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1997-01-20 第140回国会 衆議院 本会議 第1号
公式Web版
会議録情報
0
平成
九年一月二十日(月曜日)
—————————————
議事日程
第一号
平成
九年一月二十日 午前十時
開議
第一
議席
の
指定
第二
常任委員長
の
選挙
………………………………… 一
国務大臣
の
演説
—————————————
○本日の
会議
に付した案件
日程
第一
議席
の
指定
日程
第二
常任委員長
の
選挙
災害対策
を樹立するた
め委員
四十人よりなる災
害対策特別委員会
、
公職選挙法改正
に関する
調査
を行うた
め委員
二十五人よりなる
公職選
挙法改正
に関する
調査特別委員会
、
石炭
に関 する
対策
を樹立するた
め委員
二十五人よりな る
石炭対策特別委員会
、
物価問題等国民
の消
費生活
に関する
対策
を樹立するた
め委員
二十 五人よりなる
消費者問題等
に関する
特別委員
会、
沖縄
及び北方
問題
に関する
対策樹立
のた
め委員
二十五人よりなる
沖縄
及び北方
問題
に 関する
特別委員会
、
行政機構
に関する諸
問題
を
調査
し、
行政改革
の総合的な
対策
を樹立す るた
め委員
四十人よりなる
行政改革
に関する
特別委員会
及び
税制
及び
金融問題等
に関する
調査
を行うた
め委員
四十人よりなる
税制問題
等に関する
特別委員会
を
設置
するの件(
議長
発議
)
国会等
の
移転
に関する
調査
を行うた
め委員
二十 五人よりなる
国会等
の
移転
に関する
特別委員
会を
設置
するの件(
議長発議
)
橋本内閣総理大臣
の
施政方針
に関する
演説
池田外務大臣
の
外交
に関する
演説
三塚大蔵大臣
の
財政
に関する
演説
麻生国務大臣
の
経済
に関する
演説
午後零時三分
開議
伊藤宗一郎
1
○
議長
(
伊藤宗一郎
君)
諸君
、第百四十回
国会
は本日召集されました。 これより
会議
を開きます。
————◇—————
日程
第一
議席
の
指定
伊藤宗一郎
2
○
議長
(
伊藤宗一郎
君)
日程
第一、
議席
の
指定
を行います。
衆議院規則
第十四条によりまして、
諸君
の
議席
は、
議長
において、ただいまの仮
議席
のとおりに
指定
いたします。
————◇—————
日程
第二
常任委員長
の
選挙
伊藤宗一郎
3
○
議長
(
伊藤宗一郎
君)
日程
第二、
常任委員長
の
選挙
に入ります。
懲罰委員長
が欠員となっておりますので、この際、
懲罰委員長
の
選挙
を行います。
荒井広幸
4
○
荒井広幸
君
懲罰委員長
の
選挙
は、その手続を省略して、
議長
において指名されることを望みます。
伊藤宗一郎
5
○
議長
(
伊藤宗一郎
君)
荒井広幸
君の
動議
に御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
伊藤宗一郎
6
○
議長
(
伊藤宗一郎
君) 御
異議
なしと認めます。よって、
動議
のとおり決まりました。
議長
は、
懲罰委員長
に
左藤恵
君を指名いたします。 〔
拍手
〕
————◇—————
特別委員会設置
の件
伊藤宗一郎
7
○
議長
(
伊藤宗一郎
君)
特別委員会
の
設置
につきお諮りいたします。
災害対策
を樹立するた
め委員
四十人よりなる
災害対策特別委員会
公職選挙法改正
に関する
調査
を行うた
め委員
二十五人よりなる
公職選挙法改正
に関する
調査特別委員会
石炭
に関する
対策
を樹立するた
め委員
二十五人よりなる
石炭対策特別委員会
物価問題等国民
の
消費生活
に関する
対策
を樹立するた
め委員
二十五人よりなる
消費者問題等
に関する
特別委員会
。
沖縄
及び北方
問題
に関する
対策樹立
のた
め委員
二十五人よりなる
沖縄
及び北方
問題
に関する
特別委員会
行政機構
に関する諸
問題
を
調査
し、
行政改革
の総合的な
対策
を樹立するた
め委員
四十人よりなる
行政改革
に関する
特別委員会
及び
税制
及び
金融問題等
に関する
調査
を行うた
め委員
四十人よりなる
税制問題等
に関する
特別委員会
を
設置
いたしたいと存じます。これに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
伊藤宗一郎
8
○
議長
(
伊藤宗一郎
君) 御
異議
なしと認めます。よって、そのとおり決まりました。 次に、
国会等
の
移転
に関する
調査
を行うた
め委員
二十五人よりなる
国会等
の
移転
に関する
特別委員会
を
設置
いたしたいと存じます。これに
賛成
の
諸君
の
起立
を求めます。 〔
賛成者起立
〕
伊藤宗一郎
9
○
議長
(
伊藤宗一郎
君)
起立
多数。よって、そのとおり決まりました。 ただいま議決されました八
特別委員会
の
委員
は追って指名いたします。
————◇—————
伊藤宗一郎
10
○
議長
(
伊藤宗一郎
君) この際、暫時
休憩
いたします。 午後零時七分
休憩
————◇—————
午後二時二分
開議
伊藤宗一郎
11
○
議長
(
伊藤宗一郎
君)
休憩
前に引き続き
会議
を開きます。
————◇—————
国務大臣
の
演説
伊藤宗一郎
12
○
議長
(
伊藤宗一郎
君)
内閣総理大臣
から
施政方針
に関する
演説
、
外務大臣
から
外交
に関する
演説
、
大蔵大臣
から
財政
に関する
演説
、
麻生国務大臣
から
経済
に関する
演説
のため、発言を求められております。順次これを許します。
内閣総理大臣橋本龍太郎
君。 〔
内閣総理大臣橋本龍太郎
君登壇〕
橋本龍太郎
13
○
内閣総理大臣
(
橋本龍太郎
君) 第百四十回
国会
の開会に当たり、国政に臨む私の所信を申し述べます。 まず初めに、在
ペルー日本国大使公邸占拠事件
が、今もなお
解決
していないことは極めて遺憾であります。
人質
とされている方々の御苦労と御家族の御心配に思いをはせるとき、本当に心が痛みます。
我が国
は、
テロ
に屈することなく、
人命尊重
を第一としながら
事件
の
平和的解決
を図り、
人質
の
早期全面解放
を
実現
するよう
努力
しております。また、
国際社会
は一致して
テロ
に対する断固たる姿勢を示しております。今後とも、
フジモリ大統領
に全幅の
信頼
を置き、
ペルー政府
や
関係国
と緊密に連絡をとりながら、この
事件
を一刻も早く平和的に
解決
し、
人質
が全面解放されるよう
全力
を傾ける考えであります。
テロ活動
は、すべての国家と
社会
に対する重大な挑戦であり、
国際社会
が一致して対応することが不可欠であります。
我が国
としても、国際的な合意を踏まえ、国内外における
各種テロ対策
を推進するとともに、
テロ行為
など
我が国
の平和と安全に重要な影響を与えるような事態に対応できる
体制
を一層
充実
させてまいります。 私は、今般、
東南アジア諸国
を訪問いたしました。この訪問を通じ、この
地域
が
民主主義
と開放的な
市場経済体制
に基づいて
世界
の
成長センター
とも言われる
発展
を遂げ、
社会
全体に
躍動感
と未来への確信がみなぎっていることを改めて実感いたしました。また、
米国
は、
規制緩和
や
技術革新
を通じて
経済
を再活性化し、
欧州
も、
市場統合
に加え、さらに
通貨統合
を進めるなど
世界
の一体化に対応した動きを進めております。 重ねて申し上げますが、私が目指す
社会
は、
国民
一人一人が将来に夢や
目標
を抱き、
創造性
と
チャレンジ精神
を存分に発揮できる
社会
、
世界
の人々と分から合える価値をつくり出すことのできる
社会
であります。 戦後五十年の間、
我が国
は、
国民各層
そして
地域
の
平等性
を求めながら、豊かな
国民生活
を手に入れることを
目標
としてまいりました。現在の
我が国
の
システム
、具体的には、
行政
の
システム
、
民間活動
に対する
規制
、
社会保障
・
福祉
の
仕組み
、
教育行政
、国と
地方公共団体
との
関係
などは、この
目標
に合った形でつくられ、長期間にわたり総じて効率的に機能してまいりました。そして、それゆえにこれらの
システム
は
日本
の
社会そのもの
に深く根をおろしております。 しかしながら、
世界
が一体化し、人、物、
資金
、情報が自由に移動する時代にあって、現在の
仕組み
がかえって
我が国
の活力ある
発展
を妨げていることは明らかであり、
世界
の潮流を先取りする
経済社会システム
を一日も早く
創造
しなければなりません。
社会
に深く根をおろした
仕組み
を変えることは、大きな困難を伴います。しかも、これらの
システム
は
相互
に密接に関連し合っております。私が、
行政
、
財政
、
社会保障
、
経済
、
金融システム
に
教育
を加えた六つの
改革
を一体的に断行しなければならないと申し上げているのは、まさにこのためであります。 また、私が目指す
社会
の建設は、
社会
の
仕組み
を変えるだけでは
実現
できません。私は、この国で暮らすすべての人が正義や公正を重んじ、他人や弱い者への思いやりを持ち、人生の先輩を敬い、郷土や国そしてかけがえのない地球を愛する心を持つことのできる
環境
をつくり出すことこそが政治の役割であると考えます。
沖縄
に係る諸
問題
につきましては、
総理
に就任して以来、国政の最
重要課題
として取り組んでまいりました。
沖縄
の方々が背負ってこられた
負担
は本来
国民
がひとしく負うべきものとの姿勢に立ち、引き続き
全力
で
取り組み
ます。 このような
基本認識
に立ち、私は、三
党政策合意
に基づく
協力関係
の
もと
、
考え方
を同じくするすべでの方の未来に対する
創造力
と熱意を結集し、二十一世紀の
幕あけ
を
国民
全体が希望に満ちた気持ちで迎えられるよう、
全力
で
外交
と内政に邁進いたします。(拍手)
我が国
は、歴史的にも地理的にも
アジア太平洋国家
であります。
アジア太平洋地域
が開かれた
地域協力
を
基盤
とした政治の安定と
経済
の
発展
の好循環を維持することは、
我が国外交
にとって極めて重要であるとともに、この
地域
が、人口
問題
、食糧
問題
、エネルギー
問題
そして
環境
問題
という
課題
を克服できるかどうかは、二十一世紀の
世界
にとって重要な意味を持っております。
我が国
は、
米国
との間で
地球規模
の
課題
への
協力
を進めておりますが、今後
アジア諸国
との間でも同様の
取り組み
