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1997-05-22 第140回国会 衆議院 内閣委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月二十二日(木曜日)     午前十時二分開議 出席委員   委員長 伊藤 忠治君    理事 赤城 徳彦君 理事 岸田 文雄君    理事 熊代 昭彦君 理事 御法川英文君    理事 倉田 栄喜君 理事 西村 眞悟君    理事 金田 誠一君 理事 木島日出夫君       石橋 一弥君    岩永 峯一君       大石 秀政君    大野 松茂君       大村 秀章君    菅  義偉君       虎島 和夫君    野田  実君       桧田  仁君    平沢 勝栄君       目片  信君    渡辺 博道君       石井 啓一君    石田幸四郎君       鹿野 道彦君    鈴木 淑夫君       中野 寛成君    池端 清一君       瀬古由起子君    深田  肇君       奥田 敬和君    遠藤 武彦君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総務庁長官) 武藤 嘉文君  出席政府委員         人事院総裁   弥富啓之助君         人事院事務総局         任用局長    角野 敬明君         人事院事務総局         給与局長    武政 和夫君         人事院事務総局         職員局長    佐藤  信君         総務政務次官  野田  実君         総務庁長官官房         長       河野  昭君         総務庁人事局長 菊池 光興君         総務庁行政管理         局長      陶山  晧君         総務庁行政監察         局長      土屋  勲君         科学技術庁科学         技術政策局長  近藤 隆彦君         科学技術庁科学         技術振興局長  青江  茂君  委員外出席者         科学技術庁科学         技術振興局研究         振興課長    袴着  実君         科学技術庁科学         技術振興局研究         基盤課長    小田 公彦君         文部省高等教育         局企画課長   若松 澄夫君         文部省学術国際         局学術課長   坂本 幸一君         農林水産技術会         議事務局企画調         査課長     大森 昭彦君         工業技術院総務         部技術審議官  足立 芳寛君         自治省行政局公         務員部給与課長 浦山 紘一君         内閣委員会調査         室長      新倉 紀一君     ――――――――――――― 委員の異動 五月二十二日  辞任         補欠選任   佐藤 孝行君     大石 秀政君   虎島 和夫君     石橋 一弥君   渡辺 博道君     目片  信君 同日  辞任         補欠選任   石橋 一弥君     虎島 和夫君   大石 秀政君     佐藤 孝行君   目片  信君     渡辺 博道君     ――――――――――――― 五月十三日  一般職任期付研究員採用給与及び勤務時  間の特例に関する法律案内閣提出第八六号)  国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律  案(内閣提出第八七号) 同月二十二日  非営利団体に対する法人格付与等に関する法  律案木島日出夫君外二名提出衆法第一三号  ) 同月九日  元日赤救護看護婦に対する慰労給付金に関する  請願濱田健一紹介)(第二四〇六号)  同(岸田文雄紹介)(第二四八六号)  同(藤田スミ紹介)(第二四八七号)  傷病恩給等改善に関する請願中馬弘毅君紹  介)(第二四〇七号)  元陸海軍従軍看護婦に対する処遇に関する請願  (草川昭三紹介)(第二四八八号) 同月十三日  元日赤救護看護婦に対する慰労給付金に関する  請願熊代昭彦紹介)(第二五六一号)  同(中川智子紹介)(第二五六二号)  同(桧田仁君紹介)(第二五六三号)  同(御法川英文紹介)(第二五六四号)  同(山原健二郎紹介)(第二五六五号)  同(小川元紹介)(第二六二六号)  同(中川智子紹介)(第二六二七号)  同(東中光雄紹介)(第二六二八号)  同(中川智子紹介)(第二七〇二号)  恩給欠格者救済に関する請願藤井孝男君紹  介)(第二五六六号)  同(藤井孝男紹介)(第二六二九号)  元陸海軍従軍看護婦に対する処遇に関する請願  (草川昭三紹介)(第二五六七号)  同(草川昭三紹介)(第二六三〇号)  傷病恩給等改善に関する請願中山正暉君紹  介)(第二五六八号)  同(細田博之紹介)(第二五六九号)  同(河村建夫紹介)(第二六三一号)  非核原則法制化に関する請願石井郁子君  紹介)(第二七〇一号) 同月二十日  非核法制定に関する請願(辻元清美紹介)(  第二七七二号)  元日赤救護看護婦に対する慰労給付金に関する  請願鈴木淑夫紹介)(第二七七三号)  同(辻元清美紹介)(第二七七四号)  同(平沢勝栄紹介)(第二八八〇号)  傷病恩給等改善に関する請願江崎鐵磨君紹  介)(第二七七五号) 同月二十二日  レッド・パージの犠牲者への国による賠償に関  する請願石井郁子紹介)(第二九七〇号)  同(金子満広紹介)(第二九七一号)  同(穀田恵二紹介)(第二九七二号)  同(寺前巖紹介)(第二九七三号)  同(東中光雄紹介)(第二九七四号)  同(藤田スミ紹介)(第二九七五号)  同(吉井英勝紹介)(第二九七六号)  同(藤木洋子紹介)(第三〇七四号)  元日赤救護看護婦に対する慰労給付金に関する  請願石井郁子紹介)(第二九七七号)  同(辻第一君紹介)(第二九七八号)  同(松岡利勝紹介)(第二九七九号)  同(大村秀章紹介)(第三〇七一号)  恩給欠格者救済に関する請願瓦力紹介)  (第二九八〇号)  同(中野正志君紹介)(第二九八一号)  傷病恩給等改善に関する請願小野晋也君紹  介)(第三〇七二号)  同(増田敏男紹介)(第三〇七三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月九日  公務員倫理法制定に関する陳情書  (第  二六六号)  情報公開法試案に関する陳情書  (第二六七号) 同月二十二日  国民の祝日に関する法律改正に関する陳情書  (第  三〇三号)  恩給欠格者救済措置に関する陳情書  (第  三〇四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  一般職任期付研究員採用給与及び勤務時  間の特例に関する法律案内閣提出第八六号)  国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律  案(内閣提出第八七号)      ――――◇―――――
  2. 伊藤忠治

    伊藤委員長 これより会議を開きます。  内閣提出一般職任期付研究員採用給与及び勤務時間の特例に関する法律案及び国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  これより両案について順次趣旨説明を聴取いたします。武藤総務庁長官。     —————————————  一般職任期付研究員採用給与及び勤務時間の特例に関する法律案  国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 ただいま議題となりました一般職任期付研究員採用給与及び勤務時間の特例に関する法律案及び国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  初めに、一般職任期付研究員採用給与及び勤務時間の特例に関する法律案について申し上げます。  この法律案は、人事院国会及び内閣に対する本年三月六日付の意見の申し出にかんがみ、国の試験研究機関等への特にすぐれた研究者の招聘及び高い資質を有する研究者の受け入れを図るため、国の試験研究機関等研究業務に従事する一般職職員について、任期を定めた採用並びに任期を定めて採用された職員給与特例及び裁量による勤務に関する事項を定めるものであります。  次に、この法律案内容について、その概要を御説明申し上げます。  第一に、任期を定めた採用についてであります。任命権者は、「招へい型」と「若生育成型」の二つの場合について、選考により、任期を定めて職員採用することができることといたしております。すなわち、「招へい型」は、研究業績等により当該研究分野で特にすぐれた研究者と認められている者を招聘して、当該研究分野に係る高度の専門的な知識経験を必要とする研究業務に従事させる場合であり、「若生育成型」は、独立して研究する能力があり、研究者として高い資質を有すると認められる者を、当該研究分野における先導的役割を担う有為な研究者となるために必要な能力の涵養に資する研究業務に従事させる場合であります。  第二に、任期つき研究員任期についてであります。「招へい型」につきましては、任期は、五年を超えない範囲内で任命権者が定めることとし、特に五年を超える任期を定める必要があると認める場合には、人事院承認を得て、七年または十年を超えない範囲内で任期を定めることができることといたしております。「若生育成型」につきましては、原則として三年を超えない範囲内、研究業務性質上特に必要である場合で、人事院承認を得たときは、五年を超えない範囲内で、任命権者が定めることができることといたしております。  第三に、給与につきましては、「招へい型」及び「若生育成型」の任期つき研究員に適用する新たな俸給表をそれぞれ定めることといたしております。ただし、「招へい型」の任期つき研究員について、特別の事情によりこの俸給表によりがたいときは、人事院承認を得て、一般職職員給与に関する法律に定める指定職俸給表十二号俸の額を超えない範囲内でその俸給月額を定めることができることといたしております。また、任期つき研究員のうち、特に顕著な研究業績を上げたと認められる職員には、その俸給月額に相当する額を任期つき研究員業績手当として支給できることといたしております。  第四に、勤務時間につきましては、各省各庁の長は、「招へい型」の任期つき研究員職務につき、その職務性質上時間配分の決定その他の職務遂行方法を大幅に当該職員裁量にゆだねることが当該職員に係る研究業務の能率的な遂行のため必要であると認める場合には、勤務時間の割り振りを行わないでその職務に従事させることができることといたしております。  以上のほか、関係法律について、所要改正を行うこととしております。  なお、この法律は、公布の日から施行することといたしております。  続きまして、国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法律案は、昨今の不祥事を踏まえ、職員退職後その在職期間中の行為について犯罪があると思料するに至った場合等に、退職手当並びに期末手当及び勤勉手当支給を一時差しとめることができる制度新設すること等により、退職手当並びに期末手当及び勤勉手当支給の一層の適正化を図り、もって公務に対する国民信頼確保に資することを目的とするものであります。  次に、この法律案内容について、その概要を御説明申し上げます。  第一に、退職手当の一時差しとめ制度新設についてであります。各省各庁の長は、退職した者に対しまだ退職手当が支払われていない場合において、その者の在職期間中の行為について、その者が逮捕されたときまたはその者から聴取した事項もしくは調査により判明した事実に基づきその者に犯罪があると思料するに至ったときであって、退職手当支給することが、公務に対する国民信頼を確保し、退職手当制度の適正かつ円滑な実施を維持する上で重大な支障を生ずると認めるときは、その支給を一時差しとめることができることといたしております。その際、各省各庁の長は、当該一時差しめ処分を受けるべき者に対し、処分事由を記載した説明書を交付しなければならないこと等所要の手続を定めることといたしております。  また、各省各庁の長は、一時差しめ処分理由となった行為について不起訴処分があった場合または当該一時差しめ処分を受けた者がその者の在職期間中の行為について起訴されることなくその者の退職の日から起算して一年を経過した場合には、その者が逮捕されている場合等を除き、速やかに当該一時差しめ処分を取り消さなければならないことといたしております。  なお、退職手当の一時差しとめ制度新設に伴い、退職手当は、特別の事情がある場合を除き、職員退職した日から起算して一月以内に支払わなければならないことといたしております。  第二に、期末手当及び勤勉手当についても、退職手当の一時差しとめ制度と同様の一時差しとめ制度新設することといたしております。  さらに、期末手当及び勤勉手当基準日から当該基準日に対応する支給日の前日までの間に懲戒免職処分を受けた職員、離職した日から期末手当支給日の前日までの間に禁錮以上の刑に処せられた者、一時差しめ処分を受けた者でその者の在職期間中の行為について禁錮以上の刑に処せられた者等には、期末手当及び勤勉手当支給しないことといたしております。  第三に、防衛庁の職員給与等に関する法律につきましても、一般職職員給与に関する法律改正に準じて、期末手当の一時差しとめ制度新設等に係る所要改正を行うことといたしております。  以上のほか、関係法律について、所要改正を行うことといたしております。  なお、この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することといたしております。  以上が両法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
  4. 伊藤忠治

    伊藤委員長 以上で両案について趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 伊藤忠治

    伊藤委員長 これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。石橋一弥君。
  6. 石橋一弥

    石橋(一)委員 質問をさせていただきます。  ただいま御説明のありました国家公務員退職手当法の一部を改正する法律案、これについて質問をいたすわけであります。本委員会委員であります杉浦正健君の代理として質問をいたします自民党石橋一弥であります。どうぞよろしくお願いを申し上げます。  そこで、ただいま提案をされました本案につきましては、私は賛成をするものであります。その上に立って、幾つかのことをお伺い申し上げたいと存じます。  まず、ただいま趣旨説明にもありましたとおり、前厚生事務次官等の続発した官僚トップ不祥事、それに対する国民の怒り、そして不信、これがこの法案の背景になっている、こう考えております。そして、私ども今までの経過を、大臣長官はよく御存じでありますが、委員皆様方に申し上げておきたいと思います。  議員立法でこれを提案したいということで、自民党の中の若手議員諸君といろいろ話し合いをいたしました。そして、話し合いが終われば、与党初め各党の皆さん方に申し上げて、結局は委員長提案でこのことをやった方がいいだろう。特に、今のことでありますが、国会そのものがこのようなことについて出す、この方がいいだろうという考え方でやってまいったわけであります。  ところが、総務庁、こちらでございますが、私ども議員立法法案をつくりつつあるちょうど一緒の時期に、総務庁の方も同じようなことをやっておった。最終的に、長官である大臣話し合いをいたしまして、今回はとにかく総務庁原案で臨みましょうということで、私ども提案を留保いたしました。撤回ではなく留保をいたしました。そして、きょうを迎えたわけであります。  これをまず長官、そのとおりであるかどうか、御答弁をしておいていただきたいと思います。
  7. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 正直、役所の中で、総務庁の中で、このような法律案をぜひ出したいというのは実は私でございまして、決して役所の方から出てきたわけではございません。私自身が、あの岡光次官その他の不祥事件にかんがみまして、これは現在の法律が不備である。だから、やはりそういう点をカバーできる、ああいう人たちに対して退職手当を出してしまわない、結果的に退職手当は出ておりませんが、期末手当は出してしまったわけでございます。  国民から見たら理解できないそういうことを、どうも犯罪を犯しているかもしれない人に、やめたからといって期末手当を、勤めていた間についての期末手当ですから、今までの考え方では当然出すということになっているわけです。だから、私はそれはおかしい、いくら法律で認められていても、国民から見てあれはいかがなものかと思う人に対して、そういう者に期末手当を出すのはおかしいではないかという私の発想から、ぜひともこれは法律をひとつ改正しようではないかということを私が実は提起をいたしまして、役所の中で検討をするように命じたわけでございます。  そういうところへ、たまたま今お話しのとおりで、党の方でもいろいろ御心配をいただいて御議論いただいている。場合によれば議員立法もやろうか、こういう話でございました。私は、決して議員立法をいけませんと申し上げたわけでもございませんし、議員立法でお出しいただくのも結構だけれども、たまたま私と皆さんとお親しい間柄でございますので、私が自分で役所に対して、役所は非常に難しいということを最初は申しておったわけでございまして、幾ら難しくてもこれはやらなければ国民に対して申しわけがないのではないか、こういうことで私が指示をして作業を進めておったものでございます。  せっかく私の指示作業を進めてくれている役所のことを思うと、できれば私の方の案をひとつ御審議願えないだろうか。その上に立って、もしどうしても御不備であるというならば、御修正を国会の場でいただくことも結構であるけれども、私としてはできるだけ御修正いただかなくてもいいようなものをつくらせるつもりでいるから御理解いただけないだろうか。しかし、これをやってみてもなお不十分であるときには、また議員立法でお出しをいただいてお直しをいただくのもまた一つ方法ではなかろうか。とりあえずそういう指示をして今一生懸命やらせておりますので御理解がいただければ、こういうことを申し上げたところ御理解をいただいたので、こういう形で最終的に政府案で、いろいろ協議の上このような案を提出させていただいた、こういうことでございます。
  8. 石橋一弥

    石橋(一)委員 法案につきまして、いわゆる官僚諸君ではなく、政治家である長官みずからがこのことを進めてくださったということ、また私どもとの話の中においても、どこまでもこれは政治の問題として取り上げるということで私たち話し合いをしてくださったわけであります。感謝をまず申し上げておきます。  そこで、私どもといたしましても、杉浦君でありますとか、あるいは在野の弁護士の諸君ですとか、本年の一月の末に法律案を仕上げた次第であります。その中身は、在職中に懲戒免職相当事由があることが依願退職後判明した場合、退職後三年間に限って懲戒免職と同等の経済制裁を加えるとして処分を行うようにしようとするものでした。ここのところがちょっと食い違ったわけであります。  そこで、この件につきまして、長官として、今後一年間くらいの間にきちっとしたものを、本法律案、直すということをやるお考えを現在もお持ちでございましょうか、それをお伺いいたしたいと思います。
  9. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 私どもいろいろ議論をいたしましたときに、もっと短くてもいいという話も、正直、議論の中にはございました。六カ月でもいいのじゃないかというお話もありました。しかし、なかなか調査が長引く場合もあるだろう、しかし、常識的には、検察当局なり警察なり、少なくとも一年あれば大体それはきちんとしてくれるのじゃなかろうか、結論を出してくれるのじゃなかろうか、こういう判断で実は一年としたわけでございます。この法案を成立させていただきますれば、それを施行した場合にどういうケースがこれから出てくるか。  実は、これは一つの伝家の宝刀みたいなものであって、本当はこのようなことを適用する公務員が今後は一切出てこない方が私は望ましいと思っておるわけでございます。公務員皆さんがいろいろの不祥事件を反省されて、これから一人としてあのようなことを起こさない、公務員皆さんがそういうしっかりした考え方でお仕事をおやりいただければ、私はそれが一番ベストだと思っております。しかし、中にはそういう非常に感心しないことをおやりになる方もあるかもしれませんけれども、そのときには、いろいろの世論からの御批判で、警察当局なり検察当局も十分、こういうものに対してはもっと機敏に対処し、迅速に処理をしなければいけないというお気持ちは私は持っていただいていると思いますので、そういう面で、一年ということで私はいくのではなかろうかと思っております。  しかし、将来、おまえの方が甘かったぞというようなときには、私ども、もし御指摘をいただければ、その辺を改正するという気持ちはやぶさかではございません。しかし、今申し上げたようなことで、まあ一年あれば十分対応できるのではないか、今、現時点では私はこう考えているわけでございます。
  10. 石橋一弥

    石橋(一)委員 ありがとうございました。どうぞその考え方をつなげていっていただきたいと思います。  そこで、これから本論に入ろうと思ったところ、私の時間があと六分しかないのです。これではもうやりようがないな、こう思っておりますので、簡単に申し上げます。  吏道、いわゆる公務員道徳であります。この吏道というものは、全世界の中で日本ぐらい清潔な吏道を保ってきた国はないな、私はこう自負しております。なぜこんなふうになったのだろうかという原因でありますが、一言で申し上げますとなかなか骨が折れるわけでありますけれども東洋文化、そして片方に西洋文明があります。  率直に言って、西洋文明最後のところは、バイブルの創世記の中に、これは毎日のようにいろいろな動物をつくったり魚をつくったり木をつくったりとやっていって、六日目に人をつくる、こうなっています。そして、その人をつくった中において、男と女をつくり、そして最後のところに、すべての生き物を治めよとなっております。つまり、人類というものは、人というものが、地球植物動物、すべてのものを治めるものだ、こういう言い方であります。  それに対して我が東洋思想と申しますか、その考え方からいいますと、これはまた東洋文化、今の言葉で言いますといわゆる共生論、ともに生きるというものに立って物事を考えているわけであります。西洋文明狩猟民族でありますので、狩猟民族から発展した考え方だろうなと。それに対しまして私ども東洋文化というものは、やはり共生の立場、植物でありますとかあるいは生物でありますとか、もっと言えば地球全体がともに生きるという考え方、この差が日本の、道徳と言われた、毎日毎日の道徳と言われた、生活をするための道徳と言われたものを自然になくしてしまった。やはりここに吏道の退廃の一番の原因があるであろうな、こう私は考えております。  長官、ひとつ所信をお述べいただきたいと思います。
  11. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 これはもう哲学の問題で御質問をいただいたので、大変難しい話でございますが、一般的に、やはり戦後の教育の中では相当西洋文明の心を取り入れた教育が行われてきたのではなかろうか。そして、今御指摘のようなことは、日本人の古来のよき民族の中で培われてきたものではなかろうか。  現在はそれが織りまぜてできてしまっているものですから、なかなか昔のままの、ちょうど石橋先生のような、あるいは私も多少その世代に入るかと思いますけれども、この辺の世代である程度戦後に一部の教育でも受けていた者はまあまあと思うのですが、やはり戦後生まれの方の方がもう今ほとんど大勢になってしまったわけでございますから、その方々の教育というのは、今の話で、必ずしもそういうよき日本の民族の心というようなものが、あるいは東洋哲学に基づくものが、なかなかそれだけが来ているわけではございませんので、やはり西洋文明の影響というものは非常に大きく人間形成にかかわってきているのではなかろうかな。  こんなことを思いますと、吏道についても、今確かに、国家公務員法におきましても、公務員国民全体への奉仕者である、こういうことを書いてあります。あるいはこのごろ余り使わなくなりましたけれども、公僕という言葉が結構よく、戦後でも使われたと思います。  そういう面においては、公務員のあり方というものに対しては、その辺のところはきちんとしているべきではございますけれども一つのやはり大きな流れの中で、このごろよく言われるように、日本はどうも物で栄えて心で滅びるんじゃないかと言われるくらい、残念ながらいろいろな現象が起きてきているわけでございまして、この点、公務員皆さんの中にも多少はやはりどちらかというと物欲の方が強くなっている方もいらっしゃるのじゃないか、だからこういう事件も起きてきたのではなかろうかな、私どもこんな感じがするわけでございます。  極力、もう一度いい意味の、やはりいい東洋哲学からきた日本民族のいい面はできるだけ公務員皆さんにも御理解いただくように、私どもいろいろ公務員の啓蒙と申しますか、そういうことは努力をしていかなきゃならないのじゃなかろうか。本当に国民全体に対するあなた方は奉仕者という気持ちでやってもらいたい、こういうことをもう少しやはり徹底をしていく必要は私はあると思っておりますし、たしか、ことしの採用になりました新入の公務員に対しましては相当厳しい研修を行っているようでございますので、そういう点で御理解をいただければと思うわけでございます。
  12. 石橋一弥

    石橋(一)委員 ありがとうございました。  今事務局の方から質問時間を四十三分までやってよろしい、こういうことでありますので、もうしばらく話をさせていただきたいと思います。  そこで、ある高名な東洋思想の学者がおりました。この方は、いわゆるA級戦犯に指定をされましたが、彼を抹殺をしますと日本精神というものはどうなるか、あるいは東洋思想というものが根底から崩されてしまうであろうということで、蒋介石大総統がA級戦犯から外した学者であります。  この学者が私の恩師であるわけでありますが、歌の中にこんなことがあります。  「人類の罪贖ふと血をそゝぎたる十字架の光を四万に伝へ来し」これはキリスト教の考え方ですね。そして二番に「無尽の煩悩明きらめて無辺の衆生救はんと無量法門開きたる」これは仏教のことを先生がうたったものであります。そして次に「無為清静の化を愛し忠恕の道を重んじて天人徳を一と為す」これが共生理論の一番もとのことになったわけであります。そして次に「アラーを拝しコーランを奉じて砂漠に奮ひ起ち一剣天下を風靡せし」これはイスラム教のことであります。  そうしたことをずっと話された中において、私どもいつも人類というもの、地球というもの、これは互いに戦ってはならないよ、やはり、ともに生きるという考え方諸君はやってほしいよということを教わっておりました。  さて、いわゆる狩猟民族と私どものような農耕民族、この差が今申し上げたようなことになってきているだろうな、そこから吏道考え方が出てきたものであろうな、こう私は思っております。  大臣の御見解をひとつ。
  13. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 大変うんちくのあるお話をちょうだいをいたしましたが、やはり世の中は、先ほど申し上げたように、大変戦後は日本も変わってまいりましたし、とりわけ最近はボーダーレス時代、世界競争時代に入ってきているわけでございまして、やはり日本人も国際人としてこれから一人一人生きていかなきゃならない時代になってきたのじゃないかなと思います。  ですから、そういうすばらしい日本のよきものも持ちながら、今、たまたま、これは安岡先生だと私は思うのでございますが、安岡先生のお話の中で、いろいろの宗教の違うものをそういう形であらわされておられます。それを織りまぜて、やはりこれから国際人として日本人が生きていくときには、キリスト教も理解をし、回教も理解をし、すべてを理解をしていかなきゃいけないんじゃなかろうか。ただし、やはり日本人は日本人でございますから、日本人のしっかりしたものを持ちながら、国際的に協調できる人間というのを私はつ くっていかなきゃいけないんじゃなかろうかな。  役人も同じでございまして、やはりこれからの行政というものは国内だけでやれるわけではございませんので、あらゆる行政においてやはり国際的な協調が求められてくるのではなかろうかな。そうなってまいりますと、やはり日本のよきものも持ちながら、外国のよきものもある程度身につけながら、ある程度そういう点は過去の日本人とは違った形でこれからは生きていかなきゃならない。そういう形で、国際社会の中で日本がどう生きていかなきゃならないか、そういう中で、やはり日本の行政も考えていかなきゃならない、この点だけは御理解がいただけるのじゃないかと思います。
  14. 石橋一弥

    石橋(一)委員 大臣、あなたは、私から見ますと、いずれは我が国をしょって立つ人であろう、ふだんからこう私は思っているわけです。ですからこんな哲学めいたことを申し上げたわけでありますが、どうぞひとつ日本のよきものを育てる、それは西欧文明の中からもどり得るべきもの、特に物質文明の中から入ってまいった機械産業、こうしたものはいいものでありますから、どんどん取り入れていただきたいと思う。  しかし、やはり私は、農耕民族であった東洋思想の持ち主の方々、これはやはり何といったって農耕民族の主たるものは漢民族ですよ。そこから発達した考え方、これをやはりはぐくみ育てていくのが私たち東洋民族、この考え方の基本にあらねばならないな、こう思うから申し上げたわけであります。  まだ時間がたくさん残っておりますが、私の質問は、少し時間を余したままで終わりといたします。どうぞひとつ大臣、あなたにみんなが希望を持っております。それであるだけに、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  以上です。
  15. 伊藤忠治

