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1997-04-01 第140回国会 衆議院 本会議 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月一日(火曜日)     —————————————   平成九年四月一日     午後一時 本会議     ————————————— ○本日の会議に付した案件 佐藤通商産業大臣三井三池炭鉱閉山問題等  についての発言及び質疑 日本国有鉄道清算事業団の債務の負担の軽減を  図るために平成九年度において緊急に構ずべ  き特別措置に関する法律案内閣提出)の趣旨  説明及び質疑     午後一時三分開議
  2. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  国務大臣発言三井三池炭鉱閉山問題等   について)
  3. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 通商産業大臣から、三井三池炭鉱閉山問題等について発言を求められております。これを許します。通商産業大臣佐藤信二君。     〔国務大臣佐藤信二登壇
  4. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 三井三池炭鉱が去る三月三十日に閉山するに至ったことから、この閉山に対する政府対応について御説明申し上げます。  これに先立ちまして、まず、三井三池炭鉱の概要及び閉山経緯について御説明申し上げます。  我が国石炭鉱業は、明治以来、我が国近代化を支える基幹産業として重要な役割を果たし、特に戦後の復興期においては、唯一の国産エネルギーとして、我が国産業発展国民生活の安定に大きく貢献してまいりました。その中において、三井三池炭鉱は百有余年にわたり我が国石炭鉱業歴史を担う象徴的な存在であり続け、その間の出炭量の累計約三億トンは坑内炭鉱として世界一の記録を有しております。  平成七年度における我が国三つ坑内炭鉱の総生産量は五百六十五万トン、従業員数合計は約四千五百人となっております。その中で、三井三池炭鉱については、平成七年度の生産量が二百二十七万トン、平成八年度末見込みの従業員数が、直轄で千二百三十七名、下請で三百三十二名に及ぶとともに、地域的にも、福岡大牟田市、高田町、大和町、熊本県荒尾市の二市二町の広域にまたがるなど国内最大炭鉱となっております。  このような三井三池炭鉱について、去る二月十七日、会社側から三つ労働組合に対し、経済的な採掘可能炭量の枯渇、赤字基調収支状況の継続、多額の借入金や累積欠損金等に見られる会社経営の悪化という三点を理由に、千七百四十四名分の再雇用先確保した上で、三月三十日をもって閉山する旨の提案が行われました。その後、十八日には、過去の閉山事例における退職条件等を上回る内容で閉山の合意に至ったものであります。  私としましては、こうした我が国炭鉱を代表する三井三池炭鉱が、関係者の幾多の努力にもかかわらず閉山の道を選択せざるを得なかったことについて、厳粛に受けとめております。  次に、三井三池炭鉱閉山に対する政府対応について御説明申し上げます。  三井三池炭鉱については、関係する地元自治体が広範に及ぶなど、その閉山地域経済情勢雇用状況に与える影響は多大なものがあると予想されます。  三月十三日、橋本総理大臣からは、私と岡野労働大臣に対して、関係省庁連携を一層密にしながら、雇用対策に万全を期すとともに、産業基盤整備、新しい産業育成等施策を早急に講じてもらいたい旨の指示がありました。  私といたしましては、政府一体となった対策を講ずることが必要であるとの観点から、十九日には、産炭地域振興関係省庁等連絡会特別会合を開催し、関係十四省庁に対し私から閉山対策への協力を要請するとともに、二十日には、岡野労働大臣古賀運輸大臣上野通産政務次官を初め関係省庁の参加のもと閉山確定後の現地実情把握に努めたところであります。  特に、雇用対策につきましては、現在では三千名を超える再雇用先会社側から提示されておりますが、再雇用先確保が最重要課題であるとの認識に立って、九州地方経済団体三井グループへの協力要請に加え、労使交渉が妥結した当日の十八日には私から、そして昨三十一日には私と岡野労働大臣から、三井鉱山及び三井石炭鉱業社長に対し重ねての努力を要請いたしております。  また、あわせで、職業紹介職業訓練の円滑な実施のため、公共職業安定所中心とした現地の体制の整備とともに、大牟田荒尾地域地域雇用開発等促進法に基づく特定雇用機会増大促進地域への指定が行われております。  今後の対応としましては、まず第一に、三井石炭鉱業及びその親会社である三井鉱山、さらには、三井グループ全体として、企業社会的責任十分念頭に置きつつ、離職者の再雇用対策企業誘致鉱害復旧等に一層努力を傾けることが求 められているところであります。  また、これまで三井三池炭鉱とともに発展してきた地元自治体が、閉山による地域への影響の緩和に努めるとともに、産業基盤整備新規産業育成等を通じて、石炭産業からの脱却を図ることを強く期待しております。  政府といたしましては、今後とも、三井石炭鉱業に対し、閉山交付金早期交付、新分野開拓事業助成等を通じ、閉山が円滑に行われるよう支援するとともに、引き続き、会社三井グループに対し、離職者の再雇用対策地元への企業誘致等地域対策について、万全を期すよう指導してまいりたいと考えております。  また、関係省庁協力もとに、四月下旬までに地域振興対策を取りまとめ、引き続き閉山対策遺漏なきを期してまいる所存であります。  なお、この機会に、現行石炭政策に関する考え方を申し述べたいと思います。  三井三池炭鉱閉山に象徴されますように、我が国石炭鉱業をめぐる環境は、内外炭価格差等を背景に、引き続き厳しい状況にあります。このため、政府といたしましては、平成四年度から十年間を期間とする現行石炭政策について、引き続き、以下の点を中心に着実に推進してまいりたいと考えております。  第一の柱は、石炭鉱業構造調整対策であります。政府といたしましては、国内炭鉱が、多角化、新分野開拓を図りつつ、一層のコスト削減等に努める場合、引き続きその努力支援するとともに、生産の大前提となる保安対策についても万全を期してまいります。  第二に、こうした構造調整に即応した産炭地域振興対策推進であります。地方自治体及び関係省庁との連携協調を一層緊密なものとし、広域的な発展等への施策重点化を図ってまいります。  第三といたしましては、累積鉱害早期解消等に向け、鉱害対策最大限の努力を払ってまいりたいと考えております。  第四としては、雇用対策であります。炭鉱労働者雇用安定助成金制度の一層の活用等により、炭鉱労働者雇用の安定を図るとともに、職業訓練効果的な実施等により、炭鉱離職者の再就職の促進を図ってまいります。  以上のような国内対策に加え、引き続き、海外炭安定供給確保石炭生産利用に係る技術開発海外移転等対策を進めてまいるとともに、環境問題への対応も視野に入れて総合的なエネルギー政策推進してまいります。  以上、三井三池炭鉱閉山問題に対する政府対応について御説明申し上げました。  政府といたしましては、今後とも、三井三池炭鉱閉山への対応もとより、現行石炭政策の着実な推進について万全を期してまいりたいと考えております。  以上です。(拍手)      ————◇—————  国務大臣発言三井三池炭鉱閉山問題等   について)に対する質疑
  5. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。古賀正浩君。     〔古賀正浩登壇
  6. 古賀正浩

