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1997-03-06 第140回国会 衆議院 内閣委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年三月六日(木曜日)     午前九時一分開議 出席委員   委員長 伊藤 忠治君    理事 赤城 徳彦君 理事 岸田 文雄君    理事 熊代 昭彦君 理事 御法川英文君    理事 倉田 栄喜君 理事 西村 眞悟君    理事 金田 誠一君 理事 木島日出夫君       小川  元君    大野 松茂君       大村 秀章君    菅  義偉君       虎島 和夫君    野田  実君       桧田  仁君    平沢 勝栄君       渡辺 博道君    石井 啓一君       石田幸四郎君    鹿野 道彦君       鈴木 淑夫君    中野 寛成君       池端 清一君    松本 惟子君       瀬古由起子君    深田  肇君       奥田 敬和君    遠藤 武彦君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (内閣官房長官)梶山 静六君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 武藤 嘉文君  出席政府委員         人事院事務総局         管理局長    尾木  雄君         内閣総理大臣官         房審議官    安藤 昌弘君         内閣総理大臣官         房管理室長   榊   誠君         総務政務次官  野田  実君         総務庁行政管理         局長      陶山  晧君         総務庁恩給局長 桑原  博君         法務省民事局長 濱崎 恭生君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房男女共同参画         室長      名取はにわ君         警察庁警備局外         事課長     米村 敏朗君         外務大臣官房領         事移住部邦人保         護課邦人特別対         策室長     長谷川 晋君         厚生省社会・援         護局保護課長  西沢 英雄君         内閣委員会調査         室長      新倉 紀一君     ――――――――――――― 委員の異動 二月十四日  辞任         補欠選任   瀬古由起子君     不破 哲三君 三月六日  辞任         補欠選任   池端 清一君     松本 惟子君   不破 哲三君     瀬古由起子君 同日  辞任         補欠選任   松本 惟子君     池端 清一君     ――――――――――――― 二月十七日  恩給法等の一部を改正する法律案内閣提出第  四号) 同月二十五日  男女共同参画審議会設置法案内閣提出第一八  号)  地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別  措置に関する法律の一部を改正する法律案(内  閣提出第一九号)  総務庁設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二〇号) 同月六日  元日赤救護看護婦に対する慰労給付金に関する  請願木島日出夫紹介)(第一号)  恩給欠格者救済に関する請願増田敏男君紹  介)(第三一号)  同(三沢淳紹介)(第三二号)  同(逢沢一郎紹介)(第六三号)  同(青木宏之紹介)(第六四号)  同(伊藤英成紹介)(第六五号)  同(大村秀章紹介)(第六六号)  同(木村隆秀紹介)(第六七号)  同(久野統一郎紹介)(第六八号)  同(佐々木洋平紹介)(第六九号)  同(玉沢徳一郎紹介)(第七〇号)  同(岩永峯一紹介)(第九四号)  同(大野松茂紹介)(第九五号)  同(河村たかし紹介)(第九六号)  同(古賀誠紹介)(第九七号)  同(大野松茂紹介)(第一〇四号)  同(福永信彦紹介)(第一〇五号)  同(宮下創平紹介)(第一〇六号)  同(青山丘紹介)(第一二六号)  同(江崎鐵磨紹介)(第一二七号)  同(高村正彦紹介)(第一二八号)  同(鈴木俊一紹介)(第一二九号)  同(島聡紹介)(第一四一号)  公務員定年延長等に関する請願北村直人君  紹介)(第一四〇号) 同月二十一日  恩給欠格者救済に関する請願愛野興一郎君  紹介)(第一五三号)  同(愛野興一郎紹介)(第一七〇号)  同(大野松茂紹介)(第一七一号)  同(草川昭三紹介)(第一七二号)  同(愛野興一郎紹介)(第一八七号)  同(自見庄三郎君紹介)(第一八八号)  同(愛野興一郎紹介)(第一九一号)  同(海部俊樹紹介)(第一九二号)  同(金子原二郎紹介)(第一九三号)  同(虎島和夫紹介)(第一九四号)  同(山口泰明紹介)(第一九五号)  同(愛野興一郎紹介)(第二〇一号)  同(遠藤利明紹介)(第二〇二号)  同(近江巳記夫紹介)(第二〇三号)  同(保利耕輔君紹介)(第二二〇号)  同(目片信紹介)(第二二一号)  同(浅野勝人紹介)(第二五六号)  同(河村建夫紹介)(第二五七号)  同(古賀正浩紹介)(第二五八号)  同(二階俊博君紹介)(第二五九号)  同(森英介紹介)(第二六〇号)  同(鹿野道彦紹介)(第二七八号)  同(古賀正浩紹介)(第二七九号)  同(関谷勝嗣君紹介)(第二八〇号)  同(松下忠洋紹介)(第二八一号)  同(山本公一紹介)(第二八二号)  同(石橋一弥紹介)(第二八九号)  同(住博司紹介)(第二九〇号)  同(橘康太郎紹介)(第二九一号)  同(長勢甚遠君紹介)(第二九二号)  同(松岡利勝紹介)(第二九三号)  公務員定年延長等に関する請願今田保典君  紹介)(第一五四号)  元日赤救護看護婦に対する慰労給付金に関する  請願虎島和夫紹介)(第一九〇号)  同(藤田スミ紹介)(第二五五号)  同(野田聖子紹介)(第二八八号) 同月二十八日  元日赤救護看護婦に対する慰労給付金に関する  請願畑英次郎紹介)(第三一三号)  同(金子満原紹介)(第四三五号)  同(児玉健次紹介)(第四三六号)  同(寺前巖紹介)(第四三七号)  同(穂積良行紹介)(第四三八号)  同(正森成二君紹介)(第四三九号)  恩給欠格者救済に関する請願石田幸四郎君  紹介)(第三一四号)  同(遠藤武彦紹介)(第三一五号)  同(久間章生紹介)(第三一六号)  同(桑原豊紹介)(第三一七号)  同(萩山教嚴君紹介)(第三一八号)  同(土屋品子紹介)(第三四三号)  同(中村正三郎紹介)(第三四四号)  同(西田司紹介)(第三四五号)  同(金子原二郎紹介)(第三九七号)  同(虎島和夫紹介)(第三九八号)  同(葉梨信行紹介)(第三九九号)  同(吉田六左エ門紹介)(第四〇〇号)  同(桜井新紹介)(第四一六号)  同(田中眞紀子紹介)(第四一七号)  同(中谷元紹介)(第四一八号)  同(中山利生紹介)(第四一九号)  同(葉梨信行紹介)(第四二〇号)  同(浜田靖一君紹介)(第四二一号)  同(遠藤利明紹介)(第四四〇号)  同(中山利生紹介)(第四四一号) 三月六日  元日赤救護看護婦に対する慰労給付金に関する  請願今田保典紹介)(第四六五号)  同(志位和夫紹介)(第四六六号)  同(日野市朗紹介)(第四六七号)  同(穂積良行紹介)(第四六八号)  同(木島日出夫紹介)(第五一二号)  同(穀田恵二紹介)(第五一三号)  同(瀬古由起子紹介)(第五一四号)  同(畠山健治郎紹介)(第五一五号)  同(穂積良行紹介)(第五一六号)  同(御法川英文紹介)(第五一七号)  同(石井郁子紹介)(第五五九号)  同(石田幸四郎紹介)(第五六〇号)  同(大島理森紹介)(第五六一号)  同(大森猛紹介)(第五六二号)  同(金子満広紹介)(第五六三号)  同(木島日出夫紹介)(第五六四号)  同(児玉健次紹介)(第五六五号)  同(穀田恵二紹介)(第五六六号)  同(佐々木憲昭紹介)(第五六七号)  同(佐々木陸海紹介)(第五六八号)  同(志位和夫紹介)(第五六九号)  同(瀬古由起子紹介)(第五七〇号)  同(辻第一君紹介)(第五七一号)  同(寺前巖紹介)(第五七二号)  同(中路雅弘紹介)(第五七三号)  同(中島武敏紹介)(第五七四号)  同(畠山健治郎紹介)(第五七五号)  同(春名直章紹介)(第五七六号)  同(東中光雄紹介)(第五七七号)  同(平賀高成紹介)(第五七八号)  同(不破哲三紹介)(第五七九号)  同(藤木洋子紹介)(第五八〇号)  同(藤田スミ紹介)(第五八一号)  同(古堅実吉紹介)(第五八二号)  同(正森成二君紹介)(第五八三号)  同(松本善明紹介)(第五八四号)  同(御法川英文紹介)(第五八五号)  同(矢島恒夫紹介)(第五八六号)  同(山原健二郎紹介)(第五八七号)  同(吉井英勝紹介)(第五八八号)  恩給欠格者救済に関する請願村上誠一郎君  紹介)(第四六九号)  同(綿貫民輔紹介)(第四七〇号)  同(麻生太郎紹介)(第五八九号)  同(高鳥修紹介)(第五九〇号)  同(谷畑孝紹介)(第五九一号)  同(額賀福志郎紹介)(第五九二号)  同(福島豊紹介)(第五九三号)  同(村田敬次郎紹介)(第五九四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 二月十七日  非核法制定に関する陳情書外一件  (第一号)  市民活動促進支援法制定に関する陳情書  (第  二号)  国家公務員綱紀粛正に関する陳情書外五件  (第三号)  青少年の健全育成に関する陳情書外一件  (第四号)  アイヌの人たちに係る新たな施策の早期確立と  立法措置に関する陳情書  (第五号) 三月六日  研究業務に従事する一般職職員の任期を定め  た採用等に関する法律制定についての意見  国と民間企業との間の人事交流を適正に実施す  るための一般職職員身分等の取扱いに関す  る法律制定についての意見 は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  恩給法等の一部を改正する法律案内閣提出第  四号)  男女共同参画審議会設置法案内閣提出第一八  号)  国家公務員法の一部を改正する法律案起草の件      ――――◇―――――
  2. 伊藤忠治

    伊藤委員長 これより会議を開きます。  恩給法等の一部を改正する法律案議題としま  す。  趣旨説明を聴取いたします。武藤総務庁長官  。     —————————————  恩給法等の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 ただいま議題となりました恩給法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  この法律案は、最近の経済情勢等にかんがみ、恩給年額及び各種加算額増額することなどにより、恩給受給者に対する処遇改善を図ろうとするものであります。  次に、この法律案概要について御説明を申し上げます。  この法律案による措置の第一点は、恩給年額増額であります。  これは、平成八年における公務員給与改定消費者物価動向その他の諸事情を総合勘案し、平成九年四月分から、恩給年額を〇・八五%引き上げようとするものであります。  第二点は、遺族加算及び寡婦加算年額増額であります。  これは、遺族加算年額について、戦没者遺族等に対する処遇改善を図るため、平成九年四月分から、公務関係扶助料に係るものにあっては十三万三千八百円に、傷病者遺族特別年金に係るものにあっては八万六千五百十円にそれぞれ引き上げるとともに、寡婦加算年額について、平成九年四月分から、普通扶助料を受ける六十歳以上の妻または扶養遺族である子が一人である妻に係るものにあっては十五万八百円等に引き上げようとするものであります。  第三点は、短期在職の旧軍人等仮定俸給改善であります。  これは、六十歳以上の短期在職の旧軍人に給する普通恩給またはその妻子に給する扶助料等について、老齢者寡婦などの優遇の趣旨により、平成九年四月分から、その年額の計算の基礎となる仮定俸給の格付を一号俸引き上げようとするものであります。  以上が、この法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いをいたします。
  4. 伊藤忠治

    伊藤委員長 以上で趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 伊藤忠治

    伊藤委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。倉田栄喜君。
  6. 倉田栄喜

    倉田委員 新進党の倉田です。恩給法等の一部を改正する法律案についてお尋ねをいたします。  まず、この恩給法ですけれども、明治八年に恩給制度が発足して、既に百二十年を超える歳月が経過をいたしております。改めて恩給制度現状と今後の課題について総括的にお尋ねしておきたい。特に、恩給費総額は大体どのように推移をしているのか、簡潔にお答えいただければと思います。
  7. 桑原博

    桑原政府委員 お答えいたします。  恩給制度は、官吏、旧軍人、教職員または監獄職員等一定身分を有する公務員が相当年限忠実に勤務し退職した場合や、公務のため死亡または公務による傷病のために退職した場合に、国が公務員との特別関係に基づき給付を行うものであって、いわば公務員制度一環としての意義を有するものであるとともに、国家補償的性格を有する制度でございます。  平成九年度現在の恩給受給者は百六十七万人であり、平均年齢が七十八歳という相当高齢方々であるので、恩給がそういった方々の生活や心の支えになっていることを十分考えながら対応していく必要があると考えております。  このような考えのもとに、恩給年額実質的価値維持を図る等、恩給受給者処遇改善に今後とも努力してまいりたいというふうに考えます。
  8. 倉田栄喜

