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1997-05-09 第140回国会 衆議院 本会議 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月九日(金曜日)     —————————————  議事日程 第十九号   平成九年五月九日     午後一時開議  第一 地方自治法の一部を改正する法律案(内     閣提出)  第二 水産業協同組合法の一部を改正する法律     案(内閣提出参議院送付)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  日程第一 地方自治法の一部を改正する法律案   (内閣提出)  日程第二 水産業協同組合法の一部を改正する   法律案内閣提出参議院送付)  大学教員等任期に関する法律案内閣提出   )の趣旨説明及び質疑  包括的核実験禁止条約の締結について承認を求   めるの件及び核原料物質核燃料物質及び原   子炉の規制に関する法律の一部を改正する法   律案内閣提出)の趣旨説明及び質疑     午後一時三分開議
  2. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  日程第一 地方自治法の一部を改正する法律   案(内閣提出
  3. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 日程第一、地方自治法の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。地方行政委員長穂積良行君。     —————————————  地方自治法の一部を改正する法律案及び同報告   書     〔本号末尾掲載〕     —————————————     〔穂積良行登壇
  4. 穂積良行

    穂積良行君 ただいま議題となりました地方自治法の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、地方分権の推進に資するとともに、地方公共団体組織及び運営合理化を図るため、地方公共団体外部監査制度導入することとし、あわせて現行監査委員制度充実等を図ろうとするものであります。  その主な内容は、  第一に、外部監査制度とは、地方公共団体外部監査契約を締結した者が外部監査人として地方公共団体監査を行うものであり、外部監査契約を締結できる者は、地方公共団体財務管理その他行政運営に関しすぐれた識見を有する者であって、弁護士、公認会計士及び地方公共団体監査に関する実務に精通したものとすることとしております。  外部監査契約のうち、包括外部監査契約に基づく監査は、地方公共団体が、毎会計年度外部監査人が必要と認める事件について受ける監査であり、都道府県及び政令で定める市について義務づけることとし、その他の市町村条例により導入することができることとしております。また、個別外部監査契約に基づく監査は、議会、長または住民から要求等があった場合において行う監査であり、地方公共団体条例により導入することができることとしております。  第二に、現行監査委員制度につきまして、監査委員のうち当該地方公共団体職員であった者は一人を上限とするとともに、町村監査委員の定数を二人とし、町村にも監査委員事務局設置できることとするほか、監査結果に基づく改善措置の通知・公表を義務づけることとしております。  このほか、都道府県法定局部数を超えて局部を置こうとする場合の事前の自治大臣への協議届け出制に改めることとしております。  本案は、四月二十二日本委員会に付託され、同日白川自治大臣から提案理由説明を聴取し、二十四日質疑に入り、外部監査制度導入趣旨外部監査人資格要件及びその確保策地方公共団体共同外部監査機構の創設についての見解現行監査委員制度改善必要等について論議が行われました。  昨五月八日質疑を終局しましたところ、本案に対し、自由民主党新進党民主党日本共産党及び社会民主党市民連合の五会派共同により、地方公共団体は、外部監査契約を円滑に締結し、またはその適正な履行を確保するため必要と認めるときは、識見を有する税理士と外部監査契約を締結できることを内容とする修正案が、また、民主党より、住民監査請求請求期間延長等内容とする修正案が提出され、それぞれ趣旨説明を聴取いたしました。  次いで、採決を行いましたところ、民主党単独提出修正案賛成少数をもって否決され、五会派共同提出修正案及び修正部分を除く原案はいずれも全会一致をもって可決され、よって、本案修正議決すべきものと決しました。  なお、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  5. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 採決いたします。  本案委員長報告修正であります。本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり修正議決いたしました。      ————◇—————  日程第一一水産業協同組合法の一部を改正す   る法律案内閣提出参議院送付
  7. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 日程第二、水産業協同組合法の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。農林水産委員長石橋大吉君。     —————————————  水産業協同組合法の一部を改正する法律案及び   同報告書     〔本号末尾掲載〕     —————————————     〔石橋大吉登壇
  8. 石橋大吉

