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1997-06-17 第140回国会 衆議院 文教委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年六月十七日(火曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長  二田 孝治君    理事 稲葉 大和君 理事 河村 建夫君    理事 栗原 裕康君 理事 田中眞紀子君    理事 佐藤 茂樹君 理事 藤村  修君    理事 山元  勉君 理事 石井 郁子君       岩永 峯一君    栗本慎一郎君       佐田玄一郎君    阪上 善秀君       島村 宜伸君    戸井田 徹君       中山 成彬君    柳沢 伯夫君       山口 泰明君    渡辺 博道君       井上 義久君    池坊 保子君       石垣 一夫君    鴨下 一郎君       旭道山和泰君    西  博義君       原口 一博君    三沢  淳君       近藤 昭一君    鳩山 邦夫君       肥田美代子君    山原健二郎君       保坂 展人君    粟屋 敏信君  出席国務大臣         文 部 大 臣 小杉  隆君  出席政府委員         文部政務次官  佐田玄一郎君         文部大臣官房長 佐藤 禎一君         文部大臣官房総         務審議官    富岡 賢治君         文部省生涯学習         局長      草原 克豪君         文部省初等中等         教育局長    辻村 哲夫君         文部省教育助成         局長      小林 敬治君         文部省高等教育         局長      雨宮  忠君         文部省体育局長 佐々木正峰君  委員外の出席者         内閣官房内閣内         政審議室内閣審         議官      西阪  昇君         総務庁長官官房         交通安全対策室         参事官     楊井 貴晴君         法務省民事局参         事官      揖斐  潔君         文教委員会調査         室長      岡村  豊君     ————————————— 委員の異動 六月十一日  辞任         補欠選任   阪上 善秀君     吉田六左エ門君 同日  辞任         補欠選任   吉田六左エ門君    阪上 善秀君 同月十七日  辞任         補欠選任   井上 義久君     石垣 一夫君   西岡 武夫君     原口 一博君   鳩山 邦夫君     近藤 昭一君 同日  辞任         補欠選任   石垣 一夫君     井上 義久君   原口 一博君     鴨下 一郎君   近藤 昭一君     鳩山 邦夫君 同日  辞任         補欠選任   鴨下 一郎君     西岡 武夫君     ————————————— 六月十一日  豊かな私学教育の実現のための私学助成に関す  る請願(坂上富男君紹介)(第四〇四八号)  同(葉山峻君紹介)(第四〇四九号)  同(山元勉君紹介)(第四〇五〇号)  同(土井たか子君紹介)(第四一七四号)  長野オリンピック冬季競技大会及び長野パラリ  ンピック冬季競技大会の支援に関する請願(小  坂憲次君紹介)(第四一七二号)  同(羽田孜君紹介)(第四一七三号)  同(北沢清功君紹介)(第四三一〇号)  同(小川元君紹介)(第四三七七号)  同(宮下創平君紹介)(第四三七八号)  同(村井仁君紹介)(第四三七九号)  同(堀込征雄君紹介)(第四四六六号)  大学院生の研究・生活条件の改善と大学の充実  に関する請願(石井郁子君紹介)(第四四六五  号) 同月十二日  学費値下げ大学予算増額私学助成増額に関  する請願(石井郁子君紹介)(第四五一三号)  同(山原健二郎君紹介)(第四五一四号)  同(秋葉忠利君紹介)(第四五九九号)  同(肥田美代子君紹介)(第四七二一号)  豊かな私学教育の実現のための私学助成に関す  る請願(横路孝弘君紹介)(第四五一五号)  行き届いた教育、小中高三十人学級の早期実現  に関する請願(山原健二郎君紹介)(第四七一  〇号)  障害児教育の充実、教育予算大幅増、三十人学  級実現に関する請願(穀田恵二君紹介)(第四  七一一号)  私学助成大幅拡充、四十人以下学級の早期実  現、教育費父母負担軽減に関する請願(吉井  英勝君紹介)(第四七一二号)  高校三十人以下学級実現私学助成大幅増、障  害児教育の充実に関する請願(寺前巖君紹介)  (第四七一三号) 三十人学級の早期実現公費助成制度の堅持な ど私学助成大幅増額に関する請願(金子満広  君紹介)(第四七一四号)  同(児玉健次君紹介)(第四七一五号)  同(瀬古由起子君紹介)(第四七一六号)  同(古堅実吉君紹介)(第四七一七号)  同(正森成二君紹介)(第四七一八号)  同(松本善明君紹介)(第四七一九号)  私学助成の増額、行き届いた教育実現に関する  請願(冬柴鐵三君紹介)(第四七二〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  閉会中審査に関する件  文教行政基本施策に関する件  請 願    一 三十人学級の早期実現教育予算・私      学助成拡充教職員定数増に関する請      願(西野陽君紹介)(第二号)    二 私学の学費値上げ抑制、教育・研究条      件の改善、私学助成増額に関する請願      (家西悟君紹介)(第一二二号)    三 小・中・高校三十人学級の早期実現と      私学助成大幅増額に関する請願(木      村隆秀君紹介)(第一三一号)    四 豊かな私学教育の実現を求めるための      私学助成に関する請願(伊藤達也君紹      介)(第一三二号)    五 小中高三十人学級の早期実現障害児      教育の充実、私学助成大幅増額に関      する請願(富田茂之君紹介)(第一七      三号)    六 豊かな私学教育の実現を求めるための      私学助成に関する請願(宮澤喜一君紹      介)(第一八九号)    七 同(岸田文雄君紹介)(第一九六号)    八 教育条件の改善に関する請願(谷畑孝    君紹介)(第二〇七号)   九 同(谷畑孝君紹介)(第二七〇号)  一〇 私学助成大幅増額に関する請願(野     中広務君紹介)(第二四四号)  一一 私学助成制度拡充強化に関する請願     (桜井新君紹介)(第二四五号)  一二 三十人学級の早期実現教育予算・私     学助成拡充教職員定数増に関する請     願(野中広務君紹介)(第二四六号)  一三 私学の学費値上げ抑制、教育・研究条     件の改善、私学助成増額に関する請願     (辻第一君紹介)(第二四七号)  一四 私学に対する公費助成大幅増額に関     する請願(西岡武夫君紹介)(第二六九     号)  一五 小・中・高三十五人以下学級の実現、     私学助成抜本的改善障害児教育の     充実に関する請願(木島日出夫君紹介)     (第二九五号)  一六 病院内学級訪問教育等の充実、希望     するすべての生徒に対する高等部教育     保障に関する請願(木島日出夫君紹介)     (第二九六号)  一七 私学に対する公費助成大幅増額に関     する請願(山原健二郎君紹介)(第三三     六号)  一八 病院内学級訪問教育等の充実、希望     するすべての生徒に対する高等部教育     保障に関する請願(山原健二郎君紹介)     (第三三七号)  一九 同(河村建夫君紹介)(第三五一号)  二〇 同(山口泰明君紹介)(第三五二号)  二一 教育条件の改善に関する請願(谷畑孝     君紹介)(第三四九号)  二二 小・中・高三十五人以下学級の実現、     私学助成抜本的改善障害児教育の     充実に関する請願(宮下創平君紹介)     (第三五〇号)  二三 同(北沢清功君紹介)(第四四六号)  二四 私学助成大幅拡充、四十人以下学級     の早期実現教育費父母負担軽減に     関する請願(原田義昭君紹介)(第四二     八号)  二五 教育条件の改善に関する請願(谷畑孝     君紹介)(第四八七号)  二六 私立専修学校の教育・研究条件の改善     と父母負担軽減に関する請願(金子満     広君紹介)(第五三四号)  二七 同(志位和夫君紹介)(第五三五号)  二八 同(不破哲三君紹介)(第五三六号)  二九 同(正森成二君紹介)(第五三七号)  三〇 同(松本善明君紹介)(第五三八号)  三一 同(佐々木憲昭君紹介)(第六〇七号)  三二 同(山原健二郎君紹介)(第六〇八号)  三三 スポーツ振興くじ導入反対、国民のた     めのスポーツ振興に関する請願(山原     健二郎君紹介)(第六〇六号)  三四 教育条件の改善に関する請願(谷畑孝     君紹介)(第七三九号)  三五 私立専修学校の教育・研究条件の改善     と父母負担軽減に関する請願(藤木洋     子君紹介)(第七四〇号)  三六 病院内学級訪問教育等の充実、希望     するすべての生徒に対する高等部教育     保障に関する請願(鳩山邦夫君紹介)     (第七八二号)  三七 ゆとりある教育に関する請願(藤田ス     ミ君紹介)(第九一六号)  三八 義務教育費国庫負担制度の堅持に関す     る請願(佐々木陸海君紹介)(第九一七     号)  三九 行き届いた教育、ゆとりある学校づく     りに関する請願(平賀高成君紹介)(第     九一八号)  四〇 行き届いた教育、小・中・高校三十人     学級の早期実現等に関する請願(児玉     健次君紹介)(第九一九号)  四一 行き届いた教育の実現と私学助成の大     幅拡充に関する請願(春名眞章君紹介)     (第九二〇号)  四二 高校三十人以下学級実現私学助成大     幅増、障害児教育の充実に関する請願     (寺前巖君紹介)(第九二一号)  四三 三十人以下学級、教職員増私学助成     大幅増額障害児教育の充実に関する     請願(瀬古由起子君紹介)(第九二二号     )  四四 三十人学級の実現、教育予算の大幅増、     父母負担軽減に関する請願(中島武敏     君紹介)(第九二三号)  四五 三十人学級の早期実現公費助成制度     の堅持など私学助成大幅増額に関す     る請願(大森猛君紹介)(第九二四号)  四六 同(加藤六月君紹介)(第九二五号)  四七 同(金子満広君紹介)(第九二六号)  四八 同(穀田恵二君紹介)(第九二七号)  四九 同(佐々木憲昭君紹介)(第九二八号)  五〇 同(不破哲三君紹介)(第九二九号)  五一 同(古堅実吉君紹介)(第九三〇号)  五二 同(正森成二君紹介)(第九三一号)  五三 同(松本善明君紹介)(第九三二号)  五四 同(矢島恒夫君紹介)(第九三三号)  五五 同(山原健二郎君紹介)(第九三四号)  五六 同(吉井英勝君紹介)(第九三五号)  五七 同(古川元久君紹介)(第九七七号)  五八 三十人学級の早期実現私学助成大幅     増額に関する請願(木島日出夫君紹介)     (第九三六号)  五九 三十人学級の早期実現生徒急減期待     別助成などの大幅増額に関する請願     (中路雅弘君紹介)(第九三七号)  六〇 子供たちの教育の充実に関する請願     (辻第一君紹介)(第九三八号)  六一 私学助成の増額、行き届いた教育実現     に関する請願(東中光雄君紹介)(第九     三九号)  六二 文教予算の増額、行き届いた教育実現     に関する請願(藤木洋子君紹介)(第九     四〇号)  六三 三十人学級の早期実現教育予算・私     学助成拡充教職員定数増に倒する請     願(石井郁子君紹介)(第九四一号)  六四 小・中・高校三十人学級の早期実現と     私学助成大幅増額に関する請願(瀬     古由起子君紹介)(第九四二号)  六五 同(古川元久君紹介)(第九七五号)  六六 小中高三十人学級の早期実現障害児     教育の充実、私学助成大幅増額に関     する請願(志位和夫君紹介)(第九四三     号)  六七 私立専修学校の教育・研究条件の改善     と父母負担軽減に関する請願(佐々木     陸海君紹介)(第九四四号)  六八 病院内学級訪問教育等の充実、希望     するすべての生徒に対する高等部教育     保障に関する請願(児玉健次君紹介)     (第九七六号)  六九 小・中・高校三十人学級の早期実現と     私学助成大幅増額に関する請願(古     川元久君紹介)(第一〇一八号)  七〇 病院内学級訪問教育等の充実、希望     するすべての生徒に対する高等部教育     保障に関する請願(保坂展人君紹介)    (第一〇六六号)  七一 私立専修学校の教育・研究条件の改善     と父母負担軽減に関する請願(山原健     二郎君紹介)(第一〇六七号)  七二 同(古堅実吉君紹介)(第一〇八五号)  七三 文教予算の増額、行き届いた教育実現     に関する請願(山元勉君紹介)(第一〇     八六号)  七四 安全で、安心して学べる学校施設に関     する請願(石井郁子君紹介)(第一四五     九号)  七五 同(瀬古由起子君紹介)(第一四六〇号     )  七六 同(藤木洋子君紹介)(第一四六一号)  七七 同(藤田スミ君紹介)(第一四六二号)   七八 同(山原健二郎君紹介)(第一四六三      号)   七九 三十人学級の早期実現教育予算・私      学助成拡充教職員定数増に関する請      願(田端正広君紹介)(第一四六四号      )   八〇 三十人学級、教職員定数改善、私学助      成の大幅増額に関する請願(矢島恒夫      君紹介)(第一五九〇号)   八一 三十人学級の早期実現公費助成制度      の堅持など私学助成大幅増額に関す      る請願(鉢呂吉雄君紹介)(第一六一      八号)   八二 病院内学級訪問教育等の充実、希望      するすべての生徒に対する高等部教育      保障に関する請願(石井郁子君紹介)      (第一九五四号)   八三 大学教員への任期制導入法制化反対      に関する請願(山元勉君紹介)(第二      〇四四号)   八四 学寮の充実・発展、文教予算・学寮予      算の抜本的増額に関する請願(石井郁      子君紹介)(第二一〇七号)   八五 文教予算増額、学生寮の建てかえ等に      関する請願(石井郁子君紹介)(第二      一〇八号)   八六 私立専修学校の教育・研究条件の改善      と父母負担軽減に関する請願(石井郁      子君紹介)(第二一〇九号)   八七 大学教員への任期制導入法制化反対      に関する請願(石井郁子君紹介)(第      二一一〇号)   八八 地域のスポーツ環境整備充実のための      スポーツ振興くじ制度早期樹立に関      する請願(麻生太郎君紹介)(第二三      二三号)   八九 同(粟屋敏信君紹介)(第二三七九号      )   九〇 同(奥田幹生君紹介)(第二三八〇号      )   九一 同(斉藤鉄夫君紹介)(第二三八一号      )   九二 同(坂本剛二君紹介)(第二三八二号      )   九三 同(玉沢徳一郎君紹介)(第二三八三      号)   九四 同(中馬弘毅君紹介)(第二三八四号      )   九五 同(中井洽君紹介)(第二三八五号)   九六 同(中川秀直君紹介)(第二三八六号      )   九七 同(中野正志君紹介)(第二三八七号      )   九八 同(長勢甚遠君紹介)(第二三八八号      )   九九 同(根本匠君紹介)(第二三八九号)  一〇〇 同(萩野浩基君紹介)(第二三九〇号      )  一〇一 同(原田義昭君紹介)(第二三九一号      )  一〇二 同(桧田仁君紹介)(第二三九二号)  一〇三 同(細田博之君紹介)(第二三九三号      )  一〇四 同(町村信孝君紹介)(第二三九四号      )  一〇五 同(三ッ林弥太郎君紹介)(第二三九      五号)  一〇六 同(村田吉隆君紹介)(第二三九六号      )  一〇七 同(目片信君紹介)(第二三九七号)  一〇八 同(森喜朗君紹介)(第二三九八号)  一〇九 同(渡辺具能君紹介)(第二三九九号      )  一一〇 同(麻生太郎君紹介)(第二四一三号      )  一一一 同(伊吹文明君紹介)(第二四一四号      )  一一二 同(奥田幹生君紹介)(第二四一五号      )  一一三 同(奥山茂彦君紹介)(第二四一六号      )  一一四 同(金子原二郎君紹介)(第二四一七      号)  一一五 同(川端達夫君紹介)(第二四一八号      )  一一六 同(河井克行君紹介)(第二四一九号      )  一一七 同(久間章生君紹介)(第二四二〇号      )  一一八 同(自見庄三郎君紹介)(第二四二一      号)  一一九 同(田野瀬良太郎君紹介)(第二四二      二      号)  一二〇 同(高木義明君紹介)(第二四二三号      )  一二一 同(竹下登君紹介)(第二四二四号)  一二二 同(虎島和夫君紹介)(第二四二五号      )  一二三 同(野田聖子君紹介)(第二四二六号      )  一二四 同(平林鴻三君紹介)(第二四二七号      )  一二五 同(福永信彦君紹介)(第二四二八号      )  一二六 同(細田博之君紹介)(第二四二九号      )  一二七 同(武藤嘉文君紹介)(第二四三〇号      )  一二八 同(村田吉隆君紹介)(第二四三一号      )  一二九 同(持永和見君紹介)(第二四三二号      )  一三〇 同(森山眞弓君紹介)(第二四三三号      )  一三一 同(安住淳君紹介)(第二五一二号)  一三二 同(石川要三君紹介)(第二五一三号      )  一三三 同(岩永峯一君紹介)(第二五一四号      )  一三四 同(小川元君紹介)(第二五一五号)  一三五 同(奥野誠亮君紹介)(第二五一六号      )  一三六 同(河合正智君紹介)(第二五一七号      )  一三七 同(櫻内義雄君紹介)(第二五一八号      )  一三八 同(玉置一弥君紹介)(第二五一九号      )  一三九 同(中野正志君紹介)(第二五二〇号      )  一四〇 同(福留泰蔵君紹介)(第二五二一号      )  一四一 同(武藤嘉文君紹介)(第二五二二号      )  一四二 同(森田一君紹介)(第二五二三号)  一四三 同(山元勉君紹介)(第二五二四号)  一四四 同(臼井日出男君紹介)(第二五七九      号)  一四五 同(河合正智君紹介)(第二五八〇号      )  一四六 同(佐藤静雄君紹介)(第二五八一号      )  一四七 同(佐藤剛男君紹介)(第二五八二号      )  一四八 同(坂本三十次君紹介)(第二五八三      号)  一四九 同(櫻内義雄君紹介)(第二五八四号      )  一五〇 同(田中昭一君紹介)(第二五八五号      )  一五一 同(武村正義君紹介)(第二五八六号      )  一五二 同(谷垣禎一君紹介)(第二五八七号      )  一五三 同(中山成彬君紹介)(第二五八八号      )  一五四 同(仲村正治君紹介)(第二五八九号      )  一五五 同(藤井孝男君紹介)(第二五九〇号      )  一五六 同(船田元君紹介)(第二五九一号)  一五七 同(松岡利勝君紹介)(第二五九二号      )  一五八 同(松永光君紹介)(第二五九三号)  一五九 同(森田一君紹介)(第二五九四号)  一六〇 同(上原康助君紹介)(第二六六二号      )  一六一 同(臼井日出男君紹介)(第二六六三      号)  一六二 同(小川元君紹介)(第二六六四号)  一六三 同(大原一三君紹介)(第二六六五号      )  一六四 同(木幡弘道君紹介)(第二六六六号      )  一六五 同(坂本三十次君紹介)(第二六六七      号)  一六六 同(櫻内義雄君紹介)(第二六六八号      )  一六七 同(松永光君紹介)(第二六六九号)  一六八 同(岡田克也君紹介)(第二七一五号      )  一六九 同(坂本剛二君紹介)(第二七一六号      )  一七〇 同(坂本三十次君紹介)(第二七一七      号)  一七一 同(棚橋泰文君紹介)(第二七一八号      )  一七二 同(中川正春君紹介)(第二七一九号      )  一七三 大学教員への任期制導入法制化反対      に関する請願(山元勉君紹介)(第二      七一四号)  一七四 同(山原健二郎君紹介)(第二七八六      号)  一七五 同(石井郁子君紹介)(第二八九四号      )  一七六 同(大森猛君紹介)(第二八九五号)  一七七 同(金子満広君紹介)(第二八九六号      )  一七八 同(木島日出夫君紹介)(第二八九七      号)  一七九 同(穀田恵二君紹介)(第二八九八号      )  一八〇 同(瀬古由起子君紹介)(第二八九九      号)  一八一 同(春名直章君紹介)(第二九〇〇号      )  一八二 同(山原健二郎君紹介)(第二九〇一      号)  一八三 同(山元勉君紹介)(第二九〇二号)  一八四 地域のスポーツ環境整備充実のための      スポーツ振興くじ制度早期樹立に関      する請願(麻生太郎君紹介)(第二七      八七号)  一八五 同(加藤六月君紹介)(第二七八八号      )  一八六 同(柿澤弘治君紹介)(第二七八九号      )  一八七 同(栗原裕康君紹介)(第二七九〇号      )  一八八 同(島村宜伸君紹介)(第二七九一号      )  一八九 同(白保台一君紹介)(第二七九二号      )  一九〇 同(仲村正治君紹介)(第二七九三号      )  一九一 同(西岡武夫君紹介)(第二七九四号      )  一九二 同(藤本孝雄君紹介)(第二七九五号      )  一九三 同(町村信孝君紹介)(第二七九六号      )  一九四 同(松沢成文君紹介)(第二七九七号      )  一九五 同(愛野興一郎君紹介)(第二八六四      号)  一九六 同(加藤六月君紹介)(第二八六五号      )  一九七 同(福島豊君紹介)(第二八六六号)  一九八 同(藤本孝雄君紹介)(第二八六七号      )  一九九 同(前田武志君紹介)(第二八六八号      )  二〇〇 同(今村雅弘君紹介)(第二九〇三号      )  二〇一 同(衛藤征士郎君紹介)(第二九〇四      号)  二〇二 同(遠藤利明君紹介)(第二九〇五号      )  二〇三 同(小川元君紹介)(第二九〇六号)  二〇四 同(小澤潔君紹介)(第二九〇七号)  二〇五 同(越智伊平君紹介)(第二九〇八号      )  二〇六 同(越智通雄君紹介)(第二九〇九号      )  二〇七 同(大石秀政君紹介)(第二九一〇号      )  二〇八 同(太田昭宏君紹介)(第二九一一号      )  二〇九 同(奥田幹生君紹介)(第二九一二号      )  二一〇 同(鹿野道彦君紹介)(第二九一三号      )  二一一 同(木部佳昭君紹介)(第二九一四号      )  二一二 同(熊谷市雄君紹介)(第二九一五号      )  二一三 同(熊代昭彦君紹介)(第二九一六号      )  二一四 同(栗原裕康君紹介)(第二九一七号      )  二一五 同(小坂憲次君紹介)(第二九一八号      )  二一六 同(古賀一成君紹介)(第二九一九号      )  二一七 同(河野洋平君紹介)(第二九二〇号      )  二一八 同(斉藤斗志二君紹介)(第二九二一      号)  二一九 同(坂井隆憲君紹介)(第二九二二号      )  二二〇 同(自見庄三郎君紹介)(第二九二三      号)  二二一 同(鈴木俊一君紹介)(第二九二四号      )  二二二 同(関谷勝嗣君紹介)(第二九二五号      )  二二三 同(田中和徳君紹介)(第二九二六号      )  二二四 同(田中慶秋君紹介)(第二九二七号      )  二二五 同(高橋一郎君紹介)(第二九二八号      )  二二六 同(谷畑孝君紹介)(第二九二九号)  二二七 同(玉沢徳一郎君紹介)(第二九三〇      号)  二二八 同(中尾栄一君紹介)(第二九三一号      )  二二九 同(中島洋次郎君紹介)(第二九三二      号)  二三〇 同(中山正暉君紹介)(第二九三三号      )  二三一 同(西川知雄君紹介)(第二九三四号      )  二三二 同(能勢和子君紹介)(第二九三五号      )  二三三 同(畑英次郎君紹介)(第二九三六号      )  二三四 同(日野市朗君紹介)(第二九三七号      )  二三五 同(平林鴻三君紹介)(第二九三八号      )  二三六 同(前田武志君紹介)(第二九三九号      )  二三七 同(松浪健四郎君紹介)(第二九四〇      号)  二三八 同(村山達雄君紹介)(第二九四一号      )  二三九 同(横内正明君紹介)(第二九四二号      )  二四〇 同(吉田公一君紹介)(第二九四三号      )  二四一 同(渡辺具能君紹介)(第二九四四号      )  二四二 同(綿貫民輔君紹介)(第二九四五号      )  二四三 大学教員への任期制導入法制化反対      に関する請願(石井郁子君紹介)(第      二九九〇号)  二四四 同(山原健二郎君紹介)(第二九九一      号)    五 同(山元勉君紹介)(第二九九二号)  二四六 同(山元勉君紹介)(第三〇八五号)  二四七 地域のスポーツ環境整備充実のための      スポーツ振興くじ制度早期樹立に関      する請願(安倍晋三君紹介)(第二九      九三号)  二四八 同(麻生太郎君紹介)(第二九九四号      )  二四九 同(甘利明君紹介)(第二九九五号)  二五〇 同(粟屋敏信君紹介)(第二九九六号      )  二五一 同(伊吹文明君紹介)(第二九九七号      )  二五二 同(石井一君紹介)(第二九九八号)  二五三 同(石破茂君紹介)(第二九九九号)  二五四 同(石橋一弥君紹介)(室三〇〇〇号      )  二五五 同(江藤隆美君紹介)(第三〇〇一号      )  二五六 同(衛藤征士郎君紹介)(第三〇〇二      号)  二五七 同(遠藤和良君紹介)(第三〇〇三号      )  二五八 同(柿澤弘治君紹介)(第三〇〇四号      )  二五九 同(瓦力君紹介)(第三〇〇五号)  二六〇 同(木部佳昭君紹介)(第三〇〇六号      )  二六一 同(熊代昭彦君紹介)(第三〇〇七号      )  二六二 同(河野洋平君紹介)(第三〇〇八号      )  二六三 同(斉藤斗志二君紹介)(第三〇〇九      号)  二六四 同(杉山憲夫君紹介)(第三〇一〇号      )  二六五 同(鈴木恒夫君紹介)(第三〇一一号      )  二六六 同(関谷勝嗣君紹介)(第三〇一二号      )  二六七 同(田邉國男君紹介)(第三〇一三号      )  二六八 同(中川秀直君紹介)(第三〇一四号      )  二六九 同(西岡武夫君紹介)(第三〇一五号      )  二七〇 同(鳩山邦夫君紹介)(第三〇一六号      )  二七一 同(深谷隆司君紹介)(第三〇一七号      )  二七二 同(保利耕輔君紹介)(第三〇一八号      )  二七三 同(堀内光雄君紹介)(第三〇一九号      )  二七四 同(横内正明君紹介)(第三〇二〇号      )  二七五 同(横光克彦君紹介)(第三〇二一号      )  二七六 同(綿貫民輔君紹介)(第三〇二二号      )  二七七 同(相沢英之君紹介)(第三〇八六号      )  二七八 同(逢沢一郎君紹介)(室二〇八七号      )  二七九 同(麻生太郎君紹介)(第三〇八八号      )  二八〇 同(飯島忠義君紹介)(第三〇八九号      )  二八一 同(石川要三君紹介)(第三〇九〇号      )  二八二 同外二件(臼井日出男君紹介)(第三      〇九一号)  二八三 同(衛藤征士郎君紹介)(第三〇九二      号)  二八四 同(小澤潔君紹介)(第三〇九三号)  二八五 同(小野晋也君紹介)(第三〇九四号      )  二八六 同(小渕恵三君紹介)(第三〇九五号      )  二八七 同(越智通雄君紹介)(第三〇九六号      )  二八八 同(亀井静香君紹介)(第三〇九七号      )  二八九 同(川内博史君紹介)(第三〇九八号      )  二九〇 同(河村建夫君紹介)(第三〇九九号      )  二九一 同(瓦力君紹介)(第三一〇〇号)  二九二 同(木部佳昭君紹介)(第三一〇一号      )  二九三 同(河野洋平君紹介)(室三一〇二号      )  二九四 同(佐々木洋平君紹介)(第三一〇三      号)  二九五 同(佐藤静雄君紹介)(第三一〇四号      )  二九六 同(斉藤斗志二君紹介)(第三一〇五      号)  二九七 同(坂本三十次君紹介)(第三一〇六      号)  二九八 同(鈴木俊一君紹介)(第三一〇七号      )  二九九 同(鈴木恒夫君紹介)(室三一〇八号      )  三〇〇 同(関谷勝嗣君紹介)(第三一〇九号      )  三〇一 同(田中昭一君紹介)(第三一一〇号      )  三〇二 同(竹下登君紹介)(第三一一一号)  三〇三 同(西田司君紹介)(第三一一二号)  三〇四 同(野田聖子君紹介)(第三一一三号      )  三〇五 同(浜田靖一君紹介)(第三一一四号      )  三〇六 同(原田昇左右君紹介)(第三一一五      号)  三〇七 同(平沼赳夫君紹介)(第三一一六号      )  三〇八 同(福留泰蔵君紹介)(第三一一七号      )  三〇九 同(保利耕輔君紹介)(第三一一八号      )  三一〇 同(町村信孝君紹介)(第三一一九号      )  三一一 同(松浪健四郎君紹介)(第三一二〇      号)  三一二 同(松本純君紹介)(第三一二一号)  三一三 同(宮路和明君紹介)(第三一二二号      )  三一四 同(武藤嘉文君紹介)(第三一二三号      )  三一五 同(保岡興治君紹介)(第三一二四号      )  三一六 同(柳沢伯夫君紹介)(第三一二五号      )  三一七 同(吉田六左エ門君紹介)(第三一二      六号)  三一八 同(米田建三君紹介)(第三一二七号      )  三一九 大学教員への任期制導入法制化反対      に関する請願(山元勉君紹介)(第三      一五〇号)  三二〇 同(山元勉君紹介)(第三一九七号)  三二一 同(山原健二郎君紹介)(第三二七三      号)  三二二 同(山元勉君紹介)(第三二七四号)  三二三 地域のスポーツ環境整備充実のための      スポーツ振興くじ制度早期樹立に関      する請願(逢沢一郎君紹介)(第三一      五一号)  三二四 同(石川要三君紹介)(第三一五二号      )  三二五 同(稲葉大和君紹介)(第三一五三号      )  三二六 同(小里貞利君紹介)(第三一五四号      )  三二七 同(小渕恵三君紹介)(第三一五五号      )  三二八 同(奥野誠亮君紹介)(第三一五六号      )  三二九 同(亀井善之君紹介)(第三一五七号      )  三三〇 同(瓦力君紹介)(第三一五八号)  三三一 同(木村義雄君紹介)(第三一五九号      )  三三二 同(岸田文雄君紹介)(第三一六〇号      )  三三三 同(小泉純一郎君紹介)(第三一六一      号)  三三四 同(小坂憲次君紹介)(第三一六二号      )  三三五 同(河野洋平君紹介)(第三一六三号      )  三三六 同(坂本三十次君紹介)(第三一六四      号)  三三七 同外三十八件(鈴木俊一君紹介)(第      三一六五号)  三三八 同(園田修光君紹介)(第三一六六号      )  三三九 同(中井洽君紹介)(第三一六七号)  三四〇 同(中川正春君紹介)(第三一六八号      )  三四一 同(中野寛成君紹介)(第三一六九号      )  三四二 同(中山利生君紹介)(第三一七〇号      )  三四三 同(西田司君紹介)(第三一七一号      )  三四四 同(野田聖子君紹介)(第三一七二号      )  三四五 同(原田昇左右君紹介)(第三一七三      号)  三四六 同(深谷隆司君紹介)(第三一七四号      )  三四七 同(船田元君紹介)(第三一七五号)  三四八 同(保利耕輔君紹介)(第三一七六号      )  三四九 同(松永光君紹介)(第三一七七号)  三五〇 同(宮下創平君紹介)(第三一七八号      )  三五一 同(森喜朗君紹介)(第三一七九号)  三五二 同(柳沢伯夫君紹介)(第三一八〇号      )  三五三 同(相沢英之君紹介)(第三一九八号      )  三五四 同(逢沢一郎君紹介)(第三一九九号      )  三五五 同(石破茂君紹介)(第三二〇〇号)  三五六 同(今村雅弘君紹介)(第三二〇一号      )  三五七 同(遠藤利明君紹介)(第三二〇二号      )  三五八 同(小渕恵三君紹介)(第三二〇三号      )  三五九 同(鹿野道彦君紹介)(第三二〇四号      )  三六〇 同(河村建夫君紹介)(室三二〇五号      )  三六一 同(木村義雄君紹介)(第三二〇六号      )  三六二 同(小泉純一郎君紹介)(第三二〇七      号)  三六三 同(高村正彦君紹介)(第三二〇八号      )  三六四 同(達増拓也君紹介)(第三二〇九号      )  三六五 同(中島洋次郎君紹介)(第三二一〇      号)  三六六 同(中野寛成君紹介)(第三二一一号      )  三六七 同(野田聖子君紹介)(第三二一二号      )  三六八 同(鳩山邦夫君紹介)(第三二一三号      )  三六九 同(原田昇左右君紹介)(第三二一四      号)  三七〇 同(平林鴻三君紹介)(第三二一五号      )  三七一 同(深谷隆司君紹介)(第三二一六号      )  三七二 同(松浪健四郎君紹介)(第三二一七      号)  三七三 同(三沢淳君紹介)(第三二一八号)  三七四 同(森喜朗君紹介)(第三二一九号)  三七五 同(上田清司君紹介)(第三二七五号      )  三七六 同(奥田幹生君紹介)(第三二七六号      )  三七七 同(鹿野道彦君紹介)(第三二七七号      )  三七八 同(川崎二郎君紹介)(第三二七八号      )  三七九 同(坂本剛二君紹介)(第三二七九号      )  三八〇 同(田村憲久君紹介)(第三二八〇号      )  三八一 同(玉置一弥君紹介)(第三二八一号      )  三八二 同(玉沢徳一郎君紹介)(第三二八二      号)  三八三 同外八件(中尾栄一君紹介)(第三二      八三号)  三八四 同(中谷元君紹介)(第三二八四号)  三八五 同(鳩山邦夫君紹介)(第三二八五号      )  三八六 同(林義郎君紹介)(第三二八六号)  三八七 同(堀込征雄君紹介)(第三二八七号      )  三八八 同(村井仁君紹介)(第三二八八号)  三八九 同(森英介君紹介)(第三二八九号)  三九〇 同(森喜朗君紹介)(第三二九〇号)  三九一 同(森山眞弓君紹介)(第三二九一号      )  三九二 同(山本公一君紹介)(第三二九二号      )  三九三 同(相沢英之君紹介)(第三三一三号      )  三九四 同(遠藤武彦君紹介)(第三三一四号      )  三九五 同(鹿野道彦君紹介)(第三三一五号      )  三九六 同(北沢清功君紹介)(第三三一六号      )  三九七 同(今田保典君紹介)(第三三一七号      )  三九八 同(坂口力君紹介)(第三三一八号)  三九九 同(櫻内義雄君紹介)(第三三一九号      )  四〇〇 同(中野正志君紹介)(第三三二〇号      )  四〇一 同(浜田靖一君紹介)(第三三二一号      )  四〇二 同(村井仁君紹介)(第三三二二号)  四〇三 同(森喜朗君紹介)(第三三二三号)  四〇四 同(越智通雄君紹介)(第三三四九号      )  四〇五 同(田中和徳君紹介)(第三三五〇号      )  四〇六 同外二十二件(玉沢徳一郎君紹介)(      第三三五一号)  四〇七 同(野呂田芳成君紹介)(第三三五二      号)  四〇八 同(濱田健一君紹介)(第三三五三号      )  四〇九 同(浜田靖一君紹介)(第三三五四号      )  四一〇 同(林幹雄君紹介)(第三三五五号)  四一一 同(藤本孝雄君紹介)(第三三五六号      )  四一二 同(目片信君紹介)(第三三五七号)  四一三 同(森英介君紹介)(第三三五八号)  四一四 同(山本公一君紹介)(第三三五九号      )  四一五 同(岩國哲人君紹介)(第三三七九号      )  四一六 同(遠藤武彦君紹介)(第三三八〇号      )  四一七 同(尾身幸次君紹介)(第三三八一号      )  四一八 同(川端達夫君紹介)(第三三八二号      )  四一九 同(岸本光造君紹介)(第三三八三号      )  四二〇 同(小林多門君紹介)(第三三八四号      )  四二一 同(下地幹郎君紹介)(第三三八五号      )  四二二 同(関谷勝嗣君紹介)(第三三八六号      )  四二三 同(野田毅君紹介)(第三三八七号)  四二四 同(濱田健一君紹介)(第三三八八号      )  四二五 同(原口一博君紹介)(第三三八九号      )  四二六 同(松下忠洋君紹介)(第三三九〇号      )  四二七 同(村上誠一郎君紹介)(第三三九一      号)  四二八 同(大野功統君紹介)(第三四四六号      )  四二九 同(下地幹郎君紹介)(第三四四七号      )  四三〇 同(中山成彬君紹介)(第三四四八号      )  四三一 同(西田司君紹介)(第三四四九号)  四三二 同(野田実君紹介)(第三四五〇号)  四三三 同(原口一博君紹介)(第三四五一号      )  四三四 同(冬柴鐵三君紹介)(第三四五二号      )  四三五 同(相沢英之君紹介)(第三四七三号      )  四三六 同(越智伊平君紹介)(第三四七四号      )  四三七 同(大野功統君紹介)(第三四七五号      )  四三八 同(小林多門君紹介)(第三四七七号      )  四三九 同(櫻内義雄君紹介)(第三四七八号      )  四四〇 同(下地幹郎君紹介)(第三四七九号      )  四四一 同(谷垣禎一君紹介)(第三四八〇号      )  四四二 同(谷畑孝君紹介)(第三四八一号)  四四三 同(中野正志君紹介)(第三四八二号      )  四四四 同(谷津義男君紹介)(第三四八三号      )  四四五 同(山本幸三君紹介)(第三四八四号      )  四四六 大学教員への任期制導入法制化反対      に関する請願(肥田美代子君紹介)(      第三三四八号)  四四七 同(石井郁子君紹介)(第三四四四号      )  四四八 同(山原健二郎君紹介)(第三四四五      号)  四四九 同(石井郁子君紹介)(第三四七一号      )  四五〇 同(山原健二郎君紹介)(第三四七二      号)  四五一 スポーツ振興くじ導入反対、国民のた      めのスポーツ振興に関する請願(石井      郁子君紹介)(第三四五九号)  四五二 同(木島日出夫君紹介)(第三四六〇      号)  四五三 同(児玉健次君紹介)(第三四六一号      )  四五四 同(佐々木憲昭君紹介)(第三四六二      号)  四五五 同(東中光雄君紹介)(第三四六三号      )  四五六 同(不破哲三君紹介)(第三四六四号      )  四五七 同(藤田スミ君紹介)(第三四六五号      )  四五八 同(古堅実吉君紹介)(第三四六六号      )  四五九 同(正森成二君紹介)(第三四六七号      )  四六〇 同(松本善明君紹介)(第三四六八号      )  四六一 同(山原健二郎君紹介)(第三四六九      号)  四六二 同(吉井英勝君紹介)(第三四七〇号      )  四六三 同(春名直章君紹介)(第三四九六号      )  四六四 同(山原健二郎君紹介)(第三四九七      号)  四六五 地域のスポーツ環境整備充実のための      スポーツ振興くじ制度早期樹立に関      する請願(青山丘君紹介)(第三四九      八号)  四六六 同(石井紘基君紹介)(第三四九九号      )  四六七 同外一件(石田幸四郎君紹介)(第三      五〇〇号)  四六八 同(上田勇君紹介)(第三五〇一号)  四六九 同(臼井日出男君紹介)(第三五〇二      号)  四七〇 同(木部佳昭君紹介)(第三五〇三号      )  四七一 同(木村隆秀君紹介)(第三五〇四号      )  四七二 同(草川昭三君紹介)(第三五〇五号      )  四七三 同(桑原豊君紹介)(第三五〇六号)  四七四 同(小林守君紹介)(第三五〇七号)  四七五 同(五島正規君紹介)(第三五〇八号      )  四七六 同(山元勉君紹介)(第三五〇九号)  四七七 同(小澤潔君紹介)(第三五三三号)  四七八 同(江口一雄君紹介)(第三五三八号      )  四七九 同(小澤潔君紹介)(第三五三九号)  四八〇 同(海部俊樹君紹介)(第三五四〇号      )  四八一 同(旭道山和泰君紹介)(第三五四一      号)  四八二 同(五島正規君紹介)(第三五四二号      )  四八三 同(佐々木秀典君紹介)(第三五四三      号)  四八四 同(冨沢篤紘君紹介)(第三五四四号      )  四八五 同(中西啓介君紹介)(第三五四五号      )  四八六 同(福田康夫君紹介)(第三五四六号      )  四八七 同(衛藤晟一君紹介)(第三五九一号      )  四八八 同(小林多門君紹介)(第三五九二号      )  四八九 同(古賀誠君紹介)(第三五九三号)  四九〇 同(佐藤敬夫君紹介)(第三五九四号      )  四九一 同(西博義君紹介)(第三五九五号)  四九二 同(柳本卓治君紹介)(第三五九六号      )  四九三 同(赤松広隆君紹介)(第三六二九号      )  四九四 同(一川保夫君紹介)(第三六三〇号      )  四九五 同(瓦力君紹介)(第三六三一号)  四九六 同(桑原豊君紹介)(第三六三二号)  四九七 同(近藤昭一君紹介)(第三六三三号      )  四九八 同(坂本三十次君紹介)(第三六三四      号)  四九九 同外一件(田村憲久君紹介)(第三六      三五号)  五〇〇 同(中沢健次君紹介)(第三六三六号      )  五〇一 同(野田実君紹介)(第三六三七号)  五〇二 同(藤村修君紹介)(第三六三八号)  五〇三 同(二見伸明君紹介)(第三六三九号      )  五〇四 同(武藤嘉文君紹介)(第三六四〇号      )  五〇五 同外一件(村岡兼造君紹介)(第三六      四一号)  五〇六 同(森善朗君紹介)(第三六四二号)  五〇七 豊かな私学教育の実現のための私学助      成に関する請願(坂上富男君紹介)(      第四〇四八号)  五〇八 同(葉山峻君紹介)(第四〇四九号)  五〇九 同(山元勉君紹介)(第四〇五〇号)  五一〇 同(土井たか子君紹介)(第四一七四      号)  五一一 長野オリンピック冬季競技大会及び長      野パラリンピック冬季競技大会の支援      に関する請願(小坂憲次君紹介)(第      四一七二号)  五一二 同(羽田孜君紹介)(第四一七三号)  五一三 同(北沢清功君紹介)(第四三一〇号      )  五一四 同(小川元君紹介)(第四三七七号)  五一五 同(宮下創平君紹介)(第四三七八号      )  五一六 同(村井仁君紹介)(第四三七九号)  五一七 同(堀込征雄君紹介)(第四四六六号      )  五一八 大学院生の研究・生活条件の改善と大      学の充実に関する請願(石井郁子君紹      介)(第四四六五号)  五一九 学費値下げ大学予算増額私学助成      増額に関する請願(石井郁子君紹介)      (第四五一三号)  五二〇 同(山原健二郎君紹介)(第四五一四      号)  五二一 同(秋葉忠利君紹介)(第四五九九号      )  五二二 同(肥田美代子君紹介)(第四七二一      号)  五二三 豊かな私学教育の実現のための私学助      成に関する請願(横路孝弘君紹介)(      第四五一五号)  五二四 行き届いた教育、小中高三十人学級の      早期実現に関する請願(山原健二郎君      紹介)(第四七一〇号)  五二五 障害児教育の充実、教育予算大幅増、      三十人学級実現に関する請願(穀田恵      二君紹介)(第四七一一号)  五二六 私学助成大幅拡充、四十人以下学級      の早期実現教育費父母負担軽減に      関する請願(吉井英勝君紹介)(第四      七一二号)  五二七 高校三十人以下学級実現私学助成大      幅増、障害児教育の充実に関する請願      (寺前巖君紹介)(第四七一三号)  五二八 三十人学級の早期実現公費助成制度      の堅持など私学助成大幅増額に関す      る請願(金子満広君紹介)(第四七一      四号)  五二九 同(児玉健次君紹介)(第四七一五号      )  五三〇 同(瀬古由起子君紹介)(第四七一六      号)  五三一 同(古堅実吉君紹介)(第四七一七号      )  五三二 同(正森成二君紹介)(第四七一八号      )  五三三 同(松本善明君紹介)(第四七一九号      )  五三四 私学助成の増額、行き届いた教育実現      に関する請願(冬柴鐵三君紹介)(第      四七二〇号)      ————◇—————
  2. 二田孝治

