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1997-04-25 第140回国会 衆議院 文教委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月二十五日(金曜日)     午前九時四十一分開議 出席委員   委員長 二田 孝治君    理事 稲葉 大和君 理事 河村 建夫君    理事 栗原 裕康君 理事 田中眞紀子君    理事 佐藤 茂樹君 理事 藤村  修君    理事 山元  勉君 理事 石井 郁子君       岩永 峯一君    栗本慎一郎君       佐田玄一郎君    島村 宜伸君       谷畑  孝君    中山 成彬君       松本 和那君    柳沢 伯夫君       山口 泰明君    渡辺 博道君       井上 義久君    池坊 保子君       旭道山和泰君    西 博義君       西岡 武夫君    三沢  淳君       鳩山 邦夫君    肥田美代子君       山原健二郎君    保坂 展人君       粟屋 敏信君  出席国務大臣         文 部 大 臣 小杉  隆君  出席政府委員         文部政務次官  佐田玄一郎君         文部大臣官房長 佐藤 禎一君         文部省生涯学習         局長      草原 克豪君         文部省初等中等         教育局長    辻村 哲夫君         文部省高等教育         局長      雨宮  忠君  委員外出席者         文教委員会調査         室長      岡村  豊君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十五日  辞任         補欠選任   阪上 善秀君     谷畑  孝君   戸井田 徹君     松本 和那君 同日  辞任         補欠選任   谷畑  孝君     阪上 善秀君   松本 和那君     戸井田 徹君     ――――――――――――― 四月二十五日  地域スポーツ環境整備充実のためのスポーツ  振興くじ制度早期樹立に関する請願(麻生太  郎君紹介)(第二三二三号)  同(粟屋敏信紹介)(第二三七九号)  同(奥田幹生紹介)(第二三八〇号)  同(斉藤鉄夫紹介)(第二三八一号)  同(坂本剛二君紹介)(第二三八二号)  同(玉沢徳一郎紹介)(第二三八三号)  同(中馬弘毅紹介)(第二三八四号)  同(中井洽紹介)(第二三八五号)  同(中川秀直紹介)(第二三八六号)  同(中野正志君紹介)(第二三八七号)  同(長勢甚遠君紹介)(第二三八八号)  同(根本匠紹介)(第二三八九号)  同(萩野浩基紹介)(第二三九〇号)  同(原田義昭紹介)(第二三九一号)  同(桧田仁君紹介)(第二三九二号)  同(細田博之紹介)(第二三九三号)  同(町村信孝紹介)(第二三九四号)  同(三ッ林弥太郎紹介)(第二三九五号)  同(村田吉隆紹介)(第二三九六号)  同(目片信紹介)(第二三九七号)  同(森喜朗紹介)(第二三九八号)  同(渡辺具能紹介)(第二三九九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月二十五日  大学教員任期制法案反対に関する陳情書外二件  (第二一八号)  幼稚園・保育所総合調整による幼児教育及び  保育充実等に関する陳情書  (第二一九号  )  二〇〇八年開催オリンピック競技大会大阪招  致に関する陳情書  (第二二〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  放送大学学園法の一部を改正する法律案内閣  提出第四八号)      ――――◇―――――
  2. 二田孝治

    二田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出放送大学学園法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上義久君。
  3. 井上義久

    井上(義)委員 新進党の井上義久でございます。  きょうは、質問の機会をちょうだいいたしまして、小杉大臣とじっくり議論をしたい、こう思っていたわけでございますけれども、なかなか席の暖まらない、日ごろからそういう方でございまして、きょうも何か途中で退席されるということなので、最初に、大臣にまず総括的なことをお伺いしておきたい、こう思います。  今回、通信衛星による放送大学全国化ということに踏み切るわけでございますけれども、このことにつきましては従来から我が党が提言をしてきたことでございまして、今回の法改正、どういうわけかそれが実現するということについては高く評価をしているところでございます。しかしながら、これまで文部省計画していた全国化というのは、いわゆるBSによるということでずっと来たわけでございますが、そういう意味計画の見直しが必要になってきているんではないか。今回CS利用全国化選択したその理由について、まずお伺いしておきたいと思います。
  4. 小杉隆

    小杉国務大臣 今まで放送大学は、関東エリアの一部という限定された区域でやってきたわけで、全国各地から放送大学を早く全国化してほしい、こういう要望が出されてきたところであります。そこで、新年度からCSによって放送大学全国化を図ろう、こういうことになったわけでございます。  いずれBSということも考えられるわけですが、当面CSでやるしかないというのが現状でございまして、BSについてはまだ今すぐ実現をする状況にないということから、今回CSによって一刻も早くそうした要望にこたえたいということで全国化を図ることにしたわけであります。
  5. 井上義久

    井上(義)委員 今大臣からもお話が出ておりましたけれども平成十二年にはBS4の後発機が打ち上げ予定をされているわけでございます。郵政省は、BS4の後発機検討会報告書によりますと、放送大学は、早急にBSCS利用方法等の将来展望を明らかにし、関係者合意を得て早急に結論を出す必要があるというふうに指摘しているわけでございまして、BSCS地上波もやれば、これはコスト考えなければより多くの人という意味では全国化に一挙に進むわけでございますけれども、ただ、この文教行政の中において生涯学習振興政策位置づけでありますとかあるいは生涯学習振興政策における放送大学役割というものを明確にして、この放送大学全国化計画政策優先度コストというものをどういうふうに考えるか。それからまた、CS普及の将来の見通しということもあると思いますけれども、これはかなり早い時期に決断を迫られるんじゃないかということになるわけでございます。  もうちょっと具体的に言いますと、例えば来年の概算要求という段階でもう選択が迫られてくる、こういうふうに考えるわけでございますけれども、このBS4の後発機をどう放送大学利用するかということも含めてこの政策優先度を、より広い人に放送大学視聴を可能にするということと、それから一方で行政改革ということもあるわけでございまして、このコストをどう考えるかということで、放送大学というものの生涯学習振興における位置づけというものを大臣としてどのようにお考えになっているか、この辺を、基本的なことをお聞きしておきたいと思います。具体的な問題は後でまたちょっとやります。
  6. 小杉隆

    小杉国務大臣 放送大学位置づけですけれども、生涯学習中核機関という位置づけで、より多くの国民教育機会を提供する、そうした目的で今回CSによる全国放送ということに踏み切ったわけでありまして、できるだけ効率的にあるいは効果的に国民高等教育機会を与えたい、こういう趣旨で、今お話しのとおり、さっきお答えしたんですけれどもBSでは今直ちにできない、一刻も早くということからCSで出発をしよう、こういうことにしたわけであります。
  7. 井上義久

    井上(義)委員 BS4の後発機における放送大学放送ということについては、先ほども指摘しましたけれどもかなり早い時期に決断が迫られている。私がお聞きしたのは、この政策優先順位といいますか、より広い人に、できるだけ広い人に幅広く機会を与える、機会均等という意味から。そうなると、BSCS地上波も全部やるというのが一番いいと思うんですけれども、ただ、一方では行政改革という問題がある。しかしながら、生涯教育という非常に優先度の高い政策もある。この辺をどういうプライオリティー大臣考えていらっしゃるのかということをちょっとお聞きしたいんです。
  8. 小杉隆

    小杉国務大臣 現在BSは一千万台普及しております。それに対してCSの方はわずか二十四万台ということでありますから、今委員が御指摘のように受講者の便宜を考えますとBSでやるのが望ましいと思うわけですが、ただ、一方において、今指摘されたようにBS後発機平成十二年度からということ、それからコストがかなりCSより高くつくということとか、じゃ仮に平成十二年度、この放送あるいは通信情報分野がどうなっているかといいますと、今、日進月歩でこの分野は進んでおりますので、例えばインターネットで双方向の高等教育を受けられるというような状況もあるでしょうし、BS利用についてはそういった状況とか、あるいは郵政省等でもいろいろ検討、研究が行われておりますし、その時点でのCS普及状況というもの、それから、さっき申したコスト、そういったことを総合的に勘案をして、私は今直ちに結論を出すのはまだ早いんじゃないか。とりあえずは、まずはCSによる全国化ということに着手したわけでありまして、今御指摘の点は、今後、今申し上げたいろんな観点から検討を進めていきたいと思っております。
  9. 井上義久

    井上(義)委員 私どもとしては、放送大学は生涯学習中核的な役割を果たすものというふうに位置づけておるわけでございまして、政策選択プライオリティーとしては、やはり生涯学習の推進という観点から、それなりのコストというものを覚悟して、ともかく一日も早く全国化をする、機会均等高等教育機会を広く一般国民に提供するという角度でぜひ検討していただきたいということを要望しておきたい、こう思います。  私ども、さらにこの放送大学の将来構想について、特に、CSを採用いたしますといわゆる多チャンネル放送ということが可能になるわけでございまして、そういう観点から、具体的には、一つは、今教養学部学部だけになっておるわけでございますけれどもこれを複数化する、学部複数化。あるいは、今一般大学院なんかをいわゆる社会人に開放しているということで、これは非常に大きなニーズがあるわけでございますけれども、やはり一般社会人大学まで通うということはなかなか難しい。そういう意味からいうと、放送大学大学院設置するというようなことは、このCSの採用で多チャンネル化すればかなり可能になるのではないか、こんなふうに思っているわけでございますが、この学部複数化とか大学院設置、これについてはどうお考えでございましょうか。
  10. 草原克豪

    草原政府委員 現在、放送大学には教養学部学部が置かれているわけであります。この一学部を設けた理由といいますのは、やはり電波チャンネルが当初は限られているという想定でしたので、放送人掌として提供できる授業科目数には限度があるだろうということ、それから当然、経費の問題もございます。現在、全国化をして放送エリアを広げるに当たりましても、このことについては変えることは考えておりません。当面は教養学部学部として継続をすることとしていきたいと思っております。  それから、大学院でございますけれども放送大学は生涯学習中核的な機関として、国民に広く大学レベル教育機会を提供するということを目的としているわけでありまして、高度の専門性が必要な大学院設置するという構想は現在のところ持っておりません。他方、我が国においては、通信制大学院というのは制度としてはまだ存在をしておりませんので、現在大学審議会において、この通信制大学院のあり方について検討が行われているところでございます。放送大学大学院設置するということに関しましても、現在のところそういう構想はございませんけれども、しかし、この大学審議会審議の動向をも眺めながら、将来の検討課題として取り組むべきことではないかなというふうに考えております。  なお、現在も放送大学を卒業して既存の大学院に進学する学生も相当数おりまして、これまで百二十一名が卒業後、他の大学院に進学をしている、こういう実績はございます。
  11. 井上義久

    井上(義)委員 おっしゃること、よくわかるのですけれども、ただ、この放送大学ができたときと今とでは、特に通信高度化という意味状況がもう一変しているわけでございまして、私は、放送大学可能性というのは無限にある。そういう意味で、広く一般高等教育機会国民皆さんに提供するというのが当初の目的なんですけれども、ただ、この放送大学可能性ということを考えると相当幅広く考えていっていいんじゃないか。したがって、例えば学部複数化だとか大学院、これも含めて、やはりこれからの課題としてぜひ検討していくべきである、こんなふうに思うわけです。  それからもう一つ大臣放送大学役割というか放送大学可能性ということからいうと、CSを採用いたしますと、世界的には、中国、ロシア、アジア方面、カバーできるわけでございまして、CSを通じて各国にまでこの放送内容を提供する、そういうことが可能になるわけでございます。  一方、アジアではいろいろな意味専門教育が、専門家不足とか施設の不足なんかで、かなり国民ニーズはあるんだけれどもそれにこたえられないという現状が一方ではあるわけでございます。私は、この日本放送大学というものを中核にしていわゆる国際放送大学、これはもちろん、教育の問題ですから、各国の主体性ということが一番大事なわけでございますから、各国とのやはり合意の上で、例えば二カ国語で放送するとかというようなことを考えて、日本放送大学国際放送大学中核になるような可能性というものはこれは十分あるわけでございまして、そういうことをぜひ考えるべきじゃないか、こんなふうに思うのですが、大臣いかがでございますか。
  12. 小杉隆

    小杉国務大臣 今御指摘の、放送大学学部教養学部からもっと拡大すべきだという御意見とか、あるいは放送大学大学院教育もやるべきだとか、あるいは国際放送にも乗り出すべきだ、こういう御意見ですが、いずれも前向きのお話ですが、先ほど生涯学習局長からお答えしたとおり、なかなかまだ検討しなきゃならない課題がたくさんありまして、今直ちにそういうことはちょっと不可能ですけれども、慎重に検討をするべき問題だと思っております。  国際放送ということでありますが、使用言語の問題が一つあります。今、二カ国語でということでありましたが、まだそこまで手が回らないというのが現状でして、とにかく現在、この全国化ということを早く実現をし定着化させるということに精力をとられておりますということで、これは将来の課題として受けとめております。  なお、問題はコストですね。現在でも年間百二十八億円かかっている中で、授業料として徴収できるのはほんのわずかということで、ほとんどが国費を投入しているわけです。今、財政構造改革論議が盛んな折に、やはり放送大学につきましても聖域扱いはできないということで、私は個人的に思うのは、何か自主財源を調達できないのかということなんですが、これは広告放送ができないことになっておりますし、その辺はコストとの関連も十分考えていかなきゃいけない問題だと思っておりまして、そういうことで、今後慎重に検討していきたいと思っております。
  13. 井上義久

