのですが、それだけを私は懸念をしているのです。
  205. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 誤解のないようにもう一度申し上げたいと思いますけれども、未着工区間について、私どもは、例えば収支採算性でありますとか在来並行線の廃止、それに対する関係の地方自治体の同意とかJRの同意とか、幾つかの条件を付した上で厳正に判断すると申し上げておりまして、着工すべてを決定しているとおっしゃるのはちょっと受けとめが違うのじゃないかと思うのです。  それだけの制約を、制約という言葉は不的確かもしれません、条件を付し、その条件をなおクリアした時点において判断をするということ、そのとおりにお受け取りをいただきたいと思うのであります。
  206. 生方幸夫

    生方委員 整備新幹線の問題は補正予算の問題ではございませんので、補正予算に戻りまして質問をさせていただきます。  補正予算、先ほども申し上げましたように、国民の皆様方が必ずしも賛成をしているわけではないという意見が出ております。特に批判が強いウルグアイ・ラウンドの農業対策費並びに公共事業に関する予算を、先ほど亀井建設大臣もおっしゃっておりましたが、中身がどうであるのかを一々全部目の前で、ここでやったら一週間かかるというようなお話ですが、その中でもやはり削減できるものは削減するという姿勢を示すことが総理の行政改革に対する姿勢というのを国民にアピールすることになるのではないかということで、重ねて、予算を修正することが可能であれば修正をしていただきたいということをお願いを申し上げたいのです。
  207. 藤本孝雄

    ○藤本国務大臣 ウルグアイ・ラウンド対策費につきましてのお尋ねでございますから、私から総理の前に申し上げたいと思います。  このウルグアイ・ラウンド対策費というものは、御承知のようにウルグアイ・ラウンド合意に伴います影響を最小限度に食いとめるために、一年かけまして各方面の、例えば農政審議会であるとか各団体、農業団体等も含めまして意見を聞いた上で、政府・与党が、その中にはさきがけの菅代表も入っておったわけでございますが、政府・与党が責任を持ちまして決定をした、こういういきさつがあるわけでございます。  これによって我が国の農業が新しい国際環境のもとで足腰の強い農業を築いていく、こういうために大事な事業である、こういうことをぜひ御承知いただきたいと思うわけでございまして、そういうことからいたしますと、現在二年目に入っているというこの事業でございますので、先ほど申し上げましたような所期の目的を達成するために私どもといたしましては全力を挙げて実現を図っておる、こういうことでございまして、ぜひ御理解をいただきたいと思う次第でございます。
  208. 生方幸夫

    生方委員 ウルグアイ・ラウンドの対策費については、もともと、当初取り入れられたときは日本の農業を強くするということが目的で取り入れられたというふうに理解をしておりますが、二年たって三年たって米の国際競争力が強くなったという話も聞かないので、非常に大きな額でございますので、本当にこれが農業を強くするということであるならば私どもももちろん反対するものではないわけですが、むだがあるのであればそのむだは徹底的に排除していただきたい、こういうことだけ申し上げておきます。  次に、財政再建について話を進めていきたいというふうに思っております。  日本の財政赤字というのは、先進国中の最悪になっているというふうになっております。フローベースで見ますと、公債依存度は、アメリカが、これは九七年度ですが、七・七%、イギリスが一六・五%、ドイツが一二・一%、フランスが一八・三%であるのに対して、日本は、九七年度で見ますと、二一・六%にまでなっております。  また、これをストックベースで見て、長期政府債務残高の対国税収入比率で見ますと、日本は九七年度で五・八倍にも達しております。これは、アメリカの五倍、イギリスの一・九倍、ドイツの二・〇倍、フランスの一・一倍に比べると非常に大きな額になっております。これを何とかしなければいけないというのは、もう政府も私どもも全く同じ考えでございます。  アメリカは、八〇年代に、よく双子の赤字というふうに言われまして、貿易赤字と財政赤字というものがアメリカ経済に非常に暗い影を投げかけていたことは、私もよく承知をしております。しかしながら、アメリカは、九〇年代に入って、財政赤字、あれよあれよという間に三分の一にまで減ったという事実がございます。私たちは、アメリカのこうした事実に勇気づけられもしますし、大いに学ばなければいけないところも多々あるのではないかというふうに考えております。  アメリカの財政赤字解消というのも、もちろん一年二年でできたわけではなくて、レーガン大統領が八五年に一番最初に財政均衡法というのを打ち出し、これが失敗して八七年に改正するとか、いろいろな試行錯誤を続けてまいりました。九〇年にはブッシュ大統領が包括財政調整法というのを出して、九三年には御承知のように現在のクリントン大統領が包括財政法をやや改正した、それによって財政が立ち直ってきたということがございます。これは、もちろん、アメリカ経済が九〇年代に入って復活して歳入がふえたという条件もございましたが、それにしてもアメリカのとってきた財政再建法というものには多分に学ぶところがあるのではないかというふうに思っております。  政府も、ことしの六月をめどに財政再建法というのを提出されるということですが、この中で、例えばアメリカの包括財政調整法の中で取り入れられました、歳出の上限を決めるというキャップ制とか、あるいは新たに歳出を増大する場合には必ずそれに見合った歳出の削減をするというような形の、ペイ・アズ・ユー・ゴーという方法ですか、こうしたものを取り入れることによって歳出を削減したという事実がございましたので、今度の財政再建法におきまして、このようなキャップ制やペイ・アズ・ユー・ゴー制というようなものを取り入れていくお考えがあるのかどうかということをちょっと総理にお伺いしたいのです。
  209. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今委員からお触れになりましたように、グラム・ラドマン法が必ずしも十分な成功をしないという状況の中から、例示をされましたOBRA、包括財政調整法がつくられてきました。この中には、キャップ制あるいはペイ・アズ・ユー・ゴーの原則、例えば医療保険削減など個別歳出項目の削減もございますし、また増税もあることは御承知のとおりでございます。  私は、このアメリカの仕組み、これが万能だと言うつもりはありませんけれども、当然のことながら、我々財政構造改革会議の中で聖域を設けずに議論をしていこうといたしております、その中の参考の、当然のことながらいい例になるものであることは間違いありません。  ただ、歳出上限の設定あるいはスクラップ・アンド・ビルド原則を徹底する、個別の歳出項目に対して歳出削減目標を設定する、こうしたやり方、どれをということではなく、我々議論をしてまいります場合には、日本と当然のことながら状況の異なる部分を持っているわけでありますし、アメリカに比して少子・高齢化の度合いが、非常にピッチが速いという日本の特殊性もあるわけでありますから、こうした点も踏まえながら当然議論をしてまいります。  しかし、その議論の中に、これが参考になるのか、こうしたものを恐れずに議論の対象とするのかと言われますなら、我々としては、当然のことながら議論の対象としてまいりたい、そのように今思っております。
  210. 生方幸夫

    生方委員 この財政再建法は具体的にはいつごろまでに提出される予定か、ちょっとお伺いしたいんです。
  211. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 午前中もお答えを申し上げました点とちょっと重複をいたしますけれども、当然のことながら、我々はこれを来年度予算編成には役立てたいと考えております。  そのためには、来年度の概算要求が提出される時点でその考え方が反映していなければなりません。ですから、我々は、概算要求基準、今のシーリングのままでいいとは思っておりませんので、どういう概算要求のルールをつくるかという結論は、少なくともその時期までに出したいと考えております。  そういたしますと、やはりその考え方を整理し、法律案にし、国会に御審議をお願いをするというのは、仮に秋に臨時国会が開かれるとすればその時期になるものかと思いますが、これは国会のことで、いつ開かれるかということと連動する話でありまして、我々の作業の目標は、少なくとも次年度の概算要求のルールはその概算要求の作業にかかる時点までにつくっておかなければならない、そう考えているわけであります。
  212. 生方幸夫

