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1997-04-22 第140回国会 衆議院 本会議 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月二十二日(火曜日)     —————————————  議事日程 第十五号   平成九年四月二十二日     午後一時開議  第一 治山治水緊急措置法の一部を改正する法     律案内閣提出参議院送付)  第二 職業能力開発促進法及び雇用促進事業団     法の一部を改正する法律案内閣提出)  第三 出入国管理及び難民認定法の一部を改正     する法律案内閣提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  沖縄における基地問題並びに地域振興に関する   決議案平沼赳夫君外十二名提出)  科学技術庁長官近岡理一郎不信任決議案(中   野寛成君外六名提出)  厚生委員会において審査中の臓器移植に関す   る法律案金田誠一君外五名提出)及び臓器   の移植に関する法律案(第百三十九回国会、   中山太郎君外十三名提出)の両案につき委員   長の中間報告を求めるの動議荒井広幸君提   出)  臓器移植に関する法律案金田誠一君外五名   提出)及び臓器移植に関する法律案(第百   三十九回国会中山太郎君外十三名提出)に   ついての厚生委員長中間報告  日程第一 治山治水緊急措置法の一部を改正す   る法律案内閣提出参議院送付)  日程第二 職業能力開発促進法及び雇用促進事   業団法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第三 出入国管理及び難民認定法の一部を   改正する法律案内閣提出)  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出   )の趣旨説明及び質疑     午後一時四分開議
  2. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 荒井広幸

    荒井広幸君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  平沼赳夫君外十二名提出沖縄における基地問題並びに地域振興に関する決議案は、提出者要求のとおり、委員会審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。
  4. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 荒井広幸君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程に先立ち追加されました。     —————————————  沖縄における基地問題並びに地域振興に関す   る決議案平沼赳夫君外十二名提出
  6. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 沖縄における基地問題並びに地域振興に関する決議案議題といたします。  提出者趣旨弁明を許します。平沼赳夫君。     —————————————  沖縄における基地問題並びに地域振興に関する決議案     〔本号末尾掲載〕     —————————————     〔平沼赳夫登壇
  7. 平沼赳夫

    平沼赳夫君 ただいま議題となりました沖縄における基地問題並びに地域振興に関する決議案につきまして、自由民主党新進党、民主党、社会民主党・市民連合太陽党、21世紀及び新党さきがけを代表し、提案趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     沖縄における基地問題並びに地域振興に関する決議案   本院は、本年五月の沖縄本土復帰二十五年の節目にあたり、ここに改めて、長きに亘る沖縄苦難歴史思いをいたし、かつ、沖縄県民の筆舌に尽くし難い米軍基地過重負担に対する諸施策が極めて不十分であったことを反省する。この際、沖縄こころこころとして厳しく受けとめ、沖縄問題解決へむけて最大限努力を払う決意を表明する。   本院は、その決意に基づいて、政府に対し、沖縄が直面している諸問題の解決を図るため、引き続き米国との協議を通じ、沖縄に関する特別行動委員会SACO)における合意事項早期実現を期しつつ、在沖米軍基地整理統合縮小移転等について全力で取り組む。また、アジア情勢安定化のための積極的な外交努力を行い、二国間及び多国間安全保障対話を推進すると共に「日米安保共同宣言」に基づきアジア太平洋地域における米軍兵力構成あり方を含む軍事態勢について日米間の協議を進めるよう求める。   さらに、沖縄県の過去の歴史と伝統的な特性を維持しつつも、経済的かつ文化的に優れた国際交流拠点として、活力に満ちあふれた真に魅力ある地域となるよう、地元の意志を十分に尊重しつつ、総合的かつ実効性のある大胆な改革を含めた沖縄振興策を講ずるべきである。   右決議する。 以上であります。  沖縄は、本年五月をもって施政権返還二十五周年を迎えます。さきの大戦において沖縄県民が受けられた多大な犠牲と、大戦後から今日に至るまで沖縄県民が耐えてこられた過酷な基地負担などの苦しみを思うとき、我々は、沖縄県民思いに十分にこたえられなかったことを反省するとともに、沖縄痛み国民全体の痛みと受けとめ、沖縄の抱える問題に対し最大限努力を払うことが必要であります。  沖縄は、昭和四十七年の復帰後においても、基地問題に翻弄され続けてまいりました。沖縄県の面積は国土全体のわずか〇・六%にすぎませんが、その狭い県土に国内の米軍基地の七五%が集中しており、この米軍基地存在が、沖縄県民に幾多の苦難と悲しみをもたらし、また沖縄振興を妨げる要因ともなってきました。  一方、日米安全保障体制のもとで重要な役割を果たす米軍基地存在及びその安定的な使用が、我が国だけでなく、アジア太平洋地域の平和と安全に多大な貢献をしていることもまた事実であります。  このように、沖縄の重過ぎる負担と多大な犠牲のもとに我が国の平和と安定が維持されてきたことに国民全体として感謝し、これまでの沖縄県民の労苦に報いるためにも、国民がひとしく沖縄痛みを分から合うことの重要性を深く認識する必要があります。  ここに、基地問題、地域振興等沖縄が抱える諸問題の解決に向けて、本院として最大限努力を払う決意を表明し、アジア太平洋情勢の安定のため最大限外交努力を行い、基地負担の軽減を図るとともに、沖縄振興については、地元意思を十分尊重しつつ、基地依存型経済からの脱却を目指し、国際的な経済文化交流拠点として、活力に満ちあふれた魅力ある地域づくりに向けて、大胆な制度改革を含めた実効ある措置を講ずるよう政府に対し特段の努力を求めるものであります。  以上をもって本決議案趣旨説明といたします。  何とぞ議員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)     —————————————
  8. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 採決いたします。  本案賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  9. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 起立多数。よって、本案は可決いたしました。(拍手)  この際、内閣総理大臣から発言を求められております。これを許します。内閣総理大臣橋本龍太郎君。     〔内閣総理大臣橋本龍太郎登壇
  10. 橋本龍太郎

    内閣総理大臣橋本龍太郎君) ただいまの御決議に対しまして所信を申し述べます。  昨年九月十日、私は沖縄問題についての内閣総理大臣談話を発し、そして九月十七日には沖縄を訪問し、過ぐる大戦において沖縄県民が受けられた犠牲と、そして今日まで沖縄県民が耐えてこられた苦しみ負担に対し、私どもの努力がいかに不十分であったかを改めて痛感するとともに、沖縄痛みをいかに国民全体で分かち合っていくことが大切かを申し上げたところであります。  政府は、そのような認識に立って、沖縄の問題を国政の最も重要な課題とし、米軍施設区域の問題や経済社会振興策全力を挙げて取り組んでまいりました。  米軍施設区域整理統合縮小については、沖縄県から伺った御要望も踏まえつつ、日米両国政府最大限努力を払った結果として取りまとめられたSACO最終報告内容を着実に実施することが、沖縄県民方々の御負担を一歩一歩軽減するための最も確実な道であると考えており、今後とも、最終報告措置実現に向けて、地元方々の御理解と御協力を得るべく最大限努力を払ってまいります。  同時に、この地域安全保障環境がさらに改善されるための各般の外交努力を傾注するとともに、日米安保共同宣言に基づき防衛政策及び軍事態勢についての日米協議を行っていく所存であります。  また、沖縄振興については、沖縄地域経済として自立し、雇用確保され、沖縄県民生活の向上に資するとともに、我が国経済社会発展に寄与する地域として整備されるよう内閣を挙げて強い決意で取り組んでおり、二十一世紀を担う沖縄の青少年が夢と希望に燃えることができるような経済社会振興策を、地元意思を十分尊重しつつ積極的に推進してまいります。  政府といたしましては、ただいま採択されました御決議趣旨を体し、沖縄米軍施設区域の問題や経済社会振興策への取り組みに今後一層の努力を払う所存であります。(拍手)      ————◇—————
  11. 荒井広幸

    荒井広幸君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  中野寛成君外六名提出科学技術庁長官近岡理一郎不信任決議案は、提出者要求のとおり、委員会審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。
  12. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 荒井広幸君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程に先立ち追加されました。     —————————————  科学技術庁長官近岡理一郎不信任決議案   (中野寛成君外六名提出
  14. 伊藤宗一郎