    伊藤委員長 石井啓一君。
  16. 石井啓一

    石井(啓)委員 おはようございます。新進党の石井啓一でございます。まず、国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律案に関しまして、御質問をさせていただきます。  三月二十一日の本委員会におきまして私質問をいたしました。昨年の岡光前厚生事務次官の例を引きまして、この退職手当法を改正すべきではないかというふうに質問をいたしましたところ、長官から、今国会でぜひ提案をさせていただきたい、こういう御答弁がございまして、今回このように早速提出をされて審議をさせていただいている。長官のリーダーシップを私は率直に評価を申し上げたいと存じます。  ただ、何点かこの法律案につきましても確認をしたい点がございますので、その点について、私、質問いたしたいと思います。  まず、この退職手当法でまいりますと、新しく第十二条の二が設けられまして、これは「退職手当支給の一時差止め」でございますけれども、その第一項で「各省各庁の長は、退職した者に対しまだ一般の退職手当等の額が支払われていない場合において、その者の在職期間中の行為に係る刑事事件に関して、その者が逮捕されたとき又はその者から聴取した事項若しくは調査により判明した事実に基づきその者に犯罪があると思料するに至つたときであつて」云々、こういうふうな要件でございますが、逮捕されたというのはこれはもうはっきり事実がわかっておりますけれども、この「犯罪があると思料するに至つたとき」、これがどういうふうに運用されるかということで質問を申し上げたいのであります。  まず、この犯罪といいますのがどの程度の重さの犯罪であるかということが一つ。もう一つは、この「犯罪があると思料する」というのは、実はこれは大変難しいといいますか、捜査当局と同じような判断をしなければいけないということでありますから、どの程度の客観性なり確実性なりで判断をするのか。この二点について確認をしたいと思います。答弁をお願いします。     〔委員長退席、御法川委員長代理着席〕
  17. 菊池光興

    ○菊池政府委員 お答え申し上げます。  一時差しとめ制度の要件の一つでございます「犯罪があると思料するに至つた」場合の「犯罪」というのは具体的にどの程度の重い犯罪なのか、こういうお尋ねがまず第一点でございます。  今回の法改正におきましては、禁錮以上の刑に処せられた者には退職手当支給しない、これは現行制度でそういう不支給の規定がございますが、この現行法の考え方に立って、公務に対する国民信頼確保の要請、それから退職者の権利の尊重、この両面に留意した上で、法定刑が禁錮以上の刑に当たる犯罪、これをその対象といたしたところでございます。  次に、「犯罪があると思料するに至つた」場合ということについて、その客観性、確実性というのはどの程度のものを言うのか、どのように判断するのかというお尋ねでございます。  どのような場合に「犯罪があると思料するに至つた」ものとして退職手当の一時差しめ処分を行い得るかどうかについて、やはりこれはケース・バイ・ケース、具体的な状況に応じて判断すべき事柄でございますけれども退職者の権利尊重という観点からは、各省各庁の長が、嫌疑となっている退職者の在職期間中の行為について、資料等に基づいて、基本的事実に関して犯罪の存在を認定し得るだけの相当な根拠を有していることが必要であろう、こういうふうに考えております。  したがいまして、退職者の権利尊重の要請というようなことにかんがみますと、退職手当の一時差しめ処分を行い得る場合、法定刑が、先ほど申し上げましたように、禁錮以上の刑に当たる犯罪について、退職者が逮捕されているとかあるいは退職者本人が嫌疑を認めている場合、あるいは職場内外の調査等により証人、物証が十分得られた場合などが挙げられる、こういうふうに考えております。
  18. 石井啓一

    石井(啓)委員 これは言うまでもないことでありますが、例えば、いろいろ報道で騒がれていたとしても、これは冤罪であるとかあるいはざん言であるとかそういう可能性もございますので、いたずらに世論に流されることなく、公平中立な運用を、これはしっかりお願いをいたしたいと存じます。  それからもう一点、この退職手当法等に関しまして、今回、一時差しとめ制度新設に伴いまして退職手当の支払いの期限を退職した日から一カ月以内と定めております。従来はこの支払いの期限はございませんでした。この一カ月以内と定めた理由をお聞かせをいただきたいと思うのです。  と申しますのは、現行はその支払い期限が定められていないため、いろいろな問題が生じた場合、ある意味で支払いを先延ばしをして様子を見ることができた、ある意味で柔軟な対応が可能であったわけでありますけれども、今回、この一カ月と期限を定めたことによりまして、かえって何といいますかそういう運用面での柔軟性を失うことになるのではないか。そういうこともありますので、どういった経緯で、理由でこういう期限が設けられたのか、この点を確認をしたいと思います。
  19. 菊池光興

    ○菊池政府委員 確かに、現行法におきましては、職員退職した場合に退職手当支給する、こういうことの規定があるだけでございまして、いつまでに支給しなければいけないとかあるいは支給日はいつだ、こういうような形での具体的な定めはございません。そういう意味におきまして、先生御指摘のような弾力的な運用があったんじゃないか、こういうことでございますけれども、実際の運用を見てみますと、支給を準備するために要する合理的な期間内というようなもので大体支払われてきた、こういうことでございます。  今回、退職手当の一時差しとめ制度を設けるに当たっては、やはりいつから差しとめをしているのか、いつまで差しとめするのかというようなことの起算点みたいなものをはっきりする必要もありますし、そういうことで、恣意的なものに流れないように今度の退職手当の支払い期限を定めた、こういうところでございます。
  20. 石井啓一

    石井(啓)委員 一時差しとめという、ある意味で公務員に対して非常に不利益をもたらすわけでありますから、それが余りにも恣意的にならないように、そういう御趣旨でありますので、それは理解をいたしたいと存じます。  では、続きまして、一般職任期付研究員採用給与及び勤務時間の特例に関する法律案につきまして質問をいたします。  この法律案につきましても基本的に賛成でございますけれども、ただ、これにつきましては、研究員の中にはいろいろな点で心配あるいは懸念をされる声もございますので、そういった心配を私はむしろなくす、そういう意味で何点か確認をしたいと思うのですが、まず、そもそもこの任期つき研究員制度を導入した背景なりあるいは理由なりということを大臣の方から御説明をいただきたいと思います。
  21. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 昨年でございましたか、国会において科学技術基本法も制定され、科学技術創造立国ということを宣言をいたしたわけでございます。私ども、これはもうどなたも御理解いただけることと思いますけれども、やはり二十一世紀においては、科学技術の振興というのは非常に我が国にとって大切であるということは当然だろうと思います。  そういう中で、今の公務員制度の中でやっておりますと、それは優秀な科学技術を一生懸命御努力いただいている研究員の方もいらっしゃいますけれども、まあ在野に、民間に相当もっとすばらしい方もいらっしゃるわけでございまして、そういう方に、ぜひとも国の機関の中でいろいろのすばらしいそのお持ちになっている知識、能力を発揮していただく。  例えば、いろいろ科学技術のプロジェクトをやっていく上においては、全く採算の合わないことはやはり民間ではおやりにならないだろうと思います。国家の場合には、多少採算が合わなくても、それが将来すばらしいものが生み出し得るとなれば相当の資金をつぎ込んででも研究をやるということになるだろうと思います。  そういう面において、よりすばらしいものをお持ちになっている方、あるいはいわゆるこれから育てていくという方と二つにこれを分けてあれしておりますが、若手の研究者ですばらしいものをお持ちの方、そういう方にはぜひお入りをいただいて、ひとつよりすばらしい科学技術立国になるようにしていきたいというのが、このお願いをしている趣旨でございます。
  22. 石井啓一

    石井(啓)委員 実は私、議員になる前に役人をしておりましたが、二年間科学技術庁に出向していたことがございまして、当時科学技術会議のスタッフをしておりました。十八号答申でしたか、いわゆる科学技術系の人材の育成の部分を直接担当しておったことがありまして、この問題につきましては個人的な思い入れもあるわけであります。  当時からの議論を思い出しますと、やはり今後の我が国の科学技術の振興というのは、何といいますか、独創的、革新的な技術開発というのが重要である。あるいは基礎的な研究というのが重要である。従来は、どちらかといえば欧米で発見された原理原則、そういったものを我が国に導入して、それを応用したりあるいは展開したりする、そういう面が強かった。ところが、やはり科学技術の面でもオリジナルのものをつくっていかなければならない、こういうことが大きな課題であったかと思います。  そういった意味で、研究者の創造性といいますか独創性をいかに発揮するのか、これが大きなテーマで、恐らくその大きな一連の流れの中で今回の任期つき研究員というのも出てきていると思うのです。  といいますのは、欧米の研究者というのは、例えばすばらしい研究の指導者あるいはどこにもないすばらしい研究の施設あるいは豊富に使えるような研究資金、そういったもの、広い意味での研究環境のすばらしいところを求めていろいろなところを渡り歩くといいますか、そういう研究環境を求めて流動をしていく、そういった点が研究者の独創性を引き出すということになっている。あるいは、その研究所の中においてもいろいろな人材が交流していく、入ってくることによって研究所の研究自体も活性化をしていく。そういう意味で、研究者の流動性を高めていく、こういったことも課題であろうかと思います。  そういった意味では、今回の制度、一部にはいろいろ心配する向きもありますけれども、私は研究員にとっても非常にメリットがある制度ではなかろうか、こんなふうに思います。  次の質問に移りますけれども、この招聘型、若生育成型の研究者ということでありますけれども、どのような研究者をそれぞれ想定していて、それぞれの研究者にどういう働きを期待しているのか、この点について説明をいただきたいと思います。
  23. 菊池光興

    ○菊池政府委員 お答え申し上げます。  招聘型任期制については、その想定する研究者といいますか、どういう場合かということでございます。先ほど武藤大臣からも提案理由説明がございましたように、特定の研究分野において、その研究実績等により特にすぐれた研究者だということで評価されている者を国立の試験研究機関に招聘して、高度の専門的な知識経験を必要とする研究業務に従事させるという場合のものでございます。  若生育成型の任期制については、独立して研究する能力があり、高い資質を有すると認められる者を、その研究分野において将来において先導的役割を担う有為な研究者とさせるために必要な研究能力の涵養に資する研究業務に従事させるということでございまして、具体的には博士課程修了者や各種ございますポストドクトラル・フェローシップ制度の経験者の中から採用するというようなことを想定しておるところでございます。  今回の任期制により採用された研究者にどのような働きを期待しているか、こういうことでございます。  今、先生お話ございましたように、多様な人材が一つのところへ集まって固定化せずに流動化してお互いに触発をしていくというようなこと自体が、創造性とかあるいは革新性というようなものの研究開発の大きな端緒になるというようなことでございますので、任期制で新しい分野、研究所に入ってきていただく、国立の試験研究機関に入ってきていただくということ自体に大きなメリットというものを私ども考えておるわけでございます。  もともとすぐれた実績や能力をお持ちの方々でございますので、こういうような方が直接国立の試験研究機関等研究業務に携わっていただくことによって試験研究がさらに大きく進むというようなことを期待しているわけでございます。
  24. 石井啓一

    石井(啓)委員 今この質問をさせていただきました背景は、今回の任期つき研究員制度によって、任期があることによって研究において短期的な成果を求める研究が助長されて、長期的視野に立った基礎的、独創的研究がないがしろにされるのではないかという懸念がございますので、私はそういうことはないのではないかと思いまして質問を申し上げたのですが、この点についてはどうでしょうか。どういう働きを期待するかという中で、関連してお答えをいただきたいのです。
  25. 菊池光興

    ○菊池政府委員 研究活動の中には、もともとプロジェクトというような形で期限を切って、ある一定の期間内に成果を上げようというような研究開発のプロジェクトがあることは御承知のとおりでございまして、そういうようなものは一定期間内に集中的にやらなければいかぬ、こういうようなことがございます。  ただ、確かに一部で言われておりますように、基礎研究みたいなものというのは息長くやっていくべきものであって、短期間の任期制になじまないのではないか、こういうような御意見があることも承知しておりますけれども、では、ただ漫然とやっていればいいのかということではなくて、やはり基礎研究であっても局面局面で研究課題というようなものは常に動いていくというようなことを研究所長なんかからも私ども話を伺っております。  そういうような面で言いますと、任期制であるから長期的な視野に立った研究ができないということではなくて、長期的視野に立った研究の中でも、それぞれの局面で任期制なりなんなりに対応するような形で一定期間内に成果を上げていくということが、より試験研究活動の活性化につながっていく部分がある、こういうふうに理解しております。
  26. 石井啓一

    石井(啓)委員 招聘型の場合、これは相当の能力のある研究者ですね。事前の説明によりますとノーベル賞級の研究者ということですから、これは大変な方でありますけれども、その方は五年、長い場合は七年、十年。今局長から説明がありましたように、長期的なあるいは基礎的な研究の中でも局面局面で五年なり十年なりの中である程度の成果が見込まれるようなケースに特に優秀な方を招聘して研究をさせるのだ、こういう趣旨であろうかと思います。  また、若手の場合も、確かに漫然と研究をするということはないかと思いますが、ただ、この趣旨は、若生育成型という名称にありますように、若手の研究者に登竜門になるという趣旨でありましょうから、必ずしも任期の中で何か成果を上げなさいということではないと思うのですね。  私はそういうふうに理解をしているのですが、そういうことでよろしいでしょうか、ちょっと御答弁をいただきます。
  27. 菊池光興

    ○菊池政府委員 若生育成型の場合には、国立の試験研究機関、そういう研究環境の中で研究活動に従事することによって、本当のことを言いますと、将来有為な研究者、先導的な研究者になるという経験を積ませるということがある意味でいうと大きな眼目である、こういうふうに考えております。  ただ、単なる育成をするために給料を払って試験研究機関で任期を定めて採用するというわけでは、それではやはり公務員としての立場もございますから、そこで一定の成果を目指して三年なら三年の間に研究実績を積むということ、それをあわせて求めているものでございます。
  28. 石井啓一

    石井(啓)委員 では次の質問ですが、この招聘型及び若生育成型、それぞれどれぐらいの研究者の数の採用を想定をしているのか、答弁をいただきます。
  29. 菊池光興

    ○菊池政府委員 どれくらいの人数が採用されることとなるか、現時点において明確に数が確定しているというふうには聞いておりません。  ただ、主要な試験研究機関を所管しておられます科学技術庁であるとか工業技術院の関係者のお話を伺いますと、例えば招聘型というような形でいうとすると、この分野についてはこの人、こういうような形で、ある程度、だれでも高名な研究者であればいいということじゃなくて、やはりこの研究機関、試験研究所において、こういう研究については、この分野ではこの人というような形で決まっているというような話も聞いていますから、ノーベル賞クラスとかあるいは文化勲章クラスとまで言わなくても、やはりおのずから数は限定されてくるんじゃなかろうかな、こういうふうに思います。  それから、若生育成型についても、相当今後どのような運用をしていくかによって変わってくるものと思いますけれども、当面はそんなに数をたくさん想定してというようなことではないように聞いております。  もう少し具体的な形になりましたら、各省庁が、その試験研究機関等人事院に、具体的な承認とか採用計画というような形で数が明らかになっていくもの、こういうふうに考えております。
  30. 石井啓一

    石井(啓)委員 今の質問の背景は、やはり任期切れの退職というのが国家公務員の身分保障の空文化につながるんではないか、そういう懸念も提示をされておりまして、私は、この研究者の中で任期つきの研究員というのが相当の数を占めるようなことになれば、それはそういうことが言えるかもしれませんが、ある意味で、今局長が答弁されたように、部分的だと思うんですね。  招聘型の場合は、確かにそういう特定のプロジェクトで、プロジェクト型の研究でしょうから数が限られているということでありますし、若生育成型についても、そんな大きな数ではないということでありますから、そういう意味では、何といいましょうか、従来、身分保障された安定した研究者というのも、ちゃんとこれはいる。その中で、部分的にそういうふうに任期つきの方が入ってこられて、研究活動の充実、あるいは研究者の育成ということに資する、そういう制度を設けたんだ、こういうふうな理解でありますけれども、そういう理解でよろしいのか、確認をいたしたいと思います。
  31. 菊池光興

    ○菊池政府委員 そういうことであろうと存じます。
  32. 石井啓一

    石井(啓)委員 わかりました。  それでは、もう一つ確認でありますけれども、今回この任期つき研究員でありますけれども、この任期後の再任用が可能なのかどうかという点と、それから任期が終わった後、改めて今度は終身雇用といいますか、新規採用をするというケースはどういうふうに扱われるのか、この点について確認をいたしたいと思います。
  33. 菊池光興

    ○菊池政府委員 招聘型と若生育成型の場合、ちょっと違うのかもしれませんが、いずれにしても、一定の期間内で研究成果を上げるとか、優秀な研究者として認知されていくための登竜門として研究活動に従事するということでございますから、あらかじめ任期を定めて採用するものであり、原則として再任用というようなものは認められない、こういう仕組みになっております。  特に、若生育成型については、登竜門としてでございますから、登竜門が二回も三回もあるというのはおかしいので、やはり研究生活の中で一回限り、こういうような形で法定しております。  それぞれの任期職員が、任期が満了したときに新たに公務員として継続雇用の対象になり得るか、こういうことでございますが、それは可能でございます。  ただ、例えば招聘型なんというのは、ある意味でいきますと、引く手あまたの研究者に三顧の礼を尽くして国立の研究機関に期間を限って来てもらうわけですから、そういう人たちが引き続き残ってくれるということは、これはいいのかもしれませんけれども、なかなかそういうようなことは、逆に言うと難しいような状況もあるのかな、こういうふうに思います。
  34. 石井啓一

    石井(啓)委員 任期後の再任用、基本的に、基本的にといいますか、ないということであります。私、これはいろいろ考えまして、もう少し柔軟に対応をした方がいいのかなとも考えましたが、さっき言いましたけれども任期つきの採用というのが、短期的な成果を求めることになるんじゃないかという心配があります。もし再任用するということになると、再任用のたびに、最初の任期の終わりごろに、何か一生懸命成果を出さなければいけない、逆に短期的な成果を求めることになるかもしれないな、こういうふうに考えておりまして、再任用がないことは、それはそれで結構なことなのかな、こういうふうに思いますが、新規採用については、これは確かにプロジェクトの招聘型の場合は余り考えにくいかもしれませんけれども若生育成型の場合は、これはあり得ることだと思うんですね。  といいますのは、確かに登竜門で入ってきたわけですが、その中の働きぶりを見て、研究、管理をなさっている方が、この人材はこの研究所にどうしても残ってほしい、こういう非常に強い要望があって、また、本人も、この研究所でやることが自分の研究能力を高めること、あるいは自分の性向に非常に向いている、こういうことになれば、お互いのあれが合致すればそういうこともあり得るかと思いますので、その点については制度的に可能だということでありますから、柔軟に対応をしていただきたいと思います。  それから、これは事前に通告をしていなかったのでアドリブになりますけれども、私は、基本的に研究者の流動性を高めて、すぐれた研究環境を求めていろいろな研究機関に行けるような、そういう制度をつくっていくことが非常に重要だと思うんですが、ただ、やはり制度的にネックがあって、なかなかそういう流動性が高まらないということがあります。  それは、退職手当あるいは退職金あるいは年金の通算ということですね。現行の制度の中では、一つのところに長く勤めれば勤めるほど退職金とか年金では有利になるということがありますから、そういった点からなかなかいろいろなところに行きにくい、こういうことがあると思うんです。今は、退職金なり年金なりの制度が異なっていますから、それを国なり民間で自由にするということは今の制度上は難しいことはわかるんですが、ただ、やはりここは大きなネックとして、今後課題として残っていると思うんです。こういった点について、私は今後真剣に検討すべきではないかというふうに考えております。この点についていかがでしょう。
  35. 菊池光興

    ○菊池政府委員 大変難しいお尋ねでございます。私どもも同じような問題意識を実は持っていないわけではございません。  例えば、年金なんかについては、基礎年金というような形とか、報酬比例というような形でかなりできてきておりますけれども、例えば共済年金の場合に、やはりその職域加算部分みたいな部分がございますし、退職手当は、御指摘のとおり、長期勤続報償というまさに退職手当制度そのものに内在する性格から、ある一定年数というようなものを一つの条件にして算式が定められているというようなことでございます。それを一気に変えることができるかというのは大変難しい問題だと思います。  ただ、片一方でこの研究者の流動化というようなことのほかに、これからやはり公務全体の中での官と民との人の出入りというようなことも当然視野に入れて、制度、物を考えていかなければならぬような時代が来ると思います。そういうようなことの中で、御指摘のような点も十分意識して検討してまいる必要がある、こういうふうに考えております。
  36. 石井啓一

    石井(啓)委員 その点についての検討、ぜひよろしくお願いしたいと思います。  それではテーマを変えまして、大臣にお尋ねを申し上げますが、報道によりますと、五月の十六日、閣議後の閣僚懇談会において、武藤長官が九八年度から三年間の国家公務員の新規採用数を現行の半分にとどめるよう要請した、こういうふうに報じられております。この武藤長官の閣僚懇談会での発言の真意をお尋ねをいたしたいと思います。
  37. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 私ども、今国民の世論もそういう方向でございますし、何としても日本の今置かれている内外の環境は非常に変化をしてきておりまして、行政改革というのは、これはもうどうしてもやらなければならない仕事だと思っております。やはり、新しい時代に対応できるシステムをつくり上げていかないと、この明治以来続いてきた日本の行政機構では、もう縦割り行政その他の批判も出てきているわけでございますし、また、十分に国民の行政ニーズに対応できない部分もできてきておるわけでございます。  二十一世紀において日本の国が、どういう方向で国家は機能を果たしていかなければいけないのか、それから、二十一世紀においてはどういうことを国民が望んでおられ、それに対応していかなければならないのか、そういう仕事をしっかりとつかまえ、そしてその仕事をしていくにはどういう組織をつくった方がいいとかという形で、私ども議論を今進めているわけでございます。  そして、その大きな一つの目標は、やはりどこの国もやっておりますように、スリムな行政機構にしていかなければいけないだろう。能率をよくし、効率をよくし、できるだけ簡素というかスリムな行政機構につくり上げていかなければならないだろう。これはやはり大きな目標の一つでございます。  それを考えてまいりますと、私どもは、今二〇〇一年からの出発ということを考えているわけでございますが、そうすると、あとこれは四年しかないわけでございまして、その二〇〇一年に用意ドンで出発しようとしたときに、スリムになっていないとなかなか大変なことになる。なかなか実際に働いておられる人に、おまえの首切るぞというような形で生首を切るなんということは難しいのじゃなかろうか。  これを考えますと、今から少しずつでも、定削でお願いをしておりますけれども、定削は定削として、現実に私は、定削もこの平成九年度初めて、ことしの定削とそれから定員増の査定と両方見たのでございますが、例えば今第九次定員削減計画の初年度でございますけれども、定削でいけば八千八百人、正直減らしていただかなければいけないのですけれども、現実に定員増六千六百人認めてしまったものですから、結果的には平成九年度においては約二千二百人しか実際は減らない、こういう現状でございます。  こんなことを続けていって、それじゃ二十一世紀になって用意ドンというときに一体どうしたらいいのだろうかということを考えますと、私は今からでも少しずつやはり各省に御協力をいただいて、できるだけその各省各省が主体性を持って、自分たちで自分たち役所の中を例えばどういうふうにスリムにできるだろうかということを考えて、そして少しでも人を減らしていくという努力をしていただきたい。  しかし、それは努力をしてもそこで首を切っていただくというのはなかなか難しかろうから、その分を少しでも新規で入ってこられる人を減らしていただければ、結果的にそれだけ少しでもスリムになっていく。これを一年、二年と続けていくうちには、二〇〇一年出発のときには、ある程度の生首を切らなくていいという方向に行くのではなかろうかな。  もちろん、それだけで済むのか、そのときにまた勧奨退職というふうな形でお願いをしなければいけないのかもしれませんけれども、いずれにしても、そういうものは極力少なくしていくということから考えれば、私はこの際、各省庁に御協力をお願いをしてということで要請をした、こういうことでございます。
  38. 石井啓一

    石井(啓)委員 実は、私ども新進党、昨年の総選挙の折に、行政改革の公約の中で国家公務員数の削減というのをうたっておりまして、またことしになってつくりました基本政策構想の中でも、国家公務員の二五%削減とうたっているわけでありますが、その手法としては、退職者の一部不補充というふうに言っておるのですが、実際の中身は、長官と同じように新規採用、これを減らすべきだ、こういうことを実は考えておりまして、そういった意味で、私ども長官のこのお考えに賛同をいたしまして、ぜひこれは一生懸命やっていただきたい、こういうふうに思うわけであります。  そういうバックアップをする意味で何点か御提案を申し上げたいと思うのです。そもそもは、公務員数を削減するための大きな手法として新規採用を減らしていく、こういうことであろうと思いますが、今の法定の定員の管理の中では総定員法がございます。それから五年間ごとの定員削減計画というのがございますので、これを改めていくことによりまして定員の削減というのは着実に進む、こういう面がございますので、総定員法及び定員削減計画を見直していってはどうか、こういうふうに思いますが、いかがでございましょうか。
  39. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 総定員法は総定員法で、私は必ずしも今すぐ直さなければならないとは思わないのでございますが、ことしはとりあえず、今申し上げたような形でお願いをし、私は正直、総務庁の中もでさるだけ今指示をいたしまして、どこを減らせるか、各省、各局あるいは各室で、あるいは各部でいろいろと検討してもらうように言っております。  率直に言って私は、地方の出先、私ども地方の出先を持っておりますけれども、少しはスリムになれるのじゃないかという感じも持っておりますし、あるいはきょう初めて申し上げるのですけれども、恩給受給者が非常に減ってきておる。恩給局というのは今人をふやしていないようでございますけれども、何かもう少し合理的に考えられないかとか、私は私でアイデアを持っておるわけでございます。  少なくとも、自分の役所だけは私の責任でやりたいと思っておるわけでございますけれども、そういう形でことしやっていっていただく。来年からもやっていただくのでございますが、我々が、今行政改革の方は、少なくともことしじゅうには、この秋には結論を出したい、そしてそれに基づいて、来年の通常国会にできるだけそれに関連する法律は出していきたい、こう考えておるわけでございます。  そうなってくると、おのずから人員も具体的に出てくるのではないかな。どこの役所はどういうふうにしていただきたい、どこはもう役所はやめていただきたい、あるいはどこの役所の仕事はもうやめていただきたいというのが出てくるわけでございますから、そうなると、おのずから人の数も出てまいりますので、今の第九次の定員削減計画を場合によれば見直しをお願いをしなければならぬ場合もあるのではなかろうかな。もっと最終的に言えば、全体の行政の枠組みが決まってくれば、当然総定員法も見直しをしなければならぬ場合も私はあるのではないか。それはいつなのか、その辺はこれからの行革の進め方でございますけれども、最終的にはそういうことも十分考えていかなければならぬのではないか、こういうふうに思っております。
  40. 石井啓一