を強化することが重要であると考え、このような
認識
に立って、私は、先般の
ASEAN各国首脳
との会談において、共同の
取り組み
を強化することを提案いたしました。APECなどを通じてもこの
分野
の
協力
を強化するとともに、また、この
地域
における貿易・投資の一層の
自由化
、さまざまな
分野
における
経済技術協力
や
政策対話
に力を入れてまいります。
米国
が
アジア太平洋地域
への関与を続けることは、
安全保障面
においても
経済社会面
においても
地域
全体にとって好ましいものであり、私は、本日をもって二期目に入られる
クリントン大統領
とともに、
我が国外交
の基軸である良好な
日米関係
を一層強固なものとするよう最大の
努力
をいたします。中でも
日米安全保障体制
は、
我が国
の平和と安全にとって不可欠であるだけでなく、
アジア太平洋地域
全体にとって極めて重要であり、
日米防衛協力
のための指針の
見直し
などにより、その
信頼性
の
向上
に努めます。
我が国
の
防衛
については、
日本国憲法
の
もと
、専守
防衛
に徹し、他国に脅威を与えるような
軍事大国
になるないとの
基本理念
に従い、
文民統制
を確保し、非核三原則を守るとともに、
防衛大綱
及び
中期防衛力整備計画
に基づき、現行の
防衛力
の一層の
合理化
、
効率化
、
コンパクト化
及び必要な機能の
充実
と
防衛力
の
質的向上
を図ります。また、
アジア太平洋地域
における
安全保障面
の
信頼醸成
のために、
ASEAN地域フォーラム
を初めとする
安全保障面
の
対話
や
防衛交流
を進めでまいります。
沖縄
に所在する
米軍
の施設・区域の整理、統合、縮小を
日米安全保障条約
の目的との調和を図りながら
実現
することは、
内閣
の最も重要な
課題
の一つであり、
普天間飛行場
の返還を初め、
沖縄
に関する
特別行動委員会
の
最終報告
の内容を的確かつ迅速に実施するよう
全力
を尽くします。
沖縄振興
に関しては、
基地所在市町村
に関する
懇談会
の提言の
実現
に向けて
予算
を確保したところであり、今後とも、
沖縄
とともに真剣に
施策
を検討し、
内閣
を挙げて
全力
で
取り組み
ます。
日本
、
米国
、
中国
のいずれの二
国間関係
の前進も、
アジア太平洋地域
全体の安定と
発展
に寄与するものであります。
米中関係
が改善の方向に向かい始めたことを歓迎し、
我が国
と
中国
の両
国民
が
国交正常化
二十五周年を心から祝福できるよう、
相互信頼
に基づく
両国関係
の
発展
に努めるとともに、
中国
の
WTO早期加盟
の支援などにより、
中国
と
国際社会
との一層の協調を促します。
朝鮮半島
に関しては、今週末の
首脳会談
などを通じて
韓国
との
友好協力関係
を一層強化するとともに、
朝鮮半島
の平和と安定に資するとの
観点
を も踏まえ、
韓国
などと緊密に連携しながら
日朝関係
に対処いたします。
欧州諸国
との
関係
においては、
我が国
と
欧州
との間の広範な
協力
を推進するとともに、
アジア
と
欧州
が
国際社会
における責任を共有し
相互
の利益を増進するため、
アジア欧州会合
の
発展
に
努力
いたします。 ロシアとの
関係
では、さまざまな
分野
で
活発化
しつつある
対話
や
協力
をさらに強化するとともに、特に、
東京宣言
に基づいて北方領土
問題
を
解決
し、
平和条約
を締結して
関係
の完全な
正常化
を
実現
するため、引き続き
努力
してまいります。
我が国
は、本年から
国連安全保障理事会
の非
常任理事国
となりました。
国際社会
が直面するさまざまな
問題
の
解決
に向けて、
国連
の場などを通じて
国際社会
を先導し、これまで以上に主体的に行動いたします。
国連
が時代の要請に適合した役割を果たすことができるよう、全体として均衡のとれた
国連改革
の
実現
に努めるとともに、安保理
常任理事国
入り
問題
については、
国連改革
の
進捗状況
や
アジア近隣諸国
を初めとする
国際社会
の支持と一層の
国民的理解
を踏まえて対処いたします。 中東などにおける
地域紛争
の予防と
解決
や、アフリカなどで深刻化している難民
問題
の
解決
にも、
国連
の
平和維持活動
への参加などを通しで、積極的に対応いたします。
大量破壊兵器
や
通常兵器
の軍縮と不拡散に関しては、唯一の
被爆国
の立場から、
核兵器
に用いられる
核物質
の生産を禁止するための
条約交渉
の
早期開始
に
努力
するなど、
核兵器
のない
世界
を目指し、率先して
取り組み
ます。
途上国
の
開発努力
を支援することは、
世界
全体の平和と繁栄だけでなく、
我が国
の利益に資するものであります。
国民
の皆様の御
理解
をいただきながら、
政府開発援助
を一層効率的に実施してまいります。同時に、
途上国
が直面する
課題
の変化に的確に対応すをため、
開発援助
の質の
向上
に重点を置いて、
政府開発援助
のあり方をさまざまな角度から検討いたします。
我が国
は、これまで戦後の
経済発展
の成功を中心に、みずからの
経験
を諸外国に伝えてまいりましたが、今後、
環境
問題
を初めとする
我が国
の
経験
を、
成功例
にとどまらず、
失敗事例
やその
解決
の過程における困難、そしてそれを克服してきた
努力
などを含めて紹介し、他の国々が同じ過ちを繰り返すことのないようにすることが重要であります。昨年末に
我が国
が主催した
東アジア社会保障担当閣僚会議
は、私のこのような
考え方
を
社会保障
・
福祉
の
分野
において具体化したものでありますが、
世界福祉構想
に基づき、今後ともあらゆる機会をとらえ、各国との間でお互いの
経験
を共有するよう努めてまいります。 この三月には国と
地方
を合わせて四百四十二兆円にも上る
長期債務
を抱える中、
財政
の
健全化
を進めていくためには、
歳出歳入両面
にわたる
構造改革
が不可欠であります。私は、このような
認識
に立って、
平成
九年度を
財政構造改革元年
と位置づけ、九年度
予算
を編成いたしました。
歳入面
においては、
消費税率
の引き上げ及び
地方消費税
の導入を予定どおり実施するとともに、
特別減税
を実施しない決断をいたしました。これは、これ以上の
赤字拡大
を放置することが
財政
の破綻につながる
状況
の
もと
で、
地方
や
福祉
の
充実
のための財源を確保するとともに、働く
世代
の
負担
を軽減し、
社会
を構成する一人一人が広く
負担
を分から合うことにより、
経済構造改革
にも資する
税制改革
を行うためであります。六十五歳以上の低
所得者層
など、
税制改革
による影響が大きい方には必要な措置を講ずることとしております。
歳出面
においては、
一般歳出
の
伸び率
を
名目成長率
より相当低い一・五%に抑えることなどにより、
国債費
を除く
歳出
を
租税収入
などで賄える範囲にとどめ、
財政健全化
の
第一歩
としております。 景気との
関係
では、九年度
予算
にあわせて八年度
補正予算
の
早期成立
と円滑な執行に努めるなど、適切な
経済運営
を進めてまいります。
財政再建
は、九年度が
第一歩
であり、今後さらに厳しい
努力
が必要であります。
財政
の
健全化
については、
平成
十七年度までのできるだけ早い時期に国及び
地方
の
財政赤字
の対
GDP比率
を三%以下とすること、国の
一般会計
においては
特例公債依存
からの脱却と
公債依存度
の引き下げを図ることなどを
目標
といたします。 その
実現
に向けて、
財政構造改革会議
を
設置
し、
政府
・与党が一体となって、
歳出
の
改革
と縮減を具体的にどう行うかを早急に検討し、十年度
概算要求段階
からその成果を反映させ、
予算編成
においで一段と
歳出
の
改革
と縮減を進めるとともに、
財政再建
のための法律の骨格を決め、できるだけ早い機会に
国会
に
法律案
をお諮りしたいと考えております。私自身、こうした
検討作業
の先頭に立ち、皆様から評価いただける
平成
十年度
予算
を編成いたします。 同時に、少子・
高齢化
の進展の中で、働く
世代
や企業の
負担
の増大が
経済活力
を低下させる懸念を踏まえ、現在及び将来の
世代
の
負担
の抑制に最大限
努力
いたします。処理すべき債務が二十七兆円を超え、深刻な
状況
にある
国鉄長期債務
については、十年度から
本格的処理
を実施すべく
具体策
を取りまとめてまいります。
財政投融資
につきましては、
改革
を推進するとの
基本方針
の
もと
、対象となる
分野
、事業について、
公的部門
は本来
民間
の活動を補完すべきものであるとの
観点
や
償還確実性
といった
観点
などから見直すとともに、効率的かつ重点的な
資金配分
に努めてまいります。
我が国
が
世界
的にも高い
教育水準
を達成できたことは、
教育
に対する
国民
の情熱のたまものでありますが、今後、
国民
一人一人が
充実感
を持って暮らしていくためには、学歴が一生を左右しかねない現状を改め、一人一人が自分の適性に基づいて
能力
を伸ばし、
努力
し、生涯にわたって活躍できる
社会
を建設する必要があります。また、
国際化
、
情報化
が進展する中で、
国際社会
に通用する
人材
を育成することはまずます重要であります。 かかる
認識
に立ち、
平等性
、
均質性
を重視した
学校教育
を、個々人の多様な
能力
の
開発
と、
創造性
、
チャレンジ精神
を重視した生涯学習の視点に立った
教育
に転換する
教育改革
を進めてまいります。 私は、この国の将来を担う次の
世代
が、みずからの夢や
目標
のために
努力
すると同時に、国や
地域
の将来に高い志と
国際的視野
を持って積極的にかかわっていく
世代
であってほしいと願っております。こうした
人材
を育てるためには、答えが決められている
問題
を解く知識だけではなく、みずから
問題意識
を持って自分なりの解答を出し、その
実現
に
努力
できる知識、見識、良識をバランスよく育てる
教育
が必要であり、また、
子供たち
が多様な夢や
目標
を目指して
努力
するには、
教育
の
分野
においても選択の幅を広げることが必要です。 このような
認識
に立って、
学校週
五日制に移行するための準備を進めながら、
中高一貫教育
などの
学校制度
や
教育課程
の
見直し
により、
子供たち
の持つ
可能性
を十分に引き出し、生きる力をはぐくむことのできる
教育
を
実現
したいと考えます。いじめや非行の
問題
については、
家庭
、学校、
地域社会
が一体となって取り組むことができるよう支援を強化いたします。
社会
