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1997-06-06 第140回国会 衆議院 文教委員会 第19号
公式Web版
会議録情報
0
平成
九年六月六日(金曜日) 午前九時三十一分
開議
出席委員
委員長
二田
孝治君
理事
稲葉 大和君
理事
河村 建夫君
理事
栗原 裕康君
理事
田中眞紀子
君
理事
佐藤
茂樹君
理事
藤村 修君
理事
山元 勉君
理事
石井 郁子君
岩永
峯一
君
江口
一雄
君
栗本慎一郎
君
佐田玄一郎
君 阪上
善秀
君 戸井田 徹君 林
幹雄
君 柳沢
伯夫君
山口 泰明君 渡辺 博道君
井上
義久
君 池坊 保子君
旭道山和泰
君
斉藤
鉄夫
君 島 聡君 西 博義君 西岡 武夫君 鳩山 邦夫君
肥田美代子
君
山原健二郎
君
中川
智子
君
保坂
展人君
粟屋 敏信君
出席国務大臣
文 部 大 臣 小杉 隆君
出席政府委員
文部政務次官
佐田玄一郎
君
文部大臣官房長
佐藤
禎一君
文部省
生涯学習
局長
草原
克豪
君
文部省初等中等
教育局長
辻村 哲夫君
文部省体育局長
佐々木正峰
君
文化庁次長
小野
元之君
委員外
の
出席者
警察庁生活安全
局生活環境課生
園田
一裕君
活経済対策室長
文教委員会調査
室長
岡村 豊君 ――
―――――――――――
委員
の異動 六月六日
辞任
補欠選任
島村
宜伸
君 林
幹雄
君
中山
成彬
君
江口
一雄
君
井上
義久
君
斉藤
鉄夫
君
三沢
淳君 島 聡君
保坂
展人君
中川
智子
君 同日
辞任
補欠選任
江口
一雄
君
中山
成彬
君 林
幹雄
君
島村
宜伸
君
斉藤
鉄夫
君
井上
義久
君 島 聡君
三沢
淳君
中川
智子
君
保坂
展人君
――
―――――――――――
六月五日
公立学校施設整備費国庫補助金
の
拡充
に関する
陳情書
(第三五八号)
登校拒否児
を対象とした
適応指導教室
への教員 の
配置
に関する
陳情書
(第三五九号) 小中
学校
の法学の
教育導入
に関する
陳情書
(第三六 〇号)
外国人子女
のための
日本語教育指導講師
の
配置
に関する
陳情書
(第三六一号)
スポーツ振興対策
の見直しと国の
スポーツ予算
の
大幅増額
に関する
陳情書
(第三六二号) 元
満蒙開拓青少年義勇軍
の戦後処理に関する陳
情書
(第三六三号) は本
委員会
に参考送付された。 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した案件
著作権法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第 九一号)(
参議院送付
) ――――◇―――――
二田孝治
1
○
二田委員長
これより
会議
を開きます。
内閣提出
、
参議院送付
、
著作権法
の一部を
改正
する
法律案
を議題といたします。 これより
質疑
に入ります。
質疑
の申し出がありますので、順次これを許します。
岩永峯一
君。
岩永峯一
2
○
岩永委員
おはようございます。
岩永
でございます。 私の
持ち時間
の中で
質問
の量が大変多うございますので、恐縮ですが、簡潔に御
答弁
をいただくようにお願いを申し上げたいと思います。
パソコン用基本ソフト
、ウインドウズ95が出た際に、
発売
と間を置かずして
海賊板
が出ていたようでございます。場合によっては新
製品発売
前に
海賊版
が登場するといったこともあるようでございます。
コンピューターソフトウエア
は、音楽、小説、絵画、映画と同じく
著作物
として
著作権法
によって
保護
されておりますので、勝手に
コピー
をしたり貸し出したりすることは原則としてできないわけでございますが、しかし、現実に簡単に
コピー
ができるので、
違法行為
はなかなか後を絶たないと言われております。かつて多かった
違法レンタル
は、
中古ソフト
の売買の
形態
をとる
疑似レンタル
に姿を変えてきております。それも少なくなったと思ったら、今度は、
パソコン通信
、
インターネット
などの
ネットワーク
を
利用
した
コピー品
の
販売
が急にふえてきているようでございます。店を持たないでたくさんの人を相手にセールスができる
ネットワーク利用
の
コピーソフト販売
は
被害
もそれだけ大きくなってきている、このように思うわけでございます。 これまでに明るみに出た中で最も大きい
事件
は、
愛知県警
が摘発した
事犯
で、
海賊版販売
を行っていた業者など一都二府十四県の八十一カ所を家宅捜索し、その結果、約六万枚の
マザーコピー
を押収、一万七千種類、十一万枚の
海賊版
が出回っていたようでございます。
被疑者
十数名のうち六人が逮捕されたそうでございますが、
被害総額
は十七億円にも上った、このように言われております。 今まで
警察
に摘発された
違法コピー
は、少数の例外を除いて
パソコン通信
の
利用
だったようでございまして、現在のところ、
電子メール
などで注文をとって郵送する
手段
がとられており、ネットを通じて電子的に送る
方法
は少ないようでございます。簡単ではございますが、
通信費用
が大変かさむ上に
パソコン通信管理会社
にばれる公算が大きいということで、そうなっているようでございます。 フロッピーディスクの枚数がふえている最近の
ビジネスソフト
に
対応
して、一回だけ書き込めるCD−ROMに大量
コピー
し、五百万円
相当分
が五万円だという宣伝で
販売
されている、このように思っております。問題になりました
オウム真理教関連
の
パソコン販売会社マハーポーシャ
の
事件
も
皆さん方
の記憶に新しいところだと思うわけでございます。
基本ソフト
や
ビジネス用
の
応用ソフト
を勝手に組み込んで売っていた。
激安パソコン
がうたい文句であったわけでございますが、仕入れ値ゼロの
コピー品
が安いのは当たり前のことでございます。
海賊版ソフト販売
と並ぶ大きな問題として、
企業
や
学校等
の組織内で行われる
ビジネスソフト
、
教育ソフト
の
大量違法複製
がございます。
職場
内では、
パソコン
お
たく的社員
の安易な
違法インストール
や貸し借りによる
コピー
が相変わらず後を絶たない。
企業内コピー
は
密室性ゆえ
に
刑事告訴
や
民事訴訟
に持ち込むことは大変難しく、
内部告発
から
職場ぐるみ
が見つかった例もあるようでございます。昨年でしたか、大阪の
上場ソフト開発会社
が、ほかの
ソフト開発会社
三社に対して、
社内違法コピー
をしていたということで、一億四千万円の
損害賠償金
の支払いなどで
ソフトメーカー同士
の和解が成立したという問題もございました。 また、問題がありながら今まで放置されていた
企業内コピー
の一態様として、
ネットワーク
でつないでサーバーに一本の
ソフト
をインストールし、そして端末のハード数台で
利用
する
形態
も多くなっていました。この問題につきましては今回の
改正
によって解決が見られるようでございますが、そういう実態も多々ございます。
日本
の
国内
はそういう
部分
については以前より改善されてきておりますけれ
ども
、
アメリカ
の
ソフトウエア
の
保護団体
で
BSA
というのがございますが、ここの発表によりますと、一昨年の
海賊版
の
被害金額
は
日本
で約千八百億円だと言われておるわけでございます。
BSA
は九二年より
日本支部
を設置して、違法を行っている
企業
に対し積極的に
損害賠償
の請求を行っていると聞いておるわけでございます。
コピー天国
などと言われている
日本
でございますが、
日本
の場合は
法的規制
が厳しくなったこともあって、今、その
非合法活動
は主に韓国や台湾などに舞台を移しているわけでございまして、実際は
被害大国
でもあるわけでございます。 その
方法
は、
人気商品
だけにねらいを絞って見本を入手して
コピー
する、こういう
システム
のようでございます。価格も正規のものの半値前後に
設定
して、これが
世界各国
に輸出されているわけでございます。こうした
違法コピー
により、特に
日本
の
アミューズメントマシン業界
の
被害総額
は年間五百億円以上にも達すると言います。一本の
ゲームソフト
は完全に完成するまでに一年以上もかかっており、
投資額
も何十億というようなことでございますだけに、こういう
部分
についての早急な
対策
が必要と考えられるわけでございます。 このような事態に対して、
我が国
の
著作権制度
は決して手をこまねいて傍観していたわけではございませんし、タイムリーに次々とその
整備充実
をしてきたと言えると私は思うわけでございます。 具体的に申し上げれば、
昭和
六十年には
コンピュータープログラム
の
保護
を明確化し、
昭和
六十一年にはデータベースの
保護
を明確化するというようなこと、そして
有線送信権
を
整備
し、
平成
四年には
私的録音録画補償金制度
を創設するといった
経緯
もあるわけでございます。 このうち、今回の
改正
に
関連
が深いのは、
キャプテンシステム
や
ビデオテックス
の登場に
対応
した
昭和
六十一年の
有線送信権
の
整備
だと思うわけでございますが、
世界
的には
送信
に関する
権利
を
整備
している国は
現時点
でも指で数えるほどしかございません。そういう
意味
では、この
有線送信権
は
世界
に冠たる
権利
として大いに誇るべきものがあるのではないかと私は考えます。このことの
重要性
を強調してしかるべきと思いますので、後の方でも
機会
があれば再度申し上げたいと思うところでございます。
世界知的所有権機関
、いわゆる
WIPO
でも、このような
マルチメディア
の
進展
に
対応
するために
著作権制度
について
議論
が行われており、昨年末には、
マルチメディア
の
時代
に
対応
するための新しい
条約
が二本
採択
されたところでございます。まさにこの問題は、
我が国
だけでなく、国際的にも大きな問題となってきているところでございます。この
WIPO
新
条約
についても後ほど
質問
をさせていただきます。 今回の
改正
について言えば、
情報手段
の飛躍的な
発達
、特に、いわゆる
インターネット
の
発達
とその爆発的な
普及
ということがまず念頭にあると言っても差し支えないと思うわけでございます。
平成
八年の
通信白書
によりますと、
インターネット
に接続されている
ホストコンピューター
、これは
ホストコンピューター
でございますが、一九九六年の一月の
段階
で全
世界
では約九百五十万台、
我が国
でも約二十七万台となっておりまして、加速度的に拡大しつつあると言われております。 それで、
最初
に御
質問
申し上げますのは、
コンピューター
や
情報通信技術
の
発達
著しい中で、この
マルチメディアヘ
の
対応
という問題は
我が国
の
社会
にとって極めて重要な問題になってきていると考えるわけでございます。このなめ、
著作権制度
につきましても
時代
の動きを先取りして積極的に
法改正
を行っていくべきではないかと考えますが、この点について御
意見
を伺いたいと思います。 また、
マルチメディアヘ
の
対応
は、単に
我が国
一国のみの問題ではございません。全
世界
的に取り組むべき課題があろうと思うわけでございますが、この問題についてそれぞれの国ではこれまでどのような
議論
があって、どのように
対応
してきたのか、先例があったらお
教え
をいただきたい、このように思います。 そして、先ほど申し上げましたように、大変多くの
刑事事犯
が出ております。これらに対して
警察当局
は
取り締まり捜査体制
にどういうように
対応
しておられるのか。また、
捜査技術
に、
職員研修
や
警察
大
学校
や
管区警察学校
における
教育
とあわせてどう取り組んでおられるのか。
最初
にお伺いするものでございます。
小野元之
3
○
小野
(元)
政府委員
先生
から
著作権侵害
の幾つかの例を挙げられました。そしてまた、具体的な
世界各国
での
コンピューター
の
進展等
に伴う
WIPO
の
お話
もいただいたところでございます。 私
ども文化庁
といたしましては、
著作権制度
につきましては、
お話
にもございましたように、
インターネット
が急速に
普及
をしておる、
コンピューター
もどんどん進歩しておるというようなことがございまして、こういった
科学技術
の
進歩等
に伴いまして
時代
に適合した
改正
を逐次行ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。 特に、
情報化
の著しい
進展
があるわけでございまして、私
ども
といたしましては、
平成
四年から
著作権審議会
におきまして
マルチメディア小委員会
を設けさしていただいております。この中で国際的な
動向
も踏まえつつ
検討
を行っておるところでございまして、今回の
改正
も、
お話
にもございましたように、昨年末の
WIPO
での新
条約
を踏まえまして、そして本年二月の小
委員会
での
検討
結果を踏まえて御提案申し上げているところでございまして、
世界
的に見てもこの面では早い
対応
をしておるというふうに私
ども
は思っておるところでございます。
文化庁
といたしましては、今後とも、こういった国際的な
動向
、そういったものを踏まえつつ
マルチメディア
に
対応
した適時適切な
制度
の
整備
を進めてまいりたいというふうに考えております。 それから、第二点の諸
外国
での
状況
でございますけれ
ども
、こういった
マルチメディア
の
対応
につきまして諸
外国
でもそれぞれ
検討
がなされておるわけでございます。
一つ
の例でございますが、
アメリカ
でございますが、
アメリカ
では
全米情報基盤構想
というものが掲げられておるわけでございまして、これを実現するために設置されました
情報基盤タスクフォース
というものがあるわけでございますが、ここが一九九五年に具体的な
法改正事項
を
提言
をしておるわけでございます。
ホワイトペーパー
というふうに言われておるわけでございますけれ
ども
、この中でも、今回お願いしております
インタラクティブ送信
に関する
権利
の規定、それから今回はお願いしておりませんけれ
ども
、
検討
しております
コピープロテクション
の
解除装置
の
製造等
の
禁止
の問題、それから
著作権管理情報
の
改ざん等
の
禁止
などについて、
アメリカ
でもこういった
提言
がなされておるというふうに
承知
をしておるところでございます。 また、ECにおきましても、同じように
情報化社会
における
著作権保護
のあり方について
検討
が行われておりまして、九五年にその
中間報告
が公表されております。同じように、
インタラクティブ送信
に関する
権利
の
設定
の問題、それから
複製
の定義を明確にするという問題、それから
公衆
といった概念を明確化する、あるいは
実演家
や
レコード製作者
の
デジタル放送権
の
設定
の
問題等
が盛り込まれているというふうに理解しておるわけでございます。
各国
における
検討
、それぞれ進んでおるわけでございますけれ
ども
、
WIPO
におきましては、
専門家委員会
におきまして具体的な
条約
の内容を
検討
してきたところでございます。この結果、御
承知
のように、昨年十二月に二つの
WIPO
の新
条約
が
採択
をされておるわけでございます。
各国
でそれぞれ
検討
されておるわけでございますけれ
ども
、私
ども
といたしましては、ある程度国際的に共通の考え方に沿って
制度
の
整備
を進めていきたいというふうに考えておりまして、
WIPO
の
状況等
を今後とも十分にらみながら適時適切に
対応
したいというふうに考えておるところでございます。
園田一裕
4
○
園田説明員
お答え申し上げます。
警察
におきましては、
知的所有権保護
の
重要性
にかんがみまして、悪質な
事犯
を重点といたしまして厳正な
取り締まり
を行っておるところでございまして、
平成
八年中は、
コンピューターソフト
あるいは
ビデオソフト
を違法に
コピー
し
販売
するなどの
著作権法違反事件
としましては、三百四十八件、百二十七人を検挙いたしまして、
海賊版コンピューターソフト
など約七万三千点を押収しておるところでございます。 この中には、御
指摘
のように、
爆発的人気
の
パソコンソフト
や
ビジネスソフト
を大量に
複製
いたしまして
パソコン通信
を使って全国的に
発売
していたような
事犯
、あるいは
国内
のどの機種にも
対応
できるように
海賊版パソコンソフト
を
小売店並み
に大量に品ぞろえいたしまして
通信販売
をしていたというような
事件
などがございまして、非常に
手口
がますます
悪質化
、
巧妙化
かつ広域化しているところでございます。
警察
といたしましては、このような新たな
手口
の
事件
に的確に
対応
いたしますために、御
指摘
のように、
学校教養
とあわせまして
各種研修
などの
機会
を設けて、
コンピューター
に関する
知識
あるいはこの種の
事件
の
捜査
で得られた
知識
、教訓などを積極的に習得に努めさせるなど
捜査技術
の向上を図っておるところでありまして、あわせて、必要に応じて
合同捜査
あるいは
共同捜査
などの広域的な
捜査
も考慮しておるというようなところでございます。 また、
関係行政機関
あるいは
権利者団体
から構成されます
不正商品対策協議会
というのがございますけれ
ども
、こういう
関係団体
とも連携を図りながら積極的な
広報啓発活動
も行っておるところでございます。
岩永峯一
5
○
岩永委員
三十分の
持ち時間
のうちもう二十分まで行きまして、
九つ質問
があるんですが、
答弁
の方をひとつ簡略にお願いしたいと思います。 今回、
有線送信権
の
保護
に加えて、
送信
の前
段階
である
アップロード段階
に注目して
送信可能化権
を創設する、こういうことになっておるわけでございますが、なぜこのような、
著作者
の
権利
を
拡充
して
公衆送信権
とするとともに、
実演家
、
レコード製作者
の
権利
として新しい
権利
を設ける必要があるのか、この点について御
質問
申し上げます。
小野元之
6
○
小野
(元)
政府委員
お答え申し上げます。
先生
の
お話
にもございましたように、
昭和
六十一年の時点で私
ども
は
有線送信権
を認めておるわけでございますけれ
ども
、当時は
有線系
のメディアで
キャプテンシステム等
があったわけでございます。
現時点
ではこれだけ
世界
じゅうに
インターネット
が広がっておるわけでございまして、だれが、いつ、どこに
送信
