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1997-04-08 第140回国会 衆議院 日米安全保障条約の実施に伴う土地使用等に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月八日(火曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 野中 広務君    理事 甘利  明君 理事 杉浦 正健君    理事 鈴木 宗男君 理事 中谷  元君    理事 高木 義明君 理事 二見 伸明君    理事 村井  仁君 理事 前原 誠司君    理事 穀田 恵二君       石崎  岳君    稲葉 大和君       臼井日出男君    遠藤 利明君       小此木八郎君    大野 松茂君       嘉数 知賢君    河井 克行君       瓦   力君    栗原 裕康君       河野 太郎君    桜田 義孝君       下地 幹郎君    砂田 圭佑君       園田 修光君    滝   実君       玉沢徳一郎君    浜田 靖一君       林  幹雄君   吉田六左エ門君       青木 宏之君    東  祥三君       一川 保夫君    佐藤 茂樹君       白保 台一君    達増 拓也君       仲村 正治君    永井 英慈君       西田  猛君    西野  陽君       西村 眞悟君    平田 米男君       山中 燁子君    生方 幸夫君       北村 哲男君    玄葉光一郎君       近藤 昭一君    山元  勉君       東中 光雄君    古堅 実吉君       上原 康助君    前島 秀行君       粟屋 敏信君    新井 将敬君  出席国務大臣         内閣総理大臣  橋本龍太郎君         外 務 大 臣 池田 行彦君         大 蔵 大 臣 三塚  博君         国 務 大 臣         (内閣官房長官)梶山 静六君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 久間 章生君         国 務 大 臣         (沖縄開発庁長         官)      稲垣 実男君  出席政府委員         内閣審議官   及川 耕造君         内閣法制局長官 大森 政輔君         内閣法制局第二         部長      宮崎 礼壹君         防衛庁参事官  山崎隆一郎君         防衛庁防衛局長 秋山 昌廣君         防衛庁教育訓練         局長      粟  威之君         防衛庁装備局長 鴇田 勝彦君         防衛施設庁長官 諸冨 増夫君         防衛施設庁総務         部長      伊藤 康成君         防衛施設庁施設         部長      首藤 新悟君         防衛施設庁建設         部長      竹永 三英君         防衛施設庁労務         部長      早矢仕哲夫君         沖縄開発庁総務         局長      嘉手川 勇君         沖縄開発庁振興         局長      牧  隆壽君         国土庁計画・調         整局長     塩谷 隆英君         外務大臣官房領         事移住部長   齋藤 正樹君         外務省アジア局         長       加藤 良三君         外務省北米局長 折田 正樹君         外務省欧亜局長 浦部 和好君         外務省条約局長 林   暘君         大蔵省主計局次         長       林  正和君         大蔵省主税局長 薄井 信明君         大蔵省関税局長 久保田勇夫君         運輸省航空局長 黒野 匡彦君         建設省建設経済         局長      小鷲  茂君  委員外出席者         安全保障委員会         調査室長    平川 日月君     ───────────── 委員の異動 四月八日  辞任         補欠選任   河野 太郎君     園田 修光君   神田  厚君     仲村 正治君   永井 英慈君     白保 台一君   北村 哲男君     生方 幸夫君 同日  辞任         補欠選任   園田 修光君     河野 太郎君   白保 台一君     永井 英慈君   仲村 正治君     山中 燁子君   生方 幸夫君     北村 哲男君 同日  辞任         補欠選任   山中 燁子君     神田  厚君     ───────────── 本日の会議に付した案件  日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び  安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並び  に日本国における合衆国軍隊地位に関する協  定の実施に伴う土地等使用等に関する特別措  置法の一部を改正する法律案内閣提出第八一  号)      ────◇─────
  2. 野中広務

    野中委員長 これより会議を開きます。  内閣提出日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並び日本国における合衆国軍隊地位に関する協定実施に伴う土地等使用等に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西村眞悟君。
  3. 西村眞悟

    西村(眞)委員 おはようございます。新進党西村眞悟でございますが、よろしくお願いします。  昨日、総理の御答弁をお聞きいたしまして、本改正案国家存立基本にかかわる重要問題である、このような御認識を拝聴いたしました。私ども新進党も、この問題は国家存立基本にかかわる、こう認識しております。そして、政治がこの問題をそう認識するならば、いろいろな反対意見がある、地元にもある、それはわかるが、決断した以上はぶれずにこの改正案を速やかに通さねばならない、このように思うわけです。  それから、私は少し、みずから考えたことを総理にお聞きしたいわけですが、政権のあり方というものを、総理の御認識をお聞きしたいと思うのでございます。  政権ということは、別に我々、議院に就職しているわけではありません。公のことに関して、国家基本問題国家存立基本問題においては一致していること、これが政権を支える、公を示す一つ要素である、私はこう思うのでございますが、総理の御認識はいかがでございましょうか。
  4. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、政権ということをとらえるとらえ方というのは学問的にもいろいろな定義づけはあるんだと思います。  特措法の問題についてまず私は申し上げたいと思いますけれども、昨年首班指名をいただきまして以来今日まで、沖縄問題というものは、私の認識としては国政上のやはり最重要の課題一つ、そのような思いで取り組んでまいりました。幸いにもその間、大田沖縄県知事との何回かの会談などによりまして、ある程度私どもの気持ちも御理解をいただけてはいるもの、そのように思っております。そうした中で、少しでも沖縄にかかっている負担を減らしていきたいという思いは今日までも変わりませんでした。しかし同時に、日米安保体制というものが、我が国の安全そしてアジア太平洋地域における平和と安全の確保に極めて大きな役割を果たしていることもまた、我々は非常に大切なものと受けとめております。  そして、駐留軍用地特措法による土地使用権原確保について、政府としては、平成七年の三月三日に手続を開始して以来、沖縄収用委員会審理というものに期待をしながら、ぎりぎりまで最大限の努力を行ってまいりましたが、遺憾ながら期限内に審理が終結する見通しが得られないという状況の中で、我々が日米安全保障条約上の義務を果たす、これは日米関係だけではなく国家存立に係る重要な問題、そのように考え、使用権原のない状態で推移することはどんなことがあっても避けなければならない、そうした思いの中で、必要最小限措置を内容とする法案を提出することといたしました。  政権というもの、それはまさに国会における、衆参両院議員首班指名によって指名された者が内閣を組織し、そのもとに国政上の責任行政責任を果たしていくために最善を尽くす、そのためのもの、最小限の定義をするならそのような言い方ができると思います。  その上で私は、私たちは国政の上で基本的に重要な問題について、党、会派、個人のいずれを問わず、御協力をいただける方々を拒むつもりはないということを発足時から申し上げ、今日まで参りました。そういう状況の中で、それぞれの国政上の重要な課題について、私どもは同じような姿勢で発足当初から今日まで参ったと思います。  そして、政権をつくるに際しての首班指名においてでき上がりました政権への協力枠組み、現時点におきまして申し上げますならば、自民、社民、さきがけの三会派による発足でありますが、基本的にこの枠組みというものは政権のいわば柱として組み立てられたもの、そのように思います。
  5. 西村眞悟

    西村(眞)委員 総理総理になられた、それは憲法でいう首班指名においてなられました。ただし、その総理先ほど来おっしゃっていられたように、国家基本問題として、本改正案存立にかかわる問題であるという意識を持っておられる。もとより政権発足は、衆議院、参議院においての首班指名で決まる、これは政権発足形式的要件でございます。しかし、そこで決まった政権同窓会ではありません。存立することを目的とする同窓会ではなくて、国家基本問題に決断し、それを国家のために実現していく枠組み、これが政権実質的要件でございます。  したがって私は、国家基本問題を実現していく、その使命を持った政権という政権の実質的な使命の点から、発足形式的要件ではなくて実質的な使命の点から見て、いやしくも国家基本問題であるならば、それについて一致していることが政権として必要ではないのかというふうに総理にお聞きしたわけです。その部分についてはいかに認識なさっておられますか。
  6. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は他の党のことを申し上げるほど学識を持っておるわけではありません。  その上で、現内閣発足の時点における与党三党の話し合いの中で、一致をいたしました問題もございましたし、考え方の一致しない問題もございました。そして一致しない問題において、それぞれの党派がそれぞれの党派としての御判断での御論議、これを拘束するようには与党三党の申し合わせというものはなっていないと私は存じております。
  7. 西村眞悟

    西村(眞)委員 この問題に深入りはいたしません。総理もおわかりになっていただいていることと思います。微温的な、ぬるま湯の中で来た時代は既に終わりました。国家のために決断しなければならないその時期を我が国は迎えております。  したがって、首班指名のときの党派の問題は、本委員会で取り上げるべき問題ではございません。本委員会では、国家存立基本問題であるか否か、この一点で各委員が決断し、各政党が決断して、我が新進党はこれを通さねばならないと決断したのでございます。したがって、御党の幹部が、この委員会国家存立の問題として開かれているときに、党派の問題をマスコミで余り語っていただくのはこの委員会に対して失礼だと私はそう思う。したがって、この問題を冒頭に質問させていただきました。  党派の問題ではありません。したがって、いやしくもこの委員会が開催されているときに、本問題においての、党派をいろいろ、何ですか、新保守ですか、保保ですか、そういうことを党の幹部マスコミに、あたかも党派の問題で我が新進党がこの問題に賛成しているとか、ほかの党が反対しているとか、こういうふうな論評を加えていただくのはいささか失礼であると私は感じておりますので、申し上げました。深入りはいたしません。  それで、本問題、この問題は、ある意味じゃ沖縄を中心とした日本の各地の基地に対して、その住民に負担を受忍してもらわねばならない問題です。なぜなら、この問題は日本国家存立にかかわる問題だからでございます。  平時にこの問題を負担していただくという根拠は、有事においてこの日米安保体制がなければ我が国存立が危ういということでございますから、この問題を内閣が御提出していただく前提には、有事において日米安保条約が機能するのか、この大前提があるわけです。有事において仮に機能しないならば、この問題を提出された内閣はいささか不誠実であろう。なぜなら、有事に対して機能しない問題に対して、平時においてなぜ国民負担を要求できるのかという問題があるからでございます。  そこで、この点から二点質問をさせていただきたいと思います。  つまり、尖閣諸島に対して、日米安保条約五条、この日米安保条約五条は、「日本国施政の下にある領域」、これに尖閣諸島が入るのか否かについて極めてあいまいでございます。尖閣諸島沖縄県でございます。沖縄県に基地負担を要請するのが国家の役目とするならば、そこにいるアメリカ軍が、沖縄県の一部である尖閣諸島防衛に関し関知しない。日米安保条約第五条の日本国施政下にある領域に含まれるのか含まれないのか。関知しないということは、本問題を提出する内閣正当性を左右する重大問題だ。この問題で安保条約が空洞化しているならば、私どもは、沖縄県民に対して、また日本国民に対して基地負担の受忍を要請することはできない、このように思うわけでございますから、重要問題だと私は思いますから、質問させていただきます。  アメリカは、沖縄施政権を持っておるときには尖閣を射爆場として使っておりました。古賀さんというその土地所有者尖閣土地所有者に対して年間百万円ほどの土地使用料を支払いながら射爆場として利用しておりました。  沖縄返還協定におきまして、明確に尖閣諸島日本領土として返還されております。強いアメリカ日本に返還した直後に、中国が、尖閣諸島中国固有の明代からの領土であるという主張をいたしました。思い余った我が国は、ハーグ国際裁判所に提訴して、アメリカ返還者としての証言を求めましたが、アメリカは、紛争当事国の問題であって我が国関与せずという回答をしまして、非協力回答をいたしてまいりました。  昨年、平成八年九月、二度にわたって中国海洋調査船尖閣列島周辺我が国領海内で海洋調査実施いたしました。ちょうどその直後、九月十六日、ニューヨーク・タイムズで、モンデール大使が、米軍は、島、尖閣諸島をめぐる紛争に介入することを条約によって強制されるものではないと発言したと報じました。十月四日、バーンズ報道官が、条約によるアメリカ責務は明らかだが、尖閣諸島紛争にリンクさせない、このように発言しました。十月十五日、ウィンストン・ロード米国務次官補が、尖閣日米安保が適用されるか否か、仮定状況に言及しない、このように発言したのでございます。  モンデール発言は新聞報道される以前に発言されたものだと聞いておりますが、このモンデール発言をきっかけにして、私が今御紹介したウィンストン・ロード国務次官補発言まで、アメリカからは公式に明確にモンデール発言を否定している発言は出ておりません。アメリカは、一貫して、安保条約五条の日本国施政下にある領域尖閣諸島が入るか否かについて明確に言及を避けているというのが、私の調べた限りでの結論でございます。  日米安全保障条約に基づく昨年の四月十七日の総理クリントン大統領共同宣言、その六項に「総理大臣大統領は、日米安保体制中核的要素である米軍の円滑な日本駐留にとり、広範な日本国民支持理解が不可欠であることを認識した。両首脳は、両国政府が、米軍の存在と地位に関連する諸問題に対応するためあらゆる努力を行うことで意見が一致した。」このように宣言されているわけです。  この宣言に基づくならば、この宣言直後に発せられたモンデール大使並びにその以下のアメリカ高官の公式の発言は、この宣言による、日本国民支持理解米軍基地存立にとって不可欠であるから、そのための「あらゆる努力を行う」に明確に反したことでございます。  また、日本国政府も、このようにモンデール大使発言する以上、それを明確に否定する公式発言を要請するという努力が、この基地我が国国民に受忍さすためのあらゆる努力になると私は思うんですが、この件に関して、モンデール発言に対して、総理は、何かアメリカに抗議されたなり、アメリカは、私、質問者西村認識していないけれども、公式に尖閣日米安保五条の範囲に含まれるんだという発言があるということを御存じなら、ここで御答弁いただきたい。
  8. 池田行彦

    池田国務大臣 まず最初に、委員の立論の基礎にございました米軍安保条約に基づいて日本に駐留する、そうしていわゆる平時からいろいろ負担を求める、これは有事に役立つためだ、こういうお話がございました。  それは、確かにそういう面も大切だと思いますけれども、それだけじゃないと思います。いわゆる平時においてもこのような安保体制がきちんと機能しているということがいわゆる抑止力となって我が国の安全を守っているという面がございますし、それだけではなくて、日本そして米国の間の安全を守るためのかたいきずながあるということが周辺地域にも安心感をもたらし、この地域全体の大きな安定化要因になっていると思います。  そういった上に立って、我が国国民を含むこの地域の人間が安全のうちにいろいろな諸活動をやり、そして繁栄への道を歩んでいるということも大切だろうと思いますし、また同時に、日米安保条約というものは、広く経済政治、文化も含んだ日米関係全体の基礎になっているという面も否定できないということをあえて申し上げさせていただく次第でございます。当然、それは委員も御承知だと存じますが。  さてそれから、安保条約五条と尖閣諸島関係でございますが、今現在の状況は、その関係がどうかということをあれこれ議論しなくてはいけないような状況にはないということをまず申し上げたいと存じます。  それから第二に、しかしながら、あえて一般論として、条約枠組みの問題として申し上げますならば、日本施政下にございます地域は、当然のこととして日米安全保障条約対象になるということでございます。  そして第三点として、こういった我が国立場というものは米国もよく承知し、理解しているということを御答弁申し上げたいと存じます。
  9. 西村眞悟

    西村(眞)委員 外務大臣の御答弁で、今私が申し上げたことをあれこれ議論する必要はないと。なぜあれこれ議論する必要はないんですか。  沖縄県の一部である尖閣諸島に、沖縄に駐留するアメリカ軍が、日米安保条約の根幹である第五条において発動するのか否かを質問しているわけです。沖縄に駐留しながらそこに発動しないというならば、日米安保条約正当化根拠は失われる、日本人ならそう思ってしかるべきだ。  そして、私は平時においてのことを申し上げているのではない。しかし、平時においての安保条約意味はわかって申し上げている。平時においても機能していますよ、しかし、有事においては知りません、これでは安保条約ではないんです。したがって、有事において機能するのか否かは、この安保条約の根本の出発点ではないですか。この観点から聞いておるわけです。  総理大臣にお聞きします。  今私が申し上げた問題は、一つは、我が国が、尖閣我が国施政下にあるからアメリカが来てくれるんだと確信しているか否かの問題をお聞きしたのではございません。アメリカから公式に、モンデール大使発言として、尖閣日米安保適用外だという趣旨の発言が出てきておる。アメリカにその発言を否定して、尖閣がいわゆる日米安保五条の施政下にある、したがって、日米安保尖閣に対しても発動できるという公式の発言を要請したのか。また、それがあったのか否か。これを聞いているわけです。  総理にお聞きいたしますが、今私がお聞きした一点と、それから、今外務大臣が御答弁なさった、この尖閣日米安保が含むのか否かの問題を今あれこれ議論する必要はないのか否か。これを総理大臣にお伺いしたい。
  10. 池田行彦

    池田国務大臣 まず第一点でございますけれども先ほども御答弁申し上げましたけれども我が国施政下にございます地域は、当然のこととして安保条約対象になる、適用される範囲である。当然でございます。そのことは米国もよく承知しておる、こういうことでございます。  それから第二点でございますが、私が申しましたのは、現在のいろいろな状況を考えました場合に、仮定の問題としても、もし我が国のこの地域がどうこうと、非常に不測の事態を招きかねない状況になった場合に日米安保条約がどうなるかというような議論を今しなくてはならない、そういう状況にはない、こう申し上げたわけでございます。それは、いろいろな問題はあるにしましても、そういったことは冷静な外交努力の上に立って調整していかなくてはいけない、そして難しい状態になることを回避していかなくてはならない、こういう認識に立っておるわけでございます。
  11. 西村眞悟

    西村(眞)委員 問題を分けて考えます。  今外務大臣が、仮定の問題についてあれこれ詰める必要はないと言われた。平時において日米安保が機能するということは、有事に対してはこうなるぞということが明確に決まっているから機能しているんじゃないんですか。有事においてどうなるかわからぬ、そうすれば、平時にも機能しない。つまり、仮定の問題といえば、防衛というのはすべて仮定の問題に対していかに対処するか、これが国家百年の安全を全うする戦略、思想じゃないですか。したがって、今の外務大臣の御発言なら、東京湾有事があったときに日米安保が適用されるのか否かについては、仮定の問題については考えることは避ける、こういう発言だと私は思う。私はそれは納得できない。  尖閣の問題一点に絞ってお聞きしますが、これは仮定の問題でありますから答えられないという御答弁ならば、それでよろしい。それは記録にとどめられるでありましょう。  では、もう一点お聞きしますが、日本国が、尖閣日本国領土であるからアメリカもそれを十分承知であると言うことはわかっている。しかし、私の問題の出発点は、モンデール大使以来のアメリカ公式発言で、尖閣列島日本国と同じように、安保条約五条に言う日本国施政下に含めるという発言は一切ない。これに対してどう対処しておられるのですかとお聞きしておるわけです。  これは冒頭申し上げたように、沖縄県の一部であるにもかかわらず、沖縄県に駐留するアメリカ軍がその沖縄県の一部に対して出動しないという事態ならば、昨年四月十七日の共同宣言にある、両国政府は、広範な日本国民支持理解が不可欠である基地問題に対して、その理解を得るあらゆる努力を行うという責務を怠っているという観点からお聞きしておるんです。アメリカから公式に発言はないんですか、尖閣が含まれるとか含まれないとか。
  12. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほども申しましたように、安保条約は、我が国施政下にあるすべての地域に適用されるものでございます。そして、米国もそのことは承知しており、米国も、安保条約に基づく国際的な約束、これはきちんと守っていくと私どもは信頼しております。  それから、先ほど来おっしゃいます、モンデール大使発言以後いろいろな米側からの発言があった、それに対して我が国からきちんとした対応をしたかどうかというお尋ねでございますが、それは、私ども常々米側といろいろ協議の場を持っております。そういった場で、日本立場につきましてはこの問題に限らず、適時適切に、明確に物を申す必要があるときには申しておるということを御答弁申し上げます。
  13. 西村眞悟

    西村(眞)委員 尖閣日米安保が適用されると確信を持っておられるなら、適用されると御答弁なさったらよろしいんです。あれこれ議論をする必要はないとか仮定の問題であると言う必要はありません。条約の適用範囲を聞いているんです。仮定の問題を聞いているんじゃないんです。条約の適用範囲は明確に答えていただかねば困るんです。  総理大臣はいかが御認識しておりますか。尖閣日米安保条約は適用されるのか否か。
  14. 池田行彦

    池田国務大臣 日米安保条約は、日本施政下にある地域にはすべて適用されると明確にお答え申し上げているところでございます。
  15. 西村眞悟

    西村(眞)委員 わかりました。  それなら、次の質問は、先ほど答弁がなかったのですが、モンデール大使以来、協議されているのはわかります。公式にモンデール大使発言を否定したアメリカ発言はないという事実は重く認識していただきますよう、そして、これは日本国民日米安保に対する信頼性の問題ですから、沖縄県民の信頼性の問題ですから、共同宣言で約束を取り交わしたように、あらゆる努力を払っていただきたい、このようにお願い申し上げます。  それで、次に質問を移したいと思いますけれども日米安保条約は、平時の機能はわかります、抑止的効果。しかし、我らは有事を想定しなければならない。そしてもう一つ先ほど発言しましたように、この日米安保有事において機能しないのならば、平時では抑止であるのだ、しかし、いざとなったらこれは機能しませんよというあやふやな問題では、これまた日米安保に対する日米両国民の信頼性を損なう。したがって、あらゆる努力をしなければならない。したがって、有事において機能するのか否か、これについて詰めていかねばならない。昨日も質問に出ておりました、アメリカの有識者が集まって、日米安保条約有事において張り子のトラではないか。これは別にアメリカの有識者にやっていただかなくても、我々日本人がやればいい。その観点から質問をいたします。  まず、国内の安保条約第五条発動の場合、これは海上また空はともかく、地上で我が自衛隊は機能するのですか。例えば道路が破壊されておったときに、道路を直そうと思えば、道路法で自衛隊は直すことができない。橋が落ちておったときに、橋をかけて避難民を橋を渡らせようと思っても、河川法によって自衛隊はできない。赤信号でとまらねばならない、自衛隊の車両は。指揮所をつくろうと思えば、建築基準法で建築確認を得なければならない等々、これは有事において我が自衛隊は機能するのですか。したがって在日アメリカ軍は機能するのですか、この法体系のもとにおいて我が国は。総理大臣、いかがですか。
  16. 秋山昌廣

    ○秋山(昌)政府委員 御質問は、自衛隊の行動等に係る有事法制に関連する問題であろうかと思いますけれども、当然この有事法制の研究は必要なことでございまして、これまでやってまいったところでございます。  そこで、現行の自衛隊法におきまして若干御説明させていただきますと、航空法、火薬類取締法、電波法あるいは消防法等の法律についての適用除外や特例が定められておりまして、また、道路交通法施行令におきまして、自衛隊車両も公安委員会の指定により緊急自動車となることなど特例が定められておりますことから、自衛隊の任務遂行に必要な法制の骨幹は現行法上既に整備されていると我々は認識しております。  しかしながら、これまで行ってまいりました有事法制の研究を踏まえますと、自衛隊がその任務を有効かつ円滑に遂行するためには、現行法制上なお不備な事項も残されていると考えているところでありまして、かかる研究結果につきましては逐次報告しているところでございます。  なお、防衛庁といたしましては、この有事法制の研究にとどまらず、その結果に基づきまして法制が整備されることが望ましいと考えておりますけれども、いずれにせよ、単に研究にとどまりませず、法制化するか否かという問題は高度に政治判断に係るものと考えておりまして、国会における御審議、国民世論の動向等を踏まえて対応すべきものと考えているところでございます。
  17. 西村眞悟

    西村(眞)委員 私がお聞きしているのは、研究のことを聞いておるのではない。あす起これば、自衛隊とアメリカ軍が共同して、日米安保条約に基づいて我が国防衛できるのかと聞いておるのです。できないでしょう。防衛庁長官、できるのですか。
  18. 久間章生

    ○久間国務大臣 我が国の自衛隊の運用についてもまだそういうことでございまして、米軍については、そういう研究はまだやっておりません。
  19. 西村眞悟

    西村(眞)委員 できるのかできないのか、どっちなんですか。
  20. 久間章生

    ○久間国務大臣 したがいまして、法制上はいろいろ問題があろうかと思います。
  21. 西村眞悟

    西村(眞)委員 できない。安保条約において基地負担を要請する、しかし有事においてはできない、これが答えです。  次に、安保条約六条発動の場合、これは総理大臣が昨年四月十七日、日米共同宣言によってアメリカクリントン大統領と約束した。六条に、東アジアアジア・太平洋に重点が移っておる。したがって、この問題が非常に重要な問題なんです。この問題についてお聞きします。神学論争はもういいのです。具体的にお聞きします。  その前に、この日米共同宣言、私は、日本国家の方針として非常に立派な、そして輝かしいものであると判断しております。この宣言を発したのみならず、総理大臣クリントン大統領は両国民に対するメッセージを発せられた。したがって、この共同宣言で国際社会に発した我が国の発信と、日米両国民に対する総理大臣クリントン大統領のメッセージは、ただ単に日本の事情をよくわかっておるアメリカの専門家だけに発したものではなくて、アメリカ国民に、海兵隊のお母さん方に発したものであるという前提のもとでお聞きしていきます。だから神学論争はいたしません。つまり、集団的自衛権がどうのこうのということはいたしません。  これは総理大臣、この宣言を発された以上、お聞かせいただきたいのですが、例えば北朝鮮、朝鮮半島有事を想定いたしましょう。  アメリカは、アメリカ第七艦隊の艦艇は、日本海、対馬海峡から朝鮮半島に出動いたします。そのときに、我が国の掃海艇は、その出動するアメリカ軍のために、我が国領海内において、我が国領海内においてですよ、機雷除去作業ができるのですか。そして、ちょっと待って、総理大臣に聞いているのですから。それで、その前提として申し上げますが、我が国は世界一の掃海能力を持っております。掃海艇、三十隻以上ございます。アメリカ第七艦隊は二隻の掃海艇しかございません。この前提で総理大臣にお聞きしたい。できるのですか。
  22. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 大変失礼でありますが、議員は今領海内と言われました。領海内に他国が機雷を敷設するような状況というものは、我が国自身が、我が国自身のために、その機雷は除去しなければなりません。
  23. 西村眞悟

    西村(眞)委員 機雷は浮遊機雷のことを申し上げているのです。自衛隊法九十九条はわかっておるのです。それで、アメリカ軍が朝鮮半島に行くときに、我が国領海内でアメリカ軍の艦艇を守るために掃海作業ができるかどうか、これをお聞きしたわけです。
  24. 久間章生

    ○久間国務大臣 遺棄された機雷が我が国周辺にある場合には、我が国の船舶にとっても大変危険なわけでございますから、これは現在の自衛隊法で私は除去できる、そういうふうに思っております。
  25. 西村眞悟

    西村(眞)委員 領海ということで、ちょっとお答えは一回余分にふえましたので、領海というよりも、有事の場合は、我が国艦艇がいなかった場合に、本当に重要な日米安保上の義務として、朝鮮半島に向かうアメリカ艦艇の安全のために機雷除去作業ができるのか否か、こういうふうに問題を広げます。お答えいただけませんか。
  26. 久間章生

    ○久間国務大臣 だから、アメリカ艦艇のためにと言いますけれども我が国の領海内には、我が国の漁船も、あるいは外国から入ってくる商船も、いろいろなものが入ってくるわけでございまして、我が国の船舶もおるわけでございます。そういうのが航海できない、そういう危険がある場合には、今委員御指摘のように外国の艦船のためにという、そういう限定した議論にならないんじゃないか、そういう状況。  だから、そういうアメリカの艦船のためだけの除去というのは、そういう事態が果たしてあるか。必ず、日本ではそういう場合には、日本の領海内でしたら日本の漁船もあるいは船舶も航行するわけでございますから、そういう意味ではそういうときにはできるというふうに思っているわけでございます。
  27. 西村眞悟

    西村(眞)委員 同盟関係というものは、何月何日出動するそのアメリカ軍のために機雷を除去する、そういう特化した目的を持って共同するのが同盟関係の信頼関係を形成するのです。  防衛庁長官のお答えいただいた部分は私はわかるのですよ。わかるのですが、自衛隊法九十九条によって、日本の船の安全のために、その目的以外ではできないということを前提にされて、海は日本の船も通るんだから除去できるというお答えでしょう。しかし、それでは同盟関係の信頼性をどうして担保するんだと申し上げておるんです。何月何日出航するアメリカ艦艇、それを守るためにやるという、明確に作戦目的が示されないじゃないですか。こういうことです。  補給と輸送のことについて聞きますけれども日本の国内にアメリカ軍は十数万トンの弾薬を備蓄しておりまして、自衛隊はそれより少なく十万トンぐらいですけれども、朝鮮半島有事の場合は、やはりアメリカ軍は備蓄している弾薬を移動さすでしょう。その移動のために、日本国内において自衛隊はその弾薬を輸送し得るんですか。
  28. 久間章生

    ○久間国務大臣 先ほどの機雷の話もそうでございますけれども、今回の話も、要するに朝鮮半島有事の場合という、そういう仮定での議論は、こういう場でございますから控えさせていただいて、ただ、一般論として一応言わさせていただきますと、そういう場合に、今までの政府の見解といたしましては、要するに武力行使と一体になっていくのかどうか、そこのところを、まあ神学論争とおっしゃるかもしれません、それは。また今までの神学論争に戻るかもしれませんけれども、そういうような議論の中で検討してきておりますし、従来からの姿勢は変わっておりません。  ただ、今最近のいろいろな諸情勢を考えますときに、委員が御指摘になるような、そういうようなことはなかなか起こりにくいのか、話題になっていないことだけはつけ加えさせていただきます。といいますのは、自分の手でそういうものはきちっと輸送するという、そういう姿勢をとる意思じゃないかと思います。
  29. 西村眞悟

    西村(眞)委員 今のお答えは、武力行使と一体となればできない、一体とならなければできる。百キロ先でも二百キロ先でも、ドンパチする弾薬を運ぶというのは武力行使と一体なんです。だからできない。  それから、補給については、何かこれも武力行使、答えを先言いますけれども、武力行使と一体ならばできない。だから、水ができるとか油がどうだとかいう議論をしておるわけです。つまり、武力行使と一体とならない補給なんて言葉の論理矛盾なんだ。湾岸で御承知のとおり、補給活動が軍の活動の大半を占めるんです。しかし、武力行使と一体とならない補給活動なら、そして水ならできるんでしょう、防衛庁長官
  30. 秋山昌廣

    ○秋山(昌)政府委員 輸送とか補給とか、あるいはその他の役務サービスも含めまして、結局のところ、まあ機雷掃海の場合にはちょっと別でございますけれども、こういったことが米国の行う武力行使と一体とみなされるかどうかということは、個々具体的なケースで判断をせざるを得ないと考えております。  現在、日米防衛協力の見直し、つまりガイドラインの見直しの中で、昨年の秋でございますけれども、既にその項目を出しておりますが、後方地域支援の中でどういうことが対米支援としてできるかということを議論しております。後方地域における米軍に対する支援、その中に輸送ですとか補給ですとかその他のサービスが含まれる、それを今現在議論しているところでございます。
  31. 西村眞悟

    西村(眞)委員 それなら、できる後方支援があるという前提でお答えになったということですね。  先ほど言いましたように、後方支援というのは近代の軍の大半を占める活動なんです。相手側から見れば何を意味するかといえば、最大の価値ある攻撃目標なんだ。  後方支援ができると言っている。後方支援が一切できないと言えば、その時点で日米安保なんてない、したがってできると言っている。しかし、そのできる後方支援部隊は、我が国の自衛隊の部隊は、最大の価値ある攻撃目標である。これに攻撃されたらどのようにして防御するんですか、防衛庁長官
  32. 久間章生

    ○久間国務大臣 我が国の自衛隊が攻撃されました場合は、もうこれは自衛権の発動でございますから、それは今のいわゆる武力一体化云々という話とはまた違うんじゃないかと思いまして、我が国が攻撃されない状況でどの程度の、武力一体化にならない後方地域での支援があるか、それがまさに今から詰めていかなければならない問題であろうと思っております。
  33. 西村眞悟

    西村(眞)委員 私の言っておるのは、武力攻撃のおそれなき有事における後方支援なんかないと言っているんです。そう思われませんか。有事における武力攻撃のおそれなき後方支援というのは論理矛盾なんです。朝鮮半島有事のときにハワイ沖で支援するんですか。それが後方支援ですか。そういうことを言っていたら、その途端に日米安保の信頼性は崩れるという問題意識から私は言っているんです。  だから、神学論争はしないと言いましたけれども、ぼつぼつ、その集団的自衛権のことで総理大臣にお述べいただきたいことがあるんです。  今私が例を挙げて申し上げました設問に対してことごとく、私は、論理矛盾の御答弁とか、武力行使と一体とならないならできるとか、そして機雷に関していえば、出動するアメリカ青年を乗せた船を守るために機雷掃海するということを我が国は明確に言えない。なぜか。我が国が集団的自衛権の行使はしない、あるんだが行使はしないというドグマに縛られているからだ。  有事においてこの問題が浮上した場合、日米安保はその時点でなくなる。なぜなら、アメリカの母親から見れば、遠く離れた、例えばアジア・太平洋で、日本の近くで血を流しているのに、日本は武力行使と一体となるならば何の支援もしないということが明確になるからです。つまり、沖縄基地負担を要請する、その正当化の根拠である日米安全保障体制を堅持するためという前提がその時点では崩れるんです。  これは、内閣法制局の今までの見解があるのはわかるけれども総理大臣は、我が国会で選出され、また国家の運命を決断していただかねばならない立場にあられる。したがって、総理大臣沖縄にこの負担を要請するこの場で、どうか、集団的自衛権はある、行使するか否かについては言及しない、このような御答弁をお願いしたい。いかがでございますか。
  34. 久間章生

    ○久間国務大臣 沖縄基地があるのに対して、今みたいな解釈だったらだめじゃないかと委員はおっしゃられましたけれども、はっきりしていることは、我が国有事の場合は日米安保条約の五条が機能するというのはもう事実でございまして、そのために、我が国に、今沖縄におる米軍我が国有事の場合は出動するわけでございますから、それは問題ないと思います。  問題は、六条、あるいは要するに我が国周辺で何かあったときに、我が国に影響が出るときにどこまでできるかということがこれは問題になるわけでございまして、それを、まさに我が国の今までの憲法の解釈の範囲内で、日米安保条約の枠内で、今までの取り決めの枠内でどこまでできるかをはっきりしておこうじゃないかということで今ガイドラインを詰めておるわけでございます。そのときに、今までの解釈上はこれはできないんじゃないか、ここまでしかできないんじゃないか、その辺の問題が、今まさにこれから先詰めていかなきゃならない問題と思いますので、日米安保条約は立派に私は機能していると思うわけでございます。  ただ、日本が今度のガイドラインをアメリカといろいろ取り決めしますときにも、日本国憲法の枠内でやる、あるいはまた安保条約の現在までの条約、あるいはその取り決めの中でやるということは米国も了承した上でそれでやっているわけでございますので、委員御指摘のように、今のような状態ではとにかくアメリカにおるお母さんたちは困るんじゃないかということには私はならないと思いますので、どうかひとつその辺は御理解賜りたいと思います。
  35. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 冒頭の御質問で、私と基本認識が一致しているというお話から議員は質問を組み立てられたわけですが、どうも、私、今伺っておりますと、基本認識において食い違いがあるような気がいたします。  というのは、すべて議員の御質問は、何らかの戦闘行為が起こるという事態に限定して御議論を組み立てておられます。そして、私は、その点で、集団的自衛権は存在するが行使しないという今までの政府の見解を変えろというお話ですけれども、私はそれを変える必要は今ないと思っております。  まず第一に、防衛庁長官が今御答弁をいたしましたような問題を申し上げなければなりません。  同時にもう一つ、私は、安全保障、いわば抜かない刀として、平時を、戦闘行為を起こさせないためのものとして、私は、それぞれの国家基本的に自分の国の安全保障というものを考えておると思います。  その中で、米国のように同時に二正面の作戦まで可能な、言いかえれば、世界の平和のためにそれだけのものをかけようとしている国、現在そうした国はほかにございません。そして我が国は、日米安全保障条約というもので、独立以来今日まで、我が国の安全保障体制を築いてまいりました。そしてその中で、我が国の憲法における制約その他を前提とした上で、この関係が進んできたことも事実であります。そして、我が国は、平和の中に今日まで過ごしてくることができました。  ガイドラインの見直しの中で、先ほど防衛庁長官からもお答えを申し上げましたように、きちんと今整理をしておくべき問題があることを私も否定はいたしません。その上で、私は、本来安全保障というものは抜かざる剣であるべきだ、そのように思います。
  36. 西村眞悟