の進歩と人々の幸福につながる
知的資産
を
世界
に発信できる
科学技術創造立国
を目指し、独創的、基礎的な
研究開発体制
の
充実
、
創造性
に富む
人材
の育成、
産学官
の
連携協力
の推進、
脳科学
や
遺伝子研究
の
充実
など、
科学技術
の
振興
にも
努力
いたします。また、開かれた
大学づくり
、
自己啓発
、
公共職業訓練
などによる生涯学習の
充実
、スポーツ、
文化
、
芸術活動
の
振興
、留学生の
交流拡大
を含めた諸外国との
文化交流
、
文化協力
の
活発化
にも力を入れ、だれもが生きがいのある人生を送ることができる
社会
の建設に
努力
いたします。
女性政策
については、
男女共同参画社会
を
実現
するための
行動計画
を着実に実施するとともに、新たな
審議会
の
設置
を図ります。また、働く女性が性により差別されることなく、かつ、母性を尊重しながらその
能力
を十分発揮できるよう、
関係法案
を今
国会
に提出いたします。
人権
が守られ、差別のない公正な
社会
の
実現
に向け、
人権
に関する
教育
や啓発など
人権
の擁護に関する
施策
を推進いたします。また、アイヌに関する
文化
の
振興
や
理解
の促進を図ります。 急速な少子・
高齢化
が進展する中で、給付と
負担
の均衡がとれた
社会保障
をいかに
実現
するかは、
国民
の
公的負担水準
とかかわる重大
問題
でありますが、
社会保障
の費用は、本人の
負担
か
事業者
の
負担
か税金を使った国や
地方
の
負担
かにかかわらず、だれかが
負担
しおければならないものです。個人の尊厳と
自立自助勢力
を縦軸として確立した上で、
社会
の連帯の精神を横軸に据えて、
民間
の参入を促しながら、
利用者
の選択に応じて質の高い
サービス
を効率的に提供できる
社会保障制度
を整備してまいります。 切実な
問題
となっている
高齢者介護
の
問題
に対応する
介護保険制度
の創設は、
社会保障構造改革
の
第一歩
であり、今
国会
における
法案成立
に
全力
を尽くします。また、大幅な
赤字体質
となっている
医療保険制度
をこのまま放置することは許されません。
国民
皆
保険
の
仕組み
を維持しながら、適切かつ効率的な
医療サービス
を安心して受けられるよう、今
国会
に提出する法案を
出発点
として、医療の
提供体制
と
保険制度全般
にわたる総合的な
改革
を行います。さらに、
高齢者
や
障害者
の方がハンディキャップを克服し、できるだけ自立した生活を送ることができるよう、新ゴールドプランと
障害者プラン
を着実に推進いたします。
少子化傾向
が定着し、
夫婦共働き家庭
が一般化した今日、
社会
の支えなくしては仕事と育児の両立は困難です。今
国会
においては、子供を持つ
家庭
のさまざまな要請に応じて
保育サービス
を選択できるよう、
制度
を改正したいと考えております。 私が目指す
日本経済
は、
民間
の需要が原動力となって安定した
成長軌道
をたどり、質の高い雇用の場が拡大する
経済
であり、豊かな
国民生活
や
財政
の
健全化
は、こうした
経済
の
もと
で可能となるものであります。強靱な
日本経済
を再建するためには、富をもたらし新たな雇用をつくり出す重要なかぎとなる新しい
産業
についで、
資金
、
技術
、
人材
などの
観点
から
環境
を整備し、
成長
が期待される
分野
に応じて総合的な
施策
を展開しなければなりません。また、
経済
的に効果の大きい
規制
の撤廃や緩和、
企業税制
の
改革
や
持ち株会社
の解禁などを通じ、魅力ある
事業環境
を整備し、
経済
の
効率性
や
柔軟性
と
産業
の
競争力
を高めることが不可欠です。 同時に、
サービス産業化
が進む中にあっても、
製造業
は
日本経済
の
基盤
であり、
先端産業
を支える
部品産業
など、
物づくり
を支える
地域
における
技術
や技能の集積を守り育てることは重要な
課題
でおります。あわせで、
経営革新
に
努力
する
中小企業
を支援する目とも必要です。 昨年末に決定した
経済構造
の変革と
創造
のための
プログラム
は、このような
認識
に立つで、
経済構造改革
を大胆に実行していくための
政府
の
取り組み
を明らかにしたものであります。特に、物流、エネルギー及び
情報通信
は、
産業活動
の
基盤
であり、コストを含めた
サービス水準
を二〇〇一年までに国際的に遜色のないものとすることを具体的な
目標
に掲げております。
情報通信
の
分野
では、NTTの
国際通信業務
への進出、
情報通信基盤
の整備を推進いたします。 今後、
関連法案
の成立に
努力
するなど、この
プログラム
を着実に実施してまいりますが、
プログラム
の
基本的考え方
に示された
課題
に対する今後の
取り組み内容
をできる限り
充実
するなど、その
実現
に向け
政府
の
行動計画
を今年の春までに策定いたします。
農業
についても
構造改革
を急がなければなりません。
農業
・農村をめぐる
環境
は、
農業基本法
が制定された昭和三十年代から大きく変化しており、意欲ある
農業者
の育成、活力にあふれた農村の再生など、
WTO体制
にも対応した農政を
実現
するための新たな
基本法
の制定に向けて本格的な検討を進めます。
水産業
については、
韓国
、
中国
との新
漁業協定
の
早期締結
、
資源管理
やつくり育てる漁業の推進に努めます。 公正で透明な
多角的国際経済システム
は、これらの
経済構造改革
を支えるものであり、
貿易関連
の
国際紛争
を
WTO協定
に即して
解決
するとともに、新しい
ルールづくり
にも積極的に
取り組み
ます。 国際的な
自由化
の進展や
情報技術
の革新を先取りし、東京をニューヨーク、ロンドンと並ぶ国際金融市場に復権させることを目指す
金融システム
改革
は、円の国際的地位を
向上
させ、本格的な高齢
社会
の到来を控えた
我が国
の
経済活力
を維持するために不可欠です。国境を越えた金融取引を抜本的に
自由化
する法案を今
国会
に提出することを初めとして、銀行、証券、
保険
分野
への参入を促進し、千二百兆円に上る個人金融資産を有利に運用することができるよう
規制
を
見直し
、
国際化
に対応した法
制度
を整備するなど、二〇〇一年までに逐次
改革
を実行してまいります。 この
改革
は、
利用者
が多様な商品や
サービス
を選択することを可能にしますが、その一方で、リスクを伴う取引を自己の責任の
もと
で行うこと、さらには
規制
に安住する経営が許されなくなることを意味します。
政府
としては、こうした
状況
に的確に対処するために、ディスクロージャーの徹底、ルールの明確化などにより、透明かつ公正な金融
行政
を行います。同時に、金融危機が国際的に瞬時に伝播することも考えられるため、緊密な国際
協力
体制
を確立してまいります。あわせで、
我が国
金融システム
の安定に万全を期すとともに、金融機関の不良債権
問題
の速やかな処理に
全力
を尽くします。 さらに、新たな金融
行政
に対応するために金融
行政機構
を
改革
する法案と、
日本
銀行を開かれた独立性を持つ中央銀行に
改革
する法案の今
国会
中の成立を期します。 発生から二年を経過した阪神・淡路大震災は、多数の死傷者と甚大な被害をもたらしました。また、昨年末に姫川蒲原で発生した土石流災害は、とうとい人命を失う結果となりました。亡くなられた方々と御遺族に対しまして、改めて深く哀悼の意を申し上げますとともに、これらの教訓を
もと
に、今後の
災害対策
や災害発生時の危機管理に万全を尽くします。また、
補正予算
や九年度
予算
における措置などにより、阪神・淡路大震災の被災地の生活の再建、
経済
の復興、安全な
地域
づくりや全国的な防災
対策
の
充実
に最大限
努力
いたします。 また、阪神・淡路大震災の教訓や東京圏への一極集中などを踏まえ、全国総合
開発
計画の策定や首都機能の
移転
に積極的に
取り組み
ます。
社会
資本の整備に関しては、限られた
予算
を効率的に活用するために、住宅・都市、
環境
衛生など
国民生活
の質の
向上
に直結する
分野
や、国際ハブ空港や高規格幹線道路など次
世代
の
発展
基盤
となる
分野
に一層重点的に
予算
を配分してまいります。同時に、公共事業に対する批判を重く受けとめ、建設コストを大幅に縮減するための
行動計画
を早急に作成し、実施いたします。また、整備新幹線の未着工区間については、整備区間ごとに、収支採算性、並行在来線の経営分離についての
地方公共団体
の同意、JRの同意などの基本条件が整えられていることを確認した上で、その取り扱いを厳正に判断してまいります。 都市に関しては、大都市とその周辺に暮らす住民のために、職場と住宅の近接した快適な住
環境
の
実現
や、密集市街地の整備などによる都市の
構造改革
に努めるとともに、土地の有効活用や実需 に基づく取引の活性化のために、土地政策を利用重視に転換することとし、新しい土地政策要綱を早急に策定いたします。 また、ゆとりと潤いにあふれ、緑豊かな国土を目指し、農山漁村の
振興
に努めるとともに、森林の多面的な機能を踏まえ、
我が国
林業のあり方を検討いたします。
環境
と
開発
に関する
国連
特別総会が開催される本年は、持続可能な
開発
の重要性に
世界
の首脳が一致した地球サミットから五年目に当たり、
我が国
としても
環境
問題
への
取り組み
を大きく前進させるべき年であります。特に、十二月に京都で開催される国際
会議
は、二十一世紀における地球温暖化防止のための国際的
取り組み
を定める重要な
会議
であり、効果があり、かつ公平で実行可能な合意が得られるよう、各国に積極的に働きかけてまいります。 同時に、原子力の平和利用は、地球の温暖化と
我が国
の脆弱なエネルギー供給構造に対応するために不可欠であり、徹底した安全の確保を前提に積極的な情報公開に努め、
国民
の皆様の御
理解
をいただきながら着実に推進いたします。 また、循環型
社会
を目指した廃棄物のリサイクルや排出抑制、
産業
廃棄物の適正な処理や不法投棄
問題
への対応に必要な
制度
改正を行うとともに、
環境
アセスメント
制度
についても所要の法案を今
国会
に提出する考えであります。
日本
海で発生したタンカー海難事故により流出した重油は、広い範囲の海岸に漂着しており、自然
環境
や漁業への影響が懸念されます。いち早く重油の回収に当たられた
地域
の皆様方やボランティアの方々に一日も早く安心していただけるよう、
政府
としては、
地方公共団体
と緊密に連携をとりながら、また
民間
の御
協力
を得ながら、
関係