    生方委員 財政再建というとどうしても出を絞るということに重点が置かれがちで、国民の側からすると、出が絞られるというのはなかなか暗いことであって、つらいことであるというような感じがいたしますので、やはり同時に入りをふやすということをやっていかないと、世の中明るくならないんではないかというふうに思っております。  アメリカも、財政再建法をやると同時に、当然入りをふやすための経済構造改革というものに一九八〇年代の中ごろから懸命に取り組んできた、その成果が九〇年代に入っての歳入の増加につながって、財政赤字がピーク時の三分の一にまで減るという劇的な変化につながったというふうに私は解釈をしております。  アメリカの財政再建ということに関していいますと、日本の場合はどうしてもアメリカのリストラということにばかり目が行ってしまいまして、あれだけ大胆にレイオフをやれば日本経済もすぐにも立ち直るんではないかというような意見もございますが、それだけではなくて、アメリカ政府は今や、日本がかつて日本株式会社と言われたように、政府と企業、経済界が一体となって経済発展にばく進したように、アメリカがむしろこの手法を学んでいるというような感じを強く持っております。  具体的に申しますと、一九八五年に米の国防総省がCALSというものを導入いたしました。一番最初は、これは御承知のとおり紙をなくそうということで取り組んだんですけれども、これが最終的には今日本で、まあ今じゃないんですが、二、三年前にCALSが非常にブームになりました。もう八年、十年ぐらいたってからブームになるぐらい、前にアメリカはCALSに取り組んでいるわけです。  で、このCALS、最初は紙をなくそうという運動だったにもかかわらず、これが部品や何かを共通化していこうという動きにつながって、いわゆるアメリカの産業の復活に一つの力をかしたデファクトスタンダードというようなものをアメリカが支配することにつながっていったわけです。  同時に、今度は一九八七年にはアメリカがマルコム・ボルドリッジ賞というのを導入いたしました。これは日本のデミング賞をまねしたものではないかというふうに日本ではとられておったんですけれども、ところが、デミング賞の品質管理ということはもちろん重要な考え方でございますが、アメリカがマルコム・ボルドリッジ賞を取り入れたときに、日本のデミング賞と非常に違った観点で、いわゆるCS、カスタマーサティスファクションという、顧客を重視するという考え方を取り入れた。これがアメリカの企業を、ただ単に品質管理というだけではなくて、顧客を重視するというように大きく変えていったことにつながっていった。  また、一九九〇年代に入りまして、今度はスーパーハイウエー構想というようなものが出されました。これも当時提出されたときは、日本のNTTのISDNをまねただけではないかというようなことを言われたのですが、やはりここにもアメリカの場合は思想がございまして、御承知のとおり、これはゴア副大統領が提唱をしたのですが、ゴア副大統領のお父さんが、これは郵便事業を何とかアメリカじゅうに拡大させなければいけないという考え方のもとに、州と州の間を結ぶ道路をつくっていった。つまり、これがアメリカのハイウエーにつながって、このハイウエーをアメリカじゆうに広く普及さぜたことがアメリカの工業社会を支えたというふうに言われております。したがって、ゴア副大統領はそのお父さんの考えを受けた中で、今度は情報のスーパーハイウエーというものをつくることによって情報社会を支えていこうではないかというような考えを持っていた。  このように、財政再建と同時に、アメリカの場合は経済構造改革というものを非常に行っていった。これがアメリカ経済を非常に強くしていったのではないかというふうに私は考えております。  一九九〇年代の中ごろに入りまして、今度アメリカは、いわゆる組織改革とか経営改革に今取り組んでいる最中でございます。これは、例えばチーム制を導入することによって、これまでの非常に階層が多かった組織というものをいわゆるホリゾンタルな組織、水平的な組織に変えていこうというような改革も行っております。また、いわゆるアウトソーシングというのですか、外部資源を活用するというような形で、今までの、会社の中にはあらゆるものがそろっているというような組織論というものを変えて、大胆に今経営方法も変えていこうというようなことを行っております。  こうしたことを見てみますと、アメリカ経済がどういうふうに変わっていっているのかという一番のポイントは、私は、情報化というようなことに対してどう対応していこうかというようなことが一番大きかったのではないか。つまり、今の経済、企業をいわゆる昔の、今までの私たちの工業型というものから情報型に変えた、これがアメリカ経済が九〇年代に入って復活した大きな原因であるというふうに私は考えております。  日本景気のことなんですけれども、よく私は考えるのですが、今の日本景気というのは、高い山からボールを落とせば当然谷に向かって下がっていって、それから谷からまた山へ向かって上がっていく。だけれども、上がった玉はまたいずれ下がらなければいけない。これがいつになるかわからないというのが今の日本景気状況ではないか。これに対して、アメリカはそのボールの中にいわゆる情報化というエンジンを持った。したがって、景気を自在にコントロールできるように今変わりつつあるのではないかというように解釈をしております。  総理も、日本経済構造を改革しなければいけないというようなことは常々おっしゃっておりますが、その視点というか根本に、日本はやはり工業型というものにちょっと頼り過ぎているのではないか。したがって、私は、アメリカが行った、経済復活を果たしたように、情報化というものを根本に据えた経済構造改革というものをお進めになっていただけると、より方向が明らかになるのではないかというふうに考えるのですが、このことについて総理の御所見をお伺いしたいと思います。
  213. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 非常に私は興味深く今の分析を拝聴をいたしておりました。そして、CALSから始められたその整理の仕方にも、非常に私は共感する部分と同時に敬意を覚えます。  その上で、私は、幾つかの点で議員のお考えとある部分は違うかもしれません、ある部分は補足をさせていただきたいと思うのでありますが、やはり資源小国、資源のない日本というものを土台に考えた場合、物つくりの伝統を失うことはできないと思います。そして、当然ながら情報化というものは非常に大切なことでありますし、そういう視点が我々にも必要なことは間違いがありません。しかし、その中に私は物つくりというものをどうすれば保てるかという視点は欠いてはならないものだと思います。  そして同時に、アメリカ経済が復興してくるプロセスの中で、日本は往々にしてレイオフばかり言う、例示として取り上げるということを言われました。私は、レイオフは確かに相当盛んだった、これは否定できないと思います。  ただ、そこで見落としてはいけないのは、人材派遣というものが業として非常にうまくワークしていた。そのために失業なき雇用の水平移動というものが比較的スムーズに行われた。ただ、これは相当程度賃金等については下がってはおりました。しかし雇用という意味ではこれが確保されていた。この人材派遣というものを一つのショックアブソーバーにして労働力の水平移動が比較的うまくいっていた。これはやはり我々がこれから見落としてはならない部分の一つであろうと存じます。  そして最後に、これからの日本社会において我々がどうすればこの点をより積極的なものにできるかという点で、リスクマネーの供給に対して非常に大胆であるアメリカ社会、それからリスクマネーの供給というのに非常に慎重な日本社会というものの風土の差といいますか、感覚の差というものをひとつ我々は考慮に入れなければならないと思います。  今私は、日本の中に新たな産業を育てる技術の芽がないとは思いません。なぜそれが新しい産業として立ち上げられないか。場合によりましては、私はこの中に政府の規制というものが妨害をしているケースがあると思います。であればこそ、我々は規制緩和を進めてまいります。あるいは撤廃を進めてまいります。しかし同時に、そのハイリスク・ハイリターンという概念に対してもう少し民間資金というものが誘導されるためにどのような工夫を必要とするのか、こうした問題意識も必要ではないかと私自身は考えてまいりました。  以上の三点を議員のお考えにつけ加えて私の感想として申し述べさせていただきます。
  214. 生方幸夫

    生方委員 私も物づくりが大事でないというふうには全然思っておりません。アメリカ経済が復活したのも自動車とかハイテク産業、いわば物づくりを中心に復活してきたというのも事実でございますが、かつての物づくりと今の物づくりというのが大きく変わったのは、これはもう間違いない事実だと思っております。  これは、もともと供給が非常に不足していた時代の物のつくり方であれば、安くていいものを大量に早くというのが非常に重大なコンセプトで、それを達成したところが競争力が強い企業であったわけです。ところが、今のように物があふれている時代でございますと、安くて大量にいいものだけでは消費者は手にとってくれないわけで、消費者が求めているものを素早くキャッチするということが大事で、その素早くキャッチするということに情報ネットワークというようなものが非常に大きな力を発揮するのではないかというふうに私は考えております。  それで、先ほどおっしゃいましたリスクマネーの供給というのが不足というのは、多分ベンチャーキャピタルの不整備のことをおっしゃったんだというふうに解釈をしておりますが、やはりアメリカの企業が大きくなっていったのは、マイクロソフトを見てもわかりますように、非常に小さな企業が数年のうちに巨大な企業になっていって巨大な市場をつくり上げていくという、その新規産業分野をつくり出していく力であるというふうに私は思っております。  私も総理と同じように、日本に技術の芽がないというふうには思わないのですが、残念ながら、ここ数年というか数十年見ておりますと、アメリカ型のベンチャー企業が育っていないということも、これは紛れもない事実でございます。そうであるとするならば一さっき総理も少しおっしゃいましたが、規制というものが邪魔をしている分野もございますでしょうし、当然日本アメリカの企業風土の違いもあるとは思います。しかしながら、やはりそのベンチャー企業を育てていくというようなことを大胆にやっていかないといけないのではないか。  それから同時に、規制緩和の分野も広げていくことによって、アメリカの場合は流通分野なんかでかなりの雇用を吸収することができたのは、流通分野に非常に大きな規制緩和を行って市場が大きくなったという事実があったと思うのですが、それに倣うとするならば、まだまだやはり日本の規制緩和に対する態度というのですか速度というのは非常に遅いのではないか。やはりもっと大胆に、むしろ私なんか、一万幾つある規制を引き算でやるといっても大して減りはしない、したがって、本当に必要な規制というのが幾つであるのかというのをむしろ省庁に出してもらって、それ以外のものは規制を撤廃する、これぐらいな大胆な規制緩和を行わないとなかなか日本に新しい産業というのは興ってこないと思うのですが、その辺については、また総理の御所見をちょっとお伺いしたいのです。
  215. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 一つの例を、大変努力をしてくれている運輸省の例で挙げてみたいと思います。  運輸省は、まさに物の輸送というものに責任を持つ立場でありますが、その手法を従来需給調整という形で秩序をつくってまいりました。私は、それも一つの手法だった、当然そういう時期が我が国に存在したと思います。そして、そういう中で代表的なものを拾いますなら航空産業でしょう、国際的にも競争力をある程度保つところまで育ってまいりました。しかし、今回運輸省はその需給調整という発想を捨てて、新たな体制を考えております。  当然ながら、これは交通機関というものの持つ性格上、安全ということは、これはもう全力を尽くしてもらわなければなりません。むしろそういった視点から、また逆に、その競争政策を、需給調整を廃止する結果、採算点のとれにくい、例えば海であれば離島航路でありますとか、あるいは離島への航空路、あるいは過疎地域へのバスといった、そうしたものがなくならないためのルールは、恐らく私はこれからも運輸省はつくると思います。  しかし、これは私は国民の暮らしに必要なものだと思いますし、需給調整という、いわば行政として一番武器として使っておりましたものを全く捨てるというところから新たなルールづくりに取り組んでいる、こうした姿もぜひごらんをいただきたい、そのように思います。
  216. 生方幸夫

    生方委員 航空行政に関して今お話が出ましたので、ちょっとお伺いしたいのですが、日本の航空運賃が非常に高いということは、もうこれは紛れもない事実でございまして、国内の運賃にしてみても、東京から北海道へ行って帰ってくるよりも海外に旅行に行ってしまった方が安いというような現状がございます。これもやはり私は何とかしなければいけないと思う。  物づくりを言っていても、その物づくりに対するコストが非常に高くなってしまえば、当然、土地も高いですし、人件費も高い、航空運賃を含めた公共料金も高いというような形では、国内で生産するよりも海外で生産した方がいいのではないかというような形で空洞化はどんどん進んでしまうのではないかと思うのです。  もとに戻しまして、その航空運賃が高いことに関して、例えば規制を緩和するということであれば、もちろん安全性の問題はあるのですけれども、私なんか、外国の航空会社にでも日本の空路を開放してやってもらったら非常に安くなるのではないかというようなことも思うのですが、そういうような規制緩和というのが可能なのかどうか、ちょっと運輸大臣にお伺いしたいのです。
  217. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 今いろいろとお話をいただいておりますが、航空運賃の高いということ、これはさまざまな要因があるわけでございますけれども、規制緩和をやることだけでそれが可能かどうか、ある意味では、これからの自由競争、そういったところを加味しながら検討していきたい、このように考えているところでございます。
  218. 生方幸夫

    生方委員 今ちょっと総理がおっしゃいましたけれども、オープンスカイはだめだということになるわけですか。
  219. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 その点がまさに日米の論議の一つのポイントであります。そして、現在我々は、敗戦後航空の世界に復活するのが遅かった、以遠権その他において不利な状況にあること、御承知のとおりであります。そして、我々はそれを少しでも取り返そうという努力をいたしており、そのプロセスの中で、アメリカの言うとおりのオープンスカイを採用するという選択肢は私にはありません。
  220. 生方幸夫