    井上(義)委員 放送大学の持っている、特にCS利用による可能性というのが大きく広がっているということをぜひ配慮といいますか、それをよく踏まえて放送大学の将来像というものをつくっていっていただきたい、こう思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。  それでは、ちょっと具体的な問題に移りますけれども、今回はCSを採用して全国化の一歩を踏み出したわけでございますけれども、現時点で、いわゆる潜在的な受講希望者、これは入学希望者それから自由聴講希望者も含めてでございますけれども、大体どの程度というふうにお考えでございましょうか。
  14. 草原克豪

    草原政府委員 潜在的な受講希望者の数を把握するということは大変難しいことでございます。これは幾つかの要素から類推する以外にはございませんけれども放送大学で現在いろいろな形で学んでいる学生の数は約六万五千人おります。そのうち、放送視聴が可能な関東地域で学んでいる学生が約三万人でございます。したがって、そのほかの学生関東地域以外でビデオテープ等を使って学習している学生でございます。  それで、関東地域が三万人、放送視聴可能な地域と、それからそうではない不可能な地域の十八歳以上の人口比を比べてみますと、大体一対三になります。そこから類推いたしますと、全国放送を開始することによって、三万人掛ける四倍の十二万人程度学生数が見込まれるのかなというふうに思いますが、ただ、これは地上波と違って、CSデジタル放送でございますので、その普及率等を多少勘案して割り引いて考えなければいけないかな、そういたしますと、仮に八割程度を見込んだといたしますと、九万六千人、約十万人ぐらいの学生数になるのではないかな、そんな予測を立てているところでございます。
  15. 井上義久

    井上(義)委員 そうすると、現状で結構なのですけれども、今回CS利用に踏み切った場合に、そのうちどのぐらい実際視聴可能になるのでしょうか。
  16. 草原克豪

    草原政府委員 通信衛星利用いたしますので、全国どこでも、受信機アンテナを備えれば視聴可能になります。
  17. 井上義久

    井上(義)委員 CS受信機を備えればということなのですけれども現状普及をどの程度とお考えでございますか。実際の普及は。
  18. 草原克豪

    草原政府委員 CS普及状況でございますけれども、現在のところ約二十四万世帯というふうに聞いております。
  19. 井上義久

    井上(義)委員 二十四万世帯はわかっているのですけれども、そうすると、十万人ぐらいの入学希望者が出てくるというふうに先ほどおっしゃったわけで、CSによって多少なりとも視聴可能になる、だけれども現実は二十四万世帯しかいらっしゃらないわけでございますから、CSを採用した段階で、今既にCSを持っていらっしゃる、利用していらっしゃるというのはこのうちどのぐらいだというふうにお考えでございますか。
  20. 草原克豪

    草原政府委員 現在普及しておりますCSの台数二十四万世帯のうち、どれだけが放送大学視聴可能地域で、どれだけが不可能な地域がということについては、私ども数字を把握しておりません。
  21. 井上義久

    井上(義)委員 希望する人が全部CSを購入して視聴可能になれば一番いいと思うのですけれども、もともとBSでやろうということで当初の計画がありましたから、BSは相当普及して、入学希望の人なんかもBSは購入したという人も結構多いのではないか、こう思うのですね。  今回新たにCSデジタルでやるということですから、このための対応の受信機が必要になるわけでございます。五万円から七万円ぐらいかかるというふうに言われておるわけでございまして、授業料等を払って大変な中で高等教育を受けよう、こういう一般国民皆さん受講機会を拡充するためにこういう購入代金を貸し付ける制度を導入してはどうかというふうに私どもかねてから提案申し上げているのですが、こういうことについては何か具体的にお考えでしょうか。
  22. 草原克豪

    草原政府委員 CS放送視聴するために専用アンテナ、チューナーを購入する必要がありますけれども、これは現在約五万円から七万円で購入できるということでございます。CS放送自体放送大学学園としては無料で放送をするということにしております。したがって、先ほど申した五万円ないし七万円の経費負担をして視聴者には放送を受信してもらう、こういうことになるわけであります。  ただ、受信機器の貸し出しあるいは購入する際に補助するということになりますと、どの受信機放送大学受信専用に使われるのか、そこら辺がなかなか判定することが困難であろうと思っておりますし、私どもやはり、高等教育機会を受けるためにはある程度経費負担も必要ではないかな、それから、全国化を進める際のコストをできるだけ少なくするという観点からも、今のところ受信機設置に要する費用について、国の方で負担をするあるいは補助をするということは考えておりません。
  23. 井上義久

    井上(義)委員 入学金の一部だというふうにぜひ考えていただいて、検討していただければと思いますので、よろしくお願いします。これは要望にとどめておきます。  それから、先ほど大臣にもお伺いいたしましたけれども平成十二年にBS後発機がスタートするわけでございまして、郵政省も、放送大学BS4を使うかどうかについて早急な検討関係者のコンセンサスをつくってもらいたい、こういうふうに言っているわけでございます。具体的に言うと、もう来年度の予算に関係してくるわけでございまして、先の話ではない、こう思うわけでございます。  先ほど言いましたように、政策プライオリティーをどういうふうに考えるかということで、放送大学趣旨からいえば、これはBSができたらBSでもぜひやってもらいたい。特に、BSはもう一千万台普及しているわけですから、これは一挙に広がるわけでございます。ただ、コストがかかる。一方CSは、大学は当然入れば十年間は在籍できることになっていますから、BS普及しても、CSでやった人は途中で変わるというわけにはいきませんから、最低十年間はやらなければいけないということで、一番いいのは、BSCS地上波、これを並行してやるという本来の放送大学政策プライオリティーを優先するというのが一番だと思うのですけれども。あるいは、CS地上波、これはコストは非常に安い、ただ、どの程度いわゆる全国化という政策実現できるかがわからないということがあるわけでございます。それから、将来的に、郵政省なんかの高度化ビジョンによると、二〇一〇年ごろには衛星放送普及率が八五%というふうに言っているわけでございまして、そうすると、地上波というものを今度は逆に検討した方がいいのではないかというような議題も出てぐるわけでございます。  当然文部省として、そろそろ政策選択が迫られているわけですから部内では相当検討されていると思うわけでございまして、先ほど大臣に余り詳しく聞きませんでしたが、一方では行革という問題もあるということなのですけれども政策プライオリティーをどこに置いて今検討されているのか、ぜひお伺いいたしたい。
  24. 草原克豪

    草原政府委員 御指摘のとおり、BSは既に一千万世帯普及しておりますし、できるだけ多くの人に放送大学授業を聞いてもらうという観点からいたしますと、やはりBSというのは有効な放送の手段ではないかなというふうに思っております。  ただ、政策プライオリティーですが、先ほど大臣からも御説明がありましたように、放送大学としては、設立後十年余り経過しておりまして、まだ関東地域に、一部にしか電波が行き渡らない、こういう状況を早急に解消したいわけでございます。できるだけ早期全国電波を流すようにしたい、これが政策プライオリティーナンバーワンでございます。そういう観点から、現在議論されておりますBSについても、実際の打ち上げが平成十一年あるいは十二年ということでございますので、もっと早期全国化実現するために、この際CS利用に踏み切ったわけでございます。  ただ、BSについても、先ほど申し上げたような意味で魅力があるわけでございますけれども、当初予定していたBS後発機については、現在郵政省電波監理審議会放送方式についていろいろ検討が進められておりますけれども、この放送方式については、当初はアナログ方式ということで検討が進められていたように聞いております。しかし、最近は、アナログ方式ではなくて、BSとしては初めてですけれどもデジタル放送を実施しようという方向で議論がなされていると聞いておりますし、また、さらにデジタルの高精細度、ハイディフィニションテレビ、こういったものも導入するという議論もなされているというふうに聞いております。このような放送方式についての検討状況というのは、今後のBS視聴者数や、あるいはその放送に要する経費等にも当然影響が出てくるわけでありまして、そういった点も踏まえながら、文部省としては、当面CSによって全国化早期実現する、そしてBSについては、郵政省電波監理審議会の議論の状況、それから今後のCS放送普及状況等々を踏まえながら検討していきたいと思っております。  地上放送についても、これも当面は地上放送は地上放送で継続をして、そしてCSによって全国化を図る。将来的には地上放送をどうするかという議論は出てこようかと思いますけれども、当面はCSによる全国化実現ということに政策プライオリティーを置いて進めていきたいと考えているところでございます。
  25. 井上義久

    井上(義)委員 お話をお伺いしていますと、CSにかなり大きな期待をかけて今回の法案化に踏み切ったというように承ったわけでございますけれども、私も、このCSをやはり軸にして全国化していくということは、これからの通信衛星普及等を考えますと、その方向でいいのじゃないか、こう思うわけでございます。  それで、CSもそうですし、先ほどもちょっとお話が出ましたけれどもBS後発機、これも実はアナログとデジタル、両方でやるようになるわけでございまして、CSでせっかくデジタルでやるわけですから、そうなった場合にどういうふうなやり方をするか。一方でアナログしかない人がいて、この人たちにもこたえなければいけないということになるとやはりアナログ放送ということになるのですけれども可能性ということを考えるとやはりデジタルということを考えざるを得ない、こういうふうに思うわけです。  それで、デジタル化すると、これは当然多チャンネルということがデジタルの一番の特色なわけでございまして、要するに多チャンネル化すると、実はこの放送大学一つ放送番組として内容面を拡充しなければ見てもらえないということになってしまうのですね。何十チャンネル、何百チャンネルもできてくると、確実に大学資格を取ろうと思って入学する人はいいのですけれども、自由聴講生みたいに、自分の好きな講座を自由にいつでも聞こう、そういうニーズというのはいっぱいあるわけでございまして、要するに、全国放送ということで教育機会均等という目的は達成できても、実際に見てもらわなければ生涯学習という目的は達成されないわけでございます。そういう意味からいいますと、やはり放送番組としての存在価値というものも一方で考えて、放送大学授業内容の充実とか差別化というものを進めていかなければいけないのじゃないか、こんなふうに思うわけですが、その点はお考えでございましょうか。
  26. 草原克豪

    草原政府委員 放送大学は、公共の電波利用して、学生だけじゃなくて一般視聴者にももちろん公開されているわけでありますから、そして放送という媒体を使う以上、それにふさわしい内容それから形態の番組を提供するということは大変重要であると思っております。  放送大学では、特にこの全国化を契機に、放送授業の改善方策についてもさらに一層検討を進めようとしております。実際に、教授会のもとに教育課程編成委員会というのがありますけれども、そこに放送授業委員会という委員会を設けて、そこで放送授業のあり方について検討を進めて、最近第一次報告を取りまとめたところであります。  その報告の中では、放送授業を担当する講師の適性といいましょうか、放送メディアを活用することについての適性といったことについて十分配慮する必要があるとか、あるいは放送番組に関する各種の外部の調査結果等も活用すべきである、それから技法についてのいろいろな冊子、ビデオ等を作成して放送番組の内審の向上を図る、こういったことが提言されておりまして、放送大学としては、こういう点を踏まえて、平成九年度からこれを実施に移す予定であるというふうに聞いております。
  27. 井上義久

    井上(義)委員 先ほども国際化のところで申し上げましたけれども、要するに放送大学の設立目的は、高等教育を広く一般国民にその受講の機会を与えるというところが出発点なわけですが、先ほど言いましたように、放送高度化ということでいわゆるデジタルが登場したことによって、多チャンネルというものが非常に可能になってきている。ですから一この放送大学というものの持っている役割といいますか、可能性をもっとやはり大きく見ていった方がいいのじゃないかというふうに先ほどから私も申し上げておるわけでございます。  これからの放送大学の持っている可能性というのは相当大きいんだ、そういう観点で、例えば今私も時々見させていただきますけれども、いろいろな大学でやっている公開講座とか、それは大変な人が受講にいらっしゃる。あるいは自治体でもやっている。いろいろなところでそういうことをやっているわけですけれども、なかなか専門家の数も少ないですし、例えば自治体なんかでも非常に苦労してやっているわけでございまして、私は、生涯学習の振興の中核役割ということを考えると、いわゆる高等教育にとどまらず、そういう国民学習ニーズに合った、例えばそういう大学の公開講座であるとか、あるいは自治体がやっている講座であるとか、そういうところの中核的な役割をこの放送大学が果たしていくべきじゃないか、ここまでやはり広げてやっていくべきじゃないかというふうに一つは思うのですね。  それからもう一つは、例えば高校の単位制高校なんかも非常に専門家不足していて、なかなか思うようにいかないとか、いわゆる高校中退が非常にふえているとか、そうするとやはり例えば大検を希望する人が非常に多いとか、非常にニーズが多様化しているわけでございまして、そういう国民的なニーズにこの放送大学というのはこたえる可能性を十分に持っている、そういう観点からぜひ検討してもらいたいというふうに思うのです。     〔委員長退席、稲葉委員長代理着席〕
  28. 草原克豪