    西村(眞)委員 基本認識の違いと総理大臣はおっしゃいましたけれども、議論する場所が違うとして認識していただきたい。私の議論している場所は、今までこの問題に触れなければならないけれども日本政治が触れていないじゃないかという部分について、私は就職してここにおるわけじゃないですから、私の使命として申し上げているわけです。  それからもう一つ、安全保障は、確かに刀は抜いてはいけません。抜かない刀、これが抑止力になります。しかし、私が申し上げているのは、その抜かない刀の中身が抜いて何の役にも立たないことがわかっておれば、抜かない刀は何の抑止力にもならないということを申し上げておる。辛うじてアメリカ軍の存在が我が国を救っている、そして、そのいわゆる温室の中で、我が国は、本当に有事になったらどうするんだという議論をしてこなかった、その病弊が出て、いまだに仮定の問題ということで余り議論を深めない、事ここに至っているということです。  時間があと四分ほどになりました。  昨日、アルバニアからの国民の脱出について総理大臣が言及されたことに、私はある意味では感謝をいたします。  というのは、ペルーの問題もございましょう。北朝鮮に拉致された方々もおる。しかし、アルバニアからは命からがら十二名が脱出せざるを得なかった。この問題に対して我が国政府が何か行動を起こしたのかと私は疑問に思っていたからでございます。  このアルバニアからは、ドイツ軍が、十名、応戦しながら我が邦人を脱出させてくれました。アメリカ軍が二名脱出させてくれました。  北清事変のことを想定しますならば、一九〇二年の北清事変で我が国は救出に向かったのです、北京に。そして、我が国の救出部隊の軍規の公正さを見て我が国の国際評価が高まり、条約改正につながり、また日英同盟につながっていくわけです。  アルバニアは遠いですから、ドイツとアメリカが我が邦人を助けてくれた。しかし、例えば朝鮮半島は近いのでありますけれども、また私はこの次元で質問しますけれども我が国が朝鮮半島有事のときに、本当にアルバニアでドイツ、アメリカが我が邦人を助けてくれたような活動を、我が国の飛行機で一時間ほどのところで我が国ができる体制を持っているのかどうか。これをしなければ我が国の国際評価は地に落ちる。  北清事変に出動して、各国大使、その家族を救出したことによって、我が国は、日英同盟から、ある意味じゃ国際社会での正当な評価を得てきた近代の歴史でございますから、この朝鮮半島有事を想定して、我が邦人のみならず、救助を求めるそこの外国人を、アルバニアのドイツ軍のように、救出しなければならない国家として使命を負っているのじゃないかと思う。その法制は今ない。  総理大臣、この私の問題意識に対していかに御認識されておりますか、お聞きしたいと思います。
  37. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 どうしても議員はその朝鮮半島にこだわられるようでありますけれども、私は、むしろ一般論でお答えをすべきことだと思っております。  その上で、自衛隊法百条の八、「外国における災害、騒乱その他の緊急事態に際して生命又は身体の保護を要する邦人の輸送」を目的としている、こうした在外邦人の救出に我が国自身が赴き得るような場所あるいは距離と言いかえましょうか、我が国自身が本当に在留邦人の救出に際しました場合、例えば航空機を派遣したといたします。余席があれば、当然私は、これは外務大臣がそういう点の依頼をされるでしょう。それを前提に、その余席を利用して、邦人の方々と同様の状況に置かれている外国人を輸送の対象とするということはできると思っております。また、すべきことだと思います。  そして、このアルバニアの邦人救出については、本日昼のヘルツォーク・ドイツ大統領との午さん会の席上、私は、心からの謝意を表したいと考えております。
  38. 西村眞悟

    西村(眞)委員 時間が参りましたのですが、私の質問の次元が有事を想定しておりますが、どうか、有事を想定して、ぎりぎりそっちから詰めていただいて、国家有事に対するバックボーンをつくっていただきたい。このように思って私の質問を、中途半端でしたが、終わります。
  39. 野中広務

    野中委員長 これにて西村君の質疑は終了いたしました。  次に、仲村正治君。
  40. 仲村正治

    仲村委員 私は、先般の予算委員会で、沖縄米軍基地は、安保条約とは関係なく米軍が日米戦争で沖縄を占領して、いわゆる戦争行為の略奪的手法によって非合法的な手段でつくられた占領支配の延長である、こういうことを申し上げて、そのことについての答弁を求めたわけであります。当日は、NHKの全国放送で審議状況が逐一放送されておりましたので、政府答弁を聞いた県民から、諸冨防衛施設庁長官答弁沖縄戦の、米軍沖縄県民土地を戦争行為で奪い取った、こういう事実を頭から否定したものじゃないか、全く許せない、こういう電話がひっきりなしにかかってきたようなものでございます。  その答弁というのは、次のようなものであります。  お答えします。いわゆる占領下にございました時期につきましては、いわゆる琉球政府等を通して、米軍米国の高等弁務官布告、布令に基づき、米国内の手続に基づいて賃貸借契約を締結し、それが応じられない場合には米国のそういう手続に基づいて土地の使用を継続してきた。しかし、その間の補償も行われておるというふうに私ども承知しております。  このような答弁をなさっておられます。これはあたかも、私が申し上げた沖縄米軍基地の成り立ちの歴史背景を否定している、県民合意のもとで米軍基地ができたかのごとき答弁であります。  それじゃ私がもう一度、米軍の上陸、占領、そして基地建設の歴史の経緯を説明いたしますので、その上でもう一度御答弁をいただきたい、このように考えております。  米軍沖縄作戦は、アイスバーグ作戦に基づいて、昭和二十年三月二十三日の大空襲から始まり、六月二十三日の摩文仁が丘の陥落で一応の組織的な戦闘は終わっております。そして、米軍の占領支配が始まったわけです。  米軍は、米国海軍軍政府を設置してニミッツ布告を公布し、日本の司法権、行政権の行使を停止して、軍政施行を宣言したのであります。そして米軍は、沖縄本島の石川以南に本土侵攻作戦の基地を建設すべく、中南部に生き残った住民を捕虜にして、石川以北にテント小屋やカヤぶきの掘っ立て小屋の収容所をつくって、これを全部強制的に移動させたのであります。  米軍は、直ちに、従来県民の八〇%以上が住んでいた石川以南の、割と平たん地の多い中南部に基地建設を始めました。もちろんその一部は、旧日本軍がこれまた県民の土地を強制接収してつくった基地も含まれておりますが、その大半は、普天間基地のように、新たに軍用地として中南部一帯を片っ端から囲い込んで基地建設が始まったのであります。  その基地の面積は、一番最高のときには三百五十三平方キロにも及んでおりました。それは、県土面積の一四・八%、沖縄本島の二七・二%を占めていたのであります。  このように基地建設が進む中で、米軍は、北部に捕虜として収容していた住民を、基地の間にわずかに残った土地に、昭和二十一年初めごろから、もとの町や村にまた移住をさせたのであります。その理由の第一は、米軍が本格的基地建設を始めるための労働力の確保のためであったわけです。二点目には、全部配給物資で沖縄県民をいつまでも賄うわけにいかないので、わずかに残った土地を農耕させて食糧生産をさせるためであったわけです。  しかしその後、米軍は、一たんは住宅建築や農耕を許した土地を、基地拡張のために、昭和二十五年二月ごろから六月にかけて、軍指令第二号、建築及び耕作制限を発布して、新たな土地の強制接収を次から次へと強行したのであります。これが、いわゆるよく銃剣とブルドーザーによる土地取り上げと言われているものであります。それは、伊江村の真謝、西崎、宜野湾村の伊佐浜、真和志村の安謝、天久、銘苅一帯、小禄村の具志などの土地を徹底的に、反対、抵抗する地主を銃剣とブルドーザーで排除して奪い取ったのであります。  このように、激しい戦闘から始まった米軍の占領の継続によって接収した軍用地について、たび重なる県民の使用料支払いの要求にもかかわらず、米軍は、国際法上当然与えられた権利だといって、陸戦ノ法規慣例ニ関スル条約、いわゆるへーグ陸戦法規を理由に、軍用地料の支払いを拒んできたわけであります。  にもかかわらず、沖縄県民は、辛抱強く、粘り強く、生活のための地料を払え、こういうことを主張し続けたために、約八年間も無償のままの使用を継続していたわけでありますけれども、二十七年の対日平和条約が締結されたときに、沖縄県民は、もはや米軍の主張してきたヘーグ陸戦法規に関する条約根拠はなくなった、ここで地料の支払いをすべきであるというふうに強く迫ったわけであります。ようやぐ米軍は、昭和二十八年十二月五日に、布告二十六号、軍用地域内の不動産の使用に対する補償を公布して、土地の強制使用後八年目にして、ようやく土地の使用料を支払いしたのであります。  このように、沖縄県民土地の使用の補償の要求と、新規接収に県民総決起の抵抗が強くなったことを憂慮して、米国は次にまたどういう手を打ってきたかというと、米国下院軍事委員会沖縄調査団を派遣して、その派遣の結果、プライス勧告に基づいて沖縄土地代の十年分を一括払いすることによって永久使用権を確保しようとする措置をとったのであります。  米国政府は、ついに、布令百六十四号、米合衆国土地収用令を昭和三十二年二月二十三日に公布したのであります。しかし、県民の激しい反対運動の抵抗に遭い、ついに高等弁務官は、昭和三十三年四月に、軍用地料の一括払いは中止すると発表したのであります。  その後、県民代表団が訪米し、米政府と折衝した結果、沖縄の軍用地問題は現地の高等弁務官とよく話し合ってくれ、こういうことになって、昭和三十四年一月に、土地賃借安定法及びアメリカ合衆国が賃借する土地の借賃の前払いに関する立法が決められたのであります。そのようなことで、借地料の支払いが図られるようになったのであります。  これは、あくまでも米軍が使用している賃料に関する合意であって、これによって、米軍の占領当時の略奪的手法で接収した非合法的手段が消されたことにはならないのであります。  また、このような県民の、占領軍の弾圧を恐れずに、県民が現地米軍を通り越して米国政府との折衝でかち取った成果を、あたかも合法的に米軍土地を貸したがごとき答弁をして、米軍の戦争行為による略奪的手法による土地取り上げの非合法性を正当化することは、私は認めるわけにはいきません。  もう一度お答えください。
  41. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 お答えいたします。  沖縄の方々がいわゆる悲惨な沖縄戦を経られまして、その後米軍の占領時代、いろいろな苦難の道を経られまして、今先生質問されましたとおりの経過であることは私も十分承知しておるところでございます。  先般私が答弁いたしました趣旨は、そういういろいろな経過を経ながら、昭和三十四年にようやく、この島ぐるみ闘争の結果こういう補償手続に基づいて米側は補償したということを申し上げたということでございまして、もし県民の皆様に誤解を与えたとすれば私としては深くおわびしたい、このように考えております。
  42. 仲村正治

    仲村委員 私の質問は、沖縄県の米軍基地の成り立ちは、アメリカ軍が占領して強制的に接収したところに始まっているんであって、その当時は日本の行政権も及びません、安保条約も適用されておりません。そういう歴史背景を聞いたんであって、このような、答弁のような質問をしたわけじゃない。こういうことをひとつ御認識いただきたいと思っております。  今私が述べた米軍の占領支配下の行為の実態を、米国が戦勝国としての占領支配を主張するにしても、それは戦争という我が国国家行為で犠牲を虐げられた沖縄県民に対する政府答弁として、沖縄県民が絶対に承服できるものじゃない。私は、繰り返しこの点を強調いたしたいと思っております。これは、戦争という国家行為で沖縄県民を二十七年間も占領支配下に放置してきた我が国の国会審議の議事録に、このような間違った記録が残され、後世に誤り伝えられることを私は見過ごすことができないのであります。  私は那覇空港のある那覇市の小禄の出身ですが、私の町も戦中戦後、基地に町の七五%がとられて、その苦しみを身をもってくぐり抜けてきた立場であります。特に、プライス勧告による土地の一括払い反対の島ぐるみの反対闘争のときは、私は小禄の青年会長でありました。そういう立場もあって、その先頭に立って闘い、米軍の野望をはね返して県民の土地を守った一人であります。  このように沖縄県民は、米国占領統治下で次から次へと布令、布告で県民の権利を制限して軍事優先政策を遂行しようとする弾圧を、県民が一つ一つかち取ってきた歴史を、否定することは許されないのであります。  この点については、総理からも再度の御答弁をいただきたいと思っております。
  43. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 防衛施設庁長官答弁沖縄県民に対しそのような思いを与えたとすれば、これは私からもおわびをいたします。  そして、私は当日の答弁、たしか沖縄県における基地の歴史、それは議員が指摘される占領下における米軍の行動以前のものとして、第二次大戦中、旧日本の陸海軍の基地というものがつくられたときにもそれに近いものがあったように、ただ銃剣で突き云々、ブルドーザーで云々というものではありませんけれども、強制収用的に買い上げられた土地があったというようなことから思いを起こしながらお答えを申し上げたつもりでありました。  そして、まさに議員にもお答えを申し上げたことがあると思いますが、私自身それほど細かく占領下のことを知っていたわけではありません、私は昭和四十年に沖縄県に参上したのが最初でありますから。そして、大田知事の「高等弁務官」を読みましたときに、納得のいかないことが幾つも出てきまして、自分で調べた結果、我々が知らなかったことが余りに多かったという思いもお答えを申し上げてまいりました。  そうした歴史があることは私ども認識をした上で、今後ともに沖縄県の問題に対応していくべきもの、そのように思います。
  44. 仲村正治

    仲村委員 私は当時十四歳でありました。私のうちは、私ごとを申し上げて大変恐縮でございますけれども、父は満州でした。奉天省七〇〇〇部隊。シベリアに抑留をされて死んでしまっています。おじは現地の球部隊の野戦病院に勤めていました。おば、うちの兄、兄は中学三年生でした。軍事、いわゆる通信隊で、私のうちは五人この戦争で亡くなって、だれ一人骨を拾った人はおりま偉の責務を果たした中で犠牲になったということを考えれば、何もそのことについて特別に国を責めるとか、そういう気持ちは毛頭ありません。  ただ、戦後のこの米軍の支配下にあったときの苦しみ、これについて私はもう少しきちっとした正しい認識を持っていただかなければ、これは今の沖縄基地問題の解決についても、私は認識が非常に甘いんじゃないかという気がしてならないわけでございます。その点を念頭に置いて私はいつも国会活動を続けているつもりであります。  これも先日の質問で私が、昭和四十七年一月のサクラメンテにおいて日米首脳会談で決定したKPCPで、本土では当時の六〇%の基地を縮小されたにもかかわらず、沖縄復帰後今日までわずか一六%しか縮小されていないじゃないか、全く不公平ではないか。それでは、KPCPのしわ寄せで沖縄基地の縮小はできないということかという質問にはお答えになっておられません。  このようなことを思うときに、沖縄の復帰というものは、本土の基地をそこに捨て場にするために決めたのか、こういう勘ぐり方を言われても仕方がないのであります。沖縄の復帰は昭和四十七年五月十五日に決まっておったわけです。その五カ月前の昭和四十七年一月にこのKPCPで決めたことをどんどん整理縮小して、沖縄のはできません、こういう理屈が通るかということでございます。  その点について、私は、このような不公平なことがあってはいかない、ぜひ公平に沖縄基地の整理縮小もやるんだという御決意をお聞きできればありがたい、こういうように思っております。
  45. 池田行彦

    池田国務大臣 今御指摘のKPCPと申しますのは、関東平野に所在する合衆国空軍施設の整理統合計画というものでございますが、これは、その当時関東地域に散在しておりました米空軍の施設区域を横田飛行場及びその他の既存の施設区域に集約することによって不要になる基地日本に返還すると同時に、米軍としてもその運営機構たものでございまして、昭和四十八年の一月にいわゆる合同委員会で合意されたものでございます。その結果、横田飛行場へ機能を集約されまして、立川飛行場等の施設区域、面積にして総計で二千二百二十ヘクタールになったようでございますが、そのようなものが返還することができた、こういうことがございます。  ただ、このKPCPがあったから、それが沖縄の方へいわば関東の方の機能を集約したということではなくて、関東平野の中での空軍の機能を集約したということでございます。  しかし、それはそれといたしまして、沖縄の方の基地につきましては、もう先般来何度も審議がございましたけれども、今日まで、沖縄返還時点で七十五平方キロ、そしてその後二十五年間で四十三平方キロが返還はされましたけれども、まだ依然として非常に大きな基地が存在するということで、大変な御負担沖縄県民の方にお願いせざるを得ない状態になっている。この状態は我々もよく承知しておりまして、であればこそ現在の段階で何とか、あとう限りの整理縮小をしようということでSACOの作業をいたしまして、御承知のとおり、昨年の最終報告におきまして五千ヘクタール余りの返還というものの計画をつくったわけでございます。  今後、我々といたしましては、まずこの最終報告書で計画いたしました、予定いたしましたものが実現するように全力で取り組んでまいりたい、そしてまた、その他の面でも県民の方々の御負担の軽減に全力で取り組んでまいりたい、こう考えている次第でございます。
  46. 仲村正治

    仲村委員 殊さら、沖縄が返ってくるという五カ月前の昭和四十七年一月に、日米首脳会談でのKPCP、これは関東平野ですよということをおっしゃっておりますが、沖縄が返ってくるので返しても差し支えないだろう、こういうアメリカには考え方があったと私は思っております。それであれば、やはり公平という立場から、本土では六〇%も減らして沖縄は二八%ということはいかにも不公平であります。沖縄基地の縮小は、返還はできませんということがあってはならないと思っておりますので、その点を踏まえて私は、今後の沖縄基地の整理縮小については真剣に取り組んでいただきたい、こういうことを申し上げておきたいと思っております。  一昨年九月、あの不幸な事件が起こったときに、これはいよいよ第二のコザ暴動が起こるぞと私はすぐ記者に言いました。私の懸念が的中いたしまして、県民は、もう我慢できない、堪忍袋の緒が切れた、こういうことで県民総立ち上がりの基地の整理縮小要求に発展していったのであります。そして県民は日米政府に強くそれを迫ったわけでありますが、そのときのペリー前国防長官は、日米安保条約に基づく日本基地提供は必ずしも沖縄ということではない、日本のどこに基地を提供するかは日本国の国内問題だ、こういうことを明言しております。  このことからしても、現在沖縄だけに偏っている基地を全国に分散することにアメリカが不同意することはない、私はこのように考えておりますが、その点についてどのようにお考えでしょうか。ぜひ総理から御答弁をいただきたいと思います。
  47. 池田行彦

    池田国務大臣 委員御指摘のとおり、国の安全を守るための負担は、本来、国民がひとしく分かち合うべきものだ、このように我々も認識しております。そしてまた、日米安保条約に基づきまして米国がその責務を果たすために日本基地を使用していく、その提供されるべき基地が、これは沖縄でなくちゃいけないということは当然米国でも言ってはいないわけでございまして、それは、原則論といたしましてはやはり日本のしかるべき地域にということだと存じます。  しかしながら、現実問題といたしまして、条約上のその役割を果たしていくためにどのような部隊を、どのような数を持っていくか、その運用をどうするかという観点からいろいろ考えていくならば、やはり日本の国内であっても、どこが望ましいということは当然出てくると思います。  それからいま一つ、これは私も申し上げたくはないのでございますけれども、現実の問題といたしまして、いろいろな経緯があって今日米軍に提供している基地日本でどういうふうに存在するか、このことも、今いろいろ基地の配置あるいはその整理縮小を考えていく場合に、どうしてもその一つ要素にならざるを得ないということも御理解賜りたいと思うのでございます。白紙の状態の中で新たに設置するならばまたいろいろなこともあり得ましょうが。  しかし、そういうことは前提にいたしましても、私ども沖縄の県民の方々に余りにも偏った大きな御負担をおかけしているというこの現実、事実は本当に率直に受けとめ、そして真剣に考えなくちゃいけないと思っております。  そして、今回のSACOの作業を通じましても、決して大きなものではございませんけれども、KC130の岩国への移駐、あるいは百四号線越えの訓練の沖縄県以外の五カ所の区域施設への移動ということを計画し、今それぞれの地元においていろいろ御理解をちょうだいしながらこれをやっておるわけでございますので、また将来的にも、その問題はよく考えながら私どもも対応してまいりたい。沖縄県民の皆様方の御負担の軽減はこれで終わったのではない、まずSACOの最終報告の着実な実施を図りながら、さらに将来的にも大きな課題として考えなくちゃいけないと思っております。
  48. 仲村正治

    仲村委員 今の外務大臣の御答弁は、占領状態の継続の現実の状態から、簡単に基地は全国に配分することはできない、そこも理解してくれということをおっしゃっているように聞こえているわけですが、これは、まさに私が申し上げた防衛のための公平な負担、そして権利を制限されることについても公平であればそれは甘受しなければならない、私はこう考えておりますが、沖縄県民だけにそういう権利の制限あるいは負担を強いることは絶対そのまま放置してはならない、こういうふうに思っておりますので、私は先ほど答弁を了解する考え方で聞いているわけではございません。そこはひとつ念頭に置いてこの基地問題に対処していただきたい、こういうふうに思っております。  橋本総理は、本年二月二十四日、オルブライト米国務長官との会談の中で、中長期的な国際情勢の趨勢を視野に、両国の防衛安保体制の要請を満たしつつ、軍事態勢について緊密に協議したい、こういうふうにお述べになられて、削減も含めて柔軟に対応するような記事が報ぜられておりました。私は、衆議院の予算委員会の段階ではそのような形の御答弁があった、こういうふうに思っておりますが、一挙に、三月二十日ごろからの参議院の予算委員会では一変して、この兵力削減はできない、基地の整理縮小はアメリカに言えないと、非常に後退した形での答弁がはね返ってくるような感じがして、一体これはなぜだろうかということを感じているわけであります。どうぞひとつ。
  49. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 大変恐縮でありますけれども、今議員が引用されましたオルブライト長官との話、その後見えたゴア副大統領との話、多分明日お目にかかることになると思いますが国防長官とお話をする場合にも、私のスタンスは全く変わっておりません。  それは、現時点において例えば海兵隊、いろいろな御質問が国会の中でもございました。ですから、それに対して私は、それぞれ誠実にその御質問者にお答えを申し上げてきたつもりでありますけれども、現時点で、あるいは四月にもし日米首脳会談が行えたらその場で、海兵隊の削減を提起しろという御意見がありましたものに対しては、現時点では私はその問題を提起する考えはないということは繰り返し申し上げてきております。それは私は、今提起をすべきではない、本当に安全保障上の論議としてそう思っております。  しかし同時に、間違いなく国際情勢、我が国を取り巻く状況というものは変化をする、その変化に即応しながら、日米両国間において今後ともにその軍事情勢というものを踏まえ、兵力構成を含む問題点の論議をすること、私はそれはまた必要なことであると考えておりますから、この点は同時に、常に申し上げておることでございます。  ただ、先般来、本当に一時期、四月にクリントン大統領とお会いをする機会があればそのときに海兵隊の削減を提起すべきであるという御質問が集中した時期がございました。そして、それに対しては、現時点においては私はそれを提起する意思はないということを確かに申し上げておりますので、その御質問とあわせた答弁をお考えいただけば、私は、今後ともにその兵力構成を含む論議というものは、当然ながら国際情勢、我が国を取り巻く安全保障体制という中で論議をしていくべきものだという考え方、一回も変えておりません。
  50. 仲村正治

    仲村委員 確かに、沖縄の一昨年の事件が発端になって沖縄県での基地の返還、整理縮小運動が高まってきた中で、その結果としてSACOの最終報告をおまとめになられたわけでありますが、アメリカとしては、普天間基地の全面返還などということについては、私はよくそれを承知してくれたなと思っておるわけでありますが、そういう問題がアメリカとしてはどんどんどこまでエスカレートするのかという気持ちを持っておりますので、ある意味で歯どめをかけたい、こういうことで三月十四日のキャンベル国防次官補などの発言が出てきた。  あるいは、最近はもう米高官は口をそろえて、今、在日米軍基地の削減、兵力の削減はできない、こういうことを言っているわけでありますが、それはアメリカの考えだ。我が国には我が国の視点からの国防政策というものを持っていなければならないと思いますので、そういう独立国家としての主体性を持って、アメリカに対しては、アメリカが言うからということでなしに、我が国の考え方をきちっとお述べになっていただくことを私は特に要望申し上げておきたいと思っております。  昨年十二月二日に、一年間かけて作業してきた結果としてSACOの最終報告が発表されました。最終報告というからには、その実施については、一〇〇%と言わなくとも、実施の可能性が相当程度高い内容でなければならないわけであります。しかし、その決定事項の大半が沖縄県内への移設が条件になっているので、県民の求めている基地の整理縮小にはなっていない、私はこのように考えております。  それでも、基地の現状打開のため一歩でも二歩でも前進できるなら、何もしないよりはましたと私は思っておることも事実であります。しかし、そのことは、移設を予定している市町村が受け入れてもいいということであるならば、私はこれに反対をいたしません。しかし、今の段階で、移設を予定されている市町村で受け入れに同意しているところは一カ所もございません。  このSACOの最終報告の決定の基地の返還と移設作業、特に普天間基地の五年から七年で返還するという決定は、そんなに手続に時間をかけてはならないと思います。SACO全体の決定事項の実現、作業の進捗状態、また特に五年から七年という普天間の返還の実施は間違いなくできるのかどうか、橋本総理にお答えをいただきたいと思います。
  51. 久間章生

    ○久間国務大臣 SACOの最終報告といいますけれども、これは終わりという意味ではございませんで、橋本総理クリントン大統領のいわゆる共同宣言を受けて沖縄の問題についていろいろスタートしたわけでございます、SACOが。そのときに中間報告があったので、一応の締めくくりとしての最終報告をして、とにかくここで一つの区切りをつけて、それを全力を挙げてやろうということでやっているわけでございますので、委員御指摘になりましたように、これが第一歩である、そういうような御認識沖縄の方々はしておられるのではないかと思います。  少なくとも私どもは、一応これの一つの区切りというか、報告が出たわけでございますから、これに一生懸命全力を挙げているわけでございますけれども、残念ながら、移設先の方々のやはり同意といいますか御理解なくしてはなかなか進まないのも実情でございます。  そういう意味で、特に一番の目玉でございます普天間の移転のために、このためのせめて基礎調査だけでもやらせていただきたいということで今お願いをしているわけでございまして、これから先も粘り強く、また御理解を得べく努力して、一日も早くこういう調査にでも入らせていただきたい、そういうふうに思っているところでございますので、大変御不満かと思いますけれども、私どもも精いっぱい努力をいたしておるところでございますので、どうかもうしばらくその推移を見守っていただきたいと思います。  それと同時に、また、御不満かもしれませんけれども、やはり一気に全部いくわけではございませんので、そういう移設先におかれましてもできれば御理解していただいて、そういうのを条件つきなりなんなりで受けながら、少しずつでも整理縮小が進んでいくような、そういう方向に御協力いただければ大変ありがたいと思いますので、委員のまた御協力もお願い申し上げる次第でございます。
  52. 仲村正治

    仲村委員 私が先ほどお尋ねいたしましたのは、SACO全体の中で最も中心になるのは普天間基地を五年から七年の間に返還するという決定でありますが、これはそんなに時間をかけられない問題であります。その進捗状況と見通しについて、ちょっと簡潔にお願いします。
  53. 久間章生

    ○久間国務大臣 このためにも、一月の二十一日に防衛施設局長が参りまして、漁連の皆さん方あるいはまた市長さん、そういった方々にもお会いしておるわけでございます。まだなかなか進んでいないのも実情でございますけれども、まず、適地かどうかのそういう調査、基本的な調査に入らせていただきたいということで今お願いしておりまして、とにかく御理解を取りつけるべくやっているわけでございます。どうかひとつそういう経緯については御理解賜りたい。  そしてまた、そういうための、何といいますか、若干の、説明を聞いてやろうじゃないかというような、そういう動きもあるやに聞いておりますので、とにかくこの推移についてぜひ、一生懸命頑張りますので、よろしくお願い申し上げます。
  54. 仲村正治

    仲村委員 総理、このSACOの決定の最重要事案は、何といっても、先ほどから私が強調しておりますように、普天間基地を五年から七年の間に返すということであります。もしこれが予定どおり実現できなければ、今沖縄県の国際都市形成構想のマスタープランも大きく後退してしまうのであります。  橋本総理は大田知事と頻繁にお会いになられて、この沖縄県の国際都市形成構想については要請も受けておられるし、また、中身についてもある程度お聞きになっておられると思います。そのような形で、この国際都市形成構想の拠点になるのは普天間基地の返還跡地だと思っております。この返還跡地について、今防衛庁長官のお話をお聞きいたしますと、非常にスケジュールどおりいっていない、こういうことでありますけれども、その点についての総理の御所見をお答えいただきたいと思います。
  55. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 議員にも御記憶をいただいておると思いますけれども、昨年、サンタモニカでクリントン大統領とお目にかかる前、私は大田知事と随分時間をかけてお話をいたしました。そして、そのときは既に、先ほどの御答弁で申し上げましたように、その「高等弁務官」を読み、自分なりに疑問を抱き、調べた上でお目にかかったわけであります。そして、そのとき知事から切々と訴えられました最大のものは、まさにその普天間基地の問題でありました。  そして、知事が移設でいいと言われたわけでは決してありません、これは知事の名誉のためにも申し上げておかなければなりませんが。とにかく自分として一番心配な、住居の密集しているその普天間をどこかに動かしたい、動かしてくれ、そのためにもサンタモニカの会談の中で普天間を名前を出してくれ、これは本当に切々と知事から訴えられました。  その時点において、全く私は自信がありませんでした。そして私は、迷いに迷っておりました。全く見通しのないものを出して議題にし、過剰な期待を地域の方々に持たれ、それがどうにもならなかったとき、果たして一体どうなんだろう。結果として、私は知事さんの顔が浮かびまして、まさにアメリカ側の何が一番ポイントという問いかけに対して、普天間ということをその場で出しました。  その後、日米両政府は一生懸命、その普天間の基地の移転というものができるかできないか、できないとすればなぜか、できるとすればどのような手法か、真剣な議論をいたしました。そしてその中から、だれ言うとなく、海上に移設しては、そして撤去可能な海上施設にしてはという案が出てまいりました。  私は、その時点で、どこの海がそれに適しているか、それは正直言ってわかりませんでした。わかりませんでしたし、同時に、沖縄の海というものの美しさを多少とも知っている私として、ためらいもございました。しかし、その移設される場所によって工法も変わり、自然環境に与える影響も最小限にすることができるだろう、とにかくあの住居の密集している普天間の問題に決着をつけるとすれば、現時点においてはこれしかない、私は、真剣にそう悩んだあげくに判断をいたしました。そして、昨年十二月に基地所在市町村長の方々にお目にかかりましたときにも、率直にそうした思いを申し上げました。賛成と言っていただけたわけでは決してありません。  そして現在、防衛施設局が関係の地方自治体また漁連の皆さんに調査をさせていただくお願いを申し上げております。その調査ができなければ、どこが本当に適地かもわからないのです。そして、それが決まらない間は、その移設というものも動きません。心配しておられる人口密集地帯のど真ん中の基地が残ってしまうのです。これを動かそうとすれば、現時点において、残念ながら私はこれにかわる方法を見出すことができておりません。そして知事にも、地元に調査を開始するための依頼を国がしている状況を申し上げ、御協力を得たいとお願いをいたしましたが、残念ながら知事さんの御同意はいただけませんでした。  しかし、一日一日が過ぎていきます間、知事が心配しておられた普天間の基地は動かずにそのまま残ります。本当に五年から七年の間に、もし皆さんが許してくだすって、撤去可能な海上基地へ移設をするということになりましたなら、その工期等をも考えれば、どこに置くことができるかを考える時間、そしてそれによって工法をどの工法に決めるかという時間、そしてそれだけの技術を駆使し、施設を建設する時間、余裕があるわけではございません。しかし、それができなければ、今の基地が残ります。この点だけは、私、どうしても耐えがたい思いでありますし、知事が訴えられた切々とした思いも裏目になってしまう。何とか地域の御協力を得て、調査の開始だけでも早急にさせていただきたい。今、鋭意努力を続けている最中であります。
  56. 仲村正治

    仲村委員 昨年四月十七日の日米首脳会談で、移設条件つきで返還が決定されたわけでありますが、当初は嘉手納弾薬庫跡につくる、その後嘉手納基地内に移す、またキャンプ・ハンセンだと、まあいろいろな案が出てきた中で、最終的に海上案、こういうことになったわけでありますが、県内移設という条件がこれを前に進めるのに非常に障害になっている、こういうことであります。  ただ、やはり基地の返還を実施して、実現して、その跡地利用を、本当に五十年間も基地に使用されて、自分の土地の利用を自由にできなかった地主にとっては、その再開発というのは非常に重要な問題であります。今は曲がりなりにも地料を受け取って暮らしているわけでありますが、返還されて地主の収益が途絶えて生活が困る、こういうことが軍用地主にとっては最大のネックになっているわけであります。したがいまして、今までの返還地は平均してその使用収益を得るために十四二二年かかっています。長いのは二十年かかっています。今の那覇市の副都心開発計画は、もう二十年かかっています。そういうことがあってはならないわけです。  したがいまして、曲がりなりにも軍転法というのができているわけでありますが、私は、この法律だけでは返還軍用地の再開発に対応するのに十分とは言えないわけであります。まして現行法では、例えば区画整理法あるいは土地改良に関する法律などを適用しても、これはできる話じゃないと思っております。  したがいまして、この返還軍用地の再開発をするに当たって、やはり新たな措置を講ずるような法律制定が必要である、こういうことを考えておる立場から、少なくとも今の軍転特措法、これを改正強化して、その跡地利用がスムーズに進められるようにする責任がある、こういうふうに思っておりますが、その点についての御意見をお尋ねいたします。
  57. 稲垣実男

    ○稲垣国務大臣 したがいまして、私どもとしては、委員承知のとおり、三次振計の後期展望の中でこういったそれらの問題等も取りまとめて課題とし、そしてこれらの進展を見ていきたい、こう思っている次第でございます。  私ども沖縄開発庁といたしましては、三次振計の策定後は、今日、社会経済の情勢が大きく変化しておりますし……
  58. 仲村正治

    仲村委員 この返還軍用地跡地に関する措置についてお尋ねしております。
  59. 久間章生

    ○久間国務大臣 確かに、この返った後どうするかという問題は大変な問題でございます。今政府全体で沖縄の振興策についていろいろと検討してもらっておりますけれども、やはり返還が実現した後のこれを現在の法体系の中でいいのかどうか、現行制度でいいのかどうか、そういうことについては、これからやはりみんなが検討していかなければならない問題じゃないかと思います。そういうので一つの方向が見出してくるならば、また返した人たちも安心して返せるというような気持ちになろうかと思います。  といいますのは、実は先般来、賛成していただいております二万九千人の皆さん方の代表者がおいでになられまして、我々は全部協力してきた、反対している人たちの、本当の反対はごくわずかじゃないか、おれたち大多数が賛成してきたじゃないか、それなのにいきなり返されてほうり出されたのではたまったものじゃない、そういうような御意見等を出されまして、私もそれを聞きながら、本当にこれはやはり政府挙げて、返還になった後どうするかについては真剣に考えなければならないなと思っております。これはどこの部署がどういうふうに担当するのかわかりませんけれども、これから先みんなで検討していかなければならない問題だと思っております。
  60. 仲村正治

    仲村委員 今お話がありましたように、軍用地主としては、今は曲がりなりにもその地料で生活をしておる。返されて後、すぐ直ちに使用収益が入ればいいわけでありますが、再開発をして使用収益を得るまでに平均して十四・三年かかっているわけです。だから、それを懸念して、一体我々の生活はどうなるんだという気持ちが先に立ってしまうわけであります。そういう不安を除去するためには、今の軍転法が中心になって、やはり今まで五十年間国の政策で犠牲になった人たちを犠牲にしないように法の整備をきちっとやるべきである、私はこういうふうに思っております。今防衛庁長官もそのようなことをおっしゃっておりますので、ぜひこれは御努力をいただきたい、こういうふうに思っております。  次に、今回改正しようとするいわゆる駐留軍特措法で、政府は過去三回も用地の強制収用を行ってきたわけであります。このことは、現行法に不備も欠陥もないということでありますが、だのに今回期間内での事業執行ができず法改正に追い込まれた政府責任は、極めて重いものがあると私は考えております。  そこで、総理防衛庁長官も、今回の法改正は暫定的な必要最小限のぎりぎりの改正である、こういうことを繰り返しておりますが、この暫定的な改正というのはどういう意味を持つものであるのか、最小限ぎりぎりの改正というのはどういう意味を持つものであるか、お答えをいただきたいと思います。
  61. 久間章生

