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1997-02-21 第140回国会 衆議院 法務委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年二月二十一日(金曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 八代 英太君    理事 太田 誠一君 理事 岸本 光造君    理事 橘 康太郎君 理事 横内 正明君    理事 上田  勇君 理事 鴨下 一郎君    理事 坂上 富男君       奥野 誠亮君    河村 建夫君       栗原 博久君    下村 博文君       西川 公也君    福永 信彦君       吉川 貴盛君    渡辺 喜美君       漆原 良夫君    加藤 六月君       城島 正光君    西村 眞悟君       福岡 宗也君    冬柴 鐵三君       石毛 鍈子君    佐々木秀典君       保坂 展人君    笹川  堯君  出席国務大臣         法 務 大 臣 松浦  功君  出席政府委員         法務大臣官房長 頃安 健司君         法務大臣官房司         法法制調査部長 山崎  潮君         法務省民事局長 濱崎 恭生君         法務省刑事局長 原田 明夫君         法務省矯正局長 東條伸一郎君         法務省入国管理         局長      伊集院明夫君         公安調査庁長官 杉原 弘泰君  委員外出席者         公正取引委員会         事務総局経済取         引局企業結合課         長       鵜瀞 恵子君         警察庁生活安全         局生活環境課生         活経済対策室長 園田 一裕君         大蔵省銀行局中         小金融課金融会         社室長     古谷 一之君         自治省行政局選         挙部選挙課長  大竹 邦実君         最高裁判所事務         総局民事局長  石垣 君雄君         最高裁判所事務         総局刑事局長  高橋 省吾君         法務委員会調査         室長      河田 勝夫君     ――――――――――――― 委員の異動 二月二十一日  辞任        補欠選任   安倍 基雄君    城島 正光君 同日  辞任        補欠選任   城島 正光君    安倍 基雄君     ――――――――――――― 二月二十一日  夫婦別姓選択制法制化に関する請願志位和  夫君紹介)(第二二二号)  同(保坂展人君紹介)(第二二三号)  婚外子差別を撤廃する民法等改正に関する請願  (保坂展人君紹介)(第二二四号)  同(前原誠司紹介)(第二四〇号)  同(畠山健治郎紹介)(第二六一号)  同(東中光雄紹介)(第二六二号)  同(不破哲三紹介)(第二六三号)  同(藤田スミ紹介)(第二六四号)  同(上原康助紹介)(第二八三号)  子の姓を出生時に決める夫婦別姓選択制度の法  制化に関する請願保坂展人君紹介)(第二二  五号)  同(前原誠司紹介)(第二四一号)  同(畠山健治郎紹介)(第二六五号)  同(東中光雄紹介)(第二六六号)  同(不破哲三紹介)(第二六七号)  同(藤田スミ紹介)(第二六八号)  同(上原康助紹介)(第二八四号)  選択的夫婦別姓の導入、婚外子差別を廃止する  民法改正に関する請願上原康助紹介)(第  二二六号)  同(小林守紹介)(第二四二号)  同(松本龍紹介)(第二四三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  裁判所司法行政法務行政及び検察行政、国  内治安人権擁護に関する件      ――――◇―――――
  2. 八代英太

    八代委員長 これより会議を開きます。  この際、お諮りいたします。  本日、最高裁判所石垣民事局長高橋刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 八代英太

    八代委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ――――◇―――――
  4. 八代英太

    八代委員長 裁判所司法行政法務行政及び検察行政国内治安人権擁護に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。栗原博久君。
  5. 栗原博久

    栗原(博)委員 昭和五十七年に公選法改正されまして、比例代表制というのを参議院に取り入れたわけであります。これは、明治二十三年に我が国国会が開設以来幾多も改正もございましたけれども、大正十四年の二十五歳以上の青年が参政権を持つ、そしてまた昭和二十年に婦人参政権が認められまして、昭和二十二年から新憲法のもとで衆議院参議院が発足して、それに次ぐ大きな改革と言われておったわけであります。  要するに比例代表制は、一つはやはりあらゆる意見を公正に正確に代表させるという面で大きな意義があるわけであると思います。あるいはまた選挙運動政党が行う。ですから、候補者に対する政党責任は限りなく大きいものがあると私は思うのであります。  そういうことの中で、今回この比例代表制という選挙制度が行われる中で、選良として選ばれました友部議員、私はあえて容疑者と申し上げますが、このオレンジ共済事件について質疑をさせていただきたいと思います。  この事件は、国民の多くの方々が、こんなことが果たして、国会議員があってはならない、驚嘆、要するに驚きひしめいているというふうに私は思っております。そしてまた、一層政治への不信を募らせていると思うのでありまして、友部容疑者一人のみならず、我々国会、そしてまた議員全体の問題として、この国会に籍を置く私どもは反省しなければならないのではなかろうかと思っております。  こういう中で、今回このオレンジ共済組合は、オレンジ共済とかスーパーですか積み立ての中で約八十億から九十億近い金を集めて、そして東京地検特捜部は、友部容疑者そしてまたその妻並びに子供を、年金オレンジ共済組合などの団体名を使って、オレンジスーパー定期とかオレンジスーパーファンドなどの元本として資金をだまし取ることを計画し、一九九四年五月から昨年九月まで、顧客九人に対して、一年定期で六・七四%、三年定期で七・〇二%の利息をつけて期日に間違いなく払い戻しできるなどとうそをついて、九四年六月から昨年十月まで約一億八千九百万もだまし取ったという事実で、そういうことで起訴をされているやに伺っておりますが、この件につきまして警察庁からお聞きしたいのであります。  まず、警察庁からその起訴内容についてお聞きしたいと思います。
  6. 原田明夫

    原田政府委員 お答え申し上げます。  ただいま委員指摘のとおり、オレンジ共済組合をめぐる詐欺事件につきましては、警察当局捜査をいたしまして、検察庁事件が送致されました。昨日までに東京地検におきましては、友部達夫参議院議員ほか四名を詐欺罪起訴いたしたところでございます。  その公訴事実の概要は、被告人らは、共謀の上、平成六年五月から平成八年九月までの間に、九名の方に対して、期日には間違いなく利息をつけて返戻できる旨の虚言を申し向けまして、オレンジスーパー定期等元金名下に合計約一億八千九百万円をだまし取ったというものでございます。
  7. 栗原博久

    栗原(博)委員 警察庁の方、おられますか。その後の捜査の進展はどういうふうになっておりますか。
  8. 園田一裕

    園田説明員 お答え申し上げます。  年金会オレンジ共済によります広域多額詐欺事件につきましては、これまで関係被疑者六名を逮捕するなど鋭意捜査を行ってきたところでございますけれども、二月十九日までに被疑者五名が起訴されたと承知いたしております。  本件につきましては、これまでの捜査によりまして、同様の方法で約二千六百人から八十億円以上の金銭を受け入れたものと見ておりまして、警察といたしましては、引き続き、その他の詐欺事実、これによって得た資金使途等全容の解明に向けて鋭意捜査を行っているところでございます。
  9. 栗原博久

    栗原(博)委員 詐欺事件を含めながら、公選法あるいはまた出資法などいろいろの罪状があると思いますので、徹底して、ひとつ我々国会の名誉にかけても捜査していただきたい、そしてまたあらゆる者を検挙してほしいということをまず御要望申し上げます。  友部容疑者は、かつて年金党を結成しまして、過去衆議院選挙一回、参議院選挙三回挑戦して、五度目の選挙、要するに九五年の参議院選挙比例代表新進党の十二位という立場を獲得して当選したところであります。私も、実は同じように政治の道を求めて六度目の挑戦当選したものでありまして、いつも年金党とか友部さんを横に見てまいりました。  私は、実は今質問に立ったのもそういうこともあって立たせていただいたのですが、私も六度目の挑戦で、今二度目の当選でありますが、やはり国家に対して何か奉仕したい、国のために尽くしたい、そういう一念で浪人生活を十六年送ってまいりました。ですから私は、友部さんのそういう今の状況を見ますと大変悲しい、彼は五度目で当選して、五度目といっても比例当選しているわけですが、私は六度目で当選しておるのですけれども、大変悲しい面を持っているのです。  こうして議席を得てたびたび国会で、きょうもこれで四十七回目の質疑に立たせていただいておりますが、十六年間の苦渋の中で、なるべく多くの方々意見国会で代弁して、少しでもそういう方の考えを政策に取り入れていただきたいという熱望もありました。選挙があれば当然金もかかるわけでありますし、私も多大な借財を背負っておって、歳費はすべて毎月そういうものの返済に回しておるわけでありますが、大変そういう面において、同じ政治家を求める道の中で、恐らく同じ立場であったと思うのですが、ただ、その結果よりもその過程で、本当に私は彼の歩んだ道を許すことはできないと思っております。  私も実は、これから公選法のこともお聞きしますが、五回目の選挙公選法で逮捕されておるのです。私は五年間の公民権停止ということで、選挙に出られない部分でございましたけれども法務省のお取り計らいで普通恩赦で一年半後に復権いたしまして、そして六度目で当選してまいりました。でありますがゆえに、死んだ者が生き返ったわけでありますから、さらに国のために尽くしたい、そして、私をずっと支えてまいった支援者のためにも何かしたいという気持ちであるわけであります。  先般、予算委員会で、私の同じ選挙区であります坂上富男先生が、我が地元で長岡藩小林虎次郎先生の米百俵運動で、河井継之助の有名なあの長岡藩が、困窮の中にあっても後世のために百俵運動の米を教育に回す、そういう歴史的な事実を坂上先生が御披瀝されました。なるほど友部氏なかなかいいことを言うなと思っておったのですが、実はそれが、よく私が調べましたら弁護士が長岡の出身なので、すべて他人様に依存して、みんないいところだけ取り繕ってやったような気がいたします。  そういう中で、大変私は、この起訴内容をただいま聞きまして、実は国会議員詐欺を働いたのではなく、大型の詐欺グループの総大将が、なしなしの金を老後のためにいろいろ蓄えた、そういう方々を、そのお宅に泥靴で入り込んでいって、手で金をわしづかみにして、それを豪遊三昧し尽くして、さらにその金が足りなくなったら国会を目指して、国会の地位を利用しまして、さらに堂々とまた金をかき集めだということが、私は今回の事件の背景であろうと思います。  でありますだけに、こういう行為を許した政党責任ははかり知れないものがある、弾劾に値するものと私は思っておるわけであります。しかし、このことを新進党の皆さんのみであるというふうに片づけてはならないと思っております。国会の権威を、そしてまた国会議員の名誉を守るためにも、今我々は何をすべきかということをやはり自問自答することが大切だと思っておるわけでありまして、我が国法律最高の番人でございます法務大臣から、この本件事件についての御所見と、政治家たる倫理観というものをひとつ御教導賜りたいと思います。
  10. 松浦功

    松浦国務大臣 このたびの事件は、極めて被害額も多額であり、また被害者も非常に多数であるという意味で、極めて刮目しておかなければならない事件ではなかろうか、こう思っております。しかも、こういった犯罪が、御指摘のとおり、国民の間に政治に対する不信、これを促進する一つ事件ではないか、こう認識しておりまして、厳正な裁きをこれからも検察庁でしていくものと期待をいたしております。
  11. 栗原博久