  9. 桑原博

    桑原政府委員 恩給費総額は、昭和五十八年度の一兆七千三百五十八億円をピークにその後漸減してきております。平成九年度の恩給費総額は一兆四千八百九億円となっておりまして、対前年の比較をいたしますと五百七十三億円の減ということになっております。
  10. 倉田栄喜

    倉田委員 今総括的にこの恩給制度性格等々についてもお答えいただいたわけでありますけれども、もう少しわかりやすくお答えいただければと思うんですが、軍人恩給普通恩給やあるいは普通扶助料、これは、いわば戦争に従事をされた方々従軍をされた方々というのか、そういう人たちに対する国家補償である、いわゆる戦争犠牲者に対する国家補償である、これは今まで随分長い議論があったことだと思うんですけれども、受けとめ方としては、そう受けとめていいわけですか。
  11. 桑原博

    桑原政府委員 先ほども申し上げたことと多少繰り返しになりますけれども恩給というのは戦前からの公務員制度一環というものでございます。官吏とか旧軍人等一定身分を有する公務員との特別関係に基づきまして支給されているものでございまして、そういった意味国家補償的性格を有するということが言えるかと思います。
  12. 倉田栄喜

    倉田委員 これは随分長い議論があったので、このことをまた蒸し返しするつもりはありませんけれども、今総務庁長官は、やはり戦争犠牲者に対する国家補償なんだと。それだけなんだということではないかもしれませんけれども、少なくともそういう性格のものである。戦後補償、戦後という意味からすればいろいろ問題があるかもしれないのでその言葉使えないかもしれないけれども犠牲者に対する国家補償的性質を持っている、そのことはやはりきちんと押さえて対応していただかなければならない。今聞いている答弁では、何となくどうなっているのかなと思うような気がいたします。  それで、現在でもまだこの恩給請求をされておられる方がおられる。何回も何回も請求をしてはね返されている。さらに、まだ新規請求をされておられる方々もおられる。この現状はどうなっておりますか。
  13. 桑原博

    桑原政府委員 恩給請求は年々減少してきているところでありますが、本人恩給が失権した場合、その遺族に新たな恩給が支給されることとなるため、いまだ年間五万五千件もの請求がございます。  その内訳は、いわゆる遺族に対する転給請求、約四万件でございます。そのほかに、新たな恩給請求、それから傷病恩給のその後重症ということで請求をなさる方、加算改定請求等が約一万五千件でございます。  新規というのは、実は私どもの感覚からいいますと、本人から遺族転給する場合、それも一種の新規であろうかというふうに考えておりまして、請求自体は全部で五万五千件、これを一応新規というふうに考えております。
  14. 倉田栄喜

    倉田委員 長官にぜひお答えいただきたいと思うんですけれども、まだ、これだけ時間が過ぎても新たな請求がなされている、新規請求もなされている。しかし現実は、期間の経過で、例えば公的資料の散逸、あるいは傷病関係における公務との因果関係、これを立証することはなかなか実際問題、困難なんですね。もう資料集めだけに疲れてしまって、実際は、認められて支給をいただくよりもさらに莫大な労苦と費用をかけて請求をされておられる現実がある。一方で、請求者高齢化の問題がある。  法を曲げろというわけではありませんけれども、こういう現実、さらに先ほど申し上げました、この恩給制度戦争に従事された方々のいわば国家補償である、こういう性格を考えますと、請求に対してはある程度弾力的に柔軟に、余りしゃくし定規に、この書類がない、あの書類がないということでだめだと言われるのはいかがなものか、こう思うわけですけれども総務庁長官、いかがでしょうか。
  15. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 先ほど来御議論いただいておりますように、恩給国家補償的性格である、これはみんな一致している意見だと思います。そして、先ほど来議論がございますが、私は、やはりこれは二つに考えていくべきだろう。  一つは、やはり従来ございます公務員共済制度、これが発足するまでの間、国家のために、教員あるいは公務員あるいは警察職員その他で御努力をいただいてこられた方の老後の問題、老後の保障として考えていく一つ恩給制度。  いま一つは、今御指摘のありましたように、長い間、日本も戦争をやりました、その間に犠牲になられました方々の御遺族、あるいは不幸にして傷つき、病に倒れられた方々の問題、あるいは長い間軍隊の中で御苦労いただいた方々、こういった方々に対して国家補償しよう、こういうものだろうと思います。  今時に御指摘の点は後者ではなかろうか。前者の場合は割合に、国の役所にお勤めになったんですからいろいろな資料が整っておりますので必ずしも心配はないと思うんですけれども後者の場合には、正直、今御指摘のとおりで、まさか自分が戦死をすると思わなかった、家族の方にとっても自分の主人が死ぬとは思わなかった、こういう場合もあるだろうと思います。あるいは、戦時中でございますから、いろいろけがをしても、あのころの軍人精神からいけば少しでも辛抱してやはり勤める、こういう方々も私はあったんじゃなかろうかと思います。  そういう面で、案外そういう点の証拠書類というものはできていない。しかし、戦後も五十年もたっちゃった、だれか戦友に聞いてみるよと言われたって、戦友も一人もいなくなっちゃった、こういうケースが私はあるのではないかと思います。多分、御指摘の点はそういう点だろう。私は、こういう点はもっと弾力的に考えていいんじゃなかろうか。  ただ、顧問医という人がいらっしゃいまして、なかなかこの顧問医制度が私はちょっと厳し過ぎるんじゃないかと前からそう思って、この役所の私は責任者になってこういうことを言っちゃいけないのかもしれませんが、私は従来からどうも顧問医制度というのは余りにも厳し過ぎるというふうに思っておる一人でございます。できるだけ、 せっかく私もここへ参りましたので、その辺は温かい気持ちで、相手がごまかそうということになれば、これは毅然たる態度で拒絶をしなきゃなりませんけれども、本当にまじめな方がそういうお気の毒な点、しかもそれが老後に出てきた病気ならばこれはだめでございますが、やはり戦時中の傷が影響して老後になって出てきた、多少因果関係さえあれば、そういう方にはお出しをするというような形が私はいいのではなかろうかと思っておりまして、せいぜい弾力的にひとつ運用するように私は努力をしたい、こう思っております。
  16. 倉田栄喜

    倉田委員 今、長官から大変積極的な御答弁をいただきました。確かに因果関係の立証なんか本当に難しいんです。高齢化してくると、やはりいろいろなところで痛みが出てくる。それが果たして公傷であるのかどうかということは本当に難しいと思うんです。しかし、今長官からお話をいただきましたように、弾力的にさらに柔軟に、だまかそうとやっていることではないんだと思うんですね、ぜひそういうふうに対応をしていただきたいと思います。  余り時間がありませんので、急ぎますが、私のところに特に要望が来ております元日赤従軍看護婦に対する慰労給付金、これは多少性格が違う問題だということは承知をいたしておりますけれども、この増額問題、さらに十二年未満の受給欠格者、この看護婦さんの方々の問題をどう考えるか。これは恩給と違う意味措置が設けられていることも私は承知をしております。しかし、いろいろ工夫はずっとしてきていただいていることもわかっているわけですけれども、やはりまだ差がある。この点、何か考えられないかな、こう思うんですが、この点いかがですか。
  17. 榊誠

    榊政府委員 お答え申し上げます。  今先生御質問の旧日赤救護看護婦の方や、あるいは旧陸海軍従軍看護婦方々につきましては、兵役義務はなかったわけでございますが、軍の命令で戦時衛生勤務に従事された、その後も外地等に抑留された、大変な御苦労をされたということで、昭和五十三年の八月の六党合意によって慰労給付金というのが特別に設けられたということで私ども承知してございます。  確かに、恩給との間に額においては差があるわけでございますが、私どもとしても、慰労給付金実質価値維持を図っていく必要があるということで、これまでも四回にわたって増額をしているところでございます。また先般、平成六年の暮れには、与党の戦後五十年問題プロジェクトにおいても、額の改定については「消費者物価動向をより適切に反映させた措置を講ずるべきである。」こういう合意もいただいておりますので、この合意を踏まえて、今後とも実質価値維持につきまして努力させていただきたいというふうに考えているところでございます。
  18. 倉田栄喜

    倉田委員 この日赤従軍看護婦さんの方々の問題は、これは明らかに戦後補償一環の問題だとしてとらえていいんではないのか、私はこういうふうに思っているんです。  やはり、これはすべてそうですけれども兵役義務はなかったとしても、青春を非常に大きな意味で苦労をされて、犠牲を払ってこられた、そうだとすれば、この制度補償一環だとしてとらえもならば、もっと総合的に勘案して、今努力をしたい、こういうお答えでありましたけれども、実があるように対応していただきたい、これは特に要望をいたしておきたいと思います。  そこで次に、これは総務庁長官にぜひお答えいただきたいと思います。  当委員会で、この恩給法改定の場合には、大体例外なく附帯決議をつけてきております。長官も、締めくくりの最後に、善処をするというのか対応するというのか、そういうお答えをいただいておるわけであります。  昨年度の恩給法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議、これも八項目附帯決議をつけさせていただきました。前年度は、阪神・淡路大震災、この問題がありましたから、このことを最初に書いて当委員会で決議をし、また国会の決議となっている。さらに、私が今申し上げました日赤に従事をされた看護婦さんの問題でいけば、七項目めに、「戦地財務に服した旧日赤救護看護婦及び旧陸海軍従軍看護婦に対する慰労給付金について引き続き適切な措置をとること。」こういうふうに附帯決議が書いてあるわけでございますね。  もちろん当委員会でも、ことし附帯決議を付するかどうか、これはいろいろ御意見もお伺いしたし、私も考えてみたのですけれども、昨年つけた附帯決議というのが実はどれくらい善処をされたのか、対応されたのか。長官附帯決議をお読みになっていてどうですか。先回の附帯決議、どの程度実現されているとお考えになりますか。
  19. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 細かい点は後ほど事務局から御報告させますが、例えばこのうちの給付水準の引き上げとかこの辺のところは、先ほど私が趣旨説明で申し上げたとおりでございましてある程度でき上がっておると思います。また、この中には、私どもの所管ではない厚生省の所管あるいは総理府の所管もございますので、それはそれぞれで御答弁をいただきたいのでございますが、要は、やはり国会というのは最高の機関なのでございますから、今後とも、そう言ってはあれでございますが、従来、委員会を通すために何でも附帯決議をお互いに与野党で話し合ってつくってそれで通せばいいということではいけないのであって、せっかくそういうものができたならば、やはりその実現に向かって政府が努力をしていくということは私は当然の姿だと思います。  そういう点、これからも、さっと私は読ませていただいて、まだ実現していないものも現実にあるわけでございますから、できるだけ今後は、このような附帯決議をつけていただいたときには極力その実現に向かって努力をするということだけをお約束をさせていただきたいと思います。
  20. 倉田栄喜

    倉田委員 今長官から、長官のお立場でもうできる限りの御答弁を多分いただいたのだろうと私は思います。  改めて、私どももこうして委員会審議をしておりながら、附帯決議をつける、しかしその附帯決議、せっかくつけた附帯決議の結果がどうなったのということを検証しないまま、また毎年同じような附帯決議をつけていく、これではやはりならないと思うのですね。  委員会でせっかく附帯決議を付して、それで国会で法案が通っていく、そういうことであるわけでありますので、せっかく与野党一緒になって、本当に与野党一緒になって附帯決議をつけるわけでありますので、その内容については精いっぱい努力をしていただいて実現をしていただく。できなかったところについては、実はこうこうこういう理由でまだ実現に至っておりません、そういうことが御報告をいただけるように、私は大いに附帯決議意味あるものにしていただきたい、こう思っております。  最後に、長官にもう一度御答弁いただいて、私の質問を終わります。
  21. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 私も長い間国会で皆さん方と同じようにやってまいりまして、しょっちゅう附帯決議をつくるために、私はどちらかというと与党の立場でおりましたので、走り回って、ここはこうじゃないか、ああじゃないかと言って附帯決議をつくって、それを一つの口実みたいにして法律を通していただいたということは何回もございます。  しかし、それは、本当は今御指摘のように、私もそう思います。そういうことではいけないのであって、それはそれで必要なのですけれども、やはりせっかくお互い与野党で決めた以上は、そして政府は、必ずそのときの関係閣僚は、その趣旨を尊重してその実現に努力をしますと、きょうも私は多分そういうことになると思うのですけれども努力をしますと約束したらやはり努力をするべきであって、そして今御指摘のように、努力をしてもその一年間の間にはできませんでした、しかし今後は必ずもっと努力をしていきます、こういうような形になってくると、この附帯決議というものが、ただ形式じゃなくて本当にそれが実の あるものに私はなっていくと思います。  せっかく私もここへ参りましたし、これからいつまでも国会議員やれるとも思いません。せっかくのこのような附帯決議というルールをそのようなものに乗っけていくという努力をひとつぜひさせていただきたい、こう思っております。
  22. 倉田栄喜

