運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1997-05-29 第140回国会 衆議院 内閣委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月二十九日(木曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 伊藤 忠治君    理事 赤城 徳彦君 理事 岸田 文雄君    理事 熊代 昭彦君 理事 御法川英文君    理事 河村たかし君 理事 倉田 栄喜君    理事 西村 眞悟君 理事 金田 誠一君    理事 木島日出夫君       岩永 峯一君    大野 松茂君       大村 秀章君    菅  義偉君       戸井田 徹君    虎島 和夫君       平沢 勝栄君    吉川 貴盛君       渡辺 博道君    石井 啓一君       石田幸四郎君    上田 清司君       中野 寛成君    丸谷 佳織君       池端 清一君    瀬古由起子君       辻元 清美君    深田  肇君       保坂 展人君    奥田 敬和君  出席政府委員         経済企画庁国民         生活局長    井出 亜夫君  委員外出席者         議     員 能代 昭彦君         議     員 小川  元君         議     員 河村 建夫君         議     員 河村たかし君         議     員 上田 清司君         議     員 富田 茂之君         議     員 山本 孝史君         議     員 木島日出夫君         議     員 瀬古由起子君         議     員 辻元 清美君         衆議院法制局第         一部長     早川 正徳君         大蔵省主税局税         制第一課長   伏見 泰治君         自治大臣官房地         域政策室長   山下 貴史君         自治省財政局調         整室長     岡本  保君         内閣委員会調査         室長      新倉 紀一君     ————————————— 委員の異動 五月二十九日  辞任         補欠選任   桧田  仁君     戸井田 徹君   石田幸四郎君     丸谷 佳織君   鹿野 道彦君     上田 清司君   深田  肇君     辻元 清美君   奥田 敬和君     前田 武志君 同日  辞任         補欠選任   戸井田 徹君     吉川 貴盛君   上田 清司君     鹿野 道彦君   丸谷 佳織君     石田幸四郎君   辻元 清美君     保坂 展人君   前田 武志君     奥田 敬和君 同日  辞任         補欠選任   吉川 貴盛君     桧田  仁君 同日  理事西村眞悟君同日理事辞任につき、その補欠  として河村たかし君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  委員派遣承認申請に関する件  市民公益活動を行う団体に対する法人格付与  等に関する法律案河村たかし君外四名提出、  第百三十九回国会衆法第四号)  市民活動促進法案熊代昭彦君外四名提出、第  百三十九回国会衆法第一八号)  非営利団体に対する法人格付与等に関する法  律案木島日出夫君外二名提出衆法第一三号  )      ————◇—————
  2. 伊藤忠治

    伊藤委員長 これより会議を開きます。  理事辞任の件についてお諮りいたします。  理事西村眞悟君から、理事辞任したい旨の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 伊藤忠治

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  ただいまの理事辞任により、理事が一名欠員となっております。この際、その補欠選任を行いたいと存じますが、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 伊藤忠治

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  それでは、理事河村たかし君を指名いたします。      ————◇—————
  5. 伊藤忠治

    伊藤委員長 第百三十九回国会河村たかし君外四名提出市民公益活動を行う団体に対する法人格付与等に関する法律案、第百三十九回国会熊代昭彦君外四名提出市民活動促進法案及び木島日出夫君外二名提出、非営利団体に対する法人格付与等に関する法律案、以上三案を一括して議題といたします。  この際、お諮りいたします。  各案審査の参考に資するため、議長に対し、委員派遣承認申請を行うこととし、派遣地、期間、派遣委員人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 伊藤忠治

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  7. 伊藤忠治

    伊藤委員長 市民公益活動を行う団体に対する法人格付与等に関する法律案について議事を進めます。  提出者より趣旨説明を聴取いたします。河村たかし君。     —————————————  市民公益活動を行う団体に対する法人格付与等に関する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  8. 河村たかし

    河村(た)議員 おはようございます。河村たかしでございます。  慣例によりまして文書を読みますけれども、皆さん御承知のように、NPOという社会システムは、いわゆる二十一世紀、今からでも結構なんですけれども、国民社会的なものにどうかかわっていこうかという仕組みをつくる、例えば米国でいえば国内経済の七%も占める、そういう国家仕組みを決める、いわば市民社会憲法というような意味合いを持つ、極めて大きい意味のある法律でございます。  したがいまして、国民各層のほとんどの理解、そして国会では全員の理解、それを得てどういう仕組みをつくったらいいのかを考えるのはこれは当然でございまして、ぜひ、委員各位におかれましては十分に慎重なる御審議をお願いしたいということでございます。とにかく、社会仕組み考える、いわゆる市民社会憲法だということをまず先に申しておきます。  河村たかしでございます。  一、提案者を代表して、市民公益法人格付与法案について提案理由概要を申し上げます。  趣旨説明に入る前に、いわゆる市民団体法人格を与える法案が、我が党案のほか、与党三党、共産党からも提出され、多くの市民国民期待と希望に沿うべく、各党側努力の上に議員立法として提出されたことはまことに意義深く、ここに深く敬意を表する次第であります。  つきましては、各党案の十分なる審議がなされ、また、広く公聴会等が開催されるなど、国民各層意見を聴取され、よりよき法案成立のため、引き続き御努力をいただきますようお願い申し上げる次第でございます。  二、この法案意義は極めて重大であります。すなわち、明治以来脈々と続いた公益国家独占主義、すなわち、世のため人のためになる人間の営みについては国家がすべてそれを取り仕切るという考え方に風穴をあけ、二十一世紀日本国家像を問う法律案だからであります。  戦後の復興を支えてきた官による中央集権的、画一的国家運営による予算配分公的サービスの供給は硬直化しております。そのような、世のため人のための活動分野に、税制支援のある市民寄附金で支えられる多様な事業主体を認めることで、官僚の権限拡大に終わらない真の行財政改革を実現することができます。  また、国民社会にどうかかわっていくか、この仕組み考え市民社会憲法に相当するものと言えましょう。  何とぞ、この意義を十分に踏まえ、十分なる御審議をいただきますようくれぐれもお願い申し上げます。  三、さて、このたびの市民公益活動を行う団体に対する法人格付与等に関する法律案内容でございます。  まず、この法律案は、第一条、第二条に明文をもって示されていますように、多様な価値観を有する市民による多元的な社会を形成することがその最大の目的であります。  二十一世紀日本国家像は、今までのような画一的社会が、それとも、一人一人の人間を大切にする多元的社会が、この法律案は、明文をもって多元的社会づくりを目指しております。また、衆議院に上程いたしました税制抜本的改正案によって、NPO財政基盤多様性をも担保いたしております。公開と、金融機関に届け出た特定口座へ入金された寄附金につき、いわゆる特定公益増進法人並み税制支援を認める法律案でございます。  四、次に、第十二条以下においてこの法案は、NPO設立を、限りなく準則主義に近い知事の認可によるとしております。市民団体の自立を守るには、届け出のみで法人格を認めることが必要であるとの意見もあります。しかし、それには民法改正が避けて通れず、かつ、結果、税によるNPO公益性審査となってしまい、税務署が公益判断をする大きな権限を与えてしまいます。それは、かえって官の支配を強めるばかりであり、時間もどれだけかかるかとんとわかりません。  この法律案は、苦しんでいる市民団体の声に力強くこたえる法律案でございます。行政恣意的判断からNPOを守るためにさまざまな立法上の工夫を凝らしております。公益概念行政のための利益ではなく、社会一般利益、不特定多数の利益であると解釈する立法上の手当てを随所にしております。現在の公益法人の多くが官のため、いわば官益法人になってしまったのは、公益概念があるからではなく、民法第三十四条の許可、すなわち包括的な自由裁量公益法人設立をよらしめたことにあると考えます。  五、次に、この法律案は、民法特別法という性格づけで構成されておりますので、民法とのすみ分け、つまり、非営利公益団体の中から一定の分野を抜き出す基準が必要となります。この法律案では、地域基盤性をその基準としております。  それは、地域に根差した活動こそ、多様な価値観に支えられた自立的な市民社会を構築する不可欠なものと考えたからでありまして、このことは同時に、コミュニティー振興という政策地方分権という理念にかなうものとして位置づけられるからであります。  この地域基盤性という要件を定量化するものとして、この法律案では第三条二項において、社員の過半数、役員の三分の二以上が、主たる事務所所在地都道府県区域に住所を有するものであること、主として活動を行う区域が、当該団体の主たる事務所所在地都道府県区域内にあることの要件を置いております。  しかし、このことにより、県外海外活動は制約を受けるものではなく、それらの活動がフィードバックして、例えばシンポジウムの開催とか広報の発行とか県内コミュニティー振興に資していればよいということでございます。  六、以上がこの法律案概要でありますが、提案をして以来、多くの市民団体から多くの要望が来ております。市民団体の誤解を解くためにも、その要望に積極的にこたえた修正案提出する用意もしております。  七、以上、この法律案は、日本をもう一度市民の情熱と創意により、元気いっぱい、生きがいに満ちた国にしていくための法律案でございます。党派を超えた熱のこもった御審議を心より心よりお願い申し上げます。  ありがとうございました。
  9. 伊藤忠治

    伊藤委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  10. 伊藤忠治

    伊藤委員長 ただいま議題となっております三案の議事を進めます。  これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。岩永峯一君。
  11. 岩永峯一

    岩永委員 おはようございます。大変重要なNPO法案トップバッターとして質問をさせていただきます。  私は、二十年間県会議員をし、四年間町会議員をしてまいりまして、二十四年の地方政治の経験があるわけでございますが、自由民主党に所属する議員というのは、それぞれの自治体組織、またそれぞれの地域住民皆さん方のいろいろな意図を地をはうようにして受けて立って、本当に私は、このすそ野の広がりが日本政治形態、また日本住民生活形態というものを守っていっている基盤ではないか、このように自負しながら政治活動を続けてまいりました。  しかし、一面、こういう市民運動に対して自由民主党理解がないとかなじみがないとか言われる、そういう批判もなきにしもあらずでございます。しかし、私は、今回のNPO法案が浮上してきた背景に、自由民主党がどれだけ市民活動に深い関心と理解を持ちながらきょうを迎えたか、そのことを最初に知ってもらいたいと質問に立ったものでございます。  以前、毎日新聞の編集委員中村啓三さんのところへ、当時自民党政調会長でございました加藤紘一幹事長電話をされたことがあるようでございます。それは、九五年の一月二十六日付のコラムに出ていた、阪神大震災直後、被災地に駆けつけたボランティア活動を紹介しながら、非営利組織、いわゆるNPO日本社会の中できちっと位置づけるべきだ、そういう記事だそうでございまして、そのことについての電話をされたようです。加藤幹事長は、NPO政府自治体民間企業役割分担などについての考え方をお述べになりながら、NPOは非政府組織NGOでもあるから関連法案政府提案で出すのは矛盾だ、初めての考え方法案化するのだから難しい問題もあろうが、どうしても議員立法でまとめたいとの話をされたようであります。  また、NPO国際比較シンポジウムのため来日されておりましたジョンズ・ホプキンス大学レスター・サラモン教授が、NPOを最も理解している一人として加藤幹事長の名を挙げられたようでもあります。教授大震災直後に加藤さんと朝食をともにされ、そのときに大変鋭い質問加藤さんから次々と受けたと言われております。加藤幹事長は、こういう背景の中から、タイミングを見てこの問題を政治の前面に押し出そうと考えられていたのではないかと私は推察するわけでございます。  NPO政治課題として脚光を浴びるようになったのは、震災直後の本院予算委員会加藤さんがNPO法的地位などの問題を取り上げ、当時の五十嵐広三官房長官質問をされ、そして法人格付に前向きにやりたいという五十嵐官房長官の答弁がきっかけだった、このように聞いております。  その後、与党プロジェクトチームで一から議論を積み上げられ、恐らく加藤幹事長にしてみれば、これこそ与党三党が結集して新しい時代国民とともに歩みたいとの心意気をあらわす好材料で取り組まれたのではないか、このように考えられるところでございます。  以上、こういう我が党のトップの熱意ある背景からこれが法案化の運びになってきたということを言いたいわけでございます。  九〇年代、政党市民活動家によるNPO研究が活発化され、政治家問題提起をすれば幅広い議論が起こる素地ができたことも見逃せません。また八〇年代、我が国でも福祉環境分野NPOが産声を上げましたが、小規模で、ほとんどが公益法人の資格がとれずに、団体事務所賃貸契約すらできない。また、免税処置も受けることができず、何とかNPO法を成立させたいとの機運が高まってきたのも事実でございます。  アメリカでは八〇年代の後半、レーガン、ブッシュ時代福祉予算に大なたが振るわれまして、そしてそのことの中からNPOが盛んになり、一時は二百万を超えるNPOがつくられたと聞いておりますし、また、NPO公共施設の穴を埋めるだけでなく、環境問題や人権問題などで独自の活動分野を次々と切り開き、NPOは自主的で創造的な市民社会基盤として注目を集めてまいりました。  NPO問題とは、行き詰まっている大きい政府にかわって社会の連帯をつくり出す新たな手だての問題であり、地球規模課題に立場を超えてアプローチする手法にかかわる問題であろうと私は考えます。  橋本総理の六つの改革に対しては、間口を広げ過ぎたのではないかという批判もありますけれども、首相は、改革は連動していて一分野だけで成果を上げることは難しいとの思いがあるのではないでしょうか。改革の方向は、政府の関与をできるだけ減らして自己の責任の度合いをふやしていくということだと私は考えております。痛みを伴うことは首相も認めていらっしゃるわけでございまして、その空白を埋めるものとしてNPO改革の中でもきちっと位置づけられなければならない、このように考えるわけでございますけれども、この点について、NPO法案意義をどうお考えか、河村建夫先生、よろしくお願い申し上げます。
  12. 河村建夫

    河村(建)議員 お答え申し上げます。  ボランティア活動を初めとする市民活動というものが、我が国の少子あるいは高齢社会、また国際化時代、こういうものを大きな背景として、二十一世紀において日本がより活力ある、また豊かで、そして安心できる社会をつくっていく上で大きな意義を持つ、重要な役割を果たしていくというふうに考えております。  よって、こうした市民活動を活性化するための環境整備もしっかり図っていくということによりまして、政府政府役割、あるいは民間営利部門といいますか、そういうものの役割とともに、自主自律民間公益部門といいますか、いわゆる公益考え活動の発展というものが促進されることによって、社会が直面する諸問題を解決する手段がより豊かに、多様になっていく。多様な価値観の中で、そうした活動が生まれてくるということが極めて重要になっている時代を迎えておると思います。  岩永議員指摘のように、現在市民活動を行う多くの団体任意団体として行っておるわけでございまして、法人格がない。このために、契約を結ぶことが難しかったり、あるいは不動産登記、あるいは銀行口座の開設が不可能である、さらにNGO等の国際的な活動におきましてもリーガルステータスがない、そのために国際的活動において大変不利な状況に置かれて日本国際貢献の上からいっても非常に問題がある、また社会的な信用が低い、このような多くの障害があるわけでございまして、この問題を各方面から指摘をされ、この対策を急ぐようにこれまで求められてきたところであります。  さきに岩永議員指摘のように、昨年、当初加藤政調会長からも、この点について自民党としても早急に取りまとめるようにという話もございまして、我が党としては、きょう御提案者の一人であります熊代議員プロジェクトの座長として鋭意この検討を進めてまいり、さらに与党社民党、さきがけ等々とも何度もこの問題について検討を進めてきて、今回この法律提案になった次第であります。  市民活動を促進するための基盤整備の一環として、新たに市民活動を行う団体が容易に、また迅速な手続において法人格を得られるようにということがこの法案のねらいでありまして、私は、御指摘のように大変意義のある法案である、このように考えまして、御理解を賜りたい、このように思っておるところであります。
  13. 岩永峯一

    岩永委員 ありがとうございます。  次に、NPOが活発になれば、国、自治体福祉教育仕事が本当に減るのかどうか。  一つには、行政仕事の一部をNPOが担うことになるのだから政府役割というのは小さくなるという議論もございますし、また反面、政治市民中心のものに変える役割を担うのがNPOだ、政治市民生活優先になれば、福祉教育要求が高まる、そして予算をふやす運動にもなってくる、そして要求が満たされれば運動というのは小さくなっていくのではないか、このように言われてもおります。  NPOボランティアなど、だれが見ても社会の役に立っている団体に限るか、また公的セクター私的セクターの間にある団体を全部含めると、行政NPOのかかわりも違ってくると思うわけでございますけれども、将来的にどういうように財政にかかわってくるかと思うのでございます。  時間がございませんので質問だけ先にしちゃいます。  NPOの定義と将来の日本社会システムの中での位置づけというのは、私は、根本的な差はあろう、このように思っております。  国民生活最終責任は公が持つべきだという考えに立つ場合には、本来公がやるべき仕事NPOに分担させるのだから、免税補助金といった考え方が出てくるわけでございます。そのかわり、官庁の許認可、監督も当然となるわけでございます。  次に、公がすべてに責任を持つ時代は終わったと見るかどうか。GDPに占める国債発行残高は九〇%を占めておりまして、先進国の中で最悪になってきております。低成長と高齢化社会の到来の中ではもはや国民のニーズのすべてを公の責任で満たせる時代は終わったと言われている今、福祉を含む行政改革は大変大きな課題になってきております。公の不足をNPOに埋めてもらわねばという思いがあろうと思うわけでございますが、NPOに公の補完を求めるのか、またNPOを通じて公の責任をどう考えていくのか、この点を質問申し上げます。  そして、次に御質問申し上げますのは、最近の新聞論調では、NPO期待はあるものの、与党案に大変厳しいという論調もなきにしもあらずで ございます。しかし、制度をつくって失敗は許されない政権政党としての責任があるところだ、私はこのように考えております。  しかし、この中で重要なもの三点について、この法案背景をきっちりと答えておいていただいた方がよいと私は考えるわけでございますので、ひとつ、先ほど河村建夫先生のお話もありましたように、このことについて熊代先生は、本当に長い間この問題に精力的に取り組んでまいられ、そしてあらゆる角度から検討検討を重ねて、責任あるものを提案せねばと大変な努力を重ねてこられたとお聞きするわけでございますので、あえて国民理解を得る意味でもはっきりさせていただければ、このように思います。  その一つは、NPOが急展開したのは阪神大震災でのボランティア活動からでございましょうが、当時官が民を下部組織のように扱った、そしてそういう中からトラブルが大きく発生したということも言われております。私は決してそうではないと思っておりますけれども、そういうような状況背景にした場合に、今回の与党案に対し、官が民を排除し、都合のよい民だけをその下部組織に組み込もうとする印象があるとの批判がございます。それは十一の分野に限定しているのだということであろうと思いますけれども、消費団体オンブズマン等がどの分野にも入れないとか、もっともっと幅を持たせた方がよいとか、こういうような考え方が一面にございますが、この点についてどのように考えておられるのか。  二つ目は、活動監督が厳し過ぎるという話もございます。会員名簿会計内容などを毎年届けさせ、立入検査まで盛り込んでは、団体自主性会員のプライバシーを損なう心配があるということで、むしろ役所の仕事をふやして行革の流れに逆行するのではないか、こういうような話もございます。  三つ目は、寄附金優遇性がないことを挙げておるわけでございまして、与党案は、その中で、所得に対して原則非課税とはしておりますものの、寄附金優遇性について今後どう考えていくのか。恐らく外国の制度等に見られる、財政基盤を確かなものにしていこうとの考え方からだろうと思われますが、特典を悪用する個人や団体等の問題もあり、慎重さが大切だと私は思っております。  ひとつ、どの新聞等を見ましても、こういう疑義、批判というものがございますので、熊代先生、長い御研究の結果すべてのことをお考えいただいてきょうの提案になった自信をお伺いするわけでございますので、ちょっと時間がございませんので質問だけ走りましたが、よろしくお願い申し上げます。
  14. 熊代昭彦

    熊代議員 岩永議員、大変に勉強されておりまして、鋭い、難しい御質問を賜りましたけれども、基本的に、先ほどお話もございましたように、二年半にわたりましてこの問題を検討してまいりまして、いろいろな方面の御意見もお伺いしてきたというところでございます。  それで、官を民が補うのかというようなお話もございましたけれども、我が日本国は国民があって政府があるわけでございますから、民の自主自律活動が最初であるということは間違いないことでありまして、官が先にあって民が後に来るようなことは決してございません。それで、民だけで処理できない、交通整理をするとか、お互いに一致団結してやらなければいけないというところを政府が、官が担当しているわけでありまして、しかしその分野が広くなり過ぎてはいけないということでございますから、これを可能な限り小さくしていこう、そして民間でできることをしっかりとやっていこうということ、民間の力を強くしていこうということでございまして、そういう中でのこのNPO法案、私どもの市民活動促進法案はその一環でございます。  阪神大震災等でボランティアの方々が大変活動されたということでありますけれども、ただ志があって人が集まるだけではやはり仕事ができない、それをリードする団体があって初めてできるということでありますけれども、民法法人ですと、いろいろなケースがありますけれども、概括的に申し上げますと、三億円ぐらいなければ財団法人が取れないとか、それから社団法人ならば年間一千万円ぐらいは収入がないと無理であるとかいう厳しい許可の条件が現実として課されておりますので、そういう財政的な要件を一切取っ払おう、そして事務能力さえあれば、そして団体としての結集さえあれば、きちんと報告できる能力さえあれば法人格を差し上げるということになっておるわけでございます。  それとともに、税法をどうするかというお話もございました。それから、準則主義にするのか、許可、認可、認証にするのかという問題もございました。  準則主義と御主張なさる方々にぜひ御承知いただきたいことは、準則主義であれば、アメリカの法人の制度がそのとおりでございますけれども、寄附金も会費もすべて原則課税であります。非常に厳しい制度になるわけですね。私どもは、認証主義にしまして、準則主義に限りなく近いけれども認証ということにいたしましたが、これは、日本の伝統に従いまして、寄附金とか会費はすべて原則非課税、ほかの民法法人それから人格なき社団と同じ分野に立っております。そういうことでございます。  時間の制約もございますのではしょりますけれども、非常にいろいろなことを考えまして、しかも厳しい監督もございます。それは、例えばオウム真理教のように、非常に反社会的なことをしたというときには対応できるようにしてございます。しかし、一つ一つ市民活動法人がルールに従って活動している限り、世の中の常識に従って活動している限り一切干渉してはいけない、そういう規定を盛り込んであります。明らかにこれは犯罪行為があるとか、明らかに定款よりも全く違うことをしている、そういうことがわかったときにだけそれは公の責任を果たさなければならない、そうでなければ一切を自由にする、そういう民間の力、市民の力に信頼した制度をつくり上げてきたつもりでございます。  いろいろ御質問がございまして、答弁漏れもございましょうが、時間の関係がございますのでこれで終わらせていただきます。
  15. 岩永峯一

    岩永委員 大変な御尽力で、よくぞきょうここに提案ができるようになったと、本当に我々、感激でございます。  ただ、これからこのNPO法案が地につくために大変紆余曲折があろうかと思うわけでございますが、特に、官庁が主導できるものでもございませんし行政が主導できるものでもないわけでございますので、先生方に期待するところが大変大であろうと思います。本当に、民間の、市民法律というお話がございましたけれども、そういう分野での新しい出発でございますので、今後ともの格段の御尽力をお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  16. 伊藤忠治

    伊藤委員長 次に、大野松茂君。
  17. 大野松茂

    ○大野(松)委員 自由民主党の大野松茂でございます。  質問に先立ちまして、各法案のために今日まで御尽力を賜りました提案者の先生方に対しまして、心から敬意と感謝を申し上げる次第でございます。  今日、福祉や環境の分野を初め、幅広い分野にわたりましてボランティア活動社会の形成に欠くことのできない市民活動として関係者の知恵と汗が結集されております。今後、二十一世紀に向かって活力ある、豊かで安心できる社会を構築していく上で、一層重要な役割を果たしていくものと考えております。そのためにも、活動のための環境条件を整備していくことが必要でございます。  現在、大方の活動団体任意団体として活動をしておりますが、活動を展開する上ではさまざまな障害が生じております。さきの阪神大震災、また日本海重油流出事故などでも、その経験を踏まえて、法的対応が一層求められたところでもございます。市民活動団体法人格付与する場合、多様な分野においての活動であることを踏まえますと、民法公益法人制度で対応することは困難でございます。そしてまた、とてもなれるものではございません。その意味からも、民法特別法として法人制度を創設することに情熱を注がれました先生方に、重ねて敬意を申し上げるものでございます。  限られた時間でございますので、与党案との大きな相違点の幾つかについてお尋ねをさせていただきます。  まず、新進党案市民公益法人設立についてでございますが、まず第一点、設立申請に当たって、第十二条第一項で「主務省令で定めるところにより、」とあります。また第五十六条におきましては「主務省令は、」「事業を所管する大臣の発する命令とする。」こうあります。この規定ではまさに縦割りでございまして、複数の省庁が省令を定めることとなるはずでございます。その場合、各団体活動の幅というのは極めて広いものがございますので、どの省令に従えばよいのか、こういう混乱が団体に生じはしないか、こう思います。これが一点。  二点目に、この第十二条、第十三条、第五十六条の規定によりますと、機関委任事務を前提としている、このように思われるところでございますが、まずこの二点についてお尋ねをいたします。
  18. 河村たかし

    河村(た)議員 どの省令に従えばよいかということですけれども、これは前の委員会でも一遍答えましたが、そのときは法制局の方からありまして、共同省令という方式があるということでございますので、そんなお答えであったかと思います。  それから、機関委任事務がどうかということについては、機関委任事務としておりますけれども、いろいろな御要望もありまして、団体委任事務とすることも考えておるという状況でございます。
  19. 大野松茂

    ○大野(松)委員 主務省令の問題につきましては、これからの団体活動考えましたとき、やはり一番大事な理解につながることだと思うのです。ですから、この点をしっかり、こうするのだということがこの提案の中からもやはり明らかにされないと、熱心に取り組んでおられる皆さん方にしますと、果たしてそれはどのようなものになったらいいのかということだろうと思います。  そして今、機関事務ということですね、機関事務、与党案の場合には団体事務という形の中で取り上げているわけでございますが。この機関委任事務というのは、御案内のように、地方分権委員会の答申によりまして廃止の方向にあるわけでございます。なぜこの設立認可をするときに機関委任事務として残すのかということ、これは私は疑問に思っております。率直に言って、地方分権に逆行をしやしないか、このようにも思っております。本当はもっと詳しくお答えをいただきたいところでございますが、簡単にお答えをいただきましたので、私も次に進めさせていただきます。  もう一点、二つ以上の都道府県活動区域が及ぶときは、与党案では所轄庁、経済企画庁長官の認証とされておりますが、新進党の案では知事の認可とされております。したがって、先ほどにも触れるわけでございますが、県ごとの基準、対応になると思われるわけでございますけれども、その認可手続がうまく機能してくれるのかどうか、これも私、実は心配でございます。お答えをお願いします。
  20. 河村たかし

    河村(た)議員 まことに申しわけないのですけれども、ちょっと質問が聞き取れなかったものですから、もう一回言っていただけますか。済みません。
  21. 大野松茂

    ○大野(松)委員 このことを進めるとき、二つ以上の府県にまたがるときには県ごとの基準で対応するのだと思うのです。そうした場合に、端的に申しますと県ごとに基準に違いが出た場合、その手続がうまくいくのかということです。
  22. 河村たかし

    河村(た)議員 主たる活動がその県内にあるということになっておりまして、別に問題はございませんし、そういうことだろうと思いますけれども。
  23. 大野松茂

    ○大野(松)委員 どうも、大事なことなのですけれども、何かかみ合いません。自信を持ってお答えいただきたいと思うのです。  それでは、次に移らせていただきますけれども、新進党の案でございますと、「税制上の優遇措置等」ということで、第五十四条の第一項では、地方公共団体は、飛ばしますけれども、市民公益法人が一般からの寄附金を募集することを容易にするための措置といたしまして、税制上の措置を講ずるように努力義務を課しております。その税制上の措置とはどのようなものであるか、これが一つ。  そして、五十四条の二項では、地方公共団体は、必要な財政上及び金融上の措置を講ずる、これまた努力規定が課されております。このことはどのようなことを想定をしているのか、お聞かせを願いたいのです。
  24. 河村たかし

    河村(た)議員 税制上の措置としましてば、たくさん盛り込んでございますけれども、例えば、市民公益法人法人格を取得した場合は、法人格取得段階では非収益事業非課税ということでございます。そして、活動状況を公開している等一定の要件を満たせば、知事の認定を受ければ、特定口座を通じてなされた寄附金については、法人税の損金算入について特定公益増進法人並みにするということでございます。それから受け取る利子配当についても所得税を課さない。それから所得税の寄附金控除について限度額を引き上げる。  それから、これは全く画期的というかすばらしい税制だと思っておりますけれども、例えば、ボランティア活動に参加した場合その実費を所得控除するとか、ホームステイの無償受け入れの場合、一定額になると思いますけれども、それを所得控除していく、こういう制度を持っております。  それから、もう一つ何かありましたか。
  25. 大野松茂

    ○大野(松)委員 努力義務について。
  26. 河村たかし

    河村(た)議員 税制上の措置ですか。これは、市民公益法人の課税については、先ほど言いましたように原則として人格なき社団と同様でございますが、地方税法六条一項により、個々の地方公共団体は、公益上その他の事由があるときは、その独自の判断により一定の範囲のものに対して課税しないことができるとしており、この規定に基づく公益等による課税減免及び不均一課税の処置を考えております。なお、地方公共団体がこのような措置をとるに際しては、条例をもって定めなければならない、こんなふうになっております。  以上でございます。
  27. 大野松茂

    ○大野(松)委員 本来、いわゆる市民公益法人、これは権力からなるべく自由であるべき、こう思っております。このように国や地方公共団体かる優遇措置を受けることは本質的にいかがか、このようにも思います。つまり、このような優遇措置を受けることによって、団体みずからが市民公益法人自主性を否定することになりはしないかと思うのですが、その点いかがですか。
  28. 河村たかし

    河村(た)議員 そのことをもって、実は、これは私どもの一番言いたいところでございまして、先ほど自民党さんにも聞かれておりましたけれども、社会にどうかかわっていくかという公共サービスを提供する場合は、公共サービスのやはり対価が入らないといかぬわけですね。何か物を売ったり買ったりだったら、それは営利企業でいいわけですよ。だけれども、何か公共サービスをする場合は、公共サービスの対価が入る必要がある。それは、税という、いわゆる補助金で来るなら、これは一応役所の言うなりということになりますけれども、そういうシステムではなくて、私どもは、具体的に税制改正案を出しておりまして、寄附金です。  寄附金というのがなぜいいかというと、いいところへは寄附しますけれども、悪いところへは寄附しません。またもらう方も、補助金であれば毎年幾らでも来ますし、かえって使ってしまった方がいいということでございますけれども、寄附金の場合は、もっと寄附してくれ、私たちはこういう活動をしているのだ、こういうことをしなければ寄附金は集まりません。そういうシステムを税制改正案ではっきり出しております。  ですから、そういう格好で、公的資金というか、入る場合は、むしろ自主性が高まるということでございます。以上でございます。
  29. 大野松茂

