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1997-01-22 第140回国会 衆議院 本会議 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年一月二十二日(水曜日)     ―――――――――――――  議事日程 第二号   平成九年一月二十二日     午後一時開議  一 国務大臣演説に対する質疑     ――――――――――――― ○本日の会議に付した案件  在ペルー日本大使公邸占拠事件に関する決議案   (平沼赳夫君外十三名提出)  国務大臣演説に対する質擬     午後一時三分開議
  2. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。      ――――◇―――――
  3. 荒井広幸

    荒井広幸君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  平沼赳夫君外十三名提出、在ペルー日本大使公邸占拠事件に関する決議案は、提出者の要求のとおり、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。
  4. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 荒井広幸君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程に先立ち追加されました。     ―――――――――――――  在ペルー日本大使公邸占拠事件に関する決議   案(平沼赳夫君外十三名提出
  6. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 在ペルー日本大使公邸占拠事件に関する決議案議題といたします。  提出者趣旨弁明を許します。平沼赳夫君。     ―――――――――――――  在ペルー日本大使公邸占拠事件に関する決議案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――     〔平沼赳夫登壇
  7. 平沼赳夫

    平沼赳夫君 私は、自由民主党、新進党、民主党、日本共産党社会民主党・市民連合太陽党、21世紀新党さきがけを代表いたしまして、ただいま議題となりました在ペルー日本大使公邸占拠事件に関する決議案につきまして、提案の趣旨を御説明申し上げます。  趣旨の説明に先立ち、今回の事件人質となられた方々、そして今なお人質として日本大使公邸内に監禁されている方々及びその御家族関係者に対しまして、衷心よりお見舞いを申し上げる次第であります。  まず、案文を朗読いたします。     在ペルー日本大使公邸占拠事件に関する決議案   去る十二月十七日、ペルー首都リマで起きた日本大使公邸占拠事件は、我が国及び国際社会に強い衝撃を与えた。テロリストによるこの許しがたい行為は平和と安全を希求する国際社会に対する犯罪行為であり、強く非難されるべきものである。事件発生から早一ケ月、この間、我が国をはじめペルー政府及び関係各国等による平和的解決に向けた努力がなされてきているが、未だに多数の人々人質の身となっている。   本院は、この現状を憂慮し、一刻も早い事件解決に向けて、次のとおり表明する。  一 本院は、本事件が今なお解決に至っていな いことを深く憂慮するとともに、人質とされている多くの方々のご苦労と、ご家族関係者のご心労を思い、本事件早期全面的解決を求めるものである。  一 本院は、本事件におけるテロリスト行為を強く非難するとともに、テロリストに対しては譲歩を行わないとの原則を確認し、平和的解決を目指すペルー政府努力への支持を表明する。  一 日本政府は、ペルー政府及び関係各国と緊密に連携し、人命尊重を第一として、事態平和的解決を図り、全ての人質即時全面解放を実現すべく、引き続きあらゆる努力を払うべきである。   右決議する。 以上であります。  次に、本決議案趣旨を御説明申し上げます。  本事件は、現在もなお多数の方々人質として監禁され、全面解決へのめどは立っておりません。事件が長期化するに伴い、生命を脅かされつつ不自由な生活を強いられている人質方々の精神的、肉体的苦痛、また、御家族関係者の御心労は察するに余りあるものがあります。  本院は、このような現状を深く憂慮するとともに、人命尊重の立場から平和的解決に向けて努力しているペルー政府を支持するものであります。  いかなる目的であっても、何ら罪のない人々を巻き込んだテロリストたち行為は、平和と安全を希求する国際社会に対する重大な犯罪であり、断じて許されないものと言わざるを得ません。  日本政府は、事件早期解決に向け、ペルー政府及び関係各国と緊密に連携をとって、監禁されている方々全員即時に解放されるよう、引き続き最大限の努力を払うべきであります。  本院は、テロリストの卑劣な犯罪行為を強く非難するとともに、一刻も早く残る方々全員が安全に解放されるよう、事件平和的解決を切に望む次第であります。  以上が、本決議案趣旨であります。  何とぞ議員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)     ―――――――――――――
  8. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 採決いたします。  本案を可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。(拍手)  この際、内閣総理大臣から発言を求められております。これを許します。内閣総理大臣橋本龍太郎君。     〔内閣総理大臣橋本龍太郎登壇
  10. 橋本龍太郎

    内閣総理大臣橋本龍太郎君) ただいまの決議に対しまして所信を申し述べます。  政府は、事件発生当初より、テロに屈することなく、ペルー政府に全幅の信頼を置きつつ、人命尊重を最優先として、人質方々早期全面解放に向けて全力を尽くしております。  しかるに、事件発生から一カ月以上たった今なお解決に至っていないことはまことに遺憾であり、政府といたしましては、ただいま採択されました決議趣旨を十分に体し、この事件を一刻も早く平和的に解決し、人質全面解放されるよう、引き続き全力を傾ける所存でございます。  この機会に、国会及び国民の皆様の御理解と御協力を改めてお願いする次第であります。(拍手)      ――――◇―――――  国務大臣演説に対する質疑
  11. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) これより国務大臣演説に対する質疑に入ります。小沢一郎君。     〔小沢一郎登壇
  12. 小沢一郎

    小沢一郎君 第百四十回国会の開会に当たり、橋本総理施政方針演説に対し、新進党政治方針及び重要政策について所信を申し述べます。  昨年暮れペルーで発生した日本大使公邸占拠事件は、本日で三十六日目となりました。人質となられている方々や御家族方々のお気持ちを察するに、政治家の一人として身を切られる思いであります。日本政府は、事態の重大さを認識し、ただいまの決議趣旨も踏まえ、今後さらに、一刻も早い人質全面解放平和的解決に向け、責任ある対応をとるよう要請いたします。  また、ロシアのタンカー事故による重油流出は、日本海沿岸に深刻な被害をもたらしております。漁業資源のみならず、住民生活、環境、生態系への影響ははかり知れません。それにもかかわらず、事故に対する政府対応のおくれはまことに遺憾であります。国会としても、関係法令の制定を早急に行って対処すべきであります。  さて、昨年は、石油利権汚職厚生省補助金汚職オレンジ共済事件等、相も変わらず政官業にわたる構造汚職事件が発覚いたしましたが、本格的な真相究明はことしに持ち越されました。共和汚職事件についても政治責任がうやむやのままであります。捜査当局において徹底した真相の究明と公正な対応を行うとともに、国会においても政治的道義的責任が明らかにされなければなりません。新進党はその先頭に立つ所存であります。(拍手)  ことしに持ち越した問題は汚職・疑惑問題だけではありません。年末には、株安、円安、債券安トリプル安になりました。年明けに生じた株価の暴落は、市場橋本政権に重大な警告を発したものと言えましょう。  その直接の原因平成九年度予算編成にあります。橋本政権は、口では財政構造改革元年と称しながら、実態は利益誘導型の予算編成であり、新たな構造赤字を生む旧来型の予算であります。歳入面法人課税改正を先送りし、個人に対しては消費税所得税住民税増税社会保障費で合計九兆円もの負担増を強いております。そこには、国民勤労意欲投資意欲を高める税制改正などは一かけらもありません。  さらに、平成八年度補正予算においては、国債を増発し、景気回復にほとんど効果のない公共事業予算化しました。  昨年の住専問題の場当たり的処理が、今日、金融不安の抜本的解決の妨害となっていることを政府はどう反省しているのか。これも、日本経済破綻を早めている原因一つであります。  外国投資家から日本売りという屈辱を受け、証券市場からは、橋本政権では構造改革はできないという不信任を突きつけられています。ある世論調査によれば、七一%が予算の修正を行うべきだと要求しております。  新進党は、今日の経済異常状態対応するための緊急措置として、一つ所得税特別減税分制度化二つ地価税凍結、三つ、有価証券取引税廃止、以上の三点を中心に、補正予算及び総予算大幅修正を提案いたします。(拍手)  橋本政権は、経済財政金融行政社会保障、教育の六つ改革基本政策として挙げております。しかし、橋本総理施政方針演説からは、構造改革への熱意が全く伝わってきません。それは、橋本総理御自身の考えが、旧来システムを温存し、微調整すれば事足りるという発想に基づいているからではないでしょうか。  六つ改革致命的問題点の第一は、構造改革を遂行するために必要なマクロ経済枠組みを欠いているということであります。第二は、全体を統一する歴史観政策理念がなく、六つ改革がばらばらで、相互に足を引っ張り合っていることであります。  なぜか。それは、本気で構造改革をやる気がないからであります。歴史的転換を遂げるような構造改革は、必ず痛みを伴います。したがって、その痛みを吸収するためのマクロ経済枠組みと構想が必要であるにもかかわらず、これが全く欠落しているのであります。  橋本政権金融検査監督庁構想などは、行政改革どころか焼け太りになりかねません。行政改革会議に至っては、一年間議論した上で中央省庁の再編について成案を得るとのことです。これでは改革をやらないと宣言しているも同然であります。行政改革は二十年来の懸案事項で、臨調、行革審を初め民間シンクタンクにおいても具体案は出し尽くされており、あとは実行するか否かだけであります。  橋本政権本質は大きな政府旧来規制社会の継続であり、そのことは、村山政権以来の自社さきがけ政権が、行革は最優先課題であると言いながら何一つ実行しなかった事実を見れば明らかであります。(拍手)  本当の行政改革は、省庁の看板のかけかえや機構いじりをすることではなく、官僚が過度に持っている権限に基づく規制撤廃することであります。官僚にはもっともっと大事な国家の業務があるはずでございます。  石油利権をめぐる疑惑は、石油行政における規制すなわち官僚の持つ権限を利用するために、役人と企業が癒着した結果であります。高齢者福祉事業をめぐる厚生省汚職事件は、自分たちが立案、制度化し執行する血税による補助金自分たちに還流させる仕組み政治家官僚がつくるという信じられない構造汚職であります。  ペルー人質事件重油流出事故構造汚職問題、構造改革に逆行する予算編成といい、根底には同じ性質の問題がうかがわれます。それは、橋本政権がもたれ合いの体制の上に成り立っている政権だからであります。しかし、今や内外ともそんなモラトリアムを許してくれる甘い状況ではありません。  総理総理日本ゆでガエル論を御存じでしょうか。カエルは熱湯に投げ込まれると、慌てて飛び出し難を逃れます。ところが、ぬるま湯に入れ、次第に熱していくと、飛び出さずにゆでガエルとなって死んでしまいます。危機危機と感じないで、水温の変化に応じて微調整、微調整を繰り返しているうちに手おくれになるのです。これは、マレーシア戦略国際問題研究所長のノルディン・ソピー氏が日本の現況の危機を指摘した言葉です。  まず、私たち政治家自身が、危機本質改革必要性を明確に認識する必要があります。そして、明治維新のような革命的改革を断行し、あらゆるシステムをつくり直さなければなりません。  新進党は、二日間、延べ十二時間余りにわたる全議員による論議を経て、日本再建のための基本政策構想を取りまとめました。以下、その主な内容を申し述べます。  まず、国と地方構造改革ですが、新進党行政改革の理念は、単なる省庁数減らしや経費の削減ではなく、官による日本社会の隅々までの規制撤廃するとともに、中央集権から地方分権へと統治の仕組みを変え、自由で自律的な社会をつくり出すことであります。  今日の中央集権型行政システムは、許認可や補助金行政指導などで地方自治体民間の自由な活動を妨げ、我が国経済の停滞と社会閉塞状況を招いています。二十一世紀に向け日本をよみがえらせるには、国、地方を通じ行政仕組みを根本的に改革し、国民潜在的能力を十分に発揮させる仕組みにつくりかえなければなりません。  新進党は、効率的で小さな政府を実現することで、この国を必ずよみがえらせます。(拍手)大胆な行政改革の断行により経済社会を立て直すとともに、その結果として、深刻な赤字構造から脱却し、財政再建をなし遂げます。  具体的には、次のように行政改革を推進します。  中央集権型行政システムの根幹である中央省庁は、地方分権規制撤廃緩和を進めることにより、思い切って縮小再編し、国の役割は、外交、安全保障危機管理基礎的社会保障など必要最小限分野に限定します。それ以外の内政事務はすべて地方が行うこととし、その役割分担を明確に定める新しい地方分権基本法を制定します。  中央省庁は、まず十五省庁に整理し、最終的には十省に再編成します。中央省庁縮小再編に伴い、退職者の一部不補充などにより国家公務員の数を約二五%削減いたします。  地方行政は、地方がみずからの責任権限行政を行い、住民のニーズに合ったサービスの供給が行われる仕組みにします。そのため、国と地方役割分担明確化権限、財源の地方移譲住民参加拡大などを図り、さらに、全国三千二百三十二の市町村を三百程度に統合して地方自治体の基盤を強化し、真の地方分権担い手といたします。  また、国の補助金制度は、特色ある地域づくりを妨げ、政官業構造腐敗を生み、国に対する陳情や官官接待などで税金の膨大な浪費を招いております。この弊害を是正し、各地域の実情に応じた事業を進めるため、補助金廃止し、地方交付金として一括交付する制度に改めます。  特殊法人は、原則として五年後に全廃し、どうしても必要なものだけを時限立法で存続させます。郵政、林野、交通など国、地方現業部門は、財政投融資制度の見直しなどとあわせ抜本的に改革いたします。  構造改革とは、規制社会からの脱却であります。規制撤廃日本経済にはかり知れない活力を与えます。爆発的に市場拡大した携帯電話がそのよい例であります。「経済活動原則自由、例外規制」の原財のもとに、国、地方規制撤廃し、民間の自由で活力ある経済活動を積極的に活用、拡大します。同時に、規制撤廃によって新たな産業を生み出すことで、行政改革に伴うリストラ効果を上回る雇用を創出することができます。  また、官僚行政を打破し、国民に開かれた透明かつ公正な行政を確立するため、行政に関する情報は「原則公開例外非公開」を原則とする情報公開法を制定いたします。  一昨年の阪神大震災であれほど我が国危機管理体制の不備が問われたにもかかわらず、ペルー重油流出事故対応に見られるとおり、自社さきがけ政権は何ら根本的な対策を講じできませんでした。新進党は、大規模な事故、災害、犯罪テロなどから国民生命暮らしを守るため、行政全体を通じて危機管理体制を確立します。  また、いわゆる政官業の癒着を絶ち、政治家官僚の腐敗を防止するため、政治行政倫理法を制定いたします。  政治改革は、まだ入り口を経過したばかりであります。今後、参議院選挙制度改革や、政治家政党が主体的に政策を決定し、責任ある政治を行うために、国会改革が重要です。  まず、国会議員定数を二割削減することによって、国会自身行政改革先頭に立つべきであります。当面、参議院議員定数二百五十二人を二百人とすることを柱とする選挙制度改革を行うよう法案の提出を準備しております。  官僚依存政治改革するため、副大臣・政務次官の制度を導入して、政治家政党政府政策決定指導力を発揮し、責任を持つ仕組みに改めます。また、国会審議官僚が答弁する政府委員制度廃止し、与野党議員同士論議する仕組みにいたします。  さらに、総理大臣政治をリードする体制を確立するため、総理官邸総合調整機能を強化し、総理補佐官制度を拡充することが必要です。また、与野党議員が活発な議論を展開し、政策で競い合うことができるようにするため、野党の明日の内閣制度化いたします。  二十一世紀日本の規範となる新しい憲法については、国民主権基本的人権尊重平和主義国際協調主義など日本国憲法の原理を堅持しつつ、国民の皆さんとともに論議を深めたいと思います。(拍手)  次に、新進党国民暮らし立て直し政策について申し上げます。  これまでの政府経済政策は、景気が落ち込めば金利政策公共事業などの財政出動に頼り、少し景気が上向くと財政再建を理由に投資を控えて増税し、その結果景気が足踏みすると再び公共投資を追加することを繰り返すという、その場しのぎ対応に終始してまいりました。しかも、タイミングを誤り、経済立て直しもできず、財政がますます悪化していくという悪循環に陥っています。そこには経済財政中長期的シナリオが全く欠落しております。  このような政府対応は、二つの重大問題を引き起こしています。一つは、企業が将来展望を持てないため設備投資ができず、雇用が悪化していることであります。もう一つは、悪循環の繰り返しにより支出収入の両面でますます大きな政府になっており、その結果、株価地価も下落し、さらに不良債権処理をおくらせています。  こうした失策は、橋本政権下で一段とひどくなっております。国民に九兆円の負担増のみを強いて、旧国鉄債務処理を先延ばしするなど、構造改革には全く手をつけておりません。結局、大きな政府をより大きくするだけに終わろうとしております。今最も必要なのは、政治がどのようなスタンスで経済に臨むかをはっきりさせることであります。  戦略目標なき政権とは異なり、新進党国民に明確な政策目標を提示いたします。すなわち、我々は今何よりも経済立て直しが必要と考えます。  具体的には、民間支出主導型の自律的な三%台の成長軌道に戻すことを最優先政策目標といたします。なぜなら、経済社会構造改革には、まずマクロ経済の発展が不可欠だからであります。また、従来型の官中心から民間中心にシフトさせ、自己責任原則に基づき民間活力を引き出すことが必要であります。  新進党は、あえて消費税率凍結し、大幅減税等により経済成長を軌道に乗せるための政策を最優先させます。そして、単に財政収支を均衡させるための増税は行わず、あくまでも行政経費の徹底した削減経済再建による増収で財政健全化を実現いたします。(拍手)  どのような方法で目標を達成するかについて申し上げます。  我々新進党は、民間市場経済活性化する政策と、政府を効率的で小さくする政策とによって実現できると考えております。  