    石井(啓)委員 今の御答弁の中で大体長官考え方はわかりましたが、今後、中央省庁の再編の議論の中で、国が行うべき公務の行政量といいますか、事務量といいますか、業務量といいますか、そういうのが明らかになってくるかと思いますので、そういったことにあわせて、具体的に今後、今言いましたような定員削減計画あるいは総定員法も含めて、公務員の総数を削減するためのアクションプランといいますか行動計画、こういったものがやはり必要になってくるのじゃないかと思うのですね。この点について、最後長官の答弁を求めたいと思います。
  41. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 当然、具体的に私ども行政の組織その他がまとまってくれば、それに伴いましてどうしても国家公務員皆さんにもスリムになっていただこうという面からまいりますと、そういう具体的な計画というものは、その段階においてはつくらなければならないときは来る、私が先ほど申し上げたのと関連いたしまして、そういうときは必ず来ると思っておるわけでございますが、それがいつ来るかというのは、これから我々のこの仕事がどこまで、どういう形でスムーズに進んでいけるかどうかに関連してくると私は思っております。  なかなか抵抗も強いものでございますから、苦慮しながら今やっておるわけでございます。できるだけ早く、私どもは所期の目標に向かって何とかそれが達成できるように努力をしていきたいと思ってやっているわけでございます。
  42. 石井啓一

    石井(啓)委員 質疑時間が終了いたしましたのでこれで終わりにいたしますが、行政改革を進めるという意味では私どもも積極的に応援をしてまいりたいと存じますので、その点よろしくお願いしたいと思います。  ありがとうございました。
  43. 御法川英文

    ○御法川委員長代理 倉田栄喜君。
  44. 倉田栄喜

    ○倉田委員 新進党の倉田栄喜でございます。  私はまず、いわゆる公務員制度調査会が設置をされて、第一回の会合も始まったというふうに承知をいたしておりますけれども、この公務員制度調査会のことからお尋ねをしたいと思います。  五月十九日に公務員制度調査会が、これは第一回の会合だと思いますけれども、ここにおける総理のごあいさつを読ませていただきますと、公務員制度あるいは公務員のあり方、そこからいけば、我が国行政システムそのものが、ここの総理のあいさつに示されております決意からすれば、相当大胆に変わってくるのかな、そういう気が、私はこのあいさつを後で読ませていただきながら思いました。  例えば、こういうくだりがございます。  現在の政府の業務を所与のものとすることなく、大胆な規制緩和を進めるとともに、業務・権限を地方や民間へ委譲し、徹底した努力によって行政をスリム化し、そうした行政の遂行に最もふさわしい省庁体制や官邸機能を構築する所存です。 さらに、  民間部門では、経済活動のボーダーレス化や急速な技術革新の下、厳しい競争に打ち勝つため、終身雇用や年功序列的な人事管理の見直しが進められています。公務部門においても、民間部門の動きをも視野に入れつつ、新たな時代に対応する改革を積極的に進めていかなければなりません。  ごあいさつはもっと長文で、いろいろなことを総理はお話しになっておられるわけでありますけれども、この部分だけを取り上げさせていただいてみても、我が国の現在の公務員制度あるいは行政組織はこの公務員制度調査会においては相当大胆な、本当に抜本的な議論が行われていくのだろうな、私はこういうふうに期待をいたしました。この総理のごあいさつが、実際の結果として、中身において、なるほど、総理が第一回調査会の会合においてごあいさつになったとおりの結果になってくるなと、これは非常に重要なことであると思います。  そこで最初に、この調査会設置、いろいろ文書は、報告は出されておりますけれども、承知をいたしておりますけれども、この総理のごあいさつを受けて、調査会は今後、全般の内容をどこを中心にしてどういうふうに重点的に進められていくのか、あるいは今後のスケジュール等も含めて、総括的にまずお伺いをしておきたいと思います。
  45. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 今、総理のごあいさつの一部が御紹介ございました。私どももそのとおりでございまして、新しい時代を、二十一世紀を迎えようとしているときに、行政組織がもう今の時代に対応し切れなくなってきている。しかも、残念ながら、先ほど来いろいろお話もございました不祥事件も起きてきて、行政に対する信頼はなくなってきておる。しかも、これからの時代というものはボーダーレス化、国際化の時代に入ってきておる。また国内においては、少子化・高齢化社会で労働力の問題がいろいろ言われてきておる。  それに対応して、総理の、今御披露いただいたとおりでございまして、民間では既にそういう時代に対応してスリムな姿を、そして時代に対応したような形にどう持っていくかということで非常にいろいろと変革をされつつあります。ところが、残念ながら、私どもこの行政の世界は今なお変革はなされてないわけでございまして、どうしても新しい時代に対応する行政改革をしなければ、国民皆様方に対して、行政というものは何をしているか、私は、こう御指摘をいただくのではなかろうかなと。  そういう形で、行政システムそのものを、いろいろ機構を含めて変えていこうとなれば、当然そこで働いている人も、公務員皆様方もそれに対応して、従来のままの姿でいいのかどうか。もう少し、例えば今お話があったかと思いますが、終身雇用制というのが民間では必ずしも、そういう姿が少しずつ変わりつつある。公務員は一体いつまでもその終身雇用制でいいのかどうか。今御審議いただいている形でもありますように、ある一定期間を限って公務員の世界へすばらしい技術者に入ってきていただいたらどうかというような発想も出ているわけで、昔ならこんなことはなかったと思うのでございます。  そういう形で、公務員そのものについてもいろいろありますし、あるいはまた、これからの時代というのは情報化時代と言われているわけでございまして、公務員のお仕事も相当今までとは違って、今までは非常に書類の多い、私は、書類が多いことあるいは判こが多いことが何か確実性があると言われていたと思うのですけれども、それがあったためにかえっていろいろの不祥事件、あるいはエイズの事件なんかはかえっておかしなことになっていたということも事実でございますから、そうなってくれば、新しい時代に対応できるといえば、ペーパーレス化というような形に持っていかなければならないだろう、そんなようなこともお仕事の中でいろいろ検討していただかなければならないのじゃなかろうか。  あらゆる面で、そういう点では全く一から出発という気持ちで、公務員のあり方、人事管理のあり方、これをぜひ御議論いただきたいということでございますが、とりわけ、平成十年度では、うちの中でも行政機構の改革に関連をいたしますような人事管理システムについてはできるだけ結論を出していただけるとありがたい。全体的には五年間ということでお願いをいたしておりますが、当面、私どもがいろいろ必要とするものはこれから公務員制度調査会に具体的にはお願いをすることになると思いますけれども、こういうものはひとつ平成十年度内にはやっていただきたい。  あるいは、私のあいさつの中では、物によっては平成九年度でも場合によるとお願いしたいものがあるかもしれませんということを申し上げました。  それは例えば、よく新聞に書いてございます、これは何も私どもあそこであいさつしておりませんが、マスコミの方が勝手に書いておるのでございますが、例えば今、エージェンシーというものがいろいろ話題に上ってきております。そのようなことをもし我々の方で取り上げていこうということになれば、それに伴って、そのエージェンシーはイギリス的なエージェンシーでいいのか、あるいは日本日本の独自のそういうシステムを考えていく場合には、公務員はどうそれに対応していったらいいのか。  身分の問題。例えば、イギリスでございますとエージェンシーになっても身分は変わらない。国家公務員のままでございます。しかし、仕事の内容からいけば確かに日本の特殊法人とある程度似通ったところがございます。そうすると、特殊法人は身分は国家公務員ではございません。  こんなような問題等、私は、エージェンシーというものを取り上げていくということになりますと、やはり公務員の身分、その他にもいろいろと関連してくる問題があると思っております。あるいは、人事交流の問題もあるだろうと思います。  そんなことを考えまして、場合によると平成九年度でもお願いしなければならぬものは緊急的には出てくるのではないかということは、私はごあいさつの中でお願いをいたしておきましたけれども、そういうような方向でこれからの作業をお願いをしていかなければならぬのではないかというふうに思っております。
  46. 倉田栄喜

    ○倉田委員 今長官からお答えいただきましたけれども、そのお答えの中に大まかなものは集約をされている。お答えの中に長官御自身の決意も私は拝聴させていただきました。  要は、我が国が大変今危機的な、制度も組織も含めて、危機的という言葉が適切であるかどうかはともかくとして、大変な状況にある。二十一世紀に対応すべき組織というものはどういうものなのか。そこにおいて、公務員制度そのものも今の姿のままでいいはずがないと私は思っております。  今の長官のお答えの中で、年功序列とかあるいは終身雇用そのものについての御言及もありました。要は、国が生き生きと発展していけるかどうか。それはそこにおる人々も含めて、そこに働く人々も含めて、一人一人の能力と才能が生き生きと発揮できるかどうか。すばらしい人材というのか、力を持った人たちが、これは総理のごあいさつの中にもありますけれども、夢と誇りを持って、意欲を持って仕事ができるかどうか、そういう状況をつくることができるかどうかだと思います。  かつて、もうずっと前の言葉ですけれども、おくれず、休まず、働かず、こういうことでは今の私どものこの状況は乗り切ることができないと思いますので、私は、公務員制度調査会の結果を非常に着目をいたしておりますので、どうぞ長官、先頭に立って、率先指揮をしてすばらしい成果を出していただきたい、こんなふうに思っております。  それで、今回の法案でありますけれども国家公務員退職手当法の一部を改正する法律案、この法律をつくる背景になったのが、先ほどの御質疑の中にもありましたけれども、いわゆる一部の方だと思いますけれども公務員の方々の不祥事。それで、この問題が起こったときに、私ども新進党は公務員倫理法というのをやはり法としてつくるべきではないのか、こういうふうに申し上げてきましたし、また新進党もいよいよその要綱が大体決まりまして、提出をできる手はずとなっております。  政府の方は、法ではなくて省令という形で、各省の自主判断というのか、省令で公務員倫理規程みたいなものを設けるか、こんな方向なのかなと思っておりますけれども、例えば、公務員各省の倫理規程を見てみても、例えば関係業者の接触に当たっての禁止事項というのは、接待を受けることだとかしてはいけないということで、もちろん接待を受けてはならない。会食、パーティーをすること、遊技、旅行をすること、転勤、海外出張に伴うせんべつ等を受けること、中元、歳暮等の贈答品を受領すること、かなり細かく規定をしてございます。  確かに省令でなければならない部分もあるのかな、こういう気もいたしますけれども、私は全体の、省令だと各省庁、ある意味では何をしてはならないのかということがどうも国民皆さんがわからないような部分がある。私は、法として、この中で共通的なもの、あるいは法としてまとめた方がいいのもあるのではないのかな、こういう気がいたしております。長官あるいは官房長官も含めていろいろなところで御答弁をなさっておりますけれども、この公務員倫理法制定については長官は現在どんなお考えをお持ちなのか、私の方からも改めてお尋ねをしておきたいと思います。
  47. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 ああいう事件が相次いで起きましたときには、私は、場合によると公務員倫理法というものも制定しなければいけないのではなかろうかという考え方も持っておりました。それで、閣議というわけにもまいりませんので、閣僚懇でいろいろ議論をいたしました。一方、総理から私に指示がございまして、とにかく君の方で一つのマニュアルといいますかサンプルといいますか、公務員の倫理を規正する一つの具体的なものをつくってもらいたいという御指示がございまして、私どもの方の役所が中心となって、一つ公務員倫理を規正する案をつくりまして、それを閣僚間でも話をし、最終的には事務次官会議で申し合わせという形で、各省庁で訓令という形でやっていただいたわけでございます。  この中身が、まあまあ、中にはもう細か過ぎるのではないか、こういう御指摘さえあるぐらい、相当具体的にそれぞれ各省庁で私どものつくりました一つの案を参考にしておつくりをいただきました。そしてその中では、例えば、従来と違いますのは、常時チェック機能を果たせる人、いわゆる総括管理官、あるいはその下には管理官という形でチェック機能を果たせる人を常時置いておるわけでございますし、そしてまた、何か問題がありそうなときにはそこへ相談するようにということも決めておるわけでございます。  また、いろいろ細かい、業界等の関係でこういうことはしてはいけない、ああいうことはしてはいけないと割合細かいことが書いてありますので、あれを本当にきちんと守ってくれればいいのではなかろうか。それから、場合によれば、事が起きたときには懲戒免職まで持っていけるというのも書いてあるわけでございますから、そういう形でいって、これをきちんと守っていただければ必ずしも法律をつくる必要はないのではないかということになってまいりまして、今のところはとにかくあれをきちんと守っていただきたいということを私どもは思い、必ずしも法律をつくるだけが目的ではないのであって、要は公務員がきちんと倫理観に基づいて、それこそ国民全体の奉仕者という使命感に立ってきちんとしたことをやっていただければいいわけでございます。  とりあえず、私ども閣僚懇でも最終的には、今のところはそれを見守ろう、しかし、それにもかかわらず何かまた大きな不祥事件が起きてきたというときはまた別の問題として、当面はこれをきちんとそれぞれの公務員が守っていただくということを十分それぞれの省庁の責任者がしっかりと見守っていこう、こういうことになっているということでございます。
  48. 倉田栄喜

    ○倉田委員 確かに倫理は、一番最初になければならないものは自己規律あるいはその職場の規律、そういうことだと思っております。そういう意味で、今長官最後の部分でお答えになった部分も私は理解をできます。  ただ、私どもが一方で法でなければならないのではないのかと思う部分は、やはりこれは一つの行動基準、行動原則、どう行動したらいいのかということの一つの基準でありますので、ある意味では一つの構成要件的なものであります。そうであるとすれば、一つ明確に、共通的に、これだけはきちっとしておいた方がいいのではないのかなという部分もあるはずだと思います。そういう意味で、一つの行動の原則、基準というものは法の方がいいのではないのかなという気も私はいたしておるわけでございますので、これはまた法案提出をさせていただいたときに御議論をさせていただきたいと思います。  そこで、その具体的な中身でありますけれども国家公務員退職手当法から入らせていただきたいと思います。  今回の法案は、いわゆる総務庁人事局長の諮問機関である研究会の報告がもとになって今回の法案が立法化されてきております。この部分について、私は人事院の方から、どういうふうに人事院考え方、まず全体として退職手当等々は従来から人事院一つの所管でやってこられた部分があるわけでありますので、この部分については、例えばこの研究会には人事院は参加をしておられません。確かに意見聴取の機会はあったのだと思いますけれども、必ずしもこの研究会報告と意見聴取された機関というのを見てみますと、十分人事院の方から、いろいろあったのかもしれませんけれども、正規の公的な部分の機関として意見聴取をされたふうにも見えないわけでありますけれども人事院考え方というのは今回のこの法についてはどういうふうに反映されているわけでしょうか。
  49. 菊池光興

    ○菊池政府委員 お答えさせていただきます。  不祥事に係る職員の身分、退職手当等の取り扱いについてはということで、先ほど総務庁長官申しました、昨年の十二月十九日でございますが、事務次官会議申し合わせのときに、そういうことでもって早急に法的措置を含め検討するということを次官会議で申し合わせましたものですから、それを受けまして私どもの方で、今大臣おっしゃいましたようにとにかく早急に法案を含めた、法的措置を含めた検討をすることとなったわけでございます。  それで、検討するに当たりましては、役所だけでもって検討したのではいかぬ、こういうことで、法律の専門家であります弁護士さんでありますとか実務、制度に通暁した方、あるいは民間でそういう不祥事が起こった場合にどうなっているかというようなことについてお詳しい方々八名に御参加いただいて、本当に長時間にわたって、期間は短うございましたけれども、御検討いただいたわけでございます。  その過程におきましてといいますか、その初めから終わりまで、人事院には、正規のメンバーとして御参加いただいたというわけではございませんけれども人事院を代表するような立場からオブザーバーとして研究会に御参加いただきまして、実際の運用がどうなっているかとか、法制的な考え方、従来の考え方がどうなのかというようなことについて十分情報を提供していただいたわけでございまして、私どもとしては、この研究会の意見がまとまっていく過程において人事院は大変大きな役割を果たしていただいたと心から感謝しております。
  50. 倉田栄喜

    ○倉田委員 それでは、先ほど石井委員の方から質問ありましたけれども、いわゆる差しとめの構成要件の部分、いわゆる「その者から聴取した事項若しくは調査により判明した事実に基づきその者に犯罪があると思料するに至つたとき」というこの構成要件の部分のところで、先ほど、例えば調査、どういうふうに調査するのですかということからいけば、局長の方は、職場による調査、そういうふうなお答えでありました。司法ではないわけですから、捜査権限があるわけではない。  一方で、「思料するに至つたとき」というふうに判断基準がある意味では不明確なのでないのか、裁量で左右されるようなことが、どうも構成要件としてこの辺ちょっと不明確かなというふうな気も私も持ったわけでありますけれども、具体的に、職場による調査、あるいは判断基準として裁量の恣意性、これを排除する担保、ここはどういうふうにお考えでしょうか。職場による調査というのは、結局具体的にはどういうことなのか、恣意性を排除するにはどういうことを考えておられるのか。
  51. 菊池光興

    ○菊池政府委員 退職手当について申しますと、退職手当支給義務を負います各省各庁の長は、同時に、支給が適正に行われるよう努める義務も負っておることは当然でございます。  そういうことで、退職者が在職期間中に罪を犯したのではないかという嫌疑があるときに、そのまま退職手当支給してしまうということになれば、やはり国民信頼を損ねかねないわけでございますので、そこのところでは一時差しとめの要否、可否に係る判断について必要な調査を行う必要があるわけでございます。  司法当局と違って捜査の権限がない中でどのような調査が期待できるのか、こういうことでございますけれども退職者本人、関係者の協力というようなことを原則としつつ、十分な調査というのは行えると思います。特に、職場内の場合、職務関連の犯罪、例えば公金横領というようなことであれば、仮に本人が調査に応じない場合であっても、物的証拠なりそれを裏づける資料というものは十分収集することができると思いますし、他の周辺におります職員などからも職場規律の確保というような面での協力というようなことも十分期待できると思いますし、また、それは職員としてそれにこたえるべき義務を負っているというふうに考えております。  こういうようなことで、必ずしも司法当局のような捜査権がなくても相当程度わかり得るということだと思いますし、場合によれば司法当局に捜査に支障を来さない範囲内で協力を求めるというようなことがあり得る、こういうふうに考えています。  「犯罪があると思料するに至つたとき」というときの具体的な判断基準は何か、こういうことで、これは全く、そういう意味でいいますと、具体的な状況に応じて判断すべき事柄であると思います。その際も、やはり退職者の権利尊重という観点から、単なる風評とか新聞に出たからとかデマがあったとかということだけでは、とてもそれは一時差しとめの要件にはならないだろう、こういうことでございまして、そこのところには相当の根拠が必要ということで、一時差しめ処分を行う場合は、法定刑そのものの内容禁錮以上の刑に処せられるというようなものでなければならないと思いますし、退職者が逮捕されている、あるいは嫌疑を本人が認めている場合、物的証拠が出てきた場合、こういうような場合が挙げられる、こう思います。
  52. 倉田栄喜

    ○倉田委員 恣意的な裁量も十分な調査で排除できる、こういうことだろうと思いますし、今局長のお答えは、私も力強く聞いたわけであります。いわゆる司法権限はなくても十分調査はできる。  それで、長官、これは要望だけでございますけれども、例えば今後いろいろ不祥事件が起こってくる、国会で取り上げられる、そういうときに、いろいろ私どもの方から質問をさせていただくときに、ただいま司法で調査中でございます、調査権限がございます、何かきちっとした、本当に調査したのかどうかわからないようなお答えしか返っていない場合が往々にあるわけでございますね。今回の立場でいけば、十分にきちっとした調査ができるということでございますので、今後の不祥事件等々については、十分その調査の経過、結果というのは国会でも御公開いただきたい。特にお願いを申し上げておきたいと思います。  そこで、退職手当のところは今お聞きをいたしました。この法案の中身について、少し私は、ここのところが抜けているのではないのかしらと、誤解かもしれませんけれども、思うところがございますので、お尋ねをいたします。  例えば、期末・勤勉手当支給制限制度であります。今回の改正では、期末・勤勉手当のいわゆる返納制度というのは設けられていない。そうしますと、退職者が期末・勤勉手当支給を受けた後に、いわゆる在職中に悪いことをしたよ、そういうことで禁錮以上の刑に処せられた場合と、今回のようにまだそれが払われる前に一時停止、差しめ処分を受けた場合と、ちょっと不均衡なのではないのか、そういうふうに思われるのですけれども、この点はどういうふうにお考えになっておられるのでしょう。
  53. 菊池光興

    ○菊池政府委員 期末・勤勉手当支給を受けた退職者が禁錮以上の刑に処せられた場合の返納制度の導入につきましては、私どもの方でやりました研究会の中でも、率直に申しましていろいろ御意見がございました。  ただ、それで、最終的に私ども考えます期末・勤勉手当というのは、報奨的な性格を有するとはいえ給与債権の一つであり、保護されるべきものであるということから、支給制限措置というのは極めて限定的にするということ。それから、退職手当と違いまして期末・勤勉手当というのは、在職中、夏とか冬とかといったような形でもって払われるわけでございまして、定期的に払われる。そういうような意味でいきますと、月別に払われる月例給与と同様に次々に新しい債権が発生してくる、時間の経過とともに。そういうことで、例えば非違行為が数年後にわかった場合に、期末・勤勉手当に限ってどこまでさかのぼって返納させることが適当なのかというような問題がございます。  それから、先ほど、研究会の中には民間の方にも入っていただいて民間の取り扱いなども伺ったところでございますけれども、民間の取り扱いを見ても、退職金については、例えば同業他社に就職したというような信義則違反みたいなものがあった場合には返納させるというような例があるようでございますけれども、賞与については、いわゆるボーナスについては、支給条件を付する場合があっても、一たん支給したものを返納させるというような慣行もない、例もない、こういうようなことで、公務員にのみ民間にないボーナスについての返納制度を導入するということは適当ではないのではないかということを考えまして、期末・勤勉手当についての返納制度というものを導入しなかったところでございます。
  54. 倉田栄喜

    ○倉田委員 退職金の場合と期末・勤勉手当のその性格の差から返納制度は必要ないではないかという御判断、それは議論の結果だということであれば、そういう考え方もあるのだろうと思うのです。ただ、不祥事を起こしたというそのことをどう見るか、そこまで踏み込むくらい重いことなのだと見るならば、これもやはり実は必要があったのではないのかなと私なりに思いました。  例えば在職者についても、懲戒処分が検討されている間に期末・勤勉手当の支払い期日が、まさに今局長がお答えになったように月々月々に発生してくるわけですから、来て、それでも払わなければいけないのかという、確かに受け取る性質の問題があるんだとしても、いわゆる公務員倫理、そういう不祥事を起こした者に対する一つの、戒めという言葉が適切かどうかわかりませんけれども、そういう部分から考えれば、その視点から考えればこれも同じ性質のものではないのか、こういうふうな気が私はしたわけであります。御指摘だけにとどめておきます。  それから、これは国家公務員の身分を有している場合の制度、それでは、例えば国家公務員の方が地方自治体あるいは外郭団体に出向をされて公務員の身分を失っておられる場合にはどうするのか、この問題が一つ。  それから、きょうは自治省にもおいでいただいたのでしょうか。そもそも地方公務員の場合、これは国家公務員退職制度でございますから、地方公務員にはこれは研究をされておられません。地方公務員について今後どんなふうなお考えなのか。それぞれお答えいただきたいと思います。  まず、退職者あるいは外郭団体に出向の場合。
  55. 菊池光興

    ○菊池政府委員 現在の懲戒処分の規定は、同じ例えば一般職の国家公務員という身分で省庁を超えて移動した場合には、例えば懲戒権、懲戒処分が、同じ一般職の場合だったら動くけれども、じゃ特別職と一般職の場合はどうかとか、先生御指摘のように地方職員になった場合には、じゃ、もとの国家公務員であった時代の非行について、地方公務員として、任命権者である知事さんなり市長さんなりというのは懲戒処分できないのか。従来の考え方というのは多分そういうことであろうと思うんですが、雇用関係、任用関係が違うということで懲戒処分、懲戒権は移っていかない、こういうような考え方でございます。  ただ、確かにそれは考え方によると思いますけれども、二人が同じ非違行為をやって、一人の人はずうっと国家公務員でいた、一人の人は地方公務員になった、あるいは特殊法人等に出向した、それでまた国家公務員に戻ってきた、だけれども、あの人途中で身分が切れているから懲戒ができませんよというようなことが、果たして本当に制度趣旨からいっていいんだろうかというような議論もこの私どもの研究会でございまして、この辺のところについてはもう少し研究していかなきゃいかぬなと。  ただ、懲戒制度というのはなかなか難しい部分がございますので、私どもというよりも人事院の方で御検討になることなのかもしれませんが、なお引き続き検討していかなきゃならぬ、こういうふうに考えております。
  56. 浦山紘一

    ○浦山説明員 お答えをいたします。  今回の法律改正趣旨は、退職手当及び期末・勤勉手当支給の一層の適正化を図り、公務に対する国民信頼を確保しよう、こういうものでございますので、このことは国、地方を通じます共通の課題である、こういうふうに考えております。  また、地方公務員給与につきましては、地方公務員法第二十四条第三項の規定によりまして、国及び他の地方公共団体の職員給与等を考慮して定めなければならない、こういうふうに規定をされております。したがいまして、自治省といたしましては、今回の法律案が成立した時点で、地方公共団体に対しまして国に準じて速やかに条例改正等を行うように指導してまいりたい、かように考えております。
  57. 倉田栄喜