    ○大野(松)委員 一般的に言って、我が国においては、寄附金、浄財等の考え方がいまだ根づいていないと考えられます。寄附金への所得控除等税制上の優遇措置を盛り込んだ新進党案については、申請手続あるいは受理側の処理及び虚偽申告等の面でさまざまな問題を想起することができます。また、公益法人課税とのバランスから考えまして、現段階ではふぐあいが多いと思われます。  実は、この点につきまして、新聞、例えば手元にありますのは昨年の日本経済新聞あるいはまた朝日新聞でございますが、この中に、新進党案は立案の段階から大蔵省の激しい抵抗に遭遇した、こうこの記事にあります。大変御苦労なさったように書いてございます。  新進党案税制上の優遇措置についてなんですが、この点について、大蔵省のお考えはいかがでしょうか。
  30. 伏見泰治

    ○伏見説明員 ちょうど議員立法をめぐりまして御議論がされているところでございますから、私ども政府の一員としましては、直接のコメント的なものは差し控えさせていただきたいと思いますが、現行の法人税法上、どういういわば課税の考え方が整理されているかという観点からお答えをさせていただければと思います。  現行の法人税法でございますが、御案内のように、大宗を占めます民間法人、これにつきましては、税法上、普通法人という言い方をしてございます。株式会社等商法等に基づきまして設立されたものにつきましては、普通法人としまして課税が行われることになってございます。これ以外のカテゴリーといたしまして、例えば、公共法人というような、公団とか事業団あるいは公庫といった、まさに広い意味政府の一員のようなもの、これについては非課税という扱いになってございます。それから、いわゆる公益法人等、こう言っておりますけれども、民法三十四条等に基づきまして設立されました民法法人、これにつきまして、御案内のように、一定の範囲で税の優遇措置をとっているわけでございます。  この税の優遇措置がとられている考え方でございますが、これは、結局、その一つには租税法定主義というのがございますけれども、ある意味でいいますと公共サービスの財源としての税でございますから、租税法定主義という中で課税についても非常に厳しい制約があるわけでございますが、同時に、一定の税の軽減をいたしますと、その分の財源というのはまさにほかの分野で何らかの確保をしなければいけない、あるいは、税の軽減というのは、ある意味では、広い意味では補助金を交付すると同様の効果もございますので、そういう意味でおのずと一定の制約があるのではないかという思想ではないかと思います。  現状の公益法人等につきましては、法律に基づきまして、主務官庁の許可なり、あるいはその後の指導監督が行われているということを前提に、一定の軽減が行われているということだろうと思います。  最近の状況で申しますと、まさに、現行法人税法で想定をしていなかった新しいタイプの法人活動が活発になってきたということでございますから、そこはまた新しい時代に入ってきたということであろうと思いますが、そういう意味で、税の公平ということを確保しつつ、いかにそういう新しい分野に対応していくかということを、今後まさに幅広く国民各層の御理解を得ながらどう考えていくのかということがポイントになるのではないかと思っている次第でございます。
  31. 大野松茂

    ○大野(松)委員 ありがとうございました。  与党案でもこの点は大変御苦労なさっていると思うのですけれども、与党案の立場で税制上どのようにこのことをされたかをちょっとお答えいただけますか。
  32. 熊代昭彦

    熊代議員 与党案税制は、御承知のように、人格なき社団と同じ扱いにするということを市民活動促進法の中にはっきりと書いてあるということでございます。  これはどういう意味を持つかというと、人格のないときに代表者の名前を登録しますと、それが税務署に認められますと、一応寄附金とか会費は無税に、非課税になる。三十三業種のいわゆる法人税法上の収益事業だけが課税となるということでございますが、法人格を一たび取れば、普通であれば、準則主義のようなやり方ですと営利法人になりまして、これは寄附金も会費もすべて原則課税であるということになるわけですが、それを、法人格を取った後もはっきりと人格なき社団と同じ扱いにするということで、代表者に課税されるというようなことはこれで一切なくなります。  将来これをどうするかというお話、この二年半の間に随分議論されたわけでございますが、民法公益法人並みの課税の軽減税率二七%にするかどうか、みなし寄附が二〇%、所得の二〇%をもともと寄附したとみなして課税されないとか、そういうものの適用、さらには、特定公益増進法人で、寄附した方の所得税が、法人の場合損金に算入されるとか、個人の場合これも寄附金控除を受けられるとか、それが特定公益増進法人の税制、御承知のとおりでございますが、これにつきましても、この一年ないし二年の市民活動法人の活動の実態をよく見まして、非常に多様な法人が認可されると思いますので、それに値する法人がたくさんあるということならば、その基準を定めて税法上の特典を付与するということも検討してまいろうということで、法律の附則に三年以内に根本的に検討するということを付したところでございます。
  33. 大野松茂

    ○大野(松)委員 ありがとうございました。  最後になりますが、このNPO法の成立というものは、地方分権という課題とも大きな関係があると思っております。既に第三の分権という言葉も使われ始めているところでございますが、国から地方自治体への分権、都道府県から市町村への分権に続いて、市町村から市民活動団体への分権という新しい流れが始まるもの、こう認識をしております。  今まで行政が直営でやってきた仕事をどれだけ市民活動団体に任せられるのか、課題は極めて大きいと思うのですけれども、これらについて、時間がございませんが、自治省の御所見をちょっとお願いします。
  34. 山下貴史

    ○山下説明員 お答え申し上げます。  御指摘市民活動やあるいは市民活動団体が果たします社会役割につきましては、多くの方がおっしゃいますように、近年におきます少子・高齢化、あるいは国際化の進展といった社会環境の変化の中で、地域社会の活力を支える力の一つとして、重要性が非常に大きく指摘をされてきているところでございまして、それぞれの地域におきます自治体行政としましても、こうしたNPOとの適切な連携協力ということが非常に大事な課題になってきているものというふうに私どもも考えているところでございます。  ただ、一般に、自治体行政NPOとの関係のあり方につきましては、例えば大都市圏の地域、あるいは地方圏の地域自治体でやはりそれぞれ相当違いがございますし、地域によってやはりさまざまであろうかと思いますので、私どもとしましては、今後、それぞれの自治体がそれぞれの地域の実情を十分踏まえたやり方で、かつまたこの市民活動団体の一番の特色と言われております。その自主性あるいは自律性を損なわない形で適切に行政施策の面で連携協力が図られていくことが望ましい、こういうふうに考えているところでございます。
  35. 大野松茂

    ○大野(松)委員 どうもありがとうございました。時間が参りましたので、与党案の成立を願って私の質問を終わります。
  36. 伊藤忠治

    伊藤委員長 次に、菅義偉君。
  37. 菅義偉

    ○菅(義)委員 自由民主党の菅でございます。  与党案について質問をいたします。  我が国市民活動は、民主主義の原点に立って活動が盛んなアメリカなどの先進諸国と比べると著しく立ちおくれている、これは否定をすることのできない事実であろうと思います。しかしこれからは、まさに官民と並ぶ第三の組織としてのこのNPOと呼ばれる市民活動を活発にしていくことが、日本の民主主義にとっても極めて重要なことであると思います。  現在まだ小さな市民活動社会的に支援をし大きく育てていこう、そういう意味合いを持ってこの法案提案をされたと思いますけれども、まず、この見解について最初にお尋ねをします。
  38. 河村建夫

    河村(建)議員 お答えいたします。  菅議員指摘のように、戦後日本のこれからの生きるべき道、日本社会の変革、そういうものに対応して、開かれた市民活動社会貢献活動を活発にしていくということは、これからの日本にとって極めて大事なものである、全く認識は一致いたしておるところでございまして、この法案も、まさにそこにねらいがあるわけであります。自主自律の理念に立って、これらの団体社会的信用を高めて、そして活動基盤を整備して、市民活動が健全に発展していくための法律であります。  推計によりますと、全国で約八万六千の市民活動団体が現在活動しているわけであります。この法律案が整備されることによりまして、これらの団体基盤が強化されることになるであろう、こう思っておるわけでございまして、これらの団体がこれからその基盤の整備を進めながら、法人格を持ちながら活動するということは、我が国社会公益の上からいっても大変意義のあることではないか、このように思い、菅委員指摘のように、この法案を進めていくことは我々の使命であろう、このように考え提出いたした次第であります。     〔委員長退席、御法川委員長代理着席〕
  39. 菅義偉

    ○菅(義)委員 さらに、今回のこの与党案は、自民党、社民党、さきがけ三党の提案者皆さんが中心になって、まさに一生懸命知恵をめぐらして作成をされたものであります。この法案は、まさにこれまでなかった法律の新たな分野に切り込んだということで高い評価を、私は意義があるものと思いますが、こうした先駆的なことを始めていくには、最初から急いで多くを求めて、大ぶろしきを広げてあれもこれも、こういうことではなくて、間口を広くして、そして試行錯誤を重ねながら理想的なものをつくり上げていく、また、私はそういう手法の方が正しい、こう考えており、このことが現実に即した対応であると思います。  そういう意味合いにおきまして、時間もある程度は必要である、与党案についてはこの辺も配慮されていると私は思いますけれども、この点について見解を伺います。
  40. 河村建夫

    河村(建)議員 この法案提出に至ります過程でいろいろな議論があったこと、御承知のとおりであります。しかし、御指摘のように、まずこの法案を通すことによって市民活動を活発にしていく、これは大原則だということで、あらゆる障害を乗り越えてここに提案に至ったわけであります。しかし、市民活動法人制度、この制度におきましては、「この法律の施行の日かも起算して三年以内に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。」という附則もついておるわけであります。  したがいまして、今後、別表にもありますような十一分野の対象拡大とかあるいは税制上の優遇の問題等々も当然この附則の中に含まれておるというふうに解釈をしておるわけでありまして、小さいわけではありませんが、小さく産んで大きく育てるということわざもございますが、まさにそういう考え方に立ってこれをスタートさせようということになったわけであります。
  41. 菅義偉

    ○菅(義)委員 先ほどの我が党の岩永議員の中で、例の十一の分野に限定をされておるから排除される団体があるのではないかとか、あるいはまた認証に際して行政監督色が強過ぎるではないか、こう批判をする人もおりますけれども、しかし、条文を素直に読めば、一定の条件さえ整っておればありとあらゆる団体法人格を得られる、そんな法案になっていると私は思いますけれども、この点についてはいかがですか。
  42. 熊代昭彦

    熊代議員 この法律案の立案に当たりましては、公益法人の一種類でございますので、民法三十四条に公益法人の一般法がありますので、その中で、民法は非常に厳しい許可制度である。しかしこの制度は、法律の条文にさえ合っていれば非常に簡単に三カ月ないしは四カ月で必ず法人格がとれる。同じ分野で二つの法律規制があっていいだろうかという議論が当然あるわけでございますので、民法特別法としてのすみ分けをしなければいけない。すみ分けでボランティア活動だけに限定するわけではございませんが、有償で働いている人も当然含まれるわけですけれども、ボランティア活動として一般に行われている分野を十一分野選び出した、そういうことでございます。  それで、これでいろいろな団体を排除するつもりかというお尋ねかと思いますが、そういうことはございませんで、十一項目の中に常識的に含まれる、まあ常識と申し上げれば大変インチキなように思われるかもしれませんが、コモンセンス、コモンローで、法律はすべてコモンロー、コモンセンスでございますから、常識的に含まれるというものは積極的に含んでいく、そういうことですね。  そういう次第でございますが、しかし、あらゆるものが含まれるかというと、あらゆるものが含まれれば民法とのすみ分けはできないということでございますので、当然この分野には入っていないものはある。しかし、これが永遠に変わらないものではございませんので、これだけ入れればもう十二分に網羅したと思っても、やはり落ちもあるというのは人間のわざでございますから、三年以内の見直しというのを附則で入れている、そういうことでございます。
  43. 菅義偉

    ○菅(義)委員 私は、今の熊代議員の答弁のように、排除されておるものでもないし、さらに行政監督が強まっている案でもない、このように理解をいたしております。  そこで、逆に私が心配をいたしておりますのは、一定の条件さえ整えば、先ほどもオウムの話が出ましたけれども、例えば暴力団や過激派と言われるような反社会的な団体市民活動団体を装うような形で法人格を得ることも今のこの内容では可能ではないかというふうに私は考えております。その中で、こうした団体法人格をとれば、現在の市民活動団体の人たちは社会的信用を求めて法人格をとるわけでありますから、市民活動そのものに対してマイナスのイメージが出てくるおそれが高いわけでありますので、こうしたことは絶対に防がなければならない、こう考えます。この点についてはどのような御配慮をされておられるのか伺います。
  44. 熊代昭彦

    熊代議員 このお答えの前に一つ。  委員が確認されたとおりでございますけれども、行政の裁量の余地を非常に少なくしている、条文に書いてあるとおりきっちりとしていればそのまま三カ月以内に認証されるということでございますので、それは、できるだけ行政の恣意から市民活動団体を守りたいという趣旨でございます。  そういうことでございますが、これは委員が確認いただいたところでございますけれども、その反面、暴力団が入ってくるのではないかということでございまして、これはおっしゃるとおりでございます。  私ども一番苦労しましたのは、善意の市民団体が本当に自由濶達に、行政の監視を一切なしで活動できるということとともに、善意を装って非常に悪いことをする、例えばサリンをまきましたオウム真理教は宗教法人でありますから公益法人ですね。一番ガードされている、一番保護されている宗教法人でございます。一切行政の立入検査もできない。法律を改正しても、法人の承諾がなければ立入検査ができない、そういうことになっておりますので、そういうこともあるわけですね。  それに対しまして、例えば暴力行為を行って処罰された場合、二年以上たっていなければ役員になれないとか、かつての罪がありましてその罪がまだ償われていないという状況では法人の役員に入れないとか、そういう事前にチェックする機能も十二分に入れております。  それとともに、やはり事前にどんなにチェックしましてもこれは網の目を漏れてくるわけでございますので、厳しい厳しい許可の民法法人でもそうでございますので、現実に本当に反社会的な行為を繰り返すということがわかりますと、その場合には例えば改善命令をする。改善命令をするのがもうおかしいようなものは、直ちに立入検査をして直ちに取り消しをする。サリンをまいた団体にもう少しサリンをまかないようにしてくださいというような改善命令は出せませんので、そのときは直ちに立入検査とともに取り消しをできる、そういう厳しい一面もございます。  しかし、これは、本当に犯罪行為をしたのは明らかだ、そういうように見られる法人に対して厳しい態度で臨めるというものを法律に取り込んだところでございます。一般の善良な法人には一切干渉のない法律ということでございます。
  45. 菅義偉

    ○菅(義)委員 ぜひ、一生懸命頑張っている団体がそういうイメージ低下を招くようなことのないように御配慮いただきたいと思います。  さらに、この法案によれば、先ほども税制問題の話がありました、税制については人格なき社団と同じ扱いをする。しかし、もっと税制上の優遇措置をとるべきである、こういう意見も強くあるわけであります。  しかし、現状を考えるときに、まさに橋本内閣、特殊法人や公益法人に対して全体の見直しを今進めておるわけであります。私は、NPOをただ単体で、これだけで税制を決めるのではなくて、やはりこうした法人と総合的に税制についても検討すべきであると考えます。そして、これについては三年以内に実態を踏まえて検討して結論を出す、こういうこともあるわけでありますけれども、この点についてはいかがお考えですか。
  46. 熊代昭彦

    熊代議員 委員指摘のとおりでございまして、与党案としましては、税制についても本当に苦労したわけでございます。最初から何でも税法上の特典を与えるということにしますと、やはり認証の条件を厳しくしないといけない。そうしないと世の中の指弾を受けるわけでございますので、できるだけ認証の条件は緩やかにし市民活動を自由にしたいということで人格なき社団並みな扱いということにしたわけでございます。  これとても、申し上げましたように、法人格を取っても人格なき社団ですから、寄附金とかそれから会費収入とか、収益事業以外のものはすべて非課税である。アメリカの制度に比べればはるかに有利な扱いになっているわけでございますが、世の民法法人並みあるいは特定公益増進法人並みあるいはその他の税法上の優遇措置を考えるかどうかというのは、御指摘のように一年ないし二年しっかりと実態を見せていただいて、これはすばらしいということがはっきりすれば、おのずと世の中の総意といたしまして、世論といたしまして、そういう税制上の優遇措置をということになると思いますので、そういう構えでいるところでございます。
  47. 菅義偉

    ○菅(義)委員 経企庁の調査によれば、市民団体が八万六千ある中で一二%の人が法人格を望んでいる、こういうことでありますけれども、これが成立をした暁にはどのぐらいのことを予測をされておりますか。
  48. 熊代昭彦

    熊代議員 私どもも、全国的な調査としましては経企庁さんの行われた調査しかございませんので、経企庁さんの推測どおり、約一万程度の市民活動法人が申請をし、そして認証を得るというふうに考えております。
  49. 菅義偉

    ○菅(義)委員 私は横浜市会議員の出身でありますけれども、横浜市の精神薄弱者育成会連合会、実はこの会の顧問をしております。ここで法人格を取りたいということで実は三年来頑張っているのですけれども、大変な金額が必要でありまして法人格が取れない。そういう団体が、今、熊代議員は全国で一万件ぐらいこの法人格を取るだろうという予測であると思いますけれども、一生懸命に地域で草の根活動をしているそうした団体にとりましては、この法案を一日も早く成立させてほしい、そういう声が圧倒的に強いわけでありますので、ぜひ私どもも頑張りたいと思いますので、この法案が成立することを期待をし、質問を終わります。
  50. 御法川英文

    ○御法川委員長代理 次に、渡辺博道君。
  51. 渡辺博道

    ○渡辺(博)委員 自由民主党の渡辺博道でございます。  我が党より四人の質問者が出てまいりまして、最後の質問者でございますので若干ダブる点があるかと思いますが、質問をさせていただきたいと存じます。  個別的な質問に入る前に、このNPO法案に関します私の基本的な考え方についてお話をさせていただきたいと存じます。  市民活動団体に関する問題は、法人格付与の是非や税法上の取り扱いなどのいろいろな角度より御論議がされておりますが、もっと社会全体のシステムの中でトータルで位置づける必要があるのではないかと思うわけであります。とりわけ既存の国や地方公共団体行政システムとの関係における市民活動団体の位置づけについては、規制緩和や地方分権、それらの各種行政改革課題と同じような流れの中で考えていく必要があるのではないかというふうに思うわけであります。それは、来るべき二十一世紀日本社会における行政の守備範囲の構造的見直し、そういうような根本的な問題の一つとして位置づけられるべきではないかと思うのであります。  このような観点に立つなら、当然のことながら、民間に任せるものは民間に任せ、でき得る限り小さな政府を推進することがまさに時代の要請であるというふうに認識しているわけであります。国や地方公共団体の守備範囲が狭まるということは、当然のことながら市民活動団体の守備範囲が広がることであります。基本的には、それまで行政の担うものであると考えられていた公益的なものについても、これからはいろいろな市民活動団体が多種多様な公益的な活動を担うことになっていくと思われるわけであります。  そして、その守備範囲を広げるための第一歩が法人化ではないかと思うわけであります。現に社会の中では、活発に活動を始めている多くの市民団体から法人化についての強い要請があることは承知の上でありますが、さらにそのような活動を一層しやすくなるような環境整備をしていくことが立法者としての大きな責務ではないかというふうに考えております。  本法案考える上で大切なことは、行政市民活動を過度にコントロールすることなく、自由な発想と活動を通じて、そこから生まれるエネルギーを生かした市民社会をつくるために行政市民活動を支援し、かつ、ともに生きる、共生していける制度をつくり上げていくことが必要なのではないでしょうか。このような基本的な考えの上に立ち、以下、特に与党案について、幾つかの条文の内容につき具体的に質問をさせていただきたいと思います。  与党案の二条でございます。「この法律において「市民活動」とは、別表に掲げる活動に該当する活動であって、不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とする」という条文がございます。この条文の中で特に疑義が生ずる点は、私は「不特定かつ多数のものの利益の増進」という点にあるというふうに思うわけであります。この不特定多数のものの利益とはどういうものを言うのか、具体的にお示しいただきたいと思います。
  52. 熊代昭彦

    熊代議員 「不特定かつ多数」というのは、裏返しますと、特定の人ないしは特定団体利益でないということですから、一般的にだれにでもサービスできる。しかし、現実には四、五人しかしていないということでもいいわけですね。会員制のものもありますけれども、会員制というのも、本当に他の人が入れないようにしてあるということじゃなくて、非常に緩やかな会員制で、だれでも会員になれるというようなものも不特定多数を目的としたものであろうという解釈になると思いますが、具体的には、個々具体的なものの判断になるだろうと思います。
  53. 渡辺博道

    ○渡辺(博)委員 そうしますと、具体的な内容に立ち入っていくと、それぞれの多種多様な形態があるということでございますね。そういった中では判断が大変厳しく、それぞれ行政体の中で判断していくということになると思うのですね。そうしますと、その判断の基準をある程度明確にしていかないといけないというふうに思うわけであります。  したがいまして、この中で会員制という一つ団体がある場合を想定しますと、この会員という場合は要するにどういうものを位置づけていくか。会員としての位置づけでございますけれども、会費を取るというのが一般的ではないかと思うのですね。こういった会費を取って、そしてその中に事業として参加する、その会費を取ることが直接的には不特定多数の要件には該当するかしないか、この辺はどうでしょうか。
  54. 熊代昭彦

    熊代議員 個々具体的であればなかなか難しくなるのじゃないかという話がございますが、これは申し上げましたように、コモンロー、コモンセンスで解釈していただくことになるわけでございます。  例えばの話でございますけれども、入会金千円で年会費がまた二、三千円とかいうことならば、それは会員となった方にいろいろ連絡しなければいけない、電話連絡費も郵送料もかかるということでございますから、だれでも入ってくださいというふうにオープンになっているというふうに解釈するべきじゃないか。ところが、入会金は十万円です、それで年会費は五十万円です、これは明らかにブロックしまして、ブロックした中だけでやりたい、こういう趣旨でございましょうから、これは明らかに不特定多数ではない、こういうことであります。  その間をどうするかというのは、やはりコモンセンス、コモンローで認証所管官庁が一義的には考えていただく、そして全国的に徐々に統一されていくということだと思います。
  55. 渡辺博道

    ○渡辺(博)委員 相関連するわけでございますが、二項の一号イのところに「社員及び会員の資格の得喪に関して、不当な条件を付さないこと。」という条文がございます。この内容につきましては、今熊代先生がおっしゃったような内容ということに、一例でいうと、御理解してよろしいのですか。そのほかにどういったものが想定されるわけでございますか。
  56. 熊代昭彦

    熊代議員 先ほど申し上げましたのは、不当な会費で、会費が高過ぎて一般の人では会員になれないというようなことを申し上げたわけですが、ほかにも、例えば何々大学の卒業生でなければ入らせないとか、それから宗教活動をやっていらっしゃる方も多いわけでございますが、それで市民活動をやられる方は当然いいわけでございますけれども、会員の資格として、何々宗の人でなければ入らせないとかそういうことになりますと一般の人は入れないということになりますので、現実問題として何々宗の方が多い、その周辺に一般の人も入ってくるということはいいわけでございますが、先ほど申し上げましたように、一般の人が入れないような条件は不当な条件であるということでございます。
  57. 渡辺博道

    ○渡辺(博)委員 ありがとうございました。  こういった定義の中で、一番基本となるものがそれぞれの所轄庁で判断されるということであると思うのですね。これが、第九条におきます「市民活動法人の所轄庁は、その事務所所在地を管轄する都道府県知事とする。」ということで、団体委任事務をここで明記するような形で記入されております。実際にこういった具体的な事例が出たときに、この判断がそれぞれの県で異なっていった場合、ある団体では認証され、ある団体では認証されない、その内容がほとんど同じような場合であったとしたら、こういったものを解消するには何らかの手だてはありますか。
  58. 河村建夫

    河村(建)議員 委員指摘のように、今回のこの法の精神、地方分権時代に合わせてということで、都道府県知事の認証ということになっておるわけですね。団体委任事務になっておるわけであります。  ただ、これが第二項で、各県にわたる全国的な規模であるものにおいては経企庁長官、こういうふうに分けてあるわけでありますが、特に知事の認証の場合にはその県の中でということでありますから、かなり地域的な活動も出てくるであろう、こういうことを考えますと、若干各県によってその基準が違うということは起こり得るであろうというふうに考えられます。  しかし、余りにも大きな差異がある場合、あそこで認められて同じものがこっちで認められなかったというようなことが、そういうことが起きるとは思いにくいのでありますが、万一起きた場合に、もし訴訟でも起きれば、裁判所の判断にまつというようなこともあるかもしれません。  そういうことを避けるために考えられることは、例えば全国知事会等の中にそういう協議機関を設けていただいて、できるだけ基準をある程度ならしていただいて、余り差がないように協議していただく、そういうことが必要ではないかなというふうに考えておりますが、大体の基準をつくっていくわけでありますから、委員指摘のような大きな心配といいますか、そういうことは起きないであろうという想定に立っておるわけであります。     〔御法川委員長代理退席、委員長着席〕
  59. 渡辺博道

    ○渡辺(博)委員 そうしますと、基本的には大きな問題は起きないだろうという御認識でございますが、実は、具体的な事例をもってお考え方をお聞かせいただきたいと思いますので、委員長、資料を配付させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。  実は、これからお配りします資料につきましては、私が、地元でございますが、その地元の中で、NPO法案ができたら、私たちは法人化を目指してぜひとも頑張りたいというような組織でございます。こういう組織の中の要望がございまして、もし万が一これが認証されないとなりますと、私自身の立場もございません。  そんなわけで、この内容につきまして、会員制の互助団体であります。お互いに助け合う、助け合いの輪を広げようということで、これは松戸くらしの助っ人という変わった名前でございますが、こういった団体がございます。この団体内容について、会費が入会金千円、年会費三千円、こういった規定でございます。これが果たして対象となるや否や。  この問題については、たまたま一つ団体と思わないでいただきたいわけです。実は、こういった団体が全国に、現在わかっているだけでも、私が資料を取り寄せましたところ三百八十四団体、全部これは個々に独立して活動している団体であります。そのもとの指導をしているのがさわやか福祉財団というところでございまして、こういう財団がこういった福祉のあり方をどんどん各地に広めておりまして、ぜひともこれはNPOにおいて、法案が成立したもこの対象となる団体にしてもらいたい、そういった要望がございます。したがいまして、この内容につきまして、ぜひとも見解をお聞かせいただきたいと存じます。
  60. 熊代昭彦

    熊代議員 大変いい資料をお配りいただきました。  しかし、一般的に申し上げまして、千葉県知事の認証権を私がこの場で縛るわけにいきませんので、地方自治ですので、基本的には認証の裁量にお任せしないといけないと思いますが、先ほど申し上げました原理原則によれば、入会金千円と年会費三千円というのは、まあ、一般の人の入会を妨げない、そういうことではないのだろうかと私自身は思います。基本的には千葉県知事の認証の自由裁量にお任せしたいとは思いますけれども、この辺で意のあるところを酌んでいただきたいと思いますが……。
  61. 渡辺博道

    ○渡辺(博)委員 方向性は大体わかりました。  ただ、大事なことは、先ほども申しましたように、各県が認証するわけでございますが、この中に、必ずしも入会金が一律で千円でないという団体があるわけでございます。もう少し高い金額があります。でも、やっている内容というのはこれと同じ内容なのですね。こういったときに、片方の団体では認証され、片方では認証されない、こういった問題の不都合は事前にわかるのであればやはり解消していきたいというのが、本来、法を制定する者としては当たり前のことだと思うわけであります。  したがいまして、今、熊代先生のお話を十分気持ちとして受けとめさせていただきましたが、こういった団体が全国各地に今やかなりの数で活動しているということもひとつ御認識いただきたいと思うわけであります。そして、二十一世紀はまさに高齢化社会に到達するわけでありますので、こういった中でこういった団体が一生懸命地域のためにボランティア精神のもとで働ける、こういった制度をぜひとも確立していただきたいというふうに思います。  時間が若干余りましたが、いい答えを聞かせていただきましたので、これで終わりにさせていただきます。ありがとうございました。
  62. 伊藤忠治

    伊藤委員長 次に、河村たかし君。
  63. 河村たかし

    河村(た)委員 河村たかしでございます。  まず冒頭ですけれども、先ほども趣旨説明で申し上げましたように、このNPOというのは、市民社会憲法というような極めて大きな位置づけのある法律だと思います。それで、こうして審議を始めておるわけでございますけれども、きょうの新聞なんかによりますと、六月三日に採決をするのではないかというお話を聞いておりますけれども、与党理事、六月三日にこれを採決されるのかどうか。
  64. 熊代昭彦

    熊代議員 私も与党理事の一人でございますけれども、与党理事の全体ではございませんので、お断り申し上げますが、これはすべてこの内閣委員会の審議次第でございますので、そのようなことが勝手に決められるわけがございません。
  65. 河村たかし

    河村(た)委員 採決をしないということは約束いただけませんか。
  66. 熊代昭彦

    熊代議員 それも内閣委員会の権限でございまして、私が申し上げるのは越権行為でございます。
  67. 河村たかし

    河村(た)委員 どうもいろいろ御事情があると思いますけれども、仮に出口がそんなようなことで決まっておるようでしたら、本当にこれは悲しいことだと思いますね。  僕は、この問題というのは、先ほどいろいろな質問もありましたけれども、一億国民がどうやって社会にかかわっていくかということを決める大変な問題でございまして、だからもっといろいろなところでいろいろな動きが出て、国会議員のほとんどがNPOとは何かという認識があってしかるべきだと思います。  社民党さんはどうですか、採決に関して。
  68. 辻元清美

    辻元議員 今、河村議員を初め、このNPOにかかわってこられた議員のすべての皆さんにここで敬意を表したいとともに、それから、全国でNPO活動をなさっていた方に、その活動に対して、私、初答弁ですので、まず敬意を表したいと思います。  そういう意味では、今熊代さんもおっしゃったとおりでございまして、私は、採決するかせえへんか、そんなことをここで答弁しようと思って来たわけではございません。きょう六時間ございますので、内容について十分な審議をしたいと思ってここに立っております。それは河村さんと同じ気持ちだと思います。以上です。
  69. 河村たかし