    生方委員 少し観点を変えて御質問させていただきたいと思います。  今般、日銀法の改正というのが取り上げられております。これは、当初予定されておりました日銀法の改正、当然、これは日銀の独立性を強め、しかもその開放性を大きくしていこうというような観点から日銀法の改正というのがなされて、私も日銀法は改正していただいていいというふうに思っております。  しかしながら、その後の論議を見ておりますと、大蔵省の巻き返しというふうにマスコミでは書いてございますが、何か大蔵省の、これは規制といったらよろしいのでしょうか、何といったらよろしいのでしょうか、そうしたものがだんだん強くなっているやに伺っておるのですけれども、大蔵大臣、その辺は大丈夫なんでしょうか。
  221. 三塚博

    三塚国務大臣 大丈夫です。  御案内のように、既に、中央銀行研究会報告書に忠実に従いながら、政府による広範な業務命令権の廃止、総裁等役員について、政府と意見が異なることを理由に解任権がありましたが、これを廃止、こう示しておるわけでございます。  こういう観点から、ただいま、日本銀行が金融政策を遂行していきますために強い独立性を付与することが必要であると考えられておるわけですが、研究会報告も、この点を支持をしながら、なおかつ、国会が主権者たる国民を代表し、その国会の信任を得て内閣が存在するという我が国の政治制度のもとでは、日本銀行は国会や内閣から完全に独立した存在ではあり得ないと、議院内閣制における国会制度をおわかりいただけると思います、そういう見解を示されておりまして、我が国における憲法を初めとする政治的枠組みを前提に日本銀行の独立性を考えていかなければならないと思っております。  いずれにいたしましても、日本銀行のあり方については、中央銀行研究会報告書を踏まえながら、現在、金融制度調査会におきまして御審議をいただいておるところであります。その審議の結果を待ちまして、最終のスタートをし、この法律を制定をし、国会にお願いを申し上げる、こうなります。
  222. 生方幸夫

    生方委員 具体的にお答えいただければ大変ありがたいのですけれども、議決延期請求権というのが今問題になっておりますね。これは保持するおつもりなのかどうかということと、それから、日銀の予算に対して大蔵が監視をしていくということはそのまま、そのままというか、それを行うのかどうか。その二点について、ちょっとお伺いしたいのです。
  223. 山口公生

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  ただいま金融制度調査会の日本銀行問題小委員会で御議論をいただいておりまして、その中で、今御指摘の政府の議決の延期の請求権につきましての御議論も賜っているところでございます。  中央銀行研究会におきましては、「金融政策に関する意見が異なる場合には、政府が政策委員会に対してその判断を一定期間留保するよう求めることを含めて、政府の意見を政策委員会に提出することを確保する方式を用意すべきである。」というふうに御指摘いただいております。その点につきまして、金融制度調査会におきましても、この指摘を受けまして、おおむねそうした方向の意見の一致を見ております。ただ、その判断を一定期間留保するよう求める仕組みの具体化につきましては、今ちょうど御議論を賜っているところでございまして、二月の上旬には報告書をいただけるものというように期待しております。  それから、もう一つのお尋ねの経費予算の件につきましても、同様に、中央銀行研究会におきましては、日本銀行の経費が通貨発行益によって賄われていることなどの日本銀行の公的性格から、「その運用に当たって金融政策の独立性及び運営の自主性が担保されるよう配慮しつつ、経費を公的にチェックすることが必要である。」というふうに言われております。  この点につきまして、この方向でもって、公的チェックをどういう形でやるのが一番いいのかということについては、まだ今ちょうど議論を賜っているところでございまして、これもあわせてその答申の中で書いていただける予定でございます。
  224. 生方幸夫

    生方委員 日銀法改正の原点というのは、あくまでも日銀に独立性を持たせるということが原点でございますので、そこを損なわないような形でぜひ御論議をいただいて、議案を提出していただきたいというふうに思っております。  この日銀法改正に関連するのですが、日本版ビッグバンをやらなければいけないという強い政府の意思というのがあります。これもやはり中身が非常に大事であるというふうに私は思っております。  それで、日本の金融が八〇年代に非常に強いというふうに言われたときに、何が強かったのかと今考えてみれば、量が非常に強かった。量の多さでいえば、今でも日本の銀行というのは上位から幾つも並んでいるんですけれども、その量をうまく使いこなしていないというのがまさに日本の金融の最大の問題であるというふうに私は思っております。  なぜあれだけの預金量がありながらそれをうまく使えないのかというところにも、一つは、もちろん大蔵省がとってきた護送船団方式という強い規制の中での競争というものになれてしまった体質というのがあったと思います。これをいきなり荒海の中に放り出してしまって沈没する船が出たらへそこに乗っている国民の方たちが迷惑することはもちろんなんですけれども、しかしながら、この状態はやはり一日も早く解消しないと、せっかくあれだけの金融資産がありながらそれをうまく生かせないことになるというふうに思います。  そのビッグバンについてですが、基本的には私、時間が非常に重要だと思うのですけれども、どれぐらいの期間で、具体的にどこら辺まで日本は、ビッグバンというのですか、欧米並みの金融の状況にできるというふうにお考えになっているのか、大蔵大臣あるいは総理大臣、どちらかでお答えいただければと思います。
  225. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 何回かここでも申し上げましたが、遅くも二〇〇一年までにということを申し上げてまいりました。そして、フリー、フェア、グローバルという三つのポイントに問題を絞り込んでよく御説明を申し上げております。  そして、その中にはさまざまな問題点がございますけれども、よく時期をいつまでに、早められないかという御指摘をいただくわけでありますが、例えば、本日も議論の出ておりました有価証券取引税あるいは取扱手数料あるいは証券税制といった範囲で済む問題であれば、これは一つある程度の時期の設定はできると思います。  しかし、会計原則等を国際基準に整合させていく、これはむしろ法制的な検討を必要とする部分でありまして、これはこの金融システム改革を私が言い出しました時点で、大蔵大臣とともに法務大臣にも来ていただき、その作業を始めていただくようにお願いをしたところでありますが、正直に申し上げますと、実はその法制的な部分の検討というのが、私、どれぐらい時間がかかるのか、率直に知識を持っておりません。  こうした点がありまして、最終の目標の二〇〇一年というところを動かすつもりは全くありませんし、できる部分からできるだけ早くということはそのとおり申し上げますけれども、法制的な整備を必要とする部分につきましての作業時間等については、少なくとも過ちなしを期すだけの時間をちょうだいしたい、そう思っております。
  226. 生方幸夫

    生方委員 ビッグバンについてですが、これは今の金融状態に対処するだけではなくて、今世界では、いわゆるエレクトリックコマースに対する電子決済の問題とか電子マネーの発行の問題とか、いろいろな問題が起こってきているわけですね。これにおくれないようにぜひ対処をしていただかないと、またぞろ後塵を拝して手数料だけ向こうへ持っていかれるというようなことにもなりかねないので、その辺だけ十分に御配慮いただければと思うのですが、最後に大蔵大臣の御意見を。
  227. 三塚博

    三塚国務大臣 総理から、ビッグバンの目指す方向、基本的な枠組みについて話されました。一言で申し上げますと、護送船団方式はこれをもって終わりとするという宣言なのです。ですから、二〇〇一年までの間、それぞれの関係業界はリストラをしっかりとやりながら足腰を強くしていく、こういうことでなければならぬと思い、その都度、関係審議会におきましても私から申し上げておるところでございます。  それぞれがそれぞれに痛みを伴う問題でありますけれども、既に御案内のとおり、外為法改正案を提出をするところまで参りました。できるだけ早く御審議の上、御可決をいただく、こういうことでフロントランナーが走っていく、以下その次、手数料でありますとか各種の問題が進むことは間違いございません。格段の御鞭撻と御支援をください。
  228. 生方幸夫

    生方委員 大胆にやっていただきたいということだけ申し上げて、私の質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  229. 小里貞利

    ○小里委員長代理 これにて日野君、生方君の質疑は終了いたしました。  次に、藤木洋子君。
  230. 藤木洋子

    藤木委員 日本共産党の藤木洋子でございます。  二十三日の衆議院本会議で、我が党の不破委員長の代表質問に対し、橋本総理は、被災者の生活再建施策をより一層充実させていく、今後とも被災地の一日も早い復興を目指して最大限の努力を続けると答弁されています。今回の補正予算は震災復興対策をその最大の目玉の一つとしていますが、予算の規模やその内容からいって、総理が言う最大限の努力を払った震災復興対策になっているでしょうか。  そこで、まず第一に、補正予算に盛り込まれた災害復興公営住宅建設の予算の規模についてお伺いをいたします。  兵庫県の調査でも、仮設住宅入居者の七割が災害公営住宅を希望し、それ以外の希望者数を加えますと六万戸を大きく超える希望者であります。総理、この補正予算で希望する被災世帯のすべての入居ができるでしょうか、お答えをいただきとうございます。
  231. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 阪神・淡路大震災の被災を受けられた方々の中、特に低所得の被災者に対します公営住宅の整備については、そのほぼ全員が平成十年度中に入居できるようにする、それを目標に推進を図っているところでありまして、今回の補正予算の中には、その目標達成のための整備促進を図るという視点に立っております。  殊に公営住宅の立地につきましては、地元の公共団体におかれまして、極力その被災地に近い市街地に用地を確保する、そうした努力をしていただくと同時に、民間住宅の借り上げなどを行うなどによって被災者の希望地にできるだけ近い場所に供給するように努めていく、そうお答えを申し上げます。
  232. 藤木洋子

    藤木委員 最大限の努力をされるとおっしゃるのですけれども、その中で災害公営住宅として建設をされる予定になっているのは三万八千六百戸にすぎないわけです。これではとても足りないのですね。  仮設の三万八千世帯、県外の五万世帯のほかに、家屋の公費解体を駆け込みで申請している文化住宅など借家から追い出される人たちにとって、災害公営住宅入居希望者が多数あることを考えますと、その六割から七割を対象にしましても最低六万戸の災害公営住宅の建設が必要なのは明らかです。これが最大限の努力であろうか。私は甚だそのことを不審に思うのですが、いかがでしょうか。
  233. 伊藤公介