    草原政府委員 御指摘のように、放送大学は、CSチャンネル放送利用によって、いろいろな意味で新しい可能性がこれから開かれていくわけであります。したがって、放送大学にとっても、こういう新しい可能性、自分が持っている可能性というものを十分に生かすような方策を考えていかなければならないと思っております。  放送大学は、当初からそうですけれども放送大学授業を実施するだけではなくて、他の大学等の教育の向上に資するため、例えば教材の貸し出しもしていますし、単位互換も進めております。また、最近は、いろいろな資格を取得するための授業放送大学に取り入れてほしい、こういった要望もいろいろなところから出てきておりますので、そういう点も十分配慮しながら、生涯学習中核的な機関としての役割が果たせるように十分配慮してまいりたいと思います。
  29. 井上義久

    井上(義)委員 せっかく政務次官お見えいただいておりますので、生涯学習ということについてぜひ所見を承っておきたい、こう思います。  御存じのように、文部省に生涯学習局ができてから来年で十年になるわけでございます。今、日本の社会というのは、非常に急激な高齢化、国際化、情報化、それに個々人が対応していかなければいけない。知識とか技術というものは日進月歩で更新されている。そういうことを考えると、要するに生涯にわたる学習ということがこれからますます重要になってくると思うわけでございますし、それからまたその生涯学習を充実していくということは、いわゆる今の日本の学歴社会、これを本当に学習歴社会へというふうに転換していく一つの重要なポイントになるのだろうと思うのですね。  今、我々の友人なんかといろいろ話をしておりましても、いわゆる子供を対象にした教育投資、子供にお金がかかる、それも重要だけれども、自分に投資をしなければいけない、自己投資をしないととてもこれからの社会で生きていけない、こういうふうに皆さん認識し始めているわけでございまして、そういう生涯学習ということについて、まず、どのような基本的な考えをお持ちなのか、お伺いしておきたいと思います。
  30. 佐田玄一郎

    ○佐田政府委員 委員のいろいろ適切な御質問を承りました。今回の法案におきましては、高等教育のいわゆる普遍性というか機会均等、そしてまた、御案内のとおり今多極分散が叫ばれておるわけであります。そういう中におきまして、地域を中心として発展を期していかなくてはいけない。そういうことを考えますと、繰り返しになりますけれども機会均等並びに地域間格差をなくしていかなければいけない。そういう中におきまして、今回はCS利用してあまねくその機会をふやしていくということであります。  文部省といたしましても、学歴社会の弊害を是正して、心の豊かさや生きがいのための学習意欲の増大や、社会経済の変化への対応が求められる中で、人々が生涯のいつでも自由に好きなことを学ぶことができ、その学習の成果がきちんと評価され生かすことのできる生涯学習社会を築いていくことは、教育改革を進める上で極めて重要な課題であるわけであります。  このために、生涯学習推進体制の整備、多様な学習機会の提供、学習成果の適切な評価の促進などのさまざまな施策を推進するとともに、学校教育についても生涯学習の視点に立って、みずから学びみずから考え教育の転換を図り、子供の豊かな人間性や創造性、国際性をはぐくむことを目的として取り組んでおるところであります。本年一月作成いたしました教育改革プログラムにおいても、子供の個性を尊重しつつ、生涯にわたりその能力を最大限発揮できることを重要視点としておりまして、生涯学習の理念に立脚した教育改革の実現を目指しているところであります。  そういうことにつきましても、今回の法案を通しまして、平等に全国に行き渡るように、そしてそういう格差がなくなるようにぜひとも御理解をいただきたい、かように思います。
  31. 井上義久

    井上(義)委員 今生涯学習について非常に大事なことをおっしゃったわけでございます。要するに生涯学習の推進というのは、一つ学習機会の充実、今度CS化するということはそれに当たると思うのですけれども、もう一方では学習成果の評価それから成果を生かす方策、要するに、勉強した、それがやはり正当に評価される、またその勉強したことが自分の生活や社会に生かされる、やはりこれが車の両輪になっているわけでございまして、私は、学習機会の充実ということについてはこの九年間の間に相当大きく広がったというふうに、これはもう生涯学習局の皆さんの大きな力があったというふうに評価しているわけでございます。  ただ、学習成果の評価それから成果を生かす方策というのは、これは多分野にわたる総合的な環境整備というのが必要なわけでございまして、なかなか文部省だけでできないわけでございます。例えば先ほどから言っている放送大学について言うと、先ほども言いましたけれども、各種の資格試験に対応できるような、例えば放送大学で受講すれば資格がもらえる、それが自分の仕事に役立つ、あるいは先ほど言いました高校中退者が非常にふえてきて大学検定の要望が非常に強くなってきている、受講すれば大学検定の資格が得られるとか、そういう成果の評価というのが一方で必要だ。  それからもう一つは、成果を生かす方策ということで、もちろん自分の仕事や生活に生かすということもありますし、例えばボランティアという形で自分の学習した成果が大きく社会に生かされるとか、文部省いろいろお考えだと思いますけれども、そろそろ、こういう機会を充実していく、これからさらにもう一歩進めて、成果の評価、成果を生かすということ、やはり政策プライオリティーをそこに置いてこれからやっていかなければ、これは大きく広がっていかないのではないかということで、ぜひその見解を承っておきたいと思います。
  32. 佐田玄一郎

    ○佐田政府委員 委員の御質問はもっともなことだと私も感じております。これから、先ほどの御質問にもありましたように公開講座の問題であるとかそしてまた資格試験のいろいろな授業の問題であるとか、そういう意味におきましても、今回のCS利用したということによりまして、もう委員はよく御存じのとおり、CSの場合は圧縮技術であるとかそしてまたインタラクティブの送信であるとか、そしてまたコンピューターに直結できるとか、いろいろな利点があるわけであります。そういうことを考えますと、そういう利点を利用しながら、やはり今言われたような評価が得られるようなアプリケーションもこれから考えていかなければいけないのではないかと思っております。
  33. 井上義久

    井上(義)委員 ありがとうございました。
  34. 稲葉大和

    ○稲葉委員長代理 これにて井上義久君の質疑は終了しました。  次に、西博義君。
  35. 西博義

    ○西委員 新進党の西博義でございます。私は、放送大学学園法の一部を改正する法律案に関連して、何点かの質問をさせていただきます。  今回の法律改正は、放送大学全国化に向けての通信衛星、いわゆるCSによる放送平成九年度より開始する、こういうことが目的となっております。  昭和五十九年に関東平野においてテレビとFMラジオによる放送が開始されてから十三年がたちました。当面の最優先課題であった全国化が、法案としては短い法案でございますが、このことによって来年の一月に長年の念願が達成されることになりました。我々も細川政権において、教育機会に恵まれない各地方の方々にとって、いながらにして高等教育が受けられる、こういうことの意味から放送大学全国化に向けての第一歩の道を開いたわけでございます。  また、新進党といたしましても一昨年の参議院選挙の折に、時代の先取りという形でこの通信衛星利用による全国化の提言を行ってまいりました。文字どおり、放送大学全国化を推進してきた私たちの立場から、ようやく全国化実現への最終段階を迎えた、こういう意味で感無量の思いがございます。新進党は、CSデジタル放送を活用すればより早く全国化ができる、こういう方向から、またしかも将来的には多チャンネル化、さらに双方向、いわゆる受信送信双方向からの情報交換が確保できる、こういう技術的な側面なども勘案した上で、またさらにはコストBSと比較して格段に安い、こういうことからも、約二年前になりますが、その当時からCSの優位性に着目して、この方式による全国化を提言してまいりました。  その当時、文部省はまだ放送大学全国化BS放送、いわゆる放送衛星でございますが、これを利用して行う方針をそのまま続けておったわけでございますが、BS4の後発機の打ち上げがおくれるというようなこともありまして、我々の提言を受け入れる形で今回全国化実現することになった、こういう経緯がございます。我々としても、全国化早期に、一刻も早く実現するという意味では、CS方式で始めるというのは大変結構なことだというふうに歓迎をいたしております。  しかし、時代の経過が、特にこの通信また科学技術の進展は早いもので、その後、BS4の後発機デジタル放送を採用するという方向性がマスコミ等でも発表されることになってまいりました。そういう意味では、どんどんと環境が変化しているというふうに申し上げてよいかと思います。  そこで、先ほどもちょっと同僚議員から御発言がございましたように、CSの現在の加入者、具体的には今はパーフェクTV一社だと思いますが、その加入者と、それから、BSの加入者の現状は大体把握できておるのですが、将来見通しを若干教えていただきたいと思います。  また、将来においては、この加入者数の動向、さらには委託料とも関係すると思うのですが、そのようなもろもろの条件が国民にとって有利というふうな傾向が出るならば、今はとりあえずCSで先発するわけでございますが、BSの方向も考えられるのか。今、圧倒的にBSの方が加入者が多いという現状の中で、見切り発車、一刻も早くということを最優先にして出発をするわけですが、そのことも考慮に入れているのかというお考えを、この間の経緯も若干含めてお答えを願いたいと思います。
  36. 草原克豪

    草原政府委員 現在、BS放送視聴者数は約一千万世帯でございます。CSデジタル放送の場合は約二十四万世帯となっております。  将来これがどの程度普及するかという予測でございますが、大変難しいわけでありまして、BS放送については、現在、今後の放送方式をどうするかという検討が行われている段階でございますから、今後の普及予測というのはやはり放送方式が決まった後でなければ立てられないのではないかと思っております、また、CS放送については、今後新たな衛星も打ち上げられる予定でありますし、また事業者によって予測の数値が異なっておりますので、一概に申し上げるのは難しいのですけれども、CATV、ケーブルテレビの方も含めて、今後は、数年の間に、大ざっぱで申しわけないのですけれども、数百万台、数百万世帯になるのではないかなというふうに考えているところでございます。  それで、当面はCS放送によって全国化を図るということを最大の課題にしておりますけれども、それでは今後BS放送をどうするのか、こういう御質問でございました。  BS放送は、現在、電波監理審議会で行われている検討の中では、当初のアナログ方式ではなくてデジタル方式を導入する、あるいはデジタルのハイデフィニションテレビを導入する、こういった方向で議論がなされているわけでありまして、こういった放送方式に関する議論というのが今後の視聴者数にも影響を与えますし、また、それを利用して放送する際の経費にも影響を与えるわけでございます。  したがって、BS利用ということについては、文部省としては、こういった電波監理審議会における検討状況も踏まえ、そしてコストについても十分検討しながら、そしてまた、これからのCS放送自体普及状況等も勘案しながら検討していきたいと考えております。
  37. 西博義

    ○西委員 次に、各視聴者学習の現場であります地域学習センターのことについて若干お伺いをいたしたいと思います。当初は大臣にお答えいただく内容を予定していたのですが、大臣にも少し議論を聞いていただいた上でお答えをお願いしたいと思っております。  文部省は今まで、放送大学全国化の準備段階として全国各都道府県に地域学習センターを設置をして今日の全国化に備えてまいりました。来年度中には一応全都道府県に設置が完了する、こういうタイミングでいよいよ全国化のスタートが切られるわけですが、これまで全国各地設置されてきた地域学習センターの役割は、先ほどもちょっと議論がありましたけれども、テープを中心にして学習をしていくという形態でございました。それが、全国化が本格的にCSによって行われますと、それに伴って飛躍的にこの地域学習センターの役割は大きくなると思われます。もちろん学生数も、先ほども若干議論がございましたが、飛躍的にふえる、こういうことになってくると思います。  その一方、今の地域学習センターは、大変苦労なされて各地につくってまいってきたわけですが、設備等に、規模等も含めて若干でこぼこがあるというふうなこともお伺いしております。今後のこのセンターの整備体制、例えば収容人員の問題ですとかスタッフの問題、その辺の計画、それから、来年度で一応各県一カ所ということが完了していくわけですが、今後のさらなる設置の目標等をお聞かせ願いたいと思います。  さらに、そうなってまいりますと、今後増加していくセンターについては、常勤で先生方が近くにいるという条件が整えばよろしいのですが、そうでない場合には、先生方がセンターの方に移動して、そこで対応していただくというようなことも十分考えていくべきだというふうに私は思っておりますが、このことについても御答弁をお願いしたいと思います。
  38. 草原克豪