したのかということを確認することが非常に困難になっております。そういうことで、
送信
の
段階
で押さえるというよりも、むしろ、
送信行為自体
ではなくてその前
段階
になります
アップロード行為
について、ここで
保護
をしなければ十分な
保護
ができないということがあるわけでございます。 それからもう一点は、
実演家
や
レコード製作者
の
著作隣接権者
につきましては従来から
送信権
というものがございませんので、こういった
アップロード
の
段階
で
利用可能化権
ということで明確に把握しておく必要があるという観点から設けたものでございます。
岩永峯一
7
○
岩永委員
それでは、この
WIPO
の新
条約
を受けてほかの国ではどのような
対応
をしておられるのか。そういう例がありましたらお
教え
をいただきたい、このように思います。
小野元之
8
○
小野
(元)
政府委員
実は、この
WIPO
の
条約
は昨年十二月に
採択
されたばかりでございまして、諸
外国
もいろいろ今
検討
している
段階
でございまして、具体的にこういった
法案
を議会で通したとかあるいは成立したということは、今のところまだ把握をできておりません、聞いていないところでございます。
岩永峯一
9
○
岩永委員
ちょっと細かいことに入るわけですが、
著作権
と
著作隣接権
の
保護
の違いについて伺いたいと思います。 今回の
改正
は、いわゆる
アップロード
について、
実演家
や
レコード製作者
を
保護
する
著作隣接権
の
分野
では
送信可能化権
という新しい
権利
を創設する形で
保護
し、
著作権
の
分野
では
公衆送信権
の中に含む形で
保護
することになっております。このように異なったのはなぜかということでございますが、その点についてお伺いいたします。
小野元之
10
○
小野
(元)
政府委員
著作権
と
著作隣接権
の
関係
でございますけれ
ども
、これは現在の
著作権法
の中におきましても、もともと
著作権
があって、
隣接権
はその周辺の
権利
という取り扱いになっておるわけでございます。そういった
意味
がございまして、今回、
送信可能化権
については
隣接権
の方に明確にしたわけでございますけれ
ども
、じゃ、なぜ
隣接権
には
公衆送信権
の
部分
がないのかということになってくると思うのでございます。 ここはやはりある程度、その
権利保護
を考える場合に、すべて余りにも
権利
を厳しく明確に決め過ぎますと、そういった
利用
する
団体
、
利用
する側からいきますれば若干問題があるわけでございまして、
著作権
との競合を避けながら必要な
利益確保
のチャンスを与えるという
意味
で
著作隣接権
が成り立っておるということがございますので、
隣接権
については
送信可能化権
というのを新たに設けたということでございます。
岩永峯一
11
○
岩永委員
今回の
改正
は、
WIPO
の新
条約
の
採択
というものを受けて
改正
をされているわけでございますが、
WIPO
の新
条約
は
批准
されるのかどうか、そのことについて聞きたいのと、
WIPO
新
条約
に
対応
するためにさらに
著作権法
を
改正
する必要があるのではないかと思いますが、この点についても簡単に御説明いただきたいと思います。
小野元之
12
○
小野
(元)
政府委員
御
指摘
ございましたように、
WIPO
の新
条約
を私
ども
も将来的に
批准
をすべく努力をしなければいけないと思っております。ただ、この
WIPO
の新
条約
は、いろんな
分野
についての新しい
権利
が設けられたり、
制度改正
が行われるわけでございまして、実は
著作権法
をかなりの
部分
、いろんな面でこの
条約
を完全に
批准
するためには
改正
をしていく必要があるわけでございます。 例えば、
一つ
の例といたしましては、
頒布権
を導入するといったようなこともございますし、
実演家
の
人格権
を創設していくということもございます。それから
コピープロテクション
の
解除等
を
禁止
する措置を設ける、あるいは
権利管理情報
の
改ざん等
の
禁止等
についても
法改正
が必要でございます。そういったことで、今回は、当面、この
条約
の中にございます、しかも今、各
団体等
で御理解が得られる
部分
につきまして
改正
をお願いしておるところでございます。 したがいまして、さらにいろんな
部分
を
改正
しなければ最終的な
批准
ということまではいかないというのが現状であるわけでございます。
岩永峯一
13
○
岩永委員
わかりました。 次に、この
改正
の前提となっている
マルチメディア小委員会
の
審議経過
について、お伺いしたいと思います。
平成
四年にこの
委員会
が設けられまして、
平成
七年に
具体的対応
の方策がまとめられたワーキンググループの
検討経過報告
が出ております。いわゆる
グリーンペーパー
と言われている資料でございますけれ
ども
、この
グリーンペーパー
も含めて、これまでの
マルチメディア小委員会
での
調査審議
の
経緯
について簡単に御説明ください。
小野元之
14
○
小野
(元)
政府委員
お話
ございましたように、
マルチメディア小委員会
は、
平成
四年六月に発足をいたしておりまして、
平成
七年二月に
グリーンペーパー
をまとめております。この中では、
マルチメディア
についてのその
制度
上の問題について論点を整理して、考えられる
制度
上の
対応例
を示しているものでございます。
文化庁
では、この
報告書
について内外の
関係団体
に広く
意見
を求めておるところでございます。 そして、この
マルチメディア小委員会
が動いておりますときに
WIPO
の新
条約
の
草案等
が公表されましたので一時
審議
を中断しておったわけでございますけれ
ども
、昨年十二月に
WIPO
の新しい
条約
ができました。これに伴いまして、
マルチメディア小委員会
では
平成
九年二月に
審議経過報告
を公表しておりまして、この中身を今回
法案
でお願いしておるところでございます。
岩永峯一
15
○
岩永委員
私は、今回の
改正
の中で
一つ
疑問に思うのは、この
審議経過
の中で、「
コピー・プロテクション解除装置
への対処について早急に
検討
を進める」というところがあるわけでございますが、これが今回の
法改正
の中に含まれていなかったというのはなぜなのか、このことをお聞きしたいと思います。
小野元之
16
○
小野
(元)
政府委員
コピープロテクション
の
解除装置
につきましては、私
ども
も、今回、
法改正
できるかどうかということで、部内では実は
検討
を行ってきたところでございます。 ただ、実はこの
コピープロテクション
というものにつきましては、
著作権者等
がその
著作物
の
無断複製
を防止するためにさまざまな
システム
をかけておるわけでございます。その
システム
を解除するというのが
コピープロテクション
解除装置
ということになるわけでございます。 具体的には、
ゲームソフト
などの
分野
でいろんなものが
コピープロテクション
が行われているわけでございます。ただ、これを解除する装置をどう規制していくかということは、実は非常にさまざまな点で問題があるわけでございまして、この規制の仕方によりましては、
我が国
の情報
システム
の
発達
を著しく阻害してしまう結果になってしまうというおそれもございます。それから対象となる
コピープロテクション
解除装置
の範囲をどう定めるのか、それから具体的にどういう行為が
禁止
されるべき行為なのか、それから装置を製造
販売
するということが行われるわけでございますけれ
ども
、そういった業者の責任をどう問えるのか。 例えば、
違法コピー
を行う人が
著作権法
に違反しておるわけでございますけれ
ども
、それじゃ、その機械をつくった人が何らかの責任を負うべきかということになりますと、例えば一般の
コピー
機とかビデオデッキ等を考えますと、ビデオデッキが悪いわけではないわけでございまして、ビデオデッキを使って
違法コピー
をする人が悪いわけでございます。それをどう規制をするのかということについてはさらに
検討
していく必要があるということがございました。実は、部内では
検討
したのでございますけれ
ども
、今回の
法改正
案には盛り込んでいないのでございます。
岩永峯一
17
○
岩永委員
今の
コピープロテクション
解除装置
の問題にかかわらず、まだまだ問題が山積しているだろう、このように思うわけでございます。 今後、この
マルチメディア
に関する
著作権制度
の中で積み残しになっているような問題は何なのか、その
部分
だけお
教え
をいただきたいと思います。 あと二つありますので、ちょっと急いでお願いします。
小野元之
18
○
小野
(元)
政府委員
簡潔に申し上げます。 今後の課題として残っておりますのは、
コピープロテクション
の
解除装置
への対処の問題が
一つ
でございます。それからもう
一つ
は、
著作権
の管理情報の改ざんへの対処の問題でございまして、これらにつきましては、
マルチメディア小委員会
の中にワーキンググループを設けまして、既にこの五月、
検討
を開始したところでございます。 さらに、
マルチメディア
関連
では、
権利
処理の
システム
についてもいろいろ
検討
していかなければいけない
部分
があるわけでございまして、私
ども
としては、
著作物
についての
権利
情報を
一つ
の窓口で提供していきます
著作権
権利
情報集中機構、J−CISと言っておりますが、こういったものの調査研究も行っておるところでございます。
岩永峯一
19
○
岩永委員
御
承知
のとおり、この
マルチメディア
というのは個人に対する主権の
部分
というのが大変たくさんございますので、すべての個人がこれらの
著作権
に対する意識高揚を図っていかなきゃ徹底しないという
部分
があるわけですね。だから、そういうようなことの中で、その
著作権
に関する国民の
保護
憲識の向上というのがこれからの大きな課題だ。これはいかに国民にアピールされ、そして意識向上をしていこうとされるのか、この点についてお伺いをしたいと思います。 それから、時間もないようでございますので、ただ、最近、私が一番心配しておりますのは、
情報化
の
進展
が青少年の発育に与える影響について大変大きいものがあろう、こういうように思うわけでございますし、子供たちの方が大人顔負けに
パソコン
を使えるようになっておるわけでございますし、また
学校
教育
の中で
パソコン
の使用、また
マルチメディア
に対する
対応
がかなり具体的に
教育
されているわけでございますね。そして、家へ帰ったら自分の
パソコン
があるということで、
インターネット
にアクセスして、いわゆるわいせつなたぐいの画像情報も簡単に見ることができる、こういうような
状況
になってきているわけでございます。児童生徒に悪影響をかなり大きく与えているのではないか、こういうように私は懸念をしております。 そこで、青少年の健全育成を図るという観点から、
文部省
として何らかの施策を講じていくべきではないか、このように考えますが、この点についての御所見をお伺いしたいと思います。
小野元之
20
○
小野
(元)
政府委員
前半の
著作権
の意識の啓発の問題について、お答えを申し上げます。 御
指摘
ございましたように、
著作権
意識を高めていく、大変大事なことでございまして、
文化庁
といたしましても、一般の方々を対象とした
著作権
セミナーを行っておりますし、それから都道府県の
著作権
関係
の担当の職員を対象とした講習会、さらには図書館とか視聴覚ライブラリーの職員を対象とした講習会等も実施をしております。 また、
コンピューターソフトウエア
については、
違法コピー
を防止するために「コンピュータ・
ソフト
ウェア管理の手引」というものをつくって、
学校
や
企業
等に配付を行っております。 さらに、
平成
八年度から、中
学校等
の生徒に対して
著作権
について学んでいただけるように、漫画によりましてわかりやすい
著作権
読本等をつくりまして、全国の中
学校等
に配付をいたしております。 いずれにいたしましても、こういった
著作権
を
保護
することの大切さを国民の皆様や児童生徒に理解していただくために努力をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
草原克豪
21
○草原
政府委員
後段の御
質問
でありますけれ
ども
、
インターネット
において簡単にわいせつ画像などが見られるということについては、私
ども
も、これが青少年に悪い影響を与えるものとして憂慮しているところでございます。こういった問題に
対応
するためには、まず、子供たち自身が適切な判断力を持つということが基本ではありますけれ
ども
、それと同時に、それを支える
学校
や家庭における指導が大切でありますし、また、こういう有害環境を正していくための
関係
者による深い理解と協力というのが必要であろうと思っております。
文部省
といたしましては、まず、
学校
教育
においては、性に関する正しい
知識
を身につけるよう指導の充実を図るということはもちろんでございますけれ
ども
、
インターネット
を
教育
に
利用
するに当たりまして、その効果的な
利用
法、それから、さまざまな課題というものを実践的に研究する授業を実施しております。その中で
ネットワーク
上の好ましくない情報の問題についても扱うこととしております。 また、
関係
省庁あるいは
関係
業界において、こういった不適切な情報へのアクセスを防ぐ、いわゆるフィルタリング技術の開発に取り組んでおりますし、また、
インターネット
の接続業者においては、自主規制のためのガイドラインの制定に取り組んでいるということを聞いております。
文部省
といたしましては、こういった動きを注視しながら、また必要に応じて
関係
省庁とも連携をし、こういった取り組みを支援していきたいと考えております。
岩永峯一
22
○
岩永委員
どうもありがとうございました。
質問
を終わるわけですが、私は、今回の
質問
を通じて、それなりに勉強し、資料をそろえてまいったわけでございます。その中で、特にこうして規制に対する
質問
をしておりますけれ
ども
、
マルチメディア
というのは、これからの
日本
の産業界、
情報化
時代
を背負って立つ大変大きな素材であるわけでございますし、発展の基盤であるわけでございます。だから、どんどん規制をしていく、そして、
情報化
時代
、
科学技術
時代
の発展を損ねるというような
部分
になりはしないかというような懸念を一面持っているわけでございます。だから、
科学技術
庁だとか通産省等々とそこらあたりを十分連絡をとりながら、
著作権
の問題は大変大事ですが、規制の
分野
における調和というものをやはり十分お考えをいただきながら
マルチメディア
時代
への
対応
をしてもらいたい。そして、この
日本
が
世界
に冠たる、すばらしい先進国としての
対応
をしてもらいたいというような思いを感じながらこの
質問
をさせていただいたわけでございますので、よろしくお願いいたします。 短い時間で大変すばらしい
答弁
をいただきました。御協力に心から感謝を申し上げまして、
質問
を終わります。ありがとうございました。
二田孝治
23
○
二田委員長
次に、池坊保子君。
池坊保子
24
○池坊
委員
新進党の池坊保子でございます。今回の
著作権法
一部
改正
から外された
実演家
の
権利
確立について、御
質問
させていただきます。
文部省
の白書「文教施策の
動向
と展開」の中には、「文化政策のより一層の充実」として、 経済的な成熟を遂げた
我が国
が、二十一世紀に向けて、真に豊かな国として更なる発展を遂げていくためには、国民一人一人が心豊かに暮らすことができる、潤いと活力ある
社会
を形成していくことが必要である。 心の豊かさは、優れた文化の所産に触れたり、文化の創造的活動を通じて満たされるものであり、その
意味
で、文化の振興を図っていくことは、今後
我が国
にとって、最も重視すべき課題の
一つ
である。 また、文化は創造的な個性や美的な感性をはぐくむものであり、個人にとっては生きるあかしであるとともに、国の存立基盤を形成する最も重要な要素である。 このような認識の下、二十一世紀に向けて新しい文化立国を目指して、今世紀中に文化基盤を抜本的に
整備
することが緊急の課題となっている。 と書かれてございます。 しかし、実際、文化活動に直接かかわっている人たちの生活実態は、大方の想像とは大きくかけ離れて、決して恵まれているとは言えません。例えば俳優を中心に、音楽、演芸など芸能実演を職業にしている者にとっては、
我が国
の文化施策は貧困と言わなければならないと思います。 例えば俳優の方々は、失業保険や退職金がない。出演依頼が来なければ無収入のままで放置されております。劇場用映画として公開され、人気を博した作品は、早晩テレビで見ることができます。私な
ども
、映画館に行こうかなと思いながらも、もうちょっと待ったら我が家で見られるのだと思って我慢することがよくございます。名画ともなれば繰り返し繰り返し放映され、出演した俳優、
実演家
たちはそのたびごとその実演を披露することになるのですが、
実演家
や技術スタッフに対しては、テレビ放映のような映画の二次
利用
の報酬は全く支払われておりません。映画を放送局に売った映画会社や、放映した放送局が確実に利潤を上げているというのが現在の
状況
でございます。 先ほど述べた
文部省
の白書のように、もし本当に文化基盤を抜本的に
整備
することが緊急の課題とするならば、今回の
法改正
はなぜ音楽だけ対象にされて、俳優などの
実演家
が対象にされなかったかということを伺いたいと思います。
小野元之
25
○
小野
(元)
政府委員
お話
ございましたように、私
ども文化庁
といたしましては、心の豊かさを非常に大事にしていかなければいけないということで、文化立国の施策を今進めておるわけでございます。 アーツプラン21でございますとかミュージアムプランといったさまざまな形で芸術文化活動を、まさに
日本
を代表する方々あるいは
日本
の芸術文化を底辺で支えてくださる方々それぞれに、私
ども
なりの支援をしていかなければいけないというふうに思っておるところでございます。
お話
ございました、今回の
対応
におきましてなぜ
実演家
の
権利
を十分認めていないのかということでございますけれ
ども
、映像
分野
の実演につきましては、昨年十二月の
WIPO
の実演・レコード
条約
の過程におきましてもさまざまな
議論
があったわけでございますけれ
ども
、当初はそういった映像
分野
についても、こういった
実演家
の方々の