日本経済は今、本来の成長力を十分に発揮できないまま悶々としております。大方のエコノミストの推計では日本経済潜在成長率は三%台と言われるのに対し、来年度までの六年間の平均成長率は一・三%にとどまると予想され、毎年二%近くものギャップが生じています。雇用企業業績の悪化、地価株価の低迷、不良債権問題の深刻化金融危機年金基金破綻など、日本経済の構造的な問題の大半はこのギャップによって引き起こされています。日本経済担い手たち勤労意欲投資意欲を高め、民間市場活性化して潜在能力を引き出し、経済の構造問題を解決しようというのが新進党考え方であります。  具体的には三つあります。  第一は、十八兆円の減税であります。  この数字は、三%台の成長が達成できた状態を前提として考えれば、驚く数字ではありません。四兆円は、法人税の基本税率引き下げ、課税ベース拡大連結納税制度の導入に使います。これは、企業負担主要先進国並みに引き下げ、国内で事業がやりやすくするためであります。残りの十四兆円は、有価証券取引税廃止地価税凍結NPO寄附金所得控除所得税住民税大幅減税に充てます。  第二は、規制撤廃緩和によるビジネスチャンスの拡大であります。  規制撤廃し、個人創造性能力を生かす活力ある社会に変えていくことにより、創造的な経営革新のチャンスを広げるとともに、新技術の研究開発、新産業分野の開拓、ベンチャー企業の育成、中小企業高度化等への投資を進め、雇用を創出しつつ、民間市場活性化を促進いたします。もちろん、競争社会では弱者の救済にも目を向けなければならないことは言うまでもありません。  第三は、公共料金のあり方を個別に総点検し、大幅に引き下げます。  日本の高物価は、国民生活の面で負担となっているばかりではなく、産業のコストにはね返り、諸外国との競争力を著しく低下させております。これらの負担を軽減することは、市場経済活性化に大きく寄与します。  また、金融改革については、橋本政権は単なる機構いじりでお茶を濁し、本質的な部分の議論に一歩も踏み込もうとしません。新進党は、行政指導を排除し、自由化国際化透明化の三原則を確立して、公正なルールに違反しない限り、金融機関は自由に商品を開発し、業務分野拡大できるように改革を断行します。また、預貯金の保護を初め、金融危機管理体制を整備しなければなりません。  次に、社会保障国民生活改革について申し上げます。  新進党は、少子高齢社会の到来を目前にして、安心と潤いのある生活を保障し、社会活力を維持していける仕組みをつくります。その際のキーワードは、自立てあります。単なる援助、救済ではなく、ノーマライゼーションの一環としての自立支援がすべての社会保障制度の基本的な考え方でなければなりません。  今国会では、医療保険法改正案介護保険法案が審議されようとしております。しかし、我が国社会保障制度は今や根本から見直すべき時期を迎えております。社会保険制度を系統的に統合し、むだのない制度に整理するとともに、公的扶助相互扶助及び公的保険民間保険のすみ分けを再構築する必要があります。  ところが、橋本政権はこうした整理を一切行わず、初めに介護保険制度ありきの議論からスタートしました。しかも、高齢社会を展望して直間比率の是正を進めるとしているにもかかわらず、介護の費用を保険料という一種の直接税で賄おうとしております。全く政策一貫性がありません。  新進党は、多様な選択肢の中で、個々人がみずからの責任において、創意工夫を生かし、その能力を発揮できるシステムを確立することが重要と考えております。そうした観点から、介護サービスの主体としてもっと民間を活用して選択の幅を広げ、競争を促進することにより、質の高いサービスが提供されるようにいたします。そのため、世界各国社会保障制度を初めとする幅広い分野で活躍しているNPOを一層普及させるために、寄附金に対する税制上の優遇措置を含む法律案国会提出いたします。  一方、少子高齢社会を迎え、働く男女二人で高齢者と子供二人を支えなければなりません。したがって、女性の潜在的な労働力が顕在化するのを妨げているさまざまな社会制度を是正し、女性に対する就労支援策を充実することが必要です。具体的には、雇用機会と労働条件の均等確保、税制、社会保障制度の見直し、育児休業制度や介護休業制度の充実を推進してまいります。また、六十五歳以上でも十分就労可能な高齢者のため、その受け皿となる就業機会の提供や自立のための支援制度を進めてまいります。  国づくりの基本は人づくり、すなわち教育であります。二十一世紀の新しい人間社会をつくるために、画一的な教育を改め、個性、自立性、創造性をはぐくむ教育を実現します。  また、スポーツは人づくりに欠かすことができません。国民だれもがスポーツを楽しめる環境の整備を行うとともに、スポーツの国際交流を積極的に支援し、国際親善を促進させます。  二十一世紀は、文化、芸術の時代です。すぐれた日本の文化、芸術を振興発展させることは、人類への貢献でもあります。総合的な文化振興策の法的基盤を整備いたします。  農林漁業振興政策は、まず、しっかりとした地方分権に裏づけられるべきであります。それぞれの地域で住民が工夫を凝らして、豊かで安定した生活を実現することを柱とし、次の視点に立った政策を実施します。  第一は、食糧安全保障体制の確立です。将来の世界的な食糧不足に備えて、基礎的な食糧を維持し、食糧自給率を向上させなければなりません。そのため、国民の理解のもとに、生産者が再生産していける条件を整えるとともに、国内生産、輸入、備蓄のバランスをとり、国民に良質かつ安全な食糧を安定的に供給する体制を確立いたします。  第二は、農山漁村地域の生活環境を整備するなど、総合的な地方振興政策を推進しなければなりません。特に、これまでの農政は、生産性の向上と規模の拡大による自立的農家の育成を目指してきました。特定の地域では効果を上げましたが、その枠組みだけでは対応できない地域に対しては、兼業農家の安定等、実情に即した政策を実施しなくてはなりません。  環境問題は、地球規模の問題へと拡大しています。我が国国際社会先頭に立ってそれに取り組むと同時に、環境産業の育成と資源の再利用の促進、新エネルギー、省エネルギーの開発普及を進めます。また、実効性ある環境アセスメント法を制定し、持続的発展が可能な社会を構築します。  さらに、我が国経済社会の未来を支える先端・基礎科学技術の開発振興と人材育成に努めてまいります。  次に、外交、安全保障について申し述べます。  安全保障本質は、生命、思想信条など人間の尊厳を守ることであると思います。今日の日本社会では利己主義が蔓延して、社会の病が深刻化しています。例えぱいじめ問題一つをとってみても、問題の解決を困難にしているのは、自分が当事者でない限り、親も教師も友達も見て見ぬふりをする現実にあります。社会のすべてにわたるこのような風潮が病巣を拡大し、一層日本社会の腐敗と混迷に拍車をかけております。  自分だけよければよいという風潮が国際社会でも蔓延し、それぞれの国家がこのような利己主義に陥ってしまったなら、平和を維持することはできません。私たち日本人が安全保障に対する正しい認識を持つことが、平和を守り、さらには日米同盟関係の信頼性を高め、結果として沖縄の基地問題の解決にもつながる道であると確信いたします。  我が国は、国連中心主義と友邦米国との日米同盟を基軸として、アジアの国々及びヨーロッパ諸国と協調しつつ、国際社会の平和と安定の維持のために積極的に行動すべきであります。特に、お隣の韓国、そして経済的発展を背景にグローバルな大国としての立場を強めつつある中国と、建設的、友好的関係を維持強化していかなければなりません。  我が国安全保障政策は、次の三つの原則を内外に明らかにして、それに従って安全保障基本法を制定し、推進してまいります。  第一の原則は、国連憲章と日本国憲法の理念に基づいて、我が国は、我が国が急迫不正の侵害を受けた場合にのみ、国民生命と財産を守るために武力を行使し、それ以外の場合には武力による威嚇や武力の行使は一切行わないということであります。国民の意思を踏まえて、集団的自衛権の行使はこれを認めません。また、なし崩し的であいまいな個別的自衛権の拡大解釈は、軍備の拡張を招き、過去の歴史の過ちを繰り返すことにつながり、絶対にこれを行ってはなりません。(拍手)  第二は、日米安保体制の堅持であります。日米同盟は我が国及びアジア太平洋地域の平和と安定のかなめであり、これを堅持し、その信頼性を高めることが必要であります。そのために、日米安保条約の諸規定を誠実に履行するとともに、防衛力を効率的に整備していく必要があります。  第三は、万一、不正な侵略により国際社会の平和と秩序が踏みにじられたとき、国連の安保理あるいは総会またはその双方において決議が行われた場合には、我が国決議尊重し、国連の平和維持活動に積極的に参加いたします。さらに、侵略に対する平和回復活動等の参加に関しては、事前に国会決議等により国民の意思を問うことなど、その対応、手続などについて安全保障基本法に定めます。これは、憲法の前文でうたわれている国際協調主義の具体化であり、国際平和のための活動であります。我が国は、これら国連の活動において責務を担っていくと同時に、国際社会の支持を得て、安保理常任理事国入りを果たすべきであります。  また、有事に超法規的行動をとったり、シビリアンコントロールを損なわないようにするため、あらかじめ有事法制の整備を進めなければなりません。  以上が、日本再建のための基本政策構想の概要であります。新進党は、この構想を十年計画で実現を図ることとし、西暦二〇〇〇年までに軌道に乗せることを目標としております。そのため、この改革構想の骨格を日本再建基本法案としてまとめ、今国会提出すべく準備を進めております。あわせて、個別の改革法案を順次提出して、改革の早期実現を目指してまいります。日本の直面する危機を正しく認識し、構造改革政治生命をかけようという同志諸君の党派を超えた御協力をお願いいたします。(拍手)  私は、改革それ自身を目的とは考えておりません。改革は、新しい日本、新しい人間社会をつくるための手段であります。  新進党が目指す新しい人間社会とは、人間の尊厳を大切にする社会です。人間が組織のこまとしてではなく、自由な個人として自己を確立し、真の民主主義社会を実現することであります。人間一人一人が能力に応じて仕事につき、自分でできることは自分でやり、足らざるところは助け合い、それでも及ばざるところは国が援助するという、自助、共助、公助という人間の価値を見据えた生き生きとした社会をつくり、地球人類の恒久的な平和と繁栄のため尽くしてまいります。(拍手)  以上、新進党を代表して、政治方針重要政策について所信を申し述べました。国民の皆様の御支援、御協力を心からお願い申し上げます。  橋本総理におかれましては、私の所信について御意見がありましたらお聞かせ願いたいと存じます。  御清聴ありがとうございました。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎登壇
  13. 橋本龍太郎

    内閣総理大臣橋本龍太郎君) 冒頭、在ペルー日本大使公邸占拠事件について申し上げます。  先刻、本院にも御決議をいただきました。政府としては、テロに対して屈することなく、また人命尊重を第一とし、ペルー政府に全幅の信頼を置きながら、事態平和的解決人質早期全面解放に向け全力を傾けております。しかし、状況にはなお予断を許さないものがあり、本院の御協力をも心からお願いを申し上げる次第であります。  次に、ロシアのタンカーによる重油流出事故について御指摘がございました。  事故発生後、直ちに人命救助を行いますとともに、冬の日本海の荒天の中でありましたが、タンカーからの流出油の監視、防除や、漂流している船首部の沖合曳航等の作業に全力を挙げて取り組んでまいりました。しかし、結果として、この船首部の曳航も成功せず、事態拡大をいたしましたことは大変残念であり、事態状況を踏まえてもう少し早く関係閣僚会議を開催するとか、政府対応に反省すべき点があったことは認めたいと思います。政府といたしましては、本件事故の重大さにかんがみて、被害状況の把握、環境に与える影響の調査、賠償問題などの被害対策、事故原因究明や老朽タンカー対策などの再発防止策につきましても、内閣を挙げて全力で取り組んでまいりたいと考えております。  次に、汚職事件について言及がございました。  こうした事犯は、国民一般に不公平感や政治行政に対する不信感を醸成するものであり、我が国の健全な発展を図るためには、こうした事犯に対し厳正に対処しなければなりません。捜査当局におきましては、従来からこうした事犯に対し厳正に対処してこられたところでありますが、今後とも引き続き、刑罰法令に触れると認められる事犯に対し法と証拠に基づいて厳正な処分が行われるもの、対処されるものと思います。  次に、金融システムの安定性の確保について御意見がございました。  我が国不良債権問題の緊急かつ象徴的な課題でありました住専問題への取り組みを突破口として、金融機関不良債権処理は着実に進んでおります。政府としては、不良債権問題の早期処理に引き続き精力的に取り組むことによりまして、金融システムの安定性の確保に万全を期してまいりたいと思います。  次に、所得税特別減税の継続実施等についての御意見がございました。  我が国経済の現況を見ましたとき、景気は回復の動きを続けておりますし、民間需要は底がたさを増しております。このような経済状況のもとで、厳しい財政事情にも配慮し、その財源を特例公債によらざるを得ない御指摘の特別減税などを実施しないことといたしましたが、今後、九年度予算にあわせ八年度補正予算の円滑な執行に努めるなど、適切な経済運営を進めてまいる所存でありまして、自律的回復への基盤が整いつつある我が国経済への信認を高めるためにも、八年度補正予算及び九年度予算の速やかな成立をお願い申し上げたいと存じております。  個別の諸措置についても幾つかの御提言がございました。  しかし、例えば所得税特別減税分を継続実施するということは、我が国経済が回復過程にあるということ以外に、財源は赤字公債によらざるを得ず、危機的な財政状況をさらに悪化させることなどから実施しないこととしておるところであります。  次に、構造改革について、マクロ経済枠組みに欠けている、あるいは歴史観がない、政策理念がないといった御批判がございました。議員からごらんになれば、残念ながらそう見えるのかもしれません。また、微調整では手おくれになるという御意見もいただきました。  私は、これまでの我が国の発展のあり方というものを振り返りながら、我々が一体どのような社会をつくり上げていくべきか、そのためにこの国の政治行政社会経済をどのように変えていくべきかを自分なりに随分考えました。そして、相互に関連している個々のシステム制度改革だけでは不十分であり、経済社会システム全体にわたる大転換が必要だ、そう思うに至りました。各党各会派の御協力をいただきながら、明治維新あるいは戦後に次ぐ第三の変革というものを総合的かつ一気呵成にやり上げでいきたい、そのように考えており、ぜひ御協力をいただきたいと思います。(拍手)  今般の金融行政機構改革につきましては、国会等の御論議をも踏まえながら、新たな課題に的確に対応しながら、市場規律を基軸とした透明な金融行政を確立する観点から実施をすることにいたしました。東京市場を国際金融市場に復権させることを目指しながら、現行の諸規制を見直し、広範かつ抜本的な金融システム改革を二〇〇一年までに逐次実行してまいります。  また、中央省庁についても御論議をいただきました。  中央省庁再編はまさに、行政機構の単なる再分類ではなく、官民の役割分担規制緩和撤廃地方分権の観点から行政の総点検を行うなど、二十一世紀における国家機能のあり方を踏まえた成案を行政改革会議において本年十一月末までに取りまとめることとしており、その結論に従って、平成十年の通常国会に所要の法律案を提案いたしたいと思います。国家機能のあり方に応じて、当然ながら、国家公務員の定員というものも定められていくことになると思います。  また、私が目指す社会というものは、国民の一人一人が将来に夢や目標を抱いて、創造性とチャレンジ精神を存分に発揮できる社会であります。そして、そのために、私は行政改革を初め六つ改革を訴えております。  国と地方役割分担についての御意見でありますが、地方分権の推進は、国は国際社会における国家の存立にかかわる事務など国が本来果たすべき役割を重点的に担い、地方公共団体は地域における行政の量的かつ総合な実施の役割を広く担うべきこと、これを旨として実施していかなければなりません。この考え方地方分権推進委員会の第一次勧告においても示されており、政府としては、このような考え方に沿って総合的かつ計画的に分権を推進してまいります。  しかし、地方分権の推進について、議員が、市町村を三百に統合と言われました。私どもは当然ながら分権を進めてまいりますし、地方分権の推進に応じた地方公共団体の行財政基盤の強化を図るために、徹底した行財政改革地方自治体にも求めますとともに、市町村の自主的な合併や住民参加の充実を初めとする行政体制の整備を進めてまいります。  次に、国の補助金廃止して地方交付金として一括交付する、そうお話がございました。  しかし、補助金の中には、例えば生活保護や義務教育のように、国が一定の行政水準を維持するため、また特定の政策目的のために、これを奨励する政策手段として重要な機能を持っているものがございます。当然ながら、地方行政の自主性の尊重財政資金の効率的は使用という観点から不断の見直しが必要であることは当然でありまして、九年度予算におきましても、廃止、一般財源化の整理合理化を積極的に進めてまいりました。私は、行政目的を異にする補助金を全般的にまとめてしまって地方公共団体に一括して交付する、これはちょっと現行の補助金制度趣旨から見て問題があると思います。  また、特殊法人や現業についても御提案がございました。  政府としては、行政について一切の聖域を設けないで行政のあり方を総点検することといたしておりまして、現業や特殊法人などの公的部門が提供されるサービス、これを民間にゆだねられないかとの観点から、行政改革の中で検討をいたしてまいります。また、それまでの間、特殊注入や現業部門について、当面、昨年末に決定いたしました行政改革プログラムに沿って改革を進めてまいります。  また、規制緩和について、経済規制原則廃止社会規制は白地からの見直しによって必要最小限に絞り込んでいく、これは繰り返し申し上げてまいりました。政府としては、今年度末の規制緩和推進計画の再改定に向け、内外からの意見、要望を伺いながら、行政改革委員会の意見を最大限尊重するとともに、新たな規制緩和項目を積極的に盛り込みながら、その内容を拡充することに全力を尽くしてまいります。国としては、地方公共団体におかれても、このような考え方に沿って、国の規制緩和と相まって規制緩和が進められることを期待しております。  また、情報公開法につきましては、昨年十二月十六日に行政改革委員会から提出されました情報公開法制の確立に関する意見を最大限に尊重し、できる限り早期法律案をまとめるべく作業を進め、平成九年度内に所要の法律案国会提出を図ることを、同月二十五日に閣議決定いたしました行政改革プログラムにおいてお示しをいたしております。  次に、行政全体の危機管理体制の確立について御意見がございました。  危機管理体制は、御指摘のように、常に点検、改善していくべきものでありますし、これまでも、阪神大震災の教訓などを踏まえまして、災害対策基本法の改正情報集約機能の強化、関係閣僚の緊急参集体制の整備など、その強化に努めてまいりました。今般のペルー事件重油流出事件については、それぞれ対策本部を設置し、政府を挙げて取り組んでおります。