    草原政府委員 放送大学だけでありませんけれども通信制大学を卒業するためには面接授業として一定の単位を修得する必要がございます。これまで各地に整備を進めてきた地域学習センターは、御指摘のとおりビデオテープ等を活用した学習の場であったわけでありますけれども、今後、全国化に伴いまして、面接授業を行う場としてその役割が大変大きくなるというふうに考えております。  現在ありますこの地域学習センターは、いずれも規模の小さなものでございますし、今のままで面接授業を十分に行うということは大変難しいなというふうに考えております。したがって、全国で全科履修生、つまり、卒業を目的として勉強している全科履修生を受け入れて、そして一定の面接授業もできるようにするためには、そのための人的なあるいは物的な整備が必要になるというのは御指摘のとおりでございます。その際には、既存の大学等の機関の協力を十分に得る必要がありますし、また、これは施設面だけではなくて、教員、人の面におきましても、非常勤の教員の協力をいただく、こういうことも当然考えていかなければいけないというふうに思っております。  今後のその整備計画ですけれども、一挙にどこでも面接授業が行えるような体制を整えるというのは大変難しいと思っております。やはり年次計画によってこの学習センターの整備を図り、平成十年度から始めて四年間を目途にしてすべての学習センターで全科履修生の受け入れができるようにしたいというふうに考えているところでございます。  それから、地域学習センターは、御指摘のとおりまだ未設置県が四県残っておりますけれども、これについても早期設置できるように進めていきたいと思っております。  この地域学習センターが整備された後でございますけれども、これは先ほど申し上げましたように、未設置県がなくなった段階で、既存の地域学習センターを整備して、四年かけて、全科履修生を受け入れられるような体制を整えたい、こういうことでございます。
  39. 西博義

    ○西委員 一応、全都道府県一カ所に続いての具体的な次の目標が明らかにされました。この点についても、また充実をよろしくお願いしたいと思います。  その件につきまして若干申し上げたいのですが、東京工業大学の牟田先生とおっしゃる先生が、一九九三年に、「放送大学の総合的費用分析」という論文を書かれていらっしゃいます。このほかにも、この先生は、放送大学が卒業者に及ぼす効果の測定に関する研究等、随分御熱心に放送大学のいろいろな側面に対しての御研究をなされているのですが、この計算の詳細な条件とかは、時代も新しくなっておりますので若干議論があるかもしれませんけれども、この費用分析の中でこのようにおっしゃっていらっしゃいます。「学習センターの設置は高価であることから、できる限り伝統的大学と協力をし、基本コストを下げるのが適当である」、結論のところにこういう記述がございました。  もともと、放送大学教育活動というのは他大学との緊密な連携によって成り立っていく、こういう基本的な発想がございますし、また、そのことによって、大学の図書館なども利用させていただけるとか、そういうメリットも出てくるのではないかというふうに思います。そういう意味で、今後のセンターの設置、増設に当たっては、学習センターの設置も、独自に場所を求め、また建物を建てるという方向よりも、既存の大学施設をお借りをしてコストを削減し、また、そういう学生のいる環境の中で、ふだんは各家庭で学習をしている全科履修生を中心とした皆さん方が大学の雰囲気を味わっていただくといいますか、そういうことも必要ではないか、こう思っておるわけでございますが、御意見をちょうだいしたいと思います。
  40. 草原克豪

    草原政府委員 地域学習センターは、多くの場合、大学の中に設けられております。場合によっては、大学ではなくて、その地域の生涯学習センターに設けられている例もございます。  こういうような形で、既存の大学との連携協力を日ごろから図っているわけでありますけれども、御指摘のとおり、センター独自で何でも実施しようというのではなくて、やはり、非常勤講師を大学から派遣してもらったり、あるいは図書館のような施設を使わせてもらったり、あるいはセンターの施設そのものについても借用という形で利用させてもらう、こういった形で、既存の大学から協力を得るということは、大変重要なことだというふうに私ども考えております。  現在の地域学習センターでもそのような考え方で進めておりますけれども、今後、全科履修生を受け入れ、面接授業を実施する段階になりますと、恐らく、今まで以上にそういった既存の大学との連携協力が必要になってくるだろうと思っております。そういった点について、地元の大学を初めとする関係者の理解を得るように、十分努めてまいりたいと思っております。
  41. 西博義

    ○西委員 次に、放送大学の財政について、若干御質問をさせていただきたいと思います。  平成八年度の二学期の学生の数は、すべて含めまして六万四千人というふうに載っております。また、先ほど、放送大学CS衛星によって全国化した場合の学生数の増減についても、若干この場で質疑がございまして、見通しが出されました。  その上で、私、九六年の放送大学学園要覧というのをちょうだいしたのですが、それによりますと、一番最後の方のページだったと思うのですが、平成八年度の予算が載っております。それを見ますと、収入総額が百二十八億円、その中で授業料による収入が二十六億三千万ぐらいでしょうか、二一%に当たります。それに対して国庫補助が九十二億八千万、七三%でございます。まだ国庫によるほかの意味の収入が若干あるわけですが、この状態が今の現状だというふうに理解をしております。  来年から、全国化によって学生が増加をしてまいります。それによって授業料収入が上がる、ふえるということが見込まれるわけですが、一方、衛星テレビの委託放送料等の支出もふえる。もちろん人件費も若干ふえるかもしれません。また、先ほど議論しました、地域学習センターにおける費用も若干ふえてくるかもしれません。全国化に伴って、収支ともに、そんないろいろな増減があるのだろうと思います。  この事業収支がどのように変化をしていくというふうにお考えなのか、まずお伺いをしたいと思います。
  42. 草原克豪

    草原政府委員 現在は、全体の支出が百二十八億円、そのうち授業料による自己収入が二十八億円でございます。  二十八億円という授業料収入が今後どのようにふえていくかということでございますが、これは、ひとえに学生数がどのようにふえるかということにかかっているわけでございまして、いろいろな不確定要素はありますけれども、私どもは、全国化によって、一応の試算として約十万人程度学生数を見込んでおります。したがって、それによる授業料収入というのは当然あるわけでありますけれども、また、一体授業料をどこに設定するか、授業料の額の設定によってもこれが大きく変わるわけであります。  それから、他方、支出の方ですけれども通信衛星利用して電波を流すための経費というのは、通常の年度で年間三億円程度を見込んでおります。初年度、平成九年度は一・五億円を見込んでおりますけれども、そのほかに、先ほど来御指摘ありますような、地域学習センターの整備等々に要する経費もございます。  その中でどういうふうに自己収入比率を高めていくかということが、私どもにとって課題であると認識しております。コストの削減にはできるだけ努力をして、そして、先ほど申し上げたように、学生数の確保ということに全力を挙げて、全体の中における自己収入比率を現在以上に高めていく努力をしていきたいと思っております。
  43. 西博義

    ○西委員 十分な推計はできないとは思いますが、その辺のことも十分考慮に入れて、収支についてもできるだけ改善をしていくという努力が必要だと思います。  これもある方の記事を読ませていただいたのですが、放送大学の方の中に、以前、少し前でございますが、放送大学が特殊法人であるということから自己収入比率を高めなければならないという要求に全く根拠がない、自己資本比率を高めるということについて余り根拠がないというおっしゃり方をされている御意見がございました。  そもそも特殊法人は、公共性、それから企業性の調和を図りながら企業経営原理を導入していく、こういう事業主体なんですね。そういう意味で、行財政改革という観点から、さらに類似の形態の大学も出現している状況の中で、放送大学だけが特殊な存在であるという根拠はますます薄弱になってきているというふうに思います。そういう意味で、収支の改善というのは、避けては通れないことではないかというふうに思います。  今述べましたように、高等教育のサービスが多様化し、競争が激しくなる中で、魅力のある、また競争力のある大学づくりが迫られている。結果的には、民営化を行ってもやっていけるよ、こういう体制まで持っていく努力をしていくことが大事ではないかというふうに思います。  放送大学の財政の強化について、どういう方向で努力をされようとしているのかについて、方針をお聞かせ願いたいと思います。
  44. 小杉隆

    小杉国務大臣 放送大学におきましても、私は、コスト意識を持つということは、御指摘のとおり非常に大事だと思います。  特に今、財政構造改革の中で、教育分野も聖域を設けず、こういう方針でありますので、今の収支状況を見ますと、百二十八億円の経費に対して自己収入が二十八億円ということで、その比率は極めて低いわけですね。  そこで、今生涯学習局長が答えましたように、これからCSによって全国化を図るわけですから、今六万四千人の学生を大幅にふやすという努力をするということ、それから授業料についても、今、私立大学通信制大学とほぼ見合った料金ですけれども、その授業料でいいかどうかという点、こういった収入増については鋭意努力をする必要があると考えております。  それから一方、経費についても、CSによって三億円の増ということですが、今後事業者がふえるに従って料金競争も激しくなって、料金もできるだけ低く抑える努力もしなきゃいけませんし、また地域学習センター、これからまだ未設置のところを四カ所整備していくとか、あるいは従来のものでも、手狭になったり、全科目を受講する人にとってちょっと狭隘である、こういうようなところの対策もやらなきゃいけませんし、今、西委員が御指摘になったように、地域の図書館あるいは地域大学との協力とか、そういうことを精力的にやりまして、できるだけコスト削減に努めるということで、私は、放送大学に限らず、これから文教行政全般を、そういったコスト意識というものも十分持っていかないといけないんじゃないか、こういうふうに考えております。
  45. 西博義

    ○西委員 ありがとうございました。  だからといって、必ずしも生涯教育段階授業料を上げて何とかコスト意識を優先しろという意味で申し上げたのではなくて、放送大学として努力すべき点は徹底的に努力してほしい、こういう意味でございます。  幸いにして、BSの数十億という打ち上げ費用から比べますと、三億程度という今回の全国化に対する費用は、当初見積もっていたよりも安く上がるという方向ですので、さらなる努力を続けていただければかなり好転する可能性があるのではないか、こういう意味で申し上げさせていただきました。  続いて、放送大学の将来構想について申し上げたいと思います。  放送大学学生さんの年齢構成を見てもわかるとおり、社会人教育というのがこの放送大学の大きな目的になっております。これまでは、比較的高等教育を受ける機会に恵まれておりました関東地方を中心にテレビ、ラジオで放送が行われてきましたけれども、いつでもどこでも学習機会が得られるという意味では、今後、生涯学習中核機関であり、全国化は待望の事業展開が行われた、こう理解をしております。     〔稲葉委員長代理退席、委員長着席〕  しかし一方、ここ数年の急速な情報化社会の到来によりまして、今まで予想していなかったような新しいシステムが次々とあらわれております。これは高等教育に関しましても、御多分に漏れず大変な激変をしていく予感が今するわけです。そういう芽が各地で見られます。  例えば大学をネットワークで結ぶオンライン大学構想というのがございます。私もちょっと新聞を見せていただいたのですが、北は北海道から九州に至るまでの十六の大学並びにその周辺の機関を結んで、そして実際の授業風景を画像でデータベース化して、学生が見たいときにコンピューターでもって授業を受ける、こういうことが図られるという記事でございます。  そういう意味で、大学のオープン化が進み、その結果、学生が先生を選べる時代が到来する、こういうふうに書かれております。そんな構想が軌道に乗れば、オンラインを使った授業を単位として認めるかどうかというような課題も現実問題として起こってくる、こういうところまで来ております。  さらには、これを発展させていきますと、さまざまな世界で行われている授業、講義がコンピューターを通して自宅で学習できるという、もうシステム上はでき上がったと同然のところまで来ておると言っても過言ではないわけでございます。  そういうシステム、それからあと通信衛星回線で結んだ衛星通信大学間ネットワーク、スペース・コラボレーション・システムといいますか、こういうシステムも、これは三十七の大学を結んで今双方向で講義や研究をお互いが実施をしている、こういう記事も載っております。  ほかにも、先ほどから話のあるCS放送では、宅建講座それから社労士の資格の取得ができる講座、こんなものが同じ衛星には乗っておりますし、その他教養、趣味の番組が多数放送されております。  今後ますますこのような多様な形態の教育サービス、高等教育を含めての教育サービスの提供が増加をして、放送大学のプログラムとの境界線はますます不明確になってくる時代が来るのではないか、もうすぐそこまで来ているというふうに思っております。  このように、情報通信分野では日進月歩で技術革新が進んでおり、そうした意味で、いかに早く将来を見通して環境の変化に柔軟に対応して事業展開をしていくかということが大変重要な課題になってきているのではないかと思います。このことは、十数年前に放送大学を議論をし、その構想を文教委員会でやりとりをしていたときには考えられなかった、衛星を通じての全国化、または全国化を、どういう形かわかりませんが全国化をするという、ただ一つの存在として考えていた時代とは大きく時代が変わったというふうに思うわけでございます。  当面の目的である全国化の達成、もう目前でございます。その意味ではこれは非常に結構なんですが、この際、やはり放送大学の次への構想について議論を行っていくということは大変大事なことではないかというふうに考えます。  一昨年、私たちの提言、先ほども井上委員から種々新進党の政策提言がございました。複数の学部をつくったらいいのではないか、大学院考えたらいいのではないか、またさらに、デジタル時代が来るわけですから、放送大学として双方向の授業を研究していく必要があるのではないか、さらに、外国にもすぐれた授業というものを提供する可能性があるのではないか、こういうことを種々御提言をいただきました。  その個々について、先ほどかなり御答弁もいただいたのですが、先ほどからずっと、私のわずかな知識ですが、今の情報に関する高等教育をめぐる状況大臣、お聞きをいただいた上で、どのように御感想をお持ちであるかということを御答弁願いたいと思います。
  46. 小杉隆