権利
を
保護
していくという案があったわけでございますけれ
ども
、最終的には盛り込まれていない、御
指摘
のとおりでございます。
お話
ございました映画の二次
利用
等についての問題でございますが、
文化庁
におきましては、過去にそういった問題について
検討
会議
を起こして
議論
をいただいたわけでございますけれ
ども
、残念ながら、映画会社側と
実演家
の方々との
意見
が一致をしないで、全く
意見
が食い違ってしまったことがあったわけでございます。 私
ども
としては、このことの反省も十分しながら、
お話
のございました
実演家
の
権利保護
について、
我が国
としても具体的に
対応
していかなければいけないということで、
WIPO
の場においても
我が国
としての立場をきちんと主張していくということもしなければいけないと思っておりますし、今後、
関係
者の皆様方とも相談しながら、
検討
の場も
国内
に設けまして、国際的な
動向
も見ながら
検討
をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
池坊保子
26
○池坊
委員
検討
という言葉は大変あいまいでございまして、いろいろ解釈できるようでございますが、昨年十二月に行われました
WIPO
外交
会議
での視聴覚的実演に関する
実演家
の
権利
について、先日の参議院の文教
委員会
での政府の御
答弁
では、 我が
日本
政府はこのB案を支持したわけでございます。 A案B案と申しますのは、A案は音楽の実演だけを対象とする、B案はすべての実演を対象とする、映像等を対象にするというものでございます。この案につきましては、多くの国がB案で行くべきだということを表明しておったわけでございます。
我が国
といたしましても、私
ども文化庁
も
関係
省庁と調整をした上でB案を支持しておったところでございます。 というふうに答えていらっしやいますが、これは事実でございますか。
小野元之
27
○
小野
(元)
政府委員
その点は事実でございまして、昨年十二月の外交
会議
におきましても、多くの国が、御
指摘
ございました
実演家
の
権利
を認める、いわゆるB案を主張していたとこみでございます。
我が国
としても、私
ども文化庁
は通産省や郵政省等とも調整した上で、基本的な
権利
についてB案ということで主張したわけでございますけれ
ども
、最終的には
各国
の
意見
の一致が見られなかったわけでございます。具体的には、
アメリカ
が強硬にB案に対して反対をしたということがあるわけでございます。 したがいまして、この結果といたしまして、私
ども
といたしましては、
WIPO
の
条約
の場におきましても、
各国
の
意見
の一致を見なかったということで、今後一九九八年中に新たな
条約
を策定するという決議が行われておるわけでございまして、本年九月にはそのための専門家の
委員会
が新たに
WIPO
に設置されるというふうに聞いているわけでございます。こういった中で、
我が国
としても積極的な
意見
を主張してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
池坊保子
28
○池坊
委員
今
お話
がございましたように、
WIPO
において一九九八年中をめどにこの課題について別の
条約
の
採択
を目指すと言われておりますが、俳優などの
実演家
についての
保護
の
条約
が
採択
されたら、つまり
WIPO
に従って
日本
もそのとおりにするのだということでございますか。
小野元之
29
○
小野
(元)
政府委員
もちろん、
WIPO
の
条約
でそういうことが明確に定められれば、私
ども
としても最終的には
WIPO
の
条約
を
批准
したいというふうに考えておりますので、そのための努力をしたいと思っております。 ただ、この
実演家
の方々の
権利
の問題につきましては、
条約
対応
以外に
国内
的にも
検討
すべきではないかという御
意見
もいただいているわけでございます。先ほど来御
答弁
申し上げておりますように、映画の製作者の方々、
実演家
の方々あるいは第三者の方々等を含めて、前回の協議がうまくいかなかったという反省の上に立ちまして、新たな協議の場を設けて
検討
してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
池坊保子
30
○池坊
委員
それでは、もし一九九八年に
アメリカ
が今までの状態のように反対いたしましても、今後
日本
としてはB案を
採択
していこうという御意思なのでしょうか。昨年十二月の
WIPO
においては、
アメリカ
は反対いたしましたけれ
ども
EU加盟国は賛成して、賛成する国の方が多かったというふうに聞いておりますけれ
ども
、その辺、
日本
はどういう姿勢をとっていくのかということを伺いたいと思います。
小野元之
31
○
小野
(元)
政府委員
九八年中に新たな
条約
をつくるということを目途に新しい
専門家委員会
が設けられるわけでございます。私
ども
といたしましては、昨年十二月の
段階
でB案を支持するということで、かなりいろいろな根回しもしたり、
各国
に対して理解を求める行動も行ったわけでございます。 ただ、これについては、
お話
ございましたように、EUが当初はB案を支持しておったわけでございますけれ
ども
アメリカ
が強硬に反対したということもございまして、最終的にはまとまらなかったという
経緯
がございます。もちろん、今後の外交の場におきます
対応
でございますから、その時点で
関係
各省庁とも協議して正式な態度を決める必要があるわけでございますけれ
ども
、基本的には、昨年の
段階
で私
ども
既にB案の方がすぐれているという態度をとっておりますので、今後もその形で
対応
してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
池坊保子
32
○池坊
委員
政府は、昨年の
段階
でB案の方がいい、これを指示するという御意思だったようでございますが、本年二月二十一日に
著作権
研究会で講演された
文化庁
国際
著作権
室長
の岡本薫氏の「
著作権保護
の国際的
動向
について」の中で、「このA案、B案という問題は、
条約
的には「先送り」となりましたが、
国内
的にも
検討
していかなければならない課題です。しかし私は、
日本
の俳優さんたちは、そのような
権利
を与えられても果たしてこれを行使する準備ができているか、ということについて、極めて大きな疑問を持っております。米国の俳優さんたちの努力(彼らがユニオンを結成して、ストライキも辞さずという態度で交渉し、契約によって利益を確保していること)をしらずに、法律で
権利
が与えられれば直ちにギャラが増える、とお考えの方が多いようですがもちろんそうではありません。俳優さんの側が結束できるかどうかということもカギになりますが、むしろ、有名な俳優さんたちが、無名の俳優さんたちのために、彼らにそんな契約を押し付けるのであれば、私も出演しない、と言ってくれるかどうか、ということがポイントです。こうした体制ができなければ、せっかく
権利
を作っても生かされませんので、正直に申し上げて、私は、俳優さんたちの準備が整っていない今の時点でB案的な(映画やビデオなどのいわゆる視聴覚固定物についての
利用
についても
実演家
の
権利
を認める案)
権利
を
国内
法に導入することには反対です。」というふうに言っていらっしゃるのです。 つまり、政府では昨年十二月にB案がいいよ、これを支持していこうよと言っていらっしゃるにもかかわらず、現場の担当者でいらっしゃるそのトップが、まだ環境
整備
ができていないから
国内
導入は反対である。これは現場と政府の意向との間に大きなギャップがあるのではないかと思います。私が心配いたしますのは、幾ら政府がこのように行こうとおっしゃっても、それが下にそのとおりに流れませんでしたら、実行に移されないわけでございます。 申し上げるまでもなく、
アメリカ
と
日本
では全く映画の
状況
が違っております。
日本
の場合には、一九五五年までは俳優たちはきちんと映画会社の社員でございましたから、労災もあった、失業保険もあった、年金も払われておりました。でも、ストライキがあったり、それから映画会社の不況によって大量に解雇されて、今は個別の契約でございますので、業者とみなされて労災が出ないような状態が多うございます。ですから、ユニオンなんということができるわけがございませんし、社員でなければストライキというのも行われないわけでございます。 だから、環境が
整備
されてからそういう
保護
をするというのはおかしいのではないか。法律というものは、少なくとも先に
保護
をして環境を整えるためにあるのではないかと思いますが、その点についてちょっと伺いたいと思います。
小野元之
33
○
小野
(元)
政府委員
ただいま御
指摘
ございましたのは、恐らく
コピー
ライトの中で私
ども
の職員が個人の
意見
として述べたことについての御
指摘
だと思います。 ただ、私
ども
といたしましては、
お話
ございましたように、
アメリカ
がなぜ国際
会議
の場であれだけA案を強硬に主張したのかということを考えてみますと、映画会社等が明確な意思を持って強く主張しておる、その
意見
を踏まえて
アメリカ
政府は
対応
したというふうに私は理解しておるわけでございます。それに比べて
日本
の場合は、まだまだ
実演家
の方々や映画の方々が政府に対してそんなに強い
意見
を言っていないのではないか。言っていないと批判をするということではなくて、むしろもっと
意見
を言っていただいて、政府をバックアップしてほしい、応援してほしいといったような趣旨で、恐らく当該職員は述べたのではなかろうかと私は思うのでございます。したがいまして、この問題について政府といいますか
文化庁
の中で
意見
が食い違っているということは全くございません。 ただ、もちろんこの問題については、映画会社の方々の言い分を聞きますと、映画自体が非常に斜陽産業である、大変財政的にも厳しいものがある。そういう中で劇場用映画での配給収入というものにプラスしてビデオやあるいは放送に使われることでの収入というのは、そういったものを仮に
実演家
に全
部分
配したとすれば、映画会社の言い分から言えば、映画会社は財政的にも大変厳しいのでそれは勘弁してほしいという気持ちがどこかにあるのだと思うのでございます。 一方で、
実演家
の方々に言わせれば、確かに契約をしてお金もいただくわけでございますけれ
ども
、
実演家
の方々は、映画会社に対して、正直言って弱い立場でございます。映画に出るときに、二次
利用
の分まで
最初
から金をよこせというのであれば、そういう人は使わなくてもほかに使う人がたくさんいるのだよというようなことで、どうしても力の面で映画会社の方に契約の
段階
で負けてしまうということが現実にはあろうかと思うのでございます。 私
ども
といたしましては、映画産業、映画会社ももちろんすばらしい映画をつくって国民の皆さんに文化を楽しませてほしいという気持ちもあるわけでございまして、一方で
実演家
の方々には、先ほど
先生
おっしゃいましたように、大変、個人の立場といいますか、映画で雇用されるという立場になるわけでございますので弱い立場もあるわけでございます。そういう中で、先ほどの、職員が申しましたのは、
アメリカ
はユニオンが非常に強くて、全体で、みんなで、トップスターもそうでない方々も一緒になって
最初
の
段階
で強く交渉に臨んでおるのだ、そういう
意味
で、
日本
の人たちもそういうことを見習って頑張ってほしいということを言ったものだと思うのでございます。 もちろん、この
国内
法の
整備
につきましては私
ども文化庁
だけではできないわけでございまして、通産省とかほかの
関係
省庁とも協議をしていかなければいけないわけでございます。ただ、私
ども文化庁
といたしましては、
実演家
の
権利
をきちんとしていくということは基本的に大切なことだと思っておりますので、できる限りの努力をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
池坊保子
34
○池坊
委員
著作権
室長
のお立場にある方が個人の
意見
ということは、私はあり得ないと思います。やはり発言するということは、その仕事に対して発言しているのですから、それは違うよということはないと思いますが、じゃ、このことは、こういうふうにはしない、政府はあくまでもB案でやっていくのだということの確認でよろしいのでございますね。そして同時に、いつごろそれはなさるおつもりかをちょっと聞かせていただきたいと思います。
小野元之
35
○
小野
(元)
政府委員
先ほど来申し上げておりますように、私
ども文化庁
としてはB案ということで昨年十二月から主張しておるわけでございます。したがいまして、
WIPO
の場におきまして新しい
検討
のための
委員会
が設けられれば、
文化庁
といたしましてはB案でぜひ主張したいというふうに考えております。
池坊保子
36
○池坊
委員
つけ加えますと、
アメリカ
は映画会社の力が大変強うございますので、映画会社からの圧力があったというふうに思っております。 先ほど
お話
がございましたように、確かに今映画会社自体も不況ではございますけれ
ども
、やはり法律というものは、政府というのは弱い立場の方に立つべきだというふうに考えますので、両者の中に大幅な食い違いがあったとしても、これはやはり俳優個々の方々の
意見
を聞くべきであると思いますことと、先ほどございましたストライキ等々あるいはユニオン等々の問題は、
アメリカ
でこそあるのであって、今個々人が契約をしております現状でこれをしろと言っても、それは無理だということもあわせて申し上げたいと思います。 これは、いつやるかという言質をいただくことはできませんでしたけれ
ども
、B案で行くということを信じて、速やかにそのようにしていただきたいと思います。
実演家
の
権利
を法的に守るために、この
著作権法
第九十一条第二項と第九十二条第二項二号のロを撤廃すべきであると考えますけれ
ども
、どのようにお考えでいらっしゃいますか。
小野元之
37
○
小野
(元)
政府委員
著作権法
の九十一条、九十二条でございますけれ
ども
、現行
著作権法
上、映画俳優等の
実演家
の
権利
につきましては、映画の
著作物
の円滑な
利用
に配慮しよう、
最初
に映画に収録されるときにのみ
権利
を及ぼすということで、その後のビデオ化や放送
利用
などの二次
利用
については
権利
を有しないということが九十一条、九十二条でそれぞれ定められておるわけでございます。 この点について撤廃すべきではないかという
お話
でございますが、実は、これは先ほどから申し上げておりますように、
平成
四年に映画の二次的
利用
に関する調査研究協議会を設けて、
実演家
の方々と映画製作者の方々との
議論
の場、
検討
の場を設けたわけでございますけれ
ども
、この場におきまして
関係
者の間の
意見
が大きく隔たりまして、合意が全く得られなくて、結論が得られないままになっておったわけでございます。 そのことに私
ども
としては配慮いたしまして、
WIPO
の
条約
でのこういった動きもあるということもございますし、基本的には当事者間におきまして
最初
の出演契約の
段階
で二次
利用
も含めた契約を行うということがきちんと行われるということは
一つ
の解決策として当然あるわけでございますけれ
ども
、必ずしも現実に、先ほど来申し上げておりますように、映画会社と
実演家
の方々と、現実の力
関係
というものがあってなかなかそういう契約が結べないという実態があるわけでございます。そういうことでございますので、
平成
四年に設けました協議会の反省の上に立って、今回速やかに新たな協議の場を設けてこの点については
検討
してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
池坊保子
38
○池坊
委員
平成
四年から、ことしは九年でございますから五年間ほったらかしにされていたということは、大変怠慢なのではないかと思います。 そして、これから
文化庁
のもとで映像や映画の
関係
者を中心に映像をめぐる
実演家
の
保護
のあり方について
議論
をされる新たな
検討
の場を早急に設けていきたいという
お話
でございますが、具体的に、いつ、どのような内容でお持ちになるか、そういうような具体的な案がおありになるのでしょうか、ちょっと伺わせてください。
小野元之
39
○
小野
(元)
政府委員
実は、この
平成
四年の映画の二次的
利用
に関する調査研究協議会でございますけれ
ども
、正式に幕を閉じることなく、両者の
意見
が食い違ってしまっておりましたので次の
会議
が開けないままで、結論が得られないままの状態にあったわけでございます。 私は、これではいけないということがございまして、先般映画会社の方々とも
お話
をさせていただきまして、一応この
平成
四年の
会議
は一たん閉じます、結論が出なかったわけでございますから、しかも
意見
が食い違ってしまって全く
議論
にならなかったわけでございますので、この会は一応閉じることにしたいということを映画会社の方に申し上げまして、さらに、この
会議
ではなくて別の新しい
会議
を近々設けるのでぜひ協力をしてほしいというお願いもしたところでございます。 そういったことも踏まえまして、近いうちにそういった新たな
検討
の場を設けたいというふうに考えておるところでございます。
池坊保子
40
○池坊
委員
ぜひつくっていただきたいと思います。 今の
お話
ですと、ことし中につくるとか、まだそのような具体的なめどは立っていないわけでございますね。
小野元之
41
○
小野
(元)
政府委員
ことし中というようなことを特段意識をしているわけではございませんけれ
ども
、先般森繁久彌さんたちが総理に御陳情されたということもございますし、ある新聞にもそういった
意見
も述べられております。そういったことも踏まえながら、私
ども文化庁
といたしましては、やはり
実演家
の方々の
権利
をきちんと守っていくということは
一つ
の政策の大きな柱でございます。 一方で、
関係
各省のことを考えますと、映画会社の
企業
としての立場を当然守らなければいけない官庁もあるわけでございまして、そういったところとも協議をしながら、私
ども
なりにできるだけ早く開けるように努力をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
池坊保子
42
○池坊
委員