    ○倉田委員 長官からも最初お話がありました、今局長からもお話がありましたけれども、いわゆる行政あるいは公務に対する国民信頼をどうまた構築をしていくのか。そういう意味からすれば、この制度というのは、最初の話に戻りますけれども、ずっと継続的に絶えず検討を続けていかなければならない問題だと思います。これで終わりだということに私はならないんだと思っております。最終的な目標として、行政に信頼をかち得ることができるかどうか。なるほど、さすが公務員の方は違う、そういうふうに国民皆さんから思っていただけるかどうか、そこに行くまで絶えずどうぞ検討を続けて、新しいまた制度、システム、措置を考えていただきたい、こんなふうに思います。  そこで、一般職のいわゆる研究員制度の方についてお尋ねをいたしますけれども、まず、いわゆる任期つき研究員制度ということで、招聘型あるいは若生育成型、そういう充実が図られることはいいことだと私は思っております。  ただ、その前提として私が疑問に思いましたのは、国がやること、民間でやること、民間に対して国が支援をしてやってもらうこと、国と民間で協力してやること、こういろいろ場合、場合があるんだと思うのです。  一方、行政改革の目的というのは、いわゆる官から民へ、中央から地方へという一つの大きな流れがあると考えております。そうだといたしますと、私は、例えばノーベル賞級の方々を招聘をする、あるいは、若手を、内外ともに優秀な人材を登用して対応する。本来、技術研究というのはどこでやるべきなのか、本当に国でやらなければならないのか、そのこと自体がかえって民間の活力というのを阻害してしまうのではないのか、こういう疑問も持ったわけですね。  この点、本来どうあるべきなのか。確かにこれはいい制度だということでそこに人材が集まる、一方で民間の方は空になってしまう。このことがひいてはいわゆる国主導になってしまって、本来あるべき官から民へという目的そのものがなくなる。  一方では、それを管轄する行政の方は、その影響力を行使して官に官にと人を集めてくるようになってしまう。いい制度であるがゆえに逆に国の影響力が研究部門についても強くなってしまうのではないのか、果たしてそれでいいんだろうか、こういう気がいたしております。  最後長官に総括的にお伺いするにしても、まず、科学技術庁、文部省、おいでいただいていると思いますけれども、この点、どんなふうに御認識をされておられますか。それぞれお答えいただきたいと思います。
  58. 近藤隆彦

    ○近藤(隆)政府委員 お答えを申し上げます。  今のお尋ねは、主として国の役割ということに関連しましたお尋ねだと思います。  もとより、日本全体としまして科学技術の振興を図っていくためには、政府と民間がおのおのその役割を分担しまして、また有機的な連携なり協力をしながら、国全体としてバランスのとれた形で進めていくということは当然必要だというふうに考えております。  お尋ねの研究開発の中身につきまして、例えば性格的に分類しまして国の役割ということを考えてまいりますと、基本的には、民間においては十分取り組みが難しいような、期待できないような基礎的な、独創的な研究、これは言いかえますと、成果の見通しが必ずしも当初から立てがたいものとか、あるいは成果の実用化に必ずしも結びつかないものとかそれから、さらに言いますと、特段の目的なく、いろいろな解明、現象解明ということ、文化の創造のためには絶対に必要なものでありますけれども、企業から見れば遠いものがあるわけでございますが、こういったものを中心に国が進めていきたいというふうに考えております。  このような精神は、科学技術基本法におきましても、基礎研究の推進における国の役割の重要性といったことを明記しておりまして、特に国については、そういうことを中心にやっていくということを法律にも明記しているところでございます。  一方、民間でございますけれども、先ほどのあれから申しますと、成果が見やすいとかあるいは実用化ないしは利用、改良といった点でございますので、総括的には開発研究と言っておりますけれども、そのような分野でございます。  これは、経済の具体的なフロンティア開拓からいいますと大変重要でございまして、原動力と言っていいものでございますので、こういうものに関しましては、民間の自由な発想あるいはその目的意識を中心としまして、まさに民間の自助努力をベースにしてそれをできるだけ政府が促進していくというふうに考えておりまして、こういった考え方も基本法では明示をされております。あくまでも民間の自助努力ということがベースでございますので、そのように進めさせていただきたいと思っております。  その過程で、いろいろお互いの能力とか持っていないものを出し合うといった面で、共同研究といったものが、あるいは産学官の連携といったものが進められていくべきだと思っておりまして、これも振興していきたいと思っております。  そういう意味で、国及び民間におきます研究開発能力を十分発揮しまして、そういったことを総合的に進めていくようなことを中心としまして今後も施策の充実に頑張っていこうと思っておりますので、よろしく御指導をお願いいたします。
  59. 坂本幸一

    ○坂本説明員 文部省が所管しております大学に関しまして、お答えをさせていただきます。  大学は、御案内のとおり、人文、社会科学から自然科学までのあらゆる学問分野にわたる基礎的なあるいは独創的な研究を行っておりますし、また、あわせて、その研究と人材養成を一体的に推進しているわけでございます。  こういった大学の性格にかんがみまして、文部省といたしましては、大学において、民間においては十分な取り組みが期待しにくい基礎的、独創的な研究を担っていきたい、こう思っているわけでございます。  また、人材養成の面でも、民間で活躍する人材を養成するという役割を大学としては果たしてまいりたいと思っているわけでございます。また、産官学の連携協力、これも、産業界にとってもあるいは大学にとっても有益なことでありますので、産学の共同研究などの連携を進めてまいりたいと思っているところでございます。
  60. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 いろいろ両方からお話がありましたが、やはりこれからの日本の将来を考えますと、先ほども御答弁いたしましたけれども、科学技術立国、何とも、科学技術で日本は伸びていかなきゃならないと私ども思っておるわけでございます。  そういう中にあっては、今たまたま文部省からも産学官の協力という話もありましたが、本当にそういう点では民間の力も大いに頑張っていただきたいし、また、学問の研究の府である大学その他も一生懸命頑張っていただかなきゃならないし、あるいは国のいろいろの研究機関がございますけれども、ここも頑張っていただかなきゃならない。  要は、そういう中で、こういう形で制度を入れようといたしますのは、国の方でそういう協力はいたしますけれども、正直、例えばコストがどうもかかりそうだとか、これは採算が今のところなかなか、出てくる可能性がないとか、となるとなかなか民間だけではできないものも私は出てくるのではないかな。  そういうのをやはり国民の御理解をいただいて、国民の予算を使わせていただいて、採算は合わないけれども、しかし、将来においては、それが大きな夢を持つことのできるものが開発されるかもしれないというようなときには、私は、やはり官が、いわゆる国立のいろいろの研究所が中心となってやっていくべきではないかな、そうなってまいりますと、こういう制度というのが大変有効に働くのではないかというふうに考えているわけであります。
  61. 倉田栄喜

    ○倉田委員 確かに、その投資、新しいものをつくり出すというときに、なかなか民間では不十分だ、だから国でやらなければならない部分はある、その御指摘というかそのお答えで、例えば特殊法人でもいろいろなものができた、こういう経過があることはわかります。  ただ、果たしてそれでいいのかなという問題意識も一方で持っているわけです。やはり官から民へというのは一つの大きな流れなのではないのか。だから、この制度についても、その成果が本当にそういう意味からしても厳しく問われなければならない。単に、いわゆるお役所の、各省の影響力が強くなった、民の方が小さくなった、そういうことであってはならない、こういうふうに思っております。  いろいろちょっと質問も用意しておったんですが、時間もなくなってまいりました。  例えばこの制度が、我が国からいえば、いわゆる頭脳流出とかそういうことも含めてきちっと対応できるかどうか、今お答えの中にありましたけれども、産官学の人事の交流、国としてどううまくいくのか、そういう課題もあると思います。制度だけつくったけれども、中身は全然だめだったねということにはぜひならないようにしていただきたいと思っております。  そこで、ちょっとこの部分の関連で、いわゆる任期つき研究員制度の導入ということで、先ほど再就職だとかその議論も少しありましたけれども、私は、違う視点からこの任期つき制度の導入ということといわゆる公務員の終身雇用制度長官に最初、少しお答えの中に触れていただきましたけれども、この任期つき制度の導入ということと公務員の終身雇用制度、これは何か視野に置いておられるのかどうか、あるいはまた違う話なのかどうか、これは長官はどんなふうにお考えになっておられますか。
  62. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 これはもう法律に書いてありますように、お招きをしていく方がせいぜい七年から十年まで、それから育成型は三年から五年まで、こういうことになっているわけでございます。今までの、いわゆる公務員皆様方の場合には、終身雇用制というか、できるだけ安心して働いていただこうという形で、そういう任期を限定するようなことはしていないわけでございます。この仕組みがなくなるということは決してございません。  これはあくまで例外的に、ですから今お話のあったような、とりあえず民間でなかなかできないものを国の方でやらせていただこう、しかし国の方でやっていて、今、官から民へというお話もありましたけれども、ある程度めどが立ってきたときは、かえってそれに御協力いただいた民の方が今度は中心でやっていただければいいのではなかろうかというふうに私は考えておるわけであります。そういう面からいけば、まあまあ一つの例外的な、日本の科学技術立国らしい方向で行けるためのそういう措置だというふうに御理解いただけたら大変ありがたいと思います。
  63. 倉田栄喜

    ○倉田委員 例えば、産官学の交流の問題からいけば、平成二年でしたか、百二十三回だったか、一回だったか、いわゆる研究交流促進法というのを成立させております。これは、それぞれの交流をして、その成果を果たしていこう。この法律と今回の任期つき研修制度はどんな関係になるのでしょう。
  64. 角野敬明

    ○角野政府委員 お答え申し上げます。  お話のございました研究交流促進法に規定しております任期制、具体的には人事院規則の定めによって行っておるものでございますけれども、これはプロジェクト任期制というふうに呼んでおるものでございます。これは、特別な計画に基づき実施されます研究事業に係る、五年以内に終了する予定の、科学技術に関する研究業務に従事させるというふうな形で行う場合の任期でございます。つづめて申し上げますと、採用を予定しております仕事そのものが一定の期限が定められている、それについての任期制ということで、人事院規則によって実施をしているものでございます。  一方、今回御提案、御審議いただいております招聘型任期制でございますが、流動的な研究者の活用を必要とする研究分野につきまして、既に研究業績等により特にすぐれた研究者と認められている人材を国立の研究機関に招聘していろいろ御活躍をいただこう、こういうことで御審議をお願いしているものでございます。  この招聘型の任期制につきましては、その方の活躍を期待する期間ということで任期を定めようということでございまして、先ほども説明いたしましたプロジェクト任期制について仕事そのものについて期限があったということと違っているということでございます。  ただ、こういう形で招聘される優秀な研究者につきまして、国の研究機関において長期のプロジェクト研究が行われておるというふうな場合に、そのプロジェクトにおいて御活躍をいただく形で任用するということもあろうかと思っておりまして、この点はそういうものとして御理解いただければと思う次第でございます。
  65. 倉田栄喜

    ○倉田委員 例えば、招聘型の研究員の方の場合、非常に顕著な実績を上げておられてノーベル賞級的という方だとすれば、すぐれてその方の属性というのが大きいのだろうと思うのですね。そういう方をお呼びするときに、ではやはりその人が行くのであれば、その人が入ってそこの職場で研究をされていくときに、やはりその人なりの研究設備がなければならない。その人なりのいろいろなものがなければなかなか研究が進まない。そして、従来の研究場所から引っ越しをするというか、移転をするとか、そういうさまざまな問題が出てくるのだろうと思うのです。  招聘をするときに、そういう研究設備であるとかあるいは移転のための諸経費であるとか、先ほど三顧の礼という言葉があったのかどうか、来ていただきたいことでお迎えをするわけでありますから、その人の属性に応じた十分な研究設備、あるいは来ていただくためのさまざまな問題をどういう形で解決していけばいいのか。その辺はどんなふうにお考えでしょう。
  66. 青江茂

    ○青江政府委員 お答えをさせていただきます。  御指摘のとおり、任期つきでもっておいでいただく方々の能力というものをその場で十分に発揮していただくということは大変肝要で、そのためには今先生御指摘になりました研究設備の問題のみならず、研究資金の問題等々、必要な研究環境というものをきちんと整えていくということが大変重要だというふうに思ってございます。  したがいまして、それぞれの研究所におきましてそういったふうな御努力をいただくと同時に、私どもの方におきましても、そういう方々に対しましての特別な研究費というものを別途用意いたしまして、研究資金という面からその方々の研究というものの促進を図るというふうな努力もいたしておる。そういう枠組みの中で、先生御指摘になりましたような研究員の移転の問題でございますとか備えつけの問題でございますとか、そういった問題というものも解決をしていくというふうなことになろうかというふうに考えてございます。
  67. 倉田栄喜

    ○倉田委員 研究者の方の自主性を十分に尊重していただいて、そして、確かに任期つきでありますけれども、やはり成果をきちっと出していくということが肝要だと思っております。  そういう意味で、これは御指摘だけにとどめさせていただきますけれども、その成果というものを、これは若生育成型においても同様でございますけれども、やはり客観的にどうきちっと評価をしていくのか、これも重要なポイントなのだろうと思います。この制度そのものが、我が国の将来についても、我が国のいわゆる民間も含めて技術開発のためにも、やはり一つ一つのことがきちんと公正に正しく評価をされていかなければならない。そうしなければ、いわゆる人事管理システムそのものにも破綻、亀裂が入ってくるように思いますので、この点は十分御注意をいただきたいと思います。  いろいろ質問を用意しておりましたけれども、時間がなくなってきました。一点だけ、これとパラレルの問題です。  実は、研究招聘の方については現在の属性に応じた環境というのは整えていきたいというお答えがありましたけれども、一方で今までの既存の大学なり科学技術研究所の研究設備とかいろいろなものが、もう随分老朽化しているのではないのか、時代に合わなくなっているのではないのか、この点はではどう考えるのですかという疑問を持っているわけです。最後にちょっと総務庁長官にお訪ねしたいことがございますので、短く今の点だけお答えいただきたいと思います。
  68. 青江茂

    ○青江政府委員 設備の点についてだけ簡単に御説明申し上げます。  研究には、人、物、金というふうなことでございます。その三拍子がそろわなければならない。この面におきまして、私ども各般にわたりまして対策というものを講じているわけでございます。  設備に関しまして、ちなみに国研におきましては築後二十年以上だったものが三分の一を超えるといったふうな状況でございまして、各省庁とも協力いたしまして、このところ計画的、段階的に更新を進めております。今後とも、その辺の努力というものにさらに力を注いでまいりたい、かように考えてございます。
  69. 倉田栄喜

    ○倉田委員 全体の人事管理、人事バランス、任期つき研究員の方々、あるいはそうでない一般研究員の方々、この方々の研究意欲もそぐことがないようにどうぞ十分配慮をしていただきたい、そういうふうに思います。  最後長官、これも簡単に後でまた議論をさせていただきますけれども、エージェンシー制度のことを最初にお触れになりました。長官自身は、いわゆる外庁制度と訳すのか訳されないのかはともかくとして、この制度の導入についてどういうふうな基本理念なのか。例えば私は、前に行政改革特別委員会の中で総理に、国でやるべき仕事は何なのか、物の、物品の提供だとかあるいはサービスとか、それは本来国でやらなければいけないのか。例えば行政改革をするとしても、基本的な理念がなければやはり途中でどんどんおかしくなってしまうという気がしてならないわけであります。  長官が、いわゆるエージェンシー制度ですか、それを今会議の方で御検討なさっているというふうに聞いておりますけれども、このことについてその理念、どういうことでお考えになっておるのか、要点だけで結構でございますので、最後にお尋ねをして私の質問を終わります。
  70. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 まだ行革会議でもエージェンシー制度を導入するかどうかを決めているわけではございません。五月二十八日の行革会議、来週の水曜日でございますが、このときにこの問題を含めていろいろお互いに議論し合おうということになっているわけでございます。  ですから決めておるわけではございませんが、もし導入するとすればどういうためか、こういうことでお答えをさせていただきたいと思うのでございますけれども、たまたまイギリスで、エージェンシーというのはいろいろ言われておる。これは総務庁もエージェンシーといえばエージェンシーで、英語で言うとエージェンシーになっているわけですけれども、同じエージェンシーでも向こうの意味のエージェンシーはちょっと違うわけでございます。  結局、イギリスの場合にはサッチャーさんが、英国病から脱却するためにはとにかくスリムな行政にしようということで、最初は思い切って人員整理をおやりになったわけでございますが、その後、なお仕事をできるだけ民間に移そう、先ほど御指摘のあったいわゆる官から民へ、これもおやりになりました。その上にもう一つ次のステップは何だろうかということで御議論いただいたときに、政策の企画立案部門と執行部門というのを切り離してみたらどうだろうか、そして執行部門にはできるだけ民間の手法を取り入れて独立採算的にやらせてみたらどうだろうかというところからイギリスではエージェンシーというものが発足したということでございます。  日本でそういう方向でいくのかどうかというのはこれから議論するところで、まだ日本としてエージェンシーを導入すると決めておりませんので、どういう理念でやるかとか、どういう方向でやるかというのは全くございませんが、イギリスではそういうことでございます。  それからもう一つは、たまたま日本でもそういう執行部門を外へ出してみたらどうかといったときに、問題は、官から民へという形でいけば一番すっきりするわけでございますが、中には、一度に官から民は困るよ、やはり自分たち公務員で働いているのだから執行部門も公務員で働きたいというのが日本で、あれば、これはイギリスと同じように公務員の身分のままで働いていただく。いわゆる現在の特殊法人とはおのずから違うということでございます。  そうした場合、そういう形でやれば、イギリスの場合は、あくまで身分は公務員ではございますが、独立採算制でございますから、あらかじめその省庁の責任者と、それから今度はエージェンシーの責任者との間で基本文書を取り交わして、こういうような業務をこのような予算でやらせていただくということで目標値を出しまして、それを省庁の責任者が承認をすれば、その範囲内で自由に仕事をやっていただく。そして、そこの努力次第で、効率よくやって余裕が出てくれば、それは結果的にボーナスという形で給与が上積みになっていくということもやっていただければ、勤労意欲がそこで高まって、いい成績をまた上げるのではないかということにもなり得るのではないか。  しかし、イギリスの場合も全部が全部成功しているわけではないわけでございまして、中にはやはりそういう努力をしてもなかなかうまくいかないという場合に一般会計から補助みたいな形を出しているようでございます。あるいはまた、なかなかうまくいかないために、そちらへ配置をされたけれどもやはり本省の方へ戻りたいという形で人事の交流もなされているようでございます。  これらのいろいろなことを踏まえながら、私ども日本として、官から民へというのがまずとりあえず、この間規制緩和ある程度やりましたが、これからはやはり官から民へ、それから今お話のあった中央から地方へ、この努力をした上で、その上でなおかつもっと日本の中央の省庁でやる仕事を政策の立案部門と執行部門を分けた方がいいということになれば、その辺のイギリスの制度を参考にしながら、日本としてのやはり一つのそういう似たようなものをつくっていくのも私は一つ考え方ではないかというふうに思っております。ただし、まだそこへ決まったわけではございません。
  71. 倉田栄喜

    ○倉田委員 時間が参りましたので終わりますけれども、お運びをいただきながらお答えいただかなかったところもあると思います。おわびを申し上げまして、質問を終わります。
  72. 御法川英文

    ○御法川委員長代理 本会議散会後直ちに再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十六分休憩      ————◇—————     午後二時四分開議
  73. 伊藤忠治