    ○二田委員長 これより会議を開きます。  文教行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阪上善秀君。
  3. 阪上善秀

    阪上委員 自由民主党の阪上善秀です。  橋本総理の教育改革を受けて我が自由民主党は教育改革推進会議を設置し、そのもとに制度改革、内容改革、行財政改章の三つのワーキングチームをつくり、二十一世紀に向けて日本の国家社会の中での望ましい教育のあるべき姿について審議を続けておるところでございます。私も、教育内容改革ワーキングチームの一員として積極的に取り組んでおるところであります。教育改革は、ただ単に言葉の遊びに終わらせてはならないのであります。他の行政と違ってすぐに効果の出るものではなく、今日改革されたとしてもあらわれる効果は十年後、二十年後であり、まさに子供や孫のために改革しなければならないのであります。  今後の教育の指針となると思われる中央教育審議会の「審議のまとめ」がこのほど発表されました。これらを中心に具体的な問題を質問してまいりたいと思います。  初めに、今後の答申の予定と、具体的にいかに生かしていくのか、お伺いをいたします。さらに、その後のスケジュールをお考えならばあわせてお聞かせをいただきたいと思います。また、このようなものを国民に理解していただくためにどのような方法をお考えなのか、まずお伺いをいたします。
  4. 佐田玄一郎

    ○佐田政府委員 適切な御質問をいただきましたが、委員から今ありましたように、中央教育審議会は去る五月三十日に「審議のまとめ」を公表させていただきました。これは基本的には、大学、高等学校の入学者選抜の改善であるとか、中高一貫教育の問題であるとか、そしてまた教育上の例外措置、また高齢社会に対応する教育のあり方について提言をさせていただいたわけでございます。  現在、これに対する関係団体の意見の聴取をいろいろと行っているところであります。結果的には、六月の末に第二次の答申をまとめるべく精力的に議論もなされているところでございます。これらの提言を実行し、教育改革を推進していくためには国民の幅広い理解と協力が必要である、こういうことでございます。もちろん、この六月の末に答申が発表になるわけでありますけれども、答申が出次第、国公立大学小中高等学校、また地方自治体、教育関係団体等に対しまして周知徹底していくということでございます。  具体的に申し上げますと、わかりやすいパンフレットを作成して各学校のみならずPTAの皆さん方にも配付する、そしてまた各種の政府広報誌等を通じまして普及に努めるとともに、これは電気通信の関係でありますけれども、インターネット上の文部省のホームページに全文を掲載し広く周知徹底する、それとまたPTA、経済団体などに対して、教育改革フォーラムやさまざまな話し合いの場の設定などを通して答申の趣旨の徹底を図っていきたい、かように思っております。
  5. 阪上善秀

    阪上委員 この「審議のまとめ」の中で一番目に、「一人一人の能力・適性に応じた教育の在り方」として「「ゆとり」の中で「生きる力」をはぐくむ」ことを目指し、個性尊重を基本的な考え方とするとしておりますが、ゆとりとはいかなるものか、授業内容が画一化されている学校においていかなる方策をとろうとしているのか、また、生きる力と言うが、どのように子供たちに具体的に指導をしていかれるおつもりなのか、あわせてお伺いをいたします。
  6. 富岡賢治

    ○富岡政府委員 先生御指摘のように、中教審におきましては「「ゆとり」の中で「生きる力」をはぐくむ」という理念を打ち出しているわけでございます。具体的にゆとりという点でございますが、子供と社会全体のゆとりの確保が必要であるということを中心に置きまして、例えば、子供たちがさまざまな体験を重ねましたり、あるいは主体的、自発的に使える時間をできるだけ多く確保することとか、あるいは学校の教育内容を厳選いたしましてゆとりのある教育課程を編成したり、あるいは大人たちが子供たちと一緒に過ごして見守ることができるゆとりを持つこと、それから何よりも、社会全体がゆとりを確保するためには、横並び意識とか過度に年齢にとらわれました価値 観といったような意識を変えていくということが必要であるというようなことを具体的に提言しているわけでございます。  その具体的なゆとりの中で生きる力をどのように身につけるかということでございますが、幾つかの例でございますけれども、例えば学校教育では、今申しましたように、知識をひたすら教え込むという教育からみずから学び、みずから考える教育へ転換していくということのために教育内容を厳選する、あるいは個性を生かすための指導方法の改善とか、教育課程におきまして選択幅をできるだけ拡大していくようにしようとか、ボランティア活動とか自然体験活動などをふやしていこう、それからまた家庭教育につきましても、いろいろな意味での基礎でございますので、その充実地域社会におきまして社会体験とか自然体験などについていろいろな教育活動を活性化して行おうというようなことをさまざま提案しているわけでございます。
  7. 阪上善秀

    阪上委員 次に、伝統文化の尊重とございますが、国旗・国歌の徹底が言われて久しいのであります。これらを今さら指導すること自体が恥ずかしい事態であります。国旗・国歌を心とすることは国民として当然であると思います。しかし、現実は恥ずかしさの連続であります。  今春、大阪府高槻市の小学校において、卒業式の最中に、日の丸をおろさなければ卒業証書は渡さないという事件が起きました。その後、この学校、教育委員会、教師に対していかなる態度で臨まれましたのか、お伺いをいたします。
  8. 小林敬治

    ○小林(敬)政府委員 御指摘の事件につきましては、現在高槻市の教育委員会と大阪府の教育委員会におきまして事実関係の把握を行っているところでございます。私どもとしては、大阪府教育委員会に対しまして事実関係に応じた厳正な対処について指導しているところでございまして、当該教員の任命権者である大阪府教育委員会において適切な判断がなされるべきものと考えているところでございます。
  9. 阪上善秀

    阪上委員 次に、教師の資質がまさに教育の原点であると思います。  教科書問題が提起されておりますが、記述内容の教え方によっても事実は変わるのであります。教師の資質が問われており、現実社会を直視できない教師がいるように思えてなりません。このような時代にあっては、教師の意識改革もまた必要であり、文部省として教師の指導はいかに進んでいるのか、今後いかに具体的にそれらを実現していくおつもりなのか、お伺いをいたします。
  10. 小林敬治

    ○小林(敬)政府委員 子供たちに生きる力をはぐくむための教育改革を進めていくためには、学校教育の直接の担い手でございます教員の意識改革を進めて、その資質の向上を図ることが極めて大事であることは御指摘のとおりでございます。そのため、教員の養成、採用、研修の各段階を通じまして総合的に関連施策を推進することが必要であると考えておりまして、その観点から、さきの教育改革プログラムの中にも位置づけているところでございます。  まず、養成についてでございますが、現在、教育職員養成審議会におきまして、新たな時代の要請を踏まえた教員養成カリキュラムについて審議を進めていただいているところでございます。去る五月二十六日には特別委員会の「審議経過報告」がなされまして、使命感を持ち、現場の課題に適切に対応できる力量ある教員を養成する観点から、中学校段階の教育実習の期間の延長や、福祉ボランティア体験などを促進する授業科目の開設の奨励等が提言されたところであります。この審議会には、ことしの七月末をめどに結論をいただくことといたしておりまして、文部省ではこれを受けて適切に対応していく考え方でございます。  先般成立いたしました小学校及び中学校の教諭の普通免許状授与に係る教育職員免許法の特例等に関する法律も同様の趣旨に基づくものというふうに考えておりまして、その円滑な実施を図ってまいりたいと考えております。  また、採用についてでございますが、選考方法の多様化等によりまして、人物重視の採用を進めるよう各教育委員会を指導しているところでございます。  それから、研修についてでございますが、各都道府県教育委員会に初任者研修を初めとする現職研修の体系的整備を進めるよう指導、奨励しているところでございますが、特に、教員の社会的視野を広げる観点から、学校以外の実社会での体験をすることが重要であるというふうに考えておりまして、この認識に立って、長期にわたる社会福祉ボランティア体験、あるいは民間企業の体験等を行う長期社会体験研修について実践的な調査研究を進めているところでございます。  さらに、各教育委員会におきましても同様な体験的研修を取り入れるような傾向が昨今見られておりますので、さらに積極的な取り組みがなされるように指導してまいりたいと考えております。
  11. 阪上善秀

    阪上委員 次に、中高一貫教育を選択的に導入する、実施形態は、同一の設置者が中高校を併設、市町村立中学校と都道府県立高等学校とを連携するとございますが、導入するとその具体的なあり方については学校併設者の裁量としておりますが、いささか無責任ではないかと思います。方針を示せばよいというのではないと思いますが、文部省のお考えをお伺いいたします。     〔委員長退席、河村(建)委員長代理着席〕
  12. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 中高一貫教育でございますけれども、ただいま先生から御指摘がございましたように、「審議のまとめ」では三つの形態を提言してございます。一つは、同一の設置者が中学校、高校を併設する形態、二つ目は、一つの六年制の学校として設置、運営する形態、三つ目は、市町村立の中学校と都道府県立の学校を連携させる、この三つが提言されてございますが、この趣旨は、いずれも子供の選択の幅を広げる、こういう視点に立ちまして、子供たちあるいは保護者の意向を踏まえまして、設置者である地方公共団体等が主体的に判断することが適当である、こういうような考え方が示されております。そして、国に対しましては、こうしたさまざまな形態、いずれの形態につきましても設置者等が設置しようと思えば設置できるようなそういう制度の改正について国は的確に対応すべし、こういうような提言になっているわけでございます。  したがいまして、これらの趣旨を踏まえまして今後どのように国としてかかわるかということを検討してまいりますけれども、基本的には、この中高一貫教育の導入は、あくまで子供あるいは保護者たちのニーズ、それから地域の実情を一番把握しております地方公共団体等の判断というものが最も尊重されるべきものではないかなというふうに思っております。したがって、国が例えば一定の整備目標を示すというようなことになりますと、ただいま申し上げましたような、それぞれの地域地域の特性等に応じました中高一貫教育ということができにくくなるというふうにも思いますので一律な国の考え方を示すのはいかがかなというふうに思っておりますが、いずれにしろ、中教審答申の趣旨を踏まえまして、この中高一貫教育が円滑に導入されますように、これから私どもとしても十分検討してまいりたいというふうに思っております。
  13. 阪上善秀

    阪上委員 次に、阪神大震災のつめ跡は現在も残っております。日本海沿岸の重油流出事故のときも、その後関係者には後遺症が残っておるのであります。これらの際、ボランティアという言葉が大きくクローズアップされました。また、全国各地、あらゆる階層でボランティアは定着してきておると思います。  また、田中眞紀子先生を中心にこのたび教員免許特例法が制定されたところでございますが、その精神は生かされたものと私は確信いたしております。しかし、まだまだ日本ではボランティア精神は定着していないのではないかとも考えられます。国民性かもしれませんが、話題のあるときだけは飛びつきますが、しかし、ボランティアというものは、人知れず、地道に、対価を求めずの精神が必要であると私は考えております。  ボランティアの精神を子供たちにどのように植えつけるのか、学校教育の中で取り入れられるお考えはないものか、諸外国での学校教育の中でのボランティアに対する指導とあわせて今後の方針をお聞かせ願いたいと思います。
  14. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 ボランティアの大切さは私どもも十分理解をしているつもりでございます。豊かな心とかあるいはたくましく生きる人間の育成ということが大変重要な課題になっておりますときに、他人を思いやる心あるいは感謝の心、公共のために尽くす心、こういったものを育てることは学校の内外を問わず教育の大変重要な課題だというふうに思っております。  特に、昨今のいわゆる都市化の進行の中で生活体験といったものが希薄化している児童生徒にとりまして、体験を通して勤労のとうとさを認識する、あるいは社会に奉仕する精神を培うということは大変重要なことだというふうに思っております。  現在でも学校教育の中では、特別活動とかあるいは道徳というような領域がございますけれども、そういう時間を使いまして、小、中、高を通してボランティア活動は行われてはおります。各学校あるいは地域のそれぞれのやり方でございますけれども、例えば老人ホーム等の福祉施設を訪問する、あるいは美化活動に参加するというような形でさまざまに行われているわけでございますけれども、まだ不十分であるというような御指摘もあるわけでございまして、先生からも今御指摘いただいたわけでございます。  そこで、この一月に発表されました教育改革プログラムにおきましても、このボランティア教育のあり方についてさらに真剣に検討するようにというような提示がなされておるところでございまして、現在、教育課程審議会におきまして学校教育の活動全体につきましてどうあるべきかの議論が行われておりますので、その中でも、こうしたボランティアのあり方といったものにつきましても御検討を願い、その検討結果を踏まえましてさらに充実法を考えてまいりたいと思っております。  それから、諸外国の例でございますけれども、多くのことを私ども承知しているわけではございません。私どもが承知し得た関係について御紹介させていただきたいと思いますが、まず一つはアメリカでございますけれども、ここでは、従来より教会とかあるいは地域の公共団体が中心となって、青少年によるさまざまなボランティア活動が盛んに行われているというふうに伺っております。しかし最近では、そうした学校外の活動だけではなくて、多くの学校こうしたボランティア活動を取り入れて、障害者、高齢者の介護とかあるいは就学前の子供の世話とかといったような福祉活動あるいは美化運動などの環境保護運動といったものに参加をするという形で学校においても取り組んでいるというふうに伺っております。  それから、イギリスにおきましては、従来より民間の団体によりますボランティア活動が大変盛んであるというふうに伺っておるわけでございますが、最近では、やはりここも生涯学習というような視点から、学校におきましてもカリキュラムの中に取り入れている例があるというふうに伺っております。  それからもう一国、フランスでございますけれども、ここでは赤十字社とか慈善団体あるいは教会といったところが主に行っておりまして、学校教育の中でボランティアを取り上げるという状況にはなっていないというように伺っております。
  15. 阪上善秀

    阪上委員 財政構造改革の中では聖域なしとされております。文教行政もその削減に努力しなければなりませんが、その中で、柱になった教職員配置改善計画の今後のスケジュールについて、また、私学への助成をどう考えておられるのか、詳しく御答弁をお願いいたします。
  16. 小林敬治

    ○小林(敬)政府委員 教職員配置改善計画に係る部分についてお答えを申し上げます。  平成五年度から十年度までの六カ計画で推進をしてまいりました第六次の義務教育教職員配置改善計画、それともう一つ第五次の高等学校教職員配置改善計画につきましては、平成九年度まで毎年度計画的に改善を図ってきておりまして、余すところあと一年というところになっておりましたことは先生御承知のとおりだと思います。ところが、さきの財政構造改革会議の結論を踏まえ、平成十年度までの計画期間を二年間延長することについて政府において閣議決定がなされたわけであります。  文部省といたしましては、この閣議決定を踏まえまして、財政状況が極めて厳しい中ではございますが、平成十年から十二年度の今後三年間で改善計画を実現する方向で取り組んでまいりたいと思っております。  なお、この閣議決定の中になお書きがございます。なお書きといいますのは、「退職者を上回る定数減が生じる都道府県については、適切な調整措置を講ずることとする。」という文言でございます。確かに平成十一年になりますとこうした県が数県出てくることが予想されておりますので、必要に応じ各県からヒアリングなどをいたしましてそうした事情も的確に把握をした上で、今後の三年間の適切な定数の配分というものを検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  17. 雨宮忠