何度伺いましても具体的なことは言っていただけませんので、時間がもったいないので次に移らせていただきます。 郵政省が出されている
平成
九年通信に関する現状報告の中で、放送番組制作業に関する調査結果が載っておりました。 調査によると、放送のデジタル化、多チャンネル化による放送番組制作事業の変化予測の設問に対して、七割の会社が事業環境がそれほど好転するとは思えないと回答しております。好転すると思われないと回答した理由の中に、「
著作権
の処理がうまく解決しない」三六・三%、「二次
利用
に関するノウハウがなく、組織体制も確立てきない」二七・五%。二つ合わせると五割になる状態でございます。 政府としては、この
著作権
の処理がうまく解決できない、二次
利用
に関するノウハウがなく組織体制も確立てきないなどの声に対して何か措置をとろうというふうにお考えでございましょうか。法体制もしっかりしなくては、これからのデジタル化、多チャンネル化による
日本
の発展はないのではないかと思いますので、御
意見
を伺いたいと思います。
小野元之
43
○
小野
(元)
政府委員
御
承知
のように、CATVの
発達
でございますとか、ケーブルテレビ等が進んできております。それからデジタル放送といったものもどんどん進んできておるわけでございます。 私
ども
も、実は
文化庁
の中には新しいそういった
マルチメディアヘ
の
対応
について協力者
会議
を設けている場があるわけでございますけれ
ども
、実はその場におきましても、
お話
ございました、デジタル化がこれだけ進んでいる中で
著作権
処理が非常に大変なのだという御
意見
も伺っております。 実は、映像
分野
についての
著作権
処理というのは、例えばその中にいろいろな出演者が出てきたり、いろいろな音楽が流れたり、あるいは複雑な形での
著作権
、わずか一分か二分のビデオの中にもそれぞれの、たくさんの
著作権
処理を要することがあるわけでございまして、これについては、
お話
ございましたように、適切塗
対応
をしなければ、今後せっかくのデジタル化の
進展
を
著作権
でとめてしまうということになってはいけないと私
ども
思っておるのでございます。 そういう
意味
におきましては、私
ども
としては、そういったさまざまな
著作権
がある場合にその
著作権
の
権利
情報を集中して処理できるような窓口をつくるということも
検討
しなければいけないというふうに考えておるわけでございまして、私
ども
は、J−CISと言っておりますけれ
ども
、このJ−CIS等について今さまざまな形で調査研究を行っておるところでございます。
池坊保子
44
○池坊
委員
今
お話
にございましたJ−CIS、
文化庁
が新たにおつくりになる公益法人
著作権
権利
情報集中機構について
質問
させていただきます。 二〇〇〇年をめどに設立を決めていらっしゃるということでございますが、J−CISの現状はどのように進んでいるのでしょうか。今申し上げましたように、二十一世紀には一兆円市場突破が予測される
マルチメディア
ソフト
の
著作権保護
というのは大変に重要な問題ではないかと思います。運用、経営の主体、それから設置
形態
などについて、もし試案がおありになりましたらお聞かせ願いたいと思います。
小野元之
45
○
小野
(元)
政府委員
実は、この
著作権
権利
情報集中機構、J−CISでございますけれ
ども
、これは、
著作権審議会
の
マルチメディア小委員会
が
平成
五年十一月に公表しました
報告書
の中でこの設立の
提言
がなされております。このJ−CISと申しますのは、
権利
処理を円滑に進めるために、その前
段階
といたしまして、さまざまな
著作物
についての
権利
者の所在情報、どこに
権利
があるのか、そういった
権利
情報を
一つ
の窓口で提供するための
システム
でございます。
文化庁
といたしましては、この
提言
を受けまして、J−CISの実現に向けまして、
平成
七年度から調査研究を行っておるところでございます。
平成
七年度には、
利用
者側にどんなニーズがあるのか、
権利者団体
におきましては
権利
情報をどういうふうに収集提供しておるのか、あるいは今後どんな課題があるのかといったようなことについて分析を行ってまいりました。そして
平成
八年十月に
報告書
を公表しております。 それで、
平成
八年度は、これらを踏まえまして、
利用
者のニーズに
対応
いたしました試験的なモデルとしてのデータベースを作成いたしまして、
著作権
情報の収集
方法
や、実際にデータベースを構築する手法などについて調査研究を行っておるところでございます。また、こういったものにつきましては、現在、
権利
者の方々、それから
利用
者の方々、双方におきまして
権利
処理のあり方等を協議する連絡協議会を設立いたしておりまして、こういった中で調査研究したりあるいは
意見
交換等が進められておるわけでございます。
文化庁
といたしましては、今後、この連絡協議会とも連携を図りながら、J−CISの実現に向けまして、その機能や設置
形態
をどうしたらいいかといったことも含めまして
検討
してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
池坊保子
46
○池坊
委員
昨年の十二月に
採択
されました
WIPO
の
著作権
条約
の中に
コピープロテクション
解除装置
への対処
方法
が含まれていましたが、
日本
では、
著作権審議会
マルチメディア小委員会
で、どこまで
取り締まり
の対象とするかということに対しては詰め切れずに結論が出ていないというふうに伺っております。
アメリカ
の著作
保護団体
BSA
、ビジネス・
ソフトウエア
・アライアンスの推定では、
コンピューターソフト
の
日本
での損害額は、一九九四年で二十億ドル、
日本
円にしたら二千億円でございます。そして、
違法コピー
の事実が明るみに出るということは極めて少ないと言われております。
BSA
が
世界
の
各国
地域で調べた
違法コピー
率によると、
日本
は六七%。中国やタイよりはまだましだそうですが、香港、シンガポールよりも上回っていると言われております。
アメリカ
やスイス、オーストラリアが三〇%台であるのとは大変違っております。知的財産並びに知的所有権と呼ばれておりますものに対する認識が、
日本
は明らかに先進国の水準からはほど遠いのではないかと思います。 イギリスの
著作権法
では、
著作物
の
複製
物が
複製
防止の電子的形式により
公衆
に配布される場合に、これを回避するための装置の製造及び情報の公表について頒布業者に対し救済
手段
等を与えております。今後、この
コンピュータープログラム
の
複製
防止装置を解除する装置の製造、
販売
を
禁止
する措置についての問題点をどのように協議されるのかをお聞かせいただきたいと思います。
小野元之
47
○
小野
(元)
政府委員
御
指摘
ございました
コピープロテクション
の
解除装置
に関する問題でございますが、先ほど来御
答弁
申し上げておりますように、
ゲームソフト
などの
分野
におきまして
コピープロテクション
をかけている作品がたくさんあるわけでございます。一方、これを
一つ
だけ買って、それをほかの人が使うために
コピープロテクション
解除装置
を
利用
いたしまして違法な
コピー
をして、何人かで
一つ
だけ買ったものを使うというような事態が現実には起きておるわけでございます。そういう
意味
で、各方面でさまざまな
議論
がこの問題についてあるわけでございますけれ
ども
、こういった放置しがたい行為があるということについては、どなたも
意見
が一致しておるのでございます。 しかしながら、今回の
法案
になぜそのことを盛り込まなかったかということでございますが、私
ども
も、事務的にはこの
コピープロテクション
解除装置
への
対応
といったものも今回の
法案
に間に合わすべく努力をしたのでございます。ただ、その
段階
におきましてさまざまな問題が実は出てきたわけでございまして、規制の対象をどこまでするのか、例えば、機器をつくった人が悪いのか、それを
販売
した人が悪いのか、あるいは解除行為を行った人が悪いのか、そのだれを規制の対象とすべきなのかということがございます。 それから、
科学技術
の進歩によりまして、
コンピューター
等では一時的に
コピープロテクション
が解除できるような状態になり得る場合があるわけでございまして、すべてを
禁止
することにいたしますとむしろ
コンピューター
の技術の向上といったものにストップをかけてしまうおそれもあるわけでございます。 それから、私的使用のための
複製
なのか、あるいはバックアップのための
複製
なのかというさまざまな
権利
、制限規定との
関係
をどう考えるかという問題もあるわけでございまして、先ほど来御
答弁
申し上げておりますように、例えばビデオ装置、ビデオデッキをつくる、それはだれも
違法コピー
をするためとは思っていないわけでございまして、悪いのは、そのビデオデッキを
利用
して
違法コピー
をする人が悪いわけでございまして、ビデオデッキをつくる会社が悪いわけではないわけでございます。その場合に、どう規制をかけるかというのは非常に難しい問題があるわけでございます。 そういったことについて十分
議論
を尽くしていこうということで、
マルチメディア小委員会
の中にワーキンググループを先般設けました。五月十六日に第一回の会合を開いたところでございますけれ
ども
、この
委員会
の中で、さまざまな方々に集まっていただきまして、詳細な
検討
を行って、具体的な
対応
策を考えてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
池坊保子
48
○池坊
委員
日本
は知的財産の
保護
の面では大変おくれていると思います。諸
外国
は知的財産の
保護
ということにも大変心を砕いておりますので、これはやはり
外国
と肩を並べられるためにもきちんとした政策等を考えていただきたいと思います。 将来、
インターネット
などを通じて
ソフト
が
送信
されるようになった場合、
著作権管理情報
をもとに自動的に
著作権
料を徴収することが可能になります。ただ、こうした情報を書きかえたり消却することにより、無断で
著作物
が
利用
される危険性も
指摘
されております。 昨年十二月に
採択
された
WIPO
新
条約
にも、音楽CDなどに組み込まれた
著作権管理情報
の改ざんの規制の必要性が明記されていたと思います。
日本
では、改ざん行為自体は現行法で取り締まれますが、改ざんした
著作物
を
送信
することが
違法行為
に当たるかどうかなどはまだ不明であるのではないかと思います。改ざんした
著作物
を
送信
した人に民法上の責任を問うことができるかどうかということも明確にされていないように思いますが、今後、その規制範囲や対象などについて
検討
を進められるのでしょうか、その辺のことも伺いたいと思います。
小野元之
49
○
小野
(元)
政府委員
私
ども文化庁
におきましては、先ほどの
マルチメディア小委員会
の中にワーキンググループを五月十六日に設けたということを申し上げましたけれ
ども
、実は、この
委員会
の中で、
お話
ございました
著作権管理情報
の規制の問題についても
検討
してまいりたいというふうに考えております。
お話
にございましたように、音楽CDに電子的に組み込まれておりますレコード会社名であるとか録音した年の情報とかさまざまな情報があるわけでございますけれ
ども
、こういった
著作権管理情報
を、ある
意味
では
権利
処理の円滑化に大きく役立つものでございますけれ
ども
、一方、それを万一勝手に改ざんされたり除去されたりということがございますと、まさに適正な
権利
処理が困難になって、無断で
著作物
が
利用
されるおそれもあるわけでございます。そういう
意味
におきまして、管理情報の改ざんを規制するということは必要だというふうに私
ども
も考えておるわけでございます。 ただ、具体的にどのような形におきまして
対応
するのが望ましいのかということについても、かなり専門的な
議論
を重ねていかなければいけないというふうに思っておりまして、各方面の専門家にお集まりをいただきまして、ワーキンググループの中で具体的な規制の範囲や対象につきまして今後
検討
してまいりたい、さらには、国際的な
動向
も踏まえながら
検討
していきたいというふうに考えておるところでございます。
池坊保子
50
○池坊
委員
我が国
の
著作権法
では、
著作者
の死後五十年を経過するまでの間継続するとされておりますけれ
ども
、ヨーロッパ諸国では、一九九三年十月のECディレクティブの
採択
を受けて、
各国
において
著作権
の
保護
期間を死後七十年までに延長しております。そして、一九九五年二月に
保護
期間を死後七十年に延長するための
著作権法
改正
案を議会に提出したと思っております。
我が国
においては、
平成
八年九月の
著作権審議会
では、
保護
期間の延長の問題は、欧米諸国の
保護
期間延長の
動向
を踏まえ、
関係
者の理解の
進展
を図りつつ、
法改正
について引き続き
検討
を進めていくと
提言
されております。 私個人といたしましては、七十年は長過ぎるのではないか、五十年でいいではないかと思っておりますけれ
ども
、
日本
は今後
世界
の流れに沿っていくのか、あるいは
日本
独自のお考えがあるのかをお聞かせいただきたいと思います。
小杉隆
51
○小杉国務大臣
著作物
の
保護
期間の延長については、昨年九月の
著作権審議会
の小
委員会
でもその報告の中に盛り込んだところでありまして、
我が国
としても積極的に取り組んでいくべき課題というふうにされております。その際に、今御
指摘
のように、国際的な
動向
も踏まえつつ、こういうことも言われております。 今
お話
しのとおり、海外での
著作物
の
保護
期間の
動向
については、今言われたECのディレクティブ
採択
を受けて
各国
において七十年程度に延長しつつあるところで、まだ途上でございます。それから、
アメリカ
におきましては、
保護
期間を七十年に延長するための
著作権法
改正
案が議会に提出されているところであります。 私
ども
としては、こうした諸
外国
の
動向
を十分踏まえながら、今後も引き続き
著作権審議会
において積極的に
検討
していく、こういうスタンスでおります。
池坊保子
52
○池坊
委員
わかりました。 大臣がいらっしゃいません間に、
日本
は二十一世紀に向かって文化立国を目指している割には芸能実演者の
保護
がされていないのではないか、多くの芸能実演者たちは、労災も受けられず年金ももらえずに、そして生活の不安の中で仕事をしているという
お話
を私いたしておりました。そして、財産権は認められても
人格権
というのが認められていない、この
法案
の中にどうして実演者の
著作権
が入らないのかということを今
質問
させていただいておりました。 それで、早急にそのような
WIPO
で
採択
されましたA案ではなくてB案を取り上げていきたいという政府の意向だということを
お話
しいただいたのですけれ
ども
、現実に、現場の
文化庁
の
室長
は、まだ環境
整備
が整っていないからB案というのは反対であるよという御
意見
を講演でされておりましたのが小冊子に載っておりました。 現場の方たちは大変不安がっております。このことについては、迅速に、速やかにというような抽象的なことではなくて具体的にやっていただいて、やはりその
保護
のもとに、法
整備
がされてこそ安心して働くことができるのではないかと思っております。 大臣の御見解を最後にお聞かせいただけたら大変うれしゅうございます。
小杉隆
53
○小杉国務大臣
インターネット
など
マルチメディア
が急ピッチで
普及
発展している中で、こうした
著作権
の問題も、もうほとんど毎国会
改正
案をお願いしているという
状況
でございます。 確かに、今までの
著作権保護
に関する
日本
の国民の認識というか、それは決して深いものではなかったと思います。しかし、これから大変多種多様なこうした
マルチメディア
、そしてその技術も飛躍的に発展していく中で、
著作権保護
がどうあるべきかということは非常に重要な課題だと思っております。 それで、先ほどから
答弁
があったと思いますのではしょって申しますが、昨年の十二月の
WIPO
の
条約
で、
各国
の
意見
の調整がつかずに、最終的には映像
分野
の
実演家
の
権利保護
については盛り込まれなかったところであります。しかし、これは
平成
十年度には新たな
条約
を作成するということが決定されておりますし、私
ども
としても国際的なそうした協議に積極的に参加をしていく、こういう姿勢で、今後、
関係
者の間にもいろいろな
意見
があります、そういうものを
一つ
一つ
調整していく必要もありますので、
関係
者等による
検討
の場を早急に設けて、しかも国際的な
動向
もにらみながら、積極的に
検討
を進めていく決意でございます。
池坊保子
54
○池坊
委員
大臣のそのような御見解を伺ったならば、実演
関係
者も大変心強く、安心して仕事ができると思います。ぜひそのようにしていただきたいと思いますということで、私の
質問
を終わらせていただきます。ありがとうございました。
二田孝治
55
○
二田委員長
次に、
旭道山和泰
君。
旭道山和泰
56
○旭道山
委員
新進党の旭道山です。 本日の議題となっています
著作権法
の一部
改正
について
質問
いたします。 ちょっと話はそれますけれ
ども
、
法案
に対する
質問
の前に、文教
委員
の一人として、まず
最初
にお聞きしたいことがあります。時間の
関係
上、簡潔に御
答弁
よろしくお願いします。 過日、神戸市須磨区において、小
学校
六年生の児童が殺害され、痛ましい形で遺体が発見されるというショッキングな
事件
が起きました。心から御冥福をお祈りするとともに、一日も早い犯人逮捕による
事件
の解決を望んでいます。 私も、先週の土曜日、
事件
が起きた近くに行く用事があり、少しの時間でしたが、住民の方と防犯活動に協力をさせていただきました。 この地域では、三月にも女子児童二人が通り魔に襲われ、一人は死亡するという
事件
が起きました。また、東京都足立区では、女子高校生が自転車に乗った通り魔に襲われ、けがをするという
事件
も同時に起きています。さらにまた、犯人が逮捕されていない奈良県月ケ瀬村の女子中学生行方不明
事件
、その他、動物に対する虐待
事件
が続くなど、最近異常な犯罪が急増しています。 もとより犯人逮捕は
警察
の仕事ですが、小学生、中学生などの抵抗力の弱い幼児や少女を襲う
事件
がこれだけ多発している以上、子供たちの