省庁が一体となって被害の拡大防止に万全を期します。 また、市民生活の安全を脅かす銃器の使用や薬物の乱用への
対策
、組織犯罪
対策
、交通安全
対策
にも力を入れます。 以上申し上げた変革と
創造
を
実現
するという
内閣
の決意を示し、
国民
の皆様の御支持、御
協力
をいただくためには、
政府
みずからの
改革
を率先して行うことが不可欠です。そして、それはまさに政治の責任であります。 私は、
行政
サービス
を利用する
国民
の立場から国が果たすべき機能を見きわめ、
国民
が求める
サービス
を最小の費用で提供できる
行政
、
我が国
の活力ある
発展
のために
経済
社会
の変化に柔軟に対応できる
行政
をつくり上げることが
行政改革
の目的であると考えます。この目的に照らし、国や
地方公共団体
が
規制
などによって
民間活動
に関与していることを廃止できないか、国の現業や特殊法人などの
公的部門
が提供している
サービス
を
民間
にゆだねられないか、
行政
が関与する場合であってもその主体を国から
地方
にゆだねられないか、この三つの
観点
から、一切の聖域を設けず
行政
のあり方を総点検いたします。 官民の役割分担に関しては、市場競争の原理を尊重し、
行政改革
委員
会がまとめた判断基準を最大限活用して
見直し
を進めます。公的
規制
に関しては、
規制緩和
推進計画を三月末までに再度改定し、さらに、
経済
的
規制
の原則排除、
社会
的
規制
の白地からの
見直し
によって必要最小限に絞り込んでまいります。
地方公共団体
との
関係
では、
地方
の自主性と自立性を高めるために、権限の移譲を進め、中央集権型
行政
の象徴とされている機関委任事務
制度
を廃止するとともに、補助金などの整理
合理化
や、国と
地方
の役割分担に応じた
地方
税財源の
充実
確保を行います。自主的な合併を初めとする
行政
体制
の整備と、徹底した行
財政
改革
に取り組むよう、
地方公共団体
に強く求めながら、
平成
十年の通常
国会
が終了するまでのできるだけ早い時期に
地方
分権推進計画を策定し、総合的かつ計画的に
地方
分権を推進いたします。
政府
は、九年度中に情報公開法案の
国会
提出を図り、また特殊法人に関する一層のディスクロージャーなど
行政
活動の
状況
と政策を積極的に説明し、開かれた
行政
を
実現
するために
努力
いたします。一カ所で複数の事務手続を可能にすみワンストップ
サービス
の導入や
情報技術
を利用した
行政
情報の提供など、
行政
サービス
の質の
向上
にも
努力
いたします。 中央省庁の再編については、以上申し上げた
認識
に基づき、
行政改革
会議
において十一月末までに成案を取りまとめます。
行政改革
を進めるに当たり、政治の責任でこれをなし遂げるためには、政治への
信頼
を回復することが不可欠であります。政治の浄化に関しては、各党各会派で政治
資金
や
選挙
制度
について十分御論議いただき、その結果を踏まえて適切に対処するとともに、政治や
行政
が個別
地域
や特定業界の利益をいたずらに守っているとのおしかりを受けることがないよう、毅然と対応いたします。 また、閣僚に対しては、各省庁の立場を離れて高い識見とリーダーシップを発揮するよう、公務員に対しては、縦割りの弊害を克服し
国民
本位の
行政改革
の
実現
に
全力
を尽くすよう、それぞれ求めます。あわせて、
行政
に対する
信頼
を回復するため、すべての公務員が
国民
全体の奉仕者であるとの自覚を持って、各省庁の定めだ倫理規程を遵守するよう徹底するとともに、全省庁の事務執行
体制
を再点検し、不祥事の根絶に万全を期します。さらに、公務員
制度
のあり方について総合的な
見直し
を行います。 以上、私の所信を申し述べでまいりました。 戦後五十年の間に極めて精緻かつ強固になった
経済社会システム
を変革し
創造
することは、かなりの痛みを伴うものであり、新しい
システム
をつくり上げる以上の英知と勇気を必要といたします。
規制
を撤廃すれば、
規制
の傘の
もと
に保護されてきた
事業者
は競争の荒波にさらされ、
利用者
にもみずからの責任において商品や
サービス
を選択する目が求められます。
財政
を
効率化
すれば、それに依存している方々は厳しい
状況
に置かれます。個々人には、逆境にあっても失敗をしても、立ち上がる不屈の精神が求められます。真に手を差し伸べるべき方々には必要な手だてを講じます。しかし、痛みを恐れて
改革
の歩みを緩めたり、先延ばしをすることは許されません。今を生きる我々には、よりよい
世界
を
実現
し、次の
世代
にそれを引き継ぐ責任があります。(拍手) 変革と
創造
の
実現
のために、困難を乗り越えるリーダーシップを発揮することは政治の使命であります。みずから方向性を示し、
国民
の皆様からいただく御意見、御提案には真剣かつ謙虚に耳を傾け、その上で、議論し、決断し、実行する、そのためにすべてをささげる、これが私の申し上げたいことのすべてであります。
国民
の皆様並びに御臨席の議員各位の御支援と御
協力
を心からお願いいたします。(拍手)
—————————————
伊藤宗一郎
14
○
議長
(
伊藤宗一郎
君)
外務大臣
池田行彦君。 〔
国務大臣
池田行彦君登壇〕
池田行彦
15
○
国務大臣
(池田行彦君) 第百四十回
国会
の開会に当たり、
我が国
の
外交
の
基本方針
につき所信を申し述べます。 まず、昨年十二月に発生した在
ペルー日本国大使公邸占拠事件
が今なお
解決
に至っていないことは極めて遺憾であります。
人質
とされている
方々
の御苦労と御家族、
関係
者の御心配を思うと、心痛にたえません。
政府
としては、
テロ
に屈することなく、
ペルー政府
を
信頼
し、これと緊密に連携して、
人命尊重
を第一としながら
平和的解決
を図り、
人質
の
早期全面解放
を
実現
すべく粘り強い
努力
を続けております。
国際社会
は一致して
テロ
に対する断固たる
姿勢
を示しており、
政府
としては、この
事件
が一刻も早く平和的に
解決
するよう一層の
努力
を傾ける決意であります。
テロ
については、
各国
ごとの
対策
とともに効果的な国際
協力
が不可欠であり、この ための
努力
もしてまいります。また、
政府
として、海外邦人の安全
対策
並びに在外公館の警備の強化を含む危機管理
体制
の一層の強化に努めてまいります。
我が国外交
の基本
目標
は、言うまでもなく
我が国
の安全と繁栄の確保にありますが、国際的な
相互
依存が深まっている現在、これは
国際社会
の安定と繁栄なしには
実現
できません。
我が国
としては、そのためのより好ましい国際
環境
を醸成していくため、これまで以上に主体的な
外交
を展開してまいります。
米国
を初めとする主要諸国との
関係
の強化は、
我が国外交
の基本であります。
日米関係
は
日本
外交
の基軸であり、また、
アジア太平洋地域
の平和と繁栄のかなめであるのみならず、
世界
全体にとっても重要な
関係
であります。昨年四月の日米
首脳会談
で示された方向に沿い、今後とも幅広い
分野
における
協力関係
の
進展
に努めてまいります。 特に日米安保
体制
は
日米関係
の根幹であり、その一層円滑かつ効果的な運用に努める必要があります。
沖縄
県における
米軍
施設・区域の
問題
については、先月
合意
された
沖縄
に関する
特別行動委員会
最終報告
の
内容
を着実に実施しつつ、今後とも最
重要課題
の一つとして真剣に取り組んでまいります。また、
日米防衛協力
のための指針の
見直し
などの作業を精力的に
推進
いたします。
経済
分野
でも、航空などの残された
問題
の
解決
に向けて引き続き
努力
いたします。また、WTOやAPECにおける
協力
やコモン・アジェンダを初めとする
地球規模
の
問題
についての
協力
も一層
推進
してまいります。 地理的に近く、また歴史的にかかわりの深い
中国
や
韓国
との
関係
は、隣国であるがゆえに生じる種々の懸案はありますが、いずれも
我が国
にとり最重要な二
国間関係
であり、懸案の
解決
に向け
努力
しつつ良好な
関係
を維持
発展
させていくことは、お互いの国のみならず、
アジア太平洋地域
の平和と安定にとり極めて重要であります。
中国
との間で本年は
国交正常化
二十五周年に当たり、緊密な
対話
とさまざまな交流を通じて日中
関係
の一層の
発展
に努めてまいります。また、
中国
が
国際社会
において
建設
的な
役割
を果たしていくことの重要性にかんがみ、
中国
の
改革
・開放政策を引き続き
支援
し、
WTO早期加盟
を支持していくと同時に、
国際社会
のさまざまな
課題
への
取り組み
においで日中間の
協力
を強化いたします。さらに、旧
日本
軍が
中国
に遺棄した化学兵器の
問題
を含め、日中間の諸懸案の
解決
に努めでまいります。また、本年七月には香港が
中国
に返還されますが、香港の繁栄を支える法の支配の
もと
での自由で開かれた諸
制度
が返還後も維持されることが重要であると考えます。 なお、
アジア
太平洋の平和と繁栄にとり、日米中三カ国の安定的な
関係
は極めて重要であり、こうした
観点
から、
米中関係
の
進展
を歓迎いたします。
韓国
との間では、二国間の種々の
問題
に適切に対処しつつ良好な
関係
を
推進
するとともに、
国際社会
の中で日韓両国が
協力
していく重要性がますます高まっております。私は、先週訪韓し、柳宗夏外務部長官に対し、改めてかかる
考え方
を伝え、意見の一致を見ました。また、今週末の金泳三大統領の訪日がこうした日韓
友好協力関係
を一層
発展
させることと確信しております。 北朝鮮情勢については、今後ともその動向を注視していく必要がありますが、
日朝関係
については、第二次
世界
大戦後の不正常な
関係
を正すとともに、
朝鮮半島
の平和と安定に資するものとするとの二つの
観点
を踏まえ、
韓国
などと緊密に連携しながら対処いたします。また、米韓両国が提案した四者会合を引き続き支持してまいります。北朝鮮の
核兵器
開発
問題
については、今後とも
米国
及び
韓国
と緊密に
協力
しつつ、
朝鮮半島
エネルギー
開発
機構の
活動
に積極的に取り組む所存です。 また、
中国
及び
韓国
との間では、現在、新たな
漁業協定
を締結すべく協議を行っております。
国連
海洋法条約の趣旨を十分に踏まえた協定が早期に締結されるよう鋭意努めます。 本年はASEAN創設三十周年に当たり、年頭に橋本
総理
大臣もこの
地域
を訪問されたところであります。
我が国
は、
アジア
太平洋において
役割