    倉田委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  23. 伊藤忠治

    伊藤委員長 金田誠一君。
  24. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 おはようございます。民主党の金田誠一でございます。  私の場合は、時間がわずか十分なものですから、一点に絞りまして質問をさせていただきたいと思うわけでございます。  あらかじめ打ち合わせをしていたわけでも何でもないのですが、さきの倉田先生のお取り上げいただいた元日赤救護看護婦につきましての慰労給付金、これにつきまして、私の方からも質問をさせていただきたいと思うわけでございます。  実は、先般、同じように請願書が私の手元にも届きました。読ませていただきまして、なるほどもっともだなという感を深くしたわけでございます。  請願は、「かつての事変地または戦地等に勤務した、元日赤救護看護婦に対する処遇を兵の恩給に準じた措置」としていただきたいというのが趣旨でございまして、その理由は、「戦時中救護看護婦として召集をうけ、軍の命令により外地の陸、海軍病院等に配属され、戦時衛生勤務に服し、戦傷病者の救護に従事してまいりましたが、敗戦となり不本意ながら外地において長期抑留の身となり帰国後も就職は思うにまかせず、老後の不安から昭和五十年より」、この年は国際婦人年であったわけでございますけれども、「恩給請願を致しましたところ、昭和五十四年度より日赤慰労給付金として支給されるようになりました。  これもひとえに衆、参両院の各党諸先生方の多大なご尽力と深いご理解によるものであり心から御礼申し上げます。」という言葉まで添えられているわけでございますけれども、「しかしながら慰労給付金の支給については「恩給制度を準用し戦地加算を考慮して兵に準ずる処遇をする」と各党の諸先生の申し合せで決められましたが、未だ多くの問題を残しておりますので」引き続き左記の事項についてお願いをするということで、具体的な項目が二項目ございます。  一つは、現在、兵の恩給との間に著しい格差があります、兵の三分の一ないし四分の一だそうでございますけれども、これを兵に準じて慰労給付金増額をお願いをしたいと。もう一つは、十二年未満の者は全く除外されているが、兵の恩給欠格者においては既に実施されていると聞いておりますが、この十二年未満の全員に対してもぜひ相応の措置がなされるようお願いをしますという二項目の請願になっているわけでございます。  これを拝見をいたしまして、もっともなことであるなという感を私は深くいたしました。なぜこの請願に沿うような措置がとられないのか。私は、一挙にとはいかないまでも、順次それに近づけていくのだということが当然だろうと思うわけでございますが、その辺についての基本的な考えをまずはお聞かせいただきたいと思うわけでございます。
  25. 榊誠

    榊政府委員 お答えいたします。  慰労給付金の経緯については今先生のお話のありましたとおりでありまして、昭和五十四年度に、六党合意をもとにして、兵に準ずる処遇をするということでスタートしたわけでございます。  その当時の考え方といたしましては、支給開始年齢が五十五歳ということから、ちょうど兵の普通恩給の支給に見合う額を勘案して現在のもとになる額が決められたわけでございます。  その後、恩給との関係につきましては、先ほど申しましたように、恩給性格が所得の保障を図るという性格に対しまして、慰労給付金につきましてはこれまでの看護婦さんの方々の御苦労を慰労していくという、ちょっと基本的な性格の違いがございましてある程度の差が出てきてしまっているわけでございますが、先ほども答弁しましたように、その額につきましては、実質価値維持は図っていこうということでこれまでも過去四回増額させていただいておるわけでございますが、今後も努力をさせていただきたいというふうに考えている次第です。
  26. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 兵に準ずるということが六党の合意の中にも明記をされてございまして、それが基本になっていると思うわけでございますが、金額的には全く意味合いが違う金額になっているわけでございます。  その辺のところ、なぜそうなのか。今の御説明では、一方は所得の保障ということだというのですが、一方ではそれではなぜ所得の保障という視点が加味されておちないのか、これをまずお聞かせいただきたいと思います。時間がないものでまとめて全部聞かせていただきますけれども、それが一つでございます。  次に、兵に準ずるにもかかわらず、金額的には著しく格差があるということなんですが、例えば勤務の形態、恐らく野戦病院等において戦時衛生に従事をされる。そこには軍医もおられるでしょうし衛生兵もおられる、そういう方々軍人恩給である。勤務の態様、危険の度合い等々からいっても、女性にとっては非常に過酷な、そして戦後抑留をされるということからいっても、実態としては恐らく同等の御苦労をされてきたのだろうなというふうに推測をするわけでございますけれども、その辺をどのように認識されておられるのかということが二つ目でございます。  もう一つは、昭和五十四年からスタートして、例えば三年以上六年未満、当初金額十万円というスタートをして、今平成八年度で十二万四千八百円、三四・八%の増になっているわけでございますね。  たまたまその昭和五十四年というのは、実は私が初めて地方議員に当選をした年でございまして、当時の歳費をまだ覚えているわけでございます。四年前まで同じく地方議員に籍を置いていて、三四・何%程度の増額だったかなと思っておるのですが、決してそんなものではない。国家公務員の初任給とかいろいろな面において、この十七年、昭和五十四年から平成八年の十七年間という歳月は三四・八%ということでとどまっているものでは恐らくない、こう思うわけでございますが、それらがなぜこのような金額になってきておるのか。もちろん軍人恩給ももっと違う形で増額になっていると思うわけでございますが、その辺のところをお聞かせいただきたいと思うわけでございます。
  27. 榊誠

    榊政府委員 お答えいたします。  三点ほど御質問がございましたが、まとめて御答弁させていただきたいと思います。  先ほど申しましたように、慰労給付金性格恩給性格との差というのは基本的にはあるわけでございます。恩給の場合は所得の保障を図るという目的がございますし、慰労給付金につきましてはこれまでの御苦労を慰労するというその基本的な性格から差が出てきておるわけでございますが、具体的に申しますと、恩給の場合には最低保障制度という制度が設けられておるわけでございます。その点が一つと、また、恩給増額改定方式が、消費者物価だけではなくて公務員のベアの関係の数字も勘案して決められている、基本的にはその大きな二つの違いがございまして、そこから現在の差が出てきているわけでございます。  それからもう一点、五十四年からアップ率が三四・八%程度、もっと多いんじゃないかということでございますが、現在の額につきましては、消費者物価指数のアップ率をそのまま当てはめておりまして、そのとおりの数字でございます。
  28. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 時間がございませんのでこれで終わりますけれども戦時中の御苦労に対して慰労をするという観点からすれば余りにも機械的過ぎないか、もう一つ心があってしかるべきではないかなというふうに思いますので、ぜひひとつ御検討いただきたいと強く要望申し上げまして終わりたいと思います。ありがとうございました。
  29. 伊藤忠治

    伊藤委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  30. 伊藤忠治

    伊藤委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  恩給法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  31. 伊藤忠治

    伊藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 伊藤忠治

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  33. 伊藤忠治

    伊藤委員長 次に、国家公務員法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。  本件につきましては、先般来の理事会等において、自由民主党、新進党、民主党、社会民主党・市民連合及び太陽党の各党間で御協議を願い、お手元に配付いたしておりますとおりの起草案を得た次第であります。  それでは、本起草案の趣旨及び内容につきまして、私から概要を御説明申し上げます。  御承知のように、在籍専従制度は、しばらくの間、国家公務員法に規定されず、人事院規則で手当てされておりましたが、ILO第八十七号条約批准に伴う昭和四十年の国家公務員法の改正によって法律上明文化されることとなったものであります。  当初、在籍専従期間は、在職期間を通じ三年を超えない期間とされておりましたが、第三次公務員制度審議会の答申を受け、昭和四十六年の法改正によって、五年を超えない期間に改められました。さらに、その後、現業職員については、昭和六十三年に改正された国営企業労働関係法の附則において、国営企業の運営の実態にかんがみ、「五年」とされている在籍専従期間の上限を、当分の間「七年以下の範囲内で労働協約で定める期間」とされたところであります。  ところが、非現業職員については、同じ公務員でありながら同様の措置が講じられていないのが現状であり、両者の均衡を図ることが求められてきたところであります。  次に、その内容について御説明いたします。  本案は、国家公務員の労働関係の実態にかんがみ、労働関係の適正化を促進し、もって公務の能率的な運営に資するため、現行法上「五年」とされている在籍専従期間の上限を、当分の間「七年以下の範囲内で人事院規則で定める期間」とするものであります。  なお、この法律は、平成九年四月一日から施行しようとするものであります。  以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。     —————————————  国家公務員法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  34. 伊藤忠治

    伊藤委員長 お諮りいたします。  本起草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  35. 伊藤忠治

    伊藤委員長 起立総員。よって、本案は委員会提出の法律案とすることに決しました。  なお、本法律案提出の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 伊藤忠治

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  暫時休憩いたします。     午前九時四十一分休憩      ————◇—————     午後六時二分開議
  37. 伊藤忠治

    伊藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出男女共同参画審議会設置法案議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。梶山内閣官房長官。     —————————————  男女共同参画審議会設置法案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  38. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 ただいま議題となりました男女共同参画審議会設置法案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  女性と男性が互いにその人権を尊重し、ともに支え合い、喜びも責任も分かち合える男女共同参画社会の実現は、さまざまな社会経済情勢の変化に対応していく上で、我が国の将来を決定する大きなかぎであります。  今般措置しようとする男女共同参画審議会は、内閣総理大臣を本部長とする男女共同参画推進本部とともに政府の取り組み体制の中核をなす組織として、男女共同参画社会の形成の促進に関する政府の政策について、調査審議を通じ、国民生活全般にかかわる関連施策へ国民各層の意見を反映させ、男女共同参画社会の形成の促進に資するものであります。  次に、この法律案内容について、その概要を御説明申し上げます。  男女共同参画審議会は、内閣総理大臣または関係各大臣の諮問に応じて、男女共同参画社会の形成の促進に関する基本的かつ総合的な政策及び重要事項を調査審議することを任務としており、諮問に関連する事項について、内閣総理大臣または関係各大臣に意見を述べることができることとしております。  審議会は、学識経験のある者のうちから内閣総理大臣が任命する二十五人以内の委員をもって組織することとし、さらに、男女いずれか一方の委員の数は委員の総数の十分の四未満であってはならないこととしております。  また、審議会は、関係行政機関の長に対し、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができることとしているほか、特に必要があると認めるときは、関係行政機関の長以外の者に対しても必要な協力を求めることができることとしております。  なお、本審議会において売春対策についても男女共同参画社会の実現という新たな観点から議論することとしたことに伴い、本法律案の附則において、現在総理府に置かれている売春対策審議会を廃止することとしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようにお願いを申し上げます。
  39. 伊藤忠治

    伊藤委員長 以上で趣旨説明は終わりました。     —————————————
  40. 伊藤忠治

    伊藤委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。倉田栄喜君。
  41. 倉田栄喜

    倉田委員 新進党の倉田でございます。  男女共同参画審議会の設置法案の質問に入る前に、レバノンで拘束をされた日本赤軍のことについてお尋ねすることをお許しをいただきたいと思います。  まず、官房長官にお伺いをさせていただきますけれども、レバノンでいわゆる日本赤軍のメンバーが拘束をされた、こういうふうにマスコミ報道があるわけですけれども、この赤軍の氏名あるいは今後の身柄引き渡しについて、官房長官は外務省からどのような報告を受けておられますか。まず、それをお尋ねしたいと思います。
  42. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 二月十七日に、レバノン当局か ら日本赤軍メンバーと見られる者の身柄を拘束したとの通報を受けて以来、レバノン政府及び司法当局と緊密な連携をとりながら、身柄を拘束された人物の確認等に努めてきたところ、四日、国際手配中の日本赤軍メンバー、和光晴生、山本万里子、戸平和夫、岡本公三及び足立正生が拘束されていることが判明をいたしました。  レバノン当局によるこれらメンバーの身柄拘束は喜ばしいことであり、本件に関するレバノン政府及び司法当局の協力に深く感謝をいたしたいと思います。  政府としては、レバノンにおける司法手続が終了次第、速やかに身柄の引き渡しが行われるように求めてまいりたいと考えております。
  43. 倉田栄喜

    倉田委員 外務省にもお見えいただいておると思いますけれども、外務省の方でその日本赤軍の身元について、今官房長官からお話をいただきましたけれども、それ以外に外務省で確認をしていることはございますか。
  44. 長谷川晋