これらの事案を通じて得た教訓を生かしながら、さらに適切な危機管理体制の確立に努めてまいります。  また、政治倫理法、行政倫理法という御意見がございました。  政治献金につきましては、先般の三党政策合意におきまして、政治資金規正法の平成六年改正法附則の第九条及び第十条の規定を踏まえて、政治資金のあり方について協議を今後さらに進める旨明記されているところであり、各党各会派におかれても十分御論議をいただきたいと存じます。また、政府としては、行政府の中において発生いたしました昨年の不祥事を厳しく受けとめて、真に実効の上がる綱紀粛正の方策について、昨年十二月、事務次官等会議の申し合わせを行いました。この申し合わせに基づいて各省庁において制定された公務員倫理規程の厳格な遵守を図りながら、政府を挙げて綱紀粛正を徹底し、信頼を回復するように努めたいと思います。  次に、国会議員定数削減につきましても、先般の与党三党の政策合意におきまして、衆参の選挙制度については「議員定数削減を前提にし、民意がより良く国政に反映されるよう、早急に選挙制度の見直しを開始する」こととされております。各党各会派での十分な御議論を踏まえ、対応いたしたいと思います。  また、副大臣・政務次官制度の導入について、この内閣におきまして、政務次官等の役割を強化する観点から、閣僚経験をされた方たちを官房副長官、政務次官に充てるなどの取り組みを行ってまいりました。さらなる取り組みにつきましては、三権分立のもとにおける立法府と行政府との関係、政治行政との関係、行政の中立性の要請などにも十分留意しながら、検討させていただきたいと思います。  また、政府委員制度につきまして、従来から国務大臣を補佐する目的で両院議長の御承認を得て任命してまいったところでありまして、現在の委員会の審査方式を前提といたしますと、ある程度の任命はやむを得ないと考えています。この問題は、国会の御審議のあり方にも深くかかわるところでありまして、各党各会派の間で十分御議論をいただきたいと考えております。  次に、官邸の政策調整機能の強化については、行政改革会議の大きなテーマとして、二十一世紀国家機能のあり方を踏まえて検討をいたしており、本年十一月末に成案を得ることといたしております。この結論を得るまでにおきましても、各省に係る重要な問題につきましては、閣僚会議あるいは補佐官制度などを活用して実態的な強化に努めております。殊に内閣補佐官制度の拡充につきましては、現在、中央省庁再編を初めとする行政改革を担当する補佐官及び沖縄に係る諸課題に対応するための施策を担当させる補佐官を任命し、その識見を大いに発揮していただいており、今後ともブレーンとしての補佐官制度の活用を図りたいと存じます。  また、野党の明日の内閣制度化というお話がございました。  これはまさに、国会において各党の間でいかに活発な御論議を行うか、これは各党の問題でありまして、国会で十分御議論をいただきたいと思います。  次に、憲法についてお触れをいただきました。  二十一世紀の規範となる新しい憲法に関する御指摘でありますが、憲法の基本理念である民主主義、平和主義及び基本的人権尊重は、憲法が制定されてから今日に至るまでの間、一貫して国民から広く支持されてきたものであり、私は将来においてもこれは堅持すべきものと思います。憲法第九十六条は憲法改正の手続を規定しており、憲法が法理的に永久不変なものであるということではありません。そして、議論が行われること自体何ら制約されるべきものではありません。しかし、国の基本法である憲法、その改正というものについては、私は、世論の成熟を見きわめるなど極めて慎重な配慮を必要とするものだと考えております。  また、経済構造改革について御論議がございました。  構造改革経済発展の関係について、現に我が国は、高度情報通信の発展などによる世界の一体化や急速な少子・高齢化の進展、産業の空洞化の懸念などの諸問題に直面しているわけであります。こうした問題に的確に対応しようとするためには、我が国活力のある発展を妨げている現在の仕組みを変え、世界の潮流を先取りする経済社会システムを一日も早くつくり上げなければなりません。こうした認識に立って、六つ改革内閣の最重要課題としたところでありまして、これらを一体的に進めていくことによって、中長期的な経済発展の基盤が構築され、着実な経済成長が実現できると考えております。  そして、消費税の税率を凍結し、十八兆円の減税を行うという御主張でありますが、我が国財政は主要先進国中最悪と言える危機的な状況にあり、急速な少子・高齢化の進展などを踏まえますと、財政構造改革は喫緊の課題だと思います。そして、このような状況のもとで、財源手当てが不明確なままに十八兆円もの減税などを実施する、これは現実的にはなかなかとり得ないものであると私は思います。また、このような大幅な減税等によって財政状況をさらに悪化させることは、我が国経済活力をむしばんでいくおそれからも適当ではないと考えております。  次に、規制撤廃緩和によってビジネスチャンスを拡大する、これは我々自身が、規制撤廃緩和がビジネスチャンスを拡大し、競争を活発化し、企業の自由な創意工夫を引き出すことによって、新たな産業の創出などを通じて我が国経済活力を高めるもの、そう申し上げてまいったことであり、これから先もこの構造改革は進めてまいります。  次に、我が国の高コスト構造について御指摘がございました。  経済構造の変革と創造のためのプログラムにおきましても、産業活動の基盤的な要素である物流、エネルギー、情報通信について、二〇〇一年までに、コストを含めて国際的に遜色のない水準のサービスが提供されることを目標に掲げており、公共料金を含めてその目標の実現に努力してまいります。  また、金融システム改革について、自由化国際化透明化を三原則とした改革をする、これは私自身、フリーすなわち市場原理が働く自由な市場であり、フェアすなわち透明で信頼できる市場であり、グローバルすなわち国際的で時代を先取りする市場、こうした原則を掲げて改革努力をいたすものであります。既に、大蔵大臣、法務大臣等に具体的な検討項目の例を含めて指示をいたしておりますが、強い決意を持って果断に進めてまいります。  なお、金融危機管理体制の整備につきましては、さきの通常国会で成立した金融三法におきまして、二〇〇〇年度末までの預金全額を保護し得る時限的な制度の整備を図ったところでありまして、今後とも、預金者保護、信用秩序の維持に最大限の努力を払ってまいります。金融行政機構の改革に当たりましても、信用不安には万全の体制仕組みを考えてまいります。  また、社会保障について御指摘がございました。  個人自立を基本とし、それを支援していくことが重要な要素である、それは当然であります。急速な少子・高齢化の進展に伴う国民の需要の変化に適切におこたえをすると同時に、給付と負担のバランスがとれ、しかも経済活動と両立し得る、サービスの選択と民間活力の発揮といった考え方に立ち、効率的で安定した社会保障制度を確立していかなければならないと考えております。  公的扶助相互扶助といった御指摘もございました。当然のことながら、社会保障構造改革を進めていく上で、公私の役割分担を明確にしながら、規制緩和などを進めることによって民間活力の導入を促進すること、制度横断的な再編成などにより全体としての効率化を図ることが必要であると考えており、そのような考え方構造改革の第一歩として、介護保険制度の創設と医療保険制度改革について今国会で御審議を願いたいと考えているわけであります。  次に、介護保険につきましては、標準的なサービス水準を給付し、これを超える部分は民間保険などを活用するという考え方に基づいて、現在の老人福祉と老人医療の制度再編成するものであり、介護費用につきましては、給付と負担の関係が明確であること、受給の権利性、多様な事業主体の参入によるサービスの効率化といった観点から、社会保険方式で賄うことが適当だと考えております。  民間主体の活用につきましては、介護保険制度におきましては、サービスの質の向上、費用の効率化等の観点から、その創意工夫を最大限に活用することが必要だと考えており、こうした観点から、どのサービスを利用されるか利用者の選択にゆだねながら、また、在宅サービスへの参入基準を公的団体と同一とするなど、多様な民間主体が参入できる柔軟な制度とすることにしております。  また、国際化や高齢化の進展など、我が国経済社会を取り巻く環境変化に適切に対応していくために市民活動活性化が不可欠であることは言うまでもありません。こうした観点から、現在、いわゆるNPO法案議員立法として検討が進められており、政府としてもNPOの重要性は十分認識しております。  次に、働く女性が男性とともにその能力を十分に発揮することができる環境を整備することは重要な課題であり、このために男女雇用機会均等法及び労働基準法の女子保護規定について必要な法的整備を行うと同時に、介護休業制度早期導入の促進、育児休業制度の定着など、職業生活と家庭生活の両立支援対策を進めてまいります。また、税制社会保障制度については、新たに策定された男女共同参画二〇〇〇年プランの考え方に沿い、総合的に検討してまいります。  また、高齢者の就業機会の提供という点につきましては、活力ある社会の維持という観点から、六十五歳現役社会を目指した取り組みを行っておりますが、六十五歳を超えられる方々につきましても、シルバー人材センター等を通じ就業機会の提供や自立の支援に全力を尽くしてまいります。  また、教育について、個性、自立性、創造性をはぐくむ教育、こうした御意見がございました。  私自身、先日も申し上げましたように、個々人の多様な能力を伸ばして、創造性やチャレンジ精神を重視した教育に転換していくという考え方で教育改革を積極的に進めてまいります。  また、スポーツにつきましても、これは、国際交流等を含め、スポーツの果たす役割というものを考えながら、今後とも積極的に進めてまいります。  また、文化、芸術の振興発展ということに触れられました。  昨秋、フランスのシラク大統領が日本に来られたとき、我が国の伝統文化というものに非常に強い関心を示され、感銘を受けていかれたことは御承知のとおりであります。また、先日、ASEANの各国の訪問の際、それぞれの国の固有の文化というものを背景にASEANとの多角的な文化協力を進めたいということを申し上げてまいりました。我が国自身、古くから持っております伝統文化の継承発展やすぐれた芸術、文化の創造、発信を図る、こうした文化振興のための施策の充実を図ることも大切であります。  また、食糧安全保障体制の確立という御議論がございましたが、中長期的な世界の食糧需給については、需要面、生産面において不安定な要素があり、逼迫する可能性があることは我々もそのとおり考えております。したがって、今後の農政の推進に当たっては、国内生産体制を強化しながら、これに加えて、輸入及び備蓄を適切に組み合わせることで食糧の安定供給確保を図ってまいりたいと考えております。  また、農業・農村を発展させていきますためには、効率的、安定的な担い手が生産の相当部分を占め、住みやすく活力のある農村づくりに努める、これが重要だと考えておりますし、これにあわせて、多様な地域の特性を踏まえて、生活環境の整備、雇用機会の確保などを図ってまいります。  また、環境産業という点の御指摘がございました。  持続可能な経済社会を構築する上で環境産業というものは重要な役割を担っているものでありますし、その健全な発展のための基盤整備を行ってまいります。資源の再利用、こうした視点からも我々は努力をしていかなければなりません。  次に、エネルギーについての御発言がございました。  エネルギー、これは世界の国々が直面する人類の共通の問題である、そのような認識のもとに、政府としては、新エネルギーや省エネルギーの開発普及を積極的に進めてまいる所存であります。  次に、環境アセスメント制度については、環境汚染を未然に防止しながら総合的な環境の保全を図る上で極めて必要であり、今国会に所要の法律案提出させていただくつもりであります。  先端・基礎科学技術の開発振興と人材育成についても、我々といたしまして、特に人材につき、研究者の能力の涵養でありますとか創造性の発揮のために、国の研究機関への任期つき任用制の導入あるいはポストドクター一万人支援計画の実現を図るとともに、研究者の支援の確保など各般の施策を講じてまいります。  最後に、安全保障についての御意見がございました。  政府としては、日本国憲法のもとにおいて、日米安保体制を堅持しながら節度のある防衛力整備に努めるとともに、我が国の安全と繁栄は国際社会の平和と繁栄の中でのみ実現可能であるという観点から、アジア及び欧州それぞれの国々との二国間関係の維持発展、ARFなどの地域的協力、国連などのグローバルな枠組みに対する協力を重層的に進めてまいります。  いわゆる安全保障基本法の制定について、各種の御意見があることは承知をいたしておりますが、国会の御審議を初めとする各方面の議論を踏まえながら、その可否について検討してまいりたいと思います。  自衛権の行使につきましては、憲法第九条のもとにおいて許容されている自衛権の発動については、我が国に対する急迫不正の侵害のあること、これを排除するために他の適当な手段がないこと及び必要最小限度の実力行使にとどまる、この三要件に該当する場合にのみ行使できると解しております。政府としては、従来から一貫して、集団的自衛権の行使は我が国を防衛するための必要最小限度の範囲を超えるものとして憲法上許されないと解してまいりました。  次に、日米安保体制及び防衛力の整備、これは我が国の安全の確保及びアジア太平洋地域の平和と繁栄にとって極めて重要であり、かつ、日米両国の協力関係の基礎をなしているこの体制を堅持し、条約の諸規定を誠実に履行するとともに、防衛大綱及び中期防に基づいて適切な防衛力の整備に努めてまいります。  また、国連平和維持活動についての参加のお話がございました。  我が国は、従来から国際平和協力法に基づいて積極的に参加し、国際社会からも評価を受け、今後ともこのような活動に貢献していく考えであります。侵略に対する平和回復活動と言われるものがどのような活動を指すものか必ずしも明らかではございませんけれども、いずれにせよ、我が国としては、国連を中心とする国際社会の平和と安全を求める努力憲法の範囲内において積極的に協力してまいります。  次に、我が国の国連常任理事国入りにつきましては、憲法の禁ずる武力の行使は行わないという基本的な考え方のもとに、多くの国々の賛同を得て、安全保障理事会常任理事国として責任を果たす用意がある、昨年九月の国連総会演説で述べたものでございます。これを含みまして、安保理改革の主要点について、本年九月までの第五十一回国連総会の会期中に一般的な合意が形成されるよう、引き続いて努力してまいります。  最後に、自衛隊の行動にかかわる有事法制の研究は当然必要なことであり、政府としても研究をしてまいりましたところでありますが、法制化の問題につきましては、高度の政治判断に係るものでもあり、国会における御審議国民世論の動向等を踏まえて判断すべきものと考えております。(拍手)     ―――――――――――――
  14. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 山崎拓君。     〔山崎拓君登壇
  15. 山崎拓

    ○山崎拓君 私は、自由民主党を代表して、橋本総理施政方針演説に対して、橋本総理大臣及び関係閣僚に質問いたします。  まず最初に申し上げたいことは、昨年暮れに発生したペルー日本大使公邸人質事件であります。  今日に至っても、いまだ未解決のままであることは、人質となられている方々の御苦痛はもちろんのこと、御親族並びに関係者方々もさぞ御心痛のことと拝察いたします。  我が党としては、総理施政方針演説でお示しになった、テロの圧力に屈することなく、フジモリ大統領に全幅の信頼を置き、ペルー政府や関係国と緊密に連絡をとりながら、人質全員が無事に解放され事件解決されるよう、引き続き全力で対処していくという方針を全面的に支持いたします。我が党は、このたびテロ対策小委員会を設置し、今後の国内外における各種テロ対策について検討に入りましたが、政府としてはどのような取り組みを考えておられるか、お伺いいたしたいと存じます。  さらに、先般の日本海で発生したロシア船籍タンカー・ナホトカ号重油流出事故は、極めて深刻な海洋汚染を引き起こし、海洋資源に大きく依存する我が国国民生活に深刻な影響を与えています。事故発生以来、日本海側特有の冬の寒風の中、沿岸漁民を初め地域住民方々、さらには全国各地からのボランティアの皆様の油回収作業に懸命に取り組んでおられる涙ぐましい御努力を拝見して、感動を禁じ得ません。この上は、早期の流出油の回収などや海底残存油対策、漁業関係者への被害復旧対策や海洋汚染対策など、万全な措置が講ぜられなければなりません。  私は、関係者方々事故による被害を一日も早く克服し、将来に対する希望と安心が得られるような措置を、政府があらゆる手段を駆使して講ずる必要があると考えますが、総理の御所見をお伺いいたします。  私は、目下我が国が取り組むべき課題は、将来を見据え、二十一世紀においても、我が国が衰亡せずに、活力ある経済社会を維持発展させることができるかどうかということに尽きると思っております。  戦後良好に機能してきた我が国経済社会システム官僚制などは、冷戦時代の米ソ東西対立、中国の経済停滞、アジアの不安定さの中にあっては、我が国が、平和と安定そして右肩上がりの経済成長を享受することを可能としてまいりました。それが、今日では、冷戦終結によって米国は経済重視に政策を大転換し、中国においても社会主義市場経済を標榜し、経済活動が活発化してきております。また、先般総理が訪問されたASEAN諸国でも、政治が安定し、経済発展はかつての我が国の高度成長をほうふつとさせるものがあります。  世界は、今や大競争時代に突入しております。我が国がこうした国際競争に打ちかつためには、従来よしとされてきた我が国の慣行、すなわち各種の規制行政のあり方、中央と地方の関係といったあらゆる分野におけるこれまでのシステムを大胆かつ早急に見直し、変革していく必要があります。もしこのまま経済社会活性化のためのシステム改革を講じずにいれば、我が国経済社会は、産業の高コスト構造、官業の民業圧迫、中央集権等の弊害を克服できずに、急速に競争力を失っていくでありましょう。  さらに問題なのは、我が国は、少子化とともに進展する急速な人口の高齢化、財政危機状況産業の空洞化という他の国が持たない深刻な課題を抱えている点であります。もしもこれらへの適切な対応を怠るならば、我が国国家としての活力を失い、完璧に老いていくだろうということであります。合計特殊出生率が一・四三のままでは、二〇九〇年には我が国の人口は約五千五百万人になると推計されております。そうなれば、我が国は、日出る国から日没する国になってしまうことは間違いないと考えます。  イギリスの哲学者バートランド・ラッセルは、近代国家が持つべき必須要素として、第一に活力に富むことを挙げています。もはや、手をこまねいていることは、政治責任として許されることではありません。したがって、二十一世紀国民我が国の未来に希望を持ち続けることができる活力ある経済社会を維持するために、今こそ、総理の主張される行政改革経済構造改革金融システム改革社会保障構造改革財政構造改革、さらには教育改革という六つ改革を断行する必要があります。(拍手)  そして、そのことを通じて、国家の安全、経済の安定、老後の安心――安全、安定、安心という三つのAを確保し続けることが政治役割だと考えますが、総理改革への決意と御所見について改めてお伺いいたします。  