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1997-06-06 第140回国会 衆議院 文教委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年六月六日(金曜日)     午前九時三十一分開議 出席委員   委員長  二田 孝治君    理事 稲葉 大和君 理事 河村 建夫君    理事 栗原 裕康君 理事 田中眞紀子君    理事 佐藤 茂樹君 理事 藤村  修君    理事 山元  勉君 理事 石井 郁子君       岩永 峯一君    江口 一雄君       栗本慎一郎君    佐田玄一郎君       阪上 善秀君    戸井田 徹君       林  幹雄君    柳沢 伯夫君       山口 泰明君    渡辺 博道君       井上 義久君    池坊 保子君       旭道山和泰君    斉藤 鉄夫君       島   聡君    西  博義君       西岡 武夫君    鳩山 邦夫君       肥田美代子君    山原健二郎君       中川 智子君    保坂 展人君       粟屋 敏信君  出席国務大臣         文 部 大 臣 小杉  隆君  出席政府委員         文部政務次官  佐田玄一郎君         文部大臣官房長 佐藤 禎一君         文部省生涯学習         局長      草原 克豪君         文部省初等中等         教育局長    辻村 哲夫君         文部省体育局長 佐々木正峰君         文化庁次長   小野 元之君  委員外出席者         警察庁生活安全         局生活環境課生 園田 一裕君         活経済対策室長         文教委員会調査         室長      岡村  豊君     ――――――――――――― 委員の異動 六月六日  辞任         補欠選任   島村 宜伸君     林  幹雄君   中山 成彬君     江口 一雄君   井上 義久君     斉藤 鉄夫君   三沢  淳君     島   聡君   保坂 展人君     中川 智子君 同日  辞任         補欠選任   江口 一雄君     中山 成彬君   林  幹雄君     島村 宜伸君   斉藤 鉄夫君     井上 義久君   島   聡君     三沢  淳君   中川 智子君     保坂 展人君     ――――――――――――― 六月五日  公立学校施設整備費国庫補助金拡充に関する  陳情書  (第三五八号)  登校拒否児を対象とした適応指導教室への教員  の配置に関する陳情書  (第三五九号)  小中学校の法学の教育導入に関する陳情書  (第三六  〇号)  外国人子女のための日本語教育指導講師配置  に関する陳情書  (第三六一号)  スポーツ振興対策の見直しと国のスポーツ予算  の大幅増額に関する陳情書  (第三六二号)  元満蒙開拓青少年義勇軍の戦後処理に関する陳  情書  (第三六三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  著作権法の一部を改正する法律案内閣提出第  九一号)(参議院送付)      ――――◇―――――
  2. 二田孝治

    二田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出参議院送付著作権法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩永峯一君。
  3. 岩永峯一

    岩永委員 おはようございます。岩永でございます。  私の持ち時間の中で質問の量が大変多うございますので、恐縮ですが、簡潔に御答弁をいただくようにお願いを申し上げたいと思います。  パソコン用基本ソフト、ウインドウズ95が出た際に、発売と間を置かずして海賊板が出ていたようでございます。場合によっては新製品発売前に海賊版が登場するといったこともあるようでございます。  コンピューターソフトウエアは、音楽、小説、絵画、映画と同じく著作物として著作権法によって保護されておりますので、勝手にコピーをしたり貸し出したりすることは原則としてできないわけでございますが、しかし、現実に簡単にコピーができるので、違法行為はなかなか後を絶たないと言われております。かつて多かった違法レンタルは、中古ソフトの売買の形態をとる疑似レンタルに姿を変えてきております。それも少なくなったと思ったら、今度は、パソコン通信インターネットなどのネットワーク利用したコピー品販売が急にふえてきているようでございます。店を持たないでたくさんの人を相手にセールスができるネットワーク利用コピーソフト販売被害もそれだけ大きくなってきている、このように思うわけでございます。  これまでに明るみに出た中で最も大きい事件は、愛知県警が摘発した事犯で、海賊版販売を行っていた業者など一都二府十四県の八十一カ所を家宅捜索し、その結果、約六万枚のマザーコピーを押収、一万七千種類、十一万枚の海賊版が出回っていたようでございます。被疑者十数名のうち六人が逮捕されたそうでございますが、被害総額は十七億円にも上った、このように言われております。  今まで警察に摘発された違法コピーは、少数の例外を除いてパソコン通信利用だったようでございまして、現在のところ、電子メールなどで注文をとって郵送する手段がとられており、ネットを通じて電子的に送る方法は少ないようでございます。簡単ではございますが、通信費用が大変かさむ上にパソコン通信管理会社にばれる公算が大きいということで、そうなっているようでございます。  フロッピーディスクの枚数がふえている最近のビジネスソフト対応して、一回だけ書き込めるCD−ROMに大量コピーし、五百万円相当分が五万円だという宣伝で販売されている、このように思っております。問題になりましたオウム真理教関連パソコン販売会社マハーポーシャ事件皆さん方の記憶に新しいところだと思うわけでございます。基本ソフトビジネス用応用ソフトを勝手に組み込んで売っていた。激安パソコンがうたい文句であったわけでございますが、仕入れ値ゼロのコピー品が安いのは当たり前のことでございます。  海賊版ソフト販売と並ぶ大きな問題として、企業学校等の組織内で行われるビジネスソフト教育ソフト大量違法複製がございます。  職場内では、パソコンたく的社員の安易な違法インストールや貸し借りによるコピーが相変わらず後を絶たない。企業内コピー密室性ゆえ刑事告訴民事訴訟に持ち込むことは大変難しく、内部告発から職場ぐるみが見つかった例もあるようでございます。昨年でしたか、大阪の上場ソフト開発会社が、ほかのソフト開発会社三社に対して、社内違法コピーをしていたということで、一億四千万円の損害賠償金の支払いなどでソフトメーカー同士の和解が成立したという問題もございました。  また、問題がありながら今まで放置されていた企業内コピーの一態様として、ネットワークでつないでサーバーに一本のソフトをインストールし、そして端末のハード数台で利用する形態も多くなっていました。この問題につきましては今回の改正によって解決が見られるようでございますが、そういう実態も多々ございます。  日本国内はそういう部分については以前より改善されてきておりますけれどもアメリカソフトウエア保護団体BSAというのがございますが、ここの発表によりますと、一昨年の海賊版被害金額日本で約千八百億円だと言われておるわけでございます。BSAは九二年より日本支部を設置して、違法を行っている企業に対し積極的に損害賠償の請求を行っていると聞いておるわけでございます。  コピー天国などと言われている日本でございますが、日本の場合は法的規制が厳しくなったこともあって、今、その非合法活動は主に韓国や台湾などに舞台を移しているわけでございまして、実際は被害大国でもあるわけでございます。  その方法は、人気商品だけにねらいを絞って見本を入手してコピーする、こういうシステムのようでございます。価格も正規のものの半値前後に設定して、これが世界各国に輸出されているわけでございます。こうした違法コピーにより、特に日本アミューズメントマシン業界被害総額は年間五百億円以上にも達すると言います。一本のゲームソフトは完全に完成するまでに一年以上もかかっており、投資額も何十億というようなことでございますだけに、こういう部分についての早急な対策が必要と考えられるわけでございます。  このような事態に対して、我が国著作権制度は決して手をこまねいて傍観していたわけではございませんし、タイムリーに次々とその整備充実をしてきたと言えると私は思うわけでございます。  具体的に申し上げれば、昭和六十年にはコンピュータープログラム保護を明確化し、昭和六十一年にはデータベースの保護を明確化するというようなこと、そして有線送信権整備し、平成四年には私的録音録画補償金制度を創設するといった経緯もあるわけでございます。  このうち、今回の改正関連が深いのは、キャプテンシステムビデオテックスの登場に対応した昭和六十一年の有線送信権整備だと思うわけでございますが、世界的には送信に関する権利整備している国は現時点でも指で数えるほどしかございません。そういう意味では、この有線送信権世界に冠たる権利として大いに誇るべきものがあるのではないかと私は考えます。このことの重要性を強調してしかるべきと思いますので、後の方でも機会があれば再度申し上げたいと思うところでございます。  世界知的所有権機関、いわゆるWIPOでも、このようなマルチメディア進展対応するために著作権制度について議論が行われており、昨年末には、マルチメディア時代対応するための新しい条約が二本採択されたところでございます。まさにこの問題は、我が国だけでなく、国際的にも大きな問題となってきているところでございます。このWIPO条約についても後ほど質問をさせていただきます。  今回の改正について言えば、情報手段の飛躍的な発達、特に、いわゆるインターネット発達とその爆発的な普及ということがまず念頭にあると言っても差し支えないと思うわけでございます。  平成八年の通信白書によりますと、インターネットに接続されているホストコンピューター、これはホストコンピューターでございますが、一九九六年の一月の段階で全世界では約九百五十万台、我が国でも約二十七万台となっておりまして、加速度的に拡大しつつあると言われております。  それで、最初に御質問申し上げますのは、コンピューター情報通信技術発達著しい中で、このマルチメディアヘ対応という問題は我が国社会にとって極めて重要な問題になってきていると考えるわけでございます。このなめ、著作権制度につきましても時代の動きを先取りして積極的に法改正を行っていくべきではないかと考えますが、この点について御意見を伺いたいと思います。  また、マルチメディアヘ対応は、単に我が国一国のみの問題ではございません。全世界的に取り組むべき課題があろうと思うわけでございますが、この問題についてそれぞれの国ではこれまでどのような議論があって、どのように対応してきたのか、先例があったらお教えをいただきたい、このように思います。  そして、先ほど申し上げましたように、大変多くの刑事事犯が出ております。これらに対して警察当局取り締まり捜査体制にどういうように対応しておられるのか。また、捜査技術に、職員研修警察学校管区警察学校における教育とあわせてどう取り組んでおられるのか。最初にお伺いするものでございます。
  4. 小野元之

    小野(元)政府委員 先生から著作権侵害の幾つかの例を挙げられました。そしてまた、具体的な世界各国でのコンピューター進展等に伴うWIPOお話もいただいたところでございます。  私ども文化庁といたしましては、著作権制度につきましては、お話にもございましたように、インターネットが急速に普及をしておる、コンピューターもどんどん進歩しておるというようなことがございまして、こういった科学技術進歩等に伴いまして時代に適合した改正を逐次行ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。  特に、情報化の著しい進展があるわけでございまして、私どもといたしましては、平成四年から著作権審議会におきましてマルチメディア小委員会を設けさしていただいております。この中で国際的な動向も踏まえつつ検討を行っておるところでございまして、今回の改正も、お話にもございましたように、昨年末のWIPOでの新条約を踏まえまして、そして本年二月の小委員会での検討結果を踏まえて御提案申し上げているところでございまして、世界的に見てもこの面では早い対応をしておるというふうに私どもは思っておるところでございます。  文化庁といたしましては、今後とも、こういった国際的な動向、そういったものを踏まえつつマルチメディア対応した適時適切な制度整備を進めてまいりたいというふうに考えております。  それから、第二点の諸外国での状況でございますけれども、こういったマルチメディア対応につきまして諸外国でもそれぞれ検討がなされておるわけでございます。  一つの例でございますが、アメリカでございますが、アメリカでは全米情報基盤構想というものが掲げられておるわけでございまして、これを実現するために設置されました情報基盤タスクフォースというものがあるわけでございますが、ここが一九九五年に具体的な法改正事項提言をしておるわけでございます。ホワイトペーパーというふうに言われておるわけでございますけれども、この中でも、今回お願いしておりますインタラクティブ送信に関する権利の規定、それから今回はお願いしておりませんけれども検討しておりますコピープロテクション解除装置製造等禁止の問題、それから著作権管理情報改ざん等禁止などについて、アメリカでもこういった提言がなされておるというふうに承知をしておるところでございます。  また、ECにおきましても、同じように情報化社会における著作権保護のあり方について検討が行われておりまして、九五年にその中間報告が公表されております。同じように、インタラクティブ送信に関する権利設定の問題、それから複製の定義を明確にするという問題、それから公衆といった概念を明確化する、あるいは実演家レコード製作者デジタル放送権設定問題等が盛り込まれているというふうに理解しておるわけでございます。  各国における検討、それぞれ進んでおるわけでございますけれどもWIPOにおきましては、専門家委員会におきまして具体的な条約の内容を検討してきたところでございます。この結果、御承知のように、昨年十二月に二つのWIPOの新条約採択をされておるわけでございます。  各国でそれぞれ検討されておるわけでございますけれども、私どもといたしましては、ある程度国際的に共通の考え方に沿って制度整備を進めていきたいというふうに考えておりまして、WIPO状況等を今後とも十分にらみながら適時適切に対応したいというふうに考えておるところでございます。
  5. 園田一裕

    園田説明員 お答え申し上げます。  警察におきましては、知的所有権保護重要性にかんがみまして、悪質な事犯を重点といたしまして厳正な取り締まりを行っておるところでございまして、平成八年中は、コンピューターソフトあるいはビデオソフトを違法にコピー販売するなどの著作権法違反事件としましては、三百四十八件、百二十七人を検挙いたしまして、海賊版コンピューターソフトなど約七万三千点を押収しておるところでございます。  この中には、御指摘のように、爆発的人気パソコンソフトビジネスソフトを大量に複製いたしましてパソコン通信を使って全国的に発売していたような事犯、あるいは国内のどの機種にも対応できるように海賊版パソコンソフト小売店並みに大量に品ぞろえいたしまして通信販売をしていたというような事件などがございまして、非常に手口がますます悪質化巧妙化かつ広域化しているところでございます。  警察といたしましては、このような新たな手口事件に的確に対応いたしますために、御指摘のように、学校教養とあわせまして各種研修などの機会を設けて、コンピューターに関する知識あるいはこの種の事件捜査で得られた知識、教訓などを積極的に習得に努めさせるなど捜査技術の向上を図っておるところでありまして、あわせて、必要に応じて合同捜査あるいは共同捜査などの広域的な捜査も考慮しておるというようなところでございます。  また、関係行政機関あるいは権利者団体から構成されます不正商品対策協議会というのがございますけれども、こういう関係団体とも連携を図りながら積極的な広報啓発活動も行っておるところでございます。
  6. 岩永峯一

    岩永委員 三十分の持ち時間のうちもう二十分まで行きまして、九つ質問があるんですが、答弁の方をひとつ簡略にお願いしたいと思います。  今回、有線送信権保護に加えて、送信の前段階であるアップロード段階に注目して送信可能化権を創設する、こういうことになっておるわけでございますが、なぜこのような、著作者権利拡充して公衆送信権とするとともに、実演家レコード製作者権利として新しい権利を設ける必要があるのか、この点について御質問申し上げます。
  7. 小野元之

    小野(元)政府委員 お答え申し上げます。  先生お話にもございましたように、昭和六十一年の時点で私ども有線送信権を認めておるわけでございますけれども、当時は有線系のメディアでキャプテンシステム等があったわけでございます。現時点ではこれだけ世界じゅうにインターネットが広がっておるわけでございまして、だれが、いつ、どこに送信したのかということを確認することが非常に困難になっております。そういうことで、送信段階で押さえるというよりも、むしろ、送信行為自体ではなくてその前段階になりますアップロード行為について、ここで保護をしなければ十分な保護ができないということがあるわけでございます。  それからもう一点は、実演家レコード製作者著作隣接権者につきましては従来から送信権というものがございませんので、こういったアップロード段階利用可能化権ということで明確に把握しておく必要があるという観点から設けたものでございます。
  8. 岩永峯一