    伊藤国務大臣 これまでも政府は地元の兵庫県あるいは神戸市または住民の皆さんと常に緊密な連絡をとりながら、被災地の皆さんの生活支援をさまざまな角度から対応してきたところでございます。既に以前にもこの委員会でも御答弁を申し上げてきたところでありますが、四回の補正予算、そして平成七年度、平成八年度、さらに今年度の予算を入れますと、約四兆円に近い政府の予算の中で、この神戸、阪神・淡路の復旧から復興の予算を計上してきているところでございます。  今委員から御指摘をいただきました住宅の問題は、何をおきましても最優先の課題だと私どもも考えてまいりました。公的住宅は七万七千戸を計画をしておりまして、用地の確保につきましては、既にそのうちの八五%を確保させていただきました。そして、既に公営住宅の着工をしているものが五五%でございまして、今御指摘をいただきましたけれども、平成十年度までには約三万九千戸の公営住宅を完成して、仮設住宅から順次恒久の住宅に移れるようなさまざまな対応をしているところでございます。  特に、現地の神戸市や大阪あるいは兵庫県の知事さんを初め御関係の皆様方もさまざまな御努力をいただいているところでありまして、今後とも政府といたしましては、仮設住宅の皆さんや被災者の皆さんの身近なさまざまな現地の声にしっかり耳を傾けながら、またしっかり対応もさせていただきたいと考えております。     〔小里委員長代理退席、委員長着席〕
  234. 藤木洋子

    藤木委員 今お話ございましたその七万七千戸というのは、すべてが災害公営住宅ではないんですね。県が調査をしましたのは、去年の二月から三月にかけてです。間もなく一年が参ります。その当初は、被災者の中で自力再建に希望を託していた方たちも多数いらっしゃいました。しかし、被災から二年たちました現在、もうすっかりそれを断念して、災害公営住宅に入りたいという被災者が急増しているわけですから、改めて実態を正確に把握していただく調査がぜひとも必要であります。  さらに加えまして、被災者の実態に即した建設計画にはなっていないということも指摘しないわけにはまいりません。総理は、できるだけもとの住みなれた町に帰れるような努力がされている、このようにお話をされましたけれども、希望者の皆さんは、少なくとも市街地で医療機関や福祉施設、買い物などができる利便性の高いところに暮らしたい、これが切実な願いであります。それは同時にまた、被災地の活性化や復興にもつながるものでございます。  資料をお配りさせていただいておりますので、ちょっとごらんをいただきたいと思うのですが、被災が極めて大きいにもかかわらず、災害公営住宅の建設戸数が極めて少ないのがよくおわかりいただけると思います。総理、これでもとの町に帰りたいという被災者の強い願いにこたえるものとなっているとお考えでしょうか。
  235. 伊藤公介

    伊藤国務大臣 実はこの住宅建設につきましては、地元の兵庫県また神戸市の知事さんや市長さん、また御関係の皆さんからさまざまな情報を私どももいただきながら、特に地元の自治体の皆様方が、今先生御指摘のように、だれでもが住んでいたところに可能な限り住みたい、そこにはコミュニケーションもありますし、あるいは友人もあるわけでありますし、そういう意味では、できるだけの配慮を地元の自治体としてもこれまで対応してきていただいたところでございます。私どもはそうした自治体の努力にできるだけ国の立場で対応してきたつもりでございますし、御指摘の点はもっともなことでございますので、今後とも、我々も地域と十分連絡をとりながら、できる限り、皆さんのふるさとに皆さんが再び住むことができるように支援をしてまいりたいと思っております。
  236. 藤木洋子

    藤木委員 伊藤大臣のそのお言葉どおりに進めていただきたいと思うんですが、資料を実際ごらんになられまして、どうお感じになられますでしょうか。  長田区の場合ですけれども、資料にもございますように、全壊あるいは半壊をしてもう住めなくなった住宅戸数は二万六千七百十八戸です。ところが、今まで着工しているのはわずか六百九十一戸です。しかも、九八年度までの計画でも二千三百戸、これは被災戸数の八・六%にすぎません。東灘について申し上げましても、これは七%にしかすぎないわけです。これでは東灘や長田区へ帰りたい被災者は一体どこへ帰ればよいのか。  まして、神戸市は、仮設住宅の解消は二〇〇〇年になると発表いたしました。もともと九八年秋までという計画だったのですが、その修正を宣言しているわけです。こうなりますと、仮設や県外の被災者はこのまままだまだ辛抱しろということになるではありませんか。どうしても被災者の実態に見合った建設計画に引き上げることが必要だと思うのです。総理、この建設計画の引き上げをお考えいただけませんでしょうか。
  237. 伊藤公介

    伊藤国務大臣 この住宅建設につきましては、被災がありました直後から最大の課題として取り組んできたところでございます。  私自身も重ねて現地を訪ねているわけでございますし、また、地元の知事さんや市長さんあるいは御関係の議員の皆様方も私どもの部屋まで来ていただきまして、現地の状況は私自身も伺っているところであります。  いずれにいたしましても、基本は、皆さんが住んでいられたところにできる限り住むことができるような状況が私は最もいい形だと思っています。しかし、現地の自治体の方々は一番そのことをよくわかっていただいているわけでございまして、地元とも十分今後連絡をとって、先生の御指摘の点はしっかり受けとめさせていただきたいと思っております。
  238. 藤木洋子

    藤木委員 今回の震災復興対策に盛り込まれております高規格幹線道路の西神自動車道、これは震災前から計画されていたものであって、被災後に改めて震災対策として打ち出されたものではありません。大企業や外資系企業の進出に対して立地支援を行うエンタープライズゾーン構想の推進、国内の港湾間競争のための大水深コンテナターミナル、こういった港湾整備など、むだな事業や当面緊急ではない事業をやめて、こうした予算を住宅再建のために回すことができましたら、これは十分建設計画を引き上げることができると私は思うのです。  資料でおわかりのように、災害公営住宅の建設が大幅におくれております。二年の耐用年数の建築基準でつくられた仮設住宅に、被災者はこれからあと最低三年間は住まなければなりません。もともと粗悪な仮設住宅は、入居当初から問題だらけでした。二年たった今、私は西神第七仮設や加古川東仮設などなど、幾つかの仮設住宅を見てまいりました。木のくいは湿気で腐食をしたり、土台がゆがんで床が傾斜をし始めたり、すき間は一層広がって風もほこりも入ってくる状態です。コンテナハウスなどは結露でさびが出ています。現在でも住むにたえない状況であります。大臣、今の仮設住宅の被災者の生活実態を御存じでしょうか。これは厚生大臣にお尋ねをいたします。
  239. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 私も先日現地を視察して、応急仮設住宅等に住む方々の御意見等を伺ってまいりました。それぞれの問題を抱えて大変御苦労されている実情を伺ってまいりました。  仮設住宅の問題については、今まで建築基準法によりまして、供与期間は二年とされていました。それを昨年六月、特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律が公布されまして、安全上、防火上等の審査の上、許可期間の延長が可能となっております。  今般、そういう面から供与期間の延長が可能となりましたから、この措置に基づきまして、今後、補修等の措置についてもできるだけの供与ができるように対処していきたい。公営住宅への移転が平成十年度末までかかるとしても、現在の住宅等を修理、補修していけば、現在の維持が可能ではないか。いずれにしても、補修が必要な場合には地元自治体と緊密な連絡をとって対応していきたいと思っております。
  240. 藤木洋子

    藤木委員 被災者は、ここに公営住宅を建ててもらえないかと言っているわけですね。それができなくても簡易住宅を建ててもらいたい、あと三甲住まなければならないなら、こうも言っているわけです。  ですから、少なくとも粗悪な仮設住宅を大幅に改善すべきことは当然であります。もちろん、大臣も補修を行うというようなことを言われましたけれども、例えばイギリス製の仮設住宅の場合は、イギリスでは一戸で使っていた住宅を、日本の場合は四戸に間仕切りをして使っています。その一面ずつにドアはありますけれども、四枚で仕切っておりますから、全くそこで何か起こったら逃げ道がないというような状況にもなっています。こういった間仕切りを外して、衛生、安全などの措置をもとるような抜本的な改善措置をぜひおとりいただきたい、このことを重ねてお願いさせていただきます。  次に、義援金の問題についてお伺いをしたいのですが、大震災に寄せられました義援金をめぐる諸問題について、これは日本赤十字社が義援金問題懇談会を発足させて報告書をまとめているところです。  その冒頭、「義援金とは何か」を明らかにしているわけですね。「一義的には被災者の当面の生活を支えるもの」と規定し、「義援金はあくまでも市民の善意で集まったものであって、その善意が生かされる配分でなければなら」ない、このように指摘をしております。「本来、行政が行うべき復興事業等に充当することは原則として避けなければならない。」と戒めてもいるわけです。  この報告書に照らしまして、今回兵庫県が行った義援金の配分には、義援金本来の理念にそぐわないものがあるのではないでしょうか。大臣、どのようにお考えでしょうか。
  241. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 義援金の配分につきましては、それぞれの災害の規模等に応じておのずから異なってくると考えております。中央防災会議が策定した防災基本計画においても、「地方公共団体が義援金収集団体と配分委員会を組織し、十分協議の上、定めるもの」としております。  阪神大震災においては、この義援金の配分についても、兵庫県、神戸市、日本赤十字社等の関係二十六団体で構成する兵庫県南部地震災害義援金募集委員会において十分に検討して決定されていると厚生省としては承知しております。そして、その配分内容を私どもは尊重すべきものと考えております。  でありますので、今の本来の義援金の趣旨に沿った配分ではないかなと思っておりますので、御理解いただけるのじゃないかと思っております。
  242. 藤木洋子