    古賀正浩君 新進党古賀正浩であります。新進党を代表して、ただいま議題となりました三井三池炭鉱閉山問題報告につきまして、内閣総理大臣及び通商産業大臣質問いたします。  近代日本の誕生以来百有余年、今日までの我が国産業経済進展は、まさに石炭産業の栄光と苦悩とともにありました。その中核にあり、その象徴であり続けてきた三井三池炭鉱が、エネルギー革命円高進行のあらしにもまれ、ついに閉山に至りました。  戦後、我が国復興の原動力となり、次いで石炭から石油への転換という国家的課題対応しながら、我が国経済生活の向上を実現してくることができました。その間、総資本と総労働の対決と言われた三池争議、四百五十八名の犠牲者を生じた炭じん爆発等我が国の名状しがたいゆがみと苦しみの舞台であったことをも厳粛に想起し、瞑目したいと思います。  そして、このたび不本意ながら離職を余儀なくされた炭鉱労働者の方々に対し、これまでの御精励を慰労し、一日も早く再雇用生活の安定が実現できますようお祈りをするものであります。  さらに、このような大規模な炭鉱閉山は、この基幹的産業を一時に喪失することとなる地域社会に及ぼす影響も極めて甚大なものがあることを重く受けとめております。  改めて我々は、今日の我が国の繁栄がまさにこれらの人々と地域の痛みと苦しみの上にあることを想起し、国民すべての名のもとに、この閉山対策の万全を期さなければならないと考えます。  私は、このような観点から、今回の閉山に伴う課題について政府対応質問するものであります。  初めに、私は、今後の我が国石炭鉱業への取り組みについてお尋ねしておきたいと思います。  申すまでもなく、エネルギーとしての石炭石油代替エネルギーの重要な柱の一つでありますが、今や我が国稼働炭鉱は、釧路の太平洋炭鉱と長崎の池島炭鉱の二鉱のみとなりました。現在実施中の新しい石炭政策におきましては、この九〇年代を国内石炭鉱業構造調整最終段階とし、国民経済的役割負担均衡点まで国内炭生産段階的縮小を図ることとされております。我が党としては、国内に残されたこの二鉱山存続維持は不可欠であると考えたいのでありますが、政府は、この残された国内炭鉱国民経済的役割負担均衡点なるものを具体的に明確にしていただきたいと思います。  第二に、今回の閉山に伴う雇用対策生活の安定について伺います。  我が党は、過日、三池炭鉱問題対策特別委員会閉山対策特別委員会に切りかえ、閉山提案直後の去る二月十九日、野田党政審会長を団長とする調査団現地に派遣し、幅広く関係団体や各地域の声を聴取いたしました。そして、寄せられた多くの意見、要請等を検討し、直ちに国会審議に反映させるなど努力を行ってきたところであります。  離職者の再雇用対策については、現下の我が国経済の厳しい状況下ながら努力を尽くしてきた企業団体関係官庁等の御労苦を多とするものでありますが、閉山に伴う離職者は一千三百名、下請を含め約二千名と見積もられております中で、現在の再雇用先確保状況を見ますと、地元近隣での再雇用可能性は、残念ながらそのうちの約七 百名弱にすぎず、同一県内の範囲まで広げてみても千七百名余にとどまっているところであります。  安定した雇用の場を確保することこそが、この閉山についての一丁目一番地対策であります。今、日本経済は、厳しい景況に加えて長期的に国際分業型への構造改革を志向する段階にあり、元気のあるアメリカや中国、東南アジアなどのはざまの中で雇用創出に苦心している状況であることは申すまでもありませんが、このようなタイミング下の今回の閉山に当たり、雇用対策及びこれを可能とする産炭地域振興に関し、改めて総理大臣基本的な決意をお伺いしたいと思います。  第三に、新地域構築に向けての戦略的作戦に国はさらに知恵と力を与えるべきだと申し上げます。  戦後の経済復興時代大牟田荒尾地域は、日々これお祭りのような活力のある地域でありました。そして、エネルギー転換が進む中で関係者地域振興に必死の努力を重ねてきておりますが、残念ながら力強い発展跳躍台を得ることなく今日に至ったような思いを否定できません。  今、この地域の新たな出発に当たり、このような経緯と反省をよく踏まえて、思い切った新地域構築に向けてのアイデア構想をはぐくんでいかなければなりません。その中で、いわく九州人口重心地域であることを生かしたアクセス整備による物流機能強化と、これを活用した企業立地推進いわく広域的な定住交流都市として再生するための都市機能整備。そしていわく、特に、環境、新エネ、リサイクル等産業創造方向等が提起されておるところであります。  いずれも重要なテーマでありますが、この中で特に、地球環境問題とも関連して、今人類が直面しているリサイクル、新エネルギー産業にかかわる分野において、この大牟田荒尾地域が大きな役割を担うということは、我が国エネルギー母都市であった歴史的経緯にかんがみましても極めて意義深いものがあると思います。  我が国として、新エネルギー供給を二〇一〇年に現在の約三倍を目標としている現在、廃棄物発電廃熱利用を考慮することは当然であります。そして、我が国は、今や過去の追いつき型近代化路線創造革新型に変えていくことが必要である時代的機運の中で、特にこのような構想進展政府として十分な意欲を持つべきだと考えております。通商産業大臣見解をお伺いしたいと思います。  そして四番目に、海底陥没対策について伺います。  古来、豊かな恵みを享受する有明海は、近年、石炭採掘に伴う海底陥没拡大を始め、その復旧に、昨年までに千二百三十八万立米の埋め戻しがなされております。その復旧率は、残念ながらまだ四九%にしかすぎません。さらに陥没地域拡大している不安も否定できないところであります。このような状況もと、今回の閉山に伴い、その復旧漁民は強い危惧の念を抱いております。三井石炭鉱業は、漁業者に対し責任を持つと確約しており、もちろんそれ以外の言い方が許されるはずもありません。  鉱害復旧法制定当時、海底陥没を対象にしなかったのは立法ミスではなかったか、そういう見方すらありますが、漁民が将来にわたり安心できる現実的な手だてを、今後の閉山対策の重要な柱として、国こそ責任を持って確立すべきであると考えます。これに関し、特に総理大臣の御見解、御決意を伺いたいと思います。  三井三池炭鉱閉山により、いよいよ、地元関係地域は、石炭の揺りかごを出て、脱石炭地域を構築する本格的な出発のときが参りました。今日までこの地域をはぐくんできた燃える石、石炭にかわる第二の燃える石は何か。それは、基本地域意欲と熱意であり、これを励まし支える国の政策であります。  炭鉱離職者皆さん関係地元皆さん本格的努力はまさに今からであります。情熱と夢を持って出発をしましょう。  そして、これにこたえる政府の力強いバックアップを強く、さらに強く求めながら、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎登壇
  7. 橋本龍太郎

    内閣総理大臣橋本龍太郎君) 古賀議員お答えを申し上げます。  場所こそ違え、私自身通産大臣として、炭鉱閉山に伴うその後の対策を立てる立場にありました。今回の三井三池の閉山に伴う状況がどれほど地域社会に大きな影響を及ぼすことか、その歴史的な使命とともに、議員の御質問のお気持ちを承りながら、お答えを申し上げたいと思います。  先日、この問題が派生しそうになりました時点で、通産大臣労働大臣に対しまして、関係省庁連携を一層密にしながら、雇用確保に万全を期すとともに、産業基盤整備新規産業育成等施策を講じるよう指示いたしました。政府といたしましては、今後とも、政府一体となって、雇用対策とともに地域振興対策などの閉山対策に万全を期してまいりたいと思います。  次に、有明海海底陥没復旧対策についてのお尋ねがございました。  現在、議員御承知のように、三井石炭鉱業漁業関係者と協議をし、埋め戻し等の対策を講じており、今後とも適切な対策を講じるよう指導してまいりたいと考えております。  また、並行いたしまして、有明海における水産振興につきましても、現在、関係省庁地元自治体による調査研究及び漁場や漁港の整備事業への助成実施しておりまして、これから先も所要の施策を講じてまいります。  残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)     〔国務大臣佐藤信二登壇
  8. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 古賀議員お答えいたします。  均衡点についてのお尋ねでございました。  国内炭鉱技術維持やこれを通じた安定供給確保等国内炭国民経済的な役割と、それを支える負担がどのように均衡するのか、この問題は検討してまいりたいと考えております。また、当省といたしましては、現行石炭政策もと、残る二炭鉱構造調整努力に対する支援を続けておりますが、その最終的なあり方については石炭会社経営の問題として検討すべき問題だ、かような認識を持っております。  次に、我が国における新エネルギー利用についてのお尋ねがございました。  エネルギーセキュリティー確保及び地球環境問題への適切な対応のためには、新エネルギー導入促進というのは極めて重要な問題であります。今国会においで、新エネルギー利用等促進に関する特別措置法案、この御審議をいただいており、地方公共団体に対する導入支援等も含め、今後とも新エネルギー開発導入に取り組んでいく所存であります。  以上です。(拍手)     —————————————
  9. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 中西績介君。     〔中西績介登壇
  10. 中西績介