教育
を預かる
文部省
として、全国の児童生徒が安心して
学校
生活を送れるようにしなければならないと思います。 今回のこうした子供たちを襲う卑劣な、また猟奇的な
ども
言える殺人
事件
に対する文部大臣の見解をお聞きするとともに、登下校、
学校
の外の活動を含め、こうした犯罪の再発を防ぐために現在どのような
対策
をしているか、あわせてお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
小杉隆
57
○小杉国務大臣 神戸市の須磨区を初め、実を言うと、個人的なことですが私の家内は神戸市の須磨区の出身でございまして、あのような
事件
、そして今御
指摘
の一連の最近の
事件
を見るにつけましても、私は、本当に痛ましく残念なことだと思っております。
学校
現場では、日ごろから特別活動を通じて児童生徒の安全ということを指導してまいっておりますが、特にこのような
事件
が発生した場合には、その実態に即して、ホームルームの時間を
利用
して通学途上や日常生活の安全について注意を喚起しております。 現地の
教育
委員会
あるいは
学校
では、この事態を重く考えて、臨時の全校集会を開いたり、それから
保護
者の付き添いによる集団登下校、こういうことをやっているところでございます。 今後の問題ですけれ
ども
、子供の安全を確保するためには、単に
学校
だけではなくて、やはり家庭及び地域の連携協力が必要であります。また、
警察
等の
関係
諸機関の協力も必要でありますので、
事件
の再発防止のために、そうした方々と緊密な連絡をとって対処してまいりたいと思っております。
文部省
としても、今後各種の
会議
等を通じまして各
教育
委員会
に注意を喚起してまいりたいと考えております。
旭道山和泰
58
○旭道山
委員
大臣、
答弁
ありがとうございます。 今回の
事件
は、神戸の子供たちや大人だけじゃなく、
社会
的な不安と動揺を拡大させてしまいました。特に、殺害された児童が在学していた
学校
の現場では、児童の不安と悲しみははかり知れないと思います。万全な再発防止
対策
を行うことは言うまでもありませんが、
学校
での児童生徒に対する心のケアも大切だと思います。警戒心を持たせることだけに重点を置くのではなく、必要以上の不安な気持ちは取り除いてあける方がいいと思います。 こうした一連の
事件
を思うと、同じ人間がどうしてここまで残虐非道になれるか不思議でたまりません。原因はいろいろあると思いますが、幼いころからの情緒をはぐくむ
教育
の大切さということを改めて痛感いたします。 こうした
教育
は、もちろん家庭での
教育
が第一に重要な役割を持つわけですが、
学校
としても思いやりということに対する一層の道徳的
教育
が必要かと思います。受験戦争に追われ、またお金があれば何でも手にすることができる
時代
に、情緒がはぐくまれない。また、情緒の中でも最も大切な思いやりを
教え
る環境が不足しているように思います。こういうことは、本来、家庭や地域の中で自然に身についてきたと思います。しかし、その当たり前なことが今できないと思います。 さきの
委員会
で、
田中眞紀子
先生
が進められた
教育
職員免許
法改正
においてボランティア経験の必要性が盛り込まれました。本来、人間として当たり前なことを
制度
にしなきゃならないという現状であるということ自体おかしいと思います。 今回の一連の
事件
について、わかりやすいパンフレットとか、児童防衛のために啓発が必要かもしれません。
文部省
の方、こういう本とか出していると思いますけれ
ども
、こういう簡単な本を出してもらえれば、みんなわかると思います。 それをまとめて、大臣の御見解、よろしくお願いします。
小杉隆
59
○小杉国務大臣 御
指摘
のとおり、今回の
事件
は極めて衝撃的であったと思います。特に、近隣の小中
学校
の子供たちに与えた心理的な影響、これは非常に無視できないものがあります。 そこで、
文部省
としても、養護教諭初め
学校
医、あるいはスクールカウンセラー、こういう人たちの協力を得て適切に対処しているところでありますが、特に兵庫県の
教育
委員会
から要請がありましたので、神戸市内の
学校
にどこにスクールカウンセラーを
配置
するかということは既に内定しておりましたけれ
ども
、その
配置
については弾力的に扱ってほしい、そして特にこの近隣の小中
学校
にスクールカウンセラーが十分に
配置
されるように指示したところでございます。今後もこうした
学校
現場における児童生徒の心のケアという面では十分に対処していきたいと思っております。 この背景について、今、人間を思いやる心の欠如ということで、道徳
教育
の一層の充実という
お話
がありましたが、私も同感であります。 特に、今度の
教育
改革プログラムの中でも、単に
知識
を詰め込むという
教育
あるいは受験競争のための偏差値
教育
というものに偏りがちな
教育
を、もう一度原点に戻って、心の豊かさとか他人に対する思いやりとか、あるいは生命の尊厳といいますか、そういうことの授業というか
教育
をもっと充実させていかなきゃいけないと思います。現在、
文部省
が進めているこうした面での指導については、詳細については初中
局長
から
答弁
させたいと思います。 〔
委員長
退席、稲葉
委員長
代理着席〕
辻村哲夫
60
○辻村
政府委員
道徳
教育
は、それぞれの各
学校
が子供たちの様子や置かれた地域の実情を踏まえて計画をつくり、しっかりと取り組んでいただくということが最も大事なわけでございますけれ
ども
、国としても、この
学校
の取り組みをバックアップするという
意味
で、幾つかの事業を行っております。
一つ
申し上げますと、全国二百七十一校の
学校
を指定いたしまして、モデル的に、豊かな心を育む
教育
推進事業というものに取り組んでいただく、その成果を全国の
学校
に参考にしていただくような事業、あるいは
学校
、家庭、地域
社会
、それぞれが集まってどのように心の
教育
を充実するかということで
学校
道徳
教育
振興事業というのを行っておりますけれ
ども
、そういった事業につきましても、
文部省
もこの事業を委嘱いたしております。また、
学校
の道徳
教育
の指導の充実という
意味
で、読み物資料の作成、その全国の小中
学校
すべての学級への配付、あるいは道徳
教育
の指導力向上のための校長、教頭等を対象といたしました実践講座というようなもの等を行っております。 このようなものを行いつつ、全国的に各
学校
におきます道徳
教育
の充実、あるいは
学校
、家庭、地域
社会
が一体となりました道徳
教育
の充実ということにつきまして支援し、また援助をしているというところでございます。
旭道山和泰
61
○旭道山
委員
大臣の心温まる
答弁
、ありがとうございます。本当に
答弁
ありがとうございます。犯人も犯行声明を出していますので、早急にそういうことをやってください。それと、
文部省
としても、再発防止に向けて、可能な限り協力と
学校
への指導をよろしくお願いします。 済みません、道をそれましたけれ
ども
、では本題に入ります。
著作権法
の一部
改正
法の
質問
に入ります。
著作権
については、率直な感想を言わせていただくと、わかりにくいという一言です。なかなかなじみがないだけに、
著作権
に対する国民意識、理解を深めるための必要性を痛感しました。そういう
意味
では、現在、全国の中
学校
を対象にわかりやすい内容のパンフレットを作成し、
普及
啓発を行っていることは非常に大切なことだと思います。 さて、
著作権
の
保護
という問題ですが、これを適切に推進していくためには、
我が国
の中だけでなく、国際的にも
著作権保護
の推進を進めていくべきではないかと思っています。このために、いろいろな国、中でもアジア諸国の連携を強化し、国際的な
著作権保護
の強化を図っていくべきだと考えていますが、見解をお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
小杉隆
62
○小杉国務大臣
著作権
の
保護
の
重要性
について、国民の意識改革を図ることは重要だと思います。 特に、アジア地域では、今御
指摘
のように、まだまだこの
著作権制度
というものが十分
整備
されておりませんし、意識もそれほど高いとは言えないと思います。そういう
状況
を改善するために、アジアの一員であり、また
著作権制度
を有する
日本
がアジア諸国における
著作権保護
の強化等を進めていくために重要な役割を果たさなきゃいけないと考えております。 現在、アジア地域
著作権制度
普及
促進事業、APACEプログラムというものに基づいて
著作権
に関する開発援助事業の推進を行っておりますが、これは
平成
五年度からODA事業として進めている事業であります。APACEというのは、何かわかりにくいのですけれ
ども
、アジア・パシフィック・
コピー
ライト・エンハンスメント・プログラムの略だそうでございます。それで、信託基金にお金を出して、今具体的に国際シンポジウムの開催とか専門家研修プログラムの実施とか、
各国
ナショナルセミナーへの専門家の派遣などを行っております。
旭道山和泰
63
○旭道山
委員
現在、
著作権保護
の必ずしも十分とは言えないアジア諸国での
著作権保護
の定着強化については、
我が国
がリーダーシップをとって進めていくべきではないかと思います。 アジア諸国の
著作権
関係
条約
の締結
状況
の現状についてお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
小野元之
64
○
小野
(元)
政府委員
お話
ございました、アジアの諸国におきます
著作権
関係
の
条約
の締結
状況
でございますが、アジア諸国を仮に三十七カ国というふうに考えた場合に、まず、
著作権
関係
で、ベルヌ
条約
についてでございますが、ベルヌ
条約
については
日本
、インド、タイ、フィリピン、マレーシア等の十五カ国が締結をいたしております。それから万国
著作権
条約
でございますが、これについては
日本
、インド、中国、パキスタン等の十四カ国が締結をいたしております。それからローマ
条約
は、ちょっと少ないのでございますが、
日本
とフィリピンの二カ国が入っております。それからレコード
保護
条約
につきましては、これも少ないのですが、
日本
、インド、韓国、中国、イスラエル、キプロスの六カ国が入っております。それからTRIPS協定につきましては、二十四カ国でございまして、
日本
、韓国、シンガポール、スリランカ、タイ等が加盟をしておるわけでございます。 こういった形で、先ほど大臣から御
答弁
申し上げましたように、アジア諸国におきます
著作権
意識の高まり、
著作権
を守ってほしいという気持ちを広めていくということも、
日本
としては努力をしていかなければいけないことだというふうに考えているところでございます。
旭道山和泰
65
○旭道山
委員
日本
はリーダーシップをとっていかなければいけないという立場で、アジア諸国における
著作権保護
の定着強化のためには、積極的に
関係
諸国の
関係
職員を招いて、研修などを進めていくべきだと思います。このような国際協力のための現在の政策と今後の
対応
の方針についてお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
小野元之
66
○
小野
(元)
政府委員
先ほ
ども
大臣から御
答弁
申し上げましたAPACEプログラムというのを実施をしておるわけでございますけれ
ども
、この中におきまして専門家の研修プログラムを行っております。このプログラムは、アジア・太平洋諸国から、政府
関係
の職員の方あるいは
著作権
関係団体
の職員の方を毎年数名研修生として受け入れをいたしております。そして、約二週間、
日本
の
著作権制度
や
関係団体
の事業等についての研修を行うということを行っているわけでございます。
文化庁
といたしましては、アジア諸国での
著作権保護
の強化を図るために、今後とも、こういった研修事業等を積極的に推進してまいりたいというふうに考えているところでございます。
旭道山和泰
67
○旭道山
委員
そういうふうに、いろいろと推進をよろしくお願いします。 昨年の
WIPO
著作権
条約
は、
著作権
の
分野
の基本
条約
であるベルヌ
条約
の二十五年ぶりの見直しであり、また、
WIPO
実演・レコード
条約
は、デジタル化、
ネットワーク
化という新しい
時代
の変化に
対応
した、実演、レコード
保護
について定めた画期的な
条約
であると考えています。この二つの
条約
の
批准
の見通しについてお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
小野元之
68
○
小野
(元)
政府委員
先ほど来御
答弁
申し上げておりますように、この
WIPO
の新しい
条約
については、
批准
するためには現行の
著作権法
を何点か
改正
をしなければいけないわけでございます。具体的な中身といたしましては、
著作権
については、
頒布権
、あるいは
ネットワーク
ヘの
アップロード
に関する
権利
の導入、それから、
隣接権
に関しましては、
実演家
の
人格権
、それから
頒布権
等がございます。さらには、先ほど来
議論
が出ております
コピープロテクション
の
解除等
の
禁止
の問題、それから、
権利管理情報
の
改ざん等
の
禁止
の
問題等
につきまして、
法改正
が必要だと考えておるわけでございます。
ネットワーク
ヘの
アップロード
については、今回の
改正
法でお願いしておるわけでございますけれ
ども
、私
ども
としては、
著作権審議会
での
議論
を十分深めていただきまして、これらの
条約
を
批准
できるように、必要な
法改正
に順次着手してまいりたいというふうに考えているところでございます。
旭道山和泰
69
○旭道山
委員
マルチメディア
の発展など
情報化
の
進展
により、
著作権
に関する課題がいろいろと生じてきていると聞きますが、
現時点
で具体的にどのような課題があり、
文化庁
はどのように
対応
していくつもりか。それと、さっき説明いたしましたが、APACEプログラムの具体的な事業内容がスタートしたばかりで、そのために予算も極めて少ないと聞いています。何か年間三千百万円とか聞いています。
著作権制度
の
普及
事業をさらに充実させ、アジア地域の
著作権制度
の推進について努力されることを強くお願いし、大臣にお聞きしたいと思います。それと、予算、お願いします。
小野元之
70
○
小野
(元)
政府委員
著作権
に関する今後の課題でございますけれ
ども
、先ほど来
議論
が出ております
コピープロテクション
の解除の装置への対処の問題、それから
著作権管理情報
の改ざんへの対処の問題、これにつきましては、ワーキンググループを設けて今
検討
しておるところでございます。それから、もう
一つ
の
権利
処理の
システム
でございますが、先ほど来御論議が出ておりますJ−CIS等の設立に向けました調査研究を現在行っているところでございまして、こういった点で、
著作権審議会
におきまして
制度
全般についてさまざまな観点から御
審議
をいただきまして、私
ども
としても、必要なものから速やかに
制度改正
に努力をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
小杉隆
71
○小杉国務大臣 今、具体的には
小野
次長から
答弁
いたしましたが、今後、この
分野
は大変急ピッチで情報技術の発展が見込まれているところであり、また、それに伴って、
著作権保護
の意識をもっともっと深める必要がある、こういうことから、そして国際的な
動向
も目まぐるしく動いておりますので、私
ども
は、そうした動きを注視しつつ、法律
改正
あるいは予算獲得に向けて、これからも全力でやっていきたいと思っております。いずれ次の国会では法律
改正
をお願いするかもしれませんが、その節はまたよろしく御指導いただきたいと思います。
旭道山和泰
72
○旭道山
委員
最後の
質問
ですけれ
ども
、今、須磨区で、神戸と言わず、全国でいろいろと
事件
があります。その
事件
は、大人とかそういうのではなくて子供、一番弱者、一番弱い立場の方から何か目をつけられている。そんな変なやつ、猟奇的なやつが、何か最近いっぱいはびこっています。きょうの朝も変な犯行声明を出していまして、自己満足するために子供をそういうふうにするという報道が今見られています。 ですから、
文部省
という立場で、
警察
の管轄かもしれませんけれ
ども
、末端の
教育
、セキュリティー、道徳、そういう
教え
を、
文部省
の最高の権限として全国各地に——この「知的所有権」、こういう本を
文化庁
から出していますけれ
ども
、これはすごく読みやすいです、わかりやすいですから、それを防犯という形で、今、時間が刻々と迫っています、また、第二、第三とそういう犯行を起こすかもしれません、防犯という形で、
文部省
の最高の権限で進めてほしいのです。最後、大臣の
答弁
、よろしくお願いします。 〔稲葉
委員長
代理退席、
委員長
着席〕
小杉隆
73
○小杉国務大臣 この問題は閣議でも、特にこれは
警察
、当事者である兵庫県警のみならず、全国の
警察
を総動員をしてこの凶悪な
事件
の解決に当たる、そして各省も自分のできる
分野
を徹底的にやってほしい、こういう申し合わせがありますので、
文部省
としても、先ほど来
お話
ししている各般の施策を通じて、
警察
あるいは家庭、
社会
、そういう連携の中で、
教育
の場でも、やるべきことはすべてやる、こういう決意で臨んでまいります。
旭道山和泰
74
○旭道山
委員
よろしくお願いします。どうもありがとうございました。
二田孝治
75
○
二田委員長
次に、
肥田美代子
君。
肥田美代子
76
○肥田
委員
民主党の
肥田美代子
でございます。よろしくお願いいたします。 議題になっております
著作権法
改正
案は、童話を創作して読者の皆さんに読んでいただく立場にある私にとっては、本当に身近な法律でございます。もちろん、私だけでなく、創作活動に携わるすべての方々にとって、この法律の持つ
意味
は、
権利
法であり、知的営みを守ってくれる
保護
法、そういう法律であろうかと私は思っております。
著作権
や
隣接権
あるいは
人格権
というものを広く
普及
させることによって、人がつくったものを大切にするという倫理観を
社会
的に育てていく法律でもある、そういうふうにも思います。先ほど旭道山
委員
からも御紹介がありましたけれ
ども
、
文化庁