    河村(た)委員 とにかく、そういうことのないようにね。  内容に入りますけれども、何もこの国会で拙速に決めることもないし、本当に皆さん理解して、いいものをつくっていく、それにふさわしい法律です。私、自民党皆さんにも、今から質問で言いますけれども、これはどういう社会をつくっていくのかという哲学的なことが背景にありますから、ここで簡単に切ってしまわないように、本当に心から訴えたいと思います。  まず、与党にお伺いしたい。  NPO法NPO法と言っておりますけれども、与党さんの中からいわゆる税の話を検討したという話はありますけれども、条文の中にない。それから税法も出しておられない。自民党議員として、NPOというのがどういう社会をつくっていくというイメージでこれに取り組まれたのか。  僕は、個人の自由とか責任とか創意工夫、競争、そういったものが自民党の一番の精神だと思うのですよ。僕は実は自民党が非常に残念でしょうがない。今言いましたように、個人の自由と創意と工夫を大事にする、役所べったりの国をつくらない、それが自民党の絶対的な精神だったはずですよ。(発言する者あり)それは後から言いますけれども。それをやるためには、要するに寄附金控除の制度に踏み込まないと、幾ら自主独立だといったって、寄附金制度がなくて補助金漬けになってしまったら、だれも公共サービスを政府と競い合いながら、補い合いながらできないじゃないですか。  そこら辺のところを、熊代さん、長い間一緒にやってまいりましたけれども、自民党議員として、初めにどういう社会をつくろうと思ってこのNPOに取り組まれたのか、ひとつ聞かせてください。
  70. 熊代昭彦

    熊代議員 自由民主党を大変高く評価していただきまして、心から感謝申し上げるところでございます。自由民主党は、自由主義の政治、経済、そして民主主義を大切にする党でありまして、この原点に立ち返る限り、いつも不死鳥のようにみずみずしく生まれ変わり前進する党であると思います。  お尋ねのことでございますけれども、どのような社会か。  自由が基本でございますから、やはり国民市民活動がすべて主体でございまして、政府はその補いをするものでございます。補いをする政府がだんだん大きくなってくるということは、市民要求に基づくものであっても問題である、この時期に大いに反省しようということでございます。  今考えますと、役人は中央、地方入れましても四百四十万人ぐらいです。私どもは、この市民活動促進法案NPO法人、市民活動法人ができまして、それを中核として、二、三千万人の市民ボランティアとして、あるいは有償ボランティアとして生き生きと生きがいを持って働く社会、それを政府が有効に補う、足りないところを補う、あるいは交通整理の必要なところは交通整理をする。それから、世界に向かってやらなければいけないところはやりますけれども、世界に向かってもNGO民間活動を主としてやるということでございます。  政府と、それから明らかにNPO民間公益活動が大きな分野、それに民間営利活動、この三者が相まって生き生きとした二十一世紀社会をつくってまいろうということでございまして、これは自民党の党是そのものでございます。
  71. 河村たかし

    河村(た)委員 ここからぜひ自民党皆さんに聞いておってほしいのですよ。市民が主役になろうというのは同じなんです。じゃ、どうやってその団体は生きていくのですか。皆さんも私も議員ですけれども、実は税金で給料をもらっているのですよ、今こういうことをやって。これはいい法律をつくっていこうという公益活動ですよ。ちゃんと税金で給料をもらっているのですよ。  じゃ、市民団体はどうやって生きていくのですか、お金は。どうやって行政に自立していくのですか。皆さんはどういうシステムを考えてみえるのですか。これをちょっとお願いします。
  72. 熊代昭彦

    熊代議員 市民活動としまして一番すぐれた活動は、みずからの資源でみずからの活動を律するということでございまして、補助金とか、税金をまけてもらうということがなくても、堂々とやっていくというのが一番自主的な活動であろうというふうに思います。それとともに、政府活動をスリムにして、税そのものは大変に安くしていく、国際水準にまで持っていくというのは大変大切なことであろうと思います。  それが一番の基本でございまして、そういう基本原則の上にさらに公益活動を促進したいということでございます。  しかし、税法上の特典をつけるという面につきましても私どもは検討してまいりたい。とりあえず人格なき社団という取り扱いを、代表者に課税されるとかいろいろ課税上の不都合がないように、市民活動促進法の中に法文上はっきりと取り込みました。  その先の、現在の公益法人並みの税法の優遇措置、あるいは、さらにそれを超えて個人寄附について税法上の特典を設けるかどうかというようなことも検討してまいりたいと思いますが、やはり公益ということがございますので、法人の活動を一年じっくり見せていただいて、それとともにすぐ検討を始めたいというふうに考えているところでございます。
  73. 河村たかし

    河村(た)委員 今言われた中で、みずからの資源でやるというのを中心にお考えのようですね。  すると、いろいろな団体があり得ると思いますけれども、これは自民党皆さんに言わないかぬのだけども、単なる民間企業ならいいですよ。なぜかというと、例えばこのコップを売ったり買ったりということになりますと、これはコップのサービスの対価が直接一個五十円とか百円とが入ってきますからいいですよ。  しかし、何度も言いますけれども、公共サービスをしていくわけでしょう。社会にかかわっていくわけですよ。そういう活動をこういう団体がやるのですよ。じゃ、お金をどうするのですか、お金は。(発言する者あり)慎重は結構ですけれども。  私、熊代さんと、もう何年になりますかね、二年半。僕が一番初め、熊代さんに一緒に考えようと言ったのですよ。この間も本会議で答弁されましたけれども。  だから順番ということよりも、そういうことよりも、このNPOというのは人間が実に生活していくところであって、お金を、例えば株式会社法でいえば、経済取引の自由がないような株式会社法じゃしようがないじゃないですか、これ。  だから、私が本当に自民党皆さんに言いたいのは、段階、段階と言っていますけれども、もう何年も勉強してきておるわけです、これ、何年も。何年も勉強してきておるわけですよ。だから、やはり寄附金控除の抜本的改正を含む制度をつくらないと、みんな補助金漬けになっちゃうんですよ。(発言する者あり)いや、そちらもそうですけれども、私は自民党委員の方に本当に良心に訴えたいんです、自民党の。自由主義の精神というのは、補助金漬けにせずに、要するにそういうお金を減らして、みんなで寄附をし合いながら努力もして、それで競争し合っていこうというそういう社会なんですよ。  じゃ具体的に言いますと、団体の、まあいろいろな団体がありますけれども、収入、お金が入ってまいりますよね。大体その中でどんなような割合で、事業収入とか補助金とか寄附とかこうありますね。どんなような割合で大体想定されていますか。
  74. 熊代昭彦

    熊代議員 申し上げましたように、この市民活動促進法案は、アメリカの準則主義の法人と違いまして、寄附金や会費は免税になっております。最初から免税になっていますね。アメリカの準則主義の法人は、国税庁の認証を得ない限り、例えば、五〇三(c)に該当してこれは社会福祉に貢献しているんだという認定を得れば、初めて税法上の特典があるわけですね。ですから、最初は簡単ですけれども、税法上の特典は厳しいことになっております。  そういうことを背景考えているわけですが、いろいろな調査もございますと、確かにアメリカの法人は、どれくらいが補助金であって、どれぐらいが税とか、どれくらいは寄附金というのがございますけれども、私どもは基本的に現在は寄附控除を認めていない法人でございますから、会費あるいは寄附金、それは寄附控除がなくても寄附をしてくださる人たちですね、それから、収益事業ということで成り立っている法人である、基本的に市民活動促進法人はですね。行政からの補助金とか、それからそのほかの援助というのは当初は期待していない法人だろうというふうに一応のイメージを抱いております。
  75. 河村たかし

    河村(た)委員 一応のイメージは描いているということはどういうことですかね。そこでそういう団体をイメージしているということですか。いわゆるボランティア、まあボランティアという言い方は悪いですけれども、そういうような寄附金とか一部の補助金とか、そういう公的なお金の入らない団体をイメージしてつくられた法律ですか、それは。
  76. 熊代昭彦

    熊代議員 現在ある社団法人とか公益法人でなくて、公の補助金が入っているというのはNGOでありますね。NGOで外務省がやっておられるものがあると思いますけれども、そのほかは、現在の公益法人でなければなかなか補助金というのは難しいのが日本制度であろうというふうに思っております。  それで、基本的にこの市民活動法人ができ上がりまして、社会的実績を上げて、それが公にどのように評価されるか。そのときは補助金の受給主体になるかもしれないとは思いますけれども、しかし、これは今後のことであろうと思うんですね。これから、公の信用とともに実践上の信用を得て、初めて国、地方公共団体の対応が決まってくるだろうというふうに思っておりますので、その対応が決まるまでは、やはり先ほど申し上げましたように、会費収入、そして、寄附控除はないけれども寄附収入、そして、収益活動等の収入ということでこの活動は基本的に成り立ってスタートするであろうというふうに思っているところでございます。
  77. 河村たかし

    河村(た)委員 いや、これは本当にまことに申しわけないですけれども、うまくいきゃ本当にいいかもしれませんけれども、今の発想ですと、これ、信用があるとかないとかって、どこでどういうふうに信用が出るかわかりませんけれども、やはり市民がいいと思ったところには寄附をしていく、自分の意思でですよ。団体も自分の意思で寄附金を集める。そういうことによって信用が出てくるんであって、どうも熊代さんの話を聞いておると、みずからの資源でやっていく団体だということで、僕はこれ本当に申しわけないけれども、NPO法と言えないのではないかと、悪いけれどもね。  これはこれでいいんですよ。ボランティア法というか、言える。まあここは熊代さんは多分わかっておると思う、今まで何年もやっておるから。わかっておると思うけれども、だけれども、これをNPO法と言ってしまって、何しろ僕能代さんに言いたいけれども、厚生省の高官をやってみえたから、介護保険法の中に介護の団体の規定がありますから、介護に絞ってつくってくりゃよかったんですよ、これを。それを広げてしまったものだから、どうもいわゆる行政の下請法案になってしまったという感じがするんです。  それで、先ほど岩永先生ですか、聞いておりましたらいいことを言われまして、いわゆる小さな政府、それでそれをいろいろな団体が埋めていくと、福祉とか。言われましたね。これは、そうなると、埋めていくのはいいんだけれども、その団体はどうやって食うんですか。どうやって生きていくの。これを教えてくださいよ、自民党皆さん。いや、向こうに聞きますけれどもね。いやいや、本当に岩永さんの言った話は新進党案を支持せにゃいかぬのですよ。そういうことなんです、これは。  実はNPOというのは、ボランティアの無報酬の救済ではなくて、それも一部含みますけれども、行財政改革というか政府を小さくして、税金でやるんじゃなくて、公共サービスを競争し合ってみんなで活力ある社会をつくろう、お金の面でもやっていくんだということなんです。  どうも、まことに申しわけないけれども、本当に残念なんだけれども、これ、岩永さんの論理まではいいんだよ、本当に。自民党の小さな政府、それを埋め合わせる人たちはどうやって生きていくんですか。  ここを、もう一回ひとつ熊代さんお願いします。
  78. 熊代昭彦

    熊代議員 河村委員もわかり過ぎるほどわかりながら、外野を意識して発言しておられるんじゃないかというように思うわけでございますけれども。  申し上げましたように、スタートは、税法上の特典がなくてもアメリカの準則主義の届け出だけよりはいい制度で、有利な制度でございますから、税法上の特典を得たならばアメリカの制度の方が少し有利になるということですけれども、そういうことでございますから、今人格なき社団としてやっていて、とりあえず法人格は欲しいと、早く欲しいと。それで、税法上の特典をつければ、これは厳しい審査を経なければなりませんのでなかなか法人格が取れないということになりますので、まずその法人格を取るということに重点を置こうということでございます。  そしてすぐ、スタートしますとそのような市民活動法人がおいおい一万ぐらいは出てくるわけでございますので、社会的な評価も、まあ一万も出ない間に、最初の数法人から社会的評価は始まりまして、やはりあれだけの仕事をするならば税法上の特典をつけた方が明らかに国のためにあるいは市民社会のためにいいということが出てまいるわけでございますから、その段階でどのような法人に税法上の特典を付与するかということをきっちりと決めまして、それを、法案が成立すれば直ちに検討に入って、実態を見ながら早急に結論を出したいというのが与党案趣旨でございます。
  79. 河村たかし

    河村(た)委員 これは本当にだめですね。これは申しわけないけれどもちょっと哲学が異なる。どこが異なるかといいますと、いい団体がどうかの判断を——熊代さんの考え方もそうですよ。いいんです、それは。役所なり何かが税法なら税法で厳しくチェックして、それでよければ特典を与える、こういう考え方一つ考え方だろうと思う。だけれどもそうじゃなくて、NPOというのは違うんですよ。NPOというのはその考え方民間寄附金にゆだねるんですよ。全部じゃないですよ。一部補助金もある、どうせ寄附金だけでは無理ですから。民間がいいところへは寄附するようになるだろうということなんです。公開もしますよ。そういう論理でつくるんですよ、これ、NPOというのは。役所があくまで、税法の世界でもいいです、ああこれはいいんだと、それで何段階にチェックして。これはそういうものじゃないんですよ、本当に。  その辺の御理解、どうですか。
  80. 熊代昭彦

    熊代議員 アメリカの制度は先ほど御説明申し上げたとおりでございますが、最初は準則主義でするけれども、実際に、寄附金控除あるいは会費とか寄附収入の免税措置を得ようとすると、IRS、国税庁の厳しい審査が必要であるというのがやはり世界の大勢であるというふうに思います。  それで、河村委員は、恐らく御提案の、別の委員会にかかっておりますけれども、市民公益法人として情報公開をしているなどと書いてありますからほかの要件もあるのかもしれませんが、情報公開をしているという要件だけで寄附金控除の対象にしようというようなことになりますと、これはかなり社会批判も受けるんじゃないかと思います。しかし、そういう制度も含めて、私どもは実態を見て早急にやってまいりたい。とりあえずは、現在やっていらっしゃる人格なき社団としての運営に市民活動法人としての社会的な信用を付与する、そして税の問題も、社会的公平を失しないということで、できるだけやってまいりたい。  確かに、すべてを税金で取り上げてそれを分配することだけが市民社会ではありませんで、みずからの判断で寄附金控除を受けて寄附する、寄附金控除がなくても寄附している人はいらっしゃるわけですけれども、寄附金控除を受ければ、企業でしたら五〇%ぐらいは免税になるということになるわけですね。  ですから、そういう民間の判断に従って、NPO法人に、市民活動法人に社会的支援が増していくということも重要であると思いますので、私どもも早急に本格的な検討に入りたい。しかし、余り緩やかで社会的な批判を受けるようなものはよくないというふうに考えているところでございます。
  81. 河村たかし

    河村(た)委員 無論、私どもの法案でも、寄附金控除を受ける団体というのは厳しいことは厳しいんですよ。いわゆるアカウンタビリティーといいますか、公益活動をしっかりやっているかどうか、それはやはり厳しくチェックしております。  これは熊代さんも御存じのように、向こうでは非常に基準がずっとありまして、やはり見ていくということなんです。それは当然そうなんだけれども、それは一応形式的にきちっとしていればオーケーということで、あとは、そこへどんどん、本当に、今言いましたように、寄附金を出してくださいよ、自分も努力してくださいよ、こういう社会制度なんですよ、これは。  だから、そちらの制度を、法人格を取ったと同時にそうしろというわけじゃありませんよ。それはうちの法案でも全然違いますからね。全然違うというか段階が違いますから。法人格を取っても、次のそういう寄附金による団体の自立性がお金の面で担保されるような、それがなかったら、これ、全部補助金漬けの団体になってしまうじゃないですか。もしくは、もうそういうふうじゃなくて、ボランティア団体で、行政をただで手伝うのでいい、例えばいろいろな事故があったときにみんなで助けに行く。  また、これ、僕、気になるのは、先ほど質問が出ておりましたけれども、会員の得喪に不当な条件を課してはいかぬ。これは、ですから、常にいろんな人が入って、余りフィックスしないような団体をどうも想定されておるような気がする。  だから、本当に、そういう本当の意味での公共サービスをみんなで担い合っていく、そういう市民団体を育てる哲学がないんじゃないですか、口先だけであって。あれば、これだけ勉強しておれば、寄附金控除の姿について何らかの具体的提案が絶対出てくるはずですよ、これはもう何年もやっているんだから。そこら辺どうですか。
  82. 熊代昭彦

    熊代議員 かなり同じテーマにこだわっていらっしゃるようでございます。  申し上げましたように、一番の市民活動というのは、補助金がなくても、寄附金控除がなくてもしっかりとボランティア精神でやる、ボランティア精神だけではなくて収益活動もやっていいわけですから。それから、会費、寄附金免税なわけですから、それでやれるというのが一番私は尊敬に値することだと思います。  補助金がなければいけないというのは、これからの社会にそう補助金が出てくるわけではございません、小さな政府ですから。ですから、補助金は余り当てにされない方がいいんじゃないかと私自身は思っております。  税の免税ということは、補助金とは少し違います。半分は税が免税ですけれども、半分は寄附者、御本人の負担でございますから。そういうことでございまして、それにつきましては、申し上げましたように、これは社会的資源の配分でありますから、税金に入るところを税金に入れないで配分するわけですから、それは社会的な公平ということがなければならない。非常にお金持ちの人が、自分の市民公益法人をつくって、すべては公開するけれども、ぼんぼん入れてそれを運用するということが非常によければいいけれども、社会的非難を受けるようなこともあり得るだろうということでございますので、そこは、実態を見ながら、やはり慎重に、しかし早急にやってまいりたいということでございます。
  83. 河村たかし

    河村(た)委員 くどいと思われるかもわかりませんけれども、皆さん、これは本当にここのところが一番大事なんですよ、どういう社会をつくるかというのが。悪いけれども、今ではっきりしましたね、熊代さんの考えは。一番尊敬に値するのは、補助金とか寄附金などに頼らないいわゆるボランティア活動である、今はっきり言われましたよ。  じゃ、公的なものは、公的なもの、だから、市民は無償でやるんですよ。この法律はそういう精神なんです。そうじゃないですか。
  84. 熊代昭彦

    熊代議員 現在の公益法人制度も、一般の公益法人寄附金の控除がございません。特定公益増進法人になって初めて寄附金控除があるわけですね。そういう制度の均衡も考えなければいけない。  河村委員は、補助金がなければだめだ、税制の控除がなければいけないと言うけれども、現在、人格なき社団として既にやっていらっしゃる方は、それで十二分やっていらっしゃるわけですね。ボランティアであるかどうかというのは、恐らく有償であるかどうかということになるんだと思いますけれども、それは、当然、専従の方は給料も必要でございましょうし、専従に近いとか、あるいは定期的に役務を提供される方は、やはり十分な対価でなくてもある程度の対価は欲しいだろう。そういうものもすべて含めて、法人の運営ということも配慮しております。  しかし、今、現在の法制から飛び離れて、NPO法人だけに非常に大きな税法上の優遇措置を与えるということも、なかなか難しいことでございまして、これは税の法制をしっかりと調べて社会的な公正を保たなければいけない。しかし、有用な仕事に税法上の特典を付与するということは、当然、大切なことでありますから、自由民主党も、与党三党もしっかりと検討してまいりたいと考えておるところでございます。
  85. 河村たかし

    河村(た)委員 やはりこれがもし決まっちゃうとすると本当に残念ですね。まことに申しわけないけれども、こういうものじゃないんですよ、自民党皆さん。  いろいろな段階を経て、いろいろなステップを経て考えられるのもいいですよ。だけれども、僕が言いたいのは、今の熊代さんの考え方だったら、世の中にある公的な仕事は、お金を持ってやるのは全部政府とか行政とか議員とかそういうものだと。はっきり言われたじゃないですか、市民は無報酬でやるのが一番尊敬に値する、こういうふうに言っているんですよ。悪いけれども、市民団体皆さん、全部つぶれますよ、後ろに見えますけれども。お金がないとやっていけないじゃないですか。これは何遍も言いますけれども、僕は偉そうなことを言っているけれども、今、国民の税金で食っているんですよ。ちゃんとお金が入っているんです、僕のところへは。  だから、NPOというのはどういうことかというと、公的サービスを役所ばかりにやらせずにみんながシェアし合って、しかし、補助金ではありませんよ、極力補助金はなしにして、みんなで寄附をして、みんなで補い合って、だから自立なんですよ。市民団体が自立するんですよ。レーガンやサッチャーは、みんなそれをやったんですよ、自民党皆さんNPOというのは、これは自民党の論理なんですよ、今言った論理は。これは左翼の論理じゃないんだよ。  だから、ここでうまい方向へ行けばいいんだけれども、もし変な方向へ行ってしまって、社会システムというのは一たんつくったら壊せないんだよ。これはとんでもない官僚統治の、全部補助金漬けの役所べったりの国になるのが僕は物すごく怖いんですよ。  それだけ申し上げまして、午後、時間がございますので、これで終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  86. 伊藤忠治

    伊藤委員長 本会議散会後、直ちに再開することとし、この際、休憩いたします。     正午休憩      ————◇—————     午後一時五十分開議
  87. 伊藤忠治

    伊藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。上田清司君。
  88. 上田清司

    上田(清)委員 新進党の上田清司でございます。  午前中の各委員質疑を受けながら、総括的な部分も含めまして再度、それぞれ与党の皆様方に与党案について質疑をさせていただきたいと思います。  先ほど気になりましたところでは、私も尊敬する埼玉選出の大野先生の、狭山の市長を長くやられた方でございますが、日本ではなかなか寄附税制というのでしょうか、なかなか寄附される方がいなくて、どっちかといえば役所の補助金で成っているような部分があるのではないかというような趣旨の御質疑をされたように私は受けとめまして、市長として長くやっておられた経緯からもそうした経験談を話されたのではないかなと思いますが、私も、実は私の選挙区の中で埼玉県朝霞市というところ、約十一万近くなろうとしている市でございますが、十万以下の零細補助金がどのくらい総額でありますかということを助役さんに宿題で与えておりましたら約二千万だという総計が、いろんな各種団体に渡している、そういう金額を聞いたことがございます。  また、私も、住んでいる近くの柳瀬川という川の土手にコスモスを植える会のメンバーの一人になって、種まきや草刈りやあるいはコスモス祭りといったような、地域社会をつくるような運動に参加しておるのですが、これは、何も頼まないのですが地元の市長が七万円、急に補助金を出してくれました。これは選挙対策だなと私は思っておるわけですけれども、そういう仕組みがこの日本社会の中に積もり積もって地域社会が構成されております。  現実に、例えば町内会連合会、市の観光協会あるいは消防団、さまざまな地域社会のいわばネットを張っている、一つ一つ行政のいわば下支えをしているような団体に、市町村あるいは県から零細補助金が出ていることも事実でありますし、場合によっては零細でない、そこそこの補助金が出ていて運営がなされている。  我が新進党は、そういう補助金に頼る社会じゃなくて、文字どおり、それぞれ善意に基づく寄附を集めながら、社会意義のあるもの、中身のあるものであれば十分寄附が集まる、そういう寄附を中心にした運営がされる、そういう団体を育てていくべきだということを考えながら法案を出しておりますが、まず自治省にお尋ねしますが、零細補助金、県であれば例えば百万円以下、市町村であれば十万円以下の、これ急な質問でしたので技術的に統計ができたかどうかわかりませんが、そういう把握ができているかどうか、これについてお尋ねしたいと思います。
  89. 岡本保

    ○岡本説明員 平成七年度の決算で都道府県、市町村が、私どもの決算統計の区分でいわゆる補助費というのをつくっておりますが、これは、例えば市の一般会計が別の会計に出すようなものも含まれております。そういう中で補助費としてトータルになっておりまして、そういう額でございますが、都道府県の補助費が六兆三千八百億程度、市町村の補助費等が三兆一千六百億程度ございまして、そのうち、いわゆる今先生御質問のような団体への補助がどういうふうに幾ら入っておるか、それがまた額的に、今御指摘のような額以下のものはどうかというような統計は、今のところ私どもの方で把握しておりません。
  90. 上田清司

    上田(清)委員 ちょっと技術的に、時間的に無理だったのかなというふうに思いますが、これもぜひ、全国知事会やあるいは市長会とかに確認すれば出てくるような気がいたしますので、ぜひこれフォローとして受けとめていただきたいなということをお願い申し上げておきます。  それで、与党熊代さんを中心に先ほど特に答弁がございましたけれども、税制に関して、私たちはやはりこのNPOの魂というのは税制だ、寄附控除の仕組みがなければ育たない、会費であるいはボランティアの善意でというお話もございましたけれども、やはり展開を考えればそれでは無理ではないかということを強く訴えておりますけれども、あくまで与党案の中ではこの寄附控除を中心とする税制について考慮をしない、こういう考え方でございますか、確認させてください。与党のどなたでも結構です。
  91. 辻元清美

    辻元議員 昨日、この提案理由説明の折にも、その中にも見直しのことについては申し上げました。そこにこういうくだりがございます。  本法律案は附則において検討規定を設け、施行の日から起算して三年以内に、市民活動法人の活動の実態等を踏まえつつ検討を加え、その結果に基づき必要な措置を講ずることとしております。市民活動法人制度の運用の検討とともに、これに関連する法人制度、公共的な活動に関する税制の整備などを検討することが、この規定の趣旨であります。 というふうに書いております。  この中に税制の優遇措置や、それから民法をこれからどうしていくのだろうかというようなことを速やかに検討していこうという趣旨が入っておりますので、そのように対応しようと思っていますので、ぜひ、物すごい知識をお持ちですから一緒に入っていただきまして、速やかに検討したいと強く願っております。
  92. 上田清司

    上田(清)委員 ちょっとお尋ねいたしますが、それだと三年以内に見直すということで、税制について全くゼロじゃないというふうな受けとめ方をさせてはいただきますが、だれがこの市民的な活動だということを判断し、だれが公共的な活動だということを判断するのでしょうか。
  93. 辻元清美

    辻元議員 今、この与党案につきましては、認証という形をとっておりますけれども、一つの県で行われる場合、これは主たる事務所ですけれども、都道府県知事になっています。そして、二つ以上の県になりますと経済企画庁になっております。  三年以内の見直しということですけれども、税をいじる場合は、それもすべて含めてこの実態を検討していくということでございますので、今の認証につきましては都道府県知事と経済企画庁になっているというふうに理解いただくことになります。
  94. 上田清司

    上田(清)委員 それでは、経済企画庁が気に食わないというような団体であればこれは認証されないというふうに考えてよろしいのですか。
  95. 辻元清美

    辻元議員 今回、与党案を作成していくに当たりまして、そういう官庁を含めまして地方自治体の関与ということをいかに減らしていくかというのをポイントで考えてきました。そういう意味では、書類審査によって、この書類審査与党案の規定に合う場合は速やかに認証していくということですから、気に食わないも気に食うも書類の審査で行いますので、それが規定どおりそれぞれの団体申請いただきましたら認証は速やかに行われるというふうに私たちも解釈しておりますし、そのように各官庁それから地方自治体が進めていただきますようにお願いしたいと思っております。
  96. 上田清司

    上田(清)委員 それでは具体的にお伺いしますが、長良川の河口堰をやめさせる会から認証の要請があったときにはどうなるのでしょうか。
  97. 辻元清美

    辻元議員 長良川は岐阜県と愛知県にまたがる大きな美しい川で、私も何回も視察にも参りました。ですから、与党案が成立した折には、それぞれの県知事さんが判断されることだと思います。これは先ほど、午前中、熊代議員も答えられたとおり、私がここで認証するかしないかということをお答えすることはできないと思います。  ただ、それぞれの、後ほど多分質問されるのではないかと思いますけれども、政治の施策、政策については与党案では認めておりますので、今いろいろな施策が重要な環境問題等の運動につながっていることは皆さん一緒に認識していることだと思いますので、それについては自由にやっていただいて結構であるというふうになっております。そういうことや、地球環境保全、地域の環境保全、これもオーケーですので、そういうことにかんがみて、各自治体の長の方が、社会通念上、こうすればいいなというふうに判断していただくというふうに思っておりますので、ここで、できるかできないかは、答えたいですよ、しかし答えません。しかし、今申し上げたことで御判断いただけると思います。
  98. 上田清司

    上田(清)委員 私も辻元先生のこれまでの活動を高く評価する者の一人ですが、今の答弁だと、何のための委員会かというのがわからなくなるのです。知事も、判断する一人の人間として、この委員会の審議の中身なんかも参考になるわけです。知事が判断するのじゃないのです、法案をつくられた皆さんの基本的な考え方や、そしてここで審議される中身の中で知事が判断されるのですけれども、そうじゃないのですか。
  99. 辻元清美

    辻元議員 今私がお答えしたとおりなのですね。これは、それぞれの知事が権限を持つという法律を、まず枠組みと決めていますので、その中で判断してもらうしかないのです。しかし、今申し上げましたように、環境を保全する、そしてそれぞれの施策についてさまざまな住民活動をしていくという範疇につきましては、これはこの法律に合致するものですから、それを判断していただくということになると思います。  ですから、私は、この法律提案しておりますけれども、今申し上げたことで十分御理解いただけると思っております。そのほかにも、いろいろな環境問題、重要な問題がございますので、同じように判断していただきたいと思っています。
  100. 上田清司

    上田(清)委員 辻元議員の今の発言、あなたも御承知のとおり、経済企画庁を中心にして原案をつくられたときに、ああしちゃいかぬ、こうしちゃいかぬという原案の部分を相当より市民的になされてきたあなた方の功績を大なるものというふうに私も認めますが、基本的な認識がそういうところからスタートしていたという現実をやはりきちっと認識していただければ、危ないなというのは感じるでしょう、いろいろな点から。  先ほども質疑の中でありましたが、暴力団が入ったらどうするんだと、新進党案みたいに何でもかんでもいいよというような話をしていると。でも、有限会社であろうと株式会社であろうと、暴力団の会社は山ほどあります。これはどうにもならない部分があるのですね、そういう部分に関しては。  しかし、例えば新進党案みたいに、寄附控除の過程できちっと銀行口座を通していく、そういう形で全部公開される、そして、もし解散するときには、それは全部国のものになる、国庫のものになるというような形をとっているから、いかに暴力団が、あるいはおかしな人たちが、NPO団体を自分たちの何かの、あるいは脱税の受け皿にしようかなと思っても、それは無理ですよという仕掛けを私たちはきちっとつくっている。その上でうんとオープンにやろうじゃないかという、そして積極的に市民活動を受け入れられるような、どんどん展開できるような、何か、お金がなくて、どうしよう、こうしようといって、しようがない、市役所に頼むか、そういう話が多いのですね。  市長も、選挙に出なければいけないから、そういう元気のある団体補助金をよろしくと言われたら、何となく出さざるを得なくなってくる。そういう社会が、余計な癒着やあるいは財政の膨張につながっているのだという認識も含めて、NPO税制は不可欠だ、検討する、見直すという、だれが見直すのか、どういうのが公益なんだということを本当に区分けができるのか、だれがそれをできるのだろうということを私たちはやはり申し上げたい。  そういう意味で、やはり与党案の中には、先ほど熊代議員も言われましたように、ボランティア、善意、一切の善意が一番美しい。まあ、それも美しい。しかし、大きな活動ができるかというと、やはり大きな活動はできない。本当に、例えば、日本のGDP全体の中でNPOだけでも実は二〇%もありますよとか、そういう社会がいいのだということを我々は強調しながら法案を皆様方に提案している経緯がございます。いま一度私は、辻元議員の過去の運動、そして発言、中身からすると、新進党案に乗りかえた方がいいのじゃないかと思っているのですけれども、いかがですか。
  101. 辻元清美