    中西績介君 私は、社会民主党・市民連合を代表いたしまして、ただいま御報告のありました三井三池炭鉱閉山問題等について、総理並びに関係大臣質問をいたします。  日本石炭産業のシンボルであった三井石炭池鉱業所は、三月三十日、一世紀以上続いた三池鉱歴史を閉じることになりました。国のエネルギー政策転換とはいえ、残念でなりません。このことが今後のエネルギー政策に重要な問題を残すのではないかと懸念をいたしております。  三井三池炭鉱は、一八七三年官営となり、その後、一八八九年三井家経営に移行、三井鉱山株式会社設立を経で、三井財閥はここ三池が発祥の地であり、戦後解体されましたが、現在の三井グループへと引き継がれ、百年余にわたる日本資本主義経済発展歴史そのものでした。  その間、戦争中には朝鮮人連行強制労働捕虜虐待等我が国最大炭鉱災害で一九六三年炭じん爆発死亡者四百五十六名、今なおいえることのないCO患者を含む重傷者六百七十五名を初めとする犠牲者と過酷な労働、さらに合理化と称する首切り解雇の積み重ねがあったことを忘れてはなりません。  その結果、一九七〇年、地下炭鉱では世界最高の年間約六百六十万トン、累積量は約三億トンに達し、絶えずエネルギー生産中核的役割を果たし、百余年にわたり我が国地域経済社会産業発展に貢献しました。  しかし、数次にわたる石炭鉱業合理化による地域経済衰退傾向をもたらし、今次の閉山地域経済に与える影響は多大なものがあると予想されます。石炭鉱業を振り出しに産業経営を展開し、産業基盤社会的基礎が築かれたこの地域は、閉山という決定的事態を迎え、当面の問題として、離職者対策中小商工業者対策、民生・教育対策地域振興対策財政対策等があります。  さらに、北海道、筑豊を中心とする地域振興策がいまだに未達成で問題を残しているだけに、過疎からの脱却ができず、九次策の総仕上げの規範となる筑後有明炭地域経済生活圏における産炭地域振興実施計画推進広域的な観点から、石炭産業にかわる新たな産業振興が強く求められており、総合的な地域振興対策のための具体的な計画を示さなくてはなりません。  過日、総理の直接指示により、通産労働大臣の行動に見られるように、一定の前進が見られました。今後とも、各省庁の垣根を越え一体的取り組みが必要ですが、総理指導をさらに強めていただきたいと思います。総理の御決意をお伺いいたします。  さて、労使間における交渉は、去る三月十八日、過去最高退職条件で妥結したと聞き及んでいます。しかし、雇用問題を初めとする多くの問題は依然として残っておりますし、むしろこれからなどの思いを強く持っています。  この間、関係地域皆さんの御努力と各政党の対応衆議院石炭対策特別委員会の間髪を入れず時宜を得た委員派遣石炭対策特別委員会での積極的取り組み要求に対して、行政府対応は、関係省庁等連絡会開催のみでなく、特に我が党の三井三池炭鉱閉山対策委員会(仮称)を設置し総理陣頭指揮を要請したことに対し、三月十三日、総理より直接通産大臣労働大臣に対し、関係省庁連携を密にして遺漏のないよう取り組むよう指示をされたこと、労使妥結後、通産大臣から、鉱山社石炭社社長雇用対策等閉山対策に万全を期すよう指導と、さらに運輸労働大臣ほか関係省庁現地視察、そして昨日、通産労働大臣から鉱山及び石炭社長に対し直接重ねて要請したことに対し、評価をいたす次第です。  しかし、本格的な対策はこれからが本番となることの共通認識と、今後の取り組みを期待いたします。  閉山に伴う最大課題雇用問題であり、深刻であります。石炭鉱業構造調整臨時措置法に基づく新分野開拓事業計画平成四年度創設されていますが、炭鉱離職者の採用はわずか四十九名となっており、計画変更申請もされていますけれども、今度の解雇者に直ちに雇用創出効果は期待できません。  三井石炭鉱業の直接手がけた求人も三千六十九名とありますが、通勤圏域六百八十七名となっており、解雇者平均年齢は高く、四十七・六歳となっており、四十五歳以上の求人はごく限られ、賃金も低いために、今後最大の問題となります。特に、団体交渉権がないために排除されている下請並びに関連企業関係労働者を含む離職者対策を急がなくてはなりません。  労働大臣の直接現地視察労働大臣企業に対する直接指導とあわせ、特定雇用機会増大促進地域指定閣議決定と公布、施行はされましたけれども、現時点における炭鉱離職者等対策本部の諸施策重点について、労働大臣決意を含む答弁を求めます。  次に、九州通産局長から各団体雇用を要請したことについては認めますが、資源エネルギー庁石炭部長の、三井グループに対して三池炭鉱周辺への企業進出と、エネルギー庁長官名によって三井グループ幹事会社に対する会員企業による再雇用機会確保について要請したが、顕著な効果は見当たりません。  去る三月十八日並びに昨日、通産大臣は、鉱山社石炭社社長に対し雇用対策閉山対策に万全を期すよう指導されたと聞き及んでいますが、さらに労働大臣連携を密にされ、雇用拡大のため御努力企業指導をいただきますよう重ねて強く要請いたします。  雇用に次いで今後の最大課題は、閉山対応した産炭地域振興策であります。  福岡県並びに筑後有明炭地域経済生活圏域自治体並びに住民、諸団体要求は余りにも多く、産炭地域振興実施計画実効性を高めるために、広域的視点からの総合的地域振興策についで、去る三月二十六日発表された筑後有明振興構想基礎調査委員会提言を参考にしながら、通産大臣にお聞きいたします。  この提言は、視点として、この地域の蓄積された技術と人材、広大な炭鉱関連跡地、交通の結節 点を挙げ、留意点として、都市計画一体的な開発計画を、県境を超えた行政の協力と、自治体三井グループ関係省庁の三者一体となった取り組みを求めています。  九州各地をつなぎ、環境エネルギー等二十一世紀日本産業構造方向を示し、九州をつなぐ二十一世紀活力圏創造都市を目指すことを基本理念として、三本の柱を提言しています。一、物流機能強化企業立地推進は、従来から推進された産炭地域振興実施計画をさらに充実強化。二、新たに、環境、新エネルギーリサイクル等産業創造を目指す。三、流入人口拡大、新たな産業創出による人口増など、定住交流都市機能整備から成っています。  閉山による産炭地問題は、北海道、筑豊の経験を反省して、新しい日本産業構造創造と、広く国際的視野で九州圏域からアジア交流へと国際化を目指すような振興策を求められています。この提言に対する通産大臣の御意見と、通産省が中心となって各省庁協力を得て、地域皆さんが期待する当面の振興策並びに中長期的振興推進に対する通産大臣の御決意をお聞かせください。  最後に、今後の石炭政策について、通産大臣報告どおりに、四つの柱、保安対策、産炭地域対策鉱害対策雇用対策中心にして財政確保を強力に推進していただくことを期待し、終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎登壇
  11. 橋本龍太郎

    内閣総理大臣橋本龍太郎君) 中西議員お答えを申し上げます。  議員からも御指摘をいただきましたように、三月十三日、私から通商産業大臣労働大臣に対し、三井三池炭鉱閉山に当たりましては、関係省庁連携を一層密にしながら、雇用確保に万全を期すとともに、産業基盤整備新規産業の育成などの施策を講ずるよう指示をいたしました。政府といたしましては、今後とも、政府一体となって、雇用対策地域振興対策などの閉山対策に万全を期してまいります。どうぞよろしく御協力をお願いいたします。  残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)     〔国務大臣佐藤信二登壇
  12. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今後の地域振興策及び御指摘の提言についてのお尋ねでございました。  本提言は、地域の特性を生かしつつ、石炭産業への依存から脱却し、地域発展する方向を示したものだ、かように評価しております。今後、本提言を踏まえ、関係省庁とも密接な連携もとに、道路、港湾等の産業基盤整備による企業誘致推進、新産業の創出、住環境等の都市機能整備等、二十一世紀を展望した広域、多岐にわたる地域振興策に万全を期してまいる所存でございます。  以上です。(拍手)     〔国務大臣岡野裕君登壇
  13. 岡野裕

    国務大臣(岡野裕君) 三井池鉱業所閉山に伴いますところの離職者対策について、中西先生から御要請並びに御質問がございましたので、お答えをいたします。  労働省といたしましては、会社当局の閉山予告を踏まえまして、労働省内にこれが対策本部を設置いたし、通産省を初めその他関連省庁、十四にわたるわけでありますが、そういう省庁と極めて緊密な連携もとに、この離職者対策について、一人でも多くの離職者皆さんが一日でも早く新たな就職先にアクセスできますよう、万般の配置を、準備を凝らしているつもりでございます。  なかんずく、一番中心になりますのはやはり求職、就職、これの相談であります。これにつきましては、近隣はもとより、全国からその任に当たる相談担当者、これを動員いたしまして、大牟田あるいは荒尾は当然のこと、三井池鉱業所の内部にも特別の部屋を設けまして相談に応ずる、ミスマッチがないような、温かい手を差し伸べられるような努力をするということに相なっております。  また、離職者につきまして、言いますならばそれぞれ新たな技能、技術というようなものを身につけていただくことが新しい就職にアクセスできるゆえんではないかということで、荒尾中心におおよそれ百三十人分の新たな職業教育の員数といいますか、これを増設いたしまして対応ができるようにし、一部は鉱業所内部においても訓練が実施できるようにいたしているところであります。  また、いろいろ御要請がありました特定雇用促進地域指定でありますが、これまた大牟田荒尾地域周辺を先般この特定地域指定し、また、炭鉱離職者求職手帳等、いわゆる先生御存じの黒手帳あるいは緑手帳、これの発給を速やかにいたしまして、これらの対策を総合いたしまして離職者対策に精いっぱいの努力をいたしたい、かように労働省としては考えている次第でございます。よろしくまた御協力を賜りますようお願いを申し上げます。  以上であります。(拍手
  14. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————  日本国有鉄道清算事業団の債務の負担の軽減を図るために平成九年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案内閣提出)の趣旨説明
  15. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) この際、内閣提出日本国有鉄道清算事業団の債務の負担の軽減を図るために平成九年度においで緊急に講ずべき特別措置に関する法律案について、趣旨の説明を求めます。運輸大臣古賀誠君。     〔国務大臣古賀誠君登壇
  16. 古賀誠