次に、総理の六大改革についてそれぞれお伺いいたします。  当面の最重要課題は行政改革であります。私は、総理みずからが政府行政改革会議の会長となって、二十一世紀における国家機能のあり方、それを踏まえた行政機構再編のあり方と官邸機能強化策という三つの課題について本年中に成案を出すとお決めになったことについて敬意を表します。  与党三党は、行革の先導的役割を果たすべく、その中の主要部分を占めるはずの大蔵改革について、昨年の住専問題の反省の上に立ち、金融行政改革の立場から、日銀法改正金融検査監督庁(仮称)の創設の提案をいたしました。本国会への法案提出と成立について、総理の御決意をまずお伺いいたします。  行政改革の基本は、規制緩和撤廃を大胆に行い、官から民へ、そして中央から地方業務権限を移譲し、スリムで効果的な国民サイドに立った行政を実現することであります。同時に、国民に開かれた行政、わかりやすく透明なルールに基づいた行政にしていかなければなりません。今こそ、企業市場経済の自由競争の中で存分に活動し、国際競争力を高めていけるよう規制緩和を徹底して行わなければなりません。  また、地方分権については、受け皿となる地方行政具体案をつくることであります。三千三百の市町村は余りにも過多であり、その中には、権限、財源、業務を移譲しても処理能力がない地方自治体もあり、かえって壮大なむだを生じることになりましょう。  総理の火の玉となってやり遂げるという決意と具体的な行政改革の進め方、特に地方分権における受け皿問題について御所見をお伺いいたします。  また、立法府においても、行政改革効果を高める上から、国会行政の監視監督、評価を行う機関を早急に設置するとともに、そのためのスタッフを強化する必要があるということを総選挙直後の与党三党の政策協議で合意しているところであります。本国会で十分に論議を深め、実現を期したいと存じます。  昨年は、中央、地方を問わず官僚の不祥事が相次ぎ、ざんきの念にたえません。この際、国民行政及び官僚に対する信頼を取り戻すために綱紀粛正の徹底を図る必要があります。この点についても総理の御所信をお聞かせください。  次に、財政構造改革等について質問いたします。  我が国財政現状を見ますと、八年末には国と地方の債務残高を合わせて対GDP比が約九〇%にも達するなど、もはや危機的な状況にあり、先進国の中でも最悪の状態にあります。今後の少子・高齢化の一層の進展を踏まえ、今後とも我が国経済社会活力を維持するために、財政健全化、特に財政構造自体の改革に向けた努力が不可欠であります。  財政構造改革の実現に向けては、国、地方を通じた中期的な財政健全化目標を立て、その目標に向かって不断の努力を続けていくことが肝要であります。政府は、昨年十二月十九日に、二〇〇五年までのできるだけ早い時期に、国と地方財政赤字を対GDP比三%以下にすること等を内容とする財政健全化目標を閣議決定いたしましたが、国民に周知徹底する必要があります。昨日発足した政府・与党財政構造改革会議においてこのことを確認するのか、改めて新たな財政健全化目標を定めることになるのかどうか、総理にお伺いいたしたいと存じます。  また、大蔵大臣は、財政演説の中で「我が国においても、現在の財政構造を放置し、財政赤字のさらなる拡大を招けば、経済国民生活破綻することは必至であり、」と述べておられますが、なぜそうなるのか、国民にわかりやすく説明してください。  あわせて、新進党は、総額十八兆円規模の大減税と二十兆円の歳出カットを行い、かつ、消費税率を二〇〇〇年まで三%に据え置くと主張していますが、どう考えても実行不可能で非現実的な無責任なこの案を仮に本当に実施に移したら、一体我が国財政はどうなるのか、その展望について専門的分析の結果をお示しいただきたいと存じます。(拍手)  次に、平成九年度予算案についてでありますが、「消費税アップ等七兆円も増税を行うのだから、国債発行減額を四兆三千億にとどめずにもっと大幅に行って、財政構造改革元年にふさわしい緊縮予算にすべきであったのではないか」というマスコミ等の指摘があります。  しかし、消費税五兆円と特別減税廃止による二兆円を合わせた増税額七兆円と言われている金額も、地方に回る分を差し引けば、平成九年度における国の歳入増は二兆七千億程度となります。それにもかかわらず、今回、特例公債発行額を四兆四千億も減額し、かつ、一般歳出を六千六百億円、一・五%増に抑えたことを私は大きく評価すべきであると考えます。(拍手)それは一・五%増といつでも、消費税二%増及び消費者物価上昇率一・六%増を考慮すれば、実質伸び率ゼロと同じだからであります。  さて、最近の株価低迷もあり、各種世論調査では、国民の多くの方々の声として、思い切った行財政改革を進めるべきであるという声とともに、景気対策にも万全を期すべきという意見があります。私は、そのためにも、まず平成八年度補正予算早期成立を図りながら、切れ目のない予算執行を行うことが重要だと思います。今回の補正予算は、緊急防災対策費、災害復旧事業費、阪神・淡路大震災対策、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策費、緊急経済構造改革対策費、消費税関連対策費等で構成されており、景気対策にも資するものであると考えます。  財政構造改革元年景気対策に配慮すれば、平成九年度予算案及び平成八年度補正予算案は、現時点で考えられる最良の予算であり、一日も早い成立を期すべきだと思いますが、総理の御所見をお伺いいたします。(拍手)  次に、経済構造改革について申し上げます。  我が国においては、製造業の海外展開が急速に進み、通産省の調査によれば、製造業の雇用は今後五年間で百二十四万人も減少するとされております。この背景には高コスト構造などの構造的問題があり、放置した場合、高付加価値産業までもが海外に逃げ、産業空洞化は現実のものとなります。  こうした中、新規産業を創出し、質の高い雇用を維持しながら豊かな国民生活を実現していくためには、従来の発想にとらわれない抜本的な経済構造改革こそ不可欠であります。政府におきましては、昨年十二月十七日、経済構造の変革と創造のためのプログラムを閣議決定いたしましたが、プログラムに定められた施策の確実な実行はもちろん、プログラムの内容を質量ともに充実し、実効ある改革としなければなりません。  それには、企業税制改革が重要であります。諸外国に比べ高い水準の法人課税は、我が国市場の魅力を低下させており、適正な法人所得課税を実現すべく実質的に負担を軽減することがぜひとも必要であり、また、ベンチャー支援税制企業の柔軟な組織変更を可能とするため、多くの先進国で導入されている持ち株会社の解禁や連結納税制度早期に導入することも重要であります。(拍手)このために必要な財源を確保するため、直間比率の是正等、税体系の改革も一方の課題であります。  さらに、今後発展が期待される情報通信分野については、懸案となっているNTT改革を推進することが重要であり、NTTの再編成による公正かつ有効な競争市場の実現、NTTの国際進出によるグローバル化への対応が必要と考えます。  総理経済構造改革内閣の最重要課題に掲げ、政府全体で強力に推進すると述べておられますが、企業税制改革、持ち株会社の解禁、NTT改革への対応を含め、今後、具体的にどのように経済構造改革を進めていかれる方針か、総理のお考えをお伺いいたします。  次に、金融システム改革について質問いたします。  総理は、ここ十年間、世界の金融市場が大きな発展を遂げたのに対し、我が国金融市場はおくれをとったのではないかと憂慮され、金融システム改革六つ改革一つとして掲げられたことを私としては高く評価したいと思います。  一方、最近の株式相場を見ますと、年初来一万七千円台の局面がしばしば見られるなど、先行きについても極めて不透明な状況にあります。大蔵大臣は、財政演説の中で「株式市場の動向につきましては、今後とも十分注視してまいる所存」とおっしゃったが、さきに「市場のことは市場に聞け」とも言われております。一方、「株式市場はその国の経済を映す鏡である」という言葉もあります。看過し得ない動向と考えて、政府の適切な対処を求めたいと存じます。  原因については種々の言説がありますが、政府予算景気刺激的でないものであることや、金融システム改革、いわゆるビッグバンの進行によって金融機関等の優勝劣敗が進むこと、とりわけ金融、不動産関係の株価の下落ぶりを思うとき、不良債権問題に対する内外の機関投資家や国民の懸念が大きいこと等が主な原因と考えられます。  そこで、政府・与党は、この際、補正予算早期成立を図るとともに、次のような姿勢と対策を明確にし、国民証券市場関係者の不安を取り除くべきだと存じます。  第一に、行政改革規制緩和財政再建経済構造改革等の諸改革は、公表したスケジュールどおり遂行することが政治責任であること。  第二に、証券市場対策として当面どのような対処を考えているのか、国民に説明すること。  第三に、金融機関不良債権処理を初め、今後の経済運営について政府責任ある対応を行うこと。すなわち、金融機関不良債権の完全なディスクロージャー、金融持ち株会社の設立、連結納税制度の導入、昨年成立した金融三法に基づき五年後のペイオフ実施まで預金者保護を完璧に行うこと等の対策を講じること。  第四に、不良債権処理には土地の有効利用など総合的な土地政策が不可欠であることから、現在政府においで策定を進めている新総合土地政策推進要綱(仮称)の推進に政府を挙げて取り組むこと。また、土地流動化策、そして都心部における思い切った容積率の緩和措置等を行うこと。  以上の提案につき、いずれも日本経済の先行きについての国民の不安を取り除くために有効であると考えますが、総理及び大蔵大臣の回答を求めます。  また、金融システム改革は、二〇〇一年までに完了するとされていますが、できる限り速やかに実施していくことが重要であります。今国会には、まず、そのフロントランナーとして、外国為替及び外国貿易管理法の改正案提出されるものと承知しておりますが、これにより我が国の国際的お金融取引にどのような変革がもたらされるのか、あわせて大蔵大臣にお伺いいたします。  次に、社会保障構造改革の例外ではありません。二十一世紀に向けて、社会経済活力を損なわずに、将来を担う子供たちに過大な負担を課すことのない安心して暮らせる社会、すなわち総理のキャッチフレーズの一つである「長生きしてよかったと思える社会の建設」を目指すとき、勇気を持って、医療、年金、福祉全体の再編成を行い、公平公正で効率的な社会保障制度の再構築を進めていかなければなりません。  こうした改革には国民のコンセンサスが必要であります。このため、制度現状、問題点、複数の選択肢の提示等、正確な情報の開示が大事です。その上で国民痛みを伴うお願いをすることがあっても、取り組みがおくれたために国民生活に将来不安と混乱を来すような事態は何としても避けなければなりません。  そこで、まず、社会保障構造改革具体化のための第一弾として、介護を必要とする方々ができるだけ自立した生活を送れるようにするため、包括的な介護保障システムの導入が必要であります。こうした前提に立ち、昨年の政府審議会や与党間での審議、与党三党による全国公聴会の開催等を経て、前国会介護保険制度提出されております。  改革の第二弾として、今国会提出予定とされている医療保険、老人保健制度改革につきましては、経済基調が変革する中、高齢化の進行に伴い、国民医療費は増大し続け、医療保険制度は大変深刻な状況にあることにかんがみ、政府案作成の段階で詰めるべき点は十分詰めて、与党間の合意を完全にし、本国会における成立を期すべきものと考えます。  第三弾として、平成十一年の次期財政再計算に向けての年金制度の全体の見直し等があります。  二十一世紀に向けて社会保障制度をどのような姿としていくべきなのか、また、その構築をどのように進めていくべきであるのか、お考えのほどを、厚生行政の大ベテランである総理の御見解をお伺いいたします。  総理は、行政改革経済構造改革などの五つの改革とともに、このたび教育改革を第六番目の改革の柱として位置づけられました。我が国社会経済、文化等の進展は人づくりにより支えられてきたものであり、国家社会の大きな変革期において教育改革を国政の重要課題の一つとして取り上げられたことは、まことに適切なものと受けとめています。  教育改革については、かつて昭和五十九年から六十二年まで臨時教育審議会において精力的な取り組みが行われ、一定の成果を上げてきました。しかし、それから十年が経過した現在においては、我が国国際社会において信頼される国として次の世紀においても活力を持って発展していく上でも、また一人一人の国民が豊かで幸せな人生を送る上でも、現在の教育制度で果たして十分なものであるか否か、いま一度全般的な見直しが求められていると思います。  教育は、すべての国民にかかわる問題であり、国民のコンセンサスを得ながら進めることが肝要と思います。このたびの教育改革を実効あるものとするためには、改革理念を掲げるとともに、具体的なプロセスを国民の前に明らかにしていくことが重要と考えますが、今後どのように教育改革に取り組んでいかれるお考えなのか、総理の御所見をお伺いいたします。  私は、現在の教育の現場における問題、とりわけ深刻ないじめ問題や頻発する社会問題などを見るにつけ、一番改革が必要であるのは人間形成の教育ではないかと考えています。すべての人間は完全でないということを自覚し、それゆえに完全なものになろうと努める、このような努力をするからこそ人間はとうとい存在であるのだということを学ぶことが大切なのではないでしょうか。そして、このような人間観からこそ、謙虚さとか生命に対する畏敬の念、お互いにいたわり合い助け合う態度等が育成され、充実した幸せな人生を送れるのではないでしょうか。  また、これからの我が国は、明治維新以来の官主導を改め、国民の自由闊達な発想や創意工夫をエネルギーに、国の未来を求める歴史的な大転換を図ろうとしています。これは、公正な競争社会を基本とする国づくりです。ルールを軽んじ社会倫理や道徳性の希薄な競争社会は、国が崩壊する最大の原因となるのではないでしょうか。  したがって、二十一世紀我が国の国づくりの基本、国家百年の大計として、国民の豊かな人間性や倫理性の涵養が強く求められていると思います。このたびの教育改革においても、ぜひともこのような人間形成の教育、実践的な道徳教育を最重要課題として明確に位置づけ、お取り組みくださるようにお願いしたいと存じます。総理並びに文部大臣の見解をお伺いいたします。  今後の我が国の世界に向けての役割は、新しい科学技術を提供することだと考えます。  これまでの我が国は、科学の基礎研究分野で欧米が発明発見したものを巧みに取り入れ、応用技術の開発に成功し、経済の発展を図ってまいりました。しかし、これからは、基礎科学の分野でも独自の先駆的役割を果たすことが国際社会から求められているという自覚が必要であると思います。当然、学術研究を担う人材育成、研究資金の確保、施設整備の充実について、産学官の連携のもとに総合的な取り組みが必要だと考えます。  これを踏まえ、我が党が中心になり、九五年十一月に科学技術基本法を、昨年六月には科学技術基本計画を制定いたしました。今から二十一世紀までの間に十七兆円の大規模な研究開発投資を行い、科学技術分野で国際貢献していくことを目指し、我が国が科学技術創造立国となることを大きな目標としたいと考えます。  あわせて、二十一世紀のリーディング産業となると期待されている情報通信についても、その基盤整備を進めていくべきであります。平成九年度予算案において、科学技術振興費一一・九%の伸びは独歩高でありますし、また総理直轄査定で三千億円の経済構造改革特別措置も講じられましたが、科学技術の振興と情報通信基盤の整備は、今日、我が国の最も力を入れて取り組むべき分野だと信じます。総理の御所見をお伺いいたします。  立法、行政に並び三権の一翼を担う司法の改革についても一言申し上げたいと思います。  これまで述べたように、今、我々は規制緩和地方分権を進め、国民創意工夫に未来を託し、新たな国づくりを進めています。こうした流れは、社会経済を初めさまぎまな分野において競争が一層促進されることになります。  そこで、国家の基本である社会の秩序や公正さを確保するため、かつ、我が国が大競争時代に入った国際社会対応しなければならない意味からも、従来以上にルールを守るということが社会の大切な枠組みとなり、司法の役割が一層重要なものになります。経済活動のルールを守るために、既に我々が公正取引委員会改革に着手したように、社会の変化に的確に対応し、二十一世紀の司法の新たな役割に着目した司法改革は国づくりの基本ではないでしょうか。新たな時代の司法のあり方についで、総理の御所見をお伺いいたします。次に、外交関係について総理並びに外務大臣にお尋ねいたします。  まず最初に、ASEAN歴訪については大変御苦労さまでございました。お回りになったASEAN諸国は設立三十周年を迎え、域内経済協力や対話を通じ結束を固め、成長著しいものがあり、我が国との関係も、ODAを中心とした協力に加え、貿易・投資の重要性、さらには経済中心の関係から幅広い対話へと成熟した関係に移りつつあります。総理は意欲的に各国首脳と会談を重ねられ、首脳間同士の個人的信頼関係も強化され、多大な成果を上げられたものであると存じます。  ところで、総理が提案された我が国とASEANとの首脳定期協議について、各国首脳の反応はいかがなものであったか、また、アジア太平洋時代の到来に当たり御提案された目的はどこにあるのか、承りたいと存じます。  次に、日中関係についてお伺いいたします。  最近の中国の核実験の実施、近年の著しい軍事力の増強、南沙群島をめぐる動きや中台問題などにより、昨年の日中間に多少ぎくしゃくしたものがありました。その後、両国の関係は、APEC等における首脳会談、外相会談等を通じて改善されつつあると信じます。本年は、国交正常化から二十五年の節目に当たる年です。我が国は、まさに中国との安定した関係を築き、改革・開放政策を積極的に支援していくことが必要だと考えます。このような観点から、対中経済協力を進めることは重要であり、昨年十二月に第四次円借款の前半部分のうち九六年度分、約千七百億円が約束されたのでありますが、我が国の対中外交の基本姿勢、対中経済協力に対する基本的考えをお尋ねしたいと存じます。  次に、朝鮮半島の平和と安定に向けた我が国対応についてお伺いいたします。  先般の潜水艦潜入事件は北朝鮮の遺憾表明によってひとまず落着し、今後は、米国、韓国とも緊密な協力のもとに国際社会全体で朝鮮半島の平和と安定に大きな役割を果たすべき、朝鮮半島エネルギー開発機構、KEDOの活動に積極的に取り組む必要があると考えます。また、北朝鮮自身も積極的に緊張緩和への努力をすることが重要であります。そのためにも、昨年四月、米韓両国首脳の提案した四者会合の提案を早期に受け入れることが重要と考えます。本年もしそのことが実現すれば、日朝関係にも画期的な展開が期待できると信じます。このような点を踏まえて、来るべき別府における日韓首脳会談に臨まれる橋本総理の朝鮮半島情勢の平和と安定についての基本姿勢についてお伺いしたいと思います。  次に、安全保障問題でありますが、昨年四月に橋本総理とクリントン米大統領との首脳会談の結果発出された日米安全保障共同宣言において、日米両国は「アジア・太平洋地域安全保障情勢をより平和的で安定的なものとするため、共同でも個別にも努力する」と記述されました。これは、日米安全保障体制が引き続きアジア太平洋地域の平和と安定のかなめという点が再確認されたわけであります。  