    辻元議員 最初に結論を申し上げますと、新進党案に乗りかえる気持ちはございません。  与党案、私もこの半年間、まだ議員になって半年ですけれども、自分のボランティア活動、そしてNPO活動をやってきました。その中で苦しいこともたくさんあるのです。おっしゃるとおりに経済的にも苦しいですよ。みんな一生懸命やっています、手弁当で。しかし、その中で、今の日本の現状を見て、どういう形で私たちが運動を続けていけば、社会的な信用も得て、そして経済的にも苦しくない世の中が来るのだろうか。その第一歩と位置づけて、私は与党案を最善のものにしようと思って、この半年間ベストを尽くしてきたつもりなのです。  そういう意味で、先ほどから言葉に出ておりますけれども、管理色というのも、これはもう所轄庁というのがございますから、これを全部外してしまえと言ってもそれは成り立ちませんよ。そういうところを、法的に今の日本社会でぎりぎりのラインでまずやってみるという気持ちでこれを進めてまいりました。ですから、この後は速やかに、おっしゃるとおり、税の優遇措置や、それから民法も古いですから考え直していくということを議員こぞってやったらいかがでしょうかという思いですので、乗りかえる気持ちは残念ながらありません。
  102. 熊代昭彦

    熊代議員 一つだけ、御質問にちょっと聞き捨てならないことがありましたので。  経企庁の出してきた案とかということでございますけれども、これはまさしく議員立法そのもので、経企庁が出してきたところはどこもございません。私どもがつくり、私どもがお互いに議論し合い、修正してきたわけですね。  それで、税の問題でございますけれども、野党であれば、それは成立しないということを前提にして非常に気軽に税法の中身を考えられると思いますけれども、与党であれば、本当に真剣にこれまでの税制の均衡をしっかりと考えなければいけないということであると思うのですよ。ですから、これまでの税制の均衡をどこまで考えられてやったのか。これまでの公益法人民法法人、それから社団法人の税制よりもはるかに飛びはねていい税制考えられてということは、どこまでそれは真剣に検討されたのかということを私どもは考えるわけです。  私どもは、これまでの法制をしっかりと踏まえつつも前進していこうということで、先ほど辻元先生がお答えになりましたように、早急に検討していくということでございますけれども、それは時間もかかる、実態も見なければいけないということでございますけれども、二年以内には結論を出したいということで頑張っているところであります。
  103. 上田清司

    上田(清)委員 先ほどは三年以内ということですけれども、どちらですか。辻元さんは三年以内と言いましたけれども、あなたは二年以内と。与党意見が分かれているのですか。
  104. 熊代昭彦

    熊代議員 ちょっと私の口が滑りましたが、三年以内に実施するためには二年以内に結論を出さなければ、法律を通すのに一年かかりますので、そういう意味で、結論を出すのが二年で、実施するのが三年という意味で、三年以内というのは共通の認識でございます。
  105. 上田清司

    上田(清)委員 私も先ほど口が滑ってしまって、原案は経済企画庁ではないかというふうなことを言いまして、それは失礼しました。一生懸命与党皆さんなりに出されたと思います。  そこで、経済企画庁の皆さんにお伺いしたいと思いますけれども、御承知のとおり、平成八年度の予算と九年度の予算で、市民活動促進のための環境整備の推進についてということで、八年度に七千八百万、九年度に一億二千七百万、細かい数字はちょっと避けますけれども予算を計上して、市民活動の促進のためのいろいろなヒアリングや調査を委託されなりしておられますね。そこで、この委託は、こういう活動費は一体何のためになされたのですか、目的は。
  106. 井出亜夫

    ○井出政府委員 お答えをいたします。  経済企画庁といたしましては、従来から市民社会参加活動というものの重要性について認識をしておるわけでございます。市民活動の活性化が重要でございまして、その環境の整備というものを図るために、例えば全国に市民活動団体というふうなものがどのくらいあるかというふうなことも、つい最近までほとんどわかりませんでした。そういうふうなことで、そういうふうなものを調査をするとか、あるいは市民活動活動家の皆さんあるいは団体がもろもろの活動をしていくために必要な事項というふうなものを、いろいろな形で、外国の例などにも思いをはせながら、そういうものを調査をしているところでございまして、趣旨はそういうことでございます。
  107. 上田清司

    上田(清)委員 今いみじくもちょっと場外発言がございましたけれども、そういうのを小さな親切大きなお世話というのですよ。確かに、小さな親切心で経済企画庁がやっておられるのかもしれませんけれども、これは大きなお世話でございまして、しかもこの中身を見ていきますと、お金の使い道は、基本的に委託ばかりされているわけですね、さまざまなそういう研究所みたいなところに。御丁寧に、どういう人たちがメンバーで、どういう人たちが中心になってやったかということも書いてありますけれども、本当に隅から隅までそういう調査をしようとするのだったら、ちょっと角度を変えたような人たちを集めなくてはいけないし、そういうことを集めているようなところにお願いしなくてはいけないんだけれども、メンバー、みんな同じじゃないですか、研究所こそ違っても。どういうことですか、これは。お答えください。
  108. 井出亜夫

    ○井出政府委員 私ども、今までの委託調査といいますのは、社団法人の社会開発研究所でございますとか、あるいは住信基礎研究所でございますとかいうふうなところにお願いをしたわけでございますけれども、これらの団体は、今日までのいろいろな調査事項というふうなところにおきまして能力を十分持っている、あるいはいろいろな方々をお集めになって研究をされる能力、そういうネットワークも持っておるというふうに認識をいたしまして、お願いをしておるわけでございます。
  109. 上田清司

    上田(清)委員 質問に答えてない。なぜ同じメンバーになるんだということを聞いているのですよ。委員長質問にちゃんと答えさせてください。
  110. 井出亜夫

    ○井出政府委員 基本的には、私どもは委託先につきまして、適当なと思われるところを探します。それから、その中で委託先がどういうメンバーを選定をされて、その委員会なりというふうなものをつくられるかというのにつきましては、一義的には委託先にお任せをする。それから、特に私どもの観点から見て、社会的に見てそれはおかしいじゃないかというふうに御批判になるようなことであれば、それは御意見を申し上げますけれども、私どもは基本的に委託先にお願いをしておるわけでございます。
  111. 上田清司

    上田(清)委員 委託先にお願いしたらそれっきりですか。そういう委託しかできないのだったら意味がない委託なのですよ、私たちに言わせると。そういう中身になっていくからこそ、例えば皆さんが、与党案が、与党皆さん考えられるように、極めて善意にいろいろなことをやってこられても、必要以上に国がかかわる、あるいは官がかかわる世界の中で、この委託調査一つにしても、結果として同じところに同じような内容で、同じようなメンバーで二年続けてやっていくというような仕掛けになってしまっているわけです ね。これでよかったと思っておられますか。あら、しまったな、同じようなメンバーであればここに頼まなかったらよかったなとか思いませんか。お願いいたします。答えてください。
  112. 井出亜夫

    ○井出政府委員 委託の成果として、市民活動団体の全国把握というふうなことにつきまして、委託といたしましては適切な結果を出していただいたというふうに思っております。
  113. 上田清司

    上田(清)委員 質問にきちっと答えなくてはだめなんですよ。ここは国会ですから、きちっとした委員会でまじめに質問をしているのですから。そういうのは、ぶっきらぼうに適当に答えただけなんですよ。だめなんだよ、そういうのは。どういう評価をしているかということを聞いているのですよ。よかったのか悪かったのか。よかったと言っているのですか、それとも。よかったならよかったときちっと言ってください。中途半端な評価じゃなくて。
  114. 井出亜夫

    ○井出政府委員 委託につきましては、委託の成果というものがよかったか悪かったかということが一義的な判断になると思います。委託の成果につきまして私どもは満足をしておりまして、したがって、委託先についても特に問題はなかったというふうに考えております。
  115. 上田清司

    上田(清)委員 経済企画庁が、これからNPOにかかわらずさまざまな問題を、多方面から、社会の各層からあらゆる意見を吸収したいという思いを持って、なおかつこのNPO団体あるいはボランティア団体というのは、日本国じゅうもうありとあらゆるところにいろいろな展開をしているわけですよ。それを毎年特定の二つか三つの研究所にお願いをして、なおかつそのメンバーを見ればほとんどダブっておられる。そういうのでよかったと思うセンスがどんなセンスをしているのだろうと、傍聴人の方は、みんな意見が言えればそう思いますよ。おかしな人だなとみんな思いますよ。おかしいと思わないのですか、あなたは。これはまずいな、たまたまそうなった、今後、散らす工夫が必要ですねというような答弁が何で出ないのですか。出してくださいよ。開き直ったらだめだよ。反省が足りないよ。
  116. 井出亜夫

    ○井出政府委員 もちろん、今日まで委託したものがすべてだとは思っておりません。今後、より充実した調査というふうなこと、目的にかなったものがあれば、そういうところにもお願いをしたいと思いますし、私どももそういうものももう少し発掘する余地があれば、努力をしてまいりたいなというふうに考えております。
  117. 上田清司

    上田(清)委員 それじゃ、局長にお伺いしますけれども、日本に現在、こうした委託調査にかかったような団体がどんな形で活動を展開されているか、その研究調査を見て、この委託調査でよかったかどうかとか、それから今度もし研究するのだったらもう少し違う切り口でとか、そういう内部の検討をされましたか。
  118. 井出亜夫

    ○井出政府委員 従来のものにつきましては、それぞれの成果物を見まして、その検討の結果、次年度を決めたわけでございます。  今後につきましても、委託の目的あるいはそれに十分応ぜられる能力があるかどうかというのを議論をいたしまして決めていきたいというふうに考えております。
  119. 上田清司

    上田(清)委員 ぜひお願いをしておきますけれども、この中身だけ見れば、やっぱり特定の人たちに特定に論議されたというようなニュアンスを否めないというふうに私は受けとめられますし、もっと違う切り口で違う研究もできたのではないかなというふうに私は思っておりますので、これから丁寧にこの調査書をもう一回振り返っていただければ、これはいかぬなというふうに思われると思いますので、これは、いわゆる国民の公僕としての良心に基づいて、もう少し散らしてもらいたいというふうに私は思います。そういうことを一応申し上げておきます。  時間になってきましたので、最後に、関連いたしますけれども、十一の分野に限定するということについて相当議論がございました経緯がございます。何か一項目、最後に「その他」という形で全部いければそれが一番いいんですが、民法との絡みで云々ということも聞いてはおります。しかし、何かそこをクリアできる、特定の十一分野という形ですべて包摂されると思えませんので、ぜひ辻元さん、提案者の一人として、私は、もっとも、あなたが一生懸命やっていただいているのを評価しておりますので、この部分について何かうまい方法はなかったのですか。限定しなくても、何か「その他」ですべてのそういう市民的な活動をフォローできるような、そういう部分はできなかったかどうか。苦労話でも結構ですから。
  120. 辻元清美

    辻元議員 苦労話を言い出したらこの委員会が終わってしまいますので割愛させていただきますけれども、趣旨は、もう本当に、すべての団体の方に自由に、闊達に活動していただきたいという気持ちで一生懸命つくってきました。  ただ、民法の三十四条とのすみ分けというのを、この法律はこれでやっているという、その限界があることは事実です。しかし、この十一項目になっていますけれども、そこで大部分の活動は入るという、これが提案者の意図でございます。ですから、それぞれ個別にこの活動の中の範囲でぜひ申請していただき、みんなが活動できるようにしたいと思っています。「その他」というのは、残念ながら入れることができません。  それと、市民活動を支えていく運動など、この市民活動というのは、新しい分野がどんどん出てくるのですね。阪神大震災が起こったら、そこで対応して新しい活動が生まれてくる。ああいう重油の流出事故のようなことは私たちは起こると想定しておりませんでした。そこにまた新しい分野活動が生まれてくるわけなんです。それは私も提案者として承知しておりますし、提案者同士でそのような議論をやりました。ですから、三年の見直しの折には、この項目の拡大等も含めてもちろん見直していこうというふうに私たちは理解しております。
  121. 上田清司

    上田(清)委員 見直しよりも、最初からやった方がいいなというふうに私ども思いますし、それから社会観の、考え方の違いもあるかもしれません。できるだけ私たちが税を納めて、それを中央省庁に集めて、それを分配して恩恵を受けるという社会の部分も必要ですが、しかし一方では、自分たちが所得で上げた、稼いだお金は自分たちの好きな分野にそこそこきちっと納めていくことができる、そのことが、社会にとってもプラスであり、また自分にとっても、個人にとっても、所得控除とか寄附控除の枠の中でできるというメリットを受ける。そういう意味で、再度私たちは、やはり新進党案についての強い理解と、そして、与党案ではいま一歩私どもと一緒にやっていただきたいということを要請して、終わります。ありがとうございました。
  122. 伊藤忠治

    伊藤委員長 次に、河村たかし君。
  123. 河村たかし

    河村(た)委員 河村たかしでございます。  午前中も質問をしましたけれども、やはりとにかくこれは理解が分かれていますね。自民党の方でも、なぜ自民党ばかり言いますかというと、何遍も繰り返しますけれども、今も小川先生に言いましたけれども、NPOというのは自由主義の論理なんですね。ぜひここを押さえてくださいね。  それで、熊代さんが午前中のお話の中で、無報酬とは言いませんでしたが、表現としては、自分のお金でやっておる団体を大体イメージしている、そういう話。それから、無報酬でやっておる、そういうものは美しいんだ、そういうような趣旨に基づいてつくった法律だというような路線なんですよね。  僕は、別に熊代さんを非難しているんじゃないんですよ。熊代さんは熊代さんの理論でいいんです。彼はお役人出身だから、それはそれでいいんですよ。いや、そんな問題ではありませんけれども、一つの論理は貫徹しているのです。だけれども、私、例えば岸田さんなんかわかると思うんだよね、これは、赤城さんも、済みませんけれども。いや、本当に、このNPOというのはどういうものなのかという理解がこれほどない状況で決めていいんですか。  もう一つの論理として今どういうのがあるかといいますと、ここでやらないとどういうことになるかわからない、自民党の中はNPOはだれも理解しない、だから、もう五年、十年これはできないよ、こういう議論があるわけです。それで皆さんが早く決めろ、早く決めると言っているんだけれども、僕は違うよと言っているのです。違うんだって、これは。実は、今NPO理解というのは物すごい広がっていますよ、この委員会の審議や何かで。  それで、先ほど経企庁の話が出ましたけれども、これをここで決めちゃうと、現に今、上田議員質問もありましたけれども、まだ法律もないのに、経企庁がことしの予算で調査費一億二千四百万ですよ。その中に、NPO何でしたかね、特にことしは、ボランティア交流等の情報センター機能創設への支援。こんなことは調査じゃないのですよ。これは支援ですよ。  経企庁にちょっと聞きますけれども、情報センター機能創設の支援というのは、一体どこにどう支援するつもりですか。
  124. 井出亜夫

    ○井出政府委員 お答えいたします。  まだどういう形でこれをやっていくかというものは明確には決まっておりません。しかし、このボランティア活動をさまざまな観点から支援をするためのいろいろな工夫、あるいはいろいろな知恵をお持ちという方々がいらっしゃる、また、支援をしてほしいということでいろいろな要求をお持ちの方々もいらっしゃるということで、そういうものをどういう形で結びつけていくのがいいのか、あるいはそういう人たちに対して共通した支援のシステムと申しますか、そういうふうなものがどういうふうにあり得るかというふうなことを研究をしてまいりたいと考えております。
  125. 河村たかし

    河村(た)委員 そういうものを支援するのは、なぜ役所がやるのですか、まだ法律がないのに。どういう権限でやっているのですか、これは。
  126. 井出亜夫

    ○井出政府委員 経済企画庁といたしましては、市民活動環境整備というものを行っていく必要があるのではないかという認識を持っておりまして、そういう認識のもとでやっておるわけでございます。
  127. 河村たかし

    河村(た)委員 こういう情報センターなんかは、経企庁がやるのも一つ。役所がやるパターン、それから営利会社がやるパターン、NPOがやるパターンとか、いろいろ多様に出てきていいわけですよ、NPO社会で言えば。それをあなたたちが権限もないのに……(発言する者あり)そういうことにとられますよ。  だから、自民党の方に言いたいのは、こういうシステムになっちゃっているんですよ、もう今、入る前からこの法案というのは。だから、これをやってしまうと、あと何年かで——多分自民党の方の気持ちとすれば、税は難しいよと。いろいろな仕組みがあるから、ほかの公益法人税制、いろいろなものとバランスをとらなければいかぬから、一たん法律をつくって、その後で税の体系をやろうと言われるかわかりませんけれども、これはできないです。  なぜかというと、一つは、かなりの方がまず認識が違ってます、先ほど午前中の議論でわかりましたように。原則的には無報酬の、金の入らない団体立法者が想定されているのだから、そこに新たな寄附金控除のシステムが入ることはできません、これは。  それともう一つ、既に法律ができる前からですよ、これ。こんなことが行われている。こういう現状の中で、本当に自民党皆さんはいいのですか。皆さんは小さな政府市民の自立と責任を標榜しているんじゃないですか、自民党というのは。どうですか、自民党
  128. 熊代昭彦

    熊代議員 経企庁さんが独自に予算をとられてされるということについて我々は関与しているわけではありませんから、与党として予算を成立させたということでしたわけでございまして、経企庁さんが現在ある市民活動法人、その他の公益法人に対していろいろなことを考えられる、それは国民生活局という役目でやるべきことであろうというふうに思います。  ですから、効率的に政府としてあるべきことを進めていくということは、市民活動法人全体の活動を促進する上で有益であろうというふうに私は考えているところでございます。
  129. 河村たかし

    河村(た)委員 その経企庁が今度、皆さん法律だと主務官庁になるのですよ、所轄庁に。いいのですか、これは。
  130. 熊代昭彦

    熊代議員 どういう御意図で質問なのがよく理解しかねますけれども、さすが春日一幸さんの御教育を受けられた方としまして、なかなか粘っこい質問をされまして、禅問答のような気もいたしますけれども。  経企庁が所轄庁というのは、私どもが判断したのは、国民生活局を所管する経企庁ということで、国民生活という面でこれをとらえた、事業所管官庁というとらえ方をしないということでしたわけです。  そういう意味で、ボランティア活動を中心とする市民活動ボランティア活動だけに限定されてないのは理解して申し上げているところでございますけれども、それを所管する省庁として、活動は知事の認証で全国的あるいは全世界的に活動していいわけですが、二つ以上の県に事務所がある団体、これは宗教法人でそういうふうに境内建物が二カ所以上あるところは文部省にするというふうに非常に近い過去に改正したものですから、その経緯もございましてやったわけでございます。そういうことで、私は、国民生活を所管する経企庁が極めて適当であるというふうに考えているところでございます。
  131. 河村たかし

    河村(た)委員 適当であると言われますが、経企庁が所轄庁になるんでしょう、これ。NPOというのは実は物すごい話で、すごい団体が出てくるわけですね。将来なる役所が、自分のところが初めから権限を持っているならいいですよ、これからなろうというところが何か予算をもらって、それでいろいろなところに調査と言って、それもまたひどいことに創設への支援なんということを既にやっている。これから権限を持つのですよ、あなたたち。何でやるのですか、こんなこと。どういうことですか、このお金は一体。
  132. 井出亜夫

    ○井出政府委員 与党の案によりますると、私どもが、二つ以上の都道府県事務所を持つ、そういう団体については所轄庁ということで認証あるいは監督をやるということになっておるわけでございます。もし法律がそういうことになれば、私どもといたしましては、法律の規定あるいは御審議内容というふうなものを十分参考にし、またそういうものを踏まえた上で、客観的な事務施行ということをやってまいりたいと思います。  一方、NPO団体というのは、既に法律のあるなしにかかわらず活動しておるわけでございまして、そういうものに対するもろもろの支援でございますとか情報提供の役割というものもまたあるのではないかというふうに考えております。
  133. 河村たかし

    河村(た)委員 とにかく、与党案によれば、目的限定していますから、早いこと言えば、今言った長良川河口堰の問題とか、それから、僕は九段の宿舎ですからきょう靖国神社を通ってきましたけれども、例えば靖国を守る会なんて出てきたら、もう判断つかないのですよ、知事は。こんなこと見えているのですね、頭から。  それから、何か一県に事務所があれば世界じゅう何でもできると言っていますけれども、そんなこと知事がオーケー言うはずないですよ、そんなもの。なぜ言うのですか。事務所だけあって外国をぐるぐる回っておる団体とか、日本じゅう行っておる団体、どうしようもないじゃないですか、そんなの。決まっていますよ。経企庁、行くのですか、あんなところへ。こういうものに補助金的に役所のお金をどんどんつぎ込むことはやめようというのですよ、NPO趣旨は。そうじゃないですか、経企庁、NPOというのは。
  134. 井出亜夫

    ○井出政府委員 経済企画庁といたしましては、個々の具体的個別のNPO団体というふうなものに対して私どもが何か特別な御支援をするというふうな立場ではございませんで、むしろ全体の、日本全体のNPO活動がどういうふうにしたら活発化されるであろうかというふうな観点からもろもろのことをやってまいりたいと考えております。
  135. 河村たかし

    河村(た)委員 ここでまた、自民党の方、なぜ繰り返し言うかといいますと、もうこの法案、三日に決めるのでしょう、来月の三日に、僕が聞いておるところでは。だから、僕は最後に本当に頼んでおるのですよ、自民党皆さんの良心に。もう法律が決まる前から所轄庁になろうという経企庁が——市民団体の方たくさん見えますけれども、はっきり言って、寄附金控除がないですから、そうお金ありませんよ。  繰り返しますけれども、私たちがこうやって偉そうなことを言っているのは、きょう来てみえる市民団体皆さんの税金が自分たちに入っておるからですよ。給料をもらっているのですよ、私たちは。そうでない市民団体皆さん、たくさんそんなところに一億二千四百万も調査費を使って、どうなりますか、この社会は。なぜそんなことはみんなで寄附してやるようにしないのですか。  だから、本当に自民党皆さん、ここは絶対やめてくださいよ、法案成立は。三日の採決はとにかくこれはやめてくださいよ。どうですか、自民党
  136. 熊代昭彦

    熊代議員 一つ前に、都道府県知事が認証をして、全世界に行ったらどうして監督するんだということでございますが、下手な監督をしないというのが新進党さんのことでもありましょうし、私どもも同じ精神でございまして、情報開示と、それから市民あるいは世界市民の目もありましょうから、それで、ただ問題を起こしたときにだけ行政庁が関与する、外国で問題を起こせば外国の政府が関与するということでございますので、問題ないと思います。  それから、自由民主党議員は良心に目覚めろということでございますが、私どもは良心に目覚めてこれをやっておりますので、新進党の皆さんもぜひ良心に目覚めて私どもの案に御賛同いただければというふうに思うわけでございます。  いつ採決するかは委員会の御意思でございます。
  137. 河村たかし

    河村(た)委員 とにかく言えますことは、もう一回繰り返しますけれども、NPOは何かということについての理解がばらばらになっているということだけはぜひ御理解をいただきたいと思います。  私ども新進党方は、多元的な社会というか、公共サービスは役所が全部やる必要はない。お金もですよ。それで、みんなで競い合ってやるんだ。しかし、午前中言われたように、自民党の場合は、全員がどうかはわかりませんよ、それはわかりません。しかし、基本的には役所がやって、お金の面です、ただでやるならどうぞ手伝ってくださいよ、こういう議論の方が多いんじゃないですか、今のところ。  だから、私は、本当にここは、何でこんなに焦るんですか、今国会に成立させようと、そういえば。これはどうですか、自民党
  138. 熊代昭彦

    熊代議員 質問されたかどうか定かでございませんので、ちょっと挙手がおくれましたけれども、法案を出すからには、新進党さんもそうでございましょう、それぞれの国会で成立させるというのを目指すのが議員の役目でございまして、全力を挙げて成立することを目指して私ども与党は頑張りたいと思います。
  139. 河村たかし

    河村(た)委員 まあ、それは当たり前のことですけれども。この終盤になってこれほど無理をして、NPOとは何かということの理解がまだ国会の中で不十分だとは思われませんか、国会議員の中で、正直なことを言って。今言った話ですよ、寄附金の話等も含めて。  それからもう一つ、これは委員の方ぜひ聞いておいてほしいんだけれども、よく言われるのは、僕なんかにもよく言われるんですけれども、例えばオウムのようなところへどんどん寄附するのか、脱税天国じゃないか、こういう話があります。だけれども、これは違いますからね。  どういうことかというと、寄附金控除があると、いつ何どき幾ら寄附する、何月何日百万円寄附しましたというそういう書類が、第一義的にはそれを公開しているということが大きいんですけれども、第二義的には、いつ幾らこの団体に寄附したという書類が税務署へみんな上がるんですよ、寄附控除しますから。そうなりますと、寄附控除がないところへは人は寄附しないようになるんです。だから、米国なんかではすごい寄附金が現にワークしているわけですよ。  そういうふうにしないで、アフタータックスの金でここへ幾ら寄附しましたといって、何に使ったかわからぬじゃないですか。私どもの事務所にでも結構来ますよね、議員だと、寄附してくださいという書類が。なぜ寄附する気にならないかというと、そこの団体が僕の浄財をどうやって使ってくれたかわからぬでしょう。だれも見てくれないでしょう。信用できないですよ、これは。  だから、そういうふうじゃなくて、それは寄附控除をして、税務署へ書類を上げるんですよ、課税庁に。そうすると、課税庁がここのところの所得を捕捉してくれる、こういうシステムなんですよ。こういうシステムを同時につくり上げることはそんなに難しいことじゃないんですよ、これは。皆さんいろいろ、何年もかかる何年もかかると言っていますけれども、何も僕だけが力んでおるんじゃなくて、これはもうアメリカもイギリスでもやっておるじゃないですか、どんどんと。  だから、これを同時にスタートさせて、半年か一年勉強すればいいの。それから同時に法人法を成立させれば、本当のNPO時代が来るんですよ。今の経企庁みたいなことは起こりませんよ、絶対にこれは。それは、役所がやる部分も全部否定はしませんよ、私は。役所がやっていい部分もあると思います。しかし、やはり民間がやっていくのと、もう一つNPOという公のセクター、その収入の中の二割から三割は寄附というもので賄っていくセクターもそこに参加する、そこで初めて多元的な社会ができる。  だから、これは委員長、絶対強行はやめてくださいよ、三日。日本社会のフレームをつくる大変な問題ですよ、言っておきますけれども、これは。こんなことが強行で通ったら最大の悲劇ですから。お願いしますよ、これは本当に。  もう一つ。きょうの場合は余り細かい条文に入るより、まあ用意もしてきたんですけれども、何遍も繰り返しますが、やはり僕とすれば、本当に心から頼みたいんだ、皆さんに。確かに、法人法を通して後でやってもいいかなと思わぬでもないです、これは。多分だめだね、やはり僕はだめだと思う。  理由は、繰り返しますが、まず今の経企庁のようなことが起こっている、既に。それから、やはりまだ議員考え方が、無報酬というか、公的サービスは全部役所がやって、ただのボランティアが役所の下請としていろいろ助け合うんだという理解の方が余りに多い、まだですね。一たん決めてしまうと、NPO法というかどうか知りません、私は申しわけないけれども与党のはNPO法とは呼びたくないんだけれども、そういうものが一たん決まってしまったということで一気に熱が冷めてしまう。僕はそういう危険を感じていますので。  だから、何も私どもの法案を絶対だとも言いませんよ、こうなったら。皆さんと本当に、若干の、若手じゃなくても御法川さんみたいな方で結構でございます、本当に精神的に若い方、精神的に。いや、これは冗談じゃなくて。戦後の日本経済は僕はそれでよかったと思う、本当に。やはり日本は資源がなかったから。だから、お金を全部集めて、そこで画一的に分配するやり方でよかったと思う。だけれども、ここまで来たら、全部そういう集中的な公的資金の分配じゃなくて、みんなで寄附のシステムを今みたいにつくればいいんです。そう難しくないんだから。これはあるんだから、もうここに。早くつくって、半年か一年でやればいいんです。それで、同時に法人法をワークしていこうというふうにしませんか、これ、自民党皆さん。やれるんですよ、これを。ぜひ、そこを訴えたいと思います。  それから、岩永さんにも訴えますが、先ほど言われました小さな政府の話は、本当にいいんです。小さな政府の話はいいんだけれども、小さな政府というのは、権限だけを、みんなで手伝おうという話だけじゃなくて、お金も行くようにしてあげるということですよ、お金も。そうじゃなかったら、これを福祉切り捨てというんですよ。そういうシステムをぜひつくっていくように、私は、社会のシステムというのは、一遍つくると本当に戻れないのではないかという危機感を本当に正直に言って感じております。ですから、ぜひここはひとつ、本当に立ちどまってほしい、ここでですね。本当にいいのかと、今自分たちのやっている方向は。すべて国が税金で取り仕切る、活力のない国にしてしまうんじゃないかということを、本当にこれ与党皆さんに真剣に立ちどまって考えてほしい、そんな気がします。  そんなことで、一度、委員会に自民党政策担当者の方をお呼びするのはどうかわかりませんけれども、一遍ぜひそういう方とお話できませんかね、こういうところで。できませんか、これは。     〔委員長退席、御法川委員長代理着席〕
  140. 御法川英文

    ○御法川委員長代理 これは、後ほど理事会でお諮りいたします。
  141. 河村たかし

    河村(た)委員 あ、そうですか。済みません。委員長の御配慮、ありがとうございます。  それから、ちょっと個別のお話にも入りたいと思いますけれども、これはまあだれも気がつくところですけれども、この十一項目の限定ということでございますけれども、これはだれがどう判断するんですか、いろいろありますけれども、ここに入るかは入らないかは。
  142. 熊代昭彦

    熊代議員 何度がお答えしているところでございますけれども、法の支配でございますから、法律に書八であるところに従いまして所轄庁が常識の範囲内で、コモンセンスで判断するということですね。そういうことでございまして、それはあらゆる法で同じでございます。あらゆる法で同じ、コモンセンスで判断していただく。所轄庁でございます。
  143. 河村たかし

    河村(た)委員 コモンセンス、コモンセンスと言われますけれども、これは何ですか、これから、基準もなしで、どなたかがぽっと入るか入らないかと、こう来るわけですか、これ。コモンセンスですか、これは、知事か経企庁の。
  144. 熊代昭彦

    熊代議員 団体委任事務でございまして、経企庁も所轄庁であり都道府県知事も所轄庁であり、形式上は対等な立場にございます。  ただ、国の機関としまして、一般的に情報を提供するとかそういう義務はあると思いますので、経企庁さんがいろいろと情報提供をされるだろう。それから、各都道府県もお互いに情報提供をするし、国の経企庁さんにその情報が集まるということがあるであろう。そういう情報交換、そしてまた立法過程に関する情報交換等を通して、全国的にほぼ似通ったコモンセンスでの解釈が成立するであろうというふうに考えておるところであります。
  145. 河村たかし

    河村(た)委員 きょう午前中もちょっと、会もありましたけれども、これは具体的な会でございますので余り言うといかぬかもわかりませんけれども、例えば臓器提供者情報センターなのですね。こういうのは、これどうなりますか。厚生省のオーソリティーでございますので、熊代先生、臓器提供者の情報センターなんというのは。
  146. 熊代昭彦