    藤木委員 確かに、二十六団体が協議をして配分をされた、それは私も否定いたしません。しかし、今回この義援金が問題になったのは、義援金を拠出した方たちも、それからそれを受け取られた方たちも、一体幾ら集まって、どのように分けられたのか、そのことが極めて不明瞭だ、こういう意見がいっぱい出てきたわけですね。  お手元にも資料をお渡ししてありまして、二枚目の「義援金配分の実態」でございますけれども、これをごらんいただきたいのですが、九六年十二月末現在で一千七百七十四億五千二百万円集まっているわけです。しかし、兵庫県の義援金の配分を見ますと、被災者への見舞金などに充てられたのは一千四十四億七千九百万円で、ほかに住宅助成金五百三十七億円、被災市町への住宅助成分百五十億円、そして今手元に残っているのが四十二億七千三百万円となっているわけです。  しかし、住宅助成の六百八十七億円は、本来義援金からではなく税金で手当てされるものです。さきの懇談会のヒアリングでも、住宅再建費用の助成はあくまでも国や行政の住宅政策の中で手だてを加えるものであり、義援金を使うものではないとの指摘がございます。  兵庫県の場合、住宅修繕には助成や利子補給などが既に制度化されております。これはどこから見ましても行政の住宅政策であって、公金で助成すべき性質のものではないでしょうか。被災者が、もらった義援金の中からみずからの意思で住宅修繕の一助にするというのとは全く性格が違います。義援金というのは、臨時収入の税金ではないわけです。  この部分について復興基金から義援金に返納をし、この誤りを正すならば、七百二十九億七千万円余りの義援金を第四次分の配分として被災者の皆さんにお渡しすることができるではありませんか。厚生省防災業務計画に定められたとおり、この誤りを正すための指導を行って直接被災者に配分させるべきだと思うのですが、大臣、頑張ってそのようにしていただきたいと思います。いかがでしょうか。
  243. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 御指摘ですが、地元の兵庫県初め地方自治団体とこの義援金関係者等が十分協議の上定めるものとして決められたものを、また厚生省がああしろこうしろと言うのも、これまた越権行為じゃないかなという点もあります。今後とも、この地元の事情そして義援金の趣旨等に沿いながら、その配分内容というものについては決定していくべきものじゃないかなと私は考えております。
  244. 藤木洋子

    藤木委員 二百万円未満の損壊家屋の人には、不十分ではありますけれども、災害救助法の適用がございます。五百万円以上の高額修繕に借金をした場合はその利子補給を基金から支給する、こういう仕組みがございます。修繕に二百万円以上五百万円未満の費用を要した人について義援金から一戸当たり三十万円の助成を行う、これは当然基金から支給すべきものだということを私は重ねて強調したいと思います。  以上、いろいろ具体的に伺ってまいりましたけれども、この補正予算は、被災者の生活、住宅、営業再建に直接行う震災復興予算になっていないことが明らかになったと思います。これは、ゼネコン型の開発を促進する新国土計画の中に位置づけられた復興特別事業のためのものであります。地方中核都市圏の整備とそれを結ぶ幹線道路、西神自動車道などはまさにその典型と言ってもいいありさまです。空港、港湾の整備などの事業は、山を削って海を埋め立てる式の開発が震災の被害拡大につながったという震災からの教訓を酌み取るものではありません。  ゼネコン型の企業復興、企業発展を支援することは、今震災二周年目を迎えて苦しんでいる被害住民の震災復興にとって全くむだと言わなければならないことを、私は悲しいと思っています。こうしたむだを省くならば、被災者の痛切な叫びであり、世論調査でも九割の国民的な合意ともなっている個人補償は決してできないことではありません。  総理は、被災者の生活再建施策をより一層充実させていくと御答弁されているのですから、この立場に立って、被災者が生活の再建に立ち上がれるように、早急な災害公営住宅の大量建設と生活再建のための公的支援を緊急に実現していただきたいと思います。総理の御決意をお伺いをしたいと思います。
  245. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 政府がこれまで、例えば被災者向け公営住宅の家賃の大幅引き下げなど、さまざまな支援策を一生懸命講じてきたこと、これは私もお認めをいただけるものだと思います。  今、いろいろな角度からの御意見がございましたけれども、今後ともに、地元の自治体が阪神・淡路大震災復興基金の活用によって実施を予定しておられます生活再建支援金の給付などについて地方財政措置による支援を行うとともに、健康福祉サービスや生きがい対策雇用の確保など、生活再建策の充実を図ることにいたしております。  議員の御指摘と私の観点は違うのかもしれません。しかし、今、不必要という角度から述べられたような事業、私は、やはり被災地に仕事をつくり出す、呼び戻さなきゃならないと思っております。神戸港がより機能を回復すること、今散っている荷物を呼び戻すこと、私は、こういうことは神戸がこれから発展を遂げていかれる上でも必要なことだと考えております。  今後とも、政府としては、被災された方々の自立を支援するためにも仕事をつくり出す、こうしたことを含めて、最大限の努力を払ってまいりたいと思います。
  246. 藤木洋子

    藤木委員 終わります。
  247. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて藤木さんの質疑は終了いたしました。  次に、北沢清功君。
  248. 北沢清功

    ○北沢委員 私は、社会民主党の北沢清功でございます。  私は、年齢的には、実はこの前の戦争のときはちょうど高校生の年代でございまして、非常に当時の戦争の持っている腐敗と矛盾というものを実際の学徒動員という場を通じて感じておりましたし、また、私どもにとっては青春というものはなかったと言っても過言ではないと思います。  したがって、明治憲法から新しいこの平和憲法と言われる今の憲法に変わったその意義というものは、これは日本の敗戦の結果であるけれども、しかし今までにないような、いわゆる主権在民、そして民主主義と人権を尊重する、そしてあの戦争の経験に基づいて、第九条を中心とする平和憲法というものが今も実は私は国民の間に広く定着をしておるというふうに判断をいたしております。  したがって、その後における五十年問題というのがございまして、私はその中で歴代の首相に実は接してまいりました。  私は、特に、細川内閣が成立をされまして私ども与党になったのですが、そのときの細川元首相の非常に大胆な発言がございました。それは歴史的認識の発言でありますが、ちょうど就任のときの記者会見の発言でございます。  あの戦争は侵略戦争であり、間違った戦争であった、そして、過去の反省に立って国際的な責任を果たす、そういうふうに申されておりまして、そういう意味で、五十年近くたって、やはり政治の中で一つの責任ある方から発言が出たという意味で、私は非常にうれしかったわけであります。  また、一九九二年の自由民主党の宮澤元首相の発言も、ちょうどあの一九九二年の韓国の盧泰愚大統領との会見の中で、やはり時代認識の中で、この戦争というものに対する反省の中で、やはり新しいアジアを構築をしなければいけないという非常に良識的な発言がございました。  続いて、当時の河野内閣官房長官も、やはり従軍慰安婦の見解において非常に正しい考え方を私から見れば持っておりましたし、またそのことが青少年の教育として末永く反省をしなければならないという発言がございました。それで、今回、現首相の従軍慰安婦に対する手紙というものの内容を読ませていただいたわけでありますが、これまた、お読みいたしますと、いわゆる従軍慰安婦に対する女性基金の中で、「軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題」との認識を示したことを非常に強調しまして、この精神は政府と基金の共同の精神で、全国民のものとなるべき歴史的教育もこの精神に沿ったものと考えられていくことが望ましいというふうに実は橋本首相の手紙の中に示されております。  そういう中で、特に私ども村山内閣のいわゆる一昨年の五十年問題の解決の中で、戦後長くできなんだような問題を次々と解決をして、非常に立派な功績が私はあると思いますが、そういう意味で、いわゆる一九九五年の八月の村山総理談話においては、我が国が過去に行った侵略行為や植民地支配に深い反省をされるということを実は表明をされております。  私は、そういう意味で、実は順序を若干変えまして、このことの大切さというもの、特に教科書問題の記述というものは、いろいろ考え方は多様にあると思います。しかし、私どもはやはり平和と人権と環境を守るということを党是として、人間らしい豊かな、世界人類が共生できるような社会を目指しておる立場から見ると、このことは何としてもやはり私どもの時代認識として守っていかなければいけないんじゃないか、そういうふうに強く考えておるわけでございます。  したがって、私は、そういう意味で、この問題の記述を一部の方から削除をすべきだという意見がある。また、非常に最近、そういう意味で問題が出てきております。  そういう意味で、私は、この一番大事なことは、つまり、現在使用されている従軍慰安婦の問題の記述は、現時点のある面では研究状況と客観的な歴史的事実が反映したものというふうに理解をしておるわけであります。歴史的な事実というものが反映されておるというふうに理解をされておるわけですが、この点については総理はいかにお考えになられるか、御意見をお伺いいたしたいと思います。
  249. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 村山内閣総理大臣が敗戦五十周年の日に内閣として総理大臣談話をつくられましたとき、私は村山内閣の閣僚の一員でございました。そして、その談話というものを閣議で決定した一員であります。当然ながら、その認識を基本的に受け継いでいるという立場にあることを冒頭申し上げたいと存じます。  その上で、私は、教科書というものの性格はさまざまなとらえ方があると思います。そして、歴史というものの持つ、これは私は、その教科書を編集する方々がそれぞれの歴史観の中でおつくりになる、それをまたどの教科書を採用するかということは、またそれぞれの地域の教育委員会等で御判断をいただく、基本的にそういう性格のものではないかと考えております。
  250. 北沢清功

    ○北沢委員 私は、やはり歴史的な教育において、歴史的なをどうとらえようか、認識をするかという問題は、何よりも歴史的な事実を踏まえているということが非常に大事だと思いますね。  そういう意味で、実は当時の山花委員長が、日本の当時の軍人や非戦闘員を含めて三百万以上の犠牲があった、それから、アジア地域においては二千万になんなんとする多くの皆さんに犠牲をかけたということを言われて、そのとき二千万という数については非常に攻撃をされまして、非常に問題化したことを私は覚えているのです。しかし非常に多くの人たちが、特に多くの全くの無事の人たちが犠牲になったということは、これは私は疑いのない事実だと思いますね。それは、日本へ攻めてきたのではなくて、日本がアジアの地域にいわゆる侵略といいますか進出をする中での事実ですね。これはだれ一人として覆い隠すことは私はできないと思うのです。  そういう意味で、教科書が、基準というものは大変難しいわけでありますが、しかし、そういうものが綿密に検討された、そして現在使用されてきているということは、これは非常に大事なことだと思いますね。特に、小杉文部大臣が、先ごろ削除を申し込みに来られた大学教授にはっきりとやはり文部省の見解をお伝えになったということを、実は新聞で知りました。やはり歴史的な認識というものについても、私は文部大臣の態度といいますか、識見というものについては非常に尊敬いたしたいと思うのです。これについての御感想を文部大臣にお伺いをいたしたいと思います。
  251. 小杉隆

    小杉国務大臣 今、北沢委員から歴史認識について、そしてまた教科書問題についてお話がありました。総理から基本的な考え方が述べられましたので、私は短く申し上げたいと思います。  私は、歴史教科書につきましては、今の日本の制度は検定制度ということをとっておりますので、専門家から成る審議会、教利用図書検定調査審議会という正式名でございますが、そこにおいて客観的な学問的成果やあるいは適切な資料に照らして検定を行った結果に基づいているということであって、妥当なものであるというふうに考えております。
  252. 北沢清功