が子供向けのパンフレットをつくって、知的所有権について基礎
知識
の
普及
に努めておられることにつきまして、私は大変敬意を表します。子供の
時代
にそういうことをきちっと
教え
ておくということは、大変大切であろうと思います。 さて、今回の
改正
案の提案理由説明で、有線と無線が併用されている
送信
形態
の増加に
対応
するため、現行法第二条に規定する放送と有線とを
公衆
送信
という新たな概念に統合すると提起されております。これは、
昭和
六十一年の
法改正
において、有線放送と双方向性すなわち
インタラクティブ送信
の双方を含め、
有線送信権
を確立して以来の
改正
になるわけでございますが、今回新たな概念を提起するに至った背景にはどのようなことがあったのか、国際的な知的所有権をめぐる動きとあわせて御説明いただけませんでしょうか。
小野元之
77
○
小野
(元)
政府委員
今回の
法改正
の中におきまして、有線と無線とをまとめて
公衆
送信
という概念を設けさせていただいているところでございます。この点につきましては、現行法が、無線による
送信
を放送と言っておりまして、有線による
送信
を有線
送信
と言っておるわけでございます。こういったものを、両者を統合いたしまして、新たに
公衆
送信
という概念を設けることといたしております。 この理由でございますけれ
ども
、
情報化
の
進展
が進んでおりまして、
利用
者の求めに応じて
送信
いたしますいわゆる
インタラクティブ送信
につきましては、例えば携帯電話を
パソコン
に接続する、そして
インターネット
にアクセスするというようなことが行われておるわけでございまして、こういう場合などは、
送信
の過程で有線と無線が併用されて行われておるわけでございます。また、通信衛星を用いました
インターネット
での送受信というようなことも行われておるわけでございますけれ
ども
、こういう
情報化
の
進展
に伴いまして、有線と無線を厳密に区別するといい。ますか、それだけの理由で区別するというのは余り
意味
がないのではないだろうかということで、
権利
処理上の円滑化を図るということで、有線無線の区別をなくして
公衆
送信
という概念を新たに設けたものでございます。
肥田美代子
78
○肥田
委員
昨年十二月の
WIPO
の外交
会議
において
WIPO
著作権
条約
と
WIPO
実演・レコード
条約
の二つが
採択
されたことは、私も
承知
いたしております。また、データベースに関する
条約
案も
審議
対象にされていたと伺っております。 しかし、これは
アメリカ
の反対で
審議
されなかったそうでありますが、
アメリカ
が反対した理由についてどのように認識されておられるか、また、データベースに関する
条約
案は
WIPO
において今後どのような取り扱いになる見通しなのか、さらには、同
条約
案に対して
日本
はどのような態度で臨んでいかれるのか、見解をお尋ねしたいと思います。
小野元之
79
○
小野
(元)
政府委員
昨年の十二月の
WIPO
の外交
会議
でございますけれ
ども
、
お話
ございましたように、データベースにかかわります知的所有権に関する
条約
につきましても草案が用意されておったわけでございますけれ
ども
、
審議
時間が不足したということもございました、それから
アメリカ
の業界が反対をされたということもあったようでございまして、そういったこともあって
各国
の
意見
の一致を見なかったということで、
審議
がなされなかったわけでございます。 実は、このデータベースに関する
条約
でございますが、これは、創造性のないデータベースに係る投資をどう
保護
していくかということにつきましては、実は、
我が国
の中におきましてもさらに
検討
を継続する必要があるというふうに思っているところでございます。したがいまして、このデータベース
条約
につきましては、昨年十二月の
段階
で、私
ども
日本
といたしましても、これを
採択
することについては反対の立場をとっていたわけでございます。 この
条約
につきましては、また本年九月に
WIPO
に新たに
専門家委員会
が設置されて引き続き
検討
が行われるということでございますので、これに対してどう
対応
していくかは今後
検討
してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
肥田美代子
80
○肥田
委員
ただいまの御
答弁
とも
関連
いたしますが、
WIPO
著作権
条約
及び
WIPO
実演・レコード
条約
は、まだ
国内
批准
の手続がとられておりません。つまり、
国内
批准
に先立って
国内
法を
整備
し、
WIPO
条約
に少しでも近づこうとこの
法案
が提案されたということでございます。
アメリカ
では、
著作隣接権
の
保護
やローマ
条約
の
批准
さえもおくれております。それに比べますと、
文化庁
は
時代
を先取りしていらっしゃるというふうに私は思います。しかし、いずれは
国内
批准
の手続をとらなければなりません。
日本
では、
国内
法をすべて完全に
整備
してから
批准
するというふうになっておりますけれ
ども
、今後、
批准
に向けてどのような段取りになさっていかれるか、お答えください。
小野元之
81
○
小野
(元)
政府委員
お話
ございましたように、
WIPO
の実演・レコード
条約
それから
著作権
条約
につきましては、昨年十二月、
採択
されたわけでございますけれ
ども
、これをある
意味
では先取りの形で今回
法改正
でお願いしているわけでございます。 と申しますのも、この二つの
条約
を
批准
するためには、先ほど来御
答弁
申しておりますように、幾つかの点で
著作権法
を
改正
する必要があるわけでございます。
著作権
に関しては
頒布権
の問題、それから
隣接権
に関しましては
実演家
の
人格権
、
頒布権
の問題、こういったものを明確にしていく必要があるわけでございますし、さらには、先ほど来
議論
が出ております
コピープロテクション
の解除の問題、それから
権利管理情報
の
改ざん等
の
禁止
の問題、これらについて
法改正
が必要となるわけでございまして、とりあえず第一歩の、皆様方の御理解が得られる
分野
から今回
法改正
をお願いしたところでございます。 私
ども文化庁
といたしましては、
著作権審議会
の御
意見
をお伺いしながら、
条約
の
批准
に向けて必要な
法改正
に適時適切に着手をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
肥田美代子
82
○肥田
委員
ぜひ国際
社会
の中でリーダーシップをとっていただきたいと思っております。
WIPO
実演・レコード
条約
について少し見解を伺っておきたいと思いますが、これは先ほどの池坊
委員
の
質問
と重なる
部分
でありますが、私なりの切り口で伺っていきたいと思います。
WIPO
実演・レコード
条約
の
審議
の中で、当初の案文にあった視聴覚固定物にかかわる
実演家
の経済的、人格的
権利
の
部分
が
アメリカ
の反対によって削除されたようでございます。この削除によって視聴覚固定物に関する
実演家
の
権利
という最も基本的な
部分
が削除された、あるいは先送りされたということになります。
アメリカ
が反対するという事態の中で、
日本
政府は
実演家
の人格的な
権利
問題についてはどのようなスタンスで臨まれたのか、いま一度お伺いしたいと思います。 また、一九九八年以前において視聴覚実演に関する議定書の
採択
を目指すという決議案が
採択
されておりますが、これをどのように評価されていらっしゃるか、お尋ねいたします。
小野元之
83
○
小野
(元)
政府委員
先ほど来御論議いただいておりますように、
WIPO
実演・レコード
条約
の中で、
アメリカ
の反対によりまして、
お話
にございました視聴覚固定物にかかわる
実演家
の
権利
の
部分
が認められておりません。この点につきましては、先ほど来御
答弁
申し上げておりますように、
日本
政府といたしましては、
実演家
の
権利
を認める案、いわゆるB案を主張したわけでございます。しかしながら、最終の
段階
で、
各国
の
意見
が折り合わない、
アメリカ
が強硬に反対するということで、B案は盛り込まれなかったわけでございます。そのことに対しまして、アフリカ諸国等を中心に、おかしいではないかという御
意見
が非常に強く出てまいりまして、九八年中に新たな
条約
を策定することを目指す旨の決議が行われたところでございます。 この決議に基づきまして、本年九月には
専門家委員会
が新たに
WIPO
の中に設置されるわけでございまして、私
ども
といたしましては、この中で、この
条約
の実現に向けた
検討
に積極的に参加をしていきたい、B案を主張しながら積極的に参加をしたいというふうに考えているところでございます。
肥田美代子
84
○肥田
委員
重ねて、
実演家
の
権利
にかかわる問題で
質問
させていただきます。
実演家
等
保護
条約
、いわゆるローマ
条約
でございますが、この
条約
では、
実演家
がその実演を影像の固定物または影像及び音の固定物に収録することを承諾したときは、そのとき以降
実演家
の
権利
の規定は適用しないと定めております。他方、
WIPO
は、ローマ
条約
は真の必要性を国際的に満たしていないので、
国内
法がこの点に関して
条約
以上の
保護
を特に
実演家
に与えるべきであるとし、ローマ
条約
を超えることを期待しております。
我が国
においても、
実演家
の
権利
については
著作権法
制定当時から
議論
の対象とされ、衆議院文教
委員会
及び参議院の文教
委員会
でも、「衛星放送、有線テレビ、ビデオグラムの
発達
等により録音・録画された実演の
利用
が多様化・増大化している等の事情を考慮し、映画監督、
実演家
等の
権利
の適切な
保護
等について
検討
する」などの附帯決議が行われております。また、
日本
芸能
実演家
団体
協議会な
ども
、
実演家
の
人格権
について
著作権法
において明確に規定するよう、長年にわたって主張されてこられました。 ところが、
著作権法
の第九十一条は、「
実演家
は、その実演を録音し、又は録画する
権利
を専有する。」とし、
実演家
の
権利
を保障しながら、録音された実演などには適用されないと定めております。さらに九十二条では、「
実演家
は、その実演を放送し、又は有線
送信
する
権利
を専有する。」と
実演家
の優先放送権を認めつつも、ここにも録画された実演などの不適用条項があります。
実演家
の
権利
に関する限り今回も抜本的な見直しに至っていないことから、先ほ
ども
お話
がありましたように、森繁久彌さんは、政府が文化政策の充実を提唱するのであれば、まず
実演家
の
権利
を法的に確立することが大切な要素であると
提言
なさっておられます。 こうした
提言
にこたえることが立法府の役割であると思うわけでありますが、
著作権法
の九十一条及び九十二条の二つの条文は、
実演家
にとってどんな利益があり、どんな不利益があるのか、具体的な事例を挙げて御説明いただき、さらに、今後どのような段取りで
実演家
の
権利
の確立に取り組まれるのかについても御
答弁
くださいますようにお願いします。
小野元之
85
○
小野
(元)
政府委員
先ほど来
お話
が出ておりますように、九十一条、九十二条におきまして、
実演家
の
権利
を第一項でそれぞれ認めておるわけでございますけれ
ども
、第二項では、一たん映画やビデオに
実演家
の許諾を得て実演が固定されますと、以後の録音や録画等についてはあるいは
権利
が働かないということにもなっておるわけでございます。 このことでどうなるかということでございますが、例えば、映画に出演なさった
実演家
の方は
最初
に出演料ということで幾らかお金をいただくわけでございますけれ
ども
、それに対して
実演家
の方々は、それは映画に
最初
に出るときのお金であって、その映画がビデオやあるいは衛星放送等で放送されるということであれば、その分についてもさらに出演料のプラスをしてほしいというふうにおっしゃっておるわけでございます。これに対して、映画会社の方といたしましては、
最初
の
段階
で既に二次
利用
のことも考えて契約料を払っているんだから、二次
利用
分についてはお金を払うことはできませんというのが基本的な主張であるわけでございます。 そういうことになりますと、
実演家
の方々に言わせれば、この点については、確かに、劇場映画、非常に配給収入な
ども
苦しいということはわかるわけでございますけれ
ども
、これだけテレビやビデオやあるいは衛星放送等が
発達
しておるわけでございますから、我々が
最初
に出たときではなくて、その後についても
権利
をぜひ認めてほしいという御主張をされておるわけでございます。 私
ども文化庁
といたしましては、
実演家
の方々の御
意見
というものも受けとめつつ、先ほど来
お話
をいたしておりますように、前回、
平成
四年に協議会を設けた
段階
では、
意見
が全く一致しなくて決裂状態になっておったわけでございますけれ
ども
、こういったことについて話し合いの場を設けて、早急にそれぞれの御
意見
を聞きながら望ましい方向を探っていきたいというふうに考えておるところでございます。
肥田美代子
86
○肥田
委員
意見
が一致しないからといって平行線で放置しておくのではなくて、積極的にこの話し合いを進めていただきたい、
文化庁
が本当に力を尽くしていただきたいとお願いする次第でございます。 私は、
文化庁
が国際
会議
で
実演家
の
権利
擁護のために大変努力されていることについて、尊敬の念を持っております。それでもなお申し上げなければならないことがございます。それは、視聴覚固定物に関する
実演家
の
権利
が認められない状態は、今日の
マルチメディア
時代
において決して正常ではないということでございます。それを正常に戻すのが立法府の役割であろうと考えております。 御
承知
のように、テレビは多チャンネルになり、WOWOWのように同じ映像作品が繰り返し繰り返し放映され、また、新作の劇場映画もあっという間にビデオ化され、家庭で
利用
することができる。私たちは、映画に出演した監督、俳優、音楽家、技術者たちの実演を、同一作品を通じて何度も目にすることが可能な
時代
に入ったわけでございます。しかし、そうした映像
関係
者の
権利
は、
最初
のたった一回、つまりワンチャンスしかないのであります。二次使用に対する報酬請求権を保障されていない状態でございます。
著作権法
が制定された
昭和
四十五年当時は、劇場映画が今日のようにビデオ化されることもなかったし、テレビに持ち込まれることも少ない
時代
でしたから、映画出演者への報酬も一度で済ませることができたのだと思います。しかし、映像作品の二次使用が普通のことになった現在、二次使用に対する
実演家
の報酬請求権がないという無
権利
状態が続いていることは、
権利
擁護を趣旨とする
著作権法
の精神からしてもまことに不条理なことと考えております。 特に、今後は映像を伴うデジタル・ビデオ・ディスクなどの急速な技術革新によって、俳優や演奏家を取り巻く環境は一段と変化しますし、そうした新しいメディアの登場に対して、現在の法
制度
が十分な
対応
ができるかどうかにも大きな疑念がございます。
日本
がイギリスと並んで
著作権
では先発国であると自負してもいいのではないかと私は思っておりますが、それだけに、国際
条約
のいかんにかかわらず、視聴覚固定物に関する
実演家
の
権利
についても国際
社会
でリーダーシップをぜひとも発揮していただきたい、私は切に願っておりますが、大臣いかがでございましょうか。
小杉隆
87
○小杉国務大臣 先ほど
小野
次長から
答弁
したように、映像に関する
実演家
の
権利
の問題については
各国
間の
意見
が合わずに見送りということになりましたが、この問題については
平成
十年度、来年度中に協議をする、国際的にも新
条約
の
検討
が九月に開始される、こう聞いておりますので、私たちとしても、そうした国際的な場で、積極的に参加をし、発言をしてまいるということでございます。
国内
におきましても、早急に映像
関係
者を中心とする協議の場を設けて、早急に私
ども
としての考えをまとめる、そういう
検討
も進めたいと考えております。
肥田美代子
88
○肥田
委員
ぜひ積極的によろしくお願い申し上げます。 次に、映画監督を初め
著作権法
第十六条で規定された、映画の
著作物
の全体的形成に寄与した人たちの
権利
についてお尋ねしたいと思います。
著作権法
の第二十九条では、「映画の
著作物
の
著作権
は、その
著作者
が映画製作者に対し当該映画の
著作物
の製作に参加することを約束しているときは、当該映画製作者に帰属する。」とあります。この条文に限らず、知的
権利
を守ろうとする
著作権法
では、映画監督や技術者たちの二次
利用
に関する報酬請求権は明確にされておりません。この人たちの
権利
はどのようにしたら守られるのか、率直な見解をお聞きしたいと思います。
小野元之
89
○
小野
(元)
政府委員
今お尋ねがございましたように、参加契約を締結した場合には映画製作者に
権利
が帰属するということが書かれておるわけでございます。したがいまして、監督の皆さん等が映画の二次的
利用
について追加の報酬等の支払いを受けたいということでございますれば、参加契約を結ぶ
最初
のワンチャンスの時点で二次的
利用
も含めて契約を締結するということが必要になってこようかと思うのでございます。 この点については、それは必ずしも十分ではないではないかという御
意見
ももちろんあるわけでございまして、先ほどの
実演家
の方々の御主張と似ているわけでございますけれ
ども
、いずれにしても、契約の
最初
の
段階
で二次的
利用
あるいはその後の
利用
を含めて契約を締結するということができれば、それは
一つ
の、とりあえずの解決策にはなるというふうに私
ども
は考えているわけでございます。
肥田美代子
90
○肥田
委員
契約が十分にできる力
関係
であればそれはいいと思うのですけれ
ども
、現実的にそういう状態にないということはもう明らかでございますから、
文化庁
はそのあたりにしっかりとした目を行き届かせていただかないと、こういう
状況
というのは自助努力でやってくださいというのではなかなか進まないと思うのですが、いかがでしょう。
小野元之
91
○
小野
(元)
政府委員
御
指摘
の点はそのとおりでございまして、契約でうまくいけばいいわけでございますけれ
ども
、映画会社と監督さんあるいはスタッフとの間の力