    ○長谷川説明員 お答えします。  今長官が述べられました五名につきましては、レバノン司法当局より提供を受けた被疑者の指紋、被疑者の写真等の捜査資料を警察当局が鑑定するなどして捜査した結果、判明したものでございます。この五名の人定確認につきましては、長官が述べられたこと以外に特段のつけ加えることはございません。
  45. 倉田栄喜

    倉田委員 警察庁にもおいでいただいていると思いますけれども、今長官からお話がありました氏名の中に和光という方のお名前、きょうの夕刊になると次世代のコマンドを育成、こういうふうな夕刊記事が出ておりますけれども、警察庁は日本赤軍と言われる組織あるいは構成メンバー、この動向を現段階でどの程度、どのように把握をしておられるか、現在の把握の状況についてお伺いをしておきたいと思います。
  46. 米村敏朗

    ○米村説明員 お答えいたします。  日本赤軍の組織、構成メンバーについてでありますけれども、私どもは、いわゆる重信房子、これをリーダーといたしまして、今回身柄を拘束された五人を含めておおむね二十数名から成っているというふうに見ております。  また、日本赤軍につきましては、従来から活動の拠点としてきた中東における和平に向けた情勢の変化等に伴いまして、他の地域における安全な拠点、いわゆるインフラの構築をこれまでも目指してきているというふうに見ておるところであります。  一昨年の三月に、ルーマニアにおきまして浴田由紀子を逮捕し、昨年五月にはペルーにおきまして吉村和江を、続きまして九月にはネパールにおける城崎勉の発見、逮捕ということがございまして、これは先ほど御説明申し上げました日本赤軍の最近の動き、新たなインフラ構築という実態を示すものだというふうに考えている次第であります。  以上です。
  47. 倉田栄喜

    倉田委員 それでは、男女共同参画審議会設置法案についてお尋ねをいたします。  まず総理府にお尋ねをいたしますけれども、男女共同参画審議会を設置して男女共同参画社会の形成に取り組むということであります。この男女共同参画社会、もちろんこれからこの審議会の中で議論をされていくということになるのだと思うのですけれども、総務庁はこの男女共同参画社会、今どのような社会を描いておられるのか。大変難しいのだと思うのですけれども、ひとつ簡潔にお答えいただきたいと思います。
  48. 安藤昌弘

    ○安藤政府委員 お答えいたします。  昨年の七月に現行の男女共同参画審議会が、総理の諮問にこたえる形で男女共同参画ビジョン、こういう答申を出していたわけでございますけれども、この中におきましても「我が国において、男女平等は、法の下の平等として憲法にうたわれ、各種の法律制度の中にも位置付けられているが、これを社会に深く根づかせ事実上の平等を達成するにはいまだ至っていない。」このように述べておるところでございます。そして、例えば各種の統計におきましても、男女の賃金格差、政策方針決定過程への女性の参画のおくれなど、多くの分野で男女平等と言いがたい現状が示されておるところでございます。  このような状況を踏まえまして、今回御審議いただきます法案の第一条におきまして、男女共同参画社会とは「男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会」このように定義されているところでございます。
  49. 倉田栄喜

    倉田委員 男女共同参画社会ということで、これはかなり広くて、私もこの問題に関してはさまざまなところから質問ができるのではないか、こう思っているわけであります。  例えば、今問題になっております夫婦別姓の問題。男女共同参画社会のどの辺に位置するかわかりませんけれども、これもここでお伺いしてもいいのだろう、私はこう思っておりますので、あえて官房長官にお尋ねをしたいと思いますが、官房長官はいわゆる選択的夫婦別姓の問題についてどのようにお考えでございますか。政治家個人としてお答えいただいても構いませんので、長官の御所見をお伺いしたいと思います。
  50. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 今委員が御指摘になっている男女共同参画社会をつくるという意味で、選択的夫婦別姓はその範疇に入るだろうという想定をされての御質問でございますが、私は、官房長官として男女共同参画室を主管する立場にございますので、みだりに私見を述べるべき立場にはないという気がいたしますが、いずれにしても、私はそういう方法が考えられてもいいと思います。  しかし、必ずしも法律的に截然と分けるか、あるいは通称というのを用いるのも一手でありましょうし、もろもろの、それぞれの家庭、夫婦あるいは社会、こういうもので選択、あるいはそれを採択をするというか採用をする自由があってもよろしい、私はそのように考えます。  あえて私個人のことを申し上げれば、私も女性問題担当を一回やっておりますし、今次でもやっておりますので、まず何よりも家内の意見を聞こうと思って、恐る恐る家内に、どうだ、今度別姓をやろうかと言ったらば、今さら私別姓はできませんと。四十数年梶山と一緒になって、梶山の姓を名乗ったればこそ梶山家を征服することができたから、私は別姓ではない方がいいと思うという家内の個人的な見解がありました。なるほど、それもそうだなと。梶山を名乗ることによって梶山家を征服したという家内の認識があるとすれば、それも一つの女性の生きる道かということを私個人としては考えております。
  51. 倉田栄喜

    倉田委員 この問題は、この短い時間の間に議論をすることはできませんので、今官房長官のお話を伺ったということで、あえて次の質問に移りたいと思います。  今回の男女共同参画審議会は、従来の売春対策審議会を発展的に吸収するということであります。  そこで、私はこの問題も法案審議の中で当然議論をしていいのだろうと思うのですが、長官は最近マスコミで言われている援助交際という言葉を御存じですか。
  52. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 この間私のある種の発言が、誤解をされたかどうかは別として、その際に援助交際という言葉を初めて発見をいたしまして、あわててその援助交際というものの言葉の意味だけは理解をいたしておりますが、社会にそういうものが実在することを残念ながらよくわかりません。
  53. 倉田栄喜

    倉田委員 援助交際、いろいろ書かれているわけでありますけれども、きちっとした定義があるわけではありません。しかし、例えば、女子中高生など未成年の女性が大人の男性と交際して金品をもらうこと。女子高生らが売春という言葉を嫌って使い始めたとされる。交際の中身は、性交渉なしに食事をしたりカラオケに行ったりするだけのものから、売春に相当するものも含まれる。テレ ホンクラブや伝言ダイヤル、ポケベル、携帯電話など通信手段の普及とともに広がってきた。  こういう実態がどれだけあるかわかりません。しかし、家族の問題であるとか女子中高生の教育の問題であるとか、この実態というものが今マスコミで報道されているとおりにあるとすれば、これはやはり結構大変な問題なのだろう、こう思うわけであります。  長官はこのような風潮を生み出している教育の現状あるいは家族のあり方、これをどうお考えになりますか。
  54. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 私は、人間的、年代的には古い人間でありますから、こういうものを許容する度量は全くない時代の人間でありますから、悪と断定をせざるを得ません。
  55. 倉田栄喜

    倉田委員 今私が長官にお尋ねをいたしましたのは、そういう風潮がどれだけのものかわかりません。小さな一部かもしれません。あるいは相当広がっているのかもしれません。今長官は、これを悪と断定をするというふうにお答えになりましたけれども、このような風潮を生み出している社会状況、それを長官はどうお考えになりますかとお尋ねをしたわけであります。
  56. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 これは、すぐれて個人の感覚というか、意思決定というか、行動というか、それに過半のものがあるのかもしれませんが、実態的にはやはり家庭や社会、学校、ありとあらゆる分野でのその子供さんないしはその人間が形成をされる過程にでき上がったものですから、広範には、私たちが考えている倫理観や道徳律、そういうものと相違った社会が生まれているという今日的ないろいろな社会現象を何とか直して、そういうものに染まないで、むしろ堂々と自分の新たな別個な価値というものを見出して、社会で、あるいは教育を受け、あるいは社会活動をし、あるいは若干でも世のためになるという、そういう思いに浸れるような環境をつくらなければならないと私は考えております。
  57. 倉田栄喜

    倉田委員 それでは次に、この審議会の設置そのものについて少し質問を続けたいと思います。  私ども新進党は、今回のこの審議会設置法案には賛成の立場であります。しかし、これを賛成するとしても、審議会のあり方あるいは今ある審議会の状況、これがそのままでいいのかどうかということについてはいろいろ議論がありますし、私もこれでいいのかなという思いを持っております。  政府全体の審議会の総数は、官房長官がまとめておられます行政改革会議、ここまで含めるとこの一月末で二百十八、委員の総数五千五百八十七人ということであるというふうに説明を受けました。これを昭和六十三年から比較をいたしてみますと、昭和六十三年には二百十二、平成九年は二百十八ですから、私が当初考えていた以上には増加しているわけではない。ただ、これは一時期、昭和四十年代ですか、相当大幅に整理をされた経過がある、それゆえまた総務庁の御努力もあるのだろう、こういうふうに思っております。しかし、この昭和六十三年から、少なくとも微増ではあるけれどもふえてきている、この現状はあるわけです。  それで、政府は、昭和六十三年に閣議での口頭了解で、いたずらに審議会を設置することを避ける、それから臨時的な審議会は存続期間を付する等の見直しを決定されておられます。この政府の口頭の決定を受けた後、別にそんなにいっぱいふえているわけではないけれども、しかし減ってはいない。二百十二から二百十八にふえている。この現状を踏まえられたのかどうかわかりませんけれども平成七年九月にもこの審議会のことについて閣議決定がなされている。  これは総務庁にお答えいただくのでしょうか、審議会のあり方あるいは審議会の総数、このことについてどんなふうにお考えになっているのかお答えいただきたい。
  58. 陶山晧

    ○陶山政府委員 御説明申し上げます。  審議会等の設置数につきましては、ただいま先生の御指摘のとおり、現在二百十八という数字でございます。  なお、最大でありましたのは、昭和四十年度末の二百七十七でございましたが、現在二百十八でございまして、ここ数年は御指摘のございましたように横ばいないしは微増という推移となっております。ただし、この中には、地方分権推進委員会とか行政改革会議等を初めといたしまして時限つきのものも相当数含まれているということを御理解いただきたいと存じます。  審議会等のあり方につきまして各方面からさまざまな御議論があることは承知をいたしておりますが、これまでもその必要性について政府としていろいろな見直しは行ってまいりました。昨年末の行政改革プログラム、閣議決定でございますが、この中でも、その必要性を見直すとともに設置のあり方についても見直すという方針を改めて決定をしたところでございます。  なお、現在、行政改革会議におきまして審議会等のあり方を含めた中央省庁再編の検討が行われているという状況にございますから、その検討状況もよく見ながら、審議会等のあり方については引き続き政府全体として鋭意検討を進めてまいりたいと考えております。
  59. 倉田栄喜

    倉田委員 今横ばいあるいは微増というふうにお答えいただいたわけでありますけれども昭和六十三年に口頭の閣議了解があって、昭和四十年に大幅に整理をされた。そこは確かに随分整理をされたなという気がするのですけれども昭和六十三年から、了解事項以降は本来もっと減るべきではないのかと思うのに少しずつふえている。私は、これはもっと考えていいのではないのかな、そういうふうな気がいたします。  当委員会の次の法案の審議総務庁設置法の一部を改正する法律案であります。これは、いわゆる公務員制度審議会を最近会合も開いていないから廃止をしよう、こういう法案であるというふうに承知をいたしております。私の質問の趣旨からすれば、それは、終わったもの、会議を開いたものについて廃止をするのは非常にいいことだ、こう思うのですけれども、一方で、それではこの審議会を廃止して公務員制度というのはどこでどんなふうに議論をするかというと、新たに行政をめぐる諸環境の変化に対応した国家公務員制度全般について調査審議を行うため総務庁に公務員制度調査会を政令で設置をすることにしている、こういうことになっているわけですね。法律でのこの公務員制度審議会を廃止して、審議会と呼ぶのかどうかわからないけれども調査会というものを政令で設置をする。  そうすると、私は全部調べたわけではないからわからないわけでありますけれども、先ほど昭和六十三年が二百十二で平成九年が二百十八、これはふえているなと私は思うのですけれども、あえて先ほど御答弁になったように横ばいだ、微増だ、こういうふうにお聞きしたとしても、法律審議会をやめて政令で何かの調査会をつくる、あるいは各省ごとにさまざまな諮問機関をつくる、こういうことにもしなっているとすれば、私は、どうももっと各省には、法令で認めていない、あるいは政令とか省令で位置づけられたさまざまな形の審議会と同様の機能を果たしているものがあるのではないのかという気がしてなりません。  そこで、これは総務庁がこういうことは多分把握をされてはおられないのだろうと思いますけれども、そういうふうに法に基づかない、あるいは政令、省令、あるいは各省の根拠の規定はあるのだろうと思いますけれども各省で設置をされている懇談会、あるいはその省の私的機関、これが、実態はわかりません、実態はわからないけれども、先ほど御指摘申し上げたように、公務員制度審議会を廃止して政令で公務員制度調査会を設置する、こういう形でずっとつくられてきたりして、この法律で認めている審議会二百十八と同じくらいの審議会の数が実は各省にあるのではないのか、こういうふうに書いてあるものもあるわけですけれども、総務庁、これは把握をしておられないのだろうと思いますけれども、何か御承知ですか。
  60. 陶山晧