を増しているASEAN諸国を中心として、今後とも東南
アジア
との
協力関係
を強化してまいります。さらに、近年の
経済
の
自由化
を基礎に著しい
発展
を遂げつつあるインドなど、南西
アジア諸国
との
関係
も
推進
いたします。 ロシアとの間では、国交回復四十周年でもあった昨年は、
首脳会談
を初めとする一層緊密な
対話
が持たれました。今後も、ロシア第一副首相及び国防相の訪日、私自身の訪日などを積み重ね、引き続き両国間の
対話
の維持強化を図り、種々の
分野
における実務
関係
を着実に進めてまいります。同時に、
東京宣言
に基づき北方領土
問題
を
解決
し、
平和条約
を締結して、両国間の
関係
の完全な
正常化
を達成するため粘り強い
努力
を続ける所存です。(
拍手
) また、今後の
アジア太平洋地域
の
発展
にとって、東
アジア
に次ぐ
世界
の
成長センター
となりつつある中南米諸国の
役割
も重要です。今回のペルーでの
事件
は大変遺憾でありますが、中南米諸国の長期的安定を重視し、これら諸国が抱えている諸
問題
の
解決
に向けての
支援
を強化してまいります。
我が国
としては、
アジア
太平洋における主要二
国間関係
の強化と並行して
地域協力
を
推進
し、もって域内の繁栄の確保と
信頼
関係
の
向上
に努めてまいります。 APECについては、本年のカナダ会合に向けて、自由で開かれた
貿易
と投資の達成のための個別
行動計画
を着実に実施するとともに、そのさらなる改善を図っていく必要があります。
我が国
としては、
経済技術協力
分野
の強化や
民間
部門との連携強化などへの
取り組み
を含め、APECのさらなる
発展
に貢献してまいります。 安全保障の面では、
ASEAN地域フォーラム
がこの
地域
の
信頼醸成
に重要な
役割
を果たしております。昨年七月の閣僚会合において
合意
された
協力
措置を着実に実施し、その
活動
を
発展
させるため、
我が国
としても貢献してまいります。
統合
を強めつつある
欧州
地域
は、
国際社会
において引き続き重要な地位を占めております。
我が国
は、
欧州
との
対話
の枠組みを強化するとともに、具体的な
協力
を着実に進めてまいります。また、昨年始まった
アジア欧州会合
については、本年二月にシンガポールで外相会合が、九月には
我が国
で
経済
閣僚会合などが予定されており、明年の第二回会合へ向けてその
発展
に貢献いたします。 以上述べたように、
各国
との二
国間関係
を強化し、
地域協力
を
推進
すると同時に、
国際社会
全体として取り組むべき共通の
課題
の克服に向けた
努力
にも積極的に
協力
してまいります。
我が国
は、本年より二年間、安保理非
常任理事国
を務めます。選出に当たり
国際社会
より示された期待にもかんがみ、一層積極的な
役割
を担ってまいります。
国連改革
については、
国連
の機能強化を目指して、安保理、
財政
、
経済
社会
の
分野
を含め全体として
均衡
のとれた
改革
を進めるよう、率先して取り組んでまいります。
我が国
は、憲法が禁ずる武力の行使は行わないという基本的な
考え方
の
もと
で、多くの国々の賛同を得て、安保理
常任理事国
としての責任を果たす用意があることにつき、これまでも
国連
総会などの場において表明してきているところであります。 以下、
国際社会
が直面する幾つかの主要
課題
と、これに対する
我が国
の
取り組み
を述べたいと思います。
我が国
は、核軍縮及び不拡散に真剣に取り組むよう一貫して訴えてまいりました。昨年の包括的核実験禁止条約の
成立
は歴史的な一歩であり、
我が国
は、その早期発効に向けて
努力
を続けます。さらに、カットオフ
条約交渉
の
早期開始
のために最大限
努力
いたします。また、二〇〇〇年の核不拡散条約再
検討
会議
に向けた準備プロセスが円滑に
進展
し、
関係国
間で
建設
的な議論が行われるよう努めます。
通常兵器
に関しては、昨年発足した新たな国際的輸出管理
体制
を通じて、今後ともその過度の
移転
と蓄積の防止に努めます。また、対人地雷の全面禁止に向けた
努力
を継続するとともに、地雷の除去や犠牲者に対する
支援
などについての国際
協力
を強化するため、本年三月、対人地雷に関する東京
会議
を開催いたします。
地域紛争
への対処に関しては、
国連
平和維持活動
や人道的な国際救援
活動
に引き続き人的、物的な貢献を行うとともに、
地域紛争
の予防、
解決
、復興
支援
のための
協力
を続けてまいります。難民の急増は、深刻な人道
問題
であるとともに
世界
の大きな不安定要因であり、特に、近年大量の難民が発生している中部アフリカ
地域
に対しては、
国連
難民高等弁務官やアフリカ統一機構などの
取り組み
を
支援
していく所存です。 中東和平プロセスは依然楽観を許しませんが、
国際社会
と
協力
し、各当事者に対し和平プロセスの促進を働きかけでまいります。ゴラン高原における
国連
兵力引き離し監視隊への自衛隊部隊などの派遣の継続やパレスチナ
支援
及び多国間協議への参画などの
努力
も継続いたします。また、湾岸
地域
の安定を確保するため、湾岸諸国との
対話
と
協力
の拡充に努めてまいります。 旧ユーゴ和平に関しても、これまでの和平
努力
の成果を一層
進展
させるため、人道・難民
支援
及び復旧復興
支援
などの
分野
で適切な貢献を続けてまいります。
開発
途上国
の安定と
発展
は、
国際社会
全体の平和と繁栄にとり不可欠であり、
政府開発援助
は、このために
我が国
がなし得る貢献の中核であります。
政府開発援助
を通じて
途上国
の
開発
問題
に取り組むことは、
国際社会
に大きく依存する
我が国
自身の
利益
にも資するものであり、今後とも、その効率的、効果的な実施と一層の
充実
に努めます。
我が国
は、
途上国
の主体性の重視及び先進国と
途上国
のパートナーシップを中心的な理念とする新たな
開発
戦略を提唱しておりますが、その
考え方
に基づき、
開発
の成果を上げるよう努めでまいります。特にアフリカの安定と
開発
に関して、明年をめどに第二回アフリカ
開発
会議
を、また本年その準備会合を
我が国
で開催いたします。
日本経済
の繁栄のためには、
世界
経済
の持続的な
発展
が不可欠であります。
我が国
は、
経済
のグローバル化が生み出している
機会
を積極的に活用すべく、これまで以上の思い切った
規制緩和
、競争政策の徹底、市場アクセスの改善などの
経済構造改革
の
努力
を行っていく必要があり、こうした
施策
を通じ、
世界
経済
の活性化にもさらに貢献してまいります。 同時に、
経済
のグローバル化の
進展
に伴って生じつつある新たな諸
課題
に対応する多角的な
貿易
・投資の枠組みの
整備
も重要です。
我が国
としては、第一回WTO閣僚
会議
の成果を踏まえ、新たな
分野
での
ルールづくり
など多角的
貿易
体制
の一層の強化に取り組むとともに、OECDにおける多数国間投資協定交渉を本年のOECD閣僚理事会までに終結すべく
努力
し、多角的で公正、透明なルールに立脚した国際
経済
システム
の強化に引き続き努めます。また、主要先進国首脳
会議
などの場を活用し、引き続き先進諸国間の政策協調を強化してまいります。
我が国
は、よりよい
地球
社会
の
実現
に向け、人口、
環境
、
福祉
、食糧、エネルギー、原子力安全などの諸
課題
や、
テロ
、国際犯罪、麻薬
問題
など市民
社会
への挑戦と言える諸
課題
の克服に向けた国際
協力
に積極的に参画してまいります。また、民主化の促進及び
人権
の擁護にも積極的な
役割
を果たしてまいります。 特に
環境
問題
については、本年六月に開催される
国連
特別総会が所期の成果を上げるよう
協力
してまいります。また、
地球
温暖化
対策
については、本年十二月に京都市においで気候変動枠組条約第三回締約
国会
合が開催されますが、この
会議
は二〇〇〇年以降の国際的
取り組み
に関する枠組みを定める重要な
機会
であり、その
成功
に向けて開催国として
全力
を尽くしてまいります。 また、安定した国際
関係
に不可欠な
国民
レベルの
相互
理解
と
協力
のすそ野を広げるための
努力
も継続いたします。そのため、
文化交流
の
分野
においても、二国間にとどまらず、多国間の
対話
と交流や
政府
と
民間
の
活動
の連携を重視し、
文化
遺産の保存にも積極的に
協力
いたします。また、海外広報
活動
の一層の
充実
や査証手続の簡素化にも努めてまいります。 以上、
外交
の
基本方針
について申し述べました。内政と
外交
がますます
一体
化する中で、私は、
国民
の
皆様
の一層の御
理解
が得られるよう、世論に十分耳を傾けつつ、引き続き
外交
実施
体制
の一層の強化に努めてまいります。 何とぞ、議員各位、
国民
の
皆様
の一層の御
支援
と御
協力
をお願い申し上げます。(
拍手
)
—————————————
伊藤宗一郎
16
○
議長
(
伊藤宗一郎
君)
大蔵大臣
三塚博君。 〔
国務大臣
三塚博君登壇〕
三塚博
17
○
国務大臣
(三塚博君)
平成
九年度
予算
審議をお願いするに当たりまして、今後の
財政
金融政策の基本的な
考え方
について所信を申し述べますとともに、
予算
の大要の説明をいたします。
我が国
経済
は、戦後目覚ましい高度
成長
を遂げ、
世界
有数の地位を占めるに至りましたが、
経済
のグローバル化の一層の
進展
に伴い、国際的な競争
環境
が厳しさを増していく一方で、
少子
・
高齢化
の急速な進行を背景に、今後、
経済
の
活力
が低下していくのではないかとの懸念を抱いております。 また、バブル
経済
崩壊以降長きにわたり
経済
が低迷する中で、
政府
は累次にわたる
経済
対策
等を実施し、ようやく
民間
需要中心の自律的回復への
基盤
が整ってまいりましたが、たび重なる
財政
出動や税収の低迷等から、
財政赤字
は著しく増加し、
我が国
経済
の中長期的な持続的
成長
の足かせとなりかねない深刻な事態となっております。 これらの直面する
問題
を克服し、
国民
一人一人が豊かに暮らせる自由で
活力
ある二十一
世紀
社会
を構築していくため、今こそ各般の
構造改革
を強力に進めていかなければならないのであります。 私は、今後の
財政
金融政策の運営に当たり、このような
認識
に基づき、
改革
の
第一歩
を着実に踏み出し、以下に述べる諸
課題
に
全力
をもって取り組んでまいる所存であります。 第一の
課題
は、
民間
需要主導の自律的な景気回復を確実なものとすることであります。 まず、国際