    ○雨宮政府委員 先生がお尋ねのうちの私学助成の部分につきましてお答え申し上げたいと思います。  六月三日の閣議決定の「財政構造改革の推進について」という中におきまして、ただいまの教職員定数改善計画と並びまして私学助成についても言及されておるわけでございます。文章を申しますと、「経常費助成を対前年度同額以下に抑制するなどにより、助成総額を厳しく抑制するとともに、特色ある教育研究プロジェクトへの助成の重点化など配分方法の見直しを行う。」という旨の表現になっておるわけでございまして、大変厳しい内容になっておるわけでございます。  先生御指摘のように、私立学校が我が国の学校教育において果たす役割というのは大変重要なものがあるわけでございまして、高等教育に限って申しましても、学校数それから在学者数におきましてもそれぞれ七割強を占めておるという位置づけになっておるわけでございます。そのような役割の重要性にかんがみまして、従来から私立学校振興助成法の趣旨に沿って私学の振興を図ってきたわけでございまして、先生方からもかねてから御支援をいただいておったわけでございます。  ただ、こういう国の厳しい財政状況のもとでございますし、またこういう閣議決定のもとでもございますものですから、私どもといたしましては、社会的な要請の強い特色ある教育研究プロジェクトへの助成を重視するなど、できるだけ効率的な私学助成の推進ということに心がけてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  18. 阪上善秀

    阪上委員 特に私学助成につきましては、今までの私学の果たしてきた役割、今後の果たすべき役割等を考えて、我々自由民主党議員団も文部省と二人三脚で頑張っていきたいと思っておりますので、なお一層の奮闘をお願いいたして、私の質問を終わります。
  19. 河村建夫

    河村(建)委員長代理 原口一博君。
  20. 原口一博

    原口委員 新進党の原口一博でございます。  教育については党派性はないというふうに思います。未来を担う子供たちをいかに健やかに育てていくか、こういう観点から、私は特に子供たちの心の問題に焦点を絞ってきょうは質問をしていきたいというふうに思います。  今、大変な競争時代の幕あけに私たちはおります。二〇一〇年には世界の空を八億人の人たちが飛ぶ。そして、私たちの子供たちがさらされるのはアイデンティティーの危機。一体私たちは何者なのか、そういう危機の問題であるというふうに思います。また、私は逓信の委員でもありますが、NTT三法が通って、十兆円を超す資産を持つNTTがいよいよ世界の競争市場に出ていく。そして、金融ビッグバン、千二百兆円を超える個人資産、これが自由化をされる。そういう競争の中に おいて子供たちにどういう心の変化が起こっているのか。  私は、専門の心理学で子供たちの心をずっと見てまいりました。子供たちの心を見る中で、学校に行って学ぶ喜びを知る前に、学ぶ大変さを子供たちが知ってしまっている。学校に行って友達と連帯する喜びを知る前に、同じ友達にいじめられる怖さを知ってしまっている。この現状を私たちは党派を超えて認識して、これに対する対策を練っていく、このことこそが私たちに課せられた役目であるというふうに思います。  まず文部省にお尋ねしたいのですが、子供の心の問題について今どのような認識をお持ちなのか、基本的な御認識をお尋ねしたいというふうに思います。
  21. 佐田玄一郎

    ○佐田政府委員 今委員の言われたように大変な問題になっているわけでありまして、いじめ、登校拒否、そして保健室登校の増加など、児童生徒の心の健康問題は多種多様化しており、心の健康に配慮した学校保健活動や教育相談活動を推進することが求められているところでございます。今委員が言われたことは我々も大変重要なことだと思っておりまして、今、養護教諭や学級担任など、そしてまた学校医やスクールカウンセラーが協力しまして、何としてでもこのカウンセリングが円滑に進むように努力をさせていただいております。  文部省では、今、養護教諭が児童生徒の心の健康問題に適切に対応できるよう研修の充実を図るとともに、スクールカウンセラー活用調査研究委託事業によりまして、カウンセラーとして臨床心理士、精神科医を含めた専門家の積極的な活用を図っているところでありまして、わけても前回の予算におきましてもスクールカウンセラーの予算は倍増いたしまして、何としてでも、この大変なことに対しまして、未来を担っていくお子さん方への対応をしっかりとやっていきたい、かように思っております。
  22. 原口一博

    原口委員 政務次官から前向きの御答弁をいただきまして、ありがとうございます。  実態をもう少し掘り下げてお話をしていくと、一つは、抑うつの問題があるんだろうというふうに思います。  これは、カリキュラムが大変多い。例えば、皆さんに丸を、ドットをぽっと見せて、人間が一遍に認識できるドットの数、丸の数というのは七つだそうです。ですから、電話番号も七けたでありますし、交通標識も七つ以上の標識があった場合はそれを人間は認識することができない。  ですから、私たちは、もっともっと人間工学に基づいて教育のカリキュラムの内容を——先ほど自由民主党の委員の御質問に対してカリキュラムについても精査するというお答えがありましたが、今のたくさんのカリキュラムが子供たちに学ぶ余裕を失わせてしまっている。  ここにある調査があります。生活状況と学校生活の調査でありますが、ふだんの学校の授業中楽しい気分でいることが多いですかという設問に対して、大体そうだと答えた人は半分いかないのですね。そして、余りそうではない、全然そうではないという答えが四五%以上に達している。これは一体どこに問題があるんだろうか。  私たちはさまざまなカウンセリングを頼まれます。その中で、頑張りなさいという言葉を子供たちがたくさん言われ続けてきている。問題を起こす子供たちは学校についていけない。そして、親からも先生からもまた頑張れと言われて、自分自身も頑張らなきゃいけない、思い切り自分の糸を張り詰めている。そして、また頑張りなさいと言われてその糸が切れてしまう。こういう状況をたくさん目にいたしました。ぜひ構造の改革を今こそやらなければいけない。この抑うつ、何かしなければいけないというもう強迫のようなこの観念自体を文部省としては取り除かなければいけない。  先生たちも疲れている。この間、自社さの構造改革の中で先生の定員については言及がありましたけれども、先生は、一般の働く皆さんよりも二十五分眠る時間が少ないという報告もあります。  子供も先生も両方とも疲れてしまう。このことは一体どこに原因があるのか。それは、先ほどの質問の中にもありましたが、戦後の詰め込み教育、こういったことを根本から洗い直すそういう時期に来ているんではないかというふうに思いますが、基本的な御認識をお伺いしたいというふうに思います。
  23. 富岡賢治

    ○富岡政府委員 先生の御指摘、大変重要な点だと私どもも認識しております。文部省におきましては、現在、中央教育審議会等の審議を踏まえまして、教育内容とか制度の見直しにつきまして改善を進めているわけでございます。  例えば、御指摘の学校教育の内容につきましては、中央教育審議会の第一次答申を踏まえまして、教育内容の厳選と、みずから学び、みずから考える教育への転換と、とかく知識を教え込むことになりがちでございました教育をそのような方向へ転換するということを目指しているわけでございます。  それから、現在、審議は最終段階でございますけれども、例えば高等学校の入学者選抜につきましても、いろいろな意味で子供に小さいころからいろいろ大きな影響を与えているわけでございますので、特に入学者選抜の方法、尺度の多様化を進めまして、ペーパーテストだけではなくて、いろいろな文化、スポーツ活動とかさまざまなボランティア活動などの経験とか活動を大事にしていくというようなことも現在審議を進めておりますし、近く提案をいただくことになっております。  さらに、子供たちにも選択のいろいろな幅を拡大するということが大事でございますので、特に、子供たちがゆとりある学校生活の中でじっくり学ぶというようなことをより可能にしていくために、例えば中高一貫教育の選択的な導入というようなことも提言させていただくことになろうかと思います。  そういうことにつきましての提言をいただきましたら、最終的に六月の末に答申という形を想定しているわけでございますけれども、文部省としましては、これらの点を積極的に対処してまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  24. 原口一博

    原口委員 政務次官にもお尋ねしたいんですが、こういう心理学の実験があります。一〇%できているパズル、半分できているパズル、九割方できているパズル、どれでもいいから選んでごらんと小学校一年生の子供に選んでもらいます。それで、伸びる子供というのはどういう子供かというと、九割のパズルを選ぶ子供ではありません。一割、ほとんどできていないパズルを、自分の力で、そして自分の頭で考えてやっていこうという子供が伸びます。これを、私たち心理学の言葉でコンビテンス、知的潜在能力というふうに言うんですが、今までのキャッチアップ型の教育は九割のパズルを子供に与えてしまっている、もう受け入れられないような情報量をたくさん授けてしまっている。ですから、私たちは、今のカリキュラムの三分の一でもいいと思うし、教育指導要領やあるいはさまざまなもので練る、そういったことも必要ないんではないかというふうに思うんでございますが、政務次官の基本的なお考え方をお尋ねしたいというふうに思います。
  25. 佐田玄一郎

    ○佐田政府委員 今委員の言われたことは確かなことであろうかと思っております。  これから未来を担うお子さん方が本当にやる気を持ってそして挑戦していけるようなそういうふうな精神を培っていく、非常に私は大事なことじゃないか、かように思っております。  実は、私、文部省に入りまして一番最初に中央教育審議会で申し上げたことがあるんです。それはどういうことかと申し上げますと、審議会は、基本的にはこれはもう本当に一般の皆さん方の御意見を聞く、こういうことに基本的になっておるわけでありまして、今委員が言われたように、本当に未来を担うお子さん方が大変我々に救いを求めている、そういうことを考えるならば、命がけで真剣に委員の皆さん方も議論をしていただきた い、こういうふうに申し上げたわけでございます。  この答申にのっとりまして、我々も、これからも本当に未来のお子さん方の育成のために努力をしていきたい、かように思っております。
  26. 原口一博

    原口委員 ありがとうございます。  さらに私が今大変懸念を持っている問題は、情報通信の発達によって、サイバー上のバーチャルルリアリティーと申しますか、仮想空間が大変な大きな広がりを持ってきている。そして、シミュレーションシンドロームと言ってもいいかもわかりません、バーチャルリアリティーとそして現実との区別がつかなくなっている、こういう子供たちがふえてきている。いわゆるゲーム機器の発達、この中には、大変な暴力シーンやあるいはさまざまな性に結びつくようなシーンもたくさんあります。そういう中に子供たちが引きこもり、そして隣の友人とのきずながなくなり、個々が孤立化することによってそのバーチャル空間との結びつきがもっともっと深くなってくる、そして、あたかもこの現実が本当にあるかのようなそういう錯覚をしてくる。あのオウムの忌まわしい事件も、私たちが小さいころよくテレビで目にしていた怪人もののそれを全くそのままこの社会で行う。あるいは、今、神戸の須磨で恐ろしい事件が起こっていますが、犯罪が劇場化している。そして、テレビからのフィードバックをまた楽しむかのような犯行声明を送ってくる。  こういう中で、私たちは、このシミュレーションシンドロームが子供たちの心にどういう影響を与えているのか、文部省はどのようにおつかみなのか、あるいは、この実態調査をこれからもっともっと進めていただきたいというふうに思うわけでございますが、このことについて、今現在でお知りの範囲で結構でございますから、どのように検討されているのか、お尋ねをしたいというふうに思います。
  27. 佐田玄一郎

    ○佐田政府委員 委員の言われることは確かなことでありまして、私も非常に常日ごろ危惧を感じているところでございます。  今、マルチメディアということで、各種多様なメディアによっていろいろな情報が交差しておるわけであります。非常にインタラクティブな世の中になりつつある。委員もよく御存じのとおり、二〇一五年にはもうすべて光ファイバーでつながりまして、大きく言うならば、もう世界じゅうがその光ファイバーによってつながっていく。そしてまた国内においては、基本的には、要するにこの電気通信を通じて、地域間格差であるとか、そしてまた多極分散に従いまして、文化、スポーツ、医療、あらゆることにつきまして相互通信を重ねることによって格差をなくしていく。これは非常に性善説に立った考え方でありますけれども、逆に言うと、今委員の言われたような大変悪意に使われる可能性もこれはあるわけでございます。  そういう意味におきまして、文部省といたしましても、文化であるとか教育の部分につきましてしっかりとした監視システムをつくっていかなくちゃいけない、こういうふうにも思っておるわけでございます。  細かいことにつきまして、また役所の方からも報告さしていただきます。よろしくお願いします。
  28. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 いわゆる情報化の進展というものに対しまして小学校、中学校、高等学校の段階からどのように子供たち教育をするかというのは、一つの大変重要な課題になっております。  今先生から、いわゆる仮想空間、仮想体験と実体験の混交ということの御指摘があったわけでございますけれども、一方で、今後の社会の変化を展望するときに情報化というこの大きな変化は避けがたい、したがって、小学校、中学校、高等学校を通して、いわゆるコンピューターになれさせる、あるいはコンピューターの基礎的な知識を身につけさせる、あるいはこれを応用する力を培う、こういうことも一方で必ず必要になってくるであろうということを考えながら、一方で、そのことによるいわゆる影の部分、これに対してどう対応するかということが大変大きな課題になってございます。  ただいまのような問題意識を持ちまして、私どもも、教育課程審議会の中でも、この情報化に対応してカリキュラムはどうあるべきか、あるいは指導方法はどうあるべきか、特に実体験をもっとふやす必要があるであろう、あるいは、教え込む内容は少なくしても、子供たちがみずから考え、判断し、行動するといった力を培うということが必要なのではないか。さまざまに議論がなされているところでございますけれども、そういった教育課程審議会の議論、それからいろいろな研究指定校等がございますが、そういったところでのさまざまな調査研究の成果というようなものも私ども持ち寄りまして、先生の御指摘、大変いわば深刻な問題だという認識を持ちまして、今後十分対応に遺憾なきを期していきたいというふうに思っております。
  29. 原口一博

    原口委員 ぜひ実態の調査をやっていただきたい。  そして、この八月には、人権侵害の委員会、マスコミが、メディアの方が、NHKさんと民放さん、自分たちで人権侵害の救済機関をつくっていこう、苦情機関をつくっていこうということも行われています。しかしこれは、一部のゲームソフトやインターネット上ではんらんしているようなものについては何ら制限を加えることはできない。私たちは有害図書を追放するという運動をやってきましたけれども、しかし、もうそこの手に負えない部分がどんどん広がってしまっている。  一方で、子供たちにその耐性、それに耐える力をつくらなければいけない。しかし、実態がどのようになっているのかということを文部省さんにもお尋ねしますが、なかなか現実に実態が追いついていないというのが現状だというふうに思います。ぜひ、子供たちの心にどういう影が忍び寄っているか、しっかりとした調査をやっていただきたい。  今日本の国では、百人に一人が心の病を持ち、十人に一人が何らかの心の不安を持っている。最もセンシティブに反応をしているのは子供たちだというふうに思います。自分たちのアイデンティティーを確立することができないために、自分は一体何者かということを知るために自分より弱い人間をいじめる、これは最も安直な自己同一、自分のアイデンティティーを確立するための手段であります。いじめが今のような陰湿化する中で、ぜひこの調査をお願いしたいと思うのですが、政務次官、いかがでしょうか。
  30. 佐田玄一郎

    ○佐田政府委員 委員の言われたこと、非常に重要なことであろう、かように思っております。  先ほど民放であるとか、そしてまたNHKの問題を出されましたけれども、これはいろいろ民放連の方でも随分議論をして、そしてまた放送におけるそういう暴力の問題であるとか人権侵害の問題、これも今委員御指摘のとおりでありまして、民放連のみならず、やはり自浄作用を高めるという意味においてはNHKも中心になってやっていかなくちゃいけない。文部省の方といたしましても、これは非常に重要、ゆゆしきこの問題でありますから、実態がどういうふうになっているのか、今後とも注視していきたい、かように思っております。
  31. 原口一博

    原口委員 ぜひこの問題については、また私たちも後でさらに政府に対してどうなりましたかというお尋ねをしたいと思います。  さて、残すところあとわずかでございますので、論点を変えて、これだけ心の問題が、二十一世紀に私たちが克服すべき問題が幾つかある。それは、民族や宗教、国家というものを超えた意識をつくる、その前に、日本の国は一体何なのか、日本人というのは何なのかという日本のアイデンティティーをつくる。今まで東西冷戦がございましたから、一回中央にお金を集めて、そしてそれを分配する、私たち自由主義陣営はそれでもって日本の均衡ある国土の発展をやってきたわけでありますが、それがもうデッドロックに差しかかっている。もうそういうやり方が今までどおりいかなくなっている。  その中で、私はぜひ文部省にここで強く要請をしておかなければいけないのは、脳と心の科学の問題、この問題についてはどのような研究を今されているか。  大変大事な問題でありますが、例えば今私がお話をしたような心の、異常心理の問題について、医学部でやられていたり、あるいは教育心理でやられていたり、また基礎的な心理学については文学部でやられていたり、あるいは情報工学となれば工学部でやってしまっている。ですから、これだけ心の問題が深刻になり、そして大変重要な課題を呈しているにもかかわらず、学際的な取り組みというのが我が国においては行われていない。そのことについて大変大きな危機感を私は持っておるわけでございますが、文部省としてどのような御認識をお持ちなのか、お尋ねをしたいというふうに思います。
  32. 雨宮忠

    ○雨宮政府委員 現代社会に生きております大人あるいは子供の心の問題あるいは心のケアの問題につきましては、大変幅広い問題を含んでおるというように思っておるわけでございますけれども、この分野といたしましては、今先生御指摘のように、心理学等の分野が最も関連の深い分野ではなかろうかというように考えておるわけでございます。したがいまして、この分野の教育研究充実する、それからこの分野の専門家を養成するということが大変重要な課題になっておるというように思うわけでございますが、実態はということについてのお尋ねでございます。  主として、今先生も御指摘になられましたけれども、教育学部とかあるいは文学部に置かれる心理学科を中心に進められてきておるわけでございますが、最近の傾向といたしましては、人間学部でありますとかあるいは社会福祉学部等の新設の学際的な学部におきましても、福祉心理学科等の心理学関係の学科を設置する例も見られてきておるわけでございます。これらを含めまして、平成八年現在の数字でございますが、全体としまして、三十八大学四十学部四十二学科等に心理学科とかあるいは教育心理学科等が設置されておるところでございます。これらの学科におきましては、教育心理学、発達心理学、社会心理学等の幅広い心理学関係の授業科目を開設することによりまして、多角的な教育を行っているというように承知しておるところでございます。  今申しましたのは学部レベルでございますけれども、特に専門家の養成ということになってまいりますと、やはり大学院レベルということにもなってまいります。学部段階におきます学習を基礎としまして、大学院段階におきまして、近年、心理学関係の研究科の整備充実も進められてきておるところでございまして、やはり平成八年の数字でございますけれども、全体としまして、三十九大学四十四研究科四十六専攻に心理学研究科、教育研究科等が設置されているところでございます。  先生の御指摘の分野というのは大変幅広いところでございますので、多分一つの学科だけですべて賄うというような性格のものではなくて、いろいろな角度からこの問題を掘り下げていくという必要があるかと思うわけでございますが、いずれにいたしましても、それぞれの大学の主体的な判断のもとでこのような問題についての教育研究充実されますように、私どもとしても今後適切に配慮してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  33. 原口一博

    原口委員 例えば今医療改革の問題が一方で議論をされていますが、精神神経疾患に要する医療費というのは全体のどれくらいの医療費になるのかというと、一八・七%。これは平成五年度でありますが、一八・七%も占めている。そして、私たちは、なかなか心の病というのはだれに相談しようもない。ですから、ここまでひどくならなくても済んだのにというような人たちが、いよいよにっちもさっちもいかなくなって病院に駆け込む。そのことは、ひいては私たちの医療費を圧迫している、私たちの税金にはね返ってくる、こういう状況があるというふうに思います。  今心理学科がどこにあるかというのをるる述べていただきました。私が申し上げたいのは、それを学際的に研究する拠点というものがないということなのです。心理学部というものがあってもいいし、あるいは脳科学の面あるいは心理学の面、社会科学の面あるいは情報工学の面、そういう面を統合した研究の拠点を誘導しておつくりになるお気持ちはないのかということをお尋ねをしておるわけでございますが、政務次官の前向きの御答弁をお願いしたいというふうに思います。
  34. 佐田玄一郎

    ○佐田政府委員 委員が今言われたことは、全体的にはそのような方向で進んでおろうかと思います。今社会も非常に多種多様化しまして、各学部であるとか、今脳と心の要するに連携のお話がございましたけれども、例えばそういうことになりますと、今委員が言われたとおり、医学部であるとか理学部であるとか、そしてまた大きく言うならば工学部、農学部、あらゆる学部が基本的には一致していくわけでありまして、今の高等教育におきましても、基本的にはそういう方向に向いておるわけであります。  ただ、目的的な研究ではありませんで、これは本当に基本的な、基礎的な研究でもあるわけであります。そういうことを考えますと、大きな意味で、これからも大きな検討課題として、委員の言われたような方向も検討の価値はあるのではないか、かように感じておるわけでございます。
  35. 原口一博

    原口委員 検討の価値はあるとお認めいただいてありがとうございます。  私たちは、今ここに「脳の科学とこころの問題特別委員会報告」、平成七年の十月二十六日、日本学術会議、委員長は大熊輝雄さん、国立精神・神経センターの名誉総長でありますが、この方が委員長になってまとめられたレポートを手元にいただいています。  その中でも、やはり文部省研究の中でもぜひここに力を入れて、重点的な、さまざまな医療の問題もあるいは学校教育の問題も、そのもととなる心の研究というものが総合的にやられないとこれは前に進んでいかないんだ、子供たちに不必要なさまざまな情報を与えてしまっていたり、今までどおりのキャッチアップ型の教育をやっている、そのことを根本から改めるためにも基礎的な研究の必要性というのを、ずっと数ページにわたって書かれています。  ぜひ、検討の必要があるということをお認めいただいて、これを一歩先に進めて、検討機関をつくってやりますよ、心理学部というようなもの、学際的な、今はそれこそ日本の中においてはこの国立精神・神経センターというのは唯一の学際的な機関だというふうに言ってもいいかもわかりませんが、そういったものをつくるんだということを、もう一歩先に答弁を進めていただきたいというふうに思うのですが、いかがでしょう。
  36. 佐田玄一郎

    ○佐田政府委員 委員の言われることは確かにごもっともなことでございまして、法律的な問題そしてまた予算措置の問題もございますので、ただ、ぜひ御理解をいただきたいのは、先ほど私が申し上げたとおり、委員の言われたお子さん方に対するいろいろな心理的な問題であるとか多面的な研究、これは、本当に私は基礎研究によらなくては実現しないことであろう、かように思っております。  と同時に、はっきり申し上げまして、大学等で、非常に若い方々がたくさんいらっしゃるところで、やわらかい頭で、そして本当にお子様の気持ちになって考えられるような頭脳が集結をして基礎研究を続けなければ、なかなか難しいことではないか。  私は、そういう意味におきましては、文部省といたしましても、心理学のみならずあらゆる基礎研究につきましても本当に委員の言われたような形で集結をして、例えば各学部だけではなくて、もう集結して、それに関係するような方々が集まって共同研究機関のような形で進めていくのが本筋じゃないか。検討に値するというのはそういう意味で申し上げたわけでございます。
  37. 原口一博

    原口委員 一歩先に進めた御答弁をいただきま して、本当にありがとうございます。  もう質問を終えさせていただきますが、私たちは一体だれのために教育をやっているのか、そして何のために教育をやっているのか。ぜひ、子供たちが学ぶ喜びを学校の中で本気で感じられるような——だんだん教育を受けるたびに顔がゆがんでくる、しかめっ面なお顔になる。教育を受けられるというのは私たちにとっては大変大きな喜びであるはずなのに、それがなぜ我が高等教育の中では、中学校、高校大学と進むにつれて反対になってくるのか。  これは私たちが真剣に取り組んでいかなければいけない課題であるということを御指摘させていただいて、きょうは本当に前向きの御答弁ありがとうございました、私の質問にかえたいと思います、ありがとうございました。
  38. 河村建夫

    河村(建)委員長代理 次に、石垣一夫君。
  39. 石垣一夫

    石垣委員 新進党の石垣一夫でございます。  質問の機会をいただきましたので若干御質問申し上げたいと思うのですけれども、特に文部省所管の公益法人のあり方について、三つの問題についてお伺いをしたいと思います。  今日、行政改革は政治テーマの最大の課題であります。関連する特殊法人、公益法人の統廃合問題は極めて重要な問題であります。こういう立場からきょうは御質問したいと思うのですけれども、幽霊法人、休眠法人の整理改善に関する問題であります。  現在、全省庁の休眠法人は十二法人、幽霊法人は千八百六十法人と言われております。そのうち文部省所管の休眠法人は四法人、幽霊法人は、このたび文部省所管と思われる法人が総理府から百二十九法人を再調査する意味で割り振られた、このように聞いておりますけれども、そもそもなぜこういう事態が起きておるのか、理解に苦しむところであります。この百二十九法人の全部が最終的に文部省の所管ではないという結果になったとしても、本来、文部省がもともとこれを許可した、こういう経緯があるわけであります。  今日まで長い間未掌握だったということについては、これは行政の怠慢だと言われても仕方ないと思うのですけれども、この現状をどう認識しておりますか。     〔河村(建)委員長代理退席、稲葉委員長     代理着席〕
  40. 佐藤禎一

    佐藤(禎)政府委員 休眠法人といわゆる幽霊法人、その両者についての御質問でございますので、分けまして御報告をさせていただきたいと存じております。  まず休眠法人でございますが、これにつきましては、昭和六十年に、政府全体を通じまして休眠法人の認定を行い、かつ、これをできるだけ早く整理をすべきだという方針をとったところでありまして、当時認定をされました百三十六の休眠法人のうち、百三十四法人につきましては既に整理をいたしてございます。残る二法人につきましても、関係者等と連絡をとりまして、できる限り早く整理をさせていただきたいと考えでございます。  なお、平成七年にもう一度見直しを行いまして、近い将来休眠法人になるということが予想されるものというもののリストアップをいたしまして、これは十一法人ございましたが、これは既に全部整理し終わっているという状況にあるわけでございます。  一方、所管がはっきりいたしませんいわゆる幽霊法人でございますが、これは、ただいま委員からお話がございましたように全省庁で千八百六十法人ございまして、文部省につきましては、そのうちの百二十九が文部省と推定をされるということで割り振られてございます。  これにつきましては、私どもこれらの法人につきまして鋭意実態の調査を行っております。その中では、既に解散が確認をされたものが四法人ございますし、それから逆に、登記簿上は古い登記が残っておりますが現に活動しているということが確認をされたものも四法人ございます。  ただ、これ以外のものについてはなかなか実態がはっきりいたしませんので、理事等の確認ができるものはできるだけその確認を急いで連絡をとる、それから、そういった連絡がとれないものにつきましては、先般官報告示を行いまして、この官報の手続に従って一定の期間内に理事等の証明を求めるというような手続に入っているという現状でございます。
  41. 石垣一夫

    石垣委員 今、答弁で、百二十九のうち四が一応実態をきちっとつかんだ、こういうことなのですけれども、今日までこの百二十九法人について現実に幽霊法人と総務庁が指摘されるというこの現実、これはやはり行政の怠慢ではないですか。
  42. 佐藤禎一

    佐藤(禎)政府委員 いわゆる幽霊法人と言われているものの実態にはいろいろありますけれども、いずれにいたしましても、恐らく大部分は、終戦直後のいろいろな混乱の中で、登記はされておりますけれども、それぞれどの省庁が所管をしているかということが明確にならなかった、そういう法人が出てきてしまったということだろうと思っております。したがいまして、私どもも、主務官庁という形での明確な整理はございませんので、これまでこれらの法人について御指導を申し上げたことがなかったわけでございますが、今回、全省通じてこのいわゆる幽霊法人についての整理を進めていくという方針を受けまして、鋭意実態調査を進めさせていただきたい、このように考えております。
  43. 石垣一夫

    石垣委員 では、今まで所管が不明だったのでこういう事態になったのだ、こういうお答えなんですけれども、そうなんですか。
  44. 佐藤禎一

    佐藤(禎)政府委員 私どもが理解をいたしておりますいわゆる幽霊法人につきましては、さきの大戦の社会的混乱等の種々の理由から、各種官庁、それぞれの官庁では把握をされておりませんが登記がなされているといったものをいわゆる幽霊法人と言ってつかまえているわけでございます。そして、それらの法人をめぐっていろいろ問題が出るおそれがあるということからこの整理に対応しているということでございますので、先ほど御説明を申し上げましたように、私どもとしては、それぞれの官庁においては把握をされていない、しかし登記がなされているというものをいわゆる幽霊法人としてその整理に当たっている、こういう現状でございます。     〔稲葉委員長代理退席、委員長着席〕
  45. 石垣一夫

    石垣委員 では今回、所属不明ということで総務庁が振り分けをされたわけですか。これは、まあうそだということで百二十九が振り分けされた、こういうことなんですか。
  46. 佐藤禎一

    佐藤(禎)政府委員 おおむねそういうことでございますが、百二十九は恐らく文部省であろうといって割り振られてございます。これは実態を見てみないとわからないわけでございますので、一応私どもとしては私どもに関係の深い法人であるという理解をいたしております。
  47. 石垣一夫