    熊代議員 具体的案件でございますから所轄庁の判断ということになりましょうが、臓器提供情報センターをNPO法人がやるわけでございますね。ですから、別表の十一ある中の一号の、保健医療の推進に関する活動でございますか、それに該当するかどうかを判断する。それを目的として、その一環でそれをやるのだということならば当然入ってくるのではないかというふうに思いますが、それは具体的には所轄庁の判断ということを繰り返し申し上げさせていただきます。
  147. 河村たかし

    河村(た)委員 ここが臓器移植法案を推進しかけると、どうなりますか、これは。
  148. 熊代昭彦

    熊代議員 だんだん禅問答も複雑になってまいりましたが、そこが臓器移植法案を推進したらどうなるかということでございますね。  それは、要するにそれが保健医療の推進に関する活動であるというふうに団体が判断されてやられるならば、それは常識的に見てもおかしいことではないのではないだろうか。反対される団体が、保健医療活動の推進ということの一環としてやられる、それはそれぞれの御判断があるわけでございますので、その一つ一つの判断に、この判断はおかしい、この判断はおかしいとして介入するものではございません。  一般的に、保健医療の推進に関する活動ということに該当すれば、十分NPO法案としての資格があるというふうに法の解釈としては思いますが、具体的にはそれぞれの所轄庁が判断されると思います。
  149. 辻元清美

    辻元議員 ちょっと補足させていただきます。  まず、各運動市民活動をしているところが、自分はどれに入るだろうかと考えるのが手順です。ですから、その自分が起こしていらっしゃる活動について、どれかなとまず考えて御判断していただくということになります。ですから、その方がこれだと思ったら、それに対して、いやあなたのところは違うではないか、こうではないか。そこの団体がうちはこの活動に入っていると言われているわけですから、まずそれが第一義的にこの法の運用の適用の範囲ということになるわけなのですね。  それから、先ほども私申し上げましたけれども、この法案では、いろいろな施策については禁止事項がございませんので、それは自由にできます。ですから、それぞれの活動はどれかということを決めていただき、そしてそれがさまざまな施策の推進、支持、そして反対であったとしても、これはその法律に合致しないというわけではないのです。  ですから、もしも恣意的にどなたかが、所轄庁とかが恣意的に判断して、何かちょっと困るなというようなことをしたら、そちらが法律違反になるというところを明確にうたっておりますので、そのように解釈してほしいと思います。
  150. 河村たかし

    河村(た)委員 いずれにしろ、入るか入らないかはチェックするということですね、目的は。これは自民党です。
  151. 熊代昭彦

    熊代議員 法律の規定に基づいて、法律の規定に縛られて判断するというのは当然でございます。
  152. 河村たかし

    河村(た)委員 許可というのじゃないですか、そういうのは。
  153. 熊代昭彦

    熊代議員 だんだん法律解釈の禅問答になりましたのであれでございますが、許可というのは一番自由裁量の許されている法律行為じゃないでしょうか。ですから、許可という場合に、これは公益の増進に当たるかどうかということをかなり自由にやるということですね。やってはいけないのだけれども、許可でやる。それから、認可というのが少し緩やかになりまして、覊束裁量というか、覊束というのは法文で縛っているという意味で、法文で縛った裁量、裁量の余地が少なくなる。さらに認証になりますと、私どもの言葉遣いの認証でございますけれども、もう非常に明確に法律要件が書いてある。  その法律要件に該当すれば三カ月以内、まあ公示期間一月と書いてありますけれども、プラス三カ月以内で認証しなければならないということでございますので、非常に自由裁量の幅は少ない。けれども本当にこれ合っているかどうかというのは、それは常識の範囲内で判断しなければならないということでございます。
  154. 河村たかし

    河村(た)委員 そうしたら、女子大生の雇用を考える会なんてどうですか、これは。
  155. 辻元清美

    辻元議員 その団体の人がどれにお決めになるかというのは、私はなかなかここで答えにくいのですけれども、もしも私がその団体を運営するとすれば、女子大生の雇用ですから、十番の「男女共同参画社会の形成の促進を図る活動」にびたっとはまるのではないかというふうに思うのですけれども、いかがですか。
  156. 河村たかし

    河村(た)委員 まあ、そういうところが、また雇用の促進法というのありましたね、そういうことをやりかけると、これはまた政治がいいかどうかとかいうことになってくるわけでしょう。まあいいですよ。  それから、例えば北方四島の返還を求める会はどうですか、これは。これはどうですか。     〔御法川委員長代理退席、委員長着席〕
  157. 熊代昭彦

    熊代議員 北方四島の返還を求めるだけでありましたら、一号から十一号のいずれにも該当しないのじゃないだろうかということでございますね。ですから、一号から十一号に該当する仕事を主たる仕事として、その従たる仕事としてそれをやるならば入るけれども、主たる仕事がそれだけであるということならば、一号から十一号の中に入らないという解釈だと思います。
  158. 河村たかし

    河村(た)委員 国際協力とは言えませんか、これ、先ほど言われたから。私は国際協力でしょうと、北方四島。これはだめなのですか。
  159. 熊代昭彦

    熊代議員 国際協力を目的としてその一環としてやるというなら、当然入ります。
  160. 河村たかし

    河村(た)委員 こんなことを延々とやっておってもしようがないぐらいのことはわかっておることで、こんなものは。  だから、どういうことかというと、入るか入らないかが問題ではなくて、これは多分経企庁になります。知事はそんな限界事例はもうやめてくださいと言いますよ、必ず。これは経企庁長官が、要するに判断するわけですよ、いいのか悪いのか、これ。こういうのを許可というのですよ、目的チェックをすることを。それで、政治をやっておったらいいかどうか、宗教はどうかとか。政治なんて、みんななってくるじゃないですか。政治上の主義と言っていますけれども、プライバシーを守るというのは政治上の主義なのか主義でないのですか、どっちですか、例えば、これは。熊代さん、どうですか。
  161. 熊代昭彦

    熊代議員 政治上の主義というのは大変限定されておりまして、いわゆるイズムと言われるものでありますから、民主主義を守るとか共産主義を守るとか、そういう体制のあり方の根本にかかわるようなものを政治上の主義に関することと言っておりまして、政治上の一々の施策を推進するということは政治上の主義というものに入っておりません。施策を推進する活動は自由にやってください。ただ、イズムを実現する活動というのは政治活動そのものではないだろうかということで、一応除外してあるということでございます。
  162. 河村たかし

    河村(た)委員 じゃ、地球環境を守る、どうですか、地球環境を守る。緑の党、これは何ですか。
  163. 熊代昭彦

    熊代議員 法案が成立する前から都道府県知事になったような心境でございますけれども、いろいろと。  地球環境を守る活動ですね。地球環境を守る活動というのは、五番に「地球環境の保全を図る活動」というのがございますから、その項目に該当するとして申請されれば認められるんじゃないんでしょうか。
  164. 河村たかし

    河村(た)委員 政治上の主義でもあるんじゃないですか。
  165. 熊代昭彦

    熊代議員 ここに言っております政治上の主義の概念に入りません。ここの解釈は、法令用語上の検索もやっておりまして、いわゆるイズムと言われるものでございます。
  166. 河村たかし

    河村(た)委員 私が言った人だけ答えてください、時間がないですから。  民主憲法を守る会というのはどうなります。熊代さんやってください。
  167. 熊代昭彦

    熊代議員 民主憲法を守る会というのは、それが入るかどうかというのは、頭から排除されるかどうかという話ですね。政治上の主義主張に入るかという話ですね。  先ほど申し上げましたように、民主憲法を守るというのは、それは民主主義を守るというふうに言っているかどうかわかりませんけれども、イズムだけをやるならだめだし、そうじゃなくて、一般的な施策を推進するんだというならいいでございましょうから、いずれにしましても、この十一項目に入る、十一項目の市民活動に入る目的を掲げてやっていただくということで、それがあるからやってはいけない活動だということにはならないというふうに思います。
  168. 河村たかし

    河村(た)委員 ですから、こんな例を挙げれば切りがないですけれども、とにかく、認証という言葉は、まことに申しわけないけれども、うそという言葉を使うとせっかくの法律に対して申しわけないので使いませんけれども、認証ではないですね。法制局、どうですか、認証という言葉でいいですか。
  169. 早川正徳

    ○早川法制局参事 認証という言葉は、これは、ある行為が法令に適合しているかどうかということを審査し確認をしてその判断を表示する行為であるというふうに一般的に使われております。  この法律案に即して申し上げますと、設立の認証に関しまして、十二条におきまして、「所轄庁は、」「設立の手続並びに申請書及び定款の内容が法令の規定に適合していること。」それから「当該申請に係る市民活動法人が第二条第二項に規定する団体に該当するものであること。」「当該申請に係る市民活動法人が十人以上の社員を有するものであること。」こういう要件に「適合すると認めるときは、その設立を認証しなければならない。」ということになっておりますので、その意味で認証であるというふうに理解しております。
  170. 河村たかし

    河村(た)委員 そんなこと言っていいんですか、本当に。なかなか苦しいところだと思いますけれども、十人以上に入るか入らないかとか、そういうことはいいですよ。しかし、目的限定で、これが入るか入らないか、政治上の主義になるかならないかとか、こんなのは内容に立ち入らないとわかりませんですよね、正直言って。政治上の主義とわかるんですか、書面で。いやいや、いいです。  そういうことでございまして、私、これは実際上は、本当に、経企庁経企庁と言って悪いんですけれども、役所の恐ろしい裁量権ですよ。どうでも判断できますよ、申しわけないけれども。もしこういう列挙をするんだったら、アメリカ法でもそうですけれども、アメリカ法のいわゆる(c)(3)団体の場合、やはり列挙になっていますけれども、慈善団体とあるんですね、そこの中には。だから非常に、制限列挙のように見えますけれども、包括的に読める規定が入っているんですよ。その慈善団体とは何かというのをずらっと並べてやっていますけれども。だから、原則的に入るように、その他公益ですね、言ってみれば。そういう規定を持っているんです、これは。  それで、公益かどうかはチェックします。例えばカラオケの会とか釣りの会とか、これはちょっとだめでしょう。やはり社会利益のためにみんなで活動している、こういう団体がどうかは見ますよ。だけれども、申しわけないけれども、今の与党さんの案、これは実際ワークしましたら、みんな知事がギブアップしますよ。それで全部国に上がってきて、政治、宗教、十一項目、これ見ますよ、全部。こういうふうになりますよ。それしかできないんだもの、こんなの。例を挙げるのはやめますけれどもね。そんなことでございます。  それから、経企庁はこれ所轄庁ですけれども、僕は縦割り論者じゃないんだからこれは別なんですけれども、例えば、何ですか、これ、保健福祉は厚生省ですか、社会教育は文部省ですか、町づくりは、何ですか、これ、建設省か自治省かでしょうね、今のところは。私は役所論者じゃありませんから、そういう縦割りがいいと言っておりませんが、これは、経企庁はスーパー官庁になるわけですか、今度は。ちょっと経企庁、まず。
  171. 井出亜夫

    ○井出政府委員 経済企画庁は、政府の各機関が行う経済政策を総合調整をするというふうな役割がございまして、そういう中で、国民生活行政など各省庁の枠を超えた横断的な行政を担当しておるわけでございます。そういう中で私どもにこの認証をやれということではないかというふうに理解をしております。私どもが特にスーパー官庁になるとかいうふうな意図は毛頭ございません。
  172. 河村たかし

    河村(た)委員 そうすると、これは公益法人の場合は今のところまだ各々別々ですね。これと、よく熊代さん税のことを言われると、公益法人等との調整を盛んに言われますけれども、これは一体いいんですか、NPOだけは経企庁、ウルトラスーパー官庁、あとは公益法人は各今の霞が関、こういうふうにするわけですか。
  173. 熊代昭彦

    熊代議員 先ほどの、許可ではないかというようなお話もございましたが、あわせて御答弁を申し上げますが、民法はすべてを含んでいるんですね。慈善、祭祀とかその他公益に関する活動ということですから、先ほどアメリカの法律で御指摘になったように、民法はすべてを包括しているわけです。だからそれがアメリカの法律に対応するわけですね。その一部分、そこの民法公益活動の一部分だけを取り出して特別法をつくろう、それは国民生活という範疇でとらえられるものを特別法にしようということでありますから、スーパー官庁にはなるわけでも何でもない。国民生活としてとらえるからこそ、非常に民法に比べて簡易な認証という制度でやれる。  それはもう自由裁量の余地はほとんどないわけで、許可であるから民法は何も書いてないですね。公益に合致するものは公益法人にすると書いてあるわけですが、実際には三億円なきゃだめだとか一千万円収入がなきゃだめだとか、いろいろ厳しくやっております。それは許可だからそれだけの自由裁量があるわけですね。こちらの認証は、そういう自由裁量の余地は非常に少ない。もうあらゆる法律で、あらゆる世界各国で許される範囲での自由裁量、その程度のものでございます。
  174. 河村たかし

    河村(た)委員 どうもようわからぬのですけれども。  自由裁量が少ない少ないと言いますけれども、目的をチェックして、政治、宗教をチェックして、何が少ないんですか。ええかげんにしておいてもらわないかぬですよ、本当に。  そう考えると、実は、民法三十四条で三億と書いていないですよ、あれは。目的限定もしていないですよ、民法三十四条は。政治、宗教禁も書いていないですよ。(能代議員「宗教は禁じゃなくて入っていますよ」と呼ぶ)入っていますよね。「祭祀」と書いてありますね。
  175. 伊藤忠治

    伊藤委員長 委員長を通してください。
  176. 河村たかし

    河村(た)委員 だから、結局、民法三十四条がそもそも許可で、実は今度のやつも実態上チェックするわけですよ。これは何のためにつくったかということになるんですよ、寄附金控除も何もないし。そういうことですね。法人格だけは、どういうふうかわかりませんけれども、一応許可的に運用で与えられるかもわかりませんけれども、これは、それこそ民法三十四条と同じことじゃないですか。条文だけ言えば、あれは運用が悪いだけであって、同じ条文をつくって、もっと悪いというか、一部の人しか取れない厳しい法律をつくったんじゃないですか。そうじゃないですか、熊代さん。
  177. 熊代昭彦

    熊代議員 河村さん御自慢の新進党案でございますけれども、認可になっています。それで、公益目的で縛ってありますね。ですから、何が公益かというのも判断しなければならない。民法との違いは、一都道府県内に活動を主として限定しよう、そういうすみ分けをされているわけですね。ですから、新進党案の方がはるかに自由裁量の余地はあるわけですね。  私が申し上げているのは、あらゆる法案で、この条文にこれが適合しているかどうかというのは、人間が判断しないと、コンピューターが自動的に判断してくれるわけでもございませんので、それは当然、必要最低限の判断はしなければならない、そういうことに限定されている極めて覊束裁量の性格が強い認証である、新進党さんの案よりもはるかにそうであるというふうに申し上げているわけです。
  178. 河村たかし

    河村(た)委員 これはちょっと、とんでもない話で、公益を判断しないんですか、あなたのところは、与党案は。公益判断なしですか、これは。
  179. 熊代昭彦

    熊代議員 「目的」に、公益に資すると書いてあります。ただ、公益の判断を全くしないわけじゃありませんが、やはり十一項目に例記したというのは、これは明らかにもう判断の余地もなく、これを目的とすれば公益ですよということを明示したわけですね。そういう意味自由裁量の余地を少なくした、こういう趣旨でございます。
  180. 河村たかし

    河村(た)委員 公益判断をするのかしないのか、言ってください。
  181. 熊代昭彦

    熊代議員 申し上げたとおりでございますけれども、要するに、公益を目的とするというのは、法律の目的に書いてございます。法律の目的に書いてありますから、当然公益を目的とする範囲内でこの法律は運用されておりますけれども、その十一項目の柱書きには書いてございませんで、不特定多数の者に、こういうふうに書いてございますね。ですから、十一項目に当たって、しかも不特定多数の者に対するサービスをするということであれば、当然公益に該当するという前提でこの法律は書かれております。
  182. 河村たかし

    河村(た)委員 そうすると、いわゆる公益よりいささか広いんですか。私どもは、市民公益ということで、やはり法律の建前も、きょうは市民団体の方がたくさん見えていますけれども、従来の公益というのは血塗られた公益でございまして、公益そのものが悪かったんではない、その後に続く許可というのがこれを非常に悪いものにしてしまったということなので、そこはしっかり外郭をつくってございます。  それで、公益団体というのはカラオケの会、釣りクラブの会とやはり違うんですね。そこははっきりしておるんですよ。そうしないと、例えば残余財産を分配していいかどうか、これは、共益団体なんかやはり分配していいんですね。そうしなきゃだめだ。ここのところは法制度が違ってくるわけです。  だから、もし公益を崩した概念になりますと、これは法制局、大変ですよ。これは民法より広い法律をつくっちゃったことになりますよ。どうですか。
  183. 熊代昭彦

    熊代議員 繰り返し御答弁申し上げているところでございますが、河村先生も十二分に御理解の上で、やはり師匠譲りの物すごい政治的センスを発揮していらっしゃるのだと思いますけれども、私どもは、公益の範囲内にとどまってやっております。公益公益ということで裸で規定しないで、不特定多数の者を対象として次の十一項目を推進するものは当然公益の範囲内に入るということで解釈していますので、自由裁量の余地を少なくしているのが十一項目とその柱書きであるということでございまして、十二分にといいますか、完全に公益の範囲内にとどまっているところでございます。
  184. 河村たかし

    河村(た)委員 それは、先ほどの話はちょっとしっかり訂正しておかなきゃいかぬですけれどもね。私どもは地域限定とすぐと言われますけれども、それは全く間違っております。  今もし仮にそうだとすると、公益は同じだとしますね、僕はちょっとどうも釈然とせぬのですけれども。どうも自民案は、そこは公益と共益がまざっておるんではないかという気がして、それはいいように見えますけれども、それをやりますと、実は法律仕組みが変わってきますから、後の税のシステムをつくるのが非常に難しくなる、それから残余財産の分配等の法制度仕組みがこれもまた非常に難しいということで、これはややこしいことになるんです。  そうなりますと、判断は、与党案のように目的をチェックしていく、政治、宗教をチェックしていくのと、私どもは、地域基盤があるかどうか、基盤があるということは、これは海外活動もやっていいわけなので、ただ、それをフィードバックして、例えば県民の人に会報を発行したり、それからシンポジウムをやったり、そういうことをして、その県の人たちが喜ぶようにしてもらえぬか、喜ぶというのはちょっと卑近な言葉ですけれども、そういう法律なんですよ。いわば地方分権法なんですね、これは。  まあ、NGOの方についても、シンク・グローバリー、アクト・ローカリーというのがありますね。そんなことで、現実的には海外で活動されておる方も、やはりみんな地元である程度やっていかないとお金も集まりませんし、そういう法律でございますので、どうもそこらがちょっと、そこはしっかりと訂正しておいてください、限定と言われましたからね。限定ではない、地域基盤ということでございます。  それから、県に事務所一つあって、日本じゅうでぐるぐる活動している、主たる活動県外にあるという場合、これはどういうふうに、知事でいいんですか、これは。
  185. 熊代昭彦

    熊代議員 法律要件が、同一都道府県内に事務所がある、ほかの都道府県にはないということでございますから、たとえ海外で活動しようとも、都道府県知事の認証で足りるということでございます。
  186. 河村たかし

    河村(た)委員 これはむちゃとしか言いようがないんでね。これは欠陥法で、多分僕は直すことになる——欠陥と言うと御無礼かもわからぬで、直すことになると思いますよ。  二県以上に事務所があれば経企庁長官で、それで海外に事務所があって結構だとか、ないし、事務所が県内に一つだけで、日本じゅう、事務所はないけれども、主たる活動県外にあるのが、なぜ知事ができるんですか。
  187. 熊代昭彦

    熊代議員 既に御説明申し上げましたように、宗教法人法でそのような割り切りをいたしました。活動自身は一県内にとどまっているかというのは、なかなかチェックできないわけですね、常時ついて歩くわけでもありませんから。ですから、その活動の規模の大きさ、全国的な規模なのか都道府県規模なのかということは、一応のメルクマールとして事務所でチェックするということでありまして、活動は、むしろ一々チェックしないで、事務所が一県内であれば、全国、全世界でいいだろうと。  基本的に、これも繰り返しになりますけれども、要するに、情報開示で国民の監視のもとに置いていく、それが第一義の法人の監視でございます。非常に悪いということが明白になったときにだけ行政庁が関与するわけでございますから、それで十分対処できるというふうに考えているところでございます。
  188. 河村たかし

    河村(た)委員 なるべく監督をしないなんというのは当たり前のことでございますけれども、やはり事務所一つだけで、多分そのうち法案を直されるのではないか、僕はそんな気がしております。  もう時間がありませんから、最後にさせていただきます。  何遍も繰り返し申し上げて本当に申しわけないのだけれども、これはいろいろな考え方がありますので、何も私の言っておることだけがいいわけではなくて、ここで本当につくった方がいいのかどうか、かもわかりません。しかし本当に、特に自民、それから民主さんも、市民が主役、こう言っておられましたけれどもどこへ行ってしまったのか。市民がきずなの社民党さんも、市民とのきずなはどこへ行ってしまったのかということですね。やはり主役というのは、人間生活というのは、何遍も言いますけれども、ある程度活動資金というか経済基盤もしっかりしておるのを主役というのであって、単に行政の手伝いをしたりそういうのを主役というのではないのですよね。  だから、多分皆さんは、とりあえずまず行政下請法案であろうがここでつくって二、三年後にまたやればいいではないかと思われておるかもわかりませんけれども、先ほど、何遍も繰り返しますけれども、非常に危険な状況ではないかと僕は思っております。そんな危険を冒すのだったら、今からもう一回組み直して、特に自民党の方、やはり一番大きい政党ですから、自民党の中に、寄附金控除というのは実は脱税を減らすためにあるのだということを皆さんで手分けして十分に説明に回れば、新しい時代は意外と近いところに来るのですよ。自民党の方はわかっていますよ、自由主義やっているのだから。ただNPO説明がなかっただけなのです。  だから、私は最後、そのことだけ一つ皆さんにお願いしまして、繰り返しますけれども、特に自民党皆さんにはぜひ立ちどまってもらいたい。もう一回またメンバーを組みかえて、本当にNPOの自立、特に経済的自立、ここをしっかり踏まえた法案を一緒に力を合わせてつくっていきたい、そんなふうに思っております。  どうもありがとうございました。
  189. 伊藤忠治

    伊藤委員長 次に、金田誠一君。
  190. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 民主党の金田誠一でございます。私ども、このNPO法案作成に関与をさせていただきまして、これは大変面倒な法律だなという思いをつくづくいたしているところでございます。  本来であれば、民法三十四条を改正をして非営利法人一般法という形で立法をすれば、民法とのすみ分け規定も不要になる、あるいは役所の認証、ある意味では役所によるコントロールといいますか、懸念されるそういうものも不要になる。本来の姿としては、民法改正を伴う非営利法人一般法の制定、これが必要なのだなということを、この間法律をつくる作業を一緒にさせていただいて痛感してまいったところでございます。  先ほど来答弁の中でも多少触れられてはおりますけれども、三年後の見直し規定というものがございまして、その中でこうした非営利法人一般法についての検討も加えられていく、私どもはこのように考えているわけでございますけれども、これはいかがなのでしょうか。三党共同提案の中で、それぞれ政党ごとに多少度合いが異なるものなのかもしれません。政党のお立場、党内事情等々によって異なるのかもしれませんけれども、私どもとしては、本来あるべき姿として、民法改正を伴うこの非営利法人一般法、それに向けてこれから見直しの三年後を含めて努力すべきもの、こう考えておるわけでございますが、これにつきまして、熊代さん、辻元さん、それぞれ御見解を伺いたいと思うわけです。
  191. 熊代昭彦

    熊代議員 委員指摘のように、民法営利法人とそして非営利公益法人を定めてございまして、非営利でありかつ非公益である、例えば互助組織のようなものについては全く定めておりません。  そういうことでありますから、非営利かつ非公益を含めて一般法をつくるということは、百年続いた民法制度をここで思い切って変えるということでございます。それはそれなりの手順とそれなりの準備とそれなりの時間、資源が必要であろうということでございますので、我々は、とりあえず民法公益法人の範疇の中にとどまって、その中の特別法ということで、国民生活市民生活に影響の多いところを簡易な法をつくるということにしたわけでございます。  それとともに、非営利法人一般法で準則主義にするということになりますと、これは英米の一般のことでございますけれども、これも既に申し上げたところでございますけれども、そうしますと原則課税になるわけですね。寄附金もお布施もすべて原則課税になる。会費も課税になる。そうなりますと、今は人格なき社団でもあるいは宗教法人でもその他の公益法人でも寄附金も会費も全部原則非課税であります。これまで公益法人に適用された大原則を完全に改めるわけでございますから、これはまた大作業ですね。既存の宗教法人等本当に反対される面もあると思います。ですから、そういう根本論をしていたならそれは相当な時間がかかるであろうということでございますから、こういう法律をともに出させていただくということで出したわけです。  税につきましては、申し上げましたように公益法人並みあるいはそれプラスアルファというのがまず一つのステップでありまして、もう一つは、根本論もやる、そういうのは二次ステップですね。「三年以内」という中にその両方が含まれているだろうかということですが、「三年以内」というのは、限定して何を検討するか書いておりません。それは両方とも含まれていると思います。ただ、私の個人的見解としては、その二つを分けて検討した方が非常に生産的であるというふうに考えているところでございます。
  192. 辻元清美

    辻元議員 このたびの提出した法案につきましては、附則に三年の見直し、先ほどから何回も出ています。この中に今金田議員が御指摘の非営利一般法制定に向けての検討というのも入っているというふうに私は理解しています。ただ、これは私たちだけの力ではできませんので、多くの議員の方と議論しながら進めていきたいなというふうに考えております。
  193. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 熊代先生おっしゃるように、民法をいじるとなりますと、この原則課税という問題も含めて大変膨大な作業になる。しかし、NPO法市民要望が大変強いわけでございまして、一刻も早くという御要望でございます。抜本的な非営利法人一般法なりあるいは税制優遇措置、これまた現行公益法人税制との整合性をどう確保するか等々、そう短兵急にできるものでもないということを考えますと、差し当たってどうしても必要な最低限の法整備ということからすれば、今回の民法三十四条のすみ分けによる市民活動促進法の制定ということは時宜を得た判断である、こう思うわけでございます。  しかし、そうはいっても、今後の方向づけみたいなものがもう少しはっきりすることによって、NPO運動に携わっている皆様も将来の展望がより開けてくるのではないか。民法改正なりあるいは税制の優遇、それぞれ時間のかかる大変困難なものではございますけれども、その辺のところをもう少し明確に方向づけできないものかなということを思うわけでございます。  そこで、この非営利法人一般法、民法改正を伴うわけでございますけれども、それの制定あるいはこれの検討といいますか、それと、もう一つの大きな柱が税制等の優遇、この二つとも諸外国ではもう既に常識になっているわけでございます。結社の自由に伴って、届け出制、準則主義による法人格の取得ということは当然のことでございますし、NPO法人に対しては税制あるいは郵便料金なども優遇されているようでございますけれども、そうした措置が伴うのは当然のこと。  第一歩を踏み出すに当たって、民法改正、非営利法人一般法あるいは税制の優遇、セットにすることは物理的に無理であったとしても、将来進むべき方向として、例えばこの附則の三年後の見直しの文言を、もっとわかりやすく、将来はそういうことも踏まえて検討されるのだという形で修正をするというか手直しをするというか、この点について、提出者として検討の余地がないものか、ひとつお伺いをしたいと思います。
  194. 熊代昭彦

    熊代議員 これは、委員御承知のように、大変に賛成論、反対論の厳しいところでございまして、国民が支える国家でございます、国民のための国家であるけれども、その国のありようとして、税制がどうあるべきかということは本当に大きな問題でございます。附則に、極めて抽象的な形であるけれども、前向きな雰囲気を漂わせて「三年以内に」と書いてございますので、これを改正しないかということになりますと、これはまた大変な議論を巻き起こすことでございます。私は、むしろ、本委員会で決意を込めて附帯決議等で、委員会で御検討いただいた方がより生産的なのかなと個人的な見解を持っているところでございます。
  195. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 気持ちの上では変わるものではないということは確認できたと思うわけでございます。それを法律の上に明確にするかどうかの違い、私どもとしては願望は非常に強いわけでございます。ぜひ御検討いただきたいと思うわけでございますが、そういうことを申し上げて、次の質問に移らせていただきたいと思います。  次は、そういう民法とのすみ分け、民法特別法という形での立法に伴って、これはやむを得ずすみ分け規定が必要になるわけでございます。与党案においては十一項目別表に掲げている。それともう一つは、無報酬性といいますか、社員なり役員の無報酬性という二つの根拠を持って民法三十四条とすみ分けるという御苦労をされた立法になっていると思うわけでございます。  新進党さんの方は、地域基盤による活動ということで民法とのすみ分けをされている。これは日を改めて新進党さんにもお聞かせいただきたいなと思ってございますが、地域基盤によるすみ分けということでは、具体的にどういうすみ分けになっていくのか、民法法人とNPO法人と一体どこがどう異なってすみ分けられていくのか、日を改めてこれはお聞かせをいただきたいと思いますけれども、まず、この与党案の十一項目の解釈、これにつきまして順次お尋ねをしてまいりたいと思うわけでございます。  それぞれの項目、十一項目あるわけでございますけれども、かなりそれぞれ幅広く解釈できると思うわけでございます。先ほど来の答弁でも、そのように御答弁がなされているというふうに受けとめさせていただきました。この十一項目の中で、立法者の意図としてはできる限り広い分野市民活動を対象にしようということで立法をされた、こう理解してよろしいかどうか。そして、それによって、現実問題としては現在行われている市民活動の大部分はこれに該当するな、こう理解をしているわけでございますが、そういうことでよろしいかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
  196. 辻元清美

    辻元議員 先ほどからたびたび十一項目出ておりますが、大多数の皆さんに活用していただきたいということでこれをつくりましたので、金田議員指摘のとおりです。
  197. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 例えば別表の一でございますが、「保健福祉の増進を図る活動」、こういう中には、「保健福祉の増進」というふうに文言上はありますが、当然のこととして、保健なり福祉に関連の深い医療も含まれる、例えば国境なき医師団とかAMDAなどもそうなんでしょうが、諸外国で大変な医療活動をされている。この医療も当然のこととして含まれる、こう解釈すべきものと思うわけでございますが、そんなことでよろしいでしょうか。
  198. 熊代昭彦

    熊代議員 保健は医療よりも広い概念でございまして、医療にプラス予防とかも含めて保健と言っておりますので、当然医療は入ります。
  199. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 この十一項目がどのように解釈、運用されていくのかというのがNPO団体の非常に強い関心事でもございますので、ちょっとくどいようでございますが、順次お尋ねすることをお許しいただきたいと思うわけでございます。  二の「社会教育の推進」という項目がございますが、これは、社会的な問題についてテーマが限定されているわけではない、テーマを限定せずに、市民一般を対象として講演会の開催であるとかあるいはパンフレットの頒布であるとか、社会的な啓発活動、こういうことを行う活動であるというふうに理解をいたしますけれども、いかがなものでしょうか。
  200. 辻元清美