    国務大臣(古賀誠君) ただいま議題となりました日本国有鉄道清算事業団の債務の負担の軽減を図るために平成九年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  国鉄改革が行われた昭和六十二年度首において約二十五兆五千億円であった日本国有鉄道清算事業団の債務等の額は、平成八年度首には約二十七兆六千億円に増加しており、今後、日本国有鉄道清算事業団が保有する資産の売却収入も多くは見込まれないことから、大幅な債務の縮小は期待できない状況にあります。このため、政府としては、昨年十二月の閣議決定において、平成十年度 より債務等の本格的処理を実施することとし、平成九年中にその具体的処理方策の成案を得る旨を定めたところであります。  本法律案は、このように日本国有鉄道清算事業団の債務等の額が累増している状況にかんがみ、当該債務等に係る本格的処理策が実施されるまでの間において、最終的な国民負担が増加することを防止する観点から、日本国有鉄道清算事業団による平成九年度の借り入れから生じる将来的な利子負担を軽減するため、一年度限りの臨時異例の措置として、平成九年度において緊急に講ずべき特別措置を定めるものであります。  次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。  第一に、日本国有鉄道清算事業団の債務等に係る負担の軽減を図るため、政府はい日本国有鉄道清算事業団の債務のうち、額面金額の合計額が三兆三十五億円に相当する日本国有鉄道清算事業団債券に係る債務を一般会計においで承継することとし、同時に、日本国有鉄道清算事業団に対し同額の資金を無利子で貸し付けたものとすることとしております。  第二に、政府は、日本国有鉄道清算事業団に対する無利子貸付金について、据置期間を一年以内の期間延長することができることとしております。  以上が、日本国有鉄道清算事業団の債務の負担の軽減を図るために平成九年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案の趣旨でございます。よろしくお願いいたします。(拍手)      ————◇—————  日本国有鉄道着算事業団の債務の負担の軽減を図るために平成九年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  17. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。横内正明君。     〔横内正明君登壇
  18. 横内正明

    ○横内正明君 ただいま趣旨説明のありました日本国有鉄道清算事業団の債務の負担の軽減を図るために平成九年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案について、自由民主党を代表いたしまして、総理並びに運輸大臣に質問をさせていただきます。  昭和六十二年四月一日、当時、経営が破綻していた日本国有鉄道の鉄道事業を再生するため、日本国有鉄道の分割・民営化を柱とする国鉄改革が断行されました。橋本総理は、このとき運輸大臣として国鉄改革関連法案を手がけられたのを初め、改革実施陣頭指揮に当たられました。  この国鉄改革の実施から今日でちょうど十年が経過しましたが、分割・民営化されたJR各社の経営状況は当初の見通し以上に国鉄時代に比べて好転しており、サービス面も著しい改善が図られておりまして、我が国の鉄道事業を再生し、将来にわたってそのサービスを維持していくという観点からは、国鉄改革はおおむね成功裏に推移していると考えられます。  しかしながら、国鉄改革のもう一つの課題である長期債務処理の問題については、今日でも旧国鉄時代と同様の状態のまま残されております。この国鉄長期債務問題の解決なくして真の国鉄改革は完遂しないと言っても過言ではありません。  昭和六十二年の国鉄改革により、国鉄長期債務の総額三十七兆一千億円のうち、二十五兆五千億円については日本国有鉄道清算事業団が処理することとなり、事業団では、旧国鉄所有土地の売却やJR株式の売却といった自主財源収入によりこの債務を償還することとなっておりました。しかしながら、昭和六十二年度において二十五兆五千億円であった債務は、平成八年度には二十七兆六千億円に増加し、平成九年度には、鉄道共済年金の厚生年金への統合に伴う新たな債務も加わって二十八兆円を超える見込みであります。  このように債務が増加した原因として、バブルによって地価が高騰していた当時、昭和六十二年十月のことでありますが、緊急土地対策要綱を閣議決定して事業団の土地売却を凍結したことが挙げられております。そこで、一部の論者の中には、あのバブルのとき土地を売っておけばこのようなことにはならなかった、土地売却を凍結したのは政策の失敗だったという意見がありますが、こういう見解について運輸大臣はいかがお考えになりますか。  私は、昭和六十二年のあの当時は、地価の高騰問題への対処が声高に叫ばれ、まさに地価抑制策が全国民的な緊急課題でありましたから、土地売却の凍結は当時としてはやむを得ない措置だったと考えておりますが、この点についての所見を運輸大臣にお伺いします。  国鉄清算事業団の自主財源収入を充ててもなお残る債務については、最終的には国において処理する、つまり国民負担とすることが昭和六十三年一月の閣議決定で決められております。国鉄改革当時の昭和六十二年時点では、この国民負担額は十三兆八千億円と見込まれておりましたが、現時点においては二十兆円を超えると見込まれます。国民負担をお願いする以上は、事業団の資産を早期に処分して国民負担額の軽減に精いっぱい努力すべきことは言うまでもありません。特に土地については、平成九年度が処分の最終期限とされております。今後、事業団の資産の早期処分にどのように取り組んでいくのか、運輸大臣にお伺いいたします。  今回の特別措置法案は、国鉄清算事業団の九年度における借入額と同額の約三兆円の有利子債務を一般会計が承継することにより債務を無利子化し、国鉄清算事業団の将来的な債務の累増を防止しようとするものであります。この法律案について、一部のマスコミの論調の中には、今回の措置は債務処理の単なる先送りではないかという批判があります。この債務処理の先送りという批判に対して、運輸大臣の御見解を伺いたいと思います。  国鉄長期債務の本格的処理は、橋本内閣が直面している最重要課題の一つであると私は考えております。膨大な額の債務を処理するための負担は、国民にとっては大きな痛みを伴うものであります。だからといってこの問題の解決を先送りすることは、後世代に負担をツケ回しすることにほかなりません。断じて先送りせずに具体的な処理方策を策定し、早期実施していくことが必要であります。私は、国鉄改革を実施された総理が、その総仕上げというべきこの最重要課題に取り組まれることは、何かの因縁ではないかと感じざるを得ません。  最後に、総理のこの問題解決に向けての御決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎登壇
  19. 橋本龍太郎

    内閣総理大臣橋本龍太郎君) 横内議員お答えを申し上げます。  国鉄長期債務問題につきましては、昨年十二月二十五日に閣議決定を行い、平成十年度から債務の本格的処理を実施することとし、その具体的な処理方策につきまして平成九年中に成案を得ることといたしました。この問題につきましては、あらゆる選択肢を精力的に検討するとともに、国民的な論議を十分に尽くし、今年中に処理方策を策定できますように最大限の努力を傾注してまいることとしております。  残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)     〔国務大臣古賀誠君登壇
  20. 古賀誠

    国務大臣(古賀誠君) 横内議員お答え申し上げます。  まず、地価高騰時における国鉄清算事業団の土地の売却の凍結についてお尋ねでございます。  一般競争入札による土地売却の凍結につきましては、一方で、債務の償還、国民負担を軽減すべきという観点から早期に売却をやるべきではないかという主張があったものの、既に急激に高騰しつつある地価を抑制するという当時の国家的緊急課題、そういったことにかんがみ講じられた措置と理解しているところであります。土地売却を凍結すべきとの考え方は、先生もお触れいただきましたけれども、当時の国会、マスコミの大勢であったことも事実であります。  次に、今後の国鉄清算事業団の資産の早期処分についてお尋ねでございます。  事業団の土地につきましては、平成八年度は汐留等の大規模物件の売却を着実に進めさせていただき、約一兆五百億円の売却実績を上げましたが、引き続き、残る大規模物件の早期確実な処分を図るほか、地方公共団体に対しましても土地の購入を要請するなど、全力を挙げて早期処分に努めてまいりたいと考えております。  また、JR株式につきましても、JR各社の早期の完全民営化、国鉄の長期債務の償還を進めていく上で、JR各社の経営の動向、株式市場の動向等を見きわめながら、できる限り早期にかつ効果的な売却を進めていくことが必要であろうと考えております。  具体的には、今年度は、JR東海株式の売却、上場を目指すとともに、JR東日本等の第二次売却につきましても早期処分が図られるよう関係者間で調整を進めることといたしております。  最後に、今回の法案による措置は債務処理の単なる先送りではないかという批判についてお尋ねでありますけれども、国鉄長期債務につきましては、早期にその本格的処理を実施することが必要であると認識しておりますが、一方で、その処理方策の検討に当たりましては、幅広い国民的な論議を十分尽くすということが必要であろうと考えております。  このため、政府といたしましては、昨年十二月二十五日の閣議決定によりまして、国鉄長期債務の本格的処理を平成十年度より実施することを確定した上で、平成九年中にその具体的処理方策の成案を得るということとしたところであり、単なる先送りとは考えでおりません。最終的な国民負担の増加を極力防止するため、平成九年度における事業団の借入見込み額に相当する有利子債務を無利子化すること等により、問題の先送りとならないように今回必要な措置を講じたものでありまして、御理解をいただきたいと思います。(拍手)     —————————————
  21. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 中川正春君。     〔議長退席、副議長着席〕     〔中川正春君登壇
  22. 中川正春