    伊藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。金田誠一君。
  74. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 民主党の金田誠一でございます。  本題に入ります前に、今国民的な大変な問題事となっております諌早湾の干拓事業につきまして、行政監察を担当されている総務庁長官というお立場から御所見を賜りたい、こう思うわけでございます。  先般、平成九年二月付でございますが、総務庁からこのような行政監察結果に基づく勧告というのが出されてございます。この中には、「干拓事業」という項目の中で、「干拓事業を取り巻く情勢の変化を踏まえ、事業の円滑かつ効率的な実施を図るため、次の措置を講ずること。」ということで勧告が出ているわけでございます。その中では、「実施中及び休止中の事業について」ということで、「実施中の事業については、環境に十分配慮し、事業の進ちょく状況に応じ、土地利用、営農等の確実性について確認しつつ、所要の検討を行い、必要に応じ事業計画の変更を行い、適切に対処すること。」このような勧告でございますが、まさに時宜を得たといいますか、適切な勧告であろう、こう思うわけでございます。  ところが、問題は、総務庁からこのような勧告が出ているにもかかわらず、諌早湾の干拓事業においては、この勧告が私の見る限りでは一顧だにされておらない。環境問題に十分配慮したとも思われませんし、土地利用、営農等の確実性について確認をされているとも思われない。こういう状況の中で、先般潮どめ堤防が締め切られてしまうという状態に立ち至っている。まことに遺憾なことであると思うわけでございますが、まず、この件について、この勧告をなされた大臣のお立場としてどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
  75. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 諌早湾の干拓事業につきまして は、今御指摘のとおりいろいろと問題点がありますし、相当おくれておりますし、私どもから今御指摘のような勧告文を出したわけでございます。それに対して、まだ正式には農水省からお答えをいただいておりません。事務当局によりますと、今月末に大体いただけるのではなかろうかということでございますので、私は、それを受けて判断をしたい、こう考えております。  ただ、今お話しのように水門はもう締め切ったじゃないかということでございますが、たまたまきのうの閣僚懇談会でこの問題を議論をいたしましたときにも、私は、干拓の関係については私はきょうはコメントするわけにはいかないし、イエスともノーとも言うわけにはいかない、ただ、説明が、防災対策という観点からぜひここを締め切らないと、高潮の被害が起きたり、あるいはまた川の方から水のはんらんがあって、大体非常に低地帯だそうでございますから、そこへのはんらんが起きるという点から、防災対策としては理解をしてもらいたいということでございましたから、私はその点については御理解をしますということを申し上げたわけでございまして、干拓というものに関しての私の考え方は、農水省から正式の回答が来てから判断をしたいということで、きのうも私は閣僚懇で申し上げておるところでございます。
  76. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 今回の総務庁の勧告は、大規模な農業基盤整備事業に関する勧告ということでございまして、防災という視点での調査等は触れておらないのではないのかなというふうに思うわけでございます。干拓と防災とをセットにして諌早湾のあのような事業が行われている、これも途中で二転三転あったようでございますけれども、現在の論拠はそのようになっているというふうには聞いてございます。  そういうことからしますと、本来であれば防災という見地からも、本当にこのような大規模工事が必要であったのか、もっと環境に負荷を及ぼさない防災ができなかったのかという行政監察があってしかるべきだろうと思うわけでございます。新聞等によっても、防災の観点からもあの事業は適切ではないという指摘等もございます。  そういうことからすれば、長官は、防災対策という観点からはもう理解をされたということでございますが、いささか早計ではないのかなという思いがいたします。本当に、防災という視点から見ても、他に環境の負荷の少ない、あるいはもっと効率的な防災対策があったのかなかったのか、総務庁として、その辺も含めて行政監察を徹底した上で見解が表明されてほしかったなという思いでございます。  そこで、来月の末に農水省から正式な答えが出るということでございますが、この勧告の中に含まれている文言は極めて抽象的でございまして、特に諌早湾の問題について特定をして言及されているわけではないと思うわけでございますけれども、ここに言及をされている事象が諌早湾に当てはまらないというふうにはどうも思われません。  ここで指摘をしている環境への配慮、営農等の確実性、いずれをとってもまさにこの諌早湾を念頭に置いての勧告ではないのかなと思うわけでございますけれども、勧告をされたお立場として、この勧告は諌早湾についても当然適用されるといいますか、当てはまるといいますか、この勧告を受けて何らかの措置を期待をして勧告をされたものと思うわけでございますけれども、その辺はいかがでしょうか。
  77. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 今申し上げましたように、農水省からの回答が来てから私は判断したいというのはその辺でございまして、果たして農水省から来た回答が営農の目的に合致して、あるいは、営農といっても私どもは米以外、米はやめていただきたいということは具体的に実はもう申し上げているわけでございまして、米以外のものの営農にどういう形で対応しようとされるのか、その辺をやはり見きわめないと、私は何とも言えないと思っております。  正直、防災対策と絡めてということでは本当はなかったと私は思うのですが、結果的に、どうも現実論としては、この間はんらんもあったそうでございまして、そういう現実論を踏まえますと、私も、一体それで人命を尊重しなくてもいいのか、こう言われれば、防災対策として、それも一つの副作用として出てきたわけであって、それを無視するというわけにはいかないという意味で、私はその点については理解を示した、こういうことでございまして、最初のころからの目的には何も防災というものはなかったわけでございます。  そういう面で、今の環境問題とか今後の営農をどういうことでやろうとしておられるのか、その辺を判断しながら、勧告についての御回答をいただいたときに私は私なりの判断をしたい、こういうことを申し上げているわけでございます。
  78. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 今、この諌早湾に象徴される巨大公共事業といいますか、計画からもう数十年を経過をして、当初の目的が既に失われている、あるいは、現在の感覚で言えば、今もしこれが計画されるとすれば到底事業として採択されることはないだろう、今環境というものが極めて大きなウエートを持つ、こういう中では到底許可されそうもないような事業が、一たん決まったということによって、全く変更、見直しされることなく続けられているということが非常に大きな問題となっているわけでございます。  こうした事業を本当にコントロールできるかどうか、これはまさに政治の役割にかかっているわけでございまして、そういう意味で、現在政権を担当している自由民主党を中心とする各党の責任は、私は大きいだろうと思うわけでございます。  その中でも、総務庁というお立場、行政改革を担当されておる、行政監察を担当されているお立場から、勇気を持って現実を直視をして、しかるべく判断を願いたいものだな、こう思うわけでございますし、武藤長官について言えば、私はその御判断ができるお方であるというふうに実は考えたいわけでございます。  ただいま農水省の正式な回答を待った上でというお話でございましたけれども、そういう中にあって、実は私ども民主党の渡辺周君から質問主意書が提出をされておるわけでございます。まだ正式な閣議においての回答の決定ということには至っておらないと思うわけでございますけれども長官としてはこの質問主意書に対する答弁書の閣議決定に当たってどのような態度でお臨みになるのかということでございます。  質問主意書に対する答弁書といえども内閣の連帯して責任を負うという観点が貫かれていると伺っておりまして、その中で、所管は農水大臣でございましょうけれども、国務大臣として、それも行政監察を担当する大臣としてのお考え、お立場は重要な要素をなすと思うわけでございます。  渡辺周君の質問主意書、既に御承知のとおりでございますが、まずは一刻も早く締め切り堤防内にとりあえず海水を流入をさせる、その上で今後の問題等について十分議論をし検討すればいいではないか、こういう趣旨でございますけれども、これに対して、長官、どのようなお立場でこの答弁書の決定に臨まれるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  79. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 私は、先ほど来申し上げておりますように、私どもの勧告はあくまで干拓事業、その一環として諌早湾も含まれておるわけでございますが、干拓事業に対する勧告でございますので、そういう立場からいろいろ私どもは、先ほどお話しのとおりで、環境問題とか今後の営農の方向が大体どうあるんだろうかとか、そういうことで判断をしていきたいと思って、それに対するお答えをいただくことになっております。  ですから、そういう観点から、場合によればもう一度事業の見直しをお願いをする場合もあるということは私ども勧告文にも書いてあるわけでございますから、場合によれば見直しをお願いする場合もあるわけでございます。  ただ、今御指摘の渡辺さんの質問主意書というのですか、それに対する答えは、まだ私は正式には目にいたしておりませんが、大体、ちょっと事務的に報告を受けておりますのは、どうもその部分のお答えをしないようでございまして、いわゆる防災対策という観点から今度は政府は答弁書をつくっているようでございます。  そうなりますと、私は、先ほど申し上げたように防災対策という観点からは理解を示しておりますので、そういう面に関する限り、私としてそれにノーということはない。干拓というものの関連が出てくれば、またいろいろ私は私なりの意見を申し上げなければなりませんけれども、どうも今度の政府の答弁書はその辺は防災対策に限って出てくるのではないかというふうに、私はまだ正式に文書は見ておりません、ただ事務的にはどうもそのような方向に進んでいるというふうに承っておりますので、そういうことになれば、私は、やはりそれにはイエス、こういうことになろうかと思います。
  80. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 そのように区分けをして物事をお考えになるというのも一つ考え方ではありましょうけれども、今回の干拓事業、防災面とそして干拓事業という両面を含めて一つの巨大事業、巨大公共工事ということで進められているわけでございます。そして、今問われているのは、数十年を経て状況も変わる、そういう中で、一たん決めたものだからといって、全く見直しも再検討もされずにそのまま突き進むことが果たしていいのかということが問われているわけでございます。それが防災事業であればいいんだ、干拓事業であれば見直しが必要なのだというものではないのではないかな、こう思うわけでございます。  いずれの事業であろうとも、その必要性の観点あるいは環境に及ぼす負荷等々あるいは代替措置があるのかないのか、そうしたことも含めながら、一たん決めた工事であっても立ちどまって見直していく、そしてまた国民の合意を得ながら、進むものであれば進む、あるいは別な方向に転換するものであれば転換する。このコントロールができない状態の日本の国というのは一体何なのか、政治の役割は一体何なのかということが私は問われていると思うわけでございますし、そのことを長官には十分御認識をいただいていると思うわけでございます。そういう意味で、この総務庁の勧告もかなり踏み込んだ、かなり的を射たものになっている、これによって一定の対応が期待をされているというふうなものとして私は受けとめているわけでございます。  このときに、今の政権にある党がそこに一歩踏み込むことができるかどうか。これは、非常に大きな意味で、これから日本の行政改革を政治というものが主導してできるのか、そもそも日本の国政を政党あるいは政治が主導していけるのかどうかという根本のところに私はかかわってくると思うわけでございまして、長官に限っては、技術的に防災だ、営農だという分離をしながらの御答弁は、長官からはいただきたくなかったなという思いなのでございます。  本題は別なところでございますから、余りこれに時間をとることはいたしませんけれども長官、いま一度。  一つは、この干拓事業そのものについての回答が来ない。それでは、回答が来ないうちに質問主意書に対する答弁だけは出すことがいいのかどうなのか。農水省が一定の判断を出して、それを総務庁としても検討をして是非の見解を持つに至って、その上で回答が、長官の意思も含めた回答として出されるのが本来の筋道ではないか。防災だ、営農だということで、そこで分けて出されるのは長官らしくもないというふうに私は思いますが、それが一つ。それと——結構です、では、それだけをお答えをいただきたいと思います。
  81. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 これは、御承知のとおり、国会のルールがございまして、質問主意書が出てきたときには、たしか一週間でございますか、一週間で答弁書を出すようにということにルールがなっているところが一つでございます。  それからいま一つは、答弁書は、大体農水省が中心で答弁書を書くわけでございまして、私どもの方の関係が直接はないわけでございます。そういう面がございますから、農水省がそういうような答弁書を書いているというのは、私が閣議で、干拓事業というものになってくるとこれは私は一言あるよ、こういうことを発言して留保いたしておりますので、多分その辺を踏まえて農水省がそのような答弁書を書いておるのではないかなというふうに私は思っているわけでございます。  私としては、干拓の問題については、本当にうまく営農ができるのかどうかという判断をして、もしそうでないというような判断をすれば、もう一回再勧告をして、見直しをしてほしいというようなこともあり得るということを私は申し上げたいと思うのでございます。  そういうことで御理解をいただきたいと思うのです。
  82. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 私の出した質問主意書などは、三週間待ってくれとかいろいろなことがございました。しかし、これ以上は申し上げません。  ただ、一つだけ要望を申し上げておきたいと思いますけれども、干拓事業、農業という観点からの監察はされておるわけでございますが、防災という観点からも私は問題が大きいと思うのです。  この潮どめ堤をつくらずにも、もっと適切な、環境に負荷を及ぼさない工法はあるという識者の指摘等々あるわけでございまして、総務庁として、今回は農業基盤整備という監察でございましたけれども、防災事業という観点からもぜひひとつ行政監察をしかるべく行っていただきたい。これについては強く御要望申し上げておきたいと思います。  次に、本題に入らせていただきます。  退職手当法の一部改正について、順次質問をいたします。  岡光事件等に端を発した国民の官僚、公務員不信は極めて強いものがございまして、こうした国民の声に対して、行政みずからが公務員に対する信頼を回復するための努力を行うことは当然のことと考えます。その一環として今回の退職手当法、給与法の一部改正案が提案されていると思うわけでございますが、その内容をよく点検をしてみますと、当面の措置として対象が退職者に限定されてはいるものの、公務員の権利面で幾つか心配なところもあるわけでございます。  そこで、法改正に基づく措置が運用上退職公務員の権利にも十分配慮した公正なものとなるよう、またそのことを担保した制度として整備されていく必要があると考えるわけでございますが、この基本的なところにつきまして長官の御所見を賜りたい、こう思うわけでございます。
  83. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 私どもとしては、この法律を通していただければ、その法律の運用に当たっては、御心配のないように公正な運用を心がけていくのは当然だと思っております。
  84. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 わかりました。よろしくお願いをしたいと思います。  今回の改正点は、退職手当、期末・勤勉手当支給差しとめ制度、期末・勤勉手当の不支給制度新設の二点でございますが、退職者に限定されているとはいえ、退職公務員の労働債権とのかかわりで、その適用に当たっては、当局の恣意性を排除する慎重かつ厳密な運用基準が必要である、こう考えるわけでございます。  今回の措置は、退職時点で退職者に発生する労働債権を使用者が処分の概念でいわば一方的に制限する、極めて重い制裁措置でございます。したがって、その措置が使用者によって乱用されないよう、法律上もできるだけ適用要件を明確にし、岡光事件等のような、国民的に批判を招くような不祥事に限定すべきと考えるわけでございますが、この点いかがでございましょうか。
  85. 菊池光興

    ○菊池政府委員 不祥事に係る職員退職手当の取り扱いにつきましては、現行法におきましても、職員禁錮以上の刑に処せられて失職した場合には退職手当支給しないこととなっておりますし、退職手当支給後に退職者が禁錮以上の刑に処せられるというようなことになりました場合には、もう既に支給した退職手当の返納を求め得るというような規定が設けられておりまして、この場合、すべての犯罪を対象としつつ、それが禁錮以上の刑に処せられるかどうかというところを退職手当支給、不支給の基準としているところでございます。  退職者の権利保護については、このような現行制度考え方を前提にしつつ、罰金以下の刑にしか当たらないというような犯罪については今回の一時差しめ処分の対象にならないということをはっきりしたところでございますし、そういうような面で、退職者の権利保護というものについては十分配慮したところでございます。  いずれにしましても、国家公務員退職手当法禁錮以上の刑に処せられた者をその支給を受ける権利を有しない者としているところでございますので、仮に、一時差しめ処分の対象となる犯罪を特定の種類にだけ限定して、それ以外の犯罪については禁錮以上の刑に当たる場合であっても退職手当支給するというようなことになりますと、かえって支給適正化という面で国民の不信を招くことになり、公務員に対する国民信頼を損ねることにならないか、こういうようなことでございます。  一般職給与法についても、同様な考え方に立って、一時差しとめ、不支給制度新設するものでございますが、やはり国民信頼確保というような観点から適切な運用に努めてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  86. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 例えば、刑事事件で逮捕されたときは法形式上は無条件に対象となっているわけでございますけれども、逮捕されたときは自動的に対象となるという解釈ではなくて、事案の性格によっては、いわゆる岡光事件等とは性格が異なって、退職手当制度の適正かつ円滑な実施を維持する上で重大な支障を生ずるそういう事案ではない性格のものもあると考えるわけでございます。  したがって、一律に適用するのではなくて、事案の性格を厳正に調査、判断し、重大な支障を生ずる場合にのみ適用されるべきと考えるわけでございますけれども、いかがなものでしょうか。
  87. 菊池光興

    ○菊池政府委員 お答え申し上げます。  ただいま申し上げましたように、どのような犯罪でありましても、禁錮以上の刑に処せられた者に退職手当支給を受ける権利を有しない者として扱っているというのが現行の制度でございます。  したがいまして、交通事故というような形で、破廉恥罪じゃないじゃないかというような場合であっても、現行法でも、それが禁錮以上の刑に当たると思料される場合には退職手当支給されていないというようなことはあるわけでございますので、そういうような場合、やはり退職手当支給適正化及び公務に対する国民信頼確保という要請をやはり基本に据えて、退職手当支給を一時差しとめることが適当であるというような考え方でおるわけでございます。
  88. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 どうも見解が異なるようでございまして、残念でございますが。  まずそれじゃ、逮捕以外にも、「犯罪があると思料するに至つたとき」という項目があるわけですが、毎年三万人以上の離職公務員調査を当局が行うことは不可能だと思うわけでございます。  これらのことから、法律の運用に当たっては、退職者の権利保護の観点から、差しとめ得る場合の明確な適用基準を総務庁として作成をして各省に通知するなどが必要だと思うわけでございますが、この点はいかがでしょうか。
  89. 菊池光興

    ○菊池政府委員 もとより、御指摘のように、年間三万人を超える国家公務員が定年であるいは勧奨でやめて、あるいは自己都合でやめていっているという実態でございます。これらのすべての人たち在職中の行為に起因して犯罪がある、こういうふうな形で疑惑を持たれているわけではございませんで、あくまでも今回の場合には、在職中の行為に関し「犯罪があると思料」される場合ということで、「思料するに至つた」と言えるかどうかというところも各省各庁の長が責任を持って判断していただくことになるわけでございます。  総務庁といたしましても、今回法律で書いてございますように、一時差しめ処分を行うためには、本人の供述、自白、あるいは物証等により犯罪があると認められる、十分思料されることが必要であること、法定刑の条件が禁錮以上の者、こういうことでございますので、罰金以下の者であれば本来この差しとめの対象にはならぬ、こういうようなことでございますので、そういうような差しとめの対象にはならないということについて十分関係省庁に周知徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。  そういうことで、差しとめ得る場合の明確な適用基準というようなものを明らかにしてまいりたいと思いますし、やる場合には、差しとめを行う場合には、内閣総理大臣、すなわち私どもに対して通知を各省庁からもらうことになっていますので、ある省では一時差しとめになった、ある省では野放しだ、こういうようなことのないように私どもも十分適切な指導あるいは御相談に応じてまいりたい、こういうふうに考えております。
  90. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 差しとめをする場合の手続についてでございますけれども、本人に対する説明書の交付や内閣総理大臣への届け出など、ある程度配慮したものとはなっているわけでございますが、これでも不十分ではないのかなと思うわけでございまして、差しとめに当たっては、例えば調査委員会、これは公正性を担保したもので、場合によっては外部の有識者を加えるなどの配慮が必要だと思うわけでございますが、この調査委員会等を設置をして必ず本人からの事前の意見聴取を行い、申し開きの機会を与えることなど、事前の調査を徹底して行う制度を府令等で整備すべきではないか、こう思うわけでございますが、これについての御見解。  そして、あわせて期末・勤勉手当についての手続でございますが、「必要な事項は、人事院規則で定める」こととなっておりますが、人事院との事前協議等は規則で制定されるのかどうか。これは人事院の方からお答えいただきたい。あわせてお願いいたします。
  91. 菊池光興

    ○菊池政府委員 期末・勤勉手当については人事院の方からお答えさせていただきますけれども法律の関係でございますので、私の方から。  まず、一時差しめ処分を受ける者に対して申し開きといいますか弁明の機会を設けることについては、御指摘のような方向で対処することで、総理府令で内閣総理大臣への通知をいただくことを定めよう、こういうことでしておるわけでございますけれども、その中で、当事者からの、処分を受けるべき者から事情を聞いたかどうかというようなことについての事実をあれしておきます。  それから、調査委員会を設けたらどうか、こういうところでございますが、一時差しめ処分の実施に当たりどのような体制でこれを進めるかということにつきましては、処分の実施権者である各省各庁がその個々の事案ごとに考えていくべきことだろう、こういうふうに思っております。
  92. 武政和夫

    ○武政政府委員 今回のこの期末・勤勉手当支給の一時差しとめについてでございますが、処分を受ける職員にとっては給与債権の権利制限となるというのは御指摘のとおりでありまして、その適正な運用を確保するという視点が肝要ではないかというふうに考えております。  したがいまして、各庁の長が一時差しめ処分を行うに当たりましては、恣意的な運用を防止しあるいは職員の権利を保護するという観点から、人事院規則におきましてあらかじめ人事院との協議を義務づけるということを予定しております。  この協議の中で、各庁の長が抱いた犯罪の疑いの合理性あるいは各省庁における事実の確認の有無等十分にチェックされることになるのではないか、あるいは、私どももチェックをする姿勢で取り組んでまいりたいと思っております。
  93. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 それじゃ、観点を変えて質問をさしていただきたいと思いますが、今回、退職手当法のこのような改正が出されるに至ったその背景といいますか、これは、平成八年十二月十九日、事務次官等会議申し合わせというものだと思うわけでございます。「行政及び公務員に対する国民信頼を回復するための新たな取組について」ということで申し合わせがなされているわけでございますが、その第一に「公務員倫理規程の制定等」という項目がございまして、各省庁において規程を「速やかに制定する」ということになってございますが、これについてはもう既に全省庁制定されているのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
  94. 菊池光興

    ○菊池政府委員 結論から申し上げますと、すべての省庁で制定されております。  で、この倫理規程、性格は、国家行政組織法で、各省大臣処分職員に対する服務統督権があるということで、その服務統督権に基づく訓令という形でもって倫理規程を制定していただいたものでございまして、各省これを厳密に遵守しよう、こういうことで今努力しているところでございます。
  95. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 そこで、急に生臭い話になって恐縮でございますが、例えば、野村証券VIP口座事件というのが今問題になっておるわけでございますけれども、このVIP口座の運用等も人によって、ケースによってさまざまのようでございますが、ある総会屋には大変な利益が供与されたということも伝わっておるわけでございますけれども、例えば、このようなVIP口座を通して利益供与をするというようなことが公務員に対してなされたとすれば、この倫理規程のひな形の中にある「前各号に掲げるもののほか、一切の利益や便宜の供与を受けること。」禁止項目の一つでございますが、これに該当することになるのではないのかな、こう思うわけでございます。  そういうことからすれば、今回、このように社会的な問題になっている事案であるだけに、各省庁、この策定されている倫理規程に基づいて調査をする。恐らく自己申告ということで、口座を開いて特別の便宜を供与されていれば御本人が一番よくわかっていることになると思うわけでございまして、この事務次官会議の申し合わせを取り仕切ったお立場として、その辺のところをお考えいただけないのかな、こう思うわけでございます。
  96. 菊池光興

    ○菊池政府委員 各省庁、各大臣制定していただきました各省庁の職員倫理規程、公務員倫理規程、よくごらんいただきたいと存じますが、関係業者等との接触に関する禁止事項を具体的に定めております。その中には、未公開株式の引き受けを行うことというような形で、株の取引にかかわるようなことも規定しているところでございますが、関係業者等との接触ということでございますので、本人の職務内容に野村証券との関係が、厳密に言いますと、職員倫理規程的な観点で言いますと、職務権限の中に野村証券との取引というようなもの、あるいは野村証券という株式会社が対象の中へ入るかどうかというところが一つのメルクマールになります。  そういうような意味で、一律に、VIP口座に登録されているかどうかということよりも先に、そういうようなことがあれば関係業者との接触禁止事項の違反になるかどうかというところは、若干議論の余地があるところだろうと思います。  本来、株の取引自体というのは通常、正常な経済行為一つだ、こういうふうに考えられておるところでございますが、先ほど申しましたように、関係業者の未公開株を引き受けることだとか、あるいはインサイダー取引にもなりかねない、自分の所管行政について、ある特定の会社の内部情報が入った、だから先に株を買うとか売るとかというようなこと、こういうようなことは現に証取法等で違反にもなりますし、禁止しているところでございますが、一般的な株の取引そのものについて禁止というところにはなっておりません。  今回のVIP口座による利益供与というものがどういう形で行われたのか、内容をつまびらかにいたしませんのでなかなかコメントしにくい部分がございますが、もし職務に関連するようなことで疑惑があるというようなことになれば、服務管理官なり総括服務管理官、任命権者等ともども適切な調査が行われるものというふうに考えております。
  97. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 それは、例えば証券会社と密接な関係があるとすれば、省庁で言えば大蔵省などが一番関係の深いところになるのでしょうけれども、それについては当該省庁が自主的に行うことであって、総務庁なら総務庁の立場から、その調査を要請するとか指示をするとか、そういう立場にはなり得ないものなのでしょうか。  実は午前中も、公務員倫理法あるいは公職倫理法というのでしょうか、こういう議論もされているわけでございますけれども、これだけ数十万人という公務員を抱える、大変な強大な権力を行使をする、そういう組織として、それぞれの省庁が自主的に対応すればいいということで足りるのかどうなのかという疑問を実は持っているわけでございます。  そういう意味からしまして、この事務次官会議の申し合わせによるひな形をとりまとめたお立場としては、ここまではできるけれども、それから立ち至ってこの運用について、例えば大蔵省、自分のところは問題ないのか、直ちに内部の委員会等を設けて調査をして報告をしろというお立場にはなり得ないものなのでしょうか。もしなり得ないとすれば、本当にそれでいいのか。アメリカであれば、公務員倫理法に基づいて行政倫理局というような組織が設置をされている。総務庁がそうなり得ない、あるいは人事院もなり得ない、それぞれの省庁、自主管理ということであれば、それでいいのかということも含めてお答えいただければと思うわけです。
  98. 菊池光興

    ○菊池政府委員 私ども詳細に承知しているわけではございませんが、例えば証券会社との関係ということで、大蔵省は通常の省庁よりもより厳しい形で株の取引等について職員に対する指導を行っている、あるいは通達を出しているというような事実があるというふうに承知しております。  どのような場合にどのような調査を行うかというのは、やはりそれぞれの行政の実態なり、所管の実態、職員の実態というものを把握している任命権者の系統で行われるのが一番適切であろう、こういうふうに思いますので、総務庁はこの間倫理規程を取りまとめたじゃないか、その倫理規程に基づいて各省の実態調査あるいは各職員の個別調査をやるべきだ、こういうことでもって一斉に号令を出したらどうか、こういう御趣旨だろうと思いますけれども、そこまではなかなかいきかねる、こういうような状況でございます。
  99. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 これは見解の異なるところなのかもしれませんが、やはりそうであれば、アメリカのような行政倫理局のようなものを設置をする、あるいは既存のどこかに、例えば総務庁なりにそういう機能を持たせるということがぜひともこれは必要でないのかなというふうに思いますし、御検討をいただければと思うわけでございます。  そこで、時間もございません。実は、長官にまた耳ざわりなことをお聞きして恐縮でございますが、各閣僚に公式な委員会等の場で私どもの党としてはお聞きをするということになっておりますので、御容赦いただきたいと思うわけでございますが、長官御自身のVIP口座とのかかわりでございます。長官御自身なり、あるいは家族、秘書等々を含めて、VIP口座の有無、あるいはそれによる利益供与の有無についてお聞かせいただければと思うわけでございます。
  100. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 これは官房の方で調べて、私どもにも問い合わせがございました。私は全くそういう口座はございません。また、家族もございません。また、秘書についても、私にかわってやるというようなことは一切ございませんが、ただ、秘書自身が何をやっている、そこまで私プライバシーのことはわかりませんので、まさかうちの秘書でVIP口座に登録されるような秘書は多分いないだろうと思いますから、多分いないだろうと思っております。
  101. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 よくわかりました。ありがとうございます。  多少まだ時間がございますので、公務員倫理規程の関連についてお聞かせをいただきたいと思うわけでございますけれども、ここの禁止項目の中で、「講演、出版物への寄稿等に伴い報酬を受けること。」ということが禁止されているわけでございますね。しかし、これは本当にただ禁止だけでいいのだろうかという疑問を持つわけでございます。  例えば、講演。先ほども介護保険法が国会を通過した。この解釈、運用について、例えば、北海道で業界団体あるいは行政官庁が集まって厚生省担当官の説明をお聞きしたいということがあったとします。これは公務出張という扱いになる場合もあれば、そうならない場合もあるのではないか。  例えば、休日にそういう講演会が行われる、恐らく一泊していくような用務になろうかと思います。そういうときに、旅費は別でございましょうけれども、謝礼等も一切これはまかりならぬというだけで果たしていいのか。あるいは、執筆も同じことだと思います。さまざまな業務に関係して解説書を書く。しかし、これは勤務時間中、役所で書けるなんというものでは恐らくないわけでして、自分の私的な時間を使うことになる。それが果たして、全く報酬を禁止するだけでいいのかという疑問がございます。  禁止していいことと、あるいは一定の許可条件といいますか基準をつくる、あるいは届け出をする、その届け出先がだれになるのかということ等も含めて疑問があるわけでございますけれども、この辺のところ、いかがでしょうか。
  102. 菊池光興

    ○菊池政府委員 職員倫理規定の遵守を図っていく上で、大変いろいろ議論があるところでございます。ただ、前提として一つだけ御理解いただきたいのは、公務員が、公務員たる職員が、一般的に講演をしたりそれから寄稿をしたり、あるいは本を執筆したりすること、これ自体を禁止しているということではございません。関係業者との関連においてそういうことをやる、こういうことでございますので、そこはある意味でいうと厳密にお考えいただきたいと存じます。  それで、今御指摘のありましたように、例えば新しく法律をつくった、それを国民に広く理解いただかなきゃならないから、ある意味でいうと広報の一環として地方に出向いていって講演する、それは本来仕事じゃないか。公務員として施策を国民に周知する、あるいは理解していただく。それで、それについて謝金をもらうというのはどうなんだ。実費弁済としての旅費をもらうというのはいいだろうという話がございます。  あるいは本を書く、本を執筆するというのは、これはいいのだろう、自分の自由時間をつくって。ところが、業界団体が出している本に原稿依頼か何か頼まれて法外なあれをもらうとか、業界団体の集まりに行ったらちょっと一時間しゃべって何十万円もの謝金をもらう、これは実質的に形を変えたわいろじゃないか。その辺のところが非常に難しいというところがございます。  ですから、その場合に、すべてがだめということじゃなくて例外となり得る場合もあるだろうけれども、一応禁止はかけておいて、服務管理官に相談をするということで、独善に及ばないような形でそこのチェック機能を働かせようというのが今回の倫理規定の眼目でございますので、そこのところについては十分御理解を賜りたいと存じます。
  103. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 そのとおりだと思うわけでございますけれども、その基準のつくり方等々も、これはまた膨大な業務量になるのかなという気もするわけでございます。  同じく原稿の執筆であっても、業界紙に多少のことを書いて法外なものをということもありましょうけれども、あるいは本来の解説書みたいなことを監修したり執筆をしたりということもあるわけでございます。それが、勤務時間中、役所でやれることとやれないこともあるでしょうし、あるいは執筆をするにしても、それがいわゆる業界紙という範疇のものなのか、それともそうではないものなのかというあたりも、行政としての方針を広く周知する行為に当たるのかそうではないのか、極めて微妙な判断を伴う。受ける報酬も、恐らく、世間一般の通念に反しないというようなことを言われたとしても、それではその社会通念とは何なのかという話もこれまた極めて面倒だと思うわけでございます。  そうした基準をきちんと定めていくことが、行政あるいは公務員に対する信頼を高めていくことにもなりましょうし、あるいはお役人自身にとってもその方が恐らくいいのではないかという気が私はするわけでございます。  大変な権力を行使し得る立場には、その権力をみずからの有利に行使をさせようとか、さまざまなやはり誘惑が多いと思うのですね。その誘惑に対して、日本人の社会通念上むげに断れないというのもある。土産、せんべつ、香典、出産とか、いろいろなものから始まってそれが深みにはまっていく、気がついたら後に戻れないというようなことにもなりかねないと思うわけでございます。  そういうことからしますと、基準の決め方も、ただ単に禁止というのではなくて、もっと事細やかに具体的に事案、事例を含めて決定をされるべきものと思うわけでございます。その辺のところは、今は各省庁で倫理規程をつくれということになってございますから、各省庁がそれぞれやりますということなのでしょうか。そうなりますと、これまたそれでいいのか。先ほどの話も含めて、そして行き着くところは公務員倫理法のようなものをつくるべきだということを私は申し上げたいわけなのですけれども、その辺含めて、いかがなものでしょうか。
  104. 菊池光興