    岩永委員 それでは、このWIPOの新条約を受けてほかの国ではどのような対応をしておられるのか。そういう例がありましたらお教えをいただきたい、このように思います。
  9. 小野元之

    小野(元)政府委員 実は、このWIPO条約は昨年十二月に採択されたばかりでございまして、諸外国もいろいろ今検討している段階でございまして、具体的にこういった法案を議会で通したとかあるいは成立したということは、今のところまだ把握をできておりません、聞いていないところでございます。
  10. 岩永峯一

    岩永委員 ちょっと細かいことに入るわけですが、著作権著作隣接権保護の違いについて伺いたいと思います。  今回の改正は、いわゆるアップロードについて、実演家レコード製作者保護する著作隣接権分野では送信可能化権という新しい権利を創設する形で保護し、著作権分野では公衆送信権の中に含む形で保護することになっております。このように異なったのはなぜかということでございますが、その点についてお伺いいたします。
  11. 小野元之

    小野(元)政府委員 著作権著作隣接権関係でございますけれども、これは現在の著作権法の中におきましても、もともと著作権があって、隣接権はその周辺の権利という取り扱いになっておるわけでございます。そういった意味がございまして、今回、送信可能化権については隣接権の方に明確にしたわけでございますけれども、じゃ、なぜ隣接権には公衆送信権部分がないのかということになってくると思うのでございます。  ここはやはりある程度、その権利保護を考える場合に、すべて余りにも権利を厳しく明確に決め過ぎますと、そういった利用する団体利用する側からいきますれば若干問題があるわけでございまして、著作権との競合を避けながら必要な利益確保のチャンスを与えるという意味著作隣接権が成り立っておるということがございますので、隣接権については送信可能化権というのを新たに設けたということでございます。
  12. 岩永峯一

    岩永委員 今回の改正は、WIPOの新条約採択というものを受けて改正をされているわけでございますが、WIPOの新条約批准されるのかどうか、そのことについて聞きたいのと、WIPO条約対応するためにさらに著作権法改正する必要があるのではないかと思いますが、この点についても簡単に御説明いただきたいと思います。
  13. 小野元之

    小野(元)政府委員 御指摘ございましたように、WIPOの新条約を私どもも将来的に批准をすべく努力をしなければいけないと思っております。ただ、このWIPOの新条約は、いろんな分野についての新しい権利が設けられたり、制度改正が行われるわけでございまして、実は著作権法をかなりの部分、いろんな面でこの条約を完全に批准するためには改正をしていく必要があるわけでございます。  例えば、一つの例といたしましては、頒布権を導入するといったようなこともございますし、実演家人格権を創設していくということもございます。それからコピープロテクション解除等禁止する措置を設ける、あるいは権利管理情報改ざん等禁止等についても法改正が必要でございます。そういったことで、今回は、当面、この条約の中にございます、しかも今、各団体等で御理解が得られる部分につきまして改正をお願いしておるところでございます。  したがいまして、さらにいろんな部分改正しなければ最終的な批准ということまではいかないというのが現状であるわけでございます。
  14. 岩永峯一

    岩永委員 わかりました。  次に、この改正の前提となっているマルチメディア小委員会審議経過について、お伺いしたいと思います。  平成四年にこの委員会が設けられまして、平成七年に具体的対応の方策がまとめられたワーキンググループの検討経過報告が出ております。いわゆるグリーンペーパーと言われている資料でございますけれども、このグリーンペーパーも含めて、これまでのマルチメディア小委員会での調査審議経緯について簡単に御説明ください。
  15. 小野元之

    小野(元)政府委員 お話ございましたように、マルチメディア小委員会は、平成四年六月に発足をいたしておりまして、平成七年二月にグリーンペーパーをまとめております。この中では、マルチメディアについてのその制度上の問題について論点を整理して、考えられる制度上の対応例を示しているものでございます。文化庁では、この報告書について内外の関係団体に広く意見を求めておるところでございます。  そして、このマルチメディア小委員会が動いておりますときにWIPOの新条約草案等が公表されましたので一時審議を中断しておったわけでございますけれども、昨年十二月にWIPOの新しい条約ができました。これに伴いまして、マルチメディア小委員会では平成九年二月に審議経過報告を公表しておりまして、この中身を今回法案でお願いしておるところでございます。
  16. 岩永峯一

    岩永委員 私は、今回の改正の中で一つ疑問に思うのは、この審議経過の中で、「コピー・プロテクション解除装置への対処について早急に検討を進める」というところがあるわけでございますが、これが今回の法改正の中に含まれていなかったというのはなぜなのか、このことをお聞きしたいと思います。
  17. 小野元之

    小野(元)政府委員 コピープロテクション解除装置につきましては、私どもも、今回、法改正できるかどうかということで、部内では実は検討を行ってきたところでございます。  ただ、実はこのコピープロテクションというものにつきましては、著作権者等がその著作物無断複製を防止するためにさまざまなシステムをかけておるわけでございます。そのシステムを解除するというのがコピープロテクション解除装置ということになるわけでございます。  具体的には、ゲームソフトなどの分野でいろんなものがコピープロテクションが行われているわけでございます。ただ、これを解除する装置をどう規制していくかということは、実は非常にさまざまな点で問題があるわけでございまして、この規制の仕方によりましては、我が国の情報システム発達を著しく阻害してしまう結果になってしまうというおそれもございます。それから対象となるコピープロテクション解除装置の範囲をどう定めるのか、それから具体的にどういう行為が禁止されるべき行為なのか、それから装置を製造販売するということが行われるわけでございますけれども、そういった業者の責任をどう問えるのか。  例えば、違法コピーを行う人が著作権法に違反しておるわけでございますけれども、それじゃ、その機械をつくった人が何らかの責任を負うべきかということになりますと、例えば一般のコピー機とかビデオデッキ等を考えますと、ビデオデッキが悪いわけではないわけでございまして、ビデオデッキを使って違法コピーをする人が悪いわけでございます。それをどう規制をするのかということについてはさらに検討していく必要があるということがございました。実は、部内では検討したのでございますけれども、今回の法改正案には盛り込んでいないのでございます。
  18. 岩永峯一

    岩永委員 今のコピープロテクション解除装置の問題にかかわらず、まだまだ問題が山積しているだろう、このように思うわけでございます。  今後、このマルチメディアに関する著作権制度の中で積み残しになっているような問題は何なのか、その部分だけお教えをいただきたいと思います。  あと二つありますので、ちょっと急いでお願いします。
  19. 小野元之

    小野(元)政府委員 簡潔に申し上げます。  今後の課題として残っておりますのは、コピープロテクション解除装置への対処の問題が一つでございます。それからもう一つは、著作権の管理情報の改ざんへの対処の問題でございまして、これらにつきましては、マルチメディア小委員会の中にワーキンググループを設けまして、既にこの五月、検討を開始したところでございます。  さらに、マルチメディア関連では、権利処理のシステムについてもいろいろ検討していかなければいけない部分があるわけでございまして、私どもとしては、著作物についての権利情報を一つの窓口で提供していきます著作権権利情報集中機構、J−CISと言っておりますが、こういったものの調査研究も行っておるところでございます。
  20. 岩永峯一

    岩永委員 御承知のとおり、このマルチメディアというのは個人に対する主権の部分というのが大変たくさんございますので、すべての個人がこれらの著作権に対する意識高揚を図っていかなきゃ徹底しないという部分があるわけですね。だから、そういうようなことの中で、その著作権に関する国民の保護憲識の向上というのがこれからの大きな課題だ。これはいかに国民にアピールされ、そして意識向上をしていこうとされるのか、この点についてお伺いをしたいと思います。  それから、時間もないようでございますので、ただ、最近、私が一番心配しておりますのは、情報化進展が青少年の発育に与える影響について大変大きいものがあろう、こういうように思うわけでございますし、子供たちの方が大人顔負けにパソコンを使えるようになっておるわけでございますし、また学校教育の中でパソコンの使用、またマルチメディアに対する対応がかなり具体的に教育されているわけでございますね。そして、家へ帰ったら自分のパソコンがあるということで、インターネットにアクセスして、いわゆるわいせつなたぐいの画像情報も簡単に見ることができる、こういうような状況になってきているわけでございます。児童生徒に悪影響をかなり大きく与えているのではないか、こういうように私は懸念をしております。  そこで、青少年の健全育成を図るという観点から、文部省として何らかの施策を講じていくべきではないか、このように考えますが、この点についての御所見をお伺いしたいと思います。
  21. 小野元之

    小野(元)政府委員 前半の著作権の意識の啓発の問題について、お答えを申し上げます。  御指摘ございましたように、著作権意識を高めていく、大変大事なことでございまして、文化庁といたしましても、一般の方々を対象とした著作権セミナーを行っておりますし、それから都道府県の著作権関係の担当の職員を対象とした講習会、さらには図書館とか視聴覚ライブラリーの職員を対象とした講習会等も実施をしております。  また、コンピューターソフトウエアについては、違法コピーを防止するために「コンピュータ・ソフトウェア管理の手引」というものをつくって、学校企業等に配付を行っております。  さらに、平成八年度から、中学校等の生徒に対して著作権について学んでいただけるように、漫画によりましてわかりやすい著作権読本等をつくりまして、全国の中学校等に配付をいたしております。  いずれにいたしましても、こういった著作権保護することの大切さを国民の皆様や児童生徒に理解していただくために努力をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  22. 草原克豪

    ○草原政府委員 後段の御質問でありますけれどもインターネットにおいて簡単にわいせつ画像などが見られるということについては、私どもも、これが青少年に悪い影響を与えるものとして憂慮しているところでございます。こういった問題に対応するためには、まず、子供たち自身が適切な判断力を持つということが基本ではありますけれども、それと同時に、それを支える学校や家庭における指導が大切でありますし、また、こういう有害環境を正していくための関係者による深い理解と協力というのが必要であろうと思っております。  文部省といたしましては、まず、学校教育においては、性に関する正しい知識を身につけるよう指導の充実を図るということはもちろんでございますけれどもインターネット教育利用するに当たりまして、その効果的な利用法、それから、さまざまな課題というものを実践的に研究する授業を実施しております。その中でネットワーク上の好ましくない情報の問題についても扱うこととしております。  また、関係省庁あるいは関係業界において、こういった不適切な情報へのアクセスを防ぐ、いわゆるフィルタリング技術の開発に取り組んでおりますし、また、インターネットの接続業者においては、自主規制のためのガイドラインの制定に取り組んでいるということを聞いております。  文部省といたしましては、こういった動きを注視しながら、また必要に応じて関係省庁とも連携をし、こういった取り組みを支援していきたいと考えております。
  23. 岩永峯一

    岩永委員 どうもありがとうございました。  質問を終わるわけですが、私は、今回の質問を通じて、それなりに勉強し、資料をそろえてまいったわけでございます。その中で、特にこうして規制に対する質問をしておりますけれどもマルチメディアというのは、これからの日本の産業界、情報化時代を背負って立つ大変大きな素材であるわけでございますし、発展の基盤であるわけでございます。だから、どんどん規制をしていく、そして、情報化時代科学技術時代の発展を損ねるというような部分になりはしないかというような懸念を一面持っているわけでございます。だから、科学技術庁だとか通産省等々とそこらあたりを十分連絡をとりながら、著作権の問題は大変大事ですが、規制の分野における調和というものをやはり十分お考えをいただきながらマルチメディア時代への対応をしてもらいたい。そして、この日本世界に冠たる、すばらしい先進国としての対応をしてもらいたいというような思いを感じながらこの質問をさせていただいたわけでございますので、よろしくお願いいたします。  短い時間で大変すばらしい答弁をいただきました。御協力に心から感謝を申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  24. 二田孝治

    二田委員長 次に、池坊保子君。
  25. 池坊保子

    ○池坊委員 新進党の池坊保子でございます。今回の著作権法一部改正から外された実演家権利確立について、御質問させていただきます。  文部省の白書「文教施策の動向と展開」の中には、「文化政策のより一層の充実」として、   経済的な成熟を遂げた我が国が、二十一世紀に向けて、真に豊かな国として更なる発展を遂げていくためには、国民一人一人が心豊かに暮らすことができる、潤いと活力ある社会を形成していくことが必要である。   心の豊かさは、優れた文化の所産に触れたり、文化の創造的活動を通じて満たされるものであり、その意味で、文化の振興を図っていくことは、今後我が国にとって、最も重視すべき課題の一つである。   また、文化は創造的な個性や美的な感性をはぐくむものであり、個人にとっては生きるあかしであるとともに、国の存立基盤を形成する最も重要な要素である。   このような認識の下、二十一世紀に向けて新しい文化立国を目指して、今世紀中に文化基盤を抜本的に整備することが緊急の課題となっている。 と書かれてございます。  しかし、実際、文化活動に直接かかわっている人たちの生活実態は、大方の想像とは大きくかけ離れて、決して恵まれているとは言えません。例えば俳優を中心に、音楽、演芸など芸能実演を職業にしている者にとっては、我が国の文化施策は貧困と言わなければならないと思います。  例えば俳優の方々は、失業保険や退職金がない。出演依頼が来なければ無収入のままで放置されております。劇場用映画として公開され、人気を博した作品は、早晩テレビで見ることができます。私なども、映画館に行こうかなと思いながらも、もうちょっと待ったら我が家で見られるのだと思って我慢することがよくございます。名画ともなれば繰り返し繰り返し放映され、出演した俳優、実演家たちはそのたびごとその実演を披露することになるのですが、実演家や技術スタッフに対しては、テレビ放映のような映画の二次利用の報酬は全く支払われておりません。映画を放送局に売った映画会社や、放映した放送局が確実に利潤を上げているというのが現在の状況でございます。  先ほど述べた文部省の白書のように、もし本当に文化基盤を抜本的に整備することが緊急の課題とするならば、今回の法改正はなぜ音楽だけ対象にされて、俳優などの実演家が対象にされなかったかということを伺いたいと思います。
  26. 小野元之

    小野(元)政府委員 お話ございましたように、私ども文化庁といたしましては、心の豊かさを非常に大事にしていかなければいけないということで、文化立国の施策を今進めておるわけでございます。  アーツプラン21でございますとかミュージアムプランといったさまざまな形で芸術文化活動を、まさに日本を代表する方々あるいは日本の芸術文化を底辺で支えてくださる方々それぞれに、私どもなりの支援をしていかなければいけないというふうに思っておるところでございます。  お話ございました、今回の対応におきましてなぜ実演家権利を十分認めていないのかということでございますけれども、映像分野の実演につきましては、昨年十二月のWIPOの実演・レコード条約の過程におきましてもさまざまな議論があったわけでございますけれども、当初はそういった映像分野についても、こういった実演家の方々の権利保護していくという案があったわけでございますけれども、最終的には盛り込まれていない、御指摘のとおりでございます。  お話ございました映画の二次利用等についての問題でございますが、文化庁におきましては、過去にそういった問題について検討会議を起こして議論をいただいたわけでございますけれども、残念ながら、映画会社側と実演家の方々との意見が一致をしないで、全く意見が食い違ってしまったことがあったわけでございます。  私どもとしては、このことの反省も十分しながら、お話のございました実演家権利保護について、我が国としても具体的に対応していかなければいけないということで、WIPOの場においても我が国としての立場をきちんと主張していくということもしなければいけないと思っておりますし、今後、関係者の皆様方とも相談しながら、検討の場も国内に設けまして、国際的な動向も見ながら検討をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  27. 池坊保子