    ○久間国務大臣 私どもは暫定的な改正だと言っているわけではございませんで、必要最小限度の改正で暫定使用を認める制度をつくっていただきたいということを申し上げておりますので、そこは正確にそういうふうにお答えさせていただきます。  といいますのは、過去三回のそういう例を見まして、平成七年の三月三日に実は手続に入ったわけでございます。通常でございますとこの手続で間に合うというふうな、そういう予測のもとにやったわけでございますけれども、七年の九月にああいう不幸な出来事がございまして、そういう中で市町村長さんの署名押印が得られない、それを受けての知事さんの代行の署名押印が得られない、そういうことでいわゆる県との話し合いに入りましたけれども、それもうまくいかないで、最終的には知事を相手とする職務執行命令という手続に入らざるを得なかったというふうなことで、確かにおくれたのも事実でございます。  しかしながら、そうはいいましても、橋本総理と大田知事とのいろいろな話の結果、沖縄振興についてのいろいろな話も出てまいりまして、知事さんにも縦覧公告に同意していただきまして、そして収用委員会のいろいろな手続にも入っていって、しかも粛々と行われることになってきたわけでございます。  そこで、私どもとしましては、これなら何とか裁決が得られるのではないか、五月十四日に間に合うように、せめて三月末までに裁決をしていただければ間に合うのではないかということでやってきたわけでございますけれども収用委員会の、三回終わりまして四回目の、いわゆる日にちも決まらない、会長さんも御病気で入院された、そういう状況の中でこれはもうどうしようもない、やはりもう法的に手続をとってもらわなければどうしようもないということで、その法律案を用意しまして今御審議を願っておるわけでございますから、どうかそういう経緯の中で、過去三回と今回は非常に違った、そういうようなことについても御理解していただきたいと思うわけでございます。
  62. 仲村正治

    仲村委員 先ほど私が申し上げたように、過去三回もこの法律を適用して強制収用を実施してきて、何の問題もなかったわけです。今回それが期限内にできない、こういうことはやはり政府責任であったということは、これは否定できないわけであります。  そこで、今回の改正点の暫定使用という制度は、収用委員会審理中は期限後も使用できるということになれば、収用委員会の役割の形骸化を意味すると先日も私は言いました。行政が権力を行使しようとするときに、チェック、コントロールする機関として収用委員会があるわけでありますから、今回の法改正で委員会審理関係なく暫定使用ができるとなれば、これはもうブレーキのない自動車も同然であります。まさに欠陥車になって行政の暴走をコントロールすることができなくなる、こういうふうに思っております。  必要最小限措置ということであれば、やはり必要最小限の言葉の意味の持つように、今回の皆さんが追い込まれたこの不法占拠状態を脱皮するためだけにとどめるべきである。そういう意味では、私は、本条に書くのではなくて附則に書いて、時限を打って、時限立法にすべきである、こういうふうに思います。どうですか。
  63. 久間章生

    ○久間国務大臣 収用委員会の皆様方に今お願いして審理をやってもらっているわけでございまして、これはそのまま収用委員会の権限としてやっていただくわけでございます。そして最終的には収用委員会の裁決で、そこで決まるわけでございますけれども、それまでの間に無権原状態になったらいけないので、その無権原状態だけをクリアさせていただこうというのが今度の暫定使用でございますから、そういう意味では、また、それまでの手続に入ります市町村の権限あるいは県の権限、そういうことにも触れることなく、ただ収用委員会の裁決を待つ間、その間に無権原な状態だけを生じさせないようなそういう手当てをするということで、最小限ということで言っているわけでございます。  ただ、これをなぜ、それでは附則に書かなかったのかと言われますけれども、これから先もこういうような、いわゆる収用委員会がやっているときに、ほかのいろいろな諸般の事情でそれが延びる場合、無権原状態が出てくるようなそういう事態になった場合には大変困ることになりますので、これから先も本土においても来年あるいは再来年だってそういうことがあるかもしれませんので、それをやはり、これから先あるというためにきちっと法律に書くということになりまして、それで書き始めますとなかなか長い条文になりまして、結局三条というああいう形になったわけでございます。  それともう一つは、これを期限を付すということでございますけれども、今言いましたように沖縄だけではございませんで、これは本土でも来年、再来年あるいはそういう次々に契約が切れるときに、今は契約をいただいておりますけれども、そういった方々のあるいは一般承継人あるいはまたいろいろな方々がその契約を拒否する、その拒否されましたときに、また沖縄みたいにたくさんの方々がそこに入ってこられるという事態だってあるわけでございますので、やはりそういうことになって延びる場合には、少なくとも収用委員会の皆さん方がやっておられる間はそのまま継続して使用させていただきたいということを、そういうことをするために期限を付すということはなかなか難しいといいますか、期限を付さないで通していただきたい、そういうことでお願いし信
  64. 仲村正治

    仲村委員 この法律には沖縄だけに適用するとどこにも書いてないわけであります。しかも、その法律は昭和二十七年に制定された法律でありまして、沖縄が行政権復帰をする前の法律なんです。だから、沖縄だけをねらい撃ちにするというのはこれは当たらない。  そこで、来年、再来年、本土でもそういう事例が出てくるかもしれないということでありますが、私は、それを理由にして、今恒常的にこの法律の施行ができるような形の改正はあってはならない。なぜか。現行法で何の不備もないわけでありますから、そこでその理由は成り立たない。私は最低限、この目の前に来ている、迫っている違法状態を避けるための措置にすることが最低限のぎりぎりの法改正であるという言葉に合致することだと思っております。ぜひそうしていただきたいと思います。
  65. 久間章生

    ○久間国務大臣 沖縄でも、こういういわゆる一坪共有地主というのが発生したのは昭和五十七年からでございます。それまではなかったわけでございます。いわゆる本土でいいますならば、例を例えるのは悪いかもしれませんけれども、これはございました。これはいわゆる成田でやったわけでございます。それで、沖縄で初めてできたのが五十七年からでございます。これから先、本土の基地の中でそういうのが発生しないかというと、私はわからないと思います。  そして、そういうために、せっかく改正するならば、いかなる事態になっても収用委員会の方々がちゃんと審理をされるようなそういう状況をつくっておくというのは、立法府としてぜひ考えていただきたいということでお願いをしておるわけでございますので、どうかひとつ、今後ともそういうことが絶対ないという前提に立ってではなくて、あり得るということもひとつ頭の隅に入れていただきたい、ぜひお願いしたいわけでございます。
  66. 仲村正治

    仲村委員 どういう説明をなされても、政府がやりやすいように法改正をする。これは政府がやはり行政の権力を行使しようとするときに、それをチェックする機関として収用委員会があるわけでありますので、それを否定するような形のものを我々に議決しなさいと言ったって、それを受け入れられる話ではございません。したがって、目の前に迫っているこの違法状態を避けるためのぎりぎりの最低限の改正にとどめるべきである、こういうことを再度私は強調しておきたいと思っております。  せっかく沖縄開発庁長官の出席をいただいております。官房長官も御出席をいただいておりますが、官房長官は沖縄のこの問題に対する最近の担当大臣として、非常にいろいろな問題を次々とてきばきと処理されておりますこともよく承知いたしております。たまたまこの時期は沖縄県が復帰いたしまして二十五年、三次振計の折り返し地点、非常に重要な時期であります。私は、基地問題とは切り離して、やはり三次振計というものはきちっとその趣旨にのっとって進めていかれるべきものである、こういうふうに思っております。  そういう点から、まず沖縄の国際交流の拠点形成、これはもう二次振計からも続けてこられていることでありますが、これは沖縄県の地理的位置、気候的な条件、こういったものを大いに活用できる政策である、それをこれから強力に推進していくためには、まず交通通信体系の整備をしなければならないわけであります。那覇空港の第一種空港への格上げ、そしてハブ空港化、これはもう絶対の条件でございます。その点についてどのようにお考えか。  また、国際リゾート地としての開発。これは沖縄県は、御承知のように非常に恵まれた自然景観であると同時にすぐれた伝統文化を持っている地域で、青い海、青い空に強調されるように、非常に条件が整っております。そういう意味で、私は、この国際観光リゾート開発、これは沖縄の雇用の創出の面からも大変大きな意義を持つ、総合産業として開発すべきであると考えております。  これらの点について、官房長官、それと開発庁長官のお答えをいただきたいと思っております。
  67. 稲垣実男

    ○稲垣国務大臣 お答えを申し上げます。  委員御指摘のとおり、今日まで沖縄に対しましては三次振計で進めてまいりまして、ここへ参りまして、この後期ということで展望を持ってやらなければならぬということでございまして、その中に、国際交流の拠点形成、また国際的な観光リゾートの形成、あるいはまた食糧生産の基地等々、これをやっているところでございまして、今委員の御指摘のとおり、国際交流拠点の形成では、アジア・太平洋諸国との多面的な交流と多様なネットワークの構築を図ることにおきまして国際交流をさらに進めていかなければならぬということでございます。
  68. 野中広務

    野中委員長 質疑時間が終わっておりますので、簡潔に願います。
  69. 稲垣実男

    ○稲垣国務大臣 また、観光リゾートの形成におきましても、現在のところ年間三百五十万でございますが、今、海洋博の水族館などもつくっておりますので、これもまた大いに発展を見るであろうと思うわけでございます。そのためには、空港のハブ空港化への取り組みを真剣にやっていきませんと、この交通形成というものができませんと期待するものができませんので、それらの諸計画の目標達成のために一層努力をしてまいりたいと思うわけでございます。
  70. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 総理やその他の御答弁に尽きますけれども、長い間の伝統文化や、あるいは地勢的な環境、これを十二分に生かせる沖縄、そして、私にとっては、特に戦争末期を知っている一人として、五十一年前の沖縄戦、そしてこの五十一年間あるいは二十五年間の沖縄の心や痛みを十二分に回復できる手段、方法を講ずることに全力を挙げたいと考えております。
  71. 仲村正治

    仲村委員 時間が参りましたのですぐ終わりますけれども沖縄の振興開発の中で、農林水産業というのは非常に重要な位置を占めております。  そこで、今まで、水田もあったし、サトウキビが中心であったわけでありますが、それでは農業振興を図れない。やはり野菜、花卉、熱帯果樹、これに方向転換していかなければならないわけでありますが、その市場は東京や大阪の本土であります。しかし、それを運ぶ航空運賃が今のままでは引き合わない。旅客の運賃は四月から安くなるようになるわけでありますが、貨物の運賃についてもぜひ特別の配慮を講ずるべきである、こういうのが一点。  それから、羽田空港のC滑走路の完成で新たな枠を配分したわけであります。その中で、東京-久米島直行便のあれがきょうの地元の朝刊に載っております。久米島に認可する、こういうふうに書いておりますが、この事実について運輸省からお答えをいただきたいと思います。
  72. 野中広務

    野中委員長 時間が終わっておりますので、御協力願います。  簡潔に。沖縄開発庁長官。
  73. 稲垣実男

    ○稲垣国務大臣 昨日、質問等がございまして運輸大臣から御答弁されたとおりでございまして、私どももこれに協力をいたしたいと思っておる次第です。
  74. 仲村正治

    仲村委員 終わります。
  75. 野中広務

    野中委員長 これにて仲村君の質疑は終了いたしました。  午後二時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五分休憩      ────◇─────     午後二時四十一分開議
  76. 野中広務

    野中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。平田米男君。
  77. 平田米男

    ○平田委員 新進党の平田米男でございます。  まず、この法案の話に入る前に、我が国の、主権国家といいますか、あるいは日米安保条約の同盟国としての我が国責任また国民に対する責任、そういうものを我が国はきちっと果たしているんだろうか、こういう視点で少し議論をさせていただきたいというふうに思うわけであります。  実は、昨年五月にACSAの法案が審議されました。総理もよく御存じのとおり、これは、共同訓練とPKOのみに限定をするものでございました。冷戦時代、日米安保条約があると言いながら、実は、日本米軍と緊密な関係を持って我が国と極東の安全を守る、そういう法体系というのがなかったわけでありますが、昭和六出二年からアメリカから要望をされていたACSAが八年がかりでようやく日の目を見たところ、実は共同訓練とPKOに限定されてしまった。  私は、その委員会の審議の場で、外務大臣は同じでございますから、外務大臣にも伺いましたが、もし日本がこのようなものしかできないような国だとして、あなたがもしアメリカ外務大臣あるいは防衛庁長官であったならばどう思われますか、こういうふうに伺ったことがございます。残念ながら、正面からお答えはいただけませんでした。再度そんなことを繰り返す気はありませんが、しかし、アメリカから見たら、日本を片務的に守るとはいえ、有事の際に日本と緊密な連携をとってきちっとした対応ができる法体系というのがあってしかるべきであるわけでありまして、ようやくACSAができたと思ったら、有事は排除されている。  御存じのとおり、ACSAは当初、NATO諸国を対象としてでき上がってきたものでございますが、アジアでも日本以外に八カ国あるという外務省からの説明でございましたが、その八カ国とは有事を排除されたACSAは結ばれておりません。日本のみであると。なぜ日本のみが、アジアにおける一番の同盟国だと言われている日本のみが有事の問題に対応できないのか。これはそう難しい話ではなくて、まさに五五年体制、あるいは冷戦時代、日本が割とのんきにしていてもアメリカが大目に見てきて、とにかく日本が西側の同盟諸国の一員としてとどまっていれば相当大目に見ましようと。こういうことで、国内世論の分裂をさらに大きくさせるような危ない道をとるよりもまだいいだろう、こういう判断が私はあったというふうに思います。  しかし、冷戦が終わりまして既に八年ですか、経過をしようとしているわけでありまして、やはりアメリカ日本に対する見方というもの、また同盟国としての日本責任というものは大きく変わってきている。また、二つの超大国によるある意味での世界の安定から、多極化への流れの中で不安定状態もますます増していく、こう言われているわけでありまして、そういう中で、アメリカ日本がパートナーシップをしっかり築いて世界の平和と安定のために協力していきましょう、こう言っているときに、まだ冷戦時代の、いや、五五年体制の物差しでもって日本の国というものを運営をしていくということは、私は完全な誤りだと思う。  きょうも、西村委員有事法制の質問をされました。有事法制もまだ整っておりません。有事法制も、本当を言えば、やろうと思えば、第一分類、第二分類はすぐ立法準備作業に入れるわけであります。以前だったら、自民党だけが単独でやれば、それは国内は世論も真っ二つに分かれたかもしれない。今の政治状況はそうではないはずです。  私は、なぜ有事法制に踏み込まないのか、不思議でならないのです。今回、特措法の改正は、法治国家として何としてでもやらなければならない、これが大きな理由でありました。同時に、日米安保条約を守る、日米同盟を守るという意味でやる、そういうことだと思いますが、法治国家と言うのだったら、なぜ有事法制をやらないのか。秋山防衛局長西村委員質問に対して答弁をされましたが、全く国民は納得できないですよ。私は、怠慢のそしりを受けてもやむを得ない状況政府もまた政治家もある、こう思います。  直ちに日本とまた極東の有事ACSAも私はつくるべきであろうと思うし、それから、事前協議の質問も昨日出ましたが、これまではどちらかというと、事前協議はしないでくれ、何でも理由はつけるから勝手にやってくださいと。総理は少し変わった御答弁をされたようでありますが、しかし、本当に日米安保条約を機能させ、日本もその責任の一端を十分担う、そういう意味での答弁ではなかったような気がいたします。  地位協定の見直しも大きな課題ですし、また、PKOと言いながら、実はPKFなどというのは日本は分けております。これは世界の非常識。これもいまだに踏み込めない。これからガイドラインの見直しが行われるわけでありますが、そういうものすべてをもう一度、私は、五五年体制のあのときの物差しではなくて新しい時代に合う物差しで、政府も、そして我々政治家も取り組まなければいけない。  これまで、どちらかというと安全保障については各政党ともに及び腰であった、そう言わざるを得ないと私は思います。その姿勢の転換を今求められている、それが責任ある政治だと思うのです。国民に対する責任ある政治、また同盟国に対する責任を果たす道であるし、また世界の平和と安定のために果たすべき責任だろうと思うのです。日本だけがのほほんとやっている。主権国家が毎年五兆円も予算を組んでいる軍隊を持ちながらそれを動かす法制がない、こんな恥ずかしい話は私はないと思うのですよ。  総理、その辺をどのようにお考えになっておいでになりますか。
  78. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、平田議員の御発言をずっと拝聴しておりまして、私自身にも共感のできる部分もありますし、同時に、果たして一気に国というものはそれほど大きく変えてよいものだろうかという思いも正直持ちました。  私ども本当に、敗戦の時点というものは小学校のまだ二年生でありますから、それ以前を十分に知っている世代ではありません。しかし、その敗戦後の混乱の時代から我が国が独立を回復し、そして今日に至る中で、さまざまな場面を見てまいりました。単独講和か全面講和かということで国論の分裂した時代、そして、講和条約締結、独立を回復し、同時に自衛のための最小限の兵力を持って、むしろ日米安全保障条約によって大半の国の安全を維持する、そうした当時の先輩方が選択をされた路線、それにもさまざまな抵抗があったことは歴史に残っております。  そして、昭和三十五年に安保条約改定の際、再び国論は分裂をいたしました。そして、国会周辺においても死者まで出すという大混乱が生じたこと、そしてその中で、現在の日米安保条約というものが次第次第に国民の間に定着をし、その体制の中で今日まで過ごしてまいりましたこと、その間に沖縄施政権の返還が行われ、そして今日、その返還以降の沖縄県における基地の整理、統合、縮小というものに向けた私たち自身の努力不足というものを改めて指摘をされる、そのような状況の中であります。  そして、私はその中で、今ACSAを例にとられて、多少の前進を見たがそこまでだということを御指摘になりました。私は、昨年日米安保共同宣言を発出いたしましたが、それに対する国の内外の反応も議員御記憶のとおりであります。そして、あれはまさに日米安保条約、それに伴う体制というものを再確認したものでありますけれども、再確認ではなく変更ではないか、変質ではないか、さまざまな御議論がございました。今もその疑念を晴らしておられない方々もございます。  私は、こうした問題についてやはり考えていくべきものは、国民に御理解を求めながら、本当に我々がこの国の安全保障上のさまざまな事態に対してどういう対応をすべきか、日米間の協力のあり方を含めて研究、検討しておくことが極めて重要だというのは、私は議員の御指摘のとおりだと思いますし、ガイドラインの論議が、今検討が進められていることも御承知のとおりであります。  今後におきましても、国会の御審議を初めとする各方面の御意見、御議論というものを踏まえながら、法的な側面にかかわる問題も含めてさらに検討、研究の必要がある、そして我が国の安全保障体制というものを一層堅固なものにしていくための努力を払っていきたいと考えておりますが、今日までの我が国の歩みを私は全く否定するわけにはいかない。我々の先人がこの路線を選ばれ、そしてその中で今日の日本が存在をする、事実として否定のできないことであると思います。
  79. 平田米男

    ○平田委員 従前どおりのお答えなので、要するに、価値観が変わっているということは十分御認識なんでしょうか。ずっと答弁は、例えば国会の論議が成熟することが立法作業に踏み込む条件だ、こういうふうにずっと言われ続けてきているのですよ。それが、もう野党の方からどうですかと言っているのですよ。もうそれは、あとは総理の決断、国民に対する問題提起、責任を持ってやるかどうか。それはいろいろ国内で反対論も出てくるかもしれません。しかし、きちっと国民に対して説明をし、法治国家と言うのだったらちゃんと法律をつくらないとだめなんです、こう言うのが政府責任じゃないですか。片っ方で、沖縄のことだけは法治国家なのだと、そして日本全体のことはほかっておく。沖縄の人は、何ですかと言いますよ。  総理は、国を急に大きく変えてよいのかどうか、こうおっしゃいました。しかし、今まさに六つの改革と言われて国を大きく変えようとされているのじゃないですか。一番国家の根本である安全保障の問題について、今まで放置をして生皮をしてきた、怠慢だったところをただ是正するだけの話ですよ。何も大きく変わるというわけじゃないわけですよ。そういうことさえなぜできないのか。  もう研究、検討をしている時期ではないと私は思うのです。今、有事法制のことだけに限って申し上げているわけでありますが。もっと現実論として安全保障というのを我々はもう考えていい時期に来ているのですよ。私は何も過激論者でも何でもありません。当たり前に物事を考え、当たり前に結論としてやはりやるべきではないか、今の時期はもうそこまで来ている、それはあと政治家の決断だけだ、そう思うのです。  総理は、どういう条件があれば、それは有事法制、もうこれは第一分類、第二分類は総理がゴ──サインされれば秋の臨時国会でも法案ができ上がってきますよ。ガイドラインの見直しとあわせてお考えになってもいいのじゃないですか。どういう条件があれば踏み出すお考えなんでしょうか。
  80. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 きょう午前中、西村議員の御質問の中で、アルバニアにおける邦人救出についてのお話がありました。先刻、委員会のお許しを得て十五分早く退席をさせていただいた後、ドイツ国の大統領との午さん会、その席上で、私は大統領に、この救出についてのお礼を申し上げました。今までドイツが、どこでも実は他国に自国民の救出を依頼してきた、今回初めてドイツが自国の軍の手で自分の国の人々を救出することができ、その機会にあわせて他の国々の方をも救出できたことを誇りとするというお言葉があり、その言葉は私も大変重く伺いました。  同時に、何回か御答弁を申し上げておりますけれども、例えば湾岸危機のとき、私は、当時、エアリフト、シーリフトだけでもと随分走り回った一人でありますけれども、大変国会で厳しい御議論がございました。政府がとろうとした幾つかの考え方は修正を余儀なくされました。そして、戦闘の終了後における海上自衛隊の掃海艇部隊の参加だけがその後に残りました。  しかし、議員も御承知のように、日米安保共同宣言が再確認以上のものでありましょうか。それに対して、現実に安保の変質を懸念し、この点に対しての疑念を晴らしていただけない現実がございます。  議員は、御自身の意見を現実に即してと言われました。行政府責任者として、私も私なりに現実に即して対応しながら、少しでも我が国の安全に、また安保条約の信頼性の向上にという努力をしてまいっているつもりであります。それが、御批判を浴びますけれどもACSAであり、そのACSAの際にもさまざまな議論がございましたこと、御承知のとおりであります。  今、ガイドラインの見直し作業を行っておりますし、我々は法の不備と言われるような部分はきちんと対応していかなければなりませんが、事国の安全保障というものを、まさに私は急角度な切りかえで本当にいいのかという思いはいたします。国民の御理解を得るにもそれだけの努力は必要ではないでしょうか。
  81. 平田米男

    ○平田委員 湾岸危機、湾岸戦争の話というのはもう七年前の話なんですよ。それから私たちも、当時の対応と七年後の対応というのは、世界の状況が大きく変わっていく中で、勉強し、また検討をし、やってきているわけですよ。七年前の話を持ち出してだめだということを言っておったら、新しい時代の物差しは考えておいでにならないということになるわけです。  例えば、日本有事ACSAだって、これは集団的自衛権の話じゃありません。個別的自衛権の話なんですよ。集団的自衛権はまだ大いに議論が出てくるだろうと思いますよ。それは、日本が認めている、憲法上認めているものの範囲内で法整備をしましょうというのが、なぜ大きく国の方向を切りかえることになるんだろう。これは、日米安保共同宣言には、日米同盟の信頼性の強化というのをうたっているのですよ。強化をうたっているのですよ。継続じゃないですよ。  きのうの質問でも出たかと思いますが、外交問題評議会の草案の中で、日米同盟は危機に対しては有効に機能できないのではないかという結論を出しそうだという報道がありました。これは本当かどうかわかりません。本当かどうかわかりませんが、しかし、そういうことが報道される。  私は、この問題を取り上げたのは、要するに、今回の特措法もこんなぎりぎりになって、しかも果たして通るかどうかわからない、そういう状況の中で、もし通らなかったら日米関係がどうなるのか、そういうような綱渡りのような対応をされておいでになる。一体安全保障という問題を、どう腰を据えて真っ正面から取り組んでおいでになるのか疑問だからこそ、こういう有事法制の話等を取り上げさせていただいたのですよ。  この話をやっていると切りがありませんから、特措法の問題にも入っていきたいと思いますけれども総理、もういいかげん閣内で一遍協議をしてください。一つ一つどうしていくのか、ガイドラインの話だけじゃなくて。それは、一年で全部やりなさいと私は申し上げているわけではありません。まず憲法上問題のない法整備をきちっとやる、それからガイドラインをきちっとつくったら、それを支えるだけのきちっとした法整備をし、そして日米が協力してもし行動するとなると、それに基づいていろいろな規則もつくり、マニュアルもつくり、訓練もしなくちゃいかぬわけですよ。  先ほどは、ドイツが国外に初めて出て我が邦人を救助していただいたという話があります。私は、三月に韓国へ行ってまいりました。板門店へも行ってきたわけであります。緊張状態、どういうものなのかということを肌身で知りたいがゆえに行ってきたわけでありますが、そのことを今申し上げるつもりはありませんが、日本が今韓国に自衛隊を派遣するなどということは、まず今のところ韓国の皆さんは賛成しませんよ。  そんなことを私は申し上げているのではありません。まず、国内で自衛隊がきちっと動く、動ける、法律上この枠内で動くんですよという枠をきちっとつくっておかなきやあかんですよ。そういうことをぜひ、改革を目指す橋本内閣であれば、内政だけではなくて、まさに一番肝要の安全保障問題についても大改革を着実にやっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  それから、今も申し上げましたが、今回の特措法改正案は、五月十四日までに裁決が得られない、そうなると不法占拠状態になる、これをどうしても回避しなくちゃいけない、そういうことで、もうぎりぎりの状態になって法案を国会に出してこられました。  なぜこうされたのかというのは、僕は、今の一つの物の考え方は、安全保障に対する取り組み方が及び腰、これが一つあるのかな。もしそうでないとするならば、ほかに何か対応策を別途考えておいでになったのかどうか。もしあったとするならそれは何なのか、そして結局それは失敗したのかどうか、その失敗した理由は何なのか、まずそれを御説明いただけますでしょうか。
  82. 久間章生

    ○久間国務大臣 正直申しまして、ほかにいい策があるかと言われれば、それははっきり言ってないわけでございます。現行法の中でとにかく裁決を得る、これしかないということで、それに期待をかけてきたわけでございますけれども、それがどうしても五月十四日までには無理だということで法案を提出させていただいたわけでございます。  先ほど委員は、こんな通るか通らぬかわからない危ないような状況でどうしてやるのかという話でございますけれども、それぐらいもうぎりぎりまでとにかく考えて、やはりこれしかないということで出させていただいたわけでございます。  やはり私どもも、今委員がおっしゃられるように、この安全保障の問題にしましても、いろいろな形でもっと大っぴらにどんどんやって、だめでもいいからとにかく出してみろと言われればそれはあるかもしれませんけれども、そういうことはできないわけでございますので、やはり幅広く国会の御論議を見きわめながらやっていかなきゃならないと常日ごろ思っております。  そういう意味で、総理が言われましたように、意見を集約しながら、やはり急に変わるのではなくて、大きく一つの方向が見えてきたならば、持っていくにしても失敗は許されないわけでございますので、慎重にやはり対処してきている、これもひとつぜひ御理解賜りたいと思います。  今回の件につきましても、そういう意味で、ほかにいい策があればまたやれたわけでございますけれども、現行法の枠内で精いっぱい、とにかく収用委員会の裁決をお願いして、その努力をしていこうということでやってきたわけでございますけれども、とうとう、とにかく五月十四日を乗り切ることができないということで、危ないかもしれませんけれども、もうこれしか方法はないということでお願いをして今こうして御審議を願っておるわけでございます。そういう点では、御党初めいろいろな方々の御意見等も承って大変ありがたいと思っておりますけれども、どうかひとつ、そういうようなぎりぎりのところでこういう法案を出させていただいたという実情も御理解賜りたいと思います。
  83. 平田米男

    ○平田委員 伺っておきますが、与党全党は、この政府案に一致協力する見込みがあったんですか。その上で出してこられたんですか。
  84. 久間章生

    ○久間国務大臣 御承知のとおり、与党といえども、個々の法律について全部賛成するという、そういう約束はないわけでございまして、政府としては、与党というよりも政府立場で、この法律はもう通さなければどうにもならないというときには与党の確約がとれないままでも出さざるを得ないということで、今回の法律についてはまさにそういうことで政府として出させていただいておる、それについてはひとつ御理解賜りたいと思います。
  85. 平田米男

    ○平田委員 すると、まさに野党の責任ある対応を期待していらした、こういうことになるわけですよね。  ところで、今回の強制使用手続は、平成七年の三月三日から手続が始まりました。それで、従前と違って、市町村長の署名押印手続も入りましたが、拒否されたのは三つの自治体の首長だけでございました。従前より少ないと言われているわけであります。  そして、その後防衛施設局から、拒否された土地・物件調書を今度沖縄県へ持ち込むということになるわけでありますが、その持ち込みの請求といいますか、お願いをしたのが平成七年の七月の二十一日なんですよね。それで、その後正式にきちっと手続を踏むというその日にちを県と施設局が打ち合わせをしておいでになって、それが何と、約束になったのが八月の十五日、一カ月近くおくれてしまったわけですね。しかも、それは前日にキャンセルされた。ようやく八月の二十一日に持ち込みが実現できた。ただ、それに対する回答はその場でも得られなかった。要するに、持ち込み請求から丸々一カ月後にようやく持ち込みが実現できた、それに対して知事が署名押印してくれるかどうかは全く回答なし。そして、不幸な事件があったというふうに説明されておいでになりますが、それも一つの大きな理由になっているかと思いますが、結果としては、平成七年の九月の二十九日に知事が署名押印を拒否された。  当時は村山総理ですが、遅くてもこの時点で、今日のこういう状況に至るかもしれないという高い可能性、蓋然性というものは十分に私は予見ができたと思うんですよ。なぜこの時点できちっとした対応をしなかったのか。当時の内閣の対応が十分でなかったのではないかという趣旨の御答弁は、既に総理がこの委員会でおっしゃっておいでになりました。  そして、この状況の中で、平成七年の十月の十八日、宝珠山防衛施設庁長官発言といいますか、ちょっと漏らした言葉がありました。これが大きな騒ぎになりました。  総理は、内閣の一員としてこういう状況はつぶさに御存じだったんでしょうか。また、この宝珠山長官発言をどのように聞かれ、どのように評価され、またどう対応をされようとされたんですか。
  86. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 閣内におりまして、つぶさに知っていたかと言われれば、つぶさに存じてはおりません。しかし、ある程度のことまでは、非常に事態を心配しておりましたから、そして、全く立場の違う閣僚におりましたけれども、県から御相談に見えた方々もありますし、県民の声というものも伺いながら、事態の推移を心配をいたしておりました。  そして、私は、当時の宝珠山長官の発言というものを聞きました限りにおいて、皆が努力をしておりますときに何とも努力を無にしかねない発言と、そのように感じたと思います。
  87. 平田米男

    ○平田委員 しかし、宝珠山長官は、今日に至る事態を当然予測してみえたんじゃないですか。今までの、過去三回の手続は、まあまあ順調にいって二年かかっておるわけです。したがって、今回も平成七年三月三日から手続を始めたわけです。もし何カ月も手続が遅滞をするようなことになれば、不法占拠状態を招く。まして楚辺の通信所の問題は目の前に来ておるわけです、平成八年の三月三十一日で賃貸借契約が切れるわけですから。  そういうことを考えますと、三千名は不法占拠はいかぬけれども一名はいいという話は本来はないわけですから、直ちに手続をとらなければいけない。何もことしてはない、この今の時期ではなくて、平成八年の三月三十一日を本当はクリアをする、合法的に対応できる措置を本来はとるべきだった。しかし、その時点はとにかく話し合いだと。そして、結局は裁判になってしまった。ここで約七カ月間の時間のロスが生じたと言われています。まさにそのとおり、計算は合うわけですよ。私は、このときの内閣の、安全保障条約を守っていくあるいは法治国家というものをきちっと守っていく、そういう姿勢に大きな欠陥があった、欠如があったと言わざるを得ない。  それに対して何か御反論ございますか。
  88. 久間章生

    ○久間国務大臣 過去を振り返って、あの時点にこうすればどうだったかという議論は、それはいろいろできるかもしれません。しかしながら、今見ましたときに、ずっと裁判でやっていったときに果たして本当にクリアできたかどうか、それは正直言って、私は、自信ないんじゃないかと思います。  日数をいろいろ私も見てみましたけれども、その後比較的、縦覧公告がありましてからは収用委員会は粛々と行われております。あるいは、二回目のときも、ずっと裁判で、縦覧公告せずにとことん裁判までやってしまってやった場合に、果たしてその後の収用委員会みたいなああいう静かな雰囲気の中で行われるのかどうか、そういう問題もあろうかと思います。  今その時点を振り返ってみて、あのときこうしておればという、そういうような議論はなかなか今の時点からは難しいわけでございますので、私どもは、現時点でもうこれしかないということでひとつぜひ今回は御理解賜りたい、そういうことをお願いしておるわけでございます。
  89. 平田米男

    ○平田委員 こういう事態になってしまったことに対して今私はとやかく申し上げるわけではなくて、先ほど申し上げたように、安全保障条約日本の安全保障の問題はやはり正面からしっかりと取り組んで、及び腰ではなくて、そのうち何か時間の経過でうまくいくんではないかというような及び腰ではない取り組みをきちっとしていただきたい。今回もそれが大きな原因になってこのような事態に立ち至ったんではないか、そのことを私は指摘を申し上げているわけであります。  こういう姿勢がいつまでも続きますと、今回アメリカから多くの高官がおいでになっておりますけれども、今アメリカの対日観というのは非常に厳しいと私は見ております。特に危機問題に対しては、あの評議会ではありませんが、日本はあの阪神・淡路の問題についても金融の問題についても、時間を置かないできちっとした対応が本当にできたのかといったら、できていないわけですよ。これはすべて安全保障です、広く言えば。広く言えば国家の安全保障ですよ。それは、いろいろな理由があるかもしれません。しかし、そういうものを乗り越えるのが内閣責任であり、また、与野党関係なく政治家の責任なんだろうと思うんです、党利党略ではなく。  私は、外交と安全保障については与野党あってはならない、こういう信念を持っておるわけでありますが、国家の安全保障については、総理が決断をして、直ちに今回のような党首会談に臨む、そして的確な対応をしていく、これはまさに慣例とすべきだろうと私は思うのですよ。与党だけで考えて、国会対策はどうなるんだろうかという話ではないと思うのです。  そういう意味一つお伺いをしておきたいのですが、これからガイドラインの見直しをされますが、それも含めて五月に中間報告を出されるそうでありますが、九月の最終報告までに与野党でこのガイドラインの問題、協議をされるお考えはございませんか。
  90. 久間章生

    ○久間国務大臣 協議というわけではございませんけれども、今度の秋までにこれを日米間で見直しをするということになっております。そして、その過程におきまして、これは我が国だけではなくて諸外国も大変関心を持っていることでございますから、どういうような経過でどういうふうにいっているのか、やはり中間的な取りまとめをして、国会だけではなくて、広く国民の皆さん方のいろいろな世論等を聞く必要もあるのではないかと思います。  そういうことで、先般の予算委員会のときに、この国会中にというような、そういう意見がございましたので、ぜひそうさせていただきたい。きちっとしたものにならないかもしれないけれども、何らかの取りまとめについて報告させていただきたいというようなことを言っておりましたので、国会の終わりまでといいますと六月の十八日でございますから、やはり五月の中旬から六月にかけて、場合によっては六月に入るかもしれませんけれども、それまでの間にそういうのを出すことによって、そして議論をいろいろとしていただく、そういう機会をつくるべきじゃないか、そういうことで今作業を急がせておるところでございます。  まだ作業が進んでいないところもございますけれども、できますれば、五月の中旬よりも後にそういうものが出せるようにしたいという気持ちでございます。
  91. 平田米男

    ○平田委員 国内だけではなくて諸外国に対しても示すということは私は結構だと思いますが、ただそれだけではなくて、その上で与党と野党がひ、ざ突き合わせて、どこまで日本が踏み込むんだと。集団的自衛権の大まかな議論をやることはまだ時期尚早だと私は思っていまして、具体論で議論をしなければいけない。抽象論でいいとか悪いとかといったら、日本国内だけではなくて、五十年前にえらい目にあった諸外国はやはりびっくりするわけでありまして、その衝撃度は大きいと思います。  しかし、具体的なテーマでどこまで入り込むのか、踏み込むのか。そういう議論だったならば、またオープンな議論であったならば諸外国も納得していただける、そう思います。また、そこまで入れるかどうかは、まさに与党と野党の真剣な、国を思う、また政治家としての責任感に立った議論がなされて初めてできることであって、官僚同士が話し合ってできることではないと私は思う。官僚ができることは、今までの国会答弁範囲内のことだけしかできないと思うのですよ。  そういう意味で、国会で論戦をするのみならず、まさに一つのテーブルに着いて、与野党でガイドライン等の、まずガイドラインですよ、見直しについて具体的な議論をされるお考えは、総理、ございませんか。
  92. 久間章生