    栗原(博)委員 次に、出資法の問題についてお聞きしたいと思うのですが、今までこういう事件で、天下一家の会とか投資ジャーナルあるいはまた豊田商事、KKC、そして今度オレンジと、類似した事件は絶えず起きておるわけですね。  今回は、今、スーパー定期ですか、オレンジ共済なるものがいろいろ説明書を、私、手元にあるのですが、一年定期で六・七四%、三年定期で七・〇二%、それも税引き後ということですから、今金利が、もし銀行に預けたら金をむしろ出さねばならぬような、そういう状況に近づいている今日、こんなものを見たら、特に年金生活をしている方々はこれに本当に目を向けて、それに参画すると思うのですね。特に、国会議員バックで、それでまた自治省とかいろいろの省の名前をかたっているわけですし、そこにまた公党新進党という名前までかたられれば、当然これは信用していると思う。オレンジ共済は、交通事故死の場合、掛金二千円で千二百五十万円だ。普通の今の県民共済とか都民共済でありますと、同じ掛金で、二千円で一千万円でございますから、大分またこれも率がいいわけですね。例えば今、実勢金利、市場で出回っております銀行の、例えばスーパー定期は、現在は〇・八九、高いとき四%、これは平成五年からですね。にもかかわらず、この時代に金利が六%か七%といえば、これはもうだれもこっちに目を向ける。  ただ、私はここに問題があると思うことが一つある。恐らく定期なんかは、これは金を返す気はないわけですから、勝手に利率をつけたと思います。新聞報道によれば、数字遊びで、余り七・六五とかいうとおかしいからその中間をとって、数字遊び定期預金金利を決めたということでありますが、ただ問題は、こういうものを果たして今の法律のはざまであるということで逃げ切れるだろうか。要するに、こういうことは、昨年十一月十二日に警視庁強制捜査に着手したということで、ちょっとおくれておると思うのでありますが、しかし、こういう事実は、もういろいろ世の中に広まっている。  オレンジ共済約二千五百人から総額九十一億ということでありますが、その被害者はもちろん、これを集めた代理店方々も大変な状況にある。要するに、自殺しようとしている人もいると思います。実は、前に毛利金融というのがありました。毛利金融が倒産して、その毛利金融関係者がまた新しいこれに類似する金融会社をつくって、そしてそれによって新潟でも多くの方が被害に遭いまして、自殺していった方も実はあったわけであります。恐らくこういうこともこれから起きると思う、特に代理店方々は。  私は、こういう中で、こういう共済というものは、生命保険等大蔵省が所管されておるようでありますし、あるいはまた法務省も共管というふうに聞いています。あるいは農協共済というのは農林省がやっておる。あるいはまた労働組合等がやっている生協ですか、これは厚生省がやっているようでございますが、こういう任意の共済組合が、どこでも監視できない、エアポケットになってあるわけですね。それが国内にはんらんしている。こういうことを果たして今の法律の体系の中で、ここに何とか目を向けねばならないと思うのです。  出資法上は、その預かり金の禁止の実効性を専ら罰則適用によって担保しようとするものであり、業務停止等行政権限の行使によって確保する方法をとっていないというようなことである。監督官庁大蔵省は、出資法上何ら重大な規則とか監督権を有しておらず、現に行われておるその疑いのあるものについては、個別具体的な案を吟味して捜査当局に申し上げるということである。  私は、この件については、平成七年の十二月、広島中国財務局からもこの点について、広告等を見ておかしいというような問い合わせもあった。あるいはまた、平成八年の八月ごろ、マスコミからの情報で、また中国財務局にもこういうものがあったということでありますが、こういうことをこのまま放置していいかということなんで、そういう中で、監督官庁であります大蔵省、それからその捜査当局であった警察庁は、こういう案件の事例があったわけですから、強制捜査をする前にどのような対応をされたかということをひとつお聞きしたいと思います。
  12. 古谷一之

    古谷説明員 お答えを申し上げます。  委員の方から御指摘ございましたように、大蔵省といたしまして確かに把握をさせていただきましたのは、平成七年十二月ごろに一般の方から中国財務局に対しましてオレンジ共済広告について照会がございまして、その際、広告預金を受け入れているかのような内容でございましたことから、その点をただしますとともに、出資法違反とならないよう注意喚起を行ったところでございます。その後、マスコミ等からの情報もございまして、平成八年の七月になりまして財務局から広島県警に対し情報提供を行ったところでございます。  それ以前にも、一般の方からの照会消費者センター等からの照会があったようでございますけれども、必ずしも正確な事実の把握ができておりませんけれども、私どもといたしましては、出資法解釈等について説明をいたしますとともに、法令違反のおそれがあります場合には、捜査当局の方に相談した方がよいといったアドバイスをこれまでさせていただいているところでございます。  以上でございます。
  13. 園田一裕

    園田説明員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘のありましたとおり、平成七年十二月、広島県警察が中国財務局から年金会オレンジ共済に関する通報を受けていたということは承知いたしております。  本件につきましては、警視庁広島県警察及び北海道警察が独自にこの情報を入手いたしまして、それぞれあるいは共同捜査で、被害の規模、金銭受け入れ状況運用状況などの実態把握に努めるとともに、関係機関等に対しても照会等を行ってきたところでございまして、その結果この出資法違反容疑が強まったということで、平成八年の十一月に出資法違反容疑関係箇所の捜索を行ったものでございます。  なお、警視庁広島県警察が情報を入手したのは、財務局から通報があった平成七年十二月より前だということを承知いたしております。
  14. 栗原博久

    栗原(博)委員 強制捜査が昨年の十一月からですかね。警察庁友部客疑者が国会議員当選したということで、そういう捜査が手ぬるいということがあったということはないですか。
  15. 園田一裕

    園田説明員 お答え申し上げます。  ただいま申し上げましたとおり、それぞれの警察情報を入手して以降、この被害状況とか金銭運用状況、その実態把握に一生懸命努めてきたところでございまして、御指摘のようなことはなかったというふうに承知しております。
  16. 栗原博久

    栗原(博)委員 警察庁、ひとつしっかり、徹底的にやってください。  次に、やはり議会政治の根幹にかかわる問題でありますが、今回の問題で、友部容疑者新進党比例代表公認であった。それについて、私は、公選法違反ということを視野に入れて捜査当局捜査に着手しているものと期待しております。  それで、今回、このオレンジ共済バックに、友部容疑者参議院選挙順位を引き上げる工作として複数の新進党幹部に四億五千万の金を使ったということを同容疑者の次男がマスコミ等に言っておって、そして友部容疑者が十三番目でランクされて当選をしたわけでありますね。公選法では、候補者決定権限を持つ者が請託を受けて金を受け取った場合は懲役三年以下の罰則を定めておるわけです。  比例順位の経緯をいろいろの情報あるいはまた新聞紙上で見ますと、一九九五年二月に新人候補適性コンテストがあって、それに見事友部容疑者が合格している。その後三月に参議院選挙対策本部が発足して、本部長海部俊樹党首、副本部長細川護煕元首相、事務総長小沢一郎当時の幹事長などが就任して、同十七日には党公認候補がめでたく決定されて、友部氏が十二番目でランクづけされた。見事当選と同じわけでありますが、当時の状況からして。  そして、内部組織としては、旧各党代表者協議会というものがあって、責任者中西啓介議員である。あるいは、旧各党代表、日本新党から初村謙一郎議員が出ていた。あるいはまた選挙対策委員会等があって、委員長海部党首委員細川元総理などというふうに実は言われておるわけでありますが、問題は、政界に流れた約四億五千万に上る金がこの比例決定の前後にどのようにされたのだろうかという疑問を国民はみんな持っております。私も大変これに大きな関心を持っております。  そこでお聞きしたいことでありますが、公選法八十六条の三の第二項、参議院比例順位決定する規定が定められておりますが、その際に、新進党選対委員会というものが当然法に基づいて届け出されていると思います。そこで、そこの委員長はどなたであったか、副委員長はどなたであったか、そして事務総長はどなたであったか、これらが権限を有する者であるかということをひとつ司法当局からお聞きしたいと思います。
  17. 大竹邦実

    大竹説明員 お答えを申し上げます。  お尋ねの平成七年執行の参議院比例代表選出議員選挙におきまして、新進党から、お話ございました八十六条の三の関係書類が添付されておりますけれども、その中の「名簿登載者選定手続」によりますと、選定機関の名称は、「新進党選挙対策委員会」、それから構成員選出方法は、「党首委員長、副党首を副委員長幹事長事務総長とし他の委員党首、副党首及び幹事長が協議し、指名」となっております。それから選定手続につきましては、「選挙対策委員会で案を作成し、決定」する旨の内容になっているところでございます。  また、これにあわせまして、名簿登載者選定が適正に行われた旨の宣誓書が添付されることになっているわけでございますけれども、これにつきましては、選定機関代表者といたしまして海部俊樹氏から提出されているところでございます。
  18. 栗原博久

    栗原(博)委員 当時の党首、副党首幹事長はどなたですか。名前は載っていないのですか、そこには。
  19. 大竹邦実

    大竹説明員 ただいま申し上げましたとおり、公選法手続によりますところの添付書類の中におきましては、そのような役職につきましての氏名は登載されてございません。ただし、先ほど申し上げましたように、この文書につきましては、代表者海部俊樹という形での、海部俊樹氏の、代表者氏名となってございます。それ以外の固有名詞は特に記されておりません。
  20. 栗原博久

    栗原(博)委員 公選法では、第二百二十四条の三は、名簿選定に関する収賄罪ということで、それに携わった者が、要するにお金をもらった者が罰則を受けるということになっていると思うのでありますが、これは身分犯に相当しますよね、どうですか。
  21. 原田明夫

    原田政府委員 お答え申し上げます。  罰則適用に関することでございますので事務当局からお答え申し上げますが、いわゆる講学身分犯とされているものに該当いたします。
  22. 栗原博久

    栗原(博)委員 そうしますと、過去の判例から見ましても、私はこれは、名簿選定に関する権限のある音あるいはまたそれに対して関与した者等はすべてこの公選法違反が立証されれば該当すると思うのでありまして、このことについて、私は、公党であるといえども厳正に捜査当局調査捜査して、明治以来の大改革であったこの比例代表制、要するに、公党政党を信じて国民が投票したわけであります。そして、その公党を信じて、結果、友部容疑者国会議員になったわけであります。その友部容疑者国会を侮辱し、国民をないがしろにする行為、それに加担した政党があるとしたならば、断じて許してはならない。徹底的に捜査をされることを重ねて要求申し上げる次第であります。  次に御質問申し上げたいのですが、実は先般、オレンジ共済の献金の返還要求というのが宮城県の被害者団体から、オレンジ共済被害者仙台弁護団という方々が、詐欺容疑で逮捕された参議院議員友部達夫容疑者平成七年に新進党参議院比例代表選出第二十八総支部(東京都)に献金したとされる五百万円を同弁護団へ返還するよう求める質問状を新進党本部に送付した。あるいはまた、この人たちが友部容疑者の歳費の差し押さえを請求し、現在仮差し押さえが実行を伴っておるわけであります。  ここでひとつお聞きしたいのでありますが、私は新進党とは申しません、ある党が、こういう容疑者がおって、そして共同して不法行為を打った、あるいは積極的にある党が加担した場合、こういう不当利得に対しまして、返還は要求できるものであるかということをお聞きしたいと思います。
  23. 濱崎恭生