  15. 坂本剛二

    坂本剛二君 私は、新進党を代表いたしまして、ただいま議題となりました科学技術庁長官近岡理一郎不信任決議案提案趣旨並びにその理由を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     科学技術庁長官近岡理一郎不信任決議案   本院は、科学技術庁長官近岡理一郎君を信任せず。    右決議する。  以下、不信任理由を申し述べます。  国民の安全と豊かな暮らしを確保することは、国家の最優先課題であります。そして、それを実行する立場にある行政機関は、国民信頼にこたえるために日々努力を怠ってはなりません。言いかえるならば、国民の安全を脅かすような重大な問題が生じた場合には、国民の前にそれが起こった経緯を説明する能力、すなわち行政応答能力が問われることとなります。  しかし、このたびの動力炉・核燃料開発事業団、いわゆる動燃一連事故におけるたび重なる虚偽報告通報のおくれは、国民に対する明らかな背信行為であり、応答能力の欠如を広く世間に露呈する結果となりました。動燃監督官庁である科学技術庁は、この件に関する大きな行政責任を負っており、その責任の重大さを看過することはできません。  原子力平和利用を推進する我が国において、これらの不祥事はさまざまな悪影響をもたらしております。このままでは、今後のエネルギー確保に重大な支障を来すばかりか、物的資源に恵まれないがゆえに科学立国を目指さざるを得ない我が国発展を大きく阻害することになりかねません。  原子力行政最高責任者である科学技術庁長官は、だれよりも責任を痛感すべき立場にあります。一般企業で重大な不祥事が発覚した場合、その最高責任者責任をとってみずから辞任することは社会通念上極めて自然であり、その例は枚挙にいとまがありません。その意味で、今回の動燃一連不祥事に対して、原子力行政最高責任者である近岡理一郎科学技術庁長官がみずから辞任を申し出られるのは至極当然のことであります。  しかし、近岡長官はその出処進退を明らかにされないばかりか、動燃科学技術庁の一部関係者責任を転嫁しようとしております。ここに、新進党不信任決議提出せざるを得ないと判断いたしたのであります。  そもそも、動燃施設指揮命令システム欠陥があることは、一昨年の「もんじゅ事故の際にわかっていたことであります。ところが、科学技術庁がそれらの欠陥を放置したため、今回の一連不祥事を招いたのでありますが、その結果、口先だけの陳謝や職員処分のみでは到底改めることができない動燃体質が明白となったのであります。今後、高遠増殖炉中心核燃料サイクル見直し情報システムの整備を進めることはもちろんでありますが、より重要なことは、原子力行政に携わる者が責任と自覚を持って改革に取り組んでいくことであります。  たび重なる不祥事により、原子力行政に対する国民信頼は大きく損なわれました。また、原子力平和利用の最大の担い手である電力各社に対しても多大な迷惑をかけてしまったのであります。科学技術庁長官は、この責任を痛感し、みずから率先して責任をとるという姿勢が今求められているのであります。  このような理由から、近岡理一郎君は信任し得ず、本案提出する次第であります。  以上申し上げまして、提案理由説明を終わります。(拍手)     —————————————
  16. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 討論の通告があります。順次これを許します。茂木敏充君。     〔茂木敏充登壇
  17. 茂木敏充

    茂木敏充君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました科学技術庁長官不信任決議案に対し、反対討論を行うものであります。  今回、動力炉・核燃料開発事業団が、一昨年の高速増殖炉もんじゅ」の事故に引き続き、再度、東海事業所アスファルト固化処理施設火災爆発事故を引き起こした上、その報告に関して虚偽の記載がなされたことは、たび重なる事故通報のおくれともあわせ、極めて遺憾であり、強い憤りを覚えると同時に、我が国原子力行政に対する国民信頼を失墜させ、エネルギー安定確保という国の基本施策悪影響を与えかねない事態を招いたことについて、強い懸念を表明する次第であります。  今回の事態によって、我が国原子力政策は重大な岐路に立たされたと言っても過言ではありません。科学技術庁は、再発防止危機管理体制の再確立のため、一刻も早くかつ徹底的に事故原因究明すべきであり、同時に、動燃そのものについては、解体あるいは縮小民間移管も視野に入れた抜本的改革を断行して、国民原子力行政に対する信頼を取り戻さねばなりません。  原子力政策が直面しているこの厳しい状況を真剣に考えるならば、今こそ政治のリーダーシップが強く求められており、近岡科学技術庁長官の果たすべき役割、責務はまことに重大であると考えます。  近岡科学技術庁長官は、高邁な識見、理念と誠実な人柄の持ち主であります。そして、それに裏打ちされた確固たる信念と粘り強さに加え、科学技術委員長内閣委員長を歴任されるなどの長い議員経験により培われた政策手腕と持ち前の行動力によって、当面する今日の難局を克服するため日夜懸命の努力を重ねているところであります。  近岡科学技術庁長官は、今回の事故後、直ちに事故調査委員会を設置し、これを全面公開のもと、徹底した原因究明再発防止対策を講ずるべく検討を進めております。同時に、関係者懲戒処分方針をいち早く固め、虚偽報告に対しては動燃告発を行うなど、極めて厳しい毅然とした対応をとっているところであります。また、大臣直轄動燃改革検討委員会を設置し、動燃体質及び組織運営体制、さらに職員のモラルや危機管理体制についで、聖域を設けず、第三者チェックも導入して、まさに「ゼロからの出直し」と呼ぶにふさわしい改革を行うべく、強い決意のもと陣頭指揮に当たっております。  自由民主党としては、こうした近岡科学技術庁長官の不退転の決意原子力科学技術政策への信頼回復にかける真摯な姿勢を高く評価し、支持するものであり、不信任決議案については断固反対するものであります。  また、この際、我が党としても、動燃あり方についで、今後、行政改革の一環として特殊法人改革を進める中で、エネルギー安定確保及び新技術分野重点的開発の視点を維持しつつ、一切の聖域を設けず、存廃も含めた抜本的見直しを図っていくことを表明し、私の反対討論といたします。(拍手
  18. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 田中慶秋君。     〔田中慶秋登壇
  19. 田中慶秋

    田中慶秋君 私は、新進党を代表して、科学技術庁長官近岡理一郎君の不信任決議案賛成立場討論を行うものであります。  原子力平和利用立場と、日本エネルギーの需給ということを考えたときに、原子力政策日本にとって欠かすことのできない重要な政策であります。そして、この政策に求められていることは、より確かな安全性確保と、二十一世紀に考えられるエネルギー資源の枯渇を見据えた代替エネルギーのさらなる研究であると思います。  今般の動燃事業団東海事業所におけるアスファルト固化処理施設での火災爆発事故に際して、私たちは、事の重要性にかんがみ、事故発生直後の三月十四日に現地視察を行い、原因事故についての諸事情を聴取してまいりました。  その後、科学技術委員会において、原因究明初期消火体制について、「もんじゅ」の事故経験反省の観点から質疑を重ねてきましたが、ここで問題視されているのは、「もんじゅ」の事故反省を生かした危機管理対策が全く行われていないということであります。  その上、最初火災発生時の消火確認について動燃事業団組織ぐるみ虚偽報告をされたことは、まことに遺憾であります。政府並びに国会現地調査の中でも虚偽報告をされたことは、法規違反はもちろんのこと、国会軽視と言わざるを得ません。連日のマスコミ報道を見ても、危機管理対策が依然として行われていないばかりか、組織ぐるみ隠ぺい工作が次々と明るみに出ることは、返す返すも遺憾であります。  そして、この爆発事故原因究明が行われている最中、今度は福井県の新型転換炉「ふげん」での放射能漏れ通報おくれが発覚するなど、単に動燃事業団だけの問題ではなく、科学技術庁監督責任、さらに言うと存立の基盤そのものが問われているところであります。日本科学技術政策全体の指揮をとる責任者としての科学技術庁長官責任は、まことに重大であります。  今や科学技術庁に対する国民信頼は地に落ちてと言ってよく、これまで三兆円もの国費を投入してきた動燃改革を口にする前に、科学技術庁もみずからを徹底的に改革して、危機的な状況に対処すべきであります。  阪神・淡路大震災しかり、ロシアタンカーの重曲流出事故しかり、総理を初め政府取り組み対応の不手際を指摘され、さらに今回のような虚偽報告問題まで明るみにされているわけであります。原子力行政日本行政全般に対する国民の不信は根強いものがあります。  科学技術庁は、動燃事業団責任者告発することで責任の所在の矛先動燃事業団に向けようとしておりますが、「告発しないと、科学技術庁動燃事業団と一体だと批判されることを考えて告発に踏み切ったのではないか」といった声が捜査当局の方から上がっているのも現実であります。  科学技術庁長官は、科学技術庁原子力に振り回されていると嘆いております。総理におかれましても、動燃という言葉は聞きたくないとまで言われておるようでありますが、とんでもないことであります。本来これらの総合的な監督をすべき立場にあるはずの長官、ましてや総理自身がそのようなその場しのぎ言葉を口にすること自体が、無責任きわまりないものであります。政権の長たる者がこのような発言をしているようでは、高まる批判矛先をかわしているだけと言わざるを得ません。国際的に見ても、日本科学技術原子力に取り組む姿勢というものに大変ひんしゅくを買うことになりかねません。そんなことでは国民は納得いたしません。  ですから、科学技術庁長官のお人柄がどうであろうということではなく、行政責任を明確にし、国民信頼感を回復することが、将来のエネルギー日本経済国民生活を守る第一歩であり、科学技術庁長官のなすべき唯一の任務であると強調して、私の不信任決議案賛成討論を終わりたいと思います。(拍手
  20. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 吉井英勝君。     〔吉井英勝登壇
  21. 吉井英勝