    ○北沢委員 まさに私もそのように実は理解をしております。  私は、そういう意味で、先ほどの総理のお言葉にもあり、やはり村山内閣のもとにおける取り組みというものを継承していくという戦後問題の認識というもの、そういう中で、たまたま先ごろの梶山官房長官の記者会見といいますか、御発言については、やはりこれを看過するわけにはいかないと思います。  いろいろそれなりのお考えもあろうと思いますし、またある面では真意もあると思いますので、やはりこれらについても梶山官房長官に、実は非常に私どもとしてはつらい立場でございますが、しかし、そのことがやはり大事なことで、戦後認識という意味において責任ある方としての立場から大切だと思いますし、特に先ごろの日韓首脳会議においても、首相からこの問題がやはり金泳三大統領に伝えられたというふうに聞いております。現在韓国は非常に冷静な対応をしているということは言われると思いますけれども、しかし、このことは、韓国の人たちは忘れないし、またアジアの人たちも私は忘れないんじゃないか、そういうふうに実は理解をしております。  したがって、官房長官からこのことに対する真意についてお話をいただければありがたいと思いますので、よろしくお願いします。
  253. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 まずもって、二十四日の日のいわゆるぶら下がりというんでしょうか、正規な記者会見が終わった後の官邸内での記者との話の中で私の言った言葉が必ずしも私の思った真意と違う記事になり、それが韓国に伝わり、そして次の日が日韓首脳会談でありました。これで友好に進むべき首脳会談に水を差すようなことがあった、あるいは韓国民に不快な思いをかけたとするならば、私はこのことに対しては、この事実に対して心からおわびを申し上げますということを一点申し上げておきます。  それから、もう一つ私が申し上げたのは、実は、ちょうど教育ビジョンのことを総理文部大臣に命じられた中で、私は、やはり制度や学校教育の中で、特に歴史教育、それから社会的な事実を包み隠さない、そのことを考えなければならないという意味を含めまして、当時の私たちの社会は大変暗く、貧しかった、そして数多くの公娼がおったという大変つらい現実があります、そういう社会背景を我々は持っておるんだという現実を直視しなければならない。  幸いなことというか不幸なことというか、私は孫がおりまして、中学校二年生です。この人間に従軍慰安婦の問題を言ったら、大変ショッキングな問題で、私たちもこれから教科書で習うそうであります。しかし、日本の社会背景がそういう状態にあったということは全く知らない孫であります。  こういうのを見ますと、なるほど清く正しく美しかったという昔を私は思い起こさせた方がいいのかもしれませんが、事実は、これは金泳三大統領も言っているように、事実や歴史は隠すことができない、なくすことができないという現実に立てば、私は、日本の社会史の中でどういう立場に置かれていた女性があったか、そのことはやはり正当に伝えていくことが私たちが生きた年代の人間としてのこれは責任でもあろう、そういうものでございますので、たまたまそういうお話を申し上げたわけでありますが、大人げがないといえば大人げがない。次の日に日韓首脳会談が行われることをつい失念をいたしておりまして、申し上げたことに対して、総理にもおわびを申し上げましたし、総理から金大統領にその辺の事情を御説明を願い、韓国民に嫌な思いをかけたとすればおわびをしてほしい、この旨を申し上げたことは事実であります。
  254. 北沢清功

    ○北沢委員 今率直に、遺憾というか、おわびの言葉がございました。私は、そうあるべきだというふうに思いますし、特に未来志向を目指すという意味でのこれからのアジア人同士の信頼関係というもの、そういう意味では、このことは、例えば公娼問題と従軍慰安婦の問題というのは混同すべきではないと思いますね。  従軍慰安婦というのは、私もしっかり勉強しましたけれども、だまされたり強要をされて、いわゆる性の奴隷にされたわけです。私は、よく自分の身になってみろと言うんです。自分の奥さんや自分の娘さんがもしもある日突然ということになれば、これは大変なことですね。だから、そういう意味で、私は、この問題は本質的に違うかもしれぬが、しかし、公娼制度というのは私もよく存じています。  私どもは、連隊がございまして、連隊の付近にはそういうものがありましたりして、何か兵隊とそういうものとの因果関係というものがあるように思いますが、兵隊にとってはゆがめられた青春であり、また当事者にとっては、たまたま東北の娘さんたちが農村恐慌の中で売られてきたということなんですね。これは事実なんです。ある意味では、二・二六事件の青年将校の引き金になったのは、これは、そういう問題が当時の政治に対してあのような過激な行動に出た。またそれがうまく利用されて、日本がまっしぐら軍国主義に突入をしたというふうに言われております。  ですから、そのこともやはり教える必要があるのではないか。それは、教科書になくても、そういうことはやはり日本の過去として、今の女性から見ると非常に怒りを覚えるような、まさに汚れた制度であったと私は思います。  特に、よく言葉にございますが、過去に目をつむる者は未来にも目をつむるという有名な言葉でありますので、どうかひとつ、深く、指導的立場にあるからこそその言葉を銘記をして、これからもひとつこれらの反省に立って今後の任務の遂行に反映していただくことの方が私は生産的ではないかということで、実は長官にそのことを特に御要請をいたしたい、私はそう思っております。  次に、幾つかございますけれども、時間がございませんので、特に財政問題について質問いたしたいと思います。  最近、にわかに財政構造改革の論議が高まってまいりました。私は、実は去年、ヨーロッパへ四回行っていまして、ヨーロッパの、EUの通貨統合の中で、ヨーロッパは非常に社会民主党の内閣のところが多いんですね。または、勢力が拮抗しているところが多いんです。そういう中で、赤字というものは、最高、GDPといいますか、国民総生産の六〇%にとどめようというふうに言われて、相当な身を削っている姿を実は見てきました。我々に考えられないような大変なあれでございます。  それで、お伺いしたいのですが、日本の今の公債発行額とか地方債の発行等が正確にどのくらいこの補正予算が通った時点にはあるのかということ、それから、いわゆる隠し債務と言われている国鉄債務とか林野の債務等を含めて、借入金の残高等について正確なところを私に実は教えていただきたい、そういうところをお願いをいたしたいと思います。
  255. 小村武

    ○小村政府委員 国の一般会計ベースで申し上げますと、公債残高は、八年度末で二百四十一兆円、九年度予算、御提案申し上げているところによりますと二百五十四兆でございます。それから、いわゆる隠れ借金と言われているものは、八年度末で四十三兆円のものが九年度末で四十五兆円になる見通しでございます。
  256. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 地方債につきましては、百三十六兆円が平成八年度末でございまして、これが来年度の地財計画では百四十六兆円という予定になっております。
  257. 北沢清功

    ○北沢委員 そのほかにも公社公団とかいろいろそういうものがありますが、そこら辺の状況についてはお尋ねをいたしませんけれども、今こうやって見ると、約四百五十兆近い債務があります。これはGDPの九〇%以上になるのじゃないかと私は思っておるのですが、そういう意味でこれは大変なことなのですね。  ただ、そういう中で、負担が重くなるわけでありますが、これについては、普通の政治家であれば今までは、じゃ、その中で二兆円減税だけは残しておこうとか、いわゆる従来の政治手法というのはそういう面もあるけれども、この財政危機というものに対して頑固なくらい首相が取り組んでいる姿を見て、やはりこれは本物だな、そういうことを実は私は感じます。  それで、だれでも納めたくないのです。取られるものは納めたくないし、また、もらうものはたんともらいたいというのは人情ですね。ただ、新進党の皆さんのような大減税や大削減をして、そのことによって景気がさらに出るんだということを言われているが、そのことは、今までのここ数年の経験で、相当な減税をしても実際はそれほどよくなっておらないですね。そういうことが言えると私は思います。  ただ問題は、そういう中で、何といいますか、質的な改革が必要であろうと思います。私は、特に、徹底した削減もさることながら、経費を削るという量的な側面だけではなくて、やはり質的な改革がなされなければならないと考えるわけでありますが、今までの論議というものは削減するばかりでしたね。徹底した財政情報の公開、予算書、決算書の抜本的な改正とか、明示されるわかりやすい予算審議のあり方等を含めて、やはり納税者にわかりやすい、また財政の民主主義が実感できるような質的な改革が必要だと私は思います。  そういう意味で、私は首相に特にお願いしたいのは、アメリカの一般教書みたいに、直接的にやはり日本の実情をテレビ等を通じて働きかけてこないと、私は実際に末端の皆さんに接してみて、大変な誤解をしたり、大変な失望をしているんですね。私が、財政がこれだけえらい、厳しいというふうに言うと、ときに、我々はずっと黙ってしてろってことかというようなことが実はやじに出るんですよ、商工会のあいさつをしていて。そういう意味で、胸に伝わると言ってはあれですが、やはり呼びかけるような、そういうことも私は必要ではないかと。  特に、ただ単に財政構造改革という言葉だけではなくて、いわゆる弱者やお年寄りやそういう皆さんの、切り込みを行うのはもちろんでありますけれども、やはりそういう意味で、そういう皆さんの意向なり、そういう皆さんに対する配慮に基づいてやっていかないと、経済合理主義だけでは政治はもたぬじゃないか。私はずっとヨーロッパの各国を見て理解しているんですね、そこが日本と違う点じゃないかと。  それと同時に、予算の削減を言うが、生活の質の改良といいますか、そういうものは、給料も低いし貧しいけれども、しかし生活そのものは、中身を見るとやはりヨーロッパ的な合理主義というか、そういうものが生活の隅々まで徹底しています。そういう意味で、苦しさに耐えながらなお未来に希望を持つというのが私の見た姿であります。  この点について、総理大臣から、こういう胸に伝わるような取り組みを含めて、毎回ここでは、議会でやっておられるわけでありますが、直接的に呼びかけることも一つの手段ではないかということを実は申し上げたいと思いますが、いかがでしょうか。
  258. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今議員から、さまざまな角度から御注意をいただきました。同時に、この厳しい財政構造の中で真正面からこの問題に取り組まざるを得ない状況を御理解をいただいたことにお礼を申し上げます。  同時に、こうした財政構造を完全に根底から見直そうとするときに聖域をつくることはできないわけでありますけれども、その一方で、やはり社会経済情勢の変化というものを見据えていかなければならないということもまた事実であります。  もし例を挙げるといたしますならば、新ゴールドプランに代表されます、また緊急保育対策に代表されます高齢・少子社会というものの中における我々の配意すべき点、当然のことながら意識の中に入れていかなければなりません。  真に手を差し伸べなければならない方々に対してその配慮を欠いてはならない、そういった御指摘と受けとめさせていただき、お礼を申し上げます。
  259. 北沢清功