今後は、日米防衛協力のための指針、いわゆるガイドラインの見直しの日米協議を行う中で、新しい日米協力のあり方、米軍支援などについて何を行うかを具体的に詰めていくことになります。この作業はいよいよことしの秋を目途に進められているわけでありますが、我が国及び我が国周辺地域安全保障情勢を考えると必要不可欠なものであり、実効ある施策を具体的に検討し、これらを着実に実施していくことによって、日米安全保障体制の信頼性の向上を図ることが肝要であります。  また、総理指示として政府に検討させている在外邦人等の保護、大量避難民対策、沿岸・重要施設の警備、対米協力措置などについても、ペルー日本国大使公邸占拠事件により我が国危機管理能力が問われている現在、早急に検討すべきであります。  ガイドラインの見直しと緊急事態対応策についての総理の御所見をお伺いいたします。  一方、新進党は、先日発表した日本再建のための基本政策構想の中で安全保障原則をうたっています。すなわち、一、集団的自衛権の行使は認めない、二、日米安保条約の拡大解釈はしない、三、国連の平和維持活動に積極的に参加するとともに、湾岸危機時の多国籍軍のような侵略に対する平和回復活動等へも参加する道を開くとしています。  この考え方は、どうも木に竹を接いたような矛盾したところがあって、国民には到底理解されないと存じます。もともと、国連の軍事的安全保障活動は加盟各国の集団的自衛権の行使を前提としたものではないでしょうか。私は、日本国憲法の範囲内で日米協力を進めるという国民世論の動向から見て、堅実で安定した橋本内観の方針を支持いたしますが、総理のお考えを改めて確認しておきたいと存じます。(拍手)  沖縄問題は、橋本内閣並びに我が党が総力を挙げて取り組むべき課題と認識しております。  基地の整理、統合、縮小等の問題は沖縄県民の願いでありますが、昨年末にはSACO最終報告が出され、普天間飛行場の全面返還を含め、沖縄県における米軍の施設及び区域の総面積の約二一%が返還されることとなりました。今後は、地元民の理解を得ながらこれらを着実に実施していかなければなりません。  沖縄県の振興策につきましては、航空運賃の引き下げ、沖縄県特別経済ゾーンの実現に向けての動きなど、具体的振興策が着実に推進されつつあります。今後とも、沖縄県民の負担の軽減と経済雇用振興策の推進によって、若者が将来に夢と希望が持てる沖縄県の実現に向けて全力を傾注していく必要があります。  ここで一つ心配なことがあります。それは、五月十四日に嘉手納基地など十二施設の沖縄米軍基地用地の使用期限切れとなることであります。もしも県収用委員会の審理等手続が順調に進められない場合には、日米安全保障条約等をベースとした米国に対する我が国の責務を果たすためにも、政府としてもそれなりの措置を講ずる必要が出てくるものと考えます。総理は、米軍基地用地の使用問題にどう対処されるのか、また今後の沖縄問題への取り組みについてお考えをお聞かせください。  最後に、私は我が国の将来像として品格ある活力国家を提唱したいと思います。  ノーブレスオブリージュという言葉がありますが、中世フランスの貴族社会に伝わった高貴な者はその責任を伴うという意味を持つ言葉であり、現在は、広義な解釈として、地位のある者はその義務を負うという意味に使われております。我が国も二十余年前からG7の一国であり、経済大国と言われ出して久しく、今や安保常任理事国入りを目指す立場でありますから、国家としての品格においても国際社会において名誉ある地位を占めなければなりません。  そのためには、第一に文化と伝統を重んじ、道義を大切にする国家として魅力ある日本の創造に努めなければなりません。日本国民の内外における振る舞いが節度のあるものであり、高い道徳の水準が要求されます。とりわけ公職につく者の倫理の回復や政官財労などの各界の指導的立場にある者のノーブレスオブリージュに徹することが望まれます。  また、我が国は、一国平和主義や一国繁栄主義に走ることなく、二十一世紀においても、みずから活力ある経済社会を維持することにとって国際貢献の質と量を高めていく必要がありましょう。  以上申し上げたことは橋本総理政治理念政治姿勢と一致すると信じますが、いま一度総理国家最高指導者としての政治理念をお聞かせくださるようお願いして、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎登壇
  16. 橋本龍太郎

    内閣総理大臣橋本龍太郎君) 山崎議員にお答えを申し上げます。  まず、今後の国内外におけるテロ対策について御質問がございました。  このペルー日本国大使公邸占拠事件につきましては、テロに屈することなく、人命尊重を第一としながら、ペルー政府に全幅の信頼を置き、同政府及び関係各国と緊密に連絡をとりながら事件の平和的な解決を図り、人質早期全面解放を実現するよう努力してまいります。  この事件や一昨年の地下鉄サリン事件など深刻なテロ事件が相次ぐ中で、テロに対しましては国際社会が一致して対応することが必要不可欠となっております。我が国としても、昨年のG7諸国とロシアが参加をいたしましたパリ・テロ閣僚会合のフォローアップなど、国の内外における各種テロ対策を推進し、テロ行為対応できる体制の一層の充実に努めてまいります。  また、さきの東南アジア諸国訪問におきまして、各国首脳に対し私から、テロに対処し国民生活の安全を守るための情報交換や意見交換のためのネットワークをつくる必要性を訴え、各国の賛同を得たところであり、今後こうしたことも構築していきたいと考えております。  次に、ナホトカ号の重油流出事故につきましては、油の流出に伴う応急対策を推進するために、連日にわたり、関係機関等の総力を挙げ、流出油の防除、拡散防止に努めております。また、沈没いたしております船尾部につきまして、深海観測装置による調査結果も踏まえながら、官民の技術知見を結集して海底残存油対策に当たろうといたしております。  今、多くのボランティアの方々の御協力をもいただいておりますけれども、本件事故の重大さにかんがみ関係閣僚会議を設置したところでありまして、被害状況の把握、環境に与える影響の調査、賠償問題などの被害対策、事故原因究明や老朽タンカー対策などの再発防止策につき、政府を挙げて全力で取り組んでまいりたいと考えております。特に、漁業関係の方々への被害復旧対策につきましては、被害漁業者に対する金融の円滑な実施の対策を講じたところであり、さらに漁業被害の状況を踏まえて適切に対処してまいりたいと考えております。  なお、ロシア側に対しましては、事故発生直後から、油汚染の防除、原因究明、補償の確約、再発防止等に関し累次の申し入れを実施してまいりましたが、今後ともロシア側に対する働きかけを行っていく所存であります。  次に、国家の安全、経済の安定、老後の安心という三つのAについての政治役割という御質問がございました。  私がなぜ六つ改革を強く訴えているか。それは、現在の日本、将来の日本が安全で豊かで、そして国民一人一人が生涯にわたって生きがいのある人生を送ることができるようにという思いからであり、まきに議員と問題意識を一にするものと存じます。戦後五十年の間に築き上げられた経済社会システムを変革すること、そして新しいものをつくり出していく、これは大きな困難とかなりな痛みを伴いますが、この改革の歩みを緩めたり、先延ばしをすることはできません。国民の皆様の御理解をいただきながら、全力でこれを推進していく決意であります。  次に、金融関係の法案について御意見をいただきました。  金融行政につきましては、不良債権問題を契機として国民の皆様からいただきましたさまざまな御批判というものを重く受けとめながら、透明かつ公正な金融行政への転換を図る必要があります。政府としては、こうした新たな金融行政対応するために、総理府に民間金融機関等に対する検査及び監督を所掌する機関として、金融検査監督庁を設置するなどの措置を講ずることといたしました。  また、日本銀行につきましては、中央銀行研究会報告の示した基本的な指針に沿い、開かれた独立性を有する中央銀行とするため、抜本的に改革する必要があると考えており、これらの改革につきまして、所要の法案の今国会中における成立を期すべく、現在、精力的に検討を進めております。  次に、地方分権の推進に伴いまして、地方公共団体、とりわけ住民に最も身近な市町村の果たすべき役割が増大をしている、そして地方公共団体においてもその行財政基盤の強化を図る必要があるというのは、御指摘のとおりであります。このため、簡素で効率的な行政システムを確立するという観点から、地方公共団体においても徹底した行財政改革を求めるとともに、市町村の自主的な合併や広域連合の活用など、より一層の推進に努めで、地方公共固体における行政体制の整備を図ってまいります。  次に、行政改革の進め方という御質問がございました。  国民が求められるサービスを最小の費用で提供できる行政経済社会の変化に柔軟に対応できる行政をつくり上げることが行政改革の目的であり、そのために、官民の役割分担規制緩和地方分権といった観点から行政のあり方を総点検いたしますとともに、その認識の上に立って、中央省庁再編について十一月末までに行政改革会議で成案を取りまとめる考えであります。また、昨年末、行政改革プログラムを決定いたしまして、当面取り組むべき課題に目標年限を設定いたしました。行政改革は、我々がどうしても政治責任でやり遂げなければなりません。今後、このプログラムの実施を図ると同時に、与党や行政改革会議の御議論をいただきながら、全力を挙げて取り組んでまいります。  次に、綱紀粛正につきましては、政府として、昨年発生した不祥事を厳しく受けとめて、真に実効の上がる綱紀粛正の方策につき、昨年十二月十九日、事務次官等会議申し合わせを行いました。この申し合わせに基づいて、すべての省庁において公務員倫理規程が制定されており、今後はその厳正な遵守を図ることなどにより、政府を挙げて綱紀粛正を徹底して、国民の信頼を回復するよう努力してまいります。  次に、財政構造改革会議についてお尋ねをいただきましたが、我が国財政危機的な状況を踏まえ、昨年十二月、政府としては財政健全化目標の閣議決定を行い、その実現に向けて政府・与党が一体となって検討を行う場として財政構造改革会議を設置いたしました。昨日の第一回会合におきまして、私から、財政再建のための法律の骨格を含めた歳出の改革と縮減の具体的方策を御検討いただくようにお願いをいたしました。今後、さまざまな具体的方策について、あらゆる経費を対象に一切の聖域を設けることなく御議論をいただいて、財政再建方策を策定いただきたいと考えております。  次に、平成九年度予算の編成に当たりましては、これを財政構造改革の元年と位置づけ、医療保険制度改革を初めとする各般の制度改革の実現に努め、歳出全般についても聖域を設けることなく徹底した見直しに取り組んでまいりました。そして、全体としての歳出規模を厳しく抑制して、国債費を除く歳出を租税収入などで賄える範囲にとどめるとともに、四兆三千億円の公債減額を実現いたしました。  八年度補正予算では、追加の内容について十分吟味をいたし、阪神・淡路大震災復興対策費など、緊急かつ真に必要な経費を計上いたしております。また、八年度補正予算は、八年度末から九年度当初にかけての需要下支えの効果もあると思います。九年度予算とあわせ切れ目のない予算の円滑な執行に努めるなど、適切な経済運営を進めてまいる所存でありまして、自律的な回復への基盤が整いつつある我が国経済への信認を高めるためにも、両予算の速やかな成立をお願いしたいと考えております。  次に、産業空洞化の懸念、急速な高齢化の進展などの問題に直面しながら、これに対応し、経済活力を維持しながら豊かな国民生活を実現していくために、抜本的な経済構造改革に強力かつ速やかに取り組む必要があることは御指摘のとおりです。このため、政府としては、昨年の十二月、経済構造の変革と創造のためのプログラムを閣議決定いたしました。今後、関連法案の成立に努力するなど、このプログラムを着実に実施しながら、プログラムの基本的考え方に示された課題に対する取り組み内容を充実するなど、その実現に向けての行動計画をこの春までに策定をいたします。  御指摘をいただきました点が幾つかございましたが、法人課税につきましては、税の公平中立といった基本的な視点に加えて、企業活力、新規産業の創出、我が国産業構造の変化などの観点も踏まえ、課税ベースを適正化しつつ税率を引き下げていくという基本的方向に沿って検討を続けていきたいと思います。  持ち株会社の問題につきましては、今申し上げましたこのプログラムの中におきまして、「事業支配力の過度の集中を防止するという独占禁止法の目的を踏まえて持株会社を解禁することとし、独占禁止法の一部改正法案を次期通常国会提出する」としておりまして、今後、この閣議決定を踏まえ、所要の法改正を行うべく対応を行ってまいります。  NTT改革の取り組みにつきましては、情報通信産業の国際競争力の強化は経済構造改革の重要な一環をなすものであり、積極的に取り組む課題であると思います。このためにも、NTTの再編と同時に、国際通信業務への進出の実現に向けて所要の準備を進めているところでございます。  次に、株価について御指摘がございました。  この原因につきましては、議員の挙げられましたように、さまざまな見方があります。巷間、企業業績景気の不透明感等が指摘されます中で、欧米の新聞論調の中には、規制緩和に対して政府が真剣に取り組んできた効果が目に見える形であらわれできたのが要因だ、そうした指摘もあります。  我が国経済の最近の動向を見ますと、景気の回復は順調に続いておりますし、そのテンポは緩やかでありますが、設備投資を初め民間需要は堅調さを増しております。我が国経済状況などのファンダメンタルズは決して悪くはございません。御指摘のとおり、政府としては、平成八年度補正予算早期成立と九年度予算の年度内成立を図ることにより、切れ目のない経済運営に万全を期し、同時に、行政改革規制緩和財政再建経済構造改革をスケジュールどおり実行していくことが重要であり、これら各般の構造改革を断じてやり遂げていくことが政治責任であると考えております。  いずれにいたしましても、株式市場の動向につきましては今後とも重大な関心を持ち、注意深く見守ってまいります。  次に、新しい土地政策推進要綱につきましては、昨年十一月の土地政策審議会答申を踏まえ、土地の有効利用に重点を置いた総合的な土地対策を講ずべく、現在、その策定に向けて全力を挙げ取り組んでおります。このような土地の有効利用施策というものを通じ土地取引の活発化を図ることが、経済構造改革の推進や景気の回復のためにも重要なことだと思います。  さらに、容積率の引き上げにつきましては、公共施設の整備を伴う優秀なプロジェクトについて近年特に充実を図っているところでありますが、さらに都市計画、建築規制枠組みなどについて総合的な見直しを進めてまいりたいと考えております。  次に、二十一世紀社会保障の姿について御意見がございました。  急速な少子・高齢化の進展に伴う国民のニーズの変化に適切にこたえると同時に、医療、年金、福祉などを通じました給付と負担の均衡のとれた、しかも経済活動と両立し得る、サービスの選択、民間活力の発揮といった考え方に立った、効率的で安定した社会保障制度を確立しなければなりません。そうした視点に立って、社会保障構造改革を進めていくこととしておりまして、その第一歩として介護保険制度の創設と医療保険制度改革について今国会で御審議をお願いしたいと考えております。  次に、教育改革につきまして、行政改革経済構造改革財政構造改革などの五つの改革にあわせ取り組む方針を決心いたしました。教育がこの国のすべての基盤である、その認識のもとに、改革具体的な課題やスケジュールを立てて取り組むように文部大臣に指示したところであり、現在、文部省を中心に関係省庁と連携しながら検討をいたしております。  人間形成の教育、道徳教育と申しましょうか、私は、本当に我が国の将来を担う子供たちが、正義や公正を重んじて、他人や弱い者への思いやりを持つ、人生の先輩を敬う、郷土や国そしてかけがえのない地球を愛するような心を持つことのできる、そんな環境をつくり出すことが政治役割だと思います。教育改革につきましては、議員御指摘のとおり、このような視点も重要な要素として進め、伸び伸びと生きる、そうした力をはぐくむ教育を実現してまいりたいと考えております。  また、独創的、基礎的な科学技術につきましては、新産業の創出などによる活力ある経済社会の構築に資するという認識のもとに、昨年七月、政府は科学技術基本計画を閣議決定いたしました。今後とも、科学技術創造立国を目指して、厳しい財政事情を踏まえながらも、この計画に掲げる施策の推進に必要な経費の拡充に努めてまいるとともに、研究開発体制の充実、創造性に富む人材の育成、産学官の連携協力の推進などによる科学技術の振興に努めてまいりたいと思います。  情報通信基盤の整備は、経済構造改革の推進や豊かな国民生活の実現の観点から積極的に進めるべき政策課題である、議員と同様に考えており、今後とも積極的に取り組んでまいります。  次に、新たな時代の司法という御意見がございました。  私も、御質問の趣旨には同感であります。今後、規制緩和を初めとするさまざまの改革が進められていくのに伴いまして、社会活動経済活動の円滑と公正を確保するためには、司法の場において法的な紛争を適正迅速に解決すると同時に、さまざまな形態の違法行為というものに的確に対応する必要性はますます高まっていくだろうと思います。新たな時代の司法というものは、このような要請に十分こたえていくものでなければなりません。政府としても、二十一世紀に向けた我が国の司法のあり方に対する議員御質問の趣旨を踏まえて、適切に対処していきたいと思います。  また、ASEAN諸国首脳との協議についての御質問がございました。  今回のペルー事件に関する問題点を含めまして率直な話し合いをいたしてまいりましたが、その中で、各国首脳に対し、日本とASEANの間の首脳レベルの対話を、公式であれ非公式であれ、あらゆる可能な機会をとらえて緊密かつ頻繁に行っていこうという提案をし、基本的に賛同をいただきました。今回私が参ることのできませんでしたASEANの中の他の国、すなわちフィリピンと台湾には、私の代理をその直後に派遣し、同様の趣旨を提案し、基本的な賛同を得ております。これは、創立三十周年を迎えて政治経済面における重要性を増しつつあるASEANに対し、今まで経済に偏りがちでありました関係というものを、より幅広い、奥深いものにしていきたいという考え方からであります。  次に、本年は日中国交正常化二十五周年でありまして、日中両国民が心から祝福できるよう、両国関係の発展に努めてまいる所存であります。また、中国の改革・開放政策を支援し、殊に、先年来努力してまいりましたけれども、WTOの早期加盟の支持などによりまして、建設的なパートナーとしての中国と国際社会の一層の協調を促していく、日本もその一翼を担った努力をしてまいりたいと思います。我が国の対中経済協力もこのような観点から行われておりまして、中国国民我が国に対する信頼感の醸成に寄与していると考えております。  次に、朝鮮半島につきまして、この平和と安定のためには、南北関係の改善、北朝鮮の国際社会への一層の開放が重要であり、北朝鮮が四者会合提案を早期に受け入れることを希望いたします。このような中で、日朝関係は、今後とも、第二次世界大戦後の日朝間の不正常な関係を正すとともに、朝鮮半島の平和と安定に資するものとする、こうした観点を踏まえ、韓国などと緊密に連携しながら対処してまいるつもりであります。  