    ○濱崎政府委員 私人間の権利義務関係がどのように判断されるかということは、これはそれぞれの具体的な事実関係に応じてどういう法律関係が問題になるか、そしてその中で、その法律関係についてどのような結論が出されるかということが決まってくるわけでございまして、私ども、今御指摘のような観点からの事実関係を承知している立場にございませんので、御答弁をいたしかねることを御了承いただきたいと存じます。
  24. 栗原博久

    栗原(博)委員 では、話を変えて御質問申し上げますが、例えば不法行為を、今新進党とは私申しません、考えた場合、その共同不法行為の成立の要件というのはどういうものなのですか、詳細にわたってお話しください。
  25. 濱崎恭生

    ○濱崎政府委員 一般論としてお答え申し上げます。  御指摘の不法行為が成立するには、御案内のとおり、故意または過失によって被害者の権利を侵害し、これによって損害を生じさせたということが必要でございますが、複数の者が共同不法行為者として責任を負う要件といたしましては、まず一つは、それぞれの複数の者、それぞれの各人に損害の発生について故意または過失があるということが要件の一つとされて考えられておりますし、それからもう一つ、共同性ということが必要でございますが、この共同性がどういう場合に認められるかについては、判例や学説でさまざまに説かれておりますけれども、大ざっぱに申し上げますと、客観的に見て、共同で権利侵害が行われたと認められ得るような客観的な実態が存在することが必要であると一般的に考えられているというふうに承知しております。  大変抽象的な要件でございますけれども、あくまでも個々具体的な事実関係に応じて、そういう要件に該当するかどうかということが判断されるものと考えております。
  26. 栗原博久

    栗原(博)委員 ちょっとまた飛躍した質問になるかわかりませんが、お許しいただきたいと思います。  本件につきまして、新聞紙上等で、この公選法の違反について捜査に着手したというような記事もあるのですが、捜査当局にお聞きしますが、新進党に対しまして、公選法違反として捜査に着手しつつあるかということをひとつお聞きしておきます。
  27. 園田一裕

    園田説明員 お答え申し上げます。  本件につきましては、現在、本件詐欺によって得た資金の使途や、これらに関する事実関係を含めまして、その全容解明に努めているところでございます。本件につきまして、いろいろと報道がなされている、あるいはそういうものがなされていることは承知しておりますけれども、個々の事案につきまして捜査しているかどうかにつきましては、答弁を差し控えさせていただきます。
  28. 栗原博久

    栗原(博)委員 私は、新進党の皆さんが公選法違反でないということを実は期待しております。これは国会の権威にかかわることです。しかしながら、そういう事実があったならば、徹底して捜査をしていただきたい。これもまた国会の権威と名誉を守るためでありますので、ひとつ申し上げたいと思います。  次に、時間がちょっとありますので御質問させていただきますが、公安調査庁お越しですか、ではちょっとお時間をいただきまして。  私は実は新潟でございまして、昭和三十四年から、新潟港から北朝鮮に多くの、要するに朝鮮に生まれた方々、あるいはまたそれらの方々と結婚された日本の御婦人など全体で約九万三千余名が新潟港を後にしてまいりました。  私の母校の中学は、新津市立小合中学という学校があるのですが、私の同級生の女の方もその一人で大変人気のあった方なのですが、帰国に際し、みんなで記念樹をしようと、学校始まって以来のことでありましたが、記念樹を正門の前に植えて、今大きな木になっています。  そういう日本人女性は家族を含めて約七千名が北朝鮮の方に渡ったわけですね。それで、その子供たちも、多くの方、例えば私の同級生というものは行っておるわけでありまして、私も岸壁まで見送りに行って、そのとき彼女は、社会主義理想国家をつくると言って、目をきらびやかにして帰っていきました。今、この日本人妻の方々、あるいは日本の血を引いた方々、こういう方々が、三十七年経過した今日、だれ一人日本の土を踏んでいないと思うのですね。  私は、人道上の問題だと思うのです。それは、国家観、北朝鮮、いろいろの国家観がありましょう。しかしながら、私どもの日本は、北朝鮮の大変な食糧状況を踏まえて、善意のもとで、国もあるいは労働組合等も米を新潟港から送っているわけですね。その船がしょっちゅう新潟港に来るわけですが、せめて一方通行でなくて向こうからも、かつて日本を離れた方々が、日本に戻ってきたいという方々を、何とか人道上の問題として、当時あれは日本赤十字がやったわけですから、そういう中で、政府を超えて赤十字ということもあろうと思うのですが、そういう帰ってくるようなあるいは環境をつくってやることも、政治家の役目に当たろうかと思っております。  ついては、北朝鮮に渡りました日本人妻あるいはその子供たちがどのような生活をされているか、その後どのような環境に置かれているかということを、公安調査庁は把握されているかどうか、あるいは把握されていましたら、その内容をひとつお聞かせいただければと思います。
  29. 杉原弘泰

    ○杉原政府委員 委員指摘の点につきましては、よく私どもも理解できるところでありますし、また、北朝鮮に渡った日本人妻の消息に関する情報一般につきましては、私ども立場でも、北朝鮮についての種々の情報収集の中でその収集に努めてはおります。  ただ、その情報の有無、その入手経路、その内容につきましては、これらの方々の安全に配慮するとの観点あるいはプライバシー保護の観点から、まことに申しわけございませんが、具体的な点につきまして答弁することは差し控えさせていただきたいと思っております。
  30. 栗原博久

    栗原(博)委員 わかりました。何分ひとつよろしくお願いします。  では、私の質問はこれで終わらせていただきます。
  31. 八代英太

    八代委員長 次に、渡辺喜美君。
  32. 渡辺喜美

    ○渡辺(喜)委員 一年生議員の渡辺喜美でございます。発言の機会をお与えをいただきまして、まことにありがとうございます。大臣におかれましては、連日の予算委員会、また当法務委員会に御出席、まことにありがとうございます。大臣に対する御質問はございませんので、ゆっくりお休みをいただきたいと思います。  私、この法務委員会に配属をされまして三カ月足らずでございますけれども、隠れたと言っては失礼に当たるかもしれませんが、非常に大事な分野であるなということを今痛感をいたしております。あてがいぶちで配属されただけのことなのでありますけれども、時代の大激動の中で、大変に基本的な部分の仕事を法務行政というのは携わっておられるという気がいたしました。  それと同時に、省庁間の調整というものが非常に多くなってきているなという感想を持っております。例えば、自民党の中で国際テロ対策小委員会というのがあるのでありますが、これは法務省のみならず外務省、警察庁、その他いろいろな関係役所の調整を必要とするわけでございます。  そうした中で、私も、法務行政の一端をかいま見る機会を与えていただきました。自民党の法務部会の方で東京拘置所の視察をやらさせてもらったわけでありますが、行ってみるとすごい施設だなということがよくわかりました。私もこんなところには入りたくないなと当然思いましたし、また使っていない独居房などは、かつてカンボジアで見たことのあるポル・ポト派の収容所にそっくりだなというような感想を抱きました。ぜひこういうものは早くしっかりとした予算をつけて、改築をしてもらわなければならないと私も感じた次第であります。ぜひともこの改築の予算が組まれた平成九年度予算案が早く国会を通過することを我々も努力をしたいと思っております。どうぞ野党の皆様方におかれましても御協力をよろしくお願いを申し上げたいと思います。  ところで、橋本内閣は六つの改革、すなわち行政、財政構造、社会保障構造、金融システム、そして経済構造、それに教育という六つの改革を掲げております。この理念と申しますのは、できる限り保護と統制といった行政の関与を極小化していこう、そして自己責任に基づいて市場の機能に資源の再配分を任せていこうとするものであります。民間にできることはできるだけ民間に任せる、経済的規制というものを緩和をすることによって、自由な経済活動を保障をし、この世の中を活性化していくというのがねらいでございます。  しかしながら、世の中にはもちろん悪いことをする人もおりますし、トラブルもなくなるわけではありません。今まで我々がやってきたシステムというものが、そのようなルール違反者あるいはトラブルメーカーといった人たちを免許制あるいは認可制、許可制といった手続、手法によって事前に抑制をしようというのが我々の現行のシステムであったわけであります。この構造改革というものを徹底していけば、こういった事前のチェックシステムということから事後のチェックシステムに必然的に変わっていかざるを得ないということであります。  旧来型のシステムにおいては、紛争処理というものが司法過程に乗ってくるということは、よほどのことがない限りなかったわけであります。裁判所という正規ルートを使いますと非常に時間がかかるわけであります。そこで、一種の省時間産業みたいなものが出てきた。言ってみれば、政治家のところに来る個別陳情なんていうのも、役所に個別的に手続をもっと早めてくれとか、そういう種類の陳情もあったわけでありまして、こういうことも当然なくなっていくのであろうというふうに思います。また、インナーサークルのなれ合い構造のもとで寄生、パラサイト、寄生産業といったものが出てきたのも事実でございます。例えば、総会屋みたいなものであります。  結局、この我々のシステムというものを事後チェック方式に転換をしていくということは、この正規ルートの裁判所において透明性を確保しながら紛争を解決をしていく、そういう機会が増大をするということであろうと思います。したがって、法曹人口の大幅増員という問題につながってくることであります。これは、法務省においても検討されておられますように、規制緩和推進計画の一つの目玉でもあるわけでございます。  ここで考えてみなければいけないことは、今我々がやろうとしていることは、政府のリストラ、あるいは国会においては議員定数の削減といった国会のリストラをやろうとしているわけであります。立法府や行政府においては定員削減が行われ、司法府においては定員の大幅掛川が行われていくということになるわけでございます。この定数の問題というのは、実は政治過程を通して決定をされるということになっていくわけでありますから、最終的に国民の理解が得られなければならないということにつながっていくわけでございます。  今回、二十名の裁判官の定数増という必要性は、我々も痛いほどわかっております。そこで、将来どこまで裁判官の定数をふやしていくのかということは、人材育成に非常に時間がかかるということも考え合わせて、今のうちから長期計画というものをつくっておく必要があるのではなかろうかと私は思うのでございます。  裁判官に限らず、法曹人口というものをどこまでのサイズにふやしていくのかということも今のうちからよく考えておくべきであります。弁護士の数がふえ過ぎて、弁護士さんを食わせるために紛争をつくり出す、そういう社会にしてはならないと私は考えるのでございます。法曹人口の適正規模がどれくらいが妥当かという研究をぜひ一刻も早く開始をしていただきたい、御要望を申し上げておきたいと思います。  これは、要するに日本人のメンタリティーとかあるいは文化とか、そういうものと密接に結びついた、我々の紛争処理システムの根幹にかかわってくる問題だからでございます。お答えはないと思いますので、所感だけを述べさせていただきます。  次に、橋本内閣がやろうとしております金融ビッグバン構想、あるいは経済構造改革といった問題は、法務省所管の仕事とも大いに関係が出てまいります。  この金融ビッグバン構想というのは、いわばこの国にお墓を残して海外に逃げ出さない、そういう国民の資産というものをいかに有利に運用し、かつそういうお金を使ってこれからの次世代を担う新しい産業、新しい成長産業に資金を円滑に供給をしていく、そういうことによって、経済の血液を供給する心臓部分である金融市場というものは、資源の最適配分という本来果たすべき役割をフルに果たしていくというのがその目的でございます。  この改革の三原則は、フリー、フェア、グローバルということでありますが、その中で、今国際標準という言葉がキーワードになっているのであります。一つの国際標準というものは、例えば国際会計基準に見られるような時価主義会計であり、あるいは連結決算制度でございます。取得原価主義という制度をとっております我が国の商法の制度の中において、こういったことも、恐らく大変な問題ではありますけれども、大いに研究をしていかなければならない問題ではなかろうかと思うのでございます。これもお答えはなかろうと思いますので、所感だけを述べさせていただきます。  そして次に、規制緩和推進計画のやはり目玉の一つであります合併手続の簡素合理化という問題でございます。  現行法で、この合併手続には一体実際上、何カ月ぐらい期間がかかるのかということをお教えをいただきたいと思います。
  33. 濱崎恭生

