○前島
委員 そうすると、いわゆる特措法に基づいて四回積み重ねてきた改善
計画路線といいましょうか、それの延長線上はとらないということは、自助
努力にも合理化にも限界が来たな、こういう前提だろうと思いますね。そういう状況でなおかつ民有林を含めて森林への
国民の期待というものは大きいこともまた事実ですね。そうすると、合理化、自助
努力を中心とした改善
計画路線ではなく、新たな方法で、新たな手法でといいましょうか、新たな森林
行政の理念で出発してやっていかないと、これからの林業も国有林も無理だな、こういうことになるわけですね。そうすると、それでは、新たなといいましょうか、従来の
考え方と違った森林の理念、国有林の
方向は何なのかというところだろうと思うのです。
そこで、やはり国有林、林業というのは、
国民の要望あるいは無視し得ない
時代的背景が今日まであった。そういう面では昔から、戦中戦後、やはり林業、とりわけ国有林というのが、
生産ということ、そういう面に大きなウエートがあって、それがまた
時代の
要請であった、こういう
時代だったと思いますね。高度成長
時代までがそうであった。同時にまた、
日本の財政という側面から見て、この国有林というものに
一定の
日本の財源、財政の根拠を求めて、国有林に増産させてきた、拡大させてきたというのも、これも
時代背景である。そのためにやられてきたのが独立採算制であり特別会計路線でもあったと私は
認識しています。これが昭和三十年代、高度成長
時代までのある
意味では
時代の
要請であった。それに合った一つの林業というものもやってきた。いろいろな見方があるけれ
ども、これも一つの選択であり、
現実にやってきた、
時代の
要請ここたえてきた林業、林政、国有林のあり方であったと思います。
しかし、高度成長が終わったのを境にして、林業、国有林を取り巻く情勢は変わって、
国民の
要請も変化してきた。しかし、この変化に林業の
行政というものがずれてしまったので今日の国有林の現状になってしまった。だとすると、ここでもって
基本的に対応の仕方を変えてみよう、こういうことですね。
そうすると、今日の国有林への期待と
要請というのは何かというと、現に白書で出てきているわけですね。
平成三年の白書のところに国有林の任務、国有林の果たすべき
役割というのが出てきて、
国民の期待、要するに、従来の
生産から、
環境へ向かっての、あるいはリフレッシュに向かっての、そういう期待に変わってきたのだと。それから山村移住へと国有林の任務というのは大きく変わってきたということが
平成三年の白書で明確に三点出てきているわけです。もちろん、二点目に
生産の提供ということを言っていることは間違いないのですけれ
ども、出てきている。それが三年。そして
平成六年の白書には、これは森林
文化という
言葉を使って、森林
文化の新たな展開という形でもって、白書でもって国有林、森林の
役割というところが変わってきているわけですね。こ
れが私は最近の新たな情勢、新たな
国民の期待だろうと思います。これにこたえていくという
行政展開をしていくことが今後の国有林再建の道であり、林業転換の道だろうと私は思っているわけです。
そういう面で、私は、
基本的に今度の再建の
議論を境にして、いわゆる
生産主義といいましょうか、大きく言うと、
農林省というのは昔、聞くところによると農商務省といって、通産省、
農林省が物をつくる官庁なんだというところで出発してきた官庁なんですね。しかし、私は、こういう林業を取り巻く情勢から
考えると、事林政に関して
は、この
生産官庁としての
役割よりか、七〇年代、八〇年代に起こってきた
環境を中心とした
国民の期待にこたえていく、そういう林政の
方向に変えていくところにこれからの道があるような気がするのです。そういう面で、この
生産主義といいましょうか、
生産官庁としての林政の
基本理念から、
環境を中心とした
国民の新しい期待にこたえるような、
要請にこたえるような、
環境保全あるいは資源の保全だとか、こういう
観点に
基本的に
農政を変えていく、こういう
方向に行くべきではないだろうかというふうに私は
基本的に思っているわけなんです。
大臣、ここの
基本的な
認識の転換が今求められているのじゃないのでしょうか。私は、またこの
考え方が昨年の長期
計画あるいは
基本計画の答申の中にも出ているだろうし、これはこれからの国有林の再建の一つの
基本的な理念であるべきではないだろうか、それがまた改善
計画路線で限界が来てしまった結果としても、これからとるべき道ではないだろうかと思っていますが、その辺のところの
基本的な
認識を
大臣に伺いたいと思います。