次に、日米防衛協力のための指針につきましては、政府といたしまして、防衛大綱及び日米安全保障共同宣言を踏まえ、これまでに進めてきた日米間の防衛協力を基礎として、新しい時代におけるより効果的な防衛協力関係を構築するために、この指針見直しの作業を本年秋に終了することを目途として積極的に進めてまいります。  緊急事態対応策の今後の進め方につきましては、昨年五月に私から事務当局に対し、我が国の周辺地域における我が国の平和と安全に重要な影響を与えるような事態中心として、我が国に対する危機が発生した場合やそのおそれのある場合における必要な対応策をあらかじめ具体的に十分検討し研究するように指示をいたしました。現在、内閣安全保障室が事務局となりまして、在外邦人等の保護など各検討項目ごとに作業グループを設置して、鋭意検討を進めております。これはできるだけ速やかに取り進めることが望ましいと考えますけれども、同時に、極めて広範多岐な問題を含んでおり、十分に検討を尽くすことも必要だと考えております。  次に、日米安保協力の進め方についての内閣の方針についてのお尋ねがございました。  政府としては、これまで進めてまいりました日米間の協力を基礎として、新しい時代におけるより効果的な日米間の安保協力を、あくまで日本国憲法の枠内で進めていく所存であり、また、我が国憲法に関する政府の解釈を変更するものではございません。  次に、駐留軍用地特措法に基づく使用権原取得手続のお尋ねがございました。  国と沖縄県の信頼関係のもとで、知事から公告縦覧手続に御協力をいただいたところであり、今後、沖縄県収用委員会による公開審理が開始される予定でありますが、このような状況などを踏まえて、裁決に至る手続が円滑かつ迅速に行われることを期待しておるところであります。また、政府としても関係者の協力が得られるよう最大限の努力をしてまいる所存でございます。  次に、政府としては、沖縄の問題を最重要課題の一つとして今日までも取り組んでまいりました。沖縄の米軍基地の整理、統合、縮小につきましては、普天間飛行場の返還を初め、SACO最終報告に盛り込まれました措置を着実に実施していくため、あらゆる努力を払っていく所存であります。  沖縄の振興につきましては、現在、沖縄政策協議会において具体的に検討していただいております。また、先般、沖縄米軍基地所在市町村懇談会から提言がなされたところでありまして、内閣としてその実現のために最大限の努力をする所存です。いずれもその推進のために、平成八年度補正予算及び平成九年度予算において所要の手当てを行っております。今後とも、懇談会提言や政策協議会における検討の結果を踏まえながら、沖縄の振興のための課題の解決に向けて強い決意を持って全力で取り組んでまいります。  最後に、議員から、品性に富んだ活力国家という御提唱がございました。  私は、国民一人一人が将来に夢や目標を持ちながら、創造性とチャレンジ精神というものを存分に発揮できるような社会、そして世界の人々と分から合える価値をつくり出すことのできる社会、こうしたものを目指して全力で邁進したいと思います。  残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)     〔国務大臣三塚博君登壇
  17. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 山崎政調会長の質問にお答えを申し上げます。基本的な取り組みについては、総理から丁寧に答弁がありました。補足して申し上げたいと存じます。  最初に、財政赤字の問題についてのお尋ねでございます。  国及び地方の債務残高対GDP比率は九六年末に約九〇%という、先進国におきましては最悪な状態になっております。財政構造改革の強力な推進が叫ばれるゆえんであります。  財政赤字の拡大の問題点といたしましては、二十一世紀に入りますと、人口の高齢化が急速に進展してまいります。貯蓄も減少していくと見込まれることから、大量の公債が市場で円滑に消化されにくくなるという結果、金利が上昇をいたします。経済成長の源泉である民間投資の抑制を招くということになり、経済活力が喪失するということに相なります。財政赤字の累増は、利払い費等の増大を招きまして、政策的な経費として賄えるお金が少なくなりますことから、多様な財政需要に弾力的に対応する余地を狭めることに相なります。公債発行額が増加をいたしますと、将来世代、次世代であります、の償還に伴う税負担が一層高まるということになりまして、世代間の公平の問題が生じてまいります。  現在の財政構造を放置いたし、財政赤字のさらなる拡大を招くということになりますと、こうした問題が顕在化いたしまして、我が国経済国民生活破綻することは必至であります。こうした事態を回避するため、今こそ財政構造改革を強力に推進していかなければならないと考えておるところであります。  第二点でございます。減税及び消費税率についで新進党の御提言、いわゆる小沢提言に関するお尋ねであります。  十八兆円の減税を行うとともに、消費税率の引き上げによる五兆月の税収増を見合わせますと、合計で毎年二十三兆円の税収減が生ずることになります。一方、十八兆の減税によりある種の景気浮揚効果はあると考えられますが、それに伴う税収の増加は少額にとどまると考えられるわけでございます。これらのことから、新進党減税案が実施に移されますと、財政収支は急速に悪化していくと考えられるのでございます。財政収支が悪化すれば、公債発行の増加に伴う利払い費の増加により、財政収支は一層悪化することになり、借金漬けの体質になるということになります。健全な体力と健康を保持することが健全経済の基本であることは御案内のとおりであります。  第三点の御質疑でございます。経済の動向でございますが、総理から、日本経済現状について詳細な御指摘がございました。  私としては、株式市場の動向には常に重大な関心を持って注意深く見守っているところであります。また、不良債権問題が国民経済に与える影響の大きいことも十二分に認識をいたしておるところでございます。したがいまして、関係審議会における検討結果を踏まえ、御指摘のような持ち株会社の解禁に伴う、いわゆる金融持ち株会社に関連する制度整備や金融機関の不良借権のディスクロージャー等を着実に実施してまいりたいと考えます。  また、通常国会で成立いたしました金融三法において、二〇〇〇年度末までの間、預金の全額を保護し得る時限的な制度の整備を図ったところでございまして、預金者保護、信用秩序の維持に最大限の努力を払ってまいります。  なお、連結納税制度については、その前提となる企業経営の実態や商法等の関連諸制度を踏まえ、十分な論議が必要とされる研究課題であると考えております。  最後に、外為法につきましてでございますが、外為法につきましては、改正法案を早急に取りまとめまして、今国会提出してまいります。この改革は、日本版ビッグバンともいうべき我が国金融システム改革の中で、文字どおりフロントランナーとしての位置づけが行われております。国境を越えたより自由な金融取引を実現するとともに、外国為替業務を完全に自由化するものでございまして、我が国金融資本市場の一層の活性化に資するものと考えております。  以上であります。(拍手)     〔国務大臣小杉隆君登壇
  18. 小杉隆

    国務大臣(小杉隆君) 人間形成の教育、道徳教育の充実についてのお尋ねでありますが、山崎議員の認識と私は同一であります。  基本的な考え方につきましては総理からお答えがありましたので、私は、文部大臣として今考えておりますことを率直に申し上げたいと存じます。  これからの子供たちには、知識の詰め込みだけではなく、自然や社会、他の人たちと積極的にかかわったり、すぐれた文化に触れ、そうした中で人間としての生き方やあり方を考えさせるとともに、ボランティア活動や自然体験などを促して、豊かな人間性を培うことが大切であると考えております。こうした観点に立って、現在、教育課程審議会に、家庭や地域社会との関連を考えつつ、道徳教育を初め学校の教育をいかにすべきかについて検討していただいているところであります。これらを踏まえて、実践的な道徳教育の推進に努めてまいりたいと存じます。  以上であります。(拍手)     〔国務大臣池田行彦君登壇
  19. 池田行彦

    国務大臣(池田行彦君) 山崎議員の私に対する御質問は対中外交についてでございましたけれども、その基本姿勢につきましては総理より御答弁がありました。  私から補足するといたしますならば、日中関係は、両国にとってだけではなくて、アジア太平洋地域全体、さらには世界全体のためにも重要であるという点でございまして、その観点を踏まえながら、隣国ゆえに生ずるいろいろな懸案はございますけれども、日中関係の維持発展に全力を尽くしてまいりたい、このように考えております。  また、中国が国際社会で建設的な役割を果たしていくことの重要性にかんがみまして、我が国といたしましても中国の改革・開放路線を支援してまいりましたが、これを基本にいたしまして、対中経済協力も適切に進めてまいる所存でございます。(拍手)     ―――――――――――――
  20. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 菅直人君。     〔議長退席、副議長着席〕     〔菅直人君登壇
  21. 菅直人

    ○菅直人君 私は、橋本内閣総理大臣施政方針演説に対し、民主党を代表して質問を申し上げます。  昨年末に発生した在ペルー日本大使公邸占拠事件は、一カ月以上を経過した今日もなお解決していません。人質とされている方々の御苦労と御家族の心配を思うとき、本当に心が痛みます。不法なテロ行為に屈することなく、人命尊重を第一に事件の平和的な解決を図り、人質方々の一日も早い全面解放が実現することを願ってやみません。  また、ロシア船籍のタンカー・ナホトカ号沈没による重油流出事故によって、現在もなお重油の漂着による汚染被害が拡大しています。我が党も、ボランティアの派遣や募金活動に取り組んでいます。政府としても、必要な人員を現地に派遣し、早急に除去作業を進めると同時に、環境への影響の調査などに取り組むよう求めます。  発生から二年が経過した阪神・淡路大震災の被災地では、なお被災者の生活の再建がおくれています。民主党としては、この際、被災者の生活再建を加速するために、個人給付という形の新たな枠組みによる生活支援策を実施し、復興に弾みをつけるための議員立法を今国会提出したいと考え、準備を進めております。政府においてもこのような支援策を検討するよう要請したいと思います。(拍手)  我が国は、近年次々と危機に見舞われ、その都度、危機管理の不十分さが指摘されています。この根本的原因は、現在の中央省庁が縦割りである上に、ボトムアップで動く体制であるため、総理や各大臣のトップダウン型の指示がすべての関係者に届きにくいことにある、このように考えます。危機管理体制について抜本的検討がいま一度必要だと考えますが、総理のお考えを聞かせていただきたい。  さて、大正十四年、すなわち一九二五年、本院の大先達である尾崎咢堂翁は、その著書「政治読本」の中で、次のように述べておられます。   世界はすでに共存共栄の有機的関係に進みつつあるのに、我が国だけが依然としてただ目先の利己的損得を目安とする排他的鎖国思想を持って、国際経済及び国際政治に臨むから、どうしても列国と歩調が合わず、世界の嫌われ者となるのである。   何とかしてのぼせを引き下げ、再び明治維新当時の如き謙虚な気持ちに立ち返って、油断せず、増長せず、国連の危機を挽回する道はないものであろうか。誰でも自分が本当に死地に陥ったことを自覚すれば、「死にたくない。どうかして生きたい」と願うに違いない。   のぼせておれるのは、未だ本当に自分が死の運命に直面していることを知らないからである。国家危機は、死地に処して、しかも自ら之を知らざるより甚だしきはない。いやしくも之を知れば、活路は自ら開ける。どうしたら国民にこの危機を悟らせることができようかと、私は多年思い煩っている。  第一次世界大戦後の大恐慌を前にしたこの時代、日本の行く末を案じての尾崎咢堂翁の気迫のこもった国民への訴えであります。  これに比べ、一昨日の総理施政方針演説を聞いて、一体どれだけの人が感銘を受けたでしょうか。改革という言葉が三十三回使われたといいますが、官僚の用意した作文の朗読であって、総理自身改革にかける決意や気迫が全く伝わってこなかったのであります。果たして、これで国民に対して痛みを伴う行財政改革のリーダーたり得るのか、総理としての基本的な姿勢に疑問を抱かざるを得ません。  橋本総理も、第二次橋本内閣の成立に当たっては、行財政改革なくして日本の将来はないとの強い決意を「火だるまになっても実行する」と表現され、その後、行政改革会議財政構造改革会議などを次々とスタートされました。そして、施政方針でも六つ改革の一体的断行を強調されました。しかし、この間、国民の目に見える具体的な改革は何一つ実行されていないだけでなく、公共事業中心とした従来型のばらまき予算など、明らかに改革に逆行することはかり閣議決定されてきているではありませんか。  その結果、昨年末の予算案決定直後から、橋本内閣での改革は絶望と見て、日本売りが強まり、今日まで大幅な円安株安が進行してきております。総理は、こうした事態をどう認識されているのか、行財政改革の第一歩とも言える予算編成でどういうリーダーシップを発揮されたのか、お尋ねしたいと思います。  また、今国会に、金融行政改革以外に行革関連の法案を出す予定があるのかどうか、総理にお尋ねいたします。  我々民主党は、昨年末の臨時国会で、行政改革に重要な役割が期待される行政監視院法を提出し、今国会でも情報公開や公共事業見直しに関する法案提出を準備いたしております。もし、今国会に新たな行政改革関連の法案政府から出されないとすれば、橋本行革政権は看板に偽りありということになりますが、総理、いかがでしょうか。  具体論に移って、まず平成八年度補正予算について伺います。  この補正予算には住宅・都市整備公団への補給金などが千四百六十七億円計上されています。これについては、賃貸住宅の家賃の低減のための利子補給と説明されています。しかし、他方、利子補給によっても民間より高家賃のために空き室が増大し、これに対する今回の家賃の引き下げは、子会社にただ同然で貸していた駐車場敷地の使用料の引き上げによって賄ったと、この部分は説明をしているわけであります。これまで当然行わなければならなかった経営努力も行わないで、説明しやすい利子補給の部分を毎年一般会計から、しかも補正予算の中で繰り入れてきた、これが実態であります。  しかも、公団が財投から借り出している金利は平均六・二%と現在非常に高いものでありまして、これを二%引き下げるだけで補給金分の金利が浮くにもかかわらず、借りかえの要求は大蔵省に対してしていないわけであります。このような放漫経営を続けている住都公団の総裁の報酬が年間三千万を超えているのも納得できません。この際、住都公団は新規の賃貸住宅建設事業から撤退することを含め大改革が必要と考えますが、総理並びに建設大臣の見解を伺います。  また、補正予算にはガット・ウルグアイ・ラウンド関連対策費として三千百億円が計上されています。そして、その多くは農業土木事業に振り向けられていますが、一部の農民団体からさえも、地元負担を伴い農家のためにならない農業土木予算は要らないと反発が出ているわけです。私は、農村地域は高齢化率が高く、JAからも高齢者介護事業への参入希望が多いことなどから、ウルグアイ・ラウンド対策費の一定部分は農村地域高齢者福祉事業などに振りかえることが望ましいと考えますが、総理並びに農水大臣の見解を伺います。  そのほか、この補正予算では、従来は一般公共業とされてきた道路整備などが緊急防災対策費の名目で盛り込まれるなど、多くの問題があります。住都公団への補給金の支出を停止するなど、補正予算は大幅に組み替えで政府において再提出すべきと考えますが、総理の見解を伺います。  次に、平成九年度予算案の中で問題となるべき項目についで順に伺います。  まず最初に、整備新幹線の問題です。  我が党は、高速道路や空港を含め高速交通網体系全体の財源の見直しなどがあるのであれば、整備新幹線の建設に必ずしも反対の立場ではありません。しかし、財源など確かな見通しも持たず、旧国鉄の長期債務を放置したまま、地元対策優先で強引に予算を確保する姿勢は、まさに国鉄を破産させた我田引鉄そのものです。この際、総理施政方針演説で述べられた三つの基本条件をクリアするまでは新規着工の予算の執行は見合わせるべきであると考えますが、総理の見解を伺います。  つくるのも売るのも自由というふれ込みの新食糧法の施行から二年余りが経過いたしました。しかし、現実には毎年減反が行われ、そのために毎年一千億近い補助金が使われています。しかも、減反面積の政府目標は達成したと言いながら、余剰の米を政府買い入れ価格で備蓄計画を超えても買い支え、事実上の価格支持政策が続いています。その結果、適正備蓄は百五十万トンであるのに対し、政府民間の在庫米はそれをはるかに超過して、今年度には三百万トンに達しようとしています。そして、この適正備蓄を超えた古米を援助米やえさ米として処理するとすれば、在庫管理を含めてさらに五千億円程度の費用がかかることになると見込まれます。  また、四十一兆円にも上る第四次土地改良長期計画やガット・ウルグアイ・ラウンド関連対策で六兆百億円の事業費を投入して圃場や農道を整備しても、減反や後継者難から、圃場整備された相当部分がみすみす休耕田になっていくというのが現状ではないでしょうか。現在の農業政策があらゆる面で行き詰まっていることは、高知県知事で橋本総理の実弟である橋本大二郎氏が政府の減反政策には協力できないと反旗を翻していることからも明らかではありませんか。減反政策の見直しを含めて農業の構造改革にどう取り組んでいこうとするのか、総理並びに農林水産大臣の見解を伺います。  歳出構造を見直す上で特に重要と考える分野を三つ挙げるとすれば、第一は、公共事業の見直しです。  六百三十兆円の公共投資基本計画は、一ドル七十九円にまで達した円高の進行を食いとめるため内需拡大を促進する必要があったから決定されたのではなかったでしょうか。しかし、その後の状況は一変し、今は一ドル百十八円という円安が進行し、経常黒字の削減という国際公約は既に果たしているのですから、この際、公共投資基本計画を抜本的に見直そうという考えはありませんか。総理に伺います。  民主党は、十六本の公共事業長期計画すべてを国会承認事項とすることなどを柱とする公共事業コントロール法案を準備中ですが、国会による公共事業長期計画のコントロールの必要性について総理の見解を伺いたいと思います。  財政構造改革の第二の柱は、社会保障システム改革です。  医療保険制度改革について、自己負担の是非ばかりが論じられて、二十七兆円の医療費の総額をいかに抑制していくのかという議論がなされていないのを危惧しています。医療費の三〇%にも達する薬剤費を抑制するためにも、思い切って薬剤に定率制の自己負担を導入するなど、抜本的な対策を講じることが必要と考えられます。さらに問題なのは、国民にとって望ましい医療のあり方とは何かという医療構造改革の姿に少しも触れられていないことです。むだな医療費を効率化するには、ほかにも、かかりつけ医療制度の導入とか医師養成制度改革など根本的な問題があります。医療構造改革に対する総理の見解を伺います。  介護保険制度の導入は、高齢化社会に備えて、社会全体で介護を支えるシステムを構築しようとするものです。