経済
情勢を見ますと、
米国
では景気は安定した拡大が続いており、
欧州
では総じて緩やかに改善しているなど、
世界
経済
は全体として拡大基調を維持しております。 また、
我が国
経済
の現状を見ますと、景気は回復の動きを続けております。そのテンポは緩やかなものの、
民間
需要は堅調さを増しております。なお
雇用
情勢は厳しい
状況
にあるものの、改善の動きが見られるところであります。
政府
としては、このような最近の内外
経済
情勢を踏まえ、現在の景気の回復力を一層強固なものとし、
民間
需要を軸とした中長期的な安定
成長
につなげていくため、引き続き適切な
経済運営
に努めてまいる所存であります。 九年度
予算
においても、極めて厳しい
財政
事情の
もと
ではありますが、
経済構造改革
に資する
創造
的、基礎的研究等の
分野
に重点的、効率的配分を図っているところであります。また、八年度
補正予算
とあわせ、
予算
の切れ目のない円滑な執行に努めてまいりたいと考えております。 金融面では、累次にわたる金融
緩和
措置の実施により、各種金利は依然として低い水準にあり、 その効果を見守ってまいりたいと考えております。また、株式市場の動向につきましては、今後とも十分注視してまいる所存であります。 なお、為替相場については、今後とも、主要国との政策協調及び為替市場における
協力
を通じ、その安定を図ってまいりたいと考えております。 第二の
課題
は、
財政
構造改革
であります。
財政健全化
は、今や主要先進国共遠の
課題
であり、
各国
とも果断に取り組んでおります。
我が国
においても、現在の
財政
構造を放置し、
財政赤字
のさらなる拡大を招けば、
経済
・
国民生活
が破綻することは必至であり、二十一
世紀
の
我が国
経済
社会
の
活力
を維持するため、
財政
構造改革
に取り組んでいくことが喫緊の
課題
であります。 このため、二〇〇五年度までのできるだけ早い時期に、国及び
地方
の
財政赤字
対GDP比を三%以下とし、また、国の
一般会計
において
特例公債依存
から脱却するとともに、
公債依存度
の引き下げを図ること等を
財政健全化
の
目標
とすること、さらに、これらの
目標
の達成のため、国の
一般歳出
の
伸び率
を名目
経済
成長
率よりも相当低く抑え、
地方
に対しても同様のことを
要請
することを先般閣議決定いたしました。 このような
目標
の
もと
、九年度
予算
においては、
医療保険制度
改革
を初めとする各般の
制度
改革
を織り込むことにより、
一般歳出
の
伸び率
を一・五%と九年ぶりの低い水準に抑制するとともに、公債減額四兆三千二百二十億円、特例公債については四兆五千二百八十億円の
縮減
を
実現
し、また、
国債費
を除く
歳出
を租税等の範囲内に抑制し、現
世代
の受益が
負担
を上回る
状況
を解消するなど、
財政構造改革元年
として
財政健全化
に向けた
第一歩
を踏み出したところであります。 しかしながら、これらの
努力
をもってしてもなお公債発行残高が
平成
九年度末には約二百五十四兆円にも達する見込みであるなど、
我が国
財政
は引き続き危機的な
状況
にあり、今後とも年々着実に
財政
構造改革
を進め、将来
世代
に
負担
を残さない
財政
構造をつくり上げることに
努力
していく必要があります。 このため、十年度
予算編成
に向けて早い時期から
歳出
の全般的
見直し
を進めるとともに、
概算要求段階
から一層厳しい抑制に取り組むなど、さらなる
歳出
削減のため
努力
してまいりたいと考えております。また、
政府
・与党の
財政構造改革会議
が
設置
され、
財政再建
のための
法律
の骨格を含めた
歳出
の
改革
、
縮減
の具体的方策が
検討
されることになっておりますので、その審議に積極的に参画してまいりたいと考えております。 なお、
財政投融資
につきましては、
改革
を
推進
するとの
基本方針
の
もと
で、民業補完の
観点
をも踏まえ、
社会
経済
情勢の変化等に応じ、その対象
分野
、
事業
を
見直し
、
資金
の重点的、効率的な配分を図ってまいりたいと考えております。 第三の
課題
は、
税制
上の諸
課題
に適切に対応することであります。
税制
につきましては、
平成
六年秋の
税制改革
のうち、先行して実施されている所得税等の恒久減税と
一体
として法定された
消費税率
の引き上げ等がこの四月から実施に移されます。この
改革
は、
少子
・
高齢化
の
進展
という構造変化に
税制
面から対応するものであり、中長期的に見て、
我が国
経済
社会
の活性化につながるものと確信をいたしております。この
改革
の円滑な実施に向け、
政府
が
一体
となってきめ細かな対応を図っていくとともに、その意義について
国民
の
皆様
の一層の御
理解
をお願いしたいと思います。
税制
は
国家
の基であり、
国民生活
や
企業
活動
の前提として安定性が求められる一方、急速な
国際化
や
情報化
等のとうとうたる潮流変化に即応して
改革
が常に求められます。今後とも、こうした
観点
から、より望ましい
税制
の姿を
実現
するよう、不断の
取り組み
を行ってまいる所存であります。 第四の
課題
は、金融をめぐる諸
課題
に適切に対応することであります。 金融機関の不良債権
問題
の処理に引き続き精力的に取り組むとともに、金融の
自由化
、
国際化
や
技術革新
等、金融をめぐる
環境
の著しい変化を踏まえつつ、市場規律を基軸とした透明性の高い金融
行政
の確立に向けて、以下の諸
改革
を進めてまいります。 まず、東京市場がニューヨーク、ロンドン並みの市場に復権することを目指して、
日本
版ビッグバンともいうべき広範かつ抜本的な
金融システム
の
改革
を
推進
いたします。現在、
関係
する五
審議会
において、銀行、証券、
保険
分野
への参入促進、商品
規制
の撤廃・
緩和
、各種手数料の
自由化
等について、二〇〇一年までに
改革
が完了するプランを取りまとめるべく御審議をいただいており、さらに、各
審議会
代表者による連絡協議会を
設置
し、
改革
を二体的に進める
体制
を
整備
したところであります。この
改革
のフロントランナーとして、国境を越えたより自由な金融取引を
実現
するため
外国
為替管理
制度
を改正することとし、今
国会
に所要の
法案
を提出したいと考えております。また、さきの日米
保険
協議の決着に基づく
自由化
の実施は、
改革
の
推進
に大きな
役割
を果たすものと考えます。
金融システム
改革
は、千二百兆円もの個人金融資産の効率的な運用等のため不可欠なものでありますが、他方、市場参加者にリスクや痛みをもたらします。このため、
情報
開示の促進や早期是正措置等ルールの明確化など必要な措置を講じ、自由かつ透明で
信頼
できる市場を構築してまいります。また、
金融システム
全体の安定に細心の注意を払うとともに、
国際化
に対応した監督
協力
体制
の確立にも努めてまいります。 次に、住専
問題
等を契機として
国民各層
から金融
行政
に対してなされたさまざまな御批判を重く受けとめ、激動する
時代
の変化に的確に対応し、
国民
に
信頼
される金融
行政
を確立する
観点
から、
金融システム
改革
とともに金融
行政機構
の
改革
に
取り組み
ます。 先般、
行政改革
プログラム
においで、大蔵省の銀行局及び証券局を
統合
するとともに、
総理
府に
民間
金融機関等に対する検査及び監督を所掌する機関を設立する等の措置を
平成
十年度に実施することとされたところであり、与党
合意
の趣旨を踏まえつつ、
国民
経済
の基本にかかわる
問題
として万般の詰めを行い、
政府
として今
国会
に所要の
法案
を提出できるよう最大限
努力
してまいりたいと考えております。 さらに、
日本
銀行につきましても、中央銀行研究会報告の示した基本的な指針に沿って、開かれた独立性を有する中央銀行とするため、抜本的に
改革
する必要があります。現在、金融
制度
調査
会においで御審議をいただいており、その答申の取りまとめを受けて、今
国会
に所要の
法案
を提出したいと考えております。 第五の
課題
は、
世界
経済
の健全な
発展
への貢献であります。
我が国
は、WTO、APEC等の場を通じ、多角的自由
貿易
体制
の維持強化に積極的に取り組んでいるところであり、九年度関税改正においても、税関手続の簡素化、適正な課税の確保、関税率の改正等の所要の措置を講ずることとしております。 また、
世界
経済
の安定と
発展
に資するため、
国際社会
と協調しつつ、
開発
途上国
の自助
努力
の
支援
に引き続き積極的に取り組んでまいります。今般、
世界
銀行における
我が国
の出資比率の引き上げが
合意
されたところであり、さらに、本年設立される予定の中東・北アフリカ
経済
協力
開発
銀行に対しても積極的に
支援
していく所存であります。 次に、
平成
九年度
予算
の大要について御説明をいたします。
一般歳出
の規模を、四十三兆八千六十七億円、前年度当初
予算
に対し一・五%の増加と、九年度消費者物価上昇率の見通しを下回る
伸び率
としております。これに
地方
交付税交付金及び
国債費
等を加えた
一般会計
予算
規模は七十七兆三千九百億 円となります。
国家
公務員の定員につきましては、第九次定員削減計画を着実に実施するとともに、増員は厳に抑制し、二千二百十九人に上る
行政
機関職員の定員の
縮減
を図っております。補助金等につきましては、
地方
行政
の自主性の尊重、
財政
資金
の効率的使用の
観点
から、その整理
合理化
を積極的に
推進
いたしております。 次に、
歳入面
について申し述べます。
税制
につきましては、最近の
社会
経済
情勢等に顧み、住宅・土地関連
税制
等について適切な対応を図るとともに、租税特別措置の整理
合理化
、蒸留酒に係る酒税の
見直し
その他所要の措置を講ずることといたしております。なお、自律的景気回復への
基盤
が整いつつある
経済
状況
や厳しい
財政
状況
を勘案し、特例公債によらざるを得ない所得税の
特別減税
は実施をいたしません。 公債発行予定額は、前年度当初
予算
より四兆三千二百二十億円減額し、十六兆七千七十億円としております。その内訳は、
建設
公債九兆二千三百七十億円、特例公債七兆四千七百億円となっております。その結果、
公債依存度
は二一・六%となっております。特例公債の発行等につきましては、別途、
平成
九年度における
財政
運営のための公債の発行の特例等に関する
法律案
を提出し、御審議をお願いすることといたしております。
財政投融資