    石橋大吉君 ただいま議題となりました水産業協同組合法の一部を改正する法律案につきまして、農林水産委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、最近における我が国漁業及び金融をめぐる情勢の変化にかんがみ、信用事業を行う漁業協同組合等の経営の健全性確保するため、所要措置を講じようとするものであり、その主な内容は次のとおりであります。  第一に、信用事業を行う漁協等について、自己資本及び内部留保充実を図るため、最低出資金制度導入法定準備金積立基準引き上げ等を行うこととしております。  第二に、信用事業を行う漁業協同組合連合会等について、員外監事及び常勤監事設置を義務づけるとともに、これらの組合は、全国漁業協同組合連合会監査を受けなければならないこととしております。  第三に、信用事業を行う漁協等代表理事並びに当該漁協等常勤役員及び参事は、行政庁の認可を受けた場合を除き、他の漁協等もしくは法人の常務に従事し、または事業を営んではならないこととしております。  本案は、去る三月二十六日参議院から送付され、四月二十二日本委員会に付託されました。  委員会におきましては、五月七日藤本農林水産大臣から提案理由説明を聴取し、昨八日質疑を行いました。質疑終局後、採決いたしましたところ、本案全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  なお、本案に対し附帯決議が付されました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  9. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 採決いたします。  本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  大学教員等任期に関する法律案内閣提出)の趣旨説明
  11. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) この際、内閣提出大学教員等任期に関する法律案について、趣旨説明を求めます。文部大臣小杉隆君。     〔国務大臣小杉隆登壇
  12. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 大学教員等任期に関する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。  変化の激しい時代にあって、大学学問進展社会の要請に適切に対応して教育研究を推進していくことが求められている今日、各大学において不断に改革を進めて教育研究活性化を図る必要があり、これを担う教員の果たすべき役割がますます重要になっております。  このため、大学教員流動性を高めて大学における教育研究活性化を図るための方策として、国公私立の大学を通じて、各大学判断教員任期制導入できるようにする必要があり、これがこの法案を提出する理由であります。  次に、この法律案の概要について申し上げます。  第一は、この法律案目的についてであります。  これは、大学等において多様な知識または経験を有する教員等相互学問的交流が不断に行われる状況を創出することが教育研究活性化にとって重要であることにかんがみ、教員等任期について必要な事項を定めることによって、大学等への多様な人材の受け入れを図り、もって大学等における教育研究進展に寄与することを目的として定めております。  第二は、国立または公立大学教員任期についてであります。  これは、国立または公立大学大学管理機関が、教員について任期を定めた任用を行う必要があると認めるときは、教員任期に関する規則を定め、これを公表することとするとともに、任命権者は、この規則を定めた大学教員について、次の三つのいずれかに該当するときは、当該任用される者の同意を得て、任期を定めて任用できること等を定めております。  一は、教育研究分野または方法の特性にかんがみ、多様な人材確保が求められる教育研究組織の職につけるとき、  二は、みずから研究目標を定めて研究することを主たる職務とする助手の職につけるとき、  三は、大学が定め、または参画する特定計画に基づき期間を定めて教育研究を行う職につけるときであります。  第三は、私立の大学教員任期についてであります。  これは、国立または公立大学教員について任期を定めた任用ができる三つの場合に該当するときには、学校法人教員との労働契約において任期を定めることができるとしております。この場合、学校法人は、学長の意見を聞いて、あらかじめ教員任期に関する規則を定め、公表すること等を定めております。  第四は、大学共同利用機関等への準用についてであります。  これは、大学共同利用機関等職員のうち専ら研究または教育に従事する者について、国立または公立大学教員任期に係る規定を準用することとしております。  このほか、所要規定の整備を行うことといたしております。  以上が、法律案趣旨でございます。(拍手)      ————◇—————  大学教員等任期に関する法律案内閣提   出)の趣旨説明に対する質疑
  13. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) ただいまの趣旨説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。西博義君。     〔西博義登壇
  14. 西博義

    西博義君 私は新進党を代表して、大学教員等任期に関する法律案について、総理並びに関係閣僚質問をいたします。  近年、大学進学率の上昇や生涯学習の機会を求める人々の増加、学術研究や技術の急速な進展による研究高度化国際化、さらに、産業・就業構造変化などを背景として大学改革が求められ、大学設置基準改正によるカリキュラム編成弾力化自己点検評価制度導入、シラバスの作成配付大学院の拡充等改革が行われてきました。  大学学生のためにあるべきであり、大学の最も重要な役割学生教育であると言っても過言ではありません。教育は時間を超えて力を発揮します。教育こそは、国の、社会の将来を開き創造し行く力です。歴史上、世界に大勢力を誇った国々も、やがては衰退していきました。一国の盛衰は長い目で見なければなりません。そして、社会の長期的な課題の中でも、教育こそその根本であり、教育充実に真剣に取り組む国は必ず発展と繁栄の時代を迎えると考えます。  中国の「管子」という書に「一年の計は殻を樹るに如くはなし、十年の計は木を樹るに如くはなし、終身の計は人を樹るに如くはなし」という言葉があります。これは、一年で利益を上げようと立てる計画としてはその年のうちに収穫できる穀物を植えるのが最もよく、十年の計画としては果樹を、そして一生の計画としては人材養成や登用をするのが最もよいという意味であります。教育重要性を説く先人の言葉は枚挙にいとまがありませんが、問題はその基本を忘れてしまうことではないかと思います。  大学改革考えるに当たり、我が国大学教育の現状を見ると、疑問を感ぜざるを得ません。学生が講義を理解するのに非常に困難を感じているという状況が長年続き、大学授業は形骸化しております。最近ようやく教員相互授業参観新任教員研修などによる授業内容方法改善のための取り組みが始まりました。  アメリカでは、教員授業改善するための専門家がおり、教員授業ビデオに撮り、そのビデオを見せながら、授業の中でわかりにくい点を指摘し、改善するようアドバイスを行っております。単にお互いの授業を参観するという方法より、こうした教員一人一人に光を当てた地道な取り組みこそ学ぶべき点が多いのではないかと思います。  