    ○濱崎政府委員 個々の事案ごとにさまざまかと思いますが、最近五年間に合併した上場企業百十五社、これは一〇〇%子会社を合併した事例を除きまして、これについての民間の調査結果によりますと、合併契約書を締結してから報告総会が終了するまでに要した期間は、六カ月から九カ月までというものが多いというふうに聞いております。
  34. 渡辺喜美

    ○渡辺(喜)委員 ありがとうございます。  この規制緩和推進計画の目玉の一つであります簡素合理化の案におきましては、これから当委員会で論議されていくことでございますが、株主総会を、二回やる手続を、事後の報告総会をなくそう、そして一回で済むようにしましょうというところが大きなポイントであろうかと思います。  この事後報告総会をなくした場合にどれくらい合併手続の期間が短縮されるか、御見解を承りたいと思います。
  35. 濱崎恭生

    ○濱崎政府委員 検討の過程における実務家のお考えによりますと、報告総会を廃止することによって二カ月から三カ月は短縮することができるのではないかというふうに考えられております。
  36. 渡辺喜美

    ○渡辺(喜)委員 二カ月から三カ月短縮されるというのは非常に私はすばらしい規制緩和であるなというふうに思います。ぜひ、この商法の改正案が一日も早く国会を通りますことを、我々も十分に努力を岩せていただきたいと考えております。  また、この合併手続の問題は、実は独禁法の十五条においてもありとあらゆる会社に適用をされる手続でございます。ということは、例えば田舎の中小企業がリストラをやるために合併をする、あるいは有限会社同士が合併をする、そういう場合にもこの公正取引委員会への合併届け出書の提出という手続が必要になってまいります。この公取への届け出をいたしますと、合併禁止期間を経過しなければ次の手続に進めないということでありまして、果たしてここまでの独禁法による規制をやる必要があるのかどうかについては、実務家あるいは民間の方から非常に不満の出ている分野でもございます。  このあたりについて、公正取引委員会来ておられましたら御見解をお承りしたいと思います。
  37. 鵜瀞恵子

    鵜瀞説明員 国内の会社が合併する場合、独占禁止法第十五条により、合併する会社の規模の大小にかかわらず公正取引委員会に対する事前届け出が必要とされております。また、公正取引委員会が届け出を受理してから原則三十日間は合併をしてはならないとされております。  この合併届け出制度につきましては、現在、平成七年と平成八年の規制緩和推進計画に基づきまして、すそ切り要件、つまり、規模の小さい案件などにつきまして届け出を不要とする基準を導入することを検討し、平成九年度末までに所要の措置を講ずることとしております。このため、現在、有識者から成る研究会において合併届け出制度を含め企業結合規制全般について検討を行っているところでございます。  今後、研究会の結論が得られ次第、委員指摘の点も踏まえまして、法律改正など所要の措置を講ずることといたしたいと存じます。
  38. 渡辺喜美

    ○渡辺(喜)委員 独禁法の改正という問題は、今我々自民党が一生懸命毎日のようにやっている問題でございます。こうした細かい分野についてもぜひ研究を進めていただきたいと思います。残念ながら、公正取引委員会の皆さんには法律の提案権というのが認められておりませんので、皆さん方の有意義なお考えを我々が一つ一つ取り出して法案をつくっていきたいというふうに考えております。  次に、経済構造改革というものを進めていく上で、会社はだれのものかということは避けて通れない議論であると私は思います。最近では英語でコーポレートカバテンスという言葉が頻繁に出てくるようになりました。これは会社の統治という概念でございます。建前上、日本の会社法においては会社の統治の主権者は株主であるということになっております。そして、いわば直接民主制としての株主総会、間接民主制としての取締役会という制度が設定をされているわけでございます。  ただ、この法の建前というものは非常に実態と大きな乖離があるというのも現実の姿であります。上場大企業における株主総会がもうほとんど形骸化しておるわけでありますし、国会などにおいては毎日株主総会をやっているようなものでありますから、民間企業にそれをやれというのも難しい話かもしれません。  また、こういった建前と実態との乖離は非常に大きな問題をはらんでくるのも事実でございます。例えば、日本で株を買っても配当利回りは〇・八%ぐらいにしかならない。いわゆる配当性向というものが極めて低い現実がございます。また、大企業が遊休土地をたくさん抱えている、あるいは過剰人員をたくさん抱えている、こういったことはいわば資本のむだ遣いということにほかならないわけであります。会社は株主のものであるという意識の希薄さがまさにこういったことの根底にあるのではなかろうかと私は思うのであります。  株主主権を回復すれば問題はすべて解決するという単純な発想は私は持っておりません。また、我々の日本における自由主義経済を、アメリカ型の資本主義を目指すのだということでもございません。しかしながら、金融ビッグバン構想というものを進めていくならば、今よりももっと外資、外国からお金がどんどん入ってきやすくなってくるわけでありますから、我々の日本型の会社統治システムというものがかなり通用しなくなるであろうという予感を私は持っているのであります。今でも、会社四季報をぱらぱらとめくってみますと外人持ち株比率というのが書いてありますが、これが非常に高い会社が幾つもあるんです。ですから、ある日朝目を覚ましたらいつの間にか外資系の企業になっちゃってた、そういうことが恐らくこれから現実のものになってくるんであろうというふうに思います。  そこで、こういったコーポレートカバテンスということを考慮しつつ、日本の株式会社制度改革の一環として株主代表訴訟という制度の訴訟手続の簡素化がなされたわけでございますが、その現状並びに濫訴防止策として、悪意により訴訟提起をした株主に対する担保提供命令を出せることになっているんでありますが、その実例について簡単に御説明をいただきたいと思います。
  39. 濱崎恭生

    ○濱崎政府委員 担保提供命令の実状でございますが、平成五年の商法改正以後に公刊物に掲載されたものといたしましては、担保提供命令の申し立てが認められた事件が十一件ございます。命じられた担保の額はそれぞれ異なっておりますが、最も少ないものでも八百万円の担保提供、最も多いものでは一億数千万円に上る担保提供が命ぜられたという事例がございます。
  40. 渡辺喜美

    ○渡辺(喜)委員 とにかく、金融ビッグバンを進めていくあるいは経済構造改革を進めていく上で、法の建前と実態の乖離という問題がこれから先もずっと引きずっていくということは恐らく許されなくなるであろうというふうに私は思います。ぜひ、こういった問題認識を持ってこういった問題と取り組んでいっていただきたいと考えております。  次に、ストックオプションという制度が平成七年十一月に、これは通産省の関連でありますが、特定新規事業法の改正によって導入をされたところでございます。これは、経営者と株主の利益を一致させる制度として、企業が役員あるいは従業員に報酬として自社株を一定価格で購入する権利、オプション権を付与する制度でございます。これにつきまして、郵政省関連の似たような特定新規事業の法案が今国会にかかっているところでございますが、会社法の一般原理としてストックオプション制度を導入するお考えがあるのかどうか、そのあたりの御見解を承りたいと思います。
  41. 濱崎恭生

    ○濱崎政府委員 御指摘のとおり、いわゆる特定新規事業法につきまして、また法案としては郵政関係の事業につきまして、とりわけそういう導入の必要性が強いという観点から一定の方式によるストックオプションの制度が導入されているわけでございますが、御指摘のような要請、一般の企業からも強いものがあるということは私どもも承知しております。  現在は、この新しい制度の利用状況、運用実態等を注視しているところでございます。できるだけ早期に実態調査を行って、どのような手続によりストックオプションを認めることができるのか、また弊害防止のためにどのような工夫をすればよいのか、そういった点について鋭意検討を進めてまいりたいと考えております。
  42. 渡辺喜美

    ○渡辺(喜)委員 この問題は先ほどと同じように規制緩和推進計画の中で取り上げられている問題でございますので、我々も関心を持ってこの問題と取り組んでまいります。どうぞ法務省におかれましても、この問題について鋭意御検討されますようお願いをいたします。  次に、自己株買い取り消却制度が平成六年の商法改正によって導入をされたわけでございます。これについてもいろいろ申し上げたいのですが、もう時間がございませんので、この制度がまだ残念ながら十分には活用されていないなどいう点だけを御指摘をしておきたいと思います。  いずれにいたしましても、このストックオプション、自己株買い取り消却、こういった問題は、実は税制とセットの話でございます。ですから、税制というものが実は構造改革を円滑に進めるための軟着陸の手段であるというふうに我々は思っておるわけでございます。税制というのは法務省の所管の外の話であるというようなことではなく、ぜひ御関心を持ってこういう問題も考えていただきたいと考えております。  二十一省庁を半減しようというのは、我々の行政改革の最終目標でございます。法務省のことを廃止しろとかあるいは統合しろと言う人は今のところだれもいないのでありますが、先ほど来申し上げておりますように、さまざまな省庁との調整というものが非常に大事な時代になっておりますので、ぜひこういったことを十分にお考えになって法務行政を進めていただきたいと思います。  以上、終わります。ありがとうございました。
  43. 八代英太

    八代委員長 吉川貴盛君。
  44. 吉川貴盛

    ○吉川委員 渡辺喜美議員に続きまして、私もこのたび初当選をさせていただきました一期でありますので、質問がふなれでありまして、八代委員長初め委員の皆様にお聞き苦しい点がたくさんあろうかと思いますが、お許しをちょうだいいたしたいと思います。  松浦大臣におかれましては、この法務行政の進展に対しまして、日ごろ大変なる御精励をされておりますことを、まず心から敬意を表させていただく次第であります。  実は、私は、このたび質問に立たせていただくことになりましたときに、非常に戸惑いがございました。と申しますのも、北海道議会で私は十数年間野党をやってまいりまして、野党的な質問はなれているつもりではあったのでありますけれども、今は転じてもう与党でありますので、果たして与党質問というのはいかにすべきかということで非常に悩んだ次第であります。ふなれでありまするけれども、久しぶりに与党的な質問をさせていただきたいと思いますので、お答えは端的で結構であります。しかも時間が二十五分ということでありますから、お願いをいたしたいと思います。  最初に、昨日の大臣の所信表明の中で、私は非常に興味を持ちましたことが二つございますので、まずそのことについて御質問をさせていただきたいと存じます。  その一つは、電子取引などにおける情報通信の高度利用が進んでいる中で法制度の整備等が必要であるときのう大臣が所信で申されたわけでありまするけれども、この法の整備は現段階におきまして具体的にどのような検討をされているのか、まずお伺いをさせていただきたいと思います。
  45. 濱崎恭生