    ○北沢委員 最後にもう一つだけ。  補正予算のあり方について先ほども御論議がございました。私は、やはり長年の不況の中での景気対策という意味も含めて、補正予算というものが非常に安易に使われたといいますか、財政法の二十九条では予算作成後に生じた事由に基づいて特に緊要になった経費とされておるというふうに言われておりますが、いろいろと問題がございますので、これらの安易さというものをもう少し、これからの補正のあり方というのは、厳しいわけですから、なかなかそういう面では緊縮されるわけでありますが、ぜひ、そういう面で安易な補正予算の取り組みというものはされないと思いますが、やはり原点に返ってここでひとつお互いに反省をする必要があるのではないか。それから、財源等についても極力、削減等を含めて現在のこの予算の範囲内でとどめるようにすべきだというふうに私は考えますが、これらについての御見解はいかがでしょうか。
  260. 三塚博

    三塚国務大臣 補正予算につきましては、財政法二十九条、緊急性という基本を踏まえて行うわけでございます。北沢議員の御指摘のように、両面をにらむと。しかしながら、二十九条に基づく今回の補正でございますから、緊急性ということで万般に配慮をいたした、こういうことでございます。  災害復旧、阪神・淡路大震災に対応するものだけではなく、日本列島、活火山地帯でもございます。そういうことを考えながら、地域の声が、ぜひ我が地域にも、地震によりあるいは崩落により肉親が、人々が犠牲になることだけは早く直してほしいと、山岳地帯であればなおのことでございます。そういうものの積み上げの中で、災害のない日本を目指すという、科学と技術とそれから予算により対応をしていこう、こんなことでございます。
  261. 北沢清功

    ○北沢委員 いわゆる土石流の問題が質問予定でございましたが、これらはその点も実は申し上げたかったわけであります。ですから、そういう意味で、人命を最優先するような、阪神大震災の例に学びながら、やはりそのことだけは進めていただきたいと思っております。生かしていただきたいと思っております。
  262. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて北沢君の質疑は終了いたしました。  次に、岩國哲人君。
  263. 岩國哲人

    ○岩國委員 岩國哲人でございます。昨日に引き続き、太陽党を代表して質問させていただきます。  まず最初に、建設大臣にお尋ねしたいと思います。  大臣、お久しぶりでございます。大臣の人に憎まれない性格とは真反対の特徴を生かされて、大いに改革に実績を上げられることを期待しております。  まず最初に御質問させていただきたいのは、住宅・都市整備公団補給金の問題であります。  住宅・都市整備公団につきましては、以前からその使命は終わったとの声が強く、大臣もこの点を十分認識されているということについてうれしく思っておりますが、事業の継続の必要性を含めて役割全般の見直しが必要なことから、特に親会社が赤字、関連子会社が黒字という、民間企業ではちょっと考えられないような不透明な分野が多いということからも、当面、補正予算における補給金等の計上は凍結し、そして公団のあり方も含めその抜本的な検討を行うべきだと考えます。  これに関連しまして、大臣の昨日の御発言の中にありました、財投のコストとそれから一般市中コスト、特に、バブル崩壊後のこの低金利時代において企業努力が十分に発揮されなかったのはそこにも一因があるといったような御発言があり、確かに私たちもそのように思っております。  バブル崩壊後、どの時点から財投金利と一般市中金利が逆転したのか。また、その時点から今までの累積、仮に市中金利への借りかえがすべて可能であったならば、どれぐらいの金利コストが削減できたというふうにお考えでしょうか。概数で結構です。
  264. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 お答えいたします。  住都公団につきましては、戦後、余り豊かでない方々に対してできるだけ低廉な住宅を供給するという一つの大きな役割を果たしてきたことは委員承知のとおりでありますが、その後、社会経済状況が変わってまいりまして、また、住宅供給についての民間の大きな力といいますか、そういうものが生まれてまいりました中で、官がそうした民に対して思い切って役割を譲り渡していいのではないか、そうした事態に今来たのではないかと。  ただ、その中で、弱者に対しての住宅供給面での配慮、これをどうしていくかという大きな問題があります。これは公営住宅の建設とも絡んでまいりますので、そのあたりを自治体との関係でどう責任を果たしていくかというような今後の課題がありますけれども、この際、思い切って分譲部門からは完全全面撤退をし、賃貸部門につきましても、一部限定的に当分やっていくということでありますが、将来的にはこれも撤退をしていくという大方針を住都公団の総裁とも合意をいたしておりまして、今後関係のところと中身を詰めていきたい、こういうふうに考えております。  委員が御指摘の補給金の問題でございますが、これは既に御承知のように、平成七年度の決算をこういう形でお願いをしているわけでございまして、低所得者向けの賃貸住宅の家賃を引き下げる、そうした措置によって生じた問題でもございますので。  ただ、全体としまして、委員が御指摘のように財投金利と市中金利の大きな乖離がある中で、住都公団というのはこの数年経営をやりくりしてきたわけでありますけれども、それをちょっと、市中金利並みに値切るなり借りかえたらいいじゃないかという御指摘、私は理屈はそのとおりだと思います。  しかし、国全体の財投の運営の問題もございます。そういう中で住都公団だけが、今まで三十年間、そうしたおつき合いといったらおかしいのですが、財投との関係の中で資金も調達をし、それが住都公団の運営に大変に貢献をしてきたという過去の経緯もあるわけでございますから、状況がこういうことになったからという形で、私どもは借りかえをどんどん市中銀行との関係でやっていくという方向転換ができなかったという面は、私は私なりに理解ができるわけであります。  今後財投を、こうした逆転現象が起きた中でどうやっていくか。いつまで低金利時代が続くか続かないか、これは問題がございますけれども、そういう事態における財投に財源を依存をしてきた事業のあり方は、今後の問題として、政府全体として私は検討する必要があると思います。  また、委員御指摘のように、本体が国民の税金から直接間接に補給をしていただくという中で、それの下請といったらおかしいのですが、事実上子会社に相当するような、あるいは住都公団の、何といったらいいんですか、それのさらに特殊法人みたいな、ほとんどが住都公団のOBが役員に就任をしているというような、そうした会社が百億以上の黒字を計上しておる、ほとんど赤字がないという、そういう状態というのは、トータルとして見たら、私はこれは健全ではない。そういう意味では、やはり赤字で住都公団の事業をかわってやるわけにはまいりませんけれども、しかし、そうした膨大な利益をほとんどが得ているという状態は、私は、これは徹底的にメスを入れて改革をしていかなければならない。  で、将来の方向は、民業圧迫というそうした懸念が起きないような、やはり住都公団でなければやれないような都市の再開発とか市街地開発、地域整備公団が現に本当に引く手あまたでございます、御承知のように全国の中小都市から。そういうものとの関係をどうしていくかというようなこと、通産大臣、国土庁長官とも今既に協議を始めておりますけれども、そういう形で処理をしていきたい。  なお、委員から御指摘ございましたように、どれぐらいの、金額面でどうだったか。私、細かい数字までわかりません。何なら後ほど数字をお持ちいたします。
  265. 岩國哲人

    ○岩國委員 大変御丁寧に御答弁いただきまして感謝いたしますけれども、私の短い持ち時間がだんだんなくなりそうなので、もう一問お願いしたいことがありましたけれども、要望にかえます。  これは緊急防災対策事業でありますけれども、この緊急防災対策費は、地震等による災害の防止のため緊急に対応すべき事業に必要な経費、このようにされておりますけれども、私は、その多くは当初予算において計上すべきものであって、緊急性に乏しいものがかなり入っておるんではないかという疑いがあります。歳出の削減による財政再建及び財政改革の観点に照らして、少なくとも当該経費の半減をめどとして組み替えるべきではないか。また、こうした予算審議の資料として、その緊急度についての説明が全くない。少なくともランクづけぐらいは、ずっと積み上げてこられて、それぞれの官庁においてされたものがあるはずですから、今後は、そのランクづけもあわせて、そのような緊急度についてある程度の判断ができるような資料提供を要求して、私のこの件に関する質問を終わらせていただきます。よろしくお願いします。
  266. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 簡単に申し上げます。  簡単に言いますと、この委員会審議の中で箇所づけをやっていくような作業は、到底不可能でございます。やはり、行政権に対する、ぜひひとつそういう意味では御信頼をいただきたい。  御承知のように、大型プロジェクト等については、具体的に私どももそれをさらしながら御審議を願うということをやるわけでありますが、大変な数に上ります、箇所でいいますと。これについての緊急性は、私どもも厳しく県あるいは市町村と協議をしながら優先順位をつけてやっている。  なお、当初予算ですべてやればいいわけでございますけれども、なかなか大蔵省きつくて、当初予算において我々が緊急だと言うのをすべて認めていただける状況じゃございませんので、ただ、昨年来の災害が続発をしている中で大蔵当局も御理解をいただいたということでございますので、御理解を賜りたい。
  267. 岩國哲人