短期的な研究業績アップに目を奪われたような改革ではなく、教育を通じて学生に基礎的な力をつけさせる大学づくりを目指し、そこで輩出される学生が育って、よりよい研究を生む、そのような姿が大学改革あり方として望ましいのではないかと考えておりますが、総理の御見解をお伺いいたします。  文部省が描く任期制効果については、任期制導入によって人事の流動化が起こり、人の交流が図られ、それが学問的に刺激となって教育研究活性化されると想定されています。この文部省が描く図式について、まず質問をしたいと思います。  教育研究活性化が図られるといいますが、教育研究のそれぞれの分野に対してどのような影響があり、活性化したとはどのような状態をいうのか、具体的に明示をしていただきたい。  私は、この任期制の意図は、教員研究活性化にあって、教育活性化にはないと思います。例えば、任期制のついたポストにいる指導教官任期切れになって大学をかわってしまった場合、学生は引き続き指導を受けられなくなるという状況が生まれできます。また、研究業績を気にする余り教育がおろそかになるということも懸念されます。教育という面ではデメリットが大きいと考えますが、そのデメリットをどう解消するのか。また、任期制によるメリット教育面にもあるとすれば、それは一体どういう点かということを示していただきたい。  この法律案では、大学における教育研究活性化を図ることが目標であり、任期制はその手段ということになります。したがって、任期制導入した大学の数や任期制の適用となった教員の数など、数値の達成を目標とすべきではありません。決して目標手段を混同すべきではないと考えますが、御見解を示していただきたい。  国公立大学教員の身分につきましては、国家公務員法に基づく人事院規則では、原則として恒常的に置く必要がある官職について任期を定めて任用してはならないと規定されております。この原則のもとに、これまでは、例外的に任期制を定めることができる職はその範囲が限定されております。  そこで、任期制と変わり行く労働環境との関連について質問をいたします。  大学教員への任期制導入はこれまでの公務員制度根幹を揺るがす改革になると考えますが、今後、大学教員に限らず公務員全体へ対象を広げていくという考えをお持ちかどうか、総理並びに総務庁長官見解を示していただきたい。  さらに、任期制度日本社会労働慣行の大きな変動を促進するものと思われますので、この点についてもどのような考えをお持ちなのか、総理並びに労働大臣にお伺いをいたします。  さて、先ほど述べた例外的な任期制が適用されている職種は、試験研究機関研究職外国人教員などであり、それぞれ時限つきプロジェクト研究への従事、公務員国籍条項の一部緩和など、合理的とされる基準が示されてまいりました。この法律案によって、文部省任期を定めないという原則を変更したのか、もしそうだとしたらどのような理由で変更したのか、その見解を示していただきたい。  また、原則を変更していないとすれば、不特定多数への任期制導入合理性とは何か、基準を明確にされたい。なぜ他の公務員終身雇用大学教員だけが任期制なのかという批判にどうお答えになるのか、見解を示していただきたい。  この任期制導入は、不特定多数の教員影響を及ぼし、公務員制度根幹を揺るがすような制度導入であります。人事院は、文部省との協議の中で、任期制を検討するに当たっての留意点として、目的範囲及び対象、仕組みを明確にし、さらに給与等の処遇の面の取り扱いも含めて考えるべきであると指摘しております。これらの点について、人事院から正式な意見表明がなされてしかるべきではないかと考えます。意見の申し出を法律案審議中に公表するよう要求しておきます。  大学には、憲法二十三条に保障された学問の自由と、その制度的保障として大学自治が認められております。その意義を踏まえれば、今日まず大学自身にとって大事なことは、教員中心とする構成員教育研究のレベルアップを図るなど、自主的な改革を行うことであります。大学関係者の一層の努力を期待するものであります。  同時に、大学自主的判断としながら、文部省の政策を実現するために財政的誘導策が行われると大学側に危惧を抱かせるようなことがあってもなりません。臨時教育審議会は、文教行政について、従来の指導助言が本来の機能以上に指揮監督的に受け取られている場合があり、また過度に形式的な法律解釈論や通達に依拠する傾向があることを反省し、見直す必要があると指摘しております。最後に、この点について文部大臣見解を示していただきたい。  文部省に節度のある対応を求めて、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎登壇
  15. 橋本龍太郎

    内閣総理大臣橋本龍太郎君) 両議員お答えを申し上げます。  まず、大学改革あり方についてのお尋ねを、御自身の体験を踏まえてお尋ねをいただいたことに敬意を表します。  私は、学術の振興と人材養成を担う大学については、各大学がそれぞれの理念や目的を明らかにしながら、特色のある教育研究活動を展開していくことが大切であると考えております。現在、このような観点から、各大学において、教育機能の強化やあるいは研究高度化などのための多様な取り組みが行われております。今後とも、そうした機運を助長しながら、その改革を進めていく必要があると私は思っております。  次に、任期制公務員全体に広げる考えがあるかというお尋ねをいただきました。  しかし、私は任期制公務員全体に広げるということにはさまざまな問題点があると思います。その職務の性質などを踏まえ、必要性のある特定の場合に限って導入していくべきものではないでしょうか。今後とも、個別の必要性などを勘案しながら対処していくべきだと考えております。  三番目に、任期制採用労働慣行との関係についてのお尋ねがございました。  大学教員などの任期制は、大学等におきまして教員同士学問的交流が常に行われ、教育研究活性化を図るために導入されるものでございます。こうした意味での任期制導入というのは、私は直接的には日本労働慣行影響を及ぼすものではないと思います。しかし、現実には、我が国労働慣行自体がさまざまな要因で変化しつつあるのではないでしょうか。そうした広い意味でまいりますなら、こうした制度採用というものも、将来的に労働慣行に全く影響を与えないものではないかもしれません。しかし、少なくとも直接的に日本労働慣行影響を与えるものではない、そのように認識をいたしております。  残余の質問につきましては、関係大臣から御答 弁を申し上げます。(拍手)     〔国務大臣岡野裕登壇
  16. 岡野裕

    国務大臣岡野裕君) 西先生から御質問をいただきましたが、任期制採用労働慣行との関係総理から詳しく答弁があったとおりであります。(拍手)     〔国務大臣小杉隆登壇