    辻元議員 社会教育教育という言葉だけにしますと、これは大分議論があったのですが、塾などありますね、高いお金取って、ああいうことにつきましていろいろ配慮して、社会教育としております。  最近では、生涯教育など、随分地域でも、年齢の高い方にいろいろな講演会を催されるとか、そういう活動も活発になっておりますので、金田議員指摘のとおりで結構だと思います。
  201. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 この項目であと三点ほどまとめて聞かせていただきたいと思います。  「五 地球環境の保全を図る活動」ということでございますが、これも、解釈によっては、地球環境、環境全般というふうに解釈できるわけでございますけれども、一般に、地球環境といいますと、オゾン層だとか地球温暖化とか、かなりグローバルな、森林の消失とか、そういうことを指す場合が多い。地域の鎮守の森を守るとか、小川を守るとか、地域環境ということも含む幅広い環境だと理解をすれば、この五は、例えば地球という言葉を除いて、「環境の保全を図る活動」ということの修正の方がより理解しやすい形になるのではないかなと思いますが、いかがでしょうか。  あと二点あわせて聞かせていただきますが、六には「災害時の救援の活動」というのがございます。これについて、解釈の仕方によっては、災害時ということですから、例えば災害が終わってしばらくたって、例えば今の神戸の状態、これはもはや災害時とは言えないわけですが、ここにもボランティアの方がさまざまな救援活動等々されているわけでございます。あるいはまたこれからの災害に備えて未然に訓練等と、こういうこともあるわけでございますが、もちろん、その解釈として、災害時の救援ということであるから災害時だというような限定的な解釈ではなくて、例えば災害に関連する幅広い、災害後、災害前も含めた後援、調査研究等を含む、そういうものであるという理解をいたしておりますが、それでよろしいかどうか。  あわせて、九に「国際協力の活動」ということがございます。これは、先般来、河村たかし先生の方からもいろいろ私、個人的に御指導もいただいておりますが、国際協力というとかなり限定的なものである。これが国際理解の増進とか国際交流ということになると幅が広くなるんだということも御教授はいただいているわけでございます。  ここで言う「国際協力の活動」ということは、そのような限定的な解釈ではなくて、国際交流、国際貢献を含むあらゆる国際的な形態の活動というふうに当然のこととして理解をするわけでございますけれども、それでよろしいかどうか。  以上、三点でございます。
  202. 熊代昭彦

    熊代議員 地球環境の保全でございますけれども、砂も地球のかけらなんだよとかいう歌もあります。そういう意味ならばあらゆる環境が入るようにも解釈されますが、いろいろ御指摘がありまして調べたところでは、やはり地球環境といえば、公害対策基本法などでは地球上の非常に広範な部分にわたっての環境問題ということになっております。  そういうことでございますから、委員のお話がございましたように、この委員会での御審議を踏まえて、より広く環境問題が入るような修正ということも弾力的に考えたいと思っているところでございます。  それから、「災害時の救援」というのは、そのときに限らない、その前も後もすべて含む。  それから、国際交流は、二国間の交流がすべて入るわけでございます。援助というと先進国、後進国というようなことになりますが、先進国同士の交流も入る、すべて入るということで、委員指摘のとおりでございます。
  203. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 十一項目の解釈については了解をいたしたいと思います。よく理解ができました。  次に、第二条、定義でございますけれども、民法特別法ということでございまして、公益ということがどうしてもついて離れない。その公益の解釈としては「不特定かつ多数のものの利益の増進」ということになるのだそうでございます。  そこで、第二条にもそのように明記されているわけでございますが、この不特定多数の解釈、これまた先ほど来取り上げられておりますけれども、改めてひとつお聞かせをいただきたいと思うわけでございます。  といいますのも、実は今、介護保険法が成立間近、こう思うわけでございますが、この中でも、在宅介護サービスを提供するボランティア団体なども、法人格のあるなしによって、介護保険法の適用もかなり違ってくる。そういう、NPO期待をしている向きもあるわけですね。NPO法の本来の目的の一つでもあろうかと思うわけでございます。  官に頼らず、本当に自立をして、介護だろうが何だろうがみずからやっていく。それには当然正当な報酬が、寄附金なりあるいは介護保険の場合は診療報酬、介護報酬というのでしょうか、そういう形で対象になるということが、NPOの発展の上で極めて重要なことだと思うわけでございます。  ところが、介護サービス提供団体は、労働法制との関係もあるというふうには聞いているのですが、労働者派遣法とかそういう関係の絡みもあって、便宜的に会員制という形をとっているということなのでございます。  そこで、この会員制の解釈が実際どうなるのかということが改めて問われるわけでございまして、実際問題、非常に心配事の対象になっているわけでございます。  そこでお尋ねをしたいわけでございますけれども、会員制の市民団体の場合、どこまでが法人格付与がされて、どこからされなくなってくるのか。先ほど来の御答弁では、会員制だからといって直ちにすべてだめというわけではないというところまではわかりましたけれども、その辺の区分けといいますか、その辺につきましての考え方をお聞かせいただきたいと思うのです。
  204. 熊代昭彦

    熊代議員 先ほど他の委員の御質問にお答えしたとおりでございますけれども、会員制の要件が非常にエクスクルーシブにほかの人を排除するという要件であってはだめだということでございます。  例えば入会金千円だとか年会費三千円とかいうのも申し上げましたけれども、そういう一応だれでも入れるような要件でありまして、しかしやはり会員制というのをとりたいということで、一般の方々を排除する趣旨でないということが明白なものである場合は、会員制であっても差し支えないということでございます。
  205. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 具体的な例を挙げればその都度の判断ということになるのかもしれませんけれども、例えば、非常に低廉な価格で一応会員制という組織をやっている介護サービス提供団体であるとすれば、介護サービスの提供を受ける際にその場で会員登録手続などができるというような場合などはいかがなものでしょうか。これもケース・バイ・ケースということになりますでしょうか。
  206. 熊代昭彦

    熊代議員 あらかじめ会員でなければならないということではなくてその場でも会員になれるということは、会員になることが非常に容易であるわけでございますから、他の条件が同じであれば、その場でも会員になれる方が、より不特定多数ということに近いと思います。
  207. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 例えば舞台芸術などを鑑賞する団体、文化鑑賞団体とでも申しますか、こうした団体会員制をとっている場合が多いわけでございます。この場合は、恐らく福祉サービス団体と同じように、ケース・バイ・ケースで判断されるということにはなりましょうけれども。  これは全く例えばの話でございますが、会員制で行っている文化鑑賞の事業を、本来事業ではなくて収益事業ということに位置づけをする。そして本来事業としては文化の普及、舞台芸術の振興ということで、例えば後援会であるとかパンフレットの発行とかさまざまな公演の紹介とか、そういうことを非営利でやる。一方で、会員制で行っているものについては収益事業であるという形なども可能だと思うのですが、いかがなものでしょう。
  208. 辻元清美

    辻元議員 収益事業の場合は、問題は全くありません。
  209. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 不特定多数のところは、これまた十一項目と同じように、各団体は非常に心配をされている。せっかく期待をして、NPO法ができる、しかし自分のところは対象になるのかどうなのか。このことは、民法特別法であれば、新進党案でも同じことが言えるのだろうと思うわけでございまして、これはまた次の機会にもう少し掘り下げさせていただきたいなと思うわけでございます。  それと、民法とのすみ分けの要件としての無報酬性ということでございますが、役員と社員の両方の無報酬性。  役員総数の三分の一以下、社員総数の三分の一以下、報酬を受ける者がこうした数に限定をされているということでございますけれども、ここまで厳格に無報酬性を要求することもないのではないか。十一項目というすみ分けが一方にあるわけでございますから、せいぜい役員のみにとどめることでも成り立つのではないか。社員まで含めますと、その無報酬性を証明する社員名簿の提出などということに連動してきて、現実の市民活動にそぐわないのではないか、こう思いますが、いかがなものでしょう。
  210. 熊代昭彦

    熊代議員 ここに規定してあります社員は、これは社団でございますから社員と言っているわけでございますが、社員総会などに出席して議決権のある社員ですね。そのほかの人たちは一般の会員とかそういう名前になると思います。それから役員ということでございます。  御指摘のように、ボランティア性ということで、社員の三分の一以下は報酬を受けてもいい、三分の一を超えては報酬を受けてはいけないという規定を入れましたわけでございますけれども、役員については、確かに営利を目的としないものでございますから配当ができないんですね。収益事業などで得たものを一般会計に入れて、それが配当できないわけでありますけれども、そのかわり、役員が全員高給を取っているとかそういうことになりますと確かにボランティア性というのは非常に少なくなるということでございますので、役員の方は堅持する必要があると思いますが、社員についても一応そのように考えたわけでございますが、他の法人制度といろいろ比べてみまして、ちょっと厳しいかなという感じもしております。  御指摘を受けまして、委員会の総意であれば、これも柔軟に対応していきたいというふうに考えております。
  211. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 次に移りたいと思います。  第十条でございますが、設立の認証に当たって提出をする書類が列記されてございます。その中で、「各役員の就任承諾書及びその住民票」という記載がございます。在日外国人の方あるいは海外に居住する外国人の方を含めて、日本NPO法人であっても外国人が役員に就任をするということは当然あり得るんではないかと思うわけでございますが、この「住民票」という限定した記載であっては、外国人の方には住民票はないわけでございまして、外国人登録証などになるわけでございますが、その点のお考え、外国人の就任ということも想定されているとすれば、この辺のところの、それに合わせた記載の仕方ということになってくるんではないかと思いますが、いかがでしょう。
  212. 辻元清美

    辻元議員 この法律をつくりました折は、さまざまな、例えば架空名義で登録されたり、そういうことがあっては困るなという意見もありまして、本人の確認ができるものということでこのような記載になりました。  しかし、今議員指摘のように、外国人が役員になっているそういうふうな組織も日本にたくさん出てきているという実態も私たちはその後把握いたしました。ですから、外国人の方、日本の内外、役員になられる方も積極的に参加していただくのもいいかと思いますので、そういう方々の参加に際してはそれに相当するような書類の提出というふうに考えていってもいいかなというふうに、検討させていただきたいというふうに思います。
  213. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 ありがとうございます。  次に、宗教活動についての記載がございます。第二条でございますけれども、「宗教の教義を広め、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とするものでないこと。」これがNPO法人の条件になっているわけでございます。  これについて、宗教系のNPO、キリスト教、仏教、多々あるわけでございますけれども、そうした団体からは大変心配の声が上がってございます。実は、私ども、この規定がなくてもNPO法全体としては何ら問題はないんではないかという思いもございます。しかし、立法者がこうした記載をされているということについて、現実にさまざまな心配がされているわけでございまして、この点、何を具体的には想定されているのかということについてお伺いをしたいなと思うわけでございます。  推察をいたしますと、この記載の仕方は、宗教法人法の記載とほぼ同じでございます。宗教法人法は、これは宗教法人であるということで、祭祀を行う神社仏閣等でしたか、それを保有するものが宗教法人となれるということでございまして、礼拝施設等を持たないところは宗教法人とはなれないわけですね。  その辺のところとのすみ分けといいますか、宗教法人法とのすみ分けを意図したものなのかな。仏教系、キリスト教系、さまざまな宗教系の団体、宗教の精神を基盤として、バックボーンとしてNPO活動を行っている。当然活動の一部としてそうした宗教に基づく儀式等も含んでくるということは問題はないんだということを明確にしていただいて、心配を解消していただければありがたいと思います。
  214. 熊代昭彦

    熊代議員 委員指摘のように、「宗教の教義を広め、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とする」というのは、宗教法人法に掲げられている定義でございます。宗教法人法も民法特別法でございますので、民法とのすみ分けで、目的ですみ分けている。  ですから、この法律もすみ分けるわけでございますから、宗教法人法と区別してのすみ分けという趣旨でこれを規定しているわけでございまして、宗教活動を特に排除するとか、宗教活動というのは市民活動になじまないという趣旨ではいささかもございません。そういう抗議も世界的な団体からいただいておりますけれども、そういう趣旨では全くございません。  それで、境内建物があるものでないと宗教法人法の、あれはまさしく準則主義でございまして、これだけ宗教法人法のようにやわらかい、やわらかいという表現が適当かどうかは別としまして、やわらかい法人はないわけです。それに準ずるのがこれでございます。一年目はほぼこれと同じでございますが、一年を過ぎると、もう裁判を経なければ認証を取り消せないという、もっとやわらかくなっておりますが。  宗教法人法で、境内建物のないものはどうするかという問題は確かにあるわけでございますが、それは宗教法人法でお定めになっていることでございますから、もしそれもやわらかい、簡易な法人格制度をつくるべきならば、これは、宗教法人法は改めるべきであろう。そういうことで、すみ分けをさせていただいたものでございます。  それから、団体に何々宗何々法人というお名前をつけられることはいささかも差し支えございませんが、申し上げましたように、何々宗の人でなければ会員にはなれないとか、そういういわゆる不合理な限定をつけてはいけないわけでございますが、主体が何々宗の方々であって、そのほかの方々もどうぞということになっていれば、それは問題ないわけです。  それから、宗教的行事は、従たるものであれば行って差し支えないということでございますから、実際上いささかも差し支えないというふうに思います。
  215. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 わかりました。  この宗教に関する条項の次に、「政治上の主義を推進し、」という条項が連なっているわけでございます。第二条第二項第二号のロでございますが、「政治上の主義を推進し、支持し、又はこれに反対することを主たる目的とする」というものは、これは認証外になってしまうわけでございますけれども、その解釈でございます。  先ほど来も主義と施策の違い、既にもう明らかになったかなと思いますけれども、繰り返しになりますが、確認をさせていただきたいと思います。特定政策を提言をし、これを目的とするという活動は、この規定による「政治上の主義」ということとは別だ、含まないというふうに理解をしていいかどうか、再度確認をさせていただきます。  また、時の政府政策と必ずしも同じではない政策、時の政府政策と異なる政策を掲げて活動する団体も当然あろうかと思いますが、そのような団体であっても、この法律要件、十一項目であるとかさまざまな要件があるわけでございますが、この法律要件に適合すれば法人格を当然のこととして取得できる、こう解してよろしいかどうか、改めて伺います。
  216. 辻元清美

    辻元議員 ここの部分は、この案をつくるときも随分議論してきた部分ですので、正確にお答えするために、私たちがこの提案者と、そして法制局の皆さんのお知恵もかりまして、一文つくってありますので、これをしっかり読ませていただきますので、御確認ください、間違えると大変ですから。  「「政治上の主義」とは、政治によって実現しようとする基本的・恒常的・一般的な原理・原則をいい、自由主義、民主主義、資本主義、社会主義、共産主義、議会主義というようなものがこれに当たる。」この政治上の主義と政治上の施策とは区別されております。ですから、政治上の施策の推進、支持、反対を主たる目的とすることは禁止されておりません。この政治上の施策とは、政治によって実現しようとする比較的具体的なもの、例えば公害の防止や自然保護、老人対策等というものと解されております。  なお、主たる目的とするものではあってはならないと規定されておりますから、政治上の主義の推進等であっても、これを従たる目的として行うことは禁止されておりません。  それと、今御指摘の、さまざまな政策を提言していく、これは今いろいろな市民活動の中でも活発に行われていることで、これは施策に当たりますので、できるというふうな解釈です。それから、その施策に対する政策提言が、どのようなお立場であっても、この法律によっては制限されるものではないというふうに確認できます。  といいますのは、やはりさまざまな、これで、え、心配やなという声も、この中にもいてはるかもしれない、ええんかいなと。しかし、例えば公害とかいろいろな問題がありました。その中で、被害者の方の声が新しい省エネ社会につながったり環境を考えるきっかけにもなりましたので、そこのところはかなり議論をいたしまして、そこも含み込んで、これは新しい市民社会をつくっていくという法律で、目指していこうというふうに提案者の方では提案しております。  ですから、これが非常識に運用されるということはないと考えておりますし、いろいろな監督等もつけてありますので、それはそこで対処できると思いますので、自由にそのことはやっていただいて結構です。
  217. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 よく理解をいたしました。  そこで、これに関連して、問題になりそうだなと思う活動を一項目だけお聞かせをいただきたいと思うわけでございますが、いわゆるオンブズマンという活動がございます。この間、さまざまな地域で大変な実績を上げてこられた。そういう団体法人格取得を申請するかどうかはわかりませんけれども、例えば、恒常的に事務所等も保有しながらやっていかれるというようなことであれば、もしかすれば、この法律によって法人格認証の申請をされるかもしれません。そうした場合、もちろんこの十一項目のどれかに該当するという前提は当然のこととして、その該当する分野における行政の監視、提言団体オンブズマンというものが申請をされたとすれば、これはいかがでしょうか。当然、施策の推進、主義ではなくて政策、施策の部類である、こう思うわけでございます。  したがって、十一項目に該当する分野における行政活動の監視、提言を目的とする団体であれば一般的には認証される、具体的に出た場合はまたこれは具体の判断ということになりますが、一般論としてはそう考えてよろしゅうございますでしょうか。
  218. 熊代昭彦

    熊代議員 具体的なことは、具体的なその都度その都度の判断だと思いますが、一般的に、例えば保健福祉を推進する活動をする、その一環としてオンブズマンをやるというのは、当然保健福祉の推進活動になるわけでございますから、そういう趣旨で、オンブズマン活動そのものを取り出して、監視だけしかやらないのだというのは範疇に入りませんけれども、十一項目のいずれかを推進する活動というものは当然認められるわけでございます。
  219. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 ありがとうございます。  先ほど十一項目のところであわせて聞いておいた方がよかったかなと思うのですけれども、例えば、最近、NPO支援センターというようなNPO活動を支援する団体が各地でつくられていると思うわけでございます。市民活動を発展させるに当たって、団体活動のマネジメントとか情報交換、実務研修、こういうものが必要であって、そうしたことを行う団体もこの法律市民活動に加えるべきだ。もちろん十一項目の活動に限ってということにはなろうかと思いますけれども、市民活動をサポートする市民活動といいますか、そうしたものも加えられてしかるべきだと思うのですが、いかがでしょう。
  220. 辻元清美

    辻元議員 今、金田議員が御指摘になりました活動も、非常に活発に今行われております。この十一項目を私たちが議論した折も、その活動についての議論もありました。御指摘のとおり、十一項目の市民活動を支えていく、もしくは連絡等を手伝っていく、そういう活動も支えていくことによってこの法律が潤滑に運用されるのではないかという判断もございますので、この審議を通じまして、皆さんの総意であれば検討の余地があるというふうに考えております。
  221. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 ありがとうございます。  次に、設立の認証に当たりまして、どのような形でその認証という作業が行われるのかということについてお聞かせをいただきたいと思うわけでございます。  都道府県あるいは経企庁が、認証に当たって、これは提出された書類によって認証、不認証という判断が示される、こう思っておりますが、それでよろしいでしょうか。特別、実態調査とかそうしたことは伴わない、こう思いますけれども、いかがでしょう。
  222. 熊代昭彦

    熊代議員 三カ月以内に認証、不認証を決定するわけでございますが、その前に一月の公告期間がございます。原則として書類による審査ということに実態としてなろうかと思います。しかし、一カ月の公告期間もございますので、それ以外の情報がもたらされて、それが非常に信憑性のあるものであれば、それは実態に入ることもありましょうが、原則として委員の御指摘のとおりでございます。
  223. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 よくわかりました。  そこで、次に、この認証に関連をいたしてでございますが、経済企画庁長官が登場してくるわけでございます。二つ以上の都道府県にまたがった場合、経企庁長官が認証をするということでございますが、その際、「所管大臣に意見を求めることができる。」という規定があるわけでございます。これは第十条でございます。「所管大臣に意見を求めることができる。」これがまた、さまざまなNPOから心配されている条項なのでございます。  それは、現在の民法三十四条、それぞれ所轄庁が縦系列で分散をしている。教育関係であれば文部省、海外で活躍するNGOであれば外務省というようなことで、財団法人、社団法人になるに当たっては、それぞれお役所の縦割りということで、そのコントロールのもとにあるわけでございますけれども、NPOについてはそういうことであってはならないのではないか。それぞれ役所の枠を超えて、本当に自由濶達に活動をしていただく、それあってこそのNPOではないかということでございます。  そういう意味からして、「所管大臣に意見を求めることができる。」この条項というのは設ける必要があるのかという疑問が出てくるわけでございます。本来であれば、冒頭申し上げましたように、準則主義による法人格取得ということが諸外国を見ても本来の姿でございますから、そういう意味からしても、所管大臣の意見ということについては検討できないものなのかということでございます。その辺についての御見解を賜りたいと思います。
  224. 熊代昭彦

    熊代議員 所轄庁である経済企画庁長官が意見を求めることができるということで、事業所管庁からのいろいろなインターフェア、介入がないだろうかというような御心配でございますが、基本的には介入はないと思います。それは専門的な見解を求めるということでございます。  しかし、そこまで規定する必要があるのかどうか、事実上十分意見は求められるしという意見もございます。そういう意見もございますので、これもまたこの内閣委員会での御意見を拝聴しながら、弾力的に配慮してまいりたいと思います。実態的に専門的意見は徴収する、しかし所轄庁はあくまで経企庁長官であるということでございますから、そういう原則のもとにやってまいりたいと思います。
  225. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 ぜひひとつNPONPOらしさを遺憾なく発揮していただくためにも、所轄庁がそれぞれ縦割りでかかわってくる状況についてはぜひ再検討をいただきたいなと御要望を申し上げておきたいと思います。  次に、第二十七条の関係でございますが、会計の原則という中で、「収入及び支出は、予算に基づいて行うこと。」といういわゆる予算主義というものが出てくるわけでございます。一般の財団、社団の公益民法法人でございますと、公益法人会計原則というものがあるようでございまして、お役所の会計と同じようにかなり厳格な規定をされているというふうに伺ってございます。  そこで、お尋ねしたいのは、ここに言っているところの「予算に基づいて行うこと。」というのは、公益法人会計原則のような厳密なものを要求していることではないだろう。いわゆる社団、財団というのは相当大きい財政規模、人的配置等もある。そういうものに比べますと、NPO法人というのは最低十名からできるわけでございまして、会計予算規模等も特に要求されておらない、非常に零細な、本当にそれこそボランティアでやっておられる法人も含めて申請される、そして認証されるということが往々にしてあろうかと思うわけでございます。そうしたときに、公益法人並みの会計書類を要求されるのであっては、それに忙殺されて本来の活動ができないなどということになっては困るわけでございまして、そういう意味合いではないということについてぜひ御確認をいただきたいなと思うわけでございます。  そして、状況に応じて臨機応変に、日本海で重油の流出といえば、もう予算があろうがなかろうが飛んでいってその活動に当たるということがNPONPOらしさでございますから、そういうものを妨げるものではない。補正予算の手続がないから日本海に行くに当たっての支出ができなかったとかそんなものではなくて、まず行動ありき、その上で後にしかるべく手だてがされるのであればされる、あるいは当初立てた予算と結果の決算がかなり違う場合だってあるだろうと思うわけでございます。  そんな意味合いで、収支は予算に基づいて行うということは、いわゆる財団法人、社団法人のような役所並みの厳格なものを要求しているものではないんだというあたりを御説明いただければ、各NPOも安心されると思うのです。よろしくお願いします。
  226. 熊代昭彦

    熊代議員 基本的に、私どもは、NPO法人、市民活動法人に財産要件とか人的要件とか会費要件の厳しいものは要求いたしておりません。しかし、きっちり法人を運営するという事務的能力はあっていただきたいというふうに考えているわけです。そういう意味でも、公益法人の会計原則などは関係ないんだというよりも、しっかり参考にしていただきたいというふうに思います。  それで、確かに複式簿記でなければならないと法文に明確に書いてございますが、「財産目録、貸借対照表及び収支計算書は、会計簿に基づいて収支及び財政状態に関する真実な内容を明りょうに表示したものとすること。」というふうに三号にもはっきり書いてございますので、これを守っていただければ、非常に小さな法人で、複式によらなくても、正規の簿記の原則によれば立派にこの三号が守れるということでございましたらば、複式簿記に特にこだわらないというのも一理あるということでございます。これも今後の当委員会での議論を通して柔軟に対応してまいりたいというふうに思う次第でございます。  それから、予算主義でございますが、委員指摘のように民法法人がそれほど予算に縛られて動けないというふうには私どもは思いません。かなり弾力的に対応していると思います。  予算というのは計画でございます。それで、客観的情勢の変化に応じて臨機応変に対応できるのが市民活動法人であり民法法人であろうと思います。ですから、事後に、決算の前に予算を直すとか、余りそれが接近すれば決算書できっちりと対応する、しかしその間の経緯ははっきりさせておくということであれば、機動的な対応というのはいささかも差し支えないというふうに思います。
  227. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 複式簿記につきましては、正規の簿記の原則ということでございますから、複式簿記をやった方がいい法人もありましょうし、あるいは、そうでなくて、役所方式の、大福帳方式といいますか、要は、収支が不正がなくきちんとするということは当然でございますけれども、必ずしも複式簿記にこだわらないということも含めて、ぜひひとつこの辺を法律に、本来であればこの種のものは施行令というのでしょうか、省令等にゆだねられる点なのかもしれません。ただ議員立法という性格もあって、法律に複式簿記から提出書類からすべて書き込まれている。明確に複式簿記という記載がございますので、ぜひひとつこの辺のところをただいまの御答弁によって御検討いただきたいな、これは御要望申し上げておきたいと思います。  会計の原則でございますが、役所的にまず予算を議決していただく。これは、予算の議決ということに議会の意思イコール国民の意思、主権者の意思、市町村であれば市民の意思というものが入ってくる。その市民の意思に基づいて予算を執行していくことが予算主義ということになろうかと思います。  役所は議会を通して間接的に市民責任を負うという予算主義でございますが、NPOの場合の予算主義は、あくまでも、NPO法人といえども、できることならといいますか、原則として計画的にということだろうと思います。恐らくNPOにも総会等があって、会員、社員に対しては予算という形で承認をいただいて責任を負っていくということにはなろうかと思うわけでございますが、NPOの場合、やはり企業とかなり類似をしていて、事業計画よりも、決算として黒字を出すか赤字を出すかという結果を問われる要素が強いのではないか。あらかじめ予算の議決がされていてそれを忠実に執行するという感覚よりも、一つの事業をやっていって結果としてどうなるかという色合いの濃い組織体、事業体であろうと思うわけでございます。  そういう立場から、「収入及び支出は、予算に基づいて」といった記載がしゃくし定規に解釈されますと、現場の段階で困ったことになりはしないかなという思い質問をさせていただきました。今の御答弁で理解がかみ合ったのかどうなのか、私自身もちょっと定かではございませんが、また機会を見ながらこの辺もたださせていただければと思います。  時間がございませんので、あと、残った二点をまとめて質問させていただきます。  立入検査の際の書面でございますが、所轄庁が立入検査をする場合、相当の理由を記載した書面を市民活動法人の役員等に提示しなければならないということになっているわけでございますが、これについては、本来、この立入検査等々こういう規定自体いかがなものか。これから解散命令まで進んでいくという規定があること自体に、準則主義なんというものを踏まえて考えれば、いささか管理的色彩が強いなという思いも実はあるわけでございますけれども、そういう中でも、民法特別法ということで、ある意味ではやむを得ない面もあるということを理解するとしても、この提示をする書面を、理由を記載した書面を交付という形で御検討できないものかと思うのが一つでございます。  それから、もう一つすこぶる評判の悪い条項がございます。所轄庁に対する申し出制度というのがございまして、四十四条、「所轄庁に対し、その旨を申し出て、適当な措置を採るべきことを求めることができる。」こういう場でこういう発言をしていいのかどうかあれですが、市民運動団体の中ではいわゆるチクリ条項とかそういう言葉で呼ばれている四十四条でございます。これについてはひとつ御検討をいただいて、ここまでその法律に条文を設ける必要はないんではないかと思うわけでございまして、ぜひひとつこれについてはしかるべく措置をとっていただければなと思うわけでございます。  以上でございます。
  228. 辻元清美

    辻元議員 まず一つ目の御質問の立入検査、監督の部分です。  ここは随分議論があったところです。といいますのは、私も長く何時間も議論しました。心配する側もあるんですね。市民運動をやっている皆さんは、立ち入りなんかそんなん、いやあ何かちょっとでもしたらあるのやろか、それでもう一つの側は、そんなこと言っても、怪しかったらやっぱり立ち入りせんとやな、法人格与えんねんからと、この両方の意見を随分いろいろな方々と闘わせながら私たち提案者の方で考えました。  その結果、現在のところ立入検査というのはあります。ただ、「相当な理由があるとき」。めったやたら、何かちょっと言われたから役所がそこに立ち入って市民団体皆さんに書類見せなさい、そんなことは毛頭考えておりません。「相当な理由があるとき」というこれが一つ明記されている点。それから、その市民活動団体に万一「相当な理由」があって立ち入る際には書面を提示する、こういう理由で立ち入るということを提示するというこの二つでこの項目は今法律の中に入っているということなんです。  ただ、議員指摘のように、希望があればこれを交付、所轄庁の方も、「相当な理由がある」際ということですから、単なる疑いでそういうことはいたしませんので、立ち入る際には、この書面の希望があればですけれども、交付ということも考えられるのではないか、リーズナブルなのではないかというふうな御意見もちょうだいいたしておりますので、まだこの後審議がございますので、皆さんから積極的な意見をいただきまして検討させていただきたいと思います。  それから、四十四条については熊代議員の方にお願いします。
  229. 熊代昭彦

    熊代議員 四十一条は今御答弁あったとおりでございますが、一つだけ、御心配の向きもあると思いますので。  「相当な理由」というのは大した理由じゃないというように思われるかもしれませんが、相当因果関係といいますか、これがあったらばまずこれがあるのは間違いないと、これだけの根拠があるんだからまず法令違反はしているとか、これだけの根拠があるんだから定款違反で全然違うことをやっているとか、そういうはっきりした理由があるときということですね。もう客観的に十二分に疑いに足るということですから、御心配要らないというように思います。  それから四十四条の関係でございます。チクリ法というお話もございましたが、行政庁の関与をできるだけ最小限にして、市民相互の自主管理というようなことでこういう条項を入れたわけでございます。確かにいろいろな議論が巻き起こりまして、地方公共団体の方もヒアリングをしたわけでございますけれども、もしこの条項がなくても、あの法人はおかしいという話は必ず地方公共団体に来るわけでございますが、この条項が入ると、それに「相当な理由」があればすぐ手段を講じなければならないと書いてあるものですから、一件一件全部理由を見なきゃいけない。そうなりますと地方公共団体もこれ大変でありますので、いろいろ議論を重ねているところでもございますが、これも本内閣委員会の御意思を尊重したいと思いますけれども、確かに、御指摘のような問題点もございますので、やはり、これまでどおりの現実の流れに任せるというのも一つの対処の方法かなと考えているところでございます。
  230. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 時間が参りましたので終わります。  ありがとうございました。
  231. 伊藤忠治