    小杉国務大臣 井上委員、西委員を初め、新進党の皆さんがこうした分野で大変建設的な御提言をされていることに、まず敬意を表したいと思います。  今御指摘のように、この情報通信、マルチメディア時代における教育の多様化といいますか、その可能性というのは非常に広いものがあろうかと思っております。  これは、今御指摘のように、大学においてもいろいろ構想を実行していろいろな大学でお互いに協力し合っているというケースもありますし、また、高等教育ばかりではなくて初等教育におきましても、小中学校におけるこねっと・プランだとか、あるいは、今GLOBE計画というのでアメリカのゴア副大統領なんかが非常に熱心に取り組んでおりますけれども、初等教育におきましても、こうしたマルチメディアを利用した新しい教育というものは大いに未来のある分野でありますし、私も、そういった観点から、教育改革プログラムでも情報通信の時代にふさわしい教育ということを申し上げております。  今、放送大学による大学院構想とか双方向の教育とか外国への放送教育とか単位の認定とかいろいろ提案がございましたが、こういうものもすべて私どもも視野に入れて、できるものもありますし、できないものもあるかもしれませんが、非常に急ピッチで進展するこの状況に合わせて、私どもも真剣に研究し、また取り組んでいきたいと思っております。
  47. 西博義

    ○西委員 大変心強い御答弁ありがとうございました。このことについては、本当にみんなが教育の重要性ということにかんがみ、また、社会教育の進展ということにかんがみ、お互いが提言をしながらできるだけ立派なものに、また、展望のある放送大学に今後育てていけるように私どもも努力をさせていただきたい、このように思います。  時間がもう余りなくなってまいりましたが、次に、サービスの向上について若干御意見をちょうだいしたいと思います。  放送大学教育のサービスの向上についてでございますが、今回、デジタル放送という形で、この特性を生かしていく方法としては双方向授業の開発、先ほどこれは申し上げたとおりでございます。また、CS利用により全国のどこの大学でも放送大学授業が見られる、こういうことになるのですが、さらに、これからは学生が好きなときに好きな授業を引き出せる、もちろん今の、ビデオに収録しておいて、それを見るということもこれは方法としてはあるのですが、新しい方法としてビデオ・オン・ディマンドという方式がございます。このことが実現すれば、放送大学のサービスがより向上するのではないかというふうに思います。  そう思っていろいろ調べてみますと、我が国でも岡崎市で、岡崎リサーチセンターと市内の小中学校との間を光ファイバーで結んでデジタル・ビデオ・オン・ディマンドを活用した授業、生徒さんが自分の受けたい授業を自分で選択をして受ける、こんなことが実験的に行われている、こういう記事がございました。平成六年の十一月から既に始まっているということでございます。  将来、放送大学においてもこのような双方向の授業またはビデオ・オン・ディマンドのサービスということをやはり目指していくべきではないか。これは地上の話でございますので、既存のCATVのネットワークなんかにそういう仕組みをサービスとしてつけていく、こういうことを想定しているわけですが、このようなことをお考えであるかどうか、お聞きをしたいと思います。
  48. 草原克豪

    草原政府委員 CSは、その潜在的な能力として双方向性という機能を備えているわけでありますけれども、現在、そのCS利用して双方向的な授業を実施するということについては、それをするためには受信者である学生の側が設備を用意しなければいけない、こういった問題点もありますので、現時点では難しいかなという感じがいたしますけれども、しかし、いずれにしても双方向性を中心とした新しいメディアの新しい技術の活用ということはやはり大事なことだろうと思います。そういった点、今後のいろいろなメディア技術の進展を見守りながら検討すべき課題ではないかなというふうに思います。
  49. 西博義

    ○西委員 もう時間が迫ってまいりました。最後に、一つだけお伺いをしたいと思います。  放送大学学園は、設立当初から学長、副学長はもちろん、全教員に五年間の任期制を適用しております。昭和五十六年の放送大学学園法案の質疑の際に文部省の御答弁の中に、この任期制の導入の趣旨として、放送を通じて国民にすぐれた講義を開放するというためには、特定の教員が永続的に放送大学の教員の地位を占めるということが適当ではなく、全国にわたってトップレベルの教員が適宜参加できるような体制をとる、こういう御答弁でございました。  任期制を適用して、平成元年から実際には適用になっていると思うのですが、約十年になります。この間の任期制についての評価、当初の目的に対する評価、それと見解をお教えを願いたいと思います。
  50. 草原克豪

    草原政府委員 放送大学では、御指摘のとおり、できるだけ多くの各方面のすぐれた先生方に放送大学授業の提供に参加をしていただきたい、こういう気持ちを持っておりますし、また、先ほど引用されたように、特定の教員がそういう意味で長い間永続的に放送大学の教員の地位を占めることは適当ではないのではないか、こういった観点から教員について任期制を採用しているわけでございます。  これまで任期満了に伴って再任された方も大勢おられますし、また任期満了に伴っておやめになった方も大勢おられます。また、本人が再任を希望しながら、しかし審査によって再任されなかったという例もございます。そういう意味では、任期制は放送大学にとって当初の目的に照らして機能しているのではないかなという感じはいたしますけれども、しかし任期制を実施するためには放送大学だけが任期制をとっていても、教員の後の就職先を考えるとなかなか難しい点があろうかと思います。  これは、全国的な規模でこういう任期制というものが導入されるような、あるいは日本全体の中に教育者、研究者の流動性が高まるような素地が育ってくれば放送大学の任期制ももっと機能するのではないかな、そんな感じを持っております。
  51. 西博義

    ○西委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  52. 二田孝治

    二田委員長 次に、山元勉君。
  53. 山元勉

    ○山元委員 民主党の山元でございます。  私は、今回出されました法案に積極的に賛成をしたいというふうに思っています。それは、日本のどこででも、あるいは人生のいつでも、あるいは自分の望むことをだれでもが学べるといういわゆる生涯学習の理念に沿ってこれを広げようというものですし、確かにその社会的なニーズは広がってきているわけです。そういう点では、この法案、賛成しなければいけないというふうに思います。  去年、遅かったのですけれども、私の地元の滋賀で地域センターをつくっていただきました。私もその開所式に行ったのですけれども、龍谷大学に置いていただいたのですが、龍谷大学の人もあるいは生涯学習に熱意を持っている人たちも大変喜んでいて、そして、これからについて大きな期待を持っているのがありありとわかりました。そういう意味で、これがなお金国放送化されていくことについての法案ですから、私は積極的に進めていただきたいというふうにまず思います。  そこで、時間が少ないのですが、若干具体的なことについてお尋ねをしていきたいと思います。  この放送大学というのは、孤立しているのではなしに、他の学習機関大学や短大や、あるいは地域にあります生涯学習センターなどと連携をしていかなきゃならないものだというふうに思います。そのことで総合的な生涯学習が拡充をしていく。生涯学習については、さまざまな人たち、例えば年齢あるいは学歴、職業あるいは生活のありよう、そういうものがさまざまな人たちが求めているものですから、そういうものに対応していく、そういう人たちのニーズにこたえていく放送大学でなければいけないというふうに思います。  そうすると、今申し上げましたような他の学習機関との連携が何はりも大事なんだろうというふうに思います。そういう連携を保つことで、広げることで、多様な人たちの学習意欲を喚起することもできるし、あるいは学習を効率的に提供することができるのだろうというふうに思うのです。  そこで、放送大学として、そういう他の教育学習機関との連携をどのように考えていらっしゃるのか、あるいはどのように努めてこられたのか、まずお伺いをしたいと思います。
  54. 小杉隆

    小杉国務大臣 具体的なことは後から局長から答弁させますが、基本的に私は委員の御意見と同感でございます。これは放送大学にとっても、また他の大学にとっても、双方向の協力というのは非常に有益であろうと思います。お互いに刺激をし合いながら、生涯学習の促進あるいは一般大学学習にもプラスになるというふうに思っております。  現在、単位の互換協定というのを放送大学と他の大学で結んでおりますが、約百七大学と聞いておりますけれども、これがちょっと一方通行でありまして、他の大学学生放送大学の講座を履修してそれを取った場合には単位として認める、こういうケースはあるのですが、放送大学学生が他の大学の単位を取るというのがまだないのですね。そういう放送大学学生ニーズというのが少ないということで、今はそういった一方通行の状況になっております。  しかし、冒頭申し上げたように、単位互換の双方向化というものは重要だと認識して、今後増進をしてまいりたいと思っております。
  55. 草原克豪

    草原政府委員 補足をさせていただきます。  既存の大学と連携を密にして、そして既存の大学、我が国の高等教育機関全体の質の向上を図っていく、それに貢献するということは、放送大学にとっては当初から掲げられた重要な目的、機能の一つでございます。  そのために、ただいま大臣から御答弁申し上げました単位互換も進めておりますし、そのほかに既存の大学との連携としては、例えば、客員教員を派遣してもらうとか、あるいは既存の大学学習センターを開設するとか、あるいは既存の大学の図書館を利用する、こういった点で協力関係を持っているわけであります。また、放送大学から既存の大学に対しては、放送教材を無償で貸し出す、こういった協力を進めているところであります。
  56. 山元勉

    ○山元委員 では互換協定についてですが、おっしゃるように、確かに協定があって大学皆さん放送大学を使うことができる。しかし、国立大学では四つしかないのですね、協定を結んでいるのは。ことし何か五つになったという話を聞きましたけれども、資料では四つしか国立大学はない。私立大学で五十六、短大四十四、割合にしたら大変少ない大学と互換協定が結ばれているわけですね。  私は、国立大学四校と見て、これはやはり政策的にというのですか、施策として積極的に進める姿勢がなかったのではないかという気がするわけですね。当初から制度として特別聴講生制度を設けてある、現在でも四千人ほどしかないというのは、その努力というか、そういう施策が足りなかったのではないかと思うのですが、今後、少なくとも国立大学との協定というのは努力をされる方向なんですか。
  57. 草原克豪

    草原政府委員 御指摘のように、放送大学と単位互換協定を結んでいる大学のうち、国立大学としては千葉大学、東京水産大学、高知医科大学、琉球大学、高知大学、現在この五校でございます。大学、短大合わせて百七校のうちの五校でありますから、数から申しまして大変少ないということは御指摘のとおりでありますけれども、今後は、CS放送による全国化実現によって、国立大学との単位互換についても促進されることを期待しておりますし、私どもも、国立大学だけではなくて、全国大学にこういう単位互換という制度がある、これをぜひ活用していただきたいということを積極的に呼びかけてまいりたいと思っております。
  58. 山元勉

    ○山元委員 国立大学の参加の問題もそうですが、先ほど大臣がおっしゃいました、互換ではなしに一方通行になっているということですね。これは平成五年ですか、調査研究協力者会議が、「放送大学学生も他大学・短大で単位を取得し得る方向で、具体的に検討する必要がある。」こういうふうに指摘しているのですね。平成五年ですから相当の時間がたっているのですが、いわゆる一方通行を解消する互換ということでの方向はどういうふうに進んでいますか。
  59. 草原克豪

    草原政府委員 現在、大学との単位互換の場合には、既存の大学学生放送大学の単位も取得する、こういういわば一方通行の単位互換が行われているわけでございます。制度的には、放送大学学生がそれ以外の大学で単位を取得して、それを放送大学の単位に充てるということは可能でございます。可能でございますが、放送大学に聞きましたところ、現実には学生からのニーズが非常に少ないということでございました。  恐らくその背景としては、放送大学学生は、いろいろな時間的なあるいは空間的な制約の中で、時間をつくり出して、その中で、実際にテレビを見るといいながらも、テレビの自分の関心のある番組を録画しておいて、自分の都合のいいときにそれで勉強している、こういう実態がございますので、なかなか既存の大学に出かけていって勉強するということについては難しい点があるのではないかなというふうに推察しております。  しかし、お互いの大学における教育を活性化するということは大変重要なことでございますし、単位互換を双方向化するということはやはり重要な課題ではないかなと認識しております。私ども、今後その実現に向けて、関係者の理解を得られるように努めてまいりたいと思っております。
  60. 山元勉