    ○濱崎政府委員 大臣の所信の中にもございましたように、電子ネットワークによる取引、これが、安全かつ速やかに普及するということのために、取引の基礎となる実体法制上の問題点を洗い出して、それについて法的整備をする必要があるかどうかということ、それから取引当事者間に関する本人確認のための電子認証制度のあり方、あるいは当事者間で確定した売買契約等の内容を公的に証明する電子的な公証制度のあり方、そういった検討をしているところでございます。  今研究しているところでございまして、その方向性についてはまだこれからという状況でございます。
  46. 吉川貴盛

    ○吉川委員 研究をされているということでありまするけれども、研究をされるに当たって、研究会とか何かそういうような会を設けて研究されているのですか。それが一つです。  それと、さらに、いつを目途に法整備をされようとしているのか。現段階で考えられるスケジュールがあれば、それをお示しいただきたいと思います。
  47. 濱崎恭生

    ○濱崎政府委員 今、私の方からお願いしてこの問題に関する研究会を設けて研究をしていただいております。法律学者、法律実務家、それから暗号学者、通信技術者その他の学識経験者十八名で構成されておるところでございます。  私どもとしましては、研究会には九年度中に報告をいただきたいというふうに考えておりまして、それを踏まえまして、どういう規模の改正が必要なのか、すべきなのかということを考えてまいりたいと思っておりまして、現段階では、いつ提出するかというスケジュールを申し上げるまでには至っておりません。できるだけ一生懸命やりたいと考えております。
  48. 吉川貴盛

    ○吉川委員 今の御答弁は、民事局長の私的な機関で研究を鋭意されているというふうに理解をさせていただきましたが、なぜ私はこのようなスケジュールまでということを申し上げたかといいますと、往々にして行政というのは後追い行政になるわけですね。時代の方が早く進んでいくわけでありますから、どうぞ民事局長のもとにおかれまして、一日も早くこの法整備がされるように望んでおきたいと思います。  次に、質問を移らせていただきますが、昨日も一部議論がございましたが、組織的な犯罪対策に関する刑事法の整備について質問をさせていただきたいと思います。  私は、最近のオウム真理教の事件とか、あるいは暴力団の犯罪の事件を見ましても、そのような立法の必要性が非常にあると思うものであります。法務省として、我が国における組織的な犯罪の現状をどのように認識をされているのか、これが一つです。それからもう一つは、現行の法制度でどのような点に問題があると考えておられるのか。さらに、三つ目でありますが、この組織的な犯罪に関して、いわゆる各国の犯罪組織が国境を越えて活動している状況もあるのではないか、こう思われるわけであります。そのためには、国際的にも協調した対策が必要であると思われるのですが、これに対する国際的な動向や、諸外国の法整備がどうなっておられるのか。この三点を一括してお答えをいただきたいと思います。
  49. 原田明夫

    原田政府委員 お答えを申し上げます。  近時、我が国におきましては、まさに委員指摘のとおり、暴力団その他の犯罪と親和性のある組織によって行われる薬物あるいは銃器等の取引に関係いたします犯罪が依然として後を絶ちません。また、これらの組織の縄張りの獲得や維持を目的として行われる抗争事件等の犯罪も少なからず発生していることが認められます。さらに、ただいま御指摘いただきましたような一連のオウム真理教事件では、大規模な、組織的な形態による重大な事犯の発生を見たほか、会社などの法人組織を利用した詐欺商法等の大型経済犯罪などもございまして、各種のいわゆる組織的な犯罪が多数発生している実情にございます。  ただ、逆の面から見ますと、刑事法そのものはあくまで個人を対象とする手続、また法制になっております。そういう中で、組織として物事が行われた場合に、そのもたらす結果が重大であり、なおかつ、またその事態を解明していくということが難しい状況にございます。今後のことを考えますと、我が国の平穏な市民生活を脅かす事態に至るという懸念がございます。健全な社会経済の維持発展に悪影響を及ぼさないためにも、この際、さまざまな観点から検討しなければいけないというふうに認識しているわけでございます。  そして、その組織的な犯罪の特徴は、その目的を定めましたら、それを実現していくという確実性がかなり高うございます。また、その結果も重大でございます。したがいまして、その対応――国民生活一般に与える危険性は大変高く、悪質だと考えられます。その違法性を十分に反映した刑罰ということを考えることがまず必要でございます。その面から、組織的に行われた犯罪に対して十分な刑罰が科されるようになっているかということを検討してまいることが必要であるということが、まず実体法の面ではあろうかと思います。  また、犯罪によって得られる収益が膨大になってまいります。それを放置しておりますと、いわば犯罪がペイすると申しますか、多少の刑罰があってもその取得した利益がどこかにたまっていくということになりますと、これがまさに犯罪的な組織の維持強化に利用されてしまったり、また、その浸透が社会経済の健全な発展を妨げることが懸念されるのでございまして、現行法制のもとにおいては、そのような犯罪収益等を的確に規制するための刑事法上の措置は必ずしも十分ではない面があるわけでございます。  また、組織的な犯罪にありましては、複数の者があらかじめ十分な相談を行いまして、また、あらかじめ罪証隠滅工作などを綿密に仕上げます。そして、犯罪の発覚や犯人の検挙を困難にするような措置が講じられ、組織の中核に捜査が及んでいかない、そのようなための防御的な策が講じられるという状況にあるわけで、従来の捜査手法のみによっては、一部の者が検挙されましても、その中核に手が届かないという事態が起こってまいる心配があるわけでございます。事犯の全貌を解明し、本当のその一連の事態について責任を負うべき首謀者を明らかにすることが極めて困難な場合が大きい状況にあるわけでございます。  そこで、ただいま委員指摘のとおり、そのような事態に対応するために、諸外国、特に先進国を含めましてさまざまな対応をとっております。なおかつ、それぞれの国において対応をとるのみならず、国際社会におきましては、相互に手を携えまして、お互いの国の安定や経済の維持発展に悪影響を及ぼすことが懸念されるわけでございまして、そのための対策自体も協力しようという動きが最近出ております。  委員も御高承のことと存じますが、最近におけるサミット、先進国首脳会議や国際連合のさまざまな機関の会議でもこの問題が最も重要な課題の一つとして継続的に取り上げられて、国際的に協調した対応が強く求められております。  中でも、先ほども触れましたが、犯罪の収益を野放しにしないということは、犯罪組織といいますか、犯罪を未然に防止する上でも大変重要なことでございます。その意味で、マネーロンダリング、言葉は外国の言葉でございますが、いわば、犯罪によって得た収益をそのままにしておきますと当局の手が届いてしまいますので、それを何らかの形で洗濯して、洗浄して、そして合法的な資金に転換してしまうというようなことが各国とも行われるわけですが、これを中心とする犯罪収益の規制をしていくということが、アルシュ・サミットの経済宣言に基づいて設けられました専門家による、FATFと申しておりますが、金融活動作業部会におきましてさまざまな勧告がなされております。これに対しましては各国とも実施状況を審査することになっておりまして、我が国といたしましても、これに対して協力していく義務があるわけでございます。このような国際的動向のもとにおきまして、組織犯罪に対処するため各国ではさまざまな法整備が進められております。  例えば、欧米の主要国におきましては、一定の組織的な犯罪に対する刑の加重の規定が定められております。また、犯罪収益に関しましては、我が国を除くサミット参加国におきまして、薬物犯罪だけではなく、その他の重大な犯罪につきましても、いわゆるマネーロンダリングを犯罪とする内容の整備等が着実になされているものと承知しているのでございます。  また、犯罪の捜査のための捜査手段という観点からも、いろいろ検討していかなければなりません。個人の人権のあるいはプライバシーの擁護という観点をどうしても見ていかなければいけませんが、それとも均衡しながら、やはり実体的真実に迫る、そのための犯罪捜査手段ということにつきましても検討していかなければなりません。特に、組織的な犯罪の摘発に有効な手段であるということで、犯罪捜査のための通信の傍受ということにつきましては、我が国を除くサミット参加国におきましては、国によってその要件、手続等の定め方はさまざまでございますけれども、これを導入して、そして国際的な協力の輪によってこの種の犯罪を防圧していこうという措置がとられているのでございまして、そういう点から、委員指摘のとおり、我が国としても、そのような角度から真剣な努力を続けていかなければならないと考えているわけでございます。
  50. 吉川貴盛

    ○吉川委員 大変懇切丁寧に御答弁をいただきまして、ありがとうございました。この法制審議会における審議状況と今後の法案の提出の見込みについてお伺いをいたしたいと思います。
  51. 松浦功

    松浦国務大臣 御答弁申し上げます。  できる限りこの種の法律国会に早期に提出いたしたいというつもりでおりますので、審議会のいろいろ御勉強をできるだけ重ねていただいて、早い機会に御答申をいただきたい。御答申をいただければ、直ちに法案化して国会に御提出を申し上げたい、こういう気持ちでおります。
  52. 吉川貴盛

    ○吉川委員 ただいま大臣から、でき得る限り早く法制審から答申をいただいて国会にというお話でございました。一日も早くこの法案が整備をされますように、法務省におかれましても、特に審議会にハッパをかけて、ハッパをかけるというとオーバーなのかもしれませんが、督促ぐらいして、法をつくる責任法務省にあるわけでありますから、審議会にすべてを任せているということではなくて、一日も早く国会にかけられることを御要望しておきたいと思います。  私、予算委員会に提出をされております法務省の資料を見せていただきました。昨年十月二十一日の法制審の要旨の中に「令状による通信の傍受」というのがございました。書いてあるのを読んでみますと、この導入に当たっては、「通信の秘密やプライバシーの保護にも十分に配慮しなければならない」云々と書いてございますね。  さらに、私もいろいろな方にこの通信の傍受について聞いてみました。例えば、東京弁護士会などは、今私が申し上げるようなことを、危惧の念を持っておられるんですね。きのう佐々木議員も慎重にというようなお話がございました。ある面では、私は、慎重にしなければならない部分もあろうかと思いますが、今、この組織的犯罪の処罰の法案整備を一日も早く急がなければならないという観点からいきますと、この点につきましても、慎重にやりながらも早くにこの整備をしなければならないと思っている一人であります。  どういうことを懸念されているかといいますと、いろいろ聞きましたら、一つは、「プライバシーの権利を侵す行為である。」というのがあります。あるいは「犯罪に関係のない第三者の会話が入ってくる性質のもので、第三者の権利を侵害する危険が大きい」、さらには「情報公開システムが不十分で、捜査実態が不透明なわが国の現状では、一度この制度が認められてしまうと、歯止めなく使われる恐れがある」とかの慎重意見が、これは東京弁護士会の方から聞いたんですが、そういう意見があるようであります。さらに、この弁護士会では盗聴禁止の原則を立法上明記した上で、濫用されることのない制度の確立を求めている、そんなようなことなんです。  だから、私は、全面的にこの東京弁護士会の方々は反対をしているものではないという感じを受けました。要するに、この通信の傍受につきましては、今申し上げましたように、秘密やプライバシーにかかわる捜査手段であると考えられますので、この導入に当たっては厳格な歯どめが必要なのではないのか、この歯どめをいかにするかということが特に私は大切だろうと思うんです。その点いかがでしょうか。
  53. 原田明夫