    ○陶山政府委員 ただいま御指摘のございましたいわゆる懇談会等でございますが、国家行政組織 法に基づく正規の行政機関としての審議会等とは異なりまして、行政運営上の意見交換とか懇談のための会合として各省庁において任意に開催される性格のものでございます。  どの程度あるのかというお尋ねでございますが、私どもが把握しております数字を申し上げますと、まず、大臣とか長官、政務次官、事務次官、官房長、局長クラスの決裁を経て行政機関職員以外の有識者等の参集を求める会合であって、同一名称のもとに同一者に複数回継続して参集を求めることを予定しているものという範囲で申し上げますと、昨年三月末現在で調査をいたしましたところ、それまでの半年間に開催された懇談会等の数、対象は先ほど申し上げた内容でございますが、それは二百十七という数字になっております。
  61. 倉田栄喜

    倉田委員 ほぼ同数の懇談会があるというお答えであります。  いわゆるこの審議会というものがどういう機能を果たしているのか。我々が今国会で、国会は憲法四十一条でいけば国権の最高の、唯一の立法機関である、そのことを踏まえながら、そこと、いわゆる閣法とかいろいろな形の中で政府がお出しになる、そこでさまざまな意見を調整をする審議会の必要性もあるのだろうと私は思っております。  しかし、同時に、その審議会というのは、やはりもっと透明性が高くて、ある意味では議論もオープンにされて、責任形態も明確になっていかなければ、なかなかこれから先難しいのじゃなかろうかなという気がしてなりません。  例えば、審議会の問題として、見出し的にだけ取り上げてみましても、かなり激しい言葉かなという気もしますけれども、これは、私が今から申し上げることは新聞の見出しに載っていたものばかりであります。  新聞の見出しに載っていたことを羅列的にだけちょっと申し上げさせていただきますと、「休眠でも」審議会のことですよ、「休眠でも整理進まず」「休眠審議会に予算」「審議会 霞が関の裏のヒジョーシキ」「議論あっさり、多い官僚OB」「目立つ常連、論議あっさり」「省益の戦い、民意遠く」「セレモニー化する審議会」「縦割り、政策ゆがめる」「所要に省庁OB」「審議会、責任も人選も不透明」「はじめに結論ありき」「一つの結論譲らぬ官僚」こういう、ちょっと見ただけでもこれだけの見出しが躍っているわけであります。  もちろん私は、これが審議会のいわゆる生理的な部分、きちっとした機能として働いている部分を取り上げたものではないということは承知をいたしております。いわゆる審議会の病理的側面というものを取り上げて、今申し上げたような見出しで記事が躍っている。しかし、この病理的な側面というものが審議会全体を覆うようなものになってしまうとすれば、私は審議会そのもののあり方についてももっと検討しなければならない、こう思うのですね。  官房長官、今少し新聞の記事だけを羅列的に申し上げました。あえて病理的な部分を取り上げた項目なのだろうというふうに申し上げましたけれども、いわば問題視的、病理的側面、これら、こういう指摘を考えられた場合に、今後審議会の設置、その数をふやす、抑えようとか整理をしようとか、今その形の問題を言っているわけではないのです。審議会の中身の論議のあり方、そういうことを言っているわけです。責任のあり方、人選のあり方、そしてそれがどういうふうに政策に反映をしているかという、そういう中身の問題を申し上げているわけですけれども、今申し上げたことを踏まえながら、官房長官としては、審議会のあり方というもの、そして今指摘をさせていただいたこのいわゆる病理的と言われる部分、これをどんなふうにお考えになりますか。
  62. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 何と申していいのかわかりませんが、行政官、その人自身はオールマイティーではございませんから、やはり自分たちのやってきたものの専門以外の専門家の意見や、それから国民の声を聞いて行政に資したい、こう思うのは当然でございますし、特にこの行政の機構の中で見ますと、過ちなきをもってたつとしとするという明治以来のあれがありますから、なるたけ独断専行にならないために、そうしますと、今言われた隠れみのになるという逆の面がありますが、私はそれなりの使命を果たして、それぞれ専門的な知識、民間の意見、こういうものを集約して、行政がそれを吸収をして執行に当たるわけでありますから、本来立派なものである、そういう思いがいたします。  しかし、ともすると、やはり隠れみのにしたり、いろいろなことで惰性に流れるということがありますから、絶えずこういうものが公にされ、それぞれがお互いに真摯な意見を交わす雰囲気、前向きの雰囲気ができることが一番大切なことであって、何をなしてはいけないかというよりも、この目的のために何をしなければならないかという審議会自身の意欲というか目的意識というか、そういうものが横隘をするならば、私は、すばらしい、むしろ行政の手助けというか、あるいは本当の意味意見を集約できるものになろうかと思うので、むしろ積極的にそういうものの価値を高めていくことが停滞しがちな行政にあってしかるべし、こう思います。
  63. 倉田栄喜

    倉田委員 今長官お答えになりましたように、審議会の積極的な、機能的な側面、その価値を高めていく必要がある。私は、その面は確かにそのとおりかもしれない、こういうふうに思います。  しかし、今、審議会のその積極性あるいは機能的側面、これを高めるために条件がある、私はこんなふうに考えております。  それは、審議会自体がきちっと独立をされなければならない。そして同時に、審議会でどんな議論をしてどんな、この結論に至ったのはこういう経過でこういう議論が起こった上でこういう結論に至ったのだ。もし長官がその審議会の価値を積極的に認められるのであるとすれば、審議会の公開は必須の条件であろう、私はこう考えております。  もちろん、審議を公開したらなかなか自由に意見を言えない、あるいは途中で漏れたら不当に利益を得たり不当に利益を害されたりすることがある、公開をしない理由とか理屈はいろいろつけられると思う。しかし、審議会全体を積極的に価値あるものにたらしめるためには、審議会の公開は、公開の形はいろいろあると思うのですけれども、公開はぜひやらなければならない、こんなふうに私は思っております。  審議会の公開について、長官はどうお考えですか。
  64. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 今委員幾つかの制限的な条件を言われましたけれども、確かに、大きい意味で、公益を損なわない範囲では当然公開されてしかるべし、私はそのように思います。
  65. 倉田栄喜

    倉田委員 審議会の数、あるいはそれぞれ省庁でいわゆる懇談会という形でつくられている数、二百十八、二百十七。病理的な側面からいろいろな指摘を今させていただきました。ぜひとも、審議会というものを価値あるものにするためには、積極的に公開をしていただけるよう官房長官にも御努力をいただきたい、私はこう思います。  最後にもう一度長官の御答弁をいただいて、私の質問を終わります。
  66. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 御趣旨を踏まえながら、審議会が真に機能するように、これからも努力を払ってまいりたい、このように考えます。
  67. 倉田栄喜

    倉田委員 以上で終わります。
  68. 伊藤忠治

  69. 松本惟子

    松本(惟)委員 民主党の松本でございます。  私も、さきの委員同様に、審議会のあり方につきましては申し上げたいことがございますけれども、また別の機会をいただきましたら、そのときに申し上げさせていただきたいと思います。  本日は大変少ない時間しかいただいておりませんので、本法案の提案に限って御質問をさせていただきたいというふうに思っております。  日本の社会で、日本は、先進国では進んでいる面も持っている反面、大変おくれている課題が幾つかあります。私は、男女平等という問題については、大変、恥ずかしいくらいにおくれていると いうふうに思っております。これは、国内のみならず、世界的に言われていることでございます。したがって、国がこのことについて果たす役割は、大変強く望まれているとかねがね思っておりました。  そして、このために、私自身も努力をしてまいったわけでございます。一九七五年以来、日本は、国連による差別撤廃条約も批准をいたしておりますし、そういった中で、国内における男女平等の推進をみずから進めていくということについて強い願望を持っていたものでございます。長い間、男女平等を推進していくための国内本部機構のあり方について、もっと何とかならないかという思いをいたしておりました。  少しずつではございますけれども、強化充実の方向に進んできたことを御努力のたまものと評価をさせていただきます。  その第一は、総理大臣のもとに官房長官が担当大臣としていらっしゃる。ちょっと最近イレギュラーがあったようでございますが、先ほど官房長官の御発言を伺っておりましたら、確かに官房長官がまだ女性担当大臣でいらっしゃるということを確認をさせていただきましたので、その点は大変心強く思っております。今後とも、御努力をよろしくお願い申し上げたいというふうに思います。  でも、それだけではやはり不足だ、大変御多忙な官房長官が、おくれている男女の平等の問題を引っ張っていくということでは、まだ大変なのではないかと思います。  そこで、官房長官を補佐する担当女性大臣を置いてほしいとか女性省を独立させてほしいとかいうNGOの声があるわけでございますが、そういった中で今回、政令で時限、つまり期限つきの審議会として設置されていたものを、常設の審議会として御提案をいただいたということについては、私も大変期待を申し上げているものでございます。したがって、こういった観点から、幾つかの点について御質問をさせていただきたいと思います。  その一つは、国内本部機構の整備充実につきましては、申し上げましたように、しっかりとした位置づけができましたから、これをもとに、この審議会が政府の二〇〇〇年プラン、既に昨年の十二月に確認をされております男女共同参画社会実現に向けての二〇〇〇年プランに基づく政策の実現を、どのように優先課題をつけて推進をされていかれようとしているのか、まず、そのことについてお伺いをさせていただきたいと思います。
  70. 安藤昌弘

    ○安藤政府委員 お答えいたします。  男女共同参画二〇〇〇年プランにつきましては、ただいま先生の御質問にもございましたように、昨年の十二月に全閣僚をメンバーとする男女共同参画推進本部が策定いたした国内行動計画でございますが、二十一世紀初頭に向けて、男女共同参画社会の形成の促進に関する政策の方向性を提示しつつ、平成十二年度までに推進すべき具体的施策について体系的に整備したものでございます。  このプランは、平成七年の世界女性会議で採択されました行動綱領や、また、先生御自身にも委員として大変貴重な御意見をいただきました現行の男女共同参画審議会から答申をされました男女共同参画ビジョンで提示された、国内外のさまざまな新たな課題を盛り込んでおるところでございます。  具体的に申し上げますと「男女共同参画を推進する社会システムの構築」「職場・家庭・地域における男女共同参画の実現」「女性の人権が推進・擁護される社会の形成」「地球社会の「平等・開発・平和」への貢献」これらの四つの基本目標を掲げまして、その下に十一の重点目標を置いているところでございます。  重点目標といたしまして特に新規に盛り込まれた項目といたしましては「男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の見直し、意識の改革」「女性に対するあらゆる暴力の根絶」「メディアにおける女性の人権の尊重」「生涯を通じた女性の健康支援」などがございます。  本プランに盛り込まれました施策につきましては、関係各省庁におきまして、男女共同参画社会を実現するための最重要課題として取り組むこととしておるところでございます。
  71. 松本惟子