    ○菊池政府委員 倫理法を仮につくったとしても、結局はどこのところで線を引くのかというところについては、法律の中でなかなか細かいことまでは書けない。結局は運用基準なり運用細則をどういうふうな形でもってつくっていくのかというところに尽きてしまうわけでございます。  今も御指摘ありましたように、日本の社会の全体の風土ということで、よく土産物だとか贈り物だとか、何かに、慶弔につけての物品だとか金品のやりとりというのが非常に多い社会であることは事実でございますけれども、そういう中で、公務員としてやはりどこで線を引いていくのか、国民信頼を失わないような形でやっていくためにどうするのか、極めて自律的な形でもってやっていかなきゃいかぬだろう、こういうふうに思っています。  ただ、さはさりながら、自分ではいいと思ったけれども、後でもってこれはだめだと言われてはいかぬ、こういうことで、一応の基準みたいなものを、原則禁止という形をかけていますけれども、例外もあり得る。じゃ、どのような場合に例外になり得るかというところの判断を服務管理官ともどもしていこうじゃないか。じゃ、服務管理官はどういうような形でやるのか、各省の人事課長、どういうふうな感じでもってオーケーかどうかというのを出すかというところはありますので、いろいろな事例を積み重ねて、私どもの方で各省ともども折々集まりまして、具体的な事例をもとに、これはこういう考え方でこうしたというようなことについての事例の積み重ねをやって、基準をできるだけ整合性ある基準にしていこうという努力を続けておるところでございます。
  105. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 終わります。ありがとうございました。
  106. 伊藤忠治

  107. 木島日出夫

    ○木島委員 日本共産党の木島日出夫でございます。  まず、国家公務員退職手当法の一部改正法案について質問をいたします。  我が党は、岡光厚生省前次官のように収賄事件を起こした汚職官僚に対して、国民の税金である退職金や一時金が支払われることに対して国民の批判が噴き出したことは当然のことであり、こうした事態を防ぐための法的整備をすることは基本的に賛成であります。ただ、岡光事件について言えば、小泉厚生大臣が安易に辞職を承認してしまったことに基本的に問題があったということを指摘しておきたいと思います。  本法案の問題点、どこにあるか。私は、本法案は、期末手当勤勉手当の不支給制度新設、そして退職金及び期末手当勤勉手当についての一時差しとめ制度という新しい制度新設なのですが、その対象となる場合を禁錮以上の刑に処せられたとき及び懲戒処分に処されたときにまで拡大しているということだと考えます。これでは、先ほど同僚議員からも指摘がありましたが、公務に全くかかわりのない私的な交通事故、業務上過失致死など、あるいは労使紛争に起因して発生する刑事、懲戒事件にまで適用されるおそれが生じてしまうわけであります。  なぜ法案作成に当たって国民の批判の対象である収賄事件などにこれを絞らなかったのか、それを質問したい。せっかく法改正の機会なのですから、終戦直後につくられた現行法体系を変える、退職金不支給についても、広い禁錮以下の利一般また懲戒処分一般について、その規定そのものを逆に見直して、これを絞りをかける絶好の機会では今回なかったのかなと思わざるを得ないので、簡潔に、なぜ絞りをかけなかったのか質問したいのです。
  108. 菊池光興

    ○菊池政府委員 現行法を見直す機会だ、こういうことでおっしゃったのですが、私どもは、現行法を基礎にして、それで今回、それにつないでいくための支給停止というような処分、あるいは、支給するかどうかというところの決定に至るまでの途中の間の一時差しとめというようなものを導入するというようなことから始めたわけでございます。  現行法におきましても、禁錮以上の刑に処せられた者には退職手当支給しないとしている。それで、その犯罪の対象というのは、すべての犯罪を対象としつつ、禁錮以上の刑かどうかというところを退職手当支給、不支給の基準としているところでございます。国家公務員法上も、禁錮以上の刑に処せられましたら当然国家公務員としての職を、身分を失うということになっておりますので、禁錮以上の刑に処せられるかどうかというところを一つのメルクマールにしてこういう制度を導入するということは十分に理由がある、こういうふうに考えております。
  109. 木島日出夫

    ○木島委員 私は、現行法が広過ぎるから、せっかくだから国民の怒りにこたえて矛盾がないように絞ったらどうかという質問をしたのですが、政府の方は、現行法を金科玉条にして、それに手を触れないで、それに右へ倣えして制度新設したという答弁ですから、答えになっていないわけですね。  国家公務員退職手当については、最高裁判所の昭和四十三年三月十二日付判決でもこう述べています。「その法律上の性質は労働基準法十一条にいう「労働の対償」としての賃金に該当」する、国家公務員についても該当するんだと判示しているわけであります。要するに、給与の後払いの性格を持っているということを最高裁が明確に判決しているわけであります。これは、退職手当だけではなくて公務員期末手当勤勉手当の法的性格についても同じだと私は考えます。  したがって、これを剥奪するには最大限の慎重さが求められるのではないか。総務庁人事院退職手当期末手当勤勉手当の法的性格をどう認識しているのか、本法の運用に当たって公務員のこの基本的な権利をどのように保障するつもりなのか、簡潔にお答え願います。
  110. 菊池光興

    ○菊池政府委員 今、退職手当の性格についてお述べになりましたが、昭和四十三年三月十二日第三小法廷によります判決によりますと、当時は国家公務員退職手当法でございましたけれども、国家公務員退職手当は「その勤続を報償する趣旨支給されるものであって、必ずしもその経済的性格が給与の後私の趣旨のみを有するものではない」、こういうようなことをはっきりと言っておりますので、職員退職した場合にその勤続を報償する趣旨支給されるものであって、給与の後払いとしての性格だけではない、こういうことを言っています。  私ども考え方といたしまして、国家公務員退職手当は、職員の長年にわたる公務への貢献に対する勤続報償を基本的な性格としているというふうに考えておるところでございます。当然、不当に受給権というようなものを侵害するということではございませんが、国民公務に対する信頼というものを確保するために、本当に退職手当支給するということが著しく公務に対する信用を損なう、あるいは退職手当制度の運用に悪影響を及ぼすというような場合には、一時差しとめ、あるいは、判決によって禁錮以上の刑に処せられた場合には不支給とするということは十分理屈のあるところである、こういうふうに考えております。
  111. 武政和夫

    ○武政政府委員 期末・勤勉手当の法的性格についてのお尋ねだと思いますので、私の方からお答えいたします。  期末・勤勉手当が労働の対価、勤務の対価としての一部であるというのは御指摘のとおりかと思います。  ただ、他方で、期末・勤勉手当は民間の一時金を公務部内に導入したものでありまして、その性格としまして、一定期間における職員の功労に対する報奨を含むものと考えております、現に、民間におきましても、懲戒解雇となった者につきましては賞与、一時金が支払われない例も見られるというふうに見ております。  このため、公務のため国民信頼を著しく失するような重大な被疑行為、例えば懲戒免職になったような場合でありますけれども、報奨に値しないものとしてこれらの手当の支給制限を行うというのはやむを得ないのではないかというふうに考えております。
  112. 木島日出夫

    ○木島委員 人事局長が読み上げたとおり、最高裁判決はこの退職手当金の性格について、「その経済的性格が給与の後私の趣旨のみを有するものではないと解されるが」とあるので、「のみを有するものではない」というのは、言葉の解釈からいったら、そういう性格を持っている、しかしそれだけではありませんよという言葉ですよ。  そして、その判示のその後に、私がさっき読み上げたように、「法律上の性質は労働基準法一一条にいう「労働の対償」としての賃金に該当し」とはっきり書いてあるわけですから、私は、もう司法部は労働の対償としての性格があるということをはっきりと認定している、そういう前提で総務庁はこれから事に処していただきたいとお願いをしたいと思うわけであります。  新設される一時差しとめ制度の発動要件として、本法案第十二条の二は、退職手当に関してこう書いています。「公務に対する国民信頼を確保し、退職手当制度の適正かつ円滑な実施を維持する上で重大な支障を生ずると認めるとき」に差しとめ制度が発動できる、そういう絞りがかかっておりますが、なかなか難しい言葉であります。  この発動要件は、禁錮以上の刑に当たる一定の刑事事件を起こして起訴される場合があるわけですが、起訴されない場合、あるいは懲戒の対象になりがたいような軽微な事件ですね、構成要件には該当するかもしらぬけれども軽微な事件で起訴や懲戒の対象になり得ないような、そういう場合については一時差しとめ権の発動を差し控えるということを意味した本法案第十二条の二だと、また、期末手当等については同じく本法案第十九条の六でも同じ文章が載っていますが、そう解釈してよろしいでしょうか。
  113. 菊池光興

    ○菊池政府委員 どのような犯罪であっても、それが禁錮以上の刑に処せられるというようなものであれば一時差しとめの対象となると考えられるわけでございますけれども禁錮以上の刑に処せられる可能性のないものについて……
  114. 木島日出夫

    ○木島委員 そうではない、質問をよく聞いてください。  法案第十二条の二は、一時差しとめ制度を発動できる条件として、禁錮以上の刑に処せられる罪を犯した場合や懲戒処分になるようなことを起こした場合であって、さらに、その者に対して退職手当等を支給することが「公務に対する国民信頼を確保し、退職手当制度の適正かつ円滑な実施を維持する上で重大な支障を生ずると認めるとき」は一時差しとめできるということで、禁錮以上の刑に処せられた場合は全部差しとめができるなんて書いてないのです。絞りがかかっているのですよ。  ですから、この十二条の二の絞りというのは、もっとざっくばらんな言葉で言えば、起訴とか懲戒の対象にはなりがたいような軽微な場合については一時差しとめ権の発動を差し控える、そういう意味だと。これは法律解釈からすると当然そうとれるのです、私は。イエスと言ってくれればいいのですよ。
  115. 菊池光興

    ○菊池政府委員 起訴される可能性がない場合には、職員の権利尊重の観点から一時差しめ処分を行わないということは、これは当然であります。
  116. 木島日出夫

    ○木島委員 ありがとうございます。当然だという御答弁でありました。  そこで、次の、一般職任期つき研究員採用特例法案についてお尋ねをいたします。  公務員の任用に当たって、期限を切ってはならぬというのが現行国家公務員制度の基本原則だと思います。これは、国民に奉仕する行政を実現するためには、何といっても公務の継続性、安定性、公平中立性が求められる、そのためには公務員の身分の保障がなければならないという観点からだと思います。これは研究公務員についても同じではないでしょうか。  ところが、この法律は、国の試験研究機関に働く研究公務員について、原則三年とか原則五年という短期の、二種類の任期制を導入しようというものであります。公務員制度の基本原則を変えてまで任期制を持ち込む理由は一体何なのか。科学技術庁の科学技術基本計画を受けて人事院が昨年八月一日になした報告の中に、突き詰めて言えば、研究活動の活性化のためだということが読み取れるわけでありますが、総務庁もそういう認識でしょうか。こういう制度を導入するのは研究活動の活性化のためだ、一言で言えばそういう認識、人事院と同じでしょうか。
  117. 菊池光興

    ○菊池政府委員 今回の任期制は、研究業務というものの特性、これを考慮いたしまして、研究者の流動性を促進して研究活動の活性化を図る観点から、職員処遇にも配慮しつつ、一定の要件のもとに任期制というようなものを導入、採用できることとしたわけでございますので、まさに、御指摘のように、研究活動の活性化というようなものがその大きな目的、ねらいであるということはそのとおりでございます。
  118. 木島日出夫

    ○木島委員 研究公務員の短期の任期制の導入というのは、私は、我が国の科学技術研究を活性化させるどころか、逆に混乱と後退を招くことになるのではないかと思わざるを得ないのです。  手元に、科学技術庁の平成八年度の科学技術の振興に関する年次報告を持ってきております。そこに、「国立試験研究機関等における研究活動」として、次のような大事な指摘があります。三百九十七ページ、   二十一世紀に向けて、より豊かな社会を構築し、国際社会に積極的に貢献していくためには、創造性豊かな科学技術の振興、特に創造的な基礎的研究の充実・強化が重要である。基礎的研究の推進については、大学等とともに国立試験研究機関に期待するところが極めて大きい。 こうしっかりと書かれているわけであります。  私は、ここにもう一冊、半導体素子や光通信分野で大変多くの業績のある、東北大学の元総長、西澤潤一氏の「独創教育が日本を救う」という本を持ってきております。ここにこういう指摘がございます。   日本の基礎研究はなぜ弱いか  基礎研究の分野で成果をあげるためには、並外れた根気が必要である。日本の基礎研究が弱いのは、ひとえに研究者に根気がないからだ。大発見、大発明の鍵は、人のやらないことをやることと、自分の疑問ととことん付き合うことだと述べたが、要するに、誰が何と言おうとも、私はこれがわからないからわかるまでやるんだ、という根性が成功の鍵なのである。 と書いているのですね。要するに、本当に粘り強い、徹底した研究が基礎研究では大事なんだ、残念ながら、日本研究者はそれが不十分じゃないかということを指摘している。大事な指摘だと思うのです。     〔委員長退席、金田(誠)委員長代理着席〕  基礎的研究は、三年、五年という短期間で、一朝にして成果が上がるものではありません。私、きょう農水省をお呼びしております。日本の主食、稲の品種改良の状況について、一番うまいと言われているコシヒカリの例を一つとって説明していただきたい。簡潔で結構です。
  119. 大森昭彦

    ○大森説明員 先生お尋ねの、稲の品種改良の件でございます。  私ども農林水産分野の研究開発は非常に広範でございまして、早期に成果の得られるものから非常に中長期を要するものまで、多様でございます。そういう中で、作物の育種というのは比較的長期間を要する方に類しまして、稲でございますと、チームを組んで育種に取りかかりまして十年以上、あるいは、果樹ですと二十年ぐらいというふうな長期を要しております。  お尋ねのコシヒカリの例でございますが、これは、昭和十九年に親に当たります農林二二号と農林一号の交配を行いまして、それが品種として登録されましたのは昭和三十一年でございます。したがいまして、この間に十二年を要しておる、そのような状況になってございます。
  120. 木島日出夫

    ○木島委員 ありがとうございます。  もう一つだけ私の方から追加いたしますと、余り国民皆さんに名前を知られておりませんが、ヤマセニシキというものは、同じ農林二二号と農林一号から枝分かれしてきて、それができ上がったのが十七年目ですか、昭和三十七年、こういう息の長い研究を、頑張って農水省の国立試験研究機関はやっているわけであります。そして、成果が上がったわけであります。がんとかエイズ、また狂牛病、O157、地震対策、環境対策、エネルギー問題、いずれも、本当に息の長い、長期の基礎的な研究を要するものばかりであります。  特殊法人日本原子力研究所あるいは理化学研究所など、既に任期制が持ち込まれているところの研究現場や、これから任期制が持ち込まれようとしている研究現場では、多くの研究者から、次のような不安の声が高まっています。八つ述べます。  一つ、雇用に対する不安は極めて大きい。二つ、若手研究者の使い捨てである。三つ、基礎研究等の長期的で継続的な研究が不可能になる。四つ、職場でのボス支配体制が強化される。五つ、国に迎合した研究にコントロールされやすい。六つ、奨学金の免除職にもならない。七つ、労働組合への参加が困難となり、研究者の権利等を擁護することも難しい。八つ、短期的に目に見える成果を追い求めたり、任期切れ後の就職のことに気をとられ、自主的な研究が粗末となり、大企業との癒着が深まる。  本当に現場の研究員の皆さんの不安であります。単なる不安だけじゃない、現実の、理化学研究所などの、既に任期制が持ち込まれている特殊法人の現場での声であります。私は、この法案の審査をするに当たりましては、こういう不安にどうこたえるのか、これが問われているんじゃないかというふうに思います。若生育成型の場合、任期三年です。三十歳代そこそこ、妻子を抱えて離職になるわけです、三年たったら。離職後の再就職、身分保障、せっかく培った能力の活用など、どのように政府は保障しようとしているのでしょうか。
  121. 菊池光興

    ○菊池政府委員 若生育成型につきましては、若生育成型として任期を定められた三年が基本でございますけれども、その期間中に国立の研究所、試験研究機関において研究活動に携わるということ、これを通じて、将来有為なキャリアパスということで評価されることが期待されるわけでございます。  そういうことで、そこで実績を積むというようなことで、あるいは、そこでの研究活動というものが評価されるということで、その任期明けといいますか、任期が終わった後、それをまさに登竜門として、そこを通り抜けたという実績を持って、さまざまな分野で研究活動というものに積極的に取り組んでいただける、こういうふうに考えております。そのための大変いい制度ではないか、こういうふうに考えております。
  122. 木島日出夫

    ○木島委員 さまざまな分野で培った技術、能力を生かせるのではないかと思うのは結構です。希望的観測は結構です。しかし、その制度的保障は何もないんでしょう、この法案に。そこで三年たったらもう放り出される。果たして自分は拾ってくれるだろうか。どこかの国立研究機関あるいは大企業が拾ってくれるだろうか。身分保障を物すごい心配している。現に心配しているんですね。私は、この法案の最大の問題の一つにそういう保障がないということがあるということを言わざるを得ません。今の答弁を聞いても、ますますそう思わざるを得ません。  招聘型の場合、任命権者研究者採用する場合、人事院の個別承認が必要となります。承認の基準はあるんですか。また、給与号俸は六段階に分かれておりますが、その認定基準は、人事院、あるんですか。客観的な判定はできるんでしょうか。ノーベル賞クラスの学者だと先ほど来お話もありました。だれがその給与号俸なんかを判定するんでしょうか。承認基準を判定するんでしょうか。お答え願いたい。
  123. 角野敬明

    ○角野政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のございました招聘型の任期制でございますけれども研究業績等により、特にすぐれた研究者と評価されている方を国立の研究機関にお招きするというための任期制でございます。この任期制につきまして、適正な運用を確保するために、私ども、個々のケースにつきまして、任命権者から採用計画を御相談いただくということにしてございますけれども、その際にどういう研究業務におつけすることにするのか、それに必要な能力というのはどういうふうにお考えになっているのか、現に候補者になっている方がどういう実績をお持ちの方なのか、さらに、そういう方について、やっていただく任期の期間として、目的とするところから見て適切な期間であるのかどうなのか、その辺を個別に御相談をいただき、適切な運用を確保できるように私ども個別の事案に対処していきたいと思っております。  その場合の俸給表の号俸決定の基準、考え方でございますけれども、招聘型任期制研究員が従事する研究業務に応じまして、各省庁で個々の研究員の具体的な能力、業績等を評価して、またさらには個別的な人材確保の困難性をも考慮して格付をしていただくということになろうかと思います。具体的には、採用後に行うこととなります研究業務の困難性や重要性の程度、その研究に必要とされる専門的な知識、経験の程度等に応じて号俸を決定していくということで処理をすることになろうかと思っております。
  124. 木島日出夫

    ○木島委員 招聘型の場合、一号俸は報酬月額四十一万円です。六号俸は報酬月額八十八万一千円ですね。この格差。今、各省庁が格付をするとお話がありましたが、六号俸を分ける共通する一般的な基準というのは、総務庁、つくるんでしょうか。あるいは人事院、つくるんでしょうか。私は、客観的なそういう評価基準というのは果たしてできるんだろうか、そこを聞いたんですね。答えられますか。
  125. 武政和夫

    ○武政政府委員 今回の任期つき研究員にふさわしい給与という意味で、新しい俸給表を用意させていただきました。それの個々の給与決定につきましては、今任用局長から答弁申し上げましたように、各研究所長さんが基本的に見定めて決定するというふうに考えております。そして、必要に応じ、人事院が相談にあずかるという形で考えております。  格付に当たって、研究員の能力とか業績の評価、あるいは与えられる職務の困難度、複雑度といったようなことの評価を、一義的には各研究所長さんがやるわけですが、必要に応じましては、各省庁ごとに所属する複数の研究所を横断した能力、実績の評価のための委員会といったようなものを設けるなどの工夫といいますか、努力が必要ではないか、こういうふうに考えております。     〔金田(誠)委員長代理退席、委員長着席〕
  126. 木島日出夫

    ○木島委員 若生育成型の場合には、任命権者採用計画をつくり、人事院と協議するとなっております。採用計画作成の基準、これは共通する基準を総務庁人事院、つくるんでしょうか。同じように、協議の基準といいますか、それをつくるんでしょうか。
  127. 角野敬明

    ○角野政府委員 若生育成型の任期つき任用の対象になりますのは、私ども、大学院の博士課程を修了した研究者、あるいはその後さらにポスドクを経験されているような方が対象になろうと考えております。  このような方につきまして、広く公募という方法を使って、各研究所で育成型の対象になる人を選んでいただこう、そういう選考の手続をとっていただくことを考えておるわけでございますけれども、その公募のやり方等を含め、どういう研究業務若生育成型の任期制の研究者を充てることにするのか、人数をどうするのか、さらには手順としての公募の手続をどうするのか、その辺の内容をお書きいただいた採用計画書をお出しいただき、具体的な内容について御相談をさせていただく、そういう処理を進めていきたいと思っております。
  128. 木島日出夫

    ○木島委員 先ほど同僚議員の質問に対して、どのくらいの人数を招聘型なり若生育成型の研究公務員として任期づきで採用するのかという問いに対して、人事局長は、当面はそんなに多数の採用をすることはないと聞いているという、安心させるような答弁をしました。しかし、私の耳などには、通産省工業技術院の幹部の中には、半数ぐらい任期公務員でいいということを放言している人がいるということも伝わってきております。ここは日本の最大の試験研究機関で、研究公務員二千四百三十三人を持っている機関であります。歯どめはあるんですか。その試験研究機関の研究公務員の一〇%に抑えるとか、五%にとめるとか、歯どめはありますか、この法律
  129. 角野敬明

    ○角野政府委員 任期つき任用に関しまして、招聘型は、研究社会において評価の定まっている方をぜひお呼びしたいということで使っていただくものでございますし、若生育成型につきましては、各研究所で育成をしていただき日本の研究社会に幅広く送り出していただく、そういうふうな機能として使うものと考えておりまして、今回新たに設けようとしておりますそれぞれの任期制の趣旨に従って、各研究所で適切に御判断いただき、御活用いただく、こういうことになろうかと思っております。  差し当たり、お尋ねのような、数というふうなものを頭に置いてどうこうするというようには私ども考えているところではございません。
  130. 木島日出夫

    ○木島委員 まさに歯どめがない。青天井だということになると思うのです。任期公務員採用公務員定数の枠の中になってしまうのです。  そこで、基礎的な数字を聞きますが、現在、日本にある国立試験研究機関の定数、定員、幾ら、何人いるのか。研究職の公務員が何人いるのか。この研究職公務員を支えている行政職公務員が何人いるのか。一九九五年は何人なのか。行革が開始される一九八〇年、今から十五年前は何人なのか。まず、総数を聞かせてください。
  131. 菊池光興

    ○菊池政府委員 私の方からお答えするのが適当な数字かどうかというのはありますが、ちなみに、研究者である研究職俸給表適用者の数でございます。これは人事院、来ておられますけれども人事院の任用状況調査というものに基づきます数字でございますと、昭和五十五年、一九八〇年でございますが、一万六百一人、直近の数字でございます平成七年度、一九九五年でございますが、一万百五十二人、これが研究職俸給表の適用を受けている職員の、国家公務員の数でございます。  しからば、これと研究者とはちょっと違うのでございますけれども、試験研究機関の定員ということでございます。この場合には、国家行政組織法第八条の二に定めます試験研究機関と、国家行政組織法第八条の三に定めます特別の機関に置かれる試験研究機関、こういうところの両方の定員でございます。  ほかにも、実は地方支部分局に置かれる試験研究機関というようなものもございますが、そこの部分はちょっと数字がわかりませんので、現在のところでお答えいたしますと、昭和五十五年度の試験研究機関の定員は一万七千二百四十六人、平成七年度の研究機関の定員が一万五千六百七十七人、こういうことでございまして、これは先ほど申し上げました研究職俸給表のほかに、ここで試験研究機関をサポートするとおっしゃいましたけれども、サポートしておる行政職等の職員の定数も入っておる、こういうふうに考えております。
  132. 木島日出夫