    ○山元委員 先ほどは、放送大学学生は多様な学生、こう言いましたけれども、現在の既存の大学、短大の学生も本当に多様化しているわけですね。さまざまな職業を持ちながら大学へという人たちもいるわけですから、これはぜひ道をつくっていただく、そういう努力をお願いしたいというふうに思います。  もう一つ、連携の問題でいうと、地域に生涯学習センターがあって、これは、簡単に言うと生涯学習振興法ですか、長い名前がついていますが、あの法律で、随分と各自治体が努力をして、充実してきているわけですね。そことの連携も大変大事だというふうに思います。  生涯学習センターは、私の近くにも立派なものがありますけれども、本当にさまざまな人がさまざまな活動をしています。そういう人たちが、例えばお花からダンスから、いろいろなグループもつくって、大変いろいろな勉強をしていらっしゃる。そういうところと連携をする、あるいは少なくともそこのところへ情報を流すということについては、その人たちの学習意欲、学習の方向というのを支援するだろうと私は思うのですね。  そういう意味で、生涯学習センターと交流をする必要がある。中教審では、生涯学習センターは放送大学と連携すべし、あるいは先ほど言った研究協力者会議では、放送大学は生涯学習センターと連携をすべしと、両方から連携を呼びかけているわけですが、私はまだ極めて不十分だろうと思うのですね。  特に、私の地元でいうと、センターがつい去年できたところですから、そういうところはありませんけれども、既存の大学の中におかげさまでつくってもらったことはいいけれども、さまざまな人が集まってきて、既存の大学の校舎、構内へ一般の人が入っていってそれに触れるということはなかなかないわけですね。ですから、そういう機会を生涯学習センターにつくるということは大いに意義があると思うのですが、そういう実態、例えば進んでいるところですね、私のところは遅いと言いましたけれども
  61. 草原克豪

    草原政府委員 御指摘のとおり、平成二年の中教審の答申におきましても、放送大学について、都道府県が設置する生涯学習推進センターや、あるいは大学、短大が設置する生涯学習センターとの連携協力について提言がなされております。  これを受けて、放送大学地域学習センターにおきましてもさまざまな連携の活動を実施はしております。実際に放送大学地域学習センターが県の設置する生涯学習センターの中に設置されているという例も四カ所ほどございます。また、そうじゃないところにおいても、こういった生涯学習関連施設との連携協力のもとに、例えばビデオ公開講座を開催したり、あるいは各地で開催されます生涯学習フェスティバルに協力をしたり、あるいは放送大学教育内容を紹介するといった活動を展開しているところであります。  今後、放送大学全国化によって、そしてまた各地における放送大学地域学習センターの整備が進むことによって、こういった他の機関との連携もより一層促進されるのではないかと思っておりますし、私どももそのように努力をしたいと思っております。
  62. 山元勉

    ○山元委員 放送大学にしても、自治体が持っている生涯学習センターにしても、本当に生涯学習の大きな拠点であるはずです。ですから、その拠点がしっかりとネットワークをつくるということは、相乗効果を出してくるだろうというふうに期待できると思うのです。  そういう意味では、ぜひ、今までできている各府県に置かれている地域センターはほとんどが大学の構内に置かれていて、今おっしゃるように生涯学習センターとか、いろいろなところに置いてあるのがありますけれども、両方特徴があるだろうと思いますけれども、そのことが中核となり、しっかりとネットワークをつくるように努力をしていただきたい。また、新しいところなどは、特にそういう指導をしていただかないとそれぞれが孤立してしまうだろうというふうに思います。  それでは次の問題ですが、この放送大学は、いうところの偏差値も入学試験もない大学、唯一のそういう大学だというふうに思うのですが、それがどのような意義を持っているのか、あるいはそういう入試なしに大学の勉強に入っていくということについて、今までの十年間でどのように評価をしていらっしゃるのか、教えていただきたい。
  63. 草原克豪

    草原政府委員 放送大学に学ぶ学生は極めて多様な背景を持っております。社会人として活躍している人で大学で勉強したいという人もいますし、また高校を卒業した段階で既存の大学には行かずに放送大学で勉強したいという人もいますし、そういう多様な学生に対して教育機会を広く提供するということが本来の放送大学のねらいでありますので、そういう意味で、よくキャッチフレーズ的に言われるのですが、学ぶ意欲、それが入学資格ですよということを言っております。そういうふうにみずから意欲を持って学習に取り組む、そういう学生を受け入れるのが放送大学であります。  それから、既存大学と違いまして、放送によって学ぶわけですから、学生数が必ずしも施設の規模によって制約を受けないといった点もありますので、放送大学としてはこういった入学試験を行わないで広く意欲のある学生を受け入れるということができるのではないかなというふうに考えております。それがまた、放送大学の存在理由一つでもあろうかと思います。
  64. 山元勉

    ○山元委員 まさに局長がおっしゃる学ぶ意欲を持っている学生というのが大事なのだろうと思うのですね。それが入学資格なのだ。すべての大学でもそれは言えることだというふうに私は思いますね。  よく言われますように、高校では一生懸命になって受験勉強をやって、入ってしまうと遊びほうける、遊びほうけるという言葉はおかしいですけれども、勉強は余りしない。中にはまじめに本当に勉強している学生もいるのですよ。けれども、入るまでは必死になって受験勉強をやって、入る意欲はあるけれども学習する意欲の余りない学生が多い中で、この放送大学は、局長がおっしゃるように、学ぶ意欲のある人が入学資格があるのだ。ということに日本大学を全部する必要があるだろう。そうならなければいかぬだろうと思うのですね。  そうすると、入試の方法を既存の大学についても考える必要がある。この放送大学のありようについてしっかりと評価をして、一般大学にはめていく、そういうことが大事なのではないかというふうに思うわけですが……。
  65. 小杉隆

    小杉国務大臣 委員の言わんとしているところはわかりますが、基本的に放送大学と普通の大学とは違うと思うのですね。放送大学というのは電波利用してやるという特性を持っておりますし、一般大学は施設とか教員の数とかいろいろな制約条件がありまして、一概に両者を比較をするということはできないと思うのです。  仮に、今言われたように、希望する者をすべて収容したらどうか、こういうお話ですが、現実には、少子化がどんどん進行していて、数年後にはほとんど大学定員と入学志望者が同じになってしまう、こういう時代も来るのですが、しかし、私はやはり一般大学で、無制限に入れるということはいかがなものかと思います。やはり学生が、その適性とか能力に応じて、この大学で勉強したいのだ、こういう希望を無視して、何でもかんでもいらっしゃいということはできないと思うのですね。  そういうことをいたしますと、例えば東大とか京大にみんな集中してしまって、実際問題として教育が成り立たない、こういうこともありますし、そこら辺はぜひ御理解いただきたいと思います。
  66. 山元勉

    ○山元委員 違うとおっしゃいましたけれども、私は同じことだと思うのですよ。  というのは、例えば百二十四単位取って学士号を取る、放送大学でも、一般大学でも。放送大学の卒業と一般大学の卒業とは上下があるのですか。同じように日本大学を卒業したというそういう資格でしょう。ですから、確かに態様は違うけれども、学ぶ意欲があって大学に入る。放送大学であった、あるいは京大だ、東大だと。そういう学ぶ意欲のある者が大学に入って、百二十四単位取って大学を卒業したということにおいては、私は違わないと思うんですよ。  だから、違わないそういう日本教育制度というものをしっかりと——大臣がおっしゃるように、一遍に自由にどこへでもいらっしゃいということでは、それは東大がパンクするかもしれない。今の学歴社会なり、あるいは格差があると言ったらおかしいかもしれぬけれども大学制度では確かにそういう問題があると思いますけれども、しかし私は、しっかりとこれは検討する必要があるだろうというふうに思うんです。  現にいろいろの、例えば大学審の委員さんの中でも、やはり大学の入試制度を変える必要がある。入り口を広くして出口を狭くする方法だとか、あるいは資格試験にして順番に入っていくんだということを論じていらっしゃる方もある。だから、やはりこの放送大学一つの評価をしっかりとして、大学の入試のあり方について、私は、文部省としても進めていただきたいというふうに思います。  しかし、考えてみますと、先ほど局長が互換制度を進めます。大臣もおっしゃった。互換制度を進めていったら、放送大学の単位と他の大学の単位と値打ちが違うんですか。こちらの方は入学試験で一生懸命になって勉強して、東大だと。こちらは意欲だけで入った大学です。その大学学生が、あっちの単位を取った、こっちの単位を取ったといって、一方通行でなくて互換だといったときには、これはどうなるんですか。  私は、そういう矛盾も考えると、入学試験というものについて、しっかりとやはり評価をし直す必要があるんではないかというふうに思うんですが、いかがですか。
  67. 小杉隆

    小杉国務大臣 一定の単位を取って卒業認定をするということについては、放送大学一般大学でも、これは全く同一だと思います。  ただ、その問題と、じゃ希望する者を全員入れてという話とはちょっと同一線上にはないと私は思うわけであります。  もちろん、委員が御指摘のように、大学入試制度の改革は必要でございます。ただ単にペーパーテストの成績だけではなくて、それまでのいろいろなボランティア活動とか、環境問題の活動とか、あるいは介護の福祉活動とか、そういった評価とか、あるいは運動、スポーツとか文化面の評価を入れるとか、あるいは面接とか小論文とか、そういう評価の多様化とか、あるいは多元化というのは必要だと思いますけれども、その問題と先生の言われる問題とはちょっと違うように思うんですけれども
  68. 山元勉

    ○山元委員 おっしゃるとおり、私も、一気にそうだ、一緒にするということを言っていないんです。確かに、学ぶ意欲というものを評価をして大学の門を考えるということが大事なんで、そのごとについての検討をぜひしていただきたい。こういうことです。  時間がありませんから、もう少し申し上げたかったんですが、一つは、この放送大学学園は特殊法人です。そういう意味から少しお尋ねをしたいわけですが、予算の問題については先ほどありました、コストが私も安くないというふうに思います。  ですから、これはぜひ効率的にしてほしいと思うんです。具体的な数についてはもう申し上げませんが、平成七年に、私も参加をしていましたが、行政改革にかかわって、閣議決定で、この放送大学もいろいろの指摘を受けているわけですね。放送大学については、例えば、出願手続等の簡素化だとか、あるいは事業の効率化、あるいは経費の節減、先ほど論議がありましたけれども、自己収入の確保ということについて努力をすべしというのが閣議決定でございました。  その後二年たったんですが、去年度、今年度、一昨年度もありますが、どのようにこの法人、努力をされているのか、お尋ねをしたい。
  69. 草原克豪

    草原政府委員 平成七年の閣議決定において、放送大学学園についても補助金の節減を求められておりまして、出願手続の簡素化、それから非常勤職員、客員教員の一層の活用などにより事業の効率化を進め、経費の節減を図るとともに、学生数の増を図り自己収入の確保に努めているところでございます。  具体的に申し上げますと、例えば全科履修生と選科履修生というカテゴリーがありますけれども、それらの出願の際に、以前は違う書類を出させておりましたけれども、この出願書類を共通化することによって、例えば印刷経費の節減を図りましたし、それから、地域学習センターにおける非常勤職員、非常勤講師の活用を進めまして、全体として経費の節減を図りました。これによって、平成六年と平成七年を比べますと、自己収入が二億五千万円ほど増加いたしましたし、自己収入比率ということで申し上げますと一%ポイント増、改善されている、こんな実績でございます。
  70. 山元勉

    ○山元委員 確かに、学生がふえていけば自己収入はふえるわけです。そういうことでいうと、広くPRすることも大事ですけれども。だから、今おっしゃった二億というのが、学生がふえていって、あるいは地域センターをつくっていくんですから、それはふえることは当然なんですが、私は、実際はそうかなという感じ。余り細かく言うといけませんけれども、例えば今年度の予算でいうと、事業収入三十一億ですね。役職員の給与がそれを上回って三十二億五千万です。そのうちの役員の給与が一億三千万円。相当高い比率になっているというふうに思うんですね。  特に、行革の中でも再三論議がありました。例えば教職員の数が大変多いといっても、やはり三百人余りですね。役員が、非常勤含めて十人いらっしゃるわけです。常勤が六人いらっしゃる。私は、たくさんの教官の方が多くの分野授業を分厚くしていただくことについては意義があるし、そこのところでコストがかかってくることは当然だと思うんですね。けれども、六人の常勤役員と非常勤で十人、要るんですかね、やはり多過ぎるんではないかという感じがするんです。  これは、上限が法で決められてありますから、ですから、努力はできるんだろうと思うし、そしてやはり、この学園法ができたときに附帯決議があって、役員の適正な選任、運営委員も含めて適正な選任ということが附帯決議の一番に、努力の一番に書いてあるわけですね。そういうことを今、大臣も何回もおっしゃるように、行政改革あるいは財政改革のときに当たって、しっかりと見直す必要があるんではないかというふうに思うんですが、いかがですか。
  71. 草原克豪

    草原政府委員 放送大学は、通常の大学と違って、ただ大学教育を提供するということだけではなく、電波利用するという側面がありますし、それによって、全国多数の学生学習機会を提供しているわけであります。  そういった放送大学の性格を考えますと、やはり、そういう事情によく理解を示しておられる方を役員として迎えなければならないということもありまして、これまでも各関係の機関、団体の意見を聞きながら、役員として適任の方に就任をお願いしているところでございます。  また、放送大学には運営審議会というのもございますけれども、この運営審議会にも、先ほど申したような観点から、適任者が得られるように、人材の起用を図っているところでございます。
  72. 山元勉