    ○池坊委員 検討という言葉は大変あいまいでございまして、いろいろ解釈できるようでございますが、昨年十二月に行われましたWIPO外交会議での視聴覚的実演に関する実演家権利について、先日の参議院の文教委員会での政府の御答弁では、  我が日本政府はこのB案を支持したわけでございます。   A案B案と申しますのは、A案は音楽の実演だけを対象とする、B案はすべての実演を対象とする、映像等を対象にするというものでございます。この案につきましては、多くの国がB案で行くべきだということを表明しておったわけでございます。我が国といたしましても、私ども文化庁関係省庁と調整をした上でB案を支持しておったところでございます。 というふうに答えていらっしやいますが、これは事実でございますか。
  28. 小野元之

    小野(元)政府委員 その点は事実でございまして、昨年十二月の外交会議におきましても、多くの国が、御指摘ございました実演家権利を認める、いわゆるB案を主張していたとこみでございます。我が国としても、私ども文化庁は通産省や郵政省等とも調整した上で、基本的な権利についてB案ということで主張したわけでございますけれども、最終的には各国意見の一致が見られなかったわけでございます。具体的には、アメリカが強硬にB案に対して反対をしたということがあるわけでございます。  したがいまして、この結果といたしまして、私どもといたしましては、WIPO条約の場におきましても、各国意見の一致を見なかったということで、今後一九九八年中に新たな条約を策定するという決議が行われておるわけでございまして、本年九月にはそのための専門家の委員会が新たにWIPOに設置されるというふうに聞いているわけでございます。こういった中で、我が国としても積極的な意見を主張してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  29. 池坊保子

    ○池坊委員 今お話がございましたように、WIPOにおいて一九九八年中をめどにこの課題について別の条約採択を目指すと言われておりますが、俳優などの実演家についての保護条約採択されたら、つまりWIPOに従って日本もそのとおりにするのだということでございますか。
  30. 小野元之

    小野(元)政府委員 もちろん、WIPO条約でそういうことが明確に定められれば、私どもとしても最終的にはWIPO条約批准したいというふうに考えておりますので、そのための努力をしたいと思っております。  ただ、この実演家の方々の権利の問題につきましては、条約対応以外に国内的にも検討すべきではないかという御意見もいただいているわけでございます。先ほど来御答弁申し上げておりますように、映画の製作者の方々、実演家の方々あるいは第三者の方々等を含めて、前回の協議がうまくいかなかったという反省の上に立ちまして、新たな協議の場を設けて検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  31. 池坊保子

    ○池坊委員 それでは、もし一九九八年にアメリカが今までの状態のように反対いたしましても、今後日本としてはB案を採択していこうという御意思なのでしょうか。昨年十二月のWIPOにおいては、アメリカは反対いたしましたけれどもEU加盟国は賛成して、賛成する国の方が多かったというふうに聞いておりますけれども、その辺、日本はどういう姿勢をとっていくのかということを伺いたいと思います。
  32. 小野元之

    小野(元)政府委員 九八年中に新たな条約をつくるということを目途に新しい専門家委員会が設けられるわけでございます。私どもといたしましては、昨年十二月の段階でB案を支持するということで、かなりいろいろな根回しもしたり、各国に対して理解を求める行動も行ったわけでございます。  ただ、これについては、お話ございましたように、EUが当初はB案を支持しておったわけでございますけれどもアメリカが強硬に反対したということもございまして、最終的にはまとまらなかったという経緯がございます。もちろん、今後の外交の場におきます対応でございますから、その時点で関係各省庁とも協議して正式な態度を決める必要があるわけでございますけれども、基本的には、昨年の段階で私ども既にB案の方がすぐれているという態度をとっておりますので、今後もその形で対応してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  33. 池坊保子

    ○池坊委員 政府は、昨年の段階でB案の方がいい、これを指示するという御意思だったようでございますが、本年二月二十一日に著作権研究会で講演された文化庁国際著作権室長の岡本薫氏の「著作権保護の国際的動向について」の中で、「このA案、B案という問題は、条約的には「先送り」となりましたが、国内的にも検討していかなければならない課題です。しかし私は、日本の俳優さんたちは、そのような権利を与えられても果たしてこれを行使する準備ができているか、ということについて、極めて大きな疑問を持っております。米国の俳優さんたちの努力(彼らがユニオンを結成して、ストライキも辞さずという態度で交渉し、契約によって利益を確保していること)をしらずに、法律で権利が与えられれば直ちにギャラが増える、とお考えの方が多いようですがもちろんそうではありません。俳優さんの側が結束できるかどうかということもカギになりますが、むしろ、有名な俳優さんたちが、無名の俳優さんたちのために、彼らにそんな契約を押し付けるのであれば、私も出演しない、と言ってくれるかどうか、ということがポイントです。こうした体制ができなければ、せっかく権利を作っても生かされませんので、正直に申し上げて、私は、俳優さんたちの準備が整っていない今の時点でB案的な(映画やビデオなどのいわゆる視聴覚固定物についての利用についても実演家権利を認める案)権利国内法に導入することには反対です。」というふうに言っていらっしゃるのです。  つまり、政府では昨年十二月にB案がいいよ、これを支持していこうよと言っていらっしゃるにもかかわらず、現場の担当者でいらっしゃるそのトップが、まだ環境整備ができていないから国内導入は反対である。これは現場と政府の意向との間に大きなギャップがあるのではないかと思います。私が心配いたしますのは、幾ら政府がこのように行こうとおっしゃっても、それが下にそのとおりに流れませんでしたら、実行に移されないわけでございます。  申し上げるまでもなく、アメリカ日本では全く映画の状況が違っております。日本の場合には、一九五五年までは俳優たちはきちんと映画会社の社員でございましたから、労災もあった、失業保険もあった、年金も払われておりました。でも、ストライキがあったり、それから映画会社の不況によって大量に解雇されて、今は個別の契約でございますので、業者とみなされて労災が出ないような状態が多うございます。ですから、ユニオンなんということができるわけがございませんし、社員でなければストライキというのも行われないわけでございます。  だから、環境が整備されてからそういう保護をするというのはおかしいのではないか。法律というものは、少なくとも先に保護をして環境を整えるためにあるのではないかと思いますが、その点についてちょっと伺いたいと思います。
  34. 小野元之

    小野(元)政府委員 ただいま御指摘ございましたのは、恐らくコピーライトの中で私どもの職員が個人の意見として述べたことについての御指摘だと思います。  ただ、私どもといたしましては、お話ございましたように、アメリカがなぜ国際会議の場であれだけA案を強硬に主張したのかということを考えてみますと、映画会社等が明確な意思を持って強く主張しておる、その意見を踏まえてアメリカ政府は対応したというふうに私は理解しておるわけでございます。それに比べて日本の場合は、まだまだ実演家の方々や映画の方々が政府に対してそんなに強い意見を言っていないのではないか。言っていないと批判をするということではなくて、むしろもっと意見を言っていただいて、政府をバックアップしてほしい、応援してほしいといったような趣旨で、恐らく当該職員は述べたのではなかろうかと私は思うのでございます。したがいまして、この問題について政府といいますか文化庁の中で意見が食い違っているということは全くございません。  ただ、もちろんこの問題については、映画会社の方々の言い分を聞きますと、映画自体が非常に斜陽産業である、大変財政的にも厳しいものがある。そういう中で劇場用映画での配給収入というものにプラスしてビデオやあるいは放送に使われることでの収入というのは、そういったものを仮に実演家に全部分配したとすれば、映画会社の言い分から言えば、映画会社は財政的にも大変厳しいのでそれは勘弁してほしいという気持ちがどこかにあるのだと思うのでございます。  一方で、実演家の方々に言わせれば、確かに契約をしてお金もいただくわけでございますけれども実演家の方々は、映画会社に対して、正直言って弱い立場でございます。映画に出るときに、二次利用の分まで最初から金をよこせというのであれば、そういう人は使わなくてもほかに使う人がたくさんいるのだよというようなことで、どうしても力の面で映画会社の方に契約の段階で負けてしまうということが現実にはあろうかと思うのでございます。  私どもといたしましては、映画産業、映画会社ももちろんすばらしい映画をつくって国民の皆さんに文化を楽しませてほしいという気持ちもあるわけでございまして、一方で実演家の方々には、先ほど先生おっしゃいましたように、大変、個人の立場といいますか、映画で雇用されるという立場になるわけでございますので弱い立場もあるわけでございます。そういう中で、先ほどの、職員が申しましたのは、アメリカはユニオンが非常に強くて、全体で、みんなで、トップスターもそうでない方々も一緒になって最初段階で強く交渉に臨んでおるのだ、そういう意味で、日本の人たちもそういうことを見習って頑張ってほしいということを言ったものだと思うのでございます。  もちろん、この国内法の整備につきましては私ども文化庁だけではできないわけでございまして、通産省とかほかの関係省庁とも協議をしていかなければいけないわけでございます。ただ、私ども文化庁といたしましては、実演家権利をきちんとしていくということは基本的に大切なことだと思っておりますので、できる限りの努力をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  35. 池坊保子

    ○池坊委員 著作権室長のお立場にある方が個人の意見ということは、私はあり得ないと思います。やはり発言するということは、その仕事に対して発言しているのですから、それは違うよということはないと思いますが、じゃ、このことは、こういうふうにはしない、政府はあくまでもB案でやっていくのだということの確認でよろしいのでございますね。そして同時に、いつごろそれはなさるおつもりかをちょっと聞かせていただきたいと思います。
  36. 小野元之

    小野(元)政府委員 先ほど来申し上げておりますように、私ども文化庁としてはB案ということで昨年十二月から主張しておるわけでございます。したがいまして、WIPOの場におきまして新しい検討のための委員会が設けられれば、文化庁といたしましてはB案でぜひ主張したいというふうに考えております。
  37. 池坊保子

    ○池坊委員 つけ加えますと、アメリカは映画会社の力が大変強うございますので、映画会社からの圧力があったというふうに思っております。  先ほどお話がございましたように、確かに今映画会社自体も不況ではございますけれども、やはり法律というものは、政府というのは弱い立場の方に立つべきだというふうに考えますので、両者の中に大幅な食い違いがあったとしても、これはやはり俳優個々の方々の意見を聞くべきであると思いますことと、先ほどございましたストライキ等々あるいはユニオン等々の問題は、アメリカでこそあるのであって、今個々人が契約をしております現状でこれをしろと言っても、それは無理だということもあわせて申し上げたいと思います。  これは、いつやるかという言質をいただくことはできませんでしたけれども、B案で行くということを信じて、速やかにそのようにしていただきたいと思います。  実演家権利を法的に守るために、この著作権法第九十一条第二項と第九十二条第二項二号のロを撤廃すべきであると考えますけれども、どのようにお考えでいらっしゃいますか。
  38. 小野元之

    小野(元)政府委員 著作権法の九十一条、九十二条でございますけれども、現行著作権法上、映画俳優等の実演家権利につきましては、映画の著作物の円滑な利用に配慮しよう、最初に映画に収録されるときにのみ権利を及ぼすということで、その後のビデオ化や放送利用などの二次利用については権利を有しないということが九十一条、九十二条でそれぞれ定められておるわけでございます。  この点について撤廃すべきではないかというお話でございますが、実は、これは先ほどから申し上げておりますように、平成四年に映画の二次的利用に関する調査研究協議会を設けて、実演家の方々と映画製作者の方々との議論の場、検討の場を設けたわけでございますけれども、この場におきまして関係者の間の意見が大きく隔たりまして、合意が全く得られなくて、結論が得られないままになっておったわけでございます。  そのことに私どもとしては配慮いたしまして、WIPO条約でのこういった動きもあるということもございますし、基本的には当事者間におきまして最初の出演契約の段階で二次利用も含めた契約を行うということがきちんと行われるということは一つの解決策として当然あるわけでございますけれども、必ずしも現実に、先ほど来申し上げておりますように、映画会社と実演家の方々と、現実の力関係というものがあってなかなかそういう契約が結べないという実態があるわけでございます。そういうことでございますので、平成四年に設けました協議会の反省の上に立って、今回速やかに新たな協議の場を設けてこの点については検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  39. 池坊保子

    ○池坊委員 平成四年から、ことしは九年でございますから五年間ほったらかしにされていたということは、大変怠慢なのではないかと思います。  そして、これから文化庁のもとで映像や映画の関係者を中心に映像をめぐる実演家保護のあり方について議論をされる新たな検討の場を早急に設けていきたいというお話でございますが、具体的に、いつ、どのような内容でお持ちになるか、そういうような具体的な案がおありになるのでしょうか、ちょっと伺わせてください。
  40. 小野元之

    小野(元)政府委員 実は、この平成四年の映画の二次的利用に関する調査研究協議会でございますけれども、正式に幕を閉じることなく、両者の意見が食い違ってしまっておりましたので次の会議が開けないままで、結論が得られないままの状態にあったわけでございます。  私は、これではいけないということがございまして、先般映画会社の方々ともお話をさせていただきまして、一応この平成四年の会議は一たん閉じます、結論が出なかったわけでございますから、しかも意見が食い違ってしまって全く議論にならなかったわけでございますので、この会は一応閉じることにしたいということを映画会社の方に申し上げまして、さらに、この会議ではなくて別の新しい会議を近々設けるのでぜひ協力をしてほしいというお願いもしたところでございます。  そういったことも踏まえまして、近いうちにそういった新たな検討の場を設けたいというふうに考えておるところでございます。
  41. 池坊保子

    ○池坊委員 ぜひつくっていただきたいと思います。  今のお話ですと、ことし中につくるとか、まだそのような具体的なめどは立っていないわけでございますね。
  42. 小野元之

    小野(元)政府委員 ことし中というようなことを特段意識をしているわけではございませんけれども、先般森繁久彌さんたちが総理に御陳情されたということもございますし、ある新聞にもそういった意見も述べられております。そういったことも踏まえながら、私ども文化庁といたしましては、やはり実演家の方々の権利をきちんと守っていくということは一つの政策の大きな柱でございます。  一方で、関係各省のことを考えますと、映画会社の企業としての立場を当然守らなければいけない官庁もあるわけでございまして、そういったところとも協議をしながら、私どもなりにできるだけ早く開けるように努力をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  43. 池坊保子

    ○池坊委員 何度伺いましても具体的なことは言っていただけませんので、時間がもったいないので次に移らせていただきます。  郵政省が出されている平成九年通信に関する現状報告の中で、放送番組制作業に関する調査結果が載っておりました。  調査によると、放送のデジタル化、多チャンネル化による放送番組制作事業の変化予測の設問に対して、七割の会社が事業環境がそれほど好転するとは思えないと回答しております。好転すると思われないと回答した理由の中に、「著作権の処理がうまく解決しない」三六・三%、「二次利用に関するノウハウがなく、組織体制も確立てきない」二七・五%。二つ合わせると五割になる状態でございます。  政府としては、この著作権の処理がうまく解決できない、二次利用に関するノウハウがなく組織体制も確立てきないなどの声に対して何か措置をとろうというふうにお考えでございましょうか。法体制もしっかりしなくては、これからのデジタル化、多チャンネル化による日本の発展はないのではないかと思いますので、御意見を伺いたいと思います。
  44. 小野元之