    松本(惟)委員 具体的には、男女共同参画ビジョンを受けて二〇〇〇年プランが策定をされております。いわゆる民間の代表が入って政府に答申を申し上げました男女共同参画ビジョンと二〇〇〇年プランの間には、多少の誤差があると私は思っています。  御努力をいただいたということを評価しつつもなお、ビジョンとして答申をいたしましたところの問題が、やはり各省庁との兼ね合いもあってでございましょうか、後退をしたような表現になっている部分もございます。審議会におかれましては、なお一層この点に御留意をされまして、前向きの対応をお願いしたいと思います。  次に、御質問でございますが、今回の二〇〇〇年プランというのは、一九七五年から数えますと、政府がつくりました計画の五回目に当たります。御努力いただいているにもかかわらず、遅々として男女の平等の推進が進まないということの裏には、やはり今回提案されましたように、二〇〇〇年プランは総合的、体系的なものとして整備されてきた、そして、これは総理大臣のもとに各省庁がこぞって御努力いただいて進捗を図っていくべき課題であるというふうに認識しております。だとするならば、審議会がこれから取り扱っていく二〇〇〇年プランというのは、いわばこれは年次計画でございます。  私は、各省庁がみずからの政策の中に男女共同参画の視点がくまなく入っているかどうかということを見詰め、おくれについては改善を図るという立場、それをしかるべきところできちんと点検をする、総括をするものがやはり必要かと思います。それは官房長官のもとにございます閣議の機能であろうかとも思いますが、その際に全体を包括する法律、ビジョンの中にも計画の中にも、基本となる法律が必要と考えるというような意味合いのことを書いてございます。そして、さきの国会の中で、総理大臣も御答弁の中でこのことに触れられていらっしゃいます。官房長官、この件についてどのようにお考えか、お聞かせ願いたいと存じます。
  72. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 総理から詳しくは私は聞いておりませんけれども、この男女共同参画社会の形成を促進するための基本的な法律については、昨年七月の審議会の答申でも、速やかな検討が求められております。ですから、政府としても、この提言を踏まえて、国民各層の意見を幅広く聞きながら検討すべき重要な課題だというふうに考えております。  今委員指摘のように、この男女共同参画二〇〇〇年プランというのは、まさに年次計画を立ててやっていかなければならない問題で、いわば極めて平板的なというか、象徴的なことは、例えば審議会の委員のメンバーに女性を何人参加させなければならないか。そうすれば、その比率に従って女性の意見は完全にそこに出されるわけでありますから、あとう限り早い機会に男女同数になれるような社会機構をつくっていかなければならないし、それだけの女性の方々が社会参加をしておりませんと、今私も意識してこの問題で委員になれる女性の方はいないかといって探しますと、実はいつも同じ方しかメンバーに探すことができないほど、人物払底と言うといけませんけれども、そういう意味で、今までなかなか社会的な問題に参加できる立場になかったということを今反省しなければならないし、そういう方々に早く御参加を願う、そういうことをやっていかなければならないというふうに考えておるわけであります。  ですから、今後、今言われた法律の基本的な性格その他をやって、関連施策や個別の立法との関係で具体的に図っていきたいのですが、冒頭に委員が触れられたように、確かに日本の男女平等社会の考え方は遅かったかもしれません。しかし、ようやく成熱社会を迎え、なおかつ必要に迫られ、 この高齢・少子化の社会の中で女性の社会参加は経済的にも社会的にもどうしても必要な状態になったわけでありますから、実はこれを生み出すエネルギーには極めて強いものがあります。  これを受けてやっていかなければなりませんし、私流の考え方を言えば、日本というのは確かに立場や表現その他では男女平等社会というものが遅かったという言われ方をするかもしれませんが、私はむしろ心の中では、日本という国は女性に対して大変平等というか、昔で言う母家長制というか、むしろ御婦人が家長であったという時代のあれを受けて成り立っている社会ではないのかな、そういう思いもいたしますので、必ずしも女性に全部参加をさせることが男女の平等であり女性の幸せであるかどうかは、私個人の心の中では若干留保をいたしますが、官房長官としては一生懸命努力をしてこたえてまいりたい、このように思っております。
  73. 松本惟子

    松本(惟)委員 官房長官の心情も吐露されまして、しかし、前段の部分は大変前向きで、私もうれしく思いました。今後とも優先課題の一つとしてさまざまな個別法を、つまり、日本の社会では法律上、制度上はかなり男女の平等は進んできている面がございます。それで、これからやらなければいけないのは、やはり男女が共同で実質的な平等をつくり上げていくことだというふうに思っておりますので、その点での基本となる法律の御検討をお願いしておきたいと思います。  次の質問でございますが、やはりプランというのは進捗状況をきちんと把握して、進んでいなければ何が問題なのかということを分析し、その課題にこたえるようにしていかなければいけないと思うのですね。  それで、国内行動計画というものは、つまり国連に定期的に報告をする義務も課せられております。差別撤廃条約を批准している日本でございますから、これは当然のことだと思います。私は、このプランの進捗状況の把握と監視をするために、オンブズパーソンという言葉が今回の二〇〇〇年プランに初めて登場してきたことにつきましても、前向きだと喜んでいるものでございます。  我が国におきましても、既に自治体がオンブズパーソンを設置しているとか、政府としても——その前に、先般総理府の会議の中で、外国からの講師をお招きしましたとき、北欧でございましたけれども、大変すばらしい活動をしている国の事例も伺いました。したがって、政府としてもこのオンブットあるいはオンブズパーソン導入についての検討を真剣にしなければいけない時期に来ているのではないかなというふうに思いますが、この点について、いかがでございましょうか。
  74. 安藤昌弘

    ○安藤政府委員 お答え申し上げます。  男女平等にかかわる問題の解決のためのオンブズパーソンにつきましては、男女共同参画ビジョンにおきましても「国内本部機構の新たな機能として、男女平等に係わる問題の解決に当たるオンブズパーソンについても、検討すべきである。」このように御提言をいただいているところでございます。  今御指摘いただきました二〇〇〇年プランの中におきましても、「諸外国における活動実態、関連法制、我が国への導入可能性等に関する調査研究を行う。」というふうにされているところでございまして、今後とも検討を進めてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  75. 松本惟子

    松本(惟)委員 前向きな御答弁、ありがとうございました。  私は、計画を推進していくためには、政府だけではなくてNGOだとか地方公共団体だとか、それに男女個々人の努力というものが相まって共同参画社会というのが実現していくというふうに考えておりますので、その一助としてオンブスパーソンのことにつきましてはよろしくお願いをしておきたいというふうに思います。  最後の御質問でございます。売対審と発展的に合同して設置をされます審議会でございます。  先ほどから、最近気になる事例が幾つか引用されておりました。援助交際の問題だとか女性に対する暴力の問題だとか、こういったものは国内だけではなくて、売買春を含めまして今国際的にも大きな取り組みが進められようとしているところでございます。  売対審と発展的に合同したということで、審議会の人数も五名ぐらいはふえるというふうに書かれております。それから、課題も、これまでになく非常に多岐にわたる計画が盛り込まれております。これを推進していくためには、やはりナショナルマシナリーを支える、本部機構を支える事務局体制の強化と充実というものがございます。一方では、行革の折で、こんなことはどうなのかということも考えましたけれども、おくれているところを引き上げるという意味で、この点について前向きに御検討をいただきたいと思います。  それから、時間がございませんのであわせてお願いをしておきますが、審議会のさらなる公開、それから、これまでも答申を出すまでにNGO、国民の意見に十分耳を傾ける御努力をされてきた審議会のあり方については前進ではないかと思いますが、まだ前向きに検討する余地があると思います。このことをお願いをしておきたいと思います。  それから、最後でございますが、これは一般論にもなりますけれども、官僚のOBに偏ることなくバランスのとれた審議会のメンバーの選定をお願いをいたしたいと思います。  御質問だけにお答えくだされば結構でございます。
  76. 安藤昌弘

    ○安藤政府委員 お答えいたします。  先生の方から特に事務局体制の強化の問題の御質問がございました。確かに我が国におきましては、先生も御指摘のとおり、総理大臣を本部長とし官房長官を副本部長とする男女共同参画推進本部と、また今御審議いただいております審議会の問題がございますが、これらの男女共同参画社会の形成に関するナショナルマシナリー、これの所期の任務を十分に遂行するためには、その活動を支える事務局体制の強化が大変重要であるというふうに考えております。  このような観点から、私どもも、男女共同参画室を初め各省庁の男女共同参画推進本部担当部署の一層の充実及び連携の強化を図るように努めてまいりたい、このように考えております。
  77. 松本惟子

    松本(惟)委員 時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
  78. 伊藤忠治

  79. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。  男女共同参画ビジョンでは、男女共同参画社会について、人権尊重の理念を社会に根づかせ、真の男女平等の社会を目指すものと定義しております。設置法では、「男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会」このように言っております。  ビジョンと設置法に言う社会というのは同じ社会を目指しているものなのかどうか、簡潔にお答えいただきたいと思います。
  80. 安藤昌弘

    ○安藤政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生の御指摘のございました男女共同参画ビジョンにおきましては、第一部の一で、「男女共同参画社会の基本的な考え方」の中で、男女共同参画社会を、「男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会」としているところでございます。本法案におきます男女共同参画社会の定義もこれと全く同じと考えておるところでございます。
  81. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 男女平等の参画社会を形成することが今日の行き詰まりを打開する緊急のかぎになるんだということをビジョンは言っておりますね。問題は、男性が家事とか育児とか介護の役割を担 うための推進策が著しくおくれている、ここに男女平等社会の実現を困難にしている最大の理由がございます。  共働き家庭の妻の家事時間は三時間三十八分なのですね。ところが、男性はどうかといいますと、共働きか否かのいかんにかかわらず、一日わずか二十四分、どの調査を見ましても余り大差がございません。なぜ男性が家事、育児、介護の役割を担えないのか、何が主たる阻害要因だとお考えでしょうか。お答え願います。
  82. 安藤昌弘

    ○安藤政府委員 お答えいたします。  男性の家事や育児への参加がなかなか進まない原因ということでございますけれども、これはさまざまな要因が考えられると思いますが、一つには、社会一般の意識の中に、やはり男性は仕事、女性は家庭と、こういったような性別による固定的な役割分担の意識がまだまだ根強く残っていることが一つの原因ではないかというふうに考えております。  また、男性の家事、育児への参加を促進するためには、家庭や地域も、男女がともに支え、ともに責任を担うべきものということについての社会全体の理解を促し、男性の職場中心の意識やライフスタイルを変えていくということがやはり重要なことではないか、このように考えておるところでございます。
  83. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 意識の問題というのはありますけれども、今言われたように、ライフスタイルの問題もございますね。  私は、なぜ男性が家事や育児や介護を捉えないかという最大の要因は、一つは男女の賃金格差にあると考えております。もう一つは、男性の長時間労働なのですね。  男性の六二・五%という女性の賃金ですね。この格差は、先進諸国でも最もひどくて、一番ひどいのは南朝鮮、韓国ですけれども、日本はワースト二位です。これでは、男女ともに取得できる、例えば育児休業とか介護休業がありましても、とろうと思っても賃金の格差がこんなにありますから、実際には女性がとるという状況になってしまうわけですね。それで、実際に制度があっても活用できないという状態になっております。結局、賃金格差と固定的役割分担というのは表裏の問題で、私は、賃金差別をなくすべきでないか、これが大変大きな問題であるというように思っております。  例えば、今、男女の仕事を機械的に分けるコース別人事制度というのがありますね。それから、最低賃金法だとか労基法にすら違反しているパートの雇用の改善の問題、具体的な対策をとるべきだというふうに考えております。  特に、私きょうここでどうしても言いたいと思っておりますのは、公務員の男女差別の問題なのです。大蔵省の職員の実態についてちょっときょうはお聞きしたいと思うのですけれども、全国税の近畿地連がまとめました、近畿局管内の入省二十一期、三十六年度に採用された年度別昇任状況というのが調べられております。  これを見ますと、在職者九十八名中、男性が八十四名、女性が十四名なのです。管理職になっていないと級以下に八六%に当たる十二名の女性が集中して、八級になったのはたった二名だけ。男性の大半は最低八級以上になっていて、上席クラスにとどまっている十名の男性はほとんど全国税労組の組合員。きょうは組合差別の問題を取り上げませんけれども、女性差別と組合差別というのは歴然としていまして、それで、女性と全国税組合員を除きますと、ほぼすべての男性が十年以上も前にもう八級になってしまっているのですね。こういう大変大きな差別があるわけです。  きょうはその一覧表、二十一期、三十六年採用のすべての方をグラフにして持ってきたのですが、ピンクが七級の人たちです。それから黄色、青色、オレンジ、こういうふうに変わっていくわけですが、これを見ますと、男性はほとんど、色が黄色から出発しているのです、この十年間。ところが女性を見ていただくと、ほとんどピンク一本なのです。ほとんど変わらないまま放置されているという状態なのですね、十年間も。こういう状態がございます。  それで、女性の中には、女性だというだけで同期とは十年以上も昇任がおくれて、十年以上若く、仕事を教えてあげた後輩がどんどん上司になっていく。どんなに一生懸命やっても認めてもらえない。賃金格差だってすごいものがあるのですよ。単純計算で、女性と男性の年収格差は二百万から二百五十万ぐらい違ってしまうわけです。  こういう実態があるわけで、人権尊重の理念を社会に根づかせて真の男女平等を形成する、こう言うなら、まず公務員の職場から男女差別を見直すべきだというふうに私は考えています。これは官房長官の決意があればやれると思うのですけれども、この点の改善の決意をお伺いしたいと思います。いかがでしょう。官房長官、お願いします。官房長官、ぜひ、これは全体の公務員の問題ですから、官房長官お願いします。
  84. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 私は、給与の実態が男女間で若干の差があることは知っておりますが、特に官庁でというお話でございますから、国家公務員ないしは公務員法に基づく給与というものがどういうものによって成り立っているのか、残念ながら、私、深い勉強をいたしておりません。専門の方にちょっと答弁を願いたいと思います。
  85. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 いや、いいです。  女性問題を担当される大臣としては、こういう問題については、足元の問題でしょう。これから男女差別をなくすと言っているのに、自分の足元の国家公務員の賃金問題、余りよくわからぬというのでは大変お寒い状態だと思うのです。私、このグラフは官房長官にお渡ししましたので、ぜひよく研究していただいて、改善措置をお願いしたいと思います。  もう一つの男女平等社会が実現できない理由の一つに、労働時間の問題がございます。  週四十時間、週休二日制、年休の完全消化をようやく原則としているわけですけれども、実態は原則と大きくかけ離れております。総務庁の九六年の労働力調査を見ますと、年間の平均労働時間は二千二百六十二時間です。男性は二千四百五十五時間、女性は千九百三十四時間ですね。男性は六人に一人が三千百時間を超えて働いている。猛烈に働いているわけですね。  女性が比較的低いのは、パートタイマーが増大しているからなんです。ですから、今女子保護規定があるわけですけれども、パートを除けば、女性の労働時間も二千時間を大幅に超えております。千八百時間の達成なんというのはほど遠い話になっているわけですね。  なぜ財界が女子保護規定の撤廃を要望しているかといいますと、深夜も休日も残業も自由に女性を使いたい、だから男性並みの長時間労働で二千五百時間働かせよう、こういうわらいがあるのではないかと思われるわけです。だから、今女性の年間残業時間規制を、百五十時間を緩和しなさい、こういう流れが、動きが出てきております。これは本当にとんでもない話だと思うのですね。  まず私は、時間短縮を全面的に達成することが、職場と家庭の両立、役割を果たすということに不可欠だと思うのです。その場合に、特に男性の時間短縮が実現しなければ意味がないというふうに思いますけれども、その点での対策を伺いたいと思います。
  86. 安藤昌弘