    ○久間国務大臣 与野党で議論するといいますか、まだ何か対立点がございますときに、そういう問題について突き合わせる場合には、与野党で党首会談とかいろいろなこともあるかもしれませんけれども、そういうことではなくて、今政府が考えているのはどういうことかということを広く示すことによつく先ほどオープンにしていかなければいかぬと委員おっしゃられました、まさにそういうことを国内外にしていかなきゃならない。そういう過程でどういう議論が出てくるのか。  その中でまた、先ほど言われたように、与党、野党ということで意見が分かれるのか、与党の中でも意見が分かれるのか、野党の中でも意見が分かれるのか、そういうことをいろいろと広く議論していただくのが大事じゃないか、そういうふうに思っておるわけでございます。
  93. 平田米男

    ○平田委員 ぜひ与野党がきちっと話ができるテーブルをそちらも用意をしていただく姿勢を持っていただきたいと思うのですよ。  今回の特措法の問題だって、もっと前々から協議をすれば、もうちょっといいものができたと私は思う。そういう姿勢が今こそ求められているのであって、今回綱渡りで法案を出しているわけですよ。ガイドラインも、みんなできちっとここまでいこうというふうに話をすれば、その後の運びというのはうまくいくわけですよ。それがまさにアメリカとの信頼性を強化する、こう私は思います。  何かありますか。
  94. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 議員のお考えは承りました。  その上で、私は、必ずしもこうした問題、先ほど防衛庁長官からも御答弁を申し上げましたように、非公開がいいことだと思っておりません。むしろ、国内だけではなく、近隣諸国の中にもこの内容を心配されている方々もあるわけであります。ですから、先ほど来長官から御答弁をしておりますように、中間的な取りまとめというものを公表する、そしてその上で十分御論議をいただく、国会の方においてそうした御論議の場を設定する、政府はそれに対して御説明を申し上げ、そうした努力をすることを否むものではございません。  その上で、やはり議論の場というもの、これはいろいろ考えなければならぬ問題点のあるものだと思います。
  95. 平田米男

    ○平田委員 次に、普天間の移転問題に入らせていただきますが、この普天間の基地の移転問題はSACOの目玉でありまして、最終的に移転先は名護市のキャンプ・シュワブ沖の海上ヘリポートという結論に一応なったようでありますが、まだこれから調査をしないとわからないということかもしれません。  総理にお伺いしたいのは、これは総理が決断をされて、きょうも委員会でその経過についてはるる御説明がありましたので重ねて聞く気はありませんが、総理が決断をされて、クリントン大統領に、普天間を何とかできないか、こう提案をされて日米の協議のテーマになったということなわけであります。私は、この点は総理の決断としては大変評価できるものだと思っております、率直に申し上げて。  そこでお伺いをさせていただきたいのは、これを持ち出したときに総理としてはどういうふうにこの問題を処理するお考えを持って提案をされたのかどうか。県内移設という、これは沖縄県の皆さんは反対をしてみえますけれども、県内移設、こういう考え方も一つある。移設の内容にもよりますが、あるいは本土へ移す、あるいは国外へ移す、いろいろ抽象的には選択肢がございます。  総理としては、どういう移転先、移転の方法を案としてお持ちになってこの普天間基地を日米の協議のテーマにされたのか。それができたかできなかったかは別にして、当時の総理のお考えを伺いたいと思います。
  96. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 全くこれでいけるという案は残念ながらございませんでした。そして、先ほども私は申し上げましたけれども、当時普天間が動く、動かせると思っておられた方は、私自身もそうですけれども、動かしてほしいという方はたくさんありましたけれども、動かせると思っておられた方はございませんでした。それだけに、さまざまな方々の意見を伺いましても、こういう案があり得るといった御提言をいただく状況ではございませんでした。  しかし、私は知事さんの切々たる訴えを聞いておりまして、これだけは何とかしたい、一体、現在あるどこかの基地に移すことができるのだろう史それとも、返還を考えられる地域の中でどこかこれを移しかえられる場所があるのだろうか、本当に、そういう意味ではこれという案を持っての交渉ではございませんでした。  そして、その後いろいろな議論がなされましたけれども、危険を避けるということと同時に、撤去可能なという条件を模索しておりますうちに、私自身もたまたま沖ノ鳥島の工事にこうした工法の一つを使いましたことを思い出しましたし、いろいろな方々から、期せずしてそのころになると海上に移しかえてはどうかという御提言が両国の関係者の中でも浮かび上がってくるという状態になりました。しかし、サンタモニカに参りましたときに、何ら私は、残念ながら、これならできるという案を持っておりませんでしたし、持っていればその場で解決ができたでしょう。そんな簡単な問題では残念ながらありませんでした。
  97. 平田米男

    ○平田委員 その答弁を伺って非常に私は残念でございます。  普天間の問題は沖縄県民にとっては本当に期待をしていたことでありますが、しかし、それをただ俎上にのせて、確かに日米の合意で海上ヘリポート案というのが出てきたわけでありますが、最終的には。しかし、今の状況を見ていますと、これが実現できるのかどうか非常に疑問なしとしないわけですよ。  これは那覇軍港の二の舞なのではないか。あそこも、移すと言いながら、もう二十三年そのままですわ。要するに、沖縄県民には期待だけ与えて、結果に対する保証というのを、責任というのを、私はきちっと政府としてとるのが当たり前なんだろうと思うのですよ。  それが、まあいろいろな話がありました、嘉手納の弾薬庫だとかあるいは嘉手納の飛行場だとかあるいはキャンプ・ハンセンだとか。それは地元の反対もあった、いろいろな経過があって落ちついた先が海上ヘリポート、まだシュワブ沖だというふうに決まってはいないというお話のようでありますが、まあ今、水域を見たときはあそこしかないとだれもが思うわけであります。  これは、ちょっと余りにも僕は、言葉は少し悪いかもしれませんが、場当たり的な、それは知事さんの顔が見えて総理が決断されたのだと思いますが、こういう大問題を、できるかどうかわからないものを、落ちつき先をきちっと考えないで提案をされたということは、私はいかがなものなのかなと思うのです。  それは、そのときの総理のお気持ち、これまで予算委員会や、あるいは当委員会での沖縄に対するあるいは沖縄県民に対する総理思い、それがそうさせた、私はそのように解釈したいと思います。  私も、昨年の七月からことしの二月まで、合計四回沖縄に行かせていただいておりまして、上は知事さんから、あるいは一般の市民の皆さんの意見もたくさん伺ってまいりましたし、基地も見てまいりました。何回も見てまいりましたし、また自治体に行って、あの沖縄地上戦の状況からの話もずっと伺ってまいりました。  そういう意味で、総理沖縄県民の置かれてきたこの五十二年間、いや戦争中から考えれば数十年間の苦しみというものをよくわかっていただいている。それはわかるのですが、しかし、政治というのは、私は、心情だけではどうしようもない、やはりきちっとした道筋を立てていくのが政治なのではないかと思うのです。  総理は、このシュワブ沖の調査を早くやるように御協力をとおっしゃっていますが、ただただお願いをしているだけでは、私は時間を経過するだけであって何の解決にもならないと思います。  そういうところで海兵隊削減論というのが出てくるわけでありますが、ゴア副大統領からもコーエン国防長官からも、海兵隊の削減などはあり得ないと。私は、今の日本の体制だったらあり得ないと思います。有事法制も有事ACSAもない。いざとなったらアメリカは勝手にやってください、日本は勝手にやります。いや日本も、勝手にやっても法律上は合法的には動けませんと。こんな中途半端な同盟国が、海兵隊だけ何とか考えてくれませんかと言ったって、あなた、一体何考えているんだ、こう言われると思います。  いや、そもそもナイ・レポートができ上がった経過から見ても、私が知る限りでは、あれは日本の要請でつくられた、そして十万人体制というものも要求されてきた。日本が要求したのに、何だ、沖縄がこうなったらすぐ兵力削減か、あなたのところは一体どうなっているのですか、こう言われても私はやむを得ない状況日本はいる。  しかし、沖縄の人たちの、基地を何とかしてくれ、確かに基地収入が沖縄の収入の大きな部分であることは知っているけれども、しかし何とかしてほしいんだ、削減してほしいんだ、こういう気持ちを考えたならば、もっと日本が国内でもきちっとしたアメリカに対する体制をしいて、そして対等の立場で説得力を持った話ができるようにならなければならないと私は思うのですよ。それが結論として海兵隊の削減かどうかは、そのときの状況によるでしょう。  五年から七年先に普天間の基地を移転する、この話をされたときに、総理は、朝鮮半島がどうなるか、まだ現状から変わらないという判断をされたのではないかと思いますね。でも、逆に、今度委員会では、中長期的には朝鮮半島の情勢によってはと言って含みを持たせたことをおっしゃられた。私は、おっしゃっていることが相矛盾するのじゃないか、その場限りなのではないかと思えてなりません。  いろいろ御説明はあるかと思いますが、国民が受ける、まして沖縄県民が受ける印象は、このままでは普天間もなかなか移転できない、海兵隊の削減なども、在沖縄米軍の削減なども、もう夢のまた夢のような思いがしてならないと思うのですよ。では、去年の総理のあの行動は、いや、沖縄に対する熱意は、一体空回りだけなのかと。  今、総理は橋本総理なんですから、橋本総理の御決断、苦心、御努力、これなくして事態の進展は私はないと思います。そういう意味で、私どもは、党首会談でも我が党首が申し上げたとおり、国がきちっと責任を持つ。手続にはいろいろあると思いますよ。だけれども、最終的に全部国が責任を持つ、そういう姿勢でもってこの問題にきちっとどう今後取り組んでいかれるのか。とりわけ今回の法案は、沖縄の人たちは米軍基地を固定化するものであるというふうに厳しい批判をされておいでになるわけですよ。そうじゃないということをどう具体的に説明をされるのか、この二点、ぜひ明らかにしていただきたいと思います。
  98. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 二点というお話でありますが、大変たくさんの論点を議員からお述べになりました。  そして、一体どんな気持ちでという先ほどお尋ねがありましたので、私は普天間というものにこんな思いでということを申し上げたわけでありまして、その時点で、あるいはその後においてどのような検討がなされ、結論をまとめたかを一々申し上げることも失礼かもしれません。  そして、那覇軍港と同じような運命になるぞというお話でありました。その御指摘は衆参両院でしばしば同じようなことを言われます。しかし、那覇軍港が移転ができないこと、これは沖縄県にとって経済的な影響はありましょうけれども、これで人命の危険を言う方はありません。  普天間の問題は、知事から人命の危険を強調されて、せめて議題にだけでも供してほしいという切々たる訴えのあった案件であります。そして、それに私はこたえたいと思いました。その思ったことが軽率であると言うなら、その御批判はいただきます。その上で、どうしてここで人命というものがかかっているものを処理しようかとするときに、私は、全く現実性のない案を持ち出してアメリカ側と交渉するつもりはございませんでした。その場合、残念ながら沖縄県内の移設しかあり得ない、どういう形でということは別として。大田知事には私はそういう思いを申し上げた上で、会談にも臨みました。そしてその後のプロセスは御承知のとおりであります。  そして、私はもう一度申し上げますけれども、那覇軍港と同じように、本当にそれがよいことなんでしょうか、人命の危険というのは知事自身が必死で訴えられたことです、移転できなかったらこのまま基地は残ります。少しでも危険の少ないところに動かしたいと私は思っております。そしてそのための調査の御協力をいただ唇たいと知事にもお願いをいたしましたが、残念ながらいただけませんでした。  与えられた条件の中で、今施設局の職員たちが全力を尽くしており、また在沖縄大使原島君あるいは関係者皆が一生懸命に努力をいたしております。私はこの努力が報いられてほしいと思いますし、知事自身が人命に危険があると強調された基地が結果として残り続けるような状態になることを願いません。  同時に、先ほど防衛庁長官からも御答弁申し上げましたように、今から七年三月三日の時点に立ち戻り、過去を振り返れば、あるいはさまざまな対応はあり得たかもしれません。しかし、一つだけ私が申し上げたいと思いますのは、就任いたしました瞬間から、私は少なくとも、賛否を別にして、知事初め県の皆さんと本当ににこにこ笑いながら話のできる状況をつくりたいと思いました。それがなければ、どんな仕組みをつくりましても沖縄県との関係はなかなかうまくいかないでありましょう。そして少なくとも、賛否を明らかにしながらじっくりお話し合いのできるだけの関係はつくれたと思っております。  その中で、収用委員会の裁決によって五月十四日から十五日を使用権原なしの状態で過ごすことがない、済む状態をつくりたいと願っておりました。幸いに収用委員会も整々粛々と審理を続けていただいておりましたが、途中から日程が決まらないという状況になり、こうした法案を御審議をいただかなければならなくなりました。そうした点に対して、もっと早く法制度を、もっと強固なものをと言われれば、理屈はそのとおりかもしれませんが、私は沖縄県民の心にはもっと大きく傷をつけたのではないか、そのような思いもいたしております。
  99. 平田米男

    ○平田委員 もう時間が来ましたので終わりますが、平成七年の九月の時点で、沖縄の人たちとよく話し合いをするということでここまで延び延びになってきた。しかし、この特措法沖縄の知事もまた県議会も、そして市民も県民も反対だと言っておいでになるわけでありまして、結局あだになったのではないか。  そういう意味では、もっと政治家がきちっとした対応をそのときそのときに、大変かもしれないけれども明確に責任をとっていくという姿勢が私は今回の事態によって厳しく問われているし、我々は深く反省をしなければならない、こう申し上げて、質問を終わりたいと思います。  以上です。
  100. 野中広務

    野中委員長 これにて平田君の質疑は終了いたしました。  次に、白保台一君。
  101. 白保台一

    白保委員 関連ではありません。私の質問でございますので。  四月三日の日には沖縄問題で集中審議をここで行わせていただきました。私は、基地問題と同様に経済の自立の問題が極めて重要であるという観点から、特区構想を二つ申し上げました。経済の特区の問題、マルチメディア沖縄特区の問題。テレビを見ていた皆さん方は、基地問題も重要であるけれども経済の自立の問題も沖縄の自立のためにぜひ進めていただきたい、こういうような声が多くございました。  さて、きょうは基地問題でお伺いしますが、先日、私どもの事務所にお年寄りの皆さん方がおいでになりました。どうも国会では日米安全保障の問題、こういう大きな話で、日本の平和と安全、そしてまた人権が守られる、そういった話が展開されて、それはそれで結構なことですが、一番基地の多い、安全保障を分担をしている沖縄が、平和で人権が一番守られているのでしょうか、こういう素朴な疑問をぶつけてこられます。  私どもは、るる説明をしながらも、この非常にいびつな状況ということに対して非常に情けなく思う。一番負担をしています。ところが事件事故が一番多く起きてくる。それは当然それだけのものがありますから。こういう素朴な疑問にどうお答えになりますか。
  102. 池田行彦

    池田国務大臣 私どもといたしましては、基地の整理なり縮小なりというものも当然考えなくちゃいけませんけれども、しかし、現実に基地があり、そこに米軍が駐留し、いろいろな活動を行う。そのことに伴って事件あるいは事故というものが起こり、住民の方々に損害を与えたりあるいは御迷惑をおかけしたりするということは極力避けなくちゃいけない。それが全く起こらないような状態を目標にしながら努力を続けなくちゃいけない、こう考えている次第でございます。  残念ながら、いろいろな事故とか、場合によっては事件がまだ時に起こるということは現実でございます。何とかそういったものの根絶を目指して努力しなくちゃいけない、そういうことで米側に対してもいろいろ申し入れておりますし、単に申し入れるだけではなくて、そういうものが起こらなくなるような仕組みあるいは条件というものを整備しなくちゃいけないということで、いろいろ、日米合同委員会の場等を通じましても工夫をしているところでございます。  御承知のとおり、先月末に合同委員会で、こういった事件や事故などが起こった場合の通報連絡のシステムも抜本的に改善して公表したところでございますが、そういったことも再発の防止に資するもの、こういった観点からしたことでございますし、また御承知のとおり、米兵の行動に関する教育を徹底するということは、随分それを繰り返し申し入れておりまして、米側におきましてもそういった点では教育の充実をやっております。また、例えば使用する自動車につきまして、任意の保険にすべて加入するというようなこともした、こういったこともその一環でございます。  今後とも、そのような事件事故の根絶に向かって努力をすると同時に、不幸にしてそういったことが起きた場合に、迅速に、しかも適切に対応できるような努力を積み重ねてまいりたいと存ずる次第でございます。
  103. 白保台一

    白保委員 このことについて後ほどお伺いしようと思っておったのですが、ちょうど外務大臣が御答弁ですから、関連しますのでお伺いしたいと思います。  実は、二月二十四日のこの委員会の一般質問で私は外務大臣質問いたしました。それは、PCBが北谷の方から、キャンプ瑞慶覧でしょうか、出ていまして、県の方がそれを見つけてそのことについて問題化していったわけです。その際に、あのときにも、こういうようなことが起こってはならない、地位協定の三条三項は、合衆国軍隊は提供施設の中で安全を考慮して作業を行う、こういうことになっているんだから、事件事故やそういった垂れ流しがないようにするシステムはないのか、こういうことを申し上げました。ところが、外務大臣答弁されている中で、県の方がもっと早くわかっていたんだからもっと早く教えてくれればよかったのにというような、そういう御答弁をされたんで、私は、最後時間がありませんので、それは逆じゃないですかというお話をしました。  本質は、提供施設の中を安全に使用することが本質なんです。今も、外務大臣の話を伺いますと、わかります、先月二十九日でしたか、持ち回りの合同委員会で、事件事故が起きた後の通報システムをどうするかということで、迅速に行う、これが再発防止につながる、こういうことで、そういった合意を得たということが新聞に報道もありました。  それはそれで結構なことで、一年も一年半も事件事故が起きて全然知らされていない、こういうような状況があってはいけないわけですから、それはそれで結構なことでありますが、私が申し上げているのは、三条三項に違反をして事件事故が発生する、こういう問題についてはどう対応されますか、こういうことを申し上げているんです。
  104. 池田行彦

    池田国務大臣 当然のこととして、米軍の行動は公共の安全に配慮しなくちゃいけませんし、また接受国、すなわち我が国関係法令を尊重しなくちゃいけない、これが一般国際法の原則でございますし、そのことは地位協定上も、三条三項並びに十七条でございましたか、十何項でございましたか、そこに明記しているわけでございます。とりわけ環境に関する問題につきましては、そういったものを踏まえまして、米側におきましてもそのような基準というものをつくって行動している、このように承知しております。  しかし、そういうものはあるけれども、現実にいろいろなことが起こる、これは残念なことでございますので、そういった面につきましても、今後とも、引き続きより的確な、適切な対応が、対処が米側において行われるように働きかけてまいりたいと存じます。  それから、なお、先ほど御指摘のございました、さきの委員会におきまして、委員の御質疑に対しまして私が、沖縄県においては早く御存じだったんだからそれを外務省にお知らせいただければというふうなことを御答弁したという御指摘がございました。そのように御答弁しておりますけれども、よく議事録をごらんいただければと思いますけれども、実は、あれは一月の初め、たしか八日だったと思いますが、に見つかりまして、それでその時点から県が指摘され、それで米側と共同でいろいろ対処してきた。そして、最終的には、二月二十六日でございましたか、やはり県との共同、あるいは地元の市町村の関係者もお立ち会いいただいて、米軍との間で除去の作業等が行われた、こう承知しております。  そういった過程の中で、実は私ども外務省が承知しましたのは、二月二十日だったんでございます。それで、直ちに米側に、これはけしからぬじゃないか、善後措置をと申し上げたわけでございますけれども、我々としましても、より早く米側からでもあるいは沖縄県側からでも知らせていただいておれば、我々なりの仕事ができたんだがな、そういうことを感じた次第でございます。  そして、御答弁で申し上げておりますが、今度沖縄の現地に外務省としてもコンタクトポイントができましたから、御承知のとおり、沖縄担当の大使ほか数名を派遣いたしました。したがいまして、今後こういう問題については御連絡をちょうだいすれば、こういう趣旨で申し上げましたものでございますので、どうか、過去の問題について県側の方に落ち度があったということじゃなくて、将来へ向かって、こういう共同作業がやりやすい体制もできましたので、しっかりやってまいりたい、こういう趣旨だったということを御理解賜りたいと思います。  それから、先ほど、失礼しました、地位協定三条三項と十七条と申したと思いますけれども、十六条でございます。     〔委員長退席、杉浦委員長代理着席〕
  105. 白保台一

    白保委員 実は、私は申し上げているのは、結構なんですよ、事件事故が起きて緊密な連絡がとれることは結構なことなんです。これはもう大事なことです、次の再発防止につながってまいりますから。  ただ問題は、事件事故が多過ぎる、そういった問題に対して、三条三項をどう遵守させて事件事故を起こさせないような形にしていくのかということなんですね。  ですから、連絡体制も極めて重要なことですが、もう一つは、私どもは常に言ってまいりましたけれども、例えば演習の場合に、演習で事故を起こした場合には同種の、同じ種類の演習は当分の間させない。ペナルティーをきちっとやっていかないと、事件事故を起こしておいてまたしばらくすると演習が始まる、こういうようなことでは、地域の皆さん方が納得いかないんです。  軍隊に言わせれば、軍隊ですから練度を高めるために常に練習しておかなきゃならない、こういう言い方をします。しかし、あの狭隘なところで軍隊があってここで演習する、常に周辺に県民がいてやっておる。ですから、三条三項をどう遵守させるかというこの問題なんです。
  106. 池田行彦

    池田国務大臣 委員の御指摘の中で、住民のそういったお気持ちというものは私もよくわかるところでございます。そしてまた同時に、委員も御指摘されましたが、米軍の方ではやはり、訓練はしなくちゃいけないんだ、運用上の事情があるということを言っているという御指摘もございました。そういった両方の中でどういうふうに考えていくかということだと思います。  私も、例えば事件事故が起こりまして、それが起きたときの米軍の行動の中に何か基本的、根本的な欠陥があり、そのことが事件なり事故なりに直接につながっているというケースであるならば、当然それはとめて、そういった基本的な解決策を講じなくちゃいけないんだと思います。したがいまして、そこのところは、事件事故といろいろな米軍の行動との関連といいましょうか、その因果関係がどうかというようなところから考えていくべきことではないかと存じます。  いずれにいたしましても、これから、通報体制も整備したことでございますし、通報体制だけではなくてほかの面でも連絡を密にしてまいりますので、そういったことで、両者のそれぞれの立場というものが納得できるようないろいろ根本の理由なり原因なりというものも解明しながら、それならばなるほどこの問題についてはそうだな、これはしばらくやめるべきだなという話もございましょうし、また、他方では、たまたまこういう事故が起きたけれども、これは米軍のそのときの行動そのものとは直接の相当の因果関係がなくて、別の事情によるものだなというものがおわかりいただければ、住民の方も、あ、これは別にとめることもないなというふうに御理解いただけると思いますので、そういった意味でもお互いの連絡を密にしながら適切に対応してまいりたいと思います。
  107. 白保台一

    白保委員 要は、基地周辺沖縄県民が住んでいるんだということです。  前に外務大臣にも申し上げましたけれども、マリン部隊が事件をよく起こす、そういう青年たちに、むしろ革新側の人だと言われる町長さんですらベースの中へ入って、この地域はこういう地域だからみんな一緒に生きていこうねと、逆に、教育はその人たちがやっているんです。そうやって、この地域で生きていこうという努力をしている首長さん方も随分いるし、そういう面では、みんなが自分の町民をどうやって基地から守るか、そういう努力を続けながら今日に至っている。このことは、決して忘れてはいけない大事なことだと思います。  ですから、事件事故ということに対しては本当に、ペナルティーを科して、しばらくの間演習させない、これぐらい強い態度で私たちはこれまでも臨んできましたが、再発防止、隊員の教育、こういうふうに言いますけれども、現実には地域の人たちが、地域の指導者が一生懸命努力をしている、こういう実態もあるということを知っていただきたい、こういうふうに思います。  そこで、特措法の問題について伺いますが、先ほど仲村委員からも、占領時から今日に至るまでのさまざまな経過というものの話がございました。そういった中で沖縄県民は、占領時、高等弁務官のもとでさまざまなことがあって人権が抑圧をされてきた。事件や事故が起きても、米軍の都合で握りつぶされることもあった。人権がこんなに損なわれるのか、ぜひ母国の平和と人権の、民主主義のそういう憲法のもとに入りたい、その願いで復帰をしました。そこには、法律のルールで定められて、法律で人権を守る、これが基本である。占領時の二十七年間を経験してきただけに、人権やそしてまた法律というものについては極めてシビアです。  そういう面で、今回のこの改正について、なぜ今こうやってやらなきゃいけないのかなという、これはここでいろいろ議論されていますから私たちはわかります。私はよくわかりませんが。素朴な疑問が県民の中にはいっぱい出ています。この国は、法律で定められた中で動く国だろう、占領時からこちらへ来て、これが本当の姿だと思う、どうして今こういうことを急いでやるのかな、こういうことが素朴な意見として出ていますが、いかがでしょうか。
  108. 久間章生

    ○久間国務大臣 まずその前に、委員ももちろん御承知でございますけれども沖縄の方々にも知っておいていただきたいわけですけれども、いろいろないきさつがあって、いわゆる基地として無理やりとられた、そういうこともあったと思います。しかしながら、復帰しましてから、施設庁が中心になりまして多くの方々に任意に全部当たりまして、そして二万九千人の方々から御同意をいただいて、そして今基地として提供しているわけでございます。  しかしながら、百十何名の方、そしてまた、そのうちの二人の方から派生した三千人近くの方、こういった方々が反対しておられる、しかしながら、基地は提供しなければならないということで、特措法に基づいて強制使用という形で手続をとっているわけでございまして、大多数の方々が任意に賃貸借契約を結んでいただいておる。それ以外の方々に、やむを得ずこういう形をとっておる。  だから、あくまで法的手続にのっとっていろいろなそういう強制使用がとられておるわけでございまして、そういう意味では、日本国憲法の大きな枠の中で動いているわけでございます。そういう中で動いている一つの手続の一環として今度の裁決の申請がなされて、そしてそれが期限切れに追い込まれようとしている。  そういうときに、このままでいいのかということを議論したときに、やはりそういったくさんの適法にやっておる人とのことを考えた場合に、収用委員会の手続がおくれるために無権原状態になって、法的不安定の状態のままこれを延ばしていくというのが一体どういうことになるか、そういうことを考えますと、やはり法治国家であるわけでございますから、きちっとした法律をつくって、無権原だけはとにかく迎えないというようなことをすべきじゃないかということで今回法律を出したわけでございますので、どうかひとつ、そういった、いわゆる土地を提供しているとかしていないとか関係ない沖縄の皆さん方にも、法治国家として法のもとに政府はやっておるんだということをぜひ御理解賜りたいと思うわけでございます。  そういう意味で、素朴な疑問として、何だ急に、収用委員会の手続がおくれているからといって、そういうときに法律を出すのかと言われますけれども、それならばこそ、法的手続できちっとそこはした上で、立法府で御議論願って法律をつくっていただいて、きちっとそういう収用の継続をお願いするというのがやはり一番の最善の策じゃないかと思って出させていただいたわけでございます。  しかも、それ以外のいい方法があるならば別でございますけれども、民主国家で、法的根拠がないままにそういうような状態を続けていくというのが果たしていいかとなりますと、それはよくないというようなことでやらせていただいておるわけでございますから、委員はもちろん御承知思いますけれども、どうかひとつ、いろいろな方々にもよろしく御鳳声賜りますようにお願い申し上げたいわけでございます。
  109. 白保台一

    白保委員 今法治国家というお話がございました。法的手続だというお話がございました。私は、国民の権利やそういったものをどこまで拘束できるか、そういった問題については事前に定めておくのが法治国家基本じゃないかと思うんです。  今ここで議論しているのも確かに手続ですよ。ところが、今審理中の中で時間がなくなって、根拠がなくなってはいけないからやるんだ。これは、事前に定めておくという基本にはなりにくい。そういう意味では、法治国家というような言い方をここでやられると、これはまずいんじゃないですか。私は、事前に定めておく方が本来のあり方だと思います。
  110. 久間章生

    ○久間国務大臣 どういうやり方がベストであるかと言われますならば、委員御指摘のようなベストな方法があるのかもしれませんけれども、今、事ここにおきまして、そういうことをしないでそのまま過ごしていいかとなると、それはベターでもないしベストでもないわけでございますから、ベストとは言えないけれども少なくともベターな方法をとらせていただく、それで今回の、必要最小限と申しておりますけれども、今回の手続をぜひつくっていただきたいということをお願いしているわけでございます。
  111. 白保台一

    白保委員 必要最小限というお話がございました。このことについても後ほど議論をしたいと思いますが、その前に、それでは昨年四月、楚辺通信所です、あれはもう、一人出ました、そういった形でもって。そのときになぜ今の改正のようなことを考えずに、今回になったのか。  これは一般的に見ると、一人のときはいいけれども三千人はだめだよ、こういう考え方なんだよ、こう言われるんですね。これは法の本質からいって、一人であれ三千人であれ違いがありますか。これは違いがないはずなんです。なぜ昨年やらないで今回そのことをやらなきゃならないのか。このことの法の本質の問題がまた問われているんです。どうでしょうか。
  112. 久間章生

    ○久間国務大臣 確かに、あのような状況がいいかと言われますと、決してよくないわけでございまして、政府としては大変苦しい立場にあるわけでございます。  しかしながら、あのときには、その以前の段階で申請がされておりまして、そしてその申請手続に基づくいろいろな裁決の申請がずっと収用委員会で、今回切れますほかの十二施設と一緒になりまして申請の手続が全部粛々と行われておったわけでございまして、したがいまして、ほかの十二施設の権原が切れるというときにあわせて、前回そういう形で、適法でないといいますか、要するに望ましくない形になっておりますそれもあわせて措置させていただいたということでございます。  あの一人のためにそれをなぜやらなかったかと言われますと、それは、もしそのとき一人のためだけにやっておったら、それはそれでまたよかったのかもしれませんけれども、この場合には、そのままほかの十二施設と一緒に裁決申請の手続はずっととらせていただいておった、そしてそれが、全体が命回五月十四日で切れるということになりましたので、もう事ここに来ては全部についてとにかく延ばさせていただく以外にないということで、そしてこういうような手続をとらせていただいたわけでございます。
  113. 白保台一

    白保委員 昨年は、占有権はないけれども直ちに違法状態とは言えない、こういうことをおっしゃっていましたよね。そうすると、今回のはどういうことになりますか。同じじゃないですか。
  114. 久間章生

    ○久間国務大臣 切れてしまうと同じような事態を招くかもしれません。ただ、状況からいいまして、私は若干違う感触を持っておりますのは、昨年の場合は、お父さんの時代にいわゆる契約をしておられたのが、その契約の期間が続いておりましたのに、今度は生前贈与で知花さんがそれを取得されて、それが切れるということになったわけでございます。  それは、民法の契約の更新のものも、この特措法に基づき使用をしているのも形態として同じじゃないかという議論はあるかもしれません。しかしながら、いわゆる一般の民法での賃貸借でずっと推移してきたものと、今回みたいにいわゆる強制使用で来ているのは、ここで返還義務がきちっと法律上生ずるわけでございますので、その辺が若干違うのではないかなという感じは持っております。  しかしながら、いずれにしましても、どちらも政府としてみれば米軍に対しては提供しなければならない義務があり、かといって、そういった所有者の方々に対しては無権原な状態になるという、政府としては非常に苦しい立場になりますので、これについては少なくとも最終的には収用委員会の裁決によって決めてもらうとしても、それまでの間は、裁決が出るまでの間は暫定使用を続けさせていただきたい。そういうことで、これは最低限の、最小限措置だというような理解のもとに、こういう形で法案を出させていただいたわけでございます。  たびたび当委員会でも言いますけれども、もうとにかく収用委員会の権限とか市町村の権限とか、あるいはまた県の権限とか、そういうところに触れないで、せめて収用委員会の裁決が出るまでの間は、その無権原な状態だけはクリアさせていただきたいということで出しておるわけでございますので、どうかひとつその辺についても御理解を賜りたいと思います。
  115. 白保台一

    白保委員 これは五月十四日に期限が切れまして、十五日から混乱状態が起きるというふうに予想されているのですか。
  116. 久間章生

    ○久間国務大臣 何をもって混乱と言うかでございますけれども、五月十四日で切れて五月十五日から無権原になりますと、明け渡しの請求とか、あるいは立ち入りの要求とか、そういったことが出てくることが十分予想されます。前回の場合も立ち入りの要求がございまして、これにつきましては御承知のとおり和解をさせていただいて、そして二回ということで六十人の方が入られたわけでございます。今度は三千人の方がいらっしゃるわけでございます。しかも、知花さんみたいに和解ができるかどうか、この問題もございます。  そういうときに、私どもが、何も混乱が起きなくて済むかということを完全に読み切ることはできないわけでございまして、ただ一人のときでも六十人の人が入られたわけでございます。しかも、それは米軍に対してその立ち入りの要求を認めてもらったわけでございます。今度は三千人の人の要求があったときには、果たしてその要求どおり認めてもらえるかどうか。その要求すること自体が国際的な信用問題として、我が国として国内的にこういう結果が出ましたので立ち入りをさせてください、そういうようなことを米軍に対して言うこと自体が我が国立場として適正なものかどうか。そういう問題がございまして、混乱という言葉は私は使っておりませんけれども、とにかく五月十五日以降、無権原な状態になったならば予測できないいろいろな問題が起きてくるんじゃないかということを言っているわけでございまして、それだけはぜひ避けさせていただきたいということでお願いしているわけでございますから、どうぞよろしくお願い申し上げます。
  117. 白保台一

    白保委員 どういうふうな予想をされているのか、それはともかくといたしまして、私は、沖縄の県民はこのようなことはないだろう、こういうふうに考えています。  実は、こうやって今議論してまいりましたけれども、結局ここまで追い込まれてきたというのは何かといえば、それはもう五十年間の沖縄問題のツケがここへ一気に回ってきた、こういうことだろうというふうに思うのです。多くの良識ある皆さん方といろいろと議論します。立法府にいる者が、不法状態でいいよなどということはなかなか言いにくい話です、我々の立場としても。  しかしながら、そういった中で、みんなにどうやったらいいかなといろいろと聞いていきます。そうしますと、今私が申し上げたように、いわゆる五十年間のツケがここへ回ってきたんだ。したがって、どうすればいいかということになると、時間をかけてじっくり話し合う以外に方法はない、こういうふうな答えが戻ってきます。実はそうなんです。じっくりと話し合いをして、じっくりと腰を落ちつけて、ここに沖縄問題の本質をしっかりと見てもらいたい。  保守系の首長さんでも、結局はどういうふうに言うかといえば、ここでこの問題はそのまま立法をして改正してすっと通り抜けていってしまうと、結局はこれまでの問題というものを覆い隠すことになる、こういう危惧をする人もいるのです。  ですから、私たちは今ここで、皆さんの立場とは違います私は、この際じっくりと、遠回りでも話し合いをする方が先だ、こういうふうな立場で物を言っています。いかがでしょうか。
  118. 久間章生

    ○久間国務大臣 じっくりと腰を落ちつけて話をする時間があれば、そうしたらいいというふうな話もあるかもしれません。  しかし、私は、今回のこの対象者になっておられる方々を全部見たときに、時間をかけて本当に解決できるか、そういう問題が実はあるわけでございます。ここのところが、実は非常に知花さんの場合と違って難しい問題もあるわけでございまして、昨年ずっと、全国の施設局の職員が手分けしまして、この二千九百人の方々、こういった方々に全部住所を調べながら会いに行きました。そのうちの八百人の方には会えなかったのです。(白保委員「間違えているんじゃないか」と呼ぶ)間違ったのもあったと思います、それは。とにかく、八百人の方はなかなか会えませんでした。ということは、この二千九百人の方々というのは、知花さんの場合と違って、やはり、話し合えば全部わかる、わかってもらえる、時間をかければいいというだけで済む問題でもない問題がそこにはあるわけでございます。  というのは、二千九百人の方々がどうして出たかというと、五十七年時点ではいなかったわけでございますから、六十二年になったときにわっと、気づいてみたら、二人の人から共有者が、片一方の人から千人ぐらいとか、そういう形でふえておったわけでございまして、ここは要するに反戦地主会という会がありまして、そういった方たは、民法上と思いますけれども、過半数の同意を得なければ他人に貸すことはできないということがございますし、また、その規約の中で、その方々は、ほかの人には、第三者には売ってはならない、反戦地主のその仲間にしか売ってはならない、あるいはそれに入る人にしか売ってはならない、そういうような規約に縛られておるわけでございますから、全国回りましたときに、百数名の人は、譲ってもいいけれどもこういう規約があるからそれはできない、そういうことをはっきりおっしゃった方もおられます。  そういうことをもろもろ考えますと、やはり法的な手順は手順としてつくりながら、それと同時に、基地の問題については政府も、また県も、み腐るべきではないかという、そういう問題とこのこと、そういうような土地の強制使用にかかわる問題とはやはり切り離しながら、リンクはさせながらでも、やはりある程度は切り離す場合も視野に入れながらやらざるを得ない。  そういう中で、今回ぎりぎりまで収用委員会の裁決を待っておりましたが、とうとう間に合わないという、次の収用委員会の日取りもわからないということで、法案を出さざるを得ないということで今お願いをしておるわけでございますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
  119. 白保台一