    石垣委員 なぜこの問題を申し上げたかというと、先日、六月八日、いわゆるNHKスペシャルで「公益法人売買・闇の錬金術を追う」、こういうニュース番組があったわけです。ごらんになった方もおられると思うのですけれども、極めて内容の深い放送でございました。  その中で、現実に法人が売買されているという生の取引が画面に出てまいりました。改めてその実態を私も深く認識したのですけれども、これはたまたま厚生省所管の社団法人である日本厚生協会の例でございましたけれども、私もその明くる日行ってまいりました。こういう冊子を出していろいろやっておるのです。これは厚生省所管ですからまた当該委員会でやりますけれども、本日の趣旨ではありませんのでこの問題は追及いたしませんけれども、このときにやはり文部省の例も挙がったわけです。そういうふうに理事の入れかえ、これはいわゆる理事交代に関する契約書というものがあって、これがいわゆる合法である、しかもこの交代は禅譲だ、こういう中身の放送でございましたけれども、これが二億、三億と大きな金で売買をされているという実態が明らかになったわけであります。  しかし、この放送は、何もきょう改めて出てきた問題じゃないのですね。これは昭和六十年九月、総務庁が行った行政監察、「公益法人の指導監督等に関する行政監察結果報告書」の五十二ページにそのことがきちっともう指摘をされております。「休眠法人は、これを放置したため、買収等により役員に就任した者が目的外活動を行ったり、税法上の特典を利用した収益事業を行うなど、公益法人制度を悪用する例がみられた」、これは六十年九月に既に指摘しているわけです。こういうこともあり、さらに、平成四年の六月に総務庁は、休眠法人、幽霊法人の改善を図るよう勧告されたわけです。  これらの六十年あるいはまた平成四年の勧告があるにもかかわらず、文部省がこういう実態について今日まで、まあ先ほどの答弁では、その幽霊法人の数すらもわからないという答弁でございましたから、私はほとんど手をつけていないのじゃないか、こう推察するのですが、いかがですか。
  48. 佐藤禎一

    佐藤(禎)政府委員 先ほども御答弁申し上げたところでございますが、昭和六十年にはそういった勧告のこともあり、これらの問題を引き起こさないように、いわゆる休眠法人については休眠法人としての認定を行い、解散等の手続を進めるということを行ってきているわけでございます。その結果、先ほど御報告申し上げましたように、百三十四の法人については既に整理が行われているということでございます。  一方、いわゆる幽霊法人の方は、先ほども申しましたとおり、それまで所管がはっきりいたしておりませんので、私どもとしてもそれの指導を申し上げるという立場にしっかり立っていなかったわけでございますが、今回、平成七年以降この振り分けを受けまして実態調査に着手をしてきているというふうに、休眠法人の対応と、それから最近になっていわゆる幽霊法人の対応という二段に分けて対応を進めてきているところでございます。
  49. 石垣一夫

    石垣委員 まあ、そういう実態だからこそここにすき間が生じて、いわゆる売買が行われて不当な利益が動く、こういうことがテレビで報道されているわけです。だから、この点については、平成元年以降理事がかわっていわゆる中身が変わったという法人の数、あるいはまた総理府から登記簿謄本を同時に渡されているわけでございますから、その実態がわかるはずでございますけれども、これは公表できますか。
  50. 佐藤禎一

    佐藤(禎)政府委員 平成元年度以降理事の変更が認められているものは十七法人ございます。ただ、これは個々の実態を見てみませんと、これがいわゆる売買によったものだというふうに決めつけるということはまだ早計でございますので、実態を調べさせていただきたいと思っております。  そういった意味で、一番最初に御答弁を申し上げましたように、理事等役員が確認をできるものにつきましては当該理事等との連絡をとるということを進めておりますし、しかし大部分はその理事等の存在も確認できませんので、去る五月十四日に、民法七十一条の規定により設立の許可を取り消すという手続を進めます、ついては、当該法人の理事はこの公告の記載の翌日から二月以内に理事であることを証明する書類を持って申し出てくださいという官報告示を行いました。そういう手続によって、全体の実態の把握に努めているところでございます。
  51. 石垣一夫

    石垣委員 今の官報告示で二カ月後に返事を持ってこい、こういうことなんですけれども、では、いつごろまでにこの調査を終わる予定でございますか。
  52. 佐藤禎一

    佐藤(禎)政府委員 これはまあ、全体としてどういうお申し出が出てくるかということにもかかわりますので、確定的にいつまでと申し上げることはできませんが、こういった先ほどの報道、私も拝見をいたしまして大変びっくりいたしておりますが、そういった事態が生ずることのないように、できる限り速やかに私ども対応させていただきたいというふうに考えてございます。
  53. 石垣一夫

    石垣委員 速やかに調査報告したいということでございますけれども、委員長にお願いしておきますけれども、現在調査中でございますので、調査終了後、資料として報告をいただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  54. 二田孝治

    ○二田委員長 理事会に諮りながら、適宜に処理してまいりたいと思います。
  55. 石垣一夫

    石垣委員 次に、全国公民館連合会の問題についてお伺いしたいと思うのです。  全国公民館連合会、この法人のあり方についてでありますけれども、社団法人全国公民館連合会の設立は昭和四十年二月十八日、目的は全国公民館の連絡提携と公民館活動の振興であります。主な会員は、四十七都道府県公民館協会と極めて少ない個人会員から成っておりますね。この社団法人全国公民館連合会の問題点は、一つは、会費の中の特別事業会費の徴収のあり方、もう一点は、いわゆる特別会計事業の見直しが必要と思われる点について数点お伺いしたい、こう思うのです。  第一の問題点である会費の中の特別事業会費の徴収のあり方であります。  私の資料によれば、全国公民館連合会においては、市町村に交付された公民館の施設整備費補助金の千分の五に当たる額、これは今千分の二・五になっておるわけですけれども、それを公達会費の算定基準として用いるとあるが、会費徴収のこの事実は相違ありませんか。
  56. 草原克豪

    ○草原政府委員 全国公民館連合会の会費につきましては普通会費とそれから特別事業会費というのがございまして、委員御指摘の特別事業会費については、この法人の会費等に関する規程によりますと「前年度新たに正会員の代表する都道府県公民館連合団体の構成員となった公民館の規模により割当てる。」となっておりまして、この額の算定に当たりましては、前年度の補助金額の千分の五相当額として算定しているというふうに聞いております。
  57. 石垣一夫

    石垣委員 国の財政が非常に窮迫しております。この時点で、公共事業費の抑制というのが今大きな問題となっておりますね。ところが、この資料によりますと、公共事業である補助金の中から、いわゆる公民館施設建設事業費の中から千分の五を全国公民館連合会に上納するという会費の徴収の仕方ですね。これは適切ですか。
  58. 草原克豪

    ○草原政府委員 同法人におきましては、定款に基づいて、正規の手続によってこの会費徴収の仕方を定めているものでございまして、団体のいわば自主的な判断で行われているものでございますので、この特別事業会費について、特に法令上の問題があるというふうに私ども認識しておりません。しかし、委員御指摘のように、この算出の基礎として前年度の公民館施設整備費補助金の割合を用いているということについては、あたかも補助金と連動しているかのごとき誤解を与えるものではないかというふうに私どもも考えておりまして、そういう指摘もございまして、同法人ではこの特別事業会費のあり方についてこれまで検討を行ってきたところでございます。そして、本年六月十三日の同法人の通常総会において、今後この特別事業会費については廃止をするという決定がなされたというふうに聞いているところでございます。
  59. 石垣一夫

    石垣委員 特別事業会費の徴収についてはやめる、こういうことなんですけれども、これは、そういう徴収は好ましくないということを認めたということですね。
  60. 草原克豪

    ○草原政府委員 私どもとしては、先ほど申し上げましたように、この手続そのものは同法人で定めているものでありますけれども、したがって法令上、特に問題があるとは思っておりませんが、補助金と連動しているかのごとき誤解を与えてはいけないというふうに思いまして、私どももその点については法人において検討するようにお願いをしていたところでございます。
  61. 石垣一夫

    石垣委員 私は、この問題を昨年の暮れから指摘していたわけですね。六カ月たってやっとその成果が出てきたのですけれども。補助金とリンクしていると。リンクどころじゃありません。そのものなんですよ、これは。補助金を交付したその 中から千分の五を徴収してくる、これはリンクどころじゃないのですよ。補助金そのものから吸い上げてきているわけですよ。一体なんですよ。これは、そんなリンクというようなきれいごとじゃないのですよ。これが長年ずっと、いわゆる全公連の活動経緯の中で生まれたこと自体が非常にイレギュラーなんですよ。これは認めますか。
  62. 草原克豪

    ○草原政府委員 補助金はあくまでも地方公共団体に支出しているものでございまして、この特別事業会費の問題点は、その額の算定に当たって補助金の額を参考にしているというところにあったというふうに思っておりまして、その意味では適切ではない面がある、そういうふうに私ども判断をしていたところでございます。
  63. 石垣一夫

    石垣委員 適切ではない、こういうことでございますから結構だと思うのです。  次に、普通会費の徴収方法でございますけれども、これはいわゆる人口割と公民館の施設数に比例して徴収する、こういうふうになっております。これもまた地方自治体の負担になる徴収方法ですね。公民館の利用率が高ければ高いほど、本当は負担率が下がらなければいかぬわけです。この徴収方法は道なんですよ。だから、こういう徴収方法についても、やはり会費そのもののあり方についてちょっと私は疑問を抱くのですけれども、この点はどうなんですか。
  64. 草原克豪

    ○草原政府委員 普通会費につきましては、全体の五〇%は都道府県に均等に割り当てる、それから二五%相当については都道府県の人口数に案分する、それから残りの二五%については都道府県の公民館数に案分をする、こういう規定になっております。  それぞれの構成団体がどのように会費の負担をするかということについては、この社団法人において独自に判断すべきことであるというふうに私どもは考えております。その際に、公民館活動がどのくらい活発であるとか、あるいは公民館数がどのくらいあるか、こういった指標を用いること自体について、私ども特に問題があるというふうには考えておりません。
  65. 石垣一夫

    石垣委員 還元するからいいということなんですけれども、それ以上に、私は、この会費徴収のあり方についてはやはりもう一度再考すべきではないか。  それで、一般会計の中身を見ますと、歳入合計が大体七千二百万ですね。そのうちの会費が三千余万。その中で普通会費が九百七十万、特別事業会費が二千九十万。結局、大体半分近くを占めているわけですね。だから、この会費の徴収のあり方について、先ほど指摘しましたけれども、特別会費は大体三分の一を占めているわけです。特別会費の徴収をやめるというわけですから、今後この運営についても私はやはり抜本的な解決をしなければいかぬ、こういうふうに考えるのです。  そこで、先ほどちょっと指摘しましたけれども、一つは海外社会教育事情視察特別会計、これは海外を視察されておるのですけれども、総予算が五百五十万、その五割弱の二百四十万が文部省のところの補助金負担ですね。この視察計画そのものが、いろいろと聞いていきますと、余り好ましくない、こういう批評を聞いているわけです。さらにまた、生涯学習推進研究協議会特別会計、これについても、総額三百八十万の中で百六十万が文部省のいわゆる補助金だ。こういうふうにそれぞれ補助金でもってこれらが運営されております。また、公民館研究集会特別会計、これについてもやはり文部省が二百五十万の支出をしている。  一連のこの特別事業の中身ですけれども、時間がございませんので詳しくやりませんけれども、この際、特別事業会費の徴収をやめたわけでございますから、私は、関連してその事業の見直しも含めてやはり再検討すべきだ、こういう指導をすべきだと思うのですが、いかがですか。
  66. 草原克豪

    ○草原政府委員 社会教育活動の推進を図るためにはやはり民間の団体の活動を活発にするということが極めて重要でございます。文部省としては、民間社会教育活動振興費補助金を設けまして、これによって全国的な規模の社会教育関係団体が行う意義のある事業に対して、その団体の自主性を尊重しながら事業に要する経費の一部を補助しているところでございます。  御指摘の全国公民館連合会につきましては、平成八年度には三種類の補助金を交付しております。一つは全国大会の開催、二つ目が海外の事情調査、それから三つ目が公民館職員の資質向上を図るための研究協議会の実施でございます。これらの事業はいずれも全国の公民館の連絡提携あるいは公民館活動の振興発展を図るために重要な役割を果たしているものであると私どもは信じているわけでございます。  この民間団体に対する補助金につきましては、もちろん、先生御指摘のとおり、社会の変化に対応した事業となるよう常に見直しを図る必要がありますし、私どもはこれまでもそうしてきたところでございますけれども、今後ともこの補助金の適切な活用を図るように努めてまいりたいと考えております。
  67. 石垣一夫

    石垣委員 時間がありませんので、はしょって質問します。  三点目は、財団法人の経営するゴルフクラブのあり方であります。これについては、設立当時はいわゆる民間ゴルフ場が普及しておりませんので、ゴルフの普及振興という公益性の立場から許可をした、これはよく認識するのですけれども、今日全国に二千百七十二カ所のゴルフ場があります。既に公益法人としての社会的目的は終了した、このように認識をするわけです。  このことについては、昭和六十年九月、「公益法人の指導監督等に関する行政監察結果報告書」に指摘されておりますように、業務内容の改善、民営化も含めた抜本的な改善策について指摘されておりますけれども、その後、どういう取り組みをされてきましたか。
  68. 佐々木正峰

    佐々木政府委員 御指摘の昭和六十年の行政監察結果に基づく勧告を踏まえまして、文部省では、各都道府県教育委員会が所管するゴルフ場設置法人でございますが、それに対して公益性の高い事業を実施するなど、事業内容の改善を図るよう指導してきたところでございます。  各法人においては、地域住民等に対する施設開放やあるいは教室事業等を実施しているものと承知しておるわけでございますが、さらに平成八年九月に新たな公益法人の設立許可及び指導監督基準が閣議決定されたことを踏まえまして、文部省におきましては、各都道府県教育委員会、関係課長会議等におきまして、ゴルフ場を設置する公益法人が公益性の高い事業を一層実施するよう指導したところでございます。
  69. 石垣一夫

    石垣委員 もう時間がございませんので最後に質問します。  この六十年九月の「中間法人制度の創設及び公益法人の事業内容の是正」ということで、法人の目的事業であるゴルフ場、自動車教習所、外国人用ホテルの経営、及びその内容が、その後社会的状況によって変化してきたということで、設立目的から逸脱しているのじゃないか、こういう指摘がありますね。それで、昨年九月二十日の閣議決定では、いわゆる公益法人の設立許可及び指導監督基準について指摘がされております。これについて、法務省として現在どういう取り組みをされておりますか。
  70. 揖斐潔

    ○揖斐説明員 お答え申し上げます。  公益法人の あり方に関しましては、平成八年七月に、その事業内容が営利企業の事業と競合するに至った公益法人につきまして、営利企業への転換を求めるとともに、中長期的な検討課題として、民法の見直しを開始して、非営利法人制度の創設を含め検討することとする旨の与党行政改革プロジェクトチームの提言が閣議に報告され、この提言を受けて、先ほどございましたように、昨年の九月に新しい公益法人の設立許可及び指導監督基準等が閣議決定されたところでございます。  この提言及び閣議決定を受けまして、昨年の十月に法務省民事局内に研究会を設けまして、営利企業への転換に関する問題を含む現行の公益法人制度の問題点やあるいは公益に関しない非営利法 人制度を創設する場合に生じる法的な問題点についての検討を開始しているところでございます。具体的には、昨年の十月からことしの六月までの間に研究会を八回開催し、この間ヒアリングを実施した上、営利企業の事業と競合する公益法人の営利企業への転換の方法を中心として、立法論あるいは解釈論の両面から検討を進めてきているところでございます。  以上でございます。
  71. 石垣一夫

    石垣委員 では最後に、今の研究会でいろいろ取り組んでおられるということですけれども、大体いつをめどに結論を出されるわけですか。
  72. 揖斐潔

    ○揖斐説明員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたとおり、公益法人の営利企業への転換方法について立法論あるいは解釈論の両面から検討しておるところでございますが、その方向性としては、今年度内というものを一つの目途として方向性を出したいと考えております。ただ、仮にこれが立法が必要であるということになりますと非常に難しい論点がございますので、さらにお時間をいただきたいと考えておるところでございます。  以上でございます。
  73. 石垣一夫

    石垣委員 終わります。
  74. 二田孝治

    ○二田委員長 次に、藤村修君。
  75. 藤村修

    ○藤村委員 新進党の藤村修でございます。  当文教委員会におかれましては、通常国会、大変たくさんの法案審議もございまして、委員長におかれましては、あるいは委員各位におかれましては、本当に御苦労さまでございました。また、会期末のぎりぎりになりまして何とか一般質疑の機会を与えていただきまして、私もきょう質問をさせていただくということで、委員長あるいは委員各位に感謝申し上げる次第でございます。  さて、私のきょうの質問は、短い時間でございますので、大きくは二つで、一つは中高一貫教育の問題と、それから非常に具体個別ではありますが、先ほどの石垣委員からの延長でもございますが、文部省所管の財団法人の問題を取り上げさせていただきます。それで、今ずっとそういう問題でございましたので、順番をちょっと変えて、財団の問題を先にさせていただきたいと思います。  文部省及び総務庁が監督をいたしております財団法人交通遺児育英会というのがございます。これは、街頭での募金運動で皆さんも多分見かけられていると思うのですが、昭和四十五年以来、交通遺児の救済を訴える学生たちのボランティアによる募金運動が全国で展開をされてまいりました。私自身も実は学生時代からこの運動に携わった一人でございます。そういう庶民の十円、五十円、百円という募金が集まって、交通事故で親を亡くした子供たち高校あるいは大学へ進学できる奨学金制度を昭和四十四年以来つくって、この財団法人につきましては、先ほどの石垣委員の問題点とは違う、ある意味では民間で非常によくやってきた、そういう団体でございます。  主に、日本育英会のように、高校生、大学生への奨学金を貸与するわけでありますが、単にお金を貸すということだけでなしに、それとともに、交通遺児というのは、ある日突然に、大半が父親を亡くしておりますが、交通事故で失う、そういう意味では大変なショックを受けながら苦労をする。翌日から母親がすぐに働きに出るけれども、これは非常に苦しい状態の中で、高校進学もままならない、そんな現状が当時ございました。  そういうことから奨学金制度ができて、そしてそういう人たちが、単にお金を借りるだけでなしに、本当に仲間と連帯をして力強く生きていこうというふうな、そういう意味では、奨学事業とともに並行して、教育事業といいますか、これは文部省用語でいうと補導とかいうのですが、当育英会では集いという形で、高校生は、毎年夏にはその地域の人たちみんな集まって、三泊四日とか二泊三日と合宿研修をしながら、まさに心のケアであります。互いに励まし、あるいは先輩たちもやってきて集いを行う中で、生きる力をそこでまた学ぶという、社会教育の一環を非常に大きく展開をしてきた団体でございます。  そういう意味では、社会的評価といいますか、交通遺児が全国の支援者のおかげで進学をし、そして集いという教育事業の中で育ち、大学まで行って、そして社会に出て今度は恩返しをする、そんな運動まで起こってまいりました。これが今でも行われておりますあしなが運動といいますかあしながおじさんの愛に感動した、奨学金を受けた学生たちのOBあるいは大学生たちが中心になって、今度は自分たちと同じ境遇の災害遺児とか、これは災害で親を亡くした子供たち、あるいはさらにもう遺児という区別なく、とにかくお父さんが亡くなってお母さんが苦労をしている、そういう実態はみんな一緒ではないかということで、病気遺児も含めた奨学金制度をという運動にまで高まってきた。こんな運動が四半世紀余り続いてきたわけであります。私自身も、そういう関係の中から、自分で体験をしてきておりますので非常によく知ってはいるのです。  ところが、この三年来といいますか、この財団法人、文部省及び総務庁が監督官庁でございますが、いろいろなお家騒動、ごたごたが起こっている、新聞報道も何度かされておりました。  それで、私自身も国会で質問をしたりしたわけでありますが、この文教委員会においてはしばらく、全く質問をしておりませんでした。ただ、予算委員会の分科会では、先般、昨年ですが、当時の奥田文部大臣に、こういう奨学金を出すだけでなくて、そういう高校生たちを集めた集いという社会教育事業といいますか、あるいは心のケアといいますか、こういう事業が非常に重要だし、大事だということを御指摘いたしましたところ、当時の奥田文部大臣は、この集いなどの問題に触れまして、生徒さんの心のよりどころのようなそういう事業についても、「喜んで感謝されるような事業が引き続いて行われていくように、これは総務庁となお協議して、御要請にこたえてまいりたい」とお答えをいただいてあったのですね。  といいますのも、この二、三年、どうもこの事業がなくなってきている、単なる金貸しになっているのではないか、そういう趣旨で質問をしたら、大臣はそういうふうにお答えをいただいたのですが、その後これはどうなっているのか。政務次官は多分初めてお聞きになりますので、事務方でも結構でございます。
  76. 雨宮忠

    ○雨宮政府委員 今先生、るる御紹介なさいましたように、財団法人交通遺児育英会は長年にわたり、大変有益な事業を展開してきたわけでございます。  ただいまのお尋ねの、いわゆる集いの点でございます。交通遺児育英会といたしまして、奨学金の貸与というようなことと並びまして、奨学生の補導という、寄附行為上の表現になっておるわけでございますが、その一環として、奨学生の集いというものを実施してきていたわけでございます。平成六年度に一たんその実施を見送りまして、その後再開を前提としていたわけでございますが、育英会の内部といたしまして、どういう形で実施するのが適当なのかどうかということについて検討している段階でございまして、現時点において、その具体の内容等についてまだ決まっていないというように承知しているところでございます。
  77. 藤村修

    ○藤村委員 私は、平成六年度からそういうことを指摘して、奥田文部大臣は、昨年の三月だったかと思いますが、ぜひそれはやっていったらいいねというお話であったわけですが、六年度、七年度、八年度が終わりました。もう九年度に入っております。九年度の事業計画、文部省を通してこれをいただきましたけれども、ここにもどうもそういうことが入っていない。  これはやる気がないのではないかと思うのです。あのときの奥田大臣の、「やはり喜んで感謝されるような事業が引き続いて行われていくように」という趣旨を文部省はちゃんと伝えているのか、その辺、ちょっとお答えいただきたいと思います。
  78. 雨宮忠

    ○雨宮政府委員 今先生のお話のような点につきましては、当然財団の方にお伝えしてあるわけで ございますけれども、基本的に育英会の内部において引き続き検討しておるということでもございますので、私どもといたしましては、育英会におきます検討を引き続き見守ってまいりたい、かように考えております。
  79. 藤村修

    ○藤村委員 文部省の立場ではそういうことなのですが、これはむしろ聞いていただきたいわけです。  六年度からなくなった、今もまだやっていない、今後もやるような計画がない。これはつまり、それまでの大変輝かしい実績とは裏腹に、この三年間にやはり大変な、内部の事情というか、もめごとというか、そういうものが起こっているのだということであります。  では、私はそのほかに、少しその内部の事情の指摘をしたいと思うのです。  これは今現在、衆議院には交通安全対策特別委員会がなくなりましたが、かつて、いわゆる交特委で指摘をしたのですが、私自身も学生のころから街頭で募金に立って、全国からの浄財が集められた、そのお金が奨学金になっている。ですから、そういう大事なお金を使う団体ですから、いわゆる管理費用なんかもきっちりと、あるいはつつましくやってきた。そういう団体が、平成六年以来といいますか、非常にむだ遣いしている。お金の問題がまず一つあります。  私はかつて指摘したのですけれども、元総務庁の職員の方がその財団に就職をする。六十歳前後であります。再就職であります。そして年収九百万円。あるいは六十五歳を超えて嘱託になるのですけれども、それで年収八百万円。労働省に聞いてみたのですが、いわゆる六十五歳男子常用労働者の月給というのは二十五万円程度で、年収ベースで四百万円くらいですから、これはちょっと法外な給与を払っているのではないか、こういうことをかつて指摘いたしました。  あるいは理事長という方も、これも総務庁OBであります。無給職でありました。ところが、最近聞いてみると、どうも、無給だ無給だと言いながら、ハイヤー代だとかあるいは日当というか手当というか、そういうものだけで年収で七、八百万、去年で出ている。こういうことを耳にしているわけでありますが、これは総務庁、これは事実かどうか、ちょっと答えてください。     〔委員長退席、河村(建)委員長代理着席〕
  80. 楊井貴晴

    ○楊井説明員 お答えいたします。  理事長は無給であると聞いております。ただ、出勤した日数に応じて実費弁償がされていると聞いております。また、理事長は高齢であること、相応の経歴にもかかわらず無給で引き受けられていることから、育英会への出勤や業務にハイヤーを使用していると聞いています。
  81. 藤村修

    ○藤村委員 だから、手当をもらったら無給ではないよね。ここに今ちょっと内部の資料を持ってきたんですけれども、「理事長出勤日に対する日当金額の改訂について」、これはことしの四月十日、専務理事が判こを押してますけれども、首題の件については平成九年四月以降日当金額を五万円とする、日当ですよ、二時間ぐらいしか出ないんですよ。これでよう無給なんと言えますねと思いませんか。一般の常識でこれが無給だと言えるか。私の調べては、昨年度、平成八年度で、ハイヤー代が年間で四百万円、残り三百数十万円が日当で出ている。それでしゃあしゃあと無給と言っているわけであります。こんなことが許されていいのかということを一つ指摘したいと思います。  さらに、これは平成八年度のいわゆる決算報告書を文部省を通していただきました。その中に、一般管理費の中に弁護士費用が二千二百九十万二千九百七十四円と出ています。これは、もうちょっとさかのぼって調べると、平成六年に理事長が就任して以来、職員組合ができたんです。その組合対策の弁護士費用ということで、この三年間で約三千五百万円支出したそうであります。その組合対策費の中身というのは、要は、理事者側が不当労働行為で訴えられて、結局和解となって和解金五百万円払っているんですよ。弁護士費用は三千万円を超える。全国の街頭で十円、百円入れていただく国民の浄財を集めた団体が、三千万円もの弁護士費用とか組合対策費をこの三年間で払っているのは、これは事実かどうか、ちょっとまず事実だけを答えてください。
  82. 楊井貴晴

    ○楊井説明員 お答えいたします。事実でございます。交通遺児育英会では、いろいろな法律判断をする必要から、平成六年度以降、専門の弁護士と雇用契約を結んでいると聞いております。
  83. 藤村修

    ○藤村委員 それで、この事実は余りに世間の常識から離れているということで、この団体を監査する、これは民間の、全国で三本の指に上るある監査法人が監査をして、つい先日この監査報告書で、特別な、異例なことですが、最近における諸問題、「業務監査に関連して」といって指摘しているんです。つまり、この弁護士費用は、「寄付者がこの事実を知れば、どのような思いをいたすでしょうか。また厳しい社会からの糾弾を受けるばかりでなく、当会の存続基盤さえ脅かすことになりかねません。」監査法人がこういう監査報告しているんです。ちょっとこれは余りに非常識ではないかと思います。  もう一つ指摘しましょう。  これは、さっき組合ができたというのが、経営方針が変わったあるいは変質したということであろうと思います、職員の中には、学生時代からずっとこの運動に携わったそういう人たちがたくさんいた、そういう人たちをある意味では締め出そうとしているわけですよ。さらに、最初からいたいわばプロパーの会計を担当すみ、これは理事になっていらっしゃいますが、この方の追い出しまで図って、それを総務庁が指示をしている。  要は、総務庁OBの職員が中にいます、そして総務庁があります、ここの参事官補、今来られている方の下の方ですね、参事官補から電話で、本来業務監査すべきであるが、まず自主監査せよと指示があって、これは明らかに資金担当理事の更迭を意図して指導したこと、これはまことに遺憾なことでありますが、明らかにそうだということはるる言いますけれども、本来、財団、公益法人というのは、毎年、理事会とか評議員会とがそれぞれ総会を持って決算を決議している、それをまた監査法人が監査をして報告をしているんです。にもかかわらず、過去十年間の銀行取引、資金の運用に関して、民間の二十四の銀行に対して資料を出せとか、一つの証券会社にも言っております。ある銀行では、過去十年間の資料をコピーするのに八千枚コピーを出したというんです。これを総務庁がまさに指示をしてやったと言えるんですが、その事実はありますか。
  84. 楊井貴晴

    ○楊井説明員 お答えいたします。  総務庁は、一般論として、交通遺児育英会に限らず、所管の法人に対して寄附行為、定款等の諸規定を遵守し、適正な運営を図るよう指導していますが、交通遺児育英会に対し、御指摘のような特別の意図を持った指示を行った事実はありません。
  85. 藤村修