    ○木島委員 ありがとうございました。  この十五年間で、研究職俸給表適用のいわゆる研究職公務員、これが四百四十九入減っています。そして、国立試験研究機関のこういう研究職公務員と、これを支えている行政(二)、行政(一)というのですか、行政職公務員の数、全部合わせますと、この十五年間で千五百六十九入減っている。そうすると、大体研究職公務員は、基本的には、一部例外を除いて試験研究機関で働いているのでしょうから、支える数が千人以上減っていると見ていいのではないでしょうか。  この法律がもし成立して、発動して、任期公務員採用されますと、ここに入ってくるわけですね。そして、その数だけ、現職研究者の数が減らされる。あるいは、場合によっては、この現職研究者を支えている行(二)、行(一)の行政職の公務員の数が減らされていくということになるわけであります。現場の皆さん方、こういう短期の研究者が大量に入ってきたら本当に大変だということになるわけですね。歯どめがないわけです、この法律。  そんなことを考えますと、国家公務員法の基本原則までここでつくりかえて、成果が上がるどころか、むしろ逆に基礎研究がないがしろにされてしまうような、目先だけしか考えないような研究者がふえてしまうような本法には到底賛成するわけにはいかないわけであります。  私、調べますと、先ほど答弁がありましたように、我が国の約一万人の研究公務員皆さん一人当たり実験研究費は、現在約百六十万です。筑波研究学園都市研究機関労働組合協議会、これは、一人当たりの実験研究費、せめて二百四十万円にしてほしいと要求をしております。  先ほど来、この十五年間、行政改革のかけ声の中で、人数が削減されてきたことも明らかになりました。本当に我が国の科学技術を活性化させる、そのためにも、日本は基礎研究が不十分ですから、本当に基礎研究を充実強化させ、世界をリードできるような科学技術立国になるためには、ここにメスを入れることがやはり大事だ、それが急務ではないかと私は思うわけであります。  そのためには、四つほど提起したいと思うのです。  一つは、やはり研究公務員、立派な仕事をしているわけですから、削減ではなくて、大幅な定員増。O157とか狂牛病とか、今まで問題になっていなかったような大問題が次々と噴き出しているわけですね。地震対策もそうでしょう。ですから、本当に大幅定員増。  二つは、この研究公務員皆さんを支えている、研究支援部門に働く行(一)、行(二)と言われる行政職公務員皆さんの定員増。これがないと、研究者皆さん、こういう言葉は私、使いたくないのですが、現場で使われていますから言いますが、雑務というのですね、それをやらざるを得ない。研究に力を注ぎたいのが、もうそれに追われる、こういうものを解消するためにも、やはり行(一)、行(二)、支援部門に働く公務員皆さんの数をきっちりふやす。  そして三つ目には、研究予算の大幅増額。これは一定の年限で、十七兆円くらい欲しいという声もあります。本当に大幅増額。  そして四番目には、研究員の学会への参加の保障など、自主的、民主的研究条件の環境整備。何といったって、研究公務員皆さん研究者皆さん能力を高めるには、世界各地で行われる学会、日本各地で行われる学会に参加することが、非常に能力を高めるきっかけになる。そのこと自体が啓発になる。しかし、なかなかそれができないのですと、私、訴えられておるわけであります。  この四つをやって、こんな短期制の、目先だけを考えるような公務員をふやすのでなくて、この基本のところをやるというのが本物の、国民のための行政改革ではないか、総務庁長官、どうでしょうか。
  133. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 これは今お願いをしておる、いわゆる期限つき、任期つきの採用というものそのものは、それはそれでいいと私は思うのです。  ただ、今御指摘のようなことは、これまた別の問題でありまして、日本のこれからの科学技術をより振興していかなければいけない、要は、この法律案もそういう形で出てきたと思うわけでございまして、今の日本の科学技術に対する予算が十分なのか、あるいは研究者というものに対するいろいろの処遇が十分なのか、あるいはその定員が十分なのか、これはこれで別に考えていくべきことであって、私ども、これから行政改革をやっていく上においては、何も一律に何でも減らすということではなくて、やはり思い切って減らすところは減らさせていただきたいし、しかし、国の将来にとって必要なところは、やはり定員は確保していく。  あるいは予算も同じでございまして、一律に何でも減らしていくということではなくて、これからの国の予算のあり方というのは、やはりここだけはどうしても国の将来にとって必要だ、あるいは国民皆様方にとってこれだけの行政サービスだけはぜひやらなければいけない、そういうものはやはり確保するという考え方でいかなければいけない。今までのような一律に何でも減らすものは減らす、ふやすならふやすというやり方ではなくて、予算にしろ、人員にしろ、そういう重点的な配分がもっとなされるような形にやっていくことが私どものこれからの行政改革ではないか、こういうふうに考えております。
  134. 木島日出夫

    ○木島委員 時間ですから終わりますが、総務庁長官は、別のことだという表現をしながら、私の四項目の充実強化の方向については御賛同を得られたと思います。ただ、私は、別のことではなくて、この基本方向に対して、こういう短期制の研究員をつくり出すということはぶち壊しになるということを、警鐘を乱打したいと思うのです。  日本共産党は、先ほどの私の四項目の方向、このために、これからも全力を尽くして頑張ることを表明いたしまして、終わります。
  135. 伊藤忠治

    伊藤委員長 深田肇君。
  136. 深田肇

    ○深田委員 社民党の深田肇でございます。  けさから先輩議員の御意見をたくさん聞かせていただきまして、いい勉強になりました。なるべく重複を避けて、今回はありがたいことに三十分間の時間をもらいましたから、率直にいろいろな問題を伺っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと存じます。  もちろんのこと我が党は、本案は賛成でございますから、そのことをしっかり踏まえた上で、御質問の中では相当批判的なことを申し上げますから、御理解いただいておきたいというふうに思います。  まず最初に、全く素人の質問のようですけれども、伺うと、国家公務員退職手当法等の一部という、等というふうに書いちゃって、私なんか一番気にしている給与法一部というのがここに出てこないのは何でですか。素朴な質問をしますが、まず正確に聞かせてください。
  137. 菊池光興

    ○菊池政府委員 等といいますのは、二つだけでございましたら、例えば退職手当法と一般職給与法だけだったら、退職手当法及び一般職給与法、こういう形になったんだろうと思いますけれども、第三条で防衛庁職員給与法の改正をやっていますので、三つ以上になった場合には、等というような形でくくる。  それで、そのときに何を一番表題に出すかという場合には、第一条に持ってくるもの、こういう形で、そこのルールは何か法制局の方で決まっているようでございますが、そういうことで、等でくくられたものですから給与法が表に出てこなかった、こういう結果に相なりましたことを御了解いただきたいと思います。
  138. 深田肇

    ○深田委員 事前にそんな話をちょっと伺ったものですから、うちの内部で伺いましたら、必ずしもそんなことはどこかで決まっているかねと言う先輩議員もおりますから、我が党も勉強不足ですかなということを率直に印象として申し上げておきたいと思います。  むしろそのことよりも、勤労国民や働いている国家公務員の方々の、これはまさに給与の一部改正というところで、大変そこに大きなポイントがあると思いますから、なるべく「等」ではなくて、例えば新聞報道なんかに、退職金等の一部改正が可決したととっちゃうこともありましょうけれども、できれば、給与法も一部改正したということを明確にしないと、公務員はもちろんのこと、国家公務員でしょうけれども、これから自治体の一般公務員もいらっしゃるだろうし、加えて、一般国民に何をやったかということを明らかにすることが、私は大変必要な今度は項目ではないかというふうに思っていますので、こだわったことをまず申し上げておきたいというふうに思います。  そういうふうに申し上げた上で、けさほどからの各党、会派の先輩たちのお話を聞いていますと、大体共通するところに問題意識はお互いにあるんだなというふうに思います。その意味からいたしまして、私は長官に、頭からの御質問で恐縮なんでありますが、どうも私どもは、この法案というのは、だれもが認めているように、いわゆる岡光事件と言われるところの高級官僚というのかな、高位級の国家公務員の方々が犯した、いわゆる不祥事件というよりはわけのわからぬ悪いことをやっちゃって、しかも福祉まで食い物にしたというのが全部国民にさあっと入ったから大変な話題になったわけでありますから、怒りがここに燃え上がってきたわけです。  そこからスタートしてきたんだが、いろいろな話を聞いて、時間がありませんからもう結論だけ言いますが、いわゆる国家公務員の百何十万全員を対象にする、いろいろな歯どめをかけておられますけれども。これを、どうしても百何十万の国家公務員全部にしなきゃいかぬのか、なぜそこまで拡大しちゃうのかという点は、長官、どういうふうに考えられて、これにオーケーを出されたのかなということを率直に聞いておきたいと思います。
  139. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 私は、大半の公務員皆様方はそれぞれ、国民全体に対する奉仕者であるという使命感に燃えてやっていただいていると信じております。  しかしながら、きょう、朝方の議論もいろいろございましたけれども、残念ながら、日本の社会の風潮というものも変わってまいりました。国民の意識も正直大分変わってきたと思います。これは、バブルやその他があって、残念ながら私はそういうことがあったんではなかろうか。そういうのが公務員皆さんの中にもやはり侵食していっちゃって、あのような残念な事件が起きた、こう判断しているわけでございます。  もちろん我々、そういう面では日本の教育そのものにもこれから考えなきゃならない点はあるだろうと思うのでございますけれども、いずれにしても、国民もみんながひとつ総反省して、これからは、日本の国の再建をやっていかなきゃならないんじゃなかろうか。当然、その先頭に立っていただかなきゃならない公務員のため、国家のために一生懸命努力をしていただかなきゃならない公務員の中から、少なくともこれからはこのような事件が起きないような方向に行かなきゃいけないんじゃなかろうか。だから、この法律ができたからといって、正直こういう法律を適用しなきゃならない人が一人も出てこないことを私は望んでいるわけでございます。  しかしながら、万が一にも出てきたときには、やはり、その疑いの持たれた人は、いち早くその人に対して何らかの形で制裁を加えていけるということが必要ではないかということで、一時的な停止といいますか、凍結ができるようにしようということでありまして、あくまでそれも、疑惑を持たれた人に限ってやるわけでございますから、決して、全体の公務員に対してそのような考え方を持っているというようなことは、絶対にございません。
  140. 深田肇

    ○深田委員 先ほどからお話があった、大変人格円満な長官に至っては、そういうことはないんだというふうに思うんですけれども、やはり、こういう法律ができて、働いている方々が疑惑を向けられて、それを調査する。本人がどうしゃべるか。もちろん、ほかのところの手もかりるというお話もありましたが、だれがそれを捜査権を持っているのかというやりとりもされたわけでありますから、そういう状況の中で、職場で働いている現場の中の、末端という言葉は使いたくないんだが、一番現場の先端で頑張っている方々にとってみれば、大変不愉快な思いをしたり、自分もその対象者の一人、自分は悪いことしてないから問題ないと思いながらも、目が光っているという感じを持たないことはないだろうと思いますから、私は、よっぽど慎重に、こういったことをやることが、むしろ逆に明るい職場をつくって、より民主的な職場をつくり上げて、みんなが一緒になって総労働をやることが大切だと思っていますから、その点では、お言葉を返すようでありますが、一言意見を申し上げて、次に行きたいと思います。  人事局長、この法案を作成する過程で、当然労働組合とはやりとりしたと思いますが、どういうやりとりをされて、何が問題点で、どこで収拾をされたか、中身を聞かせてください。
  141. 菊池光興

    ○菊池政府委員 この法案を作成するに当たりまして、やはり、法制面、実務面での専門的な考えを十分聞いた上で制度を取りまとめたいということで、先ほどからもお話ししていますように、法律の専門家あるいは実務に通暁した方々八名から成る研究会を設けて御参集いただいて、非常に集中的な御議論をいただいたものでございます。  組合代表とは、職員団体の皆さん方とは、この研究会の検討状況について逐次御説明をし、また、それについて御意見を伺い、法案を作成するに当たっては、いろいろ御注文等も承りながら、誠意を持って対応してきたところでございます。  そのときの基本的な、何が一番問題だったか。結局、恣意的な運用に流れないようにするため、一時差しとめをする場合の発動条件を極力客観的な事実に基づいてやるべしということとか、それからまた、そういうような場合には、きちっとした手続を踏むようにというようなことについての御要望があったことを記憶いたしております。
  142. 深田肇

    ○深田委員 一定程度そういうことをやられたんだろうと思いますから、今後もどんどんと、職員組合、労働組合との間では意見交換されて、何といっても職場、現場における全体がまとまることが大切なことでございますから、お願いをいたしておきたいと存じます。  そこで、局長みずからお話が出ましたが、八人のメンバーをもってつくられたといういわゆる研究会なんでありますが、これは、ちょっとお話し申し上げたこともあるかもしれませんけれども、今現在、私の手元にその研究会の報告書等々はいただいていないんだけれども、それで、調査室が出された資料には原文らしきものが載っておりますが、報告書なんかいまだにもらっていない。  何遍も説明に来られるたびに、こんなことがあるようだがどんなことをやったんだと聞いたって、今届いていないんですけれども、別に私だけが外されたわけじゃないんだし、皆さんに配っていないのかわかりませんが、私はこの研究会そのものに対して大変お尋ねしたいということがあると思いますだけに、本当は早くいただきたかったということを申し上げて、ぜひ、後ほどでも結構でありますから報告書を、きちんと公開できるものでしょうから、見せてもらいたいというふうにまずお願いした上で、ちょっと中身に入りたいと思います。  この研究会を設置されたということになっていますが、もちろん長官が決裁して決めたことでしょうけれども、いわゆる研究会というメンバーを選ぶに当たってその基準などは何かあるんでしょうか。例えば、長官と何回かこういう場でやりとりさしてもらった他の法案のときに、審議会をつくるとか何とか審査委員会をつくるとかというときなどは相当ごとごとやりまして、量の問題や位置づけや運用について話をさしてもらったことがありました。  全部全部意見が入ることではありませんから、結果的に言えば相当思い切った意見を取り入れてもらっていると感謝しながら感じておるのでありますけれども、人権関係諸団体もそういうことで満足していることも、そういう意識を、後ほど報告が来たりしておりますけれども、事この研究会については、今私が申し上げるように初めて知ることであります。  しかも、その研究会の中身を見る限り、これは答申なのか、それとも、それを参考にされる私的なものだとおっしゃるんだから、人事局長みずからが、私的だと言ったって個人のポケットマネーでやったわけじゃないんだろうから、そうすると極めて公的なものなんだろうから、それをどの程度のものとして位置づけているのか。すべてのことがそこの研究会の出された、これが答申だか結論だかわかりませんが、そのものがスタートになって物事が動いているのではないかと私は思います。  そうなってくると、これからどんどんこういうことができるのであれば、先輩議員に聞いてみたら、各省局長の権限で相当研究会はつくれるのだそうですね。つくれるのならそういう、法律とは言いませんが、法令とか法規だとか何かあるんでしょうか。それとも単なる口頭の、口約束的な、過去の慣例においてできているんだ、だから何でもつくってしまって、第三者の声聞いていますよ。第三者の人が本当の第三者なのか。はっきり言えば、私などの気持ちを入れてもらえる人が、固有名詞は別にして入れてもらっているのかどうなのか、あなた自身の好みの人を入れておるかもわからぬわけだし、という感じになるわけです。  そうなってくると、そういうことをつくれるかどうかというのはどういう法規によってつくれるのか、そしてどういう基準で選ぶのか、これはどういうふうに運営するのか、でき上がった結論はどういうふうに拘束力を持つのか、いわゆる尊重すべきものなのかというようなことが明確であるべきだと思いますが、その辺についてちょっと途中でございますが御報告してくれますか。
  143. 菊池光興

    ○菊池政府委員 職員の身分、退職手当等の取扱いに関する研究会、こういうことで八名の方に御参集をいただいて、いろいろ私どもが考えていることについてさまざまな角度から御意見をいただき、その意見が一つの取りまとめられた報告書ということでお取りまとめいただいたものでございます。  申すまでもなく、これは正式の審議会とかというような国家行政組織法上位置づけられる組織じゃございません。そういう意味で、私的なといいますかアドホックな行政運営上の研究会、こういうものでございます。  報告書が先生のお手元に届かなかったということについてはまことに申しわけなく存じます。  これを開催する際には、こういう人が集まってやるぞ、おおむねいつごろまでに意見を求めたいということについては、本来人事局長のレベルの研究会でございますけれども、こういうような非常に国民の関心の強いことでございますので、あえて、二月の当初だったと思いますけれども武藤長官の閣議後の会見で発表していただいた、御披露いただいたというようなことで、決してこそこそやったというような意味ではございませんで、公明正大にやってきた、こういうつもりでございます。
  144. 深田肇

    ○深田委員 後ほど報告書をいただけるんでしょうけれども、報告書というのは議事録的になっているんですか。それとも最後に、調査室の方から出していただいているこういう資料的なまとまった文章だけなんでしょうか。私は、ひょっとしたら報告書というのはまとまった結論だけが羅列的に書かれているんだとするならば、議事録を見たい。そのこと自体が極めて、あなたが公正にメンバーを選んで、公正に論議をして、長官が自信を持って法律をつくっていくというところになっただろうというふうに信じたいと思いますから、できれば議事録も公開してもらいたいと思いますが、いかがですか。
  145. 菊池光興

    ○菊池政府委員 そこで行政機関としての意思決定をするというようなものじゃございませんので、議事録というようなものはとっておりません。  それからまた、報告書そのものも決して一本化された意見じゃございませんで、こういう考え方もある、こういう考え方もある、しかし、今回時間が限られた中では結論を得るに至らなかったので、なお引き続きこういう幅広い角度で、あるいは別の場において検討されることが適当だというようなところでとどまっているものもございます。  ただ、その中で、ここの中でおおむね意見のまとまったものとして、現下の状況を考えた場合に速やかに講ずべき措置としてはこういうようなものがあり得るというようなことでおまとめいただいた部分はございます。
  146. 深田肇

    ○深田委員 三十分もらっても時間が足らなくていらいらしておりますから、ちょっと話をほかへ変えます。  人事院にちょっとお尋ねしたいんでありますが、資料に基づきますと、人事院が四月九日付でこのことに関して見解を総務庁長官の方へお出しになっておるんでありますが、これは文章に書いてあるとおり、四月二日付で人事局長の方から意見を聞きたいというお話があって、それに対して九日に出したというふうに流れとしては読めるのでありますが、これも私は手順としては逆転しているんじゃないかと思って伺っているんです。まあ逆転してもやればいいという意見もありますけれども、そういうふうに伺った上で、九日付で出されました文書の趣旨は主にどんなことなんでしょうか、この場でちょっと回答書の趣旨をお聞かせいただければありがたいと思います。
  147. 武政和夫

    ○武政政府委員 不祥事を起こしました職員に係る期末・勤勉手当の取り扱いにつきましては、人事院としても国民信頼確保を図っていくために重要な課題だという認識に立ちまして、また、基本的な勤務条件の変更ということにかかわるものでありますから、慎重な検討も行ってまいりました。人事院独自に検討を行ってまいっております。  そのような状況におきまして、今御指摘のように総務庁長官から書簡をいただきました。その回答の要旨ということでございますけれども国民信頼を著しく失するような重大な非違行為を行った場合には期末・勤勉手当支給しないとすることはやむを得ないという前提に立ちまして、また、退職者に限定した措置を速やかに講ずるというのは妥当ではないかというふうなことを要旨とします回答をしております。  なお、重大な非違行為があった場合という意味におきましては、在職者についても退職者との均衡上考えもれるわけですけれども、この点につきましても検討の余地があるという観点から、それを書簡であわせ表明しております。  ただ、在職者の取り扱いにつきましては、懲戒処分給与上の措置との関係あるいは適正な手続の確保の観点、幅広い観点からの検討が必要ではないかというようなこともあわせ、書簡において言及をしているところであります。
  148. 深田肇

    ○深田委員 もう時間がありませんから、御丁寧な御説明で恐縮なのでありますけれども、短くやってください。  この文書によりますと、「貴職より」というのは総務庁のことでしょう、「貴職より提示のあった期末手当」云々、こうあるのですが、提示した書類というのはどういうものを人事院は受け取って討議されたのですか。貴職より提示された云々、こう書いてある。提示があったというのは言葉のことですか、こういう期末手当云々をどういうふうに考えるかというふうに書いてあるのですか、それとも何か文献的なものがあって、これに基づいて意見をくれというようなことだったのか。事実経過だけを一言で教えてくれればいいです。
  149. 武政和夫

    ○武政政府委員 総務庁におかれましては、研究会の結論を踏まえましてかと思いますけれども、期末・勤勉手当の一時差しとめ、不支給制度新設、あるいは基準日から支給日までの間に懲戒免職となった者の期末・勤勉手当の取り扱いといった内容をお示しになりまして、そして私どもの方に見解を求めたということであります。
  150. 深田肇

    ○深田委員 研究会の結論を踏まえてそれを提示された、こうなりますが、人事局長、あなたは四月二日付で、その見解をなぜ人事院に求める気になったのですか。二月からやっているんだからその前にもっとやってもいいじゃないかと思いますし、その会議の席上に人事院の方が来ておられるとおっしゃいましたが、来ておられるなら、わざわざまたそのことについて文書を出して、そして御返事をいただきたい、私どもの研究会の中身を審査してくれなんということを人事院に出す必要もないと思いますが、なぜ四月二日、三月三十日に研究会は終わっているはずだから、終わった後、なぜそれをわざわざ向こうにお出しになったかということについて、どうも私は納得できない。  慌てて駆け込みでやられたなら駆け込みで結構だけれども、慌てるべきことでもないように思いますからいかがなものだと。これはもう労働条件にかかわることであるだけに、どんなに立派な人事局長と言われても、これは行政上問題があると思うから言っているのですが、いかがですか。
  151. 菊池光興

    ○菊池政府委員 総務庁長官から人事院総裁あてに、「職員の期末・勤勉手当の取扱いについて」ということで、御指摘のように四月二日に、「別紙の内容に沿って所要法律改正を行う必要があると考えますので、人事院の見解を承りたく、御検討をお願いします。」という書簡を出したところでございます。  それで、その研究会報告が三十日にまとまったのに、なぜ四月二日なのか。これは、まさに研究会報告を丸のみして別紙の内容の措置を講ずるということを決めたわけじゃございませんので、それを踏まえてはおりますけれども、やはりこういうような制度改正をするかどうかということはそれ自体、行政側が主体的に判断すべきことでございます。それをした上で大臣まで御説明申し上げ、それで大臣のお名前で人事院総裁にあてて見解を求めた、こういうことでございます。  それで、今先生おっしゃいましたように、期末・勤勉手当というのはまさに給与、こういうことで、労働条件である。それについて、政府が仮に給与法の改正をするということになりましたときに、中立第三者機関として給与制度を所管しておられる人事院の御意見を伺うことが、これが至当であるのであって、政府として独断でもって法改正をするということはこれはいかぬのではないか、こういうことで人事院の御意見を承った、伺った、こういうことでございます。
  152. 深田肇

    ○深田委員 そういうことでしょう。だから後からでもいいと思うのですよ、それは。やらぬよりいいことです。だから、よくやってくれたなと思いますから、事前にどんどん、もう少し人事院の御意見を聞いてもらって、それから職員を代表する、憲法上認められている労働組合の意向もしっかり聞いてもらって、そして行政がより円滑にできるようにやっていただきたいということを、今、お話を聞けば聞くほど印象としてそう持ちましたことを申し上げておきたいというふうに思います。  残す時間が少しになりましたので、今後の取り扱いについて一言二言お願いをいたしておきたいというふうに思いますけれども、先輩、同僚議員からも出ましたとおり、退職者に限定をしてこのことをやられるわけでありますが、退職する退職者の、いわゆる公務員みずからの権利問題でもありますから、それはもうやりとりされていますから私の方は多く申し上げませんが、どうぞ、他の議員さんにお約束されたように十分な配慮をされて、きちんとした運営をしてもらいたいということが第一点であります。  第二点は、これから府令等々をおつくりになるようでありますから、そのことをしっかりおつくりいただいて公正な運用をやってもらうことが、そのための処置がちゃんとあることが必要だろうというふうに、けさ方からの話を聞きながら思っている次第でございます。  いま一つは、長官からお話しいただいて、全体的な行政上はそうあるべきものでありまして、一番偉い人から現場で一番頑張っている方々の間に差があって、これはここまでの人だけの処分対象でここは関係ないよというようなことを言えるものでないと思いますから、その点はわかった上で言うのでありますが、やはり人の上に立って、まさに国の行政の先頭に立つような、俗に言う、私どもの言葉で言えば高級官僚の方々の不祥事については相当歳しくやらなければいかぬ。そのことをしっかりやらぬと、国民との間はいい意味での融和ができないだろう。これはもう長官もおっしゃっていますから。  その意味でいきますと、労働組合からいいますと、逮捕という言葉だけ使われると、労働運動でぽっと逮捕されたときなんかは対象にならないんだな、いやいや、それは逮捕だからやられちゃうよとなってみたり、いろいろありますから、その他者さんのお話を聞いていますと、交通事故の場合はどうなるのかとかいろいろなことがあるようでありますから、その点はぜひひとつ、運用のときにいい処置をいただけますようにお願いをいたしておきたいというふうに思っている次第でございます。  そういうふうに申し上げた上で、ここから一言二言の質問になりますが、いわゆる所属長を中心にお調べになって、逮捕されたら問題ありません、それから不起訴にされたら問題ありません、それで、いろいろなことをやってみたけれども、調べてみたら本人もある程度認めたと。認めた自白というのはいろいろありますから、どういう格好でどういう自白をしたかなんて、これはもう警察官がやったって誤りがあって、冤罪になって戻ってくることがあるわけですから。そういう時代でございますから、言っちゃ悪いですけれども。  それを、専門家でない方々がお調べになって、この方々は、もう間違いない、クロだと決めてそれでとめてみた。そうしたら、逮捕は出てこない。逮捕がないのだから不起訴もない。ところが一年たってしまった。それで、物事わからないから、この間のことはこの際、退職金払うよと言ったときには、その方の名誉はもう傷ついているのです。この名誉回復はどうやるのですか。人事局長、名誉回復はどうしますかというのが一つ。同時に、そういう誤りを犯して決めてしまった所属長の責任はどうなりますか、後でシロとなったときに。この二つの意見を聞かせてください。
  153. 菊池光興

    ○菊池政府委員 一時差しとめ制度新設に当たって、退職者の権利を不当に侵害することのないよう所要の措置を講じて退職者の権利保護に十分配慮している、そのための手続的な担保というようなことで、内閣総理大臣総務庁各省庁から事前に通知を受ける制度の統一的な運用を確保するとか、あるいは、処分を行う場合には処分を受けるべき者から事前に事情等を十分聞くような、いわゆる弁明の機会というようなものを必ず設けるとか、処分を受けるべき者に処分説明書を通知する、あるいは不服申し立ての制度というようなものも、通常の不服申し立て、異議申し立てよりも十分に配慮した形での規定を整備したところでございます。  そういうことで、退職者の権利が不当に侵害されるというようなことは起こり得ないもの、こういうふうに考えておりますし、あってはならぬもの、こういうふうに考えております。  仮にも、無実の者に対して過って一時差しとめが行われたときにどうなんだ、こういうことでございますが、そういうようなことで、不当な侵害というようなものは起こらないということを私ども希望しておりますし、そういうふうに制度を運用していかなければならないと誓っているわけでございますけれども、人間でございますから間違いというようなこともあります。そういう場合には、一時差しめ処分を受けた者へ直ちに退職手当等を支払う、それで、一時差しめ処分の実施が誤ったものであったとき各省各庁の長に故意あるいは過失というようなものがあれば、当然、国家賠償法の規定に基づきまして、一時差しめ処分を受けた者に対して損害賠償責任を負うというようなことになると存じます。
  154. 深田肇