    吉井英勝君 私は、日本共産党を代表して、科学技術庁長官近岡理一郎不信任決議案についで、賛成討論を行います。  動燃東海処理工場火災爆発事故は、我が国原子力分野での最悪の事故となりました。消火確認という報告がうそであり、最初被曝者数十人が三十七人まで次々と変えられ、放射能漏れなしが七十キロ先でも検出されるなど、組織ぐるみ虚偽報告が繰り返されました。さらに、新型転換炉「ふげん」で重水漏れ事故が起こり、ここでも事故隠しが発覚しました。これらは、高速増殖炉もんじゅ事故ビデオ改ざんに続く許しがたい事態であります。  国民の不安と怒りが高まる中で、近岡長官がこのような動燃に対するみずからの指導監督責任を果たしてこなかったことは、極めて重大であります。橋本総理も、動燃はどういう体質の会社がなど怒りをあらわにした発言を繰り返していますが、総理には動燃監督権があります。総理が本当に責任を感じるなら、まず近岡長官を罷免すべきであります。それがなされない以上、院の意思として近岡長官不信任決議することは当然であります。これが、決議案賛成する第一の理由です。  第二の理由は、「もんじゅ事故報告書をまとめた近岡長官が、その教訓を生かして既存施設に対する必要な安全点検をしようとせず、放置してきたことであります。  現行の再処理施設安全審査指針では、火災爆発があった場合も放射能を閉じ込めることとしています。今回事故を起こした施設は、この指針制定前のものだからとして、この指針どおりになっていませんでした。「もんじゅ事故を重く受けとめるなら、こうした既存施設の徹底した再検査と改善指示は当然のことでした。それにもかかわらず、近岡長官事態を放置してきたことは重大です。  第三に、原子力基本法の自主、民主、公開の原則に反して、動燃秘密主義批判拒否虚言体質を助長してきたことです。  これまで、動燃の「もんじゅ設置許可申請書公開については、約三万ページのうち一万ページは全く白紙の書類であったように、非公開が当然のように横行してきました。科学技術庁は、たび重なる国会での追及にもかかわらず、これを許してきました。この点でも近岡長官責任は重大です。  第四に、プルトニウムを燃料とするプルサーマル推進など、核燃料リサイクル中心原子力政策を強力に進めていることです。  「もんじゅ」、再処理工場、「ふげん」の事故と続き、使用済み核燃料最終処分地も決まらない状況で、既に核燃料リサイクル路線の破綻が事実でもって証明されました。にもかかわらず、近岡長官は、我が国でいまだ安全性が全く実証されていないプルサーマル推進を決定し、原子力予算科学技術庁予算の約五割を占める巨額なものにしています。長官原子力政策に対する国民批判に謙虚に耳を傾けず、核燃料リサイクル中心原子力政策を根本的に見直してこなかったことも重大であります。  最後に、主要国が、技術が未確立高速増殖炉原発の中止、縮小に転換している中で、政府原発中心政策に固執し、動燃事故隠し体質がつくられてきた背景に、巨大な規模の原子力予算・産業をめぐる政官財癒着構造があることも指摘し、討論を終わります。(拍手
  22. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  23. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 採決いたします。  本決議案賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  24. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 起立少数。よって、科学技術庁長官近岡理一郎不信任決議案は否決されました。(拍手)      ————◇—————
  25. 荒井広幸

    荒井広幸君 中間報告を求める動議提出いたします。  すなわち、この際、厚生委員会において審査中の金田誠一君外五名提出臓器移植に関する法律案及び第百三十九回国会中山太郎君外十三名提出臓器移植に関する法律案の両案について委員長の中間報告を求められることを望みます。
  26. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 荒井広幸君の動議賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  27. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 起立多数。よって、動議のとおり決まりました。     —————————————  臓器移植に関する法律案金田誠一君外五名提出)及び晴器の移植に関する法律案(第百三十九回国会中山太郎君外十三名提出)についての厚生委員長中間報告
  28. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 金田誠一君外五名提出臓器移植に関する法律案中山太郎君外十三名提出臓器移植に関する法律案、右両案について厚生委員長中間報告を求めます。厚生委員長町村信孝君。     〔町村信孝君登壇
  29. 町村信孝