    ○中川正春君 国会の外は桜が満開であります。私も、初めての質問を壇上から新進党を代表してさせていただきます。(拍手)  さて、今国会におけるさまざまな議論の中でも、橋本内閣の改革とは名ばかりのもので、国民の間には、次第にその姿をあらわしてきた日本の危機と行き詰まりの状況に、深刻な閉塞感が漂っております。改革は既に議論の段階を過ぎているのであります。  そういった意味では、今回提出された国鉄清算事業団の債務負担軽減のための特別措置を目指す法案は、二十八兆円にも上る長期債務に対して、とりあえずの緊急避難的な特別措置を講じるだけのものであります。これによって、政府は問題の根本をまたしても先送りしようとしているのであります。  そんな中で、まず指摘しなければならない問題の第一は、橋本総理、あなた自身の責任についてであります。  昭和六十三年、中曽根内閣のもとで、国鉄の民営化と清算事業団による国鉄債務の清算方式を決めました。その結果、事業団は二十五・五兆円の長期債務を旧国鉄から引き継ぎました。そのうち十三・八兆円が国民負担とされたわけであります。それから十年後の平成九年、現在までに事業団は、毎年一兆円を超える利息の積み上げなどから、現在の累積債務は、六十三年当初の二十五・五兆円をさらに上回る二十八兆円規模に近づいています。  さらに、ある試算では、今世紀中に事業団の保有する土地と株式をすべて売却しても、なお二十四兆四千億円の債務が残ることがはっきりしております。十年前に十三・八兆円でスタートしたものが、二十四兆円以上の負担となる見込みであります。一人当たりの国民負担に直すと二十万円を超え、これは住専処理の三十倍になります。まさに政策の失敗であります。借金を清算するつもりでつくった事業団が逆にその借金をふやしているなどというばかげたことは、許されていいはずがありません。  橋本総理は、昭和六十三年、国鉄清算事業団の債務の清算スキームを決定するときには、当時の運輸大臣としてその最高責任者の位置にありました。また一方で、バブル発生期の土地高騰を理由に、事業団に対して、国鉄用地の一般競争入札による売却を停止させたのも当時の橋本運輸大臣なのであります。橋本総理、あなたの、問題の先送り、政治決断の欠如が、結果的には長期債務を雪だるま式に膨らませ、国民負担を前にも増して大きくしてしまったということではないでしょうか。  今回もまた、その場しのぎの緊急避難のための法案が提出をされましたが、いつまでこんなことを続けていくつもりですか。何にも増して総理国民の前にはっきりさせなければならないことは、一連の政策の失敗と無責任な問題解決の先送りに対する責任の所在であります。  同時に、一体いつまでに根本的な長期債務の解消のための成案をつくるのか、少なくともそれを今はっきりと示すことが国民協力を仰いでいくためには何よりも大切なことだと思いますが、いかがでしょうか。総理の明確な答弁を求めます。  第二の問題は、今日の莫大な債務のそもそもの原因であります。特に昭和五十年代から急激に膨れ上がった国鉄の債務残高は、一体だれにその責任があったかということであります。  いろいろな議論の中でも、まず最初に指摘されなければならないことは、旧国鉄当局の経営責任であることは、これは言うまでもありません。しかし、今回の長期債務の全体を見渡したときに、この問題の根はそれよりももっと深いところにあると思います。大きく言えば、五五年体制の中での日本の政治風土が、二十八兆円という莫大な債務の中に問われているのであります。  私たちのごく身近なところで陳情政治が繰り返されてきました。例えばそれぞれの過疎地域の抱えるローカル線なども、その建設の当初には、地方の激しい陳情合戦がベースになっているのであります。政治的圧力がその源泉なのです。しかし、例えば昭和六十三年に民営化され第三セクターとなった私の地元の伊勢線なども、最終的には九十一億円に上る建設費の債務残高を清算事業団にかぶせています。現在に至っても、毎年二千万円を超える営業損失を出しながら、いわばこの電車はほとんど空気を積んだまま線路の上を走り続けているのであります。こうしたことは、私の地元だけではなく、いまだに日本じゅうで繰り返されていることは改めて指摘するまでもありません。  当初の建設コストに対して、利用負担という市場原理だけでは採算が見込めないとはっきりしているにもかかわらず、一時しのぎの鉄道債券であろうと、当時は花形であった財政投融資や補助金などの税金からの持ち出しには、無責任きわまる甘えの構造があったという事実が問題なのであります。最後は国が面倒を見ることになるという暗黙の了解だけで物事がここまで進んできたことには、ただただ唖然とするばかりであります。  さらに、運用段階の中で、輸送手段が鉄道から車へとシフトしてきているという指摘は、当時さまざまな分野からありました。にもかかわらず、個別の鉄道路線に対する合理化計画が実現できなかった運輸省当局の鉄道へのこだわりが問題なのであります。最終的にはすべて国鉄当局の長期債務の中に押し込めて先送りをし、最後に国民にツケを回したという運輸省の責任は、厳しく問われなければなりません。また一方では、建設省の独断的な道路づくりにも問題があります。地方の国土計画都市計画の中に公共交通システムをトータルに描けなかった縦割り行政の弊害は、ここにも凝縮された形であらわれでいます。このように、歴代政府の主体的な戦略の欠如は、過去の問題だけではなく、今のこの国会でも厳しく追及されなければならないことであります。  こうした思いを前提にして、総理並びに担当大臣にお尋ねをいたします。  まず第一に、私たちは、国家の財政再建という大命題に挑もうとしている今日のこの国会に対して、新たな挑戦としか言いようのない整備新幹線の復活論議を前にしております。かつての国鉄に課せられたこうした根本的な問題は、現在、私たちの間に本当に反省をされ、生かされているのでしょうか。整備新幹線を凍結し、その財源を長期債務の返済に充てるつもりはありませんか。  第二に、運輸省や建設省の縦割り行政の弊害から、一体的な交通体系の欠如がこの長期債務の原因の一つであるとすれば、揮発油税等の特定財源を一般財源化し、その中から長期債務返済を考えていく必要はありませんか。さらに、一般の公共事業の見直しによってこの財源を確保するということについてはどうでありましょうか。  第三に、都道府県を中心にした地方公共団体は、それぞれの交通体系に対して、国任せではない、主体的な計画立案をしていかなければならないという貴重な経験を積んだのだと思います。そうした意味でも、過去の債務に対しての負担を、今そのサービスを享受している地方公共団体協力をしてもらうという、そういうおつもりはありませんか。  第四に、そもそもの原因の張本人であるJR各社に対する運賃課税なり収益からの負担なりを考えていくということはありませんか。  最後に、国土の均衡ある発展を目指してという大義のもとに、激しい陳情合戦を繰り広げ、日本の隅々にまで鉄道計画が設定されました。現代においても、国幹審における高速道路の建設計画整備新幹線、地方空港の誘致合戦等に展開される陳情政治は、つまるところ皆同じ根っこを持っております。  私は、しかし、これを全く否定してしまうことには反対なのです。地方にとっては、どのようなものであれ、大きなプロジェクトが国家によって採択されれば、それは皆望ましいことであります。それがために、私たちは選挙を戦い、地域を代表する形でこうして国会に出てきました。  しかし、その結果として、各部門での行き詰まりがはっきりあらわれてきており、今こそ新しい政治システムの確立が求められていることも事実であります。私たちに欠けていたのは、そうした利害の衝突をトータルに調整する機能であり、さらに、みずからの限界を踏まえて、国民に対し、将来に得られる本当の利益とそれに対する負担を説明することであります。  政治の信頼を取り戻すために、責任逃れの審議会の答申や省庁の権益争いではなく、この国会で、橋本総理、あなたの口から直接国民に対して明確に説明する責任があることを最後に指摘し、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎登壇
  23. 橋本龍太郎

    内閣総理大臣橋本龍太郎君) 中川議員お答えを申し上げます。  冒頭、国鉄長期債務の累積に対し責任を感じていないかという厳しいお言葉がありました。  もちろん責任を感じます。その上で改めて、私は、そのときそのときの政策担当者は、少なくともそのときの状況の中で最善だと思われる努力をしてきたということはまず聞いていただきたいと思います。  そして、議員は昭和六十三年と言われましたが、正確には昭和六十二年十月、緊急土地対策要綱に基づく旧国鉄用地の売却の見合わせにつきましては、国鉄清算事業団発足後、大都市を中心と して地価が急激に高騰する事態に対処する措置でありました。そして、この措置は、当時における国家的緊急課題でありました地価対策上の観点、そして国鉄長期債務に係る国民負担の軽減の観点、その双方を総合的に勘案した上で講じられたものだと私は理解をしております。  そして同時に、その債務の問題についていつまでに成案を得るのかという御指摘をいただきました。  早期に本格的な処理を実施することが必要であると認識しておりますが、その処理方策について幅広い国民的な議論を十分に尽くす必要があると思います。そのために、政府としては、昨年十二月二十五日の閣議決定におきまして、平成十年度から国鉄長期債務等の本格的処理を実施することを明らかにするとともに、その具体的処理方策の検討を進め、平成九年中にその成案を得るということにいたしております。  次に、整備新幹線を凍結して長期債務の返済に充てる、そうした御指摘をいただきました。  しかし、整備新幹線につきましては、収支採算性の見通し、JRの貸付料等の負担、さらに並行在来線の経営分離についての地方公共団体の同意、JRの同意などの基本条件が整えられていることを十二分に確認した上で、財政構造改革と矛盾しないようにその取り扱いを厳正に判断することとしております。一方、国鉄長期債務につきましては、昨年十二月の閣議決定に従い、今申し上げましたような方針のもとに、今後あらゆる選択肢を精力的に検討していこうとしております。  次に、特定財源の一般財源化あるいは一般の公共事業の見直しによって債務を返済してはどうかという御意見がありました。  特定財源制度及び公共事業につきましては、財政構造改革会議で幅広く検討を行ってまいります。いずれにせよ、国鉄長期債務などの本格的処理を平成十年度から実施できるようあらゆる選択肢を精力的に検討していく、そのとおりに申し上げておきます。  次に、国鉄長期債務に対する地方公共団体に対しての協力要請という御指摘がありました。  私は、地方公共団体が国鉄によってさまざまな便益を受けた、それは事実だと思います。しかし、昭和六十二年の閣議決定におきまして、「土地処分収入等の自主財源を充ててもなお残る事業団の債務等については最終的には国において処理するものとするが、その本格的な処理のために必要な「新たな財源・措置」については、歳入・歳出の全般的見直しとあわせて検討、決定する」とされておるところであります。  JRの負担によって長期債務をというお話がございました。  こうした御意見が一方にあることも承知をいたしておりますが、同時に、国鉄改革の経緯を踏まえたとき、こうした手段はとるべきではないという意見があることも承知をいたしております。いずれにしても、最終的な国民負担のあり方、いかなる措置があり得るか等については、幅広い検討を必要とするものだと思います。  また、国土の均衡ある発展を目指して行われる高速道路や整備新幹線、地方空港などについて、責任逃れの審議会答申や省庁の権益争いではなくという御指摘をいただきました。  これは、私自身そのとおり、これら社会資本について、国土の均衡ある発展、都市部における混雑の緩和などの政策的な要素、需要の動向等、それぞれの事業固有の要素等を総合的に勘案しながら、投資効果を確認しつつ整備を行っております。  残余の質問については、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)     〔国務大臣古賀誠君登壇
  24. 古賀誠