    ○深田委員 もう時間が来てしまったので、お話ができないのが残念でありますが、お話の中にも出ましたとおり、文献の中にも、いわゆる在職者のこともこれから検討課題のように人事院もおっしゃっているようでございますから、ぜひひとつ在職者のことをこれから新たにこれに関連する法律をつくろうというときにはよりより慎重にやっていただいて、よりよりその全体が討論に参加できるような場所を与えていただいて、二、三日前にこういうやりとりをして、現場でこんなことを言わなくていいようにしてもらうことが必要だと思いますので、ぜひひとつ人事院の御理解ある御判断を賜ると同時に、長官の方におかれましては、ぜひぜひよろしくお願いをしておきたい、こう思っている次第でございます。  お言葉いただければ一番ありがたいのでありますが、以上申し上げて、私の方は終わりたいと思います。ありがとうございました。
  155. 伊藤忠治

    伊藤委員長 奥田敬和君。
  156. 奥田敬和

    ○奥田(敬)委員 太陽党の奥田敬和でございます。  しんがりに立つわけでありますが、この二法案審議には基本的に賛成でございます。きょうは、そういった意味で、少し関連して、脱線するかもしれませんけれども大臣の所見を中心としながら質問を進めてまいりたいと思っております。  まず最初のこの任期つき研究員採用に関する法律案でございますが、私は、二十一世紀を志向いたしますときに、我が国にとって生き残りをかけた大事なテーマは、人口問題と環境問題というのが非常に大事な問題になってくると思っています。特に、御存じのとおり、全く少資源国で、資源のない国でございますし、しかも世界の環境関係は、温暖化を含めて大変劣悪な条件下になっていくだろう。そういったときに、こういった地球規模の環境、これに貢献していく我が国という立場。  また他方、人口問題で、一年に一億近く世界人口はふえ続けておりますね。恐らく、二〇五〇年を待たずして、百億の人口突破ということもそんなに遠くない。私たちがいなくても、確実にこれだけは幾何級数的に百億人口に到達するだろう。他方、我が国の立場はどうだというと、二〇二〇年ぐらいをピークにして、恐らく相当なスピードで減少を起こしてくる。人口減少、少子化、高齢化という超高齢化時代を迎えるということになろうかと思います。  そういった等々のことを考えますと、先ほど申しましたように科学立国、いわゆる資源のない我が国の、しかも少なくできた子供たちを優秀な人材に育てていく、そして今までの量産製造のそういった形の工業国ではなくて、付加価値の高い技術というもので、基礎技術を含めて世界に貢献するといった形で、科学立国が二十一世紀テーマの、一つの国の基本的な進む方向でなければならぬなと思っておるわけでございます。したがって、今回の法案は、そういった意味合いにおいて、非常に基礎技術を含めた選択の幅の広い形での任期、期限つきと申しますか、研究員の採用になっているわけでありますが、私は、これはこれなりに大変我が意を得たりという気持ちで実はおります。  なぜそういうことを申しますかといいますと、私は過去において自民党時代を通じてずっとサンシャイン議員連盟で亀岡高夫先生と一緒にやっておりまして、ついやめるまではサンシャイン議員連盟の会長をやっておりました。そういった形で、この先端技術を含めてのそういった形については、私の政治的行動の一つの中心に据えておったくらい関心を持ち続けておったからであります。したがって、今度のこの法案趣旨が、大臣の御所見を承りたいわけでありますが、外国技術者、優秀な若手の頭脳というものを幅広く受け入れる、そういう雅量も必要だと思います。  なぜかと申しますと、私たちの世代の若い優秀な、原子力を含めての先端技術を進んでおった、東京大学、各大学を初めとして優秀な頭脳技術者は、ほとんどアメリカに行っております。もちろん、アメリカで勉強してノーベル賞を得られた方もいらっしゃいますけれども、それに近い我が国の誇る頭脳は、ほとんどアメリカで基礎技術研究を含めやっておったという経緯がございます。ですから、次の時代は、日本が幅広く、アジアといわずヨーロッパといわず、いわゆる技術連携において若い研究者を幅広く受け入れて、共同研究で、そういった形で成果を上げていくということも非常に大事なことではなかろうかと思っております。  非常に前段が長くなりましたけれども、今回の法案に当たりまして、大臣もこういった科学技術の面については大変熱心でおられたこともよく承知しておりますし、この法案のもたらす、目指す方向と申しますか、そういう点に関して大臣の御所見をこの機会に承れれば大変幸いだと思います。
  157. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 奥田委員も、私と本当に一緒になってサンシャインの問題をいろいろやってこられたかつてのお仲間でございますから、そのお仲間からこういう御質問をいただくのは大変恐縮でございますけれども、正直、先ほども申し上げましたが、本当にこれからの二十一世紀の日本というのは、今御指摘のとおりで、なかなか昔のようにどんどん人口がふえ、若い労働者がどんどん出てきて、しかも経済成長もまだまだこれからやっていけるというような段階ではなくて、逆にもう成熟した社会になってきてしまいました。  そういう中でどう伸びていくかといえば、やはり新しい技術、その根拠となる理論をつくり出していかなければいけないのじゃなかろうか。そして、そのでき上がった科学技術を大いに活用して、そしてより新しい商品をつくり上げていくということをしていかなければいけないし、また今たまたまサンシャインのお話がございましたが、例えばエネルギーにいたしましても、やはり新エネルギーの開発は、もう二十年ぐらい前から言われていても、これといった思い切ったエネルギーがなかなか開発されてきていない。依然として二十年前と同じような形の原子力なり水力なり火力なりあるいはLNGといったようなものを使った、火力も含めてでございますが、そういう形に依存している電力の状況でございます。  例えばもう一つ言えば、この間うちも郵政省が光ファイバーで思い切って全国ネットをやろうとしておりますが、たまたま私が今勉強しておりまして、ADSL、このADSLを活用すれば光ファイバーを全部各一軒一軒の世帯にまで持っていかなくても、現在の電話線と光ファイバーで結べば、たしか郵政省は六十兆ぐらいかかるというのが十五兆ぐらいで済むというような話も聞いておるわけでございますが、郵政省はこのADSLの研究というものには相当まだおくれているようでございます。やはりこれもアメリカの方が進んでいるように私は承知をいたしておるわけでございます。  そんなことも考えてまいりますと、かつてアメリカは非常に日本理解があって、どんどん技術あるいは知識を、それはパテント料を払ったかもしれませんけれども、どんどん導入がしやすかったのでございますが、ここへ参りますと、必ずしもかつてのような形にはスムーズに入ってきていないという現状ではなかろうかと私は思います。それを考えますと、本当に日本人自身がこれから科学技術をみずからの手でつくり出していかなければいけない。  そういうことを考えましたときに、今御指摘のとおり、逆に日本からどんどん技術屋さんあるいは学者が頭脳流出をしてしまった。そうすると今度は逆にこちらは、外国の人をも含めて、優秀な技術を持っている方、優秀な理論を持っておられる方、そういう方に、やはり民間ではなかなかできないような、ある程度コストをかけて、将来の開発というものに対するものは、そういうリスクを負うものはやはり国である程度やっていかなければいけないのではなかろうか。  そういうものをやっていくためには、民間の方にもお入りをいただいて、民間になかなかできにくいことを、今まで、先ほどもおっしゃいました産官学でやっておりましてもやはり限界はございますから、やはりそういう方に御一緒になっていただいて、そしていろいろの新しいものをつくり出していくということが必要ではないかと思って、このようなことをお願いをしたということでございます。
  158. 奥田敬和

    ○奥田(敬)委員 大臣の御所見を伺って、全く共感をしております。  きょうは工業技術院からだれか——それでは早速、工業技術院の方からお見えになっていただいているようですから、あなたはエンジニアですか。
  159. 足立芳寛

    ○足立説明員 はい、そうでございます。
  160. 奥田敬和

    ○奥田(敬)委員 なぜ確認したかというと、文官の方だともう大体私と同じ程度の知識で、受け売りになってしまいますから。  やはり今度の法案に当たって、いわゆる基礎技術研究に一生懸命やっておられる立場を代表されて、今度の法案がそういった面では、民間技術あるいは招聘型のそういった大事な研究の先生方を含めて非常に幅広い選択が可能になってくるだろう、そしてこの法案によって恐らく国民の期待にこたえるような、技術開発において大いに役立つということで、皆さんの立場から率直にこの法案に対する評価というか、それを話していただきたいなと思っています。科学技術者の立場として、夢を交えてもいいですから、そうかといって話が余り大きくなって実現しないような話では困りますけれども、そういった展望も含めて、この法案に対するあなたの率直な感想を述べていただけませんか。
  161. 足立芳寛

    ○足立説明員 お答えさせていただきます。  先ほど例に出ましたエネルギー関係で、私どもニューサンシャイン計画という名のもとに、国立の研究機関、大学、産業界連携いたしましてエネルギー技術の実用化に向けた研究開発を進めているところでございます。このニューサンシャイン計画を例にとりまして、この法案につきましての御意見を申し上げたいと思います。  本法案の目指されておるところの一般職の研究員の採用等にかかわる新制度の導入によりまして、国内を問わず、また外国も含めましてすぐれた研究者または若手の研究者を国立の研究所の研究員として採用することが可能となります。ニューサンシャイン計画におきましても、これらの方々がプロジェクトへ参画されるということで、よりプロジェクトの効率的な推進が進められるというふうに考えております。  このニューサンシャイン計画につきまして、一つだけ例を挙げまして現状の計画の進捗度合いについて御報告をさせていただきたいわけでございます。  ニューサンシャインという、新しいエネルギーの導入に関しまして、例えば太陽光発電技術につきましては一層の低コスト化、効率化を目指した技術開発を進めているところでございますが、現在のところ、研究開発開始時点から見ますと製造コストが約三十分の一に低下いたしました。既に開発された技術によりまして、一般家庭におきまして太陽光発電システムというものが実用化の段階を迎えつつございます。  しかしながら、なおこの太陽光発電のコストというのは既存のエネルギーに比べましてまだ割高の面がございます。そのような経済的な制約を克服し、さらなる低コスト、高効率を進めるというために、少し専門的でございますが、薄膜の太陽電池の製造技術の開発を今進めているところでございます。これらの技術の導入の際に、研究員に先ほどのような新しい方が参画されるということで、産学官の研究者がより一層緊密な連携をとりつつ技術開発を進めることが可能になるものと考えているところでございます。
  162. 奥田敬和

    ○奥田(敬)委員 今太陽光発電に関する形については、確かに三分の一にコストの低減化、効率化という形で大きな成果を上げられていることは私も十分認めます。これからの未来に関する技術開発ですから、世界の先頭を進んでおられる形を堅持して、さらに効率化といいますか、それでコストを安くする形でやってほしいと願っております。  ついでにお聞きするのですけれども、電気自動車とか何か水素利用の自動車とか今新しいいろいろなことが進んでおりますね。最近、いわゆる無公害という形の中で、官公庁で電気の自動車なんか採用していただいておりますけれども、つい最近の情報では、走行距離は大体四百キロを目指している、あるいはバッテリーの軽量化を図って、スピードは大体百二十キロぐらいは確保できる等々の夢が夢ではなくなりつつある現況のようでございますから、簡単でございますけれども、これらについては一分間ほどで。  そして、特に今水素利用で我が国は非常に先に進んでいますね。カナダなんかは水力も電力も、余剰電力は豊富ですから、水素を、製造は向こうでしてそれで船で貯蔵して運んで、日本でそれをいわゆる無公害エネルギーとして、これは非常に将来かける核融合の技術、それ以前に私は実用化できるエネルギーじゃなかろうかと期待しているわけですけれども、これらに関して、この機会ですから、もう本当に簡単でエキスだけでいいですから。余り詳しく言ってもこっちはわかりませんから、エキスだけ。
  163. 足立芳寛

    ○足立説明員 今御指摘ございましたバッテリー、電池につきましては、太陽エネルギーの貯蔵でございますとか自動車用のバッテリー等に非常に有望と思われております高性能のリチウム電池というものを開発しております。このリチウム電池と申しますのは、通常我々が使っております鉛電池という通常の電池の三倍から五倍の高性能なものが期待されているものでございまして、現在のところ電池の容量、少し専門的でございますが、これが三百六十ワット時という、世界最大級の貯蔵容量のものを開発したところでございまして、さらに実用化に向けて研究開発を進めているところでございます。  さらに、御指摘のございました水素というものでございますが、今お話ございましたように、水素というのは燃焼をした後水しか発生しないというものでございまして、ある意味で究極のクリーンなエネルギーでございます。この水素の研究につきましても、現在のところ、水素というのは逆に製造する際には水を電気分解するということになるわけでございますが、この電気分解の効率が九〇%という、世界のトップレベルの電極の開発を現在進めているところでございます。  そういう意味で、新しい究極のエネルギー、また無公害型のエネルギーということで、水素エネルギーというものの輸送、貯蔵、利用技術につきまして研究を進めているところでございます。
  164. 奥田敬和

    ○奥田(敬)委員 次に、国家公務員退職手当法に関する改正案に関連いたしまして、特にこれは大臣に、差し支えない範囲でお話しできたら御意見を聞きたいのですけれども。  過日の新聞で拝見したのですが、秋の臨時国会になろうと思いますけれども、いわゆる高級官僚の人事、人事権はもちろん大臣にあるわけですが、これは今のところ、従来とも了解事項ですね。これを閣議における承認案件に持っていきたいというような動きが部内で進んでおられるようですけれども大臣などは当然御相談にあずかられておるのだと思います。  なぜ、了承大事からいわゆる承認人事の方に持っていこうという形に、閣内の統一とリーダーシップとか、当面行革を控えておる等々、懸案の問題山積、こういう形の中で恐らくそういった形の検討が行われているのではないかなと思っておるのですが、これに関して、大臣、できれば大臣の所見も交えて、まだ法案準備中でございましょうから、もし御意見が例えればお話しいただきたいなと思っています。
  165. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 これは、どちらかというと私どもからの提言ではなくて、官邸機能強化の一環として官邸の方から御提言がございまして、私どもの閣議では了解をいたしておるわけでございます。  まだ詳しいところまでは承知をいたしておりませんけれども、官房副長官その他が中心となった一つの、官邸の中で審査をするような機関をつくりまして、近い将来においてこれは法律にするのか、そこまでも私は聞いておりません。あるいはそういう一つの了解のもとに進めるのか、その辺のところは聞いておりませんが、いずれにしても、官邸の方でこの方向が決まりますれば、各省庁の局長以上の大事についてはそこでチェックをしてから閣議にかける、こういう形にしていこうではないかというふうに大体この間の話は承知いたしておるわけでございます。
  166. 奥田敬和

    ○奥田(敬)委員 しかし、これは大臣、本当にあなたのような実力を持って今まで長い政治経歴の中から、経験の中から、苦労されている立場からいうと、これは非常に大事なことだと思うのです。  それは、当面は官邸機能の強化、リーダーシップというきれいな言葉で言われますけれども、人事権が単に了解事項であるときには他省庁の閣僚が大事にいちゃもんをつけるようなことはありませんが、こうなると、そういった形の八万美人型の役人が、結局、むしろ自分の直属の大臣の命を聞くというよりも、他省庁の大臣なり総理官房を含めての、そちらにやはり顔を向けるというような風潮が出てこやせぬかということを恐れるわけです。  ということは、私もいろいろな閣僚経験の中から、省人事をきっちり持ってこそ大臣の権限があって威令が少しは通るという形になっていくわけですけれども、はっきり言って、人事権がいわゆる閣議承認とかということになると、これは本当に人事権のない社長と一緒で、最近もそういう例がありますけれども、社長に人事権がないという形の中で、いろいろなトラブル、紛争が大きな企業の中でも行われております。  まさにこの人事権のない、人事権が中途半端な社長とか、そういった形で、ほかの人の意見、顔色を見なければいかぬという形の中で、いわゆる大臣が所管事項に関して責任を全うしていくという形はなかなか難しくなってくるのではないかな、軽く見られるようになるのではないかな、そういうおそれを抱く一人でございます。  ですから、この公務員改正に当たっては、やはり私も今ここで賛否をはっきりするという形ではありません、まだ法案化されてないわけですから。ですけれども、もちろんその前に、大臣との御相談の中でそういった法案提出の準備に至ると思いますけれども、これはもろ刃のやいばで、やはり非常に慎重にやっていただく問題ではなかろうかなと。  官邸なり総理の権限強化ということになれば、むしろ大臣を任命するときにしっかりした形でいわゆる全責任をお任せする。かつて佐藤総理が人事の佐藤と言われたように、閣僚人事の任命に当たっては、余人を交えず、自分が沈思黙考の中で、本当にその衝に役立つ有能な人材であるかどうかということで非常に呻吟されたという形の中で、私はそれくらい閣僚ポストというのは重いものだと思っています。  ですから、任命した大臣にまた人事承認を求めるような、そんなことではなくて、むしろ閣僚任命のときに、こういったことは今はもう時代おくれになっているのかもしれませんけれども、私どもの目から見ればところてん式な人事で安易にやって、そしてこういう面で締めていくというと、官邸機能の強化はさることながら、それが非常に独裁的な形になっていく形を恐れる、そういった面もございます。  その点について、大臣の御所見を伺うのはちょっと無理かもしれませんが、もしできたら、慎重にやってほしいなという私の願いに関してどうお考えでしょうか。
  167. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 今度その制度になりましても、それぞれの省庁の任命権がそれぞれの省庁の責任者である大臣にあることは、これは変わりないわけでございます。ですから、今、御心配いただきます点は、そのそれぞれの省庁の責任者が今まで以上に、やはり、要は全く白紙で向こうへ出すわけではございませんので、候補者を出してそれをどうかというチェックをするということになっておるわけでございますから、その候補者を出すときに、その省庁の責任者がこれなら間違いないという者を出すようにすれば、結果的に任命権者の希望どおりに私はなると思うのでございます。  その辺は、ですから、先生も閣僚経験が何回もありますが、私ども、そういう面では、閣僚たる者が、大臣たる者が、今まで以上にしっかりした、まあ今までは、どちらかというと事務次官以下のある程度の案を、大体、よほどのことでない限りそれを認めてきたわけでございますが、これからは、たとえ事務次官からこんなような相談があっても、やはり、しっかりして、これは大丈夫かというような形で選んでいくということになるわけでございますから、その辺は、考えようによっては官邸の強化に一部なるかもしれませんが、任命権者であるそれぞれの大臣がより大事についてしっかりした考え方を持つということになっていけば、これまたいい方向にいくのではないかというふうに私は考えております。
  168. 奥田敬和

    ○奥田(敬)委員 昨年暮れの次官会議申し合わせで、いわゆる綱紀の粛正、官僚に対する信頼回復ということで、各省皆さんの方から示されたマニュアルに従って、今、倫理規程をつくられたようでございますから、最後にこれに関して質問しようと思ったわけでございますが、もう私の割り当てられた時間が参りましたので、省略をいたします。  ただ、この参考資料の中で、私は、こんな難しい言葉を使うのが当たり前だと思っておられるのかなと思ってちょっとあれなんですけれども皆さんの方からいただいた資料の中で、飲み食いはいかぬ、関係業者とこれはいかぬと細かく書いてありますね。本当にこんなことは言わずもがなのことですけれども、これを文章にするとこんな細かいことになるのかなと思う形。これは、恐らく各省庁の訓令でやっておられるのだと思いますから、これ以上追及しません。  ただ、「藉口行為の取扱い」。便宜的な口をかりた行為、藉口なんてこんな難しい字。こういった言葉遣いというものから少し頭を切りかえて、もうちょっとわかりやすいようにしていきなさいよ。仮名まじりの法律の批判をする前に、やはりこういったことも、これは、単に一つ各省庁に示される倫理規程を恐らく総務庁でつくられてこうしていった問題だろう。知らぬけれども、余り昔の漢学者でも使わぬような言葉を、できるだけ、もっと簡易平明な形で意をあらわすようにしていただきたいなと思っています。  時間が参ったようでございますから、質問を中途半端で切り上げますけれども、ひとつ頑張っていただきたいと思います。終わります。
  169. 伊藤忠治

    伊藤委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  170. 伊藤忠治

    伊藤委員長 一般職任期付研究員採用給与及び勤務時間の特例に関する法律案について討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。木島日出夫君。
  171. 木島日出夫

    ○木島委員 日本共産党を代表して、一般職任期付研究員採用給与及び勤務時間の特例に関する法律案に対する反対討論を行います。  本法案は、国の研究職公務員に対して任期を限った採用ができるようにしようというものであります。しかし、その内容は、招聘する研究者や育成しようとする若手研究者を現在の定員の枠外で採用するのではなく、現在の研究者の定員に食い込む形で採用することになっています。しかも、任期つき研究者が定員全体の何割を占めるのか、 それに対する上限の歯どめもありません。研究職員の半数を任期つき研究者で埋めるようにしたいなどと幹部が公言している研究機関さえ出ています。  以下、反対の理由を述べます。  第一に、研究公務員の短期の任期制の導入は、我が国の科学技術研究を活性化させるどころか、逆に、混乱と後退を招く危険が大きいということであります。  それは、目先の成果を追い求めざるを得ない任期つき研究者採用数に比例して身分保障のある一般研究者採用数が削減される結果、我が国の将来にとって極めて大事な基礎研究の体制が圧迫され、後退してしまうおそれが大きいからであります。  第二に、若生育成任期制は、研究者生活の中で一回に限られ、しかも、任期制での再任はあり得ないとされています。  今回の制度では、育成した人材をどう活用するのかの制度的保障は全くありません。総定員の削減が進められている現状では、二十歳代から三十歳代の最もフレッシュで創造的な研究ができる時期だけ使われ、任期が終われば自動的に出ていかざるを得ないという、まさに使い捨てであります。しかも、公務員の任用に当たって期限を切ってはならないという現行国家公務員制度の基本原則が曲げられ、国民に奉仕する行政に求められている公務の継続性、安定性、公平中立性がゆがめられることになります。  第三に、任期終了後の再就職のために、営利企業への天下り制限の緩和の動きに見られるふうに、科学研究分野での大企業奉仕が拡大される危険もあり、逆に、国民の安全を守る基礎研究がおろそかにされるおそれが大きいことであります。  我が国の科学技術の活性化を本当に図るためには、研究公務員とこれを支える公務員の大幅定員増、研究予算の大幅増額、研究員の学会参加の保障など、自主的、民主的研究条件の環境整備などが急務だと考えますが、本法案はそれに逆行することになります。  最後に、国立試験研究機関の多くの研究者から、この法案に対して重大な危惧の声が出ています。ところが、研究関係者らから意見を聞くための参考人招致も行わず、たった一日だけの審議で通過させようというのは、立法機関たる国会の役割からも、また、今後の我が国の科学技術の発展の上からも、決して容認できるものではないということを強調し、反対討論を終わります。(拍手)
  172. 伊藤忠治

    伊藤委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  173. 伊藤忠治

    伊藤委員長 一般職任期付研究員採用給与及び勤務時間の特例に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  174. 伊藤忠治

    伊藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律案について討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  175. 伊藤忠治

    伊藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  176. 伊藤忠治

    伊藤委員長 この際、一般職任期付研究員採用給与及び勤務時間の特例に関する法律案に対し、赤城徳彦君外五名から、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を聴取いたします。赤城徳彦君。
  177. 赤城徳彦

    ○赤城委員 ただいま議題となりました自由民主党、新進党、民主党、社会民主党・市民連合、太陽党及び遠藤武彦君の共同提案に係る附帯決議案につきまして、提案者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     一般職任期付研究員採用給与及び勤務時間の特例に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府並びに人事院は、次の事項について適切な措置を講ずべきである。  一 試験研究機関等の業務が円滑かつ効果的に行われるよう、任期付研究員職務内容職員間の均衡等に留意しつつ、研究資金の確保など適切な研究環境の整備に努めること。  一 任期付研究員採用に当たっては、選考を公正・適正に行うこと。  一 研究業務の能率的な遂行に必要な場合に認められる招へい任期付研究員裁量勤務制の運用に当たっては、その自主性を尊重すること。  一 研究活動の活性化をより一層図るため、優秀な研究員及び外国人研究員の採用を積極的に行えるよう、処遇改善について十分配慮すること。  一 科学技術創造立国を目指し、柔軟で競争的な研究開発環境の実現をより一層図るため、本制度については、法施行後の状況を踏まえ、必要に応じ、所要の検討を行うこと。  本案の趣旨につきましては、当委員会における質疑を通じて既に明らかになっていることと存じますので、説明は省略させていただきます。  よろしく御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  178. 伊藤忠治

    伊藤委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  179. 伊藤忠治

    伊藤委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  次に、国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律案に対し、赤城徳彦君外六名から、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を聴取いたします。赤城徳彦君。
  180. 赤城徳彦

    ○赤城委員 ただいま議題となりました自由民主党、新進党、民主党、日本共産党、社会民主党・市民連合、太陽党及び遠藤武彦君の共同提案に係る附帯決議案につきまして、提案者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府並びに人事院は、本法の施行に当たり、次の事項について善処すべきである。  一 昨今の一部省庁の幹部職員不祥事及びいわゆる官官接待問題等に対する批判にかんがみ、行政及び公務員に対する国民信頼を確保するための措置を引き続き検討すること。  一 一時差止制度等の運用に当たっては、退職手当制度及び期末・勤勉手当制度趣旨を考慮し、退職者の権利を不当に侵害することのないようにすること。  一 出向し復帰した職員に対する懲戒処分のあり方については、懲戒権の空白が生じないよう引き続き検討を進めること。  一 社会経済情勢の変化に対応し、公務員制度の見直しを早急に進めること。  本案の趣旨につきましては、当委員会における質疑を通じて既に明らかになっていることと存じますので、説明は省略させていただきます。  よろしく御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  181. 伊藤忠治

    伊藤委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  182. 伊藤忠治

    伊藤委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、総務庁長官から発言を求められており ますので、これを許します。武藤総務庁長官
  183. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 ただいまの一般職任期付研究員採用給与及び勤務時間の特例に関する法律案に対する附帯決議及び国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきましては、その御趣旨に沿いまして努力してまいりたいと存じます。     —————————————
  184. 伊藤忠治

    伊藤委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  185. 伊藤忠治

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  186. 伊藤忠治

    伊藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十四分散会      ————◇—————