介護サービスの提供にNPOを含む民間活力を活用できる仕組みのあり方など、関係者と十分な議論を尽くして、必要な修正があればそれを取り入れ、今国会介護保険法の成立を図っていくべきと考えますが、総理の御所見を伺います。  第三の柱は、省庁の手足となり天下り先にもなっている特殊法人、公益法人、そしてその資金源である財政投融資制度改革です。これは、とりわけ総論賛成、各論反対に陥りやすい問題でもあります。改革に臨む総理の決意のほどを伺いたいと思います。  関連して、高速道路の敷地に固定資産税を課税するという方針を日野市の市長が示しています。建設省は、有料道路の無料化の原則は崩していないから固定資産税は払う必要がないと強弁していますが、それが本当なら、一体いつから完全に無料になるのかを示すべきです。建設大臣にこの点についての明確な見解を伺います。  また、昨日の報道によれば、建設省所管の財団法人であるダム水源地環境整備センターとダム技術センターが、建設省の役人にタクシーチケットを渡したり、接待の飲食費を三年間で一億二千万円経費として計上していたとして東京国税局から追徴課税を受けました。一体、これらの団体がこの三年間に政府や公団から受けた委託費等は幾らあるのか。こうした合法性を装った税金泥棒的行為に対して、関係した建設官僚責任を明らかにする必要があると思いますが、建設大臣、いかがですか。また、裏金づくりのためのこれらの公益法人を大胆に整理することを、亀井建設大臣、この場でお約束いただけませんか。  欠員になっている会計検査院の検査官について、さきの国会では提案されないままになっています。現在三人の検査官のうち二人が公務員からの出身であることから考えますと、残りの一人については、公認会計士など公務員出身でない民間人を充てるのが適切だと考えます。しかし、きょうの朝刊などによりますと、この一人に対しても公務員出身者を提案するという予定だと報道されていますが、それが事実かどうか、総理の真意を伺いたいと思います。  次に、民主党がさきの臨時国会提出して継続審議になっている行政監視院法案について伺います。  総務庁の事務方は、我が党が行政監視院法とともに行政監察局の廃止法案を出したことに対し、組織防衛として、両法案に反対の趣旨の文書を作成し、関係者を回っています。本来、行政改革を推進する立場の総務庁がこうした行動をとっていることに対して、総理と総務庁長官はどう考えられているのか、見解を伺いたいと思います。私の事務所には、行政監視院ができたらそちらに再就職したいといった監察現場の声が数多く寄せられております。国会行政監視院を設けることにより、総務庁の行政監察局以上の効果が上がることは間違いないと考えますが、総理の見解を伺いたいと思います。  関連して、総務庁長官に伺います。  一昨年四月に監察に着手した国営干拓事業に関する行政監察の結果が、二年近くたった今も報告されていないのはなぜですか。休止中の宍道湖中海の干拓事業の調査費をどう扱うべきかなど、参考とすべき行政監察の結果は本予算審議までに報告してほしいと考えますが、いかがでしょうか。  我々が行政の質的改革のもう一つの柱と考えているのが行政情報の公開です。総理は施政方針で、九年度中に情報公開法案を国会提出するとしていますが、今国会政府提出予定法案の中には含まれていません。絵理はいつ情報公観法を国会提出するおつもりか、お答えください。  また、情報公開法の成立を待たずとも、政府自身にやる気があれば、行政情報の公開は相当に進められます。例えば補助金の箇所づけなど決算の情報を各省庁のホームページに掲載し、インターネットで公開するといったことは、大臣の判断でできることです。インターネットを通じた行政情報の公開の推進について、総理並びに総務庁長官の見解を伺います。  次に、総理金融システム改革の目玉としている金融検査監督庁設置法案と日銀法改正案について伺います。  与党の合意内容を見ると、総理府に金融検査監督庁をつくっても、実際の仕事は大蔵省と定期協議をしながら進める、地方金融機関の検査は大蔵省の地方財務局任せで、大蔵省との人事交流も続けるというのでは、せっかくの金融検査監督庁も第二の大蔵省となるだけではないでしょうか。  我々も日本版ビッグバンは急ぐべきと考えていますし、金融持ち株会社の導入などにも前向きに対処していく方針です。総理自身、二〇〇一年には財政金融を完全分離するというのであれば、規制緩和の前倒しとあわせて金融行政機構改革も前倒しで実施することにどういう問題があるというのでしょうか。  EUの通貨統合など世界の金融秩序が大きく動こうという状況を考えれば、市場原理で動くべき金融政治の決定による資源配分である財政を担当する行政機関は、中途半端な形ではなく、一刻も早く機能的に分離することが望ましいと考えます。総理は、直ちに財政金融の分離に踏み切る考えはありませんか。そのお答えを伺いたいと思います。(拍手)  現在、日本経済が抱えている最大の課題は、戦後の経済成長を支えてきた含み益経済の時代から、時価評価を基礎にした収益性重視の経済への構造改革であると私は考えています。バブル崩壊後の不良債権問題の発生は、この構造改革のおくれに対する警鐘であると思います。  経済企画庁の調べによれば、日本全体の土地資産額は一九八五年に一千兆円だったものが、わずか五年後の一九九〇年には二千四百兆円まで急上昇し、そしてその六年後の一九九六年にはまた千七百兆円に急落をいたしています。一九九〇年の二千四百兆というのは、地球上のすべての土地総額の六割とも言われた異常な価格であったわけであります。この間の土地取引の実態や株価の下落等から考えて、私は、日本が抱える不良債権は百兆ぐらいは間違いなくあると考え、公的資金の導入も含めて、その対策を急がなければならないと訴えてまいりました。  最近、不良債権政府が公表しているよりも相当大きいという私の主張を裏づける報告書が米国の連邦議会調査局から出されました。ニューヨークの証券取引所に上場している東京三菱銀行が米国のSEC基準で発表している不良債権額が、国内の基準で発表している不良債権額の二倍であったことから、日本金融機関全体の不良債権額は政府の公表数字の二倍はあると見ておくべきであるという報告です。  こうした日本の言うことは信用できないという海外の見方は、金融機関だけではなく、行政も一緒になって都合の悪い数字は隠して公表しないという日本の閉鎖的な体質を変えていかない限り、払拭できないと考えます。総理金融に対する情報公開に対する見解を伺いたいと思います。  橋本行革の目玉である中央省庁再編成、いわゆる省庁半減構想は、その目的がはっきりしません。現在の官庁を単に切り張りするような組織いじりではなく、官民の役割分担の見直しや、地方自治体権限と財源を移譲して任せられないのかという地域主権の観点から考えていくべきと思います。この点について、総理の見解をお聞きします。  英国では、サッチャー政権のときに、各省庁の設置法を改正する権限を首相直属の機関、首相府効率室に集中し、刑務所の管理から運転免許の登録に至るまで、現業部門中心に公務サービスのエージェンシー化を進めました。その結果、今では公務員の七割が民間的経営を取り入れたエージェンシーに勤務し、エージェンシーのトップには官僚だけでなく民間人も政治任命で起用されています。  総理構想の中にも、エージェンシー化ということがうたわれています。であるならば、まずその手始めに、住都公団と日本道路公団の総裁に民間人を起用して改革の覚悟を示してはどうかと考えますが、総理並びに建設大臣のお考えを伺いたいと思います。(拍手)  相次ぐ公務員の不祥事で、公務員の綱紀の粛正と倫理の確立が求められていますが、総理の施政方針からは公務員倫理法についての姿勢が見えてきません。米国の政府倫理法のように、我々政治家も含めて、公務に携わる者の交際のルールなどを明確に規定することは極めて重要と考えます。公務員倫理法について、総理の見解を伺います。  総理改革六つ目の柱として掲げた教育改革については、学校五日制や中高一貫教育、教育課程の見直しなどが挙げられていますが、施政方針ではまだその具体像が明確ではありません。いじめをなくし、個性豊かな子供たちを育てる観点からも、教育の場には多様な人材を確保することが重要になっています。教員の資質の向上を図るためにも、学校を出てから一度企業に勤めたり、いろいろな社会勉強を積んだ人が教員の資格を取りやすくなるように、資格試験のあり方も見直していく必要があると考えますが、総理の見解を伺います。  次に、外交問題について伺います。  米国では、クリントン政権が二期目に入りました。ロシアでは、エリツィン大統領の健康問題が外交的に不確実な状況をつくり出しています。日米関係の当面の重要課題である沖縄米軍基地の移転問題の見通し、それに加えロシア情勢についての総理の見方をお伺いしたいと思います。  橋本総理は、年明けからASEAN諸国を歴訪されましたが、インドネシアでは、東ティモールの民族自決権問題は解決済みとするスハルト大統領の立場を支持し、東ティモール関係者とは会わないようにしているという発言を現地でされたと報道されております。昨年のノーベル平和賞受賞者で東ティモール独立運動の指導者であるジョゼ・ラモス・ホルタ氏と、先日、私も国会内でお会いをいたしましたが、東ティモール関係者を無視し続けている日本政府の態度に、金で物は買えるけれども信頼は買えないという厳しい指摘を受けたところであります。今後、政府として東ティモール関係者とお会いになる考えはないのか、総理に見解を伺います。  次に、日韓関係について伺います。  二〇〇二年のワールドカップ共同開催など両国間の懸案を前進させるためにも、従軍慰安婦問題などの解決を急ぎ、一層の信頼関係の構築を図らなければならないというやさきに、自民党の元閣僚から、日韓併合は町村合併とどう違うのかというまことに遺憾な発言がありました。我が党の鳩山代表が、先日、金泳三韓国大統領と会談した際にも、こうした歴史を歪曲する政治家の発言について懸念が表明されました。総理は、二十五日から大分で開かれる金大統領との首脳会談の中で、この歴史認識の問題についてどのように対処し、みずからの政党の中でどのようにして正しい歴史認識を築いていこうとされる所存か、伺いたいと思います。(拍手)  今日、官僚主導の政治から、国民に選ばれた政治家が主導する政治の復権の必要性が叫ばれています。民主党が複数の副大臣制の創設と政府委員制度廃止を提言しているのはそのためです。しかし、後藤田元副総理は、副大臣などを置いたらますます族議員の横暴がきわまってしまうという懸念を表明されました。報復予算議論がまかり通る今の自民党の後輩たちの姿を見ての憂慮であると思います。つまり、政治の復権には政治の質の向上が厳しく問われるということです。この点、改革を実行しようとする総理の足を引っ張るのは、野党ではなく、総理のおひざ元の自民党ということになるのではないかと思いますが、自民党的体質ともされる族議員の構造の転換が可能かどうか、総理のお考えを聞かせていただきたいと思います。  最後に、今我々は一九九七年という時代に生きております。しかし、今ここで議論していることは、これから十年先、二十年先に社会を担う若い世代の負担に直接かかわることばかりであります。そこで我々は、この二、三年先のことではなく、少なくとも二十年先の社会のあり方を常に考えなくてはなりません。もっと具体的に言えば、自分よりも二十歳着い人たちに対して説得力を持ち得る政策でなければ責任ある政策とは言えないということです。こうした未来への責任を肝に銘じて、民主党は日本社会改革に取り組んでいく覚悟であることを表明し、私の質問を終わります。  どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎登壇
  22. 橋本龍太郎

    内閣総理大臣橋本龍太郎君) 菅議員にお答えを申し上げます。  まず、ペルー日本大使公邸の占拠事件についで、先ほど本院でも御決議をいただきましたところでありますが、我々としては、テロに屈することはなく、人命の尊重というものを第一にしながら、この事件平和的解決に努めていく、そして人質方々早期全面解放全力を傾けてまいります。冒頭申し上げたいと存じます。  次に、ナホトカ号の重油流出事故につきまして事故発生後、直ちに人命救助を行うと同時に、冬の日本海でありましたが、タンカーからの流出油の監視、防除あるいは漂流している船首部の沖合曳航等の作業に関係機関の総力を挙げて取り組んでまいりました。しかし、結果として、その船首の曳航も成功せず、事態拡大したことは本当に残念であり、事態状況を踏まえ、もう少し早く関係閣僚会議を開催するとか、政府対応に反省すべき点があったことは認めなければなりません。本件事故事態の重大さにかんがみて、被害状況の把握、環境に与える影響の調査、賠償問題などの被害対策、事故原因究明や老朽タンカー対策などの再発防止策につき内閣を挙げて全力で取り組んでまいります。  次に、阪神・淡路大震災関連について御意見をいただきましたが、政府は、これまでにも公営住宅の家賃の大幅な引き下げを初めとしたさまざまな支援策を講じてきました。さらに、今後、自治体が阪神・淡路大震災復興基金を活用し実施を予定しておられる生活再建支援金の給付などに対し、地方財政措置により支援を行うなど、被災者の生活再建策をより一層充実させていく努力をいたします。今後とも、被災地の一日も早い復興を目指し、最大限の努力を続けてまいります。  また、危機管理体制の強化は内閣の最重要課題であります。これまでも、阪神・淡路大震災の教訓などを踏まえ、災害対策基本法の改正あるいは情報集約機能の強化、関係閣僚の緊急参集体制の整備など、その強化に努めてまいりました。今回のペルー事件重油流出事故につきましては、それぞれ対策本部を設置し政府を挙げて取り組んでおりますけれども、危機管理体制は常に点検、改善していくべきものでありますし、これらの事案を通じて得た教訓を生かしながら、さらに政府として適切な危機管理体制の確立に万全を期してまいります。  また、為替問題及び株式相場についてのお尋ねがございました。  最近の為替相場は、対円のみならず対マルク等につきましても、全面的にドル高方向での動きが見られております。行き過ぎた円安、行き過ぎた円高、ともに我々にとっては好ましいものではなく、為替相場の安定が重要であり、この動向には十分注意してまいりたいと考えております。  また、最近の株式市場は全体として軟調に推移いたしておりますけれども、我が国経済状況などのファンダメンタルズは決して悪いものではありません。政府としては、八年度補正予算早期成立と九年度予算の年度内成立を図りながら、切れ目のない経済運営に万全を期していきますとともに、各般の構造改革を着実に実施してまいりたいと考えております。いずれにしても、株式市場の動向につきましては、今後とも重大な関心を持って注意深く見守ってまいります。  また、九年度予算におまえは一体どんな役割を果たしたんだという御質問がございました。  例えば、国債発行の縮減の目標あるいは税収等の中で歳出を補う努力、さまざまな制度の合理化、改革、こうした点についてそれぞれの閣僚に指示をし、全体としての歳出規模の抑制に努めてきたつもりであります。  次に、行政改革関連法案につきまして、金融行政機構改革ばかりではなく、規制緩和あるいは特殊法人の整理合理化など二十数本の行政改革関連法案提出する予定にいたしており、御審議をお願いするところであります。  次に、住宅・都市整備公団の改革についてのお尋ねがございました。  住宅・都市整備公団の業務は、平成七年二月二十四日の特殊法人の整理合理化についての閣議決定、この中におきまして決められましたように、地方公共団体や民間では実施困難な事業を基本とするなど、現在特に政策的意義の大きい事業を重点的に実施しております。しかし、それだけではなく、今後行政改革を進めていく上で、特殊法人の見直しは当然ながら重要課題の一つでありまして、住宅・都市整備公団のあり方につきましても、建設大臣から、既に検討に着手している、そう報告を受けております。  また、補給金についてのお尋ねがございました。  この補給金は、家賃の低減などのために、家賃算定の基礎となる金利を借入金利よりも政策的に低く設定していることに伴う差額を補給する性格の経費でありまして、公団の平成七年度決算の確定を受けて、できる限り早期に補給金を措置する必要があることから、今回の補正予算において一千四百六十七億円を計上いたしておるところでございます。この補給金の支出を停止することは考えておりません。  また、今回の補正予算におきまして、阪神・淡路大震災の被災地の復興対策や災害復旧等の特に喫緊となった課題について措置を講じたものでありまして、一日も早い成立をお願い申し上げておるところでございます。  ウルグアイ・ラウンド対策費を高齢者福祉事業に振りかえるべきだ、そうした御指摘がございましたが、農業合意の実施に伴う影響を最小限に食いとめると同時に、農業の将来展望を切り開いていくために本当に必要な事業としてこのウルグアイ・ラウンド対策というものは実施をいたしております。御質問のような視点も踏まえながら、農村地域高齢者対策についても各般の施策を講じておりますが、我々はこの事業を必要なものだと考えております。  また、整備新幹線の未着工区間につきましては、整備区間ごとに、収支採算性、並行在来線の経営分離についての地方公共団体の同意、JRの同意などの基本条件が整えられていることを確認した上で、その取り扱いを厳正に判断してまいります。  農業の構造改革についてのお尋ねがございました。  農業の将来展望を切り開くために、効率的、安定的な農業経営の担い手が生産の相当部分を占める農業構造や活力ある農村の実現を目指しながら、各般の施策を展開しているところであります。今後、新たな基本法について本格的に検討していく中で、既存の法制度、施策等についても検討を行ってまいります。  公共投資基本計画につきましては、議員がよく御承知のとおり、本格的な高齢化社会の到来を間近に控えて、豊かで質の高い生活を支える発展基盤を構築するとの見地から、社会資本整備の基本的な方向を取りまとめたものであります。他方、その具体的な実施に際しましては、財政の健全性を確保しながら、各時点での経済財政状況を踏まえながら、機動的、弾力的に対応しているものでありまして、今後もこうした考え方に基づいて進めたいと思います。  また、公共事業の各種長期計画につきましては、閣議決定の文中にも、今後の社会経済情勢の動向、財政事情などを勘案しながら弾力的にその実施を図ることとされており、この計画によって歳出が義務づけられるものではありません。いわば計画的な事業実施のための目安といった性格のものであると考えます。具体の歳出権や債務負担が生ずる場合には、財政制度上、当然国会の議決を得るわけでありますし、実際上も、各年度ごとの予算などの形で国会の議決をいただいているところであります。長期計画の性格にかんがみた場合、計画策定の段階で国会の議決ないし承認を受ける必要があるとは考えておりません。  次に、社会保障関係において、薬剤費についてのお尋ねがございました。  医療費においで薬剤の占める割合が高い、こうした実態があることから、薬剤役用の適正化、薬剤費の効率化を図ることは急務であります。このような観点から、今回の医療保険制度改革では、薬剤について定額の負担を設けることとしておりますほかに、今後、薬剤使用の適正化をさらに進めるために、薬価基準の見直しなど総合的な対策に取り組んでまいります。  また、医療構造改革につきましては、医療保険制度の総合的かつ段階的な改革を進めるとともに、質の高い医療を提供するために、地域における第一線の医療機関としてかかりつけ医を位置づける、また供給過剰が懸念される医師などにつきましては、今後需給推計を行いながら、医師養成の各段階において改善方策を検討していくことといたしております。  