  17. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) まず第一に、教育研究活性化についてのお尋ねでありますが、任期制導入によって、大学において異なる経験発想を持つ多様な人材を受け入れ、相互教育研究面における刺激を与え合うことによって、教員の能力を向上させる効果が期待されます。教育研究活性化している状態と申しますのは、各教員教育研究に熱心に取り組み、その結果、教育活動充実するとともに、同時にすぐれた研究業績が次々に生み出されていく状況になることと考えております。  第二に、任期制導入に伴う教育面メリットデメリットについてのお尋ねでありますが、大学において教育面での業績評価が適切に行われることによって一層すぐれた教育指導が期待されること、また、多様な知識経験を有する人材大学に受け入れることによって、より充実した教育指導を受ける機会学生に提供することなど、教育上のメリットがあると考えております。  なお、組織的な教育研究指導等を強化することによって、任期満了により教員が異動しても教育面継続性を保つことができるものと考えております。  第三に、任期制導入に当たり、数値目標とすべきではないとの御指摘ですが、今回の任期制は、教員流動性を高めるための方策一つとして、各大学判断により任期を定めた任用ができることとするものであって、導入した大学数などを目標とすべきものではないことは御指摘のとおりであります。  第四に、公務員法制との関係についてのお尋ねでありますが、公務員法制においては、定年までの継続任用ということが基本でありますが、その職務と責任の特殊性に基づいて特例を定めることができることとされております。今回の法律案は、大学教員職務教員自身の自由な発想で主体的に取り組むものという特殊性を有していることにかんがみ、定年までの継続任用の例外として、教育研究上の必要がある場合について任期制導入できるようにするものであります。  第五に、財政的誘導を行うのではないかとの御指摘ですが、今回の大学任期制教員流動性を高めるための一つ方策であり、任期制導入するかどうかは各大学判断にゆだねるという選択的任期制考え方をとっております。したがって、各大学において、教員流動性を高めるための方策として任期制について十分検討いただきたいと考えておりますが、文部省として、大学に対して任期制導入を強制したり、あるいはこれを誘導するような財政措置などを講じることは考えていないところであります。  以上でございます。(拍手)     〔国務大臣武藤嘉文登壇
  18. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) 両議員お答えをいたします。  公務員全体に任期制導入する考え方があるかどうかということでございますが、今総理から御答弁のあったとおりでございまして、私どもも、特定の場合に限って導入をしていくという考え方で来ております。  ただ、今月中には発足する予定でございます公務員制度調査会、ここでこういう問題についてもいろいろ議論をしていきたいと思っておるわけでございまして、将来ともに全体に広げるという考え方はございませんが、どういう場合にこういう任期制導入したらいいかどうかというようなことは、そこで十分議論していただきたいと考えておるわけであります。(拍手)     —————————————
  19. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 石井郁子君。     〔石井郁子登壇
  20. 石井郁子

    石井郁子君 私は、日本共産党を代表して、大学教員等任期制に関する法律案について、総理並びに関係大臣質問いたします。  大学は、我が国学術中心であるとともに、学校教育最終段階としての高等教育機関です。それだけに、国民は、国民利益社会の進歩に貢献する基礎的な研究などが旺盛に行われること、学生教育充実されることを期待しています。これらにこたえることこそ、二十一世紀を前にした大学社会的使命であります。  ところが、本法案は、大学教育研究活性化の名のもとに、国立公立、私立の大学教員に五年や三年などとの任期をつけて、期間の満了により退職という極めて身分不安定の状態に置くものであります。大学教員解雇法案という声が上がっています。  大学教員研究をしながら次の職探しに心を奪われるという前代未聞の提案に対して、多くの関係者が反対の声を上げたのは当然です。国立大学協会、私立大学団体連合会、大学基準協会などは当初から危惧を表明していました。今、国会には、全国から任期制反対のアピールが続々寄せられています。それらの声は、任期制導入すれば、大学活性化するどころか、混乱と低迷を招きかねないとの警告ではありませんか。  そこで、質問をいたします。  第一に、本法案によって導入される任期制学問研究の発展を促すものかどうかです。  独創的、創造的な研究は、その成果を上げるまで長期の期間を要するものが少なくありません。湯川秀樹博士も、五年間論文を書かず、研究を重ねた末に有名な中間子論を発表し、ノーベル賞を受賞しました。また、考古学研究に必要な遺跡の発掘作業は、調査結果の公表まで十年単位の作業と言われています。次の職も危うい任期制のもとで、こうしたじっくり腰を据えた研究ができるでしょうか。任期制時代を画する研究の芽を摘み取る危険を持つことについて、総理の御認識をお伺いいたします。  第二に、任期制によって大学教育国民の期待するものになるのかという問題です。  今大学では、高学歴のエリートがかかわったオウム事件の衝撃も相まって、大学自身大学教育のあるべき姿を真剣に探求しています。東京大学では、百二十年の歴史上初めて教育問題の全学的な検討を始めていますが、他の大学でもそうした努力が生まれつつあるのです。  大学教育充実改善にとって大きな障害となっている一つに、我が国大学教員が、欧米に比べ、近年特に入試業務などで過重な負担を負わされ、多忙化していることがあります。このような中で任期制導入すれば、教員研究業績を上げることに追われ、教育どころではないという状況に追い込まれるのは明白ではないでしょうか。また、次々に教員が入れかわるようでは、とても系統的な教育はできません。総理並びに文部大臣見解を求めます。  任期制は、世界の流れに反しています。アメリカでは、教授職まで対象とした任期制をとっていましたが、学問の自由を守るために、教授などに終身在職の権利を保障する制度がほとんどの州で確立されるなど、身分保障を厚くする方向で進んでいます。文部大臣、一体、教授までも含めて任期制導入している国はどこにあるのですか。  しかも、今ユネスコで検討中の、高等教育教育職員の地位に関する勧告草案は「終身在職権は学問の自由を擁護する」と述べ、教員の身分保障によって教育研究を活発化していこうとしています。