    ○町村信孝君 ただいま、院議によりまして、金田誠一君外五名提出臓器移植に関する法律案及び中山太郎君外十三名提出臓器移植に関する法律案、両案の厚生委員会における審査中間報告を求められましたので、御報告申し上げます。  初めに、両法律案提出に至る背景と経緯について簡単に申し上げます。  移植医療につきましては、現在、角膜及び腎臓の移植に関する法律に基づき、三徴候死の死体からの臓器摘出による移植術が行われておりますが、心臓や肝臓などの移植においては、そのような死体から摘出したものでは機能しないことが知られております。このため、諸外国では、脳死体からの心臓等の摘出による移植術が日常的な医療として行われているところが多く、心臓及び肝臓の移植術は毎年約九千八百件が行われていると言われております。  我が国では、平成元年十二月に、議員立法により、圧倒的多数の賛成を得て、臨時脳死及び臓器移植調査会設置法が成立し、いわゆる脳死臨調が設置されました。平成四年一月に、同調査会から、脳死をもって人の死とすることについては、反対意見を付記しながらも、「概ね社会的に受容され合意されているといってよい」とした上で、臓器移植については、あくまで善意、任意の臓器提供意思に基づき行われるべきであり、心臓、肝臓等の移植のためには臓器移植関係の法制の整備を図ることが望ましいという趣旨の答申が出されました。  国会におきましては、平成四年十二月に超党派の脳死及び臓器移植に関する各党協議会が設けられ、臓器移植法の立法化に向けて検討協議が行われた結果、平成六年四月に議員提出法律案として提出されました。以来、各国会に継続されてきましたが、その間、本会議での趣旨説明質疑、参考人からの意見聴取、愛知県、宮城県及び福岡県におけるいわゆる地方公聴会などの審議が行われ、昨年六月には法律案提出者により修正案が提出されるに至りました。しかしながら、昨年九月の第百三十七回国会における本院の解散により、この法律案が廃案になりましたことは御承知のとおりであります。  一方、脳死臨調の答申を受けて、移植関係学会において、移植を受ける者の適応基準、移植実施施設の特定等についての検討が進められてきましたが、昨年九月、日本移植学会から、国民の理解と支持を得られる形で脳死臓器移植を行う旨の声明が発表されました。  以上述べました経緯を経て、昨年の第百三十九回国会に、中山太郎君外十三名から臓器移植に関する法律案提出され、さらに、本年の第百四十回国会に、金田誠一君外五名により同名の法律案提出されたところであります。  両法律案はともに、臓器移植以外では助かる道のない重い疾患を持つ患者が多くの困難を押して海外に渡り臓器移植を受けてくるという状況思いをいたし、人道的見地から、臓器移植が、臓器提供者の意思を尊重して、移植医療を必要とする者に対し適切に行われるようにしようとするものであります。  以下、両法律案に共通している主な事項について申し上げますので、お手元の配付資料のうち、両法律案の比較対照表を御参照していただければ幸いであります。  まず第一は、臓器に機能障害がある者に対し臓器の機能回復等のために行われる臓器移植医療の適正な実施に資することを目的としていることであります。  第二は、臓器提供に関する本人の意思の尊重、臓器提供の任意性及び移植機会の公平性の確保等を基本財理念としていることであります。  以下、国と地方公共団体の責務、臓器の定義、脳死判定基準、移植術に使用されなかった部分の臓器の適正処理、臓器移植に関する記録作成、五年間の保存義務及びその閲覧、臓器売買及び臓器の有償あっせんの禁止、必要な罰則規定、現行の角膜及び腎臓の移植に関する法律の廃止及び政府によるドナーカードの普及並びに臓器移植ネットワークの整備のための検討などについて、所要の規定を定めていることであります。  なお、施行期日は、公布の日から起算して三月を経過した日としております。  続いて、両法律案の主な相違点について申し上げます。  まず第一に、中山君提出案では、脳死が人の死であることを前提にして、脳死体を「脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止するに至ったと判定された死体」と定義し、移植術に使用されるための臓器を死体(脳死体を含む)から摘出することができるものとしております。これに対し、金田君提出案では、脳死を人の死とはせずに、脳死状態ということを「脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止するに至ったと判定された身体の状態をいう」ものと定義し、死体からの摘出とは別に、脳死状態にある者の身体から摘出することができるとしていることであります。  相違点の第二は、臓器摘出の要件として、中山君提出案では、医師は、死亡した者が生存中に臓器移植術に使用されるために提供する意思を書面により表示している場合であって、遺族が当該臓器の摘出を拒まないときまたは遺族がないときは、移植術に使用されるための臓器を脳死体を含む死体から摘出することができるものとしております。これに対し、金田君提出案では、死体からの臓器摘出に関しては同様の規定を置いていますが、これとは別に、医師は、脳死状態にある者が臓器移植術に使用されるために脳死状態において提供する意思を書面により表示している場合であって、家族が当該臓器の摘出を拒まないときまたは家族がないときは、移植術に使用されるための臓器を脳死状態にある者の身体から摘出することができるものとしております。この場合、書面は脳死状態にある者の署名及び作成の年月日の記載があるものに限るものとし、また、表示された意思は、十分な調査を行い、慎重に確かめられなければならないとしていることであります。  第三の相違点は、臓器摘出の制限に関してであります。中山君提出案は、検視その他の犯罪捜査に関する手続が終了した後でなければ死体から臓器を摘出してはならないとしており、金田君提出案も、死体からの摘出に関しては同様の規定を置いておりますが、脳死状態にある者の身体からの臓器摘出が刑事訴訟法に基づく犯罪捜査の妨げにならないように、医師の捜査機関に対する通知を義務づけるとともに、臓器摘出に関する捜査機関からの異議について規定しているところであります。  第四の相違点は、医師の責務に関して、金田君提出案では、説明の義務に関して、臓器を提供する者の側をもその対象に含めている点であります。  第五の相違点は、記録の閲覧に関して、金田君提出案では、記録の閲覧のほかに謄写をつけ加えていることであります。  第六の相違点は、附則の検討条項に関してであります。中山君提出案では、この法律の施行後三年を目途として、施行の状況を勘案し、その全般に検討が加えられ、必要な措置が講ぜられるべきものとするとしておりますが、金田君提出案では、これを施行後五年を目途とすることとするとともに、血管、皮膚その他の組織移植についても検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとするとしております。  最後に、中山君提出案では、健康保険法等に基づく医療給付に継続して脳死体への処置がされた場合には、当分の間、医療給付関係各法に基づく医療給付としてされたものとみなすこととしておりますが、金田君提出案では、脳死判定後であっても死体ではなく、生きている者として医療給付関係各法の適用を受けることは変わらないものとして、この条項は置かれておりません。  次に、両法律案審査の経過について申し上げます。  中山太郎君外十三名提出臓器移植に関する法律案は、第百三十九回国会の昨年十二月十一日に提出され、今国会に継続されたものであり、去る三月十八日の本会議において提出者中山太郎君から趣旨説明が行われ、同日の厚生委員会において提出者五島正規君から提案理由説明を聴取いたしました。翌十九日に質疑に入り、四月一日まで三回にわたり提出者に対して質疑が行われました。  その間、三月三十一日に金田誠一君外五名から臓器移植に関する法律案提出され、四月二日に付託となり、同日の委員会において提出者金田誠一君から提案理由説明を聴取いたしました。  その後、両法律案議題として、同月八日には午前と午後の二回に分けて十名の参考人から意見を聴取し、十五日には提出者に対して、また十八日には小泉厚生大臣及び提出者に対して質疑が行われました。  両法律案は、すぐれて個人の死生観、宗教観、倫理観に関する問題を内在しているため、日本共産党を除き、各会派はいわゆる党議拘束をかけておりません。このため、審査の方法につき、幅広く議員の質疑を行うことができるよう配慮してきたところであります。すなわち、厚生委員会委員ではない議員から質疑の希望を積極的に募り、委員の差しかえや委員外議員の発言によって、厚生委員会において質疑を行い、多くの議員が両法律案審査に参加されましたことを申し添えておきます。  かくして、合計八回の委員会において、総審査時間約二十七時間にわたり、延べ七十四名の委員及び委員外議員により質疑が行われ、熱心かつ慎重な審査が行われたところであります。  次に、両法律案質疑の概要についで申し上げます。質疑においで取り上げられた事項は広範多岐にわたっており、いずれも重要でありますが、以下、その主なものについて申し上げます。  なお、お手元の配付資料のうち、「主な論点」(メモ)をごらんいただければ幸いでございます。  まず、「脳死を人の死と認めるかどうか」という問題につきましては、中山君提出案の側から「昭和六十三年に、日本医師会生命倫理懇談会がその最終報告で「従来の心臓死のほかに、脳の死をもって人間の個体死と認めてよい」としており、また脳死臨調においては、合計三十三回の定例会合、三回の国内視察、三回の海外調査、二回の意識調査、六回の公聴会の実施など、詳細な検討、慎重かつ徹底的な審議が行われ、その結果として、脳死をもって人の死とすることは社会的に容認され合意されたと言ってもよいという結論に達した。この結論は現在でも妥当なものと考えている」という答弁があり、一方、金田君提出案の側から「脳死臨調の答申では、人の死については世の中にはいろいろな考えが存在することが述べられており、現状では脳死は人の死とは認めないけれども、臓器移植に至る法律的な道は開きましょうというのが結論である」という答弁がありました。  「脳死を人の死とする社会的な合意形成はされているか」という問いに対しまして、中山君提出案の側からは「最近報道された世論調査の結果では、脳死を人の死と認めるという人が六六%にふえており、国民の理解は深まってきている」という説明があり、他方、金田君提出案の側からは「世論調査もいろいろあるが、六対四や七対三というのが一方にあれば、逆の四対六というのもあります。現時点では国民的なコンセンサスができていないと現状を把握する方が大切ではないか」という答弁がありました。  「中山君提出案においては、脳死に関する一般国民の理解を深め、広げるためにどのような方策によって努力していくのか」との問いに対しましては、「国民に対する啓発のための活動は、ドナーカードの普及を中心に、自動車の運転免許更新の場合などに働きかけていく方法がよいのではないかと考えている」との答弁がありました。  さらに、「脳死を人の死としないで、脳死状態からの臓器摘出を正当業務行為として違法性が阻却される事由に当たるという立法をすればよいのではないか」との指摘に対して、中山君提出案の側から「医師の立場からは、二つの生命を比較して差別化するということは最小限のモラルとして許せない行為であると考える。命を区別して比較した上でよりどちらかの命を助けるという機能を医師が持っているとは思わない」との見解が述べられました。これに対して、金田君提出案の側から「仮に脳死を人の死と呼ぼうと、人の死ではないと呼ぼうと、脳死状態にある身体の状況及び臓器摘出における医師の行為の実態には何の変化もない。その表現によって医療の内容や医学的な判断が変わってくるというのは理解できない」という趣旨の反論がなされました。  「金田君提出案における、法的に生きているとされる人から、死に直結する形になる臓器の摘出が許されるための条件とは何か」という質疑に対しましては、「何よりも、本人の事前の書面による、日付と署名がある明確な意思表示に基づき、臓器提供者が、脳死状態という不可逆的な過程に至った場合には、自分の生を全うするために臓器を提供したいという意思実現する手段として、医師の関与の上で、移植のための臓器を必要とする患者の役に立つという目的のために摘出されることは許されると考える」旨の答弁がありました。  中山君提出案においては、「本人の生前の承諾意思確認しないで臓器を摘出した場合、医師の責任と罰則の適用はどうなるか」という問いに対し、「臓器の摘出については、一人の医師が行うのではなく、チームで行い、脳死判定医と臓器摘出を行うチームとは別である。記録が全部五年間保存されるので、承諾意思確認していない臓器の摘出が判明した場合には刑事訴訟の対象になると考えている」という答弁がありました。  また、「遺族のそんたくによる同意によって臓器を摘出した場合、死体損壊罪の適用対象になるか」との問いに対し、中山君提出案の側から「第六条に定める法的に有効な承諾を欠く場合となり、本法の定めるところに従って摘出が行われたことにならないわけで、刑法第三十五条の法令行為には該当せず、したがって、当然に死体損壊罪に当たらないということにはならない。その場合、個々具体的な事案に応じ、その違法性が阻却されるかどうか判断されることになると考える」という答弁がありました。  「中山君提出案には血管等の組織臓器に含まれていないのはなぜか」との問いに対しましては、「現場の医療においては組織移植のネットワークにより既に行われていることから、今回の法律では臓器というものを取り上げた」との答弁がありました。  また、「中山君提出案において、脳死判定の開始に家族の同意が必要か」との問いに対しましては、「現実には脳死判定に対する家族の理解が得られることが大切であり、そのために説明を行うことは脳死判定にかかわる医師にとって大変重要なことであると考える」という答弁がありました。  さらに、「中山君提出案において、脳死判定の拒否を宣言する権利は保障され、尊重されるのか」という問いに対しましては、「本人の意思が何よりも優先され、遺族の合意が必要となるが、家族が望む場合は人工呼吸器を外さないことを前提としていることから、そういう意思が明確ならば脳死の判定は行われないものと考える」という答弁がありました。なお、これに関連して政府側から「救急医療の現場では、患者が脳死を拒否するとかではなく、医療行為の一環として、死の判定は脳死も三徴候死も同じように行われている」旨の説明がありました。  脳死判定の問題につきまして、「脳死判定基準としての竹内基準は妥当性があるか。補助検査は必要ではないか」という質疑に対し、「竹内基準は昭和六十年の厚生省研究班のあらゆる議論を重ねた結果出されたもので、国際的にも十分評価にたえ、また医学界やその他にも十分たえる基準だと考える。補助検査として聴性脳幹反応という新しい検査方法を定める考えである」との見解が述べられました。  次に、「いかにして脳死を客観的に、確実に判定できる体制を担保し、確立するか」という問いに対しましては、「脳死判定に十分な経験を持つ専門医または学会認定医が少なくとも二人以上、しかも移植とは無関係な医師という立場で判定する。さらに、詳細な記録を残すことで客観性を担保することができると考える」との答弁があり、また「脳低体温療法など救命救急のための医療と、新鮮な臓器を必要とする移植医療とは矛盾するのではないか」との疑問に対しまして、「救急救命医療を充実させるということと、移植医療を推進することによって今までの医療では救えなかった患者を救うことができるということは決して矛盾することではないと考えている」という見解が述べられました。  諸外国における臓器移植の件数と心臓、肝臓の成績については、「ヨーロッパ、米国、豪州においては、毎年心臓移植で約三千六百件以上、肝臓で六千二百件以上行われている。心臓、肝臓とも一年生存率で約八〇%、五年後の生存率で約七〇%」であり、また、外国に行って臓器移植を受けで帰ってきた我が国の患者数については、「心臓移植では二十六人、肝臓移植では百二十五人と報告されている」、さらに「現在、臓器移植を希望している患者はどのくらいか」については、「心臓移植は学会の試算によれば年間六十名から六百六十名、肝臓移植は年間約三千名の患者が対象となり得る」という説明がありました。  「基本的理念を踏まえ、提供臓器の公平性をどう確保するか」という問いに対しましては、「臓器提供の配分の問題では、そこにできるだけ人間の判断を入れないことを原則として、最も症状が重く、移植を急ぐ人を優先するという方法で行われるものと考えている」との答弁があり、また「臓器移植ネットワークの現状と将来の方向性はどうか」という質疑に対しましては、「当面、既存の腎臓移植ネットワークの活用を検討しながら、心臓、肝臓にも対応できる体制整備を図り、将来の多臓器対応のネットワークの構築に向けて検討していきたい」旨の答弁がありました。  さらに、「移植実施施設は、必要なバックアップ体制を考慮に入れて、とりあえず初めは限定した少数の施設でスタートさせることを考えるべきではないか」との提言に対し、「当初は臓器移植の実施機関はある程度数を絞ることにより、国民信頼確立されるようにすべきであると考える」旨の答弁がなされました。  さらに、「本人の書面による意思表示が難しいと考えられる知的障害者などの場合はどのように判断するのか」との問いには、「そういう場合には、公正な第三者の審査機関の設置が必要であろうと考える」という答弁でありました。  次に、「心臓の移植術に要する費用の額はどのくらいになるのか。また、その公的負担の可能性はどうか」との問いに対しましては、「心臓移植のコストについては、最低一千万円近くかかるので、保険適用のない場合の負担を考えて、健康保険の診療対象にするよう中央社会保険医療協議会に諮るべきだと考えている」という見解が述べられました。  以上のほか、脳死に関する法制化の必要性、患者家族が脳死判定に関し理解を得るための方法、国民の医療不信の根深さと医の倫理の確立への対応、解剖や医薬品の研究目的に脳死体が使用される懸念、安楽死、尊厳死と脳死との関係、死に関する自己決定権の容認、同意を必要とする遺族または家族の範囲、法施行後の見直し、救命救急医療の充実等々について質疑がなされました。  なお、質疑の中で、立法によらないで国会決議等の形で臓器移植を進めるべきとの意見及び性急な立法化は行わず引き続き審議を続けるべきとの意見等が表明されました。  また、質疑の中で修正の意見が出されましたが、その趣旨は、臓器のうち心臓等については他の臓器とは異なることなどを考慮して、国会の承認を得て厚生大臣が告示するまでの間は適用対象から除外し、政府は、心臓等の移植の迅速かつ円滑な実施のための高度な医療提供施設の設置等、体制整備に必要な措置を講ずるべきであるというものでありました。  最後に申し上げますが、本問題は、本院において、平成元年十一月のいわゆる脳死臨調設置法案の可決以来、長らく取り組んできた問題であります。今国会で何らかの結論を出すことが我々本院議員に与えられた責務であるとの指摘がなされているところであります。また、本問題は、人の死に深い関連を持つテーマであって、個人個人の死生観、倫理観が問われるものであり、議員各位の慎重な御判断が求められていることも付言させていただきます。  以上をもちまして臓器移植に関する法律案両案についての中間報告を終わる次第であります。  御清聴を感謝いたします。どうもありがとうございました。(拍手)      ————◇—————  日程第一 治山治水緊急措置法の一部を改正する法律実(内閣提出参議院送付
  30. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 日程第一、治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長の報告を求めます。建設委員長市川雄一君。     —————————————  治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案及び同報告書     〔本号末尾掲載〕     —————————————     〔市川雄一君登壇
  31. 市川雄一