    原田政府委員 ただいま委員、さまざまな観点から御検討をいただきまして、また弁護士会の一部の先生方の動向につきましても大変御関心を持って御調査いただいているという、その中で、全面的に反対するものではないけれども、心配な面があるというアプローチといいますかとらえ方をしておられる動向をただいま御指摘いただきましたことは、私どもにとっても大変心強い御指摘でございます。  確かに、御指摘のように、この問題につきましては、さまざまな角度から御心配の向きもございますし、またその運用も含めました制度のつくり方につきましても、ただいま先生のお言葉をかりますと、歯どめということでございますが、そういうものの必要性も理解されているところでございます。  ただいま法制審議会の刑事法部会で議論されている中でも、そのようなことが紹介され、また御議論されているものと承知しております。そのあたりも含めまして、できるだけ早く大方の理解の得られる制度としてつくり上げることを私どもとしては念願いたしておりますので、そのような答申が得られますように心から願っている次第でございます。
  54. 吉川貴盛

    ○吉川委員 何度も申し上げますが、一日も早くこの法案の整備がなされますように、再三要望させていただきたいと思います。  持ち時間があと五分ぐらいになりましたので、端的に聞いてまいりたいと思います。  次の質問に移らせていただきますが、従来から、私は、刑務所と申しましょうか、そういったあり方といいましょうか、配置といいますか、そういうことについて非常に興味を持っておりました。  皆様方からいただいた資料を見させていただきましたら、今現在、刑務所はA級施設とかB級、W級、何ですかと聞いたら、これは女性の刑務所なんだそうですね。さらに、交通刑務所や医療施設を含めて全国に七十庁ほど刑務所があるんです。ほとんどの都道府県に刑務所が配置されておりますが、私のところの北海道というのは六つぐらいあるんですね。有名な網走番外地なんというのもありますけれども、その歴史といいますか経過を、簡単で結構ですから、まず最初に教えてください。
  55. 東條伸一郎

    ○東條政府委員 現在、いわゆる刑務所といたしましては六十七庁、刑務支所が八庁でございます。そのほかに拘置所というのがございますが、いずれにいたしましても、ただいまのお尋ねについてお答え申し上げますが、現在の各刑務所の沿革というものは、それぞれ歴史がございまして、必ずしも一律ではございません。  ただ、一般的に申し上げますと、江戸時代の幕府あるいは各藩により設けられておりました徒刑場を起源といたしまして、その後囚獄所、懲役場などという名前の変遷をいたしまして、明治三十六年の官制改正に伴いまして、私ども法務省の前身でございます司法省の所管の施設ということになってきた、そういうものが圧倒的な多数であろうと思います。  それから、先ほど先生が御指摘になりました北海道の施設でございますが、これは北海道の特殊性から見まして、例えば、現在函館に少年刑務所というのがございますが、これは開拓便函館出張所に設けられた徒刑場というのを起源にしておりますし、それから札幌刑務所でございますが、これは、開拓使所属の牢屋を起源とする、それから今は……(吉川委員「北海道のはいいですよ」と呼ぶ)結構ですか。そういうようなことでございます。  なお、明治維新後設けられました宮城刑務所、これは西南の役の国事犯の収容を目的としてつくられたことでございますし、戦後つくられました市原という、交通刑務所でございますが、これは交通事犯が多発した時点に対処するために設けられた刑務所でございます。  そのような沿革でございます。
  56. 吉川貴盛

    ○吉川委員 時間がないもんですから、幾つか設問させていただいておるんですが、大臣に最後にお伺いをいたしたいと思います。  私はいろいろ聞きましたら、今七十庁というんだそうですね、この刑務所が。その中で、平成八年度末で、既決定員が四万八千五百七十七、既決人員が四万五百十五、あと八千人もすればパンクをしちゃうんですが、でもこの八千人を待たずしてほぼ満杯だそうです。  そして、現在の特色として、刑務所の中も高齢化が進んでいるんだそうなんですよ。それで一般の刑務所よりも医療施設というものを少しく充実をさせていかなければならないというような、そういったこともあるんだそうであります。別に私は、受刑をされている、悪いことをした人ですから、その方々の味方に立つとかそういったことではなくて、人権の擁護という観点から考えても、もうこの刑務所の医療施設を少し充実とかしなければならないということを考えますと、刑務所を、七十庁あるそのものをスクラップ・アンド・ビルド、そういった観点から今後の刑務所のあり方というものを考える時期、時代に来ているのではないのかと思うんです。その点、最後にお伺いをいたしたいと思います。  あわせて、矯正行政につきましての大臣の所感がありましたら、お願いいたしたいと思います。
  57. 松浦功

    松浦国務大臣 お答えを申し上げます。  まことに先生のおっしゃるとおりでございまして、今後の矯正行政につきましては、引き続き被収容者の特性、犯罪傾向等に応じた適切な運営を図っていかなければならないということを常々考えております。  それにつきましても、今お説示のございました七十庁の収容施設が非常に古くなってしまったりあるいは狭隘になってしまったりという状況がございますので、何としても基礎的な問題としてこの整備充実を図っていくことが、今後法務省に任された重要な仕事ではないかというふうに考えております。その方向で努力をしてまいりたいということをお約束を申し上げます。
  58. 吉川貴盛

    ○吉川委員 終わります。ありがとうございました。
  59. 八代英太

    八代委員長 続いて、横内正明君。
  60. 横内正明

    ○横内委員 自由民主党の横内正明でございます。私は、与えられた十五分間の時間でございますが、オウム真理教に対する破防法の適用の問題について、公安調査庁に二、三お伺いをしたいと思います。  公安調査庁が公安審査委員会に対してオウム真理教団を破防法の団体規制の対象にするという申請をして、一年間公安審査委員会が審理を続けてこられた。そして、一月三十一日に公安審査委員会として棄却の決定をしたという経緯でございます。この決定についていろいろの議論が、賛否両論ございまして、賛成、反対あるわけでございます。  ただ私は、私の地元の山梨で、上九一色村とか富沢町、そういったところにオウム教団の主要な施設があり、その地域の住民が長年オウム教団と闘いを続けてきて、極めて反社会性の強い団体であるという幾つかの事例を地域の住民からたくさん聞いているわけでございます。そういうようなことで、オウム教団について、国会議員の中では多少その実態をよく知っている者の一人として、このたびの公安審査委員会決定というのは大変に、極めて疑問な決定であり、残念な決定であるというふうに思っているわけでございます。  公安審査委員会のこの決定は行政処分でございますから、法律的な判断はもちろんでありますけれども、その法律的判断を超えて、大局的というか総合的な判断というものが、あるいは常識的な判断というものがまず前提になければいけないというふうに思うわけでございます。そういう意味で、公安審査委員会委員を見ておりますと、法曹関係者がほとんどでございまして、唯一純粋な意味の民間人というのは、青井さんという東芝の会長さんですが、これが一月にお亡くなりになった。実は、私はこの方がどういう考え方を持っておられたのか、そこに非常に興味があるわけなんですけれども、今やそれを知ることができないわけでありますけれども、やや公安審査委員会のメンバーというのが少し法曹に偏り通ぎているのではないかという感じもしているわけでございます。  いずれにしても、オウム教というものは、言うまでもなく、世界で最初に毒ガスを使って一般市民を巻き込んだ無差別テロを行って、二十数名の死者を出した、そういう犯罪組織でありますし、そして現在は、組織は確かに弱体化をしてきておりますけれども、依然として多数の、数百名あるいは数千名の信者がおり、そして、その教義も全く変わっていないということでございます。こういう組織に対して破防法が適用できなくて、一体どういう事例で破防法が適用できるのかというふうに思うわけでございます。  とりわけ、私が大変に懸念をするのは、国際社会での今回の決定の評価ということでございます。二月の一日の産経新聞に、フランスの公安の専門家、法曹専門家の談話が載っておりましたけれども、フランスではオウム真理教団のようなこういった組織に対しては反テロ法を適用するのは、これは当然なことだ、こういうような談話が載っておりました。恐らくそれが、テロに大変厳しい状況になっております先進各国の常識ではないかというふうに思うわけですね。  世界のグローバル化ということが進んで、グローバルスタンダードということがよく言われております。端的に言えば、我が国国内のいろんな事象を判断するに当たって、国際的なルールとかあるいは国際的な常識とか、そういうものにのっとって判断すべきなのであって、余り、我が国の特殊な判断とかそういう事情よりも、むしろそういう国際的な常識なりルールを尊重した判断をすべきじゃないかというのが恐らくグローバルスタンダードということだと思いますけれども、この問題についても、やはりそういう世界の常識というか、世界各国の現在のテロに対する基本的な対処方針というか、そういうものをもし前提にすれば別の判断があり得たのではないかというふうに思います。  世界各国のテロ関係者の間に、テロ関係者といいますか、公安、治安関係者の間に、日本という国はそもそもテロに甘い国ではないか、そういう評価があるようですけれども、今回の決定がますます、日本という国はテロを容認する国なんだ、テロに甘い国なんだ、そういう認識を植えつけてしまったのではないかというふうに私は危惧をしているわけでございます。  加えて、私は法律の専門家ではありませんけれども、今回の公安審査委員会決定文をずっと一わたり読んでみました。やはり一番疑問に思う、非常に大きな疑問を感ずる点があるわけでございます。  それは、刑事裁判並みの厳格な証拠が必要であるということを、そういう基本的な考え方に立っているわけですね。この文書、決定文の中に書いてありますが、要するに、オウム教団というのが将来そういう再び危険を犯すおそれがあるかどうかという判断が一番のポイントなんですけれども、その判断をする際に、もちろん証拠で、公安調査庁が出した証拠にのっとって判断をするのですけれども、その証拠で認定するに当たっては、刑事裁判における心証の程度に準ずるような高度なものが要求されるということを言っているわけですね。要するに、刑事裁判並みの厳格な証拠適用をするんだということを言っているわけでございます。果たして行政処分でそこまでの厳格さが必要とされるのかどうかということがあると思います。  刑事裁判での証拠というのは、刑事裁判というのは疑わしきは罰せずということですから、裁判官が検察官から出された証拠を見て、それで、多少の、一点の疑念があればそれは無罪にする。もう間違いなく、一〇〇%この被告人は犯罪を犯している、そういう確信がなければ有罪にはしないということですよね。そこまで検察官は証拠を提出して証明をせにゃいかぬわけですが、これについても同じようにやれということを端的に言うと言っていることなんだろうと思うのですね。  ということになると、要するに、オウム教団が将来再びああいう犯罪を犯すことが、間違いなく犯すという確信が持てなければこれはもう適用しないんだ、こういうことを言っているわけで、これは非常に大変なことで、過去の事実を何か立証するというのは割とできるわけですけれども、将来あることが確実に起こるということを一〇〇%立証するなどということは、これはできないわけで、犯罪が行われる直前ぐらいにならぬとできないのじゃないかというふうに思うのですね。これはむしろ無理な証拠適用を言っているのではないかというふうに、私は読んでいて思うわけでございます。  公安審査委員会というのは破防法の団体規制をする権限を持っているのですけれども、みずからその権限を封印をしちゃったんだということなんだと思います。未来永劫多分これは使えないということになるでしょうし、これから事件が起こっても、公安調査庁は、公安審査委員会がこういう解釈であればもうほとんどこれはできない、請求できないということに多分なるだろうというふうに思います。  まず、調査庁長官に伺いたいのですけれども、多分公安調査庁は、この請求を始める前には、行政処分であるからそんなに厳密なものでなく、もうちょっと緩やかな運用で、解釈でしかるべきだという判断があって始まったんだろうと思うのですけれども、こういう公安審査委員会の非常にシビアな判断について長官がどういうふうに思っておられるか、感想をまず伺いたいと思います。
  61. 杉原弘泰