    小野(元)政府委員 御承知のように、CATVの発達でございますとか、ケーブルテレビ等が進んできております。それからデジタル放送といったものもどんどん進んできておるわけでございます。  私どもも、実は文化庁の中には新しいそういったマルチメディアヘ対応について協力者会議を設けている場があるわけでございますけれども、実はその場におきましても、お話ございました、デジタル化がこれだけ進んでいる中で著作権処理が非常に大変なのだという御意見も伺っております。  実は、映像分野についての著作権処理というのは、例えばその中にいろいろな出演者が出てきたり、いろいろな音楽が流れたり、あるいは複雑な形での著作権、わずか一分か二分のビデオの中にもそれぞれの、たくさんの著作権処理を要することがあるわけでございまして、これについては、お話ございましたように、適切塗対応をしなければ、今後せっかくのデジタル化の進展著作権でとめてしまうということになってはいけないと私ども思っておるのでございます。  そういう意味におきましては、私どもとしては、そういったさまざまな著作権がある場合にその著作権権利情報を集中して処理できるような窓口をつくるということも検討しなければいけないというふうに考えておるわけでございまして、私どもは、J−CISと言っておりますけれども、このJ−CIS等について今さまざまな形で調査研究を行っておるところでございます。
  45. 池坊保子

    ○池坊委員 今お話にございましたJ−CIS、文化庁が新たにおつくりになる公益法人著作権権利情報集中機構について質問させていただきます。  二〇〇〇年をめどに設立を決めていらっしゃるということでございますが、J−CISの現状はどのように進んでいるのでしょうか。今申し上げましたように、二十一世紀には一兆円市場突破が予測されるマルチメディアソフト著作権保護というのは大変に重要な問題ではないかと思います。運用、経営の主体、それから設置形態などについて、もし試案がおありになりましたらお聞かせ願いたいと思います。
  46. 小野元之

    小野(元)政府委員 実は、この著作権権利情報集中機構、J−CISでございますけれども、これは、著作権審議会マルチメディア小委員会平成五年十一月に公表しました報告書の中でこの設立の提言がなされております。このJ−CISと申しますのは、権利処理を円滑に進めるために、その前段階といたしまして、さまざまな著作物についての権利者の所在情報、どこに権利があるのか、そういった権利情報を一つの窓口で提供するためのシステムでございます。  文化庁といたしましては、この提言を受けまして、J−CISの実現に向けまして、平成七年度から調査研究を行っておるところでございます。平成七年度には、利用者側にどんなニーズがあるのか、権利者団体におきましては権利情報をどういうふうに収集提供しておるのか、あるいは今後どんな課題があるのかといったようなことについて分析を行ってまいりました。そして平成八年十月に報告書を公表しております。  それで、平成八年度は、これらを踏まえまして、利用者のニーズに対応いたしました試験的なモデルとしてのデータベースを作成いたしまして、著作権情報の収集方法や、実際にデータベースを構築する手法などについて調査研究を行っておるところでございます。また、こういったものにつきましては、現在、権利者の方々、それから利用者の方々、双方におきまして権利処理のあり方等を協議する連絡協議会を設立いたしておりまして、こういった中で調査研究したりあるいは意見交換等が進められておるわけでございます。  文化庁といたしましては、今後、この連絡協議会とも連携を図りながら、J−CISの実現に向けまして、その機能や設置形態をどうしたらいいかといったことも含めまして検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  47. 池坊保子

    ○池坊委員 昨年の十二月に採択されましたWIPO著作権条約の中にコピープロテクション解除装置への対処方法が含まれていましたが、日本では、著作権審議会マルチメディア小委員会で、どこまで取り締まりの対象とするかということに対しては詰め切れずに結論が出ていないというふうに伺っております。  アメリカの著作保護団体BSA、ビジネス・ソフトウエア・アライアンスの推定では、コンピューターソフト日本での損害額は、一九九四年で二十億ドル、日本円にしたら二千億円でございます。そして、違法コピーの事実が明るみに出るということは極めて少ないと言われております。BSA世界各国地域で調べた違法コピー率によると、日本は六七%。中国やタイよりはまだましだそうですが、香港、シンガポールよりも上回っていると言われております。アメリカやスイス、オーストラリアが三〇%台であるのとは大変違っております。知的財産並びに知的所有権と呼ばれておりますものに対する認識が、日本は明らかに先進国の水準からはほど遠いのではないかと思います。  イギリスの著作権法では、著作物複製物が複製防止の電子的形式により公衆に配布される場合に、これを回避するための装置の製造及び情報の公表について頒布業者に対し救済手段等を与えております。今後、このコンピュータープログラム複製防止装置を解除する装置の製造、販売禁止する措置についての問題点をどのように協議されるのかをお聞かせいただきたいと思います。
  48. 小野元之

    小野(元)政府委員 御指摘ございましたコピープロテクション解除装置に関する問題でございますが、先ほど来御答弁申し上げておりますように、ゲームソフトなどの分野におきましてコピープロテクションをかけている作品がたくさんあるわけでございます。一方、これを一つだけ買って、それをほかの人が使うためにコピープロテクション解除装置利用いたしまして違法なコピーをして、何人かで一つだけ買ったものを使うというような事態が現実には起きておるわけでございます。そういう意味で、各方面でさまざまな議論がこの問題についてあるわけでございますけれども、こういった放置しがたい行為があるということについては、どなたも意見が一致しておるのでございます。  しかしながら、今回の法案になぜそのことを盛り込まなかったかということでございますが、私どもも、事務的にはこのコピープロテクション解除装置への対応といったものも今回の法案に間に合わすべく努力をしたのでございます。ただ、その段階におきましてさまざまな問題が実は出てきたわけでございまして、規制の対象をどこまでするのか、例えば、機器をつくった人が悪いのか、それを販売した人が悪いのか、あるいは解除行為を行った人が悪いのか、そのだれを規制の対象とすべきなのかということがございます。  それから、科学技術の進歩によりまして、コンピューター等では一時的にコピープロテクションが解除できるような状態になり得る場合があるわけでございまして、すべてを禁止することにいたしますとむしろコンピューターの技術の向上といったものにストップをかけてしまうおそれもあるわけでございます。  それから、私的使用のための複製なのか、あるいはバックアップのための複製なのかというさまざまな権利、制限規定との関係をどう考えるかという問題もあるわけでございまして、先ほど来御答弁申し上げておりますように、例えばビデオ装置、ビデオデッキをつくる、それはだれも違法コピーをするためとは思っていないわけでございまして、悪いのは、そのビデオデッキを利用して違法コピーをする人が悪いわけでございまして、ビデオデッキをつくる会社が悪いわけではないわけでございます。その場合に、どう規制をかけるかというのは非常に難しい問題があるわけでございます。  そういったことについて十分議論を尽くしていこうということで、マルチメディア小委員会の中にワーキンググループを先般設けました。五月十六日に第一回の会合を開いたところでございますけれども、この委員会の中で、さまざまな方々に集まっていただきまして、詳細な検討を行って、具体的な対応策を考えてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  49. 池坊保子

    ○池坊委員 日本は知的財産の保護の面では大変おくれていると思います。諸外国は知的財産の保護ということにも大変心を砕いておりますので、これはやはり外国と肩を並べられるためにもきちんとした政策等を考えていただきたいと思います。  将来、インターネットなどを通じてソフト送信されるようになった場合、著作権管理情報をもとに自動的に著作権料を徴収することが可能になります。ただ、こうした情報を書きかえたり消却することにより、無断で著作物利用される危険性も指摘されております。  昨年十二月に採択されたWIPO条約にも、音楽CDなどに組み込まれた著作権管理情報の改ざんの規制の必要性が明記されていたと思います。日本では、改ざん行為自体は現行法で取り締まれますが、改ざんした著作物送信することが違法行為に当たるかどうかなどはまだ不明であるのではないかと思います。改ざんした著作物送信した人に民法上の責任を問うことができるかどうかということも明確にされていないように思いますが、今後、その規制範囲や対象などについて検討を進められるのでしょうか、その辺のことも伺いたいと思います。
  50. 小野元之

    小野(元)政府委員 私ども文化庁におきましては、先ほどのマルチメディア小委員会の中にワーキンググループを五月十六日に設けたということを申し上げましたけれども、実は、この委員会の中で、お話ございました著作権管理情報の規制の問題についても検討してまいりたいというふうに考えております。  お話にございましたように、音楽CDに電子的に組み込まれておりますレコード会社名であるとか録音した年の情報とかさまざまな情報があるわけでございますけれども、こういった著作権管理情報を、ある意味では権利処理の円滑化に大きく役立つものでございますけれども、一方、それを万一勝手に改ざんされたり除去されたりということがございますと、まさに適正な権利処理が困難になって、無断で著作物利用されるおそれもあるわけでございます。そういう意味におきまして、管理情報の改ざんを規制するということは必要だというふうに私どもも考えておるわけでございます。  ただ、具体的にどのような形におきまして対応するのが望ましいのかということについても、かなり専門的な議論を重ねていかなければいけないというふうに思っておりまして、各方面の専門家にお集まりをいただきまして、ワーキンググループの中で具体的な規制の範囲や対象につきまして今後検討してまいりたい、さらには、国際的な動向も踏まえながら検討していきたいというふうに考えておるところでございます。
  51. 池坊保子

    ○池坊委員 我が国著作権法では、著作者の死後五十年を経過するまでの間継続するとされておりますけれども、ヨーロッパ諸国では、一九九三年十月のECディレクティブの採択を受けて、各国において著作権保護期間を死後七十年までに延長しております。そして、一九九五年二月に保護期間を死後七十年に延長するための著作権法改正案を議会に提出したと思っております。  我が国においては、平成八年九月の著作権審議会では、保護期間の延長の問題は、欧米諸国の保護期間延長の動向を踏まえ、関係者の理解の進展を図りつつ、法改正について引き続き検討を進めていくと提言されております。  私個人といたしましては、七十年は長過ぎるのではないか、五十年でいいではないかと思っておりますけれども日本は今後世界の流れに沿っていくのか、あるいは日本独自のお考えがあるのかをお聞かせいただきたいと思います。
  52. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 著作物保護期間の延長については、昨年九月の著作権審議会の小委員会でもその報告の中に盛り込んだところでありまして、我が国としても積極的に取り組んでいくべき課題というふうにされております。その際に、今御指摘のように、国際的な動向も踏まえつつ、こういうことも言われております。  今お話しのとおり、海外での著作物保護期間の動向については、今言われたECのディレクティブ採択を受けて各国において七十年程度に延長しつつあるところで、まだ途上でございます。それから、アメリカにおきましては、保護期間を七十年に延長するための著作権法改正案が議会に提出されているところであります。  私どもとしては、こうした諸外国動向を十分踏まえながら、今後も引き続き著作権審議会において積極的に検討していく、こういうスタンスでおります。
  53. 池坊保子

    ○池坊委員 わかりました。  大臣がいらっしゃいません間に、日本は二十一世紀に向かって文化立国を目指している割には芸能実演者の保護がされていないのではないか、多くの芸能実演者たちは、労災も受けられず年金ももらえずに、そして生活の不安の中で仕事をしているというお話を私いたしておりました。そして、財産権は認められても人格権というのが認められていない、この法案の中にどうして実演者の著作権が入らないのかということを今質問させていただいておりました。  それで、早急にそのようなWIPO採択されましたA案ではなくてB案を取り上げていきたいという政府の意向だということをお話しいただいたのですけれども、現実に、現場の文化庁室長は、まだ環境整備が整っていないからB案というのは反対であるよという御意見を講演でされておりましたのが小冊子に載っておりました。  現場の方たちは大変不安がっております。このことについては、迅速に、速やかにというような抽象的なことではなくて具体的にやっていただいて、やはりその保護のもとに、法整備がされてこそ安心して働くことができるのではないかと思っております。  大臣の御見解を最後にお聞かせいただけたら大変うれしゅうございます。
  54. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 インターネットなどマルチメディアが急ピッチで普及発展している中で、こうした著作権の問題も、もうほとんど毎国会改正案をお願いしているという状況でございます。  確かに、今までの著作権保護に関する日本の国民の認識というか、それは決して深いものではなかったと思います。しかし、これから大変多種多様なこうしたマルチメディア、そしてその技術も飛躍的に発展していく中で、著作権保護がどうあるべきかということは非常に重要な課題だと思っております。  それで、先ほどから答弁があったと思いますのではしょって申しますが、昨年の十二月のWIPO条約で、各国意見の調整がつかずに、最終的には映像分野実演家権利保護については盛り込まれなかったところであります。しかし、これは平成十年度には新たな条約を作成するということが決定されておりますし、私どもとしても国際的なそうした協議に積極的に参加をしていく、こういう姿勢で、今後、関係者の間にもいろいろな意見があります、そういうものを一つ一つ調整していく必要もありますので、関係者等による検討の場を早急に設けて、しかも国際的な動向もにらみながら、積極的に検討を進めていく決意でございます。
  55. 池坊保子

    ○池坊委員 大臣のそのような御見解を伺ったならば、実演関係者も大変心強く、安心して仕事ができると思います。ぜひそのようにしていただきたいと思いますということで、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  56. 二田孝治

    二田委員長 次に、旭道山和泰君。
  57. 旭道山和泰

    ○旭道山委員 新進党の旭道山です。  本日の議題となっています著作権法の一部改正について質問いたします。  ちょっと話はそれますけれども法案に対する質問の前に、文教委員の一人として、まず最初にお聞きしたいことがあります。時間の関係上、簡潔に御答弁よろしくお願いします。  過日、神戸市須磨区において、小学校六年生の児童が殺害され、痛ましい形で遺体が発見されるというショッキングな事件が起きました。心から御冥福をお祈りするとともに、一日も早い犯人逮捕による事件の解決を望んでいます。  私も、先週の土曜日、事件が起きた近くに行く用事があり、少しの時間でしたが、住民の方と防犯活動に協力をさせていただきました。  この地域では、三月にも女子児童二人が通り魔に襲われ、一人は死亡するという事件が起きました。また、東京都足立区では、女子高校生が自転車に乗った通り魔に襲われ、けがをするという事件も同時に起きています。さらにまた、犯人が逮捕されていない奈良県月ケ瀬村の女子中学生行方不明事件、その他、動物に対する虐待事件が続くなど、最近異常な犯罪が急増しています。  もとより犯人逮捕は警察の仕事ですが、小学生、中学生などの抵抗力の弱い幼児や少女を襲う事件がこれだけ多発している以上、子供たちの教育を預かる文部省として、全国の児童生徒が安心して学校生活を送れるようにしなければならないと思います。  今回のこうした子供たちを襲う卑劣な、また猟奇的なども言える殺人事件に対する文部大臣の見解をお聞きするとともに、登下校、学校の外の活動を含め、こうした犯罪の再発を防ぐために現在どのような対策をしているか、あわせてお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
  58. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 神戸市の須磨区を初め、実を言うと、個人的なことですが私の家内は神戸市の須磨区の出身でございまして、あのような事件、そして今御指摘の一連の最近の事件を見るにつけましても、私は、本当に痛ましく残念なことだと思っております。  学校現場では、日ごろから特別活動を通じて児童生徒の安全ということを指導してまいっておりますが、特にこのような事件が発生した場合には、その実態に即して、ホームルームの時間を利用して通学途上や日常生活の安全について注意を喚起しております。  現地の教育委員会あるいは学校では、この事態を重く考えて、臨時の全校集会を開いたり、それから保護者の付き添いによる集団登下校、こういうことをやっているところでございます。  今後の問題ですけれども、子供の安全を確保するためには、単に学校だけではなくて、やはり家庭及び地域の連携協力が必要であります。また、警察等の関係諸機関の協力も必要でありますので、事件の再発防止のために、そうした方々と緊密な連絡をとって対処してまいりたいと思っております。文部省としても、今後各種の会議等を通じまして各教育委員会に注意を喚起してまいりたいと考えております。
  59. 旭道山和泰