    白保委員 私は、今答弁をされた、そういった方たちの話をしておるのではなくして、そういう人たちもおります、おりますが、実は町長の中でも、これまではずっと公告縦覧をやってこられた方も、この近くになって、今回の中で拒否をした、そういった町長さんもおられるということもよくわかっていただきたい。  そういった中で、また今度はこのように時間がなくなって、ばたばたとこういうような形になってくると、この人たちの話じゃなくて、県民全体の中で、人権を抑圧されてきた県民が、また何かやるのか、こういう思いになるから、私は時間をかけるべきだというふうな話をしているのです。その辺を誤解をしてもらってはいけないと思います。  そこで、手続という話がございましたけれども、通常でしたらやはり立法をして、これは告示して、周知徹底して、それから施行していく、こういう手順というものが踏まれていかなければならないと思うのですね。最初に、冒頭に申し上げましたように、常にそういったものがあるはずだ。これは五月十四日、十五日、これを目標にしてやっていく、こういう立法手続という問題について、問題を感じませんか。
  120. 久間章生

    ○久間国務大臣 広く一般に法律の施行、成立したことを知らしめるために期間を定めて施行する、そういう法律もございます。しかしながら、今回の法律は、五月十四日に切れることを何とかしてこれをクリアしていただきたいということで法律をつくったわけでございますし、また法律が施行されましてからも、担保を提供して初めて暫定使用が始まるわけでございますから、そういう意味では、一日も早く法律を成立させていただくと同時に、そういった後の担保提供の手続に入らせていただきたい、そのためにも公布の日から施行させていただきたいということで、施行日も公布の日からということで、もうすぐに施行するようにさせていただく案でお願いをしておるわけでございますので、どうぞその辺も、そういう事情を御理解賜りたいと思います。
  121. 白保台一

    白保委員 憲法二十九条のことが実は沖縄の新聞はいっぱい、もう毎日のようにこういったことが出てくるんです。  結局、権利という問題が非常に大きな問題として沖縄ではのしかかってきます。当然憲法二十九条の財産権の不可侵の問題がございます。公共の問題とこれはあわせて考えていかなきゃならないわけですが、ただし、その場合においても、これは最低限の手続が必要になってくるわけでありまして、そういう面で、今沖縄で言われていることは、公開審理中にこういう問題を持ち出してきた、このことに対する不信というものが、不満というものが極めて大きいわけです。よく言われるように、試合中にルールを変えるな、こういう言葉がずっと使われているわけでありまして、こういう問題についてどのように受けとめられていますか。
  122. 久間章生

    ○久間国務大臣 確かに、五月十四日で権原が切れるんだ、五月十五日からは自分の所有権が戻ってくるんだ、そういうふうに思っている、この思っている分を期待権と称するならば、期待権というよりも期待に対しては、非常に私どももじくじたるものがあるのかもしれません。  しかしながら、少なくとも財産権については、ちゃんと担保を提供することによって、損失の補償をすることによって、そして暫定使用させていただくわけでございますから、憲法二十九条の三項には決して触れない、私は、そういうふうに思っております。  だから、どうかひとつそういうふうなことで期待といいますか、そういうようなことがもし周りの人でおられましたならば、期待に反することはやはりあるかもしれませんけれども、法律が施行されましてから、法律に基づいて適正な手続と適正な補償のもとにやらせていただくわけでございますから、そういう点では憲法に触れるものでないということだけはひとつ御理解賜りたいと思います。
  123. 白保台一

    白保委員 先ほど申し上げているのは、公開審理中に持ち出してまいりました、そういったものに対する不信、こういうものが大きく渦巻いています。途中からこれを持ち出す、なぜ今という、最初の問題にまた戻っていきますけれども、こういう不信が渦巻いているということです。
  124. 久間章生

    ○久間国務大臣 公開審理中と言いますけれども、私どもは、公開審理中であるにもかかわらず、その裁決がいわゆる期限内にどうも得られそうもないということで出させていただいたわけでございますから、だからそこのところは、まあ何といいますか、ちょっと立場が違うのかもしれませんけれども、公開審理中であって、しかも裁決が五月の十四日までに得られない、そういうような状況になっているからこの法律をつくって、法的手続だけはきちっとした上で暫定使用という形でお願いをしたいということをやっているわけでございますので、どうぞひとつそこのところは……。  立場が違う、そういう方々からは、委員のところにはそういう御意見等もあろうかと思いますけれども、そういう状況の中で、国はとにかく提供をしなければならない義務を負っているんだ、それを無権原な状態で提供をするということはできないんだ、これを黙っておったならば無権原な状態で提供するし、しかもそういうことになったら、その間の、その人に対する損失の補償の根拠という、それすらなくなってしまうんだということ等についてもぜひ御支持いただければ大変幸いだと思っているわけでございます。
  125. 白保台一

    白保委員 るる今議論してまいりまして、結局はこういう状況で提案をせざるを得なかったという、期日が迫っている、こういうせっぱ詰まったところの話ですよね、今の話は。ですから、問題は、当然無権原の状態でもって収用するわけにはいかない、国のせっぱ詰まった状況を今説明をされているわけでありまして、こういう状況になったというのは、要は予見できなかったわけでしょう。じゃ、その予見できなかった人の責任はどうするんですか、その責任は。
  126. 久間章生

    ○久間国務大臣 責任をどうするじゃなくて、予見はある程度しながら、七年の三月三日に、今までの状態でいうならばこの時点でなら間に合うだろうということで手続に入らせていただいたわけでございますけれども、その後いろいろな事件がございました。先ほど言いますように、市町村長さんで、縦覧公告あるいは署名押印に応じられなかった、そういう方々の気持ちも、私は、ああいう事件があった後だったらわかるような気もするわけです。そういうふうに、予測しがたいいろいろな状態が発生してきたためにこういうふうに予見しがたい事態になってしまいました。  しかし、この法律を、いわゆる収用じゃなくて強制使用という形をこれから先もこの法律でほかの地区でもとるとなるならば、ほかの地区でもこういうことだって出てくるというようなことから、今回のことを一つの転機として、この法律について暫定使用という制度をやはりつくっておくべぎじゃないかということで、今度の法律の改正を、いわゆる本改正として出させていただいているわけでございますので、どうぞひとつ、だれの責任ということじゃなくて、こういうようなことがあってはならないということでやらせてもらっているわけですから、責任をとって済むという問題でもないと思うんです。
  127. 白保台一

    白保委員 この問題で必ず出てくるのが、あの不幸な少女の問題という話になってくるんですね。確かにその問題が出てきて皆さんが予見できない状況になってきたのかもわかりませんが、行政は、ある法律の中できちっと一つ一つ仕事をしていくから行政が信頼されると思うんです。こういった問題が起きてきて、あの問題が起きてきて、あの問題が起きてきて結局できなかった、こういうふうに言われると、極めて沖縄側にとってみたら迷惑な話なんです。本当に迷惑な話なんです。  なぜそんな問題が起きてきたのか、基地があるからこの問題が起きてきたんじゃないか。基地があるからいろいろなことがあるんだ。そのことをきちっと、行政は何があってもやっていくんだ、そうでなければいけないはずにもかかわらず、必ずこの問題を出してきて、このせいにしてくる。冗談じゃありません。こういうことを言うからみんな怒るんです。  行政は、与えられた法律の中で仕事をしてください。この子のことを持ち出して、予見できなかったという原因にしている、理由にしていこうというのは、私はとても納得いかないです。
  128. 久間章生

    ○久間国務大臣 いや、そういうことじゃございませんで、基地がある、そのためにいろいろな事件が起きる、それについてどうするかというようなことについては、橋本総理も大田知事といろいろ相談されながら、そして全力を挙げて沖縄問題と取り組もうということでやっていただいた。その過程において、大田知事さんもああいう形で縦覧公告に応じていただいたわけでございます。だから、その大田知事さんですら今度の法律の改正についてはやはり反対だとおっしゃっているのもよくわかります、それは。  しかしながら、一方、あの会見その他を見せていただきましたけれども政府立場はわかる、理解できるけれども沖縄県としては反対だ、そういうふうに言っておられるわけでございまして、今、事ここに来たときに無権原でやっていいかどうかとなると、政府立場としては、やはり法律をつくってでもこれはクリアしてもらわなければならない。  しかし、先ほど言われた基地の問題に派生するいろいろな問題については、これはこれとして、いわゆる橋本総理と大田知事との相互の信頼関係は崩れていないという、そういうことも言っておられるわけでございますから、それはそれとして政府は受けとめながら、基地の問題については全力を挙げてこれから先取り組まなければならない問題だ、それは十分理解しておりますけれども、事法律の改正の問題につきましては、どうかそういう点での政府立場政府というよりも国の立場について御理解していただきたいと思うわけでございます。
  129. 白保台一

    白保委員 いろいろとまだまだ議論をしたいと思いますが、ほかの問題もありますからこれでこの問題については終わりたいと思いますが、いずれにいたしましても、私は納得をしているものではございません。このことを申し上げて、次の問題に移りたいと思います。  沖縄大使が配置されまして、沖縄でいろいろと活躍をされているようでございます。そして、その沖縄大使につきまして申し上げれば、前にも総理にも申し上げましたが、私どもは大変前から、沖縄にあれだけの基地を抱えておるし、安保条約といっても、地位協定に基づいてその負担をほとんど担っているのは沖縄である。多くの事件事故が起きてくる。そして、その事件事故のたびに沖縄から外務省に来る。ところが、外務省の対応は非常に現場感覚のない対応である。こんなことでは沖縄基地問題は解決しないし、事件事故の問題も解決しない。したがって、そういった問題等も含めて、沖縄で外務省の人が、職員がまさに現場感覚を持って仕事をできる状況がなければいけないということを十数年来言ってまいりました。総理がこのように沖縄大使を配置されましたが、それはそれで非常に評価しております。  さて、この原島大使です。今このような状況の中で、どういうような報告が出されていますか、沖縄状況というものは。
  130. 池田行彦

    池田国務大臣 沖縄大使につきましては、本当に私どもも、もっと早く設置し、そして文字どおり今おっしゃいました現場感覚というものを我々も身につけながら対応してくればよかったな、こう思っております。  ただ、御承知のとおり、外務省は外との関係で起こります仕事、国内との関係でも当然いろいろ仕事が出てくるわけでございますが、そこのところは、基本的には、外向きを我々が担当し、国内での調整はそれぞれその問題を国内で担当する官庁にお願いする、こういう枠組みになっておったものでございますから、ようやく今回設置したわけでございますけれども、今回設置してみまして、先ほども申しましたように、もっと早く置くべきだったなと思っておる次第でございます。  さて、原島大使でございますけれども、まだ赴任いたしましてからそれほど日時もたたないわけでございますけれども、彼なりに懸命に、米軍との関係あるいは沖縄県の御当局との関係、さらには基地のございます市町村との関係と、連絡をよくするように飛び回っているようでございます。  御承知のとおり、これは権限的にこういうことができるということがあるわけじゃございません、先ほど申しましたような役所としてのなんでございますから。そういった中で、例えば三者協議会の活性化なんという話がございますけれども、そういった問題についてどうだろうかということを県の方と、あるいは沖縄にございます米軍の方ともいろいろ話をしながら、その感触を連絡してきてくれておりますし、また、当然のことでございますが、先般来の国会の審議をずっと通じまして、沖縄の現地でこのような反応もございますというようなことも逐一連絡してきているところでございます。  我々も、そういった意味で、現地の雰囲気あるいはお気持ちを承知しながら、物事に対処していく上で大変参考にさせていただいている、こういうことでございます。
  131. 白保台一

    白保委員 時間がありませんので、いろいろとまとめて聞いていきたいと思います。  基地問題にかかわる問題として基地の整理縮小というのが議論され、また、進めていこうということでやっておるわけですが、今、沖縄米軍にかかわる問題で極めて重要な問題で、訓練空域と訓練水域の問題があります。  沖縄の空は大きくて広くて青くて、海も広くて大きくてと、だから米軍が一生懸命練習しやすい、こんなふうにはならないのです。島々を全部船で結んでいる、島々を飛行機で結んでいく、言ってみれば空路、水路、海路というのは、航路というのは県民の足です。道路です。そういう中で、訓練空域があるために大変県民生活を阻害している部分があります。久米島にしても、迂回しています。あるいは伊江島などはもう使えません。そういう意味で、後ほど管制権の問題にも触れたいと思っておりますが、訓練空域、これの返還、縮小、こういったことについては政府はどのように考えていらっしゃいますか。
  132. 池田行彦

    池田国務大臣 空あるいは海の、航路としてのあるいは空路としての役割がいかに沖縄にとって大切であるかは私どもよく承知しているつもりでございます。そして、SACOの作業におきましても、こういった面におきましても何とか縮小あるいは返還できるものはないかということで作業してまいりました。  そして、決してそれは地元でお考えになりまして十分とは思われないとは存じますけれども、最終報告におきまして、具体的に申しますと、安波の訓練場の水域において七千九百ヘクタール弱、それから那覇港湾施設の返還に伴うものとして約十四ヘクタール、それから空域については、北部訓練場が返還されることになりますと、その関連において上空二千フィートまでの空域というものについての、水域の返還あるいは空域の使用解除ということについて合意をしておるところでございます。
  133. 白保台一

    白保委員 それと、もう一つ申し上げたいのは管制権ですね。これは運輸省にも前に質問いたしましたが、航空管制です。これは、今、那覇空港の進入路は、八キロからは那覇空港でやっています。ところが、その他は全部嘉手納が管制権を握っている。本土の場合には、占領後、占領後というか二十八年ごろに既に管制権は返還されているはずです。沖縄も、復帰した時点においては当分の間といって始まったのが、今日まで二十五年間。日本の管制技術がそんなに落ちているとは私は思いません。むしろ優秀だと思います。管制権、いつまで握らせておくのか。運輸省は、常に返還を求めているそうです。外務省を通じて、合同委員会等を通じて求めているそうです。沖縄の空は危険である、こういうふうに言われています。この管制権の問題はどうされますか。
  134. 池田行彦

    池田国務大臣 現在、嘉手納、普天間のほかに、本土におきましても、横田、岩国、松山の飛行場におきまして、管制業務が米側によって行われております。  それで、我が国といたしましては、今委員も御指摘になりましたが、合同委員会の下部機関で民間航空分科委員会でございますが、そちらの方で管制業務の日本への移管ということを累次求めてきております。最近の事例で申しますと、平成八年、昨年の六月並びに十二月にも申し入れているわけでございますけれども、それにつきましては、現在のところまだ米側との調整がついていないという状況でございます。今後もいろいろ努力はしてまいりたい、こう思っております。
  135. 白保台一

    白保委員 もう一点、これは防衛庁ですが、総理の方から見えますか。余りよく見えないと思いますが、これは台湾です。これは与那国島です。これは防空システムです。日本の防空システムです。日本の防空システムが──与那国島の上空です。真上です。これは私わかります。これは第五空軍がかつてやったんだろうと思います。第五空軍が、米台条約があり、沖縄を占領して、そういった時期には勝手に線を引いています。だから、それはそれでその当時のものです。  しかし、今や日本は主権国家領土、領海、領空、ましてや防空システム、自分の領土の真上に、台湾の防空システムがこっちにまで来ているんだ。日本の防空システムはここまでしか来ていない。いろいろ聞いたら、運用面でやるから大丈夫だと言っています。しかし、主権国家として、それで許されるんでしょうか。この問題については、きちっと整理をしなきゃならない問題だと思います。かつてのそのままの流れをくんでいます。運用面と言いますが、ここは、防空システムは、台湾の防空システムは与那国島の上空、真上に来ていますよ。このままじゃ済みませんよ。このことの整理をどうされますか。
  136. 久間章生

    ○久間国務大臣 詳しくは防衛局長から答弁させますけれども、防空識別圏と領土権とは違いますので、今言われたようないろいろな経緯の中で現在防空識別圏はそのようになっているのは事実でございます。この問題については、従来からの経緯もあるようでございますし、また台湾との関係もあるようでございます。しかし、領土権とは関係ないということで、我々としてはそのまま現在のシステムを使っているわけでございます。
  137. 白保台一

    白保委員 最後ですから、もう時間がありませんので最後に申し上げたいと思いますが、総理、四十六年の秋の沖縄国会がありました。昭和四十六年。そのときに国会は大混乱を起こしていましたけれども、最後は自民党と公明、民社が本会議へ入って、公明、民社反対の中で協定は成立いたしました。その際に、沖縄県の基地の整理縮小、米軍基地の整理縮小の決議を院の決議として行いました。あれからもう二十六年、本土においては、先ほど、けさも話がありましたように、膨大な基地の整理縮小がなされました。沖縄は一六%と言われています。  そういう中で、今沖縄の県民が求めているのは、海兵隊等の兵力削減をやっていけば、海兵隊は六割、こう言われていますから、恐らく大きな基地の整理縮小につながるだろう、こういう期待を持っています。ところが、総理は、それは求めない、こういうふうに言われて、県民は、ということは基地の整理縮小がないということかというふうに受けとめられています。いかがでしょうか、最後に。
  138. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 どう繰り返して申し上げても、過去五十年間のたまったものを全部吐き出してこられる限りにおいて、私には受けとめようがないんです。そして、現実の問題として、私は、今この日本周辺アジア太平洋地域というものを考えるときに、米軍の規模の縮小を求める、海兵隊の縮小、撤去を求めるという状況ではないと思っておりますし、その情勢判断の上で、行われれば四月の何日かに行われる、調整中の日米首脳会談においても、私は今回はこれを議題にしないということは終始一貫同じことを申し上げてまいりました。同時に、情勢の変化に応じて兵力構成を含む問題を議論するということは、共同宣言でも申し上げているということも繰り返し申し上げてきました。  そして、全く御信頼をいただけないのであればやむを得ませんけれども、少なくともSACOの最終報告というものは、先ほど来の御論議の中にもありました空域、水域も含めまして、現時点で日米両国がぎりぎりまとめ上げた報告書なんです。これは気に入らないと言われればそれまでかもしれません。しかし、気に入らないからこのままだと言われてしまったら、今の状況が残っちゃいます。  先ほど私は他の委員に対して少し言葉が過ぎたので、おわびをしながらもう一度申し上げたいと思うのですけれども、那覇軍港は確かに経済的な影響のある問題で、これを解決をしなければならないことは間違いがありません。随分長い時間がたって現状が変わらずに今日まで参りました。しかし、このSACOの最終報告の中に盛られている普天間、まさに住居の密集している中にある基地なので、動かさなかったら本当に危険だ、知事さん自身が切々とおっしゃった話です。  そして、御論議としてはいろいろなものがありましょう。しかし、現実的に沖縄の中における移設しか考えようのない時点で、撤去可能な海上施設というものを私ども一つの方向としてお示しをいたしました。そして、せめて適地があるかないかの調査ぐらいはさせていただきたいと、今必死でお願いをしておりますけれども、そのお願いにも県が、知事さんにお願いをしましても、県としては同行できないと言われるのが今の状況です。  私は、沖縄県の皆さんがこれからも今議員が述べられましたように評価をしてくださらなくても、我々は全力を尽くして少しでもその痛みを減らす努力をしてまいりますが、それをせめてお考えはいただきたい。普天間の対案というものを一切拒否されたままで全部なくせということでありますならば、残念ながらこの問題、議論は平行線でありましょうし、その間今のままの基地状況が残る。この点だけは変えようじゃありませんか。少しでも安全を取り戻せるような努力をしたいと私は願っております。     〔杉浦委員長代理退席、委員長着席〕
  139. 白保台一

    白保委員 時間ですので、終わります。
  140. 野中広務

    野中委員長 これにて白保君の質疑は終了いたしました。  次に、玄葉光一郎君。
  141. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 民主党の玄葉光一郎です。  昨日、同僚議員の前原議員から、民主党としては具体的に海兵隊の問題あるいは周辺環境、それらを検証していきたい、そういうお話がありました。きょうは、私からは沖縄の海兵隊の問題、そしてもう一つは北朝鮮の戦力分析、それらを中心に質疑をさせていただきたい、そう思っております。  その前に、私の日米安保についての認識を一言申し上げておきたい。  先般外務大臣には申し上げたことがありましたけれども、私は基本的に、冷戦後の日米安保アジア・太平洋のかなめであるという、そういう認識には賛成であります。きのう菅代表が、冷戦後の日米安保、いつの間にかアジア・太平洋から中東までカバーするようになってきた、その中身はともかくとして、プロセスが、議論が少なかった、そんな話がありました。それは全く私もそのとおりだと思いますが、結果として出てきたアジア・太平洋のかなめであるという認識そのもの、位置づけそのものについては、私は賛成であります。  というのは、アフリカのOAUなんかが当たっていたリベリアのPKOなんかにも見られるように、結局、好むと好まざるとにかかわらず、現時点でアメリカ抜きの安全保障というのは考えられないだろう、そのように考えているからであります。そしてまた、自由貿易に存亡がかかる我が国でありますから、アジア・太平洋に紛争や戦争を起こさせない、そのことこそまさに国益だろう、そんな思いもあるからであります。  ただ、このことと、だからといって、沖縄の海兵隊の問題について積極的に協議をしていかなくてもいいということにはならないのだろうというふうに考えております。なぜなら、もちろん沖縄県民の心、願い、そういうものもございますし、また同時に、私はよく思うのですが、もし再び一昨年のあの少女暴行事件のような事件が、あの悲惨な事件が起きてしまったらこの日米安保はどうなるだろう、そういう思いが、そういう危惧があるからであります。  そこで、海兵隊の問題に入っていきたいと思いますけれども沖縄の海兵隊、きょうは具体的に少し検討させていただきたいと思います。  沖縄の海兵隊というのはどのような構成になっておりますか。まず、政府委員で結構ですから、簡単で結構ですが、お答えいただけますか。
  142. 折田正樹

    ○折田政府委員 沖縄には、御存じのように、第三海兵機動展開部隊がおります。そして、司令部と役務大隊はキャンプ・ハンセンにございます。それから、第三十一海兵機動展開隊、これはキャンプ・コートニーにございます。それから、第三海兵師団、これは司令部大隊、第四海兵連隊、第十二海兵連隊、戦闘強襲大隊から成りますけれども、キャンプ・コートニー、キャンプ・ハンセン、瑞慶覧等にございます。それから、第一海兵航空団でございますが、瑞慶覧にございます。そのうちの第三十六海兵航空群は普天間、あと岩国にあるものもございます。それから、第三部隊戦務支援群がまた沖縄にございます。
  143. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 きょうは、そのうちの一つを取り出してみたいと思います。  今おっしゃった第三海兵師団、これについて取り上げてみたいと思いますが、もう一回、第三海兵師団はどういう師団でありますか、その点、お答えいただけますか。
  144. 折田正樹

    ○折田政府委員 沖縄には、地上、航空兵力に後方支援機能を備えた一定の自己完結性を有します第三機動展開部隊が駐留しておりますが、第二海兵師団というのはその中の一つでございまして、第三海兵機動展開部隊の中での地工作戦の遂行を担っております。そして、司令部大隊、歩兵連隊、砲兵連隊及び戦闘強襲大隊、これは軽装甲車と水陸両用車を運用する、こういうものにより構成されていると承知しております。
  145. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 それでは、この第三海兵師団、今御説明いただいた部隊でありますけれども、この第三海兵師団は、有事の際、例えば朝鮮半島有事でいいと思いますが、有事の際、どういうふうにして移動するのでしょうか。
  146. 折田正樹

    ○折田政府委員 具体的な状況に即応して、それに最もふさわしい方法で米側が運用するわけでございますので、余り断定的には申し上げられないというふうに思いますが、御指摘の第三海兵師団は、兵員約三千人から成る歩兵部隊を有しているというふうに承知しております。そして、何らかのことがあればその場所に移動することになるわけでございますが、例えば両用船による海上輸送ということがあり得ると思いますし、それから航空輸送ということもあり得ると思います。その時々の最もふさわしい形で、最も適切な形で運用されるものと承知します。
  147. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 先ほど最初に海兵隊全体の構成を言っていただきましたけれども基本的には、揚陸艦は佐世保に四隻ありますけれども、これは先ほどおっしゃった第三十一海兵遠征隊、つまりMEU、そういう部隊を運ぶのじゃないのですか。歩兵部隊も運ぶのですか、また運べるのですか。目いっぱいじゃないですか。
  148. 折田正樹

    ○折田政府委員 確かに、MEU、海兵機動展開隊というのがございまして、これを、両用戦即応群ということで両用戦艦艇、佐世保にあるもので運ぶことはございます。他方、具体的な事態にどう部隊運用を行うかということは、その時々の情勢によろうかと思います。
  149. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 それでは、今おっしゃった第三十一海兵遠征隊と第三海兵師団の歩兵部隊を、日本にある揚陸艦、佐世保にある四隻の揚陸艦、それと航空部隊で運べるのですか、全員。
  150. 折田正樹

    ○折田政府委員 どういう事態でどういう輸送手段によって運ぶかは、まさしくそのときの状況でございます。先ほど申し上げました両用戦艦艇もございますし、それから例えば輸送航空機ということでございますれば、米空軍のC130という航空機もございますし、例えば湾岸戦争なんかでは、航空輸送の場合には、他の戦域にいる飛行機を短時間のうちに転用してきたという例もあるようでございますし、いろいろな手段というのはその時々に考えられることであろうと思います。
  151. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 要は、今申し上げたのは、全部運べるかと言ったのです、全部。つまり、揚陸艦では結局二千人しか運べないですよね、MEUしか運べないのでしょう、基本的には。そして、歩兵部隊は、大体は今おっしゃったような航空機で運ぶのでしょう。その航空機は、日本には、今まさに御指摘がありましたけれども、C130輸送機があると。ただ、これは何機あるかというと、十数機しかない。その場合どうするんですか。
  152. 池田行彦

    池田国務大臣 基本的に申しまして、海兵隊も含めまして日本に駐留しております米軍は、安保条約に基づく米国責務、義務、それを果たすためにいるわけでございます。そして、安保条約米軍が、米国が担っている役割をどのような状況の中でどういうふうに果たしていくかは、それは一義的には米側責任においていろいろ考え、やっていくんだと思います。  もとより、海兵隊というものは一つの一体性を持って移動する集団ではございますけれども、それだけではなくて、ほかのものもいろいろ連係プレーをしながらやっていく。事態によっては、駐日米軍だけではなくて、ほかの地域にある米軍との間の連携というものもあり得る。それは、そのときそのときの事態に応じて米国としてみずからのコミットメントをどういうふうに果たしていくかということでございますので、運用の細かなところにつきまして日本側において余り突っ込んで話をするということは、余り適当ではないことじゃないかと思います。  全体として駐留米軍が、あるいは場合によってはそれに応援に来る米軍も含めて役割を果たしていくということでございますから、それを因数分解して海兵隊がどうか、さらに海兵隊の中を細かく因数分解してこの部隊がどうだということを余りやるのは、失礼な言い方かもしれませんけれども、必ずしも適切ではないと考える次第でございます。
  153. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 いやこれは、海兵隊の削減を今あるいは今後考える上で、私は検証しておく必要はあると思うんですよ、戦力分析をですね。やはり実際にC130は十数機しかない、佐世保の揚陸艦は第三十一MEUを運ぶと。じゃどうやって運ぶかといったら、今外務大臣がおっしゃったように、基本的には他の地域からも来ますよと。  これは防衛庁ですかね、資料をいただきましたけれども、どうやって運ぶのかと聞いたら、航空輸送は他の戦域に所在する輸送機を短期間のうちに他へ転用可能であり、加えて空軍予備役、また州兵空軍に加え民間航空機をも投入され得るので云々と、つまり他の地域から来ますよというようなことが書いてあります。  で、もう一つちょっとお聞きしたいのですけれども、第三海兵歩兵部隊というのは、基本的には小銃とか機関銃とか軽装ですね。これは装備はどうするんですか。
  154. 折田正樹

    ○折田政府委員 私、その細かな運用のことまでは存じませんけれども、種々の手段で運送するものと思います。
  155. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 多分そういう装備というのは、恐らく、きのうも議論にありましたけれども、MPS、事前集積船なんかがグアムからやってきてということになるんじゃないかなというふうに、これは推測ですけれども、そう思うのです。  私が何でこんな細かく申し上げたかというと、結局、沖縄にいる海兵隊の中の第三海兵師団だけでもグアムとかハワイとかに後方配備することが可能かどうかというのを検証したかったから申し上げたわけであります。これは、もちろん最終的に、先ほど来から議論に出ておりますような普天間の問題なんかを解決する答えにはなりません。  ただ、大田知事なんかともお会いして、第三海兵師団だけでも後方配備されたら、これはもう沖縄の大変な喜びだと。いわば沖縄の心と国益の接点たり得る一つの選択肢、仮に今できなくとも、私は近い将来一つの選択肢になるんじゃないかという思いで議論させていただいているわけであります。外務大臣のさっきの答弁は、私はいかがなものかなというふうに思いますけれども。  つまり、もし第三海兵師団が、沖縄にいる海兵隊の中の第三海兵師団がグアムとかハワイに後方配備されても軍事的な能力あるいは抑止力が低下をしないということであれば、それは今後協議の中で私は十分検討し得るテーマじゃないか、そんな思いなわけでありますけれども外務大臣、いかがですか。
  156. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほど申しましたように、米国米国として、日本あるいはこの地域にコミットメントしております。それを果たしていくために一体どういう体制でやればいいのかということを考え、海兵隊も含め、現在日本にこれだけの米軍を駐留させておるわけでございます。そしてまた、それが具体的なケースにおいてどういうふうに動いていくのかということは、やはりこれは米軍の運用の問題でございますから、その事態に応じて最も適切な体制を組んで動くものだと、こう承知しております。  そして、今、固定的に考えて委員は、第三海兵師団はこれだけいる、それに対してその輸送手段が沖縄あるいは日本にこれだけしかないと言われますけれども、それはやはり、現在のこの地域のいろいろな情勢というものをにらみながら、米国としてどういうふうな対応が必要となるかを想定するとか、そういうことを考えながらいろいろ配備しているんだと、こう考える次第でございます。  いずれにいたしましても、もとより私どもも、米側のコミットメントを果たしていく上で日本側としてもどういうふうに考えるべきかという視点を持たなくちゃいかぬのは、それはわかっておりますけれども、しかし、米軍の運用の細部にわたるまで一々やるということは、日米同盟といいましょうか、そういったあり方からしましても、また、軍の運用の実態というものからいいましても、それは限界があるのではないかと考える次第でございます。
  157. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 アメリカの軍隊だからよくわからない、要はそういうことですよね。  昨日、事前協議の形骸化という指摘が私どもの同僚からもありましたけれども、最近、私もガイドラインなんか勉強していて改めて思うのですけれどもアメリカは結局、もし有事のときにどういうシナリオで動くのかというのが我々わかってるのかなと、あるいは政府はわかってるのかなということを感じるんですね。全然全体像を示してくれていないんじゃないか、それが本当に同盟なのかと。外務大臣はむしろそれが同盟だというようなニュアンスのことをおっしゃいましたけれども、それはいかがですか。
  158. 池田行彦

    池田国務大臣 当然のこととして、我が国が非常に緊張した状態になった場合にどういうふうに対応するかということにつきましては、日米共同対処でございますから、そういったことにつきましては自衛隊と米軍との間でいろいろな意味での研究もしておりましょうし、また、共同訓練なども行われているところでございます。そしてまた、それ以外の問題につきましても、我が国周辺地域で非常に緊張した状態が起こって、それにどういうふうに対処したらいいかということにつきましても、またこれからいろいろ研究を深めていこう、こういうこともやっておるわけでございます。そういったことは私も必要だと考えております。  ただ、今沖縄に駐在する海兵隊が必要かどうなのか、あるいは削減が可能かどうかという観点から、委員が第三海兵師団のまず移動手段があるかというポイントをつかまえていろいろ議論をなさいましたけれども、それはやはり、少しそういう観点からの話じゃないんじゃないのかなと。全体として米国がそのコミットメントを果たしていくために必要だということでこういうものを置いているんだと、そして一方においては、事態に応じて、必要ならば沖縄駐在の米軍以外の協力も得ながら行動するであろうし、また、逆の見方をすれば、海兵隊というものは基本的に、地上兵力だけではなくて航空兵力であるとかあるいは支援部隊とかそういうものも含めた固まりとして行動するという特性もあるわけでございますから、そういった意味では、沖縄にも歩兵兵力あるいは砲兵を中心とする第三海兵師団というものもおり、そしてほかの部隊と訓練をしておくということがいろいろな事態に対処するためにも肝心なことだ、こう考える次第でございます。
  159. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 日本の安全にかかわることですからね、それが知らされていない。第三海兵師団の役割と任務について詳しく知らないというのは、私はいかがなものかと思いますよ。  そもそも、装備もない、あるいは移動手段もない、その第三海兵師団どうするのかと聞いても、それはアメリカのことだからわからない。それで我が国の安全保障政策、成り立つのでしょうか。私は大変疑問な答弁をいただいたなというふうに思うのです。  これはもうわからないということですね、基本的に。もうわからないということがわかりました。
  160. 池田行彦

    池田国務大臣 それぞれの事態に応じてどのように米軍としての役割を果たしていくか、責務を果たしていくかは当然考えている、そして、我が国有事になった際という前提を置いてもようございます、その際は日米共同対処をするんだから、そういった際にどういうふうにするかということは、これまでも米軍と、これは海兵隊も含めてでございますが、米軍と自衛隊の中で研究もされ、またその共同訓練もやっておる、こういうことでございます。  そして、いわゆる極東有事の際にどうするかという点につきましては、これまで必ずしもその研究が、当然、米軍としての行動をどうするかということは米国においてそれは十分考えておりましょうが、そのとき日本として一体どういうことができるのか、あるいはできないのかという点につきましては、いわゆるガイドラインなんかの研究を通じて、これからこれまで必ずしも十分でなかった点を深めていこうとしている、こういうふうに申し上げたわけでございます。  いずれにいたしましても、米国安保条約上の責務を果たすためにここへ駐留させております米軍は、沖縄の海兵隊も含めまして、必要な事態が生じたときには十分に役に立つように考えておる、こういうことでございます。
  161. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 要は、極東有事の場合の第三海兵師団のいわば行動シナリオというのはわからないということですよね、そうでしょう。
  162. 池田行彦

    池田国務大臣 基本的に申しまして、我が国有事の場合は日米共同対処でございます。だから、それについては共同研究なり共同訓練なりも行っている、こういうことでございます。  それに対して極東有事の場合には、基本的に申しますと、米軍日本基地を使っていろいろ対処をしていく。それで、そのとき日本として一体何ができるかという、そういったことに使える基地を提供するということは、日本安保条約上の義務として果たしている一つの役割でございますね。そのほかにもいろいろあるだろう。例えばそこでいろんな補給の手伝いをするのはどうだとか、いろいろなことがあるのではないか、こう言われていますね。だから、そういった点についていろいろ研究は深めていこうと言っているわけでございます。  しかし、極東有事に際しての軍事行動そのものは、これは日本が行動するわけじゃございません。これは米軍が単独で行うわけでございまして、その際にどういうふうな輸送手段を用いるかどうかということは、これは米側責任においてなすことである、こういうことでございます。
  163. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 シナリオがわからなくてガイドラインの見直しができるんですか、実際。それぞれのシナリオが示されなくて、私は実際に、いや、今やっているんだったら、じゃ、これから示されるという見通しはあるんですか。
  164. 池田行彦

    池田国務大臣 その点につきましては、先ほど他の委員の御質問に対して防衛庁長官から御答弁もございましたが、五月の半ば以降、作業の進みぐあいを見ながらその段階で明らかにできるところを明らかにして、この国会においてもあるいは国民においてもいろいろ御議論いただこう、こういうことでございます。  しかし、一点申し上げておきますけれども先ほど申しましたように、例えば極東有事と言われるような状態における軍事行動は、あくまでこれは米軍の単独の行動なのでございますから、そこの前提はしっかり置いてお考えいただきたいと思います。
  165. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 米国のことなので、第三海兵師団の役割と任務についてはよくわからないということでありましたが、私自身は、第三海兵師団というのは、十分に、仮に今できなくともいずれかの時点で、もちろん国際情勢にまりますけれども、後方配備というのが可能ではないか、つまり、直接的に軍事的な能力あるいは抑止力を低下をさせるものではないのではないか、そんなふうに考えているわけであります。したがって、民主党としては、この第三海兵師団の後方配備ということを五項目の中に入れさせていただいたわけでございます。  一昨日と昨日、コーエン国防長官の報道がございます。これでは、一連の発言で、例えば最初は、朝鮮半島の統一があったとしても、日本沖縄に関する限り、現在と同じ実質的なプレゼンスを維持するというふうに発言をされたという報道がありました。それに対して梶山官房長官は、記者会見で、協議というのは一方的に全部の意見に従うのならなくても済む、それぞれの意見を交換する場は当然これからもあるというふうにおっしゃっている。  それで、きのう、久間防衛庁長官が二時間会談されたということでありますが、どんなやりとりがあったか教えてください。
  166. 久間章生