本法案は、明らかに世界の流れからも逸脱しているではありませんか。総理見解を求めます。  文部省は、任期制導入大学判断にゆだねる選択的任期制だと言います。しかし、本当にそうかという声が大学から上がっています。なぜな ら、財政誘導などによって大学文部省の方針を押しつけるやり方は、この間目に余るものがあり、産業界の大学提言にも、「文部省による厳しく不透明な窓口指導」と指摘されているではありませんか。文部大臣、概算要求や新学部、新研究設置の許可の際の条件などで任期制を押しつけないと断言できますか。  さらに、国立大学には、民営化を踏み絵に任期制を押しつける動きすら伝えられています。国立大学の民営化、地方移管というようなことを行うつもりなのか、お答えください。  大学研究教育を本当に活発にするというなら、政府が行うべきは任期制導入ではありません。例えば、法案提出の理由としている教員人事の流動化にしても、任期制が役に立つでしょうか。  アメリカのカーネギー教育振興財団による大学教授職国際調査によると、大学教員定年までの平均異動回数は、任期制基本的にないヨーロッパの方が任期制を一定範囲認めるアメリカより高いという結果が出ているのです。数字を挙げれば、アメリカは一人平均一・六二回、イギリスは一・七七回、ドイツは二回です。これは、かえって任期制をとらない方が教員流動性が高くなることを示しています。日本は〇・七八回と確かに低い数字ですが、その原因は任期制がないからではなく、多くの関係者が指摘するように、我が国大学間の極端な格差にこそあります。  文部大臣、この際、自由な人事交流を可能にするため、大学間格差を根本的に改めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。  総理、これらを行うためにも、日本政府の高等教育予算は少な過ぎると思われませんか。我が国の高等教育費の国民総生産に占める割合は、欧米諸国と比べ四割から六割の水準にすぎません。大学活性化を言うなら、まず大学予算を欧米並みに引き上げることを明確にして、その努力を始めるべきではありませんか。  任期制導入は、大学教員だけでなく国民全体の雇用の問題としても重要です。労働基準法は、一年以上の期間の定めのある雇用を禁じています。また、国家公務員法は、職員の期限つき任用原則禁止しています。それを本法案は、大学教員に限って数年の任期つき雇用、任用を認めるもので、それらの法律を掘り崩す先鞭をつけるものにほかなりません。任期制の高校以下の教員への適用拡大を含めて、そうならないと断言できますか。労働大臣並びに文部大臣答弁を求めます。  日本共産党は、以上の主張のもとに、大学教員任期制法案に断固反対するものであります。教員の身分を不安定にして、学術中心たるべき大学教育研究をゆがめてはなりません。  憲法の要請する学問の自由と大学自治を守り、教育研究の一層の充実のために全力を挙げる決意を表明して、質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎登壇
  21. 橋本龍太郎

    内閣総理大臣橋本龍太郎君) 石井議員お答えを申し上げます。  まず、任期制導入することは時代を画する研究の芽を摘む危険があるという御意見でありますが、私はそうは思いません。むしろ、任期制導入によって大学における教育研究活性化を図ることによって、未知の分野を開拓していく創造的人材の育成や独創的研究の推進などに資するものと考えております。  次に、任期制導入による教育面への影響という御指摘がありました、  任期制は、大学において異なる経験発想を持つ多様な人材を受け入れ、相互刺激を与え合うことによって、教員の能力を向上させるものでありますし、これは研究面だけではなく教育面でも大きなメリットを有するものと考えております。  次に、身分保障と教育研究関係についての御意見がありました。  身分保障を含む大学教員の人事制度は、各国においてさまざまなものがあると承知をいたしております。今回の法案は、教員流動性を高めるための一つ方策として、各大学判断によって、従来の定年までの継続任用に加え、任期を定めた任用もできるように法制面の整備を行うものであります。  次に、国立大学あり方についてお尋ねをいただきましたが、現在、行政改革会議におきまして、国家機能あり方や中央省庁の再編などを検討しております。国立大学あり方につきましても、その中で検討していく必要があるものと考えております。  次に、大学予算についてのお尋ねがございました。  財政構造改革における歳出の改革と縮減は一切の聖域なしということを繰り返し申し上げてまいりました。高等教育予算につきましても、聖域なく見直すこととしておりまして、現在、財政構造改革会議において具体的に検討いたしておるさなかであります。  残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)     〔国務大臣小杉隆登壇
  22. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 石井議員お尋ねは、次の八点に集約できると思います。  まず第一は、任期制導入による教育への影響についてでありますが、大学において教育面での業績評価が適切に行われることによって、一層すぐれた教育指導が期待されること、また、多様な知識経験を有する人材大学に受け入れることによって、より充実した教育指導を受ける機会学生に提供することなど、教育上のメリットがあると考えております。さらに、各大学において組織的な教育研究指導等を強化することにより、任期満了により教員が異動しても教育面継続性を保つことはできるものと考えております。  第二に、教授まで任期制導入している国についてのお尋ねでありますが、任期制導入しているアメリカやドイツでは、助教授あるいは助手や講師といった教授に就任する以前の職については、一般的に任期を付した雇用がなされております。しかし、これらの国においても、法律上、教授に任期制導入することは必ずしも禁止されているものではなく、教授を任期つきで採用できないわけではないと考えております。  なお、今回の法案では、助手から教授まで一律に任期制導入するのではなく、大学判断により、教育研究上の必要に応じて任期制をとり得ることとするものであります。  第三に、任期制導入は世界の流れからも逸脱したものではないかとのお尋ねでありますが、身分保障を含む大学教員の人事制度については、ユネスコ加盟各国においてもさまざまなものがあると承知しております。今回の法案は、教員の身分保障に十分配慮しつつ、大学における教育研究活性化するために、各大学判断により、従来の定年までの継続任用に加えて、任期を定めた任用も できるように法制面の整備を行うものであります。  