    国務大臣(古賀誠君) 中川議員お答えいたします。  まず、整備新幹線と国鉄長期債務との関係についてお尋ねでございます。  国鉄長期債務の処理は、昭和六十二年四月に実施されました国鉄改革の総仕上げの観点からも極めて重要な課題であるという認識は全く先生と同じであります。ただいま総理からも御答弁いただきましたとおり、その具体的な処理方策につきましては、今後あらゆる選択肢を精力的に検討していく所存でございます。  一方、整備新幹線は、国土の均衡ある発展地域の活性化を図るという観点から、その整備推進する必要があり、そのような中で、整備新幹線につきましては、ぎりぎりの調整の結果として、収支採算性の見通し等々の基本条件が整えられていることを十二分に確認した上で、財政構造改革と矛盾しないよう適切に対処してまいりたいと考えております。  国鉄の長期債務解決のための処理方策として具体的に御指摘いただきました特定財源の一般化、一般の公共事業の見直し、地方公共団体協力、JR各社に対する運賃課税等についてお尋ねでございましたが、これらにつきましてはいずれも総理に御答弁をいただいたところでございます。(拍手)     〔国務大臣三塚博君登壇
  25. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 中川議員お答えを申し上げます。  大半は、総理大臣基本的なポイントをお話しになりました。  まず、整備新幹線についてのお尋ね、そして同時に、どうするかということでありますが、これも総理が答えたとおりであります。今後、収支採算性の見通しの基本条件を整えることが極めて重要であります。その点を確認した上で、財政構造改革と矛盾することのないよう厳正に判断することになります。  さらに、国鉄長期債務の処理についてでございますが、平成八年十二月二十五日の閣議決定を受けまして、平成十年度より国鉄長期債務の本格的処理を実施するべく、将来世代への負担の単なるツケ回しとなりませんよう、あらゆる選択肢を考えこれに対応してまいりますことは当然であります。  ちなみに、国鉄分割・民営化が成功する、その結果といたしまして、十年間たちましたが、当時は国庫補助金が六千五、六百から七千億円、十年通算をいたしますと七兆円の大きな額に達します国費の支出を民営化によりまして遮断することができ得ました。また、JR各社が健闘するたまものとして、国税、地方税を納めるということになりました。十年間で二兆円、こういうことになります。九兆に近い大変な財源が一般会計に、また地方財政を潤すということで地域に貢献をしておることだけは、この際申し上げさせていただきます。  二番目の御質問は、特に特定財源にかかわるお尋ねでございますが、財政構造改革会議におきましては、特定財源制度や公共投資の配分を見直すこととされる一方、国鉄長期債務等の処理については、将来世代への負担の単なるツケ回しをしないようにという、あらゆる選択肢を考えてこれに対応することは当然のことであります。大蔵省といたしましては、これらを踏まえまして、国鉄の長期債務等の本格的処理策を早期に策定いたしまして実施に移していくことが喫緊の課題であると認識をいたし、全力を尽くしてまいるつもりであります。  最後に、JR負担にかかわるお尋ねでございます。  国鉄長期債務の処理につきましては、平成十年度より国鉄長期債務等の本格的処理を実施するため、その具体的処理方策の検討を進め、平成九年中にその成案を得ることといたしておるところでございます。大蔵省といたしましても、この基本的理念をしっかりと踏まえながら、あらゆる選択肢を精力的に検討することによりまして対策を立ててまいりたいと考えます。(拍手)     〔国務大臣亀井静香君登壇
  26. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) お答えを申し上げます。  議員御承知のように、国鉄改革のもたらす果実は子々孫々にわたって国民全体が享受するものであると私は思います。そういうことでありますから、債務処理につきましては、長期的な視点また幅広い観点からこれは検討されるのが筋である、このように考えます。  道路特定財源を回したらどうかという御指摘でございますけれども、自動車利用者が拠出するそうした財源をそういう形で流用することは、税体系上の問題があると私は思いますし、また、ユーザーの理解が十分得られるかどうかという点で大変な問題がある、私はこのように考えております。(拍手)     —————————————
  27. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) 家西悟君。     〔家西悟君登壇
  28. 家西悟

    ○家西悟君 本案の質疑の前に、一言発言をお許しいただきたいと思います。  過ぐる三月二十九日、薬害HIV訴訟の和解から一年がたちました。この間の、本議場にお集まりの議員の皆様並びに政府の御尽力、御支援に、私は原告の一人として心より感謝申し上げます。ありがとうございました。(拍手)  しかし、患者の医療保障や遺族の弔慰事業、真相究明など、HIV恒久対策の進捗はいまだに不十分としか言わざるを得ません。今後さらに御努力いただき、二度と悲惨な薬害を起こさないために一層の力添えをいただきたく、心よりお願い申し上げます。(拍手)  さて、私は、日本国有鉄道清算事業団の債務の負担の軽減を図るために平成九年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案に関し、民主党を代表し、質問いたします。  国鉄改革が着手されてから十年がたちますが、その道筋はいまだに定まっておりません。清算事業団の長期債務は、今後の土地売却益などを見込んでも二十一兆円以上が残ることになります。この問題が解決されない限り、国鉄改革は達成され得ないのです。この期に及んでも本法案程度の措置しかとられないこと、政府の無為無策の先延ばしによって、当初十三兆八千億円とされていた国民負担分が減るどころか、いつの間にか二十兆円を超えることについての政治責任を明らかにしなければ、国民は納得しかねるものと考えます。  国鉄改革当時、運輸大臣であった総理は、国民負担を最小限にするために最大努力すると明言し、閣議決定までしました。しかしながら、この国民への約束が全くほごにされたばかりか、逆に債務が肥大化し、その上、償還計画策定が先送りされたことに、国民は大きな怒りを持っています。当時の所管大臣として、また現総理として、この全くもって恥ずべきてんまつにどう責任をとられるのか、国民に謝罪、釈明されるのか、伺います。  これまでの政策の誤り、その責任を棚上げにしたままで負担を課せられることを国民は許すはずがありません。財政構造改革のかけ声も、ただむなしく響くばかりです。一体これまでにどのような措置がとられてきたのか、あるいは全く放置されたままだったのか、具体的に御説明願います。  また、本法案の措置は、事業団の負担を一般会計に移すのみで、国民負担の面では軽減にならないとの批判もありますが、いかがでしょうか。  また、「旧国鉄には毎年平均六千四百億円もの補助金がつき込まれていたが、JR発足後は逆に二千二百億円を超す法人税収、固定資産税収が生じた。これらを国民負担分削減措置に充当せず、土地が高く売れておつりが来るというバブルの夢に浮かれ、別の用途に浪費した」あるいは「八七年には土地売却が凍結され売却時期を逃し、その上、競争入札と決められていた土地売却の大半が不透明な随意契約で時価の半額で売却された」との批判がありますが、どう受けとめておられるのでしょうか。  そもそも、高利の財投資金が旧国鉄債務のみならず国のさまざまな借金肥大化の要因になっていることを考えれば、財政投融資のあり方の抜本的改革に直ちに着手すべきではないでしょうか。  次に、情報の開示について質問いたします。  先ほど冒頭に触れましたとおり、薬害エイズ事件の和解成立からちょうど一年が過ぎました。この事件の最大の不幸は、単にHIVウイルスが米国から輸入されたことではなく、混入されていた血液製剤に関する情報がすべて隠ぺいされたことにあるのです。  同じように、ベールに包まれた公共事業費の実態についても、国民は深く憂慮の念を抱いております。行革による歳出削減の努力を真摯に行うことなく、公共事業費のツケをすべて国民に回すのではないかとの懸念がぬぐい切れません。議論の途中経過を含めたディスクロージャーが旧国鉄改革問題に欠如していたことをどうお考えか、その責任を明確にしていただきたい。  加えて、旧国鉄債務以外に、いわゆる隠れ借金がどれくらいに上るのか、大蔵大臣、そのすべてを国民に明らかにすべきです。具体的な御説明をお願いいたします。  今や、国と地方の借金総額は五百二十一兆円以上にも上ります。また、モーダルシフトや情報通信の進展などにより、ネットワークインフラのあり方も再検討すべき時期を迎えております。このような中にあっては、長期債務の問題も我が国の 構造的な問題として大きくとらえ直すべきではないでしょうか。  民主党は、鉄道、道路、空港、港湾など縦割りになっている財源を統合し、総合交通網整備視点から交通政策に取り組むべきであると考えます。そのためには、既得権益の温存、公共事業の配分硬直化の原因ともなっている特定財源の見直しが必要不可欠であり、新たに総合交通体系財源へと再編成していくべきと考えます。長期債務問題も、こうした施策転換の上に立って検討すべきと思われますが、いかがでしょうか。  さきの本会議において、全国新幹線鉄道整備法改正案の施行及び新規着工に関連する予算の執行は長期債務の償還計画を策定してからにすべきと我が党の川内議員が申し上げたように、長期債務問題を整備新幹線問題の大前提とすることは多くの国民の率直な気持ちです。  その意味からも、一年とは言わず、一日も早く償還計画国会での議論に託すべきと考えますが、最後に総理の御決意を伺い、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎登壇
  29. 橋本龍太郎