    伊藤委員長 次に、木島日出夫君。     〔委員長退席、倉田委員長代理着席〕
  232. 木島日出夫

    ○木島委員 日本共産党の木島日出夫でございます。  私どもの党も、当委員会に非営利法人一般法、提案をしております。提出者の一員でありますが、これから、質問者としての立場でお聞きをさせていただきたいと思います。  最初に、NPO法作成、成立を求めて頑張ってこられた多くの市民団体皆さんの本当に長い間の御努力に、我が党としても心から敬意を表したいと思うのです。いい法律をつくっていきたいというだけじゃなくて、これらの皆さんは、日々、営利を目的としないで、すばらしい日本社会のために活動されている。そういう蓄積の上に立って、それを法的にもう一段引き上げるため法人化を求め、そして財政上の基盤を求める税制上の優遇措置を求めて努力されてきたわけであります。今、この内閣委員会そして国会には、この皆さん努力にこたえる義務があるだろう、そして、少してもいい、すばらしいNPO法案をつくっていく責任があるんじゃないかと思うわけであります。  私どもも信ずるところに従いまして法案提出しておりますが、基本的には、この法案に固執することなく、徹底した論議を深めて、最大限できるところを一致点を見つけ出して、そして国民皆さん理解が得られるような法案をつくっていきたい。  運動団体皆さんの中にもいろいろな意見があります。早くつくってほしいということ、そういう意見もあります。また、拙速はいかぬ、ここまで来たんだから、どうせつくるんなら少しでもいいものをつくってほしい。いろいろな意見があるだけに、拙速主義ということではなくて、十分に煮詰めたものをできたら各党派合意の上で生み出していきたい、そういう立場に日本共産党は立っていることをまず申し添えておきます。  そしてもう一つ、私は朝から提案者としてずうっとこの意見を聞いておりました。感ずるところがございます。議員立法であります。三つの法案が出ております。与党さんからの法案、新進党さんからの法案、そして我が党案議員立法が三つもそろうというのは大変珍しいわけでありますが、私も長い間弁護士をやってきました。法律をつくるときには、余り議員立法、我々経験ないんですが、その法律が成立したときにどのように使われるか、どのように運用されるか、その法律がつくられたときに日本社会にどういう影響を与えるか、運動をやっている皆さんにどういう影響を与えるか、そこまで考え抜いて考え抜いて、そして、団体皆さんがつゆほども疑問点がないような姿勢に立法者は立つべきではないか。私も法案提案者であります。心してそういう立場に立ってひとつこれからの質問、答弁をやっていただきたい、これを法案提案者に対して心から、前もってお願いをしておきたいと思うんです。  NPO法をつくってほしいという運動団体皆さん国民皆さんの願い、要約をいたしますと私は二つだと思うんです。  一つは、でき得る限り官庁の支配や介入を排除して、そして、でき得る限り、準則主義という法律上難しい言葉ではありますが、官庁の許可主義ではなくて、一定の組織を備えている団体には法人化を認めてもらいたい。ゆめゆめ百年の日本を支配してきた公益法人制度、官庁の許可がなければ成立できない。そこに政官財癒着、特にこれは官庁と公益法人との癒着、そこに政治が介入してくるその温床になっているわけです。厚生省をめぐるあの疑惑を見れば明らかだと思うので、そういうことを経験しているだけに、法人の設立、その後の運営、そしてまたこれに対する監督、それからいろいろな処罰、解散、取り消し、そういうもろもろについて、可能な限り官庁の支配、介入を排除して、自主性を最大限認めてもらいたいというのが一つだと思うのです。  もう一つは、財政上の基盤を認めてもらいたい、これが税法上の優遇措置ということになるわけでありますが、私は、この二つだと思うのです。恐らく、長い間努力されてきた法案提案者皆さんも、何とかこの二つの要望にこたえていこうという立場で努力されてきたことを感じるわけであります。  きょうは、時間の許す限り、そういう観点から、与党法案、そして新進党さんの法案について、幾つかの点をお聞きしたいと思うのです。  私、率直に言いまして、与党が出した法案、そして新進党の法案、基本的には民法三十四条、これを基本法として考えている。一定の条件が満たされなければ法人化ができない、そして官庁の許可がなければ法人化ができない、これが日本の法人化法の、ある結社に法人格を与える法律の基本法だ。これを乗り越えないことには何とも仕方がない。しかしこれは乗り越えられない。だから、この民法三十四条の公益法人、許可主義に抵触しないように何とかすみ分けて、すみ分けた上で、国民皆さん運動団体皆さん要求にこたえよう、そういう苦労をなさってきたと思うんです。私も、立法作業に従事してみて、それを本当に感じました。  しかし、私どもは、法制局が何と言おうとそんなものは乗り越えて、準則主義に基づいて法律つくることはできるんだという立場で実は提出したのが、私どもの非営利団体に対する法人格付与等に関する法律案なわけであります。徹底的な準則主義を貫いている法律であることは、お読みいただければわかるわけであります。  私は、与党案にも、新進党案もそうなんですが、民法三十四条が日本の法人化法の基本原則なんだというのは間違いじゃないか、その呪縛を取り除いてもらいたいということで最初に御意見を申し上げ、質問をいたします。  実は、民法三十四条が基本じゃないんです。日本の民事法体系の基本は民法三十三条です。一つ前の条文なんです。この法律民法ですね、みずから、この法律もしくはほかの法律で認めたときにのみ法人化を認める、そういう条文があるんですよ、三十三条に。それが法人に関する基本なんです。コンメンタールにも、そのことがるる書かれているわけであります。  コンメンタールの一部を私、抜粋して持ってきました。もっと正確に言いましょうか。民法三十三条コンメンタールには、日本の最高権威があるコンメンタールには、それに法人設立の準則と表示しています。そして、「法人ハ本法」、民法、自分のことです。「其他ノ法律ノ規定ニ依ルニ非サレハ成立スルコトヲ得ス」と書いてあります。  要するに、何か。民法、自分が認めた場合とほかに何か法律ができた場合には法人化を認めてもいいですよ、そういう条文で、これが基本なんですね。そして、この解説はるる書いてあります。  どういう団体法人格を認めるかに大まかに言って三つある。一つは、許可主義、官庁の許可がなければ法人格を与えないという、日本公益法人がそうです、官僚支配を基本とする考え方。二つは、準則主義。一定の組織を備え、かつ、行政庁の認可を受けることによって成立するもの、法律の定める一定の組織を備えることによって成立するもの、準則主義。これは、官庁の許認可あるいは認証なんて全く必要としません、一定の法律の定める組織があれば無条件に法人格を与える。しかし、勝手に与えるわけじゃありません、その団体には、一定の法律上の要件に沿った団体でなければならぬという縛りがかかっております。もう一つ、自由設立主義というのがあるんです。もうそんな縛りもかけない、どんな団体だろうといい、どんな団体だろうと法人格を与えるという自由設立主義、三つあるというんですね。  それで、じゃ、この民法三十三条の我が国民事法の法人設立の基本原則はどういう立場に立っているだろうかというので、学者はずっと文章を書いているんです。それで、まあ自由設立主義までは認められないんじゃないのかという言い方なんです。だから、どういうことかというと、許可主義はもちろんいいですね、それから準則主義はいいんだということ、そういう法律さえできれば法人格を与えてもいいんだ、そういうことを、この民法三十三条はまず国家の基本として樹立したということを書かれております。ヨーロッパなんかもう百年前からほとんど準則主義でありまして、スイス民法なんかは自由設立主義だなんとも言われているわけですね。  ですから、私どもは、今回の法案を出すに当たって、民法三十四条の公益主義の呪縛から離れました。この三十三条のこれを基本法にして、民法が認めているんだから、この国会準則主義に基づく法律が成立すれば、それは立派に、民法と矛盾するどころか、民法が認める枠の中にあって国民期待にこたえられる、そういう立場に立って法案をつくり上げたわけであります。  じゃ、何で民法は、せっかくそういう原則を掲げながら、三十四条という変な条文をつくって、公益なんという概念を持ち出してきて、所轄官庁の許可がなければ法人格を認めない、そういうことを持ち込んできたのか。そこがまさに政策だったと思うのです。民法ができたのは百年前です。百年前はどういう時代だったか、明治憲法時代ですね。  どこの社会もそうですが、社会を形づくっているセクターとして大きく三つあると言われています。一つ公的セクター、国や地方自治体。もう一つ民間セクター。民間セクターの中は二つに分けられる。一つ営利団体、もう一つは非営利団体なんですね。  それで、百年前の明治憲法のときにつくられたこの民法がどういう態度をとったかというと、民間団体のうち、営利法人は準則主義で認めたんですよ。会社をつくるときには、官庁の許可なんか要らなくて、一定の、法律に定める要件さえあれば無条件に株式会社をつくっていいという準則主義を認めたのですね。それなら非営利法人だって準則主義でつくれたはずなんだけれども、そこが政策なんですね。明治政府政策だったわけです。どんどんもうけることは準則主義で会社をつくらせるけれども、国民の自主的な結社、自主的なまとまり、そして社会活動、それは禁圧したわけです。それは基本的には認めないで、所轄官庁の許認可がなければ法人格を認めない、そういう原則を打ち立てて、これをこの百年間守り続けてきたのです。  本来、この民法三十四条というのは、戦後、新しい憲法ができて主権が天皇から国民に変わったときに、主権者が国民なんですから、国民の自由な結社には法人格付与するという、五十年も前にヨーロッパでは当然のように行われていた法制度につくるべきだったのでしょうけれども、残念ながら、この五十年間、そういう法律をつくり出すことなく、日本政治そして官僚は、引き続きすべての法人に官僚支配の網をかぶせるということで公益法人の原則を守りつつ、学校法人法とか福祉法人法とか、官庁の、官僚の支配が貫徹できるような個別法をいろいろつくって、その個別法の分野にだけ法人格を与えてひもをつけてきたというのが、日本の戦前戦後百年間の法人格付与に関する大きな流れだったのではないのでしょうか。  ですから、私は、昨日の趣旨説明でも述べましたが、ここまで市民団体皆さんの自主的な活動が進んできているわけでありますから、この際、公益法人の縛りを取り払って、そして、でき得る限り準則主義に基づくすばらしい法律を力を合わせてつくろうじゃないかと呼びかけたいのですが、与党皆さんのこの基本に対する御認識をお伺いしたい。
  233. 熊代昭彦

    熊代議員 いつもながら共産党さん、よく勉強されていまして、感服するところもあるわけでございますが、演説もお上手で、知らない人が聞いたら本当かというふうに思うところでございます。  これは議員議員同士の議論でございますから、議員と役人じゃないから、少しリラックスした冗談も許していただきたいと思いますが、三十三条で準則主義を認めている、当然のことでございまして、商法、既に準則主義であるわけでございますから。  それで、何が問題かというと、商法は準則主義でやりますけれども、これは税法と関係しているわけですね、繰り返して申し上げているように。商法は原則課税で、あらゆるもの、寄附をしても必ず課税されます。余れば課税はされるわけですね。ところが、日本民法、法人制度、これは一八九六年ですからおっしゃるように百一年前にできましたけれども、これは、今ですと民法という古めかしい言葉ですけれども、シビルローですよね、英語でいえば。間違いなくシビルローで、民間法律の基本法であろう、そういう建前で書かれている法律であるのですよね。  そういうことでありますから、なぜ公益に限定したかというと、日本税制は、公益法人を取れば原則課税ではない。直ちに軽減税率が適用されるし、そして、みなし寄附金、二〇%はもともと寄附したとみなすとか、あるいは、金利でございますが、公益部門の金利を非課税にするとか、非常に多くの特典があるわけです。それから、特定公益増進法人になれば、寄附した人の所得控除とか、損金算入とかあるわけですね。そういうことでございまして、法制の根本的違いでございます。  ですから、いいところだけとっておっしゃいますけれども、もし準則主義公益法人をすれば、いわば公益法人も原則課税であるということで、先ほどどなたかに申し上げましたけれども、非常に厳しい法制でございます。その厳しい法制を覚悟でやるならば、私どももそれを検討することにいささかもちゅうちょするものではございませんけれども、それをよく御認識いただいた上での御提言かどうかということをちょっと疑問に感じたところでございます。
  234. 木島日出夫

    ○木島委員 法人格付与の問題と、法人に対して税制上どういう処遇をするかという問題は、私はずっと後の段階で徹底して詰めようと思ったのですが、そういう御答弁でありますから、述べます。  熊代提案者は、法人格付与と税制の優遇措置とリンクしています。そうでしょう。準則主義にしたら税制上の優遇をさせてはいかぬ、税制上の優遇措置を与えるのなら、だから公益法人で縛りをかけたんだとリンクさせていますね。先ほど来の御答弁の中に、アメリカはそうじゃない、アメリカを見ろという御答弁がありました。アメリカは準則主義でみんな法人格を認めてしまう、しかし、税法上の優遇を与えるのは課税庁だ、それは厳しいんだという御答弁がありました。承知をしております。  しかし、法の基本原則の問題ですから私はお聞きしますが、どういう団体、結社に法人格付与するか。登記簿上、法人として一人前にさせるかということと、法人格を与えた団体にどういう税制上の優遇措置を与えるか、与えないか。まともに税金を全部払ってもらうか、決定的に優遇してやろうという措置をとるか。税法上の優遇とは全然別問題だ。政策的にそんなものは切り離せばいいじゃないか。リンクしなければならぬというのは根本的に間違っているんじゃないか。法人格付与と税法上の優遇とは違った観点の問題だと思うのです。  そういう信念で私は作業もしてきました。だから、余り私に質問されませんでしたからちょっと言いますと、日本共産党は三ランクに分けているのですよ。非営利法人は、準則主義でみんな法人格を与えて一人前にしよう。しかし、即それで税法上の優遇をすぐ与えようなんということを、我々、考えていません。三ランクにランクづけする。基本的な非営利法人と、俗っぽく言えば、社会のためにちょっと立派な活動をしているから税法上の特典をやや有利にしてやろう、免税営利法人。もっといい活動をしている、みんなが拍手喝采を送っている、そういう法人にはもっと税法上の免税を与えようじゃないか、寄附金控除とかいろいろありますが、特定免税営利法人。読んでいただければおわかりのとおり、三ランクに分けて法案提出しているのですよ。  ですから、私どもは、団体法人格を与えることと税法上の処遇とは、全然別問題だと。政策としてリンクさせてもいいですけれども、切り離して考えることもできるんだと。  それで、熊代委員には、ぜひ、税法上の優遇措置を与えるのなら準則主義法律はつくれない、何とか官庁の縛りをかけなきゃだめなんだという、それも私、一つの呪縛だと思うのです。固定観念だと思うのです。それを取り外してほしい。いかがでしょう。     〔倉田委員長代理退席、委員長着席〕
  235. 熊代昭彦

    熊代議員 委員の御趣旨とたがってはないと思うのですけれども、要するに、準則主義にすることと税法上の優遇を結びつけることとは直ちにイコールではないということは、おっしゃるとおりでございます。  準則主義にしまして、それで税法上の優遇措置を与えることもできるし与えないこともできる。ですから、もし現在のような日本公益法人制度で、準則主義にして税法上の優遇を直ちに与えれば、同じ商法で、かたや、私は公益の方でとにかくやるんだと宣言しただけで完全に非課税になるわけですね、寄附金や会費は。かわって、こちらは完全に課税になる。極めて不合理な制度ができます。  それから、公益ということが認定されて初めて非課税ということが出てくるということですから、平等ということを考えれば、やはり準則主義にすれば原則課税にしなければならないというふうに思います。ところが、既に宗教法人と公益法人で、原則として税法上は優遇措置があるというのが長い間定着しているわけですから、先生、ぜひ京都に行かれて、その説を強力に主張していただければどういう反応が出るかわかると思いますが、そういう問題だと思います。
  236. 木島日出夫

    ○木島委員 今の日本法人格付与の法制度税制優遇の法制度は、一応理屈としては切り離されるものだということをお認めになりました。その上で、しかし、現実には、宗教法人に対する法人格付与や税制でリンクしているではないか。おっしゃるとおりです。それは、一つ一つ法律や税法が、その時々の政治的な力関係やいろいろな背景を持ってつくり上げられているから、理論どおりにいっていないということだと思うのです。ディフォームだと思うのです。いびつだと思うのです。  ですから、私は、今度のこの内閣委員会で、頑張っている結社、団体には基本的には法人格ぐらい与えようではないか。法人格を与えるということは、人として一人前になるということです。登記がされて、代表者の名前で行動ができ、土地の所有権もとれる、一人前になることです。せめてそのぐらい認知してやろうではないか。そしてその上で、では熊代委員が心配なら、そういう法人格を認めた団体に、全部税法上の優遇措置をすぐ与えるかどうかはみんなでよく論議して、ちょっとこれは早まらないのがいいのではないかとか、このくらいのレベルは認めてもいいのではないかとか、あるいはランクをつけて段階ごとに税法上の優遇をつけてもいいのではないかとか、それはいろいろな税法ですから、操作できるわけですから、それをやろうではありませんか。  私は、現行の宗教法人に対する課税とか、学校法人に対する課税をすぐ変えろなどと言いません。それはそれで、いろいろな歴史を経て、国会の論議を経でつくり出されたものであります。いろいろな矛盾もあるでしょうけれども、この内閣委員会でそんなところまで首を突っ込んで、いいとか悪いとか論評すべきことではありませんから、そこはさわらないで、法人格付与だけはできるだけ広くして、税制優遇についてはみんなでいい案を考えようではないかと提起しますが、熊代委員、どうですか。
  237. 熊代昭彦

    熊代議員 私どもは、二年半にわたりまして実に真剣にこの問題を検討いたしまして、このNPO法人、市民活動法人についてだけ準則主義で、原則課税ということはできないだろうかということも検討したのです。しかし、寄附金とか会費とかは既に非課税になっている。それから、人格なき社団もそうなりますと当然原則課税になりますね。それから、やはり公平の観点からいえば、ほかの法人だって同じではないかということになっていく。  これはすごい問題だ。確かに一つのアイデアではあるけれどもすごい問題だというので、これをやっていては何年たってもこの法律はできないということでございまして、やはり法人格を与える法律をつくって、それから法人格をとっても人格なき社団と同じ扱いなんだということをはっきり法律に書いて、とりあえず一歩前に出ようではないか。一歩前に出て社会的信用を得る。そしてまたいろいろな登記もできるし、国際的にはリーガルステータスを持って活動できる、これで非常に大きなメリットがある。一歩前に出て考えましょう。しかし、考えるのも余りゆっくりではなくて、すぐに検討を始めて、期限を切って検討しましょうということでございますから、十二分に私どもも検討した上での決意でございますので、どうか共産党さんも積極的に賛成していただきたいと思います。
  238. 木島日出夫

    ○木島委員 私どもも、徹底して詰めて論議をしてきたのです。私どもは、広く準則主義法人格を与えて、その与えた法人は、基礎ベースとして公益法人並みの課税にしたらどうかというのが私どもの案なのです。優遇は二段階で、さらに上乗せする。しかし、どういう税体系をつくるか。委員おっしゃるように、これは本当に大変なことです。国家の徴税権にかかわる問題でもありますし、それは国民の暮らしに直接はね返ってくる問題ですから、徹底して慎重に論議して、みんなが納得できるような税体系をつくることが大事です。しかし、それは徹底して論議すれば合意できる話なのです。二年もかかるということはないと思うのです。それには踏み込みましょう。私は、それをお願いして、こればかりやっていますと法案審査ができませんから、次に移ります。  私、先ほど来の論議をずっと聞いていまして、与党案一つの大きな問題、きょうはそれしか触れられませんが、言います。やはり十一分野に絞ったという根本問題があると思うのです。私は、これには二つの大きな問題があると思います。  一つは、範囲が狭いということです。しかし、それは政策判断ですから、いいか悪いかの問題だと思うのです。我々日本共産党は、もう広くしてしまった場合と、それはまずいというので一定の絞りをかけて、ある一定の要件に満たされた活動をしている団体だけに法人格付与するというのは、それはそれで政策判断ですから、いい悪いですから、それは国民意見を聞きながら選ぶべきことでしょう。しかし、その問題、狭さは、我々は指摘します。これからも指摘します。  もう一つは、単に狭いというだけではなくて、その概念が非常にあいまいで線引きができないというところです。不明瞭だ。ここまでの団体法人格付与されてこういう団体法人格付与できない、区分けがなかなかわからないということです。法的にいえば、法律の言葉の概念が非常に不明確だという、それは広い狭いの問題とは別の大問題で、それこそ私は国会がつくり出す、そして国民に縛りをかけるのが法律ですから、もうとことんその概念は明確にしなければならぬと思うのです。これは立法者としての責任だと思うのです。  例えば、先ほど熊代委員はこう言いました。十一分野の中の第一項目に、「保健福祉の増進を図る活動」という言葉がありました。それで、では医療活動はどうなんだという質問をされたでしょう。熊代委員は、医療という概念は保健という概念の中に入っている、だから「保健福祉の増進を図る活動」というこの言葉で、医療活動をやっている団体、エイズの問題その他、そういう団体は認められるのだという答弁をいたしました。  熊代委員は、長い間厚生省の中にあって医療のベテランでありますから、日本の厚生省は、保健という概念には、そういう言葉が使われれば、もう黙っていても医療が入るという認識なのかもしれません。しかし、一般国民はどうでしょう。そんな認識にきっちり立っている国民が何人おるでしょうか。普通は、医療、福祉、保健と三つの言葉を羅列しますね。普通はそうでしょう。医療、福祉、保健。医療は医療法、福祉はいろいろ福祉団体、保健は保健所その他の保健活動、分けていますね。  だから、与党案の別表第一号、「保健福祉の増進を図る活動」に法人格を与えますよという法律をもしこの国会でつくり出して国民の前に提示したら、医療活動に従事している皆さんは、ああ、おれたちはだめだ、捨てられたと思うと私は思うのです。そういう概念の非常なあいまいさがあることはよくないと思うのです。これは、単に自分たちの団体がこの法律によって法人格をもらえるかどうかの分かれ道に立つだけではなくて、大変なことを引き起こすから私は言うのです。  例えば、県知事がこれを認証するというのでしょう。そうすると、ある県の県知事は、熊代委員がおっしゃったように、医療活動はこの保健、福祉に入るから法人格を与えましょうという判断で、認証して法人格を与えたとします。そうしたら県知事が選挙でかわってしまって、新しい県知事が生まれて、医療と福祉と保健は別物なのだ、この法律は医療が入っていないからだめだ、あなたの団体は、前の知事は医療を認めて法人格を与えたけれども、おれは認めないぞなんというようなことになる。  それで法律違反だなんということで、そうするとどうなるかというと、立入調査もできるわけでしょう。医療活動をやめなさい、福祉、保健に限定しなさいと改善命令を出せるのでしょう。改善命令に従わなかったら、私は後で徹底して質問しますが、恐ろしいのです。刑事罰が入ってくるのです。罰金五十万。罰金はやめてもらいたいと思うのです、五十万というのは。というのは、警察が関与してくるからです。過料ならいいのです。警察も入ってくる。そういうことになってしまうのです。  私、たまたま一つだけ例を挙げました。先ほども別の同僚から、地球環境と、地球を取り除いた環境はどう違うかというので、地球という言葉を取り除いてほしいというような御意見もあった。この十一項目は、そういう問題が山と出てこざるを得ないのです。  それで、私は新進党の河村委員が根掘り葉掘りそこを明らかにしようとしたのは本当に国会議員として当然の立場であり、それを徹底して、ガイドラインといいますか、線引きをはっきりさせておかなかったら、危なくてこの法律国民の前に渡すわけにいかないと私は思うのです。  それで、一つだけちょっとお聞かせ願いますが、先ほども出ましたが、御存じのとおり、官官接待を追及することを専らとする市民オンブズマン活動がずっと広がっているでしょう。では、この官官接待追及を主目的として徹底して頑張っている市民オンブズマン活動というのはどうなんですか。さっきの答弁だと、何かこの十一項目に関する官官接待追及は認めるがこれに関しないオンブズマンは認めないなんという、そんな趣旨の答弁に私は聞いたのですが、そんな答弁でいいのですか。
  239. 熊代昭彦

    熊代議員 解釈の問題でどうかという話でございますが、医療が入るという話はこの議事録にも残りますし、それから、電話一本、経企庁さんに問えば、その議事録なんてすぐわかるでしょうし、今、木島議員が大きな声で言われましたので、議事録にもひときわ太い字で入るかもしれませんね。そういうことで、それほど御心配なされることはないと思うのです、コモンセンスと申し上げたことですね。  それから、官が官がと何か徳川時代みたいな話が多いのですけれども、やはり市民というのは政治家を選んで、政治家は役人を監督するわけでしょう。ですから、やはり市民の意思に従わない役人がいたら、これは首にしないといかぬのですね。首にすべき役人を恐れに恐れて全然何の権限も与えないとか、そういう物の考え方自身が間違っているけれども、共産党さんが言われるならそのとおりかなと思うけれども、なかなか共産党さんのように官を恐れるという人は多いのですね。私は、恐れてはいけない、官というものはいいものにして使わなければいけないわけですね。それが本当の市民であって、市民は強くなければならないというのが私の信念でございます。  そういうことでございまして、いろいろなものもコモンセンスで十分に解釈ができるということでございます。
  240. 木島日出夫

    ○木島委員 日本共産党は官を全然恐れてはおりません。本当に官を国民に奉仕する官にしたい、国民こそが主人公の官僚制度をつくりたいという立場で頑張っているのですよ。だから、天下りをやってはやはりだめではないかということを言っているのです。  それで、コモンセンスとおっしゃいました、常識とおっしゃいました。そのとおりです。常識で判断するんでしょう。しかし、このコモンセンス、常識というのは人によって違うのですよ。私は、見地によって違うと思うのです、思想によって違うと思うのです、政治的立場によって違ってくると思うのです。  さらに言えば、新進党さんが追及しておりましたように、県知事と経企庁長官も違うと思うのです。国家の官僚たる経企庁長官と地方自治体の首長たる知事は、おのずと微妙に違うと思うのですよ。違っても当然だと思うのです。それが同じだったらまた逆に私は恐ろしいですね、本当に同じだったら逆に恐ろしいですよ。違うのです。そういう人に運用を預けるんでしょう、認証権者に預けるんでしょう。だからこそ、つくり出される法律というのは人によって違いがないように明確な基準がなければだめだ、そういう法律は欠陥商品だと私は思うのです。どうですか。
  241. 熊代昭彦

    熊代議員 官官接待オンブズマンの答弁がなかったという、答弁落ちでございますので。  先ほど申し上げましたように、これは行為で規定しておりませんので、何を目的にするかということで規定しておりますので、規定の仕方が違うわけですね。ですから、オンブズマンというような行為を決めるわけにはいかない。しかし、この十一項目あるわけでございますので、行政のこの分野とこの分野について推進していくんだ、その一環として厳しくオンブズマンとして行政を監視する、それは当然のことでございまして、やっていけることでございますね。それを禁止するものは何もないわけでございます。  それからもう一つは、解釈が違うということを大変恐れていらっしゃいますけれども、地方自治であれば違いが出なければおかしいと委員も言われたわけですね。違いが出て、その違いがどうして出たのかなとお互いに情報交換しながら正していく、それがコモンセンスであり、それが民意を反映していくことではないかと思います。  私ども与党は、いろいろ検討しておりまして、内部で考えておりましたけれども、不認証になった場合、少子化の問題ではないのですよ、認証されなかったという問題ですね、認証されなかったときに、その理由がわからないというのはよくないだろう。理由をはっきりと文書で提出する、こういうことも場合によっては御議論をいただいて、それで、理由を見ればどこがおかしいということ、だから、その解釈が違うというようなこともわかれば、その解釈は全国的に見ておかしいのではないだろうかと。知事も、選挙で選ばれる知事でございますので、十分民意に敏感に反応されるというふうに思うわけでございます。
  242. 木島日出夫

    ○木島委員 ある程度の、違いの幅が狭ければ許される範囲内だと思うのです。しかし、余りにも認証権者によって違いが大きいとなったら、それは問題なんですね。どこに問題があるかといったら、やはり法律そのものの概念が、余りにもあいまいな概念をぶち込んでくるから、もしそこに原因があって、場所によって違う、また経企庁と地方が違うなんということになるのではないか。この法律はそういう問題を物すごくたくさん秘めていると思うのです。  憲法擁護団体はどうかなんという質問だって、本当に難しいですよ、この別表のどこに当たるのか。それから、例えば地方で一生懸命頑張っている町内会とか自治会は、この十一項目でどこに該当するのか、町づくり推進を図る活動と本当に町内会は言えるのか。本当に難しい問題が物すごくあるのですよ。  だから、私は、こういう欠陥を持った法律はちょっとみんなで論議をしながら欠陥を是正していきたい。こういうのをやめて準則主義にすれば欠陥は全然ないわけですから、そういう方向に向かって、新進党さんの方はほとんど限りなく準則主義に近い案だと私は認識があるのですが、論議をしていきたいなと思うのです。  そういう政治上のイデオロギーの問題と政策の問題も切り離せるものではないのです。自由主義を標榜する、それだけで政治活動をやっている団体なんてどこもないでしょう、そんなばかな団体。必ず政治活動にはイデオロギーが基本にあって、それから政策が出てくるので、基本的な立場と政策というのは一体不可分でしょう。基本イデオロギーがないところもあるかもしらぬが、基本的には一体不可分。それを二つにすっぱり割って、政治上の主義を唱える団体はだめで政策を唱える団体はいいだなんという、そういう理屈が通用するはずがないのです。そういう問題もこの法律は秘めているということを指摘だけしておいて、徹底審議をこれから図られんことを期待をいたしまして、時間が来ましたから終わります。
  243. 伊藤忠治

  244. 保坂展人

    保坂委員 社会民主党の保坂展人です。  私は、二十一歳のときに、若者が教育や学校をいろいろ考えようと、かまぼこ板に青生舎、これを安アパートの玄関に打ち据えて、いわばそういう市民団体をつくったわけです。それから二十年間、アジアの人権にかかわる団体、あるいは子供、特にいじめの問題で悩んでいる子供たちをサポートする、そして、子供たちの声を聞いて、これを届けていくという団体やグループ、直接あるいは間接、これをほとんど二十年間続けてきた立場で、まさに現場から出てきた議員として、今日ここで市民という言葉が国会にて堂々と語られ、そして、三つの法案がここに本当に火花を散らしながら語られているということをまず喜びたいと思います。  その上で、まず、私どもの同僚議員も本当にこの半年間粉骨砕身でつくり上げた、この与党案について、市民活動の場から見て気になることをずばり申し上げるということから質問を始めていきたいと思います。  まず、やはり立入検査というところに反応をしてしまうわけですね。この立入検査というところが、「違反する疑いがあると認められる相当な理由があるとき」という表現の中身は一体どういうことなんだろうか。立入検査ということがある日やってくるという内容というのは、市民団体から見れば極めて異質な感覚、非常に拒否反応もはっきり言ってあるわけです。この中身について、きちっとその説明をしていただきたいと思います。
  245. 辻元清美