関係
というのがもちろんあるわけでございます。したがいまして、先ほど来、
実演家
の方々について
お話
し申し上げておるわけでございますけれ
ども
、前回うまくいきませんでした研究協議会を新たに組み直しまして、新たな形で早急にスタートさせて、その場においてそれぞれの立場から御
意見
をいただいた上で、望ましい方向を目指してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
肥田美代子
92
○肥田
委員
昭和
十四年に制定された勅令による
著作物
ノ範囲ヲ定ムルノ作では、
著作物
の範囲を小説とか脚本とか楽曲を伴う場合における歌詞、楽曲の四つに定めております。同じ十四年の勅令、
著作権
二関スル仲介業務二関スル法律施行規則に基づいた
文化庁
認可の仲介業務
団体
も、音楽、文芸、脚本、シナリオ
団体
の四つとなり、しかも、一
分野
一
団体
となっております。これは言葉遣いでなく、法律の中身でございますが。 五十八年前の
昭和
十四年当時はその勅令で
対応
できたかもしれません。しかし、戦後の
日本
社会
は、小説以外の出版物、写真、映像などさまざまな文化がつくり出されており、
著作物
の範囲も広がっておりますので、ぼつぼつ内務省の勅令の
改正
を
検討
されたらいかがでしょうか。 さらに、片仮名で書かれた法文につきましては、
昭和
十四年の二つの勅令に限らないわけでありますが、戦後の現代仮名遣いで育った圧倒的国民には、片仮名の文章はとてもなじめるものではございません。頭を
昭和
十四年にタイムスリップして、その
時代
の雰囲気で読むようにといっても、どだい無理でございます。 法律と国民を近づけることが立法府の仕事であると私は思っております。
文部省
及び
文化庁
は、他省庁に先駆けて中期的な計画を立てて
関連
法案
の現代仮名遣い化を進めてはどうかと思うのですが、いかがでしょう。
小杉隆
93
○小杉国務大臣
お話
しのとおり、仲介業務法、今法律の現物を見せていただきましたが、確かに片仮名になっておりますし、また内容も基本的に変わっていない。これだけ
社会
が激変しているにもかかわらず、果たして今のままでいいのか、こういうことから、現在、
著作権審議会
の中に
権利
の集中管理小
委員会
を設けまして、この法律の見直しについて鋭意
検討
を進めているところであります。 この
審議
を踏まえて対処いたしますが、この
改正
を行う場合には、今
お話
しのとおり、文字をわかりやすくするという見地から片仮名を平仮名に改めるということも十分留意していきたいと思っております。
肥田美代子
94
○肥田
委員
最後の
質問
をさせていただきます。 小杉文部大臣に格調高い御
意見
をお願いしたいというふうに、まずお願いしておきます。 中教審の答申の中に、物理、数学にずば抜けた才能を持つ子供の大学入学年齢の特例を設けるという
教育
上の例外措置がございます。中教審の考えでは、国際的な学者を送り出すためということらしいのでございますが、しかし、人間の才能には数学とか物理のみならず、音楽でありますとか絵画でありますとか、文学、スポーツなどあらゆる
分野
にその才能が出てくるというふうに私は思います。中教審がおっしゃるように国際的な人材を育てるというならば、やはり国際的音楽家も育てなければいけない、国際的画家も、国際的建築家も、国際的文学者も育てる気概を持つべきであろうと私は思います。 答申の中に受験エリートという言葉がございました。まさに子供たちは、好むと好まざるにかかわらず、受験エリート志向への道を歩まされているわけでございます。そして、その道すがら、子供たちが本来一人ずつがしっかりと持っていたはずのきらきらした個性はすり減ってしまっていくのです。現在の
教育
の形はある
意味
でそういうふうになってしまっているのじゃないかと私には思えます。 例えば、音楽
教育
に例をとりますと、よほど強靱な心で、今の
学校
教育
を否定した形で個人レッスンでも受けないと才能は開花いたしませんし、音楽は
学校
教育
の中ではかなり軽視された状態にございます。感性が最も磨かれるのは小学生の
時代
だということがあるにもかかわらずでございます。
平成
六年、文化立国を目指す立場から、音楽文化の振興のための学習環境の
整備
等に関する法律が制定、施行されました。しかし、
文部省
が不断の努力をしなければ、この法律の趣旨を全国的に浸透させ、息を吹き込むことはできないことでございます。大臣は、同法の具体化を含めた文化立国の構想をどのように描いておられるのか、個人的ビジョンでも結構ですから御
意見
をお願いし、私の
質問
を終わらせていただきます。
小杉隆
95
○小杉国務大臣 肥田
委員
の言われること、私はほぼ同感でありますが、特に最近、物の豊かさよりも心の豊かさを求めるという風潮、機運が高まってきたということは、私は喜ばしいことだと思います。そういう見地から、今
文部省
でも学習指導要領とかその他で古来の伝統文化の継承発展、あるいはすぐれた芸術文化の創造、発信を図る文化の重視、こういった文化立国を進めているところであります。 最近、情操
教育
という点の
重要性
というのは私は御
指摘
のとおりだと思います。今
学校
完全週五日制に向けて
教育
課程
審議
会でどの科目を削っていくかという
審議
をしているのですが、私のところにも音楽
関係
者とか絵画の
関係
者から、いつもそれが標的にされてしまう、したがって、子供の情操を育てるためにこういう科目はぜひ残してほしいというのが相当数多く寄せられております。 私は、確かにこれからの国際化とか、物すごいメガコンペディションといいますか、激しい経済の競争とかグローバル化の中で、特に理数系にすぐれた人材の養成ということは大切だと思いますし、そういうことで
教育
の例外措置として十七歳で大学入学を認めるという方向に進んでおりますけれ
ども
、一方において音楽とか絵画とかいう心の豊かさを育てる情操
教育
、この必要性、
重要性
というものはやはり私は大いに考えていかなければいけないと思っております。また、肥田
委員
のいろいろな御
意見
も伺いながら、より一層文化立国を目指して頑張っていきたいと思っております。
二田孝治
96
○
二田委員長
次に、
山原健二郎
君。
山原健二郎
97
○山原
委員
今、俳優あるいは写真家などの多くの方たちが無
権利
状態に置かれているという問題について
質問
をいたします。 まず、映画の二次
利用
などの問題についてでありますが、先ほどからたくさん出ておりますように、
WIPO
の外交
会議
では、視聴覚固定物にかかわる
実演家
の経済的、人格的
権利
が対象範囲に入っておりません。これは
アメリカ
の強い反対に遭ったというわけですが、この
アメリカ
の態度に対して
我が国
はどういう態度をとってきたのか、手短にお答えをいただきたいと思います。
小野元之
98
○
小野
(元)
政府委員
先ほど来御論議が出ておりますように、
アメリカ
の強い反対で視聴覚の
分野
の
実演家
の
権利
が先送りになったわけでございます。 これにつきましては、先ほど来御
答弁
申し上げておりますように、私
ども
といたしましては、いわゆるB案、映像として固定された映像の
分野
についても
権利
を明確にすべきだということで主張したわけでございます。結果的に、
アメリカ
が強く反対したということで、この案が
採択
されなかったわけでございますけれ
ども
、私
ども
日本
政府としてはB案を強く主張したところでございます。
山原健二郎
99
○山原
委員
平成
九年二月の
マルチメディア小委員会
の
審議経過
の
報告書
を見ますと、「リクエストを受けて行う
送信
に係る
著作者
の
権利
については、
我が国
は、
世界
に先駆けて
昭和
六十一年に
著作権法
の
整備
を行っており、
インターネット
などを用いたこのような
形態
の
送信
について
著作者
の
権利
を明確に法定している国は、現在でも
我が国
と英国のみである。」と先駆性を評価しております。そして、
日本
と英国の法制が国際的にも必要とされると主張してきたわけですが、
インターネット
における
権利
のように、映画の二次
利用
などにかかわる俳優の
権利
についても
世界
に先駆けて
国内
法を
整備
すべきではないかという声が高いわけですが、これに対してはどうお答えになりますか。
小野元之
100
○
小野
(元)
政府委員
先ほど来御
答弁
申し上げておりますように、映像として固定されたものにつきましては、
WIPO
の実演・レコード
条約
においても
権利
を認めていないわけでございます。
実演家
の
団体
の方々からは、映像の
分野
につきましても
権利
を認めるべきだという大変強い主張がございます。この問題について、
現時点
におきましては、映画の製作者、映画会社等の側の理解がまだ十分であるとは言えない
状況
にあるわけでございます。
WIPO
におきましても、この映像の
分野
についての実演の
保護
のための
条約
を一九九八年末までに新たに作成するという決議があるわけでございます。私
ども文化庁
といたしましては、この決議を実行するための
委員会
の中で、国際的な場面の中で、これに対する
権利
を明確にすべく、先ほど来御
答弁
申し上げておりますように、
国内
におきましては、映像
関係
者を中心にする新たな
検討
の場を設けたい、国際の場面におきましては、B案といいますか、その形を主張してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
山原健二郎
101
○山原
委員
森繁さんの例も引かれましたけれ
ども
、ビデオ、レーザーディスク、あるいはDVDのような映像を伴う録音・録画固定物にも
実演家
の
権利
が働くよう、
日本
政府としてもリードをしていくべきであるという声が高いわけです。この点について再度訴えますが、どうお答えになりますか。
小野元之
102
○
小野
(元)
政府委員
先ほど来御
答弁
申し上げておりますように、九八年末までに新たに
条約
をつくるということが決議されておるわけでございまして、この国際的な
検討
の場におきまして、私
ども文化庁
といたしましては、映像の
分野
におきます
実演家
の
権利
につきまして、適切な形で
権利
が定められるよう主張してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
山原健二郎
103
○山原
委員
先駆性をみずから誇っているわけですから、ぜひこの点の主張を強く要求したいと思います。 次に、一九五六年以前に撮影されました写真の
著作権
の問題であります。 昨年十二月の国会では、写真の
著作権保護
期間を公表後五十年から死後五十年に
改正
され、写真家からは歓迎をされております。しかし、旧法
時代
に、公表後十年という余りにも短い
保護
期間のために既に
保護
期間の切れてしまっている十九五六年以前の写真については、写真家が今存命、そして活躍しているにもかかわらず、
保護
されず、無
権利
の状態になっています。 これは、国会図書館からお借りしましたロバート・キャパの写真でありますが、もう皆さん御
承知
と思いますけれ
ども
、これは
最初
にノルマンディー作戦の写真が出ております。一九四四年の六月六日のノルマンディー上陸作戦をキャパが撮った写真でありますが、ライフ誌には同年七月三日に公表されております。 キャパは一九五四年に亡くなっていますが、
日本
では無断、無償で使えることになっています。
権利
が延長されていれば、例えばこういうものを無断でCD−ROM等にして大量に出版するとなると、国際的に大問題になるわけです。最近
発売
されているCDレコーダブルなどは、素人でも写真を簡単に大量に読み込むことができる状態になっています。出版界の慣行として、仮に
保護
期間が切れた写真が含まれた場合であっても印税を払っているとのことでございますが、このような
状況
では慣行破りも発生しかねないと思います。
インターネット
を初めとした
マルチメディア
時代
に当たってこういう置き去り現象があるようでは、他の芸術ジャンルと同等とは言えません。大臣の
答弁
のように、
著作権審議会
で、国際的
動向
を踏まえて
検討
していくというならば、この
状況
を踏まえて、一九五六年以前の写真の
著作権
についても早急に
対策
を打つべきだと思いますが、この点、大臣の見解を伺っておきます。 「怒りの葡萄」の作家、スタインベックですね、この人がこう言っています。キャパの写真は彼の精神の中でつくられ、カメラは単にそれを完成させただけだ。すぐれた画家のキャンバスのように、キャパの作品は常に明確な表現をとっている。芸術としての写真を最大限に評価していることは御
承知
と思います。 ところが、
日本
ではそういう評価を受けていない。少なくとも法的にはそうなっておりません。そういう
意味
で、写真家は強い不公平感を持っておると思います。 そこで、御
質問
を申し上げたいのですが、昨年十二月の参議院文教
委員会
におきまして、大臣はこの問題について、将来、遡及の問題を含めて誠意を持って
検討
していくと
答弁
されています。 写真
著作権
の
保護
期間遡及の問題について現在どのように
検討
が進められておりますか、具体的にお答えをいただきたいのであります。
小杉隆
104
○小杉国務大臣 では、私から概括申し上げて、あと具体的な取り組みについては次長から
答弁
をさせます。 一度切れた
著作権
を復活させるということは、既存の
利用
関係
者には重大な影響を与えるわけで、そこら辺がいろいろ利害がふくそうして調整が難しいところですが、
関係団体
からこの件について再度、
保護
すべきだという強い
意見
もあり、また、今引用されたように、国会でも
議論
されたところでございます。私
ども
は、いろいろ困難な問題もありますが、そういった
関係
者の御
意見
も伺い、また国際
動向
も踏まえながら、引き続いて
検討
してまいりたいと思っております。 具体的には、次長から
答弁
させます。
小野元之
105
○
小野
(元)
政府委員
ただいま大臣から御
答弁
申し上げたとおりでございますが、では、具体的にどう
検討
しているかということでございます。
著作権審議会
の第一小
委員会
におきまして、先般の国会での御論議、
質疑
等、それに対する答えにつきましても、資料を配付いたしました。それから、こういう問題につきまして
関係団体
からの要望書も出ておるわけでございまして、こういったものも第一小
委員会
の
委員
に資料として配付をいたしました。具体的な今後の
検討
課題の例として提示をしておるところでございます。 今後
委員会
におきまして、もちろんほかの課題もあるわけでございますけれ
ども
、国会で御
答弁
申し上げておりますように、真剣に受けとめて
検討
してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
山原健二郎
106
○山原
委員
マルチメディアヘ
の
利用
を恐れて、
保護
期間の切れた作品の作品集への掲載を控えるという芸術後退現象さえ起こっている実態があると聞いております。 一方、
平成
八年度「
我が国
の文教施策」では「二十一世紀に向けて新しい文化立国を目指して、今世紀中に文化基盤を抜本的に
整備
することが緊急の課題となっている。」としております。 写真における芸術後退現象の原因になっている
著作権
の不
整備
は、この理念に真っ向から対立するものではないですか。そういう
意味
で、さらに一歩具体的に進めるよう要請を申し上げたいのでございますが、その点について御見解を伺っておきます。
小野元之
107
○
小野
(元)
政府委員
私
ども文化庁
は、御
指摘
ございましたように、文化立国を目指して、芸術文化の振興や伝統文化の
保護
に力を尽くしてまいりたいと考えておるところでございます。 先ほど御
答弁
申し上げましたように、
著作権審議会
の第一小
委員会
におきまして、先般の国会での御論議もお示しをいたしましたし、要望書も配付をいたしまして、
委員
の
先生
方の御理解を深めるべく努力をしておるところでございます。今後、
著作権審議会
におきまして、この問題も含めまして、今後の
制度改正
等に
関連
をいたしまして
検討
していただきたいというふうに考えておるところでございます。
山原健二郎
108
○山原
委員
写真家の
著作権
の問題については、もう当初から問題になっておりまして今日まで来ているわけでございますから、ぜひこれを実現することを強く要請したいと思います。 今後の
審議
日程などはおわかりになりますか。
小野元之
109
○
小野
(元)
政府委員
この問題、いつまでにということを私
ども
決めておるわけではございません。この国会にも
法案
をお願いしているわけでございますが、
著作権制度
に関しましては、
科学技術
の進歩や、あるいは
社会
の変化に応じまして、適宜適切に
改正
を行っていく必要があるというふうに考えておりまして、今具体的にいつまでということを申し上げる
段階
ではございませんけれ
ども
、国会で御
答弁
申し上げておりますように、重く受けとめまして、真剣に
対応
してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
山原健二郎
110
○山原
委員
別の問題ですが、ちょっとローカルになりますけれ
ども
、砲台、台場というのがありますね。今史跡に指定されている台場・砲台跡、明治維新のころのことですが、
我が国
の歴史の正しい理解のためにも欠くことのできない文化遺産だろうと私は考えておりますが、土佐藩砲台跡、この
整備
の問題が今起こっておりまして、市長の要請もありますけれ
ども
、こういうのに対しては今どういうふうな指導をなされておりますか、
文化庁
の見解を伺っておきます。
小野元之
111
○
小野
(元)
政府委員
いわゆる台場といいますか、昔の大砲の砲台の跡でございますけれ
ども
、こういったものにつきましては、
お話
ございました土佐藩の砲台跡、高知県のもののほかに全国で七カ所が史跡に指定をされておるところでございます。 この土佐藩の砲台の跡につきましては、須崎海岸に置かれた幕末の土佐藩の砲台の跡でございまして、遺構が非常によく保存されておるということもございますし、幕末の情勢を知る上で重要な遺跡だということで、
昭和
十九年に国の史跡に指定されたものでございます。この指定地は、現在、市立の歴史公園ともなっておるわけでございまして、須崎市がその管理を行っておるところでございます。 この史跡の
整備
につきましては、地元の市から
整備
の意向があるということは、私
ども
も承っておるわけでございます。
文化庁