第四に、任期制導入を押しつけるのではとの御指摘ですが、今回の大学教員任期制教員流動性を高めるための一つ方策であり、任期制導入するかどうかは各大学判断にゆだねるという選択的任期制考え方をとっております。したがって、文部省としては、大学に対して概算要求や新学部、新研究科の設置の際に任期制導入を強制するようなことは考えていないところであります。  第五に、国立大学の民営化、地方移管についてのお尋ねでありますが、国際的に見ても、高度の学術研究とすぐれた人材養成という高等教育の基幹部分の実施は国家発展の基盤を形成するものとして国の責務と考えられており、我が国国立大学は、高度の学術研究の推進と計画的な人材養成確保大学教育の地域的偏りのない全国的な展開に重要な役割を果たしております。行政改革会議等に対しても、今後、このような国立大学の果たしている役割等について十分説明していく必要があると考えております。  第六に、任期制導入大学教員人事の流動化に役立つかとのお尋ねでありますが、任期制導入により、任期を定めることとした職には一定期間ごとに教員の異動の機会が生じることになります。このことによって、他の大学研究機関等との人材交流が促進され、教員流動性が高まることになると考えております。  第七に、大学間格差を改め、大学全体の教育研究条件整備を急ぐべきとのお尋ねでありますが、各大学には固有の歴史や沿革があり、現状におけるそれぞれの規模や内容は異なっておりますが、文部省としては、今後とも、各大学教育研究活性化に向けた多様な取り組みを支援してまいります。  なお、大学教育研究条件の整備につきましては、厳しい財政事情のもとではありますが、最大限の努力をしてまいりたいと考えております。  最後に、高校以下の教員への適用拡大についてのお尋ねですが、今回の法律案は、大学教員職務特殊性に基づき、定年までの継続任用の例外として、教育研究上の要請に応じて任期を定めて教員任用する必要がある場合について任期制導入できるようにするものであります。したがって、この法律案対象を高校以下の教員に適用することは考えておりません。  以上でございます。(拍手)     〔国務大臣岡野裕登壇
  23. 岡野裕

    国務大臣岡野裕君) 石井先生にお答えをいたします。  終身雇用制は、先ほども総理のお話がありました我が国労働慣行一つでございます。したがいまして、この終身雇用制につきましても、総理お話しのとおり、労働慣行が今変容されつつあるという意味合いでは同じであります。そういうことで、任期制導入そのものが直接的には終身雇用制に影響するものではない、かように考えております。(拍手
  24. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————  包括的核実験禁止条約の締結について承認を求めるの件及び核原料物質核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明
  25. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) この際、包括的核実験禁止条約の締結について承認を求めるの件及び内閣提出核原料物質核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案について、趣旨説明を順次求めます。外務大臣池田行彦君。     〔国務大臣池田行彦君登壇
  26. 池田行彦

    国務大臣(池田行彦君) 包括的核実験禁止条約の締結について承認を求めるの件につきまして、趣旨の御説明を申し上げます。  この条約は、平成八年九月にニューヨークにおいて採択されたものであり、核兵器の実験的爆発及び他の核爆発の禁止等について規定し、あわせて、条約上の義務の実施を確保するための検証制度等について規定するものであります。  核実験につきましては、昭和三十八年にモスクワで作成された大気圏内、宇宙空間及び水中における核兵器実験を禁止する条約により、地下におけるものを除き、核爆発は既に禁止されておりますが、この条約は、地下を含めあらゆる場所における核爆発を禁止するものであります。  この条約についての交渉は、平成六年からジュネーブ軍縮会議において進められましたが、困難な交渉を経て、最終的に、昨年の第五十回国連総会において圧倒的多数の賛成によりこの条約が採択された次第であります。  地下を含むあらゆる場所における核爆発の禁止をその内容とするこの条約は、国際社会の平和と安全を支える重要な柱の一つとなるものであり、歴史的な意義を有するものであります。我が国としては、核兵器のない世界を目指した現実的かつ着実な核軍縮のための努力を積み重ねるべきであるとの立場から、この条約を早期に締結し、その効果的な実施に向けた貢献を行っていくことが極めて重要であると考えます。  以上申し述べましたところを御勘案の上、この条約の締結について御承認を得られますよう、格別の御配慮を得たい次第でございます。  以上が、包括的核実験禁止条約の締結について承認を求めるの件の趣旨でございます。(拍手)     —————————————
  27. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 国務大臣近岡理一郎君。     〔国務大臣近岡理一郎君登壇
  28. 近岡理一郎

    国務大臣(近岡理一郎君) 核原料物質核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。  本法律案は、包括的核実験禁止条約を実施するために、所要規定の整備を図るものであります。  この条約は、核兵器の拡散の防止、核軍備の縮小等に効果的に貢献するため、あらゆる場所において核兵器の実験的爆発及び他の核爆発を禁止するとともに、あわせて、条約上の義務の実施を確保するための検証措置として、現地査察の実施等について規定するものであります。  我が国がこの条約を率先して締結することは、核兵器のない世界を目指した現実的かつ着実な核軍縮のための努力を積み重ねていくための国際協力に寄与し有意義であることから、今国会において、条約締結の御承認とともに、この条約の的確 な実施を確保するため、報告徴収、立入調査及び罰則等について所要規定の整備を行う本法律案の御審議をお願いするものであります。  次に、本法律案の要旨について御説明申し上げます。  第一に、条約により設立される包括的核実験禁止条約機関等から条約の定めるところにより要請があった場合等に、我が国説明を行うため、報告徴収に係る規定を整備することとしております。  第二に、条約上の義務の実施を確保するための検証措置である現地査察を受け入れるため、包括的核実験禁止条約機関の指定する者による立入調査等に係る規定を整備することとしております。  第三に、条約により、あらゆる場所における核兵器の実験的爆発及び他の核爆発が禁止されることに伴い、核爆発を生じさせた者に対する罰則に係る規定を整備することとしております。  以上が、核原料物質核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案趣旨でございます。(拍手)      ————◇—————  包括的核実験禁止条約の締結について承認を求めるの件及び核原料物質核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  29. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) ただいまの趣旨説明に対して質疑の通告があります。これを許します。斉藤鉄夫君。     〔斉藤鉄夫君登壇