    辻元議員 保坂さんも、長年の経験をされて、その中からの御質問ということでお答えさせていただきます。  先ほども話にありました立入検査の件なんですけれども、相当な疑いがあるというのは、普通、ちょっとあそこ、おかしいでという、そういうことでは立ち入ることはできない。  それから、先ほどから、書面の提示と、それから交付も検討していこうかという回答をさせていただいているのですけれども、所轄庁の担当者が書面を提示、交付するというのは、相当な覚悟がないとできないと思うのですね。  そういう意味で、だれが見ても客観的におかしいという、そういう理由を、自信を持って所轄庁が文書として出せる、そういう理由があるときのみというふうに考えていますので、めったやたら役所の人が、理由もないのに、相当な理由をこうやでこうやでというふうに役所の方がするほど、勇気がないと言ったら変なんですけれども、相当な覚悟を持って役所も踏み切るときというふうに考えられますので、普通に市民活動をやっている、それが、たとえいろいろな意味で反対賛成あったとしても、それが理由で立入検査を行うというものではありません。この法律の手続にのっとって運営されていないというときは別ですけれども、それ以外の理由でめったやたら立ち入りするものではないというふうに提案者の方は議論いたしました。
  246. 保坂展人

    保坂委員 さまざまな市民活動があるわけで、その中には、国あるいは行政と、協力あるいは情報交換をすることでその目的が達成される活動もあります。  ただ、例えばの例なんですけれども、私、三多摩に住んでおりまして、私の家から出るごみも日の出の処分場というところに行くわけです。この日の出の処分場に、谷を埋め立ててビニールシートを敷いて、そこにごみを処分しているわけです。  これは、私自身の生活も問う問題なので、そういうことを踏まえながらお話ししたいと思いますけれども、実は、そのビニールシートが破れているのではないかということで、住民が非常に危惧を抱いている。そして、この地下水の水質汚濁について、地方公共団体なんですが、三多摩の市や町でつくる地方公共団体のごみ処分組合がこれについて情報を持っているわけです。住民がこの情報公開を求めて裁判を起こしたところ、八王子地方裁判所はこれに対して、情報公開命令という決定を出したわけですね。  ところが、ここからおもしろくなるのですが、地方公共団体でありながら裁判所の命令を拒否するということで、現在のところ、まだ情報は開示されていないのですね。どういう形で開示されていないかというと、間接強制という罰金を一日十五万、それでもだめだからというので一日三十万、そして今、その金額が積もり重なって二億円に達している。  つまり、これは二つの意味でおかしいと思うのですけれども、裁判所の命令に地方公共団体が従わないという点、そして、税金をもって住民の健康にかかわる情報にふたをしていく、都政から隠し事をなくしますという、青島さんがリサイクルの青島を打ち出したところが本当に問われるということになっていると思います。  そうすると、例えばこういうごみの問題を考えていく、情報を公開してほしいというのは、これは一種の地球環境保全にかかわる活動ですか。我々からすると、市民活動側から見ると当然そういう項目に入るだろうというふうに思うのですが、例えば都道府県がその種の活動に認証を与えないという決定をする危険というのはないのでしょうか。そこのところをちょっと伺いたいと思います。
  247. 辻元清美

    辻元議員 今、ごみ問題というのは、全国各地で重要な問題になっているかと思います。地域住民の方々が、そのごみ問題の問題点の指摘とともに、それだけではなくて、自分たちでリサイクル等をやって、この解決にも取り組んでいこうという積極的な活動をされていることは、皆さんも御承知だと思います。  議員指摘のように、今の問題でありましたら、例えば環境のカテゴリーに入るという解釈もありますし、町づくりのところに入るという解釈もあるかと思うのですが、それは、やはり個々の団体の方が、自分たちの活動はどの分野に入るのかということを優先することになるかと思います。  それから、先ほどから何回も繰り返して申し上げているのですけれども、それぞれの施策については、さまざまな意見を含み込んだ活動というのはございますので、それはこの法律に触れることはないということを申し上げていますので、その範疇であればオーケーということになります。
  248. 保坂展人

    保坂委員 例えば認証の取り消しとか、そういうことがいわゆる決定として出てきたときに、市民活動の側からあらがう手段として、特別聴聞ですかというようなことが盛り込まれていると思うのです。「市民活動法人から請求があったときは、公開により行うよう努めなければならない。」というふうにあるわけですけれども、これは、万が一公開できないという事態が発生することがあるのかどうかという点について、伺っておきたいと思います。
  249. 熊代昭彦

    熊代議員 原則はあくまで公開でございまして、恐らく九九・九%まで公開されると思いますが、まれに、公開した場合に、例えば証人を呼んだときに証人の命が危ないとか、それで正直な証言が得られないとか、そういう非常に危機的な状況が相当因果関係として、そういうようなことがあるというのが相当な理由としてわかるというような非常にまれな例は、やはり公開しない方がいいだろうということで道を残しているわけでございます。
  250. 保坂展人

    保坂委員 たびたび同僚議員からも語られているように、例えば、行政をチェックするオンブズマン活動、認証をする側の利益とその時点においては相反する、長期的な視野においてはいい問題提起だったということになるかもしれませんけれども、やはりその一%のところを担保するために、今後の議論の中で、行政のオーバーコントロールをきちっとバランスをとっていくために、第三者機関としていわば一種の審査委員会のようなことをお考えにならないのかという点について、伺いたいと思います。
  251. 辻元清美

    辻元議員 この法律をつくっていくに当たっては、その件も議論が出たことは事実です。  ただ、今回、この法律、運用していくという中でどういうものが必要なのかということを見定めて、第三者機関についても検討を加えていきたい。そのために見直し条項というのは先ほどから入れているのですけれども、そこではしっかり考えてはいきたいと思っておりますが、現在のところはございません。
  252. 保坂展人

    保坂委員 最近、社用族というのも減ったようですけれども、しかし、そういう方たちのよくいらっしゃるお店では、ビールお願いしますと言うと、銘柄はというふうに聞かれるわけですね。その銘柄はという言葉の裏にあるのは、有名になっている言葉ですけれども、日本語で世界で通じる「ケーレツ」というものなんです。  その系列ということに絡んで、これも、不安点を取り払っておきたいので、ぜひ突っ込んで伺いたいのですけれども、市民活動法人を申請をする団体がある、そして、申請をしない、こんなの特に要りませんという団体もやはり生じてくるわけですね。恐らく選ぶ団体と選ばない団体が出てくる。そのときに、やはり、市民活動法人団体をとった方が扱いがぐんと違うのだ、いわゆる市民活動法人系列というようなことが起きる心配があるのではないかというふうに思うのですね。  ですから、NGOあるいは民間団体ということであれば、法人格がどうあれ活動の中身で、区分、差別なく扱っていけるかどうかという点について確かめておきたいと思うのですが。
  253. 辻元清美

    辻元議員 今、保坂議員が御指摘の点も随分議論があった点です。  この市民活動法人を取った団体と取らなかった団体に何らかの形で、例えば何かの基金を申請した折に、ここは取っているからとか取っていないからということが審査の対象に入っては困る。それは、個々の団体が、入りたい団体は入られるという自主的な判断で、入っていないからといって何かそれが不当な扱いを受けるようなことがあっては困るというのが立法者の意図です。  ですから、これはこれから広めていって、この活動法人にたくさんの団体に入っていただきたいと思いますけれども、それが理由で何か不当な扱いを受けることのないよう、運用していく人には強く提案者として申し上げたいと思うのです。
  254. 保坂展人

    保坂委員 今回の、きょうここに至るまでに、多くの市民活動民間活動のグループ、団体意見交換をしてきたわけなんですが、その中で、大きく分けて極めて気になるというところで、一番最初のところに出てくる「不特定かつ多数のものの利益の増進」という項目が、こちら先ほど配られましたけれども、例えば会員制の組織ということが対象外になるのではないか。  これは繰り返し御答弁されていますから、本当に簡単に触れていただくだけでいいのですけれども、ここのところはやはり会員制ということで、市民団体が自前の財源を持って活動してきたというところは当然対象であるということを確認をしたいと思いますし、また、その三年後の見直しの中に、やはり税制の問題をきちっと道を開いてほしい、それでなければこの法律意味はないんだという声がしきりでした。  その点について、これは簡単に一言お願いしたいと思います。
  255. 辻元清美

    辻元議員 先ほどから自民党議員の方も、御自分の活動、地道な活動を例に挙げていただきまして、そのような活動はぜひこの市民活動法人を取って活動したいという御指摘もございました。先ほどの例示にございますような団体は、私たち提案者としてはぜひ活用していただきたいということはお答えいたしましたので、それと同じです。ですから、先ほどから熊代議員は三千円とか千円とかいう入会金が云々と言っておりますけれども、そのような団体につきましては、ぜひ積極的活用を望んでおります。  それから、税制の優遇措置についても、見直しのときにしっかり議論した結果を踏まえ結論を出していきたいと思っていますので、保坂議員もぜひ経験に基づいて協力いただきたいと思います。
  256. 保坂展人

    保坂委員 与党案は、各党の立場、歴史、伝統あるいは思考回路、いろいろ多様に違う中で、一つの党の中でもかなりの違いがあると思うのですが、そこを乗り越えていろいろとすり合わせていく中でまとめられつつある。そして、この委員会の審議を、質疑を経て、より磨かれたものになって、そしてその市民活動の現場で本当に新しい時代が開かれるように運用されていくことを私としては非常に望んでいるわけなんですけれども、一方で、共産党案とそして新進党案という、それぞれの特色がある案が出ているわけです。  そこで、日本共産党の木島議員にここはお願いしたいのですけれども、共産党から見て、あるいは木島さんからごらんになって、率直に言って新進党案というのはどのように評価をされるのか、そしてどの辺が一緒で、ここはだめだというところがどのあたりかというのをちょっとお答えいただきたいと思います。
  257. 木島日出夫

    ○木島議員 法の提案者として、他党の法案をこちら側から評価するというのはできるだけ差し控えたいのですが、新進党の河村委員がお許しを与えてくれていますので、率直に言わせていただきます。  法人格付与の問題と税制優遇の問題、二つに絞って、ちょっと私なりに感じているのですが、法人格付与の問題では、一言で言って、可能な限り準則主義に近づけたいという苦労の跡がにじみ出ている法案だという印象を持ちます。しかし、何でこんな苦労しなければいかぬのかという根本に触れますと、さっき私が質問でやったように、やはり新進党さんも、民法三十四条、公益法人主義、許可主義というその基本に立っておりますので、何とかすみ分けをしたい、しかし準則主義でつくってあげたい、それで苦労しているんじゃないかなと感じておりますが、準則主義に本当に限りなく近づけているんじゃないかというふうに思います。  それから、それは設立の問題ですが、監督の問題と罰則の問題です。監督はだれがやるかというと、新進党の案は認証庁がやるのですね。都道府県知事がやるのですね。認証を与えている都道府県知事が監督するのです。ちょっと曲がったら立入調査もやって、認可取り消しもやる。私ども日本共産党の案は、私どもは準則主義ですが、やはり基本は、認可を与えるのが都道府県知事でもいいとして、それを取り消したりするのはやはり別の機関、できたら裁判所の方がいいんじゃないか。それが一緒だと、やはり癒着、県知事に頭が上がらないということがありますから、そこがちょっと問題かなと。  それともう一つは、罰則規定があるのですね。いろいろ言いませんが、是正命令に対して、それに従わなかったら懲役六月、罰金五十円万以下というのが入っているのです。それから、法五十八条、九条でやはり罰金というのが入っているのですね。これはできたら、警察の介入の余地を残すので、こういう法人格付与法ですから、警察関係ないですから、過料、科料だと罰金で警察が入りますから過料にしてもらいたいなと。ほかは新進党さんの案も全部過料になっているのです。過料ですと裁判所だけが関与するので、警察関係ありませんから、そうしていただきたいな、希望であります。  税制優遇については、前向きな立場で、財務の面でも援助しようということが位置づけられておりますので、これは我が党の案と一緒で、前向きじゃないかなと感じております。
  258. 保坂展人

    保坂委員 それでは続いて河村さんに伺いたいと思うのですが、もう本当にミスターNPOということで、情熱には本当に頭が下がる思い。それから、この与党案に対して先ほどからもずっとあふれるばかりの御指摘があるのは十分存じ上げた上で、日本共産党の案についてお触れになっていないので、つまりそこのところ、今度は逆に、河村議員から見て日本共産党案はいかにという、ここが違う、あるいはここはいいというところでお答えいただきたいと思います。
  259. 河村たかし

    河村(た)議員 準則主義をとられるということで、やはり基本的には準則主義なんですけれども、もう一段階ちょっと考えるところがあるところは、アメリカは準則主義ですけれども、あれは営利法人でも届け出だけでいいんですね。資本金要らぬのですよ、向こうの法人は。届け出ということなんですよ、法人は。だから日本で、じゃ非営利の方だけ準則をとった場合、営利の方は株式会社は一千万とか、有限会社三百万とか、やはり日本の法人というのは法人格を取った時点で既に取引の安全を図っているわけですよ。だから、ここのところをちょっとどうするかという問題がありますね。  非営利だけ別という考え方もありますよ。非営利は一切担保のない届け出だけでいいのか、いろいろなやり方があると思うのです。有限会社と同じ三百万担保にするとか、例えば個人がある程度保証する制度をつくるとかいう、まずそこをちょっとクリアして準則主義の問題に入らないといかぬということだと思います。  それから次は、まあそこはどうするとしても、法人格を取った時点でやはり一応課税になるでしょうね。やはり課税にして、アメリカのシステムだったら課税庁が公益判断をするということが、それがいいかどうかの問題をちょっとやらないかぬということになると思います。  それから、やはり民法改正がどうしても要る。民法改正って、大したことはないんですけれども、それぞれ宗教法人とか私立学校法とか、例えば農協法とか、一つずつずっと全部調整していくということです。  だから、本当にこれは思い切ってやりたいことはありますよ。こんな変な法律をつくるより、こう言ってはなんですけれども、税法も入れて、本当に何遍も言って悪いけれども、保坂さんわかってみえるから。本当に若い、十人おれは十分ですよ、国会の中に本当のNPO社会をつくろうという人間が十人おれは。それで、ちょっとお年寄り連中をみんな口説くのですよ、ずっと。うちの党でもそれは大変だったんだから。そういうことですよ。  だから僕は、そういう方針でいくということでは共産党さんは一つの方向性を示された、そんなふうに思っております。
  260. 保坂展人

    保坂委員 続いて、再び河村議員にお尋ねしたいのですが、先ほど与党案で言った点と同じなんですけれども、いわゆる立入検査に関して、やはり新進党案でもあるわけですね。この場合、職員は身分を示す証明書を携帯し提示するという形で立ち入れるということになるわけですけれども、先ほど事例を挙げましたよね、都道府県と対立をしているというか、まさに情報を隠す側と明かしてくれという側での現場の市民団体もあるわけですね。そういった場合に、この条項というのが実際上どうなのかという点についてお答えいただきたいと思います。新進党の河村議員、お願いします。
  261. 河村たかし

    河村(た)議員 どうなのかということは、何ですか、ちょっと今、しばらく見ていなかったものですから。
  262. 保坂展人

    保坂委員 つまり、それだけで立入検査ができてしまうのですかということなんです。
  263. 河村たかし

    河村(た)議員 一応要件は絞っていますよね、立入検査の場合も。具体的に絞っていまして、民法はたしか、いつでもどこでも立入検査ですね。だけれども、私の法律は「法令、法令に基づいてする行政庁の処分及び定款が遵守されているかどうかを確かめるため必要があると認める」場合に限ってという要件を付しておりまして、民法一般法よりはぐっと絞った規定になっております。民法はいつでもどこでも。それよりは大分絞ってあります。しかし、取引の安全がありますから、やはり一定のものは要るであろうということになると思います。
  264. 保坂展人

    保坂委員 じゃもう一点だけ伺いたいのですが、それこそ情報をめぐって、これは例えば「もんじゅ」の事故あるいはこの間の動燃の事故、原子力施設に関する情報、あるいは先ほどのごみの環境問題、いわゆる公共と言われるところが情報の本物をなかなか出さないということで、現場、県とかそのレベルでは市民団体都道府県が極めて対立をしているというケースがありますよね。そこのところで、例えばいろいろな妨害、設立の際の嫌がらせ等があったときに、新進党案では例えばどのように公平性を担保されようとしているのか、そこについてお答えいただきたいと思います。
  265. 河村たかし

    河村(た)議員 一言で言えば、私どもの案の特色は、寄附金控除があるということと、もう一つは、目的審査をしない、これが極めて特色なんですよね。だから「もんじゅ」でも何でもそういう批判するものは全部オーケーですから、公益であれば。自分たちの利益はだめですよ、釣りクラブとかそういうのでは困りますけれども、あとはオーケーです。だから、そんなのをアウトにしたらこれは明確な法律違反です。全部法人格を取れます。ここははっきりしておりますね。ここが特色です。
  266. 保坂展人

    保坂委員 請求があったときには公開審理ということがうたわれていますね。つまり、認可の取り消しにかかわる聴聞においては公開審理ということを考えておられる。法案に載っているわけですけれども。ここを、先ほど木島議員からの指摘もあったように、いわゆる認可をする都道府県がこれを主催するあるいはとり行うということでいいのかどうか、そこで公平性が担保できるのかどうかという点についてはいかがお考えでしょうか。
  267. 河村たかし

    河村(た)議員 ちょっと、そこのところ、これはつくったときは覚えておったのですけれども、また後日きちっと返事させていただいていいですか。そうさせてください。
  268. 保坂展人

    保坂委員 三つの議員立法が同時に出てくるというのはこれまでの国会の歴史の中でも極めて画期的なことだというふうに思います。これを市民団体もそれぞれの三法案に参加をしたり、あるいは意見を聞いたり、多分同じ顔ぶれでのシンポジウムを多々開催されたというふうに聞いています。そこの論議をぜひあす以降も生かして、しっかりとした、市民団体がこれを追い風にできるような内容にしていくことを望んで、私の質問にかえたいと思います。
  269. 伊藤忠治

    伊藤委員長 次に、奥田敬和君。
  270. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 午前中からの集中審議で大変答弁側はお疲れと思いますけれども、しんがりの質問ですから、しばらくお願いをいたします。  今度の法案審議に当たりまして、率直な感想を述べさせていただきたいと思います。  各党それぞれ、市民団体の指導者として大変勉強された上に提出を見た各党提案であります。それぞれ努力の結果があらわれていることは私も認めますけれども、この法案の持つ意義は大変大きいと思っています。ようやく我が国にも市民社会の大変革の時期がやってきたんだなという感じであります。北欧諸国を例にとるわけではありませんけれども、成熟した民主国家への道程をたどっているのかな、その成否をかけた内容を持った法案だという認識でございます。  私は、今日までの市民社会は、はっきり言ってお見合い型市民社会だと思っています。地域社会における各種市民団体福祉なりあるいは文化、教育、環境、その他もろもろの公益性を持った団体行政が何らかの形でこれに関与をしてまいりました。お互いに遠慮し合うということが当てはまるかは別として、そういった形では官主導型で運営されてきた、主体であるべき市民が受け身の立場であったということが指摘できるのじゃなかろうかと思います。  しかし、今度のこの法案の目指すところは、恋愛型市民社会と申しますか、つまり、官に頼らない自己責任による、市民主導型のボランティアグループを法人格で認証して、多様かつ活力のある市民社会の形成を目指すところにあるのじゃないかなと私なりに理解しているところであります。  本法案趣旨を今のように理解して間違っているのか、それでいいのかということを熊代議員与党提案者としてお聞きいたします。
  271. 熊代昭彦

    熊代議員 奥田委員指摘のとおり、三党が市民活動につきまして法案を出した、画期的なことでございまして、やはり市民というのは恐らく、市民社会、その市民社会がつくり出した国家のあり方をどうすべきか、市民が主になってそれをしっかり運営するためにはどうしたらいいのかという自覚を持った人々であろうと思います。そういう市民の自主的な活動を推進していく法律ということで、先生御指摘のとおりの趣旨法律というふうに我々理解しているところでございます。
  272. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 先ほどから論議を聞いて大体理解したわけですけれども、法人格の認証手続は主として府県知事にあるということですね。二県にまたがる広域的な問題は別として、主として地域性に立脚して府県知事。これは、ある意味においては地方分権化の一方の促進というものに風穴をあけていくということで、大変すばらしいことだと思います。  メリットとして、いろいろ団体に対するアンケート調査を経企庁あたりでやったようでありますけれども、これらの法人化によって、いろいろな意見が寄せられておりますけれども、社会的に信用性が高まると申しますか、また寄附金を受けやすいとか、あるいは営利目的でない団体で金もうけの目的の怪しげな団体でないという一つの証明になる等々の点を考えれば、今後のこの種の活動というものは一歩も二歩も前進するだろうな、市民社会に溶け込んでいくはずだと思っています。  しかし一方、新進党提案によると、税法上の優遇措置には何にも触れてないじゃないか、税制優遇がなければ意味がないじゃないかという批判も提起されて、先ほど来論議の経過の中にもございました。この点で、与党案の先ほどからの答弁を聞いておりますと、まずこれでスタートさせようじゃないか、経過実態を見て三年以内に検討を加えて必要な措置を講じよう、まあ二年の間に何かとそういった意味の必要措置を講じたいという旨の、これは附則部分で対応を約束されているわけでありますけれども、実態経過を見た上で前向きに対応する、特に今回は触れられなかった税のそういった優遇措置等についても当然この中に重要な部分を占めていると思うのですけれども、そのように理解してよろしいのか。
  273. 辻元清美

    辻元議員 お答えいたします。  今の奥田議員がおっしゃったとおりの理解で結構だと思います。  ただ、第一歩と申しましたけれども、私も市民活動を十四年間やってきたのですけれども、やはり社会的信用というところで随分困難がありました。そういう自分の活動の経験も踏まえまして、やはりたくさんの方がそういう活動をしていくに当たりましては、まずやはり何らかの法人格付与することはとても大事なことだと思っておりますので、それが一歩。そして、一歩一歩進んでいく中で、税の優遇措置については早急に検討したいと先ほどから何回も申しておりますので、その理解で結構だと思います。
  274. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 あわせて聞くのですけれども、ちょっと教えてほしいのだけれども、通称市民活動団体という形で理解しますけれども、これは市民公益活動団体というように理解してもいいのですか、いわゆる法人格を与えようというそういった形の団体に関しては。公益性も加味して市民公益活動団体、これとはイコール通称市民活動団体、そのように解してよろしいのでしょうか。
  275. 熊代昭彦

    熊代議員 与党案は、名称といたしましては市民活動法人、市民活動団体と言わせていただいております。新進党案市民公益法人というふうに命名しておられますが、私どもの市民活動団体も、法の目的に公益の増進を目的とすると書いてございますので、公益を目的とする法人であることは変わりないわけでございまして、いかなる名称がいいかといういわば趣味の問題も入っていると思います。
  276. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 市民活動団体市民公益活動団体、帰するところ、認識度においては大体同じ内容意味を持って理解していいんだなというぐあいに考えておきます。  いろいろなサークルがあるわけですけれども、特にノンガバメントのNGO組織において、やはり北欧諸国は私たち大変うらやましいぐらいの気持ちにさせられたことが多うございました。いわゆる貧困というか開発途上国あたりの奉仕活動においても、小さい国でありながら、北欧のスウェーデンやデンマークの各諸国の人たちがいろいろな生活レベルの厳しい条件の中で頑張っておられる姿を見て、しかも、それがいわゆるNGOというか、そういった組織の中で活躍されている姿を見たときに、日本の国もこのレベルまで達するのはいつの日かなと。何かというと官製で、すぐ公が先に立っていく形のことはやりますけれども、そういった意味合いでは、彼らの、彼らと言っていいか、ああいった個人の自由かつ社会的参加が伝統的に受け継がれている国に対しての尊敬の念も含めて、特に感じてまいりました。  特にスウェーデンあるいはデンマークの市民活動で私は感ずるわけでありますが、話はまた飛びますけれども、一例を挙げますと、成人教育のサークル活動なんかは大変盛んですね。いわゆる成年年齢に達した人たちが、若い人から年寄りに至るまで何らかの教育サークルに参画されている。そのデータはどれくらいか、大体二人に一人は参加しているだろうということでございましたけれども、これらは全く自発的な社会参加でございます。美術、音楽、歴史、科学、大変広範な学習的なネットワークを通じて、社会的関心につながりを持っていくというか、多彩な分野の中で生きがい社会を形成しておるという、そういった実態を見たときに、二十一世紀には我が国もそういう方向で行ってほしいものだなという願いを持っておったわけであります。  今後は、いろいろな多様なこういった形に関しても、この法が目指すところもそういう、これは一分野に関したことですけれども、福祉の面においても、あるいは地域づくりの面においても同じことが言えるのじゃないかと思いますが、市民参加が多様な形で行われていくということに、その活動を側面から支援するという意味に解釈してよろしいのでしょうか。
  277. 熊代昭彦

    熊代議員 先生御指摘のとおり、先進諸国、あるいは先進諸国に限らないかもしれませんけれども、海外での青年の活動とか、本当に活発でございまして、深く敬意を表するところでございます。  私もこの一月に、NGO活動先進国でございますけれども、フィリピンのマニラに行ってまいりましたが、日本のOISCAとかセーブ・ザ・チルドレンとか、それからAMDAとか、あるいはNGOそのものではございませんが日本版のピースコーの青年海外協力隊とか、外国の団体にまじりまして、日本の青年も非常に活発に、そして継続的に活躍している姿を見まして、法人格をまだ持っていない団体、AMDAなどは持っておりませんので、ぜひ国際の舞台でいわゆるリーガルステータスを持って活躍してもらいたい、そのためにこの法律というのは大変に役に立つということを感じてまいりました。先生の御指摘のとおりでございます。
  278. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 この三党提案とも目指す方向は、頂上は一緒だと私は思っているのですよ。  ですから、各党提案の中で、これは自分の党から出したのが最良だと思って出しているのは当たり前ですけれども、これが絶対最良だという、絶対的という言葉を、オール・オア・ナッシングの態度は、私はやはりこの際もうちょっと大乗的に、大幅修正なりを目指すという方向の中で、本当は各党一致法案として画期的な法案成立に向けてやりたかったな。そのためには、河村さんらも言われるように、もっと時間をかせ、もっとやれば、もっと一歩前進して、妥協の余地あり、これはこんなことを言ってはいかぬけれども、木島さんもそういう気だろうな。だから、そういった意味合いにおいては、本当に完璧のぺキまでつくものにしたいということもやまやまであります。  しかし、私はやはり今度のこの審議経過を含めて、どうかひとつ、今審議の途中ですから、どの法案に賛成するとかという結論を出すわけではありませんけれども、NPOの基本法の制定を、やはり先ほどから言うと、概念的に認証形態なりあるいは取り消しの裁判でやれとかなんとかという、そういった論議の形態も残っていますから、それらを含めて、今認証も取り消しも任せていくという形は、これはまた官製型のそういったものに陥る弊害なしとしない。  ですから、そういう点の検討も含めて、やはり皆さん方、現在の市民活動に、今まで十数年のキャリアをお持ちの提案者の各位が、超党派でやはりこのNPO基本法の制定という形に努力することを目指してほしいなというのが第三者的な、外から論議の経過を見ていて特に感ずることであります。  そして、これは先ほど言うように、経過修正、二年間なら二年間の実態経過を見て、積極的な前向き対応で修正を担保するという形も、本委員会の附帯決議等々で具体的にその面に触れられていくことは、本案附則の面でやっていくという形は時間的に無理かもしれませんけれども、そういった形の附帯決議を各党超党派でしっかり担保していくことがやはり大事であろうかと思っています。  これらについて、三党各代表の御意見というものを承って質問を終わりたいと思います。
  279. 辻元清美

    辻元議員 貴重な御意見をありがとうございます。こういう本当に市民活動を促進していくという法案ですので、できるだけいいものを、そしてすぐ活用していただけるものを、各党が議論を積み重ねてつくることは大変大事だという認識に立っております。  それと同時に、市民団体から私たち与党案の方にはさまざまな意見が寄せられました。この間、一週間で五百団体以上の方々が早期の成立をというファクスがどんどん入ってきているのも一方である事実ですので、早期な成立も目指さなければいけない。そこで、この審議が重要になります。実際に、大阪での公聴会、東京での公聴会も、何かパリやロンドン、ニューヨークもというような意見もあったようなのですけれども、国内で二カ所の公聴会も行われるということですので、私は、できるだけこの国会での成立を目指しながら審議を見守っていきたいなというふうに考えております。
  280. 河村たかし

    河村(た)議員 私も全く奥田先生の御意見と同じでございまして、あえて対立する気持ちは全くありません。  せっかくこうやってみんなで新しい世の中をつくるのですから、もしうまく折り合えば折り合って、本当に二十一世紀日本仕組みをこの内閣委員会がみんなでつくったな、そういうふうになれればぜひそうしたい、そんなふうに思っております。
  281. 木島日出夫

    ○木島議員 先ほど質問のときにも述べましたが、この法案の性格上、何とか一致していいものをつくり出して成立させたいな、各党百点はとれないにしろ、各党から見て八十点ぐらいのところでいい一致点を見出して成立させたいと思っております。  私ども、それに加えて、この部分だけはどうしても認めるわけにはいかない、逆に現状よりも大変な官の支配とか問題があるという点が幾つかあるのです。それは取り除いていただきたい。  後で、質疑で提起しますが、例えばNPO皆さんがもし一回でも選挙運動をやったらだめなのですね。これは公害をなくす運動にしろそうなのですね。環境を守るために特定の候補者を推して政治を変えようということは、当然一定の目的で活動をやられている団体皆さんはお持ちなのです。しかし、例えば与党案の第二条の第二項の二のハにはそういうことが規定されているので、幾つかそういうのがありますから、そういうのはぜひ削除してもらって、我々が賛成できるような姿に、修正に踏み込んでいただきたいとあえてお願いを申し上げまして、そういう努力をこの委員会で積み重ねながら合意を目指したいと考えております。
  282. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 今ほども三党提案者からそれぞれ大乗的な見地に立って、今後とも内容を充実した形でこのボランティア活動市民公益活動団体活動が本当に新しい世紀の主役になっていくように努力したい。その気持ちを大切にして最後までこの法案審議に当たっていただきたいなと願っています。  しかし、共産党さんの、こんなことを言うとまた長くなりますからこれでやめますけれども、やはり政治行動の自由は個人的には保障されているわけですから、法人格を上げて、一政党支持に、もう真っ赤っ赤に染まった形の団体がどんどんできると私はこれはやはりちょっと困るわけで、その点の形については、そこのところをもう一歩大乗的にやるようにお願いをして質問を終わります。
  283. 伊藤忠治

    伊藤委員長 次回は、明三十日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十九分散会      ————◇—————