    ○市川雄一君 ただいま議題となりました治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、国土の保全と開発を図るため、引き続き治山治水事業を緊急かつ計画的に実施しようとするものであります。  その内容は、農林水産大臣は、平成九年度を初年度とする治山事業五カ年計画の案を、建設大臣は、平成九年度を初年度とする治水事業五カ年計画の案をそれぞれ作成し、閣議の決定を求めなければならないこととする等所要の措置を講ずるものであります。  本案は、参議院先議に係るものであり、衆議院においては、去る四月十五日本委員会に付託され、翌十六日亀井建設大臣から提案理由説明を聴取し、十八日質疑に入り、同日質疑を終了、討論、採決の結果、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  32. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 採決いたします。  本案委員長の報告は可決であります。本案委員報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  33. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 起立多数。よって、本案委員報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第二 職業能力開発促進法及び雇用促進事業団法の一部を改正する法律案内閣提出
  34. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 日程第二、職業能力開発促進法及び雇用促進事業団法の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長の報告を求めます。労働委員長青山丘君。     —————————————  職業能力開発促進法及び雇用促進事業団法の一部を改正する法律案及び同報告書     〔本号末尾掲載〕     —————————————     〔青山丘君登壇
  35. 青山丘

    ○青山丘君 ただいま議題となりました職業能力開発促進法及び雇用促進事業団法の一部を改正する法律案について、労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、最近における社会経済情勢の変化に対応し、労働者の職業能力の開発及び向上を促進するため、公共職業訓練の高度化に伴う高度職業訓練の実施体制を整備するとともに、労働者の自発的な職業能力開発及び向上の促進を図ろうとするものであります。  その主な内容は、  第一に、現行の職業能力開発短期大学校の訓練課程に加え、専門的かつ応用的な職業能力を開発・向上させる長期間の訓練課程を行うためのものとして、職業能力開発大学校を設置するものとすること、  第二に、現行の職業能力開発大学校で行っている指導員訓練及び職業能力の開発・向上に関する調査研究とともに、新技術等に対応した職業訓練を総合的に行う施設として、職業能力開発総合大学校を設置するものとすること、  第三に、労働者がみずから職業に関する教育訓練を受ける機会を確保するための関係者の責務及び事業主の講ずる措置と国等の援助・助成の措置を明確化するものとすること、  第四に、国が行う職業能力開発大学校及び職業能力開発総合大学校の設置・運営を雇用促進事業団において実施するものとすること等であります。  本案は、去る四月十六日労働委員会に付託され、四月十八日岡野労働大臣から提案理由説明を聴取した後、質疑を終了し、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  36. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 採決いたします。  本案委員報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第三 出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案内閣提出
  38. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 日程第三、出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長の報告を求めます。法務委員長八代英太君。     —————————————  出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案及び同報告書     〔本号末尾掲載〕     —————————————     〔八代英太君登壇
  39. 八代英太