    ○安藤政府委員 お答えいたします。  ただいま女子保護規定のことについての御指摘ございましたけれども、時間外・休日労働、深夜業に関する労働基準法の女子保護規定につきましては、女性の職域の拡大を図り、男女の均等取り扱いを一層進めるという観点から、男女雇用機会均等法の改正とあわせて解消することとしておるところでございます。  また、女性がその能力を十分発揮できるためにも、男女がともに健康でバランスのとれた職業生活と家庭生活を送ることができるような環境整備が大変重要であり、今後とも労働時間の短縮に向けて積極的に取り組んでいくということでございます。
  87. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 本当に女子保護規定撤廃で男女平等の社会が実現されるのか。職域が本当に拡大されるのでしょうか。実際には、今の男性が猛烈に働かされている中で、そして日本の場合には労働時間の規制がもう事実上青天井で、ないという状況なんですね。外国とは全然違います。  そういう中で、女性もまた同じように働くということになりましたら、女性は一方では家事や育児をそのまま抱えているわけでしょう。そうすると、働けなくなってしまうか、バートになって働くしかなくなる。職域の拡大どころか、ますます女性の働く職場が縮められ、働く条件がなくなっていってしまうわけですね。  ですから、私は、男女がともに、男も女も職場と家庭の両立を図って、本当に人権を尊重した平等な社会をつくっていくという方向を目指すならば、やはりこういう賃金差別の解消だとか時間短縮、ここを先にやらないと、条件整備をやる前にどんどん女性も男性と同じような水準に合わせて働くような状態になったら、大変な事態になると思うのです。  今度の政府の予算でいいますと、九七年度九兆円もの大増税や負担でしょう。一方、さらに女性は、先に税金だとかそれから年金などの社会保障も払いなさいなどということになると、ともかく労働条件が悪くても低賃金でも、生活していくために働かなければいかぬということになるわけです。そうすると、ますます女性は低賃金の中で固定的に置かれて、そして女性がそういう状態になったら、男性もそれと競争すれば、ますます男性の労働条件もひどくなってしまう、家庭責任はさらに女性にかかってくる、こういう問題があると思うのです。  私は、手順を間違えば、人権の尊重や男女平等、女性の地位向上とは相反する社会に、この女性保護規定撤廃がなっていくというふうに思います。断じてこれは認められない、このことを指摘して、最後の質問に行きたいと思います。  最後に、人権を侵害する最も重大な問題の一つに、売買春の問題がございます。売春対策審議会を廃止するとしておりますけれども、アジアの女性たちを犠牲にした管理売買春といいますか管理売春や児童に対する売春を初め、実態は実はますます深刻な状態になっているわけですね。  それで、男女共同参画二〇〇〇年プランを読んでみますと、こんなところが出てくるわけです。「売買春を未然に防止するため、経済的、精神的に不安定な状態にある女性について広く相談に応じる中で、売春をするおそれのある女性を早期に発見し指導に努める。」この人は売春しそうだといって顔を見て判断するのでしょうか。ちょっと実情にそぐわない指摘があるわけですけれども、こういう売春しそうな人を見つけ出して事前に予防などできるのでしょうかということなんです。最大の問題は、そうではなくて、管理売春をなくすことだ、そして売買春産業を根絶することだというふうに思います。  特に、私は四つの点についての検討をぜひしていただきたいと思うわけです。一つは、禁止されているにもかかわらず事実上野放しになっております売買春産業に対する銀行融資、こういうものについての厳格な運用を徹底すべきだというのが一点です。二つ目は、売買春の温床になっております個室つき浴場、これなどの廃止を検討する。そして三つ目は、日本の政府が報告しなければならないということになっております、女性差別撤廃委員会が求めております、売買春、性産業の実態を調査して、その必要な対策を立てる。これは求められているわけですから、その対策をとる必要があります。そのために、先ほど売買春問題に対する事務局体制の強化の問題がございました。ぜひ専門部会をきちんと設置して事務局体制を強化する。この点での四つの点についてお聞きしたいと思います。
  88. 安藤昌弘

    ○安藤政府委員 お答え申し上げます。  今回、売春対策審議会を廃止するということに関連いたしまして、先生の御指摘もございましたけれども、今回の法案の中では、売春対策審議会を新たな審議会に発展的に統合するというふうに考えておるところでございます。  これは、先ほどもございましたけれども、売買春が、男女共同参画社会の実現を図る上で前提となる女性と男性の対等な関係の構築にとりまして重大かつ根本的な支障となるという課題であることにかんがみまして、この問題を女性の人権の保障、男女共同参画社会の実現という新たな観点から調査審議をするということにしたところでございます。したがいまして、売春対策というものも新たな審議会における調査審議事項の柱の一つというふうに考えておるところでございます。  昨年の八月の売春対策審議会におきましても、売春防止対策を審議するための体制の見直しということにつきまして御論議をいただきまして、売春対策審議会の会長から総理あてに……(瀬古委員「四つの点について簡潔に答えてください、時間がありませんから」と呼ぶ)それで、今申し上げましたような形で売春防止対策を審議するための体制を見直して、その上で幅広い審議を行う場と、それからより専門的な知識経験に基づく審議を行う場の双方を設置すべきだというような意見をいただいているところでございます。これらを受けまして、新たにこの審議会の中で専門的に御論議をいただきたい、このように考えているところでございます。
  89. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 ぜひこの四点の問題については具体的に検討し、そして事務局体制の強化も含めまして、専門部会の設置も含めてやっていただくということでよろしいのですね、答えだけで結構です。
  90. 安藤昌弘

    ○安藤政府委員 お答え申し上げます。  ただいま申し上げましたように、新たな審議会の中で専門的に御議論いただくということにしているところでございます。
  91. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 ぜひ売買春対策の強化についてお願いしたいと思います。  最後ですけれども、被害に遭った女性に対してぜひ援助をしてほしいという声が各地域で、その相談活動や民間のヘルプをやっている団体から出てきております。それで、これは本来国が全面的に負担しなければならない問題だというふうに思っております。民間の善意任せではこれはやれません。そこでぜひ全面的な援助、財政援助をしていただきたいという声がそういう被害に遭った女性に対する援助をしている団体からかなり根強く出ております。これは財政問題もございますので、最後に官房長官に伺いたいと思います。
  92. 西沢英雄

    ○西沢説明員 売春を行うおそれのある要保護女子の保護更生に関しましては、売春防止法に基づきまして、都道府県の設置いたします婦人相談所におきまして相談、指導、一時保護等の業務を行っているほか、都道府県、社会福祉法人等の設置いたします婦人保護施設におきまして要保護女子の収容保護等が行われているわけでございまして、これにつきましては国として応分の費用を負担しているところでございます。  このほかに、民間のボランタリーな活動としていろいろな有益な活動を展開されているというふうなことは伺っておりますけれども法律に定めました国の仕事として、この婦人相談所、婦人保護施設、それから婦人相談員の方がいらっしゃるわけでございますが、こうした公的機関の連携と一体的な体制によりまして、被害女性の相談、指導や保護更生に当たるべき問題というふうに考えておりまして、民間団体でいろいろ有益な活動をされてございますけれども、そうしたものにつきまして国が国庫負担をするということにつきましては、こうした現在の情勢、制度、施策との対比もございまして、非常に難しい問題であるというふうに認識しております。
  93. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 官房長官、最後お願いします。ぜひ検討してください。
  94. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 同様であります。
  95. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 計画の中にもプランの中にも売買春対策が強化されなければならぬという中で、民間任せにして国は放置しているということは大変私は恥ずかしいことだと思います。ぜひ御検討願うことを訴えまして、私の質問といたします。  ありがとうございました。
  96. 伊藤忠治

    伊藤委員長 深田肇君。
  97. 深田肇

    ○深田委員 社民党の深田肇でございます。  小さくなった社民党でございますので、持ち時間が十分間ですから、その時間内で最大限官房長官にいろいろとお尋ねをしながら意見などを申し上げてみたいと思いますので、御理解をいただきますようお願いをまずいたしておきたいと存じます。  女性の先生方二人の話が出ましたので、男性の側から男女同権についていかにあるべきかについてひとつ話をしてみたいというふうに思っている次第でございます。  それに当たりまして、まずは私先ほど聞き違ったのかもわかりませんけれども、官房長官、女性担当大臣に復帰されたように伺いましたが、されていたら結構なんです、されていなければ、うちの土井たか子党首が、おまえそのことを言ってぜひ復帰してもらうように強い強い期待を尊敬の念を込めて申し上げるように言っておりましたので、復帰されていないのでしたらなるべく早い時期に、官房長官、やはり国を代表して、政府を代表して、男女同権といいますか男女共同社会をつくっていく、最も民主的な国をつくるための旗頭でございますから、旗振りとしての任務におつきいただきますことを心から、期待を込めてのお願いをしておきたいというふうに思います。  さて、少し本題に入ってまいりますが、昨年の七月に男女共同参画ビジョンというのが答申されておりますけれども、その中でもいろいろと書かれてありますが、一言で申し上げますならば、ここは男性、女性ではなくて女性、男性と書いてあるのです。女性、男性の個性に基づいて共同参画する社会の実現を目指すためには、こういう文脈があるわけでありまして、大変新しい着眼点だと思って拝読いたしました。そのためにはやはり人権が確立されることが必要だということが指摘されておりまして、私は、その意味合いで、そういう人権思想の方について少し意見を申し上げておきたいというふうに思います。  憲法の十四条で、いわゆる平等の問題や差別なき状況についての指摘はお互いの理念としてしっかりあるわけでありますが、具体的にこの理念に沿うようなどういう社会や私たちの生活をつくるかというところが今後我々の一番大きな、いわゆる具現化するというところがポイントだろうというふうに思っているところでございます。  その意味合いで、大変乱ごとで恐縮なんでありますが、私どもの党首は女性でありますので、この土井党首の方から実は私今から十何年ぐらい前になりますが指摘を受けまして、私に対して、あなたが妻のことを人様に対して家内、きょうは大分家内家内と官房長官おっしゃいましたが、家内と言って紹介したり、女房として紹介したりすることは女性べっ視になる、差別になるんだよ、やめなさいよと言われまして、それは一つ意見ですね、私は、土井たか子さんのその意見についてはそれなりに理解をいたしまして、そのことをやろうというふうに決意をして努力いたしました。  最近やっと連れ合い——どう呼ぶんですかと聞いたら、連れ合いと言えと言うんです。なるほどということで、よく本を読んだりいろいろしていますと、連れ合い連れ合いという言葉が出ておりますし、連れ合いはお互い連れ合っているわけでありますから最も平等な平均的な表現かなと思いますが、最近やっとこれになれてきたといいますか自然になるようになりました。子供が二人おりますが、大きい方も小さい方も子供たちは、大分おやじさん変わってきたねと冷やかされるような状況でありまして、いわんや連れ合いの方はもう満足げでございまして、そういったこと自体は憲法の精神の専門家の御指摘もありましたので、私は少しでも沿うように努力をしようというふうにした。  私のそういうことを思い出しながら今度の女性参画のことについて考えたわけでありますが、いずれにしましても、そういう日本における歴史的な男社会、先ほど官房長官はいわゆる母性時代の話もされましたが、いわゆる男性中心主義の社会で男性支配があって、今の世の中はやはりそれなりの歴史的な経過があるだろうと思います。そのことをどういうふうに対等にするか、平等にするかというところは大変重要なことなんではないかと思っている次第でございまして、その意味合いでは大変思想改造というのは難しいことなのでありますし、憲法の理念に沿ったような生活状況に変えようと思っても、みずからの反省を申し上げるならば大変苦しい思いをいたしましたし、申し上げたとおり、やっとなれたといいますか、自然になったという状況でございます。  その意味合いでは、一つ大変なことであろうことを自分で申し上げた上で、などなどを考えたときに、今回審議会ができて、これから全国民的に大改革といいますか、新しい民主的な社会づくりに向かって大きな流れをつくっていくわけでございますから、そうなりますと、現在の男女差別の現状は、官房長官、何が一番大きな問題だとお考えでしょうか。そして、どうしたらこのことはできていくのか。審議会で審議したらいいという答えだけではどうも解決できないのではないかと思いますので、官房長官の認識をひとつ伺いたいと思います。  時間の関係がありますから、全部しゃべってしまいます。  その次に、今度の審議会で十分の四という方程式が提案されております。大変すばらしいことだと思うのです。私どもは、やはり男社会の感覚がありますから、そうか、女性を十分の四にするのか、なかなか大したものだな、この際、五対五ぐらいまで持っていったらどうかと。何を言っているのですか、今までの審議会は女性の方が上で男性の数が少ないのですよ、こういう今までの審議会の報告をいただいて改めて名前を見せていただきまして、なるほどな、進んでいるなというふうにみずからを反省したのであります。  それだけに、官房長官の行政指導に基づいて、各省における審議会も十分の四方程式をどんどん適用するように、二人か三人の女性にとどめないように、といいましても、私のところでもなかなか少のうございますけれども、できればひとつ十分の四の方程式が各審議会でどんどんと採用されていって、その中で男女ともどもに豊富な経験と考え方を交換する中で憲法の精神に沿ったような社会づくりのために努力することが必要なのではないかと思いますので、最初に申し上げましたとおり、期待を込めて、土井たか子党首は尊敬の念を込めてぜひ官房長官によく頼むように、こういうことでございましたから、その点を申し上げまして、私の方では終わりたいと思います。
  98. 安藤昌弘