といたしましては、市に対しまして史跡の
整備
にふさわしい
整備
計画を
検討
してほしいということをお願いしておるところでございまして、今後これに対してどういうふうに
対応
なさるかということを踏まえまして
検討
していきたいというふうに考えておるところでございます。
山原健二郎
112
○山原
委員
もう
一つ
、これは愛媛県から高知県に至る、正式の名前でしょうか、これは
文化庁
の名前だと思いますが、土佐北街道——笹ケ越というのがございまして、
文化庁
の歴史の道百選に昨年たしか選定されております。その道は非常に険峻なところで、いろいろな名所も残っておりますけれ
ども
、馬を連れて参勤交代での苦労がしのばれるというわけで、私もここを踏破しましたが、この道をもっと
整備
、保存、延長していくことは、古道と地域の文化財に親しむ上で必要と思われます。そういう
意味
で、
文化庁
としてこういう問題に対してはどういう取り扱いをされておりますか、お伺いをしたいと思います。
小野元之
113
○
小野
(元)
政府委員
御
指摘
ございました歴史の道再選でございますけれ
ども
、これは全国の歴史的な道の中で、原則といたしまして、土のままの道といいますか、あるいは石畳の道あるいは道の形が一定区間良好な状態で残っておる、そういった箇所に対して指定をしておるところでございます。
お話
ございました土佐街道に
関連
する歴史の道も、三カ所取り上げさせていただいておるわけでございますけれ
ども
、これは昔の形での道の形が残っておるということを
一つ
の条件にしておるものでございますから、これをさらに広げるということでございますと、これは生活道路として既に使っておりまして、舗装がなされておったりあるいは新しい現代の道になってしまっておるという
部分
につきましては、歴史の道という観点では取り上げにくいということでございまして、この指定範囲を広くするということは、私
ども
難しいと思うのでございます。 しかしながら、こういった
整備
事業を実施をしておるところでございまして、県や市の方から具体的な御要望等があれば、相談に乗りたいというふうに考えておるところでございます。
山原健二郎
114
○山原
委員
最後ですが、写真家の
著作権
の問題については、前々からも取り上げてまいりましたが、ぜひ実現をしますように御努力をお願いしたいということを申し上げまして、私の
質問
を終わります。
二田孝治
115
○
二田委員長
次に、
中川
智子
君。
中川智子
116
○
中川
(智)
委員
社会
民主党・市民連合の
中川
智子
でございます。 今回の
著作権法
の
改正
は、やはり急激なメディアの
進展
とともに一層の
著作権保護
の前進が図られるということについて、とてもよかったなという思いを持っておりますことを、まず大臣にお伝えしたいと思います。 その中で、気にかかることを
最初
に二点、あわせて
質問
させていただきます。 先ほどからも出ておりますけれ
ども
、いわゆる
著作権
というふうに私
ども
が聞きましても、何かぴんとこない。だれがどういうふうな
権利
を持って、それがどのような影響を及ぼし、その人自身にどういうメリット・デメリットがあるのかな。
著作権
というものに対して、国民になじみが割と薄い、そのことによってあいまいになり、わからないがゆえにトラブルの原因をつくっていくということが多々あると思われるんですが、やはり
教育
の中とかで、小さい
時代
から
著作権
というものに対して一定の、知らしめていくような啓発、また普通の市民に対しても
著作権
というのがどういうものなのか、
著作権保護
というものがなぜ大事なのかということを広く啓発していくということがとても大事ではないかと思いますので、それをまず
最初
に一点伺いまして、それと
関連
いたしまして、
実演家
の
権利保護
が今回の
法改正
においてもなお不十分だと思います。やはり、身分が安定し、いい仕事をしてもらうためにも
実演家
に対する
保護
をもう少しきっちりとしなければいけないという思いを持っておりますが、この二点に対してのお答えをお願いいたします。
小野元之
117
○
小野
(元)
政府委員
まず第一点の、
著作権
についてもう少し
普及
をきちんとやっていくべきだという御
意見
でございます。ごもっともでございまして、私
ども文化庁
といたしましても、この
著作権制度
が
我が国
の文化の発展のために欠かすことのできない重要な
制度
だというふうに認識をしておるところでございます。 具体的には、講習会等をさまざまな形で設けておりまして、一般の方々に対する
著作権
セミナーも実施をしておりますし、都道府県の
著作権
事務の担当の方々に対する講習会も実施をしております。さらには、図書館や視聴覚ライブラリー等の職員を対象とした講習会も行っておるわけでございます。それから、先ほど
お話
もございましたけれ
ども
、
平成
八年度から、中
学校等
の生徒が
著作権
について学習できるように、わかりやすい漫画でつくりました
著作権
読本「大事にしようあなたの創意」といったようなものも作成をいたしまして、全国の中
学校等
に配付をしておるところでございます。また、
コンピューターソフトウエア
の
違法コピー
防止の観点から、「コンピュータ・
ソフト
ウェア管理の手引」等も作成をいたしまして、各方面にPRを行っておるところでございます。 いずれにいたしましても、
著作権
思想を高めていく、御理解を深めていくための努力をこれからも続けてまいりたいというふうに考えております。 それから、第二点の映像の
分野
における
実演家
の
権利
の
保護
の問題でございます。 これもこの
委員会
で先ほど来ずっと御論議が出ておるところでございますけれ
ども
、私
ども
といたしましては、国際的な
動向
等も見きわめながら、先ほど来申し上げておりますように、映像
関係
者を中心といたします新たな
検討
の場を設けまして、積極的な
検討
を進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
小杉隆
118
○小杉国務大臣
著作権
とは何ぞやというこの概念ですけれ
ども
、従来、個人の所有権とか
権利
というものは見えるものが中心でしたけれ
ども
、私は、やはり創作者がいろいろな新鮮な着想力で、そして創造力を生かしてつくったものは十分
保護
されるに値する貴重お財産である、そういう概念がまだまだちょっと希薄だと思いますので、こういう機運をもっと改めていく必要があろうと思います。 今度の
改正
、不十分ですけれ
ども
、少なくとも
インターネット
に登載される、そこで
著作権
が
保護
されるということでは大変前進であったというふうに受けとめています。
中川智子
119
○
中川
(智)
委員
ありがとうございました。 文化ということで、
関連
しての
質問
をさせていただきたいと思います。 私も子供を育てていますときに、子供劇場とか、いろいろ呼び名が各地域で違うんですが、ファミリー劇場とか、地域の親が行って会費を集めて子供と親がよりよい文化に親しむ、音楽とか演劇とか、プロの集団を招いて、地域でそのような文化に親しんでいく、とてもこれは大事なことだな。子供にとって、本当に感動を忘れさせない、割と日ごろは感動と遠い
世界
にいたりして、早く勉強しなさいとか、早く寝なさいとか、早く早くという中で、親も子供も一日ゆっくりといい芸術に親しむのはすばらしいことだと思うのですが、この活動が地域にきっちりとあるということは
文化庁
は把握していらっしゃいますか、御存じでしょうか。
小野元之
120
○
小野
(元)
政府委員
子供たちに対しましてすぐれた芸術に触れる
機会
を与えるということは、私
ども
も、豊かな創造性をはぐくんだり、あるいは情操の涵養を図る面で大変重要なことだと思っておるところでございます。
文化庁
といたしましても、従来から、子供たちの芸術鑑賞
機会
の
拡充
を図ろうということで、鑑賞年齢層に応じまして、例えば、こ
ども
芸術劇場、それから青少年芸術劇場、舞台芸術ふれあい教室といったような形で、芸術文化振興基金を通じまして、親子を対象にした公演や、こういった展示活動に対して助成を行ってきておるところでございます。先般の中教審の答申の趣旨にもあるわけでございますけれ
ども
、豊かな心を育てていく、あるいは主体的に判断できる子供の育成を図るというためには、私
ども
といたしましては、
平成
九年度から、従来の中
学校
芸術鑑賞教室を
拡充
いたしまして、小中高等
学校
の
学校
教育
の場において、すぐれた舞台芸術に直接触れることができる
機会
を提供するための舞台芸術ふれあい教室といったものも新たに実施をすることといたしておるところでございます。 今後とも、
文化庁
といたしましては、子供たちがすぐれた芸術文化に触れる
機会
の充実に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
中川智子
121
○
中川
(智)
委員
私が
質問
しましたのは、地域のそういう劇場を力を合わせて市民がつくっている活動を御存じかどうかということを
質問
したのであって、
学校
なんかでやっているとかというのはもうわかっております。それは一年に一回とか、そういうことです。もっと頻繁にということで
質問
したのですが、それに対してお答えください。
小野元之
122
○
小野
(元)
政府委員
私
ども
も、さまざまな形で、例えばPTAが主催してミュージカルを呼んでおられるとか、それから地域に根差したそういう文化活動をいろいろなところでやっていらっしゃるということはある程度把握をいたしております。私
ども
自身も、先ほど申し上げましたように、幾つかの形で実施をしておるということも申し上げたとおりでございます。
中川智子
123
○
中川
(智)
委員
それだったら、御存じでしたならば、その活動がとても経済的に維持できなくなって、いいものがどんどんつぶれていっているという
状況
も御存じかと思います。 私が
最初
子供のために入ったときは会費が五百円ぐらいでした。それがだんだん値上げをされて、今は一カ月に一人二千五百円とか三千円でないと維持ができないのです。そうしたら、会費が払えなくなってやめていってしまうのですね。でも、子供は泣いて、お母さん、まだあれが見たいよと言うのですが、お金が続かないから、お母さんが、我慢しなさい、
学校
で一年に一回あるからそれまで待ちなさい。そういうふうなものではなくて、やはりそういう地域の文化活動、そういうものに対して助成がぜひとも今必要だと私は思うし、そのような請願は毎年毎年たくさん
文化庁
の方に行っているはずですが、それに対してのお答えをお願いいたします。
小杉隆
124
○小杉国務大臣 私の近所でも、子供劇場みたいなものをつくって、もう本当に手弁当でやっている人たちを見て、大変いいことだなと思っております。 今
文化庁次長
から
答弁
したのは、
文化庁
としてやっている、比較的公的な関与のできる
部分
の助成をやっているのですが、そういう草の根的なものについてまで十分補助できるかどうか、まして今財政構造改革真っ盛りで非常に厳しい中で。私は、問題意識としては大切なことだと思っております。
学校
の勉強では得られない感動とか夢を子供に与えるという
意味
では、何とかしてあげたい。 問題はやはり財政ということでございまして、
文化庁
予算もまだ一千億に達していない、そういう中で、欧米諸国に比べると数分の一、こういう
状況
でありますから、これはスポーツもそうですけれ
ども
、しかし、そういった機運を醸成するということは大事なごとでありますから、お金ではない面で何かいろいろと積極的に応援できる体制はないか、これは地方自治体も含めて考えていくべき課題だと思っております。
中川智子
125
○
中川
(智)
委員
悲しいことに、やはりお金なんですね、基本的に。子供にとって、心を豊かにしていく、精神的な面、その見えない
部分
がこれから広がり、それが大事だということですが、見えないものが将来の豊かな
日本
をつくっていく、それに対するお金を、見える公共事業から
文部省
の方に財政が行くように頑張りますので、ぜひとも力を合わせて頑張っていきましょうというエールを送りながら、次の
質問
に入らせていただきます。 これも私、経験の中で非常に感じてきたことで、ぜひとも御
質問
させていただきたいと思いますのは、現在、公立の小
学校
、中
学校
で制服というものがございます。子供たちが毎日着ていくわけなのですが、それが公立の小
学校
においてもかなり、いわゆる標準服という感じで、もう強制的に制服を着せられているという状態がございます。 それに対しては、
学校
長が、
教育
委員会
なんかと相談して、
保護
者の
意見
を聞きながら、制服がいいか私服がいいか選択していくというふうな形でお任せになっていると思うのですが、その中で、かなりのトラブル、自由を認めないのですね。標準服とその
学校
で決めると、私服を着ていきたい子が私服を着ていきますと、必ずと言っていいほどいじめに遭います。そしてまた、頑張って私服で通学していく中で、やはり精神的なプレッシャーに耐え切れずに不登校になるということもあります。 私は、今のこの
教育
の中で、特に義務
教育
の中で、個性的な
教育
をと言っているにもかかわらず、反面、そのように着る服さえ縛ってしまう、選択の自由さえない。そのような
状況
に対して、
文部省
は何らかの形で指導していくときに来ていると思いますが、そのあたりのところの御見解をお聞かせください。
小杉隆
126
○小杉国務大臣 後で初中
局長
から説明させますが、概括的に申しますと、今国で一律にこうしなさいということを決めているわけではありません。これは、地域の実情とか
保護
者の考え方にゆだねているという考え方でございます。
辻村哲夫
127
○辻村
政府委員
結論的には大臣のお答えしたとおりでございますけれ
ども
、私
ども
、全国の統計を持っているわけではございませんが、九県につきましてその実情を手持ちにしております。公立の小
学校
で八割以上の
学校
が標準服を定めているという県、これが二県ほどございます。それから、三、四割程度定めているという県が四県ほど。それから、ほとんど標準服を決めていないという県が三県ということでございまして、全国的には、各県ごとに実情が非常に違うということでございます。 そこで、この標準服につきましての私
ども
の考え方でございますが、校則によって定められているのが通例でございますが、その校則はそれぞれの
学校
の歴史的な沿革あるいは規模、それから
保護
者の方々の考え方といったもの、そういった実情を踏まえまして決められているのが通常でございます。 標準服について申しますと、その標準服の規定を決める
方法
もさまざまでございまして、
保護
者の
意見
を聞く、
学校
によりましては生徒にもこの決定に参加させて、
保護
者、教師、生徒、三者が話し合って決めるというような例もございます。それから、標準服の着用を遵守するさせ方も
学校
によってさまざまでございまして、文字どおり標準ということで緩やかにこれを運用している
学校
もございますし、例えば、個別の例でございますが、教師、
保護
者に生徒も加わって決めた例で、公式行事だけは全員着用しようというふうにして決めているような例もございます。 そういうことで、これは国が一律にどうということはなかなか言いにくい、各
学校
の
教育
運用の問題でございますので、私
ども
はそう考えております。 ただ、この規則、校則がどのように子供たちに影響を与えているかということについては、絶えず点検をしてほしいということをお願いしておりますし、一度決めたらそれでいいのだということではなくて、その時々の
保護
者の考え方等についても、
学校
は十分にそれらを聞き、随時適切な
対応
をしてほしいということを申し上げておりますが、具体の中身として、こうあるべき、あああるべきということを国は言う立場にはないのではないかというふうに考えております。
中川智子
128
○
中川
(智)
委員
あっという間に時間が来ましたので残念なんですけれ
ども
、私は、それを一律というふうにしなくていいと思っているのです。自己決定、自分自身で選択できる、そのように指導していっていただきたい。それに、そういう中では少数の
意見
が無視されていきます。やはり多数決でどちらかに決める。洋服なんて、特に小
学校
なんというのは迷うことが大事なんですね。毎日ブルーかグレーで決められた洋服で、男の子はズボン、女の子はスカート。どうして女の子がスカート以外のものをはいてはいけないのかとても不思議だったので、私は子供をずっとズボンで通学させたのですが、何というか物すごいのですよね。大変。親同士がけんか。あの人は制服派、あの人は私服派、口もきかない。 こんな
状況
があるということをぜひとも
文部省
は知っていただいて、もう少しきめ細かなものを、資料をいただきたいし、そしてまた、
文部省
が、やはりこれだけぐちゃぐちゃになっていたら、決めるのじゃなくて、押しつけるのじゃなくて、
一つ
の流れとしてどうつくっていくか、個性的に、子供が楽しく、自分自身が選んだ洋服で、動きやすくて汚れてもいいようなものを着ていける、選択していけるということに対しての一定の思想なりを持っていただきたいと思いますので、今後も引き続いて、
学校
給食のことも
質問
したかったのですが残念です、またお願いします。 ありがとうございました。
二田孝治
129
○
二田委員長
これにて本案に対する
質疑
は終局いたしました。 —————————————
二田孝治
130
○
二田委員長
これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
内閣提出
、
参議院送付
、
著作権法
の一部を
改正
する
法律案
について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
二田孝治
131
○
二田委員長
起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました
法律案
に関する
委員会
報告書
の作成につきましては、
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
二田孝治
132
○
二田委員長
御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ————————————— 〔
報告書
は附録に掲載〕 —————————————
二田孝治
133
○
二田委員長
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時十二分散会