    ○八代英太君 ただいま議題となりました法律案について、法務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、近隣諸国から船舶を利用した集団密航事件の激増等出入国管理をめぐる最近の状況に的確に対応するため、密航を助長・援助する者及び密航者自身に厳しく対処することができるよう、集団密航に係る罪を新設するとともに、その他の関連規定の整備を図ろうとするもので、その主な内容は、  第一に、集団密航者を本邦に入らせ、または上陸させた者を五年以下の懲役または三百万円以下の罰金に処し、営利の目的の場合、一年以上十年以下の懲役及び千万円以下の罰金に処するものとし、この罪を犯した者からその上陸させた外国人を収受し、またはその収受した外国人を輸送し、蔵匿し、もしくは隠避させた者も同様とすること、  第二に、集団密航者を本邦に向けて輸送し、または本邦内において上陸の場所に向けて輸送した者を三年以下の懲役または二百万円以下の罰金に処し、営利の目的の場合、七年以下の懲役及び五百万円以下の罰金に処すること、  第三に、有効な旅券等を所持する外国人であっても、上陸の許可等を受けないで本邦に上陸する目的を有する者については、不法入国罪で処罰するとともに、退去強制の対象とすること、  第四に、営利の目的等で不法入国または不法上陸を容易にした者を三年以下の懲役または二百万円以下の罰金に処すること、  第五に、集団密航に係る罪により刑に処せられた外国人を退去強制の対象とすること等であります。  委員会におきましては、去る十八日松浦法務大臣から提案理由説明を聴取した後、質疑を行い、これを終了し、直ちに採決を行った結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。  以上、御報告申し上げます。ありがとうございました。(拍手)     —————————————
  40. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 採決いたします。  本案委員報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  地方自治湊の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明
  42. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) この際、内閣提出地方自治法の一部を改正する法律案について、趣旨説明を求めます。自治大臣白川勝彦君。     〔国務大臣白川勝彦君登壇
  43. 白川勝彦

    ○国務大臣(白川勝彦君) 地方自治法の一部を改正する法律案趣旨について御説明申し上げます。  地方自治法の一部を改正する法律案につきましては、普通地方公共団体の組織及び運営の合理化を図るため、外部監査に係る制度を創設し、あわせで監査委員に係る制度の充実を図るとともに、都道府県が法定の局部数を超えて局部を置こうとする場合の手続を簡素化するほか、所要の規定の整備を行おうとするものであります。  以下、その概要について御説明申し上げます。  第一に、普通地方公共団体の行政体制の整備と適正な予算の執行の確保を図るため、外部監査に係る制度を創設することとしております。外部監査に係る制度とは、普通地方公共団体と外部監査契約を締結した者が外部監査人として当該普通地方公共団体の監査を行うものであります。  外部監査契約とは、包括外部監査契約と個別外部監査契約をいうものであります。  まず、包括外部監査契約に基づく監査は、普通地方公共団体が、その組織及び運営の合理化等を図るために、毎会計年度、包括外部監査人が必要と認める特定の事件について受ける監査であり、都道府県、政令指定都市、中核市について義務づけることとし、その他の市町村は条例により導入することができることとするものであります。  これらの普通地方公共団体の長は、毎会計年度、監査委員の意見を聞くとともに、議会の議決を経て、包括外部監査契約を締結しなければならないものとしております。  次に、個別外部監査契約に基づく監査は、議会、長もしくは住民からの監査の請求または要求があった場合において、個別外部監査人が当該請求または要求に係る事項について行う監査であり、普通地方公共団体は条例により導入することができることとするものであります。  このような条例を定めた普通地方公共団体の長は、一定の要件を満たすときに、監査委員の意見を聞くとともに、議会の議決を経て、個別外部監査契約を締結しなければならないものといたしております。  第二に、監査委員に係る制度の充実を図るため、監査委員のうち、当該普通地方公共団体の職員であった者については一人を上限とするとともに、町村の監査委員の定数を二人とし、町村にも監査委員事務局を設置できることとしております。  その他、監査委員から監査の結果に関する報告提出を受けた普通地方公共団体の長、委員会または委員は、当該監査の結果に基づき、または当該監査の結果を参考として措置を講じたときは、監査委員に通知し、監査委員はその旨を公表しなければならないこととしております。  第三に、都道府県が法定の局部数を超えて局部を置こうとする場合の事前の自治大臣への協議を届け出に改め、その手続を簡素化するものとしております。  なお、これらの改正のほか、別表の規定を改正する等所要の規定の整備を行うこととしております。  以上が、地方自治法の一部を改正する法律案趣旨であります。(拍手)      ————◇—————  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提   出)の趣旨説明に対する質疑
  44. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) ただいまの趣旨説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。山本公一君。     〔議長退席、副議長着席〕     〔山本公一君登壇
  45. 山本公一

    ○山本公一君 ただいま趣旨説明のありました地方自治法の一部を改正する法律案について、自由民主党を代表して、総理並びに自治大臣に質問させていただきます。  現在、地方分権の推進は、国、地方を通じる行財政システムの大きな変革の一環として、最重要課題の一つとなっております。我が国を豊かで個性ある国にするためには、それぞれの地域が力を持つことが必要であります。このため、地域のことは、地方公共団体が自主性、自立性を持って、主体的な判断と責任のもとに、地域の実情に沿った行政を行うという地方自治の実現を図ることにほかなりません。  また、現下の最大の政治課題行政改革であり、中央から地方への地方分権の推進は、こうした経済社会システム改革の一環として、官から民への官民の役割分担の見直し、規制緩和とともに、ぜひともなし遂げなければならないものであると考えております。  総理は、地方分権推進委員会の勧告を受けて、平成十年の通常国会終了までのできるだけ早い時期に地方分権推進計画を作成する旨を表明されていますが、できることは直ちに実行していくことも必要ではないでしょうか。今回の法案は、このような大きな地方分権推進の流れの中でどのように位置づけられるのか、総理の見解を伺います。  さて、地方分権の推進に当たっては、国と地方の役割分担の見直しによる分権型行政システムの転換に対応して、新たな地方公共団体の役割を担うにふさわしい地方行政体制の整備確立が必要であると考えます。  また一方、一昨年来、一部の地方公共団体において不適正な予算執行が問題となっており、住民から厳しい批判を受けているところであります。このようなことは、住民の間に地方公共団体に対する不信感を惹起させ、ひいては行政に対する信頼を著しく損ねるものであり、まことに遺憾なことであります。  これらの点を踏まえると、地方公共団体の監査機能の充実強化は喫緊の課題であると考えますが、今回法案を提出されるに当たっての総理の基本的な考え方をお伺いいたします。  次に、外部監査制度の導入についてお伺いいたします。  現在、地方公共団体の監査の仕組みとしては、監査委員制度があります。監査委員制度が地方公共団体の適正な運営の確保に果たしていく役割はますます重要になっていくと考えます。今回、地方公共団体の監査に、このような監査委員制度に加えて新たに外部監査制度を導入することについての自治大臣のお考えをお伺いいたします。  次に、本法案の具体的な内容についてお尋ねをいたします。  本法案においては、外部監査は、外部監査人がみずからのイニシアチブで監査を行う包括外部監査と、当該地方公共団体の長、議会及び住民から要求があった場合、外部監査人が監査を行う個別外部監査とされております。本法案では、包括外部監査については都道府県及び政令で定める市に義務づけ、その他の市町村は条例で導入することとされており、また個別外部監査は地方公共団体が条例で導入することとされております。  私は、今回外部監査制度を新たに導入する趣旨を考えれば、できるだけ多くの地方公共団体においてこの制度が活用されることが望ましいものと考えておりますが、外部監査の地方公共団体への義務づけについての考え方について自治大臣にお伺いいたします。  また、その場合、外部監査人となり得る者が十分手当でできることが必要だと考えられます。今回の法案においては、外部監査人の範囲を弁護士、公認会計士及び国や地方公共団体において監査等の業務に従事した経験のある者としておりますが、仮にほとんどの地方公共団体で外部監査を導入した場合を想定すると、これらの資格を有する者のみでは必ずしも人が得られるかどうか危惧しております。  私は、これらに加えて、例えば現在地方公共団体の監査委員に就任している例も少なくない税理士等を、外部監査人の対象に加えることも検討していくべきではないかと考えております。今後、委員会における審議の際にはこの点についても十分議論していきたいと思いますので、その旨意見の表明をいたしておきます。  以上、地方公共団体の外部監査制度を中心にお尋ねをしてまいりましたが、地方公共団体が個性あふれる行政を展開できるよう、地方分権を推進していくことが重要であることは言うまでもありません。しかしながら、また同時に、分権の担い手である地方公共団体において適正な行政運営が確保されることも必要であります。そのためのチェックシステムとして今回新たに導入する外部監査制度が果たす役割は、極めて重要であると考えます。  外部監査制度の導入の趣旨が十分生かされ、現行の監査委員制度とあわせて地方公共団体の監査機能の充実に資するものとなるよう、制度の運用に当たっても十分配慮していくことを強くお願いをして、質問を終わらせていただきます。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎登壇
  46. 橋本龍太郎