    ○藤村委員 これは事実であります。昨年十一月に、総務庁交通安全対策室の鳥居参事官補が口頭でこの会に対して、資金運用に関して異議があると言ってきたわけであります。その指示に基づいてさっき言ったようなことが起こったんですが、このことに関して、先ほどの監査をしているこれは民間の監査法人でありますが、「十年間の取引明細を求めるという異常な行為は取引銀行及び当会にとって多大な労力と費用の負担を強いるものであります。私共」つまり監査法人は、「過去十年間の事業年度の監査報告書は全て適正に表示している旨記載し、」云々、だから、「業務監査については、監事によるべきであって、同一担当部門内での自己監査などあり得ないことであります。」つまり、非常に常識外れのことをこのようにやってきているわけであります。  このことは指摘をしておきまして、私ここで今るるお話ししたこと、委員の皆さんによくわかっていただけない部分もあるんで、ちょっと過去の経緯を少しお話ししておきたいと思います。  この財団法人交通遺児育英会は、交通事故遺児 を励ます会の提唱、活躍で昭和四十四年に設立されました。交通事故遺児を励ます会というのは、昭和三十六年に、親がわりの姉を酔っぱらいトラックにひき逃げされた当時の高校生岡嶋信治さんが、その怒りを新聞に投稿した結果、全国からの励ましの手紙によって生きる勇気を与えられた経験をもとに、岡嶋さんらを中心に発足したボランティア組織であります。  岡嶋さんらは、昭和四十二年から、交通遺児の高校進学を支える奨学資金の募金運動を始めました。初めての募金は、わずか十人足らずのボランティアが、東京の数寄屋橋と池袋で、朝の十時から夜八時まで八日間立ち続けたものです。集まった浄財は、一円玉、十円玉など三十万円。そして、このお金が二年後のこの財団設立の資金となり、その後、過去累計では四万四千人の交通遺児が高校大学へと進学する奨学金、これが三百億円にもなっております。その種というべきお金となりました。     〔河村(建)委員長代理退席、委員長着席〕  交通遺児のための募金運動には、育英会発足後、全国の大学生が参加しました。私自身も、先ほど来言っておりますが、広島大学の学生で、岡嶋さんや学生募金運動の先輩たちからの呼びかけに応じて、広島の街頭で交通遺児救済を訴えて募金を開始したわけであります。以来二十七年になります。この運動は、今あしなが学生募金の名で、赤い羽根募金などと並ぶ春秋の風物詩ともなって、民間ボランティア活動の元祖とも言える運動であり、今も学生たちに引き継がれているものです。  この財団法人交通遺児育英会は、設立以来、日本商工会議所会頭の故永野重雄さんが亡くなるまで会長を引き受けられていました。永野さん御自身も母子家庭で育ったこともあり、交通遺児への理解が深く、会の発展に多大の尽力をいただきました。続いて会長になられたのは、新日鉄の社長、会長をされた武田豊さんです。武田さんは、平成元年五月の創立二十周年の記念誌に次のように寄稿しています。  初めの十年間は、一人でも多くの交通遺児を高校に進学させることと、意欲のある学生には大学進学の道を開くことを目指してやってきた、次の十年は、奨学金の貸与にとどまるだけでなく、交通遺児一人一人に愛情を持って接し、永野重雄初代会長の温かい心と広い視野を持つ行動力あふれる若者の育成に取り組んできたことを振り返り、さらに、こうした歩みの中で、奨学生自身による自発的な恩返し運動が生み出され、あしながおじさんの無償の愛に感動した奨学生が始めたこの恩返し運動は、さわやかなボランティア活動を全国的に広げ、昭和六十三年春には災害遺児育英制度の発足へと結実しました。多くの方々から受けた恩を、今度は他者の幸福のために生かそうとするこの行為は、自他の幸せ創造の輝かしい実践にほかならず、会長としてこの子らの活動を誇りに思うと武田さんは述べています。  この二代の会長を支えていたのが、発足から亡くなるまでの四半世紀の間、育英会の理事長を務められた元警察庁長官の石井栄三さんです。私自身も石井栄三さんをよく存じ上げていますが、毎週一回か二回事務局に来られ、その存在感によって、民間から生まれた育英会と、いわゆる官庁すなわち監督官庁である文部省や総務庁との調和を絶妙に図っていただいておりました。  石井理事長が亡くなって、これは平成六年ですが、後任に元総理府総務副長官の宮崎清文さんが就任。平成六年四月からだと思います。それから今日までの三年間余りは、マスコミでも大きく取り上げられたりするいわゆるお家騒動とも言えるごたごた続きで、学生時代からこの運動の一翼を担っていた私たち学生募金のOBにとっても心痛む思いであります。  宮崎理事長の就任以来、財団内部の事情で交通遺児に対する奨学金の送金がおくれ、これはマスコミでも取り上げられ、文部省や総務庁も注意をされたわけでありますが、問題は、財団内部の事情そのものであります。  武田会長が誇りと思うと述べた遺児たち自身の恩返し運動が、災害遺児から病気遺児の救済にまで拡大していくとき、これをよしとする遺児奨学生OBや支援者のあしながおじさんらのたくさんの方々の側と、あくまで交通遺児だけのことを考える側との対立が起こりました。  総務庁は、交通安全対策の一環ということで、災害遺児や病気遺児は関係ないわけです。それが厚生省にも及ぶ話となって、役所の管理監督権限が縮小すると考えたのでしょうか、あるいは単なる縄張りの問題ではなく、この財団の三百六十億円もの累積資産の資金管理あるいは監督権限につながると考えたのでしょうか。宮崎理事長就任以来、職員の総務庁OBを育英会事務局のナンバーツーの役職に異例の昇格をさせ、権限回復を意図して行動を開始しました。  一方で、交通遺児の発生そのものが事故の減少で少なくなり、かつ、自動車賠償責任保険の上限アップや任意保険の充実と相まって、これは幸いなことなのですが、貧困な交通遺児がうんと減少して、奨学金需要も激減しています。まさに民間的発想からすれば、災害遺児や病気遺児の奨学金制度にも道を開く環境が整う中で、これはまかりならぬと監督官庁が乗り出してきたのであります。  具体的には、財団発足以来の中心メンバーの追い出し、学生募金から参加してプロパーの職員になった人たちの締め出し、これは結果として、組合ができて、先ほど言いました法外な弁護士費用の支出あるいは和解金の支払いになりました。あるいは、無給であったはずの理事長も有給職にしようという動き、実際にはハイヤー代やあるいは先ほどの報酬、これは不明朗な報酬が支給されています。さらに、過去の決算に疑義があるという不当な理屈をこじつけ、理事会、評議会の過去の決定を無視して経理規定遵守の指導を行うなど、指摘のとおりであります。  その間、私が国会でこれら問題を指摘しますと、私の選挙区でもない、今財団の専務理事をしている人から、大阪地検に、私の選挙公報に虚偽の記載があるとしていわれなき告発を受けました。こちらは地検であっけなく却下されましたが、告発をしたことをさらに週刊誌に売り込み、記事となって、選挙を戦う身としては本当に大変な打撃を受けたわけであります。  いわゆる公益法人は、官庁が主導でつくる下請的な財団や社団と、逆に、民間から起こってそれに官庁が法人格を与える財団、社団がありますが、この育英会は明らかに後者であります。にもかかわらず、育英会の場合は、三百六十億円もの財産目当てに、今や官庁主導の財団であるかのような総務庁の振る舞いは、これを官の民乗っ取りと言わないで何と言うのでありましょうか。  私は、この育英会については、一度平成六年時点にまで戻って出直しをすべきものと考えています。激減といえど、いまだに貧困で進学困難な交通遺児と、遺児たちの恩返し運動の結実による災害遺児や病気遺児の救済、すなわちすべての遺児の奨学金制度も視野に入れて出直すべきではないか。それには大幅な役員交代が不可欠であります。  いずれにせよ、今後もこの文教委員会において建設的な提案をしていきたいと考えておりますし、場合によっては、委員長、文教委員会におきましては、関係者の証人喚問あるいは参考人招致、その辺をぜひ理事会で諮っていただきたいと思いますが、委員長、いかがでしょうか。
  86. 二田孝治

    ○二田委員長 理事会に諮りまして処理いたしたいと思います。
  87. 藤村修

    ○藤村委員 ありがとうございます。  ちょっとこの問題が長くなってしまいまして、次の問題にかえますが、こちらは中高一貫教育についてであります。もう時間が残り少ないので、お答えの方は簡潔に願いたいと思います。  中教審答申で、これは先ほど来の議論でもございましたが、中高一貫に関しては、六月末に最終答申が出るのでしょうが、ほぼ審議のまとめが出ておりまして、大体その中身はわかった。先ほど来も説明を聞いておりまして、初市局長助成局長で若干のニュアンスの違いはあったのですが、 文部省としては、ある程度都道府県にお任せをしながら制度の整備に当たる、こんな基本方針だと思いますが、具体的には、法改正とかあるいは政令改正とか、大体もう今からお考えではないかと思うのですが、少し具体的に、どんなことを制度整備をしていくのか、この点をお伺いしたいと思います。
  88. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 中高一貫についてのいろいろな提言があるわけでございますけれども、まず一つは、同一の設置者が中学校、高等学校を併設するという一つの提言がございます。それから二つ目は、高等学校段階への進学に際しまして、現在は必ず選抜を行う、いわゆる高校入試は必須のものとなっているわけでございますけれども、いわゆる中高一貫ということから考えまして、これは行わなくてもよいようにするという提言がございます。ということで、私ども、それ以外にもいろいろな形態があるわけでございますけれども、基本的にはそこが中心的なことだと思います。  そこでまず、例えば、財政上の検討課題といたしましては、現在は都道府県立の中学校の教職員は国庫負担の対象となってございません。それは現在、市町村に中学校の設置事務がかぶっているということにも関連するわけでございますけれども、そうなっております。そこで、現在提言されております、都道府県が中学校、高等学校を併設する場合、ではその中学校の教職員の給与費はどういうふうに考えたらいいのか。これは施設費の国庫負担につきましても同様の検討課題があるわけでございます。ということで、こうした検討ということになりますと、義務教育費国庫負担法あるいは義務教育学校施設費国庫負担法というものの検討ということが我々としては必要になってくるだろうと思います。  それから、先ほどの高校入試を課すことなく中高一貫を考えるということになりますと、学校教育法あるいは学校教育法を受けました施行規則をどんなふうに考えるかというようなものが具体の法令の必要性、検討の有無ということで考えられるわけでございまして、それ以外にもいろいろ関連の法令はあろうかと思いますけれども、基本的な法令の検討の有無を要するものとしては以上のようなものがあるというふうに考えております。
  89. 藤村修

    ○藤村委員 私ども新進党で、先週でございますが、国会会期末になってではありましたが、中高一貫教育を進めるための学校教育法の一部改正案というのを衆議院に提出させていただきました。文部省にもごらんいただいているかと存じます。  ここのポイントといいますのは、中高一貫教育を進めるために、先ほど来の御説明でいろいろなやり方はあるものの、やはり中高一貫の学校を新たに学校種として設けるということが必要ではないかな、もちろんそれを採用するしないというのはおっしゃるとおりそれぞれの都道府県がある程度自主的にやっていただくのですが、道として開くという意味では、中高一貫教育というものを学校種として設置し、それに伴うそこの教育課程とかあるいはそこの教員免許とかというものを備えてあげるというのが我々の法案の趣旨でございますが、この法案に対しましては、何か御意見ございましたらお聞かせ願いたいと思います。
  90. 佐田玄一郎

    ○佐田政府委員 委員の御指摘の法案は私も内容を拝見させていただきました。  中教審の答申に従いまして、ゆとりのある、そしてまた、その御趣旨は、我々も、中教審の方のこの間の取りまとめの考え方と基本的な考え方は一致しておろうか、こういうふうに認識しております。
  91. 藤村修

    ○藤村委員 政務次官、どうもありがとうございます。  これは本当に、中高の一貫教育を、中教審も、そうしてやったらどうかという前向きな御指摘でもあるし、ぜひとも党派を超えて、むしろ立法府でも、そういうことを与野党一緒に考えていく必要が、それも早急に考えていく必要があるし、場合によってはその法律づくりを立法の側でもやっていくべきではないかなということを最後に申し上げまして、質問を終わります。どうもありがとうございました。
  92. 二田孝治

    ○二田委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時五十九分休憩      ————◇—————     午後二時八分開議
  93. 二田孝治

    ○二田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。鴨下一郎君。
  94. 鴨下一郎

    鴨下委員 新進党の鴨下一郎でございます。  きょうは、教育におきますボランティア活動にどう取り組んでいくか、このことについてお伺いをしたいと思っております。  今国会の中で、小中学校や養護学校の教員免許取得に、学生に特別養護老人ホームなどで介護、交流体験を義務づける、小学校及び中学校の教諭の普通免許状授与に係る教育職員免許法の特例法が成立しました。その中で、具体的には、教員志望の大学生などは在学中に地域の盲、聾それから養護学校や社会福祉施設を訪問して、障害者及び高齢者への介護などを一週間以上経験しなければならない、このような規定をしまして、一九九八年度入学者から適用される、このようでありますけれども、この当該法律の趣旨、目的についてはどのような効果を見込んでいるのか、文部省にお伺いをしたいと思います。
  95. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 さまざまな趣旨、ねらいがあろうかと思いますけれども、一番端的には、やはり小中高校生たちを教える先生が、いわゆる単なる知識を教えるということではなくて、他人の心を思いやる、あるいは感謝の心を持つ、あるいは社会に奉仕をする、こういうことを子供たちに教えるためには実際の体験が必要だ、そういうことからこのような研修を義務づける。教師になるためにはこれが必要だ、こういう趣旨に私どもは理解をいたしております。
  96. 鴨下一郎

    鴨下委員 今おっしゃっているように、知識偏重を是正するということが大きな目的の一つなのだろうと思います。全く私もそのように思うわけでありますが、教師に対してそれをやるということについてはもう遅きに失して、それも含めてですけれども、むしろ学ぶ側、生徒児童に実体験を交えた教育というのが本当に必要な時代になっているのだというふうに私は思いますが、このことにつきましてはいかがお考えになっているのでしょうか。
  97. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 ただいまの点は大変重要な御指摘だと思います。今現在も小学校、中学校、高等学校の学習指導要領におきましては特別活動という領域がございます。これは国社数理というような教科、道徳と、もう一つ別の特別活動という領域がございますが、その中の学校行事の中に、小中高を通じてでございますけれども、勤労生産・奉仕的行事、これを必ず学校は行うという規定がございます。その規定は、具体的には、「勤労の尊さや生産の喜びを体得するとともに、社会奉仕の精神を涵養する体験が得られるような活動を行うこと。」こういうふうに趣旨、ねらいが書いてございまして、こういった活動を各学校がどのようにするか、これは各学校の判断でございますけれども、子供たちに特別活動の時間の中でこういった活動を行わせる、こういうような規定が現に学習指導要領の中にございます。  しかし、それで十分か、不十分がこれから十分に検討してまいらなければならないわけでございますけれども、私どもは、完全学校週五日制ということで学校の時間数が減る中でございますけれども、こうしたいわゆるボランティア活動というのは小中高を通しまして子供たちの学習の上では大変意義のある活動なのではないか、そのためにはどんな仕組みが考えられるのか、これからさらに検討をしてまいりたい、こういうふうに思っております。
  98. 鴨下一郎

    鴨下委員 そのとおりなのですけれども、量的な問題といいますか、現状では、今のような教育の仕組みの中では私は甚だ不十分だというふうに考えておりまして、特に今の児童生徒の現状を見ていますと、どちらかというと机に座って知識を 学ぶということが中心になっていまして、いろいろな弊害が出てきているのだろうというふうに思いますが、その弊害等について、文部省が把握している部分について、もしお答えできればお願いをしたいと思います。
  99. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 学校の抱えております課題、いろいろあるわけでございます。いわゆるいじめの問題、学校に来ない登校拒否の問題等、さまざまあるわけでございますけれども、学習指導の面で申しますと、昨年、完全学校週五日制を二十一世紀初頭からという趣旨の答申を出しました中央教育審議会が指摘しておりますのは、これまでの学校教育というのが、ややもすると、一斉指導の中でたくさんのことを覚え込ませる、これは受験の問題、その他いろいろあるわけでございますけれども、そういう影響もあって、そういう問題が大きな問題としてある。これからはそういうたくさんのことを覚える、覚えないということではなくて、できるだけ、一人一人の子供の個性とか長所をいかに伸ばすか、それから、子供が一人一人問題意識を持って、みずから考え、みずから判断する、そういうような力を身につける、そういうように学校教育のあり方の基調と申しましょうか、そういったものを変えていく必要があるという御指摘があるわけでございます。  大変難しい課題であるわけでございますけれども、私どもは基本的な我が国の学校教育の問題点を指摘しているもの、こういうふうに認識をいたしておりまして、どのようにして新しい学校教育をつくり上げるか、これがやはり今現在の小中高を通じた課題なのではないか、こんなふうに認識をいたしております。
  100. 鴨下一郎

    鴨下委員 おっしゃることは本当にもっともなことばかりなわけでありますけれども、それをいかに効果あらしめるかということが重要な話でありまして、例えば、そういう具体的な活動の中には農業の体験のようなものもあるのだろうと思いますけれども、私たちが都会の子供たちを拝見していますと、米はお米屋さんに袋に入ってあるもので、現実に稲がどういう形で実るのかということすら知らない、リンゴや果物は冷蔵庫にあるのだというふうに思っているぐらい、極端なことを言えば、そのようなことだってあり得るわけです。  そうすると、例えば実際の生産活動にどう従事させるかというようなことで、具体的な事例があったらお示しをいただきたいと思います。
  101. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 ただいまのような子供たちの実際の体験、自然体験、社会体験と言われるような体験も、できれば、時間が許せば社会とか理科とかというような通常の教科でもと望むわけでございますけれども、なかなか難しい課題が時間その他の関係からもあるようでございますが、学校によっては、そういう教科の時間においてもそうした活動をしている例は承知いたしております。  ただ、一般的に行われておりますのは、先ほど特別活動の中の勤労生産・奉仕的行事の中で行われているということを申し上げたわけでございますけれども、その特別活動の時間を使いまして、一般的にはよく老人ホーム等の福祉施設を子供たちが訪問する、そこでお年寄り等との触れ合いをということが言われるわけでございますけれども、それ以外に、今御指摘がありましたような、それぞれの地域地域の特性を生かしまして、私どもが承知しておりますのは、お茶の生産が盛んなようなところでは茶摘みというような体験活動に従事する、あるいは今のような農繁期等におきます稲の刈り取りというような作業に従事させるというような活動、各地域地域の特性を生かしました活動というものは、各学校で取り組まれていることは承知しております。  ただ、十分な時間がとれるかどうかということになりますと、なかなか、定量的には私どもは承知していないわけでございますけれども、各学校においてそういった活動が行い得る、そういう仕組みにはなっているわけでございます。
  102. 鴨下一郎

    鴨下委員 十分な時間をとらないと意味がないということを私は思うのですね。  いろいろな取り組みがあると思います。先ほど申し上げた稲作活動の中でも、例えば岐阜県の穂積町立本田小学校だとか岩手県の前沢町立白鳥小学校、一生懸命取り組んでいらっしゃるのだろうと思いますけれども、極めて時間が短い。例えば、白鳥小学校の例で挙げますと、ゆとりの時間を充てた、そして水曜日の業間に十五分間と土曜日の四十五分間、これを充ててそういうことをやったというような話がある。やらないよりはもちろんましなわけでありますけれども、私はこういう取り組みは非常に重要だと思いますが、この時間をある程度ふやしていく、こういう工夫をしていきませんと、例えば生徒がそういうようなものの喜びを味わうまでには十分でない、こういうようなことなのだろうと思います。  それから、もう一つの指摘は、例えば学校内で先生と生徒の間でのこういうような活動はあっても、地域に出ていって、言ってみれば地域にはその道の達人がたくさんいるわけですけれども、そういう地域の方々との交流の中で、本来の生産活動の意義だとか、それの教育的な意味だとか、それから地域にいるさまざまな教育的な人材だとか、こういうものの活用をどういうふうにするか、ここまで広げていきませんと、水曜日に十五分間だけ稲をつくりましたというだけでは、ある意味で実学としての喜びは得られないのじゃないか、このように思うわけですけれども、この時間をふやしていく、もしくは地域とどういうふうに交流していくか、このことについての文部省のお考えはいかがなのでしょうか。
  103. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 今の先生の御指摘は大変大切なことで、私どもも、できるだけそういった実体験を通した活動の時間というものを十分に確保したいという気持ちはもちろん持っておりますし、各学校の先生方にお会いいたしましても、そういった形で先生が子供たちを指導する、そのときの子供たちの感動というものは大変なものだということは、多くの先生方から聞くわけでございます。  ただ、小学校、中学校、高等学校を通しまして、一体どういった教育内容を子供たちに身につけさせたい、させなければいけないのかということを考えましたときに、そうした体験的なものもあるわけでございますけれども、国語とか数学、社会その他それぞれの分野、芸術の関係もございますし体育もございますし、いろいろあるわけでございます。そして、加えまして、二〇〇三年度を目途に今学校完全週五日制ということで、これまで土曜日も学校で授業を行っておりましたが、それをなくして、完全に土日をお休みにした形で学校を展開する。こういう状況の中で、ますます学校としての時間がとりにくくなっているという状況があるわけでございます。  しかし、今御指摘のような学習活動というのは大変重要でございますので、今教育課程審議会で、完全学校週五日制をどのように円滑に実施するかということで、教育内容はいかにあるべきかということの真剣な議論が行われておりますので、そういった実体験を重視するというような視点も、一つこの検討の中には留意していただくようなことを私は考えてみたいなというふうに思います。  それからもう一つ、地域の方々を学校の指導に迎え入れるということも、これは大変そのとおりでございまして、これは免許法という基本的なルールがでざいますけれども、特定の分野につきましては、いわゆる社会人に学校の指導に当たっていただく、そういう特例措置も今現にございます。ただ実際に、じゃ、どれだけの方を学校に迎え入れているかということになりますと、先生、多分十分でないという御指摘になろうかと思いますけれども、仕組みはそういうふうに整えてございます。したがって、あと、各学校と地域とが十分相談し合いながら、そういった仕組みを生かしていただく。  あるいは、これから学校完全週五日制ということになってまいりますので、地域の、子供に対応する教育的な受け皿というようなものも充実して、学校の外ではありますけれども、子供たちの発達段階を十分踏まえた指導に当たっていただくような方途はないものか。これから完全学校週五 日制に向けて大変重要な課題になるのではないかな、こんなふうに思って今いろいろ方策を検討しているところでございます。
  104. 鴨下一郎

    鴨下委員 週五日制が完全に実施されると、ウイークデーはぎゅっと凝縮して、国語、算数、社会、理科、さまざまな教科をある水準までやらなければいけないということで、ますますタイトになってくる可能性があるんだろうと思いますけれども、私は、ここで本当の意味での発想の転換をして、いかに優秀な教育をしていくかというような意味では、むしろボランティアだとか、ボランティアというのは言ってみれば自主的な行動ですから、その自主的な行動をいかに評価していくか、こういうような観点に、もう原理から変えていかないと、教育というものが実際に行き詰まっている部分が私はあるんだろうと思います。  ですから、今おっしゃっていた国語、算数はもちろん大事かもわからないけれども、実生活の中で本当に必要なものというのをきちんと身につける。このこともこの週五日の中でやるべきなんだろうなというふうに思いますけれども、もう一度、根本的な話ですが、文部省は、ボランティアもしくは社会活動的なものに対する教育的な意味、意義についてどうお考えになっているか、教えていただきたいと思います。
  105. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 基本的な問題ですので、私からちょっとお話ししたいと思います。  今、鴨下委員が御指摘のように、単なる机の上の勉強、知識の詰め込みだけではなくて、実体験、社会体験を通じて、本当にいろいろ自分で考え、自分で判断をし、自分で行動するという、そういうみずから生きる力をつけるということは非常に大事なことだと思います。しかも、ボランティア活動によって勤労のとうとさとか社会に奉仕する気持ちを培うということは、まことに教育的にも意味があることであります。  しかし、今五日制という話がございましたように、これは非常に相矛盾する要求を調整しなきゃいかぬわけです。一方においては、六日間の授業を五日間に凝縮しなきゃいけませんで、科目を削っていかなきゃいけない。ところが一方においては、理数科をもっとふやせとか英語教育充実させるとか、あるいは情操教育の音楽や絵画の時間を削っちゃ困る、こういう相矛盾する要求をどうこなしていくか。今これを教育課程審議会で鋭意審議しているところです。ボランティアの価値は認めるんですけれども、じゃ、果たしてそれを授業の中に組み込めていけるかどうか、そういった問題がありまして、これは十分検討させていただきたいと思っております。
  106. 鴨下一郎

    鴨下委員 今大臣いみじくもおっしゃいましたように、私は、自主的に物を考え、自己決断していけるような、こういう人材が多く育たないといけないんだろうというふうに思っているわけでありまして、むしろ、多様ないわば才能、人格を認めるような教育をつくっていくべきなんだろうというふうに思います。そういう意味で、文部省がつくっている、言ってみれば学習指導要領の中での達成目標というのが現代にぴったり合っているかどうかということについて、私は、もう一度根本から考えていくべき時期に来ているんだろうというふうに思います。  例えば、アメリカの医学部なんかに入学する場合には、成績のことももちろんありますけれども、例えば、自分が医者になる適性をどうやってチェックしてきたかについて示さなければいけないということは、夏休みにだれかの研究室に行って手伝いをしたり、病院に行ってボランティアをして、自分が本当に医者になりたいかどうかを見きわめる、こういう作業をしなけりゃいけない。そして、そういう課外活動をやった先から必ず推薦状をもらわなければならない。この推薦状をもらうということは非常に大事なことで、書く方といいますか推薦状を出す方の人にとってもいいかげんなことは書けない。そして、その推薦者がいい学生だと言ったんだけれども、現実には例えば大学の中では余り評価されなかったというようなことになると、その推薦人そのものの信用が落ちてしまう、こういうようなことになる。  先ほど申し上げたように、地域、もしくはさまざまな教育的な人材というのはほかにもいるわけですから、そういう人たちがボランティアを受け入れて、それで、この子は一生懸命やるよというような評価を下す、こういうシステムが何とか、国語、算数と匹敵するような重みで教育の中に組み込まれないかどうか、このことを私は切に願っているわけでありますが、大臣、もう一度お答えをいただきたいと思います。
  107. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 昨日、生涯学習審議会に私が諮問したのは、今後の週五日制実施に伴って、家庭や社会の果たすべき役割が非常に大きくなってくる、そして、図書館とか博物館のあり方についても検討の余地がないか、そういう主として二つの側面から諮問したわけですが、学校の中でボランティアの時間を設けるというのは非常に難しいわけですが、今社会全体の動きを見ておりますと、例えば、ボランティア活動をやったことが教員免許にもつながっていく。あるいはまた、ボランティア活動が一定の評価をされて、それを高校の単位として認めていこうじゃないかという動きも出てきております。  そういうことで、国語や社会と同じように、同等の扱いでカリキュラムに組み込むというのは、熟し方からいうと、ちょっとまだそこまで行っていないのかなという思いがいたします。  そこで私は、週五日制がこれから整備されていくに従って社会活動あるいは自然体験、そういうものがきちっと評価される、そういうことが必要だと思うんですね。そうなりますと、これを別に教科に入れなくても、週末、社会でこういう活動をした、こういう奉仕活動をやったということが評価される手段とか手続が整ってくれば、これは当然、そのことが学生の一つの実績として評価できるというふうになると思います。
  108. 鴨下一郎

    鴨下委員 大臣大変いい答弁をいただいているわけでありますけれども、言ってみれば評価をするのは、これは教師以外の人たちが評価するようなシステムにならないと、地域とのきずなができていかない。それから、そういうような人たちも、ある意味では教育的な人材として文部省もかかわって、育てると言ったら僣越なのかもわかりませんけれども、現にそういう方々をどういうふうにネットワークしていくか、こういう作業もしていかなければいけないんだろうというふうに思いますけれども、このことについては今文部省は何か具体的には動かれているようなことはあるんでしょうか。
  109. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 ただいまの評価、これはいろんな場であるわけでございますけれども、一番シビアな評価としては入試という場がございますが、そういうところでどんな資料に基づいて選抜をするかというときに、これまではいわゆる調査書、内申書とも言われますが、それと学力試験というのが一般的でございました。しかし、それだけでは十分に子供一人一人の特性やよさは判定できないということで、いわゆる入試選抜の評価尺度の多元化とか多様化とか言われるわけでございますけれども、そういう方向に各学校が動いてきておりますが、今回出されました中央教育審議会の「審議のまとめ」によりますと、さらにその資料を多元化する、その中には自己申告でありますとかあるいは学校外のさまざまなそういった活動も評価の一つに加えてはどうかというような「審議のまとめ」の提言にもなっているというふうに承知をいたしております。  したがって、これはボランティア云々ということだけではなくて評価のあり方全体、なかんずく入試選抜における評価のあり方ということをめぐって今そういった指摘が、提言がなされまして、これから真剣な検討が加えられる、こういう状況にあるというふうに認識をいたしております。
  110. 鴨下一郎

    鴨下委員 評価を多元的、多面的に見ていく、このことは非常に重要なことでして、その中で、例えばボランティアについても、私はこれはあるテレビの番組で見たんですけれども、受験にいいからといって一週間ボランティア活動をやるとか というふうにかなり打算的な部分から入っていく人もいるようですけれども、私はこれはこれでいいと思うんですよ。形から入ることによって、例えば、御老人の車いすを押すという作業をしてみたら、これは最初は受験にいいからというふうに思っているんですけれども、実際にやってみたらそんなに表面的なことじゃなくて、お互いの心に触れ合うような感動的な体験をして、そして形から入ったんだけれども心が伴うようになった、こういうようなことだって間々あるわけですから。  私は、それを誘導していくのは文部省の役目だというようなことで、例えば中学、高校の入試等でもさまざまなそういう多元的な評価の方法の一つとして、いかに地域にどういう形でかかわり、なおかつボランティア活動をしていたか、このことをより重く評価をしていただきたい、こういうようなことを願っているわけでありますが、大臣。
  111. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 例えば、最近大学の中にはアドミッションオフィスというような仕組みが導入をされまして、これはもうずっと常設して、入学者の選抜のためのいろんな資料を集めたりそういうことをやって、単なる瞬間的なペーパーテストの成績だけじゃなくて、その学生が高校生活でどういう活動をしてきたか、スポーツでも文化でもあるいはボランティアでも。そういうふうなものを丹念にデータを集積しまして、その蓄積したノウハウに基づいて判定をする、こういうようなことも最近起きてきております。  私は、そういったことも含めて今後、今、鴨下委員が言われたように形から入っていって後から心ができればいいじゃないかというのもそれも一つだと思います。今まではとかくボランティアというのは自発的にやるものだ、償いというか報酬を求めてやるものじゃない、無償性ということがあったんですけれども、確かに一回そういうことを体験してみて、ボランティア活動のだいご味というか充実感を味わってそれに入っていくということもいいと思いますので、まだまだ日本の社会ではなかなかそこまでのノウハウが整備されておりませんので、今後生涯学習審議会あるいは教育課程審議会あるいは大学審議会等でも、今高校や入試改善のあり方、多面的な評価というところを一つのポイントにして審議しておりますので、これはひとつこれからの進展を見守りながら我々としても対応していきたいと思っております。
  112. 鴨下一郎