    ○久間国務大臣 どんなやりとりというか、そこのところだけについて言わせていただきますと、私も、新聞報道等でこういうことがあったということで、委員会の方で質疑があった、私自身、新聞報道を読んでいないけれども、どういう脈絡でどういうことをおっしゃったのですか、そういう話をいたしました。  そうしたら、コーエン長官が言われるには、とにかく仮定の話を、新聞社、マスコミというのですかね、マスコミがしつこく聞くので、とにかく仮定の話にはなかなか答えられないというような話をしていて、それでも朝鮮半島がもし統一されたらどうなるんだというような話だったから、自分の考えとしては、当分そういう統一というのはそう簡単にはないだろうというようなことと、それから、当分の間、この状態でいくんだというような返事をされたそうです。それがああいうふうな報道になっているという、そういうふうな報告を受けました。
  167. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 もちろん、これは、共同宣言に盛り込まれた兵力構成を含む軍事態勢についてはこれからも協議をしていくということを確認をしていただいたということであるのだろうというふうに思いますが、ちなみに、昨年、共同宣言があってから、その兵力構成を含む軍事態勢について協議というふうにあったわけですけれども、これまでどこの機関で、いつ、どのように議論されたか、教えていただきたいと思います。
  168. 折田正樹

    ○折田政府委員 典型的な例で言いますと、いわゆる2プラス2、安全保障協議委員会におきまして、アジア太平洋地域の国際情勢、安全保障環境について議論する中で、今の米軍が前方展開をしているということはアジア・太平洋の平和と安定にとって重要なことであるというような議論をしております。
  169. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 これは、日本側からは、海兵隊の削減について言及したことはあるのですか。ないですよね。
  170. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほど委員の御質問は、昨年の共同宣言以後、日米間でこの問題を協議したかという御質問であったと思います。そして、政府委員答弁、ちょっとそこのところを取り違えておったと思いますので、御承知のとおり、昨年の共同宣言におきましても、現在の情勢を考えると、この地域において、日本に駐留する米軍を含めて十万人のプレゼンスというものが必要である、こういう認識を示しております。  そうしてまた、昨年の十二月の初めに行われましたいわゆる2プラス2、我が方からは防衛庁長官外務大臣、先方からは国務長官と国防長官が原則でございますけれども、その際は国務長官のかわりに大使が入ったと思います。そこにおきましても、やはり現在のこの地域の国際情勢というものを考えた場合、我が国に駐在する米軍も含めて十万人のプレゼンスが必要であるということを、そういう認識を確認しておるわけでございます。  それ以上詳しくは申しませんけれども、その間にも、またその後にも、米国クリントン大統領初め、それぞれの責任立場にある方が同趣旨のことをいろいろな場で明らかにしておられます。  私どもも、今日の国際情勢、とりわけ我が国周辺の安全保障環境からして、またこれまで、この地域米軍状況の変化、現実に、いわゆる冷戦が終結しましてから、日本に駐留するものも含めまして、ある程度の削減は行われておるわけでございます。そういったことも踏まえて、現時点では、海兵隊も含めまして、在日米軍の駐留は現在のレベルで維持されるということが適正である、こういう認識を持っておりますので、昨年の四月の共同宣言以後という御質問でありますならば、これを削減を求めることはしておりません。  ただし、先ほど申しましたように、この共同宣言にも明記されているとおり、これから中長期的な国際情勢の変化に応じて、それに適切に対応できるような防衛政策あるいは軍事態勢というものについては協議するということがある、このことはきちんと協議していこうよということは、あらゆる場において繰り返し申しておるわけでございます。
  171. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 繰り返しになりますが、私たちとしては、一部だけを取り出したという言い方をされましたけれども沖縄全体の海兵隊の中で第三海兵師団だけでも後方配備できないかということで、何とか沖縄の心と国益を結びつけようという努力をさせていただいて、その結果今のような提案になったわけでありますけれども、私は、これからそういう協議の中で、やはり我が国も具体的にそういう提案をしていくべきではないかな、そんな思いもございます。  ところで、もう時間があと十分ぐらいでありますけれども、北朝鮮の問題であります。  これは海兵隊の問題を議論する上では欠かすことのできない事柄であると思いますけれども、私は元来、憶病ですし慎重な方ですから、安全保障は、今いろいろなことを申し上げましたが、基本的には万が一の事態に備えたいという思いなんです。ただ、北朝鮮が脅威だと言ったときに、何か漠然としているのですね。何が具体的にどういうふうに脅威なのか。これについて、時間は余りありませんが、議論をさせていただきたい、そう思います。  それで、例えば、参考までにお聞きしたいのですけれども、具体的にちょっと二、三お聞きします。日本の航空自衛隊のパイロットの年間の訓練時間を教えていただけますか。
  172. 粟威之

    ○粟政府委員 航空自衛隊の戦闘機操縦者の年間飛行時間ですが、年間一人当たり百五十時間でございます。
  173. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 百五十時間ということでありましたけれども、大体、アメリカは二百四十時間ぐらい、韓国はやはり百五、六十時間ぐらいかなというふうに思いますが、先日、ある資料を読ませていただいたら、最近亡命した李チョルス大尉という方がいて、その人は十年勤務で三百五十時間の総飛行時間だったというのですね。そうすると、丸ごと平均すれば年間三十五時間だということになりますし、今は石油が足りませんから多分もっとひどいんだろうな、そんなふうに思います。  戦闘機も、どうも近代戦にたえられる戦闘機は百機ぐらいだ。これは防衛庁からいただいた資料にもそう載っています。じゃ、韓国とアメリカを合わせるとどのぐらいか。在韓米軍でありますけれども、五、六百機あるのかなというふうに思うのです。  多分、軍事力というのは恐らく掛け算で、そういう航空機の数とか質とか情報能力とか、そういうことからいくと、何か徹底して、北朝鮮というのは思ったほど脅威じゃないんじゃないかという議論が出てくるわけですね。それについて、どのようにお考えになられますか。
  174. 池田行彦

    池田国務大臣 まず最初に、我が国の安全保障政策上、どこか特定の国を脅威というふうに位置づけているわけではないということを申し上げておきたいと思います。  しかしながら、確かに、朝鮮半島の情勢、この地域の非常に大きな不安定要因でございますし、そういった意味では、北朝鮮の動向というものは我々非常に注視しなくちゃいけない、こうは考えております。  その中で、経済的にも大変苦しい状況にあると思います。過去数年間、マイナス成長ということのようでございますし、そういった中で、食糧、エネルギー等も非常に難しい状態になっている。しかし、そういった中にありましても、依然として地上兵力が百万を超える軍事力を維持しておる。そういった、人的資源も含めまして、資源を重点的に軍事の分野に充当しているという事態は変わってないと思います。  もとより、幾ら優先的に例えば燃料その他を回すにいたしましても、それは極めて苦しい状態でございますから、今おっしゃいました練度の維持なりなんなりに苦労しているということがございましょうが、しかし依然として、軍事的な側面で見る限り、あの軍事境界線の北に百万を超えると言われる地上軍の三分の二程度を前方展開しているというふうに承知しておりますし、依然としてそういった面からは注目をしなくちゃいけない、こう思っております。  しかしながら、だから危ない、危ないとばかり言っているわけじゃございません。一方におきまして、いわゆる四者協議の事前説明会へ出てくる等、若干、国際社会とのつながりを模索しているのかなと思われないでもない兆しが見えておりますので、いずれにしても、そういうところ、我が国の安全保障上の見地というものも踏まえながら注目してまいりたい、こう考えている次第でございます。
  175. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 核はどうなのですか。ノドンはどうなっていますか。
  176. 加藤良三

    ○加藤(良)政府委員 核の保有については、確認された情報はないと存じます。
  177. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 結局、漠然とした不安という結論はなかなか変わりにくいなという思いなのでありますけれども、情報も不足しているということもあるのかもしれません。  兵力構成のあるべき姿というものを考える上では、周辺の不安定要因をできるだけ正確に分析するということが極めて大切だと思います。きのう菅代表が、冷戦時代は実質的な安全保障論議というのが停止していたのではないか、そういう議論がございました。私たちとしては、これから国会の中で、こういう兵力分析も含めて、できる限りかみ合う議論を展開をしたいというふうに申し上げておきたいというふうに思います。  最後に、総理に一度もお聞きしなかったので。  さっきの海兵隊の問題、何度も答弁されていますから、同じ答弁になってしまうと我々もなかなか納得しにくいのでありますが、繰り返し繰り返し申し上げるようですが、恐らく、必ずしもある部分後方配備することで直接その軍事能力が低下するというものばかりはないといいますか、一部後方配備しても大丈夫な部隊というのは私はあるのじゃないか、そういうふうにも思うわけでありますけれども、これから兵力協議、先ほど来から何度も答弁されておりますけれども、積極的に、まさに主体性のある態度で臨んでいただきますようにお願いをしたいというふうに思います。  できれば一言お願いします。
  178. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 主体性のない協議なら、やめた方がいいと私は思うのです。  そして、先ほど来の御議論を聞いておりまして、私ちょっとひっかかった部分がございます。それは、やはり私はその海兵隊というものの性格、これはまさに急速展開部隊という性格が中心でありましょうし、ぞして、その移動手段というものから一つの推論を組み立てられた、その考え方は一つの考え方として、私はそれなりに敬意を表したいと思います。  同時に、後方といいますか、他の地域への移転という場合に、私は、極東また日本自身にとりましても、例えばグアムあるいはハワイと地名を挙げて言われましたが、特定の地名を挙げるのは必ずしもいいことでないかもしれません。航空機の輸送でありました場合には、それだけ所要時間は少なくて済むはずでありますが、一機に乗れる人員の数からして、行ったり来たりの回数がふえるだろう。船舶をもっての輸送であれば、例えばここからここまでだと何日ぐらいかかるだろうというようなことを頭に置いて考えてみますと、私は、その緊急展開部隊という性格と、議員が幾つかの地名を挙げられました場所に移動させた場合の展開日数というもの、どこに想定するかでも全然違ってきますけれども、時間的に相当長い時間がかかるな。  私は、決してこうした分野の専門家ではありませんけれども、いろいろな資料等を見ておりましても、平時における軍隊というもの、例えば一〇〇%の移動手段を全く無条件に整備をしている国というのは、私は余りないだろうと思うのです。むしろ、何らかの危険が考えられたときに他の地域にあるものを移しかえるとか、いろいろな工夫がそれぞれの国にされる。それを前提にして、一〇〇%移動手段を準備したというほど豊かな配備をしている部隊というのは、そんなにたくさんあるのかな。議員の推論を逆に、実は私はそんなとらえ方で考えてみました。  そうしますと、逆に他の地域に移転している海兵隊、我が国自身の危機の場合、あるいは周辺に危機が起きた場合、一部は当然航空機で移動するにしましても、船舶を使いますと相当な日数を必要とする場合、果たしてその議論というものが成立し得るのだろうか、そんな思いもいたしました。  ただ、今後において、私はそうしたことも、今議員の御指摘を聞きながら、もう少し我々調べておく必要があるなと思います。そして、それを公表する、しないにかかわらず、もっと調べておく、そして議論をする場合にそのデータが役立つような議論を考えていかなければいけない、率直に私はそのように思いました。
  179. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 終わりますが、ちょっと誤解があったので。  つまり、沖縄の第三海兵師団というのは、結局装備もグアムとかいわゆる他の地域から来るわけですね。そして、輸送の手段の航空機も他の地域から来る。だったら後方配備してもいいのじゃないか、そんな議論だったということはぜひ誤解のないようにしていただきたいと思います。  同僚議員に譲ります。ありがとうございました。
  180. 野中広務

    野中委員長 これにて玄葉君の質疑は終了いたしました。  次に、山元勉君。
  181. 山元勉

    ○山元委員 民主党の山元でございます。  きのうからのこの委員会の論議を聞かせていただきまして、この問題が日本アジアの平和や安全、そして一方で沖縄の人々の暮らしゃ人権やあるいは将来の夢に大変深く大きくかかわっている問題だと改めて認識をいたしました。  私は、この一方の沖縄の人々の暮らしや人権やあるいは将来の夢に大きくかかわる要件の一つである地位協定の改定あるいは見直しについて中心にお伺いをしたいというふうに思いますが、その前に、沖縄の心を心として、あるいは沖縄思いを大事にしてということがよく言われますけれども、改めて、沖縄の心というのは何だ、沖縄思いというのは何だということをはっきりとさせてもらいたいというふうに総理外務大臣にお伺いをしたいと思います。  四日の本会議でも、総理は、本土の私たちが沖縄県の方々の抱えておられる苦しみというものに十分思いをいたしてこなかったという点はおわびをするし反省もしなければならない、だから頑張るのだ、こういうふうに御答弁がありました。ですから、沖縄の皆さんが持っているといいますか、抱えている苦しみ、端的に言ってどういうふうに言えばいいのだろうか。総理外務大臣にお伺いをしたいと思うのです。
  182. 池田行彦

    池田国務大臣 沖縄の歴史、非常に長うございます。その間、いろいろなことがございました。さきの大戦以降だけとりましても、我が国で唯一地上戦の行われたところであり、そしてそこでは、軍人だけではなくて県民の方々も非常に多数の方々が命を落とされたわけでございます。そしてまた、終戦になりまして以後も、昭和四十七年まで、非常に長きにわたり日本の他の地域とは切り離された形で米軍施政下にあったわけでございます。  そして、その間を通じまして、この委員会でも随分御議論がございましたけれども、戦争中には、当時の帝国陸海軍のための基地の提供あるいはその他の軍への協力を求められた。そして、米軍施政下にございましても、駐留する米軍のために非常に多くの地域沖縄本島では大きなときには二〇%近く、現在でも一八%になっておるのだと思います、非常に多くの土地が、しかも、普天間に象徴されますように、住民の生活にとって一番大切な地域、重要な地域がそういうふうに適地として提供されたと申しますか、その住民の方々のお気持ちからいえば、占拠された、とられたというお気持ちだったと思います。また、そういったお気持ちになっても不思議でないような土地の取得の経過もあったというふうな御議論も、この委員会でも随分ございました。  そのような、基地の提供だけではなくて、米軍の活動、あるいはともにその地に住まうということからして、いろいろな事件あるいは事故ということもあり、また生活上の御不自由、御不便もたくさんあったわけでございます。  そして、ようやく念願かなって昭和四十七年に本土復帰となったわけでございますけれども、その後も、我が国の安全を守るという目的のためではありますけれども米軍基地が、また米軍が存在し続けた。今日におきましても、駐留米軍基地の実に七五%が、国土の〇・六%の地積しか持たない沖縄に集中しているということであり、そういった意味では、戦時中から続く沖縄県民の皆様方の御苦労というものは、いまだに非常に大きなものがある。その御負担の大きさというものは、私ども、これでわかったと言ってはいけませんけれども、これは筆舌に尽くしがたいものがあった、こういうふうに考える次第でございます。  そうしてまた、将来に向かってもいろいろ、SACOの作業等を通じまして、沖縄県民の方々の御負担のあとう限りの軽減をというふうに努力はしてまいりましたけれども、なお相当な規模の米軍の駐留、そして基地の提供ということをお願いせざるを得ないという状況にある。そういったことを、仮に頭でその必要性を御理解いただいたとしても、しかし、この負担は自分たちだけがしょうべきものじゃないだろう、日本国民がひとしく分かち合うべきものじゃないか、こういう思いがなさるのは当然だと思います。  そしてまた、さらに、現状を、仮に現実的にすぐにそれができないとしても、どうしてもう少しそういった負担の軽減というものが日本政府において、あるいは日本国民全体において考えてもらえないかというお気持ちがあっても不思議じゃないと思うのでございます。そういったことは痛いほど我々も感ずるところでございます。  それと同時に、もしそういうことなかりせば沖縄の現状はどうであっただろうか、また将来に向かってどういう夢が描かれるだろうか、こちらもいろいろな思いがあられると思います。そういったいろいろな沖縄の県民の方々がお持ちになっているお気持ち、そういったものを、私どもは、十分わかったなんとは申せませんけれども、極力そのことに思いをいたしながら沖縄の県民の方々の御負担の軽減に努めてまいりたいし、また、将来に向かって、沖縄の県民の方々の生活の向上、夢の実現に向かっても、国として、あるいは日本国民全体として力を尽くさなくてはならない、このように考えておる次第でございます。
  183. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 基本的に、今外務大臣がるる申し上げましたこと、私どもも同様であります。その上であえて、おまえは沖縄の心をどうとらえるかと言われますなら、私には、沖縄の心というものをこうだと申し上げるだけの力がないということを率直に申し上げたいと思います。  私は、初めて沖縄に参りましたのは昭和四十年でありました。昭和四十年の八月、党の指示によりまして、まさに沖縄本島から宮古、八重山まで足を伸ばし、まさにその当時、屋良さんが本土との教育の格差ということを言われておりましたその学校を随分見て歩いた一人であります。その当時にも、考えさせられることは多くありましたし、それなりに自分として思うものはございました。  そして、その後、例えば対馬丸、六歳未満児童の戦傷病者特別援護法の適用問題そして非常に私にとりまして、いかに我々が気がつかず沖縄の方々に心に傷を負わせ、しかも実害まで与えているかというものを感じましたのは、児童扶養手当の、我々としては全くそういう問題を生ずるつもりはなく、他の法律と同様に親と子供と両方に国籍要件をかけましたために、沖縄県における相当数の母子世帯、国籍を異にする父親を持たれていた子供たちは児童扶養手当の対象にならない、しかもそのうちの相当数が本国に帰還あるいは戦死という中で、国籍要件を両方に付するのは余りに無残じゃないですか、冷たいじゃないですかと言われたときのショックであります。ある意味では、沖縄の皆さんの心というものを、私は、そのような口に出さない中に非常に複雑な思いを持っておられる、そのように受けとめて今日までまいりました。  しかし、本日、お名前を挙げて恐縮でありますが、仲村正治議員の御質問を聞いておりまして、私は改めて、今の山元議員の御質問に答えることができなくなりました。私は、党派を異にしておりますけれども、随分仲村議員とは長い友人であります。議員の御案内を受けて、地元にお供をしたことも何遍もあります。  しかし、本日、彼が切々と訴え始めるまで、私は、彼の御家族の中だけで五人、過ぐる大戦において戦死者を出したということを存じませんでした。相当親しかったつもりでありますけれども、そうした身の回りのことを全く言われなかった。恐らくほとんどの沖縄県民はそのような、本土の我々に、幾ら親しくても口に上せることのできない思いを持っておられるのだろう、しみじみそう思います。
  184. 山元勉

    ○山元委員 時間がなんですけれども、私も、沖縄の心というのをやはりしっかりと思い直したい。そういう中でひとつ、そのことがはっきりとあらわれた場面というのをもう一遍総理にも思い返してもらいたいと思うわけです。申すまでもありません、おととしの、あの少女暴行事件です。  小学校六年生の少女が、夕方、ノートを買いに行って、そして強姦をされて、道に捨てられて、そして親に見つかったときに、親は大変なショックでした。けれども、子供は、こういう記録があるわけですけれども、「私のような子がまた出ると大変だから、警察に行こう」と。親にしてみれば、そういうむごい事件に遭うた娘のことを、警察に行くことについては非常につらい思いをした。けれども、その六年生の少女はこう言った。弁護士の方には、あの悪い兵隊たちは二度と外に出られないように一生監獄に入れてくださいと。これが少女の心だというふうに思いますね。そして、その事件が大きく広がっていって、この沖縄全土の怒りになりました。長い間の、米兵の犯罪や事故によって暮らしやあるいは家やと侵されてきた、そういう人たちの怒りが改めて巨大な沖縄基地というものに向いていって、気持ちが向いていって怒りになった。十月の二十一日に大集会が持たれました。復帰後初めて二会場で持たれて、合計九万一千人だというふうに聞きました。私もそれをテレビで中継を見ていました。  そこで私は、やはり沖縄の心というものを見ました。それは、そのときに大田知事が、行政を預かる者として一番守るべき幼い少女の尊厳を守ることができなかった。これは行政の立場にある人たちの沖縄の心だというふうに思います。  そして、仲村清子さんという高校生でした、この女性が訴えた。「私たちに静かな沖縄を返してください。軍隊のない、悲劇のない平和な島を返してください。」この高校生の話には、私も一種のさわやかさを感じながら、痛切な叫びだというふうに聞きました。これが沖縄の若者の気持ちだ、心だというふうに思います。  そして、この九万人の集会で上げられた決議が四つあったのです。これも沖縄の心だと思いますが、この決議というのは、米軍の綱紀を粛正して、米軍、軍属による犯罪を根絶すること。幼い子供たち、自分たちの子供たちをこういうところにはもう住まわすわけにいかないからという思いが一番にあったんだろうと思います。二つ目は、被害者に対する謝罪と完全な補償を早急に行え、これが二つ目でした。そして、今問題の、私たちは改めてそのことで受けとめなければならないのは、日米地位協定を早急に見直すことというのが三番目です。四番目が、基地の整理縮小を促進すること。  ちょっと長くなりましたけれども、私は、この少女の気持ち、あるいは知事の気持ちや高校生の気持ち、そして九万一千の沖縄の皆さんの気持ちというものを、これが沖縄の心だということでこの問題に対処をしていかなきゃならぬというふうに改めて思います。  私は、改めてそのことについてお聞きをしようと思いましたが、時間が意外とかかりましたから、そういう立場で幾つかお尋ねをしたいわけです。  まず最初は、基地の返還などについて、例のSACOが、おととしてすね、七年の設置から努力をされて、そしてこの中で、騒音問題についても大きな問題として取り上げられました。  米軍の飛行機の騒音というのは、沖縄の人たちの暮らし、あるいは子供の教育だとかあるいはお年寄りの生活だとかというものに大変大きな影響を与えてきたことは、これはもう紛れもない事実ですけれども、そのことについて合意がされて、夜間訓練は原則として十時以降は行わない、あるいはジェットエンジンテストというのは六時以降は行わないということが、去年の三月に合意をされているはずなんです。ですから、このひどかった騒音というのが解消をしていくはずなんですけれども、しかし、これは守られていないというふうに私たちは言わなきゃならぬというふうに思うのです。  例えば、私ども三月、先月調査団が沖縄に行きましたけれども、そこで宜野湾市長やあるいは嘉手納の町長さんから聞くと、回数、時間とも全く変わっていない。これは宜野湾市長の答えです。嘉手納の町長さんは、これまで最も騒音被害のひどかった地域の発生回数は減ってきているけれども、それ以外のところで騒音苦情がふえてきている。昨年、そういう沖縄の人たちが、これだけもうがんがんと、堪忍してほしいという気持ちで訴えたことが受けとめられたはずなんですけれども、これは今、市長さんや町長さんはだめですとおっしゃっているわけですね。このことについてどういうふうに把握をしていらっしゃるのか、まずお聞かせをいただきたい。
  185. 折田正樹

    ○折田政府委員 騒音の問題は随分大きな問題であるということで、私ども米側と鋭意協議をしてまいりました。  米軍の飛行活動は、パイロットの練度の維持向上を初め日米安保条約の効果的運用を図る上で必要不可欠であるとはいえ、他方で、周辺住民に与える影響を最小限にすることが必要であるという考え方のもとで米側と交渉をした結果、昨年の三月二十八日、嘉手納飛行場と普天間飛行場における航空機騒音規制措置に関する合同委員会合意を取りまとめたところでございます。米側としてはこの合同委内容を実施しているものと承知しております。  規定が守られていないじゃないかという御意見があるとすれば、私ども、それを受けとめまして、米側には申し上げたいというように思います。
  186. 山元勉

    ○山元委員 この町長さん、市長さんだけでなしに、県の知事公室長も、何ら米側の対応は変わっていないということをおっしゃっているわけです。実施されていないとすればというようなことではないでしょう。  私は、基地がなくならない限り騒音というのはなくならないだろうとは思うんですね、それは。最低限はやむを得ぬと。けれども、これほど大きな問題として取り上げられてきて合意がされ、時間帯もきちっとなった、そのことについてはしっかりとチェックするのも行政の仕事でしょう。これは沖縄の皆さんが、守られてないやないかと実態を測定をして、そして米軍に持ち込んでも、何ぼ言っても、合意は履行していると米軍は言うし、今の答弁であったら、実施されていると思います。これは、沖縄の人たちに対して、少しはこうなりましたよ、こうなりましたよという積み重ねをしていくという誠実さがないわけですよ。そうでなければ、何ぼ合意をしてもだめだというふうに思うのです。  防衛庁、どうでしょうか、これは。きっちりとやはり合意を実現をしていく、実施をしていくという担保は何もないのと違いますか。
  187. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 お答えいたします。  私どもの方にも、今先生から御指摘のようないろいろな地方の住民の方あるいは市町村長さんからのそういう声がございまして、私ども施設局を通じまして、米軍の方に、こういう苦情については、特に住民のそういう苦情に対する配慮といいますか、そういうことが基地の安定的使用につながるんだというような趣旨で再三申し入れておりまして、米軍自身はそういうことはよく承知しております。  ただ、一方、協定上も、夜間の必要やむを得ないような訓練等については、現在も、現協定といいますか、新しく昨年の三月につくられました協定でも認められておりまして、夜間の飛行が一切禁止されているということではございませんが、そういういろいろな苦情等についてできるだけ配慮するようにということで、米軍の方もその点についてはよく理解して配慮するというような趣旨のことを私どもには言っておるところでございます。
  188. 山元勉

    ○山元委員 それではどうにもならぬわけですよ。しっかりと実効が上がっていて、そして住民の皆さんがよかったなと、こういうところまでしっかりとやらないと、たび重ねて申し入れているんですでは、これは何にもならぬということをしっかりと理解をいただいて、努力をしていただきたい。よろしいですね。
  189. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 米軍の方もそういう点については具体的に、例えば入試の時期であるとか受験のシーズンであるとか、そういう点については十分配慮して、騒音規制等については気を配っておるということも再三言っておるところでございまして、決して先生おっしゃるように一方的に──そういう協定範囲内で訓練等が行われておるものと私ども承知しているところでございます。
  190. 山元勉

    ○山元委員 くどいようですけれども米軍はこう言っているということを私は聞いているのと違うんだ。さっきからくどく言っているのは、住民の皆さんがよくなったなというようになるまで責任を持ちなさいということを言っているわけですよ。そうでなかったら、合意しても何のかいもないわけでしょう。先ほど長く時間がかかった、これはやはり沖縄の心にこたえる行政ではないでしょう。これはもう、次に聞くものがありますから、ぜひ政府としても努力をしていただきたいというふうに思います。  そういう約束が守られていないということで、これもSACO合意によるものですけれども、嘉手納の海軍駐機場あるいは嘉手納飛行場全体の騒音について、移転をする、あるいは滑走路の反対側に移すとか、あるいは遮音壁を建設するというのはSACOで合意になっているわけですね。これは一向にめどが立っていないというふうに聞いているのです。ですから、このスケジュールというのですか、これからどういうふうに遮音壁をつけたり、あるいは反対側に移すということが実現するのですか。そのスケジュールについてお伺いをしたい。
  191. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 お答えいたします。  昨年のSACOの最終報告におきまして、「騒音軽減イニシアティヴの実施」ということで盛り込まれていたものでございますが、そのうち、MC130航空機につきましては、平成八年十二月十六日、海軍駐機場から国道五十八号線沿いの、ちょっと奥の方でございますが、そちらの既存駐機場に移転を完了したところでございます。  なお、遮音壁の設置につきましては、地元自治体との調整をようやく終わりまして、現在調査工事に着手しておるところでございます。  なお、海軍駐機場の移転のうち、いわゆるP3Cにかかわるものでございますが、これにつきましては、現在、普天間飛行場の返還に伴います、いわゆる嘉手納飛行場に追加的に整備することが予想される施設が幾つかございます。これは、かねがねいろいろ御議論されております普天間飛行場の移転先のいわゆる規模によって、この嘉手納飛行場における追加的な整備の内容が固まってくるわけでございます。  したがいまして、私どもとしては、今年十二月までに詳細な海上施設実施計画を作成することが合意されておりまして、この実施計画の作成に現在全力を挙げて、調査工事の同意取りつけに当たっておるところでございますが、こういうのが進みますと、本年十二月に私ども詳細な実施計画を作成いたします。その際、この嘉手納飛行場における追加的な整備についても実際に具体化されるわけでございます。したがって、その時期に、この海軍駐機場、P3Cのいわゆる駐機場の移転問題も同時に決着させていただきたい、このように考えているところでございます。
  192. 山元勉

    ○山元委員 このSACOの合意、二一%の基地の問題もありますけれども、本当にこの五十年間苦しんできた沖縄の皆さんが、せめてこのSACOの合意が誠実に守られていく、実現をしていくということが、この今の状況、なかなか基地が縮小しない、海兵隊が減らないという状況の中で、将来に対する少しでも希望が持てる、誠実に前進をしていくことが今大事なんだというふうに思います。  もっと幾つか例があるのですが、今申し上げましたのは騒音の問題ですが、総理、このSACOの最終報告についてしっかりと守らなきゃならぬ、あるいは幾つかの大きな問題というのですか、なかなか難しい問題がある。どういうふうに認識していらっしゃるのか、沖縄の皆さんに向けての決意にもなろうと思いますけれども、所見をお伺いしたいと思います。
  193. 久間章生

    ○久間国務大臣 SACOの最終報告の中で、今言いましたように、遮音壁とか、やれるものはもう逐次予算もとりましてやっていっているわけでございます。ただ、移設を県内にしなければならないものにつきましては、やはりどうしてもそこの理解を得ながらやっていかなきゃならないわけでございまして、この点が、普天間の飛行場、特に目玉でございますけれども、これについてもなかなかまだ前進していない点は、もう委員も御指摘のとおりでございます。  ただ、これにつきましても、とにかく基礎調査といいますか、基本調査といいますか、それをまずやらせていただきたいということで今鋭意お願いをしておりまして、せめて説明会でも開かせていただきたいということで今お願いをしております。  とにかく、そういうことで、非常に歩みが遅いというおしかりもあろうかと思いますけれども、精いっぱい努力いたしまして、やはり少しずつでも片づけないことには現状を打破することはできないということをぜひ御理解していただきながら前へ進んでいきたい、そういうふうに思っているところでございます。
  194. 山元勉

    ○山元委員 地位協定の問題に直接かかわるわけですけれども沖縄県が平成七年の十一月に地位協定の見直しに関する要請ということを政府に行いました。その中で、今のような問題、騒音の問題あるいは環境の問題、あるいは事故等の問題が含まれているわけですが、簡単に申し上げまして、昨年の十二月のSACO合意で、はっきりと、米軍の部隊・装備品等及び施設に関するすべての主要な事故について、日本政府及び適当な地方自治体の職員に対して適時の通報が確保されるようにあらゆる努力米軍によってなされる、こういうふうに合意がされたわけです。それは、私も読んで、よく書いてあるなというふうに思ったのですが、そのまくらに「良き隣人たらんとの米軍の方針の一環として、」今申し上げました米軍の部隊等の事故等について通報をするということが確認されたわけです。昨年の十二月です。  しかし、私が申し上げたいのは、あの例の劣化ウラン弾の事件の問題です。これは、ことしになってから、一月十六日に外務省が通報を受けて、総理がしっかりと把握したのが一月二十日だったというふうに承知しています。そして報告が公表されたのが二月二十四日ということなんです。まず、この通報を米軍がする、よき隣人たらんということで、そういうことがあったときには通報をするということが、一年間隠されてきている。そうしまして、片一方でよき隣人たらんということを言いながら、一方でこういうような大きな事故を隠しているというのは、私は信頼を大きく裏切るものだというふうに思うのですが、このことについての認識をもう一遍、このSACOの合意の本質と絡めてお伺いをしたいというふうに思います。
  195. 池田行彦

    池田国務大臣 この劣化ウラン弾の件につきましては、まことに遺憾なことだと思います。そういった誤使用の問題が起きたこと自体そうでございますし、米側からの連絡通報のおくれ、そして、私ども外務省が掌握しました後の処理についても反省すべきところがあった、このように考えております。  それはそれといたしまして、今委員の御質問は、よき隣人たらん、そういう立場を明白にしたSACOの報告書と、劣化ウラン弾の事件を全く通報しないでいたその関係をどう考えるのだ、こういう御趣旨かと存じますけれども、確かにそこのところが問題だと思うのでございます。  しかし、事実関係を申しますと、あれが起きたのは、たしか一昨年の十二月から昨年の一月にかけてでございます。それで、SACOの最終報告ができましたのは昨年の十二月でございますので、いわば、そうしたよき隣人たらんという文章を書きながら、一方では全然行動が伴っていないじゃないか、そういう御趣旨かと存じますけれども米側におきましては、当初の認識では、事件事故、いろいろなものにつきまして、報告なり通報なりしなくてはいけないのはいろいろあるけれども、この劣化ウラン弾の件につきましては、当初は、必ずしもそういうことを要しないものだ、こういう認識を持っておったようでございます。  と申しますのは、まず、これは誤使用であって、そのことによって直接の被害その他が出たわけじゃございません。それから、鳥島の射爆場につきましてはいろいろ米軍なりに調査をいたしまして、その段階で、人体あるいは環境への危険はない、一たんそういうふうに判断したわけでございますね、その後また再調査その他をやりましたけれども。そんなこともございまして、これは通報しなくてもいいんじゃないかということで推移しておった。  それがその後、SACOの作業を通じましていろいろなことが進んできた、そして、事故や事件についての連絡通報についてもシステムそのものを変えよう、こういうことになったわけでございます。そして、文字どおりそのシステムを変える作業をしている過程におきまして、米側では、自分たちはこれは通報の対象ではないと当初は認識していたけれども、しかし考えてみると、これからはいわゆるよき隣人たらんという前提に立ったこの新規の通報システムの中では、これも対象にすべきものなのかもしれない、そういうことで出てきたわけでございます。それがこの問題が日本側にわかったきっかけでございます。それが一月十六日でございました。そういう経過がございます。
  196. 山元勉

    ○山元委員 しかし、そのことが、アメリカマスコミの調査が動き出して、慌てて公表したというふうにも一面聞いているわけです。ですから、そういうことについて、やはり日本国民の感情として、あるいは沖縄の人たちの感情として、私らは専門ではないから、ウランの焼夷弾ということでびっくり仰天した部分もあります。けれども、しっかりとそのことは日本の側に立って考える、沖縄の側に立って考えると、すぐにこれはやはりきちっとしなければならなかった。  そして、もう一つ責められるべきは、この通報があってから日本の調査が始まった。政府が調査をしたのは二月二十四日ということですから、随分と実際に調査に入ることは遅かったわけです。そのことも私は、やはり誠実さに欠けるといいますか、認識の甘さがあったのではないかというふうに思います。これはやりとりすると時間がなくなってしまいますから、私はそういうふうに思いました。  そういうものを含めてですが、この劣化ウラン弾の誤射事件にしても、あるいはもう一つありましたPCBの廃液の事件にしても、私は、やはり規制が甘いのではないかというふうに思います。一体、環境の問題について地位協定の中では触れられているわけですか。どういう形で日本にいる米軍日本の環境を守るということが担保されているのか、お伺いをしたいと思います。
  197. 折田正樹

    ○折田政府委員 一般国際法上、外国部隊は接受国の公共の安全に妥当な考慮を払い、関係法令を尊重する義務を負うということでございますが、これを踏まえまして、日米地位協定は、米軍が公共の安全に妥当な考慮を払うこと、これは第三条でございます。それから、我が国の法令を尊重すること、これは第十六条でございます。これを定めているところでございまして、在日米軍は活動を行うに当たってはこのような義務に従っており、特に環境につきましては、我が国の国内法も配慮して、一定の評価基準というのを作成して、これに基づいて環境管理行動をとっているということでございます。  そして、環境関連で具体的な問題が生じた場合におきましては、日米の合同委員会がございます。この枠組みのもとで対処しているところでございまして、合同委員会の下部機構として環境分科会というのもございます。そして、これらを通じまして、我々は、米軍が環境を含め公共の安全や国民生活に妥当な考慮を払うように確保に努めているところでございます。
  198. 山元勉