    ○杉原政府委員 公安調査庁といたしましては、私どもが提出いたしました証拠によって破防法所定の将来の危険性の要件を十分に立証できるというふうに考えていたわけでありますが、公安審査委員会はいわば独立の行政委員会として、制度上独立して職権を行使するということになっておりますので、この委員会の最終的な判断については、当庁の立場からコメントをすることにつきまして差し控えさせていただきたいと思っております。
  62. 横内正明

    ○横内委員 もう出ちゃったものをいろいろ言ってみてもこれは後の祭りでございまして、要は、これからは公安調査庁も警察も、オウム教団を、委員会決定にもありますように、監視を徹底して続けるということになるわけでございます。  その際に大事なのは、私は、警察当局や公安調査庁が監視を続けるのは当然なんですけれども、こういう危険な団体に対しては、国民ぐるみといったらおかしいのですけれども、地域ぐるみというのでしょうか、やはり社会全体がこのオウム教団を監視するということにしないと危険があるのだろうと思うのですね。  したがって、そのためには公安調査庁が、いろいろな情報が集まるんだろうと思うのですけれども、できる限りその情報についてはオープンにして、国民の前にオウム教の現状というものをその都度その都度明らかにしていく必要があるんじゃないか。公安調査庁がオープンにしているものはこれだけで、回顧と展望という白書とも言えない薄いものしか出してないわけですが、その中にオウム教のことが二ページぐらい書いてあるのですが、そういうことではなくて、公安審査委員会からしっかり監視をしろと指示を受けたわけですから、その監視の結果としての現在の状況というものをその都度その都度可能な限り国民の前にオープンにしていく必要があると思います。  もう時間がなくなったのですけれども、そういう意味で、きょうはごく直近の、最近のオウム教団の現状というものを明らかにしていただきたいと思うのです。  一点は、アジトというか活動拠点が百三十カ所、分散をしてあるように言っておりますけれども、それがどういう状況になっているか。それから、多分都道府県別にあちこち分散しているわけですけれども、例えば多い県はどういう県なのか。そのオウム教団のアジトの現状が一点。  それから、信徒数ですね。出家信徒五百人、在家信徒五百人というようなことが言われるわけでございますけれども、その現状。特に、今回の事件で逮捕されて、そして不起訴なり、あるいは起訴されて判決が終わって釈放された、信者で釈放された人が三百人か何かいるようですけれども、その中の相当部分の人が再び教団に戻って教団の中で活動をしているということがあるようですけれども、そういう釈放された後もう一回戻っている人というのがどのぐらいいるのか。  それからもう一点は、オウム教の教義。犯罪、殺人も辞さないというその教義というものは変わっているのか、変わっていないのか。  その三点ぐらいを、オウム教の最近の現状ということで説明をしていただきたいと思います。
  63. 杉原弘泰

    ○杉原政府委員 まず第一点、アジトに関しましては、出家信徒らの居住場所といたしまして、平成八年九月末現在、全国に百三十カ所のアジトがございます。内訳は、例えば大きいところから申しますと、東京都内に四十四カ所、大阪府内に二十六カ所、神奈川県内に十五カ所、千葉県内に十一カ所、愛知県内に十カ所、こういったようなことになっております。  次に、信徒数につきましては、平成九年の一月末現在では、出家信徒五百名以上、在家信徒約五千名となっております。  逮捕後釈放された者のその後の状況ですが、一連の刑事事件による逮捕者のうち教団に復帰した者の数につきましては、平成八年十月十四日までに刑事事件で逮捕された信徒のうち、刑期の満了、執行猶予、起訴猶予等によりまして釈放された者は三百六十名になりますが、これら釈放された者のうちの約百名が、教団施設に現在出入りするなど教団に復帰している事実が確認されております。  それから教義の点ですが、オウム真理教の危険な教義については、現在も教団は、支部、道場やアジト及び在家信徒宅などで継続的に説法会を開催し、破防法の弁明手続において封印するとした麻原の説く秘密金剛乗、この教えを信徒に流布しておりますほか、松本の説法を掲載した機関誌を継続発行し、依然として同人を絶対的帰依の対象として教義の普遍性を訴えている、こういう状況にあります。また、一般市民に向けても、インターネットなどを利用しまして教団の刊行物の宣伝活動を展開いたしております。そういう状況でございます。
  64. 横内正明

    ○横内委員 まあ、このオウム事件では、公安庁としては事前にこれを察知できなかったというのは大変に残念だったんだろうと思います。全国六十カ所ぐらい公安調査局とかそういうものがあって千八百人からの職員がいるわけですけれども、この事件を事前に察知できなかったというのは今後の非常に大きな反省材料になっているんだろうと思います。  公安調査庁は既に組織の変更その他もおやりになっているわけでございます。私は、こういう公安組織というのは、感受性といったらおかしいのですけれども、敏感さといいますか、やはりちょっとした兆候から、それが市民生活に対して危険かどうかというのを感じ取って、すぐ組織として機動的に動いていく、そういう機動性みたいなものが公安組織というものには大変大事だろうと思うのです。どうも今までの公安調査庁というのは、やはり昭和二十年代の過激派とか朝鮮総連とか日共とか、そういうものにだけとらわれてきたような面があって、少し社会のそういう犯罪の変化みたいなものに対応し切れなかった面があると思うのですけれども、今回のこういうオウム事件の一連の経過を教訓として、今後、公安調査庁としてどういうふうに組織の運営に生かしていくかということを長官に最後に伺いたいと思います。
  65. 杉原弘泰

    ○杉原政府委員 ただいま委員から御指摘のあった点につきましては、私どもの組織の運営につきまして、さらに時代に合ったものになるように私ども事務当局としても十分検討する必要があると考えておりますので、御指摘の点は十分今後の検討の上で参考にさせていただきたい、こう考えております。
  66. 横内正明

    ○横内委員 終わります。
  67. 八代英太

  68. 保坂展人

    保坂委員 社民党の保坂展人です。  私たち社民党は、小さな声、あるいは弱い立場の人々に人間的で温かいまなざしを欠かさないという視点から質問をさせていただきます。  アジアの女性として初めてノーベル平和賞を受賞されたアウン・サン・スー・チーさんの率いるビルマの国民民主連盟、NLD、一九九〇年の選挙で四百八十五議席中三百九十二議席を獲得したわけですけれども国会は招集されず、いわゆる軍政が続いているというのは御存じのとおりです。そしてまた、スー・チーさん、軟禁を解かれたわけですが、いっとき自宅前集会があったのですが、これもまた圧力によってできない、あるいはNLDの党大会ですか、これも当局によって多数拘束をされる中でこれが妨害を受けるということが続いているわけです。これはもう国際社会の中で民主主義の根本を踏みにじる圧制ということで非常に注目をされているわけですけれども、こうした圧制を逃れて多数のビルマの方が日本に来て、日本の入管に対して難民申請を行っております。  ビルマ難民申請の弁護団によると、約八十九人が現在申請中である、そして、うち二十人ほどの方はこれが認定されずに異議申し立て中であるということを聞きました。諸外国に比べますと、日本は非常に難民認定というのは少ないわけでございます。九四年には一名、九五年には二名の方のみが認定をされている。例えば、ヨーロッパの各国と比べると、フランスは六千二百人、ドイツは二万五千六百人、イタリアは三百人、イギリスは千四百人ということで、極めてこれは比較にならないわけなんです。  まず、法務大臣に基本姿勢について伺いたいと思うのですが、ビルマからの難民申請者に対してどのような基本姿勢を持たれているのか、そして国際社会が注目するこの問題について誠意ある御答弁をお願いしたいと思います。
  69. 伊集院明夫

    ○伊集院政府委員 難民認定申請の具体的状況については、申請者のプライバシー等安全の保護という観点から一般的な回答にならざるを得ないので申しわけございませんが、委員指摘のケースも含めて、難民の認定に当たりましては、今後とも、我が国が加入しております難民条約及び同議定書の諸規定を誠実に履行してまいりたい、こういうふうに考えております。
  70. 保坂展人

    保坂委員 続けて、大臣にお願いします。
  71. 松浦功

    松浦国務大臣 ただいま政府委員が答弁を申し上げたとおりの考え方を持っております。
  72. 保坂展人

    保坂委員 それでは、入管の方にお聞きしたいのですが、難民申請中の方が、申請をした際に自分が申請中であるということを他者に証明する手段といいますか、あるいは認定が一回不認定になって異議申し立て中の方が、例えば警察やあるいは入管に対して自分はこういう状態だというふうに示せる手段が何かあるのでしょうか。そしてまた、難民申請中の方と異議申し立て中の方の把握、これは何か区別して入管としては把握をされているのかされていないのか。まとめて伺います。
  73. 伊集院明夫

    ○伊集院政府委員 難民認定申請を受理したときには、申請した外国人に対しまして、難民認定申請中であるということを示す申請受理票というものを交付しております。ただ、現在は不認定の認定が出たときには受理票を回収しております。それで、この不認定に対して異議の申し出を行ったときには、従来は受理票に類似したものを交付するということは行っておりません。ただ、委員指摘もございますので、異議の申し出を行っていることを証明できるものを交付するかどうかについては検討してみたいと考えております。  それから、もう一つ御質問ありました認定中の者と異議申し出中の者を把握しているかということですが、それはもちろん把握しております。
  74. 保坂展人

    保坂委員 難民手続をしてから、認定、不認定の結論が出るまでに大変な時間がかかっているというふうに聞くわけでございます。これは迅速な処理をされているのかどうか。また、例えば東京入管だと担当者は何名で、それは本当に十分な体制であるのかどうか、この辺をちょっと伺いたいと思います。
  75. 伊集院明夫

    ○伊集院政府委員 異議申し出についての処理というものに時間がかからないよう鋭意努力しております。ただ、やはり人権保護の観点からも、できるだけ早く処理をしたいということで努力をしております。今、東京入管には三名の専属の職員がおりますけれども、できればこれをできるだけふやしていきたいと思っております。
  76. 保坂展人

    保坂委員 その難民条約に規定された国内状況があって、難を逃れた方たちが日本に難民として申請をされる。将来の国のリーダーになる方たちも多数含まれていると思うのですが、こういう方たちが難民申請をするのだけれども、長い時間、結論が出ない。いわばその間、もちろん生活費の給付があるわけでもなく住宅の保障があるわけでもないわけですから、自力で、例えば建設現場だとか居酒屋だとか、そういう現場で就労せざるを得ないというのが、事実そうなっているわけですが、この事実をどのように受けとめられておるでしょうか。
  77. 伊集院明夫