計画につきましては、対象
分野
、
事業
を厳しく見直すとともに、
社会
経済
情勢の変化に即応し、
資金
の重点的、効率的な配分を図っております。この結果、一般財投の規模は三十九兆三千二百七十一億円、前年度当初計画に対して三・〇%の減額となっております。また、
資金
運用
事業
を加えた
財政投融資
計画の総額は五十一兆三千五百七十一億円、前年度当初計画に対し四・五%の増加となっております。 次に、主要な経費について申し述べます。
社会保障
関係
責につきましては、二十一
世紀
の
少子
・
高齢化
社会
においても、
国民
経済
と整合性がとれ、効率的で安定的な
社会保障制度
を確立するための
構造改革
を進めることとし、九年度には
医療保険制度
改革
に取り組むこととしております。この
改革
は、破綻に瀕した
医療
保険
財政
を立て直すとともに、
世代
間の
負担
と給付の公平を図るために必要なものと考えます。
雇用
対策
につきましては、
産業
構造の転換に対応した
雇用
の創出等を
推進
するとともに、
雇用
環境
の
整備
など勤労者のための
施策
を総合的に進めることとしております。 文教及び科学
振興
費につきましては、
教育
環境
の
整備
、高等
教育
・学術研究の
推進
、
文化
の
振興
等を図るとともに、
創造
的、基礎的研究の
充実
、着手研究者の
支援
、活用など
科学技術
振興
のため、各般の
施策
の
推進
に努めております。 公共
事業
関係
費につきましては、厳しい
財政
事情等にかんがみ、前年度当初
予算
と実質的に同水準にとどめでおりますが、その配分に当たっては、公共投資基本計画等の
考え方
、
国民
のニーズ等を踏まえつつ、
国民生活
の質の
向上
に直結する
分野
、次
世代
の
発展
基盤
の
整備
等、
経済構造改革
に資する
分野
等への重点化を図っております。また、各省の枠を超えた
事業
間の連携の強化を図るとともに、公共工事の
建設
コストの低減
対策
を総合的かつ計画的に実施する等、その効率的、効果的実施に努めることとしております。
中小企業
対策
費につきましては、
中小企業
を取り巻く厳しい経営
環境
に配慮し、
技術
開発
や
情報化
に対する
支援
措置等、特に緊要な
課題
に重点を置いて
施策
の
充実
を図っております。 農林水産
関係
予算
につきましては、いわゆる新食糧法の施行やウルグアイ・ラウンド
農業
合意
の実施等を踏まえ、経営感覚にすぐれた効率的、安定的な経営体が生産の大宗を担う
農業
構造の
実現
に重点を置くこととし、所要の
施策
の着実な
推進
に努めております。
経済
協力
費につきましては、事前
調査
、事後評価の拡充等を通じまして、
途上国
から真に評価される質の高い援助の実施に努めるほか、NGO等との連携強化、
途上国
における人づくり
支援
の
充実
等に重点を置くこととし、援助の量から質への転換を図ることとしております。
防衛
関係
費につきましては、
中期防衛力整備計画
等の
もと
に、厳しい
財政
事情等を踏まえ、効率的で節度ある
防衛力
の
整備
を図ることといたしております。 エネルギー
対策
費につきましては、
地球
環境
保全の重要性等も踏まえ、総合的なエネルギー
対策
の着実な
推進
に努めております。
地方
財政
につきましては、引き続き大幅な財源不足が見込まれますが、一方、国の
財政
事情も極めて厳しく、公
経済
の車の両輪がバランスのとれた
財政
運営を行う必要があるという
基本的考え方
を踏まえつつ、所要の
地方
交付税総額を確保する等、その運営に支障を生ずることのないよう適切な措置を講ずることとしております。
地方公共団体
におかれましても、徹底した
歳出
の抑制を図り、
財政
体質の
健全化
に鋭意
努力
されるよう
要請
するものであります。 この
機会
に、
平成
八年度
補正予算
について一言申し述べます。 八年度
補正予算
につきましては、
歳出面
において、阪神・淡路大震災復興
対策
費、災害復旧等
事業
費、緊急防災
対策
費、ウルグアイ・ラウンド
農業
合意
関連
対策
費、緊急
経済構造改革
対策
費、
税制改革
関連
対策
費、
地方
交付税交付金等、特に緊要となった事項について措置を講じております。また、前年度剰余金について国債整理基金特別会計への繰り入れ等を行う一方、既定経費の節減、予備費の減額を行うこととしております。 他方、
歳入面
では、租税及び印紙収入、前年度剰余金等を計上するとともに、公債金については、
建設
公債を一兆六千七百六十億円増発する一方、特例公債を三千三百七十億円減額いたしております。 以上によりまして、八年度
一般会計
補正後
予算
の総額は、当初
予算
に対して二兆六千六百六十三億円増加し、七十七兆七千七百十二億円となります。 以上、
平成
九年度
予算
及び
平成
八年度
補正予算
の大要について御説明をいたしました。
関係
法律案
とともに御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。 これまで申し述べてまいりました
財政
金融両面からの
改革
は、
もと
より容易に達成し得るものではなく、その
実現
の過程において幾多の困難を伴うものであります。しかし、これらの
改革
は、二十一
世紀
に向けて、豊かで
活力
に富み、国際的にもふさわしい
役割
を果たし得る
経済
社会
を築いていくため、現
世代
の私たちが責任を持ってなし遂げなければならないものであると確信いたします。
国民
各位の一層の御
理解
と御
協力
を切にお願い申し上げる次第であります。(
拍手
)
—————————————
伊藤宗一郎
18
○
議長
(
伊藤宗一郎
君)
国務大臣
麻生太郎君。 〔
国務大臣
麻生太郎君登壇〕
麻生太郎
19
○
国務大臣
(麻生太郎君)
日本経済
の当面する
課題
と
経済運営
の基本的な
考え方
について、所信を申し述べさせていただきます。 敗戦後五十年を経た
日本経済
は、現在、まさに歴史的な転換期にあると存じます。従来の追いつき追い越せ型
経済
からの脱却、
情報通信
革命
時代
への対応、
少子
化に伴う
高齢化
の
進展
、バブル
経済
の崩壊に伴う調整、円高や大競争と言われる
時代
の中での生き残りなど、過去、現在そして
未来
からの挑戦を
日本経済
は受けております。 例えば、
財政
、
社会保障
につきましては、さきに
経済
審議会
が行った試算によりますと、現行
制度
のままでは、
国民
負担
率に
財政赤字
を加えた潜在的な
国民
負担
率は、一九九四年度の三九・二%から、三十年後の二〇二五年度には実に七〇%を超えるとの数字が示されております。また、この試算から、
社会保障
基金は二〇二五年度までには底をつき、一般
政府
債務
残高は
資金
調達が困難なほど膨れ上がります。さらに、二十一
世紀
初頭には、
我が国
は
財政
のみならず国際収支も赤字になるという双子の赤字の状態に陥り、純
債務
国に転落することなどの予測が示されております。
我が国
が直面しているこれらの
問題
を
解決
し、
未来
を切り開いていくためには、行
財政
改革
とともに
経済構造改革
、すなわち
日本経済
を支えてきたこれまでの
制度
や慣行を根本から見直すことが必要であります。
経済構造改革
については、総論では
理解
されても、各論になるや、
影響
を受ける
分野
から反対の声が上がり、
改革
を進めるにしても既存の秩序を乱さないよう時間をかけて進めるべきであるとの意見が聞かれます。 しかしながら、
経済構造改革
は、確かに特定の
分野
におきましては痛みが生じるものの、
日本経済
全体にとってはそれを上回る大きな
利益
が得られるものであるということを忘れてはならないと存じます。また、
構造改革
がおくれれば、
改革
によって享受できるはずの
利益
が得られないことになるばかりか、
経済
の各
分野
において既に見られる空洞化がさらに進み、現在の
我が国
の
生活
水準の維持さえも難しくなるおそれがあります。 すなわち、これまでの
経済
社会
の構造や
システム
に安住していては、
日本経済
の前途は危ぶまれるということであります。現在
日本
を覆っている閉塞感を払拭し、
日本経済
の
活力
を復活させるためには、
改革
が展望を切り開くという
認識
の
もと
、
政府
と
国民
が相携えて、変化を恐れず、勇気を持って
経済
社会
の
構造改革
を
推進
していくことが必要であると確信をいたしております。 次に、内外の
経済
状況
について申し述べたいと存じます。
世界
経済
は全体として拡大基調が続いております。
米国
経済
は安定的に拡大をいたしており、西ヨーロッパ
経済
も総じて緩やかに改善しております。また、
アジア
経済
は、東
アジア
においては一部に減速の動きが見られるものの、総じて拡大を続けております。 他方、
日本経済
の最近の動向を見ますと、設備投資は回復傾向にあり、住宅
建設
は高い水準で推移をいたしております。個人消費も緩やかな回復傾向にあります。また、純輸出は、円高是正などもあり、このところおおむね横ばいで推移をいたしております。こうした需要動向を背景として、生産は増加傾向にあります。このように景気は回復の動きを続けており、そのテンポは緩やかでありますが、
民間
需要が堅調さを増しております。また、
雇用
情勢につきましては、なお厳しい
状況
が続いておりますが、最近におきましては、
雇用
者数が増加するなど明るい動きが見られるところであります。 以上のような
状況
を踏まえ、私は、
平成
九年度の
経済運営
に当たりましては、次の
基本的考え方
に沿って対応してまいりたいと存じます。
基本的考え方
の第一は、適切かつ機動的な
経済運営
を行いつつ、このところ堅調さを増しております
民間
需要が主導する自律的な景気回復を
実現
することであります。
政府
は、
平成
九年度
予算
におきまして
一般歳出
を厳しく抑制し
財政健全化
に取り組む中で、
創造
的、基礎的な
科学技術
研究の
充実
、
情報通信基盤
の
整備
など、二十一
世紀
に向けて
日本経済
の
発展
基盤
を整える
施策
を
推進
することといたしております。 金融政策につきましては、内外の
経済
動向や国際通貨情勢を注視しつつ、適切かつ機動的な運営を図ってまいります。 また、
我が国
産業
の国際
競争力
の源泉でもある
物づくり
を支え、
地域
の
経済
と
雇用
を担っております
中小企業
につきましては、その
活力
が失われることがないよう、
技術
開発
、新規創業などに対する
支援
を中心とする総合的な
施策
を
推進