  30. 斉藤鉄夫

    ○斉藤鉄夫君 私は、新進党を代表して、ただいま議題となりました包括的核実験禁止条約並びに核原料物質等規制法の一部を改正する法律案につきまして、総理並びに関係大臣質問をいたします。  すべての核実験を禁止する包括的核実験禁止条約によって、サタンともいうべき核爆発のない世界を実現するところまで来ました。唯一の被爆国として、次に目指すは核兵器のない世界であります。  本条約が採択された国連総会で、多くの国が本条約の論理的根拠の一つとして挙げたのが、昨年七月の国際司法裁判所、ICJによる「核兵器の使用・威嚇は一般的には国際法、特に人道法に反する」とした勧告意見でした。このICJの勧告が、これからの核軍縮の新たな論拠となりつつあります。大変残念なことに、我が国は、この国際司法裁判所に対する意見陳述で、核兵器の使用・威嚇は国際法違反と明確に論述しませんでした。核兵器の使用・威嚇は国際法違反かどうかという点についての橋本総理のお考えをお伺いいたします。  また、包括的核実験禁止条約が作成されたことの意義及び評価について、昨年九月二十四日、ニューヨークの国連本部においてみずから署名された橋本総理見解をお伺いいたします。  次に、潜在核兵器国であり、条約の発効要件となる批准書寄託国でもあるインドが、本条約への署名拒否の方針を明確にしたことは、東西冷戦終結後の懸案である核拡散防止体制の強化に重大な不透明要素を残したことになります。  インドは、軍縮会議、国連総会においても一貫して条約の採択に反対しており、ゴーシ・インド大使は「インドはこの不平等条約に今も今後も決して署名しないことを宣言する。インドの批准が発効条件となっている条項が条約にある限り、条約の発効はない」と述べております。インドが本条約を不平等条約とする理由として、インド国民には、中国より最初の核実験が十年おくれただけで自国の核が非合法化されたNPT体制へのふんまんがあるとの見解があります。  このように、インドの本条約に対する姿勢には、一時的な感情によるものではないものが感じられ、インドの賛成を得るのは容易ではないと思われますが、本条約の発効の見通しと、発効に向けた外交努力の具体的な内容について、外務大臣にお伺いいたします。  次に、発展途上国の核兵器開発の可能性についてお伺いします。  核実験を行わないで核兵器開発をすることは、弾道弾や巡航ミサイルに搭載するような近代的小型弾頭については困難であると言われております。しかし、半世紀前、広島、長崎で使用された、火薬の力でウランやプルトニウムを圧搾して核爆発を起こす爆縮型原爆なら、発展途上国の技術でも核実験なしで開発可能であり、包括的核実験禁止条約はこのような爆縮型原爆の開発抑制には無力ではないかとも言われております。本条約によって発展途上国の核拡散防止は可能であるのか、外務大臣の見解をお伺いいたします。  次に、本条約では禁止の対象になっていない未臨界実験についてお伺いします。  未臨界実験とは、プルトニウムやウランが連鎖反応を起こし始める、いわゆる臨界に達する直前で反応をストップさせる研究方法です。実際に爆発は起きないわけです。豊富な核実験データを保有する国にとっては、最後まで反応させて爆発を起こした場合と同様の実験効果があると言われております。  米国では、十年計画で、総額四百億ドルかけて核兵器性能維持管理計画、いわゆる核スチュワードシップ計画が予定されています。これは、最新ハイテク実験装置による未臨界実験、そして過去の核データを総合してコンピューターシミュレーションを行い、核実験をしたのと同様の知見を得るというものであります。  米国の説明は、この計画及び未臨界実験はあくまでも既に存在している核弾頭の安全性と信頼性を確認するものなどのことです。しかしながら、将来、圧倒的なデータを持っている米国が、ひそかに核実験抜きの新核兵器開発を進めるおそれは否定できないと懸念する声が上がっています。未臨界実験も禁止しなかったことが新核兵器開発を許してしまうことになるのではと懸念する声にどのような見解を持つのか、また米国の核スチュワードシップ計画をどのように評価しているのか、橋本総理にお伺いします。  次に、本条約は、目的の達成を確保するための検証制度について規定しております。すなわち、国際監視制度、現地査察並びに信頼醸成についての措置であります。国際監視制度は、世界中に地震波、放射性核種、水中波、微気圧振動の監視施設等を置くことによって構成されております。我が国にも各施設が設置されることになっております。これらの情報によって核爆発であるか否かを判断し、現地視察することになるのでありますが、この監視網でどの程度の核実験を探知することができるのか、また核実験の抑止がこの検証制度によって全うできるのか、お伺いいたします。  次に、カットオフ条約についてお伺いします。  カットオフ条約とは、核兵器の材料となる高濃縮ウラン、そして高純度プルトニウムの製造そのものを禁止するという画期的なものであります。包括的核実験禁止条約の作成を求める決議が国連総会で採択された同じ日の平成五年十二月十六日、カットオフ条約の作成を提唱する決議も採択されております。包括的核実験禁止条約が核物質の出口を禁止する条約であるとすれば、このカットオフ条約は入り口を規制するものであると言え、核軍縮そして核拡散防止の重要なステップとなります。カットオフ条約に対する我が国基本姿勢と早期成立に向けた努力についてお伺いします。  さて、この包括的核実験禁止条約は、国内法的には核原料物質等規制法の改正を必要とします。  そこで、最後に科学技術庁長官にお伺いします。  原子力発電の使用済み核燃料の再処理によってプルトニウムが生産されます。このプルトニウムを高速増殖炉で燃やし、エネルギーを得ると同時に燃やした以上のプルトニウムを得る、いわゆるプルトニウムサイクルを確立するというのが我が国の原子力政策の基本でした。ところが、「もんじゅ」の事故によって高速増殖炉のめどが立たなくなりました。そこで、このプルトニウムを現在の軽水炉で燃やす、いわゆるプルサーマル計画が出てきたわけですが、これも動燃の相次ぐ不祥事によって原子力に対する不信感が増大し、すぐに実施できる状況にありません。  こうなりますと、プルトニウムはたまる一方で、プルトニウム余剰が生じてまいります。この余剰はすなわち日本の核兵器開発の意図であると誤解する国も出てまいります。科学技術庁長官に、このプルトニウム余剰の見通しをお伺いします。  また、二酸化炭素排出抑制という環境上の要請もあり、徹底した省エネと新エネルギーの開発を行ったとしても、やはりエネルギーの主要部分を原子力発電そしてプルトニウムリサイクルに頼らなければならないのが我が国の現状です。  原子力を取り巻く八方ふさがりの状況の中で、どのようにエネルギー政策を立ち上げていかれるのか、その基本的姿勢をお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎登壇