    ○伊集院政府委員 ちょっと詳しく現在の状況を報告したいと思いますが、難民認定申請をした外国人が、我が国に不法に入国した者であるとか、または既に不法残留している者である場合、これは難民認定手続と並行して退去強制手続というのがとられることになります。  他方で、在留資格を有する外国人から難民認定申請がなされることももちろんあるわけですが、そういう場合には、難民認定申請に対する結果が出るまでの間は短期滞在等の在留資格で在留期間の更新を認めるということにしておりまして、必要があれば資格外活動の許可によって就労を認める等の配慮を行ってきているわけでございます。  しかしながら、難民認定申請に対する結果が出るまでの間、在留期間の更新を認められてきた外国人であっても、難民認定申請が不認定となって、かつその外国人について難民であることを主張する以外には我が国での在留を認める理由がないということになりますと、難民不認定の結論が出た以降の在留期間の更新というのは、これは認めることができませんので、このような場合には、外国人に対しては不法残留を理由に退去強制手続が早晩とられることになるわけでございます。  ただ、異議の申し出があって、または行政訴訟を起こす方とかおられるわけです。結論が出るまでにかなりの時間がかかる場合も残念ながらございますが、そういう場合には退去強制手続中ではあっても仮放免の許可ということはかなりやっておるということでございます。  ただ、いずれにしても、不法残留等を理由に退去強制中の外国人ということには変わりはないわけでございますので、そういう外国の方に我が国において合法的に就労をしていただくということはできないという現状でございます。
  78. 保坂展人

    保坂委員 一般的なことを闘いでいるのではなくて、アウン・サン・スー・チーさんのお話もしました、ビルマの状況の話もしました。その中で、難民申請があるという方について、結論が出ない場合に、ではどうすればいいですか。そのどうすればいいかということについてちょっとお答えください。
  79. 伊集院明夫

    ○伊集院政府委員 私どもとしてましては、できるだけ早く難民認定について結論を出したい、こう思っております。
  80. 保坂展人

    保坂委員 なかなか結論が出ないわけですよ。出ない間、何も食べず物も飲まずにいることはできないわけですね。これについて前向きに受けとめる、要するに事実を事実としてきちっと受けとめる、そして異議申し立ての方も含めて、区別、差別をしないということはぜひお願いしたいと思います。答弁をお願いします。
  81. 伊集院明夫

    ○伊集院政府委員 日本に滞在していることが不法な状況になっている方について就労を認めるということは、やはりちょっと難しいと思います。そういうこともあって、できるだけ早く結論を出したいということを申し上げているわけでございます。
  82. 保坂展人

    保坂委員 これはちょっと平行線で、こういう姿勢では法務大臣、やはり世界のまなざしにたえ得る行政とはとても言えないのではないかというふうに思います。追って、実際上やはり国際社会に恥ずかしくない措置をお願いして、ちょっと次の問題に移りたいと思います。  最高裁の裁判の公開に係る質問です。ちょうど一年前の二月二十三日に開催をされた法務委員会で、当時の細川委員が質問で、私が昨年の法務委員会で質問をしました自分自身の体験でもあります。最高裁の判決の期日が当事者に事前に通知をされないという問題について、答弁を二月二十三日にされているのです。その答弁を見ますと、涌井最高裁判所長官代理者ということでこんなふうに議事録に載っているのです。「御承知のように、最高裁で口頭弁論を開きまして判決をいたします場合には、必ず判決言い渡し期日を事前に御通知しております。」つまり、口頭弁論を開く場合には通知をしている。そして、問題なのは開かない場合である。開かない場合は、全部上告棄却になるので期日を教えてしまうと内容を事前に通知をすることになるので言えないという事情を酌んでくださいということを言われているのです。  私の知り合いでテレビなどで有名な福島瑞穂弁護士がかかわられた婚外子差別を争う訴訟があったのですが、この場合には、口頭弁論が開かれたにもかかわらずその通知がされなかったというふうに聞いているのです。これは事実かどうか、ちょっとお答えください。
  83. 石垣君雄

    石垣最高裁判所長官代理者 ただいま委員が御指摘になった事件は、今お話がありましたように、非嫡出子の相続分を嫡出子の相続分の二分の一と定めた民法九百条四号ただし書きが憲法に違反しないとした平成七年七月の最高裁大法廷の決定に係る事件であろうと思われます。この事件は、遺産分割審判に対する抗告棄却決定に対する特別抗告事件ということになっておりまして、このような特別抗告事件についての最高裁の判断は、判決ではなく決定でされておるものでございます。  今御指摘のとおり、この事件において口頭弁論が開かれたということはそのとおりのようでございますが、ただ、この決定や命令については相当と認める方法で告知をすることによって効力を生ずるという訴訟法の規定がございますので、決定書を送達することによって告知がされた、こういうことになっているようでございます。
  84. 保坂展人

    保坂委員 とすると、もう一件なんですけれども、昨年六月二十一日に最高裁の第二小法廷で開かれました、いわゆる伊方原発に対して何かチラシかステッカーを張ったという事件があるわけですね。罰金二万円を争う事件なんです。この場合には通知が行われているのですが、大方の刑事事件では通知が行われていないというふうに聞いていますが、これはどういうわけでしょうか。
  85. 高橋省吾

    高橋最高裁判所長官代理者 刑事訴訟法による刑事事件の上告審の手続について御説明したいと思います。  刑事事件の上告審の手続におきましては、適法な上告理由がないなど上告の申し立てが法令上の方式に違反し、または上告権の消滅後にされたものであることが明らかなときは、決定で上告を棄却できる、こういうことになっております。それ以外の場合には判決で言い渡しがされる、こういうことになっております。これはいずれも刑事訴訟法の規定ですが。  また、同じく刑事訴訟法によりますと、判決は公判廷において宣告により告知するというふうになっております。公判期日は検察官、弁護人に通知しなければならないというふうになっておりますので、委員指摘のこの事件におきましても、適法な上告理由があったために決定ということではなくて判決が言い渡されたわけであります。したがいまして、判決の言い渡し期日については、検察官、弁護人に対して通知が行われております。
  86. 保坂展人

    保坂委員 その決定と判決というのは初めて聞いたんですが、これは過去十年間、最高裁で決定が何件あって、そして判決が何件あったかとお答えになれますか。
  87. 高橋省吾

    高橋最高裁判所長官代理者 最高裁の刑事事件につきなされた昭和六十一年から平成七年までの決定の人員は、一万一千六百六十五人、判決の人員は二百三十二人となっております。判決の人員は、したがいまして全体の二%というふうになっております。  また、判決宣告期日については、全部事前に告知されていると承知しております。
  88. 保坂展人

    保坂委員 十二月の法務委員会で、最高裁判所も変わったという印象を受けたわけです。つまり、今までクローズで本人にすら知らせない、これをこれから新民訴法の規則において本人に知らせるようにしようというふうに聞いてほっとしたわけなんですが、いろいろ調べますと、今言われるように判決と決定ということで、あるいは民事裁判においても、決定の場合には判決のようには扱わない。  さらに、私ども、ぜひ考えていただきたいと思うのは、それこそ平成十年の一月一日以降の処理だということで、一月一日以降最高裁から通知が本人にもらえる、訴訟当事者にもらえるというふうに思っていましたら、どうもそうではなくて、そこで扱った事件からということでかなり先、最高裁、私の体験した裁判だと八年かかっていますので、これはもう根本的に考え直していただきたいというふうに強く要望をしたいと思います。  そして、加えてですけれども、昨日も裁判所の速記官問題で議論がありました。この速記官問題も今月中に裁判官会議で結論を下すというようなことも伝え聞いているんですけれども、これについては、最高裁、司法の頂点として非常にアンバランスじゃないかと私は思うのですね。つまり、判決の原本について、大変貴重なものがございますね、明治の初めから昭和十八年ぐらいまでですか。五十年を経過したものについては、五年前にもうこれは一応棄却する、つまり捨てちゃう、処分するという決定をされて、これはさすがにいろいろな関係者が慌てて、十大学で緊急避難の形で預かろうというようなことも起きているわけです。  情報公開という精神に照らして、ぜひ最高裁判所が、国民の知る権利、それから裁判の公開の原則に照らしてきっちりやってほしいということを強く要望したいと思いますが、いかがでしょうか。
  89. 石垣君雄

    石垣最高裁判所長官代理者 論点が多岐にわたるようでございますが、所要のところに今の御質問の趣旨を伝えたいと思います。
  90. 保坂展人

    保坂委員 最後になりますけれども、大臣の所信を伺っていて、最近の薬物事犯ですか、かなり多いし、しかも低年齢化しているということで、ここに朝日新聞の九六年十月二十九日、最近ですね、「薬物依存の民間リハビリ施設「東京ダルク」資金不足 廃止の危機」にとあるのですね。  これは調べてみましたところ、全くの純民間団体で、体験をしたというか、まさに覚せい剤で中毒だったとかあるいはシンナーでやめられなかったという人たちがともに住んで、一人だと例えば刑務所を出てもすぐやってしまう、そこを何とかしないように集まって、いわゆるそこから薬を断っていくという自助努力があるのですが、こういった試みについて、要するに法務行政の中で特に矯正の部分でどのように認識、まず御存じかどうか。  それから、どのように評価され、あるいは、彼らが学校や自治体で講演をしたり、あるいは子供たちに直接、これだけ薬は怖いんだということを訴えたりすることがあるのですが、こういうことを、例えば刑務所やあるいは少年院などの受刑者に直接語りかけるという機会は持ち得ないのか、その辺をちょっと伺いたいと思います。
  91. 東條伸一郎

    ○東條政府委員 成人施設、少年施設を問わず、ただいま御指摘の薬物事犯による収容者というのはかなりの比率を占めております。私どもでも大変重要な問題であるということで、まず施設内におきましては、施設収容ということで薬物に対する身体的な依存というのは強制的に一時期断たれるわけでございまして、それなりの治療効果があるわけでございますが、精神的な依存を断つためにいろいろな教育をいたしております。ただ、これはもう施設内の教育でございますので、施設から外へ出たときに一体どうなるか、こういう問題は常に私ども考えさせられるわけでございます。  矯正といいますのは、私どもの官だけでできることではないということは私どもも十分承知しております。民間の方々の積極的な、いわばボランティア的な御協力をいただいて、例えば私ども、今先生は薬物のお話をされましたけれども、今、酒害教育といいますか、アルコール依存による犯罪というものが非常にございますので、アルコールに対する依存というものを出所後も断つために、例えば、断酒会の方々に施設に来ていただいていろいろお話しをいただくとか、あるいは釈放後もそちらに入るように指導してもらうとか、いろいろな形の指導をしておりますが、ただいま御指摘のダルクという団体につきましても、今後、いろいろ勉強させていただきまして、御協力いただける側面があれば、私どもも積極的に協力させていただきたい、薬物依存というものを断つことは私ども一つの願いでございますので、協力させていただきたいと思っております。
  92. 保坂展人

    保坂委員 少し時間がオーバーして申しわけありませんでしたが、取り締まりについて、もちろん法を守るという精神できっちりやっていただくとともに、人権擁護とか矯正について、これもやはりしっかり、車の両輪で今後、大臣、法務省、やっていただくことを重ねてお願いして、終わりたいと思います。
  93. 八代英太

    八代委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十一分散会