してまいります。 物価の安定は
国民生活
安定の基礎であり、
経済運営
の
基盤
となるものであります。物価はこのところ安定いたしておりますが、今後ともその安定に努めてまいります。また、本年四月からの
消費税率
の引き上げに伴い、税
負担
の円滑かつ適正な転嫁について、消費者及び
事業者
の
皆様
の十分な
理解
が得られるよう努めるとともに、便乗値上げの発生を防止するため万全の対応を図ってまいる所存であります。さらに、高いという御指摘もあります公共料金につきましては、
事業
の
効率化
を通じてその低廉化を図ることが重要であります。このため、参入
規制
の
緩和
、価格設定方式の
改革
、
情報
公開の徹底などを積極的に
推進
いたしてまいります。 以上申し上げた
施策
や次に申し上げる
経済構造改革
の
推進
などにより、
平成
九年度におきます
日本経済
は、
税制
改正の
影響
などにより年度前半は景気の足取りは緩やかとなるものの、次第に
民間
需要を中心とした自律的回復が
実現
されるとともに、持続的
成長
への道が開かれるものと見込まれております。 こうした
経済
の推移により、
平成
九年度の実質
経済
成長
率は、
平成
八年度の二・五%程度から一・九%程度と、引き続き内需中心の
成長
になるものと見込んでおります。具体的に申し上げますと、まず、個人消費は、
雇用
者所得の緩やかな回復が持続すると見込まれ、
消費税率
の引き上げに伴う駆け込み需要の反動などが見られるものの、総じて見れば緩やかな回復を続けてまいります。 次に、
民間
設備投資については、生産の増加や
企業
収益の改善による好
影響
が見込まれるとともに、
経済構造改革
の動きなどをにらんだ新たな投資も期待されることから、全体として見れば、大
企業
、
製造業
を中心に始まった回復が
中小企業
や非
製造業
に広がりを見せるなど、増加傾向が続いてまいります。 住宅投資も、駆け込み需要の反動はあるものの、高水準を維持いたします。また、公的需要につきましては、
財政
構造改革
を反映して横ばいで推移いたします。 国際収支につきましては、
貿易
・
サービス
収支及び経常収支の黒字が引き続き減少するものの、そのテンポは緩やかなものとなります。
雇用
情勢は、厳しさが続きますが、景気の回復につれ徐々に改善していくと思われます。
基本的考え方
の第二は、
経済構造改革
の
推進
であります。
構造改革
は、もはや議論をしている段階ではなく、実行に移していく段階に来ております。
構造改革
の重要な柱の一つである
規制
の
見直し
、
緩和
・撤廃につきましては、昨年十二月に
経済
審議会
から建議された六
分野
の
経済構造改革
の提言を初め、物流、金融、
雇用
・労働、高度
情報通信
、
医療
・
福祉
などの
分野
において、各種の
施策
に関する方針が打ち出されました。また、新規
産業
の創出、国際的に魅力のある
事業環境
の創出などを
推進
するため、
経済構造改革
に資する
規制緩和
の措置の
充実
を含めた
経済構造
の変革と
創造
のための
プログラム
を閣議決定いたしたところであります。 これらの
施策
の具体例を申し上げますと、物流の
分野
におきましては、
目標
期限を定め、原則として需給調整
規制
を廃止するための
施策
を講ずることといたしております。金融につきましては、二〇〇一年までに東京市場をニューヨーク、ロンドンと並ぶ国際金融市場とすることを目指して
金融システム
の
改革
を行うことといたしております。
雇用
面では、労働市場の流動化が進んできている現状を踏まえ、労働者と
企業
双方の要求をより適切に合致させるため、
民間
有料職業紹介
事業
の取扱職業の範囲を見直すなどの
施策
を進めてまいります。 今後は、
政府
として、これらの
規制緩和
等についてより実効性を高めるべく、
経済構造
の変革と
創造
のための
プログラム
の具体化作業及び
規制緩和
推進
計画の改定作業を鋭意進め、
経済構造改革
を強力に
推進
していくことが重要であります。 このような
規制緩和
を初めとする
経済構造改革
の
推進
を通じて、内外価格差に象徴される
日本経済
の高コスト構造が改善され、
国民
経済
全体に大きな
利益
がもたらされるものと確信をいたしております。
政府
としても、内外価格差の是正、縮小の
進展
状況
を的確に把握するとともに、
規制緩和
の
経済
効果を可能な限り定量的にお示しすることにより、
国民各層
の御
理解
、御
協力
を得られますよう努めてまいりたいと考えております。
基本的考え方
の第三は、安全で安心な
生活
の再設計を図ることであります。
日本
におきましては、これまで、
経済
的には繁栄し、かつ危険が少なく、加えて安心して暮らせる国をつくってきたと信じられておりました。しかしながら、近年の
国民
の意識を世論
調査
などで見ると、
教育
、
雇用
、犯罪、
医療
や年金について不安や不満を感じている人がふえてきております。
少子
化に伴う
高齢化
の
進展
、
日本
的
雇用
の変貌などにより、
国民
の将来の
生活
への確信に揺らぎが生じているように思われます。 これは、これまで
社会
の各
分野
を支えてきた
システム
が
時代
に合わないものになってきていることによるものと考えられます。このような
状況
に対応していくためには、
経済構造改革
や
社会保障構造改革
を
推進
していくとともに、
日本
型
社会
システム
の
見直し
、
改革
もあわせて進め、従来のように安全で安心して暮らすことができる
日本
社会
の再構築を図っていくことが必要であると考えております。 また、特に大都市の住宅事情に見られる、遠い、高い、狭い、醜い、危ないといった五重苦の解消を図るため、土地の有効利用を図るなどの
施策
を通じて、ゆとりがあり、災害に強い住宅・都市構造の形成を図ってまいらなければなりません。 さらに、
規制緩和
が
進展
する中で、消費者はより一層多様な
選択
を行い得るようになってまいりますが、同時に、消費者が自己責任を持つことが求められます。このため、消費者の自立を
支援
するべく諸
施策
を
推進
してまいります。とりわけ、消費者と
事業者
との間の
情報
力や交渉力の格差を是正し、消費者、
事業者
双方の自己責任に基づく行動を促すための条件を整えることにより、消費者取引の適正化を図ってまいります。また、製造物責任法が施行されましてから一年余りが経過し、同法が
国民
の間に浸透しつつあるところであります。今後とも、都道府県などの自主的な裁判外紛争処理
体制
の
整備
に対する
支援
、消費者安全
教育
の
充実
など、関連する諸
施策
を実施し、消費者被害防止・救済策の
推進
に取り組んでまいります。 市民
活動
につきましては、
国際化
や
高齢化
の
進展
など
我が国
の
経済
社会
を取り巻く
環境
が変化していく中で、ボランティア
活動
などに対する
国民
意識が高まり、
福祉
、国際
協力
、
環境
といったさまざまな
分野
で実際に
活動
されている方がふえてきております。ボランティアなどによる市民
活動
が
社会
に根づき、健全な
発展
を遂げていくためには、法制面を含めた枠組みを構築していくことが必要であり、このための
環境
整備
を積極的に
推進
してまいります。
基本的考え方
の第四は、市場
経済
化、
一体
化が進んでいる
世界
経済
への貢献であります。
日本
が
世界
とともに共存共栄していくためには、対外的にも一層開かれた
経済
社会
を形成するとともに、人口、
環境
などを含む国際的な
問題
への
取り組み
に積極的に参画することにより、
世界
経済
の持続的
発展
に貢献することが求められております。 そのため、WTOを中心とする
制度
的枠組みの中で、多角的自由
貿易
体制
の一層の強化に貢献するとともに、APECにおける
貿易
・投資の
自由化
、円滑化のためのマニラ
行動計画
を着実に実施すると同時に、その
内容
の
充実
に努めてまいります。 さらに、市場開放や
政府
調達に関する苦情処理
体制
の積極的な活用、対日投資促進を図る対日投資
会議
などの
活動
を通じて、諸
外国
から
我が国
への市場アクセスの改善、さらには国際的に魅力ある
事業環境
の創出を図ってまいります。 また、
地球
環境
問題
や人口
問題
への対応、民主化・市場
経済
化促進のための知的
支援
の強化など、
経済
協力
の新たな
課題
にも取り組んでまいります。 敗戦後の
日本
の飛躍的な
発展
を支えてきた先進国に追いつくための
システム
は、二十一
世紀
を間近に控え、大幅な
見直し
、
改革
を行うことが求められております。
改革
に伴う苦痛を避けて通ることはできません。仮にその苦痛を避けようと
改革
を先送りしたとしても、いずれは
改革
を避けることができなくなり、そのときの苦痛はより一層大きなものとなると考えられるからであります。 二十一
世紀
に向けて
我が国
経済
社会
の新たな展望を切り開いていくためには、
行政改革
、
経済構造改革
、
金融システム
改革
、
社会保障構造改革
、
財政
構造改革
及び
教育改革
という六つの
改革
を
一体
的、総合的に断行していく必要があります。
平成
九年度は、まさにこの六つの
構造改革
を
推進
していく上で大きな一歩を踏み出す
構造改革
元年とならなければなりません。 私たちは、先人の
努力
によりこれまで蓄積してきた資本、人的資源、高度な
技術
基盤
やそれを支える
文化
的
基盤
など多くを有しております。また、人口約一億二千五百万人を擁し、その一人当たりの
国民
所得は
世界
のトップクラスを誇るという、
世界
に冠たる国内市場を有していることを忘れてはなりません。これらの財産を活用していくことにより、豊かで安心して暮らせる
活力
ある
高齢化
社会
を構築していくために、微力ながら精いっぱい
努力
をしてまいります。
国民
の
皆様
並びに各党各会派議員各位の御
支援
と御
協力
を心からお願い申し上げます。(
拍手
)
————◇—————
荒井広幸
20
○
荒井広幸
君
国務大臣
の
演説
に対する質疑は延期し、来る二十二日午後一時から本
会議
を開きこれを行うこととし、本日はこれにて散会されることを望みます。
伊藤宗一郎
21
○
議長
(
伊藤宗一郎
君)
荒井広幸
君の
動議
に御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
伊藤宗一郎
22
○
議長
(
伊藤宗一郎
君) 御
異議
なしと認めます。よって、
動議
のとおり決まりました。 本日は、これにて散会いたします。 午後三時三十八分散会
————◇—————