    ○岩國委員 ただいまの建設大臣の答弁でありますけれども、そうした箇所づけを一つ一つ我々ここで審査する能力は、確かに限度はあると思います。しかし、我々行政権を侵害しようとするんではなくて、少なくとも審議権の侵害はしてもらいたくない、少なくとも審議権が行使できる程度の資料というものを提供するのは、私は、行政の役目ではないか、そのように申し上げた次第でございます。ぜひ御理解をお願いいたします。  次の質問に移らせていただきます。  タンカー重油流出事故の緊急対策費として、これは特別交付税でという考えがあるやに伺いましたけれども、私は、特別交付税といった政治要素の高い対応ではなくて、もっと透明度の高い、特別対策費として本予算で計上すべきじゃないか、そのように思います。  関連して、自治大臣に地方分権についてお伺いいたします。  地方分権は、これは大変重要なテーマであり、かつ、各政党ともこれを重要視して、総選挙でそれぞれ有権者に支持を訴えられました。確かに、国家構造の改革において、これはビッグバンにふさわしい大きな位置を占めております。したがいまして、まず権限を地方に譲渡する。それに必要な財源も譲渡する。また、それを実行するだけの人材、中央官庁の約三割をめどとして地方に移譲させることによって、権限、財源の行使の効率を上げる。そのような、権限、財源そして人間の三ゲンセットでの地方分権が望ましいということを我々は主張してまいりました。  地方分権の受け皿としては、まず市町村合併が非常に重要かつ緊急な課題であると思います。午前中の答弁でも、自治大臣の方から、約一千をめどとしてという非常に大胆な発想、これは新進党あるいは太陽党の主張する三百ないし五百とまだ開きはありますけれども、しかし、自治大臣のその決意を我々は高く評価したいと思います。その受け皿のために市町村合併が必要だということと、また、その受け皿が腐敗しないためには知事、市町村長の多選の制限も必要ではないでしょうか。  まず市町村合併について、自治大臣の熱意に大いに期待しておりますけれども、この市町村合併というのは、行政コストの削減、そして規模拡大による自治能力の向上、特に若い人材を吸収するためにもそれは必要だと思います。  私のごく短い経験ではありますけれども、実感としましては、大臣のおっしゃるその手ざわりの実感ということに相当する人数は二十万人から三十万人ぐらいの規模の自治体が、もちろんこれは島根県の二十万、三十万と埼玉県の二十万、三十万とは全然話が違いますけれども、一般的に言っての話であります。そうしたものをめどとすることによって、声が聞こえる、顔が見える、そうしたコミュニティーめためにはそのような規模が適当ではないかと思います。また、それ以下ですと、小さい自治体の場合にとかく起きることは、小さ過ぎて声が出ない、顔が見え過ぎる。顔が見え過ぎるどころか、選挙の時には背番号まで見える、丸に竹の字とか丸に桜の字とか、いろんな背番号までが見えてしまうといったような問題もあり、やはりこれからの地方自治の確立のためには、二十万ないし三十万人を少なくとも最小の規模とすべきではないかと思います。  また、面積について大臣の御発言もありました。北海道の七区といった例を持ち出されました。確かにこれは例外的に大き過ぎます。したがって、それぞれの県の中で、小さな県は小さな県なりに、大きなところは大きなところなりに配慮が必要だということもわかりますし、また人口も、二十万といっても、例えば島根の場合にはそれが四分の一に相当する、埼玉の場合、あるいはもっと大きいところであれば二十分の一にしか相当しないかもしれないといったようなことで、画一的な市町村合併を強制するということについては問題があり、その点は実情に合わせて実行すべきことではないかと思います。  いずれにしましても、早く実行することが大切である。地方分権といいながら、なかなかそれが実現できないのは、そうした受け皿整備が進まないからである。ぜひとも、この地方分権におけるビッグバンとして、市町村合併を強力に中央主導型でやっていただきたいと思います。今までの自治省の間違いは、地元の方で合意ができれば、こういう合意というのは実際になかなかできるものではないわけですから、これこそ中央主導型で強力に進めていただきたいと思います。  また、知事、市町村長の多選禁止について御意見を伺いたいと思います。  これから小選挙区になり、また地方に権限が移った場合に、知事、市町村長の権限が相対的に今までより際立って強くなる。したがって、そのような一人の人が知事、市長を長く続けるということは、どうしても行政の停滞、癒着、腐敗が起きがちであります。したがって、多選の何らかの制限が必要になってくるんではないかと思います。桃栗三年、知事八年、市町村長十二年といったようなわかりやすいルール、知事は二期八年まで、市町村長は十二年までといったような、二期、三期をめどとして多選の制限をすべきではないかと思いますが、この点についての自治大臣の御意見をお願いいたします。
  268. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 地方自治の経験を持つ岩國委員の、しかも多岐にわたる発言なので、全部答えるときっと質問時間がなくなると思いますので、簡単に申し上げます。  多選禁止について言いますと、極めて簡単な話だと思います。そんなに難しい話じゃないので、後はどう決断するかという問題なんでございますが、これはどうも自治省からこうしようと言うテーマではないような気がいたします。どうぞ各党各会派において、そんなに難しい話じゃありませんので、議論をして、決まれば直ちにそれに必要な法律をつくればいいと思っております。  ほかはよろしゅうございますか。
  269. 岩國哲人

    ○岩國委員 次に、厚生大臣にお願いいたします。  まず一つは、福祉カード、ICカードを使って健康管理、あるいは災害時における救命のために使おうという試みが既に三十市町村において行われております。岡山市、姫路市あるいは出雲市、さらに米子市でも計画されておりますし、世田谷区、渋谷区の議会においても既にこのような要望あるいは質問が出ております。これについて厚生省としてはどのような具体的な推進計画を持っておられるか。そうしたこれからの少子化対策あるいは高齢化対策、また、女性の健康管理といった点でも非常に有用な制度であると我々認識し、また厚生大臣が以前島根県においでになりましたときに、ちょうど実施の当初でございましたから御説明させていただいたこともあります。厚生大臣の、こうした健康管理カードに関する御所見をお伺いしたいと思います。
  270. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 前に、出雲市長時代の岩國市長の提言、そして新たな発想に基づいたこのICカードに私も注目しておりました。そして今後、医療福祉保健カード、これはいいことだなと思って、厚生省としてはこれを普及させたいという気持ちで取り組んでいきたいと思います。  具体的なことが知りたかったら、政府委員から答弁させますが……(岩國委員「いや、大臣の御決意だけ」と呼ぶ)はい。積極的に普及に取り組んでいきたいと思います。
  271. 岩國哲人

    ○岩國委員 もう一点、厚生大臣にお願いしたいことがあります。これは障害基金への五百億円の積み増しについてであります。  高齢者・障害者在宅福祉等整備基金に五百億円、補正予算で計上されておりますけれども、これは本来的にはかなり前から行われておる事業であって、事業そのものは一九八八年から行われており、そしてそれ以後、基金として名前がえが行われておりますけれども、なぜこの補正予算でこれを計上しなければならないのか。事業の性格からいえば、これは当然本予算において計上すべきものではないかと思いますが、この点、御意見をお願いします。
  272. 亀田克彦

    ○亀田政府委員 高齢者・障害者在宅福祉等整備基金でございますが、本年四月の消費税率の引き上げ等を控えまして、早急に消費者保護の見地から社会的弱者対策の一層の充実を図る、こういう昨年十二月の与党三党合意を踏まえまして、特に高齢者、障害者につきましては、従来の施策の枠を超えた、きめ細かな在宅福祉施策を緊急に推進していく必要があるというふうに厚生省も考えておるところでございます。  こういうことから、御審議をいただいております平成八年度補正予算案におきまして、臨時福祉一時金の給付とともに、この基金を設置いたしますため社会福祉・医療事業団に五百億円の出資を行い、これによりまして、今後の介護保険制度等も展望しつつ、ボランティア団体等、多様な主体が参加した在宅福祉の充実を図るための助成事業をさらに推進してまいりたい、こういうことで計上をさせていただいておるところでございます。よろしく御理解を賜りたいと思います。
  273. 岩國哲人

    ○岩國委員 ありがとうございました。  なお、厚生大臣に対し、臨時福祉特別給付金、いわゆる一人一万円という対策費でありますけれども、こうした対策費はわずか一年だけというのでは非常に効果も薄いと思われますし、その他いろいろな問題等がありますので、この点については我々としては凍結を要望いたします。  次に、総理大臣にあと一問だけお願いしたいと思います。これはウルグアイ・ラウンド関連対策費についてであります。  日本農業の将来に対する明確な展望や、具体的な農業構造の改革についての指針も示さないままで予算をつぎ込むことには問題があると思います。関連対策は種々の改革とセットで実施されるべきものでありまして、つぎ込まれる予算が日本農業の未来、農業経営者の意欲にどうつながっていくのかが不明確である以上、精査が必要でありまして、何よりも、このように巨額な予算を毎年補正予算で処理することはおかしいと思います。  私自身、私ごとになりますけれども、小学校二年生のときからずっと農業をやってまいりました。キュウリ、ナスビ、トマト、カボチャ、大根をつくり、芋を植え、そして寒い冬の中で麦踏みをしながら冬の日本海を見おろしておりました。今でも私は農業にこだわりがあります。  太陽党が創立されたときの太陽党の基本政策の中にも、農業を大切に、尊農建国、それは、これからの国づくりは農業を大切にした国づくりが必要であるということを我々基本政策としては訴えております。その中には.農林省と建設省と国土庁、この三省庁が一緒になってこれからの地方の農村づくり、農業保全を図っていただきたいという願いもあります。  しかしながら、ウルグアイ・ラウンドのこの計上の仕方、またその使われ方というのは、これからの日本の農業の育成、そして発展に本当に一〇〇%有効に使われているかどうか大いに疑問があります。五月雨式、ばらまきの、そして特に農業土木事業が余りにも多過ぎる。こういった点から、私は、ウルグアイ・ラウンドにつきましては、もっと精査が必要であり、さらに補正予算というような形で計上するのではなくて本予算で計上すべきではないか、そのように思います。総理大臣または農林大臣の御所見をお願いいたします。
  274. 藤本孝雄

    ○藤本国務大臣 ウルグアイ・ラウンド関連対策費でございますので、総理にかわりまして私から御答弁申し上げます。  御承知のように、この農業合意関連対策は、ウルグアイ・ラウンド農業合意後、農業・農村に対します影響を最小限度に食いとめながら、我が国の新しい国際環境のもとにおきまして足腰の強い農業をつくり上げるために、約一年かかりまして、農政審議会であるとか農業団体であるとか、また各種方面に意見を聞きまして、最終的には政府・与党が責任を持ってこの対策を決めた、こういういきさつがございます。  また、平成六年におきましては、共産党を除きまして、国会でこのウルグアイ・ラウンド対策につきましては最大の努力をするようにという御決議もいただいたところでございます。  こういう経緯の中で、私どもといたしましては、この対策は、農業を誇りを持って携わることができる魅力ある産業といたしまして、他産業並みの労働時間、また生涯所得を得る、そういう農業構造が大部分の農業経営の主体になる、そういう農業構造を考えておるわけでございまして、これらの経営体の育成また確保、さらには生産基盤の整備の重点化、また諸施策の整備等を図ってまいろうと考えております。  補正予算でこの対策費を計上いたしましたのは、このウルグアイ・ラウンド対策費というものが非常に緊急性がある。その緊急性に基づきまして、急ぐという点と、それから間断なくこれを取り組んでいく必要がある、そのことによって効果があらわれる。それからまた、当初予算案で取り組んでおるわけでございますけれども、追加的に予算を計上いたしましてもこれは実行をできる、こういう状況に基づきまして、補正予算で計上したわけでございます。
  275. 岩國哲人

    ○岩國委員 質問を終わらせていただきます。
  276. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて岩國君の質疑は終了いたしました。  次回は、明二十九日午前九時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十五分散会