    鴨下委員 もう時間がございませんのでまとめのような話をさせていただきたいと思いますが、私は、ボランティア活動のような自主的な実体験を伴う教育というのが今までの教育のシステムの中でなかなか十分ではなかった。これが本来は人格的な成長に欠かせないことなんだろうと思います。  大臣は、教育のみじゃなくて環境の方にも造詣が深いわけでありますけれども、例えば、小さいころに空き缶拾いをした子供がみずからポイ捨てをするということはまずないというふうに言われているわけでありまして、さまざまな小さいときの本当に貴重な体験というのが大人になっても生きてくる、こういうようなことだろうと思いますが、それを教育があらゆるところで仕込んでいくといいますか仕掛けていくといいますか、そういうようなことをこれからますますやらなければいけない時代なんだろうと思います。  私は今まで心療内科というところで、どちらかといいますと不登校だとかうつ病だとか心身症だとか摂食障害というようないろんな問題を抱えているお子さんたちを見てきたわけでありますけれども、つくづくそういう今までの偏差値教育という戦いに疲れて、そしてその結果として病気になってしまった、こういうような方々を拝見してきて、今まさに曲がり角に来ているなというふうに思うわけであります。  文部省が戦後ある意味でそういう教育のシステムを一元化して、偏差値というようなことで物差しをつくってきたわけですけれども、まさに今それを変えるのも文部省の役目なんだろうというふうに思いますので、ぜひ積極的に、多元的、多面的評価をできるような、これはもう算数、国語ができる子もいてもいい、歌が上手な子がいてもいい、それから地域に出ていって積極的にボランティア活動をする子がいてもいい、すべてある意味で同じような評価をしていただきたい、このことを切にお願いを申し上げたいと思いますが、最後に、大臣、一言お答えいただきたい。
  113. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 私は実体験というものは本当に大事だと思います。そのために、今度週五日制が完全実施になれば、私は単に学校だけの改革にとどまらず、社会全体そして家庭が、その休みのふえたお子さんたちをどう実体験、社会体験あるいはボランティア体験あるいは環境体験をさせるか、これが重要だと思いますので、私は何も学校制度の方ばかりではなくて、やはり社会の側にも家庭の側にもそれを受け皿として整備していく必要があると思っております。  私は父親にも教育に参加してくれということを再三経済界の人にも呼びかけておりますが、そういう方向で今後とも努力したいと思っております。
  114. 鴨下一郎

    鴨下委員 ぜひよろしくお願いいたします。  ありがとうございました。
  115. 二田孝治

    ○二田委員長 次に、山元勉君。
  116. 山元勉

    山元委員 百五十日の通常国会があした終わろうというときに、このように一般質疑ということで文教委員会は頑張っているわけです。委員長以下委員の皆さんに敬意を表したいというふうに思います。  きょうは、今教育が直面をしている教育改革の問題やあるいは財政構造改善の問題で大きな問題があるわけですけれども、時間も短うございまして、最近気になっている一つのテーマについて、具体的な問題についてお尋ねをしてまいりたいと思います。  内政審議室お見えになっていますね。先に内政審議室の問題にもなろうと思うんですが、御承知のように、人権教育のための国連十年、これが一昨年の九五年一月からスタートをして二年半たつわけです。日本政府も早速、その年の暮れでしたけれども、十二月に推進本部を設置されました。総理を本部長にして五人の副本部長、大臣五人、そして二十一人の次官クラスの人をずらっと並べて立派な推進本部をつくられて、それから一年半たつわけです。  そして、橋本総理は、その二月ほど後ですが、昨年の通常国会の施政方針演説でもしっかりとこのことに特に触れて、「人権教育のための行動計画を早急に策定し、総合的な施策を推進するなど、人権が守られ、差別のない公正な社会を建設してまいります。」こういうふうに決意表明をしておられる。それから一年半たつわけです。ことしの施政方針演説でも、この人権に関する問題について総理は触れていらっしゃるわけです。  国内行動計画の作成について努力をしていただいている、中間まとめが出た、そして、こういうたび重ねて総理が決意をしていらっしゃる、そして二年半たつわけですね、スタートしてから。十年のうち二年半たったら、四分の一もう経過しているわけですね。そういうことで、私は少なくとも八年度中、この三月までにまとめが確定をするのではないかというふうに期待をしていましたけれども、この通常国会があした終わろうというのに、まだ全然聞こえてこないわけですね。  内政審議室がこの推進本部を預かっていらっしゃると思うのですが、一体どのように作業を進めていらっしゃるのか、これからまださらにおくれてしまうのか、まず今の作業の進みぐあい、これからの予定についてお尋ねをしたいと思うのです。
  117. 西阪昇

    ○西阪説明員 お答えいたします。  人権教育のための国連十年についての政府の対応でございますが、先生御指摘いただきましたように、平成七年十二月に、内閣総理大臣を本部長といたします人権教育のための国連十年推進本部を設置したところでございます。  推進本部では、平成八年三月に第一回の会合を開催いたしまして、その後は国内行動計画の策定作業を進めているところでございます。昨年十二 月には、先生御指摘いただきましたように国内行動計画の中間まとめというのを公表いたしまして、その後各方面から意見をいただいております。  現在は、その寄せられました意見等を踏まえまして、国内行動計画について関係省庁で最終的な意見調整を行っているところでございます。できるだけ早く国内行動計画を策定するということで、現在策定作業を進めているところでございます。
  118. 山元勉

    山元委員 この間、我が国では、例えばアイヌ新法が上がる、あるいは少しさかのぼると児童の権利条約が批准された、あるいは一番近いところでは去年の十二月に人権擁護施策推進法ができました。そういうふうに、我が国の政治の中で人権について意識を高めていく取り組みを進めようということが取り組まれていること、私は大変うれしいことだというふうに思っているわけですね。  しかし、今ありましたように、まとめに対する意見を聞き取りながら策定を急いでいるんだと。先ほども言いましたように、二年半たって四分の一この行動期間が済んでいるわけですね。一体何をしているかということになるわけです。  例えば、今申し上げましたように、人権擁護施策推進法が前の国会で十二月に成立しましたね。そのときにも附帯決議がつけられていて、この行動計画についてきっちりと書いているわけです。どういう書き方をしているかというと、政府は、   人権問題における教育及び啓発の重要性にかんがみ、学校教育、社会教育等の分野において「人権教育のための国連十年」の国内行動計画等を踏まえ、人権教育、人権啓発の取り組みに努めること。と書いてあるわけです。これは院の総意です。  踏まえるものがまだできていないわけです、踏まえるものが。計画等を踏まえて政府は努める、こう書いてあるのですけれども、何が難しいわけですか。  たくさんの意見が寄せられているだろうと思うのですね、それぞれ人権の問題に取り組んでいる、例えば部落解放に取り組んでいる人たち、あるいは教育の中での差別の問題に取り組んでいる人たち、あるいは障害者の問題、女性の問題、さまざまな問題があると思うのですね。そういう問題を二年半かかっても、あるいは人権擁護施策推進法というのができて踏まえると言っているその踏まえる土台がまだできぬというのは、何が障害があるのですか、ちょっとそのことを。
  119. 西阪昇

    ○西阪説明員 先ほどお答えいたしましたように、昨年の十二月に中間まとめを公表いたしましたが、その後、各都道府県知事それから各都道府県教育委員会を初め関係団体に中間まとめを送付する、あるいは関係諸会議で内容を紹介するなど、その内容の周知にまず努めてきたところでございます。  その後、関係団体等からさまざまな意見が寄せられております。できるだけそれらの意見を踏まえて国内行動計画を策定いたしたいという考えで、現在最終的な作業を行っているところでございます。
  120. 山元勉

    山元委員 一向にわからぬわけです。  先ほども申し上げましたように、広範なところから意見が出てくるのはわかり切っていることです。国連が決める前から、もうそういうことを世界で決めていくんだということはわかっていたことですね。それがいかにもというのは、私は本当に残念でならぬわけです。たくさんの人たちがこの国連十年の期間の中で日本が人権後進国から先進国に変わっていくような取り組みをしたいと願っていることを、受けとめていないというふうに私は思いますよ。  例えば、この推進本部の仕事をしている人は、わずか二人の人がやっているというふうにも聞いているわけです。それはどうですか。携わっている職員が二人だという話です。     〔委員長退席、稲葉委員長代理着席〕
  121. 西阪昇

    ○西阪説明員 人権教育のための国連十年推進本部という組織をつくりまして、政府一体として取り組んでいるわけでございます。  内政審議室といたしましては二名の担当ということでございますが、推進本部自身は、内閣総理大臣を本部長といたしまして、副本部省庁として法務、外務、文部、総務庁と各省庁御協力いただいております。国内行動計画の策定に当たりましても、この副本部省庁を中心にこれまで作業を進めております。また、先ほど先生御指摘いただきましたように、その他の省庁につきましては各事務次官が構成メンバーとなりて、政府全体として取り組んでいるところでございます。
  122. 山元勉

    山元委員 内政審議室に遅い、遅いと言ってもいかぬわけですけれども、いよいよ文部省にもお尋ねしたいわけですが、最初に内政審議室、去年の三月に私は内閣委員会でこの問題についてお尋ねをしたことがあるのですね。そのときに内政審議室は、それぞれの大臣の皆さんから決意をいただいて、あるいは申し合わせを強くいただいて進めようとしています、こうおっしゃったわけです。  その当時、文部大臣は奥田文部大臣だったと思いますが、文部省としてはどういう決意、何をやろう、こういうことは見えていたわけですか。
  123. 西阪昇

    ○西阪説明員 昨年の三月十八日に第一回の推進本部を開催いたしました。その際、当時の奥田文部大臣から、学校教育、社会教育を所管する立場からということで、推進本部の席上次のような趣旨の御発言がございました。  文部省は、憲法、教育基本法の精神にのっとり、学校教育、社会教育を通じて人権尊重の教育を行っていくことが極めて重要であると考え、従来より人権教育に関する種々の施策を推進してきたところである。  二番目といたしまして、学校教育においては、児童の権利に関する条約の趣旨も踏まえ、児童生徒等の発達段階に即して学校教育活動全体を通じて児童生徒の人権に十分配慮し、一人一人を大切にした教育充実を図っている。いじめ問題については、個性を生かす教育充実、教員の資質向上、教育相談体制の整備などの観点から、総合的な施策を推進している。  三番目といたしまして、社会教育については、生涯学習審議会などの答申において、現在、社会の重要な学習課題として人権尊重がうたわれていることを踏まえ、公民館等を拠点として、人権尊重に関する多様な学習活動の振興を図っている。  そして、最後に、文部省として、今後とも人権教育に関する取り組みを一層充実するとともに推進本部の活動に貢献していく、このような趣旨の御発言がございました。
  124. 山元勉

    山元委員 文部大臣、今お聞きのとおり、最初の立ち上がりのときに文部省として立派な決意を披瀝されているわけですね。人権教育のためにさらに貢献をしていきたい、こう決意を述べていらっしゃるのですけれども、改めて文部大臣の人権教育、特に国連の十年についてのお考え、御認識をお伺いしたいと思いますし、先ほどから内政審議室を責めているわけですけれども、おくれていることについては大きなやはり、文部大臣はこの本部の副本部長であられるわけですから、そういうことも含めて、一遍、文部大臣の今の認識についてお伺いをしたいと思います。
  125. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 戦後、新しい憲法のもとで、基本的人権の尊重ということは大きな柱の一つです。それから、学校教育法あるいは教育基本法に基づきまして、いろいろ児童の発達段階に応じたそういった人権の教育をやってきたところでありますが、しかし昨今、国連を初めとする内外の人権に対する関心の高まりというものも出てきたわけで、それに基づきまして、私どもも、本年、新たに人権擁護推進審議会というのをつくりまして、法務大臣、総務庁長官そして文部大臣、三大臣で今諮問をして協議をしていただいております。  その諮問内容は、「人権尊重の理念に関する国民相互の理解を深めるための教育及び啓発に関する施策の総合的な推進に関する基本的事項について」、こういうことで今やっていただいております。  それから、新たに本年度から指定校とか推進地 域を設定いたしまして、人権教育、具体的には人権教育研究指定校事業、それから教育総合推進地域事業を実施しておりまして、人権意識を培うための教育のあり方や、教育上特別の配慮が必要な地域における総合的な取り組み等について研究を行うことにしております。  こうしたことの中で、私たちとして、学校教育の場でも生涯教育の場でもできることは直ちに実行していく、こういう姿勢で臨んでまいりたいと思います。
  126. 山元勉

    山元委員 まさに人権教育というからには、あるいは先ほどの奥田文部大臣の決意の中にもありましたけれども、学校教育、社会教育を通じて実現をしていかなきゃならぬことが中核ですから、その点で、今大臣がおっしゃいましたけれども、もう少し事務局の方で——本当に最終的なまとめがおくれているわけですね、待っておれぬ。例えば大阪府はもう独自に行動計画をつくっていらっしゃるわけです、立派なものをつくっていらっしゃるわけです。ですから文部省も、それを待って、できたらやりますということではないということを今文部大臣おっしゃいましたけれども、具体的にこの中間まとめも含めて、それを足場にして、どういう具体的な取り組みをしていらっしゃるのか、お尋ねをしたいと思います。
  127. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 国内行動計画の作成に当たりましても、大分我々もその計画の作成に協力をいたしておるわけでございますけれども、その際には、学校教育において人権教育という観点に立ったときに何が課題かということで、我々も参加をしているわけでございます。  そのときに、大きくは三つほど、これは中間まとめにも示されているわけでございますけれども、一つは、やはり子供一人一人の人権尊重の意識をいかに高めるか。これは毎日毎日の学校教育を通して地道な取り組みを各学校にお願いして、それを行政機関がバックアップするということが大事になるわけでございますけれども、それが一つ。  それから、そのためには、教師たちを支援するという意味で、人権教育に関する指導内容や指導方法を改善するということが二つ目として重要であろう。  三番目として、やはり個々の先生方は、いろいろな教科の指導その他で忙殺されているわけでございますから、やはり人権教育に関してのきちっとした資料等を提供して研修をしっかりする、あるいは人権教育につきまして正確で豊富な情報提供を行う、この三つが大きな柱であろうというふうに我々は考えて、この国内行動計画の作成に参加をいたしてきております。  このことが中間まとめで示されたわけでございます。まだ中間まとめでございまして正式なまとめになっておりませんが、そういう考え方を踏まえながら、我々といたしましては、ここは若干抽象的でございますけれども、国内行動計画がまだございませんので、従来のいじめに対する取り組みの強化でありますとか、あるいは障害児に対する理解啓発の促進、あるいは交流教育を通してのその面での充実といったこと、あるいは地域改善対策事業の充実というような従来の施策をさらに充実するという形でこの平成七年度、人年度まいりました。  そこで、平成九年度からでございますけれども、先ほど大臣から具体的な御説明があったわけでございますけれども、こうした大きな人権教育の流れの中で、ひとつ研究指定校とか教育推進地域というものも人権教育のための国連十年というものを踏まえた形にしていこうということで、人権意識を培うための教育のあり方、あるいは教育上特別の配慮が必要な地域における総合的な取り組みについて研究を行うという趣旨を明確にする意味で、人権教育研究指定校あるいは教育総合推進地域というものを平成九年度からスタートさせるということにいたしておりまして、今各県からの申請といいましょうか、あれを待ちまして、指定の作業を急いでおります。  それから、この平成九年度には、教育委員会、学校関係者に対しまして、人権にかかわりましてはさまざまな課題があるわけでございますけれども、それらを全体的に集めまして収録をした人権教育資料というようなものをこの平成九年度には予算措置をいたしましたので、それを作成をして関係方面に配付し、指導に資していただく、こういうような取り組みをこの平成九年度の時点では行っておるところでございますけれども、さらに人権擁護推進審議会の動向やあるいは国内行動計画の内容等を踏まえつつ、さらにこの面での充実につきましては真剣に取り組んでまいりたい、こういう状況が現時点の状況でございます。
  128. 山元勉

    山元委員 確かに今人権教育で、局長がおっしゃいましたように、幾つかの柱があるわけですね。いじめの問題はもちろんそうですけれども、例えば部落の問題、あるいは男女平等の問題、あるいは環境も福祉も皆そうですね。そういうことをきっちりと描いて、そのことを踏まえた形で進めていかないと、決して今文部省の努力していらっしゃることが場当たりとは言いませんけれども、一体子供たちの意識の中に人権の問題あるいは国際協力の問題とか、そういうことをどういうふうに根づかせるべきなのか、そうすると、学校教育はどうなんだ、社会教育はどうなんだ、あるいは大人の意識はどうするんだ、こういうことになってくるのだと思うのですね。  そういう点で、私は、もう一遍もとへ質問を戻りますけれども、国内行動計画が明確になっていないということは致命的だというふうに思うのです。そこで、これからの具体的な展開、今指定校や推進校を下から上げてもらっているんだ、こういうふうにおっしゃるけれども、私は、やはり構えてしっかりと行動計画にのっとった教育のありようというものをつくり上げていかなきゃいかぬだろうと思うのですね。  そうすると、先ほども出ていましたけれども、例えば授業を改善するためにどういうふうなシステムをつくるんだ、あるいは教育資料をつくるためにどういうような例えば教材研究センターをつくるのか、どういうシステムで本当に今申し上げましたような体系的な、網羅的な人権教育のための資料をつくるのか。  今までの、ただ、人権教育だとかあるいは同和教育だとかいうことで指定校がありましたね、それを少々強化するとかいうことでなしに、本当に世界じゅうが十年取り組むんだということについてのきちっとした体系的な取り組みをしていこうと思うと、私は、先ほどおっしゃった教員の資質の向上の問題が一つある、資料、教材の問題が一つある、そして地域でのそういう話し合いの場が必要だろうというふうに思いますし、そしてやはり、全体的に国民の意識を啓発していくような、そういうキャンペーンといいますかきっちりとしたものが要るだろう。どうしてもやはり、日本人の感覚の中に人権ということについてのレベルは低い意識しかないというふうに、これは不信を持ってはいかぬけれども実態はそうであろうと思うのですね。そうすると、国民の皆さんへのキャンペーンを、啓発をということになれば金も要るだろうと思う、予算も要る。  今申し上げましたようなことについて、これから概算要求が始まっていくわけですけれども、どういう絵をかいていらっしゃるのか。私は、前のここの委員会で、文部省教育改革プログラムの中に人権教育という言葉が一言もないではないかと言って公言を申し上げた覚えがあるわけですね。そのときにも、きっちりとやりますというお話がありました。  私は、ことしのこれから始まる概算要求の中で、文部省教育改革の中で、文部省の言い方で言いますと教育改革プログラム、あの中にきちっと位置づけたんだというあかしを見せてもらわぬといかぬだろうと思うのですね。それには、今申し上げました幾つかの柱で努力をしていただくということがもう煮詰められてこなければいけないと思うのですが、その点についていかがですか。
  129. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 この人権教育というのは、大変幅の広い分野でございます。私どもの理解してお りますのは、この人権教育のための国連十年、あるいは国内行動計画の中で重要課題として例示されております子供、高齢者、障害者、同和関係者その他ありますけれども、それは特に重要な課題を持っているという意味で、もっと普遍的な問題意識、課題意識で取り組まなければならない課題であろうというふうに思います。  そこで、こうした幅広い課題を学校教育を通してどう実現するかというのは大変難しいわけでございますけれども、私たちが今現在思っておりますのは、これまで個別に取り組んでまいりましたものを、今回、人権教育という形でトータルとしてまとめてこれに取り組んでいくという、これをきっかけにして、指定地域や、あるいは指定校の名称といいましょうか、中身も人権教育という形でまとめたわけでございますが、そこで、我々がそういう立場に立ちまして、これまで個別に進めてまいりましたいろいろな施策、教育の内容のあり方ですとか、あるいは教員研修のあり方ですとか、あるいはいじめに対しての今いろいろ講じております施策、それから障害を持った子供の理解の問題、これまでずっとそれぞれが取り組んできたわけでございますので、これまでの取り組みについてそれを点検をしたいと思っております。そして特に、やはり教員研修といったものは重要な課題なのではないか。  それからもう一つ、人権教育資料というのを今年度つくるわけでございますけれども、その作成の過程で、子供たちの指導の充実ということのためにはどんな方途があるのかということをさらに探っていきたい、そんな感じで今おるところでございます。
  130. 山元勉

    山元委員 ぜひいい資料をつくってもらいたいというふうに期待をします。  もう一遍内政審議室ですが、各省、法務省、外務省あるいは文部省それぞれのところで努力していただいているわけですね。けれども、早くそれを全体的な姿が見えるようにしなければ、それぞれ各省が、今の話を聞いていて、こういうものがありますからこれを踏まえてきちんとやりますということにはちっとも出てこぬわけでしょう。一体いつできるんですか。ここでその約束というのはなかなかならぬかもしらぬけれども、いつできるんですか。
  131. 西阪昇

    ○西阪説明員 先ほどもお答えいたしましたとおり、関係団体から幅広い意見をいただいておりまして、それを踏まえてこれまで作業を進めてきておりますが、現在はその最終的な作業段階ということで、私ども、一日も早く国内行動計画を決定したいということで頑張って作業を進めておりますので、御了解いただきたいと思います。
  132. 山元勉

    山元委員 文部大臣、こういう状況ですね。しつこいですけれども、やはりそれぞれの課題に取り組んでいる人々が待っているし、それによってといって政府も附帯決議を認めたわけですよ、人権擁護施策推進法で、それを踏まえるという。  ですから、今、幅広くからということはわからぬではないのですけれども、どうです文部大臣、一番大事な文部省だと思うのですが、先ほどもありましたように、確かに推進本部の職員は二人です、幅広く幅広くと言っているけれども二人でまとめていらっしゃる。それぞれ、文部省文部省で頑張っている、また法務省は法務省で考えていただいている、外務省は外務省、こうなっているわけですよ。一遍そこの推進本部へ文部省も人を出して、一気に早くこの絵をかいてしまう、そして強力にやはり進める、その弾みを文部省がつけるということにはなりませんか。  例えば、そういうものが待てぬのでという言い方はおかしいかもしれぬけれども、大阪府政では、自分のところで府内の行動計画を立ててもう走り出しているわけですね。それを励ます意味でも、あるいはそれに肉づけしていくためにも、私は、今国内の行動計画のまとめがすきっと見えてくるということで文部省に格段の努力をお願いをしたいのですが、いかがでしょうか。
  133. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 人権問題というのは、これはもう文部省のみならず法務省なり総務庁なり、各省庁挙げてやるべき仕事だと思っております。  文部省としては、先ほど来申し上げているように、今年度から推進地域とかあるいはモデル校というようなことでやっておりますし、資料の作成とか教員の養成面でも努力をしているところでありますが、政府全体としてこの国内行動計画を取りまとめている最中でありまして、昨年十二月に中間取りまとめができたということで、それに基づいて今作業が進んでいるわけでありまして、これは文部省としても最大限、これは内閣全体の問題ですから、協力するべきところは大いに協力をしていく、こういうことで今やっているところでございます。  今後とも、そういう姿勢で協力していきたいと思っております。
  134. 山元勉

    山元委員 時間がなんですから、最後に、やはり私は、先ほども言いましたけれども、人権後進国だという自覚で、そのために文部省が大きな先頭を切った努力をしていただきたいことを期待をしているわけです。ぜひこの概算要求の時期、教育改革について財政問題等であらしが吹いてくるけれども、私は、守りにならないで、こういうことが必要なんだということをしっかりと絵をかいて、守りか攻めかというような言葉は余り適当ではありませんけれども、こういう今やらなきゃならぬことがあるんだということで前へ出していって、本当に世界に恥ずかしくないような国連十年にしてほしいというふうに思います。  余りゆっくりと内政審議室も構えてもらったら困ると思いますし、ぜひ文部省も、中心的というよりも先頭の役割を果たしていただくようにお願いをして、終わらさせていただきます。ありがとうございました。
  135. 稲葉大和

    ○稲葉委員長代理 これにて山元勉君の質疑は終了しました。  次に、近藤昭一君。
  136. 近藤昭一

    近藤委員 民主党の近藤昭一でございます。  障害児教育についての質問をさせていただきたいと思います。  障害児教育は、分離教育と申しますか、障害のある子供と健常な子供を分けて教育するという考え方と、あるいは、そういった障害のあるなしにかかわらずすべての子供を一緒に教育していこうという統合教育という考え方があると思いますが、私は、これからあるべき姿としては、子供の学ぶ権利ということから考えましても、すべての子供が、望むならば同じところで勉強できるべきではないかと思うわけであります。そんな観点から御質問させていただきたいと思います。  一九九四年六月、スペインのサラマンカで開催されました、ユネスコとスペイン政府の共同の主催だったと思いますけれども、特別なニーズ教育に関する世界会議というのがあったと思います。この会議に日本からは参加されているのかどうか。また、参加されたとしましたら、どんな方が参加されたのか、お教えいただければと思います。
  137. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 日本からは四名の方が参加いたしております。そのうち二人が政府派遣ということでございまして、このお二人は、文部省特殊教育課の教科調査官が一人、それから国立特殊教育総合研究所の室長が一人、この二人が政府派遣ということで参加しております。それ以外に、二人は学者のお立場で、大学の先生がお二人参加しております。
  138. 近藤昭一

    近藤委員 四人のうちのお二人が政府、お二人が学者ということでありますが、そのお二人の学者の方は、いわゆる政府からの推薦といいますか、政府からの委託ということで行かれたのでしょうか。
  139. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 はい。政府派遣ということで参加いたしております。
  140. 近藤昭一

    近藤委員 そうしますと、その会議というのは、例えば民間の市民団体というか、そういった団体が参加してないようでありますが、当時は参加しようという希望があれば参加できたような状況だったのでしょうか。
  141. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 参加の状態につきましては詳細を承知しておりませんけれども、政府派遣の二人 以外に学者の先生が参加しておりますが、この方々は政府から特に指示をして派遣をさせるということではなく、自由意思で参加をいたしておりますので、参加しようという意思があれば参加されたのではないかと思いますが、詳細は私承知いたしておりません。
  142. 近藤昭一

    近藤委員 わかりました。そうしますと、学者の方お二人が参加されて、政府からもお二人が参加されたということでありますね。  そうしますと、そこでサラマンカ宣言というのが採択されたと思いますが、このサラマンカ宣言をどう日本政府は認識なさっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  143. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 このサラマンカ宣言におきましては、一般に、障害のある子供につきましても、可能な限り通常の学校あるいは学級に在学、在籍させるべきであるという、インクルーシブ教育というふうに言われておるわけでございますけれども、その原則を打ち出しているわけでございますが、同時に、各国のそれぞれの特殊教育の現状というものを踏まえて、特殊学校等が引き続き適切な教育の場として機能し得る、そういう宣言になってございます。  文部省といたしましては、障害のある子供たちにつきまして、その可能性を最大限に伸ばして、社会的な自立や参加を可能な限り促すという基本的な考え方は考えとして持ちながら、どのような形でそういう子供たち小中高の段階の学習の機会を与えるかということでいろいろと検討しているわけでございますけれども、やはり将来、社会的な自立を果たす、社会的な参加を果たすという意味では、もちろん障害の程度によるわけでございますけれども、障害の種類、程度に応じて特別の配慮をして手厚く教育をする、こういう現在我が国がとっております特殊教育諸学校あるいは特殊学級の制度というものも適切な制度としてあるというふうに考えております。
  144. 近藤昭一

    近藤委員 そうしますと、サラマンカ宣言は、インクルーシブ教育ということで、できる限り障害のある子供もそうでない子供も一緒に教育すべきという方向があるけれども、特殊教育、各国の状況、あるいは各国における子供の状況だと思いますが、その状況に合わせて、分離教育というか、その子供に合わせた教育をした方がいいところも認めている。そういう中で、日本はやはりそういった障害に合わせて子供を教育すべきだというふうに考えていると認識してよろしいのでしょうか。
  145. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 障害にはさまざまな種類と程度があるわけでございます。その子供にとって、小学校時代、中学校時代、どのような教育をその子供に提供することがその子供の将来にとっていいかという視点で学ぶべき学校は選択されるべきであろうというふうに思います。  そういうふうに考えますと、私どもはやはり、障害があり、それを克服していかなければいけないということであれば、それにふさわしいさまざまな人的、物的な体制の整った学校として特殊教育諸学校あるいは特殊学級というようなシステムがあるわけでございますから、それはそれで私は大変重要な機能を果たしているというふうに思っております。もちろん障害の程度、種類によりましてさまざまな形での教育というのはあり得るわけでございますけれども、障害を持った子供たちに対する基本的な教育のあり方としてはそういうふうに考えていくことが適切なのではないかな、こういうふうに思っております。
  146. 近藤昭一