    内閣総理大臣橋本龍太郎君) 山本議員にお答えを申し上げます。  まず第一点は、地方分権の推進における本法案の位置づけという点でありました。  地方分権の推進に当たりましては、できるだけ早期に目に見える形でその実を上げることとしております。そして、地方分権推進委員会の第一次勧告の指摘事項につきまして地方分権推進計画を待つことなく、可能な限り前倒しして実施していこうと考えております。監査機能の充実などを主な内容としております本法案は、まさにその前倒し措置の一環として今国会提出をさせていただきました。  次に、その基本的な考え方という点でありますが、この法案は、地方分権推進委員会の第一次勧告及び第二十五次地方制度調査会の答申を受け、外部監査制度の導入と現行監査委員制度の充実によって地方公共団体の監査機能の充実強化を図るものであります。その基本的な考え方は、地方分権の推進に伴い地方公共団体の行政体制の整備を図るとともに、適正な予算の執行の確保により住民の行政に対する信頼確保を図ることであります。  残余の質問につきましては、関連大臣からお答えを申し上げます。(拍手)     〔国務大臣白川勝彦君登壇
  47. 白川勝彦

    ○国務大臣(白川勝彦君) 山本議員から二点のお尋ねをいただきました。  まず、監査委員制度に加えて外部監査制度を導入することについてのお尋ねでありますが、地方公共団体の組織に属する者による監査として位置づけられている現行の監査委員制度は、地方公共団体の監査機能の独立性、専門性の確保という観点からはおのずと一定の制約があります。地方公共団体の組織に属さない、外部の専門的な知識を有する者による監査を導入することにより、地方公共団体の監査機能の独立性、専門性を一層充実しようとするものであります。  第二点は、外部監査制度の義務づけの範囲についてのお尋ねでありますが、地方公共団体における監査機能の状況はさまざまであるため、基本的には外部監査制度を導入するかどうかは、当該地方公共団体における監査委員制度の運用の状況や適切な外部監査人を得られる見込みがあるかなどを考慮して、自主的に決定することとしているものであります。しかしながら、都道府県、政令指定都市、中核市については、その役割や規模等の観点から、包括外部監査を義務づけることとしたものであります。  以上であります。(拍手)     —————————————
  48. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) 福留泰蔵君。     〔福留泰蔵君登壇
  49. 福留泰蔵

    ○福留泰蔵君 本日議題となりました地方自治法の一部を改正する法律案につきまして、新進党を代表いたしまして、質疑をさせていただきます。  昭和二十二年四月に地方自治法が制定され、新たな地方自治制度が発足して以来、ちょうど半世紀が過ぎました。その間、我が国の社会経済の変化と進展に伴い、地方自治体の役割はますます増大し、住民生活と密着した行政推進の場として不可欠なものとなっております。  政府はこれまで一貫して、機関委任事務の増大、補助金行政の拡大、税財源の中央集中を進めてまいりました。このため、住民生活に直接かかわりのある事務についても、大部分の権限を国が握っているため、地方自治体は住民の意向と地域特性を反映した自主的な行政運営がいまだ困難な状況に置かれております。  高度経済成長期を経て、一九八〇年代には日本人の価値観の多様化が認識されるようになりました。人それぞれがさまざまな顔や個性や人格を持つように、地域社会も、多様な歴史や風土の中で培ってきた特色とともに、その地域固有の行政課題を抱えているのであります。これらの種々の課題を克服し、その地域の特性に合った施策を推進するためには、内実を伴った地方分権が時代の要請となってきております。  具体的には、国と地方自治体の関係を、上下・主従の関係から対等・協力の新しい関係に転換させるために、地方自治体の自主性、自立性を高める見地から、国と地方の役割分担の見直し、機関委任事務の廃止、地方への権限移譲、国の関与・必置規制の廃止や国庫補助金の整理合理化を進めなければなりません。  そこで、まず、地方分権に取り組む橋本総理決意をお伺いするとともに、中央集権型行政システムの中核ともいうべき機関委任事務の廃止の具体的スケジュールについて関係大臣にお伺いいたします。  次に、地方分権の実質的裏づけとなる国と地方の財政関係の見直しについてお伺いいたします。  経済企画庁は三月二十五日に「地方分権化時代における地方財政のあり方に関する研究」と題する報告書を発表しました。この報告書によると、国からの補助金の存在が地方自治体の財政支出をゆがめ、非効率を生んでいると指摘しております。具体的には、補助金を地方自治体の一般財源に振りかえて各自治体に配分を任せれば、公共事業支出、教育費は減り、一方、社会福祉関係の支出はふえ、効率化が進み、住民の満足度が最も高くなると分析しているのであります。  国、地方ともに極めて厳しい財政環境にある中で、国、地方を通ずる行政の簡素効率化と財政資金の効率的な運営を進めるために、早急に、公共事業関係補助金の一括交付、国庫補助負担金の整理合理化に着手すべきであると考えますが、この点についての橋本総理並びに関係大臣のお考えをお伺いいたします。  さて、今回の地方自治法の一部改正案について、関係大臣に以下質問をいたします。  今回の改正法では大きく三つの改正点がありますが、まず、その第一の外部監査制度の導入についで、以下の五点について自治大臣の御見解をお伺いいたします。  第一に、平成七年の夏以来、一部の地方自治体における空出張、空会議、空接待等による裏金づくりや公費の流用、またいわゆる官官接待をめぐる公金の不正支出が問題となり、納税者たる国民から厳しい批判を浴びております。ましてや、監査委員事務局自体が空出張等で裏金をつくったりしている実態が発覚するに及んでは、監査委員制度自体の形骸化のそしりを免れることはできません。こうした状況を踏まえての改正でありますが、今回導入される外部監査制度により、地方公共団体の監査機能は十分なものになるとお考えなのでしょうか。御見解を伺います。  第二に、包括外部監査については、都道府県と政令で定める市について実施を義務づけており、その他の市町村も、条例で定めることにより包括外部監査契約に基づく監査を受けることができるようになっております。しかし、現行の監査委員の実態を見てみますと、定数三人以下の市町村では、非常勤監査委員の割合が実に九八%に上っております。町村においては事務局が設置できず、職員も他部局との兼任というのが実態であり、監査の実効性に懸念を持つものであります。このような実態から考えて、小規模の市町村にも包括外部監査の義務づけをすべきではないかと考えますが、御見解を伺います。  第三に、外部監査人による監査の実効を担保するために、議会や長等の機関や職員は外部監査人の監査の遂行に協力するよう努めなければならないこととなっておりますが、実効を上げるというのならば、努力規定ではなく、義務規定とすべきではないかと考えますが、御見解を伺います。  第四に、外部監査制度を導入するといつでも、地方自治体の情報公開など行政の透明化が伴わない限り、幾ら有能な専門家を置いても十分なチェック機能は果たせないのではないか、現行制度に屋上屋を重ねる結果になってしまうのではないかという懸念があります。この前提である行政の透明化について、御見解を伺いたいと思います。  第五に、個別外部監査の監査対象についてでありますが、地方自治体が財政的援助を与えている法人等については、条例で定めることにより対象とすることができるようになっております。しかし、彩福祉グループの補助金の不正支出・流用事件などに見られるように、補助金の使途が大きな問題となっている今日、都道府県と政令で定める市については、当該自治体が財政援助をしている団体についても外部監査人の監査を義務づけるようにすべきであると考えます。  また、この際、一つ意見表明をしておきたいと思います。  改正法案では、外部監査契約を締結できる者として、弁護士、公認会計士等が定められておりますが、この両者合わせても全国で二万六千人しかおらず、しかも地域的に偏在しており、また、その日常業務の多忙さを考えますと、外部監査人としての適切な人材確保が果たしてできるのかという懸念があります。新進党としましては、この外部監査人に、その適性を持ち、全国に六万三千人もいる税理士も入れるべきではないかと考えております。この点については、委員会審議を通して主張していくことを意見表明しておきます。  次に、今回の改正案では、監査委員の定数の見直し、退職職員の選任制限、いわゆるOB制限の強化、監査結果に基づく改善措置の通知・公表の義務づけが図られ、町村における監査事務局の設置への道が開かれております。これらは、現行制度の改善という側面からはいずれも理解できるものでありますが、さらにこれまで以上に効果的な監査を行っていくため、提案を含めて、以下、お伺いをいたします。  第一に、監査委員の定数は、例えば都道府県では四人と画一的に決まっておりますが、都道府県といってもその規模にかなりの違いがあります。そこで、現行の画一的な監査委員の定数を、人口や予算など地方自治体の規模等に応じて弾力化する必要があるのではないかと考えます。  第二に、監査委員を支える事務局について、その職員数の現状は、都道府県、指定都市においては二十名を超えているものの、市では四名程度、町村では二名程度で、しかもその大部分が他の部局との兼任であります。監査の範囲、対象は広範多岐にわたっており、このような事務局体制では十分な監査を実施することは困難であり、監査委員事務局の専任職員数をふやす必要があるのではないかと考えます。  第三に、専任職員を置くことが困難な小規模町村においては、事務局を共同で設置する等の広域的な監査制度を可能にしていく必要があるのではないかと考えます。  第四に、監査委員事務局の職員については、自治大学校に監査についての研修の課程を新たに設け、研修を義務づけるなど、実効ある監査制度の充実を図るべきであると考えます。  以上四点、現行監査制度の改善に関する提案についで、自治大臣の御見解と、さらに運用面での工夫について別のお考えがあれば伺いたいと思います。  昨今、地方の時代が叫ばれ、地方分権が一種のはやり言葉のように取り上げられておりますが、内実を伴った地方分権化の徹底を図るためにも、国としても数々の有用な提言の速やかな法案化を進めるとともに、地方分権化に当然伴うべき責任についての地方自治体関係各位の自覚と努力を訴えて、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎登壇
  50. 橋本龍太郎