    ○安藤政府委員 お答えいたします。  先ほどの十分の四といたしましたことにつき、先にちょっと一言御説明させていただきます。  今回十分の四といたしましたのは、やはり男女の委員の均衡に関する規定としまして、それぞれの視点からバランスよく反映させるということをまず目的とするものでございます。実際には、対等な構成となるよう配慮するために男女各五割とすることも考えられるわけですけれども、やはり審議会の所期の任務を遂行するために必要な学識分野からバランスよく委員を任命することも必要不可欠ということで、実際上、委員の人選が困難になることのないように、前後一割程度は裁量の幅を設けたものでございます。  さらに、男女共同参画社会の先進的なモデルとされております北欧諸国におきましても、一般に、集団における男女の適当な構成はそれぞれ四割から六割ぐらいと考えられておりまして、これらのことも参考にいたしまして十分の四としたところでございます。
  99. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 私の尊敬をする土井委員長にぜひひとつお言づてを願いたいわけでありますが、女性問題担当大臣は武藤総務庁長官であります。そして、私はこの男女共同参画室を主宰をする内閣官房長官であります。ですから、一人でやるよりは二人でやった方が女性問題は担当の分野がふえるということで、武藤総務庁長官にお願いをし でありますので、御了解のほどを願いたいと思います。  それから、なるほど、私も家内を呼ぶのに何と呼んでいいのか、大変敬愛を込めて私は家内とかあるいは名前を申し上げているのですが、これからは連れ合いということに変えてみたい、こう考えております。それは、うまく言えるかどうかわかりませんけれども、努めて努力をいたしたいと思います。  それから、日本は男女差別、男性中心社会だ、こう言われますが、欧米各国から見れば、長い男権対女権という歴史の中では、日本はどちらかというと、女性優位というよりも男性のヨーロッパの狩猟期よりは、はるかに日本の農耕民族の方が女性は上位にあったことは御案内のとおりであります。アマテラスオオミカミが国の神様であるわけでありますから、そういう時代を経て、それから狩猟期を経、戦争期を経て、いわば野に山に駆けることの巧みな男性がようやく男性の地位を獲得して、そして男権が強くなった。  オール男性対オール女性というような絶えず闘争の歴史であったことは、何か昔、本を読んだ覚えがありますが、しかし、一対一では極めて愛くるしい間柄でありますから、その個人対個人の愛くるしい情緒、情感を広げていけば、男女平等の参画社会ができるはずだ、しかも、先ほど申し上げましたように、少子・高齢化の社会の中で、なかなか、お互いの立場を尊重し合いながらやらなければやれないわけでありますから、そのことは、懸命な努力を払うことによって、私は、そういう社会に到達ができる、そのように確信をいたしております。
  100. 深田肇

    ○深田委員 どうもありがとうございました。
  101. 伊藤忠治

    伊藤委員長 奥田敬和君。
  102. 奥田敬和

    ○奥田(敬)委員 太陽党の奥田でございます。  長官、遅くまで御苦労さまです。あなたに質問しようと思ってきたことがありましたけれども、先ほど来、女性委員の御質疑の過程の中で、この審議会の目的とするところ、私は一番先に、労働省にも婦人少年問題審議会、あるいは、現在総理府の中にも売春対策審議会とこの共同参画審議会の二つがあるわけでございますけれども、屋上屋を重ねるような形に持っていくのは困るな、もっとスリム化することが、今、行革内閣の課題なのにどういうことかなと思っておったのですけれども、聞いてみますとそうではなくて、むしろ、それらを権威のある、実効性のあるものにしていこうということで一つにまとめられるという形でお聞きをいたしました。したがって、この間についての質問は省略いたします。  ただ、長官にお願いしたかったのは、この人選の、メンバーが、いつも何か、官庁OBとか学識経験者とか、世の中に多少ポピュラーな人ばかりで、いわゆる家庭人、あるいは商業に従事される人、あるいは農業に地道に活動されている、地域を代表される、そういった方たちも含めて広範な人材を審議会のメンバーにしてほしいな、幅広い人選で、いわゆる、本当の意味の第一線で苦労されている方を何とかメンバーに加えていただきたいな、そういった形で人選をしてほしいなということを長官にお願いしようと思ったのですけれども、もう既にあなたは、そういった幅広い視野からできるだけみんなの意見に耳を傾けてこの運営をやろうという御方針のようですから、それは間違いないですね。そういうことですから、この問題もそういうことで終わります。  ただ、私自体古い時代を知っておる立場から言うのですけれども、よく、まだ売春対策審議会なんというものが総理府内にあったのかなと思っていました。恐らく、昭和三十一年ころの売春禁止法に基づいて設置されたものだと思いますけれども、あれから四十年、当時の赤い灯を知っている私たちの世代だけに、もう売春なんという言葉と同時に、これに対応するような審議会なんて必要だったのかな、こう思っておったのですけれども、今度はこれらをひっくるめて構成メンバーにされるということですから、私は大変ありがたいと思っています。また、日本にとっても、本当に、こういう対策委員会があること自体がちょっと対外的にも恥ずかしいなという思いをいたしておっただけに、私は、とてもそれはよかったなと思っております。  そこで、私も十分ですから、この夫婦別姓という形が、最近、やはり私たちの政治マターの問題になってまいりました。ところが、いただいた男女共同参画審議会の一つのビジョン提起の中にちゃんと書いてあるのですね。男女共同参画社会の形成を促進する観点から、選択的な夫婦別姓を認めることなどを内容とする民法改正は早期に努力すべきだ、改正すべきだというビジョン提言になっておるわけです。  それでは、どんな顔ぶれの委員の先生方がこの審議会のメンバーにおいでるのだろうと思うと、これまた、なかなかユニークな人がたくさんいらっしゃるのですね。官庁OBもいらっしゃいます。ですけれども公務員時代には、これは役人としてちょっと型の変わった人だな、役人離れしているけれども人間性豊かな人だなと言われた方も何人がまじっておられます。ですから、この人選自体について異議を言うのじゃありません。ただ、この改革ビジョンの中では、夫婦別姓の論議はもう時代の趨勢だ、だからこういう形で民法を改正しなさいよという形の提言だと思うのです。  私も長官も、戦中戦後を通じて、やはりいろいろな意味でこの問題にはそれぞれ意見があると思うのです。私も、共同参画社会を実現しなければ日本がだめになるという危機感は持っています。もう二十年もたてば、二・五人の働き人に一人の高齢者がいるという時代というのが目の前に来るわけですから、これは女性の社会進出、あらゆる分野における女性のいわゆる進出というものがなければ、日本の国のすべての体制は本当にだめになるだろうという危機意識は持っています。  ですけれども、やはり婚姻するときには、お互いに、相手の姓、どちらをとろうが選択する、それは自由なんですから。まあ、子供が少なくなったということも原因なのかもしれません、お墓守をどうするかというような話題もあるそうですから。ですけれども、私は、この夫婦別姓、通称を何か登録制で認めるという形にすれば、やはり戸籍上は、別姓であれするという形になるとにわかに賛同しがたいな、しかし、女性の権威、通称を認めていくという形は、やはりこれからは、それくらいの選択的な自由というか、登録くらいは必要なのかなという思いでいるのです。  これについて、世代的な共通の認識を持っている、価値観を持っている長官、この問題はどういう方向で、私も今勉強中なんですから——今、審議官が手を挙げておられるけれども審議官の意見は聞きます、男女共同参画室付ですから。長官意見と同時に審議官の意見も聞いて、質問を終わりにします。二人、別々でやってください。
  103. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 真打ちの室長には、最後にトリを答弁していただきます。  老戦友の奥田委員から御質問を賜って、何か昔に返ったような気もいたしますし、七十年の自分の人生、戦前、戦中、戦後、こういうものを振り返りながら今ここに座っていたわけであります。  古い人間でございますからうまいことは申しませんが、やはり、自分の人生を顧みて、母あればこそ、妻あればこそという思いがしきりといたします。そういう思いを込めてこれから最後の御奉公をしておさらばをしたい、このように思っております。  そして、夫婦の選択的別姓の問題も、冒頭申し上げたのですが、私も実は家内に聞いてみたらば、家内は、お父さん、私は梶山姓です、こう言うのですよ。何だと思ったらば、私は梶山を名乗ったからこそ梶山家を征服したと言うのですよ。四十何年いると女性は強い、確かに私の実印から何から全部持っているのですから強いはずですが。それはうちの家内の意向でありますから、私は私の家内の意向を一番家庭生活では大切にいたします。  社会的には、私は、これだけの女性の要望があるのですから、いわば俗称というか、戸籍までどうこうしていいかどうかは別問題として、そうい うものの幅はあってもよろしい、このように私個人は考えております。
  104. 名取はにわ

    ○名取説明員 お答えいたします。  先生が先ほど引用してくださいました、男女共同参画審議会が昨年七月に出されました答申、男女共同参画ビジョンにおきまして、「夫婦が別の氏を称することを認めていない民法の現行制度の下では、女性が婚姻により氏を改めることが一般的となっているが、同制度は氏を改めた者に社会生活上の不便が生ずることがあるなど、女性の社会進出の上での障害ともなっている。」との御指摘を受けております。  そこで、昨年十二月、男女共同参画推進本部が策定いたしました男女共同参画二〇〇〇年プランにおきましては、「家族に関する法制の整備」として、男女平等等の見地から選択的夫婦別氏制度の導入等、婚姻制度等の改正についてさらに検討を進めるということが入っております。  もっとも、この問題につきましては、婚姻制度や家族のあり方とも関連いたします大変重要な問題でございますから、国民や関係各方面の御意見がいろいろ分かれている状況にございますので、国民各層の御意見を幅広く聞き、また、各方面における議論推移を踏まえながら、適切に対処していく必要があると考えております。
  105. 奥田敬和

    ○奥田(敬)委員 終わります。
  106. 伊藤忠治

    伊藤委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  107. 伊藤忠治

    伊藤委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  男女共同参画審議会設置法案について採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  108. 伊藤忠治

    伊藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  109. 伊藤忠治

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  110. 伊藤忠治

    伊藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時四十八分散会      ————◇—————