    内閣総理大臣橋本龍太郎君) 家西議員お答えを申し上げます。  冒頭、エイズの問題にお触れになりました。  昨年三月に和解が成立をいたしましてから、議員の御発言を承り、改めて一年ということを感じました。この一年間、国が恒久対策推進努力をしてまいりましたこと、例えば治験薬の提供、医療費の自己負担の解消などを既に実施いたしましたほかに、平成九年度予算におきまして、エイズ治療・研究開発センター、地方ブロック拠点病院、御遺族の相談事業等の予算措置を講じておるわけでございます。今後とも、患者、御遺族の方々の御意見も伺いながら恒久対策を進めてまいりたいと考え、こうした点の御助言もまた賜りたい。この場をかりてお願いを申し上げます。(拍手)  次に、恥ずべきてんまつという言葉まで用いられ、国鉄の長期債務の責任についてお問いがございました。  私は、先ほど中川議員にも申し上げましたように、責任があると言われるなら、それを逃げる気はありません。その上で、この国鉄長期債務の問題、さまざまな経緯をたどってまいりましたが、その時代の情勢情勢の中で最善と思われる努力を講じてきたということは私は申し上げたいと思います。  昭和六十二年十月の緊急土地対策要綱、その中で旧国鉄用地の売却につきましては、「旧国鉄用地の売却については、国民負担を軽減すること及び一般競争入札を原則とすることに留意しつつ、当面の地価対策が国家的緊急課題であることに配慮し、現に地価が異常に高騰しつつある地域内の用地の売却については、現に公用、公共用の用途に供することが確実と認められる場合等を除き、その地域の地価の異常な高騰が沈静化するまでこれを見合わせる。」という閣議決定をいたしました。  これはまさに、その当時の大都市を中心として地価が異常に高騰を続けました状況に対し、これに対処する措置であり、その当時における国家的緊急課題でありました地価対策、そして国鉄長期債務に係る国民負担の軽減との観点を総合的に勘案して講じられたものであります。  また、総合交通体系財源への再編、そして国鉄長期債務との関連についてのお尋ねがございました。  特定財源につきましては、先刻も御答弁を申し上げましたように、財政構造改革会議で幅広くさまざまな検討を行っていくことといたしております。いずれにいたしましても、国鉄長期債務等の本格的処理は、平成十年度から実施できるようあらゆる選択肢を精力的に検討してまいります。しかし、総合交通特別体系の創設という点につきましては、施設ごとに受益と負担のバランスを考慮し利用負担が設定をされており、ある施設の利用者の負担で別の施設の整備に充当することが適当であろうか、また国民の御理解が得られるかといった点を踏まえて、慎重に検討していくべきものであると考えております。  次に、整備新幹線と国鉄の長期債務についてお尋ねがありましたが、先ほども申し上げましたように、整備新幹線につきまして、収支採算性の見通し、JRの貸付料等の負担、並行在来線の経営分離についての地方公共団体の同意、JRの同意等の基本的な条件が整えられていることを十二分に確認をした上で、財政構造改革と矛盾しないようその取り扱いを厳正に判断することとしております。他方、国鉄長期債務につきましては、昨年十二月の閣議決定に従い、平成九年中に本格的処理のための具体的処理方策の成案を得るべく最大限の努力をする、そう申し上げてまいっており、今後あらゆる選択肢を精力的に検討してまいります。  残余の質問につきましては、関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手)     〔国務大臣古賀誠君登壇
  30. 古賀誠

    国務大臣(古賀誠君) 私からも、家西議員が多年エイズの問題に取り組まれております御労苦に、心から敬意を表したいと思います。  それでは、質問お答えを申し上げてまいります。  まず最初に、国鉄の長期債務問題に対して講じてきた措置についてお尋ねでございます。  国鉄清算事業団においては、地価の高騰下で地価を顕在化させない土地処分方法の導入、また地方公共団体等への随意契約による売却の推進などによって、土地の早期売却に最大限の努力を行うとともに、JR東日本及びJR西日本の株式の売却、上場を果たしてきたところであります。また、政府といたしましても、この間、営団出資持ち分に相当する約九千四百億円の債務の承継や、一般会計に対する債務の償還期限の延長を行うとともに、平成八年度までに約一兆六千億円の補助を行ってきたところであります。  次に、本法案によります措置と国民負担関係についてお尋ねでございます。  国鉄清算事業団の自主財源であります土地や株式等の資産はもはや乏しくなってきて、事業団によって利子負担を処理する場合には、これに必要な資金は借り入れによらざるを得ない状況でございます。このことは、負担をさらに先送りして国鉄の長期債務を増大させることとなるため問題があると考えておりまして、平成九年度において、本法案に基づきまして約三兆円の債務を無利子化することが必要であろう、こう考えているところであります。  次に、土地売却の凍結と随意契約による処分についてお尋ねであります。  一般競争入札による土地売却の凍結につきましては、一方で、債務償還、国民負担軽減の観点から早期に売却をすべきという主張があったものの、既に急激に高騰しつつあります地価を抑制するという当時の国家的な緊急課題にかんがみ講じられた適切な措置だと理解いたしております。なお、土地売却を凍結すべきとの考え方は、先ほども申し上げましたように、当時の国会やマスコミの大勢であったということもあえて申し添えておきたいと思います。また、随意契約による土地の売却は、公共用途など明確な条件を満たすものに限っておりまして、その価格は、時価を基準として適正な手続と価格によって実施しているところでございます。  また、国鉄改革問題の情報の開示についてお尋ねでありますけれども、国鉄長期債務問題につきましては、早期に本格的処理を実施する必要がありますが、一方で、その処理方策の検討に当たっては幅広い国民的な論議を十分に尽くす必要があると考えております。国鉄長期債務の状況につきましては、従来より、国会への御報告を行うとともに、土地の処分状況や債務の状況につきましても定例の発表を行うなど、これまでも運輸省、清算事業団ともに広報活動を行ってきたところでありますが、今後とも国民の理解を得るように一層の努力を行ってまいりたいと考えております。  最後に、総合交通体系財源と国鉄長期債務問題の関係につきましてお尋ねでありましたけれども、今総理から御答弁をいただいたとおりでございます。(拍手)     〔国務大臣三塚博君登壇
  31. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 家西議員お答えを申し上げます。  その前に、社会の公正と正義のために真摯な御努力をいたされておりますことに、敬意を表したいと存じます。  御質問の第一は、国鉄長期債務についてのお尋ねであります。  法人税、固定資産税等についての御見識、そのとおりでございます。JR各社の経営状況は、国民の期待、地域の期待にこたえて極めて成果を上げておりますこと、御案内のとおりであります。他方、JRの納付いたしました法人税、地方税を長期債務の財源として使うべきではないのかという御趣旨でありますが、これらはそれぞれ一般財源として納入されるものでございますから、税体系から見ましても、直ちに投入するということは問題があると考えておるところでございます。  さらに、財政投融資につきましての基本的な役割、必要性は、将来にわたって残ると考えております。その役割は、社会経済情勢の変化に応じ変わってきますことは当然でございます。したがいまして、社会経済状況等の変化に応じ、対象分野、事業を見直し、資金の重点的、効率的な配分を図っていくことが必要であると考えておりまして、資金運用審議会の懇談会においても本格的な検討と研究が行われておるところでございます。  いわゆる隠れ借金について明確な定義はございませんが、厳しい財政事情のもとで講じてまいりました特例的な歳出削減措置など、今後国が適切な処理を行う必要がある措置を「今後処理を要する措置」として整理してまいりましたのが、いわゆる隠れ借金と命名されるところであります。これらを合計いたしまして一つのものと考えることには問題がありますが、あえて単純な計算を行いますと、平成九年度末で国鉄清算事業団債務は約二十八兆円となります。これを含めますと四十五兆円になる見込みでございます。  さらに、今後の取り組みについてのお尋ねでございますが、いわゆる特例的な歳出削減措置等については、それぞれの制度、施策をめぐる状況や考え方を踏まえまして、これまでも返済等その処理に努めてまいったところでございます。今後においても、それぞれの制度、施策をめぐる状況やこれまでの考え方、国の財政事情等を踏まえながら、適切に対応していく必要があると考えております。  さらに、特定財源等にかかわるお尋ねでございますが、財政構造改革会議におきましても、特定財源制度を見直すこととされます一方で、国鉄長期債務等の処理につきましては、将来世代への負担の単なるツケ回しとしませんよう、あらゆる選択肢を精力的に検討すると前段も申し上げましたが、この基本的考え方で取り組んでまいります。大蔵省としては、これらを踏まえまして、国鉄長期債務等の本格的な処理策を早期に策定し、これを実施に移してまいりたいと考えておるところでございます。(拍手)     〔国務大臣亀井静香君登壇
  32. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) お答えをいたします。  議員御提唱の陸海空それぞれ整合性のとれた交通体系を整備すべきであるというお考えには、私も同感でございます。  ただ、財源について道路特定財源に目をつけられては困るわけでございまして、道路建設が道路特定財源だけでは足りていないということは議員も御承知のとおりであろうと思います。そういう小さいことじゃなくで、国家財政全体の中で、社会資本整備の重要性に着目して、きっちりとした財政上の措置がされるべきである、私はこのように考えております。(拍手)     —————————————
  33. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) 平賀高成君。     〔平賀高成君登壇
  34. 平賀高成