  31. 橋本龍太郎

    内閣総理大臣橋本龍太郎君) 斉藤議員お答えを申し上げます。  まず第一点は、核兵器の使用・威嚇が国際法違反かどうかというお尋ねでありました。  核兵器の使用は、その絶大な破壊力、殺傷力のゆえに、国際法の思想的基盤にあります人道主義の精神に合致しないと考えております。今後とも、日本国民の核兵器に対する特別な国民感情というものを踏まえ、核兵器のない世界を目指した現実的、着実な核軍縮努力を積み重ねていくことが重要だと我々は考えております。  その意味におきまして、この条約は核兵器のない世界に向けた歴史的な一歩、私どもはそのように評価をいたしております。我が国として、今後とも、この包括的核実験禁止条約による国際的な核実験禁止の枠組みというものが早期かつ円滑に実現されるよう努力していく考えであり、ぜひ院の御協力をもお願いを申し上げたいところであります。  次に、未臨界実験が包括的核実験禁止条約の禁止対象に入っておらないという点についての御懸念がございました。  米国政府は、既存の核弾頭の安全性と信頼性の確保のために行う旨を既に公表しており、我が国としては、この実験がこの条約の禁止の対象となっていないことが、新たな核兵器の開発を封じることにつながらないとは認識をしておりません。  また、ストックパイル・スチュワードシップ及びマネジメント計画についてのお尋ねがございました。  この計画は、包括的核実験禁止条約を遵守しながら、米国の保有する既存の核兵器の安全性及び信頼性を確認するなどのために行われるものと私は理解をいたしております。  残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)     〔国務大臣池田行彦君登壇
  32. 池田行彦

    国務大臣(池田行彦君) 斉藤議員の私への御質問の第一は、インドの説得と条約発効の見通しについてでございましたけれども、御指摘のとおり、この条約が発効するためには、インドを含む特定の国々の批准が必要になっております。そして、インドに再考を促すためには、まず、より多くの国がこの条約を批准することによって、国際社会全体としての総意を示すということが意味があると考えております。  また、ASEAN地域フォーラムなどの場を通じまして、インドを含めた国々の間で信頼醸成を進めていくこと、また、二国間あるいは多数国間のいろいろな場において、粘り強くインドに対する呼びかけを進めていくことが大切だと考えておりまして、我が国といたしましても、日印二国間の対話等の場を通じまして努力をしてまいりたいと思います。  第二に、本条約により開発途上国の核拡散の防止は可能かというお尋ねでございますけれども、私は、本条約自身は、核実験を禁止することによって核兵器の新規開発であるとかあるいは質的な改善を抑制しておりますので、これは、そのこと自体が開発途上国を含めた国際社会における核軍縮あるいは核不拡散に資するものと認識しております。  また同時に、核不拡散制度の確立を目的としたものといたしましては、別途、核不拡散条約というものが存在しておりまして、現在、開発途上国を含めて百八十数カ国が加盟しております。この条約にいわゆる敷居国の加盟を促していくということが、御指摘目的を達成する上で大切ではないかと考える次第でございます。  第三のお尋ねは、検証制度の有効性についてでございましたけれども、この条約では、発効までに、地震、放射性核種、水中音波及び微気圧振動の四種類の監視技術を用いた国際的な監視制度を確立することとされておりまして、今後、包括的核実験禁止条約機関準備委員会というところにおきまして、これらの技術による監視網の整備などを行っていくこととしておりますし、また、これとはほかに、各締約国がそれぞれ独自に有する検証技術も核実験の探知のために利用可能とされておりまして、条約上の制度と相まって核実験抑止を確保し得るものと考えているところでございます。  最後に、カットオフ条約についてのお尋ねでございますけれども、我が国は、本条約、CTBT に続いてジュネーブ軍縮会議においてカットオフ条約交渉が早期に開始され、そして早期にこの話がまとまることが大切だと考えておりまして、可能な限り早期の交渉開始のために関係各国と協力しながら最大限の努力を払ってまいりたいと存じます。(拍手)     〔国務大臣近岡理一郎君登壇
  33. 近岡理一郎

    国務大臣(近岡理一郎君) 斉藤議員お答えいたします。  今後のプルトニウム余剰の見通しについてのお尋ねでありますが、一連の事故により直ちに大量のプルトニウムを保有するという状況にはなりませんが、余剰プルトニウムを持たないとの原則のもと、早急に原子力に対する信頼感を回復し、着実に利用計画を進めてまいることが重要と考えております。  また、エネルギー政策立ち上げについてのお尋ねでありますが、我が国の置かれている資源的な制約や地球環境保護の観点から、原子力発電及びそれを支える核燃料サイクルの円滑な展開は今後とも重要と認識しております。  事故原因の徹底的な究明、再発防止対策、動燃の体質及び組織体制についての抜本的な改革を進めるとともに、原子力関係者一同、初心、原点に返り、安全の確保と情報公開の重要性について再認識することにより、早急に原子力行政に対する信頼の回復を図っていくために最大限の努力を傾注していかなければならないと考えております。議員各位のお力添えをお願いいたします。(拍手
  34. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  35. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 本日は、これにて散会いたします。     午後二時十七分散会      ————◇—————