    近藤委員 わかりました。考え方はそれぞれの国によって大変に違うと思いますし、また、同じ国であってもそれぞれの人が違うと思いますけれども、そういう中で分離教育の重要性を非常に認識していらっしゃるというふうには考えるわけであります。  ところで、そうしますと、そういった分離教育の中で、特殊学級あるいは特殊教育学校に行くという判断というか選択、これは最終的にはだれがするのか、お教えいただきたいと思います。
  147. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 一般的に就学事務の手続になるわけでございますけれども、各都道府県教育委員会あるいは各市町村教育委員会には就学指導委員会というものが置かれてございます。その就学指導委員会のメンバーは教育、医学、心理学等の専門家で構成をされております。そこでそれぞれの子供の障害の程度とか種類というようなものを慎重に見きわめまして、その子供にとってどこで学ぶことが一番ふさわしいかということで、その就学指導委員会の判断をもとにして、具体的には教育委員会が、あなたはこの学校で就学してくださいという形で就学指定を行うのが通常でございます。  そして、特殊教育諸学校あるいは小中学校に就学すべき学校が決まります。その後、その小学校なり中学校の中で、普通学級で学ぶか特殊学級で学ぶか、あるいは通級というふうにして、通常特殊学級に籍を置きながら随時普通学級に行くとかというような、そのときそのときに柔軟な学習形態をとるケースもあるわけでございますけれども、そういう指導を施すのか、そういったことはそれぞれ子供を預かった学校の校長さんが最終的には判断をする。もちろんいろいろな先生と相談するだろうと思いますけれども、そういう形で子供たちの就学は決まっていく、こういう段取りになっております。
  148. 近藤昭一

    近藤委員 各県の教育委員会があり、教育委員会が決定するに当たって、就学指導委員会というものが専門家を集めて、個々の生徒について判断というか方向性を示すということだと思うのです。そうしますと、かなりそれぞれの就学指導委員会教育委員会によって、子供の状況というのは千差万別だとは思いますけれども、幅があるといいましょうか、ある県では特殊学級に行く、ある県ではそうではないというような幅が出てくるのでありましょうか。
  149. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 盲聾養護学校につきましては、学校教育法の施行令でおおむねの障害の程度が示してございまして、その障害を持った子供につきましては、盲学校なり聾学校なり養護学校なりというものが示してございます。それを踏まえまして就学指導委員会が行います。  もちろん厳密にいいましたら、判定と申しましょうか、その違いは生じてくるかもしれませんけれども、こういういわば情報化の時代でございますから、教育委員会教育委員会によって、そんなに判定が違うということはないのではないかと思います。  同じように、市町村の教育委員会におきます措置等におきましても、若干の違いというのは、それぞれの学校のさまざまな状況が違いますから全く同じということではないかもしれませんが、おおむね同じような形で就学すべき学校なり学級は決められる、これが通常だろうというふうに我々は認識をいたしております。
  150. 近藤昭一

    近藤委員 それぞれ、そんなに幅はない中で判断されているのではないかというお答えであると思うのですけれども、ただ、どうなのでしょう、今国の方としては、そういった就学指導委員会で判断して、その子供に合った教育を受けてもらう。ただ、親の判断として、そういう分離教育よりも、一緒に子供を勉強させた方が、かえって子供のために——学ぶということは多分、知識を得るということだけではなくて、学ぶ環境というか、総合的に、友達がいる、友達と助け合いながら学んでいく、こういったものが生き生きということだと思いますが、楽しく、生き生きと勉強していくということも非常に大切だと思うのです。  そういう中で、私も地元なんかでよく親御さんから、このままでいくと就学指導委員会にかかって、教育委員会の判定を待っていると、どうも特殊教育の学校の方に入れられてしまいそうだ、何とか、少なくとも特殊学級、一番いいのは普通学級に入りたいのだというお声を聞くわけであります。  そういった場合、国の方としては、柔軟に判断、各教育委員会に任せるというようなお立場をとっていらっしゃるのでしょうか。     〔稲葉委員長代理退席、委員長着席〕
  151. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 それぞれの判断はそれぞれの教 育委員会あるいは校長先生が、先ほど言ったような手続で行うわけでございますが、私どもとしては、保護者の意見というものも十分聞きながら、しかし、専門的な立場としては、今このときはここで学ぶことがその子供にとって最善であるということであれば、それは十分にその事情等を説明して保護者の理解を得るということが大切なのではないかなというふうに思っております。  もちろん、障害の程度によりましてかたくなでないということもあろうかもわかりませんが、それぞれの就学指導委員会あるいは各学校の校長先生の判定というのも、やはりその子供のことを思って、今はこうした学校で、あるいはこうした学級で学習することが、将来を見通したときに、その子供にとっては最善であるという判断で行われるであろうというふうに思っております。  国が一律に判定をするというような立場にはないわけでございますので、私どもとしては、今言いましたような、どこで学ぶかということは、子供にとりましても保護者にとりましても大変関心のあることでございますから、そういう意味で、丁寧な対応をしていただく、あるいは的確な判定をしていただくということはお願いをしておりますけれども、具体的に、この場合はこうということで私どもが判定をする、教育委員会にかわって判定をするというようなことはいたしていないわけでございます。
  152. 近藤昭一

    近藤委員 それぞれの教育委員会、専門家の判断に任せるということだと思うのですが、ただ、私は、冒頭でも述べましたように、やはり一緒に教育するべきではないかという考えを持っているわけであります。そして、そういった考え方を持つ親の方、もちろんそうでない親の方も多いのかもしれませんけれども、一緒に勉強したいという考え方を持つ親の方がいらっしゃる。ですから、もう少し幅があった方がいいのではないかな。親が望めば、一緒に勉強する、あるいは個性に合った教育を受ける、そういう選択の幅がもうちょっと広くてもいいのではないかな。  どうしてそういう言い方を申し上げるかということでありますが、私の地元の教育委員会に、特殊学級に入ってしまうのではなくて、本人が普通学級で勉強したいと言っているから何とかそういうふうにしてもらえないだろうかという相談をちょっとしますと、現場においてはなかなか難しいのだと。というのは、財政的な措置のことをおっしゃるわけであります。  特殊教育諸学校においては、介助員の経費について地方交付税の中で措置をしているけれども、特殊学級についてはしていない。ですから、特殊教育諸学校に行けば介助員がつくけれども、特殊学級に行くと介助員がつかない。ましてや普通学級に行けばそういった介助員がつかない。もちろん市町村によっては介助員についての予算をつけているところもあるようでありますが、なかなか厳しい地方財政の中ではできない。  そうすると、国に頼るというか、そういう姿勢はよくないのかもしれませんけれども、国の制度として、そういった介助員の経費、予算措置があれば、もう少しその子供を普通学級あるいは特殊学級で受け入れることができるのだという声が上がってくるわけですから、こういった、選択できるというか、予算の措置さえあればこっちで勉強できるのだということについてはどうお考えでしょうか。
  153. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 現在の財政上の措置は、介助員につきましては地方交付税という形で行われておりますが、先ほどから申し上げておりますように、障害の程度によるわけでございますけれども、障害の程度の重たい子供につきましては、盲聾養護学校というような学校で教育を受けることが適切であろうというふうに判断をいたしております。したがって、介助を必要とする、そうした重たい子供は、私どもの今の教育システムから考えますれば、養護学校というような学校に学んでいただく。したがって、そういう養護学校につきましては介助員を置き得る、そういう地方交付税措置を講じているわけでございます。  したがいまして、そうでないところにつきましてそうした措置をするということは、なかなか難しいことでございます。  ただ、一つ申し上げたいと思いますのは、私どもはやはり小学校、中学校、そうした子供のときには、障害を克服していただく、そういう訓練と申しましょうか教育を、非常に厳しいかもしれませんけれども、やって、将来の社会的自立、社会的参加に備えていただく、そういう時期であろうというふうに思っておりまして、そういう意味で、それぞれの障害にふさわしい学校で教育を受けていただく、そういう原則を繰り返し申し上げておるわけでございます。  ただ、そういった段階にありましても、そうした子供たちがさまざまな形で、そういう専門的な訓練と申しましょうか教育を受けながら、広く社会のいろいろな人たちあるいは同じ年齢の子供たちと社会的な交流を持つ、そういう形で人間性を豊かにするとか社会性を豊かにするとかということが、その時期あわせて必要であるということも十分認識をしておるつもりでございます。そのために、私どもは、さまざまな形での交流教育というものを積極的に行ってほしいということを各学校や教育委員会にお願いをしておりまして、各学校や教育委員会でも相当にこの面では取り組んでございます。  それから、先ほど言いましたように、一律に障害を判断しないで、通級というような形の柔軟な学習形態をとって、普通学級や、特殊学級に行って一部訓練を受け、またこちらで一緒に教育を受けるというような仕組みもあるわけでございます。そういう形で、障害を克服する教育にその期間専念してもらう、こういうことが大切なのではないかな、こんなふうに思っております。  したがいまして、先ほどの冒頭に戻るわけでございますけれども、そういうふうに学校のシステムを考えてございますので、介助員を必要とするような重たい子供につきましては、やはりそれにふさわしい施設、人的、物的な体制の整った学校で教育を受けていただく、これが原則であろうというふうに思っておるわけでございます。
  154. 近藤昭一

    近藤委員 今おっしゃったような、将来子供が学校を卒業して社会に出ていったとき、障害がある子供が自立していく。また、障害を持っていない子供も、交流授業等によって、社会の中にはさまざまな障害を持った子供もいるのだということを理解し、それがひいては社会に出たときに、社会というものを認識する上にとって多分役に立つだろうという御認識を持っていらっしゃるのだと思うのです。  そういう中で、くどいようではございますが、そうではなくて、特殊学級籍から通級したり、全面交流とか、交流ということじゃなくてもう最初からもっと一緒に勉強した方がよりいいのではないかという考え方を持つ方も大分多いと思いますし、度合いと言ってはあれかもしれませんが、なるべく一緒に勉強した方が将来のためになるだろうという認識をお持ちになっている中で、本来というか、例えば就学指導委員会にかけてしまったら結果として特殊学級に行くことになるかもしれないけれども、そうでなくて、なるべく普通学級で勉強してもらおう、現場の対応と言っていいのかどうかわかりませんけれども、そういう柔軟な対応をしているところが現実としてはかなりあるのじゃないかと私は思うわけであります。  そうしますと、逆にそういった現実的な対応はある、ところが、国の方は、認識としては一緒に勉強した方がいいかもしれないけれども、まず分けて教育するべきだというところがどうも出てくる。それによって、例えば、文部省からいただいた特殊学級あるいは特殊教育諸学校、こういうところに在籍していらっしゃる子供さんの数、どうも現場においては、どうしてもお母さん、お父さん、この子供を普通学級で勉強させたいと言うならば、障害のある子供だけれども障害がないことにしましょう。ですから、統計上は障害がない健常な子供だ。普通学級に在籍するんだ、ですから、その子供は障害があるけれども統計には出てこな い。これはちょっと私は、現実をしっかり見詰めるという上では問題があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  155. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 おもしろい数字を御紹介したいと思います。今、盲聾養護学校で教育を受けている、特殊諸学校への就学率の国際比較を見ますと、日本は〇・三八%に対して、アメリカ〇・五%、ドイツ三・八二%ということで、日本が一番盲聾養護学校へ行く率が低いのですね。そのことは、障害を有する子供たちが一般の小中学生と勉強している度合いというか、率が多いということを物語っていると思います。逆に言いますと、盲聾養護学校に通っている子供というのは、特に普通の子供と一緒にすることはかえって子供にとって幸せではない、重度のお子さんが多いということを証明していると思います。  先ほど、冒頭にサラマンカのお話が出されましたけれども、私も本来、インクルーシブといいますか、障害のある子もない子も一緒に教育をしていくということがいいことだと思いますし、また、ある子にとってもそこで全く健常な子供から刺激を受けるという面もあるし、また、健常な子供が障害のある子からいろいろ学ぶこともあるということで、それは本来望ましいことだと思います。  しかし、私も今までいろいろ特殊学級とか盲聾養護学校とか、あるいは国立大学病院のそういう障害のある子供の実態を見てきまして、本当に度合いがさまざまなのですね。もう全く車いすに乗ったままぐたっとしている子もいれば、この子が本当に病気なのかなと思うくらいはきはきと物を言っている子もいる。そして、見ていますと、もうマンツーマンどころか二人の教師が一人のお子さんの面倒を見ているというようなことで、同じ障害のある子供といってもそれこそ本当に千差万別で、本当に大変だなと。  私は、大事なことは、教育委員会の都合とか学校の都合とか、予算の制約ということもさることながら、むしろその子供たちにとってどこで勉強することが一番幸せか、余りにも重度の子を普通学級に入れたらそれこそ地獄と言ってもいいぐらいの状況になりかねませんので、やはり先ほどから局長が答弁しているように、その程度とか種類に応じて、できるだけその子供に合った施設で教育を受けていただくというのが私は本当の姿じゃないかと思います。
  156. 近藤昭一

    近藤委員 大臣、ありがとうございます。まさしくそのとおり、子供にとって何が一番大切かという観点から教育はなされるべきであると思いますし、その子供がどういったところで学びたいかという子供の意思、教育を受ける権利というものが一番大事だと私は思います。  ただ、その中で、今統計のお話をされました。特殊教育諸学校の在学者数の統計を私、手元で見ておるのですけれども、もちろん、この子供は特殊教育諸学校で勉強した方がいい、特殊学級で勉強した方がいいという方針はあるかもしれませんが、手元の数字を見ますと、幼稚部、小学部、中学部と学生が在学する。ところが、高等部になると急に学生の数がふえる。非常に大ざっぱな数字でありますが、小中学校の大体一・五倍から一・七倍にふえる。  というのは、これはどうしてかなというふうに私は思って見たわけでありますが、どうも中学校までは特殊学級というものが存在する、特殊学級か特殊教育諸学校という選択ができる。ところが、高校になった途端に、高校には特殊教育諸学校しかない。高等学校の特殊学級というものがない。だから、もう高等部に行くには特殊教育諸学校に行かざるを得ない、小学校、中学校は違っていたけれども高校からは特殊教育諸学校に行かざるを得ない。行かざるを得ないというところからこういうふうになっているのではないかと思うのですが、いかがでありましょうか。
  157. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 特殊教育諸学校の高等部の在学者数がふえますのは、二つございます。一つは、先生がおっしゃられましたとおり、中学校の特殊学級を卒業した人が高等部の段階では盲聾養護学校の高等部に進学しているというのが一つと、もう一つは、従来高等部の整備がおくれておりました。近年、これが大きな教育課題になりまして、各都道府県におきましても高等部の整備というものに大変力を注いでおりまして、高等部の整備が進められてきたということが二つの理由として挙げられると思います。  ただ、高等学校の進学の関係での御指摘がございましたが、一つ数字を紹介したいと思うのでございますが、これは平成八年三月の卒業者でございますが、中学校の特殊学級を卒業した生徒、そうした生徒が七千九百四十六人おりますが、そのうち千六百四十名は高等学校等へ進学をいたしております。また、同じ年度でございますが、盲聾養護学校の中学部を卒業した人、この生徒が六千九百二十一名おりますが、そのうちの四百五十八名が高等学校等へ進学をいたしております。  したがいまして、高等学校の受け入れの問題もあるかもわかりませんが、こうした数字を見ますと、高等学校もこうした障害を持った生徒たちを十分に受け入れているというふうな数字もあるわけでございます。そういう意味で、全体としてこうした問題は分析をしていく必要があるのではないか、こんなふうに思っております。
  158. 近藤昭一

    近藤委員 もう大分質問の時間も終了に迫ってまいりましたので、最後に幾つか、ちょっと要望だけお話をしたいと思います。  大臣がおっしゃられましたように、子供にとって大切な教育、子供がどう学びたいか、その気持ちをぜひとも大切にしていただきたいと思います。そういった意味で、第十五次の中教審答申が出ました。それを読まさせていただきまして、どうもできる子のための改革、大学受験の年齢を緩和する、あるいは中高一貫教育を認める、そういったできる子はもっと勉強しやすいようにしようという方向は見られるのでありますが、障害を持った子供たちに対する教育をどうしていくか、それがちょっと弱いのではないかと私は思うわけであります。  そして、とにかくすべての子供、学びたいと思う子供の権利を大事にしていただきたい。そういう意味で、訪問教育の対象生徒、高等教育についてもぜひ豊かな、十分な財政措置をしていただきたいということ、また療養中の児童生徒に対して、どうもこの教育については大変に条件が厳しいようであります。そういう認識が間違っていたら申しわけございませんが、厳しい状況であるようではありますので、ぜひともこの点についても御配慮をいただきたい。  また、普通学校において、先ほど申し上げましたように、障害のある子供も一緒に勉強できるように、エレベーターあるいは自動ドア等の設置、こういった方面について、予算措置をしていただいているようではありますが、まだまだ厳しいようでありますので、この辺の御配慮をいただきたいと要望を述べさせていただきまして、質問を終了させていただきます。ありがとうございました。
  159. 二田孝治

    ○二田委員長 次に、石井郁子君。
  160. 石井郁子

    石井(郁)委員 百四十国会で何度か質問をさせていただいておりますけれども、きょうも幾つか絞って御質問いたしたいというふうに思います。  まず、財政構造改革として出されている教育分野の問題点について御質問をいたします。  今回の閣議決定を見ますと、私は、教育費の予算抑制という点ではかつてない事態だというふうに思いますし、こういう方向で今後の日本の教育がどうなるのかという点では、非常に重大な問題を持っているというふうに考えています。  幾つかありますが、きょうは、特に義務教育の教職員の第六次定数改善計画の問題、高校は第五次ですけれども、来年度完成分を二年延長するということになっているわけでございますけれども、来年度の分というのは四千七百八十二人の増員計画であったわけです。自然減が大体九千五百人というふうに見込まれていますから、実質上、本当に教員数は減っていく。  私は、ある学校で、中学校の先生ですけれども、私たちは三十人学級を早く実現したいというふうに考えていますけれども、ふやすのは無理だった ら、せめて減らさないでほしい、こういう声を受けてきているところなのです。  それで、この日本教育新聞によりましても、五月十日号ですけれども、都道府県では、新規採用計画がどうなるのか、狂うのではないかという問題や、二十代の教師がいなくなるという、これは大変ショッキングだと思うのです、そういうことも言われております。そういう悲鳴があちこちから上がっておるわけです。  それで質問ですけれども、各県のこうした実情を文部省としてどのように把握しておられるのかということ、そして、この計画によって学校現場にどういう影響が今後出てくるのかという点を、文部省のお考えをまずお聞かせいただきたいというふうに思います。
  161. 小林敬治

    ○小林(敬)政府委員 お答えいたします。  まず第一点の、新規採用教員のお話でございますが、結局、今回二年延長されたことによりまして、来年度、改善として予定をしておりました四千七百八十二人、それから高校については千七百八十九人、これを、来年だけでなしに今後三年間にわたって配分をしていくということになろうかと思います。  その際に、私どもとしては各県から、これまでも実情把握に努めてきておりますが、なお今後必要に応じてヒアリング等を行いまして、この新採計画、新規採用者がどのくらい採れるのか、それから、各年度できるだけ均てんして採れるような姿に持っていきたい、そういったことも配慮をして、今後の概算要求等に臨みたいというふうに考えているところでございます。  それから、もう一点のどんな影響があるか。これは、もちろん計画が二年延びるわけですからもろもろの影響は出てまいりますが、最も端的に、直截に影響が出てくるところは、今申し上げたように、若手の採用者が少なくなるという点だと考えております。
  162. 石井郁子

    石井(郁)委員 学校によっては運動会もできなくなるという声さえ聞かれているほどで、実は本当に深刻だと私は思っています。  次に進みますけれども、しかし、二年繰り延べになるわけですよね。ですから、今の御答弁のように新採用の教員が減るという問題、それから今回の改革の中では私学の経常費も抑制されるという問題、ですから当然今度はまた学費の値上げというふうに返ってくるだろうというふうにも思いますし、やはり教育条件が全体として悪化をするというふうに見ざるを得ないわけですね。  一方で、中教審ですけれども、今作業が進行中でございますけれども、昨年一次答申が出されました。それで、今月中にも二次答申ということですが、二十一世紀に向けて「生きる力」と「ゆとり」ということが昨年はキーワードにされたわけですけれども、私は、今国民の声の中でも本当にゆとりを求める声が大きいし、それはもう欧米並みに教育費をふやす以外にないという声になっているというふうに思うのですね。  それを、中教審の、先般もここにおいでいただきました有馬会長が、五月三十日の第十六期中教審公表に当たって、改革には財政的措置が極めて重要だ、教員を減らすことには賛成できないというふうにおっしゃっておられます。  それから、第一次答申自身も、教員配置の改善について「これまでも計画的な改善が進められてきたところであるが、教員一人当たりの児童生徒数を、例えば欧米諸国と比較してみた場合、今なお、総じて大きなものとなっている。様々な前提条件が異なるため、これらを我が国と単純に比較するのは困難であるが、今後、教員配置の改善を進めるに当たっては、当面、教員一人当たりの児童生徒数を欧米並みの水準に近づけることを目指して改善を行うことを提言したい。」中教審はこういう提言をされているわけです。  現場の声を見ましても、ゆとりのある教育といっても、先生方にゆとりがなければなかなか実現しない。校務分掌を一人で幾つもかけ持ちしているし、補充する人もいないので年休もとれない。もっと先生が欲しい。同時に、先生の高齢化も心配だ。これは、ある管理職の方のお話で、これも日本教育新聞の一面から御紹介申し上げるのですけれども、そういうこととして、国民的な世論としてはあるというふうに私は思うのです。  その中で、橋本内閣の六つの改革の一つに教育改革を位置づけられて、国民の側からのそれに対する期待もあるだろうというふうにも思うのですが、その教育改革の方は財政構造改革で教育予算はもうばっさり落とすということになりますと、中教審で提言している問題どこの教育改革とはどういう整合性があるのでしょうか、これをぜひ伺っておきたいと思います。
  163. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 今回、教職員定数改善計画が来年度で完結すべきところを二年延長になったということは、残念なことであります。  しかし、今危機的な財政状況の中で、聖域を設けない、こういうことで、文部省関係でも、私学助成、義務教育費国庫負担金、そして高等教育、こういう分野にも非常に厳しいメスが入れられたわけであります。ほかの省などを見てみますと、進行中の事業をばっさり削られたり予算を大幅に減額されたりという中にあって、我々としては、残念ではありますけれども、六次改善計画で予定された数そのものは減らされなかった、計画自体を二年延長されたわけですけれども総数自体は削られなかったということは、せめて六大改革の一つである教育改革の重要性を認識したからこそそういう措置をとったのだというふうに受けとめております。
  164. 石井郁子

    石井(郁)委員 私は、もう一点、やはり院の意思との関係でお伺いしたいのですけれども、今進められている定数改善の計画が制定されたときに、この文教委員会としては各党一致しての附帯決議が付されているわけです。これは一九九三年ですけれども。その中では「年度計画の策定に当たっては、」「着実な計画実施に努めること。」という点がございます。ですから、こういう院としての決議をされているにもかかわらずそういう計画が財政事情で覆される、こういう点についてはどのように考えたらよろしいのですか。
  165. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 この決議がなされたときと現状とはもう相当財政状況が違っているということが一つあります。附帯決議、何とか私どもも尊重して着実にこれを実行したい、こういうことであったわけですけれども、全体として二年間延長になったことは残念だというふうに思いますけれども、そうした事態、客観的な財政状況の変化ということでやむを得ないというふうに考えております。
  166. 石井郁子

    石井(郁)委員 私はやはり、財政の事情から教育の問題を論ずるというのは、そうした場合に教育というのは本当にこの先どうなるんだろうかということを危惧せざるを得ないわけであります。一般に、教育にかける予算というのは未来への投資だということで、社会発展に不可欠な分野であります。ですから、今聖域を設けないということで大臣が御答弁のようなことがあるかもしれませんけれども、私は、本来教育こそ聖域にしていいんだということで、ぜひ主張したいというふうに思っているわけです。  その点で、例えば、欧米諸国も財政事情厳しいけれども、先般イギリスでは労働党政権で三十人学級を打ち出されたということで、私はやはりすごいなと思ったんです。だから、やはり政治の問題として、本当に教育に手厚い予算をということを文部省としては本当に頑張ってほしいなということを申し上げておきたいというふうに思います。何か文部省頑張れというような言い方になるわけですが、そういう主張をしたいというふうに思います。
  167. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 今国会でも重要な法案であった健康保険にしてもあるいは介護の問題にしても、本来、教育とか文化とか社会保障というのは、油断していますとどんどんどんどん膨らんでいく、要求にはもう限りがありませんから、当然これは財政に非常に大きな影響を与えるという要素を内在していると思うんですね。だからといって、聖域だからといって甘えているわけにはいかないと いうのが今日の状況じゃないかと思います。ですから、私は、現在の状況の中で、確かに教育とか文化とかというものは、短期的な財政難という理由だけではっさり削るというのはいかがなものか、もうちょっとロングスパンで物を考えていくべき領域だ、こういうことを強く主張してまいりました。  しかし、先ほど申し上げたように、定数減だけは何とか食いとめて、期間の延長ということで、極力生徒やあるいは教員志望者に影響が少なくなるように、先ほど局長が答えたように、激変を緩和をしてなだらかに着地をしていく、こういう努力を今後していきたいと思っております。
  168. 石井郁子

    石井(郁)委員 せっかくの大臣の御答弁ですけれども、教育には要望が強くて予算が膨れ上がる一方だというお話がございましたけれども、私申し上げたように、やはり欧米並みにせめてするべきだ。そこに届いていないというこの日本の教育の現状があるわけですから、それをもっと削っていくということは、やはり歴史の流れ、発展からしても合わないのではないかということで強調したわけであります。  次の問題に移りたいと思います。  私は、不登校の子供たちの問題できょうはちょっと質問をしたいと思っているんです。  不登校の子供たちの学習の機会というのが大変重要であります。文部省の調査でも、九五年度、三十日以上学校を欠席した子供たち、小中合わせて八万二千人と、毎年毎年調査のたびに子供たちがふえるわけですね。私は、この不登校、登校拒否の子供たちの問題は、やはり日本の社会と教育の問題を最も象徴する深刻な問題だというふうに考えています。  その背景とかきっかけはいろいろございますけれども、やはり学校に行きたいけれども行けないんですよね。心と体のいわば拒否状況というか、そういうあらわれをしているわけです。ですから、親も子供たちも、当事者の悩みというのは本当に深刻です。また、悩みは深いものであります。本来公教育として教育を受ける権利を持っているそういう子供たちをこういう状況に置いていいわけはないわけですね。  そこで、こういう学校へ行けない子供たちには文部省も一定の施策、適応指導学級等々実施してきたところですけれども、自主的に集まってそこを学びの場にする、人とのつながりを回復する、いろいろなことをしているフリースクールなどの形態があるわけですね。こういう民間の施設をどう見たらいいのか。私は、不登校の子供たちのいわば緊急避難的な場所あるいは義務教育を補完するような施設として見ることもできると思うのですけれども、ちょっと文部省の見解を伺っておきたいと思います。
  169. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 いわゆるフリースクールでございますけれども、私ども、ただいま先生の申されましたような状況の中で、学校外において登校拒否児童生徒に対します相談、指導を行うために、個人がつくっている場合もありますし団体がつくっている場合もあるわけでございますけれども、が設置、運営をいたしまして、そこで自然体験とか創作活動とかゲームとかあるいは教科の指導とかさまざまな活動を行っている民間の施設というふうに理解をいたしております。  現状は、そうした学校に行けない子供たちが通っているわけでございますけれども、規模は数大規模から百数十大規模のフリースクールがあり、開設状況も月数回のものから毎日子供を預かっているといったものもあるというふうに理解をいたしております。  やはり、学校に行こうとしても行けないというような状況の子供につきましては、学校に籍を置きつつそうしたフリースクールに学ぶ、その場合に、一定の要件を設けまして、その要件に合致するというように学校の方が判断した場合につきましてはフリースクールに学んでいる場合につきましても出席扱いをするというような形で、フリースクールにつきましては、我々は、そうした学校間の連携という中で指導をしている、こういうふうに認識をいたしております。
  170. 石井郁子

    石井(郁)委員 今のお話ですと、文部省としてもかなりというか一定実態をつかんでいるようにお聞きしたわけですけれども、「生徒指導上の諸問題の現状と文部省の施策について」、こういう中にはそういう数としては出てこないんですよね。そういうことで、私は、やはり民間施設の実態調査をちゃんとされているのかなというふうに思ったものですから、されているのか、あるいは今後ともしていくお考えがあるのかということを重ねて伺っておきたいと思います。
  171. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 フリースクールにつきましては、ただいまのようにさまざまな対応がございます。私どもが情報としてつかみ得ますのは、学校に籍を置いてその子供があるフリースクールに学ぶ、そのときに出席扱いなし得るか否かという形で捕捉ができるわけでございます。そういう意味で、しっかりと申しましょうか定量的にきちっとフリースクール全体の実態をつかむというのはなかなか難しいわけでございますけれども、やはりそこに義務教育の子供が学んでいるということでございますから、私ども、教育委員会を通しまして随時この実態把握には努めておりますし、今後もそういう努力はしていきたいというふうに思っておりますが、なかなか捕捉のしにくいということだけは御了解賜りたいと思います。
  172. 石井郁子