    内閣総理大臣橋本龍太郎君) 福留議員にお答えを申し上げます。  まず、地方分権に取り組む決意いかんということでありました。  地方の自主性、自立性を高めるため、機関委任事務制度を廃止し、国と地方の役割分担のあり方に即し、権限の移譲、国の関与や補助金などの整理合理化、地方税財源の充実確保、効率的な地方行政体制の整備確立に資する施策などを進めてまいります。地方分権の推進は、これまでの経済社会システムの変革を図るための大きな柱であり、強い決意でその実現に取り組んでまいりたいと思います。  次に、公共事業関係補助金の一括交付等についての御質問がございました。  補助金などは、前にもお答えをしたことがございますが、国の政策を遂行する上での重要な手段でありまして、公共事業関係補助金を一括して交付することは、現行の補助金制度の趣旨から見て慎重な検討が必要ではないかと考えております。他方、補助金などにつきましては、従来からその整理合理化を積極的に進めてまいりました。残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)     〔国務大臣三塚博君登壇
  51. 三塚博

    ○国務大臣(三塚博君) 総理と同様の御質問でございます。  公共事業関係補助金の一括交付についての御質問でありますが、総理からも答弁がありましたとおり、補助金は、国の一定の行政水準を維持するためや特定の政策の奨励等を遂行するための政策手段として重要な機能を担うものでございます。公共事業関係補助金を地方公共団体に一括して交付することは、現行の補助金制度の趣旨から見ても慎重な検討を要するものと考えます。他方、補助金等は、地方行政の自主性の尊重、さらに財政資金の効率的使用の観点から、不断の見直しが必要であり、今後とも整理合理化を積極的に推進してまいります。(拍手)     〔国務大臣白川勝彦君登壇
  52. 白川勝彦

    ○国務大臣(白川勝彦君) 福留議員にお答え申し上げます。  まず、機関委任事務の廃止の具体的スケジュールについてのお尋ねでありますが、地方分権推進委員会の勧告を受け、自治省において、機関委任事務制度の廃止後における地方公共団体の事務のあり方及び一連の関連する制度のあり方について、今年中に大綱を取りまとめることといたしております。  次に、国庫補助負担金の整理合理化等についてでありますが、地方分権を推進し地方自治の確立を図るためには、地方分権推進委員会における審議等を踏まえつつ、地方の自主性、自立性を高めるために、国と地方の役割分担の見直し、補助金等の整理合理化等の検討を進めるとともに、これに応じた地方税財源の充実確保を図る必要があると考えております。  次に、外部監査制度導入に関して、五点の御質問をいただきました。  まず、外部監査制度の導入により、地方公共団体の監査機能は十分なものになるかというお尋ねでございますが、この制度は、現行の監査委員制度に加えて、さらに地方公共団体の監査機能の独立性、専門性を強化するために導入するものであります。地方公共団体の組織に属さない、外部の専門的な知識を有する者による監査を導入することにより、地方公共団体の監査機能が住民の信頼にこたえることができるようになるものと期待をいたしております。  第二点は、小規模の市町村にも義務づけをしてはどうかというお話でありますが、地方公共団体における監査機能の状況はさまざまであります。したがって、小規模の市町村においては、包括外部監査制度を導入するかどうかは、当該地方公共団体における監査委員制度の運用の状況や適切な外部監査人を得られる見込みがあるかなどを考慮して、条例で自主的に決定することが適当であると考えております。  三点目は、議会、長等の機関や職員の外部監査人の監査への協力についてのお尋ねでありますが、これらの者はそれぞれ本来の職務を遂行する責任を有していることから、自己の職務と調整しながら、適切に協力を行うべき努力義務として規定することが最も適当であると考えた次第であります。  第四点は、外部監査制度の前提として行政の透明化を図るべきではないかとのお尋ねでありますが、現在、すべての都道府県、政令指定都市、またほとんどの中核市においで情報公開制度が既に設けられております。今後とも、行政の透明性の確保の観点から、地方公共団体において情報公開の推進に努めることは必要であると考えております。  五点目は、財政的援助団体等に対する外部監査の義務づけをすべきではないかとのお尋ねでありますが、地方公共団体の状況はさまざまであります。したがって、財政的援助団体等に対する外部監査を導入するかどうかは、財政的援助団体等の運営の状況などを考慮して、条例で自主的に決定することが適当であると考えております。  次に、現行監査委員制度の改善に関する御質問、四点ございます。  まず、監査委員の定数の弾力化についてのお尋ねでありますが、監査機能の充実強化に関しては、現行監査委員の定数の問題として対処するよりも、外部監査制度を導入することにより、より効果が上がるのではないかと判断したものであります。  監査委員事務局の専任職員あり方についてのお尋ねでありますが、特に町村において専任の職員が少ない原因の一つとして、事務局が設置できないことが考えられることから、今回の法案においては、町村にも事務局を設置することができることとしており、職員の専任化にも資するものと考えております。  三点目は、小規模町村の事務局の共同設置についてのお尋ねでありますが、この法改正により町村において新たに事務局を設置することとなる際には、組織規模の適正化や効率性という観点をも踏まえ、地域の実情に応じて共同設置を促進するよう要請してまいりたいと考えております。  監査委員事務局職員の研修についてのお尋ねでありますが、これまでも地方公共団体においては積極的に監査委員事務局職員の研修に取り組んできているところであります。自治大学校における研修につきましても、地方自治制度の研修の一環として監査制度について取り上げていますが、今後、研修内容等についてなお一層工夫、改善に努めてまいりたいと考えております。  最後に、監査委員制度についての運用面における工夫についての御意見を踏まえでのお尋ねでありますが、御指摘の点以外にも、監査結果に基づく改善措置報告・公表の措置や、監査についての基礎調査を委託した場合の公表など、監査の透明化を進めてまいりたいと考えております。  以上であります。(拍手
  53. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  54. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) 本日は、これにて散会いたします。     午後二時五十一分散会      ————◇—————