    ○平賀高成君 私は、日本共産党を代表して、日本国有鉄道清算事業団の債務の負担の軽減を図るために平成九年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案について、総理並びに関係大臣質問をいたします。  国鉄の分割・民営化から十年がたちました。この最大の口実とされたのが、旧国鉄の長期債務の解消ということでした。ところが、分割・民営化のときに二十五兆五千億円であった債務は、減るどころか約三兆円も膨れ上がり、今では二十八兆三千億円にもなっているのです。政府は、この長期債務の処理について何ら抜本的な処理策を示すことなく、国民一人当たり二十万円を超える負担を何の責任もない国民に押しつけようとしているのであります。このような無責任国民へのツケ回しを絶対に容認することはできません。当時の運輸大臣でもあった総理は、この責任をどう考えているのか、答弁を求めます。  もともと、旧国鉄債務について国民には何の責任もありません。旧国鉄債務は、第一に、歴代自民党政府が国鉄を高度成長政策に奉仕させ、巨額の設備投資を専ら借金で行わせてきたこと、第二 に、道路には巨額の予算を投入してモータリゼーションを促進しながら、国鉄には赤字を理由に運賃値上げとサービス切り捨てをやらせ乗客離れを引き起こしてきたこと、第三に、大企業貨物に対する出血サービス、資材購入や工事発注でのゼネコン・大企業言いなりなど、国鉄を大企業の食い物にしてきたことにあります。  分割・民営化に当たっても、鉄建公団や本四架橋公団の債務まで国鉄に押しつけ、本州JRに対して破格の安値で国鉄資産を譲り渡すなど、処理すべき債務を意図的に膨らませてきました。  旧国鉄長期債務をまじめに解決しようとするなら、この長期債務の発生と累積の原因にメスを入れることを避けて通ることはできません。  私は、長期債務の発生の原因と経過に照らし、次の三つの処理策を提案し、総理答弁を求めるものであります。  第一に、低金利への借りかえを行うことです。  債務が膨らんだ理由は、利払いだけで毎年一兆三千億円、この九年間で十三兆円の金利を負担してきたことにあります。利子を払うために借金を繰り返していたのでは、いつまでたっても債務は減りようがありません。今、長期金利は三%程度であり、低利借りかえを行うべきです。平均金利を一%下げるだけで、年間二千億円程度も債務を減らすことができるのです。  第二は、本州JR三社に追加負担を求めることです。  JRは、時価に換算すれば何兆円もする資産を、国鉄が何十年も前に買い入れた原簿価格で手に入れました。例えば、当時の時価で二十兆円とも言われた東京・山手線の二十九の駅の用地をわずか七十九億一千三百万円で譲り受けたのです。受け継いだ債務の総額は三兆二千九百八十七億円ですが、これは山手線の駅用地の時価の一八%にすぎません。そればかりか、本州JR三社は、赤字を抱えるJR北海道、四国、九州、JR貨物を切り離したことで、確実に利益の上がる体制をつくったのです。現に大きく利益を出し、内部留保も莫大なものとなっています。この経過に照らしても、本州JR三社が応分の負担をするのは当然であります。  第三は、なお残る債務の抜本的処理策を立てるために、道路財源を含む総合交通特別会計をつくることです。  自民党政府は、道路投資などには巨額の国費をつぎ込んできました。一九六〇年度から一九七五年度までの十五年間に、道路投資は交通関係投資額の七割を占め、その財源の八割以上が税金で賄われてきました。これに対し、国鉄の場合は九割以上が借金で賄われてきたのです。ところが、こうした道路投資偏重政策のゆがみが継続されたままであり、ここにメスを入れることは当然であります。  今、深刻な財政危機のもとで、限られた財源を道路、鉄道、港湾、空港にバランスよく配分することは、避けて通ることができない課題となっています。そのためには、揮発油税など道路特定財源や港湾整備・空港整備特別会計、鉄道予算を一本化した総合交通特別会計を創設することが不可欠です。こうしてこそ、旧国鉄長期債務を国民への新たな負担なしで処理する展望を開くことができるのであります。  最後に、整備新幹線について伺います。  政府・与党は整備新幹線の建設を決めましたが、そのやり方は、地方自治体負担を倍増し、並行在来線を切り捨てるというものです。これでは、これまで以上に自治体負担を過酷なものにし、住民の不便を拡大することになります。しかも、JRは、受益の範囲ということで、現状よりももうからなければ一切負担はなしとなっているのであります。これでは、整備新幹線は財政面から破綻せざるを得ないのではありませんか。  このような従来型の無責任、無計画なやり方をやめ、さきに述べたように総合交通特別会計をつくり、財源対策でも、国民の足を守る上でも、国民本位の道理あるものにすべきであります。  総理並びに運輸大臣の答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎登壇
  35. 橋本龍太郎

    内閣総理大臣橋本龍太郎君) 平賀議員お答えを申し上げます。  まず、責任の所在をお問いになりました。  先ほど来申し上げておるとおりであります。そして、その時代時代の必要な施策の選択ということも、先ほど申し上げたとおりでございます。  次に、金利負担の軽減を図るという点から、低利借りかえという御提案がありました。  これは確かに重要な課題でありますし、国鉄清算事業団が今後借り入れを行うものにつきましては、昨年十二月の閣議決定に基づいて、極力低利な資金を調達することとしております。一方で、既に借り入れを行いました債務の低利借りかえにつきましては、債権者に対し借り手の金利軽減コストのツケ回しをするものであり、難しいと思います。  いずれにせよ、国鉄長期債務の本格的処理のための具体的処理方策は、あらゆる選択肢を精力的に検討していく必要があると思います。  次に、JR本州三社に負担をさせるという御意見がありました。  そうした御意見もある一方、国鉄改革の経緯を考えればその道を通ってはならないという御意見があることもよく承知をしております。いずれにしても、最終的な国民負担のあり方を今後検討していく中で、幅広い検討を必要とするものと思います。  次に、総合交通特別会計、先ほどもお答えを申し上げたところでありますけれども、施設ごとに受益と負担のバランスを考慮して利用負担が設定されている、その中で、ある施設の利用者の負担で別の施設の整備に充当することが適当であろうか、国民の御理解を得られるだろうかといった点を踏まえながら、慎重に検討していくべきものと考えております。  いずれにしても、国鉄長期債務等の本格的な処理を平成十年度から実施できますよう、あらゆる選択肢を精力的に検討していく必要があると考えています。  残余の質問は、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)     〔国務大臣古賀誠君登壇
  36. 古賀誠

    国務大臣(古賀誠君) 平賀議員お答えいたします。  先生の御指摘は、整備新幹線の財源として総合交通特別会計をつくるべきだ、こうお尋ねだと思いますが、ただいま総理からも御答弁がありましたように、施設ごとに受益と負担のバランスを考 慮いたしまして利用者の負担が設定されているわけでございます。そういった中で、別の施設の整備にそれを充当することがいいのかどうか、国民の理解を得ることができるかどうか、慎重に検討していくべき問題だと考えております。(拍手
  37. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  38. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) 本日は、これにて散会いたします。     午後二時五十九分散会      ————◇—————