    石井(郁)委員 まだ新しい実態でございますのでそういうことがあるかと思いますけれども、しかし、やはりその気になればそれはできないことはないというふうに思いますし、ぜひ努力をしていただきたい。  指導要録上出席扱いがされてきておりますし、一定通学定期などの発行も認められてきているということもありますが、しかし、このデータですと、そこを出席扱いされた子供たちというのは余りにも少ないですよね。私は、実態はもっと民間の施設にたくさん子供たち行っていると思います。本当に痛々しい努力をしながら親も子も行っていると思います。私もたくさんそういう場所を見てまいりました。  ですから、もう一点の質問は、そういう民間施設の維持運営というのは実は大変なんですね。本当に善意で行われているというのが圧倒的かなというふうに思います。自治体としてもいろいろな支援策がこのごろ出ているんじゃないかというふうに思いますから、そういう自治体との関係で、国としても何らかのこういう民間施設への、あるいは親の会が運営しているんですよ、そういう親の会とのかかわりだとかでもう一歩踏み出すようなことが考えられないかということをちょっとお尋ねしたいと思います。
  173. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 ただいま申しましたように、フリースクールにつきましては、その態様が極めて区々でございまして、捕捉もなかなか難しいというところがございます。そこで、さらに財政援助ということになりますと、この施設の運営のあり方、指導方針あるいはそこで行われております活動内容といったものも非常に任意で多様でございまして、これをどう把握するかということもまず難しゅうございます。  それから、これらに仮に財政援助をするというようなことになりますと、フリースクール以外のところに行っている人、あるいは在宅学習をしている子供、その他さまざまの子供たちがいるわけでございまして、こうした子供たちとの関連をどう考えるか等さまざまに検討すべき課題がございますので、この場でこれを実現するということをお答えするのは大変難しいということを御理解賜りたいと思います。  ただ、今先生がおっしゃいましたように、交通費の負担に関しましては、実費をできるだけ軽減するという意味で、通学定期乗車券制度につきましてこれを対象にするというような努力はしたところでございます。
  174. 石井郁子

    石井(郁)委員 きょうはここまでにいたしますけれども、私もこれからまたいろいろと実態も踏まえて質問をしていきたいというふうに思うのですけれども、これは大きな検討課題だということ を申し上げておきたいというふうに思います。  次の問題なんですが、具体でちょっと申し上げたいことがございまして、質問をいたします。  就学援助費制度の問題ですけれども、大阪市で、私は大阪ですので、今年度から申請窓口を学校長に一本化するということを強行したのですね。保護者の間で今大変混乱と批判が起こっているわけであります。  就学援助については、もう言うまでもありませんで、不況が長引いている中での倒産とか、いろいろと経済の困難な状況というのはやはりふえてきておりますし、就援を受けたいという要望は大阪市の中では大変強いものがあります、全国どこでもそうでしょうけれども。  大阪市の教育委員会では、この二十年来、申請については、学校長を窓口にするということとともに、認定権者である市の教育委員会が委任した各区の行政区長に直接申請する、こういうやり方を併用してきたのですね。ところが、今回はそれを学校長に一本化するということにしたわけです。  そこで、ちょっと御質問なんですが、就学援助の認定権者は市町村の教育委員会及び政令市の区長となっているわけであります。だから、就学援助制度で認定権者に申請する、教育委員会及び政令市の区長ですね、ということは、私は当たり前だというふうに考えるわけですが、まずこの見解を伺っておきたいと思います。
  175. 小林敬治

    ○小林(敬)政府委員 お答えいたします。  この就学援助費につきましては、経済的理由によって小学校、中学校への就学が困難と認められる子供たちに対して学用品費、通学費などを支給する事業でございまして、これは市町村が中心になって行っておりまして、国が予算の範囲内においてその経費を補助するというシステムになっております。  就学援助費の支給に当たりましては、金銭または現物で市町村教育委員会が直接保護者に対して行うか、または学校長を通じて行うというふうなシステムをとっております。  ただ、私どもとしては、学校長を通じて援助費が保護者に支給される場合には、教育委員会が経理事務の監査を行うこと、それから学校長は善良な管理者の注意をもって事務処理に当たること、それから三点目に、児童生徒に卑屈感や劣等感を抱かせることのないように細心の注意を払うこと等の指導を行っているところでございます。  お尋ねの申請の手続についてのことでございますが、これは幾つかございますが、最も多いのは、今お話がありました学校長を経由して市町村教育委員会に提出するというのが五六・七%を占めております。そのほかに、直接保護者が市町村に提出する、あるいは民生委員等を経由して市町村教育委員会に提出する、あるいはそれらを併用する、こういうふうな方法があるわけでございます。
  176. 石井郁子

    石井(郁)委員 今質問したのは、大阪の場合には、学校長でなければならない、こういう決め方ということで、今さまざまな無理というか混乱が起きているわけで、こういう事態が起こっているのですね。今までどおりに区長に申請をした、そういう人の申請書については、配達証明つきで一通八百円もかけて送り返す。この方々はたしかもう二千人を超えているんじゃないでしょうか、という事態ですね。  それから、学校長が今度は何か申請の受け付けをしなければいけないということになったために、学校長が学校長所見を記入するための資料を保護者にお願いをする。その中では、所見をつけなければいけない、経済的に困っておられる様子を伝えられるようにしてください、この申請用紙に書かれた理由だけではわかりませんということで、こういう文書を送ったのです。その経済事情とかいろいろなことというのはマル秘扱いにしているわけですよね。  これは本当に驚くような話じゃないのでしょうか。今、学校の中では、親の職業とか兄弟の職業とかそれから家計の実態とかを数字として、書類として残すということを一切していませんよね。だから、担任や学校長がこういうことを提出させるということは、これはプライバシーの侵害ではないのかというふうに言わざるを得ないわけであります。こういう無理なことをさせているという非常に行き過ぎの事態が起こっているわけですね。どう思いますか。
  177. 小林敬治

    ○小林(敬)政府委員 基本的にどういう手続によるかというのは先ほど申し上げたところでございますけれども、結局との方法をとるかは市町村の決するところでございます。私の方でこれでなくてはいけないとかということではないと思います。  それともう一つ、いろいろなデータを出させるということをおっしゃいましたけれども、それは真に就学援助費が必要かどうかということを判断するための資料を要求したのではないかなというふうに私どもには考えられるわけであります。
  178. 石井郁子

    石井(郁)委員 就学援助が必要かどうかというのを認定する認定権者はそういうことをするということが必要かというふうに思うのですが、学校長がそういうことまでするのかという問題が一つと、今私がお尋ねしているのは、両方あり得るわけでしょう、だから、それを学校長しかできないということ自身は、これはどうなんですか。そういうふうに言い切る必要はないじゃないか。
  179. 小林敬治

    ○小林(敬)政府委員 どういう方法をとるかは市町村が決めるべきことだと私どもは考えます。  それから、ちょっともう一度申し上げますと、申請の受け付け方式については、やはり学校長を経由して市町村教育委員会に提出をするというのが最も多い。それから、今度は支給の方法でございますけれども、学校から直接保護者に手渡す。いずれも学校経由というのが最も一般的な方法でございます。
  180. 石井郁子

    石井(郁)委員 いろいろちょっと広がっておりますけれども、申請から支給のことまでが今一つになっていますけれども、支給については学校長が手渡すというのは一般的と言っていいのでしょうか。例えば銀行振り込みでやってきたのじゃないでしょうか。  今私が申し上げましたように、大阪では、直接学校長が手渡すとか、あるいは教室で子供たちに言って申請を出させるとか、こういうやり方が子供の心を傷つける、教育上やはりいろいろな問題が起こるということから、二十年来、直接請求、区長の方に提出をするというやり方に変えてきたのですよね。それは教育上その方がいいからなんですよ。それを今何でもとに戻すのかということでもありますし、文部省としてはちょっとこれは言いにくいとは思いますけれども、学校長だけにしなければいけないということではないということだけ、はっきりさせてください。
  181. 小林敬治

    ○小林(敬)政府委員 御指摘のように、保護者の口座に振り込むというのも二五・四%ございますから、確かに決して少ない数字ではございません。  申請それから支給方式、これをどういうふうにとるかということは、再三申し上げますが、これは市町村の決するところ、私はそう思います。  ただ、冒頭にも申し上げましたように、学校から保護者に受け渡しをする場合には、子供たちに卑屈感を起こさせないような配慮をしろということは、毎年の局長通知で申し上げているところでございます。
  182. 石井郁子

    石井(郁)委員 こういう問題が出てきましたので、私も就学援助に関する法律と施行令を見ましたけれども、この中では学校長にそれだけの権限という形では具体的に書かれていないですよね、教育委員会が認定することになっているわけですから。私は、今出ている問題というのは教育上問題を起こす極めて行き過ぎたことではないかと考えているということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  残りの時間、山原議員にさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
  183. 二田孝治

    ○二田委員長 この際、山原健二郎君から関連質疑の申し出があります。石井君の持ち時間の範囲内でこれを許します。山原健二郎君。
  184. 山原健二郎

    山原委員 福原学園の問題について御質問を申 し上げます。  四月十一日に本委員会で私は質問をしましたが、そのとき文部省は、「引き続き平成七年六月に行いました指導事項が適切に履行されますよう、今後とも福原学園につきまして指導を続けてまいりたいと考えておるところでございます。」こういう答弁でございました。  その後、五月八日に文部省に福原学園の理事者側を呼んで説明を聞いておられるようですが、理事会側の説明と文部省の指導内容についてお聞きしたいわけです。  と申しますのは、この間の文部省の指導の甘さもあって、二十五億円の未回収どころか、評価額の三倍に当たる借地料を年間二億四千五百万円も特定の業者に払ったり、また、県からの開発許可がおくれたからという理由で損害賠償金が一億七千二百万円支払われるなど、莫大な金が特定業者に流出をしています。こんなことでいいのか。早い適切な指導がなされないとますます不可解な経理が続かざるを得ないのではないか、こういうふうに考えるわけですが、この辺はどうなっていますか、お伺いしておきます。
  185. 雨宮忠

    ○雨宮政府委員 去る四月十一日に一たんお尋ねをいただいたわけでございます。その後、文部省といたしましては、五月八日に学校法人福原学園の理事長等に来省を求めたわけでございまして、その際には、平成七年六月、すなわち二年前でございますけれども、二年前に文部省が行いました指導三項目、ごくつづめて申しますと、法人の適正な運営の問題、それから土地取得等の適正な処理の問題、それから諸規定の見直しを図ったり整備を図ること、この三点の項目の改善状況について説明を受けたところでございます。  先生がお尋ねの、土地取得に係る、すなわち二十五億円の貸付金問題の処理についても話を聞いたわけでございますけれども、具体的な改善計画が示されていないことなど、なお不明な点が残っておりまして、私どもといたしましてはさらに事実関係等について説明を求めているところでございます。
  186. 山原健二郎

    山原委員 福原学園の教職員は学園の将来を本当に真剣に考えているわけですが、理事会のたび重なる不祥事によって、大学では、臨時定員の取り込みはもとより、九州共立大学大学院設置の申請もできない、また高校の統合の差し戻しによる保護者からの不信、理事会側の独断専行の人事政策、一方的な解雇などによる裁判事件などや、また専務理事の差別発言などが出てまいりまして、教育現場に大きな混乱を起こしているわけです。学園の先行きというものが全く見通しが立たない、真っ暗になっている。  こういう教学上大問題を起こしていることについて、文部省はどう認識をして、どう指導しているかということを聞きたいわけです。この点、どういうふうに御説明になりますか。
  187. 雨宮忠

    ○雨宮政府委員 基本的には、おととし指導した項目についての履行と申しますか、改善を図るように求めることが基本になるわけでございます。特に二十五億円の関係につきましては、さらに事実を明らかにするべく私どもとしても努力いたしたいと考えております。  また、今先生御指摘のさまざまな問題でございますけれども、例えば、今年三月に、学校法人福原学園の設置いたしております九州共立大学の経済学部の教授会でありますとか工学部の教授会、九州女子大学教授会、九州女子短期大学教授会等々から理事の退陣要求も出されておるという事実は私どもとしても把握しておるわけでございます。また、その退陣要求の理由といたしましては、学校法人の理事会が文部省の指導に従っていないこと、教員解任等をめぐって裁判事件が生じていること等が挙げられている、こういうことでございます。  これらは広い意味では法人運営ということになるわけでございますけれども、もう少し具体的に申しますと、いわゆる理事会側と教学組織との連携と申しますか、十分な意思疎通が図られていないということになろうかと思うわけでございまして、先ほど来申し上げましたように、法人の適正な運営という観点に立って今後とも十分に指導してまいりたい、かように考えているところでございます。
  188. 山原健二郎

    山原委員 気持ちはわかるのですが、今おっしゃったように三大学の四教授会とか、高等学校側の教職員会、こういうところも一斉に理事会の退陣を要求するというのは異例の事態なんですね。そういうことを考えますと、一日も早い学園の問題の解決のために、文部省としても、どこまで介入できるかわかりませんけれども、全力を挙げてやるという気迫を持ってもらいたいと思うのですね。いつまでもこんなことをほうっておいたら、またとんでもないことになってしまいます。  これは御承知かもしれませんが、平成七年十一月十五日の第十五回経営者会議の議事録を見ますと、今回の指導が文部省全体の意思であるならば学園も対抗手段をとらざるを得ないとか、たとえ行政の権限内においても内政干渉であるとか、私学の独立を脅かす越権行為であるとか、文部省の指導はバランスを欠いているとか、とにかく文書での指導、呼び出しがない限りこれに応じる責任はないというような文言がこの議事録の中に出てくるわけですね。そうしますと、文部省がいかに指導助言の立場にあるとはいえ、あるいはそういう立場にあるとしても、全く問題になっていないというようなことがあるのではないでしょうか。  たくさんの学生がおる学校でございますから、何とか一応の解決のめどを見開いていくということが文部省にとって今一番大事なことではないかと思いますが、もう一回お伺いしておきます。
  189. 雨宮忠

    ○雨宮政府委員 私どもといたしましては、それぞれの私学が健全な経営基盤の上に立って円滑な教育研究活動を行うということが一番重要なことでもございます。したがいまして、私学の自主的運営ということはもちろんあるわけでございまして、その意味合いで、それぞれの私学の自主的な解決に向けての、あるいは改善に向けての努力というものに期待するわけでございます。  いずれにいたしましても、今申し上げましたような基本的な考え方に立ちまして、今後とも、同学園に対しまして適切に指導を行ってまいりたい、かように考えておるところでございます。
  190. 山原健二郎

    山原委員 私学助成をやった場合、二十年ぐらい前のことだと思いますが、そのときにも、私学のみずから律するという問題が随分論議されたわけでございまして、今日の事態の中で、問題を解決するのは、もっと教育的立場で考えるならばできないはずはないと思いますから、その意味で、ぜひ問題を解決していただきますように、文部大臣、何か御発言がありましたら、一言伺っておきたいと思います。
  191. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 ここに限らず、学校法人の適正な運営あるいは土地取得の適正化、こういう問題については、これからも注意深く適切に対処していきたいと思っております。
  192. 山原健二郎

    山原委員 終わります。
  193. 二田孝治

    ○二田委員長 次に、保坂展人君
  194. 保坂展人

    保坂委員 社会民主党の保坂展人です。  きょう午前中からの質疑、大変内容の深い貴重な問題提起がされたと思います。時間が限られている中ですが、幾つか私の方からも問題をお尋ねをしたいと思います。  まず、この中教審の「審議のまとめ(その二)」に目を通させていただいたのですけれども、自分探しを助ける営み、これを教育であるというふうに位置づけて、そして、この日本社会が、横並び志向が強くて個性が抑えつけられる嫌いがこれまであったけれども、しかし、大きな転換点に現在あるんだ、あるいは、子供たちの選択の機会を拡大しようではないか、学校など教育を提供する側のみのニーズで教育を考えるのではなくて子供の立場でというようなことがうたわれています。しかし、それを細かく見ていくと、今回、中高一貫だとかあるいは十七歳入学というようなことが出てくるわけで、これはもう少し方向を違えて考えていただきたいと私は思うわけです。  この報告書の「審議のまとめ」の中にも、全員 一斉かつ平等にという発想が日本社会にあって、これをそれぞれの個性、能力に応じた内容、方法、仕組みに転換していこうということで、いわばその例外的措置につなげられていっているわけなのです、  私は、全然違う角度からちょっと文部大臣にお尋ねしたいと思うのですけれども、実は、もう随分前になりましたけれども、深夜番組で11PMという番組がございました。時々、社会派の企画をやるんですね。私は、そのレポーターとして、いわゆる信州の伊那谷、伊那小学校というところにお訪ねをしたのですね。ここは非常に画期的な学校で、チャイムがない、時間割りがない、教科書がないんですね。  例えば、小学校二年生のクラスに入ったんですが、二年生のクラスは一年かけてヤギを飼う。ヤギを飼って、例えばヤギの作文を書いて、それが国語である。もちろん、ヤギの絵をかいて見るとか、あるいはヤギのえさをとりに行くのに郷土を学ぶとか、今から考えれば相当先進的な、これは信州の自由教育の伝統に支えられながら、こういった実践があったわけです。  今どうなっているのかなと思って先刻電話をしましたところ、現在も総合学習ということでやっていますということで、大変うれしかったわけなんですが、こういった大胆な、大胆なというか、全国の父母から見れば、あるいは子供から見ればえっと思うような、こういう実践をもっと紹介をして、支援をしていっていただきたいと思うのですが、文部大臣、お考えはいかがでしょうか。
  195. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 今度の教育改革プログラムでも、柔軟性、多様性ということを一つの柱に考えておりまして、今までのような単一の考え方ではなくて、そういった要素を取り入れるようにということですけれども、おのずからこれは、憲法から、教育基本法、学校教育法あるいは学習指導要領という一つの制約の中でやっているわけなので、すべてを野方図に自由化するということはできませんけれども、方向としては、できるだけ、今までのがんじがらめの単一的な考え方よりも、もう少し自由な幅広い選択のでき得る教育というのを私どもは目指していきたいと思っております。
  196. 保坂展人

    保坂委員 日本の社会は横並びで画一的で、学校というのは特にそうなんですよね。これは中教審の今回のまとめでもたびたび出てくるところですが、横並び意識が強いからなかなか変わらない、そこのところを発想を転換して、教育においていろんな改革が今必要なんです。  だけれども、必要なところを一斉にやろうとしないで、ある県、ある市の中で一つ、例えば子供の自己実現、自己主張、あるいはいじめの問題なんかを見ていったときに、自分の言葉でノーと言えない、自分の言葉で意思をなかなか表現できない、あるいは、遊びの空間も解体をされていて、人間同士、子供同士ぶつかり合えないというところで、イギリスの学校あるいはアメリカの学校に、演劇、ドラマのプログラムがありますよね、こういうものを例えばある学校がやりたいといったときに、文部省としては、これは激励して、どんどんやってださいというふうに言っていい時代だと思うんですが、その辺、初中局長、いかがでしょうか。
  197. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 今、高等学校の学習指導要領では、国語とか数学とかという教科のほかに、各学校なり設置者の判断で、その他教科・科目を設け得ることができる、こうありまして、ただいまの先生の御提言ですと、例えば演劇、それを教科なり科目なりでやろうと思えば、高等学校につきましてはそれは今可能になっておる、そういう仕組みが現にとられております。(保坂委員「小学校」と呼ぶ)小学校につきましては、これはその他教科・科目というのはございませんので、学習指導要領で決められました時間以外の放課後であるとかその他の時間において、各学校の任意の活動として行うということはできるかと思うんですけれども、高等学校のように教科・科目として位置づけるという仕組みにはなってございません。その他の時間を使って行うことはできるかとは思います。
  198. 保坂展人

    保坂委員 先ほど紹介した伊那小学校では、これはもう長い伝統に支えられた実験校という位置づけで、制度的にも枠づけられていると思うんですが、いわばその全体は、今局長がおっしゃるような、指導要領に従って、だから放課後になっちゃいますよというのはわかるんですけれども、いいじゃないですか、実験校として、各県あるいは自治体に一つくらい、もう何か変えて、風穴求めて、世論も子供の願いも強いわけですから、そういうプログラムは実験校ということで実現できませんか。
  199. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 今の制度としては研究開発学校というシステムがございます。研究開発学校の指定を受けていただいた学校につきましては、学習指導要領によらない教育課程を展開できる、こうなっております。  現に、小学校で取り組んでいただいておりますのは、小学校にはまだ教科、その他の科目として英語というのはございませんけれども、研究開発学校の指定を受けた小学校につきましては、英語、英会話ということが今やれるようになっております。今先生がおっしゃるのは、演劇その他で適用してはどうかということでございますが、ルールとしてはそれはございます。  ただ、どのくらいの学校にそういう研究開発学校という制度を当てはめるか、これはこれでまた考えなければいけないと思いますけれども、仕組みとしてはそういうものがございます。
  200. 保坂展人

    保坂委員 現場の先生、そして校長先生と話しても、自分たちは無力だというようなことをおっしゃるんですね。ただ、どうもこの辺にずれがあると思っていまして、いじめの問題や子供たちのいわゆる元気が、活力がないというようなことに対して、もっと子供を解放して新しいプログラムをやるということを、本気でその学校の教育集団や学校長がそうだというふうになれば、これはやれないことはないというふうに考えているんですが、その辺はどうでしょうか。
  201. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 現行の仕組みでは、ただいま言いましたように、研究開発学校という指定を受けていただくというように非常に限定されています。  ただ、先ほど大臣からの御答弁もありましたように、今検討しております完全学校週五日制下での新しい教育課程の基準におきましてはすべての学校に共通に、これは小学校も含めてですけれども、総合的な学習の時間というものを設けて、それはかなり柔軟な、各学校の創意工夫を生かすような形のものを考えてはどうかということで検討しておりますので、その総合的な学習の時間というものがどんな形になるかですが、それが設けられれば今言いましたものが一般化して展開できる、こういうような仕組みになろうかと思いますが、今現在それは教育課程審議会で大変重要なテーマとして検討いたしております。
  202. 保坂展人

    保坂委員 やはり答弁の中にすべての学校がというのが出てきちゃうわけなのですが、すべての学校がというのが横並び意識だと思うのですね。やはりこれだけ言われていること、そして演劇のカリキュラムあるいはワークショップ形式で子供たちが意見や感情を出し合うということについては、すべての学校がを待たずに、やはりこれを、熱意が高まった、まさにボランティアと思われて、やろうというところからぜひ後押しをしていくべきだというふうに思います。  先ほど石井議員の方からフリースクールについての財政援助の問題が出ました。なかなか難しいという、まあ定期代については決断していただいてもう使っている子供たちもいるわけですけれども、私の方から一点、これはどうですかという提案でちょっとお尋ねをしたいのですが、フリースクールの場合、これは特に大都市部だと大変なのですね、家賃を払うのが。  つまり教室というのはかなり広いスペースですから、例えば東京で小学校の教室程度のところを借りて運営をするということになると、やはり十 万、二十万、三十万という家賃が要るわけですね。もっと大変なのは運動場ですよ。子供たちがスポーツをやったり、あるいは体育館でいろいろ運動をしたりというスペースの提供ですね。これは実際に行われているケースもあるので、ぜひ検討していただきたい。さらに、フリースクールにおける例えば講師派遣のようなことをお考えになったらどうか。  つまり今の制度の中でもできることから踏み出してほしいという点で、提案的な質問なのですが、いかがでしょうか。
  203. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 学校に来られないいわゆる登校拒否児の子供たちは、さまざまな場に出かけています。公的な教育センターその他、あるいは教育相談所等の公的なところにつきましてはもちろん行政として対応しているわけでございますけれども、今御指摘のフリースクールは、全く民間の自由意思で、ボランタリーに、さまざまな自由な発想の中で行われている、そういう教育施設であるわけでございます。  そういうところに公がどこまで援助をし、あるいはかかわるかというのは非常に難しい問題でございます。もちろんそれぞれのフリースクールがそれぞれの判断でそれぞれに個別に折衝し、交渉していろいろな場を確保し、スタッフを確保する、これはもう任されるわけでございますけれども、公がそれにどれだけ関与をするかということはなかなか難しいことなのではないかと思います。
  204. 保坂展人

    保坂委員 難しくても、ぜひ子供第一、やはりフリースクールに行っている子供だからといってサッカーや野球ができないということにならないように、ぜひそこは柔軟に考えていただきたいなと思います。  時間がどんどん押してしまっているのですが、大臣にちょっと一言だけお聞きしたいのですけれども、この今回の中教審のまとめの中にも受験過熱が大変低年齢化をしているという記述があるわけです。年の小さい子供たちを巻き込んだ競争ということが書かれていますよね。この年の小さい子供たちの競争というのは、具体的に何歳ぐらいの子供たちを、小杉大臣だったら想定されるでしょうか。これをちょっと伺いたいのですけれども、いかがですか。
  205. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 私は余り専門的によくわかりませんが、常識的には、やはり小学校低学年ぐらいまでは余りそう差別をつけるような、そういうのはよくないと思っております。
  206. 保坂展人

    保坂委員 ありがとうございました。突然聞いて、申しわけありません。  実は、大臣、違うのです。年の小さい子供というのは、ゼロ歳、一歳、二歳。これはもうある大手堅チェーンが「二歳で本が読める」という本を代表者の方が書かれまして、帯には「三歳からではおそすぎる」とあるのです。読むと、お母さんたち、赤ちゃんというのは寝かせっ放しにしておいては何も学べませんよと。あるいは別の、これは早期教育産業というふうにあえて呼びますよ、その早期教育産業の別の大きな教室のチェーンでは、才能低減の法則というのがあるというのです。ゼロ歳が一番上だ、六歳がもうゼロになる、大人はもう話にならない。だから、生まれてからすぐにわっと知識を、フラッシュカード、さまざまな読み聞かせなんかによって注入することをしないと、お母さんたち、手おくれになりますよという宣伝が今行き届いています。産婦人科の医院にお母さんたちが行きます。そうすると、産婦人科のところに、御自由にお取りくださいで、そういったたぐいの本があるのですね、今。  そうすると、これは今大変な圧力なのですけれども、こういうことに対する抑止力というか、関心、興味でも構わないのですけれども、大臣のお考え、ちょっと聞いておきたいと思います。
  207. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 実は、私もこの間孫が生まれまして、ゼロ歳から塾へ通っているから、何をやっているんだと娘に聞いたら、何か右脳を開発する塾だというのですね。いや恐るべき時代だなと自分自身びっくりしたのですが、これはどういうふうに考えたらいいのか。いろいろまた委員の御意見も伺いながら、またひとつ私もなかなか答弁の段階に至らないのですが、どういうふうに考えたらいいのか、精いっぱい勉強してみたいと思っております。
  208. 保坂展人

    保坂委員 物事には、常にえっという極限がございまして、実はゼロ歳児教育よりもすごいのがあるのです。胎児教室というやつですよ。これは、おなかの大きいお母さんたちが集まって、円陣を組んで、文字盤をさわるのですね。「あ」という文字盤をさわって、赤ちゃんにこれが「あ」だよと教えていくという、そういう教室がやはりおなかの大きいお母さんたちによってかなりにぎわっているという現状があります。それが不思議なことに、基礎教科というか、受験教科なのですね、これは。幼稚園受験に結びついていくのですが、きょうはもう時間がありませんので、これは問題指摘にとどめますけれども。  最後に、イギリスでチャイルドラインという二十四時間電話相談の仕組みが大変子供たちをサポートしているという様子を先般見てまいりました。この中で、本当にそのとおりだなというふうに感心させられたのは、子供の声に常に耳を傾けていくということ、子供にしか言えない事態の表明、例えば親からの暴力、それから性的な被害、いじめ、そして最近だと成績が悪いということで苦しんでいる子供たちの悩みが初めて受けとめてもらえるようになったと。  ここのところ、神戸でもう本当に悲痛な事件がございます。ああいった事件、子供たちは何かおかしいぞというのは一番最初に受け取ると思うのですね。そういう意味でも、今行政が垣根を超えて民間団体ともつながって、子供の安全と、子供の声をきちっと受けるという仕組みを本当に今結んでいかなきゃいけない時期と思いますが、その点だけ伺って、おしまいにしたいと思います。
  209. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 保坂委員がいろいろな角度から研究されておりますので、そういったことを十分参考にさせていただいて、とにかくいじめの問題なんかにしても子供の視線で考えるということは非常に大事だと思いますので、大いに参考にさせていただきたいと思います。
  210. 保坂展人

    保坂委員 終わります。      ————◇—————
  211. 二田孝治

    ○二田委員長 次に、請願の審査を行います。  今国会において、本委員会に付託されました請願は全部で五百三十四件であります。  本日の請願日程第一から第五三四までの各請願を一括して議題といたします。  まず、審査の方法についてお諮りいたします。  各請願の内容につきましては、請願文書表等により既に御承知のことと存じます。また、理事会におきましても慎重に御検討を願いましたので、この際、各請願について紹介議員からの説明聴取は省略し、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  212. 二田孝治

    ○二田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  これより採決いたします。  本日の請願日程中  義務教育費国庫負担制度堅持に関する請願一件  長野オリンピック冬季競技大会及び長野パラリンピック冬季競技大会の支援に関する請願七件以上の各請願は、いずれも採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  213. 二田孝治

    ○二田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  214. 二田孝治

    ○二田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  215. 二田孝治

    ○二田委員長 この際、御報告いたします。  今国会中、本委員会に参考送付されました陳情書は、私学助成の維持及び充実に関する陳情書外三十三件であります。      ————◇—————
  216. 二田孝治

    ○二田委員長 次に、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。  文教行政基本施策に関する件  学校教育に関する件  社会教育に関する件  体育に関する件  学術研究及び宗教に関する件  国際文化交流に関する件  文化財保護に関する件以上の各件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  217. 二田孝治

    ○二田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、閉会中審査案件が付託になりました場合の諸件についてお諮りいたします。  まず、今国会設置いたしました高等教育に関する小委員会につきましては、閉会中もなお存置することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  218. 二田孝治

    ○二田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、小委員及び小委員長辞任の許可及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  219. 二田孝治

    ○二田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、閉会中審査のため、委員派遣を行う必要が生じました場合には、議長に対し、委員派遣承認申請を行うこととし、派遣委員、派遣期間、派遣地その他所要の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  220. 二田孝治

    ○二田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、閉会中審査のため、委員会及び小委員会において参考人から意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人の出席を求めることとし、その人選及び日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  221. 二田孝治

    ○二田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十二分散会