    ○山元委員 時間が来ましたから、これはこの時期に学園のあり方についても、しっかりとそういう面から検討していただきたい。むけむけの言葉で言えば、例えば職員の方の年齢が高いとか、あるいは行政経験者、官庁からのよく言う天下りが半数に達しているとか、いろいろのことがあるわけですね。ですから、これからの教育機関ですから、ぜひこの役員、職員の皆さんにも生き生きと頑張ってもらうということで、文部省が十分な指導をしていただくように要請をして、終わらせていただきます。ありがとうございました。
  73. 二田孝治

    二田委員長 次に、石井郁子君。
  74. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 今回の改正では衛星による放送が開始されるわけで、また放送大学放送全国で受信できるということになるわけですから、全国的に卒業生を送り出すことが可能となるということかというふうに思うんですね。そうしますと、そういう全国放送の開始とともに、放送大学を卒業したい、こういう希望者も大幅にふえるだろうというふうに思われるわけです。  そこで、当然ですけれども、それにこたえる体制というものが必要だろうということで、特に、全科履修生に義務づけられている面接授業の体制あるいは学習センターの拡充、これは先般の質疑にもございましたけれども、その点についてもう一度伺っておきたいと思います。
  75. 草原克豪

    草原政府委員 現在各県に設置を進めております地域学習センターにおいてはビデオテープ等を活用した学習が行われているわけでありますけれども全国化に伴って、委員指摘のとおり、卒業に必要な面接授業を実施する場としてこの地域学習センターをさらに整備していく必要があると考えております。当面は、地域学習センターそのものがまだ設置されていない県が四県ございますので、これら四県においては早期地域学習センターを設置していきたいと考えております。  またその後、全国化に対応した学習センターの整備ということにつきましては、先ほど申し上げたような面接授業の実施ということを踏まえまして、これも平成十年度に全国一挙にそういう体制を整えるということは難しいかと思いますけれども、年次計画によって、平成十年から四年間を目途にすべての地域において全科履修生が受け入れられるように整備を進めていきたいというふうに考えているところでございます。
  76. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 地域学習センターがどのようになっているのかということで、私も、大阪の場合、たまたま大阪教育大学がセンターとなっている、私は大阪教育大学におりましたのでちょっと尋ねてみたんですよ。そうしましたら、やはり学生からも、全科履修で大学を卒業したいという声は大変多い、熱望されていると聞きました。全科履修センターとしての設備の拡充ということはぜひやってほしいということでございました。  今のお話の中では、そういう点では、例えば大阪の地域学習センターでは、土曜、日曜はもう二百人を超えている、ビデオの再視聴学習室には四十台で、待ち時間などもあるということも聞いていますし、また全科目履修センターということになると、やはり設備の増設が要るんだということですね。特に大阪教育大学は老朽化しているところもございますので、そういう点の充実ということも当然考えておられると思いますけれども、念のため一言例答弁いただきたいと思います。
  77. 草原克豪

    草原政府委員 地域学習センターを全国化に対応した学習センターとして年次的に整備していくに当たりましては、まず地域間のバランスとかあるいは学生の規模それから地域的な特性等を考慮しながら、そしてまた財政当局とも調整した上で順次進めていきたいと思っております。  そして、平成十三年度を目途にそのような体制の整備を完了させたいと思っておりますが、その整備に当たりましては、面接授業等が実施できるようにということは当然でございますけれども、しかし同時にコスト意識ということも十分考えなきゃいけないわけでありまして、設置されている大学あるいは周辺の教育機関の協力をいろんな面でできるだけいただきながら、地域学習センターの機能が十分に果たせるように整備を進めていきたいと考えております。
  78. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 面接授業についてさらにもう一点ぜひ伺っておきたいんですけれども放送大学がテレビやラジオの受講だけでよいというものではないのはもう言うまでもないことであります。多くの学生が、本格的に学びたい、特に面接授業というのを大変望んでいるということも強調したとおりでありますけれども、その点は、放送大学学園要覧、入学案内にもはっきり書かれてあるとおり、面接授業は、教室等において教員から直接指導を受ける機会として重要であるばかりではなく、学生相互の啓発や親睦の面において大きな意義がありますというふうにあるわけですが、実際に放送授業科目の単位取得率が三割であるのに対して、面接授業科目では八割以上なんですね。ですから、いわゆるスクーリングが学生の単位取得を大いに励ましているというふうに言ってもいいかと思うんです。  そういう点は当然だろうと思うんですが、にもかかわらず、今開校から十年以上が経過して、先ほど来学習センターの未設置県があるという問題もございますし、もう一つ、これは放送大学が九五年三月に出されました「放送大学現状課題」がございますね。この中では、全国化に備えて面接授業の義務制を緩和する、こういう方向が打ち出されているんです。ちょっと私は驚いたわけです。  この点は、スクーリングの重要性というのは当委員会でも何度となく審議され強調されてきたというふうに思うんですね。また、文部省が基本構想として重視してきた正規の大学である、こういう方向とも逆行するというふうに私は思うんですが、文部省の見解をぜひ伺いたいと思います。
  79. 草原克豪

    草原政府委員 放送大学を含めて通信制大学にとっては、実際に学生が教師と接する場である、それから学生同士が顔を合わせる場である面接授業というのは大変重要な役割を果たしているというふうに思っております。  「放送大学現状課題」という報告書ですが、これは放送大学の中に設置された自己点検・評価委員会平成七年三月に取りまとめたものでございます。その中で面接授業の「義務制については、これを緩和する方向で検討する必要があると思われる。」こういうふうに提言されているわけでありますけれども、この趣旨は、全科履修生の中にも多様な学習目的を持っている者がおりますので、面接授業を一律に必修にする必要はないのではないか、こういう指摘もあるということを言っております。  それからまた、放送大学の場合にはテレビによる授業でございまして、一般通信教育とは異なって、ある程度テレビによる授業そのものに対面的な要素もあるので、面接授業に代替できるんではないか、そういう考え方もある、こういう考え方を紹介した上で、その緩和について検討をする必要がある、こういう内容の提言でございます。  これはあくまでも放送大学の中における検討結果でございますけれども、いずれにしても、この面接授業のあり方については現在大学審議会において議論されているところでもありますので、それを見守ってまいりたいと考えております。
  80. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 私が申し上げたのは、文部省としてスクーリングの重要性、あるいは正規の大学としての方向をこの大学に課してきたわけですから、そういう点を今後もきちんと踏まえていくのかどうかという点なんです。大学の中のいろんな議論はあるかもしれません。しかし、文部省としてどうなのか。やはりもう少し責任ある答弁が求められると思うのですが。
  81. 草原克豪

    草原政府委員 面接授業は大変、放送大学を含めて通信制大学で重要な役割を果たしているわけでありまして、この点については考え方は特に変わることはないと思いますけれども、ただ、先ほど御紹介しましたように、放送大学検討の中で、いろんな学習目的を持っている者に対して一律に面接授業を必修にする必要があるのかどうか、あるいは、テレビによる授業にはそういう対面的な要素も含まれているから、それである程度は代替できるのじゃないかという考え方にもそれなりの理屈はあるような感じがいたしますので。しかし、これは放送を使った通信教育における面接授業のあり方という基本的な事柄でもありますから、大学審議会における検討を待って対応したいと思っております。
  82. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 放送大学に入学された四十八歳の女性の方が、授業だけでなく合宿ゼミあるいは自主ゼミ、こういうところにも参加されて、こんな感想を述べられているわけです。「それまでの人生には経験したことのない学ぶ楽しさを知りました。」それで、放送大学役割をやはり大いに感じるというか、意義を果たしているということは思うわけですけれども、また、そういうスクーリングの大切さということがこういうところにもあらわれているというふうに私は思いますけれども、ここで、こういう問題と関連して伺いたいのは、この授業をされたのは教育学研究者の深谷昌志氏でございます。  深谷先生の授業に対してこういう感想が述べられているのですが、放送大学は任期制を導入した日本で最初の大学ですよね。しかも五年という任期であります。一九八九年に、この深谷先生を含む三人の方が大学を離れるという事態になっています。なぜ再任されなかったのか、このことについてちょっと簡潔に御説明ください。
  83. 草原克豪

    草原政府委員 平成元年の三月三十一日に任期満了となった深谷教授はか二名の教員については、当初はこの三名とも任期制を守って、任期到来を待って退職をする、こういう意思表示をしていたわけでありますけれども、その後、そのうち二名が当初の意思表示を撤回して再任を希望した、こういう経緯がございました。このことについて当時の放送大学の評議会において議論をいたしまして、その結果、今回は任期をそのまま遵守し、再任を行わないことが放送大学の将来にとって最善であるという共通認識に達した、こういう結論を出しております。そして、二名の教授から提出された再任審査の希望に対しては、この理由によって再任審査を行わないこととした、こういうふうに決められたわけでございます。
  84. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 今の説明ではどうもよくわかりません。なぜ再任されなかったかというふうに私は聞きましたし、そのためになぜ再任の審査をされなかったのか、この理由も述べられませんでした。  それで、この問題については当事者の先生方がこういう本を書かれていますよね。「放送大学で何が起こったか あらためて「大学」を問う」という本がありますので、その中に基づいてちょっと私は質問したいわけですけれども、再任がされないということを学長がその先生方に通告されるわけですよね、学長からの申し出というか。その理由はこういうものでありました。「懇親会などの酒席に出席する率が低い。」二点目に、「研究業績があまりに多いのは、自分で論文を書かずに、名前だけつけているのではないかという人もいる」、三つ目には「卒論をあなたのもとで書く学生が多い」、こういうことが言われたそうです。  一体、こういうことは理由になるんだろうか、私は驚くべきことだというふうに思うのですが。ですから、この人事というのは非常に恣意的なものではないのか、客観性もなければ透明性もないという点でもそう言わざるを得ないわけですけれども、文部大臣はこの事態をどのようにお考えでしょうか。
  85. 小杉隆

    小杉国務大臣 私は、放送大学の任期制というのはぜひ必要だと思っております。といいますのは、これからCS放送によって全国化が図られて、受講生が激増すると我々も期待しておりますし、努力をしていかなけりゃいけない。そのためにはすぐれた教員をやはり確保する。これはもう地域的にも全国規模でいい人材を集める、あるいはまた各分野、特にこの放送大学は三百講座ぐらい、非常に多岐にわたっておりますので、それぞれの道のすぐれた教員を確保するということで、そういう見地から考えますと、同じ人がずっとやっているということよりも、まあ五年程度で任期をつけて新陳代謝を図るといいますか、いい人材を確保するということは大事だと思いますので、基本的に私は任期制が必要だというふうに考えております。  そこで、今御質問の具体例につきましては、先ほど草原局長からお答えしたわけですけれども、これはさっき答弁したとおりで、これは放送大学の自主性において、そこの評議会で十分審議をしていただいた結果、今回は任期をそのまま遵守し、再任を行わないことが本学の将来にとって最善であるとの共通認識に達した、こういうことで最終決定をした、そして本人もこの決定を承諾したというふうに聞いておりますので、御指摘のような問題は、私は杞憂だと考えております。
  86. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 私はちょっと事実が違うのじゃないかと思いますが。この本をお示ししたわけですけれども、決して本人は承諾していないんですよ。だから、なぜ再任されないかということと、なぜ再任の審査も行わなかったのか。本人は再任審査を要求しているわけですけれども、その審査さえ行われない、このことが問題なんですよ。ですから、こういう形で再任拒否されるということがあっていいのかという問題を言っているわけであります。  先ほど理由を、本当に驚くべき理由ですよね、こういう理由を言われて、当事者として当然引き下がれないじゃないですか。どうでしょうか。これから任期制が議論になるわけですが、例えば研究業績はどうかとか、学生の指導がどうかとか、こういうことが幾つか言われているわけですけれども、先ほどの理由でもいわば、論文はたくさん書かれている、それから学生の指導も熱心だ、卒論でつく学生も多いということがあるわけで、こういうことが逆に拒否の理由になるとしたらやはり、とにかく任期制のもとではその任期内でみんなやめてもらうということでしかないわけですね、何が何でもやめてもらう。  じゃ、内規などにも再任の可能性も書いているわけですよね、それは全く有名無実というか意味がないということになるわけですね。大臣に再度伺いたいと思います。
  87. 草原克豪