    ○旭道山委員 大臣、答弁ありがとうございます。  今回の事件は、神戸の子供たちや大人だけじゃなく、社会的な不安と動揺を拡大させてしまいました。特に、殺害された児童が在学していた学校の現場では、児童の不安と悲しみははかり知れないと思います。万全な再発防止対策を行うことは言うまでもありませんが、学校での児童生徒に対する心のケアも大切だと思います。警戒心を持たせることだけに重点を置くのではなく、必要以上の不安な気持ちは取り除いてあける方がいいと思います。  こうした一連の事件を思うと、同じ人間がどうしてここまで残虐非道になれるか不思議でたまりません。原因はいろいろあると思いますが、幼いころからの情緒をはぐくむ教育の大切さということを改めて痛感いたします。  こうした教育は、もちろん家庭での教育が第一に重要な役割を持つわけですが、学校としても思いやりということに対する一層の道徳的教育が必要かと思います。受験戦争に追われ、またお金があれば何でも手にすることができる時代に、情緒がはぐくまれない。また、情緒の中でも最も大切な思いやりを教える環境が不足しているように思います。こういうことは、本来、家庭や地域の中で自然に身についてきたと思います。しかし、その当たり前なことが今できないと思います。  さきの委員会で、田中眞紀子先生が進められた教育職員免許法改正においてボランティア経験の必要性が盛り込まれました。本来、人間として当たり前なことを制度にしなきゃならないという現状であるということ自体おかしいと思います。  今回の一連の事件について、わかりやすいパンフレットとか、児童防衛のために啓発が必要かもしれません。文部省の方、こういう本とか出していると思いますけれども、こういう簡単な本を出してもらえれば、みんなわかると思います。  それをまとめて、大臣の御見解、よろしくお願いします。
  60. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 御指摘のとおり、今回の事件は極めて衝撃的であったと思います。特に、近隣の小中学校の子供たちに与えた心理的な影響、これは非常に無視できないものがあります。  そこで、文部省としても、養護教諭初め学校医、あるいはスクールカウンセラー、こういう人たちの協力を得て適切に対処しているところでありますが、特に兵庫県の教育委員会から要請がありましたので、神戸市内の学校にどこにスクールカウンセラーを配置するかということは既に内定しておりましたけれども、その配置については弾力的に扱ってほしい、そして特にこの近隣の小中学校にスクールカウンセラーが十分に配置されるように指示したところでございます。今後もこうした学校現場における児童生徒の心のケアという面では十分に対処していきたいと思っております。  この背景について、今、人間を思いやる心の欠如ということで、道徳教育の一層の充実というお話がありましたが、私も同感であります。  特に、今度の教育改革プログラムの中でも、単に知識を詰め込むという教育あるいは受験競争のための偏差値教育というものに偏りがちな教育を、もう一度原点に戻って、心の豊かさとか他人に対する思いやりとか、あるいは生命の尊厳といいますか、そういうことの授業というか教育をもっと充実させていかなきゃいけないと思います。現在、文部省が進めているこうした面での指導については、詳細については初中局長から答弁させたいと思います。     〔委員長退席、稲葉委員長代理着席〕
  61. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 道徳教育は、それぞれの各学校が子供たちの様子や置かれた地域の実情を踏まえて計画をつくり、しっかりと取り組んでいただくということが最も大事なわけでございますけれども、国としても、この学校の取り組みをバックアップするという意味で、幾つかの事業を行っております。  一つ申し上げますと、全国二百七十一校の学校を指定いたしまして、モデル的に、豊かな心を育む教育推進事業というものに取り組んでいただく、その成果を全国の学校に参考にしていただくような事業、あるいは学校、家庭、地域社会、それぞれが集まってどのように心の教育を充実するかということで学校道徳教育振興事業というのを行っておりますけれども、そういった事業につきましても、文部省もこの事業を委嘱いたしております。また、学校の道徳教育の指導の充実という意味で、読み物資料の作成、その全国の小中学校すべての学級への配付、あるいは道徳教育の指導力向上のための校長、教頭等を対象といたしました実践講座というようなもの等を行っております。  このようなものを行いつつ、全国的に各学校におきます道徳教育の充実、あるいは学校、家庭、地域社会が一体となりました道徳教育の充実ということにつきまして支援し、また援助をしているというところでございます。
  62. 旭道山和泰

    ○旭道山委員 大臣の心温まる答弁、ありがとうございます。本当に答弁ありがとうございます。犯人も犯行声明を出していますので、早急にそういうことをやってください。それと、文部省としても、再発防止に向けて、可能な限り協力と学校への指導をよろしくお願いします。  済みません、道をそれましたけれども、では本題に入ります。著作権法の一部改正法の質問に入ります。  著作権については、率直な感想を言わせていただくと、わかりにくいという一言です。なかなかなじみがないだけに、著作権に対する国民意識、理解を深めるための必要性を痛感しました。そういう意味では、現在、全国の中学校を対象にわかりやすい内容のパンフレットを作成し、普及啓発を行っていることは非常に大切なことだと思います。  さて、著作権保護という問題ですが、これを適切に推進していくためには、我が国の中だけでなく、国際的にも著作権保護の推進を進めていくべきではないかと思っています。このために、いろいろな国、中でもアジア諸国の連携を強化し、国際的な著作権保護の強化を図っていくべきだと考えていますが、見解をお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
  63. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 著作権保護重要性について、国民の意識改革を図ることは重要だと思います。  特に、アジア地域では、今御指摘のように、まだまだこの著作権制度というものが十分整備されておりませんし、意識もそれほど高いとは言えないと思います。そういう状況を改善するために、アジアの一員であり、また著作権制度を有する日本がアジア諸国における著作権保護の強化等を進めていくために重要な役割を果たさなきゃいけないと考えております。  現在、アジア地域著作権制度普及促進事業、APACEプログラムというものに基づいて著作権に関する開発援助事業の推進を行っておりますが、これは平成五年度からODA事業として進めている事業であります。APACEというのは、何かわかりにくいのですけれども、アジア・パシフィック・コピーライト・エンハンスメント・プログラムの略だそうでございます。それで、信託基金にお金を出して、今具体的に国際シンポジウムの開催とか専門家研修プログラムの実施とか、各国ナショナルセミナーへの専門家の派遣などを行っております。
  64. 旭道山和泰

    ○旭道山委員 現在、著作権保護の必ずしも十分とは言えないアジア諸国での著作権保護の定着強化については、我が国がリーダーシップをとって進めていくべきではないかと思います。  アジア諸国の著作権関係条約の締結状況の現状についてお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
  65. 小野元之

    小野(元)政府委員 お話ございました、アジアの諸国におきます著作権関係条約の締結状況でございますが、アジア諸国を仮に三十七カ国というふうに考えた場合に、まず、著作権関係で、ベルヌ条約についてでございますが、ベルヌ条約については日本、インド、タイ、フィリピン、マレーシア等の十五カ国が締結をいたしております。それから万国著作権条約でございますが、これについては日本、インド、中国、パキスタン等の十四カ国が締結をいたしております。それからローマ条約は、ちょっと少ないのでございますが、日本とフィリピンの二カ国が入っております。それからレコード保護条約につきましては、これも少ないのですが、日本、インド、韓国、中国、イスラエル、キプロスの六カ国が入っております。それからTRIPS協定につきましては、二十四カ国でございまして、日本、韓国、シンガポール、スリランカ、タイ等が加盟をしておるわけでございます。  こういった形で、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、アジア諸国におきます著作権意識の高まり、著作権を守ってほしいという気持ちを広めていくということも、日本としては努力をしていかなければいけないことだというふうに考えているところでございます。
  66. 旭道山和泰

    ○旭道山委員 日本はリーダーシップをとっていかなければいけないという立場で、アジア諸国における著作権保護の定着強化のためには、積極的に関係諸国の関係職員を招いて、研修などを進めていくべきだと思います。このような国際協力のための現在の政策と今後の対応の方針についてお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
  67. 小野元之

    小野(元)政府委員 先ほども大臣から御答弁申し上げましたAPACEプログラムというのを実施をしておるわけでございますけれども、この中におきまして専門家の研修プログラムを行っております。このプログラムは、アジア・太平洋諸国から、政府関係の職員の方あるいは著作権関係団体の職員の方を毎年数名研修生として受け入れをいたしております。そして、約二週間、日本著作権制度関係団体の事業等についての研修を行うということを行っているわけでございます。  文化庁といたしましては、アジア諸国での著作権保護の強化を図るために、今後とも、こういった研修事業等を積極的に推進してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  68. 旭道山和泰

    ○旭道山委員 そういうふうに、いろいろと推進をよろしくお願いします。  昨年のWIPO著作権条約は、著作権分野の基本条約であるベルヌ条約の二十五年ぶりの見直しであり、また、WIPO実演・レコード条約は、デジタル化、ネットワーク化という新しい時代の変化に対応した、実演、レコード保護について定めた画期的な条約であると考えています。この二つの条約批准の見通しについてお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
  69. 小野元之

    小野(元)政府委員 先ほど来御答弁申し上げておりますように、このWIPOの新しい条約については、批准するためには現行の著作権法を何点か改正をしなければいけないわけでございます。具体的な中身といたしましては、著作権については、頒布権、あるいはネットワークヘのアップロードに関する権利の導入、それから、隣接権に関しましては、実演家人格権、それから頒布権等がございます。さらには、先ほど来議論が出ておりますコピープロテクション解除等禁止の問題、それから、権利管理情報改ざん等禁止問題等につきまして、法改正が必要だと考えておるわけでございます。  ネットワークヘのアップロードについては、今回の改正法でお願いしておるわけでございますけれども、私どもとしては、著作権審議会での議論を十分深めていただきまして、これらの条約批准できるように、必要な法改正に順次着手してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  70. 旭道山和泰

    ○旭道山委員 マルチメディアの発展など情報化進展により、著作権に関する課題がいろいろと生じてきていると聞きますが、現時点で具体的にどのような課題があり、文化庁はどのように対応していくつもりか。それと、さっき説明いたしましたが、APACEプログラムの具体的な事業内容がスタートしたばかりで、そのために予算も極めて少ないと聞いています。何か年間三千百万円とか聞いています。著作権制度普及事業をさらに充実させ、アジア地域の著作権制度の推進について努力されることを強くお願いし、大臣にお聞きしたいと思います。それと、予算、お願いします。
  71. 小野元之

    小野(元)政府委員 著作権に関する今後の課題でございますけれども、先ほど来議論が出ておりますコピープロテクションの解除の装置への対処の問題、それから著作権管理情報の改ざんへの対処の問題、これにつきましては、ワーキンググループを設けて今検討しておるところでございます。それから、もう一つ権利処理のシステムでございますが、先ほど来御論議が出ておりますJ−CIS等の設立に向けました調査研究を現在行っているところでございまして、こういった点で、著作権審議会におきまして制度全般についてさまざまな観点から御審議をいただきまして、私どもとしても、必要なものから速やかに制度改正に努力をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  72. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 今、具体的には小野次長から答弁いたしましたが、今後、この分野は大変急ピッチで情報技術の発展が見込まれているところであり、また、それに伴って、著作権保護の意識をもっともっと深める必要がある、こういうことから、そして国際的な動向も目まぐるしく動いておりますので、私どもは、そうした動きを注視しつつ、法律改正あるいは予算獲得に向けて、これからも全力でやっていきたいと思っております。いずれ次の国会では法律改正をお願いするかもしれませんが、その節はまたよろしく御指導いただきたいと思います。
  73. 旭道山和泰

    ○旭道山委員 最後の質問ですけれども、今、須磨区で、神戸と言わず、全国でいろいろと事件があります。その事件は、大人とかそういうのではなくて子供、一番弱者、一番弱い立場の方から何か目をつけられている。そんな変なやつ、猟奇的なやつが、何か最近いっぱいはびこっています。きょうの朝も変な犯行声明を出していまして、自己満足するために子供をそういうふうにするという報道が今見られています。  ですから、文部省という立場で、警察の管轄かもしれませんけれども、末端の教育、セキュリティー、道徳、そういう教えを、文部省の最高の権限として全国各地に——この「知的所有権」、こういう本を文化庁から出していますけれども、これはすごく読みやすいです、わかりやすいですから、それを防犯という形で、今、時間が刻々と迫っています、また、第二、第三とそういう犯行を起こすかもしれません、防犯という形で、文部省の最高の権限で進めてほしいのです。最後、大臣の答弁、よろしくお願いします。     〔稲葉委員長代理退席、委員長着席〕
  74. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 この問題は閣議でも、特にこれは警察、当事者である兵庫県警のみならず、全国の警察を総動員をしてこの凶悪な事件の解決に当たる、そして各省も自分のできる分野を徹底的にやってほしい、こういう申し合わせがありますので、文部省としても、先ほど来お話ししている各般の施策を通じて、警察あるいは家庭、社会、そういう連携の中で、教育の場でも、やるべきことはすべてやる、こういう決意で臨んでまいります。
  75. 旭道山和泰

    ○旭道山委員 よろしくお願いします。どうもありがとうございました。
  76. 二田孝治

    二田委員長 次に、肥田美代子君。
  77. 肥田美代子

    ○肥田委員 民主党の肥田美代子でございます。よろしくお願いいたします。  議題になっております著作権法改正案は、童話を創作して読者の皆さんに読んでいただく立場にある私にとっては、本当に身近な法律でございます。もちろん、私だけでなく、創作活動に携わるすべての方々にとって、この法律の持つ意味は、権利法であり、知的営みを守ってくれる保護法、そういう法律であろうかと私は思っております。  著作権隣接権あるいは人格権というものを広く普及させることによって、人がつくったものを大切にするという倫理観を社会的に育てていく法律でもある、そういうふうにも思います。先ほど旭道山委員からも御紹介がありましたけれども文化庁が子供向けのパンフレットをつくって、知的所有権について基礎知識普及に努めておられることにつきまして、私は大変敬意を表します。子供の時代にそういうことをきちっと教えておくということは、大変大切であろうと思います。  さて、今回の改正案の提案理由説明で、有線と無線が併用されている送信形態の増加に対応するため、現行法第二条に規定する放送と有線とを公衆送信という新たな概念に統合すると提起されております。これは、昭和六十一年の法改正において、有線放送と双方向性すなわちインタラクティブ送信の双方を含め、有線送信権を確立して以来の改正になるわけでございますが、今回新たな概念を提起するに至った背景にはどのようなことがあったのか、国際的な知的所有権をめぐる動きとあわせて御説明いただけませんでしょうか。
  78. 小野元之