次に、介護保険につきましては、国民の老後の最大の不安要因であります介護の問題に対し、NPO民間会社など民間創意工夫を活用しながら、介護社会全体で支える仕組みを構築しようとするものであります。介護保険法案は関係審議会の審議や関係団体との協議等を積み重ねた上で取りまとめたものであり、ここまで参ります間には、当時厚生大臣として菅議員にも大変な御労苦をいただきました。今国会において、幅広い観点から御議論をいただきましたこの法律案早期の成立に向けて全力を尽くしてまいります。  また、特殊法人、公益法人の改革についての御意見をいただきました。  政府としても、行政改革プログラムに従って、法人の統廃合などの整理合理化方針に基づき、こうした点の努力は当然のことながら進めてまいります。また、公益法人の設立許可及び指導監督基準を昨年九月二十日に閣議決定いたしており、こうした公益法人の指導監督も強力に推し進めていかなければなりません。  そして、その裏にあります問題として御指摘を受けました財政投融資制度改革につきましては、改革を推進するという基本方針のもとに、現在、効率的な資金配分また重点的な資金配分に努めてまいります。同時に、資金運用審議会の懇談会で本格的な検討、研究を進めていただく方向で準備をしており、この中には、従来の資金運用審議会の委員、専門委員だけではなく、財政制度審議会の学者メンバー数名も加わっていただき、総合的な検討を考えておるところであります。  また、会計検査院の検査官について御意見がございました。  内閣としては、行政及び財政にすぐれた識見を有する者が適当、そうした観点で入選を行っております。欠員となっております検査官一名につきましても、この観点に立ちながら現在人選を進めているところでありまして、欠員状態早期解消を図るよう、今国会においてできるだけ早期国会の御同意をいただけるように手続を進めてまいります。  また、行政監視院法案とこれに伴う総務庁の行動についての御意見をいただきました。  お尋ねの行政監視院法案などにつきまして、さきの臨時国会におきまして、私から、国会行政の監視機能を強化される、そうした観点から憲法の諸規定を踏まえて活動されることは大切なことだと考えていますし、そうした考えを否定するつもりはありません、その上で、監視院そのものについては国会みずからが御判断を下されるべきものであると申し上げつつ、政府の中で行政監察業務を全くなくしてしまうというのは不適切だと思うということを私は申し上げました。現在も、私は国会行政監視機能を強められることに何ら異論を申し上げるものではありません。しかし、政府そのものがみずからの監察機能をなくしてよいということとは、私はこれは異なると思っております。また、行政監察の現場の諸君も、私はみずからの仕事に情熱と誇りを持って取り組んでくれていると思っております。  次に、情報公開法案の提出時期につきましては、政府としては、行政改革委員会意見を最大限に尊重し、平成九年度内に所要の法律案国会提出を図る、この行政改革プログラムに沿いまして、できるだけ早い機会に法案国会提出できるよう、法制局等にも作業を指示しております。  次に、インターネットを通じた情報公開の推進について御意見をいただきました。  行政改革プログラムにおきまして、行政情報のインターネットなど電子的手段、媒体による国民への提供を一層推進する旨を閣議決定したところでありまして、今後ともこれを進めてまいります。  次に、金融検査監督庁につき、昨年末の与党合意におきましては、金融検査監督庁長官の持つ人事権はその独立を厳正に確保する、新しい機関は金融の実態を企画立案に反映させるために定期的に大蔵省と協議を行う、地方の検査及び監督は既存の地方支分部局体制を活用することとされておりまして、政府としては、この与党合意を踏まえながら、透明かつ公正な金融行政への転換を図るという今回の金融行政機構改革趣旨に沿って鋭意検討してまいるつもりであります。  また、これは国民経済の根本にかかわる問題でもあります。万全の詰めをいたさなければなりません。今国会に所要の法案提出したいと考えておりますが、本件は預金者という国民に直接かかわる問題でありますので、信用不安などには万全の体制仕組みを考えてまいります。  また、財政金融の分離の問題につきましては、我が国行政機構のあり方の根幹に触れる問題でもあります。行政改革会議において、中央省庁再編問題の一環として大所高所から十分に議論していただく必要があると考えております。  金融システム改革そのものにつきましては、遅くとも二〇〇一年までに完了するという明確な期限をお示ししておりまして、今後、各方面において精力的に検討を進め、結論の得られたものから速やかに実施してまいります。  また、金融機関のディスクロージャーにつきまして、その充実が金融機関経営の透明性を高めて、市場規律により経営の自己規正を促すものであり、不良債権早期処理を促す上でも大きな意義を有する、私もそう思います。こうした認識に基づいて、金融機関のディスクロージャーについてはこれまでもその拡充に努めてまいりましたが、今後とも一層の充実に向けて努力してまいる所存であります。  次に、中央省庁再編につきましては、当然ながら、行政機構の単なる再分類ではありません。国家の基本機能というものを根本的に問い直しながら、国民本位で的確かつ効率的に対応できる組織体制をつくり上げる、これが必要なことであり、当然ながら、その際、官と民の役割分担地方分権などの観点も含めて検討し、行政のスリム化を図るべきだと考えます。このような認識の上に立って、行政改革会議において検討を進めたものを本年十一月末までに成案としてお示しをしたいと存じます。  また、住都公団及び日本道路公団の総裁というお話がございました。  こうした公団の業務というものが、高度の公共性を有する、高い専門的な知識を必要とするということから、その業務の円滑な遂行を図るために、豊富な行政経験や専門的な知識を有する国家公務員からの登用も私は必要だと思います。今後とも、民間からの登用も含め、適材適所の考え方によった有能な人材の登用を図りたいと考えます。  次に、公務員の交際ルールの法制化についてのお尋ねがございました。  政府としては、昨年発生した不祥事を厳しく受けとめながら、真に実効の上がる綱紀粛正の方策につきまして、昨年十二月十九日、事務次官等会議の申し合わせを行いました。今後は、この申し合わせに基づいて、各省庁において制定された公務員倫理規程の厳格な遵守を図ることなどによって、政府を挙げて綱紀粛正を徹底しながら、国民の信頼を回復するよう努力してまいります。また、政治家についてもお触れになりましたが、各党各派で十分御論議をされる問題だと私は思います。ちょっと例にお引きになりました米国の政府倫理法、さまざまな内容を含んでおりますが、その中心となるものは資産公開等であったと記憶をいたしております。こうしたものも土台として御論議が深められるでありましょう。  また、教育改革の問題についてお尋ねがございました。  教育というものがすべてのシステムの基盤であるという認識のもとに、既に提起をされております中高一貫教育の導入あるいは学校週五日制に向けた教育課程の見直しなどを含めて、具体的な課題やスケジュールを立てて教育改革に取り組むよう文部大臣に指示したところであり、現在検討が進められているところであります。  また、御提言のありました学校教育への社会人の活用、これは、学校教育を活性化していくために学校外の人材を積極的に活用するという点で極めて重要な課題だと認識をしております。幅広い経験とすぐれた知識を有する社会人をより円滑に教育現場に迎え入れることができるよう、都道府県に対する補助を行いますとともに、制度のあり方などを検討してまいりたいと思います。  次に、沖縄米軍基地についてのお尋ねでありますが、この問題は政府としての最重要課題の一つであり、普天間飛行場の返還を初め、SACO最終報告に盛り込まれた措置を着実に実施するために、地元の皆様の御理解、御協力を求めながら、あらゆる努力を行っていく所存であります。  次に、ロシア情勢についてお尋ねがありましたが、エリツィン大統領が再選をされ、改革路線が継続される体制が整ったこと、これは、ロシア国民が共産主義国家体制というものを否定する、また、ロシアに民主的な政局運営が根づいてきたことを示すものだと考えております。最近退院された同大統領の健康問題、これが今後のロシア政局に与える影響というものは大きなものであり、引き続き注視を要しますけれども、エリツィン大統領が早期に全快をされて、より安定された指導力を発揮できることになることを期待いたしております。  また、東ティモールについてお尋ねがありました。  一般に政府関係者との会談のアレンジ、それは、その趣旨や双方の日程等を総合的に判断して行ってくるものでありまして、東ティモール関係者についてもそう判断しておりますし、今後も同様であります。  なお、東ティモールに関連して、人権問題が国際社会で重要な問題となっていることから、我が国としての関心をさまざまな機会にインドネシア政府に伝えてまいりました。その上で、我が国としては、現在進行中の国連事務総長の仲介による話し合いというものを支持する立場で、先般、スハルト大統領には、同国の立場は立場として承知していると述べた上で、こうした日本の立場を伝えた次第であります。  また、歴史認識のお尋ねがございました。  この歴史認識という問題については、我が党だけではなく、国民の間にもさまざまな御議論があることを承知いたしております。政府としては、一九九五年八月十五日、当時の村山内閣総理大臣が発表された談話、これは私どもも関与してまいりました。これを基本として、関係諸国との信頼関係を一層強化していくとともに、責任ある国際社会の一員として、国際協調を促進し、それを通じ平和の理念と民主主義を推進していく所存であり、このような政府の立場に対する国民の皆様の御理解を求めたいと思います。また、このような観点で私は未来を見据えながら、日韓首脳会談に臨む所存であります。  最後に、政治の質の向上、自由民主党の体質の転換という御質問がありました。  戦後五十年にわたって築かれてきた我が国経済社会システム、その中におきまして、与野党を問わずそれぞれがいろいろなかかわりを持ってきたことは事実であります。我々政治家は、常にみずからを戒めながら、個別地域や特定業界の利害をいたずらに守っているといった御批判を受けることがないように対応していかなければなりません。  残余の質問は、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)     〔国務大臣藤本孝雄君登壇
  23. 藤本孝雄

    国務大臣(藤本孝雄君) まず、ウルグアイ・ラウンド対策費を高齢者福祉事業などへ振りかえるべきとのお尋ねでございますが、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策は、先ほどの総理の御答弁にありましたように、農業を誇りを持って携わることのできる魅力ある産業として確立すること、住みやすく活力に満ちた農村地域を建設することなどを基本方針として実施しており、真に必要な事業として毎年度着実に推進することが必要であると考えております。  一方、我が国の農村地域は、若年層の都市への流出や出生率の低下に伴い、急速に高齢化が進行しており、農村地域における高齢者対策に積極的に取り組むことも重要であると考えております。このため、農林水産省といたしましては、平成七年六月に策定をした農山漁村高齢者ビジョンに沿って、農林漁業、農山漁村の特性を生かして、高齢者が生涯現役を目指し、安心して住み続けることができるよう、各般の施策を積極的に推進しているところであります。  次に、農業の構造改革についてのお尋ねでありますが、先ほど総理から御答弁がありましたような農業構造の実現と活力ある農村地域づくりなどを目指し、各般の施策を展開しているところであります。  また、国民の主要な食糧である米につきましては、その需給と価格の安定を図ることが生産者と消費者の双方にとって極めて重要でありますので、食糧法に基づき、需給の均衡、米の現在の需要は一千万トンでございます、これに対しまして潜在的な供給量は千三百五十万トンでございまして、このギャップがございます以上は、この均衡を図るための生産調整必要性は、私どもは極めて強いものだと考えておるわけでございまして、この生産調整の円滑な推進を図っているところでございます。  以上でございます。(拍手)     〔国務大臣亀井静香君登壇
  24. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) 菅議員からの私に対する御質問は四点であったかと思います。  まず、住都公団への補給金のことでございますけれども、これは、主として低所得者向けの賃貸住宅の家賃をこれによって下げようとするものでありまして、厳しい財政再建の中におきましても、橋本内閣は弱者に対する配慮をきっちりとやっていくという、そうした政策にのっとることをぜひひとつ御承知をお願い申し上げたいと思います。  また、住都公団の今後の改革についての御質問もございましたけれども、これにつきましては、現在、総裁を初め建設省一体となりましてこの改革の検討をやっております。今後の大筋を申し上げますと、一つは、分譲住宅につきましては、全面完全撤退をいたす方針でございます。それから、賃貸住宅につきましては、一定限度、これも非常に限られた限度につきましての事業は行いますけれども、これも撤退の方針でございます。そして、今後の方針といたしましては、都市の再開発あるいは市街地の再開発等に向けて重点的に取り組んでいく方向で現在検討を進めております。ぜひ民主党におかれましても、これについてのいろいろな御意見をいただければありがたい、このように考えております。  それから、日野市長さんが、何か荒唐無稽とも思われるようなことを御計画なさっておるというように私も新聞等で聞いておりますけれども、ユーザーからいただいております貴重なお金、びた一文私どもは支払うつもりはございません。日本道路公団の今後の運営その他につきましては、全体の行政改革の中で検討をしてまいりたいと考えます。日野市長の御主張は、現在の地方税法の立場では、これは絶対に不可能なことである、我々はこのように承知をいたしております。  それから、建設省の関係しております二財団の税務処理に関しましての御質問がございました。  平成五年から七年までの間、同二財団に対しまして二百六十七億円が業務委託をされております。これは建設省だけではございません。これにつきましては、建設省といたしまして必要な業務委託をいたし、これが現在のところ適正になされておる、このように私は判断をいたします。  ただ、その過程の中で、私の部下が公務員としての廉潔性を疑われるようなことがあったかないか、これにつきまして現在引き続いて調査をいたしておりますが、現在のところそういう状況はございません。菅議員から、私は、税金泥棒まがいというお言葉をちょうだいいたし、私の部下に対して耐えられないことでございます。ぜひこの点、菅議員におかれましては言葉をお選びをいただきたい、この点をお願いするわけであります。  また、今後、この二つの財団について、建設大臣として廃止をすることを約束しないかというお話がございましたが、財務処理のミスということだけをもって民間の財団法人を私が取り消すなんという強権的なことを直ちにやるつもりはございません。ただ、今後、こうした財団あるいは特殊法人等を含めまして、抜本的な行政改革の中で徹底的な見直しをやってまいる決意でございます。よろしくお願い申し上げます。  それから、住都公団の総裁、道路公団の総裁をかえて民間人にするつもりはないかという御指摘がございましたが、現在、両総裁とも行革につきまして先頭に立って努力をしておる最中でもございます。極めて優秀でもございます。今かえるつもりはございません。  以上です。(拍手)     〔国務大臣武藤嘉文君登壇
  25. 武藤嘉文

    国務大臣(武藤嘉文君) 菅議員にお答えをいたします。三点であったかと思います。  一つは、行政監視院の法案に伴って行政監察局の人たちが反対運動をやっている、こういうことでございますが、私は少し誤解もあるのではないかと実は思っております。  実は菅議員から先日そのお話がありましたので、事務当局に対してそのような運動をしているのかということを問いただしましたところ、これは、行政監視院の今度の法案の中身、それから行政監察局の実態、こういうものを文書にしてお示しをし、勉強したいという議員の先生方のところへは行っております、こういうことでありましたので、私は反対運動をしているというふうには受けとめておりません。もし何かほかにありましたらまたお教えをいただきたいと思いますが、私の承知しているところでは反対運動をしているとは思っておりませんし、行政監察局に対しては、行政改革先頭に立って努力をしろと指示をいたしておるところでございます。  二番目はいわゆる干拓事業、これは確かに、おととし四月から七月の間、干拓事業だけではなく大規模の農業基盤整備事業、八つの事業について全国的に調査をいたしたことは事実でございます。  ただ、これについて実は私自身にも責任があると思っておりますのは、この間うちから勧告をすることについていろいろと説明を聞いておりますと、先生方も、議員の皆様方もそうお思いだと思いますが、わかりにくい文章、やはりこれから行政改革をしていくには国民にわかりやすい行政にしなければならない、そういう点からいけば、勧告文というのはもっと一般の国民にわかりやすいものにしたらどうかということが一つ。  いま一つは、どうもこれも勧告の慣行のようでございますが、私は、総務庁の設置法を読んでもそういうことはないので、なぜ勧告を独自にしっかりした立場でやらないのか、こう指摘をしておりますが、今までは、いわゆる当該役所、相手の事務当局と話し合いをしてどうも勧告文をつくっているようであります。私は、それはけしからぬ、やはり独自に行政監察をやって、その結果こうだと思ったことは遠慮なく新しい感覚で、そして国民のわかりやすい文章で勧告をしなさい、こういうことを言いましたので今ちょっとおくれているわけであります。ひとつその点、私も責任がございますから、できるだけ早く勧告をまとめるように努力をさせていただきます。  第三点はインターネットのお話でございますが、これは私は、質の高い行政サービスをしようということで私ども努力をいたしておるわけでございますから、当然、インターネットの行政情報についての公開の対象種目といいますか、対象を広げていくということは大いに努力をしなければならぬと思っておりまして、努力をさせていただきます。(拍手)      ――――◇―――――
  26. 荒井広幸

    荒井広幸君 国務大臣演説に対する残余の質疑は延期し、明二十三日午後二時から本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されることを望みます。
  27. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) 荒井広幸君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決まりました。  本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十五分散会      ――――◇―――――