    ○山元委員 もう少し丁寧にそのことについてお伺いしたいのですが、ドイツの地位協定、いわゆるボン協定ですが、これは戦後三回改定されたというふうに聞いています。その中で、環境の問題やあるいは軍事演習の問題できっちりと規定を改めていっている。  ところが、日本地位協定の改定、この地位協定が結ばれたのは三十六年前になるんだろうというふうに思いますが、そのときには、日本もそうです、世界もそうですけれども、地球環境問題について大きな課題意識というのはなかったわけですね。そしてまた、沖縄が返還されていない、力の関係がバランスがなかった、そういう時代に結ばれたものです。ですから、私は、ドイツのように三回にわたって、軍事演習にかかわって、あるいは環境にかかわって、地位協定を見直すということが必要なんだ、正しいんだというふうに思うのです。日本の場合はこれをやってこなかったのではないか。  だから、今おっしゃいました「施設及び区域における作業は、公共の安全に妥当な考慮を払って行なわなければならない。」例えば環境、CO2でいえば、公共の安全に妥当な配慮を払う、それは入りますか。私は、環境の問題をきっちりと、環境という言葉も使って日本の国内法を適用するということを明確にする地位協定の見直しが必要なんだというふうに思うのですが、いかがですか。
  199. 池田行彦

    池田国務大臣 まず、委員のおっしゃいました中で、沖縄返還時、その力の関係やそのバランスが非常にとれていないときにつくった協定だからというお話がございましたけれども、この地位協定は、沖縄が返還される前に、現在の日米安保条約が締結されました昭和三十五年の時点で、それを実施する協定として締結されたものでございます。それが四十七年の沖縄返還の際に、沖縄にも適用されるということになったわけでございまして、したがいまして、それは力のバランス云々ということは、これはないのだというふうに御理解いただきたいと思います。  それから、それにいたしましても、いま一つ委員御指摘になりましたのは、その当時というのは環境問題に対する認識と申しましょうか、その重要性についての認識が一般に低かったのではないか、確かにそういう点はあったと思います。しかし、それは先ほど政府委員から御答弁申し上げました中で、地位協定の十六条で、我が国の法令を尊重する義務というのを明確にしているわけでございます。  したがいまして、我が国の国内法におきまして、その後、環境問題に対する配慮も行き届き、十分な配慮が行われるようになりまして、それを遵守するということになっている。現実に、基地における米軍の行動においては、そういった我が国の国内法をもとにいたしました評価基準というものをつくって、それに従って行動しているわけでございます。  さらに、もし問題がありましたときには、先ほど申しました合同委員会の下部機関でございます環境分科会で問題を扱っていくということになっておりますので、現在の枠組みで環境面に対する配慮に欠けるところがあるとは私ども思っておりません。そういうことがもしあれば、先ほど申しましたような枠組みにおいて、それに適切に対応、対処していける、こう考える次第でございます。
  200. 山元勉

    ○山元委員 総理、これは私は三十六年前の協定というものを見直すということが今もう遅きに失しているのではないかというふうに思うのです。改善ということがよく言われて、その見直しによって改善をしていくということがずっと重ねられていたことは私も承知をしています。  しかし、この環境の問題にしても、軍事演習の問題にしても、やはり沖縄の人の心、もう一回返りますけれども、単純かもしれませんけれども、そこのところにきっちりとこたえるためには、地位協定を見直す。それは、単なる見直し、改善ではなしに、改定を視野に入れてやるべき時期にもう来ているのではないか。戦争が終わって五十年になったわけです。ですから、総理、どうですか、そういう時期に来ているという認識はお持ちにはなれないですか。
  201. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、必要があれば、当然、見直さなければいけないものは見直していけばいいと思うのです。ただ、それをいたずらにそこで時間をかけるより、議員は今環境で非常に議論を組み立てられました。合同委員会枠組みの中の環境分科委員会など、こうしたものを活用して、もっとどんどん積極的に努力していく、両方あっていいんだと思います。
  202. 山元勉

    ○山元委員 時間がありませんから、もう一つだけ申し上げたかったのですが、実は、我が党は五項目について政府にこの問題で提言をしているわけです。私どもは、この地位協定の見直しについてもぜひテーブルの上にのせるということをしっかりとしてほしいと思いますし、もう一点ですが、そういう地位協定を見直していくためにも、実質沖縄の皆さんにこたえるためにも、三者協議、これについてきっちりと再開をして、そして、それを日米合同委員会に位置づけていくということも一つの方法だというふうに思うのです。  これは、せっかくつくられてからもう二十年近くなるわけですけれども、初めあって、この丸二年ほどは、日程が一致をしないからとか議題が一致をしないからということで、一回も開かれていないわけです。この三者協議、御承知のように、沖縄県と施設庁とアメリカ軍との協議をする場。ここは、実際に現地での問題点が話し合われる場だと思うのですね。それが二年間全く開かれていない。   ですから私は、この際しっかりと再開をして、そして日米合同委員会の中に位置づける、これは私どもの五項目の提案の一つでございますけれども、受けとめていただきたいと思うのですが、これをひとつ最後にお尋ねをしたい。
  203. 池田行彦

    池田国務大臣 三者協議につきましては、私どももなるべく早く活性化してまいりたい、こう思っておりまして、現地に参りました沖縄大使も、沖縄県とそして現地施設局と、さらに米軍との間をいろいろ調整して回っているところでございます。  ただ、これを合同委員会の中に位置づけるべしという点につきましては、合同委員会というのは、安保条約地位協定に基づく日米間の協議をする機関でございます。それに対して、三者協議というのは、議員御自身御指摘になりましたように、現地で関係者が本当に隔意なくいろいろ連絡をし、物事を円滑に進めるためのものでございますので、趣旨、目的がちょっと違うと思いますので、合同委員会の下部機関というところは、かえって本来の三者協議の趣旨が生かされないのじゃないかと考える次第でございます。
  204. 山元勉

    ○山元委員 私は、最初に申し上げました、しっかりと沖縄の人の心を受けとめていって、それを具体化をしていく、実効あるものにしていくということで、三者協議というのは大事ですし、その三者協議の中での結論というのをしっかりと受けとめる受け皿が要るんだというふうに思いますから、これからこの位置づけを明確化していくということについて政府として御努力をいただきたい。道はあろうというふうに思いますので、お願いをしておきたいと思います。  以上で終わらせていただきます。
  205. 野中広務

    野中委員長 これにて山元君の質疑は終了いたしました。  次に、古堅実吉君。
  206. 古堅実吉

    ○古堅委員 日本共産党の古堅です。  今回の特措法改正案は、沖縄に対する思いやりどころか、力ずくでねじ伏せようというものであって、法治国家としての大義も全くない大改悪だと申さねばなりません。この政府のやり方に、多くの県民はもちろん、大田知事も沖縄県議会も厳しく抗議しています。  この怒りは当然であります。なぜなら、この改正案がねらう土地というのは、沖縄日本国憲法の適用が排除されていた占領下で、国際法に違反して米軍に取り上げられ、さらに銃剣とブルドーザーで強奪された土地を、今度は、国民の財産を守るべき立場にある日本政府が憲法をじゅうりんして強奪し続けようということにあるからであります。  沖縄戦による占領とともに米軍は、県民を捕虜収容所に押し込める一方、ハーグ陸戦法規に違反し、横暴勝手な基地構築を進め、一九五二年の平和条約発効後は、米軍政下で銃剣とブルドーザーで県民の土地を強奪し、次々に基地を拡張、強化していきました。  一九五三年四月の那覇・銘苅部落、一九五三年十二月の那覇・具志部落、一九五五年三月の伊江島、一九五五年七月の宜野湾・伊佐浜部落などはその代表的なものであります。  総理、あなたは、復帰前のこうした米軍土地強奪の個々について、その実態をどの程度御存じですか。
  207. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 大変残念でありますけれども、個々の実態を、私はほとんどその当時存じておりません。と申しますよりも、昭和四十年に初めて参りましてから、沖縄のあちこちを旅する中で、いろいろな話をいろいろな方々から聞かせていただきました。  ただ、ある程度体系づけてこうした話を聞かせていただく場面というのはありませんでしたために、昨年大田県知事にお目にかかる前に、大田知事の著書である「高等弁務官」を読みましたとき、私は、その内容の何カ所かにおいて、どうしてもうまく事実がのみ込めない部分がありました。それだけに、それを今度は逆に調べてみまして、むしろここに書かれている以上の実態があったということを、他の文献等を参照することによって知りました。  ただ、今議員が述べられましたように、それぞれの年次に分けてそれぞれの場所でという細かいことを存じておるわけではございません。
  208. 古堅実吉

    ○古堅委員 今回の強制使用の対象施設一つに、伊江島補助飛行場があります。伊江島で十三戸の住家を含む土地米軍によって武力接収されたのは、一九五五年三月でした。  当時、私は大阪でまだ学生でした。春休みです。本土在学の沖縄県出身の学生会が、沖縄の過酷な軍事占領の実態を全国に知らせようということになって、調査のため帰省活動として私が沖縄に帰った直後の事件でありました。  私は、その武力接収が強行された翌日、大変緊迫した状況にあった伊江島に渡り、真謝部落の農民の協力を得ながら調査を行い、数多くの写真も撮りました。米軍の野蛮きわまる仕打ちの余りのひどさに、私は心からの怒りと憤りを抑えることができませんでしたが、当時のことは今でも鮮明に記憶に残っています。  この武力接収のために約三百人の武装米兵が伊江島に上陸したのは、一九五五年三月十一日であります。その着剣した米兵が、三日後の三月十四日に真謝という部落の十三戸を襲い、泣き叫ぶ住民を引きずり出し、住家も、水タンクや畜舎もブルドーザーで引き倒し、火をつけて焼き、次々に強奪したのであります。  七人家族の知念広吉さん宅には、約五十人の着剣した武装兵と約三十人の作業兵が押しかけて、すぐに家を出ていくように命令しました。  ところで、知念さん宅には、六歳になる幼児が発熱して病床にあったのであります。子供が病気だからどうか待ってくれ、手を合わさんばかりの嘆願に対しても、米兵は全く顧みることなく、どかどかと泥靴のまま家の中に侵入し、病床の子供の蚊帳を引きちぎって、幼児も家族も外に追い出され、住家をブルドーザーで壊すという野蛮なものでありました。  私が伊江島に入り、現場に入ったときには、まだ焼け残りの煙がくすぶり、悲惨な焼け跡が生々しい異常な状況を呈しておりました。ほうり出された十三戸の住民に与えられたのは、石ころの多い草っ原の上に張られた野営用のテント小屋であったのであります。鶏やヤギや豚などの家畜もテントの周囲につながれていました。水タンクも飲み水もない、便所もない。三月といえば沖縄でもまだ寒いんです。住家も土地も奪われたこの住民にとって、その後どんなに厳しく長い苦難が続いたか、涙と憤りなしには語ることのできない深刻なものでありました。  いかに米軍政下にあっての仕打ちとはいえ、その暴挙を正当化することはどんなことがあってもできないはずだと考えます。総理、どうお考えですか。
  209. 池田行彦

    池田国務大臣 米側は、沖縄における土地の取得につきまして、サンフランシスコ平和条約締結前はハーグ陸戦法規によるもの、そうしてそれ以後は講和条約の第三条に基づく米軍施政の権限によるもの、こういうふうに説明しているところでございます。  ただ、具体的に個々の土地の取得がどのような状態のもとでどのような形で行われたかにつきましては、私どもも必ずしもつまびらかにしているところではございません。そして、今委員のお述べになりました状況というものも私は一々評価する立場にはございませんけれども、いろいろそのほかにも大田知事のお話、その他いろいろな場で沖縄の方々がお述べになっている状況というものを考えますと、必ずしも米側の説明だけで説明し尽くせる、ハーグの陸戦法規なりサンフランシスコ条約によってきちんと行われたものだ、全く瑕疵がなかったものだとは言い切れないものもこれはあったのじゃないかという、その感じはいたすところでございます。
  210. 古堅実吉

    ○古堅委員 総理は答えられませんけれども、前に進みます。  伊江島だけではないんですよ。宜野湾市の伊佐浜、これは今回の強制使用の対象施設になっているキャンプ瑞慶覧です。ここは強奪前は県内では有数の水田地帯でした。一九五四年七月、米軍は、水田に蚊が発生し脳炎を媒介するおそれがあるという口実で農耕禁止の通告をしてきたんです。もう笑うに笑えぬ、そういう本当に愚弄するも甚だしいことを言ってきたんです。それに従わない農民に対して、翌年の一九五五年七月、数百人の武装米兵が銃剣とブルドーザーで襲いかかり、暴力を振るいながら住家を押しつぶし、水田をつぶして強奪していったのであります。沖縄において至るところで起きたこのような米軍による武力接収に対しては、当然のことながらどの地域でも激しい抵抗がありました。  総理は、お答えいただきたいんですが、どんな手続でそういうことがなされたのかということで、まあ御存じかどうか存じませんが、それは米軍がその都合に合わせて勝手に出す法令、その形は整えましたが、いわゆる布告、布令、それによる強行であります。  一九五三年四月に発令された布令百九号は、特定の土地、不動産の権利を取得するため、土地所有者に収用の告知を行う。所有者は三十日以内に米軍に譲渡するか否かを決断しなければ、米国は収用宣告書を出し、補償金を供託すれば土地その他の不動産上の権利を与えられるという趣旨の内容です。さらにこの布令の第二条六項では、収用告知を発してから実際に権利を取得するまでの間に米国土地その他の不動産を緊急に占有し、かつ使用する必要があることを米軍司令部が認めたときは、米民政副長官は当該財産の明け渡しを命令する、このようにも規定されております。  米軍はこの布令によって全く一方的な強権発動を行ったのであります。総理は、この布令が適正だったとお思いですか。総理からお答えください。
  211. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 大変申しわけありませんが、現実に私は、沖縄が返還をされる前の米国施政下における米国による沖縄県内での土地の使用、先ほども申し上げましたように、個別具体的に私はよく存じませんと申し上げております。ですから、私はコメントするだけの知識を持っておりません。
  212. 古堅実吉

    ○古堅委員 それを知らないということと、知らないことをも前提にしながらそれに対してどうお考えなのか、そこは総理としてお答えあるべきです。  今回の改正案は、使用認定があって収用委員会に裁決申請さえすれば、収用委員会の裁決を得てなくても米軍基地として継続使用できるというものであります。全くひどいものですよ。  米軍の布令の場合は収用告知でできた。今度の特措法は裁決申請でできるようになりました。この二つは手続の面でいえばよく似ています。行政権による強権的土地取り上げたという点では実質的に同じ内容と思います。総理はどうお考えですか。
  213. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は全く違うと言い切りました上で、防衛庁長官答弁を譲ります。
  214. 久間章生

    ○久間国務大臣 それは全く古堅先生がおっしゃる昔のことについては、私も聞きながら、その現場に居合わせられたとしたら本当に腹立たしいものだったろうな、そういう思いはございます。  しかし、戦後復帰いたしましてから、施政権が返されましてから、日本国憲法が適用されましてからは、防衛庁の、施設庁の職員が一生懸命そういった地主の方々と折衝されまして、大多数の皆さん方と契約をしていったわけでございます。そして契約をできなかった方々について、一時は暫定法で、そしてまた五十七年からはいわゆるこの特措法でそういう手続を経ながらやっているわけでございまして、少なくとも日本国憲法が適用されましてからは憲法の手続のもとにやってきているわけでございまして、今回もそういう意味では憲法の枠内でといいますか憲法に則した、そういうことで審査もちゃんとしました上で、日本国憲法のもとでこれは違憲でないという判断のもとにちゃんと手続をやっておるわけでございます。  今度のものは、そういうことで全く今例に挙げられました内容とは違いますし、最終的には収用委員会の裁決で決まるわけでございまして、そのうちの暫定使用の期間を認めていただきたいということをお願いしているわけでございますから、ぜひそのように御理解していただきたいと思います。
  215. 古堅実吉

    ○古堅委員 論証もなく全く違いますとか、今説明されたようなことなどはもう弁明にさえもなりません。  総理、あなたは、米占領下における米軍土地強奪と同じような不法不当な財産権侵害の行為を、今度は日本政府の名において行おうというものであります。これは、ただ単に沖縄だけの問題、このように受けとめておりません。日本の民主主義の根幹にかかわる重大問題だと思っています。裁決申請すれば強制使用できるというのは、米占領下でしか通用しない強奪手続であって、それを日本国憲法の法体系に持ち込むことは言語道断ではありませんか。
  216. 久間章生

    ○久間国務大臣 また後ほど法制局長官からも、きのう志位局長に細かく説明をされたわけでございますから、必要ならばしていただきたいと思いますけれども、そういうことじゃございませんで、収用委員会に申請をしているものにつきまして担保を提供して、そして適正に暫定使用させていただくということでございますから、決して、終戦後の、占領下のそういった例を出されながら、それと同じじゃないかと、そういうようなことはひとつぜひ適正に理解していただきたいと思うわけでございます。
  217. 古堅実吉

    ○古堅委員 弁明にもならぬようなことを繰り返しておっしゃいますが、質問にまじめにかみ合うような形でお答えはあるべきです。  憲法二十九条の財産権の保障は、憲法と関連法によって体系づけられています。それは、政府国民の財産権を侵してはならぬと定めると同時に、公共の福祉のために、地主の意に反してやむを得ず強制的に収用、使用する場合にも、収用委員会における審理と裁決を経て、補償を提供した上でないと許されない、これが憲法における体系です。したがって、今回の改正案はこの憲法体系と異なることは明白ではありませんか。
  218. 大森政輔

    ○大森(政)政府委員 ただいま憲法二十九条の第三項に基づき、正当な補償のもとに、公共のために用いるための手続としては、土地収用法による収用手続に従い、収用委員会の裁決によって行われることが予定されている、確かに現行法制はそのようになっております。それは、最終的に所有者の所有権を公共のために用いる、あるいは収用するということについては、確かに収用委員会の判断を経ることになっております。また、そのための適正手続として土地収用法、そして駐留軍用地の場合には駐留軍特措法を介しまして十分と言える適正手続を踏むことになっております。  今回の改正法案におきます暫定使用制度と申しますのは、そういう最終的な所有権の収用、あるいは駐留軍のための土地使用の、最終的にそのような権原を取得するための手続ではございませんで、法案をよくお読みいただければわかりますように、第十五条におきまして、まず、内閣総理大臣が、当該個々具体的な土地につき駐留軍用地として使用する必要性があり、しかも適正かつ合理的であるという認定をしたその土地につきまして、しかも従前の使用期間内に使用裁決あるいは収用裁決、今の場合は使用裁決でございますが、使用裁決の申請をその期間内にする、しかもその期間内に必要な将来の補償の担保を供するということを条件に、収用委員会の最終裁決による権利取得手続が終わるまで、暫定的に使用することが、できるという制度でございまして、決してそういう土地収用委員会の権限を何ら変更しているものではございません。そこのところを十分頭に入れて法案をお読みいただきたいと思います。
  219. 古堅実吉

    ○古堅委員 まあ、法制局長官たる者が議員に向かって、不勉強だという立場を踏まえてよく法律を読みなさいという、そこまで言われるとは思いませんでしたね、私は。説得力もないし、裁決も経ないで、認定に基づいて申請を出しさえずれば国民の財産権を期限が過ぎても引き続き継続使用できる、これが一方的な強権による土地の強奪でなくて何でしょう。幾ら法制局長官がこのように弁明にもならぬようなことを続けてみたところで、憲法のもとにおけるところのこのような体系、それを、このようにしても崩すものではないんだということにはなりません。もう答弁は要りません。  東中委員が控えておりますので、その後の論戦は東中さんの方から展開していただきます。
  220. 野中広務

    野中委員長 この際、東中光雄君から関連質疑の申し出があります。古堅君の持ち時間の範囲内でこれを許します。東中光雄君。
  221. 東中光雄

    ○東中委員 今の法制局長官の議論は後でやります。  最初に、総理にお聞きしたいのですが、四月四日の本会議で、我が党の金子副委員長が本会議質問をいたしました。マスコミも報道していることでありますが、総理は、四月二十四日の訪米までに特措法の改悪をやるんだと言われていることであります。訪米日程に合わせて、憲法じゅうりんの重大法案を、直接の当事者である沖縄県民を初め国民が十分吟味する時間も与えずに、また国会の十分な審議が保障もないのに強行するということは、国民と国会を無視するものでありますという質問をやりました。  それについて、答弁は、改正法案の成立の時期についてお尋ねがありましたということがあって、そして担保提供とかいうことを言われましたが、「現在調整中の訪米日程との関係でお考えになることは、私はげすの勘ぐりだと思います。」こう言われました。  げすの勘ぐりというのは、これはまたひどい差別言葉ですね。広辞苑を調べてみました。「げす」というのは、身分の低い者、そして心の卑しい者、そういう者が「不必要に気をまわして見当違いの邪推をするものだ。」というふうに言っています。  総理は、本会議場で、マスコミも言うようにということをはっきり言って言っている問題について、そういうことを言うのはげすの勘ぐりだと。私は断じて許されぬと思いますが、謝罪をして取り消すべきだと思うのですが、どうですか。
  222. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 確かに、私自身が、答弁席に終わりまして戻りながら、少々不穏当だったなとは思ったのですが、しかし、それぐらい私はあの御質問を情けない気持ちで聞いておりました。そして、議員の御発言は議員としての御発言でありますけれども、本当に五月十四日から十五日の使用権原の問題を、使用権原なしでカレンダーをめくることをどうお考えなんだろう、それがこの国にどのような影響を与えるかをどこまで考えていただいているんだろう、私は本当にそう思ったのです。  そして、国会の御審議をできるだけ早くお願いを申し上げたいというのは政府として当然でありますが、国会が今こうして論議を続けていただいております。法律案を通過成立させていただきましたとしても、それからの事務の時間等がございます。今でも、五月十四日に向けて時間が短過ぎるではないかという御批判を受けております。もっと早くに法案を提出すべきであったという御意見も、午前中から各党の委員の中からいろいろ御意見がありましたこと、議員もお聞きでありましょう。そして、私どもはそのたびに、収用委員会の作業を……(東中委員「げすの勘ぐりについて言っているんだ」と呼ぶ)収用委員会の作業を本当にぎりぎりまで待っておりました結果、そして……(発言する者あり)言いわけではありません。聞かれたから御説明申し上げているのです。(東中委員「げすの勘ぐりを取り消せと言っているのです」と呼ぶ)ですから、こうした場面において、収用委員会の結論が早く出ることを期待しながら待っておりましたが、ついに次の日程が決まらないという状況になりました。五月十四日から十五日を使用権原切れの状態でなしに越えようとすれば、事務の時間は一日でも余裕の欲しいところであります。それに、訪米云々に合わせて云々という御質問、私は情けない気持ちでその質問を承ったことは御理解をいただきたい。その上で不適切であると言うなら、おわびをして取り消します。
  223. 東中光雄

    ○東中委員 全く主観的な主張ですね。  この質問自体でも言っているように、マスコミも報道していることでありますがと言っています。そのマスコミというのは三月三十一日の読売新聞です。その見出しは、「首相の訪米前に特措法改正成立 官房長官方針表明」という見出しがあります。中の記事は、梶山官房長官は三十日、フジテレビの報道番組に出演し、五月十四日に使用期限切れとなる沖縄米軍施設用地の継続使用を図るための駐留特措法改正について、ここからです、「日米安保条約の相手国である米国に対する礼儀、責任だと思うので、橋本首相が四月二十四日に訪米するまでにどんなことがあっても」つくり上げてもらいたいと述べた。「政府として首相訪米前の成立を目指す考えを公式に明らかにした。」こういう報道がされているのですよ。  官房長官もげすだと言うのですか。この法案を通して、そして自分たちは、政府の方針だと言って報道されておるそのことについて、それじゃ審議がまともにやれぬじゃないか、重要案件だからという質問をしているのに対して、げすの勘ぐりとは何ですか。全然違うじゃないか。
  224. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 ですから、不適切な言葉である、取り消せば済むのなら取り消しておわびもいたしましょう。ただ同時に、官房長官といえども私自身ではありません。そして、いろいろな方がいろいろなことを言っていらっしゃいます。私は、自分の言ったことには責任を持たなければなりませんけれども、どなたが、いっ、どういうテレビに出ているか、あるいはどなたの記事がどの新聞に出ているか、すべてを知っているはずもありません。そして、思いがしたことは事実でありますから、そして、法律が通過成立をいたしまして、準備を完了する事務の時間というものが必要なことも間違いありませんので、そうした思いを私が抱いたことは事実であります。
  225. 東中光雄

    ○東中委員 あなたは、謝罪して取り消せと言うなら取り消しますということを言いましたから、それはそれでいいのですが、ただ、今あなたの言っていることは、答弁の中であるのですよ。改正法案は、あらかじめ担保を供給することを暫定使用の条件といたします云々と、早くやりたいんだと、そう答弁しておるのだから、その答弁したらそれでいいわけでしょう。それが、おまえの言っていることはげすの勘ぐりだ、こう思うというのは、これは卑しい心の、卑しい身分の者がという、差別用語ですよ、歴史的な。そういうものを言って、不適切なら取り消します、謝って取り消しますとあなたは言いました。そういうことであります。これは厳重に抗議をしておきます。  こんなことで時間をとるわけにはいきませんので、次に法制局長官、きのうの質問で、憲法三十一条の適正手続について、直接には刑事手続における適正手続を求めたものであるが、この精神は行政手続についても及ぶべきものだということをはっきり言われましたね、これは最高裁の判例の建前で。特措法についても適正手続が、デュープロセスの適用があるということを言われたのですが、それで、そういう場合に、三十一条で、法律の定めるところによりというふうになっていますね。その法律で定めるのは、法律で定めたらいいということじゃなくて、形式的に法律で定めると同時に手続内容が適正でなければならないということが判例だと思うのですが、その点はどうでしょうか。
  226. 大森政輔

    ○大森(政)政府委員 先ほど古堅委員に対しまして思わず声が大きくなりましたことは、若干反省をいたしております。  ところで、お尋ねの件でございますが、先ほど御指摘の最高裁判所判決と申しますのは、多分、最高裁平成四年七月一日判決、すなわち成田工作物等使用禁止命令取り消し事件を初めとするその他の判決であろうと思いますが、最高裁はこのように言っております。  憲法三十一条の定める法定手続の保障は、直接  には刑事手続に関するものであるが、行政手続  については、それが刑事手続ではないとの理由  のみで、そのすべてが当然に同条による保障の  枠外にあると判断することは相当ではない。し  かしながら、同条による保障が及ぶと解すべき  場合であっても、以下、時間の関係で若干はしょりますと、  行政手続は、刑事手続とその性質においておの  ずから差異があり、また、行政目的に応じて多  種多様であるから、行政処分の相手方に事前の  告知、弁解、防御の機会を与えるかどうかは、  行政処分により制限を受ける権利利益の内容、  性質、制限の程度、行政処分により達成しよう  とする公益の内容、程度、緊急性等を総合較量  して決定されるべきものであって、常に必ずそ  のような機会を与えることを必要とするもので  はないと解するのが相当であるというふうに判示しておりまして、先ほどお尋ねの、法律に定めるところによりというのは、ただ法律に定めればいいということではなくて、その内容が適正でなければならないということかというお尋ねでございますが、それは一般的にはそのとおりだと思いますが、刑事手続と同じ程度に常にそういう内容でなければならないというものではないというのが私の考えでございます。
  227. 東中光雄

    ○東中委員 一般的にはそうでありますということを言えばいいものを、あとは全然わかり切ったことを繰り返して時間をつぶす、まともな姿勢じゃないですよ。  今度の制度は、いわゆる特措法をつくっていく制度ではないのです、今。暫定使用制度を今度つくるということでしょう。だから、暫定使用制度というのは、一定の要件があれば、国民の権利、土地所有者の使用権を暫定的にしろ制限するという制度でしょう。  そうすると、今度の暫定使用制度をつくるについて、どういう手続でそういう国民の権利が制限できるのかということになれば、収用委員会に対して裁決申請等を出しさえずれば、それだけの要件で、出しただけでこの規定によって暫定使用ができるのじゃないですか。そうじゃなくて、ほかに何が必要なんですか。
  228. 久間章生

    ○久間国務大臣 改正案の暫定使用制度は、駐留軍の用に供する土地等の使用、収用についての公益と私益の調整に関する詳細な手続を定めた駐留軍用地特措法に基づく一連の手続の中で、現に駐留軍の用に供されており、引き続きその用に供する必要があると認定された土地等対象とし、所定の期間内に防衛施設局長から収用委員会に対し必要な裁決の申請等が行われ、これまでいいですね、現に収用委員会における審理の段階において裁決その他必要な権利を取得するための手続が完了しないというやむを得ない場合において、事前の担保提供、土地所有者等の請求による担保の取得、収用委員会による裁決等によって損失の適正な補償が確保されたもとで、収用委員会の裁決による明け渡しの期限までに限り暫定的にその使用を認めるものであって、これら極めて限定された要件をすべて法律で明定し、これに対し極めて限定された暫定使用という効果を付与するにすぎないものであるから、憲法三十一条が要請する適正手続に適合しこそすれ、何らこれに反するものではないということで我々は出させていただいたわけでございます。
  229. 東中光雄

    ○東中委員 それは壊れた蓄音機と一緒です。きのう法制局長官が言うたのと同じことを言っている。  私が聞いているのは、暫定使用制度ですよ。今までの特措法はあったわけです。特措法の手続というのは承知しています。私たちは、それは違憲の問題がいろいろあるというふうに考えていますけれども、それはそれとして、特措法はそうだけれども特措法の中で今までなかった、裁決申請をしたらそのことだけで暫定使用ということで国民の権利を制限するということを、これを制限することは間違いないですね、これは使用してしまうんだから。強権的に一方的に使用するわけです。だから、制限する。それは何をやるのかといったら、申請を出しただけだ。申請を出して、それで裁決申請手続が始まるわけでしょう。裁決申請手続が始まって、裁決が出れば、強制使用ができるのですよね。ところが、申請を出しただけで、これから審理に入ろうかというときに、もう強制使用の、今度の改悪でですよ、強制……(発言する者あり)改悪です。何で改悪かといったら、それは現実に制限をするからです。ここが、あなた方、あらかじめ作文したようなことをだらだら言うのじゃなくて、まともに考えなければいかぬですよ。  これは法律論としては、申請をやって明け渡しの裁判を起こした、そうしたら、裁判を起こしたらもう明け渡しの効果が発生する、そんなことにならないですね、民事手続の場合ですよ。明け渡しの裁判を起こした、それで審理して、権利があれば明け渡しするんですね。しかし、その場合でも、急を要するときというのは仮処分というのが民事上あって、それで強暴な状況があった場合は断行の仮処分だってできるのです。  だから、本来の権利制限、本案の問題と、本案を提起したら、それに対して結論を、その審理中に何かのことをやろうと思えば、これは裁決をしなければいかぬのです。それは今の土地収用法の、特措法が十四条で引用している百二十三条があるじゃないですか。緊急使用の申し立てができるでしょう。だから、緊急にやらなければいかぬときは、ちゃんと現行の、あなた方の言う特措法の中ではそういう制度になっておるのです。それなのに、それはやめておく、そんなものをやっておったら、収用委員会が結論を出したのではかなわぬ、却下される、この前楚辺で却下された、だから今度はもうそのままでやってしまうぞ、こういうことになっているのですよ。だから、これはそういう手続体系からいったって非常に許されない。  適正手続というのは、だから法制局長官、適正というのは何かといって私が先ほど聞いたのは、あなたのように、素人に言うようなことを言ったってだめですよ。ちゃんとした責任ある答えを言ってごらんなさい。本案の申し立てをしたら、本案の審理も始まっていないのに、本案で求めていることの結論が申し立てをしたことだけでできてしまう、こんな法制というのは世界じゅうどこへ行ったってありはせぬですよ。こういう……(発言する者あり)新規だからこそ申請を出しているんじゃないか。何を言っているんです。(発言する者あり)
  230. 野中広務

    野中委員長 静かにしてください、静かに。
  231. 東中光雄

    ○東中委員 これは三十一条違反だ。
  232. 久間章生

    ○久間国務大臣 私どもも、法律を出します場合に、それが法律が成立して、その後裁判その他を起こされましたときに、この法律が違憲だからそれはだめだということになったら大変なことでございますから、十分な審理をやはりした上で出すわけでございますから、どうか御心配なく、その辺については適正な、適合こそすれ、本当に不適切なものじゃないということをぜひ御理解して……。
  233. 東中光雄

    ○東中委員 今私の言っているのは、よう検討したとか検討せぬとかということじゃないのです。土地収用委員会に裁決申請をして、そこの裁決をもらわなければ強制使用はできない制度になっている。その土地収用委員会が裁決もしていない、それから却下しているかもしれない、あるいは裁決をずっと延々と延ばしているかもしれない、そういう場合でも、収用委員会が出した場合にのみ強制使用できることになっておる制度を、申請を申し立てただけで出てくる、こんなばかな制度というのは、これこそ普通の常識では考えられない、全くのファッショ的な改正ですね。いまだかつてないです。
  234. 大森政輔

    ○大森(政)政府委員 委員が今例として挙げられました民事裁判と仮処分との関係につきましては、確かにおっしゃるとおりだと思います。  ただ、今の法案に盛られた暫定使用制度と申しますのは、現在の使用裁決申請手続と全く無関係に新たな制度をセットするというものではございませんで、法案をよくお読みいただければわかるわけでございますが、適正手続そのものとも言える使用裁決制度の一連の手続の中にこの制度を組み込むというわけでございまして、裁決・審理手続のそれまでに行われる適正手続は、それを受けた形で制度がセットされるわけでございますし、また今回十六条、十七条におきまして、正当な補償を現実にも確保するための手続を新たに設けているわけでございます。したがいまして、ファッショだとか強奪だとか、そういうのは言葉が過ぎるのじゃないでしょうか。  こういう法律制度としてこのような法律案の審議をお願いしているといいますのは、現行の日本国憲法の議会制民主主義のもとにおいてこのような暫定使用制度を、主権者である国民の代表者によって構成される国会の審議を通じまして、究極的にはこれは政治的な意味であろうと思いますが、主権者の許容を得てそういう暫定使用制度を設けるということでございます。したがいまして、強奪とかファッショとは無縁の制度であろうと思います。
  235. 東中光雄

    ○東中委員 これは法制局長官の答弁としては全く政治発言をやっているということで、私は法律をやってきた一人として心から、あなたは法律家としての資格はないということを、このことをはっきりと言っておきたいと思います。  もう時間がありませんので、もう一点だけ聞きます。(発言する者あり)やかましい、黙っておれ。
  236. 野中広務

    野中委員長 静かにしてください。  質問を続けてください。時間がありません。
  237. 東中光雄

    ○東中委員 防衛庁長官、暫定使用をやりますね。それで、今度の改正法の十五条の一項のただし書きの一号、二号で暫定使用の期限が切れた場合、その土地はどうするのですか。
  238. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 今の御質問の趣旨は改正法案の十五条の第一項の一号、二号の御質問だと思いますが、「裁決の申請等について却下の裁決があったとき」という規定がございまして、この場合には、却下裁決があったということで、手続が完了しないときということで、私どもとしては建設大臣の方に申し立てをする、こういうことを考えているところでございます。
  239. 東中光雄

    ○東中委員 あなた、質問の趣旨を知らぬのかな。十五条の一項の一号、二号というのは、建設大臣にも言うた。しかし、建設大臣が却下、棄却したとき、それから認定が取り消されたとき、要するに暫定使用期間が切れたときにその土地は当然地主に返すのですよね。何ぼ継続中のあれでも返すのですよね。
  240. 久間章生

    ○久間国務大臣 却下されて、しかもその却下が適法なものである。要するに違法な場合として却下されて、防衛の問題はありますけれども、違法に対して文句があるときは。ところが、却下されて、しかもそれについて審査請求したけれども建設大臣も却下したら、これはもう却下は成立するわけでございますから、暫定使用制度そのものが始まらないことになりますから、それはもう返さざるを得ないわけでございます。  しかし、そういうことはまずないという制度ですけれども、念には念を入れて、そういう却下もあり得るから今回却下についても手続的にちゃんと入れておるわけでございます。
  241. 野中広務

    野中委員長 持ち時間が参りましたので、御協力ください。
  242. 東中光雄

    ○東中委員 はい。  今言われている趣旨は、あなたの言っているのは、そういう制度ができておるということは、却下されてしまうことは、最終的に暫定使用が却下されることがあると……
  243. 野中広務

    野中委員長 持ち時間が来ましたので。
  244. 東中光雄

    ○東中委員 その場合は、だから暫定使用が消えるから、だからこの基地のやつは米軍に貸しておるからといって、義務だからといって置いておくわけにはいかないでしょう。これは地位協定の二条の二項へ持っていって変えなきゃいけないのです。返す。  この間の楚辺通信所のときの緊急使用の申し立てが却下された……
  245. 野中広務