    小野(元)政府委員 今回の法改正の中におきまして、有線と無線とをまとめて公衆送信という概念を設けさせていただいているところでございます。この点につきましては、現行法が、無線による送信を放送と言っておりまして、有線による送信を有線送信と言っておるわけでございます。こういったものを、両者を統合いたしまして、新たに公衆送信という概念を設けることといたしております。  この理由でございますけれども情報化進展が進んでおりまして、利用者の求めに応じて送信いたしますいわゆるインタラクティブ送信につきましては、例えば携帯電話をパソコンに接続する、そしてインターネットにアクセスするというようなことが行われておるわけでございまして、こういう場合などは、送信の過程で有線と無線が併用されて行われておるわけでございます。また、通信衛星を用いましたインターネットでの送受信というようなことも行われておるわけでございますけれども、こういう情報化進展に伴いまして、有線と無線を厳密に区別するといい。ますか、それだけの理由で区別するというのは余り意味がないのではないだろうかということで、権利処理上の円滑化を図るということで、有線無線の区別をなくして公衆送信という概念を新たに設けたものでございます。
  79. 肥田美代子

    ○肥田委員 昨年十二月のWIPOの外交会議においてWIPO著作権条約WIPO実演・レコード条約の二つが採択されたことは、私も承知いたしております。また、データベースに関する条約案も審議対象にされていたと伺っております。  しかし、これはアメリカの反対で審議されなかったそうでありますが、アメリカが反対した理由についてどのように認識されておられるか、また、データベースに関する条約案はWIPOにおいて今後どのような取り扱いになる見通しなのか、さらには、同条約案に対して日本はどのような態度で臨んでいかれるのか、見解をお尋ねしたいと思います。
  80. 小野元之

    小野(元)政府委員 昨年の十二月のWIPOの外交会議でございますけれどもお話ございましたように、データベースにかかわります知的所有権に関する条約につきましても草案が用意されておったわけでございますけれども審議時間が不足したということもございました、それからアメリカの業界が反対をされたということもあったようでございまして、そういったこともあって各国意見の一致を見なかったということで、審議がなされなかったわけでございます。  実は、このデータベースに関する条約でございますが、これは、創造性のないデータベースに係る投資をどう保護していくかということにつきましては、実は、我が国の中におきましてもさらに検討を継続する必要があるというふうに思っているところでございます。したがいまして、このデータベース条約につきましては、昨年十二月の段階で、私ども日本といたしましても、これを採択することについては反対の立場をとっていたわけでございます。  この条約につきましては、また本年九月にWIPOに新たに専門家委員会が設置されて引き続き検討が行われるということでございますので、これに対してどう対応していくかは今後検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  81. 肥田美代子

    ○肥田委員 ただいまの御答弁とも関連いたしますが、WIPO著作権条約及びWIPO実演・レコード条約は、まだ国内批准の手続がとられておりません。つまり、国内批准に先立って国内法を整備し、WIPO条約に少しでも近づこうとこの法案が提案されたということでございます。アメリカでは、著作隣接権保護やローマ条約批准さえもおくれております。それに比べますと、文化庁時代を先取りしていらっしゃるというふうに私は思います。しかし、いずれは国内批准の手続をとらなければなりません。日本では、国内法をすべて完全に整備してから批准するというふうになっておりますけれども、今後、批准に向けてどのような段取りになさっていかれるか、お答えください。
  82. 小野元之

    小野(元)政府委員 お話ございましたように、WIPOの実演・レコード条約それから著作権条約につきましては、昨年十二月、採択されたわけでございますけれども、これをある意味では先取りの形で今回法改正でお願いしているわけでございます。  と申しますのも、この二つの条約批准するためには、先ほど来御答弁申しておりますように、幾つかの点で著作権法改正する必要があるわけでございます。著作権に関しては頒布権の問題、それから隣接権に関しましては実演家人格権頒布権の問題、こういったものを明確にしていく必要があるわけでございますし、さらには、先ほど来議論が出ておりますコピープロテクションの解除の問題、それから権利管理情報改ざん等禁止の問題、これらについて法改正が必要となるわけでございまして、とりあえず第一歩の、皆様方の御理解が得られる分野から今回法改正をお願いしたところでございます。  私ども文化庁といたしましては、著作権審議会の御意見をお伺いしながら、条約批准に向けて必要な法改正に適時適切に着手をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  83. 肥田美代子

    ○肥田委員 ぜひ国際社会の中でリーダーシップをとっていただきたいと思っております。  WIPO実演・レコード条約について少し見解を伺っておきたいと思いますが、これは先ほどの池坊委員質問と重なる部分でありますが、私なりの切り口で伺っていきたいと思います。  WIPO実演・レコード条約審議の中で、当初の案文にあった視聴覚固定物にかかわる実演家の経済的、人格的権利部分アメリカの反対によって削除されたようでございます。この削除によって視聴覚固定物に関する実演家権利という最も基本的な部分が削除された、あるいは先送りされたということになります。アメリカが反対するという事態の中で、日本政府は実演家の人格的な権利問題についてはどのようなスタンスで臨まれたのか、いま一度お伺いしたいと思います。  また、一九九八年以前において視聴覚実演に関する議定書の採択を目指すという決議案が採択されておりますが、これをどのように評価されていらっしゃるか、お尋ねいたします。
  84. 小野元之

    小野(元)政府委員 先ほど来御論議いただいておりますように、WIPO実演・レコード条約の中で、アメリカの反対によりまして、お話にございました視聴覚固定物にかかわる実演家権利部分が認められておりません。この点につきましては、先ほど来御答弁申し上げておりますように、日本政府といたしましては、実演家権利を認める案、いわゆるB案を主張したわけでございます。しかしながら、最終の段階で、各国意見が折り合わない、アメリカが強硬に反対するということで、B案は盛り込まれなかったわけでございます。そのことに対しまして、アフリカ諸国等を中心に、おかしいではないかという御意見が非常に強く出てまいりまして、九八年中に新たな条約を策定することを目指す旨の決議が行われたところでございます。  この決議に基づきまして、本年九月には専門家委員会が新たにWIPOの中に設置されるわけでございまして、私どもといたしましては、この中で、この条約の実現に向けた検討に積極的に参加をしていきたい、B案を主張しながら積極的に参加をしたいというふうに考えているところでございます。
  85. 肥田美代子

    ○肥田委員 重ねて、実演家権利にかかわる問題で質問させていただきます。  実演家保護条約、いわゆるローマ条約でございますが、この条約では、実演家がその実演を影像の固定物または影像及び音の固定物に収録することを承諾したときは、そのとき以降実演家権利の規定は適用しないと定めております。他方、WIPOは、ローマ条約は真の必要性を国際的に満たしていないので、国内法がこの点に関して条約以上の保護を特に実演家に与えるべきであるとし、ローマ条約を超えることを期待しております。  我が国においても、実演家権利については著作権法制定当時から議論の対象とされ、衆議院文教委員会及び参議院の文教委員会でも、「衛星放送、有線テレビ、ビデオグラムの発達等により録音・録画された実演の利用が多様化・増大化している等の事情を考慮し、映画監督、実演家等の権利の適切な保護等について検討する」などの附帯決議が行われております。また、日本芸能実演家団体協議会なども実演家人格権について著作権法において明確に規定するよう、長年にわたって主張されてこられました。  ところが、著作権法の第九十一条は、「実演家は、その実演を録音し、又は録画する権利を専有する。」とし、実演家権利を保障しながら、録音された実演などには適用されないと定めております。さらに九十二条では、「実演家は、その実演を放送し、又は有線送信する権利を専有する。」と実演家の優先放送権を認めつつも、ここにも録画された実演などの不適用条項があります。  実演家権利に関する限り今回も抜本的な見直しに至っていないことから、先ほどもお話がありましたように、森繁久彌さんは、政府が文化政策の充実を提唱するのであれば、まず実演家権利を法的に確立することが大切な要素であると提言なさっておられます。  こうした提言にこたえることが立法府の役割であると思うわけでありますが、著作権法の九十一条及び九十二条の二つの条文は、実演家にとってどんな利益があり、どんな不利益があるのか、具体的な事例を挙げて御説明いただき、さらに、今後どのような段取りで実演家権利の確立に取り組まれるのかについても御答弁くださいますようにお願いします。
  86. 小野元之

    小野(元)政府委員 先ほど来お話が出ておりますように、九十一条、九十二条におきまして、実演家権利を第一項でそれぞれ認めておるわけでございますけれども、第二項では、一たん映画やビデオに実演家の許諾を得て実演が固定されますと、以後の録音や録画等についてはあるいは権利が働かないということにもなっておるわけでございます。  このことでどうなるかということでございますが、例えば、映画に出演なさった実演家の方は最初に出演料ということで幾らかお金をいただくわけでございますけれども、それに対して実演家の方々は、それは映画に最初に出るときのお金であって、その映画がビデオやあるいは衛星放送等で放送されるということであれば、その分についてもさらに出演料のプラスをしてほしいというふうにおっしゃっておるわけでございます。これに対して、映画会社の方といたしましては、最初段階で既に二次利用のことも考えて契約料を払っているんだから、二次利用分についてはお金を払うことはできませんというのが基本的な主張であるわけでございます。  そういうことになりますと、実演家の方々に言わせれば、この点については、確かに、劇場映画、非常に配給収入なども苦しいということはわかるわけでございますけれども、これだけテレビやビデオやあるいは衛星放送等が発達しておるわけでございますから、我々が最初に出たときではなくて、その後についても権利をぜひ認めてほしいという御主張をされておるわけでございます。  私ども文化庁といたしましては、実演家の方々の御意見というものも受けとめつつ、先ほど来お話をいたしておりますように、前回、平成四年に協議会を設けた段階では、意見が全く一致しなくて決裂状態になっておったわけでございますけれども、こういったことについて話し合いの場を設けて、早急にそれぞれの御意見を聞きながら望ましい方向を探っていきたいというふうに考えておるところでございます。
  87. 肥田美代子

    ○肥田委員 意見が一致しないからといって平行線で放置しておくのではなくて、積極的にこの話し合いを進めていただきたい、文化庁が本当に力を尽くしていただきたいとお願いする次第でございます。  私は、文化庁が国際会議実演家権利擁護のために大変努力されていることについて、尊敬の念を持っております。それでもなお申し上げなければならないことがございます。それは、視聴覚固定物に関する実演家権利が認められない状態は、今日のマルチメディア時代において決して正常ではないということでございます。それを正常に戻すのが立法府の役割であろうと考えております。  御承知のように、テレビは多チャンネルになり、WOWOWのように同じ映像作品が繰り返し繰り返し放映され、また、新作の劇場映画もあっという間にビデオ化され、家庭で利用することができる。私たちは、映画に出演した監督、俳優、音楽家、技術者たちの実演を、同一作品を通じて何度も目にすることが可能な時代に入ったわけでございます。しかし、そうした映像関係者の権利は、最初のたった一回、つまりワンチャンスしかないのであります。二次使用に対する報酬請求権を保障されていない状態でございます。  著作権法が制定された昭和四十五年当時は、劇場映画が今日のようにビデオ化されることもなかったし、テレビに持ち込まれることも少ない時代でしたから、映画出演者への報酬も一度で済ませることができたのだと思います。しかし、映像作品の二次使用が普通のことになった現在、二次使用に対する実演家の報酬請求権がないという無権利状態が続いていることは、権利擁護を趣旨とする著作権法の精神からしてもまことに不条理なことと考えております。  特に、今後は映像を伴うデジタル・ビデオ・ディスクなどの急速な技術革新によって、俳優や演奏家を取り巻く環境は一段と変化しますし、そうした新しいメディアの登場に対して、現在の法制度が十分な対応ができるかどうかにも大きな疑念がございます。日本がイギリスと並んで著作権では先発国であると自負してもいいのではないかと私は思っておりますが、それだけに、国際条約のいかんにかかわらず、視聴覚固定物に関する実演家権利についても国際社会でリーダーシップをぜひとも発揮していただきたい、私は切に願っておりますが、大臣いかがでございましょうか。
  88. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 先ほど小野次長から答弁したように、映像に関する実演家権利の問題については各国間の意見が合わずに見送りということになりましたが、この問題については平成十年度、来年度中に協議をする、国際的にも新条約検討が九月に開始される、こう聞いておりますので、私たちとしても、そうした国際的な場で、積極的に参加をし、発言をしてまいるということでございます。国内におきましても、早急に映像関係者を中心とする協議の場を設けて、早急に私どもとしての考えをまとめる、そういう検討も進めたいと考えております。
  89. 肥田美代子

    ○肥田委員 ぜひ積極的によろしくお願い申し上げます。  次に、映画監督を初め著作権法第十六条で規定された、映画の著作物の全体的形成に寄与した人たちの権利についてお尋ねしたいと思います。  著作権法の第二十九条では、「映画の著作物著作権は、その著作者が映画製作者に対し当該映画の著作物の製作に参加することを約束しているときは、当該映画製作者に帰属する。」とあります。この条文に限らず、知的権利を守ろうとする著作権法では、映画監督や技術者たちの二次利用に関する報酬請求権は明確にされておりません。この人たちの権利はどのようにしたら守られるのか、率直な見解をお聞きしたいと思います。
  90. 小野元之

    小野(元)政府委員 今お尋ねがございましたように、参加契約を締結した場合には映画製作者に権利が帰属するということが書かれておるわけでございます。したがいまして、監督の皆さん等が映画の二次的利用について追加の報酬等の支払いを受けたいということでございますれば、参加契約を結ぶ最初のワンチャンスの時点で二次的利用も含めて契約を締結するということが必要になってこようかと思うのでございます。  この点については、それは必ずしも十分ではないではないかという御意見ももちろんあるわけでございまして、先ほどの実演家の方々の御主張と似ているわけでございますけれども、いずれにしても、契約の最初段階で二次的利用あるいはその後の利用を含めて契約を締結するということができれば、それは一つの、とりあえずの解決策にはなるというふうに私どもは考えているわけでございます。
  91. 肥田美代子

    ○肥田委員 契約が十分にできる力関係であればそれはいいと思うのですけれども、現実的にそういう状態にないということはもう明らかでございますから、文化庁はそのあたりにしっかりとした目を行き届かせていただかないと、こういう状況というのは自助努力でやってくださいというのではなかなか進まないと思うのですが、いかがでしょう。
  92. 小野元之

    小野(元)政府委員 御指摘の点はそのとおりでございまして、契約でうまくいけばいいわけでございますけれども、映画会社と監督さんあるいはスタッフとの間の力関係というのがもちろんあるわけでございます。したがいまして、先ほど来、実演家の方々についてお話し申し上げておるわけでございますけれども、前回うまくいきませんでした研究協議会を新たに組み直しまして、新たな形で早急にスタートさせて、その場においてそれぞれの立場から御意見をいただいた上で、望ましい方向を目指してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  93. 肥田美代子