    草原政府委員 大学の教員大事については、これは放送大学の自治で行っているものですから、私どもとしてその判断そのものについてコメントをすべき立場ではないと思いますけれども、いずれにしても、このお二人の方については大学の最高意思決定機関である評議会において、先ほど申し上げたような形の決定を十分議論した末出したわけでありますし、最終的にはこの決定をお二人とも承諾しているというふうに開いておりますので、問題はないと思います。
  88. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 放送大学はそういう内規をもって進めているわけですけれども、学長とか評議会に非常に権限が集中している。だから評議会にも学長が議題を提案するということですよね、それ以外にないわけですね。そしてこの経過のように学長が、あなたはこういう理由でやめてくださいと言ったら、その根拠も示されない、どういう議論があったかの中身も示されない。ですから、本人にはもう本当に不明朗な形で一方的に通告される。私は、これがやはり任期制なんだろうというふうに思うのです。だから、教員の人事、大学の教授会の自治にゆだねられている、その教授会の自治ということが全くこれではまかり通らないというふうに言わなければいけません。  それで、この審議はこの復されるわけですけれども、最後に一点だけ、アメリカの大学では、テニュア、終身雇用の保障という制度がございますね。教員の解雇などが相次ぐ中で、こういう権利侵害を起こさせてはいけないという形でテニュア法などが制定されている。だから、教員の身分の保障、または定年までの安定雇用ということは世界の流れだというふうに私は思うのです。そしてまた、それは歴史にも学んでいるからこそ、そういう任期制などをつけてはならないということだというふうに思いますので、このことを指摘をいたしまして、きょうの質問は終わりにしたいと思います。
  89. 二田孝治

    二田委員長 次に、保坂展人君
  90. 保坂展人

    ○保坂委員 社会民主党の保坂展人です。  きょうは、放送大学学園法の一部を改正する法律案に関連をして幾つか質問をさせていただきます。  実はCS衛星放送で、デジタルではなくてアナワクだったのですが、CS放送で、私は九四年、今から三年ほど前ですけれども、一年間、若者向けの討論参加番組のキャスターを務めたことがあります。これは全国のそれこそCS並びにケーブルテレビで見られるということだったのですが、実はその当時受信機は二万弱でした。現在二十四万と聞いて随分ふえたんだなということを思います。この二万あるいはケーブルテレビでしか視聴されていないという番組の性格というのは、確かに手ごたえがない、だれが見ているのかわからないという部分と、もう一つ、既存のテレビ局にはできなかった極めて大胆な自由な試みができたという意味で、大変おもしろい実験をしました。  実はこの番組が始まった直後に大河内清輝君が亡くなるといういじめの事件が起きた。急速いじめの問題を考えようということで首都圏に住む高校生、大学生に呼びかけたところ、スタジオに三十人ほど子供たちというか若者が集まって、大変積極的に意見を言ってくれるようになりました。これはもう本当に予算がない番組だったので、実は子供たち、若者が座る客席も、ビールケースの上にベニヤ板を敷いて、その上に発泡スチロールを切って座布団のかわりにするという究極のコスト意識を持ってつくられた番組なの。ですけれども、極めて激論、九十分ほどの番組を毎回やったのですが、月に一回というペースで番組があるたびに、九十分番組の一時間前に集まって話をし、そして九十分間の放送の後に大体三時間から四時間、その若者と話をするという体験をさせていただきました。  その中で発見したことは、たくさんあったのですけれども、やはり日本の若者もそういう機会があれば、最初はおずおずとではあるけれども意見を言い出してくる。そしてそういう若者たちの中に、脳性麻痺で体、手足がうまく動かないのですけれども、頭に棒をつけて、それでワープロ、パソコンを打ちながら、パソコン通信でその番組に参加をしようという高校生があらわれたりしまして、実に多様な形で若者たちが発言をする、参加をするという中で、いじめの問題を半年以上連続して考えてみるという機会を持ちました。  その後、例えば薬害エイズ問題の川田龍平君がスタジオに来て、同世代の若者と語り合うという機会もあったのです。  まず最初に伺いたいのは、今回は放送大学の法案についての議論をしているわけですけれども、もっと幅広く放送というふうにとらえたときに、いじめの問題、今の問題というのは重要で、何かあるたびに語られるわけですけれども、実際にこれを地上波のテレビ局が、例えば大河内君の事件のときにはその放送をやります、ところが、ある程度ほかの事件が起きたりすると、そういうことを地道に続けていく番組というのは余りないのですね、深夜のラジオで一部あるのですけれども。  この実験を通して見て、いじめならいじめという問題を継続して若者が参加しながらぐっと考えていくという場があると、見ている人たちからもファクスがどんどん届き出し、そして来月は来てみたいということで遠くから来たりとかいうようなことがありました。また、アメリカのニューヨークと結んでアメリカの若者と双方向でやろうとか、いろいろなアイデアが出てくるのですが、何せそういうものにはスポンサーがつかないのです。  ですから、文部大臣に伺いたいのですが、日本の若者たちが、これは中高校生、大学生、そして学校に行っていないで働いている若者も含めてですけれども、そういう命やいじめやあるいは人生の根源的な問題についてじっくり語り合うという機会放送を通してもっとつくるべきではないかと思うのですが、これについて文部大臣のお考えを伺いたいと思うのです。
  91. 小杉隆

    小杉国務大臣 いじめの問題とか命の問題は、非常に私ども深刻にとらえて、その対策を一生懸命頑張ってやっているところでございますが、放送大学そのものの放送でそういう問題を取り上げられるかどうか、これはちょっと研究してみる必要があろうと思います。  きちっとカリキュラムを決めて放送しておるものですから、その中の一環としてあるいはやれる可能性もあるかどうか、そこはちょっと研究してみないとわかりませんが、例えばこれは、放送大学に限定しないで、NHKにしても民放にしても、そういう一つのいじめ問題を取り上げた番組で、若者同士の交流あるいは外国との交流、そういう企画は可能だと思いますから、そういうところにも私は大いに期待したいと思っております。
  92. 保坂展人

    ○保坂委員 確かに放送大学のカリキュラムの中にということではいろいろ無理があろうかと思いますけれども、先ほど大臣が言われたように、実際に悩んでいる子が、深夜でもいいからそういう悩んでいる子たち同士の会話であるとか——私がやった番組で一番反響を呼んだのは、いじめている側が自分の過去を話したのですね、ちゃんと顔を出して。いじめられている側もちゃんと顔を出して話した。そして、二人がお互いそのときどういう気持ちだったかというのをずっと長いことディスカッションしてみた。そうすると、周りで聞いていた人たちからも、自分も実はいじめをやっていたんだというようなことがどんどん出てくるのですね。ですから、若者たちの持っているそういう力というのをもっと引き出すような道具としてテレビというのは物すごく大きな役割をするということを申し上げて、次の点に入りたいと思います。  実は、これは高校の問題なのですけれども、前回も少し触れさせていただいたのですが、通信制の高校が不登校の体験者や中退者の受け皿になっているのですね。通信制高校というのはずっと生徒が減ってきたのですけれども、ちょうど今から八年ぐらい前からふえるようになりました。  それで、私は神奈川県内のある通信制高校に何度も通って生徒たちと話をしたのですけれども、生徒が激増して、二十年ぶりに生徒会が復活する、文化祭をやるようになる、通信制の高校でスクーリングが、週末、土日だけではなくて毎日学校に来て部活動をするなんというようなことが起きているわけですね。大変生き生きと、自分は貿易商になって成功したいんだとか、あるいは看護婦さんをずっと続けるために勉強しているんだとか、目標を持った若者たちが来ているのですね。  伺いたいのは、文部省として、通信制高校を過渡的な、やがてなくなる仕組みとしてとらえているのか、あるいは、現在的な新たな役割を内包した仕組みとしてとらえられているのか、このあたり、担当の方に伺いたいのです。  加えて、中退者の数の発表がありましたけれども、先般指摘させていただいたとおりに、高校の中退者の数の中に通信制高校という項目がなかったのです。ですから、例えば通信制高校で部活動や生徒会で中退を調べようといったときに、通信制高校が枠がなかったとすれば、やはり子供たちの気持ちもありますし、その辺も含めてちょっとお答えいただきたいと思います。
  93. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 まず第一点の通信制高等学校に対する考え方でございますけれども、御案内のとおり、通信制高校は、スタートの当初は、勤労青少年というような働きながら学ぶ子供たちにも高等学校の機会を与えるという形でスタートをいたしました。しかし、その後生涯学習という視点に立ちまして、そうしたいわゆる勤労青少年に高等学校を提供するということだけでなく、広くさまざまな形で、高等学校教育を受けたいという人たちに高等学校教育の場を提供する、こういう形での役割に広がってきていると思います。そして、今現在、平成八年度の時点で、十五万人を超える人たちが通信制高校に学んでいるということでございまして、今後こうした柔軟な高等学校教育機会という観点に立って、さらに整備が進められていくべきものというふうに思っております。  それから第二点の、高等学校中退者調査の中で、通信制高校についてこの調査から外しているのはいかがかということでございますが、これは先回にも先生から御指摘を受けた点でございます。  私ども、いろいろ研究しておりますが、全日制あるいは定時制の場合には、毎日子供たちは学校に出てまいりますので、そこでいろいろな子供たちの兆候を見、中退のおそれはないかという形で子供たちを見、そして中退をしていく場合にはどうしてかという形での把握ができるわけでございますけれども通信制高校の場合には、子供たちが原則家庭にいるわけでございます。そこで、中退の兆候があるかないかとか、あるいは中退したかどうかというようなことにつきましては、学年をかえて新規にもう一年通信制高校を続けるかどうかというところで把握されるというような、学習形態の違いが非常にございます。  そういう意味で、この把握の仕方等も非常に難しい面もございますので、私ども、これまでは全日制、定時制に限って調査をしてきておりますけれども通信制に学ぶ子供たちについてのそういった問題についての把握をどうするか、これはこれからの研究テーマにさせていただきたいな、こういうふうに思っております。
  94. 保坂展人

    ○保坂委員 その点は、入学者数はわかるわけですから、大きな受け皿になっているわけですから、ぜひ項目に加えていただきたいということを要望して、もう一点、さきに二月十九日の当委員会で伺ったことなんですが、通信制中学というのが、東西、大阪と東京にあるわけです。そのときに、大阪では学齢期の子供は入れるというふうに聞いているがということで御質問させていただいたのですが、これは事実と違ったようでございます。  実は、いろいろ調べましたところ、二、三年前までは学齢期の子供あるいは十代の若い人たちが入っていたということのようです。そして、そのときの委員会でのお答えで、通信制中学というのは、尋常小学校卒業者及び国民学校初等科修了者を当分の間入学の対象とするというお答えだったのですけれども現状はどのようになっているでしょうか。その人たちの年齢というと六十代以上になっているかと思うのですが、その方たちだけが学んでいるというスタイルなのでしょうか、その辺を具体的に伺いたいと思います。
  95. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 通信制の中学校は、全国で二校ございます。そして、一校は東京、一校が大阪でございます。  東京都の場合について申し上げますと、平成八年度の数字でございますが、在籍者数四十人でございます。年齢別には、二十代が五名、三十代が三名、四十代が五名、五十代が六名、六十代が十八名、七十代が三名、こうなっております。  それから、大阪の場合でございますと三十二名でございまして、年齢別では、四十代が三名、五十代が二名、六十代が四名、七十代が三名、このほかに刑務所に服役中の方が二十名、これらの方々につきましては年齢は承知いたしておりません。  二十代、三十代の方が入っているわけでございますけれども、これは別科生という、本科ではなく別科という制度がございまして、その課程に受講をされている例ではないかというふうに私どもは承知いたしております。
  96. 保坂展人

    ○保坂委員 前に中学検定の問題について文部省は改革の中で、十六歳から十五歳へというふうに規制を緩和された。この趣旨は、不登校ということの中で学びの意欲を持っている子供たちがチャレンジするそのチャンスを与える、広げるという趣旨だったろうと思うのですね。この趣旨にかんがみれば、例えば病気で外に出られないとか、あるいはいろいろな事情でいじめを理由にして学校に行けないとか、そういう子供たちが通信制中学につまり学齢期から学ぶことができるという方向で考えてもよいのではないかと思うのですが、この点についていかがでしょうか、お考えをいただきたいと思います。
  97. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 通信制中学校は、学校教育法の附則で明確にされておるわけでございますが、これは、戦前義務教育が六年でございました。その切りかえによって新制中学校に進んだわけでございますけれども、義務教育が六年でございましたので、六年で終える方もいらっしゃったわけでございます。そういう方々を主として意識いたしまして、当分の間、尋常小学校卒業者、国民学校初等科修了者には通信による中学校教育機会を与えるという形で、附則で特例として、経過措置として設けられたわけでございます。したがいまして、新しい制度のもとでの中学校相当者は、やはり昼間のと申しましょうか、通常の中学校において学習をしていただく、これが原則であろうというふうに思っております。
  98. 保坂展人

    ○保坂委員 もう時間がないので終わりますけれども、映画で「学校」という夜間中学を描いた映画がございました。ここには、働く人やさまざまな経歴を持った人、そして不登校やいじめに遭った子供も、夜間中学で出会って人間的に再生していくというプロセスが感動的に描かれていましたけれども、ぜひそういう改革の方向を子供たち本位に柔軟に開いていただいて、もう一度再検討をしていただきたい。夜間中学についても、学齢期の子供は以前は入れていたのですが、今はなかなか難しいようでございます。その点を申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  99. 二田孝治

    二田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  100. 二田孝治

    二田委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出放送大学学園法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  101. 二田孝治

    二田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  102. 二田孝治

    二田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  103. 二田孝治

    二田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十七分散会