    野中委員長 時間が切れましたので、御協力ください。
  246. 東中光雄

    ○東中委員 却下されたけれども、全然従わなかったじゃないか。返さなければいけないじゃないか。
  247. 野中広務

    野中委員長 時間が参りましたので、御協力ください。
  248. 東中光雄

    ○東中委員 このことを指摘して終わります。
  249. 野中広務

    野中委員長 これにて古堅君、東中君の質疑は終了いたしました。  次に、前島秀行君。
  250. 前島秀行

    ○前島委員 私は、沖縄問題、基地問題非常に難しいということを前提として、これから基地問題、沖縄問題に対応していくために、政府立場、我々個々の政党、国会議員の立場、どういう気持ちで進まなくてはいかぬのか、そんなことを、自分の意見を言いながら総理の御意見も伺ってみたい、こう思っています。  と申しますのは、私も三十数年来、沖縄に多少かかわってきました。最初に私が沖縄へ行ったのは総理よりも遅いのでありますけれども、それでもベトナム戦争真っ最中で、北爆の真っ最中でした。やはりあのB52が、あの黒い戦闘機が嘉手納から飛び立っていく。下から見ると弾薬が見えましたね。そして、嘉手納で友達と泊まってみると、本当に夜を徹して、朝早くからあの爆音の、調整音、すさまじい音でした。我々本土の者にとってみると、本当に異様な世界に飛び込んだな、そんな二十代の経験がありましたものですから、今日まで多少沖縄問題にそれなりにかかわってきた。そういう思い入れが多少ありますものですから、私としても、沖縄問題にかかわるためにはどういうスタンスであるべきなのか、そんなことも常に考えてきました。  そんな思いもありますので、ちょっと総理に、これからの沖縄問題に対処する基本的なスタンス、どうあるべきかについてお聞きをしたいと思っているのです。     〔委員長退席、甘利委員長代理着席〕  私は、日米安保を否定しません。日米間は重要だと思っています。その基地沖縄にあるいは本土にあるときに、安保を前提にしても、私はその地域の住民の合意がなければだめだということを前提にしているのです。そういう前提で、合意がなければ基地は維持できないぞ、こういうこと。そしてその合意というのは、政府に対する、ある意味では我々政治家に対する、政党に対する信任、信頼というものが前提になければ無理ではないだろうか、こういうことなんです。  そういう面で、例えば劣化ウラン等々は、やはりこの一連の難しい基地問題に対処する上にマイナスに働いたなとも思います。そして私は、沖縄問題を長く見てきた中で、あの二十五年前、本土に復帰した沖縄の人たちは物すごい期待をかけたのです。それが二十五年たったけれども、期待した沖縄の人たちは、やはり本土並みにならなかった、そんな思いが今日あるのですね。  沖縄の人たちの思いをずっと見できますと、あの復帰前後は、数日前にお亡くなりになって葬儀がありまして、総理も御出席した屋良朝苗さんが主席であり、最初の知事だったのですね。その後、自民党の西銘さんが知事を十二年間続けたのですよ。やはり私は、日本政府に対する期待がそこに大きくあったなと思います。その間、第一次振計、第二次振計と進んできた。第一次振計は格差是正だったですね。第二次振計は、沖縄が自立できるような条件づくりをしようではないかという目標でした。しかし、思ったほど進まなかった。基地の存在は今さら私が言う必要もないし、本土との基地の縮小の格差はきのうから議論になっているわけですね。こういう経過があると私は思います。  そして、先ほどから問題になっておる土地のあり方というのは、戦前戦中からの一方的なものをずっと引きずってきているのですよ。そういう前提の中で、土地沖縄問題を処理しようということは、沖縄の皆さんから見ると非常に思いがかたい、きつい。そこをほぐすために政府は、我々はどうするかということだと思うのですね。私はそう思っています。そういう立場からすると、今私たちが基本的にとらなければいかぬのは、沖縄の皆さんの立場といいましょうか、思いを最大限処理の中に生かすということだと私は思っているのです。  そういう意味からすると、ちょっとここのところ二日間議論して気になる総理の言葉の中に、国の責任で処理するのだという、ある意味ではわかるのだけれども、それなら沖縄県民の意思はどこにあるのだろうかということが私は気になるのです。国の責任でやるということはわかるけれども、では沖縄県民の意思はどう反映されるのだ、どう処理するのだ、どう生かすのだということが気になる。それと、基地問題とは別に地域振興を、こういう言葉があるのですね。僕は別じゃないような気がする。  そういう意味で、私は、今度の法改正というのは沖縄県民の大切な意思表示といいましょうか、意向というものをちょっと無理して取り上げてしまったなというふうな感じがする。沖縄の歴史を見てくると、やはりみずからの意思で物事を決めてこれなかったという歴史があるんですよね。  そんなことから思うと、やはり沖縄の人たちの気持ち、思い沖縄の人たちの主体的な判断を大事にするという意味では、今度の法改正というのは、いろいろ議論はあるけれども、結果的には収用委員会の作業というものを取り上げる結果になりゃせぬのかな、そんな気がします。そういう面で、今度の基本法の改定というのはある意味で逆行しやせぬだろうか、私はそんな気がしています。  総理、私の基本認識はそんなところにあるんですけれども、よろしく総理思いを聞かせてください。
  251. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は議員と論争をしようとは思いませんけれども、私自身の気持ちと議員の今主張されましたことの中に、一つ大きな落差があるような気がいたします。  それは、沖縄の方々の気持ちというもの、本日一日、何遍か私なりにその気持ちというものを、こう思います、あるいは、本当にこれ以上私にはわかりませんがということまで申し上げてきました。  ただ、私は、基地の問題と振興策と一つだ、表裏一体だと議員の言われるお気持ちはわかりますけれども、私は、あえてそれは表裏一体ではないと申し上げたいのです。もし表裏一体であるという言葉を認めてしまったら、振興策を全力を尽くして我々はやりたいと思っています、逆にそれが基地を固定するんでしょうか。私はそういう性格のものだとは思いません。  そして、本日一日におきましても、沖縄の復帰以来今日までの政府努力の至らなさ、それぞれの議員から御指摘を受けてまいりました。私は、沖縄の振興策は振興策として全力を挙げていきたいと本当に願いますし、また、自立のできる沖縄県に経済的になっていくような努力を、我々も本当にお手伝いをしたいと思います。しかし、これを基地と結びつけて論ずることにつきましては、私はよいことだとは思いません。
  252. 前島秀行

    ○前島委員 いや、結びつけるということじゃなくして、振興策をいろいろ考えていくと基地にぶつかるということなんですよ。したがって、僕は何も今総理に、海兵隊は直ちに帰せと言えなどということを言うつもりはないんですよ。しかし、振興策をやっていく上には、どうしても基地にぶつかりますよと。そういう面で、基地と表裏一体と言ったら、もし総理が言い過ぎだと言うのなら、裏腹の関係にあるとか、基地の縮小と振興策というのはリンクしているんですよ、この認識はぜひ持っていただきたい、こういう点なのであります。  それから、そういう面で、沖縄の人たちの気持ちというか意見、主体的な意見ということを大事にして一つ一つ進んでいってもらいたいなという意味の方法の一つの中で、緊急申請をなぜしてくれなかったのかというのが私はあるんですよ。あの二月時点で──楚辺通信所の却下の要件の中で、一つ裁決申請をしていればもう要件が成り立っておるわけですから、もう既に裁決申請をしているわけですから、緊急申請をする要件があったわけなんですよ。そして、早目にやっていけば、一定の、六カ月間のその緊急使用の確保ということができて、必ずしも特措法の改正せずして処理ができた。その辺のところは、やはり手続、そして沖縄の皆さんの、収用委員会の判断というものを一つ一つ大切にしていくべきではないだろうかな、経過が経過でありますからということを私は言いたいのです。  そういう面で、なぜ申請しなかったのか、簡単でいいですから言ってください。
  253. 久間章生

    ○久間国務大臣 緊急使用は、やはり本当に、あの条文を読んでいただければわかりますけれども、ほかの書き方と違って、起業者が緊急使用の申し立てをすることができるという書き方じゃございませんで、収用委員会が、その起業者ですね、言うなれば国の防衛施設局長の申し立てにより、緊急に、災害等のような場合、急がにゃいかぬときにはすることができるという書き方をしているぐらい、これは非常に緊急があって、収用委員会がそういうようなことを望んでいるような、そういう状況に置かれているとき、あれはそういう条文の書き方なんですよ、ほかのものと比べましたときに。  ところが、収用委員会が粛々と本裁決をやっているときに、それは待ってくれ、緊急使用の方を先に裁決してくれというお願いは、どうしても我々としては出せない。しかも、本裁決が間に合うかもしれない、そういうような感じのときに、いや、間に合いませんから緊急使用でお願いしますよ、そっちの方はちょっと待ってくださいよというような、そういうことは出せなかったというのが事実でございます。  それともう一つは、緊急使用について、仮に出したとしても、それから先の手続で事実上一・五カ月もかかってしまう。これがやはり問題でございまして、法律をつくっているときの法律の建前というのは、例えば緊急使用の許可を裁決してもらったとすれば、それから通知をすれば間もなく、供託すればすぐ使えるような、そういう前提みたいになっておりますけれども、通知を受けた人が受け取らない、あるいは所在不明だ、そうしたときに、公示送達を同じようにしなきゃならないとか、そういう手紙をしかも三千人の方々に出さなきゃいかぬとか、そういうことを考えると、四十六日間もかかってしまう。全く同じような手続がかかる。ここのところが問題でございまして、それで、緊急使用というのをやっても、こんなにたくさんの人を相手にしたときに、五月十四日までに間に合わない、そういうような状況にまた追い込まれたわけでございまして、そういう二つの意味からこれはやれなかったということについて、ぜひ、事実関係としても御理解していただきたいと思うわけです。
  254. 前島秀行

    ○前島委員 私は、そこは、しなかったので後でくっつけた理由というのが多いような気がしてなりません。現に、防衛庁、あなたのところでは二月に、申請する議論が、結果的にはどうなったか知りませんけれども、それをされているし、だろうという意見も私は直接関係者から聞いたことがありますからね。これは、これ以上いいです。  ただ、私の方は、やはり法律にそういう制度があるのなら、一つ一つ大事にして手続を踏むべきで、そう踏んでほしかったということだけはぜひ言っておきたいと思っています。  それともう一つ沖縄問題をこれから処理していくに当たって、基本的なスタンスといいましょうか、とるべき基本的な方針というのは、沖縄問題言われるように簡単じゃないですね。僕もそのとおり思いますよ。本当に重層的に、国内政治、国内の状況アジア状況、いろいろなことが絡んできていますから大変です。したがって、基地を簡単に縮小なんてことは、これはなかなか難しいなということはようわかります。それでもこの種の問題を一つ一つ処理していくには、やはり沖縄の人たちに、今後どうなっていくんだということを国が責任を持って明確にしていく、そして当面する一つ一つのことについて協力をしてもらっていく、ここが理解を求めていく具体的なやり方だろう、こういうふうに私は思っているのです。  具体的に沖縄の人たちに一つの方向を、どうなっていくんだということを展望する。じゃ、基地はどうなっていくかということの一つに、私は、政府基地は固定しないという方向を明確にできないかということがある。具体的に、海兵隊を帰すとか云々じゃなくして、やはり基地は固定化をしない、少しずつ減らしていきますよということを明確に方針として出さにゃいかぬ。  それはなぜ言うかというと、今度の一連の拒否の出発点は、一九九五年二月の、あの国防総省の東アジア戦略のナイ・リポートから事が始まっているんですね。あれを見た大田さんが、これは沖縄基地は二十一世紀も永久に固定される危険性があるぞと言って、いろいろ議論が始まったというふうに私は伺っていますし、その九五年の夏ごろに、拒否をするかな、こういう方向が議論されているのです。当時、村山政権でした。ですから、その思いを、そういう議論をしているよということを、私は村山総理並びに官房長官に伝えた覚えがあるのです。その後、あの事件が起こって、一挙にこうなっていったということなんですね。  そういう面で、やはり沖縄の人たちが一番心配するのは、基地が固定化するということなんです。固定化するということ。そこを明確に、政府の方針としてまず示すということが重要ではないだろうか。その辺のところ、どうでしょう。
  255. 久間章生

    ○久間国務大臣 やはりそのためには、皆様方にも御理解と同時に御協力していただかなければならないわけでございますけれども、今度、SACOで最終報告をまとめて、それをやろうとしました。このSACOの最終報告は一応の締めくくりで、第一歩だと言っておりますけれども、もしこれで普天間が返還されて、普天間にかわる代替施設ができて、しかもそれは暫定可能な施設だということで、そこに目の前にできたとするならば、県内の移設かもしれませんけれども、少なくとも、今までの基地に取り囲まれた普天間の周りのそういった方々、危ないなと思っておった人たちはほっとされる。  そしてしかも、でき上がったものが暫定的な海上施設だということになりますと、また次の機会にはこれも移せるかもしれぬな、そういうような目に見える形で先へ進むと思うのです。今までみたいにオール・オア・ナッシングの議論をしておったのでは目に見えないし、また、正直に言ってみても当てにならないじゃないかという形で先へ進まない。  だから、そういう意味では、私は、SACOで定めましたあの最終報告にありますものをまずやらせていただきたい、これについて何とか御理解していただきたい、せめてそのための基本調査ぐらいはやらせていただきたいと今お願いしておるわけでございまして、そういうふうに一歩一歩、一つずつやっていけば、何かの形で目に見えてくる。そこの人は、少なくとも、ああ少しは減ったな、この次はまたこのぐらい減るなという形で先へ進むことができるんじゃないか。私は、それをみんながやはり努力すべきじゃないか、それが目に見える形で示すことになるんじゃないかと思っているわけです。
  256. 前島秀行

    ○前島委員 そうすると、政府の方針として、基地は固定化しない、削減化するのが基本方針だと言っていいんですね。
  257. 久間章生

    ○久間国務大臣 ゼロにはなかなか今の国際情勢でならないかもしれませんけれども基地の整理、統合、縮小というのは、今度のSACOが終わったからといって終わりじゃなくて、これをまた出発点としてでもやりますよということを言っておるわけでございますから、これから先も引き続き努力をいたしてまいりたいと思います。
  258. 前島秀行

    ○前島委員 そうすると、政府基本方針は、基地は固定化しない、削減するんだ、これが基本的な方針であるというふうに確認させていただきます。  もう一つ、やはりこの具体的な個々の問題を県民に協力させるために必要なことは、経済的な問題、要するにこれからの沖縄県は、我々はどういう暮らし、どういう沖縄像を築いていくのかな、こういうことだと思いますね。  御案内のように、第一次振計、第二次振計と進んできて、第三次振計が二〇〇一年に終わりますね。そして、ちょうどポスト四全総が来年から始まる、そしてそれを国際構想につないでいきたいというのが沖縄県の構想ですね。  そういう意味で、私は、この第三振計から、そしてこの国際構想を発展させて、二十一世紀の新しい沖縄県づくり、いわゆる国際構想を具体的に政府が支援するといいましょうか、やる方法として、規制緩和で今議論していますけれども、同時に、やはり関西文化学術構想等々にやったように、基本的な支援構想というのでしょうか、基本法とかそういうものをぴしっとつけて支援していく。個々の規制緩和も大事だけれども、その基本法というもの、そういうものをつくっていく。そしてそれをポスト四全総の中でぴしっと位置づけていくことが、具体的な、国が責任を持って、国の政治としてこの都市構想を受けとめていくんだということになるのだろうと私は思っているのです。  その辺のところの、その基本法といいましょうか、実行の事業法といいましょうか、総括法というふうなものをつくって、この構想を支援していくというつもりがあるのかどうなのか。その辺の見通しというか考え方を、ちょっと沖縄開発庁長官に。
  259. 稲垣実男

    ○稲垣国務大臣 委員が言われますとおり、沖縄県民のどなたにお聞きしましても、本当に沖縄経済的に自立していきたい、それから、若い人たちが学校から卒業してもなかなか就職の道がない、結局本土の方へ就職してしまう、これはまことに残念だ。また、本土との比較を見ても、七割ぐらいの所得しかない、何としてもこれを上げていかなければならぬということで、もろもろの今計画が進んでいるところでございまして、また、この三振計の方でも、私どもとしてはぜひひとつ、この後期におきましても、全面的にこれを支援して推進をしたいということでございます。  そこで、今お尋ねがありましたとおり、沖縄政策協議会におきましても、知事さんから国際都市形成構想の基本的な考え方、あるいは次期全国総合開発計画の中に明確に位置づけをしていただきたいという御発言等がございました。現在、政策協議会のもとに設置したプロジェクトチームにおきまして、国土庁等を中心にいたしまして、また私ども沖縄開発庁も協力いたしまして、新しい全国総合開発計画における沖縄の位置づけ等について検討しているところでございます。  今委員がおっしゃいましたような基本法とか総括法という問題になりますと、これらの具体化の状況を見ながら、国としてどのような支援が可能か、またどういう方法があるかということを今後検討してまいりたいと思います。
  260. 前島秀行

    ○前島委員 総理、私はどうしても、基地は徐々になくしていきますよ、固定化しませんよという明確な方向と、もう一方は、沖縄の二十一世紀の県づくりのこの国際構想を具体的に国の政策としてやっていく、その具体的な方法というのは、基本法的なもの、総括法的なものをつくる、こういうことだろうと思っています。  筑波学園都市のときもそれから関西文化学術都市のときも、その促進法をつくって進めていったわけですから、ここのところが、本当に受けとめてくれるかどうかという、沖縄の皆さんに対する一つ基本姿勢のあかしになる。この二つを示すことによって、長期の展望を示すことによって、今基地問題とかということを一つ一つ解決してもらう、協力をしてもらうということが私は進むべき基本的な方法だろうということを常に思っているところでありますので、ぜひその辺のところは明確に総理の方針として示していただきたいということをお願いをしたいと思います。     〔甘利委員長代理退席、委員長着席〕
  261. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 けさ以来、本委員会におきましても、私は何遍も何遍も同じことを申し上げてきたような思いがいたしますけれども、私は、本当に沖縄県、その基地を減らしていける、そういう努力は当然のことながらしていかなければならないとみずから思っております。だからこそ、全く見通しの立たない中で普天間の問題に取り組みもいたしました。そして、皆さんには不十分かもしれませんけれども、日米両政府としてSACOの合意をまとめてまいりました。そして、日本を取り巻く国際情勢、環境の変化の中で、米軍の兵力構成を含む話し合いもするということも繰り返し申し上げてきております。  しかし、同時に、我々は日本という国の安全保障という非常に大きな責任もあわせて考えていかなければなりません。そして、私は、ただ言葉だけで申し上げればいいというのでありますならば、幾らでも、基地の縮小、大幅な縮小とでも何とでも言います。しかし私は、現実の国際情勢はそういう情勢ではないと思っております。同時に、SACOの合意が着実に実施されつつ、その状況の中で初めて次のステップに入っていけるものだと思っておることは、どうぞ御理解をいただきたいと思います。  また、私ども、昨年の一月、内閣発足させまして以来、官房長官、関係大臣そして沖縄県知事で構成する沖縄政策協議会を設置をいたしました。このような対応は、今まで沖縄県に対して歴代内閣とっておらなかったと存じます。そして、その中で、現在も真剣に議論をいたし、その将来の方向として、国際都市形成構想の基本的な考え方を次期の全国総合開発計画の中に位置づけてほしいという知事の御要望がありました。  現在、まさにこの沖縄政策協議会の下に設置しましたプロジェクトチームが、国土庁を中心に、新しい全国総合開発計画における沖縄県の位置づけなどについて検討をいたしております。さらに、沖縄県の県民を代表するような方々にもお入りをいただいて、官房長官がみずからのもとにつくられたいわゆる島田懇、米軍基地所在市町村に関する懇談会、ここからも真剣な提言がなされてまいりました。私どもは、こういう問題を一つずつこれから処理をしていく責任を持っているわけであります。  そして、なお現在、県自身が委員会をつくられて、例えば規制緩和のように、まとまり次第政策協議会の方に問題を提起しようとしておられるものもあります。私どもは、こうした県のさまざまな御構想というものが具体化の状況を見ながら、国としての支援、いかなる支援が可能かを検討していきたい、今までも申し上げてまいりました、今もまた申し上げたいと思います。
  262. 前島秀行

    ○前島委員 私は、沖縄の県民の側から見ると、あのゴア副大統領総理との会談の中に、やはり沖縄の声として、なかなか厳しいということはわかりながらも、基地の縮小ということを訴えてもらいたかったなというのが率直な沖縄県民の気持ちだろうと思います。厳しいということはお互いにわかっているけれども、そこのところはぜひ理解をして、これからもぜひ御努力をお願いをしたい、こういうふうに思います。  それから、もう時間がありませんもので、大蔵大臣、具体的にこれから地域振興あるいは国際都市構想をやっていく上でどうしても必要なのは、税制、財政面における思い切った支援なんですね。それはやはり、総括法に基づいた、あるいは基本法に基づいた形という前提があるだろうと思います。個々の規制緩和の問題もさることながら、その辺の思い切った財政、税制面における支援というものを打ち出してもらいませんと、なかなか県段階でどうのこうのできるものではない。たとえ普天間の跡を利用するにしても、あそこの区画整理だけだって何百億の金がかかるんだと言われているわけでありますから、そういう面で、やはり国がその辺のところを、思い切ったところをやるぞという姿勢というものが、この段階でも基本的な方向として示されることが必要ではないだろうかということが一つ。  それから、これからこういう振興策、沖縄の新しい県づくりをしていく上でもう一つどうしてもぶつかるのは、さまざまな基地との絡み合いの問題ですね。そういう面で、今よく要望されているのは、基地と隣接した地域、海浜だとかの緩和の問題だとか、空域、水域の緩和の問題、撤退の問題というのが出されているわけであります。そういう具体的な、地域振興に当たってどうしてもぶつかってしまう問題について、当面、緩和でもいいから処理していって、一歩一歩県づくりをやっていく、そういう姿勢も示してほしい、交渉してほしい。これがやはりまた現実的な、この地域でもっていろいろな計画を練っていく上での要望でもあるだろうと私は思います。  時間がありませんので、そういう大蔵省としての基本的な財政、税制ビジョンをどうするのか。それから、地域振興に当たってどうしてもぶつかってしまう基地の、そういう海浜だとか地先だとか、あるいは水域だとか海域の問題の、できるものなら撤去がいいだろうけれども、緩和ぐらいまでの努力をしてほしい、この辺のところを外務大臣の方にそれぞれお伺いをして、終わりたいと思います。
  263. 三塚博

    ○三塚国務大臣 もう総理から段々の取り組み、丁寧に何回か御説明を申し上げたところであります。  私に対して、税制上の問題であります。法人税、関税等々を主管する大臣として、先ほど総理も言われました、本格的な、県が主体となりました協議会、その前段である県の検討委員会が設置をされたと聞いております。そこで県民の声を集中をして県の沖縄協議会というところに提示をされ、協議会から正式に政府に向けて要請があると承知をいたしております。私は、その段階で、真剣に検討してまいるという総理方針を踏まえまして、全力を尽くしてまいります。  また、税制、関税等を主管しておる立場から申し上げますと、沖縄産業振興の観点で何が可能なのか、真摯に検討をいたします。  また、もう一点、財政の問題でありますが、既に補正予算において五十億円の調整費を使用して、ただいま御指摘のように真剣な検討が、調査が行われておるものと承知をいたしておるわけでございまして、平成九年度予算におきます沖縄関係諸費はちなみに五千百八十四億円、一・五%の政府伸び率でありましたが、本件は三・六%ということで、沖縄に対する心の表明をさせていただいておるところであります。
  264. 池田行彦

    池田国務大臣 SACOの最終報告におきましても、水域、空域の問題についても縮小なりなんなり考えておるわけでございますが、それもきちんと実施してまいりたいと思います。今後とも、地元のいろいろな御要望には真摯に耳を傾けてまいる所存でございます。
  265. 前島秀行

    ○前島委員 終わります。
  266. 野中広務

    野中委員長 これにて前島君の質疑は終了いたしました。  次に、粟屋敏信君。
  267. 粟屋敏信

    ○粟屋委員 私は、先ほど山元委員もお触れになりましたけれども地位協定をめぐる諸問題につきましてお伺いをいたしたいと思っております。  まず第一は、環境の問題でございます。  先ほど外務大臣は御答弁で、地位協定十六条に、我が国の法令に準拠して行う義務がある、そして、評価基準もつくっておるし、問題が起これば合同委員会の環境分科会においてこれを処理することになっている、配慮に欠けることはない、こういうお話があったと思います。ただ、果たしてそうかということになりますと、私は若干疑問があるところであります。  先般、羽田党首と一緒に沖縄県を訪問をいたしまして、大田知事にお会いをいたしました。その際、大田知事がおっしゃるのには、県道百四号線越えの射撃練習場で環境破壊が著しい、自分はハワイに行ってアメリカ軍の実弾射撃場を見てきたけれどもアメリカの環境法令に従って非常に環境を大事にしながら演習をしている、ところが沖縄の今のケースの場合においては、そういうことはお構いなく、緑を破壊し、またそれによって赤土が崩壊をして、それが川に流れ、海に流れて環境汚染をしている、こういうお話がございまして、何とかこの問題をうまく片づけることはできないかということをお話をいただいたわけであります。  そういう問題で、外務大臣のお言葉のように、一応制度的な手続、これは整っているかもしれませんが、実際の運用においてはまだ十分ではないと思うわけでございますが、今の問題について、外務大臣の御答弁をちょうだいいたしたい。
  268. 池田行彦

    池田国務大臣 ただいま委員もおっしゃいましたように、私ども、環境の問題につきましては、地位協定上もきちんとやらなくちゃいけないと決められております。十六条の我が国の国内法令の尊重義務もそうでございますし、いま一つ、三条三項には「公共の安全」、これも環境と関係してくるわけでございます。そういうものを踏まえまして評価基準もつくり、そしてまた、その後それが守られているか具体的にやるために、合同委員会の下に環境分科委員会をつくっているわけでございます。しかし、それで現在、それじゃ、一〇〇%うまくいっていますよ、こう胸を張れるかと申しますと、それは御指摘のとおり十分じゃない、まだ改善しなくてはいけない点があるのも事実でございます。  具体的に御指摘になりました、あの百四号線越えの射撃訓練、それでの着弾地でございますね。あそこが大変問題があるという御指摘は、私も大田知事さんからも直接お伺いいたしましたし、また、沖縄県の関係の方々からも何度もお聞きしたところでございます。  そして、私ども外務省といたしましても、いろいろな機会にこの問題は米側にも提起しております。そして、米側回答は、原則としてといいましょうか、基本的に、もちろん米国の国内においてやっている射撃訓練をする場合と、それから沖縄の場合と基本は同じなんだ、原則は同じなんだ、こう言うのでございますけれども、しかし具体的な状況というものがいかにも違いがあるじゃないか、そういうことは提起しながら、どういうことが原因となっているのか、また、どういうふうなことが可能なのか、これは先ほど申しましたような枠組みの中で、なお継続して協議していく、こういうふうな事柄と心得ている次第でございます。
  269. 粟屋敏信

    ○粟屋委員 先ほど山元委員は、ドイツのボン補足協定を引用されまして、地位協定の改正も視野に入れてというお話がございました。なかなか改正といいますと、地位協定は四十カ国にかかわりがあるようでございますので、そう簡単なものではないと思いますが、終局的にはそれを目指すといたしましても、少なくとも運用の改善については特段の御努力をお願いをいたしたいと思います。  それから二番目は、劣化ウラン弾の誤射事件のような軍事演習による事故が発生した場合の通報体制、また処理体制の問題でございます。劣化ウラン事件につきましては、合同委員会で御検討になっているということも聞きますけれども、その辺の状況をお聞かせをいただきたいと思います。
  270. 折田正樹

    ○折田政府委員 昨年のSACOの最終報告の発表後からでございますが、劣化ウランの誤射事件もございましたので、事故が発生した場合の通報手続について日米合同委員会の場で鋭意協議をいたしまして、去る三月三十一日でございますけれども、具体的な通報手続を合同委員会において取りまとめたところでございます。  この事件事故通報手続におきましては、劣化ウラン弾誤使用問題も念頭に置きまして、在日米軍に係る事件事故のうち、施設区域内で発生したものであっても、公共の安全、環境に影響を及ぼすおそれのある事件事故について、中央レベルのみならず、現地レベルにおいても速やかに日本側に通報すべきことが明記されております。それからさらに、通報すべき米軍の事故事件の具体例も明記されているところでございます。  今後は、劣化ウランの問題のようなケースも含めまして、公共の安全、環境に及ぼすおそれがある事件事故について、この手続を適正に運用し、通報の漏れ、それから遅延がないように、私どもとしては万全を期したいというふうに考えているところでございます。
  271. 粟屋敏信

    ○粟屋委員 先般の劣化ウラン事件のような、通報が一年もおくれた、そうしてその処理方針も明らかでない、こういうことになりますと、やはり住民の生活に不安感が増してまいりますし、また、日米関係の信頼にも大きな影響があると思いますので、今お話がございましたけれども、的確な措置を今後お願いをいたしたいと思っております。  三番目は、先ほど山元委員が騒音問題についてお触れになったわけでありますが、米軍の行動とそれから住民生活の間に、いろいろな摩擦が起こることがあると思うわけでございます。現在は、三者協議機関、県、防衛施設局、米軍との間でその処理に当たっておられるといいますが、先ほどのお話を伺いますと二年間も開かれていないようであります。大田知事も、そういうことが起こった場合に米軍に言って交渉をするのだけれども責任の所在が極めて不明確であって、たらい回しをされる、こういうことをおっしゃっておられたわけでございまして、これは何としてもきちんと処理する体制をつくっていかなくてはならない、こういうふうに思います。  防衛施設局が国側の窓口になっておるわけでございますけれども、このたびは外務省の原島大使が赴任をされました。私も原島大使とお話をいたしまして、本当に沖縄の住民の心を心として職務遂行に当たろうという気迫は受け取れましたので、原島大使にもこの面で大いに働いていただきたいと思いますし、また、現地、軍部だけでは解決できない問題もあろうかと思いますが、その際は原島大使を通じて、外務省においてきちんと処理をしていただきたい、そういう体制の整備をぜひお願いをいたしたいと思っておるところでございます。  地位協定をめぐる諸問題ほかにもいろいろあると思います。  昨日、私の質問に対しまして外務大臣は、運用の改善については努力をしていると、例示されましてお述べになりました。その御努力は多といたしますけれども、今後とも地位協定をめぐる諸問題については不断の改善努力を払っていただきたいと思っておるところでございます。総理の御決意はいかがでございましょうか。
  272. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、本当に地位協定の運用、これは少しでも改善すべき点があれば改善をしていかなければならないと思っておりますし、昨年のSACOの最終報告でも、沖縄県の御要望を踏まえながら、さまざまな具体的な措置を織り込んでまいりました。  しかし、これから先を考えてみましても、先般大田知事とお目にかかりましたとき、いわゆる五・一五メモ、これを公表させていただきましたが、まだまだいろいろな場面で、私は地位協定の運用改善というものは出てくるだろうと思います。そして、SACOの最終報告でも明記をいたしておりますように、今後とも合同委員会において地位協定の運用の改善に努力を継続することにしているわけでありますし、既にとられた措置だけでなく、改善すべき点がありましたならそれは本当に誠実に対応していく。それが結果として少しでも皆さんの喜びにつながるなら、それだけの努力を惜しむものではない、そのように考えております。
  273. 粟屋敏信

    ○粟屋委員 次に、沖縄振興開発の問題でございますが、昨日私は、沖縄の振興開発は、戦中戦後を通じて、悩み、苦しみ、痛みを受けられた沖縄県民の生活の向上のために、沖縄県の発展のためにぜひやらなければならない、これは特措法の改正とは別問題だということを申し上げたわけであります。先ほど総理も、沖縄が自立できるようにしたい、こういう話がございました。私も全く同感でございまして、沖縄県が本当に自立できるように、いわば、また今地方分権ということが言われておりますけれども、地方分権のモデルとしても沖縄の振興開発を、沖縄県民の発意を尊重してやっていかなければならないと思っているところでございます。  第三次沖縄振興開発計画、進行中でございます。多分に私は、インフラストラクチャーは整備をされてきたなという感じはいたしますけれども、今なお所得におきましては全国四十七都道府県最下位でございますし、また失業率においても、本土の倍程度の六%を超える失業率となっているようでございます。こういう状況を踏まえまして、今後、沖縄開発庁長官は、沖縄の振興開発についてどういう姿勢でお臨みになるか、伺わせていただきたい。
  274. 稲垣実男

    ○稲垣国務大臣 今委員が述べられましたとおり、沖縄が本土復帰して以来、三次にわたりまして振興開発計画が、もろもろの施策をもって講じられてまいりました。総じて言いますならば、沖縄経済社会は総体として発展をしてきておりますが、しかしながら、生活産業基盤の面ではなお整備が必要なものが大変多いわけでありますし、産業振興や雇用の問題など、解決すべき多くの課題がございます。  そこで、このたび、三次振計、ちょうど平成九年から折り返しのいわゆる後半を迎えておるわけでございますので、計画期間の後半の施策展開の方向性について明確にするために、一二月二十五日、沖縄振興開発審議会において三次振計の後期展望が取りまとめられているところでございます。  そこで、これから、やはり社会経済情勢の変化というものが大変大きいわけでございます。それに対する、沖縄への影響、またグローバル的にこれから考えていかなければなりませんし、それらの進展や、あるいは環境への認識先ほどおっしゃいましたとおりでございますが、また、高齢化時代や高度情報化時代の到来についてこれから対応をしてまいらなければなりませんので、三次振計後半の施策の展開の方向としては、ここに示されておりますとおり、地域特性を生かした特色ある産業の振興を図ること、我が国の南の国際交流拠点の形成を推進すること、また、自立的発展を支える社会資本の整備を推進していくこと、また、豊かで多様な自然環境の保全、継承など環境に特別に配慮をすること、離島及び圏域については、その特性を生かしつつ、交通・情報体系の整備や産業の振興、県内外の交流を促進をしていく、さらに、米軍施設区域の整理、統合、縮小に合わせまして、返還跡地の有効利用を進めていく、こういったことで、沖縄県が提唱しております国際都市形成構想について、構想のその具体化について、引き続き、国といたしましては、県と相談しながらこれらの実現に向けて最善の努力をしてまいる覚悟であります。  以上です。
  275. 粟屋敏信

    ○粟屋委員 昨日も申し上げたのですが、一国二制という言葉は私は好かぬけれども、現行法制の枠を超えて、思い切った措置沖縄については講ずべきであるということを思っておるわけであります。  特に、自由貿易地域の拡充強化の問題でございます。  現在、那覇市で自由貿易地域が設定をされておりますが、どうも思うような成果を上げていない。立地企業もだんだん少なくなっていくという状況でございまして、自由貿易地域の拡充強化については、これから特段の考慮をしていかなければならないと思っております。  沖縄開発庁で四千二百万の調査費を計上されているようでございますが、どういう調査をなさり、どういう方向でこの問題に取り組んでいかれるか、お伺いをいたしたい。
  276. 稲垣実男

    ○稲垣国務大臣 自由貿易地域につきましては、御承知のとおり、沖縄県あるいはまた県の経済団体からさまざまな拡充強化の要望がされております。  そこで、本年度実施する自由貿易地域に関する調査四千二百万円におきましては、いわゆる沖縄の産業振興、貿易振興のための沖縄に展開する自由貿易地域のあり方、そのために必要な機能等について、海外のフリー・トレード・ゾーンの実例の分析等も踏まえておるわけでございまして、例えば、実現可能性を検討の参考といたしまして、香港とかシンガポール、フィリピン、台湾、米国等の機能調査検討を行うことにしておりますし、また、必要な貿易地域の機能と実現の方策としては、税制上の特別の措置、それから、輸入の自由化、指定地域の拡大、特別な法人の設置など、また、沖縄の産業、貿易振興の上で自由貿易地域が果たすべき役割など、そしてまた、現在活性化されていないこの自由貿易地域の那覇地域の現況と、活性化されていない原因の分析などをこれから行っていきたいということで、これから鋭意努力していきたいと思います。
  277. 粟屋敏信

    ○粟屋委員 中身のある、本当に沖縄県民にこたえる振興開発施策をぜひとも実施をしていただきたいことをお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
  278. 野中広務

    野中委員長 これにて粟屋君の質疑は終了いたしました。     ─────────────
  279. 野中広務

    野中委員長 この際、御報告申し上げます。  明九日、本委員会に出席を求める参考人の人選につきましては、委員長に御一任いただいておりましたが、理事会において協議いたしました結果、お手元に配付いたしました名簿のとおり決定いたしましたので、御報告をいたします。     ─────────────    日米安全保障条約実施に伴う土地使用等に関する特別委員会参考人名簿  一、日時 平成九年四月九日(水)  一、氏名    (午前十時)       杏林大学社会科学部 田久保忠衛君       教授       中央大学総合政策学       部客員教授     森本  敏君    (午後一時)       沖縄県軍用地等地主       会連合会福会長   金城 重正君       沖縄大学法経学部教       授         新崎 盛暉君       東京国際大学国際関       係学部教授     前田 哲男君       在団法人沖縄協会理       事         末次 一郎君
  280. 野中広務

    野中委員長 次回は、明九日午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会い  たします。     午後八時五分散会