    ○肥田委員 昭和十四年に制定された勅令による著作物ノ範囲ヲ定ムルノ作では、著作物の範囲を小説とか脚本とか楽曲を伴う場合における歌詞、楽曲の四つに定めております。同じ十四年の勅令、著作権二関スル仲介業務二関スル法律施行規則に基づいた文化庁認可の仲介業務団体も、音楽、文芸、脚本、シナリオ団体の四つとなり、しかも、一分野団体となっております。これは言葉遣いでなく、法律の中身でございますが。  五十八年前の昭和十四年当時はその勅令で対応できたかもしれません。しかし、戦後の日本社会は、小説以外の出版物、写真、映像などさまざまな文化がつくり出されており、著作物の範囲も広がっておりますので、ぼつぼつ内務省の勅令の改正検討されたらいかがでしょうか。  さらに、片仮名で書かれた法文につきましては、昭和十四年の二つの勅令に限らないわけでありますが、戦後の現代仮名遣いで育った圧倒的国民には、片仮名の文章はとてもなじめるものではございません。頭を昭和十四年にタイムスリップして、その時代の雰囲気で読むようにといっても、どだい無理でございます。  法律と国民を近づけることが立法府の仕事であると私は思っております。文部省及び文化庁は、他省庁に先駆けて中期的な計画を立てて関連法案の現代仮名遣い化を進めてはどうかと思うのですが、いかがでしょう。
  94. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 お話しのとおり、仲介業務法、今法律の現物を見せていただきましたが、確かに片仮名になっておりますし、また内容も基本的に変わっていない。これだけ社会が激変しているにもかかわらず、果たして今のままでいいのか、こういうことから、現在、著作権審議会の中に権利の集中管理小委員会を設けまして、この法律の見直しについて鋭意検討を進めているところであります。  この審議を踏まえて対処いたしますが、この改正を行う場合には、今お話しのとおり、文字をわかりやすくするという見地から片仮名を平仮名に改めるということも十分留意していきたいと思っております。
  95. 肥田美代子

    ○肥田委員 最後の質問をさせていただきます。  小杉文部大臣に格調高い御意見をお願いしたいというふうに、まずお願いしておきます。  中教審の答申の中に、物理、数学にずば抜けた才能を持つ子供の大学入学年齢の特例を設けるという教育上の例外措置がございます。中教審の考えでは、国際的な学者を送り出すためということらしいのでございますが、しかし、人間の才能には数学とか物理のみならず、音楽でありますとか絵画でありますとか、文学、スポーツなどあらゆる分野にその才能が出てくるというふうに私は思います。中教審がおっしゃるように国際的な人材を育てるというならば、やはり国際的音楽家も育てなければいけない、国際的画家も、国際的建築家も、国際的文学者も育てる気概を持つべきであろうと私は思います。  答申の中に受験エリートという言葉がございました。まさに子供たちは、好むと好まざるにかかわらず、受験エリート志向への道を歩まされているわけでございます。そして、その道すがら、子供たちが本来一人ずつがしっかりと持っていたはずのきらきらした個性はすり減ってしまっていくのです。現在の教育の形はある意味でそういうふうになってしまっているのじゃないかと私には思えます。  例えば、音楽教育に例をとりますと、よほど強靱な心で、今の学校教育を否定した形で個人レッスンでも受けないと才能は開花いたしませんし、音楽は学校教育の中ではかなり軽視された状態にございます。感性が最も磨かれるのは小学生の時代だということがあるにもかかわらずでございます。  平成六年、文化立国を目指す立場から、音楽文化の振興のための学習環境の整備等に関する法律が制定、施行されました。しかし、文部省が不断の努力をしなければ、この法律の趣旨を全国的に浸透させ、息を吹き込むことはできないことでございます。大臣は、同法の具体化を含めた文化立国の構想をどのように描いておられるのか、個人的ビジョンでも結構ですから御意見をお願いし、私の質問を終わらせていただきます。
  96. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 肥田委員の言われること、私はほぼ同感でありますが、特に最近、物の豊かさよりも心の豊かさを求めるという風潮、機運が高まってきたということは、私は喜ばしいことだと思います。そういう見地から、今文部省でも学習指導要領とかその他で古来の伝統文化の継承発展、あるいはすぐれた芸術文化の創造、発信を図る文化の重視、こういった文化立国を進めているところであります。  最近、情操教育という点の重要性というのは私は御指摘のとおりだと思います。今学校完全週五日制に向けて教育課程審議会でどの科目を削っていくかという審議をしているのですが、私のところにも音楽関係者とか絵画の関係者から、いつもそれが標的にされてしまう、したがって、子供の情操を育てるためにこういう科目はぜひ残してほしいというのが相当数多く寄せられております。  私は、確かにこれからの国際化とか、物すごいメガコンペディションといいますか、激しい経済の競争とかグローバル化の中で、特に理数系にすぐれた人材の養成ということは大切だと思いますし、そういうことで教育の例外措置として十七歳で大学入学を認めるという方向に進んでおりますけれども、一方において音楽とか絵画とかいう心の豊かさを育てる情操教育、この必要性、重要性というものはやはり私は大いに考えていかなければいけないと思っております。また、肥田委員のいろいろな御意見も伺いながら、より一層文化立国を目指して頑張っていきたいと思っております。
  97. 二田孝治

    二田委員長 次に、山原健二郎君。
  98. 山原健二郎

    ○山原委員 今、俳優あるいは写真家などの多くの方たちが無権利状態に置かれているという問題について質問をいたします。  まず、映画の二次利用などの問題についてでありますが、先ほどからたくさん出ておりますように、WIPOの外交会議では、視聴覚固定物にかかわる実演家の経済的、人格的権利が対象範囲に入っておりません。これはアメリカの強い反対に遭ったというわけですが、このアメリカの態度に対して我が国はどういう態度をとってきたのか、手短にお答えをいただきたいと思います。
  99. 小野元之

    小野(元)政府委員 先ほど来御論議が出ておりますように、アメリカの強い反対で視聴覚の分野実演家権利が先送りになったわけでございます。  これにつきましては、先ほど来御答弁申し上げておりますように、私どもといたしましては、いわゆるB案、映像として固定された映像の分野についても権利を明確にすべきだということで主張したわけでございます。結果的に、アメリカが強く反対したということで、この案が採択されなかったわけでございますけれども、私ども日本政府としてはB案を強く主張したところでございます。
  100. 山原健二郎

    ○山原委員 平成九年二月のマルチメディア小委員会審議経過報告書を見ますと、「リクエストを受けて行う送信に係る著作者権利については、我が国は、世界に先駆けて昭和六十一年に著作権法整備を行っており、インターネットなどを用いたこのような形態送信について著作者権利を明確に法定している国は、現在でも我が国と英国のみである。」と先駆性を評価しております。そして、日本と英国の法制が国際的にも必要とされると主張してきたわけですが、インターネットにおける権利のように、映画の二次利用などにかかわる俳優の権利についても世界に先駆けて国内法を整備すべきではないかという声が高いわけですが、これに対してはどうお答えになりますか。
  101. 小野元之

    小野(元)政府委員 先ほど来御答弁申し上げておりますように、映像として固定されたものにつきましては、WIPOの実演・レコード条約においても権利を認めていないわけでございます。実演家団体の方々からは、映像の分野につきましても権利を認めるべきだという大変強い主張がございます。この問題について、現時点におきましては、映画の製作者、映画会社等の側の理解がまだ十分であるとは言えない状況にあるわけでございます。  WIPOにおきましても、この映像の分野についての実演の保護のための条約を一九九八年末までに新たに作成するという決議があるわけでございます。私ども文化庁といたしましては、この決議を実行するための委員会の中で、国際的な場面の中で、これに対する権利を明確にすべく、先ほど来御答弁申し上げておりますように、国内におきましては、映像関係者を中心にする新たな検討の場を設けたい、国際の場面におきましては、B案といいますか、その形を主張してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  102. 山原健二郎

    ○山原委員 森繁さんの例も引かれましたけれども、ビデオ、レーザーディスク、あるいはDVDのような映像を伴う録音・録画固定物にも実演家権利が働くよう、日本政府としてもリードをしていくべきであるという声が高いわけです。この点について再度訴えますが、どうお答えになりますか。
  103. 小野元之

    小野(元)政府委員 先ほど来御答弁申し上げておりますように、九八年末までに新たに条約をつくるということが決議されておるわけでございまして、この国際的な検討の場におきまして、私ども文化庁といたしましては、映像の分野におきます実演家権利につきまして、適切な形で権利が定められるよう主張してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  104. 山原健二郎

    ○山原委員 先駆性をみずから誇っているわけですから、ぜひこの点の主張を強く要求したいと思います。  次に、一九五六年以前に撮影されました写真の著作権の問題であります。  昨年十二月の国会では、写真の著作権保護期間を公表後五十年から死後五十年に改正され、写真家からは歓迎をされております。しかし、旧法時代に、公表後十年という余りにも短い保護期間のために既に保護期間の切れてしまっている十九五六年以前の写真については、写真家が今存命、そして活躍しているにもかかわらず、保護されず、無権利の状態になっています。  これは、国会図書館からお借りしましたロバート・キャパの写真でありますが、もう皆さん御承知と思いますけれども、これは最初にノルマンディー作戦の写真が出ております。一九四四年の六月六日のノルマンディー上陸作戦をキャパが撮った写真でありますが、ライフ誌には同年七月三日に公表されております。  キャパは一九五四年に亡くなっていますが、日本では無断、無償で使えることになっています。権利が延長されていれば、例えばこういうものを無断でCD−ROM等にして大量に出版するとなると、国際的に大問題になるわけです。最近発売されているCDレコーダブルなどは、素人でも写真を簡単に大量に読み込むことができる状態になっています。出版界の慣行として、仮に保護期間が切れた写真が含まれた場合であっても印税を払っているとのことでございますが、このような状況では慣行破りも発生しかねないと思います。  インターネットを初めとしたマルチメディア時代に当たってこういう置き去り現象があるようでは、他の芸術ジャンルと同等とは言えません。大臣の答弁のように、著作権審議会で、国際的動向を踏まえて検討していくというならば、この状況を踏まえて、一九五六年以前の写真の著作権についても早急に対策を打つべきだと思いますが、この点、大臣の見解を伺っておきます。  「怒りの葡萄」の作家、スタインベックですね、この人がこう言っています。キャパの写真は彼の精神の中でつくられ、カメラは単にそれを完成させただけだ。すぐれた画家のキャンバスのように、キャパの作品は常に明確な表現をとっている。芸術としての写真を最大限に評価していることは御承知と思います。  ところが、日本ではそういう評価を受けていない。少なくとも法的にはそうなっておりません。そういう意味で、写真家は強い不公平感を持っておると思います。  そこで、御質問を申し上げたいのですが、昨年十二月の参議院文教委員会におきまして、大臣はこの問題について、将来、遡及の問題を含めて誠意を持って検討していくと答弁されています。  写真著作権保護期間遡及の問題について現在どのように検討が進められておりますか、具体的にお答えをいただきたいのであります。
  105. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 では、私から概括申し上げて、あと具体的な取り組みについては次長から答弁をさせます。  一度切れた著作権を復活させるということは、既存の利用関係者には重大な影響を与えるわけで、そこら辺がいろいろ利害がふくそうして調整が難しいところですが、関係団体からこの件について再度、保護すべきだという強い意見もあり、また、今引用されたように、国会でも議論されたところでございます。私どもは、いろいろ困難な問題もありますが、そういった関係者の御意見も伺い、また国際動向も踏まえながら、引き続いて検討してまいりたいと思っております。  具体的には、次長から答弁させます。
  106. 小野元之

    小野(元)政府委員 ただいま大臣から御答弁申し上げたとおりでございますが、では、具体的にどう検討しているかということでございます。  著作権審議会の第一小委員会におきまして、先般の国会での御論議、質疑等、それに対する答えにつきましても、資料を配付いたしました。それから、こういう問題につきまして関係団体からの要望書も出ておるわけでございまして、こういったものも第一小委員会委員に資料として配付をいたしました。具体的な今後の検討課題の例として提示をしておるところでございます。  今後委員会におきまして、もちろんほかの課題もあるわけでございますけれども、国会で御答弁申し上げておりますように、真剣に受けとめて検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  107. 山原健二郎

    ○山原委員 マルチメディアヘ利用を恐れて、保護期間の切れた作品の作品集への掲載を控えるという芸術後退現象さえ起こっている実態があると聞いております。  一方、平成八年度「我が国の文教施策」では「二十一世紀に向けて新しい文化立国を目指して、今世紀中に文化基盤を抜本的に整備することが緊急の課題となっている。」としております。  写真における芸術後退現象の原因になっている著作権の不整備は、この理念に真っ向から対立するものではないですか。そういう意味で、さらに一歩具体的に進めるよう要請を申し上げたいのでございますが、その点について御見解を伺っておきます。
  108. 小野元之

    小野(元)政府委員 私ども文化庁は、御指摘ございましたように、文化立国を目指して、芸術文化の振興や伝統文化の保護に力を尽くしてまいりたいと考えておるところでございます。  先ほど御答弁申し上げましたように、著作権審議会の第一小委員会におきまして、先般の国会での御論議もお示しをいたしましたし、要望書も配付をいたしまして、委員先生方の御理解を深めるべく努力をしておるところでございます。今後、著作権審議会におきまして、この問題も含めまして、今後の制度改正等に関連をいたしまして検討していただきたいというふうに考えておるところでございます。
  109. 山原健二郎

    ○山原委員 写真家の著作権の問題については、もう当初から問題になっておりまして今日まで来ているわけでございますから、ぜひこれを実現することを強く要請したいと思います。  今後の審議日程などはおわかりになりますか。
  110. 小野元之

    小野(元)政府委員 この問題、いつまでにということを私ども決めておるわけではございません。この国会にも法案をお願いしているわけでございますが、著作権制度に関しましては、科学技術の進歩や、あるいは社会の変化に応じまして、適宜適切に改正を行っていく必要があるというふうに考えておりまして、今具体的にいつまでということを申し上げる段階ではございませんけれども、国会で御答弁申し上げておりますように、重く受けとめまして、真剣に対応してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  111. 山原健二郎

    ○山原委員 別の問題ですが、ちょっとローカルになりますけれども、砲台、台場というのがありますね。今史跡に指定されている台場・砲台跡、明治維新のころのことですが、我が国の歴史の正しい理解のためにも欠くことのできない文化遺産だろうと私は考えておりますが、土佐藩砲台跡、この整備の問題が今起こっておりまして、市長の要請もありますけれども、こういうのに対しては今どういうふうな指導をなされておりますか、文化庁の見解を伺っておきます。
  112. 小野元之

    小野(元)政府委員 いわゆる台場といいますか、昔の大砲の砲台の跡でございますけれども、こういったものにつきましては、お話ございました土佐藩の砲台跡、高知県のもののほかに全国で七カ所が史跡に指定をされておるところでございます。  この土佐藩の砲台の跡につきましては、須崎海岸に置かれた幕末の土佐藩の砲台の跡でございまして、遺構が非常によく保存されておるということもございますし、幕末の情勢を知る上で重要な遺跡だということで、昭和十九年に国の史跡に指定されたものでございます。この指定地は、現在、市立の歴史公園ともなっておるわけでございまして、須崎市がその管理を行っておるところでございます。  この史跡の整備につきましては、地元の市から整備の意向があるということは、私どもも承っておるわけでございます。文化庁といたしましては、市に対しまして史跡の整備にふさわしい整備計画を検討してほしいということをお願いしておるところでございまして、今後これに対してどういうふうに対応なさるかということを踏まえまして検討していきたいというふうに考えておるところでございます。
  113. 山原健二郎

    ○山原委員 もう一つ、これは愛媛県から高知県に至る、正式の名前でしょうか、これは文化庁の名前だと思いますが、土佐北街道——笹ケ越というのがございまして、文化庁の歴史の道百選に昨年たしか選定されております。その道は非常に険峻なところで、いろいろな名所も残っておりますけれども、馬を連れて参勤交代での苦労がしのばれるというわけで、私もここを踏破しましたが、この道をもっと整備、保存、延長していくことは、古道と地域の文化財に親しむ上で必要と思われます。そういう意味で、文化庁としてこういう問題に対してはどういう取り扱いをされておりますか、お伺いをしたいと思います。
  114. 小野元之

    小野(元)政府委員 御指摘ございました歴史の道再選でございますけれども、これは全国の歴史的な道の中で、原則といたしまして、土のままの道といいますか、あるいは石畳の道あるいは道の形が一定区間良好な状態で残っておる、そういった箇所に対して指定をしておるところでございます。  お話ございました土佐街道に関連する歴史の道も、三カ所取り上げさせていただいておるわけでございますけれども、これは昔の形での道の形が残っておるということを一つの条件にしておるものでございますから、これをさらに広げるということでございますと、これは生活道路として既に使っておりまして、舗装がなされておったりあるいは新しい現代の道になってしまっておるという部分につきましては、歴史の道という観点では取り上げにくいということでございまして、この指定範囲を広くするということは、私ども難しいと思うのでございます。  しかしながら、こういった整備事業を実施をしておるところでございまして、県や市の方から具体的な御要望等があれば、相談に乗りたいというふうに考えておるところでございます。
  115. 山原健二郎

    ○山原委員 最後ですが、写真家の著作権の問題については、前々からも取り上げてまいりましたが、ぜひ実現をしますように御努力をお願いしたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。
  116. 二田孝治

    二田委員長 次に、中川智子君。
  117. 中川智子

    中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子でございます。  今回の著作権法改正は、やはり急激なメディアの進展とともに一層の著作権保護の前進が図られるということについて、とてもよかったなという思いを持っておりますことを、まず大臣にお伝えしたいと思います。  その中で、気にかかることを最初に二点、あわせて質問させていただきます。  先ほどからも出ておりますけれども、いわゆる著作権というふうに私どもが聞きましても、何かぴんとこない。だれがどういうふうな権利を持って、それがどのような影響を及ぼし、その人自身にどういうメリット・デメリットがあるのかな。著作権というものに対して、国民になじみが割と薄い、そのことによってあいまいになり、わからないがゆえにトラブルの原因をつくっていくということが多々あると思われるんですが、やはり教育の中とかで、小さい時代から著作権というものに対して一定の、知らしめていくような啓発、また普通の市民に対しても著作権というのがどういうものなのか、著作権保護というものがなぜ大事なのかということを広く啓発していくということがとても大事ではないかと思いますので、それをまず最初に一点伺いまして、それと関連いたしまして、実演家権利保護が今回の法改正においてもなお不十分だと思います。やはり、身分が安定し、いい仕事をしてもらうためにも実演家に対する保護をもう少しきっちりとしなければいけないという思いを持っておりますが、この二点に対してのお答えをお願いいたします。
  118. 小野元之

    小野(元)政府委員 まず第一点の、著作権についてもう少し普及をきちんとやっていくべきだという御意見でございます。ごもっともでございまして、私ども文化庁といたしましても、この著作権制度我が国の文化の発展のために欠かすことのできない重要な制度だというふうに認識をしておるところでございます。  具体的には、講習会等をさまざまな形で設けておりまして、一般の方々に対する著作権セミナーも実施をしておりますし、都道府県の著作権事務の担当の方々に対する講習会も実施をしております。さらには、図書館や視聴覚ライブラリー等の職員を対象とした講習会も行っておるわけでございます。それから、先ほどお話もございましたけれども平成八年度から、中学校等の生徒が著作権について学習できるように、わかりやすい漫画でつくりました著作権読本「大事にしようあなたの創意」といったようなものも作成をいたしまして、全国の中学校等に配付をしておるところでございます。また、コンピューターソフトウエア違法コピー防止の観点から、「コンピュータ・ソフトウェア管理の手引」等も作成をいたしまして、各方面にPRを行っておるところでございます。  いずれにいたしましても、著作権思想を高めていく、御理解を深めていくための努力をこれからも続けてまいりたいというふうに考えております。  それから、第二点の映像の分野における実演家権利保護の問題でございます。  これもこの委員会で先ほど来ずっと御論議が出ておるところでございますけれども、私どもといたしましては、国際的な動向等も見きわめながら、先ほど来申し上げておりますように、映像関係者を中心といたします新たな検討の場を設けまして、積極的な検討を進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  119. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 著作権とは何ぞやというこの概念ですけれども、従来、個人の所有権とか権利というものは見えるものが中心でしたけれども、私は、やはり創作者がいろいろな新鮮な着想力で、そして創造力を生かしてつくったものは十分保護されるに値する貴重お財産である、そういう概念がまだまだちょっと希薄だと思いますので、こういう機運をもっと改めていく必要があろうと思います。  今度の改正、不十分ですけれども、少なくともインターネットに登載される、そこで著作権保護されるということでは大変前進であったというふうに受けとめています。
  120. 中川智子

    中川(智)委員 ありがとうございました。  文化ということで、関連しての質問をさせていただきたいと思います。  私も子供を育てていますときに、子供劇場とか、いろいろ呼び名が各地域で違うんですが、ファミリー劇場とか、地域の親が行って会費を集めて子供と親がよりよい文化に親しむ、音楽とか演劇とか、プロの集団を招いて、地域でそのような文化に親しんでいく、とてもこれは大事なことだな。子供にとって、本当に感動を忘れさせない、割と日ごろは感動と遠い世界にいたりして、早く勉強しなさいとか、早く寝なさいとか、早く早くという中で、親も子供も一日ゆっくりといい芸術に親しむのはすばらしいことだと思うのですが、この活動が地域にきっちりとあるということは文化庁は把握していらっしゃいますか、御存じでしょうか。
  121. 小野元之

    小野(元)政府委員 子供たちに対しましてすぐれた芸術に触れる機会を与えるということは、私どもも、豊かな創造性をはぐくんだり、あるいは情操の涵養を図る面で大変重要なことだと思っておるところでございます。  文化庁といたしましても、従来から、子供たちの芸術鑑賞機会拡充を図ろうということで、鑑賞年齢層に応じまして、例えば、こども芸術劇場、それから青少年芸術劇場、舞台芸術ふれあい教室といったような形で、芸術文化振興基金を通じまして、親子を対象にした公演や、こういった展示活動に対して助成を行ってきておるところでございます。先般の中教審の答申の趣旨にもあるわけでございますけれども、豊かな心を育てていく、あるいは主体的に判断できる子供の育成を図るというためには、私どもといたしましては、平成九年度から、従来の中学校芸術鑑賞教室を拡充いたしまして、小中高等学校学校教育の場において、すぐれた舞台芸術に直接触れることができる機会を提供するための舞台芸術ふれあい教室といったものも新たに実施をすることといたしておるところでございます。  今後とも、文化庁といたしましては、子供たちがすぐれた芸術文化に触れる機会の充実に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  122. 中川智子

    中川(智)委員 私が質問しましたのは、地域のそういう劇場を力を合わせて市民がつくっている活動を御存じかどうかということを質問したのであって、学校なんかでやっているとかというのはもうわかっております。それは一年に一回とか、そういうことです。もっと頻繁にということで質問したのですが、それに対してお答えください。
  123. 小野元之

    小野(元)政府委員 私どもも、さまざまな形で、例えばPTAが主催してミュージカルを呼んでおられるとか、それから地域に根差したそういう文化活動をいろいろなところでやっていらっしゃるということはある程度把握をいたしております。私ども自身も、先ほど申し上げましたように、幾つかの形で実施をしておるということも申し上げたとおりでございます。
  124. 中川智子

    中川(智)委員 それだったら、御存じでしたならば、その活動がとても経済的に維持できなくなって、いいものがどんどんつぶれていっているという状況も御存じかと思います。  私が最初子供のために入ったときは会費が五百円ぐらいでした。それがだんだん値上げをされて、今は一カ月に一人二千五百円とか三千円でないと維持ができないのです。そうしたら、会費が払えなくなってやめていってしまうのですね。でも、子供は泣いて、お母さん、まだあれが見たいよと言うのですが、お金が続かないから、お母さんが、我慢しなさい、学校で一年に一回あるからそれまで待ちなさい。そういうふうなものではなくて、やはりそういう地域の文化活動、そういうものに対して助成がぜひとも今必要だと私は思うし、そのような請願は毎年毎年たくさん文化庁の方に行っているはずですが、それに対してのお答えをお願いいたします。
  125. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 私の近所でも、子供劇場みたいなものをつくって、もう本当に手弁当でやっている人たちを見て、大変いいことだなと思っております。  今文化庁次長から答弁したのは、文化庁としてやっている、比較的公的な関与のできる部分の助成をやっているのですが、そういう草の根的なものについてまで十分補助できるかどうか、まして今財政構造改革真っ盛りで非常に厳しい中で。私は、問題意識としては大切なことだと思っております。学校の勉強では得られない感動とか夢を子供に与えるという意味では、何とかしてあげたい。  問題はやはり財政ということでございまして、文化庁予算もまだ一千億に達していない、そういう中で、欧米諸国に比べると数分の一、こういう状況でありますから、これはスポーツもそうですけれども、しかし、そういった機運を醸成するということは大事なごとでありますから、お金ではない面で何かいろいろと積極的に応援できる体制はないか、これは地方自治体も含めて考えていくべき課題だと思っております。
  126. 中川智子

    中川(智)委員 悲しいことに、やはりお金なんですね、基本的に。子供にとって、心を豊かにしていく、精神的な面、その見えない部分がこれから広がり、それが大事だということですが、見えないものが将来の豊かな日本をつくっていく、それに対するお金を、見える公共事業から文部省の方に財政が行くように頑張りますので、ぜひとも力を合わせて頑張っていきましょうというエールを送りながら、次の質問に入らせていただきます。  これも私、経験の中で非常に感じてきたことで、ぜひとも御質問させていただきたいと思いますのは、現在、公立の小学校、中学校で制服というものがございます。子供たちが毎日着ていくわけなのですが、それが公立の小学校においてもかなり、いわゆる標準服という感じで、もう強制的に制服を着せられているという状態がございます。  それに対しては、学校長が、教育委員会なんかと相談して、保護者の意見を聞きながら、制服がいいか私服がいいか選択していくというふうな形でお任せになっていると思うのですが、その中で、かなりのトラブル、自由を認めないのですね。標準服とその学校で決めると、私服を着ていきたい子が私服を着ていきますと、必ずと言っていいほどいじめに遭います。そしてまた、頑張って私服で通学していく中で、やはり精神的なプレッシャーに耐え切れずに不登校になるということもあります。  私は、今のこの教育の中で、特に義務教育の中で、個性的な教育をと言っているにもかかわらず、反面、そのように着る服さえ縛ってしまう、選択の自由さえない。そのような状況に対して、文部省は何らかの形で指導していくときに来ていると思いますが、そのあたりのところの御見解をお聞かせください。
  127. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 後で初中局長から説明させますが、概括的に申しますと、今国で一律にこうしなさいということを決めているわけではありません。これは、地域の実情とか保護者の考え方にゆだねているという考え方でございます。
  128. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 結論的には大臣のお答えしたとおりでございますけれども、私ども、全国の統計を持っているわけではございませんが、九県につきましてその実情を手持ちにしております。公立の小学校で八割以上の学校が標準服を定めているという県、これが二県ほどございます。それから、三、四割程度定めているという県が四県ほど。それから、ほとんど標準服を決めていないという県が三県ということでございまして、全国的には、各県ごとに実情が非常に違うということでございます。  そこで、この標準服につきましての私どもの考え方でございますが、校則によって定められているのが通例でございますが、その校則はそれぞれの学校の歴史的な沿革あるいは規模、それから保護者の方々の考え方といったもの、そういった実情を踏まえまして決められているのが通常でございます。  標準服について申しますと、その標準服の規定を決める方法もさまざまでございまして、保護者の意見を聞く、学校によりましては生徒にもこの決定に参加させて、保護者、教師、生徒、三者が話し合って決めるというような例もございます。それから、標準服の着用を遵守するさせ方も学校によってさまざまでございまして、文字どおり標準ということで緩やかにこれを運用している学校もございますし、例えば、個別の例でございますが、教師、保護者に生徒も加わって決めた例で、公式行事だけは全員着用しようというふうにして決めているような例もございます。  そういうことで、これは国が一律にどうということはなかなか言いにくい、各学校教育運用の問題でございますので、私どもはそう考えております。  ただ、この規則、校則がどのように子供たちに影響を与えているかということについては、絶えず点検をしてほしいということをお願いしておりますし、一度決めたらそれでいいのだということではなくて、その時々の保護者の考え方等についても、学校は十分にそれらを聞き、随時適切な対応をしてほしいということを申し上げておりますが、具体の中身として、こうあるべき、あああるべきということを国は言う立場にはないのではないかというふうに考えております。
  129. 中川智子

    中川(智)委員 あっという間に時間が来ましたので残念なんですけれども、私は、それを一律というふうにしなくていいと思っているのです。自己決定、自分自身で選択できる、そのように指導していっていただきたい。それに、そういう中では少数の意見が無視されていきます。やはり多数決でどちらかに決める。洋服なんて、特に小学校なんというのは迷うことが大事なんですね。毎日ブルーかグレーで決められた洋服で、男の子はズボン、女の子はスカート。どうして女の子がスカート以外のものをはいてはいけないのかとても不思議だったので、私は子供をずっとズボンで通学させたのですが、何というか物すごいのですよね。大変。親同士がけんか。あの人は制服派、あの人は私服派、口もきかない。  こんな状況があるということをぜひとも文部省は知っていただいて、もう少しきめ細かなものを、資料をいただきたいし、そしてまた、文部省が、やはりこれだけぐちゃぐちゃになっていたら、決めるのじゃなくて、押しつけるのじゃなくて、一つの流れとしてどうつくっていくか、個性的に、子供が楽しく、自分自身が選んだ洋服で、動きやすくて汚れてもいいようなものを着ていける、選択していけるということに対しての一定の思想なりを持っていただきたいと思いますので、今後も引き続いて、学校給食のことも質問したかったのですが残念です、またお願いします。  ありがとうございました。
  130. 二田孝治

    二田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  131. 二田孝治

    二田委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出参議院送付著作権法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  132. 二田孝治

    二田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  133. 二田孝治